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2013.10.05
【ワシントン=柿内公輔】ゼネラル・モーターズ(GM)など米自動車大手3社が快走している。金融危機で経営難に陥ったが、米景気の回復を追い風に業績が反転。格付けの改善や再上場の動きも相次ぎ、「ビッグ3」としての輝きを取り戻しつつある。
最大手のGMは北米(米国、カナダ、メキシコ)の全工場がフル生産の状態だ。17ある組立工場のうち9つが1日3交代制で、北米担当のジョンソン副社長は英紙フィナンシャル・タイムズに「さらに拡大を検討している」と述べた。
米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは9月、GMの格付けを投機的水準の「Ba1」から投資適格級の「Baa3」に引き上げた。投資適格級を回復したのは8年ぶりで、「北米や中国で高い競争力を持っている」との評価を受けた。ムーディーズは昨年5月にフォードも投資適格級に引き上げている。
金融危機で経営が悪化したGMとクライスラーはともに連邦破産法の適用を2009年に申請して破綻したが、GMは翌年に再上場を果たし、公的管理から脱却。クライスラーも再上場を9月申請し、市場の「信認」も取り戻しつつある。
GMとフォード・モーター、クライスラーの米大手3社の世界販売台数は、09年には1366万台と低迷したが、昨年は1736万台まで持ち直した。クライスラーはイタリア大手フィアットの傘下に入ったが、今や欧州債務危機で青息吐息の親会社を支えている。やはり業績不振の仏大手プジョー・シトロエン・グループ(PSA)もGMと提携し、再建に取り組んでいる。
快走するビッグ3の原動力は本国の米市場の復調で、業界全体の新車販売は09年の約1040万台で底打ちし、今年は1600万台に迫る勢いだ。
ただ、絶好調にも映るビッグ3に気がかりな点がないわけではない。日本車メーカーは足元の米市場でも手ごわい存在だ。
リコール問題や東日本大震災の余波から脱却したトヨタ自動車やホンダは、得意の中・小型車で新車攻勢をかけており、ハイブリッド車(HV)などエコカーの強化も含め、ビッグ3は対応を迫られている。
新興勢力の台頭もある。今年黒字化した米電気自動車(EV)ベンチャーのテスラ・モーターズは、「ビッグ3を脅かす」(アナリスト)可能性を秘める。
さらに足元では、政府機関が一部閉鎖されるなど財政の混乱が米経済の先行きに影を落とす。
ドル箱の米国で稼いだ資金で、世界最大市場の中国や東南アジア、南米など新興国でどれだけ販売を強化できるかが、ビッグ3の課題となりそうだ。