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2013/8/9 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
ついに化粧品業界全体に“飛び火”した。美白化粧品を使って肌がまだらに白くなる健康被害が出ているのはカネボウ化粧品の製品だけではなかった。厚労省によると、全国の消費生活センターにはカネボウ以外の複数の会社の商品で「白斑症状が出た」という相談がすでに10件程度寄せられている。商品との因果関係はハッキリしないとはいえ、業界は大パニックだ。
◆すでに複数企業の商品に関する相談が
田村憲久厚労相はきのう(8日)、他の化粧品メーカーにも自主点検を求める方針を明らかにした。もっとも、この対応は当たり前で、むしろ、遅すぎたくらいだ。なぜなら、美白製品の基本的なメカニズムは「どの会社でも大きく変わらない」と、すみれ皮膚科クリニックの藤田伸弘院長(皮膚科専門医)はこう言う。
「肌を『白くする』には皮膚にあるメラニンの生成抑制が欠かせません。そのため、多くの美白製品にはメラニン生成を促す『酵素チロシナーゼ』を抑える成分が含まれています」
この成分の研究、開発に各社とも巨費を投じてきた。今回問題となったカネボウ独自開発の美白成分「ロドデノール」も、酵素チロシナーゼの働きを阻害する効果が高いとされる。
「酵素を抑えるアプローチの仕方は違っても、美白効果をもたらすメラニン抑制という“ゴール”は同じ。そのため、カネボウのような『白斑』の健康被害が他社製品で起きる可能性はゼロではない」(厚労省担当記者)
カネボウ問題を受けて急きょ、設けられた日本皮膚科学会の特別委員会の報告書にも、「他の美白製品は大丈夫ですか?」という問いに対し、こう書いてある。
「同じ作用機序を有する美白化粧品の安全性についての情報がまだ得られておらず、安全であるとも、危険であるとも言えない」
「他の美白剤で同じ症状が出現するリスクがまったくないとはいえない」
危機管理コンサルタントで、リスクヘッジ代表の田中辰巳氏はこう言う。
「消費者は『白斑』問題にかなり神経質になっており、被害相談は今後も拡大するのは間違いありません。カネボウにとどまらず、他の化粧品会社にも影響は及ぶ。化粧品メーカーにとって、おそろしいのは、ひとつのクレームがさらなるクレームを招く“クレーム爆発”です。すでに台湾でも症状が出ており、海外全域で損害賠償請求訴訟を提起される可能性もあります。そうなれば経営に与えるダメージは甚大です」
大スポンサーの化粧品業界のパニックに、メディアも戦々恐々ではないか。