http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130709-00000007-sasahi-bus_all
AERA 2013年7月15日号
今年も役員報酬額ランキングが発表されたが、やはり1位はこの人だった。日産自動車のカルロス・ゴーン氏への報酬額は9億8800万円。前年より100万円増え、2位と2億円以上の差をつけて2年ぶりにトップに返り咲いた。
東京商工リサーチの調べによると、2013年3月期決算の上場企業のなかで、役員報酬が1億円以上だったのは7月2日現在で171社297人。さらに増える見通しで、億万長者の役員は、有価証券報告書で個別開示が義務づけられた10年3月期以来、初めて300人を超えそうだ。しかも、そのうち約7割の214人は2年連続で1億円以上。企業別では、世界的なロボットメーカーのファナックが13人と最多だった。
「電機が苦戦し、自動車が新たにランクインするなど、業界ごとに差が出ている。日本特有の退職慰労金を受け取る役員が上位を占め、世代交代感が強かった昨年までと比べ、より業績に連動する傾向が出ています」
そう分析するのは、東京商工リサーチ情報部課長の坂田芳博さんだ。
一つの企業で、社員と役員の報われ方はどのぐらい違うのか。有価証券報告書にある正社員の平均所得と役員報酬を比べると、日産のゴーン氏は約141倍。日本調剤の三津原博氏で約106倍に上る。だが独自の役員報酬アンケートを30年以上続けている賃金管理研究所副所長の大槻幸雄さんは、経営者の声をこう代弁する。
「以前から欧米に比べて日本の役員報酬はケタ違いに低いと言われてきたが、外国人のトップを招聘したり、海外で現地の企業と伍して働く人を他社に引き抜かれずに定着させたりするには、それなりの金額が必要になる。昔に比べ経営陣もスリム化し、責任や権限が明確になりました。意思決定と業務機能が分かれ、責任も大きい」
リーマン・ショックや震災後のエネルギー問題などでブレーキがかかっていた役員報酬だが、アベノミクス効果などで来年3月期に業績を上げられれば、一気に上昇することも考えられるという。