電力会社及び諸事業者・家庭の発電能力は、原発すべてを廃止してもピーク需要を賄えるレベルにある。
これは福島第1原発事故時点からの話で、政府・電力会社は「原発存続」のために電力不足を煽り、人殺しの「計画停電」まで実施して“電力供給余力”を隠蔽してきた。
(政府・電力会社は、福島第1原発事故直後から、この“難局”を乗り越えて原発を維持・存続することを優先的に考える腐敗ぶりだったのである)
今年の夏の節電数値目標見送りは、原発維持のための電力不足キャンペーンと節電による電力会社の売上不足(収益悪化)の二律背反状況のなかで決められたのであろう。
被災地の人々を思い不意の停電を避けるため環境も考えての人々の節電が、原発なしでも電力供給が十分に可能であることを見せつける一方、ただでも総括原価方式(原発関連の減価償却費や維持費を含む)のなかでコストがかさんでいる電力会社の売上低迷につながってしまった。
「原発存続」を企図する政府は、その必要性を電力供給力ではなく、じんわりと、コストや輸入超過にシフトしている。
コスト問題でいえば、まず、電力会社が抱えている原発施設及び核燃料関連の“資産”を政府が買い上げれば大きく低減する。電力を生産していない原発施設や最終処分さえ明確ではない使用済み核燃料までが資産となっていることで、電力会社の経営が厳しくなっていることを明白にすべきである。
供給余力が厳しいとされる関西電力や九州電力も、企業の自家発電を制限(規制)なく活用できるようにすれば、大きく緩和される。
とにかく、原発を廃炉にしていくという基本方針を定めれば、電力供給問題も電力会社経営問題もそれほど難しくないかたちで解決できるのである。
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<節電>1日から 数値目標見送り 関西・九州は高リスク
毎日新聞 6月29日(土)20時7分配信
大手電力各社の今夏の電力需給見通し
政府による夏の節電要請が7月1日から始まる。東日本大震災後の厳しい電力需給に対応した措置で、3回目の今年は初めて全国で節電の数値目標設定を見送り、企業や家庭の自主的な節電で夏場を乗り切る計画だ。節電意識の定着などが理由だが、関西、九州の両電力は安定供給に必要な最低限の余力しかなく、猛暑と火力発電所のトラブル停止が重なれば、突発的な停電のリスクが高まる恐れがある。また、数値目標がなくなり「節電の取り組みが緩む」懸念も指摘される。
節電要請期間は7月1日〜9月30日(お盆の8月13〜15日は除く)の平日午前9時から午後8時。沖縄を除く東京や関西など電力9社管内の企業や家庭、自治体などが対象で、照明をこまめに消し、エアコン温度を28度以上に設定するなどの節電努力を求める。
政府は昨夏、猛暑だった2010年夏比で北海道電管内7%▽関電管内15%(大飯原発3号機フル稼働後は10%)▽九州電管内10%など、当初、東京と東北を除く7電力管内で数値目標付きの節電を求めた。しかし、今夏は家庭や企業の節電定着を前提に、需要ピーク時にどれくらい電力供給の余裕があるかを示す数値(供給予備率)が電力9社とも必要最低限の3%以上を確保できる見通しとなり、数値目標を見送った。
ただ、発電の原発依存率が高い関電と九電の予備率は必要な3%ギリギリの水準。今夏が10年を上回る猛暑になったり、火力発電所が事故で止まったりすれば、電力不足が現実化しかねない。実際、梅雨時では想定外の暑さだった6月中旬、関電、九電は電気の使用率が95%を上回る需給の厳しい日が1日ずつ発生。北海道電は6月26日、トラブルで火力発電所が停止、予備率がマイナスになり、東北電力からの電力の緊急融通でしのいだ。
各社は、電力不足が懸念される際に送電を減らすことを事前に了解してもらう「随時調整契約」を工場などの大口需要家と締結。経済産業省は電力各社が自家発電を持つ企業などから不足分の電力を円滑に買える夏季限定の新市場を設立した。政府は電力不足リスクが高まれば、需給逼迫(ひっぱく)警報を発令。電力会社の予備率が1%を切る見通しになれば、その管内の利用者に携帯電話で緊急速報メールを送り、節電徹底を呼びかける方針。気象庁によると、今夏は平年より暑くなる日が多い見通しで、経産省幹部は「『(数値目標無しの)今夏は電気が足りている』とは考えず、昨年同様の節電を心がけてほしい」と話す。【大久保渉】
◇供給予備率
夏場の昼間などに予想される最大の電力需要に対し、電力会社がどの程度の供給余力を持っているかを示す比率。猛暑で冷房使用による需要急増や、発電所のトラブルによる供給急減で、需給が逼迫する事態に備え、最低でも3%、安定供給には7〜8%程度が必要とされる。原発停止で各社の予備率は低下しており、政府は2011年3月の東日本大震災後から昨年まで夏冬4季連続で、電力不足が懸念される地域に数値目標入りの節電要請を実施してきた。
最終更新:6月30日(日)13時2分
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