「現在、日本車の中国での生産台数は400万台を超えている。この数字は年間数百億元の税収と数十万人の雇用を意味する。もし事態が収拾不可能な状況に陥り、日本企業が中国から撤退したとすれば、それは両国にとって致命的な痛手となる。」
「ソニーやパナソニック、シャープなど家電大手も軒並み巨額の赤字を計上し、空前の苦境に立たされている。こうした中、中国市場で利益を挙げることができなければ、これら日本企業は倒産の危機に直面する可能性がある。」
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中国の日本車販売、逆境ながら成長 背景に両国の「先行き好感」
中国でこのほど撤退が噂されている日本車は、依然として先行きは不透明なものの、決して足踏み状態ではなく、むしろ逆境の中で成長を続けている。中国商報が伝えた。
中国では今年に入り、日本車に関する記事がたびたび新聞各紙の第1面を飾った。日本の自動車大手は主力製品をこぞって発表すると同時に、マーケティング戦略やサービス内容を強化し、釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題の影響をもろともしない存在感をアピールしている。また業界内でも、高級ブランドの国産化や工場新設などを進めており、巻き返しを狙う日本車の覚悟がうかがえる。
中国の自動車市場には依然として大きな伸び代があることは紛れもない事実だ。しかし拡大を続ける背景にある最も重要な要因はやはり、中日関係が長期的には上向くとする両国自動車企業の経営層の一致した見方だ。これは一切の協力と発展の基盤となるもので、両国の自動車企業の経営層がこうした基盤に対し自信を抱いているのは明らかだ。
■中日関係の見通しを「慎重に楽観視」
日産自動車の高級ブランド「インフィニティ」に続き、ホンダの高級ブランド「アキュラ」も国産計画を発表した。新ブランドの導入以外に、ホンダは6月にも説明会を開き、中国向けに設計したエンジンやトランスミッションなどパワートレーン(伝動機構)3型を発表する見通しだ。ホンダの中国合弁会社「広州本田」の第3工場も近く着工され、今後の生産台数は72万台に達する見込み。
このほか、日産の中国合弁会社「東風日産」の大連新工場の建設が急ピッチで進められている。トヨタ自動車は5月末、中国の民営電池メーカー「湖南省科力遠新能源」(本社・湖南省)と、ハイブリッド車(HV)向け車載電池を生産する合弁会社を設立する。日本の自動車企業は中日関係悪化のあおりを受けながらも、中国市場での発展戦略を断固として推し進めていることが、こうした活発な動きから見て取れる。
市場競争よりも、政治の変数の方が日本車の発展に明らかに影響を与えている。しかし日本の某自動車企業の幹部はこのほど記者の取材に対し、「日中間の摩擦の解消は短期的には難しいが、長期的に見れば両国関係がさらに悪化する可能性は低い」と楽観的な見方を示した。日本の自動車企業が依然として協力関係の継続に自信を抱いている背景には、長期的な先行きに対するこうした楽観的な見方がある。
過去数年間、政治的な要因が両国の経済協力を妨げる障害となったことはない。数年前は、中国は日本最大の貿易相手国で、貿易額は年々過去最高を更新していた。こうした複雑で深い経済関係のもと、「釣魚島海域で軍事衝突が起こることはあっても、戦争に発展することは絶対にない」との推測も説得力を帯びてくる。
現在、日本車の中国での生産台数は400万台を超えている。この数字は年間数百億元の税収と数十万人の雇用を意味する。もし事態が収拾不可能な状況に陥り、日本企業が中国から撤退したとすれば、それは両国にとって致命的な痛手となる。
■中国市場は手放せない
中国の日系企業で政治問題のあおりを受けるのは、自動車業界だけではない。近年、日本経済の「稼ぎ頭」となっているソニーやパナソニック、シャープなど家電大手も軒並み巨額の赤字を計上し、空前の苦境に立たされている。こうした中、中国市場で利益を挙げることができなければ、これら日本企業は倒産の危機に直面する可能性がある。
自動車業界の状況はなお楽観視できるが、「中国市場を取れば天下を取れる」という傾向はすでに火を見るより明らかだ。これまで国産化をしぶってきた日系高級ブランドも今はドイツ車に大きく水をあけられ、爆発的成長を見せる中国高級車市場の好機を逸している。現在、インフィニティ、アキュラの国産化発表には、日本車が問題の深刻さを意識しつつあることを物語っている。
まもなく行われるホンダの説明会では、中国市場向けに設計したパワートレーンが3型発表されるとして注目を集めている。日本の自動車企業が中国市場向けにパワートレーンを開発したのは初めて。さらにホンダが中国向けに開発した新車種「凌派(クライダー)」もほぼ同時期に発売される。こうした動きはいずれも中国市場を重視する日本企業の姿勢を示している。
中国ではすでに、日本車は耐久性に優れサービスが良いというイメージが出来上がっている。北京・上海・広州などの大都市では初めての自動車購入から2台目、3台目の購入へと成熟した理性的な段階に入りつつある中、こうしたイメージは今後の販売に大きな追い風となる。あるディーラーグループの幹部は「この2年間は傘下の日系ディーラーは業績が低迷していたが、今後は成長の見込みが十分にある」と話す。
釣魚島問題が市場に与えた影響は尾を引くことなく、日本の自動車大手は今年に入り販売台数をすでに回復しつつある。(編集YT)
「人民網日本語版」2013年6月9日