レスチナとイスラエルの首脳が北京で発するシグナル
ここ数日間で北京は中東から尊敬すべき客人を二人迎える。パレスチナのマフムード・アッバス大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。パレスチナとイスラエルは中国とは遠く離れた中東の国だが、中国はいずれとも友好な関係と良好な協力を保っている。両国首脳が中国の政府と人民から熱烈な歓迎を受けることは間違いない。(文:華黎明・元中国駐イラン、アラブ連合首長国大使。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
アッバス氏のパレスチナ大統領としての訪中は初であり、アラブ諸国元首の訪中も中国の新体制発足後初だ。また、ネタニヤフ首相が米国以外の大国を訪問するのは今年3月の当選後初だ。このことだけでも両国の外交における中国の重みを十分に物語っている。
中国にとってパレスチナは伝統的友人だ。中国は領土を占領され、国民が流浪の身となったパレスチナに同情し、支持し続けている。中国とパレスチナの上層部は付き合いを絶やさず、互いに尊重し、信頼し合っている。中国とイスラエルは友好協力関係を急速に発展させている。国交樹立後の21年間で両国の貿易額は5000万ドルから100億ドルにまで増加し、両国国民に大きな実益をもたらした。今回の両国元首と中国指導者の話し合いでは中国・パレスチナ関係、中国・イスラエル関係の一層の発展と強化がテーマになると見られる。
パレスチナ問題は歴史が中東に残した不幸であり、すでに5回の中東戦争とテロの蔓延をもたらした。中東は世界のエネルギーの60%を産出し、全世界に関係する重要なエネルギールートも中東に位置する。パレスチナ問題は未解決のまま長く続き、中東さらには世界の平和と安定を脅かし、人々の注目の的となっている。
今世紀初めに米国の発動した2つの戦争と2年前に一部アラブ諸国内部で起きた変動に世界の視線は移り、パレスチナ問題への関心はいったん薄れた。2012年のガザ戦争の勃発とパレスチナの国連加盟申請は、パレスチナ・イスラエル衝突の大局への影響は依然軽視できないことを国際社会に気づかせた。オバマ政権が2期目に入ってから、米国はパレスチナ・イスラエル間の調停制度を活性化させた。パレスチナ・イスラエル共に緊張緩和の姿勢を示し、接触と交渉を再開する意向を表明した。国際社会はパレスチナ・イスラエル問題の解決が差し迫って必要なことを感じた。
アッバス大統領とネタニヤフ首相はこうした背景の下で訪中する。パレスチナとイスラエルが敵対し合って65年になる。両国首脳は米国以外では「鶏犬の声相聞こゆるも、老死に至るまで相往来せず」だ。こうした時に彼らが踵を接して北京を訪れることは、中国に対する両国の期待と信頼を物語っている。パレスチナとイスラエルの衝突に対して中国は一貫して和平と交渉を促す責任ある立場を堅持している。2002年以降、中国政府は中東問題特使を任命し、パレスチナ、イスラエル、アラブ諸国間を奔走し、パレスチナとイスラエルの和平交渉を促すために建設的意見を提出し、積極的に貢献してきた。
急速な経済成長に伴い、中国はエネルギーの対外依存度をすでに58%にまで高めている。その半分以上が中東からの輸入だ。中国と中東との貿易額は2011年に1900億ドルに達した。2020年には3500-5000億ドルにまで増えると見られる。中東で発生するあらゆる事は中国に関係する。中国が中東地域の平和と安定に関心を払うのは当然のことであり、こうした関心度は中国経済の発展と正比例をなす。中国が中東でプラスのエネルギーをより多く発揮し、中東が中国の良き声をより多く耳にすることを期待して良い。
中国は中東和平に貢献する良い条件を備えている。中東は世界の各宗派、民族間の摩擦が最も集中する地域だが、中国は全ての国と良好な関係を保ち、中東地域で名声を博している。中国は中東各国との間に、歴史上の大国と中東諸国との関係の定型とは異なる新しいタイプの国家間関係を築いた。アッバス大統領とネタニヤフ大統領がほぼ同時期に訪中することが、こうした関係の証左だ。
中国外交は全方位的だ。中国の新指導者は就任後2カ月ですでに世界の5大陸・数十カ国の指導者と幅広い接触を持った。中国の表門は中東に向けても開かれている。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年5月6日
http://j.people.com.cn/94474/8233581.html
外交部:パレスチナ・イスラエル首脳会談の可能性について
外交部(外務省)の定例記者会見で3日、華春瑩報道官が質問に答えた。
記者:パレスチナのアッバス大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の訪中期間は重なる部分があるが、両首脳が北京で会うことはあるか。中国側はそのような手配をするか。
華報道官:中国は一貫して中東和平プロセスを支持し、双方ができるだけ早く和平交渉を再開し、具体的進展を得ることを心より希望し、そのために積極的かつ建設的役割を果たしたいと望んでいる。両国首脳に中国で会う意向があるのなら、中国側は喜んで必要な手助けをする。
また、華報道官は2日の定例記者会見で次のように紹介した。
パレスチナのアッバス大統領が習近平国家主席の招待で5月5日から7日まで国賓として中国を訪問する。訪問中、中国の指導者と会談や会見を行い、パレスチナ問題および世界や地域の共通関心事について意見交換する。
イスラエルのネタニヤフ首相が李克強総理の招待で5月6日から10日まで中国を公式訪問する。訪問中、中国の指導者と会見や会談を行う。北京以外に上海も訪問する。
パレスチナ問題は中東問題の核心だ。中国は長年積極的に和解と交渉を促し、中東平和プロセスの推進にたゆまず努力してきた。現在の情勢の下、国際社会の関係各方面と共に、パレスチナ問題の一日も早い全面的で公正な解決を促すために引き続き積極的、建設的役割を発揮したい。
中国はパレスチナ、イスラエル両国と友好的付き合いを維持し、一貫して中東和平プロセスを支持し、双方が和平交渉を通じて溝や紛争を解決することを支持している。両国首脳の訪中を受け入れるのも、こうした努力の一環だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年5月6日