四川地震で中国人民解放軍によって救出された住民。日本でも首都直下型地震の恐怖が迫りつつある(ロイター)
四川地震が証明“首都直下”が危ない! 関東大震災の状況と酷似
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130423/dms1304231811014-n1.htm
2013.04.23 夕刊フジ
中国四川省雅安市蘆山県で20日に発生したマグニチュード(M)7・0の地震の震源は、5年前の「四川大地震」の震源地から85キロしか離れていなかった。巨大地震が、わずか5年で繰り返されたことに衝撃を受けた日本人は多いはずだ。実際、日本列島の地下は過去に何度も大地震の連鎖を引き起こしている。特に警戒すべきは、「4年以内に50%以下の確率で発生する」とされる首都直下地震。「関東大震災が起きた時の状況と似通ってきている」(専門家)というから不気味だ。
四川省・蘆山県の大地震は23日、発生から4日目を迎えた。死者数は200人を超え、負傷者は1万人以上、被災者は200万人以上にもおよび、死者数はさらに増える恐れがある。5年前の2008年5月には、今回の地震の震源地と近い場所で、M7・9の大地震が発生。6万9000人以上の犠牲者を出した。
気象庁によれば、2つの地震はいずれも四川盆地の西側に全長約500キロに走る巨大な活断層「竜門山断層帯」で起きたもので、「メカニズムも同じ逆断層型。(2つの地震は)一連の活動と考えられる」という。
地震学では「M8級の巨大地震の後にはM6級以上の大地震が頻発する」のが定説となっているが、四川省を襲った悲劇は改めてこの理論を証明した格好だ。
同時にこの地震は、日本列島がはらむリスクを改めて浮き彫りにした。
武蔵野学院大の島村英紀特任教授(地震学)は、「11年3月の東日本大震災でM9・0の大きなエネルギーが放出され、日本列島の地下はリセットされた。各所に生まれたひずみが地震リスクを高めている。M6級の地震はいつどこで起きてもおかしくなく、M7以上の大地震も起きやすい状況になっている」と語る。
現実に、日本全国では最近、連日のようにM6級の地震が頻発している。今月も、13日に兵庫県・淡路島でM6・3、17日には三宅島近海でM6・2、宮城県沖でM5・8の揺れが襲った。
そんななか注目されるのが、東京都などが想定している4つの「首都直下地震」への影響だ。
首都直下地震は、東京湾北部地震(M7・3)と多摩直下地震(同)、海溝型ながらも首都圏に壊滅的な被害を与えるとされる元禄型関東地震(M8・2)、活断層で起きる立川断層帯地震(M7・4)。その中で最も被害が大きいのは東京湾北部地震で、最悪の予測では約9700人の死者を出すとされる。
東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)は、10万5000人以上の犠牲者を出した「関東大震災」(1923年)の再来を警告する。
「日本は1995年の阪神大震災の発生をきっかけに、地震の活動期に入ったとみている。阪神が起きるまでの流れが、関東大震災が発生した前後の状況と非常に似通っているのが気になる」
渡辺氏によると、首都圏をM7級の揺れが襲ったのは、関東大震災以前では、1855年の安政江戸地震が最後だ。
この間、68年。関東大震災から阪神大震災までのブランクも約70年で、奇妙に符号する。
「安政から関東までの約70年と同様に、阪神までの約70年間も、静穏期で大きな地震はなかった。しかし、95年からのおよそ20年間は、各地で大小の地震が頻発し、ついに11年3月に東日本大震災が起きた。周期的にみると、M7級の首都直下型地震が起きるリスクはいつになく高まっている」(渡辺氏)
首都直下地震をめぐっては、東大地震研究所がその発生確率を「4年以内に50%以下」として、大きな関心を集めた。四川省で大地震が連鎖したことで、改めてこの発生確率が注目されそうだ。しかも、首都圏の地下が不気味なのは、その全容がほとんどわかっていないことだ。
前出の島村氏は「首都圏の下に広がる関東平野は、緩い関東ローム層が幾重にも重なっている。その下に岩盤があるが、厚い堆積物のせいで万全な調査ができない。ただ、関東では過去にも直下型地震が数多く発生している。間違いなく地下深くの岩盤にいくつもの断層があるはずだが、その数や規模ははっきりしない。正確な動きを予測するのは不可能だ」と危ぶんでいる。