そろそろ最終テスト。
<center><img src="http://img.asyura2.com/us/bigdata/up1/source/13395.jpg"></center><p>
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http://www.asyura2.com/12/test28/msg/434.html
★阿修羅♪ > アーカイブ > 2013年4月 > 11日17時30分 〜 ★阿修羅♪ |
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<center><img src="http://img.asyura2.com/us/bigdata/up1/source/13395.jpg"></center><p>
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http://www.asyura2.com/12/test28/msg/434.html
徴兵制度とは、国民個人の意思に関係なく強制的に軍部に就く基本的人権を無視する行為だ。
自民党は国家が国民を所有しているという思想があるから徴兵制度導入を肯定している。
君が必要と思うなら君がやんなさい。私は難易度世界最高の日本語を先祖先達に学んで習熟練達しているから、英語みたいな低難易度言語今更勉強するまでもない。
1号貯水槽でも放射性物質検出 東電、すべて地上タンクに移送へ
2013.4.10 22:40
別の貯水槽でも確認、トラブル再発の恐れ 東電が対策本部設置
2013.4.7 21:48 (1/2ページ)[原発]
福島第1原発敷地内にある地下貯水槽から、放射性物質に汚染された水が漏れた問題で、東京電力は7日、別の貯水槽でも汚染水漏れがあったと発表した。貯水槽は敷地内に計7カ所ある。いずれも同様の構造であることから東電は総点検を急いでいるが、同様のトラブルが今後も起きる可能性を示唆している。
東電によると、新たに漏(ろう)洩(えい)したのは、5日に汚染水漏れが発覚した2号貯水槽のすぐ東側にある3号貯水槽。3号貯水槽(縦56メートル、横45メートル、深さ6メートル)の容量は約1万1千トンで、1月8日から貯水が始まり、ほぼ満杯状態だった。
貯水槽はいずれも掘り下げた地面の上に3層の防水シートを敷いた構造。3号貯水槽では、6日夜に一番外側のシートと地盤の間の水を採水し測定したところ、放射性物質濃度が、前回の検査から約2倍の0・11ベクレル(1立方センチメートル当たり)検出された。
2層目と3層目の間にある水も採取し、1800ベクレルを検出。7日にも2200ベクレルが検出され、汚染水漏れと判断した。汚染水は0・3〜3リットルで少量と推定されている。海から700メートル近く離れており、海洋への流出はないという。東電は現在、2号貯水槽の汚染水を1、6号に移送する作業を進めている。3号貯水槽でも6号に汚染水を移送する。
【転載おわり】
何やってんだか?
漏れているんじゃなくて・・・・本当のところは
もうどうしようも無いから間違った振りしてちょくちょく捨てているんじゃないの?
「漏れている」じゃなっく「本当は漏らさないともう汚染水の始末はどうしようもない所に来ているんです」ってはっきり言ったらどうだ?
小沢は「新世界秩序」側(グローバリスト)の人間だということは 2007/08/24
農産物含め自由貿易推進を」小沢・民主代表代行が主張)−−小沢は「新世界秩序」側(グローバリスト)の人間だということは確実。
小沢は、やはり、世界の頂点に立つパワーエリート側の代行要員であることは間違いないね。つまり、いわゆるネオリベラル経済政策(グローバル経済体制)の推移新側。これじゃ自民党と何の違いもない。つまり、世界パワーエリート側は、自民と民主をともに同一のネオリベラル思想下において、この方向で日本をコントロールしようということ。典型的両建て作戦だ。
物品・サービス(労働)の全領域・全次元の100%の完全自由化というのが、ネオリベラル政策。(小沢は「農産物も」といって「も」をいれてるね)。アメリカは工場の海外移転で工場労働者は職をほとんど失った。現在起きているのはホワイトカラーの海外アウトソースだ。電話でのカスタマーサービスなどほとんどインドか南米へ急激に外に出されている。電話セールスなどもだ。
米国に住むと分かるが朝から晩まで電話セールスがかかってくるが、どれ一つとして、ネイティブの英語などない。すべて外国人だ。たいてい海外からかけてきている。また、カスタマーサービスを求めて無料電話をかけると対応はすべて、外国人らしきなまりのある英語となる。コンピュータ関連で有名なシリコンバレーなども、以前はインド人があふれていたが、潮が引くようにいなくなり本国に戻っており、バンガロールなどが、シリコンバレーなどより大きなインドのシリコンバレーとなっている。
ソフトの製作も米国の会社はインドに発注している。建築図面・経済分析なども東欧などの安い人材へアウトソースしている。米国ではブルーカラーのみならず、ホワイトカラーも職を失っておりその・u梠ャ度は高まっている。アメリカ人の生活も急速に困窮に向かっている。
小沢の目指すのはこの状態である。彼は必ず、民主党の党首になるときが来る。このとき、世界のパワーエリートは笑いが止まらないのである。二大政党の片側の製作担当を任されていたのであろう。自民党を出て、偽装対抗党をつくりそこの党首になり、この2大政党の協力でオールマイティーにあらゆる政策を、パワーエリート側の意思を体現すべくシステムを作ってきていると見られる。
日本国内で職を失いたくなかったら、貿易自由化に反対している政治家や政党に票を集中したまえ。そして小沢から政治的な力を抜くあらゆる言論を支持すべきだ。
「農産物含め自由貿易推進を」小沢・民主代表代行が主張
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民主党の小沢一郎代表代行は25日、テレビ朝日の番組で、日本とメキシコとの自由貿易協定(FTA)締結が農産物の扱いを巡って難航していることに関連し、
「日本は全部自由化すべきだ。それによって得る利益は莫大(ばくだい)だ」
と述べ、農産物を含めた自由貿易推進の考えを強調した。
小沢氏は一方、
「最小限度の食糧生産は維持すべきであり、生産費と(FTAにより低下する農産物の)市場価格との格差は国民が補填(ほてん)すべきだ」
とも述べ、税金による農家所得補填制度を提案した。 (01/25 22:03)
http://www.freeml.com/ozawaichirou/69
安倍首相の所有地でもない、霞が関・国家公務員の所有でもない。「集会を届け出てない」と届け出れば許可しない。追い出したいのでしょ。原発・津波災害から逃れて来た国民の声を聞きたくないので「違法占拠」で追い出すのは、税金で暮らす役人には許されません。救済こそ「世界に誇る日本の国家公務員」の姿勢。
霞が関が「東北」を支えないで、誰が「日本人の相互援助のすごさ」を人類に示すの?仏人が「日本の文化も、人も特別だからぜひ一度行きたいですね」とテレビのインタビューに答えた「その東北を救ってこその国家公務員」です。
菅首相と国会議員がボンクラで、即座に復興支援金を現地に【全額】渡さなかった結果、緊急時に省庁が【分捕り合戦】の企業に翻弄され、復旧が遅れに遅れた?苦しむ日本人の声さえ聞かないのでは「日本人が世界最高の相互扶助を生んだ」と誇れる訳がない。
今すぐ復興予算の全てを「現地に渡せば」被災者が東京に来なくてもよい。被災者の立場で現地の地方公務員が涙を流しながら復興に尽力すれば、裁判など必要ない。
米がTPPを押し付け後、大量(物質です)の弁護士を「日本資産を根こそぎ奪え」と押し込んで来ても『必要ないです』と、国民が追い返す心意気を今こそ持たなければ。もし日本が消滅すれば、日本国家公務員は不要、それでも、いいのですか。
「どぶに落ちた犬を叩け」は英米の伝統。苦しむ日本に「今だ!」とTPPを押し付ける米に対し、日本首相安倍は、何をやってるんですか?それでも日本人ですか。
国家危急存亡の時、内紛を起こさせたい敵の謀略に乗る首相や国会議員や、国家公務員など、不要です。解雇出来ませんから、国家反逆罪でシニョーリア広場に逆さ吊りにしたい程(こんなの書けるのは、今のうちですか?)、情けないです。
現行憲法を世界に広げるべきだね。
阿呆ばかりだから無理だろうが歴代首相は命を賭してもやるべきだな。
そうすれば一国平和主義なんて批判されずに済むのに。
ネット選挙運動解禁へ 衆院委員会で可決
4月11日 12時19分(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130411/k10013840191000.html
>また11日の委員会では、「インターネットを利用した投票の導入についてあらゆる角度から検討を加え、適切な措置を講じる」などとした付帯決議を可決しました。
改正案は12日の衆議院本会議で可決され、参議院に送られる運びで、衆議院で一本化されたことから、今月中にも可決・成立する見通しになりました。
実は
石破と同じ考えの持ち主で「日本は原発を維持してプルトニュームを大量生産し、核爆弾を大量製造し、軍事力として持ちたい」という考えの人だったんだ!
いつもどうもおかしいと思っってたよ!
こいつ!石破じゃないの?
福島県において甲状腺の悪性所見をもつ小児が10人発見され、3人がすでに手術を受けた。県は精密なエコー検査によって将来発病する甲状腺ガンが前倒しで発見されただけとしているが、有病率的にもすでに異常な事態であるとする意見もある。チェルノブイリでは4年後から小児甲状腺ガンが増加し、発症には潜伏期間があるというのが公式見解だが、実際には事故の翌年から小児甲状腺ガンは微増していたし、チェルノブイリ事故から30年もの間に発達したエコー機器の精度が、4年を待たずにその予兆を捉えているのかもしれない。しかし、どれも推論の域を出ることはなく、非情ではあるが、 事実は、これからこの数がどのように変化していくのかを真剣に見つめていくことによってしか明らかにならないであろう。
しかし、事故発生4年後の2015年に備えるという意味でも、これまでの知識と情報をまとめておくことは有用であるだろう。今回は、子どもを持つ福島県民にとって最重要の関心事と言っても過言ではない放射性ヨウ素による被曝について若干の考察を試みる。
まず、根本的な疑問。
チェルノブイリ事故では、隣国のポーランドが迅速に安定ヨウ素剤を内服させたことから小児甲状腺ガンが発生しなかったとされるが、同時に放射性ヨウ素に汚染された牛乳の流通をストップさせたことが奏効したとも言われている。放射性ヨウ素による甲状腺被曝は大気中からの吸入によるものなのか、食べ物からの摂取(とくに牛乳)によるものなのか。日本では事故初期から汚染牛乳を厳しく制限(それでも300Bq/kgだったが)したから甲状腺被曝の心配はないと流布されていたことがあるが、呼吸による内部被曝は無視していいのだろうか。
もちろんそんなことはない。
国際原子力機関(IAEA)が 2006年に発表した「チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の経験」(http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kiroku/3-250325.pdf 注PDF)に次のような記載がある。
プリピャチの住民は、事故の約1.5日後には避難させられたので、放射性ヨウ素による被曝が事故直後の吸入によるものに限られ、(中略)甲状腺の総被曝線量は、汚染食品を摂取した住民と比較して、相対的に小さいものであった。(188p)
つまり、経口による内部被曝に比して空気中からの吸入による汚染は小さいとしている。
ではその被曝量は実際にはどれくらいのものであったのか、2006年に Journal of Radiological Protection に掲載された E. Cardisの論文「Cancer consequences of the Chernobyl accident : 20 years on」(http://iopscience.iop.org/0952-4746/26/2/001)を見てみる。(表も含めて完全な論文はこのページからPDFでダウンロードすることができる)
表3にあるように、プリピャチの0〜7才の子どもの甲状腺被曝量の平均値は970mSv(0.97Gy)で、ベラルーシやウクライナの他の地域からの避難者に比べて3分の1ほどではあるものの、ベラルーシの州の中で最高度に汚染され、国内で一番多く小児甲状腺ガンの発生をみたゴメリ州の平均値610mSvの1.5倍もの数値である。このことからも、放射性ヨウ素に関しては、大気からの吸入だけでも高度の甲状腺被曝を被る可能性があるということは明白である。
(老婆心ながら、これから文中によく出てくる甲状腺被曝量とは、甲状腺等価線量のことであり、日常よく見かける実効線量とは異なる。甲状腺の組織加重係数は0.04なのでもし実効線量に換算したいのなら、たとえば甲状腺等価線量500mSvは実効線量20mSvに相当する)
それでは福島の子どもたちはどうなのか。当然ながら、甲状腺被曝の実態がわからなければ話にならないのだが、次のようないきさつによって福島の子どもたちの、計測による甲状腺被曝量というものは残念ながら存在しない。
まず、原子力災害現地対策本部が2011年3月26〜30日に行ったいわき市、川俣町、飯館村の0〜15歳の小児1080人に対する甲状腺線量調査は、測定バックグランドが高く、使用した測定機器が簡易型のシンチレーション式サーベイメータであったことから、スクリーニングレベルでしかなく、結局、原子力安全委員会が追加検査を要請したような代物であり、取り上げるに値しない。ちなみに、原子力安全委員会が要請した追加検査は国と福島県によって拒否されてしまった。
つぎに、弘前大学の床次眞司教授らが、2011年4月12〜16日に浪江町津島地区の住民らを対象に行った甲状腺被曝調査は、たしかに放射性ヨウ素を核種分析できるスペクトロメータを使用したものだったが、被験者数が62人(そのうち0〜9才の子供は5人)とあまりに少なく信頼性に欠ける。後日、調査精度を上げようとして床次教授も追加検査を計画したが、これもまた福島県によって拒否されてしまった。
よって、信頼に足る初期甲状腺被曝の実測値というものは、国と福島県の怠惰と不誠実によって存在しない。余談だが、次のような史実を前にしては、社会体制が異なり、その目的も決して被災者救済のためばかりではなかっただろうとはいえ、日本とのあまりのコントラストには唖然とするしかない。
1986年の5月から6月に、放射性核種の沈着が多かった地域の住民を対象に、甲状腺内のヨウ素131の計測が行われた。被害がもっとも大きかった3カ国では合計300,000以上実施され、他のヨーロッパ諸国でも相当な数が実施され、特に小児や若者に重点が置かれた。こうした大規模測定のデータは、注意深く較正された上で、甲状被曝線量の再構築の際に、中心的なデータとなった。(「チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の経験」185p)
では、甲状腺被曝の実測値を用いずに、その実態を把握するにはどうすればよいのであろうか。
2011年8月25日、国立環境研究所から、「福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の大気中の挙動」(http://www.niph.go.jp/journal/data/60-4/20116004003.pdf 注PDF)という報告がなされ、この中に、放射性物質の放出量および大気シミュレーションから算出した、ヨウ素131の積算沈着量の推測値が示されている。この報告の図8には、福島県の海岸地域、いわゆる浜通りは、グレースケール最大値の1000×1000MBq/km2(=1000kBq/m2)で、福島市や郡山市が含まれる中通りは大雑把ではあるが400〜800kBq/m2のグレースケールで汚染度が示されている。具体的な数値表記がないのでグレースケールからおおよその汚染度を把握するしかないのだか、中通りおよび、浜通りから避難した住民の所在地の汚染度の平均を400〜800kBq/m2の中間値600kBq/m2としても問題はないだろう。
このシミュレーションによる推測値を、実際の甲状腺被曝量を反映すると考えられる別の数値を援用して検証してみる。ここで用いるのは、放射性ヨウ素による被曝を被った住民が所在していた土地の放射性ヨウ素による汚染、つまりその土地への放射性ヨウ素の沈着量である。
使用するデータは文部科学省が2011年9月21日に発表した「ヨウ素131の土壌濃度マップ」(http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/6000/5047/24/5600_0921.pdf 注PDF)である。マップ上のポイントから、福島第一原発30キロ圏内および計画的避難区域を除いた287ポイントを抽出し、その平均値を求めると747Bq/m2となる。しかしこの数値は6月14日時点の値なので、 放射性ヨウ素の放出拡散日時と考えられている3月15日からは11.5回の半減期を経ている。11.5回の半減期によって放射能は約2500分の1となっているので、放射性ヨウ素の土壌沈着は減衰補正によって、
747×2500=約1870kBq/m2
と推定できる。
この方法については以下のように、「ヨウ素129の測定を通じたヨウ素131の土壌濃度マップの精緻化」を行っている学習院大学理学部化学科 村松康行教授によって保証されている。
なお、ヨウ素の土壌への吸着力は強いことが知られており、土壌-溶液間の分配係数(Kd)は通常、数百〜数千である(Muramatsu et al. 1990, Yoshida et al. 1992)ことが確認されている。このことから地面に沈着した放射性ヨウ素のほとんどが表層土壌に吸着されて留まっていると推定される。その為、第 1 次分布状況等調査のヨウ素131の土壌濃度マップの作成時点である平成23年6月14日の表層 5cm のヨウ素131 の沈着量のデータからヨウ素131が沈着した平成23年3月後半の値に戻すには、物理的減衰を補正することである程度評価できると考えられる。(http://www.jaea.go.jp/fukushima/kankyoanzen/mapping_report/2nd-japanese/01-05.pdf 注PDF)
前述のシミュレーションによる600kBq/m2と実測値からの推定1870kBq/m2との間では3倍の開きがあるものの10倍までのオーダーの開きはないので、福島県におけるヨウ素131による土壌汚染濃度は、
600〜1870kBq/m2
の幅で、一定の蓋然性を持つ数値として考えることができるだろう。
念のため、原子力規制委員会ホームページの放射線モニタリング情報にある、2011年4月5、6日に福島県内の小学校で採取された土壌サンプルの測定結果(http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/5000/4135/24/1304930_0406.pdf 注PDF)から、放射性ヨウ素の土壌沈着を求めてみる。20地点のうち、計画的避難区域に含まれる俣町立山木屋小学校と浪江町立津島小学校および汚染レベルの低い会津の3校を除外して平均を求めると3441Bq/kgとなり、これを面積単位に換算すると223.7kBq/m2となる(Bq/kgからBq/m2への変換方法については、http://radi-info.com/q-759/を参照)。3月15日から4月6日までに放射性ヨウ素の半減期は2.75回経過しているので減衰補正によって、ヨウ素131による土壌汚染は1505kBq/m2となり、上記の範囲内であると確かめられる。
この数値 600〜1870kBq/m2 を、チェルノブイリ事故で最も被害の大きかったベラルーシにおける放射性ヨウ素の土壌沈着(http://www.psvensson.se/images/BelarusI131-1986.gif)と比較してみる(注:このマップは、ヨウ素131の限られた実測値の他に、セシウム137をガイドとしてヨウ素131の汚染度を割り出している)。
福島県での土壌沈着 600〜1870kBq/m2 は、この汚染マップでピンク色で表される370〜1850kBq/m2の汚染レベルにほぼ当てはまり、ベラルーシ各州の汚染レベルとその各々の面積から、MOGILEV(モギリョフ)州もしくはGRODNO(グロードゥノ)州の土壌汚染と同等であるとみるのが妥当だろう。GOMEL(ゴメリ)州は高い汚染レベルを示す地域が大部分を占めているので福島との比較には相応しくない。
ではこの二つの州における小児甲状腺ガンの発生はどの程度であったのだろうか。菅谷 昭、ユーリ・E・デミチク、エフゲニー・P・デミチクによる報告(http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Sgny-J.html)を見てみると、図1において1986〜1996年の10年間の小児甲状腺ガンの患者数はモギリョフ州で26人、 グロードゥノ州で29人となっている。表2から二つの州の人口はそれぞれ127万人、116万とわかるので、福島県の人口を中通り約110万人、浜通り約50万人で計160万人として(会津以西は汚染レベルが低いので除外する)、2013〜2023年の10年間に福島県下では、33〜40人の小児甲状腺ガンの患者が出ることになる(年齢分布を考慮すれば、小児の割合が福島県の方が低いことから、実際はこれより若干少なくなるだろう)。
しかし、問題はBREST(ブレスト)州である。汚染マップではそれほど高い放射性ヨウ素の土壌沈着がみられないにもかかわらず、小児甲状腺ガンの発生率が他の地域と比較して高い。152万人の人口で122人の患者数なので、福島県では128人となり、これも結果に含めれば、10年間で33〜128人となる。
つぎに事故後5年経った1991年から1996年にかけて、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの12万人の子どもたちを対象にして行われた小児甲状腺検診(チェルノブイリ笹川プロジェクト)の結果を見てみる(http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/bunka5/siryo5/siryo42.htm)。1991年といえば、小児甲状腺ガンが急増を始めて2年目であり、1996年は患者数がピークを迎えたあたりの時期である。
表1からベラルーシのモギリョフ州での小児甲状腺ガンの発生率は0.01%であり、これを福島県民健康管理調査の対象である18才以下の子ども36万人に当てはめると(正確には調査対象の年齢が両者では異なる)、事故後5年の2018年から5年間に調査を行えば、36人の小児甲状腺ガンが発見されることになる。
モギリョフ州での患者数が2人と少なく、統計誤差が多く含まれてしまうと考えるならば、他の地域を参考にすることが必要になる。ロシアで最も放射性ヨウ素による汚染が大きかったのはブリヤンスク州、ツーラ州、オリョール州であったが、 前出の Cardisの「Cancer consequences of the Chernobyl accident : 20 years on」表3を見ると、ブリヤンスク州の小児の甲状腺被曝線量は160mSvであり、ベラルーシ国全体の150mSvとほぼ同等であることがわかり、参考値としてロシアのブリヤンスク州の数値を使用することにする。上の表1からブリヤンスク州での小児甲状腺ガンの発生率は0.04%であり、この数値を福島県に当てはめれば144人となり、モギリョフ州から得られた数値と合わせて、36〜144人と推定される。
以上をまとめると、福島県においては、
◎ 事故後10年の間に33〜128人の小児甲状腺ガンが発生する。
◎ 小児甲状腺ガンが増加を始める2016年からピークを迎える2021年までの5年間で、甲状腺検診によって36〜144人の小児甲状腺ガンが発見される。
ということになる。
しかし、これらの試算はいくつかの仮定により成り立っているので現実はこれらの結果から大きく逸脱する可能性もある。 それを検証するためにも本当に大切になってくるのは、やはり甲状腺被曝の実測値なのだが、前述したように、この、他に代え難い大切な記録が日本には存在しない。シミュレーションとしては、文部科学省が発表したSPEEDIによる甲状腺等価線量の積算線量の試算(http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/mext_speedi/0312-0424_in.pdf 注PDF)があるが、これによると、100mSvの線量等値線の輪郭は、30キロ圏外では主に飯館村、川俣村といわき市の北部を通っており、人口が集中する福島市や郡山市などを含む中通りでの等価線量は、100mSvより低い数値になる。
ここでもう一度、Cardisの「Cancer consequences of the Chernobyl accident : 20 years on」表3の ベラルーシの数値を見てみる。国全体の平均値は150mSvであるが、この数値から、汚染が高度で福島県との比較には適さないゴメリ州の数値610mSvを差し引いた場合の甲状腺被曝線量を求めると、平均値は60mSvとなる。ゴメリ州以外でも小児の症例が多数みられたことから、このような比較的低い甲状腺被曝線量でも確実に小児甲状腺ガンは増加することがわかる。
1998年、Natureに掲載されたP. Jacobの論文「Thyroid cancer risk to children calculated」の表1(http://www.nature.com/nature/journal/v392/n6671/fig_tab/392031a0_T1.html)を見る。チェルノブイリ事故時に0〜15才であったウクライナ、ベラルーシ、ロシアの子どもの事故後5〜10年間の甲状腺ガンの患者数が示されているが、キエフでは甲状腺被曝の平均値が50mSv(0.05Gy)であったにもかかわらず、581000人中67人( 0.01% )が甲状腺ガンを発症した。
このような50〜60mSvという甲状腺被曝線量が福島県の人口密集地においても確認されるかどうかは、「ヨウ素129の測定を通じたヨウ素131の土壌濃度マップ」が発表されればある程度明らかになるだろうが、前述のセシウム137からヨウ素131の汚染度を推測したベラルーシの汚染マップのように、航空機モニタリングによる線量マップ(http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/5000/4858/24/1305819_0708.pdf 注PDF)とSPEEDIによる甲状腺等価線量の試算を重ねあわせて福島市や郡山市の小児の甲状腺被曝量を推定すると、詳細は省くが、20〜60mSvという結果になる(かなり粗雑な試算ではあるが)。
今回の検討で得られたすべての結果は、放射性ヨウ素による福島県の汚染が子どもたちにとって危険なレベルであることを指し示している。そして、ベラルーシやウクライナのデータからわかるように、子どもにとって甲状腺被曝がどんなに小さな値であっても甲状腺ガンのリスクが付きまとうのである。これらのことから残念ながらあと2年ほどで小児甲状腺ガンは確実に増加すると考えざるを得ないが、幸いなことに日本には最先端の医療機器があり、手術痕の残らない甲状腺内視鏡手術などの高い手術技量を持つ医師も多く存在する。真の意味で「子どもたちを見守る」検査・医療態勢をこれからも高いレベルで維持し、子どもたちの未来を決して損なわないよう努力していかなかればならない。
最後に、国と福島県は、甲状腺被曝の精密な測定を、まったく理由にならない自分たちの身勝手な都合により妨害し、福島県民にさらなる不安と不信感を与える結果を招いてしまった自らの怠惰と不誠実を深く恥じるべきである。そして、失った信頼を取り戻すためにも、これからは誤った先入観や一連の隠蔽体質を完全に捨て去って、福島県(のみならず日本のすべての)の子どもたちの健康と命と未来に、誠心誠意、重大な責任感を持って向かい合うべきである。
Divina Commedia
http://www.asyura2.com/12/test28/msg/437.html
エゴイストの怪物。
シンガポールは食料自給率ゼロ。そんなこところの金融マンが農民に質問した話は、印象に残ってます。
その返事に農民は、、、金がなくても、農家は食べていける。
お金が必要なのは食べ物作れないあんたらじゃないのかい。
「濡れ手に粟」が座右の銘のあのハゲタカどもですか…
追い払ったつもりだったのにねぇ…
性懲りもなく何度でも舞い戻ってきますなぁ…
めげずにビシビシと批判していきましょう。
集金ペイが初の外遊でピョンヤンを訪れて「核実験をしないよう」依頼した翌日に
CIAは、アベとパクが竹島(毒島)経由で北朝鮮へ送った5キロトンという極低威力の核爆弾を爆発させた。
パクは「政治的な解決はしない」という強硬姿勢を示してCIAへの忠誠を誓った。
今もマスゴミは横須賀や三沢に「北朝鮮のミサイルが飛んでくる」と「東日本の不動産価格」を下げようとやっきになっている。
放射能被害(じつは統一凶会がまいたセシウムが原因)でも不動産価格は下がった。これで住宅ローンの金利は下げなくてもいいだろう。ゴールドマンサックスの代理人(壬生キャピタルなど)に「金融緩和」で「大量資金の貸付け」が可能になった。円安でドル建て担保も十分に確保できたし・・・
しかし今の若者が今の改憲論に騙される必要はまったくない。戦勝国が日本を裁いた東京裁判をもし仮に、日本が戦勝国で亜米利加を裁いたと仮定したら、恐らく当時の日本の軍事政権はアメリカのほとんどの国民をA級に処したと十分に想像できるだろ。
生き残った幸せをろくに考える能力がない故に、改憲して国防軍やって自主独立などと考えてもアメリカに呆れられるだけだろうな。
撒切尔 夫人 → サッチャー のことだそうですw
撒切爾 夫人
Sā qiè ěr fūrén
国家ないし人間-切り刻み上流階級ブリッコ切断鬼だったw
中国人の翻訳家は見上げたもんだよ屋根屋の憤怒し
幕末明治の翻訳家もびっくりでしょう
「民営化」だの「小さな政府」だの、つまり<大きな私企業利権>を唱えていたわけで
05さん、
>この記事は劣化ウラン(米軍側しか持っていない)の話ではなく、「濃縮」ウランの話ですよ。
誤解をされています。劣化ウランも濃縮ウランも実質的に同じものです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BF%83%E7%B8%AE%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%B3
より引用:
>濃縮ウラン
>濃縮ウラン(のうしゅくウラン)は、ウラン濃縮により、ウラン235の濃度を高めたものをいう。また、ウラン235の濃度が天然ウランを下回る物を、減損ウラン(劣化ウラン)という。
> 1.ウラン235の濃度が天然ウラン (0.7%) を下回る場合「減損ウラン(劣化ウラン)」
> 2.ウラン235の濃度が天然ウラン (0.7%) を超え、20%以下の場合「低濃縮ウラン」
> 3.ウラン235の濃度が20%を超える場合「高濃縮ウラン」
つまり、化学的には濃度が異なるだけなのです。そして、劣化ウランと言う表現を使うか濃縮ウランと言う表現を使うかの違いだけです。
ウラン235以外は普通ウラン238です。もっともほかの不純物、つまり、鉛なども多く含まれているはずですが。
1.まず、ウィキのウランからの引用です。
>ウランには幾つもの同位体が知られているが、その全ての同位体が放射性核種であり(一つも安定核種が存在せず)、地球上では安定して存在し続けられない元素であることが知られている。しかし、ウランの同位体の中には半減期が長い(寿命が長い)同位体も存在する。特に長いのは、ウラン238(半減期は約44億6800万年)と、ウラン235(半減期は約7億380万年)である。このように半減期の長い放射性核種は、ウランに限らず、現在の地球にも天然の放射性物質として存在している。ウランの場合、現在の地球に天然に存在しているのは、ウラン238(現在の地球ではウランの約99.274%を占めている)、ウラン235(現在の地球ではウランの約0.7204%を占めている)、ウラン234(現在の地球ではウランの約0.0054%を占めている)の3種の同位体である。このうちウラン238とウラン235は、半減期が長い(寿命が長い)ために現在の地球に存在している。(なお、ウラン238の割合が多いのは、ウラン238の半減期が一番長いことが関係している。)これに対してウラン234の半減期は、たったの約24万5500年程度でしかないにもかかわらず、現在の地球に存在している。ウラン234が現在の地球に存在していられる理由は、ウラン238が鉛206に変化する過程(ウラン系列)に、このウラン234が属しているからだ。ウラン238が1回のα崩壊と2回のβ崩壊をすることで、このウラン234になるため、ウラン238が存在する限り、ウラン234も無くならない(ウラン234が崩壊しても新たに補充される)のである。なお、このようにウランの同位体は半減期がまちまちなので、地球上のウランの同位体の存在比は、少しずつ変化している。
つまり、普通のウランはその99%以上がウラン238なのです。ウラン235かウラン238かを判断するためには出てきているガンマ線を調べて、そのエネルギー準位を計測することになります。しかし、ウランは基本的にアルファ崩壊をしていて出てくるガンマ線は非常に微弱です。更に、上の記事の場合、頭髪とか血液に含まれるウラン濃度を測っているはずで、それ自体がかなり少量なのです。
あれれ?
震災1年4ヵ月後大飯原発を再稼動する前、確か「関西と関東はヘルツだか電圧だかが違うから電気の融通は出来ない」って言ってなかったっけ?
でも大飯原発を3号機と4号機を動かしただけで日本中は電気は足りちゃったってことなの?
東京は確か火力を作ったとか聞いたけど・・・・他はどうして足りたの?
どうなってんの?
東電も関西電力も嘘ばっかりこいてたって事?
それとも1年4ヶ月も大飯を稼動したくてコジェネも作らず、わざとほって置いたくせにこの半年でコジェネ作ったら電気が余っちゃったの?
それなら出来るんじゃん!半年で!初めからやれば良いじゃん!
1年4ヶ月もコジェネも作らず何をやってたの!?
それからついでに「原発は再稼動しなくちゃ経済がー!!」
今度は福島とは全く違う新しい安心安全な原発をドチテモドチテモ作るんだー!
ってほざいている何処かのマヌケに「もう電気は間に合ったから原発は要らないよ」って言ってやって!
今も昔も悲惨だね。
その金は、どこかを削ってひねり出すしかないぞ。
それより、徴兵制の国の若者は腕っ節は強いし火器の扱い方も知っている。
現代の羊のように大人しい日本人ではなくなるんだけどな。
福一内の3号タンクから6号タンクに移送中、配管に穴がある場所から汚染水漏れ。最近お漏らし多し。
経産省、東電に規制庁にバカたれ!と猛抗議する。お前らいい加減にせいよ!!
ほんと弛んでいる。国民もアベノミクスに浮かれているのか?儲かってもいないくせに。
産経
「今日もやってしまった」痴漢容疑で高校教員逮捕 名古屋市の地下鉄
2013.3.30 00:16 [性犯罪]
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130330/crm13033000160000-n1.htm
愛知県警中村署は29日、県迷惑行為防止条例違反の疑いで、県立高校教員の林洋輔容疑者(34)=同県一宮市栄4丁目=を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は29日午後5時25分ごろ、名古屋市営地下鉄東山線の車内で、向かい合って立っていた女子中学生(14)の胸を触った疑い。
中村署によると、女子中学生が林容疑者の手をつかんで名古屋駅で降ろし、駅員に引き渡した。林容疑者は調べに「(普段から)電車に乗ると痴漢行為をしたくなり、今日もやってしまった」と供述。同署は常習的に繰り返していた可能性もあるとみて調べている。
県教育委員会は取材に「事実であれば遺憾。事実確認をして対応を考える」としている。
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どうにもやめられないんだろうなあ。
あげくブタ箱に。
腐った人間の末路。
自分の心臓が急に、うっ・・・・。
脳血管が、い、、いて・・・・。
その後、どうなるのかは注目です。
福島県において甲状腺の悪性所見をもつ小児が10人発見され、3人がすでに手術を受けた。県は精密なエコー検査によって将来発病する甲状腺ガンが前倒しで発見されただけとしているが、有病率的にもすでに異常な事態であるとする意見もある。チェルノブイリでは4年後から小児甲状腺ガンが増加し、発症には潜伏期間があるというのが公式見解だが、実際には事故の翌年から小児甲状腺ガンは微増していたし、チェルノブイリ事故から30年もの間に発達したエコー機器の精度が、4年を待たずにその予兆を捉えているのかもしれない。しかし、どれも推論の域を出ることはなく、非情ではあるが、 事実は、これからこの数がどのように変化していくのかを真剣に見つめていくことによってしか明らかにならないであろう。
しかし、事故発生4年後の2015年に備えるという意味でも、これまでの知識と情報をまとめておくことは有用であるだろう。今回は、子どもを持つ福島県民にとって最重要の関心事と言っても過言ではない放射性ヨウ素による被曝について若干の考察を試みる。
まず、根本的な疑問。
チェルノブイリ事故では、隣国のポーランドが迅速に安定ヨウ素剤を内服させたことから小児甲状腺ガンが発生しなかったとされるが、同時に放射性ヨウ素に汚染された牛乳の流通をストップさせたことが奏効したとも言われている。放射性ヨウ素による甲状腺被曝は大気中からの吸入によるものなのか、食べ物からの摂取(とくに牛乳)によるものなのか。日本では事故初期から汚染牛乳を厳しく制限(それでも300Bq/kgだったが)したから甲状腺被曝の心配はないと流布されていたことがあるが、呼吸による内部被曝は無視していいのだろうか。
もちろんそんなことはない。
国際原子力機関(IAEA)が 2006年に発表した「チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の経験」( "http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kiroku/3-250325.pdf)(注PDF)に次のような記載がある。
プリピャチの住民は、事故の約1.5日後には避難させられたので、放射性ヨウ素による被曝が事故直後の吸入によるものに限られ、(中略)甲状腺の総被曝線量は、汚染食品を摂取した住民と比較して、相対的に小さいものであった。(188p)
つまり、経口による内部被曝に比して空気中からの吸入による汚染は小さいとしている。
ではその被曝量は実際にはどれくらいのものであったのか、2006年に Journal of Radiological Protection に掲載された E. Cardisの論文「Cancer consequences of the Chernobyl accident : 20 years on」(http://iopscience.iop.org/0952-4746/26/2/001)を見てみる。(表も含めて完全な論文はこのページからPDFでダウンロードすることができる)
表3にあるように、プリピャチの0〜7才の子どもの甲状腺被曝量の平均値は970mSv(0.97Gy)で、ベラルーシやウクライナの他の地域からの避難者に比べて3分の1ほどではあるものの、ベラルーシの州の中で最高度に汚染され、国内で一番多く小児甲状腺ガンの発生をみたゴメリ州の平均値610mSvの1.5倍もの数値である。このことからも、放射性ヨウ素に関しては、大気からの吸入だけでも高度の甲状腺被曝を被る可能性があるということは明白である。
(老婆心ながら、これから文中によく出てくる甲状腺被曝量とは、甲状腺等価線量のことであり、日常よく見かける実効線量とは異なる。甲状腺の組織加重係数は0.04なのでもし実効線量に換算したいのなら、たとえば甲状腺等価線量500mSvは実効線量20mSvに相当する)
それでは福島の子どもたちはどうなのか。当然ながら、甲状腺被曝の実態がわからなければ話にならないのだが、次のようないきさつによって福島の子どもたちの、計測による甲状腺被曝量というものは残念ながら存在しない。
まず、原子力災害現地対策本部が2011年3月26〜30日に行ったいわき市、川俣町、飯館村の0〜15歳の小児1080人に対する甲状腺線量調査は、測定バックグランドが高く、使用した測定機器が簡易型のシンチレーション式サーベイメータであったことから、スクリーニングレベルでしかなく、結局、原子力安全委員会が追加検査を要請したような代物であり、取り上げるに値しない。ちなみに、原子力安全委員会が要請した追加検査は国と福島県によって拒否されてしまった。
つぎに、弘前大学の床次眞司教授らが、2011年4月12〜16日に浪江町津島地区の住民らを対象に行った甲状腺被曝調査は、たしかに放射性ヨウ素を核種分析できるスペクトロメータを使用したものだったが、被験者数が62人(そのうち0〜9才の子供は5人)とあまりに少なく信頼性に欠ける。後日、調査精度を上げようとして床次教授も追加検査を計画したが、これもまた福島県によって拒否されてしまった。
よって、信頼に足る初期甲状腺被曝の実測値というものは、国と福島県の怠惰と不誠実によって存在しない。余談だが、次のような史実を前にしては、社会体制が異なり、その目的も決して被災者救済のためばかりではなかっただろうとはいえ、日本とのあまりのコントラストには唖然とするしかない。
1986年の5月から6月に、放射性核種の沈着が多かった地域の住民を対象に、甲状腺内のヨウ素131の計測が行われた。被害がもっとも大きかった3カ国では合計300,000以上実施され、他のヨーロッパ諸国でも相当な数が実施され、特に小児や若者に重点が置かれた。こうした大規模測定のデータは、注意深く較正された上で、甲状被曝線量の再構築の際に、中心的なデータとなった。(「チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の経験」185p)
では、甲状腺被曝の実測値を用いずに、その実態を把握するにはどうすればよいのであろうか。
2011年8月25日、国立環境研究所から、「福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の大気中の挙動」( http://www.niph.go.jp/journal/data/60-4/20116004003.pdf)(注PDF)という報告がなされ、この中に、放射性物質の放出量および大気シミュレーションから算出した、ヨウ素131の積算沈着量の推測値が示されている。この報告の図8には、福島県の海岸地域、いわゆる浜通りは、グレースケール最大値の1000×1000MBq/km2(=1000kBq/m2)で、福島市や郡山市が含まれる中通りは大雑把ではあるが400〜800kBq/m2のグレースケールで汚染度が示されている。具体的な数値表記がないのでPDFで拡大してグレースケールからおおよその汚染度を把握するしかないのだか、中通りおよび、浜通りから避難した住民の所在地の汚染度の平均を400〜800kBq/m2の中間値600kBq/m2としても問題はないだろう。
このシミュレーションによる推測値を、実際の甲状腺被曝量を反映すると考えられる別の数値を援用して検証してみる。ここで用いるのは、放射性ヨウ素による被曝を被った住民が所在していた土地の放射性ヨウ素による汚染、つまりその土地への放射性ヨウ素の沈着量である。
使用するデータは文部科学省が2011年9月21日に発表した「ヨウ素131の土壌濃度マップ」(http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/6000/5047/24/5600_0921.pdf)(注PDF)である。マップ上のポイントから、福島第一原発30キロ圏内および計画的避難区域を除いた287ポイントを抽出し、その平均値を求めると747Bq/m2となる。しかしこの数値は6月14日時点の値なので、 放射性ヨウ素の放出拡散日時と考えられている3月15日からは11.5回の半減期を経ている。11.5回の半減期によって放射能は約2500分の1となっているので、放射性ヨウ素の土壌沈着は減衰補正によって、
747×2500=約1870kBq/m2
と推定できる。
この方法については以下のように、「ヨウ素129の測定を通じたヨウ素131の土壌濃度マップの精緻化」を行っている学習院大学理学部化学科 村松康行教授によって保証されている。
なお、ヨウ素の土壌への吸着力は強いことが知られており、土壌-溶液間の分配係数(Kd)は通常、数百〜数千である(Muramatsu et al. 1990, Yoshida et al. 1992)ことが確認されている。このことから地面に沈着した放射性ヨウ素のほとんどが表層土壌に吸着されて留まっていると推定される。その為、第 1 次分布状況等調査のヨウ素131の土壌濃度マップの作成時点である平成23年6月14日の表層 5cm のヨウ素131 の沈着量のデータからヨウ素131が沈着した平成23年3月後半の値に戻すには、物理的減衰を補正することである程度評価できると考えられる。( http://www.jaea.go.jp/fukushima/kankyoanzen/mapping_report/2nd-japanese/01-05.pdf)(注PDF)
前述のシミュレーションによる600kBq/m2と実測値からの推定1870kBq/m2との間では3倍の開きがあるものの10倍までのオーダーの開きはないので、福島県におけるヨウ素131による土壌汚染濃度は
600〜1870kBq/m2
の幅で、一定の蓋然性を持つ数値として考えることができるだろう。
念のため、原子力規制委員会ホームページの放射線モニタリング情報にある、2011年4月5、6日に福島県内の小学校で採取された土壌サンプルの測定結果( http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/5000/4135/24/1304930_0406.pdf)(注PDF)から、放射性ヨウ素の土壌沈着を求めてみる。20地点のうち、計画的避難区域に含まれる俣町立山木屋小学校と浪江町立津島小学校および汚染レベルの低い会津の3校を除外して平均を求めると3441Bq/kgとなり、これを面積単位に換算すると223.7kBq/m2となる(Bq/kgからBq/m2への変換方法については、 http://radi-info.com/q-759/を参照)。3月15日から4月6日までに放射性ヨウ素の半減期は2.75回経過しているので減衰補正によって、ヨウ素131による土壌汚染は1505kBq/m2となり、上記の範囲内であると確かめられる。
この数値 600〜1870kBq/m2 を、チェルノブイリ事故で最も被害の大きかったベラルーシにおける放射性ヨウ素の土壌沈着( http://www.psvensson.se/images/BelarusI131-1986.gif)と比較してみる(注:このマップは、ヨウ素131の限られた実測値の他に、セシウム137をガイドとしてヨウ素131の汚染度を割り出している)。
福島県での土壌沈着 600〜1870kBq/m2 は、この汚染マップでピンク色で表される370〜1850kBq/m2の汚染レベルにほぼ当てはまり、ベラルーシ各州の汚染レベルとその各々の面積から、MOGILEV(モギリョフ)州もしくはGRODNO(グロードゥノ)州の土壌汚染と同等であるとみるのが妥当だろう。GOMEL(ゴメリ)州は高い汚染レベルを示す地域が大部分を占めているので福島との比較には相応しくない。
ではこの二つの州における小児甲状腺ガンの発生はどの程度であったのだろうか。菅谷 昭、ユーリ・E・デミチク、エフゲニー・P・デミチクによる報告(http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Sgny-J.html)を見てみると、図1において1986〜1996年の10年間の小児甲状腺ガンの患者数はモギリョフ州で26人、 グロードゥノ州で29人となっている。表2から二つの州の人口はそれぞれ127万人、116万とわかるので、福島県の人口を中通り約110万人、浜通り約50万人で計160万人として(会津以西は汚染レベルが低いので除外する)、2013〜2023年の10年間に福島県下では、33〜40人の小児甲状腺ガンの患者が出ることになる(年齢分布を考慮すれば、小児の割合が福島県の方が低いことから、実際はこれより若干少なくなるだろう)。
しかし、問題はBREST(ブレスト)州である。汚染マップではそれほど高い放射性ヨウ素の土壌沈着がみられないにもかかわらず、小児甲状腺ガンの発生率が他の地域と比較して高い。152万人の人口で122人の患者数なので、福島県では128人となり、これも結果に含めれば、10年間で33〜128人となる。
つぎに事故後5年経った1991年から1996年にかけて、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの12万人の子どもたちを対象にして行われた小児甲状腺検診(チェルノブイリ笹川プロジェクト)の結果を見てみる( http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/bunka5/siryo5/siryo42.htm)。1991年といえば、小児甲状腺ガンが急増を始めて2年目であり、1996年は患者数がピークを迎えたあたりの時期である。
表1からベラルーシのモギリョフ州での小児甲状腺ガンの発生率は0.01%であり、これを福島県民健康管理調査の対象である18才以下の子ども36万人に当てはめると(正確には調査対象の年齢が両者では異なる)、事故後5年の2018年から5年間に調査を行えば、36人の小児甲状腺ガンが発見されることになる。
モギリョフ州での患者数が2人と少なく、統計誤差が多く含まれてしまうと考えるならば、他の地域を参考にすることが必要になる。ロシアで最も放射性ヨウ素による汚染が大きかったのはブリヤンスク州、ツーラ州、オリョール州であったが、 前出の Cardisの「Cancer consequences of the Chernobyl accident : 20 years on」表3を見ると、ブリヤンスク州の小児の甲状腺被曝線量は160mSvであり、ベラルーシ国全体の150mSvとほぼ同等であることがわかり、参考値としてロシアのブリヤンスク州の数値を使用することにする。上の表1からブリヤンスク州での小児甲状腺ガンの発生率は0.04%であり、この数値を福島県に当てはめれば144人となり、モギリョフ州から得られた数値と合わせて、36〜144人と推定される。
以上をまとめると、福島県においては、
◎ 事故後10年の間に33〜128人の小児甲状腺ガンが発生する。
◎ 小児甲状腺ガンが増加を始める2016年からピークを迎える2021年までの5年間で、甲状腺検診によ って36〜144人の小児甲状腺ガンが発見される。
ということになる。
しかし、これらの試算はいくつかの仮定により成り立っているので現実はこれらの結果から大きく逸脱する可能性もある。 それを検証するためにも本当に大切になってくるのは、やはり甲状腺被曝の実測値なのだが、前述したように、この、他に代え難い大切な記録が日本には存在しない。シミュレーションとしては、文部科学省が発表したSPEEDIによる甲状腺等価線量の積算線量の試算( http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/mext_speedi/0312-0424_in.pdf)(注PDF)があるが、これによると、100mSvの線量等値線の輪郭は、30キロ圏外では主に飯館村、川俣村といわき市の北部を通っており、人口が集中する福島市や郡山市などを含む中通りでの等価線量は、100mSvより低い数値になる。
ここでもう一度、Cardisの「Cancer consequences of the Chernobyl accident : 20 years on」表3の ベラルーシの数値を見てみる。国全体の平均値は150mSvであるが、この数値から、汚染が高度で福島県との比較には適さないゴメリ州の数値610mSvを差し引いた場合の甲状腺被曝線量を求めると、平均値は60mSvとなる。ゴメリ州以外でも小児の症例が多数みられたことから、このような比較的低い甲状腺被曝線量でも確実に小児甲状腺ガンは増加することがわかる。
1998年、Natureに掲載されたP. Jacobの論文「Thyroid cancer risk to children calculated」の表1( http://www.nature.com/nature/journal/v392/n6671/fig_tab/392031a0_T1.html)を見る。チェルノブイリ事故時に0〜15才であったウクライナ、ベラルーシ、ロシアの子どもの事故後5〜10年間の甲状腺ガンの患者数が示されているが、キエフでは甲状腺被曝の平均値が50mSv(0.05Gy)であったにもかかわらず、581000人中67人( 0.01% )が甲状腺ガンを発症した。
このような50〜60mSvという甲状腺被曝線量が福島県の人口密集地においても確認されるかどうかは、「ヨウ素129の測定を通じたヨウ素131の土壌濃度マップ」が発表されればある程度明らかになるだろうが、前述のセシウム137からヨウ素131の汚染度を推測したベラルーシの汚染マップのように、航空機モニタリングによる線量マップ( http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/5000/4858/24/1305819_0708.pdf)(注PDF)とSPEEDIによる甲状腺等価線量の試算を重ねあわせて福島市や郡山市の小児の甲状腺被曝量を推定すると、詳細は省くが、20〜60mSvという結果になる(かなり粗雑な試算ではあるが)。
今回の検討で得られたすべての結果は、放射性ヨウ素による福島県の汚染が子どもたちにとって危険なレベルであることを指し示している。そして、ベラルーシやウクライナのデータからわかるように、子どもにとって甲状腺被曝がどんなに小さな値であっても甲状腺ガンのリスクが付きまとうのである。これらのことから残念ながらあと2年ほどで小児甲状腺ガンは確実に増加すると考えざるを得ないが、幸いなことに日本には最先端の医療機器があり、手術痕の残らない甲状腺内視鏡手術などの高い手術技量を持つ医師も多く存在する。真の意味で「子どもたちを見守る」検査・医療態勢をこれからも高いレベルで維持し、子どもたちの未来を決して損なわないよう努力していかなかればならない。
最後に、国と福島県は、甲状腺被曝の精密な測定を、まったく理由にならない自分たちの身勝手な都合により妨害し、福島県民にさらなる不安と不信感を与える結果を招いてしまった自らの怠惰と不誠実を深く恥じるべきである。そして、失った信頼を取り戻すためにも、これからは誤った先入観や一連の隠蔽体質を完全に捨て去って、福島県(のみならず日本のすべての)の子どもたちの健康と命と未来に、誠心誠意、重大な責任感を持って向かい合うべきである。
Divina Commedia
http://www.asyura2.com/12/test28/msg/439.html
政治家の価値は、チンピラかどうかでなく、
いかに票を集めるで決まる。
橋下は小沢よりは国民にとって価値がある。
霧が・・・深い・・・
夕闇が迫ろうとしていた。高木 彰弘と木村 一美は、霧のせいか道に迷っていた。ロードマップ片手に「秘湯」である大炭温泉を訪ねてきたのはよいが、この霧では到着はおぼつかないだろうと、二人はお互いに口に出さなくとも感じていた。
「ねえ・・・・この霧いつになったら晴れるのかしら・・・・」
不安を口に出さずにはいられない一美。しかし彰弘の方も、すでに霧のために相当神経がまいっていた。一美の言葉に応えず、ただいらいらと煙草に火を付ける。
(やっぱりカーナビ付けとけばよかったかな・・・)彼は思っていた。
ゆっくりと、センターラインを確認しながらカーブを切っていく。左側すれすれにガードレールが現れ、一瞬びくっとする彰弘。
「やっぱり、どこかで霧が晴れるのを待とう・・・」
自分に言い聞かせるように彰弘はつぶやいた。広里村を過ぎたまでは憶えている。その先の萌黄山を越える山道で、霧が深くなった。地図によればこの道は何本か枝分かれしており、彼らはそのどこを走っているのかまったくわからなくなっていた。対向車も、ここ一時間ほどまったくない。
「ねえ、あれ・・・・」
突然、一美が窓の外を指す。
「ん」
霧の中に、ライトに照らされてぼうっと浮かび上がるものがある。何かの看板のようだった。車を停止し目を凝らしてみる彰弘。
「なになに・・・変美温泉、ホテル紅葉園?」
一美が地図と観光マップを見る。
「へんみへんみと・・・・あった!これ」
一美の声に今度は普通の地図をのぞき込む彰弘。
「あれま、全然違う場所だ・・・・ホントにへんぴな場所だな・・・」
目的地の大炭温泉とは、萌黄山を挟んで逆方面になっていた。しかも、道がまがっていたのでわからなかったが、途中でUターンしたようになっている。
「まあいいじゃない。観光マップにも出てないし。行ってみましょうよ」
彰弘の駄洒落に気付かなかったふりをして言う一美。
彰弘は、彼女に同意すると看板の矢印の方に注意深く車を回した。
十分ほどで、車は「ホテル紅葉園」についた。どうやらあの看板から先は、ほとんど私道のようなものらしい。だいぶ坂を下ったせいか、霧は看板のところよりはだいぶ薄くなっていた。
「なんか寂しいわね・・・・」
車を降りてから、寒さに震えコートを着込む一美。しかし駐車場には他にも何台かの車が止まっている。
「まあ、行ってみよう」
二人はとりあえず入ってみることにした。自動ドアが開き、建物に入る。モワッとした感じの、暖かく少し蒸した空気が二人を迎える。その向こうに、従業員らしい二人の女が現れた。
「いらっしゃませ、ご予約のお客様でらっしゃいますか」
二人とも若い女だった。ロビーを見回しても、目に入る従業員は若い女しかいない。逆に若すぎるのでは、と思われる娘もいるほどだ。彰弘も一美も感じていたが、彼女たちには共通して、何とも言えないなまめかしさがあった。
「いえ、予約はないんですが・・・・」
「さようでございますか」
彰弘と一美は、フロントで手続きをした。時間は少し遅かったが部屋も食事も用意できるとのことだったので、二人はひとまず安心した。やはり若い仲居が、二人を部屋に案内する。この女もやはり、美人というのとは少し違う、男を引き寄せるような色香を撒き散らしているかのようだった。
「お食事までお時間がございますので・・・・・」
お決まりの会話ではある。が、一美もお約束のように返す。
「あの、お風呂はどこですか?」
「ここを出ましてつきあたりのエレベーターに乗られて、最上階に展望風呂、地下に大浴場、それと、一階のロビー横を抜けたところに温室風呂がございます」
待ってましたとばかりに仲居が答える。
「温室風呂?」
一美は興味を引かれたようだ。すると、やはりここぞとばかりに仲居が説明しはじめた。
「はい。当館の一番の売りでございまして・・・・温泉の熱を利用した熱帯植物の温室に、そのまま温泉を引き込んで浴場にしましたものです」
「わあ、なんか素敵ね・・・」
一美の顔が輝く。さっきまでの憂鬱な顔とは大違いだと、彰弘は思った。しかし、これも霧で道を迷ったおかげだと思うと、彼は複雑な気分だった。
「ねえ、彰弘、その温室風呂へ行きましょうよ・・・」
一美は一気に浮かれたようになっていた。しかし・・・
「申し訳ございません・・・・温室風呂は婦人用しかまだございませんので・・・・殿方用は現在工事中で近日オープン予定となっております」
「なあんだ、つまらないの」
口を尖らせる一美。
「おいおい、人前でそういうこと言うか?」
たまらずたしなめる彰弘。見れば仲居はどういう顔をしたものか困っている感じだった。
結局、一美は一人で温室風呂に入ることにした。エレベーターを降り、ロビーの脇を抜けて浴場へ向かう。ロビーにはさっきよりも従業員が多い感じがしたが、やはり一人も男の姿はなかった。また、他の客の姿も見られない。時間が遅いせいかともおもったが、言うほど遅い時間でもない。彼女は不審に思ったが、浴場にはいるとその考えは一変した。
「うわぁ・・・・」
思わず声を漏らす一美。開放感のある高い天井の浴場には、大理石づくりの大きな浴槽のまわりにたくさんの熱帯植物が配置されている。夜というのに照明のせいか色とりどりのトロピカルな花が咲いており、湯気にのって花の香りが漂っていた。
ゆっくりと湯を浴び、浴槽へ入る一美。ほどよい湯加減に花の香りが心地よい。それはここにたどり着くまでの苛つきを溶かし、身体を芯から暖めてくれるようだった。
(たまには道に迷ってみるものね・・・・)
彼女はのんびりと湯船の中でくつろいだ。
一方の彰弘は、最上階の展望風呂にいた。
(妙だな・・・・)
彼はここに来て以来、どうにもしっくりこないものを感じていた。というのも、駐車場に車が置いてあるわりには、他の客とも会わず、他に客がいる気配すら感じられなかった。この風呂も貸し切り状態である。それに普通、従業員が若い女ばかりとは考えにくい。それもみんな思わず見とれそうな色気のある女ばかりだ。けっして美人とは言わないが、どの女もまるで男を引き寄せているかの如くなまめかしい。
(ま、目の保養にはなるな・・・)
そう思いながら外を見る。展望風呂といっても夜もいいところのこの時間では、やはり窓から何も見えない。下の方に、温室らしいガラス張りの部屋が見える。
(あれが温室風呂かな・・・)
見下ろしてはみたものの、それはやはりうまくできているようで、中の様子は見えない。
(ようやくゆっくりできるな)
彰弘はこれからの楽しみのことを考えながら湯船を出た。
一美が湯船から上がろうかと思ったときだった。不意に花の間から、何かが飛び出してくる。
「きゃ!」
彼女は驚いてそれを見た。
パタパタパタ・・・・・
金色に輝くそれは、羽ばたきながら空中を飛んでいた。はじめは逆光でわからなかったが、徐々にそれが昆虫らしいということが、彼女にも理解できた。
(イヤだわ・・・)
彼女はそう感じた。それは二十センチぐらいある大きな蛾だった。それが一匹だけ、高い天井の照明の周りをにたかるようにぱたぱたと飛んでいる。高いとはいってもそれは二階建ての吹き抜けぐらいの高さだったので、蛾が飛んでいる姿が気になる。蛾の周りは、どうしたことか金色の粉が舞っているようだった。
パタパタパタ・・・・・
彼女はふと、それに見とれている自分に気付いた。いつの間にか、自分の周りにも金色の粉が舞っている。上から粉が降ってきているのだ。
(イヤだわ・・・髪洗い直さなきゃ・・・)
彼女はそう思ったが、何故か動く気にならなかった。湯に浸かっている以外に別の心地よさが彼女を包んでいる。彼女の全身を包み込むそれは、徐々に心地よさからそれ以上のものへと変わっていく。
(イヤだ、私・・・どうしたんだろう・・・)
無性に、彰弘が恋しかった。気が付くと、蛾は消えていた。一美は湯から上がり、髪を洗い直した。
「おそくなりました・・・」
浴衣姿の一美が、部屋に戻ってくる。
(うお・・・・)
彰弘が、驚いたように彼女を見つめる。風呂上がりのせいか、一美の姿は彼には輝いて見えた。
「どうしたの?なにかふざけてるの?」
一美が怪訝そうな顔をする。
「いや、ああ、おかえり」
彰弘はいま気がついたかのようにそれに反応した。実際、彼女に見とれていたのだ。
「なに?」あらためて聞き直す一美。
「いや、なんか、やたらと色っぽいなと思って・・・・」
彰弘は思わず本音をこぼした。
「やだぁ、もう・・・そんなこと言わなくっても」
照れる一美。
「いや、本当だってば。湯上がりなのさっ引いてもいつもよりだいぶ色っぽい」
一美は少し戸惑った。本当に彰弘が彼女に見とれたのなら、そんなことはつきあってから今までなかったことだった。彼女は戸惑いながらも嬉しかった。
食事が運ばれ、食べている間も彰弘の視線は一美に釘付けだった。彼女は嬉しいような恥ずかしいような、それでいて不思議な気分だった。一方の彰弘も、彼女の魅力を見直した気がして、気分が良かった。
「ねえ、本当に何ふざけてるのよ・・・」
布団が用意され、二人きりになると、彰弘はすぐ一美を求めた。一美もそれに応えた。
従業員が女ばかりだろうが、他に客がいなかろうが、そんなことはもうどうでもよかった。
深夜・・・・・
一美は、ふと目を覚ました。彰弘の体温が心地よい。抱き合ったまま眠ってしまったようだ。彰弘は死んだようにぐっすりと眠っている。
(そりゃあ・・・ずっと運転してたのにがんばっちゃったものね・・・)
一美は彰弘の寝顔を見て、一人微笑んだ。
不意に、温室風呂での出来事が頭をよぎる。
(あの気持ちよさって、何だったのかしら・・・)
一美はあの感覚を思い出そうとした。彰弘と結ばれているときとはまた別の、次元の違う心地よさ。無性にあの感覚が恋しくなった。
(ここのお風呂、二十四時間かしら・・・)
一美は脱ぎ捨てた浴衣を羽織ると、眠ったままの彰弘を残して再び部屋を出た。
さっきと同じようにロビーの脇を抜けて、温室風呂ののれんをくぐる一美。
(・・・・・?)
一美は不審に思った。脱衣場の入り口に、やけに草履が多い。入り口から脱衣場へは、引き戸が付いている。その引き戸を、彼女はゆっくりと開けた。
「オホホホホ・・・・アハハハハハ・・・・・」
突如聞こえてくる嬌声。一美の疑いは間違っていなかった。脱衣場には、たくさんの着物が脱ぎ捨てるように置いてある。それは従業員の物だった。しかし、さらに目を疑うことがあった。
嬌声が聞こえるガラスの引き戸の向こう側が、金色に発光しているように見えた。
(何なんだろう)
一美はガラスの引き戸をそっと開いてみた。
(一体これは・・・・)
彼女は中の景色を見て理解に苦しんだ。しかしそんなに長く悩むこともなかった。金色の粉が、彼女のいる引き戸のところに舞っている。
心地よさと陶酔感が一美の全身を包んだ。それが大きな波となって、彼女を襲う。
彼女はなぜだかとても楽しい気分になった。ここでのぞいているのが馬鹿らしくなってくる。一美はそのまま浴衣を脱ぎ捨て、金色に光る温室風呂の中に入っていった。
「おはよう・・・」
目を覚ます彰弘。目の前に、艶やかな笑顔を浮かべた一美がいる。彰弘には、その笑顔が輝いて見えた。
「おはよう」
寝ぼけた声で応える彰弘。
「朝ご飯の時間になっちゃうよ」
甘えるように彰弘を抱えおこす一美。彰弘は、昨日に輪をかけて彼女が綺麗になった気がした。
(ここの温泉、美人の湯か何かか・・・)
そんなことを思いながら、朝食を取る彰弘。一美の仕草ひとつひとつが、彼には新鮮に思えた。
「ねえ、彰弘・・・」
突如甘えた声を出す一美。
「なに?」
「私、もう一日ここにいたい・・・」
「え!?」
彰弘は驚いた。彰弘も一美も明日は仕事がある。もう一日いるということは仕事を休むということだ。
「一美、仕事は?」
「会社なんて・・・・そんなことよりここで彰弘と一緒にいたいわ」
「おいおい、子供じゃないんだから」
しかし、一美は絶対に帰らないと言い張った。彰弘がどれだけたしなめても無駄だった。しまいには喧嘩になり、一美は、
「自分だけもう一晩泊まっていく」
とまで言いだした。
「足がないからよせ」
と止めたものの、結局彰弘は一人で帰ることになった。車を出すときも、一美は彼を送ることさえしなかった。
翌日になっても、一美は帰ってこなかった。電話も通じない。三日たっても四日たっても、彰弘は一美に連絡を付けることはできなかった。
(あの温泉に行って、一美はおかしくなった・・・・)
彰弘はそう思い、変美温泉とホテル紅葉園について調べはじめた。しかし存在自体は確認できるものの、それ以上の情報はまったくと言っていいほど無いに等しかった。温泉以外の売りは何もなく、食事で売り出すでもない。数年前の萌黄山の山火事で、観光地としての値打ち自体がなくなってしまっているのだ。紅葉園に限れば、二年ほど前に経営者も変わっている。経営状況も、決して良くはないようであったが、確かに営業はしている。
しかし彼にとって、紅葉園で何かあったのではという以外に、彼女が変わった原因は思いつかなかった。
(あそこにいったい何が・・・)
彰弘は、再び変美温泉に向かうことにした。
次の土曜日、彰弘は変美温泉に向かって車を飛ばしていた。
一度帰った道を、間違えるはずはなかった。広里村を抜け、萌黄山に入る。そして、あの看板のところを右に曲がって、車は紅葉園の駐車場に着いた。この前は霧でわからなかったが、こうしてみるとこのホテルはちょうど谷間にあり、展望風呂からはたぶんそこを流れる川の景色が見えるのだろうと彼には思えた。すでに日はその山に隠れ、夕闇が辺りを覆いはじめている。
一人だけで、自動ドアの前に立つ彰弘。例によってモワッとした感じの、暖かく少し蒸した空気が彼を迎える。
「いらっしゃいませ」
着物姿の若い女が、彼を迎える。
「一美!?」
「彰弘・・・」
あろうことか、彼を出迎えた女は一美だった。彰弘が一瞬気付かなかったのも無理はない。彼女は彰弘が今までには見たことのない、長い髪を後ろでまとめ、着物を着ているといった格好をしていたのだ。しかし、それだけではなかった。一美は、この一週間で見違えるほど、磨きが掛かったように艶やかできめ細やかな肌をしていた。一瞬目を奪われそうになるが、彰弘は本来の目的を忘れなかった。
「どういうことなんだ?」
一美を問い糾そうとする彰弘。そこに、もうひとり若いが落ち着いた感じの女が割って入る。
「まあお客様、木村さんのお知り合いでしたの?」
気が付けば、笑顔ではあったが、女たちが二人を囲んでいる。どうやらこの女は若いようだが女将らしかった。名札には、「雅」とだけ書いてある。
「一美・・・」
それを無視して、彰弘は一美を糾そうとする。
「木村さん、お部屋にご案内して。お風呂でも上がって頂いたらどうかしら」
一美の困った顔が、その一言に和らぐ。
「そうだわ。彰弘、一緒にお風呂に入りましょうよ。今日のお客は彰弘だけだし」
妙だと思ったが、ここで痴話喧嘩をするのもみっともないと思った彰弘は、とりあえず一美に従い、部屋に向かった。
「一美、どういうことなんだ」
「どうって・・・・見てのとおりよ。私、ここで働くことにしたの」
「そんな・・・無茶苦茶だ」
「無茶苦茶じゃないわ。みんないい人ばかりだし、毎日温泉は入れるし、いいことずくめじゃない」
彰弘は、彼女の言うことももっとものような気がした。自分でさえ目を奪われる今の彼女の姿を、彼女自身もわかっているはずだ。しかし彰弘はその話がどこかおかしい気もした。が、それを口に出す前に彼女は猫撫で声を出してくる。
「そんなことより彰弘、一緒にお風呂入りましょう・・・この前は入れなかったし。急なことで、悪かったとは思ってるわ・・・ねえ」
甘えたように身体をすり寄せてくる一美。それは、やはり彰弘がよく知っている一美に違いなかった。
「わかったよ・・・・」
答える彰弘。
(自分も少し大人げなかったかもしれない)
これで仲直りするのも悪くないと、彼は思った。
ロビーの脇を抜け、温室風呂ののれんをくぐる二人。脱衣場にはいると、一美は帯をほどき、着物を脱いでその裸身を露わにした。彰弘はあらためて彼女のその姿に見とれた。今はじめて見るわけではない。しかし、彰弘には今の彼女の身体が眩しかった。見とれながら彼も裸になる。
「いやだ・・・何見てるのよ」
照れる一美。一美は微笑みながら彰弘の手を握り、金色に光っている浴場の引き戸を開けた。
「これは・・・・・!?」
驚く彰弘。
「驚くことはないわ。とても気持ちいいんだから」
そのまま手を引く一美。温室風呂の浴場には、湯気の中を体長二十センチほどの金色の蛾が、数え切れないほど乱れ飛んでいる。そしてその羽から落ちるのであろう金色の粉が、まるで花吹雪のようにきらきらと舞っていた。
「ああ・・・・」
粉を吸い込み、すでに恍惚の表情を浮かべている一美。彰弘も、すでにその粉を吸い込んでいた。今まで経験したことのない幸福感が込み上げてくる。彼は一美に引かれるまま、やはり金色に光る湯船に浸かり、陶酔感に酔いしれた。湯で体が温まっているのか、全身が熱くなっていく。
彰弘がそれに気付くまでには、しばらく時間がかかった。湯船が波立つのを感じて、彰弘は、はじめて彼女たちに気付いた。
「気分はいかが?」
女将らしい女、雅は、にこやかに彰弘の方へやってきた。少しぼうっとする頭で雅を見る彰弘。湯船の中を立ったまま近付いてくる雅の姿は、彰弘にはとても若く美しいように思えた。一美も彼女のことを女将とは言っていたが、年格好から判断すれば、彼には未だにそれが信じられなかった。
「もうすぐ・・・あなたにもわかるわ」
意味ありげな言葉を告げる雅。その雅の腕に絡みつく女の姿がある。雅だけではなかった。彼女に続いて、たくさんの女性が一糸纏わぬ姿で湯船に入ってくる。その中には、すでに恍惚とした表情を浮かべる者もいた。それを目にしながら、彰弘は全身から、熱い何かが込み上げてくるのを感じていた。見れば一美も、彰弘の身体を抱きながらうっとりとした表情をしている。
「ここにいる限り、私たちはこの若さと美しさを保つことができるの。もちろん一美ちゃんも、あなたも・・・」
彰弘はよく理解することができなかった。それよりも、とにかく体が熱い。熱いだけではなかった、今までには経験したことのない感覚が、彼の意識を浸食した。それは決して気分の悪いものではなく、むしろ心地よいものであり、その感覚が、彼がものを考え身体を動かそうとすることを拒んでいた。
金色に輝く粉が、湯気に紛れて女たちと彰弘に降り注ぐ。
「この粉は、私たちをとても素敵な気分にしてくれるの。私たちは・・・・一美ちゃんも、もうこれなしでは生きては行けないのよ・・・・わかるかしら」
彰弘は、陶酔感に浸りながら、夢見心地で聞き流していた。その周りで女たちは、粉を全身に浴びながら意味不明な言葉を叫んだり、嬌声を上げながら身をくねらせたりしている。雅は続けた。
「いまならたぶんまだ間に合うけれど、どうする?このまま私たちの仲間になる?それとも・・・」
雅の意外な言葉に、少しだけ理性を取り戻す彰弘。
(この女は何を聞いているのだろう・・・・・?)
疑問が彼の中で渦巻いた。しかし全身から沸き起こる陶酔感が、彼が理解しようとするのを妨げた。
「仲間に・・・なる・・・・?」
よく働かない頭で、彼はなんとかその疑問を口にした。
「そう・・・・この夢蛾の粉は、私たちに美と快楽、そして若さを与えてくれる。でもそれだけではないわ・・・・あなたの腕を見てご覧なさい」
彰弘は言われるままに腕を伸ばして見た。確かに、どこか自分の腕とは違ってきているような気がする。心なしか、それは自分の記憶よりも細く滑らかなように思えた。
「あなたもずっとここにいるといいわ。朝が来て、あの夢蛾たちが寝床に帰る頃には、あなたも私たちのようになっているはずよ・・・・・そして、それは一美ちゃんの願いでもあるの」
雅の息が荒くなってきていた。雅の言葉に、うっとりとした表情で、彰弘を抱きしめる一美。
「あきひろ・・・・ずっと・・・・いっしょにいようね・・・・」
彰弘は、ゆっくりと自分の状況を理解しはじめていた。いつの間にか彼の目に入る彼の身体が、彼のよく知っているものではなくなりはじめている。体中から沸き起こる今までに経験したことのないとても心地よい感覚の中で、引き締まった筋肉質の身体が、ゆっくりと、確実に細く、丸みを帯びつつあった。しかし彰弘には、それが現実なのか幻なのかもうわからなかった。
全身を震わせる陶酔感と、すぐ側に感じられる一美の感触が彰弘を幸福感で満たしていく。雅の言葉も、もう彼には届いてはいなかった。
「あなたも私と同じ・・・ウフフ・・・もう戻れないわ・・・何のためにこの温室を作ったと思ってるの・・・アハハハ・・・・あの馬鹿なオーナーを殺してまで・・・オホホホホ・・・・私の人生で最高の出会いは舞子なんかじゃないわ・・・・夢蛾よ・・・オッホッホッホッホ」
雅は狂ったように笑いながら続けている。しかしその目はもうすでに彰弘の反応など見てはいなかった。夢蛾の粉が、すでに常習者となっている彼女にもようやく効いてきたのだ。
「あなたも仲間におなり・・・・永遠の若さと美しさが手にはいるのよ・・・・なーんて素敵なんでしょう・・・アハハハハ・・・・オホホホホホホ・・・・」
蛾は、湯気の中を舞い続けている。女たちの狂宴は続いた・・・・・
****************************************
「いらっしゃいませ、お疲れさまでございました」
政人と由希子を、着物姿の女が迎える。政人はその女に思わず見とれてしまった。
髪をまとめた着物姿が、とても色っぽく見える。その他でも、見回したところにいるのは同じ格好とはいえ若い女の従業員ばかりで、政人好みの女が何人もいる。
由希子が、そんな政人を肘でつついた。
「あ、予約してないんですけど・・・・」
慌てて告げる政人。
「結構でございますよ。本日はお部屋空いておりますので」
女は、二人をフロントへと案内した。政人は、名札をチェックするのを忘れなかった。名札には、「高木」と書かれている。
「さあ、お部屋にご案内しましょう」
手続きを済ませ、政人と由希子は、その「高木」という女に案内されて部屋に向かった。その後ろ姿を、同じような数人の女たちが笑顔で見送っていた。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~kebochin/Return%20of%20the%20yellows.HTML
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/736.html
内部被曝の専門家ユーリ・バンダジェフスキー博士の話だと5Bq/kgで15%
の人に心電図異常が出るという。
60Kgの人だとちょうど5Bq/kgが検出限界なんてふざけてるよ。
早野龍五東京大教授は内部被曝の専門家なんかね。
ーーーーー引用開始ーーーーーー
一般に体内汚染が5bq/kgの場合、15%に心電図異常が生じてくる。
12-25bq/kgでは60%に異常。
30bq/kg以上になると代謝異常が生じ、心筋に顕著な影響が起こってくる。
http://www.asyura2.com/12/genpatu26/msg/407.html
>>04 ぜひ 京大に調査してもらってほしい。
京都大学にも原子力ムラの住人がいるからね。
小出氏ほどの方が助教という最下位の立場と言うのからして原子力ムラの
巨大な力が実感できる。
東京大学で信頼できるのは地震関係くらいのものかな・・・・
>> 僕は自分のガイガーカウンターの数値を信じるね。
長い目で見れば日本国内の大企業にとってもデメリットが大きい。
むしろ大企業やマスコミ、政治家を動かしてるアメリカの軍産複合体の
メリットの観点でしょう。
日本が関東軍によって満州を支配したように、アメリカが日本を支配し
てる現われが原発の再稼動だ。
菅直人が浜岡原発を無理やり停止させ、玄海原発再稼動を屁理屈つけて
動かさなかった。その行動が虎の尾を踏んだことになったわけです。
ーーーーー引用開始ーーーーーー
軍需企業も上位20位のうち、アメリカの企業が過半数を占めている。
退任演説の中で「アメリカは軍産複合体が力を持っている」から気を
つけるようにと演説したのは、軍人から大統領になったアイゼンハワー
です。
爾来40年あまり、アイゼンハワーはいったいこのような状況をどんな
思いで天国から見つめているのか……?
こんなのに使う金があったら、難病に使う薬を開発する資金にするとか、
もっと有益な使い方があると思うのですが、みなさんどんなもんでしょう?
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Library/8196/pr20020117.htm
の続報。ヒロシマやチェルノブイリと同様の奇形児が多く生まれたイラクの放射能発生源は原爆でも原発でもなく「劣化ウラン弾」だけである。これが推理の出発点であり帰着点である。
劣化ウランの特性
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/uran/tokushu/index2.html
α線内部被曝---bing検索結果第1ページ
---------------------------------------------------------
被曝についての考察http://www.cadu-jp.org/data/yagasaki-file01.pdf
ウランの場合はα線放射です。この場合、イオン化は り合う原子すべてを イオン化する密度です。ものすごく W密度のイオン化がなされます。図2の右 図に示すように、もしこの10万個を例えば1キログラムの臓器全体にばらま
「喫煙によるα線内部被ばく、タバコ会社は40年以上前から ...
http://sustainablejapan.net/?p=585
喫煙者がタバコに含まれる放射性核種ポロニウム210を吸入してα線内部被ばくすることにより、肺癌の発症率が高まる…。タバコ会社はこの問題について40年以上前から詳細な調査を行っていたにもかかわらず、事実の周知を意図 ...
α線内部被曝線量の評価方法についてのメモ
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No99/koide041215a.pdf
1 第99回原子力安全問題ゼミ 2004年12月15日(水) α線内部被曝線量の評価方法についてのメモ 特に吸入によって肺に取り込んだ場合 小出 裕章 T.基本的な事項 α線を放出する核種を体内に摂取した時の内部被曝線量を ...
内部被曝について考える
http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~kameyama/JSAOKleaflet2.pdf
となりα線内部被爆の場合と比較すると、質 量当たりの吸収エネルギーでは10の9乗(10 億)倍もの差があります。 国際放射線防御委員会の規準は、図2の左 図に示されるような被曝状況が右図に示され る被曝状況に ...
被曝 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A2%AB%E6%9B%9D
表記 · 概要(放射線 ... · 放射能と崩壊系列 · 被曝の分類
18.3 100mSV以下の被ばくでも白血病リスク増大を証明 (2012年11月) 18.4 リスクを ... 吸い込んだりして体内に取り込んだ放射性物質によって被曝する内部被曝(体内 ... α線は紙1枚で遮蔽できる。放射性同位元素から放出 ...
内部被曝を計る|河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり
http://www.taro.org/2011/06/post-1018.php
立位型WBCで内部被曝を測定するには、被曝量が少ないほど測定時間がかかり、極めて低線量の内部被曝を測定するのに約20分を要するそうだ。 それならば、ある一定の内部被曝量を検出限界に設定し、1時間あたりに ...
内部被ばく(internal exposure) - 緊急被ばく医療研修
http://www.remnet.jp/lecture/words2003/05002.html
内部被ばくは、摂取した 放射性物質 の 実効半減期 で減少してゆくが、管理上は摂取後50年間の預託 線量 で評価を行う。外部被ばく とは異なり、プルトニウム やアメリシウム等の 電離 効果の高いα線を放出する 核種 の内部 ...
プルトニウム -- α線核種による内部被曝の重篤性 - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=F-5LSckLEQ0
2011/06/11 · プルトニウム -- α線核種による内部被曝の重篤性 ... オリジナルは、神保さんの質問、テーマ設定の流れに添うかたちで、内部被曝がもたらす 人体への深刻な影響 ...
内部被ばく (09-01-05-02) - ATOMICA -
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-01-05-02
また、内部被ばくではα線やβ線のように透過性の小さい放射線も含め全ての放射線が臓器・組織の照射に寄与する点で、透過性の大きいX線、γ線あるいは中性子線のみが照射に寄与する外部被ばくと様子が異なっている。
ラドンによる外部被曝と内部被曝の慢性的影響: 200mGy以下 ...
http://www.iips.co.jp/rah/spotlight/kassei/radone.html
ラドンによる長期的な影響は、肺上皮細胞でのα線内部被ばくとウラニウム、トリウムとその崩壊核種によるγ線外部被ばくの両方の作用による。被ばく規制値4WLM/年は年被ばく線量20mSvに相当する。多くのウラン鉱山ではこれ ...
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マスメディアの誘導の成果で、
戦争すら賛成ですかね?
福島県において甲状腺の悪性所見をもつ小児が10人発見され、3人がすでに手術を受けた。県は精密なエコー検査によって将来発病する甲状腺ガンが前倒しで発見されただけとしているが、有病率的にもすでに異常な事態であるとする意見もある。チェルノブイリでは4年後から小児甲状腺ガンが増加し、発症には潜伏期間があるというのが公式見解だが、実際には事故の翌年から小児甲状腺ガンは微増していたし、チェルノブイリ事故から30年もの間に発達したエコー機器の精度が、4年を待たずにその予兆を捉えているのかもしれない。しかし、どれも推論の域を出ることはなく、非情ではあるが、 事実は、これからこの数がどのように変化していくのかを真剣に見つめていくことによってしか明らかにならないであろう。
しかし、事故発生4年後の2015年に備えるという意味でも、これまでの知識と情報をまとめておくことは有用であるだろう。今回は、子どもを持つ福島県民にとって最重要の関心事と言っても過言ではない放射性ヨウ素による被曝について若干の考察を試みる。
まず、根本的な疑問。
チェルノブイリ事故では、隣国のポーランドが迅速に安定ヨウ素剤を内服させたことから小児甲状腺ガンが発生しなかったとされるが、同時に放射性ヨウ素に汚染された牛乳の流通をストップさせたことが奏効したとも言われている。放射性ヨウ素による甲状腺被曝は大気中からの吸入によるものなのか、食べ物からの摂取(とくに牛乳)によるものなのか。日本では事故初期から汚染牛乳を厳しく制限(それでも300Bq/kgだったが)したから甲状腺被曝の心配はないと流布されていたことがあるが、呼吸による内部被曝は無視していいのだろうか。
もちろんそんなことはない。
国際原子力機関(IAEA)が 2006年に発表した「チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の経験」( "http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kiroku/3-250325.pdf)(注PDF)に次のような記載がある。
プリピャチの住民は、事故の約1.5日後には避難させられたので、放射性ヨウ素による被曝が事故直後の吸入によるものに限られ、(中略)甲状腺の総被曝線量は、汚染食品を摂取した住民と比較して、相対的に小さいものであった。(188p)
つまり、経口による内部被曝に比して空気中からの吸入による汚染は小さいとしている。
ではその被曝量は実際にはどれくらいのものであったのか、2006年に Journal of Radiological Protection に掲載された E. Cardisの論文「Cancer consequences of the Chernobyl accident : 20 years on」(http://iopscience.iop.org/0952-4746/26/2/001)を見てみる。(表も含めて完全な論文はこのページからPDFでダウンロードすることができる)
表3にあるように、プリピャチの0〜7才の子どもの甲状腺被曝量の平均値は970mSv(0.97Gy)で、ベラルーシやウクライナの他の地域からの避難者に比べて3分の1ほどではあるものの、ベラルーシの州の中で最高度に汚染され、国内で一番多く小児甲状腺ガンの発生をみたゴメリ州の平均値610mSvの1.5倍もの数値である。このことからも、放射性ヨウ素に関しては、大気からの吸入だけでも高度の甲状腺被曝を被る可能性があるということは明白である。
(老婆心ながら、これから文中によく出てくる甲状腺被曝量とは、甲状腺等価線量のことであり、日常よく見かける実効線量とは異なる。甲状腺の組織加重係数は0.04なのでもし実効線量に換算したいのなら、たとえば甲状腺等価線量500mSvは実効線量20mSvに相当する)
それでは福島の子どもたちはどうなのか。当然ながら、甲状腺被曝の実態がわからなければ話にならないのだが、次のようないきさつによって福島の子どもたちの、計測による甲状腺被曝量というものは残念ながら存在しない。
まず、原子力災害現地対策本部が2011年3月26〜30日に行ったいわき市、川俣町、飯館村の0〜15歳の小児1080人に対する甲状腺線量調査は、測定バックグランドが高く、使用した測定機器が簡易型のシンチレーション式サーベイメータであったことから、スクリーニングレベルでしかなく、結局、原子力安全委員会が追加検査を要請したような代物であり、取り上げるに値しない。ちなみに、原子力安全委員会が要請した追加検査は国と福島県によって拒否されてしまった。
つぎに、弘前大学の床次眞司教授らが、2011年4月12〜16日に浪江町津島地区の住民らを対象に行った甲状腺被曝調査は、たしかに放射性ヨウ素を核種分析できるスペクトロメータを使用したものだったが、被験者数が62人(そのうち0〜9才の子供は5人)とあまりに少なく信頼性に欠ける。後日、調査精度を上げようとして床次教授も追加検査を計画したが、これもまた福島県によって拒否されてしまった。
よって、信頼に足る初期甲状腺被曝の実測値というものは、国と福島県の怠惰と不誠実によって存在しない。余談だが、次のような史実を前にしては、社会体制が異なり、その目的も決して被災者救済のためばかりではなかっただろうとはいえ、日本とのあまりのコントラストには唖然とするしかない。
1986年の5月から6月に、放射性核種の沈着が多かった地域の住民を対象に、甲状腺内のヨウ素131の計測が行われた。被害がもっとも大きかった3カ国では合計300,000以上実施され、他のヨーロッパ諸国でも相当な数が実施され、特に小児や若者に重点が置かれた。こうした大規模測定のデータは、注意深く較正された上で、甲状被曝線量の再構築の際に、中心的なデータとなった。(「チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の経験」185p)
では、甲状腺被曝の実測値を用いずに、その実態を把握するにはどうすればよいのであろうか。
2011年8月25日、国立環境研究所から、「福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の大気中の挙動」( http://www.niph.go.jp/journal/data/60-4/20116004003.pdf)(注PDF)という報告がなされ、この中に、放射性物質の放出量および大気シミュレーションから算出した、ヨウ素131の積算沈着量の推測値が示されている。この報告の図8には、福島県の海岸地域、いわゆる浜通りは、グレースケール最大値の1000×1000MBq/km2(=1000kBq/m2)で、福島市や郡山市が含まれる中通りは大雑把ではあるが400〜800kBq/m2のグレースケールで汚染度が示されている。具体的な数値表記がないのでPDFで拡大してグレースケールからおおよその汚染度を把握するしかないのだか、中通りおよび、浜通りから避難した住民の所在地の汚染度の平均を400〜800kBq/m2の中間値600kBq/m2としても問題はないだろう。
このシミュレーションによる推測値を、実際の甲状腺被曝量を反映すると考えられる別の数値を援用して検証してみる。ここで用いるのは、放射性ヨウ素による被曝を被った住民が所在していた土地の放射性ヨウ素による汚染、つまりその土地への放射性ヨウ素の沈着量である。
使用するデータは文部科学省が2011年9月21日に発表した「ヨウ素131の土壌濃度マップ」(http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/6000/5047/24/5600_0921.pdf)(注PDF)である。マップ上のポイントから、福島第一原発30キロ圏内および計画的避難区域を除いた287ポイントを抽出し、その平均値を求めると747Bq/m2となる。しかしこの数値は6月14日時点の値なので、 放射性ヨウ素の放出拡散日時と考えられている3月15日からは11.5回の半減期を経ている。11.5回の半減期によって放射能は約2500分の1となっているので、放射性ヨウ素の土壌沈着は減衰補正によって、
747×2500=約1870kBq/m2
と推定できる。
この方法については以下のように、「ヨウ素129の測定を通じたヨウ素131の土壌濃度マップの精緻化」を行っている学習院大学理学部化学科 村松康行教授によって保証されている。
なお、ヨウ素の土壌への吸着力は強いことが知られており、土壌-溶液間の分配係数(Kd)は通常、数百〜数千である(Muramatsu et al. 1990, Yoshida et al. 1992)ことが確認されている。このことから地面に沈着した放射性ヨウ素のほとんどが表層土壌に吸着されて留まっていると推定される。その為、第 1 次分布状況等調査のヨウ素131の土壌濃度マップの作成時点である平成23年6月14日の表層 5cm のヨウ素131 の沈着量のデータからヨウ素131が沈着した平成23年3月後半の値に戻すには、物理的減衰を補正することである程度評価できると考えられる。( http://www.jaea.go.jp/fukushima/kankyoanzen/mapping_report/2nd-japanese/01-05.pdf)(注PDF)
前述のシミュレーションによる600kBq/m2と実測値からの推定1870kBq/m2との間では3倍の開きがあるものの10倍までのオーダーの開きはないので、福島県におけるヨウ素131による土壌汚染濃度は
600〜1870kBq/m2
の幅で、一定の蓋然性を持つ数値として考えることができるだろう。
念のため、原子力規制委員会ホームページの放射線モニタリング情報にある、2011年4月5、6日に福島県内の小学校で採取された土壌サンプルの測定結果( http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/5000/4135/24/1304930_0406.pdf)(注PDF)から、放射性ヨウ素の土壌沈着を求めてみる。20地点のうち、計画的避難区域に含まれる俣町立山木屋小学校と浪江町立津島小学校および汚染レベルの低い会津の3校を除外して平均を求めると3441Bq/kgとなり、これを面積単位に換算すると223.7kBq/m2となる(Bq/kgからBq/m2への変換方法については、 http://radi-info.com/q-759/を参照)。3月15日から4月6日までに放射性ヨウ素の半減期は2.75回経過しているので減衰補正によって、ヨウ素131による土壌汚染は1505kBq/m2となり、上記の範囲内であると確かめられる。
この数値 600〜1870kBq/m2 を、チェルノブイリ事故で最も被害の大きかったベラルーシにおける放射性ヨウ素の土壌沈着( http://www.psvensson.se/images/BelarusI131-1986.gif)と比較してみる(注:このマップは、ヨウ素131の限られた実測値の他に、セシウム137をガイドとしてヨウ素131の汚染度を割り出している)。
福島県での土壌沈着 600〜1870kBq/m2 は、この汚染マップでピンク色で表される370〜1850kBq/m2の汚染レベルにほぼ当てはまり、ベラルーシ各州の汚染レベルとその各々の面積から、MOGILEV(モギリョフ)州もしくはGRODNO(グロードゥノ)州の土壌汚染と同等であるとみるのが妥当だろう。GOMEL(ゴメリ)州は高い汚染レベルを示す地域が大部分を占めているので福島との比較には相応しくない。
ではこの二つの州における小児甲状腺ガンの発生はどの程度であったのだろうか。菅谷 昭、ユーリ・E・デミチク、エフゲニー・P・デミチクによる報告(http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Sgny-J.html)を見てみると、図1において1986〜1996年の10年間の小児甲状腺ガンの患者数はモギリョフ州で26人、 グロードゥノ州で29人となっている。表2から二つの州の人口はそれぞれ127万人、116万とわかるので、福島県の人口を中通り約110万人、浜通り約50万人で計160万人として(会津以西は汚染レベルが低いので除外する)、2013〜2023年の10年間に福島県下では、33〜40人の小児甲状腺ガンの患者が出ることになる(年齢分布を考慮すれば、小児の割合が福島県の方が低いことから、実際はこれより若干少なくなるだろう)。
しかし、問題はBREST(ブレスト)州である。汚染マップではそれほど高い放射性ヨウ素の土壌沈着がみられないにもかかわらず、小児甲状腺ガンの発生率が他の地域と比較して高い。152万人の人口で122人の患者数なので、福島県では128人となり、これも結果に含めれば、10年間で33〜128人となる。
つぎに事故後5年経った1991年から1996年にかけて、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの12万人の子どもたちを対象にして行われた小児甲状腺検診(チェルノブイリ笹川プロジェクト)の結果を見てみる( http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/bunka5/siryo5/siryo42.htm)。1991年といえば、小児甲状腺ガンが急増を始めて2年目であり、1996年は患者数がピークを迎えたあたりの時期である。
表1からベラルーシのモギリョフ州での小児甲状腺ガンの発生率は0.01%であり、これを福島県民健康管理調査の対象である18才以下の子ども36万人に当てはめると(正確には調査対象の年齢が両者では異なる)、事故後5年の2018年から5年間に調査を行えば、36人の小児甲状腺ガンが発見されることになる。
モギリョフ州での患者数が2人と少なく、統計誤差が多く含まれてしまうと考えるならば、他の地域を参考にすることが必要になる。ロシアで最も放射性ヨウ素による汚染が大きかったのはブリヤンスク州、ツーラ州、オリョール州であったが、 前出の Cardisの「Cancer consequences of the Chernobyl accident : 20 years on」表3を見ると、ブリヤンスク州の小児の甲状腺被曝線量は160mSvであり、ベラルーシ国全体の150mSvとほぼ同等であることがわかり、参考値としてロシアのブリヤンスク州の数値を使用することにする。上の表1からブリヤンスク州での小児甲状腺ガンの発生率は0.04%であり、この数値を福島県に当てはめれば144人となり、モギリョフ州から得られた数値と合わせて、36〜144人と推定される。
以上をまとめると、福島県においては、
◎ 事故後10年の間に33〜128人の小児甲状腺ガンが発生する。
◎ 小児甲状腺ガンが増加を始める2016年からピークを迎える2021年までの5年間で、甲状腺検診によ って36〜144人の小児甲状腺ガンが発見される。
ということになる。
しかし、これらの試算はいくつかの仮定により成り立っているので現実はこれらの結果から大きく逸脱する可能性もある。 それを検証するためにも本当に大切になってくるのは、やはり甲状腺被曝の実測値なのだが、前述したように、この、他に代え難い大切な記録が日本には存在しない。シミュレーションとしては、文部科学省が発表したSPEEDIによる甲状腺等価線量の積算線量の試算( http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/mext_speedi/0312-0424_in.pdf)(注PDF)があるが、これによると、100mSvの線量等値線の輪郭は、30キロ圏外では主に飯館村、川俣村といわき市の北部を通っており、人口が集中する福島市や郡山市などを含む中通りでの等価線量は、100mSvより低い数値になる。
ここでもう一度、Cardisの「Cancer consequences of the Chernobyl accident : 20 years on」表3の ベラルーシの数値を見てみる。国全体の平均値は150mSvであるが、この数値から、汚染が高度で福島県との比較には適さないゴメリ州の数値610mSvを差し引いた場合の甲状腺被曝線量を求めると、平均値は60mSvとなる。ゴメリ州以外でも小児の症例が多数みられたことから、このような比較的低い甲状腺被曝線量でも確実に小児甲状腺ガンは増加することがわかる。
1998年、Natureに掲載されたP. Jacobの論文「Thyroid cancer risk to children calculated」の表1( http://www.nature.com/nature/journal/v392/n6671/fig_tab/392031a0_T1.html)を見る。チェルノブイリ事故時に0〜15才であったウクライナ、ベラルーシ、ロシアの子どもの事故後5〜10年間の甲状腺ガンの患者数が示されているが、キエフでは甲状腺被曝の平均値が50mSv(0.05Gy)であったにもかかわらず、581000人中67人( 0.01% )が甲状腺ガンを発症した。
このような50〜60mSvという甲状腺被曝線量が福島県の人口密集地においても確認されるかどうかは、「ヨウ素129の測定を通じたヨウ素131の土壌濃度マップ」が発表されればある程度明らかになるだろうが、前述のセシウム137からヨウ素131の汚染度を推測したベラルーシの汚染マップのように、航空機モニタリングによる線量マップ( http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/5000/4858/24/1305819_0708.pdf)(注PDF)とSPEEDIによる甲状腺等価線量の試算を重ねあわせて福島市や郡山市の小児の甲状腺被曝量を推定すると、詳細は省くが、20〜60mSvという結果になる(かなり粗雑な試算ではあるが)。
今回の検討で得られたすべての結果は、放射性ヨウ素による福島県の汚染が子どもたちにとって危険なレベルであることを指し示している。そして、ベラルーシやウクライナのデータからわかるように、子どもにとって甲状腺被曝がどんなに小さな値であっても甲状腺ガンのリスクが付きまとうのである。これらのことから残念ながらあと2年ほどで小児甲状腺ガンは確実に増加すると考えざるを得ないが、幸いなことに日本には最先端の医療機器があり、手術痕の残らない甲状腺内視鏡手術などの高い手術技量を持つ医師も多く存在する。真の意味で「子どもたちを見守る」検査・医療態勢をこれからも高いレベルで維持し、子どもたちの未来を決して損なわないよう努力していかなかればならない。
最後に、国と福島県は、甲状腺被曝の精密な測定を、まったく理由にならない自分たちの身勝手な都合により妨害し、福島県民にさらなる不安と不信感を与える結果を招いてしまった自らの怠惰と不誠実を深く恥じるべきである。そして、失った信頼を取り戻すためにも、これからは誤った先入観や一連の隠蔽体質を完全に捨て去って、福島県(のみならず日本のすべての)の子どもたちの健康と命と未来に、誠心誠意、重大な責任感を持って向かい合うべきである。
Divina Commedia
http://www.asyura2.com/13/genpatu31/msg/250.html
小沢カルトなんて音楽板に居るの???
電磁推進機研究者談
PS. 自ずから隊伍を組んで何衛る?!
PS2.歴代主力戦闘機導入導入の前には、必ず旅客機が謎の墜落事故を
起こしている。今回は、B‐787が「まだ落ちない」ので、
新型戦闘機導入できず。
PS3.孝太郎(本名不明)はあの糞F‐35導入の尖兵か?!
孝太郎はゴルバチョフと交友があり、ゴルバチョフはヤコブレフと
交友があり、F‐35はヤコブレフ社の特許を使用している。
217:名無しさん@13周年:2013/04/04(木) 14:07:16.82 ID:tBoo06TN0
>>23
いい仕事してますね。啓蒙よろしく。差し入れです。
■Youtubeのこの標題のビデオで反・在特の戦士中核派が大暴れ
【2013-03-17】在特会によるレイシストデモ新大久保の後で
http://www.youtube.com/watch?v=KEAQofWBffA
212 :名無しさん@13周年:2013/04/03(水) 19:14:15.15 ID:7dWgeeaP0
最初に映ってる男は、園良太。
反原発のほうで威力業務妨害で起訴されて、4月中旬に判決がでる。
241 :名無しさん@13周年:2013/04/03(水) 20:12:07.59 ID:Z7K9ycm20
>>212
園良太って、もろ「中核派」じゃないか。
こいつ3月29日の東京高裁の「中核派」の「法政大学文化連盟」メンバーの公判で、
開廷直後に声を発し、退廷処分を受けてるぞ。
やっぱり、「レイシストしばき隊」と極左殺人テロ集団「中核派」が
在日排斥デモを妨害していたんだな。
機動隊が多数動員されて、公安が大勢やって来るはずだわ。 この情報、広めてくれ。
143:名無しさん@13周年:2013/04/04(木) 13:51:26.98 ID:VdC4Lkw00
民主党政権が鑑定パスを出していた人物が、在日のしばき隊であることが判明
しばき隊には前科持ちが多数在籍
【しばき隊とは】
■構成員
・在日韓国・朝鮮人
・前科者(前科を自慢)
・暴力団関係者
・朝鮮総連関係者
・左翼
■思想・行動
・反日反米、親韓親中
・慰安婦への謝罪要求
・竹島は韓国領と主張
・天皇陛下に謝罪を要求
・一般の日本人を右翼・ネトウヨとレッテル貼り
・日の丸を破ったり踏みつけたりする
■支援団体・支援者
・民主党(有田芳生)
・共産党
・朝鮮総連
・在日韓国団体
・憲法9条の会
250:名無しさん@13周年:2013/04/04(木) 14:13:09.22 ID:0udg43fK0
>>143
これはすごい!!!!!!!!!!!!!wwwwwwwwwwwwwww
しばき隊と反日朝鮮民主がつながっていたって事だろwwwwwwwwww
これはもっと評価されるべきwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
>>143
>>143
>>143
>>143
>>143
>>143
>>143
しばき隊の反日の証拠wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
317:名無しさん@13周年:2013/04/04(木) 14:31:56.32 ID:1lbVhcaN0
>>143
この画像は初めて見たわ
629:名無しさん@13周年:2013/04/04(木) 15:52:18.44 ID:tBoo06TN0
>約200名のデモ隊に対し、実に3倍となる約600名が集まり、
差別を反対するための意思表示をしていたのだ
組織がバックだと暴露しているようなものですね。
「レイシストしばき隊」こと在日韓国青年同盟
(1960年代には朝鮮総連が乗っ取り、対韓、対日の工作組織)
そのお仲間、一般人、警官を含め100人以上○している
極左殺人テロ集団「中核派」、を初めとする左翼過激派団体様ご一行。
その他、民潭、朝鮮総連関係ご一行。
公安の最重要、常時監視対象の皆さんです。
http://www.asyura2.com/12/idletalk40/msg/427.html
ハゲタカにこれ以上儲けさせてどうするつもりなのか。
日本をボロボロにしたら自分だけ外国に逃亡するつもりなのだろう。
どこからどう見ても、小沢信者どもは明らかに負け犬集団だろうが
【小沢信者とは】
世の中の隅のほうで、世間から半分見捨てられた弱者達が片寄せあって
面と向かっては言えない権力者たちに顔を隠して文句を言い合う
そして自分達を批判する人々には、異常に反応し敵意をむき出しにして攻撃する
常に被害者意識がある
実際には何もしてもらってもいないのに
耳触りのいい言葉を言われるのが気持ちいいのか
境遇が似ている(世間から嫌われている)点などが好感するのか
明らかに胡散臭い人物を信仰している
小沢が絶対であり小沢の言動は全て正しく、小沢に批判的な人々はすべて悪だと決めつける
自分たちは知識レベルが高く、常に国の将来を考え
唯一の正義だと少しも信じて疑わない
祭りだ!祭りだ!ええじゃないか!ええじゃないか!
マスコミ主催「平成ええじゃないか音頭」だぁ
株が上がった、カブも上がった!景気が上がった、ケーキも上がった!
貧乏人は藁でも食ってガンバロー!
ええじゃないか!ええじゃないか!
法案をよく読んでその真意を理解して、COMMENTせよ。
下記は、生活の党脱原発法案の第3条である。
第三条 脱原発は、遅くとも、平成三十二年から平成三十七年までのできる限り早い三月十一日までに実現されなければならない。
2 脱原発を実現するに当たっては、電気の安定的な供給に支障が生ずることとならないよう、かつ、二酸化炭素の排出量の増加ができる限り抑制されるよう、省エネルギー(エネルギーの使用の合理化をいう。以下同じ。)が一層推進されるとともに、再生可能エネルギー電気及び天然ガスを熱源として得られる電気の利用の拡大が図られるものとする。
3 脱原発を実現するに当たって生ずる原子力発電所が立地している地域及びその周辺地域の経済への影響については、その発生が国の政策の転換に伴うものであることを踏まえ、適切な対策が講じられるものとする。
4 脱原発を実現するに際し、発電の用に供する原子炉は、その運転を廃止するまでの間においても、最新の科学的知見に基づいて定められる原子炉等による災害の防止のための基準に適合していると認められた後でなければ、運転(運転の再開を含む。)をしてはならないものとする。
上記第4条は、自公のように原発容認では、君の意見が正しいが、脱原発を掲げる生活の党では、先に脱原発ありきで、そこへ向かっていく過程での条文である。
したがって前提条件が異なり、君の解釈は180度ずれており、誤っている。
また、現在再稼働中の原発があることから、この条文を入れているのであって、生活の党が、新たに再稼働するということではない。
人心を惑わすようなおかしな投稿は、やめにしておけ。
また、日本語をよく勉強し、独りよがりな解釈をせず、正しい理解に務べし。
代替案はあるのでしょうか?だ??
何で一度も大停電してないか説明してください。
パニックになるから内緒なだけで、本当は東京のキラキラな夜景はCGなのか?
いやCGじゃ電気喰うな。太秦から借りてきたカキワリか?
大飯の2つで日本中の『不足』を補ってるのか?
それともじつはこっそりフクイチで発電してるのか?
副島隆彦です。今日は4月10日です。
黒田東彦(くろだはるひこ)日銀総裁が、4月4日に突如、発表した超金融緩和(ちょうきんゆうかんわ)の金融政策の発表とその後の様子について書きます。あれには私も驚いた。ぶったまげた、と言うべきだ。
日本の金融問題として極めて重要な問題だ。簡潔にポイントフォームで書いてゆく。後のほうに黒田東彦自身が自分で書いたと思われる「黒田超金融緩和」(日本のイージング・マネー、easing money 政策 )を載せます。
1. 黒田は、「マネタリーベースを今の130兆円から270兆円にする」と驚くべきことを発表した。これは日本が持っている資金の一挙投入である。小出しにしない、ダラダラとやらない、ということだ。
2.これで、黒田東彦は山本五十六(やまもといそろく)の再来だと、アメリカでも驚かれた。「Admiral Yamamotoアドミラル・ヤマモト(Isoroku イソロク、提督、元帥)の1941年12月の真珠湾攻撃、及びその半年後のミッドウェー海戦と同じである」と見られている。黒田は山本五十六と同じで短期決戦に出た。持てる力の一挙投入であり短期決戦である。
当時、日本海軍の空母5隻を投入したに等しい(これらが撃沈されたらあと4隻しかなかった)。黒田は山本・連合艦隊司令長官と同じでこれからの半年、1年で決着をつけるしかない。
3.黒田は己れのfortuna(フォルチューナ)に賭けたと思われる。フォルチューナ、即ち運命の女神に全てを託した。今のまま、ぐずぐずやっていたら、日本はデフレ大不況の巨大な渦(スパイラル)に飲み込まれる。だから黒田は一気投入の賭けに出た。勝算は1割ぐらいしかない。
4.「5月の連休前にやらないと間に合わない」と黒田は考えた。キプロス崩れ(預金封鎖だ。銀行引き出し凍結、預金への一律の強制課税)が、3月18日に勃発していた。
だからヨーロッパ各国で富裕層が銀行預金をどんどん引き下ろす動きに出た。ヨーロッパ金融危機は、この秋を待たずに再発・再燃しそうである。これを日本からの資金で一気に封じ込める策に出た。
5.ヨーロッパ金融崩(くず)れ以外に、東アジアに戦争(その3歩手前の軍事衝突)の危機が迫っていた。黒田は、よく分からない理屈なのだが、日本の資金に余裕を持たせるために、日銀のジャブジャブ・マネーを最高限度のギリギリのところまで出すことを決めた。この後はもうあまり、通貨量のコントロールが出来なくなる。
アメリカは黒田の決断に賛成の意思を表明した。これほどの巨額のものだとはアメリカでさえ予想しなかった。黒田は、本来なら総裁就任の直後の顔見せの初回の日銀・政策決定会合であるから穏便に済ませるだろう、と回(まわ)りは見た。しかし違った。
ヨーロッパの首脳たちは、円安による通貨戦争(カレンシー・ウォー。通貨安による輸出攻勢)だとして嫌がっている。安倍晋三首相たちは、「110%の満額回答の、満点の評価を与える」と称賛した。
6.黒田東彦は私が昔から注目しているとおり、バカ者ではない。賢い男である。だから、このようなヨーロッパやアメリカ、新興諸国をもビックリさせるような巨額のジャブジャブマネーの一挙投入策にでた。これで日本国内にも、保守派の間から却(かえ)ってある種の不安が起きている。黒田さんは大丈夫か。こんなことまで言い出して、と。
同じリフレ派(ジャブジャブマネー推進派)の中にも躊躇が見られる。黒田はバカではないので、愚かな見え見えの円安誘導(=為替介入)はしなかった。しかし黒田発表によって、極端なまでに膨れ上がることになる円資金は海を越えてすぐに諸外国に流れ出している。
これはマンデル=フレミングの法則の問題にぶち当たる。日本の生損保(機関投資家、インスティチューショナル・インベスターズ)が、日本国内の金利のあまりの低さ(10年もの国債は、4日に瞬間で、0・315%という人類史上初の最低利回りをつけた)から、なんと、年率6%取れる、危険極まりない、スペイン国債にまで手を出し始めている。いつ、これが逆回転して、恐ろしい大損害を出すかもしれない。その打撃の凄(すご)さを黒田はジリジリと測定している。
7.黒田が、竹中平蔵・安倍晋三からの強い指図と命令があって、それに従って動いたことは明白である。しかし同時に、日本財務省の国金局(こっきんきょく)あがりなのでアメリカにお金を貢ぐ係でもある。この己れの運命にも従っている。
野口悠紀雄(のぐちゆきお)氏がハッキリとその近著『金融緩和で日本は破綻する』(ダイヤモンド社刊、2013年1月)で書いているが、「インフレ目標(消費者物価上昇)2%を達成するのは絶対に無理なことだ」なのだそうだ。これは、従来の経済学理論からはっきりしている。だから黒田を後押しするリフレ派(インフレーション・ターゲィテング理論)は失敗する運命にある。
8.だが、このリフレ派こそは、アメリカのノーベル賞クラスの経済学者たちの多数派が、こぞって推進している政策である。ポール・クルーグマンやジョゼフ・スティグリッツらだ。彼らは自分たちのことを“ニュー・ニュー・エコノミックス”(新しい新しい経済学)だと呼んでいる。
そして従来の経済学理論にこだわる者たちを、古くさい時代遅れの経済学理論だと言って貶(けな)して罵(ののし)っている。浜田宏一と高橋洋一が、その日本国内での扇動係、旗振り人をやっている。
日本でもこのリフレ政策(再通貨膨張政策)を無理やり実行させるために竹中平蔵がアメリカの忠実な手先の最高司令官として動いている。浜田宏一(イェール大学教授)という、おかしなジイさんを内閣参与の肩書にして使っている。そして失敗したら浜田をスケープ・ゴートにしてお払い箱にする気だ。
8. 日銀(中央銀行)が、資金を金融市場に無制限に供給しさえすれば、@国民の消費が伸び、A企業への銀行からの貸出しが増え、設備投資が増え、B雇用が新たに生まれ、C従業員(サラリーマンたち)の給料が上がり、Dこれで国民の消費がさらに伸びて、景気が回復する。だからE 増税をしても国民経済は破綻しない、という理屈である。しかし、こんなことはどうせ出来ない。
9.中央銀行が持つ金融政策(フィナンシャル・ポリシー)の力は限られている。金融政策は古くから、あまりに過熱してしまった経済(インフレ、好景気)を引き締めて、糸(いと)で手前に手繰(たぐ)り寄せ引っ張り寄せることはできる。
しかしその反対は出来ない。この金融政策という糸を向こう側に押して、現状のデフレ(不景気)を無理やりインフレに変えて景気を良くすることはできない、のである。ところが、
今のアメリカの激しい不況(デフレ)に直面して、バーナンキFRB議長以下、気が狂ったようにアメリカの経済学者たちは、自分たちが実際の政権運営に関わって来たものだから従来の経済学の理論をかなぐり捨てた。
彼らは過去に経済政策(エコノミック・ポリシー)を泥だらけになって提案し、運営・執行しなければならないポリシー・エクセキューター(policy executor、政策立案かつ実行者)でもあったから、このニュー・ニュー・エコノミックス(新新経済学)に突き進んでいる。
10.だから私、副島隆彦が、日本も又すでに金融統制体制(=預金封鎖)に突入したのだと宣言した(4月1日)ことは、その3日後の黒田発表と矛盾しない。私たち国民は、すぐに自分の銀行預金をどんどん引き下ろすべきである。
私たちは、政府や官僚たちから今後どんなひどい目に遭わされるか分からない。預金封鎖とは、@銀行預金引き下ろしの規制、制限そして禁止=凍結と、A新札切り替えである。そうなると旧札の「タンス預金」を使えなくなる事態が起きるであろう。
だから、金持ち(富裕層)は特にどんどん自分の預金を下ろして、実物資産(タンジブル・アセット)に変えるべきである。本当に緊急事態となったら、古いお札は急激に、たった3ヶ月ぐらいしか使えなくさせられてしまう。1946年(昭和21)2月に起きたことが、また、繰り返し起きようとしている。
11.日本政府は、アメリカの言いなりになって日本国民のタンス預金のあぶり出しにかかっている。だから、日本の金持ちたちは、自分の資産を守りたかったら実物資産=その代表はやはり金(きん)である= に、今からでもどんどん変えるべきである。
あるいは、安全な外国に持ち出すべきだ。capital flight(キャピタルフライト、資産避難)はすでに起きている。日本の富裕層は“金持ち難民”化して続々と国外に脱出しつつある。日本の国税庁や金融庁は、「金持ちが資産を外国に持ち出すのを絶対に阻止してやる」という、あからさまなまでに見苦しい態度に出ている。
12.黒田東彦自身は人格者であり、いい奴(やつ)なのだが、彼はもう日本国民の生活のことなど考えていられない。黒田であっても、国家体制と自分たち財務官僚が敷いてきた金融秩序を守ることで精一杯である。
実は、日本国債の新規の発行での「札割れ」がすでに起き始めていたのである。「札割れ」とは、財務省が新規に発行する国債をもう買うだけの力が、日本の民間銀行に無くなっていた。民間銀行はすでにアップアップの状態で日本国債を買っている。
それに更に買い余力を持たせる、というのが、今回の黒田ショックであり、これを「財政ファイナンスの意図はない」と黒田自身がシラを切った。財政ファイナンスというヘンなコトバは、日本政府(財務省)が自分の借金の穴埋めにをするためにこれほどの巨額の日銀資金の投入を決めた、ということだ。
そうではない、と黒田たちは居直る気だ。黒田発表で、これから毎月日銀が7兆円の日本国債を直接買う(=引き受ける)ことに公然となった。「日銀の直接引き受けではありません。市場からの購入です」と公式にはまだ居直っている。しかし専門家だったら誰も信じない。
13.日本財務省は、毎月10兆円(1年間で120兆円だ)の新規の国家借金証書である国債を発行している。そのうちの7割である7兆円を日銀が直接引き受ける。このことを恥も外聞もなく宣言したのだ。前の白川日銀総裁(2月5日に抗議の辞任発表)でさえ、毎月4兆円を脅されながら、ずっと買っていた。それをあと3兆円増やすというのだ。
それでも、これだけやってもデフレ不況から脱出して、インフレ経済(穏やかな物価上昇と好景気)にすることはできなかった。だから黒田は、一か八かの、270兆円への一挙投入で、それを実現する、インフレ目標2%を達成してみせる、と世界に向かって宣言した。
14. 黒田は、今にも、日本国債がアメリカのヘッジファンドたちによって暴落させられる危険を鋭く察知していた。ADD(アジア開発銀行)の総裁として、アジア諸国の通貨金、金融危機の様相を肌で感じてきた。だから、もうちょっとやそっとの小出しの治療法では効き目がない、と分かっていた。
世界がアッと驚くぐらいの規模のことをやって見せなければ、信用不安=金融危機は避けられない、と腹をくくった。「270兆円のマネタリー・ベース」というおそるべき、唖然とするような、紀伊国屋文左衛門(きのくにやぶんざえもん)が吉原の芸者衆(花魁、おいらん)を総挙げして、小判を気前よくばら撒いてみせたような、真珠湾攻撃の奇襲作戦に打って出た。
これで、10年物の日本国債は4月4日午後3時前に年率0.315%という恐ろしい超低利回りになった。日本国債を売ることで暴落させるつもりだったヘッジファンドどもが、慌てて日本国債買いに回った。日本国債を怒涛のように買いに走る動きが債券市場で起きた。債券市場は、株式市場よりも100倍は大きい。
この債券市場での「途転(ドテン)買い」は、高度に危険なバクチ用の高速取引(CTA 超高速ロボット・トレーディング)で出現したようだ。人為を超えた、ロボット取引の危険性まで黒田は読み込んでいたのだ。
そのあと10年もの国債の利回り 10-year bond yield は 0.6%に急激に戻った。黒田は、日本国債の暴落(年率2%とかに利回りが跳ね上がること)を立派に阻止した。ヨーロッパ・ロスチャイルド系と、ビル・グロース率いるカリフォルニア州の公務員年金ファンドCalpers と ピムコPimco たちヘッジファンド(国際投機筋)の鼻を明かした。 これで、黒田は、アメリカやヨーロッパのグローバリスト系の首脳たちから称賛された。
15.日本の「黒田超緩和」は、世界の金融不安を払しょくし、一瞬、取り除いた形になった。これからの半年ぐらいで100兆円規模の日銀信用をふり出す、すなわち、空母5隻を運命の女神に任せて荒波の太平洋の中に発進、突入させたのである。
前にも書いたが勝算は1割ぐらいしかない。それでもニュー・ニュー・エコノミックスのバカたちは、日本の黒田のこの前代未聞、前人未到のジャブジャブ・マネー作戦を歓迎して、自分たちの仲間だとして称賛している。果たしてそれだけのことで終わるだろうか。
16.黒田がやったことは、外側から見れば、去年の2012年9月に、ベン・バーナンキFRB議長が、全米12の地区連銀の総裁たちの反対を押し切って実行したQE3(キュー・イースリー)で、毎月450億ドル(4.5兆円)のFRBが不良資産を市中(民間銀行たち)から買い取るという政策と全く同じである。
FRBが不良資産を買い取って自分自身がボロボロの汚れた雪だるまの中央銀行になることを覚悟した。これでアメリカの株と土地を人工的に吊り上げることに今のところは成功している。ヨーロッパでも同じく昨年9月に、マリオ・ドラギECB(ヨーロッパの中央銀行)総裁が、ドラギ大砲(LTOR砲)を発射して、ヨーロッパ全体の(EU27か国)の全ての銀行830行を無理やり救出するために無制限のユーロ通貨の供給を決定した。
日銀黒田がやったこともバーナンキとドラギがやったことと全く同じだ。これで、米・欧・日の先進国3カ国が目出度く首を揃えた。ということは、アメリカから見れば、このあと、まずヨーロッパの金融が崩れまくって、ヨーロッパが没落し自滅する。その次は日本が資金を無理やり紙切れにして大放出したことで日本が次に破滅する。
最後に残るアメリカに一番最後に、ようやく危機が訪れるという悪賢い手に出たということである。だから、アメリカのニュー・ニュー・エコノミックスのバカたれ経済学者たちは、アメリカ・ロックフェラー石油金融(金・ドル)帝国の忠実な家来どもであり、残酷な悪魔たちだ。
彼らはそのことを分かってやっている。それを知っていて黒田東彦は270兆円の一挙投入をやったということは、運を天に任せての過激な短期決戦である。日本は果たして、アメリカの支配者たちの裏を掻いて(寝首を掻いて)いの残れるだろうか。勝算は1割ぐらいしかない。この黒田バズーカの1割の希望に、世界の現在の支配者たちが踊らされたとも言える。
17.だから当然に、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南ア)新興国5大国の指導者たちは、苦虫を噛み潰したようになる。一番、煮え湯を飲まされるのは、北朝鮮の危機まで、アメリカのあからさまな挑発(B2ステルス爆撃機で上空を飛ばし、テニソンという空母まで北朝鮮沖に近づけた)までされて締め上げられた韓国である。
韓国は可哀想だ。韓国は、自国の生き残りのために、必死になってサムスンと朴槿恵(パク・クンヘ)新政権が密かにどんどん中国に近づいているのがアメリカは気に食わない。朴槿恵をアメリカの支配層はキツネのようなずるい女 fox lady と呼んでいる。北朝鮮は何もしてないのに、ミサイルが飛んでくると、日本国民まで脅している。日本人は皆でシラけている。
18.黒田超緩和に対して、これは自分たち新興国、発展途上国への攻撃であり、自分たち新興国つぶしの攻撃であると見抜いている。ブラジルの天才的な財政家(財務長官)のギガ・マンテガが厳しく正確に分析している。
それでも新興5大国は、まだまだ貧しい国民を抱えながらも成長経済路線に正しく乗って、国民の旺盛な需要と消費に支えられて着実に成長している。それに対して「すでに成長が終わったことが確実な」アメリカもヨーロッパ先進地帯も日本もどうしていいか分からないので、こういう血迷った奇襲作戦に打って出るしかない。
「クローサーの国家の6つの発展段階説」によれば、すでに最終段階である第6段階の「対外債権取り崩し国家」段階に日本も入った。その次の第7段階は何なのかは、どこにも書いていないし、誰も経済学者たちは語らない。
第7段階とは、すなわち超新星爆発である。星(スター)の命の最終段階である超新星爆発(スーパーノヴァ)そして燃え滓(かす)である白色矮星(はくしょくわいせい)段階に、アメリカもヨーロッパも日本も突入しているのである。
だから、黒田は、「質・量ともに異次元の金融緩和策」とはっきりと発言した。まさしく異次元空間への突入である。おそろしいことになったものだ。
19.これは、まさしく宇宙戦艦ヤマトのイスカンダルへの旅の始まりである。だから、黒田超緩和は、宇宙戦艦ヤマトが宇宙空間(あるいは時空)のひずみ、ゆがみを利用して一気に越えてワープ warp をするようなものだ。
だから私は以後「黒田ワープ」と呼ぼうと思う。黒田インフレや、黒田ショックや、黒田バズーカ(大砲)では済まないと思っている。宇宙戦艦ヤマトはワープできるのなら、物語のはじめからさっさとワープしていけばよかったのだ。
黒田ワープが、マネタリーベースを一挙に倍の270兆円にまで緩和すると発表した、この「マネタリー・ベース」とは、何か。それは従来のベース・マネーの概念をかなぐり捨ててしまったあとの指標(しひょう)だ。旧来は、マネー・サプライ(M2+CD)というコトバを使っていたのに、今はもう使わなくなった。
あまりにもアメリカも日本もジャブジャブ・マネーをやりすぎて、マネー・サプライの発表すらできなくなっている。だからその一部であるマネタリー・ベースという、現金(お札、紙幣)と日銀当座預金の民間銀行たちの残高(民間銀行たちが資金を従来の倍まで日銀から借りられるようにした、ということ)をこれからの新しいベースにする、と決めたのだ。
これで民間銀行たちは日銀からほとんど無料(ただ)のお金でいくらでもお金を借りられる、そしてそれを民間企業や個人にどんどん貸し出せ、という政策である。ところが企業も個人も、もうおそろしくて新しい借金(銀行融資を受けること)をする気が無くなっている。
それでもジャブジャブにさらに貸し付けろというのだ。民間銀行たちは、ただでさえ借金だらけの企業にさらに融資を増やすと、もっと返してもらえなくなるので、追加の融資をしたくない。それで、何をやるかというとやっぱり日本国債を買うのである。だから10年もの国債が0.6%というおそろしい超低金利(利回り)まで下がっている。
健全といえば健全で、日本円(日本国債)は、世界一の安全資産である。それなのに、日本財務省も、FT(英フィナンシャル・タイムズ)紙も、「日本対GDP比で230%の財政赤字国であり、ギリシアよりもヒドい」と今でも言っている。アホじゃなかろかの、田舎芝居だ。日本はアメリカ国債を1千兆円(10兆ドル)も密かに(国民に内緒で)買っている。
だからこんなに公表している財政赤字が世界一ヒドい国なのだと誰も正直に言わない。私、副島隆彦だけがずっとこのことを書いてきた。 それで、世界一の安全資産(セキュア・アセット)が日本国債(利回り年率0.6%)という世界一おかしなお笑い劇をやっている。「ギリシアよりもヒドい財政赤字の国が日本」(笑)というコトバの意味を正しく理解している人間は世界中で副島隆彦だけではないのか自嘲している。
20.民間銀行は、日銀がいくらでも貸すから、それでまた国債を買っている。利ざやがこれで微かだが取れる。財務省と日銀の言うことを聞いていれば、お取り潰しに遭うことはない。
本当に馬鹿じゃなかろかの話である。日本国債とお札をジャブジャブに刷って、それで又、銀行たちが日本国債を買っている。だからやっぱり黒田ワープの一挙投入でも、あと半年したら空母5隻が撃沈されてダメだろう。
21.真実の動機は、やはり日本政府(財務省)の発行する国債の秩序がぶっ壊れないために黒田ワープをやったのだ。前述した「札割れ」(新規に発売される日本国債を買う人がいなくなること)が起きないようにするためには、財務省の国債を、手篭(ご)めにされた日銀が無制限に直接、毎月買い取るしかない。
こうすれば、一国の金融秩序は安泰である。、金融市場もへったくれもない。もう市場(マーケット)は死んだのだ。マーケットが死んだら、経済学(エコノミックス)も経済学者(エコノミスト)という奇っ怪な人種も全部死んでしまうのだ。それなのに、彼らは、自分たちを「ニュー・ニュー・エコノミックスス」と言って、幽霊のように生き残っている。
真実は、市場統制(マーケット・コントロール)であり、市場そのものの政府・権力者たちによる乗っ取り劇である。白川方明を死ぬほど脅しあげて脅迫して辞めさせた。そして日銀の独立性を奪い取り手籠めにして強姦して政府に合体させ、その一部にしてしまった。そして黒田東彦に取って替えた。
22.ということは、「国家(政府)は、どんな悪いことをしてもいい」ということだ。お札と国債は発行し放題、それでデフレ不況から脱出して国民経済が安定し、あるいは繁栄をし続けることが出来ると、このバカヤローの「新しい新しい経済学」者たちは自信たっぷりだ。
このまま世界を自分たちの支配統制下において、運営、経営してゆけると思っている。だから、やがて天罰が落ちるのである。政府と中央銀行が合体して、無制限にお札を刷ってもいい、ということになったら、それは、天( てん、Heaven , 自然の摂理、providence)に対する冒涜(ぼうとく)であり無謀なる反逆である。
いつか天罰が落ちる。それは激しいインフレとなって襲い掛かる。新しい新しい経済学(リフレ派)はこれを自分たちの力で上手に阻止できる、と思い込んでいる。だから世界恐慌への突入はない、と信じ込んでいる。
23.黒田はマネタリーベースという新しいベース・マネーにこだわった。その「ベース」、基準、土台とは何か。それこそは、まさしく世の中の信用や信頼ということである。
黒田は自分がこだわった、マネタリー・ベースの「ベース」base、 基底、本拠、基礎が、実は現実のものではない仮想(バーチャル)のベースであると分かっている。分かっていてその幻想の仮想のベースを世界中に示して、「自分を信用してくれ。日本を信用してくれ」と大見得(おおみえ)を切ってみせた。
金融とは信用の別名だ。信用、信頼 trust 、credit こそは金融である。だから、その反対に、信用不安、信用危機 というのは、=金融不安、金融危機なのである。人間の信用も国家の信用も同じだ。 信用を失った通貨(お札)や、国債はクズになる。誰も持ちたがらない。捨て去る。
24.だから黒田ワープがやったことは、心理作戦、心理戦争(サイコロジカル・ウォー)の一種である。一国の金融の政策というのは、自分の国民や諸外国に対する心理的な安心感や安定感の押し売りや見せかけのパフォーマンスである。
「この人(国)は、大丈夫だ、ちゃんと借金を返せる」、「信用のおける人だ、国だ」と思わせるためには、それなりのハッタリをかまさなければならない。だから、一挙投入の短期決戦でアメリカも驚くような資金を出して見せた。270兆円(2.7兆ドル)という資金を見せびらかしてみせた。どこにそんな実態・実質のある金があるのかと私は聞きたい。
実は、私は、その在り処(か)を知っている。それは、今本屋に並んでいる私の新刊本『浮かれバブル景気から 衰退させられる日本』(徳間書店、3月末刊)のp53に書いた。
25. たしかに日本財務省は資金を隠し持っている。そのことがちらちらと私には分かる。アメリカは、ブー・フー・ウー(3匹の子ブタ)に襲い掛かるオオカミのようなものだから舌なめずりして、日本の隠し金を奪い取ろうと考える。
お金は天下のまわりものであるが同時に水もの(リクイディティー、liquidity)でもある。しかし、同時に決済手段、蓄蔵手段であると同時に、お金は、実体のあるものであり、人間の血と汗と脂(あぶら)が結晶化したものである。
お金とは、人間の苦しい労働や、ずる賢い商業の中から生まれた血と汗と涙の結晶である。学生アパートの家賃5万円にもそれなりの苦しい若者、学生たちの、肌をさすられるようなアルバイトの実体がある。
人間の血と涙の結晶がお金なのだ。このことを知らずに、このことを無視して、政府がお金をジャブジャブに刷り散らして撒き散らせば、それでいい、という考えは、いくら危機的な財政状況(大借金)にあるといえ、許されることではない。アメリカもヨーロッパもさっさと、正直に国家破産すべきなのだ。
26. 去年2012年3月に、フランスの3大銀行は、国有化したうえで破綻処理されるべきだったのだ。その上で預金(者)の保護という真面目な国家政策に出ればよかったのだ。それをやらなかったから、今のヨーロッパ金融危機がずるずると続いている。
アメリカは2008年9月15日のリーマンショックの日に、リーマン・ブラザーズだけでなく、実はその夜のうちに、AIG(世界最大の保険会社)、もソロモンブラザーズもメリル・リンチも破綻、倒産していたのだ。
実はシテイバンク(シテイグループ)も破産していた。シテイだけでも5兆円(400億ドル)の政府資金が投入された。だから合計5つの巨大金融機関がアメリカではあのとき破綻していたのである。それを隠しながら、今に至っている。
だから、リーマンショックのときに世界は、金融恐慌に突入していたのである。だから、今度の黒田超緩和(ワープ)は、アメリカ、ヨーロッパに引きずりこまれて、日本も、また「地獄の道連れ経済」にはまっていくのである。
これが今度の黒田ワープの本当の姿である。だから私が、始めに書いた通り山本五十六提督(元帥、アドミラル)の短期決戦での一挙空母5隻の投入と同じことを黒田はやった。このことのしわ寄せが日本国民にこれから急激に圧(の)し掛かってくる。
私たちは身構えて、これから襲い掛かってくる日本および世界の金融恐慌への途(みち)を両目をカッと見開いて、冷静に見つめ続けなければいけない。
副島隆彦拝
http://www.sn●si.jp/bbs/page/1/view/3456
>国民皆んなどれだけ現行憲法に守られてきたことか。
↑世界に拡散はともかく、コレに尽きるますねw
変える変えない以前の話なんだわw
事実、現憲法下でさんざんに平和を謳歌しておきながら
ことさらそれを「駐留軍の功」に特化し、憲法を鬼子扱い厄介者扱いして
口を開ければ押し付けだの、時代遅れだのって
どんだけバチ当たりな連中なんだと思うわ
2012年各国の死刑制度の実情を話し合い、廃止を目指す会合で
日本のNPO、監獄人権センター事務局長の田鎖麻衣子弁護士もパネリストとして参加し
「日本は殺人率が世界で最低レベルなのに、死刑を執行している」と指摘
殺人率が世界で最低レベルの日本を見習えって話だ。
朝鮮が衛星やミサイルの発射実験をするたびに、日本は大げさに「迎撃」の準備をする。日本はこれを機に軍備を見直し、増やしていると言える。過去の六者会合で、日本は「足手まとい」になり、個別問題に執着し続けたことが何度もある。このような後先考えず、朝鮮の「脅威」にかこつけて自身の軍備を発展させ、安全保障戦略を見直すという行動は地域情勢に複雑な要因を増やすだけである。(文:国際問題専門家 華益文)
・・・・・
若干体調不如意につき休みます。よろしけばお話をお続けください。
よろしくお願いします。
あやみさま
>一神教の柱でもある「神は在りて在るもの」という考えと自然科学の間で最後まで悩んだとありました。
まさにその点「信仰と理性」「啓示と思惟」「あの世とこの世」についてが、問題とされていたように思えます。これは、このスレッドにおいて底流となっている問題かもしれません。
旧ソ連の判断の方がまだましだった。そうしても数十年先にはまた放射能が漏れだす。メルトダウンした原発事故の収束などできないということ。
以前、新聞で読んだけど愛国教育を受けた中国人は外国へ移住しても本国への納税を続けるそうです。愛する国の発展のためには当然だと。
「運転(運転の再開を含む。)をしてはならないものとする」
これだけで十分
向かっていく過程の間にて、再稼動を行うつもりが無い限り
この余計な文言は必要ない
老い先短い 定年前の人が 最優先だよね〜〜〜
辛抱治朗の本やカルト宗教の幸福の科学、ほかにも大前研一とか御用評論家の本ばかり。
(付記)--拙ブログ記事の「阿修羅」掲示板への引用・転載を禁じる!!!
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これを表示してるのになぜ貼り付ける?
抗議がきていないのか?
本人が嫌だと言っているのに。
阿修羅で叩かれる事が相当きついのだろう?
私のことを統合失調症誤診で正社員採用させない
人生に追い込んでおきながら、
それでも前向きで自分を成長させる活動を行っていると
電磁波でその活動を邪魔するといった状況です。
この防衛省がらみの
電磁波でのいろいろな攻撃が行える加害者連中(at亀戸2丁目)の
嫌がらせ根性&足の引張根性はどうにかなんないんですかねえ
盗聴盗撮を行っている連中(考案警察との癒着もあり)というのは
こうやって痴漢根性で脳みそが腐って、
人の人生の邪魔ばっかりをするんです。
まあとりあえず,今朝こんな書き込みを私はしました。
http://www.asyura2.com/12/cult10/msg/889.html#c12
10556文字という長文ですが、その内容は
●私は屈服をしない&できないという事
●この17年のリンチの内容
●電磁波攻撃の多様性
●4月6日から9日までのリンチ内容
●連中は迫害が中毒となっていているという事
●気持ちが悪い縦社会であるがゆえの自尊心持てない人間が
どうしても良質な庶民をいじめることをやめられなくなっているという事
●電磁波で咳を発生させることもできるという事
●開発された特殊技術であり、警察とマスコミが対応しない暴力であるがゆえにやりたい放題状態であること
●その暴力の歯止めは一般大衆の情報拡散&情報流布しかないこと
●屈服だとかイイナリなんて言うのはこの17年の理不尽リンチで全く心から受け入れられ
なくなってしまったという事
そんなことが述べられております。
電磁波リンチや周波数リンチ(騒音リンチ)は
隠蔽可能リンチであり四六時中実施可能リンチであるがゆえに
今日もひどい状況だという事です。
マスコミのジャーナリズムなんか今やそのほとんどすべてが
既得権益擁護の操り人形となっているということと
このやりたい放題暴力との関係がここ↓で述べられておりますので
http://www.asyura2.com/12/cult10/msg/848.html#d4 (04参照)
ゆえに情報拡散の重要性が非常に非常に高まっておりますので
私だけでなく皆さんのためでもありますので
善処の程、宜しくお願い申しあげます。
以上
愛は それまで待っている!!
===
まだ五月晴男さんが投稿していた頃
岸信介を対米自立派としている孫崎は評価できないと、よく書いたのを覚えている
今でもたまに言う
アレは、カルト極右独自の裏切り者体質が、そう見えるだけだと
また、宏池会こそ日本の保守本流と思っている自分にとって
吉田批判も、そう面白くはない
政治の世界で生き残るには、したたかでないと生きいけないものだ
要はバランスだ
===========================
しかし、孫崎享の「勇気」を認めざるを得ない
評価の基準は、それしかない
TPP参入は、中国の見方が面白いですよ。
米国主導のTPPをけん制する為に日欧EPAを急いでいるが、
ドイツ・フランス・イタリアなどEU主要国が日欧のEPA締結に同意するのは難しい。と見ているそうです。中国と欧州の関係も前とは違うしね。
緊急時制御室より使用済み核燃料を原発内部最上階のプールに保管してることが問題。
4号機はプールか壊れる心配が出て、おまけにいまだに取り出したのは未使用の
燃料棒が2本だけだという。
このプールが地震などで崩壊したら東京まで全滅し住めなくなるという。
最低限でも地上にプールは降ろすべきでしょう。
こんな危険で取り出しにくい場所に何でプールを作ったのか!!!!!
そのアパート、目の前に畑が広がるんだけど、
風の強い日はその畑から砂埃が舞い上がって
いる様で、俺の持ってるガイガー(SOEKS)
でマックス0.42μ/hを記録した。
自然の多いところが好きなわけだが、砂埃が
舞い上がる様な場所は絶対にやめた方がいいね。
洗濯物はおろか、いつもアパート付近の砂埃で
被爆してしまうことになる。
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(付記)--拙ブログ記事の「阿修羅」掲示板への引用・転載を禁じる!!!
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頭の中、中共、中共
ザイニチガー
チョウセンガー
ニッキョウソガー
サヨクガー
トップニュース
1月のギリシャ失業率、2006年以来で最悪の27.2%に
消費環境、心理的にはバブルの状態=岡田イオン社長
韓国のLG電子、スマートフォン販売シェアで初の3位=調査会社
日本株は上値追いに弾み、海外勢の強気センチメント継続
[東京 11日 ロイター] 日銀が異例の国債購入日の通告に踏み切った。これまでは日本証券業協会の基準気配が操作されては適正な価格が維持できないとの理由から明らかにすることはなかったが、国債取引が連日不安定になったことでその開示を余儀なくされた。
「まるで国を挙げた地上げ」(邦銀)との声も聞かれ、今後、日銀が高コストで国債を購入するだけでなく、不透明な金利形成を誘発しかねないと懸念する見方も出ている。
日銀は11日、総額4.3兆円を市場に供給すると同時に、長期国債を12日に買い取ると発表した。黒田日銀による異次元緩和の対象から外された短期国債を安定化させるため、国庫短期証券を買い取る公開市場操作(オペ)も合わせて実施すると発表した。
資金の供給額そのものは、1日の資金供給額としては東日本大震災後の2011年3月23日に計5兆円通告して以来の規模。貸し出す期間も、一部を初めて1年に延ばし、「(日銀は)金利安定へ『不退転の決意』をみせた」(邦銀の資金担当者)との見方が広がった。また、日銀が長期国債2.5兆円余りを一気に買い取るとの異例の発表は、その効果がはっきり表れた。
大手銀行の一角が5年物の国債でまとまった売りを出したことが、相場が不安定になった一因とされる。購入日が新発5年物の入札前に前倒しさたことが明らかにされ、これまでの需給不安はひとまず後退、「売り注文を受けて在庫を抱えていた証券会社の買い戻しや、高値で日銀に売却できると先回りで国債を買う動きが広がり、一転して金利は軒並み下がった」(別の邦銀)という。
実際、この日の取引で一時0.320%に上昇していた新発5年物利回りは午後に低下し、0.190%と前日より0.085%下がった。先物相場は急反発し、東京証券取引所の長期国債先物は一時144円77銭と、前日より61銭高値で取引された。
ある証券会社の売買担当者は「銀行の売りが出たときは(2003年に史上最低金利から一転2%の金利上昇となった)『VaRショック』の悪夢が脳裏をよぎったが、異例の日程通告に正直、安どした」と明かす。
同時に、市場からは「日銀の焦りを浮き彫りにした」(外銀幹部)との声も漏れる。国債購入の規模から「実際にいつ買い取るのかの日程を巡る思惑が相場を不安定化させるなら、いっそのこと日程を開示したらどうか」(大手行幹部)との声もあったが、一方で「事前の価格操作を誘発しないか」(市場筋)と、その副作用を懸念する声は根強い。
前出の邦銀関係者は「もはや『国を挙げた地上げ』のようなもの。基準気配を意図的に釣り上げるような動きは日銀が高いコストを払う(高値で国債を購入する)だけでなく、不透明な金利形成を誘発しかねない」と話す。
(ロイターニュース 山口貴也 編集:久保信博)
日銀は異例の長期国債買い入れ日程事前公表、市場不安定化で
2013年 04月 11日 13:03 JST
[東京 11日 ロイター] 日銀は11日、長期国債を買い取る日程を事前に公表する異例の措置に踏み切った。黒田日銀による異次元緩和で国債市場が不安定化したことに配慮する。
日銀が公表したのは4月に予定していた5回のオペのうち、2回目と3回目の日程。それぞれを同時に12日に通告する。2回目は残存5年超10年以下を1兆円、10年超を3000億円買い取り、3回目は1年以下を1100億円、1年超5年以下を1兆1000億円買う。1回目は8日に通告していた。
また、国庫短期証券の買いオペについても12日に通告するとしている。
市場では「短期ゾーンが政策コミットから外れ、銀行の現物売りから需給が崩れ、(財務省が16日に予定している)新発5年物の国債入札が不安視されていた。さらに相場が不安定化するのを配慮するのが狙いだろう」(外銀)との声が出ている。
日銀の発表を受けた午後の円債相場では、東京証券取引所に上場する長期国債先物が急反発した。
ドル99円後半、日銀「期待」から「現実」に目線シフトへ
2013年 04月 11日 15:57 JST
[東京 11日 ロイター] 東京外為市場午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル安/円高の99円後半。利益確定売りに押される場面もあったものの、日経平均株価が上げ幅を拡大させる中で、ドル/円、クロス円ともに買い戻された。
日銀が不安定な国債市場の鎮静化に乗り出したことで、長期金利が低下に転じたことも意識された。ドル/円は100円を目前に足踏みしているが、市場では今後は日銀に対する「期待」から「現実」の動きに目線がシフトするとの見方が出ていた。
<JGB市場に注目集まる>
ドル/円は99円台で取引された。前日のニューヨーク市場では99.88円と2009年4月以来となる100円台に迫ったが、東京市場では利益確定売りに押される中で99.35円まで下落した。
ただ、午後に入り、日経平均株価がジリ高の展開になると、ドル/円、クロス円ともに買い戻された。日銀が不安定な国債市場の鎮静化に乗り出したことで、上昇圧力がかかっていた長期金利が低下に転じたことも意識されたという。
市場では「一部参加者はJGB(日本国債)を見ながら取引をしている」(大手邦銀)との声が出ており、これまで以上に日本国債市場に注目が集まっている。
ある大手邦銀関係者は「JGBも手掛けている人はそこでやられている(損失が出ている)と思うので、為替で積極的にドル/円のロングを作るのは厳しい人もいるかもしれない」と指摘する。
日銀は11日、固定金利方式の共通担保資金供給オペ3本を実施した。期間は1カ月物1本と1年物2本で、計4兆円を供給した。1年物は初めてで「やや長めの金利の急激な上昇に対応するために実施した」(金融市場局)という。
日銀はこのほか、長期国債を買い取る日程を事前に公表する異例の措置にも踏み切った。
<日銀が示したパス確認へ>
ドル/円は100円を目前に足踏みしているが、今後の展開について、三井住友信託銀行マーケット・ストラテジスト、瀬良良子氏は「100円台に乗せたら、いったんは達成感が出てくるだろう」と予想する。
同氏は「いまはユーフォリア、日銀のニュースを受けて上がっているが、実際にはまだお金が出ていない。これまで期待先行で上げてきたが、今後は日銀が示したマネーが増えていくというパスをしっかり評価していかないといけない」と指摘。その上で「インフレ期待が上がって、デフレ脱却への確信が高まってくれば、100円台が定着し、もう少し上昇期待も出てくると思うが、期待ですでにここまで来てしまった。期待だけで相場を長続きさせるのはしんどいのではないか」との見方を示した。
<北朝鮮への反応は見方割れる>
北朝鮮のミサイル発射が警戒されているが、市場では、ミサイル発射が強行された際のマーケットの反応について見方が分かれている。「円売りモメンタムが強まっている場合には円安がさらに強まる展開もありうる」(外銀)との声がある一方で、「ミサイル発射で株安になれば、利益確定の円買いが強まりやすい」(国内金融機関)との指摘も出ていた。
(ロイターニュース 志田義寧)
日本株は上値追いに弾み、海外勢の強気センチメント継続
2013年 04月 11日 16:53 JST
[東京 11日 ロイター] 日本株が上値を追っている。ドル/円は100円手前で足踏みを続け、円債市場も依然不安定であるが、日経平均は約4年9カ月ぶり高値を回復。短期的な過熱感は強いものの、強気な海外勢の買いが継続し、上昇に弾みがついている。
米金融緩和の早期縮小観測の強まりにも、米景気が上向いているためとポジティブに受け止めるセンチメントの強さがある。
<米国の「ゴルディロックス」継続か>
海外勢の強気センチメントが依然として続いている。キプロスなど欧州への不安は短期間で収束。中国経済への減速懸念や北朝鮮情勢などネガティブ材料を横目に米株などリスク資産を購入している。10日の米市場でダウとS&P500は過去最高値を更新した。
強気ぶりが表れたのが米連邦準備理事会(FRB)が10日に公表した3月19─20日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録への反応だ。FOMCメンバーの一部が年内の資産買い入れ終了を視野に入れていたことが分かったほか、議事録では「メンバー2人は、現在の買い入れペースが少なくとも年内は続くと見込んでいる」とされた。市場では「2人しか年内の緩和継続を見込んでいないのかと驚きが走った」(国内証券)が、ネガティブ材料とはならなかった。
市場予想を大きく下回った3月米雇用統計が発表される前のFOMCであり、議論は陳腐化している可能性もあるとみられたこともあったが、市場では早期緩和縮小観測の強まりを「景気が持続的成長軌道に乗った証拠であると強気に受け止めた」(大手証券・海外市場担当者)という。
T&Dアセットマネジメント・チーフエコノミストの神谷尚志氏は金融緩和と緩やかな景気回復が共存する米国の「ゴルディロックス」(心地いい状態)がしばらく続くとみている。「欧州経済や中国経済など、不安があることが金融緩和期待を継続させている。一方、米景気は緩やかながら回復している。少しずつでも米企業のEPS(一株利益)が増加し、金融緩和でPER(株価収益率)が上がるなら、株価は上昇する」と話す。
<海外勢の日本株買いは再加速>
グローバル投資家のリスク選好度上昇は日本株にも波及する。海外勢の買いは昨年11月以降、約5兆円を超えているが、途切れる気配はまだない。
3月31日―4月6日の対内株式投資(指定報告機関ベース)は8686億円の資本流入超となった。3月3─9日に05年1月の統計開始以来最大となる1兆1219億円の資金流入となったあと、17─23日は「安倍相場」入り後、初の資金流出超となったが、ここにきて再び資金流入ペースが拡大している。
立花証券・顧問の平野憲一氏は、日本株のパフォーマンスが高く、年金など海外の長期投資家も否が応でも組み込まざるを得なくなっていると指摘する。「日本株をアンダーウエートからニュートラルに戻すだけで5兆円の買い需要が発生すると試算されていたが、いまの日本株のパフォーマンスからはニュートラルではなくオーバーウエートまで引き上げざるを得なくなるパフォーマンスだ。リアルマネーの買いはまだ五合目といったところではないか」という。2005年の郵政解散時の上昇相場では、海外勢は日本株を約10兆円買い越している。
日経平均は250円を超える大幅続伸。2008年7月24日以来約4年9カ月ぶりに1万3500円台を回復した。「海外勢は中心銘柄を買ってきている。過熱感も警戒されるが、国内勢の売りも一巡し、売り手が乏しい中、日本株は上値を追っている」(大手証券トレーダー)という。トヨタ自動車(7203.T)は前日比310円高(5.82%)の5640円まで上昇し、約4年10カ月ぶりの高値となった。
<国内勢の外債投資に大きな関心>
また市場関係者の大きな焦点となっている国内機関投資家の外債投資だが、今回の対内対外証券投資では、国内勢(居住者)の対外中長期債投資は1兆1449億円の資本流入超(外債を売り越し)と、一部の思惑に反する結果となった。
ただ日銀による「異次元緩和」で国内低金利が一段と低下する中、「国内機関投資家は頭を悩ませている」(国内投資顧問)という。為替ヘッジ付きの外債投資では為替への影響は中和されてしまうが、ヘッジなしであれば円安要因となる。
生保協会によると、2011年度末時点の生保が保有する有価証券は257兆5603億円。内訳は国債が約55%の141兆円、株式が約6%で14兆円、外国証券が約18%の46兆円となっている。仮に1%比率を上昇させるだけで約2.5兆円のマネーがシフトすることになる。
三菱東京UFJ銀行・金融市場部戦略トレーディンググループ次長の今井健一氏は「国内機関投資家の動向は現在、マーケットの最大の関心事だ。生保や銀行は巨大であり、わすかにポートフォリオのバランスを変えるだけで兆円単位のマネーが動くことになる。日計りのトレーダーではない売り切り・買い切りの主体が動けば市場への影響は大きい」との見方を示している。
(ロイターニュース 伊賀大記;編集 佐々木美和)
消費環境、心理的にはバブルの状態=岡田イオン社長
2013年 04月 11日 19:10 JST
[東京 11日 ロイター] イオン(8267.T)の岡田元也社長・グループCEOは11日の決算会見で、消費環境について「現在は明らかに良くなっており、心理的にはバブルの状態。久しぶりに忘れていた感覚を思い出している状態」と述べた。ただ、恩恵を受けているのは高齢者が中心で、若者に及ぶかどうかは、分からないとした。
また、2014年4月の消費増税以降は「相当厳しい状況になる」とし、準備が重要な課題になるとの認識を示した。
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「日本は金融政策により依存を」 G20を前にIMF専務理事
産経新聞 4月11日(木)8時51分配信
【ワシントン=柿内公輔】国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は10日、ニューヨーク市内で講演し、先進国の金融緩和策は適切で、日本はデフレ脱却と成長の加速に向け、「金融政策により頼るべきだ」との見解を示した。
ラガルド氏は、世界経済の回復は地域によってばらつきがあると指摘。成長が続く新興国や改善途上にある米国と比べ、信用不安が広がるユーロ圏とデフレが長引く日本を出遅れたグループに位置づけた。
ラガルド氏は先進国の金融緩和について、インフレ懸念に配慮する必要はあるが、「景気回復に大きな役割を金融政策が担うことは理にかなう」と支持。日銀の新たな緩和策を「野心的な金融緩和の枠組みで正しい一歩」と評価し、デフレ脱却のため緩和策への依存を強めるべきだとした。
IMF専務理事、日銀の緩和は「前向きな一歩」と評価
ロイター 4月11日(木)2時31分配信
4月10日、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、日銀の大胆な緩和強化策は「前向きな一歩」と評価した(2013年 ロイター/Brendan McDermid)
[ニューヨーク 10日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は10日、世界経済は今年も引き続き低成長となる公算が大きいとして、中銀は金融緩和の継続を通じて、景気を下支えるべきとの見解を示した。ニューヨークでの講演で述べた。
日本については、成長の勢いに弾みをつけるため、一段と金融緩和に頼る必要があるとした上で、日銀の大胆な緩和強化策は「前向きな一歩」と評価した。
ラガルド専務理事は「金融当局者の行動によって、経済情勢は半年前ほど危険な状況にないようにみえる」と言明した。
同時に、金融状況が改善しつつあるものの、依然として実体経済の改善につながっていないとし、「現状では、緩和的な金融政策の維持によって景気を押し上げることが理にかなっている」と述べた。
さらに「インフレ期待はしっかりと抑制されており、中銀には景気支援に向けた措置を講じる一段の余地が存在する」と述べた。
日本の財政については「ますます持続不可能となっているようだ」と指摘。「日本は明確で信頼の置ける中期的な財政再建策の策定が必要」とし、「景気活性化に向け、包括的な構造改革に着手すべき」と語った。
新興市場国では、先進国での超緩和的な金融政策を背景とした資本フローの突然の反転をめぐる懸念が根強い。
専務理事は「現時点でこのリスクは制御されているようだ」としつつも、各国中銀が緩和解除を開始するようであれば、新興市場国は起こり得る影響に対処する措置を整えるべきと述べた。
米国は「財政の崖」を回避したものの、オバマ政権が信頼の置ける中期的な債務削減計画を打ち出すことが不可欠との見方を示した。
欧州については「資本増強や事業再編、必要であれば銀行の閉鎖を通じ、銀行システムの改善に向けた取り組みを継続することが優先事項」と強調した。
銀行改革に加え、欧州の大半の国が債務削減に向けた厳格な財政政策を維持することが必要としつつも、緊縮策が過度に厳しく、急激なものではあってはならないとの見解も示した。
対キプロス支援に関する質問に対しては、他の多くの国とは異なるため、今後の救済策の「ひな型にはならない。基準を設定するものでもない」との見解をあたらめて示した。
IMFは19─21日の日程で、ワシントンで春季会合を開催する。
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(朝鮮日報日本語版) IMF専務理事は親日派? 金融緩和策を支持(朝鮮日報日本語版)9日(火)9時31分
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<黒田日銀総裁>追加緩和当面せず…物価目標達成へ「順調」
毎日新聞 4月10日(水)22時14分配信
毎日新聞などのインタビューで笑顔を見せる日本銀行の黒田東彦総裁=東京都中央区の日本銀行本店で2013年4月10日、山本晋撮影
日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は10日、毎日新聞などのインタビューに応じた。4日に導入した「量的・質的金融緩和」について「2%の物価上昇目標の達成に必要で十分な措置を決めた。追加策を次々に打つことは考えていない」と、追加緩和は当面、想定していないことを表明した。その上で「(株高・円安の)市場の動きが企業や家計心理の改善とともに景気を上昇させながら、中長期的に物価を引き上げていくことを期待する」と述べ、物価目標達成に向け、順調なスタートを切ったとの認識を示した。
【金融緩和】暮らし変える黒田相場
黒田氏が報道機関のインタビューに応じるのは総裁就任後初めて。日銀は4日の金融政策決定会合で、市場に供給するお金の量(マネタリーベース)と、長期国債や上場投資信託(ETF)の保有額をそれぞれ2年で2倍とすることを柱とする緩和策を導入した。
導入後、円安・株高が進んでいることについて黒田氏は「予想していた方向に向かっている」と強調。長期金利が乱高下していることに関しては「金融緩和が従来より大規模だったため、市場が消化するまで時間はかかるだろう」と、一時的な動きとの認識を示した。
緩和策で国債買い入れを大幅に増やすことで「財政赤字の穴埋めと受け止められかねない」との見方が出ていることには、「国債購入は(世の中に出回るお金の量を増やす)金融調節の手段」と改めて否定。先進国で最悪水準の日本政府の借金残高について「財政の持続可能性が疑われている。債務残高を減らすことは重要で政府も約束している」と財政再建の重要性を強調した。
新たな緩和策導入に伴い、日銀の国債保有残高を銀行券(お札)の発行残高までとする「日銀券ルール」を一時停止したことについては「2%の物価上昇が安定的に達成されればいずれは(金融緩和からの)出口となるので、将来的には日銀券ルールは復活する」とした。同時に「大規模な金融緩和を行っている時に特別なルールを作ることは考えていない」と述べ、量的・質的緩和の実行中、国債購入の歯止めとなるルールは設けない考えを明らかにした。【工藤昭久】
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【クローズアップ】黒田日銀、新政策決定 緩和、異次元の量と質
<黒田・異次元緩和をポイント解説>マネタリーベース倍増
<コラム>経済観測:日銀に必要なミクロ政策=清華大学米中センター高級研究員・酒井吉廣
<IMF>「インフレ恐れず緩和を」分析で黒田日銀を支持
<社説>黒田日銀始動 危険伴う大きな一歩だ
最終更新:4月11日(木)1時28分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130410-00000102-mai-bus_all
小宮一慶の「スイスイわかる経済!“数字力”トレーニング」
日銀が新たな緩和策を決定!経済指標からアベノミクスの成否を探る
? 2013年4月5日
日銀は4月3日、4日に開いた金融政策決定会合で、「量的・質的金融緩和」と名付けた新たな緩和策を発表しました。2014年末までにマネタリーベース(資金供給量)を12年末比で約2倍の270兆円に拡大するとともに、長期国債の購入量も同2倍強の190兆円に増やしていきます。上場投資信託(ETF)などのリスク資産についても、保有残高が年1兆円ずつ増えるよう買い入れを進める方針です。
最も大切なポイントは、名目GDPと製造業の数字が回復するかどうか
いよいよアベノミクスが本格始動します。今は期待だけが先行している状況で、実際のところ、安倍政権はまだほとんどのことは具体的には着手しているとは言えない状況です。これからアベノミクスがどのような成果を上げていくのか見極めるには、私たちの生活が本当に豊かになっていくのかどうかを確かめなければなりません。今回は、アベノミクスと景気回復を評価するための指標をピックアップしていきます。
国内景気が実質を伴って回復しているかを見極めるためには、最終的に国内総生産(GDP)が上がるかどうかを確かめる必要があります。国内総生産とは、企業の付加価値の合計です。特に、GDPの実際の金額を表す「名目GDP」は給与の源泉であり、この7割程度が皆さんの給与として支払われていますから、重要な指標です。
アベノミクスでは、「名目成長率目標3%」と「物価目標2%」を設定しています。見方を変えれば、名目成長率3%からインフレ率2%を差し引きますと、実質的に1%の成長率となります。1%国民の生活が実質的に豊かになるということです。もし、アベノミクスの目標が達成されたとしても、この実質的な1%成長を維持できるのかどうかに注意しなければなりません。つまり、インフレ率を1%上回る名目の成長率を確保できるかどうかということです。インフレだけが起こったら、生活は貧しくなるだけです。
GDPとあわせて見ておきたいのが、景気と密接に連動する「鉱工業指数 生産指数」です。これは、国内の製造業の動向を示す指標です。日本は、なんだかんだ言っても製造業が元気でないと発展しない国ですから、国内景気の強さは製造業の指標に現れやすいのです。
「鉱工業指数 生産指数」を見ますと、2012年12月、2013年1月は改善を続けていましたが、2月は89.0(※速報値)と微減で、足踏み状態です。出荷に対する在庫の割合を示す「製品在庫率指数」は、2月も120を超える高水準が続いています。生産が伸びず、在庫が積み上がるという「悪い在庫」を持っている状況が続いているわけです。以上のことから、必ずしも国内景気は一本調子で回復しているわけではないと言えます。
今後を見通す上でポイントとなるのは、企業の設備投資が増えてくるかどうかという点です。設備投資として利用される機械の受注額を示す「機械受注」の数字を見てみましょう。2012年12月は前年比マイナス3.4、2013年1月前年比マイナス9.7と、2カ月連続でマイナスとなっており、あまり伸びていないことが分かります。「法人企業統計 設備投資」も10-12月は前年比マイナス7.2と落ち込んでいます。これらの数字がいつから改善するのか。ここにも注目することが大切です。
金融政策を見極めるために注目すべき指標は
金融政策を見極めるために注目すべき指標は
4月3日、4日に、日銀金融政策決定会合が黒田東彦新総裁のもとで初めて行われました。会合では、日銀が購入する資産内容の範囲を広げることについて議論されました。今まで日銀は、償還まで3年以内の国債を購入していましたが、これから行われる追加金融緩和では、より長期の国債を買い始めるということです。長期国債の購入量は12年末の89兆円から13年末には140兆円、14年末には190兆円に増やしていきます。さらに上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J-REIT)などのなどのリスク資産の買い入れも増やそうとしています。
これは、「日銀のバランスシートの資産サイドを増やす」と言い換えることもできます。国債やリスク資産を買い入れることで資産を増やし、その一方、買入れ代金は、それらを売った金融機関などの保有する「日銀当座預金」に振り込まれます。これは日銀の負債になります。結果的にバランスシートの左右をともに増やしていくのです。
このような日銀のオペレーション、つまり金融緩和の取り組みは、「マネタリーベース」に現れます。「マネタリーベース」とは、日銀券(日銀が発行することのできるお金)と日銀当座預金残高(金融機関が日銀に預けている資金)の合計です。金融緩和とは、このマネタリーベースを増やすことだと言い換えることもできます。日銀は、金融機関から国債などの資産を購入して、お金を金融機関に供給しているのです。
マネタリーベースの推移を見ますと、2012年後半から、前年比2桁の伸びをしています。すでに白川前総裁の時から増やし続けていたのです。今後、マネタリーベースはこれよりも増えていくことは間違いないでしょう。しかし、問題は「M3(現金通貨と民間銀行・ゆうちょ銀行の預金残高の合計)」が反応するかという点です。
景気が良くなると、企業の資金需要が増えます。企業からの借入は一時的に銀行の預金口座に入るので、預金残高、つまり「M3」が増えます。日銀が金融緩和を行ってマネタリーベースを増やし、その結果、M3が増えるかどうかが、金融政策の成果を評価するポイントとなるのです。
もう一つ、あわせて見ておきたいのが、「銀行計貸出残高」です。一般的に、景気がよくなって資金需要が旺盛になると、企業からの借入が増えて「銀行計貸出残高」が増えます。ですから、日銀の金融緩和がうまく機能しているかを判断するためには、「M3」と「銀行計貸出残高」が増えているかどうか、に注意する必要があるのです。
一部で、「アベノミクスの影響で、大手銀行の貸し出しがが増えている」という報道がありますが、上の表を見てもお分かりのように、傾向としては昨年夏あたりから微増し続けています。この理由はなぜでしょうか。
「鉱工業指数 生産指数」を見ると、昨年夏あたりが景気の底でした。つまり、この時期から景気が自立反転しだしたという背景があると思います。また、円安の影響で、輸入決済のための資金需要が増えていることも考えられます。さらに、金融円滑化法の終了を見据えて、連鎖倒産を防ぐ意味からもキャッシュポジションを上げておいた方がいいと考える企業が増えたことも影響しているかもしれません。
アベノミクスへの期待がないわけではありませんが、それだけで資金需要が順調に増えているわけではないのです。
円安で本当に輸出は伸びるのか?
2013年4月2日時点で、1ドル=93円まで円安が進んでいます。この影響で輸出がどこまで伸びるかどうかも、景気の先行きを見極める上で重要なポイントになります。
「貿易・通関」を見てください。震災が起こった2011年度は、約4兆4千億円の貿易赤字に転じました。12年以降もこの傾向が続き、特に円安が加速した2013年1月は、1兆6000億円という単月で過去最大の貿易赤字となりました。2月も約8000億円の赤字です。円安に振れたことで、今後は輸出が伸びるだろうと言われていますが、実際はどうなのでしょうか。
「Jカーブ効果」という言葉をご存じでしょうか。円安になると、輸入額の方が先に増えるために、最初は貿易赤字が増えます。その後に輸出が増えて、貿易赤字が減少していくのです。こうした状況を、縦軸を輸出額、横軸を時間とした場合に、アルファベットの「J」の形になることから、「Jカーブ効果」と言われています。今後、本当に輸出が増えて「Jカーブ効果」が現れてくるのでしょうか。
大方の予測では、輸出が好転するだろうと考えられています。一部の輸出企業、例えばトヨタ自動車は、4月あたりから輸出が伸びると見越して生産を拡大しています。しかし、日本全体で輸出が伸びて貿易赤字が減り始めるのかどうかは、今後も指標の動きに注意しながら見極めなければなりません。
また、貿易赤字が拡大しているということは、実需で円が売られているということですから、当然、この分円安に振れやすくなります。「貿易・通関」とあわせて「円相場」の動向にも注意しておくと良いでしょう。
もう一つ、貿易収支や所得収支などを含む「経常収支」の動きにも注目することが大切です。
企業の海外進出が増えたことで、配当や金利のやりとりの額である「所得収支」が増加し、今ではひと月に1兆円程度の黒字となっています。しかし、貿易収支の赤字額が増えていることから、2012年11月以降は経常赤字が続いています。
経常赤字が続くと、日本国債の信任が失われる恐れがありますから、非常に大きな問題なのです。貿易収支の改善によって、経常収支がいつ黒字に戻るかどうかにも、注意しなければなりません。
金融緩和策なくとも、物価が上昇する恐れも
冒頭でもお話ししましたが、アベノミクスでは「物価目標2%」を掲げています。ここでいう「物価」とは、「消費者物価指数 前年比」のことです。これを、2年で2%まで上昇させると言っているのです。
ここで、大きな問題があります。表を見てもお分かりのように、「輸入物価指数」が円安の影響と資源価格の上昇によって跳ね上がっているのです。2013年1月は前年比11.0%、2月は前年比13.2%と大幅に増えています。金融政策がなくとも、物価が上昇しやすい傾向があるということです。
輸入物価が上昇し、企業間の物価(国内企業物価指数)も上昇し、その結果、消費者物価指数も上がってしまうと、単に日本から海外にお金が出ていくだけです。
これで物価目標が達成されても、何の意味もありません。実質的に景気が良くなって、給与の源泉である名目GDPが伸びた上で、消費者物価が上がるかどうかという点を考えなければならないのです。
消費者物価だけ上がって名目GDPが増えない、という最悪パターンに陥ったら、安倍政権だけでなく日本経済が後退することは間違いありません。物価の動向と名目GDPの伸びの双方に注意が必要です。
3月末あたりまでは、アベノミクスに対する期待値が先行していました。しかし、円相場や日経平均株価を見ますと、そろそろ期待も一服しているようにも感じます。これからは、経済が本当に期待に応えるのかどうかという点がポイントになるでしょう。
私たちの身近なところから考えますと、「現金給与総額」が上がって、なおかつ、「有効求人倍率」や「完全失業率」が改善するということが、実際に起こるかどうか。ここをきちんと見極めなければなりません。
これらが順調に起こればいいのですが、うまくいかなかったら最悪です。給与が上がらないまま来年4月1日から消費税増税が行われることとなり、日本経済の“終わりの始まり”がスタートするのです。
結局は、経済だけでなく、国民生活が豊かにならなければ意味がありません。ですから、一部の指標だけを見て「経済が良くなりました」と言っても仕方がないのです。最終的には、経済がプラス成長になった上で皆さんの給与が上がり、生活が実感として豊かになったかを見極めなければなりません。期待だけで現状を判断するのではなく、今回指摘してきた指標をきちんと見ておくことが大切です。(つづく)
小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント。小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。81年京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、米国ダートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。主な著書に、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』(以上、ディスカバー21)、『日経新聞の「本当の読み方」がわかる本』、『日経新聞の数字がわかる本』(日経BP社)他多数。最新刊『ハニカム式 日経新聞1週間ワークブック』』(日経BP社)――絶賛発売中!
小宮コンサルタンツ facebookページ:
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皆様からお寄せいただいたご意見(11件)
1. 猫も杓子もアベノミクス。
黒田日銀の唐突なる金融緩和で面を食らったエコノミクス諸兄の両極端の
意見が面白く見えてしょうがない。今は何とでも言えるでしょうね。
マスコミも異口同音のことを跋扈して何か的を得ていない感じもしますね。
日銀は多かれ少なかれ限りなくお札を供給し続け物価を制御し経済活動の
活性維持に努めなければならないが、潤沢な資金がどのように市中にまわり
企業の投資に反映され、生産、消費へと回転していくのは、政策次第であり
一部の経営者の意図次第になる。そんなに短期に循環するわけがない。
ややもすると外債購入やら残存不良債権の償却で吸収されてしまう。
直近では円安により輸入価格の増大と消費税増税が景気に覆いかぶさるのは目に見えている。
900兆もある個人金融資産は益々防衛に走ってタンスに置かれたままになる。
デフレで財布の口をゆるめていた優雅な高齢年金生活者も逆に財布の口を閉じるかもしれない。
ここはウォッチングしかないのでしょうか。
潤沢なお札の供給でお金の価値が減ずれば、株、債権、不動産投資だけが活況づく感じを
受ける。証券会社、投資銀行のみが小躍りしているが、外国投資、ヘッジファンドが
7割も関与している状態の市場がなぜか不気味です。
一部の偏屈なエコノミストが言う過度な円安、国債暴落も覚悟が必要か。 (ytk) (2013年04月10日 10:42)
2. 低所得層や貧困層は、たしかに物価高で困るかもしれない。しかし、株高や不動産価格上昇などの資産効果による消費拡大(プラス)と物価高(マイナス)を見比べれば、日本経済全体では圧倒的にプラスが上回る。低所得者や貧困層の方が人数的には多いので、政治的には色々な対応が必要となるが、経済面でのマイナス面を強調するのはミスリードを言われても弁解の余地はない。 (山田一太郎) (2013年04月09日 14:28)
1. 日銀の大胆な金融緩和策は本来は日本の金融機関が総力を挙げて行うべきものであろう。1500億円以上の金融資産が日本国内の金融機関に死蔵されており、適正に民間市場に流れていかない異常な状況が長期に渡って続いている。日本の金融機関は多量な預金を国債を購入することで、安易な金利稼ぎをしていると同時に市場への金の流れを堰き止めている元凶となっている。反面、日銀が国債等の購入は死蔵されずに資金が市場に流れていく。日銀の国債の購入は金融機関の購入と逆の作用を及ぼす。今回の日銀の金融緩和策は正に国内の金融機関が果たさねばならない役目を引き受けたわけである。
こうでもしなければ景気の劇的な回復は不可能なほど日本の金融機関の創造性と責任感が衰退ししてきている事が、日本の経済力悪化の根本要因の一つなのであろう。全てを日銀任せにせず今回の金融緩和を契機に、日本の金融機関が1500億円もの巨大な資金を死蔵せずに有効活用して日本の経済再生、活性化に向けて日銀と協調して、全力を尽くすことを期待したい。 (クスリ) (2013年04月08日 17:38)
2. 毎週、経済指標を引用した解説を掛かれる小宮さんのご苦労は大変なものだと思う。私は、毎週発表される小宮さんのブログを楽しみにして読み、この2年間、毎回欠かさず意見を書かせてもらっている。
80歳の暇な老人は、バックナンバーを2009年から拾い読みし、小宮さんの解説も皆さんのコメントも自分の意見も、随分変遷しているなと思った。最近私は、円安が大事だといっているが、2009年頃は、金融緩和は意味がないようなコメントを書いている。読みの浅さを思い知って恥ずかしい。
2009年頃、小宮さんが取り上げられるテーマは幅広く、かつ多数の方がコメントを寄せられていた。しかし最近、直接間接にアベノミクスに関連するテーマに絞られてから、かってたくさんお見受けしたペンネームが見つからず、コメント欄がさびしい。経済金融問題については、意見が書きづらいのだろうか。
2度の政権交代を経て、TPP交渉のテーブルに着くことは確定したし、日本社会は変革に差し掛かっている。今後諸般の情勢変化は加速するだろう。小宮様の問題提起を種に大勢の方のご意見を読みたいと思う。人間の智恵は、連想で発達する。大勢が意見を交わすほど良い結論が出る。コメントを許すブログは貴重な存在だ。小宮様、毎週ご苦労様ですが、種となる記事をよろしくお願いします。 (富士 望) (2013年04月08日 14:21)
3. 実体経済の長期的な推移に着目したお銀様とAG様に大賛成。ストックのことばかりでGDP15%分の輸出金額が20%以上増額することに全く言及のないクスリ様のご意見には賛同できない。 (富士 望) (2013年04月08日 12:25)
4. アベノミックスの発表から円安、株高で世の中少し、明るくなっているように見えます。日銀の黒田総裁の発表は英国のFTはバズーカ砲と比喩していたが、20年に及ぶデフレ脱却には副作用を恐れず、今回の果敢な金融政策は評価されてよいと考えます。しかしこの20年でグローバリゼーションの進展、特に中国はじめ途上国の目覚しい発展、人口減少社会と高齢化、円高から多くの製造業の疲弊はシャープ、パナソニックの苦境をみてもわかります。一方サムスンは半導体や、液晶テレビだけでなく、最近はスマホで大発展を遂げ営業利益は二兆円ともいわれ、電機大手の合計より
多いのが昨今の現実です、自動車、建機と一部の製造業を除き、円安のメリットを受け、利益を拡大、従業員の給与をアップさせるには数年を要すると考えます、結果、物価だけがアップするスタグレーションを心配します。やはり消費税アップは一年間遅らせるべきでしょうか? (川崎のゴリさん) (2013年04月08日 12:04)
5. 筆者は一番重要な点を見落としています。
それは、異常な円高の是正により、存亡の危機にあった日本の製造業が息を吹き返したという点です。この3月期決算を見れば分かるでしょう。企業収益が改善されれば、報道されているように満額ボーナスやら設備投資に回り日本経済の復活の一歩になるでしょう。経済のパイが拡大していく状況で、筆者の言う最悪シナリオは、あまりに心配性に見えます。「パイの拡大」にも疑問を呈しているようですが、「金は天下の回りもの」ですから、金融政策と円レート双方により、これは間違いはないと思います。まだ統計数字には表れていないのでしょうね。
過去の数字を見ることは大事ですが、このような変化の激しい時代に、時間遅れのある数字それだけをベースに議論することに危うさを感じます。 (AG) (2013年04月08日 10:21)
6. 単なる経済指標の解説記事が今時どれほどの役に立つというのか。更に不安要素を論い何の解決策も述べていない。4年にも及ぶ100円を切る異常な円高を当たり前のように受け入れ,そこを出発点にして物事を見るからおかしくなる。それ以前の100円を超す為替相場が何10年も続いていた時をベースに考えるべきである。 (お銀) (2013年04月08日 09:36)
7. 印刷機能を付けてください.きちんと理解したい記事はPDF化して後からじっくり読みます.全てを表示して印刷できる機能がないと不便です. (読者) (2013年04月06日 16:34)
8. アベノミックスの効果が国民全般に及ぶまでには、最低半年〜1年程の時間を要することと思う。株高、不動産価格の上昇による資産押し上げ効果は、多くの資産を抱える金融業界、大手企業、資産家等に資産効果をもたらし、そこに大きな資本、資金が生まれるからである。元々、多くの資産を持たない大多数の国民にとっては資産効果は直ぐには起こりえず、円安による輸入物価高騰による物価高の方が先行せざるを得ない。大手企業の資産効果、円安による製造業の景気回復や企業利益が増えてから社員、従業員の給料がアップする条件が整って、それが実施可能となるからである。逆の流れである、社員、従業員の所得アップが企業利益アップに先行することはあり得ない。給与アップにしても、大半の企業では毎年一回の4月の給与改定時期にしか行われない為に、利益を向上できた企業では夏、冬のボーナスで利益を従業員に還元することになる。従って今年は、アベノミックスの効果による給与効果はボーナスの支給状況で判断するのが妥当であろう。アベノミックスの経済効果は、水の流れと同様に高きから低きへ流れて行き次第に大きな水の流れを生み出し、大きな河の流れとなって行くと思われる。当面の資産効果に浮かれず、それが続く内に第3の矢である成長戦略を何とか正常軌道に乗せること経営者、政治家には強く願いたい。 (クスリ) (2013年04月05日 16:17)
9. 小宮様の、生産指数、輸出金額、マネタリーベース、銀行貸出残高の統計値を引用した説明は納得できる。しかし円安の影響は今後注視が必要だとされている。そこで、ドル円レートと輸出金額について2008年以降の推移をグラフ化し、次を読み取った。コメントにグラフを載せられないのは残念。
1. 2008年のドル円相場は110円台で輸出額は現在より30%程度多い。
2. ドル円相場は、2009年4月の100円から2012年9月までほぼ一定の低下トレンドが続いたが、同月のマネタリーベース増加を受けて下げ止まりとなり、2012年11月の日銀政策の変更後は円安が急激に進み、4月5日の相場は97円近くである。
3. リーマンショックの2008年末から1年間は輸出が急減し、2009年末にやや戻した。
4. 2010年以降昨年まで3年間の輸出金額は、月額±8千億円程度変動するが、月額平均は2008年の30%減の54千億円程度で横這いである。輸出額減少はリーマンショックの後遺症というより円高影響だと推察できる。
小宮様の短期分析を契機に2008年からの経済統計値をグラフ化し、円高の影響で円の輸出金額が30%程度減少していたことが改めて認識できた。しかし、輸出は一般的に契約時に為替予約する。今の売上は円高時の契約だから、円安効果が輸出金額、生産指数、機械受注に現れるのは大部遅れる。小宮様の言われる通り、今後の輸出金額等の推移には注目が必要だ。
アベノミクスの主な狙いではないが、金融緩和は明らかに円安を招いている。しかしまだリーマンショック前のドル円相場までは戻っていないから、一層の金融緩和で更なる円安を期待したい。諸経済指標に円安効果が現れるのは今後だし、小宮様が心配される物価高は、円安で輸出が2008年頃のレベルに戻った後で考えて充分間に合うだろう。 (富士 望) (2013年04月05日 13:52)
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20130404/346411/?ST=career&P=4
【第33回】 2013年4月11日 山田厚史 [ジャーナリスト 元朝日新聞編集委員]
「原発」に学ぶ「異次元」の死角
アベノ日銀はリスクが満載
?黒田日銀が打ち出した大胆な金融緩和策は、人体に例えれば心臓を2倍にして2倍の血液を送りだすようなものだ。日本経済は興奮し株式市場は大商いである。たいした効果だが、強い薬には副作用がある。異次元の金融政策は異次元のエネルギーとされた原発と重なる部分がある。リスクを軽視した「強者の慢心」は危うい。
?景気好転で世間の関心が「経済」に移っている最中、福島第一原子力発電所では放射能汚染水が漏れ、制御不能の事態に陥っている。政府の収束宣言にもかかわらず、フクシマの現場ではいまも危機の綱渡りが続いている。
「出口戦略」の不在
?金融政策と原発政策は意外にも共通点がある。違和感を持つ人もいると思うが、「危機管理」の観点から見ると、両者には共通する欠落点がある。
?第一は「出口戦略」の不在。原発はすさまじいエネルギーを発生させる代償に放射性廃棄物を生み出す。「核のゴミ」といわれるが捨てられないゴミである。人体や生態系を破壊する猛毒の処理方法さえ決めず、発電を始めた。長い時間軸で考えるべき経営が短絡的採算を重視し、先のことは考えない。事故はその中で起きた。
?黒田日銀の大胆緩和は、株式・債券・外国為替の市場に大きなインパクトを与えた。目先の利益を追う人には嬉しいことだ。しかし、こんなことはいつまでも続かない。株式市場の最大のテーマは、どこまで上がるか、いつ売ればいいのか、である。
?資産価格の膨脹は「適正水準」でピタリと止めることができない。ハンドルさばきを誤ると破裂するまで膨脹する。「異次元」とまで総裁自らがいう過激な金融膨脹は副作用を覚悟すべきだろう。その副作用を見据えて「出口戦略」が用意されているとは思えない。
「デフレ脱却に着手したばかりなのに、出口を云々する時ではない」と麻生財務相は国会で答弁したが、お膝元の財務省では、「国債バブル」が心配のタネになっている。
?今は国債が買われ、長期金利がどんどん低下しているが、いつもでも続かない。金利の反転が急激に起きたら大変なことになる。困ったことに、それがいつ起こるか、何がきっかけになるか分からない。その時、どう対処するか。「出口戦略」を持たないまま「異次元の金融政策」に突入した。
「政府が新規に発行する国債の7割は日銀が市場を通じて買うことになる」と黒田総裁は明言した。そこまでやるのか、という大胆な金融緩和だ。本来、国債市場には「大量発行の歯止めをかける自律的機能」がある。消化能力を超える大量発行になれば、国債が売れなくなり(金利は上昇し)「警鐘」を発する。だが日銀がどんどん吸い上げれば、その機能が損なわれ、ある日突然、金利はね上がる(価格暴落)という事態が起きかねない。
「有事」になってわかるコスト
?第2は「有事」になってはじめて政策コストが明らかになることだ。
?原子力は安全運転が続く「平時」なら、一番コストの安い発電方法とされてきた。だが運転をやめて廃炉にする時のコストや、突然の事故で賠償やら汚染対策などの費用が発生する「有事」になると、とんでもなく割高の発電方法であることが分かる。
?異次元の金融政策は、アナウンス効果が絶大で、何も始まっていないうちから株価は上がり、円は安くなり、金利が低下した。極めて効果的な政策に見えるが、「事故」が起きた時、どうなるのか。首尾よく安全運転を続ける可能性はゼロではないが、「資産価格」を膨脹させる政策だけに、「暴落」という事故と隣り合わせの政策である。
?黒田総裁は「現時点では資産バブルの心配は全くない」と強調する。危ないことを承知の上で「安全神話」を煽ってはいないか。
?政策のコストは、失敗の可能性を織り込んで計算した方がいい。
?リスクが大きい政策はなるべく避ける、というのが日銀の伝統的手法だった。だが、白川前総裁は「リスクがあるからやらない」ということではなかった。国債を買い上げて市場に資金を流し込む、株を買い上げる、J−REITを買う、という「非伝統的」な政策は、白川時代に始まった。黒田総裁との違いは「リスクある政策だから、市場の様子を見ながらやる」という姿勢だった。
?そんなやり方を黒田総裁は「戦力の逐次投入」と批判した。「政策は小出しにせず、有効と考えることは全て投入する」という。危険承知で突き進む、という蛮勇のコストはどれほどになるのか。リスクが現実化して分かる、という事態になる恐れは十分ある。
日和見主義
?第3は、御用学者・日和見エコノミストの跋扈だ。
?原発の安全神話を振りまき、怠慢なリスク管理の温床となったのが、「原子力ムラ」で権勢を振るう御用学者たちだった。有名大学の偉い先生は原発推進の「お飾り」になっていた。金融政策に「御用学者」がいないのか。
?
?白川方明前総裁の政策に不満だった安倍首相は、「私の政策に理解がある総裁を選ぶ」と宣言し、お眼鏡にかなった正副総裁を選んだ。だが、金融政策は総裁だけで決まらない。金融政策決定会合という場で多数決で決まる。メンバーは総裁と副総裁二人、そのほか6人の審議委員がいて、計9人の多数決で政策を決める。白川総裁の時も同じである。
?ということは3人代わっただけでは政策は変わらない、はずだ。
?黒田日銀の初会合で、「異次元の金融緩和」は全員一致で決定された。白川総裁の時と正反対の決定がトップが代わっただけで実現した、ということである。
?日銀の審議委員は大学教授、企業経営者、民間のエコノミストなど金融の専門家によって構成される。それぞれご自分の意見をもった人であるはずだ。それが白川が黒田に代わった途端、クロがシロになったというのか。
?3月に行われた金融政策決定会合の議事録に、興味深い事実が載っている。
?白井さゆり審議委員が「2014年から始まる無期限の金融緩和をすぐに始める」など、黒田日銀の政策を先取りしたような提案をしていた。ところが審議の結果、多数の委員は「様々な選択肢の一つだが、現状維持が適当」と反対し、提案は退けられた。
?一ヵ月後に開かれた黒田総裁の初会合で、ほぼ同じ提案は全員一致で決まった。この一ヵ月で大多数の委員の意見が代わるような市場変動は起きていない。総裁が代わっただけだ。日銀の政策決定会合も政府の審議会と同じように、官僚が決めた政策を追認する「儀式」で、高名なセンセイたちは「イエスマン」なのか、と思わせる風景である。
?今回、副総裁に就任した金融学者の岩田規久男氏は独自の金融論で日銀を批判していたので、これまで審議委員になることはなかった。6人の審議委員は穏当な意見で、日銀の意向に沿う「空気が読める人」が選ばれてきたと思わざるを得ない。
?政治主導で白川氏が黒田氏に代わり、委員たちは「空気」を察知したのだろうか。それにしても前月に反対した委員は、今月どんな理屈で賛成に回ったのか。来月公開される4月の議事録が興味深い。
?審議委員は官庁の審議会委員と違い、常勤である。日銀の内部関係者によると2000万円前後の年俸が支払われているいう。たんなる名誉職ではない。その実態が「ゴム印を押すだけ」というのでは預金者に対する背信である。
?問題なのは御用学者の人格云々でなく、制度を空洞化させるからだ。専門の有識者が決定に加わることで多重のチェックを働かせ、システムのリスクを軽減する。それが委員会方式の使命である。
?原発が御用学者によって杜撰な管理に置かれ、取り返しの付かない悲劇を招いた教訓は他人事でない。
?審議委員だけではない。銀行や証券会社などのエコノミストやアナリストにも「空気を読む」が広がっている。
「当局に批判的はコメントは出しにくい」と銀行の広報担当者はいう。アベノミクスの危うさを指摘すると、「こんなに巧くいっているのに、景気に冷や水を浴びせるのか」
という批判にさらされる、というのだ。
?参議院選挙まで「ともかく景気を」という政権の意向を、金融界は十分に感じ取っている。
「株高や円安など市場が賑わっている時に、敢えてネガティブな見方は出しにくい。自民党が選挙に大勝し、これからも力を持つだろう、ということは無視できない」
?銀行の人たちは言う。当局から免許をいただき、理念より利益の金融界は体質的に日和見なのかもしれない。危ないと思いながらも口を拭う金融界の空気が、アベノ日銀を暴走させることにならないか。
責任を負いきれないほどのリスク
?第四は、責任を負いきれないリスクを抱えていることだ。
「日銀総裁は原発を運転する電力会社の社長と同じ覚悟がいる」
?日銀OBの一人はそう言った。原発のリスクに平然としていた東京電力の経営者は、フクシマで大変な責任を負った。その自覚があるかは不明だが、個人が一生をかけても償いきれない犠牲を社会に与えたのである。
「私の責任で再稼働します」などと首相が言っても、もし事故が起きたら、責任を負いきれるものではない。日銀総裁も「なにも起こらないで経済が順調に進む」ことが最良の仕事で、狂乱物価やバブル経済を発生させた総裁は、責任を負いきれない打撃を世間に与える。
?アベノミクスは政治的野心を伴った政策である。「中央銀行の政治的独立」に疑義を唱え、政治力で金融政策を変えた。そのとっかかりが「緩和政策」をバナナの叩き売りのように競わせた総裁選びだった。
?御用学者や安全神話に寄りかかり、やみくもに異次元にのめり込むことで大丈夫なのか。アベノ日銀は、一見無関係な原発事故から学ぶべきことが多いはずだ。事故が起きたときは手遅れである。
http://diamond.jp/articles/print/34505
第178回】 2013年4月11日 田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
「次元の違う金融緩和」が秘めた危険性
?貸手が気前よくなったら経済は要注意。
?これは経済を観るときの私の重要な視点の1つだ。
?故・速水優氏が日銀総裁に就任した直後にも私は同氏にそう言った。
「気前が良すぎる貸手が現れたらそれは大きな異変です。貸手が借手に頭を下げて借りてもらうのは経済法則に著しく反する行為だからです」
?速水氏は細川政権当時、経済同友会の代表幹事をしていて、細川政権の改革全般を強力に支援してくれていた。日銀総裁としても「円高」と「規制改革」には一家言を持つ硬骨漢であった。2006年の量的緩和の解除により景気後退のA級戦犯のように言われるが必ずしもそうではない。私はその直後に、規制改革を進めない政府に記者会見でボールを投げ返す必要があったと感じて彼にそう言った。政府が必要な経済政策を推進して、はじめて金融政策を転換できるという意味であった。
?さて、素人同然の私が日銀総裁に前述のようなことを言って実に失礼だと反省したが、彼は私の話を真剣に聞いてくれた。
?日銀という高台から見張っていて、貸手が金を持って借手を追いかけている。私のイメージはそんなところであった。もしそんな現象を発見したら半鐘を鳴らして警告すべきだと言いたかった。
「借りてくれる」は危険なサイン
?私は80年代末のバブル最盛期に、ある農協役員にこう頼まれた。
「金を借りてくれる人がいたら紹介してください」
?このとき私は「借りてくれる」という言葉に強い違和感を持ち、その後幾日も考え込んでしまった。
「貸してくれる」ならわかるが、「借りてくれる」はおかしい。「貸してくれる」は古代の人でもわかるが、「借りてくれる」は理解できないだろう。
?私はつねづね、経済がどんなに大規模になり、複雑になっても、経済を支配する基本的な法則は不変であると信じている。それは他でもない「人々の暮らしを良くする」という目標は時代にかかわらず変わらないはずだからだ。
?正常な経済状況の下では、金を借りる必要のない人は借りない。そして、借りたい人でも返す力のない人は借りないし、貸手もそんな人には貸さない。
?問題は借りる必要がない人が借りたり、返す力のない人が借りる現象が起きることだ。
?リーマンショックの契機となったアメリカの住宅バブルの崩壊もその典型であった。中流家庭に住宅が行き渡ると、バブルを維持するためには低所得者層に拡大せざるを得ない。返済困難な人にまで融資をすればバブルの崩壊は時間の問題となる。
?また、貸手が借手に「借りてもらう」ようになると深刻なモラルハザードが発生する。「あなたが借りてくれと必死に頼んだから借りてやった」のだから返済する気持ちが極度に弱くなる。結局それが不良債権として蓄積するのだ。
?1980年代バブルが弾けた後、宮沢喜一元首相に「何とかならなかったですか」と聞くと、「みんなが歓んでいるときに水をかけるのは難しいんだな」とつぶやいた。
「80年代バブル」の二の舞にならないために
?私の念頭にあるのは、言うまでもなく、「次元の違う」金融緩和策。特に日銀が市場に供給する資金量を2年間で2倍にするという破天荒な政策だ。資金需要のないところに供給すればその金はどこに行くか。結局はまず土地や株に向かい、資産バブルを起こさざるを得ない。銀行も旨味の少ない国債から離れて借手を探すことになる。そうすれば、逃げる借手を追う貸手という不条理な風景が再発するかもしれない。
?黒田日銀はもちろんその対策を考えているだろう。また、金融当局も学界も、何よりも企業や個人も、80年代バブルで多くを学んでいる。今のところ絶好調なアベノミクスをどう着地させるか。官民挙げて知恵を絞らなければ元来た道を再び辿ることにもなりかねない。
?もしも、この絶好調を堅実な成長過程につなげることができれば、アベノミクスの大実験は経済史に深く刻まれよう。
http://diamond.jp/articles/print/34506
日本の政策転換、やり残した「革命」
2013年04月11日(Thu) Financial Times
(2013年4月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
黒田日銀は金融政策の革命に着手した〔AFPBB News〕
日銀の黒田東彦新総裁が金融政策の革命に着手した。日銀にはデフレを終わらせる力はないと日銀自身が明言していた、20年に及ぶ慎重な政策運営に幕を下ろした格好だ。
2%の物価上昇率を2年以内に実現するという安倍晋三首相の目標は野心的で、黒田氏はそれを達成する大胆な政策を手にしている。
問題は、その政策がうまくいくかどうかだ。これだけではダメだと筆者は考える。日本政府が抜本的な構造改革でこれに続かなければならない。
「量的・質的金融緩和」の限界
日銀は4月4日、「量的・質的金融緩和」なるものを打ち出した。マネタリーベースを倍増させ、買い入れる日本国債の平均残存期間をこれまでの2倍以上に延ばすという。
実行されれば、マネタリーベースは年間60兆〜70兆円(米ドル換算で6000億〜7000億ドル、日本の国内総生産=GDP=の13〜15%に相当)増加し、購入する国債の平均残存期間は現在の3年から7年に延びる。日銀はさらに、「『量的・質的金融緩和』は・・・必要な時点まで継続する」と述べている。
これはいわゆる「ヘリコプターマネー」ではない。なぜなら、景気が回復したら金融緩和政策を転換するつもりでいるからだ。また、これはスイス国立銀行が行ったような外国資産の買い切りでもない。
フルクラム・アセット・マネジメントのギャビン・デービス会長の言葉を借りるなら、これは「内的バランスシート操作という薬の大量投与」であり、資金の運用先を日本国債からほかの資産にシフトするよう金融セクターに促すと同時に、実物資産の価格を引き上げることを狙った措置だ。とはいえ、円相場の下落は間違いなく望ましい結果だろう。
この政策がうまくいく可能性があるのはなぜなのか? それは、日本が民間部門の構造的な貯蓄超過に苦しめられているからだ。日本企業は現金を過剰にため込んでいる。今回発表された政策は、この構造を少なくとも一時的には変える可能性がある。
その経路は2つある。第1の経路は、実質為替レートを下落させることにより、経常黒字の拡大を通じて過剰な貯蓄を輸出する能力を高められるかもしれないというもの。第2の経路は、実質金利をマイナスにし、かつ資産の実質価値を高めることにより、投資が増えて貯蓄が減少するかもしれないというものだ。
ただ、最もうまくいった場合でも、この政策は短期的にしか機能しないだろう。最悪の場合には、インフレ期待を危険なほど不安定にし、日本をデフレからあっという間に超高インフレに追いやる恐れがある。
従って日本の国民は、政府の狙いは国民の(明らかに持続不能な)貯蓄の実質価値を引き下げて国民を著しく疲弊させることにあると考えるかもしれない。
もし国民がこの恐怖に駆られて円を見捨て、資産を外国に移したら、政策当局は途方に暮れることになる。金利を引き上げてこれに対応すれば、政府の財政に壊滅的な打撃を与えることになるからだ。実際、当局は為替管理まで導入せざるを得なくなるかもしれない。
機能不全に陥っている企業部門
では、今回の金融政策の変更を成功させるためには何をすればよいのか? その答えは、最大の障害物が構造的なものであることを認識することにある。問題は、機能不全に陥っている企業部門にあるのだ。
スミザーズ・アンド・カンパニーのアンドリュー・スミザーズ氏とロンバード・ストリート・リサーチのチャールズ・デュマ氏は先日、ほとんど同じことを主張していた。日本の民間部門における貯蓄超過――そのほとんどが企業部門によるもの――は、妥当と見られる投資機会に比べて、あまりに大きすぎるという。
そのため2011年には、内部留保と減価償却費の合計のGDP比が29.5%という信じ難い高水準に達していた。やはり企業の貯蓄超過に困っている米国でさえ、この値は16%にとどまっている。
日本の経済システムは、多額の民間貯蓄を生み出すマシンだ。人口動態が芳しくない成熟経済は、こうした貯蓄を生産的に活用することができない。デュマ氏が指摘するように、米国の設備投資総額は過去10年間、平均してGDP比10.5%なのに対し、日本は13.7%に上る。にもかかわらず、米国の経済成長は日本のそれを大きく上回ってきた。
日本企業の投資は少なすぎたのではなく、過剰だったに違いない。企業の過剰貯蓄をもっと吸収するために投資率を引き上げることが無駄を増やさないとは思えない。
短期的には、マイナスの実質金利は投資を多少増やすかもしれない。貯蓄から得られる収入が減るからだ。だが、中長期的には、日本企業の設備投資は減っていくはずだ。家計の貯蓄は少なく、借り入れ意欲も低いため、企業部門の莫大な過剰貯蓄を吸収できる部門は2つしか残らない。外国人と政府である。
実際には、この20年間、政府が主にこの仕事を引き受けてきた。財政赤字が巨額で、公的部門の債務が上昇し続けるトレンドを描いているのは、このためだ。一方、対外黒字は縮小した。これは交易条件の悪化と輸出量の不振によるものだ。ここでもやはり、円安が助けになるはずだが、ごく小さな助けにしかならないだろう。
企業部門の過剰貯蓄を吸収し、公的債務比率を引き下げるために必要な財政黒字を生み出すためには、少なくともGDP比10%の経常黒字が必要になる。いまだに経済がかなり閉鎖的な日本は、そのような黒字を生み出せない。仮にできたとしても、諸外国はそれを吸収しないだろう。
日本に必要な構造改革とは
となると、当然、日本には是が非でも構造改革が必要だということになる。だが、どんな構造改革でもいいわけではない。日本に必要なのは、企業の貯蓄超過を減らすと同時に経済のトレンド成長率を高める改革だ。日本の1人当たりGDP(購買力平価ベース)は米国の水準の76%、労働時間当たりのGDPは71%まで下がっているため、この組み合わせは可能なはずだ。
政策の選択肢には、減価償却引当金の大幅な削減、場合によっては投資拡大の奨励策とセットにした内部留保に対する重税の実施、株主の権限を強めるためのコーポレートガバナンス(企業統治)改革などがある。その狙いは、非効率性を助長してきたキャッシュフローのクッションを企業から奪うことだ。
考えられる限り最悪の増税は、現在計画されている消費税の増税だ。というのも、日本は消費が少なすぎるからだ。むしろ、企業の貯蓄に課税すべきだ。
こうした改革は本当に抜本的なものになるだろう。では、安倍首相がこの方向に動く可能性はほんの少しでもあるだろうか? 答えはノーだ。だが、この種の改革がなければ、日銀の新しい政策はよくても短期的な対症療法で終わり、最悪の場合、インフレの惨事を招く。
一方、中国はこれが、投資を優遇し、消費を抑えることで築かれた経済の最終結果であることに留意しなければならない。先進国に追いつくための戦略としては素晴らしいが、高度成長が終わった時には、極めて大きな頭痛の種が残るのだ。
By Martin Wolf
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/37561
【第57回】 2013年4月11日 上久保誠人 [立命館大学政策科学部准教授]
アベノミクス三本目の矢・成長戦略に
「痛みを伴う」大胆な外資参入を
?マーガレット・サッチャー元英国首相がお亡くなりになった。元々、私が英国留学を志した理由は、サッチャー氏の指導力へのあこがれであった。また、会社を辞めてから競争社会に身を置いた私にとって、「サッチャリズム」という個人主義・自由主義の思想は、生き方の指針であった。私の人生に最も影響を与えた人物であったといっても過言ではない。謹んでご冥福を祈ります。
?サッチャー氏逝去のさまざまな記事を読んでみた。興味深かったのは英ガーディアン紙だ。この記事からは、世界のさまざまな国が、サッチャー氏に対して「偉大な指導者」と称えるだけでなく、複雑な感情を持っていたことがわかる。
?例えば、南アフリカではサッチャー氏がアパルトヘイト(人種隔離政策)を支持していたことに触れ、それでも「英国の他の指導者より、まだマシだった」という微妙な評価をしている。また、東西冷戦終結に関しても、ロシアや東欧圏のサッチャー評は単純ではない。チリでは、サッチャー氏がピノチェト軍事独裁政権を高く評価していたことを称えている。
?残念なのは、日本の反応を紹介した部分だろう。まず他国に比べて非常に短い。そして安倍晋三首相が、中国との領土問題を念頭に、サッチャー氏を「フォークランド紛争を解決した偉大な政治家」と評価したとしている。相変わらず一国の首相とは思えないほど、物の見方が狭いことを海外に示してしまった。せめて、中曽根康弘元首相の東西冷戦期の首脳外交の思い出話でも紹介してもらいたかった。
アベノミクス三本目の矢・成長戦略スタート:
だが「日本企業の支援=日本の経済成長」ではない
?安倍晋三内閣の経済政策・アベノミクスの三本目の矢「成長戦略」が動き出している。既に、二本の矢「公共事業」「金融緩和」で急激な円安・株高を生じ、日本国内にある種の高揚感が生まれている。一方で、二本の矢はあくまで「時間稼ぎ」に過ぎず、最も重要なのは、「成長戦略」であるという、冷静な見方も広がってきた。
?安倍首相は成長戦略の重要性をよく認識している。成長戦略は、日本経済再生会議のもとにできた産業競争力会議で議論されているが、首相は積極的に指示を出している。今後5年間を緊急構造改革期間として、産業再編、企業の事業再構築、起業や投資を促進するための法人減税の拡充、海外M&A支援策、イノベーション支援策など「日本企業の国際競争力強化」を支援する方針を打ち出したのだ。
?これらの政策は、一言でいえば「日本企業に対する支援策」である。だが、それだけでは、日本経済の「三本目の矢」としては不十分ではないだろうか。「日本企業の支援=日本の経済成長」ではないからだ。もはや斜陽産業となった輸出産業の保護や、国内空洞化を防ごうと、無理に企業の海外進出を引きとめようとする支援策は、結果として経済の停滞を長引かせてしまう。日本の経済成長のためには、日本企業にとって「痛みを伴う」ことになる政策も必要なのではないだろうか。
「痛みを伴う」外資参入が日本を救う(1):
外資の研究開発と高品質製品の製造拠点を日本へ呼び込む
?以前この連載で取り上げた、英国の事例を三度紹介する(第43回を参照のこと)。英国では、インド・タタ財閥による、ブリティッシュ・スチールやジャガー買収など、新興国の企業による英国製造業の積極的買収と、英国内工場の操業によって、製造業が拡大している。
?タタ・モータースは、ジャガーの買収によって、「有名ブランド」を手に入れ、「知識・情報の集積」「高い技術力」があり、「政治的リスクの低い」英国に研究拠点を設けた。そして重要なことは、日本同様に労働コストが高いにもかかわらず、ジャガーの英国工場をそのまま維持して操業している。エンジンや高品質の自動車部品を英国工場で製造し、インドに送って組み立てて、アジア地域に販売しているのだ。また、北米・欧州への輸出は、買収後も英国の工場から行っている。一方。英国からすれば、インド、中国など新興国など外資の進出によって、国内の自動車工場が廃業に追い込まれずに済んだ。不況下でも英国内の雇用は下支えされてきたのだ。
?重要なことは、タタが英国に進出した「有名ブランド」「地理的条件の良さ」「知識・情報の集積」「高い技術力」「質の高い労働力」「政治的リスクの低さ」という諸条件を、日本も十分に備えているということだ。つまり、新興国にとって、日本は英国に劣らず魅力的であるはずなのだ。
?そこで、この連載では諸外国の製造業の「アジア地域向け研究開発拠点」や「高品質部品の製造拠点」を日本に誘致するという主張を打ち出した。そもそも、「研究開発と高品質製品の製造拠点の国内維持」は、日本企業の一般的な戦略である。その戦略を日本企業に限定せず、世界中の企業の「研究開発と高品質製造」も日本に呼び込むことで、日本経済の成長につなげようという発想だ。
「痛みを伴う」外資参入が日本を救う(2):
外資からの中小企業受注増が「デフレ対策」になる
?ここからが、今回の新たな論考である。現在、欧米の製造業は、研究開発と高品質製品の製造を欧米の工場で行っている。そして、部品を中国、インドなどアジア諸国へ輸送して、最終製品の組み立てを行っている。この研究拠点と高品質製品の製造拠点を日本に移転すれば、欧米企業にとって、輸送費などコスト削減が可能になる。なぜなら、高い技術力を誇る日本の中小企業を下請けに起用できる範囲が広がるからだ。更に、研究開発拠点を日本に置けば、よりアジア市場に近いところで、顧客ニーズを汲み取った開発が可能にもなる。競争力強化にさまざまなメリットがあるということだ。
?一方、日本側からすれば、欧米企業の製造拠点が日本に進出すれば、国内の労働者の雇用機会が増えることになる。また、日本企業の下請けだった中小企業が、欧米企業からの発注も受けられるようになる。これまで、中小企業は親会社からタダ同然の安売りを強いられてきた。欧米企業からの受注が増えれば、親会社の理不尽な安売り要請を断ることができる。そして、親会社は中小企業への発注金額を上げざるを得なくなるだろう。中小企業は売上・利益拡大となり、労働者の給与も挙げられる。これは、まさに「デフレ対策」ではないだろうか。
?もちろん、欧米企業の日本進出が、日本企業のアジアでのシェアを奪う可能性はある。競争相手をわざわざ市場に参入させるというのだから、日本企業は激しく抵抗するだろう。だが、外資参入の経済効果は、日本企業が受ける「痛み」を上回るはずだ。また、厳しい技術競争や販売競争は日本企業を鍛え上げ、より成長させるものである。
「痛みを伴う」外資参入が日本を救う(3):
航空機産業の工場誘致を考える
?自動車産業以外の欧米企業の日本誘致を考えてみる。例えば航空機産業である。今後20年間にアジア太平洋地域の航空会社に引き渡される新造旅客機と貨物機数が約9870機になるという予測がある。金額にすると1兆6000億米ドル(約145兆6000億円)である。これは、世界の航空機引き渡し機数の35%を占め、北米と欧州を追い抜く巨大市場となる見込みである。この需要を日本に取り込もうということだ。
?まず、ボーイング社である。起死回生をかけた新鋭中型機「ボーイング787」が、バッテリー発火トラブルで運航停止となった。そのトラブルの原因を巡り、バッテリー周辺の不具合が焦点となり、日本メーカー・GSユアサに国土交通省と米連邦航空局の立ち入り検査が入った。
?日本にとってはネガティブなニュースだった。だが、一方でボーイング787の機体の多くの部品が「メイド・イン・ジャパン」であることが広く一般に知られることとなった。最新鋭のハイテク航空機の開発には、日本の技術力が欠かせないということだ。それならば、ボーイング社の「研究開発拠点」と「最終組み立て工場」に、日本に来てもらってはどうだろうか。
?ボーイング社は、航空機をイタリア、イギリス、フランス、カナダ、オーストラリア、韓国、中国などの約900社で国際共同開発している。日本からも、機体製造において、三菱重工が主翼、川崎重工が前方胴体・主翼固定後縁・主脚格納庫、富士重工が中央翼・主脚格納庫の組立てと中央翼との結合を、エンジン製造では三菱、川崎、IHIが参加している。また、東レが一次構造材料向けに2006年から2021年までの16年間の長期供給契約をボーイングと締結し、使用される炭素繊維材料の全量を供給している。日本企業の担当比率は、米国以外では最大なのである。
?現在、ボーイング社が航空機の最終組み立てを行うのは、米ワシントン州シアトル郊外のエバレット工場である。各国のメーカーで製造されたさまざまな機体部品は、専用の輸送機によってエバレット工場に搬送されている。日本では、中部国際空港に輸送機が定期的に飛来して、部品を米国に運んでいるのだ。そこで、ボーイング社がアジア向け航空機需要を獲得するために大幅なコスト削減を考えるならば、最大の部品供給国である日本に航空機の最終組み立て拠点と開発拠点があればいいという発想が出てくる。
?そして、この発想をもう一歩進めてみる。ボーイング社のライバルである「エアバス社」の最終組み立て工場と研究拠点も日本に誘致するのだ。エアバス社は、日本ではボーイング社に比べてなじみが薄いが、民間航空機部門では次々と新型機を販売し、世界的なシェアではボーイング社に大きく水を開けている存在だ。
?現在、エアバス社の最終組み立て工場のラインは、欧州にはフランスのトゥールーズに2本、ドイツのハンブルクに1本、スペインのセビリャに1本の合計4本である。そして、アジアの需要増に対応するために、中国の天津において組み立て工場を設立している。だが、このところ中国の「政治的不安定」「技術流出」「環境問題」などのリスクが高まっている。日本は思い切って、工場の移転を働き掛けてはどうだろうか。
円安のメリットを受けるのは、日本企業だけではない
真の日本経済再生のために、既得権に切り込む蛮勇をふるうべき
?現在、円安が進み、1ドル100円に迫る勢いだ。個人的なイメージであるが、円レートが1ドル100円程度で落ち着くなら、外資が日本に拠点を置いて研究開発をし、ハイテクの部品や製品をアジア諸国に輸出することを検討する余地が出てくると思う。円安の恩恵を受けるのは、日本の輸出産業だけではないのである。外資の研究開発拠点・工場の進出こそ、もはや縮小を続けるだけと考えられてきた日本経済を劇的に拡大させる可能性があるのではないだろうか。
?もちろん、これには日本企業が徹底的に抵抗すると容易に予想される。安倍首相の強力な政治的リーダーシップが必要だ。これまで、安倍首相は「国民の望む政策」をずらっと並べて支持率を高めてきた。だが、指導力も政治力も必要ない、誰でもできる政策を羅列するだけでは、日本経済を成長させることはできないのだ。安倍首相は今こそ、「日本企業の支援=日本の経済成長」という固定観念を捨て、真の日本経済再生のために、既得権に切り込む蛮勇をふるうべきだろう。
http://diamond.jp/articles/print/34438
JBpress>日本再生>日本経済の幻想と真実 [日本経済の幻想と真実]
規制改革の本丸は労働者の会社からの自立だ 雇用調整助成金を廃止し、労働移動を促進せよ
2013年04月11日(Thu) 池田 信夫
安倍政権の「3本の矢」のうち、第1の金融政策は黒田東彦総裁の「異次元の金融緩和」で華々しくデビューし、第2の財政政策は通年で100兆円を超す大型予算ですでにスタートしたが、第3の矢となるはずの成長戦略は、いまだに姿が見えない。
産業競争力会議で議論は始まっているが、6月をめどに取りまとめを行なうというスケジュール以外は、ほとんど何も決まっていない。そんな中で、競争力会議の民間議員である長谷川閑史氏(経済同友会代表幹事)から「解雇ルールの見直し」という話が出てきて注目を集めている。
解雇ルールを巡って迷走する論争
こういう主張が出てくるのは初めてではない。小泉改革の経済財政諮問会議でも、民間議員から日本の雇用規制は過剰で不透明だという批判が出て、改正の論議が行なわれた。
しかし日本の解雇規制は、法律の条文としては必ずしも強くない。民法では雇用契約は一方からの申し出によって打ち切ることができるとされ、労働基準法では解雇の30日前に通告するよう定めているだけだ。ただ判例で「整理解雇の4要件」など司法的なハードルが高い。
これが問題になったのだが、逆に2008年の労働契約法改正で「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇は無効」と「解雇権濫用法理」が明文化されてしまった。
このため派遣社員で雇うケースが増えると、厚生労働省は労働者派遣法の規制を強化し、このためパート・アルバイトなどの契約社員が増えると、厚労省は「非正社員を5年雇ったら正社員として雇用せよ」と労働契約法を改正してしまった。
このように財界が「解雇の自由」を求めると厚労省が規制を強化し、結果的に正社員の既得権が強められる一方、非正社員が増える「逆コース」をたどってきたのだ。
大企業のほとんどは希望退職
雇用改革を巡る議論がこのように迷走する原因は、財界から「解雇の自由化」という形で要請が出てくるためだ。労働組合にとっては解雇を許したら組織は立ちゆかないし、連合の関連団体に多くのOBが天下りしている厚労省も労組と一体だ。
しかし現在の規制で、労働者は守られているのだろうか。中小企業ではかなり自由に解雇が行われているので、労働法に関係するのは大企業の正社員に限られる。この場合も、整理解雇や指名解雇のような形で行われることは少なく、ほとんどは希望退職の募集である。
例えば経営不振の半導体大手、ルネサスエレクトロニクスは、昨年から今年にかけて社員の3割近い1万人以上を削減したが、すべて希望退職であり、雇用規制とは関係ない。大企業では経営者が「人員整理=経営悪化」というイメージを嫌うため、経営不振になっても一時帰休などでしのぎ、ルネサスのように絶体絶命になってから大量にクビにすることが多い。
主な上場企業の希望・早期退職者の募集実施推移(募集人数で募集枠を設けていないケースは応募人数をカウント)、出所:東京商工リサーチ
その結果、希望退職者の数は大きく変動し、東京商工リサーチの調べによると、上の図のようにふだんは数千人なのだが、2002年の不良債権の最終処理や2009年のリーマン・ショック後のような業績悪化のとき激増する。このときは会社そのものが破綻することが多い。
労働者が企業と心中する社会
大企業は日常的には社内失業が増えても要員には手をつけないで、企業が破綻に瀕してから人員整理を行うのが日本的経営の倫理とされている。だから日本の正社員は手厚く守られているように見えるが、それは会社の経営が順調に行っているときだけで、経営が行き詰まると労働者は企業と心中するしかない。
これが日本の企業収益を悪化させているばかりでなく、労働者の人生を大きく狂わせる。日本以外の国では、例えば溶接工は溶接工場に採用され、溶接が必要なくなったら他の会社に移って溶接工をすればよいが、日本では「何でも屋」のサラリーマンを雇っていろいろな仕事に使い回すので、他の会社では使い物にならない。
だから問題は解雇ルールよりも、仕事がなくなったら一定の割増金を払って希望退職を募集する退職ルールをつくることだ。これは法律より社内の労使慣行の問題で、外資系企業は日本でもやっている。仕事がなくなったら労働者が辞めるのは、日本以外の国では当たり前である。
もちろん、こういう働き方の変更は容易ではないが、日本の会社もいつまで存在するか分からない。労働者は自分の身を守るためにも会社から自立し、自分の人生を自分で決める必要がある。
ところが厚労省の政策は逆で、社内失業者の休業手当を政府が最大9割も補填する雇用調整助成金が今年度も2100億円も支給される。これは実質的に破綻している「ゾンビ企業」を延命するばかりでなく、仕事のない「ゾンビ労働者」を増やし、日本経済の停滞の大きな原因になっている。
雇用調整助成金は廃止し、それに使われている予算は、仕事のなくなった労働者が新たな仕事につけるような「労働移動助成金」のような制度に使うべきである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/37566
10年で財政赤字178兆円削減=富裕層増税、社会保障費は抑制―米予算教書
時事通信 4月10日(水)19時5分配信
【ワシントン時事】オバマ米大統領は10日、2014会計年度(13年10月〜14年9月)の予算教書を議会に提出した。富裕層の増税や社会保障費の抑制などで財政赤字を10年間で1兆8000億ドル(178兆円)削減、23年度までに対国内総生産(GDP)比で1.7%に抑制するとした。13年度の財政赤字は9729億200万ドルとし、5年ぶりに1兆ドルを下回ると予想した。また、中間層の雇用創出に向けた投資策も盛り込み、3月に発動した強制歳出削減を停止させたい考えだ。
今回の予算教書は、赤字削減策の取りまとめ作業を今後本格化させる与野党に対し、大統領自らが「譲歩案」を提示したものと位置付けられる。ただ、野党共和党が富裕層増税に反対する一方で、与党民主党も社会保障費抑制を拒否する構えを示しており、歩み寄りは容易ではない。
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米空軍、太平洋共同演習を中止=政府緊縮財政の影響−同盟国も参加予定
最終更新:4月11日(木)7時5分
米大統領、予算教書を議会に提出 記者リポ映像(日本テレビ系(NNN))8時24分
米予算教書 10年で赤字1兆8000億ドル減 増税に共和反発 実現至難(産経新聞)7時55分
米国防予算の要求額5266億ドル、国内基地縮小など盛り込む(ロイター)7時45分
米財政赤字、22.9%減=「財政の崖」合意で歳入増―13年度上半期(時事通信)6時33分
米予算教書、10年で財政赤字1.8兆ドル削減へ(ロイター)6時32分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130410-00000130-jij-n_ame
【第47回】 2013年4月11日 森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
英キャメロン首相を激怒させたスタバ
国家vs.多国籍企業の租税戦争が始まる
スターバックスが
火をつけた租税回避問題
?英国キャメロン首相は、スターバックス英国法人(以下、スタバ社)の英国政府に支払う法人税額が少ないことに驚いた。それは98年に事業を開始して以来、30億ポンド(1ポンド150円で4500億円)の売り上げがあったにもかかわらず、法人税の納税額はわずかに860万ポンド(12億9000万円)、利益を計上した年はわずか一年間、という驚くべき実態であった。
?一般大衆もこれには怒りをぶつけて、不買運動や「フェアな分担をすべきだ」とプラカードを掲げたデモ騒ぎにつながっている。
?このような中で、英国議会もこれを取り上げ、スタバ社や、同様な租税回避をしているアマゾン、グーグルの幹部を議会に呼んで追求をした。英国では、多国籍企業の租税回避が、大きな社会問題となっているのである。
?租税回避をもたらしている要因は、米国をはじめとする世界の一流多国籍企業の行う「タックス・プラニング」である。その仕組みは、決して複雑なものではない。
スタバが実行した
タックス・プランニングの中身
?スターバックス社のプラニングはこうである。
?まず、スターバックス英国法人は、ローストしたコーヒー豆をスイスの関連法人から仕入れている。その価格をいろいろな理由をつけて、市場価格より高く購入すれば、英国法人の利益は圧縮され、スイス法人にその分だけシフトすることになる。
?次に、英国法人は、オランダの関連法人に、スターバックスの使用する商標や特許、さらには接客マニアルなどのロイヤルティーを払っている。これは相場があるわけではないので、多めに払えば英国法人の所得は圧縮でき、オランダにシフトされることになる。
?さらに、米国の関連法人から借金をして利子を返済している。これも、必要以上に借り入れれば、利払いを通じて英国法人の利益は圧縮でき、米国法人にシフトされる。
?このように、プラニング自体は決して複雑な取引ではないし、基本的に「合法」である。プラニングのミソは、いずれも取引の相手がみずからの関連法人なので、「取引価格に自由裁量の余地がある」ということである。
?オランダやスイスは、一般的な意味でのタックスヘイブン国である。そこに所得を移転できれば、税負担を大幅に軽減するプラニングが可能になる。
市場価格が存在しないため
適正な価格が判断しにくい
?先進諸国は、このようなタックス・プラニングに、手をこまねいているわけではない。英国も、わが国も、いろいろ対処できる法律を持っている。
?例えば、関連会社からの仕入れ価格を市場価格より高く仕入れたり、関連会社に安く売ったりして所得を圧縮することに対しては、移転価格税制というツールがあり、その取引価格が市場価格に引き直されるのである。
?商標権や特許権(無体財産権)の支払額が、必要以上に多い(結果として所得は圧縮される)場合や必要以上の借り入れを起こす場合にも、当局は、それを通常の取引価格に引きなおして課税することが可能である。これらの規定は、OECD諸国でほぼ統一されている。
?そうすると問題は、スターバックスの仕入れ価格や使用料の支払いが、「通常の価格」と比べて高いのかどうかということになる。しかし、同じ資本系列の関連会社間での取引について、その取引価格が市場価格と比べて高いかどうかといっても、商標権や特許権などには相場があるわけではないので、判断はきわめて難しい。
?このように、今回のスタバ社のような、税負担回避のために行うさまざまなプラニングは、法を犯す脱税ではなく、倫理的な要素の入ってくる分野であるといえよう。
?結局、そこはグレーにしたままで、英国税制当局との間で、「2013年、14年の2年間、自発的に1000万ポンドの税金を英国政府に対して支払う」ことで合意した。
?この背景には、「税金のフェアな分担をすべき」という大衆のナイーブな感覚がある。法律の問題ではなく、道徳の問題だ、ということである。
?問題は、スターバックス英国法人のようなプラニングは、米系を中心に多くの多国籍企業が日常的に行っているということである。わが国でも、アマゾン社をはじめ、多くの米系多国籍企業が、そのプラニングをめぐって東京国税局ともめている。
?彼らには、プラニングを通じた租税回避は知恵を働かせた結果で、むしろ誇りにすべきだ、という風潮すら見受けられる。
?翻って日本企業には、米国多国籍企業のように税金をコストと考えてぎりぎりまでプラニングするという考え方は、今のところ限定的である。しかし、グローバル競争のもと、外国人の株主比率も多くなり、プラニングをせざるを得ない状況に追い込まれる可能性もある。
今夏のサミットでも
租税回避措置が議論に
?スタバ社の事例は、キャメロン首相を激怒させた。彼は、自らが議長を務めるG20モスクワ会合(本年2月)の場で、OECD租税委員会(議長は日本人)に対して、「各国の税源を浸食するような多国籍企業の利益移転への対応」についての行動計画(Action Plan)を、6月までに策定することを求めたのである。
? 夏に開催予定の英国サミットでも、議長として取り上げることが予定されている。
?すでに、OECD租税委員会から「Addressing Base Erosion and Profit Shifting」(通称BEPS)と題する報告書が公表され、その手法や対応案など具体的な議論が始まっている。報告書には、租税回避を防ぐ様々なアイデアが記されている。
?企業のグローバル化と、これに伴うタックス・プラニングは、高齢化に伴う費用高騰に悩まされている先進諸国にとって、貴重な税財源を損なう結果となるので、なんとも阻止したいところである。
?オランダやアイルランドは、OECD加盟国であるので、彼らを交えた議論が進み、何らかのルール作りができることは、先進諸国にとってきわめて重要なことだ。また、そのようなルールは、ビジネスにとっても、タックスリスクを軽減するというメリットもある。
?スターバックスは、絶好の機会を与えてくれたといえよう。
http://diamond.jp/articles/print/34503
キプロス救済劇は、ユーロ危機の質を変えた
銀行経営破綻の責任は誰が負う
2013年4月11日(木) 熊谷 徹
あなたが銀行に預けていたお金の一部が政府によって没収され、国家の政策実施ために使われる―――。読者の皆さんは、「社会主義国家ではあるまいし、そんな事態はありえないとお思いになるかもしれない。だが今年の3月以来、欧州通貨同盟に属する国で、銀行口座に10万ユーロ(1200万円・1ユーロ=120円換算)以上のお金を持つ市民や企業の間では、このシナリオは決して夢物語ではなくなり、強い現実性を帯びた。
異例の自己負担金
欧州連合(EU)によるキプロス救済措置は、ユーロ危機の質を変えた。ユーロ圏の銀行リスクに対する投資家の見方も変わるだろう。救済コストを負担させられるリスクが、預金者にまで忍び寄ってきたからである。
今年3月25日、ユーロ・グループ(ユーロ圏・財務相会合)はキプロス政府に100億ユーロ(1兆2000億円)の緊急融資を行うことを決めた。その条件として、同国政府が58億ユーロ(6960億円)の「自己負担金」を拠出することを義務づけた。
ユーロ危機をめぐる救済劇で、債務危機に陥った国がこれほど多額の自己負担を求められた例はない。一体、地中海の島で何が起きたのだろうか。
キプロスの人口は、約112万人。欧州で最も小さい国の1つである。同国の2012年の国内総生産(GDP)は、約179億ユーロ(2兆1480億円)で、マルタ、エストニアに次いでEU27カ国の中で3番目に小さい。これはドイツのGDPの148分の1、EU全体のGDPの0.14%にすぎない。
元々キプロスは、欧州市民の間ではバカンスを過ごす島として知られる程度だった。その超ミニ国家は、身の丈を超えた銀行バブルに踊り、ギリシャ危機の火の粉を浴びて挫折した。
EU主要国とキプロスのGDP比較(2012年)
資料・欧州連合統計局
「地中海の金融センター」をめざしたミニ国家
キプロスは、中東諸国に地理的に近いため、1970年代に始まったレバノン内戦の頃から、アラブ地域に住む裕福な市民や企業が、資金を避難させる場所として使ってきた。この国は1914年から1960年まで英国の植民地だったため、西欧の法制度が導入されていた。中東諸国に比べて経済インフラが比較的整っていたことが、富裕層に安心感を与えたのである。1970年代にトルコ系住民とギリシャ系住民の間でキプロス紛争が勃発し、国土の分割に至ったことを除けば、政情も比較的安定していた。
この島は、ロシアや東欧諸国からの資金の逃避先としても利用されてきた。キプロスの人口の約72%はギリシャ系住民。彼らの多くは、ロシア正教会やセルビア正教会と同じ流れを汲むギリシャ正教会の信者である。キリル文字を使用することもあり、ロシアやセルビアとは深い関係にある。
ドイツ在住のあるユダヤ人A氏は、テルアビブの友人を訪れるためにドイツからイスラエルへ飛ぶ際に、セルビアの国営航空会社がキプロスのニコシア経由でベオグラードとテルアビブを結ぶ便を頻繁に利用していた。航空券の値段が割安だったからである。この時A氏は、ベオグラードで乗り込んだ乗客の大半がニコシアで飛行機を降り、その一部の乗客がアタッシュケースを鎖で手首に結び付けているのを目撃している。このセルビア人たちは、現金をキプロスの銀行に運んでいたのであろう。
2004年にEUに加盟したキプロスは、「地中海の金融センター」となるべく、外国からの資金流入を促進しようとした。
外資企業にとって、外国企業に対する同国の法人税率が10%と低いことが大きな魅力だった。さらに有価証券取引で上げた利益が非課税だったこと、また資金の出所に対する政府の監視が弱かったことも、外資をひきつけた。たとえばドイツの税務署は、国外からの多額の資金の振り込みや、多額の現金の預け入れなどを、銀行の協力を得ながら厳しく監視している。キプロスの税務署は、これほど厳しいチェックは行っていない。
富裕層だけでなく、中間層もキプロスの銀行を節税のために使っていた。ミュンヘン出身のあるドイツ人は、毎年6カ月以上キプロスで過ごすことによって、ドイツよりも低い税率の恩恵を享受した。彼はこの方法で、100万ユーロ(1億2000万円)貯めることに成功した。彼は、キプロス銀行かライキ銀行に預金を持っていたのだろうか。もしも事前に預金を国外へ移していなかったら、今は大変困っているに違いない。
またキプロスの銀行は、投資家に比較的高い利率の金融商品を提供した。たとえばキプロス中央銀行とドイツ連邦銀行によると、2013年1月の時点で、キプロスの銀行は、個人顧客向けの2年物の定期預金に、年率4.45%の利息を提供していた。ドイツでは同種の定期預金の利息は1.51%にすぎない。
ギリシャ債務減免が命取りに
キプロスの銀行預金口座の37%は外国人が持っており、そのうち3分の1がロシアなどユーロ圏に属さない名義人のもの。バークレイズ銀行は、外国人がキプロスに持つ預金額を256億ユーロ(3兆720億円)、信用格付け機関ムーディーズは、その金額を310億ユーロ(3兆7200億円)と推定している。
キプロスの銀行の預金額は自国民と外国人を合わせて684億ユーロ。同国のGDP(179億ユーロ)の約3.8倍に膨れ上がっていた。どう見ても、バブルである。
キプロスの銀行預金の分布(2013年1月)
資料・バークレイズ銀行、キプロス中央銀行など
欧州の一部のメディアは、「この中に資金洗浄のための預金や、課税を回避するための資金が含まれている可能性がある」と見ている(キプロス政府は、「資金洗浄に関する全てのEU指令を法制化している」として、こうした疑惑を否定している)。この問題を調査するため、欧州委員会の「資金洗浄調査委員会」は3月19日に、キプロスに調査団を派遣した。
さらに、ギリシャ経済との密接な結びつきが、キプロスにとってアキレス腱となった。キプロスにはギリシャの金融機関の子会社が多い。ギリシャにもキプロスの金融機関が進出している。キプロスの銀行業界で首位にあるキプロス銀行と第2位のライキ銀行が経営難に追い込まれたのは、多額のギリシャ国債を保有していたからである。
ライキ銀行は、35億ユーロ相当のギリシャ国債を購入していた。これは総資産の9%にあたる。欧州の金融関係者の間では、ギリシャが借金を返済できる見込みが薄くなっていたにもかかわらず、ライキ銀行が同国の国債を買い続けたことを不審に思う向きが少なくない。
2012年3月にEUは、ギリシャの国家破綻を回避するために、民間銀行などが持っていた1070億ユーロ(12兆8400億円)の債権の減免を決定。この「ヘアカット」のために、キプロスの銀行は多額の損失を抱え込むことになった。これを救うために、同国政府は2012年7月にEUに対して支援を要請したのである。
キプロスの銀行危機は、ギリシャの債務危機が飛び火したものなのだ。
10万ユーロ超の預金者に多額の損失
キプロスが58億ユーロの自己負担という特別な条件を課された理由は、同国の経済規模が極めて小さいことにある。キプロスの累積公的債務が国内総生産(GDP)に占める比率は、2012年末の時点で約89.7%。EUから救済資金として100億ユーロを借りると、GDPが少ないために、債務比率が145%にはね上がってしまう。
ユーロ圏の公的債務残高 (2012年)
資料・欧州連合統計局
EUは、キプロスがギリシャの二の舞いとなることを恐れている。ギリシャは、約177%の公的債務比率に苦しんでおり、債務減免や度重なる緊急融資にもかかわらず、いつになれば自力で借金と利息を返済できるか、見通しが立っていない。
このためEUはキプロスに対し、「2020年までに債務比率を100%に減らす」という条件も課した。同国はこの目標を達成するために、58億ユーロの自己負担金を払わなくてはならないのだ。これは、同国のGDPの3分の1に相当する額であり、国庫からの支出は不可能。したがって政府は、銀行に積み上がっている企業や個人の預金に手を伸ばさざるを得なかった。
EUとキプロス政府の合意によると、58億ユーロの自己負担金を拠出させられるのは、危機の主因となったキプロス銀行とライキ銀行において10万ユーロを超える預金を持つ企業と個人だ。
彼らの預金のうち10万ユーロを超える金額の一部が、政府によって「没収」される。没収される比率はまだ確定していないが、40%から60%にのぼると推定されている。
これまでギリシャ国債を買った投資家が、債権を放棄させられて損失を受けたことはあった。しかしユーロ圏加盟国の政府が、銀行そして国家の破綻を回避するために、銀行顧客が持つ預金の一部まで没収するのは、キプロス危機が初めてである。
ロシアのプーチン大統領とメドヴェージェフ首相は「今回の措置は、所有権を剥奪することに等しく、不公平で危険である」とユーロ・グループの決定を批判した。
キプロス方式が手本に?
キプロス危機をきっかけに、ユーロ圏の銀行預金が持つリスクは大幅に高まった――こうした見方は、ユーロ・グループのイエロン・デイセルブルム議長の発言によって増幅された。
デイセルブルム氏はEUとキプロス政府が支援策について合意した直後、報道機関に対して「株主や債権者だけでなく、大口預金者にも銀行救済のためのコストを負担させる方法は、今後、ユーロ圏における銀行救済の手本になりうる」と公言したのだ。彼は「金融機関の関係者の耳には不快に響くだろうが、銀行が破綻の危機に陥った場合、ユーロ・グループが常にすんなりと救いの手を差し伸べるわけではない」と述べ、キプロスのケースが将来の銀行救済の方向を指し示すという見解を打ち出した。
デイセルブルム氏は、オランダの財務大臣である。オランダやドイツなど欧州の北部の国々では、リーマン・ショック以降、銀行救済に市民の血税が使われることについて、不満が高まっている。
銀行が黒字を出した場合には、その一部が株主や取締役のポケットに入る。だが巨額の赤字を出して破綻の危険が高まった場合は、投資家や経営者以外も責任を負わされる。EU域内の多くの大銀行は、「銀行が倒産すると世界の金融システムに悪影響が及び、他国でも連鎖倒産を引き起こすかもしれない」という理由で、公的資金の注入によって救済されてきた。デイセルブルム氏の発言には、「銀行の利益は私有化されるのに、損失は公共化される。納税者にツケが回る」というこれまでの悪しき図式を変えようという意図が感じられる。
他の欧州諸国の政治家の発言からも、将来、銀行救済のコストを大口預金者に負担させるという方向性がはっきりと読み取れる。
たとえば、欧州委員会で市場統合を担当するミシェル・バルニエ委員は、「域内の銀行の破綻処理に関する指令を作り、その中に『大口顧客の預金のうち、10万ユーロを超える部分については、破綻処理のための資金として使える』という1文を盛り込むかもしれない」と述べ、大口預金者の負担を増やすことに賛成している。
フィンランドのイルキ・カタイネン首相も「市場経済では、銀行が破綻する場合に投資家も損失をこうむるのは当然だ」と発言。ドイツのヴォルフガング・ショイブレ財務大臣も「キプロスの銀行は、ドイツの銀行を上回る金利を顧客に提供していた。高い金利がリスクを伴うのは、避けられない」と述べ、大口預金者にコストを負担させることは正しいという態度を示した。
デイセルブルム氏は、その後、金融市場への悪影響を懸念して最初のコメントを和らげた。「キプロスでの銀行救済は、特殊なケースである」。欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁も、同様の声明を発表している。
だが政治家や通貨当局者たちが「キプロスで使った手法は、将来の銀行救済の手本にはならない」といくら約束しても、預金の一部に手を伸ばす前例が今回できたこと――これは否定できない事実だ。2009年末に表面化したユーロ危機において、事態が悪化したために、政治家たちが以前にした約束をあっさりと破った例を、我々はすでに何回も目にしてきた。
当初は小口預金者も含めていた
ユーロ危機をめぐって、これまですでにギリシャ、ポルトガル、スペイン、アイルランドがEUなどの救済・支援措置を受けている。だがキプロス危機がこれまでの救済劇と大きく異なる点は、銀行預金の没収が最大の焦点となったことだ。しかも、この問題をめぐるユーロ・グループの当初の対応は混乱を極め、欧州のエリート政治家たちの危機管理能力の低さを改めて露呈した。
混乱が頂点に達したのは、100億ユーロ融資の合意に至る10日前のことである。ユーロ圏の財務大臣たちとキプロス政府は、3月15日から翌日にかけて、ブリュッセルで同国の救済方法について協議した。
3月16日の土曜日に、ユーロ・グループが10時間に及ぶ徹夜の会議の末に発表した「救済プラン」の内容は、欧州全体に強い衝撃を与えた。銀行を破綻の危機から救うために、欧州の歴史で初めて、全ての銀行預金者の口座から「特別税」を強制的に徴収する方針だったからだ。
この日の発表では、銀行預金額が10万ユーロ以上の口座からは9.9%、この額を下回る口座からは6.75%を徴収することになっていた。しかも、この措置をどの銀行に適用するのか、明確にしていなかった。ニュースを聞いた多くの預金者は、危機の主因となったキプロス銀行とライキ銀行だけでなく、全ての銀行口座が対象になると思ったはずだ。
当初ユーロ・グループが小額預金者をも「部分的な国有化」の対象に含めたことは、キプロス市民だけでなく、ユーロ圏に住む全ての市民、そして金融業界にとって「青天の霹靂」だった。もしもこの特別税が発動されていたら、キプロスの銀行に3万ユーロ(360万円)の貯金がある顧客は、2025ユーロ(24万3000円)を「没収」されるところだった。
ユーロ・グループがこの措置に踏み切ったのは、預金の部分的な没収措置を10万ユーロを超える口座に限った場合、企業や富裕層がキプロスから資本を逃避させる動きが加速する懸念があったからだ。また、3月に入ってから、キプロスの銀行で10万ユーロを超える預金を持つ顧客が、預金を小額の口座に分散させる動きも見られた。
キプロス政府のミカリス・サリス財務大臣(当時)は、小額預金者を含めることに反対したとされる。しかし3月15日から16日未明にかけてブリュッセルで開かれた財務相会議で、ユーロ・グループのデイセルブルム議長は、サリス氏に「あたかもピストルを頭に突きつけるような態度」(ある会議参加者の発言)で、ユーロ・グループの提案を呑むように迫ったと伝えられている。10時間の徹夜会議で疲労困憊したサリス氏は、小額預金の部分的没収を含む救済プランに同意せざるを得なかった。
キプロス政府は市民に対して今年2月、「個人の銀行預金に影響を与えるような救済プランは、絶対に受け入れない」と説明していた。だが、その口約束はユーロ・グループの強い圧力の前にあっさりと破られた。怒涛のように押し寄せる債務危機・銀行危機の前に、南欧の小国の政治家は、その言葉に木の葉一枚の重みを与えることすらできなかった。
欧州全体で激しい反発
私は3月16日にこの発表を聞いた時、ユーロ・グループがEU法に違反する「超法規措置」に踏み切ったことに大変驚いた。
EU域内の全ての銀行預金は、2010年12月31日に施行された法律によって、1預金者あたり10万ユーロまで保証されているからだ。EU域内では銀行が倒産しても、預金者は最高10万ユーロの補償を受けられる。ユーロ・グループは、この規則を施行から3年も経たないうちに反故にする政策を打ち出したわけである。3月16日の時点では、多くの市民が「ユーロ圏の預金は安全ではない」と痛感したはずだ。
マンハイム大学のティルマン・ラウフート教授は、「ユーロ・グループの決定はEUの預金者保護規定に反する。銀行が倒産した場合には10万ユーロが補償されるのに、キプロスの市民にとっては、この保護規定が通用しないことになる」と述べ、政策の矛盾点を指摘した。
さらに16日から17日の週末にかけて、一部のメディアが「キプロスの一部の現金自動預け払い機では、預金を下ろすと、すでに6.75%が差し引かれていた」というデマを確認しないまま報じた。これが混乱に輪をかけた。このような特別税は、議会が法案を承認しない限り通常徴収されない。今回のように人々の不安が高まっている時こそ、メディアは情報の確度を十分チェックして、無責任な報道を控えるべきだろう。
週明けの金融市場は、「キプロスをめぐる決定によってユーロの不安定性が高まった」と判断。主要な通貨に対するユーロの交換レートは3月18日、1%から2%下落した。またこの日、ロシアのVTB銀行の株価が5.31%、イタリアのバンカ・モンテ・デル・パスキ銀行の株価が4.65%下落したのをはじめとして、英国やイタリア、ロシアで銀行銘柄の株価が下がった。投資家たちは少なくとも一時的に、「預金の部分的な没収措置により、ユーロ圏で顧客の銀行離れが始まるかもしれない」と判断したのだろう。
モルガン・スタンレーの主任エコノミスト、ヨアヒム・フェルス氏は「全ての預金者から特別税を徴収する計画は、金融システム全体に悪影響を及ぼし、ユーロ圏の不安定要因を増やす」と批判した。米国の金融コンサルタント会社カンバーランド・アドバイザーズのデビッド・コトク氏は、「信じられない政策だ。ユーロ・グループは、自分の足を撃つようなものだ」と酷評した。
ドイツの保守系日刊紙「フランクフルター・アルゲマイネ」紙のホルガー・シュテルツナー記者も、「ユーロ・グループの杜撰な救済プランは、当初小口預金をも部分的な没収の対象に含めたことで、ユーロ圏の銀行口座の信用を破壊した。これ以上の信頼失墜があるだろうか」と財務大臣たちの失策を厳しく批判している。
リーマン・ショックの余波で欧州の金融界が動揺していた2008年10月に、ドイツのメルケル首相は当時の財務大臣と並んでビデオカメラの前に立ち、「ドイツの全ての預金は安全だ。預金者は1ユーロも失わない」と保証した。メルケル政権のスポークスマンは、今年3月18日の記者会見で「当時の保証には、何の変更もない」と強調した。これはキプロスをめぐるユーロ・グループの決定について、ドイツで不安感が高まっていたことを示している。
ドイツなどユーロ圏加盟国の市民の多くは、それまで、キプロス危機を遠く離れた地中海の島の出来事と感じていた。ところが「預金者全員に負担させる」というユーロ・グループの発表によって、キプロス危機は彼らにとって、突然身近なものになったのだ。
キプロス議会の反抗
ユーロ・グループがこの決定を発表して以降、キプロスでは、多くの市民が預金を引き出すために、現金自動預け払い機に列をなした。だが1人が引き出せる額は300ユーロ(3万6000円)に制限された。特に危機の主因となったキプロス銀行とライキ銀行は取り付け騒ぎを恐れて、週明け直後、店を開くことができなかった。
キプロスだけでなく欧州全体で、ユーロ・グループが部分的な没収措置の対象に小額預金者を含めたことに対する批判の声が強まった。16日のブリュッセルでの会議に出席した蔵相たちからは、「10万ユーロ未満の預金者を含めるよう求めたのは、私ではない」と他国の政治家に責任を押しつける発言が相次いだ。
週明けの3月19日には、事態はさらに紛糾の度を増した。この日、キプロス議会が政府の「強制徴収案」を事実上の全会一致で否決したのだ。棄権した議員はいたが、政府案に賛成した議員は1人もいなかった。議会が否決したことで、ユーロ・グループの救済プランは宙に浮いた。キプロス政府が58億ユーロを拠出しない場合は、EUや国際通貨基金(IMF)は100億ユーロの緊急融資を行わないことになっていた。
キプロスはEUで最小の国の1つである。であるにもかかわらず、その救済劇は、2009年のユーロ危機の表面化以来、最も緊迫したものとなった。それは、ユーロ・グループがキプロス政府と合意できない場合、キプロスが無秩序な破綻に陥る可能性があったからだ。
3月末の時点で、キプロス銀行とライキ銀行の唯一の生命線はECBによる緊急流動性支援金(ELA)だった。これは、銀行を破綻させないための、最後の「生命維持装置」だ。ECBは両行が流動性を失わないように、94億ユーロ(1兆1280億円)のELAを注入していた。ただし、「キプロスがEUの救援パッケージを受け入れない限り、3月25日の月曜日にELAを打ち切る」と宣言していた。
ELAがカットされた場合、2つの銀行は破綻し、キプロス政府も債務不履行に陥る。3月最後の週にユーロ圏内では、「キプロスがユーロ圏から脱退する可能性」が真剣に議論されていたのだ。
事態がここまで悪化した理由は、ユーロ・グループが小口の預金者まで部分的な預金没収の対象としたことで、同国市民と議会の怒りを買ったことにある。この意味で、ユーロ圏の財務大臣たちの危機管理、特にコミュニケーション戦略は大失敗だったと言わざるを得ない。
ユーロの信用性に打撃
3月25日に、ユーロ・グループは部分的没収の対象を、キプロス銀行とライキ銀行の、預金額が10万ユーロを超える口座に限ることを決めた。預金額が10万ユーロ未満の口座は除外する。ライキ銀行は解体され、10万ユーロ未満の預金口座は、キプロス銀行に移される。2つの銀行の大口預金者、株主らは多額の金を失う。
キプロスが国家として破綻する事態は、EUの緊急融資によって回避された。欧州のメディアは今回の事態を「タンカーが氷山にぶつかる直前の、ぎりぎりの所で衝突が避けられた」と形容している。
キプロス政府が銀行に対する規制や監視をこれまで十分に行なってこなかったことのツケは重い。低い法人税と高い利息によって「地中海の金融センター」になるというキプロスの夢は、水面に浮かぶうたかたのように崩壊した。今回問題となったライキ銀行の頭取だったこともあるサリス財務大臣は、4月2日に引責辞任した。同国議会の調査委員会は、ギリシャ、キプロス、そしてロシアの間で何が起きていたのかを解明する作業に乗り出す。地中海のマネーゲームの実態解明と責任者の追及は急務だ。
急激に肥大したキプロスの銀行部門は、大幅に縮小される。このためEUとECBは、キプロスの今年のGDPが3.5%減少すると予測している。キプロスの議会関係者からは、不況が深刻化することによって、成長率がマイナス8〜9%に達すると危惧する声が出ている。
ユーロの信用に加えられた打撃も大きい。EU市民は、ユーロ・グループが、小口預金者を部分的没収の対象に一度は含めたことを忘れないだろう。
ドイツでは現在、不動産投資が大ブームとなっている。「ユーロ危機のために将来インフレが激化して、預金や生命保険など金融資産の価値が下がる」との懸念からだ。ユーロ危機が預金の部分的な没収にも発展し得ることを示したキプロス救済劇は、ドイツ人、そして欧州市民の不動産への傾斜に拍車をかけるに違いない。
さらに、肝に銘じなくてはならないことがある。キプロスのような小国の救済でも、これだけの混乱と紛糾をもたらす。
そう考えると、万一、イタリアで深刻な銀行危機が発生し、救済が必要になった場合、どれほどの混乱が生じるのか? イタリアはユーロ圏で3番目に大きな経済規模を持つ。その公的債務比率は約127%とギリシャに次いで高い。救済劇の混乱は、キプロスとは比較にならない規模に達するだろう。
EUの緊急融資機関の融資枠が足りなくなった場合、ユーロ・グループは域内に住む庶民の小口預金にまで、手を伸ばすだろうか? キプロスの前例を見てしまった私は、この問いに確信を持って「ノー」と答えることができなくなった。
しかもイタリアでは、前回お伝えしたように、総選挙から1カ月以上たった今もなお政府が誕生せず、混乱が続いている。欧州では、イタリア政治の混迷状態について、日一日と懸念が強まっている。
2年前にこの連載を開始した時、筆者は「ユーロ危機の天王山はイタリア」と書いた。ユーロ圏の銀行にささやかな(10万ユーロよりもはるかに少ない)額の預金口座を持つ一外国人としては、イタリア救済が必要にならないことを切に願っている。
熊谷 徹(くまがい・とおる)
在独ジャーナリスト。1959年東京都生まれ。早稲田大学政経学部経済学科卒業後、日本放送協会(NHK)に入局、神戸放送局配属。87年特報部(国際部)に配属、89年ワシントン支局に配属。90年NHK退職後、ドイツ・ミュンヘン市に移住。ドイツ統一後の変化、欧州の安全保障問題、欧州経済通貨同盟などをテーマとして取材・執筆活動を行う。主な著書に『ドイツ病に学べ』、『びっくり先進国ドイツ』『ドイツは過去とどう向き合ってきたか』『顔のない男―東ドイツ最強スパイの栄光と挫折』『観光コースでないベルリン―ヨーロッパ現代史の十字路』『あっぱれ技術大国ドイツ』『なぜメルケルは「転向」したのか――ドイツ原子力四〇年戦争』ほか多数。ホームページはこちら。ミクシィでも実名で日記を公開中。
日本の円安もあるが
北朝鮮の挑発で、ウォン安株安が顕著
「安心して韓国へ投資を」=朴大統領が呼び掛け
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2013/04/11/0900000000AJP20130411003100882.HTML
僕が実際に体験した不思議な恋愛についてお話します。
三年程前、僕はある一人の女性と付き合っていました。
彼女は僕よりもいくつか年上だったのですが、子供っぽい雰囲気を持つ人でした。
容姿から喋り方、仕草まで全てが幼い子供のような人でした。
今思うと、彼女は本当に子供だったのかも知れません。
付き合い始めた切っ掛けは、偶然にもお互いに一目惚れだったのです。
もちろん、初めて会った日から交際を始めたのでは無く、それから随分経ってから交際が始まりました。
最初はお互いに容姿から好きになったのですが、喋ってみると趣味などの共通点も多く、気が付くと彼女の全てを好きになっていました。共通の友達がいたのですが、彼女の事を好きな友人がいた為、仲間内では内緒で交際をしていました。
友人に隠し事をするのはいい事ではありませんが、共有する秘密を持つ事でより親密な関係になっていったのだと思います。極々普通のカップルで相思相愛、何の不満も無くお互いに幸せな日々を過ごしていました。
しかし、ある日を境に信じられない展開になります。
話の始まりは、彼女と付き合って半年ほど経ったある日の事です。
いつものように彼女が夕飯の支度を、僕はその横でお手伝いをしていました。
料理を作りながら二人で仲良く話をしていると…
何が切っ掛けか分かりませんが、突然、彼女は僕の事を忘れてしまったのです。
半年付き合っていて、今の今まで話していて、喧嘩したワケでも無く、唐突に
「あなた誰?」
と真顔で言われたのです。
僕には何が起きたのか理解できませんでした。
何を話しても僕の事を思い出してくれないのです。
何故、自分がここにいるのか?
何故、知らない貴方と料理を作っているのか?
彼女は僕に質問をマシンガンのように浴びせました。
しかし、状況を理解できず混乱している僕に彼女の問いに答える余裕はありませんでした。
最初はイタズラかと思いましたが、少し落ち着いてから順を追って話をしてみると、どうやら本当に僕の事を知らないみたいなのです。
そして、彼女の喋り方や仕草は明らかに僕の知っている彼女では無かったのです。
言うなれば完全に別人でした。
事態を把握できないまま、僕は自分自身の事や僕の知っている彼女の事などを彼女に話す事から始めました。
そして彼女の話を聞いている内に彼女が多重人格である事が分かりました。
今、話をしている彼女は僕の知らない人格の彼女だったのです。
つまり、彼女からしても僕とは初対面なので、まったく知らない人だったのです。
しかし、僕の事を知ったもう一つの人格の彼女はその後も頻繁に僕の前に出てくるようになりました。
これを境にごく普通の幸せな恋愛から現実離れした特異な恋愛に変わっていったのです。
後になって知った事なのですが、彼女は幼い頃に家族から受けた虐待が原因で人格が分離してしまったようです。
本当に極一部の人にしか当てはまらない事なのですが、そういった虐待などの経験を持つ人の中には、通常の思い出を記憶する場所とは別のところに辛い思い出を記憶してしまう人がいるのです。
簡単に言うと辛い事を記憶する場所が別に用意されているのです。
人の人格は経験…、つまり記憶から作られていると言っても過言ではありません。
辛い事を別の場所に記憶すると、その記憶が溜まるにつれて一つの別人格が生まれてくるのです。
言わば同じ一つの身体の中にまったく違う過去を持った二人の人間が存在するようになるのです。
一つの人格は普通の生活を送ってきた記憶しかないので、とても純粋な子供のような性格です。
社会に出すのが怖いほど純粋過ぎる性格でした。
もう一つの人格は、家族からの虐待など辛い事だけを味わってきた人格です。
精神的にはとても強いのですが、やはり辛い現実ばかりを見てきた為に、考え方が曲がった部分も多く、性格はツンツンしていて突っ張った印象を受ける人格でした。
しかし、彼女は自分が辛い思いをしてまで、もう一人の純粋な自分をずっと守ってきたのです。
気の強い人格の彼女は口調もきつく、多少接し辛いところもありましたが、今まで辛い思いをしてきたのだと思うと、僕は彼女のきつい性格を嫌いになる事はできませんでした。
元々はもう一人の自分を守る為に生まれてきた人格なので、きつい口調の中にたまに優しさを垣間見ることもあり、次第にその人格の彼女の事も好きになり始めました。
純粋な人格が妹だとすると、気の強い人格の彼女はまるでお姉さんのようでした。
知識も豊富なので、もしかしたら今まで殆どの時間は気の強い彼女が過ごしてきたのかも知れません。
それほどに辛い時間が多かったと言う事でしょうか…。
出会った頃の僕は、純粋な人格の彼女を好きだったのです。
気の強い彼女は付き合い始めの頃は、僕の前に出てくる事も無かったからです。
次第に僕は両方の人格を好きになっていたのですが、そこで問題が起きたのです。
気の強い人格の彼女が純粋な性格の彼女に対して嫉妬をし始めたのです。
それは僕が純粋な性格の人格の彼女をも好きだったからです。
それに対し気の強い人格の彼女は強く嫉妬しました。
僕にはどっちか一方の人格だけを好きになる事なんてできませんでした。
人格は二人であれ、身体は一つしかない一人の女性なのですから。
その一人の女性を人格によって好き・嫌いと別ける事など僕にはできません。
ただ僕自身もまるで二人の女性を愛しているような、そんな錯覚に陥っていたのも事実です。
そこで僕が導いた答えは二つの人格を一つにする、つまり多重人格を治すという事でした。
ここまで極端に違う性格を一つにしたらどういう人格になるかなんて想像できません。
しかし、一つにする事は今後の彼女の為を考えても必要な事だと思いました。
僕なりに色々と調べたのですが、多重人格と言うのは一度かかると癖になるらしいのです。
最初は辛い事だけを別の場所に記憶する事から始まるのですが、それに慣れてしまうと無意識に辛い事以外の思い出も複雑に記憶する場所を別けてしまうのです。
その場所が増えれば増えるほど人格も増えていきます。
それは彼女にとって日常で差し支えになる事は言うまでもありません。
僕は彼女の人格を一つに統一させる事を決意したのです。
人格を一つにするのに必要なのは、別々に別れた全ての記憶を繋げるという事です。
それぞれの人格から彼女の記憶を聞き出す事から始まりました。
彼女の記憶をたどって行くと、小学生の頃の親の離婚が原因で母親が暴力を振るうようになった事から人格が別れ始めた事が分かりました。
この時期を境に彼女の兄も暴力を振るい始めました。
背後を蹴られ階段から突き落とされたり、沸騰した鍋の中の湯に顔を突っ込まれそうになったりなど…
殺されてもおかしく無い程の酷い虐待だったようです。
本来ならば守ってもらえるはずの家族に殺されそうになるという、とても残酷な話でした。
頼れる相手のいない彼女は鏡の中の自分に相談して自分自身を慰めるようになっていったのです。
そして、鏡の中の自分が今の自分とはまったく違う人格だと信じ込み、その人格に憧れを抱くようになったのです。
当時、小学生であった彼女にはあまりに過酷な環境だったのでしょう。
行き場を無くした彼女は、自分を守る為に徐々に新しい人格を作っていったのです。
まるで鏡の中の自分を現実の存在にするように…。
この話は気の強い人格の彼女から聞いたものです。
純粋な人格の彼女はまったく知らない事実です。
しかし、その事実を彼女に話さなくては症状は改善されません。
純粋な人格の彼女は家族を愛していました。
家族にも優しかった時期があるのです。
それは両親が離婚する前でした。
全ての歯車は両親の離婚を境にずれ始めたのです。
離婚の事や女手一つで子供二人を養って行く厳しさが原因で、母の精神状態はストレスで限界に達していたのでしょう。
優しかった母は子供に暴力を奮うようになり、それまで仲良く遊んでくれていた兄も次第に彼女に対し暴力を奮うようになり、彼女は孤立していったのです。
純粋な人格の彼女はそんな虐待の記憶は無く、優しいお母さん、頼りになるお父さん、一緒に遊んでくれるお兄さんの記憶しかありません。
そんな彼女に真実を語る事は、家族との綺麗な思い出を壊してしまう事になるのだろうと思いました。
しかし、真実を知らないままでは彼女の症状は改善されないでしょう。
彼女の悲しむ顔を見るのは僕もとても辛かったのですが、ありのままを話す事にしました。
家族による虐待があった事から、中には第三者による性的な虐待を受けた話もありました。
その話を聞いた僕も辛かったですが、事実を知った彼女はもっと辛かった事でしょう。
それを物語るかのように、純粋な彼女は気の強い彼女に何度も入れ替わろうとしていました。
気の強い彼女が出てくる度に、僕は純粋な人格の彼女を出すように頼みました。
そういった事を繰り返しながら、ゆっくりとゆっくりと真実を彼女に伝えて言ったのです。
最初は僕の話を信じず、ただ泣くだけだった彼女も次第に信じ始めました。
時間はかかりましたが、最後には全ての事実を彼女は受け止める事ができました。
せめてもの救いが、家族と彼女は既に離縁しているので二度と虐待を受ける事は無いと言う事です。
彼女には身内がいません。
家族と離縁してからは、付き合っていた彼氏と同棲するなどして暮らしていました。
幸いにも彼女はかなりの美貌の持ち主であった為に、男性には困った様子も無く、恋人と別れたとしてもすぐに新しい彼氏を見つけ同棲をする事ができたようです。
中には多重人格の症状に気付いた彼氏もいたようですが、彼女のあまりの変貌振りについていけずに別れた人も多いようです。
治そうと試みた彼氏もいたのですが、結果的には失敗に終わり、精神的な辛さから別れてしまうケースが殆どでした。
その度に彼女は自分の居場所を探さなくてはいけないかったのです。
そういった不安定な生活が彼女を苦しめたのは言うまでもありません。
記憶の糸を繋げていくにつれて彼女に変化が表れ始めました。
今までは一人の人格が出ている時はもう一人の人格は暗闇の中に閉じ込められて身動きが取れないような状態であったようですが、症状が改善するにつれてその暗闇が無くなっていったのです。
暗闇が晴れる事によって、一人の人格が今何処にいて何をしているか、もう一人の人格が認識できる状態になったのです。
少なくともこれからは、それぞれの人格で記憶が違ってくる事は無くなったのです。
それから毎日のように彼女の記憶が分離しないように、一日の終わりに今日は何をしたかなど詳しく聞くようにしました。
普通の人には簡単な事でも彼女のように記憶障害を持つ人にとっては、一日全ての行動を正確に思い出す事は容易な事では無いのです。
それでも日が経つに連れ、彼女の症状が次第に良くなっていくのが分かりました。
そして、暫く経ったある日…。
ついに彼女の中の二つの人格が一つになる時が来たのです。
これほど突然に多重人格の症状に終止符を打たれるなど思ってもいませんでした。
もしかしたら、彼女の中の暗闇が取り除かれた時から、いつでも多重人格を治せる状態にあったのかも知れません。
あとは彼女の決意次第だったのでしょう。
彼女の話によると、多重人格を治すにはどちらかの人格が今後の人格のベースになる必要があるようなのです。
つまり、どちらか一方の人格は完全に消えてしまうという事です…。
もちろん、僕にはそれを選ぶ事はできません。
もし選ぶ事ができたとしても、僕には答えは出せなかったでしょう。
消えてしまう人格にとっては、それは永遠の眠りなのです…。
僕は二つの人格を共に同じくらいに好きでした。
二人の人格を愛していた僕にとって、どちらが選ばれるにせよ、それを受け入れる事ができそうにありませんでした。
僕の心の準備も出来ていない内に
「消えるのは私の方だよ。」
と、気の強い彼女が言いました。
気の強い彼女が今まで見せた事のないくらいに悲しい顔をしていました。
今思うと、彼女自身、どちらの人格がベースになるかなど選ぶ事はできなかったのでしょう。
ただ、僕に気を使って…、まるで彼女自身の意思で消える事を決意したかのように…
そう演じようとしていたのではないでしょうか…。
元々、彼女は純粋な人格を守る為に生まれてきた人格です。
自分の存在意義から残るのは自分じゃない…、そう自覚していたと思います。
僕は彼女との思い出など絶え間なく話し、最後の時間を過ごしました。
絶え間なく話しをした事は、彼女の気を紛らわす為でもありましたが…
何よりも、話を止めたら、すぐに彼女が消えていなくなってしまいそうだったからです。
彼女は何も言わずに話す僕の顔を見つめていました。
彼女に僕の声が届いているのか、それさえも分かりませんでした。
それでも僕は話を続けました。
しかし、彼女の意識が薄れていくのがはっきりと分かりました。
意識の限界を感じたのか、彼女は少し笑みを浮かべて
「ありがとう…。」
と、呟きました。
それが彼女の最後の言葉です。
彼女は小さな体を震わせ、大粒の涙を流していました。
気の強い彼女が見せた最初で最後の涙です。
僕は震える彼女の体を包み込む様に抱きしめました。
もっと話をしたかったけど言葉にする事もできず、そのまま静かに抱きしめていました。
本当にこれで良かったのか?
と、僕は何度も何度も自分の胸に問い掛けました。
そんな僕の想いとは裏腹に、彼女は苦しみから解放されたかのよう、まるで生まれたての赤ちゃんの様な表情を浮かべていました。
彼女を苦しめてきた全ての物を心の底から憎みました。
家族から愛を与えられず、虐待を受け、性的な暴行など受け、幼い心に深い傷を負い…。
何が起きているのか、誰に助けを求めてもいいかも分からない。
とても言葉では表せない程に、辛く悲しい体験をしてきたのでしょう。
「もう何も辛い事は無いよ…。」
せめて今だけでも気持ちよく眠りについて欲しいと願いました。
彼女が消えた後、彼女が存在した事を証明するものは何も残りません。
人の死は記録に残りますが、彼女のように人格だけの存在では何一つ記録には残りません。
彼女にとって、それは言い表せない程の孤独感だったと思います。
「体が二つあったらいいのにね。」
時折、彼女が言っていた言葉の意味の深さを改めて感じさせられました。
暫くすると、彼女の体の震えも収まり、彼女は深い眠りについた様でした。
僕は眠る彼女を静かに見つめていました。
このまま目を覚まさないかと思う程に静かに眠っていました。
それからどのくらいの時間が流れたのか、僕には分かりません。
ふと、彼女の体が動いたかと思うと、彼女は目をゆっくりと開けました。
その眼差しは、今まで僕と話していた彼女のものではありませんでした。
目を覚ました彼女は、幼さは残っているものの何処か垢抜けたような、そんな印象を受けました。
気の強い彼女とまではいきませんが、何処と無く大人っぽく見えました。
二つの人格が一つになったようです。
僕も彼女も望んだ結果です。
彼女が生きていく為、そして、僕と彼女が一緒にいる為。
そう信じてやまなかったから、二人で困難を乗り越える事ができたのです。
しかし、人格の統合は想像もしない結末を招いたのです。
一見、今までで言う純粋な人格の彼女なのですが…。
記憶が繋がり全てを知った彼女は、今までの彼女とは大きく違うところもありました。
記憶が繋がる事で人を知り、人を疑う事を覚えました。
人を疑う事は時には必要な事です。
しかし、僕は疑う事を知らない純粋な彼女に惹かれていたのも事実です。
望んだ結果であるはずなのに…、僕は不安を感じ始めていました。
彼女は、僕を含めたこの世の中に対する見方が変わりました。
疑う事を知った彼女が、僕だけ疑わないなどと都合の良い事はありません。
彼女には今まで経験してきた全ての記憶があるのです。
幼い頃にあのような辛い経験をした彼女が、そう簡単に人の事を信じれるはずは無いのです。
二つの人格を一つにすると言う事は二つの人格を失う事…。
そう気付いたのは僕と彼女の関係に終焉が迫っていた頃でした。
僕は彼女の多重人格を治す事に二人の未来があると盲目的に信じるあまり、一つになった彼女にどのような変化が起きるかなど考えもしなかったのです。
一時期は結婚という話も出ていたのですが、次第にそういった話をする機会も無くなってきていました。
そして時は経ち、僕と彼女は別れる事になりました。
別れた事は辛かったのですが、それでも月日が経つにつれ精神的にも落ち着きを取り戻し始めました。
あの時の状況の変化に耐えれる程に、もう少し僕に精神的な強さがあればと悔やみました。
しかし、多重人格が治った事で彼女の為になったのならそれは満足です。
あれから数年の月日が経ちました。
彼女が受けた幼い頃の心の傷は一生背負い続ける事でしょう。
だけど、せめて今は幸せな生活を送っている、そう信じ願います。
http://home.att.ne.jp/orange/deai/
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/737.html
”小沢一郎元秘書高橋嘉信への疑惑” 作成日時:2009/03/16 23:33
http://bluesky-sunnyday.at.webry.info/200903/article_4.html
”西松建設に献金を要求した小沢一郎の元秘書とは、次の衆院選で小沢の刺客になるはずの高橋嘉信元衆院議員という奇々怪々”
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2009/03/post-c850.html
”高橋嘉信元秘書が証言『小沢天の声』・だが鈴木宗男が既に斬っていた! 2010-03-25”
http://ameblo.jp/hirokane604/entry-10491280902.html
07. 2013年4月11日 19:08:38 : B0dup3uPEc
>西松事件は検察の捏造じゃなくて、陸山会は実際に脱法行為をしてたということですね
↑
ID:B0dup3uPEcは、どたまが「お花畑の蜂ブンブン」の逝かれたバカウヨ!
高橋嘉信同様、ID:B0dup3uPEcは人間社会の汚物!
福一第一原子炉の312避難無し爆発の刑事責任はこのふたりにだけあるのだよ。
少し補完情報を示す。阿修羅の過去記事だから全文転載できないのでリンクだけ。
>たとえSPEEDIが作動していなくても、私なら事故の規模を5秒で予測して、避難の警告を出せると思います。(元責任者)
http://www.asyura2.com/12/genpatu24/msg/370.html
投稿者 TORA 日時 2012 年 6 月 03 日 15:16:19: CP1Vgnax47n1s
株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu265.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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たとえSPEEDIが作動していなくても、私なら事故の規模を5秒で予測して、避難の
警告を出せると思います。(全国の原発事故の対策システムを設計した元責任者)
2012年6月3日 日曜日
「死刑は生きる権利の侵害であり・・・」と言っているが、殺人者の一般国民に対するゆえ無き「死刑」は、殺人という行為を前提とする根拠に基づいた死刑と比べてどれほど権利の侵害だろうか。理不尽な殺人は水に流していいが、十分な根拠に基づいた「死刑」は権利の侵害で許されないというのは一体どういう論理だ。
アムネスティなんて連中こそ、公平感や人の心を理解できない極悪中の極悪であり、こういう奴らのためにこそ死刑はあるのだ。
君は、意識はしていないあるいは意識する能力がないのかもしれないが、
軍事力を強化するということは、国家資産が無限にあるという前提なのだ。
たとえば、日本が一億ドルかけて、中国征伐する兵器Aを発明したとする。
すると、中国は、兵器Aでは太刀打ちできない兵器Bを一億五千万ドルを
つくったとする。そして日本が3億ドルかけて、兵器Bでは太刀打ちできない
兵器Cを作ったとする。このように軍事を強化する競争やれば
金のある国家が勝つことになる。冷戦時代のソ連が金のある国と張り合って
崩壊したのはそのせいだ。かといって、勝ったアメリカも軍事に出費して
痛手をこうむった。
だから外交という手段で、ことを解決しようとするのはひとつの
最も可能性のある手段なのである。
否否、考えたら米国民も相当お人よしだよね。
あの稀代の魔女・ヒラリーを持ち上げてるクソババァ―どもがいるって言うじゃん!?
奴ら、思い込みの激しいキツネ憑き女どもが世界をconfusionしてんじゃね!!??
素人が買えるのは PER15倍の 採算ラインまでだから
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既にバブルに 突入した
素人様は 絶対に手を出さないように お願い申し上げます!!
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愛は 既に 不動産を購入することになっております
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ま〜〜ね この阿修羅の掲示板で 遊んでる人は 愛以外は
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