東電 姑息な汚染水処理作戦
http://gendai.net/articles/view/syakai/141812
2013年4月8日 日刊ゲンダイ
東電 姑息な汚染水処理作戦
<敷地内に井戸、地下水脈に逆流>
いよいよシャレにならない事態になってきた。福島原発の放射能汚染水が地下貯水槽からダダ漏れしていた問題だ。
6日までに120トン、7100億ベクレルもの汚染水が漏洩していたことが分かったが、7日、新たに別の貯水槽からも汚染水が漏れ出していたことが発覚した。貯水槽の構造自体に問題がある恐れも高まり、さらなる“流出ドミノ”が懸念されている。
それでなくても、汚染水は毎日400トンずつ増え続けている。原発敷地内に並べた1000基の貯水タンクもパンク寸前だ。梅雨のシーズンを控え、文字通り“背水の陣”なのに、東電は会見で「ない袖は振れない」とお手上げ状態。とことんフザケた連中である。
気になるのはダダ漏れ汚染水の行方だ。東電によると、「今のところ海洋への流出はない」という。だったら、汚染水はどこへ消えたのか。
疑いの余地がないのが地下水への流入だ。それも、恐ろしい事態が起こりつつある。先月7日の衆院予算委員会で、民主党の海江田万里代表がこんな指摘をしていた。
「東京電力は(原子炉建屋内に地下水が入らないよう、敷地内に)井戸を掘っている。しかし、あまりたくさん水を汲み出すと、今度は(地下水の)水圧が低くなり、建屋の汚染された水が地下水に流れ込んでしまう恐れがある」
補足すると、東電は先月までに敷地内に12本の井戸を掘っている。地下水が建屋に入り込んで汚染される前にガンガン汲み上げてしまえ、というわけだ。
確かにそれで汚染水は減るかもしれないが、何のことはない、実際は大量の汚染水を地下水に逆流させるだけ。とんでもないインチキだ。加えて、地下貯水槽もダダ漏れだから最悪なのだ。
環境ジャーナリストの天笠啓祐氏が言う。
「汚染水がいったん地下水に入ってしまうと、放射性物質の除去は困難になります。地下水脈を通じて汚染が拡大し、めぐりめぐって、どこからどういう形で影響が出てくるかも分からない。当然、海にも流れ出すでしょう。問題は敷地内の汚染水を減らすことだけではない。放射性物質を環境中に出さないことが重要なのです。政府と東電はそこが分かっていないから、原発事故は終わったなどと言えるのです」
汚染水ひとつとってもこのテイタラクなのに、安倍政権はもう原発再稼働に前のめりだ。本当にどうかしている。