http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20130404ddlk07040094000c.html
2013年04月04日 地方版
◇「原因をネズミに押しつけていないか」
福島第1原発での停電事故で、県や原発周辺13市町村で組織する「県廃炉安全監視協議会」は3日、事故後初めて原発敷地内に入り、原因となった仮設配電盤を確認した。停電は結果的にネズミによるショートが原因だったが、東電の説明を受けた参加者からは「停電でどの施設にどう影響が出るのか、事前に検討すべきだった」などの指摘が相次いだ。
県の長谷川哲也生活環境部長や各市町村の担当者ら約20人のほか、報道陣16人も参加した。白い防護服を身に着け、配電盤とケーブルをつなぐ貫通部や、ネズミが接触をした端子板に残されたショート痕を確認。再発防止策として導入した使用済み核燃料プールなどの運転を監視する「遠隔監視システム」の運用状況を見て回った。
東電は、各施設の電源多重化や遠隔監視システムの充実などの改善策を提示。自治体への通報や情報公開が遅れたことを踏まえ、▽原子炉冷却装置などが停電で停止したり、汚染水が敷地外に漏れたりした場合、判明している事実からできるだけ早く通報・公表▽その内容も復旧の見込み時間などを可能な限り盛り込むとした。
これに対し、協議会のメンバーからは批判が相次いだ。岡嶋成晃・県原子力専門委員(日本原子力研究開発機構)は「停電の原因をネズミに押しつけていないか。停電でどの施設にどのような影響があるのか想定していたのか」と指摘。施設の運転状況を監視する遠隔カメラの一部が使えなかったことに「監視が重要ということが(11年3月の)事故の教訓だ。状況判断のための手段に配慮が欠けていたのでは」と批判した。
川内村の担当者は「情報をもらっても住民への説明や公表など判断が難しく悩みの種だ。こういう場合に注意してほしいなどの緊迫度を示してもらい、広報体制を県と国で考えてもらいたい」。いわき市の担当者も「我々は専門家ではないので、通報は分かりやすい表現や、復旧のめどを伝えてもらいたい」と求めた。