中国のエコカー補助金 日本車が最大の受益者に
省エネ・新エネルギー車補助金政策が、両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)の後に実施を控えている。中国工業・情報化部(工業・情報化省)の苗◆部長は両会の開催期間中、「部は関連部門と共同で、新たな省エネ・新エネルギー補助金政策について検討している。新政策は搭載技術に関わらず、自動車の燃費性能に基づき、補助金支給額を16段階に分ける。支給額の最低ラインは3000元以上に設定される」と明かした。証券日報が伝えた。
中国の自動車専門家の張志勇氏は13日、「どのような技術を搭載している車種も、同じスタートラインに立たされる。これまで十分な補助金が支給されていなかったHV(ハイブリッドカー)が、大きな利益を得るだろう」と分析した。
■支給対象の変化
苗部長の座談会における、「中国のHV発展は日増しに成熟しており、主流商品は燃費を20%削減している。これにより全国範囲での普及に向け条件が整った」という発言からは、新たな補助金政策のHVに対する注目が伺える。
新政策は自動車の燃費性能を基準とし、燃費性能が高いほど高額の補助金を支給し、企業の先進的な商品を支援する。苗部長はまた、新たな省エネ・新エネルギー車優遇政策は、今年上半期に実施される見通しだ述べた。
張氏は、「HVは海外ブランドが強い。これまでの補助金政策は、EV(電気自動車)を重視していたため、HVは3000元の補助金しか支給されず、市場が低迷していた」と分析した。
しかし中国工業・情報化部、中国国家発展改革委員会、中国財政部(財政省)、中国科学技術部(中国科学技術省)が2011年と2012年に実施した新エネルギー車市場調査によると、2年とも国家の定めた目標が達成されなかった。
ある外国自動車メーカーの研究開発担当者は、「既存の技術があれば、一般的な乗用車とHVのさらなる省エネ・排出削減には、問題が存在しない」と語った。
しかし張氏は、「省エネ・排出削減に向け、補助金政策がより積極的になる。しかし国家は古くなった自動車の廃棄処分システムの完備を急ぐべきだ。例えば依然として国I基準や国II基準(ガソリン品質基準)を使用している自動車が、大気汚染の50%以上を占めている」と指摘した。情報によると、新たな「機動車強制廃棄処分基準規定」が5月1日より実施され、基準に満たない車両が強制的に廃棄処分される。
■日本車に最大の利益
今回の新政策が補助金支給額を16段階に分けたのは、すべての車種を支給範囲内に収めるためだ。しかし燃費性能を基準にするならば、HVが最大の利益を得ることは間違いなく、今までの補助金支給の弱い立場と鮮明な対照をなすだろう。
張氏は、「これまで国家は自国産業の保護を鑑み、外国メーカーが強いHVを補助金支給の対象とした際も、支給額を3000元のみとした。しかし新政策は国内外の公平を示し、特に日本のHVが最大の受益者になるだろう。現在の世界市場において、日本のHVは欧米系よりも成熟している」と語った。
トヨタが世界で持つHV特許技術、420万台のHVは商品化の段階に入っており、同技術の市場成熟度を示している。
トヨタの他に、ホンダも多くのHVを導入している。
張氏は、「アウディやBMWなどの欧米メーカーも、中国HV市場に進出している。しかし日本製HVの中国における主導的な地位を揺るがすには、まだ時間が必要だ。これが中国ブランドならばなおさらだ」と語った。
清華大学自動車研究所所長、自動車安全・省エネ国家重点実験室副主任の陳全世氏はこのほど、「中国はこれまでEVを主な支給対象としてきたが、これは日本車によるHV特許の掌握、それからHV技術の飛躍的な進展が困難であったことが主因だ。一つの動力システムしか用いないEVの開発は、二つの動力システムを用いるHVよりも容易だ」と指摘した。
*◆は土へんに于
「人民網日本語版」2013年3月18日