今年にはいって、ソニーとパナソニックが相次いで東京の自社ビルを売却した。
「ソニーが大崎駅前の拠点ビル売却へ」 (ロイター 2013/1/10)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE90902I20130110
「パナソニック 汐留ビル売却」 (朝日 2013/3/5)
http://www.asahi.com/business/update/0305/OSK201303050110.html
いよいよ首都圏脱出が始まったと一部ではささやかれているが、どうなのだろうか、考えてみよう。
まず、ソニーシティ大崎だが、研究開発部門を中心に5千人が勤務する一大拠点である。
ビル壁面を覆うルーバーに雨水を循環させて温度を下げる「バイオスキン」というシステムを
導入しており、環境負荷低減に力を入れた自慢の新自社ビルであった。
「水流ビルで涼しく節電、ソニーの新社屋に登場した世界初『バイオスキン』」
http://www.csr-communicate.com/csrtopics/20110630/csr-24190
これだけ金をかけたビルを2年もしないうちに売却するとは、相当の理由がない限りあり得ない。
資金繰りのためというが本当だろうか。
確かにソニーの業績は悪いが、東京の自社ビルを売りに出すほどではない。
今回、米ニューヨークの本社ビルも売却したが、ほかにも売れる資産はいくらでもあるのだ。
経営が危機的状況なら、大規模な部門縮小や人員整理をやるはずである。
開発拠点だけをそう簡単に売りに出すはずがない。
賃貸に切り替えるということだが、5千人規模のオフィス賃貸料は莫大だ。
この先20年、30年と使うのならビルを所有したままのほうが得なのは言うまでもない。
要するに、あと数年しか使いません、ということではないのか。
実に納得のいかない売却である。
パナソニックの汐留ビル売却も不可解だ。
「パナソニック東京汐留ビル」
http://bb-building.net/tokyo/deta/129.html
2年連続の巨額赤字で資産売却を進めているということだが、500億円で売却、売却益は
せいぜい200億円といったところか。
パナソニックも多くの資産を持っており、その程度の利益のために東京の重要拠点を売りに出すことは
考えにくい。
先週の報道では、定昇維持に前向きと伝えられている。経営危機なら定昇どころではないはずだ。
まだまだ資金に余裕があるということだ。
「パナ、定昇維持に前向き 電機6社が労組と交渉」 (47NEWS 2013/3/9)
http://www.47news.jp/CN/201303/CN2013030901001621.html
ソニーやパナソニックなどの大企業の情報収集・分析能力、危機管理能力はズバ抜けている。
政府上層部のつながりはもちろん、被災地を始め全国各地の子会社・工場から汚染や被曝の情報が
刻々とはいってくる。また健康管理センターがあって何千人もの社員の健康状態を管理している。
おそらく首都圏でも被曝被害が相当深刻な状況になっていることを、かなり正確に把握している
可能性が高い。
ここまで考えると、やはり放射能汚染・被曝を裂けるため首都圏からの撤退を計画しており、
不動産価格が急落する前に売却したという可能性が高い。
両社とも頑なに否定するだろうが、そう考えるのが自然だと思う。
もう一つ、ゲーム会社が大阪に開発拠点を開設しているというニュースを紹介する。
「関西人マインド、ゲームに生かせ 開発拠点、大阪に続々」 (朝日 2013/3/9)
http://www.asahi.com/business/update/0307/OSK201303070031.html
もちろん関西人マインド云々は表向きの理由で、東京の放射能汚染を嫌って
関西に拠点を移しているというのが真相だろう。
ゲーム業界は若い人が多く、ネットにも精通し、情報収集能力も被曝に対する懸念も高い。
家電メーカーのように部品・下請けメーカーとのつき合いやしがらみもないから、
拠点移動も容易なのだろう。
りそな総合研究所の調査レポートも、関西への人口移動を報告している。合わせてご覧いただきたい。
https://www2.rri.co.jp/chiiki/
ますます企業の動きに目が離せなくなってきた。
この問題に限らないが、表向きの理由に容易にだまされず、裏に隠された真相を考えることが大切だ。
http://www.asyura2.com/13/genpatu30/msg/710.html