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2013/3/5 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
◆残業代なしでオーバーワークも
労働者が自分で職務目標を設定して働く「裁量労働制」を導入する企業が増えている。厚労省のまとめによると、2011年1〜12月の1年間にこの制度の導入を労働基準監督署に届けた件数は全国で9356件。前年より432件増えて過去最多となった。
裁量労働制はIT技術者や編集者などの「専門業務型」と、本社勤務のデスクワーク社員などの「企画業務型」に分類される。何時間働こうと一定時間働いたとみなす制度で残業代はつかない。しかも時間配分が労働者任せのためオーバーワークに陥るという弊害がある。なのに導入が増えているとは問題ではないか。
「最近、裁量労働制に苦しむサラリーマンの相談が目立ちます」とは「労働相談センター」副理事長の須田光照氏だ。
「悪質な事業主は“残業代を払わなくてもいいのだから”と社員に過重な仕事を押し付け、文句を言う社員を“イヤなら辞めろ”と脅します。本来なら同僚が社員の味方になるものですが、忙しすぎて冷静な判断がつかず、逆に追い出しに加担するという悲劇も起きている。働きすぎでうつ状態になる人は増えるばかり。成果主義とともにサラリーマンを追い詰める制度です」
マジメな人ほど苦しむ。仕事の遅れを「自分の努力が足りないからだ」ととらえるからだ。経営者はほくそえんでいるだろう。
労働問題に詳しいジャーナリストの溝上憲文氏が言う。
「働かせすぎを労働基準監督署に知られるのを恐れて夜9時にオフィスを消灯する企業もありますが、あくまでもうわべ上のことです。社員はノルマ達成のために自分専用の電気スタンドを用意して働いています。うつ病になって長期休養する際に『半年経っても回復しなければ退職します』と念書を書かせるところもある。それも産業医が同席して書くように迫るのだから恐ろしい話です」
気がついたら右も左も“ブラック企業”だらけ。そんな社会が近づいている。