株式日記と経済展望
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竹中氏は、小渕政権の最初の頃にも「ケインズ政策は当然」と言っていたが、
ある日をもって発言を翻し、財政政策を強く批難するようになった。
2013年1月27日 日曜日
◆意思を持った「やじろべい」 1月28日 経済コラムマガジン
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財政政策に対する異論
安倍政権は、デフレ経済に取組み様々な施策を打出している。市場はこれを好感し、株価は上昇し為替は円安が続いている。しかし今のところ株価にしても為替にしても適正水準への是正の途中である。たしかに人によって適正水準というものが多少異なるかもしれないが、安くなり過ぎた株価と高か過ぎた円が修正局面に入ったのである。
日本の株式市場では、株価の純資産倍率(PBR)が1倍以下の銘柄がゴロゴロしていた。つまり解散価値より時価総額が下回る会社が沢山あった。また株価収益率(PER)も相当低い水準で推移してきた。それほど日本の株式市場は非観的な空気がまん延していたのである。
円レートも75〜80円と、一つの目安である購買力平価(調査機関によってかなり異なる。国際通貨研究所という所は95円と言っている)の104〜107円に比べ、異常なほどの円高が続いていた(また円安が進めば輸入物価が上がり、これが国内物価にハネ返り購買力平価はさらに円安になる)。このような雰囲気を払拭したのが民主党から自民党への政権交代であり、総選挙前から打出した安倍自民党総裁のデフレ脱却という大方針である。
日本の株価が実態より低位に置かれていることに、いち早く気付いたのはやはり外資であった。総選挙前から、民主党政権の終焉を見越して日本の株式を買い始めていたようである。円安への動きも外資がリードしたのではないかと筆者は感じている。
日本の機関投資家は、状況の変化があってもなかなか動き出さないものであるが、外資はリスクを取りながら収益に貪欲な投資行動を行う。一方、日本の機関投資家はサラリーマン化していて、市場が確実に動き始めなければ行動を起さない。一般の投資家は、両極端であり外資と共に動き出した者がいれば、いまだに今日の市場の動きを半信半疑で眺めている者もいる。
年明け後も、株式市場と為替(円安傾向)は順調に推移してきた。多くの人々が楽観的にこのまま円安と株価の上昇が続くと感じていたと思われる。ところが連休中(12〜14日)の甘利経済財政担当相の「円安警戒」発言、そして15日の石破幹事長の「円安で困る企業や人がいる」発言が飛出し、円が急騰し株価も大きく下落した。
たしかにずっと円の下落と株価の上昇が続いてきたので、一面において利益確定の売りによる調整とも見られる。実際、甘利大臣は発言の撤回をしたため、この後一旦円安に動き、また株価は上昇に転じた。しかしどうしても甘利・石破発言が引っ掛るのか、その後の市場の動きに迷いが生じていた。
今日の日本経済の実態は良くない。13年の1〜3月はマイナス成長も有り得る。もし安倍政権の政策が功を奏し、経済状態が良くなるとしても先の話である。その中で希望を持てるとしたなら、この株価の上昇くらいなものである。もちろんいつもまでも一本調子の円安と株価上昇が続くことは有り得ないが、政権の中枢から市場の足を引張るような発言が飛出したことに筆者は違和感を持つ。
政権内部だけではなく、日経新聞や東洋経済などにも安倍政権の政策に対する異論が出るようになった。これらは全ての政策を否定するのではなく、財政政策への攻撃だけがやけに目立つ。日経の「経済教室」は、経済学者の「財政支出の伴う国債発行の増発」を牽制する文章を連日掲載していた。
ただ安倍政権に近い人々からは、まだ財政支出増大策に表立って反対する者は出ていない。しかし微妙な発言を行う者は結構いる。例えば浜田宏一内閣府参与である。浜田氏は「必要な公共投資は行えば良いが、財政政策は経済を押上げる力が弱い」と微妙な発言をしていて、その根拠に「マンデル・フレミング(MF)理論」を挙げている。いきなりマンデル・フレミング理論(変動相場制のもとでは財政政策は、国債増発によって金利が上昇し、政策の効果がなくなる)を持出したのには筆者も驚いたが、これについての言及は長くなるのでここでは割愛する(ケインジアンと思っていた浜田氏はどうもそうではないようだ)。だいたい万が一の金利の急上昇がないよう、安倍政権は金融緩和政策による環境整備を日銀に求めたものと筆者は理解している。
それにしても小渕政権の時の状況と似てきたと筆者は感じる。橋本政権の失政で経済は急落し、金融機関の不良債権問題が表面化した後に小渕政権はスタートした。周囲(マスコミを含め)は、当初、小渕政権の積極財政に賛同していた。ところが1年も経つと「経済状態は良くなった、次は財政再建だ」という声が溢れるようになり、これがそれ以降の小渕政権の財政政策の足を引張った。
産業競争力会議のメンバーである竹中平蔵氏は今のところ財政政策に異論を唱えていない。しかし竹中氏は、小渕政権の最初の頃にも「ケインズ政策は当然」と言っていたが、ある日をもって発言を翻し、財政政策を強く批難するようになった。それにしても安倍政権の財政政策への異論が出るのがちょっと早過ぎると感じる。筆者は、安倍経済政策が「三本の矢」と言われているが、確実に効果があるのは財政政策だけと見ている。(後略)
(私のコメント)
昨日は久しぶりに秋葉原に行って買い物をしてきましたが、店のカウンターには行列が出来ていた店が多かった。秋葉原で売っている電子製品はアジア製のものが多く、3TBのHDDも数ヶ月前は9千円台だったものが昨日は1万円台に値上がりしていた。このような所にも円安の影響が出始めて起きており、今のうちに買っておこうという客が多かったのだろう。
HDDやメモリーなどは為替相場に反映されやすく、今やHDDやメモリーはほとんどが外国製になってしまったからだろう。1ドル=80円から僅かな日数で90円になったから12%の円安で、秋葉原の店も在庫品が無くなれば新価格に改定されて値上がりするだろう。特に高額な輸入品は今のうちに買っておいたほうがいいかもしれない。
パソコンにしても値崩れで最高性能のノートパソコンが5万円台で買えましたが、このまま円安が進行すれば値上がりしていくだろう。だから私もメディアプレーヤーを買いましたが、もちろん中国製で秋葉原でも在庫が少なくなってきて、探し出してやっと買って来た。HDDも今のうちに買っておきたいのですが、時間が経てば値下がりするのが常識だったのに、円安は確実に輸入品の価格を高くする。
今までは時間が経てば商品の値段が下がって行ったから、人々は買い物を先延ばしにすることが多かったから、売り上げが落ちて行き商店やスーパーは値引きをして売ろうとする。長い間このような現象が続いてきたからそれが当たり前のように思ってきた。バブルを経験した事が無い若い人は当然そう思うだろう。それが20年も続いてきたのがアベノミクスで変わろうとしている。
しかし小渕内閣の時も「二兎を追わず」と固い決意で景気対策に取り組んだのですが、少し景気が良くなると学者やテレビの評論家達は財政のことを指摘して景気回復の芽を潰してしまう。国債の事を国の借金と言うからそうなるのですが、国債は利息の付く現金と同じだ。ゼロ金利の時は限りなく国債=現金と言っていい状況になる。国債は1000兆円の塊であり、償還期限が来れば日銀が現金の形で返せばいいだけの話だ。
国民が現金を銀行に預けても、銀行は貸出には使わずに国債を買って利息を稼ぐ。デフレ経済の時は貸出をするよりも国債を買っていた方がいいからですが、2%のインフレになる時は国債よりも貸し出しに回したほうがいいと銀行も考えるようになり信用通貨が増えだす。インフレになれば企業も内部留保で溜め込んでいるよりも投資に使うようになり、カネが回りだす。
しかし今までも、カネが回りだすと大蔵省は増税や歳出カットで景気の芽を潰して来た。このようなことが何度も続けば、アベノミクスも同じ運命を辿るかもしれません。大蔵省の役人にとっては増税が手柄であり、消費税を上げた勝栄二郎次官は財務省では英雄なのだ。日銀でも同じであり金融を引き締める事が業績として評価されるから白川日銀総裁も金融を引き締め続けてきた。
しかし昨日の秋葉原のHDDの値上がりは、諸物価の値上がりの先駆けであり、ガソリン価格も上がり始めてくるし電気代も上がり始めてくれば、国民からも物価の値上がりに苦情が出だすだろう。だから竹中氏のように最初はケインズ政策を支持しても、景気が少し良くなり物価が上がりだすと財政の事を言い出す。もちろん2%の物価目標だから目標に近づけば金融を引き締めて調整が必要になる。
秋葉原ではパソコン不況で店が次ぎ次ぐと潰れてきましたが、中国から安い商品が大量に入ってくるようになって、ディスカウント合戦になって売り上げが落ちて店が潰れた。高く仕入れて安く売っていれば店が潰れる。しかしインフレになれば安く仕入れたものがインフレ分だけ高く売れるから売り上げが伸びて店は儲かる。秋葉原に来ると今までのデフレの恐ろしさが目に見えますが、デフレでパソコンショップが次々と潰れた。
円安になれば中国からの輸入物も高くなっていくから、安いうちに仕入れておけば円安で物価高になった分が利益になる。9000円で買えた3TBのHDDが10500円で売られていたから、パソコンショップは1500円の利益が出たことになる。さらに値上がりが続けば買い急ぎも出てくるから余計に儲かる。外車や建売住宅などの高価格商品も買い急ぎが出るだろう。
私などの不動産業も、デフレのうちにビルの大規模改修工事などをして安く上げる事ができましたが、ペンキなどの塗料だって円が安くなって原材料の値上がりでかなり価格も高くなっていくだろう。だからアパートなどの大改修工事を計画していますが、物価の安い今のうちで無いと大改修の時期を失ってしまう。だから「株式日記」も書く暇も無くお休みの日も出てきますので、よろしくお願いします。