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ロイター より
・産業競争力会議が初会合、6月めどに成長戦略を策定
[東京 23日 ロイター] 政府は23日、日本経済再生本部の下に設置した産業競争力会議(議長:安倍晋三首相)の初会合を開いた。安倍政権がデフレ脱却のために掲げる「3本の矢」の中のひとつである成長戦略を、6月をめどに策定する。
ただ、会議で浮かび上がった課題で早急に取り組むべきものについては、取りまとめを待たずに行動に移すとしており、スピード感重視で進める考えだ。
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しかし、円安によって輸入品の価格が上昇する中で消費者の支出が増えないという状況になると、企業としても新規事業の為に積極的な投資を行なえず、賃金の上昇を伴わぬインフレ状態となってしまうかもしれませんね。
穏当なインフレならば未だしも、日本の金融/財政政策が疑問視される様な事態になってしまったら、もはや当局には暴走を止める手段が残されていないのではないかと思うのです。
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◆Japan 2.0 (and that’s a target, mind)
日本2.0(それは目標だという事を頭に入れておきなさい)
実際にインフレ予想は、この数日の間に日本国内でデフレ予想よりも遥かに拡がったとリチャード・クーが先週述べた事を覚えているだろうか?。 そして、人々はデフレよりもインフレを恐れているのだろうか?。
その考えについて我々は少し驚いたが、何故インフレに専念する事自体が非常に妥当な懸念であるのかという事に関して HSBC が良い主張を唱えたのである。 そして、実際に最近の円の弱さは、一旦緩めてしまうと日銀/財務省がインフレを制御する事に失敗するだろうという恐れを反映しているのかもしれないという考えである。
実際、日本円の弱さは、2%のインフレ実現、輸出及び全般的な経済活動の健全な回復に日銀と日本の財務省が成功するという確実性を明らかにしたものでは無い可能性がある。
代わりに、それはインフレを復活させる努力が上手く行き過ぎ、インフレの魔人が解放されて2%で止まらなくなるという可能性を反映させているのかもしれない。
1990年初頭以来、日本におけるインフレは2%の手掛かりを持続させた事が無いのであるから、我々は日銀にとって非常に意欲的な目標について話しているのである。
彼等は本当に、破裂させる事無く(僅かに)高めるという精緻な制御を行えるのだろうか?。
それは、日銀の独立性及び信頼に対して何らかの更なるダメージを与える事無く達成できるのであろうか?。そうは行かず、急進的なリフレ政策が成功し過ぎるという可能性を為替市場は織り込み始めているのだ。
OECD による購買力平価の測定はドル円の「公正な価値」を105と示唆している。 過度に成功し過ぎるリフレ政策の下で、日本円は過大評価で無く過小評価される事を予想する者が、ドル円で120という様な水準を言う事になるであろう。 これは、ドル円が80から90へ動いたのとは異なる様相を示す。 市場は単純に、80から120へのドル円の動きを見る事となるリフレ戦略が過度に成功する事に対して25%の確率を織り込んでいるかもしれないのだ。
予期せぬユーロ崩壊の幅のある可能性を反映したユーロ危機の際中に、市場が似た様なアプローチを取った事を我々は目にしたのである。 しかし、欧州では為替市場が政策の失敗の可能性を織り込んでいたのに対し、日本において彼等は過度な成功の可能性を織り込んでいるのだ。
一部のブロガー達は、インフレへの恐怖を緩和するものとして、今朝の発表を違う意味に捉えた。 それは、日本においてインフレが制御不能な程緩んでしまうと恐れる事は、共和党と民主党が最終的に上手く折り合えるだろうかと心配する事と少し似ている、とでも言うべきだろう。
実際にデフレの「咳」を輸出するのでは無く、もし日本がちょっとした本当のインフレの導入に成功した場合の国債利回りへの影響を、クレディ・スイスも先週のメモの中で指摘したのだ。
日銀による金融緩和の量において最も重要な経済的制約は、インフレである。
更なる金融緩和で上昇する債券利回りに対処する日銀の能力が限られる中、同中央銀行が円を大幅に弱くする彼等の試みに成功した場合、輸入品のインフレのリスクは債券の名目利回りを押し上げるかもしれないリスクがあるのだ(OECD のグローバル・モデルによると、円の価値が10%低下する毎に日本のインフレ率は40ベーシス・ポイント増加するのである。(抜粋)
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★上の記事の冒頭に示されている「リチャード・クー」氏の主張によると、彼はアベノミクスに異を唱えており、特にエール大学の浜田さんの考え方にも否定的なのですね。
★以前の稿でも触れた(「白髪の時代には」、「成長を止めれば」)様に、現在(現代)が人類史における大きな変曲点であるとするならば、従来と変わり映えのせぬ発想で生半可な成長戦略を唱えても、閉塞的状況にある経済の構造を劇的に変える事など出来ないように思うのです。
★もしそれが事実(現実)であるとするならば、前述したとおり、インフレだけが暴走し始めた時に政府にも日銀にも対処する手段は残されていないという事になるのです。 (強引な方法ではありますが、無理やりに戦争でも始めて国内に戒厳令を布く事くらいしか出来ないのかもしれませんね。)
◆(本日の)日銀政策決定会合について− 市場の焦点は「下限金利の行方」
http://ameblo.jp/eiichiro44/entry-11454241044.html
「2%目標」および2月連続の(10兆円)追加緩和などに関しては、市場は既に織り込んでいるように映る。ここのところ話題に上がっていた超過準備付利撤廃観測だが、以前のエントリーで言及 したように白川総裁が任期の間は、撤廃は無い、と考える。
そんな中、サプライズがあるとすれば、超過準備付利を撤廃・継続の「イエスかノー」の議論でなく、現行(0.1%)から0.05%への引き下げ、といった可能性も残されている事だ。これが実施されれば「サプライズ」という事になるだろう。
1月10日過ぎに出てきた、この撤廃観測は、すでに債券市場に伝播しており、1−3年物利回りは、歩調をそろえる形で、0.08%を割り込んできた。撤廃ならずとも、0.05%への引き下げ観測が浮上しているせいで、イールドカーブ全体に低下圧力が掛かっている訳だが、引き下げすらなかった場合には、反動で金利は上昇する事になる。
そもそも、この超過準備付利撤廃に関しては、昨年ECBで実施された中銀預金金利のゼロ金利政策が1つのモデルになっているものと思われる。ECBが供給した資金は、中銀預金(金利0.25%)に積み上がるか、ユーロ圏の国債に流れるしかなかった。現実には、中銀預金に積み上がっていただけであって、国債離れと融資離れが進んでいた。ここの付利(中銀預金金利)をスッパ抜く事で、重債務国国債購入と、民間銀行融資というインセンティブが働く事になる事を期待されていたが、実際には、中銀当座預金にスライドされただけだった。 この「下限レート」(中銀預金金利)をスッパぬく事によって、即座にスペインなどの危機国の金利が縮小したわけではない。
今回、日本で議論されている、この超過準備付利撤廃だが、今までは国債市場に向かうか、日銀当座預金に過剰プールされるのみだった。今回それを、民間融資に向ける、といった意図も含まれているのだろうが、その効果は極めて薄い、と考えてよいだろう。当座預金に無利子で残るか、国債が買われるか、どちらにしても融資が拡大し、市中でマネーが拡大する事は考えにくい。これはユーロ圏で起こった事と同じ現象だといって過言ではないだろう。
ただ、超過準備付利を引き下がる事(たとえば0.05%)によっての「現実的な効果」と言えば、冒頭で記載したように、1−3年債の利回りは(たとえば)0.05%に向かって下落していく事が予想される。今現在でも、10日過ぎからその動きにはいっている。買入れ国債の年限を長期化せずとも、この付利を下げる事によって、短期のゾーンからイールドカーブ全体を引き下げる事は可能だ。実際に、10年物利回りも、0.7%を割り込む水準まで迫っている。
そして、ここのところは人によって解釈が違うところでもあるが、付利を撤廃せずとも「引き下げ効果」は為替レートに(徐々に)表れてくると考える。「2%目標・10兆円基金増額」というような既成事実化されている政策が発表されたのち、仮に「事実売り」が発生したとしても、超過準備付利引き下げが、それを最小限にとどめる事になるだろう、当然ながら、上昇圧力をもたらす効果すら持ち合わせている、と考える。ただしこれは、当然ながら「引き下げ」が実現した場合の話になる。
仮に、上記の政策(超過準備付利引き下げ、および撤廃、並びに無制限緩和など)が発表されなかったとしても、失望売りというのは限定的となるかも知れない。なぜなら、これらの事は、引き続き議論されるテーマだといえるからだ。さらには、24日にも2012年貿易大赤字、が発表される。ただし、政府要人の積極円安発言は抑制されるようになるだろう。
今回、日銀と政府の共同文書という事だが、政府は日銀に一方的に責任を押し付けようとしている。物価目標を安倍首相が日銀にゴリ押し、(実質)「何でも買え」と強要するのであれば、その責任の所在は間違いなく、政府にある。
ちなみに、直近の日銀の決算内容によれば、上半期は収益悪化、為替差損が響き、−1,883億円の経常損失。そして問題は、リスク資産であるETFの引当計上によって特損(−469億円)が発生している。
結果、税引き後の当期剰余益は2,329億円の赤字となっているわけだが、国庫に納付される額が少なくなれば、それを補てんするのは国民の税金から。
★政府が2%達成のために、無茶ぶりを日銀に押し付けるのであれば、それはもう金融政策の名を借りた、実質的な財政政策。共同文書では、政府は責任を負う事をしないのだろうが、国民はぜひ、この卑怯な政府の動向に目を光らせておいて欲しい。(抜粋)