私はもう何十年にわたって
日本のポップ音楽(Jポップ、Jロック)というものに登場したアーチストにランクをつけるなら
横綱:武川行秀
大関:松任谷由美、矢沢永吉、さだまさし、桑田圭介
これが固定だ、といってきた。同じくらい売れたグループとか、人気を誇った歌手はいるし、世界を視野に入れた場合に意味を持ってくる活動をした奴らも確かにいる。しかし、やはり質と量が別次元なクリエイター兼パフォーマーとなると、これを超えるものはなかったと断言できる。
しかし、この5人に代表されるようなシンガーソングライターとは全く別次元の人間がここにいる。アイドルのヒット曲を手がけた団塊世代のオッサンである。正直、5人まとめても敵わないほどの圧倒的な創曲における才能の持ち主である。漫画でいうところの手塚治虫、映画でいうところの黒沢明、プロレスでいうところのアントニオ猪木、特撮でいうと円谷英二、いやそれ以上かもしれない。戦後日本の文化史上、トップにくるのではないかと思われる人物の名を筒美京平という(対抗馬が一時期いたとすれば都倉俊一だけだろうな・・・・・)。
筒美京平71歳。誰でも知っている名前・・・・そうだろうか。少なくとも手塚治虫らの露出度からしてあまりに貧しい扱いしか受けていない英雄ではないだろうか。邦楽のベスト100のうち過半数を手がけている殆ど歴史上に類例のない稀有なクリエイターなのにかかわらず、殆どそれに見合う認知がされていないのが真実だろう。
60年代のGSやスパーク三人娘、アイドルの原型といわれる南沙織から80年代の終わりまでずっと継続した活躍を続けまさにポップ音楽が生きていた時代の全てを一番上で司る存在であった。これ以上に1人の人間が大きなジャンルに絶対的な影響力を持つことはありえないのではないかと思われる。海外の商業音楽をみてもたとえばビートルズとウィングスをあわせても全然小指の先だし、ムーブとELOを足しても筒美のダイナミズムにはてんで追いつかないのである。筒美京平がBBCその他の海外メディアから注目されなかったことは言葉の壁では説明のつかないことで、非常に残念な偏見か無知に思えて仕方ない。
イギリスで80年代初期にロックが死に、日本の歌謡界も昭和の終焉と同時に一応の終止符が打たれた。それからの2,30年もの間、出てくるのは才能などひとかけらもないようなインチキばかりである。こないだの大震災後のチャリティーに出てきたような福山だとか奥田とかいう地方出身の品もセンスもない輩どもの顔面にグーパンチをくらわせて筒美さんにその鼻血を捧げたい思いである。
名曲揃いの筒美コレクションであるが、私(チベットよわー)がその中でも厳選しきった中のNo1の楽曲は1977年に発表された「私が選んだあなたです」(詞:橋本淳)。歌は渡辺プロダクションのアイドル、五十嵐夕紀。