電力料金を割り引く代わりに、使用量が供給力を上回りそうな夏場のピーク時などに企業や事業所の電力消費を控えてもらう「需給調整」の契約電力が、関西電力は、電力9社(沖縄電力を除く)の中で3番目に低い割合にとどまっていることが28日、分かった。
大飯原発3、4号機を再稼働する前に、供給力の余裕を確保する余地が残っていることを示すデータ。政府や関電は再稼働しないと夏に一時、最大16・7%の電力不足(平均的な気温の場合)になると強調するが、節電の見込み量が少なすぎるとの専門家の指摘もあり、再稼働の妥当性に疑問を投げ掛けた形だ。
電力各社が政府の需給検証委員会に提出したデータを基に、需要規模に対する需給調整契約の割合を算出した。
2010年夏並みの最大需要に対する需給調整の契約電力の割合は、関電は3・1%で東北(2・7%)、北海道(2・8%)の両電力に次いで低く、9社平均の5・1%も下回る。最高は中国電力の13・2%で関電とは大きな差がある。
最大需要に対する今夏の節電見込み量の割合は、関電は3・3%で9社平均の5・9%より低い。ほとんどの電力会社が今夏は冬より節電量が増えると見込むが、関電は減ると想定。昨夏比では半分程度としている。顧客へのアンケートを基に、数値目標を示さずに無理なく節電できる量を算出し、今夏の節電量として見込んだというが、国の検証委員会では専門家から低すぎるとの声が上がった。
関電は、需給調整契約の割合が他社より低い要因は分析できていないと説明。「一軒一軒お願いしているが、契約は基本的に各企業の判断で、無理だと言われれば強制できない。今夏に向けて大きく増やすのは難しい。節電を現時点の見込みより拡大できるかも何とも言えない」としている。
▽取り組み十分か説明を
諸富徹(もろとみ・とおる)・京都大教授(環境経済学)の話 電力不足で原発再稼働が必要だとするなら、関西電力はまず節電や需給調整契約を含む需要抑制や、供給力を増やす取り組みが十分か、なぜ他社と同じ水準にできないかを説明する責任がある。再稼働することを前提にして、夏に向けた対策を遅らせてはいけない。他の電力会社からの融通や、節電、揚水発電の活用などで夏を乗り切れるとの指摘もある。政府や電力会社は再稼働を推し進めるが、原発がなくても電力が足りると証明されるのを恐れているのではないか。
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