千葉で“住民流出”の怪…放射能、液状化が影響か
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2012.01.31 夕刊フジ
2011年千葉県人口減少上位5市
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千葉県が異変にみまわれている。世界的に人気の東京ディズニーランドや都心に勤務するサラリーマンの生活圏として注目されてきたが、推計調査で比較できる1961年以来、50年ぶりに人口が減ったというのだ。一体、何が起きているのか。
千葉県はこれまで少子高齢化で人口が減る時期を2017年と予測していた。だが、1月1日現在の人口は前年比1万693人減の620万6334人。
県外からの転入が16万7006人(前年比1万6823人減)だったのに対し、転出は18万人に迫る17万8424人(同7264人増)と転出が転入を上回ったためで、出生者数が5万1294人(同1331人減)と、初めて死亡者数を523人下回ったことも響いた。
原因は、東日本大震災での液状化や、福島第1原発の爆発事故の影響で、一部地域に放射線量が高い「ホットスポット」があることなどが関係しているという。
県統計課は「出生数から死亡数を引いた自然減の523人は(原発事故による)放射線量などの影響で県外での出産が増えたとうかがえます。県外からの転入者の減少は、県北西部の放射線量上昇に加え、液状化によるベイエリアなどの住宅購入者減が要因とみられます」と説明する。
05年のつくばエクスプレスの開通で、急速に人気が高まった県北西部の流山市。「流山おおたかの森」のマンションに09年から住んでいた主婦(33)は、昨年11月の次男の出産を機に、実家に近い東京都町田市へ引っ越しした。理由は市内の局地的な放射線量の高さだった。
「街全体が美しくインフラも充実して生活しやすく、(転居は)今でも残念に思っています。仲の良いママ友達も大勢いましたが、幼い子供たちのためには、わずかな不安要素でも排除したいのが親心。(家を購入して)ローンを組んでいたら移りたくても移れませんでしたが、幸い賃貸だったので」
住みたい街で人気が高い浦安市は、ベイエリアを中心に深刻な液状化現象に襲われ、市の人口は1423人減となった。同じく液状化が深刻な香取市でも1033人減。
不動産販売会社「東和ハウジング浦安」の担当者は、「震災以降、液状化が報じられた新浦安を中心に県外、市外からの(お客さまの)問い合わせが大きく減ったので、転入者が減少したのは間違いないでしょう。ただ、実際に住んでいる方々は、周りが思っているほど住みにくさを感じていないようで、転出者が増えたという印象はありません」。
液状化被害は今夏にも完全復旧のメドがつくとみられる。「液状化からの復旧と徐染作業のピッチを上げて、人口減少は食い止めたい」(県幹部)。人気回復は図れるか−。