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大失業時代を迎えた欧米諸国
2011.09.12(月)
The Economist
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(英エコノミスト誌 2011年9月10日号)
政治家が欧米の恐ろしく高い失業水準を引き下げることは不可能ではない。
地理的な想像力を多少働かせると、欧米の失業問題の大きさが伝わりやすいかもしれない。主に富裕国からなる経済協力開発機構(OECD)の加盟国全体で失業者数は4400万人いる。もしこの人たちが1つの国に住んでいたとすると、その国の人口はスペインに匹敵する。
スペイン・マドリードの公共職業安定所前に並ぶ人びと〔AFPBB News〕
当のスペインは失業率(21%)が西側諸国で最も高く、失業者の数はマドリードとバルセロナを合わせた人口に等しい。
米国では、1400万人という公式な失業者は、同国で5番目に人口が多い州を形成する。これに、望む量の仕事を得られない「不完全就業者」1100万人を加えると、テキサス州の規模になる。
欧米の労働市場が一様に暗いわけではない。例えば、ドイツの現在の失業率は金融危機の前より低い。
だが先進国の大部分では、失業率が2009年のピーク時から少し下がったとはいえ、依然として危険なほど高く、さらにいくつかの国が景気後退に逆戻りしつつあるかもしれないという懸念が増している。
そして、経済危機の人的コストは、主に失業者によって支払われる。失業は、うつ病、離婚、薬物乱用など、人生を狂わせる様々な要因を増大させるからだ。
たちの悪い失業
さらに悪いことに、現在の雇用情勢は特に危険なパターンを示している。失業者のうち若年層が不釣り合いなほど大きな部分を占めているのだ。若年層の失業は、将来の低賃金と先々の失業の可能性の増大という点で、大きな傷を残す。
失業の慢性化も進んでいる。柔軟な労働市場で知られる米国では、2007年には17週だった平均失業期間が、現在は40週に長期化している。イタリアでは、失業者の半数が職を得られないまま1年以上過ごしている。
失業期間が長い状態は、労働者の技能が衰え、職場から疎遠になることから、解消がますます困難になる。その影は長く伸び、将来の成長率を抑え、この先長期にわたって財政を損ない、社会秩序を歪める。
この惨状が短期間で修復されることはない。たとえ成長が加速したとしても、失業率は厄介なほど高い状態が数年間にわたって続くだろう。労働者の再訓練など、多くの救済策は時間を要する。