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食品衛生法の暫定基準値を超える放射性物質が検出され、出荷できなくなった野菜の処分が大きな課題となってきた。土にすき込む方法では放射性物質が地中に残る恐れがあり、専門家は「放出が収まるまで様子見を」と助言。農家の対応には限界があるだけに、国や自治体が最終的な処分方法を早期に打ち出すことが求められている。
▽地中に残留も
土壌や野菜から比較的高い値が検出されている放射性物質のうち、特に注意が必要なのは放射性セシウムだ。量が半分になる半減期が約30年と長い。さらに、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故による汚染に詳しい河田昌東(かわた・まさはる)・四日市大非常勤講師によると、生育に必要なカリウムと化学的性質が似ており、野菜がよく吸収してしまうという。
水害や天候不良で傷んだり生産過剰になったりして売れない農作物は一般に、収穫せずにトラクターなどで畑にすき込んで土壌と混ぜ合わせることがある。処分の手間が軽減され、肥料としても利用できるためだ。
だが河田氏は、今回の場合はすき込むと、農作物の表面や土壌のごく表層にとどまっている放射性セシウムなどが、地中の比較的深くまで入り込んでしまい長く残ると指摘。しかも、すき込んでも放射性物質は、また降ってくる。「一段落するまで様子を見て、どのぐらいの汚染があるか調べた上で対応すべきだ」と話す。最終的な汚染レベルが低ければ、すき込んでも問題ないという。
放射性セシウムなどは土壌に吸着されやすく、雨で染み込むことは少ない。チェルノブイリ原発事故の調査では、10年後でもほとんどが土の表面から5センチ程度の深さにとどまっていたという。このため、河田氏は「汚染度が高い部分があっても、表面から10センチ程度取り除くか、植物に吸収させれば除去できる」と指摘。セシウムをよく吸収するナタネなどアブラナ科の植物を利用できる。
▽最終処理は不明
農林水産省は25日、出荷停止などになった農畜産物の当面の廃棄方法をまとめ通知した。野菜については、できるだけ焼却したり埋めたりせずに、倉庫などに集めて保管するよう求めた。ただ、保管した後の処理方法や、放射性物質を含んだ土壌への対応策は、まだ不明確だ。
河田氏は、高いレベルに汚染された土や農作物、吸収させた後の植物について「個人では処分しようがない」と指摘。「国や地方自治体による対応を」と求めている。
(共同通信 2011年03月26日)
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