株式日記と経済展望
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投資家のポートフォリオの組み替えが起きている。新興国株売り、米国
株式ファンドへの資金流入と債券売り、金価格の下落、等である。武者 陵司
2011年2月15日
◆米独日に吹くグローバリゼーションの順風 2月15日 武者 陵司
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5452
急速な資金シフト、債券から株へ、新興国から先進国へ
2011年に入って以降、大規模な資金シフト、投資家のポートフォリオの組み替えが起きている。
新興国株売り、米国株式ファンドへの資金流入と債券売り、金価格の下落、等である。昨年秋口までの、世界デフレシナリオの下で債券が買われ続けた局面からの大転換である。
その背景に世界経済のリスク観の二極化がある。
新興国でのリスクテイクが過多となる一方、先進国ではリスク回避過剰というコントラストが鮮明である。特に中国ではインフレ加速とバブルの増大により、経済拡大の持続性が不安視され始めた。大半の新興国では景気の過熱とインフレ、資産バブルなどによって金融が引き締められるなど、成長隘路が顕在化している。
他方先進国、中でも中核の米独日は企業部門の調整、家計の貯蓄上昇、資産価格下落など、経済調整が万端であることに加えて、需要と雇用の停滞から金融は超緩和の状態にある。
米国の新金融緩和QE2は新興国への資金流入・新興国の通貨高→新興国の引き締め、という形で新興国の経済運営を困難にしている。
2011年は調整万端の先進国、特に米独日に再び脚光があたり、先進国の株高・資産高が新規需要に結び付いていくだろう。
グローバリゼーション観の修正
こうした展開は常識的グローバリゼーション観の修正を求めるものである。
グローバリゼーションつまり国際分業とは通説のように「新興国の飛躍と先進国の停滞」ではなく、双方の発展であるはずである。
国際分業において新興国はチープレーバーを提供するが、それのみでは経済は成り立たない。先進国が提供する技術、資本、経営ノウハウ、マーケティングが同様に成長に必須の資源である。従ってグローバリゼーションの恩恵も当然新興国のみならず、先進国においても享受されるべきものである。
新興国では労働賃金上昇、生活水準の急上昇が起こっている。他方先進国ではグローバリゼーションが企業利益を増加させている。リーマン・ショック後、米国企業の過去最高利益への急回復、大幅円高下での日本企業収益の急回復はグローバリゼーションのたまものである。
先進国の景気は企業利益と株高が起点に
先進国はいかにしてグローバリゼーションの果実を需要に転化するのか。
(1)株高・資産効果、(2)先進国での知識集約投資、(3)世界レベルの知能への高給待遇、(4)先進国の生活レベルアップとそれを支える関連産業(サービス)など、多様な経路が考えられるが、それはこれからの挑戦である。
明白なのは、先進国景気拡大のエンジンが、企業収益の拡大とその結果としての株高にあるということである。
先進国が牽引するグローバリゼーションの新段階
グローバリゼーションのこれまでの展開を振り返ると、明確な段階を経てきたことが明らかとなる。
第1段階は米国の需要爆発と中国の離陸(2000年から2007年)。先進国、特に米国への資金集中と低金利により資産価格が上昇しバブル景気が現出され、中国は対米輸出急増により経済離陸を果たした。
第2段階はバブル崩壊と新興国需要の急増(2007年から2010年)。米国のバブル崩壊が世界需要を急減させ、中国の財政出動・米国の超金融緩和が打ち出された。資金は新興国へと集中し新興国の成長加速、バブル化、インフレ化、と推移してきた。
そしてこれからは第3段階、先進国への回帰(2011年からの展開)が始まるのではないか。グローバリゼーションの果実の先進国への配分により、先進国での新たな需要拡大循環に帰結するのではないか。
我々は依然、グローバリゼーションの強い順風を受けている。
(私のコメント)
株式投資は常に先を見ながら投資しなければなりませんが、新興国への投資ブームはそろそろ曲がり角に来ているようだ。具体的に言えば中国などのような新興国に投資すれば、グローバル企業が中国の安い人件費やコストに引かれて製造拠点を移してくる。中国の株価は数倍にも値上がりしてアメリカの投資ファンドは利益を上げてきた。中国のバブル崩壊は前から何度も予想されてきましたが、梃入れによって盛り返してきた。
54兆円の公共投資や人民元のドル固定化で景気は何とか回復してきましたが、インフレが激しくなってきて人件費やコスト高が直撃するようになりました。2007年まではアメリカの株高や消費景気で中国の輸出は絶好調でありアメリカのグローバル企業も儲かって米中は経済同盟関係は絶好調に達した。中国と同じく他の新興国も投資ブームに沸いて世界的なバブル経済となった。
しかしアメリカでバブル崩壊が起きてリーマンショックで、金融中枢であった投資銀行が致命的な巨額損失を出して流れが大きく変わり始めた。中国の財政出動とアメリカの金融緩和で新興国はインフレに見舞われるようになった。ドバイやアイスランドやギリシャの経済破綻は新興国への金の流れを変えるものであり、先進国に金の流れは逆流を始めた。エジプトのように新興国には政治的なリスクがあり、気がついたときには遅すぎる。
武者陵司氏と言えば株をやっている人なら知らぬ人がいないほどの有名人であり逆指標を出すことで有名だ。株価予想が当たれば経済評論家をしているよりもファンドを直接経営したほうが儲かりますが、当たらないから経済評論家でいるとも言える。経済評論家でも今まで何度も日本は今年こそ景気回復するという予想を立てた人がいましたがみんな外れた。
株価は予想できるものではなく、奥の院がどのような考えを持っているかを見抜いたほうが株価を予想しやすいのではないかと思う。80年代には奥の院は日本のバブルを潰して中国に投資をすることに決めた。日本を円高にして中国の人民元を切り下げて日本の金が中国に流れるように仕組んだ。日本企業も円高に悲鳴を上げて工場を中国に移転して利益を上げるようになった。その結果日本は20年間の不況に苦しんでいる。
しかし中国への投資もそろそろ限界が来たと奥の院は見ているだろう。インドやブラジルへの投資も中国と同じような状況に来ている。中国やインドやブラジルの経済成長は自立的なものではなく先進国からの投資によるものであり、資金と技術が提供されれば新興国の経済成長は可能だか、それが止まれば破局する。新興国は安い人件費とコストが提供できなくなれば外資は出て行ってしまう。
中国は13億人以上の巨大国家であり、人件費が上がることは考えられなかったことですが、それでも人件費の高騰が起きてしまった。失業者が溢れかえっているのに人件費が上がるのは不思議ですが、単純労働者は失業者で溢れかえっているが、コンピューターを扱えるような高度な労働者の賃金は天井知らずだ。日本でも派遣労働の賃金は新興国並みに下がっていくし、優秀な人材は青田買いで引っ張りダコだ。
新興国も経済成長で所得が上がれば先進国型の経済に転換しなければなりませんが、中国やインドやブラジルは可能だろうか? 中国はあと10年くらいでアメリカを追い越すという予想までありますが、外資に頼らずに経済成長を持続できるのだろうか? その為には高度な人材を養成しなければならないし、研究開発でも世界の最先端に立つ必要がありますが、韓国ではサムスンなどが外国から人材をスカウトして技術開発させている。
奥の院は果たして中国をアメリカを追い越すような先進国になれると見ているのだろうか? 外資だっていつまでも技術や資本を提供してくれるわけではない。アメリカもいつまでも中国に暖かく見てくれるわけではなく、時期が来れば日本にしてきたような収奪にかかるときが来る。そのとき中国は軍事力で威嚇してくるだろう。そのときは数年以内にやって来る。必ずしもアメリカが勝つとは限らない。アメリカは落ち目であり中国は上り坂だ。日本はどちらが勝つか見極めて勝つほうに付くべきだ。
日本はアメリカに対しても中国に対しても巨額な投資をしていますが、どちらも日本の技術と資本を必要にしている。アメリカも中国も通貨の切り下げ合戦をして、日本は円高のとばっちりを受けていますが、円高にも拘らず経済は何とか持っているのは奇跡に近い。通貨安政策は目先的にはいいのでしょうが、インフレが襲い掛かってくればダメージは大きい。そうなれば金利の急騰は避けられない。
そうなれば奥の院は、堅実なドイツや日本に投資を向けるだろう。そうなるかどうかは中国やアメリカの動向にかかっていますが、通貨安政策はブレーキが利かなくなりやすく、いったん信用が無くなればそこでおしまいだ。武者氏は先進国への回帰を予想していますが、問題はその時期だ。