私は、スペインのテレビで、広島の原爆投下65周年に、国連事務総長バン・キ・ムンと米国大使ジョン・ルースが出席したことを知りました。その、薄ら笑いを浮かべたとも見えるルースのふてぶてしい顔を見て、イヤ〜な気分でいっぱいでした。
イランを「核開発をしている」という難癖付けで、無法核保有国イスラエルといっしょに攻撃しようとする核超大国が、原爆投下を謝罪するなど、ちゃんちゃらおかしいと感じましたので、さっそく他の資料を調べて何か書こうと思っていたところ、「アルルの男ヒロシ」こと中田安彦氏が自身のブログで次のように書いているのを見つけました。
http://amesei.exblog.jp/11699475/
米国のプロコンスル(執政官)、ジョン・ルース大使の国外追放ものの非礼
私が何かまとめるよりもはるかに完璧に私が言いたかったことを書いてくれており、作業を中断して、この中田氏の文章を紹介することにしました。
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【引用開始】
アルルの男・ヒロシです。
昨日は我が家に知り合いが来て、政治と経済の情勢分析。その時、BBCでは広島でその朝に行われた原爆慰霊祭のニュースやっていた。私は、こ式典にジョン・ルース駐日米大使をはじめ、その他国連事務総長などが集結すると知っていたが、まったく関心がなかった。
というのは、彼ら、スーパークラスやジャパン・ハンドラーズの面々が広島で「核無き世界」を訴えると言っても、それは単に「(北朝鮮とイランに)核兵器がない世界」を訴えるためのプロパガンダでしかないと分かっていたし、核兵器を最も保有している国がまず率先して核の大量廃棄に踏み切ることは現実主義(リアリズム)の観点からもあり得ないと割り切って考えていたからである。
これは「ノーベル平和賞」を受賞したオバマ大統領を利用した、欧州勢の原発推進キャンペーン(=核の平和利用)だとも分かっていたからである。原子力発電も存在する以上、それをやめるにしても段階的にフェーズアウトする以外に方法はないとも分かっていた。(私は石炭・ガス火力発電をもっと普及させるべきとは思っているが、日本の産業政策上はそうも行かないということもわかっている)
だから、この平和式典で何か大きな出来事が起きるとはまったく考えていなかった。その時、私の家に居た知人も「まあ、ルー大使を派遣することぐらいがオバマの最後の良心じゃないのか」というようにも言っていた。
ところが私はこのBBCでの式典の録画中継の映像を見て、違和感を感じた。それは黙祷の時にルース大使に同行した大使館員か護衛のSPが、映画マトリックスみたいな派手なサングラスを付けたままだったのを見たからだ。(動画がないので貼り付けられないが、上の写真よりも、もっとど派手なサングラスだった)確かに欧米人がサングラスを外さないでこういう場に出てくることはままあること。必ずしも悪意があるとは言えないという考え方もできる。
ただ、その午後になって入ってきたこの式典のニュース報道を見て、考えを変えた。ルース大使がこの式典にわざわざ出席したことの意味が見えてきたからである。(国務省のクローリー報道官は、ルース大使が原爆投下について謝罪することはない、と表明したという)
【以下、省略。 引用ここまで】
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バルセロナです。
同時に、広島の原爆記念日より先に天木直人氏が書いたものをご紹介します。
http://www.amakiblog.com/archives/2010/08/05/#001650
菅・仙石民主党政権の対米外交は史上最悪の対米従属である
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【引用開始】
8月4日の読売新聞は、菅直人民主党政権が8月3日の閣議で、国連安保理の
対イラン制裁決議を受けて、資産凍結などの追加制裁措置を了解したと報じた。
おりから米国務省のアインホーン対イラン・北朝鮮制裁調整官が来日し、日本
政府、財界に制裁強化を訴えた。
この一連の動きの重大さに気づいている国民は果たしてどれほどいるだろうか。
なぜ米国は対イラン制裁にこだわるのか。
それは反米テロ組織を支援するイランを許さないという事だ。そのために米国はイランとの戦争も辞さない。
イランとの戦争はなにもミサイル攻撃だけではない。
本気になって経済制裁を行なえばイランを戦争に追い込む事になる。
かつて日本は米国の石油禁輸などで経済の息の根を止められ、太平洋戦争に突入
するしかない状況に追い込まれた。
南アフリカ白人政権がアパルトヘイトを放棄したのは投融資規制を米国が本気で
行なったからだ。
パレスチナはガザの封鎖でハマスは自爆攻撃をするしかないところに追い込ま
れている。
それらと同じ事を米国はイランに対して行なおうとしている。これは武器を使わない戦争である。
米国が固執し、日本が無条件で支持した国連安保理の対イラン制裁決議はそれで
あった。
ところが国連の安保理決議は米国にとっては妥協の産物だ。
まだ生温いといわんばかりに、もっと強力な対イラン経済制裁法を米国は独自で
進め、それを世界に押し付けた。
それが7月1日に成立したイラン制裁強化法である。
この米国のイラン制裁強化法が日本企業に与える危険性に警鐘をならした鋭い
記事を発売中の週刊エコノミスト8月10日号に見つけた。
デユィーイ&ルバフ法律事務所の日本情報室長である菱川摩貴という人が書いた
その記事は日本国民必読の記事だ。
米国のイラン制裁強化法の影響を受ける業種は石油関連、輸送、銀行、保険など
ほとんどの基幹業種に及ぶ。しかも適用範囲は米国企業にとどまらず日本企業を
含む外国企業に及ぶ。
違反行為が発覚した企業は米国内の取引が禁じられ、米国事業の実質的撤退を
余儀なくさせられる。イランと取引をした銀行は米金融システムから締め出す。
そのあまりの厳しさに米国企業さえも反発したという。
しかし米議会は上院賛成99票対反対0票、下院賛成408票対反対8票の
圧倒的多数で可決した。
米国は1990年代半ばにもイランのエネルギー開発に投資する企業を制裁
対象とした対イラン制裁法を成立させたことがあった。
その時は欧州連合が世界貿易機関(WTO)のルール違反だと訴えたため
クリントン大統領は制裁を差し控えた。
しかし今回は比べ物にならないほど包括的な制裁法を成立させた。それを強引
に実施しようとしている。本気でイラン制裁を行うつもりだ。
菱川氏は米国は日本企業も標的にされるという。そして日本企業が制裁を受けないためには、個々の企業努力はもちろん、日本政府がイラン封じ込めに米国と「緊密に協力している」と判断される事が重要である、と書いている。
3日の閣議決定はまさしくそのような配慮から来たものである。
国連安保理の制裁決議では具体的履行は各国の判断に委ねられている。
かつて日本はイランとの太い経済関係があった。だから追加措置には財務省、
経済産業省は慎重だったという(8月4日読売)。そこまでやらなくてもいいのだ。
それを岡田外相が、「影響がないような制裁では効果が期待できない」と押し
切って追加制裁措置を求めたという(8月4日読売)。
菅・仙石主導の民主党政権は対米外交が出来る人材は皆無だ。だから自民党
以上に対従属的となる。米国の対イラン戦争に無条件で協力しようとしている。
それは小泉首相の対イラク戦争支持よりももっと危険だ。
このままでは日本は米国の対イラン戦争に加担することになる。
今度こそ日本は米国のテロとの戦いに巻き込まれる。アルカイダの標的になる。
こんな愚かな事はない。菅民主党政権の最大のアキレス腱は対米外交である。
了
【引用ここまで】
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バルセロナです。
天木氏は「アルカイダの標的になる」とおっしゃっているのですが、イランはアルカイダとは無関係で、アルカイダはCIAの出先ですから、日本はとうに標的になっているわけですけどね(笑)。
まあ、これで、管首相が「核の傘は必要」と述べた意味もまた、まるわかりになりますね。要は、この米国大使の出席は、露骨な日本に対する恫喝なのであり、日本国首相の発言は「ハイハイ、親分さんのおっしゃるとおり」というもみ手なのです。
2003年に小泉はあのイラクへのペテン攻撃に誰よりも早く諸手を挙げて賛同(=参加)しました。そして管は、小泉よりもっと素早くイランへのペテン攻撃に賛同(=参加)の意志を示したようです。戦費?ご心配なく!日本国が何とかいたします!
国民の期待を一身に受けて誕生した民主党政府が、ここまでになるか、と愕然とする思いです。
http://www.asyura2.com/10/warb5/msg/465.html