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DOMOTO RE9NT1RP コメント履歴 No: 100000
http://www.asyura2.com/acpn/r/re/re9/RE9NT1RP/100000.html
[経世済民134] 金融庁が、新型コロナの長期化に向けた「危機人事」を配置−日銀は、レッドラインを越えた(国際決済銀行)−
世界の金融当局者が集まるFSB(金融安定理事会)で目下、焦点が当たっているのは新型コロナウイルスの大流行が長期化した時、金融システムを維持できるかだ。破綻処理に関わったエキスパートを要所に配置した「意味深人事」をみると、金融庁の危機感が伝わってくる。
(中略)
今は安定している金融システムだが「マグニチュードは世の中が想像している以上。財政支援で繕い、台風の目に入っているだけ」と語る幹部もいる。金融庁は危機に敏感になっているのだ。

金融庁「振興銀チーム」が映す危機対応DNA
2020/9/1 22:00日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63295570R00C20A9EE9000/

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今から思うに、「いくつかの中央銀行がかつてのレッドラインを越えた」とのBIS(国際決済銀行)の報告書(7月1日の日経新聞)が転機だったかもしれない。あきらかに日銀を念頭に書かれた報告書だろう。日銀の国債爆買いなしには来年度の予算は組めない。その金主がレッドラインを超えたのだ。

「いくつかの中央銀行がかつてのレッドラインを越えた」 2020年08月31日
https://www.fujimaki-japan.com/takeshi/10254

貸倒引当金、世界で2.3倍 国際決済銀が報告書
1〜3月、9.6兆円 コロナで不良債権化警戒
2020/7/1付 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60982950Q0A630C2EE9000/

http://www.asyura2.com/20/hasan134/msg/655.html

[国際31] プーチンのウクライナ侵攻の真の目的は、2024年の大統領選挙での再選−クリミア侵攻と酷似した行動パターン−
              統一ロシアの支持率の推移

(出典)2021年ロシア連邦下院選挙にみるプーチン政権の安定性と脆弱性
https://www.jiia.or.jp/research-report/russia-fy2021-05.html


プーチンのウクライナ侵攻の真の目的は、2024年の大統領選挙での再選−クリミア侵攻と酷似した行動パターン−


DOMOTO
ロシアの外交・軍事戦略
http://domoto-world.com/archives/cat_55728.html
http://domoto-world.com/


2年後の大統領再選のためのウクライナ侵攻。
現在、ロシア国内で日に日に増す反戦デモ。

2月25日、26日には、EUでロシアを国際的な資金決済網(SWIFT)から排除する金融制裁案が再浮上してきた。

対ロシア制裁、決済網排除が再浮上 EUで支持広がる(日経 2022年2月26日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2616H0W2A220C2000000/?unlock=1

プーチンは振り上げた斧(おの)をどうするのか。
米欧がSWIFT排除を決定すれば、大統領再選へのプーチンの目論見は、誤算となるだろう。


戦略国際問題研究所(CSIS)のアンドリュー・クチンス氏は、プーチンの2014年のクリミア侵攻を「リスクの高い政治戦略」と呼びましたが、2年後の大統領選挙で当選するための手段として、今回も彼には「侵略」しか選択肢がなかったようです。

近年はプーチン政権やその与党「統一ロシア」に対する支持率が低下しています。新型コロナ感染拡大の影響を受け、プーチンの支持率は2020年5月に政権成立後初めて60%を下回りました。
またプーチン政権の与党「統一ロシア」の支持率は、2014年のクリミア併合後上昇しましたが、その後再び低下し始め、新型コロナの感染拡大がロシア経済に打撃を与えると、2021年には同党の支持率は20%台にまで低下しています(下記記事一部を要約)。

2021年ロシア連邦下院選挙にみるプーチン政権の安定性と脆弱性 (日本国際問題研究所2021-12-21)
https://www.jiia.or.jp/research-report/russia-fy2021-05.html

また、ロシアの今年1月のインフレ率は8・7%に達しており、国民の生活は苦しい状態が続いています。


プーチンには、ロシア経済停滞による支持率低下の状況下で、大統領選挙を迎える3〜4年前になると、ウクライナへの侵略という選挙対策を使う行動パターンがあるようです。

2014年2月のクリミア侵攻時も経済が停滞していましたが、これは2018年3月の大統領選挙の4年前です。
2021年は原油価格上昇で一時的に経済成長率は上昇しましたが、ロシア中銀総裁は2022年から2023年にかけてロシアの景気はさらに減速すると見ており、今後インフレが加速することが予想されています。
今回のウクライナ侵攻は経済停滞下での軍事侵攻という点でクリミア侵攻時と似ています。
そして2021年4月にはプーチンはウクライナとの国境地帯に大規模部隊の集結を始めていますから、2024年3月の大統領選挙の3年前にプーチンはロシア軍の派兵を開始しているのです。

クリミア侵攻でも今回のウクライナ侵攻でも、大統領選挙を迎える3〜4年前、経済停滞下の状況で、ウクライナへ侵攻しているのです。さらに侵攻前の与党「統一ロシア」の支持率が非常に下落している点も共通した特徴です。

ロシア中銀総裁はロシア経済の成長率は2023年にかけて減速すると見ている(ブルームバーグ 2022年2月19日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-02-18/R7IE9FDWX2PS01

2021年4月5日にプーチンは改正大統領選挙法を成立させ、2036年まで自身の任期を可能にする布石を打っていますが、同月8日、ウクライナとの国境地帯に、クリミアを併合した2014年以降で「最大規模」のロシア軍部隊の集結が確認されています。

ロシア軍集結、ウクライナ国境が緊迫…米政権の対応試す狙いか(2021/04/10)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20210410-OYT1T50261/

バイデン米大統領もブリンケン国務長官も「プーチンはソビエトを再建したい」と言っていますが、現実主義者のプーチンがそのようなドン・キホーテ的な夢想家であるはずがなく、そのような回帰主義者の目で世界から見られることは、彼にとって逆に好都合です。それは大統領選で再選を果たし、2036年までの権力の座に君臨しようとする、権力の亡者としての自分の姿を覆い隠します。NATOの拡大阻止という彼の戦略的理想も二の次の話で、これは格好の口実になります。とにかく今は、ロシア経済が停滞するなかで、2年後の大統領再選のために功績を作り上げなければなりません。

以下の引用記事は、2014年11月に戦略国際問題研究所(CSIS)のHPで、ロシアが専門のアンドリュー・クチンス氏が、クリミア危機の当時、ロシア経済の停滞のなかでプーチンがどのように考えて侵略に至ったのか、その政治行動を分析した記事です。

題名の『プーチンのジレンマ』(Putin's Dilemma)の「ジレンマ」は、(解決が困難な)難問、窮地、困難という意味です。

そこでは、経済の構造改革と経済成長を断念したプーチンが、得意な軍事力の行使を選んで国外への侵略を活路にし、権力の延命を図る姿が解説されています。

Putin's Dilemma (「プーチンのジレンマ」 戦略国際問題研究所 (2014.11/13)  
http://csis.org/publication/putins-dilemma

記事の一部を抄訳します。

(抄訳開始)
プーチンは大統領に就任して以来、二期にわたって(2000〜2008年)、年に約7%の経済の成長をなし遂げてきた。ロシアの石油と天然ガスの生産高を飛躍的に増やしたことが、高い経済成長を支えた。世界的な経済危機の後でさえ、2010年と2011年には4%以上にまで回復させた。

プーチンに対する一貫した政治的に高い評価の基盤は、ロシアの人々の、経済の見込みが絶えず良くなっていくという認識であった。

プーチンが2012年5月に大統領の職に戻った時、彼は難しい選択に直面した。その時、経済の停滞の兆候がすでに明らかになっていたからだ。彼は増えていた中産階級を、彼らの経済的不安に対処することによって吸収し、構造的な経済改革に着手するか、または、彼の「垂直なパワー」と呼ばれる政治的な基盤を弱体化させる危険を冒すかの、どちらかの選択に直面した。

プーチンのジレンマは、1980年代初期のソ連政治局を思い出させる。

石油による多くのドル収入にもかかわらず、ソ連経済は構造的に非常に非効率であったために成長率はゼロに近かった。
ソビエトの経済停滞が深い底にあった時、ブレジネフと彼の後継者たちは、構造経済改革は政治的に危険すぎると判断して、改革をせずにどうにか切り抜けようとした。

もし、原油価格が高いままであったなら、その動きはうまくいったかもしれない。そしてソ連は持ちこたえていただろう。
しかし言うまでもなく、原油価格は急落し(訳注:1981〜1986年にかけて)、ソ連は改革を試み、ソ連崩壊は起こった。

プーチンは、クリミア併合とウクライナでの戦争の前でさえ、原油価格が歴史的に高かったにもかかわらず、(ソビエトの前任者たちのように)構造改革を避けてきて、ロシア経済は停滞を続けてきた。

それはプーチンが、政治的な人気と権力の基盤のための経済成長と繁栄を断念することを、すでに決心したように見えた。

このリスクの高い政治戦略は、彼の指導力を正当化する<新しい政治的な物語>を必要とする。経済成長と繁栄をもはや絶対必要なものではないとするならば(権力維持のために)、<新しい政治的な物語>を必要とする。

この新しい政治戦略(物語)は2012-2013年に形ができ始めた。それは「公式な愛国心」という19世紀のロシアの政策の中にある伝統的なロシアの価値観に重点を置くことを、(国民のあいだに)強化することとともに行なわれた。その「公式な愛国心」は独裁政治、正統性、ロシア人の愛国心の3つを中心に展開する。

ウクライナの危機は、この新しい政治的物語をさらに強化するための理想的な機会を提供した。

(抄訳終了)

※ この抄訳は、私のブログの下記の記事からのものです。

プーチンは経済成長を捨てて侵略する選択を―プーチンは何を考えて行動しているのか―(2015年01月11日)
http://domoto-world.com/archives/1960212.html


    了

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http://www.asyura2.com/21/kokusai31/msg/457.html

[戦争b23] 国際板リンク: プーチンのウクライナ侵攻の真の目的は、2024年の大統領選挙での再選−クリミア侵攻と酷似した行動パターン−
国際板に投稿しました。

プーチンのウクライナ侵攻の真の目的は、2024年の大統領選挙での再選−クリミア侵攻と酷似した行動パターン−
http://www.asyura2.com/21/kokusai31/msg/457.html
投稿者 DOMOTO 日時 2022 年 2 月 27 日 04:49:16: VRQtq/0DZtRLQ RE9NT1RP

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http://www.asyura2.com/19/warb23/msg/372.html

[テスト34] test
ffffffffffffffffff

http://www.asyura2.com/19/test34/msg/254.html
[戦争b25] 米国の軍需産業の重大な欠陥と脆弱性ー米国は中国との戦争の備えができていないー(CSIS報告)
画像: Dangerous Straits: Wargaming a Future Conflict over Taiwan(新アメリカ安全保障センター)から
https://www.cnas.org/publications/reports/dangerous-straits-wargaming-a-future-conflict-over-taiwans


 国際情勢と気候危機 (by DOMOTO)
 https://domoto-world.com/     

 目次

 第1節 史上初の米国の国家防衛産業戦略

 第2節 台湾戦争では米軍の長距離対艦ミサイルが1週間で枯渇する

 第3節 中国による米国のサプライチェーンの支配とその脆弱性

 第4節 米軍の「量的優位」の低下: 環球時報による論評

 第5節 日本は「防衛装備移転三原則」の運用指針を改正

 結 語


   ■ 第1節 史上初の米国の国家防衛産業戦略

2024年1月11日、米国防総省は史上初となる国家防衛産業戦略(National Defense Industrial Strategy)を公表した。

「ウクライナでの戦争は、現在の米国の防衛産業基盤の深刻な欠陥を露呈した。」(CSISのセス・G・ジョーンズ氏)

米国の軍需産業の縮小によって、ウクライナ戦争でのミサイル・弾薬不足が続いている。

米国の軍需産業は、冷戦終結以降その全体的規模が徐々に縮小している。このため想定される地域戦争において、「米国は大規模な戦争を長期間維持することが困難になっている」(セス・G・ジョーンズ氏)。

今回の史上初となる米国の国家防衛産業戦略は、この深刻な事態に対して、縮小している国家の防衛産業基盤を拡大し再活性化しようとするものだ。

国家防衛産業戦略の公表については日経が取り上げているが、戦略作成の背景までは触れていない。

米国、防衛産業協力へアジア同盟国と新枠組み 中国対処(日経 2024.1.12)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN110FP0R10C24A1000000/

一方で、中国は「米国に対する戦争を抑止し、戦い、勝利するための強固な防衛産業基盤を急速に発展させている」。

これは、CSIS(戦略国際問題研究所)のセス・G・ジョーンズ氏(防衛戦略、軍事作戦が専門)のレポートでの報告だ。

Built in China: Beijing’s Defense Industrial Base and Implications for the United States( 北京の防衛産業基盤と米国への影響 CSIS 2024.1.25)
https://features.csis.org/global-forecast-china-challenge/

米国の防衛産業基盤の脆弱性はウクライナ戦争が始まった2022年にはすでに指摘されていたが、この問題を提起したCSISのジョーンズ氏は、2023年1月のレポートでその問題を取り上げていた。

ジョーンズ氏のそのレポートは、公開された2週間前の1月9日に公表されたCSISの台湾戦争のシミュレーション結果での、大苦戦しながらも大半のケースで米軍が中国に勝利するという予測を大きく否定したものとなっている。

The U.S. Defense Industrial Base Is Not Prepared for a Possible Conflict with China(米国の防衛産業基盤は中国との起こりうる戦争への備えができていないー CSIS 2023.1.23 ー)
https://features.csis.org/preparing-the-US-industrial-base-to-deter-conflict-with-China/

Empty Bins in a Wartime Environment: The Challenge to the U.S. Defense Industrial Base(ジョーンズ氏レポート全文)
https://www.csis.org/analysis/empty-bins-wartime-environment-challenge-us-defense-industrial-base

冒頭で述べた通り、米国防総省は史上初となる国家防衛産業戦略を公表したが、ジョーンズ氏は前述の2024年の1月のレポートで、米国の防衛産業基盤に「緊急の変革がない限り、米国は中国軍への抑止力を弱め、対中戦力が低下する危険性がある」と警告している。

彼は前述のもう一つの2023年1月のレポートで、「ウクライナでの戦争は、今日の長引く紛争が『産業戦争』になる可能性が高いことを警告している」と述べている。

ジョーンズ氏は、防衛産業基盤の変革と再活性化は一朝一夕には行えないと危機感を述べているが、米国の防衛産業基盤が再活性化されるには相当な時間を要する。米国の「緊急を要する変革」が今後早急に進まなければ、アジアにおける軍事力は中国に逆転され、その中国とロシアの軍事協力の拡大と発展により、世界の軍事情勢は激変する可能性がある。


 ■ 第2節 台湾戦争では米軍の長距離対艦ミサイルが1週間で枯渇する

CSISのジョーンズ氏のレポートから、大規模戦争シナリオでの米軍の大量の軍需品不足を示す一例をあげよう。

台湾戦争で米軍は3週間で5000発以上の長距離ミサイルを使う。その内、中国海軍を攻撃するのに大きな役割を果たす長距離対艦ミサイルを、米軍は開戦直後の1週間で使い果たしてしまう(開戦初期は中国の防衛が激しくなると予想されるため)。

失った長距離対艦ミサイルを製造するのには2年近くかかり、不足分を補充するのにタイムラグが生じる。

そして米国のほか、イギリス、フランスでも軍需品不足の問題に直面している。

NATOのストルテンベルグ事務総長は2023年10月の記者会見で、「ウクライナに対するロシアの戦争でNATOの備蓄は尽きた」、軍需品供給の「スピードと量が重要になる」と訴えている(共同通信 2023.10.26)。


 ■ 第3節  中国による米国のサプライチェーンの支配とその脆弱性

CSISのジョーンズ氏のレポートでは、米国の軍需産業基盤の重大な欠陥の一つとして、サプライチェーンの寸断、とくに中国によるサプライチェーンの支配をあげている。

この問題については、以下にその要約を記す。

(要約開始)
現在、米国の防衛部門のサプライチェーンは、一部の企業が閉鎖したり、非友好国へ海外移転したりして脆弱なものとなっている。

加えて、様々なミサイルや軍需品の製造に不可欠なレアアースを中国がほぼ独占しており(世界での生産量約70%)、世界中の高度なバッテリーのサプライチェーンも支配している。また、防衛システムや軍需品の製造過程で必要になる鋳造製品も中国のほか外国政府に依存している。

さらに、サプライチェーンの脆弱性として以下のものがある。

チタン、アルミニウム、その他の金属、半導体、ミサイル推進、高温材料、各種マイクロエレクトロニクスなど。

こうした問題は、国防産業法の権限を拡大することで対処できるかもしれない。
(要約終了)

ジョーンズ氏は別の場で、中国はサプライチェーンを「武器化」していると述べているが、この事は非常に重要な指摘だ。


 ■ 第4節 米軍の「量的優位」の低下: 環球時報による論評

米国の軍需産業はこのようなサプライチェーンの寸断の問題のほか、生産能力の不足と労働力の不足という大きな問題も抱えており、かつては他の軍事大国に対して米国が保持していた「量的優位」が不十分なものになっている。

2023年1月のジョーンズ氏のレポートの紹介記事や類似記事は、ウォール・ストリート・ジャーナルやフォーリン・アフェアーズなどでも掲載されたが、中国共産党の官営機関紙『環球時報』が、現下の米国の軍需産業の重大な欠陥と脆弱性について、解説と論評を2023年7月に行っている。

その中で環球時報は次のような端的な表現をしていた。

「米国のハイテク兵器システムの『質的優位』は小規模な戦闘には勝てるが、軍事大国の『量的優位』を圧倒するには不十分であり、米軍は『質 』でリードする必要があるだけでなく、『量』でも競争相手に遅れをとるわけにはいかない。」

US’ renewed emphasis on military production is ominous for global stability(環球時報 国際版 2023.7.31)
https://www.globaltimes.cn/page/202307/1295385.shtml


 ■ 第5節 日本は「防衛装備移転三原則」の運用指針を改正

日本は2023年12月、「防衛装備移転三原則」の運用指針を改正し、地対空迎撃ミサイル「パトリオット」の米国への輸出を決めた。

米国は以前から、日本に武器輸出のルール見直しを求めていたが、日本が防衛装備品をそのライセンス元の国へ輸出できる方針を決定した背景には、ウクライナ戦争でのミサイル・弾薬不足で露呈した、米国軍需産業の縮小による生産能力の不足、労働力の不足、サプライチェーンの寸断などの問題がある。

実際、1月に公表された米国の国家防衛産業戦略を解説したCSISの記事では、国家防衛産業戦略の取り組みとして、「米国の弾力ある防衛産業の工業生態系を支援するために、同盟国やパートナー国と協力する」ことがあげられている。

"This will be achieved by working with allies and partners to support a resilient defense industrial ecosystem in the United States."

Understanding the Contributions of the New National Defense Industrial Strategy ( CSIS 2024.1.17)
https://www.csis.org/analysis/understanding-contributions-new-national-defense-industrial-strategy

今後、米軍の「量的減少」を補完するために、日本の武器・兵器の輸出量は格段に増えていくだろう。


   ■ 結 語

米国軍需産業は、サプライチェーンの脆弱性、生産能力の不足、労働力の確保などの深刻な問題を抱えており、長期戦においては、対中国はもとより、2正面作戦、3正面作戦の遂行が到底不可能な状態になっている。

このような軍需産業の現状の変革と再活性化のために、同盟国やパートナー国との協力も視野に入れて、2024年1月、国家防衛産業戦略が発表された。

中国は強固な軍需産業基盤を急速に発展させている。ハイテク分野での米国との競争で優位に立つ中国との軍事力の競争は、それを左右する両国の「産業戦争」となっており、「産業戦争」においては現在、中国が優勢である。

米中ハイテク戦争、劣勢の米国 スティーブン・ローチ氏( 日経 2023.2.8.)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD023D80S3A200C2000000/

米国とその同盟国も含め、米国の軍需産業基盤の再活性化は、一朝一夕には行えないが、「緊急の変革がない限り」(ジョーンズ氏)、世界の軍事情勢のパワーバランスは激変する。

ジョーンズ氏は「現在存在している競争の時代に備えるべき時が来ている」と述べているが、いま進行中の中国、ロシア、北朝鮮、イランの連合体との「産業戦争」で敗北することは、軍事的敗北を意味する。

 (了)

■ 関連記事

米国防総省が公式発表、米国の「工業衰退」は国防上の脅威に(Forbes Japan 2024.1.30)
https://forbesjapan.com/articles/detail/68842?read_more=1

日本を豊かで強い国にするために、防衛装備移転三原則の撤廃を( JBpress 2024.1.18)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78962


http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/321.html
[国際34] 米国の軍需産業の重大な欠陥と脆弱性ー米国は中国との戦争の備えができていないー(CSIS報告):戦争板リンク
米国の軍需産業の重大な欠陥と脆弱性ー米国は中国との戦争の備えができていないー(CSIS報告)

http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/321.html


http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/156.html
[戦争b25] 米国は二正面戦争で戦術核兵器の先制攻撃を計画(CSIS核問題プロジェクト)


    米国は二正面戦争で戦術核兵器の先制攻撃を計画(CSIS核問題プロジェクト)

DOMOTO
https://domoto-world.com/


目次
■ I 報告書の概要
■ II 米国による核兵器の使用


     ■ I 報告書の概要

2024年6月、バイデン政権下で中国、ロシア、北朝鮮、イランの間の軍事的関係が強化され進行している中で、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)から、二正面戦争を現実的な想定とした軍事戦略報告書が公開された。

Understanding Opportunistic Aggression in the Twenty-First Century(PDF)
(「21世紀の便乗型侵略についての見解」)
(June 6, 2024 戦略国際問題研究所)
https://www.csis.org/analysis/understanding-opportunistic-aggression-twenty-first-century

この報告書でいう便乗型侵略(戦争)[Opportunistic Aggression] とは、米国の同盟国などが敵対国から侵略戦争を受けている時に、もう一つの別の敵対国がそれに便乗して米国の別の同盟国などに戦争を仕掛けた場合の侵略(戦争)を指し、報告書は主として第2の戦域での軍事戦略上の米軍の弱点を考察し強調している。

このケースの敵対国の侵略戦争をCSISの核問題プロジェクトでは「21世紀での便乗型侵略」として想定し、この二正面戦争では米軍による核兵器使用の可能性が高くなることを結論的に述べている。そしてこの報告書では「21世紀での便乗型侵略」を「現実に直結する問題」として指摘している。

現状では米国は核兵器を抑止力として使うだけにとどまっている。しかし、米国は二正面戦争において、軍事作戦のプロセスとして核攻撃を組み込んだ核戦術を構築し始めている。二正面戦争では米国の通常戦力が分散して不足するので、核兵器を使用する必要が出てきたのである。

この軍事戦略報告書は、米国の核兵器問題の専門家11名によって作成された。このチームには国防総省の政策担当官や研究技術担当官、海軍の政策担当官、海軍研究機関の核兵器政策の専門家、空軍研究機関の核拡散の専門家、エネルギー省の国家核安全保障局の外交問題専門家など7名の政府機関の専門家のほか、非政府機関の核問題の専門家が含まれる(PDF 32〜34ページ参照)。

報告書は記事の紹介ページで次のように記している。

「戦略国際問題研究所(CSIS)の核問題プロジェクトは、将来の核戦略と核態勢に影響を与える中心的な問題についての新たな考え方を作り出すために、「21世紀の便乗型侵略の把握」に焦点を当てた作業部会を立ち上げた。」
https://www.csis.org/analysis/understanding-opportunistic-aggression-twenty-first-century

この「新たな考え方」とは核兵器使用についての軍事原則を指している。つまり核兵器使用について根底をなす基本的な考え方のことだ。


     ■ II 米国による核兵器の使用

プーチンは2024年11月に、2020年6月以来の核兵器使用に関する核ドクトリンの改定を行った。バイデン政権下では中国、ロシア、北朝鮮、イランの間の軍事的関係強化が急速に進んでいる(下記は参考記事)。

Back in Stock? The State of Russia's Defense Industry after Two Years of the War
(「戦争から2年を経たロシア国防産業の現状」)
(April 22, 2024 戦略国際問題研究所))
https://www.csis.org/analysis/back-stock-state-russias-defense-industry-after-two-years-war

冒頭にあげているCSISのこの報告書は二部構成で、そのうち私は本論にあたる第一部に目を通したが、報告書は二正面戦争と便乗型侵略戦争を現実的な想定とした後、米国は同盟国を守るために、二正面戦争で最終的に核兵器の使用を必要とする可能性が高いという結論に達している。

なかでも二正面戦争での両方の敵対国が核保有国である場合、米国は戦術核兵器による先制攻撃を行う可能性が最も大きくなるとしている(※ 筆者注-これは現段階ではロシア、中国、北朝鮮が対象となる)。

Finally, if both the initial adversary and the opportunistic aggressor are nuclear peers, the United States would confront an insufficient resources challenge. … This strategy would likely require the greatest reliance on nuclear weapons and result in the greatest likelihood of U.S. first use, as the United States might need to employ tactical nuclear weapons to offset conventional weaknesses. (PDF 21ページ, first useは軍事用語で「先制使用」 )

また危機が敵対国の核使用から始まる場合についても想定している。例えば北朝鮮による米国の同盟国への核攻撃、また中国やロシアによる米国の同盟国への核兵器の威嚇使用(米軍の介入阻止のための威嚇)に対しても、米国が核兵器を使用する可能性は大きくなるとしている(PDF 21ページ)。

報告書は第一部の終わりで「これらの紛争内および紛争間の戦争抑止政策の同時管理の難題は、十分に研究されておらず、理論化もされていないが、拮抗する二極化する世界においてますます現実に直結する問題となっている」 と指摘している (PDF 23ページ)。

この箇所の記述と報告書の内容から言って、この軍事報告書は核軍事政策の基本的立場の提言を原則論としてまとめたものであり、実戦上の軍事作戦のシナリオは、時の政治的判断も加わりまた別のものになるかもしれない。

もし、米国が二正面戦争での戦術核兵器の先制攻撃などを実戦上の軍事作戦のシナリオと策定するならば、この軍事報告書の最大の欠陥は、米国の先制核兵器攻撃に対する敵対国による報復核攻撃への対処に触れていないことだ。これが軍事政策上において「十分に研究されておらず、理論化もされていない」ということであろう。この重大な想定はプーチンが改定をしている核軍事ドクトリンも同じで、米欧側がロシアに報復核攻撃を行った場合についてのロシアの軍事行動は示されていない。


■関連投稿

米国軍需産業の重大な欠陥と脆弱性−国家防衛産業戦略の背景−
(拙稿 2024年2月1日)
https://domoto-world.com/archives/serious-deficiencies-and-vulnerabilities-in-the-u-s-military-industry.html

http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/823.html
[国際35] 米国は二正面戦争で戦術核兵器の先制攻撃を計画(CSIS核問題プロジェクト)[ 戦争板リンク ]
米国は二正面戦争で戦術核兵器の先制攻撃を計画(CSIS核問題プロジェクト)
http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/823.html

http://www.asyura2.com/24/kokusai35/msg/204.html

   

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