4. 中川隆[-13102] koaQ7Jey 2020年4月20日 14:21:53 : at6ayMU0Ck : WklkR3pzU3dhZmM=[20]
内閣官房参与をクビにされた藤井聡先生、遂に本音を語る
【経済討論】日本と世界経済の行方 2019[桜H31-1-5] - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=-2jIEzJFMUg&feature=youtu.be
2019/01/05 に公開
◆経済討論−日本と世界経済の行方 2019
パネリスト:
安藤裕(内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員)
金子洋一(前参議院議員)
島倉原(経済評論家・株式会社クレディセゾン主任研究員)
藤井聡(京都大学大学院教授)
三橋貴明(経世論研究所所長)
武者陵司(武者リサーチ代表・ドイツ証券グループアドバイザー)
渡邉哲也(経済評論家)
司会:水島総
___
ぱちもん
藤井さん、参与辞めたら飛ばすなぁw
佐藤恭一
藤井さんが元気になってる!
▲△▽▼
消費増税に反対した藤井聡・内閣官房参与“退職”の裏に、安倍官邸の陰湿圧力!「赤旗」に出たことで菅官房長官が
https://lite-ra.com/2019/01/post-4467.html
2019.01.02 消費増税反対の内閣官房参与“退職”の裏に官邸の圧力 リテラ
解任の発端!?藤井氏が登場したしんぶん赤旗日曜版 2018年11月18日号
2019年はいよいよ消費税10%への引き上げが実施されるが、その年が明ける4日前、仕事納めの日に安倍政権がなんとも陰湿な言論弾圧人事を行った。
消費税増税反対を主張する藤井聡京都大学大学院教授の「内閣官房参与」退職を発表したのだ。
内閣官房参与というのは、首相が各専門分野で直接、専門家に助言をえるために設けられた非常勤のブレーン職。藤井氏は第二次安倍政権発足と同時に、防災・減災ニューディール政策担当の内閣官房参与に就任し、安倍首相が公共政策の目玉としてぶちあげた「国土強靭化計画」の策定に関わった。
思想的にも右派で、安倍首相の有力ブレーンのひとりと目されていた藤井氏だが、しかし、一方で増税反対の立場を取っており、以前から様々なメディアで消費増税反対を主張してきた。安倍首相が2019年10月の10%増税を予定どおり行うと表明してからも、口をつぐむことはなく、むしろ批判を強めていた。昨年11月には著書『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(晶文社)を出版、さらに、共産党の機関紙「しんぶん赤旗日曜版」(11月18日付け)にも登場して、消費増税を批判していた。
そんななか、いきなり年の瀬に退職が発表されたというわけだ。当然、これには姑息な裏があった。
報道では、今回の退職が藤井氏から申し出たということになっているが、実際は完全に建前で、かぎりなく「解任」に近いものだったらしい。
「藤井氏が『赤旗』に出たことを菅義偉官房長官が“政権への背信行為”だと激怒。杉田和博官房副長官ら官邸幹部もいれかわりたちかわり藤井氏に迫り、辞職に追い込んだようです。これまで藤井氏をかばっていた安倍首相もこの決定を追認したようですね。
もっとも、安倍官邸は今回の『赤旗』問題の前から、藤井氏を切ろうとタイミングを見計らっていました。藤井さんは内閣官房参与であるにもかかわらず、消費増税が貧困化と逆に財政悪化を導くことをあちこちで語っていたうえ、アベノミクスの景気回復に実体がないことを主張するなど、完全に“目の上のたんこぶ”状態でしたから。それでも、安倍首相が増税を決断しないうちは目をつぶっていたのですが、増税が決定したことで、いよいよ放置できなくなった。藤井氏に参与のまま自由に発言を続けさせたら“安倍首相の側近で右派の学者までが消費税に反対している”と取り上げられ、政権を揺るがしかねない。そこで、藤井氏が『赤旗』の取材に応じたことを口実にして、辞職に追い込んだということでしょう」(全国紙政治部記者)
まったく、安倍官邸らしい陰湿なやり口だが、しかし、不思議なのは、藤井氏がこの事実上の解任の経緯について口を閉ざしていることだ。藤井氏は12月28日、Facebookで内閣官房参与の辞職願を提出したことを報告していたが、〈学究、とりわけ「言論活動」がこれからますます重要な局面となりますことから、今後の本務への参与職の影響を鑑み、安倍総理ともしっかりとご相談させて頂いた上で、参与職を辞する決意を致した次第です〉と書いただけで、圧力については一切ふれなかった。
「菅官房長官のことですから、藤井氏に対して“余計なことしゃべるな”といろいろ脅しをかけたんじゃないでしょうか。それで、自分から辞職を申し出たことにするということで落着したんでしょう」(前出・全国紙政治部記者)
もっとも、藤井氏は辞職の真相については口を噤んでいるものの、消費増税反対の姿勢は崩していない。むしろ、内閣官房参与という足かせがとれたことで、舌鋒はさらに鋭さを増し、左右の垣根を越えて消費税に反対する勢力と連携を強めているようにも思える。
本サイトは、藤井氏が「赤旗」に登場した際に、藤井氏の消費増税反対論を紹介したことがある。政治的には右派の藤井氏だが、経済政策では安倍政権の法人税減税などの格差助長政策に反対する立場をとり、消費増税の問題点を鋭く分析している。
今回再編集して掲載するので、最悪の格差助長政策を阻止するため、改めて読み返してほしい。
■安倍政権の内閣官房参与が「赤旗」に登場して消費増税を徹底批判!
安倍政権を支える現役の内閣官房参与が、「赤旗」一面に登場し「消費税10%反対」を唱えている。
「私は来年10月の消費税増税は凍結すべきだと思っています。10%への税率引き上げは日本経済を破壊するからです」
「しんぶん赤旗日曜版」(11月18日付け)で、こう断言しているのは、2012年から安倍内閣で内閣官房参与を務めている、藤井聡・京都大学大学院教授だ。藤井氏は「しんぶん赤旗日曜版」のインタビューに応じ、景気への悪影響、貧困の拡大、被災地復興への打撃といった観点から、2面に渡って消費増税の危険性を語っている。
実は藤井氏が消費増税反対を唱えるのはこのインタビューが初めてではない。先日刊行された著書『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(晶文社)においても、〈デフレ状況にある現在の我が国において消費増税を行うことは、 国民を貧困化させ、日本を貧国化させ、そして、挙げ句に日本の「財政基盤」そのものを破壊することにつながると確信する〉と主張。増税の「凍結」、いや「減税」こそが〈日本経済に最悪の被害がもたらされることを避けるための、最善の策〉だとし、増税の凍結・減税は〈政治の力で変えられるのは、当たり前〉だと述べているのだ。
そもそも、安倍首相は「日本経済は11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長」「内需主導の力強い経済成長が実現している」などとしきりに景気回復を強調するが、一方で今年9月のJNN世論調査では84%の人がアベノミクスの景気回復について「実感ない」と答えている。だが、これは当然の話だ。藤井氏によると各世帯の年間消費額は、2014年に消費税を5%から8%に引き上げる直前が369万円だったのに、増税後は一気に下がりつづけ、2017年には335万円にまで落ち込んだのだ。つまり、〈消費増税のせいで、私達は一世帯当たり年間 34 万円分も「貧しい暮らし」を余儀なくされるようになった〉というわけだ。
しかも、「景気回復」との掛け声とは裏腹に、2014年の増税後からサラリーマンの給与水準も低いままで一向に回復していない。中小企業の「景況感」をはかる業況判断指数(DI)も、リーマンショックで「どん底」に落ちて以降はマイナス(景気が悪い)ながらも徐々に回復しつつあったが、2014年の増税によって改善傾向がマイナス領域でピタリと止まったまま。「消費」「賃金」「景況判断」の客観的データからも、2014年消費増税によって庶民の暮らしは大打撃を受け、依然として深刻な状態にあることがわかる。何より、日本経済全体の6割を占める「消費」の総額(実質値)は、消費増税前後で14兆円も下落。その後も消費は冷え込んだままなのだ。
■安倍首相の経済ブレーンが「アベノミクスで経済上向き」の嘘を指摘
では、どうして「アベノミクスで経済が上向き」などという報道が出てくるのか。これを藤井氏は〈世界経済が好調なおかげ〉にすぎないと喝破する。実際、GDPは2014年の消費増税前から現在まで約18兆円(実質値)伸びているが、この間に輸出は約15兆円も増加。輸出の増加がなければ〈一年あたり約0.7〜0.8兆円、成長率にして実に年率平均約0.2%しか伸びなかった〉のである。また、この4年で、輸出に次いで伸びたのは「民間投資」だが、これも輸出が伸びた結果であると考えられるという。藤井氏はこう述べている。
〈つまり、世界経済の好況という「他力」がなければ、日本経済はやはり、消費増税によって「衰退」していたのである〉
〈万一、消費増税によって内需がこれだけ弱々しい状況に至っている中で世界的な経済危機が勃発すれば、衰弱した日本経済は恐るべきダメージを被るであろう〉
さらに藤井氏は、世界各国の経済成長率(1995〜2015年)に目を向け、〈日本の20年間成長率は断トツの最下位〉〈日本の成長率だけが「マイナス」の水準〉であるとし、〈日本はもはや、「経済大国」でないばかりか、「先進国」ですらない〉〈先進国でも発展途上国でもない、世界唯一の「衰退途上国」とでも言わざるを得ない〉と明言。こうした元凶が、バブル崩壊後の1997年に実施した消費税の3%から5%への引き上げによって「デフレ不況」に突入したためだと説明した上で、〈未だに「デフレ脱却」を果たせていない〉いまの状態で消費税を10%に引き上げることは〈確実に破壊的ダメージがもたらされる〉と警告を発するのだ。
その上、2014年の消費増税時は「外需の伸び」という幸運があったが、これは「アメリカ経済の好況」と「安い原油価格」があってのこと。ご存じの通り、トランプ大統領は目下、安倍首相に自動車の追加関税をちらつかせており、原油価格も上昇。つまり、〈2019年増税の外需環境は、2014年増税よりも、より深刻な被害をもたらした1997年増税時のそれに類似している〉のである。
しかも、今回の増税は、安倍首相肝入りの「働き方改革」による〈労働者の所得は8.5兆円縮減される〉という予測や、東京オリンピック投資が縮小に入るというタイミングとぶつかる。また、「10%」という数字の「キリの良さ」「わかりやすさ」が消費行動にブレーキをかけやすいという心的傾向もあると藤井氏は指摘。〈日本経済にもたらす破壊的ダメージは極めて深刻なものになるのは「必至」〉であり、それを回避するためにも「凍結」あるいは「減税」こそが求められるというのである。
■「消費税でなく法人税を上げるべき」と主張する藤井聡・内閣官房参与
だが、こうは言っても「国の借金は1000兆円もあるのに放置していいのか」「消費税を延期ばかりしていたら国の借金で日本は破綻する」という声が必ずや上がるだろう。しかし、藤井氏はこれを〈何の根拠もない「杞憂」(無用の心配)であり、ただ単に、経済学者や増税推進派が撒き散らかした「デマ」であり「プロパガンダ」(主義の宣伝)に煽られているに過ぎぬもの〉と断言。「デマ」である根拠を挙げている。
そのひとつが、1997年や2014年の増税がそうであったように、デフレ不況下で消費税を増税すれば、〈経済が停滞し、かえって税収が減って、財政が悪化してしまう〉ということ。国の破綻回避を叫ぶなら、税収が減少する増税を止めたほうがいい、というのである。
さらに、「国の破綻」という曖昧な言葉自体が詐欺的であり、「日本政府の破綻はありえない」ということ。たとえばよく引き合いに出されるギリシャだが、ギリシャの場合は「国の借金が増えた」ことで危機に陥ったのではなく、〈経済が低迷し、失業者が増えてしまったことが「原因」で、税収が減り、借りた金が返せなくなり、「政府が破綻」〉した。ギリシャの借金は「ユーロ」だったが、日本の場合は基本的にすべて円建ての借金であり、円の通貨発行権もある。自国通貨建ての借金であるために破綻することはあり得ないのだ。また、ギリシャが破綻危機にあった際は金利が30〜40%だったというが、日本の国債の金利はいま0.1%程度。だからこそ、市場関係者が「日本政府が破綻する」などと心配している者はいない、というのだ。
そして、「国が破綻するから消費税」という主張に対し、藤井氏は加えて〈増税する対象として「消費税」を選ぶ必然性など何もない〉といい、消費増税とは反対に税率が下げられてきた法人税を上げるべきだと強調する。
当然の主張だろう。第二次安倍政権の発足以降、アベノミクスの成長戦略として法人税率はどんどん引き下げられ、法人実効税率は37%から2016年度には29.97%に減少。消費税増収分は法人税の減収の穴埋めに使われたようなものだからだ。実際、藤井氏は過去約30年に遡って現状と比較し、〈金持ちと大企業がかつて支払っていた税金を10兆円以上減らしてやり、その大半を、貧乏な世帯も含めたすべての庶民が肩代わりしてやるようになった〉〈消費増税は確実に、庶民の間の「格差」や「不平等」を拡大させた〉と指摘。法人税のほかにも、“所得税の高額所得者ほど減税の流れの見直し”や、先日、増税見送りが発表された金融所得の税率引き上げ、環境税・混雑税、土地利用是正税なども提案している。
格差が広がるなか、低所得者であるほど負担が重くなる「逆進性」の消費税を増税するのではなく、法人税や所得税の税率を見直し、不公平な税制を正すべきというのは、至極真っ当な考え方だ。だが、安倍首相はそれを実行しようとはけっしてせず、世界景気の恩恵を受けているだけの結果を「内需主導の成長」などと嘘をつき続けている。
いや、それだけではない。消費増税の目的として、安倍首相がぶち上げている「幼児教育・保育の無償化」についてもさっそくインチキが発覚した。スタートから半年間は国費で払うものの、無償化に必要な8300億円のうち半分以上となる4370億円は市町村に負担させるというのだ。
昨年9月に解散表明をしたときの大義名分は「消費税の使い方の見直し」であり、安倍首相は「幼児教育の無償化を一気に進める」と大見得を切った。だが、これも「半分以上は地方でよろしく」とツケを回そうというのである。しかも、〈自治体によっては無償化の負担が消費税の増収分を上回る〉(朝日新聞11月8日付)という。
政府は混乱必至の軽減税率を筆頭に「プレミアム付き商品券」だの「キャッシュレス決済でポイント還元」だのと愚策ばかり打ち出しているが、幼児教育の無償化にしても、待機児童家庭はその恩恵を受けられないという問題がある。その上、待機児童解消のための地方財源が無償化によって削られる可能性まで出てきたのである。
幼児教育の無償化を「未来の投資だ」と喧伝するばかり。一方の国民も、政府に言われるがままで「増税しかたなし」と諦めている。
上述の「赤旗」で藤井氏は「10%への増税は決まったことだから仕方がないと国民が容認すれば、消費税率は15%、20%へとさらに引き上げられる」とも警告。そして消費税10%への増税中止もあり得るとの見方を示し、「カギとなるのは国民世論」「この問題に党派は関係ありません」と国民世論の喚起を呼びかけている。
「やはり増税はおかしい」と、いまこそ国民が声をあげなくては、安倍政権によってほんとうに立ち直れないほどわたしたちの暮らしは破壊し尽くされてしまうだろう。
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「平成パターン」を回避するために 2019-01-05
藤井先生が内閣官房参与を辞任されましたが、12月28日付でした。29日からはお正月休みに入ってしまうため、インパクトをできるだけ最小化しようという意図があったのでしょう。
しかも、官邸は辞任をわざわざ「退職」と呼び変えています。藤井先生は別に内閣官房に就職したわけではないでしょうに。
「辞任」という単語を使いたくなかったのだと思います。
『消費増税に反対した藤井聡・内閣官房参与“退職”の裏に、安倍官邸の陰湿圧力!「赤旗」に出たことで菅官房長官が
https://lite-ra.com/2019/01/post-4467.html
2019年はいよいよ消費税10%への引き上げが実施されるが、その年が明ける4日前、仕事納めの日に安倍政権がなんとも陰湿な言論弾圧人事を行った。
消費税増税反対を主張する藤井聡京都大学大学院教授の「内閣官房参与」退職を発表したのだ。
内閣官房参与というのは、首相が各専門分野で直接、専門家に助言をえるために設けられた非常勤のブレーン職。藤井氏は第二次安倍政権発足と同時に、防災・減災ニューディール政策担当の内閣官房参与に就任し、安倍首相が公共政策の目玉としてぶちあげた「国土強靭化計画」の策定に関わった。
思想的にも右派で、安倍首相の有力ブレーンのひとりと目されていた藤井氏だが、しかし、一方で増税反対の立場を取っており、以前から様々なメディアで消費増税反対を主張してきた。安倍首相が2019年10月の10%増税を予定どおり行うと表明してからも、口をつぐむことはなく、むしろ批判を強めていた。昨年11月には著書『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(晶文社)を出版、さらに、共産党の機関紙「しんぶん赤旗日曜版」(11月18日付け)にも登場して、消費増税を批判していた。
そんななか、いきなり年の瀬に退職が発表されたというわけだ。当然、これには姑息な裏があった。(後略)』
「姑息」というか、実際に消費税増税に反対し、財政拡大を主張する藤井先生が煙たかったのでしょう。
正論を言う藤井先生を、年末ギリギリに「退職」という名目で辞職させる(ということでしょ、間違いなく)。安倍政権もいよいよ末期症状になってきたと思います。
問題は、安倍政権「後」です。
これまでの「平成パターン」は、グローバリズム的政策が批判を呼び、政権が変ったと思ったら、新政権がそれまで以上のペースでグローバリズムを推進するというものでした。自民党の構造改革路線が批判を呼び、政権交代に至ったと思った5ラ、TPP交渉参加や消費税増税を民主党政権が決めました。
その「グローバリズム民主党政権」をはるかに上回る速度で、安倍政権はグローバリズムのトリニティに忠実に政権を運用しています。
ここで安倍政権が倒れ、緊縮派(石破、岸田、小泉、稲田、野田など)か構造改革派(菅、小泉、橋下など)の政権が発足し、安倍政権以上のペースでグローバリズムを推進するのが「平成パターン」でございます。
平成パターンを阻止するためには、グローバリズムの「構造」について国民が正しく知識を持ち、政治を動かすしかありません。
「そんなことで本当に変わるのか?」
と、思われた方が多いでしょうが、何しろ他に方法がないので、仕方がありませんね。民主主義国日本では、テロや革命ではなく「言論」」により世界を変えなければならないのです。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12430750075.html
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2019年1月9日 安倍内閣は、「コンクリートから人へ」継続内閣である。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/default/13030
安倍内閣は、民主党政権の
「コンクリートから人へ」から大きく舵を切って、
公共事業を拡充させた・・・
という論調が新聞各社では書かれています。
(例えば http://archive.gohoo.org/alerts/131229/)
ですから、多くの国民、
そして多くの政治家は、素朴に
「安倍内閣は公共事業を拡大させた」
と思っていると思いたり、場合によっては、
「安倍内閣は公共事業バラマキ内閣だ」
とすら思っているものと思います。
・・・が!!
このグラフを見てください。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1635339379900332&set=a.236228089811475&type=3&theater
このグラフは、
政府の公共事業関係費の推移を示したものですが、
特に、2010年以降の推移に着目ください。
2010年〜2012年の予算は、
民主党政権が主導して作った予算です。
一方、2013年以降は、安倍政権が主導して作った予算。
ご覧のように、
当初予算と補正予算の合計値に着目すれば、
安倍政権の公共事業費は民主党政のそれよりも低いのです!
その背景には、
2011年と2012年の補整予算が、
東日本大震災の関係で大きかったということがありますが、
結果的には、安倍内閣が、
コンクリートから人へと主張した政権よりも
「少ない」インフラ投資しかしていない
というのが、実態なのです。
もちろん、「当初予算」に着目すれば、
2012年の、民主党政権の末期の「野田政権」時よりも、
安倍内閣のそれの方が「幾分高い」水準になってはいますが、
それでも、「コンクリートから人へ」と言って、
過激に公共事業を削減した「鳩山政権」時と比べれば、
安倍政権の方が、低いのです!
そもそも、安倍内閣における
公共事業関係費の「当初予算」の水準は、
民主党政権が誕生する前のどの政権よりも低い水準。
ピークに比べれば半分以下、
民主党政権直前の麻生内閣の時に比べても、
1兆円近く低い水準になっています。
こうした状況を全て加味すれば、
安倍内閣は決して「公共事業を拡大した内閣」などではなく、
「コンクリートから人へ」路線を、
明白に継続、あるいは、加速している内閣なのです。
ではなぜ、世間に、安倍内閣は
公共事業を拡大したというイメージが
流布されてしまっているのでしょうか?
その重要な原因が
「統計の取り方の変更」にあります。
実は、安倍政権になって二年目の2014年に、
それまで公共事業費にはカウントされていなかった「社会資本特会」が、
公共事業費にカウントされるようになったのです!
その結果、安倍内閣は、
2014年に公共事業を増やしたと
「見える」ようになってしまったのです。
ですが、社会資本特会は、
昔から存在しているものですから、
別に、公共事業が実態上増えたわけでもなんでもなかったわけです。
にもかかわらず
その「統計マジック」のせいで、
安倍内閣の公共事業は、民主党時代よりも
高い水準であるかのような印象が
世間に流布されてしまうようになったわけです。
上で紹介したグラフは、
その影響を除去して作ったもので、
世間に流布されているものとは違って
「本当の公共事業の増減」が見て取れるようになっているものですが、
それを見れば、安倍内閣が、
「コンクリートから人へ」継続内閣であることが、
さらに言うなら、トータルの事業費は縮小していることを勘案するなら、
「コンクリートから人へ」加速内閣ですらある、という真実が、
はっきりと分かるようになったという次第です。
これは大変に深刻な問題です。
なぜなら、安倍内閣が終わった時に、
「安倍内閣は、公共事業バラマキ政権だった」
という完全に事実とは「正反対」の
間違ったフェイク・イメージが残っていれば、
次の政権は間違いなく、
公共事業をさらに過激に削減することになるからです。
そうした最悪の未来を回避するためにもまずは、
少なくとも現時点における安倍内閣が、
コンクリートから人へ「継承」内閣
あるいは
コンクリートから人へ「加速」内閣
である事をしっかりと、
ご認識頂きたいと思います。
そして、国民の生命を守る防災減災を進めたり、
地方の疲弊を食い止めるためには、
公共事業費を拡充し、適切なインフラ投資を安倍内閣が加速させるべきなのだ
という「当たり前の認識」を、
しっかりとお持ち頂きたいと思います。
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「日本の未来を考える勉強会」ー今後三年間の成すべき国政方針ー平成30年12月20日
講師:内閣官房参与・京都大学大学院教授 藤井 聡氏 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=w99I-HEfQxQ
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“増税、入管法反対”で官邸を追われた「藤井聡」官房参与語る「日本の未来は最悪に…」
政治週刊新潮 2019年1月17日号掲載
藤井聡
“イエスマン”以外は去って行く
多くの会社で仕事納めとなった先月28日。この日、日本の中枢、安倍官邸でも、一人の男がその仕事を終えようとしていた。
「2012年以来、内閣官房参与として、安倍政権の国土強靭化政策の旗振り役をしていた藤井聡京大教授が、28日付で辞任を発表したのです」(政治部記者)
任期を全うしての辞任であれば、ことさら注目を集めることもなかったであろう今回の人事。しかし、
「藤井さんが消費増税反対の急先鋒だったことから、更迭されたのではないかとの憶測が飛び交ったんです。彼は昨年11月、『しんぶん赤旗』にまで登場して増税批判を展開。これに菅官房長官が激怒し、半ば追われる形で官邸を去ったのでは、と囁かれているのです」(同)
真相やいかに。藤井氏ご当人に話を聞いてみると、
「昨年12月に閣議決定された国土強靭化の5カ年計画を一区切りとして、これからは、本分である学究の分野で、自分の考えを主張していこうと思ったんです。総理とも相談の上、辞任を決めました」
今後は安倍政権に対しても是々非々の立場で言論活動を行っていくという。
「安倍政権は、5%であった消費税を8%に増税し、今秋には10%に引き上げようとしています。こうして経済に圧力をかけ続ければ、デフレ脱却や経済再生は不可能。経済再生なき財政再建などあり得ませんし、今度の消費増税でデフレ脱却に失敗すれば、日本の未来は最悪なものとなるでしょう」
さらに藤井氏が異を唱えるのは増税だけでない。
「入管法改正という名の“移民政策”など、経済、社会を混乱させるグローバリズムを加速させた。このような政策は本来、保守とは対極にある考え方で、一線を越えたと考える国民が保守層含めて急速に増えています」
手枷足枷の取れた藤井氏に官邸もヒヤヒヤ?
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/01210558/?all=1
▲△▽▼
2019年1月23日
【藤井聡】<拡散希望>Q&A「増税やむなし」と言われたら、こう言い返せ―10の想定問答(前編)
https://38news.jp/economy/13105
From 藤井聡@京都大学大学院教授
先日、経済学者の松尾匡先生と
参議院議員の山本太郎先生とご一緒して、
消費増税の深刻な問題についての
シンポジウムを開催いたしました。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/440034
当日の議論は大いに盛り上がり、
これからはやはり、
「反緊縮」運動の、
国民的展開が必要だということを
改めて認識する機会となりました。
https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20190121/
そんな中で、
「自分の周りに、消費増税の問題を伝えようとしても、
なかなか、伝わらない。
どうしたらいいでしょう?」
という切実なご質問を、
いくつかいただきました。
その折りには、やはり、
「デフレの時の増税は、大変なダメージをもたらす。
過去の97年増税、14年増税も共にデフレだったから、
やはり、激しく消費が減って、経済が成長できなくなった。
今はまだ、デフレだし、特に今は、世界経済の先行きも不透明。
こんな時に増税をすると、経済はさらに低迷し、
挙げ句に97年の時にそうであったように、
総税収自体が縮小し、財政を悪化させます」
と話をするのが、第一だと思います。
ですが、増税が必要だと思っている人は、
この程度の説明ではなかなか引き下がりません。
あれやこれやと、
質問をぶつけてくるものと思います。
その時に、的確に応えていくことが、
増税問題をしっかりと世論で広めていく上で、
とても大切だと思います。
こうした認識にて、
「別冊クライテリオン:消費増税を凍結せよ」
https://the-criterion.jp/backnumber/s01_201812/
の中には
Q&A
「増税やむなし」と言われたら、こう言い返せ
10の想定問答
というページを設けております。
この「10の想定問答」をご覧いただくと、
消費増税問題の全体像をご理解頂くこともできますし、
「別冊」の各論考の概要や関係もよく分かる―――
ということで、ここで改めて、ご紹介します。
ついては今回はまず、「前編」ということで、
Q1〜Q5をご紹介します。
――――――――――――――――――――――
Q1.「戦後二番目の景気拡大期」
などと言われている今が、増税のチャンスではないのか。
A. 今の増税は最悪のタイミングです。
今、増税してしまえば、日本は再び
激しいデフレ不況に舞い戻ってしまいます。
「戦後二番目の景気拡大期」と言われているのは、
ただ単に、景気が上向いてきている期間が「長い」、
というだけで、その成長の勢いが二番目に強い、という話とは全く違います。
現下の状況は、全く勢いのない
経済成長がダラダラと続いているにすぎません。
しかも、そのダラダラと続く成長がもたらされているのは、
単に、世界経済の好景気を背景とした「輸出の増加」がメインの要因。
日本経済の勢いそれ自身は極めて脆弱。
こんな状況で増税をしても、それを乗り越えることはできません。
それ以前に、増税をする予定の2019年というタイミングは、
文字通り「最悪」のタイミングです。
「オリンピック特需」が終わり、「世界経済」が不景気になっていき、
しかも、働き方改革で残業代が5〜8兆円程、私たちの給料が減っていく時期でもあります。
だからそもそも、増税などしなくても「大型の景気対策」が必要なくらいに、
最悪の状況になっていくのが、来年という年なのです。
そんな状況で、日本経済の6割を占める消費に
「増税」なんてしてしまえば、
最悪の経済状況となるのは明らかです。
このあたりの状況についての詳しい議論は、
『なぜ今、「消費増税を凍結せよ!」、なのか?』
――以下、巻頭企画と呼称します――や、
本誌に寄稿された数々の経済学者、エコノミスト達の記事を参照ください。
各寄稿者がそれぞれの立場で、
それぞれの視点で、如何に来年の消費増税が
「危険」極まりないものであるのかを、冷静かつ客観的に議論しています。
――――――――――――――――――――――
Q2. 政府は「軽減税率」とかいろいろ対策するから、増税しても大丈夫じゃない?
A. 全く大丈夫ではありません。最悪の帰結をもたらします。
そもそも軽減税率が適用されるのはごく一部。
ポイント還元なども検討されていますが、それも、ごく一部。
しかも、短期間で終了してしまいますが、
10%の消費税は、来年以降、ずっと払い続けなければならないもの。
だから、軽減税率やポイント還元等の効果は、「限定的」なのです。
しかも、「10%」になるということで、
そのインパクトはさらに拡大することも、心理学の視点から指摘されています。
(巻頭企画、および、川端祐一郎助教の本誌記事を参照ください)
さらには、先にQ1.への回答にもあるように、
来年の消費増税は「最悪のタイミング」でもあり、
その増税インパクトは恐ろしい水準に達することが真剣に危惧されます。
もちろん、消費増税のインパクトをはるかに上回る対策を行えば、
その被害を回避することはできます。
しかしその水準は、年間10兆円〜15兆円の
追加的な補正予算を経済対策として
五カ年程度継続するというものでなければなりません
(例えば、『10%消費税が日本経済を破壊する』(藤井聡著)を参照ください。
そもそも増税をしなくても、「現下のデフレ」や「オリンピック不況」等の対策だけにでも
年間10兆円規模の対策を「2年程度」続けなければならないのですから)。
もしも、政府の対策が、その水準に到達しないのなら、
「増税しても大丈夫」とは絶対に言うことは出来ないのです。
――――――――――――――――――――――
Q3.2014年に増税したけど、
今でも成長してる。やっぱり増税の影響は軽いんじゃないの?
A.全く、軽くありません。
増税後、消費も賃金も激しく下落し、庶民は確実に貧困化しています。
にも関わらず「輸出」が15兆円も伸びたから、
その被害が見えにくくなっているだけです。
そもそも、14年以後「成長している」といっても
その成長率は極めて低い水準です。
『巻頭企画』でも紹介しましたが、
増税によって物価も賃金も、消費も激しく下落しています。
それにも関わらず、僅かなりとも成長しているのは、
誠に「ラッキー」な事に、世界経済の好景気を受けて「輸出」が伸びているからです。
図1に示したように、増税直後から、輸出が15兆円も伸びたのです。
そもそも消費税の総額は8兆円程度ですから、
その約「二倍」もの水準で輸出が伸びたわけで、
これが、消費税増税の被害を埋め合わせています。
例えば、本誌記事の中で元日銀副総裁の岩田規久男教授が
「最近2年弱に渡って低飛行ながらもプラス成長が続いているのは、
ひとえに輸出の増加のため」と指摘している他、
経済学者の松尾匡教授や経済ジャーナリストの田村秀男氏も本誌で論じている通りです。
図1 輸出額(実質値)の推移
――――――――――――――――――――――
Q4.「成長させて税金増やす」って言うけど、
これから人口も減るし、増えなかったらどうするの。無責任じゃない!?
A.断じて無責任ではありません。
そもそも人口が減少している国も含めた、日本以外のすべての国が成長しています。
日本が成長しないなんて、あり得ません。
そして、成長しなければ、貧困や格差は広がり、財政も悪化します。
だから「成長させる」と言わない政治こそ、無責任なのです。
図2をご覧ください。この図は、過去20年間の経済成長率のランキングです。
ご覧のように一つの例外を除いて、全ての国が「成長」しています。
ところが、一つだけがマイナス成長している国があります。
その国こそ、我が国日本。
成長率は、実にマイナス20%。
世界中には人口が減っている国もたくさんありますし、
いくつもの先進国がありますが、それらの国は全て成長しています。
にも関わらず日本だけ衰退しているのです。
これはつまり、日本が衰退しているのは
「人口が減っているから」でも「先進国だから」でもない、ということです。
日本だけが異常な状況にあるのです。
ではなぜ、日本だけが成長できない異常状況なのかと言えば、
それは、日本だけがデフレという「病気」にかかっているからです。
こんな「マイナス成長」の病理的なデフレを放置しておく政治こそ、
無責任政治だと言わねばなりません。
ちなみに、本誌に寄稿されたほとんど全ての経済学者、
エコノミストの皆さんが共通して指摘しているように、
財政政策と金融政策を適切に組み合わせれば、経済は成長します。
そして逆に、今このタイミングで消費増税をしてしまえば、
この「衰退」から脱却することができなくなります。
消費増税の悪影響を無視し、
日本だけが成長していないという
「真実」を無視し続ける学者やエコノミスト、
政治家の皆さん達こそが、「無責任」なのです。
図2 世界各国の過去20年間の経済成長率のランキング
――――――――――――――――――――――
Q5.今、増税して少しでも借金を減らしておかないと、
将来にツケを残すんじゃないの?
A.消費増税すると、かえって「ツケ」が拡大しまいます。「消費増税」をすると、景気が悪くなり、税収それ自体が減ってしまいます。
例えば経済学者の飯田泰之准教授が本誌で指摘しているように、
「消費増税は消費の減少を通じて景況を悪化させ,
本来得られたであろう税収を失う」ことになります。
そうなると借金がかえって増え、「ツケ」が拡大します。
それどころか、本誌座談会でも議論されているように、
消費増税をすれば「成長」できなくなって、
今日よりもさらに貧困や格差が広がると同時に、
経済力、科学技術力や防災力、国防力といったあらゆる側面で国力が弱体化し、
アジアの貧国、さらには最貧国の一つになる―――
という悪夢のような未来が、
私たちの子や孫に「ツケ回される」ことになります。
〜以上の続き(Q5〜Q10)は、次週、公開いたします〜
https://38news.jp/economy/13105
▲△▽▼
《藤井聡》過去20年で8000兆円を失った日本 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=i05Yn-Se7_Q
2018/06/14 に公開
「茹でガエルよりもっと馬鹿なんです今の日本は」
「衰退してるわけですから本当バカなんですよ日本って」
「左のインテリも右のインテリもねバカばっかやってられん」
▲△▽▼
2019年1月30日
<拡散希望>Q&A「増税やむなし」と言われたら、こう言い返せ―10の想定問答(中編)
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
前回のメルマガでは、
『別冊クライテリオン:消費増税を想定せよ』
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07JHJV5XV
に掲載した、
「増税やむなし」と言われたら、
こう言い返せ―10の想定問答
におきます、前半をご紹介しました。
https://38news.jp/economy/13105
ご紹介したのは以下の五つ。
Q1.
「戦後二番目の景気拡大期」などと言われている今が、
増税のチャンスではないのか。
Q2.
政府は「軽減税率」とかいろいろ対策するから、
増税しても大丈夫じゃない?
Q3.
2014年に増税したけど、今でも成長してる。
やっぱり増税の影響は軽いんじゃないの?
Q4.
「成長させて税金増やす」って言うけど、
これから人口も減るし、増えなかったらどうするの。
無責任じゃない!?
Q5.
今、増税して少しでも借金を減らしておかないと、
将来にツケを残すんじゃないの?
これらの回答については是非、
https://38news.jp/economy/13105
をご参照頂くとして、今日は、
残りの「想定問答」の内、
以下の「4つ」についてご紹介します。
ーーーーーーーーーーーーー
Q6.
福祉とか社会保障のためには、
やっぱ、消費増税が必要なんじゃない?
A.
社会保障のために、消費増税は、必要ありません。
むしろ、消費増税をすれば、
安定的な社会保障が不可能になってしまいます。
高齢化社会を迎えるわが国で、
「社会保障」をどうしていくのは、
とても大切な議論です。
でもだからといって、
「消費増税すべきだ!」と考えるのは、
あまりにも短絡的。
というよりもむしろ、
「愚かの極み」と言わざるを得ません。
第一に、先に指摘したように性急な消費増税で、
かえって税収が減り、
将来の社会保障が難しくなってしまいます。
あるいは、経済評論家の島倉原氏が指摘するように、
「生活に困窮している人」それ自身を減らすのが
社会保障政策の目的なのですから、
格差と貧困を拡大する消費増税など
あり得ない選択だともいえます。
第二に、本誌の座談会の中で
元財務官僚で経済学者の高橋洋一教授が指摘するように
「社会保障」のための財源に「消費税」を当てるのは、
「世界の非常識」。
おおよそ社会保障制度は、
飯田泰之准教授が指摘しているように
「世代で閉じた社会保障制度」にしておかなければ、
その持続性が保てません。
にも関わらず長期的な展望も無しに、
目先の財源確保で消費増税をしてしまえば、
経済が不安定化し、将来世代の社会保障財源が、
ますます無くなっていきます。
だから財源確保のためには、
(例えば、島倉氏が主張するように)
「成長」こそが必要なのであり、
(例えば、エコノミストの会田氏や岩田氏が論じたように)
大局的視点の下で「国債」を発行しつつ、
(例えば、高橋氏が指摘したように)
保険制度を見直すことが必要です。
そして、消費増税の代わりに、
例えば塚崎公義教授が指摘する所得税増税や、
岩田教授が指摘した相続税の見直しなどを行えばよいのです。
第三に、消費増税が行われてきた背景には、
法人税減税が繰り返されてきたという
歴史的背景があります。例えば、
経済学者の菊池英博教授が指摘しているように、
法人税が縮小してきた減税分はおおよそ、
消費税増税による増収分とほぼ同水準。
つまり
「法人税減税のために空いた穴埋めのために、
消費税が増税されてきた」
のです。だから、このバランスを見直し、
消費税のかわりに法人税を
増税すべきであるという議論は当然成立します。
このように福祉や社会保障を充実したいなら、
成長すべきであり、
一時的な国債発行の可能性も見据えながら
社会保障制度それ自身をみなすべきであり、
税制そのものを見直すべきなのです。
にも拘わらず、
目先の財源確保のために焦って消費増税をしてしまえば、
成長できず、かえって日本人の社会保障環境は
「最悪」なものとなってしまいます。
ーーーーーーーーーーーーー
Q7.
欧州では20%以上の国も多いんだから、
10%にするくらい当たり前じゃない?
A.
当たり前でも何でもありません。
そもそも日本は、「税率」それ自身が低くても、
総税収に占める消費税の割合は諸外国よりも
「高い」のです。
だからこれ以上税率を上げれば、
「世界で最も消費税に依存する国家」
になってしまいます。
経済学者の菊池英博先生の本誌記事でも紹介されている通り、
額面上の「税率」は、イギリスやドイツ、
イタリア、スウェーデンの方が圧倒的に高く、
20%前後〜25%という水準で、
仮に日本が10%にしたとしても、
その半分前後の税率しかない、と言うことができます。
しかし、「総税収に対する消費税収の割合」に着目すると、
日本が10%に増税すれば、
それらの国々よりも高い水準になってしまいます。
最も額面上の税率が高いスウェーデンでも、
「総税収に対する消費税収の割合」は
18・5%に過ぎない一方で、
日本は37%にまで達してしまいます。
こうなっている理由は、
日本だけがデフレ不況なので
所得税や法人税が少ないという事や、
諸外国では食料品などについて
消費税率「0%」という大胆な軽減税率が
適用されている事などが挙げられますが、
いずれにしてもこの様な状況で10%増税をすれば、
日本だけが異様に消費税収にだけ依存する国家になってしまいます。
ーーーーーーーーーーーーー
Q8.
どっかの学者が、
「消費増税で将来世代の不安が無くなって、
かえって消費が増える!」
って言ってたよ。
そういうこともあるんじゃない?
A.
あり得ません。
むしろ増税すれば、
将来が不安定になり、デフレが深刻化し、
人々はますます不安が大きくなって、
消費を減らしてしまいます。
確かに、私たちは将来不安があれば、
消費を控える効果はあります。
しかし、本誌で岩田規久男教授が
経済学的な視点から指摘したように、
「日本の財政状況を心配して、
消費を抑制している人は、
いたとしても、きわめてまれな人」
です。ですから、
「消費税によって、財政が改善するから、
皆が安心して消費を増やす」
という現象は現実的にはあり得ません。
むしろ私たちが将来に対して
不安な気持ちを持っているのは、「デフレ不況」
(消費者にとっての「所得」が下落し続けていく状況)
が続いているから。
だからデフレ不況が続く限り、
自分たちの将来の所得は上がらないだろうし、
それ以前に失業することすらあるかも知れない―――
という不安におびえ続けるのです。
それどころか、
消費増税はデフレを深刻化させますから、
ますます不安を高め、
消費はさらに縮小していくことでしょう。
ーーーーーーーーーーーーー
Q9.
「増税反対」って言ってる人たちって、
どうせ「民衆の受け狙い」で言ってるだけじゃないの?
A.
あり得ません。
日本の経済や財政のために必要な
「増税凍結」という方針が、
たまたま、
民衆に支持されているにすぎません。
確かに、民衆は
(例えば、評論家の小浜逸郎氏が論じているように)
「増税反対」を支持するであろうと予期されます。
そして、「民衆が支持するものが間違っている」
ということも当然あり得ます。
そして、中には「民衆の受け狙い」で
増税反対を主張する政治家もいることでしょう。
しかしだからといって、
「民衆が支持するものは、『常に』間違っている」
とは当然言えません。
そもそも「民衆が支持するものは、『常に』間違っている」
というのなら、
一刻も早く民主主義を辞めるべきだ、
ということになりますよね。
そういう議論はさておき、そもそも、
それぞれの政策が正しいかどうかは
民衆人気とは無関係に
客観的な分析に基づいて判断すべきもの。
そして、本誌に寄稿された専門家の皆さんが
口を揃えて言うように、例えば
「データという事実」に基づいて論じた三橋貴明氏が
「現在の日本は消費税の増税どころか、
減税、あるいは『消費税廃止』を
検討しなければならない局面である」
と断じ、
野口旭教授が経済学に基づいて
「拙速な消費増税によってその後の5年10年を無駄にする」
と主張し、さらには経済学者の飯田泰之氏が
『財政再建』の視点からすら
「消費増税は消費の減少を通じて
景況を悪化させ,本来得られたであろう
税収を失うだけではない.
景況の悪化による政権の安定性の低下は
より大きな財政の課題である社会保障改革を遅らせ,
財政危機の深刻さを増大させる」
という危機があると指摘している様に、
「このタイミング」での消費増税は
「経済」の視点からも「財政」の視点からも、
そして「実証的」にも「理論的」にも
最悪の愚策でしかないのです。
そうした「消費反対論」が、
たまたま「民衆の支持を得ているから」
というだけの理由で
「民衆の受け狙いだ!」と批判するのは、
無根拠な「誹謗中傷」であり、
単なる「濡れ衣」に過ぎないと言えるでしょう。
・・・
以上、これで10の想定問答の内、
9つまでご紹介しましたが、
あともう一つのQ&Aは
Q10.
新聞やテレビで、
学者や専門家が消費増税すべきだって言ってるけど、
彼ら、嘘ついてるの?
というもの。これについてお答えしてると、
また長くなってしまいますので・・・
次回は、このQ10について、
じっくり、たっぷりお答えしたいと思います。
https://38news.jp/economy/13148
▲△▽▼
三橋TV第43回【元内閣官房参与から見た財務省の闇】 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=8OXObV55imQ
▲△▽▼
2019年2月6日
増税推進の学者やエコノミストは「ウソつき」である。 〜Q&A 10の想定問答(後編)〜
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
これまで過去二周にわたって、ご紹介してきた、
「増税やむなし」と言われたら、
こう言い返せ―10の想定問答
も、いよいよ今回が最終回。
これまでの9つの想定問答は、是非、
https://38news.jp/economy/13105
https://38news.jp/economy/13148
を改めてご参照頂ければと思いますが、
本日ご紹介する最後の「想定問答」は、
以下のものです。
是非、じっくりご一読ください!
――――――――――
Q10.
新聞やテレビで、
学者や専門家が消費増税すべきだって言ってるけど、
彼ら、嘘ついてるの?
A.はい。「真実でないこと」であるという
広辞苑の「嘘」の定義に従うなら、
彼らはおしなべて「嘘」をついています。
誠に驚くべきことですが、残念ながらそれは、真実です。
『別冊クライテリオン:消費増税を想定せよ』
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07JHJV5XV
に寄稿いただいた20名以上もの専門家達は、
皆、口をそろえて、
「増税派の主張は間違いだ」と、
学術的視点から指摘しています。
例えば、経済学者の岩田規久男教授は、
上記の別冊クライテリオンの中で、
「財務省と同省の政策を支持するエコノミストは、
消費税増税の経済に対する影響が軽微であるという
理由として次の3点を上げるのが常である」
と指摘した上で、
それぞれの理由が
正当化し得ないものであるということを
一つ一つ丁寧に解説しています。
同じく経済学者の浅田統一郎教授も、
別冊クライテリオンの中で、
「消費税増税の悪影響を軽視して
増税を正当化する発言が、
財務省の影響下にある
一部の経済学者や政治家等によって
なされている」
と指摘した上で、
彼らがそうした発言の根拠にしている理論
(マンデル=フレミング・モデル)が、
如何に日本経済に適用できないのかを、
厳密に論証しています。
あるいは、経済学者の松尾匡教授は、
「消費税増税推進派は、
2014年の消費税引き上げに先立ち、
引き上げても消費への影響は軽微だと
言いはっていたが、
それは本当は推進の理由としてはおかしい。
・・・『そのためにやったのだ』と
開き直らなければならない。」
と、消費増税推進派が
根本的に間違った主張を
しているに過ぎないことを、
同じく別冊クライテリオンの中で、
辛辣に批判しています。
さらには、経済学者の野口旭教授は、
「デフレは悪くないとか、
インフレは問題だとか、
ハイパー・インフレになったら
どうするとかいった
類いのものが多かった。
それは、長期デフレを招いた政策判断ミスを
糊塗して組織を守るために、
旧日銀がそのような
プロパガンダを陰に陽に流布し、
主要なメディアやエコノミストが
それにすっかり洗脳されたためである。」
と、メディア上での発言の多くが
「プロパガンダ」や「洗脳」
の帰結に過ぎないと
別冊クライテリオンの中で、
指摘しています。
このように数々の経済学者が、
「増税派」の学者やマスメディアが
「プロパガンダ」と言い得るほどの
(広辞苑の定義から言う)
「嘘」
をついているということを、
論理的に指摘しています。
では、なぜ、
増税派の学者やマスメディアは
「嘘」をついているのでしょうか。
この点を論じた実に様々な記事が、
別冊クライテリオンには寄稿されています。
第一に、経済学者の青木泰樹教授が
「増税論に潜む経済学者の嘘」
という本誌寄稿記事の中で、
そもそも「経済“学”が想定する世界」と
「現実の世界」とを混同している
(一部の)経済学者達が、
消費増税を主張しているに過ぎない、
という議論を展開しています。
例えば、経済学がモデル分析を
容易にするために導入したに過ぎない
「予算制約式」なるものに基づいて、
「現実政府も予算制約式通りに運営されねばならない」
という倒錯した議論を展開し、
その帰結として消費増税が主張されている、
というメカニズムを紹介しています。
第二に、
別冊クライテリオンの編集長の筆者も
『「学者のウソ」が、日本を滅ぼす。』
と題した記事の中で、
消費増税を目指す財務省の
意向に沿った発言を繰り返す
「御用学者」が存在している可能性を、
客観的な事実情報に基づいて
指摘しています。
この可能性については、
高橋洋一教授が本誌座談会の中で、
そして小浜逸郎氏や、
先に紹介した経済学者の先生方も、
(上記の引用からも見て取れる様に)
言外に示唆・暗示しています。
第三に、
マスメディアの実態についての
博士論文をまとめた田中皓介助教は、
「消費増税を巡る財務省プロパガンダ」
という記事の中で、
政府内でもとりわけ巨大なパワーを誇る財務省が、
マスメディア各社に消費税を支持する論調の記事を
書かせるために
実に様々なアプローチで
陰に陽に巧みに圧力をかけている、
という様子をマスメディア研究の視点から
「学術的」に明らかにしています。
同様の構図を、
「新聞だけが軽減税率の対象となる」
という論点に基づいて、
高橋洋一氏、そして、評論家の宮崎哲弥氏も
本誌座談会の中で指摘しています。
第四に、
消費増税は「財界」の影響が強く、
その影響に引きずられる形で進んでいるという構図が、
政治学者の施光恒准教授に指摘されています。
上記の座談会でもその点は指摘されています。
以上に加えて、
消費増税が進められる
社会的、政治哲学的背景が
存在していることも、
複数の論者から指摘されています。
まず、
評論家の佐藤健志氏は、
消費増税肯定論の背後には、
「ニッポンのためには、
大衆が嫌がっても断固として、
消費増税を行い、
立派な、自立した国に
ならねばならぬのだ!」
との思い込みがあり、
どれだけ不条理を指摘しても
彼らの耳には何ら届いていない
という構図を描写しています。
さらには文芸批評家の浜崎洋介氏は、
この不条理な現象は、
日本人が「思考」しなくなったことの帰結であると、
以下のように論じています。
『二〇一九年一〇月に「予定」されている
消費増税ほどに、
日本人における根深い「弱さ」を
示し出しているものはない。
そこに見出されるのは、
刻々と変化する経済的現実に対して
プラグマティックに思考していく態度ではなく、
一度決めた目標(財政再建のための消費増税)と、
それによって醸成された
「空気」(財務省内の融和と調和)のなかで、
甘い「期待」(消費増税の影響は軽微なはずだ)
だけを頼りに、
「予定」に向かって
なし崩し的に突き進んでいく日本人の姿、
これまで何度か目にしてきた
「思考」しない日本人の姿である。』
この様に、
消費増税論に「ウソ」が潜んでいる構図は、
経済学のみならず、
政治学、行政学、社会学、社会心理学、
マスメディア論のそれぞれの観点から
様々に描写されているのです。
つまり、
先の大戦の敗戦によって作り上げられた
「戦後レジームの中」で
「思考停止」に陥った日本人達が、
最強官庁によるプロパガンダや洗脳、
圧力によって都合よく作り上げられた
メディアや御用学者達の論調に載せられる形で、
深刻な経済被害が生ずることが明らかである
「10%消費増税」が、
さながら集団自殺を行うかのように
愚かにも断行されようとしている―――
という構図が、
別冊クライテリオンに寄稿された様々な学者、
評論家たちの論説から浮かび上がるわけです。
・・・・
いずれにしても、
すくなくとも筆者がみた限り、
今日の消費税推進論者の言説の中には、
まともなモノは、当方が拝見した限り、
一つもありません。
彼らはおしなべて「ウソ」をついている
(そうでなければ、騙されている)
としか言いようがありません。
ついては、身近な増税論者がいれば、
是非、今回までの三回にわたってご紹介した、
「想定問答」を活用いただきつつ、
徹底的に反論して差し上げて頂ければと思います。
日本が少しでもまともな国に近づくには、
こうした草の根的な
地道な取り組みが、
どうしても必要なのだと思います。
https://38news.jp/economy/13181
▲△▽▼
2019年2月27日
「アベノミクス」は、結局、やられてなかった。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13240
「アベノミクス」というと、
ヒトによってとらえ方はそれぞれです。
一般的に、「金融緩和」のことだけを指して、
アベノミクスと呼ぶことが(新聞などでは)多いようです。
が、もちろん、三本の矢がそろってアベノミクス。
そもそも、当方が2012年、
(総選挙後&組閣前の)当時の安倍自民党“総裁”に
提案していた資料に掲載していたのが、
こちらのフローチャート。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1700559520044984&set=a.236228089811475&type=3&theater
この考え方はいたってシンプル。
アベノミクスの全体の目標は、
(実質)賃金を上げて、国民を豊にすること。
そのために、
第一に、「金融政策」で日銀から金融市場に
大量のマネーを供給します、
第二に、そのマネーを、金融市場から
実態経済に注入するために、
徹底的な「財政政策」を行います。
(その際に、その財政でインフラを形成すると、
経済成長はさらに加速されます)
そうして実態経済が活性化すれば、
国民への所得が増えていき、
国民が豊かになっていく・・・
これが、当方のアベノミクスと呼ばれる経済政策の
全体イメージ、でした。
そして、おそらくは、誰が考えても、
「三本の矢」を前提としたアベノミクスというものは、
このイメージにならざるを得ないものです。
では、安倍内閣は実際に、
このイメージ通りに
アベノミクスを展開したのでしょうか?
まず、「金融政策」については、
文句なく徹底的に進められています。
(マネタリーベースが何倍にもなりました)
では、「財政政策」についてはどうかというと・・・
残念ながら、全く進められておらず、
民主党政権の方が、
積極的に展開していた、というのが実態なのです。
こちらのグラフをご覧ください。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1700564250044511&set=a.236228089811475&type=3&theater
これは、
「政府が民間に注入したマネー量から、
政府が民間から吸い上げたマネー量を差し引いた値」
つまり、政府の民間への資金供給量の推移を示しています。
ご覧の様に、安倍内閣が誕生してから、
一貫して、民間への資金供給量は
縮小されてきたのです。
これを、先ほどのフローチャートで言うなら、
本来なら、左側の「金融市場」から右側の「実体経済」
に政府がマネーを注入していかなければならないところ、
それを「やらない」どころか、むしろ「縮小」させて、
右側の「実体経済」から右側の「金融市場」に、
マネーを吸い上げる圧力をかけ続けていった、
という次第です。
これでは、国民の賃金が上昇していく筈はありません。
実際、下記のグラフに示した様に、
(このグラフは、三橋さんが公表データに基づいて作られたものです)
安倍内閣下で、実質賃金は、下落の一途をたどっています。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-12440253064-14354710285.html
つまり、安倍内閣下で、国民は貧困化していったわけです。
ただし・・・
民主党末期であり安倍内閣が誕生した年とその翌年の
「2012年」「2013年」は、
実質賃金は1%以上もの上昇を見せています。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-12440253064-14354710285.html
これは偏に、2012年、2013年までは、
民主党政権、ならびに、それを一部継続した安倍内閣が、
豊富な資金を民間市場に供給していたからです。
先に示したグラフを再度確認すると・・・
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1700564250044511&set=a.236228089811475&type=3&theater
2012年、2013年は、GDPの7〜8%程度、
つまり、40兆円もの資金を、
政府が民間に注入していたのです。
ところが、2014年の4月に消費税を増税。
政府が民間から大量のマネーを吸い上げ始めます。
これによって、資金供給量は一気に縮小。
資金供給量は、
安倍内閣誕生時点で40兆円だったのが、
今や、11兆円にまで縮小しています。
そしてこれによって経済は再びデフレ化しはじめ、
実質賃金は下落の一途を辿るようになったのです。
・・・
ちなみに、この「資金供給量」という尺度は、
別名「財政赤字」と言われます。
したがって、安倍内閣は、
プライマリーバランス黒字化目標なるものを立て、
財政赤字を一生懸命削っていったのですが、
それは、マクロ経済的に言うと、ただ単に、
資金供給量を縮小させたと言う話に過ぎないのです。
つまり、現状において、
アベノミクスが「失敗」していると評価するなら、
それは、アベノミクスそれ自身が悪いのではなく、
偏に、アベノミクスがやられなかったからに
過ぎないのです。
そして、なぜ、アベノミクスがやられなかったのかと言えば、
本来は拡大すべき、
「政府の資金供給量」という数値を、
「財政赤字」と、さも悪いものであるかの様にレッテル張りし、
いそいそと、その縮減に努めたからに他ならないのです。
だから、デフレ化を促進する他無い消費増税が断行され、
今もなお、さらに10%まで上げようという議論が
後を絶たないのです。
今からでも遅くはありません。
「カロリー」は
肥満体質の人々にとっては
「悪」なのかもしれませんが、
栄養失調の人々にとっては、
「善」なのです。
安倍総理でも、次の総理でも誰でもよいので、
(少なくともデフレが脱却するまでの間は)
「政府の資金供給量」に「財政赤字」という
下らないレッテル張りをすることをやめ、
「資金供給量」と正しく呼称しつつ、
それを拡大する取り組みを徹底推進いただきたいと思います。
今のままでは、日本は確実に衰弱し、
国民が貧困化していく他ないのです−――。
https://38news.jp/economy/13240
▲△▽▼
2019年3月6日
財務省は今、安倍内閣下で増えた「自由に使える血税」の全てを、国民のためでなく「自分のため」に活用しています。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
突然ですが今、
経済、財政、金融、防衛、科学技術、
インフラ、農業等の様々な視点から、
今後の日本の政治のあるべき姿を「提言」する本
を書いています。
出版は5月か6月頃になるかと思いますが、
それを執筆する中で、
現在の安倍内閣による政治が、
一体どのようなものだったのかを
客観データに基づいて「検証」する作業を
進めています。
その中でとりまとめてグラフの一つがこちら。
この一枚のグラフは、
今の日本で展開されている「政治の本質」
を理解する上で、
極めて重大な意味をもっています。
今日はこの「一枚のグラフ」が暗示する
恐ろしい「真実」を、解説したいと思います。
・・・
安倍内閣下で税収は、
実に17兆円も拡大しました。
安倍内閣誕生時点の2012年度の税収が
42兆円に過ぎなかった一方で、
2018年時点では59兆円にまで拡大したのです。
詳細はまた別途解説したいと思いますが、
消費増税によって7兆円、
世界経済の好景気に牽引される形で実現した
「26兆円もの輸出拡大」によってもたらされた
経済成長による自然増収10兆円によって、
合計17兆円、割合にして実に40%も拡大したのです。
では、この17兆円の増収を、
安倍内閣は一体何に投入していったのかを検証した結果、
得られたものが、このグラフなのです。
ご覧の様に、圧倒的に多くの「増収分」が、
「赤字圧縮」政策に投入されています。
「赤字圧縮」政策とはつまり、
「借金削減」政策であり、
広い意味で言えば「借金返済」政策と
言うこともできます。
その金額は10兆円、
17兆円の増収の実に「6割以上」もの水準に
達しています。
具体的に言うなら、安倍内閣は、
新しく国債発行額を縮減するために
10兆円もの巨大な税収を活用したわけです。
その一方で、
社会保障の拡大に6・6兆円が活用されているのを除けば、
17兆円の増収分は、
その他の政策項目にほとんど活用されていない様子が
見て取れます。
公共事業が0・2兆円、
防衛が0・5兆円拡大していますが、
その拡大分は17兆円の税収拡大分から
拠出されているというよりはむしろ、
総務省が所管している「地方交付税交付金」を
1兆円以上削ることで拠出したものです。
そして、
文部科学行政や環境、農水、外交に到っては、
予算が全く増えておらず、17兆円の増収分が
「一切」活用されていないのです。
つまり安倍内閣は税収が40%も拡大し、
17兆円も豊かな収入が得られる様になったにも関わらず、
(法律的に拠出する金額が規定されている)社会保障の
増分には致し方なく充当している一方で、
それ以外の全て、
実に増収の6割にあたる10兆円以上もの大量の税収を、
「赤字圧縮」行政に投入してしまっているのです。
言うまでも無く、
「赤字圧縮」政策を推進する官庁は財務省。
一方で、それ以外の政策項目を所管する省庁は、
その他全ての省庁です。
そして、
この予算の配分を決定する事務を所管するのも財務省です。
つまり財務省は、
17兆円もの増収分をどこに投入するかを決定する事務を
所管しているわけですが、
法律的に削除することが原理的に出来ない
「社会保障」に致し方なく一部(しぶしぶ)回した上で、
防衛や公共事業など、
政策的に拡大することが必要な部分については、
僅かに増やしたものの、その拡大分も、
地方自治体に回す交付税交付金を削ることで捻出したのです。
つまり、防災や国防など、
国家国民の最低限の安心や安全のため行政には
予算の拡大が必須ではないかという声に応えるために、
財務省は、地方自治体に回す分をむしり取って、
その分のカネを用意したというわけです。
こう見れば、「赤字圧縮」行政を所管する財務省は、
安倍内閣下で、
「赤字圧縮」政策ために必要な
「支出の抑制」の仕事をほぼ完璧にやり遂げたのです。
そしてそれを通して、
10兆円にも上る国民の血税を
政府の借金、あるいは赤字を圧縮するため
「だけ」に活用したのです。
すなわち・・・
財務省は今、
安倍内閣下で増えた「自由に使える血税」の「全て」を、
国民のためでなく自分のために活用しているのです。
借金返済は何の富も国民にもたらさないにも拘わらず、
そして、
もしも他省庁の「国民のための行政」に活用していれば、
経済が成長し、税収がさらに拡大していたにも拘わらず・・・
一人でも多くの国民が、
この恐るべき真実を理解されんことを、
心から祈念したいと思います。
https://38news.jp/economy/13285
▲△▽▼
2019年3月20日
大蔵省から「財務省」に転換した時、平成デフレーションは決定づけられた
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13369
今、政府はプライマリーバランス(PB:基礎的財政収支)の
黒字化目標を掲げており、
その目標通りに、増税と支出カットが
毎年繰り返され続けてきました。
その結果、政府が市場に供給するマネーが
大幅に縮減し、デフレが継続し続けています。
そして、そんなPB目標を導入し、
それに忠実に財政が運営されているのは、
財務省の設置法に、
「財務省は、健全な財政の確保・・・を任務とする。」
と明記されているからだ、
というのは、先週ご紹介したところです。
https://38news.jp/economy/13344
つまり、財務省の役人たちは、
国民経済が疲弊しようが、
国勢が衰弱しようが、そんな事に何も気にせず、
真面目にこの法律に記載されたとおりに、
「政府の財布」の健全化を目指し続けてきたわけで、
その結果が、20年以上にも及ぶデフレだったわけです。
では、そんな理不尽な設置法がいつ作られたのかというと・・・
財務省が、2001年に誕生した時なのです。
それ以前はどうだったかというと、
財務省は「大蔵省」という名称の省でしたが、
その設置法には、そんな任務は記載されていなかったのです。
大蔵省の設置法は、次のようなものだったのです。
「第三条 大蔵省は、
左に掲げる事項に関する
国の行政事務及び事業を
一体的に遂行する責任を負う
行政機関とする。
一 国の財務
二 通貨
三 金融
四 証券取引
五 造幣事業
六 印刷事業」
つまり、大蔵省の設置法には、
「健全な財政」なぞという文言は一切無く、
ただ、仕事の内容が淡々と書かれていただけだったのです。
だから、日本は1998年からデフレになりましたが、
その直後から2000年頃までは
小渕内閣が徹底的な財政政策を展開していたのです。
大蔵省はそれを無理やり阻止することは
しなかったわけです。
しかし、2001年に財務省が設置されてから、
そうした財政出動はほとんど無くなってしまいました。
例えば、公共事業関係費に着目すると、
「シーリング」と言って、
機械的に当初予算を削るようになったのは、
財務省が設置された2001年からでした。
トータルの政府の財政を見るために、
政府の民間への資金供給量全般を確認すると、
やはり、2001年の財務省設置以降、
激しく、右肩下がりで急落していく様子が、
このグラフからも見て取れます。
その経緯を詳しく見ると、
次のような事実が明らかになります。
まず、2001年に健全な財政を確保するための省庁として、
財務省が設置されます。
すると、その翌年2002年には、
プライマリーバランス目標が導入されます。
その後は、その目標にそって、
機械的に財政支出が抑制され続け、
政府の資金供給量は減少の一途を辿っていきます。
しかし、2008年にリーマンショックが勃発し、
事実上、プライマリーバランス目標は撤回されます。
ところが、ショックの翌々年の2010年には、
再びプライマリーバランス目標が導入されます。
その後、2000年代と同様、
政府の資金供給量は減少し続けていきます。
つまり、
財務省が設置された途端に、
設置法で明記された「健全な財政」を機械的に確保すべく
プライマリーバランス黒字化目標が導入され、
リーマンショックによって一時的に解除された時期以外は、
ひたすらにその目標が守られ、
政府の市場への資金供給量は、
一貫して縮減されてきたのです!
これこそ、日本がデフレ脱却出来な基本的な理由です。
筆者は、デフレ脱却を果たすために、
PB目標を撤廃すべきだ、という
「PB亡国論」を唱え続けてきましたが、
実はその背後には、
「財務省設置法」という問題があったわけです。
したがって、20年以上も続く「平成デフレーション」は、
2001年に、大蔵省が財務省へと衣替えをした瞬間に、
決定づけられていたわけです。
だからデフレ脱却を果たすためには、
財務省の設置法を、
大蔵省の設置法と同様に、
ただただ「財務省の仕事の内容は、国の財務である」という旨を
明記するだけのものに修正する等の対応が必要です。
あるいは、健全と言う言葉を用いるのなら、
財務省の主任務を「健全な財政の確保」ではなく
「健全な国民経済に基づく健全な財政の確保」
あるいは
「国民経済に基づく財政基盤の健全性の確保」等
へと修正すべきなのです。
以上の筆者の意見に賛同される国民は是非、
この問題を世論において、
そして国会において取り上げて頂いて、
優秀な財務省の官僚の皆さんが、
もうこれ以上、国民の暮らしを毀損することなく
日本国民のために気持ちよく仕事ができる環境を
作って差し上げて頂きたいと思います。
https://38news.jp/economy/13369
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【経済討論】日本経済、滅びの道をひた走り?![桜H31-4-6] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=sobuc4VM2pI
◆経済討論−日本経済、滅びの道をひた走り?!
パネリスト:
安藤裕(内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員)
石井孝明(ジャーナリスト)
高橋洋一(嘉悦大学教授・「政策工房」会長)
田村秀男(産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)
藤井聡(京都大学大学院教授)
松田学(松田政策研究所代表・元衆議院議員)
三橋貴明(経世論研究所所長)
渡邉哲也(経済評論家)
司会:水島総
▲△▽▼
2019年4月17日
MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に関する政策論」です。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13499
昨今俄に注目を集めているMMT(現代貨幣理論)。
今年の年明け頃までは、
一部の学者や評論家、あるいは、
ネットユーザー達にしか知られていなかったこの理論が、
今、俄に注目を集めているのは、
その主張の「衝撃度」が極めて高いからです。
例えば、ウィキペディアを見れば、
「政府は将来の支払いに対して非制限的な支払い能力を有して・・・いる。そのため、政府の債務超過による破綻は起こりえない。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/Modern_Monetary_Theory#cite_note-MMTreply-1
という、Tymoigne and Wrayの言葉が紹介されていますし、日経新聞は、MMTを
『通貨発行権を持つ国家は債務返済に充てる貨幣を自在に創出できるため、「財政赤字で国は破綻しない」と説く。』
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43695190S9A410C1EA3000/
と紹介しています。
国内の多くの論者は今、
この「財政赤字で国は破綻しない」という一点だけをとって、
MMTを徹底的に批判・批難しています。
例えば、日本のメディア上では今、
MMTは「異端」だ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43692690S9A410C1EA3000/
https://www.asahi.com/articles/ASM444VCTM44ULFA02C.html
と報道するのが一般的流儀、となっています。
しかし、MMTの論者達は別に、
「実際に」政府は無限に債務を拡大しても「良い」、
とは言っておらず
「理論的には」政府は無限に債務を拡大「できる」
という、控えめな主張をしているに過ぎず、
そこまで批判・批難される筋合い等何もないのです。
・・・・
では、MMTの本質とは一体何かといえば、
(筆者なりの方法で説明するとするなら)
「『貨幣とは“負債”である』という「客観的事実」を前提とし、
「現代社会の様々な現実」を踏まえながら
なすべき経済政策の在り方を考える理論体系』
というもの。
そしてこの
『貨幣とは“負債”である』(あるいは、借用書である)
という一点を前提とすれば、
(主流派経済学からは)「革命的」とも言い得るような
様々な「理論的帰結」
を導き出す事が可能となります。
(MMTの論理にご関心なき方は、
下記の「帰結」だけでもご参照ください)
帰結1:「借り手がいる限り、貨幣は、原理的には、銀行によって無制限に増やすことが可能」
(現実:全ての銀行で行われている現実)
(理由:そもそも、「貨幣は負債」だから、借り主達が銀行からカネを(準備金制度やbis規制の制約、借り手の返済能力の制約の下で)「借り続けられていられる限り」においては、「負債は拡大する」=「貨幣が創造される」こととなる)
帰結2:「政府は、税収に制約されず、任意に財政支出量を調整(拡大・縮小)できる」
(現実:GDPの240%もの国債を発行している)
(理由:そもそも、「貨幣は負債」だから、政府が(自国通貨建ての)国債を発行し「カネを借りる」ことを通して、税収とは無関係に、貨幣の創造量=貨幣の供給量=国債発行額を調整できる)
帰結3:「ただし、政府が、過剰なインフレになってしまう程に大量の国債を発行すると、国民生活は苦しくなる」
(現実:幸か不幸か、デフレ日本の現状は、そうした状況からはほど遠い・・・)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債発行は貨幣量を拡大する。そして、貨幣量が拡大すると需要が拡大する。だから、国債を発行しすぎると、国内の供給力を大幅に上回るほどの需要が発生し、過剰なインフレとなり、国民生活が苦しくなる。)
帰結4:「したがって、政府が、望ましいレベルのマイルドなインフレになる程度の国債を発行すると、経済は順調に成長することになる」
(現実:誠に不幸なことに、PB規制をかけているデフレ日本の現状は、そうした状況に達していない)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債発行に伴う政府支出の拡大は、貨幣量を拡大する。そして、貨幣量が拡大すると需要が拡大する。だから、国債を「適切」に発行すると、国内の供給力を幾分上回るほどの需要が発生し、マイルドなレベルのインフレとなる。)
帰結5:「逆に言うと、政府が、『望ましいレベルのマイルドなインフレになる程度の国債額』を下回る水準でしか国債を発行しなければ、デフレ化し、経済は低迷する。そして、国民は貧困化する。」
(現実:誠に不幸なことに、PB規制をかけているデフレ日本の現状はまさにこうした状況にある)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債発行は貨幣量を拡大する。そして、貨幣量が拡大すると需要が拡大する。だから、逆に言うなら、国債を「適切」に発行しなければ、総需要は、国内の供給力に比して十分でない水準となり、ゼロ成長、あるいは、デフレとなる)
帰結6:「したがって、デフレ下の政府が、『PB黒字化』のために国際発行額を抑制すると、デフレがさらに深刻化する。」
(現実:誠に不幸なことに、今の日本はこの状態)
(理由:「貨幣は負債」だから、税収が低いデフレ下で「PB黒字化」を目指すために国債発行額を縮小すれば、政府支出が縮小し、政府による貨幣供給量が下落する。結果、需要はさらに縮小し、デフレが深刻化する。)
帰結7:「政府が全ての国債を返済(償還)してしまうと、市場内の貨幣は大幅に縮小し、深刻なデフレとなるリスクが拡大する」
(現実:デフレ化の日本でPB赤字を縮小しようとして、デフレが深刻化し、日本経済は今、混乱状態になっている)
(理由:「貨幣は負債」である以上、市場におけるあらゆる貨幣は、民間および政府の負債である。そのうちの政府の負債がゼロになれば、当然、貨幣は縮小し、その結果、需要も大幅に縮小し、激しいデフレとなるリスクが拡大する。ただし、「バブル経済」状況では、そのリスクは最小化される。)
帰結8:「政府の徴税能力が崩壊すれば、貨幣が流通しなくなる」
(現実:日本では徴税能力が十分あるため日本円は十分流通している。一方、政府の徴税能力が無くなった国家では、当該国の通貨は――当該国民の信頼を無くしてしまうので――流通しなくなり、ドルなどの国際通貨が使用されはじめるようになる)
(理由:「貨幣は負債」である以上、「信用」がなければ、負債が出来なくなる。そして通貨創造における国内最大の信用は「政府の徴税能力」によって産み出される。だから(統合)政府は、その徴税能力のお陰で、「負債」を負うことが可能なのであり、その借用証書としての「貨幣」を、人々が受け入れる形で発行することが可能となっている。しかし、徴税能力が無くなれば、その政府はもう「負債」が不可能となり、(統合)政府の借用証書である「貨幣」を人々が受け入れなくなってしまう。結果、例えばアメリカ政府の徴税能力に裏打ちされた米ドルを、外国においてすら人々が使うようになってしまう)
帰結9:「政府の国債がどれだけ増えても、金利は上がらない。むしろ、下がる。」
(現実:国債はGDPの240%も発行しているが、金利は極めて低い状況にある)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債を発行すると貨幣が市場に供給され、さらに国債を買う余地が市場において拡大する。そうなると必然的に、各銀行の準備金等も拡大し、それらを通して金利は下がる。)
・・・以上の他にも、
様々な帰結を導くことができるのですが、
これらは全て、
「貨幣は負債」だから・・・
から出発して、導かれるのです。
それはまるで、
物理学における古典力学は、
「ma=f」を出発点とし
(後は現実的な制約条件を導入していけば)
全て解けるようになる・・・
という話とそっくりです。
にも拘わらず、
今日の主流は経済学や経済財政政策は全て、
貨幣を「負債」ではなく
紙幣そのものに価値がある「商品」と捉えています。
この、「貨幣についての認識」の間違いにこそ、
今の経済学や経済政策が間違え続けている、
根本的原因があるのです。
(すなわち、皮肉な事に、
「主流派経済学が間違った貨幣観に基づいて、
間違った経済政策を演繹し続けている」
という事実からも、
MMTの正しさが証明されているわけです)
ついてはこれからは是非、
「オカネとは負債であって、借用書なのだ!」
という「真実」に基づいて
あらゆる経済政策を考えて頂きたいと思います。
そうすれば、後はじっくり時間をかければ、
誰でも必ず、「正解」にたどり着けるのです。
追伸:
私たちは今、こうしたまっとうな議論に基づいて、
「令和時代」を作らねばなりません。
ついては今、表現者クライテリオンでは、
「令和への建白書」を最新号として取りまとめました!
その根幹は、「令和八策」。
令和ピボット運動の「理論的支柱」ともなり得る
この建白書、是非、ご一読ください!
https://the-criterion.jp/backnumber/84_201905/
—発行者より—
総理「政権中にこれを破棄できなければ、日本はオシマイ」
三橋貴明と総理との会談時で明かされた真実。
●総理が、三橋との会食をオープンに
(世に公開)してまで国民に伝えたかった事とは…?
●この会食で明らかになった、
私たちの邪魔をする[3つの敵の正体]とは?
●2020年に訪れるかもしれない
日本の危機的状況とは一体何なのか?
日本が発端となり、
2008年のリーマンショックが再来する?
などなどメディアが決して報道しない
「安倍総理の告白」と「日本経済2020年危機」
について解説した書籍を出版致しました。
こちらから詳しい内容をご覧ください。
https://keieikagakupub.com/38JPEC/1980/
https://38news.jp/economy/13499
▲△▽▼
2019年4月24日
政府の支出拡大が財政を健全化することを「数学的に証明」します。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13526
世間では、財政健全化のためには、政府支出をカットしていくことが必要だ、消費増税などをして緊縮を進めることが必要だ―――と信じ込まれています。
しかし、今日の日本では実は、そんな風にして緊縮を進めれば進めるほど、財政が悪化しているのです。
そのためにいろいろな論者が、経済成長の視点を加味しつつ、様々な説明を試みてきましたが、今日はそれとは全く違う観点から、政府の支出拡大が財政を健全化する、というお話しをいたしたいと思います。
今日のお話は、極めてシンプルでしかも画期的、なものです。
何が画期的かと言えば、仮に、政府の支出拡大による経済刺激効果がさして大きくなく、乗数効果が「1」程度であったとしても、政府支出拡大は財政健全化を導く、という点を数学的に明らかにした、というところです。
まず、日本政府は今、G20の「サンクトペテルブルク文書」や「骨太の方針」などの公式文書で、PBと同等、あるいはそれ以上に重視している財政規律が、「債務対GDP比」の安定化・引き下げです。
この「債務対GDP比」について数学的、実証的に分析したところ次のようなことが明らかとなりました。
まず、下記グラフをご覧ください。これは、2017年度において、もしももっと多くの政府支出をしていた場合、債務対GDP比はどうなっていたのか・・・を分析したものです。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1773338826100386&set=a.236228089811475&type=3&theater
ご覧の様に、政府支出を拡大しておけばしておくほど、債務対GD比は「小さく」なっていただろう、ということが明らかに示されています(このグラフの詳細は、本メルマガの文末にて解説しています)。
ちなみに、2016年度の債務対GDP比の実績値は197%で、2017年度のそれは199%と2%程「悪化」していましたが、もしも政府が追加的に13.7兆円以上の支出を(補正予算等の形で)拡大していれば、2017年度の債務対GDP比は悪化せず「改善」していたであろう、ということが分かります。
(ちなみに、以上は、乗数効果が、政府がしばしば使用する1の場合の結論です。乗数効果が2の場合なら、4.6兆円以上の追加支出があれば、債務対GDPは改善していた、という結論になります)
つまり、債務対GDP比が200%程度にある状況では、政府支出を拡大すれば(10兆円程度の支出によって、金融政策を徹底的に進めている今日の日本で金利が大きく変化することもあり得ませんから)、分母も分子も同じだけ拡大し、結果、その比率は「縮小」することになるのです。
つまり、債務対GDP比の視点から言うなら、簡単な数式から「政府支出の拡大が財政を改善する」ということが数学的に証明できるのです。
極めて単純な「分数」のお話しです。
以上は、2017年の日本と言う一ケースについてのお話ですが、以上のお話は、数学的に網羅的に証明することができます。
詳細にご関心の方は、是非、以下の【政府支出の拡大が債務対GDP比を改善する事の数理的証明と実証分析】をご一読ください(今日のメルマガにて、この数理展開は初めて公表するものですが、今後、別途学術的な媒体で公表したいと思います)。
なお、さらに言うならこの分析結果をさらに別の角度から考えれば、債務対GDP比が200%程度の今日の日本なら、(借金返済のために)消費増税を行えば、かえって債務対GDP比が「悪化」するであろうということも理論的に予測されることになります。
なぜなら、消費税を行って政府支出を拡大しなければ、債務対GDP比の分母も分子も縮小しますが、それによってその比率は「悪化」することになるからです。
・・・
いずれにせよ、今の日本では、「政府支出を拡大するほうが、債務対GDP比という視点から財政は改善していく」、そして逆に「緊縮を重ねる程に、債務対GDP比は悪化していく」という数学的かつ実証的な「真実」をしっかりとご理解いただきたいと思います。
【政府支出の拡大が債務対GDP比を改善する事の数理的証明と実証分析】
今、ある年次tの累積債務をR、GDPをGと定義する。
そして、その翌年t+1年次の累積債務、GDPをそれぞれR’、G’とし、かつ、それらとR, Gとの関係が以下のものであると考える。
R’=pR (t+1年次の累積債務について)
G’=qG (t+1年次のGDPについて)
と表記する。ここに、p, qは累積債務とGDPの前年比のパラメータである(例えば3%増えたら1.03、5%減ったら0.95等)。
ここで、もし仮にt+1年次に政府がXの財政支出を行った場合の累積債務とGDPをそれぞれR’’, G’’と表記すると、その場合の乗数がaだとすれば、
R’’=R’+X (t+1年次の累積債務について)
G’’=G’+aX (t+1年次のGDPについて)
したがって、
R’’=pR+X (t+1年次の累積債務について)
G’’=qG+aX (t+1年次のGDPについて)
以上を前提とすると、債務対GDP比の引き下げ、という「債務対GDP比制約」というものは、
R/G > R’’/G’’
であり、以上の式を代入すると次のように整理できる。
R/G > (pR+X)/(qG+aX)
これをさらに整理すると、
X > (p –q)RG/(aR-G) if (aR-G) > 0
X 0
これはつまり、「 (aR-G) > 0」の場合、政府の追加支出が(p –q)RG/(aR-G)「以上」であれば、債務対GDP比が前年以下となり、一方、もしも「 (aR-G) (p –q)RG/(aR-G) if (aR-G) > 0
X 0
という、「債務対GDP比が改善していく条件式」から求めることができる。
まず、2016年のR,Gの値から「aR-G」を求めると(仮に乗数効果を、政府がよく使用する「1」という水準にしておけば)520兆円という値になる。これは明らかに正であるから、債務対GDP比を改善する政府追加支出額の条件は、
X > (p –q)RG/(aR-G)
となる。そして、「(p –q)RG/(aR-G)」の値を、2016年のGDPと累積債務の実績値、ならびに、それぞれの2017年度に対する比率であるp、qの実績値(それぞれ、1.029、1.017)を挿入すれば、13.7兆円という数字が得られることとなる。
なお、以上の分析における乗数効果を1ではなく、2であると想定すると、政府支出はさらに少なくても、債務対GDP比を改善することができる。その場合の追加支出額は、4.6兆円である。
つまり、乗数効果が多ければ、債務対GDP比の分母であるGDPがより効率的に拡大していくため、政府支出の拡大は、より効率的に債務対GDP比を改善していくのである。
なお、もしも政府支出の拡大が「金利の上昇」を導くなら、以上の結論に調整を加えることが必要となる。しかし、金融緩和が強力に進められている今日の日本において、5兆円や10兆円規模の追加の政府支出の拡大が、上記の論理展開に影響を及ぼす程の金利拡大をもたらすとは現実的には考えがたい。
なお、実証的な分析からは、1兆円の赤字拡大は長期金利を約0.15〜0.25bps(=0.0015%〜0.0025%)上げるという分析結果も報告されているが、これは実質的にほとんど影響しない、と判断できる水準である。
https://ci.nii.ac.jp/naid/110007149554
しかも、政府支出の拡大の金利への影響については、上記のように、「金利上昇をもたらす」という指摘以外に、かえって「下落」させるという指摘もある。というよりむしろ、今日の日本では、実際に、累積債務の拡大に伴って金利は下落し続けているのが実態である。ついては今後はこうした理論的可能性を踏まえつつ、金利の変動を加味して以上の数学的証明を拡張していくという展開が考えられる。
ただし繰り返すが、「金融緩和が強力に進められている今日の日本において、5兆円や10兆円規模の追加の政府支出の拡大が、上記の論理展開に影響を及ぼす程の金利拡大をもたらすとは現実的には考えがたい」ため、以上の数学的論証および実証分析は、今日の日本経済に十分以上に妥当するものである考えられる。
以上
追伸:
以上の数学的証明が難しくとも、下記の『私立Z学園の憂鬱』なら、小学生でもわかると思います。特に「第二話」は圧倒的に分かりやすいです! 是非、いろんな方に紹介・拡散差し上げてください!
https://indies.mangabox.me/amp/manga/14526/
https://38news.jp/economy/13526
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京都大学レジリエンス実践ユニット・MMT勉強会:
「 MMT(現代貨幣理論)の論理構造と実践的意義」【講師:青木泰樹】 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=7fH3IXUoJ6M&feature=youtu.be
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2019年5月1日
財務省が紹介した「有識者のMMT批判」の「間違い」を解説します。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13570
いよいよ「令和」となりました!
この新しい御代が、明るく、
素晴らしい時代となるためにも是非、
無粋にも、愚かしい帰結を導くこと必定な
消費税増税は今、避けねばなりません。
そんな議論の中で、今、
大きな話題を集めているのが、MMT(現代貨幣理論)。
このMMTについては、
連日、新聞、雑誌に取り上げられていますが、
その多くが「批判的」論調です。
こうした状況の背後には、
「MMTが正しければ、
今年10月の消費増税なんて論外だ、
ということが“発覚”してしまう」
から、という事情があります。
ですから、メディアに大きな影響を持つ、
財務省を中心とした「緊縮派」の勢力は、
MMTを躍起になって否定しようとしているわけです。
彼らにしてみれば、
特に今は、10月の消費増税前の「正念場」ですから、
MMTが普及してしまうことを、
過剰に恐れているわけです。
そんな彼らが、MMT批判に活用している、
ほぼ唯一のツールは
「外国の権威の学者さん達」の意見。
例えば、財務省が、
4月17日に公表したペーパーには
17人もの経済学者達のMMT批判を
ずらりと並べています。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia310417/01.pdf
しかしそれらの批判の実に多くが、
「単なるMMTについての認識不足」
に基づくもの。
例えば、シラー教授は、
「政府はどこまでも財政赤字を無限に続けられる」
というMMTは極めて悪質だと批判し、
パウエルFRB議長は、
「赤字は問題にならないという考えは全く誤っている」
とMMTを批判していますが、
MMTは決してそんなことは主張していません。
マイルドなインフレを超えるほどの赤字拡大は
控えるべきだと、名言しているのがMMTだからです。
それ以外の典型的なMMT批判が、
ポールクルーグマン氏の次のような批判です。
「債務については、経済の持続可能な成長率が利子率より高いか低いかに多くを左右されるだろう。もし、これまでや現在のように成長率が利子率より高いのであれば大きな問題にならないが、金利が成長率より高くなれば債務が雪だるま式に増える可能性がある。
債務は富全体を超えて無限に大きくなることはできず、残高が増えるほど、人々は高い利子を要求するだろう。つまり、ある時点において、債務の増加を食い止めるために十分大きなプライマリー黒字の達成を強いられるのである。」
(2019年2月12日、ニューヨークタイムス)
この指摘は要するに、国債発行額の上限は、
MMTが主張するような「(マイルド)インフレになるまで」
というだけでは、場合によっては、
債務は無限に拡大してしまうこともある、
だから、債務が無限に拡大してしまうことを避けるためにも、
「債務対GDP比が発散させない」
ということも制約の一つとして考慮すべきである、
というものです。
クルーグマン氏は、もともと、
デフレ状況では、デフレ脱却こそが優先されるべきであり、
したがって、債務の拡大を気にせず、
デフレ脱却まで徹底的に財政拡大をすべきだ、
と何度も論じてきた経済学者です。
したがって、このMMT批判は、
「アメリカの様に、デフレでない経済を想定した批判」
であり、
「日本の様な、デフレ経済を想定した批判」
ではないと言えるでしょう。
したがって、この批判を「日本」の財務省が、
MMT批判の文脈で引用すること自体が
根本的に間違っているともいえるのですが・・・
それはさておいても、
このクルーグマン氏のMMT批判について、
アメリカのMMT論者の一人であるケルトン女史が、
強く批判しています。
(例えば、こちら http://econdays.net/?p=10437)
当方もまた、このケルトン女史の批判に強く賛同します。
なぜなら、クルーグマンは、
国債発行は、資金の枯渇をもたらし、
金利の上昇をもたらすと想定している一方、
現実のマーケットでは、
(ケルトン女史が主張するように)
国債発行は、資金供給量を拡大するため、
金利の高騰は起こらず金利はむしろ下落する、
という現象が起こっているからです。
ただし、こうしたケルトン女史の批判に加えて、
先週お話した「債務対GDP比の安定化条件」を加味すると、
以下のように批判することもできます。
・・・
今回のクルーグマン氏の指摘は、国債発行額を、「(マイルド)インフレ」以下になるようにするという、いわば「マイルド・インフレ制約」を考えておけば、国債発行額を債務対GDP比が発散させない範囲内にとどめるという「債務対GDP比制約」には必ずしも配慮しなくてもいい、という理論的可能性について考察されていない。
実際、日本(ならびに、現在のアメリカ)の様に債務対GDP比が少なくとも100%を超えている場合(仮に乗数効果が1にしか過ぎなかったとしても)、「債務対GDP比制約」は、事実上、現実的な水準では存在していないことが数理的に明らかにされている(https://38news.jp/economy/13526)。
(※ なお先週の上記記事は、クルーグマン氏のMMT批判に数理的に改めて反論するための下準備として公表したものです)
したがって、(債務対GDP比がはるかに1を下回る国ならいざ知らず)少なくとも日本においては、クルーグマン氏の懸念は単なる「杞憂」に過ぎない。
なお、ケルトン女史の指摘をさらに踏まえるなら、(債務対GDP比の水準が如何様であろうとも)マイルド・インフレ制約の方が、債務対GDP比制約よりも、より「厳しい」ものとなるという条件が成立する可能性がより高いものとなることが理論的に予想される。
なぜなら、MMTの理論的帰結として導かれ、しかも、現実の経済において観測される「国債発行額の拡大が国債金利を引き下げる」という現実の現象があり、かつ、「中央銀行の国債保有分については、政府の利払いは必要ない」という現実があるからである。
以上より、クルーグマン氏が懸念する「債務対GDP比制約に配慮して、国債発行額を抑制すべき必然性」は必ずしも高くなく、かつ、少なくとも今の日本においては、その必然性は事実上皆無である。
・・・
なお、クルーグマン氏以外の様々な論者の批判についても、
その多くは、このクルーグマン氏への反論で
十分に対応可能なものです。
なぜなら、伝統的な経済学者の多くが、
金利と国債発行、そして、債務対GDP比についての
基本的な「現実」を踏まえていない、
という事情があるあるからです。
ついてはクルーグマン氏をはじめとした世界の有識者達には、
(MMTについてのより適正な認識の形成というよりむしろ)
政府赤字と金利、そして債務対GDP比についての
「実際上の関係」をしっかりと認識頂いた上で、
それぞれの国情に即した適切な経済財政政策を提言されんことを、
心から祈念申し上げたいと思います。
追伸1:
財政政策の現実の現場では、何が効果的な「支出項目」なのかの判断が何よりも重要。ついては是非、当方の今年最初の新著であります、「インフラ・イノベーション」を是非ご参照ください。
https://www.amazon.co.jp/dp/459408205X
(本書の解説は、こちらをどうぞ https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20190429/)
追伸2:
「令和ピボット」の詳しい考え方については是非、表現者クライテリオンの最新刊「令和への建白書」をご一読ください!
https://the-criterion.jp/backnumber/84_201905/
(10%OFFの定期購読は、コチラから→https://the-criterion.jp/subscription/)
https://38news.jp/economy/13570
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【Front Japan 桜】インフラ・イノベーション〜強くて豊かな国をつくるプロジェクト[桜R1-5-15] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=XkjeLoT5W-A
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[2019 5 13放送]週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=3hwKNUWk3_c
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「日本の未来を考える勉強会」ーMMTの真実〜日本経済と現代貨幣理論〜
ー令和元年5月15日 講師:京都大学大学院教授 藤井 聡氏 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=s2Uj-_RolsY
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2019年5月20日
<号外速報>「内需冷え込み」による輸入急落が無ければ、名目成長率は「マイナス2・7%」です。
From藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/economy/13663
今朝5月20日の午前、
政府からGDP速報値が公表されました。
1−3月期のGDPは、
経済の冷え込みからマイナス成長になるのでは、
との観測が支配的でしたが、
蓋を開けてみればなんと、年率プラス2・1%。
この「意外」な結果を受けて早速、
茂木大臣などは消費増税を行うと明言しています。
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKCN1SQ01O.html
しかし、今回のGDPプラス成長は、
「単なる見かけ上」の数字。
何と言っても、今回の成長に最も寄与したのが、
内需の拡大でも輸出の拡大でもなく、
「輸入の減少」だったからです!
具体的に言うなら、
名目値で言えば、102.9兆円もあった輸出が
94.7兆円へと8.2兆円も一気に急落。
この8.2兆円の急落が、見かけ上、GDPを押し上げたのです。
(統計上、輸出はGDPから「差し引く」項目なのです)
もしもこの輸入減が無ければ、
GDPはプラス成長どころか、
名目で年率マイナス2・7%になっていたのです!
(実質では年率マイナス1・3%)
ではなぜ、輸入がここまで急落したのかと言えば、
内需が冷え込み、日本人の購買力が下落したからです。
事実、消費も投資も下落しています。
https://this.kiji.is/502993738726098017
つまり今回のGDP成長は、
内需が冷え込み過ぎたあおりを受けて輸入が減り、
その結果、もたらされた
「単なる見かけ上」の数字に過ぎなかったのです。
統計はあくまでも統計。
使いこなすには、
それを読み解くリテラシー(読解能力)が必須です。
日本政府、そして、国会においては、
的確なリテラシーに基づく
正しき政治判断を下されんことを、
心から祈念したいと思います。
https://38news.jp/economy/13663
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【Front Japan 桜】日本経済が落第生の理由 -
今の消費増税は「害」しかない[桜R1-5-24] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=4POHZ97qB8Q
キャスター:三橋貴明・藤井聡
■ ニュースPick Up
■ 日本経済が落第生の理由
■ 今の消費増税は「害」しかない
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世界経済はバブル崩壊直前
【Front Japan 桜】日本経済が落第生の理由 -
今の消費増税は「害」しかない[桜R1-5-24] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=4POHZ97qB8Q
キャスター:三橋貴明・藤井聡
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令和の政策ピボットの「資料室」
https://reiwapivot.jp/library/
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元国税調査官が暴露。財務省が消費増税をゴリ押しする本当の理由
https://www.mag2.com/p/news/400450
2019.06.03 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』 まぐまぐニュース
先日掲載の「元国税が暴く『ヨーロッパに比べ日本の消費税はまだ安い』の大嘘」等で、消費税の「出鱈目ぶり」を指摘し続けてきた、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。今回大村さんはメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、それほど酷い税金「消費税」を財務省が推進したがる理由を暴露しています。
※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年6月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。
消費税のラスボスは財務省
これまで、このメルマガでは消費税がいかに欠陥だらけの税金なのかをご説明してきました。総務省の「家計調査」によると2002年には一世帯あたりの家計消費は320万円をこえていたが、現在は290万円ちょっとしかありません。先進国で家計消費が減っている国というのは、日本くらいしかないのです。これでは景気が低迷するのは当たり前です。
この細り続けている消費にさらに税金をかけたらどうなるでしょう?景気がさらに悪化し、国民生活が大きなダメージを受けることは火を見るより明らかです。実際に、消費税が上がるたびに景気が悪くなり、消費が細っていくという悪循環を、日本は平成の間ずっとたどってきたのです。
この欠陥だらけの消費税を一体だれが推進してきたのでしょうか?最大の「ラスボス」は財務省なのです。政治家が消費税を推進してきたように思っている方が多いかもしれないが、それは勘違いです。
政治家は、税金の詳細についてはわかりません。だから、財務省の言いなりになって、消費税を推奨してきただけです。むしろ、政治家は、消費税の導入や税率アップには、何度も躊躇してきました。増税をすれば支持率が下がるからです。
それを強引にねじ伏せて、消費税を推進させてきたのは、まぎれもなく財務省です。なぜ財務省は、これほど消費税に固執し、推進してきたのでしょうか?
「国民の生活をよくするため」
「国の将来のため」
などでは、まったくありません。ざっくり言えば、「自分たちの権益」を維持するためです。今号から2回にわたって、なぜ財務省が消費税を強力に推進してきたのか? 彼らが守ろうとしてきた権益とは何なのかを紐解いていきたいと思います。
財務省は財界の代弁者
まず最初に念頭に置いていただきたいのは、財務省のキャリア官僚にとっては、「消費税は実利がある」ということです。消費税が増税されることによって、彼らは間接的にではありますが、大きな利益を手にするのです。なぜなら、大企業と財務省は、根の部分でつながっているからです。
ただ財務省といっても、財務省の職員すべてのことではありません。財務省の「キャリア官僚」のみの話です。なぜ財務省のキャリア官僚が、消費税の増税で利益を得るのかというと、それは彼らの「天下り先」に利をもたらすからです。天下り先が潤うことで、財務省のキャリア官僚たちは、間接的に実利を得るのです。
財務省のキャリア官僚のほとんどは、退職後、日本の超一流企業に天下りしています。三井、三菱などの旧財閥系企業グループをはじめ、トヨタ、JT(日本たばこ産業)、各種の銀行、金融機関等々の役員におさまるのです。
しかも、彼らは数社から「非常勤役員」の椅子を用意されるので、ほとんど仕事もせずに濡れ手に粟で大金を手にすることができるのです。
財務省キャリアで、事務次官、国税庁長官経験者らは生涯で8億〜10億円を稼げるとも言われています。この辺の事情は、ネットや週刊誌を見ればいくらでも出てくるので、興味のある方は調べてください。
つまり財務キャリアたちは将来、必ず大企業の厄介になる、そのため、大企業に利するということは、自分たちに利するということなのです。
このメルマガでも何度か説明してきましたように、消費税というのは大企業にとって非常に有利なのです。というのも、消費税の導入や消費税の増税は、法人税の減税とセットとされてきたからです。
消費税が導入された1989年、消費税が3%から5%に引き上げられた1997年、消費税が5%から8%に引き上げられた2014年。そのいずれも、ほぼ同時期に法人税の引き下げが行われています。その結果、法人税の税収は大幅に減っています。
法人税は、消費税導入時の1989年には19兆円ありました。しかし、2018年には12兆円になっているのです。つまり法人税は、実質40%近くも下げられているのです。
「日本の法人税は世界的に見て高いから、下げられてもいいはず」と思っている人もいるかもしれません。が、その考えは、財務省のプロパガンダにまんまとひっかかっているのです。
日本の法人税は、名目上の税率は非常に高くなっていますが、大企業には「試験研究税制」「輸出企業優遇税制」などの様々な抜け道があり、実質的な税率はかなり低いのです。
日本の法人税が実質的に低いことの証左は、日本企業の内部留保金を見ればわかります。日本企業はバブル崩壊以降に内部留保金を倍増させ446兆円にも達しています。
また日本企業は、保有している手持ち資金(現金預金など)も200兆円近くあります。これは、経済規模から見れば断トツの世界一であり、これほど企業がお金を貯め込んでいる国はほかにないのです。
アメリカの手元資金は日本の1.5倍ありますが、アメリカの経済規模は日本の4倍です。経済規模に換算すると、日本はアメリカの2.5倍の手元資金を持っていることになるのです。世界一の経済大国であるアメリカ企業の2.5倍の預貯金を日本企業は持っているんですよ!
だから、本来、増税するのであれば、消費税ではなく、法人税であるべきなのです。なのに、なぜ法人税ではなく消費税を増税するのかというと、先ほども述べたように財務省のエリートたちは、大企業に天下りしていくため、彼らは財界の代弁者となってしまっているのです。
なぜ大企業は財務省キャリアを受け入れたがるのか?
官僚の天下りというのは、昔から問題になっていたことであり、何度も国会等で改善策が施されたはずです。官僚の天下りはもうなくなったのではないか、と思っている人もいるはずです。
確かに、財務官僚以外のキャリア官僚たちの天下りは、大幅に減っています。が、財務官僚の天下りだけは、今でもしっかり存在するのです。なぜ財務官僚だけが、今でも堂々と天下りをしていられるのでしょうか?
実は、現在の天下りの規制には、抜け穴が存在するのです。現在の公務員の天下り規制は、「公務員での職務で利害関係があった企業」が対象となっています。が、この「利害関係があった企業」というのが、非常に対象が狭いのです。
たとえば、国土交通省で公共事業の担当だった官僚が、公共事業をしている企業に求職をしてはならない、という感じです。が、少しでも担当が違ったりすれば、「関係ない」ことになるのです。
また、バブル崩壊以降の長い日本経済低迷により、企業たちも天下り官僚を受け入れる枠を減らしてきました。だから、官僚の天下りは相対的には減っています。しかし、財務官僚だけは、ブランド力が圧倒的に強いために、天下りの席はいくらでも用意されるのです。
財務省というのは、一般の人が思っているよりはるかに大きな国家権力を持っています。財政だけじゃなく、政治や民間経済にまで大きな影響を及ぼしているのです。日本で最強の権力を持っているとさえいえます。そのため、その権力をあてにして、大企業が群がってくるのです。
しかも、企業にとって、財務官僚の天下りを受け入れるということは、税金対策にもなります。財務省は国税庁を事実上の支配下に置いており、徴税権も握っています。そのため各企業は、税金において手心を加えてもらうために、競うようにして財務官僚の天下りを受け入れているのです。
つまりは、大企業が税金対策のために財務官僚を天下りで受け入れていることが、国民全体に大きな損害をもたらしているといえるのです。
もし財務官僚を「上場企業への天下り禁止」などにすれば、国の税制は大きく変わるはずです。少なくとも、今のような大企業優遇、消費税推進などの流れは必ず変更されるはずです。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)
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2019年6月12日
吉川洋氏の「地震に備えて消費増税を」論を完全撃破します
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13838
誠に驚くべき意見です。
東京大学名誉教授で、
元日本経済学会会長で、
財政審議会の元会長でもある
現立正大学教授の吉川洋先生が、
次のように語ったとのこと。
「大地震が30年以内に起こる確率は驚くべき高さであり、いつか必ず来ると言ってもよい。被害金額は半端ではないが、それに耐えなければならない。地道に財政再建に向けた努力を続けていかなければならない」
そしてその上で、
10%への消費増税については、
本当にリーマン級のショックだとはっきりしない限りは、
「先延ばしすべきでない」
と語ったそうです。
つまり、南海トラフ地震に対する
日本の強靭化の一環として、
消費増税をしておくべきだ、という話。
これほどのトンデモない詭弁は、
耳にしたことがありません。
そもそも私は、
国土強靭化担当の内閣官房参与を六年間勤め、
現在でも、政府の国土強靭化の有識者会議の座長を務めており、
巨大地震が来た時に、
金融不安も含めた深刻な事態を回避するために、
一体何が必要なのかを議論し続けてきました。
その議論の中で、
「強靭化のために消費増税をしておきましょう」
なぞという議論は、
財務省サイドからも、金融庁サイドからも
未だかつて耳にしたことがありません。
なぜなら、消費増税は、
強靭化を導く対策では一切ないからであり、
さすがにそのようなことを、
政府の真面目な強靭化の会議で、
財務省・金融庁側から主張するようなことは
不可能だからです。
もうどこから吉川氏の主張の詭弁性を
明らかにしていけばいいのか
分からない程に、激しくでたらめなご主張ですが、
一つ一つ論じていきましょう。
第一に、地震が起こって、
財政の危機的状況(例えばデフォルト)が起こるとすれば、
それは、その時点での財政の健全性ではなく、
最後の貸し手である日銀が、
地震時点で即座に対応できない、
という場合に限られます。
ですから、強靭化の議論では、
日銀や金融庁、さらには、財務大臣や総理大臣が、
迅速に対応可能な状況をつくるべきだ、
という議論と対策を進めています。
「増税をして財政を地道に健全化しましょう」
というような吉川氏がイメージしているであろう悠長な議論など、
強靭化の議論の現場では、全く通用しないのです。
第二に、地震が起こり、復興しなければならない場合、
そのコストは税収でなく、
国債で賄うのが常識です。
そもそも、税収で復興すると決める、
ということイコール、
復興をあきらめる、ということを意味します。
なぜなら、
一般会計は平時の支出で「いっぱいっぱい」なわけで、
地震時にはそれに「追加」して、
莫大な復興費がかかるわけですから、
国債以外の財源などあり得ないのです。
だから、吉川氏がイメージしているであろう、
「復興にはオカネがいるから、
普段から税収を増やしておきましょう」
なぞという、悠長な話は全く通用しないのです。
その様なことをやっていては、
大怪我をした子供を、
今、手元にオカネがないからというだけの理由で放置して
死に至らしめてしまうように、
日本は二度と復興できなくなってしまうでしょう。
それ以外にも、
・そもそも、消費増税を行い、デフレが悪化すれば、
民間の強靭化投資の水準が低下し、
日本の強靭性は低下し、
地震の被害が拡大する。
そしてその結果、地震後の復興支出も拡大し、
地震後の収入も縮小し、
地震による財政被害が極大化する
・消費増税をして支出をカットするという、
吉川氏がイメージしているような対策をすれば、
公的な強靭化投資も縮小し、
地震の被害が拡大する。
そしてその結果、先と同じく地震後の復興支出も拡大し、
地震後の収入も縮小し、
地震による財政被害が極大化する
という問題を指摘することもできます
いずれにせよ、
国土強靭化の政府の有識者会議の座長である当方の目から見れば、
吉川氏の主張は、
巨大地震の時に一体何が起こるのかについて
冷静に考え続けてきた
国土強靭化の議論のすべてを無視し、
ただ単に、「地震が起こる危機があると言う事実」と、
「消費増税をすべきだという結論」を
機械的に接続した、
著しく思慮の書いた暴論ないしは詭弁にしか、
残念ながら見えないのです。
万一、強靭化の有識者会議の座長である筆者に
吉川氏からの以上についての反論があるなら、
いつでも反論いただきたいと思います。
反論できるのなら是非とも、
反論していただきたいと思います。
追伸1:
真の強靱化のために何が求められているのか・・・については是非、
「インフラ・イノベーション」
https://www.amazon.co.jp//dp/459408205X/
を、ご一読ください。
追伸2:
こうした吉川市の議論からの「ピボット」のためには是非、筆者の新著「令和日本・再生計画」をお読みください!
https://www.amazon.co.jp/dp/409825350X
▲△▽▼
「MMT批判」がいかに不条理か、徹底的に指摘する
「有りもしない亡霊」におびえ、なすべき政策を葬るつもりか
2019.6.11 (藤井 聡:京都大学大学院教授)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56663
今、話題を集めているMMT(現代貨幣理論)。その具体的な主張は、自国通貨建ての国債で政府が破綻(デフォルト)することはないのだから、デフレが脱却できるまでは、政府は消費増税を凍結すると同時に、国債で財源を調達して政府支出を拡大していくことが必要だ、というものだ。
しかしこれまで政府は、国債は政府の「借金」なのだから望ましくない、だから国債はできるだけ抑制すべきだ、というスタンスを取り続けてきたし、多くの経済学者達もその見解を支持し続けてきた。だから、政府や学者達にとっては、これまでの政府見解と正反対の主張をするMMTは、トンでもない不当な理論に過ぎない、と激しく反発した。
変わってきたMMT批判の視点
彼らは当初、「無制限の財政支出の拡大を主張するMMTはトンデモない」というタイプの批判を繰り返した。しかし、こうした批判は全く間違った批判だった。なぜならMMTは「少なすぎる支出」を問題視すると同時に、過剰なインフレになれば今度は逆に支出を抑制すべきである、という形で「多過ぎる支出」をも問題視するものだからである。
つまりMMTは両者を考慮しながら政府支出額を調整すべきだというタイプの新たな「財政規律」を主張するなのだ(詳細は例えば、こちらの拙稿を参照されたい。『経済論争の的「MMT」は「トンデモ理論」に非ず』、「JBpress」2019年5月21日、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429)。
MMTに対するこうした初期的な批判に対する反論が様々に展開されたせいか、「無制限に支出を許容するMMTはトンデモない」というタイプの批判は徐々に少なくなっていった。しかし、それとともにこれまでとは少し違った、次のようなタイプの批判が繰り返されるようになっていった。
『MMTの提唱者は「インフレにならない限り、財政赤字は問題ない」と主張するが、増税や歳出削減には法律改正や政府予算の議決が必要で、それほど機動的に変更できるわけではないから、インフレ加速の危険性が明らかになってから財政赤字を削減しようとしても間に合わない可能性が大きい』(「東洋経済ONLINE」2019年04月28日、櫨浩一 : ニッセイ基礎研究所 専務理事)https://toyokeizai.net/articles/-/278558
『予算というものは、一度それを作ったら、それを前提とした様々な社会構造が出来上がり、変更するには多大な経済的社会的コストを要するうえ、民主主義社会においては政治的コストも膨大で、インフレ率を見て突然変えるなどと言うことは到底出来っこないものなのです』(「論座」2019年5月16日、米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士)
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019051500003.html
『日銀の原田泰審議委員は・・・「現代貨幣理論(MMT)」に否定的な考えを示した。「必ずインフレが起きる。(提唱者は)インフレになれば増税や政府支出を減らしてコントロールできると言っているが、現実問題としてできるかというと非常に怪しい」との認識を示した』(「日本経済新聞」2019年5月22日)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45118610S9A520C1000000/
こうした批判は一言で言うなら「インフレ抑制不能」批判と言えるだろうが、これらは皆、不当極まりないものでしかない。それについては例えばMMT論者の一人である中野剛志氏が、『MMT「インフレ制御不能」批判がありえない理由』(「東洋経済ONLINE」2019年05月29日、https://toyokeizai.net/articles/-/283186)の中で的確に論じているが、筆者もまた、別の角度から改めて「インフレ制御不能」批判の不当性、不条理性を徹底的に指摘することとしたい。
「インフレ制御不能」批判は不当な言いがかりである
そもそも、彼らは「一旦、財政政策を拡大すれば、抑制できなくなる」と心配しているようだが、これはあからさまな杞憂(無用の心配)だ。
ギャラリーページへ
そもそも「政府予算」というものは、補正予算と当初予算とで構成されている。ここ最近の日本政府の予算を振り返れば、確かに当初予算は急激に増えたり減ったりしてはいないが、補正予算は多い時には15兆円程度の水準に達していた一方、ほとんどゼロである場合もあった。つまり、今の現実の予算は、15兆円程度の「泳ぎしろ」があって運用されているのであって、補正予算を効果的に活用すれば、一旦予算が増えれば縮小が難しくなる、ということなど絶対あり得ない。
しかも、過去20年間、我が国は高いインフレ率ではなく、低すぎるインフレ率に苦しめられてきたわけだが、そうなっているのはもちろん、国会で決められる予算の総額が、適正な水準よりも遙かに低く水準に抑制されてきたからだ。その中で例えば公共投資について言うなら、実にかつての「半分」程度にまで削減されてきた。つまり我が国は(その是非はさておき)、「当初予算」についても現実に「削減してきた」という実績を持つのである。
つまり、政府支出の量をアクセルで例えるなら、我が国は確かにアクセルを踏み込んだり弱めたりする能力を明確に持っているのであり、かつ、現実にそのように調整してきているのである。だから「インフレ制御不能」批判は、アクセルを調整しながら日常的にクルマを運転しているドライバーに対して、「おまえはアクセルを一旦踏み込めば緩めなくなってしまうかもしれない。だからクルマの運転なんてもうやめなさい」と批難するようなものだ。これは単なる不当な言いがかりと言うほか無かろう。
MMTを知らずに濡れ衣だけを着せるMMT批判論者
しかも、「インフレ抑制不能」批判論者達は、MMTは財政を引き締めることだけでインフレを抑制しようとする論理だと考えているようだが、これもまた単なる誤解だ。そもそもMMTは財政政策「だけ」で、インフレを抑制しようとしているのではなく、財政政策と金融政策をあわせて、インフレ率を抑制すべきだと主張するものだ。
例えば、現在のアベノミクスに重大な影響を及ぼした「リフレ理論」と呼ばれる経済理論を主張する人々もまた、MMTと同様に過度に高いインフレ率は抑制すべきだ主張しているが、その際に彼らが主張しているのが金融政策だ。つまり彼らは、金融引き締めでインフレ率を抑制すべきだと論じているわけだが、その点はMMTにおいても全く同じなのである。むしろ、財政政策をあまり強調しないリフレ派よりも、金融政策に加えて財政政策も政策オプションとして提案するMMTの方が、金融政策をとりわけ強調するリフレ理論よりもインフレ率をより強力に抑制できると言えよう。
つまり彼らの批判は、MMTとは何かについて十分に知らないままに展開されている、実にいい加減なものに過ぎないのである。
それは、デフレの恐怖について無知過ぎる破壊的な批判
さらに言うなら、「確かに財政を出せばインフレになるが、インフレが抑制できなくなるのは良くないから、財政拡大はすべきではない」という彼ら見解は、よくよく考えてみれば、「インフレになるくらいなら、今のままのデフレの方がましだ」と主張しているに等しいものだ。
ギャラリーページへ
しかし、デフレは日本国民の豊かな暮らしを蝕み、日本国家の国力を衰弱させる極めて恐ろしい深刻な病だ。1998年からデフレに突入した日本は、貧困が蔓延し、格差が拡大し、平均世帯収入は135万円も下落した。政府の収入も縮小し、赤字国債発行額も年々拡大し、財政論者達が四六時中心配している「財政」もまた悪化していった。
上記のMMT批判論者達は、そんなデフレの凄まじい恐怖を全て度外視し、インフレになることを過剰に恐れて、今のままのデフレでいいのだと考えているわけだ。つまり彼らのメンタリティは、「ガリガリにやせ細った栄養失調状況にあり、あらゆる体調不良が顕在化しているにも関わらず、肥満になってしまうことに過度に怯えて、ほとんど何も食べられなくなっている拒食症患者」のそれと全く同じなのだ。このまま彼らの言いなりになっていては、早晩、そんな拒食症の人間が命を落としてしまうように、我が国はもう取り返しのつかない状態にまで衰退していくことは避けられないだろう。
日本はMMTで「制御できないインフレ」にはならない
しかも、その「制御できないようなインフレになるかもしれない」という話自体もまた、文字通りの杞憂に過ぎない代物だ。
そもそも、上記に紹介した記事中で中野氏が指摘しているように、制御不能なインフレになるのは、戦争や大地震によって生産能力が著しく破壊されるといった、極端なケースの場合に限られる。そういう極端ケースでは激しいモノ不足が生じ、モノの値段が激しく上昇するのだが、そうでもない限り、そんな極端なモノ不足が、十分な生産能力を持った先進諸国の一翼を担うこの日本で起こることなどあり得ない。実際、制御不能なインフレに陥ったのは、ジンバブエやザイール、ベネズエラなどの、生産能力が十分存在しないいわゆる発展途上国に限られているわけだ。
この点を考えると、「制御不能なインフレが怖いから、何もしない方がよい」というMMT批判のメンタリティは、「あらゆる食べモノには毒が入っているかもしれない――という絶対にあり得ない病理的な思い込みが頭から離れず、何もモノが食べられなくなってしまった神経症患者」の様なものなのだ。
「有りもしない亡霊」におびえ続ける愚を避けよ
この様に、現時点で、最も典型的なMMT批判である「インフレ制御不能」批判なるものは、
第一に、日本は財政を拡大したり縮小したりする能力を実際に持っていると言う点で、MMTに対する不当な言いがかりに過ぎないのであり、
第二に、MMTは別に財政政策だけでインフレ率を制御すべしなどとは一切言っていないに関わらず、MMTはさもそう主張しているかのような印象操作を図っていると言う点において、MMTに対して不当な濡れ衣を着せるものであり、
第三に、制御不能なインフレになど、十分な生産能力を持つ先進経済大国である日本が陥る筈等あり得ない、と言う点で、単なる「妄想」にとりつかれた、著しく不条理な批判に過ぎないのであり、
そして第四に、何もせずにデフレを放置し続けることは、現在、そして将来の日本国民に激しい被害をもたらすという現状認識を一切忘れていると言う点で、甚大なる被害をもたらす恐るべき無責任発言に過ぎないのである。
つまりMMTに対する「インフレ制御不能」批判は、これだけ多面的に完全論破される批判も少ないのでは無いかと思えてしまうほどに、お粗末極まりない代物なのである。
だから政府は今、何を恐れることも無く、合理的な支出項目とは何かをしっかりと考えながら、デフレ脱却までは粛々と政府支出を拡大すればそれで良いのである。わが国はもうそろそろ、過剰インフレというありもしない亡霊に怯えて政府支出を抑制し続ける愚をやめねば、取り返しのつかない最悪の状態に立ち至ることになろう。
一日も早く、為政者達による賢明なる政治判断が実現されんことを、心から祈念したい。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56663
▲△▽▼
経済論争の的「MMT」は「トンデモ理論」に非ず
MMTは財政規律の「破棄」でなく「改善」を主張している
2019.5.21(藤井 聡:京都大学大学院教授)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429
今、MMT(現代貨幣理論)が話題だ。今アメリカで「ブーム」を巻き起こしている民主党の史上最年少議員アレクサンドリア・オカシオコルテス女史が、MMTを強烈に支持しつつ超大型の景気対策を主張したことがそのきっかけだ。
しかし、ポール・クルーグマンやロバート・シラーなど、ノーベル賞を受賞した主流派経済学者たちがこのMMTに一斉に反発。それだけでも話題だったのだが、それに対して今度はステファニー・ケルトン教授を中心としたMMT論者達が、ひるむことなく徹底的に反発したことでMMTの話題はさらに拡大した。
日米で話題騒然となったMMT
こうした流れは、瞬く間に日本にも上陸した。
とりわけ、MMTは、デフレ状況下では、デフレが終わるまでは財政赤字を拡大していくべきだと理論的に主張するものであるから、今年10月に予定されている消費増税の是非の議論を巡って、MMTはさらに話題となっている。MMTによれば、デフレ下の消費増税など論外だと瞬く間に結論付けられるからだ。
そんな中、西田昌司参議院議員等が麻生財務大臣や安倍総理大臣にMMTについて質問を行うなど、その議論は国会にも飛び火した。一方で、消費税の推進を図る財務省は、審議会の中で、MMTを批判する海外の多数の経済学者達の声を何ページにもわたって掲載する等の強烈な反応を示したことで、さらにMMTが話題となっていった。
MMTの具体的な中身
もう少し、詳しく言うなら、MMTとは、具体的には以下の3つを主張するものと捉えることができる。その最初の主張はこういうものだ。
(MMTの主張1)
政府は、自国通貨建ての借金で破綻することなど考えられないのだから、借金したくないという思いに囚われて、政府支出を抑制するのはナンセンスである。だから政府の支出は、借金をどの程度以下に抑えるかということを“基準”にしてはならない。何か別の、国民の幸福に資する“基準”が必要である。
MMTがしばしば激しく批判されるのは、この主張の一行目の「政府は、自国通貨建ての借金で破綻することなど考えられない」という部分なのだが、実はこれは、専門家の間では、誰もが認識している当たり前の見解なのだ。例えば、財務省も、自身の公式ホームページで、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と言明している。
https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm
MMTに強烈な反応を示した財務省
ギャラリーページへ
これは、政府が破綻しそうになれば、中央銀行である日銀が必ず「最後の貸し手」として、カネを貸してくれるためだ。だから政府は日本円建てで借金をしている限り、「破綻」することは考えられないのだ。こうした自明の事実を踏まえれば、破綻に怯えて、借金を減らす事ばかり過剰に考えるのはナンセンスだ、とMMTは考えるのである。
では、赤字を減らすという財政基準でなく、「何か別の、国民の幸福に資する財政規律」として何が必要かなのかを実際の経済の仕組みを踏まえて考えれば、自ずと以下の“下限基準”と“上限基準”が必要であるという現実が見えてくる。
(MMTの主張2)
経済が停滞しており成長が必要とされている場合、政府は財政赤字を拡大することを通して、その目的を達成することができる。逆に言うなら、政府支出(あるいは財政赤字)の“下限基準”は、(金融政策を十分に行ってもなお)経済が停滞してしまう程度の政府支出量である。
(MMTの主張3)
政府支出(あるいは財政赤字)を、その国の供給量を超えて拡大し続ければ、過剰なインフレになる。したがって、政府支出(あるいは財政赤字)の“上限基準”は、(金融政策を十分に行ってもなお)過剰インフレになってしまう程度の政府支出量である。(MMTの主張3)
ちなみに、具体的な政府支出の下限と上限の基準としては、これまでのインフレ率の実績を踏まえると、「下限」については、おおよそ(コアコアCPIという尺度で)2%程度を想定することができよう。実際、現在のアベノミクスにおいても日銀がこの水準を目標としている。さすがにこれを下回る状況は、不健全だと考えるわけだ。一方で、インフレ率が4%、ないしはさらに安全を見て3%を上回るような状況は、これもまた不健全だと言うことができる。日本では80年代以前は高いインフレに苦しめられたのだが、その水準がちょうど、3〜4%以上だったからだ。
つまりこの点に着目し、「インフレ率3〜4%を超える程の過度なインフレになってしまう程に過剰な政府支出=赤字」を上限、「インフレ率2%を下回る程の過度なデフレや停滞になってしまう程に少なすぎる政府支出=赤字」を下限とする、という「新たな財政規律」を提案しているのがMMTなのである。
ただし、インフレ率には、日銀の金融政策も大きな影響を及ぼすことは間違いない。だから、この財政規律に基づく運用においては、可能な限り適切な金融政策が並行して実施されていることが必要な点は、忘れてはならない。
いずれにせよ、MMTは、一部の日本のマスコミや評論家連中が言うような「トンデモ理論」とは決して言えないものなのだ。それよりもむしろ、これまでの財政規律の不条理性を指摘した上で、それをより適切なものへと財政規律を「改善」することを主張する、至って理性的なものなのである。
兎にも角にも、日本人はインフレになることを恐れすぎた余り、デフレを放置しすぎてしまったようだ。これではまるで、栄養失調で死にかけている時に、肥満だった過去の記憶に過剰に怯えて食事を口に出来なくなってしまっているようなものだ。そんな時には、少しくらいは食事を口にしないと、体が持たない。この程度の話は「常識」に過ぎない話である筈だ。
MMTは、そんな「常識」を呼び覚まし、今日、我々が陥っている状況それ自身の「非常識さ」を教えてくれている。これまでのモノの見方に過剰にこだわり続ける人々からは「トンデモ」であり「異端」に見えるのかも知れないが、その中身をよくよく精査してみれば、至って穏健な理論なのである。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429
▲△▽▼
「MMT批判」がいかに不条理か、徹底的に指摘する
「有りもしない亡霊」におびえ、なすべき政策を葬るつもりか
2019.6.11 (藤井 聡:京都大学大学院教授)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56663
今、話題を集めているMMT(現代貨幣理論)。その具体的な主張は、自国通貨建ての国債で政府が破綻(デフォルト)することはないのだから、デフレが脱却できるまでは、政府は消費増税を凍結すると同時に、国債で財源を調達して政府支出を拡大していくことが必要だ、というものだ。
しかしこれまで政府は、国債は政府の「借金」なのだから望ましくない、だから国債はできるだけ抑制すべきだ、というスタンスを取り続けてきたし、多くの経済学者達もその見解を支持し続けてきた。だから、政府や学者達にとっては、これまでの政府見解と正反対の主張をするMMTは、トンでもない不当な理論に過ぎない、と激しく反発した。
変わってきたMMT批判の視点
彼らは当初、「無制限の財政支出の拡大を主張するMMTはトンデモない」というタイプの批判を繰り返した。しかし、こうした批判は全く間違った批判だった。なぜならMMTは「少なすぎる支出」を問題視すると同時に、過剰なインフレになれば今度は逆に支出を抑制すべきである、という形で「多過ぎる支出」をも問題視するものだからである。
つまりMMTは両者を考慮しながら政府支出額を調整すべきだというタイプの新たな「財政規律」を主張するなのだ(詳細は例えば、こちらの拙稿を参照されたい。『経済論争の的「MMT」は「トンデモ理論」に非ず』、「JBpress」2019年5月21日、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429)。
MMTに対するこうした初期的な批判に対する反論が様々に展開されたせいか、「無制限に支出を許容するMMTはトンデモない」というタイプの批判は徐々に少なくなっていった。しかし、それとともにこれまでとは少し違った、次のようなタイプの批判が繰り返されるようになっていった。
『MMTの提唱者は「インフレにならない限り、財政赤字は問題ない」と主張するが、増税や歳出削減には法律改正や政府予算の議決が必要で、それほど機動的に変更できるわけではないから、インフレ加速の危険性が明らかになってから財政赤字を削減しようとしても間に合わない可能性が大きい』(「東洋経済ONLINE」2019年04月28日、櫨浩一 : ニッセイ基礎研究所 専務理事)https://toyokeizai.net/articles/-/278558
『予算というものは、一度それを作ったら、それを前提とした様々な社会構造が出来上がり、変更するには多大な経済的社会的コストを要するうえ、民主主義社会においては政治的コストも膨大で、インフレ率を見て突然変えるなどと言うことは到底出来っこないものなのです』(「論座」2019年5月16日、米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士)
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019051500003.html
『日銀の原田泰審議委員は・・・「現代貨幣理論(MMT)」に否定的な考えを示した。「必ずインフレが起きる。(提唱者は)インフレになれば増税や政府支出を減らしてコントロールできると言っているが、現実問題としてできるかというと非常に怪しい」との認識を示した』(「日本経済新聞」2019年5月22日)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45118610S9A520C1000000/
こうした批判は一言で言うなら「インフレ抑制不能」批判と言えるだろうが、これらは皆、不当極まりないものでしかない。それについては例えばMMT論者の一人である中野剛志氏が、『MMT「インフレ制御不能」批判がありえない理由』(「東洋経済ONLINE」2019年05月29日、https://toyokeizai.net/articles/-/283186)の中で的確に論じているが、筆者もまた、別の角度から改めて「インフレ制御不能」批判の不当性、不条理性を徹底的に指摘することとしたい。
「インフレ制御不能」批判は不当な言いがかりである
そもそも、彼らは「一旦、財政政策を拡大すれば、抑制できなくなる」と心配しているようだが、これはあからさまな杞憂(無用の心配)だ。
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そもそも「政府予算」というものは、補正予算と当初予算とで構成されている。ここ最近の日本政府の予算を振り返れば、確かに当初予算は急激に増えたり減ったりしてはいないが、補正予算は多い時には15兆円程度の水準に達していた一方、ほとんどゼロである場合もあった。つまり、今の現実の予算は、15兆円程度の「泳ぎしろ」があって運用されているのであって、補正予算を効果的に活用すれば、一旦予算が増えれば縮小が難しくなる、ということなど絶対あり得ない。
しかも、過去20年間、我が国は高いインフレ率ではなく、低すぎるインフレ率に苦しめられてきたわけだが、そうなっているのはもちろん、国会で決められる予算の総額が、適正な水準よりも遙かに低く水準に抑制されてきたからだ。その中で例えば公共投資について言うなら、実にかつての「半分」程度にまで削減されてきた。つまり我が国は(その是非はさておき)、「当初予算」についても現実に「削減してきた」という実績を持つのである。
つまり、政府支出の量をアクセルで例えるなら、我が国は確かにアクセルを踏み込んだり弱めたりする能力を明確に持っているのであり、かつ、現実にそのように調整してきているのである。だから「インフレ制御不能」批判は、アクセルを調整しながら日常的にクルマを運転しているドライバーに対して、「おまえはアクセルを一旦踏み込めば緩めなくなってしまうかもしれない。だからクルマの運転なんてもうやめなさい」と批難するようなものだ。これは単なる不当な言いがかりと言うほか無かろう。
MMTを知らずに濡れ衣だけを着せるMMT批判論者
しかも、「インフレ抑制不能」批判論者達は、MMTは財政を引き締めることだけでインフレを抑制しようとする論理だと考えているようだが、これもまた単なる誤解だ。そもそもMMTは財政政策「だけ」で、インフレを抑制しようとしているのではなく、財政政策と金融政策をあわせて、インフレ率を抑制すべきだと主張するものだ。
例えば、現在のアベノミクスに重大な影響を及ぼした「リフレ理論」と呼ばれる経済理論を主張する人々もまた、MMTと同様に過度に高いインフレ率は抑制すべきだ主張しているが、その際に彼らが主張しているのが金融政策だ。つまり彼らは、金融引き締めでインフレ率を抑制すべきだと論じているわけだが、その点はMMTにおいても全く同じなのである。むしろ、財政政策をあまり強調しないリフレ派よりも、金融政策に加えて財政政策も政策オプションとして提案するMMTの方が、金融政策をとりわけ強調するリフレ理論よりもインフレ率をより強力に抑制できると言えよう。
つまり彼らの批判は、MMTとは何かについて十分に知らないままに展開されている、実にいい加減なものに過ぎないのである。
それは、デフレの恐怖について無知過ぎる破壊的な批判
さらに言うなら、「確かに財政を出せばインフレになるが、インフレが抑制できなくなるのは良くないから、財政拡大はすべきではない」という彼ら見解は、よくよく考えてみれば、「インフレになるくらいなら、今のままのデフレの方がましだ」と主張しているに等しいものだ。
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しかし、デフレは日本国民の豊かな暮らしを蝕み、日本国家の国力を衰弱させる極めて恐ろしい深刻な病だ。1998年からデフレに突入した日本は、貧困が蔓延し、格差が拡大し、平均世帯収入は135万円も下落した。政府の収入も縮小し、赤字国債発行額も年々拡大し、財政論者達が四六時中心配している「財政」もまた悪化していった。
上記のMMT批判論者達は、そんなデフレの凄まじい恐怖を全て度外視し、インフレになることを過剰に恐れて、今のままのデフレでいいのだと考えているわけだ。つまり彼らのメンタリティは、「ガリガリにやせ細った栄養失調状況にあり、あらゆる体調不良が顕在化しているにも関わらず、肥満になってしまうことに過度に怯えて、ほとんど何も食べられなくなっている拒食症患者」のそれと全く同じなのだ。このまま彼らの言いなりになっていては、早晩、そんな拒食症の人間が命を落としてしまうように、我が国はもう取り返しのつかない状態にまで衰退していくことは避けられないだろう。
日本はMMTで「制御できないインフレ」にはならない
しかも、その「制御できないようなインフレになるかもしれない」という話自体もまた、文字通りの杞憂に過ぎない代物だ。
そもそも、上記に紹介した記事中で中野氏が指摘しているように、制御不能なインフレになるのは、戦争や大地震によって生産能力が著しく破壊されるといった、極端なケースの場合に限られる。そういう極端ケースでは激しいモノ不足が生じ、モノの値段が激しく上昇するのだが、そうでもない限り、そんな極端なモノ不足が、十分な生産能力を持った先進諸国の一翼を担うこの日本で起こることなどあり得ない。実際、制御不能なインフレに陥ったのは、ジンバブエやザイール、ベネズエラなどの、生産能力が十分存在しないいわゆる発展途上国に限られているわけだ。
この点を考えると、「制御不能なインフレが怖いから、何もしない方がよい」というMMT批判のメンタリティは、「あらゆる食べモノには毒が入っているかもしれない――という絶対にあり得ない病理的な思い込みが頭から離れず、何もモノが食べられなくなってしまった神経症患者」の様なものなのだ。
「有りもしない亡霊」におびえ続ける愚を避けよ
この様に、現時点で、最も典型的なMMT批判である「インフレ制御不能」批判なるものは、
第一に、日本は財政を拡大したり縮小したりする能力を実際に持っていると言う点で、MMTに対する不当な言いがかりに過ぎないのであり、
第二に、MMTは別に財政政策だけでインフレ率を制御すべしなどとは一切言っていないに関わらず、MMTはさもそう主張しているかのような印象操作を図っていると言う点において、MMTに対して不当な濡れ衣を着せるものであり、
第三に、制御不能なインフレになど、十分な生産能力を持つ先進経済大国である日本が陥る筈等あり得ない、と言う点で、単なる「妄想」にとりつかれた、著しく不条理な批判に過ぎないのであり、
そして第四に、何もせずにデフレを放置し続けることは、現在、そして将来の日本国民に激しい被害をもたらすという現状認識を一切忘れていると言う点で、甚大なる被害をもたらす恐るべき無責任発言に過ぎないのである。
つまりMMTに対する「インフレ制御不能」批判は、これだけ多面的に完全論破される批判も少ないのでは無いかと思えてしまうほどに、お粗末極まりない代物なのである。
だから政府は今、何を恐れることも無く、合理的な支出項目とは何かをしっかりと考えながら、デフレ脱却までは粛々と政府支出を拡大すればそれで良いのである。わが国はもうそろそろ、過剰インフレというありもしない亡霊に怯えて政府支出を抑制し続ける愚をやめねば、取り返しのつかない最悪の状態に立ち至ることになろう。
一日も早く、為政者達による賢明なる政治判断が実現されんことを、心から祈念したい。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56663
▲△▽▼
経済論争の的「MMT」は「トンデモ理論」に非ず
MMTは財政規律の「破棄」でなく「改善」を主張している
2019.5.21(藤井 聡:京都大学大学院教授)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429
今、MMT(現代貨幣理論)が話題だ。今アメリカで「ブーム」を巻き起こしている民主党の史上最年少議員アレクサンドリア・オカシオコルテス女史が、MMTを強烈に支持しつつ超大型の景気対策を主張したことがそのきっかけだ。
しかし、ポール・クルーグマンやロバート・シラーなど、ノーベル賞を受賞した主流派経済学者たちがこのMMTに一斉に反発。それだけでも話題だったのだが、それに対して今度はステファニー・ケルトン教授を中心としたMMT論者達が、ひるむことなく徹底的に反発したことでMMTの話題はさらに拡大した。
日米で話題騒然となったMMT
こうした流れは、瞬く間に日本にも上陸した。
とりわけ、MMTは、デフレ状況下では、デフレが終わるまでは財政赤字を拡大していくべきだと理論的に主張するものであるから、今年10月に予定されている消費増税の是非の議論を巡って、MMTはさらに話題となっている。MMTによれば、デフレ下の消費増税など論外だと瞬く間に結論付けられるからだ。
そんな中、西田昌司参議院議員等が麻生財務大臣や安倍総理大臣にMMTについて質問を行うなど、その議論は国会にも飛び火した。一方で、消費税の推進を図る財務省は、審議会の中で、MMTを批判する海外の多数の経済学者達の声を何ページにもわたって掲載する等の強烈な反応を示したことで、さらにMMTが話題となっていった。
MMTの具体的な中身
もう少し、詳しく言うなら、MMTとは、具体的には以下の3つを主張するものと捉えることができる。その最初の主張はこういうものだ。
(MMTの主張1)
政府は、自国通貨建ての借金で破綻することなど考えられないのだから、借金したくないという思いに囚われて、政府支出を抑制するのはナンセンスである。だから政府の支出は、借金をどの程度以下に抑えるかということを“基準”にしてはならない。何か別の、国民の幸福に資する“基準”が必要である。
MMTがしばしば激しく批判されるのは、この主張の一行目の「政府は、自国通貨建ての借金で破綻することなど考えられない」という部分なのだが、実はこれは、専門家の間では、誰もが認識している当たり前の見解なのだ。例えば、財務省も、自身の公式ホームページで、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と言明している。
https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm
MMTに強烈な反応を示した財務省
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これは、政府が破綻しそうになれば、中央銀行である日銀が必ず「最後の貸し手」として、カネを貸してくれるためだ。だから政府は日本円建てで借金をしている限り、「破綻」することは考えられないのだ。こうした自明の事実を踏まえれば、破綻に怯えて、借金を減らす事ばかり過剰に考えるのはナンセンスだ、とMMTは考えるのである。
では、赤字を減らすという財政基準でなく、「何か別の、国民の幸福に資する財政規律」として何が必要かなのかを実際の経済の仕組みを踏まえて考えれば、自ずと以下の“下限基準”と“上限基準”が必要であるという現実が見えてくる。
(MMTの主張2)
経済が停滞しており成長が必要とされている場合、政府は財政赤字を拡大することを通して、その目的を達成することができる。逆に言うなら、政府支出(あるいは財政赤字)の“下限基準”は、(金融政策を十分に行ってもなお)経済が停滞してしまう程度の政府支出量である。
(MMTの主張3)
政府支出(あるいは財政赤字)を、その国の供給量を超えて拡大し続ければ、過剰なインフレになる。したがって、政府支出(あるいは財政赤字)の“上限基準”は、(金融政策を十分に行ってもなお)過剰インフレになってしまう程度の政府支出量である。(MMTの主張3)
ちなみに、具体的な政府支出の下限と上限の基準としては、これまでのインフレ率の実績を踏まえると、「下限」については、おおよそ(コアコアCPIという尺度で)2%程度を想定することができよう。実際、現在のアベノミクスにおいても日銀がこの水準を目標としている。さすがにこれを下回る状況は、不健全だと考えるわけだ。一方で、インフレ率が4%、ないしはさらに安全を見て3%を上回るような状況は、これもまた不健全だと言うことができる。日本では80年代以前は高いインフレに苦しめられたのだが、その水準がちょうど、3〜4%以上だったからだ。
つまりこの点に着目し、「インフレ率3〜4%を超える程の過度なインフレになってしまう程に過剰な政府支出=赤字」を上限、「インフレ率2%を下回る程の過度なデフレや停滞になってしまう程に少なすぎる政府支出=赤字」を下限とする、という「新たな財政規律」を提案しているのがMMTなのである。
ただし、インフレ率には、日銀の金融政策も大きな影響を及ぼすことは間違いない。だから、この財政規律に基づく運用においては、可能な限り適切な金融政策が並行して実施されていることが必要な点は、忘れてはならない。
いずれにせよ、MMTは、一部の日本のマスコミや評論家連中が言うような「トンデモ理論」とは決して言えないものなのだ。それよりもむしろ、これまでの財政規律の不条理性を指摘した上で、それをより適切なものへと財政規律を「改善」することを主張する、至って理性的なものなのである。
兎にも角にも、日本人はインフレになることを恐れすぎた余り、デフレを放置しすぎてしまったようだ。これではまるで、栄養失調で死にかけている時に、肥満だった過去の記憶に過剰に怯えて食事を口に出来なくなってしまっているようなものだ。そんな時には、少しくらいは食事を口にしないと、体が持たない。この程度の話は「常識」に過ぎない話である筈だ。
MMTは、そんな「常識」を呼び覚まし、今日、我々が陥っている状況それ自身の「非常識さ」を教えてくれている。これまでのモノの見方に過剰にこだわり続ける人々からは「トンデモ」であり「異端」に見えるのかも知れないが、その中身をよくよく精査してみれば、至って穏健な理論なのである。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429
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【Front Japan 桜】令和日本・再生計画 〜安倍内閣検証編〜 [桜R1-6-19] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=nuoXkXKcM-I
キャスター:上島嘉郎・藤井聡
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2019年6月26日
「事を荒立てず、仲良くしようとする」だけの、情けなき日本外交。
From 藤井聡@(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13937
こんにちは、京都大学の藤井聡です。
当方が編集長を勤めています表現者クライテリオンの
最新刊の特集テーマは、「日本外交の大転換」。
https://the-criterion.jp/backnumber/85_201907/
https://www.amazon.co.jp/dp/B07RVHG9B1/
対米従属外交、媚中外交、弱腰外交・・・等と言われ続けた
我が国の外交を「大転換」しなければ、
日本の復活などあり得ない―――
これがこの特集の出発点です。
言うまでもありませんが、
外交において「友好」は極めて重要です。
ですが、「紛争」も辞さず、
あえて「対立」を深める姿勢もまた、
絶対的に必要です。
そもそもあらゆる諸外国が、
日本を上手に使って利益を得てやろうと、
虎視眈々と狙い続けているのです。
「詐欺師」や「泥棒」とどれだけ仲良くしても、
搾取され、収奪される他ないのと同じように、
利益を掠め取ろうとしている諸外国に、
どれだけ媚びてもどうにもならなりません。
しかし、今日の日本政府は、
外交とは、ただひたすらに
「友好を深め」「対立を回避」することだと、
認識し続けているような振る舞いを日々積み重ねています。
そしてその結果、国益を失い続けるのみならず、
国家の威信を地に落とし続けています。
例えば、安倍内閣が肝いりで進める「貿易交渉」ですが、
そもそもそんな「貿易交渉」にどのような「利」があるのかを
全く持って曖昧にしたまま、
ただただ「仲良く協定を締結する」ことだけが国益だと誤認し
TPPや日欧EPA、日米FTA等を軒並み推進し続けています。
中国に対しても、
ただひたすらに「日中外交」を重視して、
ウイグルやチベット、
そして台湾や香港の問題について
中国政府を非難しようとはしていません。
韓国にしても、レーダー照射され、
「不当な言いがかり」でもって
日本国民の民間施設が不当に搾取され、
売却されてまでいるのに、
口で批難こそすれ、具体的な報復には至っていません。
ロシアにしても、
プーチンとの会談何回だけは多く、
「経済協力を仲良く進める」
ことを繰り返し呼びかけてはいるものの、
北方領土問題が一向に改善しないどころか
むしろ、「四島一括返還」の旗を降ろすなど、
大きな禍根を残す判断を繰り返し、
事態はさらに悪化しています。
日本国内について言うなら、
米ソ中の工作員が、
日本の世論を操作しようとする工作をどれだけ続けようとも、
それを排除しようとする具体的な取り組みは、
全く行われていません。
そしてアメリカについては、
どれだけ不当な扱いを受けようとも、
「日米同盟の強化」なる空悟のみを叫びながら、
あらゆる事柄について、
アメリカの指示に半ば言いなりとなる
対米追従の姿勢を崩してはいません。
例えば、トランプの指示を受ける様な格好で
イランとアメリカの中を取り持つために
何日間もかけてイランにまで出かけた挙げ句、
滞在中に日本タンカーが攻撃を受けるなど、
イランとアメリカの間の「非難」合戦は、
日に日に激化しています。
誠に情けなきことに、
そんな非難合戦を繰り返す姿からは、
わざわざ首相がイランにまで出かけた
日本側に対する敬意などほとんど何も見られません。
あるいはトランプを国賓扱いし、
ゴルフやって相撲を一緒に見たり、散々接待し、
「強固な日米同盟が確認できた」なぞと言った尻から
トランプにはいきなり日米同盟「破棄」が言及され、
シーレーン防衛について直接名指しで非難される始末です。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-25/PTMUOE6TTDS801?srnd=cojp-v2&fbclid=IwAR1mck8iK1jVI8kPSUbG0n1v3CN-mdGdfFH5yzCgOu0wlZ-CpRL4_Dj5waA
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-24/PTLZVG6K50XZ01?fbclid=IwAR3emAW-_uJKCkqZ-BIMaiJyFrZbTyAXE5peCNeELyVQs7_k19cl9z8V99M
かろうじて北朝鮮に対して経済制裁を加えたり、
ファーフェイ問題について厳しい対応をとったりしていますが、
それらはいずれも、
アメリカの振る舞いにただただ、
つき従っているだけでしかありません。
要するに日本は、
「仲よくしよう」
「ことを荒立てないようにしよう」
としているだけで、
外国の言いなりになる他、何もない、と言う様な
情けない外交を展開し続けているのです。
これはもはや、
「外交」と呼べる代物ではありません。
外交とはそもそも、
融和と同時に「対立」を通してぶつかり合いながら、
両者の間の勢力の「均衡」を目指そうとするもの。
にも拘わらず、とにかく対立を回避し続ければ、
ただただ、収奪され、はく奪され、従属・隷属する以外に
何も起きないのです。
果たして、私達は、
この情けなき「日本外交」を、
「転換」することはできるのでしょうか―――?
それができるとすれば、
まずは、私たちの外交が如何に情けなきものであるのかを、
過不足なく認識することが全ての出発点になります。
そのためにもまず、
日本外交を様々な角度から論じた
表現者クライテリオンの最新号
「日本外交の大転換」
を是非、ご一読頂きたいと思います。
https://the-criterion.jp/backnumber/85_201907/
https://www.amazon.co.jp/dp/B07RVHG9B1/
中国、韓国、アメリカ、ロシア―――
そういった国々との間で、
どのような非常識としか言い様の無い
外交が展開されてきているのか―――
是非、ご一読頂く事を通して、
しっかりと現実をご認識頂きたいと思います。
https://38news.jp/economy/13937
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日本外交の大転換! - 米英同盟が中国一党独裁体制を潰す!![桜R1-6-26] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=YY--0rAl_Fs
キャスター:藤井聡・河添恵子
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[藤井聡]消費増税はリーマンショック70回分の衝撃やで - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tUktm8DyTA0
[藤井聡]瓶の蓋外すて、とうとう本性現しよったなぁ - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=UaPJNUsl3fo
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20190520 UPLAN 藤井聡
「消費税減税・格差是正の税制改革と、 くらし安心社会への財政投資で日本経済を再生せよ!」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ZEpAE_dVnrs
2019/05/20 に公開
【「99%フォーラム」第4回学習会】
講師:藤井聡(京都大学大学院 工学研究科 教授、元内閣官房参与)
演題:
「消費税減税・格差是正の税制改革と、くらし安心社会への財政投資で日本経済を再生せよ!」
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消費税増税が決まってから、チャンネル桜でもやっとアリバイ作りで安部批判する様になりましたね。 もう手遅れだけど:
【経済討論】MMT(現代貨幣理論)は日本を救うか?[桜R1-7-6] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=0B-wvXt86Zw
パネリスト:
青木泰樹(京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授)
安藤裕(内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員)
池戸万作(日本経済復活の会 幹事・政治経済評論家)
浜崎洋介(文芸批評家)
藤井聡(京都大学大学院教授)
三橋貴明(経世論研究所所長)
司会:水島総
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[2019.7.8放送]週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=MgSriww-IXE
2019/07/08 に公開
今週のテーマは『検証・安倍外交 〜ホントに「成果」はあったのか?〜』です。
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[2019.7.15放送]週刊クライテリオン
藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=uMf0CrKOvEw
2019/07/15 に公開
今週のテーマは『年金2000万円問題、どうすりゃいいか、教えます!』です。
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週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ
(KBS京都ラジオ) - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=Jf2wUvLuWA4
今週のテーマは『日本は、アメリカの「都合のいい愛人」を辞められるのか?』です。
第28回 2019年7月22日(月)放送
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2019年7月31日
MMT理解のコツ(実践編):「政府が貨幣の供給者だ」という一点を知るべし
From 藤井聡@(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/14183
MMT理解のコツ(実践編):「政府が貨幣の供給者だ」という一点を知るべし
ケルトン教授が来日されてから、はや二週間。
その間、参議院選挙があり、
増税を掲げた与党の「大勝」を通して、
消費増税延期に向けた一縷の望みは事実上消滅。
日本国民は自ら「地獄の扉」を開き、
先進国から転落することを愚かにも事実上、
確定させてしまうとの愚挙に出たわけですが・・・
こうなれば後は心ある国民は、
消費増税後の世界を見据えた
「消費減税」に向けた闘争の準備を、
始めねばなりません。
その闘争に向けた最大の武器こそ、
もちろん、ケルトン教授が主唱する、
MMT、現代貨幣理論。
ケルトン教授との対話から
学ぶことは数多くありましたが、
その中でも特に当方が学んだのは、
「MMTで最も大切なポイントは、
政府は『貨幣の供給者』だという点です」
という「説明の仕方」でした。
もう少し言葉を足すなら、
「政府は貨幣の供給者であり、
貨幣の使用者である国民とは、
ぜんぜん違うのです」
と言うお話し。
MMTにはいろいろな側面があるのですが、
(信用貨幣論、表券主義、貨幣循環論・・・等)
確かに、この説明なら、誰でもスグに理解できるし、かつ、
「政府は財政赤字が原因で破綻することは無い」
というMMTの最大のメッセージを即座に理解できます。
なぜなら、「貨幣の供給者」である政府は
自分で好きなだけ貨幣を作れるわけですから、
どれだけ借りようが、
「破綻する」事などある筈ないですよね。
もちろん、貨幣が増えすぎて、
過剰なインフレになってしまっては
経済が混乱してしまいますが―――
逆に言えば、
「政府は貨幣の供給者だ」
という一点だけ抑えておけば、
そうしたインフレの問題「だけ」が、
政府支出量の制約になるんだという事も、
即座に理解することができますよね。
さすが、物わかりの悪い
不誠実な経済学者や政治家達を相手に、
何度も、何度も、何度も、何度も・・・
MMTを説明してきたケルトン教授ならではの、
ストレートな説明方式だと改めて感心した次第です。
・・・
さて、「政府が貨幣の供給者」
であることさえ知っていれば、
次のような重大な「結論」を、
即座に得ることができます。
■「財源調達のための消費増税が必要だ」論は、完全に間違い。
政府は自分で貨幣を作れるわけですから、
景気を冷え込むこと必至の消費増税までして
政府が貨幣を調達しようなんていうのは、
「正気の沙汰」とは思えない暴挙だ、
という他ありません。
■「オカネがないから政府投資はできない」というのは、真っ赤なウソ
国民の生命と財産を守る防災投資、
次世代を担う日本人を育てる教育投資、
日本の科学技術力を増強する科学技術投資、
地方を豊かにする地方の新幹線・高速道路の投資等々・・・
こうした投資は全て、
日本国民を幸福にするものですが、今、
「政府にはオカネがない」というだけの理由で、
その投資の全てがストップしています
しかし、「政府はオカネの供給者」なのですから、
政府にオカネが無い、なんて話は、
100%純粋な「真っ赤なウソ」。
インフレにならない限り、これらへの政府投資は、
全て進めることができるのです。
したがって、今の政府は国民を欺いて、
防災や教育、地方創生について成すべき仕事をしない
「サボタージュ」(=サボり)を重ね、
国民の生命と財産を傷つけ続けているのです。
■「オカネがないから賃金水準の政府保証なんて無理」というのも真っ赤なウソ
政府は今、経済成長のためにも賃金の上昇が必要だ、
と主張し、財界に賃上げを要請し続けていますが、
そんなのは、完全なる「二階から目薬」。
いくら政府が要請しても、
民間が賃上げなど、する筈もありません。
ですが、公務員給与を上げたり、
政府支出で賄う公定賃金を直接上げたり、
賃上げ分を政府が補助をすれば、
確実に賃金を上げることができます。
ところが、今の日本でそんな主張をすると、
「そんな財源、どこにあるんだ!?」
という嵐の様な批判が巻き上がりますが、
そんな批判もナンセンス。
そもそも政府が貨幣の供給者なのですから、
政府は賃上げ対策を「直接」行うこともできるのです。
つまり、「オカネがないから賃金水準の政府保証なんて無理」
っていう話も、真っ赤なウソなのです。
・・・
このように、「政府が貨幣の供給者」
であるという一点さえ抑えておけば、
誰がウソをついているのかが明らかになり、
政府が成すべき政策方針が明確になるのです。
しかも、「政府が貨幣の供給者」という一点さえ抑えておけば、
「MMTを深く知ること」もより容易くなるのですが・・・
その点についてはまた、次週、解説することとしましょう。
いずれにしても、
MMTについて知人、友人に語る機会があれば是非、
「政府が貨幣の供給者」
だという一点をまず、ご説明差し上げてみてください。
そうすると、
「正しくMMTを理解するの仲間」が
一人また一人と、増えていくことになるかも・・・知れません。
どうぞ、よろしくお願い致します!
追伸1:
MMTが政府にしっかり浸透すれば、拙著『インフラ・イノベーション』で紹介した様々な
秀逸な当時事案を全て、前に進めることができるのですが・・・この日本にどれだけなすべ
きインフラ投資がなされないままに放置されているのか、その「惨状」を是非、下記書籍に
てしっかりとご理解ください。
https://www.amazon.co.jp//dp/459408205X/
https://38news.jp/economy/14183
▲△▽▼
【Front Japan 桜】『言いがかり』しか出来ない、MMT批判の有識者達[桜R1-7-31] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=RxKsz9cst-k
キャスター:上島嘉郎・藤井聡
▲△▽▼
藤井聡先生はデービッド・アトキンソンが完全なバカだと言い切ってくれました:
【藤井聡】最新 ニュース速報 2019年10月24日 おはよう寺ちゃん活動中 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=4ryMJ7H7J6A
この法律が日本を「生産性が低すぎる国」にした
アトキンソン「中小企業基本法が諸悪の根源」
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2019/10/03
https://toyokeizai.net/articles/-/305116A
日本経済の問題点は、突き詰めていくと「1本の法律」に行き着くといいます(撮影:梅谷秀司)
オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼が、ついにたどり着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行されて8カ月。生産性を高める具体的な方法を示した新著『国運の分岐点』(講談社+α新書)が刊行された。
日本に足りない「要因分析」とはどういうことか、生産性が低い現実を「要因分析」すると何がわかるのか。解説してもらった。
前回の記事(「中小企業の改革」を進めないと国が滅びるワケ)に対するコメントの中に、よくある誤解に基づいたものがありました。極めて重要なポイントですので、ご紹介したいと思います。
「町のラーメン屋が多すぎるといって10軒を1軒にまとめたところで中国には勝てません」
私の主張はまったく違います。今は10軒のラーメン店の裏に10社の企業があるので、10軒のラーメン店をそのままにして、それを所有している企業を2、3社にまとめようということです。
日本の生産性が低いのは「働き方」の問題ではない
さて、日本の生産性が一向に上がらず、デフレからも脱却できないという厳しい現実に対して、これは日本人に働き方に問題があるからだと主張する方たちが多くいらっしゃいます。
『日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義』は8万部のベストセラーとなっている(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)
日本人はすばらしい能力をもっているのに、働き方が悪いのでその実力が引き出されていない。だから働き方を変えれば景気もよくなっていく、というのが彼らの主張です。
しかし、経済分析の世界では、これは「願望」というか、まったくの見当外れな分析だと言わざるをえません。これだけ大きな国の経済が「働き方」程度の問題によって、20年も停滞することなどありえないからです。
では、何が日本の生産性を低くさせているのでしょうか。これまで30年にわたって、日本経済を分析してきた私がたどり着いた結論は、「非効率な産業構造」です。高度経済成長期から引きずっている時代錯誤な産業政策、非効率なシステム、科学的ではない考え方などが日本の生産性を著しく低下させているのです。
ただ、日本国内ではこのような意見を掲げる人はほとんどいらっしゃいません。政治家、エコノミスト、財界のリーダーたちの大多数は経済低迷の要因を、「産業構造」に結びつけず、ひたすら「労働者」へと押し付けています。
このあまりに”残念な勘違い”を象徴しているのが、「働き方改革」です。
残業を減らし、有給休暇を増やす。女性にも高齢者にも、働きやすい環境を作る。そうすれば、労働者のモチベーションが上がって、これまで以上によく働く。その結果、会社の業績も上がるので景気がよくなる。
驚くほど楽観的というか、ご都合主義な考え方です。繰り返しますが、この程度の施策で巨大国家の経済が上向くのなら、日本はとうの昔にデフレから脱却しています。20年も経済成長が滞っているという事実こそが、労働者個人の頑張りでどうにかなる問題ではないことを雄弁に物語っているのです。
日本に欠けているのは「徹底した要因分析」だ
そこで次に疑問として浮かぶのは、なぜこうなってしまうのかということでしょう。なぜ表面的な経済議論しか行われないのか。なぜ国の舵取りをするリーダーや専門家から、泥縄的な解決策しか出てこないのか。
1つには、日本では「徹底的な要因分析」をしないという事情があります。この30年、多くの日本人と議論を交わして気づいたのは、経済の専門家を名乗る人たちでさえ、起きている現象についての知識はすごいものの、その原因を徹底的に追求することはほとんどありません。原因の説明は表面的な事実をなぞるだけで、「なんとなくこういう結論になるだろう」と直感的な分析をしているのです。
どういうことかわかっていただくため、多くの識者が唱える「女性活躍で生産性向上」という主張を例に出しましょう。
生産性の高い先進国では女性活躍が進んでいるという事実があります。一方、生産性の低い日本では、女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいないという、これまた動かしがたい事実があります。この2つの事実をもって、専門家たちは、日本も諸外国並に女性に活躍してもらえば、諸外国並に生産性が向上するに違いない、と主張しているのです。
確かにそういう理屈も成り立つかもしれませんが、実はここには大きな落とし穴があります。「日本の女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいない」ということの要因を分析できておらず、「日本は伝統的に女性が蔑視されている」「働きたくても保育所が不足している」という、なんとも大雑把な話しか語られていないのです。
このあたりの要因分析を徹底的に行えば、「保育所さえあれば女性が活躍できる」という極論がいかに表面的な分析に基づく主張かということは明白です。
海外の要因分析では、女性が活躍できていない国は、労働人口の中で、規模が小さくて経済合理性の低い企業で働く労働者の比率が高いという傾向があることがわかっています。
これは冷静に考えれば当たり前の話です。小さな企業は産休や育休、時短などの環境整備が難しいので、どうしても女性が働き続けることのハードルが高くなるのです。これが一次的な問題です。女性を蔑視する価値観や保育所の数などは、あくまで二次的な問題にすぎません。
当然ながら、まずは女性が活躍できる産業構造に変革した後で、具体的な環境作りに取り組むべきです。しかし、一次的な問題を解決せずに、二次的な問題を解決するだけでは、根本的な解決にはなりません。つまり、女性活躍というのは、女性蔑視うんぬんや保育所の数という二次的な問題より、その国の産業構造によって決まるというのが世界の常識なのです。
このような要因分析をロクにしないまま「女性活躍」を叫んで、働くように女性の背中を押しても、生産性向上につながるわけがありません。
これは同じく生産性向上が期待されている「有給休暇」についてもまったく同様です。
https://toyokeizai.net/articles/-/305116?page=3
生産性が高い国では、有給休暇取得率が高い傾向があります。そして、日本は有給休暇取得率が低いということで、これを高めていけば、生産性も上がっていくだろうというわけです。しかしこれを本気で進めるのならば、そもそもなぜ日本の有給休暇取得率が低いのか徹底的に要因分析をしなくてはいけません。
日本では、「日本人の真面目な国民性が関係している」「日本は集団主義で職場に休みにくい雰囲気がある」と、これまた直感的な理由しか出てこないでしょうが、海外では「有給取得率は企業規模と関係する」という要因分析がなされています。大企業になればなるほど有給取得率が上がり、小さな会社になればなるほど下がることがわかっているのです。この傾向は万国共通で、日本も例外なく当てはまります。
つまり、アメリカの有給取得率が高いのはアメリカ人の国民性ではなく、単にアメリカの労働者の約50%が大企業で働いているから。日本の有給取得率が低いのも日本人の国民性ではなく、単に日本の労働者の中で大企業に勤めている人が約13%しかいないからなのです。
長く分析の世界にいた私からすれば、国民性うんぬん、労働文化うんぬんというのは、科学的な分析から目を背けて、自分たちの都合のいい結論へと誘導していく、卑劣な論法だと言わざるをえません。
日本の低迷の主因は伸びない中小企業
さて、このように日本の専門家があまりしてこなかった「要因分析」というものを、日本経済を低迷させている諸問題に対して行っていくと、驚くべきことがわかります。
実は日本経済の低迷も、女性活躍や有給取得率でもそうだったように、最後は必ず「小さな企業が多すぎる」という問題に突き当たるのです。低賃金、少子化、財政破綻、年金不足、最先端技術の普及の低さ、輸出小国、格差問題、貧困問題……さまざまな問題の諸悪の根源を容赦なくたどっていくと、「非効率な産業構造」という結論にいたるのです。
それはつまり、日本が他の先進国と比べて、経済効率の低い小さな企業で働く人の比率が圧倒的に多く、そのような小さな企業が国からも優遇されるということです。実は日本は、生産性の低い「中小企業天国」と呼べるような産業構造になっているのです。
このような話をすると、「小さな企業が多いのは日本の伝統で、普遍的な文化だ」とこれまた漠然とした主張をする人たちが多くいらっしゃいますが、実はこれも表面的な分析に基づく”残念な勘違い”なのです。
歴史を振り返れば、小さい企業が多いのは日本の普遍的な文化だと言えるような客観的事実はどこにも見当たりません。むしろ、ある時期を境にして、現在のような「他の先進国と比べて小さな企業で働く人の割合が多すぎる」という産業構造が出来上がっていったことがよくわかります。
では、その時期はいつかというと、「1964年」です。
この年、日本はOECD(経済協力開発機構)に加入しましたが、その条件として突きつけられたのが、かねてより要求されていた「資本の自由化」でした。当時の日本では、資本が自由化されれば外資に乗っ取られるかもしれないという脅威論が唱えられ、護送船団方式など「小さな企業」を守るシステムが続々と整備されました。つまり、1964年というのは、日本を「低生産性・低所得の国」にした「非効率な産業構造」が産声を上げたタイミングなのです。
日本を「生産性の低い国」にした中小企業基本法
そして、この「1964年体制」を法律面から支えたのが、前年に制定された中小企業基本法です。
同法は当時、「中小企業救済法」とも言われたほど、小さい企業に手厚い優遇策を示したものです。同時にその対象となる企業を絞り込むため、製造業は300人未満、小売業は50人未満とはじめて「中小企業」を定義しました。
しかし、これが逆効果となってしまいます。優遇措置を目当てに、50人未満の企業が爆発的に増えてしまったのです。
中には、企業規模を拡大できるにもかかわらず、優遇措置を受け続けたいということで、50人未満のラインを意図的に超えない中小企業まで現れてしまったのです。非効率な企業が爆発的に増え、なおかつ成長しないインセンティブまで与えてしまいました。
中小企業を応援して日本経済を元気にしようという精神からつくられた法律が、優遇に甘えられる「中小企業の壁」を築き、「他の先進国と比べて小さな企業で働く労働者の比率が多い」という非効率な産業構造を生み出してしまったという、なんとも皮肉な話なのです。
それでも1980年代までは人口が増加し続けたため、経済も成長を続けました。しかし1990年代に入り、人口増加が止まると、この生産性の低い非効率な産業構造の問題が一気に表面化してきました。
ちなみに、日本の生産性を議論する際に必ず出てくるのが、日本では製造業の生産性が高く、サービス業の生産性が低いという事実です。この現状を説明するためによく言われるのが「日本人はものづくりに向いている」「サービス産業の生産性が低いのは『おもてなし』の精神があるからだ」という”神話”のような話ですが、実はこれも非効率な産業構造ですべて説明ができます。これもまた、単に中小企業基本法の影響なのです。
この法律で、中小企業が製造業では300人未満、その他は50人未満と定義されて以降、日本ではこれに沿うような形で企業数が増えていきました。その影響もあって、製造業はどうしても他の業種よりも規模が大きくなりました。
規模が大きければ生産性が高くなるというのは、先ほども申し上げた経済学の鉄則のとおりです。一方、日本のサービス業は圧倒的に規模の小さな事業者が多く乱立しているという事実があるので、当然、生産性は顕著に低くなるというわけです。
「守りに特化」した経営は暴走していく
「1964年」と聞くと、ほとんどの日本人は東京オリンピックを連想すると思います。そしてここをきっかけに、日本人が自信を取り戻し、焼け野原から世界第2位の経済大国へと成長していく、というのが小学校の授業などでも習う「常識」です。
しかし、現実はそうではありません。
オリンピックの前年からすでに景気は減退していました。急速なインフラ投資の反動で、オリンピック後の倒産企業数は3倍にも急増しています。1964年からの「証券不況」も事態をさらに悪化させて、被害拡大防止のために日銀は公定歩合を1%以上下げました。しかしこれも焼け石に水で、1965年5月には山一證券への日銀特融を決定し、同年7月には、戦後初となる赤字国債の発行も行いました。
この不況が、「資本の自由化」が引き起こす「外資脅威論」にさらに拍車をかけます。「乗っ取り」や「植民地化」という言葉にヒステリックに反応するうち、やがて財閥系や大手銀行系が手を取り合い、買収防止策として企業同士の持ち合いも含めた安定株式比率を高めていきます。1973年度末の法人持株比率はなんと66.9%にも達しました。
この「守り」に特化した閉鎖的な経済活動が、護送船団方式や、仲間内で根回しして経営に文句を言わせない「しゃんしゃん株主総会」などを定着させて、日本企業のガバナンスを著しく低下させていったことに、異論を挟む方はいらっしゃらないのではないでしょうか。
このようにとにかく「会社を守る」ことが何をおいても優先されるようになると、経営者に必要なのは調整能力だけになっていきます。数字やサイエンスに基づく合理的な判断をしないので、他人の意見に耳を貸さず、とにかく「直感」で会社を経営するようになっていくのです。その暴走がバブルにつながります。
そんな「暴走経営」がこの20年、日本経済に与えたダメージは計り知れません。
『国運の分岐点』
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4065175607/asyuracom-22?p=TK
ものづくりメーカーは、社会のニーズや消費者の声よりも、企業側の「技術」や「品質」という直感が正しいと考える「product out」にとらわれ衰退しました。そしてバブル崩壊後も、データに基づいた客観的な分析をせず、直感に基づく表面的な分析をして抜本的な改革ができなかった結果が、この「失われた20年」なのです。
このように日本経済の衰退を要因分析していくと、「1964年体制」に原因があることは明白です。つまり、「1964年は東京オリンピックで日本の飛躍が始まった年」というのは残念ながら間違いで、実は経済の衰退をスタートさせてしまった「国運の分岐点」なのです。
「1964年体制」がつくった産業構造を元に戻すことは容易なことではありません。その動かぬ証が、1990年代から実行されたさまざまな日本の改革がことごとく失敗してきたという事実です。その結果、国の借金は1200兆円にまで膨らみました。
人口減少などさまざまな「危機」が迫る日本には、もはや悠長なことを言っている時間はありません。日本経済を立て直すためにも、古い常識や”神話”を捨てて、数字と事実に基づく要因分析を、すべての国民が受け入れる時期にさしかかっているのです。
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[2019.10.28放送]週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-X-9-fmHoRU
今週のテーマは『台風19号災害、それは予算削減が導いた人災である』です。
第42回 2019年10月28日(月)放送
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【藤井聡】最新 ニュース速報 2019年10月31日 おはよう寺ちゃん 活動中 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=q7rdLJ23gVw
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【Front Japan 桜】台風災害は、人災である [桜R1-11-1] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-qw9VxwqhL0
キャスター:藤井聡・葛城奈海
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フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」 H29 3 改訂版 - YouTube
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[2019.11.04放送]週刊クライテリオン
藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=t86sehKxvRw
今週のテーマは『ソフトな防災偽善者にはご注意を』です。
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2019年11月5日
【添田勝彦】[特別寄稿]川を見ておもうこと
https://38news.jp/economy/14881
去る10月12日、台風19号が東海、関東、
東北を通過し多大なる被害を与えました。
私が住んでいる須賀川市でも阿武隈川、
釈迦堂川流域を中心に大多数の浸水被害が
発生し、死亡者も出ています。
私の家は岩瀬地区で阿武隈川や釈迦堂川
からは距離があり、
特に大きな被害も無かったので
報道されている被害状況を見て驚きました。
私は平成10年に8.27水害を経験しています。
「平成10年8月末および9月に
福島県内を襲った豪雨・台風は
阿武隈川の氾濫をもたらし、
流域に多大な被害をもたらしました。
8月26日夜から東北地方に停滞していた
前線が活発化し、福島県南部と栃木県北部に
局地的な豪雨が長期的にわたり降り続き、
福島県西郷村の真船観測所では、
降り始めからの雨量は1267mmに達し、
一時間当たりの雨量も90mm
(26日17〜18時の同観測所)を
記録しました。
この豪雨は僅か6日間で年間総雨量の75%、
8月の福島県白河地方の平均月雨量の
6.3倍にも相当する観測史上類のない
ものとなりました。」
国土交通省東北地方整備局
福島河川国道事務所ホームページより
www.thr.mlit.go.jp/Bumon/J77101/homepage/typhoon/index.html
当時は消防団員を務めていました。
土嚢袋に土を詰め、浸水しそうな家に
運んだりエンジンポンプで排水を
行ったりしました。
地元の土木建設業者も重機を稼働させ、
崩れた河川の堤内にフレコン袋を
設置するなど復旧作業を行っていました。
合羽越しに伝わる雨の冷たさと炊き出しの
ありがたさを今でも覚えています。
あれから20年以上経過しました。
当時重機を稼働させた土木建設業者は
無くなってしまいました。
今回の台風19号が通過する夜、
被害の予想に8.27水害での経験と
比較して思いました。
「あの時よりは雨の降り方も弱いし、
台風なんて東北に来る頃には速度が
上がっているから降る時間も短いだろうし、
どうしても低くて水が溜まる場所は
あるけども被害も限定的だろう」
雨脚が強くなり家の周りは水で溢れ、
前の道路は川となり、
田んぼは湖になりました。
「ああ想定内想定内、
あの時もそうだったし」
実際、次の日には天候も回復し
徐々に水も引いていきました。
そして県内の被害状況を確認しようと
ネットを見て驚きました。
広範囲で警戒レベル5、
避難指示が出されていたのです。
命を守る為の行動をと
繰り返し繰り返しわめくラジオ。
堤防決壊を伝えるニュース速報、
その個所は段々増えていく。
そして被害状況を中継するテレビからは
信じられない映像が・・。
なぜここまで被害が拡大して
しまったのでしょう。
ある放送局では阿武隈川が限界を超えるほど
増水した原因を次のように解説した番組を
放送しています。
多数の阿武隈川水系河川が同時に増水し、
同時に一気に阿武隈川に流れた為と。
NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191018/k10012138921000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191016/k10012133601000.html
確かにそうでしょう。
ですが、私は今回の水害を拡大させた
河川増水の原因は他にもあると考えています。
私の家の近くには阿武隈川水系の県一級河川、
滑川が流れています。
年々、土砂が堆積していき見るからに
川底が浅くなっています。
挙句に木が生えたりしています。
まるで、河川の中に川が流れている
ような状態です。
「そのうちここ溢れるな」
常々そう思っていました。
10月19日、東京行の新幹線の窓から
阿武隈川を見てあっと思いました。
そしてある仮説を考えました、今回の
洪水被害を増大させた原因は何なのかを。
それを確かめるべく次の日に須賀川市に帰り、
阿武隈川と支流の複数個所に足を運び、
様子を見てきました。
河川整備の不備だと思いました。
阿武隈川も阿武隈川水系の支流の河川も
土砂の堆積や樹木等あり、
明らかに川の容積が少なくなっています。
かつ水の流れの妨げとなっています。
これ等の堆積土砂と樹木は除去すべきです。
そして土砂の流入を少しでも防ぐべく、
上流に砂防ダムを建設すべきなのです。
これ等の事業は20年ぐらい前までは
定期的に行われていたと記憶しています。
いつの間にか
行われなくなってしまったのです。
つまり水害被害増大の原因は
緊縮財政政策による公共事業の削減で、
土砂堆積を防ぐ対策を行ってこなかった。
土砂堆積を防ぐ対策は無駄
(溜まったらまたやり直しだから
永遠に続けなくてはならない)
だからと行わないという姿勢を感じました。
でも、これは基本的な
メンテナンスだと思います。
保有している資産のメンテナンスも
出来ない行政組織ってどうなのでしょうか。
自分の物をメンテナンスする気力もない
行政組織ってどうなのでしょうか。
それでもう一つの原因、それは平成の
大合併、市町村合併に代表される
行政執行窓口の削減、なぜなら当選する
市議会議員が中央に集中します。
そうなれば郊外に予算配分が渡らなくなり、
郊外の建設業者は仕事を失う事になります。
結果、郊外の整備事業が削減されて
河川の治水、保水機能が低下します。
分かりやすく言うと阿武隈川ばかりに
メンテナンスが集中し
(実際のところ分かりませんが)
支流は荒れ放題なので負荷が阿武隈川に
集中しパンクするという事なのです。
これがどれほど危険なのかは、
地方の衰退と東京一極集中のような
インフラ整備の地域間格差を見れば
分るでしょう。
誰かが唱えていた集中と選択は幻想なのです。
それらを証明したのが今回の
台風19号による水害被害と考えます。
今回の台風19号による水害に被災され、
犠牲になられた方のご冥福をお祈りします。
また、
一刻も早く被災による苦しみが
消えますように、
健やかな日々が訪れますように
強く祈念します。
https://38news.jp/economy/14881
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【Front Japan 桜】MMT名付け親のビル・ミッチェル教授記者会見!
- 第2回 京都大学MMT国際シンポジウムを振り返る - ブレグジットから見る民主制の本質[桜R1-11-8] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2Xn3FAOqRPE
キャスター:藤井聡・三橋貴明
■ 第2回 京都大学MMT国際シンポジウムを振り返る
VTR:第2回 MMT国際シンポジウム閉会後 ビル・ミッチェル教授記者会見(令和元年11月5日:衆議院第一議員会館)
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>>47 で触れられているミンスキー・モーメントの解説
政府負債はいくら増やしてもいいが、民間負債を増やすとバブル経済になる
「バブルかどうかの判断基準は「ミンスキーモーメント」=「民間債務」の対GDP比
2019年5月29日
「バブル」の実態は「民間負債」
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13731
そもそも「リーマンショック」とはいわゆる「バブル崩壊」。
そして、その「バブル」の実態は「民間負債」です。
皆がカネを借りまくって投機しまくって、
地価や株価が急騰していく現象です。
で、そんな「民間負債」が超絶に拡大していった時、
何かのきっかけで「借金の焦げ付き」が
(つまり、「貸した金が返ってこなくなる」と言う現象が)
急速に連鎖し、皆が一気に“破産”していく現象が
「バブル崩壊」です。
こういった「バブル崩壊」は、
(MMTの主唱者の一人であるレイの師匠である)
経済学者のハイマン・ミンスキーがそのプロセスを理論化しており、
しばしば「ミンスキーモーメント」とも呼ばれています。
バブル崩壊=ミンスキーモーメントの
過去の代表例として挙げられるのが、
・1990年 日本のバブル崩壊
・1997年 タイや韓国等のアジア通貨危機
・2007〜9年 アメリカのリーマンショック(サブプライム住宅ローン危機)
です。
「この時、一体、何が起こったのか」
を見てみたのが、こちらのグラフ。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1826739577426977&set=a.236228089811475&type=3&theater
これらのグラフは、
「民間債務」の対GDP比の推移を示しています。
まず、日本は、80年代のバブル景気の時、
民間債務が年率でGDPの9.2%ずつ拡大していき、
(つまり、年間40兆円〜50兆円程度ずつ!)
GDPの210%にまで膨らみきった1990年、
(金融引き締めや、土地取引の総量規制をきっかけとして)
その「バブル」が崩壊しました。
タイや韓国も、
民間債務がGDP比で
年率8〜10%ずつ拡大していき、
GDPの140〜160%程度にまで膨らんだ時に
(ヘッジファンドの通貨の空売り攻勢がきっかけで)
そのバブルが崩壊しました。
アメリカも、民間債務が、
GDPに対して年率4.3%ずつ拡大していき、
170%に達した時に、バブルが崩壊しました。
こう見てみますと、
バブル崩壊には次のような共通のパターンがある
ことが見えてきます。
すなわち、民間の借金が、
GDPに対して年率で5〜10%ずつ拡大していき、
GDPの150〜200%程度に至った時に、
何かのきっかけで、バブル崩壊が起こるわけです。
(※ なお、新興国は、概して、債務の拡大率が大きく、
破裂水準は低いようですね。)
こう考えると、
「民間債務の膨らみ」
は、地震の岩盤の破壊エネルギーの様なもので、
ある程度溜まると岩盤が破壊して地震が起こるように、
その内「バブル崩壊」してしまうのです。
・・・では、今の世界を見回したところ、
一番ヤバそうなのが、中国!
こちらのグラフに、今、バブル崩壊が、
ヤバそうな国を並べてみました。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1826741800760088&set=a.236228089811475&type=3&theater
ご覧の様に中国は、かつての日本と同様、
対GDP比で年率10.2%もの割合で、
民間債務が拡大していき、
もはやGDPの207%にまで達しています。
もうこうなれば、何かのきっかけがあれば、
スグにでも、この中国バブルは崩壊することになるでしょう。
実際、こんな報道もなされるようになってきています。
https://www.excite.co.jp/news/article/TokyoSports_1410636/
そんな中国の中でも特にヤバイのは、香港。
債務が年率12.1%という未曾有のスピードで拡大し、
何とGDP比で300%を超えてしまっているのです!
こんな債務拡大が、いつまでも続く筈がありません。
実際、UBS証券は香港の不動産バブルが「世界最悪」だ、
という分析結果を公表しています。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-01/PFWA786K50XX01
中国・香港のバブル崩壊は、
もはや秒読み段階にあると見ていいでしょう。
これから始まる米中経済戦争が、
その引き金を引くことになるかもしれません。
あるいは、「日本の消費増税」に伴う日本の大不況が、
中国のバブルをはじけさせるきっかけになるかもしれません。
何と言っても、日本経済はまだまだ巨大な存在であり、
それが不況になってしまうのは、
世界に大迷惑をかけるのです。
なお、民間債務対GDP比が200%を超えたカナダや、
新興国の危険水域である140〜150%に
近づきつつあるベトナムも要注意です。
人類は、リーマンショックで
過剰なグローバル化や過剰投機が
どれだけヤバいモノなのかを学んだ筈なのですが―――
何度も何度も、過ちを繰り返すようです。
https://38news.jp/economy/13731
▲△▽▼
世界の民間債務残高対GDP比 国別ランキング・推移 – Global Note
https://www.globalnote.jp/post-15129.html
・世界の民間債務残高対GDP比 国際比較統計・ランキング。
・各国の民間部門債務残高の対GDP比率と国別順位を掲載。
・単位は%。
・当該国の民間部門総債務残高のGDP対する比率。
・民間部門は企業部門(除く金融機関)と家計部門(個人及び対家計民間非営利団体)の合計値。
・金融機関の債務残高は含まない。
・債務には金融機関、企業、政府、個人及び海外からの債務を含む。
・債務残高は各年末時点ベース。
・家計部門・企業部門別の債務残高対GDP比率は内訳データリンクより。
【内訳データ解説】
・民間債務残高対GDP比(家計部門)
- 家計部門の総債務残高のGDPに対する比率
- 家計部門には個人のほか対家計民間非営利団体(NPISH)を含む。
・民間債務残高対GDP比(企業部門)
- 金融機関を除く一般企業の総債務残高のGDPに対する比率
https://www.globalnote.jp/post-15129.html
▲△▽▼
「民間債務」の対GDP比
https://www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sh18-01/pdf/s1-18-1-2.pdf
▲△▽▼
(1) [2019.11.18放送]週刊クライテリオン
藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7zhoNhN4DLY
今週のテーマは『核の傘無効論:アメリカは日本のためには「核」を打たない』です。
週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ
第45回 2019年11月18日(月)放送
▲△▽▼
2019年11月20日
なぜ、安倍晋三氏は憲政史上最長総理となったのか?〜安倍晋三「器」論から考える空虚な結論〜
From 藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/politics/14943
本日、令和元年11月20日、
安倍晋三氏はついに桂太郎氏を抜いて、
明治からはじまる日本の憲政史上、
「最長」の在任期間を誇る総理大臣となった。
まず冒頭で宣言するが、
この「憲政史上最長総理」という称号こそ、
安倍総理の最大のレガシー(遺産)だ。
もちろん、多くの国民は、安倍総理大臣こそ、
デフレ脱却を果たし、
衰退し続ける日本を救い出し、
「失われた20年」を取り戻すことを
大いに期待したに違いない。
しかし、消費税を10%に引き上げた今、
その望みは事実上、あえなく断たれてしまった。
また別の多くの国民は、安倍晋三総理に
「戦後レジームからの脱却」
を夢想し、
「日本の独立を不可能にせしめている
アメリカから押し付けられた憲法9条を
正しい方向に改正してくれるに違いない」
と大いなる希望を抱いたに違いない。
しかし、憲法九条の2項を温存したまま、
自衛隊の存在を記載する3項を追加する
「加憲」を耳にした瞬間に、
その夢は完全に断たれてしまったことを
確信したに違いない。
つまり、安倍内閣は、
・デフレ脱却
・憲法9条改正
・戦後レジームからの脱却
といった、多くの国民が夢見たレガシーを
何一つ達成しないままに、
憲政史上最長の総理在任期間を貪ったのである。
それどころか、
デフレ脱却については
5%から10%へと消費税を倍増させたことで
日本のデフレ長期化を決定づける
「負のレガシー」を残してしまった。
戦後レジームからの脱却について言えば、
憲法9条2項削除・修正の議論を退潮させ、
北方領土交渉を退潮させ、
防衛的・経済的な対米従属を強化し、
消費税率の倍増を通して経済力を大幅に弱体化
させることを通して、
外交的防衛的経済的なすべての視点で
戦後レジームからの脱却をより困難なものとする
という、ここでもまた「負のレガシー」を残した。
以上の議論は、
親安倍論者にしても、
反安倍論者にしても、
共通に認識しなければならない、
「単なる事実」
だ。
しかしそれにも拘わらず、
安倍政権の支持率は
(二大臣の自認や桜を見る会騒動を経てもなお)
高止まりし続けている。
これは一体なぜなのだろうか?
その答えはもちろん、
株価の上昇や円安、
現野党の民主党政権時に対するトラウマ、
そして、
「変わりがいない」という世間的共通認識等、
様々なものが挙げられるが、
政治哲学的な視点からの分析を経れば、
最も本質的な原因は、
安倍政権自体が、
「長期政権を自己目的化した空虚な器」
と化しているところにある。
政治には、
政治を通して公益を拡大することを目的とするという
政“策”的原理
と、政治権力を維持し続けることを自己目的とする
政“治”的原理
の二種類がある。
(無論後者の政治と言う言葉は、狭義の意味だ)
普通国民は、政治家に
「政策的原理」
で政治を動かしてもらう事を望んでいる。
ところが、政治の世界では、
政“策”的原理を口にするのは単なるタテマエで、
ホンネではほとんどが、
政“治”的原理
で動いているのが実情だ。
無論、心ある政治家は、
「手段」として政“治”的側面を活用し、
「目的」として政“策”的側面の実現を目指す、
という振る舞いをする。
(これこそ、政“策”的原理の政治家だ)
しかし、凡庸な政“治”的原理の政治家は、
そこが逆転しているわけだ。つまり、
「手段」として政“策”的側面を声高に叫びながら、
「目的」として政“治”的な意図の達成を目指す、
という振る舞いをする。
そして言うまでもなく、
昭和から平成、平成から令和へと時代が変遷するにしたがって、
政界において
政“策”的原理はどんどん退潮し、
政“治”的原理がどんどん拡大していったのである。
その最も象徴的な政治体制こそ、
安倍政権なのである。
多くの国民は、
デフレ脱却を叫びながら
デフレを決定づける消費増税を行う矛盾
保守政権だと主張しながら、
国体の崩壊につながりかねぬ移民政策を加速する矛盾、
戦後レジームの脱却を叫びながら、
それを不可能にする加憲を推進する矛盾、
こういった矛盾に戸惑いを隠せずにいるだろう。
しかし、そこで戸惑うのは、
安倍政権が「政“策”的原理」で
動いているとイメージしているからなのだ。
ここで、もし安倍政権が「政“治”的原理」で
動く存在なのだとイメージすれば、
それらは何の矛盾もない、
と言う実態が浮かび上がる。
なぜなら、「政“治”的原理」で言うなら、
デフレ脱却や戦後レジームの脱却を叫び、
保守政権だと主張することも、
移民政策を加速し、加憲し、消費増税することも皆、
国益とは無縁の、
「長期政権を維持する」
という「政治目標」にとっては、
何の矛盾もないからだ!
つまり、安倍政権の目標は、
デフレ脱却や戦後レジームからの脱却などではない。
それらはいずれも、
政権維持のための方便に過ぎない。
安倍政権の目標は、
「長期政権を維持する」
というその一点なのである。
その結果、
安倍政権は、巨大な「空虚な器」と化した。
それは、政権維持のためならば、
政策的な矛盾など何の配慮もせず、
何でもかんでも放り込んでいく、
途轍もなく空虚で巨大な器となったのである。
(無論、反サヨク、の色彩を帯びてはいるのだが、
それとて、単なる政権維持のためのイメージ戦略だ。
それについてはまた、別途論じよう
https://www.amazon.co.jp/dp/B07YMF27NQ)
そしてその器の「象徴」として、
安倍晋三氏という一人の政治家が存在しているのである。
したがって、
この政権には「真の目的」と呼べるものは何もない。
それはただ単に、「延命」することをだけを目的として持つ、
巨大な一つの空虚なマシーンなのである。
いわば、戦後日本のニヒリズムの集大成として、
安倍総理は憲政史上最長の総理大臣となられたわけだ。
以上は、無論、一つの理論仮説だ。
しかしこの仮説は、安倍政権の振る舞いの
全てを矛盾なく説明しつくすことができる。
逆に言うと、筆者は、この仮説以外で、
安倍政権の諸行動を統一的に説明できる
仮説を想起することができない。
なお、我々はこの理論仮説を、
「安倍晋三『器』論」
と呼称している。その詳細は、
表現者クライテリオン
「安倍晋三:この空虚な器」
https://www.amazon.co.jp/dp/B07YMF27NQ
で縦横に論じている。
日本のまともな政治を取り戻すには、
こうした「空虚な器政治」を根底から
作り替えねばならない。
そのための第一歩として、
是非とも、
「安倍晋三:この空虚な器」
https://www.amazon.co.jp/dp/B07YMF27NQ
をご精読いただきたい。
追伸:
こんな「器」政治が続けば、日本に「ジョーカー」が何人も生み出されることになるでしょう。あわせてこちらも是非、ご購読下さい。
https://foomii.com/00178/2019111511000060331
(『ジョーカー』映画評論 〜腐った社会が「純粋な無私の悪人」を産み出す〜)
https://38news.jp/politics/14943
▲△▽▼
[2019.12.23放送]週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ)
https://www.youtube.com/watch?v=EJOE8R_I2kg
今週のテーマは『引き籠もるアメリカ、すがり付く日本 〜失敗する安倍外交〜』です。
第50回 2019年12月23日(月)放送