日本郵政のイチャモンに屈したNHKの腐敗、画面からの腐臭
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2019/09/27 日刊ゲンダイ 文字起こし
石原経営委員長(左)と上田会長(C)共同通信社
自分たちの不正を棚に上げてドーカツする日本郵政は盗人猛々しいが、そんな企業からのイチャモンに簡単に屈するNHKもどうしようもない。
かんぽ生命の不正販売問題を追及したNHK番組を巡り、NHK経営委員会(委員長・石原進JR九州相談役)が日本郵政グループからの要請を受けて、NHKの上田良一会長を厳重注意していた一件である。
26日の1面でスクープした毎日新聞によると、問題となったのは昨年4月放送の「クローズアップ現代+(クロ現+)」で、郵便局員が不適切な保険営業を行っている実態を、SNSに寄せられた生々しい声などをもとに番組化。続編の放送も予定し、同7月に情報提供を呼びかける動画をネット上にアップしていたところ、郵政側が上田会長宛てに「犯罪的営業を組織ぐるみでやっている印象を受ける」と抗議し、削除を申し入れたという。
NHKの番組幹部が「番組制作と経営は分離されており、会長は番組制作に関与しない」と説明すると、郵政側はこれを問題視。「放送法で番組制作・編集の最終責任者は会長であり、NHKではガバナンスが全く利いていないことの表れ」と主張し、再度、上田会長に文書で説明を求めたという。
結局、同8月に予定された続編の放送は見送られたが、郵政側の圧力はさらにエスカレート。上田会長から返答がないとして、同10月に経営委員会に「ガバナンス体制の検証」を求める文書を送付した。
経営委は「番組幹部が番組制作の責任は会長にないと説明したことは誤り」と判断、郵政側の言い分を受け入れ、上田会長を厳重注意。上田会長も同11月に「説明が不十分だった」と郵政側に謝罪したのだった。
「日本郵政は民営化されたとはいえ、もとは郵政省。そして、放送行政を所管するのは総務省ですが、これは省庁再編前の郵政省です。そうした経緯から、日本郵政はいまだにNHKに対して強気なのでしょう」(元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏)
経営委の個別番組介入は放送法抵触
「クロ現+」放送時は、既に日本郵政グループに保険販売に関する苦情が多数寄せられていた頃だ。郵便局員は高齢者を「カモ」にし、ヤクザもびっくりの特殊詐欺さながらの悪質な営業を行っていた。NHKが毅然とした態度で、続編を放送して視聴者に警鐘を鳴らしていたら、不正な保険契約が18万件超にまで膨らむ前に、被害拡大を食い止められていたかもしれない。受信料を取って「みなさまのNHK」をうたいながら、その罪は重大だ。
郵政側の言う「ガバナンス」なんて名目で、自社の不正が広く世間に知れ渡るのを抑えたいという経営陣の保身だろう。そんな郵政側の言い分を認め、逆にNHK会長を注意した経営委も異常すぎる。経営委が個別の番組に介入したのでは、公共放送の根幹に位置付けられる「自主自立」や「番組編集の自由」は吹っ飛んでしまう。
NHK報道の監視を続ける醍醐聰東大名誉教授が言う。
「経営委員会はNHKの経営を監督する機関で、個別の番組にタッチするのは放送法に抵触していると思います。かんぽ生命の不正販売は報道すべき深刻な問題であり、本来、経営委は外部からの圧力の防波堤になるべきもの。それが逆に、外部の圧力をNHK上層部に伝えている。これではNHKはメディアとしてのチェック機能を果たせないし、クレームの来そうなテーマは避け、忖度がはびこる。現場をますますダメにしてしまう」
日本の敗北なのに…(C)ロイター
国民騙しの手口は日本郵政と同じ穴のムジナ |
不正企業にこんな弱腰なのだから、政治権力からの独立など、もはやNHKに望むべくもない。
「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」と言い放った籾井勝人前会長ほどあからさまではなくとも、NHKの露骨な安倍政権スリ寄りは、森友学園問題などで明確になった。
元NHK記者で現在は大阪日日新聞論説委員・記者の相澤冬樹氏が、著書「安倍官邸VS.NHK」で、森友問題の特ダネ報道をなかなか放送させてもらえなかったり、報道部門トップの報道局長が大阪放送局の報道部長に叱責電話を掛けてきたことなどを暴露している。
森友問題を巡っては、〈(安倍首相夫人の)昭恵さんの映像は使うな〉など、官邸への忖度がNHK局内にはびこっているというタレコミも国会議員の事務所に寄せられた。この際、参院総務委員会に呼ばれた上田会長は、「番組内容は、現場が自主的に判断しているが、何人からの圧力や働きかけにも左右されることなく、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えていくことが役割だと考えている」と、シレッと答えていた。安倍政権どころか日本郵政のイチャモンにさえ屈したのに、何をかいわんや、である。
前出の相澤冬樹氏がこう言う。
「日本郵政からの要求に従い、経営委員会が会長に厳重注意する。これは驚くべきことです。たとえ番組で何か問題があったとしても、現場レベルで処理する話なのに、経営委や会長まで関与するとは。確かに経営委は会長に対し、指示・監督の権限はありますが、委員は首相に任命されるため、経営委の意向は、首相の意向だと解釈される。政治の放送への介入です。今回の一件は、NHK内でそうした現場介入が日常的に積み重なっている証しといえます」
日米貿易交渉でも政府の成果を誇張
NHKの政権ベッタリはいまや常態化した。アベ友の岩田明子解説委員が重用され、大本営報道を繰り返す。極め付きは、籾井会長時代に専務理事を務め、官邸と太いパイプがあるとされる板野裕爾氏が今年4月に専務理事に復帰したことだ。
完全に“政権PR機関”に成り下がったNHKは、日本時間の26日、最終合意した「日米貿易交渉」の報道でも、全力で政権を持ち上げた。安倍の「ウィンウィン」というデタラメ発言を受け、日本の成果をこれでもかと誇張。牛肉や豚肉の輸入関税は引き下げながら、自動車や自動車部品の輸出関税撤廃は継続協議で反故にされ、日本側が一方的に譲歩させられたのに、「狙い通りの想定内決着」「コメの新たな輸入枠の設定はなし」「自動車の追加関税や数量規制は発動しないと約束」などと政府にとって都合のいい説明をそのまま垂れ流した。
「NHKは安倍首相の記者会見を、どんな時間だろうが全部、生中継しています。安倍首相にとっては自分の宣伝機関のようなものだから、増長して勝手な言い分をまくし立てる。すっかり御用放送局になってしまいました。お上意識があるNHKは、当たり前のように受信料を徴収していますが、政権PRばかりの今のNHKに不満のある人は少なくない。その結果が、N国(NHKから国民を守る党)の参院選での議席獲得ですよ。むちゃくちゃな行動を取るN国に99万票も入ってしまったのは、いかにNHKへの批判が多いかということの裏返しです」(川崎泰資氏=前出)
許し難いのは、そんな“国営放送”のくせに、公平中立を装うことだ。国民騙しの手口は、不正営業の日本郵政と同じ穴のムジナ。だからNHKの画面からは腐臭が漂うのである。
日刊ゲンダイ
— 但馬問屋 (@wanpakuten) 2019年9月27日
【想像をはるかに超えるNHKの腐敗、画面からの腐臭】
『“盗人猛々しい”日本郵政のイチャモンに屈服』
「不正企業のドーカツにいとも簡単に屈したとは驚きだが、だとすると、政治権力からの独立などもはや望むべくもない」
「政権PR機関に堕したNHKの底知れぬ大罪」
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NHKは権力者と巨大組織に弱い面がありますね。様々なしがらみにとらわれてフェアな報道がてきないかも。政権に人事権と予算承認権を握られている今の制度では政治からの完全な独立は無理でしょうね。とにかく癒着はダメですね。クローズアップ現代など素晴らしい番組はあるけど。
— 産経新聞とネトウヨが大嫌いな保守 (@wanpakuamatsuka) 2019年9月27日
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— yuki 戦争ではなく平和と和解をもたらす日本を目指して (@yukiyanagi3333) 2019年9月27日
【想像をはるかに超えるNHKの腐敗】盗っ人猛々しい日本郵政のイチャモンに屈服 不正企業のドーカツにいとも簡単に屈したとは驚きだが、だとすると、政治権力からの独立などもはや望むべくもない 日本郵政報道で被害を拡大させただけでなく、政権PR機関に堕したNHKの底知れぬ大罪(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/iwYNv1kyfv
— KK (@Trapelus) 2019年9月27日