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[政治・選挙・NHK219] 1月16日の民進党野田幹事長記者会見から読み解く野党共闘の前途

2017年1月16(月) に行われた標記記者会見の速記録(同党役員室編集)より、野党共闘に関する部分を以下に転載する(全文は下URL参照)。
https://www.youtube.com/watch?v=zvA0GNS26sQ

ここに示された幹事長コメントからは、総選挙を戦うための野党共闘(選挙協力)が実現へ向かって大きく動き始めたことが窺い知れる。
但し、この共闘が国民に広く受け入れられるかどうかは、共闘の旗印次第である。

共闘の濃密度が高ければ、政権復帰へのなりふり構わぬ執念が国民にも伝播し、ブームを呼び込むこともできるだろうが、逆に低ければ選挙目当ての共闘と底意を見透かされ、国民はそっぽを向いたまま、肩透かしを食らう結果に終わるであろう。「野党が一体となる」この言葉の意味を軽んじる者は軽んじただけの果実しか得られないだろう。

この記者会見で共闘の濃密度を示唆する部分は以下の通り。

『 安倍政権打倒を目指すというところで目的は一致しています。 』
『 その打倒した後の政権のありようについては、我々は我々の考え方があります。共産党とは違うということです。 』
『 理念、基本的な政策が違うところと連立政権は組めない、というのは前から言っているとおりであります。 』

『 (どのような理念で、その政策をつくろうとお考えか?) それは民進党の理念。 』
『 (民進党のみで?) 結果によってはいろいろあるかもしれませんが、基本は民進党で政権を目指すということです。 』
『 (もし数が民進党だけで足りなかった時に、共産党の手をかりることはないか?) いろいろなシミュレーションはしなければなりませんが、でも、そのシミュレーションの中で範囲になるのも、やはり「理念や基本政策で一致するかどうか」だと思います。 』

『 「できる限りの協力」はこれからもやっていくということです。「できる限りの協力」のプロセスの中で、単なる選挙区の調整だけではなくて、政策的に一致できるものについて、一緒に目指すものについて、これは一致点を探していこうということで、今、市民連合との意見交換などを通じながらその作業をしているわけですから、選挙が終わったら関係がおしまいということではなくて、そこで合意したもの、一致点を見出したものは一緒に実現していくということです。 』
『 政権はともにしないということであって、共通して一致できる政策については一緒に実現していくということでは、まさにこれからも協力が続くということですので、そこは区別をしてお考えをいただければと思います。 』


骨子のみを抽出する。

共産党とは、
 ・選挙区の調整を行う。
 ・政策的に一致できるものについては、一緒に目指し、選挙後も一緒に実現していく。
 ・政権はともにしない。

総選挙で勝利した場合は、
 ・基本は民進党で政権を目指す。
 ・単独で首班指名獲得が難しい場合には、「理念や基本政策で一致」するところと連立を組む。


この骨子の中に、気になる部分が2箇所ある。

まず、「共産党とは、政策的に一致できるものについては一緒に目指し、選挙後も一緒に実現していく。しかし、政権はともにしない。」であるが、これは、どう逆立ちして読んでも選挙目当ての“野合”の批判に耐えられないのではないだろうか。いわば、両党間で一致した政策をつまみ食い的に探し出し、それらを店頭に陳列して客を呼ぼうという風に見えるのだが、そんな店が繁盛するだろうか。

しかし、それにも増して気になるのが最後の一文である。この箇所を原文に立ち戻ると、

『 (もし数が民進党だけで足りなかった時に、共産党の手をかりることはないか?) いろいろなシミュレーションはしなければなりませんが、でも、そのシミュレーションの中で範囲になるのも、やはり「理念や基本政策で一致するかどうか」だと思います。 』 とある。

この「理念や基本政策で一致するかどうか」が、どのあたりの政治勢力までを想定したものであるかがポイントとなろう。可能性としては、
1 総選挙後に議席を伸ばした自由党と社民党
2 自民党の一部あるいは維新

1なら言わずもがなで当然過ぎるくらいだ。しかし、
2となると、これは野党共闘(とりわけ共産党)を踏み台にしたことになり、禁じ手そのもの。まず相手側から断られるだろうが、接触を図っただけでも大混乱は必至である。7年前の野田氏ならやりかねなかっただけに不気味さは残るが、さすがにこれはないだろう。


以上から読み解くことのできる野党共闘の前途であるが、共闘の旗印が
・安倍政権打倒を目指す
・政策的に一致できるものについては一緒に目指し、選挙後も一緒に実現していく

では、有権者は見向きもしないだろうと断腸の思いで断じざるを得ないのである。


野田佳彦幹事長記者会見 (抄)
2017年1月16日(月)15時30分〜16時10分


○野党連携について
【フリーランス・上出記者】
 共産党の大会が昨日開かれた。これに対して何かお感じになった点があったらお聞きしたいのが1点。
 共産党は今度の衆議院選挙で15の「必勝区」を挙げているが、これについても、参議院選挙の時のように最終的に共産党としてはかなり譲るという雰囲気もあるようだが、その辺についての感触は何かおつかみか。この2点について伺いたい。
【幹事長】
 最初の点は、「感想」と言われても、他党の大会ですが、「ご盛会でよかったですね。おめでとうございます」ということしか言いようがないです。
 15の選挙区を重点区として扱っていることは承知していますが、我々も大事な選挙区はたくさんありますので、これは共産党の考え方としてはそうなのだろうとは思いますが、他党の重点区云々ということは、これも何かとやかく言う話ではありません。我々は我々で、どうしても勝ちたいと思っている選挙区がありますので、しっかりと協議していきたいと思います。
【フリーランス・上出記者】
 昨日の共産党大会は、初めて野党の党首があいさつしたが、民進党だけは安住淳代表代行がされ、蓮舫さんは行かなかった。この点についてご説明をお願いしたい。
【幹事長】
 役員の中で日程調整をさせていただき、蓮舫代表は既にご予定が入っていたということでありますし、その中で国会対策担当の代表代行であり、また野党との連携も担当されている安住さんが出席することになったということです。
【NHK・山桝記者】
 他党のことだ、ということだったが、安住代表代行が出席され、志位委員長もあいさつの中で、野党4党は「安倍政権打倒」を共通の目標としており、打倒した後の政権構想を示す責任がある、とおっしゃっていて、その中で野党連合政権についても言及されている。この点についてはいろいろな場所で、その可能性については野田幹事長は否定されてきていると思うが、またこれがあらためて示されている。この向こう側の意図も含めて、どういうふうにお感じになっているかお聞きしたい。
【幹事長】
 意図はわかりません。ただ安倍政権打倒を目指すというところで目的は一致しています。その打倒した後の政権のありようについては、我々は我々の考え方があります。共産党とは違うということです。
【NHK・山桝記者】
 先ほども質問があったが、今回、安住代表代行が出席されて、形としては4野党連携がはっきりと目に見える形でアピールされたと思うが、今後の野党連携に向けた弾みという意味で、またどうしていきたいかということで伺いたい。
【幹事長】
 去年の暮れに4党幹事長・書記局長会談で確認したとおり、「できる限りの協力」を具体的に進めていくために、今、選挙実務者による選挙区の調整、それから政策実務者による、これは市民連合への回答という形でありますが、政策的な協議、こういうものを進めていくという段階です。その具体的な議論をさらに進めていくということに尽きると思います。
【「FACTA」・宮嶋記者】
 昨日の安住さんのあいさつは、現場で大変な拍手喝采を浴びていて、そのあいさつの中身がかなり濃厚というか、中身があるものだったと。これはやはり執行役員会で一任を受けた代表と幹事長と安住さんが、かなり練りに練ってつくった内容だと。安住さんは、1ヵ月くらい考えたとおっしゃっていたように思うが。お立場は別だが、やはりそれなりに肝の据わった内容ではなかったか。その辺を伺いたい。
【幹事長】
 今おっしゃったとおりのプロセスを経ていまして、安住さんがもちろん中心で文案をつくられておりますが、その中身については執行役員会で私と蓮舫代表に一任をされておりましたので、原稿の内容については事前に目を通させていただいております。
【「FACTA」・宮嶋記者】
 これまで選挙協力ということで言うと、蓮舫さんの言葉で言うと“オーダーメイド作戦”というのか、オーダーメイドでやるのだとおっしゃっていたが、その「オーダーメイド」というのは、いろいろあるということなのだろうが、やはりそこに横串を入れたというのか、野党連携にちょっと弾みがついたということになるのか。そういう認識の内容だから喝采を浴びたと思ったが、年末より一歩踏み込んだと見ていいのか。
【幹事長】
 私、現場感覚がないのでわかりません。どういう喝采を浴びたのか、どんな空気だったのかは、この後の執行役員会で安住代行からご報告いただきたいと思います。
【TBS・牧野記者】
 先ほど幹事長は野党連携の、共産党の政権構想の話の関連で、「打倒した後の政権のありようについては、我々には我々の考え方がある」とおっしゃっていたが、具体的にどのような政権のありようを今お考えか。
【幹事長】
 理念、基本的な政策が違うところと連立政権は組めない、というのは前から言っているとおりであります。
【TBS・牧野記者】
 どのような理念で、その政策をつくろうとお考えか。
【幹事長】
 それは民進党の理念。
【TBS・牧野記者】
 民進党のみで。
【幹事長】
 結果によってはいろいろあるかもしれませんが、基本は民進党で政権を目指すということです。
【TBS・牧野記者】
 もし数が民進党だけで足りなかった時に、共産党の手をかりることはないか。
【幹事長】
 いろいろなシミュレーションはしなければなりませんが、でも、そのシミュレーションの中で範囲になるのも、やはり「理念や基本政策で一致するかどうか」だと思います。
【朝日新聞・松井記者】
 共産党との選挙協力について伺いたい。解散・総選挙が今すぐではなくなってきたという雰囲気が永田町で漂っているわけだが、そうなると政策面での4野党のすり合わせ、プラス、各選挙区での具体的な調整、それぞれが若干遅れてくるのではないかという見方も出ている。今現在のスケジュール感、どのように考えているか、それぞれ政策と具体的な選挙区での調整についてお聞きしたい。
【幹事長】
 完全に早い段階での解散・総選挙がなくなったとは、まだ言い切れないですよね。ここに集まっている報道各社においても、選挙班を解散したわけではないでしょう、縮小したかもしれませんが。我々も同じ気持ちで、まだ可能性は残っていると思いますから、基本的にはなるべく早く、さっき言ってきた実務が進むように努力するというのが現段階のスタンスであります。
【フリーランス・安積記者】
 昨日の共産党大会の安住代表代行の挨拶を聞いていると、少なくとも選挙関係については積極的に協力するというような感じを受けたが、一方で幹事長の話では、選挙は協力するだろうけれども、その先は一緒の道を歩かないというお考えと解せるが、これは有権者にとってすごくわかりにくいと思う。そもそも民進党の支持率は岡田さんの時からあまり上がっていない、片や内閣支持率は、12月に少し落ちたがまた上がってもとに戻っているような状態で、これで、はたして有権者の理解、あり方の理解が得られるのか。選挙の後に何をするのかといったら、もともとの民進党ではないか、もともとの民主党ではないかというような見方で、あまり期待感が出てこないような感じがするが、そういうところについてはどのようにお考えか。
【幹事長】
 「できる限りの協力」をするということは言ってきているわけでありますから、それはこれからもやっていくということです。
 「できる限りの協力」のプロセスの中で、単なる選挙区の調整だけではなくて、政策的に一致できるものについて、一緒に目指すものについて、これは一致点を探していこうということで、今、市民連合との意見交換などを通じながらその作業をしているわけですから、選挙が終わったら関係がおしまいということではなくて、そこで合意したもの、一致点を見出したものは一緒に実現していくということです。
 ただ、先ほど言ったのは、政権はともにしないということであって、共通して一致できる政策については一緒に実現していくということでは、まさにこれからも協力が続くということですので、そこは区別をしてお考えをいただければと思います。
【「FACTA」・宮嶋記者】
 年明けに野党の党首がエイエイオーとやって、それを見て一番脅威に思うのは与党だと思うが、それがあると早期解散しちゃったほうがよかったかなと思うかもしれないぐらいだと思うが、逆に言うと次は民進党の党大会があるが、そこに他党の党首級を呼んだりする考えはあるか。儀礼的には十分あると思うが、野田さんとしてはNGか。
【幹事長】
 いや、「私としては」ではなくて、ここ最近は他党をお呼びしていないのです。今度、常任幹事会で正式に(大会)実行委員長を決めます。その実行委員長のもとで相談をし、決定していきたいと思います。
【千葉日報・石井記者】
 共産党の千葉13区の「必勝区」の候補、斉藤さんが、野党共闘候補になるために野田幹事長の選挙区、つまり千葉4区から13区に移ったというような発言をされた。これについてどのような考えをお持ちか。それと千葉13区は、今幹事長がおっしゃった「勝ちたい選挙区」の中に含まれているのか伺いたい。
【幹事長】
 共産党がどうお考えになっているか、これはわかりません。私に何かご配慮いただいたみたいなことを言っていますが、違う人を(千葉4区に)立ててきましたから。だから、どっちがいいのかわかりません。
 13区は、昨日私、集会に行ってきましたから。我々もしっかりと候補者を応援していきたいと思います。
民進党役員室


http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/503.html

[政治・選挙・NHK219] 1月16日の民進党野田幹事長記者会見から読み解く野党共闘の前途 仁王立ち
1. 仁王立ち[11] kG2JpJengr8 2017年1月22日 18:17:14 : 2BKTKiwANE : fOwCCmG45TU[1]

記者会見速記録(同党役員室編集)のURLを以下の通り訂正します。


https://www.minshin.or.jp/article/110727/%E9%87%8E%E7%94%B0%E4%BD%B3%E5%BD%A6%E5%B9%B9%E4%BA%8B%E9%95%B7%E8%A8%98%E8%80%85%E4%BC%9A%E8%A6%8B%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%91%EF%BC%97%E5%B9%B4%EF%BC%91%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%96%E6%97%A5%EF%BC%88%E6%9C%88%EF%BC%89
  
  
http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/503.html#c1

[政治・選挙・NHK229] 「共謀罪」廃止へ決意のブラウス 「反対」まとい街を行く 東京新聞
「反対!共謀罪」と手書きしたブラウス=横浜市中区で


 犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法に反対する気持ちは変わらない−。本紙読者で、横浜市栄区のフリーライターいのうえせつこさん(78)は、そんな思いから、共謀罪に反対する意思を手書きしたブラウスを着て街を歩いている。十一日に法が施行された後も、見知らぬ人から「頑張っていますね」と応援の声を掛けられた。制度に対する懸念の空気を肌で感じている。 (梅野光春)

 法施行翌日の十二日、メッセージ入りのブラウスを着たいのうえさんが、神奈川県鎌倉市のJR大船駅前でバスを待っていると、見知らぬ男性が「頑張っていますね、運動に参加しているんですか」と話し掛けてきた。「私一人だけです。自分で書いたんですよ」と答えて、ちょうど来たバスに乗り込んだ。
 「戦時中の監視社会がまたやってくるのかと思うと恐ろしくて」。法施行を一週間後に控えた今月四日、いのうえさんは、白無地の新品のブラウスの背中に、緑色の布用絵の具で「反対! 共謀罪」と記した。翌日もう一着作り、ほぼ毎日、外出時に着ている。
 五日に鎌倉市の仕事場近くを歩いていると、通り掛かりの女性が自転車を止めた。「最近体調が悪く、共謀罪の抗議活動をしたくても国会前に行けない。あなたのように頑張る人を見るとカンパしたくなる」。そう言うと財布から百円玉を五つ取り出し、いのうえさんに握らせた。
 同日夜、同じ服装で横浜市内の講演会を聞きに行くと、参加した男性に「勇気ありますね」と声を掛けられた。帰りの地下鉄では乗り合わせた女性に笑顔で「すてきです」と言われた。十一日の法施行後も「反対の意思表示はする」と着用を続けている。
 いのうえさんは、戦争と女性の関わりや児童虐待などをテーマにした著作や講演で活躍してきた。「治安維持法のように、国家権力を強化させるのではないか。戦争への道につながるのが怖い」と話す。
 それを防ぐ行動は一人でもできるはず−と始めたのがメッセージ入りブラウス着用だった。
 「街で見かけてくれた人が、家族に話すかもしれない。友達にメールするかもしれない。それで共謀罪の恐ろしさを考えるきっかけになれば」
 たった一人の活動でも、共謀罪を廃止に導くうねりにつながるかもしれない。「カンパや激励…。世の中捨てたものではないですね」。少しずつ手応えを感じつつ、きょうも街へ出る。

2017年7月14日 夕刊


http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/157.html

[政治・選挙・NHK229] 「安倍政権による強権的な国会運営と説明責任の放棄に対する声明」発表記者会見の模様  立憲デモクラシーの会
先日(2017年6月26日)に行いました「安倍政権による強権的な国会運営と説明責任の放棄に対する声明」発表記者会見のやりとりの模様を以下に掲載します。(2017年7月12日)
※出席者のチェックを経た上での掲載となっております。
 
日時:2017年6月26日(月)15時30分〜16時30分
会場:参議院議員会館B101会議室
出席者:山口二郎(法政大学・政治学)、石川健治(東京大学・憲法学)、西谷修(立教大学・哲学)
 
山口二郎(法政大学・政治学)
それでは、時間になりましたので、記者発表を始めたいと思います。本日は、お忙しいなかを集まっていただきまして有難うございます。私はこの会の共同代表をしております、法政大学、政治学の山口です。通常国会が閉幕しましたが、いろんな意味で、議会政治、民主政治を破壊するような出来事が次々と起こりまして、わたくしたち立憲デモクラシーの会としても、何等かの見解を出さなければならないという共通了解を持ちました。メンバーのなかでメールを通していろんな議論をしまして、今、お配りしたような声明をまとめました。今日は、その発表であります。それでは、この声明を読み上げたいと思います。
 
 
『安倍政権による強権的な国会運営と説明責任の放棄に対する声明』 2017年6月26日
 
2017年6月18日、数多くの深刻な問題や疑念を残したまま、通常国会が閉じられた。立憲デモクラシーの会は、「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)の審議入りに先立つ3月15日に同法案への反対を表明し、「立法の合理性・必要性に深い疑念の残る法案を十分な説明もないまま、数の力で無理やり押し通せば、日本の議会制民主主義に対する国民の信頼をますます損なう」と警鐘を鳴らしたが、この懸念が現実のものとなってしまった。
 
形式的に審議時間を消化すれば足りるという態度で、法務省刑事局長を政府参考人として常時出席させて金田勝年法務大臣の代わりに答弁をさせ、最後は参議院法務委員会の審議を一方的に打ち切り、委員会採決を省略し、数の力に任せて本会議で可決させる暴挙に至ったことは、共謀罪法が、政府さえその合理性や必要性をまともに説明することができない悪法であることを明らかにした。立憲デモクラシーの会はひきつづき、このように正当性を欠いた共謀罪法が悪用されないよう注視し、その廃止を求めていく。
 
政府与党が、両院における圧倒的な議席数を恃みに説明や説得への努力を放棄したことがもたらした議会政治の劣化は、今般の通常国会でついに「国会崩壊」と言わざるを得ないレベルまで進んだ。資質や能力において不適格というほかないのは、共謀罪法案審議に際しての金田法務大臣だけではない。稲田朋美防衛大臣、松野博一文科大臣、山本幸三内閣府特命担当大臣らも、南スーダンPKO活動「日報」問題や森友学園・加計学園問題などに関して、何の論理も誠意も見受けられない答弁、さらには明白な虚偽答弁を繰り返してきた。そして、これら適格性を欠いた大臣の任命責任と内閣全体の説明責任の放棄は、いずれも安倍晋三首相が直接その責めを負うべきものである。
 
さらに今国会、目に余ったのは、不都合な事実の説明を免れようと、公文書、公的意味を持つ文書の隠蔽や廃棄が横行したことである。このことは安倍政権の下、議会制民主主義のみならず、法の支配や行政の透明性・公平性の原則が大きく歪められていることを示しており、まさに森友学園・加計学園問題において、首相とその側近や夫人による公権力や国有財産の私物化が疑われていることにも通底する、安倍政権の体質そのものに関わる問題である。
 
国会、ひいては国民に対して説明責任を果たそうとしない安倍政権のふるまいは、公権力が私的な人間関係により簒奪されているとの疑惑を深めている。新たな文書の存在が明らかとなったにもかかわらず、閉会中審査や関係者の証人喚問を拒絶しとおして「疑惑隠し」をもくろむなど、国民主権を無視した暴挙である。すでに野党議員が憲法53条の定めに従って臨時国会の召集を求めた以上、内閣は速やかに臨時国会を開き、説明責任を果たさなければならない。
 
 
山口
では、今日出席のメンバー、まず西谷さんからコメントをお願いしたいと思います。
 
西谷修(立教大学・哲学)
 ちょっと今日はメンバーが少ないんですけれども、この声明そのものは、いろんな人たちの意見を加味して、ここには名簿がありませんが、呼びかけ人60数人が加わるかたちで作成しております。ということで、とても私などではその皆さんを代表するには心もとないんですが、私のつけ加えるべきことを少し述べさせていただきます。
 実は、共謀罪の法律そのものについては、これが民主政治にとっていかに危険な法律であるかということとか、すでに三回も廃案になったうえで、また出てきたとか、国際社会からも危惧が示されているといったこと等については、もう批判は十分出ています。それが最後に強行採決されたということについても各所から抗議声明が出ています。それにさらに重ねて、われわれが今日、国会が閉じたこの時期に声明を出そうとしたのには、二つ意図があります。一つは、やはりこの事態を立憲デモクラシーの会として座視してすますことはできないだろうということ。われわれの会は、立憲主義、つまり憲法を立て、それに準拠して作られた法体系のもとに社会が運営されるという考え方ですね、それと、それを民意によって、政治のなかに実現していく、これが、デモクラシーですけども、そういうものを軸にして考えようというこの会が、今回の声明のなかにもあったような、「国会崩壊」とも言うべき事態を、やはり座視することはできないということです。もはや国会が議論の場としての体をなさず、政府は説明責任を負おうとしない、そんな状態の中で共謀罪を通してしまう。そして、次々と浮上する疑惑の追及も切り捨てるようにして国会を閉め、かつ国民の耳目をつぎに移そうとして改憲アジェンダをまで設定してくる。そういうことが、この日本の社会で実際に起こっているわけです。そのこと自体が、実はとんでもないことだということを、はっきりわれわれは打ち出して、そのことに関して警鐘を鳴らしていかないといけない、そう考えたからです。
 それともう一つは、とりわけこういう会を設けて、例えば、立憲デモクラシーの会がここで意見を公表するということは、メディアの皆さん方を通して、この危機感を社会化していく、こういう見方を社会化していきたいという試みなわけです。だから、メディアの皆さん方がいなければ、われわれのこのような働きかけ、呼びかけというのは一切意味がないわけです。にもかかわらず、そのメディアの方がたに、私たちは多くの語りたいことがある。
 メディアというのは媒介です。たとえば、われわれと社会一般との媒介ということですけれども、その媒介を担う人たちに、むしろ語りかけたい。というのは、最近の一番のトピックと言いますか、それは市川海老蔵さんのご夫人が亡くなって、海老蔵さんが会見をしたことではなくて、前文部次官の前川喜平さんが、あらゆる障害を押して、公務員の鏡とも言うべき責任感と勇気をもって、この間の文科省が関わった事態について会見を行われたわけです。その前川さんの会見のなかで、前川さんがとくに強調されたのは、現代の日本の社会の「メディアと権力」との関係ということでした。メディアはいま権力の言うことをそのまま伝えたり、あるいは今の権力のふるまいを論評なしに伝えている。そして権力がいろんなかたちでメディアに圧力をかけ、メディアをコントロールしている。そういうなかで、発言していくということの困難さと危険のようなものを前川さんは強調しておられた。
 私なども常々思っていることですが、この間に何か起こったかというと、声明の3節目あたりでふれていますが、まず自衛隊の日報をめぐる問題が起きます。それを稲田防衛大臣がきちっと把握していなかったとか。そして、軍事を預かる政治家としての資質、あるいは大臣としての資質が問題になる。これは大問題なんですけれども、ともかく官邸は「問題ない」として逃げ切り答弁でごまかし、稲田大臣は責任もとらずにそのまま職にとどまるわけですね。そこに森友学園問題が出てくる。それによって、今の政権が行っている政治の実態の一端が露見してくる。お仲間優遇の権力私物化、それも安倍晋三記念小学院というわけですが、知らぬ存ぜぬ、書類はなし、でそのこと自体が問題になってくると、今度は、わざわざ今やらなくてもいい、そしてとてつもない悪法と言われる共謀罪というのを国会に出してくるわけです。もっと大きな土石流を作って状況を押し流すというやり方です。そうすると、世間の目がそちらに移ります。そしてその共謀罪のまったく不誠実な審議を通そうとしているときに、加計問題が出てきて、さらに混乱してくる。
 すると政権は横合いからさらに大きな決壊を引き起こしてきます。それが新手の改憲の具体的テーマと日程です。そしてその大きな決壊が、いままでの土石流を飲み込むようにして、これもはっきり言っていいと思いますが、国会で言ったことでも何でもなく、わざわざ読売新聞を通して発表したそれが、今の日本の政治のアジェンダになってしまうのです。そうすると、2020年のオリンピックまでに憲法改正をやるということは既成事実であるかのように扱われ始めます。こういうふうにして、毒に対してさらに大きな毒を、あるいは事故に対してさらに大きな事故をかぶせ、大きな濁流を作ってしまう。これが「戦後レジームからの脱却」というか、「戦後レジーム撤去」という例の路線の貫徹ですよね。こういうことが起こっているのに、そんなふうには報道されない。一つ一つ微視的に、「ここにがけ崩れ何トン、今度はこちらに」とか、そんなことだけしか報道されないわけです。
 だから、メディアは一体何をしているのかというふうに、われわれは思わざるを得ない。そういうことを、今の政権はなんと言うかというと、「岩盤規制の突破」と言うわけです。つまり「戦後レジーム」というのは彼らにとって、壊せない岩盤だったんですね。それを次から次へと大きなドリルの歯を持ってきて、次々に崩しながら突破する。これがアベノミクスの新兵器、これで経済を活性化するんだというかたちでやるわけです。そして、国会に関しても、何時間審議したから「これはもう決めていいんだ」「これが決められる政治」とか言って「決断力」を売りにする。こういうのをまさに「ポスト・トゥルース」の時代というんですけれども。
 民主主義社会で、メディアの最大の役割は何かというと、権力の振舞いを見えるようにすることです。ただ伝えるのではなく、批判的に事実を評価しながら語り下ろしてみんなに見せる、それがメディアの役割のはずです。選挙で議席は決まります。議席が決まって、委託を受けたとされる権力ができる。そうしたらその権力のやることは常に監視しなきゃいけない。そして、ひどいことをしたら規制もしなきゃいけない。その規制のためには、警察があり、司法があります。ところが、この警察・司法も今の政権下ではどうなっているか。皆さんご存知ですよね。とりわけ一番ひどいのは、官邸に近い記者が、とんでもない犯罪を犯しても、警察の上層部を使って不起訴にしているわけです。このことは、大メディアは報道したがりませんね。誰でも知っている大問題なのに。でも、それが素通りされてしまうというのが日本の今のメディア状況です。
 だから、こういう事態の下で、メディアの役割というものをしっかり考えてほしい。今メディアが動かなかったら、日本の状況は変わらないでしょう。国会を吹っ飛ばして、国会を空洞化して、次から次へとさきほど言ったような「岩盤突破」が行われていく。それが何事でもないかのように扱われて、おそらく10年後に「あのとき、私たちがこうしていれば」とは言ってほしくない。10年後に反省してもらっても遅いんです。ということで、こういう機会を作ることで、メディアの方がたにも考えていただきたい。そして、なかなか表に出にくい、あるいは大きな声になりにくい声の媒介を、メディアの方がたにお願いしたい、そういう思いもあって、小さい形ですけれどもあえて会見を設定したということです。
 
石川健治(東京大学・憲法学)
 現状における国会運営についてさまざまな見方が可能だと思いますけれども、立憲デモクラシーの会として発信しなければならない問題というのは、例えば共謀罪なら共謀罪、その他個別の論点についての賛否を越えて、立憲デモクラシーがすでに破壊されているという事態に、警鐘を発することなのではないかと。これが少なくとも最低限の要請だろうと、わたくしは受け止めてここにおります。
 立憲主義というものの定義はなかなか難しいのですけれども、例えば、戦前の標準解答は何だったのかというと、自由主義と、民主主義と、そして責任主義の三点から構成される考え方、という定義でした。人によって力点は違いますけれども、一番大事なことはこのうち責任主義だったんですね。立憲主義が自由主義であるということは自明のことなんですが、しかしこの立憲主義と民主主義というものを、どう向き合わせるかというのはなかなか難問で、大正政変以降、日本の憲法学はこの問題に取り組むことになったわけですが、そのなかで出した答えは、責任主義というものを梃子にして、自由主義と民主主義をつなぐ、言い換えれば、立憲主義とデモクラシーをつなぐと、こういう発想だったわけです。立憲デモクラシーは、つまるところ、責任政治なのです。
 この「責任」政治という場合の責任は、まず何よりも、国会を媒介とする「政治(的)責任」です。それに加えて、先ほど西谷さんがメディアの話をしていましたけれども、メディアが発達するなかで、メディアを媒介とする「社会的責任」というものも発生すると観念されていました。これは直接には、当時の日本の憲法学者が参照した、ドイツの議論がそう言っていたわけなんです。国会という媒介(メディア)を通じて現れる政治責任とは別に、当時は新聞紙でしたけれども、新聞紙をはじめとするメディアを通じて発生する社会的責任というのがあるんだ。そして、政府は、国民に対して、政治的責任だけでなく、社会的責任を負っている。そういうことを言っていました。それらを視野に入れたうえで、広い意味で責任主義ということを戦前日本の憲法学者は語っていて、これが立憲主義の、現在でも最低限の要請なんだろうと思います。
 この責任主義の第一歩というのは、問責方法としての「質問」と、それに対する「説明」責任です。この責任主義のいわばアルファは、この質問とそれに対する説明なんですね。これに対して、オメガとなるのは、最終的には問責方法としての不信任決議と、それに対して連帯しての総辞職という対応になるわけですが、そういう広いスペクトラムのなかで責任というものが発生していると。その責任主義を梃子にして初めて、立憲主義とデモクラシーを結びつけるというのが、戦前の標準回答だったと、こういうことなんです。
 この物差しを今あてはめてみると、何が起こっているかというと、まさに責任主義の消失ということなのではないかと思うわけなんですね。責任の、とりわけ政治責任の第一歩は説明責任であるわけですけれども、質問に対して説明をしない。そもそも、「国会を開いているとろくなことがないので、早めに閉じてしまおう」と。これはまさに、説明責任の放棄であるわけですが、この説明責任の放棄ということは責任主義の放棄であり、結局、立憲主義の放棄につながっている。この問題はやはり、ここで強調していく必要があると思うんですね。
 ですから、それぞれの法案に対する個別の立場はあるでしょうけれども、こうやって、本来国会で説明しなければならないのを、読売新聞へのインタビュー記事で済ませるとか、あるいは十分な審議が尽くされていないにも関わらず、説明しないまま先へ進めてしまう、という顕著な現象が現れているわけで、これは説明責任の否定であり放棄であって、結局これは責任主義の放棄であり、立憲主義の放棄につながっている。こういうつながりでぜひ捉えていただきたいというのが、第一にここで申し上げたいことです。
 そうなると、立憲主義の危機そのものであるということがご理解いただけると思いますが、先ほどのいわば戦前の説明をここで当てはめますと、現在は国会が閉じてしまいましたので、改めて臨時国会が始まれば政治責任の世界になりますが、政治責任の世界から社会的責任の世界へと、アリーナが移行しつつあるという状況なんだと思います。そこで、先ほどの西谷さんのご発言が生きるんだと思いますが、ここからはやはりメディアが勝負というところになるんじゃないかと思うんですね。
 十分に社会的責任を、とりわけ説明責任をメディアに向けて果たしているかどうかということを、ぜひ質問していただきたい。国会における質問に対する説明という政治的責任のアリーナから、これからはメディアを通じた社会的責任のアリーナに移っていこうとしているのではないかということで、とりわけその点は皆様方にお願いをしておきたいというのがございます。これが二点目に申し上げたいことであります。そういう社会的責任のアリーナであり、国会とは違うもう一つの媒体として、これからはぜひ、メディアの皆様に期待するところが大きいと。そして、そこも突き破られてしまうということになりますと、まさに立憲主義の土俵際ということになってしまいますので、ぜひその点は、そういう社会的責任のアリーナとして報道していただきたいということを、お願い申し上げておきたいと思います。
 三つ目ですけれども、「民意」というもののあり方について、一言申し上げておきたいと思います。国会というのは、確かに民意の媒体、しかも公式の媒体ではあるわけですが、しかしそれが正しい意味で民意なのか。あるいは、正しい意味で国民代表になっているのかという、その論じ方については熟考を要するのではないかと思います。この点は、あえて戦前でもそうだったという話をさせていただきますが、1934年に宮澤俊義という憲法学者が出した論文のなかで、国民代表の概念を扱ったものがあります。
 当時、宮澤先生の師匠の美濃部達吉は、帝国議会を代表機関であるというふうに言いまして、帝国議会を通じて民意が現れる、言いかえれば、帝国議会の外にいる群衆というのは民意ではないのだ、という議論をしていたんですね。帝国議会は何のためにあるのかというと、民意をつくるためにあるんだと。代表機関であると。こういうふうに説明をしていたわけです。
 しかし、これに対して弟子の宮澤先生は批判をいたしまして、それは現実には民意でもなんでもないものを民意であると呼ぶことによって、支配者に奉仕をする議論になっているということを言って、師匠の美濃部達吉を批判したわけです。
 この際に参照していたのは、カール・マンハイムという社会学者の議論なんですね。『イデオロギーとユートピア』という本の名前をどこかで聞いたことがあるのではないかと思いますが、それを宮澤先生はよく読んでおられまして、現に帝国議会が国民代表だと言ってしまうと、これは支配者の利益になる。ごく限られた少数の支配者の支配に過ぎないものを覆い隠す、イデオロギーになってしまうだろうということを述べたわけですね。しかし、これがイデオロギーにしか過ぎないのだということを明らかにし、それをこれから目指すべき理想に転化をすれば、それは被支配者、民衆の利益になるんだということをおっしゃった。
 これは現在でも有効な議論だと思うんです。現に国会が民意そのものだということはあり得ない。近似的に民意だということはありますが、民意そのものであるということはあり得ないわけで、それを現に民意そのものだと言ってしまえば、現に権力を握っている人間の利益になる。しかし、これから目指すべき民意というのが、まだこの先にあるのだということになれば、「民意」は民衆の利益になる、被支配者の利益になるという議論をなさっていたわけです。
 どうも最近気になりますのは、「国会で与党が多数をとっているのは民意なんだから」という論調です。確かに、美濃部ふうに、公式の民意であると言ってもいいんですけれども、ことさらに「民意なんだから、民意なんだから」ということによって、誰の利益になっているのか。端的に言うと、現に権力を握っている官邸の利益になっているということなんですね。ここは、とりわけ民意のもう一つの媒体としてのメディアの皆さんには、よくよく考えていただきたいと思います。
 現にそこに民意があると言ってしまえば、それは官邸の利益になるイデオロギーです。ただでさえ強い官邸を、これ以上強くすることはないでしょう。そうではなくて、「民意」をここから目指すべき理想に転化するような、そんな議論の仕方。国会とは違う、もう一つの民意の媒体を握っておられる皆さん方であるだけに、それを追求していただきたい。「民意」はこれから接近すべき理想だというイメージで、この先にある「民意」を、ぜひ報道していただきたい。民意が現にこうだからと決めつけると、結局は官邸の利益になる、そういう議論をしていることになるのだということを、この宮澤先生の着想からぜひ汲み取っていただきたいというふうに申し上げて、さしあたりわたくしの話は終わらせていただきたいと思います。
 
山口二郎(法政大学・政治学)
 わたくしからも一言。今、思っていることは、近代的国家から家産制国家への逆行であると、私はあちこちで書いています。家産制というのは、家の財産と書きます。要するに、法の支配が確立する前、家産制の国家というのは、要するに国家において公と私の区別がない。国は権力者の私物である。権力も、権力者の私物である。だから、私的な利益のために使うのは当たり前。これが家産制国家なんですね。もう一つ、家産制国家における官僚、家産官僚というのは身分的な従属関係。だから為政者、権力者が黒を白と言ったら、官僚も黒を白と言わなきゃいけない。これが家産制です。マックス・ウェーバー等、いろんな学者が説明していますけれども、近代国家というのは権力を持つ人の個人的な意図とか恣意とか利害というものと公の権力の運用、公の財産の処分の仕方などをはっきり区別する。それから役人、官僚は、法に従って仕事をする。身分的な従属関係ではない。法に従う限りにおいて上司の命令を受ける。こういう概念で近代国家というのを説明したわけですけれども、安倍政権はいわば家産制国家に逆行を起こしている。森友、加計問題というのは、要するに財産や権限を私的な目的のために、えこひいきのために使う。さらに役人は為政者の指示ないし忖度によって、公文書を廃棄し、あったことをなかったことにする。こういう現象ですね。そのなかで前川さんたちがやったことは、自分たちは近代官僚であって法に従って仕事をしている。為政者に身分的に服従する存在ではないということを言いたかったわけだろうと思います。だからこれはもう本当に、深刻な病理であるということです。
 もう一つ。やはり、議論に対するニヒリズムというのがここまでひどくなると、これはもう議会政治の否定である。つまり、国会の質問というのは、何の意味があるのかと言ったらやっぱり意味があるんです。国会で法律を所管する担当官庁の責任者が、さまざまな答弁をするということは、その法の運用について非常に大きな影響を残すわけですから、とりわけ委員会審議って大事ですよね。ところが中間報告という手法で、参議院の委員会審議を途中で打ち切り、採決もせず、本会議で可決をするというのは、国会自身が国会における議論の意味を否定したということです。これは国会の自殺としか言いようがない現象だと思います。ということで、ちょっと何とも形容のしがたい議会政治、立憲主義の崩壊現象を目の当たりにして、大変な危機感を持っているということであります。
 
山口:石川さん、53条にもとづく臨時国会の開会の要求について、政府は応えなくてもいいのかという憲法上の論点について、まず解説をお願いできますか。
 
石川:これは2015年の秋にも起こったことですので、釈迦に説法の話になってしまうかもしれませんけれども、一応お話させていただきます。
 まず内閣が、臨時会の召集決定権を持っているということ。これは、53条に書いてあるわけです。ただ、前段は「決定することができる」というかたちで書いてありますので、臨時会を開くこともできるし、開かないこともできるということなのです。けれども後段に、今、山口さんがご指摘のように、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」、という義務づけの規定になっているということです。義務づけがあるということ、ここが非常に大事なわけですね。
 これが何を意味しているかというと、もし国会の召集決定権を内閣に完全に委ねてしまうと、結局、国会の活動能力が内閣によって左右されることになってしまいますので、そこで、国会が自ら立ちあがれるようにしておこうということです。いわゆる他律型ではなく自律型を加味した国会をつくろうということです。さらに加えて、要件が4分の1ということ、これがポイントなんですね。
 法律で4分の1の要件を書くことって、非常に珍しいんです。例えば、会社法関係だと大抵3分の1なんです。わたくしの親しい友人で、あえて名前は伏せておきますが、いわゆる4大事務所の1つにお勤めの大弁護士がおられまして。その方のお嬢さんがパパに「臨時会というのは、それぞれの議院の総議員の何分の1の要求で、内閣が召集しないといけなくなるんでしたっけ」ときいたら、パパは自信を持って「3分の1」と答えてしまって権威を失ったと。それから、娘は二度と憲法や法律のことをきいてくれなくなったと、大弁護士は言っていましたけれども。
 ことほど左様に3分の1が多くて、4分の1は珍しい。4分の1というのはどういうことかというと、マイノリティにイニシアティヴがあるということなんです。少数派の会派であっても、国会の召集を要求できるんだ、というのがポイントなんですね。普通の要件よりもハードルを下げてある。しかも、衆参どちらかの少数派の会派の要求がありさえすれば、充分なのであって、それで内閣は国会の召集を決定することを義務づけられる。これが憲法の意図であるわけですね。
 ですから、この義務づけは、非常に重大な意味を持っている。それにもかかわらず、安倍内閣は、あの安保法制の2015年に、義務づけられているにも関わらず、とうとう召集しなかったというかたちで、憲法を破った実績を持っている内閣であるということですね。ですから、お二方がおっしゃっていますように、立憲主義や議会主義の崩壊のプロセスは、確実に着実に進んでいて、今日さらに進行しているという様がよくわかると思うんです。それだけに今回は、何が何でも要求をして、要求に従って臨時会を開いてもらわなければいけないと、こういう理屈になるというわけです。
 
 
【質疑応答】
 
質問1:今日の声明は国会に関するものですが、国会の外では安倍さんやその周りの人たちが憲法改正に向かってアクセルをふかしているという状況だと思います。他方でこの件については、それほど物事を考え詰めて発言されているとも思えない面があり、関係者のなかからも「今、想定されている改憲には緊急性もなければ、大きな必要性もない」という声が聴こえてきて、何を考えているのかがわからないところがあります。他方で首相は読売新聞の最初のインタビューで、自衛隊について「合憲化」という言葉を使っており、それはつまり「違憲」の存在だと考えているという節があります。そのあたり、議論の仕方が乱暴だと思われるのですが、石川先生はそのあたりをどのようにお考えでしょうか。
 
石川:まず迂遠なようですけど、先程の補足でもありお答えの前提にもなる話を二、三させていただいた上で、ご質問にお答えしたいと思います。
 まず、第1は、これは先ほど申し上げたことの繰り返しですけれども、さまざまな見解が対立するなかで、すべての立場にとって共通の前提条件が損なわれようとしている、ということを、ここでも強調したい。
 例えば加計問題は、ともすれば、岩盤規制や特区制度の是非に関する話に、論点をずらされてしまっているわけですが、是か非かどちらの立場に立つにしても、これでいいはずがないというところの仕組みが壊されているし、前川さんもその部分を訴えようとして出てきているんだと思います。
 彼も、もちろん私的な利害をお持ちですから、ご自身の個人的利害や古巣の文部省の省益も関係があるのでしょうけれども、しかし、そのご自身や文科省の利害を越えたところで問題を出しておられるように、思われます。われわれも岩盤規制がいいんだとか、あるいは特区制度がけしからんのだということを、ここで言っているわけではなくて、それらに対する賛否を越えたところで、問題が起こっていると考えていただく必要がある、ということです。
 ですから、ご質問についても、個別問題の賛否の論点に矮小化しないように議論をしていきたい、ということを、まず申し上げておきたいと思います。そうでないと、論点がずらされてしまいます。
 それから、第2の問題として、改憲提案の性急さにも現れているように、決定にかかる時間的コストの問題を、関係者が真面目に考えていないということの問題性を、指摘しておく必要があると思います。
 多数決でいいのであれば、これは頭数を数えれば、時間をかけずにたちどころに問題は決するわけですよ。ですから、審議時間を問題にするというのは、別のところに本来のねらいがあったはずです。それは結局、コンセンサスとか合意であるわけで、多数派と少数派が歩み寄って合意を目指すというデモクラシーが、本来、日本のデモクラシーだったわけですね。
 そして、合意を目指すためには、時間的コストがかかる。だからこそ、審議時間が問題になっていったというのが、本来だったと思うんです。けれども、現在、その審議時間に関する問題意識が完全に形骸化、形式化していて、ただ単に時間をかければいいという話になっている。最初から歩み寄るつもりがない。だからもう、共謀罪についても、待ちきれずに多数決ということになるわけで、あえて時間的コストをかけることの意義に対する思いというのが薄い国会になったな、という印象があります。ここにもやはり、これまでの議会制の変質というのを、見てとれるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 そして、第3に、ご質問の前半に緊急性の有無に言及されたことに関連して、今後の憲法改正論議のなかで、緊急事態条項の話が蒸し返しになる可能性がないとは言えませんので、これについても一言申し上げておきたいのです。かねてわれわれが緊急事態条項を批判してきたのは、「緊急事態が起こらない」ということを主張しようとしていたからではなくて、客観的に言って緊急事態というのは起こりうるけれども、問題はそれを誰が判断するかであり、ここで緊急事態を主観的に判断する資格を内閣総理大臣に与えることの是非でした。
 今回の国会で一つ明らかになったのは、やはりこういうかたちで緊急事態の判断を主観化するということについて、危機感を持たなければいけないな、という問題です。本日の声明のなかでも問題にしていますけれども、委員会採決を省略して、中間報告をさせて一気に本会議で可決という、この手続きを採るためには緊急事態があることが前提なわけですね。いまそこに危機があるという判断を、官邸が主観的にしたからこそ、政権与党が牛耳る議院が委員長に中間報告だけさせて委員会への付託を打ち切ったわけですが、果たしてこの共謀罪の制定の、どこに緊急性があったのか。少なくとも、今日の明日にも何か起こるという状況には、まったくないことが明らかで、緊急性があったとすれば、加計問題を抱える官邸が緊急事態だったという、自己都合だけですね。
 こういうことになるのであれば、なおさら憲法に緊急事態条項をつくって、緊急性の判断を委ねるわけにいかない、ということになりはしないか。これぞまさしく、「立憲デモクラシーの会」的な危惧を抱かされる、そういう事態を目の当たりにしました。そのことも考慮に入れて、ご質問の9条をめぐる憲法改正について、お答えしたいと思います。この論点は、今日の声明の本題とは違いますし、すでに前回の記者会見で取り上げたばかりですので、あまり重複感がないように話したいですから。
 で、その折に、「なぜ今、憲法改正をしなければいけないのか、それは必要不可欠なのか」、ということを厳しく衝いてゆけば、改憲の本当の動機は、ほかのところにあることが、あぶり出されてくる、という話をいたしましたね。実際、「いま本当に必要なのか」というふうに執拗に問い詰めれば、本当に今すぐやらなければいけないというわけでもない、ということが明らかになるはずなんですよね。現状と何も変わらないと、安倍さんご自身がおっしゃっているわけですから。すぐにでも改憲しなければいけないという緊急性はないと、自白しておられるわけです。
 先程は、共謀罪に関する委員会審議の省略に関連して、本当は緊急事態がないにもかかわらず、緊急性があるかのようなふりをして、加計問題に幕を引くという隠された動機を実現しようとしている、という主観性の問題に言及いたしましたが、それは、まさに同じ構造の問題が今回の9条の改正提案にもあることを、申し上げたかったからです。
 そこで、ご質問の1番の中心である、改憲による自衛隊の合憲化という主張について、です。政府解釈による限り、すでに自衛隊に正統性を付与できているはずで、9条を改正する必要は存在しないはずなのに、変ですよね。語るに落ちているという感じがないことはない。「ほんとうは、政府解釈は間違っていると、自分も思っている」というやましさがあるのではないでしょうか。
 しかし、安倍さんは、建前上はこれまでの政府見解に則って、自衛隊は当然に合憲だということを言ってきたし、その解釈を拡大して、あれだけの反対を押し切って安保法制を実現した。その手前、憲法学者に責任を転嫁するわけです。改憲をしなくてはならなくなったのは、自分ではなく、憲法学者が悪いんだと。依然として自衛隊から正統性を剥奪し続ける、憲法学者の違憲説を封じ込める必要があるから、9条の加憲を求めている、ということですね。
 本音の部分では、自衛隊を合憲化し、強引に安保法制まで実現した政府の9条解釈について、誰よりも安倍さんご本人にやましいところがあるので、その責任を憲法学者に転嫁をして、自己を防衛する心理が働いているのではないか。そう受け止めるのが一番的確なのではないかというふうにわたくしは考えています。
 けれども、その結果として、現在9条から発生している、正統性の剥奪によるコントロールのメカニズムを取り去ってしまうことになり、自衛隊を憲法上無統制状態におく、最も危険な提案になってしまっている。そういう説明を、前回の記者会見ではさせていただきましたが、ここで詳細を繰り返すのは控えます。以上で、さしあたりのご説明に代えさせていただきます。
 
西谷:一言いいですか。私は憲法学者ではないので、立ち入った議論には踏み込みませんが、ごく普通にこの憲法を受け止めて多少考えている立場から言いますと、安倍首相が今回、自衛隊の違憲性を払拭すると言ったのは、「では、今、違憲だというのなら安保法制どうなるんですか」という質疑がすぐ来ないとおかしい。それだから異論のない読売新聞で発表したということでしょうが、まともな記者会見とか、ほかの議論の場所なら、そういう突っ込みがまず来ないとおかしいでしょう。アメリカやフランスならすぐにそうなります。これも、メディアの姿勢の問題です。
 自衛隊の違憲性を云々するのであれば、集団的自衛権の行使が可能だとした、あの閣議決定は何なのか、という話にすぐに戻らなくちゃいけない。南スーダンの派遣もそうです。
 もちろん、今の憲法が、国際状況の現実に照らして法理としてすべて対応できるようになっているかと言ったら、そんなことはないでしょう。けれども憲法は、現実をすべて律するべく項目を尽くしている必要もない。だから、多くの人たちが、憲法の手直しについていろんな意見を出しています。けれども、だから「変える」ということだけを先行させてそのような多様な意見を一気に巻き込もうとするというのは、憲法を扱ううえでは乱暴すぎるでしょう。
 自分たちがこの数年間、秘密保護法以来やってきた違憲状態とも言いうるプロセスに一切蓋をして、むしろそれをこの改憲に利用してくるというのは、あまりに無体です。改憲を語るより、まずこの政権の政治姿勢そのものが問われないといけない。それを吹き飛ばすような報道もおかしいということです。
 
質問2:山口先生におうかがいしたいんですが、6月24日に神戸で安倍首相の講演があり、秋の臨時国会での衆参の憲法審査会で「とにかく改憲を出す」という発言をしたのですが、これに関してはどういうふうにお考えでしょうか。
 
山口:5月3日の読売新聞インタビューで、今度は『正論』主催の講演会での発言ということで、専ら身内、仲間に対して改憲のメッセージを出していて、一つの政治的流れをつくるという手法は共通しているわけですよね。そこまで憲法という重要な問題についていろんなことを考えているんだったら、まさに国会を召集して、国会議員に対して、国民に対して、おのれの理念、所信を述べるべきではないか。ますます国会を開かない理由がなくなったというのが、私の最初の感想でした。
 それから中身について、皆さんが自民党の案を作るということであれば、外部から批判をするというのは筋違いなのかもしれませんけれども、それにしてもやはり、この間何年もかけて自民党の憲法改正案を議論してきた作業と、これから秋の臨時国会まで3か月でなにか正案をまとめようという話と一体どう整合をつけるのか、まったくわからない。本当に真面目な改憲論議ではないと言わざるを得ない。ついでに言うと、獣医学部を全国展開するというのもちょっと呆れましたよね。如何に自分がやましいことをしていたかということを自白したようなものですね、あれは。
 
質問3:5月3日の憲法改正発言でもそうでしたが、最近の政府の姿勢で目立つのが、自民党総裁としての立場と総理大臣の立場の使い分けのようなことが見られるのですが、そういうことについて憲法学上あるいは政治学上の見解はどうなのでしょうか。
 
石川:まず、その自民党総裁という立場と内閣総理大臣の立場を仕分けしにくいのが議院内閣制である、ということを申し上げておく必要があると思うんですね。例えば、9時5時のサラリーマンであれば、5時から後はプライベートだと言えるわけですけれど、議院内閣制の場合には、公私を論理的には切り分けられるけれども、実際上はきわめて切り分けが困難である。しかも、同じ内閣の構成員であっても、国務大臣に比べて内閣総理大臣のほうが、より困難だということです。さらに、総理総裁を兼ねている場合は、一層困難であるということが、まずあるわけです。
 観念上はもちろん、憲法の名宛人は国家であって、99条の憲法尊重擁護義務が課せられているのは、国家公務員としての立場においてでありますので、内閣総理大臣としての立場では憲法尊重擁護義務を課されていても、自民党総裁としてはフリーであるというのが、まさに日本国憲法のよさではあるわけです。けれども、議院内閣制のもとでの内閣総理大臣というのは、その切り分けが非常に難しいということです。これが、象徴としての天皇ということになりますと、もう論理的に不可能だということになりますが、内閣総理大臣の場合も非常に難しい。
 ですから、自民党総裁としてなら改憲提案をしてよいというのは、極めて技巧的な説明で、観念的には成立可能な説明であるけれども、そんなに簡単に容認できる話ではないんですよね。あくまで観念上の技巧的な説明に過ぎないというふうに申し上げておきたいと思います。
 
山口:政治学のほうからひとこと言うと、議会において、与党、野党あるいは政府と野党との論戦というのがあるわけですけれども、もちろん行政府の長たる内閣総理大臣に対して野党が質問、追及して議論するという関係性が主ですけれども、当然、政党内閣、政党政治ですから、多数党の党首に対して少数党の党首が質問、追及して、その間で論戦するという多数党対少数党という関係性もあるわけですよね。「国会のなかでは、総理大臣対国会という関係性でしか議論しない」と勝手に土俵を狭めるというのは、これは議会政治の意味をはき違えているというか、議会政治をとても狭く設定している勝手な議論だというふうに思います。
 
質問4:強権的な国会運営に関わることですが、憲法について最近首相の近辺では、憲法審査会は一応多数決で決められるわけで、憲法改正案を多数決で決めてしまおうという議論が出てきています。これについてどう思われるか。もう一つは、その先にある国民投票ですが、これまでのいくつかの世論調査のなかでは6割程度が9条改正に反対であり、否決されるリスクもあります。「自衛隊を明記する」という改正案であれば自衛隊が否定されることになり、日本の安全性にリスクを伴うこともあるのではないかと思われますが、そのあたりのことはどのようにお考えでしょうか。
 
山口:まず憲法審査会の話で、まあ憲法改正というのはやっぱり、国会の3分の2に加えて、国民投票という非常に高いハードルがあって、かなり大きなコンセンサスが存在しているところで憲法改正をするという前提があると思います。多数決で何か物事を決めるということは、あまり好ましくないと個人的には思いますが、とにかくその多数決でも決めてしまうということを与党がするのであれば、それも含めて与党が進める憲法改正の本質を国民に知らしめるということに、たぶんなっていくんだろうと思います。
 国民投票の話なんですが、一つ危惧するのは、安倍さんが言った9条3項について反対をするとすれば、「では自衛隊は違憲と言いたいのか」のような、ちょっと論理をすり替えたキャンペーンを、安倍さんや自民党が仕掛けてくるという可能性は確かに私も危惧しているところなんですね。だから、まずは9条3項という提案自体の非論理性、破たん。さっき西谷さんが言った、じゃあ安保法制、集団的自衛権のあの閣議決定はなんだったのかというような形で、安倍首相の9条3項そのものの杜撰さについて、まず入り口のところでしっかり議論をするということが、まずは私の考える憲法擁護側の課題かなと思いますが。
 
石川:今回の安倍さんが投げて来られたボールに対して、各方面なかなか苦慮しているという話をうかがうんですけれども、これは前回のこの会の記者会見で申しましたように、やはり「現状から見て、何を加え、何を失おうとしているのか」ということを考えてみるのが大事だということですね。
 繰り返しになってしまいますけれども、結局現在、9条が根拠になって発生しているある種の軍事力コントロールのメカニズムが、とりさられてしまうという帰結をもたらすということ。これが現状から失うものであるということは、はっきりしているわけで、その部分の検討なしに突っ走ろうとしていること自体が問題だということを、まずは言っていく必要があるんじゃないかと思います。何となく「現状を追認するだけならいいじゃないか」という議論ではないのだというところを、まずは最初に訴えていくというのが第一段階ではないかと思います。
 ですから、今回の安倍さんの投げたボールそれ自体が、厄介なクセ球でもなんでもないことは明らかだと思うのですが、その後の展開が難しいだろうなと思います。たしかに、このままの改憲提案が突っ走って、しかも国民投票で否決されて、自衛隊の立場がなくなるという可能性も、ご指摘の通りにあります。しかし、そういう展開よりも、「9条3項をつけ加えることによって、現に戦後70年機能してきた軍事力コントロールのシステムが、憲法上消えてしまう」とここで強調したのに対して、「なるほど、それはいけない」と、9条に代わる軍事力統制のオルタナティブを出そうという展開になってきた場合にどうするか、ということをわたくしは心配しています。
 例えば、実際に2012年の自民党改憲案には、不十分ながら、シビリアン・コントロールによる軍事力統制の考え方が打ち出されています。それを安倍提案につけ加えればいいじゃないかと言ってきた場合に、それでは足りないと打ち返せるだけのものを、こちらで用意しておかなければいけない。わたくしや、あるいは前回の記者会見でお隣に座ってお話をされていた青井さんは、やはり9条方式以上にうまくいっている軍事力コントロールの方式というのは、世界中に存在しないのだ、ということを言っているのですが。
 それを議論しようとすると、9条と自衛隊の論理的整合性の問題に、これもしばしば論点をずらされてしまいますので、なかなかややこしいのですけれども、それとは別に、現に日本が戦後70年持ってきた軍事統制のメカニズムというものをどうするか、という論点があって、既存のメカニズムに替わる代案があるのかどうかという問題だ、と考えていただければいいのです。そして、現状は非常にうまくいっているわけですね。なんでうまくいっているのかということを解明しないで、より性能の悪いことがはっきりしているものに取り換えようとしている、というのが、たとえば自民党改憲草案に対するわれわれの批判です。
 そうでありますだけに、なぜこれだけうまくいっているのかという説得的な説明を、われわれができるかどうか。他方で、向こうが、よりまともなシビリアン・コントロールの代案を出してこられるかどうか。そういう戦いになってきたときが、厄介なのではないかと思います。9条論の強みというのは、現にうまくいっているという、この現状ですよね。現状における盤石のパフォーマンス、これが頼りになっています。世界的にこれだけうまく軍事力がコントロールされている国はない、と言ってもいいぐらいではないかと思いますけれども、現にうまくいっているという事実が頼りです。
 しかし、自衛隊それ自体に対する国民の高い支持を前提として、コントロール方式の勝負になってきたとき、そこでどうやって闘うのかというのは、山口さんもおっしゃったように、そこは厄介な戦場に入っていくことになるのではないか。それにもかかわらず、そこに入る前に、コントロールをすべて取っ払ってしまうという最悪の選択だけは、やはり避けなくてはなりません。その最悪の選択に、うかうかとみんなで一緒に飛び込もうとしているわけですから、それが危険だということは、やはり言わなくてはいけないのではないか、というのが、前回の記者会見だということだったと思います。
 
山口:では、予定した時間を過ぎましたので、今日の記者会見はこのあたりで終わりにいたします。どうもありがとうございました。
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/160.html
[政治・選挙・NHK229] 政治家の日本語力は大丈夫? 文献学者が「読み間違い」本出版  東京新聞    
「政治で最も大切なのは言葉です」と話す山口謡司さん=東京都中野区で
 
 失言、暴言…。政治家たちの言葉の失敗が続く。政治家たちの言葉は、なぜこんなに乱雑になったのか。文献学者の山口謡司大東文化大准教授(54)は、以前から国会審議で連発する「漢字の読み間違い」に注目する。 (石原真樹)

 「政治にとって大切なのは言葉なのに、答弁を自分で考えようとしない。官僚の作文を読み上げるだけだから間違いが起きる」
 
 山口さんは先月、東京都中野区の出版社「游(ゆう)学社」から「音読力 読み間違う日本語の罠(わな)99」と題した著書を刊行した。読み間違えやすかったり、意味が分かりづらかったりする漢字の由来などを解説したほか、声に出して読むための例文を付けた。言葉にとって大切なのは、声に出したときに聞いた人に伝わることだという主張を、タイトルの「音読力」に込めた。
 
 九十九の漢字の冒頭は、安倍晋三首相が一月の国会で「でんでん」と読んだ「云々(うんぬん)」を選んだ。「日本のトップが言葉を軽んじている」ことへの憤りがあった。このほか、麻生太郎副総理兼財務相が首相時代に「みぞうゆう」と読んだ「未曽有(みぞう)」や「はんざつ」と間違えた「頻繁(ひんぱん)」なども紹介した。
 
 「頻」の字には「しきりに」という意味がある。「繁」は、訓読みの「しげる」から連想されるように「とてもたくさんになる」ということだ。「頻出(ひんしゅつ)」「頻発(ひんぱつ)」「繁殖(はんしょく)」などの用例を知っていれば、「頻繁」は「はんざつ」と読み間違えることはない−などと説明している。
 
 長崎県佐世保市出身の山口さんの家系は、江戸時代の能楽師に連なる。謡や漢文、和歌などに囲まれて育ち、中国の書物が日本にどう伝わったかなど、書物の歴史研究の道を志した。
 漢字を読み間違えた政治家の例を挙げれば、きりがない。最近も義家弘介文部科学副大臣は便宜(べんぎ)を「びんせん」と読み、二〇一四年は宮沢洋一経済産業相(当時)が鹿児島県の「川内(せんだい)原発」を「かわうちげんぱつ」と読んだ。一六年は島尻安伊子沖縄北方担当相(同)が「歯舞群島(はぼまいぐんとう)」を読めなかった。
 
 読み間違い以外にも、安倍首相は「共謀罪」を巡る国会審議で自ら発言した「そもそも」の意味を問われた際に「辞書で調べたら『基本的に』という意味もある」と答弁した。現在、書店で販売中の辞書に「そもそも」の意味を「基本的に」としているものは見当たらないために「本当に調べたのか」と話題になった。
 
 「言葉を間違えることはものを考えていないことの証し。恥ずかしいことだと認識すべきだ」。山口さんは、この状況を変えられるかは受け手である有権者の「音読力」にもかかっていると考える。「聞く耳がなければ批判はできない。『間違っていますよ』とちゃんと言えるよう、みんなで日本語力をアップさせましょう」と呼び掛ける。「音読力 読み間違う日本語の罠99」は千四百円(税別)。
 
2017年7月20日 夕刊
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/411.html

[政治・選挙・NHK229] <女たちの脱基地 2017沖縄国際会議> (上)母の故郷の海守れ  東京新聞  
「新基地が地域に何をもたらすのか。母の故郷の海が破壊されるのは耐えられない」とリサさん(右)は話した=沖縄県名護市で
 
 
 米軍新基地建設への反対運動が続く沖縄で先月下旬、発足二十年を迎えた「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク会議」の会合があった。米軍が駐留する沖縄、韓国、フィリピン、プエルトリコ、グアム、ハワイ、米国のメンバー計八十五人が、直面する性暴力や環境破壊などの基地問題について語り合った。交流から生まれたものを伝える。 (編集委員・佐藤直子)
 
 名護(なご)市辺野古(へのこ)の新基地建設現場で、クレーン車が資材の石を海に投入している。ネットワーク会議のメンバーが小型船で近づこうとしても海上に張られた規制フロートに阻まれる。
 
 「ここで働く皆さんも沖縄の方でしょう。工事を止めてください」
 
 ハワイから来た日系二世のリサ・グランディネッティさん(21)が船上でマイクを手に英語で訴えると、姉のティナさん(27)も「辺野古を守れ」と叫んだ。
 
 姉妹の母(60)は、沖縄県金武(きん)町で育った。町面積の六割が米軍基地(キャンプハンセン)。多感な少女期はベトナム戦争(一九六〇〜七五年)と重なる。沖縄から戦場に行く者、戦地から帰った者、兵士たちは殺気立っていて、沖縄の女性たちへの暴力も繰り返された。母は二十代のとき、進学のためにハワイに渡った。
 
 二人は沖縄戦で米軍に投降した少女の絵本を読み聞かせてもらったことを覚えている。でも母は故郷のことを語りたがらず、ほとんど帰郷もしない。
 
 「いい思い出がないのかもしれない」。ティナさんは、母たち沖縄の女性が背負った時代の記憶を想像すると、怒りと悲しい気分に襲われる。
 
 母は「基地の被害は沖縄もハワイも同じ」と言ったことがある。世界的なリゾート地・ハワイは、米軍と自衛隊、オーストラリア軍、韓国軍などの合同演習が二年に一度行われる軍事の島でもある。「米軍専用のホテルもあって、兵士による性暴力も起きている。でも人々の生活が基地経済に組み込まれているから表に出ない」とリサさん。被害者を支援する団体もないという。
 
 リサさんは会議で、沖縄のジャーナリスト山城紀子さん(67)から、沖縄の女性も長い被害の歴史を経て変わったのだと聞いた。「基地問題を女性の視点で問い直した。性暴力は沈黙していては解決できないと、沖縄の女たちは声を上げ始めた」と。
 
 大学を六月に卒業したリサさんは、一万六千人のホテル従業員らが加入する組合の職員になった。観光産業で働く女性には先住民の人も多く、米兵の性被害に遭っている。「米国はハワイを差別し、軍事的に植民地のように扱っている」とリサさんはいう。
 
 「これからは私たちがハワイで、軍隊や性暴力の問題に取り組んでいかないと」。姉妹は自分たちに言い聞かせるように言った。
 
2017年7月20日 夕刊
 
 

http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/414.html
[政治・選挙・NHK229] 首相発言 「こんな人たち」民心離れ 支持率低下の決定打  毎日新聞  
「こんな人たち」と書かれたプラカードを掲げる人たち=東京・新宿で2017年7月9日、松崎進撮影


 安倍晋三内閣の支持率低下が止まらない。首相が東京都議選のさなか、秋葉原の街頭で口にした「こんな人たちに負けるわけにはいかない」が今なおじわじわと響いているのではないか。改めて考えた。「こんな人たち」発言が国民に与えたショックは何だったのだろう。【和田浩幸、小国綾子】

 「国民なめるな こんな人たち」。9日、東京・新宿。安倍政権退陣を求めるデモに首相の言葉をあしらったプラカードが多数登場した。政権を批判する人々の間ではもはや流行語だ。参加した女性は「国民に何言ってんねん、と腹が立ったので来ました」。14日、首相官邸前。脱原発デモに参加した神奈川県平塚市の無職男性(70)は言った。「首相は国民の中で批判的な勢力を『こんな人たち』と分断した。共謀罪の対象だと言い出しかねない」 
 
 共同通信の今月中旬の世論調査で安倍内閣の支持率は35.8%、不支持率は53.1%。ツイッター上で「こんな人たち」に引っかけ不支持を表明する人が今も続出する。<国会が終わって支持率下がって「反省」とか言ってたのに批判されたら「こんな人たち」呼ばわり。「反省」も「丁寧な説明」も皆無>。不支持5割超えに<今朝、車ですれ違う人や駅で電車を待つ人や……ああ……今ここにいる半分以上が「こんな人たち」なんだと思ったら勇気でた>とも。

 米国在住の映画監督、想田和弘さんは10日、「こんな人たち」発言について<ヒラリーがトランプ支持者を「deplorable(憐れむべき人たち)」と失言したアレだ>とツイートした。

 テレビのバラエティー番組でも批判が聞かれるようになった。「再チャレンジ」という第1次安倍政権時代のスローガンに共感したという女優の高木美保さんは、番組で「政治家として、総理として民主主義や多様性の大切さを軽んじた印象があって、すごく悲しいものを見てしまったと思った」と語った。

 「悲しい」の真意を会って尋ねた。「国会中継のいいかげんな答弁のたびに、この国はこの程度なの、と悲しく思っていた。あの状況だったからこそ、民主主義を守ろうとする理想の姿を首相の中に見いだしたかったのに、政治家のトップにいる人が国民の批判を切り捨てた。あの瞬間、民主主義に大切な多様性が霧散するのが見えた気がしたんです」

 安倍首相の母校・成蹊大の加藤節名誉教授(政治哲学)は言う。「母校として首相就任当初は歓迎する声もあったが、今は『恥ずかしい』という声も上がる。森友や加計の問題で不信を積み重ねた揚げ句にあの発言で、首相支持層が溶け出している」

 都議選開票翌日に首相発言こそ自民の敗因と指摘したジャーナリストの江川紹子さんも言う。「過激な言葉を吐く政権の支持派も不支持派も敵を全否定する極論主義。そんな風潮の中で首相自ら国民を分断した。大多数の国民に残るのは根深い政治不信です」。敵を作り自分たちの存在価値をアピールする安倍政権の手法に保守層でも違和感が広がっていた−−と見る。「政策で支持・不支持を決めていた人たちの心が今回の発言で首相から離れたのではないか」
 
2017年7月20日 18時04分 (最終更新 7月20日 23時14分)
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/426.html

[政治・選挙・NHK229] なぞの違和感、小沢一郎氏がテレ東「ソレダメ」出演  日刊スポーツ  
テレビ東京「ソレダメ!」に出演した小沢一郎氏(C)テレビ東京


 5日に放送されるテレビ東京バラエティー「ソレダメ!〜あなたの常識は非常識!?〜」(午後6時55分)に、自由党小沢一郎代表が初出演することが4日、分かった。はだしで健康体操に挑戦したり、そうめんをすすったりしており、同局では「なぞの違和感をお楽しみください」とPRしている。

 「生活圏数メートルの世界の情報を出す平和な番組に違和感のある人が来たら面白そう」という狙いで出演依頼したところ、OKだったという。工藤里紗プロデューサーは「怖そうな顔の政治家=小沢一郎さんですが、普通に夜はお布団で寝て、お風呂に入って、年とともに健康にも気を使っているはずなのです」。また「実は、報道局を含め、軽く社内がザワつきました。『はだしにさせて○○させる!? こんなことをさせた人はいないぞ』と」と舞台裏を明かしている。

 小沢氏は「とても楽しかったです。知らなかったことを収録で教えてもらいました。普段考えつかないことを教えてもらって、とてもためになりました。でも、そうめん食べ過ぎた。おなかいっぱいになりました」とコメント。健康のために「朝起きて、ふとんの中で手をグーパーグーパー800回」と「犬の散歩1時間」「お風呂に入って体操」を行っているという。
 
2017年7月4日12時9分
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/427.html

[政治・選挙・NHK229] 首相発言 「こんな人たち」民心離れ 支持率低下の決定打  毎日新聞   仁王立ち
1. 仁王立ち[12] kG2JpJengr8 2017年7月21日 00:46:16 : X70JbdMM7c : qnAkAGweG94[1]
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[政治・選挙・NHK229] 安倍政権の傲慢さ、噴出 = 柳田邦男  毎日新聞  
 
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東京都議選の街頭演説に立つ安倍晋三首相。「こんな人たちに負けるわけにはいかない」との発言はこの場で飛び出した=東京都千代田区のJR秋葉原駅前で1日、藤井達也撮影
 

この国の倫理、転落の危機
 安倍政権の閣僚の暴言や曲解発言の問題点については、これまでもこの欄で継続的に書いてきた。だが、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報の廃棄などをめぐる稲田朋美防衛相の発言、学校法人「森友学園」に対する格安での国有地売却問題や、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題をめぐる安倍晋三首相や関係閣僚、官僚の発言は、安倍政権の内実と体質を“集大成”するように露呈した「3点セット」となった。
 
 なぜ、かくも重大な問題が同時多発的に顕在化したのか。そこには、単なる偶然ではなく、そうなる必然というべき要因があったと思う。それは、首相自身をはじめ、安倍政権を忠実に支える閣僚や、内閣官房をはじめとする官僚たちの、問題に対する姿勢や言葉そのものの中にある。特徴別に列挙すると、次のようになろう。
 
 (1)「記録文書はない」「文書は廃棄した」「記憶にない」と言って、事実を不透明にする。文書の探し方はおざなりで、批判されると調べ直して「ありました」と説明はするが、意味づけはあいまいにする。
 
 特に、法的に保存を義務づけられていない報告文、連絡文(加計学園問題における文部科学省の内部文書はその象徴)などは「備忘メモ」などと呼び、内容の信ぴょう性を否定する。事案の全体的経緯の中での意味づけこそが重要なのに、そういう検証は棚上げしてしまう。
 
 国会での官僚の答弁も、事実関係の解明を期待する国民を裏切るものばかりだった。森友学園への国有地売却をめぐり、答弁に立つ度に「記録がないので経過は分かりません」と、録音テープを再生するかのように全く同じ言葉を繰り返したのは、後に国税庁長官に栄転した財務省の佐川宣寿理財局長だ。
 
 「権力者に仕え、出世コースを歩む高級官僚の精神性」という点で、私はすぐにある人物を想起した。ナチス・ドイツのユダヤ人ホロコーストの責任者だったアイヒマンである。彼はイスラエルの法廷で「私は上官の命令に従っただけだ」と証言し、無罪を主張した。
 
 (2)厳しい批判や暴露的文書に対し、攻撃的な決めつけの言葉を浴びせて「印象操作」をする。安倍首相は論理的な思考が苦手なのか、すっかりこの言葉が気に入ったようで、相手からの批判をすぐに「印象操作」と決めつける。
 
 ところが自らは、国会で質問者に「日教組!」とやじったり、東京都議選における秋葉原での街頭演説で、群衆の「帰れ、帰れ」の大合唱に対し「こんな人たちに私たちは負けるわけにはいかない」と叫んだりする。
 
 「こんな人たち」と蔑視する言い方は印象操作ではないか。加計学園問題をめぐり、文科省の内部文書が報道された時、菅義偉官房長官が「怪文書」と決めつけたのも同様である。
 
 (3)批判的な質問に対しては、事実関係についてまともに答えず、一般論を述べてはぐらかす。加計学園問題に関する国会審議で、安倍首相も山本幸三地方創生担当相も、国家戦略特区の政治的意義や官僚の壁を破ることばかりを論じ、疑惑の焦点となる事実関係には触れない。菅氏は記者会見で、加計学園問題の事実関係に関する質問に対し「わが国は法治国家ですから」と、まるで答えにならない言葉を繰り返した。
 
 (4)批判する相手を人格攻撃することで社会から排除し、批判を封じようとする。秋葉原演説における安倍首相の「こんな人たち」発言は批判者を低く見る言い方だ。加計学園問題を告発した前川喜平前文科事務次官に対し、菅氏が「地位に恋々としがみついていた」などと前川氏の人格をおとしめるような発言をしたのも、権力者の傲慢さをむき出しにしたものだ。
 
 安倍政権下における政治家や官僚による、これまでの戦後史の中では見られなかったような政治倫理観の衰退と言葉(表現力)の壊れ方を見ると、この国の指導層の人間性が劣化しているのでは、とさえ思えてくる。
 
 そう言えば、安倍首相の宿願だった道徳の教科化が、2018年度から始まる。文科省の新学習指導要領には、道徳の目標として「物事を多面的・多角的に考え(中略)、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる」と書かれており、学習内容には「公正、公平、社会正義」などが挙げられている。しかし、道徳の教科化を実現した首相自身の言動を、もし道徳の模範とするなら、こんなふうになるだろう。
 
 社会人になって、自分にとって都合が悪いことが生じたら「記録はありません。記憶にもありません」と言えばよい。批判されたら、強くて攻撃的な「決めつける」言葉を返せ。厳しく追及されたら、まともに答えずに一般論でごまかせばよい。相手を排斥するには、人格攻撃をして社会的な信用を失わせるのが手だ−−。
 
 このように書くと、誰もが「そんなばかな」と言うだろう。だが、教育の理念と世の中の現実は、このように大きくずれている。それをどうするのか。はっきりしているのは、この国のあり方が権力者の傲慢さによって揺さぶられ、倫理的に転落の危機に直面している−−という現実だ。この国をこれからどうするのか、国民一人一人が真剣に考えることが求められている。
 
2017年7月22日 東京朝刊(コラム《深呼吸》)
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/497.html

[政治・選挙・NHK229] 前理財局長 「ゼロ回答」で栄転 禍根残す人事?  毎日新聞  

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佐川宣寿氏=国会内で2017年3月、川田雅浩撮影

 学校法人「森友学園」への国有地格安払い下げ問題で財務省理財局長として国会答弁に立ち続けた佐川宣寿(のぶひさ)氏(59)が、今月5日付で国税庁長官に就任して2週間あまり。野党の追及に徹底した「ゼロ回答」で臨んだ功で栄転した−−と国民から疑問の声が上がっている。実態はどうなのか。【福永方人】

 就任を受けて毎日新聞11日朝刊に神戸市の男性(61)の投稿が載った。「拝啓 国税庁長官様」で始まる。

 「私も納税者の一人です。税務調査の際に『関係書類は紛失しましたが、適切に処理しているので経費の計上を認めてください』と申し上げる場合もあります」「国会で何の証拠も示さずに自らの主張を押し通されたのですから、このお願いはよく理解していただけると思います」。皮肉たっぷりに佐川氏の答弁を批判している。

 実際、森友問題で佐川氏の答弁は「記録は破棄した」「データはない」「政治家の関与はない」と“ないないづくし”だった。

 自民党の鴻池祥肇元防災担当相らの関与を示す文書が出てきても、政治の介入を否定し続けた。4月3日には行政文書について「短期間で自動的に消去されるシステム」と答弁。どんなシステムなのかと大騒ぎになり、4日後に国会で理財局次長が「自動消去機能というのは基本的にございません」「消去は職員がパソコンを操作して行う」と、佐川氏の答弁を事実上修正した。

    ◇

 今回の長官人事を論功行賞と見るのは勘ぐりすぎかもしれない。佐川氏以前に3代続けて理財局長が長官に就いた。佐川氏は過去にナンバー2の国税庁次長も務め、既定路線との見方が強い。だが、麻生太郎財務相は長官人事について「(佐川氏は国会で)丁寧な説明に努めてきた。適材だ」と述べ、国民の怒りを買った。

 国税当局の若手職員は「長官が自ら税務調査をするわけではない。粛々と法律通りやる」と業務への影響を否定する一方、「これまで痴漢や横領など職員の不祥事が報じられるたびに税務調査の相手から嫌みを言われてきた。今回は『財務省も書類を保存していないだろ』とかみつかれるかもしれない」とため息交じりに言う。

 籠池泰典前理事長と財務省幹部の交渉時の音声記録を入手するなど森友問題の取材で注目された著述家の菅野完氏が、笑いながら言った。「最近、税理士との打ち合わせで『僕も財務省のように、領収書や入金伝票を捨てていいですよね』と冗談で言ったら、『みなさん、そうおっしゃる』と返されました」

 菅野氏は佐川氏を、森友学園問題の真相究明を阻んだキーマンだと見ている。「私にでさえ見つけられた資料を財務省が見つけられないわけがない。データは自動的に消去されるなどと、子供でも分かるような見えすいたうそを国会の答弁で重ねた人が栄転するのはモラルハザード。長く禍根を残す人事だ」

 新長官は着任後に記者会見するのが通例だが、佐川氏の会見はまだ開かれていない。
 
2017年7月22日 18時37分 (最終更新 7月22日 19時39分)
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/510.html

[政治・選挙・NHK229] <女たちの脱基地 2017沖縄国際会議> (中)及び(下)  東京新聞  
「基地はいらない!」米国から持参した旗を手にエマさん(中央)は訴えた=名護市辺野古で
 
 
(中)絶えぬ米兵の性犯罪
 
 世界の米軍駐留地域から集まった「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク会議」のメンバーは六月二十三日、バスで大戦末期の沖縄戦で激戦地となった糸満市に向かっていた。車内で元那覇市議の高里鈴代さん(77)が語り始めた。「沖縄には百四十五カ所もの慰安所があったんですよ」
 
 戦後、米兵による性犯罪が続いてきた沖縄。しかし、戦時中も植民地だった朝鮮半島や沖縄の遊郭、本土から集められた女性が、慰安婦として日本軍将兵の性の相手をさせられていたという。
 
 「軍隊と性暴力。ふたつの関係は基地や軍隊を女性の人権からとらえ直すときに切り離せない視点です」と高里さんは強調する。
 
 高里さんらは一九九五年の沖縄少女暴行事件をきっかけに「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」を結成。九七年に初めてのネットワーク会議を沖縄で開いた。それから二十年。九回目を数えた今年の会議でも「軍隊と性暴力」は解決されていない問題として、議論を続けている。
 
 沖縄の女性史研究者の宮城晴美さん(67)は「兵士による性暴力は個人の問題ではなく、軍隊が抱えた構造的な暴力。男性優位の家父長制や性差別など、この社会のあり方に目を向けなくては乗り越えられない」と語る。
 
 韓国のメンバーは四五年の米軍駐留から多くの女性が性被害に遭っていたという事例を報告した。五〇年に始まった朝鮮戦争時には米兵の性の相手をする慰安施設「基地村」が政府の管理下で設けられ、今、当時の被害女性らが裁判を起こしている。
 
 フィリピンから参加したアルマ・ブラワンさん(53)は基地に隣接する町で、米兵相手の性風俗が産業になった実情を語った。アジア最大級といわれたスービック基地に駐留していた米海軍は、冷戦終結後の九二年に撤退。地元のオロンガポ市では、米兵の相手をしていた一万人ともいわれる女性たちも失業したという。
 
 アルマさん自身もかつては米兵相手に働き、米兵を父とする三人の子を持つシングルマザーだ。今は女性の自立を支える市民団体「ブックロードセンター」を運営している。
 
 性暴力と性産業。どちらも、基地があるゆえの性搾取であり、根は同じだとネットワーク会議のメンバーは考える。
 
 アジア太平洋地域での米軍基地強化に合わせて、オロンガポ市には経済策として米軍が戻ることを望む声もある。だがアルマさんは女性の人権を考えると反対だ。「基地に依存する経済構造こそ変えるべき。女性が自分で生活できる道をつくろう」と呼び掛ける。
 
2017年7月21日 夕刊


(下)武力に頼らない安保

 沖縄県名護市の辺野古(へのこ)新基地建設に抗議する人々と、機動隊員が向かい合う米軍キャンプシュワブゲート前で六月下旬、米カリフォルニア大学バークレー校大学院生のエマ・トーメさん(27)が市民の側に立ってマイクを握った。
 
 エマさんは、米軍駐留地域の女性が沖縄に集う「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク会議」に参加し、一九八〇年代に米国に移住した父親の故郷である沖縄への思いを深めた。
 
 「私はルーツがあるから基地建設に反対するのではない」と言う。「米国は自国民にも数々の暴力と差別を繰り返してきた。その責任を国民の一人として感じるから、沖縄で見たことを米国の人に伝えたいのです」
 
 地元のバークレー市議会は二〇一五年秋、米国の議会で初めて、辺野古の新基地計画に反対し、米政府に計画中止を促す決議をした。決議案を作成した「正義と平和委員会」のメンバーもネットワーク会議に参加した。
 
 「女たちが連帯できるのは、交流で培った信頼があるからよ」と元那覇市議の高里鈴代さん(77)は思う。
 
 高里さんは二〇〇八年に全国の女性たちとグアムを訪ねた。当時、辺野古新基地計画に対する県民の批判をかわすように、米海兵隊八千人をグアムに移転する計画が示されていて、県内では移転を歓迎する声も上がっていた。
 
 米国の海外領土であるグアムは沖縄と同様、基地負担の“差別”を強いられていた。反基地運動の先頭に立つ、先住民のチャモロ人女性は「海兵隊が移転してくればグアムの基地被害はさらに深刻になる」と高里さんらに訴えた。
 
 米軍駐留地域の女たちが共闘することの必要性は、今回のネットワーク会議でも熱心に語られた。
 
 韓国では一六年、東シナ海の済州島に米軍の新基地が建設された。反対運動にかかわるチェ・ヘヨンさん(29)は「基地は完成しても平和を求める心は消えない」と語ると、プエルトリコのドミンガ・アナヤさん(64)が力強く言った。「基地閉鎖が無理だと思っていない? 小さな島がそれを実現したのよ」
 
 カリブ海北東に位置するプエルトリコの島々は、スペイン領から米自治領へと被支配の歴史が続く。しかし、島の大半が六十年間、米海軍に使用されてきたビエケス島では〇三年、市民の抵抗運動によって米軍を撤退させたのだ。
 
 米軍の駐留で、私たちの想像力までもが奪われていないか。「軍事に頼らない安全保障の道を求める」。女たちが確認しあったのは未来に対する責任だった。 (この企画は編集委員・佐藤直子が担当しました)
 
2017年7月22日 夕刊
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/512.html

[政治・選挙・NHK229] (社説)憲法70年 「原発と人権」問い直す  朝日新聞  


 東京電力福島第一原発の20キロ圏に入る福島県南相馬市小高(おだか)区。大半の地域で避難指示が解除されて12日で1年がたった。

 商店や学校は徐々に再開され、登下校時は高校生たちの声が響く。一方で、シャッターを下ろしたままの店や、庭に草が生い茂った家も目立つ。

 市によると、12日現在の小高の居住者は2046人。11年の原発事故当時の6分の1弱だ。

 憲法が保障していたはずの「ふつうの暮らし」を、原発事故は多くの人から奪い去った。

 ■事故が問うた本質

 漁師の志賀勝明さん(68)は小高への帰還を断念した。海岸近くに建てたばかりの自宅は津波で浸水した。事故後、立ち入りを禁じられた間に荒れ果て、解体を余儀なくされた。

 志賀さんは言う。「自分だけじゃなく、地域のすべての人の人生が変わった。生存権とか、基本的人権とか、憲法の本質的なものを考えさせられたよ」

 南相馬市は昨年5月、全世帯に憲法全文の小冊子を配った。

 小高出身の憲法学者、鈴木安蔵(やすぞう)が終戦直後にまとめた憲法草案要綱は「国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス」と生存権を明記し、現憲法25条につながった。多くの市民の生活が暗転したなか、原点を再認識してほしいとの思いが、桜井勝延(かつのぶ)市長にはあった。

 福島県では今も数万人が県内外で避難を続ける。長年のなりわいや家屋を失った人は数え切れず、居住、職業選択の自由(22条)、財産権(29条)の侵害は著しい。多くの子が故郷の学校に通えなくなり、教育を受ける権利(26条)も揺らいだ。

 そして何より、事故は多くの人を「関連死」に追い込んだ。

 「原発事故で、憲法に書いてある生活ができなくされた。これは憲法違反でしょう」。桜井市長は語気を強めて言う。

 ■よりどころは憲法

 「原発は電気の生産という社会的に重要な機能を営むものではあるが、憲法上は人格権の中核部分より劣位」。14年5月、関西電力大飯原発(福井県)の周辺住民らが起こした訴訟で、福井地裁判決はこう述べ、再稼働の差し止めを命じた。

 原発事故の避難者が国と東電に賠償を求めている集団訴訟で、関西原告団代表を務める森松明希子(あきこ)さん(43)は、憲法に立脚した判決に希望を感じた。

 幼い2人の子の被曝(ひばく)を案じ、福島県郡山市から大阪へ避難した。だが地元は避難指示区域ではない。少数派である自主避難者への視線は福島の内でも外でも厳しく、行政の支援や東電からの賠償も乏しい。

 「自分の選択は正しかったのか」。苦悩し、学生時代に学んだ憲法をいま一度ひもといた。

 「恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」(前文)、「すべて国民は、個人として尊重される」(13条)。これこそが自分のよりどころだ、と思った。

 避難するのもとどまるのも、個人の自由だ。どの選択をした人に対しても、憲法が保障する生活が実現できるような支援を。森松さんはそう訴える。

 「ふつうの暮らし」を取り戻すため、憲法を盾にたたかっている人たちがいる。憲法施行70年の日本で、忘れてはならない重い現実といえよう。

 ■主権者が選ぶ針路

 福島の事故より前、原発が憲法と関連づけて問題視されたことはなかったといっていい。

 日本の原子力開発は、憲法施行8年後の1955年に制定された原子力基本法に基づいて進められてきた。同法は「人類社会の福祉と国民生活の水準向上」を目的とし、「平和利用」を明記している。

 澤野義一・大阪経済法科大教授(憲法学)は「原発は当然のように合憲視され、学界でもほとんど論議されたことがなかった」と指摘する。

 資源が乏しい日本で、大量の電力を供給できる原発が経済発展に貢献したのは確かだろう。

 ただ、ひとたび事故が起きれば、無数の人権がただちに脅かされる。そのリスクは「安全神話」のもとで隠され、国民も十分に認識してこなかった。

 多くの国民が被災者となった福島第一原発事故の後も、国や電力事業者は原発を推進する方針を変えようとしない。

 全国の原発の周辺には、事故で避難を迫られる可能性がある30キロ圏だけで400万人以上が暮らす。憲法が目指す社会は守りうるのか。そんな観点から、この国の進む道を見直す必要はないだろうか。

 中欧のオーストリアは78年、国民投票で原発の稼働が否決されたのをきっかけに、原発の建設を禁じる法律を制定した。86年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故を経て、「脱原発」を求める世論は強まり、99年に原発禁止が憲法に明記された。

 日本の針路を選ぶ権利は、主権者である国民一人ひとりにある。この6年超の現実を見据え、議論を広げていきたい。
 

2017年7月23日
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/532.html

[政治・選挙・NHK229] (天声人語)資本論150年  朝日新聞  
 
 
 
 挑戦する人は多いが、なかなか通読できない本がある。代表例が、今年で出版150年となる『資本論』だろう。著者のマルクスは生前、難解だと苦情を聞かされると「労働日」の章を読んでくれと言っていたそうだ。英国にはびこる長時間労働を扱っている▼「わたしたちも普通の人間です。超人ではありません。労働時間が長くログイン前の続きなるとある時点で働けなくなるのです……頭は考えるのをやめ、目は見るのをやめるのです」(中山元〈げん〉訳)。事故を起こしたとして裁判にかけられた鉄道労働者の言葉だという▼読んでいくと、本当に19世紀の記述なのかという気がしてくる。食事の時間を削られ、働かされる人たちがいる。納期に追われ過労死した若者がいる▼現代の日本は、またも過労の犠牲を生んでしまったか。新国立競技場の建設工事にあたっていた20代の建設会社員が失踪し、自ら命を絶った。失踪前の1カ月間は211時間の時間外労働をこなしていたという。人間よりも工期が優先なのか、違法状態がまかり通っている▼残業時間を規制するため法改正の動きはあるが、どうも様子がおかしい。「残業代ゼロ」法案を通そうという流れが同時にあり、将来、規制の抜け道に使われるのではと危惧される。対応をめぐって連合内部で意見が割れ、労働界は大揺れである▼労働者が死と隷従に追いやられるのを防ぐ。そのための強力な法律を――。マルクスはそんな訴えで章を終えている。悔しいことに、少しも古びてはいない。
 
2017年7月23日
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/533.html
[政治・選挙・NHK229] 前理財局長 「ゼロ回答」で栄転 禍根残す人事?  毎日新聞   仁王立ち
12. 仁王立ち[13] kG2JpJengr8 2017年7月23日 09:45:43 : 0d3NZVNjMc : @DJCDF3n4Sw[1]

画像改良版URL

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/07/22/20170722ddm001010074000p/9.jpg?1
 
 

http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/510.html#c12

[政治・選挙・NHK229] (社説)憲法70年 「原発と人権」問い直す  朝日新聞   仁王立ち
3. 仁王立ち[14] kG2JpJengr8 2017年7月23日 15:33:36 : 0d3NZVNjMc : @DJCDF3n4Sw[2]

まさしく>>2さんご指摘の通りだと思います。
大新聞社の二面性はそのまま社会の縮図でもあるわけで、彼らの「理想と妥協」は「偽善と居直り」と紙一重であり、自己保身のためには強者に屈し弱者に牙を剥きり得るものなのです。
 
それを防ぎ止めることのできる唯一のものが世論の動向であり、彼らから見れば、世論調査結果あるいは「読者の声」に他ならないということです。
 
世論の後ろ盾がある限り、新聞メディアは権力に立ち向かうことができる。最近の各紙の論調の変化はそのことを如実に物語っていると思います。
 
高所からメディアを見下ろし揶揄することによって得られるものと、メディアに向けて「世論」を発信することによって得られるものとの間には、途轍もない落差がるのだと思います。
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/532.html#c3
[政治・選挙・NHK229] 内閣支持率 続落26% 初の2割台 不支持56%  毎日新聞  
 
 毎日新聞は22、23両日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は6月の前回調査から10ポイント減の26%、不支持率は同12ポイント増の56%。支持率が2割台になったのは2012年12月の第2次安倍内閣発足後初めてで、安倍晋三首相は当面、厳しい政権運営を迫られそうだ。
 
 調査はコンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に調査員が電話をかけるRDS法で実施。18歳以上のいる1627世帯から1073人の回答を得た。回答率は66%だった。
 
2017年7月23日 16時30分 (最終更新 7月23日 16時56分)
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/548.html
[政治・選挙・NHK229] <東京五輪まで3年>「復興」色 矛盾だらけ  河北新報  
 
小笠原博毅(おがさわら・ひろき)ロンドン大博士課程修了。2016年から現職。近著に「セルティック・ファンダム」。編著書の「反東京オリンピック宣言」には宇宙物理学者の池内了氏らが寄稿した。48歳。東京都出身。

 
 2020年東京五輪の開幕まで、24日であと3年となる。東日本大震災からの「復興五輪」を掲げるが、具体的な復興支援はまだ見えない。昨年、研究者やアスリートら16人の論考集「反東京オリンピック宣言」を出版した神戸大大学院の小笠原博毅教授(社会学)に問題点を聞いた。(聞き手は東京支社・片山佐和子)
 
◎神戸大・小笠原博毅教授に聞く
 
 −「宣言」を出版した動機は。
 
 「五輪に同調的な言説があふれており、きちんと異議を申し立てたかった。東京電力福島第1原発事故は汚染水処理や廃炉作業など問題が山積しているのに、安倍晋三首相は招致のプレゼンテーションで『状況は統制されている』と切り捨てた。福島がPRに利用されたことに国民はもっと怒るべきだ」
 
 −被災地の姿と支援への感謝を世界に伝える狙いは評価できるのでは。
 
 「五輪はスポーツイベント。招致のため感謝を伝えることが無理やり関連付けられた。なぜ東京が、多くの犠牲があった被災地を代表できるのか。五輪が復興についての印象操作の道具にされている」
 
 「1964年の東京五輪は戦後復興の象徴と言われるが、実態は東京都心が整備されただけで地方との格差が拡大した。現在も五輪に向けて再開発やインフラ整備が進み、一極集中が加速している。復興を後押しすると言いながら資材価格や人件費の高騰を招き、復興事業に実害が出ている」
 
 −沿岸被災地を巡る聖火リレーや宮城、福島両県での一部競技実施は地元で歓迎の声がある。
 
 「河北新報社が今年2月に実施した被災42市町村長アンケートに注目したい。五輪は復興に役立つかとの問いに半数以上が『何とも言えない』と答えた。特に原発事故避難区域の首長は大半がネガティブな見方だった。多様な意見があるのに、何となく歓迎ムードがつくられていないか」
 
 「五輪に批判的だが、どうせやるならと捉え、循環型社会への転換など新しい価値の創造を呼び掛ける人々もいる。異なったビジネスモデルの提供でしかなく、自ら積極的に巨大イベントに貢献しているだけだ」
 
 −開催準備が進む中、反対を唱える理由は。
 
 「大手メディアは招致決定以降、反対の声をあまり報道しなくなった。意見の多様性は努力して守るべきだ。安倍首相は『共謀罪』法の必要性や憲法改正の時期を五輪と結び付けた。五輪憲章が禁じる政治利用だ。矛盾と問題だらけの五輪に私は反対と言い続ける」
 
7/23(日) 15:29配信 最終更新:7/23(日) 22:26  
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/560.html

[政治・選挙・NHK229] 「考え変わらない」 新潟知事に聞く「原発」と「公約」  朝日新聞  
 
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に慎重な姿勢を打ち出し、昨年10月の知事選で初当選した米山隆一・新潟県知事。原発立地自治体の知事の中でも、とりわけ再稼働に対し厳しい姿勢で臨んでいる。18日に行った朝日新聞のインタビューで、「原発」や「公約」を巡る就任半年あまりについて語った。主な一問一答は次の通り。

三反園知事、「脱原発」はどこへ 自民とは関係構築着々
 ――知事選で「東電福島第一原発の事故や、その影響・課題が検証されない限り、再稼働の議論は始められない」と公約し、自民、公明両党推薦候補を破りました。その後、公約の進み具合はいかがですか?

 「『三つの検証』を進める検証委員会をまもなく立ち上げたい。まずは事故原因。何が起きて、どうなったのか。政府など四つの事故調査委員会が報告書を出してから時間も経ち、その後に分かったこともある。原発は地震に耐えたのか、配管の破損があったのか。事故時のオペレーションにミスはなかったのか。万が一の際、人員から何から足りていなかったのではないか。バックアップする人員がいれば、早々に手動で(原子炉格納容器の圧力を逃がす)ベントをできたのではないか」

 「次に福島原発事故で、健康と生活にどういう影響があったのかを検証する。その二つを踏まえ、避難のあり方について検証を行い、避難計画作りに役立てたい。ベントでどれくらいプルーム(放射性雲)が出て、どれくらい被害があったのか。どれくらいの被曝(ひばく)なら許容できるのか。検証を踏まないと、安全な逃げ方ができない。百%安全な避難計画はない。多少プルームをかぶってでも逃げるしかない。国任せでなく、いろんな自治体がそれぞれ検証することは大事だ」

 ――福島原発事故の検証がない限り、再稼働は認めない考えに変わりないと?

 「変わらない。それでは時間がかかりすぎるという意見もあるが、事故から6年以上も(検証を)放置したことにこそ問題がある。社会全体の共同正犯だ。社会全体として6年放置したから、今から検証するのに3年を要するのだと考えている」

 ――どんな苦労がありますか?

 「検証委員会の発足では、何人かの委員候補に断られた。何度か私が行っても『いやー』と言われた。ポリティカルな注目を浴びてしまうことを恐れて尻込みしてしまう」

 ――県議会は原発推進の自民党が6割を占めますが、抵抗はないのですか。

 「再稼働するかしないかの議論になれば分からないが、ここまでは意外に苦労していない。今言った検証の話は正論だからだと思う。とりあえずやってみれば、という感じだ」

 ――2017年度の県予算は、県議会で62年ぶりに全会一致で成立しました。

 「公共事業や文教など部門間での予算配分をあまり変えていないことが理由の一つだと思う。予算配分は重要で、ここで敵をつくると恨みの残った側が原発で復讐(ふくしゅう)に回るという、江戸の敵を長崎で討つみたいなことが起こる。だから意図的に無難な予算編成をした」

 ――ほかの原発立地自治体では、新潟のような議論の高まりがありません。なぜでしょうか?

 「ある種の現実逃避かもしれない。安全神話が崩れ、事故は確率の問題でしかないとわかったが、それを考えるのは怖いし議論は嫌だからやめようと。これに対し新潟では、柏崎刈羽原発は福島で事故を起こした東電のもので、同じ沸騰水型炉。07年の中越沖地震で火災事故も起きており、現実逃避しようがない。そういう状況の中で県民の不安感が集約しやすかった」

 ――九州電力川内原発を抱える鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事は、再稼働した九電に抗議しながら、今は事実上の容認に転じました。この変節をどうみていますか?

 「もとより現在の姿勢で、そんなに変節していないように思う。選挙の時にも何かハッキリ言ったわけでないし、九電への抗議も明確だったわけではない。何をどうしたいのか、特段決まっておらず、終始一貫して目の前の現状に合わせて態度が変わっているだけのように見える」

 ――政治家は公約にどう向き合うべきですか?

 「周囲との調和の中で変えていかないといけない所は出てくるが、エッセンスを失ってはいけない。かつ、どうしても変えないとならない時には、相当よく説明し、様々なやり方はあると思うが、何らかの形で民意を問うプロセスを経ないといけない」

 ――原発に慎重な知事同士で連携する考えは?

 「今はあまり考えていない。そもそも原発に慎重な知事は現在、三日月大造(みかづきたいぞう)さん(滋賀県知事)くらいしかいない。三反園さんは前述の通り微妙だし。川勝平太(かわかつへいた)さん(静岡県知事)は今後を注視したい」

 ――新潟県知事選では野党共闘の枠組みで勝ちました。次の衆院選では、野党候補を支援しますか?

 「政治は、揺れている大きな盤の上で将棋を指すようなもの。気が付いたら思いがけず角がここにいる、歩が成っている、ということが起こる。状況は、その時にならないと分からない。あらゆるオプションを持って臨みたい」(聞き手・構成=関根慎一)
 
2017年7月24日22時51分
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/597.html

[政治・選挙・NHK229] 〔テレビ出演のご案内〕 小沢一郎(事務所)‏ 

本日、7/27(木)小沢一郎代表『報道ライブINsideOUT』(BS11)
20:59〜21:49に生出演いたします。ぜひ、ご覧ください。


http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/727.html
[政治・選挙・NHK229] 〔テレビ出演のご案内〕 小沢一郎(事務所)‏  仁王立ち
1. 仁王立ち[15] kG2JpJengr8 2017年7月27日 21:08:29 : ngRlKTcl3A : j3nvsJADAMw[1]

〔内 容〕
 
支持率低下に歯止めがかからない安倍政権。 8月3日に内閣改造が予定されているが、それで国民の不信感を拭うことができるとは思えない状況となっている。 野党にとってみれば、『絶好のチャンス』のはずなのだが、各党とも、人材・実力不足といった感は否めない。
新たな連携の可能性はあるのか? 受け皿となりうるのは、どこか? 第三極の登場は?

小池百合子都知事が、かつて側近として仕えたときに政治・選挙手法を学んだ 自由党小沢一郎代表をゲストに招き、徹底検証する。 
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/727.html#c1

[政治・選挙・NHK229] 〔テレビ出演のご案内〕 小沢一郎(事務所)‏  仁王立ち
6. 仁王立ち[16] kG2JpJengr8 2017年7月28日 17:23:28 : MRczdSCblx : AdxTgVQ_hJU[1]
 
今日から2週間、下記URLにて無料で視聴できます。
 
http://vod.bs11.jp/video/insideout/20170727/

野党共闘の話は23:00あたりから始まります(全編38分)。
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/727.html#c6

[政治・選挙・NHK230] [書評]『敗者の想像力』  WEBRONZA(朝日新聞社) 
『敗者の想像力』(加藤典洋 著 集英社新書) 定価:本体780円+税


息の根を絶たれた「終わらない戦後」から、「新しい戦後」へ
 
 別に具体例を挙げるまでもないだろうが、いま、日本の多くの人々が、自分たちの国の支配層と社会とが、安倍晋三氏お気に入りの言葉を使って皮肉混じりに言えば、凄まじいまでの「スピード感」をもって劣化し続けていると感じている。本書の著者・加藤典洋は、以前から一貫して、それに通じることを明言して憚らなかった論客の一人だ。

 彼は、デビュー作『アメリカの影』(河出書房新社、1985年)以来、その10年後の1995年には、「敗戦後論」で左右双方の論壇――当時はまだそういう言い方が生きていた――に論争の風を巻き起こし(書籍化は『敗戦後論』/講談社、1997年)、一方では『日本の無思想』(平凡社新書、1999年)、『村上春樹論集』1・2(若草書房、2006年)、『文学地図――大江と村上と二十年』(朝日選書、2008年)、『さようなら、ゴジラたち―戦後から遠く離れて』(岩波書店、2010年)などの著書で、サブカルチャーを含む多様な観点から、日本の「近代」と「戦後」を問い、その乗り越え方を探り続けてきた。
 その加藤が、本書の冒頭でこう説く。

《 戦後的な土壌は、いま日本でその息の根を絶たれようとしている。しかし、その死を見届け、それを自分の問題として引き受ける世代が現れれば、やってくるものは、新しい戦前ではなく、新しい戦後となる。

 そのとき、敗者の想像力は、未来への一つの入り口ともなるだろうと、私はそう考えている。 》

 では、新しい戦前ではなく、あたらしい戦後となすために言明される「敗者の想像力」とは一体何か。加藤はとりあえず、それは「敗者が敗者であり続けるうちに、彼のなかに生れてくるだろう想像力のことである」と言うが(「はじめに 想像力にも天地があること」)、予め定義して示せるようなスタティックな実体は示さない。

 これは「考えたことを書く」だけではなく「書くことによってより深く考える」ことをスタイルとし、自らの予断から極力自由であろうとする著者が貫いてきた、独特の手慣れたやり口であり、だから本書は、加藤の頭に浮かんだ「敗者の想像力」という言葉を手掛かりに、その実体を随所に探し求めるようにして、スリリングに展開するのである。

 その一見まだるっこしい方法こそが、「出世」や「経済成長」や「進歩」に拘泥してきた「日本の戦後」に欠けていたもので、だから「新しい戦後」を招来する希望にもつながるのだ、とでも言わんばかりに――。

 結論だけを先に言うと、その探求の行き着いた先は、「戦後民主主義の申し子」と見做されてきた作家・大江健三郎が、被告の立ち場で闘った「沖縄『集団強制死』裁判」との関わりを媒介に、同時期に執筆された大江の小説『水死』論が展開される、「終わりに 『水死』のほうへ――大江健三郎と沖縄」と題する最終章に示されている。

 加藤はここで、裁判の進み行きと小説の中身とを絡め、尋常ならざる力を込めてこう言う。――誰が、そう大江を批判し、糾弾しているのか。むろん、それは曽野綾子や徳永信一(大江を告発した裁判の原告側弁護士――筆者注)の輩ではない。そう大江を批判し糾弾しているのは大江自身だ。大江は、あの証言台で、愚劣な批判者によるタワゴトのむこうに、彼らもあずかり知らない、この声を聞いたのである――と。

 「この声」の中身についてはネタバレになるから、「自己否定」とだけ明かして、具体的には伏せておこう。代わりに、冒頭の安倍晋三的「スピード感」に深いところから異議を申し立て、最終章の大江なりの「沖縄」にも関連する言表を、「はじめに」から、もう一つだけ紹介する。まず加藤の本文、次に中村秀之『敗者の身ぶり――ポスト占領期の日本映画』(岩波書店、2014年)からの引用、最後にもう一回、加藤の本文と続く。

《 中村によると、(作家の――筆者注)山田風太郎は(サンフランシスコ平和条約発効の――同)三週間前、一九五二年四月八日の日記に、こう書いている。
 
  独立の暁は――などというが、日本は独立などできないのではないか、講和条約は発効しても、行政協定が新に結ばれたではないか、自由未だ遼遠なり。

 同じく中村は引用に続け、こう述べている。

  事実、四月二八日に発効したのは平和条約だけではない。(中略)日米安全保障条約も、(中略)日米行政協定(同年二月調印)も、同時に発効したのである。そのとき日本政府は、占領終結後も自国内に米軍が駐留することを認めただけでなく、その米軍関係者に対する裁判権も実質的に放棄することになった。(中村、前掲)

 こういう文章を読むと、不思議な気がするのも、戦後が七〇年以上も続いて終わらないからである。(中略――筆者)状況は本質的に一九五二年四月から何も変わっていない。ただ一つ違うのは、もう沖縄以外では、誰も、そんなことを気にしていない(斜体――同)ことである。 》

 「終わらない戦後」を「沖縄以外では、誰も、気にしていない」国、日本――。そのことに粘り強くこだわってきた加藤の持続する思索の旅の、稀な本物ぶりを理解するのに有益な最近の本を、最後にもう2冊、紹介しておく。(1)『戦後入門』(加藤典洋著、ちくま新書、2015年)。(2)『沖縄からはじめる「新・戦後入門」』(飢餓陣営せれくしょん、言視舎、2016年)。あわせて、お薦めしたい。
 
今野哲男 編集者・ライター
2017年07月27日
 
 

http://www.asyura2.com/17/senkyo230/msg/324.html

[政治・選挙・NHK236] Re: 小沢一郎代表「政治が良くないと思うなら,国民皆さんはちゃんと投票所に行きなさい」(銅のはしご)
 
先の総選挙で、自公候補と反安倍候補の事実上の一騎打ちとなった選挙区は全国で52あった。
反安倍候補の党派別内訳は、立憲民主党16、無所属15、日本共産党13、社会民主党5、希望の党3であった(以下では各党派名称を「立」「無」「共」「社」「希」と表記する)。
結果は17勝35敗であったが、これを党派別にみると、
「立」 6勝10敗
「無」 10勝5敗
「共」 0勝13敗
「社」 1勝4敗
「希」 0勝3敗
であった。

「立」の6勝は北海道1区、北海道3区、北海道6区、北海道8区、北海道11区、新潟1区であり、
「無」の10勝は岩手3区、宮城5区、福島1区、栃木2区、新潟4区、愛知7区、三重2区、高知2区、佐賀1区、沖縄3区であり、
「社」の1勝は沖縄2区であった。

他方、「立」の10敗は北海道5区、北海道10区、群馬3区、大阪6区、大阪16区、島根1区、山口3区、福岡3区、熊本4区、大分3区であり、
「無」の5敗は宮城2区、新潟5区、新潟6区、三重1区、沖縄4区であり、
「共」の13敗は北海道7区、宮城6区、東京12区、岐阜2区、兵庫8区、和歌山3区、鳥取1区、広島1区、山口2区、徳島2区。福岡8区、熊本3区、宮崎2区であり、
「社」の4敗は富山2区、香川3区、大分2区、鹿児島4区であり、
「希」の3敗は岩手2区、香川1区、熊本1区であった。
 
 
次に、実際には複数の反安倍候補者が立候補してしまったため共倒れとなったが、これら反安倍候補者の得票数を合算すると自公候補者より多かった選挙区、つまり民意は“厭安倍”を示したにもかかわらず自公候補者が勝ってしまった選挙区が以下の通り70あったことは、特筆に値すると言えよう(カッコ内の党派名は得票数の多い順)。

北海道2区(希共)、北海道4区(立希)、北海道9区(希共)
宮城1区(立希)、秋田2区(希共)、福島4区(希共)
茨城1区(希共)、茨城5区(希共)、茨城6区(希共)、群馬1区(希共)、埼玉1区(希共)、埼玉3区(立希)、埼玉4区(希共)、埼玉7区(希共)、埼玉8区(希共)、埼玉10区(希共)、埼玉11区(無希共)、埼玉12区(希共)
千葉1区(希共)、千葉6区(立希)、千葉8区(希共)、千葉9区(希共)、千葉13区(立希共)、神奈川1区(立希)、神奈川7区(立希)、神奈川14区(希共)、神奈川16区(希共)、山梨2区(無立希共)
東京2区(立希)、東京3区(希共)、東京5区(立希)、東京8区(立希共)、東京10区(立希共)、東京11区(立希共)、東京14区(希共)、東京15区(希共)、東京16区(立希)、東京19区(立希共)、東京20区(共希)、東京22区(立希共)、東京23区(希共)、東京24区(立希共)
石川3区(希共)、長野4区(共希)、長野5区(無希)
岐阜4区(希共)、静岡1区(希立共)、静岡3区(無希)、愛知1区(立希)、愛知4区(希共)、愛知8区(無共)、愛知9区(希共)、愛知10区(希共)、愛知15区(希共)
滋賀1区(無社)、滋賀4区(希共)、京都1区(共希)、京都4区(希共)、京都5区(無共希)、京都6区(希共)、兵庫1区(希共)、奈良1区(希共)
鳥取2区(希共)、岡山3区(無希共)、
福岡1区(立希共)、福岡2区(希共)、福岡9区(希共)、福岡10区(希共)、熊本2区(無社)、大分1区(希共)

もし上記70選挙区で勝敗が逆転していた場合の国会勢力は、自公243議席、反安倍(立希共自社と無所属)210議席、その他(維新と自公系無所属)12議席となっていた計算になる。
 
結果として安倍落日政権は命拾いをした。民意が示した“厭安倍”は、死票の中に埋もれてしまった。

投票率54%でさえ、129の選挙区、つまり289の小選挙区のうち45%において、民意は“厭安倍”を突き付けた。このことはどのように強調しても強調し過ぎることはない。なぜなら、もし有権者が「死票」ではない「活票」を投じられるような状況、つまり反安倍候補の一本化がなされてさえいれば、投票率は大幅に上昇し、結果は様変わりしたものになっていたであろうから。

小沢さんが本当に言いたいことは、そういうことではないだろうか。
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo236/msg/221.html

[政治・選挙・NHK236] 報道の自由と民主主義を守る(上―強まる政治の圧力)(下―屈服させようとする力への戦い)

報道の自由と民主主義を守る(上)――強まる政治の圧力
五野井郁夫 高千穂大学経営学部教授(政治学・国際関係論)
2014年10月06日


 われわれが確実なものとすることを追求している将来の日々に、われわれは人類の普遍的な4つの自由を土台とした世界が生まれることを期待している。
 第1は、世界のあらゆる場所での言論と表現の自由である。
 第2は、世界のあらゆる場所での、個人がそれぞれの方法で神を礼拝する自由である。
 第3は、欠乏からの自由である。
 第4は、世界のいかなる場所でも、恐怖からの自由である。
 (フランクリン・D・ローズベルト大統領、1941年1月6日「一般教書演説」より)

 アメリカ大統領フランクリン・ローズベルトは1941年の議会に向けた一般教書演説で、第二次大戦後の世界秩序構想を示した。全体主義国家であったナチスドイツが隣国をつぎつぎと併呑し、ヨーロッパを覆い尽くそうとしていた第二次世界大戦中のことである。

 一般的には「4つの自由」演説といわれるローズベルトのこの演説は、のちの大西洋憲章などにも影響を与え、戦後、われわれがいま生きている世界の原点となった。

 「4つの自由」演説で世界が目指すべき最も重要なものとして、最初に掲げられているのが「言論と表現の自由」である。それは、民主主義の政治を自認する社会で、何よりも重んじられねばならない権利だからだ。

 人々が国家から咎められることに怯えたり恐れたりせず、自分の意見を公の場で表明できる自由、そして時の為政者が振りかざす政治的権威に異議を唱え、政府の政策を正々堂々と批判できる自由は、われわれの民主主義国家と、独裁国家や全体主義国家の政治との根本的な違いだ。

 民主主義の政治では、政府与党にとってうるさくて政治運営の邪魔だからといって政治的な「制裁」という手で人々の口をふさぎ、その声を消音させてはならないし、ましてや一国の指導者や政権党がこれらの自由を抑圧する発言や行為は、絶対にしてはならない。

 この「言論と表現の自由」のなかでも、とくに政府から独立した立場で政府への権力を監視し、権力の不正義をわれわれに伝えるのが新聞等のマスメディアがもつ「報道の自由」である。

 政府にとって都合の悪い報道を制限することは全体主義への第一歩であり、権力による報道への介入によって記者やジャーナリストらを萎縮させ、報道の自律性を奪うようなことがあれば、その国の民主主義は危機的な状況にあるといえる。

 近年、民主主義国であるにもかかわらず、政府の側が報道各社に介入しさまざまな圧力をかけ、「報道の自由」の幅、すなわち民主主義の幅を狭めようとする例が目立っている。

 隣国の韓国では、産経新聞のウェブサイトに掲載された同紙ソウル支局長の記事が、朴槿恵(パククネ)大統領への名誉毀損にあたる疑いがあるとの市民団体の告発を受け、韓国のソウル中央地検が同紙ソウル支局長を事情聴取するという異常事態が起きている。しかも、韓国大統領府から同紙ソウル支局に抗議があったとも報じられている。

 筆者は、日本の極右とネオナチの関係を踏まえて、日本の「右傾化」について朝日新聞にコメントしたさい、産経新聞の「産経抄」や月刊誌『正論』から、印象論だけで批判をされ、産経新聞販売局の社員から嫌がらせを受けたこともある。

 近頃になって自民閣僚と、ホロコーストも慰安婦の存在もなかったことにしたい日本のネオナチ崇拝者や在日特権を許さない市民の会(在特会)との関係が大々的に表面化しても、まだ産経新聞社側から筆者への謝罪はない。

 それでも、報道関係者への事情聴取と大統領府からの抗議という、報道機関の自律性を損なわせかねない異常事態において、謝罪の有無に関係なく筆者は産経を擁護する。

 それは、今回のソウル地検による事情聴取と大統領府の圧力が、民主主義国家であれば遵守すべき「報道の自由」の原則を逸脱しているからだ。

 だが報道に対する政治側の圧力はけっして対岸の火事ではない。日本でも同様のことが起きている。

 9月11日に安倍晋三総理はニッポン放送の番組内で朝日新聞の報道について「個別の報道機関の報道内容の是非についてはコメントすべきではないが、例えば、慰安婦問題の誤報で多くの人が苦しみ、国際社会で日本の名誉が傷つけられたことは事実といってもいい」と述べた。

 「コメントすべきではない」と前置きしつつも、個別の報道機関の報道内容の是非について「日本の名誉」に絡めて一国の政治指導者がコメントするというのは、軽はずみの発言ではなく、知っていてあえて「報道の自由」の原則を逸脱してみせているとしか思えない。

 安倍総理による「報道の自由」の逸脱は、9月14日のNHKニュース内で従軍慰安婦問題における、朝日新聞の吉田清治証言にもとづく記事の取り消しに関するコメントでさらにエスカレートする。

 安倍総理は「世界に向かってしっかりと取り消すことが求められている。朝日新聞自体が、もっと努力していただく必要がある」と、海外も含め周知に努めるよう求めた。

 総理と与党自民党は、すべて吉田証言のせいであるかのように喧伝しているが、すでに石原信雄元官房副長官が「河野談話作成の過程で吉田証言を直接根拠にして強制性を認定したものではない」と述べており、その主張には無理がある。

 安倍総理が本気で「日本の名誉」を回復するために慰安婦問題をめぐる自身の主張を世界に広めようとするならば、政府与党に批判的な国内メディアへの攻撃に使っている場合ではない。

 2007年4月27日のキャンプ・デービッドでの日米首脳会談で安倍総理はブッシュ大統領に対して、慰安婦問題について「申し訳ないという気持ちでいっぱいである」と国際的なメッセージを発した(同会談の映像 https://www.youtube.com/watch?v=wR8IeWcL2ho)。

 総理の発言を受けてブッシュ大統領も「従軍慰安婦の問題は、歴史における残念な一章である。私は安倍総理の謝罪を受け入れる」と応答している。

 もし今回の朝日新聞の吉田証言にもとづく記事の取り消しで、「日本の名誉が傷つけられたこと」について、自由民主党の外交・経済連携本部国際情報検討委員会が主張するように「根拠も全く失われた」のであれば、今すぐにでも総理自らがアメリカ合衆国と世界に2007年の謝罪を正式に撤回すればよいだろう。外交的なダメージを度外視すれば、総理の現在の主張を世界中に広く伝える上で最も有効な手段ではあるまいか。

 慰安婦問題をめぐって、過去の内閣とは異なり米大統領の前で謝罪をせねばならないほどに状況を悪化させた自身の外交責任を棚に上げて、政府与党がその責任をすべて一新聞社に押しつけ、圧力をかけるなどというのは、明らかに「報道の自由」を無視した行為である。こうした行為は、到底民主主義国家のやることではない。 (つづく)



報道の自由と民主主義を守る(下)――屈服させようとする力への戦い
五野井郁夫 高千穂大学経営学部教授(政治学・国際関係論)
2014年10月07日


 そのころの朝日新聞の、社会正義の為の戦いは目覚しいものがあり、日本新聞史上に永く輝やかしい記録をとどめるだろう。最近偶然の機会にこのころの記事を読んだので、新聞週間最終日にあたり、敢てここにしるす。(吉村公三郎、「たたかった朝日」『朝日新聞』1956年10月7日)

 過去の日本政府の側による「報道の自由」への介入といえば、1918年8月25日に起きた「白虹事件」という言論弾圧事件が思い浮かぶ。

 日本で未曾有の民衆騒乱事件とされる米騒動は、当初富山県下の漁村の主婦たちがはじめた運動だったが、やがて困窮者救済要求へと発展していった。各紙の積極報道によって全国主要都市のみならず、農村でもデモ行動が組織されるようになった。

 この米騒動にさいして、元陸軍大将で朝鮮総督だった寺内正毅内閣は、騒動の拡大防止を理由に一切の新聞報道の禁止令を出した。

 この措置に対抗すべく日本各地の新聞社が大阪に大同団結して当時の大阪朝日新聞社社長だった村山隆平を座長に関西記者大会を開き、86社の代表166名が参加して「禁止令の解除及び政府の引責辞職」を要求し、その様子を大阪朝日新聞が報じた。

 だが、記事内で使用されていた「白虹日を貫けり」という表現が、劉向『戦国策』や司馬遷『史記』のなかでは兵乱が起こる兆候を示す語句だとの理由で、朝憲紊乱罪(国家の存立基盤を不法に乱す罪)に当たるとして、新聞法違反のかどで検察に起訴された。

 まだ漢籍が教養だった時代といえばそうだが、『平治物語』にも出てくる表現で、また昭和に入ってからも井伏鱒二が『荻窪風土記』で二・二六事件の前日に「白虹」を見たと述べているくだりがある。

 「白虹事件」について、冒頭で紹介した映画監督の吉村公三郎(吉村の父は元大阪朝日新聞の政治記者でのちに広島市長)の論説では、当時「予(かね)て事有れかしとねらっていた〔政府〕当局はこれをひっかけた」と回想している。

 当時の政府にとって「白虹日を貫けり」は、長谷川如是閑や大山郁夫を擁し、大正デモクラシーを牽引していた「一大敵国の観さえあった朝日新聞をたたきつぶす絶好の口実だった」(『朝日新聞』1979年1月25日朝刊)のである。

 朝日新聞が狙われた遠因としては、寺内正毅総理本人が当時流行したビリケン人形に似ているとされ、またその政治姿勢が「非立憲主義」であったことから掛詞で「ビリケン内閣」とも呼ばれた寺内内閣成立以来、朝日新聞が率先して同内閣の反動性や反立憲主義的な姿勢を非難し、中国への介入やシベリア出兵等に反対していたことがあげられる。

 吉村によれば、過去にも「政府はあらゆる手段を尽くして、朝日の筆鋒を殺がんとし、ときには暴力団を使嗾(しそう)して社長を襲撃せしめたりしたが、更にひるまなかった」という。暴力による圧力をかけられても、なおも屈することのなかった同紙を、発行禁止処分にもち込もうとしたのが「白虹事件」における寺内内閣の思惑であった。

 文字通り新聞社の息の根を止められる「発禁処分」という最悪の事態を回避するために、同社の村山社長は社を守るために断腸の思いで政府への恭順の態度を示し、大正デモクラシーの牽引役で当時の朝日の執筆者であった長谷川如是閑や大山郁夫、花田大五郎、丸山幹冶(丸山眞男の父)らを追放した。

 それでも右翼団体が村山社長の人力車を襲撃するなどの暴力事件が相次いだため村山社長は辞職し、白虹事件後の朝日はリベラルな論調を以前よりも控えざるを得なくなった。朝日新聞社の社史にも以下のようにある。

1918.8.25 「白虹事件」の発端となる記事を掲載。大朝夕刊記事にある「白虹日を貫けり」の字句が安寧秩序紊乱に当たるとして発売禁止。日本の言論弾圧史上、特筆すべき「白虹事件」に発展した。責任をとって社長村山龍平が辞任、編集幹部も退社

 その後の右傾化と同社への弾圧はなおも以下のように続く。

1936. 2.26 反乱軍に倒された活字棚2・26事件。反乱軍が東朝社屋を襲撃青年将校が率いた部隊は政府要人を襲撃した後、一部が東朝社屋へ乱入、社屋2階文選工場の活字棚がひっくり返された。緒方竹虎主筆が部隊指揮者と面会。この日の夕刊発行を見合わせた

 そしてついに戦時中の1941年にはヒットラーの『我が闘争』が、朝日新聞社から『要約マインカンプ』という書名で出版されるまでに至った。

 なんとか会社は生き残ったが「白虹事件」後の朝日は、政府権力と対峙し「言論と表現の自由」を守る報道機関としての機能を次第に奪われ、失っていった。そして言論による右傾化の歯止めがまったく利かなくなったその頃までには、朝日のみならず日本国全体がすべてファシズムにのみ込まれていたのである。

 こうした言論弾圧について、政治哲学者ハンナ・アーレントは『全体主義の起源』のなかで「全体主義的支配はその初期の段階においては、一切の政治的反対派の排除を比類のない徹底性をもっておこなう」と論じている。第二次安倍政権以降、ナチスによる全体主義支配の初期段階、あるいは戦前の日本と同様のことが、今まさに起きつつあるのではあるまいか。

 というのも、政権にとって耳障りな官邸前の声を「テロ」と名指しした2013年11月29日の石破発言や(WEBRONZA「自民・石破茂幹事長の『デモ』=『テロ』発言の危うさ――民主主義は国会の外にもある」)、ヘイトスピーチ規制と国会周辺の抗議規制をどさくさに紛れて行おうとした2014年月28日の高市発言(WEBRONZA「国会周辺でデモをする自由(上)――『高市発言』が示した”徴候”」)、そして今回の朝日新聞報道をめぐる総理の「日本の名誉」発言は、韓国のソウル中央地検による産経新聞への事情聴取と同様に、いずれも民主主義国家にとって最重要の価値である「言論と表現の自由」を脅かすことで人々やメディアを萎縮させ、民主主義そのものを窒息させるものだからだ。

 いつまでこの国で自由な主張を発表し続けることができるのだろうかと、筆者も不安を感じながらこの文章を書いている。ツイッター上では「赤報隊に続け」と叫ぶ者も出現し、「朝日関係者殺害用リスト」も作成されるようになった。筆者への殺害教唆を見かけることもしばしばである。

 けれども、ここで太平洋戦争へ至るまでの戦前のように言論が力による脅しに屈して、報道と言論が政権の意向を忖度して押し黙り、国民が政府の圧力に恭順の姿勢を示してしまえば、また過去と同じ過ちを繰り返させるだけだ。

 どの国であれ、政治権力や剥き出しの暴力によって「言論と表現の自由」を屈服させようとする者が出てくる危険な時代に差しかかっているからこそ、ペンを剣とし、法を楯として、全力で自由と民主主義を守らねばならない。

 先人たちが築きあげてきた近代と戦後秩序において多くの国々で実現した「言論と表現の自由」、わけても今日再び脅かされつつある「報道の自由」に対する政権側のいかなる圧力も許してはならない。そして、これらの自由を守り次の世代に受け継ぐのは、われわれに他ならないのだ。

 その意味で今後の数年間は、われわれ一人ひとりにとって、2010年代の日本を再び「開戦に至る10年」へと向かわせないための正念場なのである。



(投稿者雑感)
最後までお読みいただき有難うございます。
最後の一文は、ズシリと胸に響きますね。しかし、「われわれ一人ひとり」に一体何ができるというのでしょうか。

実は、それは拍子抜けするほど簡単なことなのかも知れません。
 
マスメディアは、国民一般大衆と権力側との綱引きの綱のようなものです。
戦前と同様、権力側がメディア介入、メディア統制の機会を虎視眈々と狙っていることを侮ってはいけません。
逆に、国民一般大衆の声が、マスメディアを権力側の魔手から守る強靭なバリアとなり得ることは、モリカケ問題をめぐるこれまでの報道が証明しています。国民世論とマスメディアと野党各党の呼吸がうまく噛み合えば、このように権力側を追い詰めることもできるという証左です。
 
投書、電話、メールなどの形で、国民一般大衆の声が大きくなればなるほど、マスメディアは国民の代弁者たり得るということです。
また、マスメディアの広告主も、彼ら自身の顧客である国民一般大衆の声は決して無視することができないのであり、綱引き効果はここにも及んでいくことになります。

「沖縄の視線」と題された東京新聞のあの写真が東京写真記者協会(新聞、通信、放送など33社加盟)の協会賞グランプリを受賞しました。メディア側のカウンターパンチ、でしょうね。
 
阿修羅掲示板ではマスメディアを突き放すようなコメントを散見します。それはそれで正鵠を射たコメントのように見受けられますが、それだけで終わってしまっては、綱引きを自ら放棄していることになります。テレビ局に、新聞社に、抗議や叱咤の声をどしどし届ける(もちろん実名で)手間と勇気を惜しまないようにしたいものです。
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo236/msg/366.html

[政治・選挙・NHK236] 日本のリベラルを再構築する   過去のつまずきの石を丹念に検証しつつ、「勝ちへの貪欲さ」を持ちうるか
 
「では、具体的にどうすればリベラル勢力を再び鍛え上げ、政権交代を再び起こすことができるのだろうか。」
 
「リベラル側がすべきことは、さらに選挙に勝つべく数という「構成的な力」の頭数となることである。恩讐をこえてリベラル同士が怜悧かつ戦略的に横に繋がらなければ、今後も負け続けるのだ。」
 
「リベラルの側に勝つために数の力となるべく選挙協力する発想がない間は、安倍政権は引き続き安泰なのである。」
 
「過去の躓きの石を一つひとつ丹念に検証しつつ「勝ちへの貪欲さ」をリベラル側も持ちうるか否かに、政権交代も見据えた今後のリベラルの再構築の成否はかかっているのである。」

(以上、下記本文より抜粋した。)
 
 

日本のリベラルを再構築する
過去のつまずきの石を丹念に検証しつつ、「勝ちへの貪欲さ」を持ちうるか
五野井郁夫 高千穂大学経営学部教授(政治学・国際関係論)
2017年10月31日


■リベラル再構築のために ―― 都市を変えた文化動員を選挙政治へ接続する

 第48回衆議院選挙では、改憲勢力が8割の議席を占めた。リベラルは文字通り大敗したのである。

 その一因は選挙戦での選挙協力をめぐる合従連衡の駆け引きのなかで、民進党が判断を誤り事実上瓦解(がかい)したことだろう。日本の政党政治において風前の灯(ともしび)の社民党をのぞけば、ついにリベラル政党が消え去ると思われたその矢先、立憲民主党が誕生した。

 それでもこれまでの市民連合などを中心とした野党共闘によって培われてきたインフラと、元SEALDsのメンバーらによってSNSなどのツールを最大限活用することで草の根での文化動員に成功し、立憲民主党は急激に支持層を獲得した(これについては石戸諭・伊吹早織によるバズフィードの記事「なぜ#立憲民主党 は議席を伸ばしたのか? 裏方に徹した元SEALDsの力」に詳しい)。

 そして総選挙で台風の目だったはずの希望の党に終盤戦で追い抜き、ついには公示前議席15議席をはるかに上回る55議席を獲得して、2017年10月3日の結党からほんの19日で野党第1党の座についたのだった。

 立憲民主党が最後の演説の場所に選んだ投票日前日の新宿は、小雨にも関わらず、いままでにない熱気に包まれていた。人びとが「おたがいさま」を合言葉に、お互いの傘を畳み気遣い合う風景である。

 法の支配と民主主義をこの国に再び取り戻そうという人びとの強い意思と、その意思を伝える言葉とプラカードが都市を埋め尽くしている文化動員の風景に、路上の文化=政治次元ではすでにリベラル的なものの巻き返しが起きつつあると感じた。

 まさに「意思は言葉を変え 言葉は都市を変えてゆく」(小沢健二『流動体について』、2017年)ことを実感した風景に立ち会った時、わたしは「これは50議席を優に越えるだろう」という確信を得た。この圧倒的な都市を変えた民主主義の風景には、読売新聞や産経新聞ですら抗(あらが)うことはできず、二紙ともに選挙当日の一面に最終日の自民党の秋葉原情宣ではなく、立憲民主党の新宿バスタ前情宣を今回の選挙を象徴する写真として使用したのだった。
https://twitter.com/horiris/status/921858503068737536
 
■この国と世界で進行しつつあること

 総選挙期間中、小沢健二が19年ぶりに発表した新譜『流動体について』を繰り返し聴いていた。世界的な極右政党の躍進とリベラルの退潮を目の当たりにして、日々なにかしら焦燥感や絶望に近いものを感じている人々も多いことだろう。毎日どこかの局面で、われわれが大切にしてきた近代的な価値観がかくもたやすくへし折られてゆく風景を、いや応なしに目の当たりにするのだから。

 すでにわたしの周囲には、政治の領域から早々と撤退して、自分の人生の質を高める方に邁進したほうが、心と体の健康の両面にとってよいのではないか、などと諦めつつある人々がいる。尊敬する友人のなかには、選挙への棄権を訴える人も出てきた。たしかに、いまの世界的な潮流が何かしら抗えないものなのであれば、かつての村上春樹が『ノルウェイの森』で政治から背を向けたのとは別の理由から政治に背を向けて、個人としての生を充実させるほうがよいのではないかとすら思えてくる。政治から撤退し自己の私生活に沈潜したくなる理由は数多くある。

 というのも、そう思いたくなるには十分なほどに堪え難い事態が、この国と世界では進行しつつあるからだ。

 2011年の東日本大震災以後、すなわち災後の日本だけをみても、デモの隆盛による民主党政権打倒の機運と自民党への政権交代にともなって、民主党政権時の「原発ゼロ」の閣議決定は事実上撤回された。特定秘密保護法も国民の強い反対を押し切り、強行採決によって成立した。メディアが批判しようものなら、テレビ局に対しては「停波」をちらつかせ、政府の意に沿わない内容については政府から直接電話がかかってくるなど、圧力をかけてくる。

 特定のメディアが狙い撃ちされることもあった。たとえば慰安婦問題をめぐり2007年に日米首脳会談で謝罪したのは他でもない当時の安倍首相だったが、朝日新聞の吉田証言にもとづく記事の取り消しで日本政府は「日本の名誉が傷つけられた」と国内向けに喧伝(けんでん)するようになった。

 さらに集団的自衛権の政府容認の閣議決定も、自衛隊発足60年の節目に合わせてなされた。安保法をめぐっても2015年安保という全国規模での歴史的な抵抗が巻き起こり、樋口陽一、長谷部恭男、石川健治といった名だたる憲法学者たちが違憲だと主張するなか、憲法の改憲手続きを経ず、当初は委員会の議事録も作成されないままに採決が強行された。

 有権者への説明責任を欠いたまま強行採決や憲法上の手続きを迂回した解釈改憲は主権在民を踏みにじり、集団的自衛権の行使容認は、長きに渡ってこの国のかたちであった平和主義からの転換を意味する。さらに2017年には共謀罪法が制定・施行され、多くの知識人がさらに口を慎むようになった。

 このように矢継ぎ早にさまざまな法案が可決成立し、メディアへの弾圧も強まり、市民的な権利はますます縮減されつつあるなかでは、もはや諦念にいたらざるを得ない人も出てくる。そうなるとかつてのストア派のように、せめて自分の心の平安だけでも保とうという気分にもなってくる、つまり「その時々でできることは 宇宙の中で良いことを決意するくらい」(小沢健二『流動体について』、2017年)しかないのだと。

■右傾化の一方で、新たな政治の萌芽も

 だが、本当にそうなのか。政治の領域から撤退して、自分の領域の守りに徹するという、それで良いのか。

 たしかにこの2010年代において、リベラルはやられっぱなしだ。だけど、小沢健二は繰り返しいう、「だけど意思は言葉を変え 言葉は都市を変えてゆく」と。

 たしかに2010年代とは、政治を良い方へと変えようという確固たる意思をもった人々が自ら動き出した時代でもある。人びとは自らの意思で言葉を練り上げ、その言葉が声となって都市に響き、自分たちで工夫して作ったプラカードにある言葉で埋め尽くされた都市の風景を変えていっていたのだった。

 15年安保への反対運動で2015年10月18日の渋谷情宣が行われたときに使用されたアンセム(賛歌)は、他でもない小沢健二とスチャダラパーの『アーバン文法』と『今夜はブギーバック』であり、スチャダラパー本人が渋谷駅前で行われた反安保のデモと集会で「とにかくパーティーを続けよう」「これからもずっとずっとその先も」と呼びかけ、「民主主義って何だ?」「これだ!」というコール・アンド・レスポンスを交えてやってみせたときのあの風景を、新宿バスタ前での立憲民主党の情宣に風景に重ね合わせて思い出していた。

 たしかにこの国は、一方で右傾化しつつあるようにも見えるが、他方で人民主権と法の支配を取り戻そうとする、古くも新しい「アセンブリー(集会)」の政治の萌芽を見出しうるような都市の風景へと変わりつつもあるのだ。

 その群れは、ただ指導者に付き従うだけの司牧者権力的な群れではない。そうではなくして、個人が個を保ちながら自らの意思で選び取り横へとつながっていく「群れの政治」である(「群れの政治」については御厨 貴/飯尾 潤 責任編集、サントリー文化財団「震災後の日本に関する研究会」 編『災後の文明』、CCCメディアハウス、2014年所収の拙稿「ソーシャル・ネットワークと群れの政治―再魔術化する日本」を、「アセンブリー」についてはJudith Butler, Notes Toward a Performative Theory of Assembly, Harverd Univerity Press, 2015., pp154-192.および、Michael Hardt and Antonio Negri, Assembly, Oxford University Press, 2017.を参照されたい)。

http://books.cccmh.co.jp/list/detail/1382/

■躍進を支えたのは2011年以来の「都市の風景を変えた人々」だった

 今回の選挙における立憲民主党ならびに野党共闘の成果は目を見張るものがあったが、その躍進を支えたのは他でもない、2011年以降の路上の政治のなかで意思によって言葉を変え、言葉によって都市の風景を変えていった人々だったのだ。

 かつて安倍晋三首相に「こんな人たち」と名指しされて政府側にマークされた、その人びとが培ってきた文化動員の手法を、今回は路上における参加民主主義の政治から、選挙における議会制民主主義へと還流させ、野党共闘を前進させ55議席も取ったのである。

https://mainichi.jp/articles/20170710/dde/012/010/014000c

 たしかに、政治が強圧的になっているときに一歩踏み出すことは、とても勇気がいることだ。けれどもこれについて小沢に倣えば「宇宙の中で良いことを決意する時」には、「でもそれほどの怖さはない」のである。

 今回大躍進を遂げて55議席を獲得し、野党第1党となった立憲民主党が正面から掲げたのが、ほかでもない立憲主義である。

 振り返ってみると、近代の日本政治で憲法体制の整備と議会政治を当初見据えてその制定に着手したのは、他でもない保守主義陣営の側だった。立憲政友会の初代総裁になった伊藤博文と、その伊藤が支援した陸奥宗光の漸進主義路線は、近代日本政治における保守本流の源流の基底となった。

 その意味では、立憲民主党の枝野幸男代表が、最初に行った有楽町情宣で自らをリベラルであり保守であると規定したのは、あながち間違いではない。この保守本流として立憲主義と議会主義を重視する政治態度は、のちに原敬、西園寺公望や牧野伸顕らのような英国流の議会政治に一定の評価を示し、天皇を重臣として輔弼(ほひつ)し立憲主義を支えた「重臣リベラル」へと結実したのだった(「重臣リベラリズム」の説明については、松沢弘陽・植手通有編『丸山眞男回顧談 上』、岩波書店、2006 年、199-205ページを参照されたい)。

■四つの特徴からなる「重臣リベラル」

 日本政治思想史研究者の清水靖久によれば、この「重臣リベラル」には以下4点からなる特徴が認められる(清水靖久「重臣リベラリズム論の射程」『政治思想学会会報』2008年、10ページ)。

 第一点目としては、立憲主義をとりつつも自由や人権の原則に立たず、天皇に責任が及ばないことを最も配慮するので状況追随主義になった点である。

 第二に国際ファシズムに対抗して反戦ではなく国際協調主義をとる現状維持派であり、反枢軸以上に反ソの親英米派、それも圧倒的に親英派という特徴があった。

 第三に政党では民政党に近いが、暴動など民衆運動への反発は強く、第四にはイギリス中心の西欧志向型であったためナショナリズムは弱くヨーロッパ帝国主義には甘かった。

 なお丸山眞男は重臣リベラルの具体例として、元老の西園寺公望、内大臣の湯浅倉平、牧野伸顕、斎藤実の他に副島道正、吉田茂、そして新聞「日本」にも寄稿していた父の丸山幹治の名を挙げている。西園寺の周囲に集まった木戸幸一、有馬頼寧、原田熊雄らもこの列に加えることができるだろう。

 この系譜は軍部の台頭を前にして、強く抵抗することができなかったものの、戦中を経て戦後に片面講和を成し遂げ、日本政治外交史家の酒井哲哉がいうところの「9条=安保体制」(酒井哲哉「『9条=安保体制』の終焉——戦後日本外交と政党政治」『国際問題』372号、1991年、40ページ)の礎を築いた吉田はもちろんのこと、鳩山一郎、池田勇人、佐藤栄作、そして宮沢喜一へと連綿とつながっていく系譜でもある。

 つまり、かつて丸山が「保守主義なき〈保守〉」と批判した現在の自称「保守」勢力がことさらに言い募る「押し付けられた憲法」とそのかれらにとっての偽りの憲法体制たる戦後民主主義とは別に、日本の保守主義を起源としたリベラル、すなわち立憲政友会や憲政会、そしてのちの浜口雄幸の立憲民政党などの立憲主義と、議会制民主主義を重視する系譜が日本政治には連綿と受け継がれてきたのだった。

 こうした立憲主義的な伝統にくわえて、幕末明治期から戦前戦後を通じた言論におけるリベラリズムの系譜としては、福沢諭吉、田口卯吉、陸羯南、内村鑑三、長谷川如是閑、清沢洌、石橋湛山らが挙げられるだろう。これら教養主義としてのリベラルの系譜は一部の知識人や政治家、ジャーナリスト、旧制高校や旧制専門学校、旧制大学の学生や卒業生らの間で僅かに受容されたに留まったが、これらもまた細くもそれでいて現在まで長く続いているオールド・リベラルの伝統を作り上げてきた。現在の朝日・岩波知識人などは基本的にこの系譜に連なる。

 戦前は皇室に忠誠を誓いながらも軍部に屈従を強いられてきたこの日本のリベラルは、戦後初期には社会主義の台頭に伴い、今度は社会主義陣営に与(くみ)する者たちから論難される対象となった。社会主義者たちからすれば戦後の東西陣営の中で、日本のリベラリズムとは時代遅れで克服されるべきブルジョア思想、すなわち資本主義体制擁護の思想的支柱であるとして、社会主義国家建設の敵対思想と見なされ批判の対象となったのだった。たとえば転向する前の吉本隆明による丸山眞男批判などはこの典型であろう。

■日本政治の語彙としての「リベラル」

 ところで日本政治の語彙(ごい)としての「リベラル」はいつ始まったのだろうか。戦後の昭和期の衆参両院の議事録を確認すると、議場において「リベラル」という表現が使用されたのはほんの126件に過ぎない。他方で平成に入ると第194回の臨時会までで324件となっており、じつに約3倍の数になっている。

 この「リベラル」という術語の激増ははたしてなにゆえだろうか。

 年限で区切ってみていくと、この語は1990年代以降多く使用されるようになっていることが観察される。1989年に「リベラル」という語が国会で飛び交ったのは、たったの5件で、1990年も1991年もそれぞれ2件ずつ、1992年にはやはり5件だった。それが1993年になると9件へと増え、さらに1994年には35件へ、1995年には44件へと激増している。

 この背景には、1993年当時、改憲に消極的な自民党の一部が社会党の若手とともに勉強会「リベラル政権を創る会」を結成したことが、重要な一因として挙げられるだろう。当時「リベラル」を自称したのは河野洋平、加藤紘一、山崎拓、古賀誠、谷垣禎一などであり、そこには当時一年生議員だった安倍晋三ですらリベラル政権を創る会に名を連ねていた。つまり、1990年代には「リベラル」という言葉がにわかにブームとなったのだ。なおリベラル政権を創る会は『『リベラル』を考える : 資料集』をno. 1~5まで1994年に出版していることからも、当時の本気度がうかがえる。

 冷戦の本格的な終焉と相まって、「保守」の対向軸が「革新」から「リベラル」へと徐々に変更されていくのもちょうどこの頃からである。この流れに棹(さお)差し定着させたのは、佐々木毅の名著『アメリカの保守とリベラル』(講談社学術文庫)だろう。共和党政権を12年も継続させた保守主義の興隆、さらにソ連解体、経済弱体化で急速に進んだ保守の分裂とリベラルの反撃など、クリントン登場までの熾烈(しれつ)な攻防を解き明かした同書の出版年が1993年であることからも、平仄(ひょうそく)が合う。アメリカ政治の二大政党制の思想基盤をそのまま日本政治でも写し鏡にする風潮が高まりはじめたことがうかがえる。二大政党制への期待が論壇で増加してくるのもこの時期をひとつの分水嶺(ぶんすいれい)としているのだった。

■革新のなかの保守寄り、保守のなかの革新寄りとして

 このように1990年当時の「リベラル」は革新のなかの保守寄り、あるいは保守のなかの革新寄りとして、平等志向で、格差や不平等是正のために政府介入を考えるものとして捉えられ、徐々に定着するようになった。

 2006年に出版された『リベラルからの反撃―アジア・靖国・9条』(朝日新聞『論座』編集部編、朝日選書)では序に後藤田正晴の「遺言」が、第一章は「保守リベラルから」、第二章が「憲法改正」となっており、すでに大沼保昭によって護憲的改憲論が、また井上達夫によって9条削除論などが展開され、リベラル内における戦後民主主義への憎悪感の強さがよく現れている。なお、現在リベラルの代表格の一人になっている社会学者の北田暁大も、当時駆け出しの政治学者・国際政治学者だったわたしとともに巻末に論説を寄せている。

 他方で2000年代後半以降の日本は生活保守も含めて総保守化を迎えるようになるが、2010年代になると資本主義批判の左派とは異なり、戦後民主主義者という意味のみならず、一度下野した後の第二次安倍政権や自民党に反対する立場が汎(ひろ)くリベラルと呼称されるようになった。

 とくに2015年安保で、安倍政権への対抗言説をまとめ上げる語彙として「リベラル」という語彙が再び使用されるようになっていったのだった。2016年にリベラル政党への提言を行うべく北田・稲葉振一郎・岸政彦らの社会学者を中心とした研究者らによって「リベラル懇話会」が組織され、民進党岡田代表(当時)に提言書を提出し、また同年には北田と白井聡、そして五野井が『リベラル再起動のために』(毎日新聞出版)を世に問うて、今回の総選挙時にも再び広く読まれたのには、こうした経緯がある。

https://libekon.wordpress.com

■なぜリベラルは負け続けてきたか

 では、なぜ近年までリベラルは負け続けてきたのだろうか。

 おそらくリベラルが目下克服せねばならない課題は、数の力への執着のなさ、情念の力の軽視、陰謀論への傾斜という3点であろう。

 まず第一点目として数の力への執着のなさである。「質の力、数の力」という点に絞って考えてみたい。この国が採用しているはずの現代民主主義の枢要な価値とは、むろん少数意見の尊重である。しかしながら、選挙で選ばれたという民主主義的正当性を盾にして非民主主義的な政策を行い、少数意見を尊重しないむき出しの権力政治の前では、民主主義の枢要な価値とそれらを体現する質の力は単なるお題目になってしまう。

 強引な政治には対しては、やはり強引な政治を凌駕する程度の数にならなければ、勝つことができない。鶴見俊輔は『思い出袋』(岩波新書、2010年)で遺言めいて「数による戦いでは数が多い方が勝つ」と述べていたが、この当たり前のことすら理解できていなかったのが、かつてのリベラルの姿である。

■われわれの多くが今すぐにできること

 だからこそ、リベラルはこれからもっと「横につながること」を重視しなければならない。もちろん、横に繋がって団結するだけで自動的に問題は解決されるわけではなく、「横につながること」、そして「数となること」はあくまで民主的な手段で権力をふたたび獲得すべく、リベラルを再構築するための第一歩に過ぎない。

 グローバル企業の大株主でもなければ、何もしなくても政治家が耳を傾けてくれる財界の大物でもないわれわれの多くが今すぐにできることとは何かといえば、それは数という「構成的な力」(アントニオ・ネグリ『構成的権力』松籟社、1999年)の頭数となることなのである。

 右派は多少の差異はあってもなりふり構わず繋がって巨大な連合体の形成に成功しているからこそ、選挙には勝てている。自民党と公明党の改憲についての政治姿勢は真っ向から対立しているのは、周知の事実だ。それでもかれらは与党たらん為に、野合するのである。そうと分かれば、野党共闘は引き続き進めた方がよいし、リベラルの側も傍から見ればどうでもよい内部の「違い」にこだわって、お互いに潰し合っている場合ではないのだ。

 とにかく、勝ちを探ることにこだわらなければならない。16年の参議院選挙で野党共闘を行った1人区では、13年の2議席が11議席へ躍進、新潟県知事選挙などの成果が出ている。今回の選挙でも野党共闘で55議席の獲得に成功した。おそらくさらに野党候補の一本化が実現していたら、議席はあと10−20ほど変わってきたことだろう。

 したがってリベラル側がすべきことは、さらに選挙に勝つべく数という「構成的な力」の頭数となることである。恩讐をこえてリベラル同士が怜悧かつ戦略的に横に繋がらなければ、今後も負け続けるのだ。

 これまで自民党政権は選挙での勝利をより確実にするために、本来的には護憲・平和の党としてリベラル勢力の一角をなしていた公明党をも包摂し、野合と批判されても横に繋がることに成功している。リベラルの側に勝つために数の力となるべく選挙協力する発想がない間は、安倍政権は引き続き安泰なのである。

■情念の力を軽視してはならない

 次に改善すべきはリベラル内における情念の力の軽視だろう。

 ジョナサン・ハイトは『社会はなぜ左と右にわかれるのか』(紀伊国屋書店、2014年)で、何が正しくて何が間違っているのかという判断は、感情的な反応として現れた後に、言語を媒介としてはじめて論理的に正当化されることを心理学の立場から論じている。したがって、誰かの考えを変えたいのなら、論理的議論によってねじ伏せるのではなく、その人の「直感」や「感情」に率直かつ直接的に語りかけなければならない。

 この点では極右の側は神聖さと情念をあつかうことでこうした正当化にある程度成功している。代表的な利用例は日本会議と神社本庁だろう。これら団体はいずれも神聖さと権威、忠誠心そのものを強調し、自民党にとっての伝統的な農村地盤が弱くなってきたときの集票装置としていずれも選挙区割りに沿うかたちで国会議員を擁立することを可能にしているのである。

 かつて民進党代表選での玉木雄一郎議員がモットーとして「義理と人情と浪花節」を掲げた際、多くの左派知識人とメディアはあざわらったが、玉木議員の掲げたこれらはある程度情念の動員としては正しかったのだった。

■陰謀論に傾斜してもならない

 第三に改善すべきは、リベラル内での陰謀論への傾斜だろう。

 投票における不正という陰謀論として近年必ずといっていいほど見受けられるのは、投票箱に仕組みがあるといった類のものである。一例としては、小型の「投票用紙改ざん装置」を取り付けることが可能なら、不正選挙は簡単にできるといったものだ。「投票用紙改ざん装置」は「鉛筆のカーボンを遊離させ、再付着させる手法をとっている、なのでフェルトペンを持っていこう」などといった荒唐無稽で事実無根な陰謀論にいい大人がはまり込んでいる。東日本大震災後の精神的不安が再魔術化を惹起し、これらの陰謀論として表出している側面もあるだろう。だがこれは、真の敗北の原因を直視しようとしていないだけだ。

■リベラル勢力を再び鍛え上げ、政権交代を起こすために
 
 では、具体的にどうすればリベラル勢力を再び鍛え上げ、政権交代を再び起こすことができるのだろうか。政治学者の牧原出は『安倍一強の謎』(朝日新聞出版、2016年)のなかで、デイヴィッド・フラムの「政権交代へのロードマップ」を紹介している。その要点は「なぜ負けたのか」の洗い出しと「何ができるのか」である。具体的に下野した際の自民党に当てはめれば、「何ができるのか」は、第一次安倍政権にとって躓(つまず)きの石となった各所への対策を徹底的にやることに表れている。
 
 そこで第一次安倍内閣の失敗から学んだ第二次安倍政権の傾向と対策とは、内閣官房・内閣府の改革、大胆な金融政策、テレビ局への停波発言圧力、新聞に対するつるし上げ、野党の政策の取り込み、離反した当選者の復党容認、政権全体としてのチーム化、そして野党による将来の政権交代を阻止し政権を維持するためには、後世からいかなる評価を受けようとも、なりふり構わずやってのける姿勢であった。さらには、当然ここには先に触れた勝つための選挙協力も含まれる。
 
 このように、過去の躓きの石を一つひとつ丹念に検証しつつ「勝ちへの貪欲さ」をリベラル側も持ちうるか否かに、政権交代も見据えた今後のリベラルの再構築の成否はかかっているのである。
 
 少なくとも選挙結果に挫けてへこんだり、立ち止まって感傷に浸っている場合ではない。むしろ、いますべきことは敗北を敗北と認め、自分たちが置かれている立場をしっかりと把握した上で、変えようとしている人びととともに協力してアセンブリーを創出することだ。だから、ここであきらめずに「とにかくパーティーを続けよう」。
 
 
http://www.asyura2.com/17/senkyo236/msg/370.html

[政治・選挙・NHK238] 野党政治家よ、有権者の声が聞こえないか
 
過去4回の総選挙における比例区での政党別得票数(下掲)をみると、各党とも選挙のたびに激しい増減を繰り返しているように見える。生まれては消えていく短命な政党も少なくない。しかし、これを詳細に見ていくと、この増減は「自公系」と「反自公系」という2つの政党群、つまり大きな2つの「塊」のそれぞれ内側での変動であることに気付くだろう。塊の外側から見たとき、2つの「塊」はめまぐるしい変動とはまったく無縁の、静的な姿を保っているのである。

これは何を意味するか。

自公政治を肯定する人々は全有権者の約30%を占めるが、その人たちでほぼ固められているということである。
一方、自公政治を拒絶する人々は全有権者の実に40%前後を占め、その拒絶姿勢は終始一貫しているということである。この人たちの多く(2017年で全有権者の16%)が票の死票化を嫌っている点も特徴的である。

また、注意深い観察者は、静的な姿の中にも「自公系」の塊が徐々に収縮化の道を辿っていることに気付くだろう。そして、さらに注意深い観察者は、「反自公系」の塊が2つの極をもっていること、いわば中心点を2つ有する楕円状を形成していることに気付き、戸惑いを覚えるかも知れない。

しかし、それが厳然たる民意なのだ。

この最大の民意が「自公政治の拒絶」であれば、野党政治家はその民意に沿った行動を取るべきではないか。国民の多数派は、大局的見地に立った決断を政治家に促しているのではないか。正論で悪政を止められなければ、それは正論ではなく邪論ではないのか。

楕円状の政党群を束ね得る非凡な力量を備えた大人的リーダーの登壇が最も望ましいことは無論であるが、仮にそうでなくとも、政権交代を成就した暁に楕円を解消することは次善の策として許容されるだろう。悪政を止めてほしいという有権者の政治への未だ叶わぬ願いこそが最優先されて然るべきではないだろうか。

野党政治家よ、有権者の悲しげな声が聞こえないか。


2009年
■自公政治肯定30%(自公+自民傍流:3,089万票)
(自民1881, 公明805, みんな301, 日本53, 大地43, 改革6)
●政権交代支持38%(反自公:3,901万票)
(国民122, 民主2984, 社民301, 共産494)
▲参政権不行使31%(棄権:3,195万票)

2012年
■自公政治肯定32%(自公+自民傍流:3,286万票)
(自民1662, 公明712, みんな525, 維新系339, 大地35, 改革13)
●政権交代支持26%(反自公:2,711万票)
(維新系888, 国民7, 未来342, 民主963, 社民142, 共産369,)
●当面の政権交代断念10%(棄権1:1,035万票)
▲参政権不行使31%(棄権2:3,195万票)

2014年
■自公政治肯定29%(自公+自民傍流:2,979万票)
(自民1766, 公明731, 維新系339, 次世代141, 改革2)
●政権交代支持22%(反自公:2,318万票)
(維新系500, 生活103, 民主978, 社民131, 共産606)
●当面の政権交代断念17%(棄権1:1,728万票)
▲参政権不行使31%(棄権2:3,195万票)

2017年
■自公政治肯定28%(自公+自民傍流:2,923万票)
(自民1856, 公明698, 維新339, 大地23, こころ9)
●政権交代支持25%(反自公:2,611万票)
(希望968, 立民1108, 社民94, 共産440)
●当面の政権交代断念16%(棄権1:1,720万票)
▲参政権不行使30%(棄権2:3,195万票)

注1 維新系ついては、2017年の維新の票数を「自公政治肯定」組に分類し、2012年と2014年については、その分を差し引いた残数を「政権交代支持」組に分類した。
注2 棄権票については、2009年の棄権者数を「参政権不行使」組に分類し、2012年以降については、その分を差し引いた残数を「当面の政権交代断念」組に分類した。
注3 上記の各「塊」は、有権者が投票の際に「自公系」と判断したか「反自公」と判断したかを示すものであって、各政党の色分けを主眼とするものではない。
 
http://www.asyura2.com/18/senkyo238/msg/719.html

[政治・選挙・NHK238] 14億4千万分の1の確率で、「神風が吹いた」
 
(社説余滴) 「1月20日」と「神風」と 
朝日新聞デジタル 2018年1月19日05時00分


 まさか、衆院選で勝ったのだから、もういいだろうと考えているとは思わない。

 でも、確認はしておこう。

 あす1月20日は、安倍首相にとって忘れがたい日のはずだ。1年前のこの日に、「腹心の友」が営む加計学園が、国家戦略特区での獣医学部新設計画を認められた。

 そして、その日に初めてこの計画を知ったとログイン前の続き、首相は昨夏の国会で語っている。それまでの「(2015年6月の)申請段階で承知」という答弁を撤回したのだ。

 そもそも首相は知らなかったのだから、前年のメモに残る「総理のご意向」などあり得ない。忖度(そんたく)はなかった――という論法である。

 1月20日への修正を、野党は「食言」とみる。首相は「私が関与したと言った方は一人もいない」と反論する。

 なぜ、特区の申請前に学園関係者が首相官邸に入れたのか。なぜ、内閣府が新学部の設置場所を決めた際の記録が残っていないのか。こんな疑問は置き去りにされている。

 来週からの国会では、森友学園の問題でも、政府の説明責任が問われる。

 昨年11月の会計検査院の報告は、国有地を8億円値引きした理由のゴミ撤去量について「十分な根拠が確認できない」、鑑定額の7分の1で売った手続きは「評価事務の適正を欠いている」と断じた。

 「適正な手続き、価格で処分され問題はない」という麻生副総理・財務相の答弁は、もはや通じない。

 検査院は契約内容の異例さにも言及した。その詳細が、報告後の国会の野党質問で明らかになっている。

 財務省によれば、16年度までの5年間に公共随意契約は約1200件あった。その中で「分割払いを認める特約」と「売り払い前提の定期借地とする特例」という買い手に有利な契約は、森友学園とだけ結んでいた。

 「売却金額が未公表」も、13年〜16年度の約1000件で、なぜか森友のみだ。

 この三つが重なる確率は、1200分の1×1200分の1×1000分の1。

 14億4千万分の1である。

 「神風が吹いた」

 籠池泰典・前理事長の国会での証言の意味を実感する。

 この特別扱いは、首相の妻の昭恵氏が名誉校長だったことと関連はないのか。

 問題の追及は今年も続く。首相が本気で関係省庁に真相究明を指示し、責任の所在を明らかにしなければ、幕は下りない。
 
坪井ゆづる(政治社説担当)
 

http://www.asyura2.com/18/senkyo238/msg/821.html

[政治・選挙・NHK240] 不確かな情報を拡散することが、誰を追い込むのか(フォトジャーナリスト・安田菜津紀)  
© Natsuki YASUDA
内戦前のシリア首都、ダマスカス郊外。戦地、危険、というイメージが色濃くなってしまったこの国にも、かつておだやかな日常があった。


・・・ だからこそ顔の見える発信を続け、「皆さんはどう感じますか?」という投げかけを(私は)続ける ・・・ (本文より。カッコ内は投稿主補足)


*****

不確かな情報を拡散することが、誰を追い込むのか
安田菜津紀
フォトジャーナリスト

「北朝鮮のテロリストが大阪に潜伏している」という国際政治学者の発言が問題視されるなど、テレビで近年報道される言葉の中に、根拠を明確に示さず、ともすると集団偏見や差別へとつながりかねないものが目立つように思う。「北朝鮮」「テロリスト」「在日」「イスラム教徒」など、集団をのっぺらぼうにすることによって、人は想像力を失い、攻撃しやすくなってしまうのかもしれない。

過去には関東大震災後、「朝鮮人が暴動を起こしている」「井戸に毒を入れている」というデマが虐殺を招いたり、最近では2016年にバングラデシュで起きたテロで邦人が殺害された後、「静岡ムスリム協会」(静岡市)にイスラム教徒を誹謗中傷するハガキが届いたこともあった。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/19/shizuoka-muslim_n_11064580.html
「ムスリムへの無知と偏見が酷すぎる」イスラム教徒を憎悪するハガキに、非難の声相次ぐ

北朝鮮がミサイルを発射したり、核開発を進めていることをもって、朝鮮半島にルーツを持つ、日本に暮らす人々に対するヘイトスピーチも後を絶たない。中でもその暴力の矛先が子どもたちに向けられるような事態は深刻だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO80765640Q4A211C1CR8000/
ヘイトスピーチ、在特会の損賠責任認める 最高裁

昨年アウシュビッツ収容所を訪れた際、公式ガイドである中谷剛さんが、展示の中にヒトラーの写真が一枚もないことを指摘した。ホロコーストは彼一人で起こしたのではなく、「ユダヤ人は出て行け」という街角のヘイトスピーチから始まった、と。

特定の集団に対する発言の重みを、改めて考える。結局集団を悪魔化したり攻撃する言葉や、誤った情報、根拠の不確かなものは、日常を生きる人々の安心、安全を脅かしていくのだ。

だからこそ今、「ひとりひとり」の声を届ける必要があるのだと思う。ここでNPO法人難民支援協会が企画主催し、望月優大さんが編集長を務める「ニッポン複雑紀行」を紹介したい。
https://www.refugee.or.jp/fukuzatsu/
ニッポン複雑紀行 – 『ニッポン複雑紀行』は日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジンです。

とりわけ印象的だったのが、大塚のモスクのエピソードだった。それまでは近所との交流に壁があったモスクが、東日本大震災の被災地での炊き出し活動や物資集めを続ける中で、周囲の人々の偏見の目が少しずつ変わっていったそうだ。

特にテロや攻撃、恐怖を伴う言葉に、人は思考停止しやすくなってしまう。だからこそ顔の見える発信を続け、「皆さんはどう感じますか?」という投げかけを続けること、つまり考えるヒントやきっかけを築き続けていきたい、と一人の発信者としても考える。

2018/02/12 18:45
 
 
http://www.asyura2.com/18/senkyo240/msg/185.html

[政治・選挙・NHK240] 名護市長選挙の投開票結果を再点検する  
 
《名護市役所では7日、選挙に敗れた稲嶺前市長の退任式がおこなわれた。式会場の庁舎2階広場を埋め尽くすほどの市民が詰めかけ、・・・退任を見守った。・・・見送りの市民や市職員もまぶたを押さえながら退任の辞を聞き入り、「お疲れ様」との掛け声とともに大きな拍手が送られた。
対照的に、翌8日におこなわれた渡具知新市長の就任式は、ギャラリーに身内の与党系議員や市職員が目立ち、わずか3分で終了したことも、選挙結果とのギャップを感じさせるものとなった。》(2月9日付『長周新聞』より抜粋転記)
 
当初の大方の予想に反し、自公推薦候補が現職市長を破った今回の名護市長選挙(1月28日告示、2月4日投開票)。前哨戦で早くも激戦含みとなり、選挙戦中デッドヒートが伝えられていたが、ゴール時にはもはや覆すことのできないほどの差が付いていた。
 
選挙戦が始まると、「運動員が高齢者を期日前投票に連日ピストン輸送」し、「制服姿の会社員たちが企業ぐるみで期日前投票に列」をなすといった見慣れない光景が市民の間で目撃されるようになった。「戸別訪問」や「未成年者の選挙運動」など公選法違反の疑いがもたれるような行為も取り沙汰されるようになった。渡具知陣営は、基地問題に固く口を閉ざす一方で、稲嶺市政の実績を歪曲したネガティブ・キャンペーンを大々的に展開し、相手候補のイメージ棄損を図った。また、これに呼応するかのように「SNSを通じたデマの拡散」や「発行元不明の誹謗中傷ビラ」などの選挙妨害行為も水面下で横行した。
 
名護市は一種独特の異様な空気に包まれていった。市民が気付いた時には、「虚実入り乱れる情報で何が本当かわからない」状況が作り出され、稲嶺陣営がこれらネガティブ・キャンペーンの ‘間違い’ を市民に説いて回る努力は、まさに ‘焼け石に水’ のようにも見えた。

本稿では、こうした選挙戦に翻弄された名護市の有権者が、実際にどのような投票行動を取ったのかについて、投開票データを分解再構築しながら検証していくこととしたい。


【1】有権者数は前回比2,202名(4.7%)増、投票者数は1,791名(5.0%)増で、投票率若干上昇

(1)有権者数は前回2014年の46,582名から、今回2018年は48,784名へ2,202名、伸び率にして4.7%増加した。増加分のうち約1,700は選挙権年齢引下げの影響 [*1] と考えられ、これは今回有権者数の約3.5%を占めた。残り500は同市人口の自然増 [*2] によるものと推定され、これは今回有権者数の約1.0%を占めた。

(2)投票者数は前回2014年の35,733名から、今回2018年は37,524名へ1,791名、伸び率にして5.0%増加し、棄権者数は前回2014年の10,849名から、今回2018年は11,260名へ411名、伸び率にして3.8%増加した。

(3)投票者数増加分のうち約1,000は選挙権年齢引下げの影響 [*3] と考えられ、これは今回全投票者数の約2.7%を占めた。残りのうち約400が人口自然増を反映したもの [*4]、また約400が前回選挙の棄権者の一部 [*5] と考えられ、これらはそれぞれ今回全投票者の約1.1%ずつを占めた。

(4) 投票率は76.92%と、前回の76.71%を0.21ポイント上回った。このうち18,19歳の投票率は約58%と推定される [*6] ため、ここから逆算した20歳以上の推定投票率は、前回の76.71%から0.87ポイント高い77.58%となる。

[*1] 2017年12月4日付沖縄タイムスによれば、市内18、19歳の人口は約1,700名。
[*2] 前回2014年の同市人口はその4年前の2010年に比べ1,596名増加し(各年とも数百名規模で増加)、有権者数も1,686名増加した。しかしその後の人口は2015年29名増、2016年179名増と鈍化に転じており(2017年以降分は未発表)、今回の有権者数が500名程度であったことと符合する。
[*3] 2017年12月4日付沖縄タイムスによれば、2017年10月衆院選の投票率は18歳が51%、19歳が32%であった。全市投票率が総選挙(小選挙区)の55.08%から今回市長選は76.92%と39.65%上昇しているので、この伸び率を18、19歳にも適用すると今回市長選の投票率は18歳71%、19歳45%と推計され、ここから合計で約1,000 (18歳605名、19歳380名)という今回投票者数が推計される。
[*4] 増加人口(約500名)に今回投票率(76.92%)を掛けた解(385)を丸め400と推定。
[*5] (1)と(2)により棄権者数のうち約700が18,19歳と推定されるため、20歳以上の年齢層の棄権者数は10,560と算出され、前回(10,849名)比では逆に289名減少したことになる。そしてここから人口増要因(今回新たに100名が棄権)を取り除くと、前回棄権し今回も棄権した人は約400名減少したとみることができる(▼289−100=▼389)。
[*6] 18,19歳の投票率は前述(5)から約58%(2017年総選挙の41.5%から39.65%上昇)と推定される。


【2】全投票者のうち6割近くが期日前投票を行っていた

(5)「当日投票者数」は前回2014年の19,588名から今回2018年は15,556名へ4,032名、伸び率にして20.6%減少し、「期日前投票者数」は前回2014年の15,835名から今回2018年は21,660名へ5,825名、伸び率にして36.8%増加した。なお、「不在者投票者数」は前回2014年の310名から今回2018年は308名へ2名減少した。

(6) 全投票者に占める比率は「当日」が41.5%、「期日前」が57.7%、「不在者」が0.8%となり、「期日前投票者数」が全体の6割近くを占めた。これは、沖縄本島への超大型台風(21号)接近という特殊な状況下に置かれた昨年10月総選挙(「当日」39.1%、「期日前」59.9%)並みの異例の高さと言える。
ちなみに、2016年参院選は「当日」57.0%、「期日前」41.9%で、前回市長選の「当日」54.8%、「期日前」44.3%と比べ目を見張るほどの変化はなかった。


【3】稲嶺候補の得票数は前回比2,908減、渡具知候補の得票数は前回の自民推薦候補比4,705増

(7)稲嶺候補の得票数は16,931で、前回選挙での得票数19,839を2,908票、伸び率にして14.7%下回った。渡具知候補の得票数は20,389で、自民推薦候補の前回得票数15,684を4,705票、伸び率にして30.0%上回った。無効票数は204で前回の210から6減少した。ここから有効票に占める得票率は稲嶺45.4%、渡具知54.6%であったことがわかる。

(8)18,19歳の有権者で今回投票したとみられる約1,000名の投票行動については、いくつかの定性的な材料を手掛かりに、両候補者への票の割れ方を推定することとする。全体の得票率は前項の通り稲嶺45.4%、渡具知54.6%であったが、渡具知陣営による若者層をターゲットにした町づくりのイメージ戦略(電通関与が疑われている)や小泉(進)議員の2度にわたる応援演説の効果などもあって、若い人たちの間では渡具知支持のムードが優勢だったと伝えられている。もちろん、こうした空気を疑問視する冷静な若者も多数いたであろうが、ここでは稲嶺30%、渡具知70%と仮置きし(20:80でも40:60でもよいのだが)、稲嶺300票、渡具知700票としておく(20:80で稲嶺200票、渡具知800票、40:60で稲嶺400票、渡具知600票となり、いずれの場合も次項以降の論旨に影響を及ぼさない)。

(9)次に、人口純増分の有権者で今回投票した約400名の投票行動であるが、これは全体と同じ稲嶺45%、渡具知55%とみなし、稲嶺180票、渡具知220票としておく。

(10)最後に、前回選挙の棄権者で今回投票した約400名の投票行動であるが、そのほとんどが渡具知陣営による組織ぐるみ投票の影響と考えられるため、稲嶺5%、渡具知95%と仮置きし、稲嶺20票、渡具知380票としておく。
すなわち、有権者数が前回比4.7%増加し、投票者数が前回比5.0%増加し、棄権者数が前回比3.8%増加した今回の選挙結果をさらに細分化したとき、当日投票者数が前回比20.6%減少する一方で期日前投票者数が前回比36.8%増加するという突出ぶりを示したこと、そしてその結果として、稲嶺候補の得票数が前回比14.7%減少する一方で渡具知候補の得票数が前回(の自民推薦候補者)比30.0%もの大幅増加を示したことは、その間に因果関係があると考えなければ説明がつかないからである。この期日前投票の増加が組織ぐるみ投票によって主導されたことについては、次項【4】で検証することとする。

(11)(8)(9)(10)をそれぞれ合計すると、稲嶺500票増、渡具知1,300票増となり、その合計値が(2)で示した今回投票者数の増加分と一致することを確認できる。


【4】約3,400名が前回の稲嶺候補から今回は渡具知候補に投票先を変更した

(12)稲嶺候補の得票数16,931から前項の500票を差し引くと16,431票、渡具知候補の得票数20,389から前項の1,300票を差し引くと19,089票となる。すなわち、投票者数増加分を取り除いたベースでみると、稲嶺候補の得票数は16,431で、前回選挙での得票数19,839を3,408下回り、一方の渡具知候補の得票数は19,089で、自民推薦候補の前回得票数15,684を3,405上回ったことが推計される。

(13)ここから、前回選挙で稲嶺候補に投票した有権者のうち、約3,400名が今回は渡具知候補に投票先を変更したことがわかる。そして選挙結果での得票差が3,458であったということは、1,729名の投票先変更が明暗を分けたことを意味する。3,400名のうち約半数強が投票先を変えていなければ、稲嶺市政は3期目に入っていた可能性が高かったということである。

◆「期日前投票」に出来て「当日投票」に出来ないこと.◆
 
(14)さらに、既に見てきたように投票者総数が前回比1,791増加する中で、当日投票者数が逆に前回比4,032の減少に転じたことは特筆に値する。この不自然な相反性は、それ自体が人為的な力の介在を示唆しているからである。(10)でも述べたように、渡具知陣営による “期日前” の “組織ぐるみ” 投票という今回選挙の最大の “謎” がここで浮かび上がってくる。

(14補a)そこで、票の分析という本題からは少し離れて、この組織ぐるみ投票というものを少し考えてみたい。(6)で示したように組織ぐるみ投票は超大型台風並みの猛威を振るったのであるが、これほどの集票効果が、果して「組織ぐるみ」という“形式”を整えるだけで自動的に付随してくるものであろうか。憲法の保障する「投票の秘密」(第十五条)が投票所で保全されていたのかどうかが問われてくるのである。

(14補b)平日の白昼、社員が少人数ずつのグル−プに分かれて、おそらく就業時間を削って入れ替わりで投票所へ向かうことを容認(あるいは推奨)する企業経営者は、純粋に投票率の上昇だけを願ってそうしたとでも言うのだろうか。選挙期間中の業務効率の低下を補うに余りある見返りを確実にしたいのが企業経営者としての本音であるすれば、従業員を投票所に送り出してあとは従業員任せというわけにはいかないのではないだろうか。その程度のものであれば当日投票とどう違うのかということである。

(14補c)公選法第二二八条(投票干渉罪)及び同第五二条(投票の秘密保持)の網を掻い潜って、「自発性」を装うことで投票用紙への記入内容を拘束する巧妙な誘導が行われてはいなかっただろうか。何らかの形での “自発的” な相互開示、“自主的” な相互監視ともいうべき仕掛けがあったとは考えられないだろうか。この百発百中の精妙な仕掛けが、期日前投票に参加したすべての事業所に一様に組み込まれたのだとすれば、その仕掛けを考案開発し、地元経済界に有無を言わさず導入させ、各事業所の期日前投票実施状況を逐一報告させ、それに基づき票読みをしていた影の勢力がどこかにいるはずである。

◆3,400のうち 1,200〜1,350が公明票◆

(15)組織ぐるみ投票のもう一つの大きな柱は公明党であった。公明党は前回選挙では自主投票としていたが、今回は本部が主導する形で昨年末(12月27日)に渡具知候補推薦を決めた。名護市で2,000名を下らないともいわれる公明党支持者の多くは基地建設に反対の立場であるため、自民党は公明党の要求に従い「米海兵隊の県外、国外移転を求める」を渡具知候補の選挙公約に追加せざるを得なかった。そうした背景を抱えた渡具知候補は、選挙戦で基地問題への具体的言及を避け続けたのである。支持者からの票の取りこぼしを恐れる公明党は、県内外から運動員を大挙派遣して戸別訪問を徹底させるとともに、200台ものレンタカーを借り切って、名簿と照合しながら支持者を個々に期日前投票所へ送迎するという手の入れようであった。

(16) 前回選挙で稲嶺候補に投票し今回は渡具知候補に投票先を変更した約3,400名の中で、公明票がどの程度を占めているかを示す指標はない。但し、公明票の総数が2,000で、これに前回選挙の投票率(76.71%)を乗じた約1,500名が前回投票者数であったとの前提に立てば、そのうち何割が基地建設反対の稲嶺候補に投票したかによって、今回はその全数が渡具知候補に投票先を変更したと考えることができる。8割で1,200名、9割で1,350名であるが、ここでは結論を保留して次の企業ぐるみ投票に話をつなげていくこととする。

◆企業ぐるみ投票で当落が逆転した◆

(17)前回選挙で稲嶺候補に投じられ、今回は渡具知候補に投票先が変更された約3,400票のうち、公明票を除いた部分が企業ぐるみによるものと見做すことができる。公明票を1,200と仮定すれば企業ぐるみは2,400、公明票を1,350と仮定すれば企業ぐるみは2,050となる。いずれであっても [*7] で示す名護市の産業別就業者数(2010年)、及びその後の同市の人口変動に照らして妥当な数字といえよう。そして、この企業ぐるみ投票による票の大移動が、当落の最後の決め手となったのである。

(18)公明党の渡具知推薦決定によりこの選挙戦は一気に混戦模様となったが、(13)と(16)でみてきたように、公明票だけではまだ逆転ラインに届かない可能性が高かった。自民党は陣営のてこ入れを図るべく、幹部が相次いで年末年始に現地入りし(12月29日に菅官房長官、1月4日には二階幹事長を筆頭に萩生田事長代行、林幹事長代理、塩谷選対委員長)、支持母体である地元経済界にも支援を求めた。中小企業の社長に菅官房長官から電話が直接かかってくることもあったという [*8]。

(19)最後に付言するとすれば、以上述べてきたことから明らかなように、渡具知陣営のネガキャン攻勢は一般市民の投票行動にほとんど影響を及ぼしていなかった。一条の光をそこに見出すことができる。

[*7] 10年前のやや古い統計ではあるが、2010年国勢調査に基づく「名護市の産業大分類別就業者数」は、名護市の産業構造と産業別従業員数の大まかな規模感を押えるうえで手掛かりを与えてくれるものである。そこから企業ぐるみ投票が想定されそうな業種をいくつかピックアップすると、建設業2,015人、製造業1,205人、不動産業・物品賃貸業287人、サービス関連では宿泊業・飲食サービス業2,386人、生活関連サービス業・娯楽業1,002人、等となっており、その後に大なり小なり産業構造の変化が生じていたとしても、「2,200」を吸収するには十分な規模であることがわかる。また、その間の名護市総人口の増加(2010年59,900人→2017年62,200人)も、この指標を参考とすることの有効性を補強している。

[*8] 《名護市長選の選挙戦最終日の3日。市内に拠点を置く会社の役員の携帯電話が鳴った。「官房長官の菅です」。渡具知武豊氏への支援を呼び掛ける、菅義偉官房長官からの直々の電話だった。「俺らみたいな末端までかかってくるということは、ほとんどの企業に電話が行ったと思う」。菅氏や秘書が期日前投票の取り組みが進んでいない企業や地域に直接電話をかけ、地元市議や運動員を動かした。政権からの重圧が、人口6万余の小さな街へのしかかった。》(2月7日付『琉球新報』より)


【補足】 この市長選挙は、稲嶺派が過半数を占める名護市議会が選挙で選出した委員4名で構成される名護市選挙管理委員会によって実行管理されたものである。
 
 
http://www.asyura2.com/18/senkyo240/msg/360.html

[政治・選挙・NHK240] ウーマン村本「朝生」での発言が“大ウソ”だったことを三浦瑠麗が暴露(Asa-Jo)  
 
下に転載するのは、“大人女子” を読者層に想定した徳間書店運営のニュースサイト『Asa-Jo』(キャッチフレーズは “イケメン ラブ エイジングケア!”)に最近掲載された記事である。

「村本君、ほとんど暗唱できますからね、9条」―― 朝生で「(憲法9条2項を)読んだことがない」と言っていたのは“大ウソ”だったと三浦瑠麗が暴露したという話。

9条2項を読んでいなければその直後に “非武装中立” という憲法の根幹に関わる重要な概念が唐突に出てくるはずもないのでわかりそうなものだし、自己顕示欲の塊ともいえる三浦のいやらしさが滲み出た記事だし、記事自体も薄っぺらいものなので迷ったのだが、そのようなことよりも、“大人女子” の間ではウーマン村本ネタがまだまだ健在であるということの証として、転載させてもらうこととした。
 
 
ウーマン村本「朝生」での発言が “大ウソ” だったことを三浦瑠麗が暴露
Asa-Jo 2018/02/15 10:14

 2月8日に放送されたインターネットテレビ局AbemaTV「橋下徹の即リプ!」に国際政治学者の三浦瑠麗氏がゲスト出演。お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」村本大輔の “大ウソ” を暴露した。

 同番組は弁護士でタレントの橋下徹が視聴者からの意見をツイッターで募集し、橋下本人が即リプライ(返信)しながら、政治や社会問題を掘り下げていくトークバラエティ。この日は、元日に放送された「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)に出演した村本と法学者とのやり取りについてトークを展開。「朝生」では、憲法改正と自衛隊に関するテーマで、村本は自衛隊のどこが違憲なのかを問うた。それに対して法学者は「キミ、9条2項の文章を読んだことがあるの?」と村本に質問。「読んだことがないです。だから聞いている」と反論した村本に「読めよ! ちゃんと!」「少し自分の無知を恥じなさい」などと容赦ない意見が飛んだ。だが、村本は「視聴者の代弁者だから」と一歩も引かなかった。

 この応酬はネットニュースでも報道されたが、同番組で三浦氏は「村本君、ほとんど暗唱できますからね、9条」と驚くべき事実を明かしたのだ。三浦氏によると、村本は「朝生」のCM中に目を合わせてきたという。そこで三浦氏は村本が非武装論を言いたいのだと察知し、「言っちゃいなよ」とけしかけたことを告白。そしてCMが明け、三浦氏がお膳立てをすると村本は自衛隊の違憲問題を提起し、話の流れで「読んだことがないです」発言に至ったという。この内幕話には進行役のサバンナ・高橋茂雄も「裏で手を引いていたんですか。女スパイみたいなことをして」と驚きを隠せなかった。

「三浦さんの話が本当であれば、世間は村本に一杯食わされたことになりますね。9条を暗唱できるにもかかわらず、読んだことがないと答え、法学者から『無知を恥じなさい』という言葉を引き出した村本はなかなかの策士だといえます。結果的に番組は盛り上がり、放送後も物議を醸したわけですから、注目度を集めたという点では村本の勝利。ただ、村本が問題提起したかった非武装中立の話が深まらなかったことは誤算だったのでは」(週刊誌記者)

 村本と三浦氏が一緒に出演していたら、今度から要注意だ。

http://asajo.jp/excerpt/46383

 
http://www.asyura2.com/18/senkyo240/msg/423.html

[政治・選挙・NHK241] 森友問題、公文書の書き換えは「国会議員への偽計業務妨害罪」 住田弁護士が指摘 (ニコニコニュース) 

森友学園問題で決裁文書の書き換えが問題となる中、住田裕子弁護士は3月12日、「モーニングショー」(テレビ朝日)で文書の書き換えは「国会議員への偽計業務妨害罪に当たる可能性がある」「書き換えを指示したのは検察の捜査を抑え込める人」と指摘し、話題になっている。

朝日新聞によると、契約当時の文書には事前交渉を示唆する「価格等について協議した結果」という文言や「特例的な内容となる」という文言があったという。しかし国会に提出された文書ではそれらの文言が改変されたり、削除されたりしている。


■「行政文書がないという答弁は、会計検査院の公務を妨害したことにもなる」■

住田弁護士は、今回の件は公文書が改竄されたというだけではなく、議員の公務が妨害されたことにもなると指摘。

「野党がなぜこれを要求したかというと、森友問題の国政調査につながるような質問権を行使していたわけです。何らかの問題がないか探そうとしている時に、その部分を全部封じるようなものを出したということは国会議員の公務である質問権を妨害したということで、偽計業務妨害罪になると思います。国会議員に託した民意に対しても違反する行為で、単なる省の中の問題ではなく、国会レベルの大きな問題だと思う」

2017年5月に財務省から国会に決裁文書が提出されたが、その前の同年2月には佐川理財局長(当時)が「行政文書は廃棄したので交渉記録はない」と答弁していた。この点についても、住田弁護士は次のように指摘している。

「実はその前に『(行政文書が)なかった』という形で説明から逃げたのは、会計検査院の検査を拒んだのだと思っています。これも公務に対しての妨害だったと思います」


■「検察の捜査を抑え込める自信のある人が書き換えを指示した」■

この文書の書き換えは佐川氏の指示で行われたのではないかと報じられている。元大蔵官僚で、法政大学経済学部の小黒一正教授は、「刑法上の犯罪になる可能性もありますので、それを自分の判断だけでできるかというと、局長や事務次官ですら難しいのではないでしょうか」と上層部が関与した可能性を示唆している。

住田弁護士は、誰が指示したかについてさらに踏み込んだ発言をしている。

「検察に全て書類が提出されているわけですね。検察はそれを見ればすぐにわかることで、それに対して偽計業務妨害といった罪の適用を考えると思うんです。そうした捜査を抑え込める自信のある人というのは私は財務省の人ではないと思います」

住田弁護士の一連の発言については、「鋭い」「正義」「問題を矮小化させないようにコメントしてくれている」と絶賛の声が相次いでいる。

2018/03/12 13:04
 
 
http://www.asyura2.com/18/senkyo241/msg/304.html

[政治・選挙・NHK241] サガワよ、サガラになるなかれ。(澤藤統一郎の憲法日記)  
 
「責任」とは重いものだ。行政府の長の責任ともなればとてつもなく重い。重いものは重力の作用で、下へ下へと落ちていく。これを、霞ヶ関名物「責任沈下の法則」という。福島第1原発原子炉格納容器のデブリを思い起こせば良い。

森友問題の決裁文書改竄は、常識的にはおまえの責任だろうとアベ晋三に指摘すると、「いいえ麻生にその責任を果たしていただきたい」と責任を沈下させる。では麻生に、おまえの責任だそうじゃないかと問いただすと、麻生は「理財局の一部の職員が行ったこと」ともう一段沈下させる。じゃあ、理財局の誰の責任かと問うと、「当時の理財局のトップだから、適材適所の佐川宣寿の責任」だという。

さて佐川は、上から落ちてきた責任をどうするだろう。「責任沈下の法則」のとおりだと、さらに部下に投げ落とす。その部下はさらにそのまた部下に。転々とした責任は、最後には近畿財務局の平職員のところまで沈下しきって止まることになる。逃げどころなくなってその重さに耐えきれない人も出て来るわけだ。

だが、佐川宣寿には、別の選択肢がある。重い責任を当時の部下に転嫁するのではなく、まずは自身で受けとめるのだ。下へは沈下させない。その上で、この責任を渾身の力で跳ね上げるのだ。

「公文書の改竄は、官僚風情の権限でできることではない。麻生の指示だ。」「忖度先は、アベと昭恵だ。麻生の背後にアベがいるのは当然だろう。」「この責任は、私は背負わない。熨斗を付けてアベと麻生にお返しする」

そのように開きなおって、すべてをぶちまけるのだ。かくて、肚をくくって悔い改めた佐川宣寿は、アベ政権打倒の立役者となり、前川喜平並みの国民的人気者になるだろう。災い転じて福となすのだ。

もちろん、そうせずに自ら責任を引き受ける暗い選択肢も残されてはいる。アベと麻生の責任の重みを背負って、つぶれていく道。慫慂としてアベと麻生の責任に殉ずるという、今流行らない美学に散ることだ。

昔は、そんな人物もいた。たとえば、相楽総三。あの赤報隊の隊長。

赤報隊は官軍の先遣隊として中仙道を東に進軍した。彼らは、「是迄幕領之分総テ当分租税半減」という勅定書をもっての宣撫工作隊だった。年貢半減≠フ官軍公約を触れ歩いたのだ。当然のことに、赤報隊は各地で熱狂的な民衆の支持を得た。その勢いに中仙道諸藩の抵抗の意思がないことを確認するや、官軍総督府は赤報隊を有害無益な存在と判断した。新政府に「租税半減」の意思はなく、勅定書は偽書、赤報隊は偽官軍とされて、幹部は捕縛され斬首された。赤報隊は官軍に利用されて、捨てられたのだ。権力の非情は常のこと。

相楽の最期には諸説ある。他の赤報隊隊士が憤慨やるかたなく憾みを述べる中で、彼一人は端然とした姿勢を崩すことなく慫慂として死について、彼なりの美学を貫いたのだともいう。また別の言い伝えは、次のようなものだ。

相楽は、太刀取り(斬首者)を顧みて『しっかりやれよ』といった。太刀取りは荒肝をひしがれたように動揺が出た。再び静かに相楽が、『見事にな』といった。これに災いされたか、太刀取りは相楽のうしろに廻り、気を鎖めて一声とともに斬ったが、仕損じて右の肩先へ斬りこんだ。とっさに相楽が振返り、『代れ』と怒気を含んで叱りっけた。これにたじろいで、その太刀取りは顔が土気色になった。
代って、新しい太刀取りが相楽を切り、首が3尺飛んだという。後にこれが誇張されて、相楽の首は6尺飛んで、柳の枝に噛みついたことになった。(長谷川伸「相楽総三とその同志たち」から)

これが、相楽の無念を推し量った作り話である。佐川よ、アベや麻生に利用されて捨てられて、相楽総三の轍を踏んではならない。無念の相楽になるな。すべてをさらけ出せ。トカゲの尻尾に終わるな。尻尾にも幾分かの魂があることを示したまえ。

さすれば、不本意に自らの命を断った近畿財務局職員のいささかの供養ともなろうではないか。
(2018年3月12日)
 
 
−投稿者注−
佐川 宣寿 (さがわ のぶひさ 1957年11月6日 - ) 来歴

福島県平市(現在のいわき市)生まれ。平市立平第一小学校、いわき市立平第一中学校で学ぶ。中学3年の時、父を亡くす。その後、東京都内の中学校に転校。九段高校に進学した際には、3人の兄が学費を負担してくれた。
1982年、東京大学経済学部卒業、大蔵省入省。
1984年、大阪国税局調査部。
1987年、名古屋国税局高山税務署長。
1998年7月、近畿財務局理財部長。
2001年、塩川財務大臣秘書官。
2004年、財務省主計局主計官。
2008年、主税局総務課長。
2010年、財務省大臣官房審議官(主税局担当)。
2011年7月1日、東日本大震災復興対策本部事務局次長。
2012年2月10日、復興庁統括官付審議官。
2013年6月28日、大阪国税局長。
2014年7月、国税庁次長。
2015年7月7日、関税局長。
2016年6月17日、理財局長。
2017年7月5日、国税庁長官(第48代)。
2018年3月9日、麻生太郎財務大臣により懲戒処分(減給20%3ヶ月)。同日、依願退官。
出身地いわき市の「いわき応援大使」を務めている。
(以上、wikiより) 
 
 
http://www.asyura2.com/18/senkyo241/msg/323.html

[政治・選挙・NHK242] 佐川氏証人喚問 全記録  何を語り、何を語らなかったか 財務省決裁文書改ざん問題 −前編− (NHK NEWS WEB)
 
佐川氏証人喚問 全記録
何を語り、何を語らなかったか 財務省決裁文書改ざん問題
(NHK NEWS WEB)

 −前編・参議院予算委員会(2018年3月27日)−


[投稿者注]
1. 本稿は、証人喚問での質問者発言及び証言者発言を文字起しした標記記事の本体部分の全文である(但し、質問者発言のうち冒頭挨拶など前置きの類は省略されている)。
2. 語句のつながりが整合しない箇所もすべて標記記事にある通りママ表示した。
3. その上で、各質問の質問者名左横に質問通し番号を付し、また、各質問に対する証言の証言者名左横に証言通し番号を付した。質問通し番号は質問者別アルファベットと連番数字の組み合わせとし、その末尾に“r”を付けたものを証言通し番号とした。
4. 標記記事には本体部分のほかに「佐川氏 証人喚問のポイントは?」と題する解説編も収められているが、本稿では割愛した。
5. 標記記事のURLは本稿末尾に示す。


午前9時半 参議院予算委員会
A-1【金子原二郎 予算委員長】 それでは、これから証言を求めることといたし、証人は、ご発言に当たり、証言を求められた事項の範囲を超えてはなりません。そしてご発言の際は、そのつど委員長の許可を得て、ご発言なさるようにお願いします。なお、質問を受けているときはご着席のままで結構ですがお答えの際は、起立してご発言を願います。
この際、各委員に申し上げます。本日は、申し合わせの時間内で証言を求めるものでありますから、不規則発言等、議事進行を妨げるような言動の無いよう、特にご協力をお願い申し上げます。それではまず委員長から、佐川証人に対してお尋ねをいたします。本日は当委員会にご出席をいただきありがとうございました。
それではまず、委員長から佐川証人に対してお伺いをします。
森友学園への国有地売却等に関する財務省の決裁文書については14件で書き換えが行われたことが明らかになっております。そして財務省の説明によれば、この書き換えは昨年2月下旬から4月にかけて、本省の理財局で行ったとのことであります。
そこで当時、理財局長であった証人に伺います。証人はこの決裁文書の書き換えを知っていましたか。仮に知っていたならば、誰がどのような動機でいつ誰に書き換えを指示したのか示してください。

A-1r【佐川氏】 今の委員長からのお尋ねでございますが、私は、現在、告発を受けておる身でございます。本件、決裁文書の書き換え問題につきましても、捜査を受けている身でございます。
従いまして、今の委員長のご質問でありますいつとか、私がその決裁文書の書き換えにいつどのように認識をしたかといったことにつきましては、私が捜査の対象であり、刑事訴追を受けるおそれがございますので、その点につきましては答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。

A-2【金子原二郎 予算委員長】 資料要求に対して書き換えた決裁文書を提出するなど、財務省の本委員会への対応は不誠実の極みといわざるを得ません。この結果、国会審議は混乱し、国民の求める予算委員会の貴重な論戦の機会を失われることになりました。
証言を拒否するとのことですが、理財局長の職にあったものとしてこうした事態に対する責任をどのように感じているのか答えてください。

A-2r【佐川氏】 今回のこの決裁文書の書き換え問題によりまして、国会におきまして、このような大きな混乱を招きまして、また、国民の皆さまに対しまして、行政の信頼を揺るがすような事態になりましたこと、誠に申し訳ないと思ってございます。
当時の担当局長として、責任は、ひとえに私にございます。深くお詫び申し上げたいと思います。申し訳ありません。

A-3【金子原二郎 予算委員長】 次に、麻生財務大臣の発言によれば、今回明らかになった14件の決裁文書を書く機会は理財局の一部職員が行ったものということです。一方で書き換えられた内容が広範多岐にわたることから、本当に理財局の職員だけでこのような判断ができるのか。いぶかる声があることも事実です。
そこでこの14件の決裁文書を書く機会に関し、財務省幹部や政治家などによる関与はなかったのか伺います。

A-3r【佐川氏】 今回の決裁文書のお話は、まさにあの資料要求がございまして、決裁文書を提出するというお話でございました。本件は、理財局の国有財産部局における個別案件でございます。従いまして、こういう個別案件につきましては、理財局の中で、資料の要求に対する対応をいたします。
従いまして、私ども理財局の外、例えば財務省の中の官房部局にご報告や相談をするとか、あるいはましてその総理官邸に対してですね、何かご報告をするとか、そういうことはございませんし、そういう意味では官房や、官邸等からのご指示もございませんで、本件は理財局の中で対応したということでございます。

A-4【金子原二郎 予算委員長】 次に財務省は決裁文書を事後的に書き換え、国権の最高機関である国会に提出しておりました。まさに言語道断の行為であります。他方、財務省が今回明らかになった14件以外に決裁文書の書き換えはないと説明しています。
しかし、書き換えの報告の2日後に今度は決済に添付されていたメモの削除が明らかになるなどこれまでの経緯を考えると、この説明をにわかに信じることはできません。財務省では、従来から当たり前のように決裁文書の書き換えや一部文書の抜き取りが行われていたのでありませんか。証人の認識を示してください。

A-4r【佐川氏】 先ほども申し上げましたが、今回の理財局におけます決裁文書の書き換え問題につきましては、本当に申し訳なく思って深くおわび申し上げます。
ただ、今の委員長のご質問であります、それ以外の決裁文書に対する取り扱いについて私は承知をしておりませんので、その点についてお答えする立場にございませんし、そういうことを知っているわけでもございません。

午前9時46分〜
B-1【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 かつて理財局長として答弁をこの場に立たれる、そして、国税庁長官まで務められた国家公務員の方がこのような形で国会においでいただくことになるというのは、行政の信頼を損ねたという点で非常に残念です。
3月12日の理財局の調査報告により、国会の議論がこの1年近くにわたって、書き換えられた公文書に基づいて行われていたことが明らかになりました。民主主義の根幹を揺るがすゆゆしき事態です。
さらには、公文書の書き換えという大それたことを財務省の官僚だけで判断できるはずがない、政治家が関与をして指示をして、書き換えが行われたのではないか [投稿者注:佐川氏はここで微かに頷いた。] という国民の疑念が生じています。この書き換え問題で生じた不信や疑念を払拭できるのはきょうの佐川さんの証言にほかならない。私たち与党も強い思いを持ってこの場に臨んでいます。
そして、ぜひ、この書き換えが二度と起こらないように再発防止に欠かせない真相の究明に資する証言をお願いしたいと思います。もちろん議院証言法第四条に保障された刑事訴追を受けるおそれのある者が証言を拒む権利について十分踏まえた上でのことでございます。
国民の行政の信頼の回復を図るためにも、そして佐川さんが財務省に残してきた後輩たちのためにも、誰の指示でなぜ書き換えが行われたのか知り得るかぎりの事実をお話しください。

B-1r【佐川氏】 まず、理財局で行いましたこの決裁文書の書き換えでございます。若干だけ、長くなりますが、ご説明を申し上げます。昨年の2月でございまして、森友学園に対する報道が2月の上旬にございました。国有地の売却の価格が非開示だったというのが報道の発端でございました。
それ以降2月の中旬以降だと記憶してございますが、連日、国会でご質問いただきまして、事務方の話ではございますけれども、連日連夜、国会答弁の資料を作ってございました。そういう中で当然、国会の方から資料の要求がございました。それにももちろん対応するということでございます。
ただ、先ほども申し上げましたが、この案件はまさにこの理財局の国有財産行政における現場、近畿財務局におけます個別の案件でございますので、そういった資料は現場にございます。従いまして、こうした資料要求への対応は理財局の中で国会対応しておりましたので、理財局の中で行ったわけでございます。
そういう意味では、私どもはそういう個別案件につきまして、官房にご相談をするようなことでもございませんし、報告をするようなことでもございませんし、まして、その官邸に何かをご報告するとか、そういうことはございませんでしたので、まさに本当にこれは理財局の中で行った話ということでございます。
それから、そういう意味では委員のご質問で一体誰がどういうふうな指示をしてどうしたのかという話でございますが、理財局の中ということでありますれば、もちろん私が局長で、それ以下、幹部職員がおるわけでございますが、先ほども申しましたけれども、この件について、今まさに捜査の対象になっております。
従いまして、私がこの書き換えられました決裁文書について、どういうふうにいつ認識したのかといったような点につきましては、まさにこの書き換えられた決裁文書に係る問題でございますので、その点につきましては今は刑事訴追のおそれがございますので、答弁はご容赦させていただきたいというふうに思います。

B-2【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 それでは、ご自身の関与は別として、当時、佐川さんが理財局長であったときに文書の書き換えが行われたということについては、これ事実でしょうか。

B-2r【佐川氏】 お答え申し上げます。森友学園の問題が、要するに、この新聞報道で国会も含めて大きな問題になったというのは、昨年の2月以降でございます。
従いまして、そういう推測と申しますか、予測は成り立つわけでございますが、現実に本当にその決裁文書そのものがいつ書き換えられたかどうかという点につきましては、それはもう、まさに今委員おっしゃいましたように、私の関与も含めて全体の経緯の話になりますので、その点についても刑事訴追のおそれがございますので、その点ご容赦願いたいと思います。

B-3【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 ご自身の関与もいつ知ったかという時期も別として、理財局内部で書き換えが行われた。これはもう、すでに今の理財局長が認めておられることですが、佐川さんお認めになりますか。

B-3r【佐川氏】 今の理財局長は、たぶん今の財務省の調査に基づいてご答弁をされているんだろうというふうに思いますので、私は財務省の詳細については承知してございませんので、理財局長の答弁についてはお答えする立場にはございませんが、
先ほど申しましたが、こういう個別案件はまさに国会対応している理財局の中で行うというのはそれも極めて通例でございますので、理財局の中で行われたというふうに考えてございます。

B-4【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 考えているというお答えでございました。この書き換えを誰が指示したのかというのは国民の非常に大きな関心の的でございます。理財局の内部で書き換えが行われたということでございますが、改めて確認をいたします。佐川さん、あるいは理財局に対して安倍総理からの指示はありませんでしたね。

B-4r【佐川氏】 ございませんでした。

B-5【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 念のためにうかがいますが、安倍総理夫人からの指示もありませんでしたね。

B-5r【佐川氏】 ございませんでした。

B-6【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 少し丁寧に聞きます。官邸の官房長官、官房副長官、総理秘書官からの指示はありましたか。

B-6r【佐川氏】 ございませんでした。

B-7【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 安倍総理の秘書官からの指示はありましたか?

B-7r【佐川氏】 ございませんでした。

B-8【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 ここまでの証言踏まえますと、まず官邸からの指示はなかったということになります。間違いありませんか。

B-8r【佐川氏】 間違いございません。

B-9【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 財務省内についても念のため伺いますが、麻生財務大臣からの指示はありましたか。

B-9r【佐川氏】 大臣からの指示もございませんでした。

B-10【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 麻生財務大臣の秘書官からの指示はありましたか。

B-10r【佐川氏】 財務大臣秘書官からの指示もございませんでした。

B-11【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 財務省の事務次官、官房長等の大臣官房や他の局幹部からの指示というのはありましたか。

B-11r【佐川氏】 大臣官房、その他の部局からの指示もございませんでした。

B-12【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 念のため伺いますが、他の局の幹部と書き換えを図ったということがございますか。

B-12r【佐川氏】 私が理財局長時代に、この資料の対応をしているということでございますので、そういう意味では理財局の中でやっているということでございまして、他の局の幹部と相談すると、私が相談するということもまったくございませんでした。理財局の中だけでやった話でございます。

B-13【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 先ほど、ご自身がおっしゃった理財局内部でということを丁寧に確認をさせていただきました。そして、理財局内部で誰が書き換えを発案し、あるいは指示したのかについては証言を拒否されるということでございますが、今、太田理財局長は、答弁では、佐川さんの関与の度合いが大きかったと答弁しています。
そして、佐川さん自身が先ほど当時の理財局長、担当局長として責任はあるとおっしゃっています。一体どのような責任がこの書き換えに対してあるのかもう一度ご答弁ください。

B-13r【佐川氏】 はい。今回、財務省の方でこの決裁文書の書き換えに対する調査結果を事実として国会に報告をしたということでございますので、書き換えはあったということだと思っております。
そういう意味では、私自身が当時の担当局長、理財局長でございまして、理財局としてそういうことをしたということでございますので、それは当時の局長として大変重い責任があるというふうに感じてございます。

B-14【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 では、少し質問を変えます。この書き換えの目的についてお話をいただけますでしょうか。誰の指示で行われたか、いつ行われたかということは別として、この書き換えは、例えば安倍総理や総理夫人の名前を記録から消すために行われたのでしょうか。

B-14r【佐川氏】 大変申し訳ございませんが、この決裁文書の書き換えのいわゆる経緯に関わるお話でございます。
従いまして、その決裁文書で誰が指示をしたのか、どのような対応でその書き換えが行われたのかということそのものが、今、捜査の対象となっているわけでございますので、大変恐縮でございますが、刑事訴追のおそれがございますので、答弁を控えさせていただきたいというふうに思います。

B-15【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 理財局が内部で書き換えを行って、太田局長からの答弁から推測するに、非常に大きな関与を佐川さんしたけれども、佐川さんは今、これは証言ができないということでございます。私どもとしては、書き換えがなぜ行われたのかということに解明に資する証言をぜひお願いしたいと思っているところでございますので、
ここでもう少し質問を変えまして、書き換え前の文書と書き換え後の文書、そして佐川さんの答弁を比較することによって、その理解を深めていきたいと思います。よく見ておりますと、この書き換え前の文書と書き換え後の文書、そして佐川さんの答弁も見比べますと、答弁に基づいて修正されたと思われるポイントが3つございます。
1つは、森友学園と価格交渉を事前にはしていない、あるいは価格を提示していない、そして2点目は、交渉記録あるいは面会記録は残っていない、そして3点目は、政治家からの働きかけはなかったというものであります。
まず1点目の事前の価格交渉あるいは価格の提示について伺いますが、佐川さんが最初に答弁を立ったのは、この件で答弁に立ったのは昨年の2月15日です。
この当初の答弁からしばらくの間を見ておりますと、当初、まず原理原則にのっとって事前の価格の提示やあるいは価格の交渉はないということをお答えになっておられます。まさに、予算決算会計令に基づいて処理をした結果、そうなりますということをお答えになっているわけでありますが、
実際、書き換え前の決裁文書を見ますと、そのままの答弁ですと誤解を生じるかもしれないと思うような答弁が内容になっていまして、例えば、概算額を伝えるという言葉であったり、たび重なる森友学園とのやり取りがこの決裁文書には記載をされております。
今からご自身の答弁を振り返って、自分の答弁は誤解を与えるものだったと思いますか。

B-15r【佐川氏】 昨年の答弁を自分の記憶で振り返りますと、よく、ちょっとすみません、少しお時間をいただきますが、よく報道で価格についてこちらから提示をしたこともないし、向こうから頂いたと、そういう報道をよく私も目にします。
私は、その前のその、今、報道がされている部分の前にですね、不動産鑑定にかけて、そういった価格について申し上げたことはないというふうにそこの答弁はしております。
それから、それに加えまして、これも何度も昨年答弁をしておるんでございますが、公共随契も含めまして、相手方と土地の売却を行うときに当然、先方も含めて価格がどうなるかっていうのは高い関心事でございますから、そういう話になります。
そこは当時もお答え申し上げましたが、路線価とか公示地価とかそういうものはオープンになっておりますので、現場において、そういう価格の話をすることはありますが、それは当然、最後は不動産鑑定価格によって決定をしますという答弁をさせていただいておりますので、
そういう意味では、私自身の答弁は今でもそういう答弁で正しかったというふうに私は考えております。

B-16【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 ご自身の答弁が間違いないものであったとするならば、なぜ書き換えが行われたと思いますか。書き換えが行われたのは事実であると考えるとおっしゃいましたので、ご自身が考える理由をお示しください。

B-16r【佐川氏】 そこの点、書き換えがなぜ行われたかというのは、実は本当に先ほどから繰り返しで恐縮でございますが、そこの書き換えが行われた経緯、理由そのものでございますので、そこの点につきましては、私が先ほど答弁した、私自身の答弁のお答えはできるんでございますけども、
そこの書き換えが行われた決裁文書に関わる事柄につきましては、私自身、刑事訴追の可能性があるということでございますので、その点についてはご理解賜りたいというふうに思います。

B-17【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 佐川さんの答弁2つ目のポイント、交渉記録・面会記録が残っていないというものがございます。この点についても、財務省の行政文書管理規則に基づいて、例えば面会記録は保存が1年間1年未満なので、事案の終了時に廃棄するということになっているので廃棄されていると。原理原則に基づいた答弁をされているわけです。
しかしながら、後の予算委員会で、国会議員からの質問でですね、この文書管理規則の中には、重要な実績が記録された文書については10年の保存期間がかかっているということを指摘されて、
また、その後さらに佐川さん自身が、重要な契約書とか売り払い決議書とかそういうものについてはきちんと30年で保存をしておりますと重ねているわけでして、実はこの答弁をトレースしていくと、決裁文書をきちんと確認していれば、面会記録がなくても詳細の交渉の過程が分かるということは明白です。
にもかかわらず、当初の答弁というのは必ずしもそうはなっていない。ここで、佐川さんがいつ、そもそも近畿財務局の保存をしている決裁文書を確認したのかということの疑念がわくわけですが、お伺いします。佐川さんが一連の決裁文書、特に近畿財務局に存在した決裁文書の一言一句に目を通したのはいつ頃のことでしょうか。

B-17r【佐川氏】 まず最初のお話からお答えを申し上げますと、私、その交渉記録に関する答弁を何度もしておりまして、財務省の文書管理規則には、表が実は後ろにございまして、その決裁文書が30年とか、その他はその10年とか書いてございまして、
それ以外の規則のところで交渉記録等につきましては、財務省の中の取り扱いとして、保存期間1年未満、具体的には事案終了とともに廃棄という規定になっておりますので、そういう取り扱い規定について、国会で申し上げました。
そういう意味では、その財務省の文書管理規則について申し上げてですね、申し上げて、その規定について申し上げただけだったわけでございますので、
そういう意味ではそういう取り扱い規則について申し上げたということでは大変確かに今思いますれば、国会対応について丁寧さを欠いていたというのはもう間違いのないことでございますので、その点につきましては大変申し訳ないというふうに思っております。
それから、後段のほうのご質問でございますが、いわゆる決議書、今回書き換えが行われた決裁文書について詳しくいつ見たのかというご質問でありますが、
これも本当にこの問題で捜査の話になると、この決裁文書を私がいつ認識したのかというのは大きな一つの観点だろうというふうに思いますので。その点につきまして、まさにその刑事訴追の可能性ということでございますので、ご答弁を控えさせていただきたいというふうに思います。

B-18【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 丁寧さを欠いていたという証言ございました。太田理財局長も、丁寧さを欠いていたのではないかと、こういう答弁されているわけですが、その意味するところが今ひとつよくわかりません。もう少し具体的にお話いただけますか。

B-18r【佐川氏】 はい。その交渉記録に関して、財務省の文書管理規則がそういう取り扱いであったということのみを述べていたということでございますので、そういう意味では大変質問に対する丁寧さを欠いていたということだろうというふうに今反省をしております。

B-19【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 個別の事案について、きちんと確認をして答弁をしなかったということでしょうか。

B-19r【佐川氏】 そうです。文書管理規則のですね、規定に基づいて答弁をしていたということでございますので、大変その丁寧さに欠いていたというふうに思います。

B-20【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 その結果、誤解が生じるかもしれないと、決裁文書を後で確認をしたときに思われましたか。

B-20r【佐川氏】 その時の認識はちょっと今すぐにわかに思い出せませんが、今振り返れば、大変そういう誤解を招くようなことであったと思いますので、本当に申し訳ないというふうに思っております。

B-21【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 誤解を招くなと思ったときに答弁を修正しようと思いませんでしたか。

B-21r【佐川氏】 今申し上げたように、そのときにそう思ったわけではなかったというふうに思いますので、今思えば大変丁寧さを欠いていたということだと思っております。

B-22【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 今思えばということでございますが、そのとき答弁を変更することもできたはずです。なぜ、それが文書の書き換えという、あってはならない行為につながったと考えますか。

B-22r【佐川氏】 丁寧さを欠いた理由には当然お叱りを受けると思いますが。当時、本当にこの局内、私も含めて連日連夜朝までという日々でございまして、本当に休むことのできないような月曜日から金曜日まで毎日ご質問いただいている中で、そうした余裕がなかった、
お叱りを受けるのは重々承知でございますが、まったくそういう余裕がなかったというのが実態でございまして、申し訳ございません。

B-23【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 現在時点で振り返って、ご自身の答弁を訂正、あるいは変更するおつもりはありませんか。

B-23r【佐川氏】 交渉記録がなかったと言う意味において、現在そういう交渉記録、例えば決裁文書の書き換え前、財務省が提出しました調査結果においてですね、交渉記録に類するような記述があるわけでございますので、
そういう意味では大変本当に丁寧さを欠いたと、ただ当時そういう個別のつどつどの交渉記録は1年未満で廃棄するという規定だということで答弁を申し上げました。大変申し訳ありません。

B-24【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 なぜそのように答弁されたのですか。

B-24r【佐川氏】 繰り返して恐縮ですが、やはり局内も相当騒然としておりまして、そういう丁寧な対応ができなかったところ、お叱りを受けていると思いますが、そういう余裕がなかったということで、大変申し訳なく思ってございます。

B-25【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 森友学園の土地の国有地、森友学園への国有地貸し付け並びに売り払いの取り引きそのものに総理あるいは総理夫人が関わっていたかどうかというのも国民の大きな関心事です。このことについてお伺いします。安倍総理あるいは総理夫人から森友学園との国有地の貸し付け、売り払いについて何らかの指示がありましたか。

B-25r【佐川氏】 貸付契約、それから売り払い契約が行われた、売り払い契約が実質的に結ばれた28年の6月の半ばまでということになりますと、私、理財局にはおりませんで、現場で私がそこを対応したわけではないですが、
昨年の国会答弁を通じまして、公的取得要望から始まって貸付契約で売り払い契約の経緯について勉強もし、局内でもいろいろ聞いてですね、その過去のものを見ておりますけども、その中では一切、総理や総理の夫人の影響というのがあったということは、私はまったく考えておりません。

B-26【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 それでは、総理の意向を受けた官房長官、官房副長官、総理補佐官、あるいは総理秘書官、その他の官邸関係者から指示はありましたか。

B-26r【佐川氏】 今申しましたように、昨年私が勉強した範囲でございますけども、そういうものも一切ございませんでした。

B-27【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 それでは、明確な指示ではなくても従わざるをえない何らかの圧力を理財局が受けて判断を変更したという経緯は確認できましたか。

B-27r【佐川氏】 私が昨年ずっと国会答弁の中で勉強した中では、こういうことはございませんでした。

B-28【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 その書き換え前の文書の中に、特例的な内容、特例的な処理、特例承認、あるいは本件の特殊性という言葉が出てきます。これらの特例的、あるいは特殊性という言葉は官邸の関与を意味しているのでしょうか、あるいは総理夫人の関与を意味しているんでしょうか。

B-28r【佐川氏】 特例承認につきまして、私、昨年国会でご答弁をさせていただいてございます。普通、国有財産は売却が中心でございますが、貸し付けをすることもできることになってございまして、
通常はやはり売り払いをするためにも3年程度の賃貸、貸付契約というのが通常ですが、通達上3年と書いてあるんですが、これによらない場合には、本省の特例承認をもらってですね変えることができるということで、実は、これは事業用の定期貸借契約でございますので、法令上10年が最低期間でございました。
従いまして、この3年では間に合わないんで、本省の特例承認をとるということで、本省の特例承認をしたということでございまして、その特例とはそういう意味でございますというのを昨年ご答弁しております。

B-29【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 ということは特例あるいは本件の特殊性という言葉は官邸の関与あるいは政治の関与を意味しているのではありませんね。

B-29r【佐川氏】 そうではございません。

B-30【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 では、総理夫人が森友学園の名誉校長であることが貸付契約や売買契約に何らかの影響を与えた経緯もありますか。

B-30r【佐川氏】 総理夫人が名誉校長であるという話は2月の最初のほうで私も知りました。ただ、その私昨年ずっと勉強しておりますが、やはりきちんとこの貸付契約あるいは売却契約ともに、すべて不動産鑑定にかけた価格で契約しておりますので、そういう影響はございません。

B-31【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 それならば、なぜ書き換えを行って安倍総理夫人の名前を削除したんでしょうか。

B-31r【佐川氏】 補佐人の助言を求めてよろしいでしょうか。
失礼いたしました。書き換え前の決裁文書に関わる話全般につきまして、やはりその経緯そのものでございますので、刑事訴追のおそれがありますので、そこは答弁控えさせていただきたいと思います。

B-32【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 では、改めて伺いますが、この森友学園への国有地の貸し付けならびに売り払いの取り引きに、総理そして総理夫人が関わったことはないと断言できますか。

B-32r【佐川氏】 私が昨年勉強してずっと一連の書類を読んで、国会で相談させていただいた中で言えば、総理も総理夫人の影響もございませんでした。

B-33【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 わかりました。最後に佐川さんにうかがいます。本来適正に管理されるべき公文書がこのような形で行政自身の手によって書き換えられてしまった。再発防止のために何が必要だと思いますか。

B-33r【佐川氏】 やはり規則、理財局のほうで、公文書、例えば国有財産の売り払いについてのそういう行政書類の見直しなんて行っているというふうには聞いておりますけれども、やはりそういうものも大事でございますし、公務員一人一人の強い意識も大事だろうというふうに思ってございます。

B-34【自由民主党・こころ 丸川珠代議員】 ありがとうございました。少なくとも今回の書き換え、そして森友学園の国有地の貸し付けならび売り払いの取り引きについて、総理、総理夫人、官邸の関与がなかったということは証言を得られました。ありがとうございました。

午前10時16分〜
C-1【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 民進党新緑風会の小川敏夫です。今、丸川委員の質問の中でですね、ちょっと趣旨を確認したいんですが、今回の書き換え、改ざんですがね、証人の答弁に基づいて、それに合わせるのは書き換えが行われたというような趣旨の丸川委員から質問がありましたが、これはそういう経過でよろしいわけですか。

C-1r【佐川氏】 丸川先生、委員のご質問は財務省の理財局長がそういう答弁をしているというようなお話だったと思っておりまして、私がご答弁申し上げましたのは財務省の調査が今どういう状況に置かれてるかまったく存じておりませんので、それに基づいてその現在の理財局長が答弁されている事にちょっと私がお答えできる立場ではありません。
それと今の委員のご質問ですと、経緯でございますね、その経緯につきましては、先ほど来、ご説明しますが書き換えられた決裁文書に関わる話でございますと、やっぱり私自身がそこにどう関与したかとか、いつ決裁文書を認識したかとかそういうことにかかって参りますので、
今私捜査を受ける身でございますので、刑事訴追のおそれがあるということで、先ほども今回もそこの件につきましては、ご答弁を差し控えさせていただきたいというふうに考えてございます。

C-2【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 ではね、まずその証人が答弁するときですけども、これは当然、財務省の見解なり事実を答弁するということで、客観的に慎重でなくてはならない。
いうことでですね、常にだいたい答弁する時にはですね、事前に役所の中で想定問答集、あらゆる角度からいろんな質問があるということを想定して想定問答集というものを用意して、その上でですね、間違いがない答弁をするというのが実際の実務なんですが、実際も証人も答弁されるときですね。
分厚い想定問答集と思われるそういう資料に基づいて、答弁されておられただけですけども、こうした森友関係に関する答弁についてですね、当然証人の答弁は事前に財務省内あるいは理財局内でですね、皆さん集まって、想定問答して協議して答弁内容を決めてきてから、その内容に従って答弁していたと、こういうことでよろしいわけですね。

C-2r【佐川氏】 基本的に国会答弁を事務方、局長がする場合には今委員がおっしゃったようなことでやってるわけでございますし、私も昨年、基本的には、部下職員が質問通告を受けまして、それに沿ってある程度答弁を書いて、その上で、私に渡して私が読み込むというそういう作業でございました。
ただ委員ご承知のとおり、昨年例えば、予算委員会以降の7時間コースだとほとんどその全員のご質問者の方が森友の質問をされるというようなそんなケースもあったように記憶してございますが、
そういう意味では本当にこの何十問なのかその100問を超えるのかわかりませんが、そういうような答弁、質問の数だったと思っておりまして、事実上間に合わないケースもございましたし、明け方読み込んでは来ますけれども、きちんと読み込めてないケースもございましたし、
そういう意味では基礎的な資料を、いつも私は携行して、そういうものに基づいて答弁をしたこともありましたし、そういう意味では通常とは状況は違っていたということでございます。

C-3【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 私が質問したかった、あるいは言いたかった趣旨はね、証人が答弁を間違えたとそれに合わせたということではなくて、
答弁自体の内容がですね、部内で十分協議して行った上での答弁ですから、答弁にあったんじゃなくて、答弁内容を決める部内の協議の上、その協議自体がですね、そもそも、改ざん方向の資料となってきてたと、こういうふうに思っておる、考えておるわけですが、この指摘についてはいかがですか。

C-3r【佐川氏】 基本は答弁書に沿って答弁してございましたが、今ちょっと委員おっしゃいましたようにそれぞれ協議をしてという余裕はもうございませんでしたので、各局員が書いたものを局長室に入れていただいてそういうものを読み込んで答弁をしていたということでございますし、その答弁では答弁しきれないような答弁もあったということでございます。

C-4【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 協議してる暇がないって、役所の答弁は全部協議してね、一言一句間違いがないように作り上げて来て答弁するもんですよ。次に質問しますが、また丸川委員の中でね、官邸の指示がない、総理の指示はない、いろいろ指示がない指示がないというお話いただきました。指示という言葉ではなくてですね、協議や連絡や打ち合わせはどうですか。

C-4r【佐川氏】 今回のこの理財局でその書き換えが行われた決裁文書に関しまして言いますれば、指示とか、今おっしゃったその協議とか、相談とかそういうものございませんでした。

C-5【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 例えば国会答弁はですね、総理大臣の答弁もありますよ。そうすると、総理大臣の答弁に当たってはですね、これは直接の担当部署である、財務省理財局の方もですね、その答弁の打ち合わせ作業に加わるんじゃないですか。

C-5r【佐川氏】 はい。森友学園問題ですと、財務省、国交省、文部省といろいろ各省関係してございましたが、財務省に関する総理答弁あるいは大臣答弁ということでありますれば、それはもう理財局で起案をし、作成をしまして、それを大臣室なり、総理官邸に基本は入れるというか届けるということでやりますけども、
ただ今回極めて実務的な案件でありましたのでそういう意味ではどういう契約とかそういうような話については、基本的には私の当時局長だった私の答弁の抜粋と申しますか、しかし、少し簡略化したようなものをそれぞれ、大臣や総理にはご答弁を、入れたということでございます。

C-6【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 だからそれは一方的に答弁を入れたんじゃなくてですね、やはり官邸側の担当者とも、その答弁の内容について協議、打ち合わせをしたっていうことじゃないですか。

C-6r【佐川氏】 答弁作業は、そういう官邸の秘書官とか、大臣秘書官との打ち合わせは局長はやりませんので、たぶん実務的には課長とかそういう人たちがやっていたというふうに思いますが、
ただ翌日私自身は、理財局が作成した答弁は見ておりますので、そういう意味では、総理答弁とか大臣答弁も、私が答弁する内容のある種部分的な抜粋を政治家としてお答えいただくような話についての答弁があったというのは私の記憶でございます。

C-7【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 あなたはね、総理夫人の影響があると思っていないと、このように証言されました。ただ、昨年の3月23日の籠池さんの証言、それから、それに、その時期ですね。谷査恵子さんがですね、籠池さんの要望事項を理財局に伝えたということがございました。この谷査恵子さんのですね、この要望について、証人はどのようにお考えですか。

C-7r【佐川氏】 昨年、ファックスの話が国会でずいぶんご議論になりまして、私はそのときに谷査恵子さんから電話を受けた当時の理財局の室長を呼んで聞きました。
そのときの長くなりますが、室長の話は要するに社会福祉法人に適用になっているような長いやつを学校法人にも適用できないのかという話が中心でありましたということで、その他については一般的なお答えを申し上げましたというのは、当時の室長からのお答えでそれを私は国会で答弁をしたということでございます。

C-8【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 まず、谷査恵子さんがですね、昭恵夫人の秘書だということは当然ご承知ですね。

C-8r【佐川氏】 当時の室長は知っていたようでございます。はい。

C-9【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 室長すなわち田村室長は認識していたということですね。

C-9r【佐川氏】 (うなずく)

C-10【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 はい。秘書が何か要望してくる、要望事項を伝えてくるということはですね、当然、秘書が仕えている方も今回でいえば昭恵夫人の意向を踏まえてではないかと誰しもが思うんですが、その点について、田村室長はどのように言っていましたか。

C-10r【佐川氏】 はい。私が室長に確認した時にはその先方、谷さんからお電話をいただいて、その質問についてお答えをしたということが室長の意識でございますので。何かその時の報告で総理夫人がとかそういう話はございませんでした。

C-11【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 谷さんがですね、籠池氏の要望事項を伝えた、その文面にはですね、買い取り価格がべらぼうに高いんだという籠池さんの要望事項が入っておりました。そうしたことも谷秘書からですね、田村室長に伝えられたとこういうことでよろしいわけですね。

C-11r【佐川氏】 ちょっとどういう会話を具体的にしてきたか、大変申し訳ありませんが承知してございませんが、あそこのファックス、その谷さんが籠池さんに送ったと言われているあのファックスは私も当時読みました。
その時には定期借地の話とか、有益費の話とか、工事の予算、工事をやって予算化の話とかそんなのが4つか忘れましたが5つか書いてあったというのは自分の認識でございまして、何か個別にどういうその、田村が、田村室長がやりとりをしたかというのはそこはちょっと承知してございません。

C-12【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 籠池氏がですね、書いた手紙、要望事項等はですね、書かれた手紙、このコピーがですね、谷さんから、田村室長に渡されたんじゃないですか。

C-12r【佐川氏】 私が当時の秘書から聞いたのは電話を受けたと。電話で質問を受けて、それで電話で答えたということでございます。

C-13【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 回答書を見ると、電話でのやりとりであれだけの文書がまとめられるかということを非常に精緻な回答内容なんですがね。
籠池氏のどういう具体的な要望だったかということを示すにはですね、籠池氏が書いてきた手紙をですね、コピーを渡して説明すれば一番簡単なんですが、田村室長はその点についてどういう風に言っていたのですか、そういう要望事項は電話で聞いただけだということなんですか。

C-13r【佐川氏】 私が聞いたのは、もう電話の受け答えをしたというのを聞いてございますし、それから昨年私はご答弁申し上げましたが、その谷さんが書いたと思われるその返事も実はいくつか間違いがございまして、実務的な話でございますが、そういうことも答弁をさせていただいたところでございます。

C-14【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 当然この問題についてあなたは答弁者として答弁したわけですから答弁に先立って田村室長をはじめとしてですね、答弁の内容のすり合わせは行っているわけですね。

C-14r【佐川氏】 はい。田村室長から聞いた話を答弁書に書きまして、それでそういう答弁をしてございます。

C-15【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 田村室長は谷さんからの要望をですね、電話で聞いただけだとこういう風に明言してたんですか。要望事項について手紙のコピーだとかですね、文書では、要望事項を聞いてない、受け取っていないとこういうふうに明確に説明したんですか。

C-15r【佐川氏】 そこまで私も確認しませんで、今の委員がおっしゃりたい、おっしゃっていただいているのは、田村が、田村室長が谷さんからファックスで別途要望書をもらってるかとかその手紙をいただいているかとか、そういうことだろうと思うんですが、ちょっとそこまでは確認しませんでしたが、
私が室長から聞いたのは、電話を受けて、電話でその質問にお答えをしたというのを聞いたわけでございます。

C-16【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 そこまであなたが承知してないなら、ご本人に聞くしかないわけですけども、そのあとですね3月15日ですか28年の3月15日にゴミが出てきたどうのこうのという話が3月11日ですか、ゴミが出たよって話があった。ゴミが本当にあったかどうか別にしましてね。
その直後の3月15日に、籠池氏が田村室長と財務省でお会いしてると。こういう会話がですね、録音テープが公開されました。
それについて、最初は証人は確認しなかった、確認、実際にやり取りかどうか確認しないということでしたが最終的に5月8日になってですね、そういう籠池氏と田村室長との会話であるということを認めたわけでありますけども。
実はこの会話の中でですね、籠池氏がこういうふうに言っておるんです。「昭恵夫人の方から聞いてもらったことがあると思う」と、こういうですね、籠池氏の発言があると。このことについて当時、質問されて、証人はどのように答弁しておりましたか。

C-16r【佐川氏】 大変申し訳ないですが私がどういう答弁を子細にしたかもまったくその今資料もありませんけども、当時私が田村室長がその籠池ご夫妻が財務省にお見えになって、会ったと言う話を田村室長を呼んで確認をいたしました。
その時の私が田村室長から確認した答弁はですね、籠池夫妻が3月11日にゴミが出てきて、それを何とかしてくれないと開校に間に合わないのじゃないかと大変強くおっしゃられて
田村室長の方からその話は現場から聞いておりますので近畿財務局の方とよく対応するようにというふうに言ってありますということのご返事をしたというのを当時田村室長から私は聞きまして、そういう答弁をしております。

C-17【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 それでね、録音データの中で籠池氏がね、昭恵夫人の方からも聞いてもらったことがあると思うとそういうふうに発言してるわけです。
そうすると思い当たるのはね、その前年の谷秘書さんがですね、田村室長にいろいろ照会したと、要望事項を伝えたということがそれに当たるんじゃないかと思うんですがね。それ以外にですね、こうした、昭恵夫人の方からも聞いてもらったことがあると言われるような出来事がありましたか。

C-17r【佐川氏】 私が部下職員から聞いてる範囲ではございません。

C-18【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 昭恵夫人の方からも聞いてもらったことがあると思うという発言に対して、田村室長は、それを否定はしていないようなんですかね。
すなわち、明確にそれについてですね、やりとりしているわけでないんだけども、どうも私にはそれを明確に否定してない、つまり財務省、当事者ですから、第三者どうしのやりとりならね、事実か事実じゃないかはわかんないんだけども、
当事者ですから財務省の田村室長は当事者の本人ですから、その本人に対してですね、籠池氏が昭恵夫人の方から聞いてもらったことがあると思うという発言があった際にですね、田村氏はそれを否定してないように思うんですが、そうしたやりとりについて田村室長から説明はありませんでしたか。

C-18r【佐川氏】 先ほど聞いたような話を田村室長から聞きまして、それ以外にはどうだったのかと聞いたわけです。
その時の田村室長の私への回答はすごくいろんなことを言われて、なおかつご夫妻で交互にわーっと言われて本当によくわからなかったんですと言ったようなことを田村は私に言いまして、すいません、田村室長は私に言いまして、そういう意味ではそういうご答弁も当時したというふうに記憶してございます。

C-19【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 やりとりだからいろんなことのやりとりがあったことはそうなんでしょうけどね、私はその一点だけ聞いてるわけです。要するに、昭恵夫人の方からも聞いてもらったことがあると思うという籠池氏の発言はね、やはり何もないのにそういう発言が出るということはないんだから、
当事者に対してね。当事者に対してそういう発言が出るということは、そういう発言があったということは発言の前提の事実もあったんだろうと私はそう判断してるんですけども。ここ大事なところなんでね。
それについてじゃあ田村室長からですね、この昭恵夫人の方からも聞いてもらったことがあると思うという籠池氏の発言については、証人は、特に具体的な言葉については、何も確認していないとこういうことなんですか。

C-19r【佐川氏】 私が田村室長から聞いた時にはその個別の具体的なやりとりも当然私知っておりませんし、田村室長からの報告がそういう報告でありましたので、
そう私は田村室長の方からそういう現場で対応しますと、先方が新たなゴミが出てきてすぐ対応してほしいと言ったんで現場で対応しますと、あとについてはいろいろご夫妻で交互におっしゃっていてっていう報告を受けましたんで、
今委員がおっしゃられた昭恵夫人に言われたみたいな話そのものを私ども、当時知りませんので、従ってその田村室長とそういう会話を交わしようがないということでございます。

C-20【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 それに関連した別の質問ですけども、財務省ではですね、答弁する答弁者はあなたですけども、あなたあるいはですね、財務省のほうがですね、答弁のために、答弁をまとめるための事実確認としてこの秘書の谷さん。あるいは、昭恵夫人とですね、直接確認したり、あるいは間接的でもですね何か連絡を取ったことはありますか。

C-20r【佐川氏】 私が部下職員から聞いた範囲ではそういうことありません。谷さんと田村室長との接触はその電話の一件だと私は認識しております。

C-21【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 谷さんが田村室長に照会したことについて、谷さんがどういうふうに言ってるかということについては、証人自身は何も確認していない。そうするとどんどん政府や行政のですね、他の方、他の部署の方が確認した、その情報をもらったことはありませんか。

C-21r【佐川氏】 今のは谷さんの質問の内容を田村室長以外から聞いたことあるかということでございますか。そういうことはございません。

C-22【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 この森友学園の国有地の払い下げについてはですね、ゴミがどうだったのかということが中心の争点になりました。会計検査院はですね、後から発見されたという3.8メートルとか、9.9メートルのゴミについて合理的な根拠がないとこのように指摘しております。
一方で、証人の答弁あるいは理財局の説明はですね、そうしたゴミが出てきたからと、ゴミが出てきたという事実を踏まえてですね、値引きを行ってるということになってますが、この点について会計検査院からですね。そうした深いところのゴミについては合理的な根拠がないという意見がされたことについては証人としてはどう判断していますか。

C-22r【佐川氏】 独立した機関でございます会計検査院の指摘は大変重く受け止めるべきだというふうに思います。ただ当時、私どもが勉強したところでいいますと9.9mのくい3.8メートルのところ、それから国土交通省がそういう専門家として、工事積算基準を用いて計算したというのを私どもはそれは正しいというふうに判断したということでございます。

C-23【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 あなたはね今は理財局長の立場じゃないんですけども、合理的な根拠がないという会計検査院の指摘を受けてですね。今現在、振り返ってみてですね。やはりそうしたゴミがあるという判断について、客観的な根拠がないと言われてもしょうがないなとそういうふうには思ってますか。

C-23r【佐川氏】 会計検査院からそういうきちんとした会計検査院の詳細な記録を読んでございませんけども、そういうご指摘があったということは重く受けとめますが、
私どもは当時大阪航空局と近畿財務局の職員が業者と一緒になって確認をしたというさまざまの写真なんかも含めて委員の先生方、いろんなご意見はいただいているのは十分承知しますけれども、しかしそういう新たなゴミが出てきて、ああいう積算をしたということについての判断は今変えているわけではございません。

C-24【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 いろいろ質問飛びますがね、交渉記録あるいは面会記録については事務終了間もなく廃棄したといういうようなこれまでの答弁をいただいてますが、この森友学園の問題がですね平成29年の2月上旬にですね、新聞報道されて、その後国会でいろいろ質疑の対象になりました。
この時期にですね、つまり朝日新聞の報道2月上旬ですけども、この報道を契機にさらにこの交渉記録あるいは面談記録についてですね、あるのかないのか、あるいはあるとすればですね、それについて、どのように対処するかということについて、改めて指示なり検討したことはありませんか。

C-24r【佐川氏】 ちょっと今のご質問は報道が出て森友問題が国会でご議論が始まったときに交渉記録について何らかの新たなその指示をしたかということでございますか。特段記憶はございません。

C-25【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 交渉記録等はですね、事務終了後も直ちに、まもない時期に廃棄されているという答弁でしたけれども、しかし、実際にまだ残ってるのがあるんじゃないかとかですね、そうした探索も必要だと思うんですよね。そうした再度の確認ということはしなかったんですか。

C-25r【佐川氏】 そういう規定について述べたということで、そういうことでございまして申し訳ございません。

C-26【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 総理がですね2月17日ですか自分や妻の関与があれば、総理も辞めると言う趣旨の答弁がありました。こうした総理の答弁を受けてですね、特に証人あるいは財務局のほうでですね、答弁に対する姿勢というものについて、影響はありましたか。

C-26r【佐川氏】 私もあの場で予算委員会で聞いておりました、一緒におりましたんで。でも、総理の答弁の前と後で私自身が答弁を変えたという意識はございません。

C-27【民進党・新緑風会 小川敏夫議員】 一番冒頭ですか、委員長の質問に対してですね。全て私の責任だというような趣旨のご発言がありました。これはですね、いわゆる事実としてあなたが責任を持って行ったことかということなのか、そうではなくてあなたが理財局長という職責にあったので、その当時の不祥事は全部、局長の自分にあるとこういう趣旨ですか。どちらですか

C-27r【佐川氏】 私が担当局長であったということでひとえに責任は私にあるということでございます。

午前10時43分〜
D-1【公明党 横山信一議員】 本日の証人喚問は与党・公明党としても賛成をしたものでございます。それは、国民共有の知的財産とも言える公文書の書き換えという重大問題の発生に対して、国民の関心も高い。
そしてまた、その書き換え問題の内容というのは佐川氏の答弁に関わるところが多いということで、やはりこれはご本人に確認しなければいけない。そういう事項が多いということで賛成をいたしました。
そういう意味では、これまでの質問と若干重なる部分もございますけれども、この書き換え問題について国民の関心の高い部分についてお聞きをして参りたいと思います。
まず、証人はこれまで森友学園の国有地の売却は法令に基づき適正な手続き価格で処分されたものであり、政治家などからの不当な働きかけは一切なかったというふうに答弁をされております。
しかし、書き換えられた内容が広範多岐に渡るので、やはり財務省幹部あるいは政治家など、関与があったのではないか。先ほど来も質問が出ておりますけれども、私も3月14日の本委員会で財務大臣にこのことをただしました。
大臣からは、不当な圧力というようなことはないと思うというふうに答弁がございましたけれども、改めてお伺いいたしますが、政治家などからの不当な働き掛けはないということでよろしいですか。

D-1r【佐川氏】 先ほど、昨年の国会答弁中ずっと勉強しておりまして、その経緯を見ておりますけども、そういう不当な働きかけはございませんでした。

D-2【公明党 横山信一議員】 政治家や総理夫人の記述というのは、特例承認の決裁文書のこれまでの経緯という部分にありますけれども、ここで言うところの特例承認は何の特例を求めているものなのか説明いただきたい。

D-2r【佐川氏】 基本的に国有地の売却処分に関しましては、売却が原則でございます。ただ、いろんな事情がありまして、地方公共団体で一時期貸付をした後、例えば予算が通ったらそこを買って公園にするとか、そういうことはございます。
従いまして、貸し付ける期間というのは比較的短くてその後売るといったようなことが前提になって通達が出来上がってございまして、そういう意味で賃貸の期間貸付の期間3年というふうに通達に書いてございます。
ただ、これによらないいろいろなケースがあるでしょうから、通達上、これによらない場合は、本省の承認を持って変えることができるというのが特例承認通達でございます。
籠池理事長の森友学園との関係では7年8年間貸し付けをした後に買いたいということで、この3年に合わないということでございまして、財務局としても、どうしてもこれは売りたいという宣告した処分を積極的に行いたいという趣旨で定期借地契約にしておりまして、
定期借地契約というのは法令上、最低10年ということでございますので3年という通達に合わないと、したがって本省の特例承認が要るということで、本省が特例承認をしたというのは経緯でございます。

D-3【公明党 横山信一議員】3年の定期借地権を10年に延長するということは、今のご説明にもありましたけれども、通達によらないものなので特例承認として本省決済になったものであります。
これは貸付から売買にするための重い判断でありますけれども、ここのいわゆるこれまでの経緯という部分に政治家らから陳情、あるいは総理夫人の記述というのが載っているわけでありますが、こうした情報というのは本省にとって必要な情報だったと思いますか。

D-3r【佐川氏】 大変恐縮ですが、書き換えが行われた決裁文書に関する記述については、ちょっと答弁を差し控えさせていただきますが、
一般論として、そういう何か政治的な問い合わせみたいな記述がどこまで必要だったのかという点については、ちょっと、その実際に契約そのものは不動産鑑定にかけて法令に基づいてやっているわけでございまして、不動産鑑定士のところに誰か操作をするということできないわけでございますので、そこはちょっと私としてはよくわからないところでございます。

D-4【公明党 横山信一議員】 書き換えられた決裁文書から私が比較して読んだかぎりにおきましてはですね、今まで言われてきたこと、あるいは、報道されてきたことばかりでございました。改めて新しい事実が出てきたということではないというふうに思っております。
だからこそ、なぜ書き換えが必要だったのかということが疑問に思ってしまうわけですが、確かに証人が理財局長当時の答弁というのですね、不当な働きかけが一切なかったので記録は保存されていないとかですね、言い切ってしまっていたので、決裁文書との整合性がとれなくなったというのは確かではあります。
佐川氏のご答弁によりますと、文書管理規則に基づいての当時の答弁だったので丁寧さを欠いていたというようなご発言がございましたが、こうしたことっていうのは、当時の理財局長当時ですね。資料を確認することができなかったという、そういうことなんでしょうか。

D-4r【佐川氏】 それは私の落ち度でありまして、本当にできなかったのかと言われれば、それはできたのかもしれません。ただ、やはり言い訳になりますが、ああいう状況、大変な、局内の騒然とした状況の中でやはりそれを怠ったということであると思います。申し訳ない。

D-5【公明党 横山信一議員】 公文書は国民の財産です。それだけに、決裁文書の書き換えを誰が指示したのかというのは国民の多くが注目しているところであります。財務大臣はですね、理財局からの指示で書き換えが行われた、あるいは佐川氏の国会答弁に誤解を受けることのないようにするために行われたというふうに答えております。
また、今の太田理財局長は、佐川局長の関与というか、度合というか、そういうものが大きかったというふうに答えております。そこでお伺いしますが、この書き換え問題への関与の程度について、どのような認識を持っておられるのか。

D-5r【佐川氏】 大変本当に恐縮でございますが、書き換えの経緯とか、この決裁文書の書き換え、私がどういうふうに関与したのかとか、そういう決裁文書に関する認識の時期とかっていうことにつきまして、まさに今、捜査の対象になっていると考えられますので、
その点につきましては刑事訴追のおそれがありますので、ご答弁を差し控えさせていただきたいと思います。大変申し訳ございません。

D-6【公明党 横山信一議員】 先ほどのご発言の中でですね、当時の理財局長としての責任を重く受け止めているというご発言がございました。このご発言というのは、今の理財局をかばっているようにも見えるんですね。しかし、先ほど来申し上げているように、公文書の書き換えというのは国民の財産を書き換えたということでありますから、この事案というのは大変な大きな問題だと。
当時の理財局長としての責任ということだけでは済まされない。そういうふうに考えるわけです。その当時の理財局長としての責任っていうことは、これは佐川さんご自身の指示ではないということでしょうか。

D-6r【佐川氏】 大変申し訳ありません。私のまさに関与の度合、関与を有無、あるいはいつ知ったかの認識の時期経緯等々、書き換えられた決裁文書に関わるお話につきましては、まさに今、私自身が捜査の対象になっているということでございますので、ぜひ答弁を控えさせていただきたいと思いますので、ご理解賜りますよう。

D-7【公明党 横山信一議員】 書き換えが14件もあったということで、それは非常に大胆ですね。そういう意味では、理財局では公文書の書き換えが日常的に行われていたのではないかという疑問も持ってしまうわけです。
このことも私、予算委員会で質問いたしました。太田理財局長は、懸念を持たれるのは重々わかっているとしたうえで、これで本当にすべてというふうにお答えになりました。この太田局長の言葉を信じて良いのかどうか。お答え願います。

D-7r【佐川氏】 こういう国有の個別案件の決裁文書の書き換えが行われたということは事実ございますので、それは懸念を持たれるのは本当に、そういう当然だろうというふうに思います。
ただ、その他の文書について、今、私の立場であったのかなかったのかというのは調査の資料もございませんので、その点については私でコメントいたしかねるということでございます。

D-8【公明党 横山信一議員】 はい。参考人がですね、答弁をする際には、担当する部局において、記録に基づいて事実関係を細かく精査するのが普通です。先ほど来の佐川さんのご発言では大変忙しかったと。連日連夜、質問資料要求に追われていたという中で丁寧さに欠いていたというようなご発言でございましたけれども、
そうは言っても、やはり公式の場での発言になりますので、それはそれなりに十分という認識はなかったのかもしれませんが、準備をして臨んでいるわけです。そういう意味から言うとですね。書き換え前の決裁文書とそれから佐川さんの答弁当時の答弁の間にそごが生じるとはなかなか考えづらいものなんですね。
そこで、私、この委員会で答弁が先かそれとも書き換えが先かということを今の太田理財局長に質問いたしました。太田理財局長から答弁が先というふうに答えが返ってまいりました。
そうしますと、佐川さんは、答弁内容と決裁文書との間でそごが生じるということを認識したうえで決裁文書と異なる答弁を繰り返したということになるんですけど、この点どうでしょうか。

D-8r【佐川氏】 今の委員のそういうご疑問になるんだろうというふうに思います。従いまして、財務省がどういう調査をしていくというご発言をしているかということは、課題があると思いますが、私自身がそれにお答えしますとですね、まさにこの決裁文書を私、存在をいつ知ったのかいう話にまさにすぐに結びつくわけでございます。
そういう意味では大変申し訳ございませんけども、今の告発されている状況で、刑事訴追のおそれがある中で、その点について私が答弁するというのはぜひ控えさせていただきたいというふうに思っております。

D-9【公明党 横山信一議員】 先ほどの小川委員のご質問の中にもありましたけれども、答弁書というのは、応答要領とかですね、それに沿って、答弁が作られていくわけなんですが、応答要領のラインっていうのは、これは局長が指示されるものですよね。どうでしょう。

D-9r【佐川氏】 こういう個別案件でございますと、現場でいろいろ地方ともやり取りをしながら調べて、担当補佐なり、その上の人なりが書くんだと思いますので、そういう個別の案件について、私がこの知識もないのに指示をしたりはできないことございますので、そういう意味では、夜、朝、上がってきた答弁を読み込んでいたというのが実態でございます。

D-10【公明党 横山信一議員】 ご自身で指示はしてないっていうことですか。

D-10r【佐川氏】 さまざまなご質問がありましたので、それはちょっと今、子細に何か具体的には申し上げませんけど、ものによっては、これはこう答えたほうがいいとかっていうことを言ったかもしれませんけれども、基本的に、事実関係についてはやはりこれ現場でないとわからないことというのが多かったように思います。

D-11【公明党 横山信一議員】 それは、要するにその資料取り寄せるのが間に合わなかったという。それは、部下の皆さんはしていたけれども、当時の佐川さん自身はその資料を確認するということはできなかったということですか。

D-11r【佐川氏】 ちょっと具体的にどういうことでご質問いただいているかあれですけれども、私自身は、こういう質問でこういう答えが来てたら、これはこういうことなのかなと自分なりに理解して答弁をしていたということでございます。

D-12【公明党 横山信一議員】 もう時間がありませんので、最後の質問にしたいと思いますけれども、今、大阪地検の捜査が進行中でありますので、いずれすべては明らかになるんでありましょうが、きょうの委員会というのは、証人自身が国民に向けてメッセージを発する貴重な機会でもあります。
現在、当時の理財局長として国に尽くされてきたといういろんな思いもあろうかと思うんでありますが、この森友学園への国有地売却に対して、理財局、そして、佐川さんご自身はどのように向き合ってきたのか、最後、お伝えいただきたいと思います。

D-12r【佐川氏】 一言で申しますと、貸付も売却もそこは不動産鑑定にかけて法令に基づいて職員が行ったというふうに考えてございます。

午前10時59分〜
E-1【日本共産党 小池晃議員】 あなたの昨年2月から3月にかけての答弁、これは、あなたが現場における個別案件と述べた意味での現場ですね、すなわち、近畿財務局と理財局の記録に基づいて答弁を行われたんですね。

E-1r【佐川氏】 私の答弁の資料は、理財局の原課と近畿財務局の間で多分連絡を行ってあがってきたものだと私は理解しておりました。

E-2【日本共産党 小池晃議員】 それは改ざん前の文書に基づく答弁ですね。

E-2r【佐川氏】 文書の書き換えがいつあったのか、私がそれをどう認識しているのかということについては、それは刑事訴追のおそれがあるということでございますので、答弁は控えをさせていただきたいと。

E-3【日本共産党 小池晃議員】 それはおかしいんですよ。これ、改ざんについての質問しているわけじゃないんですよ。だって答弁の根拠は、その当時は改ざん前の文書でしょうが。それしかないんでしょう。それをもとに答弁したんじゃないですか。なんでこんなことが認められないんですか。

E-3r【佐川氏】 今のご質問ですと、要するに決裁文書がいつ書き換えられたのかという問題と結びつく話だと私は思うんです。そういう意味では、私自身が今そこの捜査の対象になっているということでございますので、その点につきましては刑事訴追のおそれがありますので、当然、控えさせていただきたいというふうに申し上げております。

E-4【日本共産党 小池晃議員】 私が聞いているのは、昨年2月から3月にかけてのね、質問の根拠は一体何だったのかということを聞いてるんであって4月4日に改ざんしたんだということは、財務省は認めているわけですよ、理財局の文書は2月から3月までは、まだ改ざんされてないんですよ。
太田局長そう言っているんですよ。太田局長は、その当時の決裁文書を前提に答弁書を作るのは基本だと答弁してるんですね。ということは、あなたの昨年2月から3月にかけての答弁は、まさにこの、その当時の決裁文書を前提に行ったんですねと。私は当たり前のことを聞いているんですよ。なんか、それ以外にあるんですか。

E-4r【佐川氏】 太田理財局長の答弁は、財務省の調査に基づいてきっとお答えしてるんだと思いますが、それは本当に私自身が、今の委員のご質問ですと、書き換えられた決裁文書そのものがいつ私が認識して書き換えが行われたのかとかそういうことにまさに直結する問題でございますので、
そういう意味では、私自身が今捜査の対象でございますので、ご答弁控えさせていただきたいというふうに申し上げているわけでございます。

E-5【日本共産党 小池晃議員】 これはねえ。罪に問われる、要するに自分が訴追されるおそれがあるからと答えないんじゃなくて、都合の悪いことは答えないというだけの話じゃないですか。こんなことをやってたら、これは逆に偽証罪でね、あるいは本人の身分に関わらない証言拒否として告発しなくちゃいけなくなりますよ。
これを拒否するんだったらね。具体的にちょっと聞きますが、私は昨年3月1日2日、これ2日がかりで、この場で証人に質問しました。鴻池議員の事務所の資料をもとに、平成27年1月9日に財務局が森友学園を訪問したという事実はあるかと。
私は都合6回聞いてるんです。これね6回聞いて6回とも証人はこれを否定したんですよ。あのときね。しかし、改ざん前の文書には、平成27年1月9日近畿財務局が森友学園を訪問し、国の貸付額を伝えると、はっきり書いてあるんですね。
丁寧さに欠いたどころか、決裁文書に書いてあることとも正反対のことをこの場で答えたんですよね。なんでそんなことされたんですか。

E-5r【佐川氏】 補佐人に助言を求めます。
大変失礼をいたしました。やはりその件は、私自身が書き換えの経緯、いつ書き換えたかとか、そういうことを、まさに時期に関わるその話でございますので、そこはお答えを差し控えさせていただきます。

E-6【日本共産党 小池晃議員】 委員長、これでは証人喚問の意味がありません。これも拒否するんだったら、これ以上聞いたって意味ないじゃないですか。私は改ざんについて聞いてんじゃないですよ。実際に国会の答弁をどういう根拠でやったかと聞いたんですよ。これでね、進めるわけにはいけません。

E-6r【佐川氏】 補佐人に助言を求めます。
今の委員のご質問は、やはりその1月9日の今の委員のご質問、訪問したとかしないとかお話でございましたけれども、それはまさに、委員は書き換え前の決裁文書に書いてある話と違うじゃないかというお話でございまして、
私自身は、決裁文書に書いてある事実を、その決裁前ですね、書き換え前の決裁文書に書いた、いつ知ったかということそのものはやはり、私自身がその決裁文書にどういうふうに関わったか、いつ認識したのか、経緯はどうかという、まさにそういう問題そのものでございますので、
従いまして、私は今、告発をされている身でございまして、そういう意味では刑事訴追のおそれがあるということで、答弁を控えさせていただいております。

E-7【日本共産党 小池晃議員】 私は、改ざんが誰の指示で行われたのか、何のために行われたのかというような質問してるんではありません。私の質問してるのは、なぜその当時あった文書は書き換え前の文書しかないわけですから、その決裁文書をもとに答弁したんでしょと。事実を確認してるんですよ、
あなたの改ざんに対する関与を聞いてるんじゃないんですよ。私が質問した時点では、改ざん前の文書しかないわけじゃないですか。それをもとに答弁したんでしょうと。なんでこんな当たり前のことが答えられないんですか。

E-7r【佐川氏】 今のお話は、財務省の理財局長がそういう答弁をしているという委員のご指摘があって、その上での質問だろうと私は思いますが、
私自身は、理財局の調査については存じませんし、私自身が今の1月の9日についてお答えするということは、それはその決裁前の文書をいつ見たかということにそのまま結びつく話でありますのでということをご答弁させていただいております。

E-8【日本共産党 小池晃議員】 じゃあ2月から3月にかけてあなたは何を根拠に答弁したんですか。

E-8r【佐川氏】 それは、先ほどから申しますように、質問通告があり、各原課で答弁書を作り、そういうものを基本にご答弁申し上げておったというのが実態でございます。

E-9【日本共産党 小池晃議員】 その各原課の答弁書は決裁文書を基本に作られているでしょう。

E-9r【佐川氏】 大変恐縮でございますが、その答弁が本当にその決裁文書をもって作ったのか、どういう資料をもって作ったのか、それは私は各原課がどういうファクトを確認しながら作ったのかというのは、私自身はその答弁書を読んでご答弁申し上げてるんでございます。

E-10【日本共産党 小池晃議員】 こんな無責任な話がありますかと、いったい何を根拠に作ったのか分かりませんと。そこで部下に責任押し付けるっていうね、そういう議論になっちゃいますよこれ。
さらに聞きますが、この間ね、先ほどからも議論ありますけれど、私は予算委員会でこの問題を質問したときには総理に対する質問として通告をしております。ところが、局長が出てきてね、代わりの答弁されることがたびたびあったわけですね。
結局ね、この間の予算委員会でのここでの質問についてはね、私は全部、内閣官房にも質問通告しております。当然、あなたの答弁内容は、首相官邸とも調整しているということになるんじゃないですか。

E-10r【佐川氏】 先ほども申しましたが、理財局が書かなくちゃいけない答弁というのは理財局で書いて、それを大臣なり総理にお渡しするということでございますので、調整とかということではなくて、そういう、こういう個別の案件については理財局が総理用に少し簡単にしたものをお届けするというのは実態だったと思います。

E-11【日本共産党 小池晃議員】 実務的な中身じゃないんですよ。極めて政治的な中身の質問なんですよ。これをね、官邸と調整しないで質問する、答弁書を作るなんていうのはあり得ない話じゃないですか、どう考えたって。総理と食い違ったらどうするんですか、それ全部理財局でやっちゃうわけですか。そんな無責任な話が説明が成り立つ訳がないじゃないですか

E-11r【佐川氏】 何月何日に現場で職員と業者とか、相手方と会ったとか会わないとか極めて実務的なお話でございまして、そういうものを総理官邸と調整するということは通常は考えられないわけでございます。

E-12【日本共産党 小池晃議員】  実務的な問題以外にもたくさん質問してんです。特に昭恵夫人との関わりですね。そして、先ほど、証人はですね、答弁にあたって、経過は勉強したと、一連の書類を読み込んだと、絶えず携行していたと。ということはですよ。よく把握してたはずなんですよ。決裁文書の中身を。そうでしょう。
先ほどそうおっしゃったんだから、一生懸命勉強したと。そういう中で安倍昭恵さんの名前が当時の決裁文書に出てきていたわけですね。いつ知ったかは言えないっていうならいいですよ。見た時いつですか。
その時に、見た時に見たときに決裁文書見たときに安倍昭恵さんの名前が出てると。これはあの、特別なことだという感じ持ちませんでしたか。

E-12r【佐川氏】 ご質問の趣旨は決裁文書をいつ見たかとおっしゃってるんでですね、先ほどから申し上げてますように、そういう決裁前の文書を書き換え前の文書とか書き換えた後の文書をどの時点で見たかということになりますので、その点は先ほどのご質問とご一緒だというふうに理解をしてございます。

E-13【日本共産党 小池晃議員】 私、いつ見たかと聞いたんじゃなくて、安倍昭恵さんの名前が何度も出てくると。それをいつかの時点ではご覧になったんでしょう。いつ見たかは言えないっていうんですけど、見たわけでしょうどこかで。その時に証人はどういう印象をどう受け止めたんですか、安倍昭恵さんの名前が何度も出てくるということについて。お答えください。

E-13r【佐川氏】 いつ見たとは聞いておらないけど、いつか見たんでしょうっていうのは、やっぱりいつ見たのかというご質問でございますので、見たのか見ないのかというご質問でございますから、それを私自身がその書き換えられた決裁文書をいつ認識したのかという問題そのものでございますので、その点については先ほどのご質問と一緒でございます。
大変恐縮でございますが、まさに書き換えが行われた決裁文書に関わる問題でございますので、答弁は控えさせていただきたいというふうに思います。

E-14【日本共産党 小池晃議員】 これでは証人喚問の意味はまったくありません。あのね、訴追のおそれがあるということ以外のことだって全部答えないんですよ。これ以上聞いたって意味ないでしょこれ。
私は、この証人喚問で終わりにするわけには絶対いかないと思います。佐川さんだけじゃなくて、安倍昭恵さん等含めてですね。野党が要求している証人喚問もすべてやる。そのこと以外に解決の道はないということは申し上げて尋問を終わります。

午前11時16分〜
F-1【日本維新の会 浅田均議員】 日本維新の会、浅田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私は決裁文書をいつ見たのか、うんぬんが問題になっておりますけれども、昨年のたぶん初めて国会でこの問題に関して取り上げられました2月15日の衆議院の財政金融委員会、これの議事録をもとに参考人の証人のちょっとご意見を聞きたいと思いますので。これを資料をちょっと見ていただいていいでしょうか。
私の方から箇所を指摘させていただきます23ページの末尾のところです。これは、貸し付けの期間変更に関して3月31日が期限だったのでそれを救済してやるためにこういうことやったのではないかという質問に答えてですね
佐川さんは1年間、場所をほしいという申し込みがありまして、その契約、変更合意書はすでに3月の10日時点で締結をしているところでございます、というふうにご答弁になってます。
ところがですね、同じ委員の同じ質問に対しまして22ページの一番頭のところでございますが、きちんと期日までにできなければ打ち切る、土地を更地にして返すということを義務づけているという期日は貸付合意書によると何年何月何日の年の事でしたかという質問に対しまして、
佐川政府参考人は貸付契約におきましてはその指定期日につきましては、平成28年3月31日でございますというふうに答えられてるんです。同じ委員の議員の同じ質問に対して、かたや3月31日でございますと答えておきながら、
その後のほうでですね、契約変更を3月10日に締結しているとお答えになっておりますけれども、これはどうしてそういう答弁になったんでしょうか。

F-1r【佐川氏】 ちょっと今突然これを読みましてあれですが、その時の記憶で申しますと、貸付契約におきまして、この土地を学校に使わなくてはいけないとか何年までにその学校を開校しなければいけないと、そういう契約になっておったはずでございまして、
当初の契約が28年3月31日って22ページで答えていますのは、何日ですかってこう聞かれたんで、最初の契約の28年3月31日と答えたんだと思います。
その後ろの方の23ページの話はたぶん、なんで29年に延ばしたんだというご質問もきっとあったのかもしれませんが、そこについてはこういう土砂が流れ込んで、あるいは資材が高騰して、それはやむを得ず1年延ばすのも仕方ないというふうな判断をして、
3月の10日時点で、その月の3月の末ではなく、翌年の3月まで1年間延ばしたということをしました、というのを答弁したんだというふうに思っております。

F-2【日本維新の会 浅田均議員】 だから、後段でですね3月10日に契約変更締結したと1年先延ばしているという事実は把握されてた上で、冒頭、どうして3月31日とお答えになったのかおたずねするんですが。

F-2r【佐川氏】 ちょっとその時、本当に自分でどういう意識でご答弁申し上げていたかですけど、今の委員のご指摘であれば最初の時に全部答えてしまえばよかったじゃないかということかもしれないんですけども、たぶん私は、最初の質問に最初のこの契約はいつだったのかって聞かれたんでその契約だけをお答えしたんだというふうに考えます。

F-3【日本維新の会 浅田均議員】 それでは2月15日の財政金融委員会、質問通告は今までのお話ですと、前日に受けられて、そして答弁調整されているという理解でいいんですか。

F-3r【佐川氏】 大変申し訳ございません、子細に覚えておりませんが、通例、前日に通告をいただきまして、夜、答弁書を作っていたということで、この案件についてちょっとどうだったか本当に覚えていません。すいません。

F-4【日本維新の会 浅田均議員】 それでちょっとご記憶をたどっていただきたいんですが、答弁書ですね。私は今までの話を聞いていると、前日に作られて、前日レクを受けて、ということだったんですが、その時に問題となっている元の近畿財務局の決裁文書というのは前提になってると思うんですけれども、そういうご自覚は答弁時はなかったんですか。

F-4r【佐川氏】 先ほど来お答えしてますが、レクを受ける時間もほとんどございませんで原課で作った答弁資料を入れていただいて、順次読み込んでいるという状況でございましたので、そういう状況でございます。

F-5【日本維新の会 浅田均議員】 同じような結果になるかもわからないんですけども、もう1つ、あと2つ、実は議事録用意しているんですが、もう1つだけ見ていただいて、ご答弁いただきたいと思うんですけどよろしいでしょうか。
読んでいただいている間にたぶん5分経ってしまうと思いますんで、私の方から指摘させていただきます。この35ページの中段真ん中の段から3番目にかけましてですね。これからどうして定借を買うようになったのかという経緯のご説明のところです。
それで経緯に関しては、時間切迫してると。だから自分のところで買い取って新たに深いところから見つかったとされるゴミを自分のところで撤去したいと。
そういうご提案とともに買いたいという、向こうからのご提案があったということでございますけれども、これは、答弁調整をされてご自身でご理解の上でご発言されてると理解していいんでしょうか。

F-5r【佐川氏】 この経緯は理解して答弁をしております。

F-6【日本維新の会 浅田均議員】 それで先般、示されました改ざん前と改ざん後。改ざん前の文書によりますと、要するにそういう変なゴミが出てきたと、これ損害賠償の対象になるかもしれないよと、いわば文章を読む限りですね、脅しにも似たような提案があって、それでなんぼか、まけてくれたらうちは買わんでもないという提案だったんですね。
だから、こういうご答弁をされているということは答弁を作った人は改ざん前の文書をもとに作ったとは思えないんです。改ざん前の文章を読むと、向こうから、変な提案ですよね。あんたとこ責任どう取ってくれるのと、取れへんだったらと損害賠償の対象になるよと。
いわば脅しにも似た要求を向こうの弁護士からされて、それで、泣く泣く引き受けたという理解も成り立つんですけれども、向こうからの提案で、売ることにしたというふうにご答弁されております。だから、その時の佐川さんのご理解はここに発言されてる通りでいいわけですね。

F-6r【佐川氏】 新たなゴミが出てきたときに当時の答弁申しましたが2通りあって、国が自分で取ってそれでお売りするというのと、こういうふうにもともとあるごみの撤去費を先方に持ってもらう前提で値引き、撤去費を引いて売るという2つの方法があって、
そういう意味では前者にすると入札とかさまざまな時間かかりますので、時間的制約の中でこういう方法をとったというふうに答弁してございます。

F-7【日本維新の会 浅田均議員】  だから、それはもし改ざん前の文章を前提に答弁を作られているならば、まず国側にね撤去要請があったんですよ。国が撤去要請があって、しないならば、国が損害賠償の対象になると、えらい目に遭いますよというふうな向こうの弁護士から脅しのようなものを受けて、それで、こういうふうに動いたんだっていうことは理解できるんですけれども、
改ざん後のやつだけだとそういう経緯が全然伝わってこないんですね。それで時間がないので、佐川さんに最後もう1つお尋ねしたいんですが。会計検査院の検査が去年3月7日から始まっております。
当時まだその理財局長でいらしてですね。かつ、議長のご発言によると2月下旬から4月にかけてこの改ざん作業が行われたと認識しているというお答えになってます。その改ざん作業の真っ只中に会計検査院の検査が始まって、その時その理財局長としてですね。会計検査院にどういう文書を提出されたのかご記憶あるでしょうか。

F-7r【佐川氏】 独立した会計検査院の資料の提供、検査になりますので、窓口は総務課だったと思いますが、会計検査院からこういう資料出してほしいと言われればそれは出しますというような報告があって、それは求めに応じて出してくださいというふうに答えた覚えがございます。

F-8【日本維新の会 浅田均議員】 あのね、こういうこと聞いてるのは、さっき3月10日に貸し付けの契約変更をしたと、ご発言がありました。でも、改ざん前の3月30日になってるんです。会計検査院の理解では3月10日に契約変更を請求してます。ところが改ざん後の文書には、このことは一切ないんです。
一切ない。だから、改ざん前のやつを基にしていたら、佐川さんおっしゃったように3月10日に契約変更していたという発言は出てこないんです。以上のことを指摘して終わらせていただきます。

午前11時26分〜
G-1【希望の会(自由・社民) 森ゆうこ議員】 確認させていただきます。安倍昭恵総理夫人の関与はなかったと先ほど断言されたというふうに思いますけれども、その根拠はなんでしょうか。

G-1r【佐川氏】 先ほども申し上げましたが、本件森友学園との貸付契約及び売却契約両方とも不動産鑑定にかけて、法令にのっとって行ったということでございます。

G-2【希望の会(自由・社民) 森ゆうこ議員】 先ほど、小川敏夫委員の質問に対して谷査恵子さんと田村室長とのやりとり。具体的な会話は承知していないというふうに証言されたと思うんですけど、それで間違いありませんか。

G-2r【佐川氏】 谷さんからのは電話を田村室長が受けたところに私現場でいたわけでございませんので、具体的な詳細なやりとりは承知してございません。

G-3【希望の会(自由・社民) 森ゆうこ議員】 その具体的な詳細を確認してもいないのに、安倍昭恵総理夫人の秘書官である谷査恵子さんが田村室長といろいろやりとりしたわけですよね。それを具体的に確認せずして、なぜ安倍昭恵夫人のこの問題に関する関与がなかったと断言できるんでしょうか。

G-3r【佐川氏】 先ほども申しましたが、田村室長からはやりとり、ファックスが出た後ですけれども、確認をしてございます。
そういう中でああいう定期借地契約の話を聞いたとそれ以外については、そこにあるような文章の話を一般的なものとしていたかもしれないというのが、田村からの報告、室長からの報告でありましたので、その時点でその安倍昭恵夫人の話とかは一切出てございませんでした。

G-4【希望の会(自由・社民) 森ゆうこ議員】 谷さんには確認してないんですよね。だから、なぜその断言できるのかが理解できないんですよ。なぜ断言できるんですか。安倍昭恵夫人はこの問題に関与してないと。なぜああいうふうに断言できるんですか。

G-4r【佐川氏】 私は、森友学園と財務局の国有部局の関係というのはこの土地をきちんと処分をするということの関係にあると思っておりまして、そういう意味では、貸付けの契約を結ぶことと、売却の契約を結んだこの二点において、何かその不当な働き掛けとかそういうものがあれば、それはそういうものがきちんと残っておるでしょうが、
そういうものもなく、不動産鑑定にかけて法令に基づいてきちんと契約をしているというのは、当時私は確認しておりますので、そういうふうに申し上げております。

G-5【希望の会(自由・社民) 森ゆうこ議員】 ちょっと全然理解できないんですけれども、それで総理答弁の作成過程について、先ほどもいろいろ話ありましたけど、もう一回、この森友学園の質問に対する総理答弁は理財局が中心になって用意するわけですけれども、総理答弁として、総理の手元に渡る総理が答弁をする。それまでの過程、もう一回答弁していただけますか。

G-5r【佐川氏】 森友学園に関しまして各省が作ってるのはちょっと承知しておりませんが、理財局が作る想定問答につきましては質問通告が総理にございますれば、その通りに基づいて基本的には私、理財局長にあった質問とほぼ同じような技術的な質問はありますし、
政治的な質問があるとすればそこはもう理財局の答弁作業ではございませんので、実務的な話については理財局で書いて、それを総理官邸に理財局の誰か職員がお届けするということだろうというふうに思います。

G-6【希望の会(自由・社民) 森ゆうこ議員】 先ほどは局長答弁の抜粋を官邸に入れたと。担当の課長が協議をしたんじゃないかと思うというふうにおっしゃっていたんですか。それ違うんですか。

G-6r【佐川氏】 その抜粋という言葉はちょっとどうどういうふうにとっていただくかということですけども、要するにその実務家の局長が答弁するような細かい中身には総理や大臣にはご答弁いただかないわけでございますので。
そういう意味では政治家としての総理や大臣ご答弁するような中身についてという意味で抜粋と申しあげました。したがってそれ以外の中身については、それは秘書官、官邸の秘書官から何か質問とか、てにをはの直しとか、そういうのがあれば、現場の課長として対応するということだろうと思っております。

G-7【希望の会(自由・社民) 森ゆうこ議員】 官邸の今井秘書官と森友問題で話をしたことはまったくありませんか。

G-7r【佐川氏】 私は国会答弁中は、下の者と部下職員とやっておりますし、官邸との関係につきましては関係の秘書官が私どもたぶん課長クラスだと思いますが課長クラスと調整をしていたということだと思っております。調整というのはこういう答弁ができたのでこういう答弁でお届けするとかそういうことだと思います。

G-8【希望の会(自由・社民) 森ゆうこ議員】 いや答えてませんけれども、今井秘書官と森友問題で話をしたことはないんですか。

G-8r【佐川氏】 私の国会答弁に関して私が今井秘書官と話をしたことはございません。

G-9【希望の会(自由・社民) 森ゆうこ議員】 そんなこと聞いてません。答弁に関してとは聞いてません、森友問題について、官邸の今井秘書官と話をしたことはないんですね。

G-9r【佐川氏】 この森友問題について、今井秘書官と話したことはございません。

G-10【希望の会(自由・社民) 森ゆうこ議員】 そうやってはっきり言えばいいと思いますが、でも佐川さん、今のこの間のあなたの答弁は上の方からの指示はなかったと断定をしながら、そして肝心の動機、誰がいつ、なぜということには答えない。
結果として、この先もしばらくあなたの部下後任の人たちが、大変厳しい状況に置かれる。つまり、下の人たちに責任を、押し付けているという自覚はありますか?

G-10r【佐川氏】 刑事訴追のおそれのある話でございますのでその旨、答弁差し控えさせてもらいます。

午前11時33分〜
H-1【立憲民主党 福山哲郎議員】 証人におかれましてはご苦労様でございます。あなたとは、震災の時に復興本部の次長として頑張っていただいたと思っているので、こういう場でお会いするのは本当に残念に思っております。
国民のために、また財務省は未来永劫続きます。財務省の信頼回復するために正直に答弁をいただきたいと思います。頭脳明晰な佐川さんの割にはちょっとわからないんですよね。法令にのっとって契約したんですよね。じゃあなんで文書を改ざんする必要があったんですかね。

H-1r【佐川氏】 大変恐縮でございます。書き換えが行われた決裁文書の経緯等につきましては、私、告発されている立場でございますので、ご答弁は控えさせていただきたいと思います。

H-2【立憲民主党 福山哲郎議員】 文書の改ざんについてあなたは関わっているかいないか、関わっていないなら、ここで明確に関わっていないとおっしゃればいい。ここは証人喚問の場だから事実を解明する場だから。あなたが言うように理財局でやったと、理財局の中で改ざんしたと言われてるんだったら、あなたをその中の1人としては関わったということですね。

H-2r【佐川氏】 もう今のご質問もまさに、今の捜査が行われている中の話でございまして、誰がどういうふうに関与したのかというのは、私も含めまして捜査の対象になっているということでございます。

H-3【立憲民主党 福山哲郎議員】 あなた、関わっていないんだったら、関わっていないと言えばいいじゃないですか。ということは理財局でやったということはあなたが言われているということ、あなたもそのうちの一人だということですね。もう1回お伺いします。

H-3r【佐川氏】 その点も含めましてまさに誰がどういうふうな経緯でということがまさに捜査の対象になっているということでございます。

H-4【立憲民主党 福山哲郎議員】 もう一つわからないんですね。改ざんの経緯については刑事訴追のおそれがあると言って今もまったく答えないのに何で総理官邸の関与や大臣の関与だけは明確に否定されるんですか、これも経緯なんじゃないんですか?これも経緯じゃないですか。

H-4r【佐川氏】 冒頭申し上げましたが、この案件はまさに国有財産の売却という個別案件でございまして、そういうものは理財局の中で対応するものでございまして、
昨年の中で私が理財局長しておりました間、そういう官邸なり、大臣とかそういうところからの指示がなかったので指示はありませんでしたというふうにお答え申し上げておるところでございます。

H-5【立憲民主党 福山哲郎議員】 だって関与していたかどうか分からないあなたがですね、指示をもらったかどうかなんて、あなただってそんなこと関係ないじゃないですか。あなた関与したかどうかも言ってないんだから、まったく矛盾していると思いますよ。
あなたが改ざん前の文書を少なくとも国会で、あると言ったのは2月27日です3月2日、私とのやりとりです。委員長、ちょっと議事録をお見せしてもいいでしょうか。今ご覧をいただいた3月2日の議事録で佐川さんは明確に決裁文書があることを認めておられます。
それから国会に提出を求められていることも認めておられます。先ほどの証言の中で、なんで書き換えたのかというのを明確に言われないんだけど決裁文書の提出を求められているということが言われています。
この3月2日明確に決裁文書の存在を認めています27日も認められました。この時期には改ざん前の文書があることはご存じでしたね。

H-5r【佐川氏】 今の最初のところでございますが、決裁文書30年保存という文書管理規定がございまして、当然そういうものはあるだろうというふうにはわかっておりましたので、
そういうことをまさに自分が見たかどうかということと言うコメントとは関係なくそういう決裁文書はあるだろうということを申し上げたわけでございまして、私自身がいつその決裁文書を認識したかという点につきましては、その点については、答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

H-6【立憲民主党 福山哲郎議員】 まったく理解できません。だってその後答弁ずっとしてるんだから。そしてさらに、ここで解散前の決裁文書と別の虚偽の答弁をされています。虚偽の答弁はどこで誰が何の根拠で作ったんですか。

H-6r【佐川氏】 今委員が虚偽の答弁とおっしゃいましたが、それは虚偽の答弁であったかどうかは私自身がその書き換えられた決裁文書をどの時点でいつどういうふうにして認識したかに関わる話でございまして、それが本当に虚偽の答弁だったのかどうかという認識に関わる話だろうというふうに思っておりますので、その点についても同様でございまして。

H-7【立憲民主党 福山哲郎議員】 昨日の太田局長の答弁と完全に異なっているんですが、虚偽かどうか別にしてこの答弁書を原課が作ったということで先ほど言われたのでいいですね。この原課は虚偽かどうかは別にして、あなたの虚偽の答弁をベースに原課は作った。原課は当然、大臣官房に審査を受けてますね。これはイエスかノーかでお答えください。

H-7r【佐川氏】 最初の虚偽の答弁のうんぬんの話は決裁文書の認識の話でございますので、お答えは差し控えます。それから、理財局の答弁は、ああいう状況の中で、官房の決済というものを別に受けるわけではなくて、まさに原課が作ったものを局長室に入れていただいて、私が日々大量に持ち込んで読んでいたというのが実態でございます。

H-8【立憲民主党 福山哲郎議員】 非常に理解しがたい答弁がたくさんあります。もう本当に信じられません。あなた先ほど勉強の成果で、安倍昭恵総理大臣夫人等の関与はなかったと言われました。ここは証人喚問の場です。あなたの勉強の成果を聞く場ではありません。あなたはファクトに基づいたわけではないですよね。勉強の成果ということは。そこは一言お願いします。

H-8r【佐川氏】 貸付も売却も鑑定士にかけたもとで契約書作ってるということでございます。

H-9【立憲民主党 福山哲郎議員】 勉強の成果とあなたは言ったから私はそう申し上げているんです。非常にこの証人喚問は逆に疑惑を深めて、証人は来ていただきましたけれども、あなたは火に油を注いだと、そのことを申し上げて終わりたいと思います。ありがとうございます。

11時41分〜
I-1【無所属クラブ 薬師寺みちよ議員】 捜査中ということで明確にお答えいただけない部分もございますけれども、私も、私なりに国民の皆様方の関心事というものを質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
総理の事務所を含めまして関与があった場合は、総理も国会議員も辞めると言う総理答弁がございました。当時、この答弁をどのように受け止められましたか。お答えいただけますか。

I-1r【佐川氏】 その場で予算委員会の場で私もおりました。そういう答弁を聞いておりまして、総理の政治的な思いを述べられたんだなというふうに聞いておりました。

I-2【無所属クラブ 薬師寺みちよ議員】 ありがとうございました。理財局長時代の答弁で、そごではなく、虚偽の答弁をなさったということがございますでしょうか。

I-2r【佐川氏】 先ほどの委員の方のご質問とも重なるんでございますが、今、財務省が答弁をしている話との関係で言うと、私の答弁が虚偽ではないかというご議論が行われているということでございますが、
そういう観点で見ますと、まさに私自身が書き換えが行われた決裁文書をいつの時点で見たのか、どういう経緯だったのかということにまさに直接結びつく話になるわけでございます。従いまして、その点につきましては、まさに刑事訴追のおそれがあるということでございますので、ご容赦願いたいというふうに思います。

I-3【無所属クラブ 薬師寺みちよ議員】 総理はじめ政治家の指示はなかったということを先ほどから申していただけたことなんですけれども。いわゆるそんたくがあったんではないかというようなことも一部で議論になったところでございます。総理のことを心配して国会対応が変わったということがございませんか。

I-3r【佐川氏】 先ほどの総理の何かあればお辞めになるというご発言がありましたですが、その前後で私は答弁を変えたと言うつもりはございません。

I-4【無所属クラブ 薬師寺みちよ議員】 理財局長時代の答弁を含む国会対応をめぐりまして、いつもどなたと相談なさって対応なさってらっしゃいましたでしょうか。

I-4r【佐川氏】 大変たくさんの答弁でございましたので、実務的にわからないところもあったときには、部下職員を呼んで、これはどういう意味かとか、そういうことはずいぶん聞きましたが、基本的には私一人が答弁書を持って答弁していたというのが実態でございます。

I-5【無所属クラブ 薬師寺みちよ議員】 今、財務局からは書き換えがあったというふうに私どもは説明を受けております。一部の議員は、それは改ざんではないかというふうに受け止めております。佐川証人自体はそれをどのようにお考えになってらっしゃいますか。

I-5r【佐川氏】 私も今、書き換えとずっとご答弁をさせていただいておりますが、改ざんだということではないかと言われれば、本当に重く受け止めなければいけないというふうに考えてございます。

I-6【無所属クラブ 薬師寺みちよ議員】 私も以前、この予算委員会で議論させていただきました一つの材料といたしまして、私ども予算委員会の理事会で報告があった、そのまた2日後に実はこの森友問題が国会で議論になる以前にも近畿財務局の判断で一部のメモが削除されていた、ということがわかって参りました。
こういうことを受けまして、太田局長にも私、質問させていただきまして、恒常的に財務省の中で、決裁が下りた文書が、メモが抜き取られる、もしくは書き換えがある、そういうふうに疑われてもしかたがないんではないですかという問いを立てました。
そう疑われてもしかたがないというお答えございましたけれども、佐川証人は、恒常的にこのようなことが行われていたと思いますか。それとも、ご自身がそういうことやっていらっしゃった経験ございますか。

I-6r【佐川氏】 そういう、この森友以外のとこでもそういうことが起きたということでありますれば、それはもう本当に、そういうことが恒常的に行われているのではないかというご指摘も、
そんなことはございませんと明確に否定するのも本当に申し訳ないというふうに思っておりますが、基本的には、ほとんどの方がまじめにそういうものを作っているというふうに私は信じております。

I-7【無所属クラブ 薬師寺みちよ議員】 ありがとうございます。最後に私、これで参議院の最後でございます。今回のこの証人喚問は、日本全国の公務員の皆様方も注目してらっしゃいます。
まさに公務員の皆様方の信頼を失墜させるに値するものだということでございますので、しっかりとそのメッセージを発信していただきたいんですけれども、どのように今お考えになってらっしゃいますか。

I-7r【佐川氏】 今ご指摘をいただきましたように、これで全国の公務員の方の信頼をおとしめるということがあったとすれば、本当に申し訳ないことだと思っております。深くおわび申し上げます。

I-8【無所属クラブ 薬師寺みちよ議員】 しっかりとこれからも調査のご協力いただきまして、私どもは、これからの行政そして政治というものの信頼そして回復をしていきたいと思っておりますので、お願い申し上げたいと思います。
〜午前11時47分

以上、 https://www3.nhk.or.jp/news/special/sagawa_testimony/ より。


http://www.asyura2.com/18/senkyo242/msg/375.html

[政治・選挙・NHK242] (佐川氏証人喚問 全記録) 何を語り、何を語らなかったか 財務省決裁文書改ざん問題 −後編− (NHK NEWS WEB
 
佐川氏証人喚問 全記録
何を語り、何を語らなかったか 財務省決裁文書改ざん問題
(NHK NEWS WEB)

 −後編・衆議院予算委員会(2018年3月27日)−


[投稿者注]
1. 本稿は、証人喚問での質問者発言及び証言者発言を文字起しした標記記事の本体部分の全文である(但し、質問者発言のうち冒頭挨拶など前置きの類は省略されている)。
2. 語句のつながりが整合しない箇所もすべて標記記事にある通りママ表示した。
3. その上で、各質問の質問者名左横に質問通し番号を付し、また、各質問に対する証言の証言者名左横に証言通し番号を付した。質問通し番号は質問者別アルファベットと連番数字の組み合わせとし、その末尾に“r”を付けたものを証言通し番号とした。
4. 標記記事には本体部分のほかに「佐川氏 証人喚問のポイントは?」と題する解説編も収められているが、本稿では割愛した。
5. 標記記事のURLは本稿末尾に示す。


休憩後、午後2時 衆議院予算委員会
J-1【河村建夫予算委員長】 学校法人森友学園に係る国有地の貸付契約及び売買契約の決裁文書の書き換えに関するさまざまな問題提起がなされております。そこでお尋ねいたします。理財局長在任時の国会答弁等の対応によって国会審議に無用の混乱を生じさせたこと、及び行政の信頼を失墜させたことについて、どのように考えているかお答えください。

J-1r【佐川氏】 今回の決裁文書の書き換え問題によりまして、国会にこのような大きな混乱を招き、国民の皆さまに行政の信頼を揺るがすような事態を招いてしまったことにつきまして、誠に申し訳なく思っております。当時の担当局長として、責任はひとえに私にございます。深くおわび申し上げます。

J-2【河村建夫予算委員長】 当該国有地の貸付契約及び売買契約に関する決裁文書の書き換えの経緯及び、佐川証人の関与の有無についてお答えください。

J-2r【佐川氏】 今の委員長のご質問につきましては、私自身が現在、告発を受けておる身でございまして、今回の決裁文書の書き換えにつきましても、それが捜査の対象になっていると考えられます。従いまして、私自身、刑事訴追のおそれがありますので、この答弁は控えさせていただきたいと思います。

J-3【河村建夫予算委員長】 決裁文書の書き換えが行われた理由についてお答えください。

J-3r【佐川氏】 決裁文書の書き換えられた理由につきましても、決裁文書の書き換えられた経緯に関わる話でございまして、その点につきましても、刑事訴追のおそれがありますので、ご答弁は差し控えさせていただきます。

午後2時8分〜
K-1【自由民主党 石田真敏議員】 自由民主党の石田真敏でございます。佐川さんには午前中に引き続いてどうぞよろしくお願いを申し上げます。1年前の今頃ですね。私はこの予算委員会の与党筆頭理事の席、菅原さんが座っておられる席で、佐川さんの答弁を聞いておりました。また、籠池さんの証人喚問も、この席で聞いておったわけであり、あれから1年が経ちました。
しかし、まだこの森友学園問題がこうして予算委員会の中心問題である。誠に残念と言わざるを得ません。
おそらく国民の皆さんは、もういいかげんに疑惑を解明して、われわれの日々の生活、あるいは日本の将来について全力を傾注して国会で議論してもらいたい、そういうふうに思っておられると思うだけに、一日も早く、一刻も早くこの疑惑を解明していかなければならないと思っております。
そのためにも、この森友問題の現場である近畿財務局と大阪航空局、そして、森友学園側とのさまざまなやりとりでどういうものがあったのか。そういうことは非常に重要でございます。佐川さんは、まさしくその現場での状況を国会の場で明らかにする、責任者であったわけでございます。
そういう意味で佐川さんに積極的にお答えをいただく。そのことがこの森友問題に関する疑惑を解明し、そして、この事態を収束させていく、そのためには必須のことではないかと考えておるわけでございます。ぜひ誠実な答弁をよろしくお願いをしたいと思います。
午前中、参議院のほうで2時間余り質疑はございました。わが党の丸川珠代議員の質問に対しまして、佐川さんが答弁をされました。少し紹介をさせていただきたいと思います。
まず書き換えの指示について、安倍総理、安倍総理夫人、総理秘書官、さらには官房長官、官房副長官、総理補佐官、その他の官邸関係者から指示があったかという質問に対しまして、明快に否定をされておられました。
また、麻生大臣、あるいは麻生大臣秘書官、そして財務省内で次官、官房長など、大臣官房や他局の幹部からの指示があったか、そういう質問にも明快に否定されておられました。
そして、貸付契約及び売買契約での関与という項目に関しまして、安倍総理や総理夫人からの指示、あるいは、総理秘書官や官房長官、官房副長官、総理補佐官、その他の官邸関係者からの指示があったかと、この質問にも明快に否定をされたわけでございます。
そして、もう1つ。総理夫人が名誉校長であることで、貸付契約や売買契約に何か影響を与えたかとの質問にも、そういう影響はなかった、そのように答弁されたと思いますが間違いございませんか。

K-1r【佐川氏】 間違いございません。

K-2【自由民主党 石田真敏議員】 さて、今回のこの書き換えの問題というのは私は2つの面があると思うんです。1つはやっぱり書き換えということでありまして、これは私も聞いたときにはびっくりしました。あってはならないことがあった。
まさしく、行政全般に対する信頼、あるいは政治に対する信頼、国会に対する信頼、そういうもの全てを失うようなことになりますし、民主主義の根幹を揺るがす。そういうような大きな問題であったというふうに思います。
この書き換えについて今捜査中ということでいろいろ答えられないというご発言がございましたけれども、いずれその真相はですね、明らかにして、そしてその再発防止、どうやっていけばいいのか。これはみんなでしっかり考えていかなければならない課題だというふうに思っております。
この書き換えの問題ということ。このこと、そのこと自体が私は非常に問題だというふうに思いますが、もう1つの面は、書き換えによって削除された部分があるわけであります。その部分によって何が隠されたのか。そのことについても非常に重要であります。
私は、けさの参議院での質問、そして、時間の配分の問題もございますので、この2つ目の書き換えによって何が隠されていたのか、そういう点から見ていきたいというふうに思います。主に書き換えられた決裁文書は3種類ございました。
主にですね、全部で14ですけれども、主には。まずは貸付決裁書、それから売払決議書、貸付決議書ですね。それから売払決議書、それから特例承認の決裁文書の3種類であります。私は、この森友問題には大きく分けて2つのステージがあった。そのように考えております。
第1のステージっていうのは土地の貸し付けを行うための交渉でありました。時期的に申し上げますと、平成25年の6月から平成27年の4月ごろまででありまして、このために必要であった文書は、特例承認の決裁文書と貸付決議書であります。それでよろしいですね。

K-2r【佐川氏】 大きく2つのステージということで、最初のところは特例承認と貸し付けということでございます。

K-3【自由民主党 石田真敏議員】 その後状況が大きく変化をいたしまして、第2のステージになるわけでありますけれども、時期的には平成28年の3月以降ということになります。ここでは貸し付けから売り払いに変わります。そのために必要であった文書は売払決議書でございます。それでよろしいですね。

K-3r【佐川氏】 それで結構でございます。

K-4【自由民主党 石田真敏議員】 以下、それぞれについて時系列に沿ってですね、丁寧に見ていきたいというふうに思います。まず、資料を見ていただきたいし、パネルも見ていただきたいんですが。貸付決議書を見てみますと、この中で大きく書き換えられた、書き換え、あるいは削除されたっていうのは事案の経緯という項目でございました。
これを見ていきたいと思います。まず、事の始めはですね、平成25年6月28日、籠池理事長が財務局に来所されました。本地の取得を検討している、そういうことを言われた。そのことから、事は始まっているわけであります。
そして、平成25年8月21日。この部分が非常に重要ですので、読ましていただきたいと思いますが。森友学園理事長が大阪航空局に来所、財務局同席。本件土地については、学校経営が安定する平成35年3月頃までは貸付を受け、その後購入することを希望している旨を聴取。
対応方針について大阪航空局から現行の国有財産制度で対応できるのであれば貸し付けを検討してもらいたいとの意向が出され、本省理財局に相談の結果、貸し付けを検討する対応方針が指示されるということが平成25年8月21日の期日でございます。
ただ、これは、貸付決議書には載ってございませんでした。削除されていたわけであります。そしてその後、平成25年の9月2日、用地の取得等要望書提出を籠池さんのほうはされました。
そして、それを受けて、平成25年9月12日、大阪府の私学大学課を訪問し、今後の連携について近畿財務局が要請をしたと。まさしく以降、交渉が始まったわけでございます。こういう経過でよろしいですか。

K-4r【佐川氏】 大変恐縮でございますが、その書き換えが行われました決裁文書の文書については、ご答弁を控えさせていただきますが、今の事実関係について私が昨年ご答弁をしたものに基づいて申し上げますと、
今委員がおっしゃられたように、25年の6月に公的取得要望というものを近畿財務局が出して、それで9月2日に先方がその要望書を出してきて、それ以降、そういう手続きが始まるというのはそのとおりでございます。

K-5【自由民主党 石田真敏議員】 以上、そのとおりだというお話をいただきましたが、そうなりますと、すでにですね、先ほど読み上げました平成25年8月21日の時点で森友側と近畿財務局、大阪航空局とで協議が行われ、売り払いを前提としてした貸し付けを行うという方針が決定されていたことになります。
以降の協議はこの方針のもとで行われたと考えてよいのか。佐川さんはこのことについてどのように認識されておられましたか。

K-5r【佐川氏】 大変恐縮でございますが、今の委員が言われたところは書き換えられた決裁文書の話ですので、これについてはコメントを避けますが、
昨年の答弁について申し上げますと、先方が9月の2日に、取得要望書を持ってきた時にはもうすでに私どもに近畿財務局に貸し付けを前提にしてもちろん、最後は売り払いなんですけれども、8年半ほど貸してもらってその後買うという、そういう要望を持ってきたということでございます。

K-6【自由民主党 石田真敏議員】 おおむねお認めをいただいたと思いますが、その後ですね、籠池さんがこの下にありますけれども、平成26年4月28日に総理夫人に関する発言をしたことが、これは貸付決議書ではなしに、特例承認の決裁文書に記載されているわけであります。
午前中も質問があってお答えをいただきましたが、改めて、特例承認という用語を、特別の配慮をしたんではないかと、そういう国民の皆さんの中に疑念もございますので。特例承認の意味、そして今回の決済について、お答えをいただきたい。

K-6r【佐川氏】 昨年、衆議院の委員会だと思いますが、私、あの特例承認の意味についてご説明を申し上げました。普通、売り払い、国有地を売り払いが原則でございますが、貸し付ける場合もございます。その場合、例えば、例えばですが、市町村で予算が通らないので何年か貸し付けていただいて、そのあと買うといったケースもございます。
そういう意味では比較的短期間を貸し付けるということが通達に書いてございまして、3年と書いてございます。
ただ、これによらない場合には、本省の承認を得て行うということで特例承認通達というふうに部内で呼んでおりましたが、そこでこの案件は必ず買ってもらうということで事業用の定期借地契約というものを結ぶことで必ず買ってもらうことを担保しようと当時いたしました。
それは法令上そうした事業用定期借地契約は10年が最低期間でございました。従いまして3年の貸し付け期間という通達には当てはまらないわけでございまして、それは本省の承認がいると。そして特例承認の申請が近畿財務局から上がり、本省において、その特例承認をしたというのが経緯でございます。

K-7【自由民主党 石田真敏議員】 特例承認という言葉は誤解を生みやすいんですけれども、特別な配慮とかそういうことではないということでございます。そこでですね、先ほど申し上げましたように平成25年8月21日に方針が決定されて以降、交渉が始まっているわけですけれども。
そのような中で、先ほど申し上げました平成26年4月28日に交渉開始から8か月も経った時期の籠池氏からの総理夫人に関する発言ですね。これはその後の協議に関係したと思われますか。佐川さんのご認識をお聞かせいただきたいと思います。

K-7r【佐川氏】 今の委員が読まれたところは書き換え前の決裁文書の期日ということでございますので、その点についてはコメントを差し控えさせていただきます。
が、私が昨年来、すいません昨年、この国会でずっと答弁をするにあたって局内でいろんなものを見て部内からいろいろな者の話を聞いて、それで貸し付けの契約、売り払いの契約について答弁をしたわけですが、その経緯の中で、総理夫人の影響があったというふうには思っておりません。

K-8【自由民主党 石田真敏議員】 籠池さんの発言がその後の交渉に影響を与えたことはなかったということをお答えをいただいたわけで。それでは次に、その後の経過というものを見て参りたいと思います。少し飛びますけれども、その後、交渉が重ねられまして、平成27年の1月27日。大阪府私学審議会において、条件つきで認可適当の答申が出されました。
そして2月10日には、国有財産近畿地方審議会において処理適当の答申が出されたところであります。それを受けまして財務局は、貸付料の見積もり合わせを森友側と実施をいたしましたが、実に3回不調になっているわけであります。
そういう経過の中で3月26日、森友側から、ボーリング調査結果に基づき貸付料の減額と、くい工事等の工事費負担を要請をされる。そういうことが行われました。
その後、検討された上で、ボーリング調査結果に基づき、貸付料の修正を検討するということで、4月の28日には再評価に基づく貸付料の見積もり合わせを実施し、合意に至るというふうな経過があったわけでございます。
以上のような経過の中で別途、もう1枚のパネル。今の貸付決議書ですが、これは特別承認の決裁文書でございます。ここには1月8日の産経新聞のインターネット記事に総理夫人のことが出ていた、あるいは1月15日から2月16日にかけて複数の政治家から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないかとの問い合わせがあったということでございます。
それに対しまして、財務省は、財務省の法律に基づき適切な適正な価格を算出する必要があるため、価格についてはどうにもならないことなどを説明したということが記載されておりまして、これは各政治家のところに書いているわけです。一貫してこういう立場を財務省は貫いているということでございます。
実際ですね、強力な圧力があったなら3回も不調になることはないというふうに思いますけれども、以上申し上げたようなことから、ここでも、総理夫人や政治家が貸し付けに関わった、そういうことについて佐川氏はどのように考えておられますか。

K-8r【佐川氏】 再三で恐縮でございますが、今委員が読まれたのは、書き換えが行われた決裁文書でございますのでそこについては答弁を差し控えさせていただきますが、
昨年の答弁に基づいてお答えを申し上げますと、貸し付けの契約につきましては、最初に不動産鑑定にかけた価格、その後、森友学園がボーリング調査を行った結果、地盤のことについての説明があったので、再度まさに不動産鑑定で客観的な価格を出して、それで基づいて貸付契約を行ったということでございますので、
いずれにしても価格につきましては、不動産鑑定士における価格に基づいて契約をしたということでございます。

K-9【自由民主党 石田真敏議員】 ここに書かれているように圧力で変わったということではないというふうに理解したいと思います。ちなみにですね、話題になっております総理夫人、谷さんより、総理夫人付きですね、谷さんより、籠池さんに平成27年の11月17日付のファックスが送られた件でございます。
これは谷さん宛てに籠池氏が手紙を出されて、それに対する回答ということでございます。そして内容はですね。大変恐縮ながら、国側の事情もあり、現状ではご希望に沿うことはできないようでございますというような、いくつか細かいことをずっと書いてますけれども、結局、結果的にはゼロ回答でありました。
もう1つですね。この手紙のやりとりがあったのは平成27年の11月前後でございますけれども、先ほど来、申し上げましたように貸付料はもうすでにですね、平成27年の5月に決着をしていたわけであります。
ですから私はこの貸付料についてですね、総理夫人あるいは総理夫人付の谷さんの影響があったというふうには思っておりませんけれども、午前中の質疑で、総理夫人付の谷さんと田村室長のやりとりは電話でのやりとりのみだとの趣旨の証言をされましたが、
谷さんと理財局関係者とのやりとりは貸付契約後に行ったこの1回だけなのか、貸付前も含めて何度もやりとりがあったわけではあったわけではないということで良いのか、お聞かせいただきたいと思います。

K-9r【佐川氏】 その谷さんから田村室長に連絡をした後のファックスの話は昨年も国会でご議論になりまして、私はそのときの谷さんと田村室長との電話とのやりとりについて室長にヒアリングを行いました。報告を求めました。そのときの田村室長のお話では、その時1回限りということでございました。

K-10【自由民主党 石田真敏議員】 念のためもう一度お伺いしますけれども、その後のですね、売り払いの際も含めて、谷さんからの影響は一切なかったと理解してよろしいですか。

K-10r【佐川氏】 私が昨年ずっと局内で聞いていることでは、国会でご答弁をしたという中ではその1回限りという理解でございます。

K-11【自由民主党 石田真敏議員】 貸し付けに関わってですね、もう一つ、疑問が呈せられていることがあります。それは先ほどの見ていただいても、森友側からですね、ボーリングの調査結果、これについての指摘があり、当初、貸付料が3285万円だったものが2725万円に減額されているわけであります。
公表されている法律相談文書、財務局の法律相談文書では種々検討されているようですが、なぜ減額されたのかお聞かせをいただきたいと思います。

K-11r【佐川氏】 お答えします。その法務部門との内部文書についてはちょっと私が理財局長終わった後の話でございますので、ちょっと詳しいことは承知してございませんが、そのときに先方が豊中市との間での開発協議を先行するためにボーリング調査を事前に行っておりまして、
その結果について軟弱地盤だということを申し上げ、先方が言ってきて、それで財務局としては、そういうことであれば客観的にもう一度不動産鑑定価格にかけましょうというふうにして2回目の不動産鑑定価格をやった結果、貸付料が下がったというふうに理解してございます。

K-12【自由民主党 石田真敏議員】 以上が貸し付け契約に関するものでありまして、これといったですね、疑念を抱かせるようなことはなかったというふうに思います。
さて、次にですね。今申し上げたのは第1ステージということを申し上げましたけれども、てんまつでありですね、このまま工事が進んでいれば何も問題なくですね、小学校は建設されていたはずですね、いかがですか。

K-12r【佐川氏】 当時、最初その学校に使用するのを28年3月末までにというのを、一度延長しまして29年の3月末までということになっておりまして、そういう意味では29年の3月末、29年の4月の開校に向けて準備を進めてきたというふうに認識でございます。

K-13【自由民主党 石田真敏議員】 ところがですね、平成28年3月新たなゴミが発見されたことで、第2ステージが始まったっていうことになるわけであります。これに関しては、この売払決議書でございます。少しですね、重要なので、読ましていただきたいと思います。
本件売り払いに至る経緯について、1番、大阪航空局が行った事前調査により、本地には土壌汚染及びコンクリート殻等の地下埋設物の存在が判明しており、国はこれらの状況を学園に説明し、関係資料を交付した上で貸付契約及び売買予約契約を締結している。
が、赤字のところですね、学園が校舎建設工事に着手したところ、平成28年3月に国が事前に学園に交付した資料では、想定し得ないレベルの生活ゴミ等の地下埋設物が発見された。
2番目、学園の代理人弁護士からは、本地は小学校運営するという目的を達成できない土地であるとして、小学校建設の工期が遅延しないよう、国による即座のゴミ撤去が要請されたが、大阪航空局は予算が確保できていない等の理由から、即座の対応は困難である旨を学園に回答した。
3番、これを受けて、学園の代理人弁護士から本来は国に対して損害賠償請求を行うべきものと考えているが、現実的な問題解決策として、早期の土地買い受けによる処理案が提案された。
具体的には、国が本地の現状を踏まえた鑑定評価による売り払い価格を示し、学園はその金額が納得できれば、本地に関する今後の損害賠償等を行わないとする条件で売買契約を締結するという提案であった。
4番目、学園の提案に応じなかった場合、損害賠償に発展するとともに、小学校建設の中止によるさらなる問題発生の可能性があることを含めて、当局および大阪航空局にて処理方針を検討した結果、学園の提案において、鑑定評価を行い、価格提示を行うこととしたものである。
なお、国と学園が締結している定期借地契約は、学園は借地期間内のいつでも本件土地を国から買い受けることができると想定している。このように売払決議書の中にあるわけでございます。
すなわち、10年間の貸し付け後、売り払うというものが一転して、売り払いに大転換が行われたのがこの時期であったわけであります。それでよろしいですね。

K-13r【佐川氏】 委員が今言われた文書については答弁差し控えますが、事実関係としてはもうまさに28年3月11日に新たなゴミが出てきて、この状態では1年後の開校が危ぶまれるということでございまして、
本来なら国がそのゴミを除去して先方に売るという手もあったんでございますけども、それでは入札等時間がかかって間に合わないということで、先方がもうそのまま撤去費用を控除した値段で買い受けるというそういう経緯でございます。

K-14【自由民主党 石田真敏議員】 これは森友側がですね、損害賠償請求も辞さない姿勢を見せる一方で、近畿財務局と大阪航空局は、損害賠償請求と学校建設中止によるさらなる問題の発生を懸念したことで、早期に売却による抜本的解決を図ったものと思われますが、それでよろしいですか。

K-14r【佐川氏】 昨年も答弁申し上げましたが、損害賠償請求のところは当局側もずいぶん意識をしておりまして、そのために、先方に除去費用を控除して売るに当たっては、今後一切、国が瑕疵担保責任を負わないというその免除特約条項つけるということも含めまして、土地の売り払いの契約を結んだ次第でございます。

K-15【自由民主党 石田真敏議員】 そしてこの間ですね。実はきのうの毎日新聞のコラム「風知草」で指摘されているようなことがあったようでございます。見ていただきたいんですが。平成28年3月16日の籠池夫妻が、業者や財務局職員らと話し合った音声データ、
それによりますと、交渉全編を貫く主題は籠池夫妻による財務局の糾弾であり、前理事長は業者の記録、このパネルでございますけれども、これは昨春ですね、鴻池参議院議員事務所から出たものでありまして、
籠池前理事長はですね、業者の記録を読み上げ、ゴミの不法投棄に加担した財務局の民事上刑事上の責任を厳しく追及したとあります。このようなこともあり、交渉を境に急転をいたしまして、3カ月後に払い下げられました。佐川さんはこの状況の変化についてどう認識されていますか。

K-15r【佐川氏】 まず籠池理事長夫妻が財務省に来たというのは事実でございまして、そこで私どもの審理室長が対応したと、その結果どうだという報告を室長に当時の国会のご議論もあって求めまして、そこについてはもうとにかくこの新しいゴミができて、学校建設が間に合わないではないかと。
何とか早く対応してほしいと強く言われて、室長の方から、とにかく現場、近畿財務局と大阪航空局できちんと対応するようにいうということを申し上げたと。
ただ、それ以外の音声データのあるなしについては相当、先方のご夫妻からいろいろ言われてちょっとどういうふうに言われたかもよくわからないことでしたというのは、室長の、私に対する報告でございました。いずれにしても早い対応ということで財務局側と航空局で一生懸命やったということだと思います。

K-16【自由民主党 石田真敏議員】 この森友問題ですね。当初からの国有地が8億円も安く売却されたことについての国民の疑念があるということであります。それはまさしく一転、売り払いに転じてからの協議の中で決定されていったものであって、
経緯から見てみますと、よくですね、総理夫人とか政治家の関与があったのではないかという疑念があるわけですけれども。佐川さんはどう認識されていますか。

K-16r【佐川氏】 これはそういう3月に新たなゴミが出てきて、まさにその国のほうの瑕疵(かし)でございますので、何とか対応しなくちゃいけないということで、まず最初に、大阪航空局においてその専門的な知見を持ってゴミの撤去費用を算定したわけでございます。
その後に不動産鑑定にかけて、更地の価格を出したということでございまして、その結果として、9.6億という不動産鑑定から大阪航空局が先に出した8.2億を引いた金額が売り払い価格の1.3億ということでございます。

K-17【自由民主党 石田真敏議員】 問題はですね、ゴミの処理費用、これが適切であったかどうかということになるわけであります。ゴミの処理費用の算定についてですね、3月16日付の朝日新聞では、業者が偽の報告書を書かされたと、そのように報じられているわけでありますが、
同じ記事の中で同じ業者さんが全体のゴミ撤去費として約9億6000万円と試算しているということも書いているわけであります。
また、近隣の豊中市の給食センター用地、これも同じような状況の中で、豊中市に売り払われたものでありますけれども、この用地は、森友学園用地よりも面積が小さいにもかかわらず、今言われております埋設物の撤去費用は14億6000万円。そのように言われているわけであります。
いずれにしても、算定方法は違いますけれども、大阪航空局がらみの一連の土地のゴミ処理費用というのはこの程度の巨額の費用を必要としたのも事実ではないかと思いますが、佐川さんのご見解をお聞かせいただきたい。

K-17r【佐川氏】 ゴミの撤去費用の積算に関しましては、私としては専門知識がございませんので、そこは大阪航空局が工事積算基準といったようなもの用いてきちんと算定したというふうに私は理解しております。

K-18【自由民主党 石田真敏議員】 そして、以上のように見て参りますとですね。新しいゴミが出てからの交渉、そういう中で、まず、総理夫人や政治家の関与というのはなかったということであります。
それではどういうことだったのかということを考えますと、小学校建設という公共性のためそして国有財産の早期売却のためにですね、籠池さんという、ずっと経過見てみますと本当にタフネゴシエーターだというふうに思いますけれども、その方を相手にして新たなゴミがあったというような想定外の課題に直面しながら、
現場ではですね、ミスもありながら、本当に苦労されたこともよく分かるわけであります。ただしかし、そうであるならば、なぜ決裁文書のこれまでの経緯や売り払いに至る経緯についてほとんどの部分を削除したのか理解に苦しみます。
これは答弁をお願いしても答えていただけないかもわかりませんが、何か思う事があったらおっしゃっていただきたいと思います。

K-18r【佐川氏】 大変恐縮ですが最後の部分は委員のおっしゃる通りで答弁は差し控えさせていただきますが、
最初の部分につきましては、ご理解賜りたいと思うのは国有財産部局にとってはやはり国有財産の有効利用、その中でも、国有地を売却していくというのは大きな仕事でございまして、本件のような、土壌汚染とか廃棄物が入ってるようなものを公共用の小学校として売るというのは大変難しい案件だったろうというふうに思います。
そういう中で、さまざまなことが起きる中で、そういう担当の職員の方は大変工夫をし、苦労しながらギリギリの対応をしていたということが私の理解でございますので、そこについてはぜひご理解を賜りたいというふうに思っております。

K-19【自由民主党 石田真敏議員】 最後のですね、売り払いに関わる経緯についても今見てきたわけでありますけれども、これを含めてですね、森友問題、一刻も早く事実が明らかになってですね、この国会で、前向きな議論ができるような、そういう状況にしていただきたい、そのためには、佐川さんにもですね、しっかり対応していただきたいなっていうふうに思います。
それで、先ほども申し上げましたように、これにはもう一面、この問題にはありまして、書き換えそのものですね。書き換えそのもの、やはりこれはですね、先ほども申し上げましたけれども、本当に言語道断ということになるわけでありまして、
私はあえて申し上げれば、これは東芝の問題もありましたし、あるいは、データ改ざん等々もありました。本当に倫理的な退廃ではないかと。
やはり職業意識、職業倫理、職業規範そういうものについてもう一度ですね、われわれ日本国全体で厳しく律していかなければいけない、そういう時を迎えているんじゃないかってそういうふうに思います。時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

午後2時43分〜
L-1【公明党 竹内譲議員】 公明党の竹内譲でございます。今回の約300か所にも及ぶ決裁文書の書き換え問題は、行政の信頼を根底から覆す前代未聞の不祥事であります。また、国権の最高機関である国会を愚弄し、民主主義の根幹を揺るがす事態を招いており、断じて許されるものではありません。
私もかつては財務大臣政務官を務めた経験もあり、財務省がまさかこんなことはしていないだろうと信じていただけに、裏切られた思いであり、極めて残念であると言わざるを得ません。本件は何としても真相究明を行う必要があり、佐川証人には正直に答えていただきたい。
まず、改めての確認でありますが、麻生大臣は3月20日の参議院の予算委員会でも、当時の理財局の一部の職員により行われたものと、そして、また、当時の理財局の最終責任者を務めていたのは佐川前長官であると、そして、前長官の関与の度合いが大きかったのではないかと述べておられます。
太田現理財局長も同様の趣旨を述べています。これに対して、改めて関与の度合いが大きかったことをお認めになりますか。

L-1r【佐川氏】 理財局の決裁文書の書き換えにつきましては、まさに現場の個別の案件でありまして、理財局が行ったものであります。従いまして、その点については、当時の局長として本当に申し訳ないというふうに思っておりますが、
私の関与という話になりますれば、これは私自身が告発をされて、この書き換えの問題においても捜査の対象となっているということでありますので、その件につきましては刑事訴追のおそれがありますので、どうか答弁については差し控えさせていただきたいと思いますのでご了承願いたいと。

L-2【公明党 竹内譲議員】 毎日新聞の3月25日によれば、財務省が同省近畿財務局に改ざんを指示するメールを送っていたことがわかった。大阪地検特捜部はメールを入手し、内容を精査している。複数の同省職員は特捜部の任意の事情聴取に指示を認め、国会対策のためなどと話している。
さらにまた、本省や財務局の職員は事情聴取に昨年2月から4月に本省の指示で書き換え、佐川氏の国会答弁と整合性をとるためだったと説明していると。特捜部は今月7日に自殺した財務局の職員からも以前に事情を聴いていたとしております。この記事は知っていますか。

L-2r【佐川氏】 申し訳ありません。ちょっと個別にその記事をどう読んだかというのは覚えてございません。すいません。

L-3【公明党 竹内譲議員】 覚えていないのか知らないのか。

L-3r【佐川氏】 最近、正直申しますと、テレビのニュース等は見てるんでございますが、あまり新聞を読んでおりませんので、知らないと言ったほうが正確かもしれません。

L-4【公明党 竹内譲議員】 改めてお聞きいたしますが、今回の書き換えを命令したのは佐川証人ですか。

L-4r【佐川氏】 大変恐縮でございますが、この決裁文書の書き換えに至る経緯等につきましては、刑事訴追のおそれがありますので、答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。

L-5【公明党 竹内譲議員】 部下からの書き換えの提案があって、それを了承したんでしょうか。

L-5r【佐川氏】 たびたびで大変恐縮でございますが、そういう一連の経緯のお話につきましては、ご答弁ができないということでご容赦願いたいという。

L-6【公明党 竹内譲議員】 再度、念のため確認をしておきますが、書き換えについて財務省以外の第三者からの指示はなかった、そしてまた、書き換えについて政治家からの指示もなかったと、さらにまた、書き換えについて理財局以外の財務省の誰かに相談したこともなかった、また、財務省以外の誰かに相談したこともなかったというふうに先ほどから答弁を理解しておりますが、それでよろしいか。

L-6r【佐川氏】 この個別案件、現場における個別の案件でございますので、こういうことに対して指導、対応できるのは理財局だけでございまして、今、委員のご指摘のような、例えばそのどこか政治の世界とか大臣とか官邸とかというところからの指示がありますれば、それは必ず、私は理財局長でございましたので、私のところに必ず報告が上がってくる、
あるいは直接あれば当然私のところにその連絡が来るということでございますので、昨年そういうことはございませんでしたので、そういうふうに申し上げております。

L-7【公明党 竹内譲議員】 今回の問題に関連してですね、3月7日にですね、近畿財務局の職員が自殺されているわけであります。3月15日にはNHKで19時から全国ニュースで遺書の内容を報じているんですね。決裁調書の部分が詳し過ぎると言われ、上司に書き直させられたと。勝手にやったのではなく財務省からの指示があったと。
このままでは自分一人の責任されてしまうなどの文言が並んでいたと、NHKが報じています。この報道につきまして、どのように感じていますか。

L-7r【佐川氏】 財務局の職員が亡くなられた話は、私が国税庁長官を辞任をいたしました9日の金曜日の日にニュースで知りました。大変残念でございまして、本当に心よりご冥福を祈りたいというふうに思っております。ただNHKの報道でございましょうか、報道で亡くなられた方の遺書というお話でございますれば、私はその方が亡くなられた経緯等々について一切承知しておりませんので、
その点につきまして何か申し述べることはできない、申し述べられないということでございますので、ご理解賜りたいと。

L-8【公明党 竹内譲議員】 残念でご冥福をお祈りするという言葉はありましたが、しかし、この方は相当、この本省とのですね、実務的なやり取りをしていたというふうに言われてますね。まああの本当に申し訳ないの一言ぐらいないんですか。

L-8r【佐川氏】 本省の理財局と近畿財務局との間で、もし仮に、ちょっと私は本当の事実関係は承知しないのですが、もし仮にそういう連絡、担当の職員であられたということであって、もし仮にそういうことということであれば、それは理財局として、こういう決裁文書の書き換えをしたということにつながるということでありますれば、それは本当に申し訳ないことだというふうに思います。

L-9【公明党 竹内譲議員】 そこでお聞きいたしますが、あなたは決裁の文書、書き換え前の決裁文書は見たことはありますか。

L-9r【佐川氏】 決裁文書の、書き換えられた決裁文書について、書き換える前、書き換えの後、それを見たのか見ないのか、いつ見たのか、どう認識したのかというのは、まさに今捜査が行われている対象でございまして、そこにつきましては刑事訴追のおそれもございますので、ご答弁を控えさせていただきたいというふうに。

L-10【公明党 竹内譲議員】 これは最も基本的なですね、認識に関わる問題でありまして、私は刑事訴追を受ける可能性があるので、お答えができないというのは、私は、これはですね、事実上見たということだと、これは私の考えでありますが、あるということだと思います。
そこで先ほどからのですね、私どもの横山参議院議員の質問のときにですね、一般論としてですが、佐川前長官がですね、証人が政治家などの名前が決裁文書に書かれていることに関して政治的な問い合わせに関する記述がどこまで必要だったのか、私としてはよく分からないという答弁されています。
そしてまた、先ほどの横山さんの質問の中でですね、資料の確認を怠った点、おわびをいたしますと、当時、不眠不休で局内騒然としていたということで資料の確認を怠った点をおわびいたしますというふうにおっしゃっているんですね。このような答弁から推測するとですね、やはりあなたは後でですね、この決裁文書を確認したんじゃないですか。そのように推測されますけれども、いかがですか。

L-10r【佐川氏】 今2点ご質問がありまして、その最後の資料の確認というのは、私が先ほど申し上げたような交渉記録について、財務省の文書管理規程をお答えしただけということについておわびを申し上げたのが後半の話でございます。
それから、前段の話は横山先生、委員とのお話は、契約というものは貸し付けも売却もでございますが、不動産鑑定士にかけてきちんとその価格に基づいて契約をしているわけでございますので、そういう何か政治のその話を書くことは必要と思うかどうかというお話であれば、そこまで契約の経緯としてどうかというふうなことを一般論として申し上げたと。

L-11【公明党 竹内譲議員】 一般論というのは非常に微妙な言い方でありますが、これは私の推測なんですが、あなたはどこかで書き換え前の決裁文書をご覧になったと思うんですね。これ私の推測ですけれども。そして、おそらく自分の答弁との違いに驚いてですね、大変部下との間でもめたんじゃないかというふうに思うんですよ。
そして、あなたは相当厳しい上司であったようでありますけれども、部下にですね、ある意味、責任を誰が取るんだとか、あるいは責任を取れと言わんばかりのですね、怒りを激しくぶつけたのではないか。このように私は思うんですが、いかがですか。

L-11r【佐川氏】 大変恐縮でございますが、その委員の思いというのをお聞きしましたけれども、そこについて答弁を差し控えさせていただきます。

L-12【公明党 竹内譲議員】 控えるということは非常に機微に当たる部分だろうと私は思うんですね。まぁ、先ほどの答弁の中でも、さまざまな情報につきましては、朝、上がってきた答弁を読み込んでいたという実態がありますよね。現場を知らなければ指示ができないということでですね、私は、この現場のことを一番よく知っているあなたの部下たちがですね、
佐川局長を忖度したんではないかなと、そういう部分があったんじゃないかなというふうに私は思うんですね。そういうことがですね、今回の書き換えにつながりですね、それを黙認していったのではないか、了承していったのか。そこは本当のところわかりませんけれどもね。そういう推測を私はしておりますが、これに対してどう思いますか。

L-12r【佐川氏】 いずれにしても、先ほどからの委員のご指摘は、私が書き換えが行われた決裁文書にどう関与してきたかという話題そのものでございますので、まさにそれはもう刑事訴追のおそれがある話でございますので、答弁を控えさせていただきたいというふうに思います。

L-13【公明党 竹内譲議員】 それでは、昨年の5月8日以降にですね、国会に提出した決裁文書ですね、これは参議院の予算委員会理事会で要求された資料でありまして、昨年5月以降ですね、順次なされているわけでありますが、この国会に提出した決裁文書がですね、書き換え後のものであることを知っていましたか。

L-13r【佐川氏】 決裁文書が書き換え前、書き換え後のその認識そのものに関わる話でございますので、これも刑事訴追のおそれがありますので、答弁を控えさせていただきたいというふうに思います。

L-14【公明党 竹内譲議員】 これは通常、どう考えても知っていなければなりませんよね。どういうものが出されてくるか、それはもう参議院の理事会で要求された話でありますし、委員としてですね。しかも、当然そのときの担当局長でありますから、今回どういう文書を出すか、まったく知らないでですね、出すと了承するということはありえないですね。まずね。
だから、少なくとも書き換え後のものは見ていたということは間違いない。私は思います。合理的な推測だと思います。そして、次にですね、現太田理財局長がですね、2月、職員から聴取した結果として、2月下旬から4月にかけて、こういうことをしてしまったと。
2月から3月までのそれまでの国会答弁が誤解を受けないようにということで佐川局長がですね、やらざるを得なかった、関与の度合いが大きかったというふうに答弁されています。そして、太田理財局長が、答弁が先か、書き換えが先かと問われて、どちらかと言われれば、それは答弁が先だという認識をしておりますと。こういう答弁があります。
やはり再度お聞きいたしますが、事実は、佐川氏の証人の国会答弁が先であって、それが誤解を受けないように決裁文書を書き換えていったということでしょうか。

L-14r【佐川氏】 現職の理財局長がそういう答弁をしているということは承知をしてございますが、財務省の調査に基づいて答弁をされているということでございまして、私、その調査について中身承知してございませんので、財務省の答弁についてはコメントする立場ではございません。
いずれにしても、決裁文書の書き換えの行為そのものについての経緯ということについてのお尋ねでございますので、それはもうまさに今捜査をされている対象でございますので、刑事訴追のおそれということでございまして、答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。

L-15【公明党 竹内譲議員】 否定をしなければですね、否定をされていないということでありますので、これはおそらくおおむね正しいんだろうというふうに推測されるわけですね。さて、そこで、証人はですね、昨年3月2日の参議院予算委員会等でですね、政治家の事務所を含めて外部からの問い合わせは多数あるが、個別の記録は残されていない旨の答弁をされておられます。
しかしまあ、書き換え前の決裁文書はですね、明らかに昭恵夫人含めて10人もの政治家の名前が書かれているわけであります。答弁は明らかに事実と異なる答弁をしたことになりますが、この点はお認めになりますか。

L-15r【佐川氏】 今、委員ご指摘のとおり、私は昨年の答弁で、個別の記録が残っておりませんので、そういうどういう問い合わせがあったのかということについては承知おりませんという答弁したのは間違いございません。それで、今、委員がご指摘のように、書き換え前の文章の経緯にはそういうことが書かれているというのは今回財務省が提出しましたところに書かれておるということでございます。
そうしますと、それは私がその書き換えが行われた決裁文書について、いつ認識したかという問題そのものでございますので、そういう意味で、今、私が刑事訴追の可能性という話、可能性がございますので。その点についての答弁も控えさせていただきたいというふうに思います。

L-16【公明党 竹内譲議員】 一応ちょっと念のために聞きますが、いつ認識したかっていうのは2月24日の衆議院の予算委員会の前でしたか、後でしたか。

L-16r【佐川氏】 今申し上げましたように、いつ認識したかということが、決裁文書の、書き換えられた決裁文書にかかわる問題そのものでございますので、そこについて答弁は差し控えさせていただきたいというふうに申し上げているわけでございます。

L-17【公明党 竹内譲議員】 非常に重要な点であります、この点が。そこでですね、私どもからも再度確認をしておきたいんですが、昨年2月17日の衆院予算委員会で安倍総理は私や妻がもし関わっていたとすれば総理大臣を辞めるという発言がありました。このことは今回の書き換えにどう影響しているのか、この発言があったから書き換えを決断したのでしょうか。

L-17r【佐川氏】 総理の発言につきましては、私もこの予算委員会の場におりましたので聞いておりましたが、私は総理の答弁がある前、後ろで私の答弁を変えたということはございません。

L-18【公明党 竹内譲議員】 この答弁は影響してないとおっしゃる。そういう意味ですね。

L-18r【佐川氏】 私の答弁に影響しておりません。

L-19【公明党 竹内譲議員】 佐川証人はご自分の性格はどのような性格だと思いますか。私がお見受けするところ、非常に几帳面、完璧主義、非常に能力が高いので、そのことは当然だと思いますが、そういうふうにお見受けいたしますが、少し融通がきくのかどうか、その辺はどうかなとお見受けするんですが、ご自分ではどういうふうに分析されていますか。

L-19r【佐川氏】 人格とかそういうものについての自己評価というのは大変難しゅうございますので、その点についてはやっぱり他人の評価ということだろうというふうに思っております。

L-20【公明党 竹内譲議員】 本件の土地の売り払いに当たりましてですね、近畿財務局と大阪航空局が森友学園側にですね、特段の配慮をして、この売却価格が1億約3000、約1億3400万となるように調整をしたというようなそういう認識はありますか。

L-20r【佐川氏】 売却につきましては、先ほども申し上げましたが、まず最初に、大阪航空局が、その専門的な知見に基づいてゴミの廃棄物の撤去費用を算定して、その後で不動産の鑑定かけて更地の価格を出して、その結果としての1.3億ということでございましたので、それは不動産鑑定価格の結果として売却額が出たというふうに思っております。

L-21【公明党 竹内譲議員】 この経緯は、私もね特別国会でよく質問したんで相当よく分かってるんですよ。そのうえでお聞きしているんですね。しかし、非常にここは闇の中なんです。実は、今回の理財局でやったと、書き換えは、いうことはお認めになっているわけでありますから、当然、最大の責任者は佐川局長。それは認めますか、誰よりも理財局中では最も責任が大きいということはお認めなります?

L-21r【佐川氏】 もう理財局長でありました私の責任でございます。

L-22【公明党 竹内譲議員】 今回の書き換えに複数の職員の方々ですね、部下たちの方々ですね、そういう方々が関わっておられるわけであります。そういう意味で、あなたはですね、部下たちへ何かメッセージありますか。

L-22r【佐川氏】 決裁文書の書き換えの問題の有無等にまさに関わる話でございますので、その点も答弁を控えさせていただきたいと。

L-23【公明党 竹内譲議員】 もう一度はっきりと述べてください。ちょっと聞き取りにくかったんですが。

L-23r【佐川氏】 今の委員のご指摘は、複数の職員が関わったとか、そういうお話でございましたので、決裁文書の書き換え問題のまさに経緯そのもの、誰がどういう経緯でどう行ったのかということでございますので、そういう意味で私自身が今、捜査を受けている身でございまして、
刑事訴追のおそれもあるということでございますので、誰がどう関わったということにつきましてのご答弁を差し控えさせていただきたいというふうに申し上げてございます。

L-24【公明党 竹内譲議員】 私はまあ、あなたが最大の責任者とお認めになったし、それで理財局の中で行われたということだから、やはり、組織としてですね、理財局の組織としてその長としてですね、やはり部下に迷惑をかけたんじゃないかと。やはり、その関与のしかたは分かりませんけれども、やはりそこは大変迷惑をかけたと申し訳ないというぐらいの一言はないんですか。

L-24r【佐川氏】 書き換え問題そのものについては、まさに理財局長としての責任でございますので、その点、理財局長として申し訳ないと思っております。

L-25【公明党 竹内譲議員】 近畿財務局の方々にもですね、私は一言欲しいと思うんですね。やはり相当私どもの情報でもですね、近畿財務局と本省との間で激しいやり取りがあったと、相当もめたということを承知しております。そういう意味ではですね、近畿財務局の方々に対してもですね、きちっとしたお言葉いただきたいと思います。いかがですか。

L-25r【佐川氏】 今回の決裁文書の書き換えにつきましては、それはもうまさに理財局の当時の責任者として本当に申し訳ないというふうに思っております。

L-26【公明党 竹内譲議員】 以上で終わります。

午後3時8分〜
M-1【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 逢坂誠二です。佐川さんお世話になります。よろしくお願いします。まず、去年の2月17日、総理が関わっていたら、総理も議員も辞めるという答弁をした。その前後で佐川さんの答弁は変化がないというふうにおっしゃいました。
答弁は変化がなかったかもしれませんが、財務省内であるいは、例えば官邸との間でその発言を契機にして特別に何らかの対応、対策を話し合ったことはございませんか。

M-1r【佐川氏】 私が当時、理財局長としてここで答弁をし、夜、答弁の資料を読み、現場の職員が一生懸命そういうことをしていたという中で、何かその総理のご発言をもとに、何かいろいろその協議したとかそういうことはございませんでした。

M-2【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 通常、上司がああいう発言をするとですね、組織内は相当震かんをするというか、ものだと思うんですが、特段のことはなかったということですね。はい。了解いたしました。
それでは次に、退職されてから、官邸の関係者とお会いになったことがございますでしょうか。例えば、総理、官房長官あるいは官房副長官あるいは総理補佐官、あるいはそれらの秘書の方々、あるいは官邸の職員の方々とお会いになったことありますでしょうか。

M-2r【佐川氏】 3月の9日に退職をいたしまして、それ以来そういう方々と会っておりません。

M-3【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 午前中の参議院でも出ておりましたけれども、総理秘書官の今井さんとお会いになったのは最後はいつでしょうか。

M-3r【佐川氏】 大変申し訳ございません。記憶がすごく遠いんですが、私が理財局長のときになってすぐぐらいだったと思いますが経済対策で官邸にご説明に上がったことがございまして、その時にお部屋にいらっしゃったということだと思います。

M-4【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 これも午前中の質疑でしたけれども、今回の森友の案件に関して、官邸から指示を受けたとか、さまざまなこう指摘を受けたとかそういうことはないというような答弁だったかと思うんですが、それでよろしいでしょうか。

M-4r【佐川氏】 官邸から森友のこの決裁文書の話についてですね、私にお話があったことはございません。それからもし仮にその、理財局内にそういう話があれば、私のところにその報告は上がるだろうというふうに思っておりますのでそれもございませんでした。

M-5【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 決裁文書ではなく取り引き、貸し付け、売買、値引き、あるいは分割さまざまなことについて官邸から何らかの指示、示唆、そういうものはございませんでしたか。

M-5r【佐川氏】 貸し付け、売却等が行われましたのは、私が理財局長になる前の話でございまして、そこについて私はおりませんでした。昨年、理財局長になって半年以上たって2月からこの問題になって、そういう中で局内でいろいろ聞く中ではそういうことはございませんでした。

M-6【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 確かに佐川さんの前の迫田さんの時代にさまざまな案件が行われているわけですから、佐川さん自身が全てについて官邸からの指示がなかったと言い切るのは、私は少し無理があるんだろうというふうに思っていますが、ただですね、昨日ですね、参議院の予算委員会で菅官房長官がこんな答弁をしているんですね。
24日の少し前だったと思いますけれど。これは24日というのは、去年の2月の24日のことであります。私自身、財務省理財局長、国交省航空局長、この両局から、土地の売却の経緯について説明を受けましたというふうに言っているわけです。
その後、また答弁続くんですけれども、こうやって官邸に説明に行っていることはある。これは事実だというふうには思いますが、加えてその時に何らの指示も、何らのサジェスチョンもないということなんですか。

M-6r【佐川氏】 今のおっしゃるとおりで、日付をちょっと覚えてないんですけどこの議論が国会で始まった割合早い段階だったと思いますが、官房長官のところに私ども理財局と、それから国土交通省の航空局で経緯についてご説明に上がって、
こういう、いつ頃取得要望やスケールとか、そういうような経緯を私どもからして、国土交通省は確か工事の話だったような気はしますけども、そんなお話をして、それを官房長官がお聞きになってということだったと思います。

M-7【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 それではその時には、何らの指示はなかったということでよろしいでしょうか。

M-7r【佐川氏】 指示はございませんでした。

M-8【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 実は私、佐川さん知らない仲ではないので、今回この理財局長になられてですね、理財局長になる前となって今、たぶん人生設計も大きく変わられたんだろうというふうに思わざるを得ません。
それでその中でですね、例えばですよ。今回のこの証人喚問を受けるにあたって、さまざま答弁をすると、この答弁の内容について、佐川さんこういう答弁をしてくれとか、こういう方向で答弁をしてくれと言ったようなですね。
何らかのある種、佐川さんの意と違う、あるいは自分もそういう答弁をしようと思っていたけれどもそういう答弁をしたら、今後の人生なんらか保証しますよとか、仕事を世話しますよとかそういうようなことっていうのは全くなかったというふうに言ってよいですか?

M-8r【佐川氏】 そういうことはございませんし、そういう意味では、今回実は証人出るにやや資料もこういう状態でございますのでそういう意味では、今、後ろにいらっしゃる補佐人の方といろいろ話をしてきております。

M-9【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 今日の参考人の答弁に当たってですね。事前に与党の皆さんと何らかの形で、例えば直接でもいい間接でもいい、何らかの形で今日の答弁の内容のすり合わせ、情報交換、こういうことはございましたか。

M-9r【佐川氏】 私がこの証人喚問に立って、直接お話をしているのは今、後ろにいらっしゃる補佐人の方とは話をしておりますが、私が与党の方とその話をしたということはございません。

M-10【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 次にですね、今回のこの森友案件に関して、これは財務省内でですね、森友案件については総理夫妻が関わる案件であり、安倍事案などと称されていると、こういう言い方をしている職員がいる、こういうことについては承知をしておりますか。

M-10r【佐川氏】 承知しておりません。

M-11【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 森友問題なぜこんな大きな問題になったというふうにお考えでしょうか。

M-11r【佐川氏】 なぜと言われると、即座にはお答えできないんですけども私も何か昨年、2月の上旬の新聞の報道で初めて知ったわけでございまして、そういう意味ではその売却価格が非開示になってるというところからここは始まっているわけでございますが、
その翌週からさまざまなご質問を変えていただきまして、なぜと言われますと、もう本当にそういう国会でのご議論がどんどんこう大きくなってて、その中でも必死に走っていたというのが、私の実感でございます。

M-12【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 午前中の答弁の中で、国会を混乱させたのはひとえに私の責任だって、それで改ざんについておわびをするということでございましたけれども、ただ、この案件は改ざんと、それから丁寧さに欠ける答弁だけが問題ではない。
貸し付けや契約が、値引きやあるいは分割にしたといったようなことも、問題になっているわけですが、それらの点について、要するに、文書の改ざんと丁寧さを欠く答弁以外には不適切なところはなかったという理解でしょうか。

M-12r【佐川氏】 さまざまなご指摘を昨年受けまして実は先ほどちょっと石田委員にも少しお答えを申し上げたんですけども、やはりこの案件は、国有財産の政策として国有財産をちゃんと売っていこうという政策の中で現場の職員が行う案件としては大変難しい案件だったというふうに思っているんです。
そういう中で例えば売買予約契約をつけて貸し付け契約を結ぶとか、それこそ本当にあまり普通に売るというよりも相当難しい案件でも現場の職員はちゃんと国有財産を売っていこうという思いの中で、
さまざまな、その途中、いろいろ工夫をしなくちゃいけないというところに何か便宜を図ったのではないかといったようなご質問を受けたというのが私は実態だったんじゃないかなと当時思って答弁しておりました。

M-13【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 おわびの言葉を何度も述べておられますけれども、貸し付け売買その一連のプロセスについては、おわびをするような事態はないという理解でよろしいでしょうか。

M-13r【佐川氏】 個別個別いろいろご指摘ご批判はあるんだろうと思いますけども私自身は、貸し付け2回、不動産鑑定をかけておりますけどもそれも最後は不動産鑑定士の判断ですし、売却契約も込み入った動きのご議論のあるのは承知しておりますけども、
それでもやはりその不動産鑑定士の価格とわれわれが大阪航空局にお願いした額の引き算で撤去費用を控除した比較であったという意味では、私はそこは貸し付けも売却契約も適正に行われたと今でも考えております。

M-14【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 適正に取引が行われているのに、なぜ文章を改ざんするのか。適正に取引が行われているのに、なぜ丁寧さに欠く答弁をせざるを得なかったのか。これが問題の核心だというふうに思うんですが。
今回の案件はですね、これ迫田理財局長から引き継ぎを受けるわけですね。そういうことですよね。前任は迫田さんということでよろしいですよね。迫田さんとは、いつどこでこの引き継ぎというのは受けてるんでしょう。

M-14r【佐川氏】 本件につきましては、迫田からは一切引き継ぎを受けておりません。

M-15【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 これについては迫田さんから直接の引き継ぎは受けていないと、午前中の答弁では、勉強という言葉がありましたけれども、本事案については、それではこの昨年の2月あたりから事案が大きくなった段階で勉強させてもらったということでしょうか。

M-15r【佐川氏】 大変申しわけありません。勉強という言葉は適切でなかったかもしれませんが、森友学園というものがあって、こういうことが行われたということを私が知ったのは、2月の売却額の非開示の報道が初めてでございました。

M-16【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 この本事案はですね。佐川さんの理財局長に就任したときにはおおむね完結をしているというか、全てではありませんけれども、迫田さんの時代に行われた案件のわけですよね。
であるにもかかわらず、事案の本当の当事者でないにもかかわらずですね。こうして証人喚問を受けるということについて、理不尽だというふうに思うことはないですか。

M-16r【佐川氏】 私どもは公務員であったときには、そこにつけば、その職責を果たすというのが私どもの本分だというふうに思っておりました。
従いまして、それは起きたことは、前任の時代だったり前々任の時代だったりするかもしれませんが、その時に、国有財産の担当部局の局長として、国会でご議論があれば、それは私の仕事として一生懸命、局内から話を聞き、資料を読んだりしてご答弁を申し上げるというのが私の仕事でありますし、
その当時にこういう決裁文書の書き換えが起こったということがありますれば、それは私の責任だという風に思います。

M-17【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 私は佐川さんは被害者のような気がしてならないんですけれども。だって事案発生そのものは自分の時じゃないんですよ。そしてそのことについて自分は直接引き継ぎを受けていない。そして後になって書類を見てあるいはそれに携わった職員から話を聞いてそれに基づいて答弁をしている。
そしてそれが原因になって今こうして証人喚問という立場になっているわけですよ。これで理不尽だと思わないというのはなぜですか。

M-17r【佐川氏】 それはその時、理財局長であって、国有財産の答弁を求められればそれは自分の仕事だと思っておりました。そういう時にこういう書き換えのようなことが起きたということであれば、それはやっぱり私の重い責任だと思います。

M-18【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 だから問題はそこなんですよ。事案が適切に行われていたというふうに認識をしているにもかかわらず、改ざんや丁寧さに欠く答弁を繰り返さざるを得なかったと、その理由は何なんだっていうところなんですね。それはお答えいただけますか。

M-18r【佐川氏】 最初の方のなぜ書き換えが行われたかということについてはもう先ほど来、大変恐縮でございますがお答えを差し控えさせていただきますが、
後段の丁寧さを欠いた答弁のほうはやっぱりそれは私の至らなさでありまして、いくら忙しいとかっていう言い訳がましいことを言ってもですね、それはやっぱりきちんと丁寧に対応すべきだったと、というふうに思います。

M-19【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 その丁寧さを欠く答弁について、午前中の答弁の中でですね、交渉記録に関する答弁に関し、今になって思えば丁寧さを欠いた旨の発言をした。そしてその理由として、局内が混乱していたといったような趣旨の発言をされたんですが、局内はなぜ混乱していたんですか。

M-19r【佐川氏】 ものすごく毎年国会答弁がたくさん当たる部局というのも、霞が関にはございます。あまりそういう意味では国有財産の部局は個別案件の話も多くございますし、もちろん政策の話もございますけども、そんなに毎年たくさんの国会でご質問いただく部局ではないわけでございまして、
そういう中で、毎日、月曜から金曜まで毎週、何十問も先生方からご答弁の通告をいただき、資料のご要求もいただき、それから外部からも情報開示請求をいただき、それでいろんなチェックをしなくてはいけないという中で、
理財局、ニーズ多くございますが、それはやっぱり国有財産の担当部局で、しかも仕事ができないわけでございまして、そういう意味では大変な状況であったというのは事実でございます。

M-20【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 改めて聞きますが、予算委員会の最中っていうのは基本的に財務省は忙しい。これたぶんどこのセクションも忙しいんだろうと思うんですが。本件に関してだけ、なぜ特に理財局は忙しい、混乱をする、混乱という言葉を使われていたかと思うんですけれども、混乱という事態になったんでしょうか。

M-20r【佐川氏】 大変申し訳ありません。ちょっと午前中も含めて言葉の使い方が適切でないということかもしれません。おわび申し上げます。
とにかく大変忙しかったと、それと予算委員会の間は確かに委員おっしゃるように、どこも忙しいとかそういうことでございますが、あっても、それは基本は予算委員会でございますので、予算に関することあるいはその時々のテーマになることがありますので、そういう時に忙しくなりますけども、
今申しましたように毎年、予算委員会で、国有財産関係の質問がたくさんあるということではございませんので、そういう意味ではやっぱり昨年はある種、例年にない状況であったということだろうというふうに思います。

M-21【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 それではちょっと話題を変えますが、補佐人、今回つかれておりますけれども、この補佐人の方はですね、今回のこの事案、この事案にお願いするにあたって、与党関係者や政府関係者との接触というのはありますでしょうか。

M-21r【佐川氏】 補佐人につきましてはこれも私が個人的にお願いしている話でございますので、そこについてはちょっと答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

M-22【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 それでは与党政府関係者との接触は否定されないということに受けとめられるんですけれども、それでよろしいでしょうか。

M-22r【佐川氏】 補佐人の助言を求めたいと思います。すいません。今のご質問ですけどもうちの補佐人が政府関係者とか、与党の関係者との接触があったかというと、「無い」ということでございます。

M-23【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 それでは、公文書の中で安倍昭恵さんの名前を見たときにどのような印象を受けましたか。

M-23r【佐川氏】 公文書と申しますのは今議論が行われている決裁文書の話でございましょうか。大変恐縮でございますがその決裁文書を私がいつ見たか認識したかということに関わりますので、そこについては、ぜひ、刑事訴追のおそれがありますので、ご容赦いただきたいと思うんです。

M-24【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 今のお話はですね、なかなか理解されないと思います。改ざんに関わったと言っていて、安倍昭恵さんの名前が落ちているわけです。改ざんに関わった方がですね、安倍昭恵さんの名前を見たか見なかったかも言えないというのはですね、私はそれは合理性がない。
私はいつ見たかって聞いてるんじゃないんです。見た時にどう思ったかって、それを聞いただけなんですけど、なぜ答えられないです。

M-24r【佐川氏】 はい。見たか見なかったかっていうことも含めまして、それはその、書き換えが行われました決裁文書にどういうふうに関わったかになると思いますので、見たか見なかったかも含めて、そこは私の捜査の範囲に入っていると思います。

M-25【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 改ざんに携わったと言っておわびをしている。改ざんに携わってる人が、改ざんの核心部分、個人の名前のところ、見たか見ないかも言えないなんて、それじゃ改ざんに携わってないかもしれないじゃないですか。

M-25r【佐川氏】 今委員のおっしゃったその携わったか、携わっていないかという意味は、書き換えに関与したかどうかということでございますので、
それはまさにその関与の有無等も含めまして、私が捜査の対象になっているということでございますので、そういう意味で、私はその答弁を、捜査の対象になっているということを申し上げているわけでございます。

M-26【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 時間が残り少なくなりましたので、総理や、昭恵夫人がこの問題に関わっていなかったということで、午前の質疑で断言をしておりますけれども、その理由として価格について、不動産鑑定にかけたからだとそういう理由で関わっていないと言っておられましたが、
不動産鑑定というのは、鑑定に出すときにさまざまな条件があります。条件を付与するのは不動産鑑定を依頼するほうです。その条件に関してもまったく影響がなかったというふうに断言できるんでしょうか。

M-26r【佐川氏】 去年の答弁にあたりまして局内でいろいろもちろん職員から話を聞いた上で答弁を申し上げておりますが、そういう局内からの報告にもそういうお話はなかったということでございます。

M-27【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 価格については、それでは仮に関わっていなかった影響がなかったとしても、分割払いにするとか、ゴミをどう算定するとかゴミの価格をどうするかとかさまざまな要素が今回のことにはあります。それらのことについても関わっていないとなぜ断言できるんでしょうか。

M-27r【佐川氏】 例えば今のゴミの算定でありますれば、当時、大阪航空局と近畿財務局のやりとりといったものも昨年、聞いております。
それからさまざまなことについて、今委員がおっしゃったようなことも局内で答弁するに当たっては、その事実関係を局内の職員から聞いた上で答弁をしておりますが、そういう中で、総理とか総理夫人の話はなかったということでございます。

M-28【立憲民主党・市民クラブ 逢坂誠二議員】 今回の案件は、もう先ほど竹内委員からも話が出ましたけれども、職員が自殺をするそれからさらにこれは私の側聞するところでは、この事案に絡んで民間の方も何か命を落とされた方がいるように、これは私は確認は取れておりませんけれども、そういう情報もあるようでございます。
これはですね、単に公文書の書き換えと言ったようなことだけで済まされる問題では私はないと思う。
だからこそ、本当のことを言っていただいて、何に問題があったのか、そして自分で答えられないところについては、この人に聞いてくれっていうことぐらいを言わないとこの案件、私は解決しないと思っていますが最後にいかがですか。

M-28r【佐川氏】 証人として、お答えできることはお答えをしているつもりでございます。ただ、私のまさにこの捜査の身分に関わる話についてご答弁を控えさせていただくということでございますので、ご理解賜りたい。

午後3時31分〜
N-1【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 今の逢坂さんについてちょっと関連してお伺いしたいんですけど、証人は事前に与党とは打ち合わせをしていないということですけれども、政府あるいは官邸の人たちとも今回は打ち合わせをしていないということでよろしいですか。

N-1r【佐川氏】 私は、今回後ろにいらっしゃいます補佐人の方と相談をしているということでございます。

N-2【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 それ以外の人はしてないということですね。

N-2r【佐川氏】 補佐人とだけやり取りをしています。

N-3【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 午前中の話と今の逢坂さんの話を聞いて私とっても不思議なんですけれども、午前中、丸川さんの、委員の質問に対して、総理あるいは総理夫人の直接の指示があったか、あるいは影響があったか、こういうことに対して、全くなかったとおっしゃってますが、これは改ざんの原因や動機になりうる話なんですね。
あるいは経緯にも関わることです。なぜ、ここの部分だけは話して、他の部分は訴追のおそれがあるから答えられませんというこのダブルスタンダードは一体どういう意味なんですか。

N-3r【佐川氏】 ご答弁したつもりですが、申し訳ありません。私が理財局長、本件は決裁文書の資料の要求に当たりまして、こういう国有財産処分の個別案件、現場における個別案件でございまして、こういうものはまさに、財務局あるいは理財局の中の担当部局の間で、そこはきちんと対応するということでございまして、
こういう案件をこの個別案件の資料要求についての話を官房に相談するとか、報告をするとか、官邸にまして報告をするとか、ご了承受けるとか、そういうことはないでございます。
仮に、なぜか、さらにと言えば、そういうものの指示があったり、何か了承を求めて来いとかいう話があればそれはトップたる理財局長に報告はあがるはずでございますし、そういうこともございませんでした、というふうに申し上げております。

N-4【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 他の方の指示があったかどうかは答えないんですけど、ここの部分だけはっきり答えるっていうのはどういうことなんですか。他の改ざんの、指示してない人のこともちゃんと答えていただければいいと思いますけどね。だから理財局の中でこの人は指示していませんでしたということも例えば答えられますよね、そしたら。

N-4r【佐川氏】 理財局の中で行われたというふうに申し上げていて、そういう理財局の中で行われた行為が今、捜査の対象になっているということを申し上げてるんでございまして、理財局長として何か大臣等から指示を受けたことはないということと、今まさにその捜査の対象となっている、そういう理財局の中についてのお答えする話というの、これはまさに捜査に関わる話であるということでございます。

N-5【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 あのね、例えば、直接指示がなかったとしましょう。だとしたとしても、夫人のいろんな関わりで、忖度して、あるいは間接的な影響で、この改ざんをした可能性ってのは否定できないじゃないですか。なのになぜ影響すらなかったということが断言できるんですか。影響っておっしゃいましたよ。影響がなかったってどうして断言できるんですか。

N-5r【佐川氏】 忖度とかいうお話はまさに個々の内面の話です。私が何かここで特定のことを言うということはできませんけども、私が申し上げておりますのは、そういう昨年の一連の答弁の中でいろいろ局内から報告を受ける中で、貸し付けや売却にかかる中で総理とか総理夫人の話はなかったということを申し上げておるわけでございます。

N-6【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 いやあのですね、例えば佐川さんの部下が、佐川さんの答弁を忖度してやったかもしれませんよね。そういう可能性だってあるわけじゃないですか。同じケースですよ。夫人が、そういう関わっていると思われるのが嫌だから、忖度して削ったってことだってありうるわけじゃないですか。それでなぜ影響はなかったって断言できるんですか。
これ答弁まで忖度してるんですか。私はこの影響があった、なかったっていうところ断言するのおかしいと思いますよ。もう1回よろしいですか。

N-6r【佐川氏】 私が影響がなかったというふうに申し上げましたのはまさに、国有財産部局の仕事はこの国有財産の管理処分なんです。
したがって、貸し付けをするとか売却をするとか、それが管理処分の仕事そのものでありまして、そこについて不動産鑑定にかけてきちんとそういう契約を結んだということであり、客観的でかつ昨年、答弁をする中でも部内でそういう報告もありませんでした。そういう意味でそういう答弁を申し上げたということでございます。

N-7【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 おそらくですね、今捜査中だと思いますけれども、捜査の方だって決裁前にいろんな政治家とかあるいは総理総理夫人の名前が出ている、これがどういうふうに影響したのか、そういうことを聞き取りしてると思いますよ、職員の皆さんに。そういう聞き取りのこの最中に影響はなかったって、佐川さんが断言するのはやっぱりおかしくないですか。

N-7r【佐川氏】 今申しましたように契約そのものは不動産鑑定を通しており、それから私が一連の部内の報告を受けてそういうものはなかったと。そういう意味で私は影響なかったというふうに認識しているというふうに申し上げてるわけでございます。

N-8【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 あのですね、われわれがずっと問いかけてきたのは、8億円の値引きが本当に正しかったかどうかということを言っているわけで。ずっと私たちはこれ過大に見積もられているんじゃないかというふうに言ってたわけですよ。今報道でですね、ご存じだと思いますけど、このゴミについて虚偽の報告書を作ったというふうに証言があるという報道、ご存じですよね。

N-8r【佐川氏】 そういう報道があることは承知しております。

N-9【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 これが本当だとすれば、今おっしゃってること全て崩れるんです。全て崩れます、今のおっしゃっている前提が。ですからそういうことも含めて今ここできょう影響がないと言い切るのはそれおかしいでしょう。

N-9r【佐川氏】 先ほどから私が申し上げているのは、当時、大阪航空局、専門的な知見があるところが、国交省が持つ工事積算基準で積算をしたということで、私どもは正しいと思っておったということを言っておりまして、
今委員がおっしゃるように虚偽だったかどうかというのは私は存じませんけれども、私は当時の積算は正しかったというふうに思っていたということでございます。

N-10【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 ちょっと時間がないので次いきます。証人がですね、先ほど決裁文書の中に昭恵夫人のが書いてあるのは、どう感じたかっていうのは答えられないとおっしゃいましたけど、この森友学園関連で安倍昭恵夫人が名誉校長になっているとか、何らかの関わりがあるというふうに最初に認識したのはいつですか。

N-10r【佐川氏】 一番最初に新聞の報道があって、売却価格は非開示だという新聞報道のときに、確か名誉校長は総理夫人だというふうに書いてあったと思います。

N-11【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 そのときに認識をなさったと。それを見てどういうふうにお感じになりましたか。

N-11r【佐川氏】 別にそのまま、そういうことかと思っただけでございます。

N-12【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 そういうことですね。要するに森友学園と安倍昭恵夫人は関係があるんだってことを意識されたということですね。

N-12r【佐川氏】 私は理財局長でありましたし、国有財産の価格がなぜ非開示かというのは当時の報道でありましたんで、それはどうして非開示になっているんだという報告を受けたときに、私は新聞を読んだときにそうかと思っただけで別にそういうことを局内で別にその議論をしたわけでもございませんので、そこに名誉校長が総理夫人であると書いてあるなと思ったということを今申し上げた。

N-13【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 いや、イエス、ノーで、要するにこの国有地を買おうとしている森友学園の名誉校長は安部昭恵さんだということをそこで認識したということですね。

N-13r【佐川氏】 その報道で知ったということであります。

N-14【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 次に田村さんの事をお伺いしますが、当時の田村さんは、谷さんが安倍総理夫人の秘書とわかって電話で対応したと、こういうことでよろしいですね。

N-14r【佐川氏】 その話が出た時に田村室長から私ヒアリングしたんですけども、その点について田村氏は明確に確認をしなかった。その谷さんがその安倍総理夫人付きだったこと。ただ、本人はその電話を受けておりますので、総理夫人付きだったことを知っていたんではないかというふうに私は思います。

N-15【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 その時は佐川さんは、谷さんというのは夫人の秘書だということはわからなかったということですか。

N-15r【佐川氏】 いえ、もう総理夫人付の谷さんがなにか田村にその話を電話をしたと言う話が、国会でそのFAXがでてきたとかそういう話になりました。その時に聞いた話です。

N-16【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 午前中の話でですね、何かこのときのやりとりで何か個別に谷さんと田村さんがどういうやり取りをしていたのか承知してないというふうにおっしゃっておられて、詳しい内容がわからないとおっしゃってたんですけど、それでなぜその田村さんにかかわることで、夫人のことが全然影響していないということはわかるんですか。

N-16r【佐川氏】 午前中申し上げたのは、そばにいて聞いたわけではないので、全ての詳細なやりとりはもちろん承知していないというふうにお答えして、ただ田村室長から報告を受けましたんで、そういう意味では社会福祉法人に適用になるような事例が学校法人に適用にならないか、というふうなお尋ねがあって、
そういうことはできませんし、そういう予定もありません、ということを田村としては、私は答えましたというふうに言ってて、それ以外にもいくつか質問があって、それはきっとこういうふうに答えたんだと思います、というふうに田村が言ったというふうな報告を、私はその時受けました。

N-17【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 個別にどんなやりとりをしていたかは承知してないと午前中おっしゃいましたが、それは正しいですよね。

N-17r【佐川氏】 またこの個別という、またその単語の私の使い方が悪いのかもしれませんが、その電話口に私がいたわけではないので全部その具体的な詳細なやりとりを知っているわけではないというふうに申し上げておりまして、そのFAX中にある4項目か5項目だったと思いますけども、
そのうちの1つの定期借地の話については田村から話を聞き、残りの項目についても、こういう質問があればこう答えたと思いますというふうな田村の記憶を聞いたということでございます。

N-18【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 ということは田村さんに、安倍昭恵総理夫人について谷さんとどうやって安倍昭恵さんから聞いたのかとか、そういう詳しい話は一切聞いてないということですね。

N-18r【佐川氏】 それはそういうことです。

N-19【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 それでは、そのときの取引に関わったいろんな職員の皆さんに、全員聞き取りでヒアリングされましたか。そういう安倍昭恵夫人ということを意識していたかどうかという。

N-19r【佐川氏】 しておりません。

N-20【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 それでなぜ安倍昭恵夫人が影響してないと言えるんですか。どの、どっかの、そのやってた職員がそのことを意識していた可能性はありますよね。何でヒアリングもしていないのに影響してないと言い切れるんですか。

N-20r【佐川氏】 役所の組織でございますので。局長としてですね。やはり報告を受ける人を信じて、それは、そのもろもろ答弁もそうですけども報告もするんですが、その一人ひとり全員にですね確認をしたかと言われればそれは確認をしてませんし、私に報告を上げてくる人たちの中にそういうような話もなかったということでありますので、そういうふうに申し上げておるわけでございます。

N-21【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 一応よく分かりました。職員を信じているということで、ちゃんと確認していないと。影響があったかどうか確認していないということを今はっきりおっしゃいましたので、ここは大事な答弁だと思います。
それからすいません、別に変わりますけれど、籠池さんがおっしゃってるんですが、2月17日に、例の総理の答弁があった後に、理財局のSさんにしましょう、S課長補佐さんが籠池さんに身を隠してくださいというように、弁護士を通じて連絡をしたというふうに言っていますが、これは事実でしょうか。

N-21r【佐川氏】 その件は昨年も国会で何度も聞かれまして、その後、その弁護士の方がマスコミに紙を発表されて私自身、佐川と面識もないし連絡も取ったこともないし、その他の財務省の職員にそういうことを言われたことはないというふうな発表をしていたということでございますし、私自身全くそういうことをしておりません。

N-22【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 そのSさんという所に事実関係確認されましたか。

N-22r【佐川氏】 それはもう先方の弁護士さんもそうおっしゃり、当のその方もそういうふうに言っております。

N-23【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 今よくわからなかったんですけど、その当事者に確認したんですか。

N-23r【佐川氏】 私の下にいた部下でございますので確認をしております。

N-24【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 次にですね、2月17日の予算委員会でうちの福島議員が森友学園の小学校建設のための国有地売却ということで、総理に質問通告をしました。これの答弁を書かれたのは、理財局長ですかというか、理財局が書いて総理に渡しているということですか。

N-24r【佐川氏】 大変恐縮ですが、たくさんの質問がありまして、どの質問をそういうふうになったとして、よくわかりません。

N-25【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 2月15日に宮本さんが財務委員会で質問して、その次2月17日に予算委員会で前の民進党の福島議員が総理に質問してるんですけど、その答弁を書かれたのは財務省理財局ということでよろしいですか。

N-25r【佐川氏】 総理答弁の中でも、国交省や文部科学省もありますし、理財局がその書くべき割り振られた答弁については、理財局が書いてるんだろうと思います。

N-26【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 実はこのとき総理が初めて答弁されてるんです、この案件に関して。そのときに官邸、あるいは総理関係周辺と打ち合わせをされましたか。

N-26r【佐川氏】 当時の国会の状況でございますので、少なくとも私はそういう答弁を官邸と打ち合わせしたことはございません。

N-27【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 次にですね、もうちょっとお伺いしますけど、この総理の答弁というのは、たぶん皆さんが書かれた答弁とは、もちろんあったんでしょうけど、私は妻が関係したらやめるっていう話は、当然答弁書にないわけだと思うんですけど、その答弁を聞かれたときは、そこまでおっしゃるのがちょっとびっくりされたりしなかったですか。

N-27r【佐川氏】 おっしゃる通りで、それは理財局が作った答弁じゃないと思いますが、それを私の席に座って聞いてみたときは、総理はそういうその思いで、政治的な思いでおっしゃっているんだなというふうには、その時は感じました。

N-28【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 もう1つなんですけど、2月24日、菅官房長官がですね。決裁文書は30年保存されているのでそこにほとんどの部分は書いてあると会見でおっしゃったんですよ。僕はこの官房長官の発言が結構起点になってる。17日のもあるんですけど、もう1つここでダメ押しになったんじゃないかと思うんですね。
決裁文書は全部残ってて、そこにほとんど書いてあるっていうことで慌ててこれチェックしなきゃということで始まったんじゃないかなと思うんですけども、いかがですか。

N-28r【佐川氏】 ちょっとその辺についてよくわかりません。官房長官はたぶん、佐川が交渉記録については管理規則に沿ってやっている、それに加えて、決裁文書はきちんととってあるというふうな趣旨の発言をしたんだろうと思っておりますけども、何かそれによって、状況が変わったとかそういうことはないというふうに思っています。

N-29【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 それで状況は変わったことないっていう、まああのなんか改ざんに関わる部分のところでだいぶ答弁をされ始めているんですけれど。それじゃお伺いしますが、太田理財局長は、改ざんは2月後半から4月にかけてということで内部の方から聞いたと。
先週、財務金融委員会で佐川元長官から伺いましたかって言ったら、それはあの聞いておりませんと。聞けておりませんということで、そうでしたら私は今度証人喚問のときにご本人に聞かしていただきますっていう、そういうやりとりをさせていただいたので、改めてお伺いしたいんですけど、改ざんは2月後半から4月にかけてということでよろしいですかね。

N-29r【佐川氏】 今の太田理財局長の国会での答弁は財務省の中の調査に基づいてされてるんだろうというふうに思います。私、その調査のこと一切承知しておりませんので、今の理財局長の答弁についてコメントする立場にはございません。
その上で、今のいつ書き換えが行われたかということにつきましては、これは本当に先ほどから申し上げた通り、決裁文書の書き換えがいつ行われたかと、いつ認識したかというまさにそのものの話でございますので、そこは捜査の対象たる私からは刑事訴追のおそれがあるということでお答えを差し控えさせていただきます。

N-30【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 次にですね、破棄したと言われている面談記録ですけれども、これも先日、太田理財局長にお伺いして、今、報道で手控えとして記録が残ってたんじゃないかということを新聞社が報じているということを取り上げて、今でもそういうものは残ってないというご認識ですかということであったら、
それに対しては、そこははっきりしませんからこれから調査しますということで、ないっていうふうにはおっしゃいませんでした。今、証人はずっとこれが面談記録を破棄したとおっしゃっていますが、今でもそう思ってますか。

N-30r【佐川氏】 午前中もおわび申し上げたんでございますが、交渉記録のその存否につきましては財務省の文書管理規約に沿って保存期間1年未満、そして実態はその事案終了時という取り扱いでありましたので、そういう取り扱いの規則について述べたということでございまして、そういう意味では非常に国会対応に丁寧さを欠いたということでおわびを申しあげた次第であります。

N-31【希望の党・無所属クラブ 今井雅人議員】 時間が来たから終わりますけれども、伺ってる限り、直接的あるいは間接的な関係というのを当時の関係者からしっかり聞き取りをしないまま答弁をされているという印象がありましたので、
これからやっぱり、それぞれの当時の売却貸し付けのときの関係者の皆さん、安倍昭恵夫人も含めて話を伺って、真相解明しなきゃいけないと思いますので、また予算委員会でも、お取りはかりをよろしくお願いしたいと思います。終わります。

午後3時53分〜
O-1【無所属の会 江田憲司議員】 これまでの佐川さんの証言を聞いておりますとですね。私にはですね、もうこの問題は自分1人が責めを負っていこうというね、何か決意というか覚悟みたいなのが感じられるんですよ。それがあなたの美学かもしれませんが、国民の理解は到底得られないということは、はっきりまず申し上げたいと思います。
そして委員長にお願いしたいことは、議員証言法の訴追のおそれというのは高裁の判決が出てまして、これはですね、具体的な犯罪の構成要件事実、あるいは、それを想定される密接関連事項とありますから、それ以外のことで拒否をされるなら、ぜひですね、委員長の差配をよろしくお願い申し上げます。そして、佐川さんは、それは証言拒否罪というのもあるということも念頭に置いてご答弁をください。
まずですね。いや佐川さんね、本当に丸川委員への答弁、その後も何度も確認されて、この改ざん問題については一切どなたも関わっておりませんと言う断言なんですよね。しかしね、もし仮にあなたがこの改ざん問題に関与してないとすればね、そんな断言答弁はできないでしょう。これは、まさにあなたがこの改ざん問題に関与してるっていう自白をしてるのと同じではありませんか。

O-1r【佐川氏】 先ほどから申し上げていますが、本件、国有財産売却の個別の案件でございまして、こういう案件は、まさに理財局の中でそういう現場の話を聞きながら資料対応等も関係するということでございまして、
そういう意味では他の部局に相談するような話でもありませんし、それから、先ほどから申しましたように官邸とか大臣とかそういうところから指示があれば、当然、私のところに報告も来ますし、あるいは直接であれば私のところにも来るということで、そういうこともございませんでしたと思っております。

O-2【無所属の会 江田憲司議員】 あなたがもし改ざんに関与してないとすれば、あなたは部外者なんですよ。こんな改ざんというのはおおっぴらにありませんから、密室でやるんですよ。唯一あなたが関与してる時だけね、いろいろ関与してたけども、どこからも関与も圧力もありませんでしたといって初めて断言できるじゃないですか。
だったら、なんで私が知るかぎり、関与はありませんでしたという答弁じゃなくて、すべて見ましたけど、全部、ございません、ございません、ございませんですよ。何でこんな答弁ができるんですか。あなたが関与している証拠じゃありませんか。

O-2r【佐川氏】 私は理財局長でございまして、そういう意味で外、外と言いますけども、そういう例えば官邸から入ったときに局長に情報を上げていなかったら、それはもう局長が知ってないのかっていうことになりますですよね、私が知らないところで誰か局内の人に指示があったとしたときに局長に報告をしなければ。従ってそういう官邸なり大臣なりから仮に指示があったとすれば、必ず私のところに報告が上がってくるというふうに思います。

O-3【無所属の会 江田憲司議員】 いやいや、あなたが改ざんに関与してなかったら秘密にするでしょう。当たり前じゃないですか。だから、これは本当にね、違和感があります。非常にあなたの場合はね、断言答弁って多いんです。昨年ね。政治家の関与は一切ございません。記録は全部廃棄しました。
普通ですね、私も官僚出身ですけども、官僚答弁というのはのちのち何か起こったことに備えて逃げ道を作るもんなんですよ。あなたの断言、言い切り答弁というのはあなたの判断でやられたんですか、それとも答弁資料にそう書いてあったでしょうか。

O-3r【佐川氏】 私の答弁がそういうよくないというお話であれば、大変丁寧さを欠いたという意味ではおわび申し上げますが、不当な働きかけは一切なかったというのは、それはそういう政治的な圧力というものはなかったというのは、当時、局内でも報告を受けて聞いておりますし、
交渉記録については、それは本当に先ほどからおわび申し上げておりますけども、そういう文書管理規約に沿って答弁をしたということでありますので、そういう意味では本当に答弁そのものが丁寧さを欠いたということであるというふうに思っております。

O-4【無所属の会 江田憲司議員】 あなたの判断で政治家の関与は一切ないと答弁したんですね。

O-4r【佐川氏】 私の判断っていうか、まあ、理財局として貸し付けとか売却の経緯は記録を見ながらやっているわけでございますので、そういう中で、そういう不当な働きかけといったものはなかったというのを局内からきちんと聞いたうえで答弁をしたということでございます。

O-5【無所属の会 江田憲司議員】 先週金曜の財金委員会、私も太田局長に聞きましたが、もともとの答弁資料は、政治家からの不当な働きかけはなかった、ただ、政治家を含めて一般的ないろんな問い合わせはあったというものだったと。それを最終的には佐川局長が判断してああいう答弁をされたという答弁をいただきました。
ですから一切ないとね、不当な、あえて言いますけど、不当な介入はない、それから問い合わせはあったという答弁であればね、その後こういうことが起きててもかろうじて何か逃げ道があったかもしれない。
それはあなたミス、むしろ逃げ道を封じてああいう答弁をされたということは、どなたかから一切政治的な関与はないという答弁をすることで責任を逃れようという政治側からの関与があったということじゃないですか。

O-5r【佐川氏】 大変恐縮でございますが、私の昨年の国会での答弁は、不当な働きかけは一切なかったと申しております。ただ、一般的に国有地の売却ではさまざまな問い合わせがあって、政治家、政治の側からの問い合わせも含めてありますという答弁をしております。
従いまして、問い合わせそのものについてはさまざまな問い合わせがあるけども、不当な働きかけは一切なかったという答弁をしておりまして、今ちょっと委員がおっしゃった、一切何もかもなかったかのようなことはちょっと私の記憶ではなかったというふうに考えております。

O-6【無所属の会 江田憲司議員】 3月2日に一切なかったと答弁している。それから、個別案件だから理財局かぎり。これうそでしょ。これも官房長に聞きましたが、国会提出資料はすべからく官房長まで上げるというのが金曜日の答弁ですよ。なぜ理財局かぎりってうそつくんですか、あなたは。

O-6r【佐川氏】 うそというか、国会に提出するときに国会担当の部局は官房にございますので、それはもう当然、その官房経由で出すという手続き論があると思いますが、私が申し上げているのは実質論でございまして、理財局が担っている国有財産の個別の案件をですね、
官房にこういう中身でどうでしょうかとかそんなことを相談したり報告したりすることはないという意味で、官房がそこをチェックしたりするということもございませんし、よく委員ご指摘のとおり、それはもう官房部局が国会担当やっているというのは、それはもう事実でございます。

O-7【無所属の会 江田憲司議員】 政権を揺るがす大きな問題になっていたわけですから、官房に上がって官房長が見ればですね、これは次官、大臣まで上がっていくという、そのぐらいの案件だったわけですよ。理財局かぎりでやったというあなたの答弁はまったく信じられないということを申し上げて終わります。

午後4時〜
P-1【日本共産党 宮本岳志議員】 日本共産党の宮本岳志です。この森友問題、昨年2月15日の私の当院、財務金融委員会の質問から始まりました。いわばこの問題は、この質問を端緒にして私とあなたの間で争われてきたと言っても過言ではありません。
そこで聞くんですが、あなたは昨年2月24日の衆議院予算委員会で、面会等の記録は平成28年6月20日の売買契約締結をもって破棄してると、こういう答弁を私に初めてなさいました。この答弁は虚偽答弁でありましたか。

P-1r【佐川氏】 委員おっしゃるとおり、2月半ばから委員のご質問で始まったことでございまして、今のお話の6月20日をもって廃棄をしたという私の答弁は本当、財務省のちょっとここで何回かおわびしておりますように、財務省の文書管理規則の取り扱いをもって答弁したということでございまして、そういう意味で本当に丁寧さを欠いたということでございます。
申し訳ありませんでした。

P-2【日本共産党 宮本岳志議員】 そういう問題ではないんですね。あなたはですね、午前中の答弁、証言で、個別の事案についてもきちんと確認をして答弁をしなかったという点で丁寧さを欠いたと、こういう答弁をしてるんですね。
しかし、2月24日の私に対する答弁ですよ。あなたの答弁ですね。昨年6月の売買契約の締結に至るまでの財務局と学園側の交渉記録につきまして、委員からのご依頼を受けまして、確認しましたところ、近畿財務局と森友学園の交渉記録ということはございませんでしたと。
このとき、確認をして、なかったと答弁してるんで、一般的な規定を答弁したんじゃないです。これ全くどちらかがうそですね。

P-2r【佐川氏】 大変申し訳ありません。その確認をしたという意味ですけども理財局に文書の取り扱い規則を確認したということでそういう答弁をしてしまいました。申し訳ありません。

P-3【日本共産党 宮本岳志議員】 だめですよそんなの。答弁になっていないですよ。そんなの通らないですよ。止めてくださいよ。止めてくださいよ。止めてくださいよ、答弁になっていないじゃないですか。

P-3r【佐川氏】 本当に申し訳ありませんでした。文章の取扱規則の話をしてございました。すいません。

P-4【日本共産党 宮本岳志議員】 じゃあ、この答弁については虚偽答弁を認めますか。

P-4r【佐川氏】 それはその虚偽というふうにあれですけど、私自身はその虚偽という認識がその時はございませんでした。

P-5【日本共産党 宮本岳志議員】 確認をしてっていうのがですね。規程をただただ確認しただけだって、通りませんよそれは。そして今日やってる証言は、確認をしてなかったから丁寧さに欠けたと言ってるんですよ。これは午前中の答弁がまさに証言が偽証であるか、昨年の答弁がまさに虚偽答弁であるか、2つに1つですよ。
じゃあ、午前中の答弁、撤回してください。

P-5r【佐川氏】 ですからあの、おわび申し上げますが、昨年の委員に対する答弁がそういう趣旨の答弁だったということでございます。

P-6【日本共産党 宮本岳志議員】 まったく納得できません。本当に重大なことだし、午前中の証言のまさに信ぴょう性にもかかわる問題だと思います。先ほどからあなたはですね、決裁文書について問われたら全て答えないと言う態度をとっておられます。
しかしあなたはですね、書き換えはあったということをこれは事実を認めて、そしてその責任を取ってお辞めになったとこれは認めておられますね。書き換えの事実があったとあなたが認めているのはまさに、決裁文書に書き換え前のものと書き換え後のものと2つあると、これは確認されたということですね。

P-6r【佐川氏】 辞めたというのは、長官の話でございましょうか。それは当時、この報道が出てその週、国会が空転をするような状態になったということも踏まえて、他にいくつかの理由を申し上げましたが、そういう意味でこの決裁文書を提出した当時の理財局長として責任を痛感したというふうに、9日申し上げました。
それから、事実を改ざん改ざん、その、決裁文書の書き換えがあったかどうかの事実関係というのは、それは財務省の理財局が国会にきちんと提出をして明らかにこれは事実関係として、間違いなく書き換えがあったということでございますので、それは書き換えがあったというのは認識をしてございます。

P-7【日本共産党 宮本岳志議員】 つまり2つの文書については確認をしたんですね。

P-7r【佐川氏】 財務省が12日に提出したその調査結果は見ました。

P-8【日本共産党 宮本岳志議員】 だったらその中身について答えればいいんですよ。なんの問題もないじゃないですか。時間が来ましたからね。これ全然不十分なんですよ。先ほど来、あなたはですね。最終的には不動産鑑定やったから正当なんだということを繰り返してるんですよね。
しかしね、昨年11月に提出されたこの会計検査院の報告書ではですよ、その不動産鑑定価格から8億2000万を差し引いた、それは鑑定士にとって他の専門家の調査結果としては使えなかったと。
まともなもんじゃなかったと出てるんですよ。それをもって正当だったということはまったく通らない。引き続きこの問題の解明は絶対に必要だということを申し上げて、私の質問を終わります。

午後4時7分〜
Q-1【日本維新の会 丸山穂高議員】 日本維新の会の丸山穂高でございます。本日の証人喚問、はっきりとですね、総理や夫人、総理夫人、官邸、大臣、省内他局の関与はないとこれは明確にはっきり述べられましたけども、
でもなぜじゃあ誰がね、なぜこれに対してっていう一番国民の皆さんが知りたい部分に対して残念ながら訴追のおそれがあるというような発言ばっかりで、全く明らかになってないというふうに思っています。
これね、断言できたの、なんで断言できるのかというのは皆さん不思議に思ってると思うんですけども、今、他の委員のご答弁でもですね、通常そうしたことがあればですね、通常、局長であったご自身に対しても、こうしたことがあった、大臣から指示があった、官邸から指示があったという話があるはずだということですが、
全くご自身が関与していなければ、これに関して、そういった、まず報告はそもそも上がりませんよね。ってことはご自身としては、これに関与していると認めたも同然じゃないですか。いかがでしょう。

Q-1r【佐川氏】 今の前提は私が仮にこの知らなくて済む、誰かがやっててそこにその官邸の指示があったということを、という理解なのですが、それはその官邸なり大臣が私を外して、その下のものと、そういうことをしているという前提になるのかもしれませんが、
いずれにしても理財局の財務省の部下職員がそういう政治的に高い次元から何か話をしたときに、局長に話を入れないで済むというふうには、なかろうというふうに思っておりますので、どういうケースでも、そういう場合は理財局長に話が上がってくるものだというふうに思っております。

Q-2【日本維新の会 丸山穂高議員】 ケースとしてですけども、局長を通さずに大臣から、大臣レクに行くときに、局長がいない場合もありますよね。課長だけだとか、審議官、参事官だけで行くときもある。そうしたときにそういう指示があったとしてですよ、それに対して話を入れないことはあり得ないというご答弁なので、そういう意味であれば、そういう部下からそういう報告は一切なかったと今断言できるということですね。

Q-2r【佐川氏】 総理からの指示とか、大臣からの指示とか、そういうことは部下からございませんでした。

Q-3【日本維新の会 丸山穂高議員】 他局からも、他局の他の幹部に対しても、そういった指示があったということは聞いてないということですね。

Q-3r【佐川氏】 下から、部下から職員から聞いておりません。

Q-4【日本維新の会 丸山穂高議員】 私で最後の時間でございます。時間もありませんので、まとめの質疑に入っていかざるを得ませんが、これまで何かご発言で訂正したいことだとか、言い残したことがあれば重ねてお聞きもしたいと思いますが、本日のこの一連のね、ご発言でです、国民が知りたい真相、これに対して解明できたとご自身はお考えになってるかどうか、率直にお答えいただけますか。

Q-4r【佐川氏】 それは先ほどから委員の方々からお叱りを受けておりますので、そういうふうに実際にどういう経緯で誰がやったのかということについてはお答えできておりませんので、そこについては、そういうお叱りを受けたということで、ご満足できているんだろう、できていないんだろうというと、できていないんだろうというふうに思っております。

Q-5【日本維新の会 丸山穂高議員】 解明できていないということですね。ご自身そう思われてるということなんですね。

Q-5r【佐川氏】 先ほどから各委員にお叱りを受けている、どういう経緯で誰がどう具体的に指示をしたかという点についてはお答え申し上げておりませんので、その点については明らかになっていないということでございますが、それはまさに裁判、司法のほうになるということでございます。

Q-6【日本維新の会 丸山穂高議員】 そもそも、この衆参合わせて、たった4時間の証人喚問、無理があると思います。私もたった5分しかありませんしですね。本来この予算委員会、そもそも今、北朝鮮情勢が動いている。
北のトップが中国に行ってるかもしれないという情勢の中で、米中貿易摩擦もあります、外交問題、やらなきゃいけない重要法案も、何より予算も審議していかなきゃいけない中でですね、こうした短時間の予算委員会、絶対無理だと思います。
しっかり別の場にですね、わが党いつも主張してます特別委員会なり、第三者の検証委員会を設けてですね、しっかり佐川さんにも来ていただいて、これは国民の皆さん、明らかにしてほしいと思っていらっしゃる案件ですから。
しっかりこれは委員としても、国会としてもやっていかなきゃいけないというふうに思います。最後、これがおそらく最後の質問になると思います。証人喚問、ずっとやってこられました。公務員の信用が失墜している今の状況、心を痛めている人いっぱいいます。
公務員の皆さんも、何より国民は、どうしてこんな状況になったんだと思ってらっしゃると思います。ご本人として、最後、率直に国民の皆さんに話したいことをお話しいただけますか。

Q-6r【佐川氏】 再度申し上げます。こうした事態になりまして、行政の信頼を揺るがすようなことになりまして、本当に国民の皆さまに大変申し訳ないと思っております。おわび申し上げます。

Q-7【日本維新の会 丸山穂高議員】 時間が参りましたので、これにて私、丸山穂高の質問を終わります。ありがとうございます。
午後4時12分まで

以上、 https://www3.nhk.or.jp/news/special/sagawa_testimony/ より。
 
 
http://www.asyura2.com/18/senkyo242/msg/376.html

[政治・選挙・NHK242] 「改ざん履歴確認させろ」財務省に乗り込む野党議員 監視役果たさぬ記者クラブ(田中龍作ジャーナル) 赤かぶ
20. 仁王立ち[17] kG2JpJengr8 2018年4月01日 23:07:22 : tOWyBz41xU : oU7vuzJ@nYM[188]

>>16
いや、まだ自殺とは断定できない。
近畿財務局職員の死は大きな謎に包まれたままだ。

1. 遺体の謎・・・警察が父親を「きれいな遺体」「眠るような死に顔」と対面させるまで2日間も要さなければならなかった理由は何か?

2. 長時間家捜しの謎・・・所轄が自殺と判断したこと。県警が職員宅を長時間かけて捜索したこと。この2つの間の矛盾を埋めるものは何か?

3. 遺書の謎・・・父親が死後10日以上経っても見せてもらえない ‘遺書’とは、現在も所在が明らかにされていない‘遺書’とは、どんな遺書なのだろうか?
 
(参照)田中龍作ジャーナル
http://tanakaryusaku.jp/2018/03/00017797
 
 

http://www.asyura2.com/18/senkyo242/msg/341.html#c20

   

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