厚労省の労働統計偽装が大きな社会問題となっています。統計数字をいじってアベノミクスを正当化しようとするのは、まるで北朝鮮なみの行為と言わざるを得ません。しかし、北朝鮮と似ているのはそれだけでなく、「拉致」と言われている、「児童虐待」を口実に使った児童相談所による子供の家庭からの一方手金引き剥がしがあります。
児童虐待は、殺人や暴行傷害などの刑法犯罪ですから、もともと警察の領域だったのですが、戦争孤児がいなくなって閉鎖の危機に直面した児童養護施設の定員を埋め、そして臨調行革路線における福祉切り捨ての流れに抗いたい厚生省(当時)が、警察との調整もなく、強引に児童相談所(児相)の仕事にして、利権確保を図りました。そのとき、戦争孤児を保護する目的だった児童福祉法第33条を、子供を家族から引き剥がす根拠法規として、子供が次々と家族から引き剥がされ、児童養護施設に送り込まれて面会や通信も禁止されて家族が破壊されるという人権侵害が起りました。
しかし日本国内では、この厚労省=児相の児童虐待政策を、真面目に子供を虐待から救おうとする政策だと誤解している人々がまだ多く、人権団体もあまり児相問題に取り組もうとしない現実があります。ところが、各国の子どもの権利条約遵守状況を審査する国連子供の権利委員会では、児相による人権侵害に早くから気づいており、2010年の第3回審査においてすでに是正勧告をだしています。例えば、児相行政について独立した調査機関に調査させて国連に報告せよ、といった内容の勧告ですが、日本政府は全く実行をサボってきました。
さる1月16-17日にかけて、ジュネーブにおいて、第4,5回の審査が行なわれました。その席で、全く改善されない児相による人権侵害に業を煮やした国連子どもの権利委員から、さらに厳しい児相の人権侵害に関する追及がなされました。それは例えば、次のような論点です:
・6歳以下の子供の施設措置は、直ちにやめるべきではないか。
・沢山の子供が親から引き離されている。引き離しが児相長の判断のみによっているのはどうしてか。
・2ヶ月の一時保護期間は長すぎるのではないか。
・緊急時の一時保護であっても、3日くらいのうちには、司法判断を受けるべきである。
・子供が家族から引き剥がされるとき、親や子供の意見は尊重されるのか。
・児相・児童養護施設にいる子どもと親の面接交渉がどうして出来ないのか。
・児相の予算はどうやって決定されるのか。児相が親から引き剥がしてきた子供の数で予算が決まっているのではないか。親からの子供引き剥がしのインセンティブがある児相予算システムになっているのではないか。
・児相の、少年法第3条に基づく児童の予防拘禁は、廃止すべきではないか。
ところが、そこに政府代表として出席していた厚労官僚の島玲志は、これにまともに応えて反省するどころか、日本の児相行政の現実と異なる次のような大嘘の答弁をして事実を誤魔化そうとしたのです!
・児童を社会的養護に入れるかどうかについては、子供と親の意見を聞き、もし親の意見と違う場合は家裁が判断する
・予算は、児相が管轄する人口規模で予算が定められている。保護した子供の数によって決まるのではない。ただし、児童養護施設や里親は子供1人当たりで予算が直接支給される
現実には、児相が子供を「一時保護」と称して拉致するとき、親や子供の意見を聞くことはありませんし、そこで司法審査などはありません。児相の予算は、その半分が、「保護」してきた子供の数に比例して執行されることになっており、年間児童保護見込み数が一種のノルマになっているのです。
しかし、厚労省がここで真実を語れば、日本の児相行政が子どもの権利条約違反の人権侵害をしていることがたちどころに国際社会に明らかになります。これでは、自分たちの社会的養護利権が危うくなる虞があるので、厚労官僚は、それを避けようと、なんと国連という公式の場で、嘘吐き戦術に出たのです!!
言葉を換えれば、厚労省は、児相に次々と児童を拉致(保護)させている自分たちの行政が子どもの権利条約など国際的人権規準に反していることをすでに知っているので、追及をかわすため、事実隠蔽を図らざるをえなかったことになります。
厚労省という官庁は、統計にしても、政策にしても、外部に対して平気で嘘をつき、それによって市民が騙されて、自分たちの政策を何の疑問もなく支持してくれればそれで良い、という発想でいるようです。しかし、国際社会に対しても、そのような手法は効くでしょうか?
来たる2月7日に、国連子供の権利委員会からの最終見解(いわば判決)が発表されます。それがすべての回答を与えてくれるでしょう。