自由民主党HPより
憲法審査会で自民党議員が「天皇の地位は神勅」「国民が議論するな」の戦前回帰主張! 実は安倍首相も過去に同様の発言
http://lite-ra.com/2016/11/post-2720.html
2016.11.23. 憲法審査会「天皇神勅」安倍も同じ発言 リテラ
先日、本サイトでは、架空の神話である初代・神武天皇は実在した、なるトンデモイデオロギーが安倍政権に巣食っていることをお伝えしたが、ついに連中は、国会でも皇国史観丸出しの明治憲法復活を訴えだした。
17日の衆院憲法審査会で、自民党の安藤裕衆議院議員から、天皇の「生前退位」に関連してこんな発言が飛び出したのだ。
「本来皇室の地位は日本書紀における“天壌無窮の神勅”に由来するものであり、憲法が起草される遥か昔から存在するものです。(略)だからこそ、早急にいま改正すべきは憲法第2条であると主張したいと思います。皇室は憲法以前から存在をしており、我々が手を出せないところにあるからこそ、権威なのです」
唖然である。日本書紀の「天壌無窮の神勅」とは天照大神が孫の瓊瓊杵命に対して下した命令で、意味は「日本は私の子孫が王であるべき地で、皇孫のそなたが行って治めよ。皇位の盛えることは、まさに天地とともに永久だろう」というもの。“日本は万世一系の天皇をいただく神の国”という国体思想や皇国史観で重要視される記述で、明治憲法では第1条の「大日本帝国は万世一系の天皇之を統治す」の根拠とされた。
が、そもそも、前回の記事でも解説したように、日本書紀や古事記にある“古代天皇の系譜”は、ときの政治権力である朝廷がその支配の正当性を説くために編み出したフィクションだ。明治政府もそれにならい大衆支配のイデオロギーに利用したにすぎない。それを平成の国会、それも憲法審査会で自慢げに語り出すとは、安藤議員の脳ミソは完全に戦前そのものらしい。
しかもヤバいのは、安藤議員は国民の代表たる国会議員でありながら、その“神話から続く天皇の地位”について国民が口を出すのはおかしいとまで言ってのけていることだ。
「私は皇室の在り方や譲位について国民的議論の対象になること自体に、少し違和感を感じています。皇位継承の在り方について、天皇陛下の譲位について私たちが口を挟むべき内容なのか」
「(天皇という)日本の最高の権威が国権の最高機関である国会の下に置かれている」
いったい、いつの話をしているのか。いうまでもなく日本国憲法第1条は《天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く》というもので、条文が意味するとおり、象徴天皇制と国民主権を明記している。つまり、国民は天皇制の存廃も含めて議論し、その総意のもとで天皇は、統治者ではなく「象徴」として成り立っているのである。
しかし、安藤議員は“皇室議論は国民が口を出すことではない”“国会より天皇が下なんておかしい”などと言っているのだ。これは、完全に明治憲法の天皇主権の考え方である。こんな人物が現憲法下で国会議員になり、与党の一員であること自体、そうとうな異常事態であるとしか言いようがない。
とはいえ、これは氷山の一角とみるべきだろう。安藤議員は日本会議国会議員懇談会、神道政治連盟国会議員懇談会、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会などの議連に参加する極右議員だが、連中は明治政府ばりに天皇の「権威」を政治利用し、日本を神話に基づくカルト国家に仕立て上げようともくろんでいる。実際、森喜朗首相(当時)のいわゆる「日本は天皇を中心とした神の国」発言があったのも神政連議連結成30周年祝賀会でのことだった。
また、やはり日本会議議連や神政連議連に所属する稲田朋美防衛相は、今月3日、「明治の日推進協議会」なる団体の決起集会のなかでこう述べた。
「神武天皇の偉業に立ち戻り、日本のよき伝統を守りながら改革を進めるのが明治維新の精神だった。その精神を取り戻すべく、心を一つに頑張りたい」
さらに安倍首相自身、今回の安藤議員が憲法審査会で言ったこととほぼ同じ趣旨をかつて月刊誌で記している。自民党下野時、「文藝春秋」(文藝春秋)2012年2月号で、民主党(当時)による女性宮家創設議論および皇室典範改正に反対し、「二千年以上の歴史を持つ皇室と、たかだか六十年あまりの歴史しかもたない憲法や、移ろいやすい世論を、同断に論じることはナンセンスでしかない」などとのたまっていたのだ。そんな立憲主義や国民主権をないがしろにする男が、いま現在、日本の首相をやっているという事実は恐怖以外の何ものでもない。
だが、それに輪をかけておかしいのは、今回、この安藤議員の戦前回帰丸出しの発言をマスコミが無視していることだ。新聞メディアでは朝日新聞が報じたぐらいで、他の全国紙4紙は完全にスルー。テレビのニュース番組でもいっこうに取り上げられる気配がないのだ。
繰り返すが、これは、極右議員が自分の支援者に向かって言った「リップサービス」でも、囲み取材のなかでこぼした「失言」でもない。法の合憲性や憲法改正などの議論をする国会の憲法審査会でごく当たり前のように出てきたものだ。
実際、安藤議員は「生前退位」の議論にからめて、憲法第2条《皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する》の早急な改正を訴えていた。一般法である皇室典範を改正せよと言っているわけではない、というのがミソだ。その真意は、安藤議員が“天皇が国会の下に位置付けられているのはおかしい”と主張しているように、皇室典範を明治のように憲法と同格にし、天皇の地位を現憲法に基づく民主的な地位から独立させることにあると考えられる。
安倍政権のこの明治憲法へのイカれた回帰願望は、どんどん現実化しているのだ。国民はそのことを強く自覚しなければならない。そして、メディアがこうした安倍政権の危険な皇国史観に沈黙し続けるのならば、私たちは彼らを焚きつけて、その危険性を周知させていく必要がある。
(宮島みつや)