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[経世済民116] 若者の憂うつ、不安胸に将来負担に身構える−日本のミレニアル世代 
若者の憂うつ、不安胸に将来負担に身構える−日本のミレニアル世代
氏兼敬子
2016年11月24日 06:00 JST

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• キャリアの将来に世界で最も悲観的、「死ぬまで働く予定」が最多
• 20年後に労働力の3割占める中核世代、所得・雇用の改善が鍵か
21世紀への変わり目に世の中に出た「ミレニアル世代」と呼ばれる若者たち。世界では、将来に自信を持ち社会の在り方を変える世代として話題に上るが、日本では少し事情が違っている。
  ミレニアル世代の定義は研究機関によって幅があるが、おおむね2000年以降に成人または社会人となった30代半ばまでの若者を指す。インターネットが普及した環境で育ちパソコンやスマートフォンなどを使いこなす一方、08年のリーマンショックも経験した。米国ではフェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグ氏(32)などが該当する。

噴水の近くで食事をする社会人

Photographer: Akio Kon/Bloomberg
  日本では「ゆとり世代」や「さとり世代」と言われる年代に重なるが、世界の若者と比べると違いがある。総合人材サービスのマンパワーグループが5月に発表した調査によると、世界ではミレニアル世代の多くが自らのキャリアの将来性を楽観視する中、日本は調査した18カ国中最も悲観的だった。逆に引退の年齢に関する質問では日本では「死ぬまで働く予定」が37%で調査対象国のトップ、2位の中国の18%を大きく引き離した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iUmpnoAFY0p4/v3/-1x-1.png

  マンパワーグループの池田匡弥社長は、日本のミレニアル世代はバブル経済崩壊後の「失われた20 年」と言われる低成長とデフレの時代を経験し、さらにリーマンショックに遭遇した。そのため将来に対する不安が強く、リスクを取ることに対して慎重になる傾向があると分析する。
  キャリアの将来性に悲観的なのは、雇用市場の流動性が低いことも一因だと池田氏は指摘。年金制度の持続性への強い不安感や賃金上昇の期待の低さが「死ぬまで働く」との回答につながっているとみる。
  内閣府の「高齢社会白書」によると、日本の社会は1950年時点では高齢者1人を12.1人の現役世代で支えていたが、2015年には現役世代2.3人、60年には1.3人の現役世代で高齢者を支える見込みだ。世界に類を見ないスピードで進む少子高齢化による労働力不足や社会保障負担増などが、日本のミレニアル世代を待ち構える。

安定志向
  スポーツクラブでトレーナーとして働いている伊藤浩平さん(24)は、保険料を払っているのに将来自分が年をとった時に年金がもらえない可能性があるのは「不公平だ」と話す。将来は発展途上国の子供たちにスポーツを教えに行きたいと考えており、そのための貯金もしている。「これから日本の政治が良くなるというポジティブなイメージが持てない。経済も良くなるというイメージがあまり持てない」と語った。
  ミレニアル世代は、伊藤さんのように組織にとらわれず自ら道を切り開こうという若者ばかりではない。安倍晋三首相はベンチャー精神あふれる起業大国を目指しているが、むしろ安定志向が強まっているのが現実だ。日本生産性本部の16年度「新入社員春の意識調査」によると、「社内で出世するより自分で起業して独立したい」と答えた新入社員の割合は10.8%で、設問を開始した03年以来最低となった。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iqbmBmeGww7U/v3/-1x-1.png

  大手ダンボール製造会社に勤める大谷大輔さん(23)は、「若い子たちはみんなできるなら大手に行きたいと思っている。入れればいいというよりも、入るんだったらちょっとでも大きい会社に若いうちから入って安定したい」と語った。
  大谷さんは宇都宮市の商業高校を卒業、鉄工所で正社員として働いていたが繁忙期と閑散期の給与の変動が激しく、10月に現在の会社に転職。前職時代は、給与や仕事の将来性に不安があり、「彼女からも、こんなお給料じゃ結婚もできないし子供も産めません、みたいなことを言われた。実際ショックだった」と語った。

二極化
  若年世代の未婚化・晩婚化も進んでいる。明治安田生活福祉研究所が3月に実施した「20〜40代の恋愛と結婚」に関する調査によると、「結婚したい」と答えた20代独身男性は、13年度調査の67.1%から38.7%に大幅に低下。女性も82.2%から59%に減少した。独身でいる理由のトップは男性では「家族を養うほどの収入がない」、女性では「結婚したいと思える相手がいない」だった。20−30代の未婚女性が結婚相手に求める最低年収は半数以上が400万円以上となった。
  非正規雇用比率の上昇は同じミレニアル世代に二極化を生んでいる。東京大学公共政策大学院の特任准教授の宮本弘暁氏は、以前は企業が労働者にトレーニングの機会を与えスキルを身に付けさせていたが、今は将来の見通しが立たないためコスト抑制を狙いに非正規雇用を増やしており、若年層はスキルを身に付ける機会が限られていると指摘。
  宮本氏は、政府や民間が対応していかないと「ヒューマン・キャピタルを蓄積する機会がなくなる」と述べ、「そうなると10年後、20年後の日本経済の状況というのは明るくはない」と述べた。スキル蓄積のトレーニングの機会を設けたり、雇用の流動性を上げるような制度改正などをしたりしない限りは、所得格差がさらに拡大していく可能性があるとみている。

社会の主役に
  経済同友会は8月、ミレニアル世代に関するリポートを公表した。米国ではミレニアル世代が社会や経済全体に影響力を持つ存在という文脈で語られるのに対し、日本では「ゆとり世代」や「さとり世代」として論じられるものの、旧世代からは理解しにくいといった「世代論」にとどまっていると指摘した。
  リポートをまとめた副代表幹事の小林いずみ氏は「ミレニアル世代が社会や企業の主役となる10−20年後には、経済や社会の姿は大きく様変わりするという認識をしておかないといけない」と述べ、この世代のニーズに対応していかないと日本経済も停滞していくし、そうしたことを考えてビジネスモデルを作らないと「グローバルの競争に勝てない」と警鐘を鳴らした。
  日本総合研究所の下田裕介副主任研究員は、16年に労働力人口の約24%を占めている今の20−34歳の年齢層の人たちは20年後の36年には全体の30%を占めるようになると、国立社会保障・人口問題研究所や総務省の数字を基に推計している。
  同友会のリポートによると、デジタル技術で育ったミレニアル世代は「所有より借用」「物より経験」といった価値観を持つという。また職場では個人の成長や充実感を得ることを目的とすると同時に、他の社員との出会いや連帯感を大切にチームとして仕事に取り組む中で、互いに成長し合うことを目指す傾向があるという。

不安払しょくできるか
  東京大学公共政策大学院の学生である末永愛子さん(25)も、今の若者世代はモノを買うよりも経験や自分への投資にお金を使う傾向があると述べた。「女の子であれば、例えば昔のバブル時代だったらグッチやシャネル、ルイヴィトンといったブランド物を買っていた。今はかばんなどを買うよりは、みんな旅行に一緒に行って思い出をつくろうという考えの人の方が多いと思う」と話す。
  日本総研の下田氏は、やや長期的にみると平均貯蓄率は若年層の上昇が目立っているという。現在の20ー30代は、バブル世代や新人類と呼ばれた世代、団塊の世代などそれ以前の世代と比べて消費性向が低い傾向があると分析している。
  10年後にはこの世代が個人消費の中心世代になることなどを見据えれば、個人消費全体の拡大に向け、「所得雇用環境の持続的な改善による将来不安の払しょくを通じて、この世代の消費を前向きな動きへと転換させることが重要」と指摘した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-23/OH17C46KLVR401



http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/142.html

[経世済民116] 社会に潜む「女性優遇」、日本の男子は微妙に生きにくい 東大女子の家賃補助に思う 日本の男子は肩身が狭い 山崎元のマルチス
山崎元のマルチスコープ
【第453回】 2016年11月23日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
社会に潜む「女性優遇」、日本の男子は微妙に生きにくい

東大女子の家賃補助に思う
日本の男子は肩身が狭い

 日本の「男子」は、生きにくいのではないか。漠然とそう感じてきたが、東京大学が遠隔地出身の女子学生に月3万円の家賃補助を行うことを決めた、というニュースを見て、「本当に、そうかもしれない」とあれこれ考え始めるに至った。

 東京大学の女子学生比率は近年伸び悩んでいる。学部入学者の比率で見て2004年の21%に及ばないばかりか、近年は20%を切る水準での推移になっている。

 その理由として、地方の女子の場合、東京大学に入学できる学力があっても、親元を離れて東京で一人暮らしをすることの、危険、心細さ、経済的負担などを嫌って、自宅からの通学が可能な大学を受験するケースがあるのは分かる。

 また、東京大学が、いかにも通俗的だが、学生に「多様性」を求めたいと希望していることも分からなくはない。例えば、男子校の進学校出身のよく似たタイプの学生が多数入学して来ることは、想像に難くない。

 しかし、一見画一的に見えても、素材としての人には個性がある。大学で学問をはじめとする多様な経験を積ませることによって、「多様性」は後から教育で引き出すべきものなのではないか。男女比率などといった表面的な属性にこだわること自体が、世間の後追い的でイケていないが、加えて表面的な目標達成のためにカネを使おう、というのは何ともいただけない。

 仮に、入学試験を受ける年代の男女の数と能力差がほぼ同じで、東京大学が「極端に魅力的」な大学であるとすれば、男女はほぼ同数集まってもいいのではないか。要は、東京大学が提供する教育に十分な魅力がないことが、真の問題なのではないだろうか。

 それにしても、地方出身の男子東大生が可哀想ではないか。学費と生活費のために、例えば、時給1000円として3万円に相当する30時間の貴重な時間を、ただで貰える女子学生を横目に、アルバイトに費やさねばならない苦学生はまことに気の毒だ。

 余談だが、気の毒な男子学生諸君のために、初歩の金融知識を伝授しよう。現在、奨学金は有利子のものでも年率0.1%といった大変低い金利で借りられる(無利子のものもあれば、有利子のものも複数の条件がある)。学生諸君が卒業後に就職すると、数年で500万円程度の年収を稼ぐようになることは珍しくないはずだが、500万円の年収は時給に換算すると2500円だ。時給が1000円から1500円といったアルバイトになど時間を費やさずに、奨学金を得て、将来の時給で現在の時間を買う方が「投資として得」だ。奨学金でなく、親から借りてもいい。

 もちろん、「買った時間」は、勉強(これが一番無難な投資だ。勉強の出来ない東大出ほど無意味な生き物はいない)、人脈形成、有意義な経験、社会貢献、など将来の人材価値につながるものに無駄なく使うべきだ。学生時代の「時間」は、人生に対する(より正確には「将来の人材価値」に対する)投資の元手として、まことに貴重だ。

電車内や社内に潜む
男性不利のバイアス

 さて、本題に戻ろう。男子で不利なのは、地方出身の東大生だけではない。

 例えば、地下鉄に乗ってオフィスを目指そうとすると、「女性専用車両」が目に入る。この車両を避けて乗るとしても、「オヤジ」(30代から上の男は皆「オヤジ」の自覚を持つべきだ)は汚いものであるかのような目で女性から見られ、汚いだけでなく、いつ痴漢を働くか分からない危険な生き物のように避けられ、甚だしきに至っては痴漢のえん罪の対象になることさえある。

 相手の立ち位置が邪魔で腹が立っても、「オバサン、よけてよ」というような不用意な言葉を吐くと、場合によっては電車の中でも問題化するリスクがあるし、オフィスの中であれば、「セクハラ」という、認定された場合にはサラリーマンとして致命的とも言える状況に陥るリスクがある。

 もちろん、痴漢の犯人は男性が圧倒的に多かろうし、軽微な痴漢なら許せと言いたいわけではないが、同じことをしても、男性が女性に何かする方が、女性が男性に何かするよりも、「大事」になりやすいバイアスが存在するように思われる。

 オフィスのセクハラも同様だ。女性が、男性の薄毛を「ハゲ」と言ってもその場の暴言で済まされそうだが、男性が同僚女性の体型を揶揄する言葉を発すると、セクハラとして「大問題」になりかねない。いずれの「不適切さ」も本質的には同等であるように思われるのだが、扱われ方に、「男性不利」のバイアスがあるのではないか。特にセクハラについては、オフィス内の駆け引きにあって、ライバルや敵を陥れる罠に使われることがあるので、特に男性のサラリーマン読者は幾重にも注意されたい。

 少し前に(ソチ五輪の頃だ)、国会議員でかつある競技団体の会長だった女性が、パーティでご贔屓の男性選手に強引にキスをした一件が世間で問題になった事があったが、その後批判はされたものの、議員も会長も辞任には至らなかった。加害者・被害者の男女関係が逆だったら、この程度では収まらなかったのではないだろうか。

 痴漢もセクハラも悪い。このことに異議はない。しかし、その認定と実質的な処罰にあっては、男性が不利になっているのではないだろうか。そして、このことは、実際に罪を犯さない男子に対しても、微妙なプレッシャーをかけている。

 加えて、今日でも多くの組織人の主たる関心事である「出世」にあって、女性を明示的に優遇するケースが多発している。企業では、役員・部長の登用に女性を優遇したり、甚だしきに至っては幹部社員における女性の目標比率を定めたりしている。女性の活用に光が当たる一方で、ここでも男子は、じんわりと圧迫を受けている。

「人事は公平・公正なものである」という建前は、現実には建前に過ぎないことが多いが、これをないがしろにすると組織は澱む。

男子にプレッシャーを与える
大黒柱の呪縛

 社会の制度にも、日本男子へのプレッシャーが見える。

 近年、安倍内閣が目指す女性の参画を巡って、よく話題になる、「103万円の壁」(超えると給与所得控除がなくなる)、「130万円の壁」(国民年金保険料の支払い義務が発生。大企業勤務者は106万円に引き下げの案が審議中)の、いわゆる「壁」問題は、働く女性と、専業主婦との間の有利・不利の問題として語られることが多いが、共稼ぎの妻が「壁」に阻まれてそれ以上に働く意思を持たなくなる場合、家計を同じくする夫も理不尽な不利の被害者だ。

 また、夫が働き、妻が専業主婦で、子供が二人いるような、いかにも昭和な「標準家庭」の想定は、現在の社会保障を考える上ですでに実態に合っていないが、世間が想定する、このような「当たり前の家庭像」は、妻子を養う経済力のない男性に対して「あなたは一人前ではない」という無言のプレッシャーとなっている。そして、こうした男性が結婚に消極的になることが、晩婚化、さらには少子化に拍車を掛けているように思える。

「控除」に関わる制度の周りを見るだけでも、女性間の差別(「差別」と呼ぶに十分な理不尽だろう)、晩婚化、少子化、さらに目立たぬながらも、専業主婦の夫に対する不利や、夫たる男は一家の「大黒柱」たれ、という制度的・世間的なプレッシャーが男子に加わることの問題が見える。

「男らしく(あれ)」と言うのも、「女らしく(あれ)」という発言と同程度に不適切であり、相手の男女を問わずにセクハラでもある、ということは理屈では理解できるとしても、なかなか世間に浸透しない。

「経済力」あるいは「肉体的な強さ」などを持たない「弱い男子」にとって、現在の日本の社会は、ひどく「生きにくい」環境なのではないだろうか。

「男女平等」の追求に
「女性優遇」を使うべきではない

 政府が目指す女性の労働参加を促進する上でも、また家計がいわゆる「ライフ・シフト」、すなわち人間の長寿化に適応していくためにも、夫婦は夫と妻とが分け隔てなく稼ぐ「平等な共稼ぎ」こそを、標準家庭と考えることが望ましい。

「壁」に制約されずに、妻も稼げるだけ稼ぐことは、当面の家計を助けるだけでなく、「現役期間の延長」をサポートするし、夫の就業不能等のリスクに対する「保険」にもなる。

 また、社会的にそうした家庭像を「当たり前」とすることは、専業主婦という今や贅沢品を長期保有する経済的自信を持たない男性へのプレッシャーを緩和することになるだろうし、なにがしか晩婚化・少子化への歯止めともなる可能性がある。

「男は強くあらねばならない」という価値観を社会が緩やかに捨てることが望ましいのではないか。個人的な「好み」として捨てることを強制しなくてもいいが、この価値観を他人に押し付けることは慎むべきだ。

 経済的に、あるいは肉体的に、または精神的に、「弱い男子」に対して社会はもっと優しくあってもいいのではないだろうか。付け加えるなら、若い男子ばかりでなく、経済的にも体力的にも上がり目を失い、異性から好感も持たれない「オヤジ」の多くは、間違いなく「弱者」だ。もっと優しくして欲しい。

 正直に言って、筆者も、レトリックとして「男らしく」といった表現を使ってしまうことがあるが、これは良くない。気を付けねばなるまい。

 もっとも、「弱い男子にも気を遣うべきだ」とする社会が、今よりも居心地のいい社会をもたらすか、単に気を遣う対象が増えて窮屈さを増すだけなのかは、筆者にとっても今一つ定かではない。

 ただし、国立大学が女子学生だけに限った家賃補助を行うことや、人事における女性の優先登用、専業主婦だけを優遇し労働市場を歪めているアンフェアかつ非効率的な各種の控除のようなものは、さっさと止めることがいいに違いあるまい。

「男女平等」の理想を追求するに当たって、一時的にではあっても「女性優遇」を手段として使うことは不純であり、弊害を生む。真っ直ぐ理想を目指すべきだろう。
http://diamond.jp/articles/-/108988

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/145.html

[経世済民116] 埋蔵金と日銀の国債購入で日本の借金は消えるのか?高橋洋一教授に反論!

#財政収支と金融政策の有効性の問題は、その結果としてインフレ率と名目および実質GDP成長率がどう変化するかで決まる。
つまり、出口での統合政府全体の収支は税収増と日銀の債務増のバランスで決まるし、
国民生活は、生産性の上昇と総負担のバランスで決まる。
そこを議論しなければ、意味がない。
つまり高橋洋一も無責任だが、田中も無責任ということ。

DOL特別レポート
2016年11月25日 田中秀明 [明治大学公共政策大学院教授]
埋蔵金と日銀の国債購入で日本の借金は消えるのか?高橋洋一教授に反論!
 11月1日、ダイヤモンド・オンラインに掲載された拙稿「『日本は借金が巨額でも資産があるから大丈夫』という虚構」に対して、嘉悦大学の高橋洋一教授から、「日銀当座預金を民間銀行の『預金』と勘違いする人々へ」(11月3日掲載)と題する反論をいただいた。高橋教授の指摘は経済・財政政策の重要な問題にかかわっており、議論をより深める観点から歓迎したいが、埋蔵金の活用や日銀の国債購入は、政府の債務超過を解消し、財政再建を不要にする「魔法の杖」なのだろうか。

「埋蔵金」の取り崩しで
財政は悪化する


埋蔵金の活用や日銀の国債購入は、政府の債務超過を解消し、財政再建を不要にする「魔法の杖」なのか
 日銀の問題は次に論じることとして、改めて埋蔵金について整理したい。埋蔵金とは、一般に国の特別会計の剰余金や積立金を指す。具体的には、財政投融資特別会計、外国為替資金特別会計、労働保険特別会計などがある。そうした特別会計には、税法で使徒が特定されている目的税や社会保険料などの独自財源などがあり、毎年の歳出と歳入の間で差が生じ、余剰となる場合があるからである(フローで歳入不足となれば、積立金を取り崩す場合もある)。

 高橋教授は、会計に詳しく、埋蔵金を発掘したことで有名になった。その際、高橋教授は、「埋蔵金で債務を返済し、バランスシート(貸借対照表:以下BS)をスリム化すべきである」と主張した(『さらば財務省!』/2008年講談社 P204)。全く正しい指摘であり、異論の余地はない。“I cannot agree more.”だ。BSのスリム化については、当時の小泉政権における政府の政策にも反映された。

 2005年11月に「政府資産・債務改革の基本的な方針」が経済財政諮問会議で決定され、「骨太の方針2006」(経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2006)の2006年7月閣議決定では、原則6「資産圧縮を大胆に進め、バランスシートを縮小する」の中で、「最大限の資産債務の圧縮を進める。資産売却収入は原則として債務の償還に充当し(ストックはストックへ)、債務残高の縮減に貢献する。また、資産債務を両建てで縮減し、金利変動リスクを軽減する」と記述されている。正しいことを提案し、政府の政策に取り入れられたわけで、改めて高く評価したい。

 しかしながら高橋教授は、「埋蔵金で減税や給付金などの景気対策を実施すべきである」とも主張している。「例えば、外国為替資金特別会計と労働保険特別会計の埋蔵金で20兆円を活用すべきである」と述べており(『週刊エコノミスト』/2016年5月3日・10日合併号 P30)、埋蔵金を債務の返済に充当すべきとは言っていない。果たして高橋教授の考えが変わったのだろうか。憶測で恐縮だが、景気対策として埋蔵金を使うことを提案した方が、政治的には意味があるのだろうか。

 埋蔵金の活用や景気対策は、最終的には政府の政策判断に委ねられるが、仮にそうであるとしても、埋蔵金の活用、すなわち資産の取り崩しは財政を悪化させることを、国民に説明しなければならない。簡単なBSで考えてみよう(図表1参照)。

◆図表1:資産の取り崩しと借金の増加


フローでは収支尻が合っても
財政状態は悪化する

 たとえば、資産を1兆円取り崩せば、資産・負債差額は当然ながら1兆円減少する。今度は、逆に国債発行を追加的に1兆円増やせば、これも資産・負債差額が1兆円減少する。つまり埋蔵金の取り崩しは、会計上で見ると国債の新規発行と同じである。

 我々の家計でも同じだ。もし今月の支出が収入を上回るのであれば、まずは貯金を取り崩すだろう。フローでは収支尻が合っていても、当然ながら家計の財政状態は悪化する。

 こうした問題を考えて、ニュージーランドなどの国では、財政規律を維持する観点から、国の資産・負債差額を増やすための数値目標を導入し、資産の売却にタガをはめている。なお、これらの国では、資産・負債差額は日本と異なりプラスである。無駄な資産は売却すればよいが、資産は単に売ればよいというものではない。それは基本的には、公共サービスを提供するためのものであり、資産の売却でフローの赤字を埋めるのは、「創造的会計(creative accounting)」や「会計上のトリック(accounting gimmicks)」としばしば批判されるからだ。

 前の拙稿では、「売却し現金化できる資産は限られ、毎年の赤字額を賄うほどではない」と述べたが、もし埋蔵金はいくらでもあると言うのであれば、現在の財政赤字を賄う規模の資産の取り崩しを提案し、ぜひ実現してほしい。それで消費税などの増税を回避できるのであれば、政権としてもメリットが大きいはずではないか。もっとも本来は、高橋教授が最初に提唱し「骨太方針2006」に記載されたように、埋蔵金活用による収入は毎年の支出に充てるのではなく、借金の返済に充てるべきである。

マネタリーベースとは何か?
日銀当座預金の3つの役割

 それでは、日銀の問題に移ろう。まず、高橋教授が指摘するように、日銀の当座預金が民間銀行の預金とは異なることは認める。ただし、高橋教授が指摘された「発券中央銀行のマネタリーベースは負債といっても、それは無利息、償還期限なしなので、実質的な債務性はない」と言う点については、完全に同意するわけにはいかない。

 そもそも、「『マネタリーベース』とは何か」であるが、日銀のホームページによると、「日本銀行が世の中に直接的に供給するお金」であり、具体的には、「市中に出回っているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と日本銀行当座預金(日銀当座預金)の合計値」となっている。

 そして日本銀行当座預金とは、「日本銀行が取引先の金融機関等から受け入れている当座預金」のことであり、(1)金融機関が他の金融機関や日本銀行、あるいは国と取引を行う場合の決済手段、(2)金融機関が個人や企業に支払う現金通貨の支払準備、(3)準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金という、3つの主な役割を果たしている。

 準備預金制度とは、金融機関に対して「受け入れている預金等の一定比率(これを「準備率」という)以上の金額を日本銀行に預け入れること」を義務付ける制度である。また、日本銀行に当座預金または準備預り金として預け入れなければならない最低金額を、「法定準備預金額」(または所要準備額)という。

 そして、2000年代当初からの金融緩和政策で、金融機関が法定準備預金額を超える「超過準備」を有するに至っている。日銀が金融機関から国債を高い価格で購入しているが、その代金が、金融機関の日銀にある当座預金に積み上がっているのだ。

 さらに、日銀が受け入れる当座預金のうち、超過準備に対して利息(0.1%)を付す制度が、2008年に導入された。これは、簡単にいえば、市場の動向によって変化する銀行間取引金利を、中央銀行が目標とする水準で安定させるための措置である。以前より、イギリス、カナダ、スウェーデン、デンマークなどで導入されている。また、リーマンショック後、バーナンキ氏がアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)議長(2006〜2014年在任)の時代にアメリカでも導入された。

 その後、安倍政権になり、黒田東彦氏が日銀総裁に就任する。黒田総裁はデフレ脱却を目指して、異次元の金融緩和を実施したものの、期限内の目標達成ができなかったため、2016年2月、いわゆる「マイナス金利」を導入した。これは、先ほど説明した日銀の当座預金を3分割して、それぞれにプラス0.1%、ゼロ、マイナス0.1%の金利を付すものである。しかし、これでも、金融機関は貸出をそれほど増やしておらず、むしろ「マイナス」というネガティブな印象を国民に与えている。

マネタリーベースで
日銀の負債はいくらか

 用語の説明が長くなったので、本論に移ろう。最初に高橋教授の反論のポイントを簡単に整理する。前回の拙稿で、「国民の預金が、統合政府ベースの負債に対応している」ことを説明したが、わかりやすく説明したのが図表2である。日銀は大量の国債を保有しているが、それは、金融機関から購入したものであり、その代金は日銀にある金融機関の当座預金(日銀の負債)に計上される。ここで、日銀と国のバランスシートを統合すると、日銀保有の国債(日銀の資産)と国債(国の債務)が相殺されるが、日銀の債務(主に当座預金と銀行券)は残る。

◆図表2:日銀による国債購入の構図


 高橋教授は、「この日銀の債務は、銀行などの債務とは異なり、『債務性』はない」と主張している。日銀の債務は、金融機関の資産に対応しているにもかかわらず、金融機関に返さなくともよいということだ。もしそうであれば、金融機関が保有する国債を全て買い上げれば、当座預金として負債は帳簿上残っても、銀行にそれを返す必要はないので、めでたしめでたしということになる。それはマジックのように見えるが、果たしてそのようなことは可能なのか。

 マネタリーベース(約400兆円)が日銀の負債である。約400兆円の内訳は、(1)銀行券(96兆円)+(2)所要準備(9兆円)+(3)超過準備(270兆円)にほぼ等しい(2016年9月時点)。

 このうち(1)については、実際には日銀の資産と交換することはできず、償還もされないため、返済義務のない負債と見ることは可能である。また、(2)も法律で積み立てが義務付けられていることから、同様に返済義務のない負債と見ることは可能である。ただし、返済義務はないとはいえ、BS上では負債であり、それは究極的には、日本政府の信任にかかっている。

 問題は(3)である。これは、(1)と(2)とは異なり、金融機関の運用手段である。銀行券を必要とする場合は、現金で引き出すことができる。すなわち、日銀に返済義務がある負債だ。しかも、当座預金の大半を占める。ただし、金融機関が今すぐに大量の現金を引き出すことはないだろう。

 先ほど、「当座預金にある超過準備には付利がある」と述べた。高橋教授が「これは誤った政策である」と指摘しているように、異論もある。銀行は日銀に当座預金を積んでおくだけで、0.1%の金利を得ることが可能だからである。この付利が望ましい政策かについては議論がある。もし、この付利をやめれば、銀行はその原資たる家計の預金金利を引き下げざるを得ず、それは実質的な預金課税となる。

 さて、今の状態が永遠に続くという仮定の下では、(3)の超過準備も債務性がないとする高橋教授の主張はぎりぎり成り立つかもしれない。しかし、日銀の目標はデフレ脱却であり、物価上昇率2%を達成することなので、それが永遠に続くと考えることは自らの政策の否定を意味するので、そうした仮定は成り立たないことになる。

 デフレが終焉(物価が上昇)すれば、家計や企業に対する貸出需要が拡大し、金利が上昇するだろう。金利が物価上昇率より低い状態は通常では考えられない(1970年代前半のオイルショックは例外)。そのような場合、金融機関は、付利の金利を引き上げるように日銀に要求するだろう。もし日銀がそれに応じなければ、国民は物価が上昇しているのに低い預金金利を甘受しなければならない。

「タダのランチ」はない
国債購入でどれだけ損をしているか

 金融やBSの技術的な話になったが、「借金一千兆円のまやかし」(『月刊Hanada』/2016年10月号)において、「そもそも、政府と日銀を併せた統合政府ベースで考えれば債務超過ではない」「日銀が国債を買い続ければ財政再建など不要である」といった主張を直感的に信じられるだろうか。そのようなうまい話であれば、世界中ですでに行われているはずであり、ギリシャやアルゼンチンなどは破綻することもなかった。問題の本質は、日銀のBSにある「債務」(当座預金等)ではなく、「資産」である国債である。

 日銀と政府の統合ベースで考えると、先に説明したように、債務は消えるように見えるが、政府は借金を増やしており、それはタダではないのだ。日銀は、高い価格で国債を大量に買っていることを思い出してほしい。前回の拙稿でも説明したが、わかりやすく言えば、額面100円の国債を110円で買っている。これは、満期になっても100円しか戻らないので、その差額は損失となる(国債の表面利率は低いので、利子収入は少ない)。

 岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)は、「日銀が高い価格で国債を買うことで過去3年間ですでに8兆円超の損失が生じている。これを償却するには1年で1兆円程度が必要となる」(ロイター/2016年4月21日)と指摘している。

 この点については、深尾光洋慶大教授も「量的緩和、マイナス金利政策の財政コストと処理方法」(「経済産業研究所RIETI Discussion Paper Series 16-J-032」/2016年3月)で次のように述べている。

「景気刺激策としての金融政策は、財政コストのかからない政策だと考えられている。減税や公共支出拡大は政府赤字を発生させ将来の納税者の負担になるのは明らかであるが、中央銀行は通貨発行益を享受しているうえ、金融政策による国債などのオペは等価交換であるため、政策コストが不要に見える。しかし金融政策はそのやり方によって、巨額の財政負担を発生させる可能性がある」

 高橋教授は「政府の債務である国債と日銀の資産である国債が相殺されるから(そして日銀に残る当座預金は債務性がないから)問題ない」と主張している。図表2は簡略化しているので問題ないように見えるが、実際には日銀が保有する国債の価値が劣化しているのだ(図表3)。要するに、コストである。

◆図表3:日銀が抱える損失リスク


 深尾教授の推計では、もし長短金利が年2%上昇すれば、日銀保有国債の時価の下落により、日銀の損失は51兆円程度になり、それは、国債金利の低下による利払費の減少などによる財政赤字削減効果を打ち消すという。損失が巨額になれば、日銀だけで処理することはできず、まさに統合政府でみたコストになる。

 つまり、政府と日銀の連結で考えれば、現在の日銀の金融緩和は、金利上昇時のコストを押し上げているのだ。これに対して憶測や可能性に過ぎないといった批判もあり得るが、すでに日銀に損失が生じており、ただではないという事実に変わりはない。破裂する爆弾を抱えているような状態だと思うが、少なくともリスクがあることを国民に説明すべきではないか。

気がついたら
致命的なゆでガエル状態に

 この点については、会計検査院も、先日公表した2015年度決算報告において、昔購入した国債は満期まで保有すれば損失は生じないが、最近はマイナスの利回りの国債を購入しており、金融緩和の長期化で、日銀の財務が悪化する旨を指摘している。こうした損失に備えるため、日銀は2015年度に約4500憶円の引当金を積み立てている。これまで日銀は、収益を国庫に納付金という形で納めているが、それが減少することは国民負担だ。

 さらに言えば、金融緩和による金利の低下で、国民の預金の利子収入も失われている。政府・日銀はデフレ脱却に必死になっているが、今のところ、物価で見れば、期待した通りの成果は上がっていない。バブル崩壊から今日まで「失われた20年」と言われる経済の低迷状態が続いている。

 政府は国債を発行し続け、それを国民の貯蓄で賄い、さらに国債は金融機関を通じて日銀が保有する。デフレから脱却するための緊急時の対応としては理解できないわけではないが、この手法に頼り続けることはできない。政府が借金したとしても、それが未来への十分な投資になっているのであればまだよいが、必ずしもそうとは言えない。

 そして、極端な低金利は借金などでは問題ないという風潮を生み(政治的には都合がよいかもしれない)、財政規律を低下させている。民間でも、お金を低い金利で借りることができるので、経営が事実上破綻しているのに、政府や銀行の支援を受けて生き残る「ゾンビ企業」が増える。つまり、政府も民間もずっとぬるま湯につかっていると、気がついたら致命的なゆでガエル状態に陥っているとも言えるのだ。

 日本経済はこうしたゆでガエル状態が続くなかで、徐々に沈んでいる。ハーバード大学の歴史学者であるニーアル・ファーガソンは『劣化国家』(2013年 東洋経済新報社)で日本とアメリカについて触れ、「債務は増大し続けるが、デフレ懸念と中央銀行による国債買入、そして『安全資産への逃避』により、政府の借入コストは歴史的水準にとどまる。このシナリオの問題点は、数十年にわたるゼロ成長が避けられないことにある」と指摘する。目に見えないが、これもコストだ。

 要するに、フリーランチなどないのだ。高橋教授が師と仰ぐバーナンキ前FRB議長の背理法にあるように、「国債をすべて購入してインフレーションが起きないなら、毎年発行される国債を購入して、さらには減税して国債を発行し、それを購入することも可能で、無税国家になれる。そんなことはあり得ない。これは矛盾だから、必ずその前にインフレになる」(小黒一正著『預金封鎖にそなえよ』 /2016年 朝日新聞出版社より引用)と述べている。

国家浮沈のカギは
政治の責任と誠実な会計である

 高橋教授は「埋蔵金や日銀の国債購入で財政再建など不要だ」と述べる。また、「現在の政府の財政再建目標である基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化は社会保障基金を除く『一般政府』(国と地方)を対象としているので、その対象外である財投債(財政投融資を行うための資金調達手段であり、実質的には国債と同じ。財投は国民経済計算上「公企業」に分類される)を増発して景気対策をすればよく、この『抜け穴』を活用すべき」とも主張している(先に引用した『週刊エコノミスト』より)。

 こうした高橋教授の主張を聞いて思い出すのは、ジェイコブ・ソールの『帳簿の世界史』(2015年 文藝春秋)である。この本は、過去700年に及ぶ官民両方の財務会計の歴史をたどりながら、「会計をごまかす者と会計責任を追及する者の間の戦いであった」と指摘する。興味深い点があるので、いくつかを引用する。

「繁栄する社会では、よい会計慣行や商業文化が根付いていただけではなく、それを支える健全な倫理感や文化の枠組みが存在し、会計を無視したり操作したり怠ったりしがちな人間の性癖をうまく抑えていた」

「一国の浮沈のカギを握るのは政治の責任と誠実な会計だった。よい会計慣行が政府の基盤を安定させ、商業と社会を活性化するのに対し、不透明な会計とそれに伴う責任の欠如が金融混乱、金融犯罪、社会不安を招いてきたことは、何度となく歴史が証明している」

「会計責任とは、他人の財貨の管理・運用を委託された者がその結果を報告・説明し、委託者の承認を得る責任を意味する」

「少なくとも財政における一国の成功は、会計が整備され会計責任が果たされること、そのための努力が継続されることに懸っている」

 今の日本こそ、学ぶべき指摘ではないか。

国家債務と株式を交換した
ジョン・ローの失敗の教訓

 同著は、17〜18世紀に、フランスやイギリスが戦費調達のため膨大な債務を抱え、会計上の操作で巨額の債務を償却しようとしたが、結局失敗した問題についても描写している。特に興味深いのは、フランスのブルボン王朝の政治に取り入り、フランス王立銀行の総裁となって、ルイ14世が招いた莫大な財政赤字を帳消しにするスキームを提案したジョン・ロー(1671年スコットランド生まれ)である。彼は稀代の詐欺師と言われた。

 ジョン・ローの話については、北村行伸・一橋大学経済研究所教授が書いた「やさしい経済学・危機・先人に学ぶ:ジョン・ロー」(日本経済新聞/2013年3月5日〜14日掲載)が詳しいので、そのポイントだけを要約する。

 彼は1717年、西方株式会社(ミシシッピ会社)を設立した。1719年にインド会社に改組され、フランスの対外国貿易を独占し、徴税業務、海外植民地経営の権益を獲得した。それより先にローが設立したフランス王立銀行(銀行券を発行できる)と合併した。インド会社は15億リーヴルの銀行券を年3%の利子で国家に貸し、国家はそれを債務償還に充てる一方、インド会社は国家に貸した15億リーヴルを新株(=株式)として発行し、償還金として国家から出た銀行券を回収する、というスキームである。

 すなわち、これは国家の債務とインド会社の株式を交換するものである。インド会社の株式が買われて銀行券の回収が順調に進めばよかった。ところが、株価が急上昇する。これにより、株価が高すぎたことが世間に広く知れわたってしまうと、バブル崩壊となり、株価は暴落したのである。ローの銀行券は、銀貨との兌換性を失っていたことから、余った銀行券は一般物価を押し上げ、結果、年約80%のインフレになったという。

 北村教授は、「ここにローが企てていたインド会社の株式を活用して国家債務の償還を進め、それによって放出された銀行券を回収するというオペレーションは、債務額以上の銀行券を流出させ、それを阻止する手段を完全に失い、完全に失敗した」と結論を述べている。

 また、「ジョン・ローはフランスのルイ15世の治世下、莫大な債務残高に悩む国家に対して、それを軽減して経済発展を促す政策を『経済システム』として売り込み実行に移した人物として異彩を放っている」とも述べる。イギリスでも、政治家のウォルポールが、フランスと同じような仕組みで、貿易独占権と引き換えに民間投資家を利用して、巨額の債務の帳消しに失敗したのである。

類を見ない少子高齢化を
乗り切ることが喫緊の課題

 高橋教授は「政府には徴税権があるから、それを含めれば債務超過ではなく、心配いらない」とも言うが(先に引用した『月刊Hanada』)、それを主張するためには将来の歳出面も考慮する必要がある。

 たとえば、向こう100年間をカバーして、各年度の歳出を差し引いたネットの歳入を推計し、国全体のBSを作成しなければならない。歳出面では、当然ながら社会保障費の増大を見込む必要があり、もし増税しないとすると、ネット歳入はプラスになるだろうか。

 当面、財政の持続可能性は維持できたとしても(国内貯蓄で政府赤字を賄える)、現在の状況を放置すれば、BSの資産負債差額はますます赤字となり、それは世代間の公平性を著しく損なうことを意味する。日本の若者は、世界で最も搾取されている状況だ。

 もとより財政再建が目的ではない。日本にとって最大の課題は、世界に類を見ないスピードで進む少子高齢化を乗り切ることである。

 本稿で社会保障の問題を詳しく論じる余裕はないが、今の社会保障は、一言でいえば「非効率」である(拙著『日本の財政』〈中公新書〉、「矛盾だらけで不公平な年金・医療」〈『週刊エコノミスト』2016年11月15日〉、「社会保障と税の一体改革」〈2011年、一橋大学経済研究所世代間問題研究機構 ディスカッション・ペーパー、CIS-PIE DP No.524〉などを参照)。

 医療・年金への支出については、対GDP比でカナダやオーストラリアを超えてスウェーデン並みの水準となっている。お金を使っているのにもかかわらず、わが国の貧困率や格差は主要先進国の中で非常に高い水準である。比喩的に言えば、貧しい若者が豊かな高齢者を支えている側面が強いからである。それは、「社会保険」と言いながら、大量の一般財源を投入していることが大きい。全ての社会保障制度に投入されている一般財源(税)は、約45兆円(2014年度)であるが、そのうち20%は、(基礎年金制度を通じて)相対的に豊かな人が加入する厚生年金に投入されているのだ。

 これでは、今後消費税をいくら増税しても、砂漠に水を撒くようなものである。年金・医療・介護など、現在の仕組みを維持したままでは、世代間の不公平はますます拡大し、制度は持続可能ではなくなってしまう。社会保障が立ち行かなくなれば、結局困るのは国民である。つまり、経済成長だけでは財政再建はできないのだ。財政再建とは、単に赤字や借金を減らすことではなく、社会保障をはじめとする制度にメスを入れることだ。

債務軽減のために取れる
施策は原則3つに限られる

 さらに、今後一定の成長を維持していくためには、資源を教育や職業訓練などの未来への投資に回す必要があることも忘れてはならない。

 団塊の世代が75歳以上となる後期高齢期に達するのは2025年。この年がしばしば引用されるが、さらに厳しくなるのは、団塊ジュニア(1971年から74年に生まれた第二次ベビーブーム世代)が後期高齢者となる2050年である。国の借金は1000兆円を超えたが、それを全て返済する必要はない。重要なことは、債務がGDP比で持続的に減少することだ。

 先に引用したファーガソンは、著書『劣化国家』で、「現世代の投票者が投票権を持たない子どもたちのお金を際限なく使っており、世代間の不均衡が民主主義の危機になっている」と述べている。それが最も著しいのが日本だ。ファーガソンは、どんな重債務国も、債務軽減のために取れる施策は限られており、原則として次の3つであると述べている。

(1)技術イノベーションの助けを借り、また(場合によっては)賢明な金融刺激策を実施して、成長率を金利以上に押し上げる

(2)公的債務の大部分を不履行にし(デフォルト)、かつ民間債務は破産によって棒引きにする

(3)通貨切り下げとインフレーションで債務を帳消しにする

「だがこの3つのシナリオのうちどれを、またはどの組合せを、どの国がたどるかは、主流のどんな経済理論にも予測できない」とも述べている。

実質的に債務超過ではないので
改革など必要ないと言うのか?

 アベノミクスは、(1)を目指しているようだが、埋蔵金と日銀の国債購入で財政再建を進めるというシナリオであれば、(2)あるいは(3)になるかもしれない。今の成長戦略で技術イノベーションがたくさん興り、高い成長率を実現できるかについては、残念ながらにわかには信じがたい(成長戦略の問題については、拙稿DOL特別レポート「アベノミクス第3の矢・成長戦略を斬る」/2013年6月13日を参照)。

 埋蔵金と日銀の国債購入で問題などなく、コストも発生しないと国民に楽観論を振りまくのか、我々現世代が将来世代のことを考えてリスクに対して真剣に取り組むか、それとも危機が来るのを待つのかが問われている。

 BSは、財務状況を分析するためには有益なツールである。民間企業の財務書類は、何のためにあるのだろうか。当然ながら、会社経営の現状を分析し、将来の経営を考え、リスクをコントロールするためである。そして、それを株主などのステークホルダーに説明するものであり、まさにアカウンタビリティ(説明責任)を果たすことが求められている。国の財務書類も同様で、それをもとに、財務上の問題を分析し、国民に説明するためのものだ。特に、様々な問題とリスクの分析が重要である。

 日本財政の本質的な問題は、社会保障などの問題を真剣に考えて必要な改革を行うととともに、限られた財源の中で、教育など将来に向けてどのように投資するかを考えることである。今度は高橋教授から、社会保障や教育など中身の改革案を傾聴したいと思う。それとも、実質的には債務超過ではないので、改革など必要ないと主張されるのだろうか。

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[経世済民116] トランプ氏にあざ笑われたバンカー、次期政権の政策ににんまり「誰もが幸せそうだ」ゴールドマンサックス出身者らが移行チームに
トランプ氏にあざ笑われたバンカー、次期政権の政策ににんまり「誰もが幸せそうだ」
Max Abelson、Dakin Campbell
2016年11月24日 06:13 JST
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「誰もが幸せそうだ」と大手銀行対象コンサルタント

米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利した後、ウォール街のコンサルタント、オクタビオ・マレンツィ氏は顧客たちの笑顔に気付いた。
  「今までは微笑をみせることすらなかった私の顧客たちがにこにこしている」と大手銀行を顧客に数えるオピマスの創業者のマレンツィ氏が述べた。「私が話す相手は誰もが幸せそうだ」という。
  選挙運動中にトランプ氏は時に、金融業界人を貪欲な犯罪者のように描いて見せた。にもかかわらず、金融業界は選挙後数日内に、トランプ政権への期待を露にした。金融規制緩和やインフラ投資拡大、上位1%の富裕層の減税など、トランプ氏が約束した政策への期待が高まった。
ニューヨーク証取近くのウォール街のビル
ニューヨーク証取近くのウォール街のビル Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
  破産コンサルタントでデベロップメント・スペシャリスツ社長のビル・ブラント・ジュニア氏はクリントン夫妻の友人だが、20分ほどで選挙結果から立ち直った。同氏は2010年の金融規制改革法(ドッド・フランク法)の緩和の可能性に期待している。
  選挙運動中はウォール街を批判していたトランプ氏だが、投票日後の週末前には既に、ゴールドマン・サックス・グループ出身のスティーブン・ムニューチン氏らが移行チームに顔をそろえていた。
原題:Bankers Trump Ridiculed Are Already Embracing Hでis Future Regime(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-23/OH1PA06JIJUU01

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[国際16] 「韓国版トランプ」人気上昇、日本は敵と主張−ポピュリズム台頭 スーパーリッチなあなたは恐らく米国に住んでいる −チャ

「韓国版トランプ」人気上昇、日本は敵と主張−ポピュリズム台頭
Sam Kim
2016年11月25日 13:53 JST 更新日時 2016年11月25日 19:02 JST
李在明氏は城南市市長、大企業解体や北朝鮮指導者との会談望む
次期大統領めぐる世論調査で支持率3位に浮上

韓国の大統領選まであと約1年のタイミングで、ソウルに近い城南市の李在明(イ・ジェミョン)市長の支持率が世論調査で高まっている。ドナルド・トランプ氏を尊敬する李氏は、韓国の大企業解体や、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長との無条件会談、韓国を揺るがせているスキャンダルをめぐる朴槿恵大統領の収監を訴えている。
  李氏(52)は23日、城南市のオフィスでインタビューに応じ、「米国民はトランプ氏を選ぶことで既成勢力を弾劾した。われわれの選挙もこれを反映するだろう」と語った。
  ポピュリズム(大衆迎合主義)が世界に広がる中、李氏は就職難に加え、政治や大企業の腐敗をめぐって怒る国民を味方につけようとしている。韓国ギャラップの25日発表によると、朴大統領の支持率は今週、過去最低の4%に低下。一方、「韓国版トランプ」の愛称が一部支持者から付いた李氏は、過去1週間に公表された次期大統領をめぐる世論調査で3位にこぎつけた。1位は12年の大統領選で次点となった最大野党「共に民主党」の文在寅前代表で2位は国連の潘基文事務総長。李氏は出馬表明しているが、文、潘両氏はそうではない。
  李氏はトランプ氏とは異なり、労働者階級の出身だ。10代の頃に工場の機械に挟まれた左腕は今も曲がったまま。人権派弁護士としての活動を経て10年前に政界入りした。
  外交面では米韓同盟の強化を訴える一方、日本は安全保障上の敵だと見なすべきだと主張する。20世紀前半に朝鮮半島に対して行った侵略に対し、十分な悔悟の念を示してこなかったからだと言う。
原題:‘Korea’s Trump’ Rises in Polls as Voter Anger Fuels Populism (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-25/OH6JQM6TTDS101



スーパーリッチなあなたは恐らく米国に住んでいる−チャート
Zoe Schneeweiss
2016年11月22日 21:39 JST
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iV4UpSczlZEo/v2/1200x-1.png

  クレディ・スイス・グループのグローバル・ウェルス・リポートによると、全世界で約14万900人の成人が、個人資産5000万ドル(約55億4000万円)以上を持つ超富裕層に分類される。その約52%が北米在住で、21%が欧州、中国とインドを除くアジア太平洋地域が13%だという。国別では米国が圧倒的で超富裕層の50%は米国に住んでいる。
原題:If You Are Super Rich, You Probably Live in the U.S.: Chart(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-22/OH1GTY6K50Y101



http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/488.html

[経世済民116] GPIF:運用益2.4兆円、株価底入れと円高頭打ちで−7〜9月期 コアコアCPI0.2%予想上回 TOPIX11連騰円安
GPIF:運用益2.4兆円、株価底入れと円高頭打ちで−7〜9月期
野沢茂樹、北中杏奈
2016年11月25日 15:32 JST
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収益額は2兆3746億円、3四半期ぶりのプラス
自主運用開始からの累積収益、42兆5644億円に持ち直し

世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用収益が、7−9月期に3四半期ぶりのプラスに転じた。国内外の株価底入れの影響が、世界的な金利の下げ止まりや円高の悪影響を上回った。
  GPIFが25日午後に公表した今年度第2四半期(7−9月)の運用状況によると、収益率は1.84%、収益額は2兆3746億円。いずれも今年前半の不振から持ち直した。

GPIF

  資産別の収益率と収益額は国内株式が7.14%と2兆234億円、外国株式も3.65%と1兆455億円とプラスに転じた。前四半期に唯一、運用益を稼いだ国内債券は金利の底打ち(価格は反落)を受け、マイナス1.34%とマイナス6671億円。外国債券も金利上昇と円高を背景にマイナス0.22%とマイナス398億円と低迷した。
  世界経済の見通しや米利上げ観測は7−9月期に明らかな改善には至らなかったが、英国民投票での欧州連合(EU)離脱選択を受けた投資家のリスク回避は徐々に沈静化。円相場は頭打ちとなり、内外株価は底入れした。国内債の利回りはマイナス金利政策下で過去最低を更新した後、日本銀行が一定の上昇を容認するとの観測から反転。GPIFにとっては差し引きプラスの運用環境となった。
  年金特別会計が管理する資金も含めた積立金全体に占める国内債の割合は、9月末に36.15%と2四半期ぶりに過去最低を更新。国内株は21.59%と3四半期ぶりに上昇した。外債は12.51%と4四半期連続で低下。外株は21%と1年半ぶりの低水準となった。短期資産は8.75%と資産構成の見直し以降で最も高かった。
  全体の5%を上限とするインフラ投資やプライベートエクイティ(PE、未公開株)、不動産などのオルタナティブ(代替)投資は0.05%だった。
  GPIFは2014年10月の資産構成見直しで、経済活性化による将来の金利上昇を視野に国内債の目標値を60%から35%に下げ、内外株式は12%ずつから25%ずつに、外債は11%から15%へ引き上げた。5%だった短期資産は各資産に分散して管理。デフレに強い国内債への偏重から、株式と債券が半分ずつで国内資産6割・外貨建て資産4割という分散型に変えた。
  しかし、資産構成の変更が終盤に差し掛かった昨年央から世界的な市場の混乱が相次ぎ発生。内外株や外債の増加が裏目に出て、7−9月期には自主運用の開始以降で最大の運用損を計上した。今年前半は円高・株安がさらに進行。6月末までの1年間にマイナス13兆円超で、資産構成の見直し直前に当たる14年10月からの通算収益も1兆円余りの損失に転じた。今回の運用益でようやくプラス圏に戻った格好だ。
  運用資産は9月末に132兆751億円。過去最高だった昨年6月末の141兆1209億円から6月末に129兆7012億円と資産構成見直し前の14年6月末以来の水準まで減った後、やや盛り返した。前身の年金資金運用基金として自主運用を始めた01年度からの累積収益は42兆5644億円と小幅に増えた。第2次安倍晋三内閣の発足直後に当たる12年末からでは約20兆円の増加となっている。
  高橋則広理事長は説明資料で、運用収益が回復した理由について、原油価格が落ち着きを取り戻したことなどで世界的にリスクオンの動きが広がるとともに、国内では経済対策への期待が高まったと説明した。日本銀行による異次元緩和の総括的な検証と長短金利操作の導入で10年物国債利回りは上昇する一方、為替はほぼ横ばいで推移したと指摘。年金財政に必要な積立金を残すためにしっかりと受託者責任を果たしていくと表明した。
  TOPIXは9月末に1322.78と6月末から6.18%、MSCIコクサイ・インデックスは円換算で2.29%上昇した。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高いマイナス0.085%。7月には0.30%と過去最低を付けたが、日本銀行が超長期債の利回り上昇を容認するとの観測が広がった。米国債の10年物利回りは1.5944%と12bp上昇。円の対ドル相場は1円85銭高い1ドル=101円35銭。四半期末としては14年6月末以来の円高・ドル安水準となった。
  GPIFは今回、3月末に保有していた内外株式の個別銘柄と債券の発行体を開示。国内株で時価総額が最も大きかったのはトヨタ自動車、次いで三菱UFJフィナンシャル・グループ、3位が日本電信電話。外株では米アップルが最大で、マイクロソフト、エクソン・モービルが続いた。国内債の発行体は政府、日本高速道路保有・債務返済機構、地方公共団体金融機構の順。外債は米国、イタリア、フランスの時価総額が大きかった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-25/OH5HB16KLVRB01

 


10月の消費者物価0.4%低下、8カ月連続マイナス−市場予想通り
日高正裕
2016年11月25日 08:38 JST 更新日時 2016年11月25日 16:13 JST

コアコアCPIは0.2%上昇、事前予想を上回る
日銀版コアCPIは午後2時公表

10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は8カ月連続のマイナスとなった。エネルギーの下落幅が縮小した一方で、生鮮食品を除く食料の伸びが鈍化した。
  総務省が25日発表した10月の全国コアCPIは前年比0.4%低下した。マイナス幅は前月(0.5%低下)から縮小した。ブルームバーグがまとめた予想中央値と同じだった。物価の基調を見る上で参考となる食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合、いわゆるコアコアCPIは0.2%上昇で前月(横ばい)から伸びが高まった。事前予想(0.1%上昇)も上回った。
  バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストは18日付のリポートで、コアCPIは0.4%低下を予想。「光熱・水道や交通・通信がマイナス幅を縮小させることでプラス方向に寄与する一方、生鮮食品を除く食料はプラス幅を縮小させることでマイナス方向へと寄与する」とみていた。
  先行指標の東京都区部11月中旬速報はコア指数が0.4%低下と9カ月連続のマイナスとなった。マイナス幅は前月と同じだった。コアコアCPIは横ばいと前月(0.1%上昇)から鈍化した。事前の予想はそれぞれ0.4%低下、横ばいだった。
日銀版コアは今後一段の鈍化も
  日銀は物価の基調を見る上で、独自に公表するエネルギーと生鮮食品を除いたいわゆる日銀版コアCPIを重視している。同日午後公表した10月分は前年比0.3%上昇と、前月(0.2%上昇)より伸びた。上昇幅が拡大したのは今年2月以来、8カ月ぶり。
  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは18日付のリポートで、日銀版コアCPIについて「月次の振れはあるものの、円安効果のはく落と年初から円高が進展していた影響で、基調としては低下しており、11 月および12 月には0.1%まで低下する」とみる。
  その一方で、トランプ氏の米大統領選の勝利後、円安が進行していることや、前年の反動でエネルギーの下落率縮小が続くことから、コアCPIは「年明けには下げ止まり、2月からプラスに転じる」と予想している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-24/OH17M06JIJUT01


 


TOPIX11連騰で1月来高値、円安止まらず輸出買い−午後伸び悩む
関根裕之
2016年11月25日 08:08 JST 更新日時 2016年11月25日 15:52 JST

為替は1ドル=113円台後半、8カ月ぶりの円安水準
日経平均終値は1月4日の年初来高値に一歩届かず

25日の東京株式相場はTOPIXが11営業日続伸し、10カ月半ぶりの高値を更新。為替が一段とドル高・円安に振れ、業績改善期待から自動車や精密機器など輸出株が上げた。金属市況の上昇を受けた非鉄金属株のほか、電力や陸運株も高い。
  TOPIXの終値は前日比4.57ポイント(0.3%)高の1464.53、11連騰は2015年6月の12連騰以来の連続上昇となった。日経平均株価は47円81銭(0.3%)高の1万8381円22銭で、7日続伸は昨年11月の記録に並んだ。
  アストマックス投信の山田拓也シニアファンドマネジャーは、「円安進行で業績下振れリスクが上方修正期待に変わっている。期待が覆されなければ、相場が崩れることはない」と指摘。一方で、米国大統領選後の上昇スピードの速さに警戒感は強い上、足元の急速なドル高を米国が「黙って見過ごすかどうかは疑問」とも話した。
東証内
東証内 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  週末の日本株は1ドル=113円台に入った円安を好感し、輸出セクター中心に買いが先行。TOPIXは午前の取引で一時10ポイント以上上昇、日経平均は149円高の1万8482円と1月4日に付けた終値での年初来高値(1万8450円98銭)を上回った。
  直近発表の経済統計が予想を上回る中、米国が複数回の利上げに耐え得るとの見方が強まっており、きょうのドル・円は一時1ドル=113円90銭と8カ月ぶりのドル高・円安水準に振れた。また、前日のロンドン金属取引所(LME)の銅先物が終値ベースで15年6月以来の高値を付け、非鉄株の上昇に寄与した。
  岡三証券投資戦略部の山本信一シニアストラテジストは、「トランプ次期米政権の通商政策や新興国への影響が懸念された自動車株の反応の鈍さを感じていたが、ここにきて商いも増え、物色が続きそう」と言う。
銀行、不動産株が足引っ張る
  一方、週末で持ち高調整の売りが出たほか、感謝祭後の米国株動向を見極めたいとの姿勢もあり、午後の取引は伸び悩み。銀行、不動産株などインフレセクターが足を引っ張り、TOPIX、日経平均ともマイナス圏で推移する場面もあった。野村証券の佐藤雅彦エクイティ・マーケットアナリストは、「連騰後でいつ下がってもおかしくない状況にある中、40年債の入札が好調だったと伝わって債券が買われ、このところの株から債券への資金の流れが元に戻った」とみていた。財務省がこの日実施した40年債入札は、応札倍率が2.98倍と前回の2.73倍から上昇、最高落札利回りは0.725%と予想の0.77%を下回った。
  また、チャートやテクニカル分析上も目先過熱感が出ている。日経平均と投資家の短期売買コストである25日移動平均線からの乖離(かいり)率は前日時点でプラス5.1%と、過熱圏を示す5%超。東証1部の騰落レシオは、6営業日連続で過熱圏の120%を上回っていた。この日の業種別下落率上位に並んだ銀行、不動産、海運株も、米大統領選後の10日から24日までの上昇率が24%、16%、20%と同期間のTOPIXをアウトパフォームしていた。東証1部の売買高は24億9278万株、売買代金は2兆7225億円。値上がり銘柄数は1030、値下がりは835。

  東証1部33業種は輸送用機器、精密機器、非鉄金属、倉庫・運輸、陸運、電機、その他製品、石油・石炭製品、ゴム製品など22業種が上昇、銀行や不動産、海運、水産・農林、卸売、空運、ガラス・土石製品など11業種は下落。
  売買代金上位ではトヨタ自動車やマツダ、日産自動車、三菱自動車、カシオ計算機、デンソー、川崎重工業、住友化学が高い半面、三菱UFJフィナンシャルグループやソフトバンクグループ、三井住友トラスト・ホールディングスは安く、ドイツ証券が投資判断を下げた三井不動産や住友不動産も売られた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-24/OH64BP6K50Y101


 


きょうの国内市況(11月25日):株式、債券、為替市場
Bloomberg News
2016年11月25日 15:56 JST

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●TOPIX11連騰で1月来高値、円安止まらず輸出買い−午後伸び悩む
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  東京株式相場はTOPIXが11営業日続伸し、10カ月半ぶりの高値を更新。為替が一段とドル高・円安に振れ、業績改善期待から自動車や精密機器など輸出株が上げた。金属市況の上昇を受けた非鉄金属株のほか、電力や陸運株も高い。
  TOPIXの終値は前日比4.57ポイント(0.3%)高の1464.53、11連騰は2015年6月の12連騰以来の連続上昇となった。日経平均株価は47円81銭(0.3%)高の1万8381円22銭で、7日続伸は昨年11月の記録に並んだ。
  アストマックス投信の山田拓也シニアファンドマネジャーは、「円安進行で業績下振れリスクが上方修正期待に変わっている。期待が覆されなければ、相場が崩れることはない」と指摘。一方で、米国大統領選後の上昇スピードの速さに警戒感は強い上、足元の急速なドル高を米国が「黙って見過ごすかどうかは疑問」とも話した。
  東証1部の売買高は24億9278万株、売買代金は2兆7225億円。値上がり銘柄数は1030、値下がりは835。東証1部33業種は輸送用機器、精密機器、非鉄金属、倉庫・運輸、陸運、電機、その他製品、石油・石炭製品、ゴム製品など22業種が上昇、銀行や不動産、海運、水産・農林、卸売、空運、ガラス・土石製品など11業種は下落。
  売買代金上位ではトヨタ自動車やマツダ、日産自動車、三菱自動車、カシオ計算機、デンソー、川崎重工業、住友化学が高い半面、三菱UFJフィナンシャルグループやソフトバンクグループ、三井住友トラスト・ホールディングスは安く、ドイツ証券が投資判断を下げた三井不動産や住友不動産も売られた。
●超長期債が上昇、40年入札順調で買い優勢−長期金利一時低下に転じる
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  債券市場では超長期債相場が上昇。この日実施の40年債入札が順調な結果となり、超長期ゾーンを中心に買い優勢の展開となった。超長期債利回りは入札後に水準を切り下げ、長期金利は9カ月ぶり高水準から一時低下に転じる場面があった。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の344回債利回りは、日本相互証券が公表した前営業日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高い0.035%で開始し、その後は0.045%と2月以来の高水準を付けた。入札結果発表後は一時0.02%まで下げた。
  20年物の158回債利回りは2bp高い0.51%、30年物の52回債利回りは2.5bp高い0.665%、40年物の9回債利回りは2.5bp高い0.79%と、いずれも新発債として前日に付けた3月以来の高水準を更新した。午後に入ると買いが優勢となり、それぞれ0.465%、0.595%、0.71%まで低下した。
  野村証券の中島武信クオンツ・アナリストは、40年債入札結果について、「強かった。0.7%台に利回りが乗って生命保険が買いたい水準にようやく届いた」と指摘。「ショートカバー需要もそこそこあり、月内に超長期ゾーンの日銀買いオペも2回残っていることや月末のエクステンションに伴う需要も相応にあったのではないか」と分析した。
  長期国債先物市場で中心限月12月物は前日比2銭安の150円42銭で開始し、一時150円26銭まで下落した。入札後に水準を切り上げ、150円55銭まで上昇。その後は再びマイナス圏での推移となり、結局7銭安の150円37銭で引けた。
  財務省が午後発表した表面利率0.4%の40年利付国債(9回債)の利回り競争入札の結果によると、最高落札利回りは0.725%と予想中央値の0.77%を下回った。投資家需要の強弱を示す応札倍率は2.98倍と前回の2.73倍を上回った。
●ドル・円が一時114円接近、米利上げ加速観測やリスク選好で3月来高値
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京外国為替市場ではドル・円相場が続伸し、一時3月以来となる1ドル=114円台に迫った。トランプ次期大統領のリフレ政策への期待や米利上げ加速観測を背景にドル高の流れが継続。株価の上昇に伴いリスク選好の円売りも強まった。
  午後3時40分現在のドル・円は前日比0.2%高の113円51銭。朝方は米債利回りの上昇や日本株の上昇を背景にドル買い・円売りが先行、一時113円90銭と3月15日以来の高値を付けた。その後は徐々に上値が重くなり、午後は日本株が急速に伸び悩んだのに伴い、113円台前半まで値を戻す場面もあった。
  三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、「こういう相場なので115円はないのかというと否定できないが、ドル・円はかなりもうオーバーシュートの領域という判断ではある」と指摘。「期待先行のドル高とその相対として円ロング(買い持ち)を取り崩す過程での円の顕著な下げっぷりはそろそろ落ち着いてくるのではないか」と話した。
  ブルームバーグのデータによると、円は主要16通貨全てに対して下落。ユーロ・円相場は一時1ユーロ=120円16銭と英国の欧州連合(EU)離脱ショックで円が急騰した6月24日以来の水準まで円安が進行。豪ドル・円も約7カ月ぶりとなる1豪ドル=84円台後半まで豪ドル買い・円売りが進んだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-25/OH6R6C6S972Z01

 

PIMCO、インフレ連動債の一段の上昇確信−モルガンSは懐疑的
Garfield Reynolds、Wes Goodman
2016年11月25日 09:43 JST

トランプ氏当選が既にあったインフレ期待を加速させたとの認識一致
TIPSが米国債パフォーマンス上回ったのは2012年以来

ドナルド・トランプ氏の米大統領選当選でインフレ期待の上昇に拍車が掛かり、今年に入ってインフレ連動債(TIPS)に賭けてきた投資家は報われている。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は一段の値上がりを予想するが、モルガン・スタンレーはそれほど確信できないでいる。
  既に始まっていたインフレリスク再織り込みの動きをトランプ氏勝利が加速させたとの見方で両社は一致しているが、PIMCOはTIPSの価格がまだ、長期に通常生じる生計費上昇を十分反映した水準に達していないとみている。TIPSのリターンは今年これまでに4.6%と、通常の米国債の1.1%を上回っている。TIPSのパフォーマンスが市場全体よりも優れているのは2012年以来のことだ。

キーセルCIO

  PIMCOのマーク・キーセル最高投資責任者(CIO)は「リフレヘッジへの大転換が起きている」と指摘。「TIPSは一段の値上がりが可能だ」と、今週のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。PIMCOは少なくとも14年以降、TIPS投資を勧めている。

  10年物で比べたTIPSと米国債の利回り格差は今週これまでに1.98ポイントまで開き、約2年ぶりの大きさとなった。このいわゆるブレークイーブンレートは投資家が予想するインフレ率を示す。キーセル氏によれば、同レートは過去10ー20年を基にすればフェアバリューは2.3ないし2.4。このため、TIPS利回りはあと30ー40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下する可能性があるという。
  こうした見方に対し、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントはブレークイーブンレートの四半期ベース上昇が12年1−3月以来の急激さだとして、TIPS相場はピークに近いとみる。同社でグローバル債券担当のCIOを務めるマイケル・クシュマ氏は先週のインタビューで、「TIPSはこれ以上の値上がりが難しい水準にある」と発言。同社は大統領選前からTIPSをオーバーウエートとしており、インフレリスクの上昇が既に意識されていたことに言及した。
原題:Pimco Says TIPS Have Further to Run as Morgan Stanley Sees Peak(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-25/OH67P96JIJUX01

 

債券運用のちょっとした革命か−頭を使った投資への回帰見られる
Marianna Aragao
2016年11月25日 12:34 JST

もっとアクティブになる必要−JPモルガン・アセット
今年1−9月の純流入、アクティブ型がパッシブ型を上回る

債券利回りが今月、天井を突き抜けて上昇する前でさえ、一部の資産運用担当者は戦略を静かにシフトし始めていた。インデックス連動の投資を減らし、もっと頭を使うという根本的な変更だ。
  利回りがマイナスの多くの債券に連動するベンチマーク指数への依存を高めるより、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に従って投資対象を選択するという伝統的な手法に回帰する動きが、このところ見受けられる。
  ニューヨークからチューリヒに至る市場で債券売りが広がり、利回りは大きく上昇したが、ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合指数を構成する投資適格級債の28%は依然として利回りが1%未満だ。
  JPモルガン・アセット・マネジメントなどの投資家は格付けが低めの債券に向かい、利回りがマイナス0.25%のオランダ5年債など、格付けが最上級でもベンチマーク指数を構成しているという理由だけで保有するのは敬遠している。
  同社の投資責任者ニック・ガートサイド氏は「債券運用におけるちょっとした革命だ。ベンチマークに含まれる債券に注目する必要はあるが、利回りがマイナス10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)のドイツ債のバリューは好ましくないだろう。ベンチマークに沿って運用すると決めているなら、利益を出していくという点で今後やっかいだろう。債券運用担当者は少しばかり、もっとアクティブになる必要がある」と述べた。
  こうしたシフトはリスクとボラティリティ(変動性)を高めることになる。ブルームバーグ新興市場総合債券指数は、米大統領選挙後の1週間に3.5%下げ、顕著な値下がりを記録した。
  もちろん、アクティブ運用型ファンドが、手数料低めのパッシブ型ファンドにシェアを奪われているトレンドをひっくり返すことができると断言するには時期尚早だろう。1990年代の初めに一般的となったパッシブ型は2008年の金融危機以後、その勢いを増してきた。
  ただモーニングスターのデータによると、今年1−9月の純流入額はアクティブ運用型債券ファンドについては2190億ドル(約24兆9000億円)と、パッシブ型の1610億ドルを上回った。15年はアクティブ型は12億ドルの純流出だったが、その傾向が反転している。

原題:Bond Managers Get Hands Dirtier as Charm of the Benchmark Fades(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-25/OH6F326JIJW201

 
超長期債が上昇、40年入札順調で買い優勢−長期金利一時低下に転じる
三浦和美、山中英典
2016年11月25日 08:03 JST 更新日時 2016年11月25日 15:22 JST

新発20年債利回り0.465%、30年債0.595%、40年債0.71%まで低下
40年債入札:最高落札利回り予想下回る強い結果、応札倍率上昇

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/if6G35OE9sIo/v2/750x-1.png

債券市場では超長期債相場が上昇。この日実施の40年債入札が順調な結果となり、超長期ゾーンを中心に買い優勢の展開となった。超長期債利回りは入札後に水準を切り下げ、長期金利は9カ月ぶり高水準から一時低下に転じる場面があった。
  25日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の344回債利回りは、日本相互証券が公表した前営業日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高い0.035%で開始し、その後は0.045%と2月以来の高水準を付けた。入札結果発表後は一時0.02%まで下げた。
  20年物の158回債利回りは2bp高い0.51%、30年物の52回債利回りは2.5bp高い0.665%、40年物の9回債利回りは2.5bp高い0.79%と、いずれも新発債として前日に付けた3月以来の高水準を更新した。午後に入ると買いが優勢となり、それぞれ0.465%、0.595%、0.71%まで低下した。

  野村証券の中島武信クオンツ・アナリストは、40年債入札結果について、「強かった。0.7%台に利回りが乗って生命保険が買いたい水準にようやく届いた」と指摘。「ショートカバー需要もそこそこあり、月内に超長期ゾーンの日銀買いオペも2回残っていることや月末のエクステンションに伴う需要も相応にあったのではないか」と分析した。
  長期国債先物市場で中心限月12月物は前日比2銭安の150円42銭で開始し、一時150円26銭まで下落した。入札後に水準を切り上げ、150円55銭まで上昇。その後は再びマイナス圏での推移となり、結局7銭安の150円37銭で引けた。
40年債入札
  財務省が午後発表した表面利率0.4%の40年利付国債(9回債)の利回り競争入札の結果によると、最高落札利回りは0.725%と予想中央値の0.77%を下回った。投資家需要の強弱を示す応札倍率は2.98倍と前回の2.73倍を上回った。
40年債入札結果はこちらをご覧下さい。
黒田日本銀行総裁
黒田日本銀行総裁 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg via Getty Images
  日銀は17日、9カ月半ぶり水準まで利回りが急上昇していた中期ゾーンを対象に、固定利回りで無制限に買い入れる指し値オペを初めて実施した。
  大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、「40年債利回りについては複利で0.8%程度ともなれば、日銀指し値オペも視野に入る。同オペを意識しつつ、目先同水準でのサポート力を見極めるスタンスで臨みたい」とみていた。
  アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長は、中期ゾーンの指し値オペは水準というより、金利上昇の速さをけん制した。長期金利については0%から0.05%のレンジ内であれば静観姿勢を取るのではないか」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-24/OH517I6S972M01

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/173.html

   

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