1. あっしら[623] gqCCwYK1guc 2015年12月14日 04:20:09 : 6tHhNSC4YI : MUbQd@xvBS8[1]
蓮池さんの総括は基本的に正しいと思う。
安倍首相は、日朝国交回復に命をかけなければならない“運命の政治家”として、究極的には一民間人でしかない蓮池さんが行った総括を見捨てることなく、“腹を決めた”対北朝鮮外交に舵を切るべきである。
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蓮池さんの総括は基本的に正しいと思う。
安倍首相は、日朝国交回復に命をかけなければならない“運命の政治家”として、究極的には一民間人でしかない蓮池さんが行った総括を見捨てることなく、“腹を決めた”対北朝鮮外交に舵を切るべきである。
この訴訟で問題になっているのは、法律(民法)の規定が憲法の規定に違背しているかどうかです。
判決の詳細(とくに山浦裁判官の少数意見)は知りませんが、憲法との関係に答えることなく、再婚禁止期間を不要する根拠として技術論でしかないDNA検査を持ち出していることに疑問を持っています。
また、DNA検査そのものも、精度が上がっているとはいえ、親子関係を確定するものではなく確率論的な判断です。
判決は、法理で説明されるべきものです。
裁判所が違憲と判断し法律規定の変更を迫る場合も、立法権は国会にあるのですから、これまでの規定を規定を変更することで生じる問題をどういう規定(方法)でクリアするかは国会に委ねられるべきものです。(親子関係の推定にDNA検査を使うかどうかなど)
ウクライナに制裁を導入する気はない[スプートニク日本語]
2015年12月17日 19:49(アップデート 2015年12月17日 20:30)
ロシアはウクライナに対して何らかの制裁発動は考えていないものの、ウクライナとの自由貿易圏についての合意の効力停止を受け、ウクライナには恩典や特恵はなくなる。プーチン大統領が17日の年次大記者会見で明らかにした。
「我々はウクライナに対して制裁発動など一切行なわないつもりだ。」
プーチン大統領は、「ウクライナはロシアの他のいかなるパートナーよりも劣る条件には置かれることはない。だがもちろん、ウクライナにはロシアとの取引においては2016年1月1日より一切の恩典、特恵が無くなる」と説明している。
プーチン大統領はまた、ロシアはドンバスの義勇軍に対し、ウクライナ南・東部の正常化についてのミンスク合意を無条件で履行するよう働きかける準備があると表明。「私はあなた方に誠実に言うが、我々は紛争激化に関心はない。逆に我々が関心があるのはこの紛争が一刻も早く解決してくれることだ。ただし、ウクライナ南・東部の市民を物理的に撲滅する方法だけはとってはならない。」
http://jp.sputniknews.com/asia/20151218/1341631.html
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/154.html#c1
イラク政府軍 ラマディ中心部でISと激戦[NHK]
12月23日 8時32分
イラクで、過激派組織IS=イスラミックステートが支配してきた都市の完全な奪還に向けて総攻撃に乗り出した政府軍は、街の中心部に入りましたが、IS側の反撃を受け、激しい戦闘が続いています。
イラクの政府軍は、西部アンバール県の拠点都市ラマディを過激派組織ISから完全に奪還するため、22日、総攻撃に乗り出しました。
イラク国営テレビによりますと、政府軍はアメリカ主導の有志連合による空爆の支援を受けながら、ラマディを囲むように流れるユーフラテス川とその支流を渡って、街の中心部に入りました。そして、激しい戦闘で、これまでにISの戦闘員30人余りを殺害しましたが、IS側の車を使った自爆攻撃などによる激しい反撃を受け、政府軍側も10人余りの死者が出ているということです。ラマディは、シリア国境から首都バグダッドに至る幹線道路が通る要衝で、ことし5月以降、ISの支配下に置かれていましたが、今月に入って政府軍が中心部以外の広い地域を取り戻していました。
ただ、ISは中心部で住民をいわゆる「人間の盾」にして立てこもっているということで、政府軍は慎重に作戦を進めなければならず、ラマディ全域の奪還を実現するには時間がかかるとみられています。
有志連合「奪還に時間かかる」
ISに対する軍事作戦を行っている、アメリカ軍主導の有志連合のウォレン報道官は、イラク政府軍によるラマディの奪還作戦について、22日のブリーフィングで、着実に進展し、将来的には完全に奪還できるという見方を示しました。
一方で、数百人とみられるISの戦闘員が抵抗を続ける街の中心部はビルが密集しているうえ、多くのわなが仕掛けられていて、完全な奪還にはまだ時間がかかるという見通しを明らかにしました。また、ウォレン報道官は、イラク政府軍が中部のファルージャでの作戦で回収したISのものとみられる2枚の文書を公開しました。このうち1枚は戦闘員に対する命令書とみられ、撤退する際には政府軍の仕業にみせかけて建物を破壊するとともに、市民を拷問、殺害しビデオで公開して、イラク政府の信頼をおとしめるよう命じています。
また、別の文書は住民にテレビの視聴などを禁止する内容で、ウォレン報道官は、これらの文書からISの焦りが感じられるとして、イラク政府や有志連合の軍事作戦がISを追い詰めているという認識を示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151223/k10010350481000.html
貴殿も読解力に難があるようですね。
問うまでもなく投稿文に「安倍首相は、従米のもと、」と書いていますよ。
また、リベラルという言葉は、好ましいものではなく、安倍首相にふさわしい恥ずべき“罵倒語”だと思っています。
最後に、人への批判手段として、“ネトウヨ”とかのレッテルを貼れば済むものではないと思いますよ。
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/863.html#c3
慰安婦問題25年、外部に噴出していた憎悪がとうとう内部に逆流
励ましといたわりは消え「日本に魂を売った」という激しい非難が始まった
韓国政府の従軍慰安婦問題妥結について、野党代表は「政府は10億円で韓国人の魂を売ってしまった」と言った。彼は本当に「韓国人の魂が日本に売られた」と思っているのだろうか。いや、そうではないだろう。私は野党代表と同じように、今回の妥結内容に同意していない。しかし、尊重はする。何よりも、元慰安婦のためにしてきた韓国人の長年の奮闘が、韓国社会の分裂と反目で締めくくられるのが悲しいからだ。
慰安婦問題が争点に浮上して25年になる。元慰安婦の金学順(キム・ハクスン)さんの歴史的証言が飛び出したのは1991年のことだ。慰安婦問題の解決策を探る過程は、部分と全体を同時に見なければ虚像に執着することになる。92年、日本の首相が初めて謝罪し、93年には日本政府が慰安婦動員の強制性を認めて正式謝罪した河野談話が発表された。盧泰愚(ノ・テウ)政権と金泳三(キム・ヨンサム)政権の成果だった。日本が元慰安婦に謝罪していないと思っている人に、私は河野談話をよく読むよう勧めている。慰安婦問題解決の2つの軸を謝罪と賠償とするなら、そのうち1つは解けたとして前進すべきだった。
この談話以降、韓日慰安婦協議は十数年を経て、李明博(イ・ミョンバク)政権・朴槿恵(パク・クンヘ)政権で再開された。金大中(キム・デジュン)政権と盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は慰安婦問題を外交の争点にしなかった。1998年、「訪日時に慰安婦問題を首脳会談で取り上げてほしい」と元慰安婦たちが要求したが、金大中大統領はこれを受け入れなかった。これについて、与党は今、「あなた方(現野党)は何をしていたのか」と非難する。不当な非難だ。慰安婦問題よりも重要な時代的課題があったからだ。政治とは、その時代の最大の価値を選別して進めていくものだろう。
しかし、慰安婦問題をめぐる次の政権の苦しみは、当時の空白に起因していることも認めなければならない。野党代表はおととい、慰安婦問題に対する盧武鉉政権の業績をアピールした。政府委員会が2005年、「元慰安婦の賠償権は生きている」と確認したことを指している。李明博政権・朴槿恵政権に慰安婦協議の義務を課した11年の憲法裁判所の「不作為違憲決定」は、これを根拠に下された。「政府が被害者賠償のため努力すべき義務を放棄したのは違憲なので実践せよ」というものだ。恥を知るべきだ。決定は11年に下されたが、元慰安婦の違憲訴訟は06年の盧武鉉政権時に起こされている。口先だけで賠償権うんぬんしていて、「不作為」決定を下されたのは野党自身なのだ。
野党は政権をあからさまに非難する前に、1998年に金大中大統領が妥結した韓日漁業協定も思い起こさなければならない。独島(日本名:竹島)沖の中間水域設定に合意したという理由で、「政府は日本の経済協力資金で独島を売ってしまった」と激しく批判された。この批判が不当だと思うなら、「10億円で魂を売ってしまった」という言葉を現政権に浴びせてはならない。現与党も、野党だった当時を思い出して謙虚にならなければならない。当時、「国を売った」と叫んでどれだけ政権を追い込んだことか。お互いかみ付き合っているのだから、そうした言葉通りなら、この国の政界は今「売国奴」だらけということになる。
現政権は歴史を重視しているように見えるが、実は歴史の「思惟(しい=思考)」がないようだ。慰安婦問題解決のもう一つの軸・賠償は、謝罪よりもはるかに難しい問題だ。しかし、難しいからと言ってあきらめることはない。慰安婦賠償要求を元慰安婦たちの片意地程度に考えている人もいるが、そうではない。91年の元慰安婦の証言が大きな反響を呼んだのは偶然ではない。ルワンダやユーゴスラビアの内戦を経て、戦時の女性の性搾取問題が、1990年代の人権運動のテーマとして浮上していたためだ。その後、「慰安婦賠償」は被害者たちと人権活動家たちにより理念として固まった。だが、政府はこうした人々を尊重しなかった。だから、彼らも政府を尊重しない。
ただ、忘れないでいてほしい。慰安婦問題が妥結した日に88歳の元慰安婦女性は言った。 「政府が苦労し、法というものがあるのだから、政府がする通りに従います」。この声は、その後の妥結内容に対する激しい反発の中に埋もれていった。政府の言う通りにしろと言う話ではない。彼らの怒りは十分に理解できる。しかし、元慰安婦たちの言葉通り、「政府が努力した」という事実だけは認めなければならない。
私たちはこれまで、あまりにも多くの憎悪を募らせてきた。相手を理解しようとせず、日本の政治家の一言や、三流メディアの記事の一言に「あら」を探し、怒り、興奮した。怒りを支えに25年間を過ごした今、周囲を見回してみると、韓国のことを理解してくれていた応援団たちは離れていき、内輪もめしている韓国人だけが残っていた。励ましといたわりは消え、怒りだけが逆流している。韓国人の長い長い25年間の奮闘を、このように愚かな形で締めくくるわけにはいかない。
鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/06/2016010601082.html?ent_rank_news
FT編集長 ライオネル・バーバー
2016/1/12 2:00
元米財務長官でオバマ大統領の首席経済顧問やハーバード大学学長を歴任したローレンス・サマーズ氏は、率直な言動と卓越した頭脳で知られる。先進国は成長の鈍い新たな時代に入ったとする「長期停滞論」を早くから積極的に提唱してきた人物でもある。
サマーズ氏は日本について、近代における長期停滞の最初のケースと指摘するが、そこから抜け出す道筋を描く実験室とも評している。その意味で同氏は日本と世界をテーマとしたこのFT・日経共同特集の理想的な対談者の役目を果たす。
■脱・停滞への実験室 改善、しかし未完成
クリスマス直前の長い電話インタビューで、デフレ(あるいは、本人の言うところの「ローフレーション」)を特徴とする世界に関する理論をさらに掘り下げ、日本政府の対応について率直な評価を下すようサマーズ氏に頼んだ。同時に2025年の日本の姿を想像してもらった。
会話は「アベノミクス」から始まった。ご存じの通り、脱デフレに向けて安倍政権が採用した金融、財政、成長戦略の総称だ。3年間の実験――近現代史における金融の大実験の一つと呼ぶ人もいる――を経た後、サマーズ氏はどんな評価を下すのか。
「私なら『インコンプリート(未完成)』という大学教授の古典的な成績評価を与える」と同氏は言う。「日本の状況が改善したことに疑問の余地はない。だが、着実で適切、かつインフレをもたらす成長がしっかり根づいたと確信する根拠はない」
これまでのところ日銀の金融政策は「概して適切」であり予想インフレ率の上昇に寄与した。「政策効果が衰え始めたのではないかと思うが、これ(異次元緩和)を継続しない理由はない」とサマーズ氏は言う。
安倍政権の財政政策については、柄にもなく外交的な態度を見せ「少し矛盾している」と口を濁した。さらに突っ込んで聞くと、2014年4月に消費税を引き上げるのは間違いだと警告したと述べ、「その後起きたことで私の考えを変えたことは何もない」と言う。
アベノミクスのいわゆる「第3の矢」は、税制改革、農業・電力市場の自由化、コーポレートガバナンス(企業統治)の改善を通じて既得権に切り込む構造改革だ。それぞれの改革自体は有益だが、積極性を欠くとサマーズ氏は指摘する。
話題は中国に移った。中国が投資主導の輸出マシンからサービスと国内消費需要を柱とする経済への移行に腐心する中で、日本は中国経済の著しい減速にどれほどもろいのか。
「中国経済の減速は多くの人の想定を超すだろう。だが、日本への影響はコモディティー(商品)生産国ほどではない。日本は商品価格の下落の恩恵を受ける立場にある。世界の他の地域ほど中国で起きることに敏感ではない」
■高齢化の国 活路は「開放」にある
サマーズ氏が懸念するのは、日本の人口動態だ。設備投資や住宅投資が停滞するだけでなく、日本経済全体のダイナミズムを減退させる「重要な」要因だという。
実際問題として何を意味するのか。サマーズ氏は「日本が家電産業や自動車産業で競争力を失った経緯は、人口高齢化と全く無縁ではなかったと私は見ている」と述べたうえで、「高齢化が進むほど、開放的になる道筋を見つけることが重要になるように思う」と付け加える。
ここで移民という微妙な問題に至る。サマーズ氏は慎重に話を進めるが、外国人労働者――それが比較的賃金の低い国から来る労働者であれ、一時的に日本で働く外国人労働者であれ――が日本経済にダイナミズムをもたらすということについては、ほとんど疑問の余地を残さない。
「孤立した日本は一段と後れを取ってしまうのではないか」
この最後のコメント――大西洋をまたぐ電話回線ごしに大声で響いてきた警告――は、最後の質問に移る完璧なきっかけになった。サマーズ氏は2025年の日本をどう見るのか。世界の経済や安全保障、日本自身の政策対応に何が起きるかに大きく左右されるというお決まりの注意事項を口にした後、可能性の高いシナリオを2つ挙げてくれた。
1つ目は相対的に楽観的なものだ。日本の国内総生産(GDP)は年間1%前後で成長する。サマーズ氏いわく、これは1人当たり成長率で2%に相当するという。そして日本は素晴らしく熟練度が高く、規律のとれた労働力を活用し、重要な輸出大国であり続ける。
「新たな太平洋地域社会で日本が極めて重要な役割を果たし、朝鮮半島の統一が成功裏に成し遂げられ、中国との広範な緊張緩和が確立されることも想像できる。バイオテクノロジーがますます長寿化に焦点を合わせるようになるにつれて、日本の高齢化は国家的資産だったという結果になることも想像できる」
もう一つのシナリオはまるで魅力に乏しい。世界経済の出遅れ組から脱することができず、経済的、政治的なプレーヤーとしての日本の影響力が減退していくシナリオだ。このシナリオでは、中国と日本でナショナリズムが強硬になる中、北アジアの地政学が安定性を失っていく。
「次の10年間は日本にとって特に重要になる」とサマーズ氏は言う。「ウィンストン・チャーチルの言葉を借りるなら、我々は皆、アベノミクスが21世紀の日本再生の終わりの始まりですらなく、始まりの終わりであることを願っている」
ローレンス・サマーズ 米ハーバード大教授。米クリントン政権、オバマ政権で財務長官、国家経済会議(NEC)議長などを歴任した。
(c) The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO95908320Y6A100C1M11700/?dg=1
スパイなどでもよくある話だが、対北朝鮮強硬派の筆頭とされている安倍晋三氏は、北朝鮮に足を向けて眠ることが出来ない政治家であり、その弱みを隠すため必死に対北朝鮮強硬言動を繰り返してきた。
今日の衆議院予算委員会の質疑を先取りするように、10日付けの日経新聞は、蓮池透氏の安倍批判を無視したまま、安倍首相の提灯持ち記事を掲載し安倍擁護に奔走している。
そう言いながらも、否応なく火の粉を全身に浴びることになる日朝国交正常化を成し遂げられる政治家は安倍氏以外いないように見えるので、安倍首相には腹を決めて日朝国交正常化を達成しさっさと職を辞してもらいたいと思っている。
ほんとかウソかわからない北朝鮮の「核実験」は、日本(安倍政権)に日朝国交正常化の早期実現を促す“仕掛け花火”なのである。
※ 参照投稿
「首相「私が拉致問題を解決」:北朝鮮に大きな借りがある安倍さんでしか解決できないテーマ」
http://www.asyura2.com/13/senkyo143/msg/381.html
○信じられない人も多いだろうが、米国政権は朝鮮半島の統一を政治課題としている
「元米財務長官ローレンス・サマーズ氏が語るアベノミクス:日本が重要な役割を果たし、朝鮮半島の統一が成し遂げられるとの話も」
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/397.html
○13年6月に起きた田中均元外務審議官との“ケンカ”も外務省による安倍サポートの一環である。
「首相 田中元外務審議官を批判:田中氏の「保守主義と歴史認識:右傾化、日本攻撃の口実に」に対し」
http://www.asyura2.com/13/senkyo149/msg/307.html」
「首相、北朝鮮との交渉記録「2回分ない」 田中氏を改めて批判:この間の田中均批判の意図は何だろね?」
http://www.asyura2.com/13/senkyo150/msg/541.html
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[政 その瞬間]国家の意思として帰さない(02年10月 安倍官房副長官) 拉致、圧力路線で首相動かす
2002年10月15日、北朝鮮による拉致被害者5人が24年ぶりに帰国し、家族らとの再開を果たした。首相、小泉純一郎の電撃訪朝から約1カ月。膠着状態の拉致問題が大きく動いたが、政府は被害者の扱いを巡る新たな問題を抱えた。
帰国したのは日朝首脳会談で北朝鮮が生存を明らかにした地村保志、浜本富貴恵、蓮池薫、奥土祐木子、曽我ひとみ。子どもら家族は北朝鮮に残っていた。あくまで被害者の一時帰国と主張する北朝鮮に対し、被害者を戻すべきかどうかで政府内の意見が割れた。
「誘拐した犯人に被害者を引き渡すのと同じだ」。日本にとどめるべきだと唱えた急先鋒(せんぽう)が官房副長官の安倍晋三。拉致問題に長年携わり、外務省は北朝鮮に融和的すぎると不満を抱いていた。
小泉の訪朝を含む日朝交渉にあたってきた外務省アジア大洋州局長の田中均は「今後の交渉のためにもいったん戻すべきだ」との立場。北朝鮮政策で対話と圧力のどちらに重きを置くかの路線対立でもあった。
10月24日、首相官邸の執務室に小泉、安倍、田中、外相の川口順子らが顔をそろえた。対立がとけず小泉の裁定を仰ぐためだった。
小泉が「本人たちは何と言っているのか」と聞くと、安倍が遮った。「本人たちのせいにしてはいけません。国家の意思として帰さないとすべきです」。北朝鮮に家族を残している以上、自由な意思を示すのは難しいと考えたからだ。
出席者によると、小泉に聞かれた田中は北朝鮮に帰すと約束したわけでないと説明。目をつぶって聞いた小泉は安倍の主張を選んだ。遅れて来た官房長官、福田康夫は決断の瞬間に間に合わなかったという。安倍は被害者の帰郷先を回り経緯を話した。日朝対話は一時途絶えるが04年に小泉再訪朝を経て家族の帰国が実現。安倍は次期リーダー候補として知名度を上げた。
=肩書は当時、敬称略
(中山真)
◆「政 その瞬間」は政治が大きく動いた場面を検証し、象徴する言葉とともに人間模様を描きます。
決断が正義でも、結果出してこそ 井上義行参院議員(元安倍官房副長官秘書官)
井上義行参院議員(元安倍官房副長官秘書官) 世論も最初は被害者を北朝鮮に戻すべきだとの声が多く、戻さない決断をした直後は(安倍氏は)つらい立場に置かれた。正義だったとしても結果を出さないと失敗と判断されるからだ。結果的に家族も取り戻すことができ、正しい決断だったと立証された。だからこそ今の安倍(首相)さんがある。(インタビューを電子版に▼Web刊→紙面連動)
[日経新聞1月10日朝刊P.12]
※ 記事の誤り
「スプートニク日本語」の記事中に重大な誤りがある。
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(誤)「自由民主党副総裁の高村正彦氏は自由法曹団名誉会長として訪露した。」
(正)「自由民主党副総裁の高村正彦氏は自由民主法曹団名誉団長として訪露した。」
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「自由法曹団」は、新安保法制にも違憲論で強く反対する弁護士の集まりであり、共産党支持者が多いとされている。
高村正彦氏は、自民党の顧問弁護士で組織されている「自由民主法曹団」の名誉団長としてロシアを訪れている。
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日本の副総裁がプーチン大統領と安部首相の講和条約締結を望む[スプートニク日本語]
2016年01月12日 07:27
日本とロシアは両国が安部政権とプーチン政権下にある間に可能性を生かして講和条約に調印する必要がある。日本の与党である自由民主党の副総裁、高村正彦氏が月曜日、露下院の憲法・国家建設委員会委員長ヴラジーミル・プリギン氏との会見でこのように述べた。
「第二次世界大戦の終結からすでに70年が経ったが、両国間ではこれまでのところ講和条約が結ばれていない。これは残念なことだ。現在両国にはそれぞれ強いリーダーがいるのだからこの状況を生かして講和条約の締結に力を入れるべきだ」と高村氏は指摘する。彼はまた2012年からすでに12回も二カ国会談が行われている事実を挙げ、プーチン大統領と安部首相の個人的な関係も高く評価していると述べた。プリギン氏は日露対話はいかなる対外的な要素によっても左右されるべきではないと語った。「あなたが日本の議会で対ロ友好的な立場を指導していることを考慮すると、今回の訪問は素晴らしいきっかけとなるでしょう」とプリギン氏は強調した。自由民主党副総裁の高村正彦氏は自由法曹団名誉会長として訪露した。
冒頭に掲げた写真も、古いものではなく新しいものであるはずなのに、ボケボケのものを公開している。
しかも、なんでわざわざ疑義を呼ぶような写真を公開するのか意図は不明だが、写真の男性の身長は170cm近くだが、“エル・チャポ”(ちびのあだ名)は身長が155cmほどという説がある。
脱獄したグスマン受刑者そのものが、本当に「シナロア・カルテル」の最高幹部なのかという疑念はおくとしても、今回拘束された男性は、“エル・チャポ”(グスマン脱獄者)を自由にするための替え玉と思われる。(拘束したことになっているから、外にいる“エル・チャポ”(グスマン受刑者)はもう追われることはない)
グスマン受刑者は、2001年にも脱獄している。それについて、政府の説明では洗濯物台車のなかに隠れて逃げたことになっているが、実際のところは、刑務所長ら当局との共謀によって、警察幹部に付き添われて正門から外に出たことが暴露されている。
刑務所に収監中も、パーティーや女性との関係を満喫していたとされ、麻薬取引も塀の外の親族を通じて継続していたという。
巨額が動く麻薬取引は、メキシコだけでなく米国も、“国家管理商品”であり、その取引を仕切る人物は国家機関とつながっている重要人物とみたほうがいい。
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メキシコ「麻薬王」を拘束 去年刑務所から脱走[NHK]
1月9日 11時46分
メキシコ最大級の麻薬密売組織の最高幹部で「麻薬王」とも呼ばれ、去年刑務所から脱走し、行方が分からなくなっていた男が軍などとの銃撃戦の末拘束されました。
拘束されたのはメキシコ最大級の麻薬密売組織、「シナロア・カルテル」の最高幹部、ホアキン・グスマン受刑者です。
グスマン受刑者は麻薬密売などの罪で収監されていた首都メキシコシティー近郊の刑務所から去年、脱走し、行方が分からなくなっていましたが、北西部のシナロア州で潜伏しているのが見つかり、8日、拘束されました。現地からの報道によりますと、グスマン受刑者は拘束される際、仲間とともに軍などと銃撃戦を繰り広げたということです。
「麻薬王」とも呼ばれるグスマン受刑者は収監されても力を持っていたとみられ、脱走した刑務所には協力者が掘ったとみられるおよそ1.5キロの逃走用のトンネルが残されていました。また、グスマン受刑者は2001年にも当時、収監されていた刑務所から洗濯かごに隠れて脱走していて、刑務所から逃げて拘束されたのは2回目です。
メキシコ政府は刑務所の管理を徹底するとともに、麻薬密売組織の壊滅に向けた取り組みをさらに進める方針です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160109/k10010366071000.html
「麻薬王」拘束 手がかりはショーン・ペン氏の取材[NHK]
1月11日 9時51分
メキシコの刑務所を脱走した「麻薬王」の異名をとる麻薬密売組織の最高幹部が先週、メキシコ国内で拘束されたことについて、欧米の通信社は、アメリカの著名な俳優、ショーン・ペン氏が逃亡中の最高幹部に直接会って取材したのを捜査当局が把握したことが拘束の手がかりになったと伝えました。
メキシコの大規模な麻薬密売組織「シナロア・カルテル」の最高幹部で「麻薬王」の異名をとるホアキン・グスマン受刑者は、去年7月、刑務所から脱走し、逃亡を続けていましたが、今月8日、メキシコ北西部で銃撃戦の末に拘束されました。
アメリカのAP通信などによりますと、今回の拘束は去年10月、逃亡中のグスマン受刑者にアカデミー賞の主演男優賞を受賞したアメリカの俳優、ショーン・ペン氏が直接会って取材したのを捜査当局が把握したことが手がかりになったということです。
アメリカの雑誌「ローリング・ストーン」はホームページ上にペン氏とグスマン受刑者が握手している写真を掲載し、グスマン受刑者は自身の半生の映画化に関心を持っていたと伝えています。
取材にあたってペン氏は、グスマン受刑者と交流のあるメキシコの女優の仲介を受けたということで、メキシコの捜査当局はペン氏やこの女優から事情を聴きたいとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160111/k10010367411000.html
メキシコ当局、脱獄の麻薬王を拘束 急襲作戦で脱獄したメキシコの「麻薬王」が拘束された[CNN]
2016.01.09 Sat posted at 09:58 JST
(CNN) メキシコ当局は8日、同国北西部シナロア州ロスモチスで海軍による急襲作戦を行い、昨年7月にメキシコ市郊外の刑務所を脱獄した「麻薬王」、ホアキン・グスマン受刑者の身柄を再び確保した。
メキシコ捜査当局の高官によれば、作戦を行ったメキシコ海軍隊員らが現地時間同日午前4時30分、グスマン受刑者の身柄を確保。海軍はこの作戦で、同受刑者の仲間5人を殺害、6人を逮捕したとしている。海軍隊員は1人が負傷した。
ペニャニエト大統領はツイッターで、「作戦は完遂した」「彼を捕らえた」と発表。「我が国の組織は今日、市民が信頼できるものであることを改めて示した」などと述べ、同受刑者の再拘束は、政府や司法制度へのメキシコ人の信頼を取り戻すことにつながるとの見方を示した。
グスマン受刑者の脱獄は、メキシコ政府の不手際と腐敗の象徴と多くから目されていただけに、再拘束はメキシコにとって大きな成功を意味する。
グスマン受刑者はメキシコ最大の麻薬組織のトップであり、2度にわたり最高警備レベルの刑務所から脱獄。2度目となる昨年7月の脱獄では、房室に空けた穴から約1.6キロのトンネルを通じ脱出していた。
昨年の脱獄では、大物犯罪者を管理するメキシコ政府の能力をめぐり批判が続出。グスマン受刑者は米国が拘束すべきだったとの声も上がっていた。
捜査当局者は、グスマン受刑者がシナロア州にいたのは驚きではないと指摘。「彼がシナロアにいるとの見方はあった。あそこは彼が身を寄せる場所だ。シナロアでない場所に潜伏していたら驚いただろう」と述べた。
米司法省は以前にもグスマン受刑者の身柄を米国に引き渡すことを求めており、再び引き渡しを要求する可能性もある。
何より、ケルン中央駅前の広場に大勢の人が集まっている映像は独仏英などのニュース番組で流れているのに、集団暴行など不穏な動きを示唆するような映像はただの一つも流れていない。
(ドイツも街中や駅構内に監視カメラが設置されており、証言している女性の内容が事実なら、集団暴行を示唆する映像が一つくらい残っているはずである)
また、大晦日を楽しむために集まっていた人は数として白人系ドイツ人のほうが圧倒的に多く、アラブ系移民希望者が白人系ドイツ人女性を襲うような事態が起きていれば、ドイツ人男性と移民(希望者)系男性とのあいだで集団ケンカが起きていただろう。
酒がつきもののイベントであり、若い男女が集団で騒いでいれば不埒なことが起きても不思議ではないが、それが、政府機関の説明通りのものであったかは今のところ不明である。
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ドイツで女性複数に乱暴 容疑者の中に難民18人[NHK]
1月9日 12時23分
ドイツ西部で大みそかに複数の女性が男たちに乱暴され、容疑者のなかに北アフリカや中東出身とみられる難民18人が含まれていることが分かり、ドイツでは難民政策の見直しを求める声がさらに強まりそうです。
先月31日の大みそかの夜、ドイツ西部、ケルンの中央駅の周辺に集まっていた男たちから、複数の女性が乱暴されたり、財布を奪われたりする被害を受けました。
この事件を捜査しているドイツの連邦警察は8日、地元のメディアに対し、これまでに特定した容疑者31人のうち、18人がドイツで難民申請をしていて、北アフリカや中東の出身とみられることを明らかにしました。
メルケル首相は「恐ろしい事件で、何らかの対応が必要だ」と述べ、事実関係を確認したうえで具体的な対策を検討する考えを示しました。メルケル首相が難民に寛容な政策をとっているドイツには去年、内戦が続くシリアなどから過去最多のおよそ109万人の難民や移民が流入しましたが、今回の事件をきっかけに、難民政策の見直しを求める声がさらに強まりそうです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160109/k10010366111000.html
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ドイツ司法相:ケルン大晦日女性襲撃事件は計画されたものだった[スプートニク日本語]
2016年01月10日 18:07(アップデート 2016年01月10日 22:08)
ドイツのマース司法相は、同国西部ケルンで大晦日に大勢の女性が襲撃された事件について、事前に計画されたものだったとの見方を示した。
1月初旬、ケルン警察には、大晦日の夜に「アフリカ系やアラブ系の外見」をした移民とみられる男たちから性的嫌がらせを受けたとして、約90人の女性から被害届が出された。現在、被害届はすでに350件にのぼり、その数はさらに増え続けている。
伝えられたところによると大晦日の夜、ケルン大聖堂の前に年齢が15歳から35歳くらいまでの およそ1000人の男たちが集まった。目撃者たちの証言によると、酔っ払った移民の集団が女性たちを取り囲み、財布や携帯電話を奪い、止めようとした人たちは、残酷な仕打ちを受けることになると脅迫されたという。
マース司法相は、ドイツの新聞ビルド・アム・ゾンタックに、次のように語った−
「犯罪を行うためにこのような群集が集まる時、それは何らかの形で組織されたものであったりする。これが合意によるもの、あるいは準備されたものだったと私に言える人は誰もない。我々は、このような不快な犯罪の経緯を早急に明らかにしなければならない」。
マース司法相はまた、「群集」による数多くの襲撃が「同じ日」に行わることとなった関係も明らかにする必要があると指摘した。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160110/1417187.html
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ドイツ警察、移民の性的いやがらせに関する訴えを600件あまり受理[スプートニク日本語]
2016年01月11日 17:51
ケルン警察に対する大晦日の夜の襲撃事件に関する届出が516件に上っている。4割が性的いやがらせについて訴えている。AFPが伝えた。また、少なくとも2件の強姦が判明している。
スイスのメディアでも、やはり難民が女性を襲うケースが多数報告されている。フィンランド政府も性犯罪の急増を訴えている。ヘルシンキ市警察のイルッキ・コスケミャキ次長によれば、3万2000人の難民が流入した昨年以前は、公園や街路での性的暴行は未知のものだった。
しかしドイツの実状は、見かけより深刻である可能性さえある。主要タブロイド紙ビルトによれば、社会的な抗議を抑制するために、移民らの犯罪は大々的に発表しないよう、地元警察は命令されているという。
フランクフルト・アム・マイン警察の高官はビルトのインタビューで、「難民の犯した犯罪については報じないよう指導部から厳命を受けている」と述べた。
ケルンでは大晦日の夜、およそ1000人の若者(主に「アラブ系、北アフリカ系の外見をもつ」人々)がケルン大聖堂および中央駅付近の広場に集まり、のち少人数のグループに分散して女性を襲撃したという。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160111/1420157.html
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ケルンでパキスタンとシリアからの移住者に対する襲撃が相次ぐ[スプートニク日本語]
2016年01月11日 21:06
ケルンでパキスタンからの移住者とシリアからの難民に対する襲撃が二件起こった。襲撃による犠牲者も出た。リア・ノーボスチ通信が伝えたところによると、最初の襲撃は20人から成る集団によって行われたということだ。
彼らは六人組のパキスタンに対して殴りかかり、結果として三人に治療が施されることとなった。別の事件では39歳のシリア人が暴行を受け軽傷を負ったと警察に伝えられた。いくつかの情報によると、「人狩り」のスローガンのもとに行われ、これについてロックグループとサッカーファンとの間で了解が取られていたということだ。警察は原因の解明について調査を続けるもこれに関して確認は取れていない。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160111/1421785.html#ixzz3x06yufVL
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独 昨年末に暴行事件起きた町で外国人襲われる[NHK]
1月11日 21時11分
先月、北アフリカからの難民などが暴行事件を起こしたとみられる、ドイツ西部のケルンで、10日、シリア人など複数の外国人が何者かに襲われてけがをし、警察は、極右による難民や移民に対する暴力などへの警戒を強めています。
ドイツ西部、ケルンの警察当局によりますと、10日夜、市内の中央駅の近くで、パキスタン人6人が20人ほどのグループから暴行を受け、このうち2人が病院で手当てを受けました。
また、そのおよそ20分後、今度は39歳のシリア人の男性が5人のグループから暴行を受けてけがをし、警察は傷害の疑いで捜査を始めました。
ケルンでは、先月31日の大みそかの夜、中央駅の周辺で複数の女性が男たちから乱暴されたり財布などを奪われたりする事件が起き、北アフリカの難民などが関わっていたとみられています。
今回の事件の背後関係などは分かっていませんが、地元のメディアは、大みそかの事件のあと、暴走族やサッカーのフーリガンなど極右とみられるグループがフェイスブック上で、ケルン市内で暴力行為を行うことを示し合わせていたと伝えています。
ケルンの警察当局によりますと、大みそかに起きた事件の被害届はこれまでに500件を超えていて、ドイツのデメジエール内相は11日に行った演説の中で、「全く容認できない」と強く非難しました。
警察は、極右による難民や移民に対する暴力などへの警戒を強めています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160111/k10010368041000.html
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ドイツ司法省 性的嫌がらせをした移民を正当化したとしてケルン市長を批判[スプートニク日本語]
2016年01月07日 18:08(アップデート 2016年01月07日 18:56)
ドイツ司法省は、大晦日の夜に女性たちに性的嫌がらせなどを行った移民たちを正当化したとして、同国西部ケルンの市長を批判した。
ハイコ・マース法相は、女性に責任はなく、彼らにつきまとった者たちに責任があると述べ、ケルン市長の発言を否定した。ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。
ケルンのヘンリエッテ・ヘーカー市長は、性的嫌がらせを防止する方法についてドイツの女性たちにアドバイスした。市長によると、女性は見知らぬ人と腕を伸ばした分の距離を保つ必要があるという。また市長は女性たちに、外出時には数人のグループで行動するよう提案した。
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)では、ケルン市長に対して批判の嵐が吹き荒れた。人々は、大晦日の夜に町の中心部にある駅前広場でアラブ諸国や北アフリカ出身の移民たちに襲われた女性たちは、何も悪くないと指摘した。
またケルン市長のほかに警察も批判を浴びた。警察は、職務怠慢として非難された。警察には、性的嫌がらせを受けたとして150件の被害届が出され、女性2人は大晦日の夜に性的暴行を受けたと伝えた。
目撃者の情報によると、女性を襲った約1000人の中には、酒に酔った男たちが大勢いたほか、未成年者も含まれていたという。
男たちは挑発的な行動を取り、地元の人々に爆竹を投げつけたり、集団で女性を襲ったりした。
なおこの事件のあと、ケルン旅行のキャンセルが相次いでいるという。ドイチェ・ヴェレが伝えた。ドイツの旅行会社は、移民がケルンのイメージを大きく損ねたことを認めている。
なおケルン警察は、今回の事件でわずか3人の容疑者しか特定していないうえ、まだ1人も逮捕していない。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160107/1409594.html
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独ケルン大晦日襲撃 女性らが抗議行動[スプートニク日本語]
2016年01月06日 21:42
ドイツ西部ケルンで、移民と思われる集団による襲撃事件を受けて女性たちが抗議を行った。先に約90人の女性が性的嫌がらせなどを受けたとして警察に被害届を出していた。
12月31日の大晦日から1月1日にかけての年越しの際に、ケルン駅の駅前広場やその近くの通りに、年齢が15歳から35歳くらいまでの主にアラブ系とみられるおよそ1000人の男達が集まり、グループに分かれて女性を囲み、財布などを奪ったり、侮辱したり、嫌がらせなどをした。服を剥ぎ取られた女性たちもいた。また少なくとも、1人の女性が性的暴行を受けたという。
現在、数人が拘留されているが、ドイツ司法省は、全ての難民を非難することを控えるよう呼びかけた。現在、調査が行われている。
なおメルケル首相は、ケルンでの大規模な性的犯罪に断固として対応するよう求めた。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160106/1408365.html
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ドイツ、「難民」犯罪相次ぐ 政権は地方選控え対応苦慮
【ベルリン=赤川省吾】2015年の大みそかにドイツ西部のケルンなどで集団での窃盗や女性への暴行があり、独社会を揺るがしている。独に難民として入国した人物がからんでいるとみられるからだ。7日には隣国フランスのパリでテロ未遂事件も起こした。3月に地方選を控える独与党は犯罪者を厳しく処断する一方、寛容な難民政策は温存する構えだ。だが国民の不安を解消できるかどうかは不透明で、メルケル首相の政策運営は波乱含みとなってきた。
「犯罪者には厳しい態度で臨む。どう法改正すべきか具体策を連立与党で協議する」。9日、メルケル氏は語った。
政権を支えるのは同氏が率いる保守系のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と、中道左派の社会民主党(SPD)の二大政党。犯罪にかかわった難民を強制送還したり、警察の取り締まりを強めたりすることを話し合う見通しだ。
背景にあるのは、国民のあいだで急浮上した治安悪化への不安だ。15年の大みそかにはケルンの駅前に泥酔した中東・北アフリカの出身者ら約1000人が集まり、通りがかりの女性から金品を奪ったり、性的な嫌がらせをしたりした。
「俺はメルケル首相に招かれてシリアから来た。手荒く扱うな」。そう警官に食ってかかった容疑者もいたと独メディアは報じる。ハンブルクやフランクフルトといったほかの独の都市でも同様の騒ぎがあった。
7日にはドイツに難民として入国していた男がパリの警察署を襲撃し、射殺された。難民の受け入れに積極的だった与党にとっては「不都合な事実」。それゆえメルケル氏は犯罪者を厳しく処断するとのメッセージを出す必要に迫られた。
だが、いまのところ難民政策を根底から見直すつもりはないようだ。
「ドイツは難民を引き受ける責務がある」。9日、メルケル氏は保守系陣営の会合で発言したとされる。難民の引き受け人数に上限を設け、国境を封鎖すべきだとの声は党内にもある。しかしメルケル氏は耳を貸さず、強硬策を避けている。
複雑なドイツの国民感情と、3月の地方選を控えた冷徹な政治上の計算が見え隠れする。
一連の事件を受け、民族主義的な右派政党「ドイツのための選択肢」には追い風が吹く。その半面、治安悪化は心配だが、難民・移民排斥という極論に独社会が傾くのは好ましくないと受け止める有権者も多い。
右派の票を狙って寛容な難民政策を放棄すれば、大票田であるリベラル派の票を失いかねない――。そう保守系与党の執行部は考える。
直近の公共放送ARDの世論調査では、下降気味だったメルケル首相の人気は下げ止まった。保守系与党の支持率は39%と、リベラル系のSPD(24%)や緑の党(11%)に大差をつける。綱渡りの戦略が成功するか。有権者の審判はひとまず3月13日に下る。
[日経新聞1月12日朝刊P.5]
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フィンランドの難民は公共の場所で女性に乱暴を行っている[スプートニク日本語]
2016年01月10日 21:47(アップデート 2016年01月10日 22:08)
フィンランド警察は難民の大勢流入で性的犯罪が増えていると指摘する。ヘルシンキ市警察次長イルッキ・コスケミャキ氏は、2015年までフィンランドでは公共の場所で女性を襲うような野蛮さは御目にかからなかった、と述べた。
「女性が頻繁に性的いやがらせを受け、それにつきまといがともなうなどは、フィンランドにとって新しい現象だ。男が女のすぐあとをついて行き、接吻し、最悪の場合それよりもっとひどいことをするなどは」。フィンランドのマスコミが報じた。警察は、犯罪の目撃者は犯人を外国人として描き出しており、それが危惧を呼んでいる、と指摘する。
ドイツのケルンと違い、フィンランドでは大晦日の夜に暴行が行われることは阻止された。ヘルシンキの地下鉄道駅に1000人ほどの移民が集まったが事前に警告を受けた警察が適時に現場に到着した。警察の警備強化にもかかわらず、この夜、3件の暴行ケースが認められた。
昨年フィンランドには3万2000人の難民が到着。これは一昨年前の10倍だ。
イラクで、武装グループがショッピングモールを襲撃するなど、テロ事件が3件相次ぎ、合わせて30人以上が死亡し、支配地域を奪われた過激派組織IS=イスラミックステートが襲撃やテロを繰り返しているとみられています。
イラクの治安当局によりますと、首都バグダッドで11日、武装グループがショッピングモールの入口で車を爆発させたあと、建物の中に押し入り、銃を乱射したうえ、一時、客を人質を取って立てこもりました。
駆けつけた治安部隊が、銃撃戦の末、武装グループの4人を射殺しましたが、買い物客と治安部隊の隊員合わせて8人が死亡し、20人がけがをしました。
現場はイスラム教シーア派の住民が多く住む地区で、この事件について、過激派組織ISがインターネット上に声明を出し、「われわれの戦闘員がシーア派の集まる場所を攻撃した」として犯行を認めました。
バグダッドでは、さらに、市場の近くに止まっていた車が爆発して3人が死亡したほか、バグダッドに隣接するディヤラ県でも市場の中に止まっていた車が爆発したうえ、爆発物を身につけた何者かが自爆して20人が死亡しました。
イラクでは、政府軍が先月、西部アンバール県の主要都市ラマディをISから奪還したあと、ISが各地で襲撃やテロを繰り返しているとみられ、イラク政府は警戒を強めています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160112/k10010368331000.html
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/813.html
「プーチン大統領「今後も最新兵器使用」:プーチン氏、サウジのサルマン国防相(副皇太子)と会談、IS撲滅を共通の目標に」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/173.html
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[エコノミスト]サウジ副皇太子が描く青写真
長年、サウジアラビアは生気がないように見られてきた。莫大な石油の富と米国の力を後ろ盾に、国内を平穏に保つと同時に、近隣諸国ににらみを利かせてきた結果だ。だが、今や石油価格は急落し、米国が中東での指導的立場から身を引こうとしている。こうしたなか、サウジの権力は新世代――特にサルマン国王のお気に入りの息子のムハンマド副皇太子(30)――に移った。砂漠の王国は、変革の嵐によって目覚めようとしているかのようだ。
国営石油会社の株式公開検討
サウジアラビアは1月2日、47人の処刑を執行した。大半はアルカイダと関係のあるテロリストだったが、サウジ王家に批判的だった著名なシーア派聖職者も含まれていた。これに対する抗議として、イランの首都テヘランにあるサウジ大使館が放火されると、サウジはイランとの外交関係や通商関係を断絶し、航空便も停止した。
サウジは、これとは別の強硬策も見せる。ムハンマド副皇太子が、これまで閉ざされてきたサウジの経済と政府を開放する青写真を策定したのだ。ここには、国営石油会社サウジアラムコの株式公開の可能性も含まれているという。それは、サウジ王家の存亡を左右し、アラブ世界の未来を変えることにもなる。
2014年に1バレル110ドルだった原油価格が、今や35ドル弱まで急落している。歳入の90%を石油に依存する政府にとって、原油安は時限爆弾のようなものだ。財政赤字は昨年、国内総生産(GDP)比15%にも膨れ上がった。
1990年代に原油価格が下落した時、サウジは多額の借り入れを行った。2000年代は、好調だった中国経済によって救われた。しかし、今回の原油安については、サウジの支配層を含め、原油価格が3ケタに戻ると考えている人などいない。それどころか、支配層は自国経済の変革の必要性を知っている。ムハンマド副皇太子は1月初旬に本誌(エコノミスト)の取材に応じ、サウジの抜本的な再設計ともいえる改革の青写真を描いてみせた。
最初に取り組むのは、財政再建だ。たとえ原油安が続いたとしても、今後5年間で財政赤字を解消するのが目標だ。そぐべきぜい肉はたくさんある。しかし、これは危険の多い作業でもある。税金をとらず、オイルマネーによって教育や医療の無償提供に加え、電力、水道、住宅の料金などを手厚く賄ってきた国のシステムを解体することを意味するからだ。
15年は、最後の数カ月間の支出を削減したことで、財政赤字がGDP比の20%超に跳ね上がるのを食い止めた。16年の予算には、ガソリン、電力、水道料金の大幅な値上げが含まれている(ただ、多額の補助金が出る状況に変わりはない)。ムハンマド副皇太子は5%の付加価値税、糖分の多い飲料やたばこに対する悪行税、空閑地に対する課税などの新税の導入も確約している。
税金や補助金の改革は初めの一歩にすぎない。サウジ国民の約7割は30歳未満で、労働者の3分の2は政府が雇用している。30年までに労働人口が2倍に増えると予想されている。今の国家が統制する経済の仕組みを一新し、産業の多角化や民間企業の振興により、マーケット主導の効率性を導入しないかぎり、この国の繁栄はない。
航空や通信含め民営化を模索
政府は必要最低限の分野を除き、医療・教育から国有企業に至るまで、民営化や民間による公共サービスの提供の可能性を模索している。民間が提供する医療制度の創設計画もある。航空会社や通信会社、電力会社など20以上の政府機関や国有企業について、完全に、もしくは部分的に民営化できないかを検討している。
ただ、こうした青写真は実現するのだろうか。言うのは簡単だが、障害もある。サウジは以前も改革を約束し、結局はできなかった。この国の資本市場は脆弱で、官僚の能力はそれ以上に乏しい。若者や石油以外の産業、観光インフラなどに対する投資は必要だが、投資家がサウジの将来を信じられない限り、投資というものは実現しない。その信頼を築くのは難しい。
理由の一つは、ギリシャ並みの緊縮財政が困難で国民に不人気だからだ。国として国民に手厚い公共サービスを提供してきたのは、政治的な権利を与えていないことの埋め合わせでもある。支出削減を国民が受け入れるには、ある種のガス抜きが必要だが、こうした対策に政府は消極的だ。最近、女性が(ほぼ無力な)地方議会に出馬や投票することが許されたが、それはすでに亡くなった前国王のアイデアだ。
サウジは宗教的な専制主義を和らげる気はなさそうだ。ムハンマド副皇太子は、女性の運転禁止といった問題について保守的な聖職者らと戦う意志はほとんどない。
地政学も問題を複雑にしている。イランが拡大主義を強めるにつれて、サウジはスンニ派の擁護者として介入した。自国やバーレーンなどスンニ派が支配する国のシーア派不満分子のほか、イエメンのシーア派武装組織「フーシ」、シリアのアサド大統領など、イランの支援を受けているシーア派勢力と対峙してきた。
周辺国刺激は経済繁栄損なう
サウジは、地域の安定のためにはテロリストにメッセージを送る必要があると主張する(それゆえの処刑というわけだ)。サウジに言わせれば、イランはペルシャ帝国の再構築に躍起になっており、それに抵抗し、自国の利益を守らねばならないのだという。だが、この議論は誤っている。サウジは宗派対立している片方のリーダーになってしまうリスクがある。
イエメンでの戦争は泥沼と化している。サウジからのエジプトや他のスンニ派同盟国に対する支援は枯渇気味だ。サウジの国防と安全保障に対する支出は、政府支出の25%以上を占めており、今後、縮小していく国家予算のより大きなシェアを占めるようになる。地域の緊張関係は、民間投資を妨げることにもつながる。混乱に陥った地域の経済に、いったい誰が巨額な金をつぎ込むのか。
政府は、国内外での大胆な行為が「強いサウジ」の象徴だと考えているようだ。しかし、強硬な外交姿勢は国民には受けがいいかもしれないが、それによって周辺国を刺激したり、国内の社会改革を阻害することにつながったりすれば、経済的な繁栄はない。ムハンマド副皇太子が、国を破壊するのではなく、再構築したいというのであれば、そのことをよく理解する必要がある。
(1月9日号)
英エコノミスト誌の記事を翻訳し、火曜付で掲載します。電子版▼ビジネスリーダー→グローバル→The Economist
[日経新聞1月12日朝刊P.4]
この先太ってしまうのだろうか、髪はどうなる、重い病気には――。将来の自分の健康状態を予測し、生活改善などにいかす遺伝子検査。手間や費用負担は比較的軽く、利用が広がりつつある。ただ検査の質などを不安視する声もあり、政府は法規制に向けた作業部会を立ち上げた。これを警戒する企業側は独自の認証制度を始める計画で、検査のあり方を巡って議論が活発化している。
「どうしてこんなに低いんだろう」。東京都の中村岳さん(35)は昨年4月、自らの遺伝子検査の結果が示されたパソコン画面に見入った。驚いたのは「85歳まで生きられる可能性」の項目。日本人では1%しかいない「可能性が低い」に分類された。
中村さんはオンライン英会話サービス「レアジョブ」の社長。健康不安があっては経営に影響が出かねない。
ただよく見ると、この項目の信頼性は3段階で最も低い「1」だった。検査結果は欧州人のデータに基づく推測のため、日本人にどこまで当てはまるかは不明だ。数カ月後には最新の研究を反映し、結果も更新。生きる可能性は「やや低い」へと改善されていた。
料金は1万円から
遺伝子検査はインターネットで1万〜3万円ほどの検査キットを注文し、所定の容器に唾液を入れ、送り返すという手順が一般的。病気や体質のリスクが統計的に判定され、数週間後にはネット上で確認できる。糖尿病やがんなどの発症しやすさや太りやすさなど項目は数百に及ぶ。
ヤフーやディー・エヌ・エー(DeNA)などが参入、手軽さから人気を集めている。調査会社の富士経済の推計では2015年の国内市場は44億円と、前年から8割も増えた。
現状では遺伝子検査ビジネスに規制はなく、各社は自由に参入できる。仮に検査や分析の技術に乏しい会社が低価格だけを売り物に利用客を集めたとしても、排除する仕組みはない。
「日本は無法地帯じゃないか」。昨年2月の厚生労働省の審議会。委員から法規制を求める声が相次いだ。これを踏まえて同省は検査の質を担保するための規制を検討中だ。
11月には経済産業省や文部科学省などとともに医療や法律の専門家らによる作業部会を設置。設備や人員、作業手順が基準を満たした施設だけに検査を認める仕組みを想定して具体化を進め、来年の通常国会への関連法案提出を目指す。
企業側はこうした動きを懸念している。手掛ける企業は資本力が小さいベンチャーが多く、規制が市場成長の上での重荷になるとみているためだ。
独自の認定制度も
業界団体「個人遺伝情報取扱協議会」(東京・渋谷)は規制に先んじて昨年10月、独自の認定制度を立ち上げると発表した。▽検査施設を明記する▽分析結果に論文などの科学的根拠を記す▽利用者にわかりやすく説明する――などの基準を満たした企業に、今年4月にも認定マークを付与する。「優良サービスを選ぶ手掛かりにしてもらい、制度が定着すれば法規制は不要ではないか」(幹部)
政府内でも意見は分かれている。産業の育成を目指す経産省は「現状、具体的なトラブルは発生していない」(生物化学産業課)と規制に慎重だ。厚労省の「問題が起きてからでは遅い」(幹部)という姿勢との隔たりは大きい。
遺伝子検査で判断されるのは遠い将来のリスク。解析手法の専門性も高く、利用者は結果を受け取ってもどこまで正確なのか、すぐ評価することは難しい。
世界的に遺伝子に関する研究は進んでいる。ただ北里大学の高田史男教授(臨床遺伝医学)は「遺伝子と病気や体質との関係は未解明のものも多い。さらに罹患(りかん)リスクなどは生活習慣によっても大きく左右される」と指摘する。そうした前提なしに利用者が検査結果を受け止めると、結婚や出産、仕事を進める上での判断などに影響する可能性がある。
企業の自主的な認証制度によって、検査ビジネスの信頼性は高まっていくかどうか。それが難しければ法規制の流れが強まることになりそうだ。
(山崎純)
医師の関与必須・差別を禁止 欧米、法整備進む
フォームの終わり
海外では米国などがすでに、遺伝子検査に対する法規制を設けている。厚生労働省研究班の調査によると、米国では遺伝子検査キットは医療機器にあたるため、連邦政府の承認が必要。13州では同検査事業を手掛けることを禁止している。ドイツやフランスでは医師など専門職の関与を求めており、企業のみでは事実上、事業を行えない。
利用者の不安に配慮して、検査の前後にカウンセリングを義務付けているのも海外の法規制の特徴だ。独仏のほか、オーストリアなどでは医師などが相談に応じる。
企業に対し、遺伝子検査の情報に基づく差別を禁止している国も少なくない。米国、独、仏などでは企業の採用や保険加入の判断で遺伝子情報を使うことを原則禁じている。ただ独では生命保険で30万ユーロ、年金保険で年3万ユーロを超える大型契約に限ると、既に行われた遺伝子検査の情報提供を求めることが許されている。
[日経新聞1月10日朝刊P.15]
18歳選挙権が実現し、安全保障関連法に反対する大学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」の活躍が目立った2015年。そう書くと、昨年は、若者による民主主義にとって大きな前進の1年であったように思える。とはいえ、本当にそう言い切れるのか。判断を下すためには、今年の展開を見てみる必要があるだろう。
今夏の参院選からさっそく18歳選挙権が施行される。とはいえ、年代別に見た場合、20代の投票率はけっして高くない。近年の国政選挙においても、30%台と低空飛行を続けている。ただでさえ数の少ない若年層が投票に行かないならば、ますますその声は政治に届きにくくなる。
SEALDsについても、真価が問われるのは今年である。昨夏の盛り上がりが瞬間風速に終わり、その後の活動がしりすぼみとなるならば、歴史の1つのエピソードとなってしまうかもしれない。学生を主体とする運動だけに、学業や就職活動が大切なのは言うまでもないが、今後どうすれば持続的に活動を続けていけるかが問われている。
●素朴な問題意識
若者と民主主義について考える上で、ヒントになりそうな本がある。まずは高橋源一郎/SEALDs著『民主主義ってなんだ?』(河出書房新社・15年)である。SEALDsのメンバーと作家の高橋源一郎による座談会は、SEALDsの活動がどのようにして始まり、彼らが何を考えているかをよく示している。
間違いないのは、SEALDsの活動が一朝一夕に生まれたものではないことだ。政治に対する素朴な問題意識をもった若者たちが、ぶつかりながらも、ユーモアと現代の若者らしいセンスをもって成長してきた結果が、この組織である。彼らの言葉には、独特な説得力と魅力がある。
「民主主義が終わっているなら、始めればいい」など、最たるものだろう。高みに立って民主主義を批判したり、逆に絶望のあまり「民主主義は終わった」と口にしたりする人は少なくない。これに対し、「また始めればいい」と言える感性がまずいい。民主主義は単なる制度ではない。人々が日々始めるのが民主主義だということを思い出させてくれる言葉である。
キャッチフレーズも、複数形の主語で「我々は平和を愛し」と声をあげるのではなく、「俺はムカついている」というように個人的な思いとして示す方がいい、という指摘も面白い。立憲主義の重要性を説く場合も、「テーブルの上で語るだけではなく、そのテーブル自体が何かも考えないといけない」という比喩が斬新である。
SEALDsの活動は教条的な原理から出発したものではない。何が真理かはわからないが、とりあえず素朴な疑問や危機感から出発し、試行錯誤のなかで、自らの言葉と活動を磨いていく。必ずしも一枚岩の運動ではないが、異なる立場を許容しつつ、多様な信念を実践のなかで検証していく。これはまさにプラグマティズムのスタイルといえる。
●哲学からの発見
近年あらためて注目を集めているプラグマティズムの思想について、若い世代の研究者による絶好の本が出た。大賀祐樹著『希望の思想 プラグマティズム入門』(筑摩書房・15年)は、しばしば思想なき実用主義として理解されるこの思想が、むしろ異なる信念の対立を乗り越えようとした、若き哲学者たちの生んだ思索の結果であることを教えてくれる。
南北戦争はアメリカ史上、もっとも悲惨な内戦であった。そこで傷ついた若者たちが、それでも自らの信念をもって行動していこうとしたとき、独善性を排し、あくまで現実の活動を通じて信念を問い直していくことを説いたのがプラグマティズムである。それは「生き方としての民主主義」を説く希望の思想であるという本書の主張は説得的である。
もちろん、国会前での運動だけが民主主義ではない。多くの若者はむしろ、自室やカフェにおいて、携帯電話やスマホに向かって自分の思いをぶつけているのかもしれない。それもまた民主主義であろう。
ネット上にちらばった多様な言葉やデータのなかにこそ、人々の民意が存在する。ルソーの思想を、現在のIT(情報技術)社会と結びつけて論じた東浩紀著『一般意志2.0』(講談社・11年)の問題提起は、いまだに新鮮である。
若者と民主主義は日々、進化しているのかもしれない。その行方を考える上で、これらの本はいずれも読んでおいて損はないはずだ。
[日経新聞1月10日朝刊P.19]
2016年の世界が最も注目するニュースが11月8日の米大統領選挙であることは論をまたない。民主、共和両党の候補者がどんな組み合わせの対決になるにせよ、外交政策の焦点は、中東、ロシア、中国などだろう。
このうち日本が最も深い関心を持つ対中政策には米政治に一種の公理めいたものがある。どの政権も選挙中は中国に厳しく、政権に就けば現実的対応に変わる点である。
典型的だったのが01年に発足したブッシュ政権だった。選挙中は中国を「戦略的競争相手」と警戒し、政権末期の08年8月8日には、中国の人権状況に絡めた米国内の批判を承知で北京五輪開会式に参加した。
例外はオバマ政権だった。08年の選挙中のオバマ氏は「中国も含めた包括的なアジア安保体制」を志向した。日米同盟の相対化であり、共和党のマケイン候補は日米同盟を「アジア外交の中核」に据えていた。
中国に対しては「世界の課題解決により責任ある立場をとるべきだ」と、責任ある行動に期待する言い方をしていた。これらの政策の「対中融和度」を考えれば、70程度だったろうか。この点ですでにオバマ政権は異質であり、公理を覆していた。
政権に就いてからも、中国が主張する新型大国関係論に反論せず、融和度は90以上になった。しかし15年10月27日、逆方向に再び公理を覆す。イージス艦「ラッセン」が南シナ海で中国が建設した人工島から12カイリの領海と主張する海域を航行した。融和度は40程度に落ちた。
だが、日本の月刊誌が形成する外交論壇では懐疑的な意見が目立つ。「中央公論」の1月号(以下同じ)で外交評論家の佐藤優氏は、米艦は国際法で認められる無害通航をしただけであり、「なんらかの明示的、もしくは合意があったうえでの行動」と述べた。
評論家の桜井よしこ氏も「正論」で「一番望ましい形の進入は、中国が、自分の領海だと主張している十二海里の海域に進んで、そこで軍事行動、軍事訓練をすること」とする。それがなかったから「既に負けている現状」と、厳しい。
一方、「Voice」は、矢板明夫産経新聞北京総局長の「外洋拡張路線の挫折」を掲載した。副題には「米軍と爆撃機の派遣により傷ついた習主席の権威」とある。中国の敗北、米国の勝利との見立てだ。
矢板氏の意図を離れ、これはオバマ大統領に対する褒め殺しになる。狙いは小欄でも何回かとりあげてきた尖閣諸島の領有権である。立場をとらないとする米国の態度を変更させ、日本領と認めさせるには、いまが好機であり、それにはオバマ氏に対する褒め殺しが効果的だからだ。
1970年代初め、米国が尖閣領有権で立場をとらないとしたのは、北京政府ではなく、当時国交のあった台湾への配慮だった。15年の中台首脳会談をみれば、国民党はもはや北京に近い。国民党への配慮は無用である。
では対中配慮か。融和度がすでに40まで下がっているとすれば、仮に尖閣問題で30に下がっても大差はない。冷戦時代の米ソ関係もそうだったが、2つの大国に世界を共同管理する意識がある時、直接衝突は寸止めで避けられてきた。
尖閣でオバマ政権が日本の領有権を認めれば、日米間の不信のとげは抜け、対中抑止力も増す。中国は米国との軍事衝突を選べないから、米国は失うものはない。それはオバマ政権が歴史に残すレガシー(遺産)として輝く。
(特別編集委員 伊奈久喜)
[日経新聞1月10日朝刊P.2]
化学及血清療法研究所(熊本市、化血研)が国の承認と異なる方法で血液製剤などを製造していたとして、厚生労働省は8日、医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき110日間の業務停止処分を出した。だが、製品の7割超は代替品が無いとの理由で引き続き出荷が認められた。異例の「厳罰」も骨抜きになり、寡占状態の業界のひずみが浮き彫りになった。
厚労省によると、業務停止処分の期間は18日から5月6日まで。国の検査をすり抜けるための隠蔽工作を組織的に長期間続けていた点などを重くみて、同法に基づく処分では過去最長の期間とした。製薬会社に対する行政処分としては最も重いという。
製造・販売などを禁じる業務停止の対象は本来、血液製剤やワクチンなど計35製品となるが、このうちインフルエンザワクチンなど計27製品については代替品がなく医療現場への影響が大きいとして処分期間中も出荷が認められた。
薬害エイズ訴訟大阪原告団の花井十伍代表は「代替品が無いとはいえ、この処分内容ではペナルティーになっていない」と批判。「販売価格を減額するなど、化血研が本当に反省するよう国はより厳しい罰則を検討すべきだ」と話す。
化血研の第三者委員会は昨年12月に公表した報告書で、業界の寡占状態による「おごり」が不正の一因になったと指摘。厚労省は14日に外部有識者を交えた作業部会の初会合を開き、血液製剤とワクチンの製造業界のあり方について議論を始める。
ただ、国内メーカーが3法人に限られる血液製剤は、安定供給のために国が製造量や原料となる献血の配分量も決めている「閉鎖的」な業界。関係者によると、製造が難しく利益も出にくいとされ参入障壁は高いという。
ワクチンについても、製法が特異なことなどから主要なメーカーは6法人にとどまり、同様の構図となっている。
業界の事情に詳しい室井一男・自治医科大教授は「製品の安全性確保や安定供給などの面を考えると、すぐに寡占状態を解消するのは難しいだろう」と説明。「抜き打ち検査を積極的に導入するなど、国は既存業者が不正を働かないよう厳しく監視していく責任がある」としている。
◇
化血研が強い毒性を持つボツリヌス毒素を無届けで運んでいた問題で、厚労省は8日、定期的な病原体の運搬訓練など、5点の改善を指示した。
同省によると、化血研は2007〜15年に4回、感染症法で定められた熊本県公安委員会への届け出を怠り、ボツリヌス毒素を県内の事業所間で運んでいた。
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「組織の抜本的見直し検討」 化血研理事長
化学及血清療法研究所の宮本誠二理事長は8日、厚生労働省による業務停止処分を受けて同省内で記者会見し、「医薬品企業として、あるべきことではないことをした」と深々と頭を下げて謝罪した。
塩崎恭久厚労相は同日の記者会見で「(今の)化血研という組織のままで製造・販売することはない。結論を110日間の間に出してもらう」と述べ、他社との経営統合や事業譲渡も含めた抜本的な体制の見直しを求めた。
厚労相の発言について宮本理事長は「そういうことも含めて検討を進めている」と話した。
化血研は今回の問題を受け昨年12月、宮本理事長ら全理事9人の辞任や降格処分を発表した。宮本理事長は後任が決まるまでは現職にとどまる。
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化学及血清療法研究所の概要
化学及血清療法研究所 一般財団法人の薬品メーカー。旧熊本医科大(現熊本大医学部)に開設された研究所を母体とし、1945年に設立された。血液製剤の売上高の国内シェアは2位で、各種ワクチンも高いシェアを占める。薬害エイズ訴訟の被告の一つで、96年に原告と和解した。昨年3月期の売上高は約475億円。
[日経新聞1月9日朝刊P.38]
「韓国、日本大使館前の「慰安婦」像撤去が検討:慰安婦問題を再燃させたのは第一次政権時代の安倍首相発言」
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/685.html
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記事入力 : 2016/01/11 08:08
慰安婦合意:米紙「米国、中国台頭・北朝鮮の核挑発けん制のため圧力」
米ワシントン・ポストが報道
米紙ワシントン・ポストが、米高官の話として「米国は、中国の台頭や北朝鮮の核による軍事挑発をけん制するため、韓日間の従軍慰安婦問題合意に圧力をかけた」と10日(現地時間)、報道した。
これは、アントニー・J・ブリンケン米国務副長官が同紙に対し、「米国が慰安婦問題の解決を促したのは、単に米国の2つの友邦が仲良くすることを望んでいるからではなく、戦略的に重要だったからだ」と語ったものだ。米国はアジア・太平洋地域で軍事的・経済的に急成長している中国の影響力を抑制し、北朝鮮の核挑発などをけん制するには、韓国と日本の関係改善が不可欠だったということだ。
米国家安保会議(NSC)のベン・ローズ安保副補佐官も「慰安婦問題はアジア・太平洋地域の主要同盟国である韓国と日本の長年にわたる緊張の根源だ。このため、オバマ大統領はこの数年間、韓国と日本の首脳に会うたび、ほぼ毎回この問題を取り上げてきた」と語った。同紙は昨年のハーグ核セキュリティ・サミットで行われた韓米日3カ国首脳会議が重要な転機になったとしている。この会議に出席したダニエル・ラッセル国務次官補は当時、「象徴的にも政治的にも両国首脳が心を一つにできる問題に焦点を当てられる基盤を作った」と同紙に語った。
ワシントン=ユン・ジョンホ特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/11/2016011100568.html
日本の最高裁は先月、民法750条「夫婦同姓の原則」について、夫婦が同じ姓を名乗ることは日本社会に定着しているとして合憲だと判断した。原告団は「姓を変えることがもし簡単なのなら、なぜ大部分の男性が変えないのか。現行制度は実質的に、姓を変えたくないなら結婚するなと、女性に言っているのと同じことだ」と主張していたが、認められなかった。
最高裁は立法府での議論を促した形だが、自民党の野田聖子・前総務会長は「党内で議論させてもらえない。党内で反対する側は『家族の絆が壊れる』と合理的に議論できないものをぶつけてくるので議論ができない。」と述べている。つまり姓とは反対派にとって家族の絆の象徴なのである。しかしこれでは、なぜ夫婦同姓の日本で離婚が増えているかは説明できない。2016年元旦に厚労省が発表した人口動態統計によれば、2015年の離婚件数は推定で22万5000組と、前年より増加し、2分20秒に一組が離婚している計算になる。
1984年から活動している市民団体「夫婦別姓選択制をすすめる会」事務局の小境範子(こざかい・のりこ)氏は最高裁判決を受け「姓を残したいという切実な思いがあり、決まったパートナーがいても婚姻届を出していない会員が多いですね。当会は50代、60代のメンバーが中心ですが、80代の会員もいます。会員のうち1割は男性です。この問題は私の世代で終わるものかと思っていましたがまだまだ長引きそうで、今回の判決にがっかりしています。しかし選択の幅を広げるということで世論に柔軟性が出てきましたし、別姓選択容認の報道が多くなってきたのはありがたいと感じています」と話している。
ロシアの例をご紹介しよう。実はロシアでは、姓も名前も父称も自分の意思で変更できる。14歳以上に達していれば、希望するタイミングで申請することができる。つまり改姓と結婚とは法律上、何の関係もないのだ。申請に必要なものは申請書と1600ルーブル(現在のレートで約2500円)の手数料、パスポートや出生証明書などの書類である。父称とは父親の名前から作るミドル・ネームのようなものだ。例えばプーチン大統領のフルネーム(名字・名前・父称)はプーチン・ヴラジーミル・ヴラジーミロヴィチとなる。つまりプーチン大統領の父親もヴラジーミルという名前であることがわかる。
もちろんロシア人でもいろいろな人がいる。若くても伝統にのっとり、結婚と同時に夫の姓を名乗る場合も多い。モスクワの大学院生、23歳のマルガリータさんは最近結婚して、フローロワという姓から、ダローシキナに改姓した。この姓はダローガ(ロシア語で道路という意味)という単語に由来するものである。マルガリータさんは「フローロワという姓は響きも綺麗で気に入っていたし、ダローシキナは正直、道路をイメージするので好きじゃありませんが、それでも夫の姓に変えることに決めました。これは私自身の選択です。日本の制度は夫婦どちらかに改姓を強要するもので、選択の自由がないという点でよくありません。どんな姓を名乗りたいかは自分で決めることだと思います。」と述べている。また、年金生活者のナタリヤさんは40年前、成人したことをきっかけに、母方の祖母の姓を名乗ることにした。その後結婚したが、姓は現在に至るまでそのままだ。姓の変更は彼女にとって、成人したことの証明のようなものだった。起業や転職、転居など人生の大きな節目で心機一転し、新しい名前にあやかって強運や良縁を手に入れたいと願う人々が、改姓・改名をするというわけだ。
日本では夫婦別姓の批判材料のひとつとして「夫婦別姓を選択した場合、親子で姓が違うのはいかがなものか、ましてや兄弟が別々の姓でいることは悪影響がある」という言説が囁かれるが、もちろんこれはロシアでは問題にならない。たとえ出生の際に親が兄弟の姓を統一したとしても、後から自分で変えられるからである。兄弟で異なる姓をもつ著名人といえば、映画監督のアンドレイとニキータだ。兄アンドレイは詩人である母の姓コンチャロフスキーを、弟ニキータは作家である父の姓ミハルコフを名乗っている。2人の父、セルゲイ・ミハルコフはロシア国歌の作詞をした人物だ。
このようにロシアの人々の姓、名前全体に対するアプローチは非常に多様であり、世代や性別によって縛られるものでもない。また、姓と家族の絆を同じ土俵で考えることもない。
ナチス・ドイツの総統だったヒトラーの著書「わが闘争」の著作権が消滅したことに伴い、ドイツの現代史研究所が、戦後初めて、ドイツ国内で批判的な解説をつけた「わが闘争」の出版に踏み切りましたが、ユダヤ人団体が懸念を示すなど大きな議論となっています。
ヒトラーの著書「わが闘争」は、ドイツ民族の優越性や極端な反ユダヤ主義を主張してユダヤ人の大量虐殺の思想的な根拠となったことから、ヒトラーの死後、本の著作権を引き継いだ南部バイエルン州は、戦後一貫して国内での出版を禁止してきました。
しかし、ヒトラーの死から70年となった去年末で本の著作権が消滅し、地元の公立の現代史研究所は8日、批判的な解説をつけた「わが闘争」の出版に踏み切りました。出版された本は2巻からなり、ページ数で原版を上回る学術的な解説がつけられていて、現代史研究所はまず、およそ4000冊を出版するとしています。
研究所は記者会見で、「ナチズムや人種差別主義について批判的な解説をつけた本の出版は社会のために必要だ」と述べて、出版の意義を強調しました。
一方、去年100万人を超える難民や移民が到着したドイツでは難民の受け入れ施設が相次いで放火されるなど排他的な動きも活発化しています。ユダヤ人の団体は本の出版は排他主義をあおることになりかねないとして懸念を示すなど大きな議論となっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160109/k10010365971000.html
インドにあるチベット亡命政府のトップが来日して記者会見し、中国国内のチベットの人たちが暮らす地域で住民への監視が強化されたり、焼身自殺が相次いだりしているとして、対話を通じた問題の解決を呼びかけました。
チベット亡命政府は、中国から逃れたチベット仏教の最高指導者のダライ・ラマ14世が1959年インドに樹立したもので、亡命政府トップのロブサン・センゲ首相が4年ぶりに来日し9日、東京・文京区の護国寺で記者会見を行いました。
センゲ氏は中国国内のチベットの人たちが暮らす地域で、住民に特別なIDカードの携帯が義務づけられて監視が強まっているほか、民族政策が抑圧的だとして僧や学生らの抗議活動が相次ぎ、焼身自殺を図った人が143人に上ると主張しました。そのうえで「中国の指導者が理性的なら対話を通じて問題を解決するべきだと分かるはずだ」と述べ、中国政府に対して、2010年から途絶えているチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世との対話を再開するよう呼びかけました。
センゲ氏は13日まで滞在し国会議員と面会するなどして、中国政府に対して、対話の再開を働きかけるよう求めることにしています。
一方、中国政府はダライ・ラマ14世らが中国からの独立を目指しているとして、対話に応じていません。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160109/k10010366541000.html
大ヒット映画「スターウォーズ」の生みの親、映画監督のジョージ・ルーカス氏は、チャーリー・ローズ氏のインタビューを受けた中で、創作の自由のなさについて不平を述べた。この記事は、新聞The Wall Street Journalに掲載された。
インタビューの中で、ルーカス監督は、次のように発言したー
「我々が生きている世界、そして我々が自分で自身のために創り出した産業システムの中では、金を失うことは許されない。だから、ある一定の映画を撮るよう強いられる。私は、まだソ連時代に『あなたは。米国で生活していることが嬉しくないのか』と質問されたが、そう聞いてくる人たちに対して常に、私は多くのロシアの映画監督を知っているが、彼らのほうが私よりずっと自由だ、と答えたものだ。彼らにとって必要なのは、政府から批判を受けないよう十分注意深くする事だけで、そうすれば、好きなものを撮る事ができた。」
なお新聞は、ブリストル大学の研究者、ビルギット・ボイマース氏の著書『ロシア映画の歴史』の一部を、こうしたルーカス監督の意見に反論するものとして引用している。
彼女の著作の中では、1967 年から1982年までのソ連のブレジネフ時代、所謂「停滞」の時期のソ連・ロシア映画の映画監督は、一般大衆に受け入れられない自分達の表現方法のために困難を経験し、そのシンボリズムが、時の政治課題に反する可能性がある事で、つらい目にあった、と述べられている。
※関連投稿
「ドイツで女性複数に乱暴 容疑者の中に難民18人:政府機関の説明と女性数名の証言だけで事実は “藪の中”」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/316.html
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メルケル首相:欧州は難民を管理できない[スプートニク日本語]
2016年01月12日 22:44
マインツで開催されたビジネス・フォーラムでドイツのメルケル首相は、欧州当局は移民危機をめぐる状況をしかるべき形で管理できる状態にはない、と述べた。英紙デイリー・メールが報じた。
「難民が欧州に流入するという問題に突如直面した。見ての通り、我々は脆弱だ。現状では、望ましい形の管理体制が整っていないからだ」と首相。
メルケル首相はまた、欧州の通貨をめぐる状況は、EU内の移動の自由と直接的に結びついている、とした。
「国境をほぼ障害なしに通過できる可能性のない統一通貨などを持つ事ができるなどという素振りは見せないほうがよい」と首相。さもなければ欧州の統一市場は「大きく損なわれる」という。首相は、ドイツは自由移動の擁護を是とするべきだ、と主張した。
メルケル首相の移民政策はドイツ国民の間で、およびEU全域で、大きな疑問を呼んでいる。
大晦日の夜、新年を祝うケルンの中心部で、ドイツ市民が移民・難民に集団で襲われる事件が発生した。
米国の最大手投資銀行5行は昨年第3四半期から利益が落ちていたが、この傾向はこの先3ヶ月続く見込み。
クレディ・スイスの評価では、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、シティグループの損失額は、総計80億ドルとなる。昨四半期からは15%の縮小となる数字だ。
原油価格下落と中国からの否定的な情報で、投資が旺盛に行なわれなくなっている。サウジアラビアと北朝鮮の政治的緊張も、投資には向かい風となっている。
一部の銀行は、最終四半期の収益についても、暗鬱な予測を示している。ドイッチェ・バンクによれば、JPモルガンは、前四半期比で16%の減収という成績を反映した報告を最初に提出する。アナリストらは、純益は昨年比で5%縮小する、と予測している。
モルガン・スタンレーは投資部門の社員を全体の4分の1にあたる470人削減する計画を発表。2008年以降は大手銀行で人員削減が相次ぎ、たとえばシティグループは、2008–2012年の期間だけで75000人を解雇した。
問題は、エネルギー資源部門その他、多額の負債を抱えた部門からの損失が、金利マージンによる純益で補填されるかどうかという点だ。もしそうならなければ、各行はさらなる損失を出すことになる。
「韓国財閥が大慌て、「このままでは潰れる!」」
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/231.html
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記事入力 : 2016/01/11 08:54
韓国大企業の4割、利払い困難の「準破綻企業」
韓国の20大グループの系列企業で利払いすら難しい状態の「準破綻企業」が10社中4社に上ることが明らかになった。大企業の経営者が限界状態の系列会社を思い切って整理できずにいるため、準破綻企業の割合は毎年上昇している。
産業研究院(KIET)のハ・ジュン副研究委員は10日、企業の構造調整を訴える報告書を発表し、20大グループ(政府系企業を除く)の系列企業750社余りのうち業績が公表されている400社を分析した結果、営業利益で借入金の利払いをどれだけ余裕を持って行えるかを示すインタレスト・カバレッジレシオが100%未満で準破綻企業と見なされる企業の割合が2014年現在で37.0%だったことを明らかにした。同割合は2010年の25.6%から年々上昇している。ハ研究委員は「インタレスト・カバレッジレシオが100%未満というのは、営業活動でもうけた資金で利払いを賄えないことを意味する」と説明した。
一方、「健全企業」の割合は低下している。健全企業とはインタレスト・カバレッジ・レシオが100%以上の企業で、負債比率が低下しており、増収を確保している企業を指す。健全企業は04年の42.8%から14年には23.8%へと減少した。
準破綻企業の増加は、大企業の経営者がタイムリーな構造調整に踏みきれなかったことが要因とされる。熊津、STX、東洋など最近経営問題が浮上した大企業グループの場合、オーナーが経営権を失うのを恐れ、構造調整の適期を逃したという共通点がある。
ハ研究委員は「韓国経済で大企業が占める割合を考えると、破綻系列企業に対する思い切った先手の構造調整が求められる」と呼びかけた。
崔賢黙(チェ・ヒョンムク)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/11/2016011100714.html
経団連の調査で、従業員への賃上げの半分近くが社会保険料の増加で打ち消され、給与の手取り額が伸び悩んでいることが分かった。2014年度の年収ベースの平均給与額は2年前に比べて11万円強増えた一方、保険料負担も5万円強増加した。経団連は企業や家計に過度の負担を課さないよう政府に社会保障制度改革の断行を求めていく。
安倍晋三政権は14年度から企業の積極的な賃上げを求め始めた。従業員500人以上の企業を対象とした今回の調査では、14年度の1人あたりの現金給与総額は563万7千円となり、民主党政権下の12年度に比べ11万4千円増えた。ただ高齢化に伴う医療や介護、年金などの保険料負担も同じ時期に5万2千円増加した。経団連は手取り額は6万2千円の増加にとどまったと分析した。
経団連は今月19日に、労使交渉に向けた経営側の指針「経労委報告」を公表する。この中でも「企業がコントロールできない社会保険料負担の高まりで総額人件費が増加し、経済の好循環実現の支障になる」などと強調する。
[日経新聞1月11日朝刊P.3]
「2人目を産めるか産めないか」「2人目を産むべきか産まざるべきか」「2人目の出産後どうすべきか」。全国で2人目の出産が全面的に解禁となった後、このような話題をめぐり、ネット上で熱い議論が交わされている。今年初めに2人目の出産が全面解禁となり、出産育児政策の条件を満たす多くのカップルが、2人目の出産について考えるようになった。だが、出産・育児への願望の背後で、どの家庭も、経済的負担、キャリアに対する影響、2人目を育てる体力・気力の不足などの実際的な問題に直面している。中国新聞網が報じた。
〇2人目を切望する「90後」の若夫婦、障害は「高い育児コスト」
2人目出産の全面解禁政策は、福建に住む「90後(1990年代生まれ)」鄭潔さん(女性)にとって耳よりなニュースだった。もうすぐ4歳になる子供は、ようやく手がかからなくなった。彼女にとって、2人目を産む大きなチャンスがやってきたのだ。だが、産むことはた易いが育てることは難しい。世帯収入が月1万元(約18万円)に満たない鄭さんの家庭では、高い育児コストが、夫婦に2人目を持つ二の足を踏ませている。
あるネットユーザーが、「北漂族(北京に出てきて奮闘する地方出身者)」にとって必要な育児コストについて試算したことがあった。両親と子供1人の3人家族の場合、妊娠から子供から大学を卒業するまでの、最も基本的な費用の基準によって推定すると、ほぼ40万元あまり(約720万円)必要という結果が出た。
中・小都市の場合、育児コストは北京ほど高くはない。だが、細かく計算すると、かなり高額に上ることが予想される。鄭さんが自分で計算したところ、故郷でも、「育児コスト」は20万元から30万元(約360万円から540万円)かかることが分かった。
〇慌てて妊娠準備にとりかかる「80後」:心配は職業キャリアに悪影響が及ぶこと
2人目出産の全面解禁後、「80後(1980年代生まれ)」は、2人目出産を実行に移す主力軍となったように見える。
2人目出産後、実際生じる経済上の問題をめぐる心配を抱える「90後」に比べ、「80後」の若い人々は、職業キャリアもある程度積んでおり、かなりの経済力を備えている点では問題はない。だが、2人目出産について、「80後」にもそれなりの憂慮がある。
上海に住む1984年生まれの盧雲さん(女性)は、妊娠の準備にあわただしく過ごしている。彼女自身、2人目の子供はそれほど欲しいと思っていないが、夫の希望と6歳になる息子のことを考えると、2人目出産解禁というチャンスをみすみす逃せない。とはいえ、実際に妊娠すれば、自分の職業キャリアにマイナス影響が及ぶのではないかと心配している。
「妊娠から哺乳期間を考えると、2年間は仕事を休んだ後、職場にカムバックすることになるだろう。これでは、私が出張に出て取引先と面談するような仕事ができなくなり、上司はおそらく後任者を指名することは避けられない」と彼女は話した。
〇2人目を諦めてはいない「70後」:体力・気力不足が心配
「90後」や「80後」と異なり、1978年生まれの林然さんが、2人目出産で最も心配しているのは、自分自身の体力と気力だ。
今年38歳になる林さんは、「高齢妊婦」になる覚悟ができている。林さんと夫はともに教員で、これまでは、政策で禁止されていたため、2人目を産むことなど考えたこともなかった。2人目出産が全面解禁された今、本当はずっともう一人子供を産みたいと思っていた林さんに、2人目が欲しいという強い願望が生まれた。
林さんは、「医学が発達した今では、高齢妊婦の出産をめぐる安全面での問題については、それほど心配していない。だから、もう一人産むことを決めた」と話した。
林さんの夫・陳易さんは、「だが、我々夫婦が直視しなければならない他の問題もある。私たちはすでに38歳、もう一人子供を育てるとなると、その子が中学・高校に通う頃には、50歳を迎える。その頃に、まだ子供を養うための余力が残っているかどうかは、はなはだ心もとない」と憂慮の念を示した。(編集KM)
「人民網日本語版」2016年1月11日
今年も前年を上回る賃上げへの期待が高まるなか、春の労使交渉が始まる。だが出だしから肩すかしを食った感がある。自動車、電機などの産業別労働組合から成る金属労協が決めた賃金改善(ベースアップに相当)の要求方針は、2015年の「月額6千円以上」の半分の「3千円以上」にとどまるからだ。
賃上げ要求が弱気になったのは、物価を踏まえて要求を組み立てているためだ。生鮮食品を除く消費者物価指数は原油安の影響で10月まで3カ月連続で前年比マイナス。15年の「6千円以上」の要求は物価上昇が裏付けになったが、今回は物価の伸び悩みから大幅な賃上げ要求は控えるかたちとなった。
賃上げで消費を刺激し、企業の投資を引き出して経済を元気にしようというときに、労組の方から要求を抑えるのは何ともわかりにくい。
1955年に「春闘」が始まって以降、物価を翌年の賃金に反映させる方式が定着してきたが、これが意味を持ったのはインフレ時代だ。時代の変化に合わせ要求方式も変えてしかるべきだが、慣行にとらわれているといえる。
変化に労組がついていけていない点はまだある。要求額の足並みをそろえる「統一闘争」もそうだ。企業の業績にばらつきがあると要求が低めに抑えられ、好業績企業では獲得できたかもしれない高めの賃上げを逃しかねない。
限界がみえるのが電機・情報産業の統一闘争。グローバル化やデジタル化の波に乗れたかなど経営の巧拙によって業績格差が拡大している。
統一闘争は業績が苦しい企業の経営者を賃金交渉の土俵に乗せる効果があるとされるが、過去には業績悪化でパイオニアやシャープが離脱した。統一闘争の機能は薄れ、堅調な企業の賃上げの足を引っ張っている懸念が強い。
自動車や電機大手がリード役になり、その賃上げを全体に波及させるというパターンも実態とのズレが生じている。自動車、電機の賃上げが波及しやすい製造業は就業者数が減り、サービス業の従事者が増えているからだ。
厚生労働省の雇用政策研究会は、経済成長が進まないなどの場合、30年には医療・福祉分野の就業者数(910万人)が製造業(874万人)を上回ると推計する。産業構造は刻々と変化しているが、製造業に比べて見劣りするサービス業の賃金水準の底上げは力強さを欠いている。
継続的に賃金を上げていくために労組には環境変化に柔軟に対応する力が求められる。企業によって戦う市場も戦略も収益力も多様化した今、横並びの要求ではなく、それぞれの企業の労組が賃上げの最大化に努めるしかない。
問われるのは上場企業で約100兆円にのぼる手元資金の活用など経営者の力量だが、企業の成長力を高めるために雇用改革などで労組が協力できるところは多い。
10年に8200万人弱の生産年齢人口(15〜64歳)は27年に7千万人を割るとされる。一方、企業の成熟分野からの撤退が進み、「社内失業」状態の社員が急増しかねない。リクルートワークス研究所は事業活動に活用されていない「雇用保蔵者」が、15年の401万人から25年に497万人に増える可能性があると予測する。
労働力不足は企業の成長を妨げ、余剰人員の増加は生産性を下げる。ともに持続的な賃金上昇には取り払わねばならない問題だ。両面の対策について、各企業の労組は賃金論議のなかで、経営側と意見を戦わせてはどうか。
社内失業対策は新しいスキル(技能)を身につける教育訓練の充実が基本だ。配置転換が進めば労働力不足を補う効果もある。社員が他企業に移って力を発揮する道も用意する必要がある。40代までを雇用契約の区切りとする制度も選択肢の一つになる。
労働力不足対策では長時間労働を改めて女性や高齢者が働きやすい環境をつくることが第一。重要なのは生産性を高める視点だ。非正規社員のスキル習得を支援し、待遇を改善しながら付加価値の高い仕事をしてもらうべきだ。
専門性の高い外国人など外部人材を採りやすくする人事制度改革も途上にある。年功制の廃止も管理職にとどまっている企業が多く、まだ甘い。大企業の初任給に業種や企業間の格差があまりないのも海外からは奇異に映る。
労使で議論すべきテーマは山積している。政府の賃上げ要請で「官製春闘」の呼び名が生まれ今年で3年目。労使で持続的な賃上げの環境を整えられないなら、政府が圧力をかける隙をつくるだけだ。
[日経新聞1月10日朝刊P.10]
「派遣社員が足りない!」。こんな悲鳴が派遣会社から聞こえ始めた。高まる企業ニーズに応えるため、未経験者や退職者をも掘り起こし、人材の獲得競争になっている。
「未経験でもよいことに興味を持った人はいますか」。2015年12月、リクルートスタッフィングが東京・中央で開いた未経験者向けの派遣社員の説明会。講師の問いかけに全員が手を挙げた。
同社は15年11月、事務職の未経験者を無期雇用で採用して派遣する「キャリアウィンク」を始めた。ビジネスマナーや表計算ソフトの扱いを研修して送り出す。12月上旬までに30人を採用した。
千葉県の鮫島美咲さん(23)は大学卒業後、歯科助手として就職したが、事務職への転職を希望。正社員の就職先がなかなか見つからず、キャリアウィンクに応募した。11月から東京・港の監査法人で働いている。「専門知識を身につけ、長く働きたい」
企業の需要、1.5倍に
派遣社員に対する企業の需要は増えている。エン・ジャパンの求人情報サイトでは15年11月、募集案件の掲載件数が12年末の1.5倍に。時給も上昇し、同社の調べでは24カ月連続で前月を上回った。
需要増の一方、人材確保は厳しくなっている。日本人材派遣協会会長の水田正道・テンプホールディングス社長は「慢性的な人手不足。背景は若年労働力の減少だ」と指摘する。労働力人口は過去5年で約60万人減少。20〜30代に絞ると、減った人数は約260万人。東京都が派遣会社2千事業所を対象に調査したところ、14年に派遣労働者の年代で最も多かった40代(32%)は06年(9%)より増え、20〜30代は減った。
昨秋の派遣法改正も派遣会社の負担を増やした。同じ職場に派遣できる期間は3年が上限に。その後は派遣先企業に直接雇用してもらうか、派遣会社が無期雇用するか、代わりの派遣先を確保することが義務付けられた。有給の教育研修やキャリア形成の相談対応も義務化。働く人を保護する狙いで、派遣会社のコストは増える。日本人材派遣協会は、独自の教育研修課程を設けるのが難しい中小向けに標準的なプログラムを春から用意する予定だ。
ビッグアビリティ(東京・渋谷)の大原博社長は、「派遣会社間だけでなく正社員など他の雇用形態とも競争になり、自社の独自色が重要になった」。きめ細かく派遣社員と接触し相談にのるなどして大手と差異化を図る。
ネットで研修も
働き手を“掘り起こす”試みも目立つ。女性を中心に時短勤務で派遣するビースタイル(東京・新宿)は15年夏、管理職経験者や経理など専門知識を持つ派遣社員を「時短エグゼ」という名称に変えた。それまで「しゅふJOB(ジョブ)エグゼ」だったが「キャリアを積んだ女性が増え主婦という言葉が響きにくかった」と、同社しゅふJOB総研所長の川上敬太郎氏。「育児のため時短勤務できる期間が終わってしまい正社員を辞めた人などを、時短派遣なら活用できる」という。
映像やアプリの制作・技術者など専門職を派遣するフェローズ(東京・渋谷)は、通学のほかネットで学べる教育サービスを充実。野儀健太郎社長は「以前は経験者限定が多かったが、教育を受ければ未経験者を受け入れる企業が増えた」と話す。未経験者を育てれば、実務経験を積んだ人材を将来確保できる。
日本大准教授(経済学)の安藤至大氏は、「高齢化が進み労働時間や仕事を限定せずに働ける人が減る中、雇用を仲介する存在の重要性は増す。今後、派遣会社が果たすべき役割は、働きたい人と企業の条件をマッチングさせ労働市場への入り口を広げることだ」とみる。こうした役割を担えるかどうかが、派遣会社が競争を生き抜くカギとなる。
(大賀智子)
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[ネットをのぞくと]給料と安定…派遣社員の揺れる心 雇用全体の改革求める声も
「正規雇用が良いです。しかし派遣の方が時給が良い」。ネットでは派遣社員の揺れる心や「派遣は安定して働けないなー」と不安の声などがつぶやかれていた。「法律もしょっちゅう変わるので、キャリア的に長期プラン考え辛いですよね」と制度変更による不安定さを訴える声もあった。
一方で利点に注目する声も。「正社員の時より派遣の時の方が年収約2倍に」「好きな案件、単価、場所、残業量を選べるし、責任も少ない」と選択の自由を指摘した。
働く側には自由と安定は二択にみえるようだ。「“派遣はダメ! 正社員に!”な風潮こそがブラック企業体質の温床なわけで、企業が積極的に再雇用を受け入れる体質に変わる社会構築を」と、根本的な改革を求める声もあった。調査はNTTコムオンラインの分析ツール「バズファインダー」を用いた。
[日経新聞1月10日朝刊P.10]
2016年米大統領選の候補者選びで、米連邦準備理事会(FRB)が有力な共和党候補の批判の標的になっている。「いまのFRBは民主党寄り」と決めつけている。
昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)。2008年のリーマン危機以来、初の利上げは10人の委員による「全会一致」の決定だった。しかし投票権を持つFOMC委員の定員は実は12人。「欠員2」の状態が続いている。
オバマ大統領は昨年7月までに、空席のポストにそれぞれ、元地方銀行経営者と女性経済学者を指名済みだ。しかし議会の主導権を握る野党共和党は承認手続きを拒否している。
上院の共和党執行部は月内にも、FRBの金融政策運営への政治のチェック機能を強める新法案「FRB監査法案」を採決する構えだ。法案の起草者で大統領候補にも名乗りを挙げているランド・ポール上院議員は「FRBの秘密主義を改めるときがきた」と訴える。
FRBは「金融政策を政治化し、独立性を侵しかねない誤った法案」(イエレン議長)と反発する。同種の法案は過去に下院を通過することはあった。しかし「良識の府」と位置づけられる上院が取り上げるのは異例だ。
仮に上院を通過してもオバマ大統領が拒否権を行使するので、すぐ法律になる可能性は薄い。とはいえ共和党大統領候補として最近、支持を伸ばすテッド・クルーズ上院議員も新法案を支持する。11月の大統領本選で政権が交代すれば、その先は分からない。
幾多の暴言にもかかわらず指名争いの首位を走る富豪ドナルド・トランプ氏は「イエレン議長はオバマ氏の手先」と断じる。こうした「FRBたたき」が勢いを増すのは「票」につながると考えられているからだ。金融危機以降の一連のFRBの対策で株式相場は回復し、金融機関も再生した。ただし実体経済や雇用者所得は勢いを欠く。「そもそも金融危機を招いたのはブッシュ政権」(オバマ大統領)だが、共和陣営は「国民の税金でFRBはウォール街を救済した」と主張する。
気になるのは、党内で過激な言動に距離を置き、いざ本選で民主党のヒラリー・クリントン候補に対抗できる「穏健派」と評されるマルコ・ルビオ上院議員の最近の発言だ。「大統領になったらイエレン氏の再選は認めない」。議長の1期(4年)限りでの退任は最近、例がない。
かつては、民主党員のボルカーFRB議長をレーガン大統領(共和)が再任。ビル・クリントン大統領(民主)は、共和党員のグリーンスパン議長の3、4選を支持し、息の長い景気拡大を実現した。党派を超えた議長再任は定着していた。
「共和党をずっと支持してきたが、最近は愛想が尽きた」。バーナンキ前議長は自伝で嘆いた。
米国内外の景気指標は明暗が交錯する。だがイエレン議長の頭痛のタネは金融政策運営にとどまらない。
(ニューヨーク=佐藤大和)
[日経新聞1月10日朝刊P.]
■中国江西省 同省東北部の景徳鎮市で世界最大のタングステン鉱脈を発見したと発表した。埋蔵量は286万トン。2010年に始まった調査を現在も継続しており、埋蔵量がさらに拡大する可能性もあるという。
[日経新聞1月7日朝刊P.11]
トルコ最大の都市イスタンブールの観光地として知られる旧市街で10人が死亡した自爆テロについて、トルコのダウトオール首相は「実行犯は過激派組織IS=イスラミックステートのメンバーだ」として、ISによる犯行との見方を明らかにしました。
トルコ最大の都市イスタンブールの旧市街で12日、爆発があり、10人が死亡し、15人がけがをしました。トルコ政府によりますと、死亡したのはすべて外国人で、地元メディアは、その多くはドイツ人だと伝えています。
現地にある日本の総領事館によりますと、この死傷者の中に日本人はいないということです。
この爆発について、トルコ政府は自爆テロとの見方を示していて、首都アンカラで12日夜、演説したダウトオール首相は「実行犯は、過激派組織ISのメンバーだ」と明らかにしました。また、クルトゥルムシュ副首相は、実行犯を1988年生まれのシリア人としたうえで、「治安当局の監視対象者ではなく、最近、シリアからトルコに入った人物だ」と述べました。
トルコは去年7月、隣国シリアのISの拠点に対する空爆に乗り出したほか、国内でもISのメンバーの大規模な摘発に乗り出しています。
こうしたなか、去年10月には首都アンカラでISが関わる自爆テロで100人以上が犠牲になるなど治安が悪化していて、シリアからISのメンバーが流入するのをどう防ぐかが課題となっています。
http://jp.sputniknews.com/incidents/20160112/1427147.html
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トルコ政府、イスタンブールで起きた爆発に関する情報の公開を禁止する[スプートニク日本語]
2016年01月12日 22:02(アップデート 2016年01月12日 22:15)
トルコ政府が、10人が死亡し15人が怪我を負ったイスタンブールの爆発に関するメディアの情報公開を禁止したと火曜日アナドル通信が報じた。
情報公開の禁止は刊行物、テレビ、ラジオ、ソーシャルネットやすべてのネット上のマスメディアにおけるニュース、インタビュー、批評とそれに準ずる記事に及ぶものとなっている。
トルコではこれまでにも、捜査の便を図るためかあるいは倫理的な理由から、テロ事件に関係する写真や映像の公開が禁止されるケースがあった。一番最近だと、同様の措置が、10月にアンカラで起き、103名の死傷者を生んだテロ事件の際にもとられた。
10人が死亡、15人が負傷したイスタンブールの爆発はシリア出身の自爆テロ犯の犯行だった。事件を受けて開かれた緊急安全保障会合後アンカラで開かれた会見で、トルコのクルトゥルムシュ副首相が述べた。
「自爆テロ犯が1988年生まれのシリア人であることが証明された。現場に遺骸の一部が見つかった」と副首相。CNNトルコが中継で伝えた。
http://jp.sputniknews.com/incidents/20160112/1426893.html#ixzz3x3lcjbBA
「養豚場計画地」の看板を立てて土地の売買を妨害したとして、福岡、山口両県警は12日、指定暴力団合田一家(本部・山口県下関市)トップの末広誠容疑者(74)ら計7人を威力業務妨害などの疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
捜査関係者によると、末広容疑者らは昨年7月、販売計画が進んでいた下関市内の土地の隣に、「養豚場計画地」とうそを記した看板(幅1・8メートル)2枚と日本国旗2本を設置し、売買の業務を妨害するなどした疑いがある。
販売用地は福岡市中央区の不動産会社が昨年4月、約6千万円で取得し、北九州市小倉北区の不動産会社が販売を受託。1億数千万円で売買が決まりかけていたが、この妨害行為の影響でとりやめになったという。
http://www.asahi.com/articles/ASJ1D3QFDJ1DTIPE00D.html
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2016.1.12 11:38更新
合田一家トップ逮捕、土地売買妨害疑い 山口[産経新聞]
土地の売買を妨害したとして、福岡県警が威力業務妨害などの疑いで、指定暴力団「合田一家」(山口県下関市)トップの金教煥(通称・末広誠)容疑者を逮捕したことが12日、捜査関係者への取材で分かった。
逮捕容疑は昨年7月、合田一家系組長らと共謀し、福岡県の企業が売ろうとしていた下関市の土地の隣に「養豚場計画地」とうその看板や日章旗を設置し、売買を妨害した疑い。組長らは同年11月に同じ容疑で逮捕されている。
http://www.sankei.com/west/news/160112/wst1601120034-n1.html
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日本の警察、暴力団「合田一家」の総長を逮捕する[スプートニク日本語]
2016年01月12日 21:19
山口県警が火曜日21の組から成る暴力団「合田一家」の総長である末広誠容疑者(本名キム・ギョファン)を不動産取引の損害容疑で逮捕した。
組の構成員が下関市の不動産会社が販売する予定の土地近隣に配置され、「養豚場用地」と書かれたそれぞれ二つの看板と小旗が設置されていたという。養豚場予定地に隣接する土地の購入希望者が現れなかったため、不動産会社は5,300平方キロメートルの土地を見積もりよりも数百万ドル安く販売することを強いられた。火曜日に末広誠容疑者の自宅で山口県警と福岡県警による強制捜査が行われた。昨年の11月にこの件に関連して同組の数人が逮捕されている。
日本の人気映画シリーズ「ゴジラ」のハリウッド版などの作品を手がけたアメリカの映画会社が、中国の大手不動産会社に日本円で4000億円余りで買収されることになり、買収する中国企業としては、景気が減速するなかで事業の多角化を進めるねらいがあるとみられます。
中国の不動産大手「大連万達集団」は12日、アメリカの映画会社「レジェンダリー・エンターテインメント」を35億ドル(日本円でおよそ4100億円)で買収すると発表しました。
「レジェンダリー・エンターテインメント」は、日本の人気映画シリーズのハリウッド版「GODZILLA」や「ジュラシック・ワールド」など数々の有名作品を手がけた映画会社です。
一方、大連万達集団は、複合商業施設の開発などを手がける中国の不動産会社大手で、傘下には映画関連の会社を持っています。
万達側は、買収後もレジェンダリー側の今の経営トップを留任させるとしたうえで、「市場が急速に拡大している中国の映画ビジネスで収益を伸ばし、世界の映画市場で発言権を高めていく」としています。
中国は不動産開発の投資の伸びが急速に冷え込んでいて、不動産業界の経営環境が厳しさを増していて、今回の買収は、事業の多角化を進めることで収益基盤を強化するねらいがあるとみられます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160113/k10010369361000.html
不安定な治安情勢が続くパキスタンとアフガニスタンで、過激派による自爆テロや襲撃が相次ぎ、市民や警察官合わせて20人以上が死亡しました。
パキスタン南西部の都市クエッタで13日午前、州政府の建物の前で、男が身につけていた爆弾を爆発させ、州政府によりますと、警察官や市民合わせて15人が死亡し、13人がけがをしました。この建物には感染症「ポリオ」の予防接種を進めている事務所があり、警察は予防接種を外国によるスパイ行為だなどと見なす過激派の犯行とみて調べています。
また、隣国アフガニスタン東部の都市ジャララバードでは13日午前、市内にあるパキスタンの領事館の近くで男が自爆したうえ、別の男2人が領事館のそばにある建物に立てこもりました。男たちは治安部隊との銃撃戦のすえ、およそ4時間後、殺害されましたが、警察官7人が死亡し、市民と警察官の合わせて11人がけがをしたということです。ジャララバードの周辺では反政府武装勢力タリバンが活動しているほか、過激派組織IS=イスラミックステートの地域組織も勢力を広げています。これまでのところ犯行声明は出ていませんが、11日パキスタンではアメリカと中国も参加して、アフガニスタンの和平を目指す会議が開かれたばかりで、警察が背後関係を調べています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160113/k10010370211000.html
韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領は、北朝鮮の核実験について容認できない挑発だと厳しく非難するとともに「中国が、必要な役割を果たすと信じている」と述べ、北朝鮮に対する制裁強化に向けて中国の積極的な関与を求めました。
韓国のパク・クネ大統領は13日午前10時半からソウルの大統領府で、国民向けの談話を発表し、北朝鮮が4回目の核実験を行ったことについて「全世界の平和と安全を脅かす容認できない挑発だ」と厳しく非難しました。そしてパク大統領は北朝鮮が態度を変えるような以前とは異なる強力な制裁が必要だと強調し、そのためには中国の役割が重要だと指摘しました。そのうえで「厳しくつらいときに手を取り合うのが最高のパートナーだ。中国が、国連安全保障理事会の常任理事国として、必要な役割を果たすと信じている」と述べ、北朝鮮に対する制裁強化に向けて、中国の積極的な関与を求めました。
また、パク大統領は続いて行われた記者会見で「これまで中国は、たびたび『北の核は不要だ』と公言してきた。その確かな意思を見せるときだ」とも述べ、一部の韓国メディアは「習近平国家主席への圧力だ」などと伝えています。
このほかパク大統領は軍事境界線の近くで再開した北朝鮮向けの宣伝放送について、最前線の北朝鮮軍兵士に与える心理的な影響は大きいとして、意義を強調するとともに、今後、北朝鮮が反発して新たな挑発行動に出ないようアメリカ軍と連携してけん制していく考えを示しました。
北朝鮮への影響力で中国との関係強化
パク大統領としては就任以来、北朝鮮への影響力を考慮して中国との関係を強化してきただけに、4回目の核実験を行った北朝鮮に対し、中国にはこれまで以上に強い姿勢を示してほしいというのが本音です。
韓国にとって中国は最大の貿易相手国で、経済面で切っても切り離せない関係にあるだけでなく、北朝鮮に大きな影響力を持つため安全保障面でも重要な存在だとして、パク大統領は就任以来、さまざまな形で関係強化を進めてきました。去年9月には日本やアメリカなどが懸念を示すなかで、北京で開かれた軍事パレードにパク大統領が出席し、中韓関係の緊密ぶりをアピールしました。
これについて、韓国国内でも、中国に接近しすぎだとする指摘が出ましたが、パク大統領は「核開発を進めて挑発を繰り返す北朝鮮を自制させるためには、中韓関係の強化が欠かせない」と繰り返し強調してきました。それだけにパク大統領としては、4回目の核実験を行った北朝鮮に対する制裁の強化などで、中国と緊密に連携したいところですが、両国の間で先月末に設置した軍事ホットラインを使って、国防相会談を提案しているものの、中国側からの返事は無いということです。
韓国政府は14日、ファン・ジュングク朝鮮半島平和交渉本部長を北京に派遣し、中国の武大偉特別代表と協議する予定で、関係強化の流れを受けて、中国側から積極的な姿勢を引き出したい考えです。
中国「各国の共同の責任だ」
パク大統領が北朝鮮に対する制裁強化で中国の積極的な関与を求めたことについて、中国外務省の洪磊報道官は13日の定例の記者会見で「中国は、朝鮮半島の非核化を推し進めて東アジアの平和と安定を守るという大局に立って北朝鮮の核問題をとらえている。北朝鮮への対応は中国、韓国、それに各国の共同の責任だ」と述べ、中国ばかりに責任を負わせず、各国でともに取り組むべき問題だと、強調しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160113/k10010370091000.html
アメリカのオバマ大統領は、任期中最後となる一般教書演説を行い、安全保障面の優先課題として、過激派組織IS=イスラミックステートの壊滅を挙げる一方、アメリカが過度な負担を負わず、同盟国や友好国と分担して、世界の安全を確保したいという考えを強調しました。
来年1月に任期を終えるオバマ大統領は12日、アメリカ議会で、およそ1時間にわたって、内政・外交の施政方針を示す最後の一般教書演説を行い、雇用の改善や、医療保険制度改革の実現など、就任以来7年間の成果を強調しました。
そして、外交・安全保障の面でオバマ大統領は、イランの核開発問題の最終合意や、54年ぶりのキューバとの国交回復、さらに地球温暖化対策の国連の会議、COP21の合意などを挙げて、みずからの成果を強調し、ISの壊滅を優先課題に挙げました。
一方で、国際社会でのアメリカの指導力が失われたと指摘されていることに対して、「敵が強くなり、アメリカが弱くなっていると言われるが、アメリカ軍は歴史上、最強だ。重要な懸案について、世界の人が頼るのは、中国やロシアではなくアメリカだ」と反論しました。ただ、「世界の警察官をやめ、どのようにアメリカの安全を保ち、世界を導くかが問題だ」とも述べ、アメリカが過度な軍事的な負担を負うことには改めて否定的な姿勢を示しました。
イスラム過激派によるテロや、ロシア、中国の動向など、国際秩序の不安定化も指摘されるなか、オバマ大統領が最後となる一般教書演説でどのような姿勢を見せるのか注目されましたが、同盟国や友好国と負担を分担しながら、世界の安全を確保すべきだという考えを強調するものとなりました。
野党・共和党 全米向けに反対演説
オバマ大統領が一般教書演説を行ったあと、野党・共和党は全米に向けてテレビで反対演説を行いました。共和党が反対演説を行う人物に選んだのは、サウスカロライナ州のニッキー・ヘイリー知事で、ヘイリー知事がインドからの移民の家庭の出身で2人の子どもの母親でもあることから、共和党としては、大統領選挙を視野に、移民や女性の支持を得ようというねらいもあったとみられます。
ヘイリー知事は演説の中で、「オバマ大統領の高らかな主張には全く実績が伴っていない」と批判するとともに、「任期はもうすぐ終わり、アメリカが新しい方向に転換するチャンスが訪れる」と述べて、ことし11月に行われる大統領選挙で政権交代が実現することに期待を示しました。さらにヘイリー知事は、不法移民や目的がはっきりしない難民の入国を止め、テロや犯罪を防がなければならないと強調したほか、オバマ大統領が成果として強調する医療保険制度改革については、「悲惨な制度は撤廃し、コスト削減と医師の確保につながる改革を行わなければならない」と訴えました。
オバマ大統領の一般教書演説を巡っては、このほか、議会下院の外交委員会の委員長を務める共和党のロイス議員が声明を発表し、「オバマ大統領はこの7年間、同盟国よりも敵を助長し、国に危険をもたらした」としたうえで、核実験を行った北朝鮮への対策や、過激派組織IS=イスラミックステートを壊滅するための包括的な戦略が示されなかったと指摘し、「オバマ大統領は高まる脅威を次の政権に押しつけようとしているようだ」と批判しました。
クリントン氏は称賛 共和党候補は一斉に批判
オバマ大統領の一般教書演説のあと、アメリカ大統領選挙で与党・民主党の最有力候補とみられているクリントン前国務長官は、みずからのツイッターで、「オバマ大統領の指導力のおかげで、アメリカはさらによくなった。進展があった7年であり、後退させるのではなく、前進させる必要がある」と述べ、オバマ大統領の成果をたたえるとともに、大統領を目指す決意を示しました。
一方、野党・共和党では、支持率トップのトランプ氏が、ツイッターで、「とにかく退屈で、無気力で見るに堪えなかった」と述べたほか、支持率2位のクルーズ上院議員も、「オバマ大統領が達成した外交成果は、『アメリカに死を』と叫ぶ過激なイランに多額の資金を送ることになっただけだ」と批判ました。また、共和党のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事も、「過激派組織IS=イスラミックステートが台頭し、北朝鮮は核実験を行い、シリアは混乱に陥っている。オバマ大統領は、安全になったというが、別の世界に住んでいるに違いない」と、オバマ大統領のこれまでの外交政策を痛烈に皮肉るなど、共和党の各候補は一斉に演説を批判しました。
米メディアは
オバマ大統領の一般教書演説について、ウォール・ストリート・ジャーナルは過激派組織IS=イスラミックステートなどによるテロが世界各地で相次ぐ中、「大統領が提示した楽観的な見方は、多くのアメリカ人が感じている気分とは対照的だった」と指摘しました。
またニューヨーク・タイムズはオバマ大統領が一般教書演説で「私が大統領として後悔しているのは、党派間の悪意や疑念が改善するよりもむしろひどくなったことだ」と述べたことをあげて、「希望と変革をかかげ、政治そのものを変えると誓ったオバマ大統領だったが、最後の一般教書演説でその実現には遠く及ばなかったことを認めた」と論じています。さらに、ニューヨーク・タイムズは、オバマ大統領が演説のなかで「人種や宗教を理由に人を攻撃するような政治は拒否しなければならない」と述べたのは、ことしの大統領選挙に向けた野党・共和党の指名争いでトップを走るトランプ氏が「イスラム教徒の入国を禁止すべきだ」などと発言したことを、名指しすることは避けつつも批判したものだ、と指摘しました。
一方、ABCテレビは「オバマ大統領がこれほど政治的な脚光を浴びることはもうないかもしれないが、彼はその機会を使って国民の注目を自身の成果に向けさせ、遠い昔に消えてしまった情熱を取り戻そうとした」と分析しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160113/k10010369921000.html
ロシアのドミートリイ・ロゴジン副首相がスプートニクの取材に応じた。ロゴジン氏は、「今のロシアは1999年のロシアではない。大統領も違うし、政権も違う。ロシア航空宇宙軍はシリアにおいて、ロシアが既に新たな次元に入っていることを示した」と述べ、次のように続けた。
「2020年にかけ、装備計画の進捗に従い、ロシアは欧州で最も現代的な、質において米軍をも凌駕する軍隊を手にする。ロシアは全く新しい戦略ミサイルを持ち、新たな航空部隊を擁する即応機動戦力を持ち、新たな射撃兵器を持ち、新たな走行車を持ち、非常にロボット化の進んだシステムを手にする。ロシアが大きな国であることは誰でも知っている。しかし人口は、たった1億4600万人に過ぎない。これはフランスとドイツを足した程度だ。世界最大の領土面積を誇る国の安全を、どうやって100万人規模の軍隊で保障できるのか。だから我々は、ロボット化された装備システムの開発に力点を置くのだ。もはや軍人は、自ら戦うのでなく、オペレーターとして軍用ロボットを操縦する、ということだ。
我々は今、人工知能搭載兵器の開発に取り組んでいる。たとえば、アルマタは、ただの戦車ではない。いざとなったら遠隔操作できる戦車なのだ。いわば、ロボット戦車。だからこそいま我が軍はエンジニアの軍、高等教育を受けた人たちの軍なのだ。我々はプロフェッショナルな軍隊の創設に取り組み、じょじょにその目標に近づいていく。
現時点ですでにテロリストらを相手に遠隔・非接触戦闘を行なっている。カスピ海や地中海から攻撃を行っているのだ。こうして我々は、ロシアの国外で、祖国をテロリストから守る戦いを行なっているのである。むろん、同時に、現実の戦場において、我が軍の新型兵器の動作を確認している。そして、結果には満足している」
中東のペルシャ湾で、アメリカ海軍の艦艇2隻がイランの領海に入りイランの革命防衛隊によって拿捕(だほ)されましたが、一夜明けた13日、革命防衛隊は「意図的なものではなく謝罪があった」などとして、艦艇の乗組員らを解放したと発表しました。
革命防衛隊やアメリカ国防総省によりますと、中東のペルシャ湾で、12日、兵士10人の乗ったアメリカ海軍の小型艇2隻がクウェートからバーレーンに向かう途中、イランの領海で革命防衛隊に拿捕(だほ)され、アメリカのケリー国務長官はイランのザリーフ外相と電話で会談し、兵士の解放を求めていました。
一夜明けた13日、革命防衛隊が声明を出し、「公海上で兵士が解放された」と発表しました。これについて革命防衛隊は「関係機関と捜査を行った結果、領海への侵入は意図的な行為ではなく、アメリカから謝罪があった」などと説明しています。また、「アメリカには、同じ過ちを犯さない義務がある」と強調して、アメリカに対し再発防止の徹底を求めました。
イランとアメリカは断交していますが、核開発問題の解決に向けた交渉をきっかけに、ほかの課題を巡っても、ザリーフ外相とケリー長官が直接、協議する場面がたびたび見られており、そうした対話のチャンネルが存在することも、今回、事態が早期に収束した背景にあると見られます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160113/k10010370301000.html
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イラン、米国に水域「侵犯」の謝罪要求[スプートニク日本語]
2016年01月13日 17:22
イランは米国に対して、米国の軍艦がイランの水域を「侵犯」したことへの謝罪を要求した。ロイター通信がイランの軍事組織、「イスラム革命防衛隊」の声明を引用して報じた。
これまでの発表によれば、クウェートからバーレーンへ向かっていた米海軍の2隻のボートがイランの水域に入り、拿捕されている。ボートのうち1隻が故障し、その結果、拿捕された。乗組員は男性9名、女性1名の合計10名。
ホワイトハウスと米国防総省側は、イランが米国側に米海軍兵らの無事を伝えたことを確認している。
ロシアのラヴロフ外相、日本の岸田外務大臣が電話会談を実施し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による核実験宣言後の同半島の情勢および露日の政治コンタクトの日程について話し合った。
「双方は朝鮮半島情勢、北東アジアの、全体として朝鮮民主主義人民共和国が核実験を宣言した後の安全保障情勢について評価を下したほか、露日関係のアクチュアルな問題について、政治コンタクトの日程も含めて話し合った。」露外務省が文書で明らかにした。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160113/1430659.html
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日本政府はクリル諸島におけるロシアの軍事拠点建設を問題化しない[スプートニク日本語]
2016年01月13日 16:43
日本の菅義偉官房長官は、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相によるクリル諸島へのインフラ建設をめぐる発言はこれまでの声明の枠を出るものではないとし、改めてこの問題に関する日本の立場を説明した。
イトゥルプとクナシルで今、1960年代以降はじめて、ロシア軍の軍事拠点が建設されている。火曜、ショイグ大臣は、ロシアは今年、クリル諸島における建設を完全に終了させる、と述べた。この一年で両島では220棟あまりが新規建設または改修を受けることになっている。
菅長官は、政府は抗議を表明するか、との問いに対しては、「政府はロシア側に日本の立場を説明する」と述べるにとどまった。
この回答には、今春安倍首相がロシアを訪問する可能性が活発に討議されていることを背景に、事態を先鋭化させたくない日本の意向が表れている。
http://jp.sputniknews.com/japan/20160113/1428775.html
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高村元外相:安倍首相のプーチン大統領宛て書簡を携えてきた[スプートニク日本語]
2016年01月12日 20:47(アップデート 2016年01月12日 21:05)
日本の高村正彦元外相は、モスクワに安倍首相からプーチン大統領に宛てた親書を携えてきた。
高村氏はラヴロフ外相との会談で、次のように述べた。「私は今日、安倍首相からプーチン大統領に宛てた親書を携えてきた。これを大統領に渡していただきたい」。
高村氏によれば、「安倍首相は日ロ関係を飛躍的に発展させる固い決意を持っている」。
http://jp.sputniknews.com/japan/20160112/1426270.html
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ラヴロフ外相:露日は北東アジアの安定を望んでいる[スプートニク日本語]
2016年01月12日 21:04
ロシアは朝鮮半島情勢の評価および国際テロ対策について日本の高村正彦元外相と意見を共有している。ラヴロフ外相が述べた。
「あなたの立場を我々は完全に共有している。我々は、当然、朝鮮半島およびその周辺における、また北東アジア全域における問題への評価を含め、日本側の評価に感謝する」。モスクワでの会談における発言。
http://jp.sputniknews.com/japan/20160112/1426531.html
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ナルィシキン下院議長、今年6月に訪日[スプートニク日本語]
2016年01月13日 18:31(アップデート 2016年01月13日 18:49)
ロシア議会下院(国家会議)のセルゲイ・ナルィシキン議長は13日、今年6月に露日議員間関係の発展の枠内で訪日する構えを明らかにした。
ナルィシキン下院議長は自民党の高村副総裁との会談で、「全体としては我々は我々の(日本との)議員間交流の状態に満足している。私自身はこの先も我々のコンタクト、二国の議員間のコンタクトの拡大に協力していくつもりだ。6月に日本を訪問し、日本の国会の衆議院指導部との会談を引き続き行い、例年どおり日本におけるロシア文化フェスティバルの開会式に参加する計画だ。」
ナルィシキン下院議長は2015年5月に東京を実務訪問しており、安倍首相、国会指導部と会談したほか、第10回ロシア文化フェスティバルの開会式に参加している。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160113/1429491.html
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露日は深刻な問題についても互いに質問しあい、答えあうことを恐れない[スプートニク日本語]
2016年01月13日 00:40
モスクワ入りしている高村正彦・自民党副総裁が、鳩山由紀夫氏に代わり、日本におけるロシア文化祭の実行委員長になった。高村氏は日本の与党の政策決定上のキーパーソンであり、自民党切っての外交通として知られる。また、ロシアのクラシック音楽の愛好家としても知られる。
高村氏は今回の訪問で、ラヴロフ外相やナルィシュキン下院議長と会談する構えだ。なお、ナルィシュキン氏は、日本におけるロシア文化祭の共同実行委員長である。先に報道されているように、今回の訪問は、今年、両国対話を活性化し、様々なレベルで伝統的なコンタクトを継続することを目指したものである。高村氏自身、訪問目的のひとつは「ハイレベル対話継続のチャンスを模索」することにあると述べている。
リア・ノーヴォスチのインタビューに対し高村氏は、プーチン大統領に宛てた安倍首相の書簡を手渡すことになっている、と明かした。おそらくそこにはプーチン大統領の訪日に関する記述があるだろう。また、安倍首相がロシアのいずれかの都市を訪問する計画についての言及もあるだろう。たしかに昨年11月にトルコのアンタルヤで行なわれたG20サミット後、そうした招きがプーチン大統領から安倍首相にあったことが判明している。専門家によれば、安倍首相は5月に三重県で行なわれるG7サミットの前に欧州歴訪を計画している。その途中でロシアに寄り、プーチン大統領と会談する可能性もある。会談場所の候補と目されているのは、サンクトペテルブルグまたは、ウラジオストクだ。
高村氏は11日、日本の国会との協力を担当するロシアの議員団と会合を持ち、露日関係を討議した。高村氏によれば、「ロシアの議員たちとの率直な意見交換で、議会間交流のさらなる活発化、両国間の信頼関係強化が促進される」。一方、日本の国会との協力を担当するロシアの議員団調整役であり、ロシア議会下院天然資源・自然利用・エコロジー委員会副委員長のミハイル・スリペンチュク氏は次のように述べた。
「議員同士の会合は極めて重要と思う。なぜなら我々は、深刻な問題についても、互いに質問しあい、答えあうことを恐れないからだ。我々が日本にいた当時、ウクライナについての質問にも回答を行なった。今我々は全く冷静に、日本の議員らとクリル諸島について話している。なぜなら彼らも我々も、この問題が重要であることを理解しているからだ。そうした率直な対話のお陰で、鋭利な角がだんだん鋭利でなくなっていくのである。よって、議員間の交流は、両国関係にとって極めて重要なのだ。元外相で現在は日露友好協会を率いる高村氏との会談では、私はいつも、両国のふたつの文化が同盟を組むことで、世界経済に強い刺激を与えることが出来る、と強調する。ロシアは日本と仲良くし、日本はロシアと仲良くしなければならない、と。今回の会談では、プーチン大統領の訪日が準備されている、との一定の情報があった。両国関係の多くが今、この訪問にかかっていると思う。」
高村氏がモスクワで持つ一連の会談では、諸々の国際問題にも言及がなされる見込み。中東情勢や北朝鮮の先日の行動についても意見が交わされる。日本のメディアによれば、北朝鮮に対する一定の措置を講じるための議論もなされる。
高村氏の訪露は13日まで。
万達集団による米映画会社レジェンダリー・ピクチャーズの買収調印式が12日に北京で行われた。万達によると、買収金額は35億ドル(約4139億円)以内で、中国企業による海外での文化企業の合併買収(M&A)としては過去最大規模になる。レジェンダリーのトーマス・タル取締役会代表兼最高経営責任者(CEO)は留任して、引き続き日常業務に責任を負うとともに、万達の成功発展プロセスにさらに積極的に関与していくことになる。人民日報が伝えた。
レジェンダリーは米国の有名な映画製作会社で、映画、テレビ、デジタルメディア、漫画・アニメーションなどを手がける。「バットマン」シリーズや「インセプション」など世界的に影響力のある一連の大作映画を世に送り出し、累計興行収入は120億ドル(約1兆4193億円)を超える。
万達の王健林会長は、「レジェンダリーの買収により、万達影視持ち株公司は世界で最も収入が多い映画会社になった。万達は買収後、レジェンダリーのために多くの市場チャンスを作りだそうと考えており、特に急激に成長する中国映画市場によって、レジェンダリーは業績の高度成長を実現させることになる」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年1月13日
米フォーブス誌の電子版が伝えたところでは、広告調査会社カンタール・メディアのデータによると、新車の購入に3万2200ドル(約378万円)以上を支払うと回答した中国人消費者は41%に達したという。なお、同じ額を新車に費やそうと考えているドイツの消費者は14%、英国やオーストラリアは10%、スペインは5%、フランスは4%にとどまっている。ある意味では、こうしたデータも市場の心理と底力を反映していると言える。(人民日報「鐘声」国際論評)
世界経済が深い調整とモデルチェンジ期に差し掛かる中、国内総生産(GDP)や鉄道貨物輸送量、鉄鋼生産量、対外輸出、固定投資などのデータばかりを見ていては、経済発展の全貌をつかむことはできない。消費者のトレンドが、経済発展構造に影響を及ぼす重要な要素になりつつあることは軽視できない事実だ。
中国を例とすると、昨年第1〜第3四半期、第3次産業が中国のGDPに占める割合はすでに51.4%に達し、最終消費支出の経済成長への寄与度は58.4%と、GDP成長の最大の原動力となった。オンライン小売売上高は前年同期比36.2%増、うち、実体のない商品の小売売上高は43.6%増となった。昨年1〜11月、ハイテク業界の増加値(付加価値額)は前年同期比10.4%増となり、伸び幅は伝統的な工業を4.1ポイント上回った。「インターネット+」戦略によって、伝統的なネットショッピングはネットサービス業へと急速に転換しており、電子商取引(EC)、オンライン教育、オンライン医療などの新しい業態が急速に発展し、スマート交通、スマートホーム、スマートシティなど新たなモデルが絶えず出現している。
つまり、20年以上前の「チップ経済」をシンボルとする「新経済」の概念は今や、内包から外延に至るまで、はるかに内容が豊富になった。これが世界経済にもたらす変化はGDPなどのデータに完全に反映されるものでは決してない。
一国の経済を見るには、その国の特色を分析・判断の根拠としなければならない。例えば、米国人はかつて「シャンパン指数」を重視していた。これはすなわち、シャンパンの消費量から前年の米国の平均的な家計所得を推算するというもので、正確度は90%に達した。ただ、この指数を中国に当てはめても、まったく参考にならないことは想像に難くない。つまり、時代や背景に大きな変化があった後、経済構造の調整、産業のモデルチェンジ・アップグレードは、経済指標の代表性に相応の変化を及ぼすということだ。
経済発展の特徴を正確につかむことで初めて、経済発展の大きな流れを正しく分析することができる。米エール大学のスティーブン・ローチ教授が言うように、中国の第13次五カ年計画は1つのキーポイントがある。それはつまり、経済の構造が、GDP成長目標よりも重要という点だ。経済の中高速成長を維持すると同時に、中国の経済構造を引き続き改善し、産業のミドル・ ハイエンドへの進化を推進する。
英「フィナンシャルタイムズ」は、「古い指標よりも、中国のオンライン売上高の伸び幅、映画の興行成績の伸び幅、鉄道の旅客輸送数と貨物輸送量の増加幅といった新指標のほうが注目に値する」と指摘している。ブルームバーグ社は、「内需志向のサービス業が引き続き2ケタ成長を遂げられたことは、中国経済にとって良いニュースだ」と報じている。
中国は世界第二の経済体であり、世界経済を分析する上で無視できない。中国経済の新常態をどう見るかは、世界的な課題でもある。新常態を認識し、新常態に適応し、新常態をリードすることは、中国経済発展の現在および今後における重要な論理であり、世界経済の長い周期と中国発展の段階的な特徴および相互作用を総合的に分析したうえでの重大な判断だ。中国は現在、革新駆動型発展戦略を実施し、革新・協調・グリーン・開放・共有という発展の軌道を歩み、供給側の構造改革を推進し、経済発展の新常態に適応し、これをリードすることを強調している。このような、世界金融危機後の総合的な国力競争の新たな情勢に適応するための選択は、低水準の需給バランスから高水準の需給バランスへの躍進を推進し、中国の発展に原動力を注入するばかりでなく、世界経済にも新たなチャンスを与えるだろう。
経済指標を通じて中国経済の活力を正確に映し出すにはどうすれば良いか?この問題に答えるのは簡単ではなく、革新も必要だ。新たな情勢に合わせて新たな角度を見つけ出し、新たなビジョンを見出さなければならない。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年1月13日
「慰安婦:「朝鮮人責任論」のワナ:ほとんどの朝鮮人慰安婦は朝鮮人業者によって人身売買か強制連行:法的責任は日本政府にない
http://www.asyura2.com/14/senkyo168/msg/757.html
「「帝国の慰安婦」著者 「名誉傷つけていない」と主張=韓国:「売春」はともかく「日本軍との同志的関係」の表現は問題」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/498.html
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「帝国の慰安婦」の著者に賠償命令[NHK]
1月13日 18時57分
慰安婦問題を巡る韓国国内の一般的な認識は実態とは異なると著書で指摘した韓国の大学教授に対し、一部の元慰安婦たちが名誉を傷つけられたと訴えた裁判で、裁判所は、原告側の主張を一部認め、教授に日本円でおよそ880万円の支払いを命じました。
韓国のセジョン(世宗)大学のパク・ユハ(朴裕河)教授は、2013年に出版した「帝国の慰安婦」の中で、慰安婦問題の原因は日本の植民地支配にあるとする一方で、「20万人の少女が日本軍に強制連行された」という韓国国内での一般的な認識は実態とは異なると指摘しました。
この本を巡り、おととし6月、元慰安婦9人が一部の記述によって名誉を傷つけられたとして、パク教授に対し、合わせて2億7000万ウォン(日本円でおよそ2650万円)の損賠賠償などを求めました。パク教授は、「元慰安婦の名誉を傷つける意図はなく、本の内容が曲解された」と主張して、訴えを退けるよう求めていました。
13日の判決で、ソウルの地方裁判所は、「『女性たちは旧日本軍と同志的な関係にあった』といった表現は、女性たちが被害者だという事実をわい曲した」などとして、原告側の主張を一部認め、パク教授に対し、合わせて9000万ウォン(日本円でおよそ880万円)の賠償を命じました。
この本を巡っては、同じ元慰安婦たちによる刑事告訴を受けて、韓国の検察がパク教授を名誉毀損の罪で在宅起訴していて、「言論や学問の自由を封じるものだ」という批判が韓国の内外で広がっています。
判決のあと、元慰安婦の女性の1人は、「裁判所がよい判決を出してくれた。私たちのような人生を送る人が二度と出てはならない」と話していました。
判決について、パク・ユハ教授は、NHKの取材に対し、「判決内容は承服できない。控訴するつもりだ」と話しています。
菅官房長官は午後の記者会見で、「本件は、韓国人に対する韓国内の司法手続きに関する話なので政府の立場としてコメントは差し控えたい。ただ一般論で言えば、いかなる国であっても表現の自由が確保されることは重要だ」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160113/k10010370081000.html
「慰安婦問題合意に「失望」 保守層、ネットで首相に反発:右も左も安倍政権のリベラル性に無理解:失望より不明に反省を」
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/863.html
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記事入力 : 2016/01/13 17:45
元慰安婦6人「日本の支援は受けない」 韓日合意無効を主張[朝鮮日報]
【ソウル聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦として動員された韓国の被害者が、慰安婦問題をめぐる韓日合意は無効だと主張するとともに、韓国政府に対しきちんと解決するよう促した。
被害者の金福童(キム・ボクドン)さん、吉元玉(キル・ウォンオク)さん、李容洙(イ・ヨンス)さん、李玉善(イ・オクソン)さん、朴玉善(パク・オクソン)さん、姜日出(カン・イルチュル)さんは13日、慰安婦問題の解決を訴え、韓国の市民団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)がソウルの日本大使館前で毎週開催する「水曜集会」に出席し、記者会見を行った。
6人は会見で、被害者の意思も聞かずに妥結した韓日合意に「絶対に反対する」と主張した。
金さんは「われわれが政府に慰安婦問題の解決を求めたが、こんなにむなしく終わらせるとは思ってもみなかった」と語った。「われわれはそのお金(日本が拠出する10億円)は受け取らない」とくぎを刺し、国民募金運動により進められる財団設立に賛同する意向を明らかにした。
日本大使館前に設置された慰安婦を象徴する少女像については、国民の支援によってつくられた歴史であり、韓国政府も日本政府も移転や撤去を求めることはできないと強調した。
李玉善さんは「被害者をだまし、口封じをしようとした。これでは駄目だ」と述べ、政府が被害者を個別訪問し、政府の立場を説明していることに対し反発した。また「日本が法的賠償をすべきだ」と声を上げた。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/13/2016011302689.html
「慰安婦合意:米紙「米国、中国台頭・北朝鮮の核挑発けん制のため圧力」:安倍氏が問題をこじらせたのも米国の指示」
http://www.asyura2.com/16/senkyo199/msg/549.html
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記事入力 : 2016/01/13 08:40
慰安婦合意:韓国の弁護士団体、外交部に覚書の公開求める
外交部「慰安婦合意の覚書ない」VS民弁「文書の情報公開を再請求」
民主社会のための弁護士会(略称:民弁)が韓日慰安婦合意共同発表文に関連して請求した情報公開に対し、外交部(省に相当)は「交換した覚書や書簡はない」と12日、突っぱねた。
このため、民弁は同日、外交部に対し、日本との約束で決めた共同発表文の内容や発表形式などの過程を調整した際の文書の情報公開をあらためて請求した。
民弁によると、外交部は「今回の合意は、両国政府を代表する外交担当相が国内・海外メディアに向けた共同記者会見をし、両国国民と国際社会が見守る中、公の立場で発表したものだ」と答えたとのことだ。
民弁は「韓日間で締結された文書や交わした覚書などがないということは、従軍慰安婦問題に対する韓日外相共同発表文が国際法上の条約でないことを外交部が認めたことになる」と批判した。
そして、「結局、両国は『従軍慰安婦被害者の問題は最終的かつ不可逆的に解決された』という韓国の発表を、国際的な約束あるいは確約の形で処理するのに同調したものと思われる。国際法上の約束とは、一国の一方的な意思表示で対外的な拘束力を負うことを宣言して成立するものだ」と述べた。
だが、民弁は「共同発表文は国際人権法に反する内容で、約束や確約は成立しない」と指摘した。
これは、国際人道法違反の被害者の救済および賠償に関する国連総会決議などによれば、国際共同体は保護責任を負うだけで、国は責任の最終的な解決を宣言したり、被害者の請求を処分・放棄したりする権限がないと主張しているものだ。
民弁は昨年12月30日、外交部に対し、慰安婦合意発表文が国際法上の条約なのか、それともいわゆる紳士協定なのかを判断する文書や合意文、またはそれに代わる韓日が取り交わした書簡などの情報公開を請求していた。
民弁・国際通商委員会のソン・ギホ弁護士は「韓日両国の合意発表文が国際法上の条約なら両国間の交渉内容を履行する義務が生じるが、紳士協定なら拘束力がないため、交渉履行に問題が出る可能性がある」と指摘した。
NEWSIS/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/13/2016011300743.html?ent_rank_news
2010年に中国の国内総生産(GDP)が日本を抜いて世界2位になると、中国経済にはそれまでの30年間とは明らかに異なる特徴がみられるようになった。成長率が徐々に鈍化し、14年には7.3%に低下した。こうして中国経済は「新常態」(ニューノーマル)の時代に突入し、重点任務がイノベーションと経済の構造調整へと変化した。人民網が伝えた。
こうした経済情勢の下、中国の日本企業の経営状況はどうなっているだろうか。日系企業は中国事業をどのように考えているのか。中国の日本企業の今後の投資の方向性や事業発展の方向性はどこにあるか。これらの点をめぐり、日本貿易振興機構(ジェトロ)は8日に北京で「『新常態』に向けた構造調整における日本企業の中国事業」と題する説明会を開催し、北京事務所の田端祥久所長が詳しい説明を行った。
▽日系企業の半数以上が「現状維持」を希望 「内販型ビジネスが方向性」が主流に
田端所長によると、ジェトロはこのほど「2015年度在アジア・オセアニア日系企業実態調査」を行い、日系企業の中国事業の経営状況、今後の発展について分析を行った。調査の結果をみると、「今後1〜2年間の事業発展の方向性」については、「事業を拡大する」と答えた企業は38.1%で、1998年の同調査開始以来、初めて40%を下回り、昨年の46.5%から8.4ポイントも減少した。「現状維持」とした企業が最多で53.1%を占めた。「投資を縮小する」、「移転する」、「撤退する」が10.5%で、昨年の7.5%から3ポイント増加した。
田端所長はこうした数字について、「日系企業全体が投資意欲を低下させているわけではなく、業種や地域ごとの違いが大きい」との見方を示した。業種別にみると、非製造業は「事業拡大」の割合が製造業よりも多かった。また食品、輸送機械、卸売・小売などの中国の国内市場に方向性を定める企業は「事業拡大」の割合が高かった。繊維などの輸出加工型企業ではこの割合が低く、20%を割り込んだ。地域別にみると、湖北省、北京市、上海市など域内での販売の割合が高い地域で発展する企業は事業規模拡大の意欲が相対的に強く、山東省や遼寧省など輸出の割合が高い地域で発展する企業は事業拡大の意欲が低かった。
同時に、商務部(商務省)がここ数年発表している日系企業の対中投資の金額と新規投資プロジェクトの件数を分析すると、主に次の3つの特徴があることがわかる。(1)昨年第3四半期(7-9月)に日系企業の投資額がさらに減少した。(2)08〜15年のデータをみると、各四半期の投資額は10億ドル(約1171億円)前後。平均値をみると、14〜15年の投資額に大幅な低下はみられず、これは11〜13年の投資の伸びが相対的に過剰だったことを別の面から物語る。投資の激増を招いた原因は中国経済の発展の速さ、円レートの高さにあり、これが海外投資にプラスにはたらいた。(3)新規調印された投資プロジェクトをみると、15年第3四半期は前四半期に比べて大幅に増加しており、このため今後の投資額は増加傾向を示すことが予想される。
15年の計画として「投資を縮小する」、「移転する」、「撤退する」を挙げた企業の割合が増えたことの主な原因として、田端所長は企業の売上高の減少、人件費の上昇、発展の潜在力の低下を挙げる。
▽「新常態」の下の日系企業 事業構造の再編がぜひとも必要
調査結果を検証するため、ジェトロは中国の日系企業27社に対するアンケート調査も行った。それによると、多くの企業が中国経済の成長ペースの鈍化を実感していると答えたが、楽観的な態度を維持するとともに、中国市場に合わせて事業構造の調整を行う必要があるとの見方を示した企業が少なくなかった。
調査によると、中国の経済成長率はやや鈍化したに過ぎないとし、今後の動きに期待する企業があった。また中国経済は「新常態」に突入したが、経済成長率は引き続き高水準で、市場の潜在力も大きく、産業は高度化の方向へと発展しつつあり、個人消費にはまだ大幅な低下はみられず、消費は依然活発で、質の高い製品に対する中所得層の消費意欲は衰えていないとみる企業もあった。
アンケート調査で、一部の企業は中国市場に対して事業調整を行うとの積極的な姿勢をみせた。こうした企業は現在の企業の事業と市場には不釣り合いなところがあり、取り扱う製品の強みが中国の市場環境に適合しておらず、ビジネスモデルを改善し、戦略を調整する必要があるとしている。また一部の企業は中国市場は環境、健康などの分野に潜在的かつ巨大なビジネスチャンスがあり、新型事業を開拓して新たなビジネスの流れを生み出し売上高を伸ばすために努力すると答えた。
▽製品は加工型低付加価値製品からハイテク高付加価値製品へと発展
ジェトロは中国の日本企業に対する「実態調査」だけでなく、日本国内の企業141社(中国にある日系企業の本社)に対しても補助調査を行った。「中国経済のペースダウンが全体として企業の事業に影響を与えているか」との質問に対し、「マイナス影響がある」とした企業が30%前後を占め、「プラスの影響もあればマイナスの影響もある」は60%に達した。「今後、中国事業を拡大する計画がある」としたところは43%を占めた。
多くの企業が、消費、情報通信技術(ICT)、環境、健康、介護、物流、中・小型自動車などの事業を拡大したいと答えた。円安や中国の人件費増大にともない、企業は低付加価値製品から高付加価値製品へと移り変わる傾向をみせている。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年1月12日
AP通信報道 違反発覚の回避が狙いか
【ニューヨーク田中義郎】世界反ドーピング機関(WADA)は14日、第三者委員会の第2回調査報告書を公表して、国際陸上競技連盟(IAAF)の前会長、ラミン・ディアク氏がロシアのドーピング違反の隠蔽(いんぺい)に関与していた実態を指摘した。11月に発表した第1回報告書ではロシアの国ぐるみのドーピング疑惑を明るみに出したが、今回は違反を取り締まる立場のIAAFも「腐敗は組織全体に及んでいる」と指摘しており、問題の根深さを浮き彫りにした。
約90ページに及んだ報告書によると、ディアク氏は2013年にモスクワで開催された世界陸上選手権にドーピング違反の疑惑があった過去の五輪の金メダリストを含めた9選手を出場しないように弁護士を通じて、ロシアのプーチン大統領に取引を求めたと指摘した。9選手は大会に出場しなかった。プーチン氏との取引が実際にあったかについての言及はなかった。
ディアク氏はロシアのドーピング違反の発覚を避ける狙いがあったとみられ、報告書ではこうした事実を「IAAFの幹部が気づいていないはずはなかった」と言及。ミュンヘンで記者会見した第三者委のディック・パウンド委員長は「組織の現実から目をそらしていた」と指摘して、IAAFの組織運営の正常化を求めている。
さらに、報告書では、13年世界選手権のロシア国内向けのテレビ放映権料が突然に増額された点も指摘。12年にモスクワのホテルでロシア陸連のバラフニチョフ前会長やディアク氏の息子でIAAFのコンサルタントだったパパマッサタ・ディアク氏、ロシアのテレビ関係者が会談し、600万ドル(約7億800万円)から2500万ドルに増額されたとしている。報告書では、この件に関してIAAFに調査を求めた。
第三者委は昨年11月、第1回調査報告書を公表し、長年にわたる組織的なドーピング違反でロシア陸連を資格停止にするようIAAFに勧告。IAAFは勧告通りにロシア陸連を資格停止とし、現段階では、ロシア陸上界はリオデジャネイロ五輪に出場できない状況となっている。
http://mainichi.jp/articles/20160115/k00/00m/050/075000c
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ドーピング隠蔽の見返りに賄賂 第三者委員会認定[NHK]
1月14日 23時44分
ロシア陸上界の組織的なドーピング問題を受けて、WADA=世界アンチドーピング機構の第三者委員会が14日、ドイツのミュンヘンで記者会見し、国際陸上競技連盟の前会長らが、ロシアの陸上選手のドーピングを隠蔽する見返りにロシア側から多額の賄賂を受け取っていたことを認定し、「国際陸連は腐敗している」と指摘しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160114/k10010371751000.html
ロシアの陸上選手のドーピングの隠蔽に関わったとされる国際陸連のディアク前会長が、去年11月、フランスの司法当局に収賄などの疑いで逮捕されていたことが分かりました。
ディアク前会長は14日、WADA=世界アンチドーピング機構の第三者委員会の記者会見で、ロシアの陸上選手のドーピング隠蔽に協力する見返りに金銭を受け取っていたと指摘されました。
第三者委員会の記者会見に続いてフランス司法当局のウレット検事が記者会見し、去年11月にディアク前会長をフランス国内で収賄と資金洗浄の疑いで逮捕したことを明らかにしました。
また、ディアク前会長の法律顧問のシセ容疑者と、国際陸連の元アンチドーピング部長のドレ容疑者も収賄の疑いで同じ日に逮捕し、現在ロシアのほか、シンガポール当局とも連携してディアク前会長周辺の金の流れの解明を進めていると説明しました。
このほか、ディアク前会長の息子で、国際陸連のマーケティングコンサルタントだったパパマッサタ・ディアク容疑者については、母国のセネガルにいるものと見られ、ICPO=国際刑事警察機構を通じて指名手配したことを明らかにしました。
ディアク前会長とは
IAAF=国際陸上競技連盟のラミン・ディアク前会長は、セネガル生まれの82歳。現役時代は、走り幅跳びの選手として活躍し、1958年にはフランス選手権で優勝しました。
引退後は、1973年から14年間、アフリカ陸上競技連盟の会長を務めたほか、1978年からの2年間は、セネガルの首都、ダカールの市長も経験し、スポーツと政治の世界で広い影響力を持ちました。
国際陸上競技連盟では、副会長を務めていた1999年11月に前会長の死去を受けて会長代行となり、その後、会長に就任しました。去年8月に退くまで16年に渡って組織を率いて、1999年から2013年までは、IOC=国際オリンピック委員会の委員を務め、その後名誉委員となっていましたが、一連の疑惑が報じられたあと、辞任しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160115/k10010372131000.html
「チュニス銃撃事件:本来の標的は観光客ではなく政権関係者:犠牲者を貫いた銃弾が過激派のものか治安部隊のものか要検証」
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/291.html
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独裁政権崩壊から5年 民主化と過激派のジレンマに[NHK]
1月15日 8時47分
チュニジアで市民が抗議デモによって独裁政権を崩壊に追い込んでから5年がたち、民主化が着実に進む一方で、かつては力で抑え込んできたイスラム過激派が活発化するというジレンマに直面しています。
チュニジアでは1人の若者の焼身自殺をきっかけに広がった抗議デモによって、5年前の1月14日、ベンアリ大統領の独裁政権が崩壊に追い込まれました。この「ジャスミン革命」を成し遂げた日を祝って、首都チュニスでは14日、大勢の市民が国旗を振りながら行進し、民主化をさらに進展させようと誓い合っていました。この日、演説を行ったカイドセブシ大統領は「革命によって国民は『自由』という何より大切なものを得ることができたと実感している」と述べました。
チュニジアは「アラブの春の唯一の成功例」と呼ばれ、民主化の過程で対立する政治勢力に対話を促してきた団体が去年、ノーベル平和賞を受賞するなど、中東の民主化のモデルとして期待が集まっています。
一方で、去年3月と6月にチュニスの博物館と観光地スースのリゾートホテルが襲撃を受けて、日本人を含む多くの観光客が犠牲になったほか、11月には大統領警護隊の12人が殺害されるなど、過激派組織によるテロが頻発しています。チュニジアは民主化の一方で、かつての独裁政権のもとで力で抑え込まれていたイスラム過激派が、混乱する隣国リビアなどでの勢力の拡大に伴って活発化するというジレンマに直面しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160115/k10010372161000.html
(岩渕)
こんにちは10時5分を回りました。岩渕梢です。きょうの「くらし☆解説」の担当は、島田敏男解説委員です。テーマは「安倍外交と国民の視線」です。
島田さん、安倍総理大臣は去年の秋以降、とにかく海外出張が多かったですよね?
(島田)
◇そうですね。野党が臨時国会の開会を求めましたが、G20首脳会議などの外交日程を理由に国会を開かなかったほどです。
◇そして去年最後の安倍外交の成果が、慰安婦問題の解決を図る韓国政府との合意でした。
◇これを国民がどう見たか。今週まとまったNHK世論調査をもとに詳しくお伝えします。
Q1)その前に、まず安倍内閣の支持率ですが、あまり変化は無かったようですね?
◇横ばいでした。安倍内閣を支持するは先月と全く同じ46%、支持しないは1ポイント下がって35%という結果でした。
◇安倍総理は去年9月に自民党総裁に無投票で再選され、10月に内閣改造を行った後、支持率40%台後半での水平飛行が続いています。
Q2)上がりもせず、下がりもせずなんですね?
◇こちらをご覧ください。安倍内閣の支持率と関係が深い、経済政策に対する評価の数字です。9月以降、こちらもほぼ水平飛行の状態が続いています。
◇「一億総活躍社会の実現」といった経済活性化のスローガンは掲げていますが、国民の景気回復実感を一気に拡げるには至らず、支持率同様に水平飛行が続いているようです。
Q3)そういう中で安倍外交、とりわけ昨年末の日韓合意についてはどうなんですか?
◇両国の政府が「最終的な解決」で合意に漕ぎつけたことに対し、評価の声が高いです。
◇全体の63%が評価すると答えていて、評価しないの2倍以上に上っています。
◇与党の支持者ばかりでなく、野党支持者、無党派層でも6割の人が評価しています
Q4)合意の内容も、それなりに評価されているということなんでしょうか?
◇そう言えると思います。国家賠償ではないけれども、元慰安婦の女性の支援のために
韓国側が作る財団に、日本政府が予算から10億円程度を提供するという内容です。
◇この問題は30年近く前からの日韓両国間の懸案で、歴代政権が頭を悩ましてきた経緯があります。それが政府同士で最終決着とするという合意に至ったのは大きな節目です。
Q5)ただ、これで元慰安婦の人たちも納得して決着ということになるんでしょうか?
◇確かに韓国国内では「日本の国家賠償でないのは問題だ」といった反発が出ています。
◇日本の国内世論を見ても、今回の調査で「この問題が日本と韓国の間で、懸案となることが今後はないと思いますか」という質問に対し、ないと思うは8%に過ぎませんでした。◇これに対し今後も懸案になることがあると思う人が59%に上りました。つまり合意は評価するけれども、韓国側で着地が巧くいくか疑問を持っている人が多いということです。
Q6)日本からの「おわびと反省の気持ち」を受け入れてもらうことが大事ですよね?
◇パク・クネ大統領は、きのうの記者会見で「元慰安婦の女性たちから希望を聞き取り、共通する内容を忠実に反映させた結果だ」と述べて、韓国国民に理解を促していました。
◇日本国内にも「韓国側に譲り過ぎだ」という声は存在していますが、女性たちが合意を受け入れて、落ち着いた日々を過ごせるようになることを第一に考えるべきだと思います。
Q7)その朝鮮半島に関しては、北朝鮮の4回目の核実験という出来事もありましたね?
◇はい。早速、国連の安保理が非難声明を出し、新たな制裁決議の検討に入っています。これと並行して日本が独自に制裁を強める検討も進んでいます。
◇この日本独自の制裁強化に賛成が全体の50%でして、与党支持者でも野党支持者でも6割前後が賛成と答えています。
◇日本独自の制裁は、北朝鮮が拉致被害者などに対する特別調査委員会を設けた後、一旦緩和していますが、調査報告もないままの状況でして国民感情が厳しいのも頷けます。
Q8)外交について見ると、与党支持者と野党支持者が似た傾向というのもありますね?
◇日本も政権交代を重ね、外交と安全保障については昔よりも対立が少なくなっていると思います。もちろん自衛隊の海外派遣などについては、大きな議論がありますけどね。
◇こちらにあるように違いが出やすいのは、国内の経済・財政政策の分野です。
◇消費税率を10%に引き上げる時に、税率を8%に据え置く軽減税率の導入について、全体では評価しないが52%に上り、評価するは40%にとどまりました。
Q9)与党支持者は評価する、野党支持者と無党派層は評価しないが多いのですね?
◇消費税は社会保障の財源に充てることになっていますから、その財源が不足することに対する批判があります。
◇また、所得が多い人の方が、結果として軽減される金額が大きくなるのは問題だという批判もあります。国会論戦で、引き続き大きな焦点になると思います。
Q10)夏の参議院選挙に向けて、野党の中で候補者の一本化を目指す動きがありますが、国民の見方はどうなんでしょう?
◇全体では、期待する32%に対し、期待しない61%となっています。
◇与党支持者は野党の一本化には基本的に反対ですから期待しないのは当然です。
◇野党支持者では期待するが6割を超えていますが、問題は無党派層で期待しないが3分の2に上っている点です。
◇統一候補を目指す野党各党にとっては、無党派層に歓迎される統一候補を擁立できるかどうかが大きな課題になります。
Q11)一方で、衆参同日選挙になるのかという話も耳にしますが、どうなんですか?
◇安倍総理が参議院選挙の日程に合わせて衆議院の解散に踏み切れば同日選挙が可能になります。安倍総理は「全く考えていません」と言いますが、こればかりは分かりません。
◇今月の調査では、同日選挙に賛成が34%、反対20%、どちらともいえない40%となっています。
◇賛成の人は与党支持者、野党支持者、無党派層のいずれでも3割台でして、余り違いはありませんでした。
Q12)同日選挙というのは暫く行われていませんよね?
◇30年前に行われて以来、その後は行われていません。
◇衆参同日選挙というのは、解散権を持つ総理大臣が「今ならば必ず勝てる」と判断した時に行うものです。従って、全ては情勢次第ですから決めてかかるのはまだ早いですね。
Q13)その参議院選挙を控えて、各政党の支持率はどうなっていますか?
◇自民党が37.5%で内閣支持率同様に横ばいです。これに民主党以下が続いていて、大きな変化はありませんでした。
◇先ほど見たように無党派層の支持を野党側が受け止めることができるのか、そのための統一候補の擁立が巧く進むのかが、参議院選挙の大きなポイントになります。
Q14)参議院選挙に向けて、今の国会での論戦が大事ですよね?
◇与党と野党の考えの違い。そして安倍総理が憲法改正を訴えると強調していますので、与野党の枠を超えて各政党ごとの憲法に対する考え方の違いも見極める必要があります。
◇18歳の若者も参加する参議院選挙です。投票する時のために、注意深く政治の動きを見て行く必要がありそうです。
中東などから押し寄せている難民や移民に関するドイツの最新の世論調査で、半数以上の人が受け入れに「対応できない」と答え、難民が起こしたとみられる暴行事件などをきっかけに難民の受け入れに対する不安が増していることが分かりました。
世論調査は、ドイツの公共放送が行ったもので、15日、結果が公表されました。
それによりますと、ドイツが難民の受け入れに対応できるかどうかについて「対応できない」と回答した人が、前回調査が行われた去年10月に比べて3ポイント増えて51%と半数を超えた一方で、「対応できる」と答えた人は、5ポイント減って44%となりました。
また、押し寄せる難民に対して「不安を感じる」と回答した人は48%、「不安を感じない」と答えた人が50%となり意見は割れました。さらに、難民はドイツを豊かにするかという質問には、「そう思わない」と答えた人が48%で、「そう思う」と回答した人(45%)を3ポイント上回りました。
ドイツでは、去年の大みそかの夜に西部のケルンで、難民が複数の女性を乱暴したとされる暴行事件なども起きていて、今回の調査を通して、国民の間に難民の受け入れに対する不安が増していることが分かりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160116/k10010373401000.html
中国の王毅外相は、核実験を行った北朝鮮に新たな制裁を科す国連安全保障理事会の決議に賛成の立場を示唆する一方、「朝鮮半島を混乱させるべきではない」として北朝鮮に厳しい制裁を科すことには慎重な考えを示しました。
中国外務省によりますと、王毅外相は15日、スイスの外相と会談したあとの記者会見で、4回目の核実験を行った北朝鮮に新たな制裁を科す国連安全保障理事会の決議への対応について「北朝鮮が再び核実験を行ったことは朝鮮半島の非核化に逆行している。中国は、国連安保理が必要な対応を取ることを支持する」と述べ、決議に賛成する立場を示唆しました。
一方で王外相は「朝鮮半島を混乱させるのではなく、長期的な安定を追求すべきだ」と述べて、北朝鮮に厳しい制裁を科すことには慎重な考えを示しました。
北朝鮮への対応を巡っては、日本、アメリカ、韓国の3か国が、国連安保理で新たな制裁決議の採択を急ぎ、圧力を強化することで一致しており、中国に対しても、北朝鮮に影響力を行使するよう求めています。中国は、北朝鮮の核実験に明確に反対しながらも、制裁を過度に強めることで北朝鮮の孤立が深まり、情勢が不安定になることを警戒しています。
王外相は、15日の記者会見で、中国だけに責任を押しつけるべきではないという立場を強調していて、北朝鮮に対する制裁をどこまで強化するかを巡って、中国とアメリカなどとのせめぎ合いが続くものとみられます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160115/k10010373381000.html
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/346.html
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)第1書記の側近で農場に追放されたという見方が出ていた朝鮮労働党のチェ・リョンヘ(崔竜海)書記について、国営メディアが15日、およそ3か月ぶりに動静を伝え、復権したことが確認されました。
北朝鮮の朝鮮労働党のチェ・リョンヘ書記は、キム・ジョンウン第1書記の視察にたびたび同行するとともに、去年9月、中国政府が北京で行った軍事パレードに北朝鮮を代表して出席するなど、キム第1書記の側近の1人として知られていました。
しかし、チェ書記は去年10月を最後に動静が途絶え、朝鮮人民軍の高官の死去に伴って発表された葬儀委員会の名簿からも外されました。これについて韓国の情報機関は、チェ書記が新たに建設された発電所で不具合が見つかったことなどの責任を問われて地方の農場に追放され、思想教育を受けているという見方を示していました。
こうしたなか、北朝鮮の国営メディアは15日、チェ書記が首都ピョンヤンで14日行われた党の青年組織の行事で演説を行ったと、およそ3か月ぶりに動静を伝えました。チェ書記は、先月末、交通事故で死亡した別の党書記の葬儀委員会の名簿に名前が掲載されましたが、国営メディアが動静を伝えたことで復権したことが公式に確認されました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160115/k10010372501000.html
水爆どころか核実験だったかどうかさえあやしい騒動だが、「核実験騒動」の主要な目的は「日朝国交正常化」の促進である。それに次ぐ目的が、日本や韓国の米国からの兵器買い付け増額である。
「日朝国交正常化」を“国際社会”からせっつかれている安倍政権だが、反北朝鮮を煽ることで「日朝国交正常化」を進める作戦会議の時間を稼ぐことができるだけでなく、奇妙なかたちで成立させた「新安保法制」や防衛費増額の必要性を国民に訴求しやすくなるメリットを手に入れた。
※ 参照投稿
「首相「私が拉致問題を解決」:北朝鮮に大きな借りがある安倍さんでしか解決できないテーマ」
http://www.asyura2.com/13/senkyo143/msg/381.html
○信じられない人も多いだろうが、米国政権は朝鮮半島の統一を政治課題としている
「元米財務長官ローレンス・サマーズ氏が語るアベノミクス:日本が重要な役割を果たし、朝鮮半島の統一が成し遂げられるとの話も」
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/397.html
○13年6月に起きた田中均元外務審議官との“ケンカ”も外務省による安倍サポートの一環である。
「首相 田中元外務審議官を批判:田中氏の「保守主義と歴史認識:右傾化、日本攻撃の口実に」に対し」
http://www.asyura2.com/13/senkyo149/msg/307.html」
「首相、北朝鮮との交渉記録「2回分ない」 田中氏を改めて批判:この間の田中均批判の意図は何だろね?」
http://www.asyura2.com/13/senkyo150/msg/541.html
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2016年01月14日 (木) 午前0:00〜[NHK総合]
時論公論 「対立か協調か 米中関係の行方」
加藤 青延 解説委員 / 橋 祐介 解説委員
アメリカのオバマ大統領が向こう1年の内政と外交の施政方針を示す一般教書演説を行いました。はたして任期最後の1年間、オバマ大統領は、超大国のかじ取りをどのように進めていくのでしょうか?とりわけ米中関係の行方は、日本の外交・安全保障そして経済にも直接の影響を及ぼします。
今夜の時論公論は、オバマ外交にとって、いわば「総決算」となることし、対立と協調の間で揺れてきた米中両国が如何なる課題を抱え、そうした課題にどのように向き合おうとしているのか、中国担当の加藤解説委員と、アメリカ担当の橋のふたりで展望します。
(橋)
まず、ことしの一般教書演説でポイントとなる発言をこちらにまとめてみました。
▽一つは「アメリカは“世界の警察官”にはならない」。国力の弱体化につながったイラク戦争を教訓に、世界のあらゆる紛争にアメリカ一国で過度に介入するような負担は負わないという意味です。オバマ大統領は、関係国との対話や連携を重視する姿勢をあらためて鮮明にしました。
▽二つ目は「テロ対策には全力を尽くす」。過激派組織のIS=イスラミックステートは、アメリカにとって“直接の脅威”であるとして、テロ対策を最優先課題に掲げました。
▽三つ目は「TPP=環太平洋パートナーシップ協定を通じて、アジア太平洋地域との貿易は、中国ではなくアメリカこそが主導する」。そのためにも去年、大筋合意に至ったTPPの批准をアメリカ議会が早期に承認するよう求めました。
いずれも新味に欠ける印象は否めません。しかし、任期最後の1年間は、歴代どの大統領も求心力の低下を余儀なくされ、来月からは「次の大統領」をめざす与野党の候補者選びも始まります。このため、オバマ大統領としては、党派によって意見が分かれる問題で、新たな政策を推し進める余地は少なくなってくるのです。その意味で、ことしの一般教書演説は、選挙の年に「内向きになるアメリカ」を象徴するような演説でもありました。
加藤さんは、今回の一般教書演説を中国担当の立場からどう見ましたか?
(加藤)
私たちの周りでいま一番ホットな話題といえば、今月6日に北朝鮮が行った、いわゆる「水爆実験」や、米中の間で緊張が高まる南シナ海の問題が触れられなかったことです。
どうしてなのか、意図的に避けたのか、そのあたりが知りたいですね。
(橋)
確かに一般教書演説では、いわゆる「水爆実験」の実施を発表した北朝鮮による核問題には、ひと言も言及がありませんでした。実際に「水爆実験」であったかどうかが疑わしいので敢えて無視したともとれますし、北朝鮮による挑発には取り合わない意思表示とも受け取れます。オバマ政権は、「戦略的忍耐」という名のもとに、北朝鮮には積極的な関与を控えてきたため、そうした一種の無策ぶりがキム・ジョンウン第1書記の暴走を招いたとする批判をかわす狙いもうかがえます。
現に、この問題でアメリカは、同盟国の日本や韓国との連携を確認するにとどまっています。国連安保理による制裁を強化するためにも、北朝鮮との関係が深い中国からの協力は欠かせないのです。
(加藤)
実は中国にとっても北朝鮮はいうことを聞かない厄介な隣国になってしまいました。北朝鮮に対して、中国は核開発をやめるよう強く働き掛けてきましたが、北朝鮮はこれを無視していわゆる「水爆実験」に踏み切りました。北朝鮮に核開発をやめさせるには、だから米中の協調が必要になってきたのです。一つの国だけが圧力をかけるのではなく、関係国がすべて足並みをそろえ逃げ道を与えないようにしなくてはならないのです。
もうひとつ米中協調が欠かせない直近の問題としては、地球の温暖化があります。温暖化の原因となる二酸化炭素の二大排出国が中国とアメリカです。去年暮れパリで開かれた国連の温暖化防止会議では、その米中が初めてリーダーシップを発揮するかたちで、新たな枠組みを作ることができました。米中が協調するか否かは、世界全体にとっても重要な要素になってきているといえます。
(橋)
反対に、いまの米中関係を冷え込ませている要因のひとつに南シナ海の埋め立て問題があります。この問題でアメリカは、サイバー攻撃の問題と並んで、中国政府の真意について今も不信感を拭えずにいます。中国は「平和的な台頭」と口では言いながら、実際にはなりふり構わず海洋進出と軍備拡張を進め、近隣諸国に脅威を及ぼしているというのです。オバマ大統領は来月、そうしたASEAN10か国の首脳をカリフォルニアに招き、東南アジアとの連携強化のための首脳会議を開きます。中国との決定的な衝突は避けたいとしながらも、既存の国際ルールを一方的に変更することは許さない。それがオバマ政権の基本姿勢です。
では、そうしたアメリカ側に中国はどのように対応しようとしているのでしょうか?
(加藤)
目下のところ最大の対立点は、南シナ海で中国が人工島をつくり、力で現状を変えようとしていることです。これにアメリカや周辺国は強く反発してきました。最近、中国は滑走路に飛行機を2機着陸させましたが、軍用機ではなく、中国国内を飛んでいる民間旅客機でした。見せかけのカモフラージュという見方もありますが、一方で、中国が「民間利用」をアピールすることで、アメリカなどに配慮したとの見方もできます。
もう一つの大きな対立点、サイバー攻撃をめぐっても、中国は実際には、アメリカから情報を盗み出したハッカーをかなり逮捕していて「誠意」をのぞかせています。ただ、人権派の活動家の拘束など人権問題については依然かたくなです。一方、アメリカ側も、中国の国家機密を盗み出してアメリカに逃亡している元幹部の引き渡しには消極的であるなど、双方の間に依然として多くの対立が数多く残されていることも事実です。
(橋)
一方、経済の分野では、ことしの一般教書演説にはTPPのほかにも中国への言及がありました。オバマ大統領は、アメリカ経済は力強く回復しているとしながらも、重大な移行期を迎えている中国経済から「逆風」が吹いてくる懸念を指摘しました。中国経済は、年明けから世界連鎖株安の原因をつくるなど、変調をきたしているからです。
こちらのグラフは、ここ10年ほどの日本と中国のGDP=国内総生産を、その年ごとの為替レートでアメリカドルに換算して比較したものです。ここ数年も日本経済は僅かながら成長しているはずですが、円安の影響でアメリカから見れば、経済規模は縮小しているように見えるのです。かつて日本経済の半分に満たない規模だった中国経済は、いまや日本経済の2倍を超える大きさに見えていることがわかります。経済の規模が大きくなればなるほど、ひとたび変調をきたしたときの影響も深刻になってきます。
(加藤)
たしかに中国経済の減速は大きな懸念材料といえます。かつて二けたの伸びを示した中国の経済成長率も、いまや7%を切るところまで落ちてきています。中国は必死になって食い止めようとしていますが、中国経済は、過剰生産による在庫の山や地方政府の不良債権など、多くの問題を抱えていてそう簡単には解決できません。もし一気にスピードダウンすれば、そのインパクトは、中国だけにとどまらず、世界経済全体、とりわけ中国経済と密接な関係にあるアメリカ経済をも巻き込むことになるでしょう。その意味で、経済では米中は運命共同体のような側面が強いと言え、もはや対立か協調かという次元ではなくなってきているといえます。
(橋)
対立と協調の要素が複雑に絡み合う米中関係。そうした多面的な関係を、どちらか一方の視点で捉えることは今後ますます難しくなりそうです。その影響を受ける日本の外交・安全保障も、目先の変化に振りまわされない長期的かつ複眼的な対応を迫られています。
(加藤青延 解説委員/橋祐介 解説委員)
真偽はともかく「HPVワクチンが安全であると声明」(まともな研究者なら「安全」ではなく「低リスク」と表現)や、発症を抑制する(かもしれない)ワクチンを推奨しないことを治療薬であるかのように「子宮頸がん患者を「見殺し」にする」と書くのは非論理的過ぎる。
※参照投稿
「厚労省自身が「リスクは高い一方で効果は不明」と説明する子宮頚癌ワクチンが“定期接種化”されるという異常事態」
http://www.asyura2.com/13/senkyo146/msg/742.html
「どうする?子宮頸がんワクチン:今なお、メリットもあるとか先進諸国は接種に積極などと接種推奨モードのNHK」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/777.html
○いわゆる子宮頚ガンがガンではない可能性も
「子宮頸がんワクチン:接種2日後、女子中学生が死亡[毎日新聞]」
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/454.html
http://www.asyura2.com/14/iryo4/msg/792.html#c1
(VTR)
新年早々、突然飛び込んできた衝撃的なニュース。
(特別重大報道1/6)
「初めての水爆実験が成功裏に行われた。民族の歴史に特記すべき出来事に天地が揺れた」
国連安保理は緊急会合を開いて北朝鮮を強く非難し今後の対応を検討しています。
幾度の制裁を受けながらも国際社会の警告を無視して核開発を続ける北朝鮮は、どこに向かおうとしているのでしょうか。今後の行方について考えます。
ここからは出石 直(いでいし・ただし)解説委員とともにお伝えします。
Q1、今回の核実験は予告や兆候もなく唐突だったという印象でしたが。
A1、私も正直、予想していませんでした。今回は実験場での兆候も捉えられていませんでしたし、中国政府もアメリカ政府も事前通報はなかったとしています。北朝鮮としてはもはや中国やアメリカに配慮する必要はないという判断もあったのかも知れません。
もうひとつ唐突という印象を受けたのは、核実験の前に弾道ミサイルの発射がなかったことです。過去3回の核実験は弾道ミサイルの発射とセットで行われてきました。今回はいきなり核実験でした。
Q2、これはどう見れば良いのでしょうか?
A2、順序は逆になりますが、近いうちに弾道ミサイルの発射を行う可能性は高いと思います。ミサイル発射と核実験がセットになっているのは理由があるからです。北朝鮮は一貫して「抑止力のための核」「自衛のための核」だと主張しています。「北朝鮮を敵視しているアメリカが核兵器で北朝鮮の安全を脅かしているから、自衛の手段として核武装をしているのだ」という理屈です。この理屈で言えば、北朝鮮の核はアメリカを攻撃する能力を備えていなければなりません。核兵器の開発に成功してもそれがアメリカに届かなければ意味がないからです。核兵器を弾道ミサイルに搭載できるよう小型化、軽量化し、弾道ミサイルがアメリカに届くよう射程を伸ばす、この2つがともに実現しないと北朝鮮の言う「核抑止力」にはなりません。核開発を続けている以上、弾道ミサイルの開発も続けていかなければならないのです。
Q3、開発はどこまで進んでいると見るべきでしょうか。
A3、弾道ミサイルについては、射程1000キロのスカッドと1300キロのノドンはすでに配備されていると見られています。さらに過去に発射実験が行われたムスダンはグアムまで、テポドン2はアメリカ本土にも届くと見られています。北朝鮮は去年、潜水艦からの発射実験にも成功したとしています。「核兵器の小型化にも成功した」としており、核・ミサイル開発は最終段階に近づいているのではないかと見るべきではないでしょうか。
Q4、核兵器についても今回は水爆だったと主張していますが、実際はどうだったのでしょうか?
A4、爆発の規模がそれほど大きくなかったことから疑問視する声もあります。ただ今回の実験が水爆だったにせよ原爆だったにせよ、北朝鮮が非常に破壊力の強く小型で軽量の核兵器の開発を着実に進めていることは間違いありません。これは東アジアのみならず世界の平和にとって深刻な脅威です。
Q5、結果的に4回もの核実験を許してしまうことになってしまいました。国連安保理はその度に制裁決議を採択していますね。なぜ核開発を止められないのでしょうか。
A5、国連安保理はこれまでに4回の制裁決議を採択していますが、4回目の核実験を止めることはできませんでした。制裁が十分な効果をあげていないと認めざるを得ません。実際、厳しい制裁措置にも関わらず北朝鮮の経済は緩やかながら上向いているのです。
こちらは北朝鮮の経済成長率の推移です。5年ほど前まではマイナス成長でしたがここ数年プラス成長が続いています。最近北朝鮮を訪れた人に聞いても、女性の服装がおしゃれになったとか、ピョンヤン市内では交通渋滞まで起きるようになったなど、暮らし向きは少しずつ豊かになってきているとのことでした。北朝鮮にすれば、制裁を科せられても大丈夫という自信があったからこそ核実験に踏み切ったと言えるのではないでしょうか。
Q6、制裁の効果が上がらないのはどうしてなのでしょうか?
A6、ひとつには安保理決議をきちんと守っていない国があるということです。国連加盟国は、決議された制裁措置をどのように履行しているか安保理に報告するよう求められていますが、ご覧のようにヨーロッパは45か国中44か国と、ほぼすべてがきちんと報告しているのに対して、アフリカは7か国しか報告をしていません。まだ一度も報告していない国はあわせて94か国にのぼります。船の名前や運航会社を次々と変えて制裁を逃れようとしていたケースも指摘されていますし、中朝国境や途上国特にアフリカとの間には貿易統計には乗らない取引もかなりあると言われています。
Q7、これまでの制裁が効かないとなると、それ以上の強い対応が求められると思いますが。
A7、安保理による制裁の対象を広げる、例えば渡航禁止や資産凍結、北朝鮮への輸出を禁止している品目を増やす、あるいは外貨の獲得やマネーロンダリングに使われている可能性のある銀行口座の凍結なども効果的だと思われます。ただ制裁には限界があります。抜け穴もありますし、食料を止めるような措置を取れば一般の人々の生活を苦しめることになってしまいます。
そこで安保理による制裁に加えて各国による個別の対応も重要になってきます。
Q8、北朝鮮の動きをもっとも警戒しているのは韓国ですが、どんな対応を取るのでしょうか。
A8、パク・クネ大統領はきのう(13日)の記者会見でも「北朝鮮の態度を変えさせるため強力な制裁が必要だ」と述べています。中国に対しても「安保理の常任理事国として必要な役割を果たすと信じている」と述べ、より積極的な関与を求めました。
中国も北朝鮮の核開発には反対の立場ですが、核開発に対する危機感は、日米韓などと較べると薄いと言わざるを得ません。その中国を本気にさせなければなりません。
Q9、中国を本気にさせるとは?
A9、アメリカ軍はすでに核兵器を搭載できる戦略爆撃機B52を韓国上空に展開しています。3月から米韓合同軍事演習が始まりますが、黄海に米空母船団やイージス艦を入れることも検討するのではないかと思われます。これは中国へのけん制でもあります。こうした兵器が展開されれば北朝鮮軍だけでなく中国軍の動きも丸裸になってしまうからです。中国を本気にさせるよう揺さぶりをかけていくことも必要だと思います。
ただいくら中国が動いたからと言っても、北朝鮮自身が考え方を変えない限り核開発をやめることはないでしょう。核をもつことが北朝鮮にとってもマイナスなのだということに気づかせるようにもっていく、気づかせるような環境を作っていくことも重要ではないでしょうか。
15日のニューヨーク原油市場は中国経済の減速で原油の需要が減る一方、イランの経済制裁が解除され供給は増えるとの見方から原油の先物価格は大きく下落し、およそ12年2か月ぶりに1バレル=29ドル台前半の安値をつけました。
15日のニューヨーク原油市場は、中国・上海の株式市場が大きく値下がりし、中国の景気の減速が改めて意識されたことや、産油国のイランの経済制裁が近く解除され石油の輸出が増えるとの観測から原油の供給過剰な状態が一段と強まるという見方が広がりました。
このため原油の先物に売り注文が集まり、国際的な原油取引の指標となるWTIの先物価格は、一時、節目となる1バレル=30ドルを再び割り込み29ドル台前半まで下落しました。これは2003年11月以来およそ12年2か月ぶりの安値水準です。
市場関係者は「この日発表されたアメリカの先月の小売業の売上高も振るわず、アメリカ国内でも原油の需要の拡大は期待できない。エネルギー関連企業や産油国に与える影響は深刻だとみられ、投資家の警戒感が強まっている」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160116/k10010373641000.html
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米12月の小売0.1%減 年末商戦いまひとつ[NHK]
1月16日 0時09分
アメリカの個人消費の重要な指標として注目される先月の小売業の売り上げ高は、ガソリン価格の値下がりや暖冬の影響で冬物衣料の売れ行きが低迷したことから、前の月に比べて0.1%減少し、年末商戦はいまひとつの結果に終わりました。
アメリカ商務省が15日発表した、先月の小売業の売り上げ高は、およそ4481億ドルで、前の月より0.1%減少しました。
分野別に見ますと、先月は、スポーツ・娯楽品、飲食店などで売上げが増加しましたが、ガソリン価格の値下がりで「ガソリンスタンド」の売上げが大きく減少しました。
このほか、暖冬の影響で冬物衣料の売れ行きが低迷し「衣類やアクセサリー」も減少して、アメリカの年末商戦はいまひとつの結果に終わった形です。
これについて市場関係者などの間では、去年の新車の販売が過去最高を記録するなど雇用情勢の改善に伴って、個人消費は改善基調にあるという見方を維持しています。ただ、年明け以降の大幅な株価の値下がりなど金融市場の不安定な動きが、消費者心理に影響しないか注視しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160116/k10010373431000.html
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中国の貿易総額 6年ぶりに前年比減[NHK]
1月13日 13時09分
中国の去年1年間の貿易総額は3兆9000億ドル余りで、日本やヨーロッパ向けの輸出が振るわず、国内の投資の冷え込みなどを背景に輸入も落ち込んだことから、6年ぶりに前の年より減少し、中国経済の減速が貿易の面からも鮮明になりました。
中国の税関総署が発表した貿易統計によりますと、去年1年間の輸出額は2兆2765億ドル余りで、日本やヨーロッパ向けを中心に衣料品や靴といった製品が落ち込んだことなどから、前の年より2.8%減少しました。また、輸入額は国内の投資の冷え込みで石炭や銅の輸入量が落ち込んだほか原油や鉄鉱石の価格が下落したことなどから、1兆6820億ドル余りと、前の年より14.1%減少しました。
この結果、貿易総額は3兆9586億4400万ドルで前の年より8%減少し、リーマンショックの後の2009年以来、6年ぶりに減少に転じました。中国政府が公表していた6%程度の増加という去年の目標も大きく下回り、中国経済の減速が貿易の面からも鮮明になりました。
また、記者会見した中国税関総署の黄頌平報道官はことしの貿易の見通しについて「世界の経済は低成長で外需が振るわない状況は変わらず、貿易の発展は依然多くの困難に直面している。ことし第1四半期は、輸出への圧力が大きい」と述べ、当面厳しさが続くという見方を示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160113/k10010369661000.html
その発言に対し、従軍慰安婦問題で韓国政府の対応に否定的な言動を行ってきた番組の反町MC(フジテレビ報道局政治部編集委員)さえ、確認や批判を行わなかった。
「従軍慰安婦」問題は、“当時ではなく”現在の政治的価値観に則してきちんと謝罪し賠償すべきだと考えているが、日本政府と日本軍が戦時に維持した「慰安所」制度は、悲惨で過酷な“必要悪”とは言えても“戦争犯罪”とは言えない。
むろん、軍関係者が、慰安婦にするため女性を拉致したり騙したりしたケースは“戦争犯罪”である。
分離政策(娼婦可能年齢も差別)をとっていても、一応日本であった朝鮮半島は、慰安婦確保で軍関係者が直接手を下す必要はなかった。
中国、フィリピン、インドネシア、マレー地域などと違い、“国内”であった朝鮮半島は、女性に関する“戦争犯罪”はなかったと言える。
自民党桜田義孝代議士の「慰安婦は職業としての娼婦」という発言は、職業区分論としては正しいが、“国策民営”で拡大する戦線に対応するため慰安婦を増大させる必要に迫られていたなかで起きた問題に関するものとしてはピントがずれている。
何より問題にしなければならないのは、日本の政府機関が徴募の押しをするなかで、官憲や地域の長が女衒と結託して女性を騙し集めたケースである。
日本政府と日本軍が国策として運営させた「慰安所」で娼婦として働くようになった“経緯”に問題はなかったのか、敗戦のごたごたを含め慰安婦に対して身の安全や対価の支払いはきちんとなされたのかなどが「従軍慰安婦」問題の本質である。
(国内から賠償請求は起きていないが、このような問題は内地(日本)の女性についても起きていたはずである)
かたちだけの謝罪はしても、「従軍慰安婦」について何が問題で何が“罪”なのかを明確にしていない日本政府の罪がもっとも大きいと思う。
※関連参照投稿
「慰安婦問題合意に「失望」 保守層、ネットで首相に反発:右も左も安倍政権のリベラル性に無理解:失望より不明に反省を」
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/863.html
「慰安婦合意:米紙「米国、中国台頭・北朝鮮の核挑発けん制のため圧力」:安倍氏が問題をこじらせたのも米国の指示」
http://www.asyura2.com/16/senkyo199/msg/549.html
中国の国営石油ガス企業シノペックが米国産原油の禁輸解除を受け、米国から初めて原油を取得した。ロイターが伝えた。
同社内の消息筋は、取引の詳細(原油の品種、価格、供給者)については明らかにしなかった。
原油価格が世界的に下落しているため、供給は米国の利益にはならないという。
米国議会は12月、1975年以来40年ぶりに、原油の輸出を解禁した。
シノペックはペトロ・チャイナに次いで中国第二のエネルギー企業。石油・ガスの地学的調査、石油加工、石油化学、石油・ガスの輸送を担う。
16日、台湾で立法院(国会)選挙と共に、総統選挙が実施される。台湾の馬英九(マー・インチウ)総統は、木曜日「与党国民党以外の候補が総統になった場合、台湾を待つのは予測不可能な未来だ」と述べた。一方、専門家の大部分は、総統選挙では民進(民主進歩)党の蔡英文(ツァイ・インウェン)候補が優勢だと見ている。台湾発展の将来について蔡候補はどう考えているのだろうか? スプートニク記者は、アジア・アフリカ諸国大学のアンドレイ・カルネーエフ副学長に意見を聞いた。以下、その内容を抜粋して、お伝えする。
まず指摘すべきことは、かつて同じく民進党から立候補して総統になった陳水扁(チェン・ショイピエン)氏と比べて、選挙における蔡候補の状況は、ある部分では楽だが、別の部分では困難だという点だ。一方で民進党は、台湾全島規模での国家統治の価値ある経験を手にしている。民進党は、陳氏が総統を務めた2000年から2008年の間のあまり成功したとは言えない統治経験、そして支持率の深刻な低下から、言うまでもなく教訓を引き出したことだろう。これに関連して、蔡候補と彼女のチームは、競争相手に非難の口実を与えないよう、最大限注意を払うに違いない。
又陳政権は当時、国会で国民党が多数派を占めていたことにより、民進党が提案した法案がことごとく否決されるといった状況のため、事実上、手足を縛られ身動きできなかった。一方現在の状況は、そうした状況を変えることが可能だ。もし民進党が、単独過半数を超えた明らかな多数勢力にならなくても、少なくとも民進党と国民党という二つの政党が、所謂「緑の陣営」と「青の陣営」と言われる彼らの同盟者と共に、おおよそ同じだけの議席を得れば、変化は可能だ。又ある意味で、ついに時代も「緑の陣営」に有利になっている。なぜなら、新しい世代の有権者が投票するからだ。彼らは、両親達よりも自分達と中国本土との「遺伝子的絆」を強く感じていない。
新しい世代の有権者の登場という意味で、特筆される現象となったのは、昨年の春から夏にかけて展開された「ひまわり運動」だった。そこでは、若者の間で、中国との統合の不可避性について訴える美辞麗句が、多様に受け止められ、時には否定的反応を呼び起こすことを、これまで以上に示すものとなった。専門家の一部は、台湾政治の第三の勢力として、完全に新しい政党「新時代党(中国語では時代力量)が組織される可能性がある事に注目した。この政党は、半世紀にわたる若者達の抗議の気持ちを形にするものとして生まれたものだ。
しかし蔡候補には追い風ばかりが吹いているわけではない。15年前に陳氏が総統になった時に比べ、台湾の今の経済状況は、蔡候補の今後を心配させる、はるかに多くの悲観的な根拠を与えている。多くの分析専門家らは、近く、台湾は不景気の時代に突入すると予言している。今中国本土で、ハイテク産業が大規模に発展している一方で、台湾では、徐々に産業の空洞化が起きている。蔡候補は、中国本土との交流を優先的な柱にすえるのをやめてはならないと主張し、地域の他の国々との交流をもっと積極的に発展させ、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加を通して、台湾経済の競争力を上げるという問題の解決を図るよう訴えている。
TPPへの参加が、必要な配当金をもたらしてくれるかどうか、それは全く分からないが、中国当局との関係冷却化は明らかに、マクロ経済的状況の改善を促すことにはつながらない。なぜなら、現在に至るまで、中国本土と台湾との間の経済的相互関係には、非常に大きなものがあるからだ。近代化された台湾の発展、特にビジネス界にとっての中国というファクターの重要性を理解しつつ、蔡候補は、選挙戦の中で、最大限の注意深さを持って様々な発言をしている。彼女は、国内の有権者ばかりでなく、国際社会に向けても「自分が総統の座についても、新政府の政策においては、いかなる激変もないから、心配には及ばない」と伝えようとしている。そうしたことから、恐らく蔡英文氏が総統になっても、台湾と中国本土との建設的関係は保たれるに違いないと思う。
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日露の北朝鮮をめぐる立場はどれほど近いのか?[スプートニク日本語]
2016年01月14日 20:48(アップデート 2016年01月14日 21:00)
アンドレイ イワノフ
日本とロシアは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験に対する行動について意見の一致を見た。
菅官房長官によるこうした楽観的な発言に疑義を呈するのは、ロシア科学アカデミー東洋学研究所朝鮮研究室長のアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏だ。
「ロシアと日本の立場は、グローバルな核不拡散体制の維持への取り組みについては、一致しうる。問題は、いかにそれを成し遂げるかだ。ここにおいて両者の立場は必ずしも一致しない。日本は米国や韓国と同様、北朝鮮に対する制裁を可能な限り強化するべきだ、との立場だ。制裁で窒息させることも辞さない、という構えだ。そのために、彼らは、中国とロシアを対朝統一戦線に引き込むことを必要としている。しかしロシアと中国は、日本や米国、韓国と異なり、北朝鮮の崩壊や、政権交代を有益と見なしていない。露中はミサイルや核など具体的な軍事計画に対しては制裁を導入することに賛成だが、経済の民間部門を窒息させるようなそれを望んではいない。露中は北朝鮮の経済改革を促進したいと思っている。そうして北朝鮮を、普通の国へと変貌させたいと考えている」
スプートニク:露中が米日韓の圧力に屈し強硬な対朝制裁に加わることはあり得るか?
「取引があり、何らかの譲歩があるだろう。しかし、原則的な立場からは、我々は退かない」
スプートニク:米国が攻撃しないことを保障すれば、北朝鮮は核やミサイルの開発を中止する、との考えがロシアにはある。米国が北朝鮮にそうした保障を与えることはあり得るか。
「我々はそれに向けて常に働きかけを行なっているが、保証を与えるには、まず交渉のテーブルを囲む必要がある。目ざすべきは、朝鮮半島に平和をもたらすことだ。1953年の古い停戦合意を脱し、北朝鮮と米日韓の間に平和条約が締結され、外交関係が樹立されねばならない。こうしたプロセスの中で、米国は北朝鮮に保証を与えるだろう。攻撃しない、という保証、軍事的手段で政権を交代させない、という保証を。しかし米国は、様々な理由を設けて、頑なに保証を拒んでいる。当面は、我々としても、保証を与えるよう米国を説得することが出来ないだろう。米国は頑なに、政権交代を起こそうとしている。そのためには制裁強化と北朝鮮の完全孤立が必要なのである。また米国は、制裁が効力を発揮していないことを認めたがらない。北朝鮮の核開発は着実に進んでおり、いかなる制裁も、それを停止させることも、せめて遅らせることさえ出来ないのである。米国は、北朝鮮経済がここ15年、一貫して成長していることも認めたがらない」
そして米国は、もし制裁が効力を発揮していないとすれば、それは制裁が不徹底だからだ、と言うのである、とヴォロンツォフ氏。米国は制裁の強化を求め、北朝鮮との対話を拒否している。このようなアプローチに対し、北朝鮮が新たな核実験で対抗したとして、それは驚くに値することだろうか。
安倍首相は、自民党の桜田義孝・元文部科学副大臣が、慰安婦は「職業としての売春婦だった」と発言したことを非難した。議会の会合での発言。
「日韓で最終的、不可逆的に解決することで合意したことに尽きる。発言を封じることはできないが、政府・与党関係者はこれを踏まえ発言してほしい」と安倍首相。
桜田議員は木曜朝、自民党の会合で、日本で売春が禁じられたのは1955年であり、それまで売春婦は職業だったのであり、世論は慰安婦を「犠牲者だったかのようにしている宣伝工作に惑わされすぎだ」と述べた。
この発言は社会に大きな反響を巻き起こした。同議員は同日中に謝罪し、自身の発言は「誤解を招くところがあった」とした。
戦中、日本軍が、朝鮮をはじめとするアジア諸国で行った強制的売春制、いわゆる慰安婦問題は、ここ数年、日韓関係の障害となっていた。昨年末、両国は、日本が元慰安婦のための基金に10億円を拠出するとの合意を結び、慰安婦問題は両国関係の中で二度と再び取り上げられることはない、ということを約束しあった。また日本側は、ソウルの日本大使館の前に設置された慰安婦記念碑の撤去を求めた。
安倍首相はロシアとの協力の重要性を指摘、「最適の時期」を選んでロシアを訪問する意向を表明した。
なぜ安倍氏はかくもロシアに意欲的なのか?モスクワ国立国際関係大学のドミートリイ・ストレリツォフ教授はスプートニクの取材に次のようにこたえた。
「現状の特徴は、原油価格下落と、ロシアが陥っている困難にある。これは露日関係に影響しないではいない。日本はより強い立場に立っていることを感じている。ロシアが日本の投資、技術、おそらくは借款を必要とする度合いは高まる、と日本は見ているのだ。日本は、1990年代の状況の再来を予期しているのかも知れない。当時ロシアは日本の支援の受け手だった。ここにおいて、『経済援助の対価としての北方領土』という定式が息を吹き返すのだ。
第二に、北朝鮮の水爆実験発表にちなむ地域情勢がある。日本は北朝鮮に対する取り組みをロシアと共同で行いたいとみている。
第三に、個人的要因がある。安倍氏とプーチン氏の関係と、彼らのコンタクトを基礎とする特殊な環境が、両国間関係にある。日本は快刀乱麻を断つ人間としてのプーチン氏に期待をかけている。つまり、領土紛争において何らかの進展をプーチン氏なら達成できるのではないか、と」
スプートニク:特にロシアの経済状況悪化とロシアが経済援助と引き換えにクリルを引き渡す用意について、期待はどの程度根拠のあるものなのか。
「交換をうんぬんするのは時期尚早だと思う。ロシアの状況はそこまで悪くない。ロシアには備蓄があり、財政的な余裕も、向こう2−3年分ある。状況は悪くなってはいるが、原油価格の下落も永遠には続かない。いつか必ず価格は盛り返す。そして状況は正常化するのだ。いまの危機は投機的性格のものだ。このことを理解する必要がある。つまり、ロシアには、パニックに陥るような理由はないのである。ただ、日本との協力は、ロシアの国益にかなう。それとこれとは話が別だ。日本の、エネルギー資源その他ロシア経済の諸部門に対する長期的投資は、経済・財政危機の被害を軽減してくれる」
スプートニク:日本の経済協力を得るためには、特に領土に関して、ロシアはどの程度譲歩する用意があるか。
「領土問題についてはロシアは譲歩しないと思う」
スプートニク:日本はそれにどう反応するか。それで露日関係が悪くなりはしないか。
「そうした状況がはや数十年続いている。まだどれだけ続くかわからない。ロシアも、柔軟な立場であるとか、平和条約締結のために相互に受け入れ可能な解決を行う用意があるだとか、言いはするものの、ロシア政府内には、国益について譲歩するわけにはいかない、日本は第二次世界大戦の結果を認めるべきだ、との確信がある。ロシアに可能な精一杯の譲歩は、4島のうち2島を日本に譲ることを定めた1956年宣言への回帰だ。日本はこの条件を受け入れられない。よって対話は際限なく長く続く可能性がある。しかしロシアは、この対話は結果よりもプロセスが大事だ、と見ている。対話があれば、露日は他の分野で協力を発展させられるからだ」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160115/1441052.html
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安倍首相、「最適な時期に」ロシアを訪問する強い意向を表明
2016年01月15日 23:00(アップデート 2016年01月15日 23:50)
安倍首相はロシアを訪問する強い意向を表明し、そのために「最も適切な時期」を探っている、と述べた。金曜、議会で発言した。
「ロシアとの対話は重要だ。私の訪ロとプーチン氏の訪日について、最も適切な時期を探っていく」。安倍首相の言葉を共同通信が伝えた。
首相は、国際問題の解決に対する「ロシアの建設的な関与を得ていくことが重要だ」と強調。「さまざまな機会を捉えて対話を続けていく」意向を示した。領土問題と平和条約締結についても「引き続き粘り強く交渉に取り組む」。問題は「首脳間のやりとりなくして解決はできない」とした。
安倍首相が最後にロシアを訪問したのは2013年のこと。プーチン大統領の訪日は2014年秋に計画されていたが、ウクライナ危機をめぐる国際環境の複雑化で実現しなかった。
※関連参照投稿
「ウクライナ ロシアへの債務支払わず 12月31日デフォルトへ:「ウクライナ対露債務とクリミア半島ロシア再編入の交換」」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/173.html
「プーチン大統領 イラン核問題への思惑:「ユーラシアをチェス盤から家へ」:米露がウクライナとイランを同じテーブルに乗せ交渉」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/234.html
「エストニア外相:狙撃兵の背後にいるのはヤヌコーヴィチではない、新政権内の何者か:ヌーランドさんに続きアシュトンさんも盗聴」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/188.html
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スルコフ大統領補佐官、カリーニングラードでヌーランド米国務次官補と会談[スプートニク日本語]
2016年01月15日 19:34
金曜日、ロシアのスルコフ大統領補佐官と米国のヌーランド国務次官補は、ロシア・リトアニア国境の通過地点チェルニャシェフスコエ-キバルタイで会談する。リア-ノーヴォスチ通信が消息筋の情報として伝えた。
消息筋によれば「ロシア領カリーニングラード州でスルコフ・ヌーランド会談が行われるとの情報が入った。会談は、ロシア・リトアニア国境の通過地点で実施される」。
先に新聞「コメルサント」は「カリーニングラードで会談が行われる可能性がある」と報じていた。会談の主なテーマは、ウクライナ南部・東部ドンバス地方の紛争調整に関するミンスク合意遂行をめぐる状況になると見られている。
「ドイツで女性複数に乱暴 容疑者の中に難民18人:政府機関の説明と女性数名の証言だけで事実は “藪の中”」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/316.html
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フィンランドの年配女性 若い難民相手に20ユーロで買春[スプートニク日本語]
2016年01月15日 23:55(アップデート 2016年01月16日 00:34)
複数のフィンランド女性が、未成年者の難民に対し20ユーロで性的奉仕を求めていたことが明らかになった。フィンランドのタブロイド新聞「イルタ-サノマト」が報じた。
未成年者の難民を受け入れる施設の組織を担当するダイアコニッサライトス基金の代表者によれば、女性達は、クリスマス休みの期間中、ヘルシンキ駅で未成年の難民達に金を払い、性的奉仕を要求しようとした。少年達に示された金額は、20ユーロだった。
基金の代表者は、施設にいる少年達との会話の中で事実を知った。また基金の職員達も、少年達が突然小遣いを持つようになり、タバコなどを買っていることに気づき、不審に思っていた。フィンランド国内に滞在している難民達には、毎月国から手当が支給されているが、その額は微々たるものだ。
基金の職員達は、未成年の難民達が、以前よりも多くの時間を駅で過ごすようになり、悪い仲間に入るのではないかと心配している。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160115/1442056.html
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難民の嫌がらせから逃れられないデンマークの女性
2016年01月14日 22:55
デンマーク、ユトランド半島に位置する町ティステは、若い女性たちに対する難民からの性的嫌がらせや侮辱が後を絶たないため、早急に何らかの対策を講じる必要があると考えた。
ティステに11月、難民受け入れに関する危機センターが設立された。伝えられたところによると、難民受け入れにより、町では問題が起こっているという。デンマークのテレビ局TV2がサイトで報じた。
特に、難民が若い女性に嫌がらせをし、ティステでは夜間に住民と難民の間で常に衝突が起こっているという。ティステで家庭や未成年者の問題を担当しているラース・スロース責任者は、次のように語っている‐
「私たちは、この町に問題があることを認めます。大勢の若い女性たちが、町が受け入れた難民から侮辱などを受けています」
またTV2が、町の夜間の秩序維持に努めている団体「ナイトレイブン」地域支部にも取材をしたところ、ティステでは夜間に外出先で危険を感じる若い女性の数が著しく増えていることが分かった。
スロース責任者によると、ティステは対策の一つとして、難民に対して性的分野におけるデンマークの習慣について教育する方針だという。
ロシア連邦航空局は、ウクライナ東部で墜落したマレーシア航空MH17便が、地対空ミサイル・システム「ブク」の9Н314Мミサイルによって撃墜されたとするオランダが発表した結論の信憑性が疑わしいことを示す新たな事実を6つ挙げた。この情報は、マレーシア機の墜落状況に関するオランダの最終報告書を、ロシアの専門家たちが調査した後、ロシア連邦航空局のストルチェヴォイ副局長が、オランダ安全委員会のヨウストラ委員長に宛てた公式書簡の中で述べられている。
マレーシア機MH17便は、2014年7月17日に墜落し、乗員乗客298人が全員死亡した。なお墜落時の状況は現時点ではまだ明らかにされていない。
書簡の中では、最終報告書に記されている情報が疑わしいことを示す新たな重要なファクターとして、もし航空機が地対空ミサイル・システム「ブク」のミサイルで撃墜されたと考えた場合、報告書に記されている破片の特性が、弾頭部分9Н314Мの破壊要素の特性と一致していないことや、航空機の破片の穴の特質も、弾頭部分9Н314Мが爆発する際にできる穴の特質と一致していないことが挙げられている。
その他、少なくとも墜落現場で発見されたミサイルの一部(ミサイルの3段目の胴体)の外観が、ミサイル9М38シリーズの弾頭部分が爆発した際にできるミサイル3段目の胴体の破片の外観と一致していないのも明らかだという。
さらに地対空ミサイル・システム「ブク」の9М38ミサイルの遠隔無線起爆装置の動作アルゴリズムが、航空機の撃墜状況と一致していないほか、航空機撃墜の際のミサイルの空間的位置も、報告書に記されている機体の破片に残っていたミサイルの痕跡の特性と一致していないことも指摘されている。
最後に、オランダの情報の信憑性に疑いがあることを示すファクターとして、航空機を撃墜した地対空ミサイルの発射ゾーンに関する結論が、ミサイル9М38の技術的特性や動作原則と一致していないことが挙げられている。
ウクライナ東部ドネツク州に墜落したマレーシア航空MH17便撃墜事件の犠牲者の遺族が、オランダのルッテ首相に、レーダー画像を入手するための国際的な活動を行うよう要請した。レーダー画像は、マレーシア機を撃墜したミサイルがどこから発射されたのかを特定する助けとなる可能性がある。
オランダのアムステルダムからマレーシアのクアラルンプールに向かっていたマレーシア航空MH17便(ボーイング777型機)は、2014年7月17日にウクライナ東部ドネツク州に墜落し、乗員乗客298人が死亡した。ウクライナは、同国東部の義勇軍に責任があるとしたが、義勇軍は、高い高度を飛行中の旅客機を撃墜できる手段は持っていないとの声明を表した。
オランダの安全委員会は2015年10月13日、墜落原因に関する独自の報告書を発表した。調査結果によると、マレーシア機は、地対空ミサイル「ブク」によって撃墜された。なお報告書の中に、「誰の管理下にあった地域からミサイルが発射されたのか?」という問いに対する回答はない。
オランダの遺族たちは、調査担当者らに、ロシアおよびウクライナ両当局からの一次レーダー情報が提供されていなかったことについて抗議する書簡をルッテ首相に書いた。オランダの調査担当者たちは、ウクライナならびにロシアのいくつかのレーダー情報が提供されたものの、両国からの一次レーダー情報は受け取っていなかったことを認めた。伝えられたところによると、一次レーダーは、2次レーダーとは異なり、レーダービーコンが装備されていない場合でも、航空機あるいは未確認飛行物体を発見することが可能だという。これは一次レーダーが、ミサイルの軌道を追跡できることを意味する。
http://jp.sputniknews.com/incidents/20160114/1433760.html
今月のメインイベントの1つとなるのが、20日から23日に開催の世界経済フォーラム、通称「ダボス会議」。ダボス会議は開催以来今までの歴史のなかで、すでに年間の主要なイベントの地位を獲得してきた。ダボス会議のなかでは決議といった文書の採択は行われないものの、これは世界の政治、経済のエリートがオフィシャルではない雰囲気のなかで会い、世界の主要な問題、紛争地での状況、世界の安定強化を図る方策、そして世界規模の経済には極めて重要な発展予測について、目と目を合わせて話し合う場を提供している。
ダボス会議では通常300近くの総会会議、セミナー、円卓会議が行われる。そしてまさにこの場で新たなコンタクトが開かれ、旧来のビジネスコンタクトが強められる。ダボス会議のメンバーとなっているのはロシアをはじめとする世界各国のおびただしい数の大企業、組織。2016年、主要テーマのひとつには未来の技術革命が挙げられており、医療、医薬品の問題に多くの注意が割かれほか、未来の精神医学についての特別セッションが開催される。とはいえ、一番の焦点となるのは国際原油価格の下落を背景にした世界経済の新たな挑戦、新たな傾向、そして国際証券市場のボラティリティーになるだろう。
今回のダボス会議に出席するロシア代表団の団長は初めて、副首相であり、極東連邦管区大統領全権代表も務めるユーリー・トゥルトネフ氏が務める。トゥルトネフ氏は22日のロシアについての概観セッションに参加する。このセッションではマクロ経済、低い原油価格、アジアにおける新たな貿易、投資統合体、国際的な安全保障システムにおけるロシアの役割が話し合われる予定だ。このようにしてトゥルトネフ氏はダボスでアジア太平洋地域の議題のほか、ウラジオストクの極東経済フォーラムについてプロモーションを行う。
「2016年9月、ウラジオストクで開催される第2回東方経済フォーラムは第1回目のそれとは原則的に異なる。第1回目のフォーラムで我々は計画についてお話したが、これにみんなが興味を示してくれた。そこでほぼ世界中から非常によい評価を得ることができた。
だが2回目の会議では私たちはもう実際の作業について話をせねばならない。つまり話をするのはもう役人ではなく、かなりの部分、実際にこの領域に来て、作業を始める投資家でなければならない。彼らはなにがうまくいき、どこの部分で法律をさらに修正しなければならないか、何が作業を阻害しているかを話さねばならない。我々はすでに9つの先進発展領域(TOR)を設けている。
極東発展基金の作業も開始された。ウラジオストク自由港も始動し、最初のレジデントが入っている。極東の地図には36の企業の誕生へとつながる36の投資プロジェクトが現われている。
極東へと流れ込む投資額は4兆ルーブル(日本円で6兆2千万円)を超える。これはほんのスタートにすぎない。おそらく2016年には企業の数でも資金額のうえでも結果を3倍に増やすことが可能になると思う。
だがTOR、自由港など、これは単にツールであり、これを使って競争力を高め、投資を呼び込まねばならない。なぜなら極東の周りには、こんなにも複雑な条件下であっても世界で最もダイナミックに発展する諸国である日本、シンガポール、マレーシア、中国があるからだ。このため我々は正確に作業を行うことを身に付け、同じような、ひょっとするとそれ以上の経済成長レベルに達するよう努力せねばならない。我々が学ばねばならないことはまだまだある。」
ロシアは自らの目の前に21世紀全体を見通した優先課題を立てた。それは極東の発展だ。おそらくダボス会議の結果、ロシアはこの路線での世界の実業界から資本の支援をとりつけることができるだろう。ロシアからはトゥルトネフ氏のほかにアレクセイ・クードリン元財務相、エルヴィラ・ナビウリナ中央銀行総裁が報告にたつ。ダボス会議の組織側はプーチン大統領を招待しようとしたが、プーチン大統領はこれを辞退した。メルケル独首相も移民難民問題を理由に出席を断っている。ケルンでの移民の襲撃事件はメルケル首相の評判を大きく損ねた。
ウクライナのポロシェンコ大統領の支持率が急激に低下している。現在は前任者のヤヌコヴィチ氏の、結果的に同氏の退任につながったマイダンにおける事象(政変)より3%低くなっている。ウクライナのテレビ放送「24」が報じた。
現大統領は選挙直後、47%の支持率を誇った。以来30ポイント低下し、現在は17%となっている。マイダン中のヤヌコヴィチ氏の支持率は20%だった。
専門家によれば、支持率急落の背景にはマイダン中に提唱された要求が履行されていないことがある。
マイダンとは、2013年11月21日に始まった、キエフ中心部における大規模抗議行動のこと。政府がウクライナとEUの連合協定調印への準備を停止したことが発端。ウクライナのほかの都市でも抗議行動が起こった。
抗議勢力は社会的な不平等、貧富の差の拡大、生活水準の下落、役所における汚職の蔓延などに抗議の声を挙げた。ヤヌコヴィチ氏は2010年から14年までウクライナ大統領を務めた。
中国経済は新常態に入り、2010年には10.4%だったGDP成長率は今や、7.0%前後にまで落ち込んだ。こうした状況の中、「中国は衰退している」、「中国が中所得国の罠に陥る確率が高まった」などの声が飛び交っているが、新常態に入った後、中国が「中所得国の罠」を回避することはできるのだろうか?その方法とは?この問題に答えるためには、理論と実践を組み合わせ、発展の法則に即した判断を出さなければならない。人民日報が伝えた。
▽「中所得国の罠」のリスクは今も存在する
「中所得国の罠」は世界銀行が2007年に報告書「東アジアのルネッサンス」の中で提示した概念だ。同報告書によれば、第二次世界大戦後の各国の経済を観察した結果、1人当たりGDPが3千〜5千ドルに達し、中所得国の段階に入ると、多くの国が資源の不合理な資源占有、不公平な所得分配、緩慢な技術進歩、社会矛盾の表面化といった原因により、経済社会の発展が長期的に停滞することが明らかになった。例外と言えるのは日本や韓国などのごく少数の国家のみだ。世界銀行はこの普遍的な現象を総括し、1人当たりGDPが5千ドル前後に達した国の経済発展が相対的に停滞する現象を「中所得国の罠」と名付けた。
世界銀行の基準によれば、中国の1人当たりGDPは2008年に3300ドルに達し、中所得国の仲間入りを果たした。その後、2011年には同値が約5400ドルに達し、停滞しやすい段階に入ったが、中国経済が停滞することはなく、2012年には6100ドル、現在は7800ドルに達し、中高所得国の範疇に入った。しかし、中高所得国の中ではまだまだ低水準だ。現在、先進国の1人当たりGDPは軒並み4〜5万ドルに達し、世界の1人あたりGDPはすでに1万ドルを超えている。当然、多くの低所得国家も「平均化」された上での数値だ。中国は中高所得国の1人当たりGDPの上限である1万1千ドルからはまだかけ離れており、「中所得国の罠」のリスクは依然として存在する。この罠を回避できるかどうかは、中国の「第13次五カ年計画(2016〜2020年)」期の発展における重要な試練であり、小康(やや ゆとりのある)社会の全面的完成に向け、避けては通れない関門だ。
▽「減速するが失速はしない」ことが、「罠」回避の基本戦略
新常態に入った今、中国経済の減速は法則に合致した現象と言える。この減速には直接的な原因と、深いレベルの原因がある。
直接的な原因は、経済成長を引っ張る「三頭立ての馬車(輸出・投資・消費)」から分析しなければならない。2011年から2013年にかけ、中国の消費・輸出の経済成長への寄与度は下がり続けた。特に世界金融危機後の不景気の影響を受けて、輸出の寄与度はマイナスにまで下がり、唯一投資の寄与度のみが増え続けた。2014年から2015年第1四半期にかけて状況はやや好転し、消費・輸出の増加率と寄与度がやや増加したが、投資が他をリードする局面は根本的に変わらなかった。これに加えて資本の限界効率逓減の法則が働き、投資が経済成長をけん引する力が落ち続け、経済の下振れ圧力が強まり続けた。
深いレベルの原因には以下の3つがある。(1)経済発展モデルの転換の遅れ(2)経済構造のアンバランス(3)人口ボーナスの減少、人件費の高騰。
新常態下における中国経済減速の必然性を認識することは、法則に適応し、これを制御し、適度な発展速度を見つけることにつながる。
2014年のGDP(63兆6463億元)と人口(13億6782万人)、人民元の対米ドル基準値(1ドル=6.1224元)を基準とし、経済の高成長プラン(GDP成長率7.0%)、中成長プラン(5.5%)、低成長プラン(4.0%)の3つのプランで2020年、2025年の中国の1人当たりGDPを予測すると、以下のようになる。
高成長プラン――2020年:1万834ドル、2025年:1万4987ドル
中成長プラン――2020年:9954ドル、2025年:1万2831ドル
低成長プラン――2020年:9135ドル、2025年:1万961ドル
つまり、将来経済に大きな起伏が起きない限り、中国は「中所得国の罠」を回避できるが、プランの違いによってその達成時期が大きく異なってくる。高成長プランならば、第13次五カ年計画中に基本的に回避できるが、中成長プランだと2022年、低成長プランだと第14次五カ年計画(2021〜2025年)が終わるころにやっと回避することになる。
減速するが失速はしない。これが、新常態下の経済発展の要求だ。
減速はしても良い。上述したように、経済成長率が5.4%以上、すなわち中成長プランの成長率を維持できれば、各目標の達成は問題がない。ただ、失速はしてはならない。ある程度の経済成長率は、雇用を確保し、「中所得国の罠」を回避するため必要であり、モデルチェンジ、構造調整、民生改善の必要条件でもある。この3つの目標の達成には、高すぎる成長率を引き下げる必要がある。これは自動車が角を曲がる時にブレーキを踏むのと同じだ。しかし、減速がそのまま失速になってしまうと、3つの目標の基礎と原動力も失われてしまう。航空機が失速すれば事故になってしまうのと同じだ。
2008年の世界金融危機以来、先進国の経済は軒並み失速し、今も困難から抜け出せない状態だ。
アジア、ラテンアメリカの多くの途上国の経済が長期的に停滞に陥り、「中所得国の罠」の中でもがいているのも経済失速の結果だ。減速するが失速はせず、中成長プラン以上を維持し、高成長プランを目指すことが、経済の新常態の中で「中所得国の罠」を回避する重要な基本戦略である。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年1月15日
外交部(外務省)の14日の定例記者会見で洪磊報道官が朝鮮半島の非核化をめぐる中韓外務省の会談について質問に答えた。
【記者】韓国外務省の黄浚局・朝鮮半島平和交渉本部長(6カ国協議首席代表)と中国の武大偉・朝鮮半島問題特別代表が会談する。これについて中国側は何を期待するか。
【洪磊報道官】現在の朝鮮半島情勢の下で中国側と韓国側は意思疎通を保っている。すでに王毅外交部長(外相)と韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が電話で意見交換した。本日、武大偉特別代表が黄浚局首席代表と会談する。われわれは今回の会談で現在の情勢の下における朝鮮半島非核化の目標の推進、核不拡散体制の維持、北東アジアの平和と安定の維持が話し合われることを望む。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年1月15日
ボーイング社はこのほど航空市場分析報告会を通じて、2015年には航空機762機を引き渡ししたことを明らかにした。中国には200機で、全体の26%を占め、過去最高だったという。「京華時報」が14日に伝えた。
ボーイング民用航空機(BCA)北東アジアエリア市場営業販売部門のダレン・フルスト執行総監は、「世界の民用航空産業は7年連続で伸びており、2016年の成長率は7%に迫る見込みだ。経済のモデル転換の影響を受けて、昨年は中国の国内総生産(GDP)成長率が鈍化したが、重要な消費産業は引き続き航空産業の持続的な発展を促し、航空輸送量の増加率は12%を超えるとみられる。中国民用航空産業は昨年に全部で360機の新機を導入し、その陣容にボーイング『787-8』26機を加えた。昨年は成都、武漢、西安、廈門(アモイ)を含む二線都市を結ぶ路線の便が52%増加した。
今年はより多くの『787-9』を中国国際航空に引き渡しする予定だ。『777-300ER』は中国3大航空会社の遠距離市場における成長ツールで、半数以上が新しい市場でのサービスに投入されており、具体的には北京-米ヒューストン路線、上海-カナダ・トロント路線、広州-米ニューヨーク路線などに投入されている。残りは小型機や低効率の機体の代わりに利用されたり、便数を増やすために利用されたりしている」と述べた。
またフルストエグゼクティブ・ディレクターは取材に答える中で、「(中国が独自開発した)『C919』はこれまでに優れた成績を収めている。C919との将来の中国市場および国際市場における競争に直面して、ボーイングは自社のシリーズ製品を絶えず改良し、中国市場により多くのよりよい製品を提供していく」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年1月15日
バラク・オバマ米大統領が任期最後の国政演説(State of the Union)で、先日4回目の核実験を実施した北朝鮮に関し一言も触れなかったことをめぐり、共和党は一斉に懸念を表明した。
上院外交委員会のコリー・ガードナー東アジア小委員長は13日に声明で「オバマ大統領は『米国の外交政策はイスラム国(IS)やアルカイダの脅威に焦点を当てるべきだが、そこで終わってはならない』と言ったが、核実験を先日強行した北朝鮮には全く言及しなかった。平壌のマニアック(maniac=狂気じみた人。金正恩〈キム・ジョンウン〉朝鮮労働党第1書記のこと)に対するオバマ政権の『戦略的忍耐』政策は失敗した。オバマ大統領は議会と協力し、米国が北朝鮮の度重なる挑発行為を容認しないという意思を全世界に表明すべきだ」と述べた。
また、下院外交委員会のエド・ロイス委員長は、オバマ大統領が北朝鮮に対し強力な警告メッセージを発する機会を逃したと批判した。ロイス氏は北朝鮮に対する制裁を強化する法案発議を主導、オバマ大統領の上下院合同演説直前に418対2という圧倒的な賛成多数で通過させた。同氏は「議会が事実上、満場一致で処理した対北朝鮮制裁法案を、オバマ大統領が国政演説で支持することにより、北朝鮮の核の脅威に対応することができたのに、いい機会を逃してしまった」と述べた。
大統領選挙で共和党からの候補者指名を目指すジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上に「もっと安全になったって? ISは成長中だし、北朝鮮は核実験をしたし、シリアは混乱に陥っている。大統領は別の世界で暮らしている」という書き込みを掲載した。
ホワイトハウス側は「北朝鮮が核実験をした意図は米国の関心を引くことにあるので、あえて大統領が彼らの意のままに動く理由はない」と反論した。米国家安保会議(NSC)のベン・ローズ安保副補佐官は13日、外信記者との会見で、オバマ大統領が北朝鮮問題に言及していない背景を尋ねられ、「北朝鮮の指導者に特に関心を払いたくない。北朝鮮の指導者について知っていることは、関心を持ってもらうことが好きで、オバマ大統領が国政演説で北朝鮮に言及するため多くの時間を割くことを何よりも望んでいるということだ」と答えた。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の望み通りにする理由はないという意味だ。ジョン・ケリー国務長官も同日、ワシントンD.C.の国防大学で新年の対外政策基調を発表したが、北朝鮮と北朝鮮の核問題に一切言及しなかった。
ローズ氏は「だからといって、北朝鮮の核問題がオバマ政権の対外政策の優先順位から外れているわけではない。北朝鮮の核問題はオバマ大統領にとって優先課題だ。国連安保理の次元とは別に、制裁という次元の追加的対北朝鮮措置を検討している」とも言った。しかし、デニス・マクドノー米大統領首席補佐官は10日、オバマ大統領が国政演説で北朝鮮に対し強いメッセージを送ることをCNNのインタビューで示唆した。同氏はこの時、「北朝鮮が核兵器を放棄しなければ『仲間はずれ』はそのままだろう」と述べた。同氏はオバマ大統領の国政演説作成に深く関与していた。結局、演説を完成する段階で進展可能な切り札がなかったため、中身のないまま北朝鮮問題に言及するよりは、無視することにしたものと思われる。
ワシントン=ユン・ジョンホ特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/15/2016011501221.html
今月6日に北朝鮮が核実験を強行したその当日、韓国国防部(省に相当、以下同じ)は中国に電話で緊急の国防相会談を要請した。韓中国防相間のホットライン設置は、2014年7月の韓中首脳会談で合意したものであり、直後の実務者による協議を経て昨年12月31日に開通したばかりだった。このホットラインはどちらかが通話を希望する場合、相手方はいつでもそれに応じるという前提で設置されたものだ。そこで今回この合意に基づき、開通からわずか1週間後に北朝鮮が核実験を強行した直後、韓国は中国と共同の対応を取るため国防相による電話会談を要請したが、中国は今月11日になっても何の回答もしていない。決定的瞬間に効果を発揮するはずのホットラインが、いざ必要なときには無用の長物になっていたのだ。
首脳同士の電話会談もまだ行われていない。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は核実験が行われた翌日の7日、米国のオバマ大統領や日本の安倍首相と相次いで電話会談を行ったが、中国の習近平・国家主席とは今なお直接のやりとりを行っていない。これも韓国側の会談要請に中国が応じようとしないからだ。
核実験後に韓国と中国の間で行われた直接の話し合いは今月8日夜、外相同士が電話で1回会談しただけだ。この電話会談は70分間にわたり行われたが、双方の考えに大きな隔たりがあったため、何の一致点を見いだすこともできなかった。韓国外交部の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官は北朝鮮への厳しい制裁に中国も賛同するよう求めたが、中国の王毅外相は「対話を通じた解決」を主張し譲らなかった。会談後も中国外務省は、この韓中外相会談について王毅外相がメディアに短くコメントしただけだった。中国外務省は11日、米国の戦略爆撃機B52が韓半島(朝鮮半島)上空を飛行した時も「節制」と「慎重な行動」を求めるだけだった。
北朝鮮の核問題への対応において、中国が韓国の希望通り動くことを期待するのはもちろん最初から無理だ。中国が北朝鮮に厳しい圧力を加えるのは現実的に難しいことも韓国はよく理解している。しかし電話での首脳会談や国防相会談さえ応じないという中国の態度は、外交関係の常識に大きく反すると言わざるを得ない。昨年9月、朴大統領は欧米諸国から冷たい視線を浴びながらも、中国で行われた戦勝節記念行事に出席し、これによって韓中関係は一時大きく好転し関係も深まるかと思われたが、これも今回完全に無為に帰してしまった。
問題は状況によって簡単に右往左往する韓国外交部の識見の無さだ。尹長官は昨年7月、当時の韓中関係について「歴史上で最高」と語り「米国と中国の双方からラブコールを受けるのは祝福だ」とも発言した。ところが実際に危機的状況に直面すると、韓国と中国の間には越えられない大きな壁がある事実があらためて突き付けられた。外交政策の責任者が「歴史上で最高」と自慢げに語った言葉が、わずか数カ月後にはむなしい戯言になってしまったのだ。日本との関係も同様だ。韓国外交部は朴大統領就任以来、30カ月以上にわたり「慰安婦問題が解決しなければ首脳会談は行わない」などと威勢良く強硬な態度を取り続けたが、昨年末には突然その方針を百八十度見直し、たちまち日本との合意に至ってしまった。
これまで朴槿恵政権が取り続けてきた中国重視政策の影響で、同盟国である米国からも韓国の中国傾斜を懸念する声が出始めている。北朝鮮による核実験という決定的瞬間に中国がその本心をさらけ出した今、われわれは対日外交に続き対中戦略についても方針の見直しを迫られている。今の政権は発足から3年で米国、中国、日本との関係を全面的に見直すという大きな課題を抱えることになったわけだ。このままでは韓国が外交政策を通じて国としての誇りを持ち続けることも、また国民に「政府は外交によって国益をもたらしている」という信頼を持たせることもできない。今の状況が現政権の外交政策担当者の失敗によるものであるなら、今すぐその担当者を交代させ、新たな戦略と方針を定めねばならない。あるいはもし大統領の間違った指針が今の状況を招いたのなら、大統領自らすぐにでも国民に説明すべきだ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/12/2016011201082.html
米国ホワイトハウスは13日(現地時間)、北朝鮮による4回目の核実験強行と関連し、ミサイル防衛(MD)システムの強化について韓国・日本と話し合っていることを明らかにした。
ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のベン・ローズ副補佐官は13日、ワシントンDCで開かれた記者会見で「米国は最近、B52爆撃機を出撃させたのに続き、地域における安全保障を強化するため、MD能力強化を話し合っている。北朝鮮の脅威から米国民と地域の同盟を守る上で直接的に関連があるMD能力を強化しようとするもの」と語った。終末段階・高高度防衛ミサイル(THAAD)システムのような特定のMDシステムに言及することはなかったが、北朝鮮の核実験を契機に米国側がTHAAD問題を公に取り上げ、韓半島(朝鮮半島)配備をめぐる議論が急展開を見せることもあり得る、という見込みが出てきた。
これに先立ち、韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は13日の記者会見で、THAAD配備と関連して「北朝鮮の核・ミサイルの脅威などを考慮して、安全保障・国益に基づき検討していく」と発言した。大統領の発言は、これまでTHAAD配備について「要請がないので協議もなく、決定事項もない」という「3ない政策」を固守してきた韓国政府の立場から一歩踏み出したものだ。中国が極めてデリケートに反応するTHAADの問題を取り上げることにより、北朝鮮の核への制裁に消極的な中国を圧迫する、という解釈も登場している。韓国国防部(省に相当)のキム・ミンソク報道官は、14日の定例ブリーフィングで「もし米国防総省が在韓米軍にTHAADを配備すると決定し、韓国政府に協力を要請してきたら、韓国の安全保障と国益を考慮して検討する」と語った。
専門家らは、北朝鮮が今後長距離ミサイルの発射など強硬な挑発をさらに行ったり、中国が北朝鮮制裁に消極的な態度を取り続けたりした場合、米国は「韓半島へのTHAAD配備」カードを積極的に切る可能性が高いと語る。韓国政府の立場からも、THAADは防衛用で、有事の際に北朝鮮のミサイルを迎撃する能力を高めることができる上、米国の費用で在韓米軍に配備するものなので、配備に反対する名目は弱いと指摘されている。
しかし中国は、THAADのAN/TPY2レーダーは中国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)などを狙ったものだとして強く反発しており、THAAD配備が推進された場合は韓中・米中対立も予想される。
ある消息筋は「韓国政府は中国を意識して、公式にはTHAAD配備に慎重な立場を取ってきたが、韓米両軍の間にはTHAAD配備の必要性についてコンセンサスが形成されており、最終的にはTHAADを配備する方向で決定が出る可能性が高い」と語った。
ユ・ヨンウォン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/15/2016011501243.html?ent_rank_news
【NQNニューヨーク=神能淳志】15日の米株式相場は急反落した。ダウ工業株30種平均は前日比390ドル97セント安の1万5988ドル08セント(速報値)で終え、2015年8月25日以来およそ4カ月半ぶりの安値を付けた。中国市場や原油先物相場の不安定な動きが続き、市場心理が悪化。アジアや欧州主要国の株価指数が軒並み下げ、米株式にも売りが広がった。米景気回復の鈍さが意識されたことも相場を下押しし、ダウ平均は節目の1万6000ドルを割り込んだ。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大きく下げ、終値は前日比126.586ポイント安の4488.417(速報値)と14年10月下旬以来およそ1年3カ月ぶりの安値を付けた。前日夕に四半期決算を発表したインテルが急落。半導体関連株に連動した売りが広がり、指数を押し下げた。
http://www.nikkei.com/markets/kaigai/summary.aspx?g=DGXLAS3LANY02_16012016000000
強姦罪に問われた鹿児島市の男性被告(23)の控訴審判決で、福岡高裁宮崎支部は12日、懲役4年とした一審判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。高裁でDNA鑑定を実施した結果、被害を訴えた女性の体内から被告とは別人のDNA型が検出された。岡田信裁判長は鑑定の信用性を認定し「女性の証言は客観的な証拠と整合せず、信用できない」と判断した。
男性は、2012年10月に鹿児島市の繁華街の路上で当時17歳の女性を暴行したとして起訴された。男性は「酔っていて覚えていない」と話し、弁護側は一審段階から無罪を主張していた。高裁での鑑定後、昨年3月に保釈が認められた。
DNA鑑定は鹿児島県警科学捜査研究所も実施したが「微量のため鑑定不能」としていた。判決は検証資料となる鑑定経過を記録したメモを廃棄したことなどに疑問を呈し「技術が著しく稚拙か、別人のDNA型が出たため捜査官の意向を受けて鑑定不能とした可能性を否定できない」と述べ、捜査当局による「証拠隠し」の可能性に言及した。
さらに、検察側が高裁の鑑定後、裁判所や弁護側に知らせず、再鑑定を実施したことを厳しく批判。「有利な結果が出た場合のみ明らかにする意図だったと疑われ、裁判の公正さを疑わせかねない。希少な試料が必要性も緊急性もないのに費消された」と述べた。
14年の一審鹿児島地裁判決は「女性の胸に付着した唾液から被告のDNA型が検出された。精液の存在も、鑑定はできなかったものの、女性の証言を裏付ける」として有罪とした。高裁判決は唾液については、被告と女性に何らかの接触があったことは認定した。
福岡高検の中田和範次席検事のコメント 検察官の主張が認められなかったことは遺憾であり、判決内容を十分に精査・検討し、適切に対処したい。
内部だけの鑑定、不透明さに警鐘
指宿信・成城大教授(刑事訴訟法)の話 DNA鑑定をはじめとする証拠は真実の発見が目的だ。判決は限りある鑑定試料を独断で利用した検察側を批判しており、ほかの裁判への影響も大きい。捜査段階のDNA鑑定の信用性をほぼ否定したことにも意義があり、警察が鑑定を外部に依頼せず、内部だけで行うのは不透明だと警鐘を鳴らした判決といえる。
[日経新聞1月13日朝刊P.35]
[富の偏在問題]「裕福なわずか67人の富=世界人口のほぼ半数35億人の富」という現実
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/174.html
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所得上位62人の資産が下位36億人と同じ[NHK]
1月19日 9時05分
世界で最も裕福な所得上位62人の資産が、下位36億人の資産とほぼ同じだとする報告書を国際的なNGOがまとめ、「貧富の格差が急速に拡大している」として対策を急ぐよう訴えています。
貧困問題に取り組む国際NGO「オックスファム」は18日、スイスの金融機関の資産データなどを基に、「1%のための経済」という報告書を発表しました。この中で、去年、世界で最も裕福な所得上位62人の総資産は1兆7600億ドル(およそ206兆円)で、所得下位の36億人分、実に世界の人口の半数の総資産に匹敵すると推計しています。
62人は、マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏などで、日本人ではユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が含まれます。
「オックスファム」によりますと、5年前の調査では、所得上位388人の総資産が世界の人口の半数の総資産とほぼ同じだったということで、「世界の貧富の格差は急速に拡大している」と警告しています。「オックスファム」は、20日からスイスで世界各国の政治や経済界のリーダーが集まる「ダボス会議」が始まるのを前に今回の報告書を発表しており、格差解消のために、貧しい人への社会投資や最低賃金の引き上げ、大企業の租税回避への対策などを検討するよう訴えています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160119/k10010377151000.html
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政府与党と共産党で展開された猿芝居だとしても、経済成長と分配の関係など全体として悪くない論戦だと思う。
しかし、話題を集めている複数税率(軽減税率)の“財源”をめぐるやりとりは悲しみを誘うレベルである。
まず、紛糾した1兆円(税収減)と6千億円(家計負担減)のあいだの大きな数値的ズレは、ズレていて当然のもので、それをとやかくいうほうがおかしい。
そう答えられずに、家計調査のバイアスのように説明する“安倍政権も、詐欺師に似ており悪質である。
「税収減見込み」と「家計負担減予測」がイコールでなければおかしいという主張は、「会社の利益増加」と「従業員の賃上げ」は同等でなければおかしいというようなものである。
「税収減見込み」と「家計負担減予測」の大きなズレは、「軽減税率」(複数税率)制度から発生する消費税負担の“軽減”が、どこ(誰)に“配分”されるかという問題に起因する。
次に、複数税率(軽減税率)の導入で、家計負担が軽減されるという“発想”というか認識そのものが誤りである。
消費税は消費者ではなく事業者に課される税だから、消費税が“軽減”されるということは、負担者(納税義務者)である事業者の税負担が軽減されることを意味する。
それ以外の家計負担が減少するといった話は、「軽減税率」(複数税率)の導入に直接関わるものではない。
政府は、「軽減税率」(複数税率)の導入は特定の事業者に利益を与える制度と説明するわけにはいかないから、その可能性もなきにしもあらずの「家計負担軽減」という話を持ち出してごまかしている。
「軽減税率」(複数税率)の導入が家計負担を軽減させるというのなら、同じ税制的経済的意味を持つ法人税減税や消費税「輸出免税」制度も、家計負担を軽減させると説明しなければ論理矛盾に陥る。(これが付加価値税である消費税を理解する肝である)
「家計負担減」云々は、せいぜい、事業者の税負担が軽くなることで、販売価格が下がるかもしれないという“期待”の話でしかない。
複数税率(軽減税率)の導入で適用される品目を商う事業者の利益が増加する(=税負担が減少する)ので、“価格競争が激しい自由競争状態にあるなら、適用品目の販売価格は低下し、家計の負担を緩和する”と期待できるといったレベルである。
政府(財務省)を代弁すれば、複数税率(軽減税率)を導入したら、事業者は得られる消費税負担減を独り占めするのではなく納入業者や消費者にも“還元”して欲しい、60%ほど(1兆円のうち6千億円)は税込み販売価格の低下を通じて消費者(家計)に“還元”して欲しいというものである。
消費税そして複数税率(軽減税率)という制度がどういうものなのかという共通の認識がないまま議論しても噛み合わないのは当然である。
安倍政権は、口先でのゴマカシはともかく、複数税率(軽減税率)制度の内実(本質)がわかっている。
わかったうえで、創価学会や新聞社に利益を提供する複数税率(軽減税率)を導入するため、複数税率(軽減税率)導入を歓迎するよう国民を騙す目的のデータが家計負担減の予測値である。
家計負担減という話は、端的に言えば、ヒトを騙す詐欺師の口上である。
複数税率(軽減税率)の導入で税収が減れば、そのうち消費税の標準税率が引き上げられることになるから、家計負担減という話は、バカバカしい説明の虚構でしかない。
共産党も、「輸出免税」(俗に言う“輸出戻し税”)が輸出企業への補助金であることは理解しているから、優遇対象は違っても税制的には同じ論理と特典である「軽減税率」の内実はわかっている(はずである)。
創価学会ほどではないが、「しんぶん赤旗」や書籍といった出版事業が盛んで「軽減税率」の魔力に魅入られている共産党は、複数税率(軽減税率)制度の導入を潰す気はないようだ。
共産党としては、書籍とともに、購読者としては圧倒的に多い「日曜版」単体が週2回以上発行という新聞への「軽減税率」適用要件からどう評価されるのかが気になっているはずである。
さらに、共産党の小池参議院は質問のなかで、消費税が低所得者やワーキングプアにもかかる税という表現を使っているが、消費税はあくまでも事業者に課される税であり、消費者はその負担が転嫁される立場である。
表現の違いでどちらでも同じじゃないかと思うヒトは、税制や経済政策について語らないほうがいいと思う。
事業者は、消費税の負担を消費者(販売先)に転嫁できない場合でも、自分の利益を削って消費税を納付しなければならない。
可処分所得が少ないヒトは、消費税の転嫁でものの価格が高くなったら、その値段では買わなくなるか、買う量を減らすことで消費税の転嫁を避けることになる。
最後に、低所得者対策なら、マイナンバーカードといった方法論はともかく、財務省や民主党が主張しているように「給付」が合理的である。
はっきり言えば、“消費税の逆進性”は、「給付」によって解消できる問題である。
消費税(付加価値税)は、生産性上昇とインフレが常態であった産業成長期ならまだしも、デフレ気味で産業活動も低迷する“成熟期”では、経済成長や国民生活の阻害要因でしかない。
今すぐというわけにはいかないと思うが、原発と同じように、今こそ、「脱消費税依存」が政策テーマとして掲げなければならない。
※ 軽減税率関連参照投稿
「混迷する「軽減(複数)税率」問題を考えるための基礎的理解」
http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/707.html
「「軽減税率」は消費税納税事業者の負担を軽減する制度:消費者の負担軽減とは無関係」
http://www.asyura2.com/14/senkyo166/msg/200.html
「食料品に「軽減税率」が適用されたら農家はどうなる?:150万戸農家のうち約92%は消費税非課税事業者という現実」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/649.html
「経済素人さんへ:新聞社は「軽減税率」適用によりたとえノーマージンの販売でも膨大な利益を手にするという特典を獲得」
http://www.asyura2.com/14/senkyo175/msg/197.html
「消費税の税率が高くなればなるほど、「軽減税率」が導入されればなおいっそう、“ワーキングプア”が増加するという論理」
http://www.asyura2.com/14/senkyo175/msg/141.html
「「きっこのブログ」批判:低所得者対策というウソをまとった「軽減税率」制度は特定企業への究極の“バラマキ”政策」
http://www.asyura2.com/14/hasan85/msg/844.html
「消費税の負担軽減どころか重税化につながる「軽減税率」(複数税率)を負担緩和策と称して要求する公明党などを批判した論説」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/936.html
安倍首相は、台湾の総統に民進党の蔡英文(ツァイインウェン)主席が選ばれた後、日本と台湾の関係がさらに発展することに期待を表した。一方で台湾における最近の政治的変化は、対中国ゲームで台湾を利用することが、日本と米国にとって魅力的であり続ける状況をつくり、地域情勢を著しく悪化させる恐れがある。
モスクワ国際関係大学国際問題研究所の上級 学術専門家のアンドレイ・イワノフ氏は、次のような見解を表している。
蔡英文主席の勝利は、台湾の外交政策を大きく変化させるための前提条件をつくり出す。敗北した「国民党」は、非常に賢明な政策を行っていた。同党は、中国本土との経済協力を積極的に発展させ、独立のことはおくびにも出さなかった。これが、台湾海峡をはさむ中台関係で現状を維持し、香港をモデルとした台湾と中国の統一に関する中国からの呼びかけに気付かないふりをすることを「国民党」に可能とさせていた。しかし、蔡英文主席は、中国との接近に反対する立場を表明している。加えて民進党は、台湾が独立を公式に宣言することを志向している。
しかし、台湾の独立宣言は、中国との戦争を引き起こす恐れがある。まさにそのため、中国との軍事紛争を望まない米国は、長い間、台湾の分離独立機運を妨害してきたのだ。また米国は、同国製の最新兵器売却に関する台湾の要請も拒否した。米国が中国との対立を望まない理由は、戦争が引き起こされる恐れがあるだけでなく、急速に発展する中国を、経済のみならず米国の地政学的パートナー、さらには米国の同盟国にするという願望があったからだ。しかし、世界を支配する米中の「G2」体制の形成という米国の夢が破れた後、米国は中国をアジア太平洋地域ならびに世界における米国の主導権に脅威を与える存在、ライバルとみなした。米国はこの脅威に対して、米国のアジア回帰という政策で対応し、明らかに対中国の傾向を持った環太平洋パートナーシップを形成した。
台湾総統選挙で中国との接近に反対する政党が勝利したことで、米国の中国封じ込め政策で台湾を利用するという誘惑が生まれることに疑いはないだろう。なお、この対中ゲームでは、日本が重要な役割を担う可能性がある。日本はすでに経済協力の助けを借りて、ベトナム、フィリピン、インドを対中戦線に引き込んでいる。このシナリオで進展した場合、ウクライナと同じようなことが起こる恐れがある。
なお中華帝国の一部だった台湾と、ロシア帝国ならびにソ連の一部だったウクライナでは、独立を求める人と、中国またロシアそれぞれとの関係維持を求める人が、ほぼ半分に分かれている。欧米は、ロシアはウクライナなしには偉大な大国として生まれ変わることはできないと考え、ウクライナをロシアの影響下から引き離すためにたくさんのことを行った。なおこれは、幻想であることが分かった。しかし、欧米が違法な手段で政権を奪い取ることを支持したことなど、欧米とウクライナの陰謀は、悲惨な結果をもたらした。ウクライナは事実上、崩壊してしまったのだ。ウクライナからクリミアが離れ、事実上、ドンバスも抜けた。ウクライナ経済は、ロシアとの関係が上手くいかなかったことで破綻の状態にある。
米国とその同盟国が台湾の分離独立機運を支持し、台湾を中国から「引き抜く」という試みを実施した場合、さらに悲劇的なことが起こりかねない。少なくとも、台湾経済が打ちのめされるだろう。そして残念ながら、台湾を奪い取ろうとする試みを、中国が軍事力で阻止するという非常に黙示録的なシナリオも除外できない。
なおウクライナの場合、ロシアはその戦争に引き込まれることを回避することができた。しかし中国がこのような「芸当」をやってみせることができるかは、分からない。
欧米の経済制裁もあり、これらを好機として、石油の国内消費にもつながる産業育成に注力しなければならない。
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ロシア 外国への融資提供を中断する可能性[スプートニク日本語]
2016年01月19日 12:47
ロシアのストルチャク財務次官は、2016年の予算が厳しいことを受け、ロシア政府は外国への新たな融資を提供できない可能性があるとの考えを表した。
ストルチャク氏は、次のように説明したー
「私は現時点で、政府が新たな融資提供に関する決定を承認するチャンスは非常に少ないと考えている。予算は厳しく、厳しさはひとしおだ。私は、新たな融資に関する義務を承認する観点からみて、我々は客観的に中断を余儀なくされる状況にいると考えている」。
ストルチャク氏は、ロシアは2015年、「かなりたくさんの」融資合意に署名したと指摘した。
http://jp.sputniknews.com/business/20160119/1452061.html
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ロシア、アジアインフラ投資銀行からの初融資に期待[スプートニク日本語]
2016年01月19日 01:53
ロシア政府は危機をものともせず、2016年にロシア経済は成長を見込めると期待している。アルカージィ・ドヴォルコヴィチ副首相は香港のアジア金融フォーラムで演説したなかで、ルーブル安などで例えば中国向けの工業製品、食糧の輸出を伸ばす可能性が開けるとして、ロシアは危機を克服するとの確信を示した。
ドヴォルコヴィチ副首相はさらにロシアがユーラシア経済連合および香港との間に自由貿易圏を創設することへの話し合いを行なう構えであると指摘している。ユーラシア経済連合にはアルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、ロシア、キルギスが加盟しており、現在、イスラエルとの加盟交渉が行なわれている。同様の合意はつい先日、ベトナムとユーラシア経済連合との間で結ばれたばかりだが、中国、タイ、エジプト、インドをはじめとし、現時点であわせて40を超える諸国、国際組織が連合との自由貿易圏の創設に希望を表している。ドヴォルコヴィチ副首相は、ロシアはアジアインフラ投資銀行の活動を支援しているとも指摘し、ロシアには北方航路の発展をはじめとして、アジア諸国に関わる多くのプロジェクトを有していると語った。副首相は、ロシアはアジアでのプロジェクトを支援するよう、これから自国のパートナーおよびアジアインフラ投資銀行に呼びかけていくと語った。前日、北京ではアジアインフラ投資銀行加盟の57カ国の代表らが集まり、新銀行の作業の公式的な開始が宣言されたばかり。
アジアインフラ投資銀行の作業を多くの専門家らがブレトン・ウッズ協定と比較しはじめた。1944年に開始されたこの協定の結果、国際通貨基金(IMF)や世界銀行が創設されたのだった。当時、こうした金融機関の創設発案に先進国の米国と英国は賛同を示した。アジアインフラ投資銀行は中国が開設したものだが、そのミッションの主眼にはアジア諸国の経済発展のインフラ上の制限を克服することが掲げられている。その活動分野に融資、資本参加、銀行制限の克服、テクニカルサポートなど、金融サービスの広範なスペクトルが入っているのも偶然ではない。
ロシア経済発展省のアレクセイ・ウリュカエフ大臣は、アジアインフラ投資銀行の経営陣からは融資は近日中にも開始されると聞かされているとして、次のように語っている。
「総裁に選出された金立群氏は我々に第2四半期から個々のプロジェクトに関する作業を開始すると約してくれた。そのときまでにこちらも準備をしておかねばならない。分野に関してはまず鉄道、自動車道、パイプライン、航空、海路などの輸送だ。そして通信コミュニケーション、それからエネルギーだが、これは執拗にリサイクルエネルギーに絞ったものとなる。」
廈門(アモイ)大学経済学院のホウ・ジングアン教授はラジオ「スプートニク」からのインタビューに答え、アジアインフラ投資銀行によるインフラ、エネルギー部門の融資について、次のように語っている。
「世界のエネルギー資源の分配はバランスがとれたものではない。西アジア、北アフリカには巨大なエネルギー資源が眠っているが、輸送チャンネルが不足していることは明白だ。その一方で東アジアにはこうした資源は足りない。アジアインフラ投資銀行がベースとなるインフラ作りの力を入れることで、石油ガス輸送のパイプライン敷設問題の解決に大きなブレイクスルーが生じる。これは需給バランスを図る上で大きな意義となる。アジアインフラ投資銀行の助けでアジアにとって痛点となる問題の解決に本格的な突破口が開ける。」
ロシアはアジアインフラ投資銀行の票の6%を有している。これは中国、インドに続いて3番目に大きいシェアだ。そして5位にはドイツ、韓国が入っている。
宗教指導者の処刑などをきっかけに、イスラム教スンニ派の王室が実権を握るサウジアラビアとシーア派の大国イランの対立が深まっている。中東の二大国が広げた混乱はシリア内戦の収拾を遠ざけるとともに、シリアを地盤とする過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)の活動を利しかねない。不安を鎮めるカギはあるのか。
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宗派戦争 誘発の可能性 明治大特任教授 山内昌之氏
サウジアラビアがイスラム教シーア派の指導者ら47人を処刑し、イランとの国交断絶を表明したことで、中東全域での軍事衝突の危険性が高まった。サウジはイランとの正面衝突につながりかねない「パンドラの箱」を開けてしまった。それぞれスンニ派、シーア派の盟主である両国が正面から対決すれば、宗派戦争を誘発しかねない。
通常の場合、国交断絶は大使の召還などの手続きを経て実施する。今回はサウジが一気に断交まで進めたことに、米国やイランは驚いた。次の手順と考えられるのは最後通牒(つうちょう)、ひいては戦争だからだ。
ただサウジは「戦争する意志を固めたわけではない」ともにおわせており、西部にあるイスラム教の聖地メッカとメディナへの巡礼について引き続きイラン人を受け入れると表明した。サウジがイランとまだ「正面からことを構える」と決めてはいないメッセージとも読める。
今回のサウジとイランの対立には、サウジの米国に対する警告の意味合いもある。米国がイランに急接近する一方、湾岸最大の同盟国であるサウジを軽視したと憤っている。サウジはこれ以上寛容ではいられず、バランスを回復せよとのメッセージを送ったのだろう。
いくつもの国が絡む「中東複合危機」が進行している。大きな要素はシリア問題だ。イラクからISが侵入したり、それに対してイランが兵力を送り込んだりすることで外部勢力の絡んだ実質的な「戦争」に発展している。さらにロシアの介入で米欧とロシアが向かい合う「第2次冷戦」の様相を呈している。ロシアはシリアへの軍事顧問団の派遣にとどまらず、今では臆面もなく陸・海・空の兵力でアサド政権を支援している。
「中東複合危機」が進行するなかで、さらにサウジとイランの対立がスンニ派対シーア派の宗派戦争に発展するとどうなるか。想定できる最悪のシナリオは「第3次世界大戦」の勃発につながる。こうなれば欧米やロシアも巻き込まれる。ホルムズ海峡が封鎖されれば、世界中のエネルギー・金融市場や景気動向を直撃しかねない。
「中東複合危機」の収拾はきわめて難しいだろう。異質かつ異次元の問題が併存し、全てを解決するのは不可能だと思う。米国ができることは限られている。軍事力の担保なしに中東地域で安全保障を確保することはありえないが、米国は同地域での兵力展開に消極的だ。当面の仲介はサウジ、イラン両国に強いパイプを持つロシアに頼るしかないのではないか。
(聞き手は寺井浩介)
やまうち・まさゆき 中東・イスラム地域研究と国際関係史の分野で日本を代表する歴史学者。2012年から現職、東大名誉教授も兼ねる。68歳。
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オバマ政権、不信招いた 米ヘリテージ財団上級研究員 ジェームズ・フィリップス氏
イランの核問題を打開するのが名目だったとはいえ、米国のオバマ政権がこれまで敵対してきたイランに接近したのは、中東地域での米軍をできるだけ削減したいという思惑があったのだろう。しかし、こうした考え方はスンニ派の流れをくむISや他のスンニ派のテロ組織との戦いを巡り、シーア派の大国イランと協力できるはずという希望的な観測に基づく甘えだ。
その誤解は、米軍がイラクから撤退し、スンニ派を除外したうえでシーア派寄りの政権が誕生した後、イラクでISが伸長したことからもわかる。
イランはISの掃討に欠かせない存在というより、ISの問題の一部分だと認識している。一連の米側の行動が、スンニ派の盟主を自任してきたサウジアラビア側に、米国は地域の安定を理由にサウジや他の湾岸諸国との関係を犠牲にしてまでイランとの協力の道を選んだという疑いを持たせてしまった。
オバマ政権は一貫して同盟国の国益を保護するよりも、敵対してきた国とかかわることに高い優先順位を置いているとみられる。イスラエルやサウジが抱く不平はこの点にある。オバマ政権はサウジの信頼を完全に失ってしまった。エジプトもいまだに信用していない。そしてオバマ政権の無知が、イランに対するサウジのこれまで以上の攻撃的な姿勢を生んだ。
サウジは中国との関係を改善する方法を探るかもしれない。ロシアとの関係でも同様に模索するだろう。内戦が続くシリアに介入するロシアは、サウジにとっては問題を大きくする存在だからだ。サウジと中ロとの関係改善は、それほど遠い将来のことではないとみている。
オバマ政権のイランへの接近は、意図せざる結果として、ロシアに中東で多くの機会を与えてしまった。政権がロシアとの関係の見直しをしようとしていることも恐ろしい。ロシアは米国との約束の多くを守ってこなかったからだ。
次期米政権は同盟国との関係の再構築を最優先の課題として取り組むべきだ。特にサウジやイスラエル、ヨルダンとの修復だ。次期大統領選で共和党候補が勝利すると、最優先に据える可能性は高まるかもしれない。民主党の本命候補、ヒラリー・クリントン前国務長官が大統領に選ばれても、希望は持てる。
クリントン氏はオバマ政権の1期目で国務長官に就き、多くの失敗をした。彼女は自らの経験から学べる。次期米政権と中東との関係が、オバマ政権よりも悪化するとは考えにくい。
(聞き手はワシントン=吉野直也)
James Phillips 米タフツ大フレッチャー・スクールで修士号。中東や国際テロ情勢の専門家。ヘリテージ財団は米保守系の有力シンクタンク。63歳。
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サウジ、反発読み誤る カイロ大教授 ムスタファ・サイード氏
サウジアラビアの指導部は今回、シーア派指導者の処刑によって生じるイランの強い反発を予想せず、サウジが意図しない形で緊張が高まったと見ている。
サウジが1月上旬に処刑した47人のうち43人はスンニ派の過激派組織「アルカイダ」に関係しているとされる。シーア派の宗教指導者ニムル師ら4人は、この43人と同列に扱われて処刑されたのであり、サウジが意図的にイランを挑発したとは思えない。
対立の根は深く、収束させるのは難しい。米国やロシアによる仲介外交は奏功しないだろう。イランはバーレーンやイラク、レバノンなどにいるシーア派住民を事実上代表しており、外交的な立場も強い。サウジとの関係をすんなりと改善するとは思えない。
一部で「第5次中東戦争」といわれるような直接の戦争に突入することはない。イラン、サウジ両国はともに内部に強硬派を抱えているものの、指導部は戦争になれば国家に危機が訪れることを理解している。足元の原油価格の低迷で両国の経済情勢は厳しく、戦争ができるような状況ではない。
米ロはシリアの政権移行期間にアサド大統領が(暫定の統治者として)とどまることで合意するかもしれないが、サウジが受け入れるのは難しくなった。
「ダーイシュ」(ISの別称)の壊滅を急ぐべきである半面、米欧もアラブ諸国も地上部隊をシリアに送れない。当面のシリア情勢はトルコがカギを握っている。国境管理を厳格にして戦闘員や資金、密輸原油の摘発など、細かい取り組みを続けるしかない。
(聞き手はカイロ=押野真也)
79年ジュネーブ大高等国際問題研究所で博士課程を修了。中東政治や国際関係論などが専門。カイロ・アメリカン大学の教授も兼務。69歳。
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背景に地域覇権争い 英セント・アンドルーズ大教授 アリ・アンサーリ氏
サウジアラビアとイランの対立が軍事行動に発展する兆しは今のところないが、サウジの強硬な姿勢は1980年代のイラン・イラク戦争のときよりも危機が深刻化するリスクを示している。
最大の懸念は地域の混乱を助長することだ。内戦が続くシリアやイエメンではサウジとイランがそれぞれの宗派に属する勢力を支援しており、解決は一段と遠のく。ISなど過激派組織も勢力を拡大する余地が生まれる。サウジの動向が原油価格をさらに不安定にする恐れもある。
サウジとイランの対立の原因をイスラム教スンニ派とシーア派の「宗教対立」に帰結させるのは間違っている。スンニ派とシーア派が平和に共存してきた歴史はいくらでもある。一方でサウジは米国が主導した2003年のイラク戦争で、イラクではシーア派が政権を握り、イランとの関係が強くなったことにずっといらだっていた。核問題を巡る合意を受け、イランが急速に国際社会に復帰しつつあることへの危機感も強い。地域・民族の覇権を含めた非常に多層的な争いが背景にある。
中東情勢に唯一、関与できる力を持っているのは米国だ。これまでよりも長期的で、非軍事の分野も含めた包括的な戦略を作る必要がある。過去の介入はせいぜい2〜3年の期間で軍事介入し、作戦終了後の影響まで緻密に考慮したものではなく、結果的にさらなる危機を生み出した。米国が中東への興味を失いつつあるのは明らかだが、放置すれば、中東でのロシアの影響力の拡大を招き、さらに事態を複雑化させる恐れがある。(聞き手はロンドン=小滝麻理子)
Ali Ansari 専門は歴史学。イランをはじめとして中東のイスラム諸国の国家の発展や、米英との関係などに関する著書多数。48歳。
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[アンカー]米外交弱さ露呈 中東に力の空白
イランが激怒するのは目に見えているのに、なぜサウジアラビアは強硬姿勢なのか。両国に自制は働くのか。米欧ロの仲介努力は有効か。中東情勢を巡り浮かぶ主要な疑問に識者の見方は分かれるが、ほぼ一致するのはオバマ政権が率いる米外交の弱さだ。
中東・北アフリカにも力の空白は生じている。「アラブの春」で独裁政権が倒れた国は軒並み再建に苦しみ、大国エジプトの存在感も中東和平の仲介役を果たしたころに比べればかすんでいる。混乱を和らげるための外交力を巡り原油の大半を中東地域から調達している日本も無関心ではいられない。
(押野真也)
[日経新聞1月14日朝刊P.9]
英国のファロン国防相は「ロシアの対ウクライナ政策が原因で、今もなお、ロシアのショイグ国防相とのコンタクトを維持できていない」としながらも「空と海における英国の安全保障のため、両国軍人間のコンタクトは、制限つきではあるが許可される」と述べた。
月曜日、ファロン国防相は、議会下院で、ロシアとのコンタクトの現状に関する保守党のクチンスキ議員の質問に、次のように答えた―
「2014年の不法なクリミア併合と、今も続けられている東ウクライナの分離主義者に対するロシアの支援により、我々は正常な協力に戻れないでいる。
しかし、空及び海上における安全保障のため、私は、国防省職員に対し、軍人レベルでのロシアとの制限されたコンタクト確立を許可した。これは、英国の領空及び領海の確実な保護を保証するためのものである。」
なおクチンスキ議員は、テロリズムとの戦いや経済的合理性の観点から、保守党の他の多くの同僚議員と異なり、ロシアとの関係正常化は不可欠だと考えている。
原油相場がさらに下がるとの観測が強まっている。投機資金流出に加え、欧米で石油製品の貯蔵量が上限に接近、原油に割安感が出ても買い付け意欲が盛り上がらない展開になっているためだ。
サウジアラビアなどが増産を続け、イランの国際原油市場への復帰も近づいている。米シェールオイルの減産や新興国の需要増で、今年は原油の需給が引き締まる、との予想も崩れつつある。ニューヨーク相場が1バレル20ドル台で推移する可能性が現実味を帯びてきた。
14日のニューヨーク市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)終値は1バレル31.2ドルと前日比0.72ドル上昇した。大手商社トレーダーは「下げすぎたことが、唯一の上げ材料」と皮肉交じりに語る。再び15日の時間外取引で一時29ドル台まで下落。一段安の公算が出ている。
2015年の1年間に3割超の原油安をもたらした供給過剰は年平均で日量170万バレル。16年は国際エネルギー機関(IEA)などによると、年後半に需給は均衡に向かう見立てだ。シェール減産や新興国の需要増で約50万バレルの生産過剰に縮む。だがこのシナリオの前提がほころび始めた。
15年12月、米国を出港し欧州へ向かう石油製品タンカーが途中で引き返した。軽油など石油製品の貯蔵量が上限に近づいたからだ。欧州では15年秋に貯蔵施設利用率が9割台に達し、米国と合わせた利用率は15年11月で8割超。「欧米の暖冬や貨物輸送の停滞で、貯蔵量がさらに積み上がっている恐れがある」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之氏)
米ゴールドマン・サックスは「1998年、09年も石油製品の貯蔵量が上限に近づき、原油価格の下落を招いた」と指摘する。中国が備蓄用に買っているが、今の状況は当時と似ており、市場では原油価格を押し下げるとの見方も広がる。
米国で1月上旬、シェール大手のパイオニア・ナチュラル・リソーシズが14億ドルの増資を決定。開発投資に当て、増産に意欲的だ。さらに掘削したが生産していない「フラックログ(待機井戸)」が4千ほどある。日量30万バレル生産できるともみられ「減産が想定以上に進まない可能性もある」(住友商事グローバルリサーチの舘美公子氏)。
ジャカルタ症候群が市場でささやかれ始めた。1997年末にジャカルタで開かれた石油輸出国機構(OPEC)会合で、アジアの需要増を見込み増産を決めた。だがアジアは経済危機に見舞われ供給過剰から、原油は1バレル20ドル台から10ドル前後まで下げた。産油国が見通しを誤ったためだ。
仏ソシエテ・ジェネラルのマーク・キーナン氏は「中国や新興国の景気に不透明感が漂い、原油相場にも下げの力が働く」と指摘する。昨年、減産できなかったOPECの姿は97年と重なる。実際に原油需要が落ち込み、シェールの減産停滞やイラン原油の輸出再開が重なる可能性はある。100万バレル超の供給過剰が続く公算もある。
「中国が景気対策を打たなければ、20ドルを割る公算もある」(野村証券の大越龍文氏)。今週、英バークレイズなどが原油価格見通しを引き下げる動きが相次いだ。UBSウェルス・マネジメントのジョバンニ・スタウノーボ氏は「原油への投資は避けるべきだ」と警戒する。
(飛田雅則)
[日経新聞1月16日朝刊P.17]
2015年、世界全体の石油の一日あたり平均需要は154万バレル増加した。石油輸出国機構(OPEC)によれば、2016年はこれが126万バレル増加し、約9417万バレルとなる。OPECの報告書で発表された。
第1四半期の9330万バレルが第4四半期には9517万バレルになり、年間通じて世界の石油需要は増加していく見通し。
OPECの予測によると、とりわけ顕著なのはインド、アフリカ、中国の各国・地域で、それぞれ今年一年で4.143パーセント、2.75パーセント、2.71パーセントの需要増大が見込まれる。
2015年の一年間、いわゆるOPECバスケット(全加盟国で採掘される石油銘柄の平均価格から算定される)のバレル当たり平均価格は、2004年以来最低である、49.49ドルをつけた。なお、2015年12月におけるOPECバスケットのバレル当たり平均価格は 33.64ドルまで落ち、2016年1月中旬にかけては24.74ドルまで下落した。
米国の低品質原油の品種のひとつの購入者は、購入のために、売り手に支払いを求めている。1年前には1バレル13.50ドルだった。ブルームバーグが伝えた。
フリント・ヒルズ・リソーシズ社は、もし1バレルあたり0.50ドルを支払えば、ノース・ダコタ・サワー銘柄の原油を買うことに同意している。これは硫黄を多く含む極めて低品質な品種で、その加工には特別な機器が必要だ。しかもこの品種は貨物および鉄道輸送で運び込まねばならず、格段に費用がかさむ。
こうしたことには先例がある。昨年、カナダ中心部の石油ガス田エドモントンでも、プロパンが3ヶ月にわたりマイナスの価格で販売された。つまり、販売者が購入者に金銭を給付したのである。
貧困の克服に取り組む非営利団体オックスファムは、経済格差に関する報告書を発表した。オックスファムの報告書によると、2015年に「世界の1%が残り99%より多くの富を所有する」という状況となった。
オックスファムで格差調査の責任者を務めるニック・ブライアー氏は、経済格差の問題について、通信社「スプートニク」に次のように語った−
「経済格差を進展させたのは、過去数十年にわたって作用している複数の要素だ。例えば、裕福な人々は、自分の給料を自分で決めることができる。そのため私たちは、企業責任者たちの給与額が著しく上昇したのを目にした。彼らが労働者の平均給与の300倍以上の給料を受け取っていることもよくある」。
ブライアー氏によると、世界の最も裕福な人々と大手企業がオフショアを利用して資金を隠すことによっても経済格差が広がっている。ブライアー氏は次のように語っている−
「裕福な人々が所有している7兆6000億ドルは、オフショアに保存されている。裕福な人たちは、経済を刺激し、雇用を創出し、一般市民の給料を上昇させ、また教育や医療にまわされる税金が支払われるべき資金を隠したのだ」。
ブライアー氏は、経済格差による影響や、格差をなくすための対策について、次のように指摘している−
「経済格差はグローバル経済の安定と世界経済の成長に否定的な影響を与えている。経済格差は、貧困の削減を妨げ、民主主義や社会的一体性の強化に否定的に作用する。そのため経済格差はグローバルな問題であり、これは解決する必要がある。グローバルな税システム改革が必要だ。各国の政府は、特に教育や医療などの社会サービスに投資しなければならない。全ての人に仕事を提供し、最貧困層の生活水準を高める必要がある。最低賃金は引き上げられなければならない。もしこれらの措置が取られらなかった場合、貧富の格差は拡大を続けるだろう」。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160120/1459071.html
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オックスファム:62人が保有する資産 世界人口の半分が所有する総資産に匹敵[スプートニク日本語]
2016年01月18日 17:16(アップデート 2016年01月19日 15:50)
世界の貧しい半分、36億人が所有する総資産は、2010年から1兆ドル以上減少した。貧困の克服に取り組む非営利団体オックスファムが発表した報告書の中で述べられている。
またオックスファムによると、世界で最も裕福な62人が保有する資産は、世界の貧しい半分(36億人)が所有する総資産に匹敵し、この62人の資産は2010年以降、44パーセント増加して1兆7600億ドルになったという。なお2010年、世界の貧しい半分の総資産は、388人が保有する資産に匹敵していた。
オックスファムは、貧困層と富裕層の格差が深刻化している原因として、富裕層の租税回避、賃金格差、労働者の報酬削減などを挙げている。
国際エネルギー機関(IEA)は2016年の国際石油需要予測を引き下げた。IEAが毎月の報告書で明らかにした。
報告書には、「日本、欧米では今年初め、気温は特に低まらず、中国、ブラジル、ロシアなど資源に依拠した諸国の経済指標が弱まる中、石油需要の成長率は低まった。2016年の予測では需要成長率は穏やかで、日量120万バレルと見られている」とある。
この一方で採掘量は上昇の一途をたどっている。報告書には「OPECの全採掘量は前年比で日量106万バレル増えており、これによって過去12年の最低価格になる」とある。2016年を総括すると、OPECの採掘量は日量3200万バレルまで膨れ上がる恐れがある。
ロシア連邦安全保障会議のセルゲイ・ヴァフルコフ補佐官は、国家安全保障戦略において、経済面でロシアが抱える主な脅威について「競争力の低さ、そして原料輸出に依存する発展モデルが今も残っている事である」と述べた。
ロシア連邦安全保障会議報道部は、ヴァフルコフ補佐官の発言を次のように伝えた―
「ロシアの国家安全保障戦略の中では、かなりの注意が、経済領域での国家安全保障上の主要な戦略的脅威の特定に割かれた。そうしたものとして挙げられたのは、競争力の低さ、原料輸出に依存した発展モデル、対外経済的要因への従属度の高さ、将来性ある生産技術の開発と導入の遅れ、国の予算システムの不安定性、融資のための資金の不足、国の金融システムの無防備性、そしてその他一連の挑戦や脅威だった。
また2015年末にプーチン大統領によって承認された国家安全保障戦略は、ロシアをGDP(国内総生産)で世界のリーダー国の一つに押し上げる事を、発展目標の一つとして提起している。」
欧州委員会のジャン=クロード・ ユンケル委員長は19日、欧州委員会の会合で、シェンゲン協定はアフリカや中東諸国からの難民が欧州へ流入する状態に耐えられない可能性があるとし、危惧を表した。
ユンケル委員長は、シェンゲン協定加盟国が国境管理を再導入した後、加盟国は単一通貨の必要性について疑問を投げかける可能性があると考えている。
ユンケル委員長は、次のように述べた−
「シェンゲン圏には重大な脅威が差し迫っている。これは存続の脅威といえる。今日喜んで国境管理を導入し、明日にはその経済コストは膨大だと考え、明後日には、これ以上、域内市場や移動の自由がないならば、なぜ我々には単一通貨必要なのだろうか?と疑問に思う可能性がある」。
2015年末および2016年初頭、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フランス、ドイツ、マルタなどのシェンゲン協定加盟国は、国境管理を再導入すると発表した。1月16日、オーストリアも国境管理措置を導入した。そしてオーストリアのファイマン首相も、シェンゲン圏が今のような形で今後も存続することに疑問を呈した。ファイマン首相は、次のように強調した−
「もしEUが対外国境を保護しないならば、シェンゲン協定のありかたに疑問が生じる。その場合、各国は自国の国境を管理しなければならない」。
オーストリアが国境管理を導入した16日、バイエルン州のホルスト・ゼーホーファー州首相は、メルケル首相に「もし2週間以内に、ドイツ国境の秩序が保障されなければ、ドイツ憲法裁判所に訴える」との最後通牒を突きつけた。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160120/1458626.html
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オーストリア、移民を理由にシェンゲン制度を停止[スプートニク日本語]
2016年01月17日 04:56(アップデート 2016年01月17日 05:00)
オーストリアのファイマン首相は、同国政権はシェンゲン合意の効力を制限し、同国への入国者全員に対する検査を強化することを明らかにした。
ファイマン首相が「オエステルレイフ」紙からのインタビューに対し、「オーストリアに入国する各人に対し、検査を強化する」と答えた声明は明日、17日(日曜)付けの同紙に掲載される。ファイマン首相は、シェンゲン制度はこうすることで「一時失効する」と補足した。
ファイマン首相は「ドイツ同様、国境の管理を強化し、難民を立ち退かせる」構えを明らかにし、こうすることによりオーストリアで難民申請が受理されていない者、あるいは申請を行なっていない者を探し出すことができると語っている。
「国境では効力を持つ身分証明書を携帯し、政権の求めに応じてそれを提示する義務が発生する。EUがこれを行なわず、圏内の諸国を守らないのであれば、シェンゲンというものの存在自体が疑問となる。その際は各国がそれぞれの国の境界線を管理せねばならない。」
http://jp.sputniknews.com/europe/20160117/1445931.html
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独バイエルン州首相 メルケル首相に難民問題をめぐり最後通牒[スプートニク日本語]
2016年01月17日 19:31(アップデート 2016年01月17日 19:33)
ドイツ南部バイエルン州の首相で、与党連合の一員であるキリスト教社会同盟のゼーホーファー党首は、メルケル首相に対し「もし2週間以内に、ドイツ国境の秩序が保障されなければ、ドイツ憲法裁判所に訴える」との最後通牒を突きつけた。
週刊誌「シュピーゲル]によれば、バイエルン州のゼーホーファー州首相は、次のように述べた―
「今後14日以内に、我々は、連邦政府に書簡を送り、国境地域に一定の法的関係を回復させるよう求めるつもりだ。もし連邦政府がそれをしなければ、バイエルン州政府に残された道は、憲法裁判所に訴えることだけになる。」
先にゼーホーファー州首相は、連邦政府の移民政策に変更が加えられなければ、憲法裁判所に訴えると約束していた。バイエルン当局は、これまで何度も、合法・非合法を問わずドイツ南部国境を渡ってくる新たな難民及び移民を「自分達は新たに受け入れる事は出来ない」と繰り返し述べてきた。しかしメルケル首相は。現在に至るまで、移民受け入れの「上限」を明らかにしていない。
昨年2015年、ドイツは、およそ110万人もの難民を受け入れている。
火曜日、ロシアの「ガスプロム」は、ウクライナの「ナフトガス」に対し、同社がまだ支払っていない2015年第3四半期分のガス代の請求書を送付した。「ガスプロム」社が声明を発表し、伝えた。
現在、ロシアとウクライナの間の決済は「テイク・オア・ペイ」の条件に従って行われている。2009年に結ばれた売買契約によれば、ウクライナ側は、毎年、少なくともガス供給の年間最低量分を支払う義務を負っている。
「ガスプロム」は次のように主張している―
「契約の諸条件に立脚すれば、2015年第3四半期のガスの最低量は、104億8千5百万立方メートルだった。この事を考慮して、我々は、ウクライナ側に、25億4千9百万ドルの請求をした。」
なお「ガスプロム」の声明の中では、ウクライナに対し「10日以内の支払いを期待する」と述べられている。
1月10日、ウクライナのヤツェニューク首相は「ウクライナは、ロシアからガスを買わない」と明言した。なお「ガスプロム」は、ガス代支払いをめぐる争いについて、ストックホルムにある国際仲裁裁判所に訴え出ている。
国連安保理における、北朝鮮への新たな制裁決議採択へ向け、日本はロシアの協力を得たがっている。先週、自民党の高村正彦副総裁は、プーチン大統領への親書を手にモスクワを訪れた。高村氏は、ラヴロフ外務大臣およびナルイシキン下院議長と会談した中でも、強いレベルの制裁が必要だと訴えた。
参議院予算委員会でも「北朝鮮問題に対してはロシアに協力を求め、国連を通して世論に訴えるべきだ」などの声が与党議員から出ている。安部首相自身も、ロシアの建設的な関与を得ていくことが重要であると述べている。しかしそう簡単に日本の思惑通りにはいかない。ロシア下院・防衛委員会のジガレフ第一副委員長は、リア・ノーヴォスチ通信の取材に対し「北朝鮮の外界からの孤立が、同国を良い方向へ導くことはない。孤立や制裁は状況を悪化させるだけだ」と述べている。あくまでも、対話を基調とする姿勢を崩していない。
朝鮮半島問題に詳しい拓殖大学大学院・武貞秀士特任教授は、「ロシアは北朝鮮に対する制裁には、慎重な姿勢を維持している」と指摘し、次のような見解を示している。
武貞教授「プーチン大統領のいくつかの発言にあるように、ロシアは北朝鮮の水爆実験を批判しています。ロシアは、過去20年間の国際関係の推移で『核兵器開発を断念せよ』と北朝鮮に言っても、北朝鮮が断念しないことを知っています。であればロシアは、制裁問題では一部、国際社会と協調するものの、厳格な制裁とは一定の距離をおくでしょう。北朝鮮との対話を基調にしながら、今までの沿海地方と北朝鮮の経済交流の蓄積への悪影響を阻止したいと考えているからです。プーチン大統領の東方政策を推進するとき、金正恩第一書記の経済特区への参入は不可欠であるからです。」
北朝鮮からの労働者の受け入れはソ連時代からの伝統だ。ロシア極東発展省のもと、北朝鮮の労働者らをウラジオストクの極東連邦大学で職業訓練するという計画も既に作成されている。東方政策拡大の一方で、絶対的に労働者が不足しているからだ。昨年9月にウラジオストクで開催された東方経済フォーラム終了後、ロシア政府は人材発展局の設置を表明している。それ程までに、極東における労働者の質および量の問題は真剣なのだ。日本は、これらのロシアの事情を見過ごすことはできない。この相違がクリアできなければ、ロシアと日本が対北朝鮮政策において一枚岩になることは難しい。
中国の習国家主席は19日、中東歴訪を開始。まず、サウジアラビアを訪れる。習国家主席の中東歴訪先にはこの他にエジプト、イランが含まれている。今回の歴訪は何をもたらすのだろうか? ラジオ「スプートニク」ペルシャ語はイランのテヘラン大学、ユーラシア研究センターの学術研究員および通信社「タブナク」の編集長を務めるハミドレザ・アジジ氏にインタビューを行った。
「スプートニク」:対イラン制裁解除後、中国にとって最優先の投資先となるイランの経済セクターは?
アジジ氏:「中国の習国家主席のイラン訪問が重要な意味を持ちうるのは、イランが新たな時期にさしかかっているからだ。イランを注視している国は多々あるが、中国はそうした国に負けない優位性がある。それは中国が過去数十年、イランとのパートナーとの相互理解で一定して高いレベルを維持してきたことに条件づけられている。こうした高い相互理解レベルは対イラン制裁発動前も、発動後も続いていた。特筆すべきなのは銀行セクターだ。今や制裁は解除され、イランにも国際銀行間通信協会(SWIFTシステム)へのアクセス権が与えられている。この他にも例えば、イランのインフラ開発に関連したプロジェクトは中国にとっては興味の高い投資先になるはずだ。それに相互協力の鍵となる分野にはエネルギーもある。習国家主席の中国訪問でエネルギー分野の協力が話し合われることは間違いない。中国にはこの段階で自国経済の安定を維持し、エネルギー需要を満たすことが重要だ。一方のイランはこの方向性ではお得意先だ。しかも中国は昔からイランのエネルギー資源を買い付けてきたわけだし、このパートナーシップはさらに拡大し、より実りの大きく、互恵的なものとなりうる。」
「スプートニク」:中国はイランとサウジアラビアの和解の仲介役を務める構えだろうか?
アジジ氏:「習国家主席が中東歴訪でまずサウジアラビアを訪れ、それからイランへ行くというのはちゃんとした意味がある。中国は強国として一連の問題解決に重要な役割を演じうる。サウジとイランの間が危機的となった瞬間から数カ国がその解決に仲介役となる意向を表した。だがそうした諸国の仲介役はある理由から、どちらの側にも受け入れられるものではなかった。ところが中国との関係は別の状況だ。中国と中東諸国との関係は完全に経済貿易関係に限定されたものであり、なんらかの政治同盟に絡んだものではない。ビジネスが最もものをいう。このため中国は自国の権威と人も羨む経済的地位を利用し、イランとサウジにとっての諍いで信頼できる中立的な仲介役となりうるのだ。」
原油価格が一バレル30ドルを切る中、エネルギー大国ロシアは原油の増産を続けています。
Q 原油安の中でなぜロシアは原油の生産を増やしているのですか。
A プーチン大統領は今は我慢のしどころだと考えているのです。
減産すればシェアも奪われてしまうと考え、生産を増やして、量で勝負しようとしています。ロシアは去年一年間で5億3千4百万tというこれまでで最大の量の原油を生産しました。サウジアラビアは減産せず、アメリカも40年ぶりに原油輸出を再開し、三大原油生産国は厳しい競争の真っ最中です。
プーチン大統領は、安い原価で生産できる既存油田をフル回転させつつ、東シベリアの有望な新規油田を開発し、原油安に耐えようとしています。新規投資の必要なアメリカのシェールオイルが脱落すれば、価格は回復するとみています。必死の我慢比べなのです。
Q そうした思惑通りにいくのでしょうか。
A イランの制裁が解除され、イランという巨大な産油国が市場に復帰します。原油安はさらに続くという見方が強まっています。ロシアでは、1バレル30ドルを切れば、投機マネーが原油を売り浴びせて、20ドルを切るのではという恐れも囁かれています。
こうした状況が続きますと、既存油田をフル回転させているロシアが耐えきれなくなるとの見方も出ています。
Q ロシアはどうなりますか
A 今年の予算は1バレル50ドルを想定していましたので、30ドルを切った今、大幅な減収は避けられません。
税収は原油の輸出税など原油価格に大きく依存しています。プーチン政権が始まった2000年のころは原油価格はちょうど今と同じ20ドル台で、原油価格がうなぎ上りとなる中で、ロシアの税収も右肩上がり、大統領も国民に年金の増額など大判振る舞いをしてきました。しかしもうその元手はありません。
Q プーチン大統領はどうするのですか。
A プーチン大統領は借金は嫌いで、予算の削減に踏み切り、国民にも国の危機だと訴えて、「プレゼントはあげれない」と理解を求めるでしょう。欧米との対立の中でロシアには北風が吹いています。危機の時には、ロシアというのは強いリーダーの周りに団結する傾向があり、今のところ国民の支持は高止まりです。
プーチン大統領としては、原油依存の経済の構造転換を目指したいとしていますが、まだまだ息の長い努力が必要です。
原油がいつ上昇に転じるのか、プーチン大統領のやせ我慢が続きます。
【NQNニューヨーク=古江敦子】20日午前のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で、米指標油種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近2月物が下げ幅を広げた。米東部時間10時50分(日本時間21日午前0時50分)頃に、前日終値から1.61ドル(5.7%)安の1バレル26.85ドルと2003年9月下旬以来、約12年4カ月ぶりの安値を更新した。中国など世界景気の減速懸念が意識され、先行きの需要低迷を見込んだ売りが膨らんだ。21日に米エネルギー情報局(EIA)が発表する週間の米石油在庫統計で在庫増が続くとの観測も売りを誘った。
原油、株式などリスク資産全般に対する警戒感が強まっている。資金は安全資産とされる米国債などに流れ、米10年物国債の利回りは一時1.94%近辺と、15年10月以来ほぼ3カ月半ぶりの水準に低下(価格は上昇)した。
http://www.nikkei.com/markets/shohin/kaigai.aspx?g=DGXLASFL20HMK_20012016000000&dg=1
関西学院大学教授 平岩俊司
本年の年明け早々、1月6日に、北朝鮮は4回目の核実験をおこないました。北朝鮮は、はじめての水爆実験としていますが、爆発の規模から、水爆実験としては失敗だったのでは、そもそも水爆実験ではなかったのでは、など懐疑的な評価が一般的です。とはいえ、それが水爆実験ではなかったとしても、核実験という暴挙は国際社会への明確な挑発行為ですし、北朝鮮の核武力が徐々に増強されていることは間違いありません。
今回の実験は、過去三回に比べて、事前にその兆候が見られず、突然行われたとの印象も強く、国際社会はその対応に追われることとなりましたが、現在では、国連を始めとして、北朝鮮に対する新たな制裁を目指して調整が続いています。今日は、核実験を強行した北朝鮮の目的は何か、それに対して国際社会はどう向きあうべきかについて考えたいと思います。
まず、北朝鮮がなぜこのタイミングで核実験に踏み切ったのか、について考えたいと思いますが、そのためには、今年5月、実に36年ぶりの開催が予定されている第7回朝鮮労働党大会との関係を考える必要があります。
前回の第6回朝鮮労働党大会は1980年に開催されましたが、この大会では、先代の金正日総書記が、初代の最高権力者金日成主席の後継者として登場した大会でした。ところが、その後1980年代後半に東西冷戦は終焉します。ソ連邦も解体してしまい、北朝鮮にとって中国だけが唯一の後ろ盾となったのです。この過程で金日成主席が死亡し、金正日政権は東西冷戦の終焉というまさに非常事態の中でスタートすることになり、いかに北朝鮮の体制を維持するかが喫緊の目標となったのです。具体的には、北朝鮮にとっての脅威であるアメリカにいかに対抗するか、さらには経済をいかに立て直すかが課題とされました。先軍政治、核、ミサイルへの野心などは、まさに危機管理体制下の政策でしょう。このような過程の2011年12月、金正日総書記が急逝したため、翌2012年4月に3代目となる金正恩第一書記が自らの政権がスタートし、本年5月に党大会を開催するわけです。金正日政権は、まさに非常事態に対処するための危機管理体制だったからこそ党大会を開催しなかったということになるのでしょうが、今回党大会を開催するということは、非常事態が収束したことを宣言することになるはずです。そのためにはアメリカの脅威が解消したこと、南北関係も進展し、さらには経済の再建など、金正恩政権4年の具体的成果を強調しなければならないはずです。
このように第7回党大会で強調できる成果を求めてか、北朝鮮はここ最近対話路線に傾いていました。昨年8月の非武装地帯での地雷爆発に端を発して南北関係は一時的に緊張が高まりましたが、北朝鮮の求めに韓国が応じて南北高官級協議が開催され協議が続けられることになりました。また、3度目の核実験、張成沢粛清などによって冷却化が指摘されていた中国との関係も、昨年10月の朝鮮労働党創建70周年の記念行事に中国から劉雲山政治局常務委員が出席したことで関係修復が印象づけられていました。さらに北朝鮮は、昨年の早い時期から、いわゆる「人工衛星」発射実験を示唆していましたが、南北関係、中朝関係の回復を念頭に、事実上のミサイル発射も自制していました。ミサイル発射、核実験を自制することで国際社会との関係を調整することができれば、国際社会との経済関係を構築し北朝鮮の経済を再建できる、との判断もあったでしょう。ところが、こうした流れに終止符を打つように核実験を強行したのです。
今回の核実験は昨年12月15日に金正恩第一書記が命令したとのことですが、その直前の12月12日、北朝鮮の女性音楽グループ「モランボン楽団」が北京公演をキャンセルして帰国ました。また、12月13日には、南北高官級協議も決裂しました。その直後、金正恩第一書記は核実験を指示したのです。モランボン楽団の公演中止の理由として、金正恩第1書記による水爆保有への言及や、公演の舞台背景にミサイルが誇示されていたことに中国がクレームをつけた、などが指摘されていますが、いずれにせよ、北朝鮮には中国の姿勢が米国をはじめとする国際社会に近いと写ったでしょう。そうであれば、中国は今後より多くの譲歩を求めてくるかもしれないし、ましてや米国をはじめとする国際社会との仲介役も期待できない、との思いが北朝鮮にはあったでしょう。さらには南北高官級協議も思い通りに進みません。このような状態が続けば党大会までなんの成果も得られないし、それでは第7回党大会で非常事態の収束を宣言できません。それならばこのタイミングで核実験をよりインパクトのある形で行い、事態を流動化させたい、との思いがあったと言ってよいでしょう。もちろん北朝鮮は米国の姿勢変化が難しいことは十分承知しているはずです。しかし米国との対話が難しいとしても、自らの核武力能力を内外に鼓舞することで、対米安全保障における成果とできるはずです。
現在、国連安保理では北朝鮮への新たな制裁が検討されています。しかし、過去の事例からも明らかなように、制裁が真に効果を発揮するためには、北朝鮮に最も影響力のある中国が真剣に取り組む必要があります。今回中国は北朝鮮の核実験を止められませんでした。中国は、顔に泥を塗られるような形で自らの北朝鮮に対する影響力の限界を示すことになり、当初「断固として反対する」として北朝鮮を厳しく非難していました。しかし、時間の経過とともに、中国は慎重な姿勢を示し始めました。それに最も不満を持ったのが韓国でしょう。朴槿恵大統領は政権発足当初から北朝鮮問題における中国の役割を高く評価して中国との関係強化につとめてきました。韓国は今回、昨年8月の南北高官級協議によって中断した拡声器による心理戦を再開するなど北朝鮮に厳しい姿勢で臨む覚悟を見せていますが、その朴槿恵大統領が中国の消極的姿勢に不満を表明するのは当然でしょう。
一方ロシアもまた慎重な姿勢を強調しています。あらためて指摘するまでもなく、中国、ロシアにとって北朝鮮問題は、米国との関係を意識せざるをえない問題です。中国は南シナ海の問題で、ロシアはウクライナの問題でそれぞれアメリカと微妙な関係にあります。中国、ロシアを含む国際社会の協調なしに北朝鮮の挑発行為を止めることはできませんが、中国、ロシアを説得するためには、アメリカだけでも、韓国だけでも、さらには日本だけでも難しいことは間違いありません。やはり日米韓の協力が必要なのです。
日本と韓国の関係が難しい状況にあったことは事実ですが、昨年末、日韓関係も回復基調にもどり、アメリカもそれを歓迎しています。日米韓の枠組みの重要性をあらためて認識し実践していくことができる条件は整っています。日本、アメリカ、韓国は日米韓の協力関係を強化するとともに、中国、ロシアを含めた国際的協調体制で北朝鮮の挑発行為に臨む必要があるのです。そのための日米韓の役割はきわめて大きなものでしょうし、今後の東アジア、世界の中での日米韓の重要性と意味が試されているといっても過言ではないのです。
【北京=阿部哲也】中国商務省は20日、2015年の日本の対中投資額(実行ベース、金融除く)が前年に比べ25.2%減り、32億1千万ドル(約3800億円)になったと発表した。マイナスは3年連続だ。日中関係は改善に向かっているが、中国の景気減速や人件費の高騰を背景に日本企業の「中国離れ」に歯止めはかかっていない。
15年の世界全体の対中投資額は前年に比べ6.4%増えた。対照的に、日本の中国向け投資はピークをつけた12年の半分以下に減っている。
拡大が続いていた日本の対中投資が減少に転じたきっかけは、沖縄県の尖閣諸島をめぐって日中関係が悪化したことだ。政治リスクを警戒した日本企業は対中投資に二の足を踏むようになり、14年には減少率が38.8%と過去最大を記録した。
14年11月に安倍晋三首相と中国の習近平国家主席の会談が実現してから、日中関係は改善傾向にある。にもかかわらず日本企業の対中投資が減り続けているのは、ここにきて新たに3つの悪材料が重なったためだ。
第1は中国経済の減速だ。15年の実質国内総生産(GDP)成長率は6.9%と、25年ぶりの低い水準に減速した。先行き不安は新車販売市場などにも波及し、ホンダは年内に湖北省武漢市で計画していた新工場の建設を見送った。
第2は中国の沿海部を中心とする人件費の上昇だ。北京や上海、広州などの主要都市では人件費がここ5年で約2倍に跳ね上がった。土地の使用料や環境対策費など工場増設にかかるコストも全般に上昇傾向にある。
中国の安価な労働力に引かれて進出した日本企業の間では戦略の見直しが相次ぐ。ダイキン工業は家庭用エアコンの中国での生産量を今年度は2割減らし、代わりに国内で増産する方針だ。中国の製造拠点を東南アジアなどに振り向ける動きも活発になっている。
第3は中国政府の産業政策の変化だ。経済成長を優先した胡錦濤前政権の時代までは、GDPの押し上げ効果が大きい製造業を中心に外資への優遇策が充実していた。しかし「産業の高度化」を掲げる習近平政権が発足して以降、優遇分野を先端技術やサービス業に急速に絞り始めた。
このため「従来のような労働集約型の単純なモノづくりは難しくなった」(電機大手)。日東電工は15年に山東省青島で農業や環境技術を研究する中国初の研究開発センターを開所した。ファーストリテイリングは「ユニクロ」を年100店ペースで出店を続ける。だが、いずれも従来のような工場新設ほど投資額は大きくなく、全体を底上げする勢いはない。
一方、対中投資で積極姿勢を見せるのが東南アジアと欧州だ。東南アジア諸国連合(ASEAN)からの投資は15年に22.1%増え、欧州連合(EU)からも4.6%増えた。消費市場の拡大を見込んで、サービス業の投資が活発だった。国や地域による中国での事業戦略の違いが目立つようになっている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS20H4U_Q6A120C1EE8000/?dg=1
【ダボス(スイス東部)=原克彦】国際労働機関(ILO)が19日発表した2015年の世界の失業率は5.8%と前年に比べ横ばいだった。先進国は6.7%と同0.4ポイント改善したものの、人口が多い新興国で5.6%と同0.1ポイント悪化。特にロシアが0.6ポイント、ブラジルは0.4ポイントとそれぞれ大幅に失業率が上がった。ライダー事務局長は「商品相場の下落に伴う新興国の減速が世界の雇用に影響している」と警戒を促した。
先進国は日米英のほかにドイツやイタリアも雇用情勢が改善し、失業率は総じて低下した。ただし資源国のオーストラリアは6.3%と同0.2ポイント上昇した。新興国ではロシアとブラジルのほかに南アフリカやトルコも雇用が悪化。中国は4.6%で横ばいだが、ILOは16年に同0.1ポイント上昇すると予想する。
世界の失業者数は15年に1億9710万人にのぼった。16年は労働可能な人口が増えるため失業者は1億9940万人に増えるとみている。
ILOは新興国や途上国での雇用情勢の悪化で社会不安が広がる危険性が増していると指摘。20日にスイス東部で始まる世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でも議論を促す。東南アジアで74%、アフリカ南部でも70%の労働者が失業手当などの社会保険を受けられない状態にあることも問題視している。
[日経新聞1月20日夕刊P.1]
チーフ・エコノミクス・コメンテイター マーティン・ウルフ
「強気相場は心配の壁を登る」といわれる。確かに、目下、世の中には懸念すべき事案はたくさんある。だが、市場はもはや、壁を登るような勢いで上昇はしておらず、強気の相場が死んでしまったことを示唆しているかのようだ。
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が算出している米国市場の総合指数は、事実上、2014年6月から足踏み状態が続いている。米エール大のロバート・シラー教授のCAPEレシオ(景気変動調整後の株価収益率=PER)によると、米国市場の指数が今より大幅に高かった時期は、1929年と、2000年に弾けた破滅的なバブルの最中だけだ。シラー氏の著名な価値評価は完璧ではないが、これは株式市場の指数が高いことを告げる警鐘でもあるのだ。
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さらに重要なことは、ポートフォリオ・リバランス(運用資産の組み替え)が行われていることだ。ここに来ての最も重大な変化は、新興国の経済や金融の展望に対する認識の変化だ。それによって資本が今、新興国から流出しているのだ。こうした資本流出がドル高をもたらしている。そう考えてみると、金融引き締めを決めた米連邦準備理事会(FRB)の決断は、重大な失態に映る。
世界銀行の最新の報告書は、新興国に対する失望感(および、新興国内での失望感)の度合いを浮き彫りにしたものだ。規模が大きい上位20の途上国の株式市場の半数が、15年につけた最高値からすでに20%以上、下落したというのだ。
コモディティーの輸出国(ブラジル、インドネシア、マレーシア、ロシア、南アフリカを含む)、そして、政治的リスクの増大にさらされている巨大な途上国(ブラジルとトルコを含む)の通貨は対ドルレートと貿易加重ベースの双方で、数年ぶりの安値に下落した。
15年の第3四半期に、世界の投資家たちは、新興国の株式・債券ファンドから約520億ドルもの資金を引き揚げた。これは記録に残っている限り、四半期ベースで過去最大の流出だ。
さらに、中東における地政学的な不安定さも新興国からの資本流出などの要因の一つとなっている。汚職スキャンダルは、経済の潮が引くときに明るみに出る傾向がある。だから、ブラジルのルセフ大統領らが一大スキャンダルの渦中にあるのは決して意外なことではない。一方、中国の習近平国家主席は腐敗を一掃しようとしている。だが、そうした腐敗の追及自体が(共産党に対する)信頼感を損なうことになる。
そして最も重要なことは、景気循環の点においても、また、構造的な意味においても、新興国の景気が悪化しているということだ。BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)のうち、経済回復を遂げているといえるのはインドだけだ。
中国は断トツに重要な新興国だ。市場の混乱は中国指導部の能力に対する信頼を低下させた。だが、この国の問題で極めて重要なのは、問題を手っ取り早く簡単に解決することなどできないということを理解することだ。中国経済は極端にバランスを欠いている。貯蓄率が信じ難いほど高く、投資率が無駄に高いうえに、多額の債務を抱えているからだ。
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この問題を解決する方法は、中国の資本流出と大幅な人民元安、そして多額の経常黒字を容認することかもしれない。だが、そのような「解決策」は中国を除く世界経済の安定を脅かす。中国政府は世界からのこうしたプレッシャーに抵抗を見せる。中国の外貨準備高は14年6月以降、6600億ドル減少しているのもその表れだ。
だが、もしこの傾向が続けば(そして、これは確実に続く)当局は流出規制を強化せざるを得ず、改革は損なわれる。そうでなければ、世界を不安定化する元安を容認しなければならない。
途上国で起きていることは、何十億人もの人々の生活に直接影響を及ぼしかねない。それは、グローバル経済にとっても重要な意味を持つ。新興国で発生した一連の信用バブルが、今、大きな音を立てて弾けている。これは金融ショックという後遺症を残す可能性があり、また対応を誤れば、不良債権が残されるだろう。
重要なのは、古いエンジンが不具合を起こして壊れかけているなかで、新しくて強力なエンジンを見つけることだ。それがどこで見つかるのか、今はさっぱり分からない。
だが、世界は楽観的に、自分たちが望んでいるものを米国が与えてくれると期待している。しかし、残念ながらそうはならない。たとえFRBが金融引き締めを行わないという決断を下していたとしても、米国は希望をかなえてはくれなかっただろう。これほどの信用バブルに陥っている世界経済で、この先、その修正を行うことは難しい。それは恐らく、完全な惨事にはならないだろうが、大して楽しいものでもないだろう。
(13日付)
[日経新聞1月17日朝刊P.11]
病は、時代と社会の相を映している。長らく日本人の代表的な「死病」だった結核や脳卒中が減り、1981年以降は、がんが死亡原因の1位に。高齢化に伴い認知症は増加の一途をたどり、感染症の脅威にも繰り返しさらされている。戦後70年を遡って「国民病」の変遷をたどると、病を生み出す背景と将来の課題が浮かび上がる。
(編集委員 木村彰)
厚生労働省の人口動態調査によると、脳卒中は1951年から80年まで日本人の死因の第1位を占め、現在でも年間約11万4千人が亡くなる。寝たきりになる原因として最も多い。
脳の血管が詰まる脳梗塞のほか、血管が破れる脳出血、くも膜下出血の総称が脳卒中だ。戦後しばらくは脳出血が多く、51年の脳出血と脳梗塞との比率は28対1。脳出血は食塩や糖質の摂取が多すぎ、脂肪や動物性たんぱく質は少ないといった地域で多発していた。
山口武典・国立循環器病研究センター名誉総長(日本脳卒中協会理事長)は「私が医師になった60年頃は診断法も未発達で治療法は全くなかった」と振り返る。脳出血の最大のリスク要因は高血圧。その後の減塩指導や集団健診の普及、高血圧症治療薬の進歩などで70年代には死亡率が急減した。「塩分摂取量と死亡率の推移は見事に相関している」(山口名誉総長)
脳出血と脳梗塞の比率も70年代に逆転、現在では脳梗塞が脳卒中全体の4分の3を占める。脳梗塞のタイプも、高血圧に長期間さらされて細い動脈が詰まる「ラクナ梗塞」は減り、太い動脈が詰まったり狭くなったりする「アテローム血栓性梗塞」の割合が高まっている。山口氏は「食の欧米化で脂質異常症が増えたためで、心筋梗塞の増加と軌を一にする」と指摘する。
70年代にコンピューター断層撮影装置(CT)が登場し、脳出血はほぼ100%診断可能に。脳梗塞の診断も磁気共鳴画像装置(MRI)の発達で精度が高まった。脳梗塞では血栓溶解薬「t―PA」が2005年に認可され、発症から4.5時間以内に使えば血流を再開できるように。血管内治療で血栓を取り除く方法の研究も進む。
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がん 患者主体、「付き合う病」に
1981年以降、死亡原因で1位のがんには現在も年間約98万人が罹患(りかん)し、約37万人が死亡する。人口10万人当たりの死者数も右肩上がりで増え、2014年は50年の約3.8倍。国民病の代表例だ。
国は07年、がんの罹患・死亡率の低下を目指してがん対策基本法を施行した。予防から治療に至るまで、総合的に充実させる施策を推進中だ。治療法でも手術支援ロボットや免疫療法など進歩はめざましい。今年1月には全ての患者の情報をまとめて集計、分析して対策に活用する「全国がん登録」も始まった。
胃がんによる死者は早期発見・治療が進んで大きく減少。大腸がんや肺がん、肝臓がんも集団健診の普及で90年代後半から少なくなっている。「50年前、がんの5年生存率はゼロに近かったが、今や全ての平均で50%以上。死に至る病から長く付き合う病に変わった」と小林博・北海道大学名誉教授(病理学)は語る。
がんや心疾患、脳卒中はかつて成人病と呼ばれたが、日々の生活が発症や進行にかかわることから96年に生活習慣病に改称された。脂質異常症や糖尿病などと関係が深く、これらは60年代から増え始めた。古閑美奈子・山梨学院大学健康栄養学部准教授(公衆栄養学)は「身体を動かすことが減り、食生活も欧米化傾向を強めたため」とみる。
栄養摂取量の変化が裏付ける。65年と2013年を比べると、1人1日当たりで動物性たんぱく質は25.9グラムから43.5グラムに、脂質は44.3グラムから77.1グラムに増加した(農水省の食料需給表)。
戦後、感染症から生活習慣病へと死因の中心が移り変わったことは「医療の提供者と受け手」という医師と患者関係にも変化をもたらした。日常的な予防などが重要な生活習慣病の治療は、患者自らが取り組む必要があるからだ。医師主導から患者主体の医療へ。「この流れはますます加速するだろう」。北大の小林名誉教授はこう話す。
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感染症 国境越え脅威は続く
食糧事情や衛生環境が悪かった戦後間もなくは、感染症が最大の脅威だった。1947年の死亡原因の1位は結核。肺炎・気管支炎が2位、胃腸炎が3位と感染症が上位を占めた。
経済成長による栄養改善や治療薬の登場により、結核の死亡率は45年をピーク(人口10万人当たり280.3人)に急減し、70年は同15.4人に。結核予防法で医療費の公的負担を確立したり、集団健診やBCG予防接種を義務付けたりする国の対策も奏功した。
ただ「今も国際的には中程度のまん延国。保菌者の7割を占める60歳以上から若い世代にうつる恐れもある」と結核予防会結核研究所の森亨名誉所長は語る。
コレラやペスト、日本脳炎などの国内感染は60年代までにほぼ終息。世界保健機関(WHO)は80年に天然痘の根絶を宣言し、国連も「先進国では感染症は大きな問題でない」とした。
しかしこの頃から新たな感染症が現れ、克服したかにみえた感染症が再流行する異変が起きる。米国などでエイズが猛威を振るい、アフリカで発生したエボラ出血熱は2014〜15年にも流行、緊張が高まった。
新型インフルエンザも世界的大流行(パンデミック)を繰り返している。東京医科大学の濱田篤郎教授(感染症学)は「人口急増で人跡未踏のジャングルまで開発が進み、新たな病原体に感染するようになった。人や物の頻繁な移動で病原体が短期間で世界に広がる中、今後も脅威は続くだろう」と話している。
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公害病 高度成長優先で後手
高度成長期に入った1950〜60年代、各地で工場のばい煙や汚水が深刻な健康被害を起こした。水俣病や新潟水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病を代表とする「公害病」だ。
熊本県水俣市で56年に公式確認された水俣病は「戦後の公害の原点」とされる。工場排水内のメチル水銀による神経系疾患で、公害健康被害補償法(公健法)に基づく認定者は熊本、鹿児島、新潟の3県で計約3千人に上る。今なお審査を待つ人も少なくない。
55年には富山県神通川流域に激痛を伴う奇病がみられると学会報告された。骨軟化症や腎障害が特徴で「痛い、痛い」と訴えることからイタイイタイ病と名付けられた。68年、政府は「上流の鉱山の排水に含まれるカドミウムによる慢性中毒」と発表。認定された公害病の第1号となった。
並行して3大都市圏で大気汚染の影響による健康被害も深刻化。三重県四日市市周辺では気管支ぜんそくや肺気腫などの患者が急増、「四日市ぜんそく」と呼ばれた。石油化学コンビナートから出る硫黄酸化物が原因だった。市は65年に公費で医療費を補償する初の制度を導入、国が69年に被害者救済の特別措置法を制定する流れを作った。
環境庁(現環境省)などで公害対策基本法や公健法の施行に携わったNPO法人「環境文明21」の加藤三郎共同代表(76)は「豊かさへの強烈な渇望が重化学工業を中心とした経済政策を優先させ、公害防止は後手に回った」と指摘する。
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老年病 総合診療へ変革迫る
このままのペースでは高齢化がピークを迎える2025年には、700万人超が認知症になる――。厚生労働省はこうした推計を15年1月に発表した。12年時点の推計(約462万人)の約1.5倍に急増し、65歳以上の高齢者の5人の1人に当たる計算だ。
足腰が弱って歩行が困難になる運動器症候群(ロコモティブシンドローム)や肺炎、転倒・骨折など加齢に伴う傷病も増加している。骨粗しょう症や変形性膝関節症、変形性腰椎症について、いずれか1つ以上に当てはまる人は推計で4700万人に及ぶ。
「超高齢化の衝撃」は医療に変革を迫る。高齢患者は様々な疾患を抱えているケースが多く、従来の臓器・疾患別の診療体制では対応できないためだ。
1962年に国内外に先駆けて老年病学講座を立ち上げた東京大学。付属病院の秋下雅弘・老年病科科長(55)は「高齢者のための総合診療科として、全人的・包括的医療を目指している。処方される薬の種類が多く、調整や管理も欠かせない」と強調する。
かつて高齢患者は74歳以下が中心で、大半が日常生活を送る機能は維持していたという。最近は長寿化もあり、「機能が衰え、認知症を抱えた75歳以上が目立つ」(秋下科長)。同科の外来初診患者の6割は認知症で要介護の人も多い。
老年病科は東北大、名古屋大、大阪大など各地の大学病院も相次ぎ開設。専門診療科と連携して高齢者に多い傷病に対応している。
[日経新聞1月17日朝刊P.13]
2007年、当時91歳の認知症の男性が線路に入り込み、列車にひかれて死亡。鉄道会社は列車の遅延などの損害賠償を遺族に求める訴訟を起こした。一審は原告全面勝訴で妻と別居の長男に賠償を命令。二審は賠償額を減額したものの、妻に賠償を命じる判決を出した。
この裁判は現在、上告中だが、一、二審判決は大きな波紋を呼んだ。介護現場からは「要介護者から一瞬たりとも目を離してはいけないということか」との批判が渦巻き、成年後見人になる人はいなくなるともいわれた。
本書もこれら判決を「高齢社会についての想像力が欠如している」と強く批判する。そして、このような判決の根底にある加害者対被害者、若者対高齢者といった、自分が得をするか相手が得をするかのゼロサムゲーム的な発想から抜け出すべきだと説く。これからは共にプラスになるような道を探ることに、法と法律家の存在意義があるとする。
日本では終末期医療に関連して、いったん始めた延命措置を中止すると医師が殺人罪に問われるかどうか、といった法律論が盛んだ。しかし本当に大切なのは、一人ひとりがいかに安らかに最期を迎えることができるかであるはず。超高齢社会で法制度や人々の意識はどうあるべきか。この本を読んで考えたい。(朝日新聞出版・1400円)
[日経新聞1月17日朝刊P.16]
子供たちの視力低下が止まらない。文部科学省がまとめた2015年度の学校保健統計調査(速報)によると、裸眼視力が「1.0未満」の小学生の割合は30.9%と過去最高になった。幼稚園児も増加の傾向にあり、中高生は半数を超えている。専門家はスマートフォン(スマホ)や携帯ゲーム機などの長時間利用が視力の低下の一因とみている。
全国の5〜17歳の約335万人(全体の24.2%)を抽出して調査した。
1.0未満の小学生の割合は、調査を始めた1979年度は17.9%だったが、その後は増え続け、12年度からは毎年30%を上回っている。幼稚園児も79年度の16.4%から15年度は26.8%に。ピークの08年度(28.9%)は下回ったが、依然として高水準だ。中学生は54.0%、高校生は63.7%だった。
日本小児眼科学会の前理事長で川崎医療福祉大の田淵昭雄名誉教授(小児眼科)は「幼いころからスマホなどの画面を長時間近くで見ていることが原因。家庭内でルールを作ったり、なるべく外で遊ばせたりして、目を酷使させないでほしい」と指摘する。
一方、虫歯のある子供の割合は改善傾向が続く。高校生は52.4%で過去最低を更新。幼稚園児は36.2%、小学生50.7%、中学生40.4%で、いずれも前年度より減少した。70年ごろは90%以上の子供に虫歯があったが、学校での歯磨き指導や家庭での習慣づけが効果をあげているという。年齢別で虫歯のある割合が最も高かったのは9歳(57.6%)、最も低かったのは5歳(36.2%)だった。
文科省は15年度を最後に、学校保健統計調査の必須の検査項目から座高と寄生虫卵を外す。座高検査は子供の発育状態を調べる目的ではあまり活用されていないためという。寄生虫卵は15年度の小学生の保有者が過去最低の0.12%となるなど、保有者が下げ止まっている。同省は教育委員会などが必要と判断すれば今後も検査を行うことは可能としている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H5A_S6A120C1CR8000/?dg=1
安倍晋三首相は22日、ロシアのプーチン大統領と電話で約40分間協議した。プーチン大統領が来日する前の「しかるべき時期」に非公式にロシアを訪れ、日ロ首脳会談を開く方向で調整を進めることで一致した。今年春ごろにロシアの地方都市などでの開催を検討している。
電話協議では安倍首相の訪ロに向けて、2月中に東京で日ロ外務次官級協議を開くことも確認した。北方領土問題を含む日ロの平和条約締結問題などを話し合う見通しだ。両首脳は北朝鮮による核実験についても意見交換した。首相は「核不拡散体制への重大な挑戦であり、断じて容認できない」と強調。日ロが国連の安全保障理事会などの場で連携して対応することで一致した。
電話協議は日本側から呼びかけた。首相は5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前の訪ロを検討している。プーチン大統領の早期来日に向けた環境を整備し、北方領土問題を巡る交渉を加速させたい考えだ。
首相周辺は「実力者であるプーチン大統領との間でなければ、北方領土問題のような難しい政策課題は解決できない」として、首脳間の対話を重ねることが重要だと指摘する。
首相はプーチン大統領との電話協議で、22日付で対ロ外交を担当する政府代表ポストを新設し、原田親仁前駐ロシア大使を任命したことも伝えた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS22H50_S6A120C1I00000/?n_cid=TPRN0006
リトビネンコ殺害事件にプーチン大統領が関与いていたらしいという英国の報告書レベルで言ってしまえば、騒動が起きて以降の甘利氏の発言から、“名目”をなにと説明するかはともかく、本人もダイレクトにお金を受け取っていた可能性が高いと思う。
それをはしなくも示してしまったのが、昨22日に行われた閣議後の記者会見である。
※「」内は甘利氏の発言
「忸怩たる思いがあります。まずはっきり申し上げたいのは、私は法に反するような行為は致しておりません」
「私自身、なんでそんなことで時間がかかるのかとみなさんが思われるのはわかります。ただ、私は、自分の発言が二転三転することは避けたいと思っています。」
「私のことに関して、1週間以内には記憶の確認をしてお話が出来るのではないかと思っています」
記者からの“大臣室や事務所で多額のお金のやりとりがあるものなんですか?”という質問に対し、
「今回の件のうんぬん以外にですか?それはないんです。お菓子とかはよく持ってこられますよね。それだけです」
以降、甘利氏は、告発した相手が録音・コピー・写真など用意周到であったことに“疑念”(恨み節)を語る。
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甘利氏は、1週間以内に行うはずの説明で金銭の受け取りは認めるだろう。
昨日の記者会見でも、「今回の件のうんぬん以外にですか?それはないんです」と答えることで、論理的には、今回の件で大臣室もしくは事務所で金銭の受け取りがあったことを認めている。
なぜなら、今回の件で金銭授受に関する記憶が曖昧であるなら、他の件についても記憶が曖昧なものもあるはずで、他の件では金銭の授受はなかったと断言することはできないからである。
逆に、今回の件以外について金銭の授受がなかったと明確に言えるのなら、今回の件でも、金銭の授受があったかなかったかは明確に言えるはずである。
今回の件は記憶が曖昧なのに、数ある他の件(訪問客)についてはお金を持ってきたことはないときっぱり言ってしまうのは支離滅裂である。
記者会見のようなやりとりのなかで今回の金銭の受け取りを否定しないということは、金銭の受け取りがあったと推論できる。
金銭の受け取りを認めたうえで、甘利氏サイドの落としどころは、
○もらったお金は政治活動を支えてくれる寄付であり、会計責任者にもそのように説明したうえでお金を渡しているから、政治資金収支報告書に記載がないのは会計責任者のミスである。
○後援者のため都市再生機構(UR)に話をつないだようだが、ただ話を聞いて欲しいといっただけで、補償などどうこうして欲しいと頼んだことはないはずだ。UR側もそう説明しているはずだ。いずれにしろ、甘利本人や秘書たちに、URに補償金を支払わせるような“権限”はない。
○政治資金収支報告書は修正し、口利きも、今後は疑いをもたれるようなかたちで行わないよう秘書たちへの指導を徹底する。
要するに、「政治資金規正法」の罰則規定はザルであり、「あっせん利得処罰法」も“権限”の字句を挿入したことで逃げ道が用意されており、どちらの法も、違反について罪を問うかどうかは検察の恣意的判断に委ねられているため、こんなバカバカしい言い訳もできてしまう。
※今回の暴露記事で、政府与党は、複数税率(軽減税率)の適用(買収)範囲を、宅配新聞だけでなくスタンド売り新聞や雑誌・書籍まで拡大しなければならないと“身に染みた”のではないだろうか。
[甘利発言の“意訳”]
「忸怩たる思いがあります。まずはっきり申し上げたいのは、私は法に反するような行為は致しておりません」
↓
“いやあ〜参ったな。しかし、秘書や会計責任者はともかく、私自身は法に反するような行為をしていない”
「私のことに関して、1週間以内には記憶の確認をしてお話が出来るのではないかと思う」
↓
“私が罪を背負わなくてもいい経緯や構図になるよう、弁護士などと相談したうえで1週間以内に説明する”
「今回の件のうんぬん以外にですか?それはないんです。お菓子とかはよく持ってこられますよね。それだけです」
↓
“今回の金銭受け取りは否定できないが、発覚していないことはないと同じなのでないと言う”
「マリのホテル襲撃から1週間 背後関係は不明:結局犯人は二人、最上階をめぐる7時間にもわたる攻防という話は幻想!?」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/492.html
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ホテル襲撃、23人が死亡
【ナイロビ=共同】西アフリカ・ブルキナファソの首都ワガドゥグで15日に武装集団がホテルを襲撃、人質を取り立てこもった事件で、政府は16日、少なくとも18カ国の23人が死亡したと明らかにした。治安部隊は容疑者4人を殺害し、ホテルを制圧、人質126人を解放した。ロイター通信が伝えた。18カ国の詳細は不明。
解放された人質には閣僚1人も含まれ、33人が負傷しているという。
[日経新聞1月17日朝刊P.4]
編集委員 大林尚
2016年。欧州の政情と経済にとって波乱要因のひとつは英国である。
欧州連合(EU)にとどまるか出て行くか。この重い決断を保守党のキャメロン首相が有権者の意思にゆだねると表明したのは3年前。15年の総選挙で同党が勝つのを条件に、17年末までに国民投票をするという内容だった。首相はその時期を今年のさほど遅くない時期に定めつつある。
来月、首相はブリュッセルに乗り込みEU執行部に改革を迫る。国民投票の前哨戦だ。EU側が英政権の求めに柔軟に応じれば、首相はその手柄を国内の反EU派有権者をなだめる材料に使う。EU側は英国に出て行かれたときの利害得失を考え、かなりの程度、譲歩する構えをみせている。
EU側が譲りにくいのが人の自由な往来の問題だ。昨年11月、首相はロンドンの王立国際問題研究所(チャタムハウス)で演説し、英国に来る移民に対して当初4年間は社会保障の給付対象から外す案を示した。診療所や病院で治療を受けたときに患者の自己負担がゼロになる国営の医療制度(NHS)などを念頭に置いているとみられる。
欧州統合の理念に反する要求である。EUの行政を担う欧州委員会の高官は、域内の人の往来を制限するのは論外だと突き放す。もっとも実際にEU代表としてキャメロン氏に対峙するのは、欧州の盟主になったドイツのメルケル首相だ。
折しもドイツ西部ケルンで、難民や不法移民の一団が元日未明にかけて起こした集団暴行の波紋が広がっている。年明け後、移民に寛大なスウェーデンがデンマークからの旅行者に身分証検査を始め、デンマークはドイツ国境で同じことを始めた。メルケル氏は英首相の要求を切って捨てにくい立場に追い込まれた。
英EU間の葛藤は難民問題にばかり焦点があたっているが、ほかにも見逃せない論点がある。英政権はEU法への拒否権を加盟各国の議会が持つことを求めている。何かと規制強化に走るEU執行部へのいらだちがあるのかもしれない。自由と規律を重んずる保守党政権としてはなおさらだ。
行き過ぎた規制は日本にも陰に陽に影響を及ぼす。
欧州議会は近く個人情報保護に関する新しい規則を採択する。EUは域内の企業などが保有・管理している個人情報をEU外へ持ち出すのを原則として禁じている。新しい規則の柱は、違反企業へのEU共通の制裁金制度の創設である。その額は違反企業の世界の年間連結売上高の4%か、2千万ユーロの高いほうを上限とする。施行は2年後だ。
違反企業は場合によってとてつもない損失を被る可能性がある。経営陣は株主代表訴訟を起こされるのを覚悟せねばなるまい。カルテル制裁金の巨額さで米司法省と並んで群を抜くEUは、もうひとつ大きな「収入源」を手にする。
日本企業も、もちろん例外ではない。ざっくり言うと、個人を特定できる情報をEU外へ持ちだすとアウトだ。EU内の現地法人が顧客一覧や現地で雇った従業員の名簿を東京本社にメール送信すれば、引っかかる可能性が大きい。また事業所がEUになくとも、EUに住む人へ商品・サービスを提供する企業と個人事業主は規制対象になる。
この国際化、情報化の時世に何と理不尽な。そう思わずにはいられない。源流をたどると欧州に根づく理念に行き当たる。「何人も自己に関する個人情報を保護する権利を有する」(EU基本権憲章8条)。EUは個人情報の保護を基本的人権に定めているのだ。
国家権力が人を出自によって差別、迫害した過去を繰り返すまい。その決意が背景にある。ユダヤ人しかり、かつてジプシーと呼ばれたロマ民族しかり。日本のマイナンバーにあたる国民番号制について、オーストリアが行政サービスごとに違う番号で管理しているのも、情報が漏れたときの被害を最小限にするのが狙いだ。ヒトラーに踏みにじられた国ならではだろう。
じつは、ユダヤ人国家イスラエルへはEUから情報を移せる。同国の個人情報保護が十分な水準に達していると欧州委が認めたからだ。同様に認めた国・地域は十程度にとどまる。
この元日、日本政府は個人情報保護委員会を発足させた。マイナンバーを含め個人情報行政をつかさどる内閣府の外局だ。これで保護体制は万全と訴えたいところだが「欧州委は警察、検察など捜査機関への情報移転を防ぐ手立てが十分ではないと見なしている可能性が強い」(法曹関係者)。
そういえばEU司法裁は昨年、米インターネット企業などに特例として本国への情報移転を認めてきた欧米間の協定は無効と判断した。米国防総省の情報機関への情報漏れがありうるというのが根拠である。
こうしてみると、ネット上であれ飛行機で印刷物を持ちだすのであれ、EUから日本へは個人情報は移せないと観念するしかない。
冷戦後、国際化と情報化が深まるにつれ成熟国と新興国との経済力の差は縮まってきた。その過程では雇用、資源、通貨などをめぐって摩擦が表面化した。今度は、EUを起点に成熟国どうしの価値観の差があぶり出され、新手の摩擦に発展する様相をみせる。
16年、欧州から目が離せないゆえんである。
(ブリュッセルで)
[日経新聞1月18日朝刊P.6]
第2次大戦の終結以来、米国と欧州の関係は国際安全保障と世界経済の安定に不可欠だった。現在この同盟は1941年以来最も弱体化し、世界的な存在意義も薄れている。ユーラシア・グループは弱まる米欧同盟を2016年最大の政治リスクと考える。
これは「異なる国々の台頭」――中国、インド、ブラジル、ロシア、トルコなどさまざまな政治・経済的価値観を代表する新興国の影響力が拡大していること――の当然の結果という側面もある。またイラクとアフガニスタンにおける長期の戦争によって、米国民は海外で新たなコストやリスクを引き受ける意志をなくした。こうした変化が米欧同盟にくさびを打ち込んだ。
欧州は深刻な課題を数多く抱え、注意がそれてしまっている。欧州は分裂し、脆弱で臆病になっている。その結果、欧州各国は米国ではなく、ほかの政府に頼ることで問題に対処しようとしている。
英国は21世紀も経済大国にとどまる方法を模索する中、欧州連合(EU)における同国の将来が不確かなこともあって、中国のご機嫌取りをする経済的動機を持つ。英国は米国の反対を押し切って中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加した。ロンドンを中国人民元の国際化の中心地にするため、中国の人権問題、台湾や南シナ海の安全保障、香港の民主主義さえもさほど気にかけない。
フランスにはロシアに目を向ける安全保障上の動機がある。ロシアはシリアのアサド大統領を支援している。これによって過激派組織「イスラム国」(IS)が壊滅し、欧州への難民流入に歯止めがかかることをフランスは期待する。最近のパリ同時テロの後、フランスは歴史上初めて、北大西洋条約機構(NATO)ではなくEUに集団的自衛権の行使を求めた。NATOに頼ればロシアとの積極的な協力はできなかっただろう。
ドイツにはトルコと協力する政治的動機がある。メルケル首相は難民の波が洪水にならない限り、難民への門戸開放政策は機能することを理解している。トルコが欧州に押し寄せる難民の門番の役割を果たしていることから、メルケル首相はトルコのEU加盟交渉を再開し、トルコ国民の欧州へのビザなし渡航を検討すると提案した。トルコのエルドアン大統領が政敵に嫌がらせをし、ジャーナリストを収監しているにもかかわらずだ。
これらの政策が賢明かどうかは別にして、米国と欧州の伝統的な価値観を反映していないのは確かだ。
米国と欧州の分裂が今年最も明確に露呈するのはウクライナとシリアになりそうだ。2つの危機に高みの見物を決め込むことができる米国は原則に固執し、ウクライナがプーチン大統領の影から逃れるまでロシアへの制裁を続け、シリアのアサド大統領は退陣すべきだと主張するだろう。
一方、両国の影響をまともに受ける欧州は現実路線をとるとみられる。これは、EUが年内にロシアへの制裁を緩和し、シリアでは一度に一つの敵(IS)とだけ戦う公算が大きいことを意味する。
米国と欧州は、中国との間よりもはるかに多くの共通点を持つが、米欧同盟の空洞化はまた、そのことが今後重要でなくなることを意味する。経済的現実が政治的原則を踏みにじるだろう。さまざまな欠陥や限界はあっても、民主主義、表現の自由、法の支配の推進に寄与してきた米欧同盟にとっては損失だ。
Ian Bremmer 世界の政治リスク分析に定評。ユーラシア・グループは米調査会社。著書に「スーパーパワー――Gゼロ時代のアメリカの選択」など。46歳。
[日経新聞1月18日朝刊P.6]
年初から大波乱に見舞われた世界の金融資本市場。日本の株式相場は22日に急反発したが、不安は収まっていない。米国の利上げを起点に、中国経済の減速と原油安が共振する波乱の構造は根が深い。
■「過剰設備」生む
「人民元が消えた」。1月12日昼前、香港の銀行のディーリングルームで悲鳴があがった。元売りを仕掛ける投機筋に業を煮やした中国当局が大規模な元買い介入を実施。金融市場に出回る元は瞬く間に蒸発し、元の香港銀行間取引金利(翌日物)は過去最高の66.8%に急上昇した。香港発の元安を当局がひとまず力ずくで押さえ込んだ。
だが元離れの奔流はとまらない。より深刻なのは実需の動きだ。
3億5000万ドル(約410億円)のドル建て社債を投資家から買い戻します――。福建省の不動産会社、中駿置業控股は6日、社債を前倒しで償還すると発表した。急激な元安はドル建て債務の負担を重くする。前倒し償還は中国東方航空も表明。春秋航空なども検討に入った。
ドル建て社債を償還するには投資家に渡すドルを調達するために手持ちの元を売る必要がある。必要な輸入代金を早めに確保するための元売りも増えている。「投機と違って実需は規制しにくい」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)
問題を複雑にしたのは2008年に打ち出した4兆元(当時の為替レートで50兆円超)の経済対策だ。米金融危機による世界経済の底割れを防いだ一方、労働人口の減少などで潜在成長率が低下するなか投入された大規模な財政資金は、過剰な設備と債務をもたらした。中国の15年の実質国内総生産(GDP)成長率は6.9%と25年ぶりの低水準に沈み、マネーは中国から逃げだそうとしている。
■債務膨張を助長
かたや太平洋をはさんだ米国には投資マネーが押し寄せる。米利上げでドルの投資魅力が高まり、リーマン・ショック後の金融緩和で世界にばらまいた4兆ドル(約470兆円)の資金が戻り始めているのだ。
「世界の債務は07年からの7年間で57兆ドル(約6700兆円)増加した」。米コンサル大手マッキンゼー&カンパニーはこう分析する。米国発の大量の緩和マネーは世界中の金利を押し下げ、各国の政府や企業の債務が膨張するのを助長した。中国経済が過剰債務を抱える一因になるなど罪作りな存在でもあった。
「政策当局者はより悲観的なシナリオに備えなくてはならない」。サマーズ元米財務長官は警鐘を鳴らす。米利上げは1994年のメキシコ、97年からはアジア、98年にはロシアと、通貨危機のきっかけを繰り返しつくってきた。
その歴史といまが違うのは、市場との対話に不慣れな国家資本主義の中国が絡まり合っていることだ。米国の約3分の2の経済規模という大きさと、手荒い為替介入や朝令暮改の市場対応策が、混乱をさらに深めている。かつてのような政策協調も難しい。
リーマン危機後に「4兆元と4兆ドル」という史上最大規模のカンフル剤を打った世界経済。政府も市場もその後始末に立ちすくんでいる。
(石川潤、NQN香港=森安圭一郎)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF21H14_S6A120C1SHA000/?dg=1
ホンダは英国の燃料電池メーカー、セレス・パワーと燃料電池を使った家庭向け発電機の共同研究を始める。ホンダは家庭用発電機ではガスエンジンを使って電気と熱をつくるガスコージェネレーションシステムを販売するが、エネルギー効率が高く環境性能に優れる燃料電池型の発電機も新たに研究対象にする。セレス社が持つ材料技術を生かし、次世代型の発電機の開発を目指す。
セレスは発電効率が高い固体酸化物型燃料電池(SOFC)で、燃料を電気に変換する基幹部品のセルなどを製造。ロンドン証券取引所の新興企業向け市場「AIM」に上場している。
ホンダは自動車では既に燃料電池車(FCV)を開発し、2016年3月に量産型のFCVを発売する。燃料電池は自動車向けと発電機向けでは技術や製造方法が違うため、セレス社と共同研究することにした。SOFCは家庭向け発電機で実用化されているが、700度以上の高温で動作するため、セル材料は熱に強いセラミックスが中心となりコスト面が課題だった。
セレスが持つ技術を使えば500〜600度で作動するので、セル材料を少なくできるという。コスト削減のほか、発電の高効率化も期待できる見通しだ。ホンダはセレスとの共同研究を通じ、次世代の発電機の研究を進めていく。
[日経新聞1月18日朝刊P.9]
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の安全性を巡り地元新潟県の泉田裕彦知事と東電の溝が埋まらない。背景には東電が同県に電力を供給していないため、徹底して安全性を追求できる新潟県特有の構図がある。原子力規制委員会による安全審査は進んでいるが、仮に合格しても再稼働への道のりはなお遠い。「世界最大の原発」を巡る両者の議論に終わりは見えない。
発電出力が世界最大の柏崎刈羽原発は全基停止が続く(新潟県柏崎市・刈羽村)
「本当に2カ月も福島第1原発事故の炉心溶融(メルトダウン)が分からなかったとしたら東電に原発を運転する資格はない」。5日午後、県庁に年始のあいさつに訪れた東電・広瀬直己社長に対して泉田知事はかねて主張する同社の情報公開の問題点について厳しく問いただした。
東電と認識ずれ
広瀬社長は「情報は全て出しているつもりだが、知事の懸念が払拭できないということであれば真摯に対応していかなければいけない」と答えた。しかしこのやり取りは1年前の会談とほぼ同じ。安全認識について理解がずれたままの現状が浮き彫りになった。
原発の再稼働は規制委の審査に合格後、立地自治体の知事などの同意を経て実現する。東電は経営再建に不可欠として柏崎刈羽原発の再稼働に向け安全審査を申請。審査はすでに終盤を迎えつつある。だが、合格判定が出たとしても、今の状況では、再稼働の議論はすぐには進まない。
東電は放射性物質の放出量を抑えるフィルター付きベントの設置や国際原子力機関(IAEA)の安全調査で、課題として指摘された15項目を踏まえた改善策を進めるなど泉田知事の理解を得たい考え。しかし「福島事故の検証・総括なしに再稼働議論はしない」と主張する泉田知事を前に議論の前提条件を解消できていないのが現状だ。
「安全原理主義」とやゆされることもある泉田知事の東電に対する強気の背景には、電力供給を巡り他地域とは違う構図がある。通常、再稼働ができないために電気料金が上がると、地元経済には大きな打撃となる。しかし、同県に電力を供給しているのは東北電力。供給地域外に設けた原発の再稼働を目指す東電は、ひたすら理解を求めるしかない立場だ。
地元の電力会社ではないことに加え、東電の原発再稼働の判断は福島事故後初となる。事故の当事者だけに泉田知事が東電に対して厳しい安全対策を求める要因の一つとなっている。
また柏崎刈羽原発を再稼働したとしても地元経済への影響が限定的であることも県内で再稼働への機運が高まらない背景としてある。地元企業に影響が大きいのは、福島事故以来、東電が経費節約のため、タクシーや飲食を控えていることで、この傾向は柏崎刈羽が動いても続くからだ。
「東電が福島事故時にメルトダウンを認識したのはいつか」「貯水機能が地震で失われることはないのか」。県が独自に原発事故の検証などをする技術委員会では、東電の担当者を交え安全性への議論が続くが、議論を重ねるごとに課題が見つかり終わりは見えない。委員の中には「これでは知事が納得する結果は出ない」との声も出始めた。
実際、規制委員会の審査や技術委員会が進む間も、ケーブルの不適切敷設といった細かいミスが相次ぐなど、県が求めた安全対策に東電は十分に応えているとは言いがたい。昨年12月には、福島事故の際、2号機で蒸気逃がし安全弁の部品が高熱で劣化していた可能性が発覚するなど「福島事故の検証」の不備が今も見つかっている。
姿勢不変の見方
今年10月には任期満了に伴う新潟県知事選が予定されている。泉田知事は出馬についての意向を明らかにしていないものの、地元では出馬するとの見方が大勢だ。また「新潟県民は東電から電力供給を受けていないのだから、経済合理性ではなく徹底的な安全性を求める」(県幹部)と、知事が誰になっても東電に対する厳しい姿勢が大きく変わらないとの声は地元でも根強い。
東日本大震災の発生に伴う福島事故からまもなく5年を迎える中、再稼働議論が始まる見通しは依然として見えない。「福島事故の検証・総括」という知事の要求を解決し、再稼働に向けた道筋を付けられるか。東電にとって2016年は柏崎刈羽原発の再稼働を占う勝負の年になる。
(新潟支局 篠原英樹)
[日経新聞1月18日朝刊P.37]
19日の日経平均株価は4日ぶりに反発した。中国株の上昇が好感されたが、売買は低調で再び上昇に向かう兆しは乏しい。米利上げを契機にした緩和マネーの逆回転はいつまで続くのか。気がかりなのは中国・人民元相場や原油安だけではない。投資家はにわかにもう一つのリスクを意識し始めた。世界経済の最後のとりで、米国の変調だ。
「海外勢が久しぶりに買い越した」(外資系証券幹部)。日経平均が100円近く上げた19日の市場ではこんな声が聞かれた。ただ日中は売り買いが交錯する場面が多く、オイルマネーの断続的な換金売りへの警戒も残る。
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年明けの世界的な株安を招いたのは、中国や中東といった新興国だった。ここにきて、もっとも安定しているはずの米国にも不安の芽が出始めている。
「これだけの貨物輸送の落ち込みは景気後退期以外では経験したことがない」。先週、昨年10〜12月期の減収減益を発表した米鉄道大手CSX。マイケル・ワード最高経営責任者(CEO)は決算の説明会で石炭を中心に輸送量が急減する状況を嘆いた。発表翌日の株価は6%安と下げた。
米主要500社の純利益は昨年10〜12月期が前年同期より約5%減と、減益幅が拡大する見通しだ。輸出企業へのドル高の逆風だけでない。内需も盤石とはいえなくなっている。
昨年12月の米小売売上高は前月比0.1%のマイナスだった。頼みの綱だった個人消費の陰りで、JPモルガンは10〜12月の国内総生産(GDP)成長率予測を0.1%と従来(1.0%)から下方修正した。
年初からの米国株を見ると、小型株を中心に構成する「ラッセル2000」や主要金融株を組み込んだ「KBW銀行株指数」の下げがきつい。いずれも米景気に反応しやすく、その失速リスクを株価が織り込んでいるとも受け取れる。
長期サイクルでも見過ごせないデータがある。ドイツ証券がまとめた米企業債務(借入金と社債の合計)の対名目GDP比率だ。昨年9月に45%を超え、00年のIT(情報技術)バブルや08年の金融危機の水準まで上昇した。投信を経由した個人マネーの流入や銀行の積極的な融資で、低格付け企業まで借金を目いっぱい積み上げたためだ。
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08年の危機から今年で8年。そろそろ反動が懸念される局面でもある。ドイツ証券の村木正雄グローバル金融ストラテジストは「年末にかけて低格付け企業の破綻が相次げば、株式相場のさらなる調整を招くだろう」と警鐘を鳴らす。
昨年12月、9年半ぶりに利上げをした米連邦準備理事会(FRB)はお膝元のリスクにどう対処するのか。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「利上げ継続にこだわれば投資家の不安が増幅される」と警戒する。
米国が変調をきたせば、円高・ドル安を招いて日本株の一段の下押し要因にもなりかねない。この不安の連鎖を止められるものは何か。市場では「FRBが再び利下げを迫られる」といった極端なシナリオまで語られ始めた。
(川上穣)
[日経新聞1月20日朝刊P.16]
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〈FT特約〉米の製造業、成長減速 景気後退の引き金引くか
もし通貨がどこでモノを造るかを決める一端でも担っているなら、ドルが上昇し続けていることは米国の製造業にとって悪いニュースだ。ドルの上昇が中国の人民元に対して特に急激なことを考慮すると、とりわけ悪い。中国本土は世界の工場となっているからだ。
米国の製造業が依然として堅調とほど遠い状態であることは問題だ。英マークイット社の12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)の新規受注数は実質的に停滞した。米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は2カ月連続で50を下回った。2009年以降で初めてだ。
こんなふうになるはずではなかった。
シェール革命による米国のエネルギー価格の下落は、国内外企業の業務の移転を促すはずだった。多くのエネルギー集約型企業は米国に新たな工場を建設すると期待されていた。技術革新はオールドエコノミー企業でさえ製造拡大や米国への移転に駆り立てただろう。最後に、量的緩和が製造業の設備投資拡大を後押しするはずだった。
いずれも実際には起こらなかった。エネルギー価格は急落し、米国の競争優位性を阻害した。世界的に生産設備が過剰となり、製造企業は新たな施設の建設を行う自信をほぼ失った。
量的緩和と低金利で、最高経営責任者らが自社の事業への投資より自社株の買い戻しを行うのに拍車がかかった。低金利融資も消費者の借り入れを促し、過度な借り入れを行う者もいた。サブプライム自動車ローンの債務不履行が増加していることから、車販売は減速する可能性がある。
米国の製造業はまだ成長の領域にある。だが、もっと微妙な所を見ると、経済(の病)は治癒していないことが分かる。雇用の伸びは金融危機前と比べるとはるかに緩やかで、昨年とくらべてもまだ遅い。インフレ圧力の兆しもほとんどない。
これらが意味するのは、デフレ圧力が高まっていることと、製造業から始まる景気後退の可能性が高まっていることだ。これで米連邦準備理事会(FRB)がさらに利上げする見込みはより低くなる。今年はメーンストリート(実体経済)にとってもウォール街にとっても厳しい年になりそうだ。
(19日付)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
[日経新聞1月20日朝刊P.6]
【ソウル=加藤宏一】政府系の韓国産業銀行は北朝鮮の主要産業の技術力が韓国の1980年代の水準にとどまるとの報告書をまとめた。造船や自動車、化学が60〜70年代にとどまるなど、重厚長大系でとりわけ技術格差が大きい。南北の1人当たりの国民総所得(GNI)は推計で20倍規模の開きがあり、経済格差が一段と進んでいることも浮き彫りになった。
[日経新聞1月20日朝刊P.7]
しかし、中国が“尖閣諸島国有化”で日中関係を険悪化させた野田首相の後任として安倍晋三氏を望み、「日朝国交正常化」が最重要外交テーマになっているからこそ、首相でありながら脱税疑惑報道を機に遁走するという醜態を見せた安倍氏が再び首相の座につくという前代未聞の“復活劇”が演じられたことからもわかるように、安倍首相の一見「媚びない外交」は、右派が嫌う融和外交を見えにくくするためのカモフラージュでしかない。
(安倍首相は、ある事件で北朝鮮に大きな政治的借りがあり、歴代米国政権にも約束し続けてきたように、「日朝国交正常化」を最大の政治課題としている)
転載する『週刊文春』連載コラムに寄せた飯島氏の文章は、基本的にまともな内容だと思うが、安倍氏(日本国)に課され続けている国際的使命という肝心な話を隠したままであれこれ語っている。
飯島氏は、「北朝鮮の核実故も常に敵対勢力の中心である米国との戦いだし、対米戦略なのよ。核問題も六カ国協議の再開とかより、米朝協議が本当にできるかどうかが最大のカギだぜ」と書いている。
確かに、朝鮮半島問題の最終解決は米国がカギを握っているのだが、米国が最終交渉に踏み出す前提として、「日朝国交正常化」を通じて日本が北朝鮮に支払うおカネが重要な役割を担っている。
だからこそ、小泉元首相は、02年9月に米国の指示を受けて北朝鮮を訪問し「日朝平壌宣言」に署名したのである。六カ国協議も、日朝交渉が暗礁に乗り上げたことで設定された“予定外”の合議体である。
米朝平和条約締結は、日本が支払うおカネを代償として北朝鮮が “核とミサイルを放棄”することで現実のものとなり、朝鮮半島の統一も、北朝鮮が少しでも韓国に追いつくための経済開発に資する“日本統治時代及び戦後の補償(経済協力金)”が大きな支えになる。
安倍首相は、蓮池透氏が言うように「拉致問題を政治利用してのし上がった」というより、拉致問題解決を突破口として日朝国交正常化を達成するため、然るべき政治的地位を確保してきたと考えたほうが的確である。(06年にたいした実績もない安倍氏が首相になったのもそれが理由である)
そして、そのような“裏事情”を知っている自民党の古参幹部やマスメディアの経営幹部は、しゃかりきで安倍晋三氏を支えている。
米国や中国たぶん日本も事前に情報を得ているほんとかどうかわからない北朝鮮の“核実験”表明は、安倍政権(日本)に対する日朝国交正常化交渉進展の催促なのである。
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『週刊文春』1月28日号P.37
飯島勲内閣参与の激辛インテリジェンス
北朝鮮“水爆実験”と拉致問題の行方
一月六日、北朝鮮が「水爆」と称する核実験を実施したと発表して、兼アジアもきな臭い年明けだよな。
安倍晋三首相も「過去に例のない裁しい制裁を検討する」と日米韓で連携して徹底的に対応する意向を示したよね。半面で、日朝間では日本人拉致問題の解決という難題も抱えているから「対話の窓口はいつでも開けておく」両にらみさ。
オレが注目しているのは、北朝鮮が六日に朝鮮中央通信を通じて公表した声明文なんだけどさ。朝鮮戦争以来、米国が北朝鮮に対していかに核兵器による攻撃をちらつかせて威嚇してきたかを縷々述べているのよ。
特に昨年八月十七日から、「乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアン」という米韓合同軍事演習を実施したんだけどね。これは「核による先制攻撃と平壌占領」「北朝鮮指導部の除去」「米韓による朝鮮半島の統一」を課題に想定してやったものだ、というんだな。
延々と続く対米非難を読むと、最高指導者の金正恩第一書記が、米国からの圧力に心理的に相当な危機感を抱いて、核実験に至ったんじゃないかと推察するね。
米韓同盟では、有事には韓国軍の統帥権は在韓米軍司令官に委ねられる、という事実も理解しなきゃな。朝鮮戦争が完全に終結しないで、不安定な休戦状態のまま、北緯三八度線を挟んで南北の大軍同士が対峙している。その韓国軍への米国の影響力は極めて大きい。
だから、北朝鮮の核実故も常に敵対勢力の中心である米国との戦いだし、対米戦略なのよ。核問題も六カ国協議の再開とかより、米朝協議が本当にできるかどうかが最大のカギだぜ。
オレのインテリジェンスでは、実は北朝鮮は相当に強力な防空体制を敷いているんだよな。今回の核実鼓を受けて、米側も渡りに船とばかり、戦略爆撃機B52や、ステルス職師機F22を韓国に送ったと伝えられている。これに中国がちょっと待てと反発する図式さ。
でも心配なのはこんなゴタゴタに巻き込まれて、拉致問麓が解決できず「ジ・エンド」となることだよ。
ダンマリのプーチン
核実験を巡って米朝が角突き合わせ、緊張が高まる状況に日本が全面的にお付き合いする必要があるのかっていいたいぜ。ロシアのプーチン大洗額なんかダンマリでしょ。静かに多面的に分析して対応していこうっていうさ。日本も見習った方がいいんじゃない?
米韓軍事演習を巡るインテリジェンスからは、金第一書記が怒るのも分からなくもないわけよ。日本は直接関与していないんだからさ。一緒に制裁強化だって拳を振り上げて、在日朝鮮人の本国への送金を締め上げるとかやってみたところで、拉致問題の解決には何ら資することはないからね。
ここはむしろ、在日朝鮮人とは融和を進めて、日本人と同じような地位の向上を図らなければ、拉致問題の解決もありえないぜ。
衆院予算委員会では、拉致被害者の蓮池薫氏の兄である透氏の著書を引く形で、民主党議員が「首相は拉致問題を政治利用してのし上がったのか」と質問し、首相が激怒する事件まで起きちゃってさ。オレもその本読もうかと思ってたけど、論戦を聞いた限りデタラメだから、読むの止めたぜ。
あれは首相が激高したのも無理ないな。小泉純一郎元首相が電撃訪朝し、薫氏ら拉致被害者五人を帰国させた後さ。「被害者をいったん北朝肝に戻すか戻さないか」でもめた顛末は、首相秘書官として横で見ていたんだから、全部知ってるよ。オレとしては、透氏から安倍首相に感謝の気持ちの二言もないのは残念だね。
いいじまいさお 5年5カ月続いた小泉政権を政務担当首相秘書官として支える。現在、特命担当の内閣参与。著書に『政治の急所』、『ひみつの教養』他。
「渦中の問題で金銭の受け取りを“告白”してしまった甘利大臣」
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/149.html
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甘利氏「告発者は最初から録音狙い」 今週中に会見[日経新聞]
2016/1/25 23:49
甘利明経済財政・再生相は25日、産業競争力会議後の記者会見で、自らの金銭授受疑惑について「私に関することは今週中に記者会見で明らかにし、説明責任を果たしていく」と述べた。具体的な日時などについては触れなかったが、与党側は28日までに調査結果を公表するとしている。
秘書の金銭授受や口利き疑惑については「ある程度時間を要するが、まとまり次第、公表する機会をつくる」と述べるにとどめ、慎重に調査を進めているとした。
週刊文春で甘利氏や秘書を告発した関係者については「先方は最初から隠し録音をし、写真を撮ることを目的とした人たちだ。こちらにアプローチする最初から色々な仕掛けをしている」と疑念も呈した。自民党内からは「わなを仕掛けられた感がある」(高村正彦副総裁)との見方も出ている。
ただ、甘利氏側は隠し録りされた録音内容の全容をまだ把握していないとされ、今後、録音内容を基に新たな疑惑を告発される可能性を警戒している。
一方、政府・与党は甘利氏の説明を見守る構えを崩していない。安倍晋三首相は25日の自民党役員会で「甘利さんが28日までに国民に説明すると言っている。審議を円滑に進めるため(与党の)国会対策委員会と連携していきたい」と表明した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS25H7H_V20C16A1PP8000/?dg=1
日米欧に新興国を加えた44カ国がまとめた国際課税の新ルールに日本企業が揺れている。行き過ぎた節税策を防ぐ狙いだが、米欧中などの解釈の不一致を残したままの合意だ。折しも世界景気の減速で各国政府とも税収確保に躍起になりそうな時期。日本と関係国の税の二重取りが発生し事実上の「増税」になるとの懸念がくすぶる。
各国の法律次第
「うちの倉庫が課税対象になったらどうしよう」。中国に部品の倉庫を持つある大手メーカーの税務担当者は年明け早々から不安げな表情だ。
昨年秋に固まった国際課税の新ルールでは、進出国に倉庫を持っていれば、倉庫から発生する利益に進出国が法人税をかけられるようになる。倉庫があるだけでは事業をしているとみなされず、米アマゾン・ドット・コムのような世界展開するネット通販業者に適正に課税できなかったこれまでとは変わる。
だが、新ルールはどのような倉庫を課税対象にするか明確にしていない。日本と中国で事業をする会社が中国に部品倉庫を持つ場合、中国当局が部品倉庫を事業の根幹とみなせば中国での活動がそれだけ多いとみなされて課税額が増える。
日本への納税はその分減るはずだが、国税庁が中国当局の主張を認めなければ、日本でもそれまでと同額の納税をすることになり、合計の税負担は増える可能性がある。
新ルールは国際協調を確認した指針で、拘束力のある国内法にどう反映させるかは各国次第だ。経済産業省の有識者会議は昨秋の報告書で「新ルールのとらえ方は各国の立場で大きく異なる。調和しないと企業が影響を受ける」と指摘した。
44カ国が新ルールに合意したのは昨年10月。ペルーで開いた主要国財務相の共同記者会見で早くもその兆しが出ている。
「G20に加盟していない国も利益を得られるようにすべきだ」。中国の楼継偉財政相が前面に押し出したのは新興国や途上国から見た「税逃れ」の防止だった。
この発言を聞いた大手税理士法人の幹部は思わず顔をしかめた。「中国は自国の利益しか考えていない。新ルールを拡大解釈して税金を取りにくる。日本企業は気をつけないといけない」。中国はすでに外国企業からより多くの税金を取れるように国内法の改正に着手しているという。
いまでも日本企業が行き過ぎた徴税で困っているのは新興国だ。新ルールで新興国の徴税がさらに厳しくなれば日本企業には厄介だ。
新ルールにはもう一つ懸念がある。多国籍企業の税逃れに国際協調で立ち向かうという触れ込みだが、44カ国の結束が強いとは言いがたい。肝心の先進国同士の足並みが大きく乱れている。
対立でしこり
英国は昨春、税逃れを封じる決め手として「迂回利益税」と呼ぶ税金を独自に導入した。企業の国外取引を英当局が検査し利益を不自然に外国に移していると判断すれば重税を課す。主要国で税逃れ対策を詰めているさなかに見切り発車で新税を導入したことで、英国は猛反発を受けた。
「勝手なことをするな」。ルー米財務長官がオズボーン英財務相を一喝した場面もあったとされる。そもそも新ルールで税負担が増えるのは節税策に熱心な米国系大企業が多い。米国は渋々新ルールにお付き合いしている面があった分、英国の独自路線が目に余ると感じたようだ。
英国の振る舞いに業を煮やしたのを機に、米国が枠組みから脱退する可能性もささやかれた。現時点では踏みとどまっているが、しこりは残る。
グローバル化が急進展したこの30年。企業が国を選ぶようになった結果、政府と企業の税を巡る攻防は企業優位に傾いた。世界各国で法人税率引き下げが進む一方、各国の税率の差を悪用した税逃れも横行した。
主要国の連携をテコに多国籍企業の税逃れを防ぐ「国家の逆襲」は「グローバルに協調してはじめて真価が発揮される」(麻生太郎財務相)。結束がほころべば節税に腐心する一部企業はそこを突く。まじめにやっている企業が増税になり、新たな税制のズレを利用した税逃れを一段と助長する展開になりかねない。
(江渕智弘)
[日経新聞1月22日朝刊P.2]
「ミャンマー与党前党首とスー・チー氏会談:スーチー派=国民民主同盟を“抱き込む”ための偽装解任だと高等戦術なのだが...」
http://www.asyura2.com/15/asia18/msg/469.html
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スー・チー氏、閣外から統率 ミャンマー新政権
大統領候補に88歳側近 挙国一致体制めざす
【ヤンゴン=松井基一】昨年11月の総選挙結果を受けた新国会の招集が迫るミャンマーで、次期大統領候補の選定が大詰めに入っている。選挙に大勝した国民民主連盟(NLD)では憲法の規定で大統領になれないアウン・サン・スー・チー党首(70)に代わりティン・ウー最高顧問(88)が最右翼に浮上。スー・チー氏は閣外から政権を統率するとの見方が強まる。NLDは国軍や少数民族政党とも連携する意向で、新政権は実質的な挙国一致体制となりそうだ。
2月1日に開会する国会で最大の議題が正副大統領の選出だ。上院と下院の各民選議員、それに上下両院議席の4分の1を占める軍人議員が各1人ずつ大統領候補を選び、全議員の決選投票で大統領を決める。
昨年11月の総選挙でNLDは改選議席の8割の390議席を得て圧勝。非改選の軍人議員議席を含めても、大統領を指名できる単独過半数を押さえた。ただし現行憲法は外国人の親族のいる者の大統領資格を認めておらず、息子が英国人のスー・チー氏は不適格だ。
選挙後、NLD内では国軍と交渉して憲法の大統領資格要件を一時凍結することも検討。スー・チー氏を大統領にする“奥の手”だったが、現在は「大統領を儀礼的役職と位置づけ、与党党首が政権を統制することを議論している」(幹部)。
選挙直前の記者会見でスー・チー氏は大統領より格下の首相職就任を否定。選挙後も国外メディアに「自分がすべてを決定する」と言明した。3月末にも発足する新政権に同氏は入閣せず、閣外から政権運営を主導するとの見方が有力。国会で改めて憲法改正と大統領就任を目指す意向だ。
次期大統領候補に浮上したティン・ウー氏は社会主義政権時代の1974〜76年に国防相を務めた元国軍幹部。民主化運動を政府が弾圧したのに反発してNLDに合流し、旧軍政時代には政治犯として収監された経験もある。スー・チー氏との関係が良好なばかりでなく、国軍上層部にも一定の支持があるとされる。
高齢のティン・ウー氏が候補となる背景にはNLD内の深刻な人材不足がある。88年の結成時からスー・チー氏を支える指導部は高齢化し、中堅の育成も遅れた。NLDは12年の補欠選挙で初めて国政に参画したが40人強の現職議員も国会で目立った実績はない。
このためNLDは旧軍政の受け皿の現与党・連邦団結発展党(USDP)や少数民族政党との協力を模索。スー・チー氏と親密なため選挙直前にUSDPの党首職を解任されたシュエ・マン下院議長は憲法裁判所長官などの要職への就任観測がある。選挙では無所属で当選したソー・テイン大統領府相らの入閣も有力視されるほか、上院副議長職はアラカン民族党(ANP)などへの割り当てが固まった。
憲法規定により国防相や内相などは軍人の指定席で、国軍との協調も重要だ。スー・チー氏は昨年12月、旧軍政トップのタン・シュエ氏と会談するなど従来の対決姿勢を転換。タン・シュエ氏の娘婿は軍人議員に指名されており、新政権の要職への就任が濃厚だ。まずは円滑な政権立ち上げを優先するスー・チー氏の現実路線が明瞭になっている。
[日経新聞1月23日朝刊P.7]
【ビエンチャン=京塚環】ラオス人民革命党による一党独裁が続くラオスで5年に1度の党大会が22日閉幕し、新指導部が発足した。最高指導者の党書記長にはベトナムとの親交が深いブンニャン国家副主席(78)が選出された。旧党指導部きっての親中派は退任となった。過度な中国依存に歯止めをかける思惑と、建国以来関係の深いベトナムへの配慮が透ける。
首都ビエンチャンで同日開いた閉幕式。ブンニャン氏とチュンマリ前党書記長兼国家主席(79)は笑顔で握手を交わし、交代を印象づけた。
ブンニャン氏は1975年のラオス建国を担った人民革命党の源流となった革命運動に52年から加わった。ベトナムで軍事訓練を受けたほか、建国後はベトナムに留学して社会主義思想を学ぶなど、ベトナムとの関わりが特に深い人物だ。
就任から10年が経過したチュンマリ氏は、同世代のブンニャン氏を後継に選んだ。
新体制で特徴的なのは、高齢のブンニャン氏を残すとともに、親中派として知られる序列8位のソムサワット副首相(70)が指導部から外れ退任となった点だ。
中国語を操るソムサワット氏は、1993年に外務大臣として入閣し、中国企業の投資をラオスに呼び込んだ立役者だ。直近では中国の援助により同国初の衛星打ち上げや総額約60億ドル(約7千億円)の長距離鉄道着工など大型案件を次々実行していた。
その結果、中国企業による投資は急拡大。日本貿易振興機構ビエンチャン事務所によれば2014年の外資による対ラオス投資のなかで中国の比率は3割弱とベトナムを抜き、首位に立った。
一方でラオスは歴史的にベトナムとの関係が深い。75年に米国の支援下にあった王政を廃止した現体制の建国を軍事面で支援したのはベトナムだった。
ベトナムは南シナ海問題をめぐって中国と対立する。ラオスは今年、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国を務める。域内のバランスを取る上でもベトナムとの関係悪化を避けたかった意図が透ける。
今回の党大会で新指導部は20年までに年率7.5%の経済成長や、20年までの最貧国卒業、30年までに上位中所得国への仲間入りといった経済目標を掲げた。ブンニャン新書記長は「目標達成には人材が不可欠」と述べた。今回の人事で世代交代が進まなかったことは、ラオスの人材不足の裏返しでもある。
[日経新聞1月23日朝刊P.9]
「メルケル首相:欧州は難民を管理できない:受け入れを豪語し流入を加速させた「メルケルママ」のみっともない心変わり」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/325.html
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独マスコミ「欧州は、メルケル首相の誇大妄想の後始末に十年という歳月を支払う」[スプートニク日本語]
2016年01月26日 06:18
ドイツの雑誌「Deutsche Wirtschafts Nachrichten」は「難民問題を単独で解決しようとするメルケル首相の意向は、実際のところ、人道的熱情によって装飾された誇大妄想であり、彼女の政策のために、欧州は十年という歳月を支払うことになる」と指摘した。
同誌に掲載された論文の筆者達は「欧州にできるだけ多くの難民を受入れる必要があるとのメルケル首相の執拗な考えは、ドイツの差し迫った問題の解決を妨げている」と主張し、次のように続けている―
「今もやまない難民の流入は、メルケル首相の移民政策を、神々の怒りを買ったシーシュポスの仕事を思い起こさせるものへ変えようとしている。シーシュポスは、大きな岩を山頂に押して運ぶという罰を受けた。しかし岩を山頂に運び終えたその瞬間、岩は転がり落ちてしまう。EUの国々は、自ら負った力の及ばぬ課題を処理できないことを示している。欧州中で、ドイツ連邦政府が、恐らく全く考えても見なかった量の、社会的、人的物的資源が、移民流入がもたらす危機調整に向けられている。メルケル首相にとって難民の統合は、世界の世論における個人的イメージ改善のために遂行すべき、行動リストの一項目に過ぎない。」
国連のデミストゥラ・シリア問題特使は、ブリーフィングで「シリアの諸勢力間の直接交渉は、1月29日に開始される」と発表した。
デミスゥトゥラ特使は「私の見るところ、我々がシリアの在野勢力の代表者達に招待状を発送する状態となる明日に、まずそれがなされ、代表者達による交渉の期日は、29日になるだろう」と伝えた。
先に、そうした交渉は、ジュネーブで25日に始まるものと期待されていた。先週の金曜日、国連は「実際上の理由から」交渉開始の日付けが延期される可能性があると伝えている。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160126/1490872.html#ixzz3yK8RhwWf
クルド人蜂起軍の支配するシリア北東部のトルコおよびイラクとの国境に近い地域に空軍基地が建設される。米国防総省は既に少なくとも100人の特殊部隊員および軍用ヘリを配備している。日曜、トルコのマスメディアが報じた。
ヒュッリイェト紙によれば、米軍はシリアのクルド人らとともに、ルメイラン市の元農業用飛行場における滑走路の補強および拡大、必要な設備の建設を終了させる。元飛行場はシリア領内における最初の米軍基地となる。
先に国防総省報道官は英タイム紙に対し、小規模の米軍特殊部隊がシリアに入っているというのは本当だ、と請け合った。進行中の作戦を「兵站面で支援」するための措置だという。
同基地には司令部が展開し、輸送航空隊が対ダーイシュ(IS)地上戦を行うクルド人部隊や特殊部隊向けの武器・弾薬を運搬する見込み。
ということで、発見された残骸がMH370便のものである可能性も否定できないのだが、遠隔操縦されたMH370瓶は、破壊されない入水角度で海中に入ったと考えられるので、発見されるとしたら、破片や断片ではなく1機丸々のかたちだろうと思っている。
転載する記事に「海流の動きに詳しい専門家らも、MH370便の残骸がタイ湾に漂着する可能性は極めて低いと指摘している」とあるが、それは、MH370便が南極海に近いインド洋に墜落したという前提で成り立つ話であり、それ自体が未確認であることから、可能性は広く考える必要がある。
残骸の映像を含む動画は末尾に示したサイトでご覧ください。
※関連記事
「タイ空軍、「航空機の残骸」を調査へ マレーシア機の可能性も AFP」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/417.html
投稿者 ダイナモ 日時 2016 年 1 月 24 日 23:26:12: mY9T/8MdR98ug g1@DQ4Npg4I
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タイの漂着物、航空機でなくロケットか 三菱重工が指摘
AFPBB News 1月26日(火)10時17分配信
(c)AFPBB News
【1月26日 AFP】タイ南部ナコンシータマラート(Nakhon Si Thammarat)県のタイ湾(Gulf of Thailand)沿岸で先週末に見つかった漂着物について、三菱重工業(Mitsubishi Heavy Industries)は25日、2014年に消息を絶ったマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH370便の残骸ではなく、ロケットの一部である可能性が高いとの見方を示した。
この物体は湾曲した形をしており、大きさは縦2メートル、横3メートルほど。23日に漁師が発見し、2014年3月に乗員乗客239人とともに忽然と消えたMH370便の一部の可能性があるとして注目を集めた。物体は、タイ空軍の専門家が首都バンコク(Bangkok)に持ち帰って調査している。
しかし、三菱重工業広報部の担当者は25日午後、AFPの取材に対し、見つかった物体の画像を精査したところ、形状や確認できる番号などから、同社などが過去に打ち上げたH2AロケットかH2Bロケットの一部である可能性が高いと説明した。
また海流の動きに詳しい専門家らも、MH370便の残骸がタイ湾に漂着する可能性は極めて低いと指摘している。
映像は、見つかった漂着物を積み込むタイの兵士ら。23日撮影。
(c)AFPBB News
最終更新:1月26日(火)10時17分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160126-00010002-afpbbnewsv-int
2015年、中国から流出した資本は1兆ドルに達した。多額の資本流出は元の切り下げ、経済成長の鈍化、証券市場の後退を背景に生じている。
ブルームバーグ・インテリジェンスの情報では、2015年の流出資本は前年の7倍。2014年の資本流出は1343億ドルだった。
中国の外貨準備高は2015年、5130億ドル減の3兆3300億ドルにまで縮小した。これは中国人民銀行が元の安定化路線を強化したのが原因。
専門家らの予測では、2016年末までに中国の外貨準備高はさらに300億ドル縮小し、3兆ドルにまで落ち込む。ブルームバーグがエコノミストらに行なった世論調査では、これが中国人民銀行が元を守る能力に欠けているとして、不信をかったとの見方がなされている。
ブルームバークのアジア市場専門のエコノミスト、トム・オーリク氏の指摘では、輸出業者が資金を中国元に両替することを嫌い、米ドルで保持しようとする傾向も、元に圧力となっている。
コンサルティング会社「キャピタルエコノミックス」アジア市場の上級エコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏の試算では、資本流出はおそらく高いレベルでキープされる。中国人民銀行が課題をどうしてもこなすことができなかったのがその理由。ウィリアムズ氏は、資本の最大流出は元の切り下げで通貨政策が突如として変化した際に起きていることを指摘している。
日本の複数のマスメディアが伝えるところでは、日本政府官房は、安倍首相のイラン訪問の可能性を探り始めた。恐らく、参議院選挙が実施される夏までに、イラン訪問は実現する模様だ。
安倍首相がイランを訪れる基本的理由の一つとして、日本の官僚達は、中東において増大する中国の影響力への対抗を挙げている。観測筋は、安倍首相のイラン訪問について検討が始まったのが、習近平国家主席のサウジアラビア、エジプト、イラン歴訪実施の時期と合致している点に注目している。
先日、中国外務省は、中国の対アラブ戦略に関する初めての文書を公表した。それによれば中国政府は、アラブ世界と大規模な協力を展開する意向だ。協力は、インフラ建設や貿易、投資、原子力発電、宇宙開発そして金融や農業までを網羅する幅広いものだ。文書の中では又、政治領域や国際問題における相互行動の諸原則、そして安全保障問題での協力について述べられている。
北京にある中国人民大学のファン・ウェイピン(黄卫平)教授は、中国の対アラブ戦略について「資源にのみ関心を向けられたものではない」とし、次のように強調した―
「アラブ世界にとって、加工部門やインフラへの投資による経済構造改善を目的とした中国との協力は、有益だろう。中国は、加工業に優先性を置いている。協力は、資源と加工業の力を組み合わせる事にある、これはアラブ諸国にとっても、中国にとっても有益だ。」
対イラン制裁の解除後、イラン政府は、経済上商業上の環境の再編や改善に向け、あらゆる努力をし、外国からの資本の呼び込みに関心を抱いているが、あらゆる問題において、中国は、重要なパートナー国の一つに躍り出ている。
イランのロウハニ大統領と中国の習近平国家主席による会談の結果、イラン南部での原発2つの建設や、イラン産原油の中国への長期供給を含め、17もの2国間合意が調印された。 イランが制裁措置を受けていた間も、中国政府が、イラン政府との関係を維持し、2011年から2015年までの期間、一昼夜で60万バレルの原油を買付け、無線電信技術や軍事利用も可能な所謂デュアルユース技術を供給し続けた事も、中国に有利に働いたと言われている。それ以外に中国が、商業取引の際に決して政治的諸条件を持ち出さなかった事も、イラン指導部にとって、魅力的だった。
さて、そうした中、日本は、中国の競争相手たりえるだろうか? それは大きな疑問だ。安倍首相のイラン訪問は、得るところの多さという点では、習主席の訪問を越える事は出来ないかもしれない。しかしイランは、大変プラグマチックに、経済パートナーの選択にアプローチしている。いずれにしても、安倍首相の訪問は期待すべきものだ。もしこれが実現したならば、ホメイニ師によるイスラム革命の前年、1978年の福田赳夫(タケオ)氏以来初の、日本の首相のイラン訪問となるからだ。
今日読売新聞に発表されたインタビュー記事の中で、森元首相は「安倍首相は、ロシアと西側諸国の間の対話を構築する上で、仲介者の役割を果たす事ができるだろう」との見方を示した。
森氏によれば「安倍首相は、5月のG7サミット前に参加各国を歴訪するだろうが、ロシアのどこか地方都市も訪れる可能性がある」との事だ。
森元首相は、次のように述べた―
「安倍首相は、サミット参加諸国を歴訪するが、サンクトペテルブルグも訪問するかもしれない。もし彼が、先進7か国とロシアの間をつなぐという気持ちを持って、サンクトに立ち寄るなら、それは良い事だ。
安倍首相には、仲介役を果たすという良いチャンスがある。ロシアと西側は、中東や『IS(ダーイシュ,イスラム国)』との戦いといった問題において、協力すべきだ。
また領土問題をめぐる交渉を前進させるためには、安倍首相とプーチン大統領の間に、より一層良い関係を築く必要がある。」
しかし、『週刊文春』の第二弾記事を見届けてからという思いなのか甘利氏が経緯についてまったく説明していない段階で、「重要な職務に引き続きまい進してもらいたい」と答えてしまう倫理観や知性は、“国策”としてメディアや与党から無条件のサポートを受けている安倍首相の存在性をよく反映している。
※関連参照投稿
「渦中の問題で金銭の受け取りを“告白”してしまった甘利大臣」
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/149.html
「北朝鮮“水爆実験”と拉致問題の行方(飯島勲内閣参与コラム):安倍政権の本音が窺えるもので北の“核実験” に同情的な解説」
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/280.html
「甘利氏「告発者は最初から録音狙い」 今週中に会見:録音などの対抗策は責任を果たさず“食い逃げ”する政治家が多いから」
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/281.html
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<安倍首相>甘利氏続投の意向 疑惑「説明責任果たす」
毎日新聞 1月27日(水)11時19分配信
安倍晋三首相の施政方針演説など政府4演説に対する各党代表質問が27日午前、参院本会議で行われた。首相は甘利明経済再生担当相と秘書が建設会社から口利きを頼まれ、見返りに現金を受け取ったとの週刊文春の報道を巡り、甘利氏について「経済再生、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)をはじめとする重要な職務に引き続きまい進してもらいたい」と述べ、続投させる意向を示した。
首相は「(甘利氏が)速やかに必要な調査を行い、自ら説明責任を果たしていただけるものと考えている」と述べた。任命責任については「組閣に当たって、適材を適所の閣僚に任命し、国政を力強く前進させる責任は、もとより、首相の私にある」と改めて述べた。
また、TPPについて「2月4日に予定されている協定の署名後、速やかに関連法案を国会に提出し承認を求めていく。日本が率先して動くことで早期発効に向けた機運を高めていく」と述べ、今国会中の承認と関連法案成立を目指す考えを示した。民主党の郡司彰氏への答弁。
11月の米大統領選後、米国がTPPの再交渉を求めてきた場合の対応を尋ねられ、「仮に求められても応じる考えは全くない」と強調した。自民党の溝手顕正参院議員会長への答弁。【野原大輔】
最終更新:1月27日(水)12時52分
日経新聞は、「ポイントは甘利氏本人が建設会社から現金を受け取った事実があるかどうかだ」といった寝言を書いているが、一部とはいえ政治資金収支報告書に“建設会社”からの寄付が記載されており、甘利氏がカネを直接受け取ったかどうかどうは問題ではない。
問題は、自由民主党神奈川県第十三選挙区支部ないし自民党神奈川県大和市第二支部が受け取ったカネの“趣旨”が口利きの謝礼なのか、口利きが「あっせん利得処罰法」の罪を構成するものなのか、政治資金規制法に違反する内容はなかったのかが問題である。
また、政治資金収支報告書に記載していないカネは、甘利氏個人もしくは秘書たちの“所得”になるから、所得税法違反という問題も関わってくる。
甘利氏や安倍首相の対応が、最低でも、号泣記者会見で名を馳せた元兵庫県議会議員野々村氏の「政治活動費詐欺事件」の法廷戦術(記憶にないの一点張り)を笑えないものにしてしまわないことを願うばかりである。
※関連参照投稿
「渦中の問題で金銭の受け取りを“告白”してしまった甘利大臣」
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/149.html
「甘利氏「告発者は最初から録音狙い」 今週中に会見:録音などの対抗策は責任を果たさず“食い逃げ”する政治家が多いから」
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/281.html
「「<安倍首相>甘利氏続投の意向 疑惑「説明責任果たす」:入口の「説明」さえやっていない段階で“出口”を語る愚鈍宰相」
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/349.html
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甘利氏疑惑、金銭授受・口利き焦点 28日に説明会見[日経新聞]
2016/1/28 0:45
甘利明経済財政・再生相は28日に記者会見し、金銭授受疑惑について説明する。建設会社から現金を受け取り、秘書が口利きをしたとされる事実関係をどこまで認めるかが焦点。安倍晋三首相は27日、甘利氏を続投させる意向を表明した。甘利氏の説明次第で、政権は大きな打撃を受ける。
「必要な調査をしっかり行い、事実を確認の上、国民に疑惑を持たれないよう、しっかりと説明責任を果たしていく」。週刊文春の疑惑報道が明らかになって1週間がたった27日、甘利氏は衆院本会議で理解を求めた。
ポイントは甘利氏本人が建設会社から現金を受け取った事実があるかどうかだ。2013年11月に大臣室で50万円、14年2月に地元事務所で50万円。計2回、建設会社が本人に現金を渡した疑惑が指摘されている。
現金提供は、道路工事を巡る都市再生機構(UR)と建設会社との補償交渉で口利きをしてもらった見返りとされる。
「記憶と違う部分がある」と答弁した甘利氏。現金授受を完全否定できない場合、口利きの見返りと認識していたかや、なぜ政治資金収支報告書に記載しなかったかについて合理的説明が要る。
秘書に向けられた疑惑の釈明も迫られている。13年、地元事務所長が500万円を受け取り、うち300万円分を収支報告書に記載しなかった疑惑などがあるからだ。
建設会社のためにURやURを所管する国土交通省、環境省に直接働きかけたのは、甘利氏の秘書とされる。環境省や国交省は「口利きはなかった」としているが、甘利氏側の弁明はまだない。
28日の会見は甘利氏本人に関する疑惑が中心。本人の口利きは否定するが、秘書の疑惑は第三者を交えた調査後に公表すると説明するもようだ。野党は納得しそうもない。
首相は27日の参院本会議で「説明責任を果たした上で、経済再生、環太平洋経済連携協定(TPP)をはじめとする重要な職務に引き続きまい進してもらいたい」と表明。甘利氏を続投させ、2月4日にニュージーランドで行われるTPPの署名式に派遣する方針だ。
「順序が違う。説明をないがしろにし、最初から甘利氏をかばう姿勢ありきだ」(維新の党の石関貴史国会対策委員長)。野党側は「続投宣言」により、首相の責任は一段と重くなったとみる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO96620140Y6A120C1EA1000/?dg=1
ベトナム党書記長が留任 後任本命のズン首相は引退[日経新聞]
2016/1/27 23:32
【ハノイ=富山篤】ベトナム共産党は27日、2016〜20年の新指導部について最高指導者のグエン・フー・チョン書記長の留任を決めた。一時は書記長就任が本命視されていたグエン・タン・ズン首相は引退する。環太平洋経済連携協定(TPP)参加を決めるなど経済重視や改革を主導してきたズン氏だが党指導部からの反発も強かったとみられる。ズン氏の降板で、ベトナムの改革のスピードが低下する懸念もある。
20日から開いていた第12回共産党大会で決定した。ズン首相、チュオン・タン・サン国家主席は引退する。新しい国家主席はチャン・ダイ・クアン公安相、首相にはグエン・スアン・フック副首相の昇格が有力視されている。かつてズン派とみられていたフック氏だが12年ごろに同派を離脱。内政・外交ともにバランスを重んじる穏健派とみられている。
今回の新指導部の人事はかつてないほど混乱した。当初、ズン首相の圧倒的有利が噂され、最高位の共産党書記長とナンバー2の国家主席を兼務するのではとの見方が広がった。中国にならったもので、実現すればベトナムで初めての体制になる予定だった。
風向きが変わったのはチョン書記長の15年7月の訪米だ。かつての敵国に足を踏み入れたベトナム共産党書記長は初めてで、南シナ海問題、TPPなどについて議論した。南シナ海での船舶による航行などその後の米国の協力的な姿勢はこのときの訪米の成果とみられ、チョン氏は地道に功績を積み重ねていた。
一方、ズン首相には性急な改革に対する党指導部の強い反発があったようだ。TPPのほか、欧州連合(EU)、韓国などとの自由貿易協定(FTA)など自由貿易を推進。その一方で国内産業の育成や国営企業の改革はうまく進められず「外資に市場を奪われて国内経済は疲弊する」(共産党幹部)との懸念も広がった。
中国からの「圧力」の存在を指摘する声もある。ズン氏は14年5月、中国が西沙諸島(英語名パラセル)へ石油掘削装置を移動した直後に「ベトナムは主権と合法的な利権を中国との虚偽で従属的な友情と交換しない」と中国への強硬姿勢を隠さなかった。党大会が迫った先月下旬にチョン氏に近いグエン・シン・フン国会議長が急きょ訪中。「中国側がズン首相の書記長就任を嫌がった」とも噂される。
一方で、首相は工業団地を認可する権限を持つことから、ズン氏は地方の政治家から人気があったが、26日に新指導部に入るために不可欠な資格である「中央委員」になれないことが決まり、ズン首相は敗北した。
新指導部は改革・開放政策「ドイモイ(刷新)」などの基本政策は継続するものとみられる。ただ、最近のベトナムはTPPを機に貿易赤字の元凶である対中貿易を縮小し、米国への接近を図ろうとしていた。その推進役として抜群の指導力を発揮してきたズン氏の失脚により、経済発展と政治改革の速度に変化が生じる可能性もある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H6D_X20C16A1FF1000/?dg=1
ダイヤモンドの「デ・ビアス」を傘下に持つ英資源大手アングロ・アメリカンがもがいている。資源ブームのなかで積極投資を続け、純有利子負債は約130億ドル(約1兆5000億円)に積み上がった。社債42億ドルは今後2年のうちに返済期限が来る。
高まる破綻リスク
資源価格の下落で稼ぐ力は急速に衰え、このままでは資金繰りも苦しい。世界に保有する55の鉱山は20にしぼり、従業員を6割、約8万5千人も減らすなどリストラを急ぐが、市場の視線は厳しくなる一方だ。
企業の破綻リスクを示す金融商品、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)。同社の破綻に備えた保証料率は跳ね上がり、いまや「債務不履行(デフォルト)の確率は7割」と冷酷な予想を突きつける。
昨年9月、スイスの資源商社グレンコアの経営不安が世界の市場を揺るがし、「資源安の負の側面」を浮き彫りにした。資源の下落が進むと企業破綻への懸念が強まり、リスク回避の波が市場に押し寄せる。
投資家の懸念は絵空事ではない。米国で11日、石炭2位のアーチ・コールが米連邦破産法11条の申請に追い込まれた。米石炭大手ではウォルター・エナジーなども昨夏に破綻した。
資源安の衝撃は金融にも伝染し、米JPモルガン・チェースは昨年10〜12月期の決算で石油・ガス分野向け融資の引当金を1億2400万ドル積み増した。「エネルギー分野に負担がかかっている」とジェイミー・ダイモン最高経営責任者は言う。エネルギー企業向け融資の比率が多い米中堅銀行ミッドサウス・バンコープの株価は昨夏から5割強下げている。
似通う危機の構図
資源安を発端にした負の連鎖は金融システムの足元に忍び寄るだけでなく、国家の信用も揺るがす。
資源高という成長の支えを失ったブラジルは通貨レアルが昨年、対ドルで約3割下落。対外債務の返済能力にも疑念が広がり、ブラジル国債を対象にしたCDSの保証料率は市場が警戒する5%の水準に高まった。外貨収入の大半を原油に頼るベネズエラは今月、深刻な景気低迷を受け「経済緊急事態」を宣言した。
資源関連の企業や資源に依存する新興国の信用力の悪化により、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが2015年に格下げした国債や社債は892に及んだ。金融危機時の09年以来の規模だ。
米緩和マネーの流入などで11年に1バレル110ドル台まで上昇した米原油先物は、足元で30ドル前後と4分の1に沈む。資源価格の急速な膨張と収縮は、前回の金融危機時、行き過ぎた米国の金融緩和が住宅ローン証券バブルを生み、最後に崩壊した構図と似通う。
資源安は資源輸入国の消費を刺激し、本来は世界経済にプラスだ。「原油の下落を理由に世界の景気が後退したことは過去にない」(UBSウェルス・マネジメントのマーク・ハフェル最高投資責任者)という。しかし資源収入に依存する新興国の存在が高まり、世界は新たな局面に入っている。負の連鎖の行き着く先が見えないまま、市場の不安はくすぶり続ける。
(松崎雄典、ロンドン=黄田和宏、ニューヨーク=山下晃)
[日経新聞1月24日朝刊P.1]
宝飾品のダイヤモンドが国際市場で値下がりし、5年ぶりの安値となっている。米国に次ぐ世界第2位のダイヤ需要国に成長した中国をはじめインドなど新興国の需要急減が影響した。宝飾品店やダイヤ加工業者の採算は悪化しているが、国内消費は上向きつつある。円安・ドル高傾向で昨年は国内で値上げが相次いだが、一転して値下がりする可能性も出てきた。
原石を研磨したダイヤの国際価格は1カラットサイズの標準品で現在、1個7100ドル前後。1年前に比べ5%安い。ダイヤ原石は英アングロ・アメリカンの子会社で、ダイヤ鉱山最大手のデ・ビアスが世界市場の3〜4割を供給する。国際市場で毎日値が付くプラチナ(白金)などと違い、同社が強気に原石を高値販売してきたが、中国での景気減速や高額品消費の低迷をみて、原石の売値を下げるようになった。
中国の宝飾店でダイヤの売れ行きは鈍っている。香港に拠点を構える宝飾品販売大手、周大福は2015年10〜12月期の既存店の売上高が前年同期比で15%減った。同社の株価は1年で半値になり、不採算店舗の閉鎖を検討している。
ダイヤ消費世界4位の日本の小売価格は品位や大きさ、加工具合により大きな差があるが、全体的にはまだ下がっていない。宝飾各社は15年前半に円安による仕入れ値上昇を理由にダイヤの値上げをしたばかりだ。ただダイヤだけでなく、台座となるリングに使うプラチナも値下がりし、宝飾大手の田中貴金属ジュエリー(東京・中央)は「今後も原価が安い状態が続けば、値下げの可能性がある」としている。
国内販売は好調だ。宝飾販売大手、ヨンドシーホールディングスの宝飾・雑貨を手掛けるエフ・ディ・シィ・プロダクツは15年12月の既存店の来客が前年同月比で11%伸びた。「ブライダル関連を中心に国内の消費意欲は高くなった」(ヨンドシーホールディングス)
ダイヤ商社、諏訪貿易(東京・千代田)のバイヤー、原田信之氏はダイヤの国際需給を「まだ供給能力が高い」と実需との差を指摘する。デ・ビアスの幹部は15年12月に開いたアナリスト向け説明会でダイヤの在庫が過剰との認識を示した。
[日経新聞1月27日夕刊P.1]
【モスクワ=田中孝幸】ロシアのラブロフ外相は26日の年頭記者会見で、日ロ間の平和条約締結は「領土問題の解決と同義ではない」と述べ、切り離す考えを示唆した。「日本が(ロシアの北方領土支配という)第2次大戦の結果を認めないと前進は不可能だ」と主張した。日本政府は北方四島の帰属問題解決を条約締結の前提としている。
日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りは「日本の希望を理解しているが、外交面でもっと(米国から)独立してほしい」と注文を付けた。
北朝鮮の核問題解決に向けて韓国が提案した北朝鮮を除く5カ国協議には「いい考えではない。(北朝鮮の)孤立を招く」と反対する考えを表明。「唯一の解決方法は6カ国協議の再開だ」と語った。
[日経新聞1月27日朝刊P.4]
衆院本会議の代表質問が始まった26日、質疑終了後も与野党による場外での応酬が続いた。民主党の岡田克也代表は記者団に「年末からいろんなことを考えて質問したが官僚の書いたものを読んでいるだけ」と安倍晋三首相の答弁を批判した。
岡田氏は、経済格差の是正策として昨年末から100時間以上かけて用意したという「提案」をいくつも質問に盛り込んだ。それだけに首相からほとんど言及がなかったことへの不満は大きい。維新の党の松野頼久代表も記者団に「今まで通りの総花的な答弁だ」と語った。
一方、岡田氏の提案を「やや左に寄りすぎでは」と論評したのは自民党の谷垣禎一幹事長。合わせて「それで民主党がまとまっていけるのか」と同党の内情まで皮肉ってみせたため、民主党側からは「リベラルだった谷垣氏が右に寄りすぎたから左に見えるだけ」(岡田氏周辺)と反発を招いていた。
(如)
[日経新聞1月27日朝刊P.4]
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格差是正で応酬、衆院代表質問
岡田氏「累進課税強化を」 首相「成長で分配できる」
安倍晋三首相の施政方針演説に対する各党代表質問が26日に始まり、首相は1番手で登壇した民主党の岡田克也代表と格差論争で舌戦を繰り広げた。岡田氏は是正に向けた累進課税の強化などを迫ったが、首相は「アベノミクス」による税収増の実績を訴えて「成長によって分配が可能になる」と強調。夏の参院選で成長・分配政策が与野党の争点になる見通しだ。
「格差が拡大し、公正さが失われている」。岡田氏が重点を置いたのが、格差問題だ。「公正な分配なくして持続的成長なしだ」とし、経済成長のためにはまず税制や社会保障政策で再分配を進めるべきだと指摘。児童扶養手当の増額や返済不要の給付型奨学金の創設などの具体案を挙げた。
税制改正では、所得が増えるにつれて高い税率がかかる所得税の「累進性」を強化することや、金融課税の引き上げを唱えた。具体案を盛り込み「提案型」の姿勢をアピールする狙いがあった。
首相は「政府がどれだけ所得再配分を繰り返しても、持続的な成長で富を生み出せなければ経済全体のパイは減る」と反論した。まずは経済成長を実現することが必要で、そのうえで「成長と分配の好循環」をめざす考え方だ。
足元の所得格差の経済指標は横ばいだが、高齢者の貧困層拡大や中間所得層の衰退などによる格差問題の存在を指摘する声はエコノミストなどから出ている。首相もアベノミクスによって格差が広がったとの見方とは一線を画しつつも、答弁で「格差が固定化しないよう雇用環境の改善や社会保障の見直しを進める」と述べ、格差の存在そのものは認めた。
岡田氏が格差問題に照準を当てたのは、過去の成功体験がある。2006年発足の第1次安倍政権は小泉政権の構造改革路線を引き継いだ。改革の「負の側面」として格差拡大を問題視した野党に、当時の安倍首相は「成長によって格差は解消する」と反論。小沢一郎代表率いる民主党は格差是正を争点に打ち出したことも奏功し、07年夏の参院選で大勝した。
施政方針演説で首相が言及した「同一労働同一賃金」。民主党がもともと主張していた政策で、岡田氏は「均等待遇」を打ち出すよう求めた。
首相は「均等待遇は仕事の内容、責任などの要素が同じであれば同一の待遇を保証すること。均衡待遇とは仕事の内容、責任などその要素に鑑み、バランスの取れた待遇を保証すること」と説明。「一億総活躍国民会議で均衡待遇にとどまらず、均等待遇を含めて検討してもらう」と答えた。
憲法改正や安全保障の議論は深まらなかった。具体的な改憲項目をただす岡田氏に、首相は「国民の議論と理解の深まりの中で定まる」と答えるのみ。岡田氏は安全保障関連法廃止法案を提出する方針を示したが、首相は「全体像を一貫して示してほしい」と切り返した。
[日経新聞1月27日朝刊P.4]
【ワシントン=河浪武史】世界銀行は26日、資源や食料など1次産品の2016年の予想価格を改定し、原油など全46品目中37品目を昨年10月時点の予測から下方修正した。原油は年平均1バレル37ドルと15年比27.1%下落すると予測したほか、金属が10.2%、穀物は3.4%下がるとした。前回予測に比べて新興国の景気減速による資源安が長引くとみている。
原油価格は14年の1バレル96ドルから15年は51ドルに急落した。昨年10月時点では16年の予想価格を51ドルとしていたが、イランの輸出再開などで下落圧力が強まったという。17年は48ドルに持ち直すと予測するが、世銀シニアエコノミストのジョン・バフェス氏は「今後2年は深刻な下振れリスクが残る」と指摘した。
金など貴金属も16年の価格は15年比8%下落すると予測した。農産品は1.4%低下し、うち食料は1.7%下がるとみる。世銀は「資源安によって輸入国の成長が加速するには時間がかかるが、輸出国は価格下落の打撃を即座に受ける」(アイハン・コーゼ開発見通し局長)と世界景気への下押しリスクを懸念する。
[日経新聞1月27日朝刊P.6]
厚生労働省が検討している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式の自主運用の解禁を巡る調整が難航している。直接株式を持てば株主総会で議決権を行使し、「企業支配につながる」と産業界が警戒しているためだ。企業経営への影響を抑えるため、厚労省はGPIFが直接保有できる株式を1社につき最大5%に制限する案の検討に入った。
公的年金の積立金を運用するGPIFの組織・運用改革案は社会保障審議会(厚労相の諮問機関)で2015年12月から議論している。柱は現在は禁じている自主運用の解禁でコストを抑える狙いだ。GPIFは自主運用で委託先金融機関に払う手数料など年10億円を削減できると試算する。
当初は1月中にも結論を出す方針だったが、2月にずれ込む。GPIFが議決権を行使すれば「国家の企業支配につながる」と懸念する意見が審議会の複数の委員から出たためだ。
銀行については産業支配を避けるため、保有できる一般事業会社の株式を原則5%までに銀行法で抑えている。懸念を踏まえ厚労省はこの基準を参考にGPIFが保有する株式比率を制限する考えだ。審議会で合意した後、今国会にGPIF法改正案の提出を目指す。
GPIFは15年3月時点で約32兆円の国内株を持ち、国内市場の7.6%を占める投資家だ。運用委託先の金融機関を通じて株式を取得している現在は議決権の行使を委託先に委ねている。株式を直接保有すれば議決権もGPIFが持つ。
株式を多く持てば要求できることが増える。3%以上持てば株主総会の開催を要求でき、10%以上持てば企業の解散を提案できる。過半数を握れば全ての重要案件を決めることができる。厚労省はGPIFの保有比率を抑えることで企業への影響力を抑える。
一方、議決権の行使は認める方針だ。政府は機関投資家向けの行動原則で議決権の行使を促し、投資家に経営状態の悪い企業を放置しないよう求めてきた。海外の機関投資家は日本企業のガバナンスに関心が強い。ワシントン州投資委員会エグゼクティブ・ディレクターのテレサ・ホイットマーシュ氏は「議決権を制限すれば投資家は失望する」と警告する。
厚労省はGPIFの議決権行使で政治介入が起きないよう外部委託を検討する。購入株式の議決権行使の指針を作り、委託先の信託銀行にそれに基づく行動を求める日銀を参考にする。カナダやオランダ、スウェーデン、韓国など公的年金の自主運用を認める国は多い。ノルウェー政府年金基金は会計不祥事を起こした東芝の株主総会で一部取締役の選任に反対した。
[日経新聞1月27日朝刊P.2]
旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意を受け、韓国では反対派の批判がやまない。それでも朴槿恵(パク・クネ)大統領は「今できる最高の合意になるよう努力した」と強気を貫く。合意は父から娘につないだ「朴家の50年」の総決算でもあった。
慰安婦問題は朴氏にとって特別な意味がある。
1979年、朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が韓国中央情報部(KCIA)部長に暗殺された。当時27歳だった長女、朴槿恵氏は5年前にも朴大統領を狙った凶弾で母を失っており、2人の妹弟を抱えて不遇の日々を過ごすことになる。
「歴史をただす」
この間、韓国を18年率いた朴正熙氏に対する「独裁者」や「親日派」との批判を浴び、側近からも次々と背を向けられた。どん底を経験した朴槿恵氏が89年、公の場に10年ぶりに姿をみせた。口をついて出たのは亡き父の名誉回復だった。父が主導した61年の軍事クーデターを「救国の『革命』だった」と擁護し「大事なのはゆがめられた歴史をただすことだ」とメディアに語った。
「父は立派な先生で、私はまじめな生徒だった。『国益最優先』という父の政治信念は確固としていた」。母の死後にファーストレディー役を5年務めた当時を自叙伝でこう振り返っている。
2013年、大統領に就任した朴槿恵氏は「第2の『漢江の奇跡』を起こす」と宣言した。その後も「経済革新3カ年計画」や途上国向け「セマウル(新しい村)運動」を国内外で発信した。いずれも60〜70年代に朴正熙大統領が掲げたスローガンの改定版だ。歴史教科書を検定から国定制度に戻す決定にも、野党は父の軍事政権時代を美化しようとしていると警戒するが、朴氏は「正しい歴史を学ぶことができなければ魂に異常を来しかねない」と一蹴する。
強い絆で結ばれた朴家のアキレスけんが慰安婦問題だった。1990年代に表面化し、個人の財産・請求権が「完全かつ最終的に解決された」とした65年の日韓請求権協定締結時には想定されていなかった。国内の革新系は朴正熙氏が日本からの経済協力を優先し、謝罪や賠償をおろそかにしたと非難を強めた。
残された「宿題」
自らの任期中に決着させなければならないと朴槿恵氏は考えた。生存する元慰安婦46人の平均年齢は約90歳と高齢だ。日韓国交正常化50年が終われば勢いが失われ、未解決の懸案として韓国現代史に刻まれてしまう。それは尊敬する父の業績を傷つける。「時間がない」と繰り返し、機会あるごとに解決を訴え続けた。その姿は「父が残した『宿題』を片付けようとする娘のよう」(ソウルの外交筋)に映った。
国交正常化当時、ソウルに戒厳令を宣布してまで反対論を押し切った朴正熙氏を、日本で支援したのが安倍晋三首相の祖父、岸信介元首相だった。61年に東京で面会し、岸氏は朴氏の背中を押したという。その「孫と娘」が半世紀後の昨年末、再び日韓を動かした。
合意後もソウルの日本大使館前では毎週、合意破棄を訴える元慰安婦支援団体が主導する集会が続く。韓国政府が「解決へ努力する」と約束した少女像の周りには大学生らが座りこむ。慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」も韓国世論の不満が残る。
慰安婦合意はどれか1つでも触ったらすべて崩れる積み木細工のようだ。それでも今回は日韓外交で論じられてきた「勝ち負け」でなく、互いに歩み寄った点に価値があると専門家は語る。14日に自民党議員が慰安婦を「職業としての売春婦だった」と発言した際、韓国政府は批判のトーンを抑え、日本では安倍首相や菅義偉官房長官が早期収拾に動いた。批判勢力からの逆風のなか、「大統領の決断」のもとで当局が持ちこたえているのが韓国の現状だ。
今年に入ってすぐに北朝鮮の核実験が襲った。「今度こそ北朝鮮に思い知らせないといけない」と朴氏の強硬姿勢は父親譲りだが、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の出方は予測がつかない。安倍首相と朴大統領は昨年末の電話で、安全保障分野の協力強化へ意見を交わしていた。慰安婦妥結の成果を試す格好の機会となっている。
(ソウル支局長 峯岸博)
[日経新聞1月27日朝刊P.2]
「安倍1強」といわれる与野党情勢で、民主党が逆境から抜け出せない。対決姿勢にかじを切り政権との違いをみせる中、外交や安全保障政策で現実路線を標榜する保守派はどう考えるのか。代表格の前原誠司元代表、細野豪志政調会長、長島昭久元防衛副大臣に鼎談(ていだん)で聞いた。(飯塚遼、宮坂正太郎、永沢毅)
■政策路線
前原氏「安保は現実的対応」
細野氏「国民合意なら改憲」
――民主党での保守派の位置付けをどう考えるか。
前原氏「民主党はかくあるべきだと考えるとき、政府・与党と内政で違いをしっかり示すべきだが、外交・安全保障政策はそれほど違いがなくていい。現実的な対応をベースに考える。何でも反対ではなく反対であれば対案を示す。責任政党としての矜持(きょうじ)を示すのが大事だ」
――内政でどのような対立軸を示すべきか。
細野氏「安倍政権の内政は本来あるべき保守から離れている。国家先導主義で、設備投資や賃金、携帯電話代にまで関与するという。民主党政権で打ち出した『新しい公共』は民の力を信用し、政府はそっと後押しするという考え方だ。本来のあるべき内政を打ち出していければいい」
長島氏「イデオロギーで外交や安保を語る時代は過ぎ去っている。8割は一緒でよく、ニュアンスやアプローチの2割の違いを競い合えばいい。保守二大政党の一方が制度疲労を起こしたとき、さっと代われる受け皿を常に用意しておくのが大事だろう。自民党は政権保守で、我々はチャレンジャーの改革保守だ」
――憲法改正には異論がないのか。
細野氏「20年ほど前から護憲か改憲かという時代ではなくなっている。国民的合意ができるものは改正すべきだ」
長島氏「改正すればいい。改正の条文ややり方で違いが出てくる」
前原氏「民主党はがちがちの護憲ではないので議論を積み重ねればまとまる。安倍晋三首相は野党分断の政局論で憲法改正と言っている。改憲は選挙の争点ではない。数年かけてやらないといけない議論だ」
――安倍政権の経済政策、アベノミクスは結果も出している。
前原氏「二極化が進んでいる。ワーキングプア層や低年金受給者を救うには分配政策だ。一方で成長戦略の一部は民主党政権でやろうとしたもので(民主党も)アンチビジネスではない。バランスが必要で、中間層がしっかりと支える社会にどう作り直していくかが目指すべき社会像だ」
細野氏「長期政権の強みを感じる。1年ごとに首相が代わった民主党政権は長期的視点の改革を準備できなかった。民主党は改革政党だったはずだが、政権を経験しやや物わかりが良くなり積極性がなくなった。子育て支援、若い人に元気に働いて消費してもらうため、人生前半の社会保障にかじを切るのが経済の屋台骨を支えるのにつながる」
長島氏「自民党はまさに『現世御利益』政党だ。野党は10年、20年先の構想から逆算し、社会保障や財政、教育制度を持続可能な形にする改革を提案する必要がある」
■野党再編
細野氏「新党立ち上げを」
長島氏「共産と協力反対」
――夏の参院選をにらみ、野党再編の入り口となる維新の党との合流構想をどう考えるか。
細野氏「新党をきちんとつくり結集した方がいい。安保の旗にはできれば現実主義を入れたい。共産党は別だができるだけ幅広くまとまるのが望ましい」
前原氏「いったん解党した方がいい。吸収合併は選挙目当てと捉えられかねない。自公政権にどう対峙するかという見せ方が大事だ。ほかの会派や無所属も入り大きな塊になるのが望ましい。民主党が分裂したらだめで、参院選前に新党を立ち上げるのが大事だ」
長島氏「今の民主党が膨らんでいき、そこにもともと民主党だった人が入ってくる、というのは国民の評価に値しないと思う」
――おおさか維新の会は野党再編のパートナーになり得るか。
長島氏「共産党と連携するより、おおさか維新を含む野党と地方分権の徹底で憲法改正を共同提案する方がまともな方向性だと思う。地方分権は民主党の1丁目1番地で野党再編の大きなテーマだ。おおさか維新は改革政党を志向している。政権の側に僕らの方から追いやる必要はない」
前原氏「参院選までは無理だ。是々非々と彼らも言っている。安倍政権が下り坂になってきた場合にスタンスは変わってくると思う。将来的なパートナーという視野で考える」
細野氏「短期的には難しい。参院選は野党側が瀬戸際で残れるかどうかの選挙だ。衆参同日選の可能性もある。ここで野党側が瓦解すれば、政権交代という仕組み自体が一時的に消滅する。今年はそれを守る本当に重要な年だ」
――共産党との選挙協力にはやはり反対か。
細野氏「岡田克也代表も共産党とは『選挙協力』の言葉を使っていない。やっぱり目指す社会像、国家像が違うわけだから」
長島氏「全くあり得ない」
――参院選前に新党が結党される見込みは。
前原氏「最後は岡田さんの決断だが、現状をどう打破するかという問題意識を持っていると思う。信頼して政策理念が一致した野党の大きな塊をつくるためのサポートをしていく」
細野氏「同じ考えだ。危機感を皆が共有できているかにかかっている」
長島氏「今の執行部が新党をつくる可能性は極めて低いと思っている。信じたいけど、相当に突き上げないと……」
■党内運営
長島氏「『ど真ん中』行く」
前原氏「ガバナンス課題」
――党内は寄り合い所帯で政策のとりまとめが難しいと言われ続けてきた。
長島氏「安倍首相は右にぐっと寄っており、ど真ん中のフィールドがガラ空きだ。民主党は国民のサイレントマジョリティーが許容できる議論をすべきなのに、左の方に急カーブを切ってわざわざ真ん中のフィールドを逃している」
前原氏「野党は常に遠心力が働く。反省しなければいけないのは与党の時も同じ感覚でいたことで、党としてのガバナンス(統治)をどう高めるかが課題だ。いろんな議論や発言はするが、最後はまとまっていかなくてはならない」
細野氏「内政では『共生』『多様性』という旗印がある。もう少し良い意味で権力に対する貪欲さを持つべきだ。それぞれ言いたいことを言うだけであれば野党でもいいが、それでは政治家になった意味がない。政権に戻るんだ、という自民党の執念みたいなものは見習わないといけない。それがあれば簡単にバラバラにはならないと思う」
――離党という選択肢はないのか。
長島氏「松本剛明氏の離党は非常にショックだった。彼が行ってしまわないような野党の塊をつくるのは心の中に常にある。議員ひとりひとりが理念の下に結集する姿を見せなかったら国民は納得しない」
――そもそも労働組合の支援を受けるような保守政党はあり得るのか。
前原氏「労組イコール民主党であってはいけない。労組は強力な支持団体で、働く人たちの目線で政治をやっていくことは大事だ。(代表だった)10年前に『脱労組依存』と申し上げた考え方は変わっていない。労組だけに依存するような政党では保守二大政党制にならない。頼り切るなということだ」
まえはら・せいじ 衆院京都2区、当選8回。2005年に43歳で代表に就き対案路線を掲げたが、半年余りで辞任した。政権時代は国土交通相、外相などを歴任。京大で保守派論客の高坂正尭氏に学んだ。53歳
ほその・ごうし 衆院静岡5区、当選6回。政権時代に環境相などとして原発事故対応で知名度を上げた。15年の代表選で岡田氏に決選投票で敗れた。保守派若手も多い派閥「自誓会」を率いる。44歳
ながしま・あきひさ 衆院東京比例、当選5回。米外交問題評議会上席研究員を経て政界入り。日米外交や安保政策の専門家で知られ、政権時代は野田佳彦首相の下で首相補佐官や防衛副大臣を務めた。53歳
[日経新聞1月24日朝刊P.]
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民主保守派3論客が鼎談 「参院選前に新党を」
(1月24日付朝刊 日曜に考える・政界面関連)
2016/1/24 3:30
保守政党の自民党が安倍政権で「1強」を続ける中、民主党の保守派は現状打開にどう動こうとしているのか。代表格の前原誠司元代表、細野豪志政調会長、長島昭久元防衛副大臣に鼎談(ていだん)形式で聞いた。
■前原氏「外交・安保は現実的対応がベース」
――民主党における保守派の位置付けをどのように考えますか。
前原誠司(まえはら・せいじ) 衆院京都2区、当選8回。2005年、43歳で代表に就き対案路線を掲げたが「偽メール」問題で半年余りで辞任。政権時代は国土交通相、外相などを歴任。京大で保守派論客の故高坂正尭氏に国際政治学を学んだ。53歳
前原氏「民主党はかくあるべきだと考えるとき、政府・与党と内政では違いをしっかり示すべきだが、外交・安保政策はそれほど違いがなくていいと思っている。現実的な対応をベースに考えるべきだ。何でも反対ではなく、反対であれば対案を示す。責任政党としての矜持(きょうじ)を示すことが大事だ」
――内政ではどのような対立軸を示すべきですか。
細野氏「ものすごいイデオロギーの対立があるような状況というのは違和感をおぼえる。安倍政権の今の内政は本来あるべき保守から離れている。国家先導主義で、国が設備投資や賃金、携帯電話代まで関与するという。民主党政権が打ち出した『新しい公共』は、もともと民の力を信用して、政府はそっと後押しするという考え方だ。そういう部分をしっかり進め、本来の社会のあるべき内政を打ち出していければいい」
長島氏「細野さんが言うように、イデオロギーで外交や安保を語る時代は過ぎ去っている。憲法改正か護憲かという話は不毛だ。(与野党の政策は)8割は一緒でよく、ニュアンスやアプローチの2割の違いを競い合えばいい。保守二大政党の一方が制度疲労を起こしたとき、さっと代われる政権の受け皿を常に用意しておくことが大事。自民党は政権保守だが、我々はチャレンジャーだから改革保守だ。民主党が(連携先に)共産党というのは、政権への道をますます遠ざける」
■細野氏「改憲、緊急事態条項は提案していい」
細野豪志(ほその・ごうし) 衆院静岡5区、当選6回。政権時代に環境相などとして東日本大震災の原発事故対応で知名度を上げた。15年の代表選に出馬し、岡田克也氏に決選投票で敗れた。保守派若手の多い党内派閥「自誓会」を率いる。44歳
――憲法改正に異論はないのですか。安倍晋三首相とのアプローチの違いは。
細野氏「20年ほど前から護憲か改憲かという時代ではなくなっている。国民的合意ができるものは改正すべきだ。緊急事態も我々は(政権時代に東日本大震災で)経験した。あのとき衆院も参院も任期がきていたら(議員が失職して)政権を民主的にチェックする仕組みがなくなる。そういったことは提案していいと思う」
長島氏「改正すればいい。改正の条文ややり方で違いが出てくる」
前原氏「堂々と議論したらいい。民主党はがちがちの護憲ではないので、しっかりと積み重ねれば議論としてまとまる。安倍首相は野党分断の政局論で憲法改正と言っている。改憲は選挙の争点ではない。やるんだったら国民的な議論を巻き起こし、数年かけてやらないといけない」
■長島氏「経済政策、自民党との対抗軸は未来」
長島昭久(ながしま・あきひさ) 衆院東京比例、当選5回。米外交問題評議会上席研究員を経て政界入り。日米外交や安保政策の専門家で知られ、野田佳彦首相の下で首相補佐官や防衛副大臣を務めた。慶応大出身で長妻昭代表代行と同級生。53歳
――経済政策でアベノミクスが一定の結果を出しています。
前原氏「二極化が進んでいる。ワーキングプア層や低年金受給者を救っていくには分配政策だ。成長戦略の一部は民主党政権でやろうとしたもので、バランスが必要だと思う。中間層がしっかりと日本社会を支える社会にどうつくり直していくかが、野党第1党たる我々の目指すべき社会像だ」
細野氏「長期政権の強みを感じる。1年ごとに首相が代わった民主党政権は長期的な視点に立った改革は準備できなかった。民主党はもともと改革政党だったはずだが、政権も経験し、やや物わかりが良くなり積極性がなくなった。改革をやりきる政党でなければ、逆に自民党とどう違うのか、ということになる」
長島氏「自民党はまさに現世御利益政党だ。それに対して野党は、10年、20年先の構想から逆算し、社会保障、財政、教育制度を持続可能な形にする改革を提案する必要がある。自民党との対抗軸は未来だ」
■細野氏「権力への貪欲さ持つべき」
――民主党は寄り合い所帯といわれて長いです。
長島氏「安倍首相は右にぐっと寄っており、ど真ん中のフィールドががら空きだ。民主党は国民のサイレントマジョリティーが許容できる議論を立てるべきなのに、左の方に急カーブを切ってわざわざ真ん中のフィールドを逃している」
前原氏「野党は常に遠心力が働く。ただ反省しなければいけないのは、与党のときにも同じ感覚でいたことだ。親小沢・反小沢で最後は党を割ってしまった。常に遠心力が働く野党の中で、党としてのガバナンス(統治)をどう高めるかが今後の課題だ。安保関連法制は対案を出したい細野政調会長が我慢した。いろんな議論や発言はするが、最後はまとまっていかなくてはならない」
長島氏「ざっくばらんに言うと、外交安保の議論が端に追いやられていることは間違いない。昨年1月の代表選では、そういう状況から脱却しようと思って細野氏を擁立したが、左派・中道連合によって今の岡田体制ができた。党内は左派系がかなりのウエートを占め、政権時代にやっていたことの継続すらおぼつかない状況になっている。ここをどう克服するかが、また政権に返り咲くことができるかどうかの分水嶺だ」
細野氏「我々は内政で『共生』『多様性』という旗印がある。野党がバラバラだといわれているが、(党内で)さらに細分化することはすべきではない。あとはもう少し、良い意味での権力に対する貪欲さを皆が持つべきだ。言いたいことを言うだけであれば野党でもいいが、それでは政治家になった意味がない。政権に戻るのだという自民党の執念みたいなものは見習わないといけない。それがあれば簡単にバラバラにはならないと思う」
――離党という選択肢はないのか。
長島氏「松本剛明氏の離党は非常にショックだった。彼が自民党に行ってしまわないような野党の塊をつくるというのは、僕の心の中には常にある。議員ひとりひとりが理念の下に結集する姿を見せなかったら国民は納得しない」
――そもそも労働組合の支援を受けた保守政党はあり得るのか。
前原氏「労組イコール民主党であってはいけない。労組は強力な支持団体であり、我々は働く人たちの目線で政治をやっていくことは大事だ。(代表だった)10年前に『脱労組依存』と申し上げた考え方は変わっていない。労組だけに依存するような政党では保守二大政党にならない。労組に頼り切るなということだ」
■前原氏「民主と維新、無所属で大きな塊に」
――夏の参院選をにらみ、野党再編の入り口となる維新の党との合流構想をどう考えますか。
細野氏「新党をつくってそこに結集した方がいいと思う。安保政策では現実主義の旗を掲げたい。共産党はもちろん別だが、野党全体でできるだけ幅広くまとまっていくのが望ましい」
前原氏「いったん解党した方がいい。仮に維新の党を吸収合併しても選挙目当てと捉えられかねない。自公政権にどう対峙するかという見せ方が大事だ。新党は民主党全体と維新に加え、ほかの会派や無所属も入る大きな塊になってほしい。民主党が分裂したらダメで、参院選前に新党を立ち上げることが大事だ」
――おおさか維新の会は野党再編のパートナーになり得ますか。
長島氏「共産党と連携するより、おおさか維新を含む野党と地方分権の徹底で憲法改正を共同提案する方がまともな方向性だ。地方分権は民主党の『1丁目1番地』で、野党再編の大きなテーマ。おおさか維新は改革政党を指向していることは間違いない。彼らを政権の側に僕らの方から追いやる必要は全然ない」
前原氏「参院選までは無理だ。ただ、安倍政権が下り坂になってきた場合にスタンスは変わってくると思うので、はじめから排除する必要は全くない」
細野氏「短期的には難しいだろう。参院選は野党側が瀬戸際で残れるかどうかの選挙になる。衆参同日選の可能性ももちろんある。野党側が本当に瓦解すれば政権交代という仕組み自体が一時的に消滅する。今年はそれを守る重要な年だ」
■長島氏「共産党の選挙協力、まったくあり得ない」
――共産党との選挙協力にはやはり反対ですか。
細野氏「岡田克也代表も共産党とは『選挙協力』という言葉を使っていない。やっぱり目指す社会像、国家像が違うわけだから」
長島氏「まったくあり得ない。僕に言わせれば最初からフラフラするなと。今や左の(共産党の)方から『裏切った』と言われ、(党内の)右からも批判されている。そんな悪いことはない」
――参院選前に新党が結成される見込みは。
前原氏「最後は岡田さんの決断だが、私はリーダーとして現状をどう打破するかという問題意識を持っていると思う。そこは信頼して、政策理念が一致した野党の大きな塊を作るためのサポートをしていく」
細野氏「全く同じだ。現状に対する危機感を共有できているかにかかっている。岡田代表はその危機感を持っている」
長島氏「私は今の執行部が新党を作る可能性は極めて低いと思っている」
細野氏「それでは身も蓋もない」(一同笑)
長島氏「岡田さんは真剣だと思うけど僕が言ったのは今の執行部。信じたいけど相当突き上げないと……」
(永沢毅、宮坂正太郎、飯塚遼が担当した)
認知症患者は現在、462万人に上る。高齢化とともに増え続け、2025年には730万人に達すると推計されている。特に根本治療がないアルツハイマー病の比率が増えており、対応が急務だ。病気の原因となるたんぱく質の「ごみ」が脳にたまり始めるのをいち早く捉え、発症予防や治療につなげようとの試みが動き出した。
アルツハイマー病患者の脳には、2つの異常が起きている。アミロイドβというたんぱく質が沈着してできる「老人斑」と、タウというたんぱく質が絡み合った糸くずのような「神経原線維変化」だ。
アミロイドもタウも、いわばたんぱく質のごみ。これらのごみが脳に蓄積して神経細胞を死滅させ、脳が萎縮して認知症になるのがアルツハイマー病だ。
今のところ、脳にたんぱく質のごみが蓄積するのを抑える手段はなく、根本的な治療はできない。「いかにごみを除去するかが、現状を打破するカギになる」と放射線医学総合研究所の樋口真人チームリーダーは話す。
アミロイドとタウのどちらがより根本的な原因かは、これまで何度か議論になってきた。近年、アミロイドが最初の引き金となるという「アミロイド仮説」が有力となり、アミロイドを標的にした治療薬の開発が進んできた。2000年以降、免疫反応を利用してアミロイドを除去するワクチンなど15種類以上の候補薬の臨床試験が世界中で実施された。
ところが半数が開発を中止。承認に至った薬はない。ワクチンを打った人の脳を調べたところ、アミロイドは消えていたが記憶障害は改善しなかった。「タウはたまったままだった。それでタウの方が重要との見方が強まってきた」と樋口リーダーは言う。
たんぱく質のごみは、実は認知症を発症する20年近く前からたまり始めるといわれる。同研究所の須原哲也プログラムリーダーは、「初期のがんで症状が出ないように、アルツハイマー病も最初は脳の一部にごみがたまるだけで症状は出ない。たまる領域が広がると発症する」と話す。「がんと違うのは、無症状の期間がやたらに長いこと」
脳にたまり始めたアミロイドやタウを検出できれば、無症状のうちに治療を開始し、進行を遅らせて発症を防ぐことが可能になるかもしれない。発症してしまった人に対する治療法の開発にもつながる。
そのための武器になると注目されているのが、がんなどの検査に使われる陽電子放射断層撮影装置(PET)だ。患者に特殊な薬剤を注射し、薬剤を取り込んだ細胞などから放出される放射線を画像化する。
放医研は新たにタウに結合する薬剤を開発。これとアミロイドを検出する従来の薬剤を用いて、記憶障害がない正常な高齢者とアルツハイマー病患者の脳を調べた。すると意外なことに、脳の中の海馬という部位にタウがたまり始めている正常な高齢者が見つかった。アミロイドはたまっていなかった。
海馬は記憶に深くかかわる。この人の認知機能は正常だったが、記憶を検査したところ、タウがたまっていない人に比べて劣っている傾向があった。
まずタウが海馬にたまり、その後アミロイドが脳にたまり始めると、タウが大脳辺縁系に広がる。より高度な脳の機能をつかさどる大脳新皮質へと拡大すると、認知症になると考えられる。
放医研はこのほど、海馬に蓄積するタウを高感度で検出できるヘルメット型のPETを試作した。横になって測定する従来のPETよりも検出器と頭の距離が近く、感度が3倍高い。あごにも検出器を置くことで、海馬の検出感度を高めた。タウがたまり始めたポイントを正確に捉える。
将来は「海馬にタウがたまり始めたときから、発症するまでのどこかの時点で治療を始める」と須原リーダーは話す。
タウを標的にした治療薬の開発も進んでいる。米国のベンチャー企業などがタウの蓄積を防ぐワクチンの開発を進めている。日本では国立長寿医療研究センターの高島明彦部長らが、タウが多数結合し、繊維状の神経原線維変化になるのを防ぐ物質を見つけた。治療薬になると期待され、「今後、臨床試験に移る計画」(高島部長)という。
無症状のうちから検査し、早めの対応でタウの蓄積を抑える。この戦略で神経細胞死を防ぐことができれば、アルツハイマー病の根本治療が可能になるだろう。
(西山彰彦)
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タウたんぱく質、凝集すると神経細胞が死滅
神経細胞の中にあるたんぱく質のひとつ。通常は骨格を作る微小管に結合しているが、リン酸が過剰にくっつくと微小管から離れ、タウたんぱく質同士で結合して細胞内にたまる。タウたんぱく質が凝集して繊維状になったものを神経原線維変化と呼ぶ。
神経原線維変化が起きると、神経細胞は構造を保てなくなり死滅する。タウたんぱく質がたまる領域は、アルツハイマー病患者の脳が萎縮している領域とよく一致する。アミロイドβはそれほど一致しない。ただしアミロイドβは過剰にリン酸がくっついたタウたんぱく質を増やすので、治療にはその除去も必要と考えられている。
[日経新聞1月24日朝刊P.]
出稼ぎ目的の抜け道に 「難民を助ける会」会長 柳瀬房子氏
欧州を中心に世界は難民の増大に揺れている。日本の政策には受け入れが少なすぎるとの批判がある半面、偽装難民の存在や治安の悪化など懸念材料を指摘する声も根強い。政治、宗教、思想に偏らない活動を掲げる非政府組織(NGO)「難民を助ける会」の柳瀬房子会長と国際政治学者の三浦瑠麗・東大客員研究員に課題を聞いた。
――日本政府に難民認定を申請する外国人が右肩上がりで増えています。
「残念ながら『難民』と定義できる人が少ないのが実態だ。法務省の難民審査参与員として、大臣に申請が認められず異議を申し出た人たちと10年以上前から面談してきた。苦しい立場にある人を何とか見つけ出して助けたい、との思いでやってきた。だが500人以上と話してきて私が難民と見なしたのは、人道的な理由による在留許可を含めて10人にも満たない」
「申請をする人たちのほとんどは、働く場所を求めて日本にやってきた人たちだ。もちろん出稼ぎは難民の理由になり得ないので、申請者は面談で別のさまざまな事情を話す。隣人との土地争いや身内の財産争いを挙げ、母国での身の危険を訴える人が多い。『不倫相手の夫に殺されるから助けてほしい』という男性もいれば、『同性愛者で母国では迫害を受ける』と訴えたものの、あとで調べてみると日本人女性と結婚していたというような例もあった」
――難民とは呼べないような申請が日本で多いのはなぜでしょうか。
「『日本では難民の申請さえすれば働ける』と指南する仲介業者の存在が大きい。出身国によって申請の理由がほとんど同じというケースに出くわす。日本語を話せる業者が対価を受け取り、渡航から申請の仕方まで教えている」
「日本の難民制度の抜け穴を突かれて悪用されている。だめ元で申請し、働く時間が惜しいから面談にすら来ない人もいる。出稼ぎ希望者が、豊かで安全な国に行きたいと思うのは普通のことだ。アジアの近隣諸国の出稼ぎ希望者にとって、日本が有力な選択肢になっている。多くの申請者が審査結果を待っており、保護が必要な真の難民の対応にたどり着くまで時間がかかっている」
――現状を変えるにはどうすればいいでしょうか。
「審査の効率を上げることが急務だ。日本は良くも悪くも一人ひとり丁寧に応じるので時間がかかる。繰り返し同じ理由で申請する人は拒否したり、認定の基準を改めて明確に発信したり、もっと柔軟に対応していい。法務省が運用の見直しに取り組んでおり、事態は少し改善するかもしれないが、法改正も含めた見直しが絶えず必要だ。審査期間が長いと日本で結婚し、子どもを産み、母国の家族を呼び、と既成事実がどんどん積み重なってしまう」
「根本的に重要なのは日本が外国人労働者への姿勢を明確にすることだ。少子高齢化が進む中、労働力を確保するうえで外国人をどう位置づけるか。受け入れるのか、受け入れないのか、並行して議論する必要がある。そこが曖昧だから、出稼ぎ希望者にとって難民制度が一つの選択肢に映っている。移民、労働力、訪日外国人など幅広い視点を踏まえ、国民や政治家が感情論ではなく、経済的な視点も含めて考えてほしい」
――国際社会では日本が難民に冷たい印象があります。
「日本はこれまでも真の難民は受け入れてきたと思う。我々の非政府組織(NGO)のような民間レベルでも、難民の定義を広くとらえて、国内外で苦境にあえぐ人たちの生活を支えてきた」
「受け入れ数が多ければいいというわけではない。あくまで個別のケースに対応すべきだ。日本には日本の歴史、文化、社会構造にまつわる個別の事情があり、米国やカナダなど移民に積極的な国と並列で考える必要はない」
――シリアなど中東を中心に急増する難民に日本はどう対処すべきでしょうか。世界各国では難民や移民に抵抗感も広がる現実もあります。
「人道上の問題として日本への難民申請とは別の視点で考えるべきだ。安倍晋三首相が昨秋、国連演説で資金支援を表明したが、お金を出すことは大きな助けになる。だがそれだけで義務を果たしたことにならない。紛争から逃れて日本に来たい人は受け入れてもいいのではないか。タイなどに移ったミャンマー難民を受け入れる『第三国定住』の経験が日本にもある」
「世論は目の前の出来事に影響を受けてしまう。欧州へ渡る途中に溺死した子どもの写真が出ると同情の念が広がり、テロが起こると反対論が噴出する。国民の安全確保が最優先なのは当然だ。難民にはいろんな側面がある。社会は長い目で関心を持ち続けて議論を重ねてほしい」
(聞き手は鳳山太成)
やなせ・ふさこ 1969年フェリス女学院短大卒。79年から難民を助ける会で活動。2000年に理事長。09年から現職。67歳。
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1万人受け入れ宣言を 東大客員研究員 三浦瑠麗氏
――日本で難民の受け入れが進まないのはなぜですか。
「『基本は受け入れない』ということが事実上の基準になっているからだ。虐殺から逃れてきた人に対して、虐殺を認定する書類を出せと言っても出せるわけがない。これまでは政治犯や古典的な革命家のような人が難民の対象だという発想がある」
「ほとんどの日本人が単一民族的な国家観や社会観を持ち、(人々の)新規参入を前提にしていない。新しく国家に参加するという概念がほとんどない。外国人妻への対応などをみても明らかだ」
――そのような特徴を持つ日本社会で難民の受け入れは難しいのでしょうか。
「数人しか認定していないことは問題だ。過去に1万人規模のインドシナ難民を受け入れた実績はある。きちんと政策を整えればできないわけではない。一つの小学校が外国人の子供で多く占められるようになれば、周回遅れとはいえ自治体も責任を感じていろんなことを始めるだろう。何もできないわけではない」
「ただ日本の歴史的な責任の範囲内にあるインドシナの難民と、歴史的な文脈が乏しいシリアの難民は違う。その際、大事なのが生活態度だ。生活態度が違う者に対して日本人は極端に反応する。日本人的なことを言えることが評価される社会だという特徴がある。その文脈を全く理解していない人を受け入れれば恐ろしいことになるだろう」
――日本人的な生活態度を重視する考え方が問題の本質だとすれば、どのような変化がありうるのでしょうか。
「多様性を認めて、幅を持たせることはできるだろう。『日本人は礼儀正しく列に並ぶ』というような、つくられたイメージをある程度美化しつつ、新規参入者もここが日本のいいところだということで染まっていく。これを私は『同化』と呼んでいる。逆説的だが、同化しないと多様性は担保できない。多様性を許容するためには、ある程度同化しないと共存できない」
――日本人の社会が共存する覚悟がないまま受け入れたらどうなると考えますか。
「排外主義がもっと高まると思う。左右両極が極端なことをやりだし、国内の対立になっていくのではないか。排外主義とアンチ排外主義の対立になる」
――日本の難民認定制度をどう見直すべきですか。
「そもそも認定に当たる人員が不足している。人材育成が必要だろう。難民認定とは別に、今問題になっているのが外国人実習生の取り扱いだ。ブラックな労働をさせるなどあまりにもひどい事例が出てきた。日本人に対して、とても悪いイメージを持って帰っていく人たちが増えているのは損失だ。受け入れるなら、基本的な語学能力などを教える体制が必要だ。これは移民の受け入れでも、難民の受け入れでも大事になる」
――主要7カ国(G7)首脳会議でもテーマになりそうです。日本は議長国として何をすべきですか。
「まずは1万人ぐらいを受け入れると宣言してみればいい。過去の経験からすると、1万人ぐらいが十分に対応できる数なのかなと思う。さらに宣言だけでなく、しっかりした施策を打たないといけない。それができないなら、できませんと言ってきちんと受け入れ国を支援する。そこは政治家の判断だ」
「1万人でも受け入れれば外交上はかなりの得点になるだろう。欧州の今の疲弊状況をみると感謝される規模ではないが、欧州内にも急速な移民の受け入れは間違いだったという論説が出てきている。たった1万人かと糾弾されることはないだろう。『ゼロです』というのは、あまりに協調性がないと思われる」
――1万人なら排外主義的な動きは出てこないですか。
「きちんと対処すればいいと思う。実際は、その1万人に対して大変手厚い保護をすることになるだろう」
――国内ではどんな議論をするべきでしょうか。
「実際はみんな結論にたどり着きたくないのかなと思う。テレビ番組で議論しても、落としどころは『難民や移民の受け入れについて、少なくとも日本はよく考えましょう』という程度で終わる傾向がある。これでは何もしないのと同じだ。最近は少なくとも移民の労働力に期待するという論者が出てきたが、どういう対応をするかが大事だ。移民と難民は別物だが、受け入れる側の体制づくりは同じだ」(聞き手は甲原潤之介)
みうら・るり 2004年東大農学部卒業。10年東大院法学政治学研究科博士課程修了。国際政治、比較政治などが専門。35歳。
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<聞き手から>先送りはコストを伴う
法務省によると、2015年の難民認定の申請数は7586人で、前年の約1.5倍に膨らみ過去最高となった。出身国はネパールやインドネシアなどアジアが大半を占める。在留許可数は人道上の理由から滞在を認めた人を含めて106人。桁が違う欧州や中東の難民問題と事情が異なるとはいえ、数字は日本の制度の重い課題を映し出す。
難民に限らず、移民や技能実習生などの外国人と社会がどう向き合うか。2人の論者は問題認識に違いがあるものの、広い視野で受け入れの是非を考える点で一致した。島国の日本では政治が本腰を入れる機会が乏しかったとの見方も共有しているようだ。
ドイツは2000年ごろまで外国人の大量流入を直視せず体制づくりが後手に回り、失業者の発生などに悩んだ。包括的な法律を整えた今も、難民らによる暴行事件などで世論は揺れる。問題の先送りは相応のコストを伴う。他国の取り組みを教訓にしつつ、歴史や実態を踏まえて熱のこもった議論が今こそ日本に求められている。
(鳳山太成)
[日経新聞1月24日朝刊P.9]
ロシアのプーチン大統領は、全ロシア人民戦線の活動家たちと4時間以上にわたって会談し、ロシアの経済状況など、非常に幅広い分野について議論した。
プーチン大統領は、ロシアが直面している困難に注目した。この困難は、経済にある種の可能性を与え、それは農業のみならず、産業にも及んでいる。プーチン大統領によると、経済の主な基盤は、控えめではあるものの、楽観主義の発揮を可能とする。
プーチン大統領は、インフレについても語った。大統領は、ロシア市民の生活水準が十分なレベルに保たれるために、当局はより注意深く見守る必要があると指摘した。
また準備積立金についても話が及び、プーチン大統領は、それを使う必要はあるが、慎重さを忘れてはならないとの旨を述べた。
プーチン大統領によると、ロシア経済は単に存在しているのではなく、各分野をピンポイントで支援する必要はあるものの、自信を持っているという。プーチン大統領はまた、ロシアは経済的自由を拡大し、縁故主義と汚職の支配から経済を解放する必要があると述べた。
またプーチン大統領は、原油価格について、原油価格の下落は生産過剰と関連したものであり、市場はそれを消費することはできないと述べ、これは中国の経済成長の減速にも関連していると指摘した。
旅先から米国に戻った時、おしゃべり好きな入国審査官にでくわした。私の英国のパスポートを返しながら、彼はこう言った。「あの時、君たちは(イスラム勢力を攻撃した)十字軍遠征をやり遂げるべきだったんだよ」。最近、似たような経験を何度もした。
米大統領選の候補、ドナルド・トランプ氏の台頭は、投票前のネタ枯れ時期の空騒ぎなのか、それとも米国政治の劇的な大変動の真っただ中にいる証左なのか。私自身、どちらか分からない。だが、直感では事態は悪い方向へ変わりつつあると思う。
この数カ月間、外国に行くたびに同じ質問をされた。「トランプが大統領になる可能性はあるのか」。恐らくなれない、というのが答えだが、この1年、経験豊かな観測筋が米国の政治について見誤っていることは留意すべきだ。
□ □
ただ、それでもトランプ氏は共和党の指名候補にならないというのが大方の予想だ。党の指名候補になっても、大統領選挙では負けるだろう。奇跡的に勝ったら、悲惨な大統領が誕生するだろう。では「トランプ氏の人気をあおっているのは何か」。
ある共和党支持者は、トランプ氏をツェッペリン飛行船になぞらえてみせた。この飛行船はガスが充満しており、不気味な様子で我々の上に浮かんでいるが、ある日突然、爆発する。ところが爆発しても、今度はもっと多くの飛行船が姿を現す。トランプ現象はトランプ氏よりも長続きするというわけだ。
米国のブルーカラーの経済的な苦境を見ても、都市部のエリート文化に対する反発や排斥主義的な感情の高まりを見ても、トランプ氏の原動力となっている要因はすぐに消え去ることはなさそうだ。
事態が混沌として見える時、距離を置くことが全体像を見るのに役立つ。最近の日本訪問で、トランプ氏に対する関心の高さに驚かされた。日本は四半世紀にわたり、先進国世界の「病人」だった。日本は「失われた20年」を経験しており、経済成長率が経済協力開発機構(OECD)平均を大きく下回っている。
ところが、日本にはトランプ氏は存在しない。1人か2人のポピュリストの市長を除けば、日本の政治は中道派が持ちこたえてきた。右寄りの安倍晋三首相は人気があるが、それは多少の成長を取り戻したためだ。外国人恐怖症の人が劇的に増えているわけではない。日本の政治が(経済的苦境の)スケープゴートを探すことなく、中間層の閉塞感の中をうまく切り抜けてきたとしたら、なぜ米国はできないのか。
その答えは安心できるものではない。トランプ氏がこの答えを気に入る可能性すらある。米国とは違い、日本は依然として移民に対し門戸を閉ざしているからだ。日本はまだおおむね均質な社会で、それが変わる兆しは見えない。米国と比べると、日本が自国の経済問題を外国人や新参者のせいにするのはずっと難しい。外国人の数が極めて少ないからだ。
対照的に、米国は既に学校ではマイノリティー(少数民族)がマジョリティー(多数派)の社会になっており、向こう四半世紀内にすべての年齢層でその現象が起こる。さらに、米国には少なくとも1100万人もの不法移民がいる。米国の労働者が賃金停滞を、安価な賃金で働く新参者のせいにするのは簡単だ。移民はそれだけ目立つ。一方、日本の停滞には、成長力の欠如以上に、米国とは対照的に人口の縮小という問題が横たわる。
エコノミストたちは、日本の経済状況について思い悩むかもしれない。だが、一般市民は自分の懐のお金で物事を判断する。その懐のお金は、以前よりペースが緩やかにせよ、増え続けてきた。
□ □
大きな違いは格差だ。米国では格差が急激に拡大する一方、日本では比較的小さいままだ。日本企業の経営者の報酬は平均的な従業員の67倍。これに対して米国は331倍だ。言い換えれば、米国と比べて、日本が自国民をスケープゴートに仕立てるのは難しいのだ。
日本にはトランプ氏がいないように、(左派路線の大統領候補の)バーニー・サンダース氏もいない。長期的には、米国の人口動態の方がダイナミックだ。米国では人口が増えるにつれ、経済も拡大していく。一方、日本は膨れ上がる年金受給者層の資金を賄うために、よりハードに働かなければならない。
もちろん、我々は皆いつか死ぬ。ただ、その前に、米国の有権者は今、そこにある問題に取り組まなければならない。米国は、トランプ氏が呼びかけているように外国人に門戸を閉ざしたいのか。それとも、トランプ氏の支持者は、白人の若年人口が大幅に減る中で「成長とは若さだ」という事実と折り合いをつけられるのだろうか。
(18日付)
[日経新聞1月24日朝刊P.13]
27日、米国のケリー国務長官と中国のワン外相が会談し、北朝鮮の核問題、台湾の問題、また南シナ海の問題について協議した。
ケリー国防長官は16日夜、中国に到着した。同氏は27日、中国の習国家主席とも会談した。
北朝鮮に対する「強力な」決議
会談では予想通り、北朝鮮の核問題と、国連安全保障理事会による北朝鮮に対する新たな制裁の可能性が主要テーマとなった。ワン外相は会談後、中国は北朝鮮の行動に対して「新たな措置」と「新たな決議」を承認することに同意していることを明らかにした。ワン外相は、会談後に開かれたケリー国務長官との共同記者会見で、「制裁は、それ自体が目的ではなく、問題を解決するための鍵である」と述べた。なおワン外相は、新たな決議が朝鮮半島の「新たな緊張を高めるものであってはならない」と強調した。ケリー国務長官とワン外相は、北朝鮮の核問題に関する協議再開を望んでいることも指摘した。
台湾問題
中国のワン外相は、台湾問題について、2カ国間関係の「カギとなる問題の一つだ」と述べた。台湾問題は、今回の会談の議題にもなった。台湾問題は、1月16日に台湾総統選挙が実施された後、切実なものとなった。ケリー長官はワン外相に、米国は「一つの中国」政策を支持していると伝えた。
南シナ海
ケリー長官とワン外相は、2カ国間関係のもう一つの繊細な問題である南シナ海をめぐる中国とその隣国との領有権争いについても協議した。ワン外相は、自国の領土主権を守る中国の権利を強調し、中国は地域の「軍事化」を試みるようなことはしないと約束した。ケリー長官は、地域の緊張を取り除く必要性を指摘し、米国はこの問題で中立を堅持していると強調した。
「中国相手のゲームで敗北」というのは表面的な評価で、米中二人三脚での「アジア外交」の進展というのがまっとうな評価である。
朝鮮半島問題は、米朝の関係改善が最終的なカギになるが、現段階での重要テーマは、北朝鮮に多額の経済協力金が渡る「日朝国交正常化」(日朝平壌宣言の履行)である。
「日朝国交正常化」の目処がたたない限り六者会合も再開できないというのが、現在の北朝鮮をめぐる国際政治の実情である。
北朝鮮は、05年9月の六者会合共同声明ですでに「核放棄」の意向を明確にしている。「水爆実験」後の声明でも、
「 米国の極悪非道な対朝鮮敵視政策が根絶されない限り、われわれの核開発の中断や核放棄はどんなことがあっても絶対にあり得ない。」
と、“米国の対北朝鮮政策が変われば、核開発の中断や核放棄を行う意志がある”ことを再確認している。
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ケリー米国務長官、中国相手のゲームで敗北[スプートニク日本語]
2016年01月29日 00:31
米中は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)をめぐる国連安保理決議で合意することが出来なかった。米国のケリー国務長官は北朝鮮に対してもっと厳しい態度をとるようにと、中国の王外相を説得することが出来なかった。またケリー長官は、ラオスとカンボジアを説き伏せ、南シナ海における中国の行動を非難させることも出来なかった。これがケリー氏のアジア諸国歴訪の主な成果である。
米中は北朝鮮をめぐる新たな安保理決議の具体的内容について合意できなかった。しかし、決議がより「強い」ものとなる必要があるとの考えでは一致している。ケリー長官は27日の会見で、そう述べている。
中国の王外相は同じ会見で、北朝鮮の核実験に対する対抗措置としての新決議は、地域情勢を緊張させてはならず、むしろ当事者を朝鮮半島非核化交渉のテーブルに立ち返らせるものとならねばならない、と述べた。
あわせて王外相は、北朝鮮の核開発をめぐる中国の立場に対する批判を、根拠のないものとして退けた。外相は、刹那的な事象、過渡的な要因によって、中国の立場が変化することはない、と強調。その「立場」とは、「朝鮮半島非核化」「全ての問題を対話と交渉を通じて解決すること」「地域の平和と安定の維持」という、相互に依存し関連する3つの原則に尽きる、と説明した。
消息筋によれば、ケリー長官の北京訪問の意図は、王外相を説得し、最大限強硬な対朝制裁を引き出すことにあった。王外相はケリー長官との会談後の声明で、暗にそのような試みが無益であることを示した。政治学者のウラジーミル・エフセーエフ氏はスプートニクの取材に対し、次のように述べている。
「米国は、北朝鮮を孤立させる作戦に、中国を引き込もうとしている。もっともなことだ。中国は北朝鮮にとってほとんど唯一の、外部世界に向けて開かれた窓なのだから。ただ、はかない期待である。中国は北朝鮮封鎖に消極的だ。ましてや、厳しい圧力をかける気などない。北朝鮮向け人道支援の縮小ぐらいなら期待できようが、北朝鮮の崩壊など中国は望まないのだ。中国は米国との間に緩衝地帯が必要なのだから。韓国には米軍基地がある。そこに戦略爆撃機B-52が配備される計画もある。核兵器保管庫の建造も取りざたされているし、韓国の諸港湾に米空母が定期寄港するという計画もある。こんな状況の中で自ら墓穴を掘ることなどしない。中国にとっては、緩衝地帯が存続し、北朝鮮の現体制が存続することが大事なのだ。ただ、北朝鮮の対外政策を修正したいとは思っている」
中国と米国は、「北朝鮮の核実験を絶対に阻止する」という目標を共有している。しかし、それに向けたアプローチが異なっているのである。中国外交学院教授、ガオ・フェイ氏はそう語る。
「国際社会は北朝鮮の第四次核実験に反対するという点で一致しており、中国と米国の立場の間にも根本的不一致はない。ただ、米国と日本が、北朝鮮の核開発を停止させるにはまず制裁を最大限強化し、共同で圧力をかけるべきで、交渉はその後だ、という立場なのに対し、中国は、各当事者の憂慮を理解した上で、敵対的手段よりも六者協議を優先するべきだ、との立場であり、ここに相違がある。いま国際社会は制裁の是非を議論しているが、制裁が北朝鮮問題にどのような影響を与えるかという点でも、中国と米国の考えは異なっている。米国の立場は明快だ。全面的制裁をもって北朝鮮を窒息させる、というものだ。中国の立場は『抜本的』なものである。北朝鮮の核問題は冷戦の遺物である。してみれば、この問題は、朝鮮半島における南北対立が最終的に克服されてはじめて、最終的に解決される。こうして問題が『抜本的』に解決されてはじめて、北東アジアに秩序がもたらされ、6者協議が再開し、朝鮮半島に完全な講和がもたらされるのである。制裁の細かい点については中国と米国の間でまだ話し合いがなされるが、相互理解と相互譲歩を土台に意見の一致が達成される見込みは小さくない」
ケリー国務長官は北京の前にラオスとカンボジアを訪れている。両国の訪問には深いわけがある。米国は中国の影響力が強い国々との関係を強化しようとしている。今回の訪問は、2月にカリフォルニアで行われる米国-ASEANサミットへの準備の一環をなすものである。ラオスは今年、ASEANの議長国を務めている。ケリー長官は、ラオスとカンボジアに対し、南シナ海における中国の行動にもっと強く反対してもらおうとしたのだ。しかし、中国批判も中国非難も、氏の耳には入らなかった、とエフセーエフ氏。
「カンボジアやラオスのような中国の影響力が非常に強い国々は、自分と関係のない紛争には口を挟もうとはしない。中国が南シナ海に人工島を建設することに大抵の国は不満を抱えているが、それでも多くの国が、対立は望まず、またその気もない。対立など誰も望まないのである。南シナ海のような弱点を突くことで中国に影響力を行使しようという米国の思惑も十分理解できる。しかし、中国に盲従するとは言わないまでも、中国の意見に従順な一部諸国は、中国との関係を悪化させるようなことはするはずがない。そうした国々は、甚大な被害があり得る、ということを理解しているのである」
ケリー国務長官のアジア諸国歴訪で、中国と米国の反目が露呈した。両国間の不一致が北朝鮮をめぐる国連安保理決議の採択をどれほど妨げるかについては予測を控えるが、核実験から1か月が経ってもいまだに決議が採択されていないという事実は厳として存在している。
OPECが ロシアおよび他の産油国に対し、採掘量の縮小合意を結ぶよう、突然の提案を行ったことは、ロシアにとっては経済的にも政治的理由からも極めて都合がいい。
この提案は、OPECのバドリ事務局長によって、現在ロンドンで行われている会議の中で行われたもの。
ロンドンの「テレグラフ」紙は「厳しい時代には厳しい策が求められる」とのバドリ事務局長の発言を引用して報じた。
OPECとロシアの行動を緊密に調整する問題はかなり前から持ちあがっていた。ただし原油価格が高かったうちはOPECはロシアとの行動調整にさしたる必要性を感じていなかった。ロシアにとってもOPECとの合意の枠内で進んで制限を行わねばならない理由もなかった。ところが現在、深刻な状況が形成されたことで、産油国全体に自制した働きかけが要されている。専門家らの見解では、ダンピングを行うことは利益につながらないため、産油国らは市場への月ごとの原油供給量を記した法的義務を要する合意を締結することができる。
制裁の対象国となっているロシアにとっては、国際舞台におけるパートナーの数を増やす手段にもなるため、この提案は一層有利。ウィーンにあるOPEC本部は、代表団がロンドンから帰るまでの期間は事務局長の声明へのコメントを拒否している。
http://jp.sputniknews.com/business/20160127/1499502.html
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ロシア、産油量カットのためのOPEC会議への参加を確定[スプートニク日本語]
2016年01月28日 23:48(アップデート 2016年01月29日 00:05)
ロシアは、原油の低価格および産油量の縮小を協調するために2月、OPECおよび他の産油国らとの間で開かれる会議への参加を確証した。ロシアのノヴァク・エネルギー相が記者団に対して明らかにした。
「現在、OPEC加盟国らは2月にOPEC加盟国および非加盟国代表らとの話し合いを行おうとしている。こうした発案を数カ国が行っており、現在、諸国間の問題が審議中だ。我々もこうした話し合いの場への参加の可能性を確証した。」ノヴァク・エネルギー相は会議の期日については現段階では決まっていないと指摘した。
ノヴァク大臣は、会議の内容は「市場の状況の評価、低価格、とりうる産油量の調整例」になると語っている。大臣はさらに、ロシア・エネルギー省では原油採掘量の縮小が行われた場合の計算は行われていないと指摘した。
http://jp.sputniknews.com/russia/20160128/1508675.html
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経済学者:原油安は底なしのような気がする[スプートニク日本語]
2016年01月20日 09:59
原油価格は下落の一途を辿っている。世界のマスコミによると、過去15ヶ月で原油価格は70パーセント値を下げた。また頻繁に「原油価格が過去最低を記録した」と報じられた。
原油と水、今高いのはどちらか?飲料水が安価ではないのは明らかだ。19リットルの飲料水の価格は、およそ15ドル。もしこれが原油だったとしたら、消費者はその3分の1弱の価格で買うことができるだろう。このことから、原油に依存する経済が打撃を受けていると考えられる。
原油市場の状況がさらに悪化する可能性はあるのだろうか?また原油価格に底値は存在するのだろうか?
経済学者でコンサルティング会社「DVアドバイザーズ」の代表取締役を務めるパトリック・ヤング氏は、「我々はあたかも奈落の底に落ちているような気がする。『スター・ウォーズ』や他の映画のエンディングのように、登場人物が奈落の底へ落ち、消えて行くような感覚が沸き起こる」と指摘している。
またヤング氏は、次のように語っている−
「私たちは、最近まで1バレル=100ドル超だった価格が、現在の数値まで下がったのを目にした。これには終わりがないように思われる。価格が10ドルになると考えている人たちもいる。もちろんこれは、非常に恐ろしい見通しだ」。
なおヤング氏によると、現在の原油価格の下落は、「単純明快な経済現象」で、市場は今、単に飽和状態にあるだけだという。ヤング氏は、次のように説明しているー
「アラブ首長国連邦とサウジアラビアは、気が狂ったように原油を汲み上げている。イラクは、内戦やその他の問題によって長い間同国ではみたことのないような量の原油を採掘し、他の多くの国も、原油採掘に必死になって取り掛かっている」。恐れを知らぬ「シェールガス」の巨匠である、米国の中小規模のサプライヤーにも注目せずにはいられない。彼らはどこからともなく現れ、すぐに石油市場の主要プレーヤーとなった」。
ヤング氏によると、問題の根源は、需要と供給のアンバランスにある。なおヤング氏は、1970−1980年代に石油輸出国機構(OPEC)加盟国が集まって原油価格を設定していたようなことが再び繰り返されることはないとの見方を示している。
ロシアのノヴァク・エネルギー相が2月に産油国と協議する可能性があると発表した後、ブレント原油先物4月限の価格が、1バレル=36ドルを突破した。なお協議では、各国の原油生産5パーセント削減について話し合われる可能性があるという。
モスクワ時間で28日17時30分の時点で、北海ブレント原油先物4月限の価格は5・53パーセント高の1バレル=35.・8ドルとなった。なおその前、北海ブレント原油先物は、1バレル=36・73ドルに達した。
WTI原油先物3月限の価格は、5.63パーセント高の1バレル=34・12ドルとなった。なおWTI原油先物3月限は先に、1バレル=34・81ドルまで上昇した。
ロシアは、原油の低価格および産油量の縮小を協調するために2月、OPECおよび他の産油国らとの間で開かれる会議への参加を確証した。ロシアのノヴァク・エネルギー相が記者団に対して明らかにした。
ロシアの高射砲ミサイルS−400の供給で朝鮮半島、日本ないし台湾に配備の米戦略兵器の効果は著しく低下する恐れがある。
米国防総省が朝鮮半島付近での戦略兵器配備領域を積極的に拡大しようとしているのは、北朝鮮を脅かすというよりも、かなりの部分、アジア太平洋地域における中国の高まる軍事力を抑止するために仕向けられている。
ロシア人軍事専門家のウラジーミル・エヴセーエフ氏は、ロシアの高射砲ミサイルS−400はかなり本格的な可能性を有しており、その購入は、米国の活発化した行動に対する中国からの報復ではないかとの見方を表し、次のように語っている。
「ロシアのS−400の射程距離は名前にあるごとく400キロだ。早期発見レーダーは最高600キロ離れた標的まで網羅することができる。S−400が電子戦のシステムに対抗できることは先日、シリアでも十分に示された。トルコはシリアとの国境付近に電子戦システムを配備しようとしたが、S−400を前には無力であることが証明されたからだ。このためS−400が中国領内に配備されてしまえば、空中の標的迎撃の可能性が拡大されることになる。」
S−400は最新の、そして将来作られる全ての航空宇宙攻撃手段の攻撃を目的としたもの。だがエヴセーエフ氏は、ロシアは中国に対し、これよりもっといいものを提供しうるとして、次のように語っている。
「S−400に加えてアンテイ2500も購入したほうが中国にとっては合目的的だろう。秒速2キロの速さで飛ぶ弾頭を迎撃する能力をもつS−300やS−400とは異なり、アンテイ2500は秒速4キロで飛んでくる弾頭を迎撃することができる。」
エヴセーエフ氏は、米国によって朝鮮半島で開始された戦略兵器の配備はアジア太平洋地域を核拡散の瀬戸際においやるとの見方を示し、さらに次のように語っている。
「このプロセスはコントロールを逸してしまうかもしれない。北朝鮮がもし本当に熱核爆弾を製造するとなれば、日本も、続いて韓国も核保有に踏み切ることが予想される。これに続くことが予想されるのは、韓国も含めた地域全体の各国のミサイルポテンシャルの拡大だ。こうなってしまえば、米韓合同演習の規模のおかげでただでさえ爆発寸前の状況はさらに緊張化する。」
こうした憂慮すべき傾向が理由でロシアは自国の、つまりこの場合、極東の安全保障レベルを引き上げるための方策を採らざるを得なくなっている。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160128/1507670.html
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中国人専門家、アジアのパワーはアンバランスとする米レポートは客観性を欠く[スプートニク日本語]
2016年01月22日 22:49
19日、米戦略国際問題研究所(CSIS)が、アジアにおいて変化し続けるパワーバランスが米国の国益にかなっていないとのレポートを発表したことについて、ラジオ「スプートニク」は中国国際調査研究所、南太平洋調査センターのチェン・シシュン所長にインタビューを行なった。
以下、コメントをご紹介したい。
「私は、『アジア太平洋地域のパワーがアンバランスになれば米国の国益にはかなわない』とするレポート作成者のアプローチには同意しない。地域のいかなる状況発展もその安定と発展に貢献するものでなければならず、米国などどこかの特定の国の国益に答えねばならないものではないからだ。
全体としてアジア太平洋地域の状況は現在、良好だ。これは特に中国の外交政策努力によるものだ。中国の国力の伸張はすなわち平和の力の伸長だが、これが発展することで世界全体の発展に寄与している。こうしたなかで中国は米国に対し、アジアインフラ投資銀行ないしシルクロード経済ベルトのイニシアチブへの参加を許している。中国のスローガンは「共に勝ちとり、より多く勝ち取ろう」であり、言い換えればアジア太平洋地域の変化はアジアの諸民族の利益に叶うというものだ。これに加え、アジア地域は世界の経済発展の機動力という独自の役割も抱えている。中国を初めとするアジアのいくつかの国が経済交代の圧力を蒙っているにもかかわらず、全体としては安定と発展の傾向がキープされており、こうした傾向は米国にも必ずや利益となるものだ。私はまた、米国がアジア太平洋地域の発展に建設的役割を演ずることを期待している。これは現時点ではなされておらず、米国は依然としてこの地域での軍事演習を行なっている。南シナ海に最小限度の安定が確立されたとたん、米国はそこで事件を煽動している。軍艦を覇権し、日本、フィリピンに対中関係を白黒つけさせようとしている。こうした行為は地域の安定に貢献しない。今回のレポートは、地域情勢が特定の国の利益に叶うかどうかを問うのではなく、アジア太平洋地域に対する客観的な評価を出せたはずのものだ。
アジア太平洋地域における米国の軍事プレゼンスの強化に関しては、私は地域諸国はそのプレゼンスを歓迎しており、中国もこれに反対はしていない。だが、いかなるプレゼンスも平和と安定に寄与するものでなければならない点は強調したい。米国のプレゼンスが破壊的な役割を持つものであれば、万人がこれに異議を唱えるだろう。
米国が建設的役割を担うよう期待したい。軍事力の強化が安定を損なうものであっては決してならない。アジア太平洋地域の現状は非常に安定しており、軍事力の強化の必要性はないと私は思う。」
スウェーデンのアンデルス・イゲマン内務相によれば、政府は難民申請を却下された移民8万人を国外追放する意向だ。BBCが伝えた。
追放はチャーター便で行われ、数年がかりになるという。
昨年一年間、スウェーデンでは16万3000人が難民申請を行い、5万8800件が処理された現時点で、難民指定が実際になされたのは全体の55%という。
スウェーデンは今月初頭、デンマークとの国境で身分証を確認する一時的な措置を導入。身分証を持たずにバスや電車、船で南からスウェーデンに入ることが出来なくなった。
政府内には、短期間に大勢の人が流入すれば、社会秩序や国家安全保障が脅かされるおそれがある、との声がある。
一方、人権団体は、スウェーデン政府が難民の訴えに耳を貸さなくなることを憂慮している。
また、当局によれば、大人のつきそいなしにスウェーデンに来る児童の数も増えており、特務機関への負担が激増しているという。
移民当局によれば、昨年一年間だけでスウェーデンには3万3000人の未成年が押し寄せた。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160128/1505518.html
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ラヴロフ外相 難民問題を「煽るな」というドイツ外相の呼びかけに返答[スプートニク日本語]
2016年01月28日 21:23
ロシアのラヴロフ外相は、2015年を総括する記者会見で、ロシア系の少女リーザさんがドイツで性的暴行を受けた事件の調査について発言したことに対し、ドイツのシュタインマイヤー外相が激しく反応したことについて、納得できないとの旨を表した。
ラヴロフ外相は、次のように述べた‐
「私は、シュタインマイヤー外相が私のコメントになぜか激しく反応したことに納得できない。彼は、調査結果を待つ必要があり、メディアでの宣伝活動を煽り立てないよう述べた。我々も同じようにそのことをお願いし、調査結果ができるだけ早く出るよう依頼したい」。
先にラヴロフ外相は、ベルリンでロシア系の少女が性的暴行を受けた事件についてコメントし、犯罪調査では公正さが優先されるべきであると述べ、この事件に関する情報は、よく分からない理由で長い間隠されていたと指摘した。またラヴロフ外相は、ドイツが「大きな損失なしに」、難民流入によって起こった危機に上手く対処できることに期待を表した。
ドイツのシュタインマイヤー外相は、ラヴロフ外相がこの声明を表した後、ドイツに対する内政干渉だとして、ラヴロフ外相を非難した。
ラテンアメリカ全域を覆う感染症への感染例が2件、中米諸国で報告された。中米ではベリーズとコスタリカを除き、感染は報告されていなかった。
ニカラグア政府は27日、国内初のジカ熱発症者が2人確認されたことを発表した。ウィルスの侵入を許した国の数は、これで22カ国となった。
ロサリオ・ムリリオ報道官によれば、発症者は首都マナグア市民で、年齢は23歳と41歳。「容体は基本的に安定している」という。ポータルサイト「ヌエボ・ディアリオ」が伝えた。
同国では29日にジカ熱、デング熱、チクングニア熱対策に関するフォーラムが開かれるという。
ジカ熱は主にサルの間で拡大する感染症だが、蚊を媒介にヒトが感染することもある。症状は比較的軽微。ただ、妊婦が感染すると、新生児に小頭症や、重大な脳機能障害が出るおそれがある。
世界保健機関(WHO)によれば、ジガ熱の感染は南米のブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルー、ウルグアイ、中米のベリーズ、コスタリカ、カリブ諸国のハイチ、ドミニカ共和国、バルバドス、プエルトリコ、仏領サンマルタン、グアドループ、マルティニークなど22カ国に及んでいる。今のところ、ラテンアメリカ以外で唯一感染が確認されたのが、西アフリカのカーボベルデである。
http://jp.sputniknews.com/incidents/20160128/1505401.html
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南米、ジカウィルス蔓延で2018年までは避妊の勧告[スプートニク日本語]
2016年01月25日 16:54
ジカウィルスの感染ゾーンがラテンアメリカ全体で拡大の一途をたどっている。これをうけ、ラテンアメリカ諸国ではこれより2年間は妊娠、出産の計画は避けるよう勧告する政府が次第に増えている。
ワシントン・ポスト紙の報道では、ジカウィルスが蔓延している国はエルサルバドル、ボリビア、グアドループ、パナマ、プエルトリコをはじめとする少なくとも20カ国に及んでいる。
中でも最も被害が大きいのはブラジル。すでに100万人を超える市民がジカウィルスに感染し、それによって引き起こされたと見られる小頭症の症状を抱えて誕生した乳児の数も4千人以上に達している。
小頭症の子どもは生まれながらに異常に頭部が小さく、脳の発達が不健全。成人がジカウィルスに感染した場合、症状は比較的軽く、軽い発疹、発熱があるほか、血管に痛みを感じることもある。
ジカウィルスが危険をもたらすのは主に妊娠中の女性で感染すると身体、知能に障害のある子どもが生まれる危険性が急激に高まってしまう。
コロンビア、ホンジュラス、エルサルバドル、ジャマイカではすでに女性たちに対し、妊娠の時期をしばらく遅らせるよう勧告がなされた。中でも最も厳格な禁止令をしいているのはエルサルバドルで、少なくとも2018年までの期間は妊娠、出産を回避するよう勧告がなされている。だが教会が避妊、産児制限を奨励しないカトリック諸国ではこうした禁止令をしくことは非常に困難。
ジカウィルスは1940年代には発見されていたものの、人類にこれだけ現実的な脅威をもたらすようになったのはここ数ヶ月。ウィルスは蚊が媒介して拡散する。
最初にジカウィルスの感染例が診断されたのは米国。
ジカウィルスに対抗できるワクチンはまだ開発されていない。
北欧のノルウェーでは、難民申請をするため中東などからロシア経由で入国してきたおよそ5400人をロシア側に強制的に送り返す方針を政府が打ち出したのに対し、人権団体などが各地で抗議デモを行い、難民の権利を守るよう訴えました。
このデモは、ノルウェー政府が去年、難民の受け入れ政策をより厳しくし、ロシア経由で入国してきたおよそ5400人について、ロシア側に送り返すという方針を打ち出したのに抗議して、人権団体などが27日、ノルウェー各地で行いました。
このうち首都オスロでは数百人が広場に集まり、「国外退去処分をやめろ」とか「難民を歓迎する」などと書かれたプラカードを掲げて行進し、難民の権利を守るよう訴えました。
ノルウェー政府はこれまでに、難民申請をするためロシア経由で入国してきたシリア人やイエメン人など200人以上を強制的に送り返していますが、これらの人たちは、いずれもロシアに滞在できるビザを持っていてロシアで本来、安全が確保されていたとしています。
北欧の国々は、人道的な観点から、これまで難民や移民を積極的に受け入れてきましたが、治安の悪化への懸念や財政的な負担などから、このところ消極的な世論が強まっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160128/k10010388691000.html
ドイツ政府は、去年の大みそかに西部のケルンで複数の女性が難民らによって乱暴された事件を受けて、暴行事件などで有罪判決を受けた難民などの外国人を本国に強制送還しやすくするための法改正を行うことを決めました。
ドイツ西部のケルンでは、先月31日の大みそかの夜、中央駅の周辺で複数の女性が、男たちから乱暴されたり、財布などを奪われたりする事件が起き、北アフリカからの難民などが関わったとみられています。
事件への対応を協議してきたドイツ政府は27日、ベルリンで開いた閣議で、犯罪を犯した難民などの外国人を強制送還しやすくするための法改正に着手することを決めました。
法律の改正後は殺人や傷害、暴行事件などを起こして裁判で有罪判決を受けた外国人については、執行猶予がついた場合でも本国に強制送還できるようになるということです。ただ本国で命の危険にさらされるおそれがある場合には、強制送還されないとしています。
ケルンで起きた事件では、これまでに900件を超える被害の届け出があり、ドイツ北部のハンブルクなどでも同じような事件が起きていたことが分かっています。
ドイツには、去年、109万人に上る難民や移民が到着し、国民の間に治安の悪化への不安が高まっていることから、ドイツ政府は難民などによる犯罪行為に厳しく対処する方針です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160128/k10010388541000.html
3年前、安倍総理大臣が、靖国神社を参拝したことについて、大阪などに住む765人が、信教の自由を侵害されたとして国などを訴えた裁判で、大阪地方裁判所は、「総理大臣の参拝によって、原告の信仰が妨げられたとは言えない」などとして、訴えを退ける判決を言い渡しました。
大阪などに住む765人は、安倍総理大臣が3年前の平成25年12月に靖国神社を参拝したことで信教の自由を侵害されたなどとして、今後の参拝の禁止と賠償を国などに求めていました。
28日の判決で、大阪地方裁判所の佐藤哲治裁判長は「総理大臣の参拝によって、原告の信仰が妨げられたり、圧迫や干渉を受けたりしたとは言えない」と指摘しました。さらに、原告が、参拝によって北東アジアの緊張が高まり、平和的生存権が侵害されたと主張した点については、「具体的な権利として認められるかは疑問で、参拝の禁止や賠償を求めることはできない」として訴えを退けました。総理大臣の参拝が、政教分離を定めた憲法の規定に違反するかどうかは、判断を示しませんでした。
「判決は違憲判断を回避」
判決のあと記者会見で、原告の木村眞昭さんは「判決は安倍総理大臣の参拝理由を代弁していて、裁判所は権力に従うのかと驚いた。司法の意地を見せてほしかった」と話していました。また、原告の弁護団長の加島宏弁護士は、「判決は『権利侵害がないから、参拝が違憲かどうか判断しない』と、これまで行われてきた違憲判断を回避した」と批判しました。
官房副長官「国の主張が認められた」
萩生田官房副長官は午前の記者会見で、「国の主張が認められたものと承知している。先ほど午前10時に判決が出たばかりで判決内容を十分に精査しておらず、『結果を受け止めた』というところだ」と述べました。
また、萩生田官房副長官は、3年前の参拝で安倍総理大臣が公用車を使用したことについて、「内閣総理大臣在任中は、もちろん公私の別はさまざまあるが、警備上の問題や緊急対応の問題などを考えると公用車以外の車に乗って移動することは想定できない。公用車を使ったからといって公務ということにはならないと思う」と述べました。
過去の裁判は
総理大臣の靖国神社参拝を巡っては、過去の裁判で「憲法の禁止する宗教的活動にあたる」とする判断が示されたことがありますが、原告の訴えはいずれも退けられています。
法務省によりますと、小泉元総理大臣が在職中に靖国神社を参拝したことを巡り「政教分離を定めた憲法に違反する」として各地で国に賠償を求める裁判が合わせて11件起こされました。このうち、平成16年の福岡地方裁判所の判決と平成17年の大阪高等裁判所の判決では、賠償を求める訴え自体は退けられましたが、「憲法が国に禁じている宗教的活動にあたる」とする判断が示されました。この2件は原告が控訴や上告をしなかったため、そのまま確定しました。
一方、そのほかの裁判では憲法違反の判断は示されず、訴えが退けられたため、原告が上告しました。最高裁判所は平成18年の判決で「総理大臣が参拝しても原告の権利が侵害されたとは言えない」として憲法判断を示さずに訴えを退け、その後、ほかの裁判も同じように原告の敗訴が確定しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160128/k10010388821000.html
日銀の狙いは、日銀当座預金への預け入れを積み増すより、貸し出しや株式を含む債券類に使ったほうが得と銀行に判断させることだろうが、貸し出しや投資のリスクを考えると、その拡大に二の足を踏む金融機関が多い。
また、銀行は、マイナス金利というペナルティを科されるなら、現金を金庫にしまっておくということにもなるが、保管コストはバカにならないから、保管コストとマイナス金利の損得勘定でどうするか決めることになる。
銀行としては低利とは言え利息が入り安全性も高い国債(公債)のかたちで資産を持ちたいと思うだろうから、国債などの買い取りで量的金融緩和を続けると明言している日銀のオペレーションを阻害すること(札割れ)が多くなると思われる。
マイナス金利が適用される前に預け入れたお金にはマイナス金利ではなくプラス(0.1%)の金利が付くことから、トータルにはプラス金利なので、とりあえずは様子見しながら今後の運用を考える“猶予”ある。
国債と日銀当座預金での資金運用に収益を依存している銀行に“喝”を入れたいというのがマイナス金利導入の意図なのだろう。
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日銀、マイナス金利導入を決定 異次元緩和に転換点[日経新聞]
2016/1/29 13:39
日銀は29日開いた金融政策決定会合で、マイナス金利政策の導入を5対4の賛成多数で決めた。原油価格の下落や中国経済への不安で世界経済の先行き懸念が強まり、国内の景気や物価に悪影響が及ぶリスクが高まったためだ。銀行が日銀に預けるお金(当座預金)の一部に2月からマイナス0.1%の金利を適用する。2013年4月に導入した量的・質的金融緩和(異次元緩和)は大きな転換点を迎えた。
29日午後に黒田東彦総裁が記者会見を開き、決定理由などを説明する。金融政策を決める9人の政策委員のうち、白井さゆり、石田浩二、佐藤健裕、木内登英の4委員が反対を表明。14年10月の追加金融緩和の決定時と同じ5対4の薄氷の決定になった。日銀は「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」として、量、質、金利の3つで「必要な場合には、追加的な緩和措置を講じる」と明記し、一段の追加緩和にも含みを持たせた。
今回導入した仕組みでは、銀行がすでに日銀に預けた当座預金の金利は現在の0.1%のままで据え置く。銀行が新たに積み増す当座預金にマイナス金利を適用する。当座預金全体の金利を下げると、銀行の収益への悪影響が大きいためだ。
マネタリーベース(資金供給量)を年80兆円増やす目的で実施している資産の大量購入はこれまで通り続ける。今後も国債を年80兆円、上場投資信託(ETF)を年3兆円のペースで買い増していくことになる。
日銀は会合で経済・物価情勢の展望(展望リポート)もまとめた。2016年度の生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しを従来の1.4%から0.8%に下方修正。政策目標の物価2%上昇の達成時期を従来の「16年度後半ごろ」から「17年度前半ごろ」に先送りした。
金融市場では年明け以降、日経平均株価が一時3000円近く下落し、円相場も一時1ドル=115円台まで円高が進むなど、不安定な動きが続いている。日銀は金融市場の混乱の背景には、世界経済の先行きへの強い懸念があると判断。21日に追加緩和を示唆した欧州中央銀行(ECB)と足並みをそろえ、緩和強化に踏み切った。
海外発の不安増大で企業がリスクに慎重になれば、新年度入りに合わせた企業の価格政策や春の賃金交渉にも悪影響が及びかねない。企業が設備投資を先送りするなどして景気回復にブレーキがかかれば、デフレ脱却も難しくなる。黒田総裁はこれまで物価の基調に不安が表れれば「追加緩和でも何でもやる」と発言していた。
◇
■日銀の決定内容のポイント
○「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入
○民間金融機関が日銀当座預金に預けたお金に対して支払う金利(付利)をマイナス0.1%に引き下げ、今後、必要ならさらに金利を引き下げる
○日銀当座預金を3段階に分割し、それぞれプラス・ゼロ・マイナス金利を適用する
○マネタリーベースを年80兆円増加させる金融市場調節方針を維持
○ETFやREITなどの資産買い入れ額を維持
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF29H08_Z20C16A1MM0000/?dg=1
また、当時谷垣総裁のもとで幹事長であった石原伸晃氏は、12年9月の自民党総裁選で安倍氏と争った。その当時、安倍氏を総裁(総理含み)にするため、森喜朗氏らが父親である石原慎太郎氏に“約束していたらしい”伸晃氏の支援ができない“事情”を説明するという経緯もあった。(それは同時に、石原慎太郎氏に東京都知事を辞めてもらう口説きの場でもあった)
安倍氏と石原伸晃氏のどちらが政治的能力で優れているかはわからないが、幹事長や環境大臣のときの石原伸晃氏を見た限り、たいした能力ではないと判断できる。
(甘利氏は、答弁ややりとりを見聞きしている限り、安倍氏や伸晃氏に較べると飲み込みが早いし勘所も押さえている)
麻生財務大臣には言われたくないと思っているかもしれないが、麻生氏が言うように、石原伸晃氏はなんと言っても経済分野が得意ではない。
予算成立後の国会はTPPがメインテーマになる。
TPPをめぐって激しい国会論戦が当然視されるなかで、そういう石原伸晃氏をわざわざ後任に選んだのは、甘利氏と石原伸晃氏の“仕事ぶり”(説明能力)を比較させることで、甘利氏に対する再評価と待望論が高まり、禊ぎを済ました甘利氏を閣僚に再任する障害を低くする布石だと考える。
石原伸晃氏が自覚しているかどうかはわからないが、経済再生担当大臣に就任した石原伸晃氏は、“当て馬”ないし“捨て石”でしかないのである。
ロシア連邦保安庁のリトヴィネンコ元職員の放射性物質ポロニウムによる毒殺について、またプーチン大統領の富について、最近、英国が表した声明はロシア国民には西側がロシアへの情報戦争を活性化させた兆しと受け止められた。この情報戦争で西側が勝利する見込みはない。なぜなら西側の「暴露的なマテリアル」に感銘を受けるのは非常に情報に暗く、ロジカルに思考ができない大ばか者だけだからだ。
モスクワ国際関係大学国際問題研究所の上級学術専門家、アンドレイ・イヴァノフ氏の考察をご紹介しよう。
いっておくがロシアにはそういう輩(大ばか者)はそう多くない。西側マスメディアやロシアのリベラルな反体制派代表らが繰り返し「プーチンの嘘のプロパガンダ」を呪ったところで、ロシア人は自国で、そして世界での出来事について様々な見解を知りうる可能性を「自由な」西側の住人よりも格段に多く有している。ロシアのTVで放映されるおびただしい数のトークショーはロシアの反体制派にも、ウクライナ軍によるドンバスの一般市民の殺害を正当化する「統一ウクライナ」の支持者らにも、米国人専門家らにも発言の場を与えている。このためロシア人には様々な見解を比較する可能性があるのだ。西側の討論の場ではほとんどの場合、こうした可能性は排除されている。かつては西側のジャーナリズムも客観的だった時代もあった。西側のジャーナリズムといえば抜きん出た調査力と暴露性を誇っていた。だが20年ほど前、西側のマスコミはこぞってプロパガンダの手段となり始めたのだ。これを驚くことに西側の俗物らはテレビ画面や新聞の紙面が吹き込むどんな馬鹿げたことでもさっさと信じ込んでしまったのだ。
そのいい例がウクライナ上空での「親ロシア分離主義者」らによるマレーシア航空機ボーイングの撃墜報道だ。仮に、西側のいう「分離主義者」の手元に射撃可能な「ブーク」があったとしても、彼らが一体誰を相手にこれを使えたというのだ?
これが今、シリアで米国も持っていないようなナビゲーションシステムを搭載して飛んでいるロシアの飛行機 なら、誤差2−3メートルの範囲で到達不可能な「ダーイシュ」の携帯式防空ミサイルシステムに通常の爆弾を5−6キロ上空から落とすことが出来る。ところがウクライナにはこんな手段はない。だからドンバスでの戦争開始当時はキエフ側は低い高度から爆撃せざるを得ず、これがゆえにドンバス義勇軍の携帯式防空ミサイルシステムには簡単に餌食になったのだ。そこでキエフ側は空軍力が枯渇してしまうのを避けるため、すぐさま航空隊の使用を禁じた。このため、ドンバスの義勇軍が中低高度防空ミサイル「ブーク」を使う必要性は全くなかった。だが世界は、マレーシア機を撃墜したのは他でもない、あの「無慈悲なプーチン」の命令を遂行したドンバス義勇軍だ、という途方もない嘘を信じてしまった。
リトヴィネンコ毒殺事件の状況も似たようなものだ。西側には今、元KGBやロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の投稿者らが実に快適な生活を送っている。この人間たちはリトヴィネンコ氏などよりずっと地位も高く、かなりの情報を握っている。だがこの者らに指を触れようとする人間はいない。百歩譲って、もしリトヴィネンコ氏がプーチン大統領にとってそんなに危険な人物だったとしても(まぁ、危険であればそもそも国外には出されなかったはずだか)、これを排除するのにはおそらくもっとスマートかつシンプルな方法が取られたはずだ。このためリトヴィネンコ氏の毒殺事件の原因は逃亡し、ロンドンに居を構えたロシア人オリガルヒ(新興財閥)の筋で探すほうが理にかなっているのだ。リトヴィネンコ氏はおそらくその富の出所について少なからず知っており、それを使って強請りをかけていた可能性もないとは言えない。それがゆえにリトヴィネンコ氏は消され、その罪がロシアに擦り付けられたというわけだ。
ロシア1のオリガルヒであり、プーチン氏の政敵だったボリス・ベレゾフスキー氏も数年の間、ロンドンで悠々自適生活を送っていたが、その後、わけの分からぬ理由で「自殺した。」ちょうどロシアに戻ろうとしていたときだった。だがここでも西側はベレゾフスキー氏の殺人の罪をプーチン氏に着せるほうが好都合だった。そんなわけで情報分析をする脳みそのスイッチの入れ方を忘れた西側の俗人らは、そうだ、そうだ、そうに違いないとマスコミを信じてしまった。
だが、この西側マスコミが西側のオーディエンスをペテンにかけるシステムも、今や故障をきたし始めている。蒙古襲来のような「移民」の欧州侵攻の事態に直面して、西側の俗人らも目を覚まし、酔いを醒まし、頭を働かせざるをえなくなったからだ。知恵を働かせる過程でおそらくロシアは西側と敵対したがってはいないことがわかるだろう。単にロシアにはロシアの国益があり、ロシアはそれを考慮してもらいたいと望んでいるだけのことなのだ。
もし世界経済の成長や停滞を決定する何らかの単一商品の価格があるとすれば、それは原油価格だ。現在の世界石油価格の劇的な下落に関しては、余りに多くのことがあてにならない。2014年6月、主要な石油は、一バレル、103ドルで取り引きされていた。石油と石油市場の地政学を研究してきた多少の経験から、私は大いにうさんくさいものを感じている。私には納得がゆかないいくつかの物事について、皆様にもお伝えしよう。
1月15日、アメリカ石油価格指標、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)の取り引きは、29ドルでひけたが、2004年以来最低だ。確かに、世界には、少なくとも一日約100万バレル、過剰生産があり、それが一年以上続いている。
確かに、イラン経済制裁解除は、供給過剰の市場に新たな石油をもたらし、現在の市場の価格下落圧力を増すことになろう。
ところが、アメリカとEUの対イラン経済制裁が、1月17日に解除される数日前、イラン国営石油NIOCのセイード・モフセン・ガムサリ国際局長は、イランは“…生産増大が決して価格を更に低下させないような形で市場に参入するつもりだ…市場が吸収できるだけの量を生産するつもりだ。”と述べた。だから、経済制裁解除後、イランの世界石油市場への新参入は、1月1日以来の急激な石油価格下落の理由ではない。
中国経済の崩壊とされるものとともに、中国の石油輸入需要が崩壊したというのは事実ではない。2015年11月までの一年で、中国より多く、実により多く、8.9%も、年々輸入し、一日660万バレルで、世界最大の石油輸入国となっている。
劇的に増大している現在の世界石油市場における政治リスクの煮えたぎる大釜状況に加わったのが、2015年9月以来の、テロリストのインフラに対する恐るべき空爆で、正当に選出されたシリア大統領、バッシャール・アル・アサドの依頼に応えるというロシアの決断だ。更に、NATO加盟国のトルコが、シリア領空で、ロシア戦闘機を撃墜するという厚かましい戦争行為をおかして以来、レジェップ・タイイップ・エルドアンのトルコと、モスクワとの間の関係の劇的な決裂もある。こうした全てのことからして、石油価格は、下落でなく、上昇するはずなのだ。
戦略的に重要なサウジアラビア東部州
さらに加えて、サウジアラビア国民であるニムル・アル・ニムルを処刑するという、サウジアラビア国防大臣で、事実上の王、ムハンマド・ビン・サルマン王子による、正気と思えぬほど挑発的な決定だ。アル・ニムル、尊敬されていたシーア派宗教指導者は、2011年、サウジアラビアのシーア派の権利を要求したテロ活動のかどで告訴された。超厳格なワッハーブ派スンナ宗派ではなく、シーア派の教えを奉じている約800万人のサウジアラビア人イスラム教徒が暮らしている。彼の犯罪は、抑圧されているシーア派少数派、おそらくはサウジアラビア国民の約25%に対し、権利を拡張するよう要求する抗議行動を支持したことだ。サウジアラビアのシーア派国民は、王国の東部州に圧倒的に集中している。
サウジアラビア王国の面積はドイツ連邦共和国の倍だが、住民はわずか400万人という東部州は、おそらくは地球上で最も価値のある不動産区画だ。国営石油会社のサウジアラビア・アラムコは東部州のダーランが本拠だ。
サウジアラビアの主要な石油とガス田は、世界最大の油田ガワールを含め大半が東部州陸上、海上にある。ガワールを含めサウジアラビア油田からの石油は、世界最大の原油ターミナル、ラスタンヌーラ・コンプレックスの石油ターミナルから何十もの国々に出荷されている。サウジアラビアによって汲み上げられる一日1000万バレル近くの石油の約80%がペルシャ湾のラスタンヌーラに送られ、そこで西に向かう超大型タンカーに積まれる。
東部州には、サウジアラビア・アラムコのアブカイク・プラント施設、一日700万バレルの能力を有する同社最大の石油加工・原油安定化設備がある。アラビアン・エクストラ・ライトと、アラビアン・ライト原油の主要石油加工サイトで、ガワール油田から汲み出される原油も扱っている。
しかもたまたま、東部州の油田と精油所の大多数のブルーカラー労働者は…シーア派だ。彼らは最近処刑されたシーア派宗教指導者ニムル・アル・ニムルに同情的だともいわれている。1980年代末、サウジアラビアのヒズボラ・ヘジャズは、石油インフラを何度か攻撃し、サウジアラビア人外交官殺害もした。彼らはイランで訓練を受けたとされている。
しかも現在、政治的緊張に加えて、片や、両脇を卑屈なアラブ湾岸協力会議諸国によって守られたサウジアラビアとエルドアンのトルコ、そして片や、アサドのシリアと、シーア派国民が60%のイラクと、現在ロシアによって軍事的に支援されている隣国イランとの間で、新たな不安定化の要素が高まりつつある。情緒不安定な、30歳のビン・サルマン王子が、王に任命されようとしていると報じられている。
1月13日、中東シンクタンクのガルフ・インスティテュート、独占レポートで、80歳のサウジアラビアのサルマン・アル・サウード国王は、王位を退位し、息子のムハンマドを王にする計画だと書いている。報告書は、現在、王は“現在の皇太子で、アメリカのお気にいり、強硬派のムハンマド・ビン・ナーイフをも、現在の皇太子兼内務大臣の地位から排除するこの動きへの支持を求めて、兄弟を順次訪問している。進展に詳しい情報源によれば、サルマン国王は兄弟たちに、サウジアラビア王政の安定のためには、継承を、横方向や斜め方向の継承ではなく、王が権力を、自分の最も相応しい息子に渡す直系継承に変える必要がある。”と書いている。
2015年12月3日、ドイツ諜報機関BNDは、気まぐれで、すぐ感情的になると彼らが見ている人物、サルマン王子が益々権限を強化しつつあることを警告するメモをマスコミに漏洩した。シリア、レバノン、バーレーン、イラクとイエメンへの王国の関与をあげて、サルマン王子に言及して、BNDはこう述べていた。“サウジアラビア王家の年長メンバーによるこれまでの慎重な外交姿勢は、衝動的な干渉政策によって置き換えられるだろう。”
石油価格の更なる下落?
世界の石油と天然ガス埋蔵の中心地中東を巡って、この不穏どころではない状況において、不穏な要素が蠢いており、実際ここ数週間、既に昨年12月、40ドル帯という低価格で一時的に安定していた石油価格が、今や更に25%も下落し、約29ドルで、見通しは暗い。シティグループは、20ドルの石油がありうると予想している。ゴールドマン・サックスは最近、世界石油市場を再び安定化させて、供給過剰から脱出するには、一バレル、20ドルという安値が必要かも知れないと言い出した。
今後数カ月で、何か非常に大きな、非常に劇的なものが、世界が全く予期していない何かが世界石油市場で形成されつつあるという非常に強い直感を私は持っている。
前回、ゴールドマン・サックスと、そのウオール街のお仲間が、石油価格で、劇的な予測をしたのは、2008年夏のことだった。当時、アメリカのサブプライム不動産メルトダウンが広がり、ウオール街銀行への圧力が高まるさなか、その年9月のリーマン・ブラザーズ崩壊直前、ゴールドマン・サックスは、石油は一バレル200ドルに向かっていると書いた。当時、147ドルという高値にあった。当時、私は、世界石油市場では膨大な過剰供給が存在しているという事実に基づいて、全く逆の可能性が高いという分析を書いたが、それをわかっていたのは、奇妙にもリーマン・ブラザーズだけだった。中国国際航空や、他の巨大な中国の国営石油顧客に、200ドルになる前に、あらゆる石油を147ドルで買い占めるよう説得するため、価格上昇をあおる助言として、JPモルガン・チェースなどのウオール街銀行は、200ドルという価格を宣伝しているのだと情報通の中国筋から聞かされた。
ところが、2008年12月、ブレント原油価格は、一バレル、47ドルに下落した。2008年9月、元ゴールドマン・サックス会長だったアメリカ財務長官ヘンリー・ポールソンの意図的な政治決定によるリーマン危機が、世界を金融危機と深刻な不況に突き落とした。ゴールドマン・サックスや、シティグループや、JPモルガン・チェースなどの他のウオール街主要巨大銀行にいるポールソンのお仲間は、議会に7000億ドルもの未曾有のTARP資金を持った緊急援助権限の白紙委任状を与える議会によう強いるため、ポールソンが、リーマン危機を企んでいたことを、事前に知っていたのだろうか? この出来事で、石油先物のレバレッジ・デリバティブを利用して、自分自身の200ドル予測がはずれる方に賭けて、ゴールドマン・サックスと、お仲間は莫大な利益をあげたとさされている。
まず、シェール石油‘カウボーイ’を処分する
現在、2009年あたりからアメリカ石油算出増大の最大の源であるアメリカ・シェール石油業界は、大量破産の瀬戸際ぎりぎりのところで踏みとどまっている。ここ数カ月、シェール石油生産は、かろうじて下落し始め、2015年11月、約93,000バレルだ。
大手石油会社カルテル-エクソン・モービル、シェブロン、BPとシェルは、二年前に、シェール・リース権を、市場で投げ売りしはじめた。現在、アメリカのシェール石油業界は大手ではなく、BPやエクソンが“カウボーイ”と呼ぶ 中規模の積極的な石油会社が支配している。歴史的に、大手石油会社に資金供与してきた、JPモルガン・チェースやシティグループなどのウオール街銀行は、大手石油会社自身と同様、世界で最も重要な市場を、彼らが再度支配できるのだから、現時点でシェール・ブームが破裂しても、涙をながすことなどありえない。シェール“カウボーイ”に、過去五年間に何千億ドルも貸しこんだ金融機関は、4月に、次の半期ローン見直しを迎える。価格が20ドル近辺をうろついていれば、新たな遥かに深刻な実際のシェール石油会破産の波がおこるだろう。もしそうであれば、カナダの巨大なアルベルタ・タール・サンド石油を含め、非在来型石油資源は間もなく過去のものとなるだろう。
それだけでは、石油は、巨大石油会社や、ウオール街の銀行にとって快適な70-90ドル・レベルに回復しない。中東のサウジアラビアと湾岸アラブ同盟諸国からの過剰供給は劇的に減らさなければならない。ところが、サウジアラビアには、そうしようという兆しが皆無だ。それで私はこの全体像が心配になるわけだ。
今年後半、石油価格を劇的に押し上げるような何か極めて醜悪なものが、ペルシャ湾で醸成されつつあるのだろうか? シーア派と、サウジアラビア・ワッハーブ派石油国家との間で、実際の武力戦争が醸成されつつあるのだろうか? これまでのところは、主として、シリアにおける代理戦争だ。シーア派宗教指導者処刑と、イラン人によるテヘランのサウジアラビア大使館襲撃以来、サウジアラビアや、他のスンナ派湾岸アラブ諸国による外交関係断絶となり、対決は遥かに直接的なものとなった。サウジアラビア財務省元顧問のホセイン・アスカリ博士はこう語っている。“イランとサウジアラビアがぶつかる戦争があれば、石油は一夜にして、250ドル以上になり、再度100ドル・レベルに下落しかねない。もし両国が、お互いの積み込み設備を攻撃すれば、石油は500ドル以上に高騰し、損害の程度次第では、そのあたりにしばらく留まることになる。”
あらゆることが、世界が次の巨大オイル・ショックに向かっていることを示している。それは、いつも石油を巡るものであるように見える。ヘンリー・キッシンジャーが、1970年代中期、ヨーロッパとアメリカが、OPEC石油禁輸と、ガソリン・スタンドでの長蛇の列に直面した際の、オイル・ショック当時に言ったとされているように“もし石油を支配できれば、全ての国々を支配できる”。この支配妄想が、急速に我々の文明を破壊しているのだ。地球上で最大の石油の大物になろうとして競争するのではなく、平和と発展に力を注ぐべき頃合いだ。
F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、オンライン誌“New Eastern Outlook”に独占的に寄稿している。
記事原文のurl:http://journal-neo.org/2016/01/24/whats-really-going-on-with-oil
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-c3be.html
サウジアラビアは数年以内に5つの地域に分裂するという予想が出されています。
アメリカの新聞ニューヨークタイムズは、「様々な予想に基づき、サウジアラビアは国内の緊張のため、2015年までに段階的に東、リヤド、南、北、西の5つに分断されるだろう」と伝えました。
この新聞によりますと、サウジアラビアの分断の脅威は、社会的格差、数十万人の王子の中から新たな支配一族を選択することから生じる問題、腐敗、暴動や情勢不安を生じさせている若者失業により、拡大されています。
また、サウード政権の古い世代は今もサウジアラビアの政府の背後におり、イエメンの最近の情勢は、新しい世代に期待はできず、この経験の浅い世代は合意や和解よりも攻撃を好むことを示した、としています。
さらに、サウジアラビアはライバルの部族を力ずくでワッハーブ派の傘下に集めていることを指摘し、「サウジアラビアの王は西側の文明の象徴を有しているが、同時に異なった文化、様々な部族のアイデンティティ、とくに東の産油地域をはじめとする宗教間の緊張を有しているとしました。
ニューヨークタイムズは、「サウジアラビアの社会的な亀裂は深まっており、サウード家の中に若い世代が台頭することで、分裂がサウジアラビアの最初の深刻な脅威となるだろう」としました。
CIAに対して強い非難がなされている。うちのひとつが、テロ組織と関わり合いをもつ可能性のある人たちへのビザの発給をスタッフらに強制した疑いである。政治学者で著述家のマイケル・スプリングマン氏が自著『アルカイダ向けのビザ:世界を震撼させたCIA文書』の中で述べた。
スプリングマン氏は1987―1989年、サウジアラビアのジッダにある米国領事館査証部長だった。つい先日のニューヨークタイムズでも米国とサウジアラビアが1970年から秘密の協力を行なっていたことが報じられ、氏の所説が裏書きされている。
先日行なわれたスプートニクによる独占インタビューの中でスプリングマン氏は、将来的にテロ組織に勧誘される可能性のある人々へのビザ発給を指導部から強要されていた、と語った。
「米国で何をする気なのかはっきり説明できないような申請者には、ビザ発給を拒んでいた。ジェイ・フレレス総領事はそのことで私を譴責し、ビザを発給しなければ免職する、と言われた」とスプリングマン氏。
査証部職員は、申請者に無用な質問をしない限りにおいて、地位を維持した。法を厳守し、不法なビザ発給を拒んだ者は、「不適任」とされ、あっさり首を切られた。
スプリングマン氏は違法なビザ発給の具体例を挙げている。あるとき氏は、「自動車部品展のために米国に行く」と主張するパキスタン人2人へのビザ発給を拒否した。
「彼らはイベントの正確な名称も言えず、どの都市で開催されるかも言えなかった。当然、ビザ発給を拒否した。1時間後、CIAシークレット・サービスのエージェント、ポール・アーヴィッド・トヴェイトから電話が入り、ビザを出すよう要求された。それをするための法的根拠がない、と私。するとトヴェイトは領事部長に直接働きかけ、のち、申請者にビザが渡された」
イスラム主義エージェントらはビザを取得後、米国内の訓練所で訓練を受けた。国内にはそうした訓練所は52箇所あり、中心的なのはニューヨークのブルックリンにある訓練所だ。
スプリングマン氏によれば、1980年代、米国は、ソ連と戦わせるために、アフガニスタンでイスラム主義エージェントらを雇い、訓練していた。のちCIAはそうしたエージェントらをアフガニスタンから旧ユーゴスラヴィアに配置換えし、その後にはイラク、リビア、シリアに投入した。米国は戦闘員らを支援し、訓練した。のち彼らはアルカイダの一員となった。
スプリングマン氏は20年にわたりビザの不正発給と戦い、政府機関の上層部に訴えたが、訴えも抗議も聞き入れられなかった。
米軍はこの数か月リビアを訪問し、現地の武装グループと関係を築こうとしている。これはリビアにおける対ダーイシュ(IS、イスラム国、ロシアでは活動が禁止されている組織)作戦の開始を念頭においたものである。フィナンシャルタイムズが報じた。
国防総省のクック報道官によれば、米政府は、ダーイシュの脅威が高まった場合、軍事介入を行うことを検討中だ。
リビアにおける将来の軍事作戦は空爆や米国特殊部隊による小規模の作戦からなる。リビア領内の対イスラム主義者作戦は近日中に始まる可能性もある。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160129/1509872.html
※関連記事
「イスラム国」リビアで拡大 「第2のシリア」化懸念 戦闘員最大3000人指摘
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/738.html
「米特務部隊シークレットミッションがリビアを離れる、原因はFacebook掲載の写真:一応統一政府樹立で合意したからね」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/660.html
○合意されたリビア統一政府構想は先週ご破算に
「ホテル襲撃、23人が死亡:ブルキナファソ、昨年11月マリと同じ構図:旧仏植民地・アルカイダ系犯行・仏米特殊部隊出動」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/866.html
「マリのホテル襲撃から1週間 背後関係は不明:結局犯人は二人、最上階をめぐる7時間にもわたる攻防という話は幻想!?」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/492.html
「[衆議院解散劇の裏を読む]米国も絡む日中関係に規定され動いてきた日本の12年後半政局」(http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/769.html)
「茶番劇!?石原氏は、息子も出馬した総裁選での安倍勝利を予め知っていた可能性:無視されたままの党首討論会「石原重要証言」」
http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/780.html
「安倍政権は3月に教科書検定という裏口を使い「中国の領有権主張」と「南京虐殺」を認定:靖国不参拝も5月高村副総裁訪中で伝達」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/319.html
「桝添東京都知事訪中の真意は“安倍訪中の露払い”:日中関係悪化の理由に関する石原氏の説明と教科書検定で改善に向かう日中関係」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/312.html
「安倍首相の“右翼愛国的言動”は、朝鮮半島統一を支えるため、韓国がスムーズに中国にすり寄っていけるにする猿芝居」
http://www.asyura2.com/14/asia15/msg/802.html
「中国、ひそかに米に「助け舟」 隠密の仲介工作:日中も同じだが、表は自国向けや第三国向けで、本音の外交は密かに進められる」
http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/757.html
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米、尖閣で中国との事前協議を要請 12年の国有化直前[日経新聞]
2016/1/31 23:42
【デモイン(米アイオワ州)=吉野直也】2012年に民主党の野田政権が沖縄県・尖閣諸島を国有化する直前、当時のキャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が中国と事前協議を重ねるよう日本側に要請していたことが明らかになった。国務省が29日に公開したクリントン前国務長官が公務で使っていた私用メールの中で分かった。
メールはキャンベル氏が国有化の約1週間前に当たる12年9月3日、複数の国務省高官に宛てた10行足らずの文章で、当時国務長官だったクリントン氏にも転送された。「佐々江との電話」との表題で始まるこのメールは、当時の佐々江賢一郎外務次官(現駐米大使)が電話でキャンベル氏に尖閣の国有化の方針を伝え、その直後に同氏が書いたものだった。
メールでキャンベル氏は「(前月の)8月7日に東京を訪れ、佐々江と日本政府に(国有化の)計画を北京と協議し、通知するよう促した」と説明。「日本は一連の検討を終え、中国側は明らかに激怒している。佐々江は中国が(国有化の)必要性を理解し、いずれ受け入れると信じている」と報告したが、かっこに「私にははっきりしない」と付け加え、日本側の認識を不安視した。
キャンベル氏は「日本政府と尖閣の所有者が売買額で合意した」と明記する一方で「購入を目指した当時の石原慎太郎・東京都知事が納得しないかもしれない」との解釈も付記した。
当時の尖閣の国有化に際して米側が抱いていた懸念がこうした文書の形で判明したのは、初めてとなる。日本が尖閣を国有化した当時、野田政権内には事前に尖閣の国有化を中国に伝え、中国側から了承を得たとの証言もあった。だが、それがどういったレベルの了承なのかをめぐって懐疑的な見方があった。
尖閣国有化の後、日中間の緊張が高まり米側の予見通りになった。メールを通じて野田政権が「中国が(尖閣の国有化を)いずれ受け入れる」と、中国の出方を見誤っていた点も明確になった。尖閣問題で中国につけいる隙を与え、オバマ米政権が掲げるアジア重視政策に影響が及ぶことを嫌うキャンベル氏の姿勢も浮き彫りになっている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM31H1M_R30C16A1FF8000/?dg=1
利権と数に頼む“田中派”を蛇蝎のごとく嫌っていた石原慎太郎氏が摩訶不思議なことに田中角栄“賛美”の小説「天才」を上梓したということで出演したその番組は録画して見た。
金美鈴さんは、オリジナルのスレッドにもあるように、新世代の保守愛国派の政治家として橋下徹氏を評価し期待しているからこそ、もっと知性と教養を磨いて欲しいという思いであのような発言をしたのである。
(金美鈴さんの表現は「知性と教養もない」というより、「知性と教養が足りない」というニュアンス:ヒトのことは言えないが、橋下氏はケンカ術は優れているが、「従軍慰安婦」問題で何度か投稿したが「知性と教養が足りない」と思っている)
同じ番組の中で、石原慎太郎氏も、橋下徹氏について、知性の点で田中角栄氏とまったく比較できないレベルだと評価している。
面白く使い勝手のいい政治的キャラクターである橋下徹氏は、左派及び統制派に蛇蝎のごとく嫌われているが、メインストリートのメディアからは持て囃されることが多い。
だから、好意的ないし利用したい陣営から橋下氏の“欠点”をずばり指摘する声は聞こえてこない。
橋下徹氏が政治的にもっと大きな存在になりたいと思っているのなら、子どもっぽい藩王を見せるより、金美鈴さんや石原慎太郎氏のような評価や苦言をしっかり噛みしめたほうがいい。
原油や金属などの資源安で産出国から消費国への所得移転が加速している。最近の価格低迷が2016年も続けば、日米欧や中国などの貿易収支改善額は1兆1581億ドル(約136兆円)に上る計算だ。原油価格の急落は金融市場の動揺を招いたが、資源を輸入に頼る国では企業や家計の所得を増やす面も併せ持つ。ただ所得は先進国などに滞留し、世界経済の成長押し上げにつながりにくくなるとの指摘も出ている。
日本経済研究センターが国連や国際通貨基金(IMF)のデータをもとに、資源安が始まる前の13年平均と比べて各国の資源の輸出入額が14〜16年にどう増減するかを試算した。原油のほか、食品や金属など約40品目を対象とした。15年後半から資源安が加速しており、16年の所得移転額が最も大きくなる見通しだ。
例えば、原油先物の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は15年末が1バレル37ドルで、14年初めから6割下落した。16年に入ってからは30ドル前後まで一段と落ち込んだ。IMFによると、資源全体でみても15年12月の価格は14年1月と比べて半減した。
産出国から消費国への移転が見込まれる136兆円は日本の貿易総額に匹敵する。輸入額が減って貿易収支が改善するのは、日米欧や中国などのアジア諸国だ。中国の37.9兆円が最大で、ユーロ圏が31.7兆円と続いた。日本は20.7兆円だが、国内総生産(GDP)比では3.8%と中国やユーロ圏より高い。米国は輸出する農産物の価格低下で、改善額が13.6兆円、GDP比で0.7%にとどまる。
SMBC日興証券は、米国の家計所得は資源安で1500億ドル(約17兆円)増えたとはじき、消費押し上げにつながるとみる。減速懸念が強まる中国も生産や設備投資の弱さが目立つが、個人消費はインターネット通販の拡大などで堅調を保つ。同証券の牧野潤一チーフエコノミストは「家計の懐に余裕を生むという資源安の恩恵も効いている」と指摘する。
資源国は商品価格の急落をうけ貿易収支が悪化する。産油国が多い中東・北アフリカの悪化幅は61.7兆円で、GDPの15.1%にも及ぶ。ロシアを含む旧ソ連地域も33.0兆円に達した。
資源安はこうした国の財政を直撃した。サウジアラビアは16年予算で10兆円超の財政赤字を見込み、補助金削減などを決めた。ロシアもプーチン大統領が、1バレル50ドルという16年予算の原油価格の前提を「楽観的」と指摘。予算の減額修正に向けて動き出した。
リーマン・ショック直後、日米欧の金融緩和であふれ出たマネーは商品市況に流れ込んだ。09年2月からの3年間で、資源価格は2倍に上がった。当時は消費国から産出国へ所得が流出し、産油国の政府系ファンドなどを通じて一部は先進国の株式や債券市場に還流した。収益性を重視したマネーの動きが世界の成長を高めた側面もある。
その後、米国の金融引き締めをきっかけに、資源価格は上昇から下落へ転じた。中国経済の減速なども拍車をかけ、所得移転の流れも反転した。
ただマネーは企業の内部留保などの形で消費国に滞留している。IMFの16年見通しでは先進国の成長率が2.1%なのに対し、新興国は鈍化してきたとはいえ4.3%に達する。成長センターである新興国にマネーが行き渡りにくくなるだけでなく、資源バブルの調整が長引くことで、「世界経済の回復ペースは高まらない」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)との指摘も出ている。
(川手伊織)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO96759460R30C16A1SHA000/?dg=1
「発送電の分離 改正案が衆院本会議を通過:本旨は料金の自由化、電力会社の利益のため大企業は安く一般家庭は高くなるという話」
http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/368.html
「“旧電力”9社で発電総量の96.5%シェア:その自由化が電力会社に対する“勝手気まま優遇政策”になると理解されぬ日本」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/816.html
「「電力自由化」と電力供給活動の特殊性:「電力自由化」は電力会社の勝手気ままな利益追求を許しかねない政策」
http://www.asyura2.com/12/senkyo142/msg/113.html
【パリ=竹内康雄】24日投開票されたポルトガル大統領選で、中道右派のマルセロ・レベロデソウザ氏(67)が約52%を得票して当選した。3月に就任する。中道左派のコスタ首相との二人三脚の政権運営になる。財政再建派のレベロデソウザ氏の大統領就任を市場は好感しているが、緊縮財政を終わらせると宣言したコスタ首相とどう協調するかが焦点だ。
「社会を分断した選挙の時期は終わった。ポルトガルが経済的、社会的、政治的に一つになるときだ」。24日夜、当選を決めたレベロデソウザ氏はこう勝利演説した。
レベロデソウザ氏はジャーナリスト出身。1990年代後半に社会民主党(中道右派)の党首を務めた。最近はコメンテーターとしてテレビ出演するなど有権者への露出が多く人気が高かった。
ポルトガルの大統領は象徴的な地位にあるが、危機時には首相の任免権や議会の解散権を持つなど重要な役割を果たす。2006年3月に就任した現職のカバコシルバ大統領は11年のポルトガルの危機時に政権を立て直し、指導力を発揮した。
レベロデソウザ氏の最初の課題は政治の安定だ。11年5月に国際通貨基金(IMF)などに財政支援を仰いだポルトガルは社会民主党のコエリョ前首相が緊縮財政路線で改革を進め、14年に支援から脱却した。
だが、年金など公的サービスが削られ、有権者の不満は強かった。
15年10月の総選挙で、コエリョ前首相はいったんは内閣を発足させたが、経済政策を否決されて退陣。最大野党だった社会党(中道左派)のコスタ党首が急進左派政党と連立を組み、首相に就任した。
コスタ氏は緊縮財政路線を終了させると宣言。金融市場では改革路線が後退するとの見方から、10年債利回りは6カ月ぶりの水準に上昇(価格は下落)していた。
25日の同国市場は株高・債券高で始まった。中道右派の大統領で財政再建路線がある程度保たれると、市場が好感したようだ。「積極財政に転じるなど大幅な政策転換は考えにくい」(欧州系証券)という。
[日経新聞1月26日朝刊P.7]
出版業界の調査・研究を手がける出版科学研究所(東京・新宿)は25日、2015年の紙の出版物の推定販売額を発表した。14年比5.3%減の1兆5220億円と、減少率は1950年に調査を始めてから過去最大となった。特に稼ぎ頭の雑誌の落ち込みが深刻で、出版市場は底入れの兆しが見えていない。
前年割れとなるのは11年連続。減少率は14年の4.5%を上回り、過去最大だった。書籍は240万部超の大ヒットになった又吉直樹氏の「火花」(文芸春秋)など文芸書が好調で14年比1.7%減の7419億円にとどまったが、雑誌は同8.4%減の7801億円と大きく落ち込んだ。「15年は雑誌市場の衰退が一気に進んだ」(出版科学研究所)
一方、今回から調査対象に加えた電子出版の市場規模は1502億円で、14年比31.3%増と大幅な伸びとなった。電子化する書籍の点数が増加し、米アマゾン・ドット・コムの「キンドル」向けなどの電子書籍が伸びたほか、NTTドコモの雑誌定額読み放題サービスの売り上げが市場拡大を支えた。とはいえ、紙の落ち込みを補うほどには伸びていないのが実情だ。
紙の出版市場はピークの96年から4割以上落ち込んだ。出版社、卸である取次、書店の3者が中心となる出版流通を維持するのが難しくなっている。本の返品率は4割に達し、返品する際の梱包や物流費用が書店と取次の収益を圧迫している。
昨年6月には、出版取次4位の栗田出版販売(東京・千代田)が法的整理に追い込まれ、今春に3位の大阪屋(大阪府東大阪市)と経営統合する見通し。首位の日本出版販売と2位のトーハンも減収基調に歯止めがかかっていない。
[日経新聞1月26日朝刊P.11]
国内家電市場の縮小に歯止めがかからない。2015年の国内出荷額は白物家電が2年連続、黒物と呼ばれるAV(音響・映像)機器など民生用電子機器は5年連続の前年割れとなった。人口減少という構造的な要因に加え、14年の消費増税の影響も長引いている。経営不振に陥ったシャープや東芝の再建に注目が集まるなか、国内市場の縮小も再編を促す圧力となっている。
日本電機工業会(JEMA)が25日発表した15年の白物家電の出荷額は14年比2.8%減の2兆2043億円だった。不振が目立ったのは大型製品だ。洗濯機や冷蔵庫は少人数家庭向けに「まとめ洗い」「まとめ買い」に対応する製品の需要が高まり、単価は上昇傾向にあるものの、台数では洗濯機が12.0%減、冷蔵庫が10.4%減と大きく落ち込んだ。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した15年の黒物家電の出荷額は6.0%減の1兆2620億円。ボーナス商戦などでかき入れ時の12月も出荷額は前年同月比7.0%減と振るわず、ビックカメラなど家電量販店大手3社も12月はそろって減収だった。
黒物家電の主力の薄型テレビも15年の出荷台数は6.7%減。出荷額では高画質の「4K」対応製品が約4割を占めるまでになったものの、全体では0.5%減とプラスに浮上できなかった。
人口減少や消費増税に加え、国内メーカーの製品に消費者を引き付ける魅力が乏しいことも市場が停滞する要因だ。例えば、2年連続で出荷台数がマイナスの掃除機。家電量販店の店頭では英ダイソンや米アイロボットなどの最新型ロボット掃除機が10万円を超える価格でも好調な売れ行きとなっている。「国内のメーカーは過当競争で疲弊し、製品開発に十分な力を注げていない」(電機業界担当のアナリスト)
韓国は政府が主導し電機メーカーを集約。製品開発と海外展開に力を入れた。結果、東南アジア8カ国の冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンの計32市場のうち15市場でサムスン電子、LG電子の韓国勢がシェア首位に立つ。
日本でも15年末から、経済産業省が所管する官民ファンドの産業革新機構が主導し、東芝とシャープの白物家電の統合が検討されている。シャープは液晶事業の投資の失敗、東芝は不適切会計という不祥事が業績悪化の引き金となった。とはいえ、統合検討の背景に国内市場の縮小という圧力があることは明らかだ。
ただ、企業の再編だけで競争力が強化されるわけではない。消費者のニーズを吸い上げ、魅力のある製品をそろえることが不可欠だ。そのヒントは理美容家電にある。ビックカメラやケーズホールディングスではヘアドライヤーなど理美容家電の売り上げが2桁の伸びを維持している。
理美容家電をシリーズ化し、若年層向け販売促進を展開するパナソニックは「パナのヘアドライヤーは入荷当日に完売する」(家電量販店の売り場担当者)ほど。日立コンシューマ・マーケティングの美顔器も日本製の商品を求めるアジアからの訪日客に人気だ。
高機能、高性能だけでは今どきの消費者は飛びつかない。ニーズの変化をきめ細かく読み取り、製品開発に反映するしなやかさが求められている。
(中藤玲)
[日経新聞1月26日朝刊P.13]
「南シナ海領土論争、台湾は中国の味方につくか?:南シナ海は台湾省管轄の領土・領海なのだから当然」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/633.html
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台湾・馬総統、南沙諸島の島へ 実効支配の太平島、中国は反対せず
【台北=山下和成】台湾の総統府は27日、馬英九総統が28日に南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で台湾当局が実効支配する太平島を訪問すると発表した。駐在者をねぎらう目的というが、南シナ海の領有権問題での台湾の存在感をアピールする狙いがあるもようで、周辺国の反発を招きそうだ。馬氏の残り任期は約4カ月で、訪問を自らの実績の一つとしたい思いもあるようだ。
【北京=山田周平】中国の国務院台湾事務弁公室の馬暁光報道官は27日の記者会見で、台湾の馬英九総統が台湾当局が実効支配する南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島の太平島を訪問する計画について「両岸(中台)同胞には国家主権を守る共同の責任がある」と反対しなかった。
[日経新聞1月28日朝刊P.7]
【上海=土居倫之、ニューヨーク=山下晃】著名投資家のジョージ・ソロス氏が唱えた“中国売り”に中国が警戒感を強めている。中国は外貨準備高が減少しており、世界の投資家に強い影響力を持つソロス氏の発言をきっかけに人民元安や資本流出が加速しかねないためだ。中国共産党が「喉と舌(代弁者)」と位置づける党機関紙の人民日報や国営新華社通信は相次いでソロス氏の主張に対する反論を掲載、中国経済に対する不安払拭に躍起になっている。
「中国経済は絶対にハードランディングしない」。28日、人民日報は1面と2面にこうした記事を掲載した。ソロス氏は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「中国経済のハードランディングは不可避」と発言し、アジア通貨の空売りを宣言した。記事はソロス氏の発言を紹介した上で、「中国の政策ツールは少なくなく、経済が下振れしても中国には対応する能力がある」と主張した。
人民日報は26日にも海外版に商務省研究院の梅新育研究員によるソロス氏への反論を掲載したばかり。梅氏は「中国経済は世界の大国のなかで相対的に好調」と強調し、人民元や香港ドルの空売りなどソロス氏による“中国売り”を一蹴した。
ソロス氏は1992年、英中央銀行のイングランド銀行を相手に回し、英ポンドを売り浴びせたことで一躍有名になった。イングランド銀行は1日に2度も公定歩合を引き上げたが防戦しきれなかった。97年にはタイのバーツなど東南アジア通貨に対する空売りによりアジア通貨危機を招いたとしてマレーシアのマハティール首相(当時)らから批判を浴びた。
ただソロス氏は現在は慈善活動に活動の軸足を移すためファンド規模を縮小し、かつてのような影響力は失われている。それでも中国が警戒感を隠さないのは、人民元を防衛するための手段が限られてきたためだ。
人民銀は昨年8月11日、人民元売買の基準となる対ドルレート「基準値」の設定方法を、前日の市場終値を参考にする方法に改めた。従来と比べて透明性が高まった半面、人民銀にとっては基準値設定の裁量が減り、人民元相場の安定のために為替介入に頼らざるを得なくなっている。
ただ中国の外貨準備は15年に約5千億ドル(約60兆円)減り、23年ぶりの減少を記録した。たび重なる元買い介入は外貨準備の減少を通じてかえってソロス氏のような投資家を元売りに向かわせる逆効果を強めている。
人民元は対ドルで約5年ぶり、上海株は約1年2カ月ぶり安値圏にある。国有メディアが指摘するように中国の経済成長率はまだ相対的な高水準を保っているが、投資家が重視する企業業績は減速が鮮明だ。
バンクオブアメリカ・メリルリンチの株式ストラテジスト、アジェイ・カプール氏は「中国企業は利益率が低下しており、市場はどこまで利益率が下がるのか見極めようとしている」という。
「人民元の空売りをしたいと思っている短期筋は少なくないが、市場の仕組み上、大規模には仕掛けにくい」(米ヘッジファンド)との見方も多い。
[日経新聞1月30日朝刊P.8]
覚醒剤を所持していたとして、警視庁が元プロ野球選手の清原和博容疑者(48)を覚せい剤取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕したことが2日、捜査関係者への取材で分かった。
捜査関係者によると、清原容疑者は2日、東京都港区の自宅で逮捕されたという。
清原容疑者は大阪府出身。高校時代はPL学園高(大阪府)の中心選手として活躍し、甲子園大会に春夏合わせて5回出場し、うち2回の優勝に貢献した。
1986年に西武ライオンズに入団し、96年にフリーエージェント(FA)の権利を行使して読売巨人軍に移籍した。オリックス・バファローズ在籍時の2008年に現役を引退。歴代5位の通算本塁打525本を記録した。
一方、99年には暴力団関係者とゴルフをしたとして巨人から厳重注意を受けた。引退後は野球解説者やタレントとして活動したが、週刊誌などで違法薬物の使用疑惑などを報じられていた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02HC5_S6A200C1CC1000/?dg=1
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部への移設を巡り、国が翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しの撤回を求めた「代執行訴訟」で、福岡高裁那覇支部が国、県に示した和解案の内容が2日分かった。
関係者によると和解案は(1)県が承認取り消しを撤回し、国は移設した施設を使用開始後30年以内に返還または軍民共用施設にできるよう米政府と交渉する(2)国が訴訟を取り下げて工事も中止し、県と再度協議する――との2案。
高裁は1月29日に開いた3回目の弁論で和解案を提示。翁長知事らは「根本的な解決案」と「暫定的な解決案」の2案を提示されたと説明していた。高裁は翁長氏と名護市の稲嶺進市長への証人尋問をした上で2月29日に結審する方針を示している。
政府高官は2日夜、和解案について「(工事再開の)判断はもう下っている」と述べ、受け入れに慎重な姿勢を示した。別の政府関係者は「和解案を尊重はするが、中身はこれから精査する」と語った。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS02H5V_S6A200C1PP8000/?n_cid=TPRN0006
米国大統領選挙へむけた候補者選びの場となるアイオワ州党員集会で、民主党では元米国務長官のヒラリー・クリントン氏が49.86%を獲得。一方、それに最も近いライバル候補であるバーモント州出身のバーニー・サンダース上院議員もクリントン氏にせまる49.57%を集めた。
クリントン候補は、サンダース候補とのわずかな票差にもかかわらず、投票結果に安堵感を覚えたとする声明を表した。ロイター通信が報じた。一方のサンダース候補は結果に驚きを禁じえないとして、9ヶ月前、初めてアイオワ州に来た当時を振り返り、「我々には政治組織もなく、資金もなく、我々の名前など知る者はいなかった」と感慨を語った。
一方の共和党支持者による投票では、開票率99.94%の時点でテキサス州出身のテッド・クルーズ上院議員が27.65%でトップに、続いて最も接戦するライバルのドナルド・トランプ氏が24.31%、3位にはフロリダ出身のマルコ・ルビオ上院議員が23.09%でつけている。
ロイター通信によればトランプ候補はクルーズ氏の勝利を祝福した。その上でトランプ氏は依然として自分が共和党推薦候補に選ばれる希望を捨てていないと語っている。
http://jp.sputniknews.com/us/20160202/1540564.html
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米大統領候補指名争いアイオワでの初戦 共和党クルーズ氏 トランプ氏を破る[スプートニク日本語]
2016年02月02日 15:10(アップデート 2016年02月02日 17:47)
米大統領選挙の共和党候補を選ぶアイオワ州党員集会での最初の選挙で、テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員が、ライバルの不動産王、ドナルド・トランプ氏を破った。火曜日、BBCニュースが伝えた。
なお三位には、フロリダ州選出のマルコ・ルビオ上院議員が入った。
トランプ氏は、すべての候補と投票に参加した人々を祝福し「二位を占めた事は、自分にとって大きな名誉だ。自分が共和党から大統領候補として出馬する事を確信している」と述べ「アイオワに農場を買うかもしれない」と語った。
共和党の大統領候補を選ぶアイオワ州党員集会での投票結果について、各候補者の得票率は、中間発表で以下の通り。
テッド・クルーズ 27,7%
ドナルド・トランプ 24,4%
マルコ・ルビオ 23%
ベン・カールソン 9,3%
その他の候補の得票率の総計は5%
一方民主党の候補者選びの方は、今も勝利者が決まっていない。ほぼ89%の集計で、ヒラリー・クリントン前国務長官とバーニー・サンダース上院議員が、その差1%に満たない大接戦を繰り広げている。
なおマーティン・オマリー前メリーランド州知事は、大統領指名争いからの撤退を明らかにした。
【ジュネーブ=原克彦】世界の電波利用方法などを管理する国際電気通信連合(ITU)は2日、北朝鮮から地球観測衛星を打ち上げるとの通知を受けたことを明らかにした。実施する時期などについては言及していないという。事実上のミサイル発射実験となる可能性もある。
ITU報道官によると、通知は北朝鮮の駐ジュネーブ国際機関代表部から書面で受け取った。人工衛星の名称は過去にも同国が打ち上げに成功したと主張している「光明星」(クアンミョンソン)。4年間利用する計画だとしている。
ただ、打ち上げの時期や利用する周波数などが明示されていないため、ITUは北朝鮮側に詳細を確認する意向だ。ITUによると北朝鮮は2年前にも衛星の打ち上げを通知してきたことがある。ただ、それが本当に人工衛星だったかどうかは確認できていない。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM02H8O_S6A200C1MM8000/?dg=1
オバマ米大統領は、欧州のNATO加盟国に配備する重火器、装甲車、その他の装備の数を大幅に増やす計画。オバマ政権はこのような形でロシアのプーチン大統領にシグナルを送ろうとしている。2日付けのニューヨークタイムズ紙が報じた。
ニューヨークタイムズ紙によると、オバマ政権は2017年の欧州での軍事費として約34億ドルの予算を要請する計画。これは、すでに欧州用軍事費として編成されている予算の4倍だ。
ニューヨークタイムズ紙は、次のように指摘している−
「NATOの追加装備の規模は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領へ、西側は地域におけるロシアの行動を今も疑わしく思っているというシグナルを送ることを計算したものだ」。
政府関係者らはまた、この軍事費増大の目的は「ロシアを押さえ込む」ためだけではないと指摘している。
兵器や装備は、NATOの南の境界の国々に追加配備される可能性があり、そこではテロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」との戦いや、シリアからの難民流入を抑えるために使用される可能性があるという。
韓国の与党セヌリ党のキム・ムソン(金武星)党首は「自国領内に、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム『THAAD(終末高高度防衛ミサイル: Terminal High Altitude Area Defense missile;サードミサイル)』を展開する合意を結ぶ必要がある」と考えている。キム党首の意見では、北朝鮮の核問題に対し消極的に反応する事は出来ない、との事だ。
韓国領内に米国がTHAAD(サード)ミサイル防衛システムを配備するという問題は、大分以前から論議されており、専門家の大部分は、遅かれ早かれそれが韓国領内に出現する事を疑っていない。しかし韓国は、米国のミサイル防衛システム配備問題を利用する事を決めたようだ。ロシア科学アカデミー経済研究所コリア・プログラムの責任者、ゲオルギイ・トロラヤ氏は、そう考えている-
「まず第一に、韓国当局は、米国と取引をしながら、米国から二国間関係の他の分野での更なる譲歩を得ようと欲している。そして同時に、朝鮮半島へのミサイル防衛システム配備に対し激しく反対している中国に、韓国は、自分達には米国当局から独立した自主的な政策を行う能力がある事を示したいと思っている。現在北朝鮮が、核実験実施とミサイルの打上げに向けた準備を明言した事により、韓国南部でのTHAAD展開に関する議論が、再び活発化するに至った。」
韓国のハン・ミング(韓民求)国防相も、自国領内に一つあるいは数個のTHAAD(サードミサイル)中隊を配備する事に積極的に賛成している。
国防相は、もし配備されれば、韓国は、これまでよりもっと効率的に、北のミサイルの脅威に対抗できると考えている。しかし韓国内には、配備に反対する人達も多い。彼らは、THAAD(サードミサイル)システムの配備は、北東アジアに地域的なミサイル防衛システムを作ろうとする計画に韓国当局を引き込もうとする米国の、より広範な試みの一部であるとして懸念を表している。
ロシア科学アカデミー経済研究所コリア・プログラムの責任者、ゲオルギイ・トロラヤ氏は「こうした論拠は、大部分の専門家にとっては、北朝鮮の脅威などより、もっと現実的に思える」と指摘し、次のように続けた-
「ミサイル防衛システムが北朝鮮にのみ向けられたものだとの説明を、専門家達は、実際上、納得していない。なぜなら、北朝鮮のミサイルは、それほど多くないからだ。それゆえ、恐らく米国のシステムは、北朝鮮抑止だけのためでなないだろう。北東アジアの対ミサイル地域防衛システムづくりの問題は、米政府の努力によって、徐々に現実的性格を帯びつつある。こうした事は、言うまでもなく、中国にとって悪いことであり、ロシアにとっても大変良いこととは言い難い。おまけに、この地域における米国のミサイル防衛システムが、まず第一に、中国抑止に向けた米国の世界戦略の一環であるとの見方を、専門家らは決して否定していない。」
実際のところ中国は、対外活動において、これまでより大きな自主性を発揮し始めており、自分達の国益を一層断固に守ろうとし始めた。その事は、米国や日本、そして中国の近隣諸国の不満を呼び起こしている。しかし朝鮮半島に、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム、「THAAD(サードミサイル)」システムが配備されるならば、それはアジア太平洋地域の緊張を高めるだけだ。おまけに、北朝鮮当局とのいかなる対話もないという条件のもとでは、そうした状況は、抑止につながらないばかりか、あべこべに北朝鮮が、自国の核プログラム改善を進める励みになってしまう。
いずれにしろ、アジアをめぐる米中の“対立”は、出来レースとは言わなくとも、管理された政治的駆け引きである。
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米国、南シナ海を舞台に「航行の自由」でなく「中国の忍耐力」を試す
2016年02月02日 16:32(アップデート 2016年02月02日 21:23)
1月30日、「航行の自由」なるものを口実に、米国の駆逐艦が中国の西沙諸島領海に侵入した。中国外務省の陸慷(ルー・カン)報道官は1日の会見で、米国が長年標榜している「航行の自由計画」は国際法に反しており、多くの沿岸諸国の主権、安全、海洋権益を侵しており、地域の平和と安定を深刻に侵害している、と述べた。しかし、米国は、諸島から12海里の海域を中国領海とは見なしていない。違法に建設された人工島は領海の根拠とならない、との主張である。
駆逐艦や戦闘機を使い、南シナ海の係争諸島周辺で中国の忍耐力をテストする試みは、これが初めてではない。これはお決まりの挑発行動なのだ。そう語るのは、ロシア科学アカデミー東洋学研究所のドミートリイ・モシャコフ氏だ。
「情勢は加熱している。偵察及び哨戒用航空機・艦船の間に何らかの衝突が発生し、それがより深刻な紛争に発展する恐れは大いにある。米国はあの手この手で中国を挑発し、中国に対し、中国が自国のものと主張する領域を防衛する行動をとらせようとしている。このことが非常に深刻な紛争を引き起こす可能性もある」
米国防総省は何のために南シナ海における活動を活性化させているのか?軍事専門家のコンスタンチン・シフコフ氏は次のように述べている。
「米国は中国に軍事的圧力をかけることで、地域における覇権を守り抜く、との意思を誇示しているのだ。そうすることで米国は、中東でロシアを支援しようとする中国の試みを撤回させようとしている。中国は今、中東および北アフリカにおける影響力、特に軍事的影響力を拡大しようとしている。さらに、このことは、中国を最重要敵国と規定する米国の戦略の一部をなすものでもある。米軍の艦船の南シナ海にけるプレゼンスは、そうした戦略の一部なのである」
南シナ海における領海に米軍の駆逐艦が侵入したことに対する中国のリアクションとして、主権侵害に対する外交的抗議のほかに、どのような行動がありえるか。ロシア軍戦略ミサイル部隊司令官補、ヴィクトル・エシン氏は次のように述べた。
「米軍の艦船が島に近寄れないようにと、中国の軍艦が派遣される可能性もなくはないが、直接的な軍事衝突まで事態が発展するとは思わない。中国は艦隊の増強に力を入れている。通常兵器搭載艦の改良だけでなく、大陸間弾道ミサイルを搭載した戦略潜水艦の開発も行なっている」
専門家によれば、中国は米国の戦艦に対し、攻撃力をもった戦闘機を派遣する可能性もあるという。中国側は今回、駆逐艦を監視下に置き、乗員に警告を行なうにとどまっていた。
イタリア人外科医のセルジオ・カナベーロ氏は、世界初の頭部移植手術を計画している。カナベーロ医師の同プロジェクトは現在進行中で、今世界中で話題になっている。カナベーロ医師は研究を続けており、最新の実験結果を発表した。この結果は、頭部に脊髄を「接合する」可能性を裏付けているという。すでにロシア、中国、ベトナムを含む数カ国が、同プロジェクトに関心を表した。カナベーロ医師は、通信社「スプートニク」のインタビューで、新たな詳細について語った―
スプートニク:プロジェクトで何か新しいことはありましたか?
カナベーロ医師:最近私たちは、脊髄移植の可能性を証明することに成功しました。私たちは韓国でラットを使って頭部移植に関する一連の実験を行いました。ラットの脊髄は手術後も機能し続け、ラットは再び動くことができました。サルを使って行った同様の手術も、成功しました。私たちは最近ベトナムで実験を行うよう提案を受けました。これは世界で私たちの実験の重要性を理解する人が増え始めていることを物語っています。
スプートニク:ロシア人のワレリー・スピリドノフさんが、世界で初めて頭部移植手術を受ける患者として名乗りを上げました。プロジェクトにロシアが参加することについて、新しいニュースはありますか?
カナベーロ医師:私が話をしたロシアの同僚たちは、プロジェクトにとても関心を持っており、私は素晴らしい印象を受けましたが、ワレリーさんの手術費用は、まだ足りないのです。私は数人の大富豪に資金面での支援を求めました。
必要な資金が調達できれば、私たちは同プロジェクトを一緒に実現することができるでしょう。もしプロジェクトが必要な速度で進展したならば、私たちは2017年にも手術を行う計画です。
スプートニク:ワレリーさんは外国で手術を受けることができません。彼にとって唯一のチャンスは、誰かがロシアのプログラムに投資することだと思うのですが、そうですよね?
カナベーロ医師:その通りです。この手術はロシアで実施する必要があります。そのため私は、同プロジェクトに人々の関心を惹きつけるためにあらゆる努力をしているのです。たとえば、米国でこのような手術を実施するのは不可能です。米国の学者たちはプロジェクトへの参加を望んだでしょうが、米国にはプロジェクトの実現を阻止する法律家や人権擁護活動家がたくさんいすぎるのです。
http://jp.sputniknews.com/science/20160202/1534133.html
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イタリア人外科医がロシア人プログラマーの頭を移植へ(スプートニクへのインタビュー)[スプートニク日本語]
2015年09月09日 13:41(アップデート 2015年09月09日 14:25)
ロシアのウラジミル市出身のプログラマーのヴァレリー・スピリドフノフ氏は世界で初めて頭部の移植手術を受けることになるかもしれない。2015年2月末、イタリア人外科医のセルジオ・カナヴェッロ氏は頭部移植手術を2017年に行う計画を明らかにしていた。
ラジオ「スプートニク」は手術を受けようというヴァレリー・スピリドフノフ氏にインタビューを行った。
Q:手術はいつ、どこで行われる予定ですか?
A:「カナヴェロ医師の考えでは全て計画通りにいって2年後。この時間はあらゆる科学的計算を技術的に確認し、プロセスの詳細を計画するのに絶対必要だ。
生きている人間に行う手術自体、医師と被験者が99%の成功を確信できて初めて出来るものであることは間違いない。
あまりに高価な安楽死の美しい映像をとるための手術を行うというのは、我々の計画には入っていない。手術を行う場所は私の知る限りではまだ決まっていない。」
Q:新たな体になったとき、何を最初にやりたいですか?
A:「休暇をとりたい! 今はまだたくさん仕事をせねばならないが、もう何年もバカンスをとっていないからね。
ただ正直いうと、自立性、独立性を取り戻すというプロセスは重病人にはきつい時間だ。それらを手にしたら、今ある自分より多少健康な人間が送る普通の生活がどれだけ素晴らしいものか、味わおうと思う。」
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英外相 ロシアがシリア紛争を長引かせているとして非難[スプートニク日本語]
2016年02月02日 14:20(アップデート 2016年02月02日 21:44)
英国のハモンド外相は、シリアでのロシア航空宇宙軍の攻撃について、シリア紛争が続き、難民問題が悪化している原因となっているとの見方を表した。
ヨルダンのザータリ難民キャンプを訪れたハモンド外相は、次のように述べた−
「シリアにおけるロシアの空爆は、(シリアの)政権に生き残りの新たなチャンスを与えている。これは全ての人にとって悪いニュースだ。彼ら(ロシア人)は、シリア紛争が続く責任を負っている」。インディペンデント紙が報じた。
またハモンド外相は、「これは私にとって常に失望の源となっている。なぜなら私たちが行っていることは全てロシア人によって台無しにされているからだ」と語った。
現在ザータリ難民キャンプには、戦争から逃れてきた約8万人のシリア人がいる。
ハモンド外相は、さらに次のように語った−
「シリアでロシアの介入が始まってから、同キャンプからシリアへ帰ることを望んでいた可能性のある人々の計画は葬り去られた。ここからわずか数キロメートルのシリア南部などにおけるロシアの行動によって、難民の新たな流入が起こった」。
ロシアは2015年9月30日、シリア大統領の要請を受け、シリア領内の「IS(イスラム国)」に対するピンポイント攻撃を開始。
この間にロシア軍は数百回の空爆を行い、ISのテロリスト養成キャンプ、司令部、武器弾薬庫などを殲滅。ロシア航空宇宙軍の支援により、シリア軍は空からテロリストらへの活発な攻撃を続けている。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160202/1537974.html
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露外相 英外相はシリアでのロシアの作戦についてクレームをつけなかった[スプートニク日本語]
2016年02月02日 20:48(アップデート 2016年02月02日 22:41)
ロシアのラヴロフ外相は、英国のハモンド外相と会談した。ラヴロフ外相は、ハモンド外相が会談で、シリアでのロシアの作戦についてクレームをつけなかったことを明らかにした。
ラヴロフ外相は記者団に、次のように述べた−
「ハモンド外相は、具体的なクレームを一切言わなかった。全体的に協力を呼びかけている」。
先に英国のハモンド外相は「シリアにおけるロシアの行動は『ダーイシュ(IS,イスラム国)』の立場を強化している。なぜなら、彼らが空爆しているのは、ダーイシュではなく、穏健派在野勢力の陣地だからだ」と述べた。また外相は「シリアにおけるロシアの行動は、難民問題を深刻化させている」とも指摘した。
また火曜日、ロシア外務省のマリヤ・ザハロワ報道官は、「ロシアとイランは、シリア問題の調整を妨害している」との英国のハモンド外相の発言をコメントし「そうした声明は、危険なニセ情報をばら撒くものだ」と批判した。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160202/1537435.html
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露大統領報道官「シリアでのロシアの行動に関する英当局の声明を真剣に受け止める事はできない」[スプートニク日本語]
2016年02月02日 19:45(アップデート 2016年02月02日 21:58)
ロシアのドミトリイ・ペスコフ大統領報道官は「英国政府は、ロシアに対し、シリアでの紛争を扇動していると非難したが、そうしたものを真剣に受け止める事は出来ない。そうした非難は、根拠薄弱であり、シリアにおけるロシアの努力の本質に矛盾している」と述べた。
ペスコフ大統領報道官は、英外務省の声明について、記者団に次のようにコメントした-
「ああした声明に真面目に接する事などできない。ロシアは、テロリストとの戦いにおいてシリアの人々を助けるため、巨大な努力を傾けている。テロリストらは、シリアにとってのみならず、世界全体にとっても脅威である。ゆえに英当局の声明は、ロシアの努力の本質に矛盾している。」
先に英国のハモンド外相は「シリアにおけるロシアの行動は『ダーイシュ(IS,イスラム国)』の立場を強化している。なぜなら、彼らが空爆しているのは、ダーイシュではなく、穏健派在野勢力の陣地だからだ」と述べた。また外相は「シリアにおけるロシアの行動は、難民問題を深刻化させている」とも指摘した。
また火曜日、ロシア外務省のマリヤ・ザハロワ報道官は、「ロシアとイランは、シリア問題の調整を妨害している」との英国のハモンド外相の発言をコメントし「そうした声明は、危険なニセ情報をばら撒くものだ」と批判した。
エジプトのシナイ半島で墜落したロシア機A−321型機の機内で起こったテロは、トルコの民族主義組織「灰色の狼」が準備した可能性がある。ロシア紙「コメルサント」が、ロシア情報機関筋の話として伝えた。
コメルサント紙は、次のように報じたー
「ロシア連邦保安庁では、ロシア機の機内で起こった爆発の背後には、『ダーイシュ(IS、イスラム国)』と関連を持ち、エジプトを含む他の多くのアラブ諸国で活動しているトルコの過激派民族主義組織『灰色の狼』のメンバーがいる可能性があると考えられている」。
情報筋によると、1960年代末にトルコで発足した民族主義組織「灰色の狼」は、チェチェンでの戦闘に参加した。「灰色の狼」は、チェチェン戦闘員への武器供給を組織したという。また「灰色の狼」のリーダーの一人、アルパルスラン・チェリク(32)容疑者は、昨年11月24日にトルコに撃墜されたロシア機スホイ24から脱出したロシア人パイロットがシリアで銃殺された事件で、犯行声明を出した。
10月31日、エジプトのシャルム・エル・シェイクからロシアのサンクトペテルブルグに向かっていたロシア機A-321型機がエジプトに墜落し、乗客217人、乗員7人全員が死亡した。これはロシアおよびソ連の航空史上最大の事故となった。
イラクやアフガニスタン、その他のホッとポイントで米国旗のもと世界中で民主主義のために戦った多くの元参戦軍人が、今や国には必要なしとされ、強制送還された。米国Foxnewsが伝えた。
同TVは、ヘクター・バラハス氏(38歳)の人生を紹介している。彼は、7歳の時にメキシコから米国に渡り、1995年から2001年まで米軍に所属していたが、彼が人生の大部分を捧げた国の市民には、結局なれなかった。彼が最初にメキシコに強制送還されたのは、2004年だった。その時、彼の車から銃火器が発見されたからであった。その後2009年に、再び強制送還された。彼は、メキシコのティフアナ(バハ・カリフォルニア州の北部、米国との国境にある都市)に居住し、米退役軍人支援ハウスを設立した。家族は、今も米カリフォルニア州に残っている。
支援ハウスには、普通の生活に適応できなかった元軍人数名が住んでいる。ヘクター氏の話では、彼は、軍を退いた後、米国から自分が生まれた国、ボスニアからエクアドル、ガーナなど22カ国に強制送還された元軍人約300人を個人的に知っているとのことだ。
TV報道によれば、運命の皮肉によって、ヘクター氏のような軍人は、紛争地で戦った退役軍人としての特典があるものの、強制送還の状態にあるため、それを受けられないでいる。
元参戦軍人達自身の証言では、米国から強制退去させられた元軍人の数に関する正確なデータはないという。彼らは通常、自分達が生まれた国に送られるが、その際、米政府は、退役軍人達が自分の生まれた国と何の関係も持ちえない事など考慮しない。米国から追い出された元軍人の大部分は、グリーンカードの取得者だった。
米国防総省は、次のように説明している-「米軍では様々なポストで、ほぼ6万5千人の『非米国系市民』が勤務している。彼らが軍務に携わろうとする主な理由は、それによって市民権の手続きが加速化されるからだ。しかしだからと言って、それが強制送還から彼らを守ってくれるわけではない。」
ヘクター氏は、TV取材に対し、次のように述べた-
「私には今も、アーリントン墓地に葬られる権利がある。しかし生きているうちは、米国には帰国出来ない。恐らく、私が死んで初めて、私には米国籍が与えられ、私に対し感謝の言葉が送られるのだろう。」
また新聞「ヴェテランズ・トゥデイ」のゴードン・ダフ編集長は、TV「ロシア・トゥデイ(Veterans Today)」のインタビューの中で、次のように語っている-
「退役軍人の多くは、心理面での支援を必要としている。米国防総省のデータによれば、2012年だけで、アフガニスタンやイラクでの戦闘に参加した軍人、およそ6500人が自ら命を絶った。つまり1時間半ごとに、米国の元参戦軍人1人が、自主的にこの世を去る決心をしているのだ。そして、積極的な軍務についている軍人全体の約35%が、何らかの精神障害に苦しんでいる。
刑務所や精神障害者のためのクリニック、ホームレスの人達の一時避難施設などは、元参戦軍人で一杯だ。」
大統領府は、戦闘行為に加わった人達のケアについて、あらゆる事を口にし、彼らに住居を保証すると約束している。しかし、運よく米国内に残れたものでさえ、自分の新生活を見つける事が出来ず、社会の階段を転げ落ちている。
2014年のデータによれば、米国内では、元参戦軍人5万人がホームレスとなっている。もちろんこの数字は、こうした不愉快な数字を減らす最良の方法とは到底言えないが、統計の外にある元軍人を含めていないので、実際は明らかにもっと多くなるだろう。
2月1日、沖縄県は「国地方係争処理委員会」が県側の申し出を却下したことを不服として、訴訟を起こした。沖縄県の翁長知事は昨年10月に、前知事の仲井真氏が承認した辺野古埋め立ての取り消しを行った。これに対し国交省は埋め立て取り消しの効力を停止。県側はこれを不服として国地方係争処理委員会に調査を申し出たものの、同委員会は却下している。県と国との法廷対決はこれで三件目となった。
県と国の対立に焦点が当たる現状に対して、呉屋宏(ごや・ひろし)沖縄県議会議員は、あらゆる選挙の争点が基地問題ばかりになるのは県民にとって不幸なことであり、基地移設問題については地方選挙ではなく国政選挙で是非を問うべきだと指摘している。
呉屋議員「県議会選挙が6月5日にあります。私は、県内同士で普天間飛行場の移設先として辺野古が是なのか非なのか、ということを問うべきではないと思っています。ただ、そこにいつも持ち込まれるのですが、オール沖縄側の反対と、自民党側の賛成という形でぶつかり合いになり、県議の48の議席をどちらが多く取るか、ということにマスコミは争点を見出したいと思っているはずです。県議選は地域の問題を問うべきなのに、基地問題ばかりが争点になるのは不幸なことだと思っています。参議院選挙は、県議選とは様相が違います。他県はともかく、沖縄県だけは、国の考えが是なのか非なのかということが問われる可能性が大いにある。県議選とは違って、それが問われる選挙でもいいと思います。与党側が出している辺野古移設案に対して国のやり方が間違っているということになると、自民党の候補者は落選するでしょう。国政選挙なのか地方選挙なのかによって、争点に辺野古をもちこんで良いかどうかが変わってくると思います。」
スプートニク「三件の法廷闘争が平行して進んでいる異常な事態です。今後の沖縄県の姿に危機感を感じる人も多く、本土では基地の引き取り運動なども出てきていますが、国と県との妥協は今後あり得るのか、歩み寄りの可能性についてどう思いますか。」
呉屋議員「政治は妥協の産物だと思っています。100かゼロかではなくて、お互いに60点、70点が取れるのなら、そこで決着をつけるべきです。翁長知事は『海は絶対に埋め立てさせない』と主張しています。まさに知事はこれを争点にして戦ってきました。この主張が勝利するということになれば、一定の沖縄県民の意思が反映されるということになります。ですからこれはこれで大事です。一方で国は、県民の代表である前知事の仲井真氏によって辺野古埋め立ての承認をもらったことになっていますから、そこは行政側の手続きの問題です。それが今現在進んでいる裁判の問題であり、双方とも譲れないと思っているんですね。
そうしますと県側の『海を埋め立てさせない』ということと、『宜野湾市から普天間飛行場を一日も早く移転させる』という政府側の意向、この両方を決着させるためには、キャンプ・シュワブの海側を埋めたてるのではなくて、陸上側の射爆場に基地移設するのが妥協案ではないかと思います。それを進めれば、政府は普天間飛行場を移設させた、ということに対し実績がつくでしょう。そして知事側の、海を埋め立てさせないという条件も満たすことになります。もし海上に海兵隊が船を接岸できる場所を作り、飛行場を山側に作れば、飛行機はキャンプ・シュワブの、海兵隊の基地の上を飛んでいくわけですから、民間施設の上を飛行させないような条件をつければお互いに50か60点取れるのではないかと思います。」
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トルコ大統領の会談の意思をプーチン大統領は把握[スプートニク日本語]
2016年02月01日 22:27(アップデート 2016年02月01日 22:28)
プーチン大統領にはトルコのエルドアン大統領が会談の意思を持っていることは伝えられている。タス通信が報じた。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は「プーチン大統領にはエルドアン大統領の意向は伝えられている」と語っている。
この報告を受けて、プーチン大統領がどう反応をしめしたかについては、ペスコフ報道官は明らかにしていない。
エルドアン大統領は、ロシアのスホイ43があたかもトルコの領空を侵犯との発表が行なわれた後、プーチン大統領との会談を望むとの声明を表していた。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160201/1531094.html
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トルコ、ロシアと「トルコ・ストリーム」について討議する必要あり[スプートニク日本語]
2016年02月02日 14:25(アップデート 2016年02月02日 17:48)
トルコ政府は、今も変わらずガスパイプライン「トルコ・ストリーム」を商業的プロジェクトとして評価しており「トルコとロシア両国は、合意の詳細について交渉する必要がある」と捉えている。ワシントンのトルコ使節団の副代表トゥガイ・トゥンジェル氏は、スプートニク通信の取材に対し、そうした立場を明らかにした。
トゥンジェル副代表は、次のように伝えた-
「我々は『トルコ・ストリーム』を今でもやはり、商業プロジェクトとみなしている。もしロシアが交渉を欲するのであれば、我々は、出かけて行って、それを話し合う事ができる。双方は、テーブルについて、10年前に我々がガスパイプラインに関しどうしたか、合意の詳細を討議すべきだ。」
ロシア・トルコ関係は、2015年11月24日シリアでロシアのスホイ24爆撃機がトルコ側により撃墜された事件の後、危機的状況となっている。
2015年11月24日、ロシア機スホイ24が、シリアで墜落した。ロシアのプーチン大統領は、ロシア機について、シリア上空でトルコのF−16戦闘機の「空対空」型ミサイルによって撃墜され、トルコとの国境から4キロのシリアで墜落したと発表した。プーチン大統領は、テロリストの共犯者たちによる「裏切り行為だ」と指摘した。
ロシア国防省の声明によると、パイロット1人は脱出して降りる最中に地上から攻撃されて死亡、またパイロットの救助作業を行っていたヘリコプター「ミル8」も攻撃され、作業に参加してした海兵隊員1人が死亡した。
アフガン復興担当特別検査官ジョン・ソポコ氏は米議会に報告書を提出した。それによれば、タリバンは2001年の米軍による介入以降、同国の広範な領土を支配している。
1130億ドルを超える莫大な投資がなされたにもかかわらず、同国のインフラは依然として悲嘆すべき状態だという。
監査により、3年間のあいだに各班が使用した170億ドル分の投資が「疑わしい」出費に分類されたという。
ソプコ氏は昨年12月、既に、米国の拠出した資金のうち、相当な金額が、疑わしい目的に使われている、と指摘していた。氏は国防総省に対し、イラク・アフガンの経済インフラ再建を担う小規模な班に対してなぜ1億5000万ドルが使用されたのか、書面で照会を行った。
氏は書簡の中で、豪華なヴィラに住み、贅沢な食事をし、警備員を雇ったこの班から、米国はどのような利益を得たのか、理解に苦しむ、と記した。班が他の米軍人と同様に軍事基地に起居したなら出費は各段に少なくできたはずだ、とソプコ氏。
NBCによれば、国防総省は、「オバマ大統領は大統領任期の終了までに全軍人を撤退させることを公約しているが、現状をみるに、それよりはるかに長い期間、米軍は滞在する必要がありそうだ」との結論に近づいている。
米議会上院軍事委員会のジョン・マケイン委員長は米軍アフガン部隊の新司令官らとの会談で、米国の努力はむなしく、情勢はむしろ悪化している、と結論づけている。
「ロシア軍Su24M撃墜をめぐる虚実と目的[参考]:「テロとの戦い」の名目で進められる国際大連合による“イスラム改革”」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/823.html
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米国政治学者:米国にはもはや中東に明瞭な目的がない[スプートニク日本語]
2016年01月31日 19:33
米国にはもはや中東政策における明らかな目的理解がない。米国の政治学者でハーバード大教授のスティーヴン・ウォルト氏が述べた。米国政府は自らの知恵や意思に余るような問題を解決することをやめるべきだ、と同氏。論文がフォーリン・ポリシーに掲載された。リア・ノーヴォスチが伝えた。
「我々のもつ非常に強力な影響力は大した利益をもたらしてはいない。中東における我々の戦略的利益は低下している。同盟諸国のいずれも、無条件の支持を見せていない」。ウォルト氏は以上の様に述べ、さらに次のように続けた。
原油の価格下落と供給過剰で米国の中東介入の合目的性が疑問になっている。この20年の米国の「成績表」は、現実的な目標を設定し、それを達成することにかける米政府の能力を疑問視させる。
いま米国には、中東に具体的な敵もいなければ、信頼できる同盟者もいない。慣れ親しんだ軍事的手段でアクチュアルな問題を解決することは不可能だ。地域に必要なのは効果的な政治機関なのだが、それを創造することにかけては、米軍はあまり手練れではない。そのことはアフガンの経験に示されている。
ウォルト氏は以上のように述べた。
WHOは、問題のプライオリティというか順序性の認識がズレれている。
今回の問題は、ブラジルにおける小頭症新生児の異常と言える急増であり、感染者本人は無自覚か軽い症状のZIKAウイルス感染(ZIKA熱発症)拡大ではない。
むろん、小頭症新生児増加の原因がZIKAウイルス感染である可能性は排除できないから、確実な達成は困難だとしても、蚊の発生を抑えたり蚊に刺されることを回避したりする努力は必要である。
小頭症問題を脇におくと、病態としては、ZIKA熱よりもデング熱のほうがずっと深刻である。
感染拡大地域の気候や季節さらには生活インフラ条件を考えると、生活圏で蚊の発生源をなくすことはムリで蚊に刺されることも日常的出来事である上に、ウイルスに感染しても80%ほどのヒトは発症しないとも言われているZIKA熱を小頭症新生児急増の“主犯”に祭り上げても、関係地域の人々に処理できない不安感を増長させるだけである。
蚊を媒介とするZIKA熱は、エイズとほぼ同じ感染経路であるエボラ出血熱よりも、病因のウイルス感染を避けるのは難しい。
妊婦(妊娠可能性のある女性を含め)に対し蚊に刺されないよう注意(宗教的に難しいが避妊で妊娠の先延ばしも:ブラジルでは一般的に妊娠中絶は違法)を喚起しつつ、WHOや研究者が総力をあげてやるべきことは、ブラジル(しかも中部東端のレシフェ周辺に集中:昨年の小頭症新生児の1/3)で小頭症が増加している原因について、ZIKAウイルス以外の可能性をピックアップし調査することである。
コロンビア・ベネズエラ・中米など、ブラジル以外のZIKA熱流行地域では小頭症新生児の顕著な増加は見られないという。
仮に、ブラジルにおける小頭症新生児急増がZIKAウイルス感染に起因していると想定しても、他の地域で感染しているZIKAウイルスとは“型”が違うことも考えられる。
小頭症新生児がレシフェに集中していることを奇貨として、小頭症新生児を生んだレシフェ周辺の女性の妊娠直前から妊娠期間について、医学的なものを含む“摂取物”などで何か変わったものや変わったことはなかったのかを調査することが重要である。
また、小頭症ではない新生児を産んだ女性のZIKAウイルス感染チェックも不可欠である。
(転載する記事では、「亡くなった小頭症の赤ちゃんの血液や、出産後の母親の羊水からジカウイルスが検出されている」とあるが、BBSニュースなどによるとZIKAウイルスが原因と言えるほどの検出頻度ではないという。感染が拡大した昨年5月以降に出産したケースでは、高い比率でZIKAウイルスが検出されるのは自然である)
小頭症増加の主因はZIKAウイルス感染という“仮説”をいたずらに拡大させるだけでは、別種の社会的医学的問題を発生させてしまい問題の解決から遠ざかってしまうだろう。
※ 蚊の媒介だけでなく性的交渉でも感染の疑い
「ジカ熱 米で渡航歴ない患者を初めて確認」[NHK]
2月3日 11時18分
中南米を中心に感染が拡大しているジカ熱について、アメリカで感染が報告された地域への渡航歴がない患者が初めて確認され、地元の保健当局が性交渉によって感染した可能性を示唆していることから、国が詳しい感染経路を調べています。
(以下略)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160203/k10010395451000.html
※ 陰謀論的な話になるが、ZIKAウイルス感染問題は、一昨年(14年)、代々木公園などの都内や千葉での蚊刺されに起因すると推定された「デング熱騒動」(意図的にデング熱ウイルスを拡散したと邪推)とのつながりを感じる。
※関連投稿
「北朝鮮、「エボラ出血熱蔓延の責任者はアメリカ」:“囚われの思考”でない限り、それに近い判断に至るのは自然」
http://www.asyura2.com/09/gm15/msg/296.html
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ジカ熱 知っておきたい6つの事[NHK]
2月3日 21時16分
中南米を中心に、蚊を媒介とするウイルス性の感染症「ジカ熱」の感染が広がっています。
これまでに20以上の国や地域で患者が報告され、WHO=世界保健機関は、感染の規模は最大で400万人に上るおそれがあると指摘しています。
また、ブラジルでは、流行と同じ時期に、生まれつき頭部が小さく、脳の発達に遅れが見られる「小頭症」の赤ちゃんが相次いで報告され、関連が疑われています。
まもなく開催されるカーニバルや夏のオリンピックで注目の集まるブラジル。旅行などを計画している人も多いと思いますが、渡航の際、どんなことに気をつければよいのでしょうか。
また、日本にウイルスが侵入するおそれはあるのでしょうか。
科学文化部の出口拓実記者が解説します。
(1)ジカ熱の原因は?
ジカ熱を引き起こすのは、蚊を媒介とする「ジカウイルス」です。
今から70年近く前、アフリカ・ウガンダの「ジカ森林」に生息するサルから見つかったため、この名前がつきました。日本国内で感染した例はこれまでなく、あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、2年前に流行した、蚊を媒介とする感染症「デング熱」の原因ウイルスの仲間でもあります。
(2)感染・症状は?
ジカウイルスは、感染者の血を吸った蚊に刺されることで感染します。
これまでに、主に熱帯や亜熱帯に生息する「ネッタイシマカ」と国内にも生息する「ヒトスジシマカ」が、媒介蚊として確認されていて、感染すると3日から12日間ほどの潜伏期間を経たあと、主に38度5分以下の発熱や頭痛、それに関節痛などの症状が現れます。
予防のためのワクチンや特別な治療法はなく、「対症療法」が中心となりますが、デング熱に比べると症状は軽いと考えられていて、およそ1週間ほどで症状は治まります。また、感染しても実際に発症するのは4人に1人ほどだという報告もあります。
(3)世界で感染が拡大
もともとはアフリカで見つかったジカウイルス。人の行き来が激しくなるなかで地理的な広がりを見せ、これまでにも流行が報告されています。
3年前には、南太平洋に浮かぶフランス領ポリネシアでおよそ1万人の感染者を出したほか、翌年にはチリのイースター島でも感染が確認。
そして、去年5月、ブラジル北東部の州で確認されたのを発端に感染が一気に広がります。
WHOによりますと、これまでに中南米を中心に20以上の国や地域で、国内での感染が確認されているほか、アメリカやヨーロッパでも、流行地を訪れた人たちが帰国後にジカ熱を発症する「輸入症例」のケースが報告されているということです。
WHOは、感染の規模は最大で400万人に上るおそれがあると指摘する一方、ジカ熱は、患者の血液からウイルスを検出できる期間が僅か数日なことや、ほかの蚊を媒介とする感染症と症状が似通っていて区別が難しいなどとして、正確な患者数を把握するのは困難だとしています。
(4)「小頭症」との関連は?
さらに、各国が危機意識を強めるのには別の理由もあります。ブラジルで相次ぐ「小頭症」の子どもの報告です。
「小頭症」は、脳の発達が遅れることで知的障害などを引き起こす病気で、一般的に治療法はありません。
主な原因は、遺伝子の異常や、妊娠中の母親が何らかのウイルスに感染することで、おなかの中の赤ちゃんにも感染してしまうことなどです。
ブラジルでは、ジカ熱の流行前に報告された小頭症の患者が、▽2010年は153人、▽2011年は139人、▽2012年は175人、▽2013年は167人、▽2014年は147人だったのに対し、去年10月以降では、これまでに4000人以上が報告される事態となっています。
亡くなった小頭症の赤ちゃんの血液や、出産後の母親の羊水からジカウイルスが検出されていることから、WHO=世界保健機関は「関連が強く疑われる」として危機感を示しています。
また、ブラジル当局が行っている解析によりますと、「小頭症」になる最も大きなリスクとして、妊娠初期にウイルスに感染することが関連しているということです。
ただ、依然としてウイルスと小頭症との関連性については議論が続いており、本当に関連性はあるのか、「ある」とした場合、いつ感染すると赤ちゃんに影響するのかなど、解析や研究が進められています。
(5)海外旅行時の注意点
では、私たちは渡航の際、どんなことに注意すればよいのでしょうか。
専門家によりますと、蚊に刺されない対策が重要だということで、皮膚を露出しないように長袖を着ることや、虫よけのスプレーの使用、それに、蚊帳の中で寝るなどの対策が有効だということです。
また、妊婦については、流行地への渡航そのものが子どもの「小頭症」へのリスクを高めるとして、国立感染症研究所は「小頭症との関連について詳細な調査結果が出るまで、可能なかぎり妊婦の流行地への渡航は控えたほうがよいと考える」と発表し、注意を呼びかけています。
(6)国内への侵入は
一方、日本国内での感染のリスクはあるのでしょうか。
実は、国内では3年前に、当時、ジカ熱が流行していたフランス領ポリネシアから帰国した27歳の男性が発症するなど、これまで渡航歴のある3人がジカ熱と診断されていますが、国内で感染した例はありません。
感染症が専門で、ジカ熱の治療経験もある国立国際医療研究センターの忽那賢志医師によりますと、国内では、仮に流行地からウイルスを持ち帰ったとしても、冬の時期は蚊が飛んでいなため、感染が広がる可能性は低いと指摘しています。
ただ、北海道と青森県を除き、ジカウイルスを媒介する「ヒトスジシマカ」は広く生息しているため、「蚊が飛び始める春先以降、ジカウイルスが国内で感染する可能性は0ではない」としています。
国も対策に乗り出しています。
これまで遺伝子レベルで正確にジカウイルスの検出を行える機関は限られていましたが、今回の事態を受け、国立感染症研究所はことし3月をめどに全国の地方衛生研究所などにジカウイルスの遺伝子を検出するためのキットを配布。態勢を強化するとしています。
中南米を中心に今後もしばらくは流行が続くと考えられるジカ熱。
蚊に刺されないための対策の徹底が必要です。
「ジカ熱 知っておきたい6つの事:ZIKAウイルス感染拡大ではなくブラジルでの小頭症急増が“非常事態”の対象」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/500.html
http://www.asyura2.com/09/gm15/msg/403.html
シリアの和平協議では仲介役を担う国連のデミストラ特使が、アサド政権と反政府勢力の主要なグループに個別に会って、双方による直接協議に向けた調整を進めています。反政府勢力側は、「イスラム軍」幹部のムハンマド・アルーシュ氏を政権側との交渉を担う首席交渉者に指名し、参加させる姿勢を示していますが、アサド政権側は「イスラム軍」をテロ組織だとして非難しており、反発しています。
これについて政権側は2日のデミストラ特使との会談で、「イスラム軍」が反政府勢力のメンバーとして参加するのかどうか回答を求め、デミストラ特使は3日にも、返答するとしています。
一方、これまでアサド政権同様、「イスラム軍」をテロ組織だとしてきたロシアのラブロフ外相は2日、「イスラム軍が交渉プロセスに参加するのであれば、個人の資格となる」と述べ、何らかの形で参加することを黙認する姿勢を示しました。ただ、「交渉のパートナーとして認めたわけではない」とも述べて直接交渉をしない立場も強調し、今後、ロシアの後ろ盾を受けているアサド政権が、この問題でどこまで柔軟な姿勢を見せるのかが、今後の協議の行方を左右する争点になっています。
イスラム軍とは
「イスラム軍」は、シリアの首都ダマスカスの近郊を拠点とするイスラム教スンニ派の武装組織で、乱立する反政府勢力の中でも組織力があることで知られています。同じスンニ派の盟主、サウジアラビアから資金提供などの支援を受けて、数万人規模の戦闘員を抱え、アサド政権や過激派組織IS=イスラミックステートとの激しい戦闘を続けています。その一方で、国際テロ組織アルカイダ系の「ヌスラ戦線」とも連携したり、ISと同じようにイスラム国家の樹立を目指しているうえ、シーア派の住民をおりに入れて「人間の盾」にするなど、過激な面を持ち合わせていることから、アサド政権やそれを支援するロシアは、「テロ組織」として扱っています。
このため、今回の和平協議では、サウジアラビアが主導して作成した反政府勢力の出席者リストに、イスラム軍が含まれた際、アサド政権やロシアは激しく反発しました。しかし、有力な反政府勢力を交渉から外せば、内戦終結に向けた停戦の実効性にも影響が出るだけに、その扱いをどうするかが争点の1つとなっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160203/k10010396081000.html
経営不振に陥っている「シャープ」は4日、7000億円を超える規模の資金を投じて買収を提案した台湾の大手電子機器メーカー「ホンハイ精密工業」と優先して交渉する方針を決めました。これによって、シャープは台湾資本の傘下で再建を目指すことにしています。
経営不振に陥っているシャープは、国と民間が作る官民ファンド「産業革新機構」と、台湾の「ホンハイ精密工業」から再建策の提案を受けて、主力銀行などと協議してきました。
シャープは、液晶技術を国外に流出させないという国の意向を踏まえ、「機構」から3000億円の出資を受ける提案に基づいて、再建を進める方針でした。
しかし、関係者によりますと、「ホンハイ」側が最終局面で、支援金額を大幅に上積みし、7000億円を超える規模の資金を投じることを提案したということです。この結果、シャープは4日の取締役会で支援額の規模で勝るホンハイと優先して交渉を行う方針を決めました。これによって、シャープは、台湾資本の傘下で再建を目指すことにしています。
シャープの高橋興三社長は記者会見で「今、社内のリソース=経営資源を、『機構』と『ホンハイ』のどちらとの交渉にかけていると言えばホンハイだ」と述べ、優先して交渉する方針を認めました。
また、懸念される技術の流出については「ホンハイとのこれまでの関係で技術が流出したことはない」と述べる一方、「交渉の中で、もし理屈に合わないことが始まるのであれば、それは決裂だ」とも述べました。
ホンハイは先月末、経営トップの郭台銘会長みずからシャープの経営陣に対し、再建策を説明し、雇用も守るなどと強調し、この説明を受け、シャープとしてはホンハイの資金力と、大口の取り引き先であるアメリカのアップルとの強い関係を活用することで、再建の可能性が高まると判断したものとみられます。
ただ、シャープは、ホンハイとの交渉が決裂する事態も想定して、「機構」とも引き続き交渉する選択肢を残すことにしており、最終的には今後1か月をめどに決定する方針です。
これについて、「産業革新機構」は「われわれとしてもシャープとの交渉を行っていきたい」とコメントしています。
シャープ 液晶事業の不振で経営危機に
「シャープ」は、創業者の早川徳次が大正元年にベルトのバックルを生産する金属加工会社として設立したのが始まりです。大正4年には、社名の由来にもなったシャープペンシルを発明して、会社の礎を築きましたが、関東大震災で工場を火事で失うなど壊滅的な打撃を受けました。
シャープは、再起を図ろうと大正13年にシャープペンシルの製造販売の権利を売って、大阪に移転し電機メーカーに業態を変え、生き残ります。国内で初めてとなる鉱石ラジオの開発に成功し昭和28年には国産のカラーテレビを初めて販売、世界初の電卓も産み出すなど、発明企業として新しい製品を次々と世に送りだしてきました。
シャープにとって大きな転機となったのは、昭和63年に電卓で培ってきた液晶技術を活用し、世界初のカラーの液晶ディスプレーを開発したことです。その後、平成10年、当時の町田社長は、「国内で売るテレビをすべて液晶にする」と宣言し液晶テレビに経営資源を集中、液晶パネルからテレビの組み立てまで一貫して行うビジネスモデルを築き上げました。
平成16年には、三重県の亀山工場で生産した液晶テレビを売り出し「世界の亀山モデル」は爆発的なヒットを記録、平成21年には大阪・堺市に世界最大の液晶パネル工場も完成させました。亀山工場と堺工場合わせておよそ1兆円にも上る巨額投資が、その後のシャープの経営の重荷となっていきます。
韓国メーカーとの競争による大幅な価格下落や、リーマンショック後の需要の低迷で液晶テレビの販売が落ち込み、これにともない液晶パネルの生産で損失が拡大し、平成25年3月期の決算は、5453億円の過去最大の最終赤字に転落して、経営危機を迎えます。
このためシャープは液晶パネルの生産をテレビ向けからスマートフォン向けの中小型パネルへの転換を図り再起を目指します。しかし、中国経済の減速などで中小型パネルの需要は減少、液晶事業が会社の足を引っ張り、27年3月期の決算が2223億円の最終赤字に転落し2度目の経営危機に陥ったのです。創業104年目を迎えたシャープは、90年余り拠点を置いてきた大阪の本社ビルを売却したり、3234人の早期希望退職を募集したりするなど、大規模な合理化に乗り出し経営再建を進めていました。
ホンハイ精密工業 世界最大の受託メーカー
「ホンハイ精密工業」は、台湾の郭台銘会長が1974年に創業した電子機器メーカーで、売り上げおよそ15兆円と電子機器の受託メーカーとしては世界最大を誇ります。
自社ブランドの製品は生産していないため、企業名はあまり知られていませんが、日本やアメリカなど世界各国の電機メーカーから、テレビやパソコン、それにゲーム機などさまざまな電子機器の生産を一手に請け負っています。
アメリカのIT企業「アップル」のスマートフォン「iPhone」や、「ソフトバンク」が発売した人型ロボットも、生産しているのはこの会社です。
一方、ホンハイは液晶の開発技術などを手に入れようと、平成24年に「シャープ」に対して出資を行う提案をしましたが、株式の取得価格や技術供与などで両社の折り合いがつかず白紙となりました。
ただ、シャープが大阪・堺市に建設した大型の液晶パネル工場は、工場の運営会社の株式37%余りをホンハイグループが取得し、シャープと共同で経営しています。世界中の電機メーカーからテレビの生産を受託している強みを生かし、工場の経営は黒字に転換しています。こうした状況を踏まえ、液晶事業の不振で経営危機に陥っているシャープに対して、再び出資を提案しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160204/k10010397001000.html
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シャープ再建、台湾・鴻海を軸に交渉 出資額上積みで[日経新聞]
2016/2/4 13:36
シャープは4日、取締役会を開き、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業からの買収提案を軸に交渉を進める方向で調整に入った。シャープは官民ファンドの産業革新機構から出資を受け入れる方針だったが、1月末に鴻海の郭台銘董事長が直接、シャープ側に出資額を上積みした再建案を説明。鴻海案を受け入れる協議に入った。経営危機が続いてきたシャープは外資系企業の傘下で再建を進める可能性が強まった。
産業革新機構はシャープ本体に3000億円規模を出資する再建案を示している。今後、支援額の上積みなど条件が変われば、革新機構案を再度検討する可能性もある。高橋興三社長は4日午後、2015年4〜12月期の決算記者会見を開く。この時点では鴻海、革新機構の双方と並行して協議を進める方針を説明する。
シャープは当初、革新機構の再建案を受け入れる方針だった。機構はシャープ本体に3000億円規模の出資をすると同時に液晶事業を分社。2018年をめどに革新機構傘下の中小型パネル大手ジャパンディスプレイと統合することを目指していた。
ただ、鴻海は7000億円規模の再建案を示しているとみられ、シャープの雇用や経営陣を維持する考えも伝えているもようだ。1月末に郭董事長から説明を受け、成長投資に向けた出資金の大きさや雇用の確保などを重視する役員が増え、鴻海案に傾いている。
革新機構はみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行のシャープの主取引2行に最大3500億円の金融支援を求めていた。これに反発する声もある中、鴻海はこうした大規模な金融支援を求めていないため、主力2行も容認する方向となっている。
テレビ向けの液晶パネルを生産する堺工場(堺市)はシャープと鴻海で共同運営するなど提携関係にある。2012年には両社が資本・業務提携を発表した。シャープ株の約10%を鴻海が取得することで合意しながらも、その後の株価の急落などを理由に実現していない経緯がある。
※参考
「カダフィ大佐は、フセインと同じように、身に危険が迫る前にフランス情報機関によって“救出”されたと思っています。カダフィ政権と西側諸国の親密な関係は、政権崩壊後、ぽろぽろと表に出てきています。嫌いな人ではないのですが、カダフィは、二次大戦後の英仏統治時代に育成された人物だと見ています。」
(引用元)
「エンセンさんへ:03年の「奥参事官と井之上3等書記官の殺害」は「フセイン救出作戦」の隠蔽工作」
http://www.asyura2.com/12/idletalk40/msg/367.html
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カッザーフィー大佐の生涯の最後の数分間を収めた映像がネットに出回る[スプートニク日本語]
2016年02月05日 03:07
2011年に追い落とされ、群衆に引き裂かれたリビア指導者カッザーフィー大佐の生涯の最後の数分間を収めた新たな映像がネットに登場した。
米国のケリー国務長官はロシアに対し、シリア空爆の停止を求めた。3日、西側メディアが報じた。
背景にはシリア政府と反体制派によるジュネーヴ交渉の停止がある。反体制派は「ロシアの空爆が交渉を破綻させる可能性がある」と訴えていた。
米国務省が発表したケリー長官声明には次のようにある。「シリアのアサド大統領政府軍はロシアの航空部隊の支援を受け、反体制派の管理下にある地域を攻撃し、数千人もの市民が住む地域を包囲している。これらは紛争を政治的にでなく軍事的に解決しようとする志向を物語るものだ」。
ロンドンでシリア支援国会合が開催されるに先立ち、ケリー長官は、シリア紛争についてロシアのラヴロフ外相と協議を行ったことを明かした。その中で、シリア和平の達成ならびにシリアへの人道支援の必要性に言及がなされた、とケリー長官。
ロシアは9月30日、シリア大統領の要請を受け、シリア領内の「IS(イスラム国)」に対するピンポイント攻撃を開始。この間にロシア軍は数百回の空爆を行い、ISのテロリスト養成キャンプ、司令部、武器弾薬庫などを殲滅。ロシア航空宇宙軍の支援により、シリア軍は空からテロリストらへの活発な攻撃を続けている。
露米間の政治的対立が盛んに取りざたされる中で、ロシアの「ロスネフチ」と米国の「ゼネラル・エレクトリック(GE)」が長期的戦略パートナーシップ発展計画に調印した。
造船および船舶用電子機器、石油・ガス供給を担う合弁企業の設立を内容とするものだ。船舶用スクリューおよび船舶用電子機器を製造する工場が2つ建設される。プリマ・メディアが報じた。
また露米両企業はウラジオストクの「ズヴェズダ」造船複合施設の発展についても協力を進めていくことで合意した。船舶用エンジン製造をペンザに集中させ、のち「ズヴェズダ」に供給する。供給開始は2018年初頭となる見込み。
さらに、液化天然ガス製造に関する協力の推進についても、ロードマップが作られた。「ブラツケコガズ」社をベースにした初のミニ液化天然ガス製造工場をロシアに建造する計画について、既に作業が行われている。
GEのジェフ・イメルト最高経営責任者は次のように語っている。
「我々は、GEはロシアで長期的に発展できる可能性がある、と見ている。たとえば、GEは、グローバル規模でビジネスを進めていくために、ロシアの供給者から製品を買うことができるだろう。GEはロシア市場のリーダーたちとともに、ロシア極東において、非常に重要で、かつ技術的に困難なインフラの建設に取り組んでいる。そのことの好例が、今日の合意なのだ」
ロスネフチのイーゴリ・セチン会長は、合意について、次のように語っている。
「世界最高峰の技術力をもつ企業との間で、今回、調印がなされた。この計画を実現していけば、我々の協力関係は新たなレベルに移ることになる。つまり、『共同生産』というレベルだ。このようなハイレベルの協力により、最大限効率的に、かつ相互利益に基づいた形で、ロシアのエネルギー生産・流通部門の抱える莫大な需要を満たし、ひいてはグローバル市場にともに進出することができるようになる」
転載する記事には、「1999年10月ロスアンゼルスからカイロに向かって飛行中、大西洋に墜落」とあるが、ニューヨークJFK経由だったのでニューヨークを離陸しカイロに向かっていた途中(離陸後およそ30分)という表現のほうがいいだろう。
事故調査報告書ベースでの経緯は、昨年3月フランス南西部アルプスで起きたジャーマンウイングス9525便“激突”事故に似ており、機長がコックピットから出ていたあいだに副操縦士が墜落につながるような意図的な操縦を行ったというものである。
記事にも、「この悲劇を起こした張本人と名指しされたのは、エジプト人パイロット、エル=バトウティだった。彼は「すべてはアラーの意志のもとに!」と何度も繰り返しながら、故意に旅客機を墜落させたと言われている」とある。
しかし、何もしないのに航空機が突然おかしな飛行状況に陥り、なんとか正常飛行に回復させようと奮闘しているときにも、ムスリムのパイロットなら、なんとか思うように操縦できるようになって欲しいと強く願い「すべてはアラーの意志のもとに!」と叫ぶことは十二分に考えられる。
それゆえ、そのような発声があるからといって、彼が意図的に墜落させたとは言えない。
墜落が彼の意図的な操縦によるものと断定するのなら、フライトレコーダーデータとともに、前後のいきさつがわかるように、コックピットボイスレコーダーの録音内容をそのまま生で公開しなければならない。
機長が指示した機体立て直しの操縦を彼が行わなかったという“補強”説明もあるが、遠隔操縦で乗っ取られていれば、操縦権で劣位にあるコックピットでは思うように操縦ができないのだから、行わなかったというより、行えなかったといったほうが的確だった可能性もある。
いずれにしろ、フライトレコーダーとボイスレコーダーの全面的公開がなければ判断できない事故なのである。
記事は、「ビンラディンは、これを知って、ニューヨークの世界貿易センタービルへの自爆攻撃戦略の計画を開始した」とあるが、標的がWTCかどうかはともかく、米国内での“衝撃的テロ”計画のほうが先で、その“予行演習”として、遠隔操縦が可能で広く使われていた767でかつエジプトの航空会社である990便が選択されたと思っている。
マレーシア航空の370便・17便もだが、遠隔操縦機能が装備されている航空機の不可解な事故について、世界がなぜ“遠隔操縦乗っ取り”を疑わないのか不思議でたまらない。
※関連参照投稿
「エアアジア機 整備不良と操作ミスで事故:昨年12月のこれから始まり仏GW機・シナイ露機と続く不可解なA320系事故」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/844.html
「OZ214便SFO着陸失敗事故→MH370便南シナ海失踪事件→MH17便ウクライナ撃墜事件という“系譜”」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/488.html
「OZ214・MH370・MH17のパイロットたちは“乗っ取り”をどう感受したのか?:MH17操縦士は“異常感なし”」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/503.html
「アシアナ航空の着陸失敗「機器にも問題」 :サンフランシスコ国際空港:777の機器設計そのものにも問題とアシアナ航空指摘」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/396.html
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国際テロ組織「アルカイダ」:9-11テロに霊感を与えた事件を明らかに[スプートニク日本語]
2016年02月04日 11:20
国際テロ組織「アルカイダ」は、文書を公開し、その中で初めて「何がリーダーのウサマ(オサマ)・ビンラディンに、2011年9月11日に米国で同時多発テロを起こすよう霊感を与えたか」を明らかにした。3日、英国の新聞「ザ・インディペンデント」が伝えた。
報道によれば、ビンラディンは、エジプト航空990便の事件に触発されたとの事だ。同機は、1999年10月ロスアンゼルスからカイロに向かって飛行中、大西洋に墜落し217人が亡くなったが、犠牲者のほとんどが米国人だった。
当時、この悲劇を起こした張本人と名指しされたのは、エジプト人パイロット、エル=バトウティだった。彼は「すべてはアラーの意志のもとに!」と何度も繰り返しながら、故意に旅客機を墜落させたと言われている。
ビンラディンは、これを知って、ニューヨークの世界貿易センタービルへの自爆攻撃戦略の計画を開始したとの事だ。
ベルギーのオースト=フランデレン州のカルル・デュカリュエ知事は地元の住民に対し、難民に「餌を与えない」よう要請した。理由はさらなる難民の流入を防ぐためだという。
「難民に餌をやらないでください。さもないとまた別のがやってきますから。」リアノーボスチ通信がデュカリュエ知事の声明を引用して報じた。
この声明はすでに地元民および政治家からの痛烈な批判を呼んでいる。
ローマでのケリー米国務長官とイタリアのパオロ外相の共同記者会見は、とんでもないハプニングで幕となった。記者団のひとりが両外相を「ダーイシュ(IS、イスラム国)」を創設した張本人だとあからさまに非難しはじめたからだ。
リアノーボスチ通信の報道によれば、記者会見終了後、米伊両外相が出口に向かおうとした矢先、ある女性ジャーナリストが立ち上がると「ISを作ったのはあんたたちよ!」と叫んだ。
この女性は直ちに警備員らに取り囲まれた。
「でたらめだ。『二国論』は李登輝(元台湾総統)の祖国分裂を図る本質的な動機を暴露した」。筆者の目の前で声を荒らげたのは、中国の習近平国家主席である。ただし、1999年9月、福建省での話だ。
日経新聞などのインタビューに応じた46歳の習氏は台湾対岸、福建省の代理省長に昇格した直後。妻、彭麗媛は国民的歌手だが、政治家、習氏を将来のトップ候補と見た人は皆無だった。
冒頭の二国論は台湾総統だった李登輝氏が提起したばかり。中台を「特殊な国と国の関係」とした中身に「一つの中国」を訴える中国が激高した。習氏がいた福建省一帯で大きな軍事演習もあり緊張が走った。
李登輝氏の二国論起草を支えたのが気鋭の政治学者、蔡英文氏。民進党の次期台湾総統だ。当時、裏方だった蔡氏を台湾トップ候補と考えた人はいない。習氏と同じだ。だが両氏は既に台湾海峡を挟んで対峙していた。二国論の作り手と、それを潰す側として。
安倍晋三首相の99年はどうだったか。森内閣で官房副長官として名を売る前である。若手議員4人で政策研究グループ「NAISの会」を立ち上げたが、やはり、将来の有力な首相候補とは見られていない。
17年の歳月が流れ、習、蔡両氏は中台トップに立つ。共に中台関係に長く関わっただけにいきなりの衝突はない。だが蔡氏は台湾「本省人」の意識を映す二国論の生みの親の一人だ。昨年、習氏との中台首脳会談に踏み切った国民党の馬英九・台湾総統とは違う。
だからこそ蔡氏は昨秋の訪日時、あえて安倍首相との密会が流布される行動を取り、その故郷、山口県まで訪れた。安倍政権との近さを演出した蔡氏は先の台湾総統選で大勝した。
安倍首相は国会答弁で「台湾との協力関係がさらに進むことを期待する。総統選は台湾の自由と民主主義の証しだ」と歓迎した。祝意を示す公式の外相談話も出た。過去にない高いレベルの祝意伝達である。それでも中国は強い反応を示していない。不可解だ。
長年、対中政策に関わる台湾政界のブレーンが、中国の出方の謎を解いてくれた。「中国は、台湾との関係が良い時、日本に強く出る。逆に台湾と摩擦があれば対日関係を大事にする。米中関係が悪い時も、中国は日本に秋波を送る」
確かに長く日本を袖にしてきた中国の対日外交、経済関係者が続々来日している。6年ぶりの日中ハイレベル経済対話(閣僚級)も視野に入る。安倍首相が施政方針演説で「中国の平和的台頭は日本にとってもチャンス」とシグナルを送ると、中国も「関係改善は共通の利益」と応じた。
心配もある。中国外務省は先に「日本課」を廃止し、朝鮮半島などを担う部署と統合した。対日関係に専念する組織が消えた意味は何か。今、習氏が日本に送る秋波は一過性にすぎず、長期、戦略的な日本重視ではない恐れがある。それならば対処は一層難しい。
日本が議長役の日中韓3カ国首脳会談は今年、日本で開く。中国外交筋は「年前半にも開かれる。李克強(中国首相)訪日はぜひ、公式訪問にしたい」と前向きだ。地方視察を含む久々の中国首相の公式訪問は関係打開への契機になる。
とはいえ李克強氏は中国共産党の序列2位だ。トップ来日は08年、当時の胡錦濤国家主席以来、途絶えている。本当の「日中正常化」は、欧州や中東など西ばかり向いている習氏自身が来日する時である。
その時期は南シナ海で対峙する米中関係と習、蔡、安倍3氏の恩讐(しゅう)も絡む中台関係が左右する。
(編集委員 中沢克二)
[日経新聞1月31日朝刊P.2]
政府がオーストラリアに売り込みを図る海上自衛隊のそうりゅう型潜水艦。原子力潜水艦ではない「通常型」の中では、海中を深く、長く、静かに潜航する性能への評価は高い。隠密性は「海の忍者」と呼ばれる潜水艦の重要な要素。実力の背景と課題を探った。(田島如生)
2015年12月9日、三菱重工業の神戸造船所。工員がマスク型の防具をかざし、火花から目を守りながら鋼材をつなぎ合わせる作業に打ち込む。潜水艦建造にかかわる溶接工を育てる実習所だ。ごく一部の社員しか立ち入れないという。
高度な溶接カギ
溶接技術が「機密の宝庫」という潜水艦の性能に直結するからだ。深く潜れば潜るほど敵から見つかりにくくなるが、それだけ船体にかかる水圧も強まる。溶接が不十分だと水圧に負けて亀裂が入る恐れがある。
そうりゅう型は強い水圧に耐えるよう硬くて割れにくい特殊な鋼材を使う。隙間なく溶接するには高い技術が求められ、一人前の溶接工を育てるのに5〜10年かかるという。中谷元・防衛相は「世界一のレベル」と胸を張る。
海中を潜り続ける「水中持続力」も強みという。AIP(非大気依存推進)機関を備えたスターリングエンジンも搭載し、大気中の酸素を取り込まずにエンジンをまわして発電。給気筒を海面に出して大気を取り込むディーゼルエンジンに比べ「敵に見つかるリスクが小さい」(海自幹部)。
船体に吸音材や反射板を張り巡らし、艦内からの音漏れを防ぎ、ソナー(水中音波探知機)で探知できないよう徹底。艦内と電子ケーブルでつなぐ「非貫通式」と呼ぶ潜望鏡も備える。とらえた画像を一瞬でデジタル化して再生できる。潜望鏡を海面に出す時間を短くし、潜水艦の場所を特定されるリスクを減らす。
約65人の乗組員も音を立てないよう「涙ぐましい努力」をしている。艦長経験のある海自幹部によると、海水から生活用水などを造る装置は「音が出るので極力使わない」。シャワーの利用は3日に1回。洗濯機もほぼ使わず、任務ごとに下着などの着替えをたくさん持ち込むという。いまのところ女性はいない。
大きいほど敵に見つかりやすくなるため艦内は狭く最低限の設備しかない。艦長以外の乗組員は3段式ベッドで寝起きする。6時間ずつ3交代制で任務にあたる。会話はひそひそ声で、トイレのドアもそっと閉めるほどの徹底ぶり。艦内の音をソナーなどで探知されないようにするためだ。
楽しみは食事
乗組員になるには特別な適性検査がある。任務が1、2カ月に及ぶことがあり、協調性や忍耐強さが欠かせない。外界と接触を断たれ過酷な日々が続く中、せめてもの楽しみという意味もあり充実しているのが食事。航行時に艦内に大量に持ち込んだ冷凍の肉や野菜をふんだんに使い「とんかつや焼き魚など地上と同じ料理を味わえる」という。
金曜の昼はおきまりの「海軍カレー」だ。スパイスや野菜のだしを駆使し前日からじっくりと煮込む。これが楽しみで睡眠中でも起きてくる乗組員も。同じメニューは曜日感覚を失わないようにする狙いもある。
四方を海に囲まれる日本は、警戒監視に不可欠とみて潜水艦を国産化し、潜航時の深さや長さを向上させてきた。海自トップの武居智久海上幕僚長は「潜水艦は日進月歩で技術が向上している。今後も水中持続力と静粛性の向上に取り組む」と気を引き締める。
安全保障コンサルティング、太平洋技術監理LLPの山内敏秀理事は「完成の域に達していない」と指摘する。潜航時に海水を取り込む装置の音の抑制や、軽量で音漏れ防止効果の大きい吸音材の開発を能力向上の優先課題にあげる。
防衛装備庁は15年度、鉛蓄電池より容量が大きく、長時間潜航につながるリチウムイオン電池を搭載した新型艦の建造に取りかかった。艦艇装備研究所は吸音材の配置見直しなどで探知されにくくする研究を進める。隠密性をより高める取り組みに終点はない。
豪潜水艦の受注、独仏がライバル
オーストラリアの潜水艦の選定手続きには日本、ドイツ、フランスが名乗りを上げた。原子力に比べ危険性が低いディーゼルエンジン型で、現行の3300トンを4千トンに大型化し隻数も6から8〜12に増やす。武器システムは米製を採用する方向。中国へのけん制とみられ、日本は同タイプの採用で日米豪の一体運用がしやすくなるのを利点に売り込む。
4千トン級のそうりゅう型6隻を建造、運用している実績も強み。弱点は武器輸出の経験不足で、防衛装備庁幹部は「海外での調査や販売力を早急に身につけないと」と語る。
[日経新聞1月31日朝刊P.]
アジア・エディター
ジャミール・アンデリーニ
今年に入って中国から流れてきたニュースと言えば、株式市場の下落と不安定な為替相場の話ばかりだ。だが、同程度のインパクトを世界に及ぼしかねない北京発のニュースがもう1つある。中国は、指針としている軍事ドクトリンをひそかに修正していたのだ。
中国・人民日報系の日刊紙、環球時報は今月、この新しい立場を報じた。これによると「我が国の軍事力の強さは世界に示されなければならない」という。「軍隊が強ければ、中国はこれまで以上に政治的に魅力のある、そして影響力も説得力もある国になれる」と論じている。
このようなタカ派的姿勢は、1970年代後半以降の中国の外交政策を規定してきた「韜光養晦(とうこう・ようかい)」、すなわち「己の能力を隠し、時機が来るのを待つ」という方針が事実上、終わりを迎えたことを示している。
これに米国政府がどう対応するかが、今日の世界で最も重要な外交政策問題だ。しかし、中国の不透明さと西側諸国の知識のなさが相まって、中国が何を望んでいるのか、そしてそれをどのように手に入れる計画なのかを十分に把握している人は、中国政府の内部で政策立案に携わるエリートを除けば、ごくわずかだ。
中国について最も誤解を招きやすい主張の1つに「中国は拡張主義の大国になったことがない」というものがある。だが、戦いに明け暮れた数千年の間に中国の領土が大きくなったり、小さくなったりしてきたことは、数枚の昔の地図をちょっと見ただけで分かるだろう。
今日の中国のように、米国もかつて明確に帝国主義と拡張主義を否定した。米国優位の時代は、他の多くの帝国と同じように始まった。自国から遠く離れたところにいる商人や市民を守ることの必要性から始まったのだ。米国は北アフリカで海賊と戦うという目的のために最初の公式海軍を立ち上げた。
そして中国の場合、過去600年以上の間で初めて海外へ軍艦を派遣したのは2008年のことだ。その任務は何だったか? アフリカ沖のソマリアの海賊と戦うという名目だった。
(28日付)
[日経新聞1月31日朝刊P.15]
トマ・ピケティ著『21世紀の資本』、アンガス・ディートン著『大脱出』に続く、格差・貧困問題を扱う大著である。著者はディートン氏と並んで格差・貧困問題を理論的・実証的に研究してきた世界的権威である。昨年のノーベル経済学賞もディートン氏との同時受賞を予想する声が多かった。ピケティ氏も大きな影響を受けた研究者の一人である。
本書は、ピケティ氏が「序文」で指摘するように、格差是正のための政策提言を展開する「行動計画に完全に専念した本」である。『21世紀の資本』は、上位層への富の集中に焦点を当て、資本に対するグローバルな累進課税を提言するが、それだけで問題が解決できるかは疑問だ。『大脱出』は、所得だけでなく健康の格差にも目を向けさせる好著だが、政策提言としては途上国支援が中心だ。国内の格差是正の処方箋を期待すると、やや肩透かしの感じがする。
本書の政策提言はラジカルである。経済学の伝統的な発想は、「機会の平等」さえ担保できれば、できるだけ市場に任せて効率性を追求し、格差是正はその後に必要に応じて、というものだ。本書は、教科書に描かれるような市場はそもそも存在せず、政府は分配を意識して市場に積極介入すべきだと主張する。IT(情報技術)など技術革新に格差を拡大させる傾向があるのなら、格差を是正するように技術革新を政府が誘導すべきだとまで言う。さらに、効率性と公平性は常にトレードオフ(二律背反)の関係にはなく、公平性の追求で効率性が高まる可能性も十分あると主張する。
本書は、格差是正のための15の具体的な提言を示す。所得税の累進性強化、児童手当の拡充のほか、最低賃金による公的な雇用保証、成人に達した時点での国民全員への資本給付、労働組合の交渉力強化など、ラジカルな内容を含む。本書の提言に対しては、「1960〜70年代への逆戻り」(英エコノミスト誌)と評するなど、批判的な声がすでに上がっている。著者はそうした反応を十分予想し、3部構成の本書の第3部は予想された批判への反論に費やされている。
本書に難点があるとすれば、内容がやや英国内向きであることだ。サッチャー政権以降、英国で展開されてきた社会・経済政策に関する知識がないとわかりにくいところがある。政策提言も、日本にすべてがそのまま当てはまるとは思えない。しかし、本書の迫力には多くの読者に是非触れていただきたい。
原題=INEQUALITY
(山形浩生・森本正史訳、東洋経済新報社・3600円)
▼著者は44年英国生まれ。オックスフォード大ナフィールド・カレッジ元学長。所得分配論の大家で、欧州を中心に多くの経済学会の会長を歴任。
[日経新聞1月31日朝刊P.21]
お詫びして追加させていただきます。
[追加]《評》一橋大学教授 小塩 隆士
丸川珠代環境相は全国各地で計画が進む大型石炭火力発電所の建設計画を条件付きで容認する方針を固めた。経済産業省や電力業界が策定する温暖化ガス排出削減計画の進捗状況を環境省が毎年確認し国の温暖化ガス削減目標を超えないよう管理する。これまで大型石炭火力の建設計画に異議を唱えてきたが、環境配慮と経済成長を両立する制度導入を条件に柔軟姿勢に転じる。
国内では東京電力福島第1原子力発電所の事故以降、原発に代わる電源として割安な石炭を使う新設計画が相次いでいた。日本の温暖化ガス削減目標の前提となる2030年度の電源構成(ベストミックス)は石炭火力の割合を総発電量の26%と設定した。
既存の石炭火力を維持したまま新設計画が実現すると26%の枠を超えてしまう懸念から、環境省は昨年6月に大阪ガスやJパワーなどが出資する「山口宇部パワー」(山口県宇部市)の新設計画を皮切りに計5件の新設計画に異議を唱えてきた。
そこへ浮上したのが最先端技術で二酸化炭素(CO2)排出を極力抑えた発電所の計画を優先審査する新たな枠組みの導入だ。丸川環境相も受け入れ、林幹雄経産相と8日にも会談し合意する。
経産省はまず温暖化ガスの排出削減に向け、電気事業法に新たな指針を設けるなどし、新規参入を含む全ての電力会社に毎年の温暖化ガスの排出実績の開示を求める。公表実績に虚偽報告などがあった場合は改善命令などを出す。
省エネルギー法の告示も変え、発電効率が低い石炭火力発電所を建設できないようにする。最新鋭の設備は認めるが、火力発電全体のうち石炭火力の割合を50%以下までにすることも求める。
また、電力業界は電力販売量1キロワット時当たりの温暖化ガス排出量を2013年度から30年度に35%減らし、0.37キログラムに抑える自主目標を掲げている。各社の温暖化対策をチェックする新たな団体を立ち上げ、確実に達成する仕組みを整える。
政府は30年度の望ましい電源構成(ベストミックス)で火力発電を56%とする方針を掲げている。
電力会社は、この電源構成の達成に向けた計画を毎年作成し、経産相に提出するよう定める。提出しなかったり、達成に向けた努力を怠ったりした場合などはエネルギー供給構造高度化法により罰金を科す方向だ。
環境省は経産省と電力業界の一連の仕組みの順守をチェックし、妥当と判断すれば環境影響評価(アセスメント)法に基づき、新設計画を容認する。今春に策定する地球温暖化対策の実行計画にも新たなチェック体制を盛り込む方針。
環境省は5月以降に環境アセスの審査期限を迎える茨城県鹿嶋市、同東海村、福島県いわき市、同広野町での新設計画は認める見通しだ。
国の温暖化削減計画を守れない事態となれば、環境省は再び環境アセスで新設計画に異議を唱え、最終的には法規制などより強制力を持った制度を導入する方針だ。
[日経新聞2月6日朝刊P.2]
ヒトではなく仕事に意味が付与されるジョブ型では、ヒトはその仕事をこなす歯車として扱われるようになる。
現状の日本で必要なのは、非正規労働者の正規への転換や待遇の引き上げであり、正規労働者の待遇引き下げや労働者の“歯車化”につながりかねない「同一労働同一賃金」政策の追求ではない。
“社畜”との表現もあるようにヒトによって好みや評価は違うだろうが、「同一労働同一賃金」はジョブ型雇用形態に適合するものであり、特定の仕事をするために雇用されるわけではなく、職域の制限はありながらも“企業のメンバー”として雇用され、企業内で様々な仕事をこなしていくなかで能力の幅を広げることが尊重されるメンバーシップ型(従来の日本型雇用慣行)に「同一労働同一賃金」は適合しない。
「同一労働同一賃金」が広く浸透すれば、個々の従業員の創意工夫や奮闘に支えられてきた日本の産業の国際競争力は衰退していくことになる。
長時間労働やサービス残業からは脱却すべきだが、欧米の模倣でしかないヒトを歯車的に扱うジョブ型ではなく、能力を広げられるヒトとして雇用するメンバーシップ型を尊重すべきである。
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首相、「同一労働同一賃金」実現へ法改正検討
安倍晋三首相は5日の衆院予算委員会で、非正規労働者の待遇を改善する「同一労働同一賃金」の実現に向けて法改正を検討する考えを示した。「制度改正が必要な事項は労働政策審議会で議論をすることになる」と述べた。同一労働同一賃金は、政府が5月にまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」の柱の一つとなる。
衆院選挙制度改革を巡っては、有識者調査会がまとめた答申について「全体において、当然私は尊重していく」と強調。区割りの変更による「1票の格差」是正とともに、議員定数10削減にも取り組む考えを示した。
[日経新聞2月6日朝刊P.4]
【広州=中村裕】中国で景気減速にもかかわらず、賃金の上昇が続いている。1月までの4カ月間で、10の省や直轄市が最低賃金を最大で3割引き上げた。労働力人口の減少で働き手が不足しているうえ、中央政府が国内の不満を抑えようと地方政府に賃上げを迫っているためだ。8日の春節(旧正月)に伴う大型連休のあとには、賃金上昇に一段と弾みがつくとの見方も出ている。
中国の最低賃金(月額)は各地域ごとの経済状況に応じて個別に見直す。引き上げは10月に貴州省など3地域で始まり、今年もすでに江蘇省など3地域で実施された。
引き上げ率は8〜28%。外資系の投資が活発な江蘇省や、中国の地元企業の輸出基地になっている浙江省、スズキや韓国の現代自動車といった自動車関連が集積する重慶市など製造業の盛んな地域が目立つ。
景気減速が続く中での最低賃金の引き上げには2つの理由がある。
1つは働き手の不足だ。中国の労働力人口はすでに減り始めており、農村部から沿海部に大量の労働力が流れ込む時代は終わった。若者は賃金が安く、労働がきつい工場勤務を嫌ってネット企業などに職を求めがちだ。製造業が必要な人手を確保するのは年々難しくなっている。春節の大型連休のあとはこうした傾向が強まり、地元に帰省した出稼ぎ労働者が工場に戻らないケースも多い。人材確保の観点から、今年も春節後に賃上げを打ち出す地域が増えるとの見方が広がっている。
2つ目の理由は中央政府から地方政府への賃上げ圧力だ。中央政府は昨年11月に採択した2016年からの「第13次5カ年計画」の草案で、20年までに国民の所得を10年に比べ倍増する計画を打ち出した。この目標を実現するために、地方政府や国有企業に賃上げを働きかけている。
中国の工場では一般的に、最低賃金の約2倍が実際の賃金の目安とされる。工場では残業代も多いためだ。このため、経営側には最低賃金の上昇率以上に人件費負担が重くのしかかる。
広東省に拠点を持つ日系企業幹部も「日本企業が広東省に多く進出した04年に比べ、現在の工場従業員の給料は約10倍になった」と明かす。
同省深圳市の最低賃金は中国で最も高い2030元(約3万7千円)に急上昇し、同省広州市も全国3位だ。同省は昨年11月、新賃金基準を作成して昇給率を8.5%(基準値)とし、16年にさらなる賃上げを企業側に求める流れをつくった。
景気後退局面での無理な賃上げは悪循環を生む。人件費の高騰で海外からの投資は大幅に減少しかねない。15年の日本の対中投資額は前年比で25%減った。
中国政府は賃金上昇を促す一方、ロボットなど自動化設備の工場への導入で省人化し、生産コストの引き下げで製造業の競争力向上をめざす。ただ、景気後退局面での設備投資には各社とも消極的だ。生産コストの改善は大きく進んでいない。
[日経新聞2月2日朝刊P.7]
日銀は1月29日、マイナス金利政策の導入を決めた。政策委員会の表決は5対4でわずか1票差だったが、本当に薄氷の決定だったのか。
日銀は総裁を含む9人の政策委員会で金融政策を決める
「これで行こう」。1月25日、日銀本店で開いた総裁や金融政策担当の幹部だけの会議。黒田東彦総裁は事務方が用意した国債購入の拡大などを含む追加緩和の選択肢のなかから、1つの案を選んだ。事務方が難易度が高いと警戒していたマイナス金利政策の導入案。その場に居合わせた幹部は「やはりそう来たか」とうめいた。
6人は蚊帳の外
時計の針が動き出したのは、その前の週にさかのぼる。1月20日の首相官邸で開いた月例経済報告に関する関係閣僚会議。会議の終了後、麻生太郎財務相は黒田総裁を呼び止め、壁際の椅子に隣り合わせに座って言葉を交わした。
日経平均株価が年明けから約3000円下がり、円高が1ドル=115円台まで進んだなかでの緊急会談。内容はつまびらかでないが、会議出席者の一人は「ついに日銀が動くのか」と身構えた。
黒田総裁は翌21日、事務方に「追加緩和が必要な場合の選択肢」を用意するように指示し、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が開かれるスイスへ旅立った。休日返上で作業を進めた事務方は「総裁の頭にあるのはマイナス金利だ」とうすうす察していた。
蚊帳の外に置かれたのが、金融政策を決める9人の政策委員のうち、正副総裁を除く6人の審議委員だ。年明けから円高・株安が加速したが、委員の大半は「日銀が動いても、中国の減速が原因の市場の混乱は止められない」と慎重だった。
総裁は年明け以降「さらに思い切った対応を取る」などと緩和期待を強めたが「手段も限られるなかでどうするつもりなのか」(ある委員)との冷ややかな見方もあった。
執行部は2014年10月の追加緩和に賛成した白井さゆり委員(元慶大教授)が反対に回る可能性を察していたが、票読みには自信があった。総裁・副総裁の3票に加え「異次元緩和に理解がある」(政府関係者)として安倍政権が指名した原田泰委員(内閣府出身)、布野幸利委員(トヨタ自動車出身)の2票も確保できる。過半数の5票は堅いとの読みだった。
すれ違った議論
実際はどうだったか。決定会合2日目の29日、マイナス金利導入の提案は白井委員のほか、金融界出身の石田浩二、佐藤健裕、木内登英の4委員が反対を表明。「マイナス金利は危機時の対応だ」(木内委員)などと抵抗したが、執行部は事前の読み通りの5票の賛成票を確保し押し切った。
「正論を言っても通らない」。ある反対派の委員はぼやく。東短リサーチの加藤出社長は「今の政策委には反対派委員の意見を取り込んで合意形成を進める雰囲気がない」と見る。
「非常時には合議制よりも強力なリーダーシップが必要だ」(日銀幹部)との声がある。企業や家計のデフレ心理を振り払うには、大胆な決断が欠かせないという考え方だが、「黒田総裁が常に正しい決断を下せるとも限らない」との意見もある。
振り返れば08年のリーマン・ショック後、複数の審議委員が利下げに踏み切るよう白川方明総裁らの背中を押しそれが実現した局面があった。かつては長期にわたり金融緩和を約束することで効果を高める時間軸政策の採用に一役買った植田和男氏のような委員もいた。普段は総裁を支える委員がある時だけ反対に回り、行き過ぎを戒める振る舞いもみられた。
マイナス金利政策に対して反対に回った白井委員は今年3月、石田委員は同6月に退任する。安倍政権が積極緩和派を後任に据えれば、総裁は追加緩和にも打って出やすくなるが、政策委員会の議論がますます平板になる恐れはないか。
「日銀のデフレ脱却に向けた強い決意が示された」。安倍晋三首相は3日の衆院予算委員会で、日銀が導入を決めたマイナス金利政策をこう評価した。今年夏に参院選を控え、円安・株高を支えるための日銀の金融政策への期待は大きい。金融政策を政策委員会の議論で決める仕組みは、日銀総裁が政府の圧力をかわす知恵でもあったが……。
(石川潤、川手伊織)
[日経新聞2月5日朝刊P.2]
吉田徹 北海道大学教授
「一匹の妖怪が世界を徘徊(はいかい)している。ポピュリズムという名の妖怪が」。マルクスの「共産党宣言」をもじった言葉がメディアで躍る。
英国では2014年の欧州議会選挙で主権回復と移民の権利制限を訴える英国独立党(UKIP)が二大政党の得票率を上回った。フランスでも12年の大統領選以降、ユーロ圏離脱や移民排斥を主張する国民戦線(FN)が保革に次ぐ第三極の地位を固めた。
南欧では、反緊縮と雇用創出を公約に掲げるスペインの左派政党ポデモスや、ギリシャの急進左派連合(SYRIZA)が伸長。オランダやスイス、デンマークなどの小国、ポーランドやハンガリーなどの東欧諸国では、ポピュリズム勢力が与党の座を占めたり、閣外協力を通じたりして、政策に影響を及ぼしている。
米大統領選予備選での「トランプ旋風」も加わり、先進国はポピュリズムの時代を迎えている。
ポピュリズムは、日本では「衆愚政治」と同義にされ、最近では「反知性主義」とも関連付けられる。しかし本来は民主政に対する主権者の深い疑念と落胆を原動力とした政治現象だ。以下では、本質、スタイル、戦略にまたがるポピュリズムの特徴と、それを生み出す要因を3つ挙げ、代表民主政に持つ含意を探る。
ラテン語「ポプルス(人々)」の派生語であるポピュリズムは、社会のエリート・既得権益層に虐げられるとされるサイレントマジョリティー(声なき多数派)を代表することを本質とする。ただ、ここでいう「人々」は庶民や労働者、年金生活者、ワーキングプアなど、可変的な存在であり、既存の支持構造が組み替えられることでニッチ(隙間)市場が開拓される。
エリート・既得権益層と名指しされるのも、政治家・官僚、資本家あるいは労働組合など文脈に依存する。ポピュリズムは何よりも、政治が一部の人間に寡占され民意がねじ曲げられていることへの異議申し立てであって、人々を束ねるイデオロギーではなく、彼らの不満を表現する否定の政治だからだ。
例えば、西欧の極右ポピュリスト政党は1990年代まで、既得権益の打破を訴えて市場機能を重くみる「新自由主義」の旗を掲げていた。だが既成政党が新自由主義的政策を実現していくと、今度は福祉国家路線を支持するようになる。これもポピュリズムはエリートへの異議申し立てを主眼とするからだ。
すなわち、ポピュリズム伸長の裏には代表制民主主義の機能不全がある。欧米では、特に80年代から投票率の低下と政治不信の高まりがみられた。その一方で、保革間での政権交代が常態化し、冷戦終結以降、保守政党は文化的リベラルに、社民政党は経済的新自由主義志向に傾斜して「グローバル化コンセンサス(合意)」が形成された。
これら保革政党の中道化は、それまで保守・自由主義政党を支持していた中間層の文化的不安、左派・社民政党を支持していた労働者層の経済的不安を置き去りにした。このため多くのポピュリスト政党は、文化的には反リベラル、経済的には大きな政府を志向することになった。
次にポピュリズムは「多数者の専制」を警戒し、個人の理性や法の支配を原則とする自由主義的原理を嫌う。司法による権力のチェック・アンド・バランスや官僚制の専門知、知識人・メディアの言説を含め、それはエリート支配の道具とみなされるからだ。
ポピュリスト政治家はこれら具体的な主体や機関が民主政の敵だと名指しして、それまで政治化されていなかった人々を動員しようとする。彼らが国民投票などの直接民主制を支持するのも、既存の意思・政策決定の回路がエリートに独占されてしまっているとみなすためだ。
欧州の経済危機と緊縮政策も、こうした主張を後押しする。10年以降、欧州連合(EU)各国の失業率は10%超と高止まりしている。社会保障負担や間接税の増税も相次ぎ4人に1人が貧困にあえぐ。
こうした中で、ポピュリスト政治家は不況の原因は単一通貨ユーロと金融資本、それと結託しているエリート層にあると訴え、再分配を自国民に限る「福祉排外主義」を掲げ、国民の不満を吸い上げている。15年に拡大した難民流入も、治安・生活上のセキュリティー不安を高めている。既存の政治勢力は、当初ポピュリスト政党の主張を無視するが、選挙で抗し切れずその主張を争点化させると、より過激な主張をするポピュリスト政党に競り負けてしまう。
各国のポピュリズムは、アウトサイダーであるカリスマ的なリーダーが、人々を包摂できていたとする原初的で倫理的な共同体(ハートランド)を掲げる点でも共通する。それは右派ポピュリズムの場合、エスニシティー(民族性)・地域・言語を核とした国民国家であることが多い。
これは戦後国家の経済社会の変容と関係している。戦前秩序の回復や反共を旗印にしたネオナチやファシズム勢力と異なり、現代ポピュリズムは、階級融和の原則からなる「戦後コンセンサス」への郷愁を基盤としている。高度成長と同質的な社会は分厚い中間層を生み出し、戦後政治の安定を実現してきた。しかし、経済のグローバル化と社会の個人化が低成長時代と合わさったことで、国家は外部と内部から再編の圧力にさらされるようになった。
米同時テロ後、イスラム的価値は戦後西欧の普遍的価値と相いれないとするポピュリスト政治家があおる「文明の衝突」論も、国民の同質性と移民制限へと傾く。こうした経済的・文化的不安は、権威主義的で現状変革志向の政治を呼び込む。開かれた社会を推し進めるグローバル化から剥奪感を抱く人々と、それを政治の力で変えると約束する政治家が呼応して、ポピュリズム現象は生起していく。
19世紀末の米国の人民党やロシアのナロードニキ運動など、ポピュリズムは産業構造や価値観が転換する状況において、エリートが固定化して伝統的な利益媒介構造が揺らぐ際に台頭する。つまり、ポピュリズムが民主政を危機に陥れているのではなく、民主政が危機であるがゆえにポピュリズムが起きるという因果を認識することが重要だ。
民意の期待値を代表エリートが満たしていないと感じられる時に、いや応なくポピュリズムは台頭する。
ポピュリズムは民主政における鬼子だ。ポピュリズムと無縁な民主政はなかったし、これからもないだろう。ただしポピュリズムは、硬直化し劣化した政治を流動化させ、それまで取り上げられてこなかった争点を政治に持ち込むことで、代表制と民意の間で不可避的に生まれる不一致を解消する契機ともなる。
もっとも、それを可能とするのは「共産党宣言」の言葉を再び借りれば「妖怪をはらい清める同盟」の実現にかかっている。具体的には、既存の政治が自己改革を含むイノベーションを完遂し、政策の実効性を高めるといった、民意の「入力」と政策の「出力」の両面での改善を意味する。
こうした民主政の絶えざるバージョンアップ、すなわち統治されるものと統治するものの一致が実現され、民主政の持つ本来の理念が生かされるのであれば、ポピュリズムという妖怪は初めて窒息させられることになるだろう。
ポイント
○ポピュリズムは既得権益層への異議主張
○欧州で再分配の自国民限定訴える勢力も
○既存の政治の自己改革につながるかが鍵
よしだ・とおる 75年生まれ。東京大博士(学術)。専門は比較政治学、欧州政治史
[日経新聞2月4日朝刊P.26]
「ポピュリズムにどう向き合う:民主主義の機能不全映す:「ポピュリズム勃興→民主政危機」ではなく「民主政危機→ポピュリズム勃」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/531.html
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ポピュリズムにどう向き合う
(下)有権者の情報不足、解消を
「責任政党」の役割重要
加藤創太 国際大学教授
ポピュリズムの広がりが指摘されている。フランスでは極右政党の国民戦線(FN)が地方選挙で得票率トップを一時獲得し、他の欧州諸国でも排外的な極右・極左政党が議席を増やしている。米国では移民や宗教を巡り差別発言を繰り返すドナルド・トランプ氏が共和党の候補者指名争いで支持率トップに立つ。日本では低年金受給者への臨時給付金などが、参院選を意識したポピュリズム的なバラマキだと批判される。
ポピュリズムという語はもともと、数で勝る大衆を動員し政治エリート層に対抗させる思想や政治行動を指した。最近では大衆迎合主義の意味で使われ、広く流布している。大衆の判断が適切なら大衆への迎合は問題ではない。ポピュリズム論者は、大衆の政治嗜好、政治判断が国全体の将来にとって適切でない場合が多々あるとの前提に立つ。
実際、フランス革命後の惨劇や、第1次大戦後の独ワイマール共和国でのナチスの台頭など、多数派の判断が悲劇を呼んだ歴史的事例は少なくない。日本でも太平洋戦争に突き進んだ一因に世論の熱狂があったと指摘される。
他方で民主主義は多数決原理を一つの核としており、多数を占める大衆の意思への安易な懐疑は、民主主義制度自体の軽視や否定へとつながりかねない。もし多数者の政治嗜好が適切でないなら、いったい誰の政治嗜好が適切なのか、その適切性を判断するのは誰なのかという問題も生じる。昨今は保守・リベラル双方が高みから、お互い自分の気に入らない政策をポピュリズムと安直にレッテル付けし嘆いているようにもみえる。
しかし有権者の誤った政治判断に基づき政府が誤った政策を遂行すれば、その最大の被害者となるのは通常、有権者自身だ。戦争や財政破綻がその極端な例だ。ではなぜ、どういう時に、有権者は自らが被害者となる判断さえしてしまうのか。緻密な分析が必要となる。
以下では2つのケースに分けて論じたい。1つ目は多数者が自らにとっても不利益な判断をしてしまうケースだ。2つ目は多数派が数の力に任せて自らの利益や欲求を押し通し少数派を抑圧する「多数者の専制」のケースだ。
歴史上、有権者は自らの利益にとっても一見「愚か」な政治選択を多くしてきた。平均的な有権者は「愚か」と切り捨てるのは簡単だ。しかし問題の根源は有権者の判断能力よりは情報の不足にある。これ以上バラマキを続ければ財政が破綻する、これ以上相手国を刺激すれば勝ち目のない戦争になる危険性が高い、という正確な情報を有するのに、その先に突っ走る有権者は多数を占めないだろう。
また賢明な有権者であればこそ、判断に必要な情報が不足し不確実性が高い状況では政府のバラマキ政策支持など短期利益の優先に走る、つまり近視眼的な行動をとる。
ポピュリズムといわれる問題の多くは、多数者が正確かつ十分な政治情報を有していれば回避できるのだ。しかし、各国の有権者が驚くほど乏しい政治知識しか有していないことは、政治学者の実証研究で明らかにされている。
有権者が適切な政治判断に必要な情報を得るために欠かせないのは、政府による徹底した情報の開示だ。しかし情報開示だけで、十分な政治情報を有権者間に流通させることは非常に難しい。有権者は多忙であり、自らの一票で国政の選挙結果を変えられない現況では、時間をかけて政党の公約を読み込んだり、経済財政データを取り寄せ分析したりするなどの政治情報収集コストを支払うインセンティブ(誘因)がないからだ。
よって政治情報の流通にとって重要なのは、いかに有権者の情報収集コストを下げるかだ。その意味でメディアやシンクタンクが政府・有権者間の情報の媒介者として互いに競い合いながら、政治経済の現況や、政府の活動とその評価をわかりやすい形で有権者に伝えるのは有益だ。また有権者は周囲から貴重な政治情報を得ているため、各種コミュニティーの維持・発展も有権者の情報収集コスト削減に資する。
政治プロセスに時間をかけることもそれ自体が意味を持つ。政治情報は流通に時間がかかるからだ。例えば米国の政治学者の多くは、トランプ氏がこのまま共和党の大統領選候補者となる可能性は高くないと考えている。情報が時間をかけて流通するとともに米国の有権者がより多くの情報を基に冷静な判断をするようになると考えるからだ。
多くの民主主義国家で、有権者の情報収集コスト削減に特に大きな役割を果たしているのが政党だ。有権者は自分の立場に近く信頼できる政党を見つけることができれば、時間をかけて多くの情報を集めなくても「この政党なら大丈夫」と投票行動を決定できる。消費者が複雑な機能を持つ製品を購入する際にブランドが果たす役割と似通う。ブランドを信じて購入することで、消費者は製品の性能の詳細を調べる時間を省ける。
しかし日本では、有権者の情報収集コストを大幅に削減できるような、一貫した政策スタンスを維持するいわゆる「責任政党」が少ない。他方で無党派層も拡大している。民主党解党の可能性が取り沙汰されるが、前の製品の出来が悪かったからと名前をすぐ変更するようなブランドでは、消費者の信頼が得られるはずがない。責任政党の確立こそが有権者の適切な判断にとって非常に重要となる。
2つ目は古典的な「多数者の専制」のケースだ。昨今の欧州の移民問題、アラブ諸国の宗派対立などでみられる現象である。その回避策として従来有効とされるのが多元主義の実現だ。互いに交錯する様々な政治的対立軸で多数派と少数派が自由に競い合えば、一つの対立軸の多数者が少数者を抑圧する可能性は低くなる。
このケースで最近目立つのは、ある民主主義制度の「内」にいる有権者が「外」にいる者を抑圧するという構図だ。欧州の難民問題に加え、日本では膨張する財政赤字問題を通じて、選挙権を有する現役世代が将来世代に借金をつけ回しているという指摘がなされている。前者はグローバル化の進展、後者は国家の借金能力の大幅な拡張と少子高齢化という、いずれも時代の流れに伴い生じた構図だ。
「多数者の専制」は、有権者の利益や欲求が直接的に出ることで生じる問題だ。よって有権者の情報不足などが大きな要因である第1のケースに比べて、より直接的で強力な制度的措置も考慮する必要がある。健全な多元主義の実現のために必須とされる分厚い中間層が世界的に先細り気味の現況ではなおさらだ。
例えばドイツなど欧州の一部の国ではいわゆる「戦う民主主義」が導入されており、多数者の賛同を得たとしても、民主主義の基本的な価値を侵すような立法などは禁止されている。日本でも、憲法の根本に関わる原則までは改憲できないという憲法改正限界論が、憲法学者の間では通説となっている。現役世代による将来世代の搾取の問題についても、選挙制度のあり方などを含めた抜本的な制度改正の検討が必要となろう。
安易な民主主義懐疑論ではなく、人間の本質に遡った緻密な分析とそれに基づく具体的な制度論争を、今後のポピュリズム論争には求めたい。
ポイント
○有権者の持つ政治知識は驚くほど乏しい
○責任政党は情報収集コストの削減に貢献
○多数者の専制回避には直接的な制度必要
かとう・そうた 東大法卒。ミシガン大博士。専門は比較政治経済。東京財団上席研究員
[日経新聞2月5日朝刊P.29]
「MSビルゲーツ氏の模倣:広告宣伝にもなる“慈善事業”も行うが、税金対策をしながら自分の財布AからBに徐々に移転する行為」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/854.html
情報的には昨年のネタで、どうでもいいことだと思っているのでそのままにしていたが、関連ネタもあるので...
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「ニューズウィーク日本版」 2015−12・15
P.5
「フェイスブック株の99%を寄付する。
フェイスブックのザッカーバーグCEOと妻プリシラ・チャン−長女マックス誕生を機に、保有する時価450億ドル相当の自社株を慈善事業に宛てると発表して。だが寄付先が慈善団体や財団ではなく妻と新設した有限責任会社であることが判明し、一部で批判されている。」
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日経新聞2月7日朝刊1面
[春秋]
岩井克人さんの「経済学の宇宙」にこんな回顧がある。1973年、米国のエール大に助教授で赴任してすぐのころだ。学部長宅でのパーティーに出ると、若手学者らが興奮して話している。事細かに自らの節税策を自慢し合っていたのだった。心が暗くなったという。
▼妻で、後に作家となる水村美苗さんは、それを機に経済学者とのパーティーに出るのを拒むようになったらしい。よほど露骨だったのか。映画「マルサの女」でも脱税で強制調査を受けている経営者が蓄財の極意を「一滴ずつコップにたまる水を途中で飲んではダメ。あふれて、垂れてくる滴をなめるんだ」と披露していた。
▼所得税などの確定申告の受付が、今年も始まる。名門大の学者や映画の人物のように、実入りを必死で守ろうとする執着もハウツーもないが、国税庁のサイト上のツールなど、IT(情報技術)の発達で作業は楽になった。面倒ながら1年に1度のこと。年中、税金で頭を悩ます寅さんシリーズのタコ社長よりましだろう。
▼中世、税に不服のある農民は山林へ逃げた。その際、田畑や家は柴(しば)で囲い、領主や役人の出入りを禁じたという。聖域化である。昭和の漫画で、ほうきを逆さにした奥さんが、酔った夫を家に入れない場面はここから来た。農民が何度も成功し、習俗が残ったのだろう。税と人のえにしは、時に滑稽で、どこかもの悲しい。
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ザッカーバーグ夫妻がフェイスブック株式を寄付する「有限責任会社」(たぶん夫妻のみがパートナー)は、LLC(リミティッド・ライアビリティー・カンパニー)と呼ばれる事業会社の形態である。
LLCの元は、法律事務所や会計事務所など少数による共同経営で発生する責任(損害賠償などの債務)を限定(抑制)的にできるLLP(リミティッド・ライアビリティー・パートナーシップ)である。過誤行為に関わっていない共同経営者の弁護士や会計士を責任から解放することがLLPの目的である。
LLCを規定するLLC法もLLPを規定するLLC法も州法なので、州によって規定の内容が異なる。
LLCは通常の事業法人に較べ“自治”(任意規定)が広く認められ、課税も、法人税ではなくパートナーシップ課税が適用される。
LLCのパートナーは利益の配分だけで労務の報酬を受けられないが、パートナー課税では、パートナーとしてではなく個人として内部取引を行うことができるので、利益の配分とは別に労務(役務)提供などの報酬を受け取ることもできる。
また、生まれたばかりだが、子どもを設立するLLCのパートナーにしたとき、パートナーになってから1 年未満のパートナーも、パートナーの税務申告において長期キャピタルゲインとして行うことができる。
さらに、LLCは、残存資産の配分(清算)もパートナーの決定で行うことができる。そのとき、現物出資(株式)の帳簿上の価格は出資時の時価のまま維持され、資産の清算時にフェイスブックの株価が出資時より下落していれば、税金の計算で損失として控除して申告することができる。
安倍首相が同時に表明した「非正規雇用で働く人の均衡待遇を確保する取り組みを強化」することは、あまりに酷い現状を少しでも良くするため不可欠な政策だが、それが、「同一労働同一賃金」という曖昧模糊としたどうとでも解釈できるものにすり替えられ、非正規雇用の固定化や増加傾向を“黙認”する流れになるのは許されない。
リベラル派に代表される平等主義志向の人たちは、あまり内実を考えないまま「同一労働同一賃金」を平等理念に即したまっとうな政策のように受け止めているが、「格差是正(縮小)」と同じで、多くの人がよりましな生活条件を手に入れられるように政策というわけではない。(格差の問題は、格差自体ではなく、所得水準で下位に位置する人たちの劣悪な生活条件であり、下位の人たちの可処分所得を引き上げることが肝要である)
正規雇用の賃金レベルを引き下げて非正規雇用の賃金レベルを引き上げるという措置でも「同一労働同一賃金」は実現できる。
非正規の賃金を引き上げていくことは当然のように必要だが、不安定なうえに劣悪な待遇という状況から脱却したくて正規雇用を望む非正規労働者が「正規雇用」に転換される道筋を示すほうがより重要なテーマである。
※参照投稿
「首相、「同一労働同一賃金」実現へ法改正検討:「同一労働同一賃金」は労働者の“歯車化”、非正規の縮小や待遇改善を」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/326.html
「同一労働」という概念も、あるレバーを1時間に60回動かす仕事というようなデジタル的に計測可能なものであれば通用するが、質も量も“同一”という認定できる労働内容は稀である。
航空会社がキャビンアテンダントを非正規で雇用し始めたとき、「同一労働同一賃金」論で批判もされたが、職種が同じだからといって「同一労働」というわけではなく、経験や能力で労働のパフォーマンスは異なる。
CAの非正規雇用の問題は、数年の有期雇用であることや賃金格差が大きすぎることである。
直接雇用の人件費は消費税の課税ベースになるが、派遣労働者の人件費は経費となるので、逆に消費税の課税ベースから“控除”することができる。
直接雇用の人件費が100億円できちんと営業利益から充当されているとすると、人件費には消費税が8%(7.4億円)課されその分納税する消費税が増大するが、直接雇用をやめ派遣会社を活用すると経費と認定されるので、逆に、納税すべき消費税が7.4億円減少することになる。
このほか、直接雇用であれば社会保険など法定福利厚生費も負担しなければならない(法定福利厚生費も消費税の課税ベースに含まれる)。
このような“損得勘定”構造が、景気変動に対する雇用の調整弁として非正規と並ぶ、90年代から現在に至る派遣労働者の増大を招いた要因でもある。
そして、消費税の税率が高くなればなるほど(社会保険負担が増加すればするほど)、企業経営者は、労働者を間接雇用(派遣)に切り替えたいという誘惑に駆り立てられる。
非正規労働者の増大にも「消費税」が強く影響しているのである。
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非正規賃金上がりやすく 熟練度を反映
「同一賃金」照準 政府、秋にも法案
政府は非正規雇用(総合・経済面きょうのことば)の待遇を改善するため、仕事の習熟度や技能といった「熟練度」を賃金に反映させるよう法改正する。正社員と同じ仕事なら同じ賃金水準にする「同一労働同一賃金」の実現に向け、経験豊かで生産性の高い派遣社員らの賃金を上がりやすくする。約2000万人に上る非正規の賃金底上げにつなげる。
5月にまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」に盛り込む。関連法はパートタイム労働法や労働契約法の改正と、派遣社員の待遇に関する新法で構成する見込み。厚生労働相の諮問機関の労働政策審議会で詳細を詰め、早ければ秋の臨時国会に提出する。
現行法では、企業が非正規と正社員との間に賃金格差を設ける場合、派遣労働者は特に定めがなく、パートタイムや有期雇用は「業務の内容」「責任の程度」「配置の変更の範囲」などを考慮するとしている。しかし、いずれも習熟度や技能、勤続年数といった非正規の「熟練度」を賃金に反映するしくみはない。
正社員は賃金体系で勤続年数や技術能力の向上が反映されるが、非正規は年功的な要素がなく、賃金格差は年齢とともに広がる。厚生労働省の調べでは、25〜29歳の場合、正社員は1時間あたり1453円で非正規は同1030円。50〜54歳になると正社員は同2446円で、非正規は同1029円にとどまる。
法改正では、経営者が賃金を定める際、熟練度の考慮を義務づける規定をそれぞれの法律に設ける。欧州は理由があいまいな賃金の差を禁止し、差を設けた企業に訴訟などで格差の立証責任を課している。日本も「熟練度」を明記することで、なぜ非正規が正規よりも賃金が低いのか企業に事実上の説明責任を課す。
非正規による賃金格差訴訟はこれまで「法律に『熟練度』の規定がないため、能力などを訴えても勝訴例は非常に少ない」(政府関係者)のが実情。法整備で企業側に対抗する根拠ができる。
ただ賃金体系で熟練度をどのように定義付けするかは労使交渉や判例の蓄積によるため、法改正しても、すぐに非正規の賃金改善につながるとは限らない。経営状況が厳しければ、非正規の賃上げの原資を確保するために、正社員の賃金や待遇を引き下げざるを得なくなる可能性もある。
安倍晋三首相は一億総活躍社会の実現に向け、1月26日の衆院本会議で「非正規雇用で働く人の均衡待遇を確保する取り組みを強化する。同一労働同一賃金の実現に踏み込む」と表明。2月5日の衆院予算委員会では「制度改正が必要な事項は労政審が議論する」との考えを示している。
[日経新聞2月7日朝刊P.1]
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非正規雇用 仕事同じでも正社員と賃金格差
▽…雇用期間や勤務時間などが正社員と異なる働き方の総称。パート、アルバイト、派遣社員、契約社員などで合計約2000万人に及ぶ。正社員は雇用期間の定めがない無期雇用なのに対し、非正規社員は有期雇用が多い。一般に労働時間は週40時間以上働く正社員より短い。正社員より柔軟な働き方ができることから、非正規を選ぶ人も多い。一方で「正社員と同じ仕事をしているのに賃金格差が大きい」との指摘もある。
▽…非正規雇用がすべての雇用者に占める割合は1999年に25%だったが、2014年には37%まで上昇した。企業も雇用調整がしやすいことや年金や健康保険料の負担が少なくて済むことを理由に、非正規の比重を高めてきた。
▽…総務省の調べによると、正社員になりたいのになれない「不本意非正規」は331万人いる。子育て中でフルタイムで働けない女性や若者に多いとされている。政府は非正規全体の賃金底上げと非正規の正規への転換の後押しの両面で後押しする考え。一方で経済界からは「人件費に回せる経営資源は限られる。将来は正規の賃金引き下げで調整することもありうる」といった意見もでている。
[日経新聞2月7日朝刊P.3]
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が行った人工衛星の打ち上げは世界中に激しい反応を呼んだ。北朝鮮に対してより厳しい制裁の発動を呼びかける声が相次いで出されている一方で、ロシアと中国は制裁が出されてもそれが効果を上げることはないとの確信を示している。
米国および中国、ロシア、韓国、日本といった北朝鮮の近隣諸国は打ち上げに対する非難声明を表した。
ケリー米国務長官は北朝鮮のこのミサイル打ち上げについて国際安全保障に対する容認できない挑戦と呼び、北朝鮮にその責任をとらせるよう呼びかけた。ロシア、中国も続いて北朝鮮に対し、地域情勢を不安定化させるような行動を控えるよう呼びかけている。
これについてロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮課の専門家、コンスタンチン・アスモロフ氏は次のように語っている。
「ロシアと中国は北朝鮮に対し、ミサイル発射を行わないよう幾度も要請してきた。こうした中には人工衛星が落下して事故が発生することへの危惧感もある。こうした危惧感は現実のものにはならなかったが、いま、ロシアと中国の行動や声明には北が国際社会の憂慮を考慮しようとしないことへの苛立ちが感じられる。米国とその連合国らがロシアや中国の苛立ちを利用し、北朝鮮に対して国際的な圧力を調整する措置への支持をとりつけるという自身の目的を遂げようとしていることは間違いない。」
こうした一方で北朝鮮の行動には明確な攻撃性は認められない。その理由についてアスモロフ氏は、宇宙の平和的開拓権は万人にあるからだとの見方を示している。アスモロフ氏は、北朝鮮を巡る緊張した状況は北朝鮮自身の行動によるものというよりは、米国およびその連合国が破壊的な路線をとっていることに起因するとの見方を示し、さらに次のように語っている。
「米国とその同盟国は北朝鮮の体制転換について扇動的な話し合いを常に行っている。朝鮮半島付近を航行する米国の艦船には北朝鮮に照準を当てた兵器が搭載されているが、これが北に狙いを付け出したのは北が独自の核ミサイルプログラムを開始するよりもはるか前の話だ。米韓合同軍事演習は常時行われており、北朝鮮領域での行動が策定されている。北朝鮮はこうした演習を止め、半島全体を非核化する発案を定期的に行っている。だが米国は北朝鮮が行う平和条約締結の提案と同様、非建設的であるとか、ありふれたデマゴーグだとの見方を示し、こうした発案を無視し続けている。ところが現在米韓は、北朝鮮からの脅威が高まることへの報復として、朝鮮半島に米MDシステムの配備交渉を開始する構えを見せている。」
この交渉のきっかけとなったのが北朝鮮が先日行ったミサイル発射であったことは間違いない。まさにこのためにロシアと中国は北朝鮮の行動に苛立ちを覚えている。だが北朝鮮指導部を批判しながらも、ロシアと中国は現段階では、北朝鮮封じのツールとしての制裁発動は見通しを持つものではないという見解を取り下げようとはしていない。北朝鮮に核ミサイルプログラムを断念させることができるとすれば、それは北の安全に対し、揺ぎ無い保証を与えることをおいて他にはない。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160208/1573632.html
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ロゴジン副首相:ロシアは北朝鮮にミサイル技術を提供していない[スプートニク日本語]
2016年02月08日 16:29
ロシアのロゴジン副首相は、ロシアのコメルサント紙のインタビューで、ロシアが北朝鮮にミサイル製造技術を提供したとする韓国の非難について、「ナンセンス」だと指摘し、ロシアはミサイル製造技術の不拡散体制を堅持していると強調した。
北朝鮮の朝鮮宇宙空間技術委員会は7日、北西部・平安北道(ピョンアンブクト)のトンチャンリ(東倉里)にあるソヘ衛星発射場から、人工衛星「光明星(クァンミョンソン)4号」を搭載したロケット「光明星(クァンミョンソン)」を打ち上げ、打ち上げは成功したと発表した。
聯合ニュースによると、韓国当局は、北朝鮮が射程1万3000キロ程度のミサイルを開発したとみている。また聯合ニュースは、韓国の情報機関の情報として、ミサイルの複数の部品はロシアから導入した可能性があると報じた。なお他の詳細や、この情報の裏付けとなるものは一切伝えられていない。
政府の中で宇宙部門を担当しているロゴジン副首相は、コメルサント紙に、ロシアが北朝鮮にミサイル製造技術を提供したという情報は「完全にナンセンスであり、1パーセントの半分も現実と一致していない」と述べた。
副首相は、次のように語った―
「我々は、ミサイル技術の不拡散体制の遵守を厳格に監督しており、私が率いる専門家委員会が、北朝鮮のためにこのような種類の許可を出したことは一度もない。」
国営企業「ロスコスモス」のブレンコフ広報担当も、コメルサント紙に同じような声明を表した。
ロシア外務省は7日、北朝鮮のミサイル発射を受けて声明を発表し、北朝鮮は国際法の規範を挑発的に無視する態度を示し、国際社会の呼びかけに耳を傾けなかったと指摘した。またロシア外務省は北朝鮮の行動について、朝鮮半島と北東アジア全体の状況を深刻に悪化させ、ブロック政治や軍事対立の悪化に期待する者たちに利益をもたらし、北朝鮮自らをはじめとする地域の国々の安全保障に深刻な損害をもたらす恐れがあると発表した。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160208/1571149.html
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米マスメディア 北朝鮮の衛星は軌道上で「宙返り」!?[スプートニク日本語]
2016年02月09日 15:09(アップデート 2016年02月09日 23:43)
新しい北朝鮮の人工衛星は、軌道上で「宙返り」をするなど、正常に稼働していない。月曜日、米国の複数のテレビ局が、米国防総省職員の情報を引用して伝えた。
CNNによれば「北朝鮮の衛星は、軌道上には出たものの、コントロールできない状態にある」。またCBSは「すでに2度、北朝鮮は、人工衛星打上げを試みたが、今回も安定した軌道上に衛星を乗せる事が出来なかった」と指摘した。なお北朝鮮が、前回衛星打上げを試みたのは、2012年だった。
先に月曜日、米国防総省のピーター・クック報道官は「先ごろ北朝鮮が、ロケットを打上げ、衛星あるいは何か他の飛翔体を軌道上に到達させた」事を確認した。またCBSの報道では「新しい人工衛星には、すでに北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が番号をふり、追跡を続けている」とのことだ。
米空軍研究所は、敵が発射したミサイルを撃墜するため、超音速航空機に中出力のレーザーを搭載する計画。英フライトグローバルが伝えた。
フライトグローバルによると、レーザーが搭載されるのは戦闘機F-35ライトニングIIとF-22、また今後開発される軍用機。
最新システムの実験は、2016年に研究所で行われ、広範な実験は2021年に実施される見込み。
伝えられたところによると、レーザーの出力は数十キロボルトに達する。
レーザー兵器の主な課題は、敵が地上から発射した地対空ミサイルや、空対空ミサイルを撃墜すること。レーザー装置は、亜音速から超音速の範囲で稼働するものとなる予定。
囲碁では、2人が白と黒の碁石を交互に盤上に置き、囲い込んだ「領土」の広さを競う。大国の行動も、これに似ている。経済力や軍事力を使い、自分の縄張りを少しずつ広げたがる本能があるからだ。
南シナ海でせめぎ合う米中も同じだ。中国は7つの人工島をつくり、空港やレーダーをしつらえた。
米軍内では「一度に2隻の軍艦を人工島に送ったり、爆撃機を接近させたりして、圧力を強める案が出ている」(関係者)という。オバマ大統領が承認するかはともかく、緊張は高まりそうだ。
この対立は一見すると、「航行の自由」をどこまで中国に尊重させるかという国際法問題のようにみえる。だが、本質は、アジア太平洋の覇権をめぐり、米中が熱い縄張り争いに入ったということだ。
なぜなら南シナ海はただの海ではなく、世界の勢力図を左右する「へそ」だからである。地政学に精通した米戦略家の解説に耳を傾けてみよう。
米国が南北アメリカ大陸を支配できたのは、19〜20世紀初めにかけて欧州の勢力を退け、中心点にあるカリブ海を抑えたからだ。南シナ海もそんな要所にある。中国に支配されたら、アジア太平洋の覇権を奪われかねない――。
2つの地図を見ていただきたい。いずれの海もちょうど、真ん中に位置している。つまり、南シナ海はアジア太平洋の覇権を決する「カリブ海」なのだ。当然、米中の首脳もそのことは分かっているはずだ。
こうしたなか、気になる警告が米側から飛び出した。「南シナ海は2030年までに事実上、中国の『湖』になってしまう」。米戦略国際問題研究所(CSIS)は1月下旬、こんな報告書をまとめた。
根拠のひとつは、中国が数隻の空母機動部隊をもち、南シナ海にいつでも展開できるようになること。米ランド研究所も昨年10月、アジアの米軍優位が崩れていることを示す、詳しい分析を発表した。
ところが、米政府や米軍関係者にたずねても、返ってくるのは正反対に近い反応だ。「中国軍は増強されているが、米軍の優位は決して崩れない」「中国の成長は鈍っており、軍拡の勢いもいまがピークだ」
いったい、どちらが本当なのか。米太平洋軍司令官を経て、米中央情報局(CIA)などインテリジェンス機関を統括する国家情報長官も務めたデニス・ブレア氏(元海軍大将)に、疑問をぶつけてみた。
「そこまで悲観的な状況だとは、まったく思わない。台湾や南シナ海で中国軍が勝つには数週間、制空海権を保つ必要がある。それにより侵略後に拠点を築き、米軍の反撃もはね返さなければならない。中国軍は近年、そうした軍事作戦の経験がないが、米軍にはたくさんある」
中国軍は新兵器をいっぱい買い込んでいるものの、長年の実戦で鍛えられた米軍の能力には到底、かなわないというわけだ。
むろん、彼は現実を甘く見ているわけではない。印象に残ったのは、最後に語ったことばだ。自身が太平洋軍司令官だった約15年前なら、米軍はわずかな損害で中国軍に勝てた。だが、そんな時代はすぎたという。「(戦争になれば)こっちにも損害や死傷者が出る。しかし、最後には米国が勝つ」
アジアで紛争が起きたとき、多くの米兵の命を危険にさらしてでも、介入するか。米大統領はそんな決断を、より切実に迫られる時代になった。この現実は米国だけでなく、アジアにも重くのしかかる。
(編集委員 秋田浩之)
[日経新聞2月7日朝刊P.2]
米国の新聞「ザ・ニューヨークタイムス」は「シリアでプーチン大統領はすでに勝利を収めたが、これは多くの点で、オバマ政権の無力な政策のおかげである」と指摘した。
同新聞は、次のように書いている―
「シリアにおけるプーチン大統領の政策は、十分はっきりしたものだ。それは、アサド大統領の立場を強化し、武器を置き降参しないうちは在野勢力を空爆し、西側諸国によるアサド政権交替の試みを阻止する事である。
一方でシリアにおけるオバマ大統領の政策は、かなり曖昧なままだ。米国政府の側から、シリアは、米国の国益にとって鍵を握る要素ではないとか、中東での新たな戦争は、いかなる手段をとっても避ける必要があるとか、何度も繰り返し述べられてきたが、それによりもたらされているのは、単に米国が、ロシア政府の意見を黙認するといった状況だけだ。
オバマ大統領のせいで生じた『シリアの断末魔の苦しみ』は、パリやサンバーナーディノ(カリフォルニア州)でのテロを導いた。また今後有り得るEU崩壊に向け、大きな貢献をしたとも言える。
シリアは、オバマ政権にとって『恥』であり、大統領が国内政治において成し遂げたあらゆる業績を帳消しにしてしまうほどの『大失態』となった。」
「米紙「NYT」 シリアはオバマの恥、そしてプーチンの勝利:マッチョ米国は中東問題から距離を置き術数に長けた英仏露が前面に」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/542.html
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CIA元職員、ロシアはシリアへの米侵攻から世界を救済[スプートニク日本語]
2016年02月10日 02:19
CIAの元職員、レイ・マクゴーウァン氏は、2013年、化学兵器を巡るスキャンダルからシリアとの戦争を開始しようとしていた米国を止めたのはロシアだったとの見解を表した。マクゴーウァン氏は米ニュースサイト「サロン」のコラムニスト、パトニック・スミット氏からのインタビューに答えたなかでこう述べた。
「ロシアはオバマを助けた。オバマが2013年8月末、そして9月の初めにシリアに対して開戦の構えに入っていたときのことだ。当時、この戦争から世界を救った要因は複数ある。だがロシアの果たした役割は最も重要だった。」
2013年8月21日にダマスカス近郊でおきた化学兵器による攻撃はアサド政府によるものとして、8月30日、ケリー米国務長官はアサド政府を非難した。この非難が表されたのは国連の専門家らが調査結果を提出する前の段階だった。オバマ米大統領は、シリアへの攻撃決定を下したが、その後、議会の承認を取り付ける必要性があるとの理由から突如、作戦開始を一時停止した。
マクゴーウァン氏は、ロシアは米国に対し、2013年6月の北アイルランドでのG8サミットの時点で既にシリアでの化学兵器使用状況を調査するよう提案していたが、ダマスカスでの化学兵器攻撃があったという発表の後でも同じ提案を繰り返し、これがオバマ氏の決断を変える決定的なファクターのひとつとなったと語っている。
「8月30日、ケリー長官は国務省での演説の中で35回も、これはあなたもご自身で数えたらいいが、35回も全てはアサド政府が悪いと繰り返している。 同日、オバマ氏は記者会見にのぞんだが、私も含めておよそ500人の人間がホワイトハウスの前に立ち、シリアを爆撃しないよう要請している。私たちがこうした騒ぎを起こしたため、オバマ氏の記者会見は45分間も遅れた。その後オバマ氏は出てきて、シリア進撃はないと断言したんだ。これには自分の耳が信じられなかったね。」
マクゴーウァン氏はCIA時代、ソ連、ロシアの主たるエキスパートのひとりとされており、スラブ民族には敬意を抱いており、ロシアおよびソ連は第2次大戦の元連合国側から自国に対するこうした態度を受ける覚えはないはずだと語っている。その一例としてマクゴーウァン氏は、まさにソ連こそが大祖国戦争で何千万人もの人命を失ったにもかかわらず、ロシア代表をノルマンディー上陸作戦の成功から70年を記念した祝典に呼ぶ問題について討議されたことを挙げた。
「ソ連をヒットラーが襲い、これによって2600万から2700万人のロシア人が命を落とした。これに西側は何の注意も払っていないようだ。私にしてみれば、ノルマンディー上陸作戦70周年にロシア代表を呼ぶ、呼ばないと討議するなど、これほど侮辱的なことはない。この時、彼らがどんな気持ちでいたか、あなたは想像できますか?」
ロシアは米国の中東諸国に対する非建設的計画を既に何度も打ち破ってきた。まさにロシアの立場のおかげでシリアは、化学兵器を使用したとしてアサド大統領が名指しで非難された後に米空軍の標的にならずにすんだ。ところで、2年以上たっても化学兵器を使用したのがシリア軍だったという証拠は何も挙げられていない。イランの核問題においてもロシアが調整に果たした役割を忘れてはならない。ロシアは中東にさらに戦争の火の手が上がらぬよう、重要な役割を果たしたのだ。
オランダ最大手の石油取引会社「ヴィトル・グループ(Vitol Group)」のヤン・テイラー(Ian Taylor).最高経営責任者は、ブルームバーグ通信のインタビューに対し「原油価格は、今後5年から10年の間、中国経済の減速や米国におけるシェールオイルの採掘により、低い水準で推移し続けるだろう」と述べた。
テイラーCEOは、次のように指摘した―
「我々は、原油が急激に値上がりするとの根拠を目にしていない。価格は、1バレル=40ドルから60$の範囲で変動するだろう。こうした価格水準は、今後5年から10年続くと思う。」
こうした予想は、豊かなエネルギー資源国が、大体において原油価格が1バレル=10ドルから20ドルだった1986年から1999年以来の、極めて厳しい時期を体験する事を意味する。
ゆえに原油価格が、100ドル以上の水準に戻ることなど決してないことを、認めるべきだ。なぜなら、原油は市場であり余り、中国の経済発展のテンポは減速し、米国では所謂『シェール革命』が進むからだ。」
http://jp.sputniknews.com/business/20160208/1572294.html
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市場の余剰原油が予想以上に強く影響、IEAが2016年の石油需要予測を再度下げる[スプートニク日本語]
2016年02月10日 01:16
国際エネルギー機関(IEA)は、以前発表していた2016年の世界の石油需要予測を日量10万バレル下げ、9560万レベルに修正した。IEAの各月の報告書の中で明らかにされた。これに関連し、アナリストらの間からは原油価格がさらに下落するリスクが高まったとの声があげられている。
IEAの指摘では、1月の国際石油供給は日量20万バレル縮小した。その一方で需要は依然として上昇しており、日量およそ9650万バレルとなっている。しかも近未来では石油の余剰供給は、OPECが依然として原油採掘量の拡大を続けているために日量175万バレルにまで達する恐れがある。
IEAのレポートでは「市場が依然として石油過多の状態にあることを考慮すると、原油価格が短期的スパンで著しく上昇するとは非常に考えにくい。こうした条件下で価格下落の短期リスクが上昇している」と書かれている。
ウクライナではひったくりが横行している。町では、店舗の前で食料品の入った袋を奪って逃げる犯罪が急増している。ウクライナ紙「セヴォードニャ」が報じた。
「セヴォードニャ」によると、ウクライナでは、店の前で待ち伏せし、食料品をひったくる事件が相次いでおり、食料品の入った袋を持っている場合、その人が誰であろうと標的にされるという。
「セヴォードニャ」が意見を調査した社会学者たちはひったくりの急増について、ウクライナの経済状況の悪化と関係があるとの見方を示している。
ウクライナは現在、事実上デフォルトの瀬戸際にあり、失業率は増加し、ウクライナ通貨は下落して3分1以下となった。
ウクライナ財務省の情報によると、同国の平均月収は160ドル未満で、欧州で最も低い国の一つとなっている。
サウジアラビアのアーデル・アル・ジュベイル外相は、テロ組織「ダーイシュ(IS,イスラム国)」と戦うため、米国主導の有志連合の一員として、サウジの特務部隊をシリアへ派遣する可能性について言及した。ロイター通信が伝えた。
なお木曜日、サウジアラビア国防省のアフメド・アスィリ顧問は「我が国は、米国主導の有志連合司令部がそれに同意するならば、シリアにおける地上作戦に参加するため、部隊を派遣する用意がある」と述べている。またアスィリ顧問は「こうした決定は、来週ブリュッセルで開かれるNATO首脳会議で下されるだろう」との見方を示した。
なお英国の新聞「ガーディアン(Guardian)」は、サウジアラビア消息筋の情報を引用して「サウジ当局は、シリアに数千の軍人を送る可能性がある」と報じた。
プーチン大統領とバーレーンのハマド国王は、黒海沿岸のソチで会談した。両首脳は、テロリズムとの戦いを含め、中東の状況に関する多くの問題について合意に達した。バーレーンのハレド外相が明らかにした。
ハレド外相は、次のように述べた―
「地域の諸問題について言えば、交渉は、大変重要な意味を持つもので、多くの問題に関し実際上同意に達した。テロリズムとの戦いの必要性や、現存する矛盾の平和的解決法模索の必要性、そして国家の崩壊や合法的政権の打倒を許さない事など、基本的な点について、我々の見方は一致している。
我々は、多くの国々が、こうした紛争を抱え、国際的な、そして地域を越えた戦いに直面した事をよく知っている。この事は、多くの難民や移住者を生み出した。その数は、何十万人にも達している。これはすでに、世界的な問題であり、国家を弱体化させている。
シリア危機について言えば、バーレーン国王は、プーチン大統領及びロシア政府と友好的なロシア国民の役割を高く評価した。ロシアは、シリアが危機から脱する助けをしている。」
なおロシアのラヴロフ外相は、会談を総括した記者会見で「ハマド国王とプーチン大統領の依頼により、我々は、両首脳が、実施された話し合いに大変満足している事を、皆さんにお伝えしたい」と述べた。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160208/1574367.html
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プーチン大統領はバーレーン国王に「黄金の馬」を 国王は大統領に「勝利の刀」を贈る[スプートニク日本語]
2016年02月09日 00:30
ロシア大統領報道部が記者団に伝えたところでは、ソチを訪れたバーレーンのハマド国王は、プーチン大統領に、国王自身の注文によるダマスカス鋼(強い刃と独特の木目上の模様で知られる中東の鋼鉄)と貴金属で作られた「勝利の刀」を贈った。又プーチン大統領は、国王に、4歳のアハルテケ種の種馬を贈った。アハルテケというのは、トルクメニスタン原産の馬で、過酷な気候に適応し、スピードと長距離の持久力で知られる「黄金の馬」として世界的に有名だ。
大統領報道部によれば、ハジベクと名付けられたこの馬は、2014年そして2015年と、何度も世界の馬の品評会で優勝している。
自民党の宮崎謙介衆院議員が、妻で同党の金子恵美衆院議員の出産直前に不倫していたとする記事が、10日発売の週刊文春に掲載されることが9日、わかった。育児休業取得を宣言し、国会議員の育休の制度化を推進していた宮崎氏の不倫疑惑に、党内で批判が強まっている。
週刊文春に掲載予定の記事によると、宮崎氏は1月30日から31日にかけて、自身の選挙区である京都市内のマンションに30代の女性タレントと宿泊。宮崎氏は京都市長選の応援のため地元に戻っていたという。
宮崎氏は9日の衆院本会議に出席後、国会内で記者団に不倫疑惑について問われたが、無言のまま駆け足で車に乗り込んだ。
宮崎氏は、文春報道について自民党執行部に報告済みだというが、ある幹部は「育休を訴えておきながら、これ(不倫疑惑)では自民党どころか国会議員全体のイメージダウンにもなりかねない」と憤った。
宮崎氏は妻の金子氏の妊娠を受けて育休の制度化を提案したが、党内で賛否が分かれた。長男が生まれた2月5日には、自身のブログで「これから2人で大切に育てていきたいと思います」と報告していた。
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/160209/plt16020915200024-n1.html
「育休宣言」の宮崎衆院議員に不倫疑惑 週刊文春が報道へ 記者団の取材に“逃走”:キジも鳴かずば(育休騒動)撃たれまい
http://www.asyura2.com/09/news8/msg/1100.html
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宮崎氏不倫疑惑「(妻の)金子氏に大変心が痛む…」 自民・佐藤国対委員長がケジメ求める
産経新聞 2月9日(火)20時52分配信
自民党の佐藤勉国対委員長は9日の記者会見で、同党の宮崎謙介衆院議員が、妻で同党の金子恵美衆院議員の出産直前に不倫していた疑惑が浮上したことについて「言いたいことはたくさんある。政治家として今まで言ってきたことへの責任はあり、きちんとケジメをつけるべきだ」と苦言を呈した。
宮崎氏は育児休業取得を宣言し、国会議員の育休の制度化を推進するなど「イクメン」ぶりをアピールしてきた。佐藤氏の発言は、そんな宮崎氏に対して説明責任を果たすよう求めた形だ。
また、言葉を詰まらせながら「(妻の)金子先生のことを思うと大変心が痛む」「女性にとって大事な産後にこういう報道が出るのは、非常に残念なことだ」とも述べた。
最終更新:2月9日(火)20時52分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160209-00000594-san-pol&pos=5
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「情けない」「争点にすらできない」 不倫疑惑の宮崎謙介議員に地元・京都の政界から冷ややかな声
産経新聞 2月9日(火)19時38分配信
男性国会議員として初めての「育児休暇」取得を宣言している自民党の宮崎謙介衆院議員(35)=京都3区=の不倫疑惑が9日、発覚したことを受け、地元である京都の政界関係者からは「情けない」「(選挙の)争点にすらできない」と冷ややかな声が相次いだ。7日に投開票された京都市長選では、自民、民主、公明の3党に加え、社民まで相乗りした呉越同舟で現職が当選を果たしたばかり。一時は手を取り合った地元政界の関係者たちも、不倫疑惑の浮上にはあ然とした様子だった。
■京都市長選で運動応援
京都市長選では、地元議員の一人として、宮崎議員も選挙運動に尽力していたという。育休宣言に対しては賛否が分かれたものの、“イクメン”として好感度アップも期待されていた矢先でもあっただけに、所属する自民党京都府連の関係者は、「全く情けない…」とがっかりとした様子。
「市長選にも積極的にかかわって京都府内での存在感を示しており、上り調子だと思っていたのに。事実関係は確認中だが、こんなことで目立たなくていい」と吐き捨てるように話していた。
■「敵失といえば敵失だが」
民主党府連の関係者は「敵失といえば敵失だが、表だって批判するにも値しないような気がする」と話していた。別の政党関係者も“育休議員の不倫疑惑”について見解を尋ねたところ、「争点にすらできないよ」とあきれた様子だった。
一方、京都市長選では推薦候補が大敗した共産党。府委員会の関係者は「まぁ勝手にやってくれという感じ」と突き放したように話した。
最終更新:2月9日(火)19時38分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160209-00000572-san-soci
黒田日銀としては、物価目標も達成できないまま、量的金融緩和終結・「出口戦略」・テーパリングなどを語ることはできないから、量的金融緩和を継続すると見せかけながら状況的にやむなしとして政策転換するために、混乱を招くことがわかっている「マイナス金利」導入という奇手に打って出たのである。
「マイナス金利」導入については、アナリストやエコノミストが揃って“実効性に疑問”を突きつけているが、黒田日銀自身が当然そのように理解している。
記事のタイトルに“誤算”とあるが、急激な円高はともかく、株安など市場を見せる様々な“困惑”は、黒田日銀も織り込み済みである。
異次元量的金融緩和政策そのものが、物価目標や経済成長政策とは無関係の「国債サイクル維持」政策である。それが理解できていないと今回の「マイナス金利」導入の意図も見えてこないだろう。
「マイナス金利」導入は「異次元量的金融緩和」政策の“終わりの始まり”と考える詳細の説明は別の機会にさせていただく。
※ 関連参照投稿
「日銀、マイナス金利導入を決定 異次元緩和に転換点:日銀当座預金積み増しにペナルティ:銀行の収益に打撃」
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/889.html
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<長期金利>初のマイナス 株安円高、日銀に誤算
毎日新聞 2月10日(水)0時10分配信
世界の投資マネーが日本国債に流入している
9日の東京債券市場は、長期金利の指標となる新発10年物国債の市場利回りが一時、マイナス0.035%まで低下し、史上初めてマイナスとなった。日銀がマイナス金利導入を決めたことを受け、日銀にお金を預けておくと損をする金融機関が国債を買う動きを強めていたことに加え、欧米市場の株安を受けて東京株式市場でも株価が急落し、安全資産とされる国債を買う動きが広がったためだ。日銀のマイナス金利は世界的な株安に歯止めをかけると期待されたが、これまでのところ世界を取り巻くリスクを打ち消せずにいる。
日銀は1月29日の金融政策決定会合で、マイナス金利の導入を決定。中国経済の減速懸念や原油安を背景にした年明け以降の株安・円高の流れを止めたい狙いもあった。金利が低下すれば円安が期待できることに加え、企業が借り入れを増やして設備投資を積極化し、株価の押し上げにもつながるとみていたからだ。
ただ、市場では「世界経済の先行きに対する不透明感は強く、株安・円高・金利低下の流れは長引く可能性がある」(大手証券)との見方が強い。8日の欧米市場での株安は、米国のエネルギー企業や欧州の金融機関の経営不安がきっかけだ。年明け以降、新興国を中心に世界経済先行きへの不安がくすぶる中、欧州の景気回復の遅れや、景気のけん引役となっている米国経済の減速も強く意識され、9日の東京株式市場では、日経平均株価の終値が前日比918円86銭安の1万6085円44銭と急落。下げ幅は一時1000円に迫り、2013年5月以来、約2年9カ月ぶりの下げ幅を記録した。東証1部上場企業の98%超が値下がりする全面安の展開となった。
株安に拍車をかけたのが外国為替市場で進んだ円高だ。リスクを避けるため比較的安全とされる円が買われ、円相場が1ドル=114円台前半まで急騰。円相場は前日午後5時時点に比べて3円超も円高・ドル安が進み、14年11月以来、約1年3カ月ぶりの円高水準となった。輸出企業の採算が悪化するとの懸念から、自動車や電機など輸出関連企業の株式が売られたほか、長期金利がマイナスになったことで運用収益が落ち込むとの見方から銀行株も大幅に値下がりする結果になった。
株を売ったお金は安全資産の国債に向かい、9日の債券市場では長期金利がマイナスとなった。国債を高値で買うため、満期まで保有してお金が返って来ても損失が出る異常事態。だが、価格変動リスクの大きい株に比べると国債価格の値動きは安定しており、「国債を高値で購入して損は出たとしても、株を保有して大きな損を出すよりはまし」という投資家の安全志向の心理が働いた。
日銀が導入を決めたマイナス金利は、こうした投資家の不安心理を抑える効果が期待された。金利低下で貸し出しが増え、お金の流れが増えるとみられるためだが、現状では、運用難になる金融機関の経営悪化や消費者が受け取る利息の減少の方が強く意識されており、市場の動揺は収まっていない。
この日、マイナスとなった長期金利は企業への融資や住宅ローンを組む際の金利の指標とされる。このため、お金を借りたいと思う企業や家計にとっては恩恵となる。ただ、金融機関は国債の運用で安定的な収益を上げることが難しくなるため、収益を維持するために預金金利の引き下げに踏み切る動きが出ている。資産運用会社も国債などで運用する投資信託「MMF(マネー・マネジメント・ファンド)」の販売停止や償還の前倒しに踏み切っており、個人の資産運用は見直しを迫られている。【中井正裕、鈴木一也、土屋渓】
最終更新:2月10日(水)3時32分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160210-00000000-mai-bus_all
まず、原子炉については、核開発施設が集中している寧辺に5MW級があり50MW級も準備されていたとされるが、実際に稼働したのは5MW級のみで50M級は94年の「米朝枠組み合意」で建設が中止されている。(別の場所で200MW級も建設中だったが「米朝枠組み合意」で中止)
北朝鮮の原子炉については、誤って、ソ連型(黒鉛減速沸騰軽水圧力管型)と説明されることも多いが、記事にあるとおり、英国に由来する「黒鉛減速ガス冷却型」である。
北朝鮮がプルトニウム型核分裂爆弾を開発済みとしても、原料であるプルトニウムは、英国に由来する5MW級黒鉛減速ガス冷却型原子炉で製造されたのである。
ロケットについては、今回のものも2012年に打ち上げたロケット『銀河3号』のバージョンアップだと言われているので、再び欧州製装置が組み込まれている可能性がある。
北朝鮮が1段目にわざわざ“自爆装置”を付けて残骸の確認をされにくくしたのは、その“秘密”を隠すためかもしれない。
北朝鮮には、誰かが建設した軽水炉原発があるのみならず、4千基のウラン濃縮用遠心分離器があると言われている。
(建設された軽水炉原発は4千基の遠心分離器を稼働させるためのもので、米国と豪州が関与していると推測している。目的は、ウラン鉱資源が豊富な北朝鮮に原発用核燃料を生産してもらうことである。重大な被曝問題があるため、米豪などでは国内生産ができなくなっている)
国際政治の世界は魑魅魍魎で得体が知れない。
※北朝鮮のウラン濃縮施設が米国の“黙認”のもとで稼働していることを窺わせるロイターの記事
「北朝鮮で新たなウラン濃縮施設の存在が明らかになり、米情報機関の北朝鮮に関する情報収集能力に新たな疑問符が付く格好となった。」
「北朝鮮を訪問したヘッカー元ロスアラモス国立研究所長が2000基の遠心分離器を目撃したとの報告をインターネット上で公表したのを受け、こうした疑問が浮上している。」
「米当局は同問題に関し、北朝鮮のウラン濃縮への取り組みは何年も前から分かっていたとして、今回の「突然の出現」をさほど重要視していないかのように装う。」
「ゲーツ国防長官は、自分は北朝鮮のウラン濃縮施設の存在を知らなかったと認めている。一方、センシティブな機密情報だとして口をつぐむ米当局者もいる。」
「ウラン濃縮施設を公表した北朝鮮の意図には疑問が生じる。」
「米情報機関幹部は、ロイターの取材に「米情報機関は北朝鮮のウラン濃縮活動を何年も前から知っていた。率直に言って、北朝鮮は狙いや能力を隠すのが常に上手だったわけではない」と述べている。」
「北朝鮮のウラン濃縮施設、米情報機関には「最悪の悪夢」」(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-18299120101123
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ロシア 北朝鮮に軍事技術を供与したという非難を否定[スプートニク日本語]
2016年02月10日 18:32(アップデート 2016年02月10日 22:10)
タチヤナ フロニ
ロシアのロゴジン副首相は、ロシアが北朝鮮にミサイル製造技術を供与したとする韓国の非難について、「ナンセンス」だと指摘し、ロシアはミサイル製造技術の不拡散体制を堅持していると強調した。
聯合ニュースは、韓国の情報機関の情報として、ミサイルの複数の部品はロシアから導入した可能性があると報じた。なお韓国はいかなる証拠も提示していない。ロシア人専門家のウラジーミル・エフセエフ氏は、韓国は以前も同じような根拠のない非難を行ったことがあると述べ、次のように語っている。
「北朝鮮が2012年に打ち上げたロケット『銀河3号』の1段目を韓国軍が水中から引き上げたとき、専門家たちはこれを非常に綿密に調査した。分析は、ロケットの1段目から発見された装置の多くが、欧州諸国でつくられたものであることを示した。そのため北朝鮮が何らかのロシアのロケット技術を使用したとしてロシアを非難する前に、『銀河3号』の製造に参加したことが明らかとなった企業のことを究明してもよいのではないだろうか。その他にも『銀河3号』の1段目を製造する際、溶接が非常に雑だった。これは1段目が北朝鮮で製造されてことを物語っている。」
さらにエフセエフ氏は、北朝鮮のミサイル製造にロシアが参加したという根拠のない主張は、今後も続けられる恐れがあるとの見方を示し、次のように語っている。
「北朝鮮が兵器級プルトニウムの製造に取り組んでいたとき、北朝鮮はロシア製のものと似た重水炉タイプではなく、英国で使用されている『マグノックス炉』タイプの黒鉛減速ガス冷却炉を使用した。北朝鮮がこの黒鉛炉を真似し、その後完成させたと考えられるあらゆる根拠がある。そのため、ロシアが北朝鮮に何らかの技術を供与したとして非難する根拠は一切ない。その技術とはどのようなものなのか、そしてそれがどこから北朝鮮に入ってきたのかを究明する必要がある。私個人としては、『銀河3号』は北朝鮮が製造した打ち上げロケットであり、その原型はソ連あるいはロシアの打ち上げロケットだというのは事実ではないと確信している。また『銀河3号』では液体燃料が使用されているという事実も、ロシアがミサイル技術を北朝鮮に供与していると主張する根拠にはなっていない。」
エフセーエフ氏は、北朝鮮に対して新たな制裁を発動する前に、以前発動された対北朝鮮制裁に違反した西側諸国を明らかにする必要があるとの考えを表している。
ロシアは韓国に対し、北朝鮮にミサイル技術を供与したとしてロシアを非難したことについて公の場での謝罪を求めている。ロシア外務省のザハロワ報道官が発表した。
北朝鮮は2月7日、独自に製造したロケットを使って衛星を軌道へ投入した。
韓国の国会議員のイ・チョルウ議員は今週初め、北朝鮮が発射したミサイルの一部はロシアで製造されたものだと発表した。
「ロシア 北朝鮮に軍事技術を供与したという非難を否定:プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/549.html
近々憲法評議会への異動を控えているファビウス仏外相は10日、米国の対シリア政策を批判した。
「不明瞭なのは連合軍に参加した国々の行動も同じだ。」
米国の対シリア政策については「発言がなされても、行動の内容はそれとは別」と批判。ロイター通信がファビウス外相の声明を引用して報じた。
ファビウス外相は、米国の行動は多くの点でこれから実施される米大統領選挙に左右されるとの見方を示し、「バラク・オバマ氏は委任期間が終わりに近づくことで、(ケリー)国務長官の指摘するように断固とした行動に出るのかどうか、私は確信がもてない」と語っている。
国防総省やCIAはともかく、オバマ大統領自身がどこまで関与したかは疑問だが.....
※他の画像は[スプートニク日本語]でご覧ください。
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「平和創設者の仮面をつけたライフ」、バズフィードがオバマ氏を笑い倒す[スプートニク日本語]
2016年02月10日 22:34
「オバマは自分の手で『ダーイシュ(IS,イスラム国)』を作ったと社会から非難を浴びている。はたして真相は?」グローバル・メディア企業、「バズフィード」のあるユーザーがオバマ大統領を揶揄した皮肉たっぷりのマテリアルにこんな問いを載せた。
バズフィードはオバマ大統領という人物を題材にしたフォトモンタージュやデモチベーターの新シリーズを発表。ユーザーネーム«pepezhepez»さんは米国人の間で最もポピュラーなオバマ観やオバマ氏と国際テロ組織との関係についての見解を集めた。「オバマ、平和創設者の仮面をつけたライフ」と題されたシリーズはオバマ氏の美辞麗句のイラストで飾られている。
「先日、『ダーイシュ』に34のテロ組織が合流した。『ダーイシュ』は世界一金持ちのテロリストと呼ばれている。それは石油を売り、銀行を握っているからだ。」«pepezhepez»さんはこう書いている。
「ところで『ダーイシュ』は米国のこどもだ。その米国は今、テロとの戦いに自分も加わっているところを見せようとしているんだが。」
「それにトルコのエルドアン大統領は『ダーイシュ』から石油を買っているんじゃないかって疑われているが、それがまたオバマを仰いでいるんだから。な、わかるだろ、この関係?」
ロシアはトルコが「ダーイシュ(IS,イスラム国)」指導部と秘密裏に接触していることを示す証拠を握っている。ロシアのラヴロフ外相は「モスコフスキー・コムソモレツ」紙からのインタビューにこう語った。
ラヴロフ外相は「ダーイシュ」指導部がトルコ指導部と内密に接触していることを示す証拠があるとし、「我々の航空宇宙軍の攻撃によって従来の密輸ルートが深刻に制限されるという現在の条件下で、彼らは行動のバリエーションを話し合っている」と語っている。
これまでロシアは数度にわたり「ダーイシュ」戦闘員がトルコ領内に石油を密輸している証拠を発表してきた。1月末にはイスラエルのヤアロン国防相も「ダーイシュ」が「トルコの資金」で賄われているとあからさまな声明を表したばかり。
「ロシア 北朝鮮に軍事技術を供与したという非難を否定:プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/549.html
[補足説明]
北朝鮮問題解決のボトルネックは「日朝国交正常化」の遅滞である。
「朝鮮半島の非核化」は、未だ破棄されてない2005年9月19日の6カ国協議共同声明で既に合意をみている。
(02年の日朝平壌宣言も、14年のストックホルム合意も“生きている”)
05年9月に合意された内容:
1)北朝鮮は、すべての核兵器と核計画を放棄する
2)北朝鮮は、核拡散防止条約及び国際原子力機関の保障措置に早期復帰すことを約束する
3)米国は、北朝鮮に攻撃・侵略を行う意思がないことを確認する
4)米国は、北朝鮮の核平和利用の権利を尊重して適当な時期に軽水炉提供問題を議論する
5)米朝は、相互の主権を尊重、国交正常化のための措置をとる
6)日朝は平壌宣言に従って、懸案の解決を基礎として国交正常化のための措置をとる
7)6ヶ国は、適当な場で朝鮮半島の恒久的な平和体制について協議する
これらの合意のうち、1)〜4)は既に履行されているが、5)〜7)は未だ履行されていない。米国は、日朝国交正常化を受けて、5)を履行するつもり。
6ヶ国協議は、ミサイル輸出や核開発を断念した見返りとして北朝鮮に支払われるお金にもかかわる「日朝国交正常化」の目処が付かない限り意味がない(進展しない)ため、長期にわたって中断が続いている。
日本(安倍政権)は当然のこととして、米中韓露も、このような経緯とボトルネックの“原因”を知りながら、今年になって動きがあった北朝鮮の核とミサイルで“空騒ぎ”しているというのが実態。
衛星打ち上げはともかく、核実験(偽っぽいが)は、05年9月合意(日朝国交正常化)の早期履行を迫る“催促”と考えることができる。
むろん、北朝鮮の「核とミサイルの騒動」は、安倍政権や米国にとって、新安保法制の“必要性”や米国製MD(ミサイル防衛システム)の“売り込み”を補強するものに活用できる重宝なネタでもある。
行方不明者を含み46名の死者が出た天安号沈没事件(2010年3月:韓国は北朝鮮が撃沈したと主張)、民間人二人を含む4名の死者が出た延坪島砲撃事件(2010年11月)という生々しい重大事件が起きても、南北は“元の鞘”に戻ったのだから、4回目にもなる核実験や本物のミサイルを含めて頻発するロケット発射くらいでは“鞘”は壊れない。
韓国の洪容杓統一相は、「放置すれば核能力が高度化し、地域で『核ドミノ』が起こりかねない」と語ったという。
日本は日朝国交正常化という自分がやるべき課題が未達の状況だからなおのことだが、日本も韓国も政権は米国や中国が恐くて「核武装」なんて言えないとしても、韓国や日本が北朝鮮の核を理由に核武装を国策にする動きを見せたほうが“なんとかしなきゃ!”という国際世論が高まり「北朝鮮(朝鮮半島)問題」の解決が早まる可能性が高い。
※参照投稿
「北朝鮮 プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置・ウラン濃縮遠心分離器+軽水炉原発は米国“公認”」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/142.html
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韓国、開城団地の操業中断 日本は北朝鮮への送金原則禁止[日経新聞]
2016/2/11 1:06
【ソウル=小倉健太郎】日韓両政府は10日、核実験や事実上の弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮への独自制裁をそれぞれ発表した。日本は拉致再調査に関する日朝合意に伴い2014年に解除した制裁を復活させ、人と船の往来や送金の規制を拡大。韓国は北朝鮮の開城(ケソン)にある工業団地の稼働を全面的に中断する。国連安全保障理事会の制裁決議に先行して決め、北朝鮮への強い姿勢で足並みをそろえた。
日本は新たな制裁として、10万円以下で人道目的の場合を除き、北朝鮮への送金を原則禁止する措置を打ち出した。北朝鮮に寄港した第三国籍船舶の入港も禁じる。再入国の禁止対象に、訪朝した在日外国人の核・ミサイル技術者を加えた。
安倍晋三首相は記者団に「断固たる措置を決定した。拉致問題、核・ミサイル問題解決のため国際社会と緊密に連携していく」と強調。菅義偉官房長官は記者会見で「必要に応じさらなる措置を検討する」と語った。
一方、韓国は南北間で唯一残る経済協力事業である開城工業団地の稼働を中断する。04年に操業を始めた同事業では、韓国企業約120社が北朝鮮の労働者5万人超を雇い、縫製工場などを運営している。韓国企業は安い労働力を活用し、北朝鮮は外貨を獲得できるメリットがある。韓国側の累積投資額は1兆ウォン(約千億円)を超える。
10年の北朝鮮による延坪島砲撃事件などを受けて韓国は南北交流事業を原則中断したものの、開城工業団地を例外とした。結果として、この資金が核開発に利用された面もあるとみている。北朝鮮が核実験をした13年、南北関係の悪化から北朝鮮が韓国人の団地への入境を禁じたことはあるが、韓国側からの中断通告は初めてだ。
韓国の洪容杓(ホン・ヨンピョ)統一相は記者発表で「放置すれば核能力が高度化し、地域で『核ドミノ』が起こりかねない」と、強い制裁に踏み出す理由を説明した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS10H67_Q6A210C1MM8000/
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北朝鮮、開城工業団地を軍統制下に 韓国側を追放[日経新聞]
2016/2/11 17:57
【ソウル=小倉健太郎】北朝鮮の韓国に対する窓口機関である祖国平和統一委員会は11日に声明を出し、南北が共同運営してきた開城工業団地を軍の統制下に置くとした。朝鮮中央通信が伝えた。団地内の韓国側関係者は午後5時(日本時間同5時半)までに追放、団地内にある韓国側資産は凍結するとした。
韓国政府は10日、北朝鮮の核実験や事実上の長距離弾道ミサイル発射に対する独自制裁として開城工団の操業を全面中断すると表明。11日に関係者が撤収作業を始めていた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM11H38_R10C16A2000000/?dg=1
「韓国、開城団地の操業中断:北朝鮮、開城工業団地を軍統制下に 韓国側を追放:デジャヴ!何度も繰り返されてきた“瀬戸際劇”」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/553.html
衛星打ち上げを受けて安倍政権が10日に決定した対北朝鮮制裁の内容は、14年のストックホルム合意→特別調査委員会設置を受けて行った制裁の一部解除をチャラにし、それ以前の制裁状態に戻すものだから、北朝鮮がストックホルム合意で設置した特別調査委員会の解体を発表するのは、安倍政権も掲げる「行動対行動」に則したものだと言える。
しかし、それは建前で、北朝鮮は、「拉致被害者らの調査全面中止 特別調査委員会の解体」を発表することで、調査報告の期限である1年を過ぎても拉致被害者調査報告を受け取れない安倍政権に“助け舟”を出したと評価できる。
北朝鮮が調査を全面中止し特別調査委員会を解体したことで、安倍政権は期限通りに調査報告を受け取れない“責任問題”から逃れ、仕切り直しで拉致問題に取り組むことができるようになるからである。
普通の判断ができるひとなら、北朝鮮が自国にいる外国人である拉致被害者の現況を把握していないと考えることなぞできない。
2002年9月の小泉訪朝時点から日朝は拉致被害者の現況について情報を共有しているが、日本政府が、北朝鮮が説明する現況を“事実”として国民に公表することができないまま現在に至っている。
そこで国民に公表できるレベルの“体裁”を整えて調査報告書を出してもらうよう働きかけたのがストックホルム合意だと推測している。
日朝関係がここまでごちゃごちゃになっても、02年9月の「日朝平壌宣言」は生きている。
今回の北朝鮮の発表に対しても、外務省は「日本側から対話の扉閉ざさない」と説明している。
従米の安倍政権には到底できないことだが、様々な問題で北朝鮮の国際法違反や横暴・理不尽を責め制裁も繰り返すくらいなら、「日朝平壌宣言」の白紙化を宣言すればいいのである。
米国に指示されて訪朝し、国交正常化後に1兆5千億円規模の経済支援を約束したとされる「日朝平壌宣言」の白紙化は、北朝鮮に対するメガトン級の制裁である。
(最後の記事の末尾にあるように、10日に発表された制裁内容は、対北朝鮮制裁としてほとんど実効性がないものである)
※ 関連参照投稿
「北朝鮮 プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置・ウラン濃縮遠心分離器+軽水炉原発は米国“公認”」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/142.html
「韓国、開城団地の操業中断:北朝鮮、開城工業団地を軍統制下に 韓国側を追放:デジャヴ!何度も繰り返されてきた“瀬戸際劇”」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/553.html
「ロシア 北朝鮮に軍事技術を供与したという非難を否定:プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/549.html
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北朝鮮 拉致被害者の特別調査委員会解体を発表[NHK]
2月12日 22時42分
日本政府が、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて、独自の制裁措置を決定したことに対し、北朝鮮は12日夜、国営の朝鮮中央通信を通じ、12日から拉致被害者を含む日本人の行方不明者の調査を全面的に中止し、調査を行う「特別調査委員会」を解体すると発表しました。
外務省「日本側から対話の扉閉ざさない」
外務省関係者は、NHKの取材に対し、「事実関係を確認しているところだが、日本側から対話の扉を閉ざすことはしない」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160212/k10010407571000.html
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政府 北朝鮮への独自制裁措置を決定[NHK]
2月10日 18時11分
政府は、NSC=国家安全保障会議の閣僚会合を開き、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて、日本独自の制裁を強化するため、在日外国人のうち核やミサイルに関連する技術者の再入国の禁止など人の往来を巡る規制の強化や、人道目的を含むすべての北朝鮮籍船舶の入港禁止などの措置を講じることを決めました。
政府は10日夕方、総理大臣官邸で、安倍総理大臣、麻生副総理兼財務大臣、岸田外務大臣らが出席して、NSC=国家安全保障会議の閣僚会合を開き、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて日本独自の制裁を強化する措置を決めました。
それによりますと、▽北朝鮮籍の人の入国を原則として禁止、▽北朝鮮籍船舶の乗員らの上陸を原則として禁止、それに、▽在日外国人のうち、核やミサイルに関連する技術者が北朝鮮に渡航したあと、再入国することを禁止するなど、人の往来に関する規制措置を実施するとしています。
また、▽日本から北朝鮮に現金を持ち出す際、国に届け出る金額を100万円を超える額から10万円を超える額に引き下げるほか、▽北朝鮮向けの送金は、人道目的で10万円以下の場合を除いて原則として禁止するとしています。
さらに、▽人道目的の船舶を含むすべての北朝鮮籍の船舶に加え、北朝鮮に寄港した第三国籍の船舶の入港を禁止するほか、▽資産凍結の対象となる関連団体や個人を拡大するとしています。
政府は、これらの措置を閣議決定するなどしたうえで、速やかに実施することにしています。
政府は、おととし7月、北朝鮮が拉致被害者らの調査を始めたことを受けて、北朝鮮籍を持つ人の日本への入国を認めるなど、人の往来について基本的に自由に出入国できるようにしたほか、北朝鮮籍の船舶の入港も人道目的に限って認めるなど、制裁措置の一部を解除していました。
首相「断固たる制裁措置」
安倍総理大臣は総理大臣官邸を出る際、記者団に対し、「北朝鮮に対して断固たる制裁措置を決定した。拉致問題、核・ミサイル問題の解決のため、今後、国際社会とより緊密に連携していく」と述べました。
官房長官「諸懸案解決に何が有効か検討し決定」
菅官房長官は臨時の記者会見で、「わが国は、北朝鮮に対し、累次にわたって関連の国連安全保障理事会の決議の完全な順守を求め、核実験や弾道ミサイルの発射などの挑発行動を行わないよう繰り返し強く求めてきた。また、拉致問題については、1日も早いすべての拉致被害者の帰国を求めてきたが、いまだに解決していない」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「今回、北朝鮮が、国際社会の制止を無視して4回目の核実験を行い、その後、さらに弾道ミサイルの発射を強行したことは、わが国の安全に対する直接的かつ重大な脅威であり、北東アジアおよび国際社会の平和と安全を、著しく損なうものとして、断じて容認することはできない。わが国は、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するために、何が最も有効かという観点から真剣に検討してきた結果、独自措置を実施することを決定した」と述べました。
そして、菅官房長官は「今後とも北朝鮮の対応や国際社会の動きを踏まえ、必要に応じてさらなる措置を検討していきたい」と述べるとともに、国連の安全保障理事会での制裁決議について、「わが国のきぜんたる断固たる対応が、安保理決議の速やかな採択につながっていくことを期待したい」と述べました。
また、菅官房長官は、拉致問題について、「おととし5月のストックホルムでの日朝間の合意を破棄する考えはない。拉致問題を解決するための対話は継続していきたい。1日も早いすべての拉致被害者の帰国を実現すべく全力を尽くしていく考えに全く変わりはない」と述べました。
拉致被害者家族「帰国につながる交渉を」
政府が日本独自の制裁の強化を決めたことについて、拉致被害者の家族会代表で田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さんは「制裁の理由に拉致問題が加わったことは評価したいが、今回の決定が被害者の帰国にどう結びつくかが最も重要なことだ。制裁はあくまでも手段であり、政府はこのカードをうまく使って、被害者の帰国につながる交渉をしてほしい」と話しました。
政府の取り組み 真価を問う声強まるか
おととし、北朝鮮が拉致被害者などの再調査を約束した日朝の政府間合意が結ばれて以降、拉致被害者の家族会は北朝鮮の指導部が「死亡」や「入国していない」というこれまでの説明を覆し被害者を帰す決断をするのか見守ってきました。
しかし、一向に進展しない状況に「生存者の存在が隠されたまま幕引きが図られるのではないか」という警戒感が強まり、家族の間からは、おととしの合意にこだわらない新しい枠組みでの交渉を求める声も出ていました。
さらに、ことしに入ってからの核実験と事実上の弾道ミサイルの発射が家族の失望感に拍車をかけ、先日行われた政府との面会では独自制裁の実施に理解を示すとともに、拉致問題も理由に明記してほしいと踏み込みました。
ただ、高齢化が進む家族からは今回の制裁の実施を被害者の帰国にどのように結びつけていくか、政府の取り組みの真価を問う声が強まるのは必至で、対話と圧力のバランスをどう取りながら局面の打開を図っていくか、政府は難しいかじ取りを迫られることになります。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160210/k10010404961000.html
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朝鮮総連 北朝鮮への独自制裁撤回求める[NHK]
2月12日 18時38分
北朝鮮による事実上の弾道ミサイルの発射を受けて、日本政府が独自の制裁措置を決めたことについて、朝鮮総連=在日本朝鮮人総連合会のナム・スンウ(南昇祐)副議長が記者会見し、北朝鮮が拉致被害者らの再調査を約束した、おととしの日朝政府間合意を一方的に破棄する行為だなどとして、制裁の撤回を求めました。
政府は、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて、朝鮮総連の関係者などが北朝鮮に渡航した場合、日本への再入国を禁止するなど、人の往来の規制を中心に独自の制裁措置を決めています。
これについて12日、朝鮮総連のナム・スンウ副議長が記者会見し、「衛星の打ち上げは主権国家に認められた権利であり、平和利用を目的にしているのは明白だ」と強調しました。
そのうえで、北朝鮮が拉致被害者らの再調査を約束したおととしの日朝政府間合意について「合意に従って調査委員会を発足させ、拉致問題を含むすべての日本人に関する再調査を終えようとしている時期に、日本側が一部の制裁を復活させ、さらに強化することは明白な約束違反であり、合意の一方的破棄だ」と批判しました。
また、制裁措置の内容については「再入国の禁止対象者の大幅な拡大や、送金禁止など、朝鮮総連の活動を厳しく規制し、在日同胞の生活と権利を著しく踏みにじる不当な内容だ」と抗議し、直ちに撤回するよう求めました。
官房長官 「批判は当たらない」
菅官房長官は午後の記者会見で、「おととし5月のストックホルムでの日朝間の合意を破棄する考えはわが国にない。拉致問題を解決するために対話を継続して、このストックホルム合意に基づいて、一日も早く、拉致被害者全員の帰国の実現のために、しっかり取り組んでいきたい。制裁を強化する措置は、『対話と圧力』『行動対行動』という、わが国の一貫した姿勢を示したものだと考えている」と述べました。
そのうえで菅官房長官は、記者団が「日朝合意の一方的破棄など、朝鮮総連=在日本朝鮮人総連合会の批判は当たらないという考えか」と質問したのに対し、「そういう批判は当たらない」と述べました。
ヒト・モノ・カネに厳しい制限
今回の制裁では、日本と北朝鮮との間のヒト・モノ・カネの流れに厳しい制限がかかることになります。
財務省によりますと、去年1年間に報告があった日本から北朝鮮への現金の持ち出しは165件で、総額は5億1000万円だったということです。
今回、北朝鮮に現金を持ち出す際、国に届け出なければならない額が100万円から10万円を超える額に引き下げられることになります。また、金融機関を通じた北朝鮮向けの送金は、3年前の平成25年10月以降、報告が1件もないということですが、人道目的で10万円以下の場合を除いて原則禁止されます。
人の往来については、朝鮮総連のホ・ジョンマン(許宗萬)議長を含む総連の関係者などが北朝鮮に渡航した場合、日本への再入国が禁止される見込みです。
北朝鮮が拉致被害者などの再調査を約束したおととし、再入国を禁じた制裁が解除され、朝鮮総連の幹部らは北朝鮮を訪問するようになりました。ホ議長もその年の9月に北朝鮮に渡航し、国会に当たる最高人民会議に出席しましたが、こうした往来ができなくなるとみられています。
このほか今回の制裁では、これまで認められていた人道目的も含めた、すべての北朝鮮籍の船舶の入港が再び禁止されますが、海上保安庁によりますと、おととしの制裁解除からこれまでに、人道目的の北朝鮮籍の船の入港は1隻もなかったということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160212/k10010407201000.html
日本政府が、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて、独自の制裁措置を決定したことに対し、北朝鮮は12日夜、拉致被害者を含む日本人の行方不明者の調査を12日から全面的に中止し、調査を行う「特別調査委員会」を解体すると発表しました。
拉致被害者、横田めぐみさんの母親の早紀江さんは「あの国らしいやり方だと思います。拉致被害者を取り戻すことは、政府が命がけでやらないといけないことで、どのような状況であっても、家族が元気なうちに子どもを取り返してほしい。おととしの合意に基づく交渉が難しいのであれば、新しいルートで交渉を進めてほしい」と話しました。
拉致被害者の家族会代表で、田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さんは「日本政府が制裁の実施を決めたことで、北朝鮮が調査を打ち切ってくることは、ある程度予想していた。そもそもおととしの合意に基づく交渉では、肉親の帰国が実現するのは難しいと思っていた。政府には新たな枠組みで、拉致被害者の確実な帰国につながる交渉を進めてほしい」と話しました。
熊本市出身の拉致被害者、松木薫さんの姉の斉藤文代さんは「まだニュースを見たばかりで何も分かりませんが、拉致被害者の救出が遅れることにつながらないか、心配が募ります」と話しました。
拉致被害者、有本恵子さんの父親の明弘さんは「調査中止は残念だが、今回は事実上の弾道ミサイルを発射した北朝鮮側が原因を作っている。これまでも北朝鮮の態度が軟化したことがあったので、時間をかけて待つしかなく、日本政府には、日米韓の同盟を強化して、より強い態度で臨んでほしい」と話しました。
鹿児島県出身の拉致被害者、市川修一さんの兄の健一さんは「調査委員会が設置されてから1年半以上がたっても、北朝鮮が不誠実な態度を続けてきたことを考えると、このまま調査が行われても被害者の帰国にはつながらないと思っていました。日本政府にはこれを機に、被害者全員を取り戻すため、本気になって知恵を絞り、解決に向け積極的に取り組んでいただきたい」と話しました。
札幌市出身の拉致被害者、石岡亨さんの兄の章さんは「状況を悪化させることが目に見えているのに、こうした対応をとる北朝鮮の姿勢に、あきれ返ってしまった。帰国を待ち望む私たち家族の声は届いていないのだなと改めて感じた」と話しました。
特定失踪者問題調査会は
拉致の可能性が排除できない行方不明者の調査をしている「特定失踪者問題調査会」の荒木和博代表は「行方不明者の家族は、いつまでも回答を出さない北朝鮮の調査に失望していたので、驚きはないと思う。政府は北朝鮮の内部で何が起きているかを解明して、日本人の帰国につながる冷静な取り組みを求めたい」と話しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160212/k10010407591000.html
北朝鮮が、韓国と共同運営するケソン(開城)工業団地の閉鎖を発表したことを受けて、現地に進出している韓国企業で作る団体は12日、今回の事態を招いた責任は韓国政府にあるとして、先にケソン工業団地の操業中断に踏み切ったパク・クネ(朴槿恵)政権の対応を非難するとともに、被害を補償するよう求めました。
南北が北朝鮮南西部で共同運営するケソン工業団地を巡っては、韓国政府が10日、独自の制裁措置として操業中断に踏み切ったのに対し、北朝鮮は11日、工業団地を閉鎖すると発表し、韓国の関係者280人全員を追放しました。
これを受けてソウルでは12日、現地に進出している韓国の中小企業100社余りで作る団体の会合が開かれ、「各企業の将来と個人の生計がかかっているのに韓国政府は操業中断を一方的に決定した」などと、パク・クネ政権の対応を非難しました。このあと決議文が発表され、今回の事態を招いた責任は韓国政府にあるとして、企業側の被害を確実に補償するよう求めるとともに、操業の早期再開を訴えました。
会議の出席者からは、資材や製品を持ち出せなかったことを悔やむ声や、韓国政府の対応を非難する声が聞かれました。
このうち台所用品を作る企業の男性は、「資材や製品を車に積んで出ようとしたところ、全部置いていかなければ抑留されると北朝鮮側から言われ、何も持たずに出てきた。精神的なショックが大きい」と涙ながらに話していました。また、シャツやズボンなどアパレル製品を作る企業の男性は、「去年、新たに設備投資をして生産ラインを増やしたので、被害額は相当大きい。政府レベルでこれまできちんと対応しなかったから、こういう事態になった」と話していました。
一方、韓国のホン・ヨンピョ(洪容杓)統一相は12日、緊急の記者会見を開き、進出企業への融資の拡大や免税措置などを盛り込んだ支援策を発表しました。
そのうえでホン統一相は、「わが国民の貴重な財産が傷つくことがあってはならない」と述べ、ケソン工業団地にある韓国側の資産を凍結するとしている北朝鮮をけん制しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160212/k10010407191000.html
シリアの内戦の終結を目指す和平協議の再開に向けた関係国の外相級会合がドイツで行われ、今後1週間以内を目標に、過激派組織IS=イスラミックステートなどへの攻撃を除いて、シリア全土で戦闘を停止させることで一致しましたが、停戦が実現するかどうかは予断を許さない状況です。
内戦が続くシリアの和平協議の再開に向けて、関係国のアメリカやロシア、それにサウジアラビアなど17か国の外相や国連などの代表が参加した会合が、11日から12日にかけて、ドイツ南部のミュンヘンで行われました。
会合のあと、アメリカのケリー国務長官やロシアのラブロフ外相などが会見し、今週中に、シリア国内の戦闘で包囲された地域を対象に、食料や医薬品などの人道支援を始めることで合意したと発表しました。さらに、今後1週間以内を目標に、過激派組織IS=イスラミックステートなどへの攻撃を除いて、シリア全土で戦闘を停止させることで一致したことを明らかにしました。
ただ、ケリー国務長官は会見で「すべての関係国がきょうの合意を実際に守るかどうかが問われることになる」と述べ、停戦の実施は容易ではないという見方を示し、停戦が実現するかどうかは予断を許さない状況です。中断しているシリアの和平協議の再開に向けては、今後、関係国が一連の合意を実行に移せるかが焦点になります。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160212/k10010406731000.html
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/154.html
※ 関連参照投稿
「北朝鮮 プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置・ウラン濃縮遠心分離器+軽水炉原発は米国“公認”」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/142.html
「北朝鮮 拉致被害者らの調査全面中止 特別調査委員会の解体を発表:制裁への対抗措置だが調査不受容の安倍政権への助け舟」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/225.html
「韓国、開城団地の操業中断:北朝鮮、開城工業団地を軍統制下に 韓国側を追放:デジャヴ!何度も繰り返されてきた“瀬戸際劇”」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/553.html
「ロシア 北朝鮮に軍事技術を供与したという非難を否定:プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/549.html
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2016年02月09日 (火) 午前0:00〜[NHK総合]
時論公論 「北の挑発にどう立ち向かうか」
出石 直 解説委員
北朝鮮は、先月の核実験に続いて事実上の弾道ミサイルの発射を強行しました。北朝鮮はいったいどこに向かおうとしているのでしょうか。この時間は、核やミサイル開発をやめようとしない北朝鮮に対し、国際社会はどう対処すべきかに焦点を絞って考えます。
はじめに、今回の“弾道ミサイル”の発射ではっきりしたことを3点指摘しておきたいと思います。
(1)核ミサイル開発をやめる意思はない。
(2)国際社会からの警告には耳を貸さない。
(3)これまでの制裁は効果をあげていない。
この3点です。順に見ていきます。
こちらは2005年の9月、まだキム・ジョンイル総書記の時代に出された6か国協議の共同声明です。
「朝鮮民主主義人民共和国は、すべての核兵器及び既存の核計画を放棄する」
キム・ジョンイル総書記の時代は、少なくとも表向きは「核開発はしない」という意思を示し、その見返りとしてエネルギー支援などを得てきました。
しかしキム・ジョンウン第1書記の時代になって態度は大きく変化します。新しい体制が正式に発足した2012年には憲法を改正して「北朝鮮は核保有国である」と明記、翌年の3月には「並進路線」=つまり経済建設と核開発を同時に進めるという新たな政策を打ち出しました。核保有国として核開発を進めることを表だって主張するようになったのです。
北朝鮮は「自衛のための核」だと核保有を正当化しようとしています。「アメリカが核兵器で北朝鮮の安全を脅かしているから、自衛の手段として核武装をしているのだ」という理屈です。この理屈で言えば、北朝鮮の核はアメリカを攻撃する能力を備えていなければなりません。核兵器を弾道ミサイルに搭載できるよう小型・軽量化し、弾道ミサイルがアメリカに届くよう射程を伸ばす、この2つがともに実現しないと北朝鮮の言う「核抑止力」にはならないからです。従って核開発を続ける以上、「人工衛星の打ち上げ」と称する弾道ミサイルの発射実験はこれからも繰り返されることでしょう。
実はこの「人工衛星の打ち上げ」という主張にもほころびが見え始めています。
先月の朝鮮中央通信の報道です。
「われわれは弾道ロケットに装着できる水爆まで装備した」
人工衛星を打ち上げるロケットが、核弾頭を載せるためのミサイルであることを自ら認めているのです。
ここまで見てきましたように、今の北朝鮮に核やミサイル開発をやめる意思はまったくないと言わざるを得ません。
2点目は、国際社会からの警告にまったく耳を貸さなくなったということです。
3回目の核実験以降、それまで北朝鮮に一定の理解を示していた中国やロシアも核やミサイル開発を厳しく非難するようになりました。しかし北朝鮮は一向に態度を変えようとしません。今回の発射予告が、中国から説得に出向いた武大偉特別代表のピョンヤン滞在中に行われたのも象徴的です。
国際社会からの警告に耳を貸さないのは、北朝鮮に対する国連の制裁が効果をあげてこなかったことの裏返しでもあります。それどころか北朝鮮の経済はこのところ緩やかながらも改善に向かっています。
経済成長率の推移です。この4年間はプラス成長が続いています。安保理によって過去4回も繰り返されてきた制裁決議はほとんど功を奏していないことがわかります。
順調な成長を支えているのは中国との貿易です。中国と北朝鮮との貿易は、この5年間で2倍以上に増えました。
国別に見ますと中国が3分の2を占めていて、2位の韓国を合わせますと8割を超えます。
北朝鮮から中国への輸出の大半は地下資源です。とりわけピョンヤンの南で採れる無煙炭と呼ばれる良質な石炭は、北朝鮮西部の港から中国南部に輸出されています。その総額は年間11億ドル、日本円で1300億円にのぼります。北朝鮮にとって貴重な外貨獲得源となっているのです。
最近北朝鮮を訪れた人に聞いても、女性の服装がおしゃれになったとか、通勤時間帯には交通渋滞が起きるようになったなど、都市部を中心に人々の暮らし向きが豊かになってきていることが伺えます。制裁を科せられても大丈夫という自信があったからこそ、核実験、そして弾道ミサイルの発射に踏み切ったのではないでしょうか。
(1)核ミサイル開発をやめる意思はない。
(2)国際社会の警告には耳を貸さない。
(3)これまでの制裁は効果をあげていない。
以上、3点を踏まえて、では国際社会はどう対処していけば良いのでしょうか。
正直申し上げて、特効薬はありません。それがあれば、とっくに核ミサイル開発を断念していたはずです。
そのうえで3点ほど指摘したいと思います。
ひとつは国連による抜け穴のないより効果的な制裁決議の採択を急ぐことです。
前々回の核実験の後に採択された決議で、国連のすべての加盟国は制裁の実施状況を安保理に報告することが求められるようになりました。しかし去年2月に出された報告書によりますと、まだ一度も報告をしていない国が94か国と半数近くもあることがわかりました。
地域別に見ますと、▽ヨーロッパでは44か国中43か国が報告をしているのに対し、▽アジア・中東では31か国、▽アフリカでは7か国しか報告を行っていません。
これでは制裁の効果はあがりません。安保理への報告を義務づけるなど より厳しい措置をとることが求められます。
もうひとつは、中国の決断です。中国は北朝鮮を追い込むような厳しい制裁措置には難色を示しています。しかし先ほど例にあげた石炭の輸入を制限するだけで北朝鮮の経済は深刻な打撃を受けるはずです。中国には思い切った対応を求めたいと思います。
ただここで留意しなければならないのは、国際社会の連携を崩してはならないということです。
アメリカとロシアはクリミア問題で対立、中国に接近していた韓国もアメリカの迎撃ミサイルシステムの配備を検討するなど中国との距離を置き始めています。かつてのような日本、アメリカ、韓国が北朝鮮を非難し、中国とロシアがかばうような構図になってしまっては北朝鮮を利するだけです。
そして最後は北朝鮮自身の判断です。最高指導者が考え方を変えない限り、核やミサイル開発を諦めることはないでしょう。核開発疑惑をもたれていたイランは国際社会との対話によって制裁解除を得、今や各国からの投資が殺到しています。核やミサイル開発を続けることは北朝鮮にとってプラスにならない。核放棄こそが最良の選択だと北朝鮮の若い指導者に理解させることが必要です。圧力とともに辛抱強い説得を続けていくことが、遠回りに見えて最善の道ではないでしょうか。
(出石 直 解説委員)
端的に言えば、年間80兆円規模の国債購入は、マイナス金利がもたらす弊害を言い訳に縮小されていく。(日銀の国債買い上げはすでに限界に陥っている。政府が赤字国債をどかどか発行するというのなら別だが...)
「量的金融緩和」策が実現した唯一の効果ともいえる金利低下は、量的金融緩和を縮小してもマイナス金利導入策で十分にカバーできる。(円安傾向は他の要因が主だが、相対的低金利は円安基調を支える)
というより、銀行や生保など機関投資家は安全確実の日本国債を買いたいのに思うように買えないのだから、金融機関の買い需要との見合いで日銀の国債購入額を縮小するならば、金利は低く維持することができる。
「国債サイクル維持」が本当の狙いだとしても公言した物価目標を達成できないまま、その手段して採用した「異次元量的金融緩和」を縮小するとは言えないから、マイナス金利を導入しそれで起きる弊害に対処するという説明で量的金融緩和を徐々に縮小していこうとする無責任で姑息なやり方なのである。
※参照投稿
「<長期金利>初のマイナス 株安円高、日銀に誤算:「マイナス金利」導入は「異次元量的金融緩和」政策の“終わりの始まり”」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/415.html
(転載する記事は、グラフや図表などが豊富なのでNHKオンラインでお読みになられることを勧めます:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/237453.html
)
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2016年02月10日 (水) 午前0:00〜[NHK総合]
時論公論 「長期金利 初のマイナスに」
関口 博之 解説委員
▽日銀の「マイナス金利政策」で、金融市場は大荒れの海のようです。
長期金利が、9日ついにマイナスになりました。
指標になっている満期まで10年の国債の利回りが、初めてゼロを下回り、
一時、マイナス0.035%まで下がったのです。
「貸した側が損をする」という、常識では理解しづらい現象ですが、
なぜ、どういうカラクリでこんなことが起こるのか、
それは、預金やローンにはどう影響するのか、見ていきます。
▽こちらは10物国債の利回りを示したグラフで、
年明けから0.2%と0.3%の間で推移してきました。
これでも極めて低い水準ですが、
そこで日銀が打ち出したのがマイナス金利の導入でした。
銀行が日銀に預けている預金の一部に対し、
0.1%の金利を取る制度を導入すると発表したのです。
その先月29日から金利はみるみる下がり、ついに昨日マイナスに突入しました。
▽一般的に信用力のある国の国債は金利が低く、信用されない国は高くなる
というのが原則ですが、今回はそれとは全く別の理屈の話です。
例えて言えば、写真のポジとネガのような、少々、倒錯した世界と考えた方が良さそうです。
▽それを分かって頂くための基本が、
「長期金利は国債という“商品”の売り買いで決まる」ということです。
買いたいという投資家が多く国債の価格が上がれば、
それに応じて利回りは連動して下がります。
さらに買い手が増えて値上がりすれば、金利はマイナスにもなるのです。
▽こんな例で考えてみましょう。
国債には表面利率というものが付いています。
10年後に償還する、つまり返済する時には、額面の1万円を1万100円にして返すと約束した国債があるとします。
この国債を1万円で買えば、10100円が返ってきて、
プラスの金利になります。これを10100円で買ったとすれば、
同額がかえって来るだけですから金利はゼロです。
もし、10300円で買えば、10年後の満期まで持っていたら損が出ます。
これが、つまりマイナス金利というわけです。
それなのに、この国債を買う金融機関がいる、というのはなぜでしょうか。
それは、途中で他の金融機関や投資家にもっと高値で買って貰えると考えるからです。
10500円で買う人がいれば良いわけです。
ただし、実はこれ、市場参加者が、満期までの間の「ババ抜き」をしているようなものでもあるのです。
▽その国債の売買で今、最大の買い手は、言うまでもなく日銀です。
日銀は2014年に始めた量的質的緩和で大量の国債を金融機関から買って
それによって潤沢に資金を供給しています。
そのため日銀が抱える資産は膨張、拡大を続けています。
さらに日銀が、「緩和策に限界はない」とまで言うものですから、
国債価格が幾ら上がっても、まだ買ってくれると、市場は踏んでいるのかも知れません。
「普通にはありえないこと」「倒錯している」と言ったのはこのことです。
▽さて、長期金利がマイナスになったことで、今後、どんな影響が出るのでしょうか。
まず預金金利ですが、大手銀行は今週から、満期が2年から10年までの定期預金の金利を引き下げました。
普通預金と差がないところも多くなっています。
ゆうちょ銀行も、きのうから定額貯金などの金利を引き下げています。
▽ではいずれは預金金利もマイナスになるのか、と言えば、そうはなりません。
それは考えづらいことです。なぜなら、もし銀行がそんなことをすれば、
預金者の反発や怒りを買うだけですし、それこそ預金が引き出されてしまいかねません。
▽マイナス金利政策を一昨年4月、ヨーロッパ中央銀行が導入した後、欧州の幾つかの国では、
金融機関同士が資金のやり取りする際の金利には、既にマイナス金利も発生していますが、
一般の個人の預金金利までマイナスにした銀行はありません。
ただし、例えばATMでの引き出し手数料などを新たに設けるといった形で、預金者に負担を求めることはありえます。注意しておく必要はありそうです。
▽逆にお金を借りる方、住宅ローンの金利はどうなるのでしょう。
これも、マイナスになることはなさそうです。
そもそも銀行は、貸出と預金の金利の差、つまり利ざやで利益を上げるのが本業です。
貸す方をマイナスにしては成り立ちようがありません。
また、既に金利水準は、歴史的にも最低の水準にあるわけですから、
仮にさらに下がるとしても、どれだけ余地があるかは疑問でしょう。
▽むしろ、日銀のマイナス金利で収益の悪化が続くと、
苦しくなった銀行がローン金利を上げて、収入を確保しようとする可能性もないわけではありません。
例えばスイスでは、マイナス金利の導入当初、ローン金利は下がったものの、
その後は元に戻ってしまって、高止まりしたともいわれています。
▽また、生活者への影響という点では、
国債での運用がマイナス金利で難しくなると、
年金は積立金の運用益が出しづらくなり、給付額に響くおそれもあります。
保険会社も予定していた利率で運用できず、保険料の方を上げるかもしれません。
直ちにこうなるわけでは勿論ありませんが、
こうした運用にあたる機関投資家は悩みを抱えることになります。
▽もう一つ、頭の痛い問題があります。それが世界経済の先行き不透明感です。
中国経済の減速や原油安が、世界経済の足を引っ張る懸念材料として、
年明け以降の相場を揺るがしています。
東京市場の平均株価を見ますと、
日銀のマイナス金利政策発表直後は一旦、盛り返したものの、
その後、「今はリスクを避けたい」という投資家が増えたことで、また値下がりし、
昨日は900円も下落しました。
円相場も、相対的に安全な資産と見られている円が買われることで、
日銀の思惑とは反対に、円高に動いてしまっています。
そして、こうした「より安全な資産へ」という大きなうねりが、
日本国債への「買い」にも向かって、マイナス金利という、あだ花を咲かせているともいえるのです。
▽黒田総裁は、マイナス金利政策を打ち出すことで、
「皆さんは投資や消費を活発にして増やして下さい、
日銀はデフレ脱却を確実にするために何でもやります」と
こんな風にメガホンで呼びかけたつもりでした。
ところが、それに対する世の中の反応は、と言いますと、
このマイナス金利という言葉が、期待よりむしろ得体のしれない
黒い雲を呼び起こしてしまっているように見えます。
「初めてのことでどうなるのだろう」と
人々は不安が先に立ってしまっているようです。
▽さらに、国債の発行金利がこれで下がれば、
安易に借金に頼り、財政の規律を大きく損なうことにもなりかねません。
また、日銀と市場との対話という点でも問題があります。
突然降ってわいたマイナス金利政策を、市場は十分に咀嚼できないまま、
混乱しているようでもあります。
それにしても、何ともわかりにくい世界に入ってしまったものです。
日銀は、国民の漠然とした不安のことも良く踏まえて、
その政策について何よりも丁寧な説明をし、誤解を生まないような工夫を
まずは重ねて行くべきだと思います。
(関口 博之 解説委員)
北朝鮮は、南北が共同運営するケソン工業団地から韓国人従業員が撤収した後、韓国との非常連絡回線を全面切断する。11日公表された祖国平和統一委員会声明より。
南北軍事境界線上に位置する交渉ポイント「パンムンジョム」の電話回線などが切断される、という。
「韓国人従業員の撤収を待って、軍事的な連絡回線やパンムンジョムのホットラインが切断される」。朝鮮中央通信が伝えた。
先に韓国は、北朝鮮のミサイル発射への対抗措置として、ケソン工業団地内の韓国企業の操業を停止する、と発表していた。北朝鮮は11日、韓国人の人員を工業団地より追い出し、韓国企業の資産を凍結する、と発表した。
北朝鮮は南北共同運営のケソン工業団地にある韓国資産を凍結した。あわせて、韓国との非常連絡回線を全面遮断する意向だ。
韓国が北朝鮮のロケット発射に抗議してケソン工業団地の稼動を停止すると発表したことに対する対抗措置が、上記の行動である。専門家アレクサンドル・ヴォロンツォフ氏によれば、ケソン工業団地閉鎖は間違いなく重大な決定である。
「南北関係はこれまでにも深刻な危機に陥った。中には非常に切迫した危機もあった。しかしケソン工業団地に累が及ぶことはなかった。ケソン工業団地は南北関係が死んではいないことの唯一の象徴だったのだ。2013年、短期的に操業が停止したことはある。韓国が他ならぬ今、操業停止を決定したことは、大きな展開があったことを物語っている。米国、日本、韓国は、制裁を経済全体に拡大する意向だ。制裁拡大が実現すれば、北朝鮮は金融・銀行業務の遂行を禁じられることになる。また、北朝鮮のあらゆる航空機・船舶が厳しい検査を受けることになる。封鎖という言葉は使われてはいないが、本質的にはそれに近い。本質的には、窒息させるための方策だ。ロシアと中国のアプローチはよりソフトだ。新たに制裁が導入されるとしても、それは北朝鮮の軍産複合体に限定され、北朝鮮経済の民生部門を破壊してはならない、というのがその立場だ。韓国がここ最近見せた動きは、韓国の基本的な対北政策、すなわち、体制転換を目指した北朝鮮孤立策の強化という路線に沿ったものだ。北朝鮮はこれに超厳格な対抗措置をとる、としている。この数十年そうしてきたように。問題は、今次の南北対立が、どれほど既存のそれから逸脱するか、ということだ。パク・クネ大統領の任期は終了に近づいている。両朝鮮相互間の信頼は壊滅的だ。北朝鮮はホットラインの遮断を決めた。そのことは、今の状況が非常に警戒を要するシナリオにそって発展していることを示している」
北朝鮮はケソン工業団地の営業利益(昨年ははじめて5億ドルを上回った)の一部をミサイル・核開発に使っていた、というのが韓国の見方である。しかし、ケソン工業団地の停止で、北朝鮮だけでなく、韓国もダメージを受ける。ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究室の経済専門家スヴェトラーナ・ススリナ氏は次のように述べた。
「ケソン工業団地閉鎖は北朝鮮の経済状況を悪化させる。しかし韓国にとっても、それはあまりいいことではない。世界金融危機のあおりを受け、韓国の対外貿易もまた縮小しているからだ。ケソン工業団地は何よりもまず、政治的な手段である。北朝鮮に影響力を及ぼすテコなのだ。しかし同時に、経済的な意義も相当に重大である。韓国企業にとって、ケソン工業団地は非常に魅力的なのである。北朝鮮の非常に安い労働力が使えるし、彼らとはひとつの言語で話が出来る。ケソン工業団地にはそういう、魅力的な条件があるのである。しかも、北朝鮮の天然資源をいくらか使うこともできる。電力不足など一定の問題もあるにはあったが、それらは解決可能なものであった。これら全ての総体が、ケソン工業団地を通じて北朝鮮に入っていた韓国の中小企業に、悪くない利益をもたらしていたのである。これは将来に期待を抱かせる事実だ。ケソン工業団地はこれまでにも閉鎖されたことがある。しかしその後で常に再開されてきた。企業も戻り、新たな投資が行なわれた。こうなることが韓国にも北朝鮮にも利益をもたらすのだ。」
金融市場の混乱状態が続けば、日銀は、追加の金融緩和を検討するため、臨時会合を開く可能性がある。本田悦朗内閣官房参与がウォールストリート・ジャーナルのインタビューで語った。
本田氏は財務省に勤務し、のち安倍首相の経済問題担当補佐官になっている。
本田氏によれば、政府が予定している再度の消費増税は、もはや問題にならない。
税務政策および金融政策によって需要を促進することを優先すべきだ、と本田氏。
アベノミクスの目的を端的に言えば、避けらず経済政策としても必要な拡大的財政政策(巨額の赤字国債発行)を維持するため「国債サイクル」を維持することである。
銀行の国債購入資金不足や金利上昇を防ぐことが「国債サイクル」維持の要諦である。
しかし、そのために年間80兆円ほどの国債を日銀が買い上げた(日銀の国債保有高300兆円超)が、その結果は日銀当座預金残高が250兆円レベルまで積み上がっただけと言える。
“黒田バズーカ”は、貸し出しの増加に結び付かず、銀行が直面している資金運用難を露わにしただけだった。
銀行は、収益源として、長期金利より利率が高い日銀当座口座や保有国債を日銀に売って得られる利益に大きく依存するようになった。
日銀が「マイナス金利」政策を説明した意義や目的として本気で遂行したいと思っているのなら、10兆円規模の当座預金残高に0.1%のマイナス金利を導入するといった腰が引けた半端な内容ではなく、0.1%の利息を付けている220兆円の当座預金残高部分をゼロ金利にするだろう。
これまでもだったが、現段階で日本経済に必要な政策は、異次元量的緩和策ではなく総需要の増大である。(総需要増大策のために一定レベルの量的緩和策は必要)
グローバル企業を中心に高収益を上げている企業が総需要増大に貢献する気がないのなら、政府が代わってそれを行うしかない。
そのための政策は、赤字財政支出の拡大であり、給付付き税額控除まで見据えた「所得再分配」しかない。
総需要拡大を呼び水にして企業の設備投資を活発化する道が今の日本にとって正道である。
※参照投稿
「<長期金利>初のマイナス 株安円高、日銀に誤算:「マイナス金利」導入は「異次元量的金融緩和」政策の“終わりの始まり”」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/415.html
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アベノミクス、行き詰まりへの道[WSJ]
2016 年 2 月 12 日 09:56 JST
【東京】安倍晋三首相による経済再生計画の中核にあったのは、中央銀行の積極的な取り組みが数十年にわたる不況にあえぐ日本へのショック療法になり得る、という賭けだった。だが、マイナス金利導入という最も斬新な措置を講じた後も、日本銀行は持続的な景気拡大をもたらすに至っておらず、「アベノミクス」の行き詰まりが示唆されている。
経済の低迷を背景に、10日の日経平均株価は前日比2.31%下落し、日銀が2014年10月に追加緩和策を打ち出して以降の上昇分がほぼ帳消しとなった。一方、円はここ1年余りの最高値付近で取引され、日銀の意図とは逆に安全逃避の動きが際立った。
今回の日銀主導の取り組みは、程度の差はあれ、金融政策だけでなく社会全体のリスク志向を後押しするという意味でも中銀に依存している他の主要国への教訓となっている。それは、人々の心理を変えるのは金利を変更するほどたやすくはない、ということだ。
第一生命経済研究所の首席エコノミスト、熊野英生氏は、「アベノミクスはもう一度原点に立ち戻る必要がある」とし、「現在のマーケットの悪化を止めることはできない。ではセカンドベストとして何ができるのか」を考える時だとの見方を示した。
安倍首相が就任した12年12月、株式・不動産バブルの崩壊から20年以上が経過した日本は、精彩を欠きつつも安定期に入っていた。経済は低成長で高齢化が急速に進んでいたが、少なくとも都市部では衰退の兆候などほとんど目につかず、社会は依然として安全だった。
だが、安倍首相はそれでは不十分だとの認識を示した。金融緩和と財政出動、構造改革の「3本の矢」で経済再生を図り、物価・賃金を再度押し上げると公約した。
3本のうち即効性が期待できるのは第一の矢だけだ。第二の矢である財政出動は財務省の圧力を受け間もなく減少した。第三の矢に盛り込まれた女性の雇用推進などの構造改革は、短期的効果を意図したものではなく、また、首相は外国人労働者への門戸開放といったより積極的な措置を真剣に検討することもなかった。
このため全ての期待は、首相自らが指名した日銀の黒田東彦総裁の肩にかかることとなった。黒田総裁は大量の資金供給によって円安を誘導し、企業収益の大幅拡大に貢献した。今月の講演では「追加緩和の手段に限りはない」とし、2%の物価上昇目標を達成する意気込みを示した。
ただ、黒田総裁が企業に対し、収益を賃上げや新技術への投資に回すよう強いることなどできない。また、円安でアジアからの観光客は増えたが、総裁が国内の消費者を小売店に向かわせ、より多くの物を買わせることができるわけでもない。
代わりに黒田総裁と安倍首相は、国民の心理を上向かせるべく自信あふれる発言を行った。安倍首相は13年2月の訪米中、ワシントンで「(Japan is back)日本は復活した」と宣言した。首相は講演のたびに企業収益の回復や、過去最多に達した海外からの観光客、20年ぶり低水準の失業率といった数字を頻繁に口にした。
だが15年終盤になっても、日本の「アニマル・スピリット」が眠ったままである兆候が多く見られた。その一因は政府の矛盾した政策だ。安倍首相は14年4月、コスト増が著しい社会保障の財源確保という名目で消費税率引き上げを実施した。だが、これで個人消費が冷え込み、倹約ムードが広がった。
物価上昇率はゼロ近辺にとどまっているが、黒田総裁はこれを2%に到達させる時期のめどを何度となく先送りした。企業は内部留保に走っている。こうした状況は、バブル後の負の遺産の中で日本が90年代に経験した「借金のトラウマの深刻さ」を示すものだと、野村総合研究所の主席研究員、リチャード・クー氏は指摘する。
そしてここ数週間は、中国経済の成長減速、欧州銀行をめぐる懸念に加え、資源に乏しい日本には利益となる一方で世界経済を不安定化させた原油相場の急落など、海外発の逆風が吹き荒れた。
景気の勢いを維持するため、黒田総裁は1月29日、前週は検討すらしていないと言っていた最後の手段に出た。日銀は、市中銀行が日銀に預け入れる資金の一部にマイナス金利を適用すると発表した。これは、利息を払う代わりに実質的な手数料を課すことになる。
当初は目論見通り、株式が上昇し、円が下落した。だが両市場ともほどなく反転し、元の水準よりも日銀の目標から一層離れてしまう結果となった。
安倍首相と黒田総裁は、計画が根本的に軌道を外れたわけではないと考えている。黒田総裁は今月の講演で、国内経済が「緩やかな回復を続けて」いるとした一方、企業収益の水準が高く労働市場が引き締まっている割に、賃金や設備投資など支出面への波及が「やや弱い」ことを認めた。
消費者物価指数(CPI)の総合指数の上昇率はゼロに近いが、黒田総裁は、食品とエネルギーを除いたCPIが約1%の上昇を見せているとしている。さらに、デフレに逆戻りするリスクはなく、エネルギー価格さえ安定すれば所期の目標から数年遅れではあるがインフレ率は2%に到達すると主張している。
15日発表される15年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値は小幅なマイナス成長を示すと見込まれるが、安倍首相は国会で10日、黒田総裁への信任そして景気回復に対する確信を引き続き持っているとし、アベノミクスが終焉段階にあるとみるのは間違いだとの見解を示した。
安倍首相にとって発見の一つは、有権者は力強い成長を期待しているわけではなく、それを得るのに必要な混乱を伴う変化を恐れているため、公約を実現できない政治家に制裁を加えるようなことはしない、ということだ。米国、ドイツ、フランスでは有権者の怒りに訴えかけ、さらにそれを煽る政治家が混乱を生んでいるが、日本の政治は数十年来で最も安定した時期にある。
最近の世論調査で安倍内閣の支持率は50%以上に持ち直しており、連立政権は今夏の参議院選挙で勝利を収める見込みだ。安倍首相の支持率が低下したのは、安全保障関連法の成立を強行した際だけだった。
国内企業のトップも市場の混乱を冷静に受け止めている。サッポロホールディングスの上條努社長は、アベノミクス以降の「日本経済が非常に順調な成長軌道になっているというのが一つの評価ではないかと思っている」とした上で、ここ数日の市場動向は「わけがわからない」と話した。
ソフトバンクの孫正義最高経営責任者(CEO)はマイナス金利の導入で景気がいずれ上向くと見ており、「(金利は)ソフトバンクにとっては良い話」だと話した。また、市場の動向が業績にもたらす直接的な影響はあまりないとした。
アベノミクスが失敗に終わっても日本経済が崩壊するわけではなく、安倍政権発足前の状態への回帰という穏やかな挫折にとどまるだろう。日本の政府債務残高はGDP比200%以上と膨大だが、金利低下のおかげでさほど差し迫った問題ではないように思える。政府は目下、ほぼ無利息で借り入れができるばかりか、借金をしても投資家から収入を得ることすらできるのだ。
http://jp.wsj.com/articles/SB11281588234518813488504581535373914331288?mod=trending_now_1」」
ロシア正教会を代表するモスクワ及び全ルーシ総主教キリルとローマ・カトリック教会を代表するローマ法王フランシスコは会談を終え、ハバナで宣言文に調印した。
宣言では、中東・北アフリカのキリスト教徒差別を止めるべく、「即刻」対策をとるよう、国際社会に呼びかけがなされた。
シリアとイラクでは数千の人命が奪われ、数百万人が家や財産を奪われている、との指摘の上、テロ対策、暴力の停止で国際社会が結束するよう、呼びかけがなされた。
キリスト教徒徒が信教の自由を制限され、信仰を告白し、それに従って生きる上で、しばしば困難に直面するようになっているという。
両者はまた、教会の統一が失われたことを憂えた。今回の会談は全世界のキリスト教徒に対し、ひとつの教会で祈りを捧げる希望を与えるだろう、と語られた。
http://jp.sputniknews.com/life/20160213/1601777.html
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ローマ法王とロシア正教トップ、東西分裂後初会談へ[日経新聞]
2016/2/13 0:12
カトリック教会の頂点に立つローマ法王フランシスコと、東方正教会で最大のロシア正教会のキリル総主教が12日(日本時間13日未明)、キューバで会談する。ロシア正教会とローマ法王庁(バチカン)のトップ対談は初めてで、1054年に東西に分裂したキリスト教が融和へ動き出すことになる。歴史的な会談が実現する裏には、「イスラム国」(IS)などイスラム過激派が台頭していることへの危機感があったようだ。
Q カトリック教会と東方正教会、ロシア正教会との関係は。
A キリスト教は教義の違いなどから1054年にカトリック教会と東方正教会に分裂した。カトリックが法王を最高指導者とするのに対し、正教会は法王に相当する地位を設けていない。それぞれの独立教会が対等とする点がカトリックと大きく違う。
東方正教会は各地の正教会の連合体だ。コンスタンティノープル総主教を代表と位置づけるが、法王のような権限は持たない。現在は東方正教会の信者のうち約3分の2をロシアが占めるとされる。
キリスト教で最大勢力のカトリック教会は1962〜65年の「第2バチカン公会議」で他の宗教や宗派との対話路線を打ち出し、正教会とも関係改善を図ってきた。最近では14年にコンスタンティノープル総主教のバルトロメオ1世がバチカンを訪れるなど融和の機運も高まっている。だがロシア正教会は東欧やロシアでカトリックが勢力を広げることを警戒し、距離を置いてきた。
Q なぜロシア正教会はバチカンを敬遠していたのか。
A かつてスターリンはソ連内のカトリック教会をロシア正教会に引き渡した。だが共産主義が崩壊するとウクライナ西部を中心にカトリックが多くの教会を取り戻すなど巻き返し、ロシア正教会はこれを脅威ととらえた。それが対話に向かう意味合いは大きい。
Q 会談実現のきっかけは。
1つは中東やアフリカで「イスラム国」やボコ・ハラムといったイスラム過激派組織が台頭し、結束してキリスト教徒を守る必要性が高まったことだ。会談の内容もキリスト教徒の保護が中心になると両教会が説明している。
具体的にはキューバのカストロ議長が仲介したと報じられている。フランシスコ法王は米国とキューバの国交回復を促した経緯があり、15年にカストロ議長との会談でロシア正教会との対話に協力するよう求めたもようだ。
プーチン大統領の後押しも加わったとみてよさそうだ。大統領は繰り返しバチカンを訪問し、ヨハネ・パウロ2世やフランシスコ法王に会っている。03年の会談ではロシア正教会とカトリック教会の和解を推進することで一致した。ローマ法王は西欧との対話の窓口になり得る存在で、そのためにも宗派間の対立を解消したかったからだ。
Q 外交問題についても話し合うのか。
A シリア和平やウクライナ問題に加え、バチカンの長年の悲願とされる法王の訪ロも話題になる可能性がある。ただ、会談の内容は詳しくは公表しない公算が大きい。
(ジュネーブ=原克彦)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H6N_S6A210C1FF2000/?dg=1
シリア政府、ロシア、イランが停戦合意を守らないなら、シリアに「地上軍を追加派兵」することになるかも知れない。テレビ「オリエント」のインタビューで、米国のケリー国務長官が述べた。
「もしシリアのアサド大統領が義務を履行せず、イランとロシアが約束通りそれを促さないなら、国際社会はただ手をこまねいて看過することはない」。インターファクスが伝えた。
国務省のトナー報道官は12日、米国はロシアがシリア反体制派への空爆を停止し、アサド大統領への支援を停止することを期待している、と述べた。
同日、国防総省のカーター長官は、サウジアラビアとUAEの特殊部隊がシリア反体制派を支援し、イスラム過激派への空爆を再開する、と述べた。
http://jp.sputniknews.com/us/20160213/1602453.html
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UAE、シリアに特殊部隊を派遣[スプートニク日本語]
2016年02月12日 23:32
米国防総省のカーター長官は声明を表わし、UAE(アラブ首長国連邦)がシリアに特殊部隊を派遣することについて、UAEと合意が得られた、と述べた。
特殊部隊は現地でスンニ派戦闘員の養成に当たる。目標はラッカのダーイシュ(IS、イスラム国、ロシアで活動が禁止されている組織)戦闘員撃退だ。
UAEの代表者とブリュッセルで会談した後の声明。特殊部隊の規模は明かされなかった。
UAEのほかにはサウジアラビアが、ダーイシュ撲滅のためシリアに地上軍を送る意向を発表している。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160212/1598330.html
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シリア反体制派、外国からミサイルを大量に入手していることを認める[スプートニク日本語]
2016年02月13日 16:17
シリア反体制派は外国から地対地ミサイルを大量に入手していることを認めた。反体制派はこれを武器にアレッポ郊外における政府軍の攻撃を停止させる考えだという。
反体制派の野戦司令官2人の証言としてロイターが伝えたところでは、アレッポとトルコ国境を結ぶ道路が政府軍の攻撃で寸断された後、飛距離20q程度の地対地ミサイルを「シリア大統領に敵対する外国人」から「大量に」入手したという。
「すばらしい支援だ」と一人の野戦司令官が言うと、もう一人が、政府軍の拠点に多大なダメージを与えることができる、と述べた。
これまでに反体制派が行った証言では、武器はトルコやサウジアラビアから入っており、米国CIAの専門家からインストラクションも受けているという。政府軍はちょうどトルコ国境からの武器の流入を止める目的でアレッポ郊外での攻撃を強めていた。
なにより問題は、2年ほどで世界を震撼させるほどになったISと同じで、「全体主義=悪」という印象を強く与えている歴史的出来事であるナチズムやコミンテルン型共産主義も、個人主義的金融主義的近代支配層が育成し利用していた“偽物”ということだ。
個人自由主義的近代思想のカウンター思想として全体主義的価値観が人々の心をとらえる可能性を読み取ったからこそ、アセットや内通者にコントロールさせながらナチズムやコミュニズム(戦前の日本も)の組織に政権を取らせたあと、軍事的経済的にそれらを叩き潰すとともに、その思想と行動に対する過剰なままの悪宣伝を学校教育まで活用し繰り返してきたのである。
(代弁者である個々のメディアや政治学者は下っ端だが、ナチズムなどの“悪行”を仕組んだ連中の末裔がそのようなプロパガンダを推進している元締めである)
現代先進諸国の多くの人は、なぜか劣化していく生活条件や先行きに希望が見えない世界のなかでも、ファシズムや共産主義に期待を寄せようとはしない。
それだけでも、ファシズムやコミュニズムの“悪”を刷り込んできた甲斐があったといえるだろう。
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[中外時評]忍び寄る全体主義の影 大衆迎合、統合も脅かす 論説委員 玉利伸吾
20世紀の世界を戦争と破壊の惨禍に巻き込んだ全体主義は本当に消え去ったのか。政治家が大衆受けする政策で勢力を伸ばす国々では、とうに滅んだはずの亡霊が、よみがえろうとしているのかもしれない。
公開中の映画「サウルの息子」を見た観客は、いきなり地獄の真ん中に放り込まれたような錯覚に陥る。舞台はドイツ占領下のポーランド、アウシュビッツ強制収容所だ。ガス室での大量殺害、極限状況での人間の姿を労務班の男の目を通して描いている。
カメラは主人公の顔と背中のアップを追い続け、殺りく場面などははっきりは見えない。ぼやけた映像と音で想像するしかない。だが、この手法で恐怖はかえって現実味を帯びる。強制収容所は、全体主義国家だったナチスドイツが個人の自由を奪い、人間をモノとして扱うために作った究極のシステムだった。
その舞台となったポーランドで、強権的な政治運営が強まっている。昨年、誕生したシドゥウォ政権は、民族主義的な色彩の濃い保守強硬派で、「強い国家」の復活を掲げている。
政府批判を封じるために、昨年12月には憲法裁判所の力を弱める法改正を行った。さらに、1月にはメディア法も改正して、公共放送のトップをすげ替えるなど、相次いで政府の権限を拡大している。そこには、国家に権力を集中させる全体主義的な姿勢が垣間見える。
強権政治には、お手本がある。「サウルの息子」のラースロー監督の祖国でもある、ハンガリーだ。オルバン政権は、すでに2010年には、報道を締め付けるメディア法や憲法裁判所の権限縮小などを盛り込んだ新憲法を成立させている。ポーランドに先行して、国の権力を強める政治運営を進めている。
両国は旧東欧の社会主義国だったが、体制崩壊後、経済開放を進めて高成長を続けるなど、ともに民主化の「優等生」と呼ばれ、2004年には欧州連合(EU)に加盟している。それがなぜ強権化するのか。
背景にあるのは、国民の不満だ。2008年の金融危機以降、経済不振が続き、所得格差が広がるなど国民の不満が高まり、大衆受けのする政策を掲げないと政権が維持できなくなっている。
どちらの国もEUや独仏など大国への不満を強調しながら、排外的なナショナリズム、民族主義に訴えて、国民の支持を着実に広げている。
さらに、こうした姿勢を勢いづけたのが、シリアなどから欧州に大量に流入している難民の問題だ。対応できないほどの流入に加えて、イスラム過激派組織などによるテロに対する不安も、政府の排外的な対応を後押ししている。ハンガリーでは、国境にフェンスを建てて難民や移民を閉め出したことを国民が歓迎し、政権の支持率が上昇した。
こうした流れは、東欧だけでなく、欧州各国にも広がり、排外的な政治勢力が支持基盤を広げている。反難民、反移民感情の高まりを背景に、フランスやドイツでは右派の政党が伸長、英国、スペインなどでは左派が支持を伸ばしている。しかも、強権的な政治勢力同士が、互いに連携する動きも出てきている。
排外的、強権的な政治勢力の支持拡大は危険な傾向だ。大恐慌で路上に失業者があふれた1930年代には、民族主義を掲げて国家への権力集中を説く全体主義者ファシストが世界各国に現れた。
国民の不満を吸収して成長したと思ったら、いつのまにか、法律を変えて個人の自由などを制限し、独裁者が出現した。やがて、秘密警察のような組織や強制収容所を作って、国民を抑圧したドイツのような例もある。
もちろん、歴史の教訓がある。時代背景も経済情勢も違うので、強権的な政権の伸長が、すぐに、かつてのような全体主義の復活につながることはありえない。
だが、排外的な政権同士の連携が進めば、統合を進めてきた欧州を分裂の危険にさらしかねない。ポーランド、ハンガリーは、いずれもEUに懐疑的な姿勢を強めており、EU離脱を検討している英国とも接近している。
危機感を持ったEUは、基本理念である「法の支配」に反する恐れがあるとして警告しているが、効果は見えない。強権化の連鎖を断ち切るには、欧州の盟主となったドイツが指導力を発揮すべきだが、難民対策で手いっぱいで、手が回らないようだ。EUの分裂は、世界を混乱に巻き込みかねない。欧州の危機対応力が試されている。
[日経新聞2月7日朝刊P.10]
「原子力発電所過酷事故防止対策の提言 二度と原子力発電所過酷事故を起さないために」
http://www.jates.or.jp/dcms-download-file/index/path/uploadMediaPath/image/douyuukai_teigen_kakokujiko.pdf
「 原子力発電所が二度と過酷事故を起こさないために ― 国、原子力界は何をなすべきか ― 」
http://www.jates.or.jp/dcms_media/other/douyuukai_teigenn_kakokujiko2.pdf
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[大震災から5年]再建への道程(6)フクシマは「想定外」か
東京電力・福島第1原子力発電所は、津波による浸水で電源を失い原子炉を冷却できなくなって核燃料が溶けた。事故は本当に「想定外」だったのか。東電が用心深く判断し発電所に備えがあれば、事故の拡大を防げた可能性がある。
■リスクに備えた女川・東海
「想定外には二種類ある。安全対策を考える上で想定しないと決めた想定外と、本当に想定していなかった想定外だ」。1月21日に東京都内で開いた「原子力発電所過酷事故防止検討会」の報告会で、東京都市大学の村松健・客員教授は話した。
同検討会は、政府や国会の事故調査委員会の報告では飽き足りないと感じた科学者や技術者らが集まり、事故防止への処方箋づくりに取り組んできた。村松教授はメンバーの一人だ。
福島第1原発事故後に「想定外」という言葉が連発されたが、その多くは村松教授が言う前者の想定外だ。リスクをきちんと想定できた人や組織はあった。しかし、東京電力や原子力安全・保安院(当時)は想定の外に置いてしまった。
最大のものが津波の高さだ。他の原発と比べてみるとわかる。東北電力・女川原発(宮城県)は海面から高さ14.8メートルの場所に発電所があった。建設当時に同社の社内委員会で「高いところにつくるよう決めたからだ」(八重樫武良所長)。歴史的に津波被害が多い地域に根付いた企業の知恵だった。
東日本大震災では高さ約13メートルの津波が襲来した。地震で約1メートル地盤が沈下していたが、海水は敷地に届かなかった。潮位計の配管を海水が逆流し、非常用ディーゼル発電機8台中2台を止めたが、大事には至らなかった。高台を海抜10メートルまで掘り下げて建てた福島第1との違いは明白だった。
日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)は海岸近くに置いたポンプ3台のうち1台に浸水し、非常用ディーゼル発電機が1つ止まった。
「ちょうどポンプを囲う津波防護壁を高くする工事中だった」。3.11当時の所長の剣田裕史常務は話す。4.9メートルから6.1メートルへ。津波の高さは約5.4メートル。かさ上げしていなかったら、非常用ディーゼルがすべて止まり全交流電源喪失になっていた。
3月末に完工予定で、電源ケーブルを通す穴が1つ空いていた。そこから一部区画に海水が入った。
茨城県が防災計画の津波想定を高く見直したのを受けての工事だった。太平洋岸を襲った過去の津波に関する研究の最新動向をみて改定した。県も電力会社も自然災害のリスクに対し感度が高かった。
「東北電も原電も、東電に比べて組織が小さく風通しがよい点が好判断につながった」と原子力安全規制の専門家はみる。
■重大事故、自主的備えに穴
米原子力規制委員会(NRC)は2001年の同時テロの後、全電源喪失事故への特別対策を米電力業界に指示した。通称「B5b」と呼ばれる。テロ対策のため具体的な内容は一般に公開されなかったが、NRCは日本の保安院には伝えた。しかし、保安院は電力業界には周知しなかった。
B5bは、可搬型発電機や消防車を使って炉や燃料プールを応急的に冷やす内容で、福島事故後に保安院が電力各社に指示した緊急対策とほぼ同じだ。「B5bに準じた備えがあれば、福島事故の様相は変わっていた」と多くの専門家はみる。
原発の安全では「深層防護」という考え方がある。第一に異常の発生防止、第二に異常を事故に拡大させないなど5層の対策を考え、最終的には周辺住民に危害を及ぶことを防ぐ。国際原子力機関(IAEA)が決めた世界標準の考え方だが、「日本では3層までしか用意していなかった」と民間事故調は指摘した。
B5bは第4層にあたる。日本でも旧ソ連のチェルノブイリ原発事故を受けて、炉心溶融など重大事故時の収束策(シビアアクシデント対策)をまとめ、電力各社が自主的に備えることになっていた。しかし、自主的な備えに「穴」があったことが事故で露呈した。
日本原子力研究開発機構の元技術者、田辺文也氏は「福島第1では緊急時にとられるべき標準的な手順がおろそかにされた」と指摘する。政府事故調の聞き取りに対し、福島第1の吉田昌郎所長(故人)が重大事故時のマニュアル(手順書)など「私の頭の中では飛んでいますね」と証言、参照もしなかったからだ。
手順書通りの対策を講じていれば、炉心溶融まで時間的余裕があった2、3号機は救える可能性があったと、田辺氏はみる。機器・設備だけでなく、人間的な側面でも備えを欠いていたと指摘する。
保安院は03年、各原発が炉心損傷事故に至る確率を公表した。一覧表をみると沸騰水型軽水炉(BWR)で事故確率が高いワースト5位に福島第1の1〜4号機がすべて入っている。
事故を起こした炉が他に比べて弱いことは、規制当局や電力業界ではよく知られていたことだった。
■「臨機応変な対応」で明暗
吉田所長への田辺氏の批判に対しては反論もある。安全問題に詳しい北村正晴・東北大名誉教授は「停電で計器も読めず炉の状況がわからない中で手順書を見て動けというのは無理だ。吉田所長がとにかく炉の注水を急いだのは適切だ」と話す。反証は福島第1の5、6号機だ。
5、6号機は隣で水素爆発が続いて起きる中、10日間で冷温停止に持ち込んだ。セオリー通り、原子炉を減圧し水を注ぎ込んだのだ。5号機は定期点検中で圧力容器の安全弁が開かないよう留め具がついていた。核燃料が炉内にあるため崩壊熱で温度、圧力が上昇しており、減圧ができない。手順書にない事態だが、運転員が格納容器内に入って人力で留め具をはずした。
臨機応変な動きは、政府事故調の調査に応じた5、6号機の当直長2人の証言からわかる。「人員を1〜4号機に割かれていたが、1〜4号機の対応に負担を
かけないようほぼ独立して対処した」と当時の状況に詳しい東電関係者は話す。
重大事故に至った福島第1の1〜4号機と、女川や東海第2、福島第1の5、6号機の間にあえて一線を引けば、その違いは計器が読めたかどうかだろう。1〜4号機では炉の状態がわからずまったくの手探り。対処がより困難であったのは確かだ。しかし、仕方がなかったではすまされない。
過酷事故防止検討会の宮野広・法政大学客員教授は3つの失敗をあげる。
(1)自然災害に対応する設計基準が低かった。
(2)重大事故時の対応力が不十分だった。
(3)影響が敷地外に及んだ時の防災計画が機能しなかった。
これらは原発再稼働にあたっての課題でもある。
編集委員 滝順一が担当しました。
[日経新聞2月7日朝刊P.11]
合理化の副作用が出た 根井寿規・政策研究大学院大学教授
福島原発事故の背景について政策研究大学院大学の根井寿規教授に聞いた。根井氏は当時、原子力安全・保安院の審議官として東京で事故対応に当たった。
――振り返って、事故原因をどうみる。
「合理化の副作用が背景にあった。収益向上のため電力会社は原発の稼働率を高めたかった。東京電力がトラブルを隠した不祥事(2002年)も稼働率を下げたくないため検査をごまかしたと考えられる」
「コスト削減への要求も強く原子力や火力など各部門一律で削減を求められてたようだ。だから原子力部門で安全のため新たな設備を設けたいと考えても実現をしないことがあったのではないか」
「そう感じたのは、品質保証のため、06年に東北電力に総点検を指示した時のことがあるからだ。原子力部門の人から『指示がきっかけで過剰なコスト削減の要求が弱まった』と礼を言われた。同社幹部からは『原子力には普段は余剰かと思われる人員があっていい。いざという時の備えだ』という言葉も聞いた」
――事故時は保安院や首相官邸にいた?
「保安院と原子力安全委員会(当時)をテレビ会議システムで結んで対応を練る緊急時の仕組みが機能しなかった。班目春樹委員長ら安全委の面々が官邸に行ったからだ」
「私も官邸に説明に呼ばれたが、菅直人首相(当時)ら政治家の人たちが海水注入を議論していた。東京電力に対し指揮命令権を持つのは法律上は経済産業大臣のはずだ。いったい指揮命令系統はどうなっているのかと当惑した」
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緊急時対策、浸透せず 尾本彰・東京工業大学特任教授
米原子力規制委員会(NRC)の緊急時対策「B5b」はなぜ生かせなかったのか。尾本彰・東京工業大学特任教授に聞いた。尾本氏は東電出身で、事故当時は政府の原子力委員会委員を務めていた。
――B5bとは。
「航空機による攻撃に対し原子炉の安全機能を守る対策をNRCが02年に指示した。具体的な内容は非公開だが、指示自体は官報にも掲載された。これを受けて米電力会社は核燃料プールに注水冷却する設備などを入れた。これは福島事故後に日本でとられた対策と基本的に同じだ」
――日本には伝わっていたのか。
「少なくとも2度、NRCは原子力安全・保安院に伝えている。公開資料によると、保安院は事故直前の1月下旬に対応方針を固め行動を起こそうとしていた。この動きが電力会社にまで伝わっていたかはわからない」
――電力会社は知らなかったと主張している。
「安全に関する日本の議論は、航空機衝突に格納容器は耐えるかどうかなど構造物の強度の問題に関心が集中しやすい。津波対策でも同じで、頑丈な防波堤をつくろうという結論になる」
「想定した対策の範囲を超えるから事故になる。どのような事態が生じても、システム全体で安全機能を維持することが大事になる。可搬型の発電機といった通常とは違う手法を柔軟に組み合わせて対処するというB5bの発想を、規制当局が理解できなかった可能性もある。電力会社の技術者ならぴんときたかもしれない」
[日経新聞2月7日朝刊P.11]
英国の特別法廷は「英国通信本部が市民のコンピューターをハッキング、つまり傍受することは、英国の法律の枠内では、人権侵害に当たらない」との判断を示した。
7つのインタネットのプロバイダーと人権団体「Privacy International」が、法廷に対し、訴えを起こしていた。
特別法廷の判決の中では、次のように述べられている-「公共の秩序調査に関する令状は、特務機関による捜査活動実施への幅広い同意のみで十分であり、米国家安全保障局の元職員エドワード・スノーデン氏の情報暴露後、人権団体が要求しているような個々の事例に対する個人的な許可よりも、有効である」。ポータル新聞The Vergeが伝えた。
2015年末、英国の特別法廷は、英国通信本部に対し、上院議員を含め英国議会の議員達のメールのやり取りを集め、調査することを公式に許可したが、これにより英国では、1966年以来効力を持ってきた議員に対する諜報行為の禁止が解かれる事になった。
中曽日銀副総裁は、「マイナス金利の対象にするのは金融機関が日銀の当座預金に預ける一部の資金に限定」だから、「金融機関の収益に配慮している」と言っているが、そのような説明は痛し痒しである。
なぜなら、銀行はマイナス金利導入で融資や投資に向かうようになり経済が活性化するという説明でマイナス金利の導入を正当化しているのに、マイナス金利適用は限定的で、銀行の収益にあまり影響を与えないという説明をしてしまえば、銀行は、日銀当座預金の積み増しという従来通りに近い資金運用でお茶を濁すと言っているようなものだからである。
また、黒田総裁共々、金融緩和の限界を必死に否定しているが、そんな空念仏は虚しい。
「マイナス金利のさらなる引き下げは技術的には可能だ」と言っているが、銀行の収益に配慮している限り、数字の遊び(ごく限定量の預金にマイナス1%など)を超えることはない。
日銀が「マイナス金利」政策を有効と本気で思っているのなら、10兆円規模の当座預金残高に0.1%のマイナス金利を導入するといった腰が引けた半端な内容ではなく、0.1%の利息を付けている220兆円の当座預金残高部分を「ゼロ金利」にしなければならない。
むろん、この政策を採れば、銀行経営はボロボロになり、金融市場も不全状態に陥る。
日銀は、しばらくのあいだ、銀行が購入した国債の利回りがマイナス0.05%なら、その国債を銀行からマイナス0.08%といった高い価格(低い利回り)で買うことでも銀行経営を支える。
※ 関連参照投稿
「<長期金利>初のマイナス 株安円高、日銀に誤算:「マイナス金利」導入は「異次元量的金融緩和」政策の“終わりの始まり”」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/415.html
「アベノミクス、行き詰まりへの道:政府債務の重石を軽くしたことで役割が終了、次は消費税増税延期と「再分配」政策」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/265.html
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日銀副総裁 金融機関株の大幅下落「やや行きすぎ」[NHK]
2月13日 20時10分
日銀の中曽宏副総裁はニューヨークで講演し、マイナス金利の導入を決めてから金融機関の株価が大幅に下落していることについて、「やや行きすぎだ」と述べ、市場は過剰に反応しているという認識を示しました。
日銀が先月、新たな金融緩和策としてマイナス金利の導入を決めてから、金融機関の株価は収益が圧迫される懸念から大幅に下落し、金融市場を不安定にしているという指摘も出ています。
これについて、日銀の中曽副総裁は12日、ニューヨークで行った講演の中で、マイナス金利の対象にするのは金融機関が日銀の当座預金に預ける一部の資金に限定しており、金融機関の収益に配慮していると強調しました。そのうえで、「ここ数日の金融機関の株価の値下がりはやや行きすぎだ」と述べ、市場は過剰に反応しているという認識を示しました。
また、日銀が大量の国債を買い入れる大規模な金融緩和には限界があるという指摘が出ていることについては、「必要があれば、量と質をさらに拡大することも可能で、限界が近づいているとは思っていない」と述べました。
そして、今後の金融政策について、中曽副総裁は「マイナス金利のさらなる引き下げは技術的には可能だ」としながらも、「今は新しい政策の効果を慎重に見極めたい」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160213/k10010408421000.html
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日銀総裁「金融緩和策に限界あると考えていない」[NHK]
2月12日 16時40分
日銀の黒田総裁は12日午後の衆議院財務金融委員会で、マイナス金利も導入した今後の金融政策について「金融緩和策に限界があるとは考えていない」と述べ、2%の物価目標の達成に改めて意欲を示しました。
この中で黒田総裁は、市場関係者の間に今の大規模な金融緩和には限界があるという意見があると問われたのに対し、「現時点で量的質的緩和について限界があるとは考えていない。マイナス金利の導入によってむしろ、量、質、金利の3つの次元で緩和手段を駆使して2%の物価目標をできるだけ早期に実現するために一層の努力が可能になった」と述べました。
そのうえで、マイナス金利による影響について、黒田総裁は、融資の利ざやが減ることで、金融機関の収益に悪い影響が出る可能性があることを認めた一方、「金利の低下を通じて企業や個人の投資や消費が刺激されて経済全体が好循環になれば、金融機関の収益も増加する」と述べ、マイナス金利の導入による効果を強調しました。
さらに、個人の預金金利への影響については、「預金金利はさまざまなことを考慮して金融機関が決める。今回、マイナス金利が適用されるのはごく一部であり、個人の預金金利がマイナスになることはまずない」と述べ、個人の預金金利がマイナスになることはないという考えを強調しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160212/k10010407071000.html
しかし、5年経った現在を見れば、「アラブの春」で倒された支配者を支えていた権力層のなかから別名の支配者が“復活”した国々(エジプト・チュニジア)はましなほうで、シリア・リビア・イエメンなどは、対立構図さえ明確には描けない内戦が続き国民の多くの命が日々失われている状況にある。
そう考える根拠の簡単な説明は関連参照投稿をお読みいただきたいが、ロシア保安庁ボルトニコフ長官が語った「ISプロジェクトは「アラブの春」から成長し、「世界ならびに地域の複数の大国の二重政策によって力を得た」と述べ、これらの国々は、このような方法で自分たちの独自の問題を解決しようとした」という見解は、現在及び近未来のイスラム世界を見るとき重要なポイントだと思っている。
※ 関連参照投稿
「チュニス銃撃事件:本来の標的は観光客ではなく政権関係者:犠牲者を貫いた銃弾が過激派のものか治安部隊のものか要検証」
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/291.html
「エジプトの裁判所、同胞団メンバー529人に死刑判決=弁護人:シシ派はムバラク派と同胞団の追落としに“アラブの春”を利用」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/333.html
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2016年02月06日 (土) 午前0:00〜
時論公論 「政変5年のアラブ諸国 安定への道は」
出川 展恒 解説委員
■「アラブの春」と呼ばれたアラブ諸国の政変から5年が経ちました。
長期独裁政権が倒れた国々は、今、どうなっているでしょうか。
民主的な国づくりに成功したと言える国はありません。
むしろ、内戦や混乱に陥り、それに乗じて、
IS・イスラミックステートのような過激派組織が勢力を広げ、
世界にテロの脅威を拡散させているのが現実です。
5年前の政変が残したものは、いったい何だったのか、
そして、アラブ世界に平和と安定を取り戻すことはできるのかを考えます。
■一連の政変は、北アフリカのチュニジアで、
失業中の若者が焼身自殺したことをきっかけに始まり、
アラブ世界各地に広がりました。
チュニジア、エジプト、イエメン、リビアでは、
民衆の大規模なデモで、長期独裁政権が倒れました。
一方、シリアでは、外国から武装勢力が侵入し、激しい内戦に陥りました。
その中で、ISが生まれ、隣のイラクとの国境をまたいで、
「イスラム国家」の樹立を一方的に宣言しました。
ISは、リビアやエジプトのシナイ半島にも拠点を広げています。
イエメンも内戦に陥り、中東で覇権争いを繰り広げる
サウジアラビアとイランの代理戦争の様相を呈しています。
■「アラブの春」と言いますのは、5年前、主に欧米のメディアが、
アラブ諸国に欧米流の民主主義が広がることへの期待を込めて、
そう呼んだわけですが、見込み違いでした。
民主主義を定着させるための条件が整っていなかったのです。
たとえば、民主主義の意味やルールを理解させるための教育は
全く行われていません。
イスラム主義を掲げる政党が選挙で勝利すると、
権力を独占しようとして、国内の対立が深まりました。
異なる立場や意見があることを認め、
話し合いと妥協によって解決できるようになるには、長い年月がかかります。
一方、内戦に陥った国では、
政府の統治が行き届かない「権力の空白地帯」が生まれ、
ISのような過激派組織の台頭を招くことになりました。
■私は、先月、エジプトを取材して参りました。
およそ9000万の人口を擁し、「アラブの盟主」とも呼ばれるエジプト。
こちらは、首都カイロ中心部の「タハリール広場」です。
5年前の今ごろ、ここは、ムバラク政権の汚職や強権支配に抗議し、
民主化を求める大勢の群衆で埋め尽くされました。
ところが、「革命5年」を祝う雰囲気は、全く感じられませんでした。
市民や専門家へのインタビューで気づかされたのは、
エジプト国民の大多数が、今、求めているのは、
「民主化」よりも「安定」だということです。
ムバラク政権の崩壊後、民主的な選挙で、
「ムスリム同胞団」の政権が誕生しました。
ところが、イスラム化を進めようとして国民の強い反発を招き、
民衆のデモと軍の介入で、1年後に政権から追われました。
その後就任した軍出身のシシ大統領は、今なお絶大な人気を維持しています。
信頼できる強い大統領の手で、治安を回復し、経済を立て直してもらいたい、
そういう声が支配的でした。
その一方で、ある有力なジャーナリストは、
「今、政権を批判する記事を書くことは、ほとんどできない。
牢屋に入れられる恐れもある」
と打ち明けました。
国民が最も関心を寄せる経済も、一向に改善しません。
失業率は15%前後に高止まりし、
とくに多くの若者が、大学を卒業しても仕事につけない状況が続いています。
インフレ率は10%を超え、家計を直撃しています。
経済の柱とも言える観光産業は、きわめて深刻な状態です。
世界遺産として有名なピラミッドでは、
観光シーズンにもかかわらず、訪れる客もまばらでした。
ガイドや土産物を売る業者たちは、
国内で起きた爆弾テロなどの影響で、
外国人観光客がほとんど来ないと嘆いていました。
国民の間で、いつまで待っても暮らしが良くならないという認識が広がれば、
いずれ、批判の矛先は、政権に向けられるでしょう。
もし、エジプトが政情不安に陥れば、
アラブ世界全体に悪影響が広がるだけに、
エジプトの動向から目を離すことはできません。
■次に、チュニジアです。
一連の政変の先駆けとなったチュニジアだけは、
民主化が、比較的うまく進んでいると言われます。
イスラム勢力と世俗派勢力が、話し合いと妥協によって、民主的な憲法をつくり、
議会と大統領の選挙を行って、新しい政権を発足させました。
この取り組みが高く評価され、去年、ノーベル平和賞を受賞しました。
ところが、この国でも、若者の失業問題は一向に改善されず、
先月、各地で大規模なデモが起きました。
これまでに、数千人の若者が国を出て、ISに参加しています。
安定した国づくりの道のりは遠く、課題は多いのです。
■次に、最も深刻な状況に陥ったシリアの現状を見ます。
シリアの内戦は、「アサド政権」、「反政府勢力」、「IS」の三つ巴の戦いとなって、
泥沼化しています。
これまでに25万人以上が犠牲になり、
国民の2人に1人が、難民、あるいは、国内避難民となっています。
去年11月、フランスのパリでISによる同時テロが起き、
国際社会の危機感が一気に高まりました。
先週、シリアの内戦終結をめざす和平協議が、国連の主催で、
スイスのジュネーブで始まりました。
アサド政権と反政府勢力との間で、
まず、停戦を実現させることが目標です。
ところが、和平協議は、双方が同じテーブルに着くという
入口のところでつまずき、早くも中断してしまいました。
大小100くらいの組織がある「反政府勢力」のうち、
どの組織を協議に参加させるかをめぐって、
サウジアラビアやロシアなど関係国の間で激しい対立が起きたためです。
そもそも、シリアの内戦が長らく放置されてきた背景には、
アサド大統領の処遇をめぐる関係国の深刻な対立があります。
▼アメリカ、ヨーロッパ諸国、サウジアラビア、トルコなどは、
大勢の国民を殺したアサド大統領に、もはや正統性はなく、
退陣すべきだと主張してきました。
▼これに対し、ロシアとイランは、
アサド大統領の退陣を前提にした協議には応じられないと主張しています。
ロシアとイランは、長年にわたってアサド政権と緊密な関係を維持してきたことから、
アサド政権と自らの権益を守りたいと考えているのです。
和平協議が始まってからも、アサド政権軍とロシア軍による
市街地への空爆や包囲が続き、反政府勢力側は支配地域を失っています。
そのことが、協議が中断に追い込まれた原因ともなっています。
シリア内外のさまざまなプレーヤーが、それぞれの思惑で動いており、
もはや、シリアをもとの形に戻すのは不可能と見られます。
テロの拡散と難民の発生をくい止めるには、内戦を終わらせることが不可欠ですが、
突破口は見えません。
■アラブ諸国をどう安定させるかについて、この5年間の教訓をまとめると、
次のようになります。
▼ISなど過激派組織は、政府の統治が及ばず、秩序が失われた場所、
すなわち「権力の空白地帯」に拠点を拡げます。
このため、当面は、「民主化」よりも、「秩序の回復」を優先せざるを得ない状況です。
ただし、基本的人権は守られなければなりません。
▼国民の暮らしを向上させ、実感させること、
とくに若者の失業対策は、
ISに参加する戦闘員の流れを断ち切るうえでも極めて重要です。
■国によって事情は異なり、個別の対策が必要ですが、
シリアの内戦終結やエジプトの安定は、
アラブ世界全体に影響を与えるだけに、
国際社会が一致協力して進めてゆかなければなりません。
今年、サミットのホスト国となる日本としても、
こうした取り組みにどう貢献してゆくのか、
長期的な戦略を立てる必要があると思います。
(出川展恒 解説委員)
「ジカ熱 知っておきたい6つの事:ZIKAウイルス感染拡大ではなくブラジルでの小頭症急増が“非常事態”の対象」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/500.html
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/573.html#c1
【モスクワ=共同】米国やロシア、国連などがシリア内戦の早期停戦実現や人道支援拡大で合意したことを受け、ロシアのプーチン大統領とオバマ米大統領は電話会談し、協力を加速することで一致した。ロシア大統領府が14日、発表した。
プーチン氏は対テロで統一の国際戦線を張るべきだと主張。同時に二重基準は排除すべきだとも述べた。テロ組織を穏健派とそれ以外とに分けて利用しようとしているとの従来の対米批判を繰り返したとみられる。
ウクライナ危機をめぐってプーチン氏は、ウクライナ政府が昨年2月の停戦合意に基づき東部の親ロシア派武装組織と直接対話を実施し、東部に高度な自治権を付与する憲法改正を実現しなければならないと主張した。
電話はオバマ氏がかけた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040004_U6A210C1000000/?dg=1
本稿では、日本の資本主義が1980年代以降、どのように変容してきたのかを取り上げる。最初に、方法論について触れたい。筆者が所属するフランス社会科学高等研究院(EHESS)の特徴をよく表す方法論なので、独自性を説明することにもなろう。
第1の特徴は、経済・社会的な変化の分析に学際的なアプローチをとることだ。多くの外国人研究者も日本人自身も、80年代から日本は変わっていないと考えているが、決してそうではない。これが筆者の最も訴えたい点である。
誤った見方が生まれたのは、変化というものの認識が不十分だったためだと考えられる。80年代以降に制度変化は進んだが、徐々に進行したため、従来の変化の概念ではうまく分析できなかった。また変化したといっても米国に近付いたわけではなく、日本は独自の道をたどった。こうした理解に至るには、歴史的な視点に立つ必要がある。
第2の特徴は、不平等の問題が社会経済学の基盤に置かれるべきだと考えることだ。不平等に着目すれば、様々なタイプの資本主義の本質を見抜くヒントが得られる。なぜなら不平等は、付加価値やリスクの分担に関する社会的妥協そのものだからである。
近著「日本資本主義の大転換」でも触れたが、日本で不平等が拡大していることは、日本の資本主義が変容したという筆者の主張を十分に裏付けている。筆者の研究は、産業の質的変化と福祉制度の欠陥に伴って起きた労働市場の動きが不平等拡大の主因となったことを明らかにした。
EHESSの同僚であるトマ・ピケティ氏が、日本での最近の不平等の変化を説明できなかったのはこのためだ。資本の動きに注意を払うあまり、労働市場への目配りが欠けているように思われる。
欧州に暮らす人々に向けて、日本を忘れてはならない、欧州は日本のたどる道から学べることがあると訴えたい。筆者も多くの外国人と同様、当初は日欧の違いに目を奪われたが、15年に及ぶ滞日経験を通じ日欧の道のりの相違よりも類似性に目を奪われた。
その具体例としては、「改革」を巡る議論が挙げられる。まず欧州で、続いて日本でも、市場機能を重くみる「新自由主義」的な構造改革は避けられないという論調により、改革は正当化されてきた。
90年代前半以降の日本経済に関する主流的な見方は次のように要約できる。日本が「衰退」(その象徴は人口構成)したのは、グローバリゼーションや技術進歩が新段階に達する新しい環境が出現し、旧来のモデルの大胆な改革が必要になったのに、それを怠ったためだ。こうした日本に対する見方は「欧州動脈硬化症」と名付けられた欧州に対する見方と非常によく似ている。
ここでは新自由主義自体を批判するつもりはない。批判したいのは次の2点だ。一つはすべては技術的条件やグローバル環境により決定され、進む道がおのずと決まるという「唯一最善の道」が存在するという思い込みだ。だが資本主義の比較研究は、歴史(初期条件)や制度などの補完的要因次第で複数の道が可能であることを教えている。
もう一つは、唯一の解決策として示された構造改革自体がしばしば問題の一部となることだ。新たな調整手段を設けずに自由化を推進すれば、従来の制度や取り決めの一貫性を損ないかねない。構造改革が長期的な停滞を招くことがあるのはこのためだ。日本経済の危機の原因も、自由化に伴う企業間格差の拡大に対して、調整が欠如していたことにあると考えている。
よって筆者は、日本の停滞は急場しのぎの政策の失敗が重なった結果だとする説明にはくみしない。もちろんそうした失政も一因だが、停滞の長さにまで責任はない。そこには構造的な要因がある。中でも注目すべきは、組織面でも収益面でも企業のばらつきが大きくなっていることだ。
すでに技術の最先端にいる企業がさらに新分野を開拓するためにイノベーション(技術革新)が必要だとしても、こうした創造的な企業を後続企業がキャッチアップすることこそが、持続的な成長にとって最も重要というのが筆者の基本的な主張だ。キャッチアップはスピルオーバー(漏出)効果により容易になろう。
企業全体の潜在的な成長力を高める方法は2つある。第1はトップ企業の成長を押し上げることだが、多くの研究が示す通り、企業全体にとっての効果は限られる。第2は平均的な企業や遅れた企業にトップ企業のキャッチアップを促すことだ。創造的な企業から後続企業への技術・組織両面でのスピルオーバー効果を高めることが必要だ。
このプロセスの一部は民間企業が担う。例えば下請け関係や系列構造が技術や組織のイノベーションの伝達に寄与してきた。トヨタ自動車やパナソニックが代表例だ。その一方で、政府が重要な役割を果たしうる面も存在するが、安倍政権の経済政策アベノミクスはこの面では不十分だ。
第1に厳格な知的財産権の保護は、発明者にとってはインセンティブ(誘因)になるが、イノベーションの拡散にとっては障害となる。ここで求められるのはバランスだ。近年の日米の知的財産権制度は少々厳格すぎてイノベーションの浸透を阻害している。第2に政府が産学協同の研究開発を活用し、イノベーションの移転を推進することが望ましい。参加者間の信頼醸成にも役立つと期待される。
日本の危機に関する筆者の分析が正しいとすれば、日本経済の再生は経済の再調整にかかっている。アベノミクスがうまくいかないのは、日本の現状に対応しうる新たな社会的妥協が定義されなかったため、日本型資本主義の一貫性を回復できなかったことが原因だと考えられる。
新たな社会的妥協を形成するには、次の4つの問いに答える必要がある。(1)成長モデルは何か(2)世界の工場として中国が台頭する中で、産業空洞化にどう対応するか(3)グローバリゼーションにどう対応するか(4)福祉制度はどうするか――の4つである。
ここでは当面の最大関心事である福祉制度の問題を取り上げる。2009〜12年の民主党政権が失敗に終わったのは、広く明確な社会的妥協に基づく新しい福祉のあり方を定める機会を逸したからだ。今こそ民主党政権の失敗を乗り越え、不平等の拡大を防ぐべく福祉制度改革を断行し、30年に及ぶ新自由主義的政策の惨憺(さんたん)たる結果を是正しなければならない。
福祉制度の改革により初めて、国民が共通の目標に向かい、日本の若者に将来展望を開くような社会契約の再構築が可能になる。そのためには、グローバル化と自由化が進む中で保護の強化を求める声に応えることが重要だ。社会的妥協の再定義に当たっては、財政にも目配りする必要がある。大切なのは包括的なビジョンを描き、費用と便益を世代間でどう分け合うか、また世帯と企業でどう分け合うかを明確にすることだ。
日本型資本主義の未来は前述の4項目(成長モデル、産業空洞化対策、グローバリゼーションへの対応、福祉制度)にどう取り組むかにかかっている。これらの問いを適切な形で示し、民主的な手続きで市民の参加を得て答えを探さなければならない。これが、新たな社会的妥協を形成し経済を再調整する条件となる。
ポイント
○産業の質的変化と福祉制度の欠陥に注目
○組織面でも収益でも企業のばらつき拡大
○30年に及ぶ新自由主義的政策の是正必要
Sebastien Lechevalier 73年生まれ。経済学博士。専門は日本経済。パリ日仏財団理事長
[日経新聞2月11日朝刊P.29]
[時事解析]データでみる企業行動
(1)円安効果で最高益 先行きになお慎重
安倍政権が異次元金融緩和などを柱とする経済政策、アベノミクスを打ち出してから約3年。この間に日本企業の行動はどう変化してきたのか。統計データや経済理論を基に分析する。
財務省によると、2014年度の金融・保険業を除く日本企業の経常利益は前年度に比べ8.3%増の約64兆6千億円となり、過去最高を更新した。
企業の利益率も上昇している。民間調査会社、帝国データバンクの調査では、14年度の全国企業の売上高経常利益率は全産業平均で2.6%。前年度に比べ0.62ポイント上昇し、全業種で前年度を上回った。
足元では世界経済に不安材料が増しているものの、年間でみれば15年度も利益水準、利益率ともに高水準となりそうだ。
大規模な金融緩和を背景に円安が進行・定着し、輸出採算が改善。海外投資による収益の円建て受取額が増え、企業収益を押し上げている。原油などの国際商品相場の下落も追い風だ。「企業に前向きな支出を拡大させる余地、機運が出てきたことは間違いない」(三菱東京UFJ銀行経済調査室)。
もっとも、売上高の回復は緩慢で、事業の先行きに慎重な企業は依然多い。世界経済の先行きが不透明なうえ、政府の成長戦略が力不足だとの認識も、企業にブレーキをかけている。
伊藤元重・東大教授は「企業はなおデフレマインドを払拭できていない。自社だけが投資や賃上げをするのをためらう、経済学で『協調の失敗』と呼ばれる現象が起きている」と解説する。
(編集委員 前田裕之)
[日経新聞2月8日朝刊P.17]
(2)低下する労働分配率 賃上げ不十分の声
安倍政権は企業に賃上げを要請している。高水準の利益を上げた企業は稼いだ資金を労働者の賃金に十分配分してきたのだろうか。
財務省の統計で金融・保険業を除く企業の総人件費の推移をみると、直近のピークは2006年度の約201兆円。その後、4年連続で減少し、10年度は約194兆円。増減を繰り返した後、14年度は約195兆円に。第2次安倍政権の誕生後も、大きな変化はない。
企業が生み出した付加価値(営業利益や人件費などの合計額)のうち、どれだけを人件費に回しているかを示す労働分配率は08〜09年度の74.7%が直近のピーク。13年度は69.5%、14年度は68.8%と下がっている。
利益の変動に比べると人件費の変化は緩やかなため、不況で利益が落ち込むと労働分配率が上昇する傾向がある。08年のリーマン危機後に企業の利益が減って労働分配率が上がり、企業の利益が急増した13年度以降は分配率が下がっている。
脇田成・首都大学東京教授は「2〜3%の賃上げは企業にとって総額で5兆〜10兆円の負担増にすぎない。高い利益水準に比べ、昨年までの賃上げ幅は小さかった」と企業の対応を批判する。
脇田氏の実証研究によると、日本では家計の収入に比例して消費が増える「ケインズ型消費関数」が成り立っている。賃上げで消費が増えると非製造業の設備投資が活発になる好循環も期待できるという。総賃金の9割弱を占める正規社員の賃上げ、1割強にとどまる非正規社員の待遇改善が引き続き焦点となる。
(編集委員 前田裕之)
[日経新聞2月9日朝刊P.24]
(3)伸び悩む国内投資 将来の需要減予想
国内の設備投資を2016年度からの3年間で10兆円増やせる――。政府との対話の中で経団連が示した目標には、疑問の声が上がっている。
民間設備投資は1980年代後半から急増し、バブル期の90、91年度は90兆円を上回って過去最高を記録した。ところが、建造物を中心とした過剰投資はその後、長く経営の足かせとなり、業績回復が遅れる原因となった。バブル期の反省から国内投資に慎重な姿勢を示す企業は多い。
第2次安倍政権の誕生後、業績が回復した企業の投資マインドは少しずつ好転してはいる。09年度に約60兆円まで減った設備投資は、13年度に約67兆円、14年度に約68兆円、15年度に約71兆円の見込みと増えてきたが、08年のリーマン危機前の水準にはなお及ばない。現在の統計データではとらえ切れないソフトウエアや研究開発などの「無形資産投資」も伸び悩んでいるもようだ。
民間投資が伸び悩むのはなぜか。デール・ジョルゲンソン米ハーバード大教授の投資理論によると、名目金利から物価変動の影響を除いた実質金利と、将来の需要予想の組み合わせで設備投資の水準は決まる。宮川努・学習院大教授は「低金利でも、人口が減少する日本では将来の需要減少が見込まれ、設備投資が増えない」と分析する。
株価上昇は企業に設備投資を促すとの実証研究もある。しかし「日本企業の資本ストックはすでに十分な水準にある。企業価値の上昇分は更新投資に吸収され、投資拡大の効果は薄れている」と宮川氏はみている。
(編集委員 前田裕之)
[日経新聞2月10日朝刊P.30]
(4)内部留保が急増 海外投資など充当
日本企業の資金の使い道をみると賃金、国内投資に加え、株主への配当も伸び悩んでいる。企業は稼ぎ出した資金をどこに振り向けているのか。
2014年度末の金融・保険業を除く企業のバランスシートを、アベノミクスがスタートした12年度末と比べると、最も増えたのが内部留保(利益剰余金)だ。財務省の調べでは、14年度末に約354兆円となり、2年で約49兆円増えた。内部留保は資金を調達する手段の一つと位置づけられ、借入金などと同様に負債の部に計上される。
企業は内部留保をすべて手元に残しているわけではない。14年度末の資産の部をみると、現預金は2年間で約17兆円増えて約185兆円。貯蓄に回している資金は一部にとどまっている。
資産の部で最も増加幅が大きいのは「投資有価証券」。2年間で約33兆円増えて約269兆円となった。投資有価証券は海外の現地法人への出資や、海外企業の買収で取得した株式などで、15年度も増える見通しだ。
日本リサーチ総合研究所の藤原裕之主任研究員は「日本企業が国内投資を抑えて海外投資を増やしている結果が表れている。成長を見込める海外市場に注力するのは合理的な行動」と指摘する。
深尾京司・一橋大教授の実証研究によると、日本企業の中で生産性が高い大手製造業の国内工場が閉鎖されている。一方、生産性が低い中小企業の工場は存続しがちで、日本全体の生産性が上昇しない原因になっていると分析する。日本企業が国内に目を向ける環境づくりが急務といえる。
(編集委員 前田裕之)
[日経新聞2月11日朝刊P.29]
(5) 非製造業の投資が鍵 新サービス開拓を
海外投資に積極的な日本の製造業は国内投資には総じて慎重で、「国内回帰」の動きはあまり広がっていない。
日本政策投資銀行は海外生産の国内への移管、海外への生産移管の先送りを「狭義の国内回帰」、国内の能力増強を含めて「広義の国内回帰」と定義。同行が製造業約400社を対象に2015年6月に実施した調査によると、15年度に狭義の国内回帰に踏み切る企業は7%弱にとどまった。
国内回帰をしない理由を聞くと、「今後も海外での需要が見込まれる」「海外生産にコストメリットがある」「海外生産拠点の稼働率を維持する必要がある」などの回答が多かった。乾友彦・学習院大教授は「人口減少で市場が縮小する日本に製造業が回帰する可能性は低い」と予想する。
国内投資の鍵を握るのは非製造業。14年度の金融・保険業を除く設備投資額の約7割は小売業、不動産・建設業などの非製造業で、前年比伸び率は製造業を上回った。内部留保(利益剰余金)や現預金の伸びが大きいのも非製造業。12〜14年度の内部留保の増加額の約8割、現預金の増加額の約7割を非製造業が占めている。
日本政策投資銀行の田中賢治・経済調査室長は「低い期待成長率と盛り上がりを欠く設備投資の悪循環を断ち切るには、企業側の一歩踏み込んだリスクテークと内需の掘り起こしが欠かせない」と強調する。非製造業と製造業が連携し、高齢者に優しい街づくり、介護・医療、家事などの分野で新サービスを開拓するよう求めている。
(編集委員 前田裕之)
=この項おわり
[日経新聞2月12日朝刊P.11]
ハフェズ・ガネム 世界銀行副総裁(中東・北アフリカ担当)/山中晋一 国際協力機構 中東・欧州部長
教育の質向上、日本も協力
2011年の中東の民主化運動「アラブの春」以降、中東・北アフリカ地域では、紛争、テロ、暴力、国家の破綻といった未曽有の混乱がもたらされた。それは15年11月のパリ同時テロにみられるように世界各国に波及している。
国際社会は、過激派組織「イスラム国」(IS)など過激派の掃討やテロとの戦い、難民問題など喫緊の課題への対応を迫られている。しかし同時に「アラブの春」の要因となった格差や貧困、排他性などの構造的な問題も未解決のままだ。この根本的解決なしに、同地域の平和と安定を達成することはできない。
国際協力機構(JICA)と米ブルッキングス研究所は中東・北アフリカ地域の平和と安定に向けた課題と協力のあり方について共同研究してきた。エジプト、チュニジア、モロッコなど政治・経済的な移行期にあるアラブ諸国を対象に、経済的な側面に焦点を当てて分析した。アラブ諸国は共通の構造的問題を抱えており、研究成果はシリア、リビアなど紛争状態にある国々にも紛争解決後の復興プロセスで適用され得るものだ。
今回の研究により、これまで疎外されてきた若年層、女性、小規模農家を含むあらゆる人々に恩恵をもたらす「インクルーシブ(包摂的)な成長」の達成が不可欠であることが確認された。このため以下に述べる4点が重要であり、国際協力機関にはこれらに配慮した協力が求められることが結論として得られた。
第1に公共部門の制度・組織の改革である。エジプトでは、2012年時点で41もの計画が「計画」「ビジョン」「戦略」などの名称で林立していた。また国家基本計画である「5カ年計画」は旧ムバラク政権下において6次にわたり策定されたが、関係省庁や民間セクター、市民社会との調整は限定的だった。
予算配分や公共投資は説明責任を欠き、国の開発ニーズが計画に反映されず、結果として大半の計画が実施に至らなかった。こうした状況はアラブ諸国で一般的にみられる傾向で、必要な公共投資が進まない一因になっている。
実際、主なアラブ諸国の過去30年間の総固定資本形成の国内総生産(GDP)比率をみると、30年前には30%程度だったのが、現在は20%程度にとどまっている。これは過去30年間で中国やインドでは同比率が上昇し、現在それぞれ約50%、約30%となっているのとは対照的だ。特に公共部門でこの傾向が顕著だ。
経済成長のためには資本形成が肝要であり、「包摂性」と「透明性」に配慮した中長期的な開発計画の策定や承認プロセスの確立、関係省庁の説明責任と能力強化、事業モニタリング(監視)・評価の導入が求められる。なおエジプトでは日本人専門家の協力により、わが国の政策決定プロセスを参考にした新たな国家開発計画策定のための制度づくりが進められている。
第2に中小企業振興のためのビジネス環境の整備が重要だ。アラブ諸国の若年層の失業率はおおむね20%以上に達しており、特に高学歴層および女性が深刻だ(表参照)。
中小企業の役割は経済活動と雇用の両面で大きく、主な先進諸国ではGDPの約半分、雇用の約3分の2を担っている。しかしアラブ諸国では大企業が経済活動の主体であり、中小企業による雇用は20〜30%以下にとどまる。代わりに露天商や家内工業など非正規の零細業者が雇用面で中心的役割を担うが、これらの多くは技術水準や生産性が低く労働環境は劣悪だ。
アラブ諸国の起業率が世界平均を大きく下回っていることも問題だ。経営者への聞き取り調査では起業の障害として、国内外の市場や金融へのアクセス、法制度や税制面でのハードル、政府許認可手続きの不透明性が挙げられた。
今後若年層を中心に起業を促すには、金融制度の改善、税制面での優遇策、小規模な外資導入のための規制緩和、政府許認可手続きの透明化などが必要だ。なお、アラブ諸国では一般に公的部門への就労を好む傾向にあるといわれるが、エジプトの工学系大学生を対象とした調査では、同様の待遇が確保されれば公的部門でなく民間部門を選好するとの傾向もみられる。アラブ諸国でも若者の職業選択は待遇次第といえる。
第3に地域格差是正のための農村開発だ。アラブ諸国では地方部の貧困率は都市部の2〜3倍にのぼる。「アラブの春」に続く動きが10年末にチュニジアの貧しい農村から始まったことと無関係ではない。北アフリカでは農家の大半は小規模家族経営で、灌漑(かんがい)効率が低いことも影響し、チュニジア、モロッコの穀物生産性は世界平均の半分以下だ。これではGDPの10〜15%、雇用の20〜40%を担う農業が地方経済活性化の役割を担うのは難しい。
地域格差是正には、農業生産性と農家の所得水準の向上が不可欠だ。エジプトやモロッコでは、農業向け与信比率が極端に低いことからも明らかなように農業金融が未発達で、近代化推進の阻害要因となっている。農産物の販売に際しては仲介業者に頼らざるを得ず、販売価格が不当に低く抑えられる傾向にある。
この対策としては、小規模農家を対象とした灌漑の整備や技術の普及、農業金融制度の拡充、市場アクセスの確保、高収益作物や新たな技術導入に向けた農業協同組合の創設などが必要であろう。
気候変動リスクへの対応も必要だ。農村の振興については、モロッコが進める農業開発計画「緑のモロッコ計画」が他のアラブ諸国でも参考となる。同計画は、官民連携の大規模経営による農業近代化と政府による小規模農家支援の2本柱で進められており、日本も支援を予定している。
第4に教育の質の向上だ。若年層の失業問題は、イスラム過激派への流出を防ぎ社会不安を解消するという観点からも重要だ。それには労働市場の需要を拡大するだけでなく、供給サイドの質的な向上も必要となる。教育環境の改善とも密接に関係している。
アラブ諸国は教育分野にGDPの5%以上の資源を配分しており、「アラブの春」前にはほとんどの国で初等教育就学率は90%を超え世界的にみても高水準にあった。しかし「アラブの春」後の紛争の影響で、現在は中東地域には未就学児童が2100万人もいるといわれている。短期的にはこの解決が急務だ。
一方、中長期的な課題としては教育の質の改善が不可欠だ。アラブ諸国では初等教育課程の56%、若年層の48%の読み書き・数学が基準レベルに達していない。背景として教師の資質の問題や欠勤率の高さ、親や地域社会の関心の薄さなどが指摘される。カリキュラムや指導方法の向上、親や地域社会の積極的関与、教育現場の透明性向上、学校経営の改善が求められる。
また労働市場で重要な要素となる規律やチームワークに関連して、アラブ諸国では近年、掃除や行事、部活動などの特別活動を重視した日本の小中学校教育制度に対する関心が高まっている。エジプトではこの分野でも日本の協力が求められている。
中東・北アフリカ地域で日本は、欧米諸国のような「過去」のしがらみがなく、各国から厚い信頼を得てきた。同地域の平和と安定は国際社会にとって最重要課題である。同地域の「インクルーシブな成長」に対して、日本はさらなる貢献が期待されている。
ポイント
○政府予算配分や公共投資の透明性高めよ
○起業促進へ政府許認可手続きの見直しを
○地域格差是正へ農業生産性向上が不可欠
Hafez Ghanem 57年生まれ。カリフォルニア大経済学博士。ブルッキングス研究所上級研究員を兼務
やまなか・しんいち 61年生まれ。ロンドン大経済学修士
[日経新聞2月12日朝刊P.11]
それが現実なら、計画してきた「工程表」は意味がなくなる。
外からでも計測できる質量計を使えば、溶融核燃料がどれくらい格納容器までの施設内にとどまっているかわかる。
取り出せなくなった溶融核燃料の取り出しを目標や前提とした廃炉計画は画餅でしかない。
※ 参照投稿
「[汚染水処理問題]何度か書いたが「汚染水の放射能除染は不要」:油分と塩分の除去のみで冷却水に再利用すべし」
http://www.asyura2.com/11/genpatu13/msg/260.html
「1号機格納容器損壊と地下水汚染について」
http://www.asyura2.com/11/genpatu11/msg/718.html
「原子炉に注入した水がメルトスルーの穴と地下水脈を通り5・6号機建屋地下で汚染水として大量湧出:1万トン以上を汲み出し」
http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/142.html
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福島廃炉、先見えず 溶融燃料搬出あと5年
2016/2/14付
東日本大震災で冷却機能を失い、大事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所は、放射性物質で汚染された水の処理に悩まされながらも廃炉作業が進む。最難関となる溶け落ちた燃料(デブリ)の取り出しの準備が今後、本格化するが、原子炉内の状態を正確に把握するのは難しく、方法も定まっていない。先の見通せない挑戦が続く。
「原子炉にカメラを入れるのは難しくない。問題は高い放射線量にやられてしまうことだ」。日本原子力研究開発機構の小川徹・廃炉国際共同研究センター長(長岡技術科学大学教授)はうなる。福島第1原発1〜3号機ではデブリが原子炉圧力容器の底を突き破って格納容器に達したとみられる。
■確認ままならず
デブリは冷やすために注入を続けている水につかっているはずだ。1号機の配管などを通す格納容器の壁面の穴からカメラ付きのロボットを入れて確認を試みたが、濁った水に遮られて見えなかった。今後は格納容器の上方から遠隔操作でカメラを垂らし、水中に入れて近くでデブリの撮影や放射線量の測定などをめざす。新たなロボットなどの実用化に時間がかかるため「(デブリを見るまでに)1年くらいかかるだろう」と小川センター長はみる。
今のところ、デブリの取り出しを2021年までに始める計画に変更はない。原子力機構は国の委託プロジェクトなどに参加し、デブリの状態を推定しようと研究を急ぐ。核燃料の成分や被覆管などの材料が高温で溶けて混ざり合ったときの反応を原子炉内の条件を変えて計算している。
小指大の「模擬デブリ」を数十通りも作っており、構造や固さ、変形しやすさなどを調べて計算の改良や工具の選定を進める。大型の模擬デブリ実験装置を持つフランスの原子力・代替エネルギー庁(CEA)とも協力する。
デブリ取り出しの工法はまだ決まっていない。放射性物質の拡散リスクを最小にするため、格納容器を水で満たす冠水工法を検討しているが、事故で開いた穴を防ぎきれない場合は難しい。水を張らない工法も選択肢に加えた。
■貴重なデータに
福島第1の作業拠点、Jヴィレッジと国道を挟んで向かい側には昨年、原子力機構の楢葉遠隔技術開発センターが発足した。試験棟内には、格納容器下部にある圧力抑制室の一部の実物大模型がある。材質や形状は2号機と同じだ。これを巨大水槽で覆い、冠水工法の手順を決めるのに役立てる。水圧に耐えられない部分がないか、どう補強するかなどを検討する。
原子力機構は福島第1に隣接する大熊町に、取りだしたデブリを持ち込み性状などを分析するセンターを17年度に開設する。富岡町では今年度、廃炉国際共同センターの国際共同研究棟も運用を始める予定だ。
ただ、被災した周辺自治体にできるだけまんべんなく拠点を置く「政治の力」が働いたという声も聞く。機能が複数の町に分散し、設備投資の重複などの無駄や、研究効率の低下につながる懸念もある。東京大学の岡本孝司教授は「専門ごとに分かれず、全体をシステムとしてとらえて総合的なリスク管理をすることが必要だ」と訴える。
政府・東電は廃炉の工程表(ロードマップ)を随時見直す。原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)はそのための新たな技術戦略を立てる。東電福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者は「一緒に議論し、作業の制約条件などをしっかり伝えていきたい」と望む。
廃炉期間は30〜40年と長く、工程表は今後大きく修正されるかもしれない。それでも福島第1の経験はすべて今後に生かせる。廃炉の過程で得られるデブリ、周辺の放射線量などのデータは事故原因の詳細な分析に使える。失敗や予想外の出来事の詳しい記録も、寿命を迎えた他の原子炉の解体などに役立つはずだ。原子力の信頼回復のためにも欠かせない作業となる。
◇
■立ちはだかる汚染水
福島第1原発では、大量の地下水が原子炉建屋付近に流入し、汚染水が増え続けている。
「地下水がきちんとせき止められているのを確認できる」。2月9日、福島第1原発を訪れた際、原子炉建屋の海側の遮水壁近くの水たまりを前に東電の担当者は胸を張った。足元に迫る水には驚くが、海には流れ込んでいない。汚染された大量の水が海に出る危険はひとまず遠のいた。
だが油断はできない。遮水壁によって行き場を失った地下水をくみ上げて浄化してから海に排出しようとしたところ、想定を上回る汚染が見つかった。一部を大量の放射性物質がある原子炉建屋に戻さざるをえず、結果的に新たな汚染水をつくりだしてしまう。
東電が解決策として期待するのが凍土壁だ。建屋を取り囲むように、セ氏マイナス30度の特殊な液が通る1500本の管を埋め込み、土壌を凍らせて地下水を食い止める。政府が345億円を投じ、設置工事を完了した。現在は一部が試験稼働中で、配管のバルブ付近に空気中の水蒸気が白く凍り付いていた。
原子力規制委員会は凍土壁の効果で地下水位が下がると建屋から高濃度の汚染水が外に出る恐れがあると、稼働に待ったをかけた。東電は地下水位が下がりすぎないよう外から水を注ぎ込む装置を動かしたり、ポンプで建屋から水を抜いたりできると対策を説明する。
汚染水対策では過去に何度も失敗があるだけに、規制委の目は厳しい。放射性物質除去装置の不調や水漏れ、浄化しても海に放出できない大量の水を保管するタンクの増設など「もぐらたたき」と皮肉られるほどだった。東電の増田氏は「もともと発電の仕事をしていたので、汚染水の重要度が高まっても感覚がすぐには切り替わらなかった」と初期の対応を振り返る。
福島第1原発には、水を移送する配管や電力ケーブルがどう敷設されているかを示す詳細な図面すらない。増田氏は16年を「基盤整備の年」とし、こうした図面の作製を急ぐ。配管の継ぎ目やネットワークが一目でわかれば、建屋内や地下水の水位を精度良く調整しやすい。問題発生時にどこを直せばよいかなどを素早く判断でき、操作ミスの防止にもつながるとみている。
(編集委員 安藤淳)
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO97257910T10C16A2TZG000/?dg=1
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮軍が大陸間弾道ミサイル(ICBM)級とされる移動式の「KN08」の実戦配備を終えた場合、北朝鮮には三つの「ミサイルベルト」が完成することになる。
北朝鮮は有事の際の戦略的な目的から、前線地域にスカッドミサイル旅団、中央にノドンミサイル旅団、後方にムスダンミサイル旅団を備えたとされる。
韓国軍と国防研究機関は便宜上、北朝鮮のミサイル配備を三つのベルトに分けて呼んでいる。南北軍事境界線に接する非武装地帯(DMZ)の北50〜90キロに構築された「第1ベルト」にはスカッド旅団が置かれている。短距離弾道ミサイルのスカッド(射程300〜700キロ)は韓国全域を射程に収める。約400基が配備されており、ミサイルを搭載できる移動式発射台も40台前後あるとみられる。
DMZの北90〜120キロに構築された「第2ベルト」を担うのはノドンミサイル旅団だ。中距離弾道ミサイルのノドン(射程1200キロ)が300基以上配備され、移動式発射台は30台程度と推定される。ノドンの射程からすると、在日米軍にも打撃を与えることが可能だ。
DMZの北175キロ付近の「第3ベルト」には中距離弾道ミサイルのムスダン(射程3000キロ)が30〜50基配備されたと推定される。30台前後ある移動式発射台で移動されれば、グアムの米軍基地にも達する。このベルトに射程1万キロ以上といわれるKN08も配備された場合、ハワイ、さらに米本土を脅かしかねない。北朝鮮全域が戦略・戦術ミサイル基地となる。
米国防総省は北朝鮮がKN08を6基保有するとみている。また、韓国政府の関係者は「KN08は実践配備を控えた段階と見ればいい」と話す。
韓米は北朝鮮のこれら3ベルトからミサイルが発射されれば、上半期にも韓国での配備地域が決まると予想される米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」と、韓国軍が独自に構築を進めている韓国型ミサイル防衛(KAMD)で迎撃する考えだ。さらに韓国軍は、迎撃範囲がTHAAD並みの長距離地対空誘導弾(L−SAM)を2020年代半ばまでに開発する計画だ。
国防部関係者は、L−SAMを開発し在韓米軍のTHAADと共に運用するなら、北朝鮮の核・ミサイルに対し多層的な防衛を取れることになると話す。しかし、北朝鮮が保有するミサイルは約2000基に上り、大量に発射される場合にすべてを防ぐことはできないとの指摘もある。
最終更新:2月14日(日)20時9分
12年秋に民主党政権が自壊し安倍政権が誕生する契機になったのが、尖閣諸島国有化をめぐる日中対立である。
野田政権が実質退陣につながる衆議院の解散を決断したのは、9月下旬に来日した米国ジャパンハンドラーの“口説き”が発端だったと推測している。
中国共産党の10年に一度の「大人事党大会」を目前として激化した日中対立の“仲介”に動いたのが米国で、尖閣諸島騒動の口火を切った石原都知事と先延ばしにせず国有化に動いた野田首相の“首”と引き換えに沈静化を図るかたちにした。
そして、野田政権の後継として中国が望んだ政治家が安倍晋三氏である。
安倍首相を対中強硬派と誤解している人も多いが、安倍首相は、対北朝鮮ほどではないが、中国に対しても気を遣わなければならない“宿命”を背負った政治家であり、中国との関係に深く配慮している。
韓国とも“家族史”的にいい関係にある安倍首相は、とんでもないことだと思うが、21世紀の北東アジア政治世界のキーパーソンなのである。
※関連参照投稿
「[衆議院解散劇の裏を読む]米国も絡む日中関係に規定され動いてきた日本の12年後半政局」(http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/769.html)
「茶番劇!?石原氏は、息子も出馬した総裁選での安倍勝利を予め知っていた可能性:無視されたままの党首討論会「石原重要証言」」
http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/780.html
「桝添東京都知事訪中の真意は“安倍訪中の露払い”:日中関係悪化の理由に関する石原氏の説明と教科書検定で改善に向かう日中関係」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/312.html
「安倍政権は3月に教科書検定という裏口を使い「中国の領有権主張」と「南京虐殺」を認定:靖国不参拝も5月高村副総裁訪中で伝達」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/319.html
「中日関係修復、日本は中国より焦って当然:「口は悪いが悪気はない」安倍政権と明るい評価を示した中国」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/249.html
「安倍首相の“右翼愛国的言動”は、朝鮮半島統一を支えるため、韓国がスムーズに中国にすり寄っていけるにする猿芝居」
http://www.asyura2.com/14/asia15/msg/802.html
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尖閣国有化巡り日中関係の悪化を懸念 米の対応 メールで判明
2月14日 10時23分
沖縄県の尖閣諸島の国有化を受けて、アメリカ政府が当時、日本と中国の関係悪化を懸念し、緊張緩和に向けて対応を急いでいた様子が、公開されたクリントン前国務長官のメールから明らかになりました。
アメリカ国務省は13日、大統領選挙に向けて与党・民主党から立候補しているクリントン氏が、国務長官在任中に私用のメールアドレスで職員などとやり取りしたメール550通余りを公開しました。
この中には、日本政府が沖縄県の尖閣諸島を国有化した翌月の2012年10月に、当時のキャンベル国務次官補がクリントン氏に宛てたメールが含まれていました。それによりますと、キャンベル氏は、「日本と中国は、長引く摩擦が地域の安定を損なうと分かっているのに、さまざまな要因によって態度を硬化させている」と指摘しています。
そのうえで、緊張を緩和するため、超党派のグループを両国に派遣し働きかけを強めることを提案するなど、アメリカ政府が日中関係の悪化を懸念して対応を急いでいた様子がうかがえます。
一方、今回公開されたメールのうち、80通余りについて、現在は機密に指定されている情報が含まれていたことが新たに分かりました。
クリントン氏のメールは、アメリカ大統領選挙に向けた候補者選びの山場となるスーパーチューズデーの前日の今月29日にかけて、順次、公開されることになっていて、選挙戦に影響を与えることも予想されます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160214/k10010408781000.html
内戦が続くシリアに地上部隊を派遣する用意があるとしていたサウジアラビアは、現地に送るのは特殊部隊に限り、アメリカ主導の有志連合の判断に従うことを強調しました。
サウジアラビアのジュベイル外相は14日、首都リヤドで開いた記者会見で、過激派組織IS=イスラミックステートとの戦いを巡り、シリアに地上部隊を派遣する用意があることを改めて表明しました。
そのうえで、「シリアに派遣するのは地上作戦を行うための特殊部隊で、判断はアメリカ主導の有志連合が決めることだ」と説明しました。
これに先立って、サウジアラビアは、シリアでの空爆作戦への参加を強化するために、新たにトルコの空軍基地に戦闘機を派遣したことを明らかにしています。サウジアラビアとしては、戦闘機の増強に加え、今回さらに地上部隊を投入する方針を示すことで、敵対するイランのほか、ロシアからも支援を受けているアサド政権側をけん制するねらいがあるものとみられます。
一方、ジュベイル外相は記者会見で、先月から国交を断絶しているイラン国内での領事業務について、現地のスイス大使館が代行することでイランのイスラム教徒がサウジアラビアにある聖地メッカへの巡礼を行うことができると説明しましたが、イランとの関係修復に向けた措置ではないことを強調しました。
ロシア首相「大規模戦争招く」
サウジアラビアがシリアに地上部隊を派遣する用意があるという立場を示すなか、ロシアのメドベージェフ首相は14日に放送されたテレビ番組のインタビューで、「誰も新しい戦争を望んでいないが、地上部隊の派遣は大規模で長期間の戦争を招くことになる」と述べ、強く警告しました。
シリアへの地上部隊の派遣を巡っては、シリア政府も「シリア政府の許可なく地上部隊が介入してきた場合は侵略行為とみなす」としていて、ロシアもこれに足並みをそろえた形です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160215/k10010409491000.html
【イスタンブール=佐野彰洋】トルコ軍は13日、シリア北部のクルド人組織、民主連合党(PYD)の支配地域に対し砲撃を実施した。AFP通信などがシリア人権監視団(英国)の情報として伝えた。
過激派組織「イスラム国」(IS)掃討を巡り、米国は有効な地上戦力としてPYDを支援するが、トルコはテロ組織に当たるとして敵視している。米主導のIS包囲網構築に影響が生じる恐れもある。
トルコ軍が砲撃を加えたのはシリア北部アレッポ県の基地など。PYDが最近になって制圧していた。PYDはトルコと国境を接するシリア北部の広範な地域をすでに支配している。トルコのダウトオール首相は13日、PYDに対する軍事行動も辞さないとの考えを表明していた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK13H2A_T10C16A2000000/
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トルコ首相 クルド人勢力に強硬姿勢で臨む[NHK]
2月14日 10時04分
内戦が続くシリアで、クルド人勢力がロシア軍の空爆に支援されて事実上の支配地域を拡大しようとしているとして、トルコのダウトオール首相は強硬姿勢で臨む考えを示しました。
シリアの反政府勢力の1つ、クルド人勢力は今月11日、別の反政府勢力が支配下に置いていた北部アレッポ近くの空軍基地を制圧しましたが、クルド人勢力は13日、NHKの取材に対し、トルコから突然、砲撃を受けたことを明らかにしました。
これについて、トルコのダウトオール首相は13日、記者会見で、砲撃はクルド人勢力がトルコ領内に攻撃を仕掛けてきたことへの報復だと説明しました。さらにクルド人勢力は、ロシア軍の空爆に支援されながらトルコの国境周辺の都市アザーズに対しても攻撃を始めたとして、ダウトオール首相は「この地域の民族構図を変えようとする動きだ。クルド人勢力のすべての動きに対して対策を取る」と述べ、強硬姿勢で臨む考えを示しました。
シリアのクルド人勢力について、トルコは国内でテロを繰り返す武装組織と同じテロ組織としているのに対し、ロシアだけでなくアメリカも、両者に直接の関係はないとして軍事支援を続けています。
トルコは、シリアのクルド人勢力が実質的な支配地域を広げることを強く警戒しているとみられ、各国の立場の違いがさらに際立って、緊張が高まっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160214/k10010408771000.html
(上)「現金の金利ゼロ」、効果制約
通貨安競争、招く恐れ
植田和男 東京大学教授
日銀は1月29日の金融政策決定会合で、大方の予想を裏切ってマイナス金利政策(金融機関が日銀に預ける日銀当座預金の金利をマイナスにする政策)の導入を決めた。
背景には、3年に及ぶ未曽有の量的・質的金融緩和にもかかわらず、狙い通りにインフレ率が上昇せず、年初来大荒れとなった市場の動きにより、一段と停滞する懸念などがあったと推察される。実際、指標として問題はあるが、金融派生商品の一種であるインフレーション・スワップ市場から読みとれるインフレ期待の動きをみると、2012年暮れ以降のインフレ期待上昇の3分の2が昨年半ば以降に消滅している(図参照)。
日銀以外の先進国の中央銀行も金融政策を巡る困難に直面している。米連邦準備理事会(FRB)は昨年12月に利上げを決めたものの、やはり市場動向もあり、その後の一段の利上げに関する明確な展望を描けていない。欧州中央銀行(ECB)は日銀と同様、追加緩和の可能性を模索している。中央銀行の苦悩の背景には、最近の金融緩和政策の様々な限界を敏感に感じとった市場の動きが存在する。
08年のリーマン・ショック以降の非伝統的金融緩和政策の一つの限界は、金融資産価格が金融政策に強く反応してきたにもかかわらず、実体経済の資産価格に対する反応が鈍いことである。
ここ数年の市場は、円安や株価の動きに代表されるように、大方の予想以上に金融緩和政策に強い反応を示してきた。さらには、経済に関する悪いニュースさえも、それが一段の金融緩和政策につながるとの期待から、市場はかえって好材料としてとらえるというほどの金融政策依存が昨年の途中までみられた。
これに対して生産や物価などの実体経済指標の金融緩和に対する反応は鈍い。日本だけでなく、ベースマネー(現金と準備預金)が大幅に拡大した欧米でも賃金や物価上昇率の動きは停滞している。マネーの伸びが高まれば、2〜3年程度の期間でそれにほぼ見合ってインフレ率が高まるという貨幣数量説は、ここ数年の経験の説明には無力だ。
欧米で非伝統的金融政策に対する実体経済の反応を限定的にしてきた一つの要因は、世界的金融危機の後遺症だろう。金融危機後のリスク回避的な動きは、金融政策の効果が期待できる金融資産投資では和らいだが、実物資産投資ではまだ続いていると考えられる。深刻な金融危機をはるか前に経験した日本では、むしろ長引いたデフレによるインフレ期待の低迷や人口減少に伴う成長期待の喪失が足を引っ張っているといえよう。
加えて、長い検討期間を要する実物投資の判断は、一時的かもしれない金融資産価格動向に速やかには反応しにくいということがあろう。例えば2〜3年程度の円安では、生産拠点の国内回帰にはなかなか踏み切れないといえる。
もう一つ、市場が感じた金融緩和策の限界は、緩和手段が底をつきつつあるのではないかとの懸念だ。そもそも最近の量的緩和策などは、政策金利がゼロに接近し、それ以上は下げにくいという制約の中で採用されてきた工夫だ。しかし例えば、日銀の国債買い入れオペ(公開市場操作)については、現時点では日銀の保有国債は総残高の3割強程度だが、当面オペが続けられることを考慮すると、今後どれだけ拡張余地があるかは不透明だという懸念が昨年来強まっていた。昨年後半に日銀が追加緩和を見送ったこともこうした観測を強めた。
前述した実体経済の資産価格に対する弱い反応は、それが結果的に金融緩和を長引かせるという意味で、市場にとっては好都合であった。しかし昨年12月のFRBの利上げに加えて、金融緩和政策の実体経済への影響が弱いにもかかわらず、日本や欧州で追加緩和の余地が狭まったのではないかという懸念は、金融政策頼みを強めていた市場には大きな不安材料となった。折からの中国経済悪化懸念もあり、年初来、原油などの商品を含むリスク資産の売却、新興国からの資金引き揚げの動きが強まったとみられる。
もちろん中央銀行サイドからすれば、単に資産価格を支えるためだけの金融緩和策の強化はあり得ない。しかし資産価格も大幅に下落すれば、金融システム不安再燃の可能性も含め、実体経済への負の影響を無視できない。日本についていえば、企業収益を支え、物価にも緩やかにだがプラスの影響を及ぼしてきた円安が反転すれば、デフレ脱却は遠のいてしまうだろう。
結果的に、ECBのドラギ総裁は3月の追加緩和を示唆し、日銀はマイナス金利を採用。大きく崩れたリスク資産価格もいったんは反発した。
それでは欧州に続き日銀が採用したマイナス金利政策にはどの程度の可能性があるのか。大きな問題は、現金の金利がゼロである以上、その他の金利をあまり大きなマイナスにはできないという点だ。人々がマイナス金利の資産から現金にシフトしてしまい、マイナス金利の波及効果を弱めてしまうからだ。そのため今回の日銀の枠組みでは、銀行の現金保有にブレーキをかける工夫がなされている。
しかしスイスやデンマークの最近の経験は、小口銀行預金の金利をゼロ近辺に据え置いたまま、マイナス1%前後まで中央銀行預金の金利引き下げが可能なことを示唆している。ならば日銀もあと2〜3回分の「追加利下げ」余地をつくり出したことになる。
マイナス金利の経済への影響については不透明な面が多い。国債買いオペと相まって、国債金利、さらには高格付け社債金利などには強い押し下げ圧力が働くだろう。しかし貸出金利、実物資産投資などへの波及効果は欧州の経験をみても不確かだ。またマイナス金利を準備預金のごく一部に限定したことが、波及効果を弱める懸念もある。
為替相場もマイナス金利に一時強く反応した。しかしここには大きなリスクが潜んでいる。金融緩和の波及経路が通貨安に集中すればするほど各国が自国通貨高を避けようとするので、世界全体としては緩和効果がゼロに近づく。
加えて中国が日欧の緩和を受けて、通貨安政策を強化すれば、世界的な為替切り下げ競争に陥る可能性もある。そもそも昨年夏以来の世界的な市場の混乱は、FRBの利上げをにらんだドル高がドルにおおむね連動する中国経済に負の影響を与えるのではと懸念されていたところへ、中国がわずかにせよ元安を容認したことに起因した面がある。
日欧の中央銀行は「ゼロ金利制約」の下限を試すという非伝統的金融緩和政策の新たな局面に入った。しかし、貨幣制度への信頼を毀損するリスクを抱える「現金の金利のマイナス化」という劇薬に手を付けない限りは、下限はそう深くはないだろう。限定的ながらも、広がった追加緩和余地が尽きないうちに、実体経済のより力強い上昇が期待されるところである。
しかし2月に入ってからの市場は落ち着いたという状態には程遠い。途上国経済成長モデルの行き詰まり、中国の4兆元対策の後遺症、長引いた先進国の金融緩和による様々な不均衡の蓄積など、資産価格・経済の下押し圧力は枚挙にいとまがない。日銀をはじめ一部の中央銀行は、これらにさらなる金融緩和で立ち向かわざるを得ないわけであり、悩みは尽きない。
ポイント
○金融緩和に対する実体経済の反応限定的
○量的緩和の拡張余地限られるとの見方も
○不安定な市場情勢続き中銀の苦悩深まる
うえだ・かずお 51年生まれ。MIT博士。元日銀政策委員会審議委員
[日経新聞2月8日朝刊P.17]
櫻川昌哉 慶応義塾大学教授
年初来の世界の株式市場の波乱を受け、日米欧の金融当局の対応が注目されている。
米連邦準備理事会(FRB)は昨年末、7年に及ぶゼロ金利を解除して利上げに転じて以降、プラス金利を堅持する。日銀は「物価目標2%」達成が難航するなか、1月29日の決定会合で、金融機関から預かっている当座預金の金利をマイナスとする新たな金融緩和に踏み切ることを決めた。欧州中央銀行(ECB)は既にマイナス金利を実施しており、3月に向けより積極的な金融緩和の姿勢を維持する。
そもそも名目利子率をゼロにすると、景気に対し相反する2つの効果が考えられる。
まず名目利子率を引き下げると、債券から資本など実物資産へのシフトが生じて、消費や投資を活性化して景気を刺激する。一方で、名目利子率をゼロにすると、貨幣を保有する機会費用がゼロとなるため、人々は容易に貨幣を資産として保有できるようになる。資本や債券から貨幣へと逆に資産シフトが生じて、経済はデフレ不況に陥る。前者の効果は比較的短期に観察されるが、後者の影響は時間をかけて発生するので、ゼロ金利の効果は見極めにくい。
名目ゼロの利益とコストのいずれの効果を重視するかで当局の対応も変わってくる。
FRBは金融危機後、政策金利をほぼゼロに据え置き、3度の量的緩和を実施し、長期国債や住宅ローン担保証券(MBS)を購入するなど市場に流動性を供給し続けた。景気回復のめどが立ってきた2013年ごろから、金利正常化を訴えてゼロ金利からの出口戦略を探り始めた。7年間も政策金利をほぼゼロに据え置いたにもかかわらず、デフレに落ち込むことなくインフレ率を2%近くに維持し見事に出口までたどり着いた。
米国人の間には大恐慌と1930年代のデフレのトラウマがある。またデフレ不況に陥った日本経済の経験を金融政策の失敗例と位置付けており、名目ゼロ継続のコストを重くみている。FRBは、多少の国際的な資本市場の動揺があっても、二度とゼロ金利に戻らないというスタンスを堅持すると予想される。
名目ゼロの状態が長く続いたためか、ゼロのコストを軽視しているのが日本だ。日銀はデフレ脱却による景気回復を目指し目標インフレ率を2%に定めて、長期国債の購入を含めた大規模な量的緩和を継続している。この政策は米国を参考にしているとされるが、次の一点において異なる。
日銀は、物価目標の達成までは量的緩和を継続すると市場に約束しつつも、FRBと異なり出口への道筋や金利の正常化には一切触れないという戦略をとってきた。出口を明示しないことで、インフレ率の上昇を確固たるものにして、金利全般の低下による経済の活性化を意図している。しかし出口を明示しないまま時間のみが経過すると、人々は名目ゼロの長期化を予想するという問題が浮上する。
名目利子率と実質利子率の間の関係を表すフィッシャー方程式で考えてみよう。そこでは、名目利子率は実質利子率に期待物価上昇率を加えた値となる。実質利子率は、自然失業率に近い失業率のもとで財市場の需給を一致させる「自然利子率」の近傍にあると考えられ、また長期的には経済成長率に近い値となるので、通常プラスの値となる。従って名目利子率ゼロの世界では、物価上昇率はマイナス、つまりデフレが生じる。
データで振り返ろう。日銀が金融市場調節の操作目標金利を0.5%に引き下げた95年を起点とすれば、名目ゼロ金利はほぼ20年間継続する。
図に示したように、実質国内総生産(GDP)伸び率はおおむねプラス、物価上昇率(GDPデフレーターをもとに計算)はおおむねマイナスだ。この期間の平均は、GDP伸び率が0.9%、物価上昇率がマイナス1.0%だ。成長率を実質利子率の代理変数とみれば、プラスの実質利子率を埋め合わせるようにデフレが生じていたと考えられる。中央銀行が名目利子率を長期にわたりゼロに据え置くと、インフレどころかデフレが起きてしまうのである。
名目利子率がプラスの世界では、名目利子率を引き下げていけば、債券から実物資産へのシフトが起きて経済は活性化する。だがその論理は名目ゼロの世界には単純に拡張できない。経済を取り巻く風景は名目利子率ゼロを分岐点として急変する。資産選択のメニューに債券と実物資産のほかに貨幣が加わるからだ。
再びフィッシャー方程式で考えると名目利子率ゼロの世界では、実物資産の収益を示す実質利子率と貨幣の収益率は等しくなる。実質利子率が1%であれば、物価上昇率はマイナス1%となり、デフレによるキャピタルゲイン(値上がり益)を表す貨幣の収益率もまた1%となる。もはや貨幣と実物資産の保有に差はなくなり、人々は貨幣を財の取引動機だけではなく資産としても保有しようとする。実物資産への資産シフトが起きるどころか、むしろ逆に実物資産を手放して貨幣を保有しようという力が働く。これが「流動性のわな」である。
米経済学者のポール・クルーグマン氏らが提案した流動性のわなから脱出するための処方箋は、物価上昇率を高めるために大規模な金融緩和を実施し、物価上昇率が高まった段階で名目利子率を引き上げることである。
彼らの議論では、名目ゼロを続ける「短期」とゼロを解除する「長期」が注意深く区別されている。人々の期待に働き掛けるこの政策は持久戦ではない。日銀の量的・質的金融緩和も開始からほぼ3年が経過しつつあり、物価目標の2%に執着して金利正常化へのタイミングが遅れると、目標インフレ率を達成できないばかりか、再びデフレに戻ってしまう危険性がある。
しかしながら、日銀が今回意図したのは、さらなる名目利子率の低下だ。日銀は当座預金にマイナス金利を導入することを決めた。全般的な金利低下の期待を受け、株価などの資産価格が上昇したが、短期的な現象にとどまる可能性は高い。ポイントは中長期的な資金の流れへの影響だ。
三たびフィッシャー方程式で考えると、名目利子率がマイナスになると貨幣の収益率は実質利子率を上回ってしまう。金融機関はこれまで準備預金として日銀に預けていたお金をそのまま行内で保管することを選ぶだけで、貸し出しへの影響は軽微だろう。最も懸念されるのは、マイナス金利を受けて人々が量的緩和の長期化を予想することだ。
足元では、10年物国債利回りは0.1%を割り込んでいる。金利の期待理論で解釈すれば、人々は10年後も短期の名目利子率はほぼゼロと予想していることになる。だとすれば、デフレに逆戻りする。
マイナス金利の影響が金融市場一般に及ぶようになると次の事態が生じる。金利がマイナスになると人々は銀行に預金しなくなるので、銀行から資金が流出して貸し出しはむしろ縮小する。つまりマイナス金利は、金融仲介機能を劣化させて銀行の信用創造を縮小させるので、一国のマネーサプライ(資金供給量)は減少してしまう。資金は金融市場を循環しなくなり、人々は実物資産より貨幣の保蔵を選択して、物価は下落してデフレ不況は深刻化する。
中央銀行は、マイナス金利政策の総効果を見極めたうえで賢明な判断が求められる。
ポイント
○日本は名目利子率がゼロのコストを軽視
○名目ゼロでは実物資産より貨幣選好強く
○期待に働き掛ける政策の長期継続避けよ
さくらがわ・まさや 59年生まれ。大阪大博士(経済学)。専門は金融論、マクロ経済
[日経新聞2月9日朝刊P.24]
翁邦雄 京都大学教授
金融危機後、先進国の中央銀行が実施した量的緩和は資産価格押し上げに寄与した。しかし物価目標は達成できず実体経済の改善も限定的で、資産価格動向とのかい離が拡大した。このため実体経済に揺らぎがみえると市場はすぐ不安定化し、追加緩和期待が高まる構図となっている。
日銀は1月29日、欧州の一部中央銀行に続き、中央銀行当座預金への課金(「マイナス金利」)政策を導入した。以下では、この金利政策が先進国経済の大きな構図とどう関連するのか考えてみる。
先進国経済の停滞と金利を結び付ける概念として、いま大きな関心を呼んでいるのは「完全雇用をもたらす実質利子率(自然利子率)」で、自然利子率が下がると潜在成長率も下がる。昨年末、英イングランド銀行(BOE)のルーカス・レイチェル氏とトーマス・スミス氏は興味深い論文を発表した。
そこで推計されている先進国の長期実質金利は、1990年代から長期的に低下し、最近ではマイナスで、累計低下幅は4.5%に達する(図参照)。実質金利が自然利子率より低ければインフレ傾向になるはずだが、インフレ率は下がり続けているから、自然利子率はこれ以上に大きく低下してきた可能性が高い。
自然利子率は人口、所得分配、貯蓄率、技術進歩など多くの要因に影響され、国・地域により異なる。景気変動に対応した循環的変動もある。ゼロ金利を解除した米国は、先進国では例外的に労働力人口増加が展望できるうえ、景気上昇局面にある。これに対し日欧では労働力人口が低下を続ける。日本ではここ2年間、経済成長がみられない。
いわゆる長期停滞論は、今後も自然利子率の停滞が長期的に続くという仮説である。前述の諸要因を点検したレイチェル氏らも、先進国の自然利子率が近い将来、反転・上昇することに否定的だ。
自然利子率にあわせて実質金利を下げるには名目金利を下げるかインフレ率を上げる必要がある。90年代末、ポール・クルーグマン米プリンストン大教授(当時)が強調したのは「期待への働きかけ」によるデフレ脱却だった。このクルーグマン氏の議論を自然利子率の話として整理してみる。
いま、バランスシート調整などの逆風で自然利子率が一時的にマイナスになり、他方で中央銀行は名目金利をマイナスにできず、デフレが続きそうだとする。それでも「逆風がやんで自然利子率がプラスになった時にはインフレにする」と中央銀行が約束してインフレ期待をつくれば、実質金利は低下させられるし、インフレにもなる。
この議論は政策論争に大きな影響を与えてきた。しかし、人口減少のように反転の兆しがみられない要因で極めて長期的な自然利子率の低下トレンドが生じているとすると、逆風がやんだ時のインフレを先取りする、という論理は破綻する。クルーグマン氏も昨年10月に「日本再考」と題する論文で、日本の労働力人口減少トレンドに照らすと中央銀行の期待への働きかけだけでは、インフレ率を高められないだろうと主張を変えた。
この間、日銀は巨額の国債購入を通じてインフレ期待を高めることを企図したが、国債大量購入の持続可能性への疑問が高まる一方、期待インフレ率は低下に転じつつある。期待への働きかけは、壁に突き当たっている。
インフレに十分頼れないならば、名目金利を何とかゼロ以下に下げる工夫はないか。名目金利の下限は文字通りのゼロではなく、若干のマイナスは実現できることも分かってきた。自然利子率を巡る議論や欧州の経験に照らすと、日銀がマイナス金利に向かうこと自体は不自然ではない。
むろん金利全般のマイナスへの誘導には、金利ゼロの安全資産である銀行券の存在という大きな壁がある。今回の日銀の決定には、金融機関が日銀の口座から銀行券を引き出すことへのペナルティーが組み込まれた。だが、預金金利を含めた金利体系全般を本格的にマイナスに誘導するには、銀行券を国民が使用することに対し、マイナス金利に見合うペナルティーを課すことが必要になる。預金金利低下を伴わないマイナス金利の拡大は必然的に金融機関の経営を困難な状態に追い込む。
本格的なマイナス金利誘導には大きな困難が伴う。だが、物価目標の達成が長期戦となり、短期決戦型の量的・質的金融緩和から、持続性と柔軟性のある金融政策の枠組みへの移行が喫緊の課題であるはずの日銀にとって、少なくとも金利概念を復権させることは有益だろう。
もっとも今回、日銀は量的・質的緩和の継続を決め、記者会見での黒田東彦総裁の説明も、量的・質的緩和にマイナス金利を付け加えたという形になっている。量的・質的緩和は金融機関の当座預金保有残高を増やす政策であり、これに課金するマイナス金利政策とは相性が悪い。「マクロ加算」などの工夫がされているが、それでも長期戦に耐える枠組みとは考えにくい。
今回の政策発動があくまで「年初来の金融市場のかなり大きな変動、不安定さ」への対応であることに照らすと、整合的な枠組み構築より、自国通貨預金のコストを高めることによる円安誘導、それを通じた株価安定に期待したいのが本音だろう。市場もそう判断しているようだ。それゆえ当面の評価は為替相場や株価動向に左右されるだろう。
黒田総裁は直前までマイナス金利導入を否定し続けた。サプライズの演出は「ショック療法」としての当座のインパクトを強めるが、この手法は必然的に「より強いサプライズ」への期待につながる。市場の量的緩和への既視感は強く、それが市場対策としてのマイナス金利導入につながった。同様に市場のサプライズへの渇望がマイナス金利操作に既視感を与え、次のサプライズに関心が移っていくのに時間はかからないだろう。
ちなみに、自然利子率の持続的低下のもとでは、インフレが起きないというわけではない。クルーグマン氏は財政インフレの可能性に言及するが、団塊世代の引退で労働市場が急速に逼迫化している日本では、賃金上昇に火がつけば物価とのスパイラル的上昇が起きる可能性が存在する。
70年代には、賃金と物価のスパイラル的上昇からスタグフレーション(インフレと景気後退の併存)が起きた。これを断ち切るため、英国などは賃金上昇を抑える所得政策を導入した。現在の政府の賃金引き上げへの強い働きかけは、この時は必ずしも成功しなかった所得政策を逆方向に働かせ、物価上昇スパイラルをつくり出す試みといえる。
しかし自然利子率が低下し続ける限り、デフレから脱却しても成長率は下がり続ける。従って長期停滞を抜け出すカギは自然利子率を反転・上昇させることだ。
それには何が必要か。昨年9月、自民党総裁に再選された安倍晋三首相は、経済政策アベノミクスの第2ステージとして「新3本の矢」を掲げた。名目国内総生産(GDP)の増大とともに、出生率向上、介護離職ゼロがうたわれている。成長率の低下を食い止めるには、その大きな背景である人口動態の変化に正面から向き合い、骨太の対策を打ち出す必要がある。第2ステージの矢印は、金融政策に偏った第1ステージよりも的確な方向を向いている。
ポイント
○潜在成長率に近い自然利子率は低下続く
○日銀による期待への働きかけは効果減退
○市場はより強いサプライズに期待強める
おきな・くにお 51年生まれ。東大経卒、シカゴ大博士。専門は金融政策、国際金融論
[日経新聞2月10日朝刊P.30]
イラン政府は、ロシア製兵器の購入に意欲を示している。地対空ミサイルシステムS-400および戦闘機Su-30の購入が検討されているという。
イランの国防当局者によれば、Su-30購入については両国国防相会談の枠内で近日中にも調印がなされる可能性があるという。
イラン政府はまた、ロシアの「ウラルワゴンザヴォード」と共同で、イラン国内でT-90S戦車を生産する工場を建設することを検討している。ロシア側は既にこのプロジェクトに参加する意思を確認している。
イランと6カ国が制裁解除に関する合意を結んだことで、兵器・装備市場におけるイランのプレゼンスが回復し始めている。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160216/1617240.html#ixzz40G59qUYH
トルコのエルドアン大統領は、オバマ米大統領の特使ブレット・マガーク氏がシリアを訪問したことを受け、米国を非難した。13日、トルコ紙トゥデイズ・ザマンが報じた。
トゥデイズ・ザマンは、「トルコがシリアに関する外交政策で犯した過ち、クルド人に対する行動、ロシア機撃墜によって、トルコは今やロシアだけでなく米国とも衝突している」と指摘している。
以前エルドアン大統領は、米国がシリアのクルド人を支持していることによりトルコと米国の信頼関係が損なわれたと述べ、米国に対してトルコとクルド人のどちらかを選ぶよう求める発言をした。
バイデン米副大統領は、トルコのダウトオール首相と電話会談し、トルコに対してシリア北部への砲撃を停止するよう求めた。リア・ノーヴォスチ通信が14日、報じた。
バイデン副大統領はトルコに対し砲撃を停止し、自制を示すよう求めた。
先に伝えられたところによると、トルコ軍はシリア北部アレッポのクルド人拠点を砲撃した。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160215/1612848.html#ixzz40GA62ZbG
韓国国会外交統一委員会の羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)委員長は15日、韓国国会は、北朝鮮が核開発やミサイル開発を続けていることを受け、北朝鮮「政権交代」政策の可能性も排除しないと発表した。
委員長は韓国のラジオ局KBSのインタビューで、「なぜ我々の間で北朝鮮当局の政権交代について話し合われているのか?私が述べたいのは、そのような案について考えるべき時が訪れたということだ」と語った。
先に伝えられたところによると、韓国の与党セヌリ党のハ・テギョン議員は3日前、ラジオ局YTNのインタビューで、北朝鮮の金正恩第1書記の排除を呼び掛けた。
南北朝鮮の関係は、先週韓国が北朝鮮のケソンにある韓国と北朝鮮共同の工業団地の韓国企業124社の操業を停止すると発表し、北朝鮮が工業団地に残っていた韓国人労働者を追放したあと、振り出しに戻った。
http://jp.sputniknews.com/asia/20160215/1615754.html
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韓国与党有力議員、核武装を提議[スプートニク日本語]
2016年02月15日 18:49(アップデート 2016年02月15日 18:51)
韓国与党、セヌリ党のウォン・ユチョル院内代表は月曜、核武装または米国の戦術核兵器配備を呼びかけた。聨合通信が伝えた。
同氏は議会で登壇し、「雨が降るたび傘を貸してくれなど言えない。自分で着ていける雨合羽が要る」と述べた。北朝鮮が1月6日に第四次核実験を行なった今となっては、非核化原則は「無意味だ」と同議員。
韓国では一連の政治化が同様の主張を行なっている。
13日、トルコのインジルリク空軍基地に、サウジアラビア軍の戦闘機およそ20機が到着した。14日、インターファクス通信が伝えた。
航空専門サイトの情報によると、派遣された戦闘機の中には、爆撃戦闘機F-15Sや「トーネード」、戦闘機F-15CCや「タイフーン」が含まれている可能性がある。
サウジアラビア国防省のアフメド・アスィリ顧問は、サウジアラビアがシリアでの「ダーイシュ(IS、イスラム国)」に対する作戦を「強化する」ために、トルコに戦闘機を配備したことを確認した。13日、テレビ局アル=アラビーヤが伝えた。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160215/1614020.html
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サウジアラビア、武力でアサド大統領を更迭する用意があると公言[スプートニク日本語]
2016年02月14日 19:23
サウジアラビアのアル・ジュベイル外相はCNNのインタビューで、シリア問題の政治解決が失敗した場合には、武力でアサド大統領が更迭される可能性もある、と述べた。
「おそらくアサド氏は弱く、もう彼は終わりだと思う」。アサド大統領は当初から自分の軍隊を救うことが出来ず、イランとイラクの支援を受けても国のコントロールを回復できなかった。そこでロシアに助けを求めたが、そのロシアも彼を救うことはできないだろう、とサウジ外相。
外相によれば、サウジアラビアはシリアに地上軍を派遣する用意があるが、それは米国率いる有志連合の一員としての派遣にとどまる。
先の報道では、サウジ外相は、サウジアラビア政府はシリアにおけるテロリスト掃討作戦に自国軍を投入することを検討中だ、と述べている。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160214/1608807.html#ixzz40GFlk4PH
ロシアは、トルコ側からのシリア領砲撃を懸念しており、これはテロリズムへの公然たる支持であり、国連安全保障理事会の決議に反すると考えている。ロシア外務省はこのような声明を表した。
ロシア外務省はホームページに次のような声明を掲載した―
「ロシアは、トルコ当局による隣国に対する攻撃的な行動に最も深刻な懸念を表明する。これは国際テロリズムへの公然たる支持、国連安全保障理事会のしかるべき決議に対する違反、そしてトルコがウィーン、ニューヨーク、ミュンヘンでの国際シリア支援グループの参加国として負った義務に反していると考える。」
また外務省の声明では、トルコが今もテロリストの新たなグループがシリアへ侵入することを手助けしていると指摘されている。外務省の声明の中では、「伝えられた情報によると、トルコ側は、ジハード主義者たちの新たなグループや、戦闘で損失を被った『アル=ヌスラ戦線』、『ダーイシュ(IS、イスラム国)』、その他のテロ組織の部隊の補充要員として武装した傭兵がシリア領内へ不法侵入する手助けを続けている」と述べられている。
ロシアは、同国のラヴロフ外相が日本を訪問すると発表した。
ロシア外務省は、東京で15日に開催された外務次官級協議を総括し、次のように発表した‐
「今年4月中旬にロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相の(日本への)公式訪問を実施することで合意に達した。」
外務次官級協議には、ロシア側からモルグロフ外務次官、日本側から前駐ロシア大使で日ロ関係担当大使の原田親仁(ちかひと)政府代表が出席し、露日関係全般について協議されたという。
福島第一原発原発地下に「永久凍土」層を創り、汚染水の土壌浸出を防止する計画が、半年延期され、10月をめどに実施されることになった。東京電力が発表した。
土壌冷凍に関する作業は今年の3月末までに終わる予定だったが、あまり速く「永久凍土」層を創りすぎると原発敷地内に急激に汚染水がたまり、それが勢いよく土壌に吸い込まれていくおそれがある。現時点で汚染水は地中深くには逃げていかず、上層にとどまっている。
冷凍のための準備作業は9日までに終了している。
この計画に懐疑的な専門家も多い。アカデミー会員でもある「クルチャトフ研究所」のエヴゲーニイ・ヴェリホフ総裁は2014年6月、この計画について、「人工永久凍土を地下に創設しても特に効果はない」と述べている。チェルノブイリ原発では冷凍に特に効果は見られなかった、とのこと。
シリア政府軍は、同国北東部ラッカ西部の戦略的高地を管理下に置いた。14日、通信社スプートニクが報じた。
スプートニクは、次のように報じたー
「シリア軍は、ラッカ西方から進撃している。シリア軍はテロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」との激しい戦闘後、戦略的高地を管理下に置くことに成功した。」
先に「ダーイシュ」は、ラッカを掌握し、カリフ制国家樹立を宣言、ラッカを「首都」とした。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160215/1613953.html
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米国の支援を受けたシーア派組織、アサド大統領側に転じる[スプートニク日本語]
2016年02月14日 22:36(アップデート 2016年02月14日 22:37)
これまで米国の支援を受けていたイラクのシーア派組織のうちのいくつかがシリア政府軍の側に転じた。米国のデイリー・ビーストが12日報じた。
少なくとも3つの部隊がアサド大統領側に転じ、米国と同盟関係にあるシリア蜂起軍に対する軍事行動を開始している。
アサド大統領軍側にいるロシア軍やイラン軍などが彼らを支援しているという。
サウジアラビアのアル・ジュベイル外相は、イランにおけるサウジアラビアの領事問題はスイスが解決する、と述べた。14日、ロイターが伝えた。
スイスの外交代表部はサウジアラビアに向かうイラン人巡礼者の支援も行うという。
先に外相は、イランとの外交関係断裂を宣言していた。原因は先月3日、テヘランのサウジアラビア大使館に対し、抗議勢力が襲撃を行ったこと。襲撃はサウジアラビアにおけるシーア派信者ニムル・アン・ニムラ氏の処刑に対抗するものだったという。
中国外交部(外務省)の王毅部長はドイツ・ミュンヘンで12日、ロイター通信の取材に応じた。新華網が伝えた。
朝鮮半島の情勢に対する中国の政策について、王部長は次のように述べた。
朝鮮半島の近隣国であり、半島の安定に対して重要な責任を負う国家である中国は、次の3点を絶対に堅持する必要がある。
(1)朝鮮半島の北・南に関わらず、また自国による製造あるいは他国からの導入配備に関わらず、いかなる状況であっても半島に核があってはならない。
(2)武力によって問題を解決してはならない。そうなれば半島に戦乱を引き起こすことになり、中国はこれを認めない。
(3)中国の正当な国家安全利益は必ず効果的に保護・保障されなければならない。
王部長はまた、「我々は引き続き国際社会と協力し、朝鮮半島非核化の過程を断固として推進していく。半島核問題の焦点は米朝の両国にある。我々は米朝両国が交渉の席に着くよううながし、それぞれの合理的な関心事を解決し、最終的に各国が望む目標を達成することを望んでいる」と述べた。
米国が韓国にミサイル防衛システム「THAAD」を配備する可能性があることについて王部長は、「我々はこの動向に対し、深刻な懸念を表明する。THAADのカバー範囲、特にそのXバンドレーダーの探知範囲は半島防衛のニーズをはるかに上回り、アジア大陸の内陸部まで及ぶ。これは中国の戦略的な安全利益を直接損なうばかりでなく、地域内のその他の国の安全利益も損なうことになる。中国には『項荘舞剣,意在沛公(正当な名目を掲げているが、ねらいは別にある)』『司馬昭之心,路人皆知(司馬昭の心は、路傍の人でも知っている)』という言葉がある。我々はいかなる国家が半島の核問題をきっかけに中国の正当な権益を損害することに対しても断固として反対する」と述べた。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年2月14日
「王毅外交部長、朝鮮の核問題について3つのボトムラインを発表:韓国へのTHAAD配備は中国の安全に脅威」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/178.html
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朝鮮半島核問題は誰にビンタを食らわせたのか?
人民網日本語版 2016年02月15日16:16
最近、中国の王毅外交部長(外相)はドイツ・ミュンヘンでシリア国際支援グループの第4回外相会合に出席した後にロイター通信の単独インタビューに応じ、現在の国際情勢における重大な問題について質問に答えた。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
朝鮮半島に関する王部長の発言は多方面の注目を集めた。王部長は「安保理は新決議を採択し、さらなる措置を講じて、朝鮮に自らの行為に対する必要な代償を支払わせ、相応の結果を担わせることができる」と指摘した。
一部メディアはこの発言を朝鮮半島核問題における中国の政策が変化し、「ついに」朝鮮を懲罰することに同意したものと解釈した。
実際には、2006年以来国連が朝鮮の核実験やロケット発射を受けて採択した第1695号決議、第1718号決議、第1874号決議、第2087号決議、第2094号決議はいずれも朝鮮による核・ミサイル技術開発を禁止する内容を含み、制裁措置も盛り込んでいる。これらの決議は中国が他の各国と合意したものであり、中国が朝鮮をかばっているという事実はない。
誤読以外に、「中国の対朝政策」に対していわれなき非難をする者もいる。今年朝鮮が4回目の核実験を行い、キャリア・ロケットを利用して衛星を発射した後、韓米日は「中国は朝鮮への影響力が最も大きい」として、「力強い」対朝制裁に加わるよう中国に求めた。米国のラッセル国務次官補(アジア・太平洋担当)は魂胆があるように「朝鮮側の行為は朝鮮への一層の制裁実施に反対する国々へのビンタだ」と主張した。しばらくの間、朝鮮半島問題で「中国責任論」がやかましく論じられている。
中国は雑音に乱されない。王部長が朝鮮半島核問題の扱いにおける中国の原則を語る際の際立ったキーワードは「公正」だ。
その一、目標の確定が公正でなければならない。朝鮮半島の非核化を実現するには、北側と南側が共に規則を遵守する必要がある。自ら製造してはならないし、導入し配備してもならない。ある国が安全で他の国が安全でなく、他国の安全を犠牲にして自国のいわゆる絶対的安全を図るのでは、真の安全は実現できない。中国は朝鮮の核開発に明確に反対しており、米国が韓国に核兵器を配備することにも賛成しない。
その二、制裁の実施は公正でなければならない。安保理の制裁は朝鮮が核計画とミサイル計画をさらに進めるのを阻止するためであり、計画に関連する組織、個人、事項に的を合わせたものであるべきだ。同時に、朝鮮が主権国として有する正当な権利の侵害は許されず、同国の正当な経済活動と民衆の権益を損なうべきでもない。とりわけ制裁の名を借りて、実際には政権を揺るがす行動であってはならない。中国は制裁は問題解決の唯一の道では断じてなく、適度でなければならないと強調し続けている。
その三、権利と責任を公正に定めなければならない。責任については、朝鮮半島核問題の焦点は米朝双方にあり、中国ではない。もし朝鮮がビンタを食らわせたと言うのなら、目を覚まされたのは米国であるはずだ。圧力と制裁の固守しても良い結果はなく、今は誠意を示して交渉の道に戻る時だ。また、朝鮮半島の緊張激化、衝突の危険の激化を前に、関係国は煽り立てるのではなく、なおさらに自制を保つべきだ。激しい言葉も合同軍事演習も時代にそぐわない。権利については、国連決議に違反する朝鮮の行為は強く非難される。同様に米国にもこれを利用して他国の権益を侵害する権利はない。韓国にミサイル防衛システム「THAAD」を配備する米国の企てに対して、中露は共に明確にノーと言う。
外国は朝鮮半島問題における中国の1つ1つの言動に注目するが、まず中国の発したメッセージを正しく受け止め、責任ある大国としての中国のイメージを明確に認識する必要がある。中国が正しい道理を説き続けるのは、朝鮮半島の平和・安定と問題の最終的解決のためだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月15日
http://j.people.com.cn/n3/2016/0215/c94474-9016841.html
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王毅外交部長、米ケリー国務長官と会談
人民網日本語版 2016年02月14日10:21
中国外交部(外務省)の王毅部長(外相)はドイツのミュンヘンで12日、米国のケリー国務長官と会談した。人民日報が伝えた。
王部長は「習近平主席は先日オバマ大統領と電話会談を行った際、次の段階の中米関係について重要な指導意見を提起した。中米双方が共に努力し、両国首脳の共通認識を着実に実行に移し、両国関係の健全かつ安定的な発展を確保することを望んでいる」と述べた。
王部長とケリー国務長官は、朝鮮半島の情勢について重点的に意見を交わした。王部長は、「朝鮮は再度核実験を行い、さらに弾道ミサイル技術を使って衛星を打ち上げ、国連の関連決議に何度も違反し、国際的な核不拡散体制に深刻な打撃を与えた。これについて中米両国は、国連安全保障理事会の協議のプロセスを早め、できるだけ早く新たな決議を採択し、力強く効果的な措置を講じて朝鮮の核・ミサイル計画の更なる推進を阻止することで同意している。また、中国は、制裁は目的ではないと再度表明する。我々の共通の目標は、半島の核問題を何とかして再び対話による交渉という正しい軌道に戻すことであり、これは中米を含む各国の利益に完全に合致する」と述べ、ケリー国務長官もこれに同意を示した。
王部長はさらに、米国が韓国にミサイル防衛システム「THAAD」を配備する可能性があることに関して中国の反対の立場を表明し、米国に対して慎重に事を行うよう要求したほか、「(米国は)この機会を借りて中国の安全利益を害するべきではなく、地域の平和と安定に新たな複雑な要素を加えるべきではない」と表明した。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年2月14日
第52回ミュンヘン安全保障会議は13日、討論会「中国と国際秩序」を行い、中国の傅瑩全人代外事委員会主任、オーストラリアのケビン・ラッド元首相らが出席し、朝鮮核問題などをめぐり激しい議論を繰り広げた。新華網が伝えた。
「中国はすでに朝鮮に対して完全にコントロールを失ったのではないか?」との司会者の質問に、傅主任は「典型的な西側思考の質問だ」と笑って応じ、会場も笑い声に包まれた。
傅主任は「中国は自らが他国をコントロールすべきだと考えたことはないし、自らが他国にコントロールされることも望まない。朝鮮核問題において、米国は中国に協力を求める一方で、同盟国とミサイル防衛システム「THAAD」の配備を協議している。中国人はこれに困惑と憤りを覚えている。中国側は朝鮮核問題における各国の懸念を理解している。王毅外交部長(外相)が12日にメディアに語ったように、第1にどのような状況下でも朝鮮半島に核があってはならない。第2に武力で問題を解決してはならない。第3に中国の安全保障上の利益を損なってはならない。中国側は6カ国協議の再開を主張し、全ての国の懸念の解決に努力し、最終的に核放棄を選択するよう朝鮮に促している。中国は自らの責任を尽くすが、米国の責任を肩代わりすることはできない。米国はいつも問題を中国に外部委託しようとしてはならない。朝鮮の安全保障上の懸念を解決する鍵は米国が握っている」と述べた。
また「王部長が12日にケリー国務長官とミュンヘンで朝鮮核問題について良い話し合いをした。みながいずれも責任を尽くすことを望む」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月15日
米国科学財団(NSF)は北京時間の11日午後11時30分、アインシュタインが100年前に存在を予言した「重力波」を世界で初めて直接観測したと発表した。中山大学(広東省広州市)は12日、取材に対して、中国の重力波観測を目指すプロジェクト「天琴計画」は2015年7月にスタートし、一部の中心的技術の研究が進展を見せ、その実行認可を申請中であることを明らかにした。中国新聞網が報じた。
中国科学院国家天文台の研究員・苟利軍氏は、「重力波」について、「時空を海に例えるなら、天体は海に住む生物。生物がしっぽを揺らすと、さぎ波が遠くまで伝わって行く。天体でも、時空のゆがみの時間変動が波動として伝播し、それが重力波と呼ばれている」と説明する。米紙「ニューヨークタイムズ」の記事によると、重力波は一度吸い込まれると二度と脱出できないブラックホールの近くで発生する。
中山大学の「天琴計画」は、重力波の研究を中心に、宇宙の重力波の観測を目指し、重力波観測計画の実施プランとルートマップを制定し、中心的技術の研究を進めている。
「天琴計画」は主に4つの段階に分けて実施されている。まず、第一段階では、月/衛星の光波測距儀システム、大型レーザージャイロスコープなど天琴計画の地上での作業をサポートする設備を完成させる。第二段階では、ドラッグフリー制御システムや衛星に搭載するレーザーキャリブレーションなど中心的技術の検証や等価原理の実験などを完了する。第三段階では、高精度の慣性計測や宇宙の光波測距儀など中心的技術の検証、世界の重力場の観測などを完了させる。そして、第四段階では、全ての重力波観測に必要な中心的技術を完成させ、高軌道衛星3機を飛ばして重力波の観測を行う。これら全ての計画を行うには約20年の歳月が必要だ。
中山大学珠海キャンパスには、「天琴計画」に必要な研究施設が建設された。中山大学の羅俊学長は、「当校は、珠海キャンパスの鳳凰山に穴を掘り、非常に静かな実験室を設置する。また、光波測距儀の地上の施設の建設が始まっており、一部の中心的技術の研究も進展を見せている。衛星3機をレーザーを通して連結する観測器を作り、重力波の存在を観測する計画」と説明している。
「人民網日本語版」2016年2月14日
大きな意味があるとしたら、昨年来その兆しが見えていたが、露とサウジアラビアが協調できることを見せたことだ。
急激かつダラダラ続く価格下落にそんな余裕はないだろうが、サウジと(か)ロシアが自分の生産量を削減して対応するというようなドラスティックな動きを見せない限り、需給バランスと市場の思惑にあらがうことはできないと思う。
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4産油国が原油生産量据え置きに条件つき合意[NHK]
2月16日 21時12分
原油価格の安値が続くなか、サウジアラビアやロシアなど主要な4つの産油国が原油価格の下落に歯止めをかけようと、原油の生産量を先月の水準で据え置くことに条件つきで合意しましたが、減産には踏み込みませんでした。
原油価格は、中国経済の先行きへの不透明感などから原油の需要が低迷するとの見方が広がり、ことしに入って一時、およそ12年ぶりの水準まで値下がりするなど安値が続いています。
こうしたなかサウジアラビアなどOPEC=石油輸出国機構に加盟する3つの国とOPEC非加盟のロシアの合わせて4つの産油国の石油担当の閣僚が16日、カタールの首都ドーハで会合を開きました。
会合のあとの記者会見で4か国は原油生産の調整に乗りだし、生産量を先月の水準で据え置くことに合意したと発表しました。
ただ減産には踏み込みませんでした。
また、生産量の据え置きについてもほかの産油国が同様の取り組みをすることが実施の条件だとしていて17日には、イランの首都テヘランでOPECに加盟するイランやイラクと会合を開く予定だとしています。
会見でサウジアラビアのヌアイミ石油相は「これから数か月かけて市場を安定化させ、改善するための最初のプロセスだ」と述べ、今後も生産量の調整について検討を続ける方針を明らかにしました。
原油価格の低迷で、産油国が経済的に打撃を受けるなか、今回の合意はOPEC最大の産油国サウジアラビアとOPEC非加盟のロシアが協調して生産量を調整していく姿勢を初めて具体的に示すものとなりました。
イラン石油相「シェアを譲ることはない」
サウジアラビアやロシアなど主要な4つの産油国が、ほかの産油国も同調することを条件に原油の生産量を先月の水準で据え置くと合意したことについて、イランのザンギャネ石油相は「重要なことは、イランがみずからのシェアを譲ることはないということだ。議論と調査が必要だ」と述べ、慎重に対応していく姿勢を示しました。
イランは、核開発に関連する経済制裁が解除されたことを受けて、今後半年の間に生産量を日量100万バレル増やす方針を示しています。
原油市場は上昇後に下落
16日のロンドン原油市場は、当初、サウジアラビアやロシアなどが協調して減産を行うのではないかという見方から、国際的な指標のひとつ北海産の原油の先物価格が、一時、1バレル33ドル台から、35ドル55セントまで値上がりしました。
しかし、減産には踏み込まず、生産量の据え置きにとどまったという合意内容が伝わると33ドル台に値を下げました。
また、ニューヨーク原油市場のWTIの先物価格も時間外の取り引きで1バレル31ドル台まで値上がりしましたが、その後は29ドル台に値下がりしました。
市場関係者は、「合意の実施に条件がついたことで、いったん値上がりした原油価格は再び値下がりした。ただ、サウジアラビアとOPECに加盟していないロシアが協調する姿勢を示したことで、原油の値下がり傾向に一定の歯止めがかかることも予想される」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160216/k10010411801000.html
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World | 2016年 02月 17日 00:14 JST
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イランに特別措置の可能性、主要産油国の増産凍結で=関係筋
[ロンドン/ドバイ 16日 ロイター] - サウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラの4カ国が16日、他の主要産油国が同調することを条件に原油生産量を1月の水準で固定することに合意したことについて、イランに対し特別措置が講じられる可能性があることが同日、関係筋の話で明らかになった。
関係筋は「イランは(制裁解除を受け)市場に復帰しつつあるため、特別の機会が与えられる必要がある」としている。
こうしたなかイランのザンギャネ石油相は同日、イランは世界原油市場の適切なシェアを手放さないと表明。同国の石油省が運営するシャナ通信によると、同石油相は「先ず重要なのは市場は供給過多に直面していること、次に重要なのは、イランは市場シェアを譲らないということだ」と述べた。
ザンギャネ石油相はまた、ベネズエラとイラクの石油相が17日にテヘランを訪れ、3カ国の石油相の間で会合が開かれることも明らかにした。
イランは前月の制裁解除を受け、制裁導入前の市場シェアの回復に向け輸出を増加させている。
http://jp.reuters.com/article/iran-oil-opec-idJPKCN0VP1W7
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World | 2016年 02月 17日 00:08 JST
原油の生産水準凍結、2016年平均に適用=ロシア
[モスクワ 16日 ロイター] - サウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラの4カ国が原油の生産水準凍結で合意したことに関連し、ロシアのノバク・エネルギー相は16日、2016年の平均水準が1月の水準を超えないようにすることが狙いと説明した。
エネルギー省が発表した声明で述べたもの。今回の決定実施には、他の産油国による協調が前提になるとも述べた。
http://jp.reuters.com/article/oil-meeting-russia-wording-idJPKCN0VP1W3
「刑務所ビジネス」に群がる金と企業
アメリカ:全米の矯正施設関係者が集う大イベントの見本市から見える巨額の利権構造と企業の儲け主義
刑務所護送バスの前に立ったセールスマンが、客を車内へと誘導する。鋼鉄製の檻や防弾仕様の窓、ハイテクの監視カメラシステムに、人々は感嘆の声を挙げる。この手の車両のお値段は? 58万jほどするらしい。
護送バスだけではない。ほかにも何百点もの刑務所製品やサービスが、ニューオーリンズで先月行われたアメリカ矯正協会(ACA)の冬季年次総会でお披露目された。主催者によれば、この総会は「刑務所関係者が集う全米最大のイベント」。期間中には数十のワークショップやパネルディスカッションが行われる一方で、展示会フロアでは刑務所をめぐる民間産業の広くて深いビジネスの世界をのぞくことができる。
その光景は、一般的な見本市とさほど変わらない。各企業ブースには企業ロゴがプリントされたポロシャツを着た社員が立ち、来場者にペンやトートバッグを無料配布したり、カタログを手渡したりしている。
開会式のときには、全米屈指の民間刑務所会社であるGEOグループのブースからウエーターが出て、スナックやフィンガーフードを給仕して回った。
普通の見本市と違うのは、このイベントが一般には非公開で、来場者はほぼ刑務所長や刑務官、州の矯正機関の責任者らに限られている点だろう。展示会の出展者たちは皆、全米で800億ドルにも上る刑務所産業の分け前にあずかろうとしている。
展示された技術の粋を見るには、実際に会場に行くしかない。コンベンションセンター全域で写真撮影は厳しく禁止されている。今年は全米から240以上の出展者が商品を持ち込み、6日間のイベントで6メートル四方のブースに最大8600ドルの出展料を支払った。
護送バスのほかにも、売店販売用の食べ物、拘束椅子、エクササイズマシン、挙銃、防護フェンス、監獄用照明、そして当然ながら鍵や手錠なども出展されている。ドイツのデドローン社によるドローン検知システムも登場した。
このイベントでひと儲けしようとしているのは、企業だけではない。多くの州で刑務所は過密状態にあり、関係者は運営費に頭を悩ませている。彼らが期待するのが民間企業からの支援。つまり、刑務所内で受刑者に販売する商品(電話から売店グッズ、電子たばこに至るまで)を卸す企業から手数料を受け取ることで、費用の一部を賄っているのだ。
不正につながる可能性も
主催者のACAはバージニア州アレクサンドリアを拠点とする非営利団体で、アメリカの矯正協会としては最大かつ最古の組織だ。ACAは国内の刑務所の質や基準などを認証評価するシステムでよく知られているが、活動費の収益源は圧倒的にこの年次総会に頼っている。
2014年大会での収入は900万ドル、利益は99万7000ドルに上った。展示ブースに加え、ACAはさまざまなスポンサーも募っている。例えばGEOグループは来場者バッジに企業名を入れて6000ドルのスポンサー科を支払った。刑務所用電話の通信事業者テルメイトは、充電ブースの設置でやはり6000jを出資している。
民問の刑務所見本市というアイデア自体、誰しも感心するたぐいのものではない。「収益のために受刑者を収容するというシステムそのものが、良からぬ動機を引き起こす原因になる」と、アメリカ自由人権協会ニューオーリンズ支部長のマージョリー・エスマは言う。それが行き過ぎれば、軽微な犯罪で多くの人を刑務所に入れようということになりかねない。
最たる例はルイジアナ州だ。その受刑率の高さから「世界の刑務所の首都」と呼ばれる同州は、成人人口10万人のうち受刑者が1420人で、全米最大の比率だという。「受刑者を物と見なし、本質的に人問を商品化した司法システムがまかり通っている」と、ニューヨーク・タイムズ紙は指摘している。
「良からぬ動機」は、刑務所関係者の不正につながる可能性もある。ニューオーリンズでは州保安官が州法に違反して受刑者の医療システムに関する高額契約を結んだ例もあつたし、ルイジアナ州で刑務所長がサイドビジネスに手を染めていたことが発覚したケースもあった。
もちろん、ACAの大会はただの展示ブースの場ではない。1階では展示会が行われているが、2階では刑務所長経験者や学者らによる数々のワークショップが開催されている。主要なテーマは司法システム改革だ。
興味深いことに、パネリストの中には刑務所産業をめぐる巨額の運営費を問題点として追及する人もいる。まさにそれこそが、この大会をここまで成長させた原動力だというのに。コロラド州の超巨大刑務所の元所長ボブ・フツドによれば、全米の州刑務所に収容される20万人の受刑者に掛かる費用は約70億ドルで、司法省予算の25%を占めるのだという。
階上でのディスカッションが知性に訴えるものだとするのなら、階下の見本市では商売心に訴えるイベントが繰り広げられている。出展企業に配られたパンフレットの中で、ACAはこのイベントで「最大限の投資利益率を挙げる」コツを紹介している。彼らが言うには、「ブースでは景品やくじで来場者の関心を引く」といいらしい。
さらにこう記してもいる。「2016年のこの大会が実り多きものとなり、貴社が高い利益を挙げられますように」
エリック・マーコウィッツ
「チュニス銃撃事件:本来の標的は観光客ではなく政権関係者:犠牲者を貫いた銃弾が過激派のものか治安部隊のものか要検証」
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/291.html
「政変5年のアラブ諸国 安定への道は:「アラブの春」もIS騒動と同じく英米仏と内通権力者によって仕組まれた政治闘争」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/577.html
「エジプトの裁判所、同胞団メンバー529人に死刑判決=弁護人:シシ派はムバラク派と同胞団の追落としに“アラブの春”を利用」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/333.html
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『ニューズウィーク日本版』2016−2・16
P.52
高失業率のチユニジアにISISの魔の手が
中東:「アラブの春」唯一の優等生国家がテロ組織のリクルート拠点となった落とし穴
モハメド(23)は仕事を探している。チュニジア中部の地中海沿岸の都市スースに住む彼は、11年1月に反政府デモに参加してから5年間、ずっと失業中だ。
チュニジアから広まった民主化運動「アラブの春」は各地で泥沼の内戦に発展したが、チュニジアのジャスミン革命は唯一、成功したとされる。
とはいえ、すべてが順調ではない。チュニジアでは18〜34歳のうち約20万人が無職だ。多くの若者が俄にあぶれるこの国は、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)などの過激派武装集団にとって、格好の勧誘場所になっている。
先月中旬、高い失業率と低い賃金への対策を求め、チュニジア各地で若者を中心にデモが起きた。一部が暴徒化して1100人以上が逮捕され、政府は全土に夜間外出禁止令を出した。
モハメドも地元でデモに参加した。「生活できるちゃんとした仕事」が欲しいだけだと言う。
イラクとシリアのISISの外国人戦闘員のうち、最も多いのはチュニジア人だ。チュニジアと国境を接するリビアは、ISISの軍事訓練キャンプになっている。
チュニジアが戦闘員の供給源にうってつけの理由は3つ。まず、国内の刑務所は収容率138・9%の過密状態で、テロ関連の受刑者から周囲に過激な思想が広まりやすい。
さらに、ジャスミン革命で倒れた前政権も、民主的な選挙で選ばれた現政権も、世俗化政策を強く推し進めている。そのため多くの敬慶なイスラム教徒にとって、信仰に忠実なイデオロギーを掲げる勢力は、ISISのような過激派しかいない。
しかし、多くのチュニジア人がISISに引き寄せられる何よりの要因は「経済的な理由」だと、ハビブ・シド首相は言う。「彼らは仕事がなかった。普通の生活を送れなかった」
革命後に失業率が上昇
大規模な反政府デモが起きて政権が交代すると、経済がある程度不安定になるのは想定内だ。とはいえチュニジアでは、革命前は12%程度だった失業率が、14年末に15%、その1年後には15.3%に上昇。大卒男性の失業率はこの1年で20.8%から21.4%に上昇した。
「多大な犠牲を払って革命を起こしたのに、失業者が増え、社会は不安定になり、テロが増えているだけなのかと、国中が自問している」と、タウフィック・ジュラーシ元高等教育・科学研究・情報通倍技術相は言う。
仕事があっても大半は収入が低く、米ドル立てで給料を払うテロ組織のほうがはるかに魅力的だ。スースに住むワエル(19)のいとこは14歳で学校をやめ、家計を助けるためにホテルの土産物店で働き始めた。しかし、ISISに入れば家族に1500ドルが送金されると聞き、間もなくシリアに渡った。
テロ組織の側も、若者の高い失業率が勧誘に有利に働くことは承知しており、経済にさらなる打撃を与えようとしている。観光がGDPの約6分の1を占めるチュニジアで、昨年3月と6月に観光客数十人が殺害されるテロ事件が発生。いずれもISISが犯行声明を出している。
「過激派武装集団のプロパガンダのために選んだ標的というだけでない。博物館やホテルを襲撃すれば観光客は確実に減る」と、シンクタンク「大西洋協議会アフリカセンター」のピーター・ファム所長は言う。
若者の就職先がテロ組織しかないような国に、「春」はまだ訪れそうにない。
アレッサンドリア・マシ
中東を揺さぶる中国とイランの蜜月
外交:経済制裁の解除に沸くイランへの支援を惜しまない中国の存在が地域の安定化に一役買う可能性も
欧米諸国との歴史的な核合意が実現してから半年余り、長年にわたる経済制裁が解除され、原油の輸出再開にこぎ着けたイランは喜びに沸いている。ただしイランの国際社会への復帰をめぐる最大の勝者は、イランの新たな「親友」―中国かもしれない。
中国の習近平国家主席は先月下旬にイランの首都テヘランを訪問し、ハサン・ロウハニ大統領と会談した。両者は今後25年間にわたって経済・政治・軍事面での協力体制を強化することで合意。核エネルギーの平和利用から、中国が提唱する経済圏構想「一帯一路」の一部である高速鉄道整備への支援まで17の合意文書に署名した。ロウハニは、両国間の貿易を今後10年間で6000億ドル規模に拡大する考えも示している。
「経済制裁の終了の恩恵を最も受けるのは中国のエネルギー企業だ。習が突然テヘランを訪問したのもそのためだ」と、中国政府の上級顧問を務めるフランス人のジャンクリストフ・イスー・フォン・プフェテン男爵は指摘する。「イランにとって唯一信頼できる国だった中国の積極的関与がなければ、(核合意は)実現しなかっただろう」
イランと中国は以前から強い絆で結ばれてきた。イランにとって中国は09年以降、最大の貿易相手国だ。近年の厳しい制裁下でも中国はイラン産原油の輸入を続け、制裁をかいくぐる形でイランの銀行を利用するなどのサポートを提供してきた。
道路や工場建設、インフラ整備への後押しも惜しまなかった。テヘラン市内の地下鉄建設や世界有数の長さを誇るトンネル建設といった大型プロジェクトを、中国はいくつも受注してきた。イラクとアフガニスタンへの米軍の侵攻に反対している点でも、両国には共通項が多かった。
イランが80年代に核開発計画に乗り出した際に、イスファハン近郊のウラン濃縮施設の建設を支援したのは中国だった。以来、両国の軍事産業面での結び付きは深まる一方。中国の軍事関係者によれば両国は先週、軍事協力に関する極秘の契約を締結しており、中国からの軍事技術や武器の提供は今後一段と加速するとみられている。
好戦ムードに傾くイラン
もっとも、それ以上に重要な意味を持つのは、経済制裁の解除によってイランの上海協力機構(SCO)加盟に道が開けることだ。SCOは中国が主導する濃やかな集団安全保障体制で、ロシアや中央アジア諸国と共にNATOのような共同体を目指している。「イランは長年、SCOへの加盟を待ち望んでいた」と、英王立国際問題研究所のサナム・バキルは指摘する。
制裁解除によって原油収入が激増する上に、中国から軍事技術が流入することで、イランが好戦的な態度を強めるのではないかと懸念する声も上がっている。「イランはアメリカが今後、イランの方針に反対しないことを知り、精神的に強気になっている」と、オクラホマ大学中東研究所のジョシュア・ランディス所長は言う。「物理的にも、戦闘に投じられる資金は増えるだろう」
実際、核合意から半年がたつなか、イランは中東地域での軍事活動を強化している。シリアでは、イラン革命防衛隊とロシア空軍による大規模な攻撃が、シリア政府軍を支援。政府軍がアレッポ近郊などの戦略上の要衝を奪還し、政府軍の拠点であるラタキアから反政府勢力を追い出すことに貢献した。
核合意を支持する多くの欧米諸国は、制裁解除でイランのこうした攻撃性が和らぐことを期待した。だが現実にはロウハニのような穏健派でさえ、中東のシーア派の権利擁護のためには強硬な態度を崩さない。「制裁の終了でイランのリベラル層は勢いづくだろう。だが彼らも戦争には反対しない」と、ランデイスは言う。「彼らはシーア派の仲間を助けたいと思っている。邪悪でイランの安全保障を脅かすスンニ派の原理主義と戦うことは正しいと考えている」
しかも革命防衛隊の幹部を含むイランの保守強硬派は、宿敵サウジアラビアやアメリカとの緊張を高めることに忙しい。先月、サウジがシーア派宗教指導者を処刑したことに反発したイランの群衆が、在テヘランのサウジ大使館を襲撃。このとき、イランの保守系テレビ局は群衆をけしかけた。10月には、イスラエルを射程に収める弾道ミサイルの発射実験をしている。
イラン国内に対立する勢力があることを示したのが、先月に米海軍の船舶2隻がイラン海域で拿捕されたときの展開だ。
結局は1発の弾丸も発射されず、拘束された米兵らは翌日に解放された。一方でイランは、両手を頭の後ろに組んでひざまずく米兵のビデオ映像を公表。革命防衛隊の司令官アフマド・ドラビは国営テレビで自慢げに語った。「アメリカ兵の弱さ、臆病さ、恐怖心を私は見た。米軍は最高の訓練を受け、最新鋭の武器を持っているが、十分な信仰と信念がないため防衛隊に立ち向かえなかった」
中国がイランとの問わりを強めれば、イランとサウジの対立が抑えられる望みもある。原油輸入の70%近くを湾岸諸国に頼る中国にとって、「中東の混乱は悪しきことだ」とバキルは言う。多くの中東諸国と強い結び付きがあり、欧米諸国よりも穏やかに彼らと話ができる中国は、この地域の重要な「仲裁人」になれるかもしれない。
覇権争いには関わらない
中国はサウジとの接近も試み、イランとの友好関係とバランスを取ろうとしている。習はイラン行きの直前にサウジの首都リヤドを訪問し、中国が投資した製油所の操業開始式典に出席。イエメンやシリアの内戦をめぐり、サルマン国王とも会談した。
ただし親しい関係を演出しても、中国は長年サウジを警戒している。90年代以降、中国の新彊ウイグル自治区ではウイグル人のイスラム教徒(スンニ派)の独立運動が盛んだが、彼らとサウジのつながりが噂されるからだ。シーア派国家のイランはウイグル人との結び付きは強くない。だから中国政府も安心して付き合える。
サウジのアデル・アルジュペイル外相は、アメリカがペルシャ湾地域に対する軍事的関与を低下させることは危険だと警告する。「空白地帯ができることを誰もが心配している。空白や真空ができれば、邪悪な力が流れ込む」と、アルジュペイルは先月にロイターに語った。
近い将来、その空白を中国が埋めるとは思えない。中国政府は「内政不干渉」を繰り返し表明している。つまり第二次大戦後のアメリカとは違い、中東の覇権争いに直接関わる意欲はほとんどないということだ。
中国はイランに大規模な投資をし、イランは中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に創設メンバーとして参加した。これらはイラン経済の繁栄を促すだろう。イランの指導者たちも、自国で開花する経済を無謀な地域紛争で台無しにしたくはないはずだ。
「中国人はイラン人をビジネスマン仲問として認識している」と、中国軍に近い人物は言う。「トップの将官たちでさえ、関心があるのは戦争をすることよりも金儲けをすることだ」
オーエン・マシューズ
「リーマン危機が再来する日
世界経済 原油安が景気浮揚につながらないなか世界経済は再び大混乱に陥る恐れがある
ジョージ・ウェアフリッツ(元東京支局長)
日本銀行は先月末、マイナス金利政策の導入を発表した。
「他人のお金を預かって運用するなら、その間は預金者に料金(金利)を払わなくてはいけない」という金融の大原則を覆す過激な措置だ。
同じ時期、FRB(米連邦準備理事会)は、大手金融機関を対象とする年次ストレステスト(健全性審査)の厳格化で採用する仮想シナリオを発表。今年は「深刻な逆境シナリオ」として、「世界的に深刻な不況」や「アメリカの失業率が5〜10%に上ること」と共に「短期米国債の利回りがマイナス圏に達すること」を加えた(審査結果は6月未に発表予定)。
マイナス金利は既に、ECB(欧州中央銀行)やスイス、スウェーデン、デンマークの中央銀行で実施されている。それは、「金利を下げても、まともな経済成長は生み出せない」ことを露呈したと、債券運用の世界的第一人者ビル・グロスは、顧客向けニュースレターに書いている。さらにグロスは、世界の市場は08年秋のリーマン・ショック前と似た「腐ってゆがんだ」状況にあると警告した。
世界の株式市場が不安に包まれているのは問違いない。今年に入り、東京、ロンドン、パリ、そしてニューヨークの株価は軟調だ。中国でも経済のハードランディングは確実という認識が広まりつつあり、上海株式市場の代表的な株価指数は、昨年6月のピーク時と比べて40%以上も下がった。
世界的な株安は、原油安の長期化を受けたものだ。原油価格の暴落は、ロシアから中東の産油国、さらにはアメリカの石油業界にも打撃を与えている。これは日本とヨーロッパにとってもいい話ではない。あちこちで借金が肥大化し、新たな金融危機の可能性がささやかれている。
「08年は金融危機と弱気相場の一色だった。今も同じ条件がそろっている」と、著名投資家のジョージ・ソロスは先月末、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で警告した。
金融アナリストのジェームズ・ビアンコも、この1年ほどアメリカのシュール革命は借金頼みの設備投資に支えられており、07年未のサブプライムローン(信用度の低い個人向け住宅融資)危機に似た、不良債権の焦げ付き問題を生じさせる恐れがあると指摘してきた。
国際決済銀行(BIS)によると、新興国からの資本逃避は、既にサブプライムローン危機や97年のアジア金融危機のレベルをはるかに超えている。
先月の状況を見る限り、今年は世界の経済と金融システムにとって波乱の1年になりそうだ。過去の経済危機をあらためて振り返ることで、今後の世界経済の行方を占ってみよう。
70年代、世界経済は2度のオイルショックに見舞われた。石油というたった1つの天然資源が、世界経済に激震を及ぼす構図は、今も変わっていない。
73年の第4次中東戦争と、79年のイラン革命をきっかけとするオイルショックは、アメリカ、西ヨーロッパ諸国、日本など石油を輸入に頼る国に大打撃を与えた。同時に、原油の生産量や価格を決定する上で、欧米の石油メジャーからOPECに大きなパワーシフトが起きた。
アメリカでは、景気停滞(スタグネーション)と物価上昇(インフレーション)が同時に進む「スタグフレーション」という言葉が生まれた。日本経済は、戦後初めてマイナス成長となる転機を迎えた。原油価格が急騰しても、目先の石油消費量を減らす手段はほとんどなく、輸入国は急激な物価上昇に翻弄された。
現在は当時の反対で、原油価格は極めて安い。だが、石油の需要に価格弾力性がないことは変わっていない。もちろん原油が安ければ、ガソリンなど石油製品の消費量は増える。だが、原油価格下落に歯止めをかけたり、石油業界の業績悪化を覆すほどの大幅な需要増加ではない。
それなのに産油国は、減産に踏み切ろうとしない。だから供給のだぶつきも、価格の下落も止まらない。英エコノミスト誌は、「原油安が減産にも、景気浮揚にもつながらない」現状を「石油の謎」と表現している。
逆オイルショックの危険
70年代、原油価格の上昇は石油の輸入国に打撃を与えたが、現在の原油安は産油国に大打撃を与えている。これらの国の不況が手に負えなくなれば、その余波は今年、世界の金融市場に及ぶ恐れがある。
既にロシアは、原油安への対応に苦慮している。カーネギー国際平和財団モスクワセンターによると、ロシアはGDPの約70%を石油・天然ガス産業に依存している。通貨ルーブルの対ドル相場は、13年初めは29ルーブルの高値を付けて以来、今や80ルーブル前後と半分以下にある。このためロシアの物価は急上昇しており、経済不振が政情不安につながる恐れも指摘されている。
ナイジェリアやブラジルなどの産油国も、原油安により財政収支が悪化している。リッチな産油国の代表格ともいえるサウジアラビアでは、財政赤字がGDP比15%に達した。サウジアラビアは最近、国内のガソリン価格を大幅に引き上げたほか、国営石油会社サウジ・アラムコの株式を一部売却することを検討中だ。
原油安による世界経済の不振は、国際的な資本逃避の一因となってきた。この1年、新興国から莫大な資金が円、ユーロ、米ドルといった「安全」な通貨建ての資産に流出してきた。昨年の新興国からの細流出額は7350億ドル。その4分の3は中国から洗出したとみられている。「この流れは勢いを増しているようだ」と、英フィナンシャル・タイムズ紙コラムニストのジリアンニアットは語る。
現在の資金シフトは、08年金融危機の際に起きた「質への逃避」よりはるかに規模が大きい。それも当然だ。新興国企業のドル建て債務は推定4兆ドル。08年当時の約4倍に上る。
なぜそうなったか。近年の事実上のゼロ金利を活用して、多くの新興国企業がドルやユーロや円で資金を安く借り、成長率が高い自国市場に投資したからだ。その流れが今や、逆向きになっている。
これは97年に発生したアジア経済危機と同じ構図だが、当時とは違う点もある。
アジア金融危機も、高成長によって外国から投資を引き付けていた地域の経済が急速に停滞する形で始まった。外国人投資家が資金を引き揚げ、現地通貨は下落し、ドル建て債務が膨らんだ政府は返済が不可能になった。タイや韓国は大きな打撃を受け、最終的にIMFに救済された。
08年の危機は、国内投資のために外貨を借り入れる「通貨のミスマッチ」の危険性を露呈させた。教訓を得た各国政府は国外での資金調達をやめ、将来の危機に備えて巨額のドルを保有するようになった。
問題は、多くの企業が当時の教訓を学ばなかったこと。各国の当局も企業の外貨調達に対する規制を厳格化しなかった。実際、この8年間の新興市場の経済成長はドルの借り入れに支えられた面が大きい。
その結果、今また新興国企業は巨額のドル債務を抱えている。一方で、現地通貨で手にする収益は(通貨下落が原因で)ドルに対する価値が下がっている。世界銀行やBISは数年前から警鐘を鳴らしてきたが、アメリカの利上げによって、危機が現実化しかねない様相だ。
中国経済を襲う資本逃避
企業にとっては大きなジレンマだ。債務返済を見据えて資金をシフトしたら、現地通貨はさらなる下落圧力にさらされる。だからといって、自社の資産がドル換算で減り続ける状態を放置するわけにもいかない。
フィナンシャル・タイムズのテットいわく、最近の株価下落は為替相場の乱高下と結び付いている。「金融の流れは本質的に方向転換するものであり、多くの資産価格に予想外の連鎖反応を引き起こしている」
グローバル経済は昨年、成長が減速したものの、景気後退に直面しているわけではないと、
多くのエコノミストはみている。だが08〜09年の世界的金融危機が示すように、「連鎖反応」が持つ意味は極めて大きい。
株価の激しい変動は企業による投資の遅れを招き、生産高や雇用、GDPに悪影響を与えかねない。金融不安のわずかな兆しが見えただけで、金融システムが麻痺することもある。
いい例が鮨年のロシア財政危機と、米ヘッジファンド大手ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の破綻劇だ。同社はロシアの財政状況を読み違えて危機に陥り、大手金融各社が救済融資を行う事態に発展した。その10年後に発生したサブプライムローン問題の際には、米証券会社リーマン・ブラザーズが倒産に追い込まれ、金融危機の引き金になった。
金融システムの悲惨な状態があらわになったのはそのときだ。アメリカの株価が下落を始めてから1年後のことだった。歴史に学べば分かる。昨年半ばに始まったエネルギー市場や株式市場の大変動は、投資家が将来に抱く不安の表れにほかならない。
過去の危機は次の危機を乗り切る手引きにならないが、待ち構える危機の形を教えてくれる。世界経済にとって今年、最大の懸念材料は中国の減速だ。
オックスフォード大学中国センターのジョージ・マグナス研究員によれば、世界は中国経済に関して「事実に基づかないストーリーを売り込まれてきた」。中国の債務は持続不可能な域に達し、経済指標は信頼できず、改革は「行き詰まって」いるのが実態だという。
中国政府は人民元の安定を誓っているが、ほとんどの専門家はその言葉を信じていない。人民元は今年中に10〜15%値下がりするというのが、大方の予想だ。
昨年12月、中国の外貨準備高は1080億j減少した。資本逃避が加速している証しだ。
需要不足解消のために
日本銀行の黒田東彦総裁は先月のダボス会議で、個人的見解と断った上で、中国は資本規制をすべきではないかと示唆した。この事実は、中国には政策転換が必要だとの考えが中央銀行レベルで存在することを示す。
中国人民銀行(中央銀行)も同様の考えらしい。最近、同行から洗出した資料は政策転換をうかがわせる内容だった。
とはいえ中国が金融緩和による国内成長の促進と、低金利による資本逃避の阻止という矛盾する目標をどう両立させるのか。答えははっきりしない。IMFは昨年、人民元の主要通貨入りを決定したばかり。そんな状況で、人民元相場にあからさまに介入すれば中国は大恥をかく。
中国の政策転換が、世界的な市場不安を引き起こすのは間違いない。昨年6月の株価暴落による「中国ショック」がいい証拠だ。米シェールオイル業界の債務まみれの現状が、倒産や銀行破綻の前兆であることも明らか。富裕な産油国も税収減や原油価格下落に伴う財政赤字で、厳しい財政運営を強いられることになりそうだ。
危機のときには、国際協調が欠かせない。08〜09年の金融危機後の大不況の際は、各国の中央銀行の判断がダメージを緩和した。世界経済の病の正体は需要不足だ。株価や金融の動きは、それを示しているが、手軽な治療薬は存在しない。今こそ、世界が一致団結して解決に知恵を絞るときだ。」
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FX Forum | 2016年 02月 17日 21:53 JST
コラム:マイナス金利、20の疑問(下)=河野龍太郎氏
[東京 17日] - 黒田日銀はどこまでマイナス金利を拡大するのか。マイナス金利政策は日本経済にいかなる影響を与えるのか。パート1に続き、疑問に答える形で日銀の金融政策のリスクを分析する。
<マイナス金利政策が消費増税先送りを助長する恐れ>
Q11)さらなる付利引き下げのタイミングは。
日銀は当面、マイナス金利政策導入の市場への浸透度合いやその副作用を見極めようとする。よほどのことがなければ、次回3月の決定会合で追加緩和に向かうことはないだろう。
しかし、筆者は、国際金融市場の動揺がいずれ追加緩和を余儀なくさせると考えている。仮に国際金融市場が小康を得るなら、国内均衡の観点から利上げが必要と考える米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めに向かうだろうから、安定してもそれは一時的で、動揺はすぐに再燃する。ドルベースの過剰債務、過剰ストックを抱える新興国や資源国は、ドル金利の上昇には耐えられない。中国についても米国の利上げがもたらす、さらなるドル高には耐えられない。
一方、FRBが完全に利上げを中断することがあるとすれば、それは、米国経済が後退リスクに直面するケースである。中国の人民元問題は落ち着くかもしれないが、今度は米国の後退リスクそのものが国際金融市場の新たな動揺を招く。
いずれにせよ、円高圧力が一段と高まれば、政権からプッシュされ、副作用が大きい政策しか残っていないとしても日銀は静観するわけにはいかないだろう。不確実性は大きいが、今年6月会合で付利を20ベーシスポイント(bp)引き下げてマイナス0.3%へ、来年にも20bp引き下げてマイナス0.5%にすると予想している。
Q12)効果不足を理由にマイナス金利を中止することはないのか。
その可能性は小さい。リフレ派の論理からすれば、円高になり、株価が下落しているのは、副作用のせいではなく、金融緩和が足りないからということになるはずである。「効果が現れないのは、金融緩和が足りないから」というのが、彼らの口癖だった。もし黒田日銀体制の考え方がリフレ派理論に基づくものなら、付利の引き下げは効果が現れるまで継続されるだろう。
結局、量的・質的緩和(QQE)と同様、大きな効果が得られないまま、その限界に達するのではないか。もちろん、日銀がリフレ派に占拠されていないとしても、大衆民主主義の下で、中央銀行は有効な手段が尽きてしまったとは簡単には言えないから、副作用が多少大きくても、限界まで政策が追求される可能性が高い。
ただ、副作用は決して小さくないのだから、政策に限界はないと強弁するのではなく、中央銀行は魔法の杖を持っていないと、そろそろ真実を語るべきだと筆者は考えるが、どうだろう。
Q13)さらなる付利下げは賛成票を得られるか。
1月会合での決定は、5対4というギリギリの票決だったが、マイナス金利導入に反対した委員のうち、白井委員は3月末に、石田委員は6月末に任期満了を迎える。意見の多様性を求める委員会制の本来のあり方からは望ましいとは言えないが、政治的には黒田総裁を支持する人が後任に選ばれるのだろう。
ただし、石田委員はいわゆる「銀行枠」であって、後任もメガバンク出身者だとすれば、その委員が銀行業績に悪影響をもたらすさらなる付利の引き下げを積極的に支持するとは考え難い。次回以降の票決は6対3となるのだろうか。あるいは、銀行枠が一時凍結されるのだろうか。
Q14)どこまで付利を引き下げるのか。
上述したように、マイナス金利は、金融機関の収益にダメージを与え、信用仲介機能を毀損する恐れがあり、マイナス幅が大きくなればその危険性は高まる。また、あまり大幅なマイナスにすると、現金保有を助長するに終わり、金利押し下げ効果が減殺される。現金への選好が強まれば、強い景気抑制効果が現れる。このため、中央銀行は、付利をどこまでも引き下げられるわけではない(理論上、制約の1つは現金にマイナス金利が付かないことである)。
日銀は1月末の政策決定に際し、自らがまとめたQ&A方式の文書で、スイスがマイナス0.75%、スウェーデンがマイナス1.1%、デンマークがマイナス0.65%まで引き下げていることを紹介し、少なくともマイナス1%程度までの引き下げ余地があることを匂わせた(2月11日にスウェーデンはマイナス1.25%への引き下げを決定している)。
しかし、欧州中央銀行(ECB)の大規模緩和によるユーロ安・自国通貨高に翻弄される周辺の小国と、経済規模が大きく、かつ実質実効為替レートが歴史的低水準にある日本とを同列に扱うべきではない。日銀が深いマイナス金利へと踏み込んで行けば、通貨戦争を激化させる恐れがある。うまく行く場合でも、結局、国際資金フローに大きな歪みをもたらし、金融的不均衡が蓄積されるリスクがある。
Q15)黒田日銀総裁のサプライズ重視策は有効か。
黒田総裁はサプライズを好む。しかし、理論的にサプライズを重視する政策は、政策の予見可能性を低下させ、資産市場のボラティリティーを高め、政策効果を削ぐため、全くの逆効果である。
1980年前後にマクロ経済学を学んだ政策当局者の一部に、「合理的期待」の政策インプリケーションを誤って解釈し、事前に織り込まれた政策は効果がなく、サプライズ政策のみが有効と勘違いする人が存在していた。事前に織り込まれる過程で、政策効果が広がり、政策実行の際には、すでに全てが資産市場に織り込まれているのを効果がないと勘違いしたわけである。
実際には、政策当局が政策ルールを明確にした上で、景気物価の情勢判断や見通しを示し、それを元に市場が政策当局の意図を的確に読み取り、将来の政策経路が資産価格に織り込まれれば、政策効果をより高めることができる。逆に中央銀行総裁の発言を信頼しない人が増えれば、政策効果は減殺される。
Q16)マイナス金利導入の財政への影響は。
上述したように、マイナス金利導入の実体経済へのプラス効果は、極めて限定的だが、1つ確かな効果は、政府の借入コストを一段と引き下げることである。
2月9日に10年国債金利は初のマイナス圏に突入し、政府にとって追加的な借入コストはゼロないしゼロ未満という状態になった。議会制民主主義の下で、政治的な財政膨張が生じた場合、唯一の膨張の歯止めになるのは長期金利の上昇だが、日銀の極端な金融緩和でこうした警報装置は全く機能しなくなっている。政府の資本コストがゼロ以下まで限界的に下がったことで、政治家は財政に対する市場からの信認と好意的に受け止め、結果的に財政規律はますます弛緩するだろう。
成長期待の低下から資本コストが低下しても民間支出は簡単には刺激されないが、便益を受ける世帯と返済を負担する世帯が異なる公的支出の場合、決定主体である政治は資本コストの低下に敏感に反応する。世界経済の先行きへの下振れリスクが大きく高まっていることを大義名分に、10%への消費増税(17年4月)が再度先送られる可能性も十分に考えられる。
金利が上がるリスクがますます小さくなったと判断されれば、人々に痛みをもたらす増税は、政治的に先送りされやすい。QQEに続き、マイナス金利政策を採用したことが、またしても消費増税の先送りを助長する恐れがある。
Q17)マイナス金利政策は「金融抑圧」の一形態か。
日本経済の最大の問題は、人口動態に根差した公的債務の膨張である。人口ボーナス時代に作られた財政制度、社会保障制度の改革が人口オーナス時代になっても先送りされているから、財政赤字(構造的財政赤字)が改善しないのである。
安倍政権は、増税や社会保障関係費カットなどの財政調整ではなく、成長を高めることで公的債務問題を解決することを志向しているが、現実には潜在成長率を大幅に引き上げるのは困難であり、安倍政権の掲げる2%の潜在成長率の達成は現実的ではない。
筆者は、アベノミクスの帰結は、その意図は別として、金融抑圧に堕し、インフレタックスによる公的債務の圧縮につながると考えていた。ただ、当初からそのリスクを意識してはいたが、外部環境の悪化で、当面はインフレの引き上げが困難になっている。しかし、インフレがさして嵩(こう)じなくても、金利が一段と低下すれば、公的債務の負担は軽減できる。結局のところ、公的債務がこれだけ膨張している中で、財政調整を選択せず、インフレタックスによる実質的な公的債務圧縮も困難なら、金利をさらに引き下げるしかない。
つまり、今回の日銀によるマイナス金利の決定は、金融抑圧政策の文脈の中で、捉えておく必要があるだろう。財政調整が選択されず、過大な公的債務が存在する中で、グローバルな環境がインフレ的である場合にはインフレタックスによって、グローバル環境がデフレ的である場合にはマイナス金利によって、実質公的債務負担が削減されていくということなのだろう。
<ソフトランディングにはG4による第2プラザ合意が不可欠>
Q18)各国からの批判が日銀追加緩和のハードルにならないのか。
一段の付利下げのハードルとなり得るのは、米国や中国などからの日銀の実質的な円安誘導への批判の高まりかもしれない。もし、世界経済全体のソフトランディングを図ろうとするなら、FRBが利上げを当面中断する一方、日銀やECBも追加緩和を控え、ある程度の通貨高を受け入れることが望ましい。
しかし、ECBも3月に追加緩和に向かうことがほぼ確実な情勢であり、近い将来、そうした国際協調政策が採られる可能性は高いとは言えない。
むしろ、筆者が強く懸念しているのは、日銀やECBのマイナス金利政策の追求が中国の人民元の大幅切り下げを誘発することである。中国政府は、日銀やECBが通貨戦争を激化させた結果、自らが人民元の大幅切り下げに追い込まれたと主張するのではないか。
Q19)国際協調政策は機能しないのか。
世界経済のジレンマは、米中の二大経済大国が自国の国内均衡を優先した政策を追求すると、国際経済や国際金融市場に大きな緊張ないし大きな動揺をもたらすことである。
国内均衡を目指し米国が利上げを続ければ、バブル崩壊による過剰債務を抱える新興国、資源国の調整は困難を極め、同時にドル高進展が人民元問題を深刻化させる。国内均衡を目指し中国が人民元の大幅切り下げを行えば、世界経済に大きなデフレ圧力を撒き散らす。ソフトランディングを図るのなら、第2プラザ政策として日米欧中の「G4」による国際協調政策が不可欠である。
具体的には、前述したように、1)FRBの利上げの中断、2)日銀とECBの追加緩和の自制と、ある程度の通貨高の甘受、3)中国の人民元の大幅切り下げ回避と資本規制のもとでの緩やかな人民元切り下げ、4)追加財政による通貨高の悪影響の吸収、などが協調政策として必要となる。
ただ、対外要因で国内政策を縛られることを各国の中央銀行は強く嫌う。よほどの大混乱が事前に生じなければ、国際協調政策は実現しないのではないか。国際協調政策が取られる蓋然性は30%程度にとどまると考える。
Q20)国際協調政策の副作用は。
仮に国際協調政策が採用される場合、世界経済がソフトランディングに向かうとしても、それで全ての問題が解決されるわけではない。国内均衡と矛盾した政策が取られることで、米中では新たな不均衡が生じるリスクが高い。
世界的にディスインフレ傾向にあることを前提にすると、米国では緩和継続による過剰流動性が株式市場、住宅市場に流れ込み、新たなバブルが生まれる可能性がある。日欧のマーケットでもそうした動きが観測される可能性がある。
中国については、追加財政で景気が支えられるとしても、それによって資源配分が歪み、潜在成長率の低下に歯止めがかからない恐れがある。人民元の大幅切り下げを回避するための資本規制も、当然にして市場規律を損なう。
マクロ経済のボラティリティーを抑えるべく、ソフトランディングを志向することは政策的に妥当だが、あくまで時間を買うに過ぎない。国際協調政策を模索する動きも出てきたが、ソフトランディングを好感し各国の株価が上昇すれば、政策当局がそれに慢心して必要な改革が進まず、中長期的にはさらに大きな問題を抱え込むのがこれまでの経験だったことを肝に銘じておくべきだろう。
*前編はこちらです。
「コラム:マイナス金利、20の疑問(上)=河野龍太郎氏(ロイター)」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/602.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 2 月 16 日 19:33:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-ryutaro-kono-boj-idJPKCN0VQ07O?sp=true
記事は、「これまでブラジルでは小頭症が疑われる症例は年平均150件しか報告されていなかったのに昨年から今年は突出している、と当局やメディアは繰り返す。確かに保健省によれば、10〜15年の報告例は年間139〜175件だ。だが見逃してはいけないのは、政府が昨年後半に小児科医や診療所に対して症例の報告を徹底するよう通達を出したこと。以来、報告件数が急増した」と指摘しているが、ブラジル政府が症例の報告を徹底するよう通達を出した背景に“リアルな問題”があったと考えるべきだからである。
「小頭症児出産の増加」=ZIKAウイルス感染と決めつけるのではなく、原因を多面的に考え、原因をできるだけ排除しなければならない。
※ 参照投稿
「ジカ熱 知っておきたい6つの事:ZIKAウイルス感染拡大ではなくブラジルでの小頭症急増が“非常事態”の対象」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/500.html
※関連投稿
「「ジカ熱」に関係していた日本企業 と 「ジカ熱」は小頭症激増の本当の原因隠し? と もう一つの可能性と世界保健機関」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/573.html
投稿者 お天道様はお見通し 日時 2016 年 2 月 14 日 09:35:26: I6W6mAZ85McLw gqiTVpO5l2yCzYKojKmSyoK1
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『ニューズウィーク日本版』2016−2・16
P.44〜45
「ジカ熟報道の「数字」を疑え
感染症:急速に広まるジカウイルスと小頭症の関連性は不確かだ
安易に結び付けてパニックに陥るべきではない
ジカ熱が流行するブラジル北東部で、脳が未発達のまま生まれる小頭症の新生児の急増が伝えられる。メディアはこぞって、ジカウイルスと小頭症の問に恐ろしい関連性がありそうだと報道。しかし政府当局者やメディが示す数字、彼らが使う用語を注意深く見ると、大騒ぎすべきではないことが分かってくる。
先月末に発行された科学誌ネイチャーに、中南米の出生異常を監視している医療団体の報告書の抜粋が掲載された。報告書は、小頭症の新生児の急増は「おそらく積極的な検査と過剰な診断によるものだ」と結論づけた。さらにメディアがこの問題に強い関心を持ったことで「過剰診断」があおられたとし、これまでに収集されたデータだけでは、ジカ熱と小頭症のいかなる関連性も断定できないと指摘した。
この指摘はかなり大きな意味を持つ。だが問題は過剰診断の可能性だけではない。これまでに出ている情報のいくつかを検証してみよう。
■関連性が確認された例は1桁
ブラジル保健省の先月末の発表によれば、同国内で診断された小頭症のうちジカウイルスと「関係がある」と確認されているのはわずか6例だ。
新生児の感染の有無を調べる検査は手順が複雑で、政府は現在、似た症状が出る他のウイルスと区別できる、より簡単で安価な検査方法の確立に取り組んでいる。
■ほとんどが「疑わしい症例」
ブラジルで小頭症の新生児が4000人確認されたと報じているメディアもあるが、それは間違い。昨年10月以降、それぐらいの数の「疑わしい症例」が報告されたということだ。
疑わしい症例とは、医師が赤ちゃんの頭部のサイズを測り、通常よりも小さいという所見を出したもの。この検査は胎児がまだ母親の子宮にいる段階で行われることが多い。だが子宮内では通常より東が小さかった胎児も、多くは最終的に正常に成長すると専門家は言う。
小頭症が疑われると報告されても、後にそうではなかったと判明する場合もある。保健省の発表によると、昨年10月以降に報告されている疑わしい症例、数千件のうち実際に小頭症と診断されたのは270例。一方、結局は小頭症ではなかったと判断されたのは462例にも上る。
■人口と症例数の比率
ブラジルの人口は世界5位で、毎日およそ8000人の赤ちゃんが誕生している。そう考えると、報告されている小頭症の新生児の数も、そこまで異例ではないかもしれない。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のジム・バーコピッチ教授(放射線学)は、彼が診察する新生児の2〜3%に小さな頭の子が見られるが、その多くは「単に頭が小さいだけ」だと言う。頭部が小さいだけでは、新生児に先天的な発達障害があるとは限らないと指摘する。
また米疾病対策センター(CDC)は、アメリカの新生児における小頭症の発生率は0.02〜0.12%だとしている。これほど低い割合でも、新生児が多いブラジルでは毎年数十人が確認される可能性がある。
■過去データの信憑性
これまでブラジルでは小頭症が疑われる症例は年平均150件しか報告されていなかったのに昨年から今年は突出している、と当局やメディアは繰り返す。確かに保健省によれば、10〜15年の報告例は年間139〜175件だ。
だが見逃してはいけないのは、政府が昨年後半に小児科医や診療所に対して症例の報告を徹底するよう通達を出したこと。以来、報告件数が急増した。
ネイチャー誌に掲載された報告書が指摘するように、過剰診断があった可能性は否定できない。加えて、記録管理がずさんだとよく批判される同国において、多くの診療所が以前は症例数をきちんと報告していなかった可能性もある。
■ジカ熟の感染者敬が不明
ブラジル保健省に国内のジカウイルス感染例がどれぐらいあるのかと問い合わせたが、「まったく分からない」との回答だった。同省広報は50万〜150万の間という曖昧な数字を挙げたが、それも単なる推測だと強調。「信頼できるデータがない」らしい。
■ジカウイルス以外の要因も
新生児の頭蓋骨が通常よりも小さくなる要因は数多くある。バーコピッチ教授は、ジカウイルスだけではなく先天性だったり栄養不良など多くの理由が考えられると指摘する。
■誤解を招きやすい病名
「小頭症」という言葉は、あまりにも単純だ。サンパウロで胎児医学を専門とするトーマス・ゴロップ医師は、小頭症は単純に「小さな頭」という意味で、いま問題になっている出生異常はもっと複雑な症状だと言う。
ゴロップは「ジカ症候群(ジカウイルスが原因とみられる新生児の一連の症状)」と言うほうが正確だろうと指摘。新生児の頭蓋が小さいというだけではなく、もっとずっと複雑な症状であり、1つの症状とジカウイルスを単純に結び付けても何の役にも立たないと語る。「残念ながら小頭症という言葉が一般化してしまった。それが多くの混乱を呼んでいる」
*
さまざまな情報を検証してきたが、ジカウイルスと出生異常の関連性について、専門家の開から根拠のある懸念の声が上がっているのも確かだ。ここに記した指摘は、医師たちが現場で認識している事実を否定するものではない。
ゴロップは、ブラジル北東部にいる同僚から深刻な懸念の声を問いたと言う。彼は、多くの診療所が今も、新生児の出生異常について保健省に正確な数字を報告していない可能性を疑っている。ジカウイルスの影響で、何らかの問題を抱えて生まれてくる子の数は、私たちが把握しているよりもずっと多いかもしれない。
ただ、いまブラジルで起こっていることが何であれ、1つ確かなことがある。この間題についてはまだ正確なデータが十分にそろっておらず、世界はパニックに陥るべきではない、ということだ。
ウイル・カレス」
お詫びして訂正させていただきます。
[誤]ジカ塾報道の「数字」を疑え
[正]ジカ熱報道の「数字」を疑え
http://www.asyura2.com/09/gm15/msg/408.html#c1
近代史が大きな転換点にあるなか、どれかを支持するわけではないが、一時的であれ大きな政治勢力となった社会主義・共産主義・ファシズムなどについて(イスラムも)、頭ごなしに拒絶するような構えは捨てたほうがいい。
※関連参照投稿
「忍び寄る全体主義の影 大衆迎合、統合も脅かす:「全体主義=悪」は99%のヒトを檻に閉じ込めるための陳腐な言説」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/569.html
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『ニューズウィーク日本版』2016−2・16
P.38〜40
「自称「社会主義者」が勝ち取ったもの
米大統領選:アイオワ州で本命ヒラリーを脅かしたサンダースは指名争いに敗れたとしても民主党の将来を変えるだろう
ジャメル・ブイエ(スレート誌記者)
「草の根に大きなうねりが起きている」。米民主党の大統領候補指名争いの初戦が行われたアイオワ州で、ジュレミー・シューファーはそう言った。彼はバーニー・サンダース上院議員を応援するために、カリフォルニア州からやって来た1人だ。
「やがて現れる進歩的な候補者を支える土台が、今つくられている」と、シューファーは言う。「サンダースは基盤を築きつつある。彼が勝とうと負けようと、私たちはヒラリーやその後に続く者が正しい道を取るよう目を光らせる」
ただしサンダースが指名争いに名乗りを上げたのは、ヒラリー・クリントン前国務長官に正しい道を取らせるためではない。勝つためだ。アイオワ州党員集会の前日に行われた彼の集会では、会場となった州都デモインの大学に2000人に達しようかという支持者が詰め掛けた。その場でサンダースは、はっきりと言った。
「革新的な構想をお望みなのか。ならば、私が持っている」。多くの民主党支持者の心をつかんだ社会主義者は、そう語った。「力を合わせて、1%(の富裕層)のためだけでなく、全国民のための経済を生み出そう」
大学生や労働組合員の声援に応え、サンダースは社会民主主義的な政策を実現させると誓った。医療保障の拡充、家族のための有給休暇、インフラ再建、大企業への増税、15ドルの最低時給、公立大学の無償化などだ。
さらに男女間の貸金均一化を訴え、警察・司法の「制度的人種差別」の撲滅を主張。ウォルマートなど大企業の賃金の低さを指摘し、従業員はメディケイド(低所得者医療保険制度)やフードスタンプの利用条件を満たせると非難した。「ウォルマートの創業者一族に言う。企業助成政策を諦めろ。従業員が生活できるだけの賃金を払え」
サンダースと支持者は互いを理解し、熱く盛り上がる。「人民の人民による人民のための政治を実現させる」という得意のフレーズが始まると、支持者たちが唱和する。興奮した若者が「バーニー、愛してる!」と絶叫すると、サンダースはほほ笑み、感謝の表情を見せる。少しばかり照れくさそうにも見える。
アイオワ州党員集会の前夜に流れたテレビのインタビューで、サンダースは指名獲得レースを戦い抜くと宣言した。「私は勝ちたいが、ここで2ポイント差で負けても問題はない。次はニューハンプシャーヘ、サウスカロライナヘ、そしてネバダへと進んでいく。最後までやり抜く」
彼は本気で勝とうとしている。それが冒頭に紹介したカリフォルニアの支持者の言葉につながる。勝とうと負けようと、サンダースは民主党の歴史に名を残すだろう。
左派の逆襲が始まる?
民主党左派は常に党内で主流から外れていた。80年代後半から90年代には、左寄りになって党の人気が落ちるのを恐れた中道派に冷遇された。
93年に大統領に就任したビル・クリントンと民主党議員らはウォール街とパイプを築き、「犯罪との戦争」という保守派受けする政策を掲げた。福祉については、被扶養児のいる家庭への扶養制度などを廃止して、受給や労働要件の厳しい制度につくり替えた。
人種的少数派の優遇措置に対する反発が起こり、共和党大統領のロナルド・レーガンが党派を超えて人気を集めた時代を知る民主党員には、この道しかなかった。リベラリズムが生き残るには、「大きな政府」の時代を終わらせるしかなかった。
サンダースなど旧左派の生き残りにとって、この方針転換は破綻を意味した。彼らにしてみれば、左派なくして民主党の隆盛はあり得ない。
ビル・クリントンが中道寄りの公約で大統領再選を果たしてから20年が過ぎた今、左派を軽視してきた民主党政権の勢いが衰えたのは、サンダースと彼の仲間が危供したとおりだった。サンダースはただ真っすぐに「民主社会主義」を訴え、多くの民主党支持者を結集させた。
サンダースが唱えるのは、新しい「ニューディール・リベラリズム」だ。バラク・オバマ大統領やヒラリーが軸足を置く中道寄り路線に対抗するもので、アメリカでは侮蔑を意味する言葉だった「社会主義」に市民権を与えた。
サンダースが勝とうと負けようと、この点は大きい。今回の民主党予備選は、現在に、そして将来にも大きな意味を持つ。
もし指名を勝ち取ったら、サンダースは民主党を無理やりにでも左に寄せるだろう。負けたとしても、党内の一大勢力を率いることになる。そうなれば「ヒラリー・クリントン大統領」に対して強い発言権を持ち、閣僚の人選から政策にまで口を挟むことができる。
だが、サンダースが及ぼす影響はそんな小さな枠には収まらない。彼の主張する「政治的革命」によって、アメリカ政治がすぐに変わることはないかもしれない。しかし、サンダースに刺激を受けた支持者が民主党の活動に積極的に関わるようになれば、長期的には変わり得る。彼を支持するスタッフやボランティアや活動家が次世代の民主党を担い、今回の経験を将来の大統領選に生かすだろう。
84年と88年の民主党予備選に出馬した黒人指導者のジェシー・ジャクソンがオバマのような政治家に道を開いたように、サンダースも「民主社会主義者」たちに道を開く可能性がある。今回サンダースを支持した人々が、やがて民主党を変える力になり得る。
アイオワ州党員集会でヒラリーを脅かしたことで、既にサンダースは歴史に名を刻んだ。20世紀初めに5度にわたって大統領予備選に出馬したユージン・デブス以来、アメリカ政治に本当のうねりを起こした社会主義者となった。
20年後、30年後に民主党がどんな党に変わるにせよ、そこにはサンダースとその支持者の足跡が刻まれている。」
「「中国中心のアジア」に協調して対抗せよ
ばらばらな戦略ではしたたかな中国にかなわない
日本とインドが先頭に立って対中戦略の連携強化を図るべきだ
プラマ・チェラニ(インド・政策研究センター戦略問題専門家)
アジアに新秩序を、という中国の野望は見え見えだ。アジアとヨーロッパを結ぶ現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」やアジアインフラ投資銀行(AIIB)など各種プロジェクトを主導し、中国中心のアジアという戦略目標を着実に推し進めている。その野望はアジアに痛手を与え、危険さえ及ぼしかねない。周辺国はそれを承知しているが、協力して中国の覇権主義的計画を阻止する動きはほとんど見られない。
中国以外の主要国も重要な政策を打ち出してはいる。アメリカは12年に安全保障政策の軸足をアジアに移す「リバランス(再均衡)」政策に転じ、インドも新外交戦略「アクト・イースト」を発表。オーストラリアもインド洋に重点を移し、日本もアジアをにらんだ外交政策を採用している。
しかし彼らは協調的行動はおろか、共通の政策目標についての合意さえできていない。アメリカのリバランス政策の柱の1つであるTPP(環太平洋経済連携協定)には、中国ばかりかアメリカの同盟国であるインドや韓国も参加していない。
TPPが施行にこぎ着けても効果は地味だろう。参加12カ国中6カ国はそれぞれ既にアメリカとFTAを締結済みとあって、一番の効果は事実上の日米FTAが誕生することだ (日米両国で参加国のGDP総額の80%を占める)。ASEAN主導で中国、インド、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が実現すれば、TPP効果はさらに薄れそうだ。
対照的に中国は、一帯一路で貿易と投資を通じた周辺国への影響力強化を意図。同時にインド洋などでも存在感を示して勢力図を塗り替えようとしている。中国の野望が半分でも実現すれば、アジアに重大な地政学的影響を及ぼすはずだ。
経済的要素も盛り込んで
アジアの地政学的な安定のためには主要国の利害を均衡させなければならない。だが中国は数十年かけて蓄えた政治力、財力、軍事力を誇示したがっており、交渉の難航は必至だろう。
現状ではどの国も単独では中国に対抗できない。団結し、ルールに基づく地域秩序を支持することによって中国に国際規範を守らせる必要がある。
そのリーダーにふさわしいのはアジアの国、特に急速に経済大国化するインドと政治的な積極性を強める日本だろう。両国は長年、アメリカ主導の国際秩序の恩恵に浴している。安定したパワーバランスの維持、領有権・領海権の現状尊重、航行の自由の堅持といった、国際関係でアメリカが支持する価値観を重視。しかも既存のアジア秩序を維持したい考えを示している。
インドのモディ首相は14年の訪日中、「われわれの周りで」「18世紀のような拡張主義」が見られると発言。他国を侵略し、海を侵害している国もあると指摘した。これが中国への苦言であることは明らかだった。昨年12月には安倍首相と共同声明を発表。南シナ海における「一方的な行動を回避」するようすべての国に呼び掛け、南シナ海における実効支配の既成事実化を図る中国を暗に批判した。
それでも日本とインドは戦略的に重要なミャンマー(ビルマ)やスリランカヘの政策・投資で協調できていない。こうした国が中国に依存し、その圧力に屈しやすいままでは困る。
アジアの主要国はアメリカも含めて、広い範囲に恩恵をもたらす安定したパワーバランスの確立に取り組むべきだ。日米印3カ国による合同海上軍事演習を通して、海洋安保協力強化を図るのもいい。
ただし戦略には経済的要素が不可欠。FTAの枠組みを超えて、地理経済的なつながりを強化する共同プロジェクトを開始すべきだ。途上国が中国依存から脱却すれば、ルールに基づく安定した秩序構築の追い風となり、中国を含むすべての国の繁栄につながるだろう。」
「原油安は一時的パニックか 需要減による「危機的事態」か
中国が失速すれば1バレル=100ドル時代はもう来ない
シェールバブル崩壊で世界経済に悪影響も
アフシン・モラビ(本誌コラムニスト)
AFSHIN MOLAVI
ニューアメリカ財団上級研究員、ジョンズ・ホプキンス大学ポール・ニッツ高等国際問題研究大学院研究員。過去にロイター、ワシントン・ポスト紙記者などを務めた
原油はそろそろ買い時か。04年以降の最低水準の安値が続くなか、トレーダーたちはそう自問している。彼らを悩ますもう1つの問いは、下げ局面がどこまで続くかだ。
この問いはトレーダーに限らず、あらゆる場所のあらゆる人にとって死活問題だ。原油と天然ガスは世界経済の健全性を左右する最も重要な商品と言っても過言ではない。
原油価格が14年のピーク時から70%も下がったおかげで、日本、韓国など主要な石油輸入国は貿易収支を大幅に改善できた。大打撃を受けたのはサウジアラビア、ベネズエラなど石油頼みの国々だ。財政が悪化し、通貨の切り下げ圧力も強まっている。エネルギー関連企業の株も大幅に下落。これらの株を大量に保有するファンドも痛い目に遭った。エネルギー大手4社のエクソンモービル、BP、シェブロン、ロイヤル・ダッチ・シェルは軒並み、15会計年度の利益が98年以来の最低まで落ち込んだBPは52億ドルの損失を計上。同社の業績悪化は史上最悪の原油流出事故を起こした10年を上回るほど深刻だ。
「市場がパニックになっている時こそ買い時だ」という格言がある。今の相場が一時的なパニックによるものなら、抜け目ない投資家が買いに回り、いずれ原油価格は上向くだろう。
買うかどうかの判断は、大幅下落の原因をどう見るかによる。供給過剰による下落とみるなら、今は買い時だ。業界の業績悪化で新規の油田開発が打ち切られれば、供給量の減少は避けられない。今は日量150万バレルの供給過剰だが、いずれ需給バランスが逆転し、価格は上昇に転じるだろう。
一方、中国経済の失速を主因とする需要の縮小を「新常態」とみるなら、供給が減っても価格はさほど上がらないという予測になる。こちらの可能性のほうが厄介だ。原油安が需要減によるものなら、その影響は原油市場にとどまらないからだ。
協調減産は効果なし?
エネルギー大手4社は需要が縮小しても倒産することはないだろう。しかし、アメリカのシェールオイル業界は強力な向かい風に苦しんでいる。採掘会社の多くは今よりもはるかに高い原油価格を想定して開発を進めてきた。技術の急速な進歩で生産コストが大幅に下がったといっても、現状ではとても採算が取れない。採掘会社がこければ、融資をした銀行も苦境に陥る。銀行が苦境に陥れば、経済全体に影響が及ぶ。
問題は中国経済の今後の見通しだ。00年から14年まで中国の需要増が世界の原油需要の伸びの50%近くを占めてきた。成長を引っ張ってきた巨大な牽引車が失速したら、1バレル=100ドル時代の再来は望めない。
いま市場で盛んにささやかれているのは、サウジアラビアとロシアが協調して減産に踏み切る可能性だ。サウジアラビアが減産を提案したとも伝えられているが、ロシアとOPECの協調減産が実現する公算は小さい。サウジアラビアとロシアはこれまで減産による価格調整よりも、シェールオイルに対抗して市場シェアを死守することを優先してきたからだ。
サウジアラビアは外貨準備が6500億ドル余りあるなど、まだ余裕がある。片やロシアの苦境ははるかに深刻で、昨年に続き、今年もマイナス成長からの脱出は望み薄だ。
ロシアとサウジアラビアが最も恐れるのは協調減産に踏み切っても、価格が上がらない事態だ。エクソンモービルは先月、中国の原油需要予測を下方修正したばかり。減産のニュースで一時的に価格が跳ね上がっても、その後再び下落に転じる可能性は大いにある。
長期的に見て、原油が世界経済を支える重要なエネルギー資源であることは間違いない。世界中の人々の生活と生産活動を支えている点で、今のところ原油に代わる資源はない。原油価格を需給の均衡が取れた適正値に落ち着かせること。それが16年の最も重要な課題の1つになるだろう。」
トルコの首都アンカラ中心部、クィズィライ地区の軍人用宿舎の近くで大きな爆発があった。テレビNTVが伝えた。
現在手元に入っている情報では、トルコの首都アンカラで、車に仕掛けられた爆弾が爆発し、少なくとも28人が死亡、61人が負傷した。
トルコ当局は、今回の事件をテロと認めた。
現場で爆発を目撃した人々は、非常に多くの犠牲者や負傷者が出ていると伝えている。
ソーシャルネット上では、現場から巨大な黒煙が立ち上っている写真を見る事ができる。
CNNトルコによれば、現場には救急車が出動、負傷者が出ている模様だ。
ダウトオール首相は、今回のテロ事件を受けて、ブリュッセル訪問を取り止めた。18日、首相は、トルコのEU加盟や移民流入危機問題に関し、EU側と話し合うため、ブリュッセルを訪れる事になっていた。
イランは原油採掘凍結に同意した。テヘランで開かれたベネズエラ、イラン、イラク、カタールの各国石油相交渉に近い消息筋がスプートニクに明かした。
ロシア、サウジアラビア、カタール、ベネズエラは火曜、もし他の産油国がこのイニシアチブに参加したなら、2016年は平均して1月レベルの石油生産を維持することで合意した。その後、ベネズエラの石油大臣は、凍結決定をエクアドル、アルジェリア、ナイジェリア、オマーンが支持している、と述べた。ブルームバーグによれば、クウェートも参加に同意している。
「イランは提案に合意した。閣僚らがドーハ会談の決定を提示すると、イランはこれを歓迎した」という。
http://jp.sputniknews.com/business/20160218/1628066.html
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原油価格、イラン石油大臣の声明を受け増大が加速[スプートニク日本語]
2016年02月18日 01:00(アップデート 2016年02月18日 01:32)
イラン石油大臣が、イランは原油価格回復のためのあらゆる行動を支持する、との声明を出したことで、水曜、原油高が2-3% から5-6%に加速した。
モスクワ時18時41分現在、ブレント北海原油4月先物価格は5.50パーセント増加でバレル当たり33.94ドルに。 WTI原油3月先物価格は4.92パーセント上昇、バレル当たり30.47ドルになった。
WikiLeaksサイトで難民流入対策に関するEUの秘密軍事報告の内容が公開された。
「今日2月17日、WikiLeaksは、リビアおよび地中海における『難民ボート』に対する作戦『オペレーション・ソフィア』の最初の6か月分の秘密報告を公開した」とWikiLeaks。
報告書は2016年1月29日付で、EU軍事委員会およびEU政治・安保委員会向けにイタリア海軍のエンリコ・クレデンジノ少将が作成したものとなっている。
WikiLeaksサイトで本日公開された文書は、オペレーション「ソフィア」の最初の6ヶ月間のレポートである。オペレーションはリビアおよび地中海で難民を輸送するボートを取り締まるためにリビアにEUが軍事介入することを規定している。報告書はWikiLeaksサイトからPDF形式でダウンロードできる。
文書では難民流入の統計が出され、難民指定希望者に対しすでに実施または計画されたオペレーション(フェーズ1、2A、2B、3)について説明がなされている。また、共同EU軍の地中海におけるしかるべき活動や今後のオペレーション戦略が記されている。
報告書の主眼の一つは、フェーズ2A(公海)から2B(リビアの領海内)への転換確率。転換は、統一政府の形成過程にあるリビアの情勢不安定によって発生する可能性がある、とWikiLeaks。
文書には、リビアでの「信頼できる」政府の形成プロセスを加速させるEUの機関が名指しされている。文書によれば、リビアはお返しに、領海内(フェーズ2B)でのオペレーションのためにEU軍を「招待」すべきで、次に陸上(フェーズ3)オペレーションの継続を許可しなければならない。
この一月、EUおよび米国のハイレベル会談(米国務長官ジョン・ケリー氏のローマ訪問を含む)が複数あった。同時に米軍は、ダーイシュ(IS、イスラム国)戦士約5000人がリビアの沿岸部を占拠した、と発表している、とWikiLeaks。
米国は、イランの核開発を抑制するための外交努力が失敗し、軍事衝突に発展した場合、イランに対するサイバー攻撃を行うための詳細な計画を練っていた。ニューヨークタイムズ紙が報じた。
計画のコードネームは「ニトロゼウス」で、バラク・オバマ米大統領の任期の早い時期に策定されていた。イランの防空、通信システム、電力システムの主要な要素をダウンさせることを目指したものだ。この計画は昨年7月14日、イランと6か国がイランの核開発問題の解決に関する歴史的な合意を結んだことを受け、延期された。
「ニトロゼウス」は、イランが米国やその同盟国に敵対した場合に大規模な戦争を回避するためのオバマ大統領の代替シナリオの一つであった。計画が発動されれば、米軍人および諜報機関員数千人が参加し、数千万ドルが投じられ、イランのコンピュータネットワークにスパイデバイスを設置することになったという。
石油貯蔵施設不足の恐れにより、WTI原油の価格が1バレル=10−20ドルまで下落する可能性があるというのは、現実的なシナリオだ。なぜなら米国では石油需要が生産よりも速い速度で低下しているからだ。BMIリサーチ社が伝えた。
BMIリサーチ社の専門家らは、米国の原油先物と石油製品取引のスプレッドの縮小が、第1四半期の製油所側からの需要を圧迫し続けるとの見方を表している。通信社ブルームバーグが報じた。
また製油所の定期修理は、WTI原油先物 (NYMEX)が貯蔵されている米オクラホマ州クッシングのターミナルの貯蔵量を増加させる。
BMIは、今年ブレント原油とWTI原油のスプレッドが回復し、米国産原油がより競争力のあるものとなったとしても、貯蔵施設の過剰在庫を防止するためには、輸出入のバランスのより実質的な変化が求められると指摘している。
日本と韓国は、北朝鮮問題を解決するためにロシアと協力する意欲を表した。ロシアも日本や韓国と同じように、北朝鮮が完全なる核大国となり、地域が核軍拡競争に突入することに関心を持っていない。問題は、どのようにしてこの競争を回避するかということだ。
日本外務省は、東京でロシアのモルグロフ外務次官が出席して開かれた日露外務省ハイレベル協議について、協議では北朝鮮による核実験や事実上の長距離弾道ミサイルの発射が強く非難され、調整が難航している国連安保理での北朝鮮に対する制裁決議について速やかな採択が必要だという認識で一致し、両国で緊密に連携していくことを確認したと発表した。
これと同時に韓国のパク大統領も、北朝鮮が核プログラムとミサイルプログラムを続けていることを受け、「中国やロシアとの連帯も重視していく」との声明を表した。
モスクワ国際関係大学国際問題研究所の上級研究員アンドレイ・イワノフ氏は、ロシアも日本、韓国、そして米国と、北朝鮮のミサイル・核プログラム問題で協力する用意があるが、ロシアはパニックの影響を受けず、新たな制裁で北朝鮮を袋小路に追い詰めないよう呼びかけていると述べ、次のように語っている−
「日本と韓国が北朝鮮のミサイルおよび核実験について懸念しているのは十分に理解できる。今すでに日本と韓国の領土は、北朝鮮のミサイルの射程圏内に入っているからだ。北朝鮮は遅かれ早かれ自分たちのミサイルに搭載可能な核弾頭を製造するだろう。韓国ではこの脅威への反応として、独自の核兵器を製造する必要性について話し合われるようになった。しかるべき政治的決定が承認された場合、日本も十分に迅速に独自の原爆を持つだろう。しかしこ方法は、何の役にも立たない。むしろ核紛争を引き起こす恐れがある。まず米国、日本、韓国、ロシア、中国をはじめとした国際社会の前に、ミサイルや核兵器の製造作業を止めるよう北朝鮮を説得するという課題が立ちはだかっているのは明らかだ。
これをどうやって行うのか?米国、日本、韓国は、より厳しい新たな制裁に期待している。しかし制裁が今まで結果を出したことはない。したがって制裁が効果を有するためには、単により厳しくするのではなく、事実上、北朝鮮経済を圧迫し、大きな打撃を与え、平壌政権の崩壊を引き起こすようなものでなくてはならない。一方でこのような制裁は北朝鮮を袋小路に追い詰め、北朝鮮がすでに有している手段をつかって韓国や日本へ攻撃する方向へ向かわせるかもしれない。さらに中国とロシアが圧力をかける制裁に反対する可能性もある。北朝鮮が崩壊したら、北朝鮮からの難民が数万人、数十万人発生するかもしれないが、彼らは中国とロシアには必要ないからだ。また中国は、ドイツのシナリオで韓国が北朝鮮を吸収するという展望と、自国の国境付近に親米的な国家ができるのをよく思わないだろう。
問題の解決案は、故金正日総書記が示唆していた。金正日総書記は、ロシアのプーチン大統領と会談した際に、もし世界が北朝鮮の宇宙の平和的開拓プログラムの実現を手助けするのであれば、弾道ミサイル実験と核兵器製造を放棄する用意があると述べた。しかしその後まもなくして韓国のメディアは、金正日総書記が平壌で韓国のジャーナリスト代表団と面会した時に、これは『冗談だ』と言ったと報じた。その少し後に私はソウルでこの韓国代表団の団長と会い、本当に金正日総書記は冗談だったと言ったのか?と質問した。韓国ジャーナリスト代表団の団長は私に『私はその言葉を聞いていない。もしかしたら私はその時トイレに行っていたのかもしれない』と言った。これは非常に外交的な答えだ。なぜなら高い地位にあるジャーナリストで、韓国大手紙の編集長でもある人物が、自分の仲間が嘘をついたということはできないからだ。金正日総書記との面会中にトイレへ行くことなどできるわけがない。
そのため、北朝鮮のミサイル・核問題と呼ばれるものの解決は、もしかしたらとても簡単なのかもしれないということだ。西側は、北朝鮮の『悪魔化』を止めて、北朝鮮に安全を保障するべきだ。そしてもし北朝鮮が望むのであれば、平和的な宇宙開拓で北朝鮮を手助けすればいい。しかも米国は、北朝鮮が最近打ち上げたのは戦闘用の弾道ミサイルではなく、衛星の軌道投入だったことを認めた。なお北朝鮮の人工衛星はまだ稼動していない。しかし人工衛星を仕上げ、軌道へ投入することで北朝鮮を支援することはできる。これは、北朝鮮を制裁でへとへとに疲れさせるよりも人道的で、より簡単な方法だ。」
最近、朝鮮半島情勢は目まぐるしく変化し、危険がにわかに増している。1つには、朝鮮が世界各国の強い反対を顧みず再び核実験を行い、さらに弾道ミサイル技術を使って発射を行ったことで、これは国連安保理の禁令への重大な違反だ。これに対して国連は朝鮮半島情勢の安定を維持するため、引き続き対朝制裁の強化を協議している。もう1つには、米国が朝鮮による新たな核実験と衛星発射を口実に、ミサイル防衛(MD)システム「THAAD」を朝鮮半島に持ち込む可能性があることで、これは地域の安全保障情勢を一層複雑化させる。(文:沈丁立・復旦大学国際問題研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
新たな状況を受けて、朝鮮半島および地域の平和・安定を維持するために一定の措置を講じるのは必要なことであり、そうすべきだ。だがこのような「タイミング」を捉えて別の事をやり、しかもそれが思惑に逆行する結果をもたらしうることは、理解しがたく、憂慮される。米国のする事なす事を見ると、朝鮮半島問題における思考にいささか問題があると感じる。
その一、冷戦思考。朝鮮半島問題において米国は長年対立を堅持してきた。米国は朝鮮半島南部に長年軍を駐留してきただけでなく、冷戦中には韓国に核兵器も配備し、朝鮮半島における核兵器化を先駆けて開始した。21世紀に入ってからも米国は冷戦思考を固守し、北側を「悪の枢軸」と呼び、大統領の前任期中には対話を頑なに拒否した。現任期中も引き続き接触を避けている。これが朝鮮半島情勢が繰り返し変化している重要な原因であることは間違いない。
米国はかつて一度朝鮮、イラン、イラクを「悪の枢軸」と呼んだ。米国は国連の承認がない中、イラクに対して戦争を発動し、現地に多大な惨禍をもたらした。米国はイラクが戦前に大量破壊兵器を秘密裏に開発していたいかなる証拠も見つけられず、反対に現地に深刻なテロ活動を引き起こした。イラン核問題に対しては手法を根本的に改め、国際社会の圧力と協力の下、長期間の対話を通じて昨年合意にいたった。だが米国は朝鮮との対話は拒否し、冷戦思考で圧力と対立を継続している。
その二、自国の目的を持ち込む。米国と韓国には同盟協定がある。安全を互いに保障することが目的だ。朝鮮の核兵器・ミサイル開発に対して、韓国が適度なミサイル防衛を講じることも決して理解できないことではない。だがこれら全ての行為の守るべき一線は正当な自衛であるべきだ。「自衛」を超えて、朝鮮半島の安全の均衡を崩し、北東アジアさらにはアジア太平洋地域に影響を与えることがあってはならない。
周知のように、「THAAD」の能力は朝鮮に対する防御の必要性を遥かに超える。「THAAD」を韓国に持ち込めば、中国の戦略安全に直接影響し、北東アジアとアジア太平洋の均衡を崩すのは確実であり、さらに大きな範囲での戦略再均衡競争を招く恐れがある。米国のこの行動は「その野心は誰もが知っている」だと言えよう。
その三、自己矛盾。米国は朝鮮半島問題の利害関係者だが、北南双方に対して長年全く異なる政策をとってきた。南部に対しては安全保障を提供する一方で、北側に対しては高圧的に抑え込んできた。これは朝鮮半島関係の緩和・改善に無益だ。米国は口先では核問題を解決する必要があると言っているが、朝鮮との接触・信頼を欠き、朝鮮半島核問題は解決困難なだけでなく、一層激化している。朝鮮半島核問題と朝鮮半島問題における米国の立場が、心にもないことを言う、自己矛盾したものであることは明らかだ。
上述の問題を解決するうえで、超大国は一体能力が不足しているのか、それとも誠意を欠いているのかと問わざるを得ない。さらに米国は朝鮮半島核問題の解決を心から望んでいるのか、それともこの問題が長期間存在して、自らが北東アジアに干渉する取っ掛かりとし、ワシントンを中心とする東アジア地域同盟に門を開き、自らがアジア太平洋と世界を長期間主導する助けにしようとしているのかと問いただす必要もある。
米国に厳しく警告できるのは、朝鮮半島問題の扱いが不適切なら、アジア太平洋の平和・安定に無益なだけでなく、自国の願望と甘い夢を実現することも不可能だということだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月17日
「ウクライナ ロシアへの債務支払わず 12月31日デフォルトへ:「ウクライナ対露債務とクリミア半島ロシア再編入の交換」」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/173.html
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ロシア 30億ドルの国家債務不履行に関しウクライナを提訴
2016年02月18日 03:20(アップデート 2016年02月18日 03:24)
ロシアのシルアノフ(スィルアノフ)財務相は、記者団に対し「ロシアは水曜日、ウクライナの30億ドルの負債回収に関し、同国を提訴した」と述べた。
スィルアノフ財務相は、次のように伝えた-
「17日、ロシア財務省は、名目30億米ドルのウクライナ債による負債の回収及び、ロシアが支払う裁判費用の補償を求め、ウクライナをロンドン高等裁判所に提訴した。
この訴訟は、ウクライナ側に何度も、債務再編に関する建設的な対話を求めたにもかかわらず、実を結ばなかったためなされた。
我々は、幾度も、ロシアに対しウクライナが負った債務の償却問題を、裁判を通じず双方の間で調整してゆく用意を明らかにしてきた。しかし、残念ながら、ウクライナには『善意』の雰囲気の中での、交渉実施の用意が無い事が明らかになった。我々ばかりでなく、IMFもウクライナにそれを求めてきた。それゆえ我々は、問題の唯一の解決法である、裁判に訴える事になった。これは過去にもなされた事だ。」
日本の安倍首相はロシアのプーチン大統領とG7の媒介者役を果たす意向だ。G7サミットは今年5月、日本をホスト国として開催される。日本側の考えでは、このことにより安倍首相はロシアにとって特別に興味深い交渉相手となる。
「安倍首相はロシア大統領にG7諸国の抱く憂慮を伝える意向だ。同時にG7諸国首脳にプーチン大統領の考えを伝える意向だ。安倍首相はこれこそ自分の仲介者としての役どころ、自分の議長国としての意義だと考えている。つまり、ロシアとG7をつなぐ「橋」というわけだ」。谷口智彦内閣官房参与がインターファクスに対して語った。
しかしロシアでは、日本の提案はあまり歓迎されていない。ロシア議会下院国際委員会副委員長レオニード・カラシニコフ氏によれば、日本の動きはロシアとの領土問題解決にG7を使おうとする日本政府の関心の証左である。それにロシア政府はG7を単なる協議フォーラム、主要な経済体の地位に今や中国、ブラジル、インドが入っているというのに、昔も今後も自分のことを世界を牽引する経済体と見なしている諸国のクラブに過ぎないと考えている。
一連のロシアの専門家が、ロシアは、とりわけ制裁という条件下では、G8への復帰には関心がなく、BRICSや上海協力機構、G20といった機関での協力を重視している、と見ている。
この観点に疑義を呈するのはロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのヴィクトル・パヴリャチェンコ氏だ。
「一部のロシアの公人が、ロシアはG8参加に関心を持っていない、という声明を出したのは、私は、それは誇張であると思う。上海協力機構やBRICSへの参加をG8へのそれに対置するのは適切ではなかろう。一定の条件を満たせばロシアはG8という枠組みで西側との対話に復帰することもあるだろう。安倍首相については、彼はロシアとG7をつなぐ「橋」になろうとしていると言われるが、この問題において制裁は言及さえされていない。安倍首相が西側のロシアに対する姿勢を変えられる状態にないことは全く明らかだ。私見では、こうした条件の中で、安倍首相はロシア大統領の眼前でポイント稼ぎをしようとしているのだ。日本ではどういうわけか安倍首相がロシアを訪問すればそれだけでプーチン大統領の平和条約締結および領土問題解決にかける姿勢が軟化する、と信じられている」
ただ、今のところ、平和条約に関して露日の立場は近づいていないようだ。日本政府は平和条約を領土問題解決としっかり結び付けている。ロシア政府はラヴロフ外相の口を借りて、日本との平和条約締結は領土問題解決の同義語ではない、と述べている。谷口智彦氏によれば、にもかかわらず、安倍首相は、プーチン大統領との対話を通じて、両国首脳は互いを理解し、共通の言語を見出すことが出来る、と見なしている。だから安倍首相はプーチン大統領と何度も何度も会談したいのである。ヴィクトル・パヴリャチェンコ氏はそう語る。
「日本では領土問題は最高レベルで、つまり日本の首相とロシアの大統領による交渉でのみ解決されると、金科玉条のように信じられている。関連して、安倍首相がすでに3度目にプーチン大統領との会談に赴くことが特に強調されている。日本側が問題の早期解決について幻想を抱いているとは思わないが、彼らは自らの要求を思い出させるチャンスは一つたりとも逃さないのだ。おそらく水滴は力でなくその頻度によって岩を穿つという考えからだろう」
中間的な報告では、安倍首相は5月、ロシア南部のソチを訪れ、プーチン大統領と非公式なハイレベル会談を行うということで、合意が得られている。
なお、両国問題の解決策をはじめて示した1956年のソ日宣言調印から、今年で60年となる。
世界では中国に関してこんな疑問がささやかれている。中国は、世界秩序における米国の指導的地位に挑戦しようとしているのではないか。現在の世界秩序と並行するもう一つの世界秩序を作り出そうとしているのではないか。我々の答えはもちろん「ノー」である。中国は国際秩序の一員である。だが双方が口にしているのは同じ「秩序」なのだろうか。こちらの「秩序」とあちらの「秩序」は違うもののようにも見える。(文:傅瑩。全国人民代表大会外事委員会主任委員、中国社会科学院グローバル戦略シンクタンク首席学者、中国国際経済交流センター特別招聘副理事長)
「米国指導下の世界秩序」と言われるものには3つの柱がある。第一に、米国式の価値観であり、これは「西洋的価値観」とも言われる。第二に、米国の軍事同盟体系である。これは、米国が世界で「指導」的な役割を発揮する安全面での基盤となる。第三に、国連を含む国際機関である。この「世界秩序」と言われるものは、国際政治においてその歴史的起源を持ち、現代世界においてその役割を発揮している。米国は長期にわたってこの秩序において指導的地位を占め、そこから利益を得てきた。だが経済のグローバル化が進み、国際政治が断片化を深める今日、この「世界秩序」はますます多くの現実的挑戦に直面するようになり、全面的で有効な解決プランを提供することはますます難しくなっている。
政治レベルでは、米国が推進する西洋的価値観に基づいたやり方は多くの地域で適応の困難に直面している。とりわけ一部の中東諸国では、古いレジームが打ち破られた後、新たな社会的枠組みがなかなか構築できないという問題が起こっている。こうした国々は深刻な動乱に陥り、動乱は国外にも広がっている。防衛分野では、米国の主導する軍事同盟体系は往々にして、同盟国の安全面での利益を非同盟国の安全面の利益の上に置くことで、地域が抱えている問題をさらに複雑にする新たな要素を加えている。経済レベルでは、2008年に起こった国際金融危機によって国際経済統治の欠陥が明らかとなり、世界統治の改革プロセスは主要20カ国(G20)が牽引するようになった。
こうした状況を背景として、経済規模の増大と世界における影響力向上の著しい中国が、いかなる立場を取るかに、人々の関心が集まっている。中国の指導者は、既存の国際秩序を支持するとの立場を繰り返している。だが中国人が使っているのは「国際秩序」という言葉であり、「世界秩序」という言葉ではない。これが指すのは、国連憲章の目的と原則を核心とした国際的な秩序と体系である。中国は、既存の国際秩序に帰属感を持っており、その創始者の一つであると同時に、受益者・貢献者でもあり、さらにはその改革の参加者でもある。
習近平主席は昨年9月、米シアトルで講演した際、「世界では多くの国々、とりわけ数多くの発展途上国が、国際体系がより公正で合理的な方向へと発展することを望んでいる。だがこれは(既存の体系を)ひっくり返してもう一度やり直すということでも、ほかにもう一つの体系を作り出すということでもなく、時代とともに進化し、これを改革・改善していくということだ」と語った。
米国がミサイル防衛(MD)システム「THAAD」を韓国に配備する可能性があるとの情報が連日中国やロシアの重大な懸念を招いている。日本メディアの最新報道によると、日本防衛省も「THAAD」システムを導入して自国の現有のMDシステムと共に三段階のMDシステムを構築し、朝鮮の「ミサイルの脅威」に対処することを検討している。新華社が伝えた。
時事通信の報道によると、朝鮮が今月7日に「長距離ロケット」を発射した後、日本はMDシステムの整備を加速し、イージス艦の増加および搭載する迎撃ミサイルを新型にすることを計画している。
また、日本防衛省は米国のMDシステム「THAAD」の導入も検討しており、技術性能と運用コストの研究に着手している。「THAAD」の正式名称は「終末高高度防衛ミサイル」。大気圏内外で短距離ミサイル、中距離ミサイルを迎撃でき、米国のMDシステムを構成する重要な一部だ。
軍事的観点から言うと、日本が「THAAD」導入を検討するのは、主として現有の二段階MDシステムの隙間を埋め、より整った三段階MDシステムを構築するためだ。
日本の現有の二段階MDシステムでは、第一段階で海上のイージス艦から迎撃ミサイル「SM3」を発射する。迎撃高度は100キロ以上。第二段階は大気圏内低層での迎撃で、陸上配備型迎撃ミサイル「PAC3」で、迎撃高度は20キロ以下だ。
二段階迎撃システムは一段階システムでのミスを防ぐためだが、実際には「PAC3」だけでは朝鮮の「ノドン」型ミサイルなど中距離弾道ミサイルを低空で撃墜するには不十分だ。こうしたミサイルは大気圏再突入後、毎秒3〜7キロという高速に達するためだ。
「THAAD」が高度20〜150キロでミサイルを迎撃することから、日本はこの終末高高度防衛ミサイルと、イージス艦のMDシステム、「PAC3」MDシステムによって、三段階のMDシステムを構築することを望んでいる。
また、日本が「THAAD」導入を検討しているのは軍事防衛上の考え以外に、日米同盟を一層揺るぎないものにし、近隣諸国に対する抑止を強化するといった強い政治的要因もあると指摘される。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月16日
生活がすっぽんぽんにされてしまうことや消失の危険性は別として、テクノロジー的にはデジタル化された通貨を決済手段として使うことは難しくなっている。
支配層が、最強の支配手段であり最高の富であるお金を完全にコントロールしたいと考えるのは自然である。
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間もなく現金は消滅する―犯罪対策か、資金の流通を完全に管理下に置く狙いか?
2016年02月19日 00:22
現金が消滅する日が近づいている。世界の主要通貨であるドルとユーロの最高額紙幣が今週、脅威にさらされた。
欧州中央銀行は既に500ドル紙幣の流通停止を呼びかけている。一方、米国の元財務相ラリー・サマース氏は、100ドルや50ドル紙幣さえ流通停止すべきだ、と訴えている。著名なエコノミストや銀行のアナリストらもこの考えを支持している。
主張の根拠はいつも同じだ。現金は犯罪者やテロリスト、脱税犯に利用されている、というのだ。
しかし、異なる視点もある。経済先進国でマイナス金利政策が広がっている。個人の預金の金利さえ間もなくマイナスになるかも知れない。それが銀行のクライアントらの気に入るはずがない。
大口預金者の一斉取り付けが起きれば、世界の銀行システムが壊滅するかも知れない。それを避ける最良の方法は、そのような可能性を人々から奪うことだ。つまり、現金の流通を止めることである。そうすれば誰もがお金を銀行システムに預けることになり、お金の流通は完全に管理下に置かれる。
西沙諸島ウッディ島への地対空ミサイル配備に関する中国政府の主張は、オリジナルスレッドにあるように、「「西側メディアが作り上げたニュースだ」と述べ、中国による軍事施設の建設は、中国が国際法のもとに資格を持つ自衛権と一致したものであり、疑問の余地のないもの」というものである。
王毅外相は、共同記者会見で、中国はこれまでも必要な島に然るべき防衛措置を施しており、従来の延長であってニュースとはいえないウッディ島への地対空ミサイル配備をことさら取り上げる姿勢はおかしいと語ったのである。
さらに、南シナ海の非軍事化は好ましいが、それを中国にだけ求めるのはダブルスタンダードであるとも言っている。
中国だけではなく、ベトナムもフィリピンも台湾も、特定の島に軍事施設を構築しているが、それがことさら問題視されることはないからだ。
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中国 南シナ海の係争中の島々の一つに地対空ミサイル・システムを配備[スプートニク日本語]
2016年02月17日 14:33(アップデート 2016年02月17日 16:27)
中国軍は、領土問題をめぐり係争中の南シナ海の島々の一つに、複数の地対空ミサイル・システムを配備した。TVフォックス・ニュースが伝えた。
TV局が入手した人工衛星からの写真によれば、8基の対空ミサイル・ランチャーを備えた砲台2つ、そしてレーダー・システムが、南シナ海のパラセル諸島の一つ、ヴディ島に設置された。
TVフォックス・ニュースによれば、これらの地対空ミサイルは、先週配備された。写真の信憑性に関しては、米国の高官の1人が確認している。彼によれば、問題のミサイルは、長距離地対空ミサイルHQ-9だとの事だ。
http://jp.sputniknews.com/asia/20160217/1624720.html
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台湾 中国による南シナ海の島への地対空ミサイル配備を確認[スプートニク日本語]
2016年02月17日 16:25
台湾国防省のデビッド・ロー報道官は、中国が南シナ海のウッディ島(中国名:ユンシンダオ)に地対空ミサイルを配備したことを確認した。ロイター通信が報じた。
報道官は、次のように述べた−
「台湾側は、状況の進展を注視していく。関係国は、南シナ海の平和と安全保障を維持するために共に活動し、地域の状況をエスカレートさせるあらゆる一方的な行動を控えるべきだ。」
米国は、南シナ海の問題でASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国の一体的な立場を反中国とすることができなかった。これは米国にとって、カリフォルニアで16日に閉幕した米国・ASEAN首脳会議の最も重要で不愉快な結果の一つとなった。
米国は今回の首脳会議で、南シナ海に関するASEAN共通の立場が形成されることに期待していた。米国は中国の行動が原因で、南シナ海では緊張が高まり、航行の自由への脅威が生まれていると考えている。
オバマ大統領自らがASEAN加盟10カ国を反中ムードにしようとした。オバマ大統領は首脳会議終了後の記者会見で、「我々は、緊張緩和のために、更なる開発、新たな建設、係争海域の軍事化の禁止を含む、南シナ海での現実的な措置の必要性について協議した」と述べた。
しかし最終的な宣言に盛り込まれたのは、紛争を平和的に解決するという米国とASEAN共通の望みのみで、南シナ海における「中国の非建設的な役割」については一言も言及されていない。
これについてモスクワ国際関係大学付属ASEANセンターのヴィクトル・スムスキー所長は、「スプートニク」のインタビューで、次のように語っている-
「南シナ海に関係する問題で中国との関係が部分的に緊迫している国々でさえも、中国との貿易および政治的パートナーとしての関係を損ないたくないと思っている。総括宣言には、中国に対する直接的な非難は盛り込まれていなかった。これはまさにASEAN諸国が、反中国的な立場の支持を望んでいないということを物語っている。ASEAN諸国は、米国が今回の首脳会議を開催した目的が、南シナ海問題を解決する調停者という米国の役割と、彼らがつくった環太平洋パートナーシップ(TPP)における米国の主導的立場を強化するためだということを理解している。もしASEANが反中国統一戦線の立場から行動したら、ASEANは従属者として米国の背後で操られることになるだろう。しかしASEANは、地域での中心的な役割を非常に大切にしている。」
中国国際問題研究院・南太平洋研究センターの沈世順(シェン・シシュニ)所長は、カリフォルニアで開かれた首脳会議の際に示された米国のアジア太平洋地域での政策を批判し、次のように語っている‐
「中国は、世界の平和や安定の問題で大きな役割を担っており、世界における中国の権利は高まっている。しかし米国はこれを認めようとしていない。米国は中国をライバルとみなしている。我々は、中国の力の高まりは全く自然なものであり、中国はその発展に応じて世界でさらに重要な役割を担うべきだと考えている。中国が国連の分担金を増加し、平和維持活動に参加しているのはそのためだ。しかしこれは米国にとって受け入れ難いものであり、米国は自分たちをあらゆることにおける指導者だと考え、中国のことは『幼い息子』だと考えている。これは正常ではない。我々は、アジア太平洋地域における米国の分離派的な役割ではなく、建設的な役割に期待している。」
中国外交部の洪 磊(コウ・ライ)報道官は、アジアには米国のための場所も中国のための場所も十分にあるため、争う方向へ進むのではなく、両国だけでなく全人類にとって有益な新たな道を進むべきだと発表した。
http://jp.sputniknews.com/asia/20160218/1632402.html
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米国はASEANとの関係発展で心構えを正すべき
人民網日本語版 2016年02月18日16:43
米西部時間16日、初めて米本土で行われた米ASEAN非公式首脳会議が閉幕した。今回の会議を中国に対してもめ事を引き起こす「理想的な場」と見なして騒ぎ立てる声があったが、最終的に発表された声明は期待したように「中国を名指し」することも、南中国海に明確に言及することもなかった。こうした結果は中国ASEAN関係の大きな背景の下では意外なことではないが、中国ASEAN関係を妨害する不健全な心構えはやはり十分に警戒すべきだ。(人民日報「鐘声」国際論評)
現在の世界において、ASEAN地域の発展の活力と戦略的重要性は高まり続けている。特に共同体構築を発表した後、国際・地域問題における役割は一層高まる。ASEANが米国を含む各対話パートナーと平等、友好、第三国を標的にしない協力パートナーを発展させることは、地域協力の深化、東アジアの繁栄・安定促進にとって積極的意義を持つ。だが、しばらくの間というもの、米ASEAN関係について一部の者が描き出した発展の道は建設的方向とは甚だしく異なる。今回の会議の開幕前後、フィリピンが南中国海仲裁を会議の議題とし、「仲裁」を成果文書に盛り込むよう執拗に望んだことに人々は留意している。フィリピンが一方的に申し立てた仲裁にASEANの「裏書き」を得る意図だ。同時に、ワシントンもASEAN各国がこれについて共通認識を形成することを推し進めたい考えだ。
南中国海問題をめぐり、同様の外交的駆引きはすでに過去数年間繰り返し出現してきた。だが最終的結果が再三示しているように、ASEANは各国の利益上の関心のバランスを比較的うまく取ることができ、特定の加盟国の一方的な主張に「操られる」ことはなく、大多数のASEAN諸国はASEANの信頼性と評判を損ない、東アジア協力におけるASEANの主導的地位を弱める行為に対して十分に警戒しており、ASEANが特定の一国の「指揮棒」に従って行動することを望んでいない。特定の域外国が南中国海問題に熱心に介入するのは、南中国海の安定を真に気にかけているからではなく、別の考えがあるからだ。今回の会議で最終的に発表された声明では、いわゆる「非軍事化」が再び騒ぎ立てられた。だが周知のように、域外国である米国が南中国海に頻繁に軍用機・艦艇を派遣して武力を誇示し、さらに一部の国を仲間に引き入れていわゆる合同巡航を行おうと企て、沿岸国の主権と安全を深刻に脅かしていることこそが、南中国海の軍事化を推し進めている最大要因だ。
南中国海問題の拡大はASEANの現実的利益にならない。南中国海問題の核心は領土と海洋権益の争いであり、中国とASEANの一部の国との問題であり、中国とASEANの間の問題ではなく、ましてやASEANと米国の間の問題ではない。中国とASEAN諸国の南中国海問題における意思疎通チャンネルはスムーズで有効であり、中国側はASEAN諸国が最初に提唱した「デュアルトラック・アプローチ」を支持し、南中国海問題を適切に処理する最も現実的で有効な道だと考えている。この軌道からそれて、外部勢力の干渉を引き入れ、悪意をもって摩擦や溝を大げさに宣伝するのは、問題の適切な処理に向けた努力を妨害し、破壊するだけだ。これはタイのプラユット首相が今回の会議で「各国は建設的対話を通じて溝を緩和すべきだ」と指摘した理由でもある。プラユット首相は同時に、南中国海における関係国の行動宣言が平和的解決策を探るうえで有効であることも強調した。
ASEANは大きく前進する歴史的発展期にあり、多くの国々がASEANとの関係発展に努力している。だが、これは私欲を満たして実現できるものではないことに気づくべきだ。邪魔をせずに手助けをする。こうした努力こそが各国が利益を得るウィンウィンの成果につながる。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月18日
シリア政府軍がケンサブ市を掌握。ケンサブは北部ラタキア県に最後に残ったテロリストらの最も重要な砦だった。18日、リビアのTV「アル・マヤディン」が消息筋の情報として報じた。
同日のこれまでの報道ではシリア政府軍はケンサブ市近郊で武装戦闘員らの防衛を突破したと伝えられていた。
ケンサブ市から武装戦闘員らを一掃するにあたっては凄惨を極める武力衝突が生じた。TV「アル・マヤディン」の報道によれば、武装戦闘員らの大半はシリア軍の攻勢に耐え切れず、隣のイドリブ県西部のビダマ市の方角へ逃走を余儀なくされている。
ケンサブ市は首都ダマスカスから北に320キロの地点に位置する戦略的な要所。シリア政府軍はケンサブを掌握下に戻したことで、長期にわたりイスラム急進主義者ら占領されている隣のイドゥリブ県への大規模な進軍が可能となる。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160218/1633144.html
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シリアの飛行禁止区域創設にロシアは異議[スプートニク日本語]
2016年02月18日 19:06
シリアのアレッポ市とトルコとシリアとの国境の間の地域を飛行禁止区域とし、空爆を行なわないという提案が出されたことを受け、ロシアはその合目的性に懐疑的姿勢を示している。
インターファックス通信はロシア大統領府のペスコフ報道官に対し、メルケル独首相からアレッポとシリア−トルコ間の国境の間の区域を飛行禁止区域に指定する提案が出されたことに対し、ロシア側の反応を尋ねたところ、報道官は「実はあの場所(飛行禁止区域に指定された区域)では複数のテロ組織を対象とした戦闘行為が活発に行なわれており、テロリストらはそういった地区に潜伏している。このため、そういった(飛行禁止)体制が我々の対テロ作戦に良い結果をもたらすはずはない」と答えた。
17日、メルケル首相は声明を表し、あらゆる当事者間でシリア上空の飛行禁止区域創設について合意が得られればよい、との期待を表していた。
ロシアのラヴロフ外相はメルケル首相の声明について、記者団を前にコメントを表し、この提案は独から出されたものではありえないとの考えを示している。
「これはメルケル氏のイニシアチブではない。トルコ側のイニシアチブだ。」
中国「西沙諸島に数十年にわたり防衛施設」と反論[NHK]
2月18日 21時02分
中国軍が南シナ海の西沙(パラセル)諸島の島に地対空ミサイル部隊を展開したことについて、アメリカのケリー国務長官が、軍事拠点化しないという習近平国家主席の発言に反すると強く非難したことに対し、中国外務省は18日、「西沙諸島には数十年にわたって国土防衛のための施設を配置しており、新しい出来事ではない」と反論しました。
アメリカ政府は、南シナ海の西沙諸島で中国が実効支配しているウッディー島に、中国軍が先週から地対空ミサイル部隊を展開させていることを確認し、ケリー国務長官も17日、「習近平国家主席は去年、オバマ大統領との会談で、南シナ海を軍事拠点化しないと明言したが、実際には着々と軍事拠点化を進めている証拠が明らかになっている」と述べ、中国を強く非難しました。
これについて、中国外務省の洪磊報道官は18日の記者会見で、「西沙諸島は中国固有の領土だ」としたうえで、「中国はすでに数十年にわたって西沙諸島に国土防衛のための施設を配置している。これは新しい出来事ではないし、軍事化などでもない」と述べ、アメリカ側の非難に真っ向から反論しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160218/k10010414081000.html
トルコの首都アンカラで、軍の兵士を乗せたバスに近づいた車が爆発して28人が死亡した事件で、トルコのダウトオール首相は、自爆した容疑者はシリアのクルド人勢力の男と特定できたと発表し、報復として軍事作戦を強化する方針を示しました。
アンカラ中心部で17日、軍の兵士を乗せて信号待ちをしていた複数のバスに爆弾を積んだ車が近づいて爆発し、兵士や市民28人が死亡、61人がけがをしました。
この事件について、トルコのダウトオール首相は18日、会見を行い、自爆した男は隣国シリアのクルド人勢力のサレフ・ネジャル容疑者と特定できたと発表しました。男はトルコ国内のクルド人武装組織と協力して犯行に及んだということです。そのうえで、ダウトオール首相は、報復としてシリアのクルド人勢力への軍事作戦を強化する方針を示しました。さらに、エルドアン大統領は、事件との関わりが疑われる14人を拘束して調べていることを明らかにしました。
これに対して、クルド人勢力はNHKの取材に対し、「われわれは、この事件と何の関わりもない」と関与を否定しました。
トルコ軍は、去年の夏以降、国内各地でクルド人武装組織に対する大規模な掃討作戦を進めてきたほか、隣国シリアでも、北部で勢力を拡大するクルド人勢力に対して越境攻撃を続けています。今回の事件を受けて、トルコ軍がシリアのクルド人勢力に対する軍事作戦を強化する可能性が高まったことで、内戦が続くシリアの状況は一段と悪化する事態が懸念されています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160218/k10010414031000.html
韓国政府は、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)第1書記が、韓国に対するテロやサイバーテロのために力を結集するよう指示し、対外工作機関が準備を進めているという情報があることから、情報収集を強化していることを明らかにしました。
北朝鮮が事実上の長距離弾道ミサイルの発射を強行したこと受けて、18日午前、韓国の国会で、与党のセヌリ党と、情報機関、国家情報院などの幹部が集まって会議を開き、現在の北朝鮮の情勢について報告が行われました。
出席者によりますと、北朝鮮のキム・ジョンウン第1書記が、韓国に対してテロやサイバーテロのために力を結集するよう指示し、北朝鮮の対外工作機関である偵察総局が準備を進めているという情報があるということです。
テロの標的については、韓国政府の関係者や脱北者、それに北朝鮮を批判する活動をしている人物、また、地下鉄や大型の商業施設などの多くの人が集まる場所や電力や交通などのインフラも可能性があり、政府の各機関が情報収集を強化しているということです。
韓国は来月7日からアメリカとの定例の合同軍事演習を過去最大規模で行うなど、北朝鮮が挑発行為を繰り返さないよう圧力を強めていますが、北朝鮮は「演習は露骨な宣戦布告だ」と強く反発しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160218/k10010413511000.html
このところ、よく見聞きするようになったことば、「フィンテック」。
「ファイナンス」(金融)と「テクノロジー」(技術)を組み合わせたアメリカ発の造語です。ITを使って、お金にまつわるサービスを便利で身近なものにしようというもので、対象分野は決済や融資、資産管理など幅広い分野に及んでいます。
伝統的な金融サービスを大きく変えるとして「革命」と称する声もあり、担い手となる新勢力のIT企業に大きな注目が集まっています。
フィンテックの最前線を、経済部でIT業界を担当する加藤陽平記者と金融担当の江崎大輔記者が取材しました。
アメリカフィンテック最前線(1)〜貸し手と借り手を仲介
私たちは1月下旬、フィンテック革命が進むアメリカ西海岸を取材しました。その広がりを取材するためです。
まず訪れたのがロサンゼルスにある自転車店です。この店、フィンテックを活用していなければオープンしていなかったと経営者のジミー・スタンドリーさんが語ります。
それまでオリジナルの自転車をネットで販売していたスタンドリーさんは、事業を拡大するにはやはり実店舗が必要と考え、銀行からお金を借りようとしました。しかし10を超える銀行を回り、3か月ほどやり取りした結果、すべての銀行に「実績が足りない」などと融資を断られたそうです。
すがる思いでたどりついたのが「ファンディング・サークル」というサイトでした。
ネット上で資金を借りたい人と貸したい人を仲介しています。借りたい金額や、年数、事業の内容などの情報をサイト上に入力し、融資を申請します。
すると銀行よりは金利は高いものの25万ドルの融資を受けることができ、待望のオープンにこぎつけたのです。
なぜ銀行では断られた融資を受けることができたのか。
私たちはサンフランシスコに飛び、サイトの運営会社「ファンディング・サークル」のオフィスで仲介の仕組みを詳しく聞きました。
ファンディング・サークルは、融資を申請する事業者がサイトに入力した経営情報をもとに、事業者を5段階に格付け、格付けに応じ5.5%から22.8%までの金利を設定します。スタンドリーさんの格付けは明らかにしない約束で取材に応じてもらいましたが、決してよい格付けではなかったことを彼は教えてくれました。
一方、資金を貸したい人は、この格付けを確認して、融資するかどうかを決めます。
資金がある人のリスクの許容範囲はそれぞれ異なります。リスクをとってでもスタンドリーさんにお金を貸してみようという人がいるからこそ、新たな自転車店がオープンできたのです。
サイトを通じた融資は、合わせて20億ドル(2300億円)以上に拡大しています。
ファンディング・サークルの幹部、アルバート・ペリューさんは、「融資の実行まで、従来の銀行は数週間から数か月かかっていましたが、私たちは10日以内でこのプロセスを終えます。テクノロジーを使って、より簡素化し、効率化しました」と胸を張ります。
アメリカフィンテック最前線(2)〜決済ビッグデータを融資に
次に訪れたのが同じサンフランシスコに拠点をおき、アメリカを代表するフィンテック企業として知られる「スクエア」です。この会社は、クレジットカードを読み取る2センチ四方の小型の端末を開発。
スマートフォンやタブレット端末のイヤホンジャックにさし込むだけでカード決済を可能にしました。その手軽さが受け、世界で200万の事業者が導入しています。
この会社はそれだけで満足しませんでした。目を付けたのが、200万の事業者から得られる膨大な決済のビッグデータです。これを利用し、企業への融資に乗り出したのです。
データを分析して融資が可能か、自動で審査。伸び盛りの事業者には、資金がほしいであろうタイミングまでコンピュータが判断。融資の申請もしていないのに、スクエアの側から「融資が可能だ」と通知します。
この通知を突然受けたという店を取材しました。
サンフランシスコでコーヒーショップを営むニコラス・チョーさんのもとに、ある日突然、約3万5000ドルの融資が可能だという通知が来ました。ちょうど事業拡大のためにコーヒーのばい煎機を購入すべきか思案し出したところだったと言います。
申し込むと、なんと翌日に資金が振り込まれ、ばい煎機をさっそく購入しました。チョーさんは、「従来の銀行は融資のスピードも遅いし、時代遅れに感じる」と話しています。
現在、融資への需要は増加傾向で、決済データが増えれば増えるほど、審査の精度も増すとスクエアは見込んでいます。
スクエアを立ち上げたのは、ジャック・ドーシーCEOです。
ドーシーさんは、ツイッターの創業者でアメリカのIT業界を代表する経営者です。
リーマンショックの翌年の2009年にスクエアを設立。フィンテックに大きな可能性を感じています。
「サービスの利用者の成長を支援することこそが本当の使命だ。決済から融資へとビジネスは好循環していて、金融サービスの世界では、私たちの前に広大な空間が広がっている。技術の力で問題を解決し、銀行の手が届かなかった人たちにもサービスを提供する」
対応迫られる邦銀
既存の金融機関を脅かそうとする「フィンテック革命」。その波は日本にも押し寄せ、邦銀も対応を迫られています。横並びのサービスに傾きやすい日本の銀行界にあって、頻繁に新機軸を打ち出す大手金融グループの「りそなグループ」はどうしようとしているのか取材しました。
この銀行がいま取り組んでいるフィンテックの分野はスクエアと同じ、ビッグデータの活用です。クレジットカード会社と提携してネット通販のサイトを立ち上げ、顧客のデータ収集を進めています。
この銀行の口座を持つ人がサイトを経由して買い物をすると、銀行からポイントが得られます。銀行には、その人がいつ何を買ったのか、情報が入ります。このデータを分析して、結婚や出産といった転機をとらえ、必要なタイミングで先回りして、ローンなどを提案します。
この銀行では、誰がいつ何を買ったのかという決済のデータを、スクエアのようなIT企業に独占されてしまうことに脅威を感じていました。
IT企業に決済データを奪われて、銀行が顧客にアプローチするチャンスを失ってしまう前に、顧客のデータを集めて有効に活用する仕組みをつくっておこうとしているのです。
りそなホールディングスの東和浩社長は次のように語ります。
「フィンテックの企業には消費者の目線が入っている。『銀行』というビジネスモデルをひょっとすると捨てていかなければいけない時代に入った」
新しい金融の世界を
アメリカ西海岸でフィンテック企業を取材しながら、特に企業への融資に大きな可能性を感じました。日本では銀行を取材すると「企業は資金が潤沢で、借りてくれない」などと資金需要がないことを強調します。
しかしそれは大企業の話であって、掘り起こせば、1件1件の金額は少ないかもしれないけれども、あちこちに資金需要は眠っているのではないかと考えさせられました。
リスクをとって資金を出せる人をどう集め、本当に必要とするところに資金を流して行くのか。既存の銀行はマイナス金利時代だからこそ、ビッグデータを活用するフィンテック企業の軽快さに負けない取り組みが求められるように考えます。
技術の力で金融サービスの利便性を高めようというフィンテック革命。
これに対抗してみずからの進化を求められる既存の銀行業界。両者が切磋琢磨(せっさたくま)することで豊かな金融サービスが生まれて来ないか。そうでなければ「銀行は要らない」と言われる時代が来かねないと思われるのです。
「キャメロンを悩ます「ブレグジット」の行方
EU残留へ向け歩み寄りを見せたが加盟国と党内保守派の説得という難題が残る
ギリシャの金融危機、難民の大量流人―大きな2つの政治的難題にさらされてきたEUに、「第3の試練」が訪れている。EU離脱をちらつかせる、イギリスの存在だ。
キヤメロン英首相が率いる保守党は、昨年5月の総選挙でEU離脱の是非を問う国民投票の実施を公約に掲げて勝利した。多くの保守党議員が支持するのはイギリス(Britain)のEU離脱(exit)を意味する「ブレグジット」。キヤメロン自身は残留支持派だが、イギリスの政治的自立の維持と移民流人の抑制を条件にEU側と再交渉を行うと明言している。
先週、EUのトゥスタ大統領は加盟国向けの書簡で譲歩案を示し、こう述べた。「私見だが、この提案はキャメロン首相のすべての懸念に答えている。それでいて、EUの理念に関しても一線は越えていないつもりだ」
イギリス国民の主な関心事は、EU入りした移民への福祉施策だ。キャメロンは、移民がイギリス国内に住む条件として、税額控除や児童手当を4年間制限する案を要求。トゥスクはこれに対し、大量の移民が急激に流入した場合に限り、キャメロンの唱える福祉制限を認める譲歩案を出した。
キャメロンはさらに、出稼ぎ外国人労働者に対し、祖国に残る子供への児童手当の送金を禁止しようとしている。トゥスクは異議を唱えつつも、代案として貧困国出身の労働者への扶助の抑制を提案した。
保守党は、「かつてないほど固い結束」というEUの政策目標をイギリスには当てはめたくないと考えている。それを反映したキャメロンの要求が、加盟各国の議会の権限強化だ。トゥスクは、イギリス側の「EUの政治統合にはこれ以上関与しない」という主張にも歩み寄りを見せ、加盟国議会の55%が反対すれば、EUの法案を却下できる方針を示した。
国民の4削が離脱に賛成
だが、実際にトウスタの譲歩案が実行されるかどうかは未知数だ。イギリスは他の加盟国を味方に引き入れなければならず、事は容易には運ばないだろう。
英議会でキャメロンはEU案に対して一定の評価を下したが、その行方は今月18日から始まるEU首脳会議で合意を得られるかどうかに懸かっている。キャメロンはそれまでにEU各国を行脚し、説得に当たらなければならない。特に、イギリスに向かう移民の経由地になっている東欧諸国を納得させるのは、骨が折れる作業になるだろう。
EU首脳会議で承認を得たとしても、キャメロンには6月の国民投票に向けた根回しという課題が残る。野党・労働党からの支持を取り付けるよりも、今回のEU案に納得していない与党内の保守派議員らを説得するほうが難題かもしれない。
先日、イギリス国内で行われた世論調査では、国民の43%がEU離脱に賛成、36%が残留、残り21%が決めかねていると答えた。ブレグジット賛成派の数は、増加傾向にある。
ブレグジットは他の加盟国だけでなく、イギリス自身にも金融市場から科学研究分野までさまざまな面で多大な影響を及ぼしかねない。また、テロや移民問題といった危機的な問題が発生した際に、イギリスが前例となりEU離脱を望む国が相次ぐかもしれない。そうした、EUの政治的基盤が揺らぐ事態も想定しておく必要がある。
ブレグジットというカードの取り扱いは本当に悩ましい―キャメロン本人が一番痛感しているはずだ。
ジョシュア・キーティング」
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英首相のEU合意案、議会で嘲笑を買う[スプートニク日本語]
2016年02月15日 23:07
キャメロン英首相は議会で英国がEUに留まる条件についての提案を行ったが、キャメロン氏の所属の保守党内のEU懐疑派は首相が予期したのとは違う反応を見せた。
議員の1人は議会中に次のような声明を行なっている。
「この合意は外見も匂いも疑わしい。見た目は輝いているかもしれないが、少し押せば中身はぶよぶよだとすぐに判明するだろう。我々の尊敬する友人には議会を前に、人糞からキャンディーを作るまでに成り下がったと認める覚悟はあるだろうか?」
合意案には政治家のみならず、マスコミも失笑している。
リサーチ・アセスメント・ポータルの「ユーゴヴ(Ugov)」の世論調査では、英国民の大多数がEU離脱を希望という結果が出た。
「EUを捨てろ」運動の活動家、ジェック・モントゴメリ氏はRTテレビからの取材に対し、「EUに加盟することで英国一世帯あたりには年間平均で3000ポンドの利益があると言われてきた。ところがこれを証明する者は何もない事が判明したんだ」と語っている。
議会内ではこれから開始される改革をめぐって状況が白熱化している。キャメロン首相は閣僚らに対し、自身がEUとの最終的な合意締結にこぎつけるまでは、EU離脱ないし存続を争うキャンペーンへの参加を禁じた。議会内のEU懐疑派は、EU離脱に賛同する政治家らが言論の自由を剥奪される一方で、EU加盟の維持の利益を唱える首相の論拠がことあるごとに発表されるのは不公平だとして、不服を訴えている。
「石原伸晃氏を後任にしたのは甘利氏復権の布石」
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/444.html
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「甘利」前大臣からも嫌われて “求心力ゼロ”の「石原伸晃」TPP大臣で大丈夫か
デイリー新潮 2月17日(水)4時5分配信
金銭授受疑惑報道によって甘利明氏(66)がTPP大臣を辞任したが、代わって起用された石原伸晃氏(58)には酷評の数々が囁かれている。日本テレビ記者時代の元同僚は「仕事はぜんぜんできなかった」と口を揃えるし、2012年9月の自民党総裁選では、幹事長の身ながら総裁の谷垣禎一氏を差し置いて出馬を決めるという“事件”を起こす。筋を通さない石原氏のこの振る舞いにより、谷垣氏、そして麻生太郎財務大臣の怒りを買った。
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石原大臣誕生にムカついているのは、麻生氏や谷垣氏だけではない。辞任した甘利氏もその一人である。自民党のベテラン議員が語る。
「山崎拓さんが父である石原慎太郎さんに頼まれて、伸晃さんを山崎派に迎えたのは07年末のことです。元々、甘利さんは、山拓さんの後を自分が継ぐつもりだった。ところが、山拓さんは12年末、派閥を伸晃さんに任せた。甘利さんにすれば、ボスのために尽くしたのにトンビに油揚げをさらわれた思いだったはず」
では、なぜ、甘利派ではなく、石原派になったのか。
「山拓さんは72年の総選挙で初当選したが、この選挙戦の最終日に石原慎太郎さんが福岡まで駆け付け、応援演説をやってくれたそうです。人気者の慎太郎さんのおかげで、かなりの数の人が集まったとか。山拓さんは、そのせいで当選できたと思っている。派閥を伸晃さんに継がせ、慎太郎さんの恩に報いることができたと説明しています」(同)
親の七光りで派閥を継承したボンボンが面白くないわけだ。
■“伸晃に継がせて失敗した”
また、意外と知られていないが、甘利氏は12年9月の自民党総裁選に出馬するつもりだった。
「当時、甘利さんは総裁選に出るため、山崎さんに推薦人を貸して欲しいと頼んだ。しかし、伸晃さんの立候補が決まっていたため、断られた。出馬できなくなった甘利さんは、その後、安倍陣営へ駆け込み、選対本部長を務めた。山崎派も出ることになりました」(同)
石原、甘利がこんな関係じゃ、大臣の引継ぎなんて簡単にできやしない。せっかく山崎氏から引継いだ派閥も、
「伸晃さんはボンボンなので、未だに自分は面倒を見てもらう立場と勘違いしているらしい。派閥の議員の面倒も見ないし、求心力はゼロ。山拓さんも“伸晃に継がせて失敗した”と嘆いていたこともあります」(石原派関係者)
彼には、東京都連会長という肩書もある。
「今年で12年目ですが、こんなに長くやった人はほかにいませんよ。そもそも大臣と都連会長は両方できない。辞任すべきとの声が出ています。しかし、都連会長は都議会の予算編成に大きな影響力がある。そこに利権も発生するため、会長ポストを手放すつもりはなさそう」(政治部記者)
最後に政治アナリストの伊藤惇夫氏の指摘。
「甘利さんは実務を精力的にこなしつつ、内閣の調整役でもあった。しばしば対立するリフレ派の安倍・菅と、財政再建派の麻生さんとの間を上手に調整し、対立が起きないようにしていた。石原さんに、その代わりが務まるとは思えません。つまり、安倍さんは能力よりも、自分との距離感で後任を選んだ。長期政権になって、緊張感がなくなってきているのかもしれません」
甦る石原氏のバカ伝説は、安倍政権の終わりの始まりとなるか。
「特集 麻生財務大臣が嫌味! 甘利前大臣は引継ぎを拒否? 谷垣幹事長も恨みあり! そして甦る『バカ伝説』! 『石原伸晃』TPP大臣にムカムカする『安倍内閣』の面々」より
「週刊新潮」2016年2月11月号 掲載
新潮社
最終更新:2月17日(水)4時5分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160217-00505691-shincho-pol
原油価格の暴落で影響を蒙ったのはエネルギー企業、採掘会社だけではなかった。実は石油タンカーを襲って稼いでいた海賊も食い扶持が減って大いに弱っている。ニュースサイト「クアルツ・ドット・コム」が報じた。
石油タンカーへの襲撃が最多なのはギニア湾。この湾を通してアフリカ産の石油の大半が輸出される。ところがここ数年、ギニア湾での海賊の襲撃回数は徐々に減ってきている。2013年には100回だったのが、2014年には67回、これが昨年2015年ともなると2年前の半分以下の49回にまで落ち込んでいる。
盗んだ石油はそれがどんなに安かろうと、売ってしまわねばならない。だがタンカーを狙う行為が儲けにつながるとはとても言えない。石油タンカーが襲う対象にならなくなったのは、それに掛ける人件費も、費用も高くて、海賊の手に負えなくなってきたからなのだ。
ロシアはシリアにおける敵対的行動の停止に関する取り決めが結ばれた場合、その履行を監督する用意がある。中東担当大統領特別代表、ロシア外務省次官のミハイル・ボグダーノフ氏が述べた。
「我々に関しては、答えはもちろんイェスだ」。同氏がインターファクスの取材において、「米国は停戦合意遵守監督に用意があり、他国にも義務の履行を期待している」との米国防総省声明に応じる形で述べた。
19日、シリアにおける敵対的行動の停止に関するミュンヘン合意が失効した。シリア支援グループ各国外相は12日未明、19日にジュネーヴで第一回会合が予定されている特別作業グループの作業過程でしかるべき合意が結ばれるという点で合意を見た。
シリアでは2011年3月から武力紛争が続いており、国連の情報によると、22万人以上が死亡した。シリアの政府軍は、さまざまな武装組織に属する戦闘員らの部隊と対立している。最も活発なのは過激派組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」と「ヌスラ戦線」の戦闘員。
(ポロニウムは土壌の関係で米国産葉たばこに含まれており、マイルドセブン(今は名前が変わったが)など日本のタバコにも含まれている)
日本でも1970年代初頭に千葉県でイリジウム192を拾得したヒトがそのまま持ち帰り、6人が被曝し放射線急性障害を生じる事故が起きている。
転載する記事の内容で気に入らないのは、「米国務省によれば、まだダーイシュ等のテロ組織はこの物質を手にしていない」という部分である。
紛失したイリジウム192を現時点での保有(占有)者ないし所在がわかっていなければ、テロ組織がそれを手に入れていないという説明はできないからである。
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イラクで「非常に危険な」放射性物質盗難、ダーイシュ(IS)の手に渡る恐れあり[スプートニク日本語]
2016年02月19日 18:05
イラクは昨年盗まれた「非常に危険な」放射性物質を探している。この物質はダーイシュ(IS、イスラム国)の手に渡り、兵器製造に利用される恐れがある。イラク当局の情報としてロイターが伝えた。
昨年11月、米国の石油企業ウェザーフォード社の工場(バスラ近郊)から、ノートパソコン大の防護ケースに入っていた物質が紛失した。同社は、保管場所を所有してはいないため、責任は負えない、と発表している。イラク側によれば、放射性同位体元素イリジウム192が10グラム紛失した。
米国務省によれば、まだダーイシュ等のテロ組織はこの物質を手にしていない。
これ以前に米国・英国で大量のイリジウム192が紛失している。この物質はダーイシュによって、「放射能兵器」の製造に使われる恐れがある。通常の爆弾と放射性物質を併用したもので、一定の空間を放射能汚染するのに使われる。
日本とベトナムは、南シナ海における二国間の軍事協力を強めている。 両国は、そうした協力について安全保障上のものだと説明しているが、現実として、それは地域の緊張を高める可能性がある。モスクワ国際関係大学国際調査研究所のアンドレイ・イワノフ主任研究員も、そうした見方を取る一人だ。
イワノフ主任研究員は、スプートニク日本のインタビューの中で、次のように指摘している-
「日本とベトナムの軍事協力活発化の主な動機が、南シナ海・パラセル諸島周辺における中国の行動である事は、誰にとっても秘密ではない。ここに中国は、軍事基地や飛行場を置く事ができる人工島を作った。そしてつい先日には、米国Foxテレビが、領有権をめぐり係争中のパラレル諸島の一つの島、ユンスィンダオ(ヴディ)島に地対空ミサイル・システムHQ-9を配備したと伝えた。このミサイルは、ヘリコプターや航空機のみならず、巡航ミサイルや弾道ミサイルを攻撃するためのものだ。こうした行動は、見方によれば、この地域を中国が自分達のコントロール下に置く事を目指す、新たな証拠とみなす事もできるだろう。しかし実際は、もっとはるかに複雑だ。
中国には実際、この地域の隣国との間に、パラセル諸島の領有権をめぐる争いがある。意見の食い違いは、もう大分以前からの事で、それが解決する見通しは、歴史的に見ても又法律的に見ても、今のところ明らかではない。それゆえ争いは、中国とアセアン諸国の互恵的な経済協力を特に妨げることなく、さらに長引く可能性がある、
しかし、この争いのアセアンの側に、米国と日本が介入を決めた。これはそもそも、中国と争っているベトナムやフィリピンその他の国々の国益あるいは安全を憂慮しての決定ではない。単に米国と日本自身が、中国の影響拡大を恐れ、その抑止、抑え込みのために努力しているに過ぎない。まさに日米はそうした政策の枠内で、北朝鮮のミサイルを迎撃するためと称して、この地域にミサイル防衛システムを展開しつつあるのだ。
こうした日米とベトナム及び他のアセアン諸国との軍事協力の活発化は、反中国ブロック作りに向けたものである。しかしすでに今、この政策が、望まれている事とは正反対の結果をもたらし始めている。中国は、屈服するつもりはない。批判を無視し、中国は、南シナ海における自らの軍事プレゼンスを強化している。なぜなら、米国とその同盟国が、中国にとって重要な海上貿易・エネルギー供給ルートを遮断し、さらには海南島にある中国の主要な海軍基地を封鎖してしまう危険性があるからだ。
南シナ海での領土争いにおいて、米国と日本が、中国のライバルの側に立って加われば、状況が悪化するだけだという事は、全くもって明らかだ。そこには、勝者はいない。中国は後戻りする事はなく、この地域の自分達の軍事プレゼンス拡大を続けるだろう。ベトナム及びその他のアセアン諸国と中国の関係は、今後、今より緊張するだろうが、米国と日本は、そこから何の利益も得る事はない。そして彼らは、アセアン諸国を、中国封じ込めのための自分達の確実な同盟国として手に入れる事もできない。なぜなら、アセアンのどの国も、中国と最終的に対立し、自分達にとって利益のある経済関係を断ち切りたいと思ってなどいないからだ。
恐らく米国では、アセアン諸国を反中国連合に引き入れるゲーム全体が、アジア太平洋地域で自分達の影響力を保持する唯一の方法だと考えられているのだろう。そして恐らく、米国政府にとっては、この地域で「米国かあるいは中国か、どちらが主導権を握るのか」という問題が重要なのだ。しかし日本は、米国が気に入るように、中国が世界第一位の経済大国になるのを邪魔するだけのために、世界第二位の経済大国、つまり中国を敵に変えたくはないと考えている。それというのも、ロシアもそうであるように、中国は友人あるいは、せめて敵でなく、パートナーである事が、日本にとっては好ましいからだ。」
どうやら中国は戦略核戦力を露米にならって常時臨戦態勢にする計画のようだ。米国の専門家グレゴリー・クラツキ氏(「憂慮する科学者同盟」)のレポートにそう記されている。進行中の変化の意義について、戦略技術分析センターのワシーリイ・カシン研究員がスプートニクに寄稿した。
クラツキ氏は中国指導部の声明や公的刊行物の断片からいくつかの傍証を引いている。氏の考えでは、中国の核ドクトリンの展開はちょうど今、戦略兵器部門の米国の行動に対するリアクションとして行われている。かつて中国の核弾頭は運搬手段と別に保管され、脅威の高まった期間のみ装着されていた。中国の戦略核戦力は今や「警告射撃」つまり敵方弾道弾発射警告システムに探知された攻撃に対する応射への常時臨戦態勢をとることになった。
技術部門における中国の行動を見れば、この結論は極めて妥当なものに見える。たとえば、もし潜水艦が軍事哨戒を行なわないのであれば、これまで中国がそうしていたように、海洋戦略核戦力に膨大な費用をかける意味はないのである。さらに、中国が最初のミサイル攻撃警戒電波基地を建設すること、ミサイル発射を検知できる衛星に取り組んでいることも、よく文書に裏付けられている。
しかし問題となるのは、動機がどこにあるのかということと、しかるべき決定が採択される期限だ。ドクトリン変更のための技術的前提がそろったのはせいぜい2010年、中国が第一に相当多数の完成された固体燃料大陸間弾道弾を製造でき、第二に、それに分離可能な弾道部を搭載する技術を開発し、MD網を突破できる誘導超音速弾道部を開発することにおいて、成功を収めた時点である。加えて、このときまでに無線技術部門でも大きな成果が上がっている。
核戦力開発部門における中国の現在のあらゆる成功は数十年にわたる緊張感のある作業の結果である。多くの計画が1990年代初頭ないし1980年代末にはじまり、いま中国の戦略核戦力に起きている量的・質的変化は当時から計画されていたものだったのだ。
私見では、1960-2000年代の中国の核ドクトリンの特性は、核安保に対する何らかのユニークな中国的アプローチの結果ではない。これらアプローチは手元にあるリソースに対する中国指導部の極めて思慮に富み合理的なアプローチ、存在する脅威に対する正しい評価を反映しているに過ぎない。通常兵器で米国と競い合おうとするより、米国との均衡を達成する対価のほうが安く、得られる戦略的利益は莫大である。次なる十年、中国が、数量において超大国に迫り、技術的にやや劣る程度で、高い臨戦態勢にある戦略核戦力を手にする見込みは、大いにある。
しかし、日本の財政が、国債(赤字及び建設)を大量に発行しながら、税収が中心の歳入に倍する歳出を続けてきたことを考えれば、「財源論」が国民生活の改善をめざす政策を実行しない“言い訳”に使われていることは明瞭である。
歴代政権が、「財源がない」なかで歳出を膨らませてきたからこそ、国債残高が1千兆円まで膨れあがったのである。
民主党鳩山政権は脱却する姿勢は見せたが、歴代政権は、銀行やグローバル企業の支援には財政手段を活用する一方で、一般国民の生活を向上させる政策については「財源」を盾にさぼるというスタンスをとり続けてきた。
(現在は“黒田バズーカ”による国債買い上げで奇妙なかたちになっているが、不要不急の予算を組んでまで赤字国債の発行額を増やしたのは、資金運用難に苦しむ銀行を助けるためである)
最大の問題は、「財源論」が、消費税の税率を引き上げる政策を“正当化”するロジックとして利用されていることである。
グローバル企業に渡す“つかみ銭”を増やす政策である消費税の税率引き上げを実現するためには、「財源論」を捨てて国民生活向上に資する政策を実行するわけにはいかない。(消費税を増税しなければならない根拠を失うから)
生産基盤(効率的な供給力)の劣化と長寿命化が進んでいる日本は、悪性インフレに陥る芽を孕んでいるが、「財源論」については、50兆円レベルの赤字財政支出でもインフレ基調にならない経済状況とその論理を踏まえて議論すべきである。
簡単に結論を言ってしまえば、赤字財政は、悪性インフレを招くかどうかが唯一の問題であり、「財源論」である政府債務の積み上げレベルの問題ではない。
(過去の赤字財政の結果である政府債務残高は、どれだけ巨額でもあくまでも過去の問題であり、現在や将来の物価変動に影響を与えるものではない。悪い物価変動を招かない限り問題はない)
逆に、「財源論」に縛られて(需要が抑制されて)、設備投資を中心とした生産基盤(効率的な供給力)の強化が進まないほうが将来に致命的な経済=国民生活状況をもたらすのである。
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無用な予算なんぼでもある(08年9月小沢・民主党代表)
財源不安払拭できず
2008年9月8日、野党第1党の民主党代表、小沢一郎が無投票3選を果たした。ねじれ国会で自民党政権の首相、福田康夫を退陣に追い込み、政権交代に向け衆院解散・総選挙の準備を加速。鍵を握るのは政権担当能力を示すマニフェスト(政権公約)だった。
子ども手当、農業の戸別所得補償――。大勝した07年参院選で、同党は有権者に直接給付する政策を柱に掲げた。財源はどこにあるのか、衆院選公約できちんと示せるのか。8日の記者会見で小沢は「無用、必要でない予算がいっぱいある。なんぼでもある」と言い切った。
21日の臨時党大会で、基本政策実現のため「予算の劇的な組み替え」を通じ4年間で22兆円を捻出する考えを示した。政調会長の直嶋正行らがマニフェスト作りを始め、小沢は財源を「あまり事細かく書かなくていい」と伝えた。副代表の前原誠司らから具体的な財源案を求める声があった。
首相の麻生太郎が衆院解散時期を先送りする中、政治資金問題で小沢が09年5月に辞任。幹事長の鳩山由紀夫が「財源なくして政策なし」と訴えた岡田克也を破り、後任に就任した。
マニフェスト作りの最終段階。鳩山、小沢、直嶋に加え、幹事長に就いた岡田、参院議員会長の輿石東が集まった。「1年目からいきなり財源は出ません。準備期間が必要です」と主張する直嶋。鳩山は「政権1年目から約束した政策をやりたい」。最後は小沢が「代表がそこまで言っているんだから」と収めた。
7月発表のマニフェストは、10年度にガソリン税の暫定税率を廃止、子ども手当も半額実施するとした。4年後の必要財源は16.8兆円。歳出見直しで9.1兆円、埋蔵金で4.3兆円などひねり出すと訴えた。
9月、衆院選に大勝した民主党の鳩山内閣が発足。税収落ち込みも響いたが、財源不足で暫定税率廃止を見送った。多くの公約が実現せず、3年あまりで民主党政権は幕を閉じた。
=肩書は当時、敬称略
(飯塚遼)
◆「政 その瞬間」は政治が大きく動いた場面を検証し、象徴する言葉とともに人間模様を描きます。
与党幹事長経験の小沢氏見解に重み
直嶋正行・民主党元政調会長 僕らは悲しいかな、細川政権などの10カ月しか政権を経験していなかったが、小沢氏は政権与党の幹事長もやった方だ。そういう立場だった方が言うと、やはり財源はあるものなのかもしれないと思った。正直、2009年の衆院選マニフェストは当時から百パーセント実現できるとは思っていなかった。自民党だって全部は達成していない。(インタビューを電子版に▼Web刊→紙面連動)
[日経新聞2月14日朝刊P.14]
直嶋正行氏「指示は『政治的メッセージでいい』だった」
(2月14日付朝刊 日曜に考える・政界面関連インタビュー)
2016/2/14 3:30
民主党が大勝して政権交代を果たした2009年の衆院選。マニフェスト(政権公約)では子ども手当や農業の戸別所得補償などの目玉政策を掲げ、財源は予算の無駄減らしや特別会計の「埋蔵金」などを充てるとした。しかし、その実現性は政権発足時から疑われ、3年半の政権運営の足かせとなった。党政調会長として作成に携わった直嶋正行氏に当時の状況を聞いた。
■「小沢氏に言われると、そういうものかもしれないなと」
――当時、小沢一郎代表はマニフェスト作りにあたって、財源は「不要、必要でない予算がいっぱいある。なんぼでもある」と語っていました。
直嶋氏は政権交代を導いた公約作成に党政調会長として携わった
「僕らは悲しいかな、細川政権などの10カ月しか政権を経験していなかった。小沢氏は政権与党の幹事長もやった人だし、そういう意味では、政権を実際に担当した立場から言われると、そういうものかもしれないなと思った」
――小沢氏は代表3選が承認された08年9月21日の党大会で、財政構造の抜本改革によって4年間で22兆円の財源を捻出すると訴えました。
「小沢氏の長年の経験で、(政府の一般会計と特別会計を合わせた)212兆円の支出の1割くらいの使い道は変えられるのではないかということだった。一般会計と特別会計に横串をさし、財務省が作った項目ごとのデータを基に、どれくらい(財源捻出が)可能かについて議論した」
――マニフェストに財源を盛り込む際、小沢氏から具体的にどのような指示がありましたか。
「『財源のメドをつけるのはいいが、実務的なことは官僚しか分からないから、あんまり事細かく書かなくて良い。むしろ政治的なメッセージとして言えばいい』というのが、小沢さんの立場だった」
――09年5月、小沢氏は政治資金問題で代表を辞めました。後任に鳩山由紀夫氏が就任し、代表選に敗れた岡田克也氏が幹事長に就きました。マニフェストへの指示に変化はありましたか。
「鳩山代表と岡田克也幹事長、小沢さんと輿石東参院議員会長と私の5人で最終的に決めたが、鳩山氏と私はだいぶ激しくやり合った。鳩山氏は『政権交代1年目から約束している政策をやりたい』と主張し、私は『1年目からいきなり財源は出ない。準備期間が必要だ』と反論した。いろいろやりとりしたが、最後は小沢氏が『直嶋君、代表がそんなに言っているんだから、最終的には代表の指示でやらないと駄目ではないか』とタオルを投げてくれた。確かに政治だから、政権交代してもすぐにやれないと言えば不信を買ったかもしれない。だから最後は鳩山代表に従って決めた」
■「正直100%できるとは思っていなかった」
――結局、衆院選のさなか、マニフェストは有権者にどのように受けとめられましたか。
「当時は日本経済も政治も行き詰まっており、一度民主党に政権をやらせようという全体的な雰囲気はあった。農村や漁村もそういう感じだった。民主党の個別政策で、これが魅力あるから、というのは特になかった。気分転換というか、空気を変えようということではなかったのか」
――首相になった鳩山氏には、マニフェストへのこだわりが相当あったのでは。
「気にしていた。10年度予算編成の時、経済産業相に就任した僕も入って、3、4人の閣僚で相談した。鳩山首相はガソリン税の暫定税率について『5円でも10円でもいいから下げられないか』と言ったが、どうしても予算を組めないので、1年目はちょっと勘弁してもらおうとなった」
――自民党などは財源の裏付けなどを巡って批判し続けていました。
「正直言って100%できるとは思っていなかった。どの辺までできれば合格点かなと、当時から考えていた。ただ経済政策では、野田佳彦政権の時に作った日本再生戦略が今の安倍政権に引き継がれている。やるべきことはそんなに変わらない」
「『コンクリートから人へ』と言ったのも、コンクリートは要らないという意味ではなく、人に手厚くということを強調したかったからだ。今になって安倍首相も『同一労働・同一賃金』と言い出している。貧困の問題は議論はあるが、何らかの形で手当てせざるを得ないことは、どこまでやるかは別としてコンセンサスはできつつある。そういう意味では、政権時に打ち出した民主党の政策を再評価すべきではないかと思う」
――今夏の参院選に向けて、民主党はどういうマニフェストを作るべきでしょうか。
「もう少し基本構想を大事にしたらいい。子ども手当は2万6千円が出るのか出ないのかが論争の中心となったが、これは良くない。根底には、社会全体で子どもの成長を支えるという考え方があった。そこをきちっと伝えず、具体的な数字だけで評価されるのは望ましくない。特に現時点で野党ということで考えれば理念をもっと大事にしないといけない。具体的な数値は入れてもいいが、あまり細かく入れなくていい」
(聞き手は飯塚遼)
2007〜08年の米国の住宅バブル崩壊を描いた映画『マネー・ショート』の面白い点は、見ていると登場人物に忠告したくなってくることだ。バブルがもうすぐはじけることを観客は知っているが、映画の中ではごく一握りの人たちしか予見できない。
ブラジルなど新興国は経済減速に悩む(サンパウロの外貨両替店)=ロイター
私たちは、貧しい住宅購入者の住宅ローンの資金源として利用された複雑な金融商品がひどい代物だったことを知っている。また、バブルは悲惨な結末に終わるが、最終的に米国が事態を切り抜けることも知っているのだ。
人の不幸は見ていて楽しい。だが、新興市場で現在進行しているドラマに、そのような楽しみは見つけられない。「銀行と格付け会社と政府」の幹部らによる陰謀はどうやら存在しないようだし、悪者が当然の報いを受ける見込みもほとんどない。
新興諸国を苦しめる経済崩壊はゆっくりと、だが確実に進んでいく。経済成長の減速と失業率の上昇は何年も前から続き、中南米とアフリカ全体を芯までむしばんでいる。
こうして見ると、08年の米国の危機と現在の新興国が抱える問題は違う。だが、新興国を泥沼に引きずり込もうとしている問題点はどんどん重みを増しており、かつての米国の危機との間に見過ごせないつながりがある。また、現在の世界の経済成長の大半は新興国に負うものであるため、新興市場が落ち込めば欧米先進国にもその影響が及ぶ。
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南アフリカに拠点を置く投資運用会社インベステックのストラテジスト、マイケル・パワー氏は、新興国の潮の満ち引きを決めてきたのは「2つの月」だったと言う。その片方の月が欠けてきたことが、新興国の不調に新たな症状をもたらしている。
一方の月は中国だ。途上国が輸出する資源に対する中国の需要が減退したことで分かる通り、片方の月は沈んだ。だがそれはもう昔の話。今、市場を驚かせているのは、もう一つの月がもたらす干満の変わり目だ。こっちの月を代表するのは、世界の金融に流動性を与える最終的な源である米連邦準備理事会(FRB)である。
中央銀行の中銀と呼ばれる国際決済銀行(BIS)は、過去15年にわたり途上国の成長を後押ししてきた貸し付けの拡大は既に止まり、債務返済に伴う悪循環が始まるかもしれないと指摘する。
潮目が変わったのは15年の7〜9月だ。BISが今年2月に公表した統計でそれを明らかにした。新興国の政府や企業、家計に対するドル建て信用の総額が、債券と銀行融資を合わせて15年6月末の3兆3600億ドルから9月末には3兆3000億ドルへと減少に転じたのだ。
この潮目の反転は、世界経済の再調整という物語の、新たな暗い章の始まりを告げるものだ。ストーリーの第1章は『マネー・ショート』に描かれた米国の住宅バブル崩壊だ。続く金融危機で欧米は歴史的な低金利時代に突入した。そのため米国や日本、そして欧州からは少しでも高い金利を求めて新興市場へと資金が流れ込んでいった。
安くカネが借りられるという誘惑は抗し難いものだ。それゆえに、この資金の流れはまた別の行き過ぎを生んだ。ブラジル、タイ、トルコでは一般世帯が収入以上の支出をするようになった。中国企業もこの流れに乗り、その債務総額は国内総生産(GDP)の160%に達した。企業債務のGDP比がこれほど高い国は世界でも数えるほどだ。
アフリカでは、コモディティー(商品)への中国の需要がなくなった上、一部の国は債務が積み上がり、深刻な事態となっている。この状況は危機へと移行しかねない。
□ □
BISの資料によると、新興国企業の債務レベルは先進国企業を上回る。しかし投資利益率は先進国の水準を割り込んでいる。新興国企業が借り入れをして投資すると、利益率はさらに下がっていくと思われる。中国が好例だ。慢性的な生産能力過剰により生産者価格が大幅に下落した結果、15年の工業利益は縮小した。
これを見た投資家は新興市場の資産を一斉に見切った。国際金融協会(IIF)によると、15年の1年間で新興国から流出した資本は7350億ドルと見積もられ、1998年以来の純流出となった。資本流出は通貨価値の下落を呼び、それがまた投資家の逃避心理をあおる。
BISの調査部門責任者を務めるヒュン・ソン・シン氏は、新興市場のこれらの問題に取り組むには、いくつかの国が構造改革を成し遂げるしかないと指摘する。ただ、国により適切な対応は異なるとも付け加えた。
それができなければ世界はこのまま暗闇に滑り落ちてしまうだろう。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は4日、新興市場に迫る危機が世界経済の成長を脅かしていると警告した。
(11日付)
[日経新聞2月14日朝刊P.15]
日本とベトナムは、南シナ海における二国間の軍事協力を強めている。 両国は、そうした協力について安全保障上のものだと説明しているが、現実として、それは地域の緊張を高める可能性がある。モスクワ国際関係大学国際調査研究所のアンドレイ・イワノフ主任研究員も、そうした見方を取る一人だ。
イワノフ主任研究員は、スプートニク日本のインタビューの中で、次のように指摘している-
「日本とベトナムの軍事協力活発化の主な動機が、南シナ海・パラセル諸島周辺における中国の行動である事は、誰にとっても秘密ではない。ここに中国は、軍事基地や飛行場を置く事ができる人工島を作った。そしてつい先日には、米国Foxテレビが、領有権をめぐり係争中のパラレル諸島の一つの島、ユンスィンダオ(ヴディ)島に地対空ミサイル・システムHQ-9を配備したと伝えた。このミサイルは、ヘリコプターや航空機のみならず、巡航ミサイルや弾道ミサイルを攻撃するためのものだ。こうした行動は、見方によれば、この地域を中国が自分達のコントロール下に置く事を目指す、新たな証拠とみなす事もできるだろう。しかし実際は、もっとはるかに複雑だ。
中国には実際、この地域の隣国との間に、パラセル諸島の領有権をめぐる争いがある。意見の食い違いは、もう大分以前からの事で、それが解決する見通しは、歴史的に見ても又法律的に見ても、今のところ明らかではない。それゆえ争いは、中国とアセアン諸国の互恵的な経済協力を特に妨げることなく、さらに長引く可能性がある、
しかし、この争いのアセアンの側に、米国と日本が介入を決めた。これはそもそも、中国と争っているベトナムやフィリピンその他の国々の国益あるいは安全を憂慮しての決定ではない。単に米国と日本自身が、中国の影響拡大を恐れ、その抑止、抑え込みのために努力しているに過ぎない。まさに日米はそうした政策の枠内で、北朝鮮のミサイルを迎撃するためと称して、この地域にミサイル防衛システムを展開しつつあるのだ。
こうした日米とベトナム及び他のアセアン諸国との軍事協力の活発化は、反中国ブロック作りに向けたものである。しかしすでに今、この政策が、望まれている事とは正反対の結果をもたらし始めている。中国は、屈服するつもりはない。批判を無視し、中国は、南シナ海における自らの軍事プレゼンスを強化している。なぜなら、米国とその同盟国が、中国にとって重要な海上貿易・エネルギー供給ルートを遮断し、さらには海南島にある中国の主要な海軍基地を封鎖してしまう危険性があるからだ。
南シナ海での領土争いにおいて、米国と日本が、中国のライバルの側に立って加われば、状況が悪化するだけだという事は、全くもって明らかだ。そこには、勝者はいない。中国は後戻りする事はなく、この地域の自分達の軍事プレゼンス拡大を続けるだろう。ベトナム及びその他のアセアン諸国と中国の関係は、今後、今より緊張するだろうが、米国と日本は、そこから何の利益も得る事はない。そして彼らは、アセアン諸国を、中国封じ込めのための自分達の確実な同盟国として手に入れる事もできない。なぜなら、アセアンのどの国も、中国と最終的に対立し、自分達にとって利益のある経済関係を断ち切りたいと思ってなどいないからだ。
恐らく米国では、アセアン諸国を反中国連合に引き入れるゲーム全体が、アジア太平洋地域で自分達の影響力を保持する唯一の方法だと考えられているのだろう。そして恐らく、米国政府にとっては、この地域で「米国かあるいは中国か、どちらが主導権を握るのか」という問題が重要なのだ。しかし日本は、米国が気に入るように、中国が世界第一位の経済大国になるのを邪魔するだけのために、世界第二位の経済大国、つまり中国を敵に変えたくはないと考えている。それというのも、ロシアもそうであるように、中国は友人あるいは、せめて敵でなく、パートナーである事が、日本にとっては好ましいからだ。」
ベトナム共産党は1月28日に閉幕した党大会で、2016〜20年の新指導部を決定した。グエン・フー・チョン党書記長(71)が留任し、本命とされていたグエン・タン・ズン首相(66)は「失脚」した。41年前まで「北」と「南」に分かれて泥沼の戦争を繰り広げたベトナムは、いまだに分裂の後遺症が残っている。ズン氏は環太平洋経済連携協定(TPP)参加や外資規制の緩和など経済改革を進め、経済を重視する南部出身者の象徴的な存在だったが、共産党支配を重んじる北部を代表するチョン氏が留任。南部初の国家トップは実現せず、「北の壁」を崩すことはできなかった。
党大会直前の1月下旬、元指導部を務めた大物政治家がチョン書記長に宛ててメールを送ったという情報が流れた。「次期指導部の候補に経済をわかるやつがいない。南シナ海問題でも弱腰ばかりじゃないか。ズン氏は必要な人物だ」
その前の週、ズン首相は指導部入りの必要条件である200人の「中央委員」の候補者リストから漏れ、失脚はほぼ決まっていた。それでも「最後まで南部側の勢力はズン首相を担ぎ上げようと、いろいろな手を使って努力していた」(党に近い情報筋)と明かす。
ズン首相は国内外が認める実力者だ。南部カマウ省の出身で、10代で南ベトナム解放戦線の兵士として活動した。公安など内政にも顔が利き、国家銀行総裁を務めるなど経済にも強い。
ズン首相はTPPだけでなく、韓国や欧州連合(EU)、ユーラシア経済連合(EEU)などと矢継ぎ早に自由貿易を推進。1986年のドイモイ(刷新)以降市場開放を進めたものの、国営企業が多く、各種規制など不透明な経済システムも各所に残る。既得権益とも絡んで、速すぎる「ズン流改革」への反発は北部を中心に多かった。
さらに、南部出身者が最高指導者に就くことへの抵抗感もある。建国の父、ホー・チ・ミン氏以降、序列トップの書記長8人はすべて北部と中部の出身。南部は国家主席か首相止まり、というのが暗黙のルールだ。北ベトナムが南ベトナムを解放してあげたという意識が背景にある。
もう一つ、ズン首相の書記長就任を阻んだ要素として中国がある。中国がベトナムの人事に直接介入することはないにせよ、おなじ共産党国家として一定の影響力はあるとの見方が強い。中国が14年5月に西沙諸島(英語名パラセル)で石油掘削の準備を始めた直後、ズン氏は「ベトナムは主権と合法的な利権を中国との虚偽で従属的な友情と交換しない」と警告するなど、中国への強硬姿勢を隠さなかった。ベトナム政治に詳しい早稲田大学の坪井善明教授は「TPPで米国にすり寄ったズン首相を中国は警戒したのではないか」と指摘する。
今回の党大会は、今後5年間の党運営の中枢を担う政治局員19人も決定した。このなかにはディン・ラ・タン運輸相らズン氏に近いといわれる人物も多数入った。共産党幹部と親交があるベトナム人の会社社長は「ズン氏の権力は温存されている」との見方を示す。
「北の壁」は残った一方で、経済改革、市場開放の流れは止められない。改革のスピードが遅れるようでは成長の原動力の外資の進出にも悪影響が出かねない。
(ハノイ=富山篤)
[日経新聞2月14日朝刊P.15]
論説副委員長 実哲也
「あれは最良の時代であり、最悪の時代だった。叡智(えいち)の時代にして、大愚の時代だった。新たな信頼の時代であり、不信の時代でもあった」(加賀山卓朗訳)
フランス革命前後の英仏社会を描写した、ディケンズの『二都物語』の有名な冒頭のくだりである。だが、時代が全く異なる2つの顔を見せている点では、今こそまさにそうではないか、と感じる。
技術進歩やグローバル化はちょっと前には考えられなかった様々なことを可能にしている。世界の裏側にいる友人と顔を見ながら無料通話ができる。自動運転はもう目の前だ。年に12億人が海外旅行を楽しむ大観光時代でもある。
一方、世界経済は金融危機の後遺症に苦しみ、大停滞の時代といわれる。技術革新やグローバル化は格差拡大の要因にもなっている。中東の混迷は大量難民やテロを招き、文明の衝突さえ危惧される。
そんなとらえどころのない時代とどう向き合うべきか。先月開いた世界経済フォーラムのダボス会議は、激しい速度で進む「新産業革命」が社会や経済に何をもたらすかに特に焦点をあてながら、取り組むべき方策を論じ合った。
会議の議論やインタビューを通じて感じたのは時代の行く末への警戒感の高まりだ。
1つは、欧米の庶民の生活不安や既存の政治への反発は本物であり、大衆迎合型の政治家や政党が政権をとってもおかしくないという認識だ。
「大統領選は最後は主流派が勝つのが過去の例。だが今回はわからない。中間層は良い仕事を得られる自信を失い、移民や新技術に不信の目を向けている」とアダムズ元米財務次官は眉をひそめる。
「家も買えず、安定した仕事もない。家も年金も心配ないお父さん世代とは違う」。ある英国人エコノミストは社会主義路線に傾くコービン英労働党党首を支持する娘をいさめたら逆襲されたという。
もう1つは、人工知能(AI)やロボットの進化は利便性や効率性を増す半面、既存の産業を壊し、雇用不安を深刻にしかねないとの認識だ。
世界経済フォーラムの報告書『職の未来』は2020年までに主要15カ国・地域で710万人の雇用が消えると予測。成長分野で生まれるエンジニアなどの新雇用は210万人にとどまる、とした。
民主主義を支えてきた分厚い中間層が先細りすれば、社会の安定が脅かされないか。そんな危機意識も示された。
もちろん、過剰な不安を戒める声も多い。インドの大手情報技術サービス企業、インフォシスのシッカ最高経営責任者(CEO)は「人間の創造性に限界はなく、AIなどをむやみに恐れるのは禁物。個人はネットを通じて教育を受けたりいろんな仕事を得たりする機会も広がった」と強調した。
日本は幸か不幸か新産業革命の先頭走者でない分、影響はまだ小さい。だが、その波はいずれ日本にも押し寄せる。備えは必要だろう。
まず重要なのは新技術を活用した様々なビジネスやサービスは積極的に受け入れることだ。既存の産業や雇用を守ろうとするあまり変化を遅らせれば、活力は失われ、経済や暮らしの停滞につながる。
そのうえで、新しい変化に人々が適合できるよう時代に即した安全網を築くことだ。
「小学生になる今の子どもの65%はまだ存在していない仕事につく」と『職の未来』は予想する。技術変化に伴い必要となる技能をいつでも習得できるよう職業訓練の仕組みを全面的に拡大・強化する必要がある。働けば最低限の暮らしが営める税制や最低賃金の設計も求められよう。
『二都物語』の舞台となった時代は第1次産業革命が産声を上げたころと重なる。ディケンズがこれを書いた19世紀半ばまでに社会もその影響を大きく受けた。同時代人のマルクスは「風車は封建領主が主導する社会を、蒸気機関による製粉所は産業資本家が主導する社会をうむ」と書いた。
技術が社会を規定するという「技術決定論」には危うさがあるが、AIやロボットに代表される新しい産業革命がもたらす仕事や働き方への影響は軽視すべきでない。
ヒッケンルーパー米コロラド州知事は「不安をあおるのでなく、変化を乗り切るための解決策を実行するのが政治家の役割」と語る。同州は起業促進や地元企業に長期失業者の採用や訓練を促す施策などで失業率を大きく下げた。
変化に対応する機会は平等に与えられ、努力すれば報われる。そう確信できる制度を築けるか。新産業革命の時代を、個々人が技術をいかして能力を発揮できる社会にできるか否かの分かれ道になる。
[日経新聞2月14日朝刊P.12]
近年、人工知能すなわちAI(アーティフィシャル・インテリジェンス)が注目を集めています。クルマを自動運転したり、外国語を翻訳したり、また、人間と会話するロボットの話題などがマスコミによく登場します。人間のようにものを考える機械というのは、昔からの人類の夢とも言えますが、これがまさに実用化の段階をむかえた、という声も聞こえてきます。とくに、ビッグデータ分析、つまり膨大なデジタル・データを処理するために人工知能が有力と見られていることは特筆に値するでしょう。
しかしながら一方、その危険性を指摘する意見も無いではありません。われわれは、この新しい技術とどのように付き合っていけばよいのでしょうか。
人工知能は半世紀以上にわたって研究されてきましたが、現在は第三次人工知能ブームと言われています。
第一次ブームは一九五〇年代から六〇年代で、この時のキーワードは「論理」です。文字や数字などの記号による論理操作を高速でおこなうことによって、人間の思考のシミュレーションを実行しようとしたのです。具体的には、パズルを解いたり、簡単なゲームをしたりする試みがなされました。しかし、人間の思考も社会の成り立ちも、厳密に論理的なものではないので、実用化にはほど遠かったのでした。
そこで、一九八〇年代の第二次ブームの時は、「知識」がキーワードになりました。知識命題をたくさんメモリに貯め込んでおいて、それを論理的に組み合わせて問題を解決しようというわけです。とくに専門家の代わりをするエキスパート・システムが評判になりました。しかし、現実には人間の知識はさまざまな曖昧さや論理的矛盾を含んでいるので、この試みも十分には成功しませんでした。
さて、現在の第三次人工知能ブームのキーワードは「学習」あるいは「統計」です。はじめから正確な論理処理をめざすのではなく、大量のデータを統計的に処理しながら、学習を重ねて問題解決能力を高めていこうという考え方です。とりわけ、これまでコンピュータにとって苦手だった画像や音声のパターン認識に有効なことは見逃せません。数年前からトピックスになっている深層学習(ディープ・ラーニング)は、人間の脳に似た構造のニューラルネット・モデルを用いるので、大変期待を集めています。やがて人工知能が、人間のように判断し、人間に代わって仕事をしてくれるという予測も出てきました。
中でもセンセーショナルなのは、米国の未来学者レイ・カーツワイルが主張している「技術的特異点(シンギュラリティ)」という予測です。これは、約三〇年後に、意識をもつ人工知能があらわれ、その知力が人間をしのぐだろうということです。この特別な時点二〇四五年がシンギュラリティと呼ばれるのです。
いったい、どのようにしてこの時点を算出したのでしょうか。カーツワイルの主張は、コンピュータの能力が指数関数的に増大していくという仮説にもとづいています。確かに半導体回路の集積密度は約一年半ごとに倍増してきました。人間の脳細胞の数はせいぜい一千億個くらいですから、近い内に人間の脳をしのぐ性能のコンピュータが出来るだろうというわけです。それだけでなく、人工知能が自分でさらに高性能の人工知能を作成する、という考え方が出てきました。そうなるともう、われわれ人間には及びもつかない世界が広がるでしょう。これが今、欧米で大騒ぎになっているシンギュラリティ予測なのです。
カーツワイルは楽観主義者で、三〇年後にユートピアがくると言います。しかし欧米には、これを大きな危機と見なす否定論者も少なくありません。たとえば車椅子の物理学者ホーキング博士や、マイクロソフト社の設立者ビル・ゲイツなどは、人工知能が人類にとって恐ろしい脅威になるのではないか、と警告を発しています。意識をもつ機械が意思決定をおこない、人間を支配する反ユートピアなんてゴメンだ、というわけです。いったい未来はユートピアか反ユートピアか、どちらなのでしょうか。
しかし、頭を冷やして考えてみましょう。私は、シンギュラリティ予測は外れると考えています。まず、カーツワイルの主張は人間の知力を単純にとらえすぎています。計算能力だけなら、とっくの昔から人間はコンピュータには敵いません。でも人間の知力は多様で、経済理論をつくったり、政治哲学を論じたり、恋愛小説をつくったり、絵を描いたりします。集積密度の増大カーブだけで比較できるはずはありません。さらに、意識をもつコンピュータなど、まだ存在しないし、今後うまれる見通しもありません。そもそも意識とは何かさえ、よく分かっていないのです。だからシンギュラリティ予測など、神様のかわりに人工知能を超越者と見なす、一神教的な妄想にすぎないのではないでしょうか。
ここで注目すべきなのは集合知です。集合知というのは、たくさんの人々の知識や意見を上手に組み合わせることにより、問題を解決しようという考え方にほかなりません。そこでは多様性がポイントなのです。ネットを活用した集合知はとくに期待されています。ビッグデータのなかには多様な人々の声が蓄積されていますから、これを統計的に分析すること自体、一種の集合知の探求とも言えるでしょう。
大切なのは、集合知をまとめあげる際に、人間が最終的判断をすることです。むろん、人工知能を活用することは重要なのですが、コンピュータに問題を丸投げしては絶対にいけません。なぜなら、現在の人工知能の核心は統計処理であり、したがって、一種の推測にすぎないからです。コンピュータを使っても、かならずしも論理的に正しいとは言えないのです。人工知能に人工知能をつくらせるなど、論外と言えるでしょう。
実用化段階を迎えた人工知能の研究で重要なことは、ドラえもんみたいなロボットがほしいなどといった、空想を追いかけることではありません。本当にわれわれの生活に役立つ、身近な技術をきちんと開発していくことなのです。
とりわけ大切なのは、法的責任や倫理、プライバシー、セキュリティなどといった、社会的な問題を十分に検討することです。たとえば、自動運転のクルマや介護ロボットが事故をおこしたら、どう処置すればよいのでしょうか。人工知能による金融操作で多額の損失がでたら、誰がいかに責任をとるのでしょうか。
ネットにあふれるビッグデータを人工知能により活用していくためには、技術にくわえて、人間と社会についての本格的な研究が求められているのです。
[時事解析]人工知能 可能性と課題
(1)第3のブーム ウェブなどと融合
人間の知能の働きをコンピューターを使って実現する人工知能(AI)の技術が進化し、注目を集めている。ウェブサービスやロボット、IoT(モノのインターネット)とAIが融合し、新しいサービス、産業を生み出そうとしている。
AIブームは1960年代、90年代に続いて今回が3度目。従来AIは、画像・音声認識やエキスパートシステムなどに実用化されたが、システムに判断のルールを教え込むという手法をとっていたことから、能力に限界があったとされる。
これに対して、近年のAIは「統計・確率的な手法や脳科学の最新成果を導入することによって、非常に融通の利く現実的な技術へと生まれ変わった」(小林雅一著「クラウドからAIへ」)。
米国のクイズ王に勝ったことで有名になった米IBMの質問応答システム「ワトソン」は、膨大なデータベースから必要な知識を迅速・適切に取り出して人と応対。実用化が近いクルマの無人運転技術は、センサーなどで周囲の状況を判断するAI技術をベースにする。
AIを搭載したロボットがヒトの相手をしたり人手が必要だった監視業務を機械が担ったりするなど、AIが人間の代わりをする場面が増えている。
AIの進化は新産業を生み、社会の姿を大きく変える可能性がある。海外では米グーグルやIBMなど有力企業の存在感が大きい。日本でも日立製作所、トヨタ自動車などが相次ぎAI研究を強化。政府系の産業技術総合研究所や理化学研究所が研究拠点づくりに動くなど取り組みが活発だ。
(編集委員 吉川和輝)
[日経新聞9月15日朝刊P.30]
(2)深層学習に注目 画像認識、人間超え
人工知能(AI)への注目が高まった大きなきっかけは、ディープラーニング(深層学習)という新しい技術が登場したことだ。松尾豊・東大准教授は「50年に一度のブレークスルー」とし、この技術の登場によってAI応用のロードマップが見えてきたという。
この技術は人間の脳を模したニューラルネットワークの一種。ネットワークの層をいくつも重ねることで性能を飛躍的に向上させた。従来のAIは問題をうまく解くための情報(特徴量)を機械に教え込むことが必要だった。ディープラーニングではこの手続きが不要で、自ら試行錯誤を重ねて正解に近づいていく。
ディープラーニングの威力が知れ渡った契機は、画像認識の能力を競う競技で2012年に、この技術を使ったカナダ・トロント大学のチームがほかに大差を付けて勝ったことだ。顔を見分ける画像認識の能力はその後も向上し、今年春には米マイクロソフトや米グーグルが相次ぎ人間のレベルを超える認識能力を達成した。
画像認識にとどまらずディープラーニングの応用分野は広い。従来の技術では歯が立たなかった熟練工の技術をロボットが代替したり、生産プロセスを人間に代わって最適に設計したりするなど現実世界での活躍の場が増える。
25年ごろに言語を自ら理解し、30年ごろには知識を自ら取得するようになるといったシナリオがある(松尾豊著「人工知能は人間を超えるか」)。グーグルがこの技術を持つベンチャー企業を次々と買収するなど、産業界の動きは急だ。
(編集委員 吉川和輝)
[日経新聞9月16日朝刊P.30]
(3)人手不足を解消 機械台頭で失業も
人工知能(AI)の進化によって、労働や社会的活動を巡る人間と機械の関係が変わる。AIやこれを搭載したロボットがこれまで人間が担っていた対人サービスを代替するほか、AIが運転手代わりになる無人・自動運転など、従来とは次元の異なる機械化の波が訪れるとみられるためだ。
AIやロボットの普及は日本のような少子高齢化・労働力不足の問題を抱える国には有益だ。政府が今年1月に発表した「ロボット新戦略」では、ロボットで人手不足解消や生産性向上を目指すべき分野としてサービス、介護・医療、建設など5分野を挙げている。
一方、AIやロボットの台頭で人が要らなくなる職場も出てくる。「職を追われる可能性があるのは、コンピュータによって代替可能な職種についている人々、いわゆるホワイトカラー」(新井紀子著「コンピュータが仕事を奪う」)
エリック・ブリニョルフソン米マサチューセッツ工科大教授は「労働者が未来永劫(えいごう)最も重要な生産要素であり続けると考えるのは楽観的に過ぎる」(「ザ・セカンド・マシン・エイジ」)として、経済における労働の役割が小さくなるとする。
井上智洋・駒沢大講師は、人間の脳を模した「汎用人工知能」が普及することを前提に「2045年ごろには日本の人口の1割くらいしか働いていないだろう」と予想する。仕事の大半をコンピューターやロボットが担う究極の機械化によって経済成長の潜在力は高まるが、富を再分配するための新しい仕組みが必要になると指摘する。
(編集委員 吉川和輝)
[日経新聞9月17日朝刊P.29]
(4)「人類超え」のリスク 脅威論には異論も
「シンギュラリティー(技術的特異点)」という言葉が、人工知能(AI)ブームとともに語られるようになった。米国のコンピューター研究者、レイ・カーツワイル氏らが広めた考え方で、コンピューターの性能が指数関数的に向上する結果、その能力が全人類を超えるとする。その時期は2045年としている。
ビル・ゲイツ、イーロン・マスク、スティーブン・ホーキングといった著名人がAIが人間社会を脅かす可能性を指摘。「意識を持つに至ったコンピューターが人間に敵対する」という近未来SFの定番テーマのような話が、真剣に議論されている。こうしたリスクがある以上、AIの野放図な進化には歯止めをかけるべきだという規制論も出ている。
こうした脅威論には専門家の間に異論もある。松尾豊・東大准教授は「AIは与えられた目的をいかに効率的に達成するかの手段にはなるが、AIが自ら目的を持つことはない」と考えている。長い進化を通じて本能や欲望などを獲得してきた人間と機械は根本的に異なるという。
ただその松尾氏も「悪意を持った人間がAIを使うことは真の脅威となる」という。テロリストや犯罪者などAIを悪用しようとする人間に目的を与えられると、システムはその目的を「効率的に」に達成しようとするためだ。
AI技術の進展を人為的にコントロールする必要があるかどうかを判断するためにも、AIの本質や社会にもたらす影響をアセスメント(評価)することが重要となる。
(編集委員 吉川和輝)
=この項おわり
[日経新聞9月18日朝刊P.31]
「不法貿易というアメリカの暗い過去 ― 米経済を支えた密輸と知的所有権の侵害[フォーリン・アフェアーズ]」
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/567.html
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[この一冊]パクリ経済 K・ラウスティアラ、C・スプリグマン著 コピーが創造を促す逆説を例示
自分が創作した作品が、他人にコピーされるがままであれば、誰も創造的なものを作らなくなる。だから著作権などの知的財産権は保護されるべきである……。この世間の常識にあえて挑戦したのが本書である。
いかなる理由でも、独占は市場経済を阻害する悪である。新しいアイデアを他人から受け取ることは、人のロウソクから火を移すことと同じで、元の火が減るわけではない。コピーを一定期間といえども禁止することは、貴重な文化的活力を生む競争を犠牲にし、大きな社会的なコストを生む。仮に、誰でも自由にコピーができたとしても、それがオリジナルに勝てなければ、保護の必要はないはずだ。
実例として、ファッション、レストランの料理、アメフトの戦術、コメディアンのコントなどがあげられる。ファッション分野で保護されるのは商標だけで、デザインではない。これは毎シーズンのトレンドの見極めが重要だからである。市場で人気の高いブランドが、部分的なコピーを重ねて多くのバリエーションを生み出し、ファッション界のトレンドを決める。いわば神の見えざる手で、模倣が創造に活気を与える世界である。
また、コピーとオリジナルの購買層の差も大きい。本物を買えない消費者が類似のコピー商品を求める。それはコピーされるだけの価値があるという、無料の宣伝になる。また、いつかは本物が欲しいという潜在的なお客を増やすことにもなる。
高級レストランの料理のレシピも著作権の対象にならない。仮に同じ質の素晴らしい料理を貧相な店で食べても意味はないからだ。高級店同士が露骨な模倣をすることは、暗黙の業界ルールで排除される。コメディアンのコントにも著作権はないが、それは古典の模倣やパロディーの積み重ねで時代にあったテーマが生まれるからである。
デリバティブやスワップなどの金融イノベーションに著作権を主張することは無意味である。特定の金融技術を独占するよりも、競合他社との共有で新しい市場を育てることが、互いの利益となるからだ。究極はリナックスなどのオープンソースのソフトであり、世界中の人々が無料で活用し、持続的な発展を遂げている。
オープンソースのソフトでは、オリジナルだけでなく、その改良に大きな意味がある。コピーは、ソフト利用のコスト低下を通じて、むしろイノベーションを刺激する役割を担っている。本書は過大な著作権の保護に警鐘を鳴らすという点で、大きな意義がある。
原題=THE KNOCKOFF ECONOMY
(山形浩生・森本正史訳、みすず書房・3600円)
▼著者のラウスティアラ氏は米UCLAの法律学教授。スプリグマン氏はニューヨーク大法学部教授。
《評》昭和女子大学特命教授 八代 尚宏
[日経新聞2月14日朝刊P.21]
「国策民営」で進められた「従軍慰安婦」事業は、フィリピン・中国・インドネシアなどは別として、朝鮮半島で日本軍や警察を含む行政機関が従事する女性を“直接”勧誘したり強制連行したりした例はほぼないと言えるだろう。
日本政府と韓国政府の認識のズレは、「国策民営」をどう捉えるかという認識の違いから生まれているようにも思える。
日本は、国策よりも民営を重視し、女性を集め女性に売春をさせ女性を管理したのは業者であり、日本軍は利用者(客)に過ぎないと考える。
韓国は、民営よりも国策を重視し、日本軍や日本政府が業者に女性を集め女性に売春をさせ女性を管理させたのだから、業者の不始末や悪行について日本軍や日本政府は第一義的な責任を負うべきと考える。
私は、あれこれ蒸し返さず、河野談話のレベルで事実関係を認めて謝罪し、政府が賠償するかたちで決着を付けるべきだと思う。
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慰安婦問題の日本の態度は非論理的
2016年02月19日 23:12(アップデート 2016年02月20日 00:44)
タチヤナ フロニ
日本外務省の杉山審議官は今週、国連女性差別撤廃委員会の対日審査に出席したなかで、慰安婦問題をめぐる日韓関係における日本政府の立場を説明した。杉山審議官は日本政府は第2次大戦中に日本軍ないし日本の行政が朝鮮人女性に売春を強要した証拠資料は見つけられなかったと発言している。
韓国外務省も再び、日本軍が東アジア、東南アジア諸国の女性たちを慰安婦に用いていたことは史実であると強調。日本に対し、慰安婦問題について昨年末に達成した合意の精神を損ねるような発言は控えるよう呼びかけた。
朝鮮史に詳しいロシア人歴史家のキム・ヨンウン氏について、二国の外務省の意見交換は日本側の尽力も歴史認識についての意見の食い違いをなだめることには成功しなかったとの見方を示し、次のように語っている。
「昨年末、日韓はこの問題を何とか解決することが出来たかに見えた。日本側は、遺憾に思うという内容の声明を表し、こうした女性らに賠償金を支払うための特別の政府基金に拠出までしている。だが日本政府はその代わりとして韓国側に対し、日韓の歴史の中のこの恥ずべき1ページについてこれ以上繰り返さないよう、また日本に圧力をかけるためにこれを用いないよう求めた。これに加えて日本側はソウルの日本大使館前に建てられた乙女の慰安婦記念碑の撤去を求めていた。」
これより前の日本政府は、慰安婦として働くか否かは女性に選択権があったと常に主張してきた。ところがキム・ヨンウン氏はこれについて、日本政府は未だに慰安婦の仕事が自発的なものであったことを示す書類証拠を公開していないと指摘し、さらに次のように語っている。
「日本は証拠資料はないと断言している。そうした発言の一端は正しい。なぜなら韓国には確かにそうしたものはないからだ。だがそれがないのはある、動かし難い理由からだ。それは女性らが慰安婦として働かされたのは韓国領内ではなく、中国その他の日本が侵略し、勝ち取った国におかれていたからなのだ。このため慰安婦に関する資料は中国にも日本にもある。だが日本側は明確な理由でこれを隠している。一方の中国では2年ほど前から公表しはじめた。そしてそれを見ると資料が上海、長春にあった日本の警察署の古文書からのものであることは疑いようもない。これらの資料を見ると、日本は女性らを騙して、慰安所に連行したことがわかる。」
慰安婦が強制連行によるものであることを示す、中国が公開した証拠を日本は確かに公式的には認めなかった。だがこれは論理的ではない。仮に日本がこれまでと同様、女性たちは日本帝国軍の慰安所に自発的にやってきたと考えているのであれば、なにに対して遺憾の意を表し、なぜ賠償金の支払に応じることがあったのであろうか。
関西電力は20日、今月中の再稼働をめざす高浜原発4号機(福井県高浜町、出力87万キロワット)の原子炉補助建屋で、放射性物質を含む水たまりが見つかったと発表した。計約34リットルの水が漏れたが、外部への放射能の影響はないという。順調に作業が進めば26日にも再稼働するとみられていたが、遅れる可能性もある。
関電広報部は「原因を調査中で、再稼働への影響は現時点で何とも申し上げられない」と説明している。
水漏れが見つかったのは、原発の運転中に必ず使う1次冷却水の浄化設備。20日午後3時42分ごろ、設備の一部に水を通したところ警報が鳴り、発覚した。午後4時55分に原子力規制委員会と県へ連絡した。漏れた放射能は推定で約6万ベクレルで、国への報告基準値を下回っていたという。
水漏れを受け、関電は4号機の再稼働作業の一部を中断した。21日からは、原子炉を稼働時と同様な状態にして性能を確かめる「起動試験」を始めるはずだった。計画通り始められるかは未定という。
関電は、プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使った「プルサーマル発電」で高浜原発の再稼働を進めている。4号機は運転開始から30年で、1月末に再稼働した3号機は今月26日にも営業運転に入る見通し。
朝日新聞社
最終更新:2月21日(日)0時42分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160220-00000057-asahi-bus_all
【引用】
「受診率 81.5%」はとんでもない欺瞞です。
=====一次検査ーー二次検査ーー細胞診ーー手術
先行検査ーー81.7%ーーー91.9%ーーー39.6%ーーー87.6%
本格検査ーー62.1%ーーー64.4%ーーー19.7%ーーー31.5%
というが実態であり、先行調査の一次検査の受診率が81.5%であるということでしかありません。
実際の二次検査段階で1割が細胞診の段階では6割が福島県の検査から脱出してしまっているのです。
【コメント】
まず、貴殿が示されている数値が何に由来するのかわかりません。出所を提示していただければ幸いです。(福島県調査の評価に批判的な岡山大学関係の資料は見ていません)
その上でざっと見たところ、提示されたデータは、「実際の二次検査段階で1割が細胞診の段階では6割が福島県の検査から脱出してしまっている」と判断できるものではないと思います。
一次検査までは受診者全体が母数ですが、手術が87.6%であることから推定できるように、前段階の検査で特定の判定をされた人の数が次の段階での分母になっています。
「手術」は、細胞診で甲状腺がんの「悪性ないし悪性疑い」と判定されたのが113人で、手術を受けたのが99人なので、99/113×100=87.6%の値になっていると思われる。
一次と二次の検査内容の違いがわからないので、「二次検査段階で1割」が検査から脱落したというのは認められるとしても、「細胞診の段階では6割が福島県の検査から脱出してしまっている」とは言えないと思います。
細胞診まで進むのは、触診やエコー診断などで甲状腺異常の疑いが生じた人だけでしょうから、二次検査を受けた人で細胞診の必要が認められた人は39.6%だった(6割の人は細胞診の必要性を認められなかった)と考えたほうがいいでしょう。
福島第一事故と甲状腺がんの関係を調査するのであれば、それがいいことかどうかは別として、福島県から遠く離れた県(地域)で福島県と同等の規模で検診を行って対比したり、福島県における放射性ヨウ素汚染濃度の詳細な地域別推定を行う必要があります。
ものは言い様なので、半端な調査をベースに評価すると、F1事故との関係は、評価者の立場で変わってしまいます。
関連スレッドを読まずに投稿した非礼をお許しください。
遅ればせながら、
「福島県甲状腺検査(本格検査)、細胞の受診率2割以下の意味」
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/876.html
を読ませていただきました。
検査の過程が詳しく説明されており大変参考になりました。
問題は、先行検査の場合ですが、二次検査でA1・A2相当にならなかった1356人(66.0%)のうち、細胞診をうけなかった819人(60.4%)の“その後”がどうであったということにあるようですね。(概ね 6 か月後または 1 年後に通常診療(保険診療)となる方たち)
細胞診を受けた537人のうち113 人が「悪性ないし悪性疑い」の判定ですから、21.0%の人が手術の必要性はともかく悪性ないし悪性疑い」の判定だったことになります。
細胞診が二次検査の結果による選別ではなく、受診者の自由意志に委ねられていた場合、細胞診を受けなかった819人の20%ほども、細胞診を受けると「悪性ないし悪性疑い」と判定される可能性があります。
貴殿は、
「「悪性ないし悪性疑い」になると、ほぼ癌確定ですから、細胞診までの受診率を考えて、本来なら受けるべき方たちの内どのぐらの割合しか細胞診を受けていないかを、単純にそれまでの受診率をかけて出してみます。
先行検査:81.7%×91.9%×39.6%=29.7%
本格検査:62.1%×64.4%×19.7%=7.88%」
と説明されていますが、違和感があります。
先行検査部分のみを対象とします。
検査結果から、本来の検診対象者のどの程度の割合で、甲状腺がんについて「悪性ないし悪性疑い」の判定が出る可能性があるか考えてみます。
一次検査を受診した人のうち二次検査が必要と判定された割合は0.8%です。一次検査の受診率が100%と想定しても、二次検査要の人数が増えるだけで割合は変わらないと考えることができます。
次に、二次検査でも要検査となった割合は66.0%です。二次検査を受けなかった人がいますが、この人たちも同じ割合で要検査になると見て大過ないでしょう。
そのようなことから、誤差はありますが、細胞診まで進んだほうがいい人は検診対象者367,685人の0.53%である1,949人で、そのうち21.0%の409人が「悪性ないし悪性疑い」と判定されると考えても大過はないと思います。
409人は検診対象者367,685人の0.1%(10万人あたり111人)となり、自覚症状がないままのスクリーニング検査とはいえ、0〜14歳児の甲状腺がん“自然発生率”10万人あたり0.1人/年と較べるととてつもなく大きな値と言えます。(10万人あたり111人を3年間分と考えても年37人です)
成人の甲状腺がん“自然発生率”は10万人あたり1.5人/年ですから、それと比較しても大きく、スクリーニング検査で無理矢理甲状腺がんを見つけたことが“原因”とは言えないでしょう。
【カイロ=押野真也】内戦が続くシリアで21日、爆弾テロが相次ぎ計70人以上が死亡した。中部ホムスでは自動車に積んだ爆弾による2回の爆発で、46人が死亡した。100人前後が負傷。現場はアサド大統領と同じイスラム教アラウィ派の住民が多く、政府軍が掌握する地域だ。南部の首都ダマスカスの近郊でも4回の爆発があり、少なくとも30人が死亡した。
ロイター通信などが報じた。過激派組織「イスラム国」(IS)がこれらのテロの大半について犯行声明を出した。
一方、ケリー米国務長官は21日、アンマンで記者団に対しシリアでの敵対行為停止の条件について、ロシアのラブロフ外相と「暫定的な合意」に達したと述べた。「かつてなく停戦に近づいた」とも語ったが、未解決の問題の存在も認めた。これを解決するため数日中にオバマ米大統領とプーチン・ロシア大統領が協議する見通しだという。
シリアではロシアが支援するアサド氏の政府軍と米国などが後ろ盾となる反体制派が戦闘を継続。さらにISなどがからむ複雑な展開。アサド氏は21日までに、停戦の条件として、周辺国から反体制派への武器支援の凍結などを主張していた。
ケリー氏とラブロフ氏などは11日、シリア内戦の「1週間以内の停戦」を呼びかけることで合意した。だが、内戦はなお続いている。国連が仲介したアサド政権側と反体制側のジュネーブでの交渉も中断したままだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H3B_R20C16A2FF8000/?dg=1
【北京=山田周平】中国政府は15日、李克強首相が最近の世界経済について「情勢は異常で複雑だ」との認識を示し、「(孫悟空の道具である)如意棒を振り回して対応し、挑戦する」と語ったことを明らかにした。14日開いた国務院(政府)常務会議での発言を15日公表した。具体策には触れていないが、「経済が合理的な範囲から滑り出る兆しが本当に現れたら、断固として手を打つ」と何らかの景気・市場対策をとる可能性を示唆した。
[日経新聞2月16日朝刊P.7]
15日の日経平均株価は前週末比1069円高と大幅反発した。金融株や輸出株が買い戻され、株安にひとまずブレーキがかかった形だ。だが、下げ相場で買い向かってきた逆張り志向の個人投資家が負った傷は深い。損失限定の処分売りを底値で迫られた向きも少なくない。投資余力が低下し、相場底入れを信じられないムードも漂う。
「今日は実需の買いと言うより、売り方の買い戻しが中心だった」(大手証券トレーダー)。トヨタ自動車のような超大型株が10%高もの急騰を演じたが、市場の高揚感はいまいち。午後、東京・茅場町の証券会社前で株価ボードを見ていた男性投資家(65)は「どうせ一過性。中国の景気や円高が怖くて今は買えない」と素っ気ない。
□ □
個人は前週、記録的な運用悪化に直面した。松井証券では顧客が信用取引で買った株の含み損益度合いを示す「評価損益率」が12日、マイナス25.92%まで低下した。リーマン・ショック後に二番底を付け、日経平均が7000円台に沈んだ09年3月以来の低さだ。個人の懐の痛み具合が想像される。
株安による担保価値の低下で、追加保証金の差し入れ義務(追い証)も大量に発生した。カブドットコム証券では前週末にかけて、日経平均の2倍の値動きをする上場投資信託(ETF)や金融株を中心に「持ち高縮小を迫られる個人が急増した」(同社の荒木利夫氏)という。
例えば日銀のマイナス金利政策の導入決定後に下げ続けた三菱UFJフィナンシャル・グループ株。日本証券金融を通じた信用取引の動向をみると、12日は三菱UFJ株の買い残の返済売りが303万株と前営業日の2倍強に膨らんだ。株価急落に耐えられず、損失覚悟で買い持ち高を手じまった人が多かったようだ。
底値で売らざるを得なかった投資家は、15日の大幅高を黙って見ているしかなかった。今後、個人の逆張り投資はしぼまないか。松井証券の窪田朋一郎氏は「売りが出てきた時に買い向かうエネルギーが薄らぐ」と警戒する。海外勢の先物売買などで「相場が一方向に振れやすい状況をさらに強めかねない」(東海東京調査センターの鈴木誠一氏)との指摘もある。
輸出関連など景気敏感株に手を出しにくく、投資家は外部環境に収益が振らされにくい「ディフェンシブ銘柄」に持ち高を傾けている。15日だけみれば景気敏感株は急反発したが、比較的リスクが低い銘柄を物色する「安全志向」は止まらないとの指摘は多い。
□ □
世界の投資家の間では、利回りが比較的高く、業績も安定し、保有資金も豊富な大型株を「ニューソブリン(新たな国債)」と称して物色する動きが出ている。富国生命保険の山田一郎氏は「配当やその原資となる剰余金が多い銘柄は、低金利下でよりどころになる」と話す。
1月下旬に日経平均が941円上げた前回の大幅高では、半月後に上昇前の水準を割り込む展開になった。安全志向は安易に緩めない方がいいかもしれない。
(篠崎健太)
[日経新聞2月16日朝刊P.20]
安倍晋三首相は15日、衆院予算委員会の経済と地方創生に関する集中審議で、2017年4月に予定する消費増税について「8%への引き上げで、予想よりもはるかに消費の落ち込みが大きく長く続いた。国民に納得していただき、消費への影響にも配慮しなければならない」と述べた。
衆院予算委で答弁する安倍首相(15日)
15年10〜12月期の国内総生産(GDP)が2期ぶりにマイナスとなったことについて「日本経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は良好で、状況に変化があるとは認識していない」と言明し、企業収益が好調なことや就業者数が増えていることなどから、日本経済は堅調との見方を示した。
年初来の大幅な株価下落の原因についても「中国の景気減速への懸念や原油価格の低下、米国の利上げの動向など海外要因が背景にある」と説明。「急激な相場の変動は望ましくない。財務相には引き続き、しっかりと(市場動向を)見てもらい、必要に応じて適切に対応してもらいたい」と語った。
首相は「日々の株価の動向に一喜一憂すべきではない」と指摘する一方、「日本経済に変化はない。市場の動きを緊張感をもって注視する」と述べた。
これに関連し、菅義偉官房長官は記者会見で消費再増税について「リーマン・ショックのような大きな経済変動がない限りは予定通りやる」と改めて強調した。
一方、野党側は首相の経済政策「アベノミクス」への批判を強めた。民主党の緒方林太郎氏は最近の株価の下落率がリーマン・ショックの時とほぼ同じ状況だと指摘。玉木雄一郎氏は日銀によるマイナス金利政策について「金融仲介機能が落ちていく。経済が収縮してデフレがむしろ進行するのではないか」と迫ったが、日銀の黒田東彦総裁は「個人預金がマイナスになるとは考えていない」などと説明した。
[日経新聞2月16日朝刊P.4]
金融市場を揺らしてきた新興国の資本流出を巡り、各国の思惑が交錯している。日本などは今月下旬の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、資本規制について議論しようと働きかける。一方、議長国である中国の中国人民銀行の周小川総裁は「厳しい規制は不要」との認識を示した。市場の動揺をどう制御するか。国際協調のあり方が関心を集めそうだ。
「8千本(80億ドル=約9千億円)の人民元買いの注文が入ったらしい」――。15日、外国為替市場で人民元相場を巡り、こんな噂が流れた。中国の旧正月・春節前の5日と比べ一時1%超も元高・ドル安に振れたためだ。
きっかけは13日までに中国誌が報じた中国人民銀の周小川総裁のインタビューだ。「国境をまたぐ資本移動は正常の範囲内」と述べ、市場は「中国は厳しい資本規制が必要と認めたくない」と受け止めた。外国銀行のディーラーは「周総裁発言をうけて経済大国のメンツを守るため中国人民銀行が元を買い支えた」とみる。15日の人民元上昇により上海株の下落は鈍り、日本株の上昇に拍車をかけたとの見方もある。
資本規制を巡っては中国側の「不要論」に対し、日本などはG20会合で議題に取り上げようと画策する。規制の実効性を高め、米利上げに絡んだ新興国からの資本流出に歯止めをかけられれば、市場の動揺が和らぐと期待するからだ。
投資家の不安心理を示す「VIX指数」は足元で25前後で推移。10台だった昨年末から水準が切り上がったままだ。不安心理が強いほど投資家はリスクを避ける。為替では安全な逃避通貨の円が買われた。日経通貨インデックスによると、円の実力を示す名目実効為替レートは12日時点で、2年4カ月ぶりの高水準に達した。16年初と比べて7%高く、主要通貨で最も上昇した。
日銀は1月29日の金融政策決定会合でマイナス金利政策の導入を決めた。新発10年物国債利回りまでマイナスに沈み、本来なら円売り要因となるはずだ。クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は「G20が資本規制案などを示し市場が落ち着けば円は再び売られる」と予想する。
新興国の外貨不足の不安が和らげば投資家はリスクを取りやすい。借りた円を外為市場で売り、ドルや新興国通貨に投資する円キャリー取引が増えるとの見方もある。
ただ、不安心理が和らいでも「(米欧の緩和局面で膨らんだ)新興国のドル建て債務という根本的な問題が解決するわけではない」(みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト)との声もある。
市場混乱の原因は原油安や新興国経済の減速、米景気回復力への疑念、欧州金融機関の信用不安などが絡む。焦点は日本と中国などG20各国がリップサービスだけでなく政策の中身で足並みをそろえるか。G20後に市場が落ち着くという当局者の期待通りに進むかは予断を許さない。
(川手伊織)
[日経新聞2月16日朝刊P.21]
米国のオバマ大統領とトルコのエルドアン大統領が電話会談し、80分にわたって議論した。オバマ大統領は、シリアとの紛争で自制を発揮するようエルドアン大統領を説得しようとした。
インディペンデント紙の中東特派員パトリック・コックバーン氏は、電話会談でオバマ大統領は、シリアのクルド人はこれ以上領土を占拠するべきではないと強調したものの、米国がトルコのためにシリアでクルド人たちに背を向けることはないと指摘している。オバマ大統領は、エルドアン大統領側からの圧力があるにもかかわらず、このような形で米国が紛争に直接巻き込まれないようにしたという。
コックバーン氏によると、シリア紛争は頂点に達した。シリア軍はロシアの支援のもと、シリア北部アレッポで順調に攻撃を行っており、トルコとの国境がある北の方向に向かって進んでいる。
同時に同じ地域でシリアのクルド人も戦っている。クルド人たちは米国の支援を受けながら「ダーイシュ(IS、イスラム国)」や他のテロ組織への供給源を断とうとしている。
なおトルコは数日前からシリアのクルド人の拠点に対して砲撃を行っている。リア・ノーヴォスチ通信が報じた。
トルコは、30人以上が犠牲となったテロはシリアのクルド人によるものだとして非難しており、シリアへの侵攻によって報復すると脅している。
コックバーン氏は、最近までトルコとサウジアラビアの対シリア政策は主に「空の脅威」から成っていたが、ロシアと米国が反対しているにもかかわらず、トルコとサウジアラビアがシリアでの軍事作戦を決定するという現実的な脅威は存在するとの見方を示している。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160222/1654279.html
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エルドアン大統領、トルコ軍が外国で軍事作戦を行う権利を主張[スプートニク日本語]
2016年02月22日 02:20(アップデート 2016年02月22日 02:21)
トルコのエルドアン大統領はユネスコの庇護の元に行なわれたフェスティバル「ガジアンテプ、グルメの町」で演説したなかで、トルコは外国での軍事作戦を行う権利を有すると語った。
「トルコにはシリアなど、トルコに脅威をもたらすテロ組織がいる諸国において軍事作戦を行う権利を有す。この状況で自分の領土保全を守ることのできない国の主権については言うに及ばない。どこから脅威がこようと、それはどうでもいい。トルコがテロリストを前にして自分を守る権利は誰も阻害できない。トルコにこの措置をとるなとは誰もいえない。」
ルドアン大統領の声明をトルコのヒューリエット新聞が引用して報じた。
トルコ軍は2月14日、シリア領に対し砲撃を開始。トルコ軍の狙いはシリア北部に駐屯するクルド人自衛団の陣地。
イラク保健省は21日、イラク政権が盗まれていた放射性物質が発見されたことを明らかにした。ロイター通信が保健相の声明を引用して報じた。
イラク環境省はこれまで、バスラ市近郊にある米企業「ウエェザーフォード」の倉庫から11月末、「非常に危険」な放射性物質紛失したことを明らかにしていた。盗難された機械はノートブック大の防御カバーに入れられ、パイプの亀裂を見つけるためのガンマー線のジェネレーターとして使われていた。この機械には極めて危険度の高い放射性物質であるイリジウム192が10グラム入っていた。
イラクの治安維持機関は「ダーイシュ(IS,イスラム国)」の武装戦闘員らがこれをいわゆる「汚い爆弾」である放射能兵器の製造に用いる危険性もあると懸念していた。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160221/1653320.html#ixzz40phphxUF
シリアで同国政府軍がロシア航空宇宙軍の支援のもとテロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」の拠点に対する攻撃を続けているため、「ダーイシュ」の戦闘員らは、支配下においたシリアとイラクの占領地域にカリフ制国家を建設するという計画の放棄を余儀なくされている。
全世界が「ダーイシュ」について初めて語り始めた2014年、「ダーイシュ」は独自通貨「イスラム・ディナール」の硬貨鋳造を開始すると発表した。
しかしそれから2年後、「ダーイシュ」は自分たちの戦闘員らに、同グループの公式な決済手段は米ドルとなると伝えた。仏紙スレートが報じた。
米財務省は2015年末、シリアとイラクの銀行の金庫を襲撃した結果、「ダーイシュ」がおよそ10億ドルの資金を手に入れた可能性があると伝えた。またテロ資金供与対策に関する国際機関「金融活動作業部会(FATF)」は、「ダーイシュ」の別の資金源を発見した。イタリアの慈善団体は、シリアの子供たちを支援するために欧州全土から何千人もの人々によって送金された寄付金をトルコへ移し、その後、この寄付金はテロリストらの手に渡ったという。スレートが報じた。
三菱重工業はこのほど米国の最新ステルス戦闘機「F35A」の最終組み立て・検査を本格的に始めた。2017年度末までにまず2機、20年度までにさらに16機を手掛ける。ステルス機の製造を通して材料技術や特殊加工のノウハウを吸収。次世代の戦闘機開発にも応用する。
F35は米ロッキード・マーチンを中心に9カ国が開発参画した戦闘機。敵機に察知されにくい高いステルス性能や操縦性を高める電子機器を採用しているのが特徴だ。
三菱重工はロッキードから日本向けの機体の製造を請け負っている。防衛省は計42機を調達するが、うち38機を同社が小牧南工場(愛知県豊山町)で組み立てる。1機あたりの価格は約140億〜181億円。
同工場では分割された胴体や尾翼などを接合し、エンジンや車輪装置などを取り付ける。敵機のレーダーに反射する断面積を少なくするために独自のノウハウで機体を接合する。電波を照射しステルス性能を確認する検査も担う。
アビオニクスと呼ぶ電子機器システムの部品は三菱電機が手掛ける。同社鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)でもこのほどレーダー部品やセンサーの生産が始まっている。
[日経新聞2月16日朝刊P.17]
北朝鮮の金正恩第1書記は、北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀長に元人民保安部長の李明秀(リ・ミョンス)氏を任命した。21日、朝鮮中央通信が伝えた。
朝鮮中央通信は、金第1書記が、朝鮮人民軍総参謀長の李明秀氏と一緒に軍の演習を指揮したと伝えた。
先に複数のマスコミは、韓国の情報として、前の朝鮮人民軍総参謀長だった李永吉(リ・ヨンギル)氏が、汚職や禁止されている政治活動の疑いをかけられて処刑されたと報じた。
http://jp.sputniknews.com/asia/20160221/1652625.html
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北朝鮮軍の総参謀総長が処刑される−韓国のマスコミ[スプートニク日本語]
2016年02月10日 17:04(アップデート 2016年02月11日 18:33)
韓国のマスコミは10日、朝鮮人民軍のリ・ヨンギル総参謀総長が2月初めに不正容疑で処刑されたと報じた。
テレビ局KBSやその他のマスコミなどによると、「北朝鮮情勢に詳しい消息筋」の話だという。
リ・ヨンギル氏は2012年に中央戦線第5師団の司令官に任命され、2013年に作戦局長、その後、朝鮮人民軍の総参謀総長となった。
韓国のマスコミは2015年8月、日本の植民地支配からの朝鮮解放70周年の式典にリ・ヨンギル氏が出席しなかった後、リ・ヨンギル氏の姿が見られなくなったと報じ、北朝鮮指導部で一掃が行われたのではないかとの憶測を呼んだ。
「金正恩第1書記 朝鮮人民軍総参謀長を新たに任命」
http://www.asyura2.com/15/asia19/msg/643.html
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北朝鮮、米国の強硬政策にかまわず核開発続行を宣言[スプートニク日本語]
2016年02月21日 18:14
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)外務省は公式声明を表し、米国が新たに制裁を発動しても核軍事力を拡大し続ける構えを明らかにした。
「米国の政策が敵対度を増すに従い、朝鮮民主主義人民共和国は経済発展および核軍事力の拡大を平行して図る構えをより一層強める。」
北朝鮮外務省の声明には、オバマ米大統領の署名した新たな対北朝鮮制裁法は北朝鮮の通常の貿易経済活動に障壁を設け、北朝鮮に対する心理戦の強化を狙うためのものであり、「米国の制裁のもとで半世紀が過ぎたが、制裁は我々には一切影響を与えていない」と指摘されている。
「国際社会は制裁や脅迫は朝鮮半島の問題を解決しないばかりか、これを一層深刻化させていると異口同音に指摘している。」
北朝鮮はまた、米国は自国の政策の本質は北朝鮮の国民経済を悪化させ、体制転覆を図る ことにあるとあからさまにアピールしていると指摘している。
米CBSは、米国が武器を供給するシリアの戦闘員らが、それを使って、やはり米国政府が支援するシリアのクルド人を銃撃している事を証明するビデオを公開した。
CBSのホリー・ウィリアムス外国特派員は「これは、米国が支援しているグループがシリアで同士討ちをしていることを示す最初のビデオ証拠だ」と指摘し、次のように指摘した―
「ビデオの中では、反政府武装グループの一つの代表者らが、米国に供与されたミサイルを、シリアのクルド人達に対し用いている様子を見ることができる。現在二つのグループは、シリアで同じ一つの地区をめぐって争っている。」
シリアのクルド人達は、内戦参加勢力の中で、米国もロシアも支持している唯一のグループだ。彼らの戦闘部門は、国民自衛団(YPG) と呼ばれ、ダーイシュ(IS、イスラム国)との戦いにおいて、最も戦果を挙げている武装集団の一つだ。
米国からのクルド人支援は、トルコの怒りを呼び起こしており、すでにトルコは数日に渡り、シリア内のクルド人地区に砲撃を加えている。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160221/1647142.html#ixzz40poKKX8d
北朝鮮のマスメディアは、最高指導者金正恩第一書記の好感度を向上させるキャンペーンを開始した。ここ最近、この国のマスコミは、金正恩第一書記が、子供達と優しく交流したり、冗談を言い合ったり、病人を励ましたりといった人の心を打つような情報を定期的に伝えるようになった。先日も「ノドン・シンムン(労働新聞)」に、企業視察の際、短い時間を利用して金正恩氏が、労働者達に自分と一緒にギターに合わせて歌おうと提案したという記事が現れた。新聞は「皆、我々の愛する領袖の後について歌った」と書いている。そうした報道を韓国のマスメディアは「そうした類の報道で使われる第一書記の写真は、必ずしも新しいものではない。それらは、何カ月あるいは時に何年も前に撮られたものである」とコメントしている。
韓国の専門家らは、こうした報道ぶりを、5月に予定されている朝鮮労働党第7回党大会に向けた準備であるとみなしている。この大会では、金正恩時代への正式な移行が行われるはずだ。前回朝鮮労働党大会が開かれたのは、36年前の事だった。北朝鮮の国営マスメディアは、韓国の専門家の意見によれば、党大会を前に、最近続いた政治的な粛清によって生じた恐怖の雰囲気を払拭し、一般国民の間の、金正恩氏への忠誠や愛着の感情を高める事を課題に掲げたのだ、という。金正恩氏にとって、大衆の支持は、権力機関から「革命の第一世代や第二世代」つまり祖父・金日成氏や父・金正日氏の同志達を斥けていくためには、是非とも必要だからだ。韓国内でも、5月の党大会で、北朝鮮の経済領域での大規模な改革に向けた路線が宣言されるのではないかと期待する声がある。
金正恩氏が、自分の新年のテレビ演説の中で、いつもと同様、韓国の政策や米韓同盟を厳しく批判しながらも、経済政策に力点を置いた事は注目に値する。彼は「すべての力を、強力な経済大国建設に向け投入しなくてはならない」と述べた。
スプートニク日本のリュドミラ・サーキャン記者は、5月の朝鮮労働党大会や北朝鮮の状況について、ロシアの東洋学者でソウルの国民(クンミン)大学校で客員教授を務めるアンドレイ・ラニコフ氏に話を聞いた。氏は、ついひと月前、北朝鮮から戻ったばかりである―
「すでにもう、北朝鮮の諸都市のあちこちには、勝利者達の大会に関するスローガンが吊るされており、従って党大会はすべて、そうした伝統的な高揚した雰囲気の中、行われると思う。大会では、今後すべての事が、祖父である『金日成時代』のように行われ、危機が終わり、北朝鮮の理解によれば、常に朝鮮労働党がその基本であった正常な権力機構が復活しつつある事を示す必要があった。まさに金日成時代との継続性を示す必要があり、非常手段や軍という装置を通じて統治しなくてはならなくなった時代は終わったのだと示す必要があるのだ。それが基本的な課題である。課題の数々は、北朝鮮国内で現在進んでいる改革と完全に組み合わさっている。
私は、党大会では、改革について発表されるとは必ずしも思っていない。それは、伝統に合致しないからだ。大会では、偉大な伝統について、継承性について、『傑出した』成果の数々についてなどが話されるだろう。しかし、そこで、改革がそれに続く政治路線の変更を示唆する何かが聞ける可能性はある。大会では、路線変更の正当化がなされるかもしれない。中国人の分析専門家を筆頭に、大変多くのアナリスト達は、その事を期待しているが、私は、それは全く有り得るとしても、そうした楽観主義には組しない。」
宣言されない改革の結果、北朝鮮では、比較的大きな富裕層が生まれた。すでに中産階級も明らかに存在している。しかし、新しい市場経済勢力が、変革の支持者であり、権力当局の敵であるというのは事実ではない。
彼らは、韓国の競争相手から自分達を守ってくれるものを必要としており、官僚機構と賄賂で癒着している。このように、北朝鮮の体制を支えているのは、旧エリートと新しいエリートとの同盟なのだ。古いエリートというのは、いわゆるノーメンクラトゥーラ(党の特権階級)であり、新しいエリートとは、新興ブルジョアジーである
米国のケリー国務長官は、ロシアのラヴロフ外相と会談し、双方がシリアでの戦闘終了に関する一時的な取り決めについて原則的に合意したと考えていると発表した。ロイター通信が報じた。
ロイター通信によると、ケリー長官は、停戦に関する一時的な取り決めは「まだ詳細で満たされる」と指摘した。ケリー長官はまた、シリアでの交渉担当者は、今までになかったほど「今停戦に近づいている」と述べたという。
【カイロ時事】シリアの首都ダマスカス近郊と中部ホムスで21日、連続爆弾テロが相次ぎ、AFP通信によると民間人多数を含む少なくとも127人が死亡した。
いずれもアサド政権の支配地域が標的となっており、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。
最終更新:2月22日(月)5時15分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160222-00000010-jij-m_est
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/225.html
外交懸案には日中・日朝の二つがあったが、日中関係が水面下で改善を実現したことで、本命とも言える日朝国交正常化交渉の進展に焦点が当たっている。
14年12月に「消費税再増税延期」を理由として解散総選挙に打って出たのも、腹の据わらない安倍政権が日朝国交正常化交渉に費やせる時間を稼ぐためである。(日朝国交正常化が達成できないと、安倍氏がずるずると東京オリンピックのときも首相という馬鹿げた話が現実になるかも)
「拉致問題」の解決という前提が横たわっている日朝国交正常化は、どうあがいても、時の首相はとてつもなく火の粉を浴びてしまう政治的課題である。
今の日本で、イヤイヤでもそれに取り組む(取り組まざるをえない)政治家は、北朝鮮から破格の政治的恩義を受けている安倍晋三氏しかいないと思われる。
国民や多くの政治家は知らないが、米国・中国・韓国・ロシアの支配層は、安倍首相が日朝国交正常化をどうしても達成しなければならない“宿命”を背負った政治家であることを知っている。
北朝鮮を含む「朝鮮半島の非核化」は、今なお“生きている”05年9月19日の六者会合共同声明の内容を履行することでしか実現できない。
むろん、安倍首相も官房副長官として同行した小泉首相訪朝で合意した02年の日朝平壌宣言も、調査委員会は解体されたが14年のストックホルム合意も“生きている”。
[05年9月の合意内容]
1)北朝鮮は、すべての核兵器と核計画を放棄
2)北朝鮮は、核拡散防止条約及び国際原子力機関の保障措置に早期復帰すことを約束
3)米国は、北朝鮮に攻撃・侵略を行う意思がないことを確認
4)米国は、北朝鮮の核平和利用の権利を尊重して適当な時期に軽水炉提供問題を議論
5)米朝は、相互の主権を尊重、国交正常化のための措置をとる
6)日朝は平壌宣言に従って、懸案の解決を基礎として国交正常化のための措置をとる
7)6ヶ国は、適当な場で朝鮮半島の恒久的な平和体制について協議
これらの合意のうち、1)〜4)は既に履行されているが(4)は裏口からのようだが)、5)〜7)は未だ履行されていない。米国は、日朝国交正常化ののち(ミサイルもや核兵器問題が片付いたのち)、5)を履行する予定である。
08年12月以降開催されていない六者会合は、北朝鮮の態度云々のせいではなく、ミサイル輸出や核開発を断念する見返りのお金も含まれる日本の対北朝鮮経済協力金(1兆5千億円とも)が支払われる条件である「日朝国交正常化」が達成されない限り進展がないとわかっているから中断したままなのである。
※関連参照投稿
「対立か協調か 米中関係の行方: “戦略的無視”なのか核実験?直後でも北朝鮮を無視した一般教書演説」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/347.html
「ロシア 北朝鮮に軍事技術を供与したという非難を否定:プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/549.html
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米朝、平和協定で一時交渉 1月核実験実施で決裂[日経新聞]
2016/2/22 12:21 (2016/2/22 13:30更新)
【コロンビア(米サウスカロライナ州)=川合智之】米政府が朝鮮戦争終結に向けた平和協定を締結するため、北朝鮮と交渉に入ることで1月に合意していたことが21日わかった。合意から数日後の1月6日、北朝鮮が4回目の核実験を実施したことで交渉は決裂したという。米国務省が明らかにした。
米国務省のカービー報道官は21日、日本経済新聞の取材に「平和協定交渉を提案したのは北朝鮮だ。米は協議に非核化を入れなければならないとの立場を明確にしたが、北朝鮮は拒否した」と述べた。今回の交渉入りは、北朝鮮の非核化を目指してきた過去の米国の姿勢と矛盾しないとしている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)によると、両国はニューヨークの国連代表部を通じて接触した。オバマ政権は2期目に入って北朝鮮と非核化を協議することを複数回模索したが、いずれも成功しなかったという。昨年のイランとの核合意と同様の協議を念頭に置いていたとみられる。
これまでオバマ政権は、北朝鮮が非核化に動くまで瀬戸際外交に応じず様子をみる「戦略的忍耐」路線をとってきた。今回、北朝鮮との交渉入りが表面化したことで、米が同路線を転換し、核問題に関する6カ国協議を経ず北朝鮮との交渉に応じることを検討していたことが明らかになった。
北朝鮮は核実験後、今月7日に事実上の長距離弾道ミサイルを発射。オバマ氏は北朝鮮への独自制裁法案に18日署名し、北朝鮮への資金の流れの遮断を目指す同法が成立した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H35_S6A220C1MM0000/?dg=1
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北朝鮮 核実験前に米に平和協定交渉持ちかけ[NHK]
2月22日 8時23分
北朝鮮が先月6日に核実験を強行する前、アメリカに平和協定を結ぶための交渉を持ちかけたものの、アメリカは核の放棄を交渉の議題とするよう求めて意見が折り合わず、交渉開始に至らなかったことが明らかになりました。
これはアメリカ国務省のカービー報道官が21日、明らかにしたものです。それによりますと、北朝鮮は先月6日に核実験を強行する前、アメリカに対し、平和協定の締結に向けた交渉に応じるよう求めてきたということです。
これに対し、オバマ政権は北朝鮮の提案を検討し、核の放棄も交渉の議題とするよう求めましたが、北朝鮮側に拒否されたということで、交渉の開始には至りませんでした。
北朝鮮はアメリカ側の対応を見て、核実験に踏みきった可能性もありますが、カービー報道官は、北朝鮮が交渉を求めてきた時期が核実験を強行した先月6日のどれくらい前だったかや、どの程度のレベルでの接触だったのかなど詳細は明らかにしていません。
北朝鮮はアメリカに対し、敵視政策をやめて平和協定の締結交渉に応じるよう繰り返し求めていますが、オバマ政権は北朝鮮が非核化に向けた具体的な措置を取らないかぎり、いかなる交渉にも応じないという姿勢で、立場の隔たりは埋まっていません。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160222/k10010417651000.html
内戦が続くシリアで21日、爆弾テロが相次ぎ、合わせて142人が死亡しました。いずれも、過激派組織IS=イスラミックステートが犯行を認める声明を出し、アサド政権と反政府勢力の戦闘停止の見通しが立たないなか、ISがテロを繰り返しています。
シリア国営通信によりますと21日、首都ダマスカス近郊にあるイスラム教シーア派の重要な巡礼地がある地区で車が爆発し、さらに集まってきた人たちを狙った自爆テロが2回あり、83人が死亡、178人がけがをしました。
また、中部の拠点都市ホムスでも大量の爆弾が積まれた車2台が爆発し、イギリスを拠点に内戦の情報を集めている「シリア人権監視団」によりますと、市民など少なくとも59人が死亡し、およそ100人がけがをしました。爆発のあった場所はアサド政権を支持する住民が多く占めている地区だということです。
いずれの爆発でも、過激派組織ISがインターネット上に犯行を認める声明を出し、敵対するイスラム教シーア派などを狙ったとしています。
シリアの内戦を巡って国際社会は、ISの対策を最優先にすべきだとしてアサド政権と反政府勢力に戦闘の停止を働きかけていますが、実現の見通しが立たないなか、ISは各地でテロを繰り返しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160222/k10010417501000.html
米国とロシアは依然として主要な通常兵器の世界最大の輸出国である。ストックホルム国際研究所SIPRIが明らかにした。
報告書は2011年から2015年までの主要な通常兵器と軍事装備の供給データの発表に関連して作成された。
SIPRIのランキングによると、最大の武器供給者5カ国が世界全体の武器輸出の33%を占めており、そのトップは米国。
米国製武器の最大の需要者は中東で、全体の41%を占める。米国の最大の顧客はサウジアラビア(9.7%)、アラブ首長国連邦(9.1%)、トルコ(6.6%)となっている。
米国からの主要な通常兵器の供給は、全体として、過去5年間で27%増加した。
最大の輸出国のランキングの2位がロシアで、シェアは25%に達した。ロシア製武器のこの5年間における主な需要者はインド(39%)、中国(11%)、ベトナム(11%)の3カ国。
最大の輸出国、第三位はフランス(シェア5.6%)で、以下中国(5.9%)、ドイツ(4.7%)と続く。
全体では、2011年から2015年の間における主要な通常兵器の国際供給は、その前の5年間に比べて14%増加した。
リビア革命指導者で多年にわたり同国を統治したムアマル・カダフィ大佐のいとこ、元将軍のアフメド・カダフ・アッダム氏が、NATOの支援を受けて行われたカダフィ大佐殺害や暴力的な政権交代後のリビアの運命について、RTの独占インタビューで語った。
クーデターにより安定した、安全な国・リビアは廃墟と化し、国民は住む家を後にすることを余儀なくされた、と元将軍。
「リビアはかつて大陸全体の最前線に立ち、世界的に権威を持っていた国だ。それが踏みにじられ、従属国に成り下がった。もはやその運命は他の国の決定に依存する。我々は痛み、涙、犠牲、物質的および道徳的な損失の果てにこの日に至った。今日見られる、困難な5年間の果ての姿は、破壊のためにやって来たNATO諸国の行動の結果である」
NATOの侵攻の唯一の目的はカダフィ大佐殺害だった。侵攻さえなければリビアはこのような嘆かわしい状況にはならなかっただろう、と元将軍。
「リビアの支配者は暴君などではなかった。人民こそがその手に力と富と武器をもち、国を統治していた。彼らによって変更することができないような状況ではなかった」
リビアは今や強盗、泥棒、国際マフィアの巣窟と化し、暴力団が跋扈し、イスラムの旗の後ろに隠れた、西側からもたらされた人形たちが横行している、とアフメド・カダフ・アッダム氏。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160222/1657144.html#ixzz40tKHV5nS
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米国諜報局:リビアのダーイシュ(IS)戦闘員数は倍増[スプートニク日本語]
2016年02月05日 18:53
米国特務機関はリビアのダーイシュ(IS、イスラム国)戦闘員数が数倍に増えていることを報告している。タスが伝えた。
トルコやシリアから戦闘員がリビアに流入している。その数は現時点で6500人という。
米国特務機関のある職員は次のように述べた。「リビアのダーイシュ戦闘員数は倍増している。彼らは本格的なリビア奪取に取り掛かっている」
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160205/1557498.html#ixzz40tKX7MYi
「米朝、平和協定で一時交渉 1月核実験実施で決裂:腹が据わらぬ安倍政権に日朝国交正常化を急かせるメッセージ」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/652.html
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日本の対北朝鮮制裁は中国による制裁ほど痛みは伴わない[スプートニク日本語]
2016年02月22日 12:04
リュドミラ サーキャン
日本政府は臨時閣議を開き、北朝鮮への独自の制裁措置を決定した。先に日本政府は、北朝鮮が核実験と事実上の弾道ミサイルを発射したことを受け、国家安全保障会議の閣僚会合を開き、北朝鮮に対する日本独自の制裁強化を決めていた。
制裁措置には、「人道目的」を含む北朝鮮船舶の入港禁止が含まれている。また北朝鮮に寄港した第3国の船の入港も禁止される。さらに北朝鮮籍者の日本への入国禁止や、北朝鮮に渡航した朝鮮総連関係者の日本への再入国も禁止となったほか、北朝鮮を訪問した在日外国人の核・ミサイル分野の専門家も再入国の禁止対象とされた。その他にも、10万円以下の人道目的での送金を除き、北朝鮮向けの送金が原則禁止されるほか、資産凍結の対象となる北朝鮮の核・ミサイル計画などに関連する団体・個人も拡大される。
これらの措置の一部は以前、北朝鮮に対して発動されていた。しかし2014年に日本政府と北朝鮮当局が日本人拉致被害者の新たな調査を実施することで合意した際に解除された。菅官房長官は、「対話と圧力、行動対行動という一貫した方針のもと、拉致、核、ミサイルという諸懸案の包括的な解決を目指し、関係省庁間で緊密に連携をとりながら、これらの措置を着実に実行に移していく」と述べ、拉致問題については、解決に向けて粘り強く全力で取り組んでいくと指摘した。NHKが報じた。
朝鮮に関するロシア人専門家のアンドレイ・ラニコフ氏は、日本の制裁と西側の集団的行動は、そこに中国が加わらなければ北朝鮮指導部に強い影響を与えることはないだろうとの見方を示し、次のように語っている-
「私は、制裁面の主な要因となっているのは中国の立場ではないかと思っている。なぜなら北朝鮮のほぼ全ての貿易は中国経由で行われているからだ。もし中国が何らかの形で制裁を妨害すると決め、制裁の回避で北朝鮮を助けるとしたら、制裁の効果は非常に小さくなるだろう。一方で中国が中立な立場を取ると決めたら、北朝鮮への打撃は実感されるものとなるだろう。しかし破滅的なものとはならない。もし中国がもう少し積極的に行動したならば、北朝鮮の金正恩第1書記にとっては深刻な問題となるはずだ。中国は北朝鮮の若い指導者である金正恩氏の勝手な振る舞いに憤慨している。しかしこれに関する米国の圧力も中国の苛立ちを呼んでいる。しかし米国の立場を考慮することはすでに中国にはできない…」
ラニコフ氏はまた日本の制裁について、日本から北朝鮮への資金の流入は、日本で生まれる北朝鮮人の新たな世代と共に少なくなっているとの見方を示している。若者たちはもう自分の「歴史的祖国」を理想化してはおらず、北朝鮮を目指すこともなければ、なぜ北朝鮮に資金を送らなければならないのか理解できないだけでなく、理解しようともしていないという。
なお日本人拉致被害者についてラニコフ氏は、この問題は日本が北朝鮮に提示しているリストに含まれる拉致被害者自身とは別の局面へ移ってしまったため、事実上解決できないだろうとの見方を表している。約400人からなる最新の拉致被害者リストには、過去50年間に日本で行方不明になったほぼ全ての人が含まれている。
ロシアと米国は、シリアでの停戦に関する合意案に調印した。合意案によると、シリアでは2月27日に停戦体制に入る。ロイター通信が西側の外交筋の話として伝えた。
ロイター通信の消息筋によると、停戦に関する文書には、テロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」と「アル=ヌスラ戦線」は含まれていない。
中国で、国内最大手中国工商銀行(ICBC)の支店を含む複数の銀行が、北朝鮮に属する口座を凍結した。日曜、ロイター通信が伝えた。
ランブラーニュースサービスによれば、ICBCの丹東市オフィスのスタッフは、韓国紙東亜日報による電話取材の中で、すべての口座につき、通貨換算を含む業務が2015年12月に凍結した、と述べている。
「こうした措置の理由については知らされていないが、私は、北朝鮮と中国間の緊張に関連していると思う」とのこと。
ロンドンのボリス・ジョンソン市長は日曜、英国の欧州連合(EU)離脱推進のためのキャンペーンを行なうと発表した。
ロイター通信によれば、ジョンソン市長は日曜、EUは「主権を侵食」し、その政治的メカニズムによって民主主義の基礎を損なう、と述べ、キャメロン首相とEU当局の間で結ばれた合意は、英国とEUの連合再形成には不十分である、と述べた。
これに対し英国企業の代表者らは、英国のEU残留に投票することを発表している。これは取締役機関(IoD)、開発者、メーカー、工業企業の代表からなる工業企業グループ(EEF)の発表をブルームバーグが伝えたものだ。
IoDによれば、先週のEUとの交渉でキャメロン首相が結んだ合意は、IoDのメンバーの約60%がEU残留に投票するのに充分である。
EEFによれば、加盟者の61%が、EU加盟で輸出が有利になるとの考えから、EU残留を希望している。ブルームバーグによれば、英国のメーカーはここ数年、ポンド高や海外需要低迷に苦しんでいる。
EU離脱の是非を問う国民投票は6月23日と指定されている。
ロシアは日本企業に石油とガス採掘に関する大規模プロジェクトの一定数の株式を提案する用意がある。22日付けの日本経済新聞に掲載されたインタビューで、ロシアのドヴォルコヴィチ副首相が述べた。
副首相は次のように指摘した―
「我々は、大規模な石油・ガスプロジェクトの一定数の株式を日本に提案する用意がある。これは戦略的な開発計画を有する日本の投資家たちに関係している。」
またドヴォルコヴィチ氏は、日本がロシアに対して制裁を発動しているものの、「ロシアは日本企業と建設的な協力を行っている」と述べ、「これは政治対話のための良い状況をつくり出している」と語った。
ドヴォルコヴィチ氏はまた、クリル諸島の共同経済開発に日本企業が参加する可能性も排除せず、「クリル諸島では新しいタイプの経済ゾーンをつくる用意が進められている。地域の発展に日本企業や外国企業の参加が認められる可能性もある」と述べた。
またドヴォルコヴィチ副首相は、ロシアのプーチン大統領の訪日について、そのためには経済分野においてさらに大規模な二国間協力を達成する必要があると指摘し、「訪問を組織するためには、有意的な一連の合意を用意する必要がある」と述べた。
北朝鮮の軍は23日夜、「敵がささいな動きでも見せた場合、先制的な作戦遂行に入る」とした「最高司令部重大声明」を発表し、来月から始まるアメリカと韓国の合同軍事演習を前に、米韓両国を強くけん制するねらいがあるとみられます。
北朝鮮の軍は23日夜、国営の朝鮮中央テレビなどの国営メディアを通じて、「最高司令部重大声明」と題した声明を発表しました。
声明では来月7日から始まるアメリカと韓国の合同軍事演習について言及し、「投入される敵どもの武力と装備がささいな動きでも見せた場合、それを事前に制圧するために先制的な作戦遂行に入るだろう」としています。
そして韓国に対して「1次打撃対象は大統領府だ」としたほか、「2次打撃対象はアジア太平洋地域のアメリカ軍基地とアメリカ本土だ」と威嚇しました。北朝鮮の軍が「最高司令部重大声明」を発表したのはこれが初めてです。
核実験と事実上の長距離弾道ミサイルの発射を強行した北朝鮮に対する国際的な圧力が強まるなか、北朝鮮としては、アメリカと韓国が定例の合同軍事演習を過去最大規模で行うのを前に、米韓両国を強くけん制するねらいがあるとみられます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160223/k10010419641000.html
韓国に駐在する中国の大使は、韓国がアメリカの最新の迎撃ミサイルシステムの配備を検討していることが、「国連安保理で北朝鮮制裁決議の採択の障害となっている」と主張したうえで、「配備されれば中韓関係は壊れるかもしれない」と警告しました。
韓国に駐在する中国の邱国洪大使は、23日韓国の最大野党「共に民主党」のキム・ジョンイン(金鐘仁)代表と会談しました。
邱大使は、韓国政府が、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて、アメリカの最新の迎撃ミサイルシステム「THAAD」の配備を検討していることについて、中国政府は反対だと改めて説明しました。
そのうえで、「共に民主党」によりますと、邱大使は、国連の安全保障理事会で北朝鮮の核実験に対する制裁決議が採択されていないことについて、「THAADの配備検討が話し合いの障害となっており、それがなければ、制裁決議はすでに採択されていただろう」などと主張しました。
さらに邱大使は、「配備されれば、両国関係は一瞬にして壊れるかもしれない」と警告したということで、韓国への圧力を一段と強める構えを見せました。
一方、韓国外務省のチョ・ジュンヒョク(趙俊赫)報道官は、23日の記者会見で、「THAADは中国の安全上の利益にほとんど影響を与えないと判断している」と述べ、アメリカと配備に関する協議を進める方針に変わりはないと強調しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160223/k10010419541000.html
FBIは、この事件を機に、事件絡みのものだけでなくすべてのアップル製スマートフォンのロックが解除できるマスターソフトを手に入れようとしている。
共和党大統領候補選に挑んでいるトランプ氏も叫んでいるが、ロック解除に関する様々な方法やFBIが求めているソフトについて明確に説明しないまま、「アップルを支持する人は38%にとどまり、FBIの捜査に協力すべきだと答えた人が51%で大きく上回っています」といった結果になるような世論調査を行っても意味がない。
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ロック解除 アップルが独立委員会の設置求める[NHK]
2月23日 17時31分
アメリカのIT企業アップルと司法当局が、テロ事件の容疑者が所有していたスマートフォンのロック機能の解除を巡って対立するなか、アップルは、解除の是非を専門家の立場から議論する委員会を設置するよう、政府に求めました。
これは、去年12月にアメリカで起きたテロ事件を捜査しているFBI=連邦捜査局が、死亡した容疑者が所有していたアップルのスマートフォンのロック機能を解除するため、アップルに協力を求めたものの、拒否されているもので、これをきっかけにアメリカでは、捜査目的の情報収集と個人情報の保護を巡る議論が高まっています。
こうしたなか、アップルはホームページに「政府にとって最善の道は、技術や人権などの専門家で作る委員会を設置することだ」とする文書を掲載し、ロック機能の解除の是非を専門家の立場から議論する独立した委員会の設置を、政府に求めました。
アップルに対しては、グーグルやフェイスブックなどIT企業の多くが支持を表明している一方、アメリカの研究機関が行った調査によりますと、アップルを支持する人は38%にとどまり、FBIの捜査に協力すべきだと答えた人が51%で大きく上回っています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160223/k10010419121000.html
オバマ米大統領が、日本の安倍首相に5月のロシア訪問を自粛するよう求めていたことが分かった。共同通信が23日、複数の露日関係筋の情報として伝えた。
共同通信によると、オバマ大統領は2月9日に行われた安倍首相との電話会談で、5月のロシア訪問を自粛するよう求め、「今はそのタイミングではない」と伝えたが、安倍首相は「これに応じず、議論は平行線に終わった」という。なおこの情報は23日に複数の関係者によって明らかにされた。
米国は、安倍首相がイニシアチブをとる露日接近の傾向を不安を抱きながら注視している。
安倍首相のロシア非公式訪問は、1月に実施された露日首脳による電話会談で合意した。安倍首相のロシア訪問は5月6日になるとみられている。露日首脳会談が行われる可能性がある都市として、黒海沿岸のソチが挙がっている。
ポーランドの国家記銘院は、ポーランド第2代大統領を務めたワレサ氏が保安庁のエージェントであったことを示す機密資料が見つかったことを明らかにした。AFP通信が報じた。国家記銘院はポーランド国民に対する犯罪を告発する特別権限を有した国家組織。
AFP通信は機密資料は、1981年から1990年まで内務相を務めた故チェスラフ・キシャク将軍の自宅から発見されたと報じた。国家記銘院の調べでは機密資料の中にはワレサ氏のコードネームが署名された協力への合意文書が見つかっている。
2008年、ポーランドでは『保安庁とレフ・ワレサ』と題された本が発表され、大きなスキャンダルを呼んだ。本の著者である国家記銘院の2人の歴史家のスラヴォミル・ツェンツケヴィチ氏とピョートル・ゴンタルチク氏は、「連帯」の創始者として伝説的なワレサ氏がすでに1970年代に保安庁にリクルートされており、ボレクの偽名で6年にわたって活動していた事実を証明しようと試みた。
ワレサ氏がポーランドの社会主義特務機関と協力していた事実は、2010年に事故死したカチンスキ大統領も主張していた。
労働者の権利を支持したことでノーベル平和賞まで受賞したワレサ氏は、自分に向けられる非難を今まで何度も否定しており、2000年には裁判を通じて、そうした非難が事実無根であることを公式的に証明してきた。
シリアの内戦を巡ってアメリカとロシアが今月27日からの停戦を呼びかける共同声明を発表したことを受け、アサド政権と反政府勢力の双方が条件つきで停戦を受け入れる姿勢を示しましたが、戦闘の停止が実現するかは予断を許さない情勢です。
アメリカとロシアは22日、シリアのアサド政権と反政府勢力側に対し、過激派組織IS=イスラミックステートなどへの攻撃を除いて、今月27日から停戦に入るよう呼びかける共同声明を発表しました。
これについてシリア外務省は23日、声明を出し、「ISやアルカイダ系のヌスラ戦線、それに関係するテロ組織に対する戦いは続けるという前提で停戦に応じる」としたうえで、「戦闘停止の地域や対象となる武装組織についてロシア政府と調整する用意がある」として、停戦受け入れの姿勢を示しながらも、政権側が「テロ組織」だとする勢力への攻撃は続ける可能性を示唆しました。一方、反政府勢力の主要なグループは、「ロシアやイランなどが責任を持って市民に対する空爆や砲撃を停止すると保証するのであれば、停戦のための国際的な仲介に同意する」という立場を明らかにしました。
アメリカとロシアの停戦の呼びかけに対し、政権側、反政府勢力の双方が受け入れの条件をつけた形で、4日後の27日にシリア国内での戦闘の停止が実現するかは予断を許さない情勢です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160223/k10010419561000.html
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シリア 停戦呼びかけ合意後も各地で戦闘[NHK]
2月23日 18時02分
シリアの内戦を巡り、アメリカとロシアは今月27日からの停戦をアサド政権と反政府勢力側に呼びかけることで合意しましたが、シリア各地では23日も激しい戦闘が続いており、双方が合意を受け入れるか予断を許さない状況です。
アメリカとロシアは22日、シリアのアサド政権と反政府勢力側に対し、今月27日から一時的な停戦に入るよう呼びかけることで合意したと発表しました。
しかしイギリスを拠点にシリアの内戦を監視している人権団体によりますと、23日もアサド政権が、反政府勢力が支配する南部などに空爆を行ったということです。また、反政府勢力側も北部アレッポの郊外で砲撃を繰り返すなど各地で激しい戦闘が続いているということで、双方が27日からの停戦を受け入れるかどうか予断を許さない状況です。
一方、シリア国営通信によりますと、アサド大統領は22日、4年ぶりとなる議会選挙をことし4月13日に行うと発表しました。
アサド大統領には、停戦が実現して和平協議が進展する可能性も見越して政権の維持を既成事実化しようという思惑があるとみられます。
しかし、大統領の退陣を要求する反政府勢力側が反発を強めるのは確実で、停戦や和平協議を巡る双方の駆け引きに影響を及ぼす可能性も出ています。
シリア外務省 条件付きで停戦受け入れる方針
停戦の呼びかけについて、シリア外務省は23日、声明を発表し、「過激派組織IS=イスラミックステートやヌスラ戦線、それに関係するテロ組織に対する戦いは続けるという前提で停戦に応じる」として、ISやアルカイダ系などの勢力に対する戦闘は続ける条件で、アメリカとロシアの提案を受け入れる方針を示しました。
そのうえで「停戦が成功するよう、戦闘を停止する地域や対象となる武装組織についてロシア政府と調整する用意がある」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160223/k10010419221000.html
シリアのアサド大統領は議会選挙を4月13日に実施する大統領令を発表。シリア・アラブ通信のサイトが報じた。
次回の議会選はシリアで軍事紛争が開始されてから2度目となる。前回の議会選は2012年5月に実施されており、投票率は51%だった。
アサド大統領は外国のマスコミからの取材に対し、議会選挙を実施するほかにも臨時のシリア大統領選挙を行う可能性について幾度も語っている。
シリア反体制派は議会選の実施に賛同を示していない。アル・アラビア通信の報道によれば、国外にいる反体制派の最高交渉委員会のナアサン・アガ代表は、こうした不穏な時期に総選挙を行えば、一般住民を生命の危険にさらしかねないことから不適切と指摘している。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160223/1663854.html#ixzz410dY9SFm
米国防総省のトム・クロッソン報道官は、同国防総省がキューバにあるグアンタナモ収容所閉鎖に関する詳細なプランを米議会に提出する方針であることを確認した。
米議会は、2月23日をデッドラインとしていた。クロッソン報道官は、「我々は期限内に行う予定だ」と述べた。リア・ノーヴォスチ通信が伝えた。
米国防総省の別の報道官ジェフ・デービス氏も、ザ・ヒル紙に同様の情報を伝えた。デービス報道官によると、準備されている文書には、グアンタナモ収容所閉鎖計画をどのようにして実行するかについての異なる詳細な提案が複数盛り込まれるという。
また報道官は、米国防総省は今もグアンタナモから米国の刑務所にできるだけ大勢の収容者を移送する考えだが、議会では多くの議員がこれに反対していると述べた。
ザ・ヒル紙によると、議員らは長年にわたって米刑務所への収容者移送に反対している。議員らは、収容者の米国本土への移送が国家安全保障に脅威を与える恐れがあると主張し続けている。
リア・ノーヴォスチ通信によると、現在グアンタナモ収容所には91人が収容されている。
米国人はもうロシアを「主要な脅威」だとは考えていない。北朝鮮がロシアに代わって米国人の「主要な敵」となった。調査機関ギャラップが実施した世論調査で明らかとなった。世論調査の結果は22日に発表された。
世論調査によると、回答者の16パーセントが米国の主要な敵は北朝鮮だと答えた。なお昨年の世論調査で北朝鮮が米国の主要な敵だと答えた人は15パーセントだった。
2位はロシアで、回答者の15パーセントが、米国の主要な敵はロシアだと指摘した。昨年の世論調査ではロシアが18パーセントで1位だったため、回答者3パーセントのイメージが改善された。
3位はイランで14パーセント、4位は2014年に「首位」だった中国で、2015年と同様12パーセントの回答者が米国の主要な敵だと回答した。
ギャラップ社は、少なくとも過去4年間は、米国の主要な脅威の上位に変化はなく、ただ順位や危険度が変わっているだけだと指摘している。
なお2016年の世論調査では、(ロシアで活動が禁止されている)「テロ組織『ダーイシュ(IS、イスラム国)』が活動している国々」は5位で、回答者の5パーセントが米国の主要な脅威だと答えた。またイラク(5パーセント)、アフガニスタン(4パーセント)、シリア(4パーセント)も米国の主要な脅威に含まれた。
石油輸出国機構(OPEC)は、原油の生産水準凍結に関する話し合いを米国に呼びかけている。OPECのバドリ事務局長が、エネルギー業界の会議「セラウィーク(CERAWeek)」で明らかにした。
事務局長は、「私はEUと話し合いをしている。私はロシアと話をしている。私は中国人と話し合いをしている。私は米国を除くほぼ全ての国と話をしており、私は米国との対話を望んでいる」と述べた。
なおバドリ事務局長は米国との対話について、米国の反トラスト法に反するものとはならないはずだと指摘した。
エネルギー・インテリジェント・グループは、米国は2016年、原油の生産量を他のどの国よりも増加すると予測している。OPEC非加盟国の原油生産量総増加量の割合は60パーセントで、日量50万トン。そのため米国と合意した場合、原油の供給過剰が深刻化している市場を安定させることが可能となる。
一方で先にリア・ノーヴォスチ通信の米国法律分野の専門家たちは、米エネルギー省は民間生産者の原油生産水準に影響を与える法的根拠を持たないため、OPECとの対話は不可能だと指摘した。
米議会は12月、1975年から禁止されていた原油輸出を解禁した。
http://jp.sputniknews.com/business/20160223/1661535.html
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NY原油先物価格 米での生産減少予測受け上昇[NHK]
2月23日 5時56分
週明け22日のニューヨーク原油市場は、IEA=国際エネルギー機関が、アメリカでの原油の生産が来年にかけて減少するという見通しを示したことなどから、原油の先物価格は、一時、先週末より8%以上高い1バレル=32ドル台に上昇しました。
22日のニューヨーク原油市場は、IEA=国際エネルギー機関が、この日発表した原油市場の中期見通しの中で、価格の低迷を背景にシェールオイルなどアメリカの原油の生産が来年にかけて減少するという予測を示したことを受けて、原油の供給過剰な状態が和らぐという見方が広がりました。
このため、買い注文が広がって、国際的な原油取引の指標となるWTIの先物価格は、一時、先週末より8%以上高い1バレル=32ドル台に上昇しました。
市場関係者は「先週末にアメリカで稼働している原油の掘削装置の数が減っていることが確認されたことも、買い注文につながった。ただIEAは、世界全体の原油の供給量がことしも需要を上回ると予想しており、価格が本格的に回復するにはまだしばらく時間がかかるだろう」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160223/k10010418591000.html
米情報機関による活動の暴露などで知られる内部告発サイト「ウィキリークス」は23日、米国家安全保障局(NSA)が世界の主要な指導者たちを盗聴していたことを証明する機密文書を再び公開した。
ウィキリークスの文書の短評では、NSAが国連のパン事務総長とドイツのメルケル首相の会談、イスラエルのネタニヤフ首相と元イタリア首相のベルルスコーニ氏との会談、また当時フランスの大統領だったサルコジ氏とメルケル氏そしてベルルスコーニ氏との会談を盗聴していたと伝えられている。
その他にも、EUと日本の貿易担当大臣による世界貿易機関(WTO)に関するやり取りも記録された。
複数の文書は、「かつてメディアが公開した中で最高レベルの機密性」を持っている。
http://jp.sputniknews.com/world/20160223/1661434.html#ixzz410tuYVQj
今年の春節(旧正月、今年は2月8日)には、日本を訪れる中国人観光客の間で、文房具、ステンレスボトル、爪切り、食品、医薬品、保健品、化粧品などの日用品が大量買いの新たなターゲットになった。昨年人気を集めたスマート便座や電子ジャーといった耐久消費財に比べ、今年の人気商品は価格が安く、需要が多いという特徴があり、世界的に知名度の高いブランドが人気という点は共通だった。新華網が伝えた。
世界に小型商品を輸出する「製造業大国」の中国だが、日用品分野では消費者の全方位的な需要を満たせていないことに考え込んでしまう。
▽中国人観光客は海外での「爆買い」が大好き 日本製品の人気は「高品質のため」
報道によると、春節連休期間には中国人観光客600万人が海外に出かけ、900億元(約1兆5577億円)を消費して、過去最高を更新した。
人気旅行先の日本の場合、同期間の中国人観光客は前年比52%増加し、大阪高島屋は免税販売の金額が同2.6倍増加するという記録をうち立てた。
ここからわかることは、日本製品の品質が中国人観光客に評価されているということだ。大は医薬品や保健品の開発から小は文房具のデザインまで、日本製品は規格がそろい、技術が高い。中国の製造業企業は日本に追いつき、追い抜こうと思ったら、かなり努力しなくてはならない。
日本は商品の供給とサービスの供給で中国人観光客の消費を促す強力な「タッグ」を組む。中国人観光客を呼び込むため、日本の商店は中国の春節や国慶節を大規模に取り入れる。多くの店舗が中国人の店員を雇うほか、「支付宝」(アリペイ)や「微信支付」(WeChatPayment)といった中国固有の決済サービスに対応し、中国人観光客が「バリアフリー」で買い物できるようにしている。
また15年は中国人観光客のショッピング熱が、日本で「冷や水を浴びせられる」ということがなかった。日本の店舗も人々も中国人観光客に対し「来る者は拒まず」という態度で接し、「ブラックガイド事件」が発生することもほとんどなく、中国人観光客は日本で中国の人気観光地よりも快適な旅を楽しんだ。
さらに円安が続いていることや日本政府の外国人観光客に対する免税・税還付政策があり、中国人観光客は日本で「何をしても何を買っても安い」と感じるようになった。オカモトや花王といった世界的に有名な日用品メーカーの業績が大幅に伸びており、それぞれ「よい年を迎えた」という。
▽海外での「爆買い」からみえる供給問題の改革の必要性
商務部(商務省)と国家観光局がまとめたデータによると、15年に海外に出かけた中国人観光客はのべ1億2千万人、海外消費額は約1兆2千億元(約20兆7609億円)に上り、どちらも世界一だった。
中国財経大学金融研究院の郭田勇教授は、「経済発展の蓄積と対外開放の不断の深まりにともない、より多くの人々が海外旅行に気軽にお金を使うようになった」と話す。
中国国際貿易促進委員会の趙萍研究員は、「豊かになった中国人消費者は購入する商品の品質やブランドにより高い要求を出すようになった。一連の国内の小型商品メーカーは品質の飛躍と世界におけるブランド知名度の向上を追い求めるが、まだニーズを満たせてはいない」と指摘する。
消費は経済成長を牽引する重要なエネルギーであり、消費の流出は中国人消費者の巨大な購買力を明らかにするとともに、国内の商品の供給と消費者の需要との間にはズレがあることも示している。
現在の経済の下方圧力は巨大で、中国では多くの産業が過剰生産能力の問題を抱えている。新たに生まれた供給は消費の中で生存発展の機会をつかまなければならない。巨大な消費の流出は過剰生産と新たな供給の育成をより大きな困難に直面させている。
起業・イノベーションが資本不足に直面し、一部の地域ではインキュベーターが活動を停止し、伝統的製造業企業の多くが生産能力の縮小・削減後に有効な新しい成長源を見いだせていない。新たな供給によって国内消費を牽引したり、海外に流れた消費の回帰を誘導したりすることは、より難しくなっている。
だが海外での爆買いが映し出す「消費のバージョンアップ」は、国内製造業と世界の先端レベとの開きをくっきりと映し出すものではあるが、中国製造業が過剰生産能力を解消し、産業構造をバージョンアップさせる上で必ず通らなければならない道を指し示してもいる。
15年11月11日に行われた国務院常務会議で、李克強総理は、「国民の消費需要のバージョンアップによって、国内の消費財産業のバージョンアップを促進しなければならない」と指摘した。
▽中国が消費の回帰を誘導するのは「それほど簡単ではない」?
国内の商品とサービスの供給についてみると、先進国の水準を超えるには長い道のりを歩まなければならないことは確かだ。
郭教授は、「各レベル政府は行政のスリム化と権限委譲の進化から着手して、起業の経営環境の改善をはかることができる。引き続き税金を減免し、中級・高級製造業企業の製造コストを引き下げ、科学技術イノベーションへの支援を拡大して、国産商品の品質面での競争力と価格的優位性を引き上げることができる」との見方を示す。
趙研究員は、「工業デザインの観点から品質と使用体験を引き上げ、営業販売によって中国ブランドの国際的イメージを確立するというのが、供給側の改革で中国製造業ブランドの競争力を引き上げるための2つのルートだ。中間段階を減らし、費用が加算される段階を減らし、流通コストを引き下げることが、価格競争力を高めるために必要になる」と話す。
また郭教授は、「より重要なことは整った社会信用システムの構築だ。信用を失った生産経営者は逃れる術がないようにして、国内の生産経営者に商品とサービスの質を引き上げるよう迫り、消費者が安心し、満足できる市場環境を創出することが必要だ」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年2月23日
【モスクワ=古川英治、ワシントン=川合智之】ロシアのプーチン大統領とオバマ米大統領は22日、両国がそれぞれ支援するシリアのアサド政権と反体制派に一時停戦を呼びかけることで合意した。だが計画通りにロシアが戦闘行為をやめるかどうかは流動的だ。ロシアには、シリア難民に困惑する米欧を揺さぶり、ウクライナ問題で発動された対ロ制裁の解除を狙う思惑もありそうだ。
今回の合意内容は、過激派組織「イスラム国」(IS)などのテロ組織は停戦対象から外している。このためロシアが「対テロ」を名目に、停戦合意後も反体制派への攻撃を続ける余地が残る。戦場で戦う相手を第三者が特定するのは難しい。
前例がある。22日の米ロ合意に先立ち、米ロや欧州、中東などを加えたグループは11日にいったんは停戦で合意した。だが合意後もロシアは要衝アレッポなどで反体制派への空爆をやめなかった。
今回もロシアはアサド政権が要衝アレッポを掌握するまで、反体制派に対する攻撃を続ける可能性がある。ロシアが後ろ盾となっているアサド政権の支援を続け、同政権のシリア実効支配を固める目的があるとみられている。
プーチン政権が強気に出ているのは、米国がシリアで軍事的にロシアと対峙することはないと踏んでいるからだ。ケリー米国務長官らは「空爆の大半は反体制派が標的」と対ロ非難を繰り返すが、戦闘を止めるにはロシアに協力を求めるしかない。
一方で中東からの難民流入に直面する欧州では、シリアの混乱を収束させるためロシアに譲歩し協力を取り付けるべきだとの声も強まっている。欧州の外交官は「難民問題などでロシアとの対話は不可欠」と指摘する。
今回の合意では米国が要求してきたアサド政権の退陣問題には触れず、米ロ間のホットラインを開設することが決まった。実質的にはロシアに有利な条件での停戦だ。
原油安により苦境に陥ったロシアは対ロ制裁の解除を欧米に働きかけている。欧州の外交官は、ロシアがウクライナ領クリミア半島を武力で自国に編入したことを機に停止した対話の枠組みを再開することを欧州連合(EU)が検討していると明かした。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC23H03_T20C16A2FF1000/?dg=1
外交部(外務省)の華春瑩報道官は22日の定例記者会見で、ケリー米国務長官の招待を受けて王毅外交部長(外相)が23〜25日に米国を公式訪問すると発表した。双方は中米関係および関心を共有する国際・地域問題について意見交換する。新華社が伝えた。
華報道官は「王部長の訪米は今年初であり、中米間の重要な交流だ。われわれは今回の訪問を通じて双方が2016年の中米ハイレベル交流および制度化された対話の手配を整え、各分野の実務協力の深化について話し合い、敏感な問題を建設的に処理し、中米関係の持続的で健全な安定した発展を促すことを希望する」と述べた。
朝鮮半島核問題については「最近、中米双方はこの問題について緊密な意思疎通と調整を継続している。王部長の訪米期間に双方は引き続き踏み込んで意見交換すると信じている」と述べた。
また「朝鮮半島核問題において、中国側の態度は非常に明確だ。われわれは朝鮮半島の非核化を堅持し、朝鮮半島の平和・安定維持を堅持し、対話と交渉を通じた問題の平和的解決を堅持する。朝鮮が核実験と衛星打ち上げを行った後、われわれは国連安保理が新たな力強い対朝決議を採択することを支持している。同時に、朝鮮半島情勢の緊張を激化させる行動を控えるよう各国に呼びかけている。次の段階において、各国は共に努力して、朝鮮半島核問題を対話と交渉の軌道に戻し、朝鮮半島の非核化と停戦・和平メカニズムの転換プロセスを並行して推進する重要な構想を検討し、朝鮮半島の長期的な安定・平和を実現するべきだ」と述べた。
南中国海問題については「米国は南中国海をめぐる争いの当事国ではなく、南中国海問題が中米間の問題となるべきではない。南中国海地域の平和・安定維持は中米及び関係各国共通の利益だ。われわれは米側が領有権争いで特定の立場を取らないとの約束を順守し、南中国海問題を大げさに宣伝することを止め、緊張を誇張することを止め、地域の平和・安定に建設的役割を発揮することを希望する」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月23日
オバマ米大統領が9日に電話協議した安倍晋三首相に5月上旬のロシア訪問を自粛するよう促していたことがわかった。5月下旬の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)前の訪ロについて「この時期に行くのは控えてほしい」との意向を伝えたという。首相は北方領土問題を抱える日本としてロシアとの対話の重要性を訴え、理解を求めた。
日米首脳の電話協議は、北朝鮮の事実上の弾道ミサイル発射を受け、首相から呼びかけた。かねて米国は日ロの接近に警戒感を示しており、日ロ首脳の相互往来に慎重な対応を求めてきた経緯がある。
欧州連合(EU)はロシアの最大の貿易相手で、ウクライナ問題などで対ロ制裁に強硬姿勢をとる米国との温度差が指摘される。オバマ大統領としてはサミット前にG7の足並みが乱れるのを避けたいとの思いがあり、安倍首相に自重するよう呼びかけたもようだ。
首相は1月の施政方針演説で、対ロ外交について「領土問題の解決、平和条約の締結に向けて、あらゆる機会を見つけて対話を重ねていく」と表明した。5月上旬に訪ロし、プーチン大統領との首脳会談に臨む方針は変えないものとみられる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H5R_T20C16A2PP8000/?dg=1
三井住友銀行が基本給を底上げするベースアップ(ベア)を3年ぶりに見送る方向になった。日銀のマイナス金利政策などで業績の先行き不透明感が強まったためで、ほかのメガバンクも経営側はベアに慎重とみられる。各行は普通預金金利を下げるなど顧客に「痛み」を求めており、ベアに動きにくい面もある。
「物価上昇も小幅で、見送りもやむなしだ」。三井住友銀の労働組合執行部は23日、今春の労使交渉の要求案にベアを盛り込まないことを組合員に通知した。直近2年間は好業績や物価上昇などを背景にベアを要求し、経営側も受け入れてきたが、今年は要求段階でベアを断念した格好だ。
同行労組が3メガバンクの先陣を切ってベア要求を見送ったことで、三菱東京UFJ銀行やみずほフィナンシャルグループの労組にも動揺が広がった。両行の労組はなおベア要求の可否を見極める構えだが、ライバル行のベア見送りで動きづらくなった感は否めない。
銀行業界の収益環境は足元で厳しさを増している。今年に入ってから急速に円高・株安が進み、市場取引で利益を上げにくくなった。さらに1月末に日銀が発表したマイナス金利政策が追い打ちをかける。主力の貸出業務で利ざやの縮小に拍車がかかり、2016年3月期だけでなく来期業績も視界不良だ。
3メガ銀はマイナス金利政策の発表後、普通預金の金利を年0.001%と大幅に引き下げ、定期預金金利も軒並み下げている。預金者の利息収入を減らしておきながら、行員にはベアで報いると批判を招きかねないとの判断もありそうだ。
産業界ではトヨタ自動車などの自動車大手の労組が昨年実績を下回るもののベアを要求し、日立製作所などの電機大手の労組もベアを求めている。主要産業の中でもマイナス金利政策の影響を受けやすい銀行界がベアに動きにくくなっている構図も浮かび上がる。
もっとも3メガ銀は賃上げに後ろ向きという姿勢を前面に出したくない事情もある。賃上げを起点にした景気や物価の押し上げを目指す安倍政権に協力を求められているためだ。三井住友銀の労組はベア見送りの代わりに一時金の1%増額を求めており経営側も前向きに検討する見通し。他のメガ銀首脳も「ベアか分からないが賃上げはしたい」と話す。今年の3メガ銀の労使交渉は厳しい収益環境と政権の意向をにらみながら軟着陸を探る展開になりそうだ。
◇
東京海上日動火災保険の労働組合は23日までに、ベアの要求を見送る方針を固めた。見送りは2年ぶり。消費者物価の上昇が遅れているほか、景況感の回復が見通しにくいことなどから、ベアを要求しても実現は難しいと判断したもようだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC23H0O_T20C16A2EA1000/?dg=1
ユダヤ教は“内に取り込む宗教”(教義と信仰をユダヤ人の外に広めるかたちではなく、信仰を契機に異民族の人たちをユダヤ人とするかたちで拡大)で、キリスト教とイスラムは“世界化する宗教”(異民族の人たちにも信仰を広げるかたちで普遍(世界)的な教義として拡大をはかる)と考えることもできる。
そのため、ユダヤ教の「利息取得禁止」は、“同胞”に対するもので、非ユダヤ人からは利息取得が可能である。
旧約聖書を契約として受け容れるキリスト教は、「利息取得禁止」を広く訴えた。しかし、中世のカソリック修道院のなかには、高利貸しと酒池肉林におぼれるところもあった。また、戦争に明け暮れた支配層(王族)は、資金調達や資金運用のためにユダヤ人金貸しを重用していた。
キリスト教西欧で金貸し業が生業として認められるようになったのは、宗教改革以降である。
イスラムの現代風「イスラム金融」は、「利息取得禁止」を避けるかたちで金融を行う制度(ムダーラバ)であり、事業活動への融資も、利子ではなく配当を受け取ることでリスクを共有する投資というかたちになっている。(酒類・賭博・ポルノ・禁忌の食品に関係する事業への投資(融資)は禁止)
個人向け融資も、月賦販売のようなかたちで、高額商品に手数料を上乗せた金額を延べ払いする方式である。
そうはいっても、サウド王家などオイルマネーを積み上げたムスリムは、欧米の銀行の株式を購入しており、その配当を得ることで間接的に“利息取得”を行っている。
※参照投稿
「「利息」は経済社会にとって非合理なもの − 利息取得の禁止で「近代」は終焉を迎える」
http://www.asyura.com/2002/dispute3/msg/313.html
最近、華人を含むアジア系住民が全米各都市でデモ行進を行い、ニューヨーク市の中国系警官ピーター・リャン被告が勤務中に黒人を誤殺して有罪となったことに抗議した。(人民日報「鐘声」国際論評)
技術的詳細はさておき、この事件が社会レベルで激しい反応を引き起こした根源には米国の深い人種問題がある。これまでに起きた警察が黒人を銃撃した事件で、白人警官の場合は無罪となるケースが頻繁にあったが、リャン被告は陪審団により重罪を言い渡された。これは白人警官と違い、同じくマイノリティーに属するリャン被告が全米の反警察暴力、警察とアフリカ系コミュニティーの対立の犠牲者となったことを物語っている。ニューヨーク・タイムズはリャン被告の有罪について「ニューヨークのアジア系住民に長年存在する不満感を刺激した。彼らは今回の事件を抵抗できない辺縁の社会層がひどい扱いを受けた新たな例と見ている」と論じた。ホワイトハウスも今回の事件について、全米各地に肌の色の異なる人種と法執行機関との間に深い不信感があることを認めた。
人種問題は米国に幅広く存在する問題であり、リャン被告の事件に対する世論の反応は、米国社会の痼疾の新たな顕在化に過ぎない。アフリカ系、アジア系など米国のマイノリティーは経済的にも政治的にも弱い立場に置かれ、米国の主流社会との間に相当大きな階層的差異がある。これは米国の人種摩擦が「すぐに火がつく」根本的原因だ。
近年、アフリカ系男性が白人警官に殺される事件が相次ぎ、人種問題に関する事件が米国社会を引き裂き、世界の世論を騒然とさせている。バージニア州のケイン元知事が指摘したように、今日の米国社会は内戦時のように決裂してはいないが、「日々ニュースを見る人は、米国が依然深い社会分裂の中にあることを知っている」のだ。
米国の主流政治が人種問題のもたらす様々な厳しい試練を有効に解決できないことが、外界が米国政治を観察する重要な一面となるのは当然だ。米国政府は国際社会で常に「人権の擁護者」の仮面をかぶっているが、自らの人種問題には手をこまぬいており、この仮面は「虚偽」の字に満ちている。今日の米国は主流社会が社会構成の変化に不快感と憂慮を増している。また、主流社会自体にも先鋭な対立が生じ、自由派と保守派との間には基本的価値観においてひびが入っている。エリートを基礎として築かれた米国の政治体制は、この憂慮と分裂の制約を深く受け、社会のひび割れを真に繕うことができず、政策レベルで人種問題をしっかりと緩和することが困難となっている。現時点の報道を見ると、リャン被告事件の背景として、政府の低家賃賃貸住宅の階段に照明がなかったことが惨劇の発生と直接関係する。こうした細部はもっと重視されるべきだ。
ニューヨークのブルームバーグ前市長は「人種問題が社会的事件を引き起こすことは、長年民衆が貧困と経済的流動性の欠如のために抱いてきた失望を反映している」と述べた。いかなる社会の基本的安定も開放・包容の社会文化だけでなく、社会公平に対する有効な保障にかかっている。経済的、社会的権利が十分に保障されて初めて「人は生まれながらにして平等」が単なる理念ではなくなり、マイノリティーに対するシステム的差別も解消される。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月24日
外交部(外務省)の華春瑩報道官は22日の定例記者会見で、中国が南中国海の「軍事化」を推し進めているとの米側の非難について、米国の艦艇や航空機の頻繁な接近偵察こそが南中国海「軍事化」の最大の誘因だと指摘した。新華社が伝えた。
【記者】最近米側には中国による永興島へのミサイル配備が南中国海の「軍事化」を推進するもので、とりわけ現在の時機と情勢の下では、南中国海情勢の緊張を激化させると非難する声が常にある。だが先日の米国務省の記者会見で、米軍艦による南中国海でのいわゆる「航行の自由」行動に疑問を呈した米メディアもある。これについてコメントは。
【華春瑩報道官】しばらくの間というもの、米側は常に「軍事化」をまことしやかに語っている。だが実際には、米側は故意に概念を混同している。
中国は自らの領土に必要な国土防衛施設を配備しているのであり、米国がハワイに防衛力を配備するのと本質的になんら違いはない。米国の艦艇や航空機は年中地域の国々に対して頻繁に接近偵察を行い、かつその回数は年々増加し、南中国海情勢の緊張を激化させている。これこそが南中国海「軍事化」の最大の誘因だ。
われわれは米側がこの問題で是非を混同せず、再三地域の緊張を誇張せず、緊張をもたらさないことを希望する。われわれは米側に対して、地域の平和・安定のために建設的役割を発揮するよう促す。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月23日
http://j.people.com.cn/n3/2016/0223/c94474-9020052.html
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国防部、中国が南沙諸島の防衛施設配備は完全に正当かつ合法
人民網日本語版 2016年02月24日10:53
米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が報告で、南沙(英語名スプラトリー)諸島での中国側による国防防衛施設の配備を非難したことについて、国防部(国防省)報道局は、中国側の行為は完全に正当かつ合法だと表明した。
CSISは報告で衛星画像によると中国側は最近華陽礁、東門礁、南熏礁、赤瓜礁などにレーダー施設を建設し、軍事能力を強化したと指摘。これは南中国海の戦略構造に影響を与えるものであり、中国側は将来これらの施設を利用して海空監視・軍事予防措置を講じることができるとした。
国防部報道局は「南中国海の島・礁での中国側の建設は主に民事目的であり、ナビゲーション、気象などの施設を含み、国際社会により良く公共サービスを提供するものだ。同時に、島に必要な国土防衛施設を配備するのは、国際法の与える主権国家としての自己保存権、自衛権の行使であり、完全に正当かつ合法だ。米側が南中国海で軍事配備を強化し、公然と武力を誇示し、軍用機・艦艇を派遣して関係海空域で挑発を行い、同盟国とパートナー国を抱き込んで標的性の強い『合同軍事演習』や『合同巡航』を行うことこそが南中国海『軍事化』の根本的原因であることを指摘する必要がある。関係方面がこれに見て見ぬふりをし、一方で中国側の正当で合法的な島・礁建設活動を再三非難し、故意に問題視し、緊張した雰囲気を誇張するのは、魂胆のある大げさな宣伝だ」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月24日
http://j.people.com.cn/n3/2016/0224/c94474-9020623.html
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外交部、米側のいわゆる「航行の自由」には絶対的な軍事覇権の意図がある
人民網日本語版 2016年02月24日10:19
外交部(外務省)の華春瑩報道官が23日の定例記者会見で質問に答えた。
【記者】米海軍第7艦隊のアーコイン司令官はこのほど、オーストラリアその他の国々は米国と共に、南中国海の係争島嶼12海里内を巡航し、航行の自由権を示すべきだと表明した。また、米メディアの論評は、米国は中国が南中国海での「沙島長城」建設によって領有権主張を拡大することに警戒すべきだとした。これについてコメントは。
【華春瑩報道官】中国は世界最大の貿易国、世界最大の南中国海沿岸国として、どの国にも増して航行の自由の問題を重視している。数多くの事実が明白に示しているように、南中国海の航行の自由にはかねてより問題がない。南中国海の航行の自由への影響のレッテルを中国に押しつけることはできない。国際法が与えた航行の自由は米国の艦艇や航空機による武力誇示の自由では断じてないことを指摘しなければならない。米側は口では「航行の自由」を言うが、心の中では恐らく海上の絶対的な軍事的覇権を望んでいる。われわれは米側が挑発を止め、故意に緊張をもたらすことを止め、南中国海の平和・安定にマイナスの言動を止めるよう望む。
南中国海において中国が「沙島長城」建設によって領有権主張を拡大しているとの一部米メディアの論評に関しては、南中国海における中国の主権と権利は長年の歴史過程によって形成されたものであり、歴代中国政府が長年堅持してきたものでもあり、十分な歴史的根拠、法理上の根拠を有し、われわれには拡大の意思もなければ、縮小も認めないということを重ねて表明したい。もしどうしても「長城」という言葉を用いたいのなら、自らの領土主権と正当な合法権益を断固として守る中国人民の「意志の長城」をもっと重視するよう提言する。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月24日
東京電力は、福島第一原子力発電所の事故発生から2か月たって、核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」が起きたことをようやく認め大きな批判を浴びましたが、当時の社内のマニュアルでは事故発生から3日後にはメルトダウンと判断できたことを明らかにし、事故時の広報の在り方が改めて問われそうです。
福島第一原発の事故では1号機から3号機までの3基で原子炉の核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」、「炉心溶融」が起きましたが、東京電力はメルトダウンとは明言せず、正式に認めたのは発生から2か月後の5月でした。
これについて東京電力はこれまで、「メルトダウンを判断する根拠がなかった」と説明していましたが、事故を検証している新潟県の技術委員会の申し入れを受けて調査した結果、社内のマニュアルには炉心損傷割合が5%を超えていれば炉心溶融と判定すると明記されていたことが分かりました。
実際、事故発生から3日後の3月14日の朝にはセンサーが回復した結果、1号機で燃料損傷の割合が55%、3号機では30%にそれぞれ達していたことが分かっていて、この時点でメルトダウンが起きたと判断できたことになります。
東京電力は事故後にマニュアルを見直し、現在は核燃料の損傷が5%に達するより前の段階でメルトダウンが起きたと判断して公表するとしていますが、事故から5年近くたって新たな問題点が明らかになったことで、当時の広報の在り方が改めて問われそうです。
福島県「情報提供しっかり」
メルトダウンを巡る東京電力の対応について、島県原子力安全対策課の菅野信志課
長は、「原子力発電所の事故の際、状況を迅速、的確に通報することが大事なので、当時、早く伝えてもらえていればと考えている。福島第一原発では、現在、廃炉に向けてさまざまな取り組みが行われている。今回の対応を教訓に、情報提供や通報をしっかり行ってもらいたい」と話しています。
新潟県知事「隠蔽の背景など明らかに」
新潟県の泉田裕彦知事は、「事故後、5年もの間、このような重要な事実を公表せず、原発の安全対策の検証を続けている県の技術委員会に対しても真摯(しんし)に対応して来なかったことは極めて遺憾。メルトダウンを隠蔽した背景などについて今後の調査で、真実を明らかにしてほしい」というコメントを発表しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160224/k10010420291000.html
内戦が続くシリア情勢を巡って、アメリカのオバマ大統領は、イギリス、フランス、ドイツの首脳とテレビ会議を開き、アサド政権などすべての当事者が今月27日からの停戦に応じ、直ちにシリア国民への無差別爆撃をやめるべきだと強調しました。
アメリカとロシアは22日、過激派組織IS=イスラミックステートなどへの攻撃を除いて今月27日から停戦に入るようアサド政権と反政府勢力の双方に呼びかける共同声明を発表しました。
これを受けて、アメリカのオバマ大統領は23日、イギリスのキャメロン首相やフランスのオランド大統領、それにドイツのメルケル首相とテレビ会議を開きました。
ホワイトハウスによりますと、この中で4か国の首脳は、アサド政権などすべての当事者が停戦に応じ、直ちにシリア国民への無差別爆撃をやめるべきだと強調しました。
そのうえで、シリアの安定のため政権移行に関与していく方針を確認するとともに、人道支援策についても協議しました。
シリアの停戦を巡っては、アサド政権と反政府勢力が条件つきで応じる姿勢を示しましたが、各地で戦闘が激しさを増していて、支配地域をさらに広げるため攻撃を強化しているもようです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160224/k10010419911000.html
韓国外務省は24日、アメリカの最新の迎撃ミサイルシステムの韓国への配備を巡って、「配備されれば、中国と韓国の関係は一瞬にして壊れるかもしれない」などと述べた韓国駐在の中国大使を呼んで、抗議しました。
韓国に駐在する中国の邱国洪大使は、23日、韓国の最大野党の代表と会談した際、韓国政府がアメリカの最新の迎撃ミサイルシステム「THAAD」の配備を検討していることについて、「配備されれば、中国と韓国の関係は一瞬にして壊れるかもしれない」と述べるとともに、国連の安全保障理事会で北朝鮮に対する制裁決議がまだ採択されていない原因になっていると主張しました。
この発言を受けて、韓国外務省は24日午後、邱大使を呼んで抗議し、韓国側によりますと、邱大使はみずからの発言の内容について説明したうえで、「両国関係の発展のためにいっそう努力する」と述べたということです。
国連安保理での北朝鮮に対する制裁決議を巡って、ワシントンで23日、アメリカのケリー国務長官と会談した中国の王毅外相は近く採択されるという見通しを示していますが、THAADの配備に向けた検討を進める韓国と自国の安全保障が脅かされるとして反対する中国との対立が深まっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160224/k10010420781000.html
[北京 24日 ロイター] - 中国の外貨準備はなお世界最大規模を誇るが、資本流出に伴い急スピードで減少しており、中国政府は遠くない将来に人民元の切り下げ、あるいは資本統制への逆戻りを強いられるとの見方が一部で浮上している。
中国の外貨準備は1月に995億ドル減って3兆2300億ドルとなった。2014年半ばに比べると7620億ドル減と、スイスの国内総生産(GDP)を上回る規模で減っている。
中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は先週、「財新」のインタビューで資本流出について、ドル高を背景とした国内企業によるドル建債務の返済と対外投資による部分が大きいと指摘。債務返済は間もなく底を打つし、対外投資は歓迎すべき動きだと擁護してみせた。
大半のエコノミストは、中国の外貨準備にはまだ大きな余裕があるとの見方に同意しているが、一部には数年後と言わず数カ月後にはブレーキを踏む必要が出てくるとの見方もある。
外貨準備の減少ペースが加速したのは、人民銀行が海外の投機売りや国内の資本逃避に対処し、人民元買い介入を行ったためだ。
外貨準備はなお巨額だが、中国ほどの規模の経済だと、輸入や対外債務の返済に多額の準備が必要になる。その上、外貨準備の内訳が流動性の低い資産であれば、その要請にすぐには答えられない。
中国の外貨準備の構成は国家機密だが、複数の当局者は、ドル以外の通貨の価値がドル建てで減少していることも、準備高減少の一因だと話している。
ソシエテ・ジェネラルは、国際通貨基金(IMF)の指針では中国にとって安全といえる外貨準備の最少額は2兆8000億ドルで、現在のペースで減少を続ければ間もなく到達するとみる。
同社は「向こう数カ月中に到達すれば、投機的な売りが押し寄せ、人民銀行は降参して人民元レートを市場に委ねるしかなくなる」としている。
これに比べ、G20(20カ国・地域)のある中央銀行副総裁はもっと楽天的で「(安心できる最少額が)どのくらいか分からないが、2兆8000億ドルよりずっと少ないことは確かだ」と述べた。
<魔法の数字は存在せず>
HSBCのアナリストチームは理論上2兆ドルで十分だと見ているが、減少を続ければ国内投資家が脅えて海外への資金移動を加速させる恐れがあるため、中国当局が手をこまねいているとは考えにくいという。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)の新興国市場通貨ストラテジー・グローバル統括、ウィン・シン氏によると、中国の外貨準備は1年5カ月分の輸入をカバーできる水準であり、短期対外債務の外貨準備に対する比率は25%にとどまる。新興国として安全な水準と考えられる3カ月と55%よりもはるかに良好だという。
シン氏は「われわれが新興国に適用しているどんな尺度で見ても、中国の外貨準備は十分すぎるほどだ」と話した。
中国のシンクタンクのあるエコノミストも「3兆3000億ドルもあって何を心配する必要があるのか」と同意する。「中国の対外純債権は1兆5000億ドル、貿易黒字もまだ6000億ドル程度ある」
外貨準備が2025年までに2兆ドルに減ったとしても、「まだ安全、健全だ」とこのエコノミストは語った。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシン氏は、安全な水準は、究極的には特定の比率というよりも市場心理で決まると指摘する。
「魔法の数字は存在しない。大きな部分を占めるのは信頼感だと思っているが、中国の政策担当者は信頼感の回復につとめて力を入れている」という。
人民元売りを公言しているヘッジファンド、オムニのポートフォリオマネジャー、クリス・モリソン氏は「このゲームは期待と信頼感がすべてだ。市場が底をのぞいたが最後、信頼感は総崩れになる。3兆ドルを下回った時がその分岐点だと私は考えている」と話した。
(Kevin Yao記者)
http://jp.reuters.com/article/analysis-china-foreign-reserves-idJPKCN0VX0BY?sp=true
田巻 一彦
[東京 19日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が利上げのサイクルに入ったのに、米長期金利が低水準で推移しているのはなぜか──。世界経済が加速せず「低体温症」に陥っていて、安全で比較的高い利回りを維持している米長期国債に資金が流入しているためだと考える。マイナス金利に直面した日本の投資家の目も米国債に注がれているが、そこにはドル調達コストの上昇というハードルが待ち構えている。
<高まる世界経済減速の気配>
昨年12月にゼロ金利を解除し、利上げのプロセスに入ったFRBだが、その後の経済、市場環境は想定通りに行っていない。特に長期金利US10YT=RRの動向が過去の利上げプロセスと異なっている。
今年1月下旬から2%を明確に下回り出し、2月11日に一時、1.5%台に下がってしまった。
今年に入ってからの世界的なリスクオフ心理の強まりを指摘する声が、市場では圧倒的に多い。そのリスクオフの原因をたどっていくと、「中国経済の先行き不安」「原油下落」「地政学的リスク」「欧州銀行株の急落」「米景気後退リスク」など複数のテーマが出てくる。
その結果、不透明な中ではっきしてきたことがある。2016年の世界経済は「減速感が強まる」ということだ。
経済協力開発機構(OECD)は18日、2016年の世界成長見通しを3.3%から3.0%に引き下げ、17年も3.6%から3.3%に修正した。国際通貨基金(IMF)も1月19日、16年の世界成長率見通しを3.6%から3.4%、17年も3.8%から3.6%にそれぞれ引き下げた。
<10年米国債は最後の楽園>
世界経済の減速感が強まれば、ビジネスの収益率も低下する。それを先取りするように今年1月から世界的に株式市場が下落局面となり、米、独、日などの国債が買われた。米、独、日とも長期金利は低下傾向を鮮明にしているが、マイナスにいったん「水没」した日本やゼロに接近中の独と比べ、米長期金利は下がったとは言っても1.5%台は維持している。
ある国内銀行関係者は「主要国の運用者から見ると、安全で流動性があり、相対的に高い利回りを維持している10年米国債は、最後の楽園的存在」と話す。
言い換えれば、一定程度の利回りを確保しつつ、中程度以下のリスクにとどまっている運用先が激減しているということだ。さらに俯瞰して見れば、かつてのように収益性の高いビジネスが多く存在していたというのは過去になり、世界中を見回しても、高い収益を確保できるビジネスが急速に姿を消しているということではないか。
この現象を私は「世界経済の低体温症」と呼んでみたい。利上げ局面における米長期金利の異例な低水準は、世界経済の活力低下の象徴と言えるのではないか。
<原油下落の背景にある構図>
実際、日銀が1月29日にマイナス金利を決定したのも、強力に物価を押し上げる「効果」を期待してのことだと思われる。同時に強力な押し上げ効果を加える必要があるほど、かなり強い押し下げの力も働いていると見るのが自然だろう。
その強い下押し圧力の象徴が「原油下落」であり、背後にあるのは、一部の新興国を震源地にした需要の減少だ。原材料の爆買いが急にしぼみ、コモディティ価格が急落すると、予想を超えて米株市場の下落を招いた。
「世界経済の低体温症」は、金融政策における緩和強化だけでは、対応が難しいという声が、米欧の有識者から出始めている。26、27日の上海における20カ国(G20)財務相・中銀総裁会議でも、一部の国からは財政面でのテコ入れの必要性を主張する動きが出てきそうだ。
ただ、即効性のある対応策がなかなか見つからない事態を、現実の姿として直視するべき状況になっているのではないか。
とすれば、財政・金融の追加パッケージという「解熱剤」に頼るだけでなく、イノベーションを促す企業や個人、大学などの動きをサポートする対応を打ち出し、10年先を見つめた長期ビジョンを打ち出すことも必要だろう。
<立ちすくむ日本勢>
とは言え、マイナス金利政策に直面した銀行やその他の経済主体は、少しでも高い利回りを求めて、これまで以上の努力を強いられる。そこで米国債が「最後の楽園」に見えてくると思うが、日本勢にはやっかいな問題が持ち上がっている。ドル調達コストの上昇だ。
ドル調達コストは、今月15日に3カ月物で115bpに上昇。一時、5年米国債US5YT=RR利回りを上回り逆ザヤに陥った。
「最後の楽園」に入る切符は、日本勢にとって相当に割高になっているのだ。
「G20後に急激な円高と株安が発生しませんように」──。多くの日本の市場関係者が祈るような心境になっているのではないか。
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http://jp.reuters.com/article/tamaki-frb-idJPKCN0VS0LU?sp=true
年明け以降、世界の金融市場が不安定な動きを続けている。中国経済の減速と原油安が主因だ。日経平均株価は一時、1万5000円割れとなった。2015年10〜12月期の実質成長率は年率でマイナス1.4%と実体経済も元気がない。そこで、ささやかれ始めたのが、17年4月に消費税率を8%から10%に引き上げる増税の先送り論だ。
「10日間の円の上昇幅が10円を超えたのはリーマン・ショック直後にあって以来なんだって?」。海外市場で円が急騰し、一時1ドル=110円台をつけた11日の動きが、霞が関でちょっとした話題になった。安倍晋三首相は来年の消費増税について「リーマン・ショックや大震災のような事態が起きない限り実施する」と約束しているからだ。
これからは、相場が荒れるたびに当時との比較が話題になりそうだ。もっとも、実際にそれほどの危機が起きれば、いや応なしに増税先送りだ。悩ましいのは判断が割れる時だろう。14年4月の消費増税の後遺症を引きずったまま、ズルズルと円高・株安が続いたらどうするか。
マイナス金利を導入した日銀の金融政策に頼るにも限界がある。何より夏には参院選を控える。安倍政権が不人気政策である増税の先送りに傾いてもおかしくない。問題は「リーマン危機ほどではないのに、なぜか」という理屈づけだ。
カギを握るのはおそらく国際的な政策協調だ。主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)の場で、デフレ回避や景気に配慮した政策の重要性で一致すればいい。増税延期がグローバルな要請なら名分も立つ。
そうだとすれば、米欧などとの政策協調で腹合わせをしながら、1〜3月期の経済指標がでる4〜5月に増税先送りを決断するシナリオが浮かぶ。仕上げは首相が議長を務める5月末の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)だ。
今後の展開は経済情勢による。首相はたぶん、どうするか決めていない。ただ、2度目になる消費増税の延期には野党が「増税の環境を整えられなかったアベノミクスの失敗だ」と批判するだろう。財務省や同省に近い自民党議員の抵抗もあるに違いない。
そうなった時、首相がどうするかはたぶん、決まっている。衆院解散で衆参同日選だ。
(ペン尻)
[日経新聞2月18日朝刊P.19]
国債利回りの動きが荒くなっている。日銀が16日に始めたマイナス金利政策が今後の市場金利にどう影響するのか読みづらいためだ。マイナス金利の負担がゆうちょ銀行など一部の銀行に偏り、短期資金が円滑に取引されない可能性も意識されている。「金利全般により強い下押し圧力を加えていく」(黒田東彦総裁)という日銀の狙いには暗雲も漂い始めた。
17日の債券市場では5年物国債の利回りが一時マイナス0.115%と前日より0.03%上昇した。10日に付けた最低金利(マイナス0.265%)から1週間で0.15%も上がった。9日に初めてマイナス金利を付けた10年物国債も今週はプラス圏で不安定な動きを続けている。
先週まではあらゆる年限の国債利回りが急低下していたが、市場の雰囲気は一変した。理由は大きく2つある。1つは追加利下げ観測の後退。もう1つは短期金融市場の金利形成の不透明感だ。
黒田総裁は「必要ならさらに金利を下げる」と繰り返し発言しているが、市場では3月14〜15日の次回の金融政策決定会合では「追加利下げの可能性は低いのではないか」との声が徐々に増えている。マイナス金利の導入で銀行収益の悪化などの副作用が警戒されているほか、日銀がまずはマイナス金利政策の効果が十分か見極めるのではないかとの見立てだ。
もう1つは短期金融市場の動きだ。17日に金融機関同士の短期資金をやり取りするコール市場で翌日物金利が約10年ぶりにマイナスとなったが、取引は急減。円滑にマイナス金利が形成されているとは言いがたい。
導入直後で金融機関が取引を控えている面もあるが、実は制度面も色濃く影響している。日銀が0.1%のマイナス金利を課すのは当座預金のうち10兆〜30兆円程度。それが一部の金融機関に偏っているのだ。
日銀が16日に公表した「業態別当座預金残高」にヒントがある。1月の当座預金実績にマイナス金利を適用した場合、業態ごとの負担の参考値を示した。合計は23兆円でそのうち半分強が「その他準備預金制度適用先」に集中していた。決算資料などを踏まえると、ゆうちょ銀の割合が多いとみられる。都市銀行は1兆6千億円にとどまる。
市場では「短期金利は当面、ゆうちょ銀などがどの程度マイナス金利で資金を出すのかに左右されそうだ」との声が出ている。マイナス金利でお金を借りる金融機関がどれほどいるかも不明で、資金の出し手と借り手のバランスがみえづらい。
短期金利の落ち着きどころがみえないことが国債取引のリスクになっている。今後1カ月の予想変動率も大きく上昇。18日には5年債の入札を控えるが、国債トレーダーは「どんな金利水準で入札すべきか……」と頭を抱える。
市場では「長い目でみた金利低下の基調は変わらない」(東海東京証券の佐野一彦氏)との声はなお多い。だが金利の動きが不安定だと、企業や家計にお金が行き渡りづらくなる。マイナス金利で「企業や家計の経済活動に好影響をもたらす」という黒田総裁の狙いもかすみかねない。
(後藤達也)
[日経新聞2月18日朝刊P.19]
日本の中古車輸出に異変が起きている。2015年、金額でみて最大の輸出先にスリランカが躍り出た。25年以上続いた内戦の終結から約6年。経済復興が進むスリランカでは目新しいハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)が幅をきかせ、日本製中古エコカーの「楽園」になっている。
英国領時代の面影が残る最大都市コロンボの街角では、トヨタ自動車のHV「プリウス」や日産自動車のEV「リーフ」がしきりに行き交う。環境規制が厳しい日本や米西海岸を除くと世界中でも特異な光景だ。1人当たり国内総生産(GDP)が約3800ドル(約43万円)の新興国とは思えない。
ホテルの運転手として働くスシル・ウィジャヤビーラ氏の愛車はトヨタの小型セダン「アクシオHV」。「故障しなくて財布に優しいよ」。日本の中古車を2014年8月に買った。購入時の累計走行距離はわずか108キロメートルとほぼ新品だった。
エコカー9割
価格は500万スリランカルピー(約400万円)だった。車種によっては100%を超える高率の物品税のせいで現地の車価格は驚くほど高い。それでも富裕層や上位中間層が成功の証しにと競って買う。品質が評判の日本車は人気の的だ。
現地大手のJB証券によると、スリランカの15年の中古車市場は約5万6000台と前の年から倍増した。ほぼすべてが日本車だ。
コロンボ近郊で中古車を売るワサナ・トレーディング・ランカの店頭には数十台の日本車が並ぶ。アシリ・メレンチゲ取締役は「装備が充実した車ほど人気だ。機能を自慢できるからね」と話す。スイッチ類の表記が日本語で読めなくてもお構いなし。日本製の証しなのだ。
15年の貿易統計で中古乗用車のスリランカ向け輸出額は898億円と前年比54%増え、2位マレーシアの546億円を圧倒した。もっとも輸出台数は5万台強で6位。1台当たり価格が174万円と高いからだ。14年まで5年連続で金額が首位だったロシア向け中古車の単価52万円の3倍以上だ。
背景にあるのはスリランカ政府の規制だ。輸入を認めているのは車歴3年以内の中古車のみ。さらにHV・EVと一般車との間で物品税率に最大2倍近い差をつけ、エコカーを推奨してきた。
結果として独特の市場が生まれた。中古車貿易大手エスビーティー(横浜市)の現地法人の野武祐樹ゼネラル・マネジャーは「ケニアやミャンマーには走行距離10万〜20万キロの車が行くが、スリランカ向けは1000キロ未満の新しい中古車が多い」と話す。9割近くがHVやEVだという。
だが、それほど新しい中古車の供給が途絶えないのはなぜか。
奇妙な依存関係
答えは日本国内の車業界の厳しい販売環境がある。15年の新車販売台数(軽含む)は505万台。ピークだった1990年の3分の2に縮んだ市場で各社は競争している。その中で日々発生しているのが「新古車」だ。
販売会社が新車をさばききれない場合、自社で買った形にして新車登録する。統計上はプラスだ。だがいずれ中古車競売で手放す。輸出事業者はこれら新古車を競り落とす。トヨタの「アクア」、ホンダの「フィット」「ヴェゼル」、スズキ「ワゴンR」などもスリランカになだれ込んだ。
スリランカの中古車市場と日本の新車市場の間には奇妙な依存関係が生まれた。スリランカの中古車需要が増えると日本の中古車相場が上がる。車の下取り価格も上がり日本の消費者は新車に買い替えやすくなる。
スリランカで新車を売る日本メーカーにとっても中古車ブームは悪いことばかりではない。中古車でブランドを確立すれば将来の新車需要の獲得に役立つ。
だが15年末、蜜月の仕組みが逆回転し始めた。スリランカ政府が物品税率を突然引き上げ、中古車販売が鈍ったのだ。税収確保が狙いだった。日本のある中古車競売の関係者は、12月のプリウスの平均落札価格が100万円強と、9月から約1割下がったと明かす。スリランカ向け中古車の需給悪化が一因とみている。中古エコカーの楽園はどこへ向かうのか、日本の自動車業界は気をもんでいる。
(コロンボで、小谷洋司)
[日経新聞2月19日朝刊P.2]
日本で風力発電の導入が加速する。国内首位のユーラスエナジーホールディングス(HD)と同2位のJパワーがそれぞれ2020年までに600億円規模を投資する。国内全体の風力発電能力は現在の約3倍、原子力発電設備10基分に増える見通しだ。政府は現在の太陽光偏重の是正に動いており、温暖化ガス削減の国際枠組み「パリ協定」で掲げた目標の達成に向け、風力も再生可能エネルギー活用の新たな柱になりそうだ。
ユーラスは豊田通商と東京電力の共同出資会社。ユーラスとJパワーの風力発電能力を合計すると国内の約33%(14年度、日経推計)になる。
ユーラスは20年までに計20万キロワット分の風力発電所を新設し、能力を85万キロワットに拡大する。年内に秋田県由利本荘市で4万キロワット級の発電所を着工、高知県大豊町でも開発計画がある。Jパワーも能力を20万キロワット増強し計60万キロワットにする。北海道せたな町や愛媛県宇和島市に発電所を新設する。
政府は温暖化ガス削減目標実現のため、発電量全体に占める再生エネ(水力除く)の比率を現在の約3%から30年度に15%程度にする計画だ。
風力発電の稼働率は太陽光の約2倍で効率的に電気を得られる。海上でも発電できる。地熱ほど立地の制約がなく、バイオマス発電のように燃料の木材を確保する必要もない。だが国際エネルギー機関(IEA)によると日本の風力発電の割合は0.5%(14年)と欧米諸国や中国より低い。
大型風力発電所の建設には12年に国の環境影響評価(環境アセスメント)が義務付けられ、手続きに4〜5年かかるため新規導入が停滞していた。同年に再生エネの固定価格買い取り制度が始まったが、同制度で認定された発電設備のうち建設が容易な太陽光が約8千万キロワットと93%を占め、風力は3%にとどまる。
ユーラスやJパワーは環境影響評価が完了した開発計画を順次実施に移す。日本風力発電協会の推計では15年末に304万キロワットだった導入量は、アセスの進捗などで20年ごろに1千万キロワットに膨らむ。政府も大規模太陽光発電所(メガソーラー)からの買い取り価格を引き下げる一方、大型風力の価格は据え置くなど、導入を後押ししている。
海外勢も動き出す。米風力発電大手パターンエナジーは日本の合弁会社を通じ、20年までに国内で計100万キロワットの建設を計画する。青森県つがる市で国内最大の12万6千キロワットの発電所の着工を準備している。
4月から電力小売りに参入する新電力の中には、環境負荷が低い再生エネの電気を販売するプランを設ける動きもある。安定供給ができる発電規模を持つ風力事業者はこうした新たな需要も取り込みやすくなる。
パリ協定とは
▼パリ協定 昨年12月の第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択された温暖化防止の国際枠組み。参加国・地域がそれぞれ目標を策定し温暖化ガス排出量を削減する。日本は2030年度までに13年度比26%減らす。
[日経新聞2月19日朝刊P.1]
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[きょうのことば]風力発電 洋上設置 日本でも始動
▽…風の力で風車を回し、回転する運動のエネルギーを発電機で電気に変える発電方式。発電時に二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスを排出しないうえ、エネルギー源が枯渇する心配がないため世界各地で導入が進む。世界風力会議(GWEC)によると、世界の風力発電能力は2015年末で4億3242万キロワットに上る。
▽…世界最大の風力発電能力を持つのは中国で計1億4510万キロワット。歴史的には欧州で導入が先行しており、国内の電力需要のうち、風力をもとにした電気の割合も高い。デンマークは4割弱、スペインやアイルランドが約2割、ドイツは1割を風力で賄う。
▽…欧州では陸上で徐々に風力発電の適地が少なくなったことから洋上に風車を設置する「洋上風力発電」の新設が盛んだ。周辺住民への騒音の影響がほとんどないため風車を大型化し複数並べることができる。北海などで計1100万キロワット以上が実用化されている。日本国内でも福島沖などで実証実験が始まったほか、茨城県や新潟県沖などで計画が持ち上がっている。
[日経新聞2月19日朝刊P.3]
中国など新興国経済の減速が日本の輸出に影を落としている。財務省が18日発表した1月の貿易統計(通関ベース)速報では、輸出額が前年同月に比べ12.9%減、アジア向けは17.8%減となった。新興国の需要減少のあおりを受けている鉄鋼が3割減ったほか、非鉄金属も2割減となった。素材は日本の輸出総額の約25%を占めており、世界的な価格下落が輸出低迷の大きな要因になっている。
1月の輸出額は5兆3516億円で、4カ月連続で前年同月を下回った。数量が9.1%減、価格が4.1%低下と、ともに押し下げ要因となった。なかでも輸出額が31.3%減と大きく落ち込んだ鉄鋼の単価は25.8%下がった。アジアをはじめとする海外市場の価格低迷が影響を及ぼした格好だ。
鋼材の流通価格は2015年に大きく下落した。中国から余った鋼材が大量に流出した影響で、一般鋼材である熱延コイルのアジア価格は1月時点で1トン280ドル前後と、1年前から4割弱安くなった。
流通価格の下落で鉄鋼大手の収益は押し下げられている。足元の市況は反転の兆しも見えているが、新日鉄住金の太田克彦副社長は「価格の大幅上昇は見込みにくい」としており、輸出採算の改善には時間がかかるとの見方が多い。
鉄鋼だけでなく非鉄金属や化学製品など素材の輸出は軒並み落ち込んでいる。中国など新興国の需要が大きく盛り返すとの見方は少なく、当面輸出が伸びにくい状況が続きそうだ。
半導体等電子部品は11.2%減だった。市場縮小が続くパソコンに加えてスマートフォンの成長が鈍化し始め、組み立て拠点の中国などアジア向けの輸出が減少した。特に米アップルが16年1〜3月に「iPhone」の最新モデルの減産に踏み切った影響が色濃く出た。
液晶パネル大手のジャパンディスプレイは16年1〜3月期は19億円の営業赤字になる見通し。「液晶パネルの需要の本格回復は16年7〜9月期までかかる」(有賀修二社長)とする。
自動車の輸出額は米国向けが10%増と好調を維持する一方、アジア向け(10.9%減)が足を引っ張り、全体では1.1%減った。トヨタ自動車の大竹哲也常務役員は米国経済について「住宅や雇用などの経済状況は堅調。ガソリン安は自動車に追い風」とみる。ホンダは日本での販売低迷を受け、好調な北米向けの輸出を強化している。16年度は15年度の約2倍の16万台を日本から輸出する計画で、大半が北米向けになる。
ただ、ドル高や資源安の影響などで米国の成長は鈍化するとの見方が広がりつつある。数少ないけん引役の自動車輸出の先行きも懸念がぬぐいきれない。
[日経新聞2月19日朝刊P.5]
バイオ医薬品で後発薬にあたる「バイオ後続品」の製造受託を武器に、韓国企業が攻勢に出ている。各社が生産能力の増強を競い、主な企業の年産能力は世界の3割を超えた。大型薬の生産に成功したり、従来の10分の1の投資で済む生産技術を開発したりする新興企業も現れ、海外から製造委託要請が相次ぐ。自社ブランドでなく製造受託でのし上がる、バイオ後発薬業界の「鴻海精密工業」は生まれるか。
エイプロジェンは小型のタンクで連続生産することで、効率的に生産できる技術を持つ(ソウル近郊の城南市)
「新薬開発では日本に及ばない。だが事業化への量産技術確立は私たちが得意だ」。リウマチ治療薬「レミケード」の後続品生産に成功したバイネックスの李赫鐘社長は自信を見せる。
韓国の中小製薬会社だったバイネックスは2009年にバイオ医薬品に参入。香港で欧米の投資銀行にいた李社長を招き、まず政府が国内技術振興を目的に造ったプラントの運営権を獲得し技術を磨いた。レミケードは世界で年80億ドル(約9千億円)を売り上げる超大型のバイオ医薬品で、安価な後続品はそれ以上の需要が見込める。
昨年9月には同業のハンファ化学から約60億円で工場を取得し、生産能力を2.3倍に高めた。日米の製薬企業から「特殊性が高い製品の製造受託を増やして市場開拓を目指す」(李社長)。
世界のバイオ医薬品の15年の生産能力は関係者によると年産100万リットル。韓国勢はセルトリオンやサムスンバイオロジクスが知られるが、草分けのLGライフサイエンスのほか、バイネックスやエイプロジェンといった新興勢など担い手は広がる。これら主要企業の年産能力は合計35万リットル程度に拡大し、世界の3分の1を占める。
生産技術の進化も進む。日本の後発薬最大手、日医工が45%出資するエイプロジェンの金在燮社長は「既存の製法の10分の1の規模の設備と費用で生産できる技術を開発した」と胸を張る。
バイオ後続品は細胞培養に数カ月かかるため数千〜数万リットルの大容量タンクを用いるのが一般的。同社は数百リットルのタンクで培養し、増えた分だけ細胞を取り出しながら培養液をつぎ足して連続生産する手法を確立した。
同社は韓国最高峰のバイオ研究機関、韓国科学技術院の研究者だった金社長が仲間と2000年に設立した。バイオ後続薬に乗り出すと生産技術に日医工が注目し出資。これまでリウマチ治療薬を共同開発してきたが、今後は抗がん剤の後続品開発にも乗り出す。他にも「日本の大手製薬会社も含め10社以上が接触してきており引く手あまた」(金社長)の状況だ。
韓国で最も早くバイオ後続品の生産に成功したLGライフサイエンスはリウマチ治療薬「ヒュミラ」の後続薬開発で持田製薬と提携した。LGは注射剤で年1億5千万本の生産能力を持つ。バイオ医薬品ビジネスユニット長の尹秀姫氏は「バイオ後続薬では地理的にも近い日本と中国が最重要市場だ」と強調する。
韓国でバイオ医薬品の生産が急拡大しているのは、1997年の通貨危機を経て政府が新たな産業育成の柱に位置づけたことが大きい。トップ研究機関の研究者に副業を認め起業を促し、バイオ医薬品の製造技術開発へ設立した施設を民間開放するなど重点支援。その果実が実りつつある。
もっとも新薬は国ごとに厳しい治験が必要でハードルが高いため、目をつけたのが後続品だ。新薬より負担が軽いとはいえ治験は必要。そこで製造を委託する日本や米国の製薬会社に治験などの開発業務を任せ、生産技術に磨きをかけた。
設計、開発、生産――。急成長が見込まれるバイオ後続品は分業が進んだパソコンやスマートフォンと同様の動きが広がる。電子機器の鴻海のような雄が韓国から生まれる可能性は十分にある。
バイオ医薬品とバイオ後続品とは
▼バイオ医薬品とバイオ後続品 従来型の医薬品より副作用が少ないとされるバイオ医薬品は、ひとの免疫細胞が外敵を攻撃するためにつくる抗体などを人工的に造り出したもの。従来の医薬品と異なり、化学合成ではなく動物細胞などを培養して造る。大量生産にはノウハウが必要で、安定的に生産できる企業は世界でも限られる。
バイオ医薬品の後発薬にあたるのがバイオ後続品で「バイオシミラー」とも呼ばれる。バイオ医薬品の多くは2000年ごろから実用化され特許切れの時期を迎えたことで後続品市場が立ち上がり始めた。市場は15年の約4500億円が20年に約2兆4千億円に膨らむとの試算もある。
日本勢は出遅れ
バイオ医薬品の製造受託は欧州勢が主導してきた。最大手はスイスのロンザで、世界で24万リットルの培養能力を持つ。同じスイスのロシュなどバイオ医薬品に強い新薬メーカーとの関係が深い。インスリンなどのバイオ新薬を手掛ける独ベーリンガー・インゲルハイムも製造受託大手の顔を持つ。
新薬から手掛ける欧州勢に比べ、後続品中心の韓国勢は元になる細胞そのものの開発技術などで差があるとみられていた。ただ「韓国メーカーは思い切った投資で規模面で急速に追い上げると同時に、技術面でも差は縮まっている」と、みずほ銀行産業調査部の戸塚隆行調査役は指摘する。
一方、日本勢は出遅れ感が強い。世界でバイオ医薬品の開発が盛んだった1990年代、従来型の低分子医薬品で収益を上げていたからだ。
成長市場での挽回へ韓国企業と組むのも選択肢の一つだ。既に日医工がエイプロジェン、日本化薬がセルトリオンなどと提携している。ただ韓国の製造受託会社の奪い合いも激しさを増す。日本の関係者からは「セルトリオンなど大手は簡単には手を組んでくれなくなった」との指摘もある。
東京=朝田賢治
[日経新聞2月19日朝刊P.9]
韓国企業の主力品目が世界市場で徐々に競争力を失い、輸出戦線に非常灯がともった。関税庁によると2月1〜10日の輸出額は87億5200万ドル(約1兆円)と前年同期に比べ27.1%も減った。1月以来の累積輸出額も20.3%減っている。この傾向のまま2月が終われば昨年1月以来、14カ月連続の前年実績割れになる。
衝撃的なのはスマートフォンのような主力製品までも成長力が落ちているという点だ。未来創造科学省が発表した1月の情報通信技術(ICT)輸出実績をみると携帯電話が7.3%減ったのをはじめ、半導体を含む全品目が不振で前年同月比17.8%減った。
輸出競争力の下落は予想されていたことだ。韓国貿易協会が2014年基準で韓国の世界トップシェア品目を調べたところ64項目あった。国別では前年よりも1つ低い13位だ。1位だった中国(1610項目)の20分の1にも及ばず、ドイツ(700項目)や米国(553項目)に比べても格差が大きい。
輸出不振は世界景気の沈滞による需要萎縮や原油価格低迷など外部環境の影響もあるが、主力品目の競争力低下が加速しているのが根本的な原因だ。輸出が不振の沼から抜け出すには、こうした構造的な問題を解決しなければならない。
鉄鋼や半導体といった中間財輸出の比重を減らし、化粧品、生活用品などの消費財と付加価値が高い技術集約的な製品群を拡大して世界トップシェアの商品を絶えず発掘する必要がある。このためには輸出企業の事業再編が必須だ。4日には企業活力向上特別法も通過した。企業は構造調整と事業改編を急ぎ、グローバル市場でトップをとれる製品の開発に取り組まなければならない。
(16日付)
[日経新聞2月19日朝刊P.9]
「発送電の分離 改正案が衆院本会議を通過:本旨は料金の自由化、電力会社の利益のため大企業は安く一般家庭は高くなるという話」
http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/368.html
「“旧電力”9社で発電総量の96.5%シェア:その自由化が電力会社に対する“勝手気まま優遇政策”になると理解されぬ日本」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/816.html
「「電力自由化」と電力供給活動の特殊性:「電力自由化」は電力会社の勝手気ままな利益追求を許しかねない政策」
http://www.asyura2.com/12/senkyo142/msg/113.html
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電力自由化
(上)得するのは誰? 安さの恩恵に偏り
「そんなに安くなるなら乗り換える」。2月初旬、神奈川県大磯町に住む主婦(64)は営業担当者が持参した料金メニューを見て電力会社の切り替えを即決した。東京電力に払っている電気代は年約18万2000円。石油元売り最大手、JXエネルギーの「ENEOSでんき」に契約を切り替えれば、1万6000円ほど減らせるとわかったからだ。
▼都市ガスとセットでお得に(東京ガス)
▼ガソリンが1リットル10円引き(昭和シェル石油)
▼携帯と一緒で5%安く(KDDI)
▼ケーブルテレビのお客様は電気も(ジュピターテレコム)
これまで東電など大手電力10社が独占してきた約8兆円の家庭用電気の市場。門戸が開かれた途端、「規制に守られてきた大手電力よりも安くできる」と各社がこぞって名乗りを上げる。
料金プラン乱立
カカクコムは1月、居住地域や家族の人数などから簡単に電気料金を比較できるサイトを開設した。乱立する料金プランの内容は複雑。生活実態に合った電気を選ぶのはもはや至難の業だ。「2009年の家電エコポイント導入時以来の盛り上がり。電気も家電と同じように比べて選ばれる商品になった」(サービスマーケティング部の下宮慎平マネージャー)
経済産業省が小売電気事業者として登録した企業は169社に上る。しかし、自由化がもたらす価格競争の恩恵をすべての消費者が等しく享受できるわけではない。
「電気使用量で上位3割の顧客を死守せよ」。東電社内では小売り部隊に号令がかかる。現行の電気料金は使用量が多い世帯ほど高く、利幅も大きい。逆に使用量が少ないと、赤字で供給している例もある。東電が導入する値引きプランは一戸建てに住む4人以上の家族など、確実に利益を生む得意客向けだ。
単身者不利に
全世帯に供給する必要がない新電力も「ボリュームゾーンを狙う」(新電力大手)。値引きプランの対象は平均的な月300〜400キロワット時を上回る使用量が中心だ。日本の総世帯の半数は電気をあまり使わない単身や夫婦のみ。使用量の多寡で値引き額には年1万円以上の差ができる。
電力自由化の温度差は世帯間だけでなく、地域間にも存在する。
経産省の認可法人がまとめた電力切り替え状況によると、2月12日時点の申し込みは約14万件に達した。ただ、96%は東電と関西電力の管内に集中し、北陸は300件、四国は200件、中国はゼロといういびつな状況にある。地方は電力小売りに新規参入する事業者が少なく、自由化の認知度も低いためだ。
新電力169社の本社所在地も関東、関西、中部で8割を超える。人口が集中する都市部を狙う傾向は顕著だ。地方の大手電力幹部は「本格的な競争が始まるまで値下げ幅を最低限に抑える」と明かす。
日本の家庭向け電気料金は東日本大震災後に約2割上がった。規制産業から自由競争への移行は値下げ圧力となり、事業者は収益重視の戦略にかじを切る。副作用として「公平感」は薄れる。
◇
4月の電力小売り全面自由化に伴い、誰もが電気を買う会社を選べるようになる。米国や韓国の2倍という料金水準は下がるのか。最前線の動きを追う。
[日経新聞2月20日朝刊P.1]
(中)早くも消耗戦 値下げの先が勝負
2月1日、横浜市の工業地帯にあるガス火力発電所が出力を約5割拡大した。規模は原子力発電所に匹敵する122万キロワット。東京ガスと昭和シェル石油が共同運営する。家庭向け電力小売りはいかに安く電気を調達するかが勝負になる。発電効率が高い最先端の火力発電を自前で増やし、値下げの原資をひねり出す。
電力自由化を受けJXエネルギーや出光興産、新日鉄住金やJFEスチールなども発電設備の増強を計画。合計規模は1000万キロワットを超える。増設ラッシュが進むなか、淘汰も始まった。
「電気は供給過剰になる。とても採算が合わない」。大阪ガスは2015年末、茨城県で検討していた石炭火力発電所の建設を断念した。出力10万キロワットの小型設備で17〜18年度の早期稼働を目指す戦略。他社の相次ぐ大型計画を受け、見直しを余儀なくされた。
大手は「越境」
約20兆円という国内の電力市場。しかし、経済産業省が予測する30年度の電力需要は13年度比で1.5%増とわずかな伸びにとどまる。限られたパイの争奪戦は必至だ。
今回の自由化で営業区域の縛りもなくなる。新電力の攻勢を受ける東京電力など大手電力は「越境」に打って出る。
東電が1月に発表した新しい料金メニューに関西電力の営業担当幹部は度肝を抜かれた。関西向け料金が関電の現行料金を約1割下回っていたからだ。全国の大半の原発が停止するなか、電源の原発比率が高い関電は懐事情が厳しい。東電幹部は「首都圏では顧客を取られる。蓄えた利益をはき出しても域外を取りに行く」と容赦ない。
関電も電力会社の変更を考える顧客の引き留めに必死だ。高浜原発3号機が稼働した1月29日、八木誠社長は「新年度のできるだけ早い時期に値下げする」と表明した。再稼働する原発が増えれば、首都圏進出による反転攻勢も視野に入る。
電気料金の8〜9割は発電や電気を家庭に届ける託送にかかるコストが占める。さらに値下げが進めば、薄利多売に拍車がかかり、消耗戦の様相は色濃くなる。
「電気でもうけるつもりは全くない」。東京急行電鉄子会社の新電力、東急パワーサプライ(東京・世田谷)の村井健二社長は言い切る。
囲い込みが目的
誰もが使い続ける電気は顧客を囲い込むための手段。グループの鉄道定期券やケーブルテレビ、クレジットカードとのセット契約で値引きを設定し、「生活サービス全般をワンストップで提供する」(村井社長)。
ガス会社や通信会社などセット販売で参入する新電力の多くは同じ狙いを持つ。日本総合研究所の滝口信一郎氏は「料金に加え、サービス面の充実を打ち出せるかが勝負になる」と指摘する。
自由化の先進国、米国で11年からガスと電力をセット販売するLPガス大手の日本瓦斯。消費者は不満を持てば、次々と電力会社を乗り換える。進出したテキサス州は新電力が60社以上に増える一方、倒産や合併も相次ぐ。日本瓦斯は保険の取り扱いなどにサービスを広げ、いまは8州に17万件の顧客を持つ。
電力はそもそも大きなもうけが出るビジネスではない。コスト競争力を磨きながら、消費者をつなぎ留めるサービスをどう打ち出すか。値下げの先の一手が問われる。
[日経新聞2月21日朝刊P.1]
(下)競争の先はバラ色か 海外では失敗例も
電力の小売り自由化をにらみ17日、経済産業省が開いた説明会。市場の番人の大役を担う電力取引監視等委員会の稲垣隆一委員は8兆円市場の開放に沸く関連産業に言い含めるように強調した。「消費者の主体的な選択こそが、電力改革の重要な推進力だ」
戦後60年以上続いた大手電力による小売市場の独占。それを崩す制度改正のきっかけは、2011年の東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故だ。
震災直後の東電の計画停電は利用者に不自由を強いた。原発停止で全国の家庭向け電気料金も震災前より25%上がった。
自由化による競争で料金を下げ利用者の負担を減らさねば――。世論を意識する政府はそう判断した。「消費者の約8割が電力会社の切り替えを検討していると聞く」。安倍晋三首相は成果に自信を示すが、自由化後の世界はバラ色なのか。
不当な契約監視
政府は自由化を進めるにあたり2つの補助輪をはかせた。一つが電力監視委で、消費者に不利益を与えかねない契約などに目を光らせる。もう一つが電力広域的運営推進機関。大規模な災害時の停電などを防ぐため、電力各社による電力の融通を促す調整役だ。
これで公正な競争と安定供給への「器」がまずは整ったが、これで安心とは言い切れない。
1990年代に自由化の先陣を切った英国。新規参入が増え、料金が下がったのは当初だけ。00年代に入るとM&A(合併・買収)で発電、小売市場の寡占化が進んだ。
各社は燃料高騰を理由に値上げを繰り返し、15年の一般家庭の電気料金は04年の2.4倍に急騰。企業向け料金も欧州全体の平均より6割高となった。「もう英国で鉄はつくれない」。電力を多く消費する鉄鋼業界からは悲鳴があがる。
自由化はコストを電気料金に転嫁できた寡占市場のぬるま湯体質を変えるきっかけとなる。だが市場の監視を抜かれば、大手業者の逆襲で寡占がむしろ進みかねない。
米企業から忠告
電力の安定供給が脅かされたのは米国だ。
「エンロンのような業者に気をつけろ」。1月下旬、米カリフォルニア州。日本の電力市場への進出を促そうと電力関係者を回った経産省幹部は逆に忠告を受けた。
90年代後半に電力自由化を進めた同州。猛暑で需要が増えると、後に破綻することになるエンロンなどの電力卸売業者は価格つり上げを狙い電気を売り渋った。これが00年から01年にかけて大規模な停電が相次ぐ原因となった。
その後、ニューメキシコやアーカンソーなど多くの州が自由化の計画を撤回。米国で自由化の機運は急速にしぼんた。
自由化と両立させるべき課題はまだある。例えば国際公約となった温暖化ガスの排出削減だ。
ドイツ第3の都市、ミュンヘン市。風力など再生エネルギーを主体とする新興勢力のシェアは2割を超えた。こうした例はドイツ全土で広がる。
ただ天候頼みの再生エネの発電量は不安定。安定確保への費用増で電気料金は上昇傾向だ。
料金、安定供給、電源の構成――。そのバランスはどこにあるのか。電力自由化の号砲とともに利用者と国と業者の大いなる実験が始まる。
西岡貴司、鈴木大祐、指宿伸一郎、中戸川誠、小野沢健一、加藤貴行が担当しました。
[日経新聞2月22日朝刊P.1]
【上海=小高航、大連=原島大介】中国政府が過剰設備の解消に乗り出した。「つくりすぎ」で受注難に陥る造船業界の国有大手、江蘇舜天船舶(江蘇省)は19日までに企業破産法の適用を申請、受理された。上場造船企業の破綻は初めてだ。中国では造船、鉄鋼、セメントなど様々な製造業が生産過剰で、大量輸出が世界の市況を混乱させている。中央政府は生産能力削減を号令するが地方政府や企業の反発は強い。
江蘇舜天が江蘇省南京市の裁判所に法的整理を申請し、正式な破産手続きに入った。売上高は上場造船8社のうち4番目にあたる。2015年9月末時点の負債総額は83億元(約1500億円)で、約5億元の債務超過に陥っていた。
首相発言が転機
中国の造船業界団体によると、安値競争や受注減に伴い産業全体の利益は15年1〜11月に156億元と前年同期比で37%減少した。赤字の会社も増え、昨年から中小を中心に破綻が相次いでいた。一方で国有大手には、失業者の増加や税収減を懸念する地方政府が補助金を交付するなど救済を続けてきた。
潮目が変わったのは李克強首相の今年1月の発言だ。「腕を切る覚悟で過剰設備を解消せよ」。中央政府は過剰生産を続ける業界の「救済」から「淘汰」へとカジを切った。
上海では26〜27日に20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。中国の生産過剰が世界市場を混乱させているとしてやり玉に上がる可能性がある。今回の措置の背後には、中国への批判をかわすため先手を打って構造改革への強い姿勢を示す狙いもありそうだ。
中国の生産過剰の代表格である鉄鋼産業では12億トンの生産能力の3割が余剰とされる。自動車産業の生産能力も販売台数の2倍に達し、潜在的には膨大な過剰設備を抱えているとみられている。競争に耐えられず中小鉄鋼業者の一部は操業停止や生産設備の縮小などリストラに追い込まれたが、それ以上に新規参入があるため全体の生産能力は減っていない。過剰生産にあえぐセメント業界も工場の閉鎖までは踏み込めず、多くは一時休止にとどまっている。
鉄鋼業界に指示
李首相の号令を受け中国国務院は1月下旬、国内の粗鋼生産能力の10%弱に相当する1億〜1億5千万トンを今後5年間で削減するよう業界に指示した。中央政府はこれから国有企業の破綻処理を含め、過剰設備解消の圧力を強めるとみられる。
だが地方政府にとって工場閉鎖は失態となるため、生産能力削減には非協力的だ。企業も「淘汰」には反発する。生産調整が進めば多数の失業者が発生し社会不安を招く恐れがある。鉄鋼分野だけで、すそ野産業もあわせると100万人規模が失業するとの試算もある。失業増や賃金減は個人消費など実体経済への余波も大きく、過剰設備解消のかじ取りは難しい。
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造改革を相互に評価 G20で中国提案へ 批判かわす狙いも
中国は26日に開く日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、各国の経済構造改革の取り組みを相互に評価する仕組みづくりを議長国として提案する。経済成長力を底上げする構造改革はG20各国が取り組む必要があるとの構図をつくることで「中国が市場混乱の原因」との批判をかわす狙いもありそうだ。
G20では新興国の資本流出対策や財政出動といった金融市場の安定に向けた短期的な対策に加え、中長期的な経済成長につながる構造改革が議題になる見通しだ。
相互評価は雇用、生産、消費などの観点で構造改革の進捗を定量的にチェックできる共通の指標を選び、各国が定期的に報告する案が有力。たとえば雇用では流動性や女性の労働参加を測る。産業構造の高度化ではサービス業の発展を示す指標が候補の一つになる。
中国は仕組みづくりを事務レベルで各国に伝えており、9月の首脳会議(サミット)までに具体的な仕組みを固める。ただ国ごとに経済構造や規模が異なるため、調整は難航する可能性がある。
経済協力開発機構(OECD)は今月18日、2016年の世界経済の成長率見通しを3.0%と0.3ポイント下方修正した。市場混乱の背景に世界経済のけん引役不在という問題があり、G20は経済成長力を底上げする構造改革でも協調を探ることになりそうだ。
G20当局者の間では、地方債務や設備過剰の問題など中国の構造改革の遅れが金融市場の混乱につながっていると見る向きがある。
[日経新聞2月20日朝刊P.3]
トルコ軍参謀本部諜報局の元局長イスマイル・ハッキ・ペキン氏は、通信社「スプートニク」に、トルコ軍ではトルコ指導部のシリア政策への不満が高まっていると語った。ペキン氏は、トルコはシリアのアサド大統領を失脚させ、アサド氏の代わりにスンニ派政府がシリアを統治することを目指して行動していると指摘している。
一方でペキン氏によると、トルコ軍では、同国のエルドアン大統領のこのような政策が歓迎されていないという。ペキン氏は、次のように語っている-
「トルコ軍には、シリアに関してトルコ指導部の原動力となっているような熱意はないと確信している。もちろん彼らには与えられた命令を実行する義務がある。しかし私は、トルコ軍が、隣国に対して軍事作戦を実施するという案を支持することは決してないと確信をもって述べることができる。」
またペキン氏は、トルコ軍には大統領の命令を遂行する義務があるものの、軍内部では反政府的気運が高まっていると述べ、次のように語っている-
「本当にこのような反対派はいるのだろうか?もちろん、いる。なぜならシリアのアサド大統領打倒は、実際のところ問題解決にはならないからだ。その反対にこのような動きは、地域でさらに深刻で長期的な不安定化が生じる原因になる恐れがある。実のところ、シリア指導部の強化、国内全土におけるシリア指導部の立場の強化、国境の効果的な管理と安全保障の確立はトルコの利益となるのだ。まさにこれらは、トルコが自国独自の安全保障を確立する助けとなるはずだ。私は軍の司令部がしかるべき提案を行い、トルコ政府とこの問題について話し合うと確信している。もちろん軍内部には反対派が存在する。なぜなら無益で非常に高くつく長期にわたる戦争をする代わりに、シリアの政権を強化し、自分たちの国境から戦闘を遠くへ追い払った方がはるかに有益であることを多くの人が分かっているからだ。」
さらにペキン氏は、トルコによるシリアのアフリーンあるいはアアザースへの侵入は、極めて危険な結果をもたらす恐れがあると強調し、次のように述べている-
「シリア領土の奥へほんの少しでも侵入したら、我々はロシアと衝突する恐れがある。小規模な地上作戦でさえも、シリアの戦線でトルコを完全なる袋小路に追い込むだろう。なお、このような作戦を実施する準備が進められているという兆候がある。例えば、国内の安全対策が強化されており、外部の脅威に対応するための規則に修正が加えられている。もしトルコがこのような行動に出ることを決め、シリア領内に侵入したら、その結果は取り返しのつかないものとなるだろう。」
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160225/1676358.html
デンマークのコペンハーゲンで初めての「ソーシャル(非営利)」スーパーマーケット、ウィー・フードが開店した。
ウィー・フードは様々な理由で普通のスーパーマーケットでは扱えないような製品を販売する。たとえば包装がきれいでなかったり、消費期限が間近な商品といったものだ。
音頭を取るのは慈善団体のダン・チャーチ・エイド。資本金は昨年夏に「公共活動」によって集められた。
ウィー・フードは自社を「節約志向でよく考えて買い物をする人」のための店だと位置づけている。同社によるとデンマークでは毎年約70万トンの食糧が廃棄されているという。
ウィー・フードは様々な企業から無料で商品を仕入れ、利益は基本的に飢餓に苦しむ国への慈善活動にまわされるという。
開店日にはデンマーク女王や食品・環境大臣の姿もあった。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160225/1677297.html
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フランス スーパーに対し賞味期限切れ食品の廃棄を公式に禁止[スプートニク日本語]
2016年02月06日 13:28(アップデート 2016年02月06日 17:45)
フランスは、スーパーマーケットに対し、賞味期限切れの食品の廃棄を法的に禁止した世界で最初の国になった。テレビ「iTele」が伝えた。
報道によれば、フランス上院は、満場一致で、新しい法案を可決した。この法律は、直ちに効力を発した。すでに今日5日、フランスの大手スーパーマーケットは、調味期限の切れる食品の廃棄が禁止される。それらは廃棄される代わりに、人道援助組織に回され、必要とする人々に配られる。
また新しい法律の中では、故意に食品を廃棄したスーパーマーケットに対する罰則も規定されている。これまで多くのスーパーは、倉庫周辺に集まる失業者やホームレスの人々が食べられないように、食品を故意に「損なって」きた。
この法案の採択に向け尽力した活動家達は、こうした措置が、EUレベルで取られるよう期待している。
先に伝えられたところでは、ブリュッセルのレストランには、メニューに「残飯」から作られた料理がお目見えするとのことだ。
日本政府は、国家安全保障局の谷内局長を米国へ派遣し、北朝鮮への対応などについて意見交換するほか、現在調整が進められている安倍首相のロシア非公式訪問に関連する日本の立場を説明する意向。
NHKによると、谷内局長は2月29日から3月2日頃までの予定で米ワシントンを訪問する予定。局長は、ライス国家安全保障担当大統領補佐官らと会談する方向で調整に入ったという。
谷内局長は特に、現在調整が進められている安倍首相のロシア非公式訪問が、ロシアとの平和条約締結問題や、両国間の領土問題解決に向けた新たなステップになると考えている日本の立場を米国側に説明する予定。
共同通信は23日、複数の露日関係筋の情
報として、オバマ米大統領が2月9日に行われた安倍首相との電話会談で、5月のロシア訪問を自粛するよう求め、「今はそのタイミングではない」と伝えたが、安倍首相は「これに応じず、議論は平行線に終わった」と報じた。
安倍首相のロシア非公式訪問は、1月に実施された露日首脳による電話会談で合意された。安倍首相のロシア訪問は5月6日になるとみられている。なお露日首脳の非公式会談が行われる可能性がある都市として、黒海沿岸のソチが挙がっている。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160225/1676057.html
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露米の間で相手選びに迷う日本[スプートニク日本語]
2016年02月26日 00:02(アップデート 2016年02月26日 01:00)
アンドレイ イワノフ
日本政権は国家安全保障局の谷内局長を米国に派遣する構え。狙いは安倍首相がロシア訪問を行うかもしれない件について説明を行なうことだが、谷内氏は日本の国益を守り、しかも米国とは一戦を構えずという困難な課題を背負わされている。
この状況についてモスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員、アンドレイ・イヴァノフ氏は次のようなコメントを寄せている。
「安倍首相が一刻も早くプーチン大統領に会おうとしていることは分かる。安倍氏は日露関係の拡大も容易ではない国際状況も共に話し合いたいと思っているのだ。日本の憂慮を招いているのがウクライナ危機もシリアの戦争も、それに北朝鮮や中国の軍事力の伸長もそうであることは隠し立てすることではない。また中国が南シナ海、東シナ海の係争水域に関する立場を強行に押し出していることもそうだ。ロシアにはこれらの問題に対する独自の見解がある。そしてこれが日本にとっては非常に重要なのだ。
だが、日本にとっては主要な軍事政治同盟国であり、ほぼ唯一、安全を保証してくれる国である米国の立場もそれに劣らず重要なのである。このため日本の政治家らは米大統領の見解を完全に無視するというわけにはいかない。しかも対するオバマ氏は何を隠そう、ロシアが独自の外交政策を採ったことを非難し、これを孤立化させようとした発案者なのだ。
ロシアはここ2年、クリミアのロシア再編入の決定を支持し、キエフでの違憲的なクーデターを受け付けなかったドンバス住民に人道援助物資を届け、テロリストと戦うシリアの合法政府と国民を支持してきた。
このためオバマ氏はおそらく、安倍氏がプーチン氏に会おうとしていることに大賛成ではない。このため谷内氏のワシントン訪問では、今の段階で日本の首相はロシア非公式訪問を行うのは好ましくないという示唆が出されることもありうる。安倍氏は最終的にロシア訪問を決定する際にこれに対するオバマ氏の否定的態度のみならず、さらにもう一つ、米国の重要な立場を考慮するなんてことにならないよう祈りたい。というのも米国はいつだって、自分のライバルとの抗争に日本を利用してきたからだ。
20世紀初頭、米国は英国と手を組み日本をけしかけてロシアへ対戦させた。これは極東におけるロシアの立場を弱めるのが目的だった。目的は達成されたが、日本はこれに大きな代価を支払った。日本はロシアを1.7倍上回る戦死者を出し、対外債務も数倍に膨れ上がった。第2次大戦後、米国は日本をソ連と中国を抑止するための緩衝地帯に変えたほか、南クリルだの尖閣だのと領土問題を人工的に作り出し、これを日露、日中関係の正常化を妨げるためにまんまと利用してきた。そして今においても日本は米国にとって必要なのだ。その第1の目的は中国とロシアの抑止のためなのである。
もちろん、日本は必要とあらば、独自の役割を果たすことができた。たとえば1980年代、米国がソ連のアフガン進攻を理由に国際的なボイコットを組織したが、日本はロシアとの積極的な経済協力を続けた。それに今だって、日本はウクライナがゆえんで出された対露制裁を熱心に支持しているというわけではない。
対露関係の拡大という決断を採った日本は米国の国益のみならず、自身の国益も忘れてはならないという路線をたどるべきだろう。それに米国は、連合国がライバルへと転じるやいなや、その昔の功績をさっさと忘れることができることを幾度も示してきたではないか。まさにこれが20世紀の前半に日本との間で生じたことだ。こうした事態が再び繰り返されないと誰が断言できるだろうか?
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160226/1677824.html
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安倍首相のソチ訪問が実現し、日本もロシアの石油・ガス田にアクセスを得るか[スプートニク日本語]
2016年02月24日 21:17(アップデート 2016年02月24日 22:28)
アンドレイ イワノフ
菅官房長官は、日本の内閣府はこれまでの予定通り、安倍首相のロシア非公式訪問に向けた準備を続けていることを明らかにした。
菅官房長官のこの声明は、オバマ米大統領が安倍首相との電話会談を実施したなかで、首相に対し、対露関係に自粛を求めるよう助言した後に表されたため、ロシアのマスコミではこれは日本もとうとう成熟し、米国の専制に対して反乱を起こした証拠ではないかと受け止められている。アレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使はこの状況を以下のように考察している。
「すでに昨年の時点で安倍首相は訪米時にオバマ氏に対して、プーチン氏との対話継続の意思を表しており、オバマ氏はこれに否定的な態度を示したことはみんなが見ていた。このため安倍氏はG7で他の大国の支持を取り付けようとして、これが功を奏した。メルケル氏もオランド氏も領土問題などでロシアとの対話を続けたいという安倍氏の立場に理解を示したからだ。
安倍氏はこうした支持を得て、自分がまずロシアを非公式に訪問し、その後、プーチン大統領の訪日を実現させるための準備を行なうチームを結成した。米国はこれを見て、安倍氏のプランを否定的に受け止めていることを再確認している。この声明にもかかわらず、菅官房長官は昨日、日本は安倍氏の訪問を準備すると語った。だがその際に長官は、日本は米国と行動を調整してゆき、その立場がG7の立場と矛盾することはないと強調している。これは非常にバランスの取れた立場だ。
安倍氏は一方ではロシア訪問を準備し、もう一方で自国のパートナーらをなだめ、G7の共通の立場を、特にウクライナについてのそれを深刻に損なうことはないと繰り返している。なぜウクライナについての立場かというと、シリアについては意見の食い違いはかなりの部分、取り除かれたからだ。
このため私は、安倍氏のロシア訪問は実現すると思う。というのも問題は話し合いの中身のほうだからだ。ひょっとすると今まで後回しにされてきた宇宙や原子力分野における協力や、ビザ制度の合意についての一連の話し合いが再開されるかもしれない。そこまでくれば、プーチン大統領の訪日がどう準備されるかは見通しがつくだろう。
先日、ドヴォルコヴィチ副首相は、プーチン大統領の訪日のためには、なによりもまず経済面でのより本質的な合意が必要という声明を表している。それにドヴォルコヴィチ副首相が、今まで日本企業には制限されてきたロシアの一連の油田ガス田の支配株獲得を解除すると言ったのは、おそらく偶然ではないはずだ。日本はこれをずいぶん前から要請してきたが、ロシアはこれを受け入れず、中国だけに例外を与えていた。
ところが今、制裁があるにもかかわらず、こうしたプロジェクトに日本が参加する公式は見つけようと思えば見つけられることになった。
また日本のほうは、ロシアのために円の借款を用いる可能性を準備している。このようにして今、両国関係にはなかなか良い発展の動きが見られている。4月にはラヴロフ外相が日本に行く。そのときに安倍氏が5月6日にソチに来る件について具体的な話がでるだろう。」
「スプートニク」:平和条約締結交渉の再開の見通しは?
「平和条約では進展はない。双方ともこれまでの立場を堅持している。ロシア側の理解は、すでにボールは日本側に投げてあるから、なんらかの妥協を提案しなければならないのは日本側のほうだというものだ。」
シリア反体制派は、一時的な停戦体制を2週間にわたって履行する用意があることを確認した。反体制派の高等交渉委員会の声明の中で述べられている。
声明では、「高等交渉委員会は、2週間の試験的な停戦が、他の当事者らに自分たちの義務の重要性を確認する機会を与えると考えている」と指摘されている。テレビ局アル・アラビーヤが報じた。
先にシリアのミクダード外務副大臣は、シリアは「ロシアの友人たちとの深みのある協議の後」、露米の合意に従い、戦闘の停止を決めたと発表した。
22日に発表された露米の共同声明によると、シリアでは2月27日から政府軍と、武装した反体制派の間で停戦が始まる予定。一方で、「ダーイシュ(IS、イスラム国)」や「アル=ヌスラ戦線」、また国連がテロ組織と認定するその他のグループへの攻撃は続けられる。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160225/1675668.html
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露米の軍人 シリアの戦闘が行われない場所を識別[スプートニク日本語]
2016年02月25日 18:40
ロシアと米国の軍人は共同で、シリアで戦っているグループの活動領域を地図上で識別している。これらのグループに対する戦闘は行われない。中東問題担当ロシア大統領特使を務めるロシアのボグダノフ外務次官が発表した。
ボグダノフ氏は、次のように述べた-
「2月26日の正午までに、シリアで戦っている全ての当事者は、自分たちの停戦の用意を確認しなければならない。ロシアと米国の軍人たちは共同で、そのようなグループが活動している領域を地図上で識別している。これらに対してシリア軍、ロシア航空宇宙軍、米国の有志連合の軍事作戦が行われることはない。」
22日、ロシアと米国はシリアに関する共同声明を表した。それによると、シリアでは政府軍と武装した反体制派の間で2月27日から停戦が始まる予定。なお、「ダーイシュ(IS、イスラム国)」や「アル=ヌスラ戦線」、また国連がテロ組織と認定するその他のグループへの攻撃は続けられる。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160225/1676473.html
ロシアは、トルコはロシアの敵ではなく、友を失ってしまったことを理解しなかった。トルコのエルドアン大統領は24日、こうした声明を表した。
エルドアン大統領はアンカラの大統領府で地方の知事らと会談した際に「他が対露制裁を発動したとき、我々はこれを行なわなかった」と語り、ロシアはトルコを理解しなかったとの見方を示した。
「両国の貿易取引高は350億ドルに達していた。これを我々は1000億ドルまで引上げたいとしていた。ロシアが我々を理解しなかったのは残念だ。2人のパイロットのせいで(ロシアは)トルコのような友を失ったのだ。」
エルドアン大統領の声明をトルコのマスコミが引用して報じた。
ロシア・トルコ関係は、2015年11月24日、シリア上空でのトルコによるロシアのスホイ24撃墜事件の後、危機的状況となっている。ロシアのプーチン大統領は、ロシア機について、シリア上空でトルコのF−16戦闘機の「空対空」型ミサイルによって撃墜され、トルコとの国境から4キロのシリアで墜落したと発表。プーチン大統領はこれをテロリストの共犯者たちによる「裏切り行為だ」と指摘した。
ラヴロフ外相はシリア休戦をプランはこれをおいて他にはなく、これからも現れないとする声明を表した。
ラヴロフ外相は記者団を前に「(他のプランなど)ない。それに現れない。誰のところにもない」と断言している。
22日、シリアに関する露米の共同声明が表された。声明に従った場合、シリア政府軍と反体制武装勢力は2月27日より休戦体制に入らねばならない。ただし「ダーイシュ(IS、イスラム国)」、「アル=ヌスラ戦線」など国連がテロ組織と認定したグループは休戦体制の当事者には含まれない。
これより前、ガーディアン紙の報道では、米国が休戦プランが失敗した場合に備え、シリアの分割に自国を含める予備プランを検討していることが伝えられていた。
中国は、係争水域のスプラトリー諸島に設置した新レーダーによって米のステルス戦闘機の追跡を可能にしてしまうかもしれない。米の外交専門誌「ナショナル・インタレスト」のデイブ・マドジュムダー評論員はこうした見解を表している。
「中国はかなりの確率でスプラトリー諸島に新たな高周波レーダーを建設している。これを使えば、F−22「ラプター」やF−35「ロッキード・マーティン」、さらにはノースロップ・グラマン社のB−2「スピリット」まで最も追跡が困難な米国の軍用機も見つけられてしまう。」
これより前、米国で最も権威あるシンクタンク「戦略国際問題研究所」は高周波レーダーと思われる物体の建設現場写真を公開している。
高周波レーダーは最高数メートルの周波を用い、ステルス技術を用いる航空機をすべてキャッチしてしまう。マドジュムダー評論員は、米空軍が使用するステルス機は高周波レーダーに傍受されないよう、すべて小型仕様だと指摘する。
マドジュムダー氏は、万一、戦争が開始されれば米国は中国にミサイルを発射する前にこうしたレーダーを破壊するだろうと論説を結んでいる。
「世界で最多の大富豪が暮らす街」に北京がニューヨークを抜いて首位に躍り出た。3位にはモスクワが入った。毎年、首都別富豪人口ランキングを調査している胡潤研究所が発表。
北京がニューヨークから「億万長者の首都」の称号を奪い取った。
同研究所は昨年10月の時点ですでに、富豪人口で中国がアメリカを抜いたと発表していた。
胡潤研究所が年1度発表している首都別富豪人口ランキングで北京がニューヨークから「億万長者の首都」の称号を奪い取った。
調査では、昨年北京の富豪人口は32人増え合計で100人となった。一方のニューヨークは4人増加で総数は95人となった。3位のモスクワだが7人減少し66人となった。
4位と5位には 香港と上海がそれぞれ入っている。香港の富豪人口は7人減少の64人、上海は20人増加の50人となった。
米国の月への有人宇宙飛行計画の「アポロ10号」ミッション中に、宇宙飛行士たちが月の裏側で音楽のような奇妙な音を耳にした。これは、公開された宇宙飛行士たちの会話を録音したものによって証明されている。
宇宙飛行士たちは飛行中に約1時間にわたって地球と連絡ができなかった。飛行士たちは、その地球との通信が途絶えていた時に奇妙な音を聞いたという。
飛行士たちは「音楽」について、奇妙な音であり、どこから聞こえるのか突き止めなければいけないと指摘し、互いに話をしている。1人の宇宙飛行士は、音について「遠い宇宙からの音楽」だと述べ、別の飛行士はヒューヒューという音と似ていると語った。「レンタ.ルー」が伝えた。
宇宙飛行士たちは地球との通信が回復する直前までこの音について指導部に伝えるべきか否か話し合った。1人の宇宙飛行士は「誰も私たちのことを信じてくれないだろう」と指摘した。飛行士たちは、奇妙な現象は自分たちの精神障害によるものとされて、再び宇宙へ出発する可能性を奪われることを危惧した。
なお奇妙な音の原因は、荷電粒子だったのではないかと指摘されている。荷電粒子が無線の電波干渉を引き起こしたという。(探査機カッシーニでも土星周辺で同様の現象が起こった)。
一方で月には大気がないため、月がこの粒子の発生源であることは不可能だという。また宇宙飛行士たちが聞いた「音楽」は、2つのモジュール間で通信する際の通常の雑音によって生じた可能性もあるという。
「ウクライナ ロシアへの債務支払わず 12月31日デフォルトへ:「ウクライナ対露債務とクリミア半島ロシア再編入の交換」」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/173.html
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ロシア、ウクライナ、互いの支払い要求が総額1億ドルに[スプートニク日本語]
2016年02月24日 22:37
ロシアとウクライナが互いに申し立てる支払い要求額が2月末には双方合わせて約1億ドルに達した。ブルームバーグが報じた。ロシアとウクライナはストックホルム商業会議所仲裁裁判所を通じて互いに支払い要求を申し立てている。
ウクライナの支払要求額は630億ドル。そのうち最大を占めているのがクリミアがロシアに再編入されたことに対する賠償金。
クリミアのほかにもウクライナは、ロシアの「ガスプロム」に対しても支払いを要求している。ウクライナ国営「ナフトガス」は、ガスプロムはガス輸送費を完済しておらず、09年締結の契約による燃料供給は価格が高すぎると考え、未払い金と過払い金の返還を求めている。要求額は270億ドルに上る。
一方ガスプロムは、ガス供給は買い手が商品を受け取らなくても一定金額の支払いの義務が生じる「テイク・オア・ペイ契約」に基づいていると主張し、約320億ドルの未払い金の支払いをウクライナに求めている。
先週ロシアはロンドンの高等法院に、ヤヌコビッチ前大統領政権時代の2013年12月、ウクライナに行なった30億ドルの借款の回収を求めて提訴した。2年間の利息により負債額はさらに30億ドルは膨れ上がるものと見られている。
王毅外交部長(外相)は23日にワシントンでケリー米国務長官と共同記者会見に臨み、朝鮮半島情勢について中国側の立場を明らかにした。
王部長は「私とケリー国務長官は朝鮮半島核問題の最新の進展について踏み込んで意見交換した。われわれは国際的な核不拡散体制の維持の立場から、朝鮮の核・ミサイル開発計画は受け入れられず、核保有国としての朝鮮の地位も受け入れられないと考えている。国連安保理の朝鮮に関する決議の協議は重要な進展を遂げており、近く合意できる見込みだ。中国側はこの決議が実行されれば、朝鮮の核・ミサイル計画の一層の推進を有効に抑止できると信じている。だが同時に、安保理決議自体は朝鮮半島核問題を根本的に解決できるものではなく、各国は最終的に交渉と対話の軌道に戻る必要があることを重ねて強調する」と表明。
「6カ国協議の議長国として、中国側は客観的で公正な態度に基づき、交渉再開の道と方法を探るべく努力し続けている。朝鮮半島情勢の最新の進展に基づき、中国側は朝鮮半島の非核化と停戦・和平移行の並行推進についての構想を示した。われわれは各国の意見が一致していないことを知っている。中国側はこれについて開かれた姿勢であり、より良い提言があれば提出を歓迎する。同時に、中国側は並行構想は情理にかなっており、的確で実行可能であり、朝鮮半島の非核化という大きな方向を堅持し、各国の主要な懸念にバランス良く配慮したものだと考えている」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月25日
中国の王毅外交部長(外相)は23日にワシントンでケリー米国務長官と共同記者会見に臨み、南中国海問題について中国側の立場を明らかにした。
王部長は「南中国海諸島は古来中国の領土であり、中国には自らの主権と正当な海洋権益を守る権利がある。同時に中国側は対話を通じて溝を管理・コントロールし、交渉を通じて争いを解決する方針を堅持している。南中国海最大の沿岸国として、中国にはASEAN諸国と共に引き続き南中国海地域の平和と安定を維持し、各国が国際法に基づき有する航行の自由を維持する能力と自信がある」と表明。
「私とケリー長官は平和的方法で、交渉によって争いを解決することで合意した。中米は海上問題について意志疎通を進め、相互理解を深め、誤った判断を回避・防止することでも合意した」と述べた。
中国側による南沙(英語名スプラトリー)諸島でのレーダー配備に関する質問には「みなさんがレーダー配備かどうかだけに注目するのではなく、度々南中国海に侵入するイージス艦と戦略爆撃機をより重視することを希望する。中国が何を配備したかどうかだけに注目するのではなく、中国の島・礁を不法占拠した国が過去数十年来南沙に様々なレーダーおよび軍事施設を配備してきたことを知るべきだ」と指摘。
「南沙の非軍事化は1カ国の事ではなく、各国が共に努力する必要がある。このため、われわれは今後接近偵察による挑発や先進武器の誇示が減ることを希望する」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月25日
中国の王毅外交部長(外相)は23日にワシントンでケリー米国務長官と共同記者会見に臨み「中米関係は世界で最も重要な二国間関係の1つだ。同時に、この関係は複雑、多元的で簡単には定義しがたい。協力のチャンスをしっかりと把握できなければ溝に変わり得るし、溝や摩擦をうまく処理すれば協力のハイライトになり得る。中米関係の発展には『加法』と『減法』をうまく行う必要がある」と強調した。
王部長は「『加法』とは実務協力の拡大を通じて、中米関係のプラス面を蓄積し続け、プラスのエネルギーを拡大することだ。中米間の利益はすでに融合している。昨年、中国は初めて米国にとって最大の貿易パートナーとなった。現在の世界を見渡すと、核不拡散から気候変動まで、中東和平からアフリカの発展まで、いずれも中米の調整と協力、共同関与が必要だ。未来を展望すると、中米の共通利益は拡大する一方で、減少することはない。協力すべき、または協力できる分野は拡大する一方で、減少することはない」と指摘。
「『減法』とは溝を建設的にうまく管理・コントロールすることだ。最大の発展途上国と最大の先進国との間に摩擦は常に存在するものであり、古い摩擦を解決しても新たな摩擦が出現する。双方は中米関係の摩擦を直視し、緊密で効果的な意志疎通を通じて誤解や誤った判断を速やかに解消し、建設的方法で溝を管理・コントロールし、小さな問題が大きなトラブルにならないようにするべきだ」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月25日
中国の調査機関、胡潤研究院は24日、「世界長者番付2016」を発表。世界経済は鈍化傾向が続いているものの、世界では10億ドル(約1120億円)以上の資産を有する富豪が99人増加して過去最高の2188人となった。13年と比べると50%増だ。環球時報が報じた。
同番付によると、2016年1月15日の時点で、米マイクロソフト社の創業者ビル・ゲイツ氏が資産800億ドル(約8兆9600億円)で連続トップ。2位は米投資家のウォーレン・バフェットで、資産680億ドル(約7兆6160億円)だった。中国からは、大連万達集団の王健林氏が260億ドル(約2兆9120億円)で昨年から順位を12上げて21位。長江実業グループの創業者・李嘉誠氏を超えて中華圏トップとなった。中華圏の10億ドル以上の資産を持つ富豪は計568人で、535人だった米国を初めて抜いた。また、北京は、初めて米ニューヨークを抜いてスーパー富豪が多い都市となり、10億ドル以上の資産を持つ富豪が100人いた。
「人民網日本語版」2016年2月25日
最近、米国は南中国海で中国が「軍事化」を推し進めていると頻繁に騒ぎ立て、永興島(英語名ウッディー島)にミサイルを配備したと非難し、南沙諸島でレーダー施設を建設したと報告している。では、南中国海を「軍事化」しているのは一体誰か?数多くの事実が物語っているように、それは他ならぬ米国だ。(文:張軍社・海軍軍事学術研究所研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
第1に、南中国海で中国が「軍事化」を推し進めていると非難する米国は、明らかに泥棒が他人を泥棒呼ばわりしているようなものだ。近年、米国は南中国海周辺地域で軍事力配備を強化し続け、フィリピンの軍事基地8カ所の使用権を獲得し、シンガポールで沿海戦闘艦や対潜哨戒機など海空軍事力を強化し続け、軍艦や戦闘機を頻繁に派遣して南中国海で武力を誇示している。南中国海でのターゲット性の高い合同軍事演習や合同巡航に同盟国やパートナーを再三引き込み、地域の緊張を誇張している。フィリピン、ベトナムなど東南アジア諸国に武器・装備を売り込んでいる。イージス艦や戦略爆撃機、対潜哨戒機を中国の南沙(英語名スプラトリー)諸島および西沙(英語名パラセル)諸島の近海空域に派遣し、あからさまな威嚇を行っている。
第2に、中国が限定的な防御施設を配備するのを非難する米国は、後ろめたい盗人のようなものだ。南中国海諸島は古来中国固有の領土であり、中国には自らの合法的権益を維持する権利がある。中国が自らの領土に限定的な防衛施設を配備するのは、国際法の与える主権国としての自衛権の行使であり、軍事化とは無関係であり、完全に正当かつ合法だ。
第3に、南中国海における中国の建設活動をいわれなく非難するのは、米国のダブルスタンダードを浮き彫りにしている。中国が自らの領土で建設活動を行うのは、完全に自らの主権の範囲内の事だ。中国が防衛のために駐屯し、すでに完成した灯台および近く完成する気象観察予報、漁船緊急避難施設などは、中国が南中国海最大の沿岸国として国際社会に提供する公共サービスであり、全く軍事施設ではないのに、米国は度々非難している。一方、フィリピンやベトナムによる侵略・占領した中国の南沙諸島での飛行場や港湾の建設、武器・装備の配備といった明らかな軍事行為に対しては、米国は見て見ぬふりをしている。
第4に、いわゆる「航行の自由」の維持は、南中国海の平和と安定を破壊する米国の隠れ蓑だ。米軍は長年世界の海洋でいわゆる「海洋の自由」行動を実施してきた。その本質は米国のスタンダード、強大な海上部隊によって他国の領海、排他的経済水域(EEZ)、群島水域、海峡などの主権と管轄権に挑戦し、米国の海上覇権を維持するものだ。周知のように、各国が国際法に基づき南中国海で享受する航行と上空飛行の自由が脅かされたことは長年にわたりなく、毎年10万隻以上の各国の船舶が南中国海地域を安全かつ自由に通過し、いかなる問題も生じていない。だが米軍のいわゆる「航行の自由」行動は南中国海の平和と安寧を奪い、地域の緊張を激化させている。こうした利己的で横暴な米側の行動は南中国海問題の平和的解決に無益であり、南中国海の平和と安定を破壊するものだ。
米国は自らが南中国海問題の当事国ではないことを理解するべきだ。この点を理解したなら、争いを平和的に解決し、南中国海の平和と安定を共同で維持する中国と関係国の努力を尊重するべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月25日
最近、朝鮮半島情勢は目まぐるしく変化し、危険がにわかに増している。1つには、朝鮮が世界各国の強い反対を顧みず再び核実験を行い、さらに弾道ミサイル技術を使って発射を行ったことで、これは国連安保理の禁令への重大な違反だ。これに対して国連は朝鮮半島情勢の安定を維持するため、引き続き対朝制裁の強化を協議している。もう1つには、米国が朝鮮による新たな核実験と衛星発射を口実に、ミサイル防衛(MD)システム「THAAD」を朝鮮半島に持ち込む可能性があることで、これは地域の安全保障情勢を一層複雑化させる。(文:沈丁立・復旦大学国際問題研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
新たな状況を受けて、朝鮮半島および地域の平和・安定を維持するために一定の措置を講じるのは必要なことであり、そうすべきだ。だがこのような「タイミング」を捉えて別の事をやり、しかもそれが思惑に逆行する結果をもたらしうることは、理解しがたく、憂慮される。米国のする事なす事を見ると、朝鮮半島問題における思考にいささか問題があると感じる。
その一、冷戦思考。朝鮮半島問題において米国は長年対立を堅持してきた。米国は朝鮮半島南部に長年軍を駐留してきただけでなく、冷戦中には韓国に核兵器も配備し、朝鮮半島における核兵器化を先駆けて開始した。21世紀に入ってからも米国は冷戦思考を固守し、北側を「悪の枢軸」と呼び、大統領の前任期中には対話を頑なに拒否した。現任期中も引き続き接触を避けている。これが朝鮮半島情勢が繰り返し変化している重要な原因であることは間違いない。
米国はかつて一度朝鮮、イラン、イラクを「悪の枢軸」と呼んだ。米国は国連の承認がない中、イラクに対して戦争を発動し、現地に多大な惨禍をもたらした。米国はイラクが戦前に大量破壊兵器を秘密裏に開発していたいかなる証拠も見つけられず、反対に現地に深刻なテロ活動を引き起こした。イラン核問題に対しては手法を根本的に改め、国際社会の圧力と協力の下、長期間の対話を通じて昨年合意にいたった。だが米国は朝鮮との対話は拒否し、冷戦思考で圧力と対立を継続している。
その二、自国の目的を持ち込む。米国と韓国には同盟協定がある。安全を互いに保障することが目的だ。朝鮮の核兵器・ミサイル開発に対して、韓国が適度なミサイル防衛を講じることも決して理解できないことではない。だがこれら全ての行為の守るべき一線は正当な自衛であるべきだ。「自衛」を超えて、朝鮮半島の安全の均衡を崩し、北東アジアさらにはアジア太平洋地域に影響を与えることがあってはならない。
周知のように、「THAAD」の能力は朝鮮に対する防御の必要性を遥かに超える。「THAAD」を韓国に持ち込めば、中国の戦略安全に直接影響し、北東アジアとアジア太平洋の均衡を崩すのは確実であり、さらに大きな範囲での戦略再均衡競争を招く恐れがある。米国のこの行動は「その野心は誰もが知っている」だと言えよう。
その三、自己矛盾。米国は朝鮮半島問題の利害関係者だが、北南双方に対して長年全く異なる政策をとってきた。南部に対しては安全保障を提供する一方で、北側に対しては高圧的に抑え込んできた。これは朝鮮半島関係の緩和・改善に無益だ。米国は口先では核問題を解決する必要があると言っているが、朝鮮との接触・信頼を欠き、朝鮮半島核問題は解決困難なだけでなく、一層激化している。朝鮮半島核問題と朝鮮半島問題における米国の立場が、心にもないことを言う、自己矛盾したものであることは明らかだ。
上述の問題を解決するうえで、超大国は一体能力が不足しているのか、それとも誠意を欠いているのかと問わざるを得ない。さらに米国は朝鮮半島核問題の解決を心から望んでいるのか、それともこの問題が長期間存在して、自らが北東アジアに干渉する取っ掛かりとし、ワシントンを中心とする東アジア地域同盟に門を開き、自らがアジア太平洋と世界を長期間主導する助けにしようとしているのかと問いただす必要もある。
米国に厳しく警告できるのは、朝鮮半島問題の扱いが不適切なら、アジア太平洋の平和・安定に無益なだけでなく、自国の願望と甘い夢を実現することも不可能だということだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年2月17日
何より、14年4月の8%への引き上げが与えている日本経済(国民生活)への長期的で深刻な打撃を考えたら、同じ轍を踏むわけにはいかない。
消費税の基本的性格は先取りの「給与所得税(給与支払い税)」であり、経済に深刻な影響を与えるのは当然である。
とりわけ、賃金も生産性も上がらない“成熟期”の消費税(付加価値税)増税はダメージを緩和するものがないため、悪影響がより深刻で長期化する。
(念のため、消費税増税は、言い訳として利用されている「財政健全化」や「社会保障の持続・充実」とはまったく無関係の政策)
さらに、安倍首相には、日朝国交正常化という一大使命がありながら交渉が遅々として進んでいないことから、首相の任期をできるだけ延ばしたい思いがある。
(ことさら信を問う必要はない15年10月増税の中止を理由に、14年末にわざわざ解散総選挙を行ったのも自分の首相任期をできるだけ引き延ばすためである)
消費税税率引き上げの延期を決断する“最大の障壁”は、増税で「輸出免税」を通じた利得が増大する経団連加盟各社や「軽減税率」の適用をヨダレを流して待っている新聞各社・創価学会の批判(むろん、自己利益という真の意図は隠し、財政健全化や社会保障を持ち出しての批判だが)である。
今回の増税延期は付帯条項があった前回と違って国民に信を問う必要はあるが、7月の参議院選挙と同時を狙っているはずだから、早い段階で延期を口走って批判を招く必要はなく、国民多数派の反増税意識に頼って選挙に勝つためには、“国際世論”の後押しを得るなどして一気呵成に「増税延期→解散→総選挙」に動くだろう。
※参照投稿
「安倍政権支持率回復の秘策は「消費税増税再延期」の是非を問うかたちでの来年7月“衆参同時選挙”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/463.html
「中止はともかく延期は無意味だが延期は実質的に中止を意味:経団連だけでなく「軽減税率」期待のメディアも延期を黙認しない」
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/220.html
「内閣不信任案可決を経ない首相の衆議院解散は憲法違反という理由」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/448.html
「安倍首相(財務省)が消費税増税を延期するワケ(その1)」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/757.html
「安倍首相(財務省)が消費税増税を延期するワケ(その2)5兆円規模の「経済対策」や2兆円規模の「法人減税」の有効性」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/770.html
「消費税増税政策(その3):消費税増税後の日本の姿」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/780.html
○「安倍首相(財務省)が消費税増税を延期するワケ」以降は読みが外れた13年10月初めの投稿
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消費増税、首相発言で臆測 予定通りか再び延期か[日経新聞]
2016/2/26 1:16
2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げを巡り、安倍晋三首相の発言が注目を浴びている。首相は増税を先送りする状況として「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態」と述べてきたが、年明けから「世界経済の大幅な収縮」とも言い始めた。財務省や内閣府は「増税の判断は変わらない」とするが、与党内では増税先送りや、夏の参院選と合わせた衆参同日選の臆測もくすぶる。
「再び延期することはない」。10%への増税について、首相は繰り返してきた。そもそも15年10月に実施するはずだった消費増税を、首相は14年秋に衆院解散とともに1年半延期。経済情勢で増税を見送る「景気弾力条項」もなくし、背水の陣を敷いた。
その後の国会答弁でも「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施する」と強い決意を語ってきた。
答弁がやや変わったのは1月19日の参院予算委員会。共産党の小池晃氏が「リーマン・ショックのような事態とは具体的にどういう事態か」と尋ねると、首相は「まさに世界経済の収縮が実際に起こっているか、専門的見地から分析し判断していかなければならない」と応じた。
政府関係者によると、小池氏の質問は事前に通告がなかったという。首相は財務省や内閣府が用意した答弁ではなく、自ら言葉を選んだようだ。その後、首相官邸からは各省庁に「今後はこの言い回しを使うように」と指示が出された。
今月24日の衆院財務金融委員会でも首相は同じ表現を使った。首相周辺や、財務省と内閣府の幹部は「リーマン・ショックとはどういう事態かを説明しただけ」「増税判断に新たな条件が加わったわけではない」と一様に説明する。
なぜか。首相はこうした答弁で増税先送りの条件に関して「単に個人消費の落ち込みではない」「株価の変動幅のみではない」とも強調したためだ。消費低迷や株価下落を理由とした増税の先送りはせず「世界的な危機以外は必ず上げる強い意志」(経済官庁幹部)と受け止められている。
一方、与党内には首相発言について「消費増税先送りの意図ではないか」との見方もある。当選2回の自民党議員の一人は25日「市場だけでなく、地方経済も実態は厳しい。増税先送りを示唆したのでは」と指摘。17年4月に消費増税と軽減税率導入を公約している公明党幹部は「増税延期はありうべし、とにおわせている」と警戒する。
背景には、夏の参院選を前に広がる経済への不透明感がある。自民党の稲田朋美政調会長は、現時点で経済対策は必要ないとしながらも「市場が乱高下しているのは事実で不安もある」と表明。党幹部の一人は「経済状況は変わってきている。増税先送りは選択肢の一つ」と述べた。
増税先送り論と共に浮上するのが、衆院解散・総選挙と絡める声だ。民主党幹部は首相発言について「増税先送りの具体的な基準がはっきりしない」と指摘しながらも「見送りを争点に衆院を解散する可能性はある」との見方を示した。
自民党のベテラン議員も「増税の再延期はない、との公約を撤回するなら解散してもおかしくはない」と語った。参院選が近づくにつれ、首相の一言一句にさらに注目が集まりそうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE25H04_V20C16A2PP8000/?dg=1
東京電力福島第1原子力発電所事故で、全住民が避難した福島県の7つの自治体で初めて楢葉町の住民の帰還が始まった。昨年9月の避難指示解除から5カ月余り。約7400人いた住民のうち週4日以上町で暮らす人は430人ほどで、帰郷した人の割合は5%台にとどまる。帰還の意欲はなぜ低調なのか。希望はあるのだろうか。来春以降、避難指示解除を目指す他の自治体は、同町が再起の先駆けとなるのか注目している。(文中敬称略)
昨年9月、避難指示解除と同時に楢葉町の自宅に帰還した元公務員の男性(71)を取材した。その後、元気にしているだろうか。5カ月ぶりに訪ねると玄関の戸は固く閉ざされていた。
防犯パトロールなどに尽力していたが循環器系の持病が悪化。専門医の診察が必要で1月中旬、いわき市の仮設住宅に戻っていた。
男性には妻と3人の子、5人の孫がいる。孫は同市の小学校に通うため子世帯は町に帰れない。子はフルタイムの仕事に就き、妻は孫の世話で忙しい。帰還できたのは男性だけだった。
若い世代は仕事と子育て。おばあちゃんは働く娘らを支援。単身帰郷したおじいちゃんは体調を崩し仮設に逆戻り。この家族の例は町の苦境を言い尽くす。
避難先で生活確立
国は当初、原発事故避難者の帰還を目指した。が、結果的に移住に誘導する施策を打った。帰還困難区域の住民らが避難先で家を購入した場合、従来は事故前に所有していた不動産価格のみだった賠償を、新居と所有不動産の差額の最大75%にまで積み増したのだ。
これが避難者の住宅特需を喚起し、昨年の公示地価でいわき市郊外の宅地の上昇率は全国首位の17.1%に。追加賠償という人道的に正しい政策は、ミニバブルと被災地の帰還人口減少を招いた。住民回帰を願う自治体にとって国の政策は、経済学でいう「合成の誤謬(ごびゅう)」と映る。
復興庁が全町避難が続く大熊、富岡、浪江各町の全戸を対象にした調査で「町に戻らない」と答えた割合はそれぞれ63.5%、50.8%、48.0%。避難先で家を持つ割合は3割を超した。避難指示解除を目指す自治体の前途も多難だ。
国が復興の「1丁目1番地」という除染ゴミの中間貯蔵施設(双葉、大熊町)の用地買収が難航し被災自治体の田畑などに汚染土を詰め込んだ化学繊維の黒い袋が積み上げられている。
今月16日、いわき市で用地の地権者と環境省の交渉があった。地権者会会長の門馬幸治は「約束通り30年後に土地を返す担保を」と契約書に国の債務不履行時の違約金条項を明記するよう求めたが同省は難色を示す。住民帰還の障害である汚染土処分のボトルネック解消の道筋は見えない。
厳しい現実を踏まえ楢葉町は、企業誘致を核とした町づくりを目指す。
「今後3年が勝負」
常磐線・竜田駅東側に福島第1原発の廃炉関連企業が入居する事務所を整備する。1月末、大手住宅関連会社が事業者に決まった。同町新産業創造室の磐城恭は「造成が終わる11月までに数社の誘致を決めたい」。同地区には17年度開業のホテル建設も決定。100人規模の地元採用が見込まれるなど、好材料も兆す。
一方、商業施設は住民帰還が進まない現状から「採算を不安視し営業再開に二の足を踏んでいる」。廃炉技術研究などビジネス人口流入をにぎわい創出の起爆剤とし、住民帰還の呼び水とするシナリオだ。
財団法人「日本立地センター」が廃炉関連だけでなく幅広い業種に楢葉町への進出の可能性をアンケート調査(回答296社)したところ、「拠点の対象となる」「条件次第で対象になる」と答えた企業は26社(8.8%)あった。
一方、「興味はあるが参入方法が分からない」が30社(10.1%)。同センター専務理事の徳増秀博は「立地優遇策などをPRすることで廃炉や復興事業に参入する企業が増える可能性がある」と分析する。
「今後3年が勝負」と町幹部は言う。再生の先陣を切る楢葉の帰還率が5割以下なら「原発被災自治体の広域合併が現実味を帯びる」と危機感を抱く。
和歌山章彦が担当しました。
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移住の実態明確に/戻った高齢者に支えを 元日本原電理事、原発事故被災者 北村俊郎氏
東京電力福島第1原発事故で被災した自治体再生の課題は何か。日本原子力発電理事(社長室長)を退任後、自宅のある福島県富岡町で「3.11」に遭遇し、今なお県内で避難生活を続ける北村俊郎氏に原発の専門家として、また被災者の視点で語ってもらった。
――福島県全体ではなお10万人弱が避難生活を余儀なくされています。
「本当にそうでしょうか。いわき市などに避難した人の多くが避難先に家を建て子供たちは近くの学校に通っています。彼らは『元避難者』とみるべきで、特に帰還困難区域では本当の避難者は半分程度でしょう」
「賠償金で家を新築しても仮設住宅などを借り続け住民票もそのままにしている人が多い。県や自治体は正確な状況を把握できていない。避難なのか、移住なのか。実態を明確にし真に必要な被災者支援、復興策を考える時期に来ている」
――昨秋、避難指示が解除された楢葉町では住民の帰還が進んでいません。
「直ちにやるべきは戻ってくれた高齢者を全力で支えること。集落の隣人はほとんどいない。商業施設や総合病院も近くにないのだから町は毎日1食は無料の弁当を宅配するなどして暮らしを見守るべきだ」
「高齢者支援を車が運転できる帰還住民に依頼すればいい。住民同士が助け合い古里の復興に貢献してもらうことは生きがいにつながる。そうなれば迷っている人も帰還するだろう」
――中間貯蔵施設の建設が進まず、各地に除染ゴミが山積みされています。
「国は地元2町に建設容認の苦渋の決断を迫りながら地権者の居場所さえ十分把握していない。30年後の最終処分の道筋も不明だ。放射性廃棄物処分場を確保せずに原発を次々と建設したのと同じ問題先送りだ」
――国や東京電力に求められることは何ですか。
「停止中の福島第2原発4基を今後どうするのか。福島県知事は廃炉を要請したが、東電は明確な回答を避けている。国もエネルギー政策全体との関係を明らかにする必要がある。もし、再稼働に向かうのなら帰還しようとする住民にとって大きな懸念材料になる」
「半面、第2原発が再稼働すれば地元への雇用や交付金など経済効果は抜群だ。運転保守要員が町に戻れば復興の柱になるとの見方もある。東電は第2原発の設備全体の現状や、新安全基準で改修・再稼働するのに必要な費用、期間などの情報を公開し、県民の疑問や不安にこたえるべきだ」
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双葉町、止まった時間 住民の今 ルポ
福島県浜通りに雪が降り積もった1月30日。全町避難が続く双葉町の住民で、避難先の茨城県から一時帰宅した大沼勇治(39)と妻が防護服に身を包み、墓前に供花していた。
一時帰宅の許可を得て双葉町で墓参する避難住民
大沼夫妻の2人の子供は震災後、避難先で生まれた。「彼らが大人になったとき古里の映像を見せ、原発事故で何が起きたのかを伝えたい」。雪道に足跡ひとつないかつての目抜き通りの風景をビデオに収めた。
公共施設の時計の針は東日本大震災が起きた午後2時46分で止まったまま。全壊した民家には飼い犬とみられる動物の頭の骨が転がっていた。「時が止まったまま」は比喩でなく、双葉町の現実だ。
いわき市中心部から20キロほど南西の同市南台に双葉町からの避難者が身を寄せる仮設住宅がある。1月9日、同市のプレハブ校舎で学ぶ双葉町の小学5、6年生が、仮設の一角で町の復興をテーマにした自由研究の成果を発表した。
面積の96%が放射線量の高い帰還困難区域であることを学んだ6年生の男子児童が「将来、町の4%にしか帰ることができないかもしれないと聞き、とても悲しくなりました。古里がぼくたちからどんどん離れていく」と話すと、目頭をおさえる大人もいた。
昨夏、この仮設の独り暮らしの70代の女性が亡くなっているのが見つかった。警察は周囲の状況から自殺と判断した。仮設に常駐する町の社会福祉協議会の職員は「茶話会などの催しにもよく顔を出していたのに……。悩みを受け止められなかった」と悔やむ。
同町の復興計画は、比較的放射線量の低い避難指示解除準備区域に第1原発の廃炉や除染、インフラ復旧の拠点を整備するメドを「2020年〜25年」とした。復興の入り口の時期も明示できず、住民の帰還はさらに遅れる。
いわき市に自宅を建て仮設住宅を退去した70代の男性は「生きているうちには戻れない。高齢者にとって双葉町は帰還困難ではなく『不可能区域』だ」と話す。
双葉町は除染ゴミの中間貯蔵施設の建設を受け入れた見返りに、政府から389億円の自由度の高い交付金を得た。男性は「復興のためやむを得ないが双葉町に痛みが集中している」と感じる。町は来年度から町民1人当たり年10万円を配る方針。先の見えない避難生活の支援が目的だ。
[日経新聞2月21日朝刊P.9]
2001年4月の自民党総裁選で世論の圧倒的な支持で勝利した首相、小泉純一郎。「聖域なき構造改革」を訴えて7月の参院選で圧勝した。その具体化に向けて02年度予算編成で柱に掲げたテーマの一つが医療保険制度改革だった。
01年11月、政府・与党協議会の大綱はサラリーマン患者負担を「必要なとき」に3割に引き上げることで決着
医療費は年30兆円を超え、国民所得の伸びや成長率を上回る増加ペース。政権は保険料と患者負担の引き上げ、医療機関の収入を減らす改革案を練り始めた。
8月27日、政府と労働団体との会議。小泉は「三方一両損で落としどころを相談したい」。患者、保険者、医療機関が負担を分かち合うという改革の趣旨を端的に表現し、理解を求めた。厚生労働省は(1)サラリーマン層の患者負担を2割から3割に引き上げ(2)診療報酬引き下げ(3)高齢者医療費伸び率に上限設定――などの試案を掲げた。
日本医師会など関係団体は反発。会長の坪井栄孝は「財政偏重の誤った改革で、将来、国民の健康不安を招く」と批判した。呼応する党厚生族議員が抵抗する中、小泉は上限制などで妥協する一方、目に見える改革にこだわり、12月17日、診療報酬を薬価分などを含め過去最大の2.7%引き下げる方針を決めた。
サラリーマンの患者負担の引き上げは最後までもつれた。患者減を懸念する医師会と厚生族は強く抵抗。保険離れを危惧した党医療基本問題調査会長の丹羽雄哉は「自民党の9割が反対している」と訴えた。11月末、幹事長の山崎拓が3割負担の時期を「必要なとき」と玉虫色にする妥協案を示してひとまず決着した。
族議員は「しばらく上げない」と安堵したが、小泉は02年の年明け早々、3割負担を盛り込む法案に時期を「03年4月」と明記すると明言。2月11日、官房長官の福田康夫、厚労相の坂口力、与党3党幹事長、政調会長で合意し、党内の反対を押し切って決定した。
=肩書は当時、敬称略
(福岡幸太郎)
◆「政 その瞬間」は政治が大きく動いた場面を検証し、象徴する言葉とともに人間模様を描きます。
和感を覚え 制度離れ懸念
丹羽雄哉・元自民党医療基本問題調査会長 「三方一両損」を聞いたとき違和感を覚えた。国が痛みを伴わないのは不条理だと言った。サラリーマンの負担引き上げに反対したのは、なし崩し的に負担割合が増えると保険の意味が薄れて制度離れが進む可能性があったためだ。(03年4月の時期明記方針は)決着がついたと思っていたので驚いた。(インタビューを電子版に▼Web刊→紙面連動)
[日経新聞2月21日朝刊P.]
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丹羽雄哉氏「医療制度、官邸の言いなりでは大変なことに」
(2月21日付朝刊 日曜に考える・政界面関連インタビュー)
2016/2/21 3:30
2001年4月、自民党総裁選で構造改革を訴えた小泉純一郎氏は世論の圧倒的な支持を集めて勝利、首相に就いた。「聖域なき構造改革」を掲げて7月の参院選も大勝し、その後、具体化に向けて取り組んだ柱の一つが医療制度改革だった。サラリーマンの患者負担引き上げ、診療報酬の大幅な引き下げなどを実現した。当時「厚生族」の有力議員で、党医療基本問題調査会長として政府と調整にあたった丹羽雄哉元厚相に当時の状況を聞いた。
■「三方一両損」に違和感
小泉政権の医療制度改革で、丹羽氏は政府との調整にあたった
――小泉氏は「自民党をぶっ壊す」と公言し、族議員を「抵抗勢力」と位置づけて改革路線を前面に出した政権運営を進めました。
「ぶっ壊す、というのは既得権益にしがみついている自民党をぶっ壊すということだ。彼のことはよく知っていたので、それほど驚かなかった。自分は既得権益を守っていたわけではないので脅威だとかは思わなかった」
――小泉氏は医療制度改革を「三方一両損」と表現し、患者、(企業など)保険者、医療機関にそれぞれ応分の負担を求めました。
「この『三方』に違和感を覚えた。私は本来は国、医療機関、国民が三方だと思った。国民の負担を増やしておいて、国に痛みを伴わないのは不条理だと主張した。当時の社会保険庁(現・日本年金機構)は無駄なことをたくさんしていた。例えば所管の社会保険病院の多くは赤字が常態化していた。そういったものを見直さずに国民負担だけを増やすのには疑問を持った」
――小泉氏から「抵抗勢力」とレッテルを貼られる恐れを感じませんでしたか。
「そういう危機感はなかった。国民負担を増やそうとするのを抑えようとしているのだから。国でやるべきことがあると私は訴えていたので、そこは郵政民営化などとは少し違う」
――サラリーマンの自己負担を2割から3割に引き上げようとする政権の主張と対立しました。
「負担の割合が3、4、5割となし崩し的に上がっていくと、保険に入っている意味がなくなる。そうなると、皆保険制度が崩壊すると危惧した。小泉氏は厚相のときに被用者保険は3割、大病院では外来5割負担という案を検討していた5割負担論者だ。首相官邸の言いなりになったら大変になると思って抵抗した。財政のことは考えないといけないが、それありきで患者負担を増やす発想では社会保障ではなくなるという心配があった」
■厚労省幹部への「脅し」も
――保険制度を維持するには自己負担の引き上げは必要だったのではないでしょうか。
「厚生労働省内部では、(中小企業のサラリーマンらが加入する)政府管掌健康保険の保険料率をわずかに上げれば3割負担にしなくても当面は保険財政の黒字が維持できるという案を検討していた。当時の官邸は首相の求めに対して消極的な厚労省幹部を『更迭するぞ』と脅した」
――3割負担は01年末に「必要なときに引き上げ」と玉虫色でいったん決着した後、翌年に小泉氏が「03年4月実施」を法案に明記すると主張し、最後は押し切りました。
「3割負担が続いているのはあのときの合意があったから」と語る丹羽氏
「決着がついたと思っていたので驚いた。02年2月11日、ゴルフをするために沖縄に行っていたときに厚労相だった公明党の坂口力氏や自民党の麻生太郎政調会長(当時)から電話があった。首相の方針は変わらないということで3割負担導入を決められ、私たちは『打ち首』になった」
「条件闘争に入らないといけないと思い、03年4月1日からの自己負担引き上げを了承する一方で、3割負担を将来にわたって堅持し(それ以上は上がらないように)法的に担保することや、社会保険庁の見直しなどを提示し、2月22日に合意した。この合意事項を履行するため法案の付則に明記することも了解された。財務省は今でも引き上げを狙っているが、現在も3割負担が続いているのはあのときの合意があったからだと自負している」
(聞き手は福岡幸太郎)
消費税税率引き上げ延期判断の信を問う総選挙では、「新安保法制」の廃案だけで選挙協力をするという図式は浮き上がり訴求力を持たなくなる。
共産党・社民党・生活の党は消費税増税に反対だが、菅−野田政権時代のこととはいえ自らが増税を主導してきた民主党は再延期に同調し辛い。
共産党にしても、おそらく民主党候補者が主力になる参議院選挙一人区で他党候補を支援しながら、総選挙は自党公認候補の集票運動を展開するという“ネジレ”は地方組織をおかしくするのでやれない。
※ 関連参照投稿
「消費増税、首相発言で臆測 予定通りか再び延期か:正当化のネタ探しはしているだろうが再延期は既定方針」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/822.html
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[永田町インサイド]衆参同日選ならてんやわんや
86年以来実施なく 開票で人・場所どう確保/投票間違いに心配の声
永田町で臆測が消えない衆参同日選。安倍晋三首相が踏み切れば1986年以来、30年ぶりで、衆参ともいまの選挙制度になってからは初めてだ。だれも経験したことのない「超大型」国政選挙になれば、選挙の現場はどうなるのか。少々気が早いが探ってみた。(小嶋誠治)
「同日選になればその日のうちに開票できるかを各地方自治体に聞いてみたいが……」。総務省幹部は気をもんでいる。選挙実務を取り仕切る同省が動いたとなれば、一気に臆測が広がりかねないからだ。
東京都選挙管理委員会の関係者は「もちろん首相の専権事項だが、実務を考えると現実的ではない」。大きな理由は投票用紙が5枚に増えることだ。
参院選だけなら用紙は選挙区と比例代表の2種類。同日選になれば衆院選の選挙区と比例代表、さらに最高裁判所裁判官の国民審査の用紙が加わる。ちなみに86年の同日選は衆院が中選挙区制だったため比例代表がなく、4種類だった。
開票作業に一層手間がかかるのは必至。ある市選管幹部は「5枚の用紙を配る選挙の経験はない」。北海道の選管関係者は「人手が限られているので、効率的にやらないといけない。大きな場所を確保して1カ所で開票できるようにしたい」と話す。
別の関係者は、投票用紙の発券機や投票箱を新たに購入する必要が出るのではないかと懸念する。投票箱などは規格が決まっており、関係者の一人は「作れる業者が限られ、一度に大量発注すれば生産が追いつかなくなる。一応準備しておく必要があるかも……」。
86年の同日選で、国は衆院解散3日後に衆参とも開票を投票日翌朝にずらす通知を出した。開票時期について総務省関係者は「今は何とも言えない」と困惑顔だ。衆院選を即日開票し、終わってから参院選の開票に入るという時間差の作業は「参院選の投票箱に入れた衆院選の投票用紙が無効になってしまうため、採用しにくい」との声がある。
衆院が600億円程度、参院で500億円程度とされる選挙経費。2014年の前回衆院選から1年半しか経ておらず「税金を使って国民の信を問うには期間が短すぎる」(与党関係者)との声も。一方で同日選なら「別々にやるより節約できる」との見方がある。
候補側の皮算用はどうか。自民党に「衆参で相乗効果がある」(伊達忠一参院幹事長)との期待がある。ある中堅議員は「衆院選候補について回ればいいから楽になる」。衆院選との相乗効果を高めれば資金面の負担も軽くなるという。衆院議員も万が一に備え、地元の参院選候補と2人で写る2連ポスターに張り替える動きも出ている。
同日選は参院選だけの場合より投票率が上がるとされるが、政権への風当たりが厳しければ与党に不利に働きかねない。有権者が衆院を与党、参院は野党などバランスを取った投票行動に出やすいとの見方もある。
与野党や候補には、4種類ある選挙の投票用紙を間違わずに支持者が書いてくれるかを心配する声が消えない。衆院選で小選挙区の候補を1人、比例代表で支持する党名をそれぞれ記入する。参院選は選挙区の候補を1人選び、全国単位の比例代表では、候補名か支持する党名のどちらかを書く。参院比例は党の候補名と党名を合わせた得票数に応じて各党の当選者数が決まり、得票数が多い候補の順に当選する仕組みだ。
特に気をもむのが公明党と支持母体の創価学会だ。衆院選の選挙区は同党が公認か推薦する「候補名」、比例は「公明党」、参院選では選挙区で「候補名」、比例も党公認の「候補名」を記入するよう支持者に働きかけるのが戦略。参院比例で候補名を記入してもらうのは、地域別に支援候補を定めているからだ。
同日選なら「複雑すぎて支持者に浸透するか不安だ」と学会関係者。重点区を絞り集中的に活動する戦略が分散するリスクも懸念する。山口那津男代表は「選挙協力に回るエネルギーが制約される」と警戒する。
参院比例に多い業界や労組の支援を受ける与野党の組織内候補からも「間違わずに名前を書いてもらえるか……」との声が漏れる。
[日経新聞2月21日朝刊P.9]
衆参同日選があった1980年と86年はいずれも自民党が圧勝した。80年は大平正芳首相と福田赳夫前首相による自民党内の権力闘争の副産物だ。野党の不信任決議案が福田氏らの欠席で可決。大平氏は衆院解散を決断し「ハプニング解散」と呼ばれた。選挙さなかに大平氏が死去し「弔い選挙」となった。
86年は中曽根康弘首相がぎりぎりまで否定した「死んだふり解散」。定数是正の改正公職選挙法成立後、突然同日選に踏み切った。当時、衆院で2回目の当選を果たした自民党の衛藤征士郎氏は同日選で「有権者の政治への関心が高まり、選挙戦は熱気を帯びていた」と振り返る。
野党・民社党で初出馬した川端達夫衆院副議長は滋賀の中選挙区で最下位でぎりぎり当選。「参院選は政権与党の独走にブレーキをかけようとする有権者の心理が働きやすいが、同日選になればそんなものは吹っ飛んでしまう」と語る。
自民党は過去最多の304議席を獲得。中曽根氏は総裁任期を1年延長した。
[日経新聞2月21日朝刊P.9]
今回の「ミュンヘン安全保障会議」は、プーチン大統領の平和会議を皮肉る冷徹さと、憤慨しているものの足並みがそろわず無力な欧米の戦いだった。シリアが敗者になることは最初から分かっていた。
ロシアのメドベージェフ首相は参加者に向かって、ロシア政府の唯一の目的はイスラム主義のテロリストを倒すことによって平和と安全を推進することだと主張した。世界の指導者たちは「人道主義」へのコミットメントを取り戻すべきだとも提案した。だが、そういいながら、ロシアの爆弾がシリア北部アレッポ県の病院や学校に落とされ続けた。プーチン氏の鋭い目を見れば何を考えているかわかるが、語り口が穏やかで童顔のメドベージェフ首相の欺瞞(ぎまん)は本当に恐ろしい。
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今回の停戦への約束によりアレッポでの民間人の殺りくが終わる可能性は低い。本当に停戦になるのは、アサド政権とその支援国ロシアが領土的な目標を達成した時だろう。シリアのアサド大統領の退陣を求める西側の要求を実現するには、今や米国が軍事的にロシアと対峙することが必要となる。
オバマ米大統領は戦争を始める気はない。彼に近い関係者らによれば、オバマ氏は力強い介入を求める声の高まりに心を動かされていない。
オバマ氏はこう応じる。シリアは確かに地獄に落ちたが、たとえ可能であったとしても、戦火を消すのは米国の役目ではない――。この姿勢のどこまでが、単に現状をとらえた冷徹な計算で、どこまでが中東における米国の戦争を終わらせるとした選挙前の公約への感情的なこだわりなのかは、本人しか知りようがない。
プーチン氏とトルコのエルドアン大統領の対立はこの先、爆発的に激化する恐れもある。ロシア皇帝がトルコ皇帝と再び戦争を始めるなど、考えるだけで恐ろしい。
ロシアとイランはこの戦いに明快な目的を持っている。イスラム主義のテロリストに代わる唯一の勢力として、シーア派の一派であるアラウィ派が率いるシリア政権をしっかり確立することだ。
しかし、欧米など残る他の関係国は異なる野心と優先事項があり、中には相互に矛盾するものもある。米政府は過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)打倒が自国の中核的利益だと考えている。だが、米国がシリア系クルド人のことを味方と見なす一方、エルドアン氏は彼らを砲撃している。シリア系クルド人がロシアの支援を得て、トルコ南部の国境にクルド国家のようなものを樹立するのを恐れているためだ。
サウジアラビアは、イランの支援を受けたアサド氏が退陣に追い込まれ、イラク北部のスンニ派がバグダッドのシーア派政権から自治を勝ち取るまでは、IS打倒を検討しないだろう。米国はイランとの核合意に調印した。しかし、米国の同盟相手であるサウジはイランのことを自国の存亡にかかわる脅威と見なしている。アサド氏のいないシリアがどんな姿になるのかは誰にも分からない。
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欧州も問題を抱えている。シリア難民の大量流入に圧倒され、各国政府は米国の指導力の欠如について不満を言い、プーチン氏に対しては欧州連合(EU)を不安定化させているとして責めている。ロシア政府は、アレッポから追われた民間人がエーゲ海を渡り西へ向かう難民の波に加わる可能性があることをわかっている。
欧州の連帯はかねて過大評価されてきた。しかし今や、お互いの利益が自国の利益になるという理解さえ失われつつある。ドイツのメルケル首相は難民流入を食い止めるためにEU共通の立場を築こうとしたが、その努力を断念することを余儀なくされた。東欧の元共産主義諸国は、難民について一切の責任を拒否しながら、西側の近隣諸国がプーチン氏の失地回復主義から自分たちを守ってくれることを望んでいる。
フランスは内々に、ウクライナ侵攻後にロシアに科された制裁の緩和を求めるイタリアの要請を支持している。欧州各国はプーチン氏の思惑通り内部分裂し、自らを弱体化させているプーチン氏を利用している。
もし、オバマ氏が米国にはシリアの戦争を終わらせる力がないと判断しても、オバマ氏は欧州がこのように内部分裂していることを心配すべきだろう。EUは米国の安全保障があってこそ、常に団結できてきたのだということをオバマ氏に認識させる必要がある。欧州は腹立たしい同盟相手かもしれないが、欧州との同盟は米国の国益にとって重要だからだ。
シリアへの介入を狭い意味でしか考えていないことは、オバマ氏の大きな過ちかもしれない。だが、欧米諸国が今回ミュンヘンでシリア問題をあきらめたことは、シリアが小さな問題ではないことを示している。シリアで起きていることと、プーチン氏の戦略的脅威を分けて考えることはできないはずだ。
(19日付)
[日経新聞2月21日朝刊P.11]
99%の人にとっては、“アメリカンドリーム”の実現どころか、“アメリカンドリーム”を実現した人たちのおこぼれさえろくに滴り落ちてこないという厳しい経済状況である、
冷静に考えれば、そのような状況は、「孤立主義の復活」ではなく、米国政治の西欧化を意味していることがわかる。
(19世紀から20世紀初めの孤立主義は、戦争に明け暮れる欧州に関わることで米国の繁栄を阻害されたくはないという興隆期の精神に支えられたもの)
さらに言えば、かつての中道主義全盛の西欧諸国ではなく、中道主義が存在意義を劣化させ「国民国家主義と新型左翼主義の対立」が目立つようになった当世西欧諸国の政治状況に一気に近づいている。
トランプ氏支持者は仏国民戦線支持者に近いものがあり、サンダース氏支持者はスペインPODEMOSに近い価値観を感じる。
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米国の孤立主義の復活
コラムニスト ギデオン・ラックマン
中東が戦闘の炎に包まれ、ロシアが暴れ回っているのはなぜか。それは、オバマ米大統領が弱く、国際問題に介入しないため、世界情勢が手に負えなくなるのを許してしまったからだと非難されている。リベラル派、保守派を問わず多くの米国人が同じ批判を口にする。右派のサラ・ペイリン氏は、オバマ氏のことを「最高降伏指揮官」と呼んだ。
強い米国の外交政策を切望する人は大概、次の大統領が「強い米国を取り戻してくれる」と考える。だが、その見方は米国の政治と外交政策の根本的な方向性を読み誤っている可能性が多分にある。米大統領選の現在の最有力候補――共和党のトランプ氏、民主党のサンダース上院議員――はいわゆる孤立主義の立場を取っているからだ。
トランプ氏の思考に内在する孤立主義は、軍を立て直すといった威勢のいい発言に隠れてしまうことがあるが、移民には厳しいし、経済に関する発言を聞いても、要は世界を締め出すという保護主義の最右翼だ。安全保障についても重商主義的発想で、米国による軍事的保護に対する費用を韓国と日本に支払わせると約束している。つまり、アジア太平洋地域の安全を請け負うことに米国の本質的な国益はない、との考え方だ。
サンダース氏は、左派バージョンの孤立主義の立場をとり、米国が「世界の警官」であるべきだという考えを糾弾する。同氏も自由貿易には嫌悪感を抱き「何の制約もない自由貿易の締結は米国の労働者にとって大惨事」と断じる。両氏はともに、米国人のグローバル化に対し高まっている幻滅を利用しているのだ。
大統領選の今の流れは、トランプ氏かサンダース氏のどちらかが実際に党の指名を勝ち取り、最終的に大統領の座を手に入れる可能性を否定することはできないことを示唆している。
万が一、そんなことが起きたら、オバマ氏の「弱さ」と「無気力」を嘆いている評論家たちは、オバマ氏が、これまでの大統領の中では、真摯かつ献身的な国際主義者の最後の1人だったかもしれないことに気づくだろう。
(16日付)
[日経新聞2月21日朝刊P.11]
幣原氏の考えが国民多数派の意向ではないことは否定できない自明の話である。
幣原発言を根拠に、「日本の意向で定められた」とか、「「日本の意思」がまるで入っていないかのように言う、最近の俗説」といった見解は、二重三重に誤っている無残な解釈というほかない。
幣原氏が敗戦直後の45年10月に総理大臣に就任できたのも、現行憲法が公布できたのも、最終的には占領者である連合国支配者の意に適っていたからである。
現行憲法は、日本が主権を失った状態で最上位権力者である占領者から制定を求められただけでなく、手続き的に言っても、大日本帝国憲法の改正(欽定)であり、現在に至るまでその内容について国民の審判を受けたことさえない。
憲法第9条だけの問題ではなく、主権を喪失した(日本国主権より上位に占領軍総司令官)状態で、占領者が国家の有り様を規定する憲法を制定させること自体が“押しつけ”なのである。
改廃が容易な法律はともかく、国家の基本を規定するのみならず変更も厳しい憲法は、占領の束縛から解放されたのちに、国民の自由闊達な議論を経て制定すべきものである。
統治権限と独立に強い制限をかけられ外国勢力が最高権力者という状態の国家に憲法は必要ない。逆にそんな状態で制定された憲法は、“永遠の占領”をもたらしかねない危険なものではないかと疑ったほうがいい。
占領状態で制定させられた憲法を無批判で尊重するのは、“良き占領者”をありがたがるのと変わらない恥ずべき精神性である。
※ 日本も戦前戦中は行っていたように、占領統治をスムーズに進めるため、国民のなかに分断を持ち込むだけではなく、やって欲しい政策をあたかも被占領側の申し出のように仕組んだりもする。
■『日本軍はなぜ満州大油田を発見できなかったのか』岩瀬昇著 日本が太平洋戦争に突き進む大きな動機が石油であったことは知られている。本書は日本が南方の石油を求める道筋を、石油政策や油田開発の分析を通して描いている。旧樺太や旧満州での油田開発の苦戦や、石炭から石油をつくる「人造石油」の失敗を経て、軍内部で「南進論」が台頭する経緯は興味深い。(文春新書・820円)
[日経新聞2月21日朝刊P.16]
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1941年7月、日本軍は南部仏印進駐に踏み切り、米国から石油禁輸の制裁を受ける。
この制裁が、座して死を待つか、動けるうちに戦争に踏み切るかという“選択肢”を国策として浮上させ、状況の打開を目指す対米交渉がうまくいかないことで(ハルノートも対米戦突入でもたらされる事態ほど過酷なものではない)、“なぜか”自ら対米戦争に打って出るという愚行につながっていく。
(日独伊三国同盟締結を“ターニングポイント”とする人も少なくないが、米国が仕掛けたわけではなく、日本が仕掛けた戦争なのだから、その見解にはムリがある。満州国創設に象徴される大陸での利権拡大とそれを梃子にした軍事的経済的発展の見込みが“日本潰し戦争”の隠された原因である)
実質的に日本の統治地域であった満州で大慶油田が発見されていても、現実の歴史過程とは違う経緯になっただけで、米国との戦争に引きずり込まれた可能性が高いと思っている。
なぜなら、異質の価値観を持つ国家が近代世界で手に負えない存在にまで発展してしまうことを嫌いその芽を摘むことが日米戦争(太平洋戦争)の“真因”と考えているからである。
さらに言えば、石油資源の確保を目的として対英蘭戦争を始める必要性は理解できるが、対米戦争は、石油資源確保につながらないので目的にそぐわないものなのにわざわざ仕掛けているからである。
(石油が足りないのなら、戦争の相手は必要最小限にとどめ、特定国との戦争がいずれ避けられなくなると考えても、開戦はできるだけ先に延ばすのが合理的な政策である。従来の国防方針に沿って、米国から仕掛けられたら受けて立つというのがまっとうな策である。南方から鉱物資源を輸送する途中にフィリピンが存在することで生じる“不安感”は理解できるが、アジアでの米国植民地であるフィリピンは自治権を付与されており、“中立”を維持させられる芽があった。フィリピンは、銅やマニラ麻といった資源はあるが石油には恵まれていない。ドイツとの戦争に米国が参戦しなかったことでわかるように、米国は英国やオランダなどと軍事同盟を結んでいたわけではない)
現状打開につながらず必要でもなく、国民の多数が厭戦派であった最強国家アメリカにわざわざ困難必至の戦争を仕掛けるという選択した歴史的事実は、海軍上層部を中心に日本支配層のなかに“内通者”がいたことを窺わせる。
陰謀論を脇に置くと、必要のない対米戦を抑止できなかったことは、当時の政治的軍事的指導層が悲劇的レベルまで劣化していた事実を如実に示している。
先の戦争の「敗戦責任」を総括していない日本が、北朝鮮支配層を狂気の塊のように言うのは笑止千万である。
下記に示す資料に拠れば、日本が戦前の満州で大慶油田を発見する可能性は低くなかったようである。
JOGMEC特命参与 岩間 敏氏の「戦争と石油(1)〜太平洋戦争編〜」より:
「日本の探鉱技術は、最新技術である反射式探鉱機(地震探鉱機器)を日本鉱業が導入していたものの、満州の探鉱では日本石油が技術支援を行ない、同方式は使用されなかったこと、また、最高水準の技術を保有していた米国のコントラクターは、満州での石油探鉱が国家機密であったため投入することが出来なかったこと等による技術的劣勢が、満州での石油発見に結び付かなかったと言える」
※参考資料
「戦争と石油(1)〜太平洋戦争編〜」
JOGMEC特命参与 岩間 敏
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/0/652/200601_045a.pdf
[一部抜粋]
(5)中国東北部(満州)での石油探鉱
中国東北部および周辺地域は、戦後、中国の石油探鉱の結果、中国3大油田のうち、大慶油田(2004年生産量:93万バレル/日)、遼河油田(同:30万バレル/日)の2油田が発見され、石油生産地域(3大油田の他の一つは、勝利油田:同53万バレル/日)になったが、昭和前期、日本も満州で石油探鉱を行っていた(図2参照)。
図2 満州での試掘地点と現在の中国の油田
出所:帝国石油50年史の図を基に作成
※図はオリジナル掲載先でご覧ください
最初の探鉱活動は、昭和4年(1929)に満州里近辺、ジャライノール地区で、満鉄地質調査所が行った。この調査結果は「アスファルト鉱床は存在するものの鉱量少なく商業化は難」であった。
満州事変の勃発(昭和6年9月)後、関東軍は国防資源調査として、再度、同地区に調査隊を送り込み地質調査、試掘作業(20数坑)を行ったが、成果を得ないまま昭和6年に作業は終了した。
瀋陽の西に位置する阜新地区では、昭和7年に満州炭鉱が試掘を行なった。1,000メートル級の試掘井が掘削された200リットルの油兆を見ている。
この報に満州石油、満州国産業部、満州鉱業開発、日本石油等が協力することになり、同地域の広域探鉱計画(試掘実績:ロータリー坑、ダイアモンド・ボーリング坑、綱掘坑計47坑)が策定され、試掘作業が実施された。
2,000メートル級の深度の試掘井も掘削されたが探鉱の成果は上がらず、そのうち、南方石油の確保のため掘削機材と石油技術者が南方に移動され、この地域での石油探鉱作業は終了した。
(「満州における石油探鉱」小松直幹、「陸軍燃料廠」石井正紀、光人社)
中国が旧満州中央部の黒龍江省大慶を中心とした地域でソ連の技術協力を得て大規模な石油探鉱を開始したのは、戦争終了10年目の昭和30年であった。
石油発見とともに、昭和35年、人力、資機材を集中投下した「会戦方式」の集中開発が開始され、原油生産量は昭和51年(1976年)には大台の年5,000万トン(100万バレル/日)を超す大油田になった。
原油性状は中質(API度32)でワックス分が多く、低硫黄である。原油生産量は2002年まで100万バレル/日水準(最大生産量は1995〜1997年の112万バレル/日)を保ってきたが、以後、減退を始め、現在の生産量は90万バレル/日前後と推察され、依然として中国最大の油田である。
大慶油田の発見から10年後の昭和44年、遼寧省遼河平原で生産量中国第3の油田となる遼河油田(図3参照)が発見された。同油田は、戦前、日本が集中的な石油探鉱を行った阜新地域より東に山一つ超えた地域にある。性状はアスファルト分が多い重質油(API度28.7)、原油生産量は1995年の1,552万トン(31万バレル/日)をピークとして減退傾向(2003年1,322万トン≒26万バレル/日)となっている。
戦争開始前であった昭和15年の日本の国内原油生産量は33.1万キロリットル(0.6万バレル/日)、石油輸入量421.4万キロリットル(7.3万バレル/日)、石油消費量337.1万キロリットル(5.8万バレル/日)等の数値と比較すると、歴史に「イフ」は無いと言うものの、これらの油田が戦前に発見されていれば、「太平洋戦争への道」、ないしは日華事変はその後大きく変化(日本は軍事産業化の促進、中国の資源収奪に対する反日・抗日運動の激化等)したことは疑いがない。
結果的には、当時、日本の探鉱技術は、最新技術である反射式探鉱機(地震探鉱機器)を日本鉱業が導入していたものの、満州の探鉱では日本石油が技術支援を行ない、同方式は使用されなかったこと、また、最高水準の技術を保有していた米国のコントラクターは、満州での石油探鉱が国家機密であったため投入することが出来なかったこと等による技術的劣勢が、満州での石油発見に結び付かなかったと言える。
人造石油工場のうち、比較的順調に生産段階に移行したのは、南満州鉄道撫順オイルシェール工場で、昭和14年の生産量は16万キロリットルであった。満州での人造石油生産が全体の人造石油生産に占める割合は年により40〜70パーセントと変化するが、戦争の進展とともに日本周辺の海上封鎖が強化され、国内への製品輸送が困難となり、その利用度が低下した。
満州のオイルシェールは、元々、南満州鉄道が保有する撫順炭鉱の石炭生産に伴う副産物で、石炭層の上部の油頁岩(オイルシェール)は厚さ100〜180メートル、含有率5.4パーセントであり、昭和初期、南満州鉄道が海軍に製品化を持ち込み、研究開発を続けていたものであった。
人造石油の生産計画は、「石油消費量の40〜50パーセントを充当」という野心的なものであったが、昭和16〜19年の実績では消費量の5〜7パーセントに過ぎなかった(表5参照)。米国戦略爆撃調査団石油報告では「戦略的には日本の人造石油産業は戦争に貢献しなかった。そのために膨大な労働力と資材が費やされた。人造石油は戦争を助けたと言うよりは、むしろ国家の戦争努力を妨げたことは確実であった。すなわち、投入エネルギーより抽出エネルギーの方が少なかった」と記述している。
編集委員 滝田洋一
時計を持った白いウサギを追いかけて、少女は深い穴に落ちた。首をかしげながら、計算を始めると「4×5=12、4×6=13……。これじゃ、いつまでも20にたどりつけない」――。
日銀がマイナス金利政策を決めて以来、「アリスの世界」に迷い込んだような雰囲気が漂っている。このままでは預金して金利を取られることにならないか。街行く人々はそうしたモヤモヤを抱いているようだ。
もちろん、そんな事態を日銀は想定していない。今回の措置は、銀行が余ったお金を預ける「日銀当座預金」の一部に“手数料”を課し、投資や融資に向かわせようとするものだ。銀行は企業の預金から“手数料”の形で金利を取るかもしれないが、反発の大きさを考えれば個人の預金にそうすることは控えるはずだ。
それでも、マイナス金利政策に居心地の悪さを感じる人が多いのは、なぜだろう。政策金利をマイナスにまで押し下げざるを得ないほど、日本経済は厳しい事態に直面しているのか、と感じたからだろう。
「自然利子率」という物差しがある。景気を冷やしも過熱させもしない金利の水準である。経済が無理なく成長できる「潜在成長率」が下がれば、おのずと自然利子率も低下していく。1990年代以降、日本がたどってきたのはこの道だ。
政策金利を決める際、自然利子率は道しるべとなる。中曽宏日銀副総裁は先日ニューヨークで、潜在成長率と自然利子率をカギに講演した。披露したグラフには目を見張る。自然利子率は足元でマイナスになっているかもしれないのだ。
潜在成長率が0%すれすれとなり、自然利子率がマイナスになるというのは、経済にとっても金融政策にとっても居心地が悪い。
経済に海外などから外的ショックが加わると、実質国内総生産(GDP)はたちまちマイナス成長に陥る。2014年4月の消費税率引き上げ以降をみても、日本は頻繁にマイナス成長に見舞われている。
企業収益は円安のおかげで過去最高益となった。それでも、設備投資や賃金が期待ほど伸びないのは、日本経済の足腰の弱さを認識しているからだろう。
企業経営者のデフレ心理が払拭されなければ、カネは企業の懐にとどめ置かれ経済の好循環は妨げられてしまう。カネを抱えた方が得なデフレの世界から、投資や消費に回した方が得というインフレの世界への転換。それが簡単な課題でないことは、アベノミクス3年の経験ではっきりした。
金融政策のカジ取りという点でも、自然利子率の低下は難題を突きつける。景気を後押しするには、金融を緩和する必要がある。
政策金利を自然利子率より低く誘導することによって、世の中で取引される金利を下げていくのが金融緩和である。自然利子率がマイナスに沈んだら、どうすべきか。インフレ期待がしぼむなかでは、名目の政策金利もゼロの壁を突破してマイナスの世界に入っていくほかない。
もちろん、直ちに投資や融資が増えるわけではない。この点は企業も家計も銀行も、誰よりも日銀が先刻ご承知だろう。
経済協力開発機構の日本担当エコノミスト、ランドール・ジョーンズ氏がユーロ圏について示した試算は、日本にも示唆的だ。
金利低下とユーロ安と原油安。3つの追い風でユーロ圏の実質成長率は1.2%強押し上げられる計算。なのに、16年の成長は1.4%にとどまる見通しなのだ。経済環境が不透明とあり、好材料も効果が表れにくい。
目先、マイナス金利の効果として期待されるのは、円高抑制であり株価の下支えだろう。マイナス金利を採用する欧州の中央銀行の狙いも通貨高の防止なので、日銀が特異な政策を取ったわけではない。
マイナス金利採用の直後、市場は円安・株高となったものの、効果は短期間しか続かず、かえって円高・株安が進んでしまった。ほかでもない。日本経済が外的ショックにもろいのと同じく、日本の市場は海外要因と外国人投資家によって左右されるからだ。
「円換算のニューヨーク・ダウ工業株30種平均」という物差しがある。米国の株価指数に円相場をかけたものだが、日経平均株価はここ数年、その「円換算ダウ平均」に寄り添うように推移している。このグラフはつまり、日本の株価が米国株と為替相場という2つの要素によって左右されていることを物語っている。
冷静に考えれば、マイナス金利政策は魔界に扉を開く策でもない代わりに、経済の困難を一気に打開する魔法のつえでもない。
バレンタインのチョコレートを2枚もらった大手自動車メーカーの社長は、ブランド名を伏せて味を試してといわれた。1枚は日本製、もう1枚はベルギー製。この社長は日本製の方がおいしく感じた。ところが値段は10分の1。
「品質に応じて価格が決まる」環境は、縮み志向を打破しないと実現しない。そのためには潜在成長率や自然利子率の向上が、金融緩和とともに欠かせない。
アベノミクスの支持者である米経済学者クルーグマン氏は言っている。「生産性はすべてではない。だが長い目でみたら、ほとんどすべてだ」。その努力が伴ってこそマイナス金利政策のモヤモヤも晴れてくる。
[日経新聞2月22日朝刊P.4]
【上海=大越匡洋】中国・上海で27日閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は共同声明で「すべての政策手段」を総動員すると表明し、金融市場の安定へ強い危機感を示した。だが金融緩和に頼って経済を支えることは難しさを増し、各国の財政余力の差も大きい。具体策を各国に委ねる綱渡りの国際協調が続く。
「最近の市場の変動の規模は世界経済のファンダメンタルズを反映していない」。今回の共同声明は、市場の激しい動きをけん制する異例の文言を盛った。そのうえで各国が金融政策に加え、財政、構造改革など「すべての政策手段」を検討し、成長の維持へ行動するメッセージを発した。
市場激動の震源地とされたのは、議長国の中国だ。昨夏からの株式市場の混乱や場当たり的に映る為替政策で、中国当局の経済運営手腕に対する市場の信頼は揺らいだ。米国の利上げが重なり、景気が減速する中国からマネーが流出し、人民元の下落圧力が高まった。
「具体的な構造改革のプランと元相場の安定策を含めたパッケージを示してほしい」。麻生太郎財務相は会議で、中国にこう迫った。ルー米財務長官も閉幕後の記者会見で「中国は市場メカニズムに基づく為替改革が必要だ」と注文した。
一方、中国の楼継偉財政相が「我が国は財政余力がある」と表明。昨年末に中国指導部が決めた財政赤字の拡大という既定路線の範囲で、米国が各国に求める財政出動に応じる構えを示し、「政策協調」を演出した。
もっとも、政策協調の具体像は見えにくい。G20として「現在の世界経済が危機にあるとは認識していない」(関係者)からだ。各国が一斉に為替介入に踏み切ったり、リーマン・ショック後のようにそろって大規模な財政出動に動いたりするような「『狭義の政策協調』は想定していない」(同)。あくまで具体策は各国に委ねられる。
市場の混乱の原因についても、中国をはじめ資本流出に直面する新興国からみれば、昨年末の米国の利上げがそもそもの引き金だとの思いが強い。共同声明で「機動的に」とした財政政策を巡っても温度差がある。ドイツのショイブレ財務相は会議閉幕後、記者団に「世界経済は市場の変動が示唆するよりも良い」と述べ、財政出動に慎重な姿勢をにじませた。
「すべての政策手段」という表現は、各国の思惑がすれ違い、今後の政策にばらつきがあるからにほかならない。
市場の混乱の背景には中国の景気減速だけでなく、原油価格の下落、米国経済の回復鈍化など、複合的なリスクの連鎖がある。G20の「政策協調」や「構造改革」の中身が伴わなければ、これに市場の失望というリスクがさらに加わる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF27H0R_X20C16A2NN1000/?dg=1
「経済の好循環」のカギを握る個人消費がさえない。前期比0.4%減に沈んだ2015年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)も個人消費が同0.8%減と数字を押し下げる「主犯」だった。雇用情勢は日銀の黒田東彦総裁が「完全雇用に極めて近い」というほど良く、本来なら賃金が上がり消費につながるはず。なぜ盛り上がらないのか。
(中島裕介、藤川衛)
雇用情勢は約20年ぶりの改善をみせている。労働力調査によると、完全失業率は15年10月に3.1%まで下がり、1995年以来の低さだ。
増税後回復せず
ところが、個人消費は14年4月の消費増税で急速に落ち込んだ後、回復せずL字の様相になっている。足元の家計の実質消費支出は、駆け込み需要が本格化する前の13年10〜12月期に比べ、4.3%も減ったままだ。
名目賃金の動向は悪くない。毎月勤労統計によると、15年の1人あたり現金給与総額は前年比0.1%増で05〜06年以来の2年連続プラスだった。だが、物価上昇分を差し引いた実質賃金は0.9%減と4年連続のマイナスだ。1%上昇した消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く)に賃上げが追いつかない。
トヨタ自動車4000円、日立製作所3000円――。15年春の労使交渉は過去最高のベースアップ(ベア)が相次いだ。実はこれは一部の大手の話だ。大手企業中心の経団連の調査でさえ、15年の定期昇給を除いたベアは0.44%。安倍政権が旗を振ったイメージほどには、賃金が伸びていないのが実情だ。
実質賃金が下がっているという批判に対し、安倍晋三首相は「パート労働者が増えて1人あたりの平均賃金は下がった。ただ(サラリーマンや公務員など)総雇用者の所得で見ることが重要だ」と繰り返し反論する。
確かに実質雇用者報酬は回復傾向が続く。15年10〜12月期は前年同期比で1.8%増。15年の配偶者の収入は前年比7.1%増の月平均6万4768円と過去最高だ。
国全体の家計の収入が増えるなか、同じような傾向で増えている数字がある。「貯蓄」だ。家計調査によると、収入のうち消費に回さなかった割合を示す勤労者世帯の貯蓄性向は26.2%で前年に比べ1.5ポイント上昇した。その分、家計が消費を減らしたことになる。
将来不安も響く
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「年々増える社会保障の負担が、財布のヒモを固くする」と指摘する。実収入に対する税や社会保険料など非消費支出の割合は、10年前に比べ2.8ポイントも上昇。社会保険料は月4.7万円から5.6万円に増え、将来への不安も大きい。
今後の焦点は日銀が導入したマイナス金利政策の影響だ。「住宅ローンや自動車ローンの金利低下で、消費増税後に落ち込んだ耐久財消費に再び火が付く」として貯蓄が消費に向かうとの見方はある。一方「『そんなに経済は悪いのか』と消費者心理を冷やす」(クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミスト)と懸念する声も多い。
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最低賃金上げ、先進国で相次ぐ
先進国で法律や条例に基づいて雇い主が支払わなければならない賃金の最低額が上昇している。米ニューヨーク州は2018年までに時給8.75ドル(約1000円)から15ドルまで1.7倍に増やす。ドイツも15年1月から最低賃金制度を導入し、時給8.5ユーロ(約1100円)に設定した。
安倍晋三首相も1月の施政方針演説で時給798円の最低賃金を「1000円を目指し引き上げる」と表明している。最低賃金が上がればパートなど非正規労働者の所得と消費の拡大を期待できる。安倍政権が目指す「同一労働同一賃金の実現」とも歩調は合う。
最低賃金引き上げはすでに雇われている人には朗報だが、企業にとっては人件費を増やす要因になる。新たな雇用を減らす方向に働く、というのが労働政策の常識だ。ただ「完全雇用」もささやかれる歴史的な労働需給の逼迫を考えればタイミングは悪くない。
各国が最低賃金を上げるのは格差是正が目的だ。政府の介入で経済のグローバル化にさらされる単純労働の賃金を上げ、生活保護など社会保障費の抑制や景気の浮揚につなげる思惑もにじむ。
[日経新聞2月22日朝刊P.3]
原油価格の下落で、多くの政府や市場が緊迫した状態に追い込まれている。原油価格の近い将来の大幅上昇はまずないという現実に適応しなければならない。原油安を受けて北米生産の一部が中止されれば、北海ブレント原油は年内に1バレル45ドル前後まで戻すだろう。だが天変地異でも起きない限り、それ以上の価格上昇は期待できそうもない。
米国の原油生産はペースダウンしているが、多くの専門家が期待したほどではない。先進的な掘削技術のおかげで、米国は原油が値上がりすれば直ちに増産に転じる体制が整っている。経済制裁が解除されたイランは、年内に原油輸出量を日量100万バレル程度増やす見通しだ。イラクも増産中のほか、リビアもおそらくは今春に日量20万〜30万バレルは増産するだろう。
先週、ロシアとサウジアラビアは増産凍結で合意したと発表した。だがサウジが減産しても、他国がさらに増産すればサウジの市場シェアが縮小するだけで、価格押し上げ効果はあるまい。経済制裁と不況に悩まされるロシアには減産する理由がない。イランは、たとえ石油輸出国機構(OPEC)が協調減産しても、制裁前の水準まで増産する権利を守ると示唆している。
世界中で原油がだぶつくまさにそのときに、需要の伸びは鈍化する可能性が高い。中国などの景気減速が主な原因である。
こうした原油相場に最も懸念を募らせているのはどの国だろうか。ロシアの苦境にメディアの関心が集まっている。同国政府は収入の半分をエネルギー輸出に依存するからだ。だがプーチン政権の手元資金は潤沢で、外貨準備は3500億ドルを上回る。公的債務比率が低いので資金調達も容易だ。通貨ルーブル安は原油価格下落の緩衝材となりうる。プーチン氏の支持率が82%に達していることも心強い。
サウジの方が心配の種は多いだろう。同国の外貨準備は6000億ドル以上あるが、1年前に比べると1000億ドル減っている。王族が経済の抜本的改革に踏み切らない限り(その可能性はまずない)、国民が当たり前のように期待する「ゆりかごから墓場まで」の社会保障に必要な現金はいずれ枯渇するはずだ。
今年中に真の危機を迎える可能性があるのは、ベネズエラである。マドゥロ大統領は重度の経済破綻、あらゆる種類の物不足、敵対的な野党が過半数を占める議会に直面しているうえ、自身の罷免国民投票で権力の座から引きずり降ろされる可能性もある。年内に何らかの形での債務不履行は避けられそうもない。
だが悪いニュースばかりではない。苦難の前途が予想される場合、指導者が政治課題に対して建設的な姿勢を示し始めることもあるからだ。
リビア内戦で対立する二大勢力は、統一政府の樹立と維持へ連携しない限り、どちらも原油輸出再開による収益を得られない。平和が実現すれば、今年半ばにも輸出は日量40万バレルまで拡大可能だろう。アルジェリアでは、原油価格下落に伴う景気低迷や社会不安を背景に、ブーテフリカ大統領の長期政権に終止符が打たれ、公正な政治がいくらか回復される可能性がある。
もっとも、原油安が長期にわたって続き、ロシア、サウジ、ブラジル、ナイジェリアなどの主要新興国経済に深刻かつ長期的問題を引き起こすようなら、リビアとアルジェリアに対する期待もさして慰めにはなるまい。
Ian Bremmer 世界の政治リスク分析に定評。ユーラシア・グループは米調査会社。著書に「スーパーパワー――Gゼロ時代のアメリカの選択」など。46歳。
[日経新聞2月22日朝刊P.4]
(課税が強化されると投資原資が劣化するため、供給力増強が遅滞する可能性)
OECDやIMFが、「「格差是正は適切に進めれば経済成長を阻害しない(むしろ経済成長率を高める)」可能性がある」と見解を変えたのは、日本を含むほとんど先進国で、供給力増強と経済成長が見込めなくなったからである。
(現状では、課税を強化したから投資が低迷するわけではなく、期待収益率の低下が投資を低迷させている)
賃上げの源泉である高付加価値の供給活動に従事する人が減少していくような発展段階では、政府が所得再分配政策を強化しないと、格差拡大というより多数の国民がずるずると生活レベルを劣化させていくことになる。
リベラル主義者が気にする格差よりも、貧困の絶対的な悪化のほうが深刻な問題である。
転載する論考のなかに、ローレンス・サマーズ教授の長期停滞説に関して、「近年の経済動向や金融危機による大幅な格差拡大が長期停滞の原因ではないかと指摘する研究もある」というが、先進国で供給力増強と経済成長が低迷していることが格差拡大(多数派の生活レベル劣化)の原因なのだから、“長期停滞が格差拡大の原因”である。
まとめに「格差が供給低迷と需要減をもたらす可能性」とあるが、資本制経済では「供給=需要」だから、供給の低迷は必然的に需要減をもたらす。(念のため、供給とは、ものの供給ではなく供給活動のためにお金を投じること)
安倍政権(財務省)は、昨年秋から、経済再建策の柱を「所得再分配」政策の強化にシフトしている。
「所得再分配」政策の強化は民主党の根幹的な経済政策なのだが、安倍政権は、徐々にだがその方向に舵を取っていく。
野党は、そのような安倍政権の変化に対応できなければ、安倍政権にとって代わることはできない。
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[エコノクストレンド]格差拡大、成長に悪影響?
小林慶一郎慶大教授、富の再配分に効果も
グローバルな金融危機以降、世界的に所得や富の格差に対する関心が高まっている。パリ経済学校のトマ・ピケティ教授が「21世紀の資本」で論じているように、20世紀の末から、所得格差は世界的に拡大している。
格差拡大の一つの原因は、あらかじめ保険をかけることができない様々なリスクが人生の各段階で個人を襲う、ということである。リスクが無数にあれば、もっとも運の良い人と、もっとも運の悪い人の差は時間とともに開いていく。格差の原因のサーベイとしては、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのマリア・クリスチーナ・ディナルディ教授による2015年の論文などがある。
「格差の拡大が経済成長に影響するか」というテーマも関心を集めている。経済協力開発機構(OECD)や国際通貨基金(IMF)の研究者は、所得や富の格差が経済成長に悪影響を与える可能性を示す研究をしている。
OECDのフェデリコ・シンガロ氏の14年の論文では、過去30年間に大半のOECD諸国で所得格差が拡大したことを指摘し、所得格差が経済成長率を抑制していると主張している。シンガロ氏は、社会的に下層の人々は所得が減ると教育投資を減らす傾向があるので、格差拡大は社会全体での教育投資の量を減らし、経済成長を遅らせる、と論じている。したがって、税制や社会保障政策によって格差を是正することは、適切な政策設計をすれば成長を阻害しない、と主張する。
IMFのジョナサン・オストリ氏らの14年の論文でも同様の結果を出している。IMFの最新データを使った研究で、所得格差の拡大は中期的に経済成長を低下させることが分かった。また、格差是正のための再配分政策は、経済成長に対してマイナスの影響はほとんどないという。
これらの研究結果は、格差是正と経済成長についての従来の常識を覆す面がある。これまでは、格差を是正するために再配分政策を手厚くすると、税が高くなることなどを通じて、経済活動が悪化し、成長が引き下げられる、と考えられてきた。つまり、格差是正と経済成長はトレードオフの関係にあると思われてきた。ところが、OECDやIMFの研究は、この通念が誤りである可能性を強く示唆している。「格差是正は適切に進めれば経済成長を阻害しない(むしろ経済成長率を高める)」可能性が、データから示されたのである。
15年2月16日の本欄でも紹介したとおり、13年に米ハーバード大学のローレンス・サマーズ教授が長期停滞(Secular Stagnation)説を唱えてから、欧米経済が長期的に低成長に陥っているのではないか、という議論が高まっている。近年の経済動向や金融危機による大幅な格差拡大が長期停滞の原因ではないかと指摘する研究もある(米ブラウン大学のガウティ・エガートソン准教授らによる14年の論文)。
格差拡大がどうして経済成長率を低下させるのか。OECDやIMFの研究では、教育や技術などの「供給」能力の低迷という要因を重視しているが、「需要」の縮小という要因も問題だと思われる。アティフ・ミアン・米プリンストン大学教授とアミール・サフィ・米シカゴ大学教授の共著「ハウス・オブ・デット」(14年)は、家計の債務の膨張(これは富の格差拡大の一種である)が米経済を脆弱にしていると主張している。はっきりしたモデルは示していないが、ミアン教授たちは、家計の過剰債務が消費需要など「総需要」を低迷させたと考えているようだ。
筆者はミアン教授たちの実証結果に合う理論的な説明を考えた。金融危機などのために多数の家計が過剰債務を背負った状態になると、それらの家計が日常的な出費をするために借り入れられる資金が少なくなるという「借り入れ制約」の問題が発生する。富の格差拡大の結果として借り入れ制約の問題が発生するということである。その結果、過剰債務を持つ家計は消費需要を減らし、そのため、経済全体の総需要が落ち込む。
これまでの経済学のモデルでは、過剰債務による需要の落ち込みは一時的な現象であり、需要低迷が長期的に続くことはない、と思われていた。しかし、運転資金のような短期のローンが制約されると、ミアン教授たちが指摘した長期的な需要の落ち込みが発生することが分かった。
金融危機によって、大きな富の格差が生じ、借り入れ制約の問題が発生すると、総需要が長期的に停滞する可能性がある。すると、富を再配分(ここでは過剰債務を削減)すれば、借り入れ制約は緩和し、総需要が拡大するかもしれない。このことは、金融政策や財政政策などのマクロ経済政策が景気を改善するメカニズムとして、富の再配分の経路(再配分チャネル)があり得ることを意味している。
実際、金融政策の有効性を評価する上で、再配分チャネルを重視する研究者が最近は増えている。たとえば、プリンストン大学のグレッグ・カプラン教授とベンジャミン・モル助教授、ニューヨーク大学のジョヴァンニ・ヴィオランテ教授は16年の論文で、金融政策分析のための新しい枠組みとして「異質的エージェント型ニューケインジアン(HANK)モデル」を提唱している。
これまで金融政策の分析において標準モデルとされてきた通常のニューケインジアンモデルでは、人々の間に富の格差は存在しない、という想定を置いて金融政策を分析してきた。HANKモデルでは、人々の間に富の格差が存在し、その格差や所有する資産の違いが金融政策の効果に大きく影響する。
通常のニューケインジアンモデルでは、金融政策は金利を上下させることで効果を発揮する(金利チャネル)。金利が下がると借り入れを増やして設備投資を増額する企業が増え、総需要が増える、というメカニズムである。しかし、金融危機以降の日米欧先進国では、金利がゼロ近傍で動きがとれなくなっているため、金利チャネルで金融政策が効果を発揮するとは考えにくい。このような時代に、一種の格差是正ともいえる再配分チャネルで金融政策は効果を発揮する、と主張する研究が現れたことは興味深い。
プリンストン大学のマーカス・ブルナーメイアー教授とユリ・サニコフ教授も16年の論文で、金融政策が資産分布の変化を通じて効果を発揮するという理論を作っている。彼らのモデルの特徴は、貨幣という資産を明示的に考察する点である。
通常のニューケインジアンモデルでは「資産としての貨幣は存在しない」という(単純化のための)仮定が置かれているが、ブルナーメイアー教授たちは貨幣と他の資産との選択の問題を重視した。中央銀行が貨幣の供給を増やせば貨幣価値が下がり、相対的に他の資産の価値が上がるため、資産選択を通じたチャネルが金融政策を波及させるのである。
このように、富の格差が経済成長や金融政策に大きな影響を与えるという考え方は、これからの経済政策を構想する上で重要な役割を果たすかもしれない。
ポイント
○格差が供給低迷と需要減をもたらす可能性
○格差是正策は成長に悪影響なしとの指摘も
○金融政策も格差の変化を通じて効果を発揮
[日経新聞2月22日朝刊P.21]
【カイロ=押野真也】内戦が続くシリアで27日、米国とロシアの仲介で一時的な停戦が発効した。大規模な戦闘はひとまず収まったもようだが、このまま長期の停戦が実現するとの見方は少ない。シリアを舞台に米ロやサウジアラビアとイランなどが「代理戦争」を繰り広げる構図は変わっていないからだ。軍事的な緊張は続いており、和平への道筋は見えていない。
27日午前0時(日本時間同日午前7時)に停戦が発効したあと、政府軍と反体制派による大規模な軍事衝突が起きたとの情報はない。激戦地とされてきた北西部のアレッポでは散発的に銃撃音が聞こえるものの、戦闘機による空爆などは確認されていないという。
米ロがシリアのアサド政権と反体制派に呼びかけて実現した今回の停戦は、2012年にシリア内戦が本格化してから初めて。停戦の対象に「イスラム国」(IS=Islamic State)や、国際テロ組織アルカイダ系でシリアを拠点とする「ヌスラ戦線」などの過激派組織は含まれていない。
停戦が発効して以降も、小規模な戦闘は続いている。反体制派によると、同派の「自由シリア軍」傘下の部隊は北西部の海岸に近いラタキアで政府軍の攻撃を受け、戦闘員3人が死亡した。同部隊の報道官は「停戦違反だ」と反発している。
それでも、停戦案を受諾したアサド政権は今のところあからさまな挑発を控え、主要な反体制派勢力がどう出るかを探っているもようだ。
反体制派勢力は26日の声明で「(アサド大統領の停戦への)誠意を確認する必要がある」と述べた。中断している和平協議の再開を探るなかで、アサド政権をどこまで信頼できるかを見極める考えとみられる。
国連でシリア問題を担当するデミストゥラ特使は26日、和平協議を3月7日に再開する意向を示した。停戦の維持が協議再開の前提となる。当面はロシアと米国、アサド政権と反体制派による駆け引きが続きそうだ。
シリア内戦の基本的な構図に変化はない。ウクライナ問題で国際的な孤立からの脱却を狙うロシアがアサド政権を支える一方、米国は反体制派を支援している。
サウジとシリアの隣国トルコは一貫してアサド大統領の退陣を要求し、アサド政権を支援するロシアやイランと対立してきた。イランとその影響下にあるレバノンの民兵組織「ヒズボラ」の支援を受けるアサド大統領が存続することに対し、サウジは今後も強く抵抗するとみられる。
26日には、サウジ空軍機がトルコの空軍基地に到着したと報道された。ISの掃討作戦のためとみられるが、停戦期限が迫る中での空軍機派遣だけに、アサド政権をけん制する狙いがあったとの指摘もある。
ロシアはISなど過激派組織の掃討を名目としながらも、実際にはアサド政権と敵対する反体制派を攻撃してきたとの批判は強い。今後もロシアやアサド政権が「テロとの戦い」を名目に反体制派への攻撃を続ければ、停戦合意は白紙に戻りかねない。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H3O_X20C16A2FF8000/
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米軍、シリア北部の「イスラム国」空爆 停戦の対象外
2016/2/28 0:47
【ダマスカス=共同】シリア人権監視団(英国)によると、米軍主導の有志国連合は27日、シリア北部テルアビヤドに進撃した過激派組織「イスラム国」(IS)に対して少なくとも10回空爆を実施し、IS戦闘員45人、クルド人勢力の戦闘員20人が死亡した。シリアでは27日に一時停戦が発効したが、ISは対象外で、米ロなどは掃討作戦を続ける方針。
ロシアと米国はシリア情勢の地図を交換した。停戦体制がカバーする領域や、武装勢力の展開地が記載されたものだ。ロシアのセルゲイ・ルツコイ参謀本部作戦総局長が土曜、明かした。
「米国側との情報交換のため、特別に、シリア情勢の地図が作成され、2月26日にアンマンで開かれた二国間協議において、また軍および外交ルートで、米国側に渡された。紛争調停が行われる地域、シリア政府軍、クルド領土、ダーイシュ(IS、イスラム国)やアル=ヌスラ戦線その他の武装勢力によって支配されている地域が示されているものだ」
「米国側の代表に、停戦体制に加わった総勢6111人からなる武装グループのリスト、ならびに攻撃対象から除外されるべき74の居住区の正確な地理的座標のリストが手渡された」とルツコイ氏。
ロシア側も米国から同様の地図を受け取っており、現在、ロシア軍のデータとのすり合わせが行われているという。
SIPRI報告書によれば、中国は2011-2015の期間、武器輸出を88%増大させた。最大の顧客はパキスタンで、以下ミャンマー、バングラデシュと続く。輸出先がわずかしかない孤立市場に限られるという古くからの問題が残っている。戦略技術分析センターのワシーリイ・カシン研究員がスプートニクに寄稿した。
パキスタン市場はある種、中国の独壇場だ。ロシアも米国も欧州も、パキスタンと武器合意を結べば大国インドからの否定的リアクションを覚悟せねばならない。中国はパキスタンの同盟国であり、前進はあるもののインドとの関係はそう緊密ではなく、武器供給のさいにニューデリーの顔色を気にするほどではない。パキスタンは中国と共同のFC1戦闘機の購入を拡大し、無線探査機ZDK3などの高度な武器システムの新規購入を行なっている。
ミャンマー、バングラデシュは制裁その他の政治要因から西側武器メーカーから切り離されているが、ロシアからは武器を買うことができる。しかし両国とも貧しく、その点中国は、割引で武器を売ってくれる唯一の国だ。
しかし中国の武器輸出は目に見えて拡大に進んでいる。この5年、中国輸出の半分がパキスタン一国に集中していた。今や中国は中東、アフリカ、東南アジア、一部ラテンアメリカにおけるプレゼンスを格段に伸ばした。競争力の弱い南アジア市場からの独立の減速が中国輸出の量的増大テンポより低いのである。
中国の武器輸出拡大を阻む要因とはなにか。第一に、エンジンその他重要要素の製造をめぐる問題が解決中だが、そのテンポが遅いこと。第二に、人件費が急騰し、中国製品が割高になっている。特に2014年以降ルーブルがドルや元に対して半額に値下がりし、ロシア製品が割安になっている。
さらに重要な問題が、政治的障害だ。武器市場ほど政治的な市場もない。武器購入決定は軍よりむしろ政治による。経済や技術という観点さえしばしば政治の二の次である。活発外交なしに武器輸出を拡大し、成功することは難しい。
中国が支配的地位を確保できた唯一の大市場がパキスタンだ。中パ関係は1980年代初頭から数えて中国外交全般にとって極めて例外的なものだ。パキスタンは中国が固い同盟関係を結び得た唯一の国なのだ。
中国が今後国際武器市場でどれだけ成功できるかは、他の多くの問題と同様、中国が自身の「基幹的国益」と直接関係しないと考える国際問題の解決における中国の責任担保能力次第だ。つまり、たとえば中東の問題に対する自分の見方を声高に叫ぶだけでなく、その推進のために他の大国との抗争に入ることをも辞さない姿勢が必要なのだ。
中国が南シナ海でのインフラ建設を続けた場合、この海域は中国の実効支配下におかれるだろう。米国太平洋軍のハリー・ハリス司令官が記者団に対してこうした見方を表した。
「このまま基地の建設が進めば、中国は米国との戦争の瀬戸際政策をとりつつ、南シナ海を実効支配することになるだろう。」
ハリス司令官の見方では、中国側は空軍基地や燃料貯蔵庫を建設し、レーダーやMDを設置するという方法で同地域で何が何でも軍事的に優位に立つという意欲を露骨に表している。
ハリス司令官はまた中国の活動によって南シナ海の作戦状況が変わる可能性も指摘し、中国が防空識別圏を南シナ海全域に拡大しかねない危険性があると警告を発している。
防空識別圏は、中国が自国の東シナ海上空域の安全を保証する目的で2013年に導入したもの。
中国はマレーシア、ブルネイ、ベトナム、フィリピンといったASEAN諸国との間にスプラトリー諸島(中国名:南沙諸島)をめぐる領海問題を抱えている。
中国は人工島の施設建設を進めており、ここには滑走路など同地域での中国の主権主張を強化しうる施設が出来上がるものと見られている。
南シナ海を通航する貨物は年間5兆ドルにのぼるほか、同水域には石油や天然ガスなどの巨大な埋蔵資源が眠っているものと推定されている。
【ワシントン=河浪武史】米大統領選の予備選・党員集会が集中する3月1日の「スーパーチューズデー」を前に、経済政策論争が熱を帯びている。環太平洋経済連携協定(TPP)に関しては反対一色で「中国からの輸入関税は45%にする」(ドナルド・トランプ氏)といった極論も目立つ。財源を欠く大幅減税など、実現困難な案が少なくない。
「TPPには反対。中国や日本の通貨安誘導には断固たる措置をとる」。民主党の有力候補、ヒラリー・クリントン前国務長官はスーパーチューズデーを前に米紙にそう寄稿し、「反TPP」を鮮明にした。
「民主社会主義」を掲げる対立候補のバーニー・サンダース上院議員は、TPPに当初から反対だ。同党支持基盤の労働組合は「自由貿易協定は米国の雇用を奪い、ますます所得格差が広がる」との立場。オバマ政権でアジア重視の外交路線を採っていたクリントン氏は、選挙戦を有利に進めるため、サンダース氏の主張に擦り寄って争点をつぶす戦略に出た。
伝統的に自由貿易を推進してきた共和党も、反TPPに傾く。賛成派だった主流派のマルコ・ルビオ上院議員は「賛否を留保する」と態度を一変。序盤で3勝した実業家のトランプ氏はTPPに強く反対しており、同党も主流派が反主流派に擦り寄る構図だ。通商政策はますます「内向き」になり、TPPの早期批准は難しくなってきた。
「強い米国を取り戻す。6%の成長率も可能だ」。トランプ氏は連邦法人税率を35%から15%に下げて個人所得税も軽減する大型減税案を掲げ、他候補の引き離しを狙う。民主党のサンダース氏も国民皆保険の導入で経済格差に不満を持つ中低所得層の支持を集め、クリントン氏を追う。
民主、共和とも候補指名争いは接戦となり、減税や社会保障給付など「大盤振る舞い」が強まってきた。ただ超党派のシンクタンクは「トランプ氏の案では10年間で12兆〜15兆ドル(約1370兆〜約1710兆円)もの公的債務が増える」と厳しく批判。サンダース氏の国民皆保険も10年で14兆ドルもの予算が必要との試算があり、財源のメドはたたない。
「米連邦準備理事会(FRB)は議会が監査し、通貨政策は金本位制に戻す」(共和党のテッド・クルーズ上院議員)
「大きすぎてつぶせないなら巨大銀行は解体だ」(サンダース氏)
金融行政はさらに極論が目立つ。2008年の金融危機後の公的資金注入は「ウォール街救済」と中低所得層から批判が根強い。クリントン氏も大手金融機関の規模に応じて手数料を徴収する事実上の増税案を提示し、インフラ投資などの財源にあてると主張する。
米経済は年明けから市場の混乱に襲われたが、「今回の大統領選はいつになく不透明で、増税か減税か、規制緩和か強化か先行きが見通せず、市場の混乱要因になっている」(ティム・アダムズ元財務次官)。「長期停滞論」すら浮かぶ米国の成長戦略は描き切れないままで、世界経済にとっても不安要素になる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H21_X20C16A2FF8000/?dg=1
電話番号のコードエラーにより、ドイツの諜報機関が一時、米国務長官ジョン・ケリー氏でなく、アフリカ諸国のとある住人の通話を傍受していた。27日、ドイツのメディア報道をRTテレビが伝えた。
ミスが解消されたとき、ドイツの諜報機関は、米国務省に設置されたものも含め、他の電話を介して、ケリー長官の監視を続けた。
ドイツと米国の諜報活動が相次いで公開されている。先に、米NSAはドイツの諜報機関の助けを借りてフランスとオーストリアの政治家を追跡している、という報道があった。
ここ数週間、南シナ海における中国の一連の軍事行動が西側メディアの注意を引いている。あるケースでは明らかな情報操作と恐怖を煽る試みが見られた。たとえばウディ島における戦闘機配備に関する報道がそうだ。また、カルテロン岩礁へのレーダー建設は、なるほど新規建設ではあるが、以前から予想されていたことに過ぎない。南シナ海情勢の推移を戦略技術分析センターのワシーリイ・カシン研究員が分析する。
スプラトリー諸島の行き過ぎた軍事化を避けるという約束を中国が破っていると非難する根拠は今のところない。兵器の配備は今のところ中国が以前から確実に管理しているパラセル諸島に限られている。
中国の地域支配の中心であるウディ島に長距離地対空ミサイルHQ9が配備されたほか、この数か月で島内の飛行場に追加の格納庫が建設され、そこにJ11戦闘機やJH7A爆撃機が配備された。
ウディ島に中国戦闘機が配備されること自体は新しいことではない。飛行場建設は1990年。90年代から時折小規模のJ7戦闘機グループが派遣されてはいた。ただ、飛行部隊が常駐することはなかったし、そのためのインフラもなかった。戦闘機は一時的に前線配備され、のち大陸ないし海南島のメインの基地に帰っていった。
おそらく今回もそれと同様のことなのだろう。ただ、インフラ拡充により、前線配備の条件がより好適になっている。また、2種類の航空機が配備されたということも、前線配備説を裏付ける。タイプの異なる、そしてともに重量級である戦闘機がウディ島に配備されると、物流が困難になり、島のさらなる発展が阻害される。
ウディ島に中国の戦闘機が派遣されることは何も目新しいことではないのである。ウディ島には群島における中国の行政上の中心もあるし、多くの重要なインフラがあり、それらは保護しなければならないのだ。
スプラトリー諸島については、今のところ、中国のあらゆる行動が、問題になるような水準の軍事化は進行していない、ということを物語っている。諸島は周辺海域の船や航空機による哨戒を補助するのに使われるのだろう。つまり、諸島で給油や、乗組員の休養を行うのである。通信や諜報情報のハブになることも予想される。
軍事的観点からは、諸島に大規模な軍部隊および兵器を配備しても、実益はない。スプラトリーは大陸からも海南島からもあまりに隔たっており、紛争勃発の際にはすぐに島内の戦力は孤立させられてしまう。遠すぎてすぐに助けに行けないのである。周辺における中国軍の潜在力を代表するのは船舶たちである。諸島に強力な電波基地があり、無線技術手段があれば、有事の際に中国艦隊は膨大な優位性を得ることになるだろう。
28日、イラクの首都バグダッドで2つの爆弾が爆発し、少なくとも28人が死亡、62人が負傷した。ロイター通信が28日、伝えた。
伝えられたところによると、爆発があったのはバクダッド北東部のシーア派住民の多い地区にある市場で、大勢の人で混雑していたという。
警察の情報によると、犠牲者数はさらに増える可能性がある。
テロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」が、犯行声明を表した。
イラクでは現在、同国の一部を支配下に置いたテロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」の活動に関係し、緊迫した状況が続いている。
ギリシャは欧州移民危機の中で、全欧州のために移民や難民を何百万人を背負い込むつもりはない。25日、移民担当相イオアニス・モウザラス氏が述べた。
大臣の声明は、ブリュッセルにおける欧州移民問題の会議を前に出されたもの。同会議にギリシャは招かれていない。
「会議の参加者の多くは、ギリシャにおける人道危機に対処する方法を討議するだろう。しかし危機は彼らが作り出そうとしているのだ。ギリシャは欧州のレバノンになどならない。たとえそれが主にEUの資金で行われる場合でもだ」と大臣。シリアの内戦を逃れた百万人以上の難民が押し寄せたレバノンを例に挙げた。
2月26日、オーストリアのライトナー内相が移民危機を討議するべくアテネを訪問しようとしたところ、ギリシャはこれを断った。
ギリシャはエーゲ海経由でEUを目指す移民たちにとって、玄関口となる。
EUの国境管理機関フロンテックスによると、2015年、EUには180万人の移民が押し寄せており、欧州委員会はこれを第二次世界大戦以来最大の移民危機であるとしている。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160227/1689138.html
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ドイツ、難民13万人が失踪[スプートニク日本語]
2016年02月27日 19:27
ドイツ当局は、昨年登録された難民13万人の行方が分からなくなっている、と発表した。26日、BBCが報じた。
移民らは割り当てられた収容施設にいない。治安当局は、難民らは他のEU加盟国に行ったか、または不法にドイツに滞在している、と見ている。
ドイツには昨年、中東・北アフリカからの難民が110万人流入している。ドイツ当局はうちの13%の所在を知らない、ということになる。
ロシアのラヴロフ外相と米国のケリー国務長官は土曜、電話会談し、北朝鮮のミサイルおよび核開発に対する新たな国連安全保障理事会決議の準備の状況について、詳細な議論を行った。
「国際社会の反応は強固なものでなければならない。かつそれは、北朝鮮の核およびミサイル開発の補給経路を遮断することを目指したものとならねばならない。ラヴロフ外相はそう指摘した。ただし、その際には、ただでさえ困難な人道的状況を考慮する必要があり、経済の民間部門における外国パートナーとの合法的な関係を害しないよう注意しなければならない」とロシア外務省。
また、両外相は、シリアについて議論した。「両外相はシリアの停戦発効を歓迎した」と外務省。
シリアで28日未明、停戦が発効した。反体制派の100グループがこれを支持しているが、国連安全保障理事会レベルでテロ組織として認定されているダーイシュ(IS、イスラム国、ロシアでは活動が禁止されている組織)やアル=ヌスラ戦線(同)は停戦の対象ではない。
シリア人権監視団は、全体として、シリアのほとんどの領域で停戦が順守されている、としている。
この1日で、シリア停戦の違反が9件確認された。28日、ロシアのシリア紛争当事者調停センター所長で中将のセルゲイ・クラレンコ氏が述べた。
「この1日で、シリア停戦に違反する軍事行動が9件確認された。ならびに、トルコから戦闘員100人のグループがシリア国境を侵犯してエルアビヤド北部を占拠したことが明らかになった」 とクラレンコ氏。
また、武装グループの行動はトルコ領からの砲撃でサポートされていた、とクラレンコ氏。28日朝までにクルド民兵部隊が過激派を市外に追い出したという。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160228/1694140.html
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クルド蜂起軍、戦闘員70人を殺害しダーイシュ(IS)をシリア都市テル・アブヤドから放逐[スプートニク日本語]
2016年02月28日 21:32(アップデート 2016年02月29日 00:24)
「シリア民主勢力」がトルコとの国境に近いシリアの町でダーイシュ(IS、イスラム国)の攻撃を撃退した。現在ほぼ全地区がクルド蜂起軍の管理下にある。
先に、ダーイシュがトルコおよびシリアのラッカ方面からテル・アブヤドを攻撃した、と報じられていた。
ダーイシュの攻撃で、蜂起軍および市民、合わせて20人が死亡している。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160228/1693972.html
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ロシア国防省:トルコ領から戦闘員がシリア都市を攻撃[スプートニク日本語]
2016年02月28日 18:36(アップデート 2016年02月28日 19:36)
ロシアのシリア停戦センターに、戦闘員らがトルコ領からシリアのエルアビヤドに攻撃を行った、との情報が入った。同センター長で中将のセルゲイ・クラレンコ氏が述べた。
「ロシアのシリア紛争当事者停戦センターに27日から28日にかけての夜、戦闘員らがトルコ領からシリアのエルアビヤドに重砲で攻撃を行った、との情報が入った。この情報は後に「シリア民主勢力」の代表を含む複数のチャンネルを通じて確認された」とクラレンコ氏。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160228/1692905.html
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トルコ、シリア停戦違反を非難される[スプートニク日本語]
2016年02月28日 18:19
トルコ軍はシリアのクルド人が管理している都市を砲撃、シリア停戦を最初に破った。シリア・クルディスタンのモスクワ代表、ローディ・オスマン氏が述べた。インターファクスが伝えた。
「国連安全保障理事会2268号決議の最初の違反は、トルコによるものだ。トルコ軍がテル・アブヤドとウスリュブの町を砲撃した」。シリアの停戦を担うグループはトルコに影響力を行使し、「シリアの主権を侵害する行為を停止させる」べきだ、とオスマン氏。
さらにオスマン氏は、クルド人が管理しているテル・アブヤドへの攻撃に、トルコからシリアにやってきた過激派ダーイシュ(IS、イスラム国、ロシアでは活動が禁止されている組織)が加わっている、と述べた。
「これらの攻撃は協調されたものである。このことは、エルドアン政権はシリア危機を解決する気がない、ということを国際社会に知らせるメッセージだ」と オスマン氏。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160228/1692773.html#ixzz41Ty6uBhG
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シリア停戦監視に無人機70機が使われる―ロシア国防省[スプートニク日本語]
2016年02月27日 20:22
シリアにおける停戦監視に無人機70機が使われる。フメイミム・ロシア空軍基地に設置された敵対勢力停戦センターのセルゲイ・クラレンコ所長が土曜のブリーフィングで述べた。
「我々は自ら担った停戦監視義務を全面的に履行する」
「しかし、だからといって、そう簡単にダーイシュ(IS、イスラム国)やアル=ヌスラ戦線が撲滅されるわけではない。我々はシリア全土の状況を全面的に把握している。毎日70機の無人機が使用され、衛星その他による諜報も行われている」とクラレンコ氏。
28日、神奈川県横須賀市の団地で、79歳の男が「妻を刺した」と警察に通報し、警察官が駆けつけたところ、首を刺され血を流している女性が付近で見つかり、警察は男を殺人未遂の疑いで逮捕しました。男は「生活費が足りず、妻を殺して自分も死のうと思った」と話しているということです。
28日午前9時半ごろ、横須賀市鴨居の団地の一室で、男が「妻を刺した」と110番通報し、警察官が駆けつけたところ、部屋には男1人だけがいて、室内には血の付いた包丁があり、200メートルほど離れたベンチに首から血を流した女性が横たわっているのが見つかりました。
警察によりますと、女性は首を刃物で刺され大けがをしていて声が出せない状態ですが、命に別状はないということです。警察は、この女性が男の妻で、部屋で刺されたあと逃げ出したと見て、部屋にいた自称、無職の引地悟容疑者(79)を殺人未遂の疑いで逮捕しました。
警察の調べに対して、引地容疑者は容疑を認めたうえで、「生活費が足りず、妻を殺して自分も死のうと思った」などと話しているということです。警察は、刺された女性の身元やけがの状況を確認するとともに、動機などについてさらに詳しく調べることにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160229/k10010425161000.html
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2016年02月18日 (木) [NHKBS1]
キャッチ!インサイト 「エマニュエル・トッドに聞く テロと社会」
広瀬 公巳 解説委員
フランスの歴史学者で人口学者、エマニュエル・トッド氏。
乳幼児の死亡率の上昇から予測したソビエト連邦の崩壊は現実のものとなり、
世界におけるアメリカの影響力が衰退することも早くから指摘していました。
出生率の低下と識字率の上昇から、
中東の民主化「アラブの春」も予想していました。
パリのテロ後のヨーロッパ社会をトッド氏はどう見ているのか。
(トッド氏)
「あの事件はフランス人が自分たちの責任について考える機会だったのですが
実際にはいたずらにセンチメンタリズムに陥るだけだったのです」。
世界の知の巨人といわれるトッド氏へのインタビューを通して
テロと社会の関係を考えます。
山澤Q1)
スタジオにはトッド氏にインタビューした広瀬解説委員です。
ヨーロッパでは、パリでのテロを契機に排外的な政治勢力が力を伸ばすなど、
大きな社会の変化が起きているように見えますが、
トッド氏は今の状況をどのように見ているのでしょうか。
広瀬委員A1)
トッド氏は極めて鋭い指摘をしています。
こちらは、トッド氏の近著です。
タイトルは、「QUI_EST_CHARLIE?」英語でいうと「WHO_IS_CHARLIE?」。
つまり、今の危機について「シャルリとは誰か?」という問題設定から始めています。
山澤Q2)
シャルリというと、去年1月にイスラム過激派の銃撃テロを受けた
パリの新聞社「シャルリ・エブド」のことですね。
【VTR:デモ】
広瀬委員A2)
ご記憶の方も多いと思いますが、シャルリ・エブドが襲われたテロのあとフランスでは、
「私はシャルリ」という言葉が新聞社への共感、同調を表す表現として用いられ、
多くの人々が「私もシャルリだ」として、表現の自由を守るための大規模なデモを繰り広げました。
しかし、トッド氏は、デモが行われた場所を地域別に詳しくみていくと、
必ずしも、そんな単純なものではないと指摘しています。
自由を求める市民とは別の顔が浮かび上がってきたということです。
【VTR:トッド氏と握手】
Q「あなたは本当のシャルリは誰だと思いますか?」
トッド氏「私にとってシャルリとは“集団的存在”です。
具体的には中産階級の高齢者でカトリックの伝統を持っていた人たちです。
私が社会学の言葉として定義したもので、
シャルリとは、フランスのエゴイストな中産階級なのです。
彼らは自分たちが「自由」「平等」「博愛」の継承者だと思い込んでいますが、
実際には「自由」「平等」「博愛」の理想とは正反対にいる人たちなのです」。
山澤Q3)
フランス人が最も大事とする自由や平等といった理念を真っ向から否定する大胆な指摘ですね。
広瀬委員A3)
自分たちがシャルリだと自称して自由や平等を掲げていた人の中には
自由でも平等でもないひとがいたといっているわけです。
トッド氏がその背景として指摘するのは
このタイトルの副題にあるようにヨーロッパにおける「宗教の危機」です。
伝統的な価値観であるカトリック信仰が崩壊し、
実践されなくなってきているという点を指摘しています。
そうした中で、格差の拡大という社会問題への不安が、
市民の心をイスラム恐怖症へと向かわせている。
一方で本来のものとは違う形で伝わったイスラム教が反ユダヤ主義に向かっているといいます。
これを単純化して、トッド氏は次のような等式を提示しています。
(宗教的空白)+(格差の拡大)=(外国人恐怖症)
つまり、排外主義の根源は、表現の自由とか、
宗教の対立とかといった理念や観念の問題ではなく、
信仰を失った社会、格差を解消できない社会の問題、社会問題として考えるべきだとしています。
山澤Q4)
実際に、テロの背景には差別をはじめとする社会問題があったわけですよね。
広瀬委員A4)
その意味でいまフランスで大きな議論になっているのが国籍剥奪の問題です。
同時テロの実行犯には、フランス生まれでフランス国籍を持つ移民系の人物が含まれていました。
このためオランド大統領は必要であれば国籍を剥奪できるという憲法の改正を提案しました。
【VTR:トビラ辞任】
しかし、改憲案には反対意見も多く、
法務大臣が改憲案は抑止効果がなく受け入れられないとして辞任しました。
自爆テロを行うような人物が国籍の剥奪を恐れることがあるだろうかというのです。
フランスの憲法はその第1条で
「フランスは、出自、人種あるいは宗教の区別なく、すべての市民の法の前の平等を保障する」としています。
もともとフランス人というのは民族の概念ではなく価値観を共有する人々の集まりだという前提にたっています。
ですので国籍の剥奪の問題についてトッド氏は非常に強い危機感を示していました。
【VTR:トッド氏】
「国籍剥奪についてですか?これはフランスには本当に悲劇的なことです。
憲法を改正し、国籍を剥奪してもテロ対策によい効果はありません。
逆にテロを助長するでしょう。
なぜなら、北アフリカから来た300万もの二重国籍の人たちをフランスのコミュニティーから切り離すことになりますから。
これはフランス共和国の原則の否定です。
つまり、この憲法改正に票を投じるのは、共和国の理念をおとしめ、フランスの「没落」を示すことになるのです」。
山澤Q5)
トッド氏は「没落」という言葉を使って危機感をあらわにしていますが、
危険な人物にはフランスから出て行って欲しいというのも
安全を求める住民としては率直な感情だと思いますがどうなんでしょう。
広瀬委員A5)
テロの脅威が続く中で、そこは微妙なバランスが求められる問題です。
自分とは異なる他者とどう共存していくかについて私が注目したいのは、
フランスが歴史の中で積み上げてきた知恵である政教分離の原則です。
【VTR:街中のムスリム】
フランスは「非宗教」の共和国であるとして、政治と宗教を分離。
政治と心の問題を切り離すことで、移民によってイスラム教徒が増えても、
国の在り方そのものには影響が出ないようにしてきたのです。
しかし今、この政教分離の原則が脅かされていると考える人が増えています。
最近の世論調査では「政教分離(ライシテ)」の原則が
危機に瀕していると感じている人が大きく増えて80パーセントを超えています。
スカーフや十字架などの外見を規制する程度のことでは対応しきれないより
本質的な変化が起きていると多くの人が感じはじめているのではないでしょうか。
どういうことかというと、人口の上でも、文化の上でもイスラム教徒の存在感が増し、
逆にこれまで自信をもってきた西欧の価値観が衰退しているのではないか、
このままでは自分たちがマイノリティーになるのではないかという
危機感を持つ人が増えているといわれます。
そしてこれまでいわば安全弁として働いてきた政教分離についての意識も変化しています。
政教分離の定義、政教分離で何を目指すべきかという問いについて、
「すべての宗教を同等に扱うこと」と答えた人は減っており、
「宗教が社会に及ぼす影響を減らすこと」と答えた人が増えています。
つまり、すべての宗教を同等に扱うのはすでに難しくなっているという現実の認識があり、
そうであれば宗教の影響を少なくすることに力を注ぐべきだという意識に変わっていることが読み取れます。
山澤Q6)
テロをきっかけにフランスの価値観が揺れているということでしょうか。
広瀬委員A6)
窮屈にはなっているようです。
トッド氏もフランスでは自分の考えを自由に表明しにくくなったといいます。
【VTR:トッド氏】
「リベラルであるはずの社会に新しい「抑圧」が現れています。
これまでのような「検閲」ではありません。
全ての人には表現の自由という権利があります。
しかし、実際にはジャーナリストが情報の自主規制をし、反体制の意見が封じ込められるのです」。
広瀬委員)
テロの脅威で社会が揺れ自由や寛容の精神が危機に瀕しているといわれます。
テロの実行犯は本当のフランス人ではない、
中東の野蛮人は怖いので空爆するというような、
単純な感情論「センチメンタリズム」が流布する危険がある今だからこそ
大所高所から時代を見る冷静な考えの軸が必要です。
ほんとうの敵はどこにいるのかを見失わないようにする。
トッド氏の表現をあえて借りていいますと「シャルリとは誰なのか」を
我々も真剣に見極めていかなければならないと思います。
消費税の税率引き上げについて13年9月・10月に深刻に悩んだ安倍政権は、経済成長重視であり、消費税の税率引き上げに否定的である。
安倍自民党に批判的な政治勢力は、選挙協力をするにしても、「新安保法制」廃案だけでなく、安倍政権に先んじるかたちで「消費税増税延期」を政策に掲げなければ勝つ見込みはないだろう。
※関連参照投稿
「安倍政権支持率回復の秘策は「消費税増税再延期」の是非を問うかたちでの来年7月“衆参同時選挙”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/463.html
「消費増税、首相発言で臆測 予定通りか再び延期か:正当化のネタ探しはしているだろうが再延期は既定方針」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/822.html
「衆参同日選ならてんやわんや 86年以来実施なく:消費税増税延期で解散総選挙なら自民の圧勝、同時で野党の選挙協力は雲散霧消」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/854.html
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経済運営 一層難しく 本社世論調査、「消費増税反対」58%
2016/2/28 22:01
日本経済新聞社の世論調査で、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の評価がこれまでで最も低くなった。急激な円高・株安の進行などが背景にあるとみられ、追加の財政出動を伴う景気対策や2017年4月の消費増税の中止を求める声が多い。世界経済の不透明感が増すなか、安倍政権は経済成長と財政再建を両にらみしながら難しい経済運営を迫られている。
現在の安倍政権は「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「規制緩和などの成長戦略」で脱デフレを目指してきたが、実現に至っていない。
政権発足以降の金融緩和による円安で、大企業を中心に企業業績は過去最高の水準にあるが、地方の中小・零細企業には恩恵が行き届いていない。会社員らが受け取る賃金も物価変動の影響を除いた実質で15年まで4年連続のマイナス。景気回復の実感を感じられない人の中には不満もたまっている。
年明けから続く株価の乱高下や中国経済の失速、原油安による世界経済への懸念もアベノミクスの評価に影を落とす。16日に日銀の「マイナス金利政策」が始まったが、円高・株安が続いていたさなかで、効果がまだ見えていない。
世論調査では、マイナス金利を「評価しない」が53%にのぼり「評価する」は23%にとどまった。アベノミクスを評価する層でも、マイナス金利を評価するのは42%で、評価しないの39%と拮抗している。
「新たな予算を追加して経済対策を行う必要がある」は47%に達し「必要でない」の35%を上回った。内閣支持層では58%、不支持層でも40%が「必要だ」と答えた。
17年4月に消費税率を8%から10%に引き上げることに「賛成だ」が33%と、昨年12月の調査から9ポイント低下。「反対だ」は58%と11ポイント上昇した。
政府・与党内にも夏の参院選前に新たな経済対策をまとめるべきだという声や、消費増税の先送りが必要との指摘もある。ただ国は1000兆円を超える借金を抱えて財政事情が厳しい。消費増税を先送りすれば社会保障にしわ寄せが及ぶ。
本来は労働や農業、医療などの規制緩和による成長の基盤整備が欠かせないが、一朝一夕には進まない。国内総生産(GDP)600兆円、出生率1.8、介護離職ゼロを掲げる一億総活躍社会への取り組みも進める中、政権が打ち出す施策に注目が集まる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H1B_Y6A220C1PE8000/?dg=1
【北京=永井央紀】23日の米中外相会談は、北朝鮮への対応で足並みをそろえた一方で、南シナ海における中国の海洋進出を巡る議論は平行線に終わった。米FOXニュースによると中国がここ数日、南シナ海・西沙(英語名パラセル)諸島に戦闘機を派遣していたことも判明している。協調と対立が共存する米中関係のいびつな姿が浮き彫りとなっている。
同諸島を巡っては、中国が地対空ミサイルを配備したことが明らかになったばかりだ。南沙(スプラトリー)諸島でもレーダーとみられる施設の建設が進んでおり、南シナ海を軍事拠点化する姿勢が鮮明となっている。ケリー米国務長官は会談で懸念を示したが、王毅外相が「中国の主権の範囲内のことだ」と反論するいつものパターンで終わった。
王毅氏は会談で「中米の共通利益は相違点よりもはるかに大きい」と述べ、協力関係を重視するよう訴えた。イラン核協議や気候変動問題など米中の連携によって実現した成果も重ねてアピールした。
習近平国家主席は米中関係を「新型大国関係」と位置づける。共通の課題について協力する一方で、対立点はお互いに寛容に対応することで共存を図るとの考えだ。米国はこうした考えを受け入れていないが、現実には中国の協力なしに国際社会の問題を解決するのは難しい。結果として中国の海洋進出に歯止めをかけられないまま、協力案件ばかりが積み上がるという中国ペースの展開が続いている。
[日経新聞2月25日朝刊P.6]
日銀のマイナス金利政策を受けた長期金利の急低下にもかかわらず、海外勢が日本国債を積極的に買っている。カギを握るのは通貨スワップと呼ばれるデリバティブ取引だ。市場ではドルを欲しがる参加者が多く、海外投資家が手持ちのドルを円に替えると高い上乗せ金利を得られるので、利回りがマイナスの国債を買っても十分な運用益を稼げるという。
国外投資家の国債購入もあり、24日の債券市場では10年国債の利回りが過去最低を更新した。
市場関係者によると通貨スワップ取引の上乗せ分を含めた日本国債への投資利回りは合計で年1.5〜2.5%ほど。欧州は当然ながら米国債とも遜色ない水準だ。
「世界中で金利が下がるなか隠れた『高利回り債券』の日本国債に資金が向かっている」(野村証券の中島武信氏)
実際、海外勢の買い意欲は強い。日本証券業協会によると、1月の海外投資家による日本国債の買越額は1兆4272億円(短期国債を除く)。昨年7月以来7カ月連続で最大の買い手となっている。
日銀がマイナス金利の導入を決めた1月末以降も、その勢いは続く。財務省の週間データでは、海外勢が直近の7〜13日に買い越した中長期債は1.1兆円と昨年8月以来、約半年ぶりの高水準になった。
例えば海外勢が手持ちのドルを円に5年間交換する取引で、上乗せ金利は年0.9〜1%ほどになる。これを元手に日本国債に投資すれば、マイナス金利の2年債や5年債でも年2%前後の高利回りで運用できる。
多様な資産に運用対象を広げる必要があるヘッジファンドや海外中銀にとって、日本国債は魅力的な投資対象と映っている。
直近、上乗せ金利が拡大したのは昨年12月の米利上げがきっかけ。世界中の投資マネーが米国に還流する動きが強まり、ドルの需給が引き締まった。日銀のマイナス金利政策を受けて国内の金融機関が海外投資を加速させるとの見立てもドルへの引き合いを強め、上乗せ金利は一段と拡大した。
上乗せ金利は上昇を続けるとの見方が多い。
「外債へのシフトを主体とするしかない」。筒井義信・生命保険協会会長(日本生命保険社長)は19日、運用難を受けた資金の振り向け先について問われ、そう答えた。
生保など機関投資家は外債に投資する際、為替リスクを避けるため通貨スワップ市場でドルを調達するヘッジ取引を手掛けることが多い。こうした取引の増加は、通貨スワップ市場のドル需要をさらに引き締める。
この結果、上乗せ金利が拡大し、海外勢の国債投資が勢いづけば、長期金利に一段の下押し圧力をかけかねない。
海外勢による取引が多い期間1年以下の短期債や2年、5年などの国債の利回りは、すでに日銀が一部の当座預金に付けているマイナス0.1%を下回っている。
ただ、これまで日本国債を長期保有してきたのは生保や年金だ。外国勢の勢いと裏腹に、そうした安定的な投資家の存在感が薄まると「将来の債券市場の金利乱高下につながりかねない」(みずほ証券の上野泰也氏)。マイナス金利の副作用の芽がここにもある。
(浜美佐)
[日経新聞2月25日朝刊P.21]
「格差拡大、成長に悪影響?:「格差是正は経済成長を阻害」説の見直し、安倍政権も民主党的所得再分配強化へと舵取り」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/102.html
長期金利 初のマイナスに:マイナス金利導入は「異次元量的金融緩和」の“終わりの始まり”
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/235.html
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[大機小機]黒田総裁からのメッセージ
日銀がマイナス金利導入を宣言して以降、メディアでコメントするエコノミストは悩ましかろう。株価や為替が乱高下する中で、経済のファンダメンタルズを語っても何も説明できない。テレビのワイドショーも取り上げるくらいだから国民的関心は高いが、その意味合いを経済学者のように理解できる人は多くない。黒田東彦日銀総裁も罪なことをしたものである。
無理もない。マイナス金利の日銀政策決定会合の表決は5対4だった。反対した4人は黒田総裁が着任した2013年に「使命を果たしてこなかった」と厳しく批判した白川方明前総裁時代に就任している。
黒田総裁が掲げた「2年で2%の物価上昇」という目標は未達だ。遅れを取り戻そうとマイナス金利に踏み込んだが審議委員の亀裂があらわになった。中央銀行の力を信奉する傾向が強い英フィナンシャル・タイムズのマーチン・ウルフ氏すら、マイナス金利に積極的評価を与えていない。
マイナス金利で日銀が狙う円安になったとしても効果は限られよう。むしろ、原油価格反転の方が物価を押し上げるかもしれない。法人企業統計や企業決算集計を見るとリーマン・ショック以降、非製造業を中心に中堅中小企業が自己資本を手厚くし、現金をため込んでいる。限界的に金利が下がっても、本来借り入れに頼る傾向が強いはずの企業に資金需要が乏しい。景気刺激効果には検証が必要とされるゆえんだ。
そもそもマイナス金利を採用するほど経済は悪いのか。実質GDP(国内総生産)が前期比年率1.4%減だった昨年10〜12月も海外からの所得を考慮に入れた実質GNI(国民総所得)は同0.3%増と5四半期連続でプラスだった。
結局のところ大事なのは、いかに内需の成長力を引き上げ、中国減速などの影響を抑えるかだ。労働市場改革など散々言われている課題に取り組まねばならない。そんな当然すぎるメッセージは人々の心に届かないから、黒田日銀が手の込んだ形で必要性を再認識させてくれたとでも考えてみたらどうだろうか。
改革には抵抗がつきまとう。問われるのは政治の意思だ。国民が与えた多数議席という政治的資産を無駄遣いするなら、マーケットが安倍首相を見限っても不思議ではない。
(三剣)
[日経新聞2月25日朝刊P.21]
[時事解析]検証マイナス金利
(1)ゼロの下限を克服 政策選択肢増やす
日銀は16日から銀行が預けている日銀当座預金にマイナス金利を適用した。金融緩和強化が狙いだが、銀行収益圧迫など副作用も懸念される。
マイナス金利は課税や手数料で金利を実質的にゼロより下げる手法だ。20世紀前半に独経済学者のシルビオ・ゲゼルがマイナス金利概念を内蔵した新通貨を提唱。1970年代にはスイスが非居住者預金に導入した。
99年の日銀のゼロ金利政策を受け、金融政策の限界論が浮上した。それを打破する手法としてマービン・グッドフレンド米カーネギーメロン大教授などが金融政策でのマイナス金利を提唱。2008年のリーマン危機後に欧州の中央銀行が実施している。中銀当座預金の金利をマイナスにする方式と政策金利をマイナスに下げる手法がある。
(1)銀行に必要分を超える超過準備を融資に向けさせる(2)ポートフォリオリバランス効果を通じ資産価格を上げる(3)景気回復期待を演出しコンフィデンス(信用)を高める(4)金利面から通貨安圧力をかける――などが狙い。
日銀は13年にマネタリーベース(資金供給量)を増やす量的緩和を実施したが、これまでに十分な効果が出たとは言い切れない。今回、日銀は当座預金金利のマイナス誘導により追加緩和の選択肢を増やし、黒田東彦総裁は「物価安定の目標は必ず実現する」と自信を示した。
ただニューヨーク連銀のジェームス・マックアンドリュー氏は「マイナス金利は金融機関の収益に悪影響を及ぼすほか、法律上や業務上で様々な摩擦が生じ、需要刺激効果は限定的」と指摘する。
(経済解説部 太田康夫)
[日経新聞2月22日朝刊P.21]
(2)限られる経済効果 財政規律の低下も
金融緩和は通常、企業の資金調達コストを下げ設備投資を促すことで景気浮揚を目指す。日銀のマイナス金利政策で長期金利など市場金利は一部でマイナスになっているが、銀行の企業への貸出金利はマイナスになりにくく効果は限定的だ。
企業は300兆円超の内部留保を抱え、銀行融資に頼る必要性は下がっており、投資は喚起しにくい。それどころか、銀行が法人預金にマイナス金利を適用すれば、企業の負担増になる。
個人への影響では住宅融資金利が下がれば、住宅購入を後押しする。しかしマイナス金利は、銀行預金や債券など金融商品の金利に低下圧力をかける。先行きに自信が持てなければ預金者は金利収入の減少を甘受し、消費を切り詰める可能性がある。
恩恵を受けるのは政府部門だ。長期金利はマイナス金利導入後、一時マイナス0.035%まで低下した。利払い負担軽減で公共事業などに回す資金を捻出し、景気回復を目指すことができる。
ただエルベ・アノウン前国際決済銀行(BIS)副支配人は「マイナス金利政策は効果が不透明な波及経路に依存している。財政規律の低下を招く恐れがあり、中長期的には副作用が大きい」と指摘している。
マイナス金利を導入している国は健全財政国が多い。政府部門のネット(純額)債務は、最も高いユーロ圏でも国内総生産(GDP)の70%だ。主要国で最も政府債務比率が高い日本が実施したことで、改めて金融財政の健全性が問われることになりそうだ。
(経済解説部 太田康夫)
[日経新聞2月23日朝刊P.26]
(3)銀行に融資拡大圧力 収益圧迫する恐れ
マイナス金利政策は、銀行が中央銀行に預ける準備預金を融資に向ける狙いだが、経営が揺らげば融資余力がなくなる。
先行した欧州は「準備預金のコスト増で銀行の利益を圧迫し、逆効果の恐れがある」(ベノワ・キュレ欧州中央銀行理事)ことを認識。それを避けるためスイス国立銀行(中央銀行)などは、マイナス金利適用を準備預金の一部に限った。
日銀はそれらを参考に直接的影響を小さくする形でマイナス金利を導入した。マイナス金利適用は10兆円で、その国内総生産(GDP)に対する比率は2%程度と欧州の中銀より大幅に低い。
実際に銀行がとられるマイナス利息は100億円。一方で日銀は当座預金の必要超過額(220兆円)への年0.1%付利を維持。銀行は2200億円もの実質補助金を得られる仕組みで、この面での打撃は軽微だ。
ただし間接的影響は大きい。欧州では銀行の利ざやが厚めでコスト増の吸収余地があるが、邦銀は利ざやが薄く総資金利ざやがマイナスに陥る銀行が相次ぐ恐れがある。とりわけ地方創生などで政権に協力的だった地方銀行への打撃が大きい。
日本の銀行は1990年代の危機後、国内新規融資拡大に慎重で、マイナス金利は銀行の姿勢転換を促す金融行政的な面もある。
ただ欧州で銀行不安がくすぶるなか邦銀の構造的な弱さを浮き彫りにしたため、株価が大幅下落した。国際的に重視されるマクロ景気と金融機関安定の両方に配慮するマクロプルーデンスがうまく機能しなかった格好になっている。
(経済解説部 太田康夫)
[日経新聞2月24日朝刊P.30]
(4)狙いは通貨安か 各国間競争に懸念
歴史的にマイナス金利政策は通貨安を狙ってきた。1972年のスイスや、最近のスイス、デンマークのマイナス金利は資本流入抑制を狙った。欧州中央銀行(ECB)の場合はデフレ回避が目的だが、ユーロ高是正の思惑もあった。
日銀は2013年に景気浮揚を狙うとして金融緩和を実施したが、欧米では円安誘導だったとの見方がくすぶる。今回のマイナス金利導入でも日銀は「欧米の中銀同様、通貨をターゲットにしたものではない」(黒田東彦総裁)と強調。しかし米ゴールドマン・サックスは「大胆な政策で為替市場の期待に働きかけようとした」とみている。
懸念されるのは通貨安競争だ。他国の犠牲で回復を図る隣人窮乏化策の側面があるためで、20カ国・地域(G20)は「通貨の競争的な切り下げを回避し、競争力のために為替レートを目標とはしない」ことで合意している。
金融緩和は為替を直接操作対象とする通貨安政策ではないが、金利低下を通じて通貨安圧力を生むのは確かだ。13年の日銀緩和以降、アジア、欧州諸国が相次ぎ利下げし、実質的な通貨安競争が起きているとの指摘もある。
日銀のマイナス金利は導入の仕方などに問題があり今のところ円高阻止効果は出ていないが、金融緩和を利用した2巡目の通貨安競争を仕掛けた格好になっている。
米国では「金融緩和による通貨安誘導を阻止する国際ルールづくりを目指すべきだ」(米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所のデスモンド・ラチマン氏)との声が出ている。
(経済解説部 太田康夫)
[日経新聞2月25日朝刊P.31]
(5)市場ゆがめる恐れ 政策運営に制約も
日銀のマイナス金利政策は金融秩序を揺らしている。すでに個人向け国債、一部の公社債投信が募集を停止。利回りを生みだせず、投資商品の存立が脅かされている。
経済学的にはポートフォリオリバランス効果で、株式市場への資金流入を促すとされる。ただ低リスク志向の投資家は多く、その投資対象をなくせばタンス預金が積み上がるだけで、投資が活発になるとは限らない。
限界を超えて金利を下げたことで市場機能が低下しかねない。仲介手数料が取りにくくブローカーの経営は圧迫される。カナダ銀行(中央銀行)のハリエット・ジャクソン氏は「有力市場参加者である年金や保険会社の運用成績の低下も懸念される」と指摘する。
日銀自身への影響も無視できない。マイナス金利は日銀が直接、金利水準を決める。米国をモデルにした市場型金融調節を目指してきたが、日銀が公定歩合やオペ金利を直接決めていた時代の方式に逆戻りした格好だ。
日銀は340兆円超の国債を保有するが、マイナス金利の影響で運用益減少が見込まれる。健全性維持に向けた日銀の資本増強計画は、利益が上がらず資本を積めないか、わずかにとどまる恐れがある。
マイナス金利実施では副作用への配慮が不十分で、銀行株など株価を押し下げた。国際的には「マイナス幅を拡大すれば予期せぬ副作用を招く」(米JPモルガンのニコラス・パニギルツォグロー氏)とみられている。日銀は金融政策運営で量・金利の両面で大きな制約を抱え込んだようだ。
(経済解説部 太田康夫)
=この項おわり
[日経新聞2月26日朝刊P.29]
カトリック教会のローマ法王フランシスコと東方正教会の最大勢力であるロシア正教会のキリル総主教が12日、キューバで歴史的な会談を実現させた。キリスト教が1054年に東西に分裂して以来、両教会のトップが会談するのは初めて。「東西教会の和解」と世界がはやした会談を裏で仕掛けて操ったのはロシアのプーチン大統領だ。
「裏切られた」
今回の会談を苦々しい思いで見ていた国がある。親欧米に転じ、ロシアの軍事介入に苦しむウクライナだ。「バチカンに裏切られた」。政府幹部や教会関係者からはこんな恨み節も聞こえる。
ウクライナの教会関係者をとりわけ失望させたのは、両教会トップが会談後に発表した共同宣言の内容だ。ウクライナの「キエフ総主教庁」などがロシアの管轄からの独立を主張している問題について「既存の教会法に基づく解決を望む」と、否定的な見解を示した。
ロシア正教会はこれまでローマ法王の会談要請を拒否し続けてきた。一転してこれに応じた背景には、ウクライナでの教勢が透ける。
プーチン政権がクリミア半島を武力で自国に編入し、東部にも介入したことで、ウクライナではロシア正教会離れが加速する。危機感を抱いたロシア正教会はローマ法王と対等に渡り合う「盟主」であることを演出し、キエフ総主教庁などの独立の動きに歯止めをかけようとしたとみられる。
2015年の世論調査によると、ロシア正教会系の教会への支持は11年の26%から20%に低下。一方で世界の正教会から承認を受けていないキエフ総主教庁への支持は31%から44%に伸びた。キエフは、東方正教会の中でロシア正教会と勢力を争うコンスタンティノープル(現イスタンブール)総主教庁に何度も使者を派遣し、独立承認を働きかけている。
「ロシア正教会はプーチン政権の一機関だ」。ウクライナではこんな見方が定着する。ロシア正教会のトップであるキリル総主教は15年、ウクライナの親欧米政権について「邪悪だ」と発言し、聖職者に闘争を呼びかけた。親ロ派が実効支配するウクライナ東部では「ロシア正教会軍」と名乗る勢力が他宗派を弾圧しているとされる。総主教はロシアによるシリア空爆にも支持を表明した。
実際、プーチン大統領はロシアやウクライナなど旧ソ連諸国で欧米の価値観の浸透を防ぐため、ソ連時代のイデオロギーに代わる精神的な支柱としてロシア正教会を利用し、後押ししてきた。ロシア語や正教文化に基づく「ロシア世界」という概念を打ち出し、旧ソ連圏を勢力圏と位置づける。バチカン接近も正教会てこ入れの一環だ。
トルコに対抗か
15年末に起きた事件がロシアの危機感をあおった。トルコが同国の領空を侵犯したとされるロシア機を撃墜した事件で両国の関係は悪化した。
トルコを本拠とするコンスタンティノープル総主教はエルドアン政権の影響下にある。シリア情勢を巡ってもロシアと対立するトルコは、対ロ報復のためキエフ総主教庁などの承認を後押しするのではないか。こんな臆測も浮上する中で、ロシアはローマ法王との会談を急いだ可能性がある。
コンスタンティノープル総主教はすでに同年6月、司教2人をキエフに派遣し、キエフ総主教庁と別の独立系教会の統合交渉を仲介した。統合後にキエフ総主教庁などを傘下の教会として承認する可能性にも言及した。
キエフ総主教庁で対外関係を担当するヒラリオン大司教は「ローマ法王との会談はコンスタンティノープルのけん制が狙いだ」と断言する。
キエフ総主教庁の承認の可否はロシア正教会の趨勢を左右する。モスクワ総主教庁傘下の約3万の小教区のうち、ロシア国内は半分。ウクライナが3割強を占める。キエフ総主教が承認されれば、他の旧ソ連諸国にも波及し、ロシアは東方正教会の最大勢力の地位を失いかねない。
スラブ・正教文化の発祥の地であるウクライナを失えば、プーチン大統領の「ロシア世界」は根底から崩れる。政教一体となってロシアがウクライナ奪還に血眼になる理由はそこにある。
(モスクワ=古川英治)
[日経新聞2月26日朝刊P.2]
2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げを巡り、安倍晋三首相の発言が注目を浴びている。首相は増税を先送りする状況として「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態」と述べてきたが、年明けから「世界経済の大幅な収縮」とも言い始めた。財務省や内閣府は「増税の判断は変わらない」とするが、与党内では増税先送りや、夏の参院選と合わせた衆参同日選の臆測もくすぶる。
「再び延期することはない」。10%への増税について、首相は繰り返してきた。そもそも15年10月に実施するはずだった消費増税を、首相は14年秋に衆院解散とともに1年半延期。経済情勢で増税を見送る「景気弾力条項」もなくし、背水の陣を敷いた。
その後の国会答弁でも「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施する」と強い決意を語ってきた。
答弁がやや変わったのは1月19日の参院予算委員会。共産党の小池晃氏が「リーマン・ショックのような事態とは具体的にどういう事態か」と尋ねると、首相は「まさに世界経済の収縮が実際に起こっているか、専門的見地から分析し判断していかなければならない」と応じた。
政府関係者によると、小池氏の質問は事前に通告がなかったという。首相は財務省や内閣府が用意した答弁ではなく、自ら言葉を選んだようだ。その後、首相官邸からは各省庁に「今後はこの言い回しを使うように」と指示が出された。
今月24日の衆院財務金融委員会でも首相は同じ表現を使った。首相周辺や、財務省と内閣府の幹部は「リーマン・ショックとはどういう事態かを説明しただけ」「増税判断に新たな条件が加わったわけではない」と一様に説明する。
なぜか。首相はこうした答弁で、増税先送りの条件に関して「単に個人消費の落ち込みではない」「株価の変動幅のみではない」とも強調したためだ。消費の低迷や株価下落を理由とした増税の先送りはせず「世界的な危機以外は必ず上げる強い意志」(経済官庁幹部)と受け止められている。
一方、与党内には首相発言について「消費増税先送りの意図ではないか」との見方もある。当選2回の自民党議員の一人は25日「市場だけでなく、地方経済も実態は厳しい。増税先送りを示唆したのでは」と指摘。17年4月に消費増税と軽減税率導入を公約している公明党幹部は「増税延期はありうべし、とにおわせている」と警戒する。
背景には、夏の参院選を前に広がる経済への不透明感がある。自民党の稲田朋美政調会長は、現時点で経済対策は必要ないとしながらも「市場が乱高下しているのは事実で不安もある」と表明。党幹部の一人は「経済状況は変わってきている。増税先送りは選択肢の一つ」と述べた。
増税先送り論と共に浮上するのが、衆院解散・総選挙と絡める声だ。民主党幹部は首相発言について「増税先送りの具体的な基準がはっきりしない」と指摘しながらも「見送りを争点に衆院を解散する可能性はある」との見方を示した。
自民党のベテラン議員も「増税の再延期はない、との公約を撤回するなら解散してもおかしくはない」と語った。
[日経新聞2月26日朝刊P.4]
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(64)が25日、就任4年目に入る。北朝鮮の脅威増大や国内経済の低迷で岐路に立ちながらも、外交・内政での強硬姿勢が際だつ。「ポスト朴」を決める大統領選を来年に控え、レームダック(死に体)化と闘う1年になる。
「1つの問題で中韓関係が一瞬のうちに破壊されることもある」。23日、中国の邱国洪駐韓大使は韓国最大野党「共に民主党」代表を国会に訪れ、警告した。米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備に向けた米韓協議入りへの抗議だ。「THAAD問題がなければ既に(北朝鮮制裁の)新しい国連決議が採択されていただろう」と語った。同党が明らかにした。
連呼から一変
16日の朴氏の国会演説を聞いた外交筋の間で「失望だ」「いや、怒りだ」と話題をさらったのも中韓関係だった。
「戦闘服」と呼ばれる襟を立てた紺のスーツ姿で登壇し、時折、拳を握りしめて金正恩(キム・ジョンウン)体制への強力な制裁を訴えた25分間の演説で「中国」を口にしたのは1度きり。中国を8回連呼し、共同歩調を迫った1月の新年記者会見とは様変わりした。
「北と腹を割って対話すれば彼らは約束した部分は守ろうと努力する」。朴氏はこう語ったことがある。野党時代の2002年に平壌で金正日総書記と会談した感想だ。自らの体験が、安全保障を基礎にしつつ対話を通じて緊張緩和を進め、核放棄を促す看板政策「韓(朝鮮)半島信頼プロセス」の下敷きになった。
成否の鍵を握るのが中国だとみた。習近平国家主席と信頼関係を築き、昨年9月に中国の軍事パレードに参加したのも「北朝鮮問題が大きな理由」(韓国政府関係者)だ。訪中を終えた機中で「中国と速やかに韓(朝鮮)半島の統一論議を始める」と意欲を示した。
北朝鮮の挑発への対応は「中韓蜜月」の試金石となった。が、中国高官が平壌入りした当日に北朝鮮はミサイル発射を予告。この3日後、中国はようやく中韓両首脳の電話協議に応じた。核実験から1カ月もたっていた。北朝鮮包囲網を呼びかけた朴氏に、習氏はつれなかった。韓国外交の急旋回が始まった。
ミサイル発射予告と同じ日、韓国は米国からTHAADの協議開始を提案された。ミサイル発射当日の7日、朴政権は協議入りを宣言する。「THAADは自国の監視が真の目的」と韓国をけん制してきた中国と距離を置き、米韓同盟強化に大きくカジを切った。
保守層にも評価の声があった南北経済協力事業の開城(ケソン)工業団地の操業も「韓国が制裁の先頭に立つ」と全面中断に踏みきった。強気を支えるのは国内世論だ。聯合ニュースとKBSが14日発表した世論調査では、THAADの韓国配備に67%が賛成。「中国などの立場を考慮し配備すべきでない」と答えた26%を大きく上回った。
朴政権の外交は「北朝鮮」が回転軸だ。シナリオの大幅修正や反対勢力との鋭い対決もいとわないのが朴槿恵流。野党は4月の総選挙に向けて朴氏が支持基盤の保守層結束や経済失政への批判回避のために「半島の危機をあおって政治利用している」と非難する。
「日米韓」足並み
振幅の激しい外交・安保政策はリスクと背中合わせだ。米韓は3月7日から過去最大規模の合同軍事演習を韓国全域で展開する。21日の朝鮮中央通信によると、正恩氏は首都平壌を敵の侵攻から守るのを目的とした大連合部隊の訓練と空軍の飛行訓練を現地指導した。
韓国外交通商省東北アジア局長を務めた趙世暎(チョ・セヨン)東西大日本研究センター所長は、朴政権の外交を「どうしても偏ってしまう。一見、矛盾しているような圧力と対話を同時並行で使いこなす硬軟の外交が足りない」と評する。
国連安全保障理事会の決議案採択に先立ち日米韓3カ国は厳しい北朝鮮制裁で足並みをそろえた。朴氏が安倍晋三首相と互いに歩み寄って懸案の従軍慰安婦問題を合意に導いた昨年末の外交成果にほかならない。ジェットコースターのようなめまぐるしい外交が続く。
(ソウル=峯岸博)
[日経新聞2月24日朝刊P.6]
(中)「独断」で波紋、分裂やまず
「突然決めたならもっと詳しい説明が必要だ」。16日、韓国国会の控室。演説前のあいさつに訪れた朴槿恵(パク・クネ)大統領に、最大野党「共に民主党」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員会代表は南北協力事業、開城工業団地の操業中断の経緯をただした。
今はライバル政党トップの金氏だが、2012年の大統領選の際は朴氏の政策ブレーンだった。大企業に偏った経済構造を見直す「経済民主化」の公約を立案し朴氏の当選に貢献した。だがその後、経済政策を巡り溝が生まれ、朴氏とたもとを分かった。金氏は21日、中小企業との懇談会で朴氏を「昔のように大企業を重視している。これでは(経済民主化は)できない」と批判した。
歴史教科書の国定化、従軍慰安婦問題の日韓合意、開城工業団地の操業中断……。国論を二分する国政課題で矢継ぎ早に結論を出した朴氏。だが、いずれも十分に根回しをした形跡は見えず、反対勢力は朴氏の「独断」と反発している。
23日の国会。共に民主党は政府・与党が成立を目指すテロ防止法案の採決阻止へ長時間演説を始めた。政府に批判的な人物の監視に悪用される恐れがあると、ある女性議員の演説は10時間を超えた。朴氏は「どこでテロが起きるか分からない状況下で経済は発展できない」と譲らない。
「ISも同じようなことをしている」。昨年11月に労働組合がソウル中心部で実施した大規模デモで、朴氏は覆面をしたデモ隊を過激派組織「イスラム国」(IS)になぞらえて批判。覆面をかぶった暴力デモを厳しく取り締まる姿勢を示した。信念を貫く徹底した原則主義は敵対勢力からの攻撃を招き、時には味方さえも遠ざける。
それでも朴氏の支持率は衰えない。北朝鮮に対抗する強気の姿勢も評価され、昨年1月に20%台に下がった支持率は最新の世論調査で40%前半まで盛り返した。歴代大統領の多くが同時期にレームダック(死に体)に差し掛かる時期だが、父の朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の時代を経験した60代以上の岩盤支持層が底堅く支える。
来年12月の大統領選まで2年足らず。「ポスト朴」の候補に潘基文(バン・キムン)国連事務総長の名前が挙がるが、与野党に有力候補が見あたらないのも追い風だ。もっとも、直面する課題は深刻さを増している。
非正規労働者は昨年8月時点で627万1千人と過去最高を記録。今年1月の失業率は前年同月比0.1ポイント低下の3.7%だが、15〜29歳の若年は9.5%で、0.3ポイント上昇した。格差は広がる一方だ。「貧富、男女、世代、企業――。我々はすべての不合理な格差と戦う」。1月、新党の結党大会で国民の党代表の安哲秀(アン・チョルス)氏は格差を解消できない政権を批判した。
韓国で与野党が雌雄を決する総選挙(4月13日投開票)まで2カ月を切った。朴氏にも政権3年間の評価が下され、4年目以降も求心力を保てるかの分水嶺となる。
(ソウル=加藤宏一)
[日経新聞2月25日朝刊P.6]
(下)進まぬ改革 財閥頼み再び
朴槿恵(パク・クネ)大統領がこの3年、政策関連で最も多く発した言葉は「経済」でした――。25日に就任4年目を迎えるのを前に韓国大統領府は23日、演説などの分析結果を発表した。言及は1万7千回以上。「統一」や「安全」を大きく上回り、いかに経済に心を砕いてきたかを訴えた。
頻繁な経済への言及は思うように成果が出ないいらだちにも映る。経済は振るわない。輸出は1月まで13カ月連続の前年割れ。2015年の実質成長率は2.6%で潜在成長率を下回った。「第2の『漢江の奇跡』をなし遂げる」と公約に掲げた高度成長とはほど遠い。
朴氏は当初、内需企業や中小・ベンチャーの育成を通じた成長モデルを描いていた。サムスンや現代自動車など一部の大企業の輸出に頼る経済構造はもろい。財閥の不正や格差拡大に不満を募らせる世論への配慮もあり、大企業への規制を強めて公正でバランスのとれた構造を目指す「経済民主化」を掲げた。
財閥の系列企業間の不透明な出資関係や取引を規制する新法を策定したほか、全国17自治体にベンチャー支援拠点をつくるなど、実行に動いた。だが、新たな芽が育つ前に屋台骨の大企業が不振に陥り、朴氏の目算は狂った。不安定なウォン相場や中国など新たなライバル企業の台頭が、大企業の経営を直撃したのだ。
「事業環境は悪くなる一方なのに、会社からは短期成果を求められ耐えられなかった」。昨年末に退任したサムスン系列企業の元幹部は話す。韓国の看板企業であるサムスンでさえ、今や高収益を上げるのは半導体など一部だけ。他社の状況は推して知るべしだ。
苦しいときの財閥頼みとばかり、朴氏も大企業重視に回帰している。昨年8月、横領で収監されていた崔泰源(チェ・テウォン)SKグループ会長の特別赦免は象徴的だ。財閥オーナーの赦免には「有銭無罪」など冷ややかな声が多く朴氏も否定的だった。野党は「経済活性化を口実に公約違反をした」と批判する。
赦免の約10日後、崔会長は傘下企業の式典に朴大統領と並んで出席。10年で最大46兆ウォン(約4.2兆円)の投資を表明して「期待」に応えた。他の財閥も相次ぎ投資や採用の拡大を表明したが、景気減速は止まらない。
一向に浮上の兆しが見えない経済。政財界やメディアでは「韓国も日本の『失われた20年』と同じ道を歩んでいる」と、危機を訴える大合唱が上がる。
朴政権も課題は認識している。サービス産業育成に向けた規制緩和など、新たな施策に取り組む。だが、激しい与野党対立で法案が通らない。与党は国会議席の過半を占めるが、担当委員会などで5分の3がないと強行採決できないためだ。4月に総選挙を控え、強引なことをやりにくい事情もある。
「朴政権の方向性は正しい。問題は実行力だ」とみる経済専門家は多い。残る任期は2年。手腕を振るえるチャンスはもう多くない。
(ソウル=小倉健太郎)
[日経新聞2月26日朝刊P.6]
【ヒューストン=稲井創一】地中のシェール層から原油や天然ガスを生産する米国のシェール企業の経営が一段と厳しくなっている。大手7社の最終損益は2015年12月期で計約370億ドル(約4兆円)の赤字に落ち込み、前年の約110億ドルの黒字から一転した。強気の経営は影を潜め、投資を大幅抑制して財務重視に姿勢を転換した。一方、産油量はなお高水準で、サウジアラビアやロシアなど米国外の産油国の生産調整が滞る一因になっている。
原油価格の指標の一つである北米産WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の価格は15年の1年間で約4割下落した。
「足元の1バレル32ドル台ではやっていけない」(デボン・エナジーのデビッド・ハーガー最高経営責任者=CEO)
「生き残るには50〜60ドルへの上昇が必要だ」(パイオニア・ナチュラル・リソーシズのスコット・シェフィールドCEO)
24日には米テキサス州ヒューストンで開催した米国最大の石油業界の会合でシェール企業幹部の悲鳴が相次いだ。デボンとパイオニアは優良鉱区を抱え、生産の効率向上でも主導する大手だ。
24日までに発表された両社を含む米主要シェール企業7社の15年12月期決算は売上高の急減と多額の減損処理で、大幅に悪化した。シェール各社はコスト削減を競い、生産・開発投資を大幅削減する構えだ。16年の投資の15年からの削減幅について、デボンが75%、ヘスは40%と計画する。
新規投資抑制で、原油掘削に使用する設備リグの稼働数は2月19日時点で413基とピーク時の約4分の1まで激減。ところが足元の米原油生産は日量約910万バレルで、直近の最高だった15年6月から約50万バレル減っただけだ。15年9月時点の米エネルギー情報局(EIA)は16年1〜3月期には日量884万バレルに減ると予測したが、節目の900万バレルをなかなか割り込まない。米原油の約半分とされるシェールの生産が高水準なためだ。
これはサウジアラビアとロシアを軸とする米国外の主要産油国の間で表面化した生産調整を滞らせる一因になっているようだ。サウジのヌアイミ石油鉱物資源相は23日のヒューストンでの講演でシェール関係者を前に「政府と業界はリバランス(供給過剰の解消)を探るべきだ」と述べ、価格安定への協調を訴えた。石油輸出国機構(OPEC)の盟主であるサウジと米シェール企業は低価格にどこまで耐えられるか互いを試している。
採算悪化でも産油量がなかなか減らない理由の一つは技術革新による生産性の向上だ。大手でも信用力を裏付ける現金の確保に迫られているとの事情もある。安値でも高生産を維持して一定の収入を確保するためだ。シェール企業の多くは借入金で開発資金などを手当てしてきたが、業績悪化で返済能力への不安が高まり、負債の借り換えを迫られるケースもある。
さらにシェール開発に詳しい関係者は「掘っただけで生産に着手していない油井の在庫がある」と指摘する。各社は14年後半に油価の急落が始まる前、猛烈な勢いで掘削を進めたので、こうした「在庫」がなお多いとされる。目先の現金を得るため、在庫の油井で生産を始めるというわけだ。
シェール企業は単独での生き残り指向が強く、いまの時点では再編の動きは鈍い。一方、石油メジャーのエクソンモービルとシェブロンが米南部のパーミアン地区で、遅れていたシェール開発に力を入れる動きがある。
[日経新聞2月26日朝刊P.7]
29日、東京で開幕の国際会議「日ロ貿易産業対話」の中で、国際協力銀行(JBIC)資源ファイナンス部門石油天然ガス部の谷本正行部長は、原油価格の低下はロシア経済には好機となっているという発言を行なった。
JBIC内でロシア以外の諸国の石油天然ガス部門を担当している谷本氏は、ロシア経済の抱える最大の問題は今に至るまで多極化が図れていないことにつきると指摘し、現ロシア政権はルーブルのレートが低下し、輸入が縮小した状況を利用し、国内生産を伸ばしており、石油価格の低下は大きな経済的多様性を産みだすためのチャンスに利用しうると語った。
谷本氏は、ロシア経済で進行している状況についての自分の評価はマスコミで流布されている評価とは異なると断った上で、マスコミはGDPの低下とインフレがあることからロシア経済が石油の低価格から打撃を受けていると報じているものの、ロシアがどうマクロ経済を調整、拡大しているかのほうが重要であり、これはロシアにおいては非常に成功しており、サウジアラビアやカタールなどと比較すると、ロシアの状況は大変安定していると強調した。
日本政府は、中国が自国領土と主張する南沙諸島の係争地域を監視するターボプロップ機5機をフィリピンに供与することを決定した。読売新聞が報じた。
現時点でフィリピンは離島の状況を監視できる広範囲をカバーする航空機を持っていない。日本の飛行機は、近年緊張が高まっている南沙諸島周辺エリアを網羅できる。中国政府は全水域を自国のものと主張し、フィリピンの権利を認めていない。中国は人工島の建設を進め、自らの立場を強化している。
同じく南シナ海で中国との領土紛争を抱える国にベトナムがある。読売新聞によると、政府は現在係争海域を監視する巡視船を両国に供与することを検討している。
「ロシアの経済状況はサウジより安定、JBIC代表が発言:国際協力銀行資源ファイナンス部門谷本石油天然ガス部長」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/723.html
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国際協力銀行、ロシアでのプロジェクトに対する円建て融資を排除せず[スプートニク日本語]
2016年02月29日 17:23(アップデート 2016年02月29日 21:07)
国際協力銀行(JBIC)は、為替リスクを最小限にするために、ロシアでのプロジェクトに対する円建て融資を排除していない。JBICの谷本正行・石油・天然ガス部長がビジネスフォーラム「日ロ貿易産業対話」で述べた。
「JBICはロシアで日本のビジネスを支援する準備ができている。それに向けてさまざまな作業を行っている」
ロシアへの投資には制裁の関連で一定のリスクがある、と同氏。
「為替リスク低減のため、円で契約を締結する可能性もあると思う。例えば、エネルギー取引は通常ドルで行われているが、円でそれを行うことができれば、融資が容易になる。日本の消費者のリスクも軽減され、双方(日本とロシア)に利益となる」
東京で開催中のビジネスフォーラム「日ロ貿易産業対話」で国営「ロシア鉄道」社はロシアにおける高速鉄道の建設に参加するよう日本企業に呼びかけた。
ロシア鉄道は近く、新規に高速鉄道を4000km建設する計画。この方面での最初のプロジェクトは、中国企業と協力して、モスクワからカザンにいたる高速鉄道を建設する、というもので、ロシア鉄道はアジアインフラ投資銀行およびBRICS銀行から資金を誘致したい考え。そこからさらにサンクトペテルブルクやアドレルに高速鉄道を延ばす計画もある。ロシア鉄道のオレグ・ベロゼロフ社長によれば、ロシアは特に、輸送・物流インフラへの日本の投資に期待している。つまり、極東地方やモスクワなど、国際輸送回廊上の貨物輸送集積地への投資である。
「エクスペルト」誌の金融アナリスト、アンナ・コロリョワ氏によれば、日本企業は間違いなく、この有望な方向への投資の可能性を真剣に検討している。こうした協力は両国にとって有益であるためだ。しかしここには国際的な諸相がある、と同氏。
「日本企業を引き込めれば、ロシア鉄道は高い技術力をもった、安定的なパートナーを得ることになる。日本の投資家もまた利益を得る。高速鉄道の輸送やインフラは数十億ドル規模の市場であり、ロシア政府から至れり尽くせりのサポートを受けられることは明らかだからだ。投資は何倍にもなって返ってくるだろう。また、近い将来、ロシア鉄道は民営化される。今高速鉄道に投資すれば、将来的には民営化プロセスに参加することができるようになる。しかし、ロシアに対する制裁体制は続いている。ウクライナ危機の中、日本も米国の圧力を受け、やむなくこれを支持している。政治的なくい違いが解決されない限り、2国間の投資協力で大きな進展を期待することはできない。しかし、政治的なくい違いがあっても、世界中のビジネスは一つのものであるので、いずれにしろ日本の実業界は政府に圧力をかけるだろう。ビジネスというものは、もうかるところでもうけようとするものなのである」
そうした例を他ならぬ米国が示している。そう語るのは高等経済学院のアンドレイ・フェシュン氏である。
「米国は対ロ制裁を喧伝していたのに、それでもサンクトペテルブルク経済フォーラムには米国の一大代表団が参加した。それを見た日本は驚いたものだ。それなのに、日本がロシアと大規模プロジェクトを進めようとすると、日本は米国に大きな注意を払うことを余儀なくされるのである。この2年間というものは、日産とトヨタが参加するものを含め、既に始動しているいくつもの大規模プロジェクトが、閉鎖ではないにしろ、規模を縮小させた。
ロシア鉄道への投資に関しては、有望なプロジェクトではあるが、重大な疑問がある。東シベリアを走らせる高速列車の車体そのものを、どこで製造するのか、という疑問だ。これまで日本はかたくなに日本国内での生産を主張し、ロシア側はどうしてもそれに同意することができなかった。もし問題が解決され、日本が技術を譲渡し、工場がロシアに建てられるなら、たしかに大きな進展であり、いま日本で開催されているフォーラムの素晴らしい成果ということになるだろう」
マレーシアのナジブ首相が多額の政治資金を不正に受け取っていた疑惑を持たれている問題を受けて、首相の退陣を求めてきたマハティール元首相は29日、抗議の意志を示すとして所属する最大与党からの離脱を表明し、政権に対する批判が一段と強まるものとみられます。
マレーシアではナジブ首相が3年前に行われた総選挙の直前におよそ7億ドル(日本円で800億円ほど)の不正な資金を受け取っていた疑惑が持たれていて、政府は、サウジアラビアの王族が寄付したもので汚職には当たらないとする調査結果を発表しています。
これに対しマハティール元首相は29日記者会見し、「私の政党は、ナジブ首相の悪事を含めたすべてを支持する組織になってしまった」と述べて、抗議の意志を示すため所属する最大与党「統一マレー国民組織」から離脱すると発表しました。マハティール氏は80年代から20年以上にわたり首相を務め党が長期政権を維持する基盤を作りましたが、一連の疑惑に対しては首相の退陣を求めて厳しく批判してきました。
ナジブ首相は自身に対して批判的な閣僚を更迭するなど強気の姿勢を崩していませんが、現在も国民的な人気を誇る元首相が離党を表明したことで政権に対する批判が一段と強まるものとみられます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160229/k10010426421000.html
国民の生活は中国共産党の事業の出発点であり到達点だ。第18回全国代表大会以降、習近平同志を総書記とする党中央委員会は国民の生活を常に重視し、国民の生活を保障し、教育、就職、収入、医療、社会保障など各方面で、国民全体のためによりよい環境作りをしてきた。
2015年に中国の教育改革は新たなステージへと発展した。9年間の義務教育の普及率は93%に上り、高所得国の平均水準を上回った。高等教育の粗就学率は40%に達し、中レベルの高所得国の平均水準を上回り、国の教育計画綱要がうち出した2020年の目標を前倒しで達成した。
経済の下ぶれ圧力に直面して、中国政府は就職環境を最適化し、就職・起業を支える財税金融面での優遇政策を集中的にうち出し、3年にわたり就職の任務計画を毎年100%以上達成した。15年には、都市部で新たに1312万人が就職し、都市部の登録失業率は4.5%以下にとどまった。
中国の国内総生産(GDP)増加率は「7%を割り込んだ」が、収入の伸びは「7%を上回った」。ここ2年ほどは、個人の収入の伸びがGDPの伸びを安定的に上回った。15年の全国の一人あたり平均可処分所得の実質増加率は7.4%に達した。より重要な点は、農村の一人あたり平均可処分所得の増加率が都市部を引き続き上回ったことだ。
大病を患って入院治療中の重慶市の李朝群さんは、「10年前に肝臓の病気をした時は、医療費は全額自腹だった。今は大病保険制度があるので、安心して治療に専念できる」と話す。中国の勤労者医療保険、都市部住民向け医療保険、新型農村合作医療を合わせた加入者は13億人を超え、健康保険のカバー率は95%に達した。15年の平均予測寿命は10年より1歳延びた。
ここ3年ほどで中国政府の財政収入の伸びは急速から中速〜低速に変わったが、国民生活の分野への投資は減るどころか、かえって増えている。公費による消費を抑制し、政府関連のビルや建物の建設をストップし、一般的な政府支出を減らした結果生じた余剰資金は国民生活の保障・改善に充てられた。11〜14年の全国の財政支出全体のうち、国民生活に関わる支出の増加率が40%に迫り、同期の全国財政支出の増加率を上回った。
中国には「民は国の根本、根本がしっかりすれば国も安定する」という言葉がある。習近平総書記は中国共産党第18期中央委員会第1回全体会議の後の記者会見で、「国民のよりよい暮らしへの憧れは、私たちの奮闘目標だ」と述べ、国民生活に関心を寄せ、これを重視する党と政府の姿勢を深々と浮かび上がらせた。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年2月28日
北朝鮮の核問題を担当する中国の高官は韓国のユン・ビョンセ(尹炳世)外相と会談し、韓国がアメリカの最新の迎撃ミサイルシステムを配備することに改めて反対の立場を伝えました。
韓国を訪れている中国の武大偉特別代表は29日、ユン・ビョンセ外相と会談しました。会談のあと、武特別代表は記者団に対し、米韓両国が検討しているアメリカの最新の迎撃ミサイルシステム「THAAD」の韓国への配備について、「反対だという中国の立場を伝えた。アメリカと韓国がわれわれの関心事を重視するよう願っている」と述べ、反対の立場を改めて伝えたことを明らかにしました。
一方の韓国側は、国防省の報道官が29日の記者会見で、「北朝鮮の増大する核とミサイルの脅威から米韓両国の国民を守るものだ」と述べ、アメリカとの協議を進めていく方針に変わりないことを強調しました。
今回の武特別代表の韓国訪問で中韓両国は、北朝鮮による核実験と事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて国連安全保障理事会に提出された制裁決議案が採択されれば着実に履行することなどで一致したものの、「THAAD」を巡る対立は解けないままに終わりそうです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160229/k10010426511000.html
戦前の日本は、満州事変から満州国建国に至る経緯を“侵略”と認定したリットン調査団報告書の国際連盟採択を受け翌月国際連盟を脱退したが(松岡洋右氏の退場は脱退とは無関係)、制裁を科す決議が採択されたわけではない。それどころか、日本の満州における権益や満州の複雑な政治風土を認めている。
国際連盟での居心地はあまり良くないとしても、常任理事国として国際連盟を外交で利用することが出来たにもかかわらず、日本は自ら“孤立化”の道に踏み出したのである。
戦前の日本と現在の北朝鮮のどちらが外交に長けているか、どちらの統治者層がより冷静にものごとを判断しているか言うまでもないだろう。
六ヶ国協議の議長国である中国は、米国などに擦り寄り決議に賛成するような態度を見せているが、代わってロシアが“歯止め”をかける可能性もある。
さらに言えば、打ち続く経済制裁のなかで北朝鮮国民の生活水準が上昇し表情にもゆとりが見られるようになってきたからわかるように、制裁には米国も容認する“抜け穴”がある。これが、北朝鮮が冷静でいられる主因なのかもしれない。
※関連参照投稿
『日本軍はなぜ満州大油田を発見できなかったのか』岩瀬昇著:戦前満州での大慶油田発見は対米戦争回避につながったか?
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/260.html
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北朝鮮 制裁決議案を非難「米の敵視政策の表れ」[NHK]
2月29日 23時14分
国連の安全保障理事会にアメリカが北朝鮮に対する厳しい制裁を盛り込んだ決議案を提出したことを受けて、北朝鮮は国営のメディアを通じて初めて反応を出し、「アメリカの敵視政策の表れだ」と非難しました。
北朝鮮による核実験や事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて、アメリカは、航空燃料の輸出禁止や不正に関わった北朝鮮外交官の追放など、これまでにない厳しい制裁を盛り込んだ決議案を国連の安全保障理事会に提出し、近く採決が行われる見通しです。
採決を前に北朝鮮は国営メディアを通じて初めて反応を出し、国営の朝鮮中央通信は論評で、ミサイルの発射は「人工衛星の打ち上げだ」と強調し、北朝鮮だけが問題視されていると主張しました。そのうえで国連安保理での協議は、「われわれに対する重大な挑戦であり、アメリカの敵視政策の表れだ」と決議案を提出したアメリカを非難しました。さらに、「アメリカがわれわれの合法的権利を奪おうとするなら、それに伴う対応措置を取らざるをえない」とも警告していて、アメリカをはじめとした関係国は、今後の北朝鮮の動向に一段と警戒を強めていくものとみられます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160229/k10010426501000.html
イラクの首都バグダッドの、イスラム教シーア派の住民が多く暮らす地区で、爆弾テロが起きて70人以上が死亡し、過激派組織IS=イスラミックステートが犯行を認めました。
イラクの首都バグダッドの北東部にある、イスラム教シーア派の住民が多く暮らす「サドルシティー」で28日、2度にわたって大きな爆発がありました。
イラク保健省はこの爆発で少なくとも38人が死亡したと発表しましたが、欧米のメディアが当局者の話として伝えたところによりますと、死者は70人以上に上り、100人余りがけがをしたということです。
現場は商店が建ち並ぶ場所で、オートバイに積まれた爆弾が爆発した直後に近くにいた人たちが集まってきたところ、何者かが身につけていた爆弾を爆発させたということです。
この爆発について過激派組織ISが、シーア派住民を狙ったとして犯行を認める声明をインターネット上に出しました。また、バグダッドの近郊では、治安部隊の陣地を攻撃したISの戦闘員たちに治安部隊が応戦し、双方に多数の死傷者が出ているもようです。
イラクの治安部隊は、去年12月に西部アンバール県の中心都市ラマディをISから奪還したあとも、各地で軍事作戦を進めていますが、ISは戦闘地域でも自爆攻撃を繰り返すなどして抵抗しており、一進一退の攻防が続いています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160229/k10010425291000.html
金市場への資金流入の動きが強まっている。これまでは短期売買のヘッジファンドが先物市場で相場形成を主導した。今は中長期の運用を目的とした年金関連ファンドなどの資金が現物市場に流れ込み、相場を上向かせている。市場の主役が交代した格好だ。現物に裏づけされた上場投資信託(ETF)の残高が大幅に増え、強気論が勢いを増している。
現在、国際指標となるニューヨーク先物相場は1トロイオンス1240ドル近辺を動き、年初からの上昇率は15%に達した。アフガニスタンにソ連軍が侵攻して「有事の金」が買われた1980年以来となる急騰相場になった。
年初以降、株価の乱高下や米国の追加利上げ観測の後退、日銀のマイナス金利政策の導入など強材料が重なった。資金が安全資産といわれる金の市場に逃避し相場が上昇した。足元で金融市場が落ち着きを取り戻すなかでも金相場は下がらない。これまでとは雰囲気が違う。
2月19日と週明けの22日、ETFの代表銘柄であるSPDR(スパイダー)ゴールド・シェアで38.66トンの金が買われた。米市場で株価が上がっていくリスクオンの局面で金が買われた。2営業日での増加幅としては2010年5月以来のことになる。
両日とも19.33トンずつの残高増。全く同じ量で高水準の買いが2営業日連続で入ったことは過去にほとんど例がない。「何かが動いている」と話すのは金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏だ。
金の現物を証券化したETFは個人だけでなく中長期的な運用を目指すお金が流れ込む。金市場の潮目の変化を印象づける2日間のETFによる現物買いは米国ファンドによる株式市場からの資金移動という臆測が飛び交う。SPDRの総残高は760トンになり、1年間で流出した資金がほぼすべて戻ってきた。
ETF残高が急増するのと、ほぼ同じタイミングでロシアの中央銀行が20日、金を1月に22トン購入したことを明らかにした。原油相場の下落やルーブル安に苦しむなか、金を淡々と積み上げている。中国人民銀行も国内景気が減速しても毎月、20トン弱の金を必ず買う。中ロの中央銀行は金市場にとって今では世界最大級の買い手。市場で台頭する強気論の背中を押す。
金相場は、これまで先物市場で短期売買をするファンドが形成してきた。今はじわりと現物の動きが相場をコントロールしている。「投資家の心理が今年に入って百八十度転換している。春には1300ドルに届く可能性もある」とICBCスタンダードバンクの池水雄一東京支店長は話す。
軟調が続く商品市場で金相場の強さは際立つ。普段は連動して動くはずのプラチナ(白金)が金の勢いについていけない。本来、プラチナのほうが高価だが、今では金のほうが1トロイオンスあたりで300ドル以上高い。過去最大の値差に広がった。
ただ、金の大消費国である中国の需要はさえない。中国国内の金買いの勢いを計る上海市場の相場は今年になって国際相場を下回ることが多い。年初以降、平均で3ドル超の割安相場になった。15年は年間平均で2ドルほどの割高に振れていた。景気の減速感が強まる中で国際相場の水準が切り上がったことが、金の需要を冷やしている。
中国の投資家の姿がかすむなかでも金の強気論は収まらない。金相場は中国の需要鈍化という弱材料をかき消しながら一段高の様相を帯びてきた。
(筒井恒)
[日経新聞2月27日朝刊P.19]
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英キャメロン首相:英国はロシアの侵略とテロの敵意を考慮してEUに留まるべきだ
2016年02月29日 12:39
英国がEUに留まるべき理由の1つは「ロシアの侵略である」と英国のデーヴィッド・キャメロン首相が発言した。
英国では6月23日にEU離脱の是非を問う国民投票が行われる。キャメロン首相はこれに英国の未来が懸かっていると考える。EUからの離脱は経済に関してだけではなく、英国の評判や安全保障にとっても非常に大きなリスクだからだ。それゆえにEUからの離脱に賛成票を投じるつもりであるなら、その前に先ずその決定がもたらす影響を長期的展望の下でしっかりと考えねばならない。
キャメロン首相はイスラム過激派のテロや移民危機、イランの核プログラムの危険な見通しと並んで、ウクライナで起きている事態との関連でロシアについても言及。こうした脅威に対抗するためにもヨーロッパ諸国は団結しなければならず、そしてもし必要であるならば米国やNATOとも協力する必要があるとした。
「もちろん、英国は強国であり、世界で5番目の経済大国だ。すぐれた軍事力も持っている。しかし、この数年の間我々を脅かしてきた脅威について考えてみてほしい。イランの核プログラムの見通し、ウクライナにおけるロシアの侵略、移民危機の衝撃、イスラム過激派・テロの敵意といったことだ」とキャメロン首相は英紙デイリー・テレグラフのインタビューで語った。
米のシェールオイル採掘企業、コンチネンタル・リソーシーズ、デボン・エナジー、マラソン・オイル各社は今年の採掘量を昨年比でおよそ10%縮小する計画を明らかにした。この3社はそれぞれオクラホマ、テキサス、ノースダコタの各州で数年にわたり採掘を行なっている。ウォールストリート・ジャーナルが報じた。
こうした採掘縮小計画にはEOGリソーシズ社も加わり、5%の減産を宣言。
減産方法のひとつは、すでにボーリングが終了した油井の作業の停止。これにより石油ガス価格が再び上昇した際に直ちに稼動が可能な油井、ガス井の数は多くなる。
コンサルタント企業IHSは、米国における石油採掘は今年夏まで日量900万バレルから830万バレル削減されると見ている。こうした削減が実際行なわれた場合、原油価格は1バレル40ドルまで回復する可能性がある。
http://jp.sputniknews.com/us/20160301/1705631.html
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OPEC 2月の原油採掘量減少[スプートニク日本語]
2016年03月01日 14:52(アップデート 2016年03月01日 14:53)
OPEC(石油輸出国機構)の原油採掘量は、2月、前の月に比べ一昼夜28万バレル減少した。なお1月の産油量は、過去20年間で最高水準だった。ロイター通信の報道によれば、今年2月OPEC加盟国は、毎日3237万バレルの原油を採掘していた。
複数のマスコミ報道では、こうした原油採掘量の減少は、北部のクルド人居住地区(クルディスタン)からの供給が減ったイラク情勢と関係がある、とのことだ。同地区からの石油パイプラインは、2月17日遮断され、再開は、早くても3月半ばになる模様だ。
またロイター通信は、サウジアラビアの安定した原油採掘量を指摘している。この事は、サウジが、ベネズエラやロシア、そしてカタールと結んだ、今年1月のレベルで原油採掘量を「凍結」するという合意を守っている事を物語っており、これによって、ここ12年間で最低レベルにまで下落した原油価格の上昇を促す事が可能となっている。
さらにロイター通信は、イラン政府は、国際的な制裁が解除された後、50万バレルまで輸出量を拡大すると明らかにしていたものの、結局のところイランの原油採掘量が、昨年12月に比べ、日産20万バレルの増加にとどまっている事を指摘した。
昨年2015年5月、「ウクライナが、13世紀チンギス-ハンの子ジュチの軍隊がキエフを破壊した事に対し、モンゴルに補償を求めている」との情報がマスコミに現れたが、これが「冗談でない」ことが、このほど判明した。
モンゴル外務当局は「当時のタタール・モンゴル軍がキエフを襲撃し破壊した事に対し、ウクライナが補償を求めている事」を公式に確認した。モスクワ駐在モンゴル大使館のナムスライ報道官が、ラジオ「ヴェスチFM」に出演した際、これを認め「キエフ当局から、しかるべき公式書簡を受け取った」と明らかにした。
なおモンゴル側は、賠償の支払いに同意したが、対象は、この歴史的出来事の直接の被害者あるいはその家族に限るとし、ウクライナ側に、被害者リストを提示するよう求めている。
ナムスライ報道官は、ラジオ番組の中で次のように述べた-「中世には、たしかにキエフ・ルーシは存在したが、当時ウクライナ国家はなかった。もしウクライナ議会(最高会議)が、ジェノサイドの被害者となったウクライナ市民及びその家族すべての名前を書いたリストを用意するならば、我々は、賠償金を支払う用意がある。」
昨年5月、ウクライナ最高会議が「モンゴル帝国の犯罪的体制による13世紀ウクライナ国民に対するジェノサイド(大量虐殺)に関する決議」を採択したとの報道が流れた。
29日、米国のケリー国務長官は「米ロは、ダーイシュ(IS,イスラム国)に対するシリアでの作戦実施のシステムを作成し、停戦合意を遵守する事で合意に達した」と述べた。
ケリー国務長官は、次のように伝えている―
「我々は、それをどのような形でなすべきか、そのプロセスについて合意した。ここ数日、ラヴロフ外相と数回話しをした。
米ロ双方は、行われているミッションが実際、ダーイシュ(IS)あるいはアル=ヌスラ戦線に対してのみ実行されている事を、両国が保証できるようなシステム作りで合意した。
米ロ両政府は、停戦合意違反に関する情報に、極めて真剣に対している。我々は、それらをマスコミのため公けに議論するつもりはない。我々は、そうした違反をなくしてゆく意向である。」
シリアにおける停戦合意は、2月22日、ロシアと米国が行った協議の中で達成された。
トルコの戦闘機が、イラク北部を数回攻撃し、ドホークにあるイスラム教の高僧アリ・イスラムの霊廟を爆破した。
目撃者の証言によると、トルコ空軍は「イラク北部ドホークの北部地区」を攻撃した。空爆の結果、アリ・イスラムの霊廟が破壊されたという。テレビ局「アス・スマリヤ」が報じた。
イラク北部の住民は、アリ・イスラムを特に尊敬している。アリ・イスラムの霊廟は1100年以上前に建てられ、毎日数千人の信者や巡礼者が訪れていた。
現在、イラク国内で、テロ組織「ダーイシュ(IS,イスラム国)」のメンバーらは、頭目の1人、アブ・バクラ・アル-バクダディの妻の1人を捜索中だ。イタル-タス通信が、TV「アス-スマリヤ」の報道を引用して伝えた。
ドイツ人女性のディアナ・クルーガーさんは、イラク北部、ナイナワ県にある「ダーイシュ」のキャンプから、説明のつかない状況のもと、突然姿を消した。彼女は、自分の2人の従者と共に行方が分からなくなった。
アル-バグダディは、自分の妻の行方を明らかにするため、エリート部隊を作るよう命じた。隊員らの任務は、従者を含め彼の妻を拘束する事だ。
アル-バクダディとクルーガーさんの結婚式は、昨年10月8日、ナイナワ県で極秘裏に行われた。その後、クルーガーさんは「ダーイシュ」の女性問題に関するシャリーア(イスラム法)裁判所の責任者を務めていた。
英国への入国を期すカレーの“難民キャンプ”は「ジャングル」と呼ばれ、記事にあるように、「ミニタウン化し、内部にはレストラン、劇場、宗教施設、店舗まで出現」しているが、フランス2ニュースは、キリスト教の礼拝施設だけは撤去の対象から除外したと説明していた。
カレーにとどまっている“難民”の多数派はムスリムのはずだから、モスクは解体撤去する一方で、キリスト教の礼拝施設は残すというフランス当局の措置に反発して騒ぎが大きくなった可能性もある。
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カレー移民キャンプの撤去、焼き討ちと襲撃に発展[スプートニク日本語]
2016年03月01日 19:58(アップデート 2016年03月01日 20:01)
移民キャンプの不法建築物が撤去された仏カレーでは、撤去作業の結果、20件の小屋が放火、撤去に反対した移民と警察の衝突にまで発展した。仏マスコミが報じた。
不法建築物の撤去作業は2月29日に開始。正午までは何事もなく行なわれたが、その後移民らは自分らが住んでいた仮設住居に放火し、通行人やジャーナリストらを襲撃し始めた。
騒動は警官との衝突にまで発展。移民らは警官を鉄骨で殴り、投石を開始。衝突は夜通し続き、その結果、警察側は催涙ガスを使用した。
2月25日、リール市裁判所はカレーの移民キャンプの一部撤去を合法とする判決を下している。移民らには撤去されたキャンプに近い仮設への移住が提案されていたほか、100軒ある移民用施設のいずれかには入居が出来るよう取り計らわれている。
カレーの移民キャンプは通称「ジャングル」で知られている。この「ジャングル」の居住者数は過去2年で倍増し、キャンプはミニタウン化し、内部にはレストラン、劇場、宗教施設、店舗まで出現していた。
日本の与党・自民党の稲田朋美政調会長が4月3〜6日、ロシアを訪問する。共同通信が報じた。
訪問中、ロシア政府と政党「統一ロシア」の代表との会談が予定されている。来るべき両国首脳の相互訪問のための雰囲気作りのための訪問だという。
「ベトナム、崩れぬ「北の壁」」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/637.html
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習近平総書記がベトナム共産党書記長特使と会見
人民網日本語版 2016年03月01日13:26
習近平中共中央総書記は29日、グエン・フー・チョンベトナム共産党書記長の特使であるホアン・ビン・クアン中央対外委員長と人民大会堂で会見した。人民日報が伝えた。
習総書記は「中越両党の総書記・書記長が特使を相互派遣し、党内と国内の重要な状況を互いに伝え、祝意を表することは両党の重要な伝統だ。今回ベトナム共産党の第12回党大会召集後、両党がこの友好的伝統を継続し、発展させたことは、両党・両国の政治的相互信頼を強化するうえで重要な意義を持つ」と指摘。
「中越両党・両国は運命共同体だ。中越関係の発展はわれわれの歴史的責任であり、両国・両国民の根本的利益に合致する。中国側はベトナム側と共に、引き続き『16文字の方針』(善隣友好、全面協力、長期安定、未来志向)と『4つの良き精神』(いつまでも良き隣人、良き友人、良き同志、良きパートナーであり続ける)を堅持し、上層部相互訪問の伝統を維持し、政治的相互信頼を強化し、党建設交流を強化し、実務協力を推進し、溝を適切に処理し、中越の包括的・戦略的協力パートナーシップの長期的で健全な安定した発展を推し進めることを望んでいる」と強調した。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年3月1日
中国の李克強総理は29日午前、米大統領特使であるルー財務長官と中南海紫光閣で会談した。人民日報が伝えた。
李総理は「良好な中米関係は両国にとって非常に重要だ。中国側は米国との関係および経済・貿易分野の協力の発展を重視している。習近平国家主席は近い将来にオバマ大統領と再び会談し、中米関係の新たな発展を推し進める。昨年中国は初めて米国にとって最大の貿易パートナーとなった。中国側は米側と共に努力し、緊密に意思を疎通し、協議し、互いの懸念に配慮し、互恵・ウィンウィンで高水準の二国間投資協定の妥結を積極的に推し進めることを望んでいる」と表明した。
また、中国経済の状況について説明し「中国は経済モデル転換と新旧の運動エネルギー転換の過程にあり、積極的な財政政策を実施する余地はまだ大きく、一層力強いものとなる。われわれは構造改革、特に供給側構造改革を力強く推し進め、市場の活力と社会の創造力をより良く引き出し、新たな運動エネルギーを成長させ続け、伝統的な運動エネルギーを改造し、引き上げる。政府機関の簡素化と権限の地方等への委譲、『双創』などの改革を通じて、市場参入を一層緩和し、公平な競争の行われる市場環境を築く」と述べた。
人民元相場については「われわれは市場需給を基礎とし、通貨バスケットを参考にする、管理ある変動相場制を実行し、人民元相場の合理的な均衡水準での基本的安定を維持する」と重ねて表明した。
ルー財務長官は「中国政府が人民元相場や構造改革などの政策で積極的なメッセージを発することは、国際社会の自信を強める助けとなる。米側は中国側と意志疎通を強化し、新たな米中戦略経済対話をしっかりと開始し、早期に具体的な進展を得るよう二国間投資協定交渉などのプロセスを推し進めたい」と表明した。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年3月1日
韓国のGNIは北朝鮮の44倍、それでも軍事力の優位を保障できない
経済成長に浮かれていた韓国、その間に北は核とミサイルを開発
核ミサイル一発でソウルは廃墟に…富裕層が「内部の敵」となる可能性
経済力は、国の軍事力を支える最も重要な原資産だ。韓国銀行(中央銀行)の統計によると、韓国の国民総所得(GNI)は北朝鮮の44倍に達する。1人当たりの所得も21倍だ。どのような基準で見ても韓国と北朝鮮の経済力は比較にならないほど開いている。
しかし経済力の強い国が軍事力でも優位にあるかといえば、必ずしもそうではない。むしろ自国の経済力にあぐらをかいていて軍事的にやられてしまった国が歴史上に数多く存在する。19世紀初頭、中国は世界最強の経済大国だった。中国経済は世界の経済(GDP)の33%を占めていた。しかし英国海軍の大砲によってあっけなく崩れ落ちた。当時、英国の経済が世界に占める割合はせいぜい5%程度だった。
英国の経済力が最高潮に達していたのは1870年ごろだ。世界の経済の9%を占めるまでになり、太陽の沈まない国「大英帝国」として君臨した。しかし、それまで英国の経済力は植民地インドより弱かったというのが、経済史学者たちの結論だ。
1875年、日本は朝鮮に開放を迫り、軍艦「雲揚号」を江華島に送り込んだ。そのころ両国の経済力にさほど大きな差はなかった。日本の1人当たり国民所得(GDP)は737ドル(1990年のドル基準)、朝鮮は604ドルというレベルだった。経済力の差だけで見れば、恥辱の歴史は生まれなかったはずだ。
結局、朝鮮が膝を屈したのは日本の軍事力のためだった。日本は英国・米国の先端技術を導入し、新しい軍艦を建造した上、大砲や銃の性能も向上させたのだ。朝鮮のエリートたちが産業革命を「野蛮人らの邪悪なこと」程度にしか考えていなかったのとは対照的だった。
韓国は植民地支配からの解放後、60年以上にわたり成長の時代を享受してきた。2世代にわたって経済成長の恩恵にあずかった。そのため国民の多くは現在の豊かさを「当然受け取るべき配当金」のように考えている。北朝鮮に対して優越感を持つようになってからも30年が過ぎた。1989年にベルリンの壁が崩壊すると、イデオロギー戦争の勝利を味わい、その後脱北者が続々と韓国側に入ってきたことで「完勝を収めた」と思い上がり、自己陶酔してしまった。飢えに苦しむ北朝鮮の同胞たちに暖かい光を差し伸べようという慈善イベントが相次いで企画され、うぬぼれによる達成感は最高潮に達した。
そうしている間に北朝鮮は核とミサイルを開発した。専門家たちは北朝鮮の製造した核爆弾について、日本の広島・長崎に投下された原子爆弾と同じレベルだと指摘する。ミサイルは韓国製よりもはるかに優れ、大気圏を突き抜けて宇宙へと飛んでいった。われわれがどんなに多くの戦闘機を保有し、高性能のミサイル迎撃システムを配備しても、粗悪な核爆弾一つでソウルが廃墟になってしまうという状況なのだ。
健全な経済力は、国民においしい食べ物と暖かい服をもたらしてくれる。しかし強い軍事力は目・耳・口で楽しめるものを何一つもたらすことができない。このため十分に食べ物のある国民は重要な真理を忘れたまま暮らすことになる。軍事力のバランスが完全に崩壊して敵の足の下敷きになるまで、自分の財産と命を守る軍事力の育成に取り組まないのだ。
強い経済力も、強い軍事力の前では小さなちりのようにはかない存在だ。経済力の豊かさが軍事力によって守られなければ、反対に国の滅亡を招く原因となるものだ。スペインのピサロが黄金の国・インカ帝国を征服したときがそうだった。ピサロは大砲や銃で武装したわずか180人の兵士で、やりと弓を持って立ち向かう数万人のインカの戦士らと戦った。優れた武器のおかげで簡単に勝負がついたのだ。ピサロはインカの王を捕えると、一つの部屋を金塊で、さらに二つの部屋を銀塊でそれぞれ埋め尽くすよう要求した。
国を襲った騒乱の中、真っ先に弱ったのはインカの貴族たちだった。ピサロと話し合って合意することが、王を救い国を守る道だと主張した。ピサロの望み通りに金・銀・エメラルドをささげた。貴族たちはピサロが王を殺害し、黄金の国を亡ぼすだろうとは夢にも思っていなかった。
北朝鮮による核の危機が続けば、韓国内部の反発も一層高まるはずだ。進歩勢力や、開城工業団地閉鎖による被害を受けた企業の反発は、当然ともいえる現象だ。しかし決定的な瞬間が来れば、これまで経済成長の恩恵を受けてきた勢力が厄介な存在になってくるだろう。彼らは自分の所有する50階建てビルディングや高級車を守るために北朝鮮と適度に対話し、合意することが懸命だと主張するはずだ。本当に怖いのはこのような内部の敵だ。
日本の広島平和記念公園には、禎子という名の少女の銅像がある。禎子は2歳のとき原爆によって被ばくし、その後遺症のせいで10年後にこの世を去った。禎子は折り紙で鶴を1000羽折れば願いがかなうと信じていた。しかし644羽折ったところで禎子は他界し、残りは友人たちが涙ながらに折ってひつぎに入れた。禎子は何の罪もないのに犠牲になった原爆被害者の象徴となった。
当時、日本の海軍と国策研究所も核兵器を開発していたが、米国による核攻撃の可能性については「あり得ない」と考えていた。日本は全てを失い、核の恐怖を味わった。韓国も多くの禎子を生み、折り鶴を折りながら一緒に泣くつもりなのか。
宋煕永(ソン・ヒヨン)主筆
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/02/26/2016022602158.html
【ソウル聯合ニュース】韓国の1人当たりの名目国内総生産(GDP)が日本の水準に迫っていることが1日、分かった。
韓国の民間シンクタンク、現代経済研究院の調査によると、韓国の昨年の1人当たりGDPは2万7226ドル(約307万円)で、3万2432ドルを記録した日本の84%に達した。両国の差が10%台になったのは、国際通貨基金(IMF)が各国の1人当たりGDPの統計を開始した1981年以来初めて。
韓国の昨年の1人当たりGDPは前年比2.6%減少した。リーマン・ショックが起きた2008年(マイナス11.4%)とその余波の残る09年(マイナス10.4%)に2年連続減少した後、増加を続けていたが、6年ぶりの減少となった。
日本は2012年に4万6683万ドルを記録したが、これをピークに13年には3万8633ドルで前年比17.2%減、14年には3万6222ドルで同6.2%減少した。昨年は前年比10.5%減少し、韓国との差が縮まった。
日本の1人当たりGDPが13年から大幅に減少したのは12年に第2次安倍晋三内閣がスタートし、円安が進んだためとみられる。外国為替市場の円相場は12年に1ドル=平均79.79円だったが、15年には1ドル=121.02円まで円安が進んだ。
現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「韓国の名目成長率が日本に比べて高い水準なのに加え、円安が加速化して両国の格差が縮まった」と説明した。
◇韓国1人当たりGDPが日本を抜くか
韓国の1人当たりGDPが来年3万ドルを超えると予測され、今後日本を追い越すことができるかに関心が集まっている。
IMFの世界経済見通しデータベースによると、韓国の1人当たりGDPは来年3万ドルを超え、18年に3万2178ドル、19年に3万4268ドル、20年に3万6750ドルを記録すると予想されている。
日本は来年3万4486ドル、18年に3万5450ドル、19年に3万6759ドル、20年に3万8174ドルと増加していくと予想された。IMFは20年ごろには韓国の1人当たりGDPが日本の96%程度に達するとの見通しを示した。
一方、米国の昨年の1人当たりGDPは5万5759ドルで、20年には6万7064ドルに増加する見通しだ。
中国は昨年70847ドルを記録し、18年に1万ドルを超え、20年には1万2117ドルまで増加すると予想された。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/01/2016030101562.html
【ソウル聯合ニュース】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は1日、日本の植民地支配に抵抗して1919年に起きた独立運動を記念する「3・1節」式典で演説し、北朝鮮に核を放棄させるための圧力と制裁を今後も加速させていくことを強調した。
対日関係では、新たな韓日関係の構築に向け、旧日本軍の慰安婦問題をめぐる合意の完全な実践と歴史の直視を日本に求める基本的な立場をあらためて示した。
◇北に核放棄を強く迫る、「対話」にも言及
朴大統領は、北朝鮮の4回目核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を受け、以前よりも強力かつ包括的な制裁を取る方針を表明してきた。先月には、独自制裁として北朝鮮と共同で運営してきた開城工業団地の操業中断を発表した。
式典では、従来の対応方法では北朝鮮の核開発の意志をそぐことはできないということをあらためて強調。「核開発にばかり集中していては政権を維持させられず、無意味であることを北に認識させるべきだ」とし、強い制裁と圧力で北朝鮮の態度変化を引き出す姿勢を示した。
また、北朝鮮の核実験と事実上のミサイル発射を受けて2日に採択される見通しの国連安全保障理事会の制裁決議について、「最も強力かつ実効的」と評価し、北朝鮮核問題に対し国際社会が断固たる姿勢を取っていることを強調した。
朴大統領はさらに、安保理の決議採択後も北朝鮮が変化するまで圧力をかけ続ける考えを示しながら、「周辺国も朝鮮半島と世界平和のための道に積極的に参加すると信じている」と述べた。制裁の実効性の鍵を握る中国に遠回しに協力を促したと分析される。
一方で、北朝鮮との「対話の扉を閉じるわけではない」と述べ、1月6日の北朝鮮核実験以降、初めて「対話」に言及した。この先の北朝鮮の態度変化や朝鮮半島の情勢変化を念頭に置き、韓国政府の基本的なスタンスを示したものと受け止められる。
◇慰安婦合意の実践を強調、対日問題は短く言及
式典で、対日問題への言及はわずか5文だけだった。慰安婦問題をめぐる昨年末の韓日合意を評価し、合意の実践と歴史の直視を前提に韓日関係を発展に向かわせるべきだという基本的な立場を再確認するにとどめた。
韓日外相は昨年12月、慰安婦問題をめぐり、被害者を支援する財団を韓国が設立して日本が10億円を拠出することなどで合意した。
朴大統領は、2013年の就任直後の3・1節式典では「加害者と被害者という歴史的な立場は千年の歴史が流れても変わらない」と対日問題に強硬な姿勢を示し、14年と昨年にも日本に歴史の直視を強く促したが、慰安婦問題の合意により両国関係が過渡期にあるとの判断から、今回は日本への言及を抑えたとみられる。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/01/2016030101343.html
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の中国首席代表の武大偉朝鮮半島問題特別代表は1日、ソウルで統一部の洪容杓(ホン・ヨンピョ)長官と会談し、「国連安全保障理事会の対北制裁決議の全面履行のため、中国と韓国が緊密に協議していくべき」との立場を示した。
対北制裁案については、韓国と中国、国際社会各国間の緊密な協議による成果と評価した。
2人は約1時間にわたる会談で、朝鮮半島問題に対し包括的な意見を交わしたが、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍への配備問題など具体的な懸案については協議していないという。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/01/2016030101561.html
※関連投稿
「北朝鮮 制裁決議案を非難「米の敵視政策の表れ」:戦前の日本ほど愚かではない北は“厳しい制裁”決議でもUN残留」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/728.html
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北朝鮮制裁決議案 ロシアの要請で採決1日延期[NHK]
3月2日 4時54分
北朝鮮による核実験や事実上の長距離弾頭ミサイルの発射に対して、国連の安全保障理事会ではアメリカが提出した制裁決議案が日本時間の2日にも採決にかけられる見通しでしたが、ロシアの要請で採決は1日延期され、決議案の内容も北朝鮮への航空機燃料の輸出の禁止を定めた項目に例外が設けられるなど、一部修正が加えられることになりました。
安保理では先週、アメリカが中国と協議してまとめた北朝鮮に対する制裁決議の草案を提出し、各国との調整を経て、日本時間の2日、採決にかけられる見通しでした。
ところが、国連のアメリカ代表部は1日、「ロシアが最終的な決議案を精査する時間を要求している」として、採決を2日午前、日本時間の3日未明まで延期することを明らかにしました。
また、NHKが入手した最終的な決議案によりますと、焦点となっていた「北朝鮮への航空燃料の輸出の禁止」の項目に、アメリカの草案にはなかった「北朝鮮の民間航空機への海外での給油は認める」という例外が設けられたことが分かりました。
さらに制裁対象となる個人や組織のリストからは、当初入っていた北朝鮮とロシアとの鉱物資源の取り引きを担当する人物が削除されています。
北朝鮮に対する制裁決議を巡ってはアメリカと中国の交渉が1か月半の長期にわたったうえ、最終局面でロシアが速やかな採択に難色を示す事態となり、大国の思惑が交錯した異例の展開をたどっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160302/k10010428011000.html
紅白歌合戦に30回続けて出場した昭和のスター。それにしては、2013年に亡くなった島倉千代子(享年75)は、借金苦をはじめ負のイメージも色濃く、とりわけ、細木数子(77)に搾取されていたという。事の真相を、実弟の島倉征夫氏(76)が語った。
***
2013年に亡くなった島倉千代子(享年75)
お千代さんほどのスターが、なにゆえ多額の借金を頻繁に抱え込んだのか。その謎を解くには、彼女の性格を知るに如(し)くはない。
「千代子は8人きょうだいの6番目。1954年に芸能界に入ったときは16歳でしたから、世間知らずで駆け引きを知らない。真っ白すぎて、好きになった人に簡単に染まってしまう」
そう語る征夫氏によれば、最初の借金をこしらえたのは、阪神の強打者だった藤本勝巳との結婚がきっかけだったという。
「藤本さんの前には国鉄の町田行彦選手や、西鉄の稲尾和久投手とも付き合っていました。藤本さんと結婚したのは63年12月。私は千代子のマネージャーでしたが、彼女は父の喪が明けていないのに年内に結婚すると言って聞かず、家族と揉めたんです。それでも母は持参金として1000万円を渡しましたが、預金はすぐ解約され、藤本さんの背広屋などへの借金返済に充てられた。姑らのいじめにも遭い、1週間かそこらで愛は冷めたようです」
だが、すぐには離婚できなかった。藤本は67年に引退し、大阪の道頓堀にクラブを開店したが、その開業資金4000万円はお千代さんが工面したという。
「彼女の大ファンの銀行頭取が“このお金で縁を切りなさい”と、4000万円を貸してくれたのです。それでも藤本さんは離婚届に判を押さずストーカー行為を繰り返した。最後は“もう4000万円くれ”という要求を受け入れて決着し、再び頭取に用立ててもらいました。この8000万円が彼女の初借金でした」
離婚協議に疲れたお千代さんが頼ったのは、眼科医の守屋義人氏だった。
■13億円に膨らんだ借金
「62年、ファンが投げた紙テープの芯が目に当たって、失明危機と言われたときに治療した人物で、74年には千代子と恋仲になっていた。彼は新しいプロダクションを作って、私にクビを宣告したんですが、芸能界に関してはド素人。コマ劇場などの公演の売上げはスジが悪い連中にかすめ取られ、新曲のレコードを宣伝用に大量に購入するなどし、3億円の借金を作った。しかも千代子の実印を押して裏金融から借りていた。結局、借金は13億円にまで膨らんでしまったんです」
そこに細木数子が登場するのである。
「守屋氏の蒸発後、千代子は政治ブローカーの安部正明宅に居候していて、安部邸で小金井一家の堀尾昌志総長が麻雀をしていたとき、コマ劇場で千代子が債権者に囲まれていると伝えられた。安部さんが、新宿を縄張りにしている堀尾さんに“誰にも面会させるな”と指示を出すと、堀尾さんは“カタギじゃない俺が行くとコマ劇場に迷惑がかかるからウチのにやらせよう”と。“ウチの”とは彼の内縁の妻の細木でした」
このとき、征夫氏もコマ劇場に向かうと、
「楽屋のソファーに門番のような女性がドカッと座っていて、“お千代のとこに弟いたのかい。あんたが来ても何の役にも立ちやしない”と言われてしまった」
77年3月、細木は債権者を、自分が経営するクラブ“艶歌”に集めた。
「テーブル上に3億円を置いて、“あんたはいくら貸したんだ”“実際に借りたカネより膨らんでいるじゃないか”と詰め寄り、実際に借りた金なら払えると言って、手形とはいえ13億円にまで膨らんでいた借金を3億円でチャラにしたんです。こうして千代子の債権者は細木になり、興行権も彼女に移ったのです」
以後、お千代さんの仕事は変質したという。
「キャバレーやクラブで歌うことが増え、コロムビアの関係者からは、細木さんが怖くて誰も近づけないと聞きました。彼女は“てめぇ”“コノヤロー”とヤクザ口調で、すぐに“明日の命だよ”“死ぬ気でやれ”と言う。作曲家も作詞家もビビッて、千代子に新曲を作りませんでした。細木さんへの借金は4年で2億円を返し、“あと1億返したら自由にしていいよ”と言われたので、コロムビアに泣きついた。ところが“借金の決着をつけたのは私なのに礼はないのか。1億円くらいもらっても罰は当たらないよ”と言われ、都合2億円をコロムビアに立て替えてもらったのです」
それでも征夫氏は、細木を責められないという。
「細木に馬車馬のように働かされたからこそ、鬱やノイローゼになる暇もなかった。千代子の寿命は10年延びたと思いますよ」
その後、『人生いろいろ』のヒットもあって借金を完済。亡くなったときには4億円の現金と有価証券などが遺されていたという。
「60周年特別ワイド 『十干十二支』一巡りの目撃者」より
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• 2016年2月25日号 掲載
• ※この記事の内容は掲載当時のものです
http://www.dailyshincho.jp/article/2016/02240515/?all=1
2014年9月24日、今から約1年前、千葉県銚子市の県営住宅でシングルマザーの母親が中学生の娘を手に掛けた。その日は母子2人で暮らした県営住宅を家賃滞納で強制退去させられる日だった。2人の全財産は数千円にまで落ち込み、1万2800円の家賃を2年4カ月にわたり滞納していた。なぜ2人はそこまで追い詰められたのか? なぜこのような悲劇が起きたのか? 毎日新聞記者川名壮志氏がその謎に迫ったレポートが「新潮45 10月号」に掲載されている。
■収入はゼロ。闇金の督促は昼夜問わず
川名氏は裁判で明らかになった事実に加え、千葉県や銚子市を取材。事件の現場も訪ね歩いた。記事では母親の松谷美花被告(44)がシングルマザーとなった経緯から経済的苦境に陥ってゆく様子が明らかにされている。母親は当時学校給食センターのパート職で、時給850円。月8万円程度の収入しかなかった。さらに事件を起こす前の月は学校の長期休暇である夏休みで収入はゼロだったという。
さらに記事では美花被告が闇金からも借金をしていた事が明かされる。いわゆるトイチの利率を少ない収入の中から支払えるはずもなく、闇金業者から朝晩となく督促の電話が鳴り響く状態だったという。こうした状況を打開する方法はなかったのだろうか。裁判の中で2人は生活保護を受給できる水準を満たしていたことが明らかになった。しかし結果的に生活保護は支給されていなかった。
■生活保護申請を拒む「水際作戦」とは
川名氏は日本の生活保護受給の現実をレポートし、支払う側の行政による「水際作戦」によって美花被告が「相談」の段階で生活保護申請を諦めてしまったのではないかと疑問を呈している。銚子市役所には美花被告が面談におとずれた記録が残っているが、申請には至らず「相談のみ」で終わっているという。行政の「水際作戦」とは生活困窮者の申請を窓口で拒否し、支給を抑制し社会保障費を抑える作戦だと川名氏は解説している。
さらに美花被告が収入に応じた家賃の減免制度を利用していなかったことや、県営住宅明け渡しの督促に対応しなかったことなどをあげ、経済的な困窮だけではなく、社会的な孤立や情報過疎に陥っていたのではないかと分析する。ただし川名氏は行政の非情が事件を引き起こした、もしくは本人の怠慢やあさはかさが引き起こした自己責任だ、などとどちらか一方に責任があったと簡単に結論づけられるものではないと述べている。
《都合よくどちらか一方に比重をかけてしまえば、かえって本質を見誤る気がする。一刀両断に切り分けられない難しさが、世の中にはある。現実は想像以上に雑然としている。》
川名氏は母娘の結びつきをあらわすエピソードや裁判で明らかになった事実を多数挙げ、全く責任のない13歳の少女が殺された理由をみつけだそうとする。6月12日、美花被告は求刑14年のところ懲役7年の判決を言い渡された。検察は控訴を断念したものの、美花被告は控訴したという。その理由は「新潮45」本誌で確かめて頂きたい。
デイリー新潮編集部
川名荘志(かわな・そうじ)
1975年長野県生まれ。2001年、早稲田大学卒業後、毎日新聞社入社。初任地の長崎県佐世保支局で「佐世保小6同級生殺害事件」に遭遇した。著書に『謝るなら、いつでもおいで』がある。
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• 2015年10月号 掲載
• ※この記事の内容は掲載当時のものです
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安保理、北朝鮮制裁決議を採択 貨物検査義務化など[日経新聞]
2016/3/3 0:27
【ニューヨーク=高橋里奈】国連安全保障理事会は2日午前(日本時間3日未明)に開いた公開会合で、4回目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイルの発射を強行した北朝鮮に対する制裁決議を全会一致で採択した。北朝鮮に出入りするすべての貨物検査の義務化や、鉱物資源の輸入禁止など厳しい措置となった。日米などは早期の採択を目指してきたが、最終局面でロシアが抵抗して一部修正が加わり、採択が遅れた。
決議の共同提案国は53カ国に上った。1月6日の核実験から2カ月近くにおよぶ交渉の末、ようやく決議案の作成を主導した米国と慎重な中国、ロシアが折り合い採択にこぎ着けた。決議では国連加盟国に北朝鮮市民の生活に関わる目的を除く石炭や鉄、鉄鉱石の輸入を禁止したほか、金やレアアース、チタンなどは輸入を全面的に禁じた。
終盤でロシアが「事前に十分な説明がなかった」と反発して採択を引き延ばすなどぎりぎりの調整が続き、最終的に米国がロシアの要請を受け入れ一部修正した。
当初案では航空機燃料の供給を全面禁止するとしていたが、民間航空機への北朝鮮国外での給油は例外となった。石炭の輸入禁止についても、北朝鮮の羅津港から輸出される外国産の石炭は除くとした。羅津港はロシア産石炭の積み出し港であり、自国の権益を確保した格好だ。
また、北朝鮮の武器取引を担う「朝鮮鉱業貿易開発会社(KOMID)」のロシア駐在代表が資産凍結や渡航禁止の対象リストから外され、追加の制裁対象となる個人は当初の17人から16人に減った。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM02H5C_S6A300C1MM8000/?dg=1
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国連安保理 北朝鮮制裁決議を全会一致で採択[NHK]
3月3日 0時20分
北朝鮮による核実験や事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて、国連の安全保障理事会は、北朝鮮との資源の取り引きを制限したり、北朝鮮の貨物をすべて検査したりすることなどを盛り込んだこれまでで最も厳しい制裁決議を全会一致で採択し、北朝鮮の核開発の阻止につながるのか、注目されます。
安保理では、北朝鮮に対する新たな制裁決議案をまとめるため1か月半にわたってアメリカと中国が水面下の交渉を行い、最終局面でロシアとの調整も続いていました。決議案の採決は2日午前(日本時間の3日未明)に行われ、すべての常任理事国と日本を含む非常任理事国の全会一致で決議は採択されました。
新たな決議は、核兵器や事実上の弾道ミサイルの開発を続ける北朝鮮を強く非難したうえで、各国から北朝鮮への航空燃料の輸出を原則として禁止し、北朝鮮からの石炭や鉄鉱石などの輸入を制限するなど、これまでにない分野の制裁が盛り込まれています。
また、これまでは北朝鮮の疑わしい貨物の検査が義務づけられていたのに対し、今後はすべての貨物が検査の対象とされ、北朝鮮の外交官についても、活動を警戒するだけでなく、不正に関わっていれば国外に追放することなどが、定められています。
安保理で北朝鮮に対する制裁決議が採択されるのは5回目ですが、かつてなく厳しい内容となり、国際社会が決議を着実に実施し、北朝鮮による核開発の阻止につながるのかどうか、注目されます。
首相 「高く評価 国際社会の姿勢示した」
安倍総理大臣は、国連安全保障理事会が北朝鮮への制裁決議を採択したことを高く評価したうえで、決議の実効性を確保するため関係国と協力するとともに、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向け全力を尽くすとするコメントを発表しました。
それによりますと、国連安全保障理事会が北朝鮮への制裁決議を全会一致で採択したことについて、安倍総理大臣は、「高く評価する。決議の採択は、わが国をはじめとする各国による独自の措置とあいまって、国際社会の北朝鮮に対する断固たる姿勢を示すものだ」としています。そのうえで「日本政府は北朝鮮に対し、国際社会が繰り返し示している強い警告と非難を真摯(しんし)に受け止め、今般採択された決議をはじめとする一連の安保理決議を誠実かつ完全に実施し、さらなる核実験や弾道ミサイル発射などの挑発行動を行わないよう強く求める」としています。
そして、安倍総理大臣は「決議の履行にあたっては、その実効性を確保するため関係国と協力し、きぜんとして対応していく。日本政府としては、拉致、核、ミサイルといった北朝鮮を巡る諸懸案の包括的解決に向けて『対話と圧力』、『行動対行動』の原則を貫き、国際社会と緊密に連携し、全力を尽くしていく」としています。
外相「断固たる姿勢を歓迎」
今回の制裁決議の採択を受けて岸田外務大臣は、談話を発表し、「日本をはじめとする各国による独自の措置とあいまって、国際社会が一致して北朝鮮に対する断固たる姿勢を示すものとして歓迎する。日本としては、決議の実効性を確保するため、ほかの国連加盟国とも緊密に連携し適切に対応していく考えだ」としています。また、岸田大臣は、北朝鮮が調査の全面的な中止を発表した拉致問題への対応について、「『対話と圧力』、『行動対行動』という一貫した方針のもと、解決に向けた対話を継続し、1日も早いすべての拉致被害者の帰国を実現すべく、全力を尽くしていく」としています。
日本の国連大使「終わりではなく始まり」
新たな制裁決議の採択を受け、アメリカとともに強い制裁の必要性を訴えてきた日本の吉川国連大使は「制裁は問題の全面解決に向けた重要な手段のひとつだ。解決のためには対話も必要だが、効果的な対話を行うためには同時に圧力が必要だ。それがこの厳しい制裁の意味だ」と述べ、新たな決議が北朝鮮を巡る問題を動かすきっかけとなることに期待を示しました。そのうえで、「きょうの採択は終わりではなく始まりだ。われわれはこの決議に含まれる制裁を完全に実行しなければならず、すべての国連加盟国に義務を果たすよう求めたい」と述べました。
米大統領「国際社会の結束した対応」
国連安全保障理事会で北朝鮮に対する新たな制裁決議が全会一致で採択されたことを受けて、アメリカのオバマ大統領は2日、声明を発表し、「北朝鮮が大量破壊兵器の開発を進めるのを止めるため、強力な制裁を科す決議だ。北朝鮮の挑発行為に対する国際社会の結束した対応だ」と歓迎しました。そのうえで「国際社会は声をひとつにして、『北朝鮮は危険な計画を放棄し、よりよい道を選ぶべきだ』というメッセージを送った」として、北朝鮮に核開発を断念するよう求めました。
米国連大使「非核化への対話に応じるよう望む」
国連安保理で北朝鮮に対する新たな制裁決議が全会一致で採択されたことを受けて、決議案をまとめたアメリカのパワー国連大使は、「北朝鮮はみずからの国民生活を犠牲にして核兵器やミサイルの開発に突き進んできた。新たな決議は、北朝鮮による核開発を阻止するため、過去のどの決議にもない厳しい制裁を含んでいる。この決議によって北朝鮮が核開発を断念し、朝鮮半島の非核化に向けた対話に応じることを望む」と述べて決議の意義を強調しました。また、決議案をまとめるにあたって、北朝鮮の核開発の脅威を共有する日本、韓国、中国の協力を得たとして、とりわけ当初制裁に消極的とされた中国については、「中国のリーダーシップに感謝する」と述べ、対応を評価しました。
中国国連大使「国際社会の強い懸念示すもの」
国連安保理で北朝鮮に対する新たな制裁決議が採択されたことを受けて、当初、制裁に慎重でありながら最終的に賛成した中国の劉結一国連大使は「今回の決議は北朝鮮による核開発への国際社会の強い懸念を示すものだ」と述べ、中国としても北朝鮮の核開発を容認しないとの立場を改めて示しました。
その一方で、劉大使は「制裁は最終目的ではなく、事態の解決はあくまでも対話を通じて達成されるべきだ」と述べて、制裁を支持しながらも各国に対し、6か国協議などを通じた北朝鮮との対話を再開するよう求めました。さらに劉大使は「中国は朝鮮半島の隣人として平和的な手段による朝鮮半島の非核化に向け各国と協力していく。そのためにも緊張を高めないことが必要で、アメリカの最新の迎撃ミサイルシステムの韓国への配備に反対する」と述べました。
北朝鮮代表部「いかなる違法な決議も認めない」
北朝鮮による核実験や事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて、国連の安全保障理事会で制裁決議が採択されるのを前に国連本部に近い国連北朝鮮代表部では2日午前、チャ・ソンナム国連大使ら幹部が次々と出勤しました。幹部らは、決議や制裁への対応をただすNHKの質問に応じないまま代表部のある建物に入りましたが、広報を担当する書記官は、「コメントすることはなにもない。われわれは、国連安保理によるいかなる違法な決議も認めない」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160303/k10010429231000.html
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北制裁、安保理が決議採択…貨物検査を強化
読売新聞 3月3日(木)0時30分配信
【ニューヨーク=水野哲也】国連安全保障理事会は2日午前(日本時間3日未明)、北朝鮮による4回目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を受けた新たな制裁決議を全会一致で採択した。
貨物検査の強化や北朝鮮産の鉱物資源の輸出禁止を盛り込み、従来の制裁を大幅に強化する内容だ。
北朝鮮の核実験やミサイル発射を受けた安保理制裁決議は5回目となる。
今回の決議は、〈1〉北朝鮮に出入りする全貨物の検査を義務化〈2〉北朝鮮による鉱物資源の輸出を禁止し、資金源を遮断〈3〉国際的な金融取引を遮断――が柱だ。
貨物検査について、これまでの決議は「禁輸品積載の疑いがある場合」を実施の条件としていたが、今回は北朝鮮のすべての貨物を各国が空港や港で検査することを義務づけ、違法取引の監視を強化した。鉱物資源については、金やチタン、レアアースの北朝鮮からの輸出を全面的に禁じ、北朝鮮の主要輸出品となっている石炭や鉄鉱石についても大幅に規制した。航空用燃料の北朝鮮への輸出も禁止した。
金融制裁では、北朝鮮の銀行が他国に支店を開設したり、他国の銀行が北朝鮮に支店を開設したりすることを禁じた。このほか、決議違反行為に関与した北朝鮮外交官の国外退去や、武器取引の全面禁止も盛り込んだ。
米国のパワー国連大使は決議採択後、「北朝鮮による核ミサイル能力の向上は地域だけでなく、世界への脅威だ。北朝鮮は21世紀に核実験を行った唯一の国だ」と意義を強調。日本の吉川元偉(もとひで)国連大使は「北朝鮮は、この決議が、安保理だけでなく、国際社会全体からのメッセージだと受け止めるべきだ」と述べた上で、「今日の決議は終わりではなく始まりだ。我々はこの決議に盛り込まれた措置を完全に履行しなければならない」として、加盟国に決議順守を呼び掛けた。
安保理は1月6日の核実験を受け、新たな制裁決議を採択することで合意。度重なる決議違反を受け、米国はこれまでにない強力な制裁を要求した。北朝鮮に最も大きな影響力を持つ中国は、北朝鮮の暴発を懸念して国民生活に影響が及ぶ制裁には慎重で、協議は長期化した。最終的に両国は合意し、「包括的で強力かつ前例のない制裁」(パワー国連大使)となった。
最終更新:3月3日(木)1時13分
「ベビーシッターの女が預かっていた女児を殺害し、切断した頭部を掲げて路上を歩き回った陰惨な事件について、同国の国営放送が一切報道しなかった」とあるが、生々しい映像はなかったが国外向け国営放送であるRTRは報じている。
とにかく、プーチン政権が「アラーアクバル」と叫びながら切断した子どもの生首を持ち歩いた女性の事件を隠さなければならない理由が見当たらない。
逆に、シリアで対イスラム過激派戦争を展開し、ロシア国内でもイスラム過激派撲滅作戦での戦果を誇っているプーチン政権にとって、このような事件は、イスラム過激派の危険性(攻撃・撲滅の必要性)を宣伝する格好のネタになる。
また、強権的統治を行っているプーチン政権が、テロも何度か起きISも攻撃を広言しているモスクワ市内で、女児の生首を持って20分間も路上を歩き回って女性を確保できなかったという話に不自然さ(作為)を感じる。
プーチン氏は、チェチェン武装勢力の一部を利用しながらチェチェン紛争を“鎮圧”したことで名を上げ大統領職までのぼり詰めた人物である。
国連の安全保障理事会は、北朝鮮に対する制裁決議を全会一致で採択しました。新たな決議は、北朝鮮による核実験や事実上の弾道ミサイルの発射を強く非難したうえで、厳しい制裁が盛り込まれています。
このうち、過去の制裁決議にはなかった新しい分野としては、各国から北朝鮮への航空燃料の輸出を原則として禁止し、北朝鮮からの金やチタン、レアアースなどの輸入禁止、石炭や鉄鉱石の輸入制限など、資源の取り引きを対象にした制裁が盛り込まれています。
また、従来の分野の制裁も強化され、これまでは北朝鮮の疑わしい貨物の検査が義務づけられていたのに対し、今後は港や空港などで北朝鮮のすべての貨物が検査の対象とされ、北朝鮮の外交官についても、活動を警戒するだけでなく、不正に関わっていれば国外に追放することなどが、定められています。
武器の密輸などへの関わりが指摘されている北朝鮮の船舶については、外国人が運航に関わることを禁じたり、制裁違反の疑いのある船舶の入港を禁止したりすることが定められました。
金融の分野を巡っては、各国が北朝鮮の金融機関の支店などの開設を禁止し、既存の支店についても制裁違反の疑いがあるものは90日以内に閉鎖すること、さらに、北朝鮮政府や朝鮮労働党が海外に所有する資産も制裁違反に関わった疑いがあれば凍結することが、定められています。
一方で、資源の輸出入や船舶や航空機の航行などさまざまな分野の制裁について、「市民生活上の必要性や人道上の理由が認められる場合は例外とする」という規定も設けられ、北朝鮮の市民生活や人道目的の活動を圧迫しないよう一定の配慮がなされています。
決議採択までの経緯
ことし1月に北朝鮮が4回目の核実験を強行したのを受けて、安保理常任理事国のうちアメリカが北朝鮮とのつながりの深い中国との交渉に入りました。しかし、厳しい制裁を求めるアメリカと、その実施によって北朝鮮が混乱に陥る事態を恐れる中国との交渉は難航し、当初、想定されていた先月前半までにまとめることはできませんでした。
交渉が停滞する中、北朝鮮は先月、事実上の長距離弾道ミサイルの発射にも踏み切り、アメリカや日本、韓国は安保理決議を待つことなく北朝鮮に対する厳しい独自制裁を打ち出します。国際社会の北朝鮮への批判の高まりを受けて中国も態度を軟化させて制裁に同意する姿勢を見せ始め、アメリカのケリー国務長官と中国の王毅外相とが会談を重ねた結果、先週、双方は北朝鮮に対するこれまでにない制裁を盛り込んだ決議の草案で合意に達しました。
ところが、アメリカが安保理に提出した決議案に対し、ロシアが最終局面になって「多岐にわたる制裁を精査する時間が必要だ」として速やかな決議採択に難色を示し、採決が延期されました。また、決議案の内容についても一部修正が加えられ、北朝鮮への航空燃料の輸出の禁止を定めた項目に、「北朝鮮の民間航空機が海外で給油を行うことは認める」とする例外などが設けられました。国連では、安保理でシリアやウクライナを巡りアメリカと対立してきたロシアが、北朝鮮を巡ってもアメリカ主導で決議案がまとまることに反発したとの見方が広がっています。
新たな制裁決議の採択に至るまでには、アメリカと中国の長い交渉に加え、ロシアとの調整にも時間がかかり、大国の思惑が錯そうする異例の展開をたどりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160303/k10010429431000.html
ヨルダンの首都アンマンにある休戦に関する米国センターの将校達は、シリア領内のフメイミム空軍基地に設けられた敵対勢力休戦調整センターのロシア人将校達と、定期的にデータを交換している。
情報の交換は、2時間ごとに行われている。ロシア国防省スポークスマンのイーゴリ・コナシェンコフ少将が伝えた。少将は「すべては、時間的に正確に行われている」と述べ、情報交換プロセスに参加しているスタッフの高いプロフェッショナリズムを指摘した。
先に国連シリア問題担当のデミストラ特使は「シリア問題に関する次の交渉は、3月9日に開かれる」と発表している。
遺伝子組み換え生物の生産メソッドに代わるとされるクリスパー(CRISPR)技術について、大量破壊兵器に順ずるほどの危険をもたらす。 ジェームス・クレッパー米国家情報長官は毎年のレポートでこのような指摘を行った。
クリスパーについては科学者らは、遺伝子レベルで伝達される変性疾患のさらなる伝達と拡散を防ぐことができると考えているものの、クレッパー長官はクリスパー技術は合目的的に用いられない場合、米国の経済、国益に深刻な影響がもたらされかねないと指摘している。
複数のマスコミ情報より
http://jp.sputniknews.com/us/20160303/1713929.html
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2016年02月26日更新
クリスパー(CRISPR)技術の利用に警鐘、サイエンス誌[welq]
DNAを切断、接合する革命的な新技術。クリスパー・キャス9(CRISPR-Cas9)という技術が注目されている(ノーベル賞が来年でもおかしくはない、「クリスパー・キャス」の進化を参照)。人の遺伝子疾患の治療に用いる際には慎重に利用すべきか議論を呼んでいる。米国カリフォルニア大学バークレー校を中心とした研究グループが、有力科学誌サイエンス誌で2015年3月20日に報告した。
DNAを切断、接合する革命的な新技術。クリスパー・キャス9(CRISPR-Cas9)という技術が注目されている(ノーベル賞が来年でもおかしくはない、「クリスパー・キャス」の進化を参照)。人の遺伝子疾患の治療に用いる際には慎重に利用すべきか議論を呼んでいる。米国カリフォルニア大学バークレー校を中心とした研究グループが、有力科学誌サイエンス誌で2015年3月20日に報告した。
生殖系細胞での組換えは中止を!
最近になってCRISPR-Cas9として知られるシンプル、安価かつ極めて効果的にゲノムを変えられるところが注目されている。工学的手法の急速な進歩とCRISPR-Cas9システムの簡便さもあって、分子生物学の知識を持つ研究者ならだれでもゲノムを改変することが可能となってきた。このような状況を受けて、研究グループはDNAを切断、接合する革命的な新技術は人の遺伝子疾患の治療に用いる際には慎重に利用すべきであるとして警告している。さらに子孫にまで遺伝する可能性のあるヒトの生殖系列細胞の遺伝子に対して、変更の試みを止めるよう強く求めている。
公開での議論を!
研究グループは、ゲノム工学技術に関する情報の公開とこの技術を適用すべき分野を限定すべきだと主張している。さらにゲノム工学分野の進歩の速度を考慮して、科学者、臨床医、社会科学者、一般市民、公共団体、利益団体など広範囲にわたる人々が、ゲノム改変の便益とリスクについて緊急に公開討論を行う必要があるとしている。Medエッジでは、この背景について、「西川伸一 THE CLUB」の中でも伝えたい。
文献情報
Doudna J et al. Scientists urge caution in using new CRISPR technology to treat human genetic disease. Science. 2015 Mar 19.
Scientists urge caution in using new CRISPR technology to treat human genetic disease | Berkeley News
Jennifer Doudna and five other UC Berkeley scientists co-authored a commentary in the journal Science this week urging caution when using new precision DNA scissors to do gene therapy, and strongly…
当社は、この記事の情報及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、正確性、完全性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負うものではありません。この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
「衆参同日選ならてんやわんや 86年以来実施なく:消費税増税延期で解散総選挙なら自民の圧勝、同時で野党の選挙協力は雲散霧消」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/854.html
「安倍政権支持率回復の秘策は「消費税増税再延期」の是非を問うかたちでの来年7月“衆参同時選挙”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/463.html
「消費増税、首相発言で臆測 予定通りか再び延期か:正当化のネタ探しはしているだろうが再延期は既定方針」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/822.html
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安倍首相の消費増税再延期に 小泉元首相が思わぬ“援軍”
週刊文春 3月3日(木)12時1分配信
2017年4月に予定する消費税率引き上げを巡り、永田町がざわつき始めている。
2月26日の衆院総務委員会で、安倍晋三首相は「世界経済の大幅な収縮」が起きれば消費増税を延期する考えを示した。答弁を受けて、菅義偉官房長官も記者会見で、
「税率を上げて税収が上がらないようでは、消費税を引き上げることはあり得ない」
と明言したのだ。
消費増税再延期に永田町が震撼するのは、衆院の解散時期とも密接に関係するからだ。
「甘利明・前経済再生担当相の政治資金問題や宮崎謙介前衆院議員のゲス不倫問題など、自民党議員への信頼が失墜する一方で、民主・維新が合流し野党候補の一本化も進んでいる。参院選単独なら、与党の驕りにお灸を据えたいと、思わぬ厳しい結果が出かねない。98年の参院選では予想外の大敗で、橋本政権は退陣に追い込まれた。一方、政権選択の衆院選なら、そこまで厳しい評価にはならないと読んで、官邸はダブル選挙もできるよう準備を進めている。その際、増税再延期は解散を打つのに便利な大義にもなりうる」(自民党関係者)
解散の障害になりかねなかった衆院の定数是正問題でも、安倍首相は議員定数の10削減で、党内調整を進めるよう指示を出した。
消費税を巡っては、公明党が主張した大幅な軽減税率適用を、官邸の指示で自民党がのまされ、軋轢(あつれき)を生んだ。
「麻生太郎財務相の反対を、菅官房長官が押し切る形になり、しこりを残した。麻生氏は軽減税率に不満を隠そうとせず、今国会でも『混乱は間違いなく、ある程度起きると覚悟していかないと』、『(中小企業が廃業に追い込まれる)例が1つや2つ、百や千あったとか、いろいろ出てくると思う』と答弁し、物議を醸した。さらに、1兆円程度の軽減税率の財源も見つかっておらず、安倍氏や菅氏は『ならば増税を見送る』との構えです」(官邸関係者)
思わぬ“援軍”も現れた。原発政策では安倍首相と対立する小泉純一郎元首相だ。2月25日に発売された単行本『小泉純一郎独白』で、こう語っているのだ。
「軽減税率なんて、高所得者対策なんだ。公明党は必死でやっているけど、最悪だよ」
「軽減税率を設けるぐらいだったら、消費税率を上げないほうがいいよ」
安倍首相の結論は、小泉氏の持論と一致し、この4年で3回目の解散となるか。
<週刊文春2016年3月10日号『THIS WEEK 政治』より>
「週刊文春」編集部
最終更新:3月3日(木)12時6分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160303-00005932-sbunshun-pol
中国軍の現役幹部がこのほど、「中国からいろいろもらっておきながら、感謝することを知らない」と北朝鮮を痛烈に批判した。
網易網など中国メディアによると、中国人民解放軍空軍少将で著名な軍事評論家である喬良氏(61)はこのほど9,香港の月刊誌「紫荊」のインタビューに応じ、「中国は過去半世紀にわたり、北朝鮮に事実上無条件で無償援助を行ってきたが、今は北朝鮮にどんな要求を行うことも難しい状況だ」と指摘。その理由を「中国の援助とは別に、北朝鮮が米国からの安全保障を求めているからだ」と説明した。
喬氏は「こうした状況で中国は北朝鮮を変化させることはできないだろうが、中国に対する北朝鮮の態度だけは確実に改めさせるべきだ」と主張。「北朝鮮は中国からいろいろむしり取っていきながら、感謝どころか、難癖を付け、中国を不快にさせている」「北朝鮮の態度をこれ以上容認してはならない」などと指摘した。米UPI通信は、喬氏の発言について、米中が強硬な対北朝鮮制裁で合意した数日後の発言である点に注目した。
北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/02/2016030201105.html
ロシア政府の「05年9月19日に出された六者協議の共同宣言に基づき、朝鮮半島の核問題正常化交渉のテーブルに戻ることを期待」という内容は、合理的で制裁より有効な考えである。
※関連投稿(今も生きている05年9月に6ヶ国協議で出された共同声明の内容)
「北朝鮮 プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置・ウラン濃縮遠心分離器+軽水炉原発は米国“公認”」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/142.html
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制裁決議が北朝鮮国民の状況深刻化に使用されてはならない、露外務省[スプートニク日本語]
2016年03月03日 19:08(アップデート 2016年03月03日 20:02)
ロシアは、国連安保理の対北朝鮮制裁が同国国民の経済および人道的状況を深刻化させるために用いられないことを期待する。露外務省はこうした声明を同省のサイトに表した。
「国連安保理の決議が朝鮮民主主義人民共和国国民の経済、人道的状況を深刻化させる土台にすりかえられることのないよう期待する。まして地域の緊張がエスカレートし、軍拡競争があおられ、新たな分離的路線がこれに続くことは許しがたい。北朝鮮側が今回の決定を適切に受け止め、正しい帰結を行い、2005年9月19日に出された六者協議の共同宣言に基づき、朝鮮半島の核問題正常化交渉のテーブルに戻ることを期待したい。」
http://jp.sputniknews.com/politics/20160303/1718566.html
米当局は、エジプト人の学生がフェイスブックに米大統領選挙の共和党予備選挙に出馬しているドナルド・トランプ氏を殺したいと書いたため、同学生を米国から強制送還する可能性がある。AP通信が報じた。
またこの学生は、もしトランプ氏を殺害した場合、全ての人が自分に感謝するだろうと書き込んだ。
その後この学生は、ロサンゼルス移民局の職員によって拘束された。
学生はエマデルディン・エルサエドという名で、年齢は23歳。ロサンゼルスの航空学校の学生。
学生は、トランプ氏のイスラム教徒に対する発言に腹を立ててフェイスブックに書き込みをしたが、今は自分の行為をとても反省しているという。
http://jp.sputniknews.com/us/20160304/1720130.html
日本人発明家 トランプ氏に護身用かつら贈呈(動画)[スプートニク日本語]
2016年03月03日 20:50(アップデート 2016年03月03日 20:58)
発明家のドクター中松(本名:中松義郎)氏が、内側に手裏剣が仕込まれているというかつらを発明した。中松氏は、このかつらを次期米大統領候補のドナルド・トランプ氏に贈呈すると発表した。
ドクター中松氏によると、このかつらは護身用で、暴漢だけでなく、政治的なライバルも撃退することができるという。
この一風変わった護身用品は、一見したところ金髪のかつらだが、内側には手裏剣が仕込まれているほか、ひもが付いているため、相手にかつらを投げつけた後、たぐり寄せて手元に戻すことができる。
ドクター中松氏によると、このようなかつらは、その政治的スローガンを「米国嫌いにさせよう(Make America hate again)」と簡潔に表現できる政治家にとって有益である可能性がある。
なおトランプ氏がこの独創的な護身用かつらを使用することは恐らくないと思われる。
87歳のドクター中松氏は、その珍しい発明で知られている。中松氏は、自分は宇宙エネルギーで動く永久機関の製作者だと指摘している。
「ガスプロム」と中国銀行ロンドン支社は3日、上海で、期限を5年とする20億ユーロの融資契約を締結した。「ガスプロム」が発表した。
単一の金融機関からの直接融資としては、「ガスプロム」史上最大の融資合意であり、また、中国銀行との最初の二者間融資契約であるという。
「ガスプロム」のアンドレイ・クルグロフ副社長と中国銀行のガオ・インシン副社長はまた、両社の協力の展望を話し合ったという。
女性は人間か?‐サウジアラビアの学者が解明[スプートニク日本語]
2016年03月03日 08:27(アップデート 2016年03月03日 14:21)
サウジアラビア教育アカデミーと住民相談所は、「女性は人間か?」という挑発的な題名のレクチャーが開催されると発表した。
これを受け、フェイスブックやツイッターの大勢の利用者が、アカデミーに対して批判的なコメントを書き始めたため、アカデミーはフェイスブックで声明を表すことを余儀なくされた。アカデミーの声明の中では、次のように述べられている ‐
「題名は次のような形で解釈する必要がある。それは高水準、あるいは中水準、または低水準の女性というものだ。残念ながら大勢の人が、女性を低水準と考えて題名を解釈した。」
なおアカデミーの説明や努力にもかかわらず、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用者たちは、ハッシュダグ「♯女性_人間(#المرأة_إنسان)」付きの様々なスローガンや呼びかけを掲載し続けたため、2016年3月1日に予定されていたレクチャーは中止となった。
http://jp.sputniknews.com/life/20160303/1715742.html
産油国会談がロシアで3月20日に開催される。会談後、原油価格は1バレル50ドルまで回復する見込み。ブルームバーグがナイジェリア石油省の発表を伝えた。
サウジアラビアやロシアを含め、全員が交渉のテーブルに帰ってきている」とナイジェリア石油省。
先にロシアのアレクサンドル・ノワク・エネルギー大臣は、ロシアは3月、原油採掘の凍結についてOPEC加盟諸国および非加盟諸国と話し合う、と述べていた。
「原油価格が非常にゆっくりと上昇している様子が確認され始めている」。ブルームバーグがナイジェリアの石油大臣エマヌエル・カチクヴ氏の言葉を伝えた。OPEC加盟・非加盟諸国が会議で一堂に会したなら、「原油価格の大幅な変更を目にすることになる」。大臣は、産油国はバレル当たり50ドルを原油価格の目標レベルとみなしている、と強調した。
http://jp.sputniknews.com/business/20160303/1718685.html
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北海ブレント先物買い待ち 記録的高水準に[スプートニク日本語]
2016年03月01日 13:05(アップデート 2016年03月01日 22:40)
北海ブレント先物LCOc1の23日終了週(16日から23日)の買い持ち(ロング)は、32万0289枚となり、2011年以来の最高記録となった。
29日、インターコンチネンタル取引所が発表した。
ロイター通信によれば、16日から23日までの一週間で、ブレント原油銘柄に対するロングの買い待ちは、利益が予想できるとの期待感から、12%以上増え、32万枚を越えた。統計が導入された当初から、つまり2011年から、これほどの数のロングの買い待ちが記録された事は、これまでなかった。この状況は、投資家達が、ブレント原油の価格が上がると確信していることを証拠立てるものだ。
ニューヨークのヘッジフォンド「アゲイン・キャピタル(Again Capital)」のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「こうした事が生じた理由は、主な産油国が、原油採掘量凍結の可能性を明らかにしたからだ」と見ている。今日の取引では、ブレント原油の価格は、前回の取引終了時点より2,74%高い、1バレル=36,41ドルまで上昇した。またWTI(米国産標準油種)は、2,26%上がり1バレル=33,52ドルとなった。
韓昇洲(ハン・スンジュ)元外交部長官「米国は必ず韓国を守る」
韓昇洲(ハン・スンジュ)元外交部(省に相当)長官は2月16日に行われた本紙とのインタビューで「現在、韓国の安全保障には米国の核の傘を含む拡大抑止が最善の選択だ。これに疑問を呈するのは決して望ましいことではない」と断言した。韓氏は「最近になって核武装を含む韓国独自の抑止力確保についての議論が高まっていることは十分に理解する。しかし核武装の道を選ぶことで、もし韓米同盟が破棄されるようなことがあれば、これはネズミを追ってかめやつぼを割るのと同じような結果をもたらすだろう」とした上で、上記のように述べた。
「韓国が北朝鮮から核ミサイルを撃ち込まれたとしても、米国がロサンゼルスを犠牲にしてまで平壌を攻撃することはない」との指摘が一部で語られていることについて、韓氏は「このような見方を口にする人間は米国の政策を理解していない」「韓国防衛の約束を守らなければ、日本や全世界の同盟国との約束も守られないことになるため、(韓国が攻撃されても)米国が平壌を攻撃しないことは絶対にあり得ない」などと反論した。
対北朝鮮政策について韓氏は「北朝鮮に対して核兵器保有を諦めさせる努力は今後も続けるべきだが、それがかなわない場合、北朝鮮の体制そのものに変化をもたらす方向へと政策を見直さねばならない」との見方を示した。中国が米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍配備に反対していることについては「実在する脅威に備えるわれわれの権利であり、また義務でもあるため、中国に配慮する必要などない」「中国からの報復を恐れ、やろうとしたことを取りやめることは、われわれの自主権を中国に引き渡すのと同じことになる」と主張した。
イム・ミンヒョク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/03/2016030301079.html
【丹東聯合ニュース】北朝鮮の相次ぐ挑発に加え、国連安全保障理事会が強力な対北朝鮮制裁を採択したことで、北朝鮮を訪れる中国人観光客の数が急激に減っている。北朝鮮に近い中国遼寧省の丹東にある旅行社は北朝鮮への旅行者が大幅に減少していることに頭を悩ませている。
現地の旅行業界によると、先月の春節(旧正月、今年は2月8日)の連休には1団体当たり40〜50人の中国人観光客が3〜4日の間隔で北朝鮮を訪問した。
しかし、核実験の強行に続き事実上の長距離弾道ミサイル発射など北朝鮮による挑発が相次いだほか国連安保理で対北朝鮮制裁決議が採択されるなど緊張が高まったことを受け、このところ北朝鮮観光の予約件数が春節の時期の約20%水準に落ち込み、キャンセルも続出している。
丹東の旅行社の関係者は、「中国人観光客の朝鮮(北朝鮮)への旅行はシーズンを問わず需要があり観光客の募集に苦労することはなかったが、核実験やミサイル発射などで最近は問い合わせがほとんどない」と話した。
別の旅行社関係者は「最近は朝鮮旅行ツアーの申込者は最少催行人数の25%にも満たない。9日出発のツアーも実施できるか分からない」と伝えた。
こうした中、北朝鮮当局は外国人観光客に対し高圧的な姿勢を取り、さらに不興を買っているとされる。
旅行社によると、最近、北朝鮮の入国審査で観光客に対する検査が厳重になり職業まで確認するなど厳しくなったため中国人観光客が不満を口にしているという。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/03/2016030303418.html
しかし、ちょっと考えればわかるが、他の諸条件を考慮せずに、金利と物価変動についてそのような説明は成り立たない。
まずデフレは、需要が低迷している状況を含意している。
供給主体(企業)にとって利払いはコストであり、金利引き下げは利払いコストの低下を意味する。
コストの低下は、販売価格を下げても利益は維持できることを意味するから、ものが思うように売れない経済状況では価格を下げる動きにつながる。つまりデフレが進行する。
だからといって金利を引き上げると、設備投資や住宅投資がさらに低迷するので、財政出動や税を通じた所得再分配政策で需要の少しずつ増加させていくしかない。
設備投資など固定資本形成が持続的に増加し輸出も持続的に増加するようになったら、デフレから脱却と言える。
なお、転載する記事のメインテーマである「予想インフレ率」は、インフレ状況では意味のある指標だが、デフレ状況では意味がない。
また、中央銀行と金融機関の間で設定されているマイナス金利や「量的金融緩和政策」下の国債マイナス金利は、この問題にとって、間接的に市中の金利を低下させるという意味を超えるものでははない。
次はインフレだが、インフレは需要旺盛もしくは供給力不足という経済状況である。
前述と同じ論理で、金利の引き上げは利払いコストを増大させるので、販売価格をさらに引き上げて利益を確保しようとする動きを誘発しインフレを昂進させることになる。
インフレ抑制の処方箋は、悪性インフレ(実質所得が減少)なのか良性インフレ(実質所得は増加)なのかで変わる。
いずれの場合も、金利を低くしたほうがインフレの抑制につながるが、低金利が貸し出し増加につながるとインフレを昂進させるので、貸し出し規制(マネーストック抑制)を行う必要がある。また、インフレ率を大きく下回る預金金利も、貨幣保有者にものの購入に向かわせインフレを促進するので注意が必要。
(金利引き上げと貸し出し増加(信用創造の放置)が同時進行するような政策は、インフレ抑制策として最悪。それはインフレ昂進策となる)
悪性インフレは、設備投資の増加を図り供給力を増強することが抑制の最重要課題である。なお、設備投資の増加は短期的にはインフレ要因だが、高所得者増税や財政支出抑制でしばらく耐えるほかない。
良性インフレは、国際決済手段の確保(他の国とインフレ率の差が問題だが外国為替レートが自国通貨安になる可能性)や中長期的な供給力過剰(ないし資産バブル)を問題にしなければならない経済事象で、過大な設備投資や資産バブルにならないよう貸し出しを抑制する。金利については、預金金利がインフレ率から大きく下回らないようにすればいい。
ともかく、物価変動の制御について、金利政策を第一義的なものと考えるのは誤りである。
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Business | 2016年 03月 3日 13:16 JST
焦点:中銀のマイナス金利、インフレ予想低下させ逆効果か
3月2日、先進各国の中央銀行が、物価上昇期待を呼び起こそうと相次いでマイナス金利政策を導入しているが、かえって物価予想を押し下げ、逆効果を招いている可能性がある。写真はECBのロゴ。フランクフルトで1月撮影(2016年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[ロンドン 2日 ロイター] - 先進各国の中央銀行が、物価上昇期待を呼び起こそうと相次いでマイナス金利政策を導入しているが、かえって物価予想を押し下げ、逆効果を招いている可能性がある。
欧州中央銀行(ECB)や日銀、またスイス、スウェーデン、デンマークの各中央銀行はいずれもマイナス金利政策を導入し、必要が生じればさらに引き下げると表明している。
しかし将来の予想インフレ率を引き上げるのが目的だとすれば、その効果は発揮されていない。それどころか、マイナス金利自体が問題を引き起こしているのではないか、と懸念する声が勢いを増している。
第一に、マイナス金利は銀行の利ざやを圧迫して貸し出し意欲を失わせる上、預金手数料を避けるためキャッシュを抱え込むよう促すことになるため、金融市場では不安心理が高まった。
ピクテト・ウェルス・マネジメントの資産配分統括、クリストフ・ドネイ氏は「良かれと思って実施したことが地獄への道を敷くことになった。日銀とECBによるマイナス金利政策の導入は、銀行の収益性への打撃を通じてデフレ懸念に火をつけ、意図と正反対の結果を招いた」と言う。
しかし、視界を曇らせ、政策が事故を誘発することへの懸念を引き起こした要因の中には、もっと技術的な歪みもあるのかもしれない。金利と債券利回りがマイナスに沈むと、予想インフレ率の指標も一緒に下がり、金融政策は自らの尻尾を追う結果になりかねないからだ。
一つの問題は、予想インフレ率という曖昧な世界を中銀がどう解釈するかだ。また、国債市場の指標を通じて予想インフレ率を見通すことが、名目金利がマイナス化した今でも有効なのかどうか、という疑問も持ち上がっている。
通常の国債利回りから物価連動国債の利回りを差し引いた「ブレークイーブン」インフレ率が、その指標だ。
ECBがかつて好んで注目していた「5年後の5年間のブレークイーブン・フォワード・レート」は、2020年から25年までの平均インフレ率を予想するものだが、この指標はECBがインフレ率を目標値まで引き上げられそうもないことを示している。
<ECBの能力に疑問>
ECBが昨年12月に当座預金金利のマイナス幅を深くして以来、この指標は約45ベーシスポイント(bp)下がって今週は一時1.36%となった。
パイオニア・インベストメンツのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、Semin Soher氏は「いつまでたってもECBはインフレを生み出せないのではないかと、市場は疑っている」と指摘。ユーロを押し下げられていないことと、ECBの政策が積極性とスピードを欠いていたとの評価が、その背景にありそうだと話した。
しかしPIMCOの最高投資責任者、スコット・マーサー氏は、物価連動国債そのものに歪みが生じている可能性があると言う。名目利回りがゼロ近辺、あるいはマイナスに下がると、利回りの構成要素であるインフレ部分と実質利回り部分がともに押し下げられるからだ。
「人々は、実質金利の部分だけが下がり、インフレ部分は不変だと考えがちだが、そのようには動いていない」とし、長期の投資家がマイナスの実質利回りに耐えられるのは限度があると説明した。「名目利回りを継続的に押し下げることにより、市場に織り込まれている予想インフレ率を押し下げていることになる」という。
こうして債券利回りを構成するすべての要素が下がり、中央銀行がそれに機械的に反応すると、負のスパイラルが形成されるとマーサー氏は指摘。「仮に実体経済の参加者が債券市場を見ることがなかったとすれば、彼らの予想インフレ率は下がらない可能性が非常に高い。しかし中央銀行自体が(債券市場の予想インフレ率指標に)執着しているため、実体経済参加者も債券市場が織り込む数字へと常に注意を喚起されている」と述べた。
ユーロ圏には衆目の一致する家計の予想インフレ率指標が存在しないが、他国のサーベイを見ると、家計の予想も市場の指標とほぼ一致した動きを示している。
一方、一部アナリストの見方では、デフレ環境ゆえに物価連動債の需要が乏しいことそれ自体が、市場の予想インフレ率指標を押し下げている可能性もある。この結果、市場は足元の月次インフレ率をせっせと織り込むだけになる。
HSBCのインフレ・トレーディング担当グローバル統括、ダリウシュ・ミルフェンデレスキー氏は「過去5年間、ブレークイーブン・インフレ率の最も正確に予想してきたのはスポットのインフレ率だ。フォワード・ルッキングならぬバックワード・ルッキングという、奇妙なことになっている」と話した。
(Mike Dolan and John Geddie記者)
米国の元諜報機関員エドワード・スノーデン氏はスパイであり、裁判のために米国に戻らなければならない。億万長者で次期米大統領候補のドナルド・トランプ氏が述べた。
「私は最初からそう言っている。スノーデン氏はスパイであり、本国に返還する必要がある。ロシアが国として米国を尊重するなら、彼を返還するべきだ」選挙前のテレビ討論の中で語った。
トランプ氏の最大のライバルであるマルコ・ルビオ上院議員は同じテレビ討論で、プーチン大統領を肯定的に評価したとして、トランプ氏を非難した。
トランプ氏はこれに質問で応じた。「何百万ドルも浪費するより、ロシアその他の国と協力したほうがよいのではないか」
「世界全体と協調したほうがよいのではないか。それに、ロシアは対ダーイシュ(IS)対策その他多くの点で私たちを助けてくれるかもしれないではないか」とトランプ氏。
欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル(ユンカー)委員長(ルクセンブルグ前首相)は、今後20年の間にウクライナがEU及びNATOに加盟する事はないと述べた。
リア・ノーヴォスチ通信によれば、ユンケル委員長は「ウクライナが、今後20年から25年の間に、EUのメンバー国になる事はないだろう。また同じことが、ウクライナのNATO加盟についても言える」と指摘した。
おととし2014年、キエフ当局とEUは、連合協定に調印した。今年1月からは、ウクライナとEUの間に自由貿易ゾーンを設ける事に関する合意の一部が効力を発し始めた。しかし、EU議長国オランダのルッテ首相は最近、「この合意は、ウクライナのEU加盟を前提としたものではない」と指摘した。
なお2016年4月6日オランダでは、EUとウクライナの連合協定の是非をめぐる国民投票が実施される。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160304/1724212.html
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ウクライナ、日本から3億ドルの借款[スプートニク日本語]
2016年03月04日 20:01
ウクライナは4月、日本から金融の安定化を目的とした3億ドルの借款を受け取る。4日、ウクライナのナタリヤ・ヤレスコ財務大臣が角茂樹駐ウクライナ日本大使との共同ブリーフィングで明らかにした。
ヤレスコ財務大臣は「我々は日本との間に3億ドルの合意を批准した。この資金を日本は事実上4月に拠出するが、これは国家予算の統一基金に入る」と語った。
ヤレスコ財務大臣によれば、日本がウクライナに拠出した借款は総額18億ドルに達している。
貸与期間は20年。
中国は今年の軍事費を20%拡大する構え。香港の英字新聞「サウス・チャイナ・モーニングポスト」紙の報道ではこの拡大幅は2007年以来最大。ロシア人軍事専門家ヴァシーリー・カーシン氏は軍事費拡大の原因について、通信社「スプートニク」に次のように語っている。
今回の拡大は18−20%の範囲になるものと推測できる。そしてもしそうなった場合、この数字は軍事改革始まって以来、最大となる。中国の軍事予算は1990年代末からGDP成長率に対しては平均でそれを上回る勢いで伸びてきたものの、それでも今回の伸びは異常に大きい。一連のマクロ経済的要因からおそらく予算拡大は鈍化するだろうことも考慮する必要がある。
2015年から2016年初め、原油価格は急落。実はどこの国の軍にとっても、この燃料、潤滑剤は出費のかなりの部分を占めている。これに加えて工業製品価格もまた下落した。2016年1月、生産者物価指数は昨年比で5.3%下がっている。ということは中国の国防産業および軍は、工業製品の購買で著しい出費拡大につきあたるはずはなくなる。2009年の世界危機によって消費者価格の伸びは急激に鈍化し、生産価格も下がった。輸入原料価格が下がったことから軍事支出の伸びも鈍化し、最高で7.5%となった。これは過去20年であまりにも低い数値だったが、それが今、この状況が逆行しているのだ。
定例となった軍事費拡大の原因となっているのは大規模な軍改革だ。たとえば2015年9月、習国家主席は中国人民解放軍の兵員数を30万人カットすると宣言しているが、これはつまり大量解雇者に対し、短期間にたがくの保障金の支払が余儀なくされることを意味する。2016年初頭、軍事行政のあらゆるシステムでラディカルな改革がスタートした。これによって一連の巨大なストラクチャーが排除され、それを基に新たなストラクチャーがつくられることになる。つまり大量の人員移動と新たにつくられるストラクチャーのための基礎作りに出費がかかることになる。
だが、だからといってこれらの要因だけで、これだけの軍事費拡大の理由を説明しつくされるわけではないが、中国政府側はまさにこうした要因に拡大の根拠を置こうとしているようだ。今中国がある軍事政治的状況は複雑化している。南シナ海の対立は高まり、米国との相互関係はより対立的になっている。中国政府がこうした状況で中国人民解放軍の一連の再軍備プログラムを早め、戦闘準備体制を強化しようと決めたと考えるほうが理にかなっている。
2015年、中国人民解放軍の活動はアジア太平洋地域でもその外においても新たなレベルへと出た。アフリカのジブチに初の常設の海外基地を取得した今、活動はこの先、先進、拡大するだろうことは予想できる。大陸間弾道ミサイルDF−41など一連の重要な兵器システムの大量生産、展開が近いうちにも始まることはほぼ間違いなく、これに加えて費用のかかるインフラへ追加出費も要されるだろう。それでも軍事費が国家予算を締め付ける割合は今のところ大したものではない。それに中国には軍事費拡大を行なえるだけの著しいストックがあるのだ。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160304/1727620.html
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中国、軍事予算増大を決定[スプートニク日本語]
2016年03月04日 20:38
中国の軍事予算は今年、2015年に比べて7-8パーセント増加する。ロイターが報じた。
全国人民代表大会のフー・イン議長は、今年の中国の軍事予算は再び増大するが、以前ほど急速ではない、と述べた。
昨年、中国の軍事支出は2014年比で10.1パーセント増加の1350億ドルだった。
日本は北朝鮮が国際社会に耳を傾け、国連安全保障理事会決議の採択による制裁強化で、今後は挑発的な行動を慎むようになると期待している。日本の安倍晋三首相が述べた。
国連安全保障理事会は北朝鮮の最近の核実験やミサイル発射に対し、北朝鮮に対する制裁を強化することを定めた、かつてないほど厳しい決議を採択した。ロシア、中国も制裁に賛成した。しかし、他ならぬ両国の努力のおかげで、厳しさと健全な理性との間のバランスを見つけることができた。東洋学者のアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏はそう見る。
「ロシアと中国のアプローチは周知のものだ。ロシアの国連大使ヴィタリー・チュルキン氏も安全保障理事会で繰り返したように、北朝鮮に対する新たな制裁は、その核・ミサイル能力の開発を制限する必要があるが、経済の民間部門に影響を与え、生活水準の低下にはつながってはならない。だからこそ北朝鮮に対する新たな複合的制裁については、2ヶ月という、前例のない長い期間を使って合意がなされたのだ。先に米国と中国がある種の妥協にこぎつけたのだが、それがロシアには納得できないものだった。ロシアはさらなる努力により、広範な制裁を緩和しえたばかりか、朝鮮半島における自国の経済的権益を保護することに成功した。新しい制裁は、核ミサイル計画に関連していないところでの、北朝鮮とロシアの経済協力には影響しない。具体的には、制裁は北朝鮮のラジンにある底の深い、不凍の港には及ばない。ロシアは港に向けて鉄道54キロを敷設し、49年の年限で埠頭を租借し、港湾設備を近代的し、それを通じてロシアの商品を輸送し、海路によるアジア太平洋地域の各地への輸出につなげているのである。北朝鮮はこのプロジェクトにおけるロシアの完全なパートナーであるので、これで民間経済が維持されることになる。ロシアは客観的に北朝鮮経済の民間部門に影響を与える可能性のある一連の分野別制裁の軽減に成功している」
残る問題は、制裁がどのように解釈されるかだ。欧米諸国は最大限拡大解釈するだろうし、ロシアや中国は正確に書かれた文言を厳守するだろう。
米国の国連常任代表サマンサ・パワー氏によれば、北朝鮮に対する厳しい経済制裁が新たに導入されたのにも関わらず、米国は北朝鮮が核開発計画を放棄することを期待していない。このことは驚くべきことだ。新たな制裁措置の本当の目的は何か。制裁のもつ戦略的な諸相について、ヴォロンツォフ氏は次のように述べた。
「米国は攻撃兵器やミサイル防衛システムTHAADを含め軍事ポテンシャルを地域に確立するためにこの危機を利用している。それらは第一に、ロシアと中国のミサイル防衛力を制限することを目標としている。北朝鮮のミサイル実験は朝鮮半島へのTHAAD配備の正当化を模索する米国を利しただけだ。北朝鮮の政権交代という目標ももちろん、隠しだてできない。したがって、新たな制裁に対する北朝鮮の反応も予測可能だ」
北朝鮮は新たな決議を米国からの圧力の下で採択された不当なものであるとして受け入れを拒否し、「主権を保護するのに必要な」ミサイルおよび核プログラムを継続するだろう、とヴォロンツォフ氏は述べている。
辺野古は、単独で処理できる問題ではなく、普天間基地の使用停止(返還)が関わる難解な連立方程式である。
だから、安倍首相は、気持ちとして反対であっても、現時点で辺野古への移転を断念すると言うわけにはいかない。それは、普天間基地の継続使用を意味するからである。
辺野古移転が20年近くも実現していないことから、米国政府も、辺野古移転についての見解で“内部分裂”を起こしている。
日本政府に期待しつつも、辺野古への移転はムリだろうという見方が大勢を占めるようになっており、「辺野古をあきらめ普天間を継続して使う」という考えがある一方、危険な普天間の継続使用は沖縄県民の反米意識や“独立志向”を一段と高めてしまい、すべての基地が使えなくなる危険性もあるという“健全な”見方もされている。
昨日の和解でもっとも大きな収穫は、辺野古問題の時間軸を沖縄県知事選があった14年秋まで戻したことである。
普天間基地の固定化につながってしまうタイミングで“沖縄県勝訴”の結論を出すわけにはいかないから、今後しばらく協議や折衝を積み重ね、裁判に至るまでの時間を稼ぐほかない。さらに、裁判もだらだらと引き延ばす。
しびれを切らしながらも“賢明な”米国側から「普天間も辺野古も諦める」という申し出があればベストだが、国民運動と政府の交渉でその方向に動かす努力をしばらく続けるしかないだろう。
普天間基地の使用停止が現実化した段階で、政治力を使って“沖縄県勝訴”の判決を出させ、政府は和解の約束を守り司法の判断に従って辺野古での基地建設を断念すると表明するほかないように思う。
※関連参照投稿
「名護市長“計画断念を” 防衛相“変更せず”:日米安保破棄が多数派にならない限りこのような芝居で時間を稼ぐしかない日本」
http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/550.html
「翁長さん、安倍さん、猿芝居をぎりぎりまで続けてください」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/401.html
「日米首脳会談で「沖縄県知事は辺野古移転に反対」と「普天間基地の5年以内の運用停止」の二つを明確に語った安倍首相に“敬意”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo184/msg/146.html
「沖縄県知事の決定 国交省が一時停止決定:翁長知事「断じて容認できない」:どちらかに決着が付いてしまう裁判は最大限先延ばし」
http://www.asyura2.com/15/senkyo195/msg/573.html
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辺野古をめぐる国の和解案受け入れ、果たして意味があるのか[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年03月04日 21:16(アップデート 2016年03月04日 21:53)
徳山 あすか
4日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐる代執行訴訟で、国は福岡高裁那覇支部が示した和解案を受け入れた。これにより国と沖縄県との間で和解が成立、辺野古沖の埋め立て工事はいったん中止されることになる。翁長沖縄県知事は、午後の安倍首相との会談で、和解の成立について大変意義があると述べた。
安倍首相は和解案を受け入れた理由について、首相官邸で記者団に対し「辺野古移設が唯一の選択肢であるとの国の考え方に、何ら変わりはありません。しかし国と沖縄県が延々と訴訟合戦を繰り広げているこの関係が続いていけば、結果として膠着状態となり、家や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間基地の、そして沖縄の現状がこれからも何年も固定化されかねません」と語った。
和解をどのように評価したか、スプートニクは赤嶺政賢(あかみね・せいけん)衆議院議員に見解を伺った。
赤嶺議員「今回の和解に政府が応じるとしたのは、強権的な手法で県民の民意を押しつぶそうとした安倍内閣の手法が破綻したことを意味していると思います。工事中止にまで追い込んだわけですから、これは県民の団結と、日本全国の沖縄問題に対する意識の高揚が政府を追い詰めた結果だと思います。本当にこの問題を解決するためには建白書(2013年1月に安倍首相へ提出済)に基づいて、政府は辺野古への新基地建設を断念し、普天間基地の閉鎖・返還を実行に移すべきです。」
スプートニク「国は昨年夏にも1ヶ月間工事を中止し沖縄県と集中協議を行いましたが、物別れに終わりました。今回は問題解決に向け期待ができるでしょうか。」
赤嶺議員「いえ、政府が、『辺野古が唯一の選択肢』だということを振りかざす限り、円満な話し合いはできないと思います。県民はこれを絶対に受け入れません。政府こそ、沖縄の建白書を受け入れるべきだというのが、私たちの主張です。」
安倍首相は円満解決に向けて沖縄県との協議を進めていくとしているが、辺野古沖を埋め立てて新基地を建設することが国の唯一の選択肢である以上、円満協議はあり得ない。和解案では、並行して行われている三件の訴訟を国と県それぞれが取り下げるが、話し合いで解決できない場合に再度新しく訴訟を起こし、この一本化された裁判の結果に、双方が従うこととなっている。つまり、訴訟が集約されることになるだけで、協議で解決できず司法に判断を委ねるという状況に何らの変化はない。
韓国のヨムハップ通信によれば、北朝鮮の指導者、金正恩(キムジョンウン)第一書記は「いつでも核弾頭を発射できるように準備するよう」指示した。
朝鮮中央通信の報道によれば、金正恩第一書記は「国が大変危険な状況に置かれている事から、朝鮮民主主義人民共和国は、先制攻撃の準備ができているように、自国の軍事ドクトリンを見直す」と述べた。
こうした声明は、金正恩第一書記が軍予備砲兵部隊に実戦配備される新型ロケット砲の試験発射の視察時になされたものだ。
3日、北朝鮮のマスメディアは「朝鮮民主主義人民共和国は、半島東岸から日本海方面に、短距離ミサイルを数発発射した」と報じたが、いつそれがなされたかについては、伝えていない。
「北朝鮮の指導者「核兵器をいつでも使えるよう準備せよ」」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/286.html
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北朝鮮が声明「断固たる措置」 米など強く威嚇[NHK]
3月4日 19時11分
北朝鮮は4日夕方、政府声明を発表し、国連安全保障理事会の新たな制裁決議を非難したうえで、「物理的な対応を含むあらゆる手段を総動員して断固たる措置をとる」などと主張し、アメリカなどを強く威嚇しました。
北朝鮮の国営メディアは4日夕方、政府報道官の声明を伝え、国連の安全保障理事会で北朝鮮に対する新たな制裁決議が採択されたことについて、「わが国を孤立させるための最も露骨で、最も極悪な国際犯罪だ」と非難しました。そのうえで、「われわれの自主権と生存権を踏みにじるなら断固たる対応をとる。強力で無慈悲な物理的対応を含むあらゆる手段を総動員する」などと主張し、アメリカなどを強く威嚇しました。
さらに「朝鮮半島とその周辺で誰も望まない事態が起きた場合、アメリカをはじめとする大国とその追従勢力、そして決議に加担した者たちがその責任をとることになる」と述べ、「決議に加担した者たち」という表現を使って、名指しを避けながらも中国も批判したとみられます。
北朝鮮の国営メディアは4日、キム・ジョンウン(金正恩)第1書記が「国家防衛のために実戦配備した核弾頭をいつでも撃てるように準備しなければならない」と述べたとも伝えており、アメリカなどに対抗していく姿勢を内外に強調しています。
韓国大統領「北朝鮮は誤った妄想捨て変化を」
韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領は4日午後、韓国軍の任官式での演説で、「韓国政府は国際社会と緊密に協力し、北朝鮮が核を諦めて国際社会の一員となるまで、あらゆる制裁措置を取っていく。北朝鮮の政権が核兵器が体制を保障するという誤った妄想を捨てて、1日も早く変化するよう促していく」と述べ、国際社会と連携し、北朝鮮への圧力をさらに強めていく姿勢を示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160304/k10010431701000.html
中国の高官は、アメリカの対北朝鮮政策が北朝鮮の核開発に影響を与えているとの認識を示したうえで、6か国協議を通じて核問題を解決すべきだと改めて訴えました。
中国で5日から始まる全人代=全国人民代表大会を前に、全人代の傅瑩報道官が4日、北京で記者会見しました。
この中で傅報道官は、北朝鮮の核開発問題について、「中国は、朝鮮半島の平和と安定、中国と周辺国の安全と利益を脅かす北朝鮮の核開発に断固として反対だ」と述べました。
一方で、「朝鮮半島は休戦協定があるだけで平和協定が締結されていない」と述べ、平和協定の締結に向けた話し合いに応じていないアメリカの対北朝鮮政策が、自国の安全保障だと主張する北朝鮮の核開発に影響を与えているとの認識を示しました。そのうえで傅報道官は、6か国協議を通じて北朝鮮の核問題を解決すべきだと改めて訴えました。
報道官 南シナ海での軍事的な動きを正当化
また,、傅報道官は、中国が南シナ海で活発化させている軍事的な動きについて「中国本土から遠く防御能力を備えるべきで、必要な防御措置や設備が必要だ」と述べ、自国の動きを正当化しました。
そして、アメリカ軍が南シナ海を含むアジア太平洋地域に最新の艦船や軍用機を展開していることを挙げて「アメリカの言動が中国人を刺激し反感を招いている。中国国民は島の拡張を支持している。軍事化とは何を指すのか、アメリカの行動こそ軍事化ではないのか」と述べ、アメリカをけん制しました。
中国の軍事拠点化の懸念 強まる
南シナ海ではフィリピンやベトナムなどが領有権を主張するなか、中国がほぼ全域の管轄権を主張して海洋進出の動きを強めており、軍事拠点化の懸念も高まっています。
このうち、南沙(スプラトリー)諸島では、2014年ごろから中国が7つの浅瀬を大規模に埋め立て人工島を造成し、主権の主張を強めています。
アメリカのシンクタンクCSISによりますと、ファイアリークロス礁では、戦略爆撃機も離着陸できる3000メートル級の滑走路がほぼ完成しているほか、スビ礁やミスチーフ礁でも滑走路を建設する動きがあるということです。
さらに中国は、クアテロン礁やガベン礁など4つの人工島で、空と海を監視するレーダー施設の建設を進め、監視能力が南シナ海全域に広がる可能性が指摘されています。
また、中国が全域を実効支配している西沙(パラセル)諸島でも戦闘機が派遣されたほか、先月には最新型の地対空ミサイル部隊が展開されたことが確認されています。
こうした動きに対しアメリカ軍は去年10月以降、南沙諸島にある人工島の12海里以内や西沙諸島の島の周辺に2度イージス駆逐艦を派遣するなど、中国の海洋進出の動きをけん制しています。
一方、中国政府はこれまで、「島に必要な国土防衛施設を配置することは、国際法で与えられた自衛権の行使であり完全に正当だ」としたうえで、アメリカ軍の活動が軍事化を招くと主張しています。
南シナ海を巡っては先月、ASEAN=東南アジア諸国連合の非公式の外相会議でも、中国の活動を念頭に「南シナ海で最近進行している状況に深刻な懸念を表明する」とする議長報道声明が発表され、軍事拠点化への自制が呼びかけられています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160304/k10010431671000.html
東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、2012年9月に原子力規制委員会ができた。それまでは原発の推進と規制の両方を経済産業省が担い、規制は形ばかりになっていた。規制委は電力会社や行政からの「独立」を大原則に掲げ、新基準をつくり安全審査を進める。だが「孤立」の批判もあり、国民からの信頼回復は道半ばだ。(文中敬称略)
「福島原発事故から短い年月で規制の独立性や透明性を確保したことは評価できる」。今年1月、国際原子力機関(IAEA)の専門家チームは2週間にわたり規制委の審査体制などを調べた。団長を務めたフランス原子力安全局委員のフィリップ・ジャメはひとまず合格点をつけた。
「なれあい」断つ
福島の事故は「アクセルとブレーキが一緒」という世界を見渡しても異常な原発行政の下で起きた。01年の省庁再編で原発を推進する経産省に旧原子力安全・保安院が置かれ規制の実務を担った。専門家組織の旧原子力安全委員会も役割があいまいになった。
「規制当局が事業者の虜(とりこ)になり、監督機能が崩壊していた」。国会の福島原発事故調査委員会(委員長黒川清)は行政と電力業界のなれあいが「事故の根源」と断じた。
こうした指摘を踏まえて誕生したのが規制委だ。当時の民主党政権は環境省の部局として原子力規制庁を設ける案をまとめたが、野党だった自民・公明両党は行政からの独立性が高い国家行政組織法上の「3条委員会」を主張。両案を折衷する形でいまの規制委と事務局の規制庁ができた。
発足から3年半。IAEAの評価とは裏腹に、経済界や電力業界には規制委への不満や不信がくすぶる。
ひとつが安全審査が長引いていることだ。規制委は13年7月に新規制基準を定め、電力会社はこれまでに16原発26基の審査を申請した。だが審査をほぼ終えたのは5基だけ。経団連会長の榊原定征は「原発の長期停止は化石燃料の輸入増などで国にとり損失。審査の加速が必要だ」と規制委をやり玉に挙げる。
電力会社も活断層をめぐる規制委の判断に疑念を強める。規制委の専門家会合は日本原子力発電敦賀2号機と北陸電力志賀1号機で、直下に活断層の存在が疑われるとした。活断層の真上に原発は建てられず、確定なら廃炉になる。
これに対し電力会社側は「活断層とは断定できない証拠を示しても規制委は聞く耳をもってくれない」(北陸電力)など、規制委への不満をあらわにする。
こうした声を受け、規制委も電力会社首脳と意見交換するなど「対話路線」を強めてはいる。「一定の距離を保ちながら聞くべきことは聞くし、言うべきことは言う」(規制庁幹部)
だが審査の長期化や活断層判定をめぐる疑義は、対話不足が原因なのか。「人材や専門能力の不足」(IAEAの調査報告)が根底にあることは否めない。
約100基の原発がある米国では原子力規制委員会(NRC)は約3千人のスタッフを擁する。一方で日本の規制庁は定員が968人。旧保安院や所管法人からの移籍組では足りず、50人弱の定員割れが続く。国内の原発は米国の約半分だが、人員は十分ではない。
住民に説明不足
原子力規制に詳しい法政大学大学院客員教授の宮野廣は「専門知識をもつスタッフが委員を支える体制もできていない」と話す。米NRCは委員1人に10〜20人のスタッフがつき、技術的な検討を経て委員が合議する。一方、日本では5人の委員が縦割りで、合議の雰囲気は薄い。「これでは稼働後の検査や事故への対応に懸念が残る」(宮野)
規制の意味や審査経過を住民に説明する場もほとんどない。東電柏崎刈羽原発がある新潟県の知事泉田裕彦は「事故時の住民避難など防災計画に規制委がもっと関与すべきだ」と再三求めてきた。だが規制庁は「防災計画は内閣府の所管」と議論がかみあわない。
規制委の設置法には「発足から3年以内に組織を見直す」との付則が盛られた。これを受け自民党は昨年8月、「国会の特別委員会で規制委の監査・評価機能を強める」と提言したが、組織の見直しは見送った。
山積する課題にどう向き合うか。「3年」にこだわらず、組織のあり方について不断の議論が必要だ。
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電力業界も自主規制組織 実効性の確保、不透明
原発の安全性をチェックするのは規制当局だけの役割ではない。米国では79年のスリーマイル島原発事故を教訓に、事業者が相互に安全性を監視する自主規制組織ができた。日本でも電力業界が自主安全組織を設け、米国をモデルにした安全策強化に乗りだした。
米国では中小を含む電力会社が出資し「原子力発電運転協会(INPO)」を設けた。原発を定期的に検査し、安全対策をランク付けする。評価結果は事故に備えて各社が掛ける損害保険料に連動し、評価が高い原発は保険料が安くなる。これを動機付けに安全向上を競わせる仕組みだ。
日本の電力業界も12年、INPOをモデルに原子力安全推進協会(東京・港)を発足させた。メーカーや電力会社から190人の技術者らを集め、原発ごとに安全性を点検。対策が不十分と判断すれば運転停止を勧告する権限も持たせた。
同協会理事長の松浦祥次郎(元原子力安全委員長)は「規制委は安全の規範をつくる。電力各社がそれを超える努力をするように協会が厳しく導く仕組みをつくり役割分担したい」と話す。
だが実効性を確保できるかは不透明だ。米国のように評価結果を保険料と連動させる仕組みは「導入時期は未定」。電力自由化で電力会社が厳しい競争にさらされるなか、運営資金や人材を安定的に確保できるかも保証がない。
原子力の信頼回復について提言してきた東北大元学長の阿部博之は「原発の安全を専門家任せにせず、原子力以外の研究者や住民、自治体の声を反映させる仕組みが欠かせない」と訴える。フランスなどが設けたように、住民や自治体が加わり安全向上を話し合う場づくりも考えるときだ。
編集委員 久保田啓介が担当しました。
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安全の実績、積み重ねる 原子力規制委員長 田中俊一氏 電力経営陣、福島を見よ
発足から3年半たつ原子力規制委員会をどう振り返り、今後の課題は何か。田中俊一委員長に聞いた。
――自身で「規制委はよちよち歩きの3歳児」と例えています。
「法律(設置法)の条件のもと最大限の努力をしてきたし、国際原子力機関(IAEA)も評価してくれた。だが規制基準が完全なものか、まだ議論がある。規制が文字だけでなく実態として事業者に受け止められているか、審査が国民の信頼を得ているかという点でも未熟だ。欧米の規制機関はスリーマイル島原発事故など苦い経験を積み、審査や検査を磨いてきた。欧米から学ぶことは多い」
「日本の基準は国際的にみて厳しいが、日本が立派とは口が裂けても言えない。福島原発事故の影響でドイツが原発撤退を決めるなど、世界のエネルギー政策に大きなダメージを与えた。規制責任者としてこの事実を忘れずに国際社会と謙虚に向き合っていく」
――経済界は審査が遅いと批判しています。
「一部の人はそうみるかもしれないが、客観的にみて遅くない。原発でトラブルが起きれば重大事故でなくても再稼働まで1、2年かかる。福島事故から2年強で新基準ができ、その2年半後のいまは4基が再稼働している。海外の規制当局者の多くが『想像を絶する速さ』と驚いている」
――規制庁は定員割れし、規制委も合議制を生かしていないとの批判があります。
「人材不足は非常に深刻だ。メーカーや電力会社などから絶えず人集めをしているが、絶対数が足りない。軍の技術者が人材供給源になっている米国とは事情が違う。長い目でみても日本には原子力の基盤を支える人材が足りない。規制委・規制庁だけの対応では限界があり、政府全体で解決策を考えてほしい」
「米原子力規制委員会(NRC)は有能なスタッフが委員を支える体制であることは確かだ。しかし日本は法律の枠組みが違い、法律を変えないとNRC型の運営はできない。そもそもNRCのような運営がいいのかは議論の必要があり、それはいまの時点で言い出すことではない」
――規制委は「安全神話」を超えた安全の姿を示し、国民と対話できているのでしょうか。
「事故の確率を数値で示し、リスクをきちんと伝えるべきだと主張する専門家がいる。そうした考え方を否定しないが、数値をどう示したところで国民の信頼や納得は得られない。原発に賛成か反対かという立場が違えば、それぞれが都合よく解釈するからだ」
「審査に合格した原発が安全に稼働するという実績を積み重ねてこそ、国民から信頼される。再稼働した川内原発や高浜原発は次の定期検査までトラブルゼロで運転してもらう。事業者もそうした努力を重ねて、国民から信頼されるようになる」
――今後、電力会社に何を求めますか。
「規制基準は最低限の要求で、それを超えて安全性を高めるのは事業者の責務だ。トラブルなしで稼働率が上がれば事業者の利益になり、安全確保の動機付けになる。米国では事業者が設けた原子力発電運転協会が自主的に安全性をチェックし、規制当局から信頼されている。これはひとつの理想だ。日本にできた原子力安全推進協会も役割を果たすよう期待したい」
「東京電力だけでなく、原発をもつすべての電力会社の経営陣が福島第1原発を重ねて見てほしい。避難指示が解除されて他の原発の再稼働が進んでも、日本は原発事故の重い教訓を背負い続ける。これはすべての原子力関係者が忘れてはならないことだ」
[日経新聞2月28日朝刊P.11]
高速増殖炉「もんじゅ」維持費に年200億円は高いのか? 資源のない日本で考える〈原子力の専門学者座談会 御用学者と呼ばれて(1)〉
トラブルが続く高速増殖炉「もんじゅ」。往年の「夢の原子炉」への期待がウソのように危険視されている。そこに原子力規制委員会の勧告。日本はもんじゅから手を引くべきなのか。正論を述べるがゆえに「御用学者」と誤解されることもある専門家が語り合った。
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福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」。使った以上に燃料のプルトニウムが増殖する「夢の原子炉」のはずが、1995年12月8日のナトリウム漏洩事故以後、ほとんど動いていない。原子力規制委員会はついに、運営を日本原子力研究開発機構(JAEA)に代わる主体に委ねるよう、馳浩文科相に勧告した。核燃料サイクル戦略の中核が、存続が危ぶまれる事態に陥ったのだが、実際にもんじゅは危険なのか。核燃料サイクル戦略に未来はないのか。澤田哲生氏を進行役に、専門家たちが本音で議論した。
***
【澤田哲生/東京工業大学助教(原子核工学)】 最初に、もんじゅに期待されていた役割を整理しておきます。日本が原子力に突き進んでいった根源的動機は、資源小国だからです。戦後の復興は製造業の発展に支えられ、それには大量の電力が必要で、オイルショック後、原子力を有力なオプションとして選んだ。そんな中で、日本にたくさんある軽水炉と違い、使える燃料をさらに増やして有効活用できるのがもんじゅです。日本はそこにチャレンジし、世界のトップを走っていました。すでに1兆円以上が投じられ、今後も維持費が毎年200億円ほどかかると言いますが、それは高いのでしょうか。
【岡本孝司/東京大学大学院工学系研究科原子力専攻専攻長・教授】 日本には資源がないですが、核燃料サイクルをやると、もんじゅが鉱山になり、それをうまく使えば、日本は100年単位でエネルギーを心配しなくてすむ。今、原子力をやめて石炭とLNG(液化天然ガス)を焚いているので、燃料代が年間10兆円近くかかっていますが、その10%、20%でも、もんじゅ鉱山に置き換えられれば安いものです。20年前にナトリウム漏洩事故が起きなければ、今ごろもんじゅがプルトニウムを生産し、あと100年エネルギーの心配は要らない、という話になっていました。今は次の20年をどうするかを考えるべきです。
【澤田】 アメリカは昔からエナジー・インディペンデンス(自給化)を重要課題に掲げ、図らずもシェールガスが出たことで、向こう100年自給できることになった。日本も高速炉を核燃料の鉱山にできれば、自給率を上げられます。軽水炉は燃料の輸入が必要ですが、高速炉も使えば新たなエネルギー源を得られる。これは何ものにも代えがたい価値があると思います。
【高木直行/東京都市大学大学院共同原子力専攻 工学部原子力安全工学科原子力システム研究室教授】 ちょっと違った観点からお話しします。核分裂すると中性子が複数個出てきて、一つは臨界を維持してエネルギーを出し、発電するために使う。もう一つは、燃料でない物質に当てて燃料を作ることに使える。その際、スピードの速い中性子を使うので高速増殖炉と呼ぶんです。また最近、廃棄物の燃焼という価値も加わっている。高速炉には中性子が豊富にあり、臨界を維持しながら燃料を作れて、さらにゴミに中性子を当てて燃やすこともできる。もんじゅはそういう研究開発にも利用しましょう、という流れになっています。
【澤田】 高速炉1基で軽水炉数基分のゴミを焼却できる、というイメージですね。
【高木】 はい。ですからナトリウム漏洩事故を起こすまでは、電力会社も力を入れていました。発電と増殖を目的に安い高速炉を作ってやっていくんだと。
■中国とインドに抜かれた
【奈良林 直/北海道大学大学院工学研究院教授】 結局、ウランがなくなると軽水炉も成り立たない。そこで軽水炉が出すプルトニウムを回収し、それで高速炉を運転して、ウラン238をプルトニウム239に変えながら次の燃料サイクルに移行していく、というのが当初の目的でした。使っていないウラン238を有効活用し、人類2500年分のエネルギー供給を可能にするという壮大なプロジェクトです。ところが研究炉「もんじゅ」はナトリウム漏洩事故を起こし、なかなか動かせなくなった。10年にも金具が外れて中継装置が落ち、福島の事故でも基準が変って運転できずにいる。しかし、エネルギーをしっかり確保しようとする国は、高速炉を動かしています。
【高木】 中国はFBR(高速増殖炉)の試験炉を建設し終え、インドも出力50万キロワットのPFBR(高速原型炉)が臨界間近。ロシアではBN‒800が先日、送電を開始しました。フランスはアストリッドという工業用実証のための改良型ナトリウム炉を開発、建設する計画に精力的です。
【岡本】 先日、中国の大学に行くと、オリジナルで設計した高速炉の模型があって、大洗のJAEAで勉強した中国人准教授が熱心に研究し、中国はエネルギー源が必要なので軽水炉だけでは足りないと話していました。今、中国のエネルギーのうち原子力の割合は1%以下ですが、毎年、東シナ海沿岸に4基、5基と作っている。それでも不十分だということで、高速ガス炉や高速増殖炉などを作ろうとしているんです。
【高木】 新型の増殖炉に関しては、中国とインドに抜かれそうですね。
【岡本】 もう抜かれています。
【高木】 ベンチャーの話もさせてください。アメリカはFBRから撤退しましたが、高速中性子を使う原子炉が必要だという認識は今もあって、再処理なしにウランを効率的にプルトニウムに変えて多くのエネルギーを得る、という概念のベンチャー研究は行われています。あのビル・ゲイツが筆頭オーナーの企業、テラパワーもそういう研究を行い、中国も関心を示しています。
【岡本】 もんじゅは、いったん燃料を取り出して再処理しますが、アメリカのは取り出さずに、そのまま燃やしちゃおうというもの。本当なら3%くらいしか燃えないのを、50%くらい燃やしちゃうんです。
「特別読物 原子力の専門学者座談会 御用学者と呼ばれて 第12弾 高速増殖炉『もんじゅ』と日本の核燃料サイクル」より
•
• 2016年1月28日号 掲載
• ※この記事の内容は掲載当時のものです
http://www.dailyshincho.jp/article/2016/02020405/?all=1
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世界ではおかしくなってきたら取り替える、日本では「1年経ったから」取り替える 〈原子力の専門学者座談会 御用学者と呼ばれて(2)〉
1995年12月8日のナトリウム漏洩事故以後、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」はほとんど動いていない。ついには、運営を日本原子力研究開発機構(JAEA)に代わる主体に委ねるよう、原子力規制委員会からの勧告もなされた。日本はもんじゅから手を引くべきなのか――時に“御用学者”と誤解をされる、4名の専門家たちによる座談会である。
***
【澤田哲生/東京工業大学助教(原子核工学)】 では、もんじゅは安全なのでしょうか。関係者に聞くと、安全かどうか以前に悪いイメージがついている。20年前のナトリウム漏洩事故は、現場のビデオ映像隠しもあり、事件のように扱われました。10年5月に再度臨界を達成しましたが、炉内の中継装置が落下。チョンボ続きです。しかし、私自身、高速炉の研究からこの世界に入ったのですが、ナトリウム高速炉は軽水炉にくらべて固有の安全性が格段に高い。
【岡本孝司/東京大学大学院工学系研究科原子力専攻専攻長・教授】 ナトリウム漏れは原子炉本体とは関係ない温度計や管の設計ミスで、不正会計問題を起こしたT社の子会社のチョンボです。その後の炉内中継装置の落下もメンテナンスのからみで、運転せずに機器が古くなったので取り替えた際、溶接に不具合があった。工学的に基本的なところでチョンボが続いたのは残念です。
【澤田】 設計を含めた保全保守に手が回っていなかったのは問題ですが、そのトラブルが原子炉の安全性にどう関わるかです。原子力規制委員会、原子力規制庁は、関連性があるような勧告の出し方でしたが。
【岡本】 安全とはほとんど関係のないところです。
【澤田】 専門家の目から見るとそうなんですが、勧告が出れば、世間は安全性に問題があると誤解します。
【奈良林 直/北海道大学大学院工学研究院教授】 フランスなど高速増殖炉で、20回も30回もナトリウムを漏洩させている。形状や溶接が原因でトラブルが発生しているんですが、それも運転を継続する中でわかることです。
■世界一遅れた日本の規制
【澤田】 それに、不具合が炉心の安全性を脅かすかどうかを考える必要がある。
【奈良林】 もんじゅの関係者に、なぜこんなに非難囂々になったのかと聞きました。彼らは最初、保全プログラムを軽水炉のそれをまねて作ったそうですが、点検を繰り返すと、高速炉用のプログラムを作らないといけないとわかった。それを規制委員会に出そうとしたら、「じゃあ、今までのは全部ダメなんですね」と、すべて保安規定違反にさせられた。軽水炉に準じたプログラムに違反していることがやり玉に挙げられ、肝心の点検が全然できていないというんです。180台のテレビカメラが点検できていないというのも、安全とは関係ない。全世界の保全プログラムと比較し、日本の規制の問題点を挙げていかないと、世界一遅れた日本の規制は直りません。
【岡本】 アメリカでは、事業者の創意工夫で発電所をどんどん安全にしていくメンテナンス・ルールを決めています。そこでは守るべきは厳しく守り、それ以外は壊れたら直す。自転車に乗っていてベルが鳴らなくなっても、交換すればいいだけの話です。だけど日本のプログラムでは、ベルが壊れたら全部をチェックする。世界ではおかしくなってきたら取り替えるのに、日本では「1年経ったから」「3年経ったから」と言って取り替える。創意工夫の「創」の字もなく言われた通りにやるだけでは、発電所はどんどん危険な状態になりますが、規制庁に怒られるので、安全よりも保安規定を守ることが重要になってしまっている。
【澤田】 保安規定と安全確保とは、ちょっと違う。
【岡本】 全然違います。規制委員会から文句を言われているのは、安全と関係ない周辺のこと。保安規定にも重要な部分とそうでない部分があり、後者は品質保証の問題であったりする。たとえるとハンコの有無などどうでもいいのに、書類に1万個のハンコが押してないと言って規制委員は怒っている。こうして書類上の不備ばかり突いても発電所は安全になりません。保全の本質は、トラブルがあったときにどう対処するかですが、規制委員会はトラブルゼロを求める。保全の本質に忠実であれば、フランスのようにナトリウムが20回漏洩しても、経験を積むことができますが、もんじゅの場合、一つのトラブルですべて止まってしまう。
【澤田】 失敗はつきもので、それを次にどう生かすかが重要なはずです。
【岡本】 大きな失敗は絶対にしてはいけないけど、小さな失敗を重ねると大きな失敗をしなくなる。子供もそうやって成長しますよね。
■規制庁の役人は原子力の素人
【高木直行/東京都市大学大学院共同原子力専攻 工学部原子力安全工学科原子力システム研究室教授】 私が一番言いたいのもそこで、原型炉もんじゅは、失敗から学んでいいものを作るという役割を担っている。車のプロトタイプと同じなのに、1回の失敗も許さない雰囲気では、新しい技術の芽が摘まれてしまう。福島第一原発が絶対安全だと言わざるをえないムードになっていたのと似ていて、もんじゅも「何も問題を起こしません」と言わざるをえないムードです。でも、これから再稼働すれば必ずトラブルはある。そこから学んでいく、という原子炉プラントの位置づけを理解したうえでの規制でないといけません。
【奈良林】 保全について補足すると、よりよく点検するためのルールを規制庁に提案すると、その行為自体が保安規定となり、達成できないと法令違反とされる。アメリカNEI(原子力エネルギー協会)は「あれだけの事故を起こしながら、日本の規制は福島以前より悪くなっている」と言っています。書類の誤字脱字やハンコの有無ばかり確認するような検査をしていると、福島のような、津波が入ったらECCS(非常時冷却装置)が全滅するといった根本的な問題は見つけられません。私が会長の日本保全学会で、それが福島の反省事項ですよ、という報告書を作って、規制庁に持って行ったんですが、今になってみれば、彼らは全然反省していない。
【岡本】 それから、規制庁の役人は原子力の素人で、一方、規制委員は専門家です。規制委員は事業者とじかにコミュニケーションを取れず、規制庁の役人の言っていることだけで判断しているから、まさに裸の王様になっている。事業者は、原子力発電所を危険なものにするつもりなんて毛頭ないのに、規制委員は彼らと議論をしない。たとえば台湾では、規制する側と事業者が激しく議論したうえで、すごく改善しています。
「特別読物 原子力の専門学者座談会 御用学者と呼ばれて 第12弾 高速増殖炉『もんじゅ』と日本の核燃料サイクル」より
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• 2016年1月28日号 掲載
• ※この記事の内容は掲載当時のものです
http://www.dailyshincho.jp/article/2016/02030410/?all=1
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「田中俊一原子力規制委員長は総理大臣よりも偉い」規制委員会の越権行為を指摘 〈原子力の専門学者座談会 御用学者と呼ばれて(3)〉
時に“御用学者”と誤解をされる、4名の専門家による座談会。原子力規制委員会が、馳浩文科相に対して行った勧告は、高速増殖炉「もんじゅ」の運営を日本原子力研究開発機構(JAEA)に代わる主体に委ねるべき、というものだった。この勧告に対し、岡本氏は“もんじゅの安全性とは関係がなく、世間に誤解を与えてしまう”と指摘。今回は、規制委員会という存在を考える。
***
【澤田哲生/東京工業大学助教(原子核工学)】 モノの本質が見えていない規制委員会が、もんじゅに関する勧告を出したわけですが、安全を監視すべき規制委員会が、運営主体を交代しなさいと勧告して、もんじゅの運営に切り込むのはおかしい。
【奈良林 直/北海道大学大学院工学研究院教授】 越権行為です。国の原子力政策を決めるのは国民であり、それを代表する国会、内閣です。ところが一人の人間がこういう勧告を出すと、何十年も続けてきた日本の原子力政策を変えてしまえることがわかった。今、ナトリウムを使った高速増殖炉をハンドリングできるのは、もんじゅをやっているJAEAの人たちしかいません。彼らが力を発揮できるように規制をすべきなのに、全否定してしまっては受け皿がない。それこそ中国やインドの人を連れてくるしか……。
〈※中国はFBR(高速増殖炉)の試験炉を建設し終え、インドも出力50万キロワットのPFBR(高速原型炉)が臨界間近。(1)を参照〉
【岡本孝司/東京大学大学院工学系研究科原子力専攻専攻長・教授】 中国人にやってもらいましょうよ。
【奈良林】 規制委員会がいわゆる3条委員会として、強大な権限を与えられた以上、そのトップは公正で高い見識を持っていることが条件だったはずですが、強大な権限を持つと、『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーそのものになってしまい、誰も逆らえません。
【澤田】 規制委員会の田中俊一委員長は以前、東海村のエネルギー政策のアドバイザーを務めた際、明確に脱原発を打ち出していました。今の立場をたくみに利用して、国家規模で脱核燃料サイクルをやろうとしているのは、いかがなものか。
【岡本】 アメリカならNEIや議会、ACRS(原子炉安全諮問委員会)が監視しますが、日本では自分で勝手にできる。総理大臣でもできないことができる。たぶん日本で一番偉い人です。今回の勧告自体、世界中から「どうしてそうなったの?」と、驚きをもって受け止められ、世界で最も危険な規制をする日本の規制委員会の、実力のなさを示しちゃった。核燃料やナトリウムの安全な運用はJAEAにしかできません。安全とは直接関係ない部分のトラブルを受けて全部変えろとは、原子力を知らない人の言うことです。
【澤田】 保安規定に関して形式的なミスをあげつらって、安全が確保できていないと言っていますが、根拠が示されていません。
【高木直行/東京都市大学大学院共同原子力専攻 工学部原子力安全工学科原子力システム研究室教授】 事業者と規制委員会がもう少しコミュニケーションを取っておけば、事前にやれたことがあったのではないか。通常、勧告が出る前には、相当な根回しが必要だと聞きますが、今回はそれがなかったので特異な感じがします。JAEAは旧原研(日本原子力研究所)と旧原燃公社(原子燃料公社)が一緒になったもので、両者の間には今も確執があるとされ、それが今回の勧告にもつながったという話もありますが。
【奈良林】 13年4月30日付の北海道新聞で、菅直人元首相は、記者の「原発ゼロは、自民党政権に代わり白紙に戻されましたが」という質問に対し、「そう簡単に戻らない仕組みを民主党は残した。その象徴が原子力安全・保安院をつぶして原子力規制委員会をつくったことです」と答えている。彼が狙ったことが、本当に機能しているんです。
■法律違反を指摘して戦えばいい
【澤田】 勧告では、JAEAは「もんじゅを運営する主体として必要な資質を有していない」とされましたが、具体的な判断基準はまったく示されていません。規制委員会設置法第4条第2項に、規制委員会は「原子力利用における安全の確保に関する事項について勧告」できるとは書かれていますが、新たな運営主体を探せというのは、「安全の確保に関する事項」から大きく逸脱しています。
【岡本】 安全と関係ない勧告なのだから、法律違反を指摘して戦えばいい。福島の事故の原因は、真ん中に大きな穴が開いているのに端っこばかり一生懸命突いたからです。今回は、真ん中はちゃんとやっているのに、真ん中はいいから端っこをやれと言っている。これは原子力安全とは100%逆方向です。
【奈良林】 裁判官は法律に基づいて判断を下すので、自分が反原発でも反原発の判決は出せませんが、規制委員長はなんでもできてしまっている。20年間止まっているもんじゅは、機能すべき機能は炉心周りをはじめ自ずと限定され、そこをしっかり見ればいい。また運転中に関しては、もんじゅを動かすときの重要度分類に基づいたプログラムを作らなければいけない。ところが、それをJAEAの人が「作らせてください」と言っても、認めてもらえない。安全にするための提案を否定し、一方的に死刑宣告する。そんな規制委員会ってないと思います。
「特別読物 原子力の専門学者座談会 御用学者と呼ばれて 第12弾 高速増殖炉『もんじゅ』と日本の核燃料サイクル」より
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• 2016年1月28日号 掲載
• ※この記事の内容は掲載当時のものです
http://www.dailyshincho.jp/article/2016/02040410/?all=1
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「日本のエネルギーは100%中国に依存することになる」と予言 〈原子力の専門学者座談会 御用学者と呼ばれて(4)〉
正論を述べるゆえに“御用学者”と誤解されることもある専門家たちが、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」を考える。第1回では資源小国の日本におけるもんじゅの役割を取り上げ、続く2・3回にて、原子力規制委員会がおこなった「事業主体変更勧告」と、規制委員会という組織について語った。最終回となる今回のテーマは、日本の核燃料サイクル戦略の未来、である。
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【澤田哲生/東京工業大学助教(原子核工学)】 仮に、今回の勧告でもんじゅが廃炉に向かうとしたら、日本のエネルギー政策、原子力政策にどんな影響が及ぶでしょうか。核燃料サイクルはフランスのアストリッドと協力してやる話もあるようですが、国内の六ヶ所村などの再処理施設はどうなるのか。エネルギー小国の日本がもんじゅを捨てるのは、あまりにもったいないと思います。
【岡本孝司/東京大学大学院工学系研究科原子力専攻専攻長・教授】 エネルギーを司る役所は経産省と文科省に分かれますが、今回の勧告に関し、経産大臣は「もんじゅは文科省の所管です」とにべもなく語っている。経産省は核燃料サイクルを推進しているはずですが、地震が多い日本では使えないフランスのアストリッドに期待しているのか。そもそも、もんじゅがつぶれたらアストリッドもありません。
【高木直行/東京都市大学大学院共同原子力専攻 工学部原子力安全工学科原子力システム研究室教授】 経産省はもんじゅに見切りをつけ、アストリッドとの協力で核燃料サイクルを進めるというのでしょうか。でも、もんじゅをやめた時点で多くの人は、日本が高速増殖炉開発をやめたと思いますよ。
【奈良林 直/北海道大学大学院工学研究院教授】 もんじゅをやめてしまうと、日本では二度と高速炉を建設できないと思います。ナトリウムを流して高速炉を運転するのは特殊な技術で、日本は30年かけてナトリウムを使える人を育ててきた。それを絶やしてしまえば、アストリッドと協力しても、日本側から適切なアドバイスをする人がいなくなってしまう。
【高木】 福島の事故を受けて規制も変わり、もんじゅもそれに対応することが再稼働の条件になってくる。新基準に対応するのにさらにお金がかかるので、動かす必要があるのかという声が聞こえてきそうですが、今の化石燃料購入額を考えると、その予算は十分に未来に見合う。もんじゅの設計は古いですが、あれを動かすことで重要な知見はまだまだ得られます。
【澤田】 科学技術立国のわが国において、自前のデータを持っているかいないかは、すごく大きな違いです。その意味で宝があるのに、使えない状況にある。
■ウクライナと同じになる
【岡本】 よく脱原発したと言われるドイツでは、今も軽水炉は動いているし、実は、ドイツの研究者が中国にどんどん乗り込んでいるんです。日本も中国で高速炉を作る研究開発に加わるという手はある。冗談で言っているんじゃないですよ。中国人の若手研究者と話して、彼らのほうが本気で研究していると思ったんです。ただ、安全性は日本のものをデッドコピーしているだけなので、改良する必要がありますが。日本にとって他国、特に中国にエネルギーを握られるのが一番やっかいです。日本がエネルギーをちゃんと確保する術を長期的に考えることが重要で、もんじゅというオプションを失くすことはありえません。もんじゅをやめると、今の若い人たちは将来、中国製の安い原子炉を輸入するという選択肢に確実になります。もう予言しておきます。日本のエネルギー・セキュリティは100%中国に依存して、天然ガスをロシアに頼り切っているウクライナと同じ状況になりますよ。
【澤田】 今、身の回りに中国製品があふれていますけど、原子力もそうなると。
【岡本】 ですから、もんじゅという国産の技術を持っておかないと、結局、全部がドミノ倒しの、最初のドミノになってしまいます。
【奈良林】 アメリカにデービス・ベッセの奇跡というのがあります。原子炉の上蓋が腐食して大穴が開くというトラブルがあったデービス・ベッセ原発で、新所長が全職員から1万件の改善提案を集め、重要度分類してNRC(原子力規制委員会)に提出し、すべて実行した。すると職員の意識が俄然前向きになり、全米で最低に近かった運転成績がトップクラスになった。規制当局から1万件の的外れな指摘を受けるか、自分たちが重要だと思う1万件の改善を自ら実施するかの違いです。私は“もんじゅの奇跡”を信じています。
「特別読物 原子力の専門学者座談会 御用学者と呼ばれて 第12弾 高速増殖炉『もんじゅ』と日本の核燃料サイクル」より
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• 2016年1月28日号 掲載
• ※この記事の内容は掲載当時のものです
政府の最終的な意思決定の場となる閣議。内閣制度が始まった明治時代以降、初めての議事録作成と公開が始まって4月で2年が過ぎる。内容をみると閣議後の懇談会を含め閣僚たちで議論を重ねた形跡は少なく、政策決定の過程をたどるのは難しい。形式化ともいえる姿が浮かび上がる。(甲原潤之介)
首相が1年間の方針を国会で述べる施政方針演説。安倍晋三首相の演説を正式に決定した1月20日の臨時閣議はどうだったか。
午前8時53分、閣僚20人が円卓に着席。菅義偉官房長官が開催を宣言し、世耕弘成官房副長官が演説の全文を読み上げた。終わると菅長官が「総理が何度も推敲(すいこう)を重ねた。先日、各大臣に関する部分はお届けし調整した結果を反映している」。発言は出ずに終わり、閣僚懇に移行しても発言はなし。所要37分間のほとんどが演説の読み上げだった。
議事録は火曜日と金曜日の定例閣議と随時開く臨時閣議、閣議後の閣僚懇談会を対象につくる。約3週間でホームページ上に公開する。菅長官は25日の記者会見で「透明性向上や国民への説明責任がより果たされるようになった」と語った。
ただ、重要政策の多くは閣議前に調整済みで、省庁を代表する閣僚間の駆け引きや調整の場面はまず読み取れない。議事録から計算すると、2014年4月の公開開始から今年2月5日まで194回の閣議と閣僚懇を合わせた平均所要時間はわずか12.3分。閣僚懇で発言の無かったのが111回と半数を超えている。
昨年最大の重要法案、安全保障関連法の内容を決めた15年5月14日の臨時閣議は所要時間9分。説明の読み上げに続き、首相が「1日も早い成立に向け取り組む必要がある」と協力を求め、中谷元・防衛相らの説明が記録されただけだ。
情報共有が目的の閣僚懇は比較的発言しやすいはずだが、限界が露呈。1月29日の閣僚懇は、政治資金問題で甘利明経済財政・再生相が辞任表明したのを受け、首相が「来週から予算委員会の審議がスタートする。内閣一丸で厳しい状況を乗り越えたい」。後任の石原伸晃経財相が「アベノミクスの完遂を目指し頑張る」と述べて終わった。
閣僚懇も自由に発言できるわけではない。菅長官は内閣改造後などの初閣議のたびに「議事整理上、発言は原則(事前に)登録頂く。議事録の掲載内容は一任をお願いする」と要請。政府内に「発言しにくくなる」との声が漏れる。閣議、閣僚懇とも録音せず、登録のない発言は要点しか記載されず、丸々カットされる疑念も抱かれかねない。
議事録公開は12年に民主党の野田政権が設けた検討チームで議論が始まり、安倍政権で導入。チームは自由な議論を妨げないよう原則30年間非公開を提案したが、安倍政権は議事要旨を素早く公開する方式を取った。迅速公開を優先し「閣僚の不規則発言を防ごうとして閣議や閣僚懇の形式化が進んだ」(与党関係者)との見方がある。公文書管理制度に詳しい長野県短大の瀬畑源・助教(日本現代史)は「内容が形式的で史料価値は低い」と言う。
閣議の前に調整する閣僚会議の議事録公開を求める声も消えない。菅長官は「結論が出る前に明らかにすると自由な意見交換ができなくなる」と慎重だ。瀬畑氏は「複数の閣僚が集まる会議も議事録公開ルールを作るべきだ。政治家が自らの仕事を記録に残そうという意識をもっと高める必要がある」と指摘する。
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英独では議論の場 公開は「原則30年後」など
閣議が最高意思決定の場となっている議院内閣制の諸外国と比べると、日本の閣議や閣僚懇談会の形式化が際立つ。内閣官房の2012年の調査によると、英国の閣議の所要時間は通常1時間半。ドイツも平均1時間半で、重要政策について閣僚らが実際に討論したり調整したりする会議として定着している。
英国では1916年から議事録を作成。録音をせず担当者のメモを基に作成する点は日本と同じだが、一定期間後に国立公文書館に移管されてから原則公開となる。ドイツの閣議も録音せず、原則30年かけて公文書館に移管される。移管後も秘密指定が解除されるまで一般の利用は制限される。
両国とも閣議で自由な討議をする目的で、公文書館に移管するまでの期間、議事録は秘密扱い。後世の検証のための記録を残しながら、当面は議事録の利用を制限し、閣議を政策決定の伴う議論の場と位置づけている。
[日経新聞2月28日朝刊P.14]
民主政国家の悲劇で、今必要な政策がすぐに実施できるわけではない一方、円安基調になって消費税引き上げの必要がなくなったからといっても、簡単に消費税増税をやめるわけにはいかない。
財務省官僚の気持ちはわかるが、21世紀の現在、国際分業構造やGDP連関を考えると、円高基調や関税引き下げが予想されても、その対策として付加価値税(消費税)の引き上げに動くのは誤りである。
輸出企業といっても内需が売上の半分以上を占めているから、財政拡大で国内需要を増大させるほうが理に適っている。
それはともかく、菅元首相が「ちょうどギリシャ危機も起きて、本音で危機感を持っていた」というのが建前ではなく本音なら、財務省から吹き込まれた話だとしても、財政や経済がまったく理解できていなかったことを意味する。(債務履行に関して、ユーロ建てのギリシャと円建ての日本を比較することはできない)
消費税の税率引き上げは、もっともらしく語られている財政の健全化や社会保障制度の維持とはまったく無関係である。
また、「菅は本格遊説初日となった6月30日、低所得者対策として還付に言及した」とあるが、これは、財務省が消費税対策として“軽減税率(複数税率)”の導入ではなく、「給付」制度の導入を考えていたことを示唆している。
“軽減税率(複数税率)”は、ひとえに創価学会=公明党対策(ついでに新聞社対策)というとんでもない代物である。
この参議院選挙の結果、衆参で多数派が異なるネジレ状況になったが、財務省が菅元首相に消費税増税を焚きつけた“裏の目的”に民主党の力を削ぐことがあったのかもしれない。
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[政 その瞬間]10%を一つの参考にさせて頂く(10年6月 菅首相) 唐突な増税案、参院選に打撃
民主党政権の2010年6月8日、党代表選を制した菅直人が首相に就いた。普天間移設問題の迷走などで辞めた鳩山由紀夫と代わり、内閣支持率は急回復。直近に財務相として財政への危機感を強めた菅は、高支持率を頼みに7月の参院選に向けて踏み込んだ。
6月16日、官邸に政調会長の玄葉光一郎を呼んだ。翌17日は参院選公約の発表日。玄葉によると、菅は発表の記者会見で「消費増税で与野党合意が年内にも得られれば11年か12年に実施したい」と表明する旨を伝えた。驚いた玄葉は再考を促したが菅は「歴史に責任を持ちたい」と力説した。
17日、発表した公約に「早期に結論を得ることをめざし、消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始する」と盛り込んだ。記者会見で菅は「10年度内に改革案を取りまとめたい」。結局、実施時期に触れなかったが、自民党が公約で5%の消費税率引き上げについて「当面10%」と明記したのを踏まえ、菅は「自民党が提案している10%を一つの参考にさせて頂(いただ)く」と初めて税率に言及した。
民主党は政権交代を果たした09年の衆院選のマニフェストで消費税論議を封印し、鳩山は「4年間は消費税を上げない」と言明。党内論議のない中での方針転換に唐突感が広がった。
参院選の争点となった消費増税。菅は本格遊説初日となった6月30日、低所得者対策として還付に言及したが、対象となる年収で発言がぶれる。青森市で「200万や300万円まで」と言った後、秋田市では「300万とか350万円以下」。山形市でも「年収300万円、400万円以下」と二転三転。「生煮え」の印象が定着し同党への不信感を招く結果となった。
発足時70%近くの内閣支持率は7月上旬に5割以下に低下し、参院選は自民党の51議席を下回る44議席の大敗。参院で野党多数のねじれ状態となり、菅は苦しい政権運営を強いられる。
=肩書は当時、敬称略
(宮坂正太郎)
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あまりに準備不足、発言ぶれ悪かった
民主党の玄葉光一郎元政調会長 消費増税の表明は「あまりに準備不足」と伝えたが、菅氏は「自分は歴史に責任を持ちたい」と言った。財務相時代にギリシャ危機などで危機感を持ったのだろう。支持率が高いうちでないと進められないと思ったのではないか。増税は選挙戦で意外と受け入れられたが、発言がぶれたのが良くなかった。
[日経新聞2月28日朝刊P.14]
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玄葉氏「消費増税は2011年か12年に、と首相に言われた」
(2月28日付朝刊 日曜に考える・政界面関連インタビュー)
2016/2/28 3:30
民主党政権の2010年6月17日、首相だった菅直人氏は7月の参院選公約を打ち出した記者会見で、10年度中に消費増税を含む税制改革案を示す考えを表明した。自民党が5%の税率を「当面10%」に上げると公約に明記したのを踏まえ「自民党が提案している10%を1つの参考にさせて頂く」と言及した。前任の鳩山由紀夫首相時代に封印していた消費増税を菅氏が突如、持ち出したのはなぜか。党政調会長として関与した玄葉光一郎氏に聞いた。
■「3党合意が無理なら信を問う」
――10年6月17日に菅氏が消費税率引き上げに向けて踏み込んだ発言をしました。
「前日の16日午前11時に首相官邸に呼ばれて菅氏と会った。『あすの記者会見で消費増税について、与野党の幅広い合意が年内にも得られれば11年または12年に実施したいと言いたい』と言われ、驚いた。『年内に税率や逆進性対策などの制度設計を行いたい』『民主党と自民、公明両党の合意が無理なら、衆院選で信を問いたい』とも言った」
「僕は『えっ』と驚いた。09年の衆院選マニフェスト(政権公約)は実施しつつも、あまりに無理な点は国民の理解を得ながら上手に見直していこうと考えていた。参院選はそのチャンスだとも思っていた。しかし、いきなり消費増税と言うつもりはなかった」
――菅氏はどうして消費税率引き上げに触れることにこだわったのでしょうか。
「菅氏は直前に財務相を務めていた。ちょうどギリシャ危機も起きて、本音で危機感を持っていたのだろう。当時の内閣支持率は非常に高かった。結局、菅氏としてはその勢いでやりたかったということだと思う。支持率が高いうちじゃないと難しい話はできないと考えたのではないか。菅氏は消費税で選挙すると覚悟を決めていたと思う」
――菅氏に記者会見で表明したいと持ちかけられ、どう答えたのですか。
「反対した。あまりに準備不足ではないか、早計ではないかという趣旨のことを言ったと思う。財政に危機感はあったが、国民の理解が得られないという考えだった。しかし菅氏は『自分は歴史に対して責任を持ちたい』と言った。首相にそこまで言われてしまうと、と思ったのを覚えている。僕は『せめて次期総選挙後に実施としましょう』と言った」
■「細川首相みたいになってしまう」
――記者会見では「11年または12年に」とは言いませんでした。
「翌日、会見当日の朝にも菅氏と電話した。『やはり急すぎると思う。(国民福祉税を発表した)細川護熙元首相みたいになってしまう。もう一回考えて下さい』と言った記憶がある。体を張って止めるということまではできなかったが、11年、12年というのはとにかくやめてくれと言ったから、やめてくれたんだと思う」
――一方で菅氏は「自民党の10%を参考にする」と税率に言及しました。
「余計なことを言ってしまったと思う。それについては全く相談を受けていなかった」
――参院選は自民党の51議席を下回る44議席にとどまりました。菅氏の消費税を巡る発言がどう影響したと思いますか。
「消費税を出さなかったら参院選は圧勝だった」と振り返る玄葉氏
「消費増税は意外と有権者に受け入れられていて、選挙戦もそれほど劣勢ではなかった。菅氏が遊説中に逆進性対策で決まってもいないことを話し、ぶれたのが良くなかった。そのぶれが流れを変えてしまったと思う。10議席くらいは違ったのではないか。具体的な話でぶれなければ戦えたと思うし、消費税を持ち出さなかったら圧勝だった」
――参院選で敗れた後、菅氏は消費増税に関する認識を変えたのでしょうか。
「選挙が終わったときでも『謙虚に結果を受け止めるけど、丁寧に手順を踏んでこれから議論する』と話していた。あきらめていなかったということだ。11年3月の東日本大震災があるまでは模索していたのではないか。非常に執念深かったと思う」
(聞き手は宮坂正太郎)
世界最大の天然ゴム生産国、タイのゴム農家が窮地に立っている。ゴムの取引価格はピークだった5年前の5分の1に沈み、ゴム農家600万人の生活を揺さぶっている。
ゴムシートの出荷作業にあたる協同組合の担当者(9日、ラッタプーム)
代表的なゴム産地、南部ソンクラー県ハジャイ郡のナム・ヤン・タイ協同組合法人。農家からゴム製品メーカーへの販売を仲介する。経営者のタナヨサパンさんの一日はスマートフォンでの価格交渉で始まる。
「工場同士を競わせて高く売るんだ」。取材に訪れた9日の交渉はゴム樹液1キログラム当たり33バーツ(約105円)で始まり、35バーツで決着した。なんとか2バーツ上げたが、スズメの涙でしかない。2011年初めに180バーツだった取引価格は7年ぶりの低水準に沈んでいる。
ハジャイの隣、ラッタプーム郡協同組合のキティタット副主任によると、ゴムシートの生産コストは1キロ当たり64バーツ。現在の価格は大幅なコスト割れだ。政府は1月、10万トンを上限にゴムシート1キロ当たり45バーツ、樹液1キロ当たり42バーツで買い取る救済策に乗り出した。
ラッタプームの買い取り現場で、ゴム園を営むプラパンさん(66)が朝収穫した樹液を納入していた。だが濃度が低く、救済策の対象から外れて1キロ当たり31バーツにとどまった。規定を満たすと政府が35%高く買い取ってくれていた計算だ。
この日は残念な結果だったプラパン氏だが、他の生産者に比べ恵まれている。彼は5年前に相場高騰で稼いだ資金をゴム園に投じた。以前の約8倍の11万2000平方メートルに拡張したため収入は当時を上回る。
周辺の生産者は事情が異なる。タイ・ゴム公社ラッタプーム郡地区代表のチョート氏は、当時は新車が飛ぶように売れ、銀行が支店開設を競っていたと振り返る。ゴム農家は消費生活を謳歌した。相場が沈むと多くの農家はローン返済に行き詰まり、車を差し押さえられるケースも相次ぐ。
なぜ、ここまで相場が冷え込んだのか。原油安に伴う合成ゴムとの競争激化や中国の景気減速だけが原因ではない。タイの生産者の側にも責任の一端はある。
タイの天然ゴム産業の歴史は「増産の歴史」と言い換えられる。タイは1990年ごろにマレーシアとインドネシアを抜き、最大産地に躍り出た。その後も増産を重ね、タイ・ゴム協会によると15年の生産量は90年の約3倍にも達した。
政府は買い取ったゴムを国内のインフラ整備などに活用し、需給引き締めを図る。だが買い取り上限を考えると、救済策は6月ごろまでしか続きそうにない。
タイの天然ゴム産業は、生産量の90%近くを加工度が低い素材段階で輸出しているという構造問題も抱える。政府は内需拡大へゴム製品メーカーの誘致に動き出した。プラユット暫定首相らの肝煎りで、ハジャイ郊外に広さ1.2平方キロのゴム工業団地「ラバーシティー」を開発。進出企業に税金減免などの恩典を与える。中国企業などが進出に関心を示しているという。
だが、ラバーシティーを救世主と考えるのは、あまりに楽観的だろう。増えすぎたゴムの木を伐採し、他の作物に植え替える努力が欠かせない。最大生産国が体質を改善できるかどうかは、世界のゴム市場の将来に与える影響も大きい。
(タイ南部ハジャイで、小谷洋司)
[日経新聞2月28日朝刊P.15]
米国主導の国際秩序は崩れつつある。この先の世界の覇権はどうなるのか。本書が描いているのは地政学をもとにした世界の未来図だ。米国の時代はいったん終わるものの、競合相手とされる中国やロシア、欧州も衰退の道を免れない。結局、長い目でみて勝ち残るのは安定した市場とエネルギー源を持つ米国、と著者は言う。そして日本。他の国より希望が持てるとの見立てだが……。木村高子訳。
(東洋経済新報社・2400円)
[日経新聞2月28日朝刊P.23]
「発送電の分離 改正案が衆院本会議を通過:本旨は料金の自由化、電力会社の利益のため大企業は安く一般家庭は高くなるという話」
http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/368.html
「“旧電力”9社で発電総量の96.5%シェア:その自由化が電力会社に対する“勝手気まま優遇政策”になると理解されぬ日本」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/816.html
「「電力自由化」と電力供給活動の特殊性:「電力自由化」は電力会社の勝手気ままな利益追求を許しかねない政策」
http://www.asyura2.com/12/senkyo142/msg/113.html
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電力全面自由化の課題
(中)英国、寡占下で料金2倍に
燃料費の高騰が直撃
野村宗訓 関西学院大学教授
4月から電力小売り全面自由化により、制度上すべての利用者は契約先を自由に選択できる。こうした契約先を切り替える「スイッチング」の導入にあわせて、既存電力会社と新規参入者は新たな料金メニューを提示し、顧客獲得競争を展開している。
自由化が先行した産業用・商業用の需要家は料金低下の恩恵を受けてきた。2000年3月の部分自由化から16年が経過して、ようやく家庭用需要家も地域独占から解放される。エネルギー会社を中心に他業種との協力関係を強め、ガスや通信との一括契約、ポイント制、電子マネー換金などの点で利用者に特典を与える戦略を打ち出している。
電気通信の自由化でも、利用者は自らのニーズに合ったメニューを提供する事業者と個別に契約を結び、豊富なサービスを享受してきた。電力自由化も同様のイメージでとらえられることが多いが、情報通信技術(ICT)によるイノベーション(技術革新)で成長する通信と、需要が鈍化した市場で顧客を取り合う電力では次元が異なる。ライバル企業の出現で全利用者の料金は低下するとの神話もあるが、通信市場でも明らかなように各家庭の支払額は必ずしも下がるわけではない。
以下では、電力自由化で先駆けた英国の経験に注目し、わが国への示唆を導きたい。
英国では1990年の所有上の発送電分離により、送電会社としてナショナル・グリッドが独立し、98年の小売り自由化に伴い地域配電会社は配電部門と小売り供給部門に区分された。需要家が自由に契約できる全面自由化に移行してから既に18年が経過したが、利用者が頻繁に供給元を変更しているわけではない。
英国の電気事業は現在、英セントリカ、仏電力公社(EDF)、独イーオン、独RWE、英スコティッシュ・パワー、英SSEの6社(ビッグ6)の寡占状態にあり、発電市場でも高いシェアを持つ。新規参入者も現れたが、各社のシェアは低い(表参照)。
小売り自由化で電力とガスを同時に契約すると割引率が大きくなる「デュアル・フュエル」は人気があったが、各社が同様の商品を提供し始めるとメリットがなくなった。
その結果、わが国で現在みられるような携帯電話やスーパー、ネットショッピング業界と提携した商品が増えてきた。これらにはそれなりの特典はあるが、どれが最も自分の消費パターンに一致するのか、具体的にいくら電気代が安くなるのか、理解困難な場合が多いので利用者は困惑する。さらに料金比較の基準が不明瞭で、いったん契約した後に再度スイッチングしにくくなるという弊害もある。
英国公正取引庁は13年、ビッグ6に「利用者を困惑させる独占行為(confusopoly)」を自粛するように勧告した。これは米国の作家スコット・アダムス氏が97年に「ディルバート・フューチャー」という著作で使用した造語だ。
自由化に伴いエネルギーや通信、金融商品で複雑な価格が設定され、利用者を混乱させた。競争当局はこうした複雑な価格設定により、スイッチングを妨げる行為を批判した。同様に電力ガス規制庁もメニュー数を減らして利用者に正確な情報を提供し、公平な処遇をすることを求めた。
このように利用者の選択肢を増やすという所期の目標と矛盾する結果となった。小売料金の規制は撤廃されたが、皮肉にも事業者自らが料金を据え置く商品をつくり、顧客を囲い込む戦略もみられる。
実際に値下げされたかを検証すると、98〜04年までは料金は低下したが、その後は上昇している。つまり値下げは最初の6年だけで、その後の12年は上がり続け、平均的な料金は2倍以上になった。
しかも6社がほとんど同じ料金改定をしてきた。これはカルテルではなく、上流部門の燃料費がそのまま転嫁されているためだ。とりわけ北海油田の天然ガスが減産され、英国が04年に純輸入国に転じた後、値上げが続いている。小売事業者にとって燃料費は避けられない費用である。送電・配電コストも転嫁されるが、これらは規制料金であり、最終料金に占める比率でみると燃料費よりも低い。
昨年、欧州連合(EU)指令により温暖化ガスを排出する老朽化した火力設備はすべて運転停止に追い込まれた。加えて今後23年までに原子力発電所も寿命で停止する予定だ。10年に80ギガワットあった設備容量の4分の1にあたる20ギガワットが失われ、供給余力が限られる中で、自由化効果をどう引き出すのか事業者も規制者も悩んでいるのが実情だ。
政府はこれまで原発の新規計画を進める方針を貫いており、新型炉による3つの大きなプロジェクトが決まっている。しかし各計画に参加していた企業が撤退したため、工事着工には至っていない。結果的に仏電力公社は中国企業とパートナーを組むことが決まり、その他の計画には日本から日立製作所と東芝がそれぞれ参加することになった。
政府方針では原発が段階的に寿命を迎える20年代に新規原子炉の稼働を想定していたが、リードタイムと競争下での政策措置を考えると大幅な遅れが生じるだろう。
代替策となるのは国際連系線、パイプラインの整備だ。自由化以前から規模は小さいが、フランスとの連系線が存在していた。既にオランダ、アイルランドとの連系線が運用開始にこぎつけ、さらにベルギー、ノルウェー、アイスランドとの計画も進展している。距離にして1千キロを超えるものも含まれるが、リードタイムが原発より短い点で現実的な方策でもある。発電量の確保が喫緊の課題となっている英国では、一国でなく他国との協力により安定供給を実現する道を開拓している。
日本の置かれている状況は英国とは異なるが、全面自由化以降、長期的に料金を低位に維持するには、何らかの補完的措置が必要になる。まず、火力発電については全面的に輸入原料に依存しているが、上流部門の調達に関して資源国との関係強化や資源開発の推進の面で、さらなる公的支援を加える必要がある。低炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーの普及が必要だとしても、固定価格全量買い取り制を再考しなければ、料金上昇は続くばかりだ。
さらに原子力損害賠償・廃炉等支援機構の負担についても、国と事業者の役割分担を見直し、公的負担を中心とする施策に移行しなければ、競争による料金低下の効果は表れない。人口減少で家庭用需要家数は低下し、値上げすれば大口も増加には転じない。
小売り供給市場で競争を展開するには、発電量が豊富であることが前提になる。取引所の流動性を上げるため、出し惜しみなど公正競争に反する行為は監視する必要があるが、必要な発電量の確保も軽視すべきではない。原発再稼働の方向性もみえてきたが、いずれ寿命を迎えるのは明らかだし、福島第1原発事故を受け、英国以上に新規建設への慎重論が多いのも確かだ。
わが国は資源小国という制約条件を抱えながら、電力自由化を90年代から推進してきた。しかし東日本大震災以降、原発再稼働のハードルが新たに付加された。エネルギーミックスに関する目標値も公表されたので、政府が国際連系線も視野に入れながら、競争下にある民間企業に低炭素社会への移行を促す重要な役割を果たすべきである。
ポイント
○自由化後の複雑な料金設定に利用者困惑
○英国での値下げは自由化直後の6年だけ
○低料金の長期維持には発電量の確保重要
のむら・むねのり 58年生まれ。関西学院大博士。専門は規制経済学、公益事業論
[日経新聞2月29日朝刊P.19]
【ニューヨーク=稲井創一】米シェール企業の投資活動の減速が一段と鮮明になっている。石油サービス大手、ベーカー・ヒューズが4日発表した調査によると、米国での原油掘削に使用する設備であるリグの稼働数が前週比8基減の392基となった。リグの稼働数減少は11週連続だ。
足元のリグ数は2014年10月10日時点のピーク(1609基)に比べ24%の水準まで落ち込んでいる。昨年には「ピークの3分の1程度まで減少すれば、底入れ感が出るのでは」(石油サービス大手のハリバートン)との見方が業界にあったが、リグの減少に歯止めがかからない。
4日の米原油先物相場は反発したものの、指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート、期近物)は1バレル35.92ドルと依然30ドル台で低迷している。この水準ではほぼすべてのシェール企業が赤字だ。各企業は資金繰り悪化を防ぐため、現金確保を優先する経営姿勢を強めている。
シェール企業で最優良として知られるEOGリソーシズは16年に投資を15年比で44%減の25億ドル前後(約2800億円)に削減する。2年前に比べると約70%減にまで落ち込んでいる。リグの増減は生産活動の先行指標的な側面があり、今後、シェールオイルの減産が本格化する可能性が出てきた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H2X_V00C16A3NNE000/?dg=1
政府が外貨準備の運用を米国債からドルなどの預金に切り替えているとの見方が出ている。日本勢が保有する米国債は15年12月時点で1兆1225億ドル(約126兆円)と、ピークの14年11月から9.6%減った。一方、外国の中央銀行などに預ける外貨準備はほぼ同額増えた。米利上げでドルの調達コストが増えている新興国や邦銀の「非常時」に備え、政府が支援体制を整えているとの臆測も飛び出している。
「日本の米国債保有高が減り続けているが、狙いは何か」。ある日銀ウオッチャーは、ニューヨークなどにいる市場関係者からたびたび質問を受けるという。
米財務省によると日本勢の国債保有額は14年11月から15年12月にかけて1190億ドル(約13兆円)減った。この統計は邦銀など民間投資分も含むが、日本の財務省が公表する外貨準備の運用状況をみると、ほぼ同時期にあたる14年11月から16年1月に米国債を含む外貨建て証券の保有額は1264億ドル、率にして10.6%減少している。
代わって増えたのが海外中銀や国際決済銀行(BIS)への預金だ。同じ期間に1168億ドル増えた。外貨準備に占める外貨建て証券の比率は94%から86%に低下し、海外中銀などへの預金の比率は0.6%から9.9%に上がった。
2つのデータをつき合わせると、日本政府が外貨準備の運用を米国債から預金に切り替えている様子が浮かび上がる。
背景について市場では様々な臆測が飛び交う。1つは米短期金利の低下をうけ、預金に切り替えたとの見方だ。償還までの期間が3カ月の米国債金利は一時マイナスに沈んだ。ただ、昨年12月の米利上げを機に上昇基調にある。みずほ銀行の唐鎌大輔氏は「ここ数カ月も米国債の保有を減らしているので、短期金利の低下は理由として不十分」と指摘する。
より説得力がありそうなのは、新興国や邦銀のドル調達を支援するためにドル預金などの保有を増やしたという見方だ。
新興国は米利上げで緩和マネーが流出。自国通貨の下落でドル建て債務が膨らんだ企業などが資金調達で苦慮している。クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司氏は「新興国との通貨スワップ(交換)協定に基づき、ドルを貸与している可能性がある」と語る。ドル調達コストは邦銀もかさんでいる。
財務省は運用の変化について「個別の内容には答えられない」としているが、政府が世界的な金融市場の混乱に備え、迅速に危機対応できるように預金保有を増やしている可能性が浮上する。
昨夏以降、中国は資本流出への対応で人民元買いの為替介入を繰り返してきた。米国債の売却で原資を賄ったともみられた。米財務省によると、中国勢が保有する米国債は15年8月からの4カ月間で1.9%(244億ドル)減った。ただ同期間の日本の米国債の減少幅は6.2%(745億ドル)とこれをしのぐ。
新生銀行の政井貴子氏は「日本と中国という二大保有国が減らし続ければ、将来的に米国債の利回りの振れ幅が大きくなると意識する市場参加者が出てくるかもしれない」と読む。
(川手伊織)
[日経新聞3月1日朝刊P.19]
【ベルリン中西啓介】難民問題でドイツ政府が認定手続きの厳格化を図る中、イスラム教徒の難民・移民らがキリスト教に改宗するケースが目立っている。厳格な宗教戒律からの解放を理由に挙げる人が多いが、改宗で出身国への送還を免れ、滞在資格を得ようとする人もいる。改宗は難民間の対立の火種にもなっており、教会の役割を巡る議論になっている。
日曜午前10時、ベルリン郊外の閑静な住宅街にある教会に次々と短髪に黒いひげを生やした人たちが集ってきた。聖堂内は300人の信者で満員だ。「すべての難民申請者のため祈りましょう」。牧師のゴットフリート・マルテンスさん(53)の声に合わせ、全員がこうべを垂れた。
マルテンスさんの教会は、寄付だけで運営する独立系プロテスタント教会。イランやアフガニスタン方面から来た人の間では、支援を拒まない「駆け込み寺」として有名だ。
昨年秋に多数の難民が欧州に押し寄せて以降、一気に難民系信者が増加。現在はドイツ人約250人に対し、難民系は約750人に上り、さらに約400人が洗礼を待つ。
「キリスト教は愛の宗教。厳罰で脅すイスラムにはうんざりだ」。イラン出身のオシドバルさん(30)は改宗の動機を語る。口コミで訪れる人の8割がイラン人で、2割がアフガン人。両国で改宗は、死刑も適用されうる重罪だ。
ドイツの難民審査では送還後に身の危険が予想される場合、滞在許可が出ることが多い。この教会の改宗者で強制送還された人はおらず、オシドバルさんも「なんとしてもドイツにとどまりたい」と言う。
マルテンスさんによると、ベルリン市内の収容施設で2月中旬、教会の信者を含むキリスト教徒6人がイスラム教徒から脅迫された。十字架のネックレスを引きちぎられるなどの暴行事件も起きた。施設滞在が長引く中で、怒りの矛先が「裏切り者」視される改宗者に向かう。
難民・移民の洗礼に懐疑的な意見は他の教会でも強い。国内最大のプロテスタント団体のタイレマン牧師は「難民支援を布教手段にしてはならない」とくぎを刺す。「我々にとって洗礼は神聖な行為。他宗教を尊重する観点からも、支援とは分けるべきだ」との立場だ。
一方、マルテンスさんは「洗礼希望者への教育や試験は厳格なものだ」と反論。9割以上の信者が難民認定後も教会に通い続けているとして、洗礼の妥当性を強調している。
最終更新:3月4日(金)11時22分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160304-00000030-mai-eurp
「辺野古をめぐる国の和解案受け入れ、果たして意味があるのか:問題の先延ばしに大きな意味、状況の変化に期待する他ない従米政府」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/361.html
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2016年03月05日 (土) 午前0:00〜[NHK総合]
時論公論 「辺野古埋め立て和解 接点は生まれるのか」
島田 敏男 解説委員 / 西川 龍一 解説委員
日米両政府が沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設先としている名護市辺野古の埋め立て工事を巡って、新たな動きがありました。
埋め立て承認を巡り国が沖縄県を訴えていた裁判で、埋め立て工事を中止して双方が協議するなどとする裁判所の和解案を国と県が受け入れ、和解が成立しました。
これによって普天間基地の移設問題を前に進める国と県の接点は生まれるのでしょうか。
(島田)
西川さん。正午のニュースの直前に「安倍総理が裁判所の和解案の受け入れを決断した」という一報が飛び込みました。それをまずどう受け止めましたか。
(西川)
正直意外な感じはありました。政府は「移設計画を着実に進める」という従来の方針に変わりはないことをずっと強調していましたし、沖縄県側も、工事を中止することを含む和解案を国が受け入れるのは難しいと見ていましたから。政府が急に態度を変えたことは、サプライズの演出の様にも感じました。
(島田)
国と沖縄県が争っていた裁判は3つあって、和解したのはその中心になる裁判です。
前の仲井真知事が承認していた名護市辺野古の埋め立て工事について、おととしの選挙で当選した翁長知事は去年の10月に埋め立て承認を取り消しました。
国はこの手続きの撤回を求めましたが知事が応じなかったため、国は知事の代わりに取り消しを撤回する代執行を求めて裁判が続いていました。
今回の和解は裁判所が国と県の主張を聞いた上で示した和解案を、双方が受け入れたということなんですね。
(西川)
今回、裁判所は、「暫定的な解決案」と「根本的な解決案」の2つの和解案を示しました。
暫定案は、国が訴訟などをいっさい取り下げ、工事を中止するとともに、国と県は改めて協議を行うというものです。今回、国と県が受け入れを決め和解が成立したのは、こちらの和解案です。
そして埋め立て承認取り消しに関する意見の対立は、地方自治法に定めるルールで扱い、その上で「国地方係争処理委員会」の手続きと、その後の別の裁判に委ねるとしています。
結論を先送りしつつも、裁判所が問題解決を探る道筋を整理したと言えます。
根本案は、県に埋め立て承認取り消しの撤回を求める一方、国には、辺野古に移設される施設を使用開始から30年以内に返還または軍民共用にするようアメリカと交渉するというものでした。
この根本的な解決案の方は、当初から、辺野古移設を前提としていて沖縄県は受け入れられない、一方で日米両政府間の再協議を求めるものなので、国が応じる可能性もほとんどないと見られていました。
(島田)
そこで、暫定案で歩み寄りを図ったというわけですが、政府と沖縄県の間の本質的な対立が解決に向かうかどうかは不透明と言わざるをえません。
安倍総理が昼過ぎに総理大臣官邸で和解案の受け入れを表明した時にも、普天間基地の全面返還を実現するには、名護市辺野古のキャンプシュワブ沿岸部への移設計画が、唯一の選択肢であると強調していました。基本方針を変える気配は全くありません。
しかし、それなのになぜ今のタイミングで双方が和解を受け入れたかです。
そもそも政府と沖縄県の話し合いがかみ合わないために、裁判で争うという状況になっていたんでしたよね?
(西川)
政府と沖縄県は、対立の解消を目指して去年8月、普天間基地の移設先である辺野古での作業を中断して1か月間の集中協議を行いましたが、溝は埋まらず作業が再開されました。
その後、国と沖縄県双方が裁判で争う状態になりましたが、その間にも国は、埋め立て工事に着手するなど、作業は続けられ、現場に隣接するアメリカ軍のキャンプシュワブ前では、移設に反対する人たちが抗議活動を続けていました。
(島田)
国会でも、政府の姿勢は余りにも強硬だという指摘が野党から出ていました。
(西川)
そうした中で、裁判は、先月29日にすべての審理を終えて、判決の期日が来月13日に設定されました。
沖縄県としては、暫定的な解決案については、工事を中止する点などにメリットがあるとして和解案が示された当初から前向きに検討する考えを示していました。
翁長知事にしてみれば、辺野古への移設には反対の立場は崩さないものの、普天間基地の早期返還を実現するための名案があるわけでもありません。
沖縄県は、和解が成立することによって埋め立て工事を停止することは非常に意義があることだとしていますが、移設反対を訴える人たちからは「うれしい反面、国に思惑があるのではないか」といぶかしがる声も聞かれます。
(島田)
国側、安倍内閣の側にとっては、当面の政治日程を見ますと、6月の沖縄県議会議員選挙、そしてそれに続いて夏の参議院選挙が控えていますので、政府・与党が頑なな態度を取り続けているという批判を避けたいという思惑が窺えます。
このまま訴訟合戦が続くと、沖縄県内では政府の姿勢は高圧的だといった世論が高まり、与党の候補者にとって猛烈な逆風となりかねないという計算が働いたことは否めません。
また、5月には伊勢志摩サミットも控えていて、アメリカのオバマ大統領も任期中最後のサミットに参加するため来日します。
日本外交の基軸である日米同盟の根幹を巡る普天間基地の移設問題で、国と地元の対立の姿が内外にさらけ出されるのは避けたいという気持ちが政府関係者の間にありました。
そこで、根本的な解決に直結するわけではないけれども、対立構図を一時凍結させるのが得策だという判断に至りました。
(西川)
一方で、現場の反対派の市民グループと警察などの警備当局の間では対立が深まっていて、国がこのまま海上での埋め立て工事を強行することになれば、不測の事態が起きかねないという懸念も広がっていました。
沖縄県は、2つの和解案が示されたあとの先月18日、安慶田(あけだ)副知事が上京して菅官房長官に、辺野古移設が前提となる和解案には応じないことを直接伝えていました。
そういう意味では、辺野古に基地は作らせないという翁長知事の意志は貫かれた形です。
(島田)
従って国と沖縄県の話し合いの行方を含め、今後の見通しは不透明です。
政府の立場を代弁すると、辺野古の基地建設を放棄すれば、海兵隊の一部をグアムに移転する計画が反故になりかねない。だから辺野古移設は変えられないということになります。
沖縄の負担軽減を全体として進めるためには、これが唯一の道だと言うならば、沖縄の人たちの理解を得る努力を粘り強く重ねる以外にありません。
(西川)
沖縄では、去年8月の集中協議とその後の国の対応を考えれば、結局、短期間工事が止まるだけで、移設そのものが止まるわけではないという見方もあります。
翁長知事は、安倍総理大臣が「辺野古移設計画が唯一の選択肢であるという考えに変わりはない」と発言したことについて、「辺野古が唯一というから話し合いが進まないので、和解に応じたときにする発言ではない」と批判しました。
裁判所は和解勧告の際、本来あるべき姿としては、国が沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、アメリカに協力を求めるべきだと指摘していました。8月の集中協議で、まったく歩み寄る姿勢を見せなかった国が同じことを繰り返せば、ますます沖縄の人たちの不信感は募るだけだと思います。
(島田)
以上、見てきましたが、戦後長くアメリカの施政権のもとに置かれた沖縄は、本土の経済発展に遅れを取らざるを得なかったという、重い歴史的な事実があります。
説得と理解という政治の技術を駆使して、政府と沖縄県の対立図式を解消することが、
何よりもまず必要だと思います。
(島田 敏男 解説委員 / 西川 龍一 解説委員)
「辺野古をめぐる国の和解案受け入れ、果たして意味があるのか:問題の先延ばしに大きな意味、状況の変化に期待する他ない従米政府」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/361.html
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米、辺野古見直しも5年内返還も否定 日本と協議へ
2016年3月6日 10:42 沖縄タイムス
【平安名純代・米国特約記者】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐる代執行訴訟で日本政府と県が和解したのを受け、米政府は近く、移設工事の中止が米軍再編計画に与える影響などを日本側と協議する方針を明らかにした。一方で普天間の返還は「代替施設建設の完了後」と言明し、現行計画の見直しの可能性を否定した。
米国防総省は4日に発表した声明で、移設工事の中止が「沖縄での再編計画に与える影響を吟味している」と指摘。普天間の移設先を辺野古と定めた日米合意は変わらないと強調した上で「普天間は代替施設の建設が完了し、完全に運用できる状態になった時に返還する」と述べ、「5年以内の運用停止」を否定した。
日米両政府は2013年4月の合意で普天間の返還時期を「22年度またはその後」と定めたが、ハリス太平洋軍司令官ら米軍幹部は米議会公聴会で「25年」にずれ込むとの見通しを公式に表明している。
米国務省のカービー報道官は同日の記者会見で、和解案が成立する前に日本側と協議していたことを明らかにした上で、安倍晋三首相が辺野古移設を「唯一の選択肢」と確認したことを歓迎。「辺野古移設を進める日米両政府の立場は変わらない。辺野古移設は普天間の継続使用を回避する唯一の解決策だ」と改めて強調し、今後の対応などを「日本側と早期に協議したい」と述べた。
■防衛相「埋め立て工事の中止」強調
中谷元・防衛相は5日、米軍普天間飛行場移設をめぐる代執行訴訟で政府と沖縄県が和解したことを受け、米国と話し合う考えを示した。「日本政府の対応をしっかり説明し理解を求めていく。今後の対応については、日米間でよく協議したい」と述べた。
日米合意に基づく辺野古移設計画の進捗(しんちょく)状況によっては、在沖縄海兵隊のグアム移転などアジア太平洋地域の米軍再編計画全体に影響する可能性もある。
中谷氏は、4日午後に防衛省幹部に、移設先となる名護市辺野古の埋め立て工事の中止を指示したと強調。移設本体工事の資料にするために辺野古沿岸部で実施している海底ボーリング調査を中断するかに関しては「和解内容を確認しながら適切に対応する」とした。視察先の埼玉県所沢市で記者団の質問に答えた。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=157186
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沖縄、基地移設問題で日本政府は米国の理解を取り付ける[スプートニク日本語]
2016年03月07日 17:00(アップデート 2016年03月07日 17:54)
日本政府は沖縄県普天間基地の移設用地での埋め立て作業の停止問題で米国側の理解を取り付けた。7日、菅官房長官が明らかにした。
菅長官は、この問題について米国側とコンタクトを維持しており、日本政府が沖縄県側との合意に達したことを米国も知っており、これに理解を示していると語り、今後、緊密な話し合いが行なわれると補足した。
先週、安倍首相は沖縄県との合意に達したことを明らかにしていた。普天間基地の移設先の名護市辺野古での埋め立て承認が取り消されたほか、沖縄県と日本政府が互いに相手取っておこしている全ての訴訟が停止され、最終的な解決案を編み出す協議がスタートする。
その一方で安倍首相は、辺野古への移設は唯一の解決策との考えを示している。
http://jp.sputniknews.com/japan/20160307/1738958.html
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官房長官 是正を指示する文書を沖縄県に発送へ[NHK]
3月7日 13時03分
菅官房長官は午前の記者会見で、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画を巡る裁判で和解が成立したことを受けて、沖縄県の翁長知事が行った移設先の埋め立て承認の取り消しを是正するよう指示する文書を7日中に県側に発送する考えを示しました。
この中で菅官房長官は、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画を巡る裁判で和解が成立したことを受けて、「きょう中に沖縄防衛局長が去年10月に行った埋め立て承認取り消しの無効を求める行政不服審査請求、および、埋め立て承認取り消しの執行停止の申し立てを取り下げる旨の文書を国土交通大臣に提出する」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「国土交通大臣が沖縄県の翁長知事に対し、地方自治法に基づいて埋め立て承認の取消処分を取り消すよう法令違反の是正を指示する文書を発出すべく、今、手続きを進めている」と述べ、翁長知事が行った移設先の埋め立て承認の取り消しを是正するよう指示する文書を7日中に県側に発送する考えを示しました。
また、和解条項に盛り込まれた国と沖縄県側の協議について、菅官房長官は「判決が確定するまで、政府と沖縄県とで行う協議は、沖縄県側と今後、進め方などについて協議し、速やかに実施していきたい」と述べました。
防衛相「必要な手続き」
中谷防衛大臣は7日夕方、防衛省で記者団に対し、「是正の指示は、政府と沖縄県が和解条項の内容を実現するうえで必要な手続きだ。政府と沖縄県との協議については、県側と今後の進め方について協議し、速やかに実施したい」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160307/k10010434401000.html
元米国大統領の甥で法律家・文筆家ロバート・ケネディ・ジュニア氏がスプートニクのインタビューでシリアの危機の遠因を語った。
ケネディ氏によると、米国は、シリアのアサド大統領がカタールから欧州へのガスパイプライン建設を拒否したためにシリアに政権交代を起こすことを決めたのだ。
「米国のアサドに対する戦争は2011年の市民による抗議運動「アラブの春」で始まったのではない。それは2000年、カタールが、サウジアラビア、ヨルダン、シリア、トルコを通るパイプラインを100億ドルで建設する提案を行ったとき始まったのだ。」
米国の石油・ガス権益を推進するべく、CIAは中東で政権交代を起こそうと、イスラム過激派を利用した。「石油ギャング」ダーイシュ(IS)の誕生は、米国による介入の長い歴史の結果であった、とケネディ氏。
「私は、米国は独裁者と協力する必要がある、などとは言わない。しかし、米国はサウジアラビアと協力している。サウジアラビアでは、女性が車を運転することはできない。サウジアラビアでは、水曜日ごとに、メッカで断頭(処刑)が行われている。サウジアラビアには言論の自由はないし、状況は悪くなるばかりだろう」
トルコでは、政権の影響を強く受ける裁判所が政権に批判的な国内最大の新聞社を政府の管理下に置く決定を出したのに対し、大規模なデモが起き、報道の自由を妨げる動きだと反発の声が上がっています。
トルコの裁判所は4日、政権に批判的なトルコ最大の新聞社「ザマン」を政府の管理下に置く決定を出しました。裁判所はその理由として、政権と激しく対立し、政府がテロ組織に指定しているイスラム教の団体「ギュレン教団」を支援している疑いがあるとしています。
これを受けて、最大都市イスタンブールにある新聞社の本社の周辺には5日、500人余りが集まり抗議デモを行いました。これに対して治安部隊が催涙弾を使ったり放水したりして、デモ隊を排除しようとしたため、現場は一時、騒然となりました。
トルコでは、強権的な政権運営を続けるエルドアン大統領のもと、政権に批判的なメディアに対する規制が強化されていて、今回の裁判所の決定についても野党や地元のジャーナリスト協会から報道の自由を妨げる動きだと反発の声が上がっているほか、アメリカやEU=ヨーロッパ連合も懸念を示しています。
トルコ政府と新聞社 対立の経緯
トルコ最大の新聞社「ザマン」は、イスラム教の宗教指導者、ギュレン師が率いる「ギュレン教団」に関連するメディアグループが発行しています。現在アメリカに住むギュレン師は、イスラム教の価値を重んじるエルドアン大統領とかつて協力関係にあり、トルコ国内の政財界に大きな影響力を持っていました。
しかし3年前、トルコで反政府デモが起きた際、ギュレン師はエルドアン政権の対応が強権的だと批判。さらに、エルドアン政権を巡る大規模な汚職疑惑が浮上し、新聞社「ザマン」は疑惑を追及する報道を続けました。これに対しエルドアン大統領は、汚職疑惑の捜査は背後に警察内部に支持者を持つギュレン師がいて極めて政治的なものだと非難し、両者の対立が深まっていました。
エルドアン大統領 メディアに対する規制を強化
カリスマ的な指導者として知られるトルコのエルドアン大統領は、与党・公正発展党を率いて11年にわたって首相を務めたあと、おととし国民の直接投票による初めての大統領選挙で当選しました。この間、大胆な規制緩和などによって目覚ましい経済発展を実現した一方、3年前に反政府デモが起きると警察を動員して力で抑え込むなど、次第に強権的な姿勢を強めていきます。
特に、このところ政府に批判的なジャーナリストを逮捕したり、インターネットで政権批判が広がらないようツイッターや動画投稿サイト「ユーチューブ」を遮断したりとメディアに対する規制を強化しています。国内の野党や若者などは、長期政権のおごりが出て表現の自由や民主主義をないがしろにしていると反発を強めています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160306/k10010433201000.html
シリアのラッカ市はダーイシュ(IS、イスラム国、ロシアでは活動が禁止されている組織)の自称「首都」である。その住民らがダーイシュに反旗を翻し、複数のブロックでシリアの国旗が掲げられた。スプートニクが目撃者の言葉を伝えた。
目撃者によると、5つのブロックで国旗が掲げられた。うちの2つで市民が大規模集会を開き、シリア軍を支持するスローガンを叫んだ。
この集会の後、デモ隊と武装勢力の戦闘が激化した。結果、ラッカ住民はダーイシュのテロリストらを大勢殲滅することに成功した。
第12期全人代第4回会議の記者会見が8日10時にメディアセンターで開かれ、王毅外交部長(外相)が「中国の外交政策と対外関係」について中国内外の記者の質問に答えた。
韓国KBSの記者の朝鮮制裁決議に関する質問に対し王部長は、「中国は安保理常任理事国として、安保理が可決した各決議を執行する責任と能力を有している。これには対朝鮮制裁決議2270 号も含まれる」と述べ、また「2270号の決議は制裁のみならず、六カ国協議の支持を重ねて表明し、いかなる国も半島情勢の緊張激化を招く行動を採らないという要請も含まれている」と指摘した。王部長は、「中国側は、2270号決議は全面的に執行すべきであると考える。制裁は必要な手段であり、安定維持は当面の急務であり、話し合いは根本的道である」と述べた。
王部長はまた、「目下半島情勢は一触即発の状態にあり、きな臭さが充満している。緊張に拍車をかければコントロールを失うことになり、各側にとって災難となる。半島の最大の隣国として、中国側は半島の安定が根本的破壊されることを座視することはなく、中国側の安全面での利益がいわれなく損失を被ることを座視することもない。中国側は各側が理性的に抑制するよう強く促し、矛盾を激化させないよう強く促す。半島問題の最終的な解決のためには、総合的な施策が必要で、情況に応じた対応が必要であり、制裁と圧力を一方的に盲信するだけでは、実際には半島の将来に対し無責任な行為となる。そのため、中国側は半島の非核化と半島の停戦メカニズムから平和メカニズムへの転換を同時に進めることを実現するという交渉の道筋を立てている。非核化は国際社会が掲げる目標であり、半島の停戦メカニズムから平和メカニズムへの転換は朝鮮側の合理的関心事であり、両者は並行して交渉し、順を追って推進し、統一的に解決することが可能である。そうすれば公平かつ合理的で、現実的で実行可能性を有する。当然、柔軟に三カ国や四カ国、ないし五カ国の接触を展開する方法も含め、半島の核問題を交渉のテーブルに戻すことに資するのであれば、各側が打ち出す構想に中国は開放的な姿勢を示していく」と述べた。(編集IM)
「人民網日本語版」2016年3月8日
外交部(外務省)の洪磊報道官は定例記者会見で「中露双方は米韓がミサイル防衛システム『THAAD』の韓国配備を推し進めていることに重大な懸念を表明し、米韓のこの行動は地域の緊張を激化し、地域の戦略的均衡を破壊し、中露の戦略上の安全を直接損なうとの認識で一致しており、断固として反対する」と表明した。外交部のウェブサイトが伝えた。
【記者】中露はこのほど北東アジア安全保障協議を行い、米韓がTHAADの韓国配備を推し進めている問題に言及した。これはこの問題で中露が共通の立場を形成したことを意味するか。
【洪磊報道官】孔鉉佑外交部長助理(外務次官補)とロシアのモルグロフ外務次官が4日にモスクワで第2回中露北東アジア安全保障協議を行い、朝鮮半島など北東アジア情勢および共通関心事について意見交換した。中露双方は米韓がミサイル防衛システム「THAAD」の韓国配備を推し進めていることに重大な懸念を表明し、米韓のこの行動は地域の緊張を激化し、地域の戦略的均衡を破壊し、中露の戦略上の安全を直接損なうとの認識で一致しており、断固として反対する。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年3月8日
国際信用評価機関ムーディーズは先日、中国政府の信用格付け見通しをこれまでの「安定的」から「ネガティブ」に格下げした。政府債務の増加や外貨準備の減少、中国の改革実行能力をめぐる不確実性を理由に挙げた。
ムーディーズが中国経済に下した結論は客観的かつ公正なのだろうか。この点については多くの専門家が疑問を投げかけている。ある専門家は「中国経済に対する見方自体不完全であり、中国経済は長期的には良好という基本面に変化がないということをこの報告は見落としている。中国経済の構造調整には効果が見られており、サービス業の国内総生産に占める割合は半分に達し、消費は引き続き中国の小売業の成長を牽引している」と指摘する。
動的と発展という目で中国の財政の安定性を見るという点が、この評価報告に欠けていることは明らかである。
李克強総理は今年の政府活動報告において、財政政策と安定的な通貨政策を引き続き積極的に実施すると明確に打ち出している。さらに、今年の財政赤字比率を3%に引き上げることで、さらなる減税にさらに大きな余地を提供し、とりわけ製造業の付加価値税税率の引き下げは、中国製造業の国際競争力を一段と向上させていくことになるとした。
中国の政策決定層は財政の拡張により経済成長を支えることを明確に示している。高い貯蓄率に支えられ、段階的に基準を下げるといった方法で緩やかな通貨信用貸付条件を確保していくことができる。米国の評価機関は果たしてこうした含意を読み取れているのだろうか。
中国国家統計局の統計によると、2015年末の時点で、中国の外貨貯蓄額のGDPに占める割合は32%の高さに達する。政府活動報告によると、2015年の財政赤字がGDPに占める割合は2.4%。こうした様々な指標が、中国政府の債務償還能力が西側の多くの主要エコノミーよりも遥かに優れていることを証明している。
中国政府が改革を着実に実行に移していく能力を備えていることは疑いの余地がない。中国は世界第二のエコノミーとして、改革開放30年来の経済面での成果は世界が注目するに値する。「この難関さえ乗り切れば、中国は必ずや輝かしい成果を再び収めることができる」。政府活動報告は中国政府が経済の発展方式の転換を進め、中高速の発展を実現するという自信と確固たる決心を世界に伝えている。
目下、中国経済は確かに大きな困難と厳しい課題に直面している。しかし、中国経済を極端に悲観することは根拠に乏しく、取り越し苦労に終わってしまう可能性さえある。
ムーディーズとフィッチ・レーティング、スタンダード・アンド・プアーズの評価機関三社は世界の格付け市場を独占しており、その影響力は大きい。しかし、近年は業務の操作の透明性や評価基準の公平性をめぐり度々非難を受けている。欧州連合(EU)もこれら評価機関の主権信用評価におけるプロセスの欠陥性を公に批判している。
ムーディーズにしろ、他の評価機関にしろ、中国経済の信用格下げは出来事の一つにしかすぎず、大きな波風を立てることはない。しかも、西側メディアの中国経済低迷という度重なる誇張は、最終的にまたしても事実の前に屈することになるだろう。そのため人々はこの手の報道には早くから驚くこともなくなっている。(編集IM)
「人民網日本語版」2016年3月7日
5日、ドイツの雑誌「フォーカス5」がNATOの秘密分析報告書を引用して伝えたところでは「シリアではNATO軍機の方が多数活動したいるが、ロシアの作戦の方が、NATOのそれより成果が上がっている」。
報告書によれば、シリアのラタキヤにはロシアの戦闘機が40機配備されており、それらは一昼夜75回程度飛び立ち、テロ組織「ダーイシュ(IS,イスラム国)」の陣地に対しピンポイント攻撃をしている。
一方NATOは、作戦で180機を使用しているが、全部で一日20の標的を殲滅しているに過ぎない。
NATO専門家のデータでは、ロシアは、ラタキヤに派遣されたパイロットの卓越した高い技能とスホイ35型機などの優れた戦闘力のおかげで、NATO軍よりもよい成果をあげている。なお専門家らは、スホイ35の性能は、西側諸国の戦闘機をしのぐと見ている。
なお雑誌「フォーカス5」は次のように指摘しているー「西側諸国の政治家達は定期的に、民間人の間に多くの犠牲者が出ていると語っているが、報告書の中には、ロシアの空爆によって被害を受けた一般住民についての記述は何もない」。
オンライン情報源「オイルプリンス(OilPrice.com)」によれば、「ロシアをトップとする新しい石油カルテルの出現は、世界のパワーバランスに深刻な変更をもたらす可能性がある」とのことだ。
この「オイルプリンス」に発表された論文の筆者は、次のように指摘している―
「もしそうしたシナリオが動き出したなら、ロシアは事実上、基本的な産油国の間でリーダーとなる。なぜなら、世界の供給量の73%を引き受けるだろうからだ。
ロシアは、素晴らしい手際で、原油市場における現在の危機を背景に、新しい石油カルテル形成において主導的役割を占めるに至った。
新カルテル作りに向けた最初の一歩となったのは、ロシア、カタール、サウジアラビア、ベネズエラ4カ国の代表が集まり先月開かれた会合である。次の会合は、恐らく今月3月末にも、もっと幅広いメンバーで行われるだろう。
もしロシアとOPEC諸国が、二回目の会合で同意するような事になれば、ロシア政府は、自分のリーダー的地位を固める事になる。」
危機以前は、原油価格をめぐる状況では、サウジアラビアが主導権を握っていたが、価格が急激に下落した後は、サウジの影響力は著しく低下してしまった。
「ロシアは北朝鮮を守り、北朝鮮における自らの権益を守りおおせた:米国は強硬な制裁を主張しながら北朝鮮の核放棄に期待せず」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/781.html
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韓国 「ラジン・ハサン」プロジェクトの一時休止をロシアに通告[スプートニク日本語]
2016年03月08日 17:37
韓国政府は、国連安全保障理事会が新たな制裁導入を決めた事に関連して、北朝鮮領内を通る「ラジン(羅 津)・ハサン」貨物輸送プロジェクトの一時休止を、ロシア側に通告した。ロイター通信が、韓国政府筋の情報として伝えた。
それによれば、通告は、外交ルートで月曜日に伝えられた。
制裁の柱のひとつとして、韓国は、北朝鮮の港に寄港した第3国の船舶の韓国の港への入港を禁ずるとあるが、これはロシアと北朝鮮の間の「ラジン・ハサン」プロジェクトに直接的に関係する。この枠内でロシアは北朝鮮のラジン港に数億ドルを投じてロジスティックス・ターミナルを建設し、これに至 る鉄道を敷設している。
韓国が一方的に発動する予定の制裁では、韓国は同プロジェクトに参加しうる国のリストから抜け落ち、他国に対してはこの路線での協力を退けるよう求めるかたちになっている。このプロジェクトを通じて、ロシア産石炭の供給が、韓国を初めとする数カ国へ行われる計画だった。
http://jp.sputniknews.com/asia/20160308/1743419.html
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マスコミがリーク、韓国が自国の対北朝鮮制裁にロシアを巻き込む[スプートニク日本語]
2016年03月08日 11:22(アップデート 2016年03月08日 18:47)
8日、韓国政府は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対し、一方的な制裁発動を宣言する構え。この制裁は先に国連安保理が採択した制裁決議を補足する措置。マスコミ報道によれば、韓国のこの措置にはロシアも含まれている。マスコミが韓国政府の消息筋からリークした。
リークされた情報によれば、制裁は、北朝鮮と作業を続ける国名を挙げ、韓国をとるか、北朝鮮をとるかを迫る内容となっている。
制裁の柱のひとつとして、韓国は、北朝鮮の港に寄港した第3国の船舶の韓国の港への入港を禁ずるとあるが、これはロシアと北朝鮮の間の「ハサン・羅津(ラジン)」プロジェクトに直接的に関係する。この枠内でロシアは北朝鮮のラジン港に数億ドルを投じてロジスティックス・ターミナルを建設し、これに至る鉄道を敷設している。
韓国が一方的に発動する予定の制裁では、韓国は同プロジェクトに参加しうる国のリストから抜け落ち、他国に対してはこの路線での協力を退けるよう強要するかたちになっている。このプロジェクトを通すとロシア産石炭供給は、韓国を初めとする数カ国へ行われる計画だった。
ロシアは、国連安保理の北朝鮮制裁決議を支持するものの、個々の国が個別に行なう一方的な措置には反対する姿勢を表していた。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160308/1742138.html#ixzz42Iw5TvJY
国際指標油種であるブレント原油の価格は、今年になってから初めて、1バレル=41ドルまで上昇した。こうした価格が、最後に記録されたのは、昨年の12月だった。
原油価格は、三週連続して上がっている。専門家達は、その理由として、米国において原油掘削機の稼働率が低下した事を挙げている。
ブレント原油の価格は、ロシアのUrals(ウラルス)原油の価格計算に用いられている。
なお2016年のロシアの国家予算は、原油1バレル平均50ドルをもとに、作成されている。
トルコは、欧米諸国が中東諸国(トルコ自身も含む)と結託して進めてきた「シリア内戦」の終局で対露・対ISなどで“貧乏くじ”を引かされている。
EUの自業自得とも言える「難民問題」であり、受ける打撃を緩和するために問題をトルコに押しつけようという身勝手な理由に拠るものでもあるから、露やISとの関係で経済的苦境に陥っているトルコへの経済支援という側面も考え“奮発”するしかないだろう。
難民問題が及ぼすEU加盟諸国の政治的問題の深刻度を考えれば安いものかも知れない。
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トルコ 難民援助のためEUに200億ユーロ要求[スプートニク日本語]
2016年03月08日 15:36
トルコは、移民危機解決において、より幅広い援助を行う代わりに、EUに対し200億ユーロを要求している。ロイター通信が、消息筋の情報を引用して伝えた。
それによれば、トルコ政府は、月曜日にブリュッセルで行われたEUサミット参加者に対し、トルコ領海内で拘束された、シリアからのものを除くあらゆる難民達を受入れることを提案した。
外交筋が伝えるところでは、日曜から月曜にかけての深夜開かれた、メルケル首相及びオランダのルッテ首相との準備会談で、トルコのダウトオール首相は、EUに対し、先に審議された額を越える財政援助を要求した。ロイター通信記者に、会談参加者の1人が伝えたところでは、その額は、200億ユーロだとの事だ。
それ以外に、移民受け入れ拡大と交換に、トルコは、EUへのビザなし渡航体制の効力を、先に計画された今年10月ではなく、すでに今年6月から発効させるよう求めている。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160308/1743064.html#ixzz42Iz50MJj
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EU、トルコに「経済移民」受け入れ要求 首脳会議[日経新聞]
2016/3/8 0:38 (2016/3/8 1:15更新)
【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の加盟28カ国とトルコは7日、ブリュッセルで首脳会議を開き、シリアなどからトルコ経由で地中海を渡り、欧州を目指す難民や移民の抑制策を協議した。EU側はこのうち欧州での職探しなどが目的の「経済移民」をトルコが受け入れるよう求めた。トルコ側は見返りとして資金支援の2倍増などを追加で求めた。EU側ではトルコ政府のメディアへの圧力の懸念も根強く、連携強化へ不安の声がくすぶっている。
焦点となるのは、トルコから欧州にやってきた就労目的などの「経済移民」の扱いだ。EUは国際的な保護が必要なシリアなどからの難民を受け入れる一方、経済移民は拒む姿勢を示している。
EUは首脳会議で、トルコ政府に対し、トルコ経由でギリシャなどに流入した経済移民を再び受け入れるよう求めた。トルコ領海で拘束された難民らもトルコ側で対応するように要請した。
EUは当初、昼食会でのトルコ側との合意を想定していた。しかし、トルコのダウトオール首相が協力に応じる見返りとして資金支援を従来の30億ユーロ(約3800億円)から60億ユーロに拡大するよう追加で提案した。同首相の報道官は「問題解決のための新提案をした」と語った。協議は午後に大きくずれ込んだ。トルコ側はEUへ渡航するトルコ国民のビザ免除の前倒しなども求めた。
だが、EU内では、政権に批判的な報道関係者を逮捕、拘留するトルコへの警戒心も根強い。4日には、トルコの裁判所がエルドアン大統領に批判的な最大手紙「ザマン」を政府管理下に置くと決定。EUは即座に声明で「EU加盟を望むなら、報道の自由をはじめ基本的人権を保障する必要がある」と主張した。
EUはトルコとの首脳会議の後で、加盟28カ国による首脳会議も開く。EU域内の大半を国境検査なしで自由に移動できる「シェンゲン協定」を早急に正常化させるため、急激な難民流入に直面するギリシャ支援で加盟国が結束する方針などを確認する見通しだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H7K_X00C16A3FF8000/?n_cid=TPRN0005
月曜日、フランスのセゴレーヌ・ロワイヤル環境エネルギー相は、記者会見で「フランス最古のフェッセンハイム原発の稼働を、今年中に停止させる」と述べた。
金曜日、ドイツ政府の側から然るべき書簡が届いた後、この原発をすぐに閉鎖すべきかどうかについて、フランス政府の中で、新たに激しい議論が巻き起こっていた。書簡が送られる前日、ドイツのマスコミは「2014年4月にフェッセンハイム原発で起きた事故は、実は、原発指導部が発表したものよりはるかに深刻だった」と伝えた。ドイツのマスコミが手に入れた資料によれば、水漏れにより電線が使えなくなり原子炉を停止させることができなかったため、事故後すぐに、原発の職員らは非常事態体制で働いていたとの事だ。
フランスのテレビTF1のインタビューの中で、ロワイヤル環境エネルギー相は「原発を閉鎖するのは、蛇口を閉めるように簡単には出来ない」と説明する一方で、また次のように述べた-
「現時点で、フェッセンハイム原発では2千人以上が働いている。彼らの働き口を確保する必要がある。それ以外に政府は、事故のあらゆる状況と原発内での労働の安全性について、詳しい調査をしなければならない。」
オランダの調査グループは、おととし7月、ウクライナ上空でマレーシア航空機ボーイング777型機MH17便を撃墜した地対空ミサイルが発射された正確な場所とそのモデルを、今年夏にも発表する事ができるだろうと伝えた。国際ラジオ局ドイチェ・ヴェレが、国際事故調査団の責任者を務めるオランダの検察官、フレッド・ヴェスターベック氏の発言を引用して伝えた。
それによれば「調査がいつ終わるか、その日付けを言う事はまだできないが、すでにオランダは、米国から、マレーシア航空機墜落事件について現存する情報のすべてを入手した」とのことだ。こうした発言は、昨日検察官が、遺族と会った際に明らかにしたものだ。
マレーシア航空機MH17便は、おととし2014年7月14日、ウクライナのドネツク州で墜落、乗客・乗員298名全員が亡くなった。
事故原因に関するオランダ安全保障会議の報告書は、昨年10月13日に公表された。捜査官らが出した結論によれば、旅客機は、地対空ミサイル・システム「ブーク」に撃墜されたとの事だった。しかし捜査官らは、「ブーク」があったのはどの勢力がコントロール下に置いていた地区なのか(ウクライナ政府軍なのかドンバスの義勇軍なのか)、一体どこから発射されたのかについては、答える事が出来なかった。
英国のウェブリサーチ・リソース「ベリングキャット」はウクライナ上空で発生したマレーシア航空機撃墜事件について、ロシアがこれに加担したとする説は事実を歪曲していると指摘した。7日、ロシア国防省報道部が明らかにした。
「ベリングキャット」は市民ジャーナリズムの相互関係を図るため、公開情報を元に問題の調査を行うサイト。英国市民ジャーナリストのエリオット・ヒギンズ氏(37)が創始者兼オーナー。
ロシア国防省報道部の声明には、英国調査サイト「ベリングキャット」が「事件へロシアが加担したというのは事実の歪曲と指摘している。また提出された情報は疑いもなく、反ロシア的路線を持ったものであり、しかも、社会の情報操作を行なうためだけの証拠のない計算が使われている」と指摘したことが書かれている。
「ベリングキャットは、情報の歪曲の主要目的について、2014年7月17日、ウクライナ上空でマレーシア航空機を撃墜したミサイルが発射されたとされる地域にロシア軍が駐屯していたことを証明しようとする試みと指摘している。結局のところ今日に至るまで、ロシア軍がウクライナに駐屯していた実際的な証拠は一切出されていない。」
昭和32年に東京のアメリカ軍・旧立川基地に立ち入った学生などが有罪判決を受けた「砂川事件」について、東京地方裁判所は「不公平な裁判が行われるおそれがあったと推測することはできない」として、元学生などが求めた再審=裁判のやり直しを認めない決定を出しました。
砂川事件は、昭和32年に東京のアメリカ軍・旧立川基地の拡張計画に反対したデモ隊が基地に立ち入り、学生など7人が起訴されたもので、1審は無罪を言い渡しましたが最高裁判所が取り消し、その後、全員の有罪が確定しました。
元学生の男性など4人は、当時の最高裁判所の長官がアメリカ側に1審の無罪判決の取り消しを示唆したとする文書が見つかったことを根拠に、「憲法が保障する『公平な裁判』を受ける権利が侵害された」と主張して、再審=裁判のやり直しを求めていました。
8日の決定で、東京地方裁判所の田邊三保子裁判長は、「見つかった文書には、当時の長官の発言とアメリカ側の印象が混在し、発言を具体的に推し量ることは困難だ。1審の取り消しなど、最高裁の判決で示そうとする結論の方向性を推認させる内容には全く言及されていない」と指摘しました。そのうえで、「不公平な裁判が行われるおそれがあったと推測することはできない」として、再審を認めない決定を出しました。
元学生の男性などは、決定を不服として抗告する方針です。
元学生 納得できず不当だ
決定について、再審=やり直しの裁判を求めていた元学生の土屋源太郎さん(81)は、「裁判の公正と司法の正義をみずから放棄したもので、断固として抗議したい。当時の最高裁長官とアメリカ側が会談した事実は認めたのに、最高裁の判決に影響はないというのは納得できず不当だ」と批判しました。
また、元学生で九州大学名誉教授の武藤軍一郎さん(81)は、「再審の扉は非常に重かった。裁判官には理性に基づいた決定を求めたが、残念ながら退けられた。抗告するので今後も審理が続くが、司法の独立を一人でも多くの人に訴えていきたい」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160308/k10010435611000.html
日本でタクシーの運転手になるためには第二種運転免許(普通免許超)が必要で、個人タクシーを営業しようとしたら、タクシー運転手として10年以上の勤務実績、10年間無事故無違反などの厳しい条件をクリアしなければならない。(既存個人タクシー保護的政策として新規の開業免許を出さない動きがあり、権利を購入するのに200万円以上を要すると言われている)
導入の狙いとして、「「国家戦略特区」の新たな規制緩和策として打ち出された自家用車での送迎サービスは、中山間地などで自治体やNPO法人が観光客にもサービスを提供できるようにする」と説明されているが、観光客が来るような中山間地であれば、タクシーと連携するとか、自治体と提携してマイクロバスを運行(地元住民向けにも利用)するとか等別の手立てで対応するべきである。(確かに、街中からちょっと離れただけで、バスがなくタクシーもなかなか拾えないというところは多い)
ウーバー日本法人の高橋正巳社長は「IT技術を使って利用者とドライバーをマッチングすれば、公共交通がない地域で移動の選択肢を広げられるし、安全性を高めることができる。現在の規制は技術の進展を想定しておらず、利便性を高めていくため政府には前向きな議論をしてほしい」と語っているが、「移動の選択肢を広げられる」ことは確かだとしても、「安全性を高めることができる」というのは無根拠である。また、タクシーが呼び出し(営業)用で自動車電話や携帯電話を使わせない規制があったように、政府は「技術の進展を想定」していないわけではない。
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“自家用車で観光客送迎” タクシー運転手が反対集会[NHK]
3月8日 22時26分
政府が「国家戦略特区」の新たな規制緩和策として打ち出した自家用車での観光客の送迎サービスについて、無許可営業のタクシー、いわゆる「白タク」を認めることにつながりかねないと、全国のタクシー運転手が大規模な反対集会を開きました。
東京・日比谷公園で開かれた集会には、北海道から沖縄まで全国からタクシーやハイヤーの運転手およそ2500人が集まりました。
政府は「国家戦略特区」の新たな規制緩和策として、中山間地などで自家用車を使って観光客を有料で送迎するサービスなどを盛り込んだ法案を今の国会に提出する方針です。こうしたサービスは無許可営業のタクシー、いわゆる「白タク」行為として、今は法律で禁じられています。
集会では、「行き過ぎた規制緩和は人命よりも利益優先となり命が犠牲になってきた。さらなる反対の声を上げ続け、導入阻止に向けて最後の最後まで闘い抜く」と決議しました。このあと参加者は「白タク反対!」と書かれた鉢巻きやたすきをして、「政府は利用者の命を大事にしろ」「安全な公共交通を守るぞ」と一斉に声を上げながらデモ行進しました。
全国自動車交通労働組合連合会の伊藤実中央執行委員長は「誰でも人を乗せられるとなれば二種免許を取得して安全運転に取り組んできたタクシー運転手の努力がすべてなかったことにされてしまう。運転手の生活も脅かされる。断固として阻止したい」と話していました。
北海道から参加した60代の運転手は「利用客を奪われて倒産するタクシー会社も出てくるのではないか。ただでさえ生活が苦しいのにさらに賃金が下がらないか不安だ」と話していました。
「ライドシェア」 世界中で広まる
一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶサービスは「相乗り」を意味する「ライドシェア」と呼ばれ、タクシーに比べて割安なため世界中で広がっています。なかでも急速に利用者を伸ばしているのがアメリカのIT企業、ウーバーで、サービス開始から6年足らずで世界70か国、370以上の都市に拡大しています。
このサービスではスマートフォンのアプリが使われます。スマートフォンの画面には地図の上に近くを走っている車が表示され、利用者が画面をタッチすると運転手に「迎えに来てほしい」と通知が届きます。運転手が依頼を受ければタクシーと同じように利用できる仕組みです。行き先はアプリで指定し、料金は登録したクレジットカードで引き落とされるため、ことばが通じない外国からの旅行者にも利用しやすいということです。
ウーバーは2年前、日本に進出し、タクシーやハイヤーの配車サービスを行っていますが、将来的には日本でもライドシェアを普及させたい考えです。
ウーバー日本法人の高橋正巳社長は「IT技術を使って利用者とドライバーをマッチングすれば、公共交通がない地域で移動の選択肢を広げられるし、安全性を高めることができる。現在の規制は技術の進展を想定しておらず、利便性を高めていくため政府には前向きな議論をしてほしい」と話しています。
経済活動活発に 働く人にはマイナスも
「国家戦略特区」の新たな規制緩和策として打ち出された自家用車での送迎サービスは、中山間地などで自治体やNPO法人が観光客にもサービスを提供できるようにするというものです。
日本を訪れる外国人観光客の数が3年連続で過去最高を更新するなか、利便性を高めることでより多くの外国人観光客を地方に呼び込もうというねらいがあります。
労働政策研究・研修機構主任調査員の山崎憲さんは、自家用車を使った「ライドシェア」など新たなサービスについて、経済活動が活発になる一方、働く人にとってマイナスの影響が出るおそれがあると指摘します。
山崎さんは「新たなサービスが導入された海外ではコスト競争が止まらなくなり、従来の雇用が破壊されるとして大きな社会問題になっているケースもある。賃金や労働条件が引き下げられる可能性があり、日本で導入する際には働く人の生活をどう守っていくのかも、十分に考えなければいけない」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160308/k10010435811000.html
栃木県の旧今市市、今の日光市で小学1年生の女の子が連れ去られて殺害された事件の裁判員裁判で、解剖に当たった大学教授が弁護側の証人として出席し、被告の自白の内容と刺し傷には矛盾があると指摘しました。
平成17年、今の日光市で小学1年生だった吉田有希ちゃん(当時7)が下校途中に連れ去られ、茨城県の山林で遺体で見つかり、栃木県鹿沼市の勝又拓哉被告(33)が殺人の罪に問われています。
勝又被告は無罪を主張していて、8日、弁護側の証人として、遺体の解剖に当たった大学教授が法廷に立ちました。
この中で教授は、勝又被告が「立たせた状態で胸をナイフで複数回刺した」と供述したことについて、「傷の向きから被害者は寝ていた状態で刺されたと断言できる」と述べ、自白の内容と矛盾があると指摘しました。
また、殺害の場所や時間についても「殺害したと主張する現場に大量の血液の跡はなく、胃の内容物を考えると殺害時刻も違う」などと述べました。
現場に血液がほとんど残っていないことについて、検察は反対尋問で「土の中に血液がしみ込んだ可能性はないか」と教授に質問し、教授は「現場の土に大量の血液がしみ込むことはありえない」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160308/k10010436171000.html
オリンピックで金メダルを獲得したショートトラックのセミョン・エリストラトフ選手と、スピードスケートの世界選手権で5回優勝しているパーヴェル・クリジニコフ選手が、競技への出場停止処分を受けた。事情に詳しい消息筋が、通信社「Pスポルト」に伝えた。
両選手はドーピング検査で、先に女子テニスのシャラポワ選手と、フィギュアスケートのエカテリーナ・ボブロワ選手から検出された「メルドニウム」に陽性反応が出たという。
ロシアのムトコ・スポーツ相は、現在の状況についてコメントし、現在一連のスポーツ種目で慎重な調査が行われていると述べた。ロシアでドーピング問題が完全に解決されるためには、3−4年が必要だという。
5日ブルームバーグ通信の分析専門家が伝えたところでは「トルコ経済は、かなり悪化している」。
深刻な支払い遅延が見られるクレジットの数が増え、その割合は全体の3,18%となった。この数字は、ここ5年間で最大だ。
今年に入って2ヶ月間の延滞債権の総量は、全体で60%も増えた。ブルームバーグ通信の専門家は「こうした指数の伸びは、トルコの銀行産業の全体的状況に否定的影響を及ぼすだろう」と指摘している。
トルコ経済が悪化した原因としては、ロシアによる制裁、観光客の減少、国内政治情勢の不安定化、トルコの通貨リラの弱体化が挙げられている
【ソウル−聯合ニュース】韓国政府は8日、北朝鮮への独自制裁措置を発表し、北朝鮮の大量破壊兵器開発などに関与する個人40人と30機関を金融制裁対象に指定するとした。また北朝鮮に寄港した第三国の船舶は180日間、韓国内への入港を禁止し、北朝鮮産の物品の輸出入規制などを強化した。
この措置は1月6日北朝鮮が4回目の核実験を行ってから62日目、2月7日に事実上の長距離弾道ミサイルを発射してから30日目に出された。また、国連安全保障理事会の制裁決議採択からは5日目となる。
韓国政府が発表した対北独自制裁措置のうち、最も注目されるのは北朝鮮や第三国の個人と機関に対する金融制裁だ。金融制裁を受ければ韓国金融会社との取引が禁止され、韓国内の資産が凍結される。
指定された個人は北朝鮮人が38人で、第三国の個人が2人となっている。40人中、23人は韓国政府が独自に指定した。また30機関のうち、北朝鮮機関は24で、第三国の機関が6となっている。17機関は米国や日本などがすでに制裁対象に指定しており、13機関は韓国政府が独自に指定した。政府は昨年6月にも第三国の個人4人と3機関を金融制裁対象に指定したが、北朝鮮の機関と個人に対する独自制裁は今回が初めて。
特に、金融制裁の対象には対韓国政策を担う統一戦線部長と労働党書記を務める金英哲(キム・ヨンチョル)氏が含まれたことが注目される。金氏は2010年3月の北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件や坪島砲撃事件、15年の非武装地帯(DMZ)での地雷爆発事件の背後にある人物とされる。
今回発表された制裁措置には「入国禁止」などは含まれていないものの、対韓国政策を担う金氏を制裁対象に指定したことで、金氏を交渉相手として認めないという韓国政府の立場を明確にしたと評価されている。
このような金融制裁は直ちに実質的効果をあげることはないが、制裁対象になった個人と機関に問題があるということを国際的に公表して広める効果がある。
政府当局者は指定された個人や機関との取引に注意を喚起し、北朝鮮の活動を縮小させ、北朝鮮の大量破壊兵器の開発中断や外貨収入遮断に影響を与えるだろうと話した。
北朝鮮に寄港した第三国の船舶が180日内に入港することを禁じた措置も非常に効果的な制裁と評価されている。
北朝鮮船舶は「天安」撃沈事件を受け同年5月から実施している対北朝鮮制裁措置(5・24措置)により、現在も韓国に入港することができないほか、韓国の海域を通過することもできない。今回の措置ではこれに加え、北朝鮮に寄港した第三国の船舶の韓国入港を6カ月間禁止する。
政府によると、2015年に北朝鮮に寄港した第三国の船舶66隻が104回にわたり韓国の港湾に入港し、主に鉄鋼や雑貨などを輸送した。
政府側は「船舶は通常6カ月以上の運航契約で運営される」とした上で、「外国の船会社がわが国に就航するために北との契約を避けると予想され、実質的な対北制裁効果があるだろう」と話した。
政府は、第三国の船籍ながら実質的には北朝鮮が所有している便宜置籍船に対しても入港を禁止する方針だ。
今回の措置により、ロシア極東沿海地方ハサンと北朝鮮北東部・羅津を結ぶロ朝物流協力事業で韓国企業も参加するハサン―羅津プロジェクトは事実上、白紙化されることになった。
ハサン―羅津プロジェクトはロシアの石炭などをハサンから鉄道で羅津港に運び、そこから韓国や中国、日本に船で運搬する事業。日本は、先月10日に北朝鮮に寄港した船舶の入港が禁じており、今回韓国が同様の措置を取ったことにより、事業の継続は難しくなった。ロシアは同プロジェクトを念頭に置き、安保理決議で第三国(ロシア)産石炭の羅津経由の輸出を例外と認めさせていただけに、韓国の措置に反発する可能性がある。
海運制裁の対象になる可能性が高い船舶のほとんどが中国籍であるため、入港禁止措置と関連して中国と外交摩擦が生じるとの見方も出ている。
このほかに、北朝鮮関連の輸出入規制の強化や海外にある北朝鮮関連の飲食店など、北朝鮮関連営利施設の利用自粛の呼びかけも一定の効果が期待される。
政府によると、2010年の5・24措置で北朝鮮産物品の国内搬入が禁止されてから昨年10月までに71件が第三国を経由して搬入され、関係当局によって摘発された。
政府は取り締まりを強化するとともに、北朝鮮に特化した監視対象品のリストを作成する計画だ。
政府当局者は「海外飲食店も北の外貨獲得源の一つ」とした上で、北朝鮮の飲食店は12カ国で約130店が運営されており、年間1000万ドル(約11億円)程度の収益を上げていると予想され、同施設の利用を減らせば北朝鮮の外貨収入の相当部分を遮断する効果があると説明した。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/08/2016030802807.html
8日午後、運転を停止している新潟県の柏崎刈羽原子力発電所5号機で、検査中に原子炉の核分裂反応を抑える制御棒が操作していないのに動き出すトラブルがあり、東京電力が原因を調べています。周辺環境への影響はないとしています。
東京電力によりますと、柏崎刈羽原発5号機で8日午後2時すぎ、原子炉内の核燃料の間に185本挿入されている制御棒のうちの1本が動き出して、制御棒が正常な位置にないことを示す警報が鳴りました。当時は検査のため、制御棒に関係する弁を動かす操作をしていたということですが、制御棒本体を動かす操作はしていないにもかからわず定位置よりも僅かに上にずれ、およそ1分後に元の位置に戻ったということです。
東京電力によりますと、核分裂反応が止まった状態は維持されていて、このトラブルによる周辺環境への影響はないとしています。制御棒は、核分裂反応を抑える安全上、重要な設備で、東京電力は、トラブルを国に報告するとともに原因を詳しく調べています。
柏崎刈羽原発5号機は、事故を起こした福島第一原発と同じBWR=沸騰水型と呼ばれるタイプの原子炉で、事故の翌年の平成24年に定期検査に入って以降、運転を停止しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160308/k10010436211000.html
林経済産業大臣は、参議院予算委員会で、東京電力福島第一原子力発電所で起きた核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」への対応を巡る問題について、極めて遺憾だとしたうえで、東京電力に対し、当時の原因を詳しく調査するよう指導を徹底する考えを示しました。
福島第一原発の1号機から3号機までの3基で、核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」=「炉心溶融」が起きたことを巡り、東京電力は事故発生から2か月後に正式に認めましたが、当時の社内のマニュアルでは、事故の3日後にはメルトダウンと判断できたことを先月、明らかにしました。
これについて、林経済産業大臣は8日の参議院予算委員会で、「東京電力が社内マニュアルに5年間気付かなかったことは極めて遺憾だ。私からは東京電力の廣瀬社長に対し、第三者も入った形で詳細な調査をしっかり行い、福島県や国民に対して丁寧な説明を行うことなどを強く指示した。東京電力がしっかり対応するよう適切に指導していきたい」と述べました。
また、参考人として出席した東京電力の廣瀬社長は「3月14日の段階で相当程度の炉心損傷という認識を持ち、すぐに報告している。この段階で隠蔽や公表の遅れは考えてなかっただろうと思う。マニュアルがあって、そのとおりになされていないのは事実であり、本当に申し訳ない。しっかり調査して原因を追究したい」と述べました。
一方、参議院予算委員会は、このあと開かれた理事懇談会で、来週14日に社会保障などをテーマに安倍総理大臣の出席を求めて集中審議を行うことで与野党が合意しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160308/k10010436181000.html
安倍首相は、“媚中”であることを見抜かれないよう、必死に「対中強硬」発言を行っている“偽善者”である
※関連参照投稿
「[衆議院解散劇の裏を読む]米国も絡む日中関係に規定され動いてきた日本の12年後半政局」(http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/769.html)
「茶番劇!?石原氏は、息子も出馬した総裁選での安倍勝利を予め知っていた可能性:無視されたままの党首討論会「石原重要証言」」
http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/780.html
「密漁めぐる「空白の3日」 外務省の過剰配慮か:安倍対中おもねり外交:どんなときでも筋だけは通さなければ“叩頭外交”に堕す」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/180.html
「安倍政権は3月に教科書検定という裏口を使い「中国の領有権主張」と「南京虐殺」を認定:靖国不参拝も5月高村副総裁訪中で伝達」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/319.html
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中国外相 日本は偽善的だと非難する[スプートニク日本語]
2016年03月08日 18:33(アップデート 2016年03月08日 18:34)
中国の王外相は、将来的に中国と日本の関係が改善されると楽観的に考える理由はみあたらないとの見方を表した。ロイター通信が報じた。
外相は、日本は「偽善的」であり、常に中国に対して新たな問題をつくりだそうとしているとして非難した。
なお王外相は、両国間の「伝統的な友好」が2カ国を結びつけることを基盤に、中日関係が改善される可能性に期待を表した。
一方で外相は、「それぞれの国の賢い人々の努力のおかげで中日関係改善の兆しがあるものの、楽観的に考える根拠は少ない」と述べた。
外相によると、中国は日本との関係が実際に改善されることを望んでいるが、日本政府と日本の指導者たちは、中国との関係改善を望むと巧みに述べる一方で、中国に対してことごとに問題をつくりあげているという。外相は、「私はこれを偽善の典型的な例だと述べる」と指摘した。
なお外相は先に、ロシアと中国の関係は協力と信頼の強固な基盤の上に成り立っており、あらゆる国際的な危機にも耐え抜くことができると述べた。
既に有名無実化し空証文になっている第9条だが、他の条項はともかく、第9条がある第2章戦争の放棄や第1章天皇・第9章改正・第10章最高法規に関する改正について、安倍首相をはじめとする自民党の幹部たちは、「戦後レジーム」=対米従属構造から脱却しない限りムリだと理解している。
(戦後日本で統治主体になるために対米従属構造を選択しながら、できない(しない)自主憲法制定を党是として掲げる奇妙なネジレ政党が自民党)
だからこそ、憲法学者の過半数が違憲と考えている自衛隊の必要性や“合憲性”を認める国会議員が2/3どころか90%を超えているのに、憲法に自衛隊をきちんと規定するレベルの抑制的な憲法改正さえ行われずにきた。
(一方の護憲派も、有名無実化している第9条を“お経”のようにただありがたがっている:従米的軍事活動拡張に歯止めをかけるという戦術的護憲論は認める)
日本が、憲法第9条を掲げながら、米国の要求に沿うかたちで「自衛隊・日米安保条約・PKOなど国外での活動・イラク占領協力など」を政策として実現してきた歴史を考えれば、米国支配層はことさら第9条を改正する必要性や意義を感じていないと推測できる。
逆に、第9条を改正することで軍事的活動に関する“タガ(制約)”が外れ、日本が“自主的で自由な軍事的活動”を選択できるようになるほうがずっと危険だと考えているだろう。第9条は、日本の国際的動きを制御したい米国支配層にとって貴重な“手綱”なのである。
第9条=日本に嵌めたタガ論は、米国支配層に限らず、中国や韓国など周辺諸国も共有している考えと推測できる。
(現在の中国は、米国の束縛から自由になった日本より、米国にコントロールされた日本のほうが対応しやすく望ましいと考えている。日本問題を厄介な日本と話し合わずに、他の重要な問題ともども米国と話し合うことで解決できるからである。未来永劫というわけではないが、このような意味で「日米安保体制」支持である)
安倍首相も、このようなことをわかったうえで憲法改正を叫んでいる。
安倍首相は、恥ずべきことに、第9条の改正は難しいという理由で棚上げし、「非常事態」など他の改正を行いたいと軌道修正を行っている。
自民党は、改憲したいと思っている勢力であっても、肝心な条項を改憲する勢力ではない。改憲するためには、「戦後レジーム」=対米従属構造から脱却しなければならないからである。
「憲法改正」と「統治勢力として存続」のいずれかを選択しなければならないとしたら、迷うことなく「統治勢力として存続」を選ぶのが自民党の政治家たちである(行政官僚や裁判官までがそうなのだから始末に困る)。
安倍首相などは、憲法のコア部分は改正できない(しない)とわかっているから、安心して“保守派に見せる宣伝コピー”として改憲を叫んでいる。そして、米国支配層も、従米の政権基盤を弱体化させたり露骨な内政干渉として国民の反発を買う可能性もあるので、従米政治勢力が口先で改憲を叫ぶことにはケチをつけない。
自民党や米国支配層がもっとも困る事態は、「護憲派」が利口になり、現実(自衛隊や対外軍事活動)と憲法規定のネジレを解消するために必要最小限の憲法改正を訴えるようになることだろう。
そうなると、改憲派=「保守愛国派」的言動はポーズだけで実際には改憲に着手しないという従来的欺瞞を続けられなくなる。
第9条の改正が国民投票で否決される意義は大きく、安保関連法制の大幅見直しを要請する。
なお、自民党憲法草案をはじめいくつかの改正草案が出されているが、第9章第96条に「憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する」(この憲法と一体を成すもの)と規定されていることでわかるように、日本国憲法改正は米国型の修正方式を踏襲したものだから、憲法改正に関する憲法解釈までデタラメがはびこっていることを意味する。
(元の憲法を残しながら、修正第1条などと新しい規定を加えていく方式)
このため、ゼロから新たな憲法をつくろうと思ったら、まず第96条を改正し、その後、新しい憲法を国会で発議し、国民投票を通じて承認を得なければならない。
※関連投稿
「柄谷行人「憲法9条の今日的意義」(2016年1月23日講演のテキスト起こし) 」
http://www.asyura2.com/14/idletalk41/msg/300.html
私のようなベタな陰謀論ではなく、高尚な論理立てで憲法改正は行われないことを説いた柄谷行人氏の講演録です。
「みなさんは憲法9条の普遍的意義を再確認して、それによって改憲を阻止する力としようと考えておられるかもしれませんが、じつは私はその必要はないと思っているんです。というのは、改憲がなされることはないと思っているからです」と切り出し、憲法改正が行われない論証を行っている。
柄谷行人氏の論証は面白い切り口だとは思うが同意はしない。
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[風見鶏]「護憲」で本当に勝てるのか
写真は60年前、1956年の参院選を報じた日本経済新聞である。違和感を覚えないだろうか。いちばん大きな見出しは「革新派3分の1を突破」。第1党の自民党については「前議席を維持」とあるだけだ。
当時の読者にはこれで十分だった。この選挙が「3分の2」と「3分の1」を争う戦いであることを誰もがわかっていたからだ。
その前年、左右社会党の合同と自民党の結党により55年体制が始まる。保守と革新の最初の激突となった参院選の争点は一も二もなく「イコール再軍備」である憲法改正の是非だった。
自民党が改憲の国会発議に必要な参院の3分の2以上を占めるのか、それとも社会党など革新勢力が3分の1以上の議席を得て阻止するのか。与野党の勝敗ラインはそこに敷かれた。
この初陣で目標を達成できなかった自民党は続く58年の衆院選でも3分の2に届かなかった。改憲ハードルの高さを思い知り、選挙で憲法を争点に据えることはなくなった。
今年7月の参院選はそれ以来、久しぶりの憲法決戦になりそうだ。自民党は13日の党大会で採択する運動方針に「憲法改正を行うには衆参両院の3分の2以上の賛成および国民投票における過半数の賛成が必要である」と明記する。
憲法の規定を復唱しただけではあるが、昨年の運動方針にはなかった表現だ。安倍政権が「3分の2」を強く意識していることが読み取れる。
安倍晋三首相は1月の年頭会見で「憲法改正は参院選でしっかり訴えていく」と言明した。以降もエンジン全開状態で、今月2日には「私の在任中になし遂げたい」と期限を切った。
迎え撃つ野党はどうだろうか。民主党の岡田克也代表は「安倍政権のもとでの憲法改正は認めない」と力説する。2月の社民党大会では5野党の首脳クラスが手をつないで共闘する姿勢をアピールした。
ただ、個々の野党議員に話を聞くと、本当に危機感を抱いているのかと首をかしげたくなることがある。
「アベノミクス一本やりで3分の2を取っても、改憲が承認されたことにはならない」
「自民党は改憲を争点化しないでしょ。勝てないから」
どの程度訴えれば争点化したことになるのかの判断は難しいが、首相がこれだけ憲法改正に意欲を示していても「死んだふり」と言えるだろうか。
憲法を争点に据えると自民党が“敗北”するという過去の常識がまだ生きているかも疑わしい。
改憲勢力とされる自民、公明、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の4党合計で参院の3分の2以上を占めるには、7月の参院選で77議席を獲得する必要がある。
公明党が3年前と同じ11議席、おおさかが仮に5議席を取るとすると、自民党のノルマは60議席前後になる。衆参同日選という追い風があれば、3年前の65議席をも上回るかもしれない。そう考えると改憲勢力がこの夏、3分の2に達しない方が驚きである。
そのとき、護憲の人々はどうするのだろう。「争点ずらしにしてやられた」とはもう言えまい。国会前デモの写真を振りかざして「こちらが民意だ」となお叫ぶのだろうか。
「まだ国民投票がある」とは言えようが、安倍首相が(2018年の党総裁任期は延長でクリアし)19年夏に衆院選と参院選と国民投票のトリプル選を仕掛けないとも限らない。
護憲勢力は自分たちがもはや瀬戸際に追い込まれていることを本当にわかっているのだろうか。
(編集委員 大石格)
[日経新聞3月6日朝刊P.2]
「放射性物質を大量にまき散らすだけの「ベント」が原発核燃料溶融事故対応として有効な手段と主張する倒錯:米国は設置義務見送り」
http://www.asyura2.com/15/senkyo195/msg/372.html
「高圧注水系やベントの問題そして電源喪失問題」
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/916.html
「2号機の放射性物質大量放出は格納容器ベントの失敗ではなくS/Cの水喪失状態で主蒸気逃がし弁操作を続けたせい」
http://www.asyura2.com/15/genpatu43/msg/432.html
「1号機問題:意味がほとんどない「ベント」や「海水注入」の遅れが問題視されるという錯綜状況」
http://www.asyura2.com/11/genpatu11/msg/604.html
「突然話題になった超高線量放射物質の配管内残留は、秘密裏に、1号機で“ドライベント”が実施された証だと考えている。」
http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/225.html
「テルル132が浪江町で検出された意味」
http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/305.html
「NHKスペシャル「知られざる大量放出」の放送を受けて:3号機の大量放出は配管切断後の“ドライベント”が主要因」
http://www.asyura2.com/14/genpatu41/msg/488.html
朝鮮民主主義人民共和国の指導者、金正恩第一書記は「我が国は、核弾頭の軽量化を成し遂げ、それらを弾道ミサイルに搭載する能力を持っている」と述べた。韓国ヨンハップ(聯合)通信が伝えた。
報道によれば、北朝鮮のラジオは、金正恩第一書記の発言を引用し、次のように伝えた―「我が国は、核弾頭の軽量化し、それらを弾道ミサイルの標準に合わせるという課題を実現した。」
なお北朝鮮のラジオは「金正恩第一書記が、核兵器開発の責任者達と会い、彼らが仕事を成功裏に成し遂げた事にお祝いの言葉を述べた。その仕事は、国連安全保障理事会での決議をもたらし、一部の国による追加制裁を呼び起こした」と確認した。
地球の生命はどこから来たのだろうか?ロシアの学者たちの答えは、世界の学術界を震撼させた。ロシアの学者たちによると、地球の生命は宇宙からやって来たというのだ。
ロシアの学者たちは、20世紀半ばに地球へ飛来した隕石の破片の奥深くで微生物を発見した。この微生物は、我々の惑星である地球よりも先に誕生したか、あるいは同じ頃に生まれたという。
太陽系は今から40億年前に形成された。地球の表面には隕石が落下し、その量はしだいに増えていった。
ロシア科学アカデミー古生物学研究所のアレクセイ・ロザノフ所長によると、地球にはすでにその発展の最も初期の段階で、宇宙船のようなこれらの隕石で旅していた最も原始的な生命が住みつき、その後、間断なき進化が遂げられたという。
先に米国の学者たちが、地球には宇宙の微生物が住みついた可能性があると発表していたが、米国の学者たちの写真資料は、人々を納得させることができなかった。しかし科学アカデミー正会員であるロザノフ所長が提示した写真は、学者たちのあらゆる疑問を払拭した。
強力な顕微鏡を用いて隕石の内部で最も原始的な生命が発見された。南極や宇宙ステーションの船外で行われた実験のおかげで、学者たちは、例えば彗星の氷に潜むなど、細菌が宇宙でも生存できることを明らかにした。微生物は、国際宇宙ステーション(ISS)の外側にたまった宇宙塵からも発見された。これらの微生物は、宇宙の極度の低温にも、また宇宙線の影響も受けず、損傷していなかった。
したがって、地球がその発展の初期段階にあったときに最も原始的な生命が住みついたというロザノフ所長の説は、現代科学でその予測が正しいことの証拠を見つけたことになる。さらに欧州の天体物理学者たちが、銀河系中心から広がるガス雲でDNA鎖を構成する分子を発見したという事実も、この説を間接的に証拠づけている。
したがって私たちは地球における生命体が宇宙で唯一ではなく、我々と並行して他の文明が成長、発展していることを確信することができる。
今週末、米ジョージア州沖のプライベートアイランドで、米大手テクノロジー企業のトップ、ホワイトハウスの職員、共和党および民主党の代表者たちが、大富豪のドナルド・トランプ氏が米大統領になるのを阻止する方法について協議した。ハフィントン・ポスト紙が報じた。
会合を主催したのは、米国の企業研究所で、毎年開かれている世界フォーラムの枠内で開かれた。会合に詳しい消息筋がハフィントン・ポスト紙に伝えた。
フォーラムには、アップル社の最高経営責任者(CEO)ティム・クック氏、グーグル創業者のラリー・ペイジ氏、ナップスター社共同設立者の1人ショーン・パーカー氏、テスラモーターズ社とスペースX社のCEOを務めるイーロン・マスク氏や、政治家からは、共和党上院院内総務のミッチ・マコーネル氏、民主党及び共和党の上院議員と下院議員、またホワイトハウスの職員が参加した。
「ロシアは『先制核攻撃』に関する朝鮮民主主義人民共和国の声明は、断固として許す事は出来ない」−ロシア外務省は声明を発表し、このように指摘した。
声明の中では、次のように述べられている―
「朝鮮半島及びそれをめぐる情勢の進展ぶりは、ますます大きな不安を呼び起こしている。
3月7日に始まった米韓合同軍事演習は、公式的には毎年恒例のものだと述べられているが、実際のところは、その規模、参加する兵器の数や種類においても、また実施される作戦のタイプにおいても前代未聞の性格を持っている。
当然、朝鮮民主主義人民共和国は、こうした積極的な軍事行動の直接の対象と名指しされている国家として、自国の安全保障に不安を感じるのは当たり前の事だ。ロシアは、何度も、こうした北朝鮮当局に対する軍事的政治的圧力に対する否定的な立場を、公然と表明してきた。
それと共に、ロシアは、現在行われている事に対する北朝鮮側の反応についても、適格なものだとは、見ていない。
特に、『先制核攻撃』を行うといった公の脅迫的声明は、断固として許すべからざるものだと捉えている。
北朝鮮当局は、そうした行動によって、自分自身を国際社会に最終的に敵対させてしまう事、そして国連憲章で定められた国家の自衛権によって、自国(北朝鮮)への軍事力行使の国際法的根拠を与えてしまうという事をはっきり自覚すべきである。」
「アラブの春」から5年。米オバマ政権が関与に消極的だったため、中東ではグローバルなガバナンス(統治)のタガが外れた。米国や欧州諸国が核開発問題でイスラム教シーア派の地域大国イランに歩み寄り、イラン封じ込めという地政学の大前提も変わった。
イスラム教スンニ派の地域大国であるサウジアラビアやトルコは、内政の延長や域内の覇権争いの思惑で動く傾向を強めている。サウジがイランと外交関係を断絶し、宗派対立が激しくなったが、両国とも直接衝突は避けようとする。当面の焦点は、イランやロシアがアサド政権を支援し、サウジやトルコが反体制勢力を支援してきたシリアでの「代理戦争」の行方だ。
サウジでは昨年1月にサルマン国王が即位した後、慎重な外交から「我を通す」外交への変化が目立つ。国王の若い息子であるムハンマド・ビン・サルマン王子が、副皇太子兼国防相として権力の中枢に加わった影響もあるだろう。
サウジはまず、シーア派の部族勢力が首都サヌアを占拠するイエメンへの軍事介入を主導した。さらに昨年12月、スンニ派諸国による「イスラム軍事同盟」を立ち上げると発表した。そしてイランとの断交だ。
それでも、スンニ派諸国がみなサウジと足並みをそろえているわけではない。アフリカのスーダン、ソマリア、ジブチはサウジに追随してイランと断交した。しかし、サウジが盟主の湾岸協力会議(GCC)加盟国の中で、イランと断交したのはバーレーンだけだった。アラブ連盟もイランへの具体的な対抗措置には踏み込んでいない。
情勢がより複雑なのはシリアをめぐる国際関係だ。
難民殺到とテロの広がりをきっかけに欧州諸国は、難民流出の元で過激派組織「イスラム国」(IS)の温床にもなっているシリアの内戦をとにかく終わらせたいと考えるようになった。この変化を見て昨年9月から軍事介入したロシアは、IS以外の反体制勢力の支配地域を狭めた。
アサド政権側は、首都ダマスカス周辺と交通の要衝ホムスの大半、アサド一族の本拠地である地中海岸のラタキア、ロシア海軍が港を利用するタルトゥスなどの支配を続けていた。だが、シリア第2の都市である北部のアレッポとは支配地域がつながっていなかった。
今年2月のロシア軍と政権側の攻勢によって、アレッポが政権側の支配地域とつながった。アレッポ以北の反体制勢力の支配地域も一気に細ったうえ、アレッポ以南と分断された。勢力図の重要な変化だ。これを踏まえてロシアは暫定停戦を提案し、ISとの戦いを最優先するようになった米国も事実上この動きに相乗りしている。
この展開にトルコのエルドアン政権が焦る。シリアの反体制勢力への物資の補給などが難しくなったからだ。
トルコと米国の不一致も深刻になった。米国は、ISと最も対抗しているクルド系勢力との連携を進めている。ところがトルコは、クルド人の勢力拡大阻止を優先する。シリアのクルド人組織がトルコでテロ組織とされるクルド労働者党(PKK)の姉妹組織であることから、トルコはこれもテロ組織とみなしてクルド系支配地域への攻撃を繰り返す。
そういう状況下でサウジとトルコは先月、シリアに地上軍を派遣する用意を示した。トルコの安全保障専門家は「シリアがロシアやイランの手に落ちると、トルコだけでなく中東全体の姿が変わり、米欧が影響力を失う」と語る。サウジのメディアには「時には軍事力の行使が不可欠。米国が動かないから、ロシアが主導権を握る」「米国が動かないなら、自ら動く」といった論説が載っている。
派兵の用意について、サウジとトルコの政府はISと戦うためだと説明するが、ロシアと偶発的に衝突するリスクも排除できないだろう。米国が同盟国であるトルコやサウジの動きを制御しないと、シリア情勢はさらに混乱しかねない。
もう一つのスンニ派の地域大国エジプトでは、統治の強化と秩序の立て直しを重視するシシ政権の姿勢が鮮明だ。シシ政権はサウジが呼びかけたイエメン介入やスンニ派の軍事同盟構想に距離を置き、シリアについてもロシアや政権側の攻勢に理解を示す。
中東のこれ以上の流動化を避けたい米欧も、強権的な統治に目をつぶって、再びエジプト支援を進めるようになった。
イランでは2月末、最高指導者を選ぶ権限を持つ専門家会議の選挙と国会選挙で、経済制裁解除にこぎ着けたロウハニ大統領を支持する穏健・改革派が躍進した。米欧との対決姿勢が強い保守強硬派の退潮で、ロウハニ政権の米欧との対話路線に追い風が吹き、イランは国際的な影響力の回復をめざす。この流れをサウジが警戒する。
シリアでは、ロシアと米国の共同イニシアチブで2月27日から暫定停戦に入った。停戦がおおむね順守されれば、国連の仲介で政権側と反体制勢力の和平協議が再開する。
風向きが変わる中で、サウジとトルコはこれからどう動くのか――。米欧のパートナーだった国を、米欧が政治的な障害と感じ始めている変化。そこに、宗派対立とは別の、新たな中東の地政学リスクが見える。
[日経新聞3月7日朝刊P.4]
東日本大震災で東日本沿岸に未曽有の大津波をもたらした大きな要因は、巨大な岩板(プレート)が、海底直下の浅いところで大きく滑ったことだった。それまで海底の深いところで起きると考えられていたプレートの滑りが、予想外に浅いところで起きたのはどうしてか。震災5年の節目を控え、その要因を探る新たな観測が動き出した。
東北大学と海洋研究開発機構などの共同チームは昨年9月、宮城県沖約200キロメートル付近で、日本海溝を挟む2つのプレートにそれぞれ観測装置を設置した。プレートが地震を起こさずにゆっくり動く「スロースリップ」を観測するのが目的だ。
装置の間隔は約10キロメートル。海中に音波を出して通信し、互いの距離を精密に測定する。スロースリップによってプレートが動くと距離が変わり、滑り方を継続的に追跡できる。今年9月には、福島県沖にも設置する。
東北大学の日野亮太教授は「スロースリップの解明は、震災の起きた仕組みの理解につながる」と指摘する。震災は、スロースリップと地震が連続して起きた。まず長期間スロースリップが起き、3月9日にマグニチュード(M)7.3の地震が発生。その後「余効滑り」と呼ばれるスロースリップが続き、11日にM9の本震に襲われた。現在も続く本震の余効滑りを観測し、その特徴を探ろうとしている。
東日本の太平洋の海底では、海側の太平洋プレートが日本海溝のところで陸側の北米プレートの下に潜り込み、西に向かって進んでいる。海底深くに2つのプレートがくっついた固着域があり、プレートの移動によってそこにひずみがたまる。耐えきれなくなると一気に滑って地震が起きる。これが従来考えられていたメカニズムだ。
実際、宮城県沖では約30年ごとに深いところを震源とするM7級の地震が起きている。地震で解消しきれないひずみは、スロースリップで解消されると思われていた。
今回の震災は、こうした想定を覆した。日本海溝のほぼ直下、海底に近い浅い部分が約50メートルも滑ったことがわかっている。過去のM9級の地震では、浅い部分に大きな滑りはみられなかった。
本震の震源は約20キロメートルの深さにあった。なぜ、それよりも浅いところが大きく滑ったのか。複数の要因が浮上している。
一つは、この海域に周期的に巨大地震を起こす固着域があるという考えだ。400〜700年間隔で同規模の地震が起きていることが、津波による堆積物や文献などから推定されている。地震波の計測などから、プレートの破壊が始まった場所には幅数十キロメートルの固着域があったとみられる。
この固着域にピン留めされて浅い部分が長年スロースリップを起こせず、ひずみを蓄積。震災で固着域が壊れたとき一緒に動いたため、大きな滑りになったとの見方だ。
もう一つは、プレート間の摩擦が震災時に急減少した可能性だ。摩擦の特性は場所によって違い、プレートが動くと滑りやすくなることも逆にブレーキがかかることもある。同じ場所でも過去の地震の履歴によって特性が変わることが、最近の研究でわかってきた。
大きく滑った部分を海底掘削船で掘削すると、プレート境界近くに粘土層があった。プレートが動くと摩擦熱が生じ、水が加熱され膨張する。この水が粘土層にとじ込められ、プレートの潤滑油として働いたとみられる。掘削孔で地中の温度を測定したところ、わずかに上昇していた。地震のときはセ氏数百度に達していたもようだ。
東北大の松沢暢教授は「さまざまな仮説があるが対立するものではない。今はすべての可能性を排除せずに考えるべきだ」と話している。
[日経新聞3月7日朝刊P.13]
「想定、頼りすぎは禁物」 地震調査委員会委員長の本蔵氏
東日本大震災は、日本の地震対策に根本的な見直しを迫ることになった。震災から5年たち、地震の想定と対策はどう変わったか。政府の地震調査委員会の本蔵義守委員長に聞いた。
――東日本大震災とはどんな地震だったのか。
「南北600キロメートルの震源を持つ巨大地震で、(大津波の原因となった)プレートの滑り量が、多いところで50メートルになった。ここまで地震エネルギーが蓄積されていたのは想定外だった。調査委が実施している海溝型地震の長期評価予測では想定しなかったタイプの地震が起きてしまった」
――その反省はどのように生かされたのか。
「これまで観測されたことのない地震を『想定外』にしないようにしている。例えば南海トラフ地震については、最大の場合、東南海と南海地域などが連動して動き、全領域のプレートがずれると想定している。これ以外にもいろんなタイプの地震が起こりうることを考慮して長期評価予測をしている」
――予測は困難なのか。
「災害科学の観点から、想定に頼りすぎないことが重要だ。どんな地震が起きても耐えられる社会を構築すべきだ。建物の地震対策を、長周期地震動を含め対応できるようにするなどだ」
「地震を予測する能力は、台風などほかの災害に比べて弱いことを自覚する必要がある。いずれ予測できるだろうというわれわれ研究者の見通しは甘かった。ただ災害の被害低減に向け、予測能力を高めていくことは重要だと考えている」
[日経新聞3月7日朝刊P.13]
外税方式という日本独特の価格表示が目眩ましになっていてわかりにくいが、消費者向けの「本体価格+消費税=総額」という価格表示は、消費税負担を最終消費者に転嫁できるようにする仕掛けでしかなく、消費税はあくまでも事業者が負担する税だからである。
転載する記事に出てくるモスフードサービスが「一物二価」にまつわるコストアップや面倒を避けたいのなら、価格表示を内税方式に統一し、テイクアウトとイートインの価格を同じにすればいい。
お客に「軽減税率」のテイクアウトが“高い”と文句を言われたら、「そうではありません。イートインの価格は“利益を削って安く提供している”のです」(事実そうである)と答えればいい。
(利益を減らしたくないのなら、イートインとテイクアウトの比率を勘案して税込価格を決める)
※参照投稿
「「軽減」だけでなく「加重」にもなる複数税率制度:創価学会や新聞社が熱望するワケは“原価で売っても消費税で利益”の仰天構造」
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/189.html
「どうなった? 消費税の軽減税率:バーガー価格がイートインとテイクアウトで同じでも無問題が「軽減税率」」
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/547.html
もう一つ、食堂やレストランなどほぼイートイン専門の外食産業は、複数税率の導入に伴い、新聞などとは真逆で適用される消費税が「加重税率」となる。
食堂型外食店が「加重税率」を避ける方法は、売上を「素材」と「調理・サービス」に分割することである。
会計処理の問題で実際には何も変わらないが、説明論理としては、お客さんにまず肉・魚介・野菜など素材とわずかだが調味料を買ってもらい、それらを使って調理したものをお客さんにサービスするという二重構造で、売上に係わる消費税は、素材部分が8%で、サービス部分が10%となる。
飲食店がものを売ってはならないという法があるわけではないので、税務署ともめるにしても、素材代と調理・サービス代の比率程度である。
(出前は「軽減税率」の適用といわれているが、配達コスト(時には容器引き取りコスト)があるのだから、内税表示で、店内と同じ価格にすればいい)
※参照投稿
「軽減税率の対象外「外食」業界に危機感:対抗策教えます!標準税率10%さえ上回る「加重税率」をこの秘策で吹き飛ばせ!!」
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/375.html
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[真相深層]細る外食、太るコンビニ
軽減税率で「胃袋戦争」新局面に 「一物二価」レジ混乱の懸念
政府・与党は2017年4月に軽減税率を導入する方針を決め、酒類を除く食品が8%、外食は10%と線引きした。同じ商品も食べる場所などで「一物二価」が生じる。消費が伸び悩むなか、外食離れに拍車がかかるのは必至だ。一方、競合するコンビニエンスストアは太りそうで、胃袋戦争は新たな局面に入る。
消費税10%時、持ち帰りの商品(左)は8%、店内で飲食する商品は10%に(都内のハンバーガーチェーン店)
にじむ悔しさ
1月15日、都内のホテルで開かれた日本フードサービス協会の賀詞交換会。軽減税率の対象から外れた同協会会長の桜田厚モスフードサービス会長兼社長は「自分の子供に『なぜ店内で食べるのと持ち帰りで価格が違うの』と聞かれたが答えられなかった。これが一般の人の感覚ではないか」と悔しさをにじませた。
これを受けて公明党・井上義久幹事長は「そういうことならぜひ息子さんと娘さんにお会いし、ご説明しないといけない」などと応答。不利な政治決断を受けた業界団体の賀詞交換会だけに自民党の谷垣禎一幹事長含め、与党側のあいさつは歯切れが悪かった。
消費税率10%の痛税感を和らげるのが軽減税率の狙いだ。もっとも30兆円近い市場規模に達し、国民の食生活に貢献してきたと自負する外食業界は腹の虫が治まらない。
コンビニ、スーパーと比べて外食は増税対象が最も多い。コンビニの場合、約9兆4000億円の市場規模に対し、8%となるのは5兆8300億円。13兆円を超えるスーパーで8%は8兆4700円。対して外食は30兆円のうち、持ち帰り弁当店などを除く23兆8400億円が10%となる。
ファストフードなど外食産業は近年コンビニに押され気味だが、日本全体の店舗数は65万店とコンビニの10倍以上。フードサービス協会副会長の菊地唯夫ロイヤルホールディングス社長は「外食の雇用者数は500万人と大きく、景気を冷やしかねない。デフレ脱却の機運が強まるなか外食だけが出遅れる」と話す。
今回、ゼンショーホールディングス(HD)や吉野家HDなど大手外食チェーン20社に対し、軽減税率の影響に関する緊急アンケートを実施した。マイナスになると回答した企業は12社と6割を占めた。経営の方向性を見直すかとの質問には9社が「はい」「検討する」と答えた。
現場の混乱を懸念する声も多い。予想する混乱について聞くと、9割以上の企業が具体的な内容を答えた。最も多いのがレジでのトラブルだ。
「イートインとテークアウトの税率を分けるレジシステムの改修コストが重い」(バーガーチェーンのフレッシュネス)「お客様がテークアウトで購入した後、店内で食事をすることになったときの対応」(ロッテリア)など不安が広がる。
人手不足も深刻
さらに外食には軽減税率の前に頭の痛い問題がある。深刻な人手不足だ。
「来週末は人繰りがつかないので、閉店時間を早めます」。東京・世田谷区の商店街にある中堅外食チェーンの店舗入り口には時折、こうしたお知らせが張られる。
東京都内のパートの有効求人倍率は昨年約2.5倍と、時給千円程度ではなかなか人が集まらない状態だ。ロイヤルホストのような大手チェーンでも24時間営業の店舗を大幅に減らしている。ゼンショーHDが運営する「すき家」は60歳以上のシニアアルバイトをまとめて採用した。そのために接客マニュアルを見直したり、勤務時間を短縮したりするなど、受け皿作りに余念がない。
軽減税率など逆風が吹く外食産業。対するコンビニは過去、逆に「政治的アシスト」を受け成長してきた。1999年の規制緩和で栄養ドリンク剤の販売が認められたほか、08年には自販機用の成人認証カードが導入され、たばこを買う喫煙客を取り込んだ。
軽減税率導入に備え、外食産業では「テークアウト専門の実験店を作ったり、ネット注文を強化したりする必要がある」(モスフード)など対策を練る動きがあるものの、業界全体では来年以降、店舗閉鎖の拡大も予想される。
軽減税率を機に躍進するコンビニが太り、レストランがやせる。そんな構図に拍車がかかる可能性が高い。
(編集委員 中村直文)
[日経新聞3月8日朝刊P.2]
【北京=中村裕】中国最大の経済規模で「世界の工場」として知られる広東省(深圳市を除く)は今春、最低賃金の引き上げを見送る方向で調整に入った。景気減速で企業収益は伸び悩み、賃金の急上昇は得策でないと判断したようだ。中国ではこの5年間で最低賃金は約2倍に跳ね上がり、競争力低下が著しい。同様の動きが他省に広がれば中国の人件費高騰に歯止めがかかる可能性がある。
中国の最低賃金は各省が毎年、中央政府の意向をくみながら引き上げ幅や引き上げ時期を決定している。広東省は今春、2016年の最低賃金を15年のまま据え置く方針だ。たとえば同省広州市の場合、16年の最低賃金は15年の月額1895元(約3万3000円)が維持されることになる。
「平時」では異例
広州市の15年の最低賃金は14年比で22.3%引き上げられていた。広東省全体の平均でも19%上昇していた。同省は過去、リーマン・ショックや南欧経済危機などの際、緊急措置として最低賃金を据え置いたことがある。だが大きな危機に見舞われていない年に最低賃金を据え置くのは異例だ。
中国で事業展開する企業の賃金は、地元の最低賃金を参考に定められることが多い。広東省で最低賃金が据え置かれれば、省内の人件費高騰をある程度抑える効果を見込める。広東省には日本企業も約2千〜3千社が進出しており、影響は大きい。
中国の賃金上昇は全土での傾向だ。中国政府はこれまで、低賃金で働く多くの出稼ぎ労働者の反発を抑え込むため、最低賃金の上積みを続けて「豊かさの実感」を持たせ、批判をかわしてきた側面がある。
だが最低賃金引き上げを続けた結果、近年は賃金が急上昇して中国製品のコスト競争力は低下。企業の破綻や事業撤退に拍車がかかっている。昨年、広東省では大手時計メーカーのシチズンホールディングスが工場の一つを閉鎖し1000人を解雇したほか、米マイクロソフトも旧ノキアの携帯電話工場を閉鎖した。
その後もスマートフォン関連メーカーなどの倒産が相次いでいる。外資系企業は投資を敬遠し始め、15年の日本の対中投資額は前年比で25%減った。
中国政府は経済の構造改革に着手している。5日に開幕した全国人民代表大会(全人代)では、「供給サイド」の構造改革が主要な議題に挙がっている。年平均6.5%以上の「中高速成長」に向け、鉄鋼業や石炭業などの設備過剰の解消や、利益を出せない企業の淘汰などが柱になる。
競争力維持のため賃金の急上昇を抑制することも、供給サイドの改革のひとつだ。今回の広東省の最低賃金の凍結は、全人代で議論している改革を早速実行に移す事例とみられる。賃金の急上昇に悩む中国の他の省なども、今後は広東省に追随する可能性がある。
2333社淘汰も表明
このほか広東省は6日、供給過剰を続け赤字を垂れ流す国有企業や休眠企業(いわゆるゾンビ企業)をリスト化し、今後1年かけて2333社を淘汰・整理する考えも表明した。賃金問題とあわせ、中国の製造業が抱える問題に本格的にメスを入れる狙いだ。広東省の域内総生産(GDP)は15年まで27年連続で中国1位。同国経済をけん引している。
[日経新聞3月8日朝刊P.3]
欧州でロシアに次ぐ産油量を誇るノルウェーで企業が低炭素社会に向けた取り組みを主導しようとしている。石油最大手スタトイルは洋上風力発電を拡大し欧州域外にも展開。同国の電気自動車(EV)など電動車両の比率は2割に達する。地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」を受け、世界に広がる商機をどうとらえていくのか、動きを追った。
ノルウェー南西部カルム島沖合で北海の強風を受け直径約82メートルの羽根が回転を続ける。水面下100メートルのバラスト水を入れた構造物で船のようにバランスを保つ、浮体式の洋上風力発電設備だ。
「我々は洋上鉱区の操業の経験が豊富。洋上風力でも工期や安全操業の経験が生かせる」。昨年5月新設したニューエナジー部門のシニアバイスプレジデント、ステーフェン・ブル氏は語る。
30カ国以上で操業する同社の2015年の原油・天然ガス生産量は日量204万6千バレル(原油換算)と欧米石油メジャーに迫る。だがホームグラウンドの北海で近年、脱石油の象徴、風力発電で存在感を増す。これまで洋上風力に数百億円投資。総出力は10万キロワット超で石油会社で唯一、欧州大手の一角に食い込む。
水深20〜50メートルの遠浅の海が多い北海やバルト海では、海底に風車の基礎を固定する「着床式」が盛んだ。スタトイルは浮体式で安定発電できることを確認。17年末に英スコットランド沖で約20億クローネ(約270億円)を投じ浮体式を建設し、約2万世帯の電力をまかなう計画だ。
ブル氏は「30年に洋上風力の2割は浮体式になりうる。コストは4〜5割減らせる」と指摘。目線は水深の深い海が広がる欧州域外に向く。福島県沖で昨年、浮体式の実証が始まった日本では日立造船と事業化を探る。「原油安でも地球温暖化のトレンドは変わらず浮体式は他社が参入しにくい。日本や米国、中国に期待している」という。
ノルウェーにはEV大国の顔もある。15年の乗用車販売(約15万台)に占めるEVの比率は17%、プラグインハイブリッド車(PHV)を含めると20%を超えた。
「15年の販売結果に独フォルクスワーゲン(VW)関係者から驚きの声が上がりましたよ」。ノルウェーEV協会のペテル・ホーゲネラン氏はこう語る。VWのEV「eゴルフ」は日産自動車の「リーフ」を抜きEV販売の首位に立ち、ガソリン、ディーゼル車の「ゴルフ」も上回ったのだ。
背景にはノルウェー政府の手厚いEV補助・優遇がある。購入時の25%の付加価値税減免や毎年の道路税の軽減、公共駐車場の無料駐車などだ。
オスロ市内のタクシーは20年までに二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにしなくてはならない。高級EV、米テスラ・モーターズのタクシーも登場。運転手のトゥルム・サンメさんは「市内に5台あり顧客の反応は上々だ。冬は寒さで航続距離が半減するが充電場所は車載装置で検索できる。全く問題ない」と語る。
同国の消費者アンケート(複数回答)によるとEVを持たない層の不安は航続距離(74%)、充電設備へのアクセス(62%)、充電時間(51%)の順だった。だが利用者はいずれも20%前後に下がる。ノルウェーは発電費用の低い水力発電が多く欧州で最も電気料金が安い国の一つ。EVのメリットを受けやすい。
ただ国内EVは20年までに25万台に増えるとの試算もある半面、7千カ所弱で今も不足気味な充電設備の不安は残る。政府はいずれ優遇措置を見直す方針で「伸びが鈍る可能性もある」(EV協会)という。
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スタトイルとは
スタトイル 1972年にノルウェー国営石油会社として発足し、北海で原油や天然ガスの生産を拡大。政府が株式の67%を握るが、株式を上場し経営は独立している。直近の原油・天然ガス生産量、時価総額(約4290億クローネ=約5兆7千億円)は欧米石油大手では仏トタルや英BPに次ぐ。15年12月期決算は原油安が響き、売上高が前の期比23%減の4653億クローネ、最終損益は375億クローネの赤字(前の期は219億クローネの黒字)だった。
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天然ガスシフトも加速 政府と企業、思惑が一致
ノルウェーは洋上風力発電、電気自動車に加え、既存のエネルギー間の転換を通じた低炭素シフトの旗振り役でもある。主役は石炭に比べCO2排出量が4〜5割少ない天然ガスだ。
スタトイルは近年、西欧で発電燃料のガスシフトなどでシェア拡大に動く。BP統計によるとノルウェーの2014年の天然ガス生産量は1088億立方メートルで世界7位。生産減が続く英国と比べ安定している。
ウクライナ危機で天然ガスをロシアに頼るリスクが改めて顕在化。西欧でロシア・ガスプロムに次ぐ約2割のシェアを持つスタトイルには商機だ。同社幹部は2月中旬「ガスプロムとシェア争いをするつもりはない。ただ信頼できる取引は担保する」とけん制した。
世界最大級の政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金は昨年、石炭掘削関連や石炭火力依存度が高い電力会社への投資から手を引くと決めた。低炭素シフト推進が理由でスタトイルを後押しする。ノルウェー企業の低炭素戦略は政府の思惑と表裏一体の面を持つ。
オスロ=加藤貴行
[日経新聞3月8日朝刊P.6]
――年末からの金融市場の不安定な動きや、今後の世界経済をどうみていますか。
「世界市場には安定をもたらしていたいくつかの“いかり”があった。その1つは、低成長とはいえ経済が比較的安定していたといういかり。もうひとつは、中央銀行が金融市場のボラティリティー(変動率)を効率的に抑制していたといういかりだ」
「その大事ないかりが失われ、市場関係者は懐疑的になっている。長期で運用する『忍耐力のある資本』が欠けてしまったため、市場の変動率は高まっている」
――日銀はマイナス金利を導入しました。どう評価しますか。
「金融政策は不完全で、部分的な道具にすぎない。日銀は他の先進国の中央銀行と同様、金融政策だけを使って経済回復をなし遂げなければならない難しい立場にある」
「中銀はコラテラルダメージ(やむを得ない損失)や、予想外の結果を招くリスクを負いながら、実験的な政策に深く足を踏み入れなければならない」
「日本は金融政策だけに頼らず、もっと包括的な政策を取る必要がある。アベノミクスで訴えた『成長に向けた持続性のある構造改革』を実行に移すことだ」
――ドイツ銀行株が一時大きく売られました。欧州の金融システムは不安定になっているのでしょうか。
「不安定さは増している。それには3つの理由がある。その1つは銀行の収益力の低下だ。金利水準は非常に低く、利回り曲線の形は平たんになった。このため金融仲介者としての銀行は短期資金を借り、期間の長い融資をして利ざやを稼ぐのが難しくなった」
「2つ目は、資源安だ。資源やエネルギーの国際価格の低迷に伴い、欧州でも関連企業の一部は困難に直面した。こうした企業に融資している金融機関の貸し倒れリスクが高まった」
「3つ目は、こうした困難な状況に陥っている金融機関に対し、政府などの公的組織が支援の手を差し伸べるかどうか、投資家が自信を持てないでいることだ」
――米国では労働市場が堅調な半面で、製造業が厳しく景気の先行きに懐疑的な声もあります。米国景気が後退する可能性はあるのでしょうか。
「最近、2017年に米国が景気後退に陥るリスクの確率を30%前後に設定した。これは16年の数値よりも少し低い。米国の景気後退は、リスクシナリオと位置づけている」
「米国経済は最近、雇用が増え、賃金上昇も見られる。向かい風となりそうなリスクは2つある。ひとつは世界経済の弱体化だ。もうひとつは金融市場の変動率の高まりが、実体経済へ悪い影響を及ぼすリスクだ」
――世界の市場の混乱を抑えるには何が必要ですか。また各国政府には何が求められるでしょうか。
「市場の安定剤となるものは2つある。1つ目は忍耐力のある資本の投入だ。短期的な市場変動への許容度が高く、長期で投資する投資資金が求められている」
「もうひとつ重要なのは先進国の政策の変更だ。政府は中銀に過度に依存するのではなく、経済の構造・需要上の欠陥を改めるような包括的な政策を取ることだ」
(聞き手はニューヨーク=山下晃)
大手運用会社、独アリアンツのチーフ・エコノミック・アドバイザーを務める著名エコノミスト。2014年3月まで米債券運用大手ピムコの最高経営責任者(CEO)を務めた。金融危機後、低成長に陥った世界の状況を「ニューノーマル(新たな常識)」と名付けた。
[日経新聞3月9日朝刊P.2]
大ヒット商品が乏しいうえ暖冬の影響も重なりアパレル業界は苦境にある。消費の主役のはずの中間層はどのような買い物行動をとっているのか。実用衣料に強い、婦人服チェーン最大手、しまむらの野中正人社長に聞いた。
価格・価値見極め
――年明けから株価が乱高下しています。消費に影響は出ていますか。
「一喜一憂するような感じではない。消費者は『買いたい』という気持ちは持っているが、一抹の不安を抱いている。足元では賃金が上がるかどうか、マイナス金利政策が世の中にどのような影響を及ぼすのか見定めている。先々は消費税率の引き上げや社会保障制度の行方が焦点だ」
「諸課題を消費者が納得感を持って受けとめれば消費は動き出す。今は背中を押してくれるだけの納得感がない」
――消費の地合いそのものはいかがですか。
「前回の5%から8%への消費税率引き上げの影響がまだ尾を引いている。5%時代の値札は消費税込みの総額表示だけだった。8%になって本体価格と税額を分けて表示したり本体と総額の両方を表示したりするところが出てきた。痛税感を意識せざるをえない。価格と価値のバランスを今まで以上に消費者は注視するようになっている」
――どのような対策を。
「昨年半ばから前シーズンの商品を持ち越さないよう売れ残りは捨てた。売り場に新商品が入るようになり昨年9月以降、既存店売上高の前年同月比伸び率が2%を切った月はない」
「消費者の目は厳しく、1年前と同じ商品を販売しても手には取ってくれない。原材料が上がったからといって販売価格を上げても同じだ。素材、デザイン、機能などを消費者も納得してくれる価値のある商品は売れ行きがよい。裏地に起毛のある『裏地あったかパンツ』は昨シーズンは2900円だったが今シーズンは3900円にしても非常によく売れた」
大都市では好調
――地域別の商況は。
「関東南部、愛知、大阪、福岡などの大都市を抱える地域はいい。アベノミクスの恩恵を受けているのは大企業中心なのかもしれない。北海道や東北も健闘しているがガソリン価格の下落が追い風になった。この地域のロードサイド店の販売実績を下支えした」
――アパレル業界全体が不振なのはなぜですか。
「大きなファッショントレンドがここ数年ないのが痛い。そのために価格競争に陥り、リスクを取ったトレンドの打ち出しをするところが少なくなった。ただアベノミクスによって極度な低価格志向は収まった。潮目は変わり、少しずつ特色のある商品を開発すればチャンスは大いにある」
――来年春に予定される消費税率10%への引き上げは可能でしょうか。
「財政事情を考えればその必要性は理解できる。軽々しく言えないが今のような消費の地合いでは非常に難しいと思う。軽減税率の線引きや表示方法などシステム変更にも時間がいる。決まらないことが企業や消費者を足踏みさせている」
(聞き手は編集委員 田中陽)
のなか・まさと 「パートさんの力で会社が成り立っている」と語る。55歳
[日経新聞3月9日朝刊P.5]
景気に下振れ圧力がかかってきた。内閣府が8日発表した2015年10〜12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除く実質で前期比年率1.1%減だった。市場の混乱で個人消費、設備投資、輸出はさえない。1〜3月期も2四半期連続でマイナス成長になるとの声も一部で出てきた。政府の経済運営は正念場だ。
改定値は速報値の1.4%減からやや上方修正したが、個人消費や輸出の低迷は変わらない。2期ぶりのマイナス成長で、景気の足踏みが続く。
政府は現時点では経済対策の必要性を否定し、17年4月の消費増税は予定通りとの立場。5月18日に発表される1〜3月期のGDPがどうなるかに市場の注目が集まる。
日本経済研究センターがまとめた民間エコノミスト40人の予測平均は、前期比年率で0.81%増。大和総研の熊谷亮丸氏は「実質雇用者所得のプラスや原油安を支えに緩やかに持ち直す」とみる。政府も好調な企業収益や雇用環境を根拠に「緩やかな回復基調は変わっていない」(石原伸晃経済財政・再生相)とする。
だが公表済みの統計はさえない。1月の実質家計消費支出は前年同月比3.1%減で、5カ月連続のマイナスだ。8日発表の景気ウオッチャー調査や消費者態度指数は基調判断を下方修正した。
海外経済の減速で輸出も下振れリスクが高まっている。1〜3月期の鉱工業生産の予測指数は前期比0.3%低下。中国向けの電子部品・デバイスは新型スマートフォンの販売が不振で、2月、3月とも減産の見込みなためだ。輸出の下振れを受け15年10〜12月期まで底堅かった設備投資も勢いを失っている。野村証券の木下智夫氏は1〜3月期の実質GDPを0.4%減と見込む。
景気がさらに悪化すれば消費税率10%への引き上げ判断に影響を与える可能性がある。安倍晋三首相は増税先送りの条件に金融危機のような世界経済の大幅な収縮を挙げる。今のところ企業収益や雇用環境は底堅く「大幅な収縮は起きていない」(SMBC日興証券の牧野潤一氏)との見方が大勢だが、先行きは予断を許さない。
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街角景気 2月も悪化
消費が弱含んでいる。内閣府が8日発表した2月の景気ウオッチャー調査によると、街角景気の実感を示す現状判断指数は前月比2.0ポイント低下の44.6だった。低下は2カ月連続。家計動向、企業動向、雇用関連の全項目で指数が悪化した。内閣府は基調判断を「弱さがみられる」とし、前月までの「緩やかな回復基調が続いている」から下げた。
基調判断の下げは1年3カ月ぶり。市場の混乱が景況感の悪化につながった。北陸の百貨店は「株価低迷に伴う消費の冷え込み」が見られるとしたほか、北海道の高級レストランは「賃金の上昇が進まないこともあり、3カ月前と比べるとやや悪い。求人への応募も減少」したと指摘した。
日銀が導入したマイナス金利政策は評価が割れた。南関東の金融業者は「地方銀行にとって最悪。資金需要の増加につながるとは思えない」と批判した。一方、東北の住宅販売会社は「若い世代の顧客の動きが非常に良い」として、住宅ローン金利低下の効果が及んでいるとの見方を示した。
[日経新聞3月9日朝刊P.5]
フォームの終わり
企業による自家発電設備の新設や増設が広がっている。東日本大震災後、日本全体で原子力発電所7基分(約700万キロワット)に相当する設備が増えた。震災後に電力不足や計画停電に悩まされた企業は非常用電源として設備を増強。電力会社間の競争を促すため4月に電力小売りが全面自由化されることを受け、自家発電で余った電気の外部への販売拡大もにらみ、発電事業者として存在感を増している。
茨城県神栖市で4月、出力12万5千キロワットの大型火力発電設備が稼働する。石油元売り最大手のJXエネルギーが鹿島製油所内に設けた自家発電設備だ。原油を精製する過程で生まれた重油を燃料にする。「コスト競争力は石炭火力以上」とJXエネ幹部は胸を張る。電気は外部に販売する。
企業向けに加え、4月から家庭向けにも電力小売りを始める。同社の国内発電設備の総出力は160万キロワットを超え、震災前より1割以上増えた。電力小売り拡大には自前で電源を抱え、電力を安定供給することが必要と判断。2030年に400万キロワットへの引き上げを目指す。
経済産業省によると、15年9月末時点の自家発設備(出力1千キロワット以上)の総出力は6084万キロワット。11年3月末比13%増えた。足元ではさらに増えているとみられる。
自家発電を最新機器に更新し、発電効率を高める動きも増えている。JFEスチールは発電効率を従来より3割高めた新型発電設備を千葉市の製鉄所に導入。19年には川崎市の製鉄所でも新型設備に更新し、鉄鋼生産に使う電源を自前で賄う。
段ボール国内最大手のレンゴーも兵庫県尼崎市の工場で自家発電用の新型ガスタービンを導入した。段ボール原紙の生産は電気や蒸気を大量に使う。自家発電は生産コストや環境負荷の軽減に直結する。
震災後、電力大手の発電インフラの損傷により計画停電が起き、企業の事業活動にも影響が及んだ。事業継続計画(BCP)の観点から自前で最低限の電源を確保する動きも相次いでいる。
主に自家発電増強に動いているのは鉄鋼、化学などの素材や石油関連産業だ。製造工程で生まれる副生物を発電の燃料に使えるほか、自社でも電力を大量に使う。自家発電の使用量のうち、鉄鋼が全体の3割を占める。化学、紙パルプ、石油関連産業を含めると全体の8割近くに達する。自家発電は事業の競争力を高めるツールにもなる。
電力小売り全面自由化や固定価格買い取り制度を受け、太陽光や風力、バイオマス(生物資源)といった再生可能エネルギーも環境に優しい自家発電設備として注目を集めている。
震災で大きな被害を受けた日本製紙石巻工場(宮城県石巻市)。隣接地で出力14万9千キロワットのバイオマス発電所の建設が進む。石炭に間伐材などを混ぜ、燃やして発電する。18年3月に稼働させ、売電で収益を上げる。
「製紙会社から総合バイオマス企業へ脱皮する」。日本製紙の馬城文雄社長は語る。紙の原料用の木材の調達など培ったノウハウを生かした戦略事業に位置付ける。
オリックスは18年春までに太陽光発電所を増設。総出力は現在の2.6倍となる90万キロワットに膨らむ予定だ。風力発電国内最大手のユーラスエナジーホールディングスは20年までに風力発電所の能力を3割増やす。
日本経済新聞が実施した環境経営度調査では、主要製造業の再エネへの国内投資額は20年度に13年度比2.1倍に増える見通しだ。エネルギーの安定確保のため、今後も自前で電源をつくる動きが広がりそうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ10HVB_Q6A310C1TI1000/?dg=1
それはそれでいいのだが、その経緯を記者会見で説明した菅官房長官は、男系男子の皇位継承を定めた「皇室典範」は「女性差別を目的としたものではない」と語った。
皇位を継承できるのは男系男子という規定は、良い悪い(容認できるかできないか)は別として、女性を皇位継承から排除することを目的とした正真正銘の差別である。
菅官房長官の頭には“差別=悪”という歪んだ価値観があるのかもしれないが、リベラル主義的な感覚と違い、差別は、区分と同じく価値中立であり、善悪とすぐに結び付くわけではない。
男系男子に限った皇位継承という“差別”以前に、天皇ないし皇室という存在自体が“差別”である。
しかし、天皇(皇室)という差別的存在が悪いかどうかは別の問題であり、判断主体の価値観で異なる。
国民投票さえ行われていないから建前だけになるが、日本国民は総意として、天皇(皇室)という“差別”的存在が国家統治に権威として関わることを選んだのである。
そして、天皇の地位を継承するものについて、国民の負託を受けた国会議員が女性を排除する規定を設けた。男系男子が途絶えるかもという危機感でその規定を変更する動きもあったが、男系男子の誕生で沙汰止みになった。
政府は、「女性差別を目的としたものではない」という子供だましのバカバカしい言い訳をするのではなく、皇室典範の規定は確かに女性差別だが、そのような差別が問題になるのは一般国民に対するものであり、UNが、差別という概念を用い日本の統治形態や日本国民の判断や選択に干渉してはならないときっぱり言うべきである。
そうきっぱり言えず、女性差別を“普遍的な”悪だと思っているのなら、「皇室典範」の規定を変更すべきである。
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国際世論形成 課題あらわ
政府、国連委対応に苦慮 「皇室典範見直し」抗議し削除
国連女子差別撤廃委員会が7日に公表した日本に関する最終見解を巡り日本政府が対応に苦慮している。男系男子の皇位継承を定める皇室典範を女性差別とする内容や、従軍慰安婦問題で「加害者の訴追」を勧告する部分は抗議して削除した。だが、慰安婦問題への厳しい言及は公式文書として残り続ける。国際世論をつくるうえでの日本の課題が改めて浮かび上がった。
今回の女子差別撤廃委員会は2月15日から3月4日までジュネーブで開かれた。委員会は「女子差別撤廃条約」が守られているかどうか定期的に締約国を審査しており、今回は日本やハイチ、スウェーデンなど8カ国が対象となった。
審査は、まず各国政府が改善状況についての報告書を提出し、各国の市民団体なども報告書や質問案を出す。委員会はこれに基づき質問を各国政府に出し、各国は回答を提出する。最後にジュネーブで審議がある。各国の委員は自国の審査には加われない決まりだ。
日本の審議が開かれたのは2月16日。日本の代表団は外務省や法務省、厚生労働省など約20人の官僚で構成した。局長や課長級が通例だが、外務省は今回、慰安婦問題をにらみ次官級の杉山晋輔外務審議官を派遣した。
慰安婦問題でも
それでも結果は予想以上に厳しいものだった。慰安婦問題では「最終的解決への努力」を求めた7年前の委員会見解よりも厳しい言葉が並んだ。政府内に衝撃が走ったのは4日に事前に示された最終見解案の中身。皇室典範を「女性差別だ」とする内容が入っていた。
「そんな話はどこにもなかった」。関係者はあわてた。政府はすぐに「皇室典範は日本の歴史や伝統に根ざしたもの」と抗議。委員会の審議でまったく取り上げられず、日本が説明する余地がなかったことも主張し、最終見解から削除させた。
なぜ日本の外交は後手に回ったのか。政府内ではとりまとめ役の委員会主査が中国人の民間女性だったことを指摘する声もある。政府関係者は「共産党とつながる人物。中国による情報戦の一環だろう」と勘繰る。
市民団体の声
委員会が市民団体らの声に大きく左右される性質も背景にある。委員は審議のかたわら個別に市民団体などにヒアリングをしており皇室の話は「そこで耳打ちされた可能性がある」(外務省関係者)。国連の議論に積極的に参加する市民団体らの認識不足は日本にとって深刻な課題といえる。
委員会の見解は、夫婦同姓や女性の再婚禁止期間などの民法規定も差別的だとした。女性や少女への性暴力を促すゲームや漫画の販売禁止も勧告した。これらは7年前の見解にも入っていた。
漫画やアニメは日本の競争力ある産業だ。児童ポルノなどは取り締まるべきだが、毎回、日本のコンテンツが女性差別の代表例かのように取り上げられることは、慰安婦問題に悩む日本には大きなマイナスだ。「国際社会に我が国の考え方、立場、現状を理解されるように努力したい」。菅義偉官房長官は9日の記者会見で強調した。
[日経新聞3月10日朝刊P.4]
「象とアリの戦い!? 電力自由化:アリはアリなりに儲ける:企業など大口需要家は料金低下、一般住宅はそのあおりで料金上昇」
http://www.asyura2.com/15/senkyo195/msg/349.html
「攻防 電力自由化」
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/1635.html
「発送電の分離 改正案が衆院本会議を通過:本旨は料金の自由化、電力会社の利益のため大企業は安く一般家庭は高くなるという話」
http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/368.html
「“旧電力”9社で発電総量の96.5%シェア:その自由化が電力会社に対する“勝手気まま優遇政策”になると理解されぬ日本」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/816.html
「「電力自由化」と電力供給活動の特殊性:「電力自由化」は電力会社の勝手気ままな利益追求を許しかねない政策」
http://www.asyura2.com/12/senkyo142/msg/113.html
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電力、過度なセット割禁止 「原価割れ」処分対象
経産省・公取委、大手の優越防止へ指針
経済産業省と公正取引委員会は7日、4月の電力小売りの全面自由化に向けて電力会社の行為を規制する新しいルールを発表した。不当な安価で電気と通信などをセット販売したり、供給を制限して新規事業者が電気を調達できない環境をつくったりする行為を対象にする。公平な条件で競争を促し、消費者が自由化の恩恵を受けられるようにする狙いだ。
今回定めた「適正な電力取引についての指針」は主に電力大手グループの行為を規制する。現時点で東京電力や関西電力など大手10社の小売部門のシェアは工場など大口で約92%、家庭など小口は100%に達する。指針では「一般電気事業者(電力大手)の適切な対応がなければ、新規参入者は不利な立場に置かれる」と明記した。
東電など大手は家庭向けに液化石油ガス(LPG)や通信などとセットで提供し、消費者をつなぎ留めようとしている。東電はソフトバンクグループと連携し、関電はKDDIとの割引プランを用意した。
セット販売メニューは電気と他の商品それぞれの月額料金と割引総額を明示するのが一般的だ。割引の内訳は明示していないが、規制当局は事業者からの報告を通じて実際の料金水準を把握する。例えば、電気と携帯電話のセット契約で不当に安い価格を付けると、行政処分の対象になる可能性がある。
基準になるのは電気部分の料金が発電や送配電網の使用料金などの「原価」を下回るかどうか。公取委が実態を調べて判断する。電力自由化で電力大手も料金を自由に決められるようになるが、一定の歯止めをかける。
セット販売で提携する企業に他の電力事業者と提携しないことを条件にすることも規制の対象にする。シェア維持のための不当な営業に歯止めをかける狙いがある。
現時点で経産省から電力小売りの免許を得た新規事業者は都市ガスなど約210社。新規事業者が不当廉売などに手を染めれば「同様に罰せられる」(公取委)。それでも指針が電力大手グループを名指ししたのは大手の動向が自由化の成否を握るためだ。
需要の8割を自社の発電所で賄う電力大手と異なり、新規事業者が自前で調達する分は3割に満たない。電力大手に肩代わりしてもらったり、卸電力取引所を活用したりしている。指針では電力大手が取引所に投入する電気を制限すれば独禁法違反にあたるとし、電力需要全体の約2%にとどまる取引量を増やす方針を打ち出した。
透明性確保にも乗り出す。発電所の事故など公表前の情報をもとに卸取引で不当な利益をあげる行為は「インサイダー取引」に認定し、業務改善命令の対象とする。
新規事業者は電力大手に送配電網の賃借料を払って小売りを手掛ける。電力大手の送配電部門が自社の小売部門に消費者を誘導するような取り組みも罰則対象にする。
[日経新聞3月8日朝刊P.5]
彼は、にせもの、ペテン師、民主主義に対する脅威と呼ばれ続けてきた。しかも、所属政党のメンバーから言われただけだ。批判派の一部は、ドナルド・トランプをヒトラーやムッソリーニになぞらえた。筆者も多くの人とともにトランプ氏の台頭に戦慄を覚えてきたが、その一方で、頭の片隅の小さな声は時折、こう問いかけてきた。「彼は本当にそれほどひどいのか。このヒステリーはすべて、少々度を超しているのではないか」
週末のナンシー・レーガンさんの死は、夫のロナルド・レーガン氏の台頭がかつて招いた戦慄と非難を思い出すきっかけになった。トランプ氏と同様、レーガン氏もファシストのレッテルを貼られ、人種がらみの扇動のそしりを受け、能なしだと愚弄された。同氏が大統領に就任したとき学生だった筆者は、彼が世界大戦を引き起こすと広く予想されていたことを覚えている。にもかかわらず、レーガン氏は今、「偉大な大統領」の殿堂で揺るぎない地位を得ている。トランプ氏が憎悪から受容に至る同じ道のりを歩むこともあるのではないか。
トランプ氏を擁護する弁論は間違いなく組み立てられる。同氏のスタイルが下品であることを飛ばして、提案された政策を検証したら、彼が多くの国内・外交政策問題について、共和党の候補指名を争う「エスタブリッシュメント(支配階級)」のライバル候補数人より穏健なことは明白だ。トランプ氏は大型金融取引の税の抜け穴を塞ぐことを求め、国がすべての米国民に医療保険を保証すべきだと語っている。福音主義の右派に日ごろ激しく攻撃される、妊娠中絶を進める非営利の家族計画団体プランド・ペアレントフッドも擁護した。
外交政策の面で、トランプ氏の発言は攻撃的で国家主義的だ。しかし、具体的な問題への彼の立場は、海外における米国の軍事介入と民主主義の促進に対するオバマ的な慎重さがあることを示唆している。トランプ氏の対抗馬たちは、イランとの核合意を破棄するのは賢明ではないかもしれないと(正しい意見を)述べた(同氏の)厚かましさを中傷する広告を流している。また、前回のテレビ討論で、リビアに米軍を派遣するという無謀な選択肢を提唱したのは、トランプ氏ではなく、「主流派」の共和党候補、ジョン・ケーシック氏とマルコ・ルビオ氏だった。
■強烈で型破りな政治的知性
最も物議を醸すトランプ氏の立場は、メキシコ国境沿いの「壁」の建築、そしてイスラム教徒による米国入国の一時的な禁止を求めていることだ。どちらの政策もあえて挑発的な言い回しになっている。だが、米国の国境警備の執行と不法移民に対する不寛容を求める主張は、突き詰めると既存の米国法の執行を求める議論であり、本質的に理不尽な考えではないはずだ。
イスラム教徒の米国入国を禁止すべきだとの訴えも、そのすぐ後に「一体全体何が起きているのか把握するまで」という言葉が続いていた。これは、主張を取り消す余地をたっぷり残す程度に曖昧だ。
トランプ現象に覚える戦慄は、彼が米国人有権者の「意地の悪い」本能に訴えかけていることだ。しかし、有権者の懸念を特定し、対応を組み立てるのは、政治家の仕事だ。ポピュリズム(「正しい考えを持つ」人が皆、忌み嫌うもの)と民主主義(我々が皆、賛同するもの)との間には、一般に認められている以上に微妙な違いしかない。トランプ氏は明らかに、強烈で型破りな政治的知性を発揮しており、ライバルやメディアは何度も不意を突かれることになった。
■当選はとんでもないメッセージ
さて、これがトランプ氏を擁護する弁論だ。筆者がこの弁護を信じるかと言えば、残念ながら、あまり信じない。トランプ現象は、政策の問題であるのと同じくらい政治のスタイルの問題でもある。そしてトランプ氏のスタイルは忌まわしい。彼の粗野な態度は、レーガン氏の優雅なユーモアとは天地の違いだ。トランプ氏は繰り返し、考えつく限り最も扇動的な言葉を使い、メキシコからの移民をレイプと結びつけ、テロ容疑者に対して拷問の利用を是認した。白人優位を唱える秘密結社、クー・クラックス・クラン(KKK)の元幹部デビッド・デューク氏のような白人至上主義運動の指導者にトランプ氏が支持されたのは、偶然ではない。
2012年に共和党指名候補だったミット・ロムニー氏は「弱い者いじめ、貪欲、自己顕示、女性蔑視、ばかげた三流芝居」を非難し、トランプ氏の個人的なスタイルを見事に要約した。こうした資質に対して世界で最も強大な権限を持つ政治職が与えられたら、社会にとんでもないメッセージを送ることになる。
また、トランプ氏は虚栄心のせいで、ばからしいほど神経質になる。前回のテレビ討論で、彼のペニスの大きさに関する中傷に反応せずにいられなかったのは、そのためだ。これほどの自制心しか持たない人間が世界最大の核兵器貯蔵庫を任されるかもしれないと考えると、ぞっとする。
最後に、世界に対するトランプ氏のアプローチは、米国の対外介入に関する適切な警戒の域を大きく超えている。同氏は貿易保護主義を支持しており、海外の同盟関係へ米国が関与することに極めて懐疑的だ。こうした政策が精力的に遂行された場合、米国の世界的リーダーシップからの全面撤退を意味することになる。そうなれば、おそらく世界は今よりずっと危険な場所になるだろう。
もちろん、トランプ現象の魅力は、同氏の発言のうち、どれくらいが本心で、どれくらいが有権者とカメラを意識したポーズなのか知るのが非常に難しいことだ。トランプ氏の実業家としての実績と著作物は、彼が何をおいても、妥協策を見つける前に、初動として過激な要求を出すことを好む実際的なディールメーカーであることを物語る。
「トランプ大統領」が批判的な人々を驚かせ、責任を持って国を統治することは、間違いなくあり得るだろう。筆者はその結果を知らずに済むことを心から望んでいる。
By Gideon Rachman
(2016年3月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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オバマ米大統領は、米雑誌アトランティックのインタビューで、ロシアのプーチン大統領の会談での印象について語った。
オバマ大統領によると、プーチン大統領はオバマ大統領を2時間も待たせることはなく、パートナーのように振舞おうとしているという。
オバマ大統領は、アトランティックのジャーナリスト、ジェフリー・ゴールドバーグ氏が行ったインタビューで、プーチン大統領が悪意に満ち、がさつであるという主張には同意しなかった。オバマ大統領によると、プーチン大統領は全くそのような人物ではないという。
オバマ大統領は次のように語った―
「実際のところ、プーチン氏は我々の会談においてひときわ丁寧で、非常に率直だった。他の複数の人々が行うように、彼が私を2時間も待たせたことは一度もない。」
またオバマ大統領は、プーチン大統領は露米関係を米国が思っている以上に重要だと考えていると述べ、「プーチン氏は、常に我々との作業や、我々のパートナーとして振舞うことにも関心を持っている。なぜなら彼はそれほど愚かな人物ではないからだ。」と語った。
金正恩第一書記が新型核弾頭の破壊力を示しその核攻撃能力を高めるため新たな実験を準備するよう命じた。先日導入された対北朝鮮新制裁で金正恩第一書記が白旗をあげ、核兵器製造停止を表明することなど誰が本気で 期待しただろうか。
おそらく期待した人はいた。制裁は深刻だ。韓国は既にラジン港への鉄道建設計画からの離脱を表明、中国は北朝鮮商船の入港を禁じた。新制裁が続けば北朝鮮は間もなく大きな困難に直面することになる。この10年の経済状態改善など吹き飛んでしまう。北朝鮮指導部はおそらくそのことを分かっている。制裁で経済にひびが入り、もともと高くない生活水準がさらに低下しだすまで、時間はそう残されてはいない。今こそ手立てを打つ必要がある。
なぜ金正恩第一書記は最も安全で単純と思われる、核開発停止と6者協議復帰でなく、核兵器開発活発化という、最も危険な道を選んだか。答えは明解、北朝鮮は制裁強化に関する国連安保理決議を、単なる脅しと見ているのだ。北朝鮮がほしいのは、核兵器を断念すればユーゴスラヴィアやイラク、リビア、シリアのように北朝鮮が破壊されることはないという確実な保証である。北朝鮮は核危機の当初からそれを求めてきた。なお、北朝鮮の核危機は2001年、米国が、密かにウラン濃縮を進めているとして北朝鮮を非難、電力不足にあえいでいた北朝鮮経済が強く必要としていた軽水炉の建設計画を破棄したことに始まる。当時米国は、現実には北朝鮮には何らの核計画もなく、安全を保証するという要求など無視してよい、と、よく分かっていた。
弱者と取引する習慣など米国にはないのである。しかし、一連の核実験、ミサイル実験で、北朝鮮は僅かなりとも強くなった。民主主義や言論の自由がないといって北朝鮮を軽蔑するのは勝手だが、米国のお気に入りの多くの国、カタール、サウジアラビア、ウクライナなども、それは同じことだ。しかしこれらの国と違い、今や北朝鮮には核兵器がある。それだけでも、安全を保証せよという要求に耳を貸す理由には十分だ。北朝鮮に白旗をあげる気がないことが次第に明らかになっている。制裁と封鎖で袋小路に追い詰められた北朝鮮が、絶望のあまりどんな振る舞いに出るか。
米軍基地のある隣国・韓国や日本が支払わされることになる対価は、10年前より遥かに大きい。しかし韓国、日本、そして今や中国に対し、「悪童」金正恩への対処の仕方を口伝しているらしい米国の望みは、北朝鮮という問題を、核攻撃を含む先制攻撃によって北朝鮮の核及び軍事施設を攻撃することで解決することだ。今回の米韓演習「トクスリ」ではまさにそうしたシナリオが訓練されていると思しい。
米国のことも理解は出来る。金正恩第一書記をなだめるための、比較的簡単なやり口を見つけたつもりなのだろう。しかし隣国の北朝鮮が核の砂漠と化することを、果たして韓国や日本は望むだろうか。金正恩をより従順に、可愛くするには、核の鞭より外交の飴をともに試すことのほうが簡単ではないか。
米国のオバマ大統領は、雑誌「Atlantic」のインタビューの中で、中東のいくつかの同盟国について「米国人の助けを借りて、自分達の問題を解決しようとしている」と批判し、そうした国々を「居候のようなもの」と呼んだ。10日、ブルームバーグ通信が伝えた。
オバマ大統領は、そうした行動をとっている国々を直接名指しはしなかったが、同時に「サウジアラビアは、イランとの外交関係を断絶したが、同じ地域の中で、彼らと仲良く暮らすことを学ぶ時が来た」と述べている。
またオバマ大統領は「数十年間も、イランは米国を敵国とみなしてきたが、今や関係正常化を背景に、米政府は、イランの利益を、古い同盟国の利益よりも優先する可能性さえある」と指摘した。
イランとサウジアラビアは、シリアにおける軍事紛争の平和的調整において、カギを握る重要なプレーヤーに数えられている。
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経済成長とユダヤ人の密集度に相関関係あり[スプートニク日本語]
2016年03月11日 21:43
英ウォーリック大学の研究者、ルイジー・パスカル氏は欧州の数箇所の地区で起きた経済成長について調査したなかで、この領域でのユダヤ人の人口密度の上昇と関連があるという説を発表した。
この調査結果は雑誌「経済統計概観」(The Review of Economics and Statistics)に発表された。その概要をデイリーメール紙が報じた。
パスカル氏が調査対象としたのはイタリア半島。イタリア半島では1503年、南部でユダヤ人共同体に対する締め付けが始まったため、ユダヤ人らは北部への移住を余儀なくされた。
パスカル氏は、経済活動でもっとも活発な役割を演じるユダヤ人が流出したことで、2つの地域のGDPに著しい開きが生じ、イタリア北部は南部に比べGDPが10%も上昇したと指摘している。
共和党から次期米国大統領に立候補しているドナルド・トランプ氏は、ロシアの指導者プーチン氏は、米国の大統領であるバラク・オバマ氏よりもはるかに強力である、と述べた。CNN放送のテレビ討論での発言。
「プーチンはロシアにとって非常に強力なリーダーであると思う。うちの(オバマ大統領)よりもはるかに強い」とトランプ氏。同時に氏は、これは個人的にロシア大統領を支持していることを意味するものではない、と強調した。
プーチン氏に対する関係性について、トランプ氏は詳述を避け、単に事実を述べているだけだ、と指摘した。「プーチン氏は強力なリーダーだ、絶対的に。私は強力な指導者も弱い指導者も、多数名前を挙げることができる。ただ、良いとか悪いとかという意味で言っているのではない」
かつてメルケル首相を強いリーダーと思っていたが、彼女が「ドイツに対して行なったこと」に失望した、とトランプ氏。「ドイツはある種、惨めな状況である」とした。
シリア紛争調停交渉の参加者は、シリアの連邦化の可能性を議論している。国連内の情報としてロイターが報じた。
連邦制の導入によってシリアの一体性が維持しやすくなる、と強調されている。
国連安全保障理事会も、このアイデアは西側とロシアに支持されている、としている。
この提案はすでに国連シリア特使デミストゥラ氏に伝達されているという。
先に在シリア・クルド人勢力の市民指導者でクルド人政党「民主同盟」指導者のアルハム・エフメド氏は、シリアは南部、中部、さらにクルド人が支配する北部に3分割される可能性がある、と述べた。この3地域が連邦シリアの主体となるという。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160311/1760703.html#ixzz42cfHCEKH
弾道ミサイルの実験を視察した北朝鮮の金正恩第一書記は核兵器の新しい実験を行なうよう呼びかけた。朝鮮中央通信を引用AFPが伝えた。
「新たな核兵器の破壊力を評価するためにより多くの核実験を行なう」よう第一書記は呼びかけた。水曜、第一書記は、北朝鮮は核兵器の軽量化を達成し、弾頭は弾道ミサイルに装備可能だ、と述べた。
有事の際に北朝鮮指導部を撃滅することを想定した米韓合同軍事演習が今週初めにスタート。韓国から約30万、米国から1万7000人が参加するもの。北朝鮮は、予防的核攻撃の準備がある、として脅迫的反応をとっている。
ロシアには、日本が福島第一原発事故後直面している汚染水問題解決において、それを援助する心積もりがある。
2011年3月11日に発生した大地震とその後の津波は、福島第一原発のエネルギーブロックに損傷を与え、それが原因で炉心が溶解し、かなりの量の放射性粒子が放出された。事故後の危険を少しでも取り去るために、日本では、液体状の放射性廃棄物(汚染水)保管用に大量の収容タンクが建設され、地下水を集めるための壕が掘られ、さらには汚染水が海に流れ込まないように土壌を凍結させ壁を作る試みもなされている。しかし、いかに素晴らしい日本の技術をもってしても、汚染水処理のためには十分ではないことが分かった。
そうした事から、おととし2014年、日本政府は、国際入札を発表し、汚染水処理に向けた最も効果的なプロジェクトに対し、950万ドル以上の予算を拠出した。そして世界の29の企業から、ロシアの「ロスラオ(ロシア放射性廃棄物処理公社)」、米国のキュリオン(Kurion Inc)、日米合弁の日立GEニュークリア・エナジー、カナダの企業などが選ばれた。プロジェクト実現の起源は、2016年3月末だ。
世界は、これまで、これほどの規模の液体放射性物質処理問題に直面した事はなかった。「ロスラオ」に付属するフロピン記念ラジウム研究所のスペシャリストで、ロシアのプロジェクトグループの責任者であるセルゲイ・フロリャ氏に、スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者が、意見を聞いた―
「汚染水からトリチウムを除去するプロジェクトに関し、我々の研究所が、国際入札で勝利した後、昨年一年間、我々は、実証プラントの製造に取り組んだ。それは、日本の人達に、彼らにとって必要不可欠な規模で、その効果性を示すためのものだった。この事は、日本政府が、今後5−6年の間に問題を解決する助けになるだろう。あれだけの規模で蓄積されたトリチウム廃棄物を処理するプロジェクトは、非常に困難かつ複雑なものだ。福島第一原発の敷地には、すでに70万立方メートル以上もの、トリチウムを含んだ汚染水が蓄積されている。
ロシア・ラジウム研究所が、トリチウム廃棄物の処理問題に取り組んだのは、何も今回が初めてではない。それゆえ福島第一原発で事故が起きた時、ロシアの技術が必要となるだろうとすぐに理解した。日本の専門家らが我々の研究所を訪れた時、彼らはまず、自分達が必要とするものを明確にした。それは、一日当たり、少なくとも4千立方メートルの廃棄物を処理できるという能力だ。これまで、そうしたトリチウム廃棄物処理能力を持つ装置は、世界に存在しなかった。あったのは基本的に、100から200立方メートル程度の廃棄物処理能力を持つものだけだった。
しかし我々の研究所は、この複雑かつ困難な課題を解決しようと試みた。トリチウムを含んだ廃棄物は、収着したり(気体や液体が固体の表面に吸着され,またその内部にも吸収されたり)、蒸発したりする事が無い。その処理とは、同位体分離という方法だ。つまりトリチウム同位体から放射性水素を分離するという事だ。ロシアのプロジェクトは、まさにこの問題の解決に向けられたものなのだ。」
現在「ロスラオ」は、汚染水から放射能を取り除き、水を浄化する自分達の装置の実験を行っている。もし実験が、日本人にとって必要不可欠な成果を示したならば、パイロットプロジェクトは、大型の産業プラント製造のための基礎になるだろう。技術的な特徴以外に、プロジェクト選択の際には、装置の製造コストも考慮されるだろう。これについてロシアは、コストを最低限に抑える事が可能な技術案を提示している。
今年で福島の原子力発電所の事故から5年、チェルノブイリ原発事故から30年が経過した。福島第一原発事故は無論チェルノブイリの再発ではないが、ある種の続きではある。教訓は達成からだけでなく、悲劇からも導出される。しかし、チェルノブイリのすべての教訓が福島第一原発の事故処理の際に考慮されてはいない。
事故当時の2011年に首相だった菅直人氏は、2015年10月のキエフでの会議「チェルノブイリと福島での原発事故後、どのように世界は変わったか」で、次のように述べた。
「私はこの福島原発事故が起きるまでは日本も技術の高い国ですので原発事故は起こらないだろうと信じていた。チェルノブイリの事故については私も多くの日本人もニュースや報告書等で知っていた。しかし日本で福島原発事故が起きたときに、こういう事故は起きないと東電も私も政府機関も思ってたので、残念ながら事故の時にチェルノブイリの教訓を十分にいかすことができなかった。大変残念だ。たとえば子供にヨウ素剤を飲ませることも、チェルノブイリでも行われたと聞いているが、残念ながら適切な時期に指示をできず、せっかく各自自体にヨウ素剤が配られていたのに、飲ませることがほとんどできなかった。チェルノブイリの原発と福島の原発は型が違う。チェルノブイリは黒鉛型で福島は沸騰水型だ。たとえば鉄棺を作るということについても、日本ではまだそのような態勢がとられていない。今はむしろ水を入れ、水によって溶けた燃料を冷やすということ。そのように、構造が違うので、参考になる部分とならない部分とある。すべてを参考にはできない。しかし実際に事故が起きたことで、私は原発に対する考え方を180度変えた。つまり日本にとり、全日本人にとり、原発をなくすことがためになる。また、世界から原発をなくすことが、世界のためになる。そのように確信した。今回ウクライナを訪問し、チェルノブイリの近くへ行っていろいろ見、また説明を受けた。チェルノブイリ事故から29年が経つが、これから100年をかけて事故処理、つまり廃炉へ向けて作業をすすめると聞いた。これからさらに100年がかかるとしたら、これから生まれる人たちに、大きな危険と、経済的負担をかけることになる。改めて、将来に禍根を残すような原発はやめるべきだと強く思った。これからは再生可能エネルギーだと思う。太陽光を利用したエネルギーにシフトすべきだと思う。今地球上に降り注いでいる太陽のエネルギーは今人間が使っているエネルギー、つまり石炭や石油から作っているエネルギーの1万倍に達していると専門家は言っている。逆に言えば、降り注いでいる太陽のエネルギーの1万分の1を利用するすべを得れば、再生可能エネルギーだけで原発もなく、化石燃料も使わないで十分に必要なエネルギーを供給できる。また太陽エネルギーは他の国から買う必要がないため、すべての国がエネルギー自給することが可能である。これを選ぶことこそが望ましい道であるとわたくしは確信している」
事故5周年を前に行われた共同通信の調査によると、日本の県や市当局の約45%が原子力発電の利用に対する国の依存を減らすことを是としている。さらに21%が原子力エネルギーの完全拒否を主張し、より強硬な姿勢を示している。地方自治体や社会の主な関心事は、原発の安全面および、核廃棄物処理の問題。
福島県内に114700ある保管施設に廃棄物入りの袋が約10万袋保管されている。これらの袋の貯蔵寿命は3年であり、うちの一部は既に損傷または劣化している。この膨大な量の廃棄物は時に適切な保護なしで保管されている。2015年9月に台風「エタウ」により引き起こされた大雨で保管施設の一部が水没した。飯舘村の川河氾濫で、袋400袋、ならびに海岸に位置し、津波から保護されていない保管施設が洗い流された。これら廃棄物がどこに埋設されるのか。この問はまだ開かれている。福島県に隣接する12自治体当局間のくい違いだけでなく、市民からの抵抗で、大幅に最終処分施設の建設が遅れている。
同時に、チェルノブイリと福島県で、周辺での汚染レベルが低減され、人々は徐々に元のすみかに戻ることができている。しかし、一部の重度汚染地帯は、まだこれから数十年、もしかしたら数百年も、住むのに不適当となる。
東京電力は、福島第1原子力発電所事故から5年を迎えるのを前に、放射能汚染水の問題を解決するためにはあと4年が必要だと発表した。デイリー・テレグラフが報じた。
福島第1原発では放射能汚染水の量が76万トンを超えており、汚染水漏れが廃炉に向けた主要な問題となった。
廃炉作業で最も困難な放射性廃棄物の処理は、今後予定されている。
汚染水漏れの脅威は2020年までに取り除かれる計画。承認された計画によると、福島第1原発の原子炉建屋周辺に1550本のパイプが埋められ、このパイプに土壌を凍らせる冷却液を循環させて汚染水の流出を食い止める。この「凍土壁」の工事は、2014年夏に始まった。
ニューヨークの米連邦準備銀行の口座を襲ったハッカーがスペルミスのために約8億5000万ドルの引き出しに失敗した。10日、英紙ガーディアンが伝えた。
ハッカーは銀行のシステムに侵入し、口座の1つから8000万ドル以上を4回に分けて移すことに成功。
2000万ドルを移す5回目の送金は「フォンド」のスペルミスの警告を受けた銀行職員によって阻止された。ハッカーは"foundation"と書くべきところを"fandation"と誤って記述したのだ。
引き出された金はフィリピンとスリランカに送金された。ハッカーは当初、計8億5000万ドルの掠奪を計画していた。
米共和党の大統領候補選びで、勢いづく「不動産王」、ドナルド・トランプ氏。日本に多額の防衛費を負わせると公言するなど、不安な発言が多い。そんな彼がようやく、外交・安全保障政策のアドバイザーを指名したという。
「ジェフを私のチームに迎えることができ、光栄だ。彼をとても尊敬している」
今月3日、トランプ氏はこう発表し、一人の上院議員(共和党)を国家安全保障担当チームの委員長に任命した。
■助言の元高官、トランプ氏と正反対の外交哲学
その人とは、南部アラバマ州選出のジェフ・セッションズ氏(69)。今のところ、トランプ氏支持を正式に表明している「ただ一人の上院議員である」(4日付、米CNN電子版)。
セッションズ氏はアラバマ州の検事、司法長官を経て、1996年に上院議員に初当選し、政界入りした。保守系が多い共和党内でも右派に属し、上院では軍事委員会の活動が長い。
トランプ氏と共鳴する政策のひとつが、不法移民への厳しい態度だ。不法移民合法化の動きにも反対している。さらに、米国の利益を何よりも重視し、海外の紛争介入に慎重な点でも、トランプ氏に通じる。
「米国が他国に介入しても、成功できる能力はかぎられている。この点を私たちは理解すべきだ。中東では現地の政権を転覆し、民主主義を植え付けようとするのではなく、利益を共有する国々と協力するのが望ましい」
セッションズ氏は国家安保チームの委員長就任に当たり、こんなコメントを発表した。アジア政策には触れていない。だが、南シナ海や東シナ海で危機が起きた場合の介入についても、慎重な意見を持っている可能性がある。
だとすれば、中国の軍拡にさらされる日本などアジア諸国にとっては、大きな心配の種だ。この点について、著名な米軍事戦略家であるエドワード・ルトワック氏に聞いてみよう。
「トランプ氏は問題発言が注目されているが、その思考は共和党保守派の本流である不介入主義に近い。彼が大統領になれば、中東などの紛争からは手を引く公算が大きい。だが、アジア太平洋は米国の国益にとって、とても重要だ。トランプ氏は、アジア太平洋への関与は続けるだろう」
つまり、トランプ氏が不介入主義者だとしても、米国経済にとって大切なアジア太平洋は例外というわけだ。
トランプ陣営は今後、セッションズ氏を中心に外交・安全保障チームを構築するつもりだ。本格的な人選はこれからだが、すでに非公式に外交・安保政策を助言している元高官もいるようだ。
そのひとりと噂されるのが、マイケル・フリン元国防情報局長官だ。同局は「DIA」の略称で知られる米スパイ機関。国防総省に属し、約1万7千人をかかえる巨大な組織。中央情報局(CIA)とならび、米国の安全保障を支える大黒柱である。フリン氏は2014年8月までトップに君臨し、世界中の情勢を熟知している。
ただ、ふに落ちないのは、フリン氏の外交哲学がトランプ氏とは正反対のように思えることだ。彼は中東への関与に及び腰なオバマ政権とそりが合わず、退任したといわれる。
米ニュースサイト「デイリー・ビースト」によると、15年1月下旬、ワシントン市内のシンポジウムで、フリン氏はこう言い放っている。
「率直に言って、米政権では多くの人たちが、機能マヒに陥っている。彼らは受け身の態勢を取ってさえいれば、敵を挑発せずにすむと思っている」
彼が酷評したのは、オバマ政権の中東政策。過激派組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織・アルカイダの脅威を直視せず、対応が後手に回っていることを批判したのだ。
■共和党系専門家グループ「当選阻止」訴え
フリン氏は陸軍の特殊部隊出身。イラクやアフガニスタンの修羅場も経験した。DIAの局長時代には、イスラム過激派を抑えるため、本格的な掃討作戦に出るようホワイトハウスに提言したが、聞き入れられなかったという。
だとすれば、中東介入に批判的なトランプ氏の思考とは、水と油のように映る。米有力シンクタンクの安保専門家にたずねると、こんな答えが返ってきた。
「トランプ氏は思い付きで意見を言っているだけで、まともな政策体系などない。言っていることがころころ変わり、随所に矛盾がある」
つまり、トランプ氏は政策体系が空っぽなので、だれが補佐官になっても気にしないというわけだ。別の共和党系の外交専門家はさらに手厳しい。
「まともな共和党系の外交・安保専門家で、トランプ氏のアドバイザーになろうと思う人は少ないだろう。そんなことをすれば、自分の評判を落とし、経歴に傷がつきかねないからだ」
実際、共和党系の外交・安保専門家グループは3月2日、トランプ氏の当選阻止を訴える公開書簡を発表した。書簡には60人が署名し、ゼーリック前世界銀行総裁(元国務副長官)や、チャートフ元国土安全保障長官らも含まれている。
書簡はトランプ氏の政策について「一貫性がない」と批判。彼が当選すれば、米国の安全は損なわれると警告した。米国が防衛義務を負う見返りを日本に求めていることに関しても「ゆすりだ」と断じた。
もし、このまま共和党系識者の離反が広がれば、仮にトランプ氏が大統領候補になったとしても、きちんとした外交・安保チームを立ち上げるのは難しいのではないか。トランプ旋風が放つ外交リスクは、さらに膨らみそうだ。
秋田浩之(あきた・ひろゆき)
1987年日本経済新聞社入社。政治部、北京、ワシントン支局などを経て編集局編集委員。著書に「暗流 米中日外交三国志」。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO98208800Z00C16A3000000/?n_cid=DSTPCS001
(それ以前に、原発再稼働に関する安倍政権の言動をそのまま信じているひとや“反安倍”に凝り固まっているひとには理解不能な話だろうが)
司法の独立性をほとんど信じていないので(国策にかかわる重要事項についてはなおのこと)、大津地裁の「高浜原発運転停止仮処分」判断には“脱原発依存”の安倍政権の意向が少なからず影響していると考えている。
大津地裁の判断は、雇用や補助金などの“経済的利益”がない全国原発30Km圏の住民による原発稼働停止訴訟の動きを勢いづかせる画期的なものであり、これから先安定的な再稼働が不可能になったことを意味する。
最終的には政治(国会&内閣&地方自治体)の判断だとしても、下記の参照投稿をお読みいただければわかると思うが、現状、“脱原発依存”の流れは、司法に委ねるほうが軋轢が少なくて済みいいかもしれない。
※参照投稿
「首相「簡単に原発やめると言えない」:内実は菅政権と基本的に同じ政策:原発依存度を可能な限り低減:新設増設もしない」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/141.html
「脱原発依存派の安倍首相が脱原発を政策化できないワケの一つは宗主国米国の原発継続要求」
http://www.asyura2.com/14/senkyo168/msg/616.html
「脱原発派の安倍首相が脱原発を宣言できないワケ:細川氏への期待は安倍首相の“脱原発依存”意識サポート」
http://www.asyura2.com/14/senkyo161/msg/191.html
「コメント欄を読むと、安倍首相が“うまく隠れた”脱原発派だとわかる」
http://www.asyura2.com/14/senkyo161/msg/767.html
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福島第一原発の悲劇は原子力発電に終止符を打たなかった[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年03月11日 14:10
福島第一原発の事故は、世界の原子力発電業界にとり過去25年間で最も大きな事故だった。それにもかかわらず、日本政府は、原子力エネルギーを放棄するつもりはない。ロシアの著名な専門家ニコライ・テビン氏はそう語る。
「日本の電力消費量に占める原子力エネルギーの割合が、福島第一原発事故前が27%、事故後は22%となる計画だ。このわずかな減少は、原子力の放棄というよりは、むしろ衛生措置と呼びうるものだ。2014年末の選挙で自民党は9政党中、公然と原子力発電推進を訴えた唯一の党だった。他の政党は様々な番組で、反対の立場を表明していた。そして、それは自然なことだった。一部の政党は、原発反対のスローガンだけで結成されたのだった。しかし、それらのすべてが敗北し、自民党が勝った。投票するときは感情でなく落ち着いた計算と経済が物を言うのだ」
経済状況は原子力発電所の再稼働を必要とするが、安全要件は強められている、とニコライ・テビン氏。
「最初の要件は津波からの保護。多くの原子炉が水辺にあるため。以前は、津波を防護する防波堤の高さは7mだったが、今は少なくとも11m。またひとつの要件は耐火ケーブルの交換。これも時間のかかる作業だ。また、新たな要件もある。予備指令管理センターの設置だ」
「福島効果」で一連の国に原子力への恐怖が生まれた。しかし、ロシア、米国、英国は、原子力発電所建設計画を放棄しなかった。ただし、「日本の経験に基づき、安全基準の注意深い管理を」行う、とのことだった。日本もこれと同じコースを確認している、とニコライ・テビン氏。
「原子力エネルギーは日本の輸出の優先的方向性に含まれている。 2014年、就任直後の安倍首相が、一気に2カ国を訪問した。訪問の目的の中には、原子力発電所の建設の契約があった。ベトナム、トルコで、世界の原子力エネルギー推進において、今日本はロシアの競争相手となっている。国外での原子力発電所の建設は非常に有益なビジネスだ。そして、日本は原子力産業における競争力を向上させるためにたくさんのお金を投資してきた。また、日本は、原子炉の建設に加えて、多くの場合、ついでに港や鉄道の建設への投資を提案している。このことは野党の批判の種になっている。福島の悲劇を経験しながら核施設を輸出している、との批判だ」
当初の原子炉は外国からの供給、または外国の開発者の図面に従って建設された。しかし、70年代後半には、東芝、日立、三菱などの企業が独自の原子炉で日本の発電市場に参入。2011年3月11日以降核恐怖症を経験したにもかかわらず、平和原子力は国のエネルギーバランスにおけるその主導的地位を放棄するつもりはない。
「辺野古をめぐる国の和解案受け入れ、果たして意味があるのか:問題の先延ばしに大きな意味、状況の変化に期待する他ない従米政府」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/361.html
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メディア報道:東京と沖縄、米軍基地についての対話を継続することで合意
2016年03月11日 09:55(アップデート 2016年03月11日 10:27)
木曜、日本政府と沖縄県当局が米軍普天間基地の移転および新軍用飛行場の建設に関する交渉を今月再開することで合意した。共同通信が報じた。
政府が地元住民の抗議に反して名護市の辺野古地区に新飛行場を割り当てることを米国に約束した一方、沖縄当局は基地の県からの完全撤退を主張している。
共同通信によれば、今後の交渉でどちらかに立場の変化があるかどうかは明らかではない。
最近では問題は当事者による合意を勧告する裁判所で決定されているためだ。
沖縄県の安慶田光男副知事と政府の菅官房長官は対話継続で合意している。
シリアの連邦化についてロシアと西側が議論しているというメディア情報は現実と対応していない。ミハイル・ボグダノフ外務次官が述べた。
「完全なるナンセンス。シリア人自身が議論し、交渉し、決める必要があることであり、我々はそのような理念を提唱してはいない」という。
ボグダノフ氏は、ロシアは領土と国民の一体性を維持することが最善である、との考えだと強調。「私達は干渉しない。自分の立場など規定しない」
メキシコ保健省は11日までに、豚インフルエンザウイルスに起因するH1N1型インフルによる死者が昨秋以降140人に上ったと発表した。感染者は2408人という。同国メディアが報じた。
このほかにH3N2型の感染が2309人で死者が24人、B型の感染が960人で死者が10人、A型の感染が238人で死者が1人と公表。インフルエンザへの感染者数は前年同時期と比べて125%増え、H1N1型の致死率が他の型と比べて高いことを示した。
H1N1型は2009年4月以降、メキシコから世界に拡大し、1万8千人以上が死亡。世界保健機関(WHO)が同年6月に世界的大流行を宣言し、10年8月に終息宣言が出された。(共同)
http://www.sankei.com/world/news/160312/wor1603120048-n1.html
「スーパーチューズデー」を制したドナルド・トランプ。これを受け、共和党議員やメディア、政治資金団体、ネオコンは総反撃に出る構えだ。発言が暴力的とされるトランプになぜこんなに支持が集まるのか。アメリカの実情から佐藤優氏がその理由を解説する。
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※本記事は、『佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」』に収録している文化放送「くにまる・じゃぱん」の放送内容(2016年3月4日放送)の一部抜粋です。
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叩けば叩くほど支持率は上がる
邦丸:このトランプ降ろしも「時、既に遅し」ということも言われているようです。
佐藤:そう思います。
邦丸:どうやら共和党の大統領候補の最終的な指名はドナルド・トランプ氏が勝ち取るんではないかという気配が濃厚ということですね。
佐藤:要するに、トランプは「共和党をぶっ壊す」と言っているわけですよ。それによって改革を進めるのだと。
邦丸:小泉純一郎さんみたい。
佐藤:そういうこと。今まで政治に関心がなかった人の声なき声を吸い上げてくれるということで、たとえば、「イスラム教徒をテロが解決するまで入国させない」というのは暴言だというけれど、冷静に考えれば、誰を国内に入れるか入れないかというのは、国の主管なんですよ。ですからこれは、違法な発言ではないんですね。
邦丸:はい。
佐藤:あるいは、「違法移民を送り返す」という発言も、不法滞在者を送り返すのは違法ではないですよね。トランプはバカじゃない。違法な発言はしないんです。
だけど、法律に違反していないけれど、世の中でタブーになっていることはある。そこを盛り上げることによって、今まで支持していなかった人の支持をかき立てることができた。
率直に言うと、アメリカの南部のほうでは右手に3リットルくらいの大きなボトル入りのコーラを、左手に1キロくらいのポテトチップスを持ってムシャムシャ食べている、私の1.5倍くらい太ったおじさんが、みんなでUFOの話をしてる。
邦丸:ぷふふふ。
佐藤:あるいは、「最近、どの外国に行ったか」と聞かれて、「ニューヨークだぜ。ユナイテッド・ステイツだから、ニューヨークは別の国だ」と答えるアメリカ人がたくさんいるんですよ。そういう人たちが、「トランプ、なかなかいいじゃないか」と言っているんですね。
邦丸:ははあ〜。
佐藤:トランプが「アメリカの若者を戦争に出すことにカネを使うな」と発言すれば「おおっ」と言い、「イスラム国なんかみな殺しにしてやれ」と言えば「おおっ」と盛り上がっているでしょう。
それを理屈で押さえようとするマスメディアや共和党のなかのネオコンは所詮はエリート。そんな彼らがトランプを叩けば叩くほど、「トランプはオレたちの代表だ」と言って、ますます求心力がつくことになりますよ。
アメリカの立ち位置が180度変わる
邦丸:現在は民主党、共和党それぞれの指名候補争いをしているわけですね。民主党は、バーニー・サンダースはお終いか、やはりヒラリー・クリントンかと言われています。共和党の指名候補では、トランプの勢いが強い。
7月にそれぞれが決着しますが、仮に共和党の指名候補がトランプになった場合、ヒラリー・クリントンはおそらく指名はされるだろうけれど、今はもうバーニー・サンダースよりもトランプへの攻撃が始まっているということは、そうとう危機感を感じているということですか。
佐藤:その通りだと思います。要するに、既得権益を全部ひっくり返されるという話ですから。それと同時に、国際政治も変えてしまいます。
要するに、トランプはアメリカ孤立主義者なんですよ。激しいことを言うんだけれども、「ルーズベルト大統領が真珠湾奇襲の後、第2次世界大戦に突入したのが間違いだった。ナチスが台頭していようが、日本が出てこようが、放っておけばよかった。アメリカはアメリカの繁栄だけを考えていればよかった。もっとアメリカを豊かにしよう。偉大なアメリカにしよう。アメリカ人の生活さえ良くなればいいんだ。あとは知ったことじゃない」という理屈です。
アメリカが石油を手に入れるのであれば、「アメリカのそばにあるベネズエラが生意気だ。少しシメて、あそこから石油をとってくるか」と、こういう感じですよ。
だから、意外と平和外交になる。
邦丸:平和外交!
佐藤:だから、中国もロシアも大歓迎。
邦丸:アメリカが出てこなくなるわけですものね。
佐藤:「金持ちケンカせず」ということです。トランプビルを中国に造るといったら、習近平も「いいヤツじゃないか」となる。
だから、世界秩序を全部、ひっくり返す。日本との関係も、まさに昔、鳩山由紀夫さんが言っていた「駐留なき安保」になる可能性もある。要するに、米軍が全部、退いちゃうんです。
「なんで、オレたちがあいつらのことを命を懸けて護らなきゃいけないの。自分の身を護りたいのなら、勝手に護ったら。アメリカにとって有害だということだったら出て行くけれど、アメリカ本土やグアムにいるよ」という感じになりますよ。
「TPPもやめる。日本のクルマにも家電にも思い切り関税をかけてやる。アメリカだけ良ければいいんだ。悔しければ、力をつけろ」と。こういう方針ですよ。だから、アメリカ人は拍手喝采なんですよ。
邦丸:民主党候補のバーニー・サンダースが予想外に支持を集めたのも、モヤモヤしている若い世代が、このままアメリカ国民でいて、われわれは幸せなのかと思っているところに、大学の無償化とか、スポッと胸に響く言葉を言ったからなんですね。
佐藤:モヤモヤなんていうレベルではないんですよ。私が去年の12月31日に対談した山口真由さんをご存じですか。
邦丸・西川:?
佐藤:東大をトップで卒業したあと、財務省に入省して2年で辞め、国際弁護士を目指してハーバード大学に留学中の方です。勉強法などの本もたくさん書いています。その彼女に「ハーバードはいかがですか?」とたずねたところ、「佐藤さん、ひどいところなので驚いたんですよ。授業料がいくらかご存じですか?」と言うんです。「いくら?」と聞くと、「7万ドルです」と。
西川:7万ドル!
佐藤:「1年で?」と聞くと、「10ヵ月で7万ドルです」と。つまり800万円。ロースクールまで最低6年かかるでしょ。ということは、授業料だけで4800万円かかるんですって。
邦丸:はあ〜〜〜。
佐藤:その金額を払える家の子弟しか、もうハーバードには入れない。ひと昔前までは、軍隊に入ればハーバードに入ることができるという話があったんだけれど、もうそういう時代ではない。超富裕層の子どもしか入れない。アメリカのほとんどのエリート大学がそうで、エリート大学を出ると投資銀行で年収2000万〜3000万からのスタートになる。
それ以外のフツーのアメリカ人は就職口がない。あるいは、大学を卒業してもアルバイトで日銭20〜30ドルもらっている。
こういう状態になっているから、若い人たちは閉塞感なんていうもんじゃない。格差が絶対に追いつかないところまで拡がってしまっている。だから、大変な不満があるし、これは異常な社会になっていると、彼女は言っていました。
トランプはカネ持ちが嫌い?
邦丸:仮にドナルド・トランプ大統領が誕生し、「アメリカさえよければいい」という一国孤立主義の考えに従って、「アメリカ軍はどんどん退く。今までは世界の警察と言われてきたけれど、これからは違う。日本も中東もアメリカには関係ない」となったとしましょう。いわゆる武器商人がアメリカでは巨大な力を持っていると言いますが、彼らからすれば戦争はカネ儲けになる。だから煽るんですね。
佐藤:はい。なので、戦争になります。トランプは「それに関しては適宜、儲けてください」というスタンスですから。それはもう中東で空白ができるから、戦争が起きますよ。そして国内では、おそらくカネ持ちをいじめると思う。
邦丸:カネ持ちいじめ。
佐藤:トランプ自身が、土地と土建で這い上がってきたから、遺産を相続するとか、金融でカネを右から左へ動かすとかいうのは嫌いなんです。だから、そっちのほうには課税したりするでしょうね。産業資本を強化する建設業のような、額に汗する人を重視する。
邦丸:実業を重視する。
佐藤:産業が大事だということで。
邦丸:ウォール街をシメちゃうということですか。
佐藤:今回のネオコンやマスコミの総反発というのは、実はウォール・ストリートの反発だと思うんです。
トランプは、ウォール・ストリートの大ガネ持ちにとってプラスじゃない。ということは裏返して言うと、庶民感覚のところの人にしてみれば、「なかなかいいじゃないか」ということになる。
ウォール・ストリートをシメ上げて、アメリカを強くするためにはみんなにチャンスがなくてはいけないということで、大学の授業料を安くすると思う。
邦丸:奇しくも、バーニー・サンダースと同じことをすることになっちゃうわけですね。
佐藤:同じですね。バーニー・サンダースは社会主義的な方法、トランプはファシズム的な方法で社会政策をやろうとしている。だから図式的に見ると、新自由主義による格差が行き過ぎちゃったから、一方においては社会主義、他方においてはファシズムが出ているという感じです。
日本も他人事ではない。特に子どもの貧困がひどいでしょう。6人に1人が食を欠くことがある。一人親の家庭の子どもは2人に1人という状態になっている。この格差がもう少し拡大すると、日本においても一方でサンダース現象、他方においてトランプ現象が出てきますよ。
邦丸:今、アメリカほどではないにしろ、日本でも少しずつ出ていますよね。
佐藤:率直に言って、トランプの雰囲気は橋下徹さんのなかにあるでしょう。一方、日本共産党が「国民連合政府」と言い出して小沢一郎さんがそこに全面的に賛成しているということだから、こっちはサンダースみたいな感じですね。
両方ともそれほど影響力を持たないのは、まだまだ日本は格差がアメリカに比べれば知れているし、戦争に直面もしていないからですよね。ただ、どの国でもこういうふうになってくると思います。
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」(2016年3月9日配信)より
最終更新:3月11日(金)11時1分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160311-00048143-gendaibiz-int
アメリカ大統領選挙の候補者選びに向けた野党・共和党のテレビ討論会で、トランプ氏が、1989年に中国の北京で起きた天安門事件で民主化を求めた学生たちの行動を「暴動」と述べたことについて、アメリカ在住の民主活動家の間から発言は侮辱だとして、謝罪を求める声が上がっています。
不動産王のトランプ氏は、南部フロリダ州のマイアミで10日に行われた共和党のテレビ討論会で、1989年6月に北京で、民主化を求める学生たちの運動が武力で鎮圧され、大勢の死傷者が出た天安門事件について、司会者の質問に答えました。
この中で、トランプ氏は中国政府の対応について「支持しない」としたうえで、「強い政府が力を使って、『暴動』を鎮圧した。恐ろしいことだ」と述べました。トランプ氏が民主化を求めた学生たちの行動を「暴動」と表現したことについて、アメリカ在住の民主活動家の魏京生氏は12日に声明を出し、「多くの中国人にとって、受け入れがたい発言で、中国共産党による抑圧に反対する者への侮辱だ」として非難し、謝罪を求めています。
また、アメリカ在住の民主活動家の楊建利氏らも声明を出して、謝罪を求めたうえで、「発言はいいかげんで、力をたたえるトランプ氏の姿勢は、アメリカの価値観に背くものだ。アメリカの大統領にはふさわしくない」として、厳しく批判するなど、非難の声が上がっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160313/k10010441781000.html
人工知能を“神格化”するのではなく、深層学習などを駆使してAIソフトに磨きをかけて囲碁という難解なゲームで人間最強の棋士に勝利したヒトたちを評価すべきである。
また、優れた棋士たちも、今回の対戦から多くを学び、囲碁の戦法に新しい風を吹き込むことになるだろう。
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最強囲碁棋士、人工知能に雪辱=李九段「価値ある1勝」―韓国
時事通信 3月13日(日)18時8分配信
【ソウル時事】囲碁で世界最強レベルの韓国人棋士、李世※(※石の下に乙)九段(33)と、米グーグル社傘下企業が開発した囲碁の人工知能「アルファ碁」による5番勝負の第4局が13日、ソウルで行われ、李九段が初勝利し雪辱を果たした。
李九段の1勝3敗。第5局は15日に行われる。
アルファ碁側が180手で、自ら負けを申し出て対局を終える「投了」を行い、白い碁石を使った「白番」の李九段の「中押し勝ち」となった。
「イ・セドル」コールが起きる中、李九段は記者会見で「1局勝ってこれほど祝ってもらったのは初めて。何物にも代えがたい価値ある1勝だ」と喜びを語った。
最終更新:3月13日(日)19時19分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160313-00000047-jij-kr
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記事入力 : 2016/03/12 09:38
人間対AI:李世ドル九段、夜通し「復碁」で反撃準備
「アルファ碁」に連敗で戦略見直し
ホテルで家族を隣室に寝かせ、プロ囲碁棋士4人と翌朝まで研究
「『アルファ碁』後半に強く逆転困難…第3局は序盤に勝負決める」
韓国最高の囲碁棋士・李世ドル(イ・セドル)九段(33)が10日午後、人工知能囲碁対局ソフト「アルファ碁(AlphaGo)」との第2局で敗れ、意気消沈していると、親しいプロ囲碁棋士4人が会場のソウル・フォーシーズンズ・ホテルを訪れた。4人は李九段の復碁(今指したばかりの囲碁を再び並べながら、どの手が良くて、どの手が悪かったかを互いに意見し合うこと)を手伝い、話し相手になりながら、11日の朝日がのぼるころまでなんと9時間も共に過ごした。共に過ごした仲間たちを通じ、決戦を前にした李九段は作戦と覚悟をあらたにした。
10日夜、李九段が仲間たちと囲碁の話をしていた間、李九段の10歳になる娘ヘリムさんは母親と一緒に隣室で寝ていた。娘を特にかわいがっていることで知られる李九段は、今回の「アルファ碁」との対局を前にカナダで暮らしている妻と娘を呼び寄せ、同じホテルに滞在させている。一緒に復碁をしたプロ囲碁棋士は「李九段は家族でも満たすことのできない、『囲碁上での孤独』を強く感じていた気がした」と語った。
李九段は「世間では『世紀の対決』だと言っているが、興行のためにも私はこのまま退くわけにはいかない。少なくとも2勝2敗まで追いかけたい」と闘志を燃やしている。第1局・第2局と相次いで敗れたことから落ち込んでいたが、今は心の平穏を取り戻した。
李九段は恐ろしいほどに復碁に熱中した。もともと「復碁の時にすべてを学ぶ」と言われるほど復碁に熱心だったが、この日は碁盤のことしか頭の中にない様子だった。何らかの結論を得るたび、こわばっていた顔の筋肉が緩んだように見えた。用意されていた夜食も平らげた。
李洪烈(イ・ホンリョル)囲碁専門記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/12/2016031200589.html?ent_rank_news
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囲碁AI 驚異的進化、棋士「尊厳失われる」
産経新聞 3月13日(日)7時55分配信
囲碁ソフト「アルファ碁」が世界トップクラスのプロ棋士、韓国の李世●九段に3連勝し、驚異的な強さを見せつけた。その進化のスピードは、予想をはるかに超えるものだった。
1997年にIBMコンピューターが世界王者を破ったチェスや、ここ数年でソフトがプロを上回る力をつけた将棋に比べ、囲碁は対局パターンが天文学的に複雑で、「プロと互角に戦うには10年以上かかる」とみられてきた。それだけに李九段の3連敗は衝撃的で、「尊厳が失われる」とボヤく棋士もいるほど。
今回の「アルファ碁」は、AIが自ら学習を繰り返す「ディープラーニング」という新技術を導入。膨大な情報の処理方法を自分で見つけ出し、人間の直感に近い思考回路を手に入れたといわれる。
チェスや将棋に続き、知的ゲームの最高峰とされる囲碁までもソフトに完敗した今回の結果について、国内には冷静な見方もある。日本最強囲碁ソフト「Zen」を率いる加藤英樹さんは「棋士の協力がないとソフトは強くならない。敵ではなくライバルと考えるべきだ」と共存共栄を訴え、囲碁ソフトに詳しい大阪商業大アミューズメント産業研究所の古作登主任研究員は「従来の常識にとらわれた人間が思いつかなかった手をソフトが繰り出したなら、その手を参考に新たな定石が生まれる可能性もある」と指摘する。
将棋や囲碁ソフトなど人工知能の開発に企業がこぞって力を注ぐのは、その応用が家電商品やサービスなどに生かされるから。この日の対局をインターネット上で解説した囲碁棋士、高尾紳路九段は「ディープラーニングは医療・看護などの分野にも応用されると聞く。技術の進化に向けた実験台として囲碁が選ばれたのなら誇らしいこと」と話している。(伊藤洋一)
●=石の下に乙
最終更新:3月13日(日)18時31分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160313-00000073-san-soci&pos=1
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囲碁の人工知能、従来のAIと何が違う? 直感学び進化
朝日新聞デジタル 3月13日(日)5時1分配信
人工知能の従来の方式と「アルファ碁」の違い
囲碁の人工知能(AI)が、世界最強棋士の一人を相手に3連勝と強さを見せつけた。囲碁は碁石を置く点が多く、数あるゲームの中でも複雑で直感も必要とされてきた。「勝利は当分先」と言われたAIは、急速に実力をつけた。その特徴は、様々な棋譜を読んで「自ら学習する力」だ。
「インターネットから10万の棋譜を入力し、自己対局を3千万回やって学習した」
今回、イ・セドル九段との対局を制したAI「アルファ碁」を開発した英グーグル・ディープマインド社のデミス・ハサビスCEOは11日、韓国・大田で講演し、アルファ碁の実力向上をこう振り返った。
1997年にチェスの世界王者を破ったIBMのコンピューター「ディープブルー」との違いも語った。「ディープブルーは膨大な情報を処理したが、アルファ碁は選択した少数の情報だけを処理している。人間が直感で状況判断するように」
AIにはこれまで、コンピューターの計算性能の向上を生かした「力業」で、先を読む方法が使われてきた。ある局面から終局までの手を多数計算し、勝率が高い手を選ぶ。だが、囲碁は終局までの手順が多く、計算が追いつかない。終局までの手順はチェスの10の120乗、将棋の10の220乗に対し、囲碁は10の360乗通りと言われる。
朝日新聞社
最終更新:3月13日(日)5時23分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160313-00000005-asahi-soci&pos=2
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<囲碁:人間vs人工知能>「李世ドルの敗北であり人間の敗北ではない」
中央日報日本語版 3月13日(日)10時39分配信
李世ドル九段が3局連続でアルファ碁にひざまづいた。5番勝負で進められた“世紀の対決”で人工知能が人間を完璧に超える新しい歴史が作られた。
李世ドル九段は12日、ソウル市内のホテルで開かれた「グーグルディープマインドチャレンジマッチ」第3局でアルファ碁に176手で中押し敗を喫した。李九段は序盤から上辺で強力に攻め勝負に出た。だがアルファ碁は人間の想像を超越する指し方で攻撃を打開し、下辺に陣地を作り実利でもリードした。不利だと判断した李九段は右辺で勝負に出たがこれといった収穫を得られず、最後に下辺に浸透したがコウダテ不足に耐えることができなかった。
この日アルファ碁は完璧に「コウ」を処理する能力を見せた。これまで「コウ」は複雑性のためにコンピュータがうまく処理できない領域とされてきた。宋泰坤(ソン・テゴン)九段は「きょうアルファ碁がコウを処理する過程は驚くほど正確だった」と感嘆した。イ・ヒョンオク八段もやはり「アルファ碁がコウを恐れるという話があったが、きょうの対局でそうではないことを確認した。はたしてアルファ碁の弱点が何なのか気になる」と述べた。
李世ドル九段は対局後のインタビューで「多くの期待をされただろうに無力な姿を見せて申し訳ない」と話し始めた。続けて「アルファ碁の能力を誤判し、今回の対決ではプレッシャーが大きかったが、それに勝ち抜くには私の能力が足りなかったようだ」と述べた。アルファ碁の完璧さに対しては「アルファ碁が優れているというのは正しいが、少しずつ弱点を露出したので神の境地だというには難しい。きょうの敗北は李世ドルの敗北であって人間の敗北ではない」と明らかにした。
グーグルディープマインドのデミス・ハサビス最高経営責任者(CEO)もアルファ碁の不完全さを認めている。彼は「李世ドル九段が話したようにアルファ碁は完璧でなく、明らかに改善する余地がある」と答えた。
李九段の3敗により優勝賞金100万ドルはアルファ碁が獲得する。勝者は決まったが李九段は13日と15日にアルファ碁と第4局、第5局に臨む。李九段は「もう心理的な負担が減っただけに、残りの対局でアルファ碁の能力をさらに正確に判断できそうだ。最後まで見守ってほしい」と話した。(中央SUNDAY第470号)
最終更新:3月13日(日)10時39分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160313-00000003-cnippou-kr&pos=3
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記事入力 : 2016/03/12 22:44
世界トップ級の韓国人囲碁棋士 AIに3連敗で負け越し
【ソウル聯合ニュース】囲碁の世界トップ棋士の一人、李世ドル(イ・セドル)九段(韓国)と、米グーグル傘下の英グーグル・ディープマインド社が開発した囲碁の人工知能(AI)「アルファ碁」との対局(全5戦)の第3局が12日、ソウル市内のホテルで行われ、アルファ碁が3連勝を収めた。李九段は3勝以上すれば、賞金100万ドル(約1億1400万円)を手にすることになっていたが、負け越した。
白番のアルファ碁がこの日も力を発揮し、176手で中押し勝ちした。李九段は序盤から積極的な攻めを見せたが、アルファ碁の守りに跳ね返された。
残り2局は13日と15日に行われる。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/12/2016031201779.html?ent_rank_news
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記事入力 : 2016/03/11 09:35
人間対AI:囲碁9段の解説者、解説できず視聴者に謝罪
「こんなはずが…」「狐につままれたよう」
「どう勝てと言うんだ…人間はあまりにも無力」
「あれ…? あれ…? 今まで見てきた手の中で一番衝撃的な手のような気がする。これは不思議だとしか言いようがないのでは?」(チェ・ユジン囲碁アマチュア五段)
「不思議だというよりも、あり得ない手です。プロの感覚では考えも付かない手です。どういう意味で打ったんでしょうか?」(イ・ヒソン九段)
10日、韓国トップの囲碁棋士、李世ドル(イ・セドル)九段と人工知能囲碁ソフト「アルファ碁」の第2局を中継していた韓国棋院運営の「囲碁TV」解説者たちは「解説」ではなく「疑問」を連発した。対局開始約45分後、「アルファ碁」が打った手に戸惑いを隠せなかった。「アルファ碁」の予測できない変則的な手や、ミスだと思われた手を到底説明できないといった様子だった。李煕星(イ・ヒソン)九段は「どうやってこの囲碁が…(『アルファ碁』が)勝てる囲碁になるのだろうか」とため息をついた。
中盤を過ぎても次々と繰り出される「アルファ碁」の意外な手に、困惑を通り越えて恐怖すら感じているかのようだった。金成竜(キム・ソンリョン)九段は「『アルファ碁』はデータにない手を打っているようで怖い。『アルファ碁』の自己学習能力が進んでこういう碁を打つなら、人間はあまりにも無力な気がする」と言った。
中盤まで李九段が有利だと見ていた解説者たちは、後に「アルファ碁」の方が有利になっていくと謝罪した。この日、SBSで解説をしていた宋泰坤(ソン・テゴン)九段は「視聴者の皆さんに申し訳ない。李九段の敗着(敗因となった石の置き方)が分からない。人間の目で見ると、『アルファ碁』はミスばかりしていた。今までの理論で解説すると、『アルファ碁』の囲碁は答えが出ない」と言った。対局が終わった後、宋泰坤九段は本紙の電話取材に「対局を見ながら中継している間、狐につままれたような感じだった」と語った。
対局会場で解説者を務めた劉昌赫(ユ・チャンヒョク)九段は、対局を見守る間、何度も首をかしげて時折言葉を詰まらせた。劉昌赫九段は「『アルファ碁』が中盤以降、終始優勢を保ったのは驚異的だ。『アルファ碁』は第1局とは違う姿を見せた。『アルファ碁』の棋風は全くつかめない」と言った。
キム・スンジェ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/11/2016031100881.html?ent_rank_news
※関連参照投稿
「福島第一原発の悲劇は原子力発電に終止符を打たなかった:やめると言えない訳は高濃度放射性物質処理問題と米国の存続指示」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/669.html
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/741.html
ロシアのプーチン大統領は、2016年の夏に中国を訪問する計画。クレムリン報道部が大統領声明をもとに発表した。プーチン大統領は、中国外務省のワン・イー大臣との会談で、訪中の意思を表明した。
「私はこの夏、中華人民共和国を訪問する予定だ」と大統領。習近平国家主席とは「非常に温かな実務関係、個人的な友好関係」があり、詳細かつ友好的な主席との対話への期待を示した。
ロシアのラヴロフ外相は、首脳会談は両国関係に追加の弾みを与えることができ、それはロシアと中国にとって重要なことだ、と述べた。プーチン大統領の訪中で戦略的パートナーシップと信頼関係はさらに強化される、と外相。
ロシアは中国にTPP(環太平洋パートナーシップ)に代わる強力で興味深い選択肢を提示すべきだ。ロシア・アジア太平洋経済協力研究センターのナタリヤ・スタプラン所長はそう語る。
「上海協力機構の枠組みを含め、中国との関係を構築するに際しては、中国がTPP創設の過程を注視していることに留意する必要がある。これは非常に重要なファクターだ。中国は、中国指導部自身も言う通り、開かれた、待機姿勢を保っている。中国はTPPのほぼすべてのメンバー国と投資協力を持っている。そして、アジア諸国も、当初から、もしTPPで中国から孤立することになるなら、更なる協力に同意しない、と述べていた。中国は積極的にEUとの関係を構築するなど、その貿易や経済関係の多様化を全面的に進めている。中国は上海協力機構の枠組みでも行動する準備ができているし、同時に環太平洋パートナーシップで何が起こっているかを監視し続ける。ただ、私見では、中国は今のところ、「すでに、より深く」よりも「より大きく、より広く、しかしより簡単に」という戦術を選択しているようだ。つまり、現時点では、中国は、具体的な投資・物流プロジェクトの推進に関する協力により焦点を当てている。私は、ロシアはこのファクターを考慮し、中国に強力で興味深い代替案を提示すべきだと思う」
高等経済学院世界経済国際政治学部長セルゲイ・カラガノフ氏は次のように語っている。
「世界は主要な経済・政治的、または単に経済的なブロックを形成しようとしている。一つは、2つのパートナーシップ(TPP・環太平洋パートナーシップとTTIP・環大西洋貿易投資パートナーシップ)を通じて米国が作ろうとしているもの。もう一つが今ユーラシアに形成されつつあるもので、まずは経済、最終的には経済・政治ブロックになるかもしれないものだ。我々は仮にそれを「大ユーラシア共同体」と呼んでいる。それは上海協力機構の組織構造の周囲に形成されることになる可能性が高い。この共同体で、主に輸送および物流ルートの開発を通じて重要な役割を果たすのは、中央ユーラシアである。私たちはしばしば、極東の開発について口にする。しかし、中央・西シベリア開発については、可能性も巨大なら、課題も巨大であるということを忘れてはならない。この地域にはロシア最良の人的資本と巨大な生産能力がある。しかし、問題は、これら潜在力が主要な市場から遠く離れているということだ。この問題を解決するには、巨大な輸送・物流体制を構築する必要がある。これは、ロシアの有望な領域をいかに世界市場に進出させるかをめぐる、新しい戦略だ。そして、それにはまず、中国を引き込む必要がある」
プーチン大統領が最後に中国を訪問したのは2015年9月のこと。これは第二次世界大戦が終結して70周年となることを記念したパレードに参加することを目的とした訪問だった。これにあわせて行われたプーチン大統領と習近平国家主席との露中首脳会談後、27の文書に調印がなされた。うちの16の文書がロシアと中国による共同ビジネスプロジェクトの推進に関連していた。
シリア紛争は、もし西側がロシアの発言に耳を傾けていたならば、4年前に終結していた可能性がある。元国連シリア特使ブラヒミ氏が、テレビ局「アル・ジャジーラ」英語版のインタニューで述べた。
ブラヒミ氏は、次のように語った−
「当時ロシアには、ほぼ全ての他の人たちよりもより現実的な、状況に対するアプローチがあった。私は全ての人がロシアにもっと耳を傾ける必要があったと考えている。ロシア人たちは、問題が実際にどのような状況にあるのかを知っていた。」
またブラヒミ氏は、西側とイスラム諸国はシリア国民を最優先に考えなかったとして批判し、次のように指摘したー
「イスラム世界だけでなく、全世界がシリアを裏切った。私が言いたいのは、米国人は何をしたのか?フランス人は何をしたのか?英国人は何をしたのか?ということだ。誰もシリアの人々を助けなかった。」
なおブラヒミ氏は、シリア停戦を肯定的に評価し、「順守されるだけでなく、拡大」されなくてはならないと指摘した。
日本は、福島第1原子力発電所の廃炉に必要な溶け落ちた核燃料の取出しなどの技術開発で米国とフランスと連携する。日経新聞が13日、報じた。
日経新聞によると、米国とは「溶けた核燃料の取り出しや設備の解体に伴って発生する放射線廃棄物の管理や処理」で連携し、フランスとは「状態の把握などに必要となるロボットや画像処理」で連携するという。
日本は現在、汚染水を処理するために米キュリオン社と仏アレヴァ社の技術を用いている。
「辺野古をめぐる国の和解案受け入れ、果たして意味があるのか:問題の先延ばしに大きな意味、状況の変化に期待する他ない従米政府」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/361.html
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辺野古移設「急がば回れ」
国、訴訟一本化へ沖縄県と和解 仕切り直しに「勝算」、米も理解
沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る訴訟で国と県の和解が4日に成立した。最短で2022年度を目指していた移設完了時期が遅れる可能性は高まる。それでも和解を選んだ背景には普天間移設の実現に向けた安倍晋三首相の「急がば回れ」の判断と、それを認めざるを得ないオバマ米政権の姿があった。
1日午後、米国の首都ワシントン。全米の注目が大統領選の候補指名争いの天王山となる「スーパーチューズデー」に集まるなか、訪米していた谷内正太郎・国家安全保障局長が静まりかえったホワイトハウスの門をくぐった。
訪米し根回し
首相の意を受けた谷内氏が訪ねたのはオバマ大統領の側近、ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)だ。ワシントンに駐在する大使と会わないことで有名なライス氏は、谷内氏とはこれまでも何度か面会している。
「ヤチサン」。ライス氏にこう迎えられた谷内氏は日本外交の多岐にわたる課題を説明した。核・ミサイル開発を強行する北朝鮮や南シナ海で海洋進出を活発にする中国、そしてウクライナ危機をあおるロシアへの対応だ。その中に普天間問題があった。
この会談で谷内氏は日本政府が工事を中断し、沖縄県側と再協議する考え方にも触れ、取り得る選択肢について根回しした。ライス氏は谷内氏の話を黙って聞いた。米側として首相の判断を尊重する合図だった。
米側には進まない普天間問題へのいらだちと不満がたまっている。それでもかつて移設先を「できれば国外、最低でも沖縄県外」と主張した民主党の鳩山由紀夫首相の時のような日米対立の構図はなんとしても避けなければならない。
1月末に福岡高裁那覇支部の和解案が示されたとき、首相や菅義偉官房長官らは慎重だった。移設工事の中断は反対派を勢いづかせる恐れがある。しかし対応を協議する過程で「手続き論で最高裁まで争って万が一負けたら振り出しに戻る」との懸念も膨らんだ。政府が和解案の受け入れを本格検討し始めたのは2月下旬に入ってからだ。
「和解勧告を受け入れる。『急がば回れ』でいこう。米国の理解も得た」。首相は3月4日昼、官邸に中谷元・防衛相や岸田文雄外相ら関係閣僚を集めて告げた。
和解を受け入れる決断に際して首相がこだわった言葉は「不可逆性」だ。昨年末の慰安婦問題を巡る日韓合意で用いたこの言葉を使い、再び訴訟合戦にならないよう法務省に指示した。
国と県の和解で3つの訴訟は取り下げられ、沖縄県の翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しの違法性を争う訴訟にいずれ一本化される。和解案は「新たな訴訟の結果が出たら双方が従う」というのが合意の前提だ。
違法性を確認できれば、国はその後、堂々と埋め立て工事を進めることができる。県は工事阻止に向けた他の法的手段には訴えにくくなるとの読みもあった。
見えぬ返還時期
問題は国が違法確認訴訟に勝てるかどうか。菅氏は法務省幹部らと協議し「勝てる」と判断した。最高裁判決による決着まで約1年を要するとみられる。菅氏らの報告を踏まえ首相は4日午前、最終的に決断した。「不可逆性を担保できるなら、それでいこう」
首相はその日に会談した翁長氏に「沖縄県民の気持ちは理解している。安全保障上の問題も無視できない」と呼びかけたが、翁長氏の表情は固いままだった。国と県の対立構図はなお根深い。
「米軍はよき隣人でありたい。日米安保が来世紀への永続的な同盟の一助となることを希望する」。1996年4月12日。橋本龍太郎首相と普天間全面返還で合意したモンデール駐日米大使は共同記者会見で、こう力説した。当時、日米が合意した返還の時期は「5〜7年以内」。来月でその合意から20年を過ぎる。
中国の台頭などアジアの安全保障環境は激変した。沖縄の地政学的な重要度も増している。今回の和解で政府と県の交渉は仕切り直しになるが、その核心である全面返還の時期はまだわからない。
(島田学、ワシントン=吉野直也)
[日経新聞3月12日朝刊P.2]
【北京=阿部哲也】中国の習近平指導部は大規模な大気汚染対策に乗り出す。環境負荷の小さい天然ガスを燃料とする発電所を増やし、現在は64%の石炭火力依存率を2030年をめどに50%以下にするほか、石炭火力にも最先端技術を導入して有害物質の排出を抑える。ガソリンの品質向上などにも取り組み、20年までの第13次5カ年計画では官民合わせた総投資額が10兆元(約180兆円)規模に膨らむ見通しだ。
「我々が確実に達成すべき目標は、きれいな水、青い空、清浄な土地を市民に提供することだ」。中国の陳吉寧・環境保護相は11日、北京市内で記者会見し、今後5年で環境汚染を目に見える形で解決していくことを「公約」に掲げた。
環境保護の専門家である陳氏は清華大学の元学長で、現役の閣僚級では最年少だ。習指導部の抜てきを受けて昨年2月に環境保護相に就任した。習氏の信頼も厚い陳氏が目玉として打ち出したのが、国内の発電事業を全面的にレベルアップすることだ。
第1に天然ガスを使う火力発電所を増設する。これまでは新設する火力発電所の9割以上が石炭を燃料とする発電所だったが、16年以降は大部分をガス火力発電所に変更し、石炭火力への依存度を引き下げる。
ガス利用の拡大に伴い、トルクメニスタン、カタール、オーストラリアなどから調達している天然ガスや液化天然ガス(LNG)の輸入も増やす。石炭から天然ガスへの代替が進めば、北京や上海などの主要都市だけで新たに450億立方メートルのガス需要が生まれるという。日本のLNGの年間輸入量の4割弱に相当する。
第2の対策が既存の石炭発電所に「クリーンコール」と呼ばれる最先端技術を導入することだ。「超々臨界圧型」と呼ばれる技術が代表例で、高い蒸気温度により高効率で発電するため、温暖化ガスの排出を抑制できる。地方政府とも連携し、全国で老朽化した発電所の設備更新を進める。
一般的にガス火力発電所の建設には1基当たり1千億円以上の費用がかかるとされる。設備の入れ替えなどにも巨額の投資が必要だ。環境保護省内部では「環境技術の全面向上には8兆〜10兆元の投資が必要だ」との試算もあり、関連産業の振興策の検討も始まった。
習指導部が環境対策に力を入れるのは「汚染大国」として中国の印象が国内外で悪化しており、メンツがかかっているからだ。肺がんや気管支炎の増加など、実際に健康被害を受ける市民の不満を和らげる狙いもある。だが課題も多い。
「電力各社にとって環境対策の圧力はかなりの負担だ。コスト増加は必至だ」。中国電力企業連合会の王志軒副理事長は警戒感を隠さない。違法な排煙や排水への監視も先進国並みに厳しくなっており、多くの経営者も「対応できない企業は淘汰される」(山東如意科技集団の邸亜夫董事長)と身構える。環境対策の強化が企業活動を鈍らせかねない状況だ。
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石炭工場閉鎖「仕事なくなった」 経済発展との両立課題
【北京=阿部哲也】中国中部に位置する山西省臨汾市。石炭業が盛んで、かつて1年のうち300日以上が「汚染日」認定を受け、大気汚染がひどい「世界ワースト10都市」にも選ばれたことがある内陸都市だ。数年前から中国政府の指導で石炭工場が相次いで閉鎖しており、最近は青空がのぞく日が増えた。だが地元住民は複雑だ。
石炭工場閉鎖で青空が戻った山西省臨汾市だが、経済的打撃も大きかった
「みんな仕事がなくなって、生活が苦しくなった」。地元旅行店に勤める男性社員(39)はあきらめ顔で話す。地元政府は観光業へシフトして経済立て直しを急ぐが、前途は厳しい。市内には打ち捨てられた製炭工場やコークス工場が廃虚のまま点在し、近郊には無計画な石炭採掘で人が住めなくなってしまった裸山が延々と広がる。
山西省は2015年に域内総生産(GDP)の伸び率が1989年以降で最低となる3.1%に急減速し、31ある直轄市・省・自治区の中で30位にとどまった。地元住民からは「我々に必要なのは生活のための金だ。青空なんか欲しくない」との不満も出るようになった。陳吉寧・環境保護相は「環境と発展は両立できる」とするが、その道は険しい。
[日経新聞3月12日朝刊P.7]
原油相場が戻り歩調をたどっている。増産凍結に向けたサウジアラビアやロシアなどの協議が流動的となる中、注目は米国の生産動向。シェールオイルの減産が進み、余剰感が薄れるとの見方が相場を支えるからだ。経営難のシェール企業は金融機関との融資の交渉次第で淘汰が待ち受ける。融資交渉が集中する4月は目前だ。
米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は10日、1バレル37.84ドルと前日比0.45ドル下落した。産油国が増産凍結に向けた会合を20日に開くのは難しいと報じられたためだ。ただ、時間外でWTIは再び上昇。「産油国の協議はそもそも期待薄。むしろ米国の動向が市場の材料になる」(大手商社トレーダー)
米エネルギー情報局が9日発表した報告によると米国の2015年12月の原油生産は日量930万バレルで11年9月以来となる前年同月割れ。シェール減産の影響が大きい。シェールの4月の生産は日量487万バレルとピークの15年3月比で約60万バレル減る見込みだ。
シェール企業は昨年、高い水準で設定した先物での売りヘッジで損失を防ごうとした。それでも三井住友アセットマネジメントによれば大手7社の15年の最終損益(特損除く)は約10億ドルの赤字に転落。ヘッジを駆使しても損失を被った。
「リーマン・ショック後のエネルギー企業の破綻社数(62社)を超えるだろう」。米コンサルティング会社のデロイトが最近公表した報告が話題だ。格付け会社はエネルギー企業の格付けの引き下げを検討中。融資交渉が集中する4月以降、「金融機関は融資を打ち切る可能性がある」(マネックス証券の大槻奈那氏)。
市場では退場する企業が出ても「生産減→需給の改善→原油高→再び生産増→原油安」という流れが危惧されてきた。この流れも断ち切られる可能性がある。掘削を請け負う米ハリバートンなど石油サービス会社の苦境が象徴だ。
「値下げ圧力が続いている」。ハリバートンの経営幹部は1月、投資家に説明した。昨年1年間を通じ3割前後も工事費が下がり、大手3社の業績は悪化している。今年、最大手シュルンベルジェは1万人の削減を発表。14年後半以来、合計で2割超が会社を去ることになる。ハリバートンや米ベーカー・ヒューズもリストラが続く。「人手が減っており急な増産には対応できない」(大和証券の壁谷洋和氏)
逆風は佳境を迎えている米大統領選からも吹いている。「環境負荷の高い水圧破砕法を規制すべきだ」。大統領選の候補指名を争う民主党のヒラリー・クリントン氏とバーニー・サンダース氏に共通する主張だ。水圧で岩盤を割ることで採掘が可能となっただけに、シェールの存亡に関わる。
「実現は微妙だが、シェール開発の環境負荷に改めて焦点が当たった」(デンマーク金融大手サクソバンクのオーレ・ハンセン氏)。増産へのハードルが高くなる恐れもある。シェールへの逆風が原油市場の弱気派を吹き飛ばそうとしている。
(飛田雅則)
[日経新聞3月12日朝刊P.19]
世界最大級の政府系ファンドのノルウェー政府年金基金が、日本株投資を拡大している。2015年末の日本株保有額は約5兆9500億円と、14年末から約1兆1千億円(24%)増えた。日経平均株価の上昇率(9%)を上回って増え、5千億円以上を買い増したとみられる。世界経済の減速懸念で金融市場が不安定になる中でも、日本株への関心は薄れていなかったようだ。
運用を管理するノルウェー銀行(中央銀行)の報告書を基に、各年末の為替レートで円換算して集計した。日本株の保有額は4年連続で増え、東証1部の時価総額の1%強を占めた。株式全体に占める日本の割合は9.3%と約2ポイント上昇。昨年は海外勢が7年ぶりに日本株を売り越したが、同基金は一線を画した。
銘柄数は1433と94社減ったが、主力株の投資額は増やした。2547億円と保有額最大のトヨタ自動車は11%増え、持ち株比率を0.89%から1.02%に高めた。三菱地所(4倍)、三井不動産(76%増)など、軟調だった不動産株の買いも目立った。
保有比率が3%以上の銘柄は45社と6社増えた。比率が最大のトーカロは5.27%だった。
昨年11月に上場した日本郵政グループ3社は計130億円保有。昨年、再上場したベルシステム24ホールディングスやツバキ・ナカシマも組み入れた。
原油安を受けて、昨秋以降の市場では中東のオイルマネーの日本株売りが懸念されてきた。ノルウェー年金基金も原油収入が元手だが、買い増しを続けた。歳入の原油依存度が中東ほど高くないうえ、年金基金とあって長期運用の性格が強いためとみられる。
ただ、ノルウェー銀のオルセン総裁は2月の講演で、原油安が続けば「16年は基金から資産を取り崩す可能性がある」と語った。大和証券の壁谷洋和氏は「日銀の金融緩和が日本株には追い風となるが、原油価格の動向次第ではノルウェー年金基金の投資が鈍る恐れもある」と指摘する。
[日経新聞3月12日朝刊P.17]
東京電力福島第1原子力発電所事故から5年を経て、原発の安全対策費用が膨らんでいる。東日本大震災後、電力11社が防潮堤の建設などにかけた追加的な投資額は3.3兆円に達する。原子力規制委員会の厳しい審査に対応するためだが、再稼働に反対する国民はなお多い。安心の確保は道半ばだ。
約1.6キロにわたって浜岡原発の敷地を囲う防潮堤(静岡県御前崎市)
下から見上げると、首が痛くなるほどの巨大な灰色の壁が視界のはるか先まで続く。昨年12月に、中部電力浜岡原子力発電所(静岡県)にできた巨大防潮堤だ。津波を防ぐため、約1.6キロメートルにわたって敷地を囲う威容は、さながら「現代の万里の長城」だ。
19メートルの津波備え
中部電が防潮堤の建設に着手したのは大震災後の2011年11月。福島第1原発が津波で全電源を喪失した事態を踏まえ、東南海地震の発生に備えてつくられた。海抜6〜8メートルの土地に高さ14〜16メートルの壁を設けた。鉄筋コンクリートを地下約30メートルの岩盤まで打ち込み、強度を高めた。東南海地震では最大震度7の揺れによって高さ19メートルの津波が発生するとの予測があり、こうした事態が起きても原発を守る狙いだ。
中部電は菅直人首相(当時)の要請で11年5月に全面停止した浜岡原発3、4号機の再稼働を目指し、規制委に安全審査を申請している。防潮堤に加え、原子炉格納容器の破損を防ぐフィルター付きベントの設置などに必要な投資額は3500億円超に上る。
中部電だけではない。日本経済新聞が原発の再稼働を申請する大手電力9社や日本原子力発電、Jパワーに、大震災後の追加対策費用を聞いたところ、総額は3.3兆円に達した。関西電力は高浜原発3、4号機(福井県)の地震の揺れや津波の高さの想定値を引き上げた影響で、配管などの耐震補強が生じた。高浜原発以外の原発の費用も含めた総額は約5300億円に膨らんでいる。
伊方原発3号機(愛媛県)の今夏の再稼働を目指す四国電力も、現時点の追加工事費用を1700億円と見込み、約1年前の試算よりも500億円上振れしている。
各社が巨額の対策費用を投じるのは、原発1基の再稼働で年1000億円程度の収支改善が見込めるからだ。天候や資源価格に左右されずに安定的に電力を供給できる利点も大きい。既に再稼働した九州電力の川内原発(鹿児島県)以外の審査も進み、今後動き出す原発は増える見通しだ。
国も原発を基幹電源と位置づけ、30年度に全電力の20〜22%程度を原子力で賄う計画だ。防潮堤の設置費用などを織り込んだ大震災後の試算でも再生エネルギーなどに比べ発電コストは安く、温暖化ガスも出さないため「原発は不可欠な電力」との立場を堅持する。
さらに費用増も
原発事故への不安から再稼働に反対する国民はなお多い。これまでの原発運転でたまった使用済み核燃料の再処理の位置づけや、その後に残る放射能の強い廃棄物の最終処分場を造れずに「トイレのないマンション」と呼ばれる問題にも道筋をつける必要がある。
司法の目も厳しい。今月9日に高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じた大津地裁の山本善彦裁判長は原発の新規制基準を「公共の安寧の基礎と考えるのはためらわざるをえない」と批判した。司法の判断を受け、各社が規制委が求める以上の安全対策に踏みきれば、対策費用はさらに増える。関西電力の大飯3、4号機(福井県)と美浜3号機(同)など、今後必要な工事費用の一部を現時点で見積もりに反映していない例もある。
国は震災後、原発の更新(リプレース)を凍結した。原発の発電比率を計画通り高めるには稼働から40年を過ぎた老朽原発も動かす必要がある。古い原発を動かすより最新技術で原発を造った方が安全性は高まるとの意見もある。安全な原発とは何かを正面から議論することが欠かせない。
[日経新聞3月12日朝刊P.5]
関西電力は11日、5月からの電気料金引き下げを見送ると発表した。高浜原子力発電所3、4号機(福井県)の運転差し止めを認めた大津地裁の仮処分決定を受け、原発再稼働を前提とする発電コスト削減ができなくなったためだ。2月下旬の値下げ表明からわずか2週間での撤回。4月からの電力小売り全面自由化を控え、経営再建の筋書きは崩れた。
「再稼働を見通せず、5月からの値下げ見送りを決めた。ご迷惑をおかけして申し訳ない」。11日、大阪市内にある関電本社で記者会見した岩根茂樹副社長は厳しい表情でこう話した。同時に2016年3月期の無配も発表。無配は13年3月期から4期連続となる。
高浜3、4号機が再稼働すれば、火力発電の燃料費が減り、営業利益の押し上げ効果は年間1千億円を超える。関電は発電コストの削減分を原資に電気料金を下げ、割安な価格で参入する新電力に対抗するという戦略を描いていた。
競争力が低下
値下げ撤回は競争力の低下に直結する。岩根副社長も「値下げできないことで非常に厳しい状況になる」と認める。
東日本大震災以降の原発の長期停止で代替の火力燃料費が膨らみ、関電は13年と15年に料金を引き上げた。家庭料金の上げ幅は合計18%、企業や自治体など大口需要家では28%に達する。すでに自由化している大口需要家向けでは電力販売量に占める新電力の割合が1割を超え、今も流出が止まらない。
4月以降は家庭向けでも同じことが起きかねない。4月の一般家庭向け電気料金は7698円。全国で最も高い水準にある。「5月から値下げを準備しています」と記したチラシを配り、新電力への変更を迷う「離脱予備軍」を引き留める営業を続けてきた。それも実現不可能になった。
原発の再稼働に待ったがかかり、業績の先行きを見通すことも難しくなった。関電の16年3月期の連結最終損益は値上げと原油安の効果で1500億円の黒字と5期ぶりに黒字転換する見通し。岩根副社長は「今期の業績予想は今のところ修正しないが、来期は現時点で何ともいえない」と含みを持たせる。
高浜3、4号機を動かせなければ、1日当たり3億円の損失が出続けることになる。値下げの延期で家庭の契約流出が増えれば、収入面でも厳しくなる。
関電が5月からの値下げを公表したのは2月26日、記者会見で八木誠社長が表明した。高浜3号機が試運転から営業運転に移行し、4号機が原子炉を起動した日だ。この時点で大津地裁の審尋は終わり、3月に決定が出るといわれていた。「多分大丈夫でしょう」。複数の関電幹部はみな、楽観論を口にしていた。
「信頼がた落ち」
それから12日後の3月9日、事態は一変する。大津地裁の決定が出た午後3時半すぎから、関電本社は一気に騒がしくなる。「どうなっているんですか」。携帯電話で連絡を取り合う中堅の社員は「全く想定外。1年前に戻ってしまった」と落胆を隠せないでいた。
関電の森詳介会長が事態の急転を知ったのはインドネシアのスカルノ・ハッタ空港。関西経済連合会会長として、インドネシアと台湾を訪問する旅の途中だった。差し止めの一報に「えっ」という表情を浮かべたまま言葉を失った。日程を切り上げ、10日に急きょ帰国した。
「大津地裁の決定後に値下げの是非を判断すればよかった。信頼はがた落ちだ」。関電の有力OBは現経営陣の見通しの甘さをこう評する。全国で最も高い料金水準への危機感が焦りとなり、見切り発車の値下げ表明につながった。電力大競争時代は20日後に幕を開ける。関電の難局は終わらない。
(鈴木大祐、越川智瑛)
[日経新聞3月12日朝刊P.11]
自民党が10日に開いた日本経済再生本部で、8%の消費税率を引き下げるよう求める意見が飛び出した。山本幸三衆院議員が「消費は底割れしている。消費税の減税が必要だ」と訴えた。「消費が底堅い」とする内閣府の説明に反論し「安倍晋三首相が増税先送りの条件とするリーマン・ショック並みの事態が起きている」と主張した。
首相が2017年4月に消費税率を予定通り10%に引き上げるか、それとも先送りするかが与野党議員の注目を集めている。山本氏は大規模な金融緩和による経済成長を目指すリフレ派で、14年秋に消費増税を1年半先送りした際には「アベノミクスを成功させる会」を主宰し、首相の判断を後押しした。
山本氏の発言を聞いていた財政規律派の一人は「社会保障の財源が足りず、減税は論外だ」と漏らした。消費再増税の議論は衆院解散とも絡む。自民党内の駆け引きが始まった。(幸)
[日経新聞3月11日朝刊P.4]
【ワシントン=吉野直也】リチャード・アーミテージ元米国務副長官は11月の米大統領選の共和党候補に不動産王ドナルド・トランプ氏(69)が指名された場合、本選では民主党候補の指名の可能性が高いヒラリー・クリントン前米国務長官(68)に投票する考えを示した。日本経済新聞との会見で明らかにした。
アーミテージ氏はブッシュ前政権時代の国務副長官をはじめ米政府の主要外交ポストを歴任した知日派の重鎮で、共和党内では主流派に位置づけられる。
アーミテージ氏は米大統領選の本選で「もし私がトランプ氏とクリントン氏を選択できるとしたら、クリントン氏に投票するだろう」と明言した。その理由として「トランプ氏の発言や行動には軽蔑の感情しかない」と説明した。
「トランプ氏が大統領になる可能性はあるが、明らかなのは共和党員の60%以上、今では3分の2がトランプ氏を支持することができない」と指摘した。そのうえで「多くの共和党員は少なくとも外交政策で、トランプ氏ではなく、クリントン氏に投票するだろう」と述べた。「もしトランプ氏が大統領になれば、危険な人物を政府の様々な地位につけるだろう」との懸念も指摘した。
アーミテージ氏は「日米関係のためにも(トランプ氏よりも)クリントン氏だ」と力説した。「彼女は一生懸命働くし、仕事を知っている。多くの人は彼女に好感を持っていないかもしれないが、彼女が有能でないという人は誰もいない」と述べた。トランプ氏については「多くの人は好ましく思っていないし、どの程度の能力があるかも確かではない」と語った。
現在、共和党の候補指名争いに出ている保守強硬派のテッド・クルーズ上院議員(45)にも「軽蔑の感情しかない」と批判した。
一方で主流派のマルコ・ルビオ上院議員(44)やオハイオのジョン・ケーシック州知事(63)を評価。「本当に評価しているのはケーシック氏だ」と述べた。
Richard L.Armitage 米国の知日派の重鎮。主要外交ポストを歴任後、2001〜05年に国務副長官を務めた。米海軍兵学校卒。70歳。
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〈解説〉主流派に手詰まり感
【ワシントン=吉野直也】アーミテージ氏の発言の背景には、米大統領選をめぐり共和党の主流派が抱く強い危機感がある。「いずれは失速する」とみていたトランプ氏が候補指名争いで首位を走る一方、期待するルビオ氏は撤退の瀬戸際に立たされているからだ。その手詰まり感が大統領選の本選での離反という選択肢につながっている。
追い込まれた主流派が最後に託すのは指名獲得に必要な代議員の過半数獲得を阻止し、党大会まで決着を持ち越すことだ。1回目の投票はほぼ各州の予備選・党員集会の結果通りだが、過半数に達しなければ、2回目は変更が可能だ。この2回目にトランプ氏以外の候補を担ぎ出す戦略だ。
最大の問題は、トランプ氏の有力な対抗馬が見当たらないことだ。党内では保守強硬派のクルーズ氏に対してもトランプ氏同様に拒否反応がある。半面、候補指名争いで敗北した候補を改めて担ぐのは、それなりの建前と大義が要る。
米国の二大政党制は、ふたつの政党が政策を戦わせて展開する政治を前提としている。共和党員が党候補に投票しないことを検討するような現実は制度の行き詰まりも意味する。過激な発言を繰り返し、非現実的な政策を掲げてもなお支持されるトランプ氏の旋風は、制度の根幹を揺さぶる事態にも発展してきた。
[日経新聞3月11日朝刊P.7]
【ニューヨーク=佐藤大和】米大統領選の共和党候補者選びで快走する不動産王ドナルド・トランプ氏に米産業界が憂慮を深めている。過激な貿易政策や移民政策に大企業やシリコンバレーは猛反発。市場は大統領選の展開にひとまず平静を保つが、トランプ氏が本選に進めば、波乱材料になりかねない展開だ。
トランプ旋風に頭を抱えているのが、候補者選びが混迷する共和党支持の経営者だ。
「トランプ氏が大統領になったらこの国は不況に突入するだろう」。ヒューレット・パッカード・エンタープライズのメグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)は3月初め、「中国やメキシコからの輸入品に35%の関税を課す」というトランプ氏の公約を酷評した。
ホイットマン氏は共和党の穏健派であるニュージャージー州のクリス・クリスティー知事を支持していたが、トランプ人気に勝てないとみた知事がトランプ陣営に寝返ったことで怒りを爆発させた。
「7対3でトランプになりそうだ」。筋金入りの共和党支持者として知られる産業界の重鎮、ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ元会長はこう嘆く。意中の候補は2位につけるテッド・クルーズ上院議員だが、逆転は容易でないとみる。
普段は政治と距離を置くシリコンバレーの経営者も危機感があらわだ。優秀な移民を成長の原動力にしてきたシリコンバレーの文化と、移民を敵視するトランプ氏とは真っ向から対立しているからだ。
米メディアによるとアップルやグーグルの持ち株会社アルファベット、テスラ・モーターズのトップらは3月初めに米南部ジョージア州で開かれた共和党系シンクタンクの会合に参加。ライアン下院議長やマコネル上院院内総務ら共和党主流派の重鎮と「トランプ降ろし」について意見を交わしたとの臆測も広がる。
米国株式市場では今のところ大統領選は大きな材料になっていない。ただ、本選は「スイング・ステート(揺れ動く州)」と呼ばれ、両党の支持が拮抗するフロリダ州など数州の際どい攻防で決まるのが最近の傾向だ。こうした接戦州でトランプ氏が健闘する展開になれば先行き不透明感が広がり、株式相場にも影響を及ぼしかねない。
トランプ氏は「欧州中央銀行(ECB)と日銀の金融緩和は通貨安誘導だ」と批判している。米連邦準備理事会(FRB)に対策を求める考えを示しており、大統領選の展開次第では為替相場も反応する場面がありそうだ。
一方、南米やアジアからの輸入品と厳しい価格競争にさらされる草の根の経営者の間では、トランプ氏の支持は根強い。トランプ氏自身が企業経営者であることや、歴代政権によるウォール街や大企業優先の政策への反発が根底にある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H1C_T10C16A3FF8000/?dg=1
【ベルリン=赤川省吾】大勢の難民が流入するドイツで13日、地方選が実施された。反難民を訴える民族主義政党「ドイツのための選択肢」が躍進する一方、寛容な難民政策を掲げたメルケル首相が率いる保守系のキリスト教民主同盟(CDU)が退潮した。2017年には国政選挙が控えている。有権者の厳しい審判にさらされたメルケル首相が難民政策を軌道修正するかが焦点となる。
独メディアによると「ドイツのための選択肢」の得票率が、人種差別の激しい旧東独ザクセン・アンハルト州で24.2%に達し、州議会の第2党に躍り出た。旧西独の2州でも10%台となり、州議会に進出した。
女性のペトリ党首は「普通の政党」を自称し、表向きは過激な極右と一線を画す。だが白人とキリスト教徒を優先すべきだとの意識は明らかだ。「ドイツ人とは何か。その答えを導き出さないといけない」。そんな表現が選挙公約にはある。
戦争中の残虐行為への反省から、戦後ドイツでは排外主義を訴える政党の力が弱かった。難民が押し寄せると社会に潜んでいた外国人への不安と差別意識が噴き出し、空気が変わった。「ドイツのための選択肢」の躍進は寛容さを失ったドイツ社会の変質を表す。
ただ同党は3州ともに第1党ではなく、州政府ですら与党入りする公算はゼロ。すぐにドイツが難民の受け入れ制限に転じるとの見方は少ない。
メルケル氏が率いるCDUは得票率を2〜12%減らし、3州ともに退潮。メルケル政権が揺らぐほどの大敗ではないが、以前のような盤石さはない。17年の国政選挙までに難民政策を見直すべきか与党内で議論が活発になりそうだ。
敗因は難民問題だけではない。CDUは人気の陰ったメルケル氏に代わる「選挙の顔」がいなかった。メルケル氏がライバルになるのを恐れて後継者を育ててこなかったためだ。
同じように寛容な難民政策を掲げる社会民主党はラインラント・プファルツ州、緑の党はバーデン・ビュルテンベルク州で人気の地方政治家を前面に押し出して得票率を上乗せし、勝利した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM14H10_U6A310C1MM0000/?dg=1
年初からの急激な円高が輸入品の価格を押し下げている。2月の輸入物価指数は円ベースで昨年12月よりも10.5%下落した。ドルなど契約通貨ベースの下落率は6.4%にとどまった。輸入品の物価下落は消費者物価指数(CPI)の下落圧力にもなりそうだ。
日銀が10日に発表した2月の国内企業物価指数(速報値、2010年平均=100)は99.8と前年同月比で3.4%下がり、5年3カ月ぶりの低水準になった。
企業間の出荷や卸売り段階で取引されるモノの価格を示す企業物価の下落は、原油価格の下落や新興国経済の減速を背景に輸入品の価格低下を主因として進んでいた。これに急激な円高が拍車をかけた格好だ。
輸入物価を円ベースと契約通貨ベースに分けると、円高の影響が鮮明に表れる。円安基調が続いていた昨年11月まで前年同月比の下落率は契約通貨ベースの方が円ベースよりも大きかった。だが2月に円相場が一時、1ドル=110円台に急伸するなど円高が進み、昨年12月から円ベースの下落率が上回った。
2月の輸入物価を「食料品・飼料」「電気・電子機器」「輸送用機械」など10分野に分けると、円ベースは全分野で前年同月比で下がったが、契約通貨ベースは「繊維」「輸送用機械」の2分野で上がった。円高が個別の輸入品の価格下落に効いているわけだ。
企業物価のうち、消費財などの「最終財」は前年同月比で1.4%下がり、1月(1.0%)よりも下落率が広がった。みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストは「企業物価の最終財の動きから半年ほど遅れてCPIに影響が出る。当面はCPIに下落圧力がかかる」と分析する。
[日経新聞3月11日朝刊P.5]
【ジュネーブ=原克彦】中央銀行が銀行の余剰資金に手数料を課す「マイナス金利」導入から1年以上が過ぎたスイスで、自治体や銀行が対応に苦慮している。余剰資金を抱え込まないよう前倒し納税への「特典」廃止に踏み切る自治体が相次ぎ、銀行界では国外の支店でも手数料導入を検討するところが出てきた。
スイス中銀は17日に金融政策決定会合を控えており、欧州中央銀行(ECB)に追随してマイナス金利を拡大すれば、マネーが行き場を失う構図が一段と強まりそうだ。
「前倒しで納税してもらう利点はなくなった」。スイス東部のツーク州は昨年末、期限の4カ月前までに納税する人の税金を1%割り引く優遇制度を廃止した。預金金利がほぼゼロになり、前倒し徴収で多額の資金を集めても運用による収入は見込めない。減免制度は今や税収減にしかならない「お荷物」になった。同様の制度を持つルツェルン州も前倒し納税の特典を縮小した。
スイス国立銀行(中央銀行)は2015年1月にマイナス金利を導入したが、銀行が法人の預金口座に負担を転嫁するにつれて余剰マネーは運用先がなくなりつつある。
スイス東部の自治体ポントレシナは隣町のサメダンに年率0.5%で500万スイスフランを融資した。原資は介護施設の建設計画が住民の反対で頓挫したことで浮いた資金だ。銀行に預ければ金利を取られるため、資金が目減りしないよう近隣自治体に融通することにした。
多額の長期資金を運用する年金基金も壁に突き当たる。チューリヒ州の自治体ゴッサウは国内の年金基金から400万スイスフランを無利子で借り入れた。年金基金の多くは一定の割合を安全資産で運用することを決めているが、マイナス金利で預金は手数料を取られかねず、国債運用も危うい。それよりは貸し倒れリスクの小さい自治体に無利子融資するほうがいい、との判断があったようだ。
銀行界の反発も強まる一方だ。「中長期的には経済全体に深刻な影響をもたらす」。スイス州立銀行協会は1月、声明でスイス中銀のマイナス金利政策に懸念を表明。銀行にとって余剰資金を抱えることのリスクが膨らめば、企業向け融資などの金融仲介機能を傷めかねないとの主張だ。
大手銀行では既にスイスの法人顧客からマイナス金利を徴収しているプライベートバンクのジュリアス・ベアが2月の決算説明会で、ドイツなどユーロ圏の支店でも手数料導入を検討していると明らかにした。「他行や自社の顧客が大金を持ち込まないようにする」とディエテル・エンケルマン最高財務責任者(CFO)は漏らした。
事業会社も対応に躍起だ。腕時計の世界最大手スウォッチグループは「一定水準を超えた預金にマイナス金利が適用されないよう取引銀行と交渉している」(ティエリー・ケネルCFO)という。フラン高の余波で15年12月期決算は営業減益だったが、2月には最大で10億スイスフランの自社株を買い入れると発表した。少しでも自社の預金を減らす狙いがあったようだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM11H29_T10C16A3FF8000/?dg=1
ロシアのプーチン大統領は、同国のショイグ国防相に対し、任務は遂行されたため、15日火曜日からロシア部隊のシリアからの撤退を開始するよう命じた。
プーチン大統領は、この措置が紛争当事者たちにとって良いシグナルとなることに期待を表した。
プーチン大統領は、ショイグ国防相ならびにラヴロフ外相との会談で、次のように述べた-
「国防省と軍に課された任務は全体として遂行されたため、明日(15日火曜日)から我々の軍部隊の主要部分のシリア・アラブ共和国からの撤退を開始するよう国防相に命じる。」
プーチン大統領はまたシリアのタルトゥースとフメイミムにあるロシア軍の拠点(海軍基地と空軍基地)は今までと同じ体制で機能し、陸海空からしっかりと保護されなければならないと述べた。
またロシア側のイニシアチブでプーチン大統領とシリアのアサド大統領の電話会談が実施され、アサド大統領は、テロリズムとの戦いにおける支援と、シリアの一般市民に対して行われた人道援助に対してロシアに感謝の意を表した。ロシアのペスコフ大統領報道官が記者会見で明らかにした。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160315/1782252.html
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ラヴロフ外相、「シリアからの撤退は誰かに気に入られるためではない」[スプートニク日本語]
2016年03月16日 02:33(アップデート 2016年03月16日 02:35)
ロシア航空宇宙隊のシリアでの作戦中止の決定は誰かに気に入られようとして採られたものではない。ロシアのラヴロフ外相はこうした声明を表した。
ラヴロフ外相は記者会見で「我々の航空宇宙隊がシリアで行なってきた作戦の部分的中止の決定は、シリア大統領の要請にこたえ、我々の大統領からシリア駐留のわが軍に対して出された課題、シリア軍がテロリズムに対抗する能力を強化する課題に基づいたものであり、これらの課題は全体として遂行された。これらが採られたのは誰かに好かれるためでも、誰がに褒められるためではない」と語っている。
ラヴロフ外相は、ロシアはシリア国民の関心、中東地域の関心、さらにはテロとの闘いへ最大限の国際支援を集める関心に基づいており、その目的は達成されたと強調した。
近く米国は、シリア紛争の当事者としてのクルド人を切り捨て、彼らをシリアでの休戦対象の例外とするよう強く求めるトルコの要求に譲歩する用意がある。
「ザ・ネイションズ(The Nations)」の報道によれば、米政府は、自分達のそうした行動について、トルコ南東部でクルド人に対し激しい戦争を展開しているエルドアン大統領を支援するためであり、またクルド人勢力がシリアにおいてロシアの作戦に協力しているとの声明を出したためだと説明している。
クルド人勢力は、テロ組織「ダーイシュ(IS,イスラム国)」との戦いの中で最も効果的な役割を果たしたグループの一つだった。
エルドアン大統領のスポークスマン、イブラギマ・カリーナ報道官は、この問題に関連して「トルコは、クルド人がロシアの指揮官達に重要な情報を渡したとの情報がある事から、シリア領内のクルド人民防衛隊に対し、攻撃を加える可能性について検討中だ」と伝えた。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160316/1790052.html#ixzz432KEfU2T
※関連記事
「トランプ氏指名なら「クリントン氏に投票」 共和重鎮 アーミテージ氏明言」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/853.html
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KKKはヒラリー・クリントン氏を支持[スプートニク日本語]
2016年03月16日 05:42
マスコミは他民族に対して排他主義的として、共和党を、個人的にはトランプ氏を非難しているが、白人至上主義の人種差別団体「クークラックスクラン(KKK)」カリフォルニア州のウィル・クイック氏はクリントン候補への支持を表明している。
「我々はヒラリー・クリントン氏の勝利を望む。彼女は誰に対しても一つのことしか言わないが、実際、彼女には秘密のプランがある。彼女は、みんなが彼女の口から聞きたがることを語っているのであって、彼女は自分がビル・クリントンの妻であり、ブッシュ家に近しいという理由で選ばれるように言葉を運んでいるが、実際、大統領になるやいなや、『カミングアウト』を行い、真の顔を見せるだろう。」クイック氏はデイリーテレグラフ紙からのインタビューにこう語っている。
多くの専門家らは、極度に不快な人物として知られるクイック氏がこうした支援を示したことで、クリントン氏の評判は逆に傷がつきかねないとの見方を示している。
アメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びで、ルビオ上院議員は、地元の南部フロリダ州で行われた予備選挙でトランプ氏が勝利を確実にしたことを受けて、選挙戦からの撤退を表明しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160316/k10010444951000.html
アメリカ大統領選挙に向けて5つの州で予備選挙が行われる「ミニ・スーパーチューズデー」は、これまでの開票の結果、共和党ではトランプ氏が、民主党ではクリントン前国務長官が、それぞれ3つの州で勝利しました。
このうち共和党では、不動産王のトランプ氏が南部フロリダ州と中西部イリノイ州、それに南部ノースカロライナ州で勝利し、指名獲得に向けて大きく前進しました。トランプ氏は「多くの人が私の支持に回ってくれている。われわれは止まらない」と述べました。一方、地元で敗れたフロリダ州選出のルビオ上院議員は選挙戦からの撤退を表明しました。共和党では、このほか、中西部オハイオ州で地元のケーシック州知事が勝利しました。
共和党では、フロリダ州とオハイオ州で勝利した候補者が、すべての代議員を獲得する方式が採用され、今後の候補者選びに大きな影響を与えるとして結果が注目されていました。
共和党では、残る中西部ミズーリ州で、集計率89.1%の時点でトランプ氏が41.3%の票を獲得したのに対し、クルーズ上院議員が40.9%と激しく競り合っています。
一方、民主党では、クリントン前国務長官がフロリダ州とノースカロライナ州、それにオハイオ州で勝利し、「民主党の指名獲得と本選挙での勝利に近づいている」と演説しました。
民主党では、残るイリノイ州で、集計率76%の時点でクリントン氏が50.9%の票を獲得したのに対し、サンダース氏が48.2%となっているほか、ミズーリ州でも両者が競り合っています。
トランプ氏「勝って、勝って、勝ちまくる」
共和党のトランプ氏はフロリダ州で支持者を前に演説し、大統領選挙に立候補していたニュージャージー州のクリスティー知事に続き、最近になってカーソン氏からの支持も受けたことについて触れ、「共に戦った候補者たちをはじめ、多くの人が私への支持に回ってくれている。私たちは共和党を1つにまとめなければならない」と述べ、自分こそが共和党の正式な候補にふさわしいと強調しました。そのうえで、「勝って、勝って、勝ちまくるぞ。われわれは止まらない。この国のために大勝利を収めよう」と呼びかけました。
クリントン氏「勝利に近づいている」
クリントン前国務長官は予備選挙の結果を受けてフロリダ州で支持者を前に演説し、「民主党の指名獲得に、そして本選挙での勝利に近づいています」と述べて、支持の広がりに自信を見せました。そのうえで、「皆さんは、あしたがきのうよりもよくなることを願って、持って生まれた力を生かす機会を誰もが与えられるような未来を求めて投票してくれました。あなたの力が必要です。運動を続けてください」と呼びかけました。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H44_W6A310C1MM0000/?dg=1
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イリノイ州 民主党はクリントン氏が勝利確実[NHK]
3月16日 13時36分
アメリカ大統領選挙に向けた候補者選びは、中西部イリノイ州で予備選挙が行われ、ABCテレビは、民主党ではクリントン前国務長官が勝利を確実にしたと伝えました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160316/k10010445241000.html
米国は露航空宇宙隊のシリア撤退の模様を監視する計画。
米国務省のジョン・ケルビー報道官が明らかにした。報道官は「軍部が大量の兵員を撤退させるには時間がかかるため、我々は待機し、様子を見守らねばなららない」と語っている。
14日、プーチン大統領はロシア航空宇宙隊がシリアでの課題を見事遂行したことを受け、部隊の撤退を開始するよう命じていた。
米国のジョン・ケリー国務長官は、来週モスクワを訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領及びセルゲイ・ラヴロフ外相と会談する予定だ。
会談では、主にシリア調整問題が討議されると見られる。
ケリー国務長官によれば、シリア紛争を解決するこれまで最高のチャンスが到来した、との事だ。また長官は、シリアにおける新しい政府形成につながる「政治的移行期」が必要不可欠だとの、米国の立場を強調した。
なおロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ケリー国務長官のモスクワ訪問が検討されている事を確認した。
16日水曜日、韓国の気象観測機関は、北朝鮮領内でマグニチュード2,2の地震を観測した。この地震の原因は、爆発が原因であった可能性がある。ヨンハップ(聯合)通信が伝えた。
人工的な要因によるものと見られる、この地震は、現地時間で12時30分頃発生、震源は首都ピョンヤンの南東34キロの地点だった。震源の深さは1キロで、極めて浅い事から、地震の原因は爆発によるものと推察できる。
ただ韓国の気象観測機関筋が述べたところでは「震源の位置や地震の規模を考慮するならば、その原因が核実験であったとは考えていない」とのことだ。
今年1月6日に実施された北朝鮮での4回目の核実験の際には、マグニチュード4,8.の揺れが記録されている。
先日、北朝鮮当局は、同国に対する国連安全保障理事会及び一連の国々の制裁措置にもかかわらず、今後も核実験を続ける意向を明らかにした。
経済専門家らは、間もなく原油価格は、その上限に達し、再び下がり始めるとみている。
コンサルタント会社IHS エネルギーのジェイミー・ウェブスター副社長は、ブルームバーグ・テレビのインタビューに応じ「もし原油価格が上がり続けたなら、米国のシェールオイルの生産者らが、急速にそうした状況に反応するだろう。米国における生産の落ち込みは、需要と供給のバランスを取る、重要な動的要因である」と指摘した。
3月20日ロシアで、OPEC諸国が参加する主要石油輸出国会合が開かれる。会合で産油国の代表らは、市場の調整問題を討議し、原油採掘の一時凍結が価格下落を抑えられなかったことから、おそらく減産を決めるものと見られている。
http://jp.sputniknews.com/business/20160316/1791527.html
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原油価格の急騰には期待できない[スプートニク日本語]
2016年03月14日 21:18
米国の銀行モルガン・スタンレーのアナリストらは、原油価格が底を打った可能性があるものの、急騰には期待できないとの見方を表している。
モルガン・スタンレーは、原油価格の上昇は2017年に始まると指摘している。モルガン・スタンレーによると、原油価格の上昇を妨げているのは景気減速や原油生産水準の高さで、「現在、原油価格は底値に達したようにみえるが、恐らく年内は低いまま維持され、2017年に上昇が始まるだろう」と指摘している。ロイター通信が報じた。
さらにモルガン・スタンレーは、たとえドル安が続いたとしても、原油価格が1バレル=45ドルの水準を超えるのは難しいとの見方を示しており、「2016年にこれ以上GDP成長率の加速を期待することはできず」、世界的な景気後退のリスクは30パーセントだと予測している。
新聞「ニューヨークタイムス」に、中東問題専門家のアンドリュー・スコット・スーパー氏が論文をよせ、その中で彼は「原油価格の記録的な崩落の影響は、イランに対してではなく、サウジアラビアを襲った。サウジ当局は当初、そんな事を考えつきもしなかった」と指摘した。
以下、論文の内容をまとめてお伝えする —
「サウジアラビアは、イランを不安定化させるために原油価格を下落させる用意がある、などとは一度も警告していなかったが、実際のところサウジは、2014年それを行い、やり過ぎてしまったように思える。
サウジの官僚達は、実際、価格が1バレル=60ドル以下に落ちるだろうとは推測していなかったろう。現在IMF(国際通貨基金)は、もしサウジが予算支出を減らさなければ、2020年までに国は破産すると警告している。
一方イラン経済は、制裁解除により上向きになるだろう。イランは、自国の原油を売る新しい市場を模索してゆくに違いない。そうした形で、サウジアラビアは、自らの武器によって打撃を受けるだろう。」
「厚労省自身が「リスクは高い一方で効果は不明」と説明する子宮頚癌ワクチンが“定期接種化”されるという異常事態」
http://www.asyura2.com/13/senkyo146/msg/742.html
投稿者 あっしら 日時 2013 年 4 月 25 日 02:37:28: Mo7ApAlflbQ6s
「どうする?子宮頸がんワクチン:今なお、メリットもあるとか先進諸国は接種に積極などと接種推奨モードのNHK」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/777.html
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子宮頸がんワクチン副反応「脳に障害」 国研究班発表
TBS系(JNN) 3月17日(木)0時17分配信
「NEWS23」が継続してお伝えしている子宮頸がん予防ワクチンをめぐる動きです。番組ではワクチンを接種した少女たちの記憶力などが低下する症状について取り上げてきましたが、国の研究班が16日、脳の障害に関する新たな研究結果を発表しました。
利き手だった右手がうまく動かせなくなってから5年がたとうとしています。酒井七海さん(21)。足が思うように動かせず、車いすを使う生活が当たり前のようになりました。こうした症状を発症したのは、子宮頸がんワクチンを接種してからです。
日本でこれまで接種した338万人のうち、副反応の報告があったのは2584人。2年前、酒井さんは別の病院に通院していました。現在はまた違う病院に。今回が22回目の入院となります。
「足を真っすぐにすると震える・・・」(酒井七海さん)
目に見える症状のほかに、今、深刻なのは、記憶の障害です。
「(七海さんが)予定とかを忘れちゃうので・・・」(母親)
「やったことを常にスマホに記録していて。11時40分に(取材が)来たので、とりあえずここ(スマホ)に書いておいて、夜、まとめて、ノートにきょう何時に何をしたというのを書いたりして」(酒井七海さん)
これまで、国の検討部会はこうした症状を少女たちの心身の反応としてきました。そうした中、16日、厚生労働省で国の研究班の1つが新たな研究成果を発表しました。研究班の代表を務める池田修一信州大学医学部長。この1年間、全国の患者およそ140人の研究を進めてきました。そこでわかってきたのが、記憶力の低下などを訴える患者の傾向です。
「『情報の処理速度』だけが極端に落ちている。正常の6割くらいまで落ちている」(国の研究班の代表 信州大学 池田修一医学部長)
少女たちに何が起きているのでしょうか。実験用の特別なマウスを使って分析が行われました。マウスにそれぞれ、子宮頸がんワクチン「サーバリックス」、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチンを打ったところ、子宮頸がんワクチンを打ったマウスにだけ脳に異常が発生していることがわかったといいます。
「子宮頸がんワクチンを打ったマウスだけ、脳の海馬・記憶の中枢に異常な抗体が沈着。海馬(記憶の中枢)の機能を障害していそうだ」(国の研究班の代表 信州大学 池田修一医学部長)
脳の画像データ。子宮頸がんワクチンだけ緑色に光る異常な抗体が出ています。
「明らかに脳に障害が起こっている。ワクチンを打った後、こういう脳障害を訴えている患者の共通した客観的所見が提示できている」(国の研究班の代表 信州大学 池田修一医学部長)
異常が見つかったのは脳だけではありません。子宮頸がんワクチンを打ったマウスの足の裏にある神経の束を撮影したもの。正常な神経は黒く太いバンドで取り囲まれています。しかし、マウスから見つかった異常がある神経は、正常のものと比較すると、黒いバンドの部分が壊れて亀裂が入り、膨らんでいるのがわかります。
「この神経は情報が正確に早く伝わっていかないと考えられます」(国の研究班の代表 信州大学 池田修一医学部長)
こうしたマウスの異常はワクチンを打ってから9か月ぐらいで現れたといいます。さらに研究班は、特定の遺伝子にも注目しています。記憶の障害を訴える33人の患者を調べたところ、そのおよそ8割で同じ型を保有していることがわかりました。
「(注目している遺伝子は)中国・日本など東アジアの人に多い。子宮頸がんワクチンの副反応が日本でクローズアップされた遺伝的背景の1つの原因かもしれないと考えています」(国の研究班の代表 信州大学 池田修一医学部長)
国の研究班は今後、今回、マウスなどで見られた異常と、ワクチンの成分との関係について、本格的な分析を進める予定です。(16日23:07)
最終更新:3月17日(木)0時17分
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160317-00000008-jnn-soci
ドイツ連邦裁判所は16日、ドイツの大手エネルギー会社数社による訴訟プロセスを開始した。
エネルギー会社は、国が決定した原発停止に対して約190億ユーロの損害賠償を求めている。
ドイツのメルケル首相は2011年、福島第1原子力発電所事故の後、内閣で脱原発問題を議論し、政府と連邦議会は脱原発に関する原子力法の改正案を可決、7基の原発が廃止、残りの9基も2022年までに段階的に稼働を停止するとされた。
結果、大手エネルギー会社のエーオン、RWE(エル・ヴェー・エー)、バッテンフォールは多額の損失を被った。
大手エネルギー会社は、福島第1原発事故後に原子力エネルギーの利用を直ちに拒否する理由は一切なかったと訴えている。
なおドイツ憲法裁判所が賠償金の支払いについて直接決定を承認することはない。裁判官は、原子力エネルギーに関する法律がドイツ憲法の規定に合致しているかを調べる。
なお大手エネルギー会社は、法改正の撤回が目的ではないと強調している。
エネルギー会社が裁判所の承認を得た場合、彼らは損害賠償に関するプロセスを先に進めることができる。
金正恩第一書記は、今後も核弾頭や弾道ミサイルの実験を続ける、と宣言している。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が間もなく核兵器を完成させるということは、本当に起こり得るのだろうか?
北朝鮮がミサイルや核技術の分野で大きな進歩を遂げたのは事実だが、すべての問題が克服されたわけではない。ロシアの軍事専門家ウラジーミル・エフセーエフ氏はそう語る。
「ある情報によると、北朝鮮の第三の核実験では、核弾頭に使用可能な、相当小型の核爆弾が用いられた。今年2月の初めに重量200sもの衛星が打ち上げられたことも、北朝鮮の技術が進歩していることの証だ。『北朝鮮は熱核兵器の開発に取り組んでいる』との情報もある。しかし、こうした開発には、非常に多額の資金が必要だ。ゆえに、おそらく、今後数年間でこうした兵器が完成されることはない。しかし、北朝鮮は、核爆弾をブースト、つまり、強化することは出来るだろう。核爆弾の威力が20キロトン程度にまで高められる可能性はある。ただ、目下、北朝鮮は、緻密な大気の層を通る際に弾頭を保護するための耐熱コーティング技術に集中している。このようなコーティングがなければ、ミサイル本体の燃焼と損失は不可避である。この問題が解決されたら、次のステップは、弾頭の飛行試験を行い、遠隔測定データを集めることである。それなくして、弾道ミサイルを用いて核弾頭を正確にターゲットに届けることは出来ない。こうしたテストがすべて完了してはじめて、『北朝鮮は戦略的抑止力を手にした』と言える。韓国や日本は強力なミサイル防衛システムを持っている。自由落下型核兵器を持っていても、それで有効な攻撃ができるとは限らないのだ」
しかし北朝鮮は、ロシアと中国を含む国際社会全体の支持のもと採択された、国連安全保障理事会による厳しい制裁を受けている。こんな中でどうやって、核ミサイル開発に必要な技術を取得できるのか。エフセーエフ氏は次のように語る。
「基本的な部品や技術は、すでに北朝鮮は持っているのだと思う。また、国連決議によって、北朝鮮への物資の輸送は検査を受けているが、だからといって、核開発につながるような資材が、たとえば中国・北朝鮮の国境を通って、送られていないかどうか、絶対的な保証はない。加えて、制裁の中で技術や特定の機器が秘密裏に譲渡されたケースは、これまでにもあった。その点は理解しておくべきだ。そのことは一番最近の人工衛星打ち上げによっても確認されている。ロケットの一段目の打ち上げに西側の技術の適用の痕跡が見つかったのだ。また、耐熱コーティングの開発にドネプロペトロフスク市にあるウクライナの設計事務所『ユジュマシ』が携わっていることを示す間接的な証拠もある。これが事実なら、旧ソ連圏から北朝鮮への重大な技術漏洩がある、ということになる。加えて、北朝鮮が中国の耐熱コーティングを使用していることも知られている。これは以前、中距離弾道ミサイルに使用されていたものだ」
北朝鮮が核ミサイル開発を進めたなら、韓国領土にミサイル防衛システムが大規模に展開されることになるだろう。イスラエルのミサイル防衛システムによく似た、様々なレベルの兵器が配備される。そうなれば、朝鮮半島のミサイル軍拡競争は活性化するだろう、とウラジーミル・エフセーエフ氏は語る。
シリアにおけるロシア航空宇宙軍の作戦遂行は国費330億ルーブルを要した。ロシアのプーチン大統領が明らかにした。
これらの資金は、同軍の訓練、演習向けとして、2016年の連邦予算に組み込まれていた。
「我々はシリアのグループにこれらの資金を転送したのだ」と大統領。「資金は訓練場より戦場で使うほうがよい」と指摘した。
「戦略および機動戦術航空部隊は最も困難かつ危険な任務も容易に遂行する。軍パイロットらは「優等」な成績を示した」。プーチン大統領がクレムリンで行われたシリア作戦参加者への授賞式で語った。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160317/1798913.html#ixzz43B41E2nQ
シリア北部ハサカ県ルメイランで開かれた大会に参加した政党30党以上が17日、シリア北部における地域的な連邦行政機関の創設を正式に宣言した。通信社フィラトが報じた。
共存と民族の友好関係を保証する「民主的連邦制シリア」をスローガンとする同大会には、シリア北部ならびに北東部に住むクルド人、アッシリア人、トルクメン人、チェルケス人、アルメニア人の代表者200人以上が参加した。
なおシリア政府は違法だと指摘している。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160317/1798486.html
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シリア在住クルド人が独立を宣言へ[スプートニク日本語]
2016年03月17日 11:01(アップデート 2016年03月17日 17:15)
シリア北部の地域を掌握するクルド人らは16日、この領域の連邦化を宣言する可能性がある。クルド人の役人イドゥリス・ハッサン氏のこの声明をロイター通信が引用して報じた。
国連安保理内の外交情報筋はこれより前にマスコミに対し、西側の一連の諸国はシリアを連邦化する案を検討しており、その構想をデミストゥーラ国連事務総長特別代表に伝えたことを明らかにしていた。
モスクワにあるシリアのクルディスタン代表部のロディ・オスマン代表は、シリア連邦化の決定はある意味で現在、ジュネーブで行われている「シリア3会議」にクルド人が招かれなかったことに対する返答だと語っている。
これより前、シリアのクルディスタンは自治権を主張していた。シリアの中央政府はクルド人らの主張を認めてはいないものの、戦争が続いているため、実際的な影響力は行使できていない。
クルド人らには歴史的に国家を樹立した経験はない。現在、クルド人らの居住地域は数カ国の国境によって分けられている。
ロシアの石油可採埋蔵量は、わずか28年分。ロシアのドンスコイ天然資源・環境相が発表した。
なお専門家らによると、理論的におよそ290億トンの石油を取り出すことが可能であり、その場合、推定埋蔵量は57年分となる。
一方でドンスコイ氏は、「専門家らによると、場所や量、取り出す方法について明らかとなっている可採埋蔵量は、その2分の1の約140億トンだ」と伝えた。
ドンスコイ氏は、「全体として採掘が困難な石油埋蔵量の割合は増加している。これらの石油の開発への導入は、経済的効率性の低さと関連しており、技術開発が求められている。その速度によると、今のところ採掘量はたいしたことはない」と述べた。
またドンスコイ氏は、「新たな発見がなければ、通常油田の採掘量は、2020年から減少し始めるだろう」と指摘した。
http://jp.sputniknews.com/business/20160317/1797195.html
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専門家:安価な石油は地球をより危険なものとしている[スプートニク日本語]
2016年03月17日 20:26
独紙ディ・ヴェルトは、安価な石油が世界にとって危険な理由を説明し、複数の産油国の状況を分析した。
ディ・ヴェルトは、まずナイジェリアについて、同国当局はイスラム過激派「ボコ・ハラム」と戦う力がなく、「ボコ・ハラム」の戦闘員らは昨年、「ダーイシュ(IS、イスラム国)」、「タリバン」、「アルカイダ」よりも多くの人々を殺害したと指摘している。
またナイジェリア当局には、同国にとって最も重要な原料である原油価格が世界市場で下落したことによる打撃に真剣に対応するための資金が不足している。
ベネズエラでは、政府が破綻を恐れてガソリン価格を値上げしたあと、暴動が発生した。
メキシコでは原油価格の下落により、麻薬カルテルとの高くつく戦いの問題が生じた。
中東諸国は、原油収入を「ダーイシュ」との戦いにまわさなければならない。
ディ・ヴェルト紙は、「安価な石油は地球をより危険なものとしている」と指摘している。
ロシアは、必要とあらば、数時間のうちに、シリア部隊を拡大させることができる。ロシアのプーチン大統領が述べた。
「ロシアはわずか数時間のうちにシリア部隊を拡大させ、状況に見合った規模にし、我々の能力を全面的に動員することができる。もちろん、軍事的緊張など望まない。全当事者が健全な理性を発揮し、政府も反体制派も和平プロセスに協力するよう期待する」とプーチン大統領。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160317/1798311.html#ixzz43BGPTE9k
「ワールド・ハピネス・レポート」が発表する世界で最も幸せな国のランキングで、ロシアは56位となった。このレポートは、米国のコロンビア大学地球研究所が毎年作成しているものだ。
このリストは、専門家らが、安定的発展の分野で解決の道を探るため、国連用に作成している。昨年2015年、ロシアは、このリストで64位だった。
専門家らは、合計156カ国で調査を行った。2016年度のランキング第一位に輝いたのは、デンマークだった。昨年の第一位、スイスは今年2位だった。続いてアイスランド、ノルウェー、フィンランドが続き、カナダが6位、オランダが7位、ニュージーランドが8位、オーストラリアが9位、スウェーデンが10位、イスラエルが11位、オーストリアが12位、米国が13位という順だった。
なおその他、ドイツは16位、英国は23位、フランスは32位、日本は53位、中国は83位だった。
http://jp.sputniknews.com/life/20160317/1796271.html
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※原資料
「WORLD HAPPINESS REPORT 2016 | VOLUME I」
http://5c28efcb768db11c7204-4ffd2ff276d22135df4d1a53ae141422.r82.cf5.rackcdn.com/HR-V1_web.pdf
※参考
福井県立図書館 (2110037)
世界幸福度ランキングは、国連のどの機関が何を基準にして出しているのか。また報告書(冊子体)は発行されているか。
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「世界幸福度レポート(World Happiness Report)」は、国連の「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(Sustainable Development Solutions Network:SDSN)の支援を受けて、コロンビア大学地球研究所が2013年9月に発表した。本調査は、2010年から2012年にかけて実施され、世界156カ国に住む人々の幸福度を国別のランキングにまとめたもの。評価基準としては、富裕度、健康度、人生の選択における自由度、困ったときに頼れる人の有無、汚職に関するクリーン度や同じ国に住む人々の寛大さなどの要素が考慮されている。
「世界幸福度レポート(World Happiness Report)」は、Web上でのPDF公開のみであり、冊子体は刊行されていない。
類似調査として、「OECDより良い暮らし指標(OECD Better Life Index:BLI)」がある。
これは、2011年からOECDが公表しているもので、最新版は2013年5月に発表。指標は住居、収入、雇用、社会のつながり、教育、環境、政治への信頼、健康、生活の満足度、安全、ワークライフバランスの11項目であり、データはWeb上で公開されているが、冊子体は刊行されていない。
http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000138078
暇さえあればスマホの画面を見ずにはいられない人たちは、自分の衝動をコントロールすることができないことに由来する新しい形のスマホ依存症の兆候を示している。こうした論文が心理科学協会の機関誌、サイコノミック・ブレティン&リビューに掲載された。
米フィラデルフィアのテンプル大学に所属するヘンリー・ウィルレム氏とジェイソン・チェーン氏によって行われた分析によると、スマホ依存は新しい情報を得たいとかゲームを楽しみたいといった動機によるのではなく、自分の衝動をコントロールすることができない依存状態に陥った人が我慢できないために起こるのだという。こうした視点はスマホやその他のガジェットに依存しやすい人とそうでない人の違いを説明できる可能性がある。
研究者によると、こうした発見はスマホ依存症の人が一般に考えられているように衝動的で忍耐力がないという認識とも完全に一致するという。
3月16日は、自動車や電機など、大企業の春闘の集中回答日でした。多くの企業で、なんとか、3年連続の賃金引き上げは実現しました。ですが、その水準は、去年を下回りました。賃金引き上げが、景気回復に向けた「カギ」と言われている中、この結果は経済にどのような影響を与えるのでしょうか。
【春闘の結果】
まず、主な企業の結果です。
(ベア減少)
各社とも、年齢や働いている年数に応じて、賃金が上がる仕組みの定期昇給は確保して、その上で、基本給を引き上げるベースアップ=いわゆるベアの引き上げ分として、
▼ 例えば、トヨタが、平均で一か月1500円。日産は3000円。
▼ 電機の主な5社が1500円と、
いずれも、3年連続のベアを確保しました。ですが、その上げ幅をみてみますと、去年より低く、また、ベアが復活したおととしより低い、上げ幅となりました。
(要求より大幅低水準)
▼ また、2年に1度の交渉となる鉄鋼4社は、今後2年で、1500円と1000円。2年前よりは高い水準でしたが、それぞれ4000円とした要求額は大きく下回りました。
(そもそも、ベア断念の動きも・・)
▼ さらに、去年ベアを実施したメガバンクや生命保険では、マイナス金利が業績に悪影響を与えかねないとして、そもそも、ベアの要求を見送る動きも相次ぎました。
(ベア続伸の企業は一部にとどまる)
中には、
▼ キリンビールが15年ぶりのベア実施を決めたほか
▼ 全日空や大林組など、去年を上回るベアを決めた企業もありましたが、一部にとどまりました。
【春闘の評価】
(焦点)
今年の春闘は、勢いが弱まっている日本経済を再び回復軌道に乗せる「カギ」として、注目されてきました。
中国経済の低迷に加えて、年明け以降、世界的な金融市場の混乱が続き、円高が進みました。消費も低迷し、日本経済は、去年の10月から12月はマイナス成長に陥りました。
一方、大企業は、業績拡大の勢いが弱まっていると言っても、今年度も、全体で、過去最高益の水準です。企業が抱える現金預金も、250兆円近くに達しています。
このため、消費を増やし、デフレ脱却・経済再生の勢いを取り戻すためには、3年連続で、しかも、去年を上回る賃金引き上げが必要だとして、今年は、安倍総理大臣に加えて、日銀の黒田総裁も、強く、賃金引き上げを促してきました。
(評価)
では、これまでの結果をどうみたらいいのでしょうか。
大企業の多くは、なんとか、3年連続で、ベア=基本給の底上げは実現できました。
逆風が吹き始めている中、賃金引き上げの流れを途切れさせなかった、と言うことはできるでしょう。
(消費を増やすには力不足)
ただ、この水準で、消費を増やし、経済再生を促す原動力になるのか、と言うと、それは、力不足と言わざるをえないでしょう。
日本総研は、過去の賃金上昇とGDPなどのデータから、
「名目2%の成長率を達成するためには、毎年、最低でも、ベア=基本給を1%ずつ上げていかなければいけない」と試算しています。
これは、政府がデフレ脱却・経済再生のために掲げている成長率3%より低い目標ですが、それでも、おととしの大企業のベアの実績は、せいぜい0.4%の伸び。1%より低かった分、去年は、その低い水準から0.6%の伸び。今年は、さらに、低い伸びと、目標との差は広がるばかりになっています。
そう考えると、今回の春闘は、やはり、期待はずれ。もう少し上げられた企業も多かったのではないか、というのが率直な印象です。
【春闘減速の要因】
では、なぜ、賃金引き上げの流れが減速したのか。要因を見て行くと、組合と経営側、それぞれの「弱気」が浮き上がってきます。
(組合側の責任)
まず、組合側については、そもそも、要求が低かったという点です。政府の後押しもあったのに、自動車や電機の要求は、去年の半分以下の水準でした。今年は、中小の底上げに力を入れたい。高い要求をすると、中小企業がついてこられず、格差が広がってしまう、というのが理由でした。ただ、企業の利益の水準、そして、身近な食料品などの値上げが続いていることを考えると、働く側としては、納得がいかない。経営側の顔色を見て、要求を引き下げた弱腰ではないか、と受け止めた人も多いのではないでしょうか。
(企業の責任)
そして、経営側。低い要求よりさらに回答を引き下げた。その理由としては、「中国経済の低迷や円高で、経営の先行きが不透明になってきた」ことや、「物価上昇の勢いが弱まっている」ことをあげています。
ですが、海外が厳しいのなら、なおさら、国内の消費を増やすことが大事になってきます。また、円高と言っても、一時期の一ドル=80円を切る水準と比べると、はるかに円安です。金融緩和や原油価格の下落という、多くの企業にとっての追い風も吹いています。この程度の逆風に、身をすくめるようでは、経営に自信が持てていない証拠。これまで、円安頼みの経営で、本当の意味で、企業の体質を強くできていない、ということを示しているのではないでしょうか。
また、物価が上がっていないので、賃金を上げなくても従業員が困らないという、企業の姿勢こそが、デフレを招いてきたと指摘されています。賃金から物価が上がった分を差し引いた実質賃金は、去年も減って、4年連続のマイナスです。物価より先行して、賃金をあげていかないと、いつまでたっても、消費は増えず、デフレ脱却は果たせません。
(アベノミクスのほころび)
さらに、一歩引いてみると、円安や法人税の減税で、まず、企業を潤わせて、賃金や投資に回してもらうというのが安倍政権の狙いでした。ですが、現金預金をこれだけ増やしながらも、狙い通りに賃金や投資が増えて行かない。そのことは、アベノミクスのほころびを表しているとも言えるのではないでしょうか。
【格差是正は?】
さて、組合側が掲げていた格差の是正は、どうなったのでしょうか。
(非正規底上げの動き)
大企業を含めて、40%近い人は、非正規社員の立場で働いています。この点については、
▼ KDDIが、非正規社員の賃金引き上げ幅を、正社員の10倍以上にしたほか、
▼ トヨタやカルビーも2倍にするなど、底上げをはかろうという動きが、一部、でてきました。こうした動きを、広げて行くことは、今後の課題です。
(中小企業はこれから)
一方、働く人の70%が勤める中小企業では、これから交渉が本格化します。
帝国データバンクが1月に行った調査をみてみると、およそ8200社の中小企業のうち、何らかの形で、賃金を引き上げると答えた企業は、47.3%。去年よりおよそ2ポイント減りました。一方、わからないと答えた企業は、6ポイント近く増えています。
人手不足に対応するため、賃金を上げなければいけないのはわかっていても、経済情勢を見て、躊躇する経営者が増えていることがわかります。例えば、低い金利を活用して、古くなった設備を新しくしたり、ロボットやITを導入したりして、生産性を上げる。あるいは、増え続けている外国人観光客向けの新しい製品やサービスを開発する。そうした取組をすることで、なんとか、賃金引き上げの動きを進めてほしいと思います。
【まとめ】
経済を取り巻く環境は、厳しさを増しています。ですが、ここで、経済再生への流れを途切れさせないためにも、中小企業などの賃金底上げ。そして、来年以降も、継続的に賃金が上がることが欠かせません。今後の企業の取り組みが、ますます重要になってくると思います。
(今井純子 解説委員)
初期のアルツハイマー病の状態にしたマウスの脳に光を当てて刺激することで、失われた記憶を取り戻すことに成功したと、理研ーMIT神経回路遺伝学研究センターのグループが発表しました。初期のアルツハイマー病の治療法の開発につながる可能性があるとしています。
この研究を行ったのはノーベル賞受賞者で、理研ーMIT神経回路遺伝学研究センターの利根川進センター長のグループです。
グループではまず、マウスにアルツハイマー病に関連する遺伝子を組み込み、初期のアルツハイマー病の状態にしました。
通常、マウスは箱の中に入れ、電気的な刺激を与えるとその体験を記憶し、その後は、同じ箱の中に入れるだけで身をすくめる行動をとるようになりますが、アルツハイマー病の状態にしたマウスは、1日たつとこの行動を取らなくなり、記憶を取り戻せない状態になっていました。
ところが、この病気のマウスの脳にある「記憶エングラム」と呼ばれる神経細胞の集まりを光を使って刺激すると、箱の中に入れるだけで再び身をすくめる行動を取るようになったということです。グループでは、刺激によって記憶を取り戻したとみていて、光による刺激をさらに続けると、記憶を取り戻せる期間も延びたということです。
今回の成果について利根川センター長は「初期のアルツハイマー病の患者は記憶を失っておらず、思い出せないだけかもしれない。将来、細胞から記憶を取り出す技術が開発されれば、病気の症状を軽減できる可能性がある」と話しています。
患者や家族の団体「希望の光」
認知症の患者やその家族で作る団体「認知症の人と家族の会」東京都支部の大野教子代表は、「初期のアルツハイマー病の患者とその家族は記憶障害によって、これからどうなるのだろうと不安な気持ちを抱えています。記憶が取り戻せるかもしれないという今回の研究成果は私たちにとって希望の光です。今後、少しでも早く患者の手元に治療法や薬が届くようになってほしいと期待しています」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160317/k10010446071000.html
ヒトのiPS細胞から大きさが数ミリの”ミニ肝臓”を作り出す研究を進めている横浜市立大学の研究グループが、本物の肝臓と同じレベルで有害物質を処理することができる従来よりも高性能の”ミニ肝臓”を作り出すことに成功しました。
横浜市立大学の谷口英樹教授のグループは、ヒトのiPS細胞から大きさが数ミリの”ミニ肝臓”を作り出し、重い肝臓病の患者に複数個移植して、病気の肝臓の働きをサポートする臨床研究の計画を進めています。
グループでは今回、新たに肝臓の中を走る血管の細胞などもiPS細胞から作って、ミニ肝臓を作り出したところ、人体にとって有毒なアンモニアを無害な物質に変える機能がヒトの肝臓の細胞と同じレベルに高まったほか、アルブミンと呼ばれる血液中のタンパク質を作り出す機能もこれまでの2倍になるなど、大幅に機能を高めることに成功したということです。
グループでは、平成31年度にも重い肝臓病の患者への臨床研究を始める計画で、谷口教授は「実際の治療に向け大きく前進したと言える。iPS細胞は腫瘍を作るリスクも指摘されているので、そのリスクをどのようにコントロールしていくか、さらに研究を進めたい」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160317/k10010446061000.html
神戸女児遺棄事件:遺体収納ポリ袋内にあった吸い殻のDNA鑑定が決め手という危うい話にそのまんま乗っかり報道に励むメディア
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/440.html
[神戸女児遺棄事件]リュックは室内で隠された状態に:家宅捜査→物証発見→逮捕というまっとうな手順を踏まなかったワケ
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/443.html
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神戸・長田女児殺害事件 君野被告に死刑判決
神戸新聞NEXT 3月18日(金)15時36分配信
2014年9月に神戸市長田区で起きた小1女児殺害事件で、殺人や死体遺棄、わいせつ目的誘拐などの罪に問われた君野康弘被告(49)の裁判員裁判判決公判が18日、神戸地裁であった。佐茂剛裁判長は求刑通り死刑を言い渡した。09年の裁判員裁判の制度導入以降、同地裁で初の死刑判決となり、全国27人目。被害者1人の場合では4人目となった。
弁護側は「意見を受け入れられなかった。高裁の判断を仰ぎたい」として即日控訴した。
同被告は公判で女児の殺害などを認める一方、誘拐はわいせつ目的でなかったと主張していた。しかし、判決はわいせつ目的誘拐と認定し、「慎重に検討しても死刑を回避する事情はない」とした。
判決などによると、君野被告は14年9月11日午後3時半ごろ、自宅アパート近くの路上で「絵のモデルになってほしい」と小学1年の女児=当時(6)=に声を掛けて自宅に誘い入れ、ロープで首を絞めるなどして殺害。同月16日ごろまでに、遺体を複数のビニール袋に入れて自宅近くの雑木林などに投棄した。
最終更新:3月18日(金)16時26分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160318-00000005-kobenext-soci
運転開始から40年近い関西電力の美浜原子力発電所3号機(福井県)が廃炉になる可能性が出てきた。原子力規制委員会の安全審査への対応で耐震工事費が膨らみ、安全対策費用が最大2700億円と当初計画から倍増する見込みとなったためだ。関電は最長60年までの運転延長を目指すが、追加の投資負担は重く、廃炉を含めて年内に結論を出すことになる。
関電は美浜3号機(出力82万6千キロワット)の安全対策費を1290億円とみていた。規制委が昨夏の安全審査で敷地内で起こり得る地震の揺れの大きさを750ガル(ガルは加速度の単位)から993ガルに上げるよう指示したため、必要な対策費が大幅に増えた。
関電は18日までにプラントメーカーや施工会社などに対策費の概要を説明した。2000億円を下回る水準まで対策費を抑えられないか協議を始めたが「必要な対策が多く、ほとんど削れない」(関係者)という。
東日本大震災後に政府は原子炉等規制法で原発の運転を原則40年とした一方、規制委が認めれば最長60年まで運転を延ばせる特例制度を導入した。1976年に稼働した美浜3号機は今年11月末までに規制委の安全審査と運転延長の審査を通らないと再稼働できない。審査は停滞気味で、時間切れで廃炉になる可能性もある。関電は美浜1、2号機について、巨額の費用を投じて運転を延長しても費用対効果を得られないと判断し、昨年3月に廃炉を決めた。
[日経新聞3月18日夕刊P.1]
今日、日本の内閣法制局の横畠裕介(ヨコバタケユウスケ)長官は、参議院予算委員会での質疑応答で「日本国憲法は、最小限自衛のため必要な核兵器の使用を禁止してはいない」との考えを示した。
横畑内閣法制局長は「憲法が、何らかの核兵器の使用を禁止しているとは思わない。しかしこれは、わが国を防衛するため最小限必要な方法によるものと制限されるべきだ」と述べた。
法制局長は「核兵器及びその他の武器の使用は、国内法そして国際法によって課せられた制限を持つ」と述べ、さらに「国外での軍事力の使用は、全体として、日本の防衛にとって最小限必要なものを越える(過剰防衛)と理解される」と説明した。
http://jp.sputniknews.com/japan/20160318/1803370.html
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※ NHKのオンラインユースはこの発言を小さく取り上げ
「核兵器使用「憲法上禁止されずも 武器使用は制約ある」
このほか、横畠内閣法制局長官は、「核兵器の使用は憲法違反には当たらないのか」と質問されたのに対し、「核兵器に限らず、あらゆる武器の使用には国内法上および国際法上の制約がある。核兵器にもさまざまな規模、種類のものがあるが、わが国を防衛するために必要最小限度のものに限られ、憲法上、すべての種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えていない。ただ、海外での武力の行使は、わが国を防衛するための必要最小限度を一般的に超える」と述べました。」
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首相 消費増税予定どおり 衆院解散考えず
3月18日 19時12分
安倍総理大臣は、参議院予算委員会の集中審議で、消費税率の10%への引き上げについて、リーマンショックや大震災のような事態が起きないかぎりは、来年4月に予定どおり引き上げるとともに、衆議院の解散・総選挙は「全く考えていない」と改めて述べました。
この中で社民党の吉田党首は、来年4月の消費税率の10%への引き上げに関連して、「安倍総理大臣は、著名な経済学者と意見を交わす国際金融経済分析会合で意見を聞いたうえで、増税延期を掲げ、衆議院を解散するのではないか」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「世界に冠たる社会保障制度を次の世代に引き渡していくうえで、消費税を増税し、その税収分はすべて社会保障費に充てていく。リーマンショック、あるいは大震災級の事態にならないかぎり、予定どおり引き上げていく考えだ」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は、衆議院の解散・総選挙について、「全く考えていない」と述べました。
一方で、安倍総理大臣は、ほかの議員の質問に答えて、「現下の経済状況については、しっかりと注意深くみていきたい。『経済成長なくして、財政の健全化なし』というのは基本的な考え方であり、経済が失速しては元も子もなくなる。経済をしっかりと成長させて、デフレ脱却を確かなものとする中で税収も増やしていく」と述べました。
北朝鮮対応「日米同盟の絆で国民の生命・安全守る」
また、安倍総理大臣は、北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射への対応について、「新たな日米防衛協力の指針=ガイドラインの下、不審な兆候を把握した段階で速やかに必要な協議や協力を開始することが可能となり、平和安全法制が整備された結果、日米間の連携も切れ目なくスムーズに行うことが可能となった。日米同盟の絆のなかで、国民の命と安全を守り抜いていきたい」と述べました。
核兵器使用「憲法上禁止されずも 武器使用は制約ある」
このほか、横畠内閣法制局長官は、「核兵器の使用は憲法違反には当たらないのか」と質問されたのに対し、「核兵器に限らず、あらゆる武器の使用には国内法上および国際法上の制約がある。核兵器にもさまざまな規模、種類のものがあるが、わが国を防衛するために必要最小限度のものに限られ、憲法上、すべての種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えていない。ただ、海外での武力の行使は、わが国を防衛するための必要最小限度を一般的に超える」と述べました。
山口組抗争「現行法で十分かは検討の余地ある」
また、河野国家公安委員長は、指定暴力団「山口組」と、分裂した「神戸山口組」が対立抗争の状態になり、各地で事件が相次いでいる問題について、「新たな法規制に踏み出すべきだ」と指摘されたのに対し、「現在の法体系で十分なのかどうかは、私も検討する余地があると思っている。まずは、両山口組を弱体化し、壊滅に向けて、徹底的に取り締まるため、神戸山口組の暴力団対策法による指定を急ぎたい」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160318/k10010448521000.html
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/148.html
わざわざ低中所得者向けの対策を講じなければならないような消費税が社会保障政策の財源として不適格であることは小学生にでもわかること。
記事は発言の抜粋だからそれで決めつけはできないが、「軽減税率の導入」という言葉はあっても、社会保障制度の充実といった言葉は見えない。
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公明 山口代表 消費税率引き上げは予定どおり実施を[NHK]
3月18日 20時54分
公明党の山口代表は名古屋市で講演し、来年4月の消費税率の10%への引き上げについて、「経済の基礎的条件もいいという評価のもとで、意思決定を変える判断は持てない」と述べて、先送りせず、予定どおり実施すべきだという考えを示しました。
この中で公明党の山口代表は「来年4月の消費税率の引き上げや、軽減税率の導入などの重要な意思決定を安倍総理大臣自身が進めてきたという経過がある。政治的な意思決定を、時々の状況によって変えて、国民や市場、それに、国際社会の納得が得られるかもしっかり考える必要がある」と指摘しました。そのうえで、山口氏は「安倍政権としては、アベノミクスを着実に進め、来年の引き上げができる経済環境を作ることに努力する。経済の基礎的条件もなかなかいいという評価のもとで、来年の引き上げという意思決定を変える判断は持てない」と述べて、消費税率の引き上げを先送りせず、予定どおり実施すべきだという考えを示しました。
また、山口氏は、参議院選挙に合わせて衆議院の解散・総選挙を行う衆参同日選挙について、「好ましくないと言ってきた。解散したあと、与党に不利な出来事が起きたら取り返しがつかないし、いっぺんに多数を失うリスクもある」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160318/k10010448471000.html
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首相「経済失速では元も子もない」 消費増税巡り[日経新聞]
参院予算委
2016/3/18 16:07
安倍晋三首相は18日午後の参院予算委員会で、2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げについて「経済が失速しては元も子もなくなる。経済をしっかり成長させてデフレ脱却を確かなものにするなかで税収も増やしていく。その中で歳出の改革も進めながら財政健全化も進めていきたい」と語った。
経済情勢の見通しについて「消費がまだ力強さがない。世界経済が大変不透明感を増している」と語った。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK18H4P_Y6A310C1000000/?dg=1
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首相 消費増税予定どおり 衆院解散考えず[NHK]
3月18日 19時12分
安倍総理大臣は、参議院予算委員会の集中審議で、消費税率の10%への引き上げについて、リーマンショックや大震災のような事態が起きないかぎりは、来年4月に予定どおり引き上げるとともに、衆議院の解散・総選挙は「全く考えていない」と改めて述べました。
この中で社民党の吉田党首は、来年4月の消費税率の10%への引き上げに関連して、「安倍総理大臣は、著名な経済学者と意見を交わす国際金融経済分析会合で意見を聞いたうえで、増税延期を掲げ、衆議院を解散するのではないか」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「世界に冠たる社会保障制度を次の世代に引き渡していくうえで、消費税を増税し、その税収分はすべて社会保障費に充てていく。リーマンショック、あるいは大震災級の事態にならないかぎり、予定どおり引き上げていく考えだ」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は、衆議院の解散・総選挙について、「全く考えていない」と述べました。
一方で、安倍総理大臣は、ほかの議員の質問に答えて、「現下の経済状況については、しっかりと注意深くみていきたい。『経済成長なくして、財政の健全化なし』というのは基本的な考え方であり、経済が失速しては元も子もなくなる。経済をしっかりと成長させて、デフレ脱却を確かなものとする中で税収も増やしていく」と述べました。
北朝鮮対応「日米同盟の絆で国民の生命・安全守る」
また、安倍総理大臣は、北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射への対応について、「新たな日米防衛協力の指針=ガイドラインの下、不審な兆候を把握した段階で速やかに必要な協議や協力を開始することが可能となり、平和安全法制が整備された結果、日米間の連携も切れ目なくスムーズに行うことが可能となった。日米同盟の絆のなかで、国民の命と安全を守り抜いていきたい」と述べました。
核兵器使用「憲法上禁止されずも 武器使用は制約ある」
このほか、横畠内閣法制局長官は、「核兵器の使用は憲法違反には当たらないのか」と質問されたのに対し、「核兵器に限らず、あらゆる武器の使用には国内法上および国際法上の制約がある。核兵器にもさまざまな規模、種類のものがあるが、わが国を防衛するために必要最小限度のものに限られ、憲法上、すべての種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えていない。ただ、海外での武力の行使は、わが国を防衛するための必要最小限度を一般的に超える」と述べました。
山口組抗争「現行法で十分かは検討の余地ある」
また、河野国家公安委員長は、指定暴力団「山口組」と、分裂した「神戸山口組」が対立抗争の状態になり、各地で事件が相次いでいる問題について、「新たな法規制に踏み出すべきだ」と指摘されたのに対し、「現在の法体系で十分なのかどうかは、私も検討する余地があると思っている。まずは、両山口組を弱体化し、壊滅に向けて、徹底的に取り締まるため、神戸山口組の暴力団対策法による指定を急ぎたい」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160318/k10010448521000.html
フランスのパリで去年11月に起きた同時テロ事件で、ベルギーの捜査当局は事件に関わったとして国際手配していたベルギー生まれのサラ・アブデスラム容疑者を18日、ベルギーの首都ブリュッセルで逮捕しました。
ベルギーのミシェル首相とフランスのオランド大統領は18日、記者会見し、ブリュッセル出身のフランス人、サラ・アブデスラム容疑者(26)を逮捕したと発表しました。両首脳は18日午後、捜査当局がブリュッセル市内のアパートを捜索したところ、アブデスラム容疑者を発見し、逮捕したとしています。
アブデスラム容疑者はベルギー生まれのモロッコ系フランス人で、同時テロ事件の犯行に使用された車をベルギー国内で借りるなどテロの準備に関わった疑いなどが持たれています。
また、アブデスラム容疑者の兄も同時テロ事件の実行犯の1人であるうえ、去年11月、警察との銃撃戦で死亡したテロ事件の首謀者とみられるモロッコ系ベルギー人、アブデルアミド・アバウード容疑者とも以前から関わりがあったとみられています。
ベルギーの捜査当局によりますと、アブデスラム容疑者はパリの同時テロ事件の翌日、フランス北部を車で通過した際、警察の検問を受けましたが気付かれず、拘束されませんでした。その後、ブリュッセルに向かったとの情報があったことから、ベルギーの捜査当局は国内に潜伏している可能性があるとして、フランスの捜査当局とともに各地で家宅捜索を行うなどして行方を追っていました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160319/k10010449131000.html
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パリでのテロ事件の主な容疑者逮捕(動画)[スプートニク日本語]
2016年03月19日 01:44(アップデート 2016年03月19日 02:41)
パリ同時多発テロ事件の主な容疑者で実行犯、国際手配中のサラー・アブデスラムが、ベルギーの首都ブリュッセル西部のモレンベ−ク地区で逮捕された。ここでは、15日銃撃戦が起き、警察の特務部隊が、大規模な反テロ作戦を展開中だった。テレビRTLが伝えた。
この情報は、テロの専門家、クロード・モニカ氏が、テレビ局に確認したものだ。
13日金曜、パリでは連続テロ事件が発生。10区にあるレストランで不審者がいきなり発砲し、サッカーの独仏戦が行われ、オランド仏大統領も観戦していた「スタド・デ・フランス」スタジアムのすぐそばで3度の爆発が発生したほか、11区のバタクラン劇場のコンサート会場ではテロリストらが人質を取って立てこもった。
テロでは130人が死亡、さらに300人が負傷している。
一連のテロについて「イスラム国(IS)」(ロシアでは活動を禁止されている)が犯行声明を出している。
http://jp.sputniknews.com/incidents/20160319/1808322.html
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International | 2015年 11月 17日 16:53 JST
アングル:ベルギーコネクション、バー店主からパリ自爆犯へ
[ブリュッセル 17日 ロイター] - ベルギーのブリュッセル首都圏モレンベーク区長は2週間前、あるバーの閉店を命じた。このバーが麻薬取引の場となっていたことが、警察の捜査で明らかになったからだ。
このバーの店主だったブラヒム・アブデスラム容疑者(31)は今月13日、過激派組織「イスラム国」による報復攻撃として、フランスのパリにあるカフェで自爆した。
ブラヒム容疑者がなぜバーの経営者から自爆犯になったのかは謎のままだ。バーのマネジャーを務めていた弟のサラ容疑者は指名手配されているが、いまだ行方が分かっていない。
アブデスラム兄弟がこの店を売ったのは、わずか6週間前だった。
宗教的にアルコールやタバコが禁止されているイスラム教徒とバーの経営は結びつかないかもしれない。だが、129人が犠牲となったパリ同時多発攻撃のような事件が起きるたびに捜査で明らかになるのは、欧州の世俗的な暮らしに同化していたはずのアラブ系移民が、家族や友人には見えないところで、宗教的な自殺願望を募らせているという現実だ。
「付き合いのあった人だけにショックな話だ。彼らは面白いことが好きな普通の人たちだった。過激なところなど何もなかった。洗脳されたのだと思う」と、兄弟を知るナビルさん(25)は話した。
<「シルベスター・スタローン似」の声>
「タバコを吸っていたし、モスクにも行っていなかった」と、ヒシャムと名乗る男性(25)も兄弟についてナビルさんと同じような見方を示した。ただ、声が「シルベスター・スタローンに似ていた」という兄のブラヒム容疑者については、時々「ちょっと様子がおかしかった」と話した。
兄弟容疑者に対するこのような印象は、家族の間でも一致する。区庁舎に勤務する彼らの弟、モハメドさんは2日間拘束された後、釈放された。サラ容疑者の元同僚たちも、同じような印象を抱いている。ただ、サラ容疑者が2011年に常習的な遅刻が原因で店を解雇されたと公共ラジオ局に語っている。
ベルギーのメディアはまた、サラ容疑者が5年前、パリ多発攻撃の実行犯の1人で、同じくモレンベーク出身のアブデルハミド・アバウド容疑者(28)と共に強盗罪で服役していたと報じた。仏捜査当局は、アバウド容疑者がシリアからパリへの攻撃を指示した可能性があるとみている。
ベルギー警察はアブデスラム兄弟に前科があるか、監視対象になっていたことがあるかについて確認しなかった。
<過激な暴力の温床>
モーレンベーク区長は、同地区が「過激な暴力の温床」だとし、若者の高い失業率と過密状態が問題だと指摘。ベルギーの閣僚らも「一掃する」と約束している。
アブデスラム兄弟は失業者ではなかったとみられている。ベルギー紙が最初に報じ、ロイターが調べた公的文書によると、ブラヒム容疑者はブリュッセル生まれのフランス人で、バーを経営するため2013年3月に会社を設立した。
兄弟の家族は、閉店の警告を受けた後の今年9月30日、バーをベルギー南部に住所がある人物に売却。ロイターは同人物と連絡を取ることができなかった。
公的文書に記載されている兄弟の実家は、モーレンベーク区庁舎に面した場所にある。警察に拘束されていた弟のモハメドさんは記者団に対し、家族が衝撃を受けているとし、「私たち家族はこれまで、法的に問題を起こしたことなどなかった。両親はショック状態にあり、状況を飲み込めていない」と語った。
また、ブラヒム容疑者が13日にパリへ行く気配は全く感じられず、サラ容疑者の現在の居場所も家族には見当がつかないという。
仏警察によると、ブラヒム容疑者はバタクラン劇場に近いカフェ「コントワール・ヴォルテール」で自爆し、爆発により複数が重傷を負った。
一方、サラ容疑者は車をレンタルし、後にこの車は89人が死亡したバタクラン劇場付近で発見された。同容疑者は他の2人と共に車に同乗中、ベルギー国境付近の仏カンブレーで検問を受けたが、逮捕されなかったという。
<友人を迎えに>
弁護士らの話では、サラ容疑者と一緒に車に乗っていた男2人は、ベルギー当局に拘束されている3人に含まれている。同乗者1人の弁護士によれば、この同乗者はパリで車が故障した友人から電話があり、迎えに行ったという。弁護士は、攻撃と関わりがあることを同乗者は何も知らなかったとしている。
アブデスラム兄弟の知人であるアミールさん(23)はまた、13日夜に友人から電話をもらい、サラ容疑者を迎えに行くためパリまで約280キロ運転するようたのまれたと語った。だが、アミールさんは断った。
サラ容疑者が燃料代を払うと言っていると聞かされたが、リースしている自分の車にそんな距離を走らせることはしたくないと思ったという。サラ容疑者を迎えにいった2人が拘束されたことに「全く信じられない。自分だったかもしれないなんて」と述べた。
武装警官がサラ容疑者を捜してモレンベークの自宅を包囲する様子がテレビで何時間もライブ中継されるなか、弟のモハメドさんはサラ容疑者が無実だと強調。そのうえで「このように緊迫した状況において、抵抗せずに逮捕されるかは分からない」と語った。
では、ブラヒム容疑者をバーの店主から自爆犯へと駆り立てたものは何だったのか。「そんなものは何一つない」とモハメドさんは語る。「2人は全く普通だった」
(原文:Robert-Jan Bartunek, Philip Blenkinsop and Alissa deCarbonnel 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
ブラジルのルセフ大統領は、自分の後ろ盾となってきたルーラ前大統領を官房長官に任命する異例の人事を発表し、17日、就任式が行われました。しかしルーラ氏の任命を無効にするよう裁判所に求める申し立てが各地で相次ぎ、混乱が生じています。
ブラジルでは、国営の石油公社を巡る汚職事件で、政財界の有力者100人以上に捜査が及び、ルセフ大統領の支持率は11%にまで落ちこんで厳しい政権運営に直面しています。こうしたなか、ルセフ大統領は自分の後ろ盾となってきた実力者のルーラ前大統領を官房長官に起用する異例の人事を発表し、17日、就任式が行われました。
ところが、ルーラ氏が石油公社を巡る汚職事件の捜査の対象となっていることから、反発した市民が首都ブラジリアの連邦地方裁判所に、ルーラ氏の任命を無効とする仮処分を求める申し立てを行いました。
連邦地方裁判所は「ルーラ氏が閣僚になれば、捜査機関などに不当に介入しかねない」と指摘して申し立てを認める決定を出しましたが、逆に連邦高等裁判所はブラジル政府の主張を認め、連邦地裁の決定を取り消しました。
ルーラ氏の任命を無効にするよう求める申し立ては、ほかに少なくとも2つの州の連邦地方裁判所に出されていて、ルーラ氏の官房長官就任を巡って混乱が生じています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160318/k10010448661000.html
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ブラジルの裁判所 ルーラ氏の官房長官任命は無効[NHK]
3月18日 10時57分
ブラジルのルセフ大統領は、汚職の捜査対象になっているルーラ前大統領を官房長官に任命することを決め、17日に就任式が行われましたが、裁判所は、ルーラ氏の官房長官への任命は無効だとする決定を出し、政治の混迷が増しています。
ブラジルのルセフ大統領は、みずからの政治的な後ろ盾となってきたルーラ前大統領を官房長官に任命することを決め、17日午前、首都ブラジリアにある大統領府で就任式が行われました。
しかし、ルーラ氏は、国営の石油公社の汚職事件を巡って捜査の対象となっていて、市民がブラジリアの連邦裁判所に対し、ルーラ氏の官房長官への任命を無効とする仮処分を求める申し立てを行っていました。
就任式のあと、ブラジリアの連邦裁判所は「ルーラ氏が閣僚になれば、捜査機関などに不当な介入をしかねない」などと指摘して申し立てを認め、任命を無効とする決定を出しました。
このため、官房長官が不在の事態となっていて、ブラジル政府はこの仮処分を取り消すよう求める申し立てを行う方針を示していますが、野党などは、憲法解釈などを取り扱う連邦最高裁判所に、任命は無効だとする申し立てを10件行っているということです。
ブラジルのルセフ大統領は、経済が低迷するなか、厳しい政権運営に直面していて、ルーラ氏の閣僚就任を巡り、強く反発する野党側との対立によって、政治の混迷が増しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160318/k10010447711000.html
日本の全ての原子力発電所に対して、運転差し止め仮処分の申し立てが行われている。今月9日には、滋賀県の住民によって起こされた訴訟で、高浜原発3号機と4号機の運転差し止めが決定した。4号機は既にトラブルで停止していたため、関西電力は3号機を翌日に停止させた。大津地裁での高浜原発の運転差し止め仮処分決定を受けて、与党幹部からは「どういう根拠があるのか」「非常に納得がいかない」などといった声が出された。
NPO法人・原子力資料情報室の伴英幸(ばん・ひでゆき)共同代表は、今回、大津地裁で住民側の主張が認められたのは、政府が原発の安全性を認める・認めないに関係なく、法廷できっちりと争われたからだとの見解を示した。
伴氏「これは仮処分ですので、少なくとも裁判に負けない限り運転差し止めは効力を発揮し続けるので、関西電力は原発を止めておかないといけません。全国の全ての原発が再び停止という状態に戻っており、政府の主導するエネルギー基本計画の目標達成は難しいでしょう。大津地裁のケースでは、裁判所は電力会社側と住民側、双方から意見を聴取し、法廷に出された資料に基づいて判断しています。このような姿勢を裁判所が取り続けるならば、今後の仮処分申請では住民側が勝つ事例が増えていくと思います。これまで住民側の言い分が認められなかったケースでは、『専門家によって決められた安全基準に合格しているのだから、稼動させてもよい』(行政裁量権)という裁判所の判断があったため、負けていたのです。」
また伴氏は、法廷闘争以外の意思表示の手段として、原発をもつ会社から電力を買うことをやめる、不買運動を挙げている。
伴氏「もうひとつ、住民が関心をもって取り組もうとしていることがあります。今年の4月から電力自由化が始まります。これにより一般消費者がどの電力会社からでも、電力購入の契約ができるようになります。既に、東京電力や関西電力といった、原発をもっている電力会社の電気を買わないようにする不買運動が始まっています。この運動が功を奏していけば、原子力産業も衰退し、脱原発への転換がいっそう早まるだろうと思います。」
関西電力の代替として、例えば大阪ガスは既に、先月末の段階で6万件を超える契約切り替えの申し込みを受けている。大阪ガスは4月から、家庭用小売電力事業に参入する。大阪ガスで電力とガスをセットにして契約すると割引が受けられるプランなどもあり、価格面でもメリットがある。
今日、日本の内閣法制局の横畠裕介(ヨコバタケユウスケ)長官は、参議院予算委員会での質疑応答で「憲法が、何らかの核兵器の使用を禁止しているとは思わない」と述べた。
折しも北朝鮮の弾道ミサイル実験で、地域情勢が悪化している。しかし、日本が核大国になる時期は熟していない。著名なロシア人東洋学者で歴史家のアナトリー・コシキン氏はそう語る。
「個人的に、北朝鮮のミサイル発射や自称核「爆弾」実験にちなむ情勢悪化は、色々あるが、日本人に対し、日本自身が独自の核兵器を獲得する可能性を吹き込む手段であると受け止めている。しかし、それは東アジアの軍事的・政治的情勢の急激な変化につながる、日本の防衛政策上の一大変化となる。それはワシントンからゴーサインが出た場合にのみ可能となる。しかし、朝鮮半島の周辺地域の状況は、米韓が北朝鮮の国境付近で数ヶ月続く大規模演習を行なっていることから、さらに加熱するであろうことが明らかだ。演習は全く緊張を減少させることを目的としてはいない。もちろん、北朝鮮に自制を呼びかけた国連決議を北朝鮮が破ったという事情はあるが、米国、韓国、日本は、もし緊張を緩和する気があるなら、北朝鮮を刺激しないように、合同演習を実施する際には他のエリアを探したほうがよかったのではないか。しかし、日本の一部の勢力には、北朝鮮を刺激することが有利なのだ。日本の軍事力を増大させ、あわよくば核武装させる理由になるからだ。もちろん、普通の日本人は、このプロセスを心配しているが、メディアの影響もあり、情勢悪化の責任の全般を北朝鮮に求めてしまう。しかしこの責任の半分はワシントンにあるのだ」
スプートニク:米国が日本に核武装を許可した場合、一部の日本の政治家に、20世紀前半のような軍事大国の再興という期待を抱かせることはないか?
「今のところはあり得ない話であるが、その可能性を完全に排除することはできない。中国の台頭により、バランスを維持するという高貴なスローガンの下に日本が自分の核兵器を製造する口実が与えられる。ある報告によると、日本は既にプルトニウムや技術を持っている可能性があり、核武装は約3ヶ月で可能だという。よって、一部の米国人政治家や専門家は、米国と日本の軍事競争の再開さえ排除していない。しかし、近い将来の話ではない。米国は間もなく大統領選挙だ。政権には大方ネオコンが残存するだろうが、米国は日本を東アジアの災厄と化することができるような最高の状態ではない。
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これから始まる「新しい世界経済」の教科書 ジョセフ・E・スティグリッツ著 中間層を成長させる政策主張
世界中で貧富の格差が拡大している。米国では全体の1%の超富裕層が国の富の大部分を独占しているという話はすっかり有名だ。日本はそこまでではないが、正規労働者と非正規労働者の所得の違いが問題視されるなど、格差は拡大傾向。どの国も経済の成長軌道を描けないでいる。
本書によると、このような問題が生まれたのはこれまでの経済理論が間違っていたからだ。経済の供給側(サプライサイド)を重視し、規制緩和や減税などで事業を進めやすい環境をつくっていけば、生み出された富は最上層からあふれ出し国民全体が豊かになるはずだった。ところがそんな効果は表れなかった。
現在、こうした供給側重視の理論には多くの経済学者が否定的だ。にもかかわらず、実際の政策の場では依然として幅を利かせているという。
そこで、本書は従来の考え方と決別し、分厚い中間層を育てることこそが重要と指摘する。そのためには最低賃金の引き上げなど労働者を守る政策、労働者がお金の心配をせずに医療が受けられる公的制度の拡充などが必要とする。富裕層には課税強化などを求める。
著者の従来の主張のまとめではあるが、いまだになんでも規制緩和でうまくいくといった主張がある中で、読まれるべき一冊だ。桐谷知未訳。(徳間書店・1600円)
[日経新聞3月13日朝刊P.23]
まず、消費税法の付帯条項で内閣の判断で延期が認められていた15年10月消費税税率引き上げの延期に際し、それを理由に衆議院の解散・総選挙を行っていることから、付帯条項もない消費税税率引き上げの中止という判断について衆議院の解散・総選挙を行わなければまったく整合性が採れない話になる。(ただし、内閣不信任案の可決(内閣信任案の否決)を経ない衆議院の解散は違憲)
また、予算案採決に対する衆議院の優越と参議院通常選挙が半数改選であることから、財政にかかわる重要政策の変更に対する是非を参議院選挙で問えるとするのはムリがある。
※関連参照投稿
「衆参同日選ならてんやわんや 86年以来実施なく:消費税増税延期で解散総選挙なら自民の圧勝、同時で野党の選挙協力は雲散霧消」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/854.html
「安倍政権支持率回復の秘策は「消費税増税再延期」の是非を問うかたちでの来年7月“衆参同時選挙”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/463.html
「消費増税、首相発言で臆測 予定通りか再び延期か:正当化のネタ探しはしているだろうが再延期は既定方針」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/822.html
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衆参同日選、与野党に観測 増税巡る首相発言[日経新聞]
2016/3/19 2:00
7月の参院選にあわせた衆参同日選挙の観測が18日、与野党に広がった。2017年4月に予定している消費増税を巡る安倍晋三首相の発言がきっかけだ。首相が増税延期を決断し、衆院解散・総選挙に踏み切った14年11月の状況と重ねる議員らは、危機感を募らせている。
「衆参同日選があってもおかしくない」。自民党の二階俊博総務会長は18日のTBS番組収録で永田町の空気を解説してみせた。7月の参院選を間近に控え、参院自民党幹部らは「増税先送りと同日選の流れが止まらなくなる」「もう解散だ」と浮足立つ。民主党の岡田克也代表は記者会見で「何があってもしっかり対応できるようにするのは当たり前だ」と、同日選も視野に候補者擁立を急ぐ構えを示した。
同日選と増税再延期の観測が広がったのは、首相がそう思わせる行動をとっているからだ。
5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けて世界経済の動向を勉強したいと、首相自身がはじめた国際金融経済分析会合。16日にはノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ米コロンビア大教授が消費増税に慎重論を唱えた。17日の講師、ジョルゲンソン米ハーバード大教授は消費増税の必要性を説いたが、時期への言及を避けた。22日には消費増税に慎重とされるクルーグマン米プリンストン大名誉教授が招かれている。
4月以降は経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長や、国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長らが出席する。消費増税に否定的な意見を述べるとは限らない。しかし、首相が用意した分析会合で、世界的権威のある学者が増税に慎重姿勢だったという事実だけでも、議員の警戒心をあおるのには十分だった。
首相は14年11月に増税先送りを決断した際、解散・総選挙に踏み切り、国民の信を問うた。今回は7月に参院選がある。サミット前後に再延期を決断するとしても、参院選で是非を問う、という選択肢がありうる。増税延期と同日選は、必ずしもセットではない。
ただ、民主党と維新の党は27日に「民進党」を旗揚げし、参院選に向けて共産党とも共闘態勢づくりを進める見通しだ。政権選択を迫る衆参同日選なら野党を分断できるとの議論は、自民党内にくすぶっている。
「総選挙についてはまったく考えていない」。18日の参院予算委員会で、首相は社民党の吉田忠智党首の質問にこう答えた。17日の日本商工会議所の会合では「今年は大切な年になる。中身についてはあえて言わないが、だいたい皆様には想像がつくのではないか」と、年内解散を想起させる表現をしていた。
「消費増税を延期するのか、同日選をするのか。様々な動きは政権運営の選択肢を広げるためだ」。首相周辺は解説する。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO98654460Z10C16A3EA2000/?dg=1
[ゼミナール]米大統領選の行方
(1) 本命苦戦、異例の展開
2016年2月のアイオワ州党員集会を皮切りに、4年に1度の米国大統領選挙が始まった。8年間政権を握ったオバマ大統領に代わり、第45代米大統領として選ばれるのは誰か、世界中が固唾をのんで見守っている。
米国の大統領は世界にとっても特別な存在だ。戦後の米国は、経済・科学技術など様々な分野で世界をリード。突出した経済力・軍事力を背景に、国際社会の秩序・ルール形成においても中心的な役割を担ってきた。
近年は新興国が台頭する中、世界の多極化が進展し、米国一極の状況からは変化しつつある。しかし、世界最大の経済大国である米国の大統領選挙が、依然として世界の重要な関心事であることに変わりない。
二大政党である民主党も共和党も、当初は本命視されていた候補者が苦戦。一方、非主流派(アウトサイダー)の候補者が躍進する異例の展開が続いてきた。
これまでのところ民主党では、オバマ政権で国務長官の経験を持つクリントン氏が優位を維持するが、「民主社会主義者」と自称するサンダース氏も健闘している。共和党では、フロリダ州知事の経験を持つブッシュ氏が、支持率が低迷する中、2月下旬に撤退を表明。一方、不動産王トランプ氏が熱狂的なファンの支持を背景に多くの代議員数を獲得し、保守派草の根運動「茶会」(ティーパーティー)の支持を受けるクルーズ氏も2番手となっている。
なぜこのような異例の展開になったのか。本稿では、米大統領選挙の基本を整理し、非主流派候補者の躍進の背景にある米国の現状を解説する。
(三菱総合研究所)
[日経新聞3月4日朝刊P.29]
(2) 最後は選挙人が投票
現在、各州で行われているのが、二大政党の予備選挙と党員集会だ。支持者の投票で各党の代表候補を推す「代議員」が選ばれる。多くの州で代議員の議席は得票数に応じて候補者に配分される。ただし共和党は勝利した候補が全ての代議員を獲得する「総取り方式」が今後は中心となる。
10以上の州・地域の予備選・党員集会が集中した3月1日の「スーパーチューズデー」ではクリントン氏とトランプ氏が頭一つ抜け出した。3月中に代表選びが決着する年も多い。だが、2008年のオバマ氏対クリントン氏の民主党代表争いは6月までずれ込んだ。
7月後半に両党全国大会の代議員投票がある。ここで大統領・副大統領候補が正式に決まり、ようやく本選が始まる。秋の公開討論会のテレビ中継は本選の見どころだ。両党勢力が拮抗するフロリダ州など、どちらが優勢かはっきりしない「スイング・ステート」でのキャンペーンの成否も、選挙に大きく影響する。
11月8日、一般有権者が投票する一般投票が行われる。ただ、大統領候補に直接票を投じるわけではなく、最終的に大統領を選ぶ「選挙人」538人が投票対象となる。州ごとの選挙人定員は各州議員数と同数とされ、一部の州を除き総取り方式だ。選挙人投票は12月だが、一般投票で大統領選は事実上決着する。
08年のオバマ氏以降、ソーシャルメディアの活用も日常化した。民主党のクリントン氏も積極的にツイッターなどを活用。同党で対抗するサンダース氏もサイモン&ガーファンクルをCMで起用するなど、メディア戦略も重要となっている。
(三菱総合研究所)
[日経新聞3月7日朝刊P.25]
(3) 大きな政府か小さな政府か
共和党は、もともと奴隷制反対や産業振興を掲げ、北部の白人知識層や企業家が主に支持していた。1930年前後の大恐慌を経て、基本思想として「市場重視」と政府の介入を最小限にする「小さな政府」を確立した。これが80年代のレーガン大統領の自由主義的経済政策「レーガノミクス」や2000年代のブッシュ減税につながる。
一方、当初は南部の白人労働者や農場主らが主な支持基盤だった民主党は、大恐慌克服のためルーズベルト大統領が実施した公共事業中心のニューディール政策でリベラル色を強めていく。基本的には政府が介入を強める「大きな政府」で、福祉重視の政策や規制に積極的だ。公共投資や政府の産業協力を重視したクリントン大統領の「クリントノミクス」も、この流れに位置づけられる。
ただし政策は経済社会環境に左右される。50年代の共和党のアイゼンハワー政権の政策は、州間高速道路の整備や社会保障の充実などリベラル色が強かった。70年代の民主党のカーター政権は、流通や運輸、金融、通信などの規制緩和で産業活性化を図り、自由主義的な政策を採用した。
クリントン政権時は財政収支が黒字化したが、2000年代のブッシュ政権時は赤字が拡大。レーガン大統領は保護貿易を進め、クリントン大統領は対日貿易では保護主義だったが北米自由貿易協定を批准した。
リベラル色の強い政策が極端に進むと財政悪化や経済停滞、産業競争力の低下をもたらす。一方、自由主義的政策の行き過ぎは金融危機や格差拡大につながる。現在の米国は変化を求めている。
(三菱総合研究所)
[日経新聞3月8日朝刊P.31]
(4) トランプ氏が支持拡大
10以上の州で米大統領選の予備選・党員集会が行われた「スーパーチューズデー」を終えて、共和党ではトランプ氏が優位に立った。
トランプ氏は、ニューハンプシャー州での勝利を端緒に快進撃を続けている。不動産王として知られ、歯にきぬ着せぬ発言で耳目を集めてきた。クルーズ氏は保守派草の根運動「茶会」(ティーパーティー)の支持を受ける保守強硬派。最年少候補者のルビオ氏は、キューバ移民2世で、貧しい生い立ちから上院議員まで上り詰めたアメリカンドリームの体現者だ。
トランプ氏は過激な発言が着目されがちだが、共和党の伝統にとらわれず、政策課題ごとに柔軟な姿勢をとり、有権者の支持を集めた。ルビオ氏は3人の中では相対的に共和党の伝統的な姿勢だ。クルーズ氏は党主流派よりも強硬的な発言をする傾向が目立つ。
税制や社会保障でも3者の主張は異なる。税制では、ルビオ氏は現在40%弱の所得税の限界税率を35%、クルーズ氏は一律10%へそれぞれ引き下げるべきだとする。一方、トランプ氏は高所得者対象の減税とともに低所得者の所得税免除を主張する。公的医療保険では、ルビオ氏とクルーズ氏は手厚い「オバマケア」撤回を訴えるが、トランプ氏は貧困層への医療充実に前向きだ。
献金に頼らないトランプ氏の支持拡大は、既得権益層としがらみのある既存の共和党政治家への不信感が国民の根底にあるからだろう。ヒスパニック人口の増加による白人層の不安の高まりや経済格差の拡大など、変化する米国社会で共和党も変革を迫られている。
(三菱総合研究所)
[日経新聞3月9日朝刊P.32]
(5) 民主、現実主義と理想主義
今回の米大統領選で、民主党の指名争いは、クリントン氏とサンダース氏の2人に絞られた。クリントン氏は元ファーストレディーで、オバマ政権では国務長官を務めるなど政治家としての経験・実績は申し分ない。米国初の女性大統領への期待もある。一方でサンダース氏は、バーリントン市長を務めた後、無所属の議員を経て、民主党から大統領選に立候補した非主流派だ。
クリントン氏の主張は総じて現実主義的だ。一方、社会主義者を自称するサンダース氏は、大企業や富裕層の富の独占解消を訴えるなど、理想主義的とされる。
公的医療保険では、クリントン氏は手厚い「オバマケア」の拡充を主張する。サンダース氏は国が一括して保険を提供する皆保険制度を主張。税制では、クリントン氏は富裕層の所得控除制限など緩やかな改革を提示。サンダース氏は富裕層の所得税率を大幅に引き上げるべきだとする。
外交政策も2人の主張は違う。サンダース氏が軍事力の行使に慎重なのに対し、クリントン氏はイスラエルによるガザ空爆支持を表明し、中国へも強硬姿勢を崩さない。
クリントン氏は、黒人やヒスパニック層の高い支持をもとに優勢を維持している。しかし、若い世代を中心に、理想主義的な政策を掲げるサンダース氏など他の候補者へ一定の支持が広がっていることは、格差拡大や教育費高騰など米国社会のゆがみの表れともいえる。ブッシュ家に続きクリントン家と、大統領職が特定の家族で占められることへの警戒心もある。政治を変えたいという米国民の思いは根強い。
(三菱総合研究所)
[日経新聞3月10日朝刊P.29]
(6) 政治不信で非主流派躍進
2016年の大統領選で「非主流派」の候補が支持を集めている背景は、既存の議会や政治への不信が強まったことだ。2000年代のイラク戦争の泥沼化や08年のリーマン・ショックという逆境の中、オバマ政権は変革への党派を超えた期待を集め、09年に誕生した。その後、なぜ政治不信が強まったのか。
最初の2年間は順調だった。上下院ともに民主党が多数派を占め、健康保険加入率を引き上げる「オバマケア」や、大規模金融機関への監督を強化する金融規制改革法などの法案を成立させた。
こうした動きに対し、「小さな政府」を標榜する野党共和党の反発が先鋭化。10年末の中間選挙では保守強硬派とされる草の根運動「茶会」(ティーパーティー)が躍進し下院では共和党が多数派となった。12年の大統領選でオバマ大統領が再選されたものの、議会のねじれの構図は変わらず13年末には予算関連法案の審議が難航して政府機関が一時閉鎖された。
14年の中間選挙では72年ぶりの低投票率が民主党に逆風となり、共和党が上下両院で多数を得た。だが共和党指導部と茶会派との内部対立を背景に、オバマ政権は米欧など6カ国とイランの核兵器保有防止にむけた合意、環太平洋経済連携協定(TPP)大筋合意など実績を上げた。内部対立が続く共和党主流派への不満が、トランプ氏の支持拡大につながった。
リーマン・ショック後の不況から米国経済を立ち直らせたオバマ政権の功績は大きい。だが、景気が回復したことが国民の関心を経済格差へと移し、サンダース氏の支持につながった面もある。
(三菱総合研究所)
[日経新聞3月11日朝刊P.38]
(7) 格差拡大と固定化に不満
今回の大統領選では、経済格差に関心が集まっている。過去数十年間、米国では高所得層の所得が明確な上昇傾向だった一方、低中所得層では伸びが鈍かった。1990年以降、所得上位10%の所得は約1.7倍に増加したが、その他は約1.1倍にとどまる。
親の所得が高いと子の所得も高くなる格差の固定化傾向も指摘される。教育費高騰で、低所得世帯の子が教育により高所得を得ることが困難になっている可能性がある。
2008年の金融危機後の景気回復では低中所得層の不満が高まった。金融システムの安定化をめざして大手金融機関に早期に公的資金を注入したこともあり、米国経済の回復は早かった。11年には実質国内総生産(GDP)が危機前の水準に回復。雇用回復には時間がかかったが、一時は10%前後まで悪化した失業率も4%台へ改善した。
ただ回復の実感には偏りがあった。金融危機をもたらした金融機関が税金で救済されたことについて、所得が伸びない低中所得層の不満は11年の大規模抗議デモにつながった。所得が高所得層に比べ伸び悩んだことに加え、近年の株価上昇は多くの金融資産を保有する高所得層への恩恵が大きかったこともある。
景気回復を実感できない低中所得層にとって、トランプ氏の変化を期待させる発言は魅力的に映る。公立大授業料の無償化などサンダース氏の格差是正の主張は、教育費高騰への不満を高めた若年層を引き付ける。高所得層から政治献金を受け取らず、個人資産や小口献金で選挙資金を賄っている点も、支持拡大を後押ししている。
(三菱総合研究所)
[日経新聞3月14日朝刊P.21]
(8) 中間層減少が急進思想に
米国では、労働市場の構造変化とともに中間層が減少し続けた。主な就業先だった製造業で雇用が減少したからだ。
経済の国際化が進む中、人件費の安いメキシコや中国などに工場を移転する傾向が強まった。米国内の雇用に占める製造業の割合は、1990年には約16%だったが、2015年には約9%に低下。米国に残った製造業でも、海外で生産した安価な製品との価格競争の激化によって、賃金の伸びが抑制されている。
IT(情報技術)化も中間層の雇用減少を促した。ITは労働生産性を向上させた一方で省力・代替化を促し、定型的作業は雇用削減が進んだ。このため労働条件のよい仕事の多くが失われた。
雇用の「質」の問題に対する中間層の不満も残る。労働市場では、雇用者数増加や失業率低下など「量」の面で改善が進んだ。だが08年の金融危機後に増大した非自発的なパート労働者の割合は、元に戻るのに時間がかかっている。
かつてはフルタイムで働いていた労働者が、賃金や福利厚生で劣るパートタイムとして働かざるを得ないケースは依然として多い。こうして中間層から低所得層に転落した人が少なくない。
中間層からの転落は、強い不満とともに急進的な思想に結びつきやすい。ヒスパニック系を中心とする移民と低賃金の雇用を奪い合うことになる労働者にとっては、トランプ氏の主張する不法移民の強制送還は都合がいい。同氏やサンダース氏の自由貿易に反対する姿勢も、海外に流出した中間的な雇用の国内復活を期待させ、彼らの支持拡大につながっている。
(三菱総合研究所)
[日経新聞3月15日朝刊P.28]
(9) 大国の役割に変化の兆し
経済格差の拡大など国内情勢だけでなく、世界における米国の位置づけの変化や海外情勢も、今回の大統領選に影響を与えている。新興国の台頭や世界の安全保障への関与低下などにより、米国一極の状況は変化しつつある。大国として国際社会の秩序・ルール形成をけん引する役割を続けるべきかどうか、米国内の世論は揺れている。
経済面をみると、かつて世界の名目国内総生産(GDP)の約30%を占めていた米国の割合は、2014年には約23%に下がった。依然として世界最大の経済大国であることに変わりはないが、以前ほど世界経済を引っ張る力はない。環太平洋経済連携協定(TPP)などの貿易協定についても、米国主導での世界経済のルール作りを評価する見方よりも、国内雇用を脅かすと考える保護主義的な見方が広がる。
外交面でも、米国の世界への関与はオバマ政権下で変化してきた。ブッシュ政権時のイラク戦争で米国は疲弊。税金で戦費を賄うことへの反対も強く、オバマ政権は公約通りイラクから撤退を決定した。だが、その後米国が海外への関与を弱めている間に、中東では過激派組織「イスラム国」(IS)が台頭。ロシアや中国の領土拡張を目指す動きなども強まった。外交・安全保障面の不安が高まり、米国内では、オバマ政権の外交に対する不満もくすぶる。
民意は自由貿易を避ける内向き志向と、世界の秩序維持に向け他国への介入を強める外向きの志向を併せ持つ。非主流派の主張は極端だが民意に沿い、支持につながっている。米国は大国の役割の果たし方を模索している。
(三菱総合研究所)
[日経新聞3月16日朝刊P.29]
(10) 保護主義、TPPに懸念も
大統領選後の世界、また日米関係はどうなるだろうか。従来の延長ではない政策が展開される可能性もある。大統領選後を占うポイントとなる3つの政策を挙げよう。
第1は、外交政策だ。まず、安全保障面では、世界の紛争への介入のあり方は候補者による温度差が大きい。ただ、アジアの安全保障政策では、中国の軍事力拡大が続く限り米国はアジア太平洋地域への関与を深めざるを得ない。このため日本など同盟国との連携強化が基本路線となろう。
通商面では、保護主義色の強まりに注意が必要だ。2015年に大筋合意した環太平洋経済連携協定(TPP)は、米国の署名がなければ発効しない。年内に議会が批准する可能性もあるが、米国の雇用を脅かすなどの理由から、本来は自由貿易に賛成の立場のはずの共和党候補も反対または見直しを表明している。
第2は、国内の経済政策だ。非主流派の経済政策が読みにくいほか、議会との対立により予算審議などが難航する可能性もある。政府機関の閉鎖などが頻発すれば、国際金融市場も混乱する。
第3は、移民政策だ。中南米などからの移民の増加に対して雇用面・治安面での警戒感が高まっている。だが、移民が生み出す安い労働力と多様性が活力となって米国経済の成長を支えてきた面もある。バランスをどうとるかが焦点となる。
日本にとって、米国は安全保障でも経済でも重要なパートナーだ。誰が大統領になるにせよ日米関係の維持・発展が大切なことに変わりはない。
(この連載は三菱総合研究所政策・経済研究センターが担当した)
=この項おわり
[日経新聞3月17日朝刊P.29]
ロシアプーチン政権も、米国・韓国・日本が役に立たないとわかっていながら進めている“対北朝鮮強硬策”の背後に隠れている狙いは知っている。
ロシアや中国は、国際社会で対北朝鮮制裁の行き過ぎを押しとどめる“諫め役”を担っているが、裏を知っているのでそんな対応は必要ないとわかっている。
何より、今回の「朝鮮半島危機」シナリオには、米国・韓国・日本に加えて北朝鮮までがかんでいる。(いつものことだが)
2月の人工衛星の打ち上げは事実だが、1月の“水爆”と称した核実験は事実かどうかあやしく(6〜12個と言われる保有核爆弾を1個処理した可能性はある)、今回の「朝鮮半島危機」シナリオの幕開けを告げるイベントだったと言える。
北朝鮮も芝居が好きなので、“国際社会”から核爆弾の小型化やICBMの大気圏再突入の技術に疑問を提示されると、待ってましたとばかりに、それらに対応できているとわざわざ写真や映像を公開した。そして、制裁をあざ笑うかのように、ミサイル発射実験や核実験の準備に動いている。
意味不明というか実にわかりにくい話だが、今回の「朝鮮半島危機」シナリオの目的は、六者会合の05年9月合意を履行する“環境”をつくりだすことである。
[05年9月六者会合共同声明内容]
1)北朝鮮は、すべての核兵器と核計画を放棄
2)北朝鮮は、核拡散防止条約及び国際原子力機関の保障措置に早期復帰すことを約束
3)米国は、北朝鮮に攻撃・侵略を行う意思がないことを確認
4)米国は、北朝鮮の核平和利用の権利を尊重して適当な時期に軽水炉提供問題を議論
5)米朝は、相互の主権を尊重、国交正常化のための措置をとる
6)日朝は平壌宣言に従って、懸案の解決を基礎として国交正常化のための措置をとる
7)6ヶ国は、適当な場で朝鮮半島の恒久的な平和体制について協議
これらの合意のうち、1)〜4)は既に履行されたが(4)は裏口からのようだが)、5)〜7)は未だ履行されていない。
米国は、1兆5千億円とも言われている経済協力金が北朝鮮に支払われる日朝国交正常化ののち(ミサイルや核兵器の問題が片付いたのち)、5)を履行するつもりである。
要するに、日朝国交正常化が行き詰まっていることが、朝鮮半島問題の解決を遅らせているボトルネックなのである。(北朝鮮の核やミサイルに関する動きではなく)
それで現状を打開できるとは思わないが、“危機の高まり”を演出することで、安倍政権に日朝国交正常化を急がせているのである。
(日本国民は“鈍感”なので、北朝鮮の軍事的動向に対し、気がふれたおかしな国という思いは抱いても、深刻な危機感は抱いていない。“危機の高まり”は、米国民にはそれなりの効果がある。また、日本国民の多くは、拉致問題解決と日朝国交正常化もリンクしていない)
そのようななか、六者会合の05年9月合意を履行する“環境”をつくりだす新しい動きがあった。
安倍首相は、北朝鮮が中距離ミサイルを発射した金曜日(18日)の参議院予算委員会で、「北朝鮮のミサイル発射は、日朝平壌宣言と六者会合の共同声明に違反している」と答弁した。
安倍首相が、ことさら「日朝平壌宣言」と「六者会合共同声明」を持ち出したのは、「日朝平壌宣言」と「六者会合共同声明」が死文化しておらず今なお有効であることを確認(宣言)するためである。
米国と韓国の隠れた目的は次のようなものである。
今回の「朝鮮半島危機」シナリオがもたらす米国の利益は、アジアでのプレゼンスを高めるとともに、韓国や日本にミサイル防衛システムなどを売り込むチャンスが増大することである。
“危機の高まり”が韓国朴政権にもたらす利益は、4月13日に行われる総選挙を有利に進められることである。
現在与党セヌリ党内で大問題になっているが、非大統領派議員の“公認外し”まで行うことで、与党セヌリ党の勝利だけでなく、親大統領派の勢力拡大を目論んでいる。
朴大統領は、任期中に、父親の悲願でもあった「南北統一」の道筋をなんとか付けたいと思っている。
北朝鮮だけでなく、関係諸国が揃って“瀬戸際外交”に励んでいるのが「朝鮮半島危機」の実態である。
※ 関連参照投稿
「米朝、平和協定で一時交渉 1月核実験実施で決裂:腹が据わらぬ安倍政権に日朝国交正常化を急かせるメッセージ」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/652.html
「北朝鮮 プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置・ウラン濃縮遠心分離器+軽水炉原発は米国“公認”」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/142.html
「国民の理解も得られず憲法違反の不必要な解散を行ってまで政権の4年間延命を図ろうとする安倍首相が隠したほんとうの目的」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/835.html
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制裁は役に立たないが、なぜそれが米国に必要か?[スプートニク日本語]
2016年03月20日 00:30
タチヤナ フロニ
米国のバラク・オバマ大統領は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対し、ここ10年間で最も厳しい制裁を新たに導入することを決め、関連法令に調印した。北朝鮮の核実験や弾道ミサイル実験がその理由だ。
新しい制裁により、米国国内のあらゆる北朝鮮国有資産が凍結され、米国から北朝鮮への投資および輸出が禁止される。また輸送、鉱業、エネルギー、金融など、あらゆる産業分野の関連資産がブロックされる。
これまでの制裁は、北朝鮮のミサイル・核開発計画を中断させるどころか、逆に、加速するよう仕向けた。では、米国の狙いは一体何なのか?
ロシア科学アカデミー経済研究所コリア研究センターのゲオルギー・トロラヤ所長によれば、米韓は長い間、ひとつの視点に凝り固まっている。「北朝鮮政権は弱いので、少し後押しするだけで瓦解する」というものである。氏はさらに次のように続けた。
「北朝鮮をめぐっては、多くの神話がある。代表的なものが、米国の主たる目的は朝鮮半島の非核化、つまり北朝鮮が核兵器を拒否することである、というものだ。実際には、金正恩が核兵器を拒否するつもりはない、ということは、誰にも明らかだ。そして米国の新しい制裁は、国連安全保障理事会の制裁と同様、状況を変えるものではない。ただし、北朝鮮と交渉をする気がある者はいない。同時に、軍事行動もまた、誰の利益にもならない。北朝鮮にとり紛争は自殺行為であるし、韓国にとっては人的犠牲と経済的損失を意味する。米国は真剣に、北朝鮮の核施設に対する「外科的」攻撃というシナリオを検討したが、米国はそうした施設が置かれている正確な場所を知らないのだ。また、このような方法で北朝鮮の核計画を終了させる目的が達成されないことは明らかだ。それで北朝鮮が報復攻撃に出ることも大いにあり得る。米国は明らかにそのようなシナリオに準備ができていない。だから北朝鮮は熱核爆弾実験や弾道ミサイル発射によって緊張を高め、神経戦を仕掛けてきているのだ。こうした条件の下では、国境周辺で局所的な小競り合いが起きることも除外できない。南北が自制できなければ、そうした小競り合いが戦争につながる可能性もある」
一方、米国は、北朝鮮の挑発的な行動を、実戦に近い条件での韓国軍との合同演習や、地域におけるプレゼンス強化のための口実として利用している。トロラヤ氏によれば、こうした動きにより、米国は、北朝鮮だけでなく中国に、一定の信号を送っているのである。
「米国は昔から中国周辺のプレゼンスを増大させる計画を持っている。当然のことながら、これは中国から神経的な反応を呼ぶ。しかし、北朝鮮政権を倒すために米韓の軍人が中朝国境に進出するというのは、ホラーの域を出ない話だろう。第一に、北朝鮮がそのような屈辱的な事を許すはずがない。第二に、中国は、米韓軍を近づけるよりは、北朝鮮を庇護することを選ぶだろう」
したがって、軍事シナリオによって北朝鮮問題を解決しようとしても、いずれの当事者も大した利益を上げない。特に米国の物質的、政治的、道徳的な損失は莫大になる。
トルコの最大都市イスタンブールの繁華街で19日爆発が起き、4人が死亡、39人がけがをした事件で、地元の主要なメディアは過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのある男が自爆したという見方を伝えていて、治安当局がさらなるテロへの警戒を強めています。
この事件は、トルコの最大都市イスタンブールの繁華街で19日午前、爆発が起き、4人が死亡し、39人がけがをしたもので、治安当局は自爆テロとみて調べています。
これについて地元の主要なメディアは治安当局の情報として、過激派組織ISとつながりのある30代の男が体に巻きつけた爆発物を爆発させたという見方を伝えています。
イスタンブールでは、ことし1月にも旧市街で爆発が起きてドイツ人観光客10人が死亡し、ISのメンバーのシリア人の男が実行犯だったと断定されています。
今回の事件の背景について、トルコ政府はこれまでのところ何も明らかにしていませんが、今月13日には首都アンカラでもテロ事件が起きて、トルコ国内の過激派組織「クルド解放のタカ」が犯行を認める声明を出しており、今後も大勢の人が集まる場所でさらなるテロが起きるおそれがあるとして警戒を強めています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160320/k10010449871000.html
トルコ政府はイスタンブール中心部の爆発事件の報道について一連の規制をかけた。リア・ノーヴォスチが報じた。
トルコのテレビ・ラジオ最高評議会は、現場の生中継や爆発およびその直後の映像を禁止した。さらに、被害者の遺体を映すことも禁止されている。
このような行動はトルコ当局によくみられるものである。アンカラにおける最近のテロの後も、当局は、現場写真やビデオが活発に投稿されていたソーシャルネットワークへのアクセスを禁止した。
米国は、ロシアおよび中国との潜在的な戦争に向けた準備が整っていない。ディフェンス・ニュースが、米陸軍のマーク・ミリー参謀総長の話として伝えた。
ミリー参謀総長は、米国軍は地域的な作戦や対テロ作戦を実施することはできるものの、ロシア、中国、イラン、北朝鮮などの強敵と戦う潜在的な必要性は、米国防総省の深い懸念を呼んでいると考えている。
ミリー氏によると、予算削減、テロとの戦い、イラクとアフガニスタンでの戦争を背景に、米軍の戦闘準備態勢は弱まっている。
ミリー氏は、米軍は適時に敵の行動に対応し、独自の軍事的標的に到達できないため、戦争で負ける可能性があると述べた。
ブラジルのルセフ大統領が、汚職事件に関わっていた疑いのあるルーラ前大統領を官房長官に任命したことについて、最高裁判所は18日、逮捕状の執行を妨げることが目的だなどとして、任命は無効だとする決定を出しました。政府は今後、異議申し立てを行うものとみられます。
ブラジルのルセフ大統領は、みずからの政治的な後ろ盾となってきたルーラ前大統領を官房長官に任命し、17日に就任式が行われました。
しかし、ルーラ氏が国営の石油公社の汚職事件を巡って捜査の対象となっていることから、野党が、憲法解釈などを取り扱う連邦最高裁判所に対して、任命は無効だとする申し立てを行っていました。
これについて、連邦最高裁判所は18日、ルセフ大統領がルーラ氏を官房長官に任命した目的は逮捕状の執行を妨げることが目的だなどとして、申し立てを認め、官房長官への任命を認めないとする決定を出しました。
政府は今後、異議申し立てを行うものとみられますが、最終的な判断は連邦最高裁判所の11人の判事の審議で決まることになり、ルーラ氏が官房長官に就任できるかどうかは不透明な情勢です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160319/k10010449451000.html
日本は米国に核爆弾50発分の放射性物質プルトニウムを返却する。AFPが報じた。
60年代・70年代、米国、英国、フランスから日本に331kgのプルトニウムが運び込まれた。
英国の輸送船が武装警護のもとで輸送を行なうという。
それでもなお日本には核燃料の加工過程で出来た40トンものプルトニウムが残り、それらは国際社会の注目を集めている。近隣諸国の専門家は、これらは軍事目的に利用可能である、としている。
米国カロライナ大学の研究者らは、肉体の死後に入るのは天国と地獄ではなく、ある種のパラレルワールドである、と主張している。
研究グループを率いるロバート・ランツ氏によれば、人間のライフサイクルは植物にたとえられる。すなわち、咲いてはしぼみ、新しい開花を繰り返す。何度も、何度もだ。物理的な死の後、その体の破片、正しくはその不滅の精神は、宗教が主張するように天国か地獄かではなく、全く異なる次元に入っていく。
また、ランツ氏は、パラレルワールドで死を繰り返すうち、私たちのこの次元で再び再生することもある、とする。この理論はビッグフットや人魚、さらには宇宙からの飛来者といったものの存在をも説明する、という。
ドイツ連邦銀行は、外国の保管庫からドイツの金準備の返還を加速している。日曜、同行のイェンス・ヴァイドマン総裁が述べた。
2020年までにドイツの総金準備の半分が返還されるという。
「保管に関する新基準が採択されて以降、当行に金366トン、約115億ユーロ分が届けられた。これで金1400トンまたは当行の金準備の41.5パーセントが保管されていることになる」
金準備は、ドイツ産業の保障になるだけでなく、一定程度、ドイツが主導的な役割を演ずる統一ヨーロッパの金融安定化要因となる。政府は、ドイツの経済ブームの後、1951年に、金準備の形成を始めた。
シリア内戦関与勢力に武器や資金さらには兵力を提供している介入諸国が協議し決断すれば終わる紛争なのに、ヒトの命をゴミくずと同等にしか見ていない世界の政治的支配層は、平気で、よその国の政治的対立に火を付け油を注ぎ、おびただしい殺戮と地獄のような疲弊状態に終止符を打つときもなんやかんやと長い時間をかけ死人の山をより高くすることを厭わない連中である。
※関連参照投稿
「米、シリア反体制派支援を縮小 ロシア攻撃で大打撃:ロシアのシリア軍事介入のこれまでと今後:巡航ミサイル4発イラン領に着弾」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/158.html
「ロシア空爆、「イスラム国」不在地域か 米国防長官批判:空域競合で危険になるため、米露は否応なくシリア問題で実質的交渉へ」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/112.html
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ロシアの軍事作戦はシリアの平和への道を開いた[スプートニク日本語]
2016年03月20日 17:17(アップデート 2016年03月20日 21:35)
3月17日、ロシア軍最高司令官のプーチン大統領は、シリアにおける特別任務遂行の過程で殊勲を立てた軍人と軍産複合体の専門家たちに国家賞を授与した。
プーチン大統領は演説の中で、シリアにおける軍事作戦の開始は、シリアの合法政権ならびにシリア大統領の依頼によって承認されたと述べ、作戦を総括して次のように語った−
「我々の作戦の主要課題はテロリズムへの攻撃だった。国際テロリズムとの戦いは、正当で義なるものだ。文明の敵、野蛮な行為や暴力をもたらす者たちとの戦いは、世界の支えとなっている偉大な価値の意味や意義を強調しようとしている。繰り返すが、シリアにおける我々の行動の主な目的は、グローバルな恐ろしい悪を食い止めることであり、テロリズムをロシアへ移動させることではない。ロシアの軍人たちの行動は、状況を根本的に変えた。我々は、テロの『腫瘍』を拡大させなかった。ならず者たちのアジト、彼らの武器・弾薬庫が破壊され、テロリストらが主な資金『補給』を受けていた石油の密輸ルートが遮断された。我々はシリアの合法政権と国家体制を強化するために膨大な作業を行い、シリア軍を強化した。彼らは今、戦略的イニシアチブを習得し、自分たちの国からテロリストらのならず者たちを一掃することを続けている。我々は、和平プロセスを開始するための条件をつくった。米国、その他の一連の国々、戦争の停止と、唯一可能な紛争の政治的解決策を見出すことを実際に望んでいるシリア国内の責任ある反政府勢力と、ポジティブで建設的な協力を確立することに成功した。そしてこの平和への道を開いたのが、まさにロシアの兵士である皆さんたちだ。」
またプーチン大統領は、ロシアの軍事作戦は終了したが、同国はシリアの勢力均衡を保つためにできることを全て行うと指摘し、次のように述べた−
「もちろん今後もシリアの合法政権への支援を続ける。それは財政援助、技術や武器の供給、シリア軍の訓練などでの協力であり、偵察支援、作戦計画での参謀的援助、そして最後に、人工衛星群、攻撃機、爆撃機の利用という直接的な支援だ。シリアに残るロシア軍の部隊は、掲げられた課題を遂行するためには十分だ。我々は、シリア軍と当局の『ダーイシュ(IS、イスラム国)』や『アル=ヌスラ戦線』、国連安全保障理事会によってテロ組織と認定されているその他の組織との戦いで、シリア軍とシリア当局への支援を続ける。我々のテロリストらに対する妥協なき姿勢に変わりはない。」
プーチン大統領はさらに、ロシアのミサイル防衛(MD)システム「パーンツィリ」と「S400」は、シリアでの配備を継続すると強調し、シリアのMDポテンシャルは大きく回復したと指摘し、次のように語った−
「我々は、基本的な国際規範に立脚しており、シリアの主権領空を侵犯する権利は誰にもない。米国側から空中での事故警報メカニズムが構築され、効果的に作動しているが、我々のMDは、我々がロシアの軍人たちにとって脅威とみなすあらゆる標的に対して使用されることが、全てのパートナーに警告済みであり、皆が知っている。私は、あらゆる標的に対して使用されるということを強調したい。」
日銀のマイナス金利政策により債券投資で窮地に立たされる地銀が、株式投資に活路を見いだそうとしている。上場投資信託(ETF)などに加え、配当を狙って短期で個別株に投資する手法だ。例年以上に3月末の需給動向を気にする必要がある。
日経平均株価が1カ月半ぶり高値で終えた14日。日銀の金融政策決定会合の結果発表を15日に控えて午後は様子見姿勢が広がった。「現状維持」との見方が多い中、警戒モードを解けないでいるのが地銀だ。マイナス金利政策で事業計画が一変したためだ。
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SMBC日興証券は今月、大手地銀の2017年3月期の業績予想を軒並み引き下げた。マイナス金利政策で貸出金利が下がるのが主因だ。純利益は2割前後の減益を見込んでおり、「金利が一段と低下すれば、さらなる下方修正の必要もある」(佐藤雅彦氏)
融資の採算改善が見込みにくい状況では運用部門への期待も高まるが、現実は厳しい。国債を減らして外債やファンド投資を増やす動きは、13年4月の量的・質的緩和以降に加速した。そして国債利回りがマイナスとなった今、地銀が直面する現実はさらに過酷になっている。「これまでの延長ではやっていけない」との声が高まる。
野村証券は先週、地銀を対象にした来期の運用計画に関するアンケート調査の締め切りを延期した。「3月末のぎりぎりまで計画を練り直したい」との地銀が続出したためだ。
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さまよう地銀マネーはどこに向かうのか。浮上するのが株式投資だ。野村でETF業務を統括する塩田誠氏は「高い配当利回りが見込めるETFへの関心が一段と高い」と話す。
もともと「株式になじみの薄い地銀などにとって、『高配当』の切り口は分かりやすい」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真氏)。だが、今年はETFなど指数連動型の運用にとどまりそうもない。中国地方の地銀幹部は「高配当の個別株投資を強化する」と打ち明ける。
銀行は自己資本比率の規制上、リスクが高い株式残高をどんどん積み増すのは難しい。そこで念頭に置いているのが短期売買。期末の配当取りの権利を確保したら、権利落ち後はさっさと売却する。配当は受け取るが期末のバランスシートで株式残高を計上する必要がない、いいとこ取りの手法といえる。九州地方の地銀幹部は「短期間持てば4〜5%の配当利回りを得られる銘柄がゴロゴロしている。債券市場では考えられない水準だ」という。
みずほ証券で地銀などの営業を担当する三浦哲也氏は「地銀は投資先を広げてバランスファンド化する必要がある」と話す。短期の配当取りがその解なのかどうかは疑問も残るが、地銀がそこまで追い込まれているのは事実だろう。
15年度末の配当権利付きの最終売買日は3月28日。数百億円規模の地銀マネーが配当取りに向かい、翌日には一斉に引き揚げるとしたら需給面への影響は小さくない。「短期投資家の地銀」という新たなプレーヤーの出現で、期末相場は波乱含みだ。
(田口良成)
[日経新聞3月15日朝刊P.16]
この国では企業家に欠けるアニマルスピリッツが中央銀行にはあふれているようだ。マイナス金利にまで踏み込んだ金融緩和がそれを示している。もっとも、そのマイナス金利、投資促進などプラス効果よりマイナス効果が目立つ。
そこには日銀の誤算がある。勤倹貯蓄を旨とし資本主義の発展を支えてきた地道な日本人に突然、「宵越しの金は持つな」と江戸っ子気質を求めても戸惑うばかりだ。
特に高齢者に不安が広がる。預金の利子はこれまでの「通帳のしみ」よりさらに減る。頼みの投資信託も運用不能になる商品が出てきた。そのうえ年金運用が厳しくなるといわれれば消費を手控えるしかない。
銀行の融資を増やし経済を活気づけるのがマイナス金利の狙いだが、逆効果が懸念される。日銀は預金金利はマイナスにはならないと公言する。だとすると、国際決済銀行(BIS)も警告しているように、銀行の収益圧迫は避けられなくなる。金融システム不安につながりかねない。
地方銀行などは融資増どころか融資の選別に動かざるをえなくなる。地方創生どころではなくなる。
この金融システム問題はリフレ派が席巻しそうな日銀政策委員会では脇に押しやられる心配がある。
マイナス金利による利払い負担の軽減で財政規律が緩む恐れもある。日本はマイナス金利を導入する欧州諸国と違い、先進国最悪の公的債務を抱える。マイナス金利と財政赤字の組み合わせは、日本経済の将来に深刻な課題を積み残す。
日銀が学ぶべきはマクロ経済の論理を超えた「マイナス金利の心理学」だろう。資本主義の常識から外れたマイナス金利は日本経済が袋小路に陥ったことを物語る。金融緩和頼みの限界を示す。将来の不安は経済活動を萎縮させる。人々の感情や企業家の心理を読めなければ政策は成功しない。「クールヘッド」(冷静な頭)とともに「ウオームハート」(温かい心)が求められる。
黒田東彦総裁は読書家で知られる。高校時代、図書館の本を全て読破したという逸話がある。後輩が真偽を確かめたところ、「小説を除いて」という答えが返ってきたという。
今からでも遅くない。黒田氏よ、小説を読め。
(無垢)
[日経新聞3月15日朝刊P.17]
日銀は15日、マイナス金利政策を一部修正することを決め、証券会社の決済口座にあたるマネー・リザーブ・ファンド(MRF)に同政策を適用しない例外措置を導入した。元本割れで投資家が混乱する事態を避けるためだ。
MRFは株式などの売却資金が一時的に置かれる口座。一部が日銀当座預金に預けられ、マイナス金利政策で元本割れリスクが高まっていた。MRFの残高は約10兆円で、元本割れ部分を運用業界で穴埋めすると、年100億円規模の負担増になる可能性があった。
日銀の黒田東彦総裁はMRFの安定運用を支えることが、個人の株式投資などを通じた運用資産見直しの進展につながると説明。投資信託協会の白川真会長はこれを受け、「日銀の政策の意図が実現できるよう努力する」とコメントした。
日銀はこのほか金融機関から預かる当座預金残高のうちマイナス金利の適用対象を10兆〜30兆円規模に据え置くことも決めた。対象を3カ月おきに見直し、金融機関が日銀に預けるお金が時間とともに増えても、マイナス金利の適用規模が広がらないようにする。
さらに日銀の貸出支援制度を利用して企業向け融資を増やした銀行を対象に、増えた融資の最大4倍にあたる額をマイナス金利の対象から外すことも決めた。融資に積極的な銀行の負担を軽くする狙いだ。
日銀のマイナス金利政策への金融機関の批判は「想定を超える」(幹部)ほど高まっていた。制度を修正することで今後の利下げ余地を広げる意図もありそうだ。
[日経新聞3月16日朝刊P.3]
景気減速、近く底打ち 劉世錦氏(政府系シンクタンク元副主任) 年後半から来年前半、設備過剰解消カギ
中国の景気減速が続き、世界の不安はなお晴れない。中国経済の展望について、政府系シンクタンク、国務院発展研究センターの元副主任である劉世錦氏と、政府系ファンド、中国投資の総経理などを歴任した高西慶・清華大学教授に聞いた。
――中国の景気減速を世界が懸念しています。
「中国経済の現状の調整は正常なものだ。昨年、中国の貿易額は減少したが、世界の貿易に占める中国のシェアはいくぶん高まった。世界経済の成長のうち、25%は中国が寄与した。今年後半から来年前半に中国景気の減速は下げ止まり、底打ちするとみている」
――根拠は。
「需要面ではインフラや不動産の投資、輸出がすでに底打ちしつつある。一方、供給側のカギは設備過剰の解消だ。石炭や鉄鋼では生産能力の約30%が余剰だが、中国政府が解消に乗り出しており、20%程度まで減れば、下落が続いている卸売物価も好転し始める」
「景気が底入れしても『V字』や『U字』の急回復にはならない。高速から中高速へ成長速度を調整する過程にあり、基本的に『L字』に近いだろう。2020年まで年平均6.5%以上の成長をめざすという中国指導部の目標は実現可能だと思うが、特定の年に6.5%を多少、下回ることがあってもかまわない」
――中国政府は金融政策、財政政策で景気を下支えする方針です。
「短期的にマクロ政策で景気を安定させる必要がある。だが、設備過剰を抱える製造業は4年間も卸売物価の下落が続くデフレ状態だが、金融を緩和してもこの供給側の問題は解決できない」
――人民元の下落圧力はなお強いです。
「過去に上がり続けた人民元相場が徐々に調整されるのは正常だ。人民元の国際化を推進する方向において、中国政府が後退することはない」
――構造調整で雇用に問題が生じそうです。
「05年に中国は1%の経済成長で80万人の雇用を生んだ。経済規模が膨らみ、15年には1%の成長で170万人の雇用を創出できた。鉄鋼、石炭だけで180万人の余剰人員を予想しているが、1千億元の財政措置で就業を支援する。過去に国有企業改革を進めた1990年代後半に比べて雇用圧力は大きくない」
りゅう・せいきん 2015年7月まで国務院発展研究センター副主任(次官級)。61歳。
市場重視の改革実行を 高西慶氏(清華大学教授)
――中国指導部は2020年まで年平均6.5%以上の経済成長を目指します。最大のリスクは何ですか。
「改革を実行しないことだ。13年11月の共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)で打ち出した市場重視の改革を実行できなければ、経済のリスクは高まる」
――構造改革のスピードに満足していますか。
「満足していない。特に国有企業改革は遅い。たとえ改革で一部の利益集団が損害を被ることになっても、大部分の人々にとって利益になる」
――中国の株式市場の変動が激しい。実体経済からかけ離れています。
「市場が未成熟だ。3中全会で打ち出した『経済資源の配分で市場に決定的な機能を果たさせる』という考え方に近づけることが重要だ」
――証券、銀行、保険と金融監督部門がばらばらで非効率です。
「これらの部門の合併に賛成か反対かを問うのは早い。まず、どこに問題があり、だれが責任を持ち、どう解決するか整理する必要がある。全国人民代表大会(国会に相当)の権限で独立型の第三者機関をつくって検討してはどうか」
(聞き手は北京=大越匡洋)
こう・せいけい 証券界に通じ、中国投資総経理などを歴任。62歳。
[日経新聞3月16日朝刊P.6]
イランの政策に最も大きな影響力を持つ2人の人物が、イランの核合意と対イラン制裁解除後の同国の経済発展の展望について、相容れない考えを持っていることが分かった。ロイター通信が報じた。
イランのロウハニ大統領は、西側諸国を含む世界の国々との協力が有益だと考えており、対イラン制裁の解除後、イランには外国からの投資誘致で良好な見通しがあり、これはイラン国内の雇用を拡大させ、経済発展の重要な要素となるとの見方を表している。
一方でイランの精神的指導者で最高指導者のハメネイ師は、今年は「抵抗経済」の年だと発表した。ハメネイ師によると、イランは自給自足経済を目指すべきだという。ハメネイ師は、イランは米国経済をはじめとした外部要因からの依存を軽減するための措置を講じるべきだと考えている。
日本は21日、実験目的で取得した、核兵器の製造に適したプルトニウムを、米国に送る予定。月曜、日本のメディアが報じた。
共同通信によると、プルトニウム輸送用の船が茨城県東海村に集められており、同日中に米国に送られる。
プルトニウムは東海村の原子力センターにあったもので、今後はサバンナ・リバー(サウスカロライナ州)の核施設で利用される。
これは2016年3月31日-4月1日ワシントンで開催される第四回核安全保障サミットにあわせたもの。この会議で日本代表団は今回の輸送の報告を行う。
米バラク・オバマ大統領は、核不拡散体制の遵守を理由に2014年、日本にプルトニウムの返還を要求した。
60年代・70年代、米国、英国、フランスから日本に331kgのプルトニウムが運び込まれた。
それでもなお日本には核燃料の加工過程で出来た40トンものプルトニウムが残り、それらは国際社会の注目を集めている。近隣諸国の専門家は、これらは軍事目的に利用可能である、としている。
キューバ入りした米国のオバマ大統領は自身の訪問を「歴史」と自賛した。
「これは歴史的な訪問、歴史的な機会である」。キューバの首都のホテルで大統領を迎えた米国大使館スタッフらを前に、大統領が述べた。大統領はこのホテルで家族(妻、2人の娘、義母)とともに暮らすことになる。訪問には米国国務長官のジョン・ケリー氏も伴っている。
キューバの国家評議会の議長、ラウル・カストロ氏との会談は、21日に予定されている。キューバ革命の指導者フィデル・カストロ氏との会談は、訪問プログラムに含まれてはいない。
ハバナ国際空港でオバマ氏を出迎えたのはキューバの外務大臣だった。以前、ラウル・カストロ氏は、ローマ法王とロシアの総主教キリルを自ら出迎えていたが、今回は空港に姿を現さなかった。ホワイトハウスは「空港での歓迎式典はカストロ氏の参加を予定していない」と発表したが、共和党から大統領候補に立候補しているドナルド・トランプ氏は、カストロ氏の不参加はオバマ氏に対する「無礼」だ、としている。
米国とキューバは2015年の夏に国交を回復している。
「制裁は役に立たないが、なぜそれが米国に必要か?:日朝平壌宣言と六者会合共同声明は今なお有効と国会で確認した安倍首相」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/889.html
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北朝鮮 日本海に向けミサイル4発発射か[NHK]
3月21日 15時53分
韓国軍の合同参謀本部によりますと、21日午後、北朝鮮は日本海に向けて、ミサイルとみられる4発を発射し、およそ200キロ飛行して、日本海に落下したということで、韓国軍が詳しい情報の収集を急いでいます。
韓国軍の合同参謀本部によりますと、北朝鮮は、21日午後3時19分から41分までの間に、北朝鮮東部のハムギョン(咸鏡)南道、ハムン(咸興)付近から、日本海に向けてミサイルとみられる4発を発射しました。
それらは、およそ200キロ飛行して、日本海に落下したということで、韓国軍が詳しく分析しています。
北朝鮮は、今月10日にもスカッドミサイルとみられる短距離弾道ミサイル2発を日本海に発射したほか、18日には、ノドンとみられる中距離弾道ミサイル2発を発射していました。
また、北朝鮮の国営メディアは今月、キム・ジョンウン(金正恩)第1書記が、「近い時期に核弾頭の爆発実験と、さまざまな種類の弾道ミサイルの発射実験を行う」と述べ、関係部門に準備するよう指示したと伝えていました。このため、韓国軍が監視と警戒を強めていました。
PAC3などに変化なし
午後3時50分現在、政府の破壊措置命令を受けて東京の防衛省に展開している航空自衛隊の迎撃ミサイル、PAC3に特異な動きは見られません。
また、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、日本に影響がある場合に、政府が人工衛星を通じて自治体などに情報を伝えるJアラート=全国瞬時情報システムや、全国の自治体などにメールで情報を連絡するエムネット=緊急情報ネットワークシステムは新たな情報を発信していません。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160321/k10010450951000.html
韓国軍の合同参謀本部によりますと、21日午後4時5分ごろ、北朝鮮は日本海に向けて、ミサイルかロケット弾とみられる1発を発射したということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160321/k10010450971000.html
経済制裁が解除されて初めてイラン暦での新年を迎えるにあたり、最高指導者ハメネイ師が演説し、ヨーロッパの銀行などとの取り引きがいまだ正常化されないのは背後にアメリカの影響があると非難したうえで、アメリカに抵抗するためにも自国経済の強化に取り組む方針を示しました。
イランで国政の実権を握る最高指導者のハメネイ師は、イラン暦で新年を迎えたのに合わせて20日、北東部のマシュハドで演説しました。
イランでは、核開発問題を巡る欧米などの経済制裁がことし1月に解除されましたが、ハメネイ師は「ヨーロッパとの銀行取引などでいまだに問題が続いている」と述べ、制裁を解除したあとも、アメリカがほかの国への影響力を行使するなどして制裁の実質的な効果を維持しようとしていると非難しました。そのうえで、ハメネイ師は「譲歩か圧力の二者択一を迫るのがアメリカという国だ」と述べ、アメリカに抵抗しイスラム体制を守るためにも、制裁の影響を受けないよう生産基盤の整備を進め、経済の強化に取り組む方針を示しました。
一方、20日は、ロウハニ大統領も国営メディアを通じてメッセージを発表し、新年は5%の経済成長を目指す方針を示しましたが、アメリカなどへの抵抗姿勢は強調せず、欧米との関係を巡る指導部の中の路線の違いをうかがわせるものとなりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160321/k10010450681000.html
「アメリカは中国に追い越されたか:AIIB参加問題」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/250.html
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アジア開発銀行総裁 AIIBと「役割を補完しあえる」[NHK]
3月20日 20時48分
ADB=アジア開発銀行の中尾武彦総裁は、中国が設立を主導したAIIB=アジアインフラ投資銀行について、「互いに役割を補完しあえる」と述べたうえで、双方による協調融資を早期に行いたい考えを示しました。
AIIBは、アジアのインフラ建設を支援するために中国が設立を主導し、アジアやヨーロッパなどの57か国が参加して、ことし1月に開業した国際的な金融機関で、年内にも具体的な資金の提供を始めるとしています。
同じくアジアのインフラ建設を金融面から支援しているADBの中尾総裁は、20日、北京で開かれたフォーラムに出席した際、会場で傍聴していたAIIBの金立群総裁から、「われわれはADBと協調融資を進めようとしているが、これについて総裁はどう思うか」と質問を受けました。これに対し、中尾総裁は「われわれはライバルだと思われがちだが、実際には友人だ。違いがあるからこそ互いに補完しあえる」と述べたうえで、双方の合意に基づきできるだけ早く協調融資を行いたい考えを示しました。
また、中尾総裁は「効率的な銀行を目指すAIIBの設立は、われわれの組織の改善に向けた動機づけも与えてくれた」と述べ、ADBとしても銀行運営の効率化を一段と進めていく考えを示唆しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160320/k10010450401000.html
内容のデタラメぶりはいろいろ指摘できるが2点ほど簡単にあげる。
1号機の“イソコン”(IC:非常用冷却装置)問題は、40年間で初めて起動したと言いながら、なぜ3.11(しかも津波到達前)に自動起動したのか説明せず、正常に稼働しても90分間しか機能しない(冷却する水の喪失)ICの特性についても説明しなかった。
2号機の“サスチャン”(S/C圧力抑制室)の“圧力抜け”も、SR(主蒸気逃がし弁操作)の繰り返しによる破壊の結果であることやS/C破壊の原因が圧力抑制を担うS/Cの水枯渇を見逃したという事実に触れなかった。
3.11に起きた未曾有のF1過酷事故の原因や被害拡大の要因さえ明確に出来ていない(していない)日本政府や原子力規制委員会は、原発の“安全性”(危険性の軽減化)を語る資格さえないと言えるから、裁判所が、それを理由の一つとして、原発を停止させる判断を下したのは当然である。
※参照関連投稿
「福島第一原発の悲劇は原子力発電に終止符を打たなかった:やめると言えない訳は高濃度放射性物質処理問題と米国の存続指示」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/669.html
「だから、高浜原発の稼働を停止させた大津地裁の判断も司法と内閣(政治)のグル」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/741.html
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[ニュース複眼]司法が止めた原発
稼働中の原子力発電所をただちに止める初めての司法判断が出た。大津地方裁判所は9日、高浜3、4号機(福井県)の運転停止を命じる仮処分決定を出し、再稼働で収益改善や電力の安定供給を期待していた関西電力と政府に衝撃が走った。電力会社の経営やエネルギー政策を揺さぶる司法判断をどう受け止めるべきか。
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リスク巡り国民的議論を 長崎大教授 鈴木達治郎氏
大津地裁の決定が司法判断として適切かどうかはわからないが、稼働中の原発に停止を命じたことは画期的だと受け止めている。停止による電力会社や社会のコストは大きいが、事故が起きた時のコストとの差し引きを判断したと解釈できる。当然、賛否が分かれるだろう。
本来、原発の規制基準を決める際の「どこまでリスクを下げれば安全なのか」という考え方自体、技術論や法律論だけでは決められない。利害関係者や市民も含めた議論が必要なはずだ。今回の判断についても意見が分かれるとすれば、社会として「どこまでリスクを下げればよいのか」に関する合意ができていないということではないか。
「規制基準を満たしていれば事故は起きない」というのが、東京電力福島第1原発の事故以前の考え方だった。それが十分でなかったことが分かった以上、規制基準を超えてリスクを下げる努力が電力会社に求められる。
リスクの受け入れはその利益の大きさとも比べて、社会が判断するものだ。その手続きが十分でないと、今のように政府や電力が再稼働を決定した後に「説明して納得してもらう」あるいは「説得する」ことになる。リスク・コミュニケーションは双方向であるべきで、一方的な説明や説得では信頼が得られない。国民、住民に対話を通じて丁寧に情報を公開し、必要であれば安全対策や規制基準も変えていく姿勢が求められる。
原発に限らず司法が科学的課題に判断を示すことは、今後もますます増えるだろう。司法と科学の関係は非常に難しい。科学も不確実であり、司法の判断も主観がどうしても入る。裁判にかかわる科学者の在り方についても、もっと議論があっていい。
原発の運転差し止めは国の政策に影響を及ぼしうるが、国民の信頼がなければ政策は円滑に進まない。司法判断も社会の意思決定システムの一部で排除はできない。「国民的議論」を省略したつけが回ってきているのではないか。一見、遠回りにみえるが、意思決定プロセスを再構築し、議論を尽くすことが求められている。
(聞き手は生川暁)
すずき・たつじろう 米マサチューセッツ工科大、電力中央研究所、東大での勤務を経て14年から現職。政府の原子力委員会委員長代理も務めた。64歳。
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法的・科学的根拠が足りず 中央大法科大学院教授 升田純氏
司法手続きの「仮処分」とは、正式な裁判の判決の確定まで待っていると、回復できない損害や権利侵害などが生じる場合に、裁判所が暫定的な取り扱いを決めるものだ。制度上は稼働中の原子力発電所を止めるといった重大な決定も可能となる。
一方で正式な裁判と違い、仮処分で証人尋問や鑑定は行われず、証拠は限定される。原発問題のように高度な科学的知見が必要で、影響も大きい事案を仮処分で取り扱うべきなのかどうか、裁判所には慎重な判断が求められる。
福島第1原発の事故後、原発の安全性をめぐり地裁ごとに司法判断が分かれている。2014年、福井地裁が関西電力大飯原発の再稼働差し止めの判決を出した。15年には同地裁の同じ裁判長が関電高浜原発の差し止めを命じる仮処分決定をしたが、同地裁の別の裁判長は異議審で決定を取り消した。鹿児島地裁は同年、九州電力川内原発の再稼働差し止めの仮処分申請を却下した。
今回の仮処分決定で稼働中の高浜原発の運転を差し止めた大津地裁は、関電側に対して「安全性の主張や説明が尽くされていない」と指摘する一方、関電の対応や原子力規制委員会の新しい規制基準のどこが問題なのかについて具体的な説明がほとんどない。なぜ仮処分が必要なのかという記述も少なく、疑問が残ると考える。
福島原発の事故後、原発に求められる安全対策について、さまざまな立場の専門家が慎重に議論して新規制基準を作った。規制委は新基準に適合するかどうかを時間をかけて審査し、再稼働の可否を判断している。裁判所は抽象的な危惧だけで判断せず、法的、科学的な根拠を具体的に示すべきだ。
各地の原発再稼働の差し止め裁判や仮処分では、各裁判所が独自に判断するため、新規制基準への評価が分かれた状態が続く可能性もある。法令解釈、科学的根拠がわかりにくい内容の判決や決定が相次げば、裁判所への国民の信頼が損なわれかねない。説得力のある司法判断が下されることが期待される。
(聞き手は植松正史)
ますだ・じゅん 77年裁判官任官。東京地裁判事、法務省民事局参事官などを経て96年、東京高裁判事。97年退官し弁護士登録。04年から現職。65歳。
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政府・規制委にも説明責任 エネルギー総合工学研究所研究顧問 西脇由弘氏
大津地裁の決定は関西電力側の説明が不十分だと指摘した。しかし、原子力規制委員会は安全審査で適合と判断しており、電力会社だけの問題とはいえない。規制委も、自らが策定した安全規制などを国民に説明できていない。
規制委の田中俊一委員長は「規制基準に適合していると判断した原発について、100%の安全はない」と話している。審査を通っても安全といえないとなると、世の中は疑問に思う。あの発言はさすがに無責任だと感じた。
政府は福島第1原発事故後に策定した安全規制を世界最高水準としているが、過去の知見をどう生かし、どんな思想に基づいたのか根拠がわからない。原発の安全性について一定の目標を定めるセーフティーゴール(安全目標)の視点もなく、どの程度安全性を達成しているのか国民に伝わりにくい。
米原子力規制委員会は1979年のスリーマイル島の事故を教訓に、安全目標の議論を進め、80年代に導入した。英国では当局も推進側も関係者が一堂に会し、規制のあり方を議論している。日本でも原発の専門家らを集めた公開の会議などを開き、改めて安全目標を盛り込んだ規制の導入を検討すべきだ。
裁判所の姿勢にも課題はある。大津地裁は関電の説明が足りないと主張したが、具体的に何が足りないのか決定文だけで読み取るのは困難だ。裁判所側が判断した理由を具体的に示さないと、電力会社も対応に苦慮する。
原子力が絡む民事訴訟では専門知識も必要だ。裁判官が最先端の技術的な領域を深く理解し、判断するには難しい面もあるだろう。司法研修所などを活用して、裁判官が原発訴訟の過去の事例を学び、結論に至ったプロセスなどを議論すべきだろう。
大津地裁の決定は稼働した原発の運転を差し止めており、政府のエネルギー政策への影響は大きい。地域住民の安全に絡む防災計画などは政府も責任を負う。電力会社に任せるだけでなく、政府も防災計画などについて国民に対する説明責任を尽くすべきだ。
(聞き手は小野沢健一)
にしわき・よしひろ 旧通商産業省(現経済産業省)を経て06年に東大院工学系研究科原子力国際専攻客員教授。15年から現職。原子力規制のあり方を与野党に助言してきた。62歳。
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独は憲法裁の役割大きく 弁護士 M・マスラトン氏
三権分立が定められているドイツで裁判所は(原則として)政治的な決定はしない。政治の意思決定に影響を与えるような高度な規範が争点となる場合、(独立して高い権威を持つ)連邦憲法裁判所の判断が大きな役割を果たす。
脱原発政策を巡って、ドイツの電力大手が連邦政府を訴えている。これを理解するには歴史的な背景をおさえておく必要がある。
2002年に当時の与党、社会民主党(SPD)と緑の党が段階的な脱原発を決定した。政府と四大電力会社が、原発は割り当てられた量を稼働することで合意し、原子力法が改正された。09年の政権交代で誕生した、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党の連立政権は、法改正で原発の稼働期間の延長を承認した。
だが11年3月の福島第1原発の事故が転換点となり、政権はドイツの原発のリスクと政策を再評価し、稼働期間を延長する方針は撤回された。原子力法の改正で、すべての原発の総合的な安全審査とモラトリアム(一時停止)が決まり、まず最も古い原発7基が3カ月間停止された。これに対し電力会社のエーオン、RWEなどは基本的な権利の侵害だと主張してきた。原発が停止したにもかかわらず、核燃料税の徴収が続き、経済的な補償がないことが争点になってきた。
RWEのヘッセン州にあるビブリス原発の停止については、14年に連邦行政裁判所で「違法」との判決が確定した(電力側の勝訴)。この後、RWEは州と連邦政府に補償を求める訴訟を起こした。原発の停止よりも金銭面の補償を求めることに訴訟の軸足が移っており、15、16日には連邦憲法裁判所でエーオン、RWEなど3社の訴訟が審理されているところだ。
電力会社の業績が軒並み悪化し、各社の配当にも影響が出ている。では投資家が連邦政府を訴えられるだろうか。配当の期待まで投資家が保護されているかは疑問で、相当しっかりした法的根拠が求められるだろう。
(聞き手はフランクフルト=加藤貴行)
マルティン・マスラトン ドイツの行政法を専門とする弁護士。ケムニッツ工科大で再生可能エネルギーや環境法を教えた経験もある。ドイツが進めるエネルギー政策転換に関し、国内外で情報を発信している。
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[アンカー]再稼働なぜ必要か 説得の努力尽くせ
原子力規制委員会の審査を通過し、政府と自治体が住民の避難計画をまとめ、地元の首長が同意する。福島第1原発の事故から5年で浮かんできた原発再稼働の「方程式」は、大津地裁の決定で解が見えにくくなった。今後も運転差し止めを求める訴訟や仮処分の判断は各地で相次ぐ。
メルケル政権が脱原発を掲げたドイツも司法の場で手探りを続ける。一時に比べれば安全対策が充実したといえる日本もまだ悩みの過程にあるはずだ。しかし原発の関係者に「どうせ理解されない」という諦めが流れていないか。政府や電力会社は原発を動かす意味を国民にも、司法の場でも粘り強く説くべきだ。それが突発的な停止のリスクを和らげる。
(生川暁)
[日経新聞3月17日朝刊P.9]
日銀は16日、金融機関が日銀に持つ当座預金残高のうち年0.1%のマイナス金利が適用される残高は23兆840億円になったと発表した。金融機関が日銀に払う過去1カ月の「手数料」は約20億円だった。金利負担の8割超は信託銀行やゆうちょ銀行などに集中した。
金融機関が日銀に持つ預金へのマイナス金利の適用は2月16日に始まった。マイナス金利で日銀に金利を支払う預金残高が最も多いのは信託銀行の9兆9650億円。信託銀は日銀に持つ預金残高の35%で金利を負担した。次いでゆうちょ銀行など「その他準備預金制度適用先」が9兆2760億円で、日銀当座預金残高の14%で金利を払う。この2つで金融機関が払った金利の8割超を占めた。
信託銀は運用難のマネー・リザーブ・ファンド(MRF)から資金が流入したため日銀への当座預金を積み増し、金利負担が生じた。日銀は14〜15日の金融政策決定会合で、4月16日からMRFの受託残高と同額を信託銀のマイナス金利適用残高から差し引くことを決めた。一方で都市銀行が金利を払った預金残高は6150億円で全体の0.7%にとどまった。都銀は適用が始まった2月に国債などの運用を増やし日銀への当座預金残高が増えないようにした。
[日経新聞3月17日朝刊P.4]
マイナス金利導入の副作用以前に、「異次元量的金融緩和」政策について、副作用のほうが大きくなったことが“無効な”マイナス金利政策を導入した動機である。
汚物のような金融政策を持ち込むことで、目的(CPIの2%上昇)を達成できなかった責任を取ることなく、現段階では役割を終えた「異次元量的金融緩和」政策を縮小する申し開きができる“環境”を生み出したいのである。
※関連参照投稿
「<長期金利>初のマイナス 株安円高、日銀に誤算:「マイナス金利」導入は「異次元量的金融緩和」政策の“終わりの始まり”」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/415.html
「長期金利 初のマイナスに:マイナス金利導入は「異次元量的金融緩和」の“終わりの始まり”」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/235.html
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[ポジション]追加緩和冷める期待 短期金利、はや底入れ感
市場、「限界論」に敏感
日銀がマイナス金利政策を一段と強めるとの観測がしぼんでいる。追加的に利下げしても物価が上がるか不透明なうえ、金融機関の収益が悪くなる副作用も大きいためだ。短期金利は3月に入り底入れしつつあり、追加利下げはあってもせいぜい1回との見立てが増えている。日銀は金融緩和の限界を拭おうと懸命だが市場は額面通りに受け止めなくなっている。
市場で翌日物金利スワップ(OIS)が関心を集めている。一定期間の無担保コール翌日物金利を固定金利と交換する取引で、市場参加者が予想する日銀の政策金利の先行きを映す。長らく取引は細っていたが、金利が日銀の政策変数に復活して取引が増えている。
OISから導かれる今後1年の無担保コール翌日物の予想平均値はマイナス0.1%台前半だ。2月末のマイナス0.2%台前半からマイナス幅は半減、日銀の政策金利であるマイナス0.1%に近い。「利下げがあっても0.1%程度の小幅なものが1回ある程度」(金利トレーダー)と見越した取引といえる。
日銀の黒田東彦総裁は1月29日にマイナス金利政策の導入を決めた際、「必要なら金利をさらに下げる」と力強く訴えていた。市場は一時、追加利下げに身構えたが、マイナス金利を取り巻く風向きは変わってきた。
「日本は非常に強い金融政策を実施し、実際にそれが景気刺激になった。ただそれはもう限界に到達している」。スティグリッツ米コロンビア大教授は16日朝、安倍晋三首相との面会後、首相官邸で記者団に語った。景気回復に財政出動が必要との主張だ。2月末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議以降、海外の当局者や有識者から金融政策の限界を指摘する声が相次ぐ。
マイナス金利で先行した欧州中央銀行(ECB)も姿勢を変えてきた。ドラギ総裁は10日の記者会見で「追加利下げが必要になるとは思わない」と発言。翌11日にはコンスタンシオ副総裁が「あらゆる政策に限界があり、マイナス金利は特にそうだ」と畳みかけた。
論点は追加的な金融緩和の効果とコストだ。マイナス金利政策は確かに市場金利を引き下げるが、どの程度、個人消費や設備投資を刺激できるのか、確証はない。一方、金融機関の収益を圧迫し金利の変動を荒くするといった副作用がある。
日銀内にも迷いはある。マイナス金利政策の導入は5対4の薄氷の表決だった上、賛成者の中でも効果とコストのバランスをぎりぎりまで比較し、決断した委員は少なくない。黒田東彦総裁も15日、経済や物価への波及には「ある程度の期間はかかる」と話した。
追加緩和は本当に必要ないのか。円高や新興国経済の減速など環境は悪化している。日銀が重視してきた人々の予想物価は下がり、賃上げも鈍い。手放しで2%の物価上昇が達成できるほどやさしい状況ではない。
次回4月27〜28日の金融政策決定会合では経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表する。黒田総裁は「必要なら追加緩和する」と繰り返してきた。東短リサーチの加藤出氏は「物価の基調が揺らぐなら追加緩和に動かざるをえないが、その手段はほとんど残っていない」と指摘している。
(後藤達也)
[日経新聞3月17日朝刊P.19]
中国の原油輸入に注目が集まっている。景気懸念が高まる中、2015年の輸入量は約24億バレルと前年比9%増え、過去最高水準だ。原油安が年初からの世界的な金融市場の混乱の引き金となった。カギを握る中国需要への関心は高く、16年の輸入量の伸びを巡り市場に臆測が交錯している。
中国の原油輸入のけん引役の一つは、ガソリン需要の拡大だ。個人の自動車の保有台数は13年に1億台を突破。15年には軽減税率を打ち出した。保有車数は伸び、ガソリン需要は日量270万バレル弱と前年比で1割強増えたようだ。
国家備蓄の積み増しも需要を底上げする。15年末の国家備蓄は推定で1億9千万バレルと、前年比で約1億バレル増えた。中国は20年までに国家備蓄を5億バレルまで拡大することを目指しており、4合目まで到達したことになる。
国際エネルギー機関(IEA)は、万一に備えて、1日あたりの純輸入量の90日分の備蓄を求めている。中国は加盟国ではないが、今後の備蓄需要を見る上で参考になる。15年の純輸入量である日量約650万バレルをもとに計算すると、現状の備蓄量は約29日分に相当しIEA基準には遠く及ばない。
16年も中国の備蓄需要は続くのか。市場の見方は分かれている。サウジアラビアのジャドワ・インベストメントは強気だ。16年以降に1億2千万バレルが備蓄されると予想する。英アーガス・メディアのトム・リード氏は「原油価格が80ドルに達するまでは、原油を貯蔵し続ける」とみる。
住友商事グローバルリサーチの舘美公子氏は「原油輸入ライセンスを取得した独立系製油所が輸入を増やしている」と指摘する。石油製品の輸出を加速しているため、15年並みの原油輸入は続くと予想する。
一方で悲観的な見方もある。米価格調査のプラッツ社のソン・イェンリン氏は「戦略備蓄の減速で、16年の輸入量は6%増に鈍化する」とみる。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の竹原美佳氏も「16年に完成する国家備蓄設備は2カ所で、貯蔵能力は計3780万バレルにとどまる」と備蓄向けの輸入が減るとみている。民間備蓄が推定で約2億4千万バレルもあることもポイントだ。
官民の備蓄は4億3千万バレルと66日分に相当する。国家備蓄をみると伸びしろはあるようにみえるが、IEA基準は備蓄する主体は国家、民間を問うてはいない。目標とする5億バレルは純輸入の77日分で、官民を合わせた現状からすると余地は限られているともいえる。
景気減速も不安材料で、ガソリン消費量も流動的な面がある。16年は日量280万バレルと増えるが、伸びは鈍化する見通しだ。ガソリンと備蓄の需要が減れば、輸入量の伸びが鈍化し、原油安を招く可能性もある。
春節(旧正月)の影響で変動しやすいため1〜2月の輸入量を平均すると、中国の原油輸入量は日量710万バレルで前年同期比7%増えた。15年12月の日量780万バレルを下回る。ただ、年初のデータは実態を反映しないとの声もある。既に3月以降のデータに市場の関心は向かっている。
[日経新聞3月17日朝刊P.20]
自民党は月内にまとめる待機児童の緊急対策に保育士の給与引き上げを盛り込む方針だ。保育士の待遇を改善し、資格があるのに働いていない「潜在保育士」が働く環境を整える。18日に待機児童問題等緊急対策チーム(木村弥生委員長)の初会合を開く。
潜在保育士は約70万人で、保育士の平均賃金は月約21万円と全産業平均より10万円以上低い。提言は給与増の方向性を示し、金額は盛り込まない見通し。保育施設の設置要件の見直しといった規制緩和策も盛り込む。
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おおさか維新、保育士月給9万円増を提言 政府に
おおさか維新の会の片山虎之助共同代表は17日、首相官邸に菅義偉官房長官を訪ね、待機児童対策の提言を手渡した。保育士の給与を5年で月額9万円引き上げるのが柱。政府の対策に盛り込むよう求めた。片山氏によると菅氏は「参考になる。できるものをやりたい」と話したという。
[日経新聞3月18日朝刊P.4]
日銀が市場に資金を供給する際に買い入れるコマーシャルペーパー(CP)の利回りが異例の低水準になった。17日には平均落札利回りがマイナス0.194%となり、国が短期資金を調達する国債の利回りを下回った。信用リスクがあるCPの利回りは国債を上回るのが通例だが、マイナス金利政策で官民逆転が起きている。
17日のCP買い入れオペでは最低落札利回りが年マイナス0.385%、平均落札利回りがマイナス0.194%となった。国が発行する国庫短期証券(短国)は直近の3カ月物の流通利回りはマイナス0.115%、6カ月物はマイナス0.155%。日銀は短国よりも大幅に低い利回りでCPを買ったことになる。
[日経新聞3月19日朝刊P.5]
先月のイラン国会選挙で改革派が躍進したことは、任期半ばのロウハニ大統領にとって嬉しい後押しとなった。しかし大きな経済的課題が残っている。
イランが核開発問題で米欧など6カ国と歴史的な合意を結んだ昨年7月以降、国民の間で経済状況の改善への期待が大いに高まった。ロウハニ大統領を2013年に当選に導いたのもこうした期待だった。
ロウハニ氏の就任直前にインフレ率は40%を上回り、国内総生産(GDP)は6%減少した。包括的金融制裁によってイランは国際銀行システムから完全に締め出され、経済が不安定化してしまった。ところが核合意によってイランへの経済制裁が解除され、今や国際通貨基金(IMF)はイランの来年の経済成長率を約5%と予想している。そうなればイランは中東で最も成長率の高い国になる。
しかしいくつか障害が立ちはだかる。まず14年半ば以降70%下落した原油価格だ。ハタミ元大統領が独自の改革を試みた1999年にも同じような不幸に見舞われ、原油価格は1バレル10ドルを割り込んだ。当時も現在と同様に、改革派政権の最初の2年間は、国際原油市場が足かせとなった。
さらに重要なのは国内問題だ。それは、迷宮のように多くの意思決定機関が存在し、イスラム教の教義が順守されているかどうか確認するため設立された多くの機関や部局が絡み合う、イラン革命後の複雑な制度構造に起因する。権力の迷路の中でロウハニ大統領は対立する保守強硬派と激しい戦いを繰り広げている。この戦いはまだまだ終わりそうにない。
制裁解除を受けて経済を貿易と外国からの投資に開放し、民間部門を育成するため経済改革を断行しようとするロウハニ氏の経済政策は、保守強硬派のビジョンとは相いれない。自給自足と国内資源への依存を特徴とし長年の緊縮財政に基づいた「抵抗の経済」を提唱する「原則主義派」にとって、ロウハニ大統領の計画は、核合意と同じくらい警戒を呼び起こすものだ。
次期国会における原則主義派の後退が、イランの若い有権者からの力強いメッセージであることは疑いようがない。しかし原則主義派の勢力は退潮したかもしれないが、まだ健在だ。
これはロウハニ大統領にとって最大の難題である。選挙の勝利によって国民の期待に応えるようにとの圧力が高まり、希望が膨らむかもしれない。しかし、05年の大統領選でハタミ氏が原則主義派のアハマディネジャド氏に敗れて認識したように、平等と社会正義を求める国民の声を犠牲にしてまで、成長と景気回復を追求することはできない。
((C)Project Syndicate)
Hassan Hakimian イラン生まれ。英サセックス大博士。専門はイラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)を中心とする中東経済、開発経済学。
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「内なる敵」妨げも
厳しい経済制裁の足かせが外れたイランは「失われた成長」を取り戻そうとフランスやイタリア、日本からの外資誘致に懸命だ。原油価格が安定しない中、成長率を高めるには民間資本導入が鍵となるが、複雑な内政が妨げとなることも考えられる。今回の国会選挙でロウハニ大統領の欧米融和路線は信認を得た。だが中東では1970年代末のエジプトのように急な経済開放が混乱を呼ぶ。反欧米の保守強硬派による批判、格差拡大など、指導層は内なる敵への対策に追われそうだ。
(編集委員 中西俊裕)
[日経新聞3月21日朝刊P.4]
【イスタンブール=佐野彰洋】19日にトルコ最大の都市イスタンブールで起きた自爆テロについて、同国のアラ内相は20日の記者会見で、実行犯は過激派組織「イスラム国」(IS)と関係のあるトルコ人の男だったと言明した。トルコは隣国シリアを拠点とするISの掃討を目指し、米国を中心とした有志連合の枠組みに参加している。
内相によると、男は1992年生まれで、シリア国境に近いトルコ南部ガジアンテプの出身。自爆犯の遺体のDNA型を鑑定、特定した。
19日の自爆テロはイスタンブール中心部の繁華街であり、自爆犯を除く4人が死亡、30人以上が負傷した。地元メディアによると、4人の犠牲者はすべて外国人だった。3人がイスラエル人、1人はイラン人。イスラエル人のうち2人は米国との二重国籍だったとみられている。負傷者の半数以上も外国人だった。
[日経新聞3月21日朝刊P.7]
欧米諸国は、そういう総括をきちんとしないまま今現在、ロシアの動きに追随して「シリア和平会議」を後押している。
(これまでの姿勢(アサド氏退陣)を今なお国際正義だと考えているのなら、前提が違う「シリア和平会議」はボイコットすべきだろう)
欧米諸国主要メディアは、「ロシアの行動がシリアの長期的安定の回復に貢献したとの証拠はない」といったケチを付けるのではなく、「シリア和平会議」がシリアの長期的安定の回復につながっていくよう主張や提言を行わなければならないはずだ。
シリア各勢力がアサド大統領の去就問題を一時棚上げして和平協議を進めようとしているのに、プーチン大統領について、「彼がアサド氏支援に固執する限り、シリアの苦悩に終わりは来ないだろう」と主張しているのは的外れである。
それはともかく、プーチン大統領は、アサド派世俗政権にこだわるとしても、アサド大統領自身の存続に固執することはないだろう。
それは、プーチン氏の良心といった問題ではなく、政治的駆け引きとしてそれくらいの知恵は働かせるということだ。アサド氏本人でなくともアサド的世俗統治を遂行することはできる。
奇妙な主張をしているFTは、世俗派の政権ではなく、イスラム主義的政権を望んでいるのだろうか。
※関連参照投稿
「ロシアの軍事作戦はシリアの平和への道を開いた:シリア内戦介入諸国が協議し決断すれば終わることなのにおぞましい世界」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/355.html
「米、シリア反体制派支援を縮小 ロシア攻撃で大打撃:ロシアのシリア軍事介入のこれまでと今後:巡航ミサイル4発イラン領に着弾」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/158.html
「ロシア空爆、「イスラム国」不在地域か 米国防長官批判:空域競合で危険になるため、米露は否応なくシリア問題で実質的交渉へ」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/112.html
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〈FT特約〉プーチン氏の空虚な「勝利」 シリア内戦は終わらず
ロシアのプーチン大統領は国際問題でしばしば人を驚かせてきた。今回のシリアからの「主要部隊」の撤収もそうだ。プーチン氏は当面の目標を達成したと考えているようだ。昨夏、アサド政権は今にも崩壊しそうだったが、介入で政権は存続できた。これが最重要の成果だ。
地政学上の目標も達成した。中東における影響力が強まり、米国はシリアの将来を決めるにあたってプーチン氏の関与を得なければならなくなった。国内ではメディアが軍事的大勝利と喧伝(けんでん)し、政権は6カ月後の議会選挙で一段と有利になった。
だが、視野を広げて見ると、ロシアは2つの点で大きな失敗を犯した。過激派組織「イスラム国」(IS)が依然としてシリアの広大な土地を支配下に置いている。テロと戦うために介入したと言ってきたが、それは見せかけにすぎなかったことが明らかになった。
さらにロシアによる空爆は地上の勢力図を変えられなかった。シリア内戦が始まって5年。暫定的に休戦が実現し、ジュネーブで和平交渉が始まり、一条の希望の光が見えている。だが、ロシアの行動がシリアの長期的安定の回復に貢献したとの証拠はない。反アサド政権勢力は依然強力だ。
プーチン氏は今週「使命は達成された」と宣言したのかもしれないが、彼がアサド氏支援に固執する限り、シリアの苦悩に終わりは来ないだろう。
(17日付、社説)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
[日経新聞3月18日朝刊P.6]
(上)痛み伴う構造改革 新成長路線へ不可避
中国の習近平指導部は16日に閉幕した全国人民代表大会(国会に相当、全人代)で、2020年までの第13次5カ年計画を採択した。任期10年とされる習氏にとって20年は総仕上げの節目。構造改革と成長戦略を両立させられるかが最大の課題になる。政権運営では習氏の「1強」ぶりが目立ち、円滑な世代交代の道筋は見えていない。
閑散とした街
中国東北部にある炭鉱の町、遼寧省阜新市。3月15日、未舗装の道を歩いてたどり着いた石炭会社には時折、土煙を上げながらダンプカーが出入りするが、人の出入りはほとんどない。ひっそりとした街には、石炭で繁栄を築いた当時の面影はなかった。
同市は産業全体の75%を石炭産業を中心とする重工業が占める。需要減から石炭の採掘量が減るとともに経済は低迷し、15年の域内総生産(GDP)は前年比9%減少した。失業者は約13万人に達し、市民の4分の1が生活保護を受ける。元炭鉱労働者の男性は「炭鉱で働いても月1千元(約1万7千円)。辞めても別の仕事は見つからない」と話す。
今回の全人代では、遼寧、吉林、黒竜江の東北3省の経済不振に注目が集まった。かつては工業地帯として中国経済を支えた同地域は「古い経済」の象徴だ。石炭や機械など主要産業の大半を国有企業が担う。高齢化も急速に進む。
東北3省の15年の成長率は全国の省・直轄市のなかでワースト5に入る。李克強首相は5日の政府活動報告で「東北など旧工業基地の新たな振興戦略を実施する」と言及し、かつて省トップを務めた遼寧省などの経済低迷に危機感をにじませた。
ゾンビ企業淘汰
習指導部は5カ年計画で減税や規制緩和を軸に企業の活力を引き出す「供給サイドの改革」を掲げ、過剰生産の解消や利益を出せない「ゾンビ企業」の淘汰に本腰を入れる姿勢を示した。構造改革の必要性は東北地域だけにとどまらない。
「勇気を持って(改革の)先陣を切ってほしい」。李首相は9日、製造業が集積し「世界の工場」をけん引してきた広東省の全人代分科会で檄(げき)を飛ばした。広東省は今後1年で約2300社のゾンビ企業を淘汰するほか、約1千社の整理・再編を促す方針を打ち出した。
改革には痛みが伴う。石炭・鉄鋼業だけでも180万人の余剰人員が生じる見通しで、政府は従業員の再就職支援などに1千億元を充てると表明した。ただ、主な受け入れ先となるサービス業では「国有企業(の人)は扱いにくい」(飲料大手、娃哈哈集団の宗慶後董事長)とそっけない。
5カ年計画では産業用ロボットやIT(情報技術)、航空宇宙などに予算や人材を投入。新産業の育成と雇用の創出につなげる方針だが、具体策はこれからだ。
構造改革と成長戦略の両輪をうまくかみ合わせて、新たな安定成長路線を築き上げられるかどうか。20年までの道は決して平たんではない。
[日経新聞3月18日朝刊P.7]
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(下)「ポスト習」狙う世代 忠誠示し時機を待つ
16日に閉幕した中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では「ポスト習」の座をうかがう地方幹部が習近平国家主席(共産党総書記、62)が掲げる政策の取り組みをアピールする発言が相次いだ。念頭にあるのは来年秋に開く5年に1度の党大会での人事。自らの政策よりも習氏への忠誠を示して、時機を待つ姿勢が色濃くにじんだ。
元部下の「新星」
「5年で貧困人口を656万人減らした」。陳敏爾・貴州省党委書記(55)は習氏が力を入れる貧困対策の成果を強調した。習氏の地方勤務時代の部下で、2012年秋に習指導部が発足するや貴州省長に抜てきされ、昨夏に省トップに昇格した。次期最高指導部入りを狙う「ダークホース」とも「新星」とも呼ばれる。
身ぶりを交えて説明したビッグデータなどの新産業育成策も習氏の肝煎りだ。最後は人さし指を派手に突き立てながら「地元では『貴州であなたを待っています』という歌がはやっている。ぜひ来てほしい」と声を張り上げた。中国人記者は「習氏に近い余裕の表れだ」と説明した。
「今年初め、習近平総書記が視察され、重慶市の成果を非常に評価してくれた」。中立派の重慶市トップの孫政才・党委書記(52)は習氏にほめられたエピソードを紹介。強いなまりの中国語で話す言葉に「供給側改革」「貧困撲滅」など、習氏が掲げる標語をちりばめた。全人代の閉幕式では、習氏が退場するところを待ち構え、25人いる政治局員の中でただ1人、習氏と握手した。
将来の総書記候補と呼ばれてきた共産主義青年団の流れをくむ胡春華・広東省党委書記(52)も「18年までに全国に先駆けて貧困対策を完了させる」と表明した。
香港の複数の記者が書店関係者の失踪事件について大声で問い詰めると「香港の皆さん、安心してください」とざわつく会場を静める胆力も見せた。ただ、その後は「今後も広東と香港は協力を強化していく」と慎重な回答にとどめた。
成果をアピール
昨年8月、大規模爆発事故にみまわれた天津市の黄興国・市党委代理書記(61)は「事故の損失は大きかったが、全国3位となる9.3%の高成長を実現できた」と“復興”を強調した。習氏の側近の一人で、事故後も人事レースに踏みとどまったとみられている。
全人代を控えた1〜2月、地方幹部の間で習氏を「党の核心」と呼んで忠誠を誓う発言が相次いだが、最初に口火を切ったのは黄氏だった。
一方、最年少省長である共青団派の陸昊・黒竜江省長(48)は失言につまずいた。同省北部の炭鉱で発生した賃金未払い問題について「未払いは一切ない」と発言すると、地元で大規模な抗議運動が起きた。あわてて省のウェブサイトで誤りを認め「解決に向けて努力したい」と釈明したが、政治キャリアに傷が付いたとの見方もある。
17年秋の党大会では、7人いる最高指導部のうち5人が定年を迎える見通しだ。習氏は入れ替え人事をちらつかせて地方での改革を促すが、内部には習氏の強権化への不満も多い。新5カ年計画を円滑に遂行できる道筋はまだ見えていない。
永井央紀、原島大介が担当しました。
[日経新聞3月19日朝刊P.]
香港を代表する大富豪、李嘉誠主席が率いる複合企業、長江和記実業(CKハチソンホールディングス)の経営戦略に向かい風が吹いている。中国経済の減速を見越して中国・香港で資産売却を進める一方、欧州でM&A(合併・買収)を加速してきたが、英国での携帯電話会社買収に規制当局が待ったをかけた。中国国内からも資本流出をけん制する声がくすぶり、「脱中国」戦略は足踏みを迫られている。
李嘉誠氏がメディアの前に姿を現す年1回の恒例行事である17日夕の決算記者会見。個人資産が約3兆円に上る「投資の達人」の肉声を聞こうと、CKハチソンの本社には今年も100人近い記者やカメラマンが詰めかけた。
「全世界を見回しても英国での事業は非常にうまくいっている。英国人が自分の利益を考えるなら、欧州連合(EU)から脱退する確率も小さいだろう」
グループ再編後初となるCKハチソンの2015年12月期決算で稼ぎ頭に浮上したのは欧州だ。EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の地域別内訳をみると欧州が53%と過半を占め、中国(13%)や香港(6%)を大きく上回った。
だが先行きには不透明感も漂う。
CKハチソンは昨年1月、英携帯電話2位のO2UKを最大102億5000万ポンド(約1兆6400億円)でスペインの通信大手テレフォニカから買収する計画を発表した。自社の傘下で同4位のスリーUKと統合して40%超のシェアを握り、顧客獲得や料金設定で有利に立つ狙いだった。CKハチソンはイタリアでもロシアの通信大手、ビンペルコムと携帯電話事業を経営統合することで合意した。
欧州連合(EU)の規制当局の承認を待っている段階だが、ここに来て当局からは「英国の携帯電話会社が4社から3社に減れば競争を阻害し、通信料金の値上げなど消費者に不利益をもたらしかねない」との懸念が漏れる。
慌てたCKハチソンは2月上旬、O2UKの買収を完了した後も、5年間は料金を値上げしないと発表した。今後5年間で50億ポンドを英国内に投資するほか、競合相手に通信網を開放するなど、消費者利益の向上や通信サービスの改善に努めると約束した。
規制当局は4月にも判断を示すとみられているが、英国での合併にゴーサインが出るかは不確定要素が多い。仮に合併が承認される場合も大幅な譲歩を迫られるとの見方が強く、巨額の投資に見合う収益力向上を実現できるかどうかも不明だ。
「Asia300」は中国・香港、韓国、台湾、インド、東南アジアの上場企業から、時価総額や成長性などに基づき選びました。
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中国は資本流出を批判
「中国本土には1000億元(約1兆7000億円)以上の不動産を持っている。北京の東方広場(複合商業施設)も絶対に売らない」
李氏は記者会見で、中国から資本を撤退しないと強調した。
昨年9月の長江基建と電能実業の合併計画発表直後、中国国営メディアは李嘉誠氏を批判するキャンペーンを突然展開した。中国株バブルの崩壊や人民元切り下げで市場に混乱が広がるなか、「香港の超人」として中国国内からも尊敬を集めてきた李氏の資本撤退観測が中国経済への不信を増幅し、海外への資本逃避を加速させかねないとの懸念があったとみられる。
「事実無根」との李氏の反論を受けて、バッシングはいったんはやんだ。だが、かつて最高実力者のケ小平氏や江沢民・元国家主席ら中国共産党の歴代トップと親密な関係を誇った李氏も、現在の習近平国家主席とはそれほど近くないとの見方は強い。中国政府に協力的な香港の資本家の代表とされてきた李氏も中国国内の世論の風向きに気を配らざるを得なくなっている。
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事業承継に不安も 長男主導の再編暗礁
CKハチソン傘下でインフラ事業を手掛ける長江基建集団と電力投資会社の電能実業を合併する計画も暗礁に乗り上げた。電能実業が保有する豊富な現金を長江基建に取り込み、海外のインフラ事業の買収を加速する腹づもりだった。だが株式交換比率に不満を強める電能実業の独立株主が反対に回り、昨年11月の臨時株主総会で否決された。
両社の合併はグループの後継者と目される長男の李沢鉅(ビクター・リー)副主席が主導した。「議決権行使助言会社が株式交換比率の引き上げを再三求めたにもかかわらず、強行突破を図ったビクター氏の判断ミス」(アナリスト)との指摘は少なくない。
87歳を迎えた李嘉誠氏は「経済の調子が悪い時期にリタイアしたくない」と今年も引退を否定する一方、「ビクターはよくやっている。私がいつ辞めても問題ない」と強調した。だが事業承継が順調に進むか不安視する声は消えない。
香港=粟井康夫
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長江グループの概要
長江グループ インフラから通信、港湾、小売りまで世界中で手掛ける複合企業「長江和記実業(CKハチソンホールディングス)」と、香港・中国で不動産を扱う「長江実業地産」の2社を中核とする企業集団。2015年12月期の売上高はCKハチソンが3163億香港ドル(約4兆6000億円)、長江地産が588億香港ドル(約8500億円)。
[日経新聞3月18日朝刊P.9]
ホンダは17日、新型スポーツカー「NSX」を4月下旬から量産すると発表した。国内で生産した初代モデルとは違い、新型の生産は米オハイオ州の新工場が担う。「フェラーリ」「ポルシェ」をベンチマーク(目標)に馬力も見た目も一新したNSXには生産現場のこだわりの技術が随所に盛り込まれている。初代が届かなかった世界市場へ「メード・イン・USA」の2代目が挑む。
オハイオ州メアリーズビル。ホンダの工場群の一角に7千万ドル(約80億円)を投じた「PMC(パフォーマンス・マニファクチュアリング・センター)」がある。新型NSXの専用工場だ。
「今はテスト車を生産している。量産車は1台あたり10〜12日かけ、1日に8〜10台造る」。NSXの製造責任者、クレメント・ズソーザ氏はこう話す。1日25台だった初代に比べ、新型は丁寧に造り込んでいく。
2005年12月末の生産終了までに累計1万8737台を販売した初代NSX。1990年の発売当時、英マクラーレンと組んだホンダは自動車レースの最高峰、フォーミュラ・ワン(F1)で表彰台を席巻していた。勢いそのままに日本ではブームを巻き起こしたものの、世界市場では欧州勢の壁に阻まれた。
欧州勢に及ばなかったのはなぜか。浮かび上がった改善点は「見た目」と「馬力」だった。
見た目のカギを握るのは塗装だ。新型NSXの塗装工程では巨大なアーム式ロボットがタコの足のように動き、塗装液を吹きつけて11層の重ね塗りを施す。1台に4日かける「塗装の仕上がりは大半のスポーツカーを上回る」(ズソーザ氏)。
軽量を売り物にするため、初代では控えめにした馬力も欧州勢には見劣りした。新型は初代の2倍、欧州勢に匹敵する水準まで引き上げた。パワーを上げれば、車体への負担も増す。強度確保で外板を厚くすれば、車体が重くなり、乗り心地やハンドル操作に響く。
解決策として、新型NSXは骨格に骨材を単純に組み合わせるだけのスペースフレーム方式を採用した。強度を確保するため、骨材の溶接や接合部品の鋳造では難易度の高い技術が求められる。高張力鋼板(ハイテン)を新たに使うなどして、米国の開発チームは軽さと強さを両立させた。
ホンダが日本勢で初めて米国での自動車生産を始めたのは1982年。オハイオだった。勤続30年のエンジン品質担当、ジム・マッキン氏は「日本での研修の際、初代NSXの現場をスゴイと思った。今、自分がNSXに携わっていることは夢のようだ」と話す。
2012年1月、当時の伊東孝紳社長はNSX復活を宣言し、オハイオを生産拠点に選んだ。ホンダは売上高の6割近くを北米に依存する。最大市場である米国での生産は輸送コストの削減に加え、消費者ニーズの反映にも都合がいい。何より30年を超える積み重ねでフラッグシップとなるスポーツカーを生産する「技術」が育まれていた。
溶接、鋳造、塗装、デジタル技術活用など最先端の試みを数多く手掛けるPMCは今、高級車の「マザー工場」だ。挑戦を重んじるホンダスピリッツ、「ホンダらしさ」の象徴となるNSXの米国生産について、本田技術研究所の幹部は「(自動車開発部隊が集まる)栃木の人間は悔しいと思ってますよ」と話す。
自動車メーカーにとって、最新の技術をつぎ込む高級車の存在は競争力の証しとなる。16年春に米国で売り出す新型NSXはフェラーリ、ポルシェの向こうを張るブランドに育つのか。グローバル企業「HONDA」の新しいページは米国から始まる。(米オハイオ州で稲井創一)
[日経新聞3月18日朝刊P.13]
海外勢による日本株売りが止まらない。東京証券取引所が17日公表した3月第2週(7〜11日)の外国人投資家の売越額は1兆1932億円となり、1982年7月に集計を始めて以来、最大だ。円高傾向を受け2016年度の業績への懸念が広がっている。割高な先物を売り、割安な現物株を買う「裁定取引」を解消する動きも、売りが膨らむ要因となった。
東証が集計した投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場、1部、2部と新興企業向け市場の合計)によると、海外投資家(外国人)の3月第2週の売り越しは1月第1週以来、10週連続となった。1週間の売越額としては、世界同時株安となった1987年10月19日の「ブラックマンデー」を含む週の売り越し(1兆1220億円)を上回り、過去最大だ。
海外勢の売りが止まらない背景には、年初からの円高傾向と株価変動率の高さがある。大和証券のグローバル・エクイティ・セールス第一部の上島英二担当部長は「円安による業績改善と、それに伴う賃上げ、消費拡大という好循環への期待がしぼんだ」と明かす。原油など外部要因で相場が大きく動くことも嫌気されており、「今週も中長期投資家の慎重姿勢は変わらない」と話す。
海外ヘッジファンドの運用成績悪化も影を落とす。米調査会社ヘッジファンドリサーチによると、日本を含むアジアに投資するファンドは1〜2月の損益がマイナス5%、日本のみに投資するファンドはマイナス7%と苦戦。UBS証券の大川智宏エクイティ・ストラテジストは「顧客のマネー引き揚げで、一部のファンドが閉鎖や運用縮小に追い込まれており、売りが出やすい」とみる。
3月11日はオプション・先物の特別清算指数(SQ)の算出日だった。外国人の現物株売りにはSQに伴い先物売り・現物買いの持ち高を解消する動きが多く含まれている可能性がある。外国人の売り注文を受けた証券会社の自己売買部門は、8768億円の買い越しと過去最大となった。
3月第2週の日経平均株価は週間で0.44%安と海外勢の売越額のわりに下落率は小さい。「公的年金などが買いを入れている」(国内証券トレーダー)。年金の売買を映す信託銀行の買越額は736億円で昨年11月以来、16週連続の買い越しだ。「4月の新年度入りで国内勢に新規マネーが流入し、相場を下支えする」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)との見方も出ていた。
[日経新聞3月18日朝刊P.19]
銀行や保険会社が確定拠出年金向け運用商品の保証利率を下げている。3月適用の定期預金や年金保険といった元本確保型商品の平均利回りは、10年物で年0.05%と初めて0.1%を割り込んだ。指標となる国債利回りが低下したためだ。加入者は自分の確定拠出年金の掛け金を原則60歳まで引き出せない。超低金利が長引けば資産形成には打撃となる。
確定拠出年金は基礎年金や厚生年金に上乗せする企業年金の一つ。加入すると本人が運用先を選び成績に応じて将来の給付額が変わる。解散が増える厚生年金基金の受け皿になっており、加入者は右肩上がりで増え500万人を超す。
運用商品は満期まで持つと元本が保証されるものと、投資信託のように保証がないものがある。元本確保型の商品を選ぶ加入者が多く、運用資産の半分以上を占める。
3メガバンクと主要生損保7社が企業や金融機関に提供する元本確保商品の平均利率を調べたところ、3月は5年物で年0.022%、10年物で年0.05%だった。日銀のマイナス金利政策を受けて、ほぼすべての金融機関が利率を下げ、2月の半分以下の水準に落ち込んだ。
10年物の平均利率は2009年まで年1%を超えていたが、その後じりじりと下げ1年前の15年3月に年0.2%になった。マイナス金利で下げに拍車がかかった格好だ。
このまま低金利が長引くと、加入者は老後に備えた資産形成に影響が出かねない。毎月2万円を40年間拠出すると元本の累計は960万円になる。年利1%の商品に投資し続けた場合、単純計算で元本は1180万円弱まで増えるが、0.1%の商品だと約980万円にとどまる。
確定拠出年金は掛け金の所得控除や運用益の非課税といった税制優遇があるため、銀行預金など他の金融商品と比べて実質的な利回りは高い。だが、魅力的な品ぞろえが少ないと、普及が進まない懸念もある。
[日経新聞3月21日朝刊P.5]
2月半ば。東京都内での会合に招かれた日本銀行の黒田東彦総裁は、マイナス金利についてこう述べた。「欧州の小国の事例は参考にならない」
同じ頃、小国のひとつデンマーク国立銀行(中央銀行)のカールセン副総裁は、マイナス金利の狙いを「海外からの資金流入に歯止めをかけ、通貨クローネの対ユーロ相場を安定させるためだ」と記者に語った。
スイス国立銀行、スウェーデンのリクスバンク(ともに中央銀行)も同じだ。通貨統合に加わっていないこれらの国は、ユーロ圏の一部の国の債務危機の深まりとともに資金流入が加速した。質への逃避である。「狙い通りに機能した」(カールセン氏)マイナス金利は、対ユーロで自国通貨の変動を抑え込む制度が崩れ、極端な通貨高に見舞われる事態に直面した小国の窮余の策だった。
その点で、黒田氏が参考にならないと一蹴したのはうなずける。だがコペンハーゲンの街を歩き回ると、まったく違うふたつの観点から「なるほど、参考にはしにくいな」と思えてきた。
第1は、金融政策との関連が浅いようにみえる教育と医療だ。日本の消費税にあたる付加価値税の本則税率は25%。欧州連合(EU)は加盟国に税率を最低15%にするよう義務づけている。デンマークはそれより10%高い高負担国の典型だ。
見返りに教育費は大学卒業まで無償。本代は学生の負担だが、18歳以上のすべての学生は奨学金を受け取っている。たとえば親元を離れて暮らす学生は、親の所得の多寡にかかわらず月に5941クローネ。およそ10万円だ。
医療も患者負担は原則としてゼロ。もっとも、それは大盤振る舞いと同義ではない。真に必要な患者に十分な医療を提供する体制を意味する。
若者も高齢者も将来への漠たる不安を抱える人は多くない。当然、せっせと貯蓄に励む必要は小さい。「個人向けの預金はマイナス金利から守られている」(デンマーク銀行協会のノドゴー事務局長)のは日本と同じだが、いずれも利息はすずめの涙。ならば生活を充実させるためにお金を使う気になるところが、北欧の小国の国民性だ。
郊外の住宅地。こんな人がいた。マイナス金利のおかげで低利になった住宅融資に借り換え、浮いたお金で自宅の屋根を断熱性が高い素材にふき替え、その後さらに安い金利の融資に乗り換え、浴室も改装した――。
都心の一角は住宅価格が過熱し、若い家族を締め出しているが、多くの市民はマイナス金利に恩恵を感じているようだ。日銀のマイナス金利が資産の目減りを招くと身構え、タンス預金を積み上げている日本の年金世代とは好対照だ。
第2は、現金信仰の薄さだ。お金はほとんど持ち歩かず、買い物は少額でもクレジットカード決済で。北欧の小国に共通する消費者行動だ。店側が高額紙幣の受け取りを拒むこともある。
じつは、銀行も現金を持て余すことがある。スウェーデン紙が報じた79歳の女性の話。タンス預金2万クローナ(約27万円)を銀行に預けに行ったら、どこで手に入れたのかと行員にさんざん詮索され、揚げ句に入金を拒まれた。現金が不便なのだ。
金融資産が現金で保蔵されている限り、マイナス金利の効用は鈍る。マイナス幅を広げたばかりのドラギ欧州中央銀行総裁は先月500ユーロ紙幣の発行をやめたいと欧州議会で証言した。犯罪資金の洗浄行為の抑止が狙いだが、現金流通を減らしマイナス金利の効きを良くしたい思惑が透ける。
将来不安を拭えず、現金を好む日本人。逆風のなか黒田総裁もマイナス幅を広げるのを辞さない構えだが、この策が一時しのぎの異常な政策であることは、確認しておく必要があろう。欧州の小国にとっても、それは同様である。
(コペンハーゲンで、編集委員 大林尚)
[日経新聞3月21日朝刊P.7]
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[大機小機]生きた資本の時代
例年この時期の株式市場では配当や優待狙いの短期売買がみられる。現物株買いと同時に信用で売る取引が膨らみ、通常は金利を払う買い方が、逆に日歩をもらえる状況になる。日歩というぐらいだから年率にするとなかなかな高利で、売り方は優待券の何倍もの金額を払うはめになることもあるのだが、この逆日歩、考えてみれば談論風発のマイナス金利と同じだ。
株のマイナス金利はこのように一時的なもので違和感もないが、マイナス金利政策がもたらす世界、どうも肌感覚での理解が進まないようだ。何十年も金融市場に向き合ってきたベテランをも沈黙させてしまう。
インフレ志向の政策のはずが、円高株安が進み、むしろデフレ志向の印象が強まった。実務上の想定外が債券市場などで価格形成のゆがみを生んでいる。
投資を刺激する政策としてマイナス金利が常態化すれば、借り手が金利をもらい融資を受けるデフレ的な取引や、預金金利のマイナスも視野に入れる必要がある。現金選好を抑える措置や、長年の歴史で培った貨幣の価値保存機能への影響など、様々な懸念を口にする向きもある。
片側では各国の通貨安競争を乗り切るために緩和ののりしろを示すのがマイナス金利政策の本質だから、時々に市場を支配する紙芝居の一枚にすぎないと割り切る投資家もいる。
共通するのは金融政策は既に、市場の裏をかいて効果を得る手段としても、経済成長を促す手段としても限界に達しており、日本経済はその効果の及ぶ領域にはないという認識だ。短期の需要不足は解消しても長期で成長気流に乗るための構造問題を解決するものではないからだ。
政策の次の一手、といっても量的緩和拡大や、財政政策拡大など、既存政策の延長に再び戻るだけでは、末娘のマイナス金利政策を離れ、長女の量的緩和、次女の財政出動の門を再びたたいてさまようリア王のようである。
結局、決め手は潜在成長率だ。政権が将来の人口動態を見据えて堂々と成長率を引き上げる姿勢を示し、一段と狭くなった金融政策の出口への道筋を照らすことが不可欠だ。ゾンビ企業ではなく生産性向上に寄与する生きた資本が低コストをいかし、さらに力をつける機会である。
(記恩)
[日経新聞3月18日朝刊P.19]
「船も遠隔操作で動かす時代:自動車や船の遠隔操作話がちらほら出てきているが肝心の民間航空機の遠隔操作情報は秘密のまま」
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/306.html
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ハッキングで遠隔操作「車の乗っ取り」新防衛策
パナソニック、不正信号を排除 富士通研などは暗号通信で対抗
自動車の情報セキュリティーを高める研究開発が相次いでいる。カーナビなどを介して外部のネットワークにつながる時代になり、無線や有線で侵入して乗っ取られる脅威に備えるためだ。パナソニックはハッキングを防ぐ技術を開発した。富士通研究所などは、走行中の車がサイバー攻撃を受けても安全に停車するしくみを考案した。自動運転の普及も見据え、対策を急いでいる。
自動車の情報セキュリティーへの注目が高まったのは2015年7月、著名ハッカーが米FCAUS(旧クライスラー)の車を無線を介してハッキングした報告をしてからだ。同社は対策のため、140万台のリコール(回収・無償修理)をすることになった。
携帯端末やパソコンなどと同様に、車でもネットワークを介した侵入を防ぐ対策が迫られている。無線や有線の回線から車内のネットワークに侵入されれば、安全が脅かされる。
パナソニックは車の中枢神経ともいえる車載ネットワーク「CAN」を通って不正な信号が電子制御ユニットに届くのを阻止する。CANの中に、各電子制御ユニット間の信号のやりとりを監視する装置を設ける。
ハイブリッド車や電気自動車に限らず、ガソリン車にも多くの電子機器が載る。なかでも電子制御ユニットはエンジンなどに指令を出す重要な装置で、誤動作は深刻な事故につながりかねない。
開発では、車内の電子機器を点検する接続端子などから電子制御ユニットの1つを操り、他の同ユニットに不正な操作を指示する場合などを想定した。ひそかに端子にケーブルをつないで、不正プログラムを送り込む手口だ。
操作を指示する前に送られてくるID情報や信号のわずかなタイミングの変化などから、従来の振る舞いとは異なる不正な信号を見分ける。発見後はエラー信号を打ち消す処理で排除する。2020年ころまでの実用化を目指す。
インターネットにつながる車は、走行中にサイバー攻撃にあう危険もある。運転不能に陥る前に安全確保を狙うのが富士通研究所と横浜国立大学の松本勉教授らだ。
異常を検知するとドライバーに伝えて、攻撃対象となった信号のみを暗号化する。正常な信号が流れるようにして、安全に停車できるようにする。今後実際の装置で確かめる。5年以内の実用化を見込む。
デンソーなどは、シートやドアロックなどを制御するネットワークの安全性を調べた。CANとは別のネットワークだが、不正な信号を送って操作できた。信号処理の工夫などで防ぐという。
立命館大学の藤野毅教授と三菱電機は、車載ネットワークの暗号を読み解く「鍵」を盗まれないようにする技術を開発した。半導体の製造時に素子ごとに違う指紋のような信号の特徴を「鍵」に使う。将来、ネットワークが暗号化した場合には、車内などで鍵を安全に管理する技術が必要と指摘されている。
[日経新聞3月21日朝刊P.]
【ソウル=小倉健太郎】訪韓した米国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表は21日、北朝鮮は「ミサイルを含め、あらゆる挑発行為を控えるべきだ」と述べた。韓国の金烘均(キム・ホンギュン)朝鮮半島平和交渉本部長と会談した後、記者団に答えた。会談は北朝鮮への制裁の徹底を確認。フリード米国務省制裁政策調整官も同席した。
[日経新聞3月22日朝刊P.2]
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/362.html
岡田代表は、それよりも、17年4月の消費税税率引き上げに対する立場を明確にすべきである。
複数税率(軽減税率)導入を伴う消費税税率引き上げには反対と明言しているが、17年4月の消費税税率引き上げそのものについて、賛成か反対かはっきりすべきである。
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民主 岡田代表 消費増税延期ならアベノミクス失敗認めよ[NHK]
3月21日 20時10分
民主党の岡田代表は三重県四日市市で記者団に対し、仮に安倍総理大臣が来年4月の消費税率の引き上げの延期を決断する場合、安倍総理大臣は、みずからの経済政策、アベノミクスの失敗を認めるべきだという考えを示しました。
この中で、民主党の岡田代表は来年4月の消費税率の引き上げについて、「安倍総理大臣は『リーマンショック並みの事態にならなければ消費税率を引き上げる』とはっきり言っていて、いわば公約になっている」と述べました。
そのうえで、岡田氏は「引き上げを延期するということになれば、国民に対し、『アベノミクスが失敗したので引き上げられません』と言うべきだ」と述べ、仮に引き上げの延期を決断する場合、安倍総理大臣は、みずからの経済政策の失敗を認めるべきだという考えを示しました。
また、岡田氏は参議院で審議されている新年度、平成28年度予算案について、与党側が来週29日にも採決を行って成立を図りたいとしていることに対し、「まだまだ議論が尽くされていないし、甘利・前経済再生担当大臣の政治とカネの問題を巡っても、いろいろな疑惑が出てきているのに、説明も何らなされていない」と述べ、予算案の採決の日程を議論するのは時期尚早だという認識を示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160321/k10010451111000.html
ベルギーの公共放送、RTBFは、首都ブリュッセル近郊の国際空港で起きた爆発で、数人が死亡したと伝えました。
現場からの映像や写真には、天井に張られていたとみられる黒や白のパネルが、粉々に割れたガラスなどとともに床に散乱している様子が写されていて、爆発の激しさを物語っています。
空港から避難してきた男性は地元メディアに対し、「空港で大きな爆発があって、今避難しているところです。けがをした人は十数人はいたと思います。現場は大混乱でした」と話していました。
日本大使館 情報収集急ぐ
ブリュッセルにある日本大使館では、日本人が巻き込まれていないか情報収集を急いでいるということです。また、ベルギーに住む日本人に向けて、空港で爆発が起きたことを伝えるなど注意を呼びかけているということです。
全日空が乗り入れ
ブリュッセルの空港には、日本の航空会社のうち全日空が、成田との間で1日1往復2便を運航しています。全日空によりますと、日本時間の22日昼前、成田からブリュッセルに向け1便が出発していて、現地の状況を確認しながら、予定どおりブリュッセルに向かうか、目的地を変更するかどうかなど、今後の対応を検討するとしています。ブリュッセルの空港には全日空の事務所があり、全日空によりますと、責任者を務める社員1人は爆発があった当時、便がないため空港におらず、無事だということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160322/k10010452171000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
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ベルギー ブリュッセルの地下鉄でも爆発か[NHK]
3月22日 17時30分
ベルギーの公共放送、RTBFは、EU=ヨーロッパ連合の機関の近くにあるマルベーク駅でも爆発があったと伝えています。駅の外にいた目撃者の話によりますと「午前9時すぎ、駅の中から大きな爆発音が1回聞こえた。駅の入り口のガラスの扉が粉々になって破片が路上に飛び散っていた」と話しています。
RTBFが伝えた首都ブリュッセルの地下鉄の駅とみられる写真からは、地下鉄の地上部分にある出入り口とみられる場所から煙が上がっている様子が見られます。また、近くの路上には人が横たわっている様子が見られます。
ツイッター上には、現場とみられる地下鉄の地上口付近を撮影した動画や写真が投稿されています。このうち動画では、周辺に白い煙が広がり心配そうに見守る人たちの姿が映されているほか、写真では、地上口付近で倒れている人や地下鉄のホームに通じるエスカレーターが封鎖されている様子が映されています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160322/k10010452191000.html?utm_int=news_contents_news-main_002
日経新聞は「(4)妻は移民 主張ちぐはぐ」と頓珍漢なことを書いているが、トランプ氏が問題にしているのは、「米国永住を希望する不法入国者」(不法移民)であり正規の移民ではない。
合法移民でも過酷な生活を強いられるヒトが多いが、不法移民であればより低賃金で必要なときだけ雇われ米国経済の下支えに使われることになる。
問題にすべきは、不法移民をなくそうというトランプ氏の主張ではなく、政府も黙認し、労働規制や税制から外れた低賃金労働者として不法移民を重宝に使ってきた米国経済主体や金持ちである。
※関連記事
「米大統領選の行方」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/888.html
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異端 トランプ候補の素顔
(1)「王様になれ」原点は父
「富の力」信奉者に 実業の才能、商売敵も魅了
11月の米大統領選の共和党候補争いで首位を走る不動産王、ドナルド・トランプ氏(69)。極端な政策や過激な発言が不満の鬱屈した白人らに強く支持され、他候補を突き放す。米政界に現れた異端者は何者なのか。その素顔に迫る。
「おまえは王様になるんだ」。トランプ氏は幼少のころに父親からこう言われて育った。ドイツ系の父フレッド(1999年没)とスコットランド系移民の母メアリー(2000年没)の次男として1946年にニューヨーク市クイーンズで生まれた。若いころから父親を超えようと立身出世にまい進した。
父はクイーンズやブルックリンの中流世帯向け集合住宅の開発で財をなした。生家は23部屋・9浴室の豪邸だった。3兄弟・2姉妹で育ったトランプ氏は、厳格な父から勤労の精神と富の力を教え込まれた。少年時代には新聞配達に汗を流したが、雨や雪の日は父のお抱え運転手のリムジンに乗って配達した。
トランプ氏の人種差別発言の根っこには、父親の言動や育った環境が見え隠れする。父が開発・運営した集合住宅は黒人に貸さなかったという逸話が残る。クイーンズは黒人、ヒスパニック、アジア系と人種のるつぼのような街だが、トランプ氏が育ったジャマイカ・エステート地区は白人富裕層の閑静な住宅街。トランプ氏は多様な人種が織りなす「外界」から隔絶されて育った。そんな生い立ちがトランプ氏の扇動家としての顔につながったのか。
「トランプ氏には二つの顔がある。一つはステージで見せる顔。もう一つはあまり知られていない思索者としての顔だ」。共和党の大統領候補争いから撤退し、トランプ氏支持を表明したベン・カーソン氏は、こう語った。扇動家トランプ氏の裏の顔とは何か。
一つは父親の顔だ。トランプ氏は3回の結婚で5人の子供をもうけた。いずれも学業成績優秀で金持ちの子息にありがちな放蕩(ほうとう)やスキャンダルは一切ない。
最初の妻イヴァナさんとの娘イヴァンカさんは、米国屈指のビジネススクール、ペンシルベニア大学ウォートン校を「優等」で卒業し、父親の会社の幹部として働く。「たばこ、酒、ドラッグの絶対禁止」を子どもたちに徹底した。厳格で実直な父の姿が浮かび上がる。
商売敵の多くが魅了される敏腕実業家の顔もある。著名な物言う株主のカール・アイカーン氏はひかれた一人だ。アイカーン氏はトランプ氏が経営していたカジノ会社の債権者。この会社の破産申請を巡り激しい法廷闘争を繰り広げたが、この過程でトランプ氏の商才を高く評価し、大統領選で支持を表明した。経済誌出版社を経営し、大統領選に立候補したこともあるスティーブ・フォーブズ氏、金融会社経営のアンドリュー・ビール氏らもトランプ氏を支持している。
「究極のナルシシスト」といわれるトランプ氏にとって、選挙戦は自己顕示欲を満たす最高の場でもある。希代の扇動家が裏に秘めた顔を見せ始めるのはいつだろうか。
(ニューヨーク=伴百江)
[日経新聞3月18日朝刊P.6]
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(2)「日本たたき」は筋金入り
「中国製品には45%の関税をかけるべきだ。巨額な日本との貿易赤字も是正しないといけない」。大げさな身ぶりで持論を説くドナルド・トランプ氏の姿を、駐米歴の長い邦銀の幹部は苦々しく見ていた。「主張は1980年代と変わらない。筋金入りの保護主義論者なんだろう。当時と変わったのは金髪になったことくらいだ」
27年前の1989年、当時は黒髪に近かった若きトランプ氏は、日本製品に15〜20%の輸入課徴金納付を命じるよう主張して全米の注目を集めた。三菱地所がニューヨークの象徴でもあるロックフェラー・センターを買収した年のことだ。
トランプ氏は「米国は引きちぎられつつある」と反日感情をむき出しにしていた。
トランプ氏はその後、経営していた会社の資金繰りが悪化して事実上の銀行管理に入る。住友銀行(当時)など邦銀も約1千億円の債権があったが、金融支援でトランプ氏を救った経緯がある。それだけに、その後も対日批判をくずさず、人々の排外主義をあおって躍進するトランプ氏には複雑な思いが残る。
「環太平洋経済連携協定(TPP)は中国を利するだけだ」。トランプ氏はオバマ米大統領が政権のレガシー(遺産)ともくろむTPPにも、昨年6月の立候補当初から反対姿勢をみせてきた。もっともTPPに中国が参加すると誤解しており、協定の全体像を把握しているとは考えにくい。
ただトランプ氏の反TPP論は支持率拡大に結びついてきた。トランプ氏は「北米自由貿易協定(NAFTA)でメキシコに雇用を奪われた」と単純な理屈を繰り返す。貿易自由化を敵視するトランプ氏はTPPが雇用減に拍車をかけると危機感をあおっている。
米経済は6年半もの景気回復局面が続くが、貿易の自由化が低賃金のアジア勢・中南米勢との競争を強め、低中所得層の収入が増えない一因になっているとの指摘は根強い。
トランプ氏は国内でくすぶる格差の不満を敏感に察知して、反TPP論によってその受け皿になろうとしている。
「日本の円安誘導でコマツばかりが得をしている。アップルは工場を米国に戻すべきだ」。トランプ氏の保護主義的な主張は個別企業にも向かう。
実は名指しされたコマツは米国内に6カ所の生産拠点を持ち、海外生産比率は5割を超す。アップルは知的財産権などを武器に、モノづくりではなくサービス貿易で巨額の利益を得ているのが現実だ。
トランプ氏の極論は、有権者の誤解や偏見を広げる恐れがある。
通貨安を誘導していると日本や中国をトランプ氏が批判していることに市場はいまのところ無反応だ。しかし、11月の本選に向け、トランプ大統領の誕生が現実味を増せば、世界市場の大きな混乱要因となる。
主要国の政権首脳は株価や為替の水準に直接言及しないことが暗黙のルールだ。だが「政治的正しさ」を敵対視するトランプ氏には通じない。
(ワシントン=河浪武史)
[日経新聞3月19日朝刊P.6]
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(3)政治にビジネス交渉術
米ニューヨークの冬の風物詩として市民に親しまれているセントラルパークの「ウォールマン・スケートリンク」。老朽化して1980年に閉鎖したこのリンクは、市が1300万ドルの費用と6年かけても改修できなかった。
これを救ったのが不動産王ドナルド・トランプ氏だった。86年に自分で改修すると提案。250万ドルの費用とわずか2カ月で美しいリンクとして再生することに成功した。ビジネス面で発揮したこうした才覚を政治でもいかせるだろうか。
「税制を簡素にし、税申告時の頭痛を緩和する」。ドナルド・トランプ氏は、これから10年間で9.5兆ドル(約1100兆円)に上る減税策をぶち上げた。
全世帯の過半数にあたる7500万世帯の所得税がゼロになり、税の申告は「I win(勝った)」と紙1枚に書くだけで済むという冗談のような話だ。
所得税の最高税率は39.6%から25%に下がる。米シンクタンクによると一般家庭の平均減税額が5100ドルなのに対し、年収370万ドルを上回る超富裕層は平均で130万ドル超の減税となる。
個人や法人の巨額減税を実施すれば、財政赤字は当然膨らむ。トランプ氏は減税による景気刺激効果で税収が増えると期待するが、10年で予算を均衡させるには年10.4〜11.4%と新興国並みの経済成長が必要だ。
財源について、トランプ氏は説得力のある説明をしていない。例に挙げるのは「教育省や環境保護局の廃止」だ。両省庁の予算は合計で年860億ドル。単年度の減税額の1割程度にすぎない。
社会保障制度の維持も訴えるトランプ氏は、製薬企業との「交渉」で年3千億ドルを捻出すると豪語する。製薬企業が高価な処方薬で医療保険制度から不当な利益をあげているというが、そんな大金を搾り取れるとは思えない。
とっぴな発想は誰の入れ知恵なのか。「政策顧問は誰か」とテレビ番組で問われたトランプ氏は、ジャック・ジェイコブス元米陸軍大佐らの名を挙げた。しかしジェイコブス氏は米メディアに「政策についてトランプ氏と話したことはない。私がテレビに出演したのを見たのではないか」と答えている。
実現不可能な高めの要求を最初に提示し、交渉で着地点を見いだすのは、トランプビジネスの常とう手段だ。トランプ氏自身もすべての公約に実現性があるとは考えていないようだ。
「すべては交渉だ」。トランプ氏は米メディアとのオフレコ懇談でこう豪語したという。トランプ氏が不法移民対策として掲げる「メキシコ国境に壁をつくる」という公約は、実現不可能と分かったうえでの“見せ球”なのかもしれない。
「中国からの輸入品に一律45%の関税をかける」という公約を討論会で「無理」と批判されると、トランプ氏は釈明した。「45%というのは脅しだ。45%が無理ならもっと少なくてもいい」
軸がないのか、柔軟なのか。政治家として大きなリスクを抱えることになるのは避けられない。
(ワシントン=川合智之)
[日経新聞3月20日朝刊P.5]
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(4)妻は移民 主張ちぐはぐ
「私は法律に従いました」。ドナルド・トランプ氏の妻でスロベニア移民のメラニアさんは2月下旬、米テレビのインタビューで移民としての自身の経験を語った。
元モデルのメラニアさんはビザ(査証)を取得して米国に移住し、何年もかけて合法的な手続きを踏んで永住権と市民権を得たと訴えた。「みんなそうすべきです。とにかく永住させろと言うのはおかしい」。トランプ氏の不法移民排除政策をこう擁護した。
「国境に万里の長城を築く」「不法移民は暴行魔」。反不法移民の過激な発言と強硬な移民規制政策で注目されたトランプ氏だが、最初の妻も旧チェコスロバキアからの移民だった。身内に甘い「二重基準」との批判が向けられている。
トランプ氏は不法移民だけでなく、技術を持つ外国人労働者の受け入れも制限しようとしている。
「H1Bは正直なところ、私も使っている」。11日に開かれた共和党大統領候補のテレビ討論会。専門技術を持つ外国人が米国で働くのに必要なビザ(査証)「H1B」について、トランプ氏は自分の事業でも使っていることを認めた。そのうえで「米国の労働者にとってものすごく有害だ」とし、H1Bビザ原則廃止の公約を表明した。
H1Bビザはインドなどからの情報技術者に多く利用され、米国民の職を奪っているとの批判がある。一部で不正利用も問題になっている。一方で技術者不足に悩むシリコンバレーを中心とするIT業界は発給枠の拡大を求める。
H1Bビザの廃止を主張しながら自分が利用する。ここにもトランプ氏の矛盾がある。
「私は実業家だ。やらねばならないことをやっているだけだ」。トランプ氏は実業家の立場と大統領としての政策は別という理論を展開して反論する。
トランプ氏は移民政策で、学生や研究者などの交換プログラムが利用するJ1ビザの一部廃止も公約している。こうしたビザの利用者が多いアイルランドなどに懸念が広がる。
外国人労働者への永住権(グリーンカード)発給の一時凍結、米国での出生に国籍を自動的に与える制度の廃止、難民の審査基準の厳格化も公約した。
トランプ氏が提案する移民政策には実現性に疑問符がつくものも多い。トランプ氏が豪語する1100万人の不法移民の強制送還をほんとうに実行しようとすると、最高で2000億ドル(約23兆円)の費用がかかると推計される。オバマ米大統領は「現実的でない」と一蹴した。出生による国籍制度の廃止は憲法違反の可能性もある。
現実性が低く矛盾する政策をかかげながら躍進するトランプ氏。そこには米国政治が陥った危機の深刻さが映っている。
(ワシントン=芦塚智子)
=おわり
[日経新聞3月22日朝刊P.5]
伊勢志摩サミットに向けて、安倍総理大臣が著名な経済学者と意見を交わす3回目の会合が開かれ、ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン氏は「世界経済には弱さがまん延している」と述べ、来年4月の消費税率の引き上げは先送りすべきだという考えを示しました。
世界経済の先行きに不透明感が増すなか、安倍総理大臣は、ことし5月の伊勢志摩サミットで世界経済の安定に向けたメッセージを発出するため、今月16日から著名な経済学者と意見を交わす国際金融経済分析会合を開いています。
22日夜に総理大臣官邸で開かれた3回目の会合には、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカ・ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授が講師として招かれました。会合の冒頭、安倍総理大臣は「『アベノミクス三本の矢』の政策などについて、きたんのない意見を伺い、サミットに向けた率直かつ有意義な会合にしたい」と述べました。
これに対し、クルーグマン氏は「世界経済には弱さがまん延しており、まだ日本はデフレを脱するまでには至っていない。だからこそ、私は消費税率の引き上げを今はやるべきでないと思っている」と述べ、来年4月の消費税率の10%への引き上げは先送りすべきだという考えを示しました。
そのうえで、クルーグマン氏は「ほとんどの国が金融政策や通貨政策に頼っているが、限界がある。財政政策には効果があり、伊勢志摩サミットに向けて、財政拡大を調整すべきだ。債務の問題があるからと言って、日本が財政政策を行わないのは問題であり、2、3年は財政収支は気にしないでよい」と述べました。
会合のあと、クルーグマン氏は記者団に対し、「日本では、需要が弱く、デフレマインドがおよそ20年間続いていたが、危機的な状況にうまく対応してきた。しかし、同じ状況がヨーロッパやアメリカでも見られる。伊勢志摩サミットでは協調して景気の刺激策をとるという方向性を出すべきだ」と述べました。
クルーグマン氏とは
ポール・クルーグマン氏は、ニューヨーク市立大学教授の63歳。1982年から83年にかけて、レーガン政権で大統領経済諮問委員会の委員を務めました。国際経済学やマクロ経済学などの研究の第一人者で、2008年にノーベル経済学賞を受賞しました。
クルーグマン氏は3年前、NHKのインタビューで、アベノミクスについて、「正しい政策をとろうとしている。日本はやらなければならないことにようやく着手した」などと話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160322/k10010452541000.html?utm_int=news_contents_news-main_004
伊勢志摩サミットに向けて、安倍総理大臣が著名な経済学者と意見を交わす3回目の会合が開かれ、ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン氏は「世界経済には弱さがまん延している」と述べ、来年4月の消費税率の引き上げは先送りすべきだという考えを示しました。
世界経済の先行きに不透明感が増すなか、安倍総理大臣は、ことし5月の伊勢志摩サミットで世界経済の安定に向けたメッセージを発出するため、今月16日から著名な経済学者と意見を交わす国際金融経済分析会合を開いています。
22日夜に総理大臣官邸で開かれた3回目の会合には、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカ・ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授が講師として招かれました。会合の冒頭、安倍総理大臣は「『アベノミクス三本の矢』の政策などについて、きたんのない意見を伺い、サミットに向けた率直かつ有意義な会合にしたい」と述べました。
これに対し、クルーグマン氏は「世界経済には弱さがまん延しており、まだ日本はデフレを脱するまでには至っていない。だからこそ、私は消費税率の引き上げを今はやるべきでないと思っている」と述べ、来年4月の消費税率の10%への引き上げは先送りすべきだという考えを示しました。
そのうえで、クルーグマン氏は「ほとんどの国が金融政策や通貨政策に頼っているが、限界がある。財政政策には効果があり、伊勢志摩サミットに向けて、財政拡大を調整すべきだ。債務の問題があるからと言って、日本が財政政策を行わないのは問題であり、2、3年は財政収支は気にしないでよい」と述べました。
会合のあと、クルーグマン氏は記者団に対し、「日本では、需要が弱く、デフレマインドがおよそ20年間続いていたが、危機的な状況にうまく対応してきた。しかし、同じ状況がヨーロッパやアメリカでも見られる。伊勢志摩サミットでは協調して景気の刺激策をとるという方向性を出すべきだ」と述べました。
クルーグマン氏とは
ポール・クルーグマン氏は、ニューヨーク市立大学教授の63歳。1982年から83年にかけて、レーガン政権で大統領経済諮問委員会の委員を務めました。国際経済学やマクロ経済学などの研究の第一人者で、2008年にノーベル経済学賞を受賞しました。
クルーグマン氏は3年前、NHKのインタビューで、アベノミクスについて、「正しい政策をとろうとしている。日本はやらなければならないことにようやく着手した」などと話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160322/k10010452541000.html?utm_int=news_contents_news-main_004
それはともかく、内閣の答弁書の内容が、「警察庁としては、現在においても共産党の『いわゆる敵の出方論』に立った『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」と、『いわゆる敵の出方論』を持ち出したのは笑える。
『敵の出方論』に関する共産党の説明そのものがトンチキなのだが、『いわゆる敵の出方論』は、共産党主力の政治勢力が総選挙で多数派を形成したとしても、既存の統治機構がそれを認めず、警察や自衛隊などの“手の内”にある実力装置を行使して阻止する事態に対応する考え方で、共産党側になんら問題はない。
問題なのは、「トランプ騒動」でも垣間見えるが、自分たちが気に入らない勢力が勢力を伸張すると“民主主義の危機”と言い募り、それを潰すことを正当化するような動きである。
『いわゆる敵の出方論』が現実化したとき非があるのは、共産党ではなく、民主政の手続きを経て多数派になった政治勢力を認めず、彼らが権力を掌握することを暴力的に阻止しようとする政治勢力の側である。
このような反論を行わず、「破壊活動防止法の対象になるようなことは、過去にも、現在にも、将来にも一切ない」とウソをついて(共産党は、戦後、分派状況とは言え暴力革命を志向した時期もある)乗り切ろうとする共産党に権力をとる力量はない。
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「共産党は今も破壊活動防止法の調査対象」答弁書決定[NHK]
3月22日 15時04分
政府は22日の閣議で、共産党について、現在も破壊活動防止法に基づく調査対象団体であるなどとした答弁書を決定しました。
この答弁書は、無所属の鈴木貴子衆議院議員が提出した質問主意書に対するものです。
それによりますと、昭和57年4月、当時の公安調査庁長官が参議院法務委員会で、共産党が破壊活動防止法に基づく調査対象団体の1つだと答弁したことに触れたうえで、「現在においても破壊活動防止法に基づく調査対象団体である」としています。
そのうえで、「警察庁としては、現在においても共産党の『いわゆる敵の出方論』に立った『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している。政府としては、共産党が昭和20年8月15日以降、日本国内において暴力主義的破壊活動を行った疑いがあるものと認識している」としています。
「不当な侵害 厳重に抗議」
共産党の山下書記局長は記者会見で、「私たちは、日本の政治社会の変革については、言論や選挙を通じて、国民と共に一歩一歩、進歩させ前進させるという立場に立っており、破壊活動防止法の対象になるようなことは、過去にも、現在にも、将来にも一切ない」と述べました。そのうえで、山下氏は「憲法上の結社の自由に対する不当な侵害であり、改めて厳重に抗議し、答弁書の撤回を求めたい。公安調査庁は、存在意義のない行政機関になっており、速やかに解散すべきだ」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160322/k10010451881000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001
それは、ベルギーの法律では緊急事態でない限り夜間の家宅捜索はできないため、サラ・アブデスラム容疑者がいると思われる部屋に警察官が入れず、翌朝になったら既に逃げられていたという“事件”である。
サラ・アブデスラム容疑者ほどの最重要人物を標的にした捜索なら、たとえ法の制限で部屋に踏み込めないとしても、出入り口を封鎖・監視して逃げられないようにするというのは小学生でも思いつく対処法であろう。
それを、リベラル主義者っぽく、ベルギーでは夜間の家宅捜索はできないので逃げられてしまったと言い訳するような公安組織にテロ対応力はないと言える。
今のところ、今回の空港や地下鉄の爆破事件がどういう性格かはっきりしないが、トルコで頻発している「爆破テロ」と似ている印象を抱いている。
11月の「パリ偽テロ」以降のブリュッセル“厳戒態勢”を考えれば、そのようななかでも空港や地下鉄で「爆破テロ」を敢行されたということは、いつでも好きなようにテロを実行されることを意味している。
※ 3,4日前にあったサラ・アブデスラム容疑者の逮捕劇でも、自動小銃で武装した警察官5、6名で“狭い”出口を監視している状況で、なぜかサラ・アブデスラム容疑者がスルリと出てきて、結果銃撃されるという異様な経緯を見せている(弾は壁に当たったが本人に当たったか不明)。
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ベルギー連続テロ “IS戦闘員が実行”[NHK]
3月23日 1時18分
ベルギーの首都ブリュッセル近郊にある国際空港と市内の地下鉄で起きた連続テロ事件で、過激派組織IS=イスラミックステートにつながりのある「アマーク通信」は、ISの戦闘員が実行したものだと伝えました。
ベルギーでは22日の朝、首都ブリュッセル近郊の国際空港で爆発が起きたのに続き、市内中心部のEU=ヨーロッパ連合の本部近くにある地下鉄のマルベーク駅でも爆発が起き、ベルギー政府はテロ事件だとみて捜査を進めています。
ベルギーの公共放送は、一連のテロ事件で34人が死亡したと伝えています。また、政府の危機対策センターは、死亡が確認されたのは、これまでに空港と地下鉄で合わせておよそ30人だと発表しました。またけが人は2か所で合わせておよそ230人に上るとしています。
この事件について、過激派組織ISにつながりのある「アマーク通信」は、「ISの戦闘員が22日、ベルギーの首都ブリュッセルにある空港と中心部にある地下鉄の駅を狙って、自爆ベルトと爆発物を用いて複数回の爆発を起こした」と伝えました。そして、「戦闘員数人が空港で銃撃を行ったあと、自爆ベルトを用いて爆発を起こした。地下鉄の駅でも同様に自爆ベルトを用いて爆発を起こした。230人以上の死傷者が出た」と伝えています。
※オリジナル投稿先
「ベルギー連続テロ “IS戦闘員が実行”:本当ならベルギーの公安組織は無能、サラ・アブデスラム逮捕で見せた茶番劇」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/368.html
栃木県の旧今市市、今の日光市で小学1年生の女の子が連れ去られて殺害された事件の裁判員裁判で、検察は「被告の自白の内容は具体的で高い信用性があり、幼い命を情け容赦なく奪った犯行は残虐極まりない」として無期懲役を求刑しました。一方、弁護側は「自白の内容には矛盾があり、信用できない」と述べ、改めて無罪を主張しました。
平成17年、小学1年生だった吉田有希ちゃん(当時7)を殺害した罪などに問われている勝又拓哉被告(33)は、逮捕・起訴の段階で殺害を認めていましたが、裁判では無罪を主張しています。
22日の裁判で、検察は争点となっている自白の信用性について「被告の自白の内容は犯人でなければ到底話せない内容で、具体的で迫真性があり、高い信用性がある」と主張しました。そのうえで、「幼い女の子の命を情け容赦なく奪った犯行は残虐極まりなく、極めて強い殺意があった。被告はいったん自白したあと否認に転じ、不合理な弁解に終始しており、反省の態度が全くない」として無期懲役を求刑しました。
また、有希ちゃんの父親と祖母は、代理人が代読する形で「被告は不合理な弁解や保身に徹し、反省や謝罪がない。更生は困難で、罪を背負い続けることを望み、無期懲役が相当」とする意見を述べました。
一方、弁護側は最終弁論で、「検察側の証拠は自白を除くと、ないに等しい。現場や刺し傷などの遺体の状況と自白の内容には矛盾があり、自白は信用できない」などと述べ、改めて無罪を主張しました。そして、勝又被告は「私は吉田有希ちゃんを殺していません」と述べ、最後に泣きながら「ここまで弁護してくれてありがとうございます」と弁護士に頭を下げました。
裁判は22日で審理を終え、判決は今月31日に言い渡される予定です。
【北京=大越匡洋】中国国家統計局が18日発表した2月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月に比べ上昇したのは47都市と、1月より9つ増えた。多くの地方都市が売れ残った在庫の山にあえぐなか、広東省深圳や上海など一部の大都市の価格は急上昇が目立つ。借入金で膨らんだ投資資金が集中しているためで、「局所バブル」の様相を見せている。
「住宅価格は二極化が大きい」。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は12日の記者会見でこう指摘した。前月と比べ新築価格が上昇した都市数は拡大したが、1年前との比較では「二極化」が鮮明だ。主要70都市のうち、2月の新築価格が前年同月比で上昇したのは32都市。これに対し、下落は37都市だった。
特に値上がりが顕著なのは、深圳、上海など「一線都市」と呼ばれる大都市だ。深圳の新築価格は2月までの1年間で57.8%上昇した。上海は25.1%、北京は14.2%、広東省広州は11.9%の値上がりだった。
中国の住宅市場は2014年から販売不振に陥り、全国的な住宅価格の下落が景気を下押しした。人民銀は14年秋から利下げなど相次ぐ金融緩和で景気下支えに動いたが、あふれたマネーは、人口流入が続き、住宅の値下がりリスクが小さいと信じられている上海など大都市に流れ込んだ。
問題は、バブルの懸念が色濃いことだ。銀行から住宅ローンを借りる際、頭金まで不動産会社などが融資する「首付貸」という仕組みが広がり、局所的に住宅投資が過熱した。この融資の規模はすでに1兆元(約17兆円)に上るとされる。
近親者らに住宅を高値で売ったようにみせかけ、借り入れた住宅ローンを別の投資に回す行為もあるという。昨春から夏の中国の株価の急上昇と急落は、借り入れをテコに膨らんだ投機的な資金の動きが背景にあった。株式バブルがはじけ、行き場を失ったマネーが大都市の住宅バブルを再燃させようとしている。
一方、大部分の地方都市では売れ残った住宅在庫が重荷だ。2月末時点で全国の不動産在庫面積は7億4千万平方メートル近くに達し、2年間で4割増えた。人民銀の潘功勝副総裁は「在庫の70%が地方都市にある」という。
人民銀は「首付貸」の規制を強化する構えで、深圳や上海などの当局も実態調査に乗り出した。その一方で、習近平指導部は景気浮揚へ「在庫圧縮」を重視しており、人民銀は地方都市を対象に住宅ローン規制を緩めている。
ブレーキとアクセルを同時に踏むような際どい政策運営が続く。
[日経新聞3月19日朝刊P.7]
【モスクワ=田中孝幸】ウクライナの親欧米政権の苦境は深まっている。クリミア危機に続く東部紛争では地域の3分の1を親ロシア派武装勢力の支配下に置かれ、支持率は低迷。経済情勢が急速に悪化する中、国内政局の混乱も続き、後ろ盾だった欧米諸国も不満を強めている。
ポロシェンコ大統領は17日、ブリュッセルでドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領と会談。独仏首脳は当面の対ロ制裁の継続とクリミア編入を認めない立場を確認した。
ポロシェンコ氏の今回の外遊は「欧州に見放され、対ロ融和論が広がることへの危機感の表れ」(欧州外交筋)と受け止められている。政権内の内紛を背景に、欧米が支援の条件とした構造改革は停滞。欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は3日、ウクライナが目指すEU加盟は「20〜25年は無理」と語っていた。
政府推計によると15年の同国の実質経済成長率は前年比でマイナス12%に落ち込み、インフレは年率43.3%に悪化した。EU内ではウクライナよりもロシアとの経済関係を重視する意見も少なくない。イタリアとギリシャのエネルギー企業は2月下旬、ロシア国営ガスプロムと天然ガスの新パイプライン建設に向けた覚書を調印した。
[日経新聞3月19日朝刊P.7]
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ロシア、クリミア編入2年の代償 制裁響き経済低迷 プーチン氏、現地視察
【モスクワ=田中孝幸】ロシアが武力を背景にウクライナ南部・クリミア半島の編入を一方的に宣言してから18日で2年がたった。武力による現状変更を非難する欧米は対ロ制裁に踏み切ったが、支持率を急上昇させたプーチン政権はウクライナ東部への介入にも踏み切り、愛国主義路線を加速させた。ただ、制裁下でロシア経済は低迷を深め、生活水準は悪化。市民に編入のコストが重くのしかかっている。
「交通インフラを整えなければならない」。18日、プーチン大統領はクリミア半島とロシア本土をつなぐ橋の建設現場を視察。ロシアの実効支配を誇示した。モスクワなど全国各地ではクリミア編入を記念する大規模な集会が開かれた。
プーチン大統領の支持率は編入を機に20ポイント程度上昇し、現在も8割台を維持している。編入の正当性を否定する声はロシア国内ではほとんど聞かれない。反体制派の急先鋒(せんぽう)である野党指導者のアレクセイ・ナワリニー氏ですらウクライナへの返還に否定的な立場を示している。
ロシア政府は政権の愛国主義の象徴となったクリミアのインフラ整備に重点投資する方針。2015〜20年の6年間に6580億ルーブル(約1兆円)を充てる振興計画をまとめた。年金など社会保障費も含めると政府の半島向けの支出は年2千億ルーブルを超えるとの試算もある。
連邦統計庁によると半島住民の15年下半期の実質平均給与は前年同期比で1割程度増加した。とはいえ、国際的には孤立を深め、外資系企業の大半は撤退。15年の直接投資も前年比で約1割減少した。
クリミアはロシアと地理的に切り離されており、社会インフラの維持のために敵対するウクライナ政府に依存する構造から抜け出せていない。昨年11〜12月にはウクライナ本土からの電気供給が途絶し、約1カ月にわたって半島全域で停電する事態となった。
クリミア危機とウクライナ東部への軍事介入を受けた欧米の対ロ制裁はロシア経済の大きな足かせとなっている。15年の実質経済成長率はマイナス3.7%に落ち込んだ。クドリン前財務相の試算によると、制裁は成長率を1.5%下押しする効果をもたらしている。
主要輸出品の原油の価格下落もあり、市民の生活水準は悪化している。政府統計によると15年の実質の平均所得は約4%減少。貧困層はこの1年で約200万人増え、人口の約13%に達した。財政難で今年は年金支給額は実質ベースで減少する見通しだ。
経済低迷を背景に、政府への抗議行動も増えつつある。昨年11〜12月にはモスクワ近郊やロシア南部、極東など全国各地で大型トラックへの増税に抗議する運転手たちの大規模デモが頻発した。
クリミア半島に巨額の資金投入が続くことへの市民の不満も根強い。独立系調査機関レバダセンターの2月調査によると「編入がロシアに恩恵をもたらした」とする回答は全体の62%で、昨年3月に比べて8ポイント減った。
経済的に恩恵を受けているクリミア半島でも新たにロシア国籍を得た住民の多くが西側への旅行や将来の移住のためにウクライナのパスポートを持ち続けているという。
[日経新聞3月19日朝刊P.7]
核燃料再処理事業からの撤退を求めた発言が真意だとすれば、米国支配層は、日本に原発稼働の継続を求める一方で核燃料再処理事業は断念させたいと考えていることになる。
3.11事故後の5月に突然、米国政権の要望に従い菅首相(当時)の鶴の一声で浜岡原発が停止させられたように、悲しいことだが、日本政府の原発政策は、国民世論より米国支配層の意向のほうに強く影響される。
※浜岡原発停止にまつわる参照投稿
「『Occupied Japan』の現在:原発をめぐる希望と悪夢」
http://www.asyura2.com/11/genpatu10/msg/815.html
※ 関連記事
「日本、米国に核爆弾50発分のプルトニウムを返却」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/351.html
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米、日中の核再処理政策に懸念
【ワシントン=川合智之】カントリーマン米国務次官補は17日の上院外交委員会の公聴会で日本や中国が進める核燃料再処理政策に対し「全ての国が再処理事業から撤退すれば非常に喜ばしい」と懸念を示した。安倍晋三首相ら各国首脳を招いて3月31日から開く核安全保障サミットを前に異例の注文をつけた。
[日経新聞3月19日朝刊P.7]
「プルトニウム返還」作戦と同時期に核燃料再処理事業からの撤退を求めるような発言が出たことは、米国支配層の対日核政策が大きく変わったことを示唆している。
日本の核武装を容認しないという立場を改めて国際的に明確にするとともに、日本が核武装に動く物理的条件も出来るだけなくしておきたいという考えだろう。
とんでもない話だが、日本の原発政策は、国民世論よりも米国支配層の意向に左右される。日本に再処理事業からの撤退を求める発言が真意なら、「もんじゅ」も六ヶ所村核燃料再処理施設も消え去ることになるだろう。
※オリジナル投稿先
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
中国政治や国際関係を専門とする中国人の趙宏偉・法政大教授(61)が先月下旬から中国を訪れたまま帰国予定日を2週間以上過ぎても日本に戻らず、連絡を取れない状態が続いていることが18日、法政大への取材で分かった。趙氏は出張で訪中すると大学に届け出ており、中国当局が趙氏の学術調査に絡み事情を聴いている可能性がある。
法政大広報課によると、趙氏は2月27日から3月1日までの予定で北京を訪問すると大学に届け出。趙氏の家族から2日「帰国予定日を過ぎても戻ってこない」と大学に連絡があった。その後、家族から大学に対し、2日と3日に趙氏本人と電話で話をしたとの報告があったが、本人との間で交わされた話の内容は不明。それ以降、家族が趙氏と連絡を取れたとの情報はないという。
(共同)
[日経新聞3月19日朝刊P.7]
【シエムレアプ(カンボジア)=AFP時事】カンボジアの世界遺産アンコールワット遺跡近くに北朝鮮が運営する「アンコール・パノラマ博物館」が昨年12月に開館し、両国の親密な関係を示すものとなっている。専門家は資金稼ぎの一環であると同時に、北朝鮮のイメージアップを狙ったものだと指摘している。博物館はアンコールワット遺跡に関連した内容を扱う。目玉は、11〜13世紀に隆盛を誇ったクメール帝国の戦いの様子を描いた360度の巨大パノラマ絵画。北朝鮮は今後10年間にわたり博物館の収益を得て、その後段階的に博物館はカンボジア側の所有となる。
〔時事〕
[日経新聞3月19日朝刊P.7]
当該記事は、日米関係のみならず原発政策にも大きく関わる極めて重要な情報なのに、日経新聞では見逃してしまいそうなくらい小さな扱いでしかない。
北朝鮮の核兵器開発が大騒動になっているなかで進められた「プルトニウム返還」作戦と同時期に日本に核燃料再処理事業撤退を求めるような発言は、米国支配層の対日核政策が大きく変わったことを示唆していると思う。
米国支配層は、今後も日本の核武装を容認しないという立場を明確にするとともに、日本が短日月で核武装できるような物理的条件を出来るだけ減らしておきたいと考えているのだろう。
悲しくとんでもない話だが、日本の原発政策は、国民世論よりも米国支配層の意向に左右される。
結果オーライだが、日本に再処理事業からの撤退を求める発言が真意なら、「もんじゅ」も六ヶ所村核燃料再処理施設も消え去ることになる。
※オリジナル投稿先
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
※関連参照投稿
「制裁は役に立たないが、なぜそれが米国に必要か?:日朝平壌宣言と六者会合共同声明は今なお有効と国会で確認した安倍首相」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/889.html
「日本、米国に核爆弾50発分のプルトニウムを返却」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/351.html
ドル安の加速でマネーの流れが急変している。米利上げ観測の後退で、ドルの総合的な実力を示す実効為替レートは4カ月半ぶりの水準に下がった。ドル建てで取引する米国原油は1バレル40ドル超と3カ月半ぶりの高値となった。株式市場ではロシアなど資源国に資金が戻る一方、通貨高の日本などで売り圧力が強まるなど二極化が鮮明だ。
ドル実効レートが下がり始めたのは1月下旬。米国で生産や小売りの指標が悪化、米連邦公開市場委員会(FOMC)が昨年12月に「年4回」と示した利上げ回数が減るとの観測が市場で広がったのがきっかけだ。
加えて今月16日のFOMC後に利上げ回数の見通しを「年2回」に減らしたことが利上げ後退観測を裏付けた形となり、実効レートは16日から2日間で2%下がった。
ドルは対円でも下落。17日に1年4カ月ぶりのドル安水準となる1ドル=110円67銭を付けた。JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉為替調査部長は「一段の円高警戒からドル売り・円買いが進めば1ドル=110円を突破する可能性がある」と指摘。6月末で109円、年末に103円まで円高が進むとみる。
ドル安の進行を受け、原油価格の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は18日の取引で一時1バレル41ドル台まで上昇した。産油国が4月に計画する原油の増産凍結に向けた協議や中国が財政出動に前向きな姿勢を示したのも支援材料だが一番の押し上げ材料はドル安だという。資源高が追い風となるロシアや南アフリカの株価は先週末から17日までで3%強上昇した。
半面、円高で日本株はさえない。18日の東京株式市場で日経平均株価は前日比211円安の1万6724円と4日続落、週間で1%強の下落となった。大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジストは「企業業績に影を落とすとの懸念がある」とみる。
[日経新聞3月19日朝刊P.3]
貧困な子どもの割合が増大しています。政府は、『国民生活基礎調査』に基づいて計算した「子どもの貧困率」の数値を、3年毎に公表していますが、喫緊の2012年の数値は16.3%に達しました。
私も独自に、総務省の『就業構造基本調査』と厚生労働省の『被保護者調査』を使って、計算してみました。私は、「子どもの貧困率」を、18歳未満の子どものいる世帯のうち、生活保護基準以下の収入しかない世帯の割合として、計算しました。その結果、1992年から2012年の20年間で、18歳未満の子どものいる貧困世帯数は70万世帯から146万世帯へ、子どもの貧困率は5.4%から13.8%に急増していました。
この数値を都道府県別で見ますと、概して関西から西の地域と、東北から北の地域で、恒常的に高くなっています。具体的に2012年の「子どもの貧困率」は、高い順に沖縄(37.5%)、大阪(21.8%)、鹿児島(20.6%)、福岡(19.9%)、北海道(19.7%)と続いています。
子どもの貧困率急増の原因は何なのでしょうか。主な原因は労働条件の悪化にあると考えています。実際、子育て世帯の多くは就労世帯でもあり、親の就労条件の悪化は子どもの生活状況に直接影響を与えます。私は、都道府県別に「ワーキングプア率」についても調べてみました。ここでいうワーキングプア率とは、収入の多くを働いて稼いでいる世帯のうち、生活保護基準以下の収入しかない世帯の割合のことです。ワーキングプア世帯は1992年の133万世帯から2012年には320万世帯へ、ワーキングプア率は同じ期間に4.0%から9.7%に増大しています。重要なことは、ワーキングプア率が高い都道府県は、子どもの貧困率も高くなっていることです。
さらに注目したいことは、この20年の間に、貧困の地域間格差が縮小しているという事実です。地域間格差が縮小しているということは、どういうことでしょうか。私は、子どもの貧困率が高かった上位10の地域の合計貧困率と、子どもの貧困率が低かった下位10の地域の合計貧困率の格差についても計算しました。その結果、上位10と下位10の地域の子どもの貧困率の格差は、1992年は5.37倍もありましたが、その格差は徐々に縮まっていき、20年後の2012年には2.35倍に縮小していました。なぜ縮小したのでしょうか。それは、上位10の地域の合計貧困率も増大しているのですが、下位10の地域の合計貧困率がそれを上回る高さで増大しているからです。そのため、格差縮小と言っても歓迎すべきもので全くなく、その実は、貧困率の高位平準化が進んでいるのです。
同じことはワーキングプア率の地域間格差でも見られることです。ワーキングプア率の上位10の地域と下位10の地域の格差も、この20年間に、4.34倍から2.06倍に縮小しています。縮小した理由は、子どもの貧困率と同じように、高位平準化によって、全体的にワーキングプア率が高まる中で、下位10の地域のワーキングプア率の上昇が大きいために格差の縮小が起きているのです。
このように見てみると、現在でも貧困率の高い地域と貧困率の低い地域は存在していますが、その差は徐々に悪い方向で縮小してきていることが分かります。これは何を意味するかというと、もはや貧困は、特定の地域に固有の問題ではなくなってきていて、全国一般の問題、全国どこにでも見られる問題に深刻化してきているということです。その原因として、全国的にワーキングプアの仕事が拡散・増大してきていることが指摘できます。
それでは、こうした状況の中で求められる貧困対策とは、どのようなものでしょうか。各地域レベルでの努力によって貧困の解消を図ることはもちろん大切です。また、貧困が全国一般の問題となっていることを考えると、地域の努力と平行して、国が率先して貧困の削減を進めることが重要になっています。
それでは、貧困対策として国が行うべきことは何でしょうか。これは、子どもの貧困率の高さとワーキングプア率の高さが関係していることからして、ワーキングプアの仕事をなくしていく政策が必要です。具体的には、労働者の4割にも達した非正規労働者の活用を規制しなければいけません。あるいは、最低賃金の金額を最低でも時給1500円以上に抜本的に引き上げる対策が求められます。
自治体レベルでも行えるワーキングプアを削減する方法としては、役所において非正規職員の数を減らし、正規職員に置き換えていく施策が挙げられます。また、現在では多くの自治体が仕事を民間に委託していますが、この民間委託の際にワーキングプアが生み出されることが問題になっています。競争入札で一番安い見積額を提示した会社が、自治体の仕事を落札することになれば、その会社は人件費を削り、安い労働力を使って、請け負った仕事をこなそうとします。そうさせないために、見積金額だけではなく、正社員数の多さや、賃金の高さなどを業者選定の評価項目に加えていくことが必要です。さらに進んで、仕事を請け負う会社には、社員に一定額以上の賃金を支払うことを義務づけた公契約条例を制定する自治体も徐々にですが、広がってきています。
2014年1月に子どもの貧困対策法が施行されて、自治体では子どもの貧困対策の施策策定と実施が義務づけられました。「隗より始めよ」という言葉がありますが、子どもの貧困対策に自治体が取り組むのであれば、まず、自らが「官製ワーキングプア」を作り出していないか点検し、作り出しているのであれば、早急にその見直しに着手することが必要です。
子どもの貧困とワーキングプアとの関連について述べてきましたが、貧困問題の解決は、たとえ今現在、安定した正規の仕事に就いていて、貧困とは無縁に見える人々にとっても大いに関係している事柄です。それというのも、ワーキングプアの増大は、そうした人々の生活保障をも脅かすからです。どういうことでしょうか。ワーキングプアの存在は、労働市場において正社員の働き方を引き下げる錘の役割を果たします。ワーキングプアの活用が広がることは、そのコスト面と競争させられることによって正社員の労働条件を低下させるのです。賃金の引き下げや、さらなる長時間労働が正社員に負わされます。長時間労働の広がりは、労働市場において働く機会の縮小をもたらすので、そのことがワーキングプアの増大に拍車をかけます。つまり、正社員の労働条件の悪化とワーキングプアの増大は相互促進的な関係にあるのです。そうであれば、ワーキングプアの解消を図ることは、ワーキングプアの生活を強いられている人々だけでなく、正社員として働く人々にとっても大いに求められることです。
最後に、子どもの貧困問題の解消には、労働条件の改善だけではなく、生活保護制度の拡充、児童手当の増額、医療費の窓口負担の無料化、働きつつ子育てができるように保育所の増設など、社会保障制度による対策も当然必要になってきます。今こそ当事者の運動やその他の市民運動、労働運動等が連帯して、貧困削減のために大きなうねりを起こす必要があります。
『五体不満足』の著作で知られ、参院選出馬が注目される乙武洋匡(ひろただ)氏(39)の不倫を「週刊新潮」3月24日発売号が報じている。
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昨年末、乙武氏は20代後半の女性と共にチュニジア、パリを旅行した。「ダミー」として、男性1人も同行させていたという。
乙武氏には2001年に結婚した妻がおり、現在、8歳の長男、5歳の次男、1歳の長女を持つ身。教諭の経験があり、都の教育委員も務めた“教育者”の不貞行為ということになる。
都内の自宅マンションを出てきた本人に取材を試みたところ、否定し、事務所スタッフが運転する車に乗り去った。その後、改めての取材申し込みに応じ、
「肉体関係もあります。不倫と認識していただいて構いません」「彼女とは3、4年前からのお付き合いになります」
と不倫を認め、さらに“これまでの結婚生活で5人の女性と不倫した”と告白した。
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「週刊新潮」3月24日発売号では、より詳細に乙武氏の「自供」を掲載。関係者の証言を交え、世間に知られた「爽やか乙武クン」とはかけ離れた一面を、5ページに亘って特集する。
「週刊新潮」2016年3月31日号 掲載
新潮社
最終更新:3月23日(水)17時28分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160323-00506816-shincho-soci
日銀は18日、国債を担保に一定期間資金を貸し出す「国債買い現先オペ(公開市場操作)」を実施した。期間は22〜23日で、同オペの実施は2011年3月30日以来ほぼ5年ぶり。22日には政府が国債を大量に発行するため、短期市場で資金が偏在しやすく、一部の証券会社などが資金を取りにくくなる恐れがある。日銀は短期金利の上昇を防ぐため、先手を打って同オペに踏み切った。
買い現先オペでは、金融機関が日銀に希望金利を提示し、高い順に資金を借りることができる。18日に実施したオペの平均落札金利はマイナス0.12%で、市場での同様の取引のマイナス0.079%より低かった。
5000億円の予定額に対して6518億円の応札があり、3848億円を落札した。日銀は市場金利を大きく下回るとの理由で、マイナス0.3%以下の提示だった2670億円分は落札しなかった。
[日経新聞3月19日朝刊P.19]
中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)の勢いが止まらない。主力のスマートフォン(スマホ)向け対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の利用者数は2015年末時点で中国全人口の過半の7億人に迫り、15年12月期も最高益を更新した。もっとも微信は単なる利用者の「誘導口」。ゲームを軸にタクシー配車や動画配信などの有料サービスで収益を上げる。対話アプリの枠を超えたスマホ経済圏づくりを主導してさらなる成長を目指す。
「微信が無いと、もう僕は生きられません」。広東省広州の小売店で販売員を務める陳阡陌さん(22)はこう言い切る。陳さんのスマホの中にある対話アプリ「微信」には現在363人の友人が登録されている。それを使って友人らと日本で普及する対話アプリ「LINE」と同じ感覚で会話を楽しんでいる。
中国で11年に提供を始めた微信はすぐにメッセージを送れる手軽さで、国土の広い中国の若者の心をつかんだ。
1998年に改革開放の先進地として知られる広東省深圳で創業したテンセント。スマホ向けの微信につながるサービスとして、同社の知名度を先に高めたのがパソコン向けの「QQ」と名付けた交流サイト(SNS)だ。パソコン上でチャットを楽しめるのが受けて利用者が急増。そのユーザーにゲームを提供して成長の足がかりをつかんだ。
スマホ時代をにらんで開発したのが微信。無料でアプリを提供する代わりに、微信を介した有料サービスで利益を上げるビジネスモデルだ。最大の稼ぎ頭はゲーム。内部関係者は顧客ターゲットは「平均月収3000元(5万円強)の男性。平均年齢は20〜25歳」と明かす。微信利用者の約半分はゲームユーザーで「毎月平均200元(3000円強)を確実に消費する」からテンセントの収益基盤も固い。
そんなテンセントは米マイクロソフトやソニーにも勝る世界最大のゲーム会社という顔を持つ。ゲームだけで全売上高の過半を占め、年間約1兆円を稼ぎ出す。
サービスの幅も広げる。独自の決済サービスを確立し、スマホの微信の画面上から生活に欠かせない様々なサービスを提供する。それも自前というわけではない。ネットサービスを手掛ける中国企業に次々に出資。15年だけでも80社近くに資金を投じた。経営トップの馬化騰・最高経営責任者(CEO)は「出資に徹する」と自前主義にこだわらない姿勢を見せる。
時価総額がともに20兆円を超え、中国国内でライバルと目されるのが電子商取引のアリババ集団だ。だが、馬CEOは「ライバルと思っていない」と意に介さない。
アリババはオンライン決済「支付宝(アリペイ)」という決済サービスを手掛けながら、ネット通販事業で成長してきた。一方のテンセントは微信などSNSを基盤に利用者を呼び込む。
SNSの最大の強みは友達との会話のために、頻繁にスマホやパソコンに触れることにある。接触回数が増える分、有料サービスを利用する確率も上がる。ネット通販サイトを「入り口」とするアリババとの最大の違いはここにある。
馬CEOは海外展開にも興味を示さない。世界では米フェイスブック傘下の「ワッツアップ」など対話アプリの競合がひしめくが、中国ならネット業界に対する外資規制が厳しく、世界のSNSサイト大手も参入を果たせていない。あえて海外に踏み出さなくても国内でほぼ独占する対話アプリ市場で既存の微信ユーザーに新サービスを提供する方が事業効率上、得策と判断している。
微信を入り口にしながら、今後も多種多様なスマホサービスで中国中を覆い尽くす――。これぞテンセントがつくる新世界、テンセント・ワールドだ。
「Asia300」は中国・香港、韓国、台湾、インド、東南アジアの上場企業から、時価総額や成長性などに基づき選びました。
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馬CEO、技術に妥協なし
騰訊控股(テンセント)の馬化騰最高経営責任者(CEO、44)は多くの華僑・華人を輩出してきた広東省東部の貧しい街で生まれた。この地域の出身者には香港の複合企業、長江和記実業(CKハチソンホールディングス)を率いる華人最大の富豪、李嘉誠氏(87)もいるが、馬氏はその李氏に次ぐ成功者といわれる。
表に出て目立つことが大嫌いだ。ライバルと目されるアリババ集団の馬雲(ジャック・マー)会長(51)がメディアに度々登場するのとは対照的。自らの会社は「技術の会社」と言い切る。営業のアリババ、技術のテンセントといわれるゆえんだ。
そんなテンセントの馬氏のことを、ある経営幹部は「彼は良い意味での二重人格者」と評する。社内会議では皆で談笑し、会議中でも周囲にタバコを配って回る気遣いを見せる馬氏だが、幹部が新製品の技術的説明が滞った途端、「突然顔を赤らめて怒り出した」。技術に妥協を許さない馬氏を物語るエピソードだ。
だがその実直さに社員の多くが慕う。好業績にも裏付けされ、馬氏に対する経営手腕の社内外の信頼は今や絶大だ。
香港=中村裕
[日経新聞3月19日朝刊P.9]
【上海=小高航】中国で金融機関の不良債権が急増している。2015年末の残高は1兆2744億元(約22兆円)と2年間で倍に膨らんだ。景気減速で、鉄鋼やセメント産業向けの融資が大量にこげ付いている。政府は不採算なのに生き残る「ゾンビ企業」の整理を急ぐ方針だ。銀行融資の圧縮で企業の投資や雇用が細れば、景気をさらに下押ししかねない。
中国の銀行業監督管理委員会(銀監会)によると、13年末に5900億元だった銀行の不良債権残高は14年末に4割増の8400億元になり、15年末にはさらに5割増えた。総与信額に占める不良債権の比率も13年末の1%から15年末に1.67%に上昇した。
不良債権比率は15年3月末に約1.2%だった日本の大手銀に比べやや高い程度で、すぐに銀行経営が揺らぐ水準ではない。ただ、貸出債権を不良債権に分類するかどうかは経営陣や監督当局の裁量に左右されやすく、「中国の銀行が抱える実際の不良債権はもっと多い」との見方が根強い。
不良債権が増えた背景には、融資先企業の財務の悪化がある。例えばセメント産業では主要企業の経常利益の合計額は15年に前年比で半減した。中国国内の需要を5割上回る過剰な生産能力を抱え、賃金や電気代を払えず休眠状態に陥る企業も少なくない。
ネット通販が好調なアリババ集団(浙江省)や海外旅行の需要を取り込む春秋航空(上海市)など、サービス業を中心に業績を伸ばす企業もある。その一方で、鉄鋼や造船、板ガラスなどはセメントと同様に軒並み財務が悪化している。こうした重厚長大型の企業に向けた融資の一部が不良債権と化している。
中国では赤字続きでも地方政府から補助金などを受け取り、事業を続けている企業が目立つ。李克強首相は構造改革を進めるために、こうした「ゾンビ企業」の淘汰を訴えている。重慶市や広東省はすでに不採算企業を大規模に整理、淘汰する方針を打ち出した。
今年2月には上場する国有造船大手として初めて、江蘇舜天船舶(江蘇省)が企業破産法の適用を受けた。不採算企業に対する政府の姿勢は「救済」から「淘汰」に転換しており、それに伴って破綻懸念先に分類される企業が増えれば銀行の不良債権残高は増える可能性が高い。
李首相は全国人民代表大会(全人代)が閉幕した16日の記者会見で金融機関の不良債権増加について、自己資本や引き当ては十分だとして「リスクを制御する能力がある」と強調した。
ただ、金融機関が企業への融資を絞り込めば、企業の投資や雇用など経済活動のさらなる停滞を招く恐れがある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H3A_T20C16A3FF1000/?dg=1
日本製紙や京都大学は、植物由来素材のセルロースナノファイバー(CNF)を従来の10分の1程度のコストで量産できる技術を開発した。原料の木材パルプに特殊な化学処理を施すなどして生産効率を高める。日本製紙は2020年度をメドに商業生産を始める。軽くて強いCNFは自動車部品など多様な分野での利用が期待されている。生産コストが大きく下がれば、普及に弾みがつきそうだ。
CNFは紙の原料であるパルプを細かく解きほぐして微細化した材料。鋼鉄の5倍の強度を持ちながら、重さは5分の1とされる。樹脂に混ぜ合わせて自動車部品などに使えば軽量化につながるため、製紙各社が開発・生産に力を入れている。
京大の矢野浩之教授らが開発した新製法は、パルプをシート状態にした後に、特殊な化学処理を施す。このシートを細かくして樹脂と混ぜ合わせると、その過程でパルプ繊維がナノ(ナノは10億分の1)レベルに微細化して樹脂の中に入り込んで製品になる。
現在の製法では原料のパルプをいったんナノレベルに加工してCNFを作る。生産コストは1キログラムあたり5000円程度だ。さらに、自動車部品に使う際には混ぜ合わせる樹脂との相性を良くするために追加で化学処理を施す必要がある。最終的なコストは1キログラムで1万円程度になっている。
新製法では樹脂のコストを除いた状態で1000円程度で量産できると見る。30年度には300円まで引き下げる目標も掲げる。自動車部品に使われる炭素繊維は3000円程度とされており、これまではコスト面で不利だった。
京大が試験装置を学内に設置し、2年かけて商業化に向けた技術を確立する。その後、日本製紙などに技術を移して本格生産する。研究グループには日本製紙のほか、王子ホールディングスと製紙用薬品会社の星光PMCも加わっている。
新製法では、CNFの耐熱性を従来のセ氏200度から230〜240度に高めることもできるという。高い温度で加工する必要があるナイロンといった高機能プラスチックに混ぜることが可能になり、自動車分野で利用がしやすくなる。建築資材などの利用も想定している。
セルロースナノファイバー(CNF)とは
▼セルロースナノファイバー(CNF) 木材パルプなどに含まれる植物繊維をナノ(ナノは10億分の1)レベルまで微細化した新素材。幅は短いもので3〜4ナノメートル。樹脂と混ぜるほか、フィルムに加工したり、工業フィルターに応用したりできる。日本の国土面積の3分の2は森林が占めており、原料も容易に手に入る。「ポスト炭素繊維」として自動車部品や建築資材などへの利用が期待されている。経済産業省はCNF関連市場を2030年に1兆円規模に育てる目標を掲げる。
[日経新聞3月19日朝刊P.15]
【博鰲(ボーアオ、中国海南省)=山田周平】中国とタイ、ベトナムなどメコン川流域5カ国は23日、海南省の三亜で首脳会議を開いた。中国の李克強首相はメコン川流域の開発を促すため、100億ドル(約1兆1300億円)超の融資枠を設ける意向を表明した。「陸のASEAN(東南アジア諸国連合)」と呼ばれる5カ国と関係を強め、南シナ海を巡る争いを優位に進める狙いだ。
会議は李首相が主宰し、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーの首相、副大統領らが出席した。6カ国は会議を踏まえ、メコン川流域諸国の「生産能力での協力に関する共同声明」を発表した。
声明は中国で過剰生産が深刻な素材などをメコン川流域の開発に生かす枠組みをつくることを盛り込んだ。メコン川流域が社会インフラの整備、産業構造の高度化といった課題に直面していると分析。「生産能力での国際協力に重要なチャンスを提供している」と指摘した。
協力分野として発電、送電網、自動車、冶金、建材、交通インフラ、生産設備などを例示した。中国が直接投資、技術協力、生産設備輸出などでメコン川流域の開発を支援することを明記した。
中国主導で設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)を資金調達で使うことを挙げた。さらに、李首相は輸出品の買い手などを対象とした最大100億ドルの融資枠や、インフラ整備のために100億元(約1740億円)を低利で融資する制度の創設を表明した。
6カ国首脳は政治や文化で交流拡大を目指す「三亜宣言」も発表した。ベトナムやタイ、ラオスが現在、深刻な干ばつに直面していることを念頭に、メコン川の水資源の活用を進めることを盛り込んだ。
中国とメコン5カ国の首脳会議は従来、アジア開発銀行(ADB)の主催で3年に1度開かれていた。中国は自国で開く首脳会議に衣替えし、メコン川流域諸国を自らの経済圏にがっちりと組み込む構えだ。
政治的な思惑もある。今回の首脳会議に参加した国は今年のASEAN議長国ラオスやカンボジアなど親中派が多い。陸のASEANを自陣営に取り組み、同じASEAN加盟国でも南シナ海の領有権を巡って激しく対立するフィリピンや、その背後にいる米国をけん制する意図がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM23H8L_T20C16A3FF1000/?dg=1
※参照関連投稿
「辺野古をめぐる国の和解案受け入れ、果たして意味があるのか:問題の先延ばしに大きな意味、状況の変化に期待する他ない従米政府」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/361.html
「福島第一原発の悲劇は原子力発電に終止符を打たなかった:やめると言えない訳は高濃度放射性物質処理問題と米国の存続指示」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/669.html
「だから、高浜原発の稼働を停止させた大津地裁の判断も司法と内閣(政治)のグル」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/741.html
「再婚禁止期間「100日超の部分は憲法違反」:最高裁判事の低劣な法的判断力に愕然:再婚禁止期間の算定に使えない条文を利用」
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/271.html
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[風見鶏]縮む政治と膨らむ司法
日本が近代国家へと歩み始めたのはいつか。江戸幕府の威信が揺らいだという点では、1860年3月の「桜田門外の変」が転機となった。そこから倒幕の動きが加速し、明治維新を経てアジア初の立憲政治の実現につながっていく。
参院議員会館の高層階からの眺めは、往時をしのぶのにもってこいだ。大老の井伊直弼が住んでいた彦根藩邸跡に立つ憲政記念館の時計塔が見え、その先に江戸城に至る道すじと雪の中の暗殺現場となった桜田門が望める。
時計塔の3本の柱は「立法」「行政」「司法」の三権分立を象徴している。昨年夏はその近くを安全保障関連法案に反対する数万人のデモ隊が埋めた。野党は安保法が3月末に施行されても「安倍政権は違憲の法律をごり押しして立憲政治をゆがめている」と厳しく追及する方針だ。
日本は先進民主主義国家に違いないが、最近は三権のバランスはこれで良いのかと疑問に思う機会が増えた。この数カ月だけでも政府首脳や与野党議員が固唾をのんで司法判断を見守るケースが相次いだ。
自民党の閣僚経験者が自嘲気味につぶやく。「家族の形も、選挙制度も、米軍基地移転も、原発再稼働も、国会ではなく裁判所が全部決めている」
昨年12月16日、最高裁は2つの判断を示した。
女性に離婚後6カ月間の再婚禁止期間を設けた民法733条のうち、100日を超える部分は「違憲」。
夫婦は同じ姓を名乗るとする民法750条は「合憲」。選択的別姓制度に合理性がないと断ずるものではないと付言した。
再婚禁止期間は速やかな法改正を求め、夫婦別姓制度では国会で議論して結論を出すよう促した。
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題は少し前進した。今年1月に福岡高裁那覇支部が2つの和解案を示し、国と県が3月4日に合意にこぎ着けた。ただその内容には違和感がある。
【A案】新飛行場を供用開始後30年以内に返還または軍民共用とする交渉を米国と開始。返還後は国営の民間機用空港とする。
【B案】現在の訴訟を取り下げ、国と県は違憲確認訴訟判決まで円満解決に向けた協議を行う。
国と県はB案に沿って和解した。政府内にはA案を評価する声もあった。しかし軍事の抑止力や日米交渉の中身まで裁判所が指示をすべきだとは思えない。
9日、大津地裁は関西電力高浜原発(福井県高浜町)の運転差し止めを命じる仮処分決定をした。原発推進派の自民党議員は「裁判所が個別の発電所の安全審査までやるのか」と不快感をあらわにした。
日本は法治国家だから判決結果に従うのは当然だ。しかし本来は有権者に選ばれた国会議員がもっと処方箋を示し、利害を調整していくべきではないか。
最高裁は「高度に政治的な事案は明白に違憲でない限り、内閣や国会の判断に従うべきだ」との統治行為論の考え方をとってきた。政治が役割を十分に果たさないため、司法の出番が増えているように感じる。
家族の形、衆参選挙での「1票の格差」是正、憲法への自衛隊の明記などは、長い時間があったにもかかわらず見直しが先送りされ続けてきた。今のままでは「国論を二分した状況を放置するより最高裁に決めてもらった方がいい」との声が出かねない。
明治は遠くなり、現憲法も施行から来年で70年となる。日本の立憲政治と三権分立は設計通りに機能しているのか。そろそろ一度点検してみた方がいい。
(編集委員 坂本英二)
[日経新聞3月20日朝刊P.2]
金融政策を議論する会合の時期がそろい、日米欧の中央銀行は常に比べられる存在になった。2016年は市場を手なずけてきた名手たちの守勢が目立つ。
黒田東彦日銀総裁はマイナス金利政策への疑念を払拭しようと反論に躍起。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁はマイナス金利の限界を明言して失望を買った。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は市場混乱の発端となった利上げのペース減速を示唆した。
彼らのいら立ちを映す一言がある。ドラギ氏を補佐するコンスタンシオECB副総裁はこうコメントした。「物価上昇を取り戻すには真に使える政策の総動員による成長の底上げが急務だ。金融政策でないなら、他に何があるのか」
マイナス金利は日欧が陥った低インフレの克服が目的だ。短期から長期まで実質金利を幅広く下げ、経済の体温を上げる。だが効果が表れるまでの間、金融機関は運用難に苦しみかねない。経済効果は極力大きく、金融機関への悪影響は極力小さく。そんな矛盾の構図を市場は見透かす。
不協和音も聞かれる。イングランド銀行のカーニー総裁は日欧のマイナス金利の競演を念頭に「ゼロサムゲームの懸念」を口にした。ユーロ圏からの円安誘導批判に日本の当局は立腹の様子だが、欧州の日本に対する視線は厳しい。
中央銀行の大胆な緩和策は金融危機の進行を止め、市場を安心させてきた。ここへ来て、その道具箱の中身は明らかに乏しくなっている。米コロンビア大のスティグリッツ教授など多くの識者が金融政策の限界を指摘する。
上海で議論した主要20カ国・地域(G20)の財務相は世界経済の腰折れ阻止へ財政出動などの政策総動員を声明で申し合わせた。とはいえ、その中身は全くの各国任せ。中期にわたって経済を底上げする政府の行動が欠かせないのに、どこも中央銀行が稼いでくれた時間を空費している。
政治は動けない。米国は大統領選挙、欧州は難民流入への対応と、欧州連合(EU)離脱を問う英国の国民投票。日銀のマイナス金利で借り入れの負担が軽くなった日本は来春の消費増税の延期という「思考停止」になびきはじめた。
連戦で疲労感のにじむ中央銀行だが、主役を降りられる日は遠い。
(仙境)
[日経新聞3月19日朝刊P.19]
「日銀の買い入れオペ(公開市場操作)」を巡る思惑が、社債市場を振り回している。日銀の社債買い入れの対象になりそうと市場が判断した銘柄は利回りがマイナスまで低下(価格は上昇)するケースが相次いでいる。本来、発行企業の信用力を表す社債利回りが、金融政策に左右される異常事態だ。
「売りに出ているのを知っていたら、何が何でも買ったのに」。ある国内運用機関のファンドマネジャーは18日、悔しそうに話した。日本証券業協会のデータで、前日に残存約3年の三井物産債の取引があったのが分かったからだ。取引が成立した利回りはマイナス0.008%程度。満期まで持つと金利をもらっても損をする高値だ。
にもかかわらず、この投資家が三井物産債を欲しがったのはなぜか。「商社は日銀が買い入れオペでほぼ確実に買ってくれる銘柄」と見ているからだ。社債をマイナス利回りで買っても、日銀がもっと高い価格で買い取ってくれるとの思惑が広がっている。
日銀は金融緩和の一環として、社債の買い入れオペを月1回実施している。マイナス金利政策を導入した影響で、社債を買い入れる際の利回りも急低下し、2月のオペでは平均落札利回りがマイナス0.031%となった。今月22日のオペは買い入れ規模が大きく、「平均落札利回りのマイナス幅は一段と大きくなる」(みずほ証券の大橋英敏氏)とみられている。
だが、すべての社債が日銀の買い入れ対象になるわけでもない。詳細は明らかではないが、日銀は格付けや流通状況でふるいにかけた上、社債の保有上限を個別の企業ごとに「1000億円または発行残高の25%」と定めている。償還や新規発行の影響もあり、どの銘柄が買い入れ対象になるかはオペごとに異なってくる。また、対象銘柄はオペの直前になるまで分からない。
これが社債市場の動きも不安定にしている。「ブラザー工業債が象徴的」とある社債投資家は話す。「オペの対象になりそう」との思惑から、昨年11月発行の3年債の流通利回りは2月に気配値で一時マイナス0.01%となった。ところが実際にはオペの対象には入らなかったもようで、反動から上昇。国債利回りの変動もあるが、企業の信用力は変わらないのに、利回りは乱高下した。
年限別の利回りには「逆転現象」が起きている。今月に入ってダブルA格(格付投資情報センター)の期間2年の社債の流通利回りが、期間1年の社債の流通利回りを下回った。日銀の買い入れ対象は「1年以上3年以下」であるため、2年の社債の方がオペにらみの需要が強いのが一因とみられる。
個別企業の信用力や残存期間を無視する形で利回りが変動する今の社債市場。ニッセイ基礎研究所の徳島勝幸氏は「誰も真剣に企業の信用リスクを判断しなくなった証拠」と指摘する。
ある国内証券のベテラン社債担当者がつぶやいた「こんな市場になってむなしいよ」という言葉が印象的だった。
(松本裕子)
[日経新聞3月19日朝刊P.19]
日銀のマイナス金利政策の恩恵を受けるのが大企業など一部にとどまる構図が強まっている。政策導入後1カ月以上たっても、主要銀行は貸出金利の基準の一つである短期プライムレート(短プラ)を引き下げていないためだ。短プラ連動で金利を決める融資の利用が多い中小企業には、金利低下の恩恵が届きにくい状況だ。住宅ローン残高の6割を占める変動型ローン金利も短プラを指標に決めるため、ほとんど下がっていない。
「金利面で政策効果が表れている」。日銀の黒田東彦総裁は15日の記者会見でこう強調した。確かにマイナス金利決定後に東京銀行間取引金利(TIBOR)3カ月物は約0.07%下がった。住宅ローン金利も固定型を中心に低下した。
ただ各行は短プラを下げていない。今は年1.475%が多く、2009年1月から据え置かれ、01〜06年につけた過去最低の1.375%を上回ったままだ。預金金利の下げ幅が限られるなかで短プラを下げると利ざやが縮み、銀行の収益が減るという事情がある。
プライムレートとは銀行が財務内容や業績がいい優良企業にお金を貸す際に適用する最優遇貸出金利を指す。短プラは1年未満の短期貸し出しの基準金利だったが、長プラ(年0.95%)を上回る逆転状態が続き、「形骸化している」(銀行関係者)との見方もある。ただそれでも借り手には無視できない影響がある。中小企業や個人向け貸出金利の基準として使われているためだ。
例えば、みずほ銀行の法人向けの国内貸し出しのうちTIBORなどの市場金利に連動するタイプの融資は約7割。それ以外は短プラに連動する金利か固定金利だ。
金利タイプの内訳を開示している三井住友銀行、りそなホールディングス、横浜銀行も似たような傾向だ。借り手がマイナス金利の恩恵を受ける市場連動の融資は大企業向けを中心に全体の3〜5割にとどまる。「中小企業や中途返済のしやすさを重視する不動産業向け融資は、短プラ連動が多い」(大手銀)という。
短プラが下がらないと個人にも金利低下の恩恵が届きにくくなる。住宅ローンの変動金利のほか、教育ローンや自動車ローンなどの金利も短プラ連動が多いためだ。
住宅ローンの比較サイトのワッツマネーが主要81行の3月適用の平均金利を調べたところ、10年固定型は前月比0.1%下がったのに対して、変動型の下げ幅は0.007%にとどまった。
多くの銀行は住宅ローン金利を「基準金利」と「優遇幅」の2つで決める。3メガバンクなどは競争激化から優遇幅を広げるかたちで金利を下げているが、短プラに連動する基準金利は変えていない。これだと新規借り入れの金利が下がるが、既存の借り手の金利は下がらない。
[日経新聞3月20日朝刊P.3]
日銀の黒田東彦総裁=写真=の就任から20日でちょうど3年となる。物価上昇率を2年で2%に引き上げるという当初の約束は果たせず、デフレ脱却は道半ばの状態が続く。マイナス金利政策の導入にまで踏み切った黒田日銀の現状を就任会見の言葉と比べてみた。
「できることは何でもやるという姿勢で2%の物価目標をできるだけ早期に実現する」
2013年3月21日の就任会見で黒田総裁は強い言葉でデフレ脱却を誓った。同年4月に量的・質的金融緩和を導入すると14年10月に規模を拡大。今年1月にはマイナス金利政策の導入を決めた。ほぼ1年半おきに大胆な政策を打ち出し、市場を驚かせてきた。
効果はどうか。生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の上昇率は就任当時のマイナス圏からゼロ前後まで上がってきた。ただ「2年程度」で実現するとした2%上昇は遠い。日銀は17年度前半ごろになると見通しを修正している。
「他の事情が一定であれば金融緩和をした時に為替レートは下落する。(中略)日本経済にプラスに働くことは事実だ」
就任当時、緩和効果の波及経路として円安を挙げていた。「金融政策は為替レートをターゲットにするものではない」としつつも、デフレ脱却には円安が欠かせないとみていた。黒田日銀で確かに円安・株高が進み、企業収益は過去最高水準まで押し上げられた。だが設備投資や賃上げへの波及は限定的だ。
「色々な原因でデフレになっていますと言っても、責任を阻却することはできない」
就任時の黒田総裁は日銀は言い訳をせずに、デフレ脱却という責任を果たすことが重要だと語った。原油安を理由に物価目標の達成時期を先送りしてきた黒田日銀。市場参加者は金融政策の効果を当時よりも厳しい目で見始めている。
[日経新聞3月20日朝刊P.3]
【ブリュッセル=共同】パリ同時テロの実行犯の1人とされ、18日にブリュッセル首都圏モレンベーク地区で拘束されたサラ・アブデスラム容疑者(26)が、3日前に警察が首都圏の別の地区で家宅捜索した際、現場から逃走していた可能性があることが19日までに分かった。ベルギーのメディアが伝えた。
[日経新聞3月20日朝刊P.5]
旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する昨年末の日韓合意から28日で3カ月。両政府は関係修復に動き、互いに問題がおきても批判を抑えるなど我慢の外交を続けている。韓国の合意反対派が活動の場を広げ、国連の女子差別撤廃委員会は合意に注文をつけた。両国関係は本格的な改善に向かうか逆戻りかの正念場を迎える。(ソウル=峯岸博、島田学、坂口幸裕)
「相当な覚悟だ」。日本政府高官が目を見張った。2日、ジュネーブの国連人権理事会で演説した韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が、日本の慰安婦問題に言及しなかったためだ。
半月前の2月16日、国連女子差別撤廃委員会の対日審査会合で、杉山晋輔外務審議官が委員の質問に答える形で「政府が発見した資料には、軍や官憲による強制連行を確認するものはなかった」と説明した。
尹氏は例年と同様、韓国側の立場を主張するとみられていたが、演説は北朝鮮の人権問題が中心。国際社会で互いに非難を自制するとした昨年末の日韓合意を踏まえたとみられる。
朴氏演説に変化
朴槿恵(パク・クネ)大統領は今月1日、日本統治下で起きた「三・一独立運動」の記念式典の演説で、合意の意義を強調した。日本政府に合意履行への努力を迫りつつ、批判は封印し「韓日関係の新時代を切り開くことを望む」と訴えた。「心の距離は縮まっていない」と指摘した昨年の演説からの変化は明らかだ。
両国が領有権を主張する島根県・竹島(韓国名・独島)の問題も当面のハードルを越えた。2月22日の島根県の「竹島の日」に日本政府が4年連続で内閣府政務官を派遣。韓国政府は「強く抗議し再発防止を要求する」との声明を出したが、従来の過激な表現を使わず批判のトーンを抑えた。
今月18日に公表された日本の高校教科書の検定結果で、多くの教科書が竹島を日本固有の領土と明記したのには、韓国外務省が抗議相手を駐韓日本大使ではなく総括公使にした。非難の表現も和らげるなど反応をいくぶん抑えた。
日韓合意を含め慰安婦問題への日本の対応が不十分と指摘した国連委員会の最終見解を巡っては、韓国政府は「日本に対する勧告だ」とコメントを避けた。合意は「被害者と支援団体が要求してきた核心事項が最大限反映された」とし、日本と足並みをそろえた。
今年改訂された韓国の小学6年生用の国定社会科教科書から「慰安婦」「性奴隷」の表現や、「戦場の日本軍慰安婦」と題した写真を使う当初の方針を撤回した。韓国政府内の変化の広がりを象徴する一例だ。
日本政府も関係改善に腐心している。1月29日。中曽根弘文元外相ら自民党議員が首相官邸を訪れ、韓国側にソウルの日本大使館前に設置した少女像の早期撤去を促すよう安倍晋三首相に求めた。首相は「韓国にも日本と同様に誠意をもってやってもらうので大丈夫だ」と諭すように伝えた。
官邸内は関係を逆戻りさせないという空気が広がる。1月14日に自民党の桜田義孝氏が党会合で慰安婦を「職業としての売春婦」と発言後、官邸側は桜田氏に撤回するよう指示した。
「質問された以上のことは言う必要はない。淡々と対応してきてほしい」。国連委員会の会合前、官邸側が杉山外務審議官に「主張することと問題をこじらせるのは別だ」と伝え、関係に配慮した発言をするよう念を押していた。
北朝鮮巡り連携
2月7日の北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射を受け、日本が独自制裁を発表するのとほぼ同時刻、韓国も開城工業団地の操業中断を発表した。慰安婦合意やその後の日韓両政権の落ち着いた対応が、北朝鮮問題で緊密に連携できる効果を生んでいる。
互いに関係悪化を避ける配慮だけでは「日韓新時代」に押し上げられない。
日韓合意に盛り込まれた元慰安婦支援のため韓国が設立する財団はまだ輪郭が見えていない。日本が10億円を拠出することになっているが、与党内にもソウルの日本大使館前に設置された少女像の「撤去が前提」(自民党の稲田朋美政調会長)などとする強硬論がある。
韓国政府は市民団体が設置した少女像の移転には元慰安婦らの理解を得る必要があるとみる。財団運営や日本からの資金の使途などに元慰安婦や支援団体の意向を反映させる考えだ。そのうえで関係改善を進めながら少女像問題を解決する段取りを描くが、日本の世論の反応は不透明だ。
韓国政府は4月13日投開票の総選挙が終わるまでは表だって動きにくいのが実情。日本との安全保障協力にはもともと国内に抵抗感が根強く、北朝鮮をにらんだ軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結などの課題も依然としてメドが立っていない。
「朴槿恵を信じている」。安倍首相は親しい議員との間で日韓関係が話題に上るとよくこう話す。朴大統領も慰安婦合意は「最善を尽くした」とぶれていない。韓国政府は野党や市民団体からの突き上げの中で「大統領の決断を盾に何とか持ちこたえている」(外交筋)。政府間の関係修復ムードをいかに諸懸案の解決や多方面にわたる協力強化につなげるかが課題だ。
[日経新聞3月20日朝刊P.12]
慰安婦問題など日韓間の歴史問題を見ていると、ある意味でこれは「歴史学の敗北」なのではないか、と思うことがある。というのは、歴史学自体がきれいに「右」と「左」の陣営に分かれてしまって、自陣に都合のよい事実だけをきれいに編集したあげく、「実証的に論証した」と言い募っているからである。歴史学がおのれの客観性を主張すればするほど、歴史の真実や全体像から乖離(かいり)してしまうという現象が起きている。
竹島(韓国名・独島)をめぐる論争もそうだ。韓国の学者はみな一様に「韓国領土」と主張するし、日本でも「日本領土」をきれいに論証する学者がいる。だがそういうすっきりした分析をいくら聞いても、もはやわたしたちは信じる気にはなれない。あまりにも歴史に対する敬意を欠く態度のように見える。
池内敏の本書は、難解な政治的問題を、見事に本来の歴史学に回収して見せた。そもそも竹島をめぐる論争は、実に錯綜(さくそう)している。そのからみあった網の目を、冷静にひとつひとつ、解きほぐしていく。
現在竹島と呼ばれている岩島を指し示す呼称が日韓両国で歴史的に一定しないし、近代以前の文献にはそれぞれ複雑な文脈がまとわりついている。それらから領有権主張の根拠を単純に引き出すことには無理がある。また古地図の表記が、現代における領有権と直接結びつくと考えるのはむずかしい。江戸時代と朝鮮王朝時代の文献に対する池内の毅然たる態度(それをもって政治的主張に結びつけない態度)にまず、読者は静かで強い感銘を受ける。ひとことでいえば、前近代資料による日韓双方の主張に根拠はない、と著者はいうのだ。江戸時代に日本が領有権を確立していたなどということもない。
とするとやはり、サンフランシスコ平和条約が重要になる。明文規定はないが、サ条約は竹島を日本領と含意したと著者はいう。だがサ条約に影響を及ぼしたのはラスク書簡であり、それが依拠したのは1905年の日本領編入だ。ここに重大な問題がある。この後日韓両政府が数次にわたって「見解」をやりとりして正面衝突したが、結局、押し問答状態で終わった。
最後に、日本政府がいう「固有の領土」という意味不明な表現についての批判的考察がある。これは本当に勉強になった。
全体的にいって、この本は、歴史学の復権を語っている。日韓双方の偏狭な政治的主張や解釈を切り捨てる、強い倫理の力が、ここに立ち現れている。
(中公新書・880円)
いけうち・さとし 58年愛媛県生まれ。名古屋大教授。専攻は日本近世史、近世日朝関係史。著書に『竹島問題とは何か』など。
《評》京都大学教授
小倉 紀蔵
[日経新聞3月20日朝刊P.21]
【ワシントン西田進一郎】米国務省で核軍縮などを担当するガテマラー次官(軍備管理・国際安全保障担当)は22日、オバマ大統領が主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせて5月に訪日する際、被爆地・広島を訪問する可能性について「ホワイトハウスが検討中だと承知している」と述べた。毎日新聞など一部記者団との懇談で語った。
ガテマラー氏は昨年、米政府高官として初めて広島、長崎で「原爆の日」の式典に参列した。懇談では、被爆者から直接話を聞いたことや被爆者から若い世代まで全世代が記憶を共有していることなどに触れ「非常に感動的な経験だった」と振り返った。
そのうえで、大統領の広島訪問について「大統領日程を決めるのはホワイトハウスで、私がコメントするつもりはないが、検討中だと承知している」と語り、検討の過程にあることを明らかにした。
「核兵器なき世界」を提唱した大統領の任期も残り約10カ月。日米外交筋によると、米政府は日本国内・政府などからの訪問実現への期待を理解するとともに、米国としても訪問の意義があると認めているという。
ガテマラー氏は、自身の被爆地訪問には、広島や長崎はもちろん第二次世界大戦による全ての犠牲者を追悼する意図があったと説明。大統領が訪問すれば「このことはホワイトハウスが強調したい点の一つになるだろう」と語った。
ただ、米国内では原爆投下を正当化する考えが根強く、米国内の保守派や退役軍人団体などからの反発があがることが予想される。また、11月の大統領選に向けてオバマ政権の外交政策を厳しく批判する共和党が攻勢を強めることも懸念材料になる。
懇談後、ガテマラー氏は「大統領は国内保守派の反応を懸念しているのか」との質問に「私が言えるのは、大統領は(被爆地を)訪問できれば光栄だと語っているということだけだ」と述べるにとどめた。
サミットに先立つ4月には、ケリー国務長官が外相会合のため広島を訪問する。大統領の訪問についてはこれらを踏まえて最終判断する方向だ。
◇
広島・長崎両市は、これまでにオバマ米大統領の被爆地訪問実現に向けて、米大使館を通じて再三要請文を送っており、関係者らの期待は高まっている。
広島県原爆被害者団体協議会(坪井直理事長)の清水弘士事務局長(73)は「広島に直接来て、見て、真剣に考えてほしいというのが私たちの願いだ」と述べ、「もし実現すれば、米国が過去に原爆を投下した結果、何をもたらしたか、時間の許す限り現実を見てほしい」と語った。もう一つの広島県被団協の佐久間邦彦理事長(71)も「米国の大統領が直接原爆資料館を見学し、被爆者の話に耳を傾けてもらうことは必要なことだ」と話し、「オバマ大統領には一刻も早く核兵器をなくすと、この広島で誓ってほしい」と求めた。
また、在外被爆者を40年以上支援してきた被爆者の豊永恵三郎さん(79)=広島市安芸区=は「力を持つ米国の大統領が広島を訪問することは、世界平和のために極めて重要なことだ」と強調。一方で「訪問は歓迎するが、原爆投下への謝罪があって初めて新しい関係が構築できる。オバマ大統領が原爆投下をどう捉えているのか、はっきりさせてもらいたい」と注文を付けた。【加藤小夜、山田尚弘】
最終更新:3月23日(水)15時1分
トルコのエルドアン大統領は3月8日にトルコのテレビに出演した中で、EUを直接非難する声明を表し、欧州諸国はテロリズムを支持していると語っていた。
エルドアン大統領のこの発言はクルド人の組織のことを指してのもの。トルコ政府は国内で起きる多数のテロ事件はクルド人らの犯行だと非難している。エルドアン大統領はクルド人を指して「欧州に対し、飼い主の手を噛んだ」と非難していた。ところが22日、ブリュッセルの空港、地下鉄で連続爆破事件が発生してはじめて、欧州はエルドアン大統領のこの演説のディテールにどんな悪魔が潜んでいたかを認識した。
エルドアン大統領は8日のテレビ演説の中で、「我々の地域にどれだけ多くのテロ組織があろうとも、西側や多くの国はテロとの闘争を断固として行う姿勢を表していない。EU諸国の行為は考えが浅く、まるで地雷の埋まる平原で踊りでも踊っているようだ。アンカラで炸裂した爆弾がブリュッセルで爆発しないという理由は一切ない。あなた方が大事に可愛がった蛇はいつ何時あなた方を噛むとも知れない。あなた方の町で爆弾が炸裂したとき、我々のことを理解するだろうが、それではもう遅いのだ」と語っていた。
22日、ブリュッセルでは国際空港の出発ロビーで2度の爆発が発生。続いて地下鉄でさらに2度の爆発が起こった。 現在の情報では、ベルギーは、22日午前にブリュッセルの空港と地下鉄で発生した爆発による死者は26人(地下鉄の死者15人、空港11人)、負傷者は合わせて130人以上だと公式発表した。
シリア政府軍によって包囲されていた同国中央部ホムス県のパルミラは、政府軍により奪還されたもようだ。現地の消息筋が伝えた。
シリア軍参謀本部は「現在、軍部隊は、パルミラを完全にコントロール下に置くため、できる限りのことをしている」と説明した。
先にシリア軍旅団の将軍は、スプートニク通信記者に対し「パルミラの歴史的中心部は、すでにコントロール下にある」と述べていた。
テログループ「ダーイュ(IS,イスラム国)」は、昨年5月半ば、パルミラを占領した。その後、シリア国内に6つあるユネスコの世界遺産の一つ、パルミラ遺跡や寺院を、テロ集団が破壊したとのニュースが何度となく流れていた。パルミラ遺跡は、ローマ帝国支配時代の素晴らしい都市遺跡である。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160324/1833337.html
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/381.html
ブリュッセルでのテロは確かにここ数日、世界のマスコミの主な話題をさらうだろう。だがこれは忘れてはならない。欧州のこの1つの都市だけが3月にテロ攻撃を受けた唯一の場所ではない。
3月21日、バマコ(マリ)
マリの首都バマコで不審者が突如発砲。犯人の1人は殺害、残りは逮捕。犠牲者は出なかった。
3月20日、イスタンブール(トルコ)
イスタンブール中心で自爆テロ。5人が死亡、30人以上が負傷。
3月16日、マイドゥグリ(ナイジェリア)
マイドゥグリの郊外で2件の自爆テロ。24人が犠牲となった。犯行声明は「ダーイシュ(IS)」に忠誠を誓う「ボコ・ハラム」。
3月16日、ペシャワール(パキスタン)
ペシャワールでバスが爆破。15人が死亡、30人近くが負傷した。
3月13日、アンカラ(トルコ)
アンカラ中心部で爆発物を積載した車両が爆発。37人が死亡したこの事件にはクルド人テロリストらが犯行声明を出している。
"Turkey's allies forgot about the multiple terror attacks against Ankara" https://t.co/znmQ1vnbEn pic.twitter.com/zODRA1LaQ6
3月13日、グラン・バッサム(コートジボワール)
「マグリブ諸国におけるアルカイダ」が沿岸部にあるホテルを襲撃。襲撃した6人を含む22人が死亡。
3月7日、シャブカダル(パキスタン)
パキスタン北西部の都市、シャブカダルで「タリバン」による自爆テロ。10人近くが死亡、30人が負傷。
米国人のメイソン・ウェルスさん(19)さんはこれまでの人生で3度、凄惨なテロの現場に居合わせた。23日、米ABCテレビが伝えたところによると、ウェルスさんは2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件と2015年11月のパリ同時多発テロの生還者だという。
だが、22日に起きたブリュッセル国際空港のテロでは、ウェルスさんはとうとう負傷した。
「これで3度目のテロです。今回の爆発テロでは私たちにも直接の被害がありました。それでも息子が生還できたことにただ感謝しています」と父親のチェド・ウェルスさんが報道陣に語った。
両親によると、モルモン教の宣教団体に所属するさんウェルスさんは爆発が起こった時にブリュッセル国際空港に居合わせた。ウェルスさんは破片による負傷と火傷を負って病院に搬送されたが、医者によると命に別状はないという。
ブリュッセルの連続テロ事件で主犯の1人と見られているナジム・ラアシラウム容疑者が23日、アンデルレヒト・コムーネで拘束された。ベルギーのポータルDH.beが報じた。
ブリュッセルでのテロの主犯は、パリ連続テロ事件を起こしたグループのためにも爆発物を制作したとされている。
BREAKING Najim #Laachraoui arrested in #anderlecht CONFIRMED https://t.co/3Hui8ehtlN pic.twitter.com/otRnekbqvy
— L'Echo (@lecho) 23 марта 2016 г.
22日、ブリュッセルでは国際空港の出発ロビーで2度の爆発が発生。続いて地下鉄でさらに2度の爆発が起こった。 現在の情報では、空港と地下鉄で発生した爆発による死者は31人、負傷者は合わせて250人以上だと公式発表した。
http://jp.sputniknews.com/incidents/20160323/1830531.html
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ベルギー検察、パリ、ブリュッセル連続テロ犯ラアシラウイの共犯逮捕の情報を否定[スプートニク日本語]
2016年03月23日 21:37短
これまでの報道によれば、ブリュッセル連続テロの主犯の一人と見られるナジム・ラアシラウイは逮捕された。
22日、ブリュッセルでは国際空港の出発ロビーで2度の爆発が発生。続いて地下鉄でさらに2度の爆発が起こった。 現在の情報では、空港と地下鉄で発生した爆発による死者は31人、負傷者は合わせて250人以上だと公式発表した。
http://jp.sputniknews.com/incidents/20160323/1831771.html
西側メディアは、ラウル・カストロ国家評議会議長が歴史的首脳会談の成果を誇るようにオバマ大統領の腕を高く上げようとしたが、“人権”問題などもあり、それを嫌ったためオバマ大統領の腕が奇妙な格好になっていると説明していた。
スプートニク日本語にある動画は短いのでよくわからないが、西側メディアの解釈のほうがもっともらしいと思う。
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http://jp.sputniknews.com/images/182/98/1829863.jpg
ラウル・カストロ オバマ大統領が肩を叩こうとするのを許さず(動画)[スプートニク日本語]
2016年03月23日 16:26(アップデート 2016年03月23日 16:29)
米国のオバマ大統領は、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長との共同記者会見の後、議長の肩を叩こうとしたが、議長はそれを許さなかった。
その代わりラウル・カストロ議長は、オバマ大統領の手を握って、それを振るしぐさに変えた。
オバマ大統領は、米国の国家元首としてほぼ90年ぶりに、公式訪問のためキューバを訪問した。米大統領の言葉によれば「この訪問は、両国間の冷戦終了のシンボルだ」。
支持も期待もせず、米国市民の考え方の変化を知る一つの機会として眺めているが、トランプ氏の発言は偏向的に取り上げられることが多すぎると思う。
米国の核兵器ドクトリンは、ことあるごとに発言されてきたように、 “先制使用”を含み必要があれば使用を辞さないというものである。
それゆえ、トランプ氏が「ISに戦術核兵器を使う可能性について「あらゆることを排除しない。彼らに使うかもしれないと思わせたい」」と語ったことは、米国の核ドクトリンに沿った内容でことさら問題にするようなものではない。
さらに、このインタビューはブルームバーグとのもので、その直前に行われたワシントンポストのインタビューでは「私は核兵器を使いたくない」と語っている。
昼過ぎに放送されたNNNニュースは、NHKとは違い両方の発言を取り上げ、発言に一貫性がないと批判していた。
両方の発言を取り上げたNNNは評価できるが、「あらゆることを排除しない。彼らに使うかもしれないと思わせたい」と「私は核兵器を使いたくない」という二つの発言は矛盾するものでも対立するものでもないので、核兵器をめぐるトランプ氏の発言に一貫性がないと批判するのは誤っている。
米国大統領や米軍の最高幹部に尋ねれば、“核兵器を使いたい”と答えるヒトはまずいないだろう。ほとんどのヒトが、“核兵器は使いたくないが、米国や同盟国の防衛にとって必要なら使う”と答えるはずだ。
「テロの容疑者には水責め」という話については、9.11・パリ同時多発テロ・ブリュッセル多発爆破テロなどの“イスラム過激派テロ”がほんとうに発表されている通りの内容なら、私だって、「死なない程度の拷問」を使って組織や協力者の情報を手に入れようとする。
ただし、拷問で得られる情報には苦し紛れでいい加減なものも混じっているから、慎重に裏付け捜査を行う必要がある。
(列挙したイスラム過激派の犯行とされているテロは“偽テロ”なので、拷問する必要もなく詳細情報がわかっている)
クリントン氏の「拷問は効果的ではない。むしろアメリカの兵士や市民を危険にさらす」という発言は子供だましの馬鹿げたものである。
これまでの経緯に照らせば、イスラム過激派は、米国など欧米先進諸国の対イスラム地域政策に反発して攻撃(テロ)を起こしてきたのであり、「アメリカの兵士や市民を危険にさらす」ことを一義的に考慮するのなら、対イスラム地域政策を改めなければならないことになる。
(もしくは、頻発しているテロは、拷問の行使が引き起こしていることを説明する必要がある)
クリントン氏や米国の政治的指導者が、アフガニスタン侵攻・イラク侵攻さらには各地での内戦介入などを“国際正義”の発露と考えているのなら、少々手荒い手法を使ってでも捕捉した“敵”からできるだけ多くの情報を収集し、“アメリカの兵士や市民をできるだけ守る“対応をすべきであろう。
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トランプ氏 ISに核兵器使用も排除しない考え[NHK]
3月24日 9時48分
アメリカ大統領選挙に向けて、共和党から立候補しているトランプ氏は、ベルギーの連続テロ事件を受け過激派組織IS=イスラミックステートに対し、戦術核兵器を使う可能性も排除しない考えを示すなど、IS対策を巡る議論が過熱しています。
ことし11月のアメリカ大統領選挙に向けて共和党から立候補しているトランプ氏は、アメリカメディアのインタビューに対し、ベルギーで起きた連続テロ事件を受け、過激派組織ISに戦術核兵器を使う可能性について「あらゆることを排除しない。彼らに使うかもしれないと思わせたい」と述べました。
また、トランプ氏は、テロの容疑者には水責めなどの尋問も必要だと改めて主張しました。
一方、民主党から立候補しているクリントン前国務長官は23日、テロ対策を巡って演説し、「私が大統領になったらアメリカは拷問を許さない。すべてのイスラム教徒を悪者扱いするような攻撃的なことばは逆効果であり、危険だ」と述べトランプ氏の主張を強く批判しました。
そして、テロ対策のため空港などの警備を強化する必要があると訴えたほか、ISの壊滅を目指して指導力を発揮する考えを示すなど大統領選挙に向けてIS対策を巡る議論が過熱しています。
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トランプ氏「テロの容疑者には水責め」[NHK]
3月23日 7時13分
アメリカ大統領選挙で、共和党から立候補しているトランプ氏は、テロの容疑者には水責めなどの尋問を行う必要があると主張し、今後の選挙戦でテロ対策を巡る議論がさらに活発になることも予想されます。
アメリカ大統領選挙に向けた候補者選びで、共和党から立候補し、トップを走るトランプ氏は、ベルギーで起きた爆弾テロ事件について、22日、アメリカのメディアに対し、テロ対策として国境管理を厳重にする必要があると改めて主張しました。そのうえで、「テロの容疑者には水責めがいいだろう。容疑者から情報を引き出さねばならない」などと述べ、水責めなどの手法も必要だと、持論を展開しました。
アメリカでは、前のブッシュ政権で、CIA=中央情報局がテロ容疑者に対して水責めなど過酷な尋問を行っていたことが明らかになり、中東などで反発が高まり、オバマ政権は禁止しています。しかし,トランプ氏は、これまでも選挙戦で、大統領になれば水責めを容認する考えをたびたび示し、波紋を呼んでいました。
また、2位につけるクルーズ上院議員も「過激派とともに入ってくる難民を、すぐに止めなければならない」と述べ、難民の受け入れを止めるべきだと主張しました。
テロ対策を巡っては、イスラム教徒の入国を禁止すべきだとするトランプ氏の過激な主張が、共和党の有権者の間で支持されており、テロ対策を巡る議論がさらに活発になることも予想されます。
クリントン氏「拷問は効果的でない」
一方、アメリカ大統領選挙に民主党から立候補しているクリントン前国務長官は、22日、アメリカメディアのインタビューに対し、「拷問は効果的ではない。むしろアメリカの兵士や市民を危険にさらす」と指摘しました。
そのうえで、「われわれの価値観にあったやり方でテロに対応しなければならない」と述べ、ヨーロッパの同盟国などと連携を強化して対処すべきだと主張しました。
このような現実は、日本に「高度経済成長」をもたらす一方で、戦争の処理を完結しないまま大手を振って世界で活動するという“不遜で甘えた”姿勢を日本に許してしまった。
そして、このような現実が、国民の多くに日朝国交正常化や日ロ平和条約締結の重要性を忘却させているようにも思える。
植民地だった台湾(中華民国)とはサンフランシスコ講和条約発効直後に平和条約を締結したが、併合していた韓国とは65年まで国交を常化できず、大陸中国(中華人民共和国)とはなんと米国の対中政策転換を経た72年まで戦争の処理を行わなかった。
敗戦まで併合していた北朝鮮とは今なお国交が正常化できておらず、ロシアとも平和条約の締結に至っていない。
仮に、敗戦した日本が米国に従属せず自立した国家として外交を行わなければならない状況に置かれていたら、何よりも、アジア諸国や近隣諸国とのあいだで戦争処理を急いでいたであろう。
日本は、幸か不幸か、敗戦後米国の世界戦略に組み込まれることで、戦争問題は米国との関係を考慮すればいいかのような対応が認められてきたことで、“不遜で甘えた”外交が続いてきたのである。
だからこそ、日本人のある割合は、21世紀の今でも世界の歴史的変化を理解できず、「冷戦構造ノスタルジー」から脱却できないでいると思う。
日朝国交正常化と日ロ平和条約締結は、どうあがいてもそれを担う政治家に“政治的火の粉”を大量に浴びせる。
それらをやり遂げた政治家は、その時点で政治的生命の終わりを迎えるであろう。日米安全保障条約の改定をやり遂げた岸信介氏のように...
奇妙な経緯で日本の内閣総理大臣の職に就くハメになった安倍晋三氏には、政治的生命を賭して、日朝国交正常化と日ロ平和条約締結をやり遂げてもらいたいと思っている。
自分の使命を理解している安倍氏は、内閣総理大臣や国会議員の職に執着や未練はないだろう。
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安倍首相 ロシアとの平和条約締結は「日本人の悲願」
2016年03月24日 14:51(アップデート 2016年03月24日 14:59)
安倍首相は、日本で北方領土と呼ばれる南クリル諸島についての弁論大会で入賞した高校生と面会し、北方領土の返還とロシアとの平和条約締結は日本人の悲願だと述べた。
安倍首相は、次のように語った-
「北方領土の返還、そして領土問題を解決して日ロの平和条約を締結をする、これは日本人にとって悲願だ。」NHKが報じた。
北朝鮮が先週、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射試験を地上で行ったと報道された。米国のインターネットメディア「ワシントン・フリー・ビーコン」は22日(現地時間)、米国防総省の職員の話として、「北朝鮮が『コレ(クジラの意)型潜水艦』とSLBM『KN-11』を開発中の咸鏡南道新浦造船所海岸施設で、KN-11を発射する試験を16日に実施した」と報道した。
今回の試験は、国連が2日に北朝鮮に対する厳しい制裁決議案を満場一致で可決してから初のSLBM発射試験で、北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するための国連安全保障理事会決議第2270号に違反する。
ビル・アーバン米国防総省報道官は「この問題についてはコメントしない」と具体的な言及をしなかった。北朝鮮は昨年12月21日に東海(日本名:日本海)新浦港近くの水中の潜水艦からSLBM発射試験を行い、ワシントン・フリー・ビーコンは約2週間後の今年1月5日に関連内容を報道した。この時の北朝鮮の試験は失敗していたことが分かった。
KN-11はロシアから導入したSS-N-6を改良したもので、射程距離3000キロメートルの中距離弾道ミサイル「ムスダン」に形が似ているが短く、弾頭の形に違いがある。もし北朝鮮が核弾頭を500−600キログラム程度に小型化すれば、SLBMに搭載することも可能になる。ワシントン・フリー・ビーコンは「北朝鮮は2年以内に実戦配備が可能になると思う」と報じた。
ワシントン= ユン・ジョンホ特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/24/2016032400943.html
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記事入力 : 2016/03/24 09:46
金第1書記 固体燃料ロケットエンジン実験を指揮[朝鮮日報]
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が高出力の固体燃料ロケットエンジンの地上噴出と分離実験に立ち合い、「敵対勢力を無慈悲にたたける弾道ロケットの威力をさらに高められるようになった」と述べた。朝鮮中央通信は24日、伝えた。
金第1書記は「ロケット工業の発展において新たな跳躍台を設けた」「歴史的な日」としながら、今後も敵を恐れさせる国防科学技術の成果を挙げていくと意欲を示したという。
朝鮮中央通信によると、金第1書記が実験の進行を直接指示した。この実験は北朝鮮が新たに設計製作したエンジンの構造安定性と推力を評価することなどが目的で、その結果について「予測値と測定値が驚くほど一致し、すべての科学技術的な指標に完全に合致することが確証された」と伝えた。また、「6カ月という短い期間に元帥様の命令を貫徹し実験にも一度で成功した」としている。昨年10月の朝鮮労働党創建記念日を前後し取り組んできたことがうかがえる。
実験現場では李炳哲(リ・ビョンチョル)朝鮮労働党第1副部長とホン・ヨンチル党副部長が金第1書記を迎えた。
今回の実験で、北朝鮮はこれまでのように液体ではなく固体の推進剤を使ったロケットエンジン実験を実施したようだ。液体の推進剤は取り扱いが難しく注入に長時間を要する。
韓国科学技術政策研究院の李春根(イ・チュングン)研究委員は「北は射程が長いミサイルには液体燃料を使ってきたが、固体燃料の開発を通じミサイルを短くし、すぐに発射できるようにしようとしている」と分析した。開発されれば深刻な問題だと指摘した。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/24/2016032400913.html
北朝鮮は、国営メディアを通じて、韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領を名指ししたうえで、「韓国の大統領府を焦土化させる」などと威嚇し、これに対して韓国大統領府が「韓国と大統領に対する挑発は全世界に対する真っ向からの挑戦だ」と述べ、北朝鮮を厳しく批判しました。
北朝鮮は23日、韓国軍が上空から特殊部隊を送り込み北朝鮮の主要な施設を攻撃する訓練を行ったことについて、国営メディアを通じて祖国統一委員会の重大報道を発表しました。この中で、訓練はキム・ジョンウン(金正恩)第1書記を標的にしていたと主張し、「パク・クネ一味をこの世から除去する。われわれの砲兵はパク・クネが隠れている大統領府を瞬く間に焦土化させる」などと、パク・クネ大統領を名指しで威嚇しました。
これに対し、韓国大統領府のキム・ソンウ(金聲宇)広報首席秘書官は、23日、大統領府としての立場を発表し、「韓国と大統領に対する挑発は全世界に対する真っ向からの挑戦だ」と述べ、厳しく批判しました。そのうえで、パク・クネ大統領が「国民の安全に僅かでも問題が生じないよう、全国の警戒態勢を強化し、韓国軍は北朝鮮の無謀な挑発に積極的に対応することができるよう万全の準備をするよう」指示したと明らかにし、北朝鮮をけん制しました。
韓国では今月7日からアメリカ軍と韓国軍の合同軍事演習が行われていて、これに反発する北朝鮮は先制攻撃も辞さないと強調し、ロケット弾や弾道ミサイルの発射を繰り返して威嚇を続けています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160324/k10010454471000.html?utm_int=news_contents_news-main_004
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韓国大統領 軍に警戒態勢の強化を命じる[スプートニク日本語]
2016年03月24日 15:21
韓国のパク大統領は、北朝鮮による軍事的挑発を背景に、韓国軍に対して警戒態勢の強化を命じた。
24日、北朝鮮の朝鮮中央通信は、北朝鮮の専門家らが固体燃料ロケットエンジンの地上噴出実験を行ったと報じた。実験を指揮したのは、北朝鮮の金正恩第1書記だという。
北朝鮮の固体燃料ロケットエンジンの実験は、毎年行われている韓国と米国の合同軍事演習を背景に実施された。北朝鮮は同演習を挑発行為だと指摘している。
北朝鮮が23日「朴槿恵(パク・クンへ)除去」を掲げ、そのために特殊部隊特殊部隊も動員できると脅した。
北朝鮮の対南(韓国)工作機関「祖国平和統一委員会(祖平統)」はこの日「重大報道」を通じ「今このときから、正規部隊をはじめとする革命武力は、朴槿恵一味を除去するための報復戦を志向していく」と発表した。その上で「南半部(韓国)作戦に投入されるわが国の部隊は、任意の時間に青瓦台(韓国大統領府)をはじめとする主な対象を一気に組み敷き、朴槿恵と好戦狂どもをせん滅する爆風作戦と稲妻作戦に突入する準備態勢ができている」と主張した。
韓国政府の消息筋は「爆風作戦と稲妻作戦という言葉に注目する必要がある。北朝鮮が運用している特殊部隊の名称が『爆風軍団』であるだけに、爆風作戦とは、特殊部隊を動員した韓国への挑発を意味するものと考えられる」と述べた。韓国の特殊戦司令部(特戦司)に相当する北朝鮮軍第11軍団(別名:爆風軍団)は、隷下の稲妻部隊、ウレ部隊、チョンドゥン部隊(いずれも雷の意)などの名を持つ十数個旅団を保有している。韓国に対する奇襲や浸透などがその主な任務となっている。
祖平統はまた「わが国の報復戦は、青瓦台の中だけで始まることも、青瓦台の近くで展開されることもあり得る」「わが国の砲兵の放射砲(ロケット砲)も、朴槿恵が隠れる青瓦台を瞬時に焦土化できる」として、青瓦台に対する脅迫も続けた。北朝鮮は先月23日にも、最高司令部による「重大声明」で「第1の攻撃対象は青瓦台だ」と主張していた。
韓国統一部(省に相当)はこの日、報道官による論評を通じ「北朝鮮がわが国の国家元首に対する低劣な非難を繰り広げ、青瓦台を直接名指しして報復戦などにうんぬんし、テロをちらつかせる脅迫行為に出たことに対し、強く警告する」と発表した。その上で「北朝鮮がいかなる挑発を敢行しようとも、わが軍は容赦なく懲らしめる。それに伴う全ての責任は北朝鮮にある」と述べた。
キム・ミョンソン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/24/2016032400645.html
韓国軍幹部がメーカーから賄賂を受け取り、新製品ではない通常の製品を前線の兵士に支給
いったん決まった調達計画が突然白紙化
防弾ヘルメットの入札でも不正
監査院は検察に関係する3人の将校らに対する捜査を依頼
韓国軍は北朝鮮の朝鮮人民軍が使用する小銃の銃弾を防ぐことができる高品質の防弾チョッキを新たに開発したが、ある防衛関連メーカーからの賄賂攻勢でこの新防弾チョッキ導入計画を白紙に戻していたことが分かった。その後、前線の兵士ら3万5000人に実際に配布された防弾チョッキはこのメーカーが納品した従来品で、これは北朝鮮兵士が使う小銃の銃弾を防げないものだった。
監査院は23日、国防部(省に相当)や防衛事業庁など五つの部処(省庁)を対象に、主に物資の購入や納品について行った監査の結果を発表し、上記の不正について明らかにした。監査院によると、国防科学研究所(ADD)は2007年から10年にかけて総額28億ウォン(現在のレートで約2億7000万円、以下同じ)を投入し、先端ナノ技術を活用した高性能液体防弾チョッキの開発に成功した。朝鮮人民軍は通常の防弾チョッキを貫通するAK74小銃を使用しているが、この新しい防弾チョッキはAK74の銃弾が貫通しないことが実験で立証されていた。
ところが韓国軍は2011年末、この新防弾チョッキの調達計画を突然撤回した。表向きの理由は「短期間での普及が困難で、価格も通常の防弾チョッキに比べて2倍と高く、重量もあって実際の使用に問題があるため」となっていた。
その後、韓国軍は当初の計画を変更し、AK74の銃弾を防ぐことができない通常の防弾チョッキを前線に配布することを決定。問題の防衛機器メーカーに30万着、金額にして2700億ウォン(約260億円)相当の防弾チョッキを注文しただけでなく、このメーカーと2025年までの独占契約を結んだ。この防弾チョッキは14年から前線の部隊などにすでに配布されている。
その後、防弾チョッキが変更された一連のプロセスを監査院が調べたところ、問題のメーカーと韓国軍幹部との間に根深い癒着関係のあることが分かった。監査院によると、新防弾チョッキ導入計画の白紙化を決めたのは元陸軍少将のある国防部幹部で、2011年の時点ですでに問題のメーカーから要請を受けていたという。さらにこの幹部は妻を書類の上でメーカーに就職させ、メーカー側から3900万ウォン(約380万円)の現金を追加で受け取っていた。
また当時定年間近だった別の元陸軍中領(中佐に相当)は功労研修(定年退職間近の公務員への研修)の期間中、問題のメーカーに韓国軍が定めた防弾チョッキの基準などの情報を提供し、5100万ウォン(約490万円)の現金を受け取ったとして検察に身柄を拘束された。この元中領も2012年にメーカーの取締役として再就職していた。さらに監査院によると、09年から数百発の弾薬を無断で持ち出していた陸軍士官学校の元教官も、問題のメーカーから株式などおよそ1億1000万ウォン(約1100万円)相当の金品を受け取り、退官後はメーカーの研究所長として再就職していた。問題のメーカーとその子会社には08年から14年までの期間に、29人の元陸軍将校が再就職していたという。
監査院によると問題は防弾チョッキだけでなく、防弾ヘルメットでも不正が行われていたという。2012年に防衛事業庁に勤務していたある予備役将校は防弾ヘルメット入札の際、1位で落札した企業に対し、2位の企業に納品の権利を譲るよう圧力をかけていたことが分かった。この2位の企業は問題の防弾チョッキを韓国軍に納品したまさにそのメーカーだった。監査院によると、この予備役将校は除隊直後の14年2月、メーカーの持ち株会社に再就職し、4カ月の間に給与名目で4600万ウォン(約440万円)の現金を受け取っていたという。また別の陸軍予備役将校は11年、防衛事業庁に勤務していた際、ヘルメットの付属品に関する入札で、1位で落札した企業に対して不当に減点措置を下し脱落させていた。監査院はこれら一連の不正に関与した元陸軍少将など3人の元将校と5人の大領(大佐に相当)、メーカーの関係者など合計13人について検察に捜査を依頼した。また国防部と防衛事業庁に対しては、問題のメーカーとの独占契約の取り消しと、退職者や除隊者の再就職の実態などについて調べるようあらためて求めた。
鄭始幸(チョン・シヘン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/24/2016032401271.html
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記事入力 : 2016/03/24 11:07
【社説】銃弾が貫通する防弾チョッキを購入しカネを受け取る韓国軍将校
防衛事業不正はいくら解明してもまたすぐ次の問題が発覚し、終わりが見えない。韓国国防部(省に相当)は北朝鮮・朝鮮人民軍が使用する銃弾を防ぐ非常に高品質な防弾チョッキを開発したが、あるメーカーのロビーを受け、最終的には品質の劣る通常の防弾チョッキ3万5000着を購入し、前線の兵士に配布していたことがわかった。監査院が実験を行ったところ、この防弾チョッキは防弾チョッキ用の銃弾が普通に貫通したという。
渦中にある元陸軍少将の国防部幹部は、問題のメーカーに自分の妻を就職する形に仕立て上げ、毎月給与という名目で現金を受け取っていた。また別の陸軍将校は防弾チョッキに求められる品質基準などの情報をメーカー側に提供し、見返りとして5100万ウォン(約490万円)の現金を受け取り、退職後はそのメーカーの役員として再就職した。陸軍士官学校のある教官は、防弾チョッキについて虚偽の品質報告書を作成し、見返りとしてメーカー側から1億ウォン(約960万円)以上に相当する金品を受け取っていた。この人物も退職後は問題のメーカーの研究所に所長として再就職していた。現役の軍関係者が防衛関連の企業などに便宜を図り、見返りとして現金や接待を受けとり、さらに除隊あるいは退職後はその企業に再就職した上で、軍の後輩らに接近して再び不正を繰り返す図式は今や完全にパターン化している。
問題のメーカーは2011年と12年にも朝鮮人民軍が使用する小銃の銃弾が貫通する不良防弾チョッキ2000着を特殊戦司令部に納品し、摘発されていた。ところが軍関係者はそんなことにはおかまいなく、このメーカーに今回再び便宜を図ったわけだが、これなどまさに韓国軍が組織ぐるみでいかに腐敗しているかを示す典型的な事例だ。韓国の国防費は年間で北朝鮮の国内総生産(GDP)にほぼ匹敵する38兆ウォン(約3兆7000億円)だ。しかしいくら多くの予算があっても、それを使う国防部が不良品ばかりを購入していては何の意味もない。14年には海軍で2億ウォン(約1900万円)相当の音波探知装置(ソナー)を20倍以上の41億ウォン(約3億9000万円)で購入する不正が発覚したが、このようなことを繰り返しているようでは、いくら巨額の予算があっても無駄だ。国民もこのような韓国軍に国の安全を安心して任せられないではないか。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/24/2016032401296.html
中国の李克強首相は国際的なフォーラムで演説し、中国経済について成長目標を下回る景気の悪化が「最大のリスクだ」と述べ、構造改革を進める際には景気にも配慮し、あらゆる手段を使って目標の達成を維持する考えを強調しました。
中国の李克強首相は中国南部の海南島でアジアの政財界の要人などが集う「ボーアオ・アジアフォーラム」の場で演説しました。
この中で李首相は中国経済について、「改革を進めるなかで、景気が一時的にやや変動したからといって、経済発展のルールに背くことはしない」と述べ、鉄鋼や石炭の過剰な生産能力の解消をはじめとする構造改革の推進に強い意欲を示しました。
その一方で、李首相は中国がことしの成長率の目標を6.5%から7%としたことに触れ、「経済運営がひとたび目標を割り込めば、これこそ最大のリスクであり、その場合には総合的な対策で景気の失速を防ぐ」と述べました。そして、改革を進める際には景気にも配慮し、成長目標を下回るほど景気が悪化しそうな場合には、金融や財政などあらゆる手段を使って目標の達成を維持する考えを強調しました。
中国経済を巡っては、不動産投資がふるわず、輸出と輸入の前年割れが続くなど減速が鮮明なうえ、構造改革に伴う失業者の増加も見込まれていて、李首相の発言は、中国経済の先行きへの内外の懸念を取り除くねらいがあるとみられます。
小選挙区制では、当選する投票数が低く、勢力が拮抗した政党が競い合っていると千票足らずの票を操作すれば当落を逆転できてしまう。(小選挙区制の英国では1万8千票ほど獲得すれば当選でき、あそこは労働党ここは保守党とがちがちの選挙区もあるが、二位との差が千票前後というところも数多くある)
投票所を増やせばその管理に人手を要する。さらに、開票するために、投票箱を移動させなければならない。これらの管理をきちんとやらなければ、投開票で不正が入り込む余地が増大することになる。
投票は義務ではなく権利なのだから、投票や開票については、一定レベルで利便性が達成できていればよく、投票の秘密保持と投開票の不正排除を優先すべきである。
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投票率向上目指す公職選挙法改正案 衆院で可決[NHK]
3月24日 15時00分
投票率を向上させるため、事前に決められた投票所以外でも投票できる「共通投票所」を駅の構内やショッピングセンターなどに設置できることなどを盛り込んだ公職選挙法の改正案が、衆議院本会議で賛成多数で可決され、参議院に送られました。
改正案では、投票日当日の投票所を、駅の構内やショッピングセンターなど有権者の利便性が高い場所に「共通投票所」として設置できるとしていて、有権者は事前に決められた投票所以外でも、同じ自治体であれば投票できるようになります。
また、期日前投票について、現在、午前8時半から午後8時となっている投票時間を、各自治体の判断で前後それぞれ最大で2時間拡大できるとしています。
さらに、これまで幼児までしか認められていなかった投票所への子どもの同伴について、18歳未満まで認めるとしています。
この改正案は24日の衆議院本会議で採決が行われて、共産党を除く各党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。
改正案は今の国会で成立する見通しで、政府はこうした取り組みを夏の参議院選挙から実施したいとしています。
記事のように企業が発行する債券(借り入れ)がマイナス金利になっているのは、直接の融資(金銭消費貸借)ではなく、日銀に売却できるCP発行のかたちをとっているからである。
図にあるように、CPの購入で発生する“損失”は日銀にCPを売却することで打ち消し“利益”まで得られる“保障”があるかことで成立している取引である。
日銀に保有CPを売却する術をもたない一般投資家は、マイナス金利の債券を買うとそのまま損失になる。(銀行への転売で損失を減らしたりなくしたりすることは可能)
それゆえ、日銀がマイナス金利ではCPや社債を買わないという対応をすれば、この仕組みは成立しない。
マイナス金利導入政策の浸透で生じた金融事象ではなく、日銀が、“損失”を被っても銀行などに利益を供与する取引を行う意志をもっていることで起きている金融事象である。
※関連記事
「CP利回り、国債以下に マイナス金利で官民逆転:CPを高値で買ってマイナス金利導入で苦しむ銀行を支援する日銀」
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/716.html
「日銀オペに惑う社債市場 マイナス利回りでも売買成立 買い入れ対象巡り不安定:日銀は銀行を支援するという視点が重要」
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/773.html
社債やCPがマイナス金利で発行できるようになると、設備投資・不動産開発・企業買収などで必要な資金の借り入れはぐんと有利になるが、それがすぐさま低迷している製造業の設備投資拡大につながるとは言えない。
(借り入れで)設備の更新を考えている企業の負担は確実に軽くなるにしても、更新時期以外での設備新鋭化投資や追加的設備投資は、他で資金を使うより収益率が上昇する見込みがなければ実施されないからである。
利払いがマイナスなので借りた元本の返済額は若干減ることになるが、返済はしなければならない。膨大なお金が機械設備になっているので、その機械設備を使って利益を上げなければ返済はできない。
100億円の機械設備が実質90億円で購入できるほどのマイナス金利(マイナス10%)になれば設備投資誘発効果も出てくると思うが、今回の0.1ベイシスポイントはともかく、1ベイシスポイントや10ベイシスポイントになっても、国内外の需要低迷を乗り越えて設備投資を行うほどのインパクトはないだろう。
日銀が損失をかぶることを前提としたCPや社債さらには既発国債のマイナス金利状況は異様だと言えるだろう。
このような状況は、実質的に、日銀がマイナス金利で銀行に貸し出しを行っていることを意味する。銀行がそのお金を使わずに日銀当座預金に積み増すことで“利益”を得ようとする動きを押しとどめるために「マイナス金利の一部導入」を決めたかたちになっている。
それはともかく、CPや社債がマイナス金利で発行できるなら、どの企業のそれらより信用が高い国債の新規発行もマイナス金利になるはずである。
日銀がより大きなマイナス金利で買い入れることが明確になれば新発国債がマイナス金利になる可能性もあるが、現在のところ、マイナス金利は既発国債にとどまっている。
政府がマイナス金利で国債を発行すると“財政の持続性(負担減)”に大きく資する。
30兆円の国債を発行すると、たとえば300億円(マイナス0.1%の場合)のマイナス利息(利益)を得られる。
30兆円の国債を発行すると、これまでは150億円といった利払いをしなければならなかったのだから、往復で450億円ほどの利益になる。
ツケは日銀に回るが、すでに、銀行などのツケを過分に払ってクリアしている状況が生まれている。
民間部門の借り入れに拡大したマイナス金利だが、優良企業はマイナス金利の恩恵にあずかることができても、信用力が劣り日銀の買い入れ対象にならない中小企業は蚊帳の外に置かれる。
企業部門の資金偏在を考えれば、中小企業の資金手当てがスムーズかつ有利にできる状況をつくり出さなければならない。
記事のような話なら、内部留保を蓄えている企業がそれを温存したまま現状維持(国内ベースで)のための資金調達をマイナス金利で行えたり、銀行がマイナス金利の導入でうかつに日増えさせない日銀当座預金よりも断然有利な資金運用を見い出しただけに近いものになってしまう。
現在そしてこれからの日本にとって必要なのは製造業の設備投資増大である。現状の生産性がそのまま維持されるだけでは、国際競争力も長寿命社会対応力も失われていくことになる。
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企業、調達金利マイナス 三井住友リース、CPで初 −0.001%で
民間企業が初めてマイナス金利で資金調達する。三井住友ファイナンス&リース(F&L)が満期まで6カ月の債券を年マイナス0.001%で50億円発行する。日銀が2月に導入したマイナス金利政策の影響で様々な金利が大きく下がったため。企業がお金をもらって借金するという異例の事態で他の企業にも広がる可能性がある。
三井住友F&Lが発行するのはコマーシャルペーパー(CP)と呼ばれる短期社債。借り手は本来利子を支払うが、今回は50億円を借りた上で2万円あまりの利息を受け取ることになる。国債ではすでにマイナス金利での発行があったが、民間企業にも及んできた。23日に金利などの発行条件を決め、月内に発行する。
背景にあるのは日銀が2月に始めたマイナス金利政策だ。政策が始まってから様々な金利が大きく下がり、いまでは国債の大半はマイナス金利になっている。金利がプラスの債券が急減しており、民間企業が借りる金利にも強い低下圧力がかかっている。
さらに日銀は金融緩和の一環でCPそのものを買い入れている。2兆円強の保有残高を維持するため、どんなに低い金利でも買い入れる方針だ。市場に流通するCPが減っている影響もあって、17日には平均の購入金利がマイナス0.194%と過去最低を更新し、国債の金利も下回った。
投資家がマイナス金利のCPを買って満期まで持てば確実に損する。だが、満期までに発行金利よりも低い金利(高い価格)で日銀に売れば利益を得られる。今回マイナス金利のCPが発行されるのも、こうした転売をねらった需要が多かったとみられる。
日銀の黒田東彦総裁は「必要ならさらに金利を下げる」と話している。CPやより期間の長い融資や社債も金利は下がりやすくなっており、今後、民間企業でもマイナス金利の発行が広がる可能性もある。
先週までは決済を担う証券保管振替機構(ほふり)のシステム対応が追いつかず、0%ちょうどでのCPの発行が多かったが、今週から発行が可能となった。
[日経新聞3月24日夕刊P.1]
千葉県習志野市で2013年、派遣社員の広畠かをりさん(当時47)が殺害された事件で、千葉地検は24日、殺人容疑で逮捕された中国籍の男性(50)を処分保留で釈放した。この日は勾留期限満期で、地検は「起訴するだけの証拠が集まらなかった」と説明、捜査は続けるとした。
男性は在留資格がなく、地検は東京入国管理局に身柄を引き渡した。今後、中国に送還される見通し。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG24H9O_U6A320C1000000/
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広畠かをりさん殺人事件で中国籍の男を逮捕-習志野市茜浜 強盗殺人か
■2016/3/3 10:54 最終更新■
千葉県習志野市茜浜で2013年6月、派遣社員の女性が殺害された殺人事件で、千葉県警は中国籍の男を逮捕しました。
この事件は2013年6月24日、習志野市谷津に住む派遣社員・広畠かをりさん(当時47歳)が、習志野市茜浜の草むらで死亡しているのが見つかったもの。
遺体の首には絞められたような痕跡が残っており、司法解剖の結果窒息死と判明したことや現場の状況などから、警察は殺人事件として習志野署に捜査本部を設置し捜査を進めていました。
しかし人通りの少ない場所で目撃情報が少なかったことや防犯カメラが設置されていない場所だったことなどもあり、捜査は難航していたということです。
逮捕されたのは、事件現場近くに住んでいた中国籍の男(50)で、広畠かをりさんと面識はなかったとみられています。殺人事件現場には遺留物が残されており、その鑑定結果から関与が浮上。
この男は別の窃盗事件で逮捕・起訴され、2014年9月に東京地裁から懲役1年6ヶ月の有罪判決を受けたことから、関東地方の刑務所に服役していました。本日3月3日に出所し、警察は殺人容疑で再び逮捕したとのこと。
現時点で男の名前は発表されておらず、容疑を認めているのか否認しているのかなどの認否も詳しいことは明らかにされていません。
現場に残されていた広畠かをりさんの財布からは現金が抜き取られており、強盗殺人事件で立件される可能性も。
この中国人逮捕に関する詳しい情報が入り次第、随時更新していきます。
http://breaking-news.jp/2016/03/03/022892
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緑地帯で女性の遺体 身元判明[NHK]
24日午前、千葉県習志野市の県道沿いの緑地帯で女性の遺体が見つかった事件で、女性は現場近くの会社に勤める47歳の会社員と確認され、警察は首に絞められたような痕があることから殺人事件として捜査を進めています。
24日午前10時半ごろ、習志野市茜浜の県道沿いにある緑地帯の芝生の上で、女性が死亡しているのが見つかり、警察が身元の確認を進めた結果、習志野市谷津に住む人材派遣会社の社員、廣畠かをりさん(47)と確認されました。これまでの調べによりますと、首に絞められたような痕があり、現場付近には廣畠さんのものとみられるバッグや財布、それにスニーカーが散乱していたということで、警察は殺人事件として捜査を進めています。
警察によりますと、廣畠さんは23日午前中に自宅のマンションの行事に出席したことが確認されているということです。
その後、自宅から直線距離で2キロほどの場所にある勤め先の食品流通会社に、23日夜10時に出勤する予定でしたが、連絡がないまま休んだということです。
現場は、自宅と勤め先のほぼ中間にあり、警察は廣畠さんが出勤途中に現場付近で何者かに殺害された疑いがあるとみて、不審な人物が目撃されていないか聞き込みをするなど捜査を進めています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130624/k10015550471000.html
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2014.12.30 06:00更新
【未解決事件を追う】
「被害者には落ち度はない。犯人、必ず捕まえてやるから待っていろ」憤る警察…千葉・習志野の47歳女性強殺
広畠かをりさんの遺体が発見された現場の検証を行う捜査員=平成25年6月24日、千葉県習志野市茜浜(山本浩輔撮影)
千葉県習志野市茜浜の緑地で平成25年6月24日午前10時40分ごろ、女性があおむけに倒れて死亡しているのを男性清掃員=当時(63)=が発見した。女性の首には圧迫された痕があり、争った形跡もみられたことから、県警は殺人事件と断定し習志野署に捜査本部を設置した。女性は、同市谷津で1人暮らしをしていた派遣会社員、広畠かをりさん=当時(47)=で、現場は自宅から会社までの通勤ルートだったことが判明した。発生後1年半がたったが、事件はいまだ解決に至っていない。(千葉総局 山本浩輔)
暗く静かな現場
広畠さんは6月23日正午まで、自宅マンションの行事に参加していた。この日は、午後10時から派遣先の船橋市高瀬町の食品加工会社で勤務予定だったが、無断欠勤していた。
自宅から会社までは徒歩で約30分。午後9時すぎに自宅近くの防犯カメラに広畠さんが歩く姿が映っていたことから、捜査本部は犯行時刻は同9時半ごろの可能性が高いとみている。
改めて夜に現場周辺を歩いてみた。自宅は京成電鉄谷津駅前の商店街にあり、夜でも明るい。しかし、勤務先に向かう道を歩いていくと、商店街を抜けるあたりからだんだん暗い場所が多くなり、記者(山本)も恐怖を感じた。
南西に向かって、マンションなどが立ち並ぶ一角を越え、JR京葉線と車通りの多い道を歩道橋で越える。車は立ち入れず、街灯も少ない遊歩道を歩いているところを、広畠さんは突然の惨劇にあったとみられる。
道中、気がついたら近くに人がいて驚くこともあった。この暗さであれば、仮に尾行されていても、気付きにくいかもしれない。
遺体は高さ約1・5メートルに生い茂る生け垣の中にあった。歩道から視界が遮られているために遺体の発見が遅くなったとみられ、この生け垣を犯人が隠れるために利用したことも考えられる。現在は冬であり、事件当時(昨年6月)に現場付近を取材した際には、もっと葉が茂っていた印象もある。
近くの公園には、広畠さんの靴など所持品が周囲数メートルにわたって散乱。見つかったバッグの中には、パンなど夜勤時の軽食とみられるものも見つかっている。
財布の中から現金が抜き取られていたため、捜査本部は見ず知らずの広畠さんを襲った「流し」による強盗殺人事件の可能性が高いとみている。
遺体の全身には傷があり、顔面は鬱血(うっけつ)し、筋肉内出血するほど強い力を首に加えられていたという。司法解剖の結果、頸部圧迫による窒息死の可能性が高いことが分かっている。黒色Tシャツにベージュのズボンを着用していたが、着衣に乱れもあった。
情報少なく遺族もチラシ配り
発生後、8カ月間で寄せられた情報は50件ほどにとどまり、有力な手がかりはなかった。これを受け、警察庁は2月、犯人逮捕に結びつく有力情報の提供者に最高300万円の公的懸賞金(捜査特別報奨金)を支払うことを決め、県警のホームページなどに広告を掲載。全国の交番や駅などにポスターを掲示し、広く情報提供を求めている。
捜査本部は定期的に、事件現場となった習志野市や周辺駅などでチラシを配布している。1年半が経過した今月22日にも4千枚の懸賞金広告用チラシを配布した。習志野署の矢野義春署長は「被害者には何の落ち度もない。犯人に対しては『絶対捕まえてやるから、待っていろ』と言いたい」と話し、事件解決への協力を訴えた。
同日には、時間が経過しても現場を訪れ、涙を流しているという広畠さんの母親と親族の男性もチラシ配りに参加。男性は「どんなささいな情報でも構わない。少しでも多くの情報提供をお願いします」とのコメントを出した。
現場では、犯行時刻前後に女性の叫び声を聞いたという複数の証言もあるというが、夜は不気味なほど静かな遊歩道。すぐ近くのJR南船橋駅には、クリスマス前だからであろうか、暖かい服装に包まれ、大きな袋を手にした笑顔の買い物客が大勢いたのが印象的だった。被害者の無念を何とかして晴らしてほしい。
http://www.sankei.com/premium/news/141230/prm1412300012-n1.html
シリア軍の司令を受けて行動している義勇軍「砂漠の鷹」がパルミラの東部でホテルを掌握した。リア・ノーヴォスチが現地から伝えた。
シリア軍と義勇軍はパルミラ周辺の戦略的に重要な高所を全て掌握し、攻撃をかけた。「砂漠の鷹」は政府軍の管理下にあるダマスカス-パルミラ-デリゾール・ルートの交差点方面からパルミラに入った。
ホテル「セミラミス」付近で激しい先頭があり、数時間後、義勇軍がダーイシュ(IS、イスラム国、ロシアで活動が禁止されている組織)のテロリストらを破り、後退させた。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160324/1838576.html#ixzz43qWF2M1v
米露のシリアに関する協力は大きな成果をもたらし、シリア国民の状況を向上させた。ケリー米国務長官はプーチン大統領との会談でこのように述べた。
ケリー長官は、「我々の国家間の協力にむけてシリアスなアプローチが行われたおかげで、特にシリア住民の生活に関して、またこの問題における進展と動きに関して、シリアスな成果とシリアスな結果がもたらされたといっても過言ではない」と語った。
【上海=河崎真澄】中国の李克強首相は24日、海南省博(ボ)鰲(アオ)で開幕した「博鰲アジアフォーラム」年次総会で基調演説し、金融危機の発生を防ぐメカニズムが必要だとして、新たな国際金融組織「アジア金融協力協会」の設立を提唱した。
李首相は国際組織の規模など具体的な提唱の内容には触れなかったが、「アジア金融市場の完全な建設に向け、再び大規模な市場動揺が起きないよう共同で防止する」と強調。外国為替や証券などの金融市場で、アジア広域に国際協調を主導する組織構築をめざす。
タイの通貨バーツが急落したことで始まった1997年7月のアジア通貨危機が念頭にあるとみられている。今年1月に正式発足したアジアインフラ投資銀行(AIIB)を手本に、国際組織の設立により、市場監視で中国が主導権を握る狙いもありそうだ。
また、中国経済について李首相は構造改革の過程で「陣痛に直面するのは不可避」と警戒感を示した。
同日の開幕式ではフォーラムの理事長を務める福田康夫元首相が「アジア各国は一国だけでは生きていけない。協力し合うことで前進できる」と述べた。
http://www.sankei.com/world/news/160324/wor1603240041-n1.html
北朝鮮の国営メディアは25日、韓国の大統領府などへの攻撃を想定した長距離砲による大規模な攻撃演習を実施したと伝え、合同軍事演習を行っているアメリカと韓国への威嚇を続けています。
25日付けの朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は、キム・ジョンウン(金正恩)第1書記の立ち会いのもと、韓国の首都ソウルにある大統領府や政府機関への攻撃を想定して「長距離砲の集中攻撃演習が史上最大規模で行われた」と伝えました。
今回の演習は今月21日に韓国軍が上空から特殊部隊を送り込んで北朝鮮の主要な施設を攻撃する想定で行った訓練に対抗して実施されたもので、新聞に掲載された写真には百数十門に上るとする長距離砲などが海岸から一斉に火を噴いたり、砲撃の目標となった島が黒煙に包まれたりしている様子が写っています。
北朝鮮は今月に入って毎週、日本海に向けて弾道ミサイルやロケット弾を発射しているほか24日も「固体燃料のミサイルエンジンの燃焼実験に成功した」と国営メディアが伝えるなど、ミサイルの開発技術を誇示しています。
北朝鮮はことし5月に開かれる36年ぶりの朝鮮労働党大会に向けて国内の結束を図る一方で、合同軍事演習を行っているアメリカと韓国への威嚇を続けています。
パク大統領「いかなる脅しにも揺らがず」
韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領は、北朝鮮が威嚇を続けるなか25日演説し、「わが国はいかなる脅しにも揺らぐことはない」と述べて、北朝鮮がさらなる挑発行為に出た場合には、断固とした対応をとる考えを強調しました。
韓国政府は、6年前に韓国軍の哨戒艦が沈没して兵士46人が死亡した事件や、民間人を含む4人が犠牲になったヨンピョン(延坪)島砲撃など、北朝鮮による軍事挑発の多くが朝鮮半島西側の黄海で起きていることから、ことしから3月の第4金曜日を「黄海守護の日」と定めました。
この日に当たる25日、パク・クネ大統領は、中部テジョン(大田)の国立墓地で行われた犠牲者を追悼する式典で演説し、「わが国は、いかなる脅しにも揺らぐことはない。北の無謀な挑発は、自滅の道につながるだけだ」と述べ、北朝鮮をけん制しました。
また、南北が共同で運営してきたケソン(開城)工業団地の操業を中断したことに言及し、今後も国際社会と連携して制裁措置を強めていく姿勢を示しました。
さらにパク大統領は「北は今、孤立無援の状態で、無謀な挑発を行う可能性が高まっている」と指摘し、25日も韓国大統領府への攻撃を想定した長距離砲による演習を行ったと伝えるなど、威嚇を続ける北朝鮮が、さらなる挑発行為に出た場合には、断固とした対応をとる考えを強調しました。
北朝鮮の国営メディアが、韓国の大統領府などへの攻撃を想定した大規模な演習を実施したと伝えたことについて、韓国統一省のチョン・ジュンヒ(鄭俊煕)報道官は、25日の記者会見で「北は国際社会の制裁に対して、攻撃的で挑発的な言動をしてはならない。北の住民と南北関係に役に立つ方向に進むことを促す」と述べて非難しました。
そのうえでチョン報道官は、北朝鮮がこのような挑発的な態度をとっているのには2つの理由があるとし、「対外的には、北への国際的な制裁が無力だという認識を広めることであり、内部的には、キム・ジョンウン第1書記の権威を高めることで、体制の結束を狙っている」と説明しました。
北朝鮮による軍事挑発が止まりません。3月に入り弾道ミサイルやロケット弾の発射を繰り返しているほか、国営メディアは、キム・ジョンウン(金正恩)第1書記が、核弾頭の爆発実験と弾道ミサイル発射実験の準備を指示したと伝えています。北朝鮮の一連の動きの背景を、北朝鮮情勢を取材している中国総局の長砂貴英記者が解説します。
北朝鮮の相次ぐミサイル発射
米韓合同軍事演習や国連安全保障理事会の制裁決議に反発する北朝鮮は、3月に入って毎週、日本海に向けて弾道ミサイルやロケット弾を発射しています。
国連安保理で制裁決議が採択された直後の3日、新型多連装ロケット砲のロケット弾とみられる6発を発射し、7日から過去最大規模の米韓合同軍事演習が始まると、10日に短距離弾道ミサイル「スカッド」とみられる2発を、18日に中距離弾道ミサイル「ノドン」とみられる2発を、それぞれ発射。
21日には、再び新型多連装ロケット砲のロケット弾とみられる5発を発射しました。翌22日、朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」が、このときのロケット弾の発射とみられる写真を掲載し、「実戦配備を控えた最終発射実験だった」と伝えています。合同軍事演習を続けている米韓両国に対する露骨なけん制です。
核ミサイルの開発技術を誇示
さらに北朝鮮は、核ミサイルの技術開発が進展していると盛んに強調しています。
9日付の「労働新聞」は、核爆弾の模型とみられる銀色の球体と、大陸間弾道ミサイル「KN08」とみられるミサイルを、キム・ジョンウン(金正恩)第1書記が視察する写真を掲載しました。
また15日には、弾道ミサイルの大気圏への再突入を想定した模擬実験が実施されたと伝えられ、ミサイルの弾頭部分とみられる円すい形の物体に、激しく炎を吹きつけた際の写真が国営メディアで公開されました。このとき、立ち会ったキム第1書記は、「近い時期に核弾頭の爆発実験とさまざまな種類の弾道ミサイルの発射実験を断行する」と述べ、その準備を指示したということです。
さらに24日には、「固体燃料のミサイルエンジンの燃焼実験に成功した」として、横倒しにした噴射口から炎が吹き出す様子を撮影した写真を公開しました。
このところ、北朝鮮がとりわけ、その存在を強調しているのが、大陸間弾道ミサイルの「KN08」です。射程はアメリカ西海岸に達する1万キロともいわれています。大型の車両から発射する移動式のミサイルであるため、発射の兆候を把握するのが難しいとされています。また同じ移動式の新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」は、射程が4000キロと、アメリカ軍基地のあるグアムに達すると言われます。
いずれも実際の発射は確認されていませんが、北朝鮮が核ミサイル開発を推進する姿勢を誇示していることから、初めての発射実験を強行する可能性も排除できません。さらに韓国国防省の報道官は、「北は指導部の決定に応じて、いつでも核実験をできる状態を維持している」とも述べていて、5回目の地下核実験も含めて関係国が監視を強めています。
軍事挑発の背景
北朝鮮が、弾道ミサイルを相次いで発射し、核兵器の小型化や弾道ミサイル開発の「進展」を強調する背景には、米韓合同軍事演習への反発とともに、国際的な制裁の中でも、核ミサイル開発を継続する姿勢に変わりはないと、対外的に印象づけるねらいがあるとみられます。
キム第1書記の父キム・ジョンイル(金正日)総書記の時代、北朝鮮は核開発を放棄する余地もちらつかせながら外交カードとして利用し、各国から支援を引き出しました。 しかし、キム・ジョンウン(金正恩)政権は、核ミサイル保有の「既成事実化」を図ろうとしています。北朝鮮情勢に詳しい外交関係者の1人は、「北は、アメリカが本当に脅威と感じるまで開発を突き進めることが、みずからの身を守り、アメリカとの直接対話につなげる方法なのだと本気で信じているようだ」という見方を示しています。
朝鮮労働大会に向けた対内的な意図も
相次ぐ軍事挑発は、北朝鮮内部の結束を図るとともに、36年ぶりに開かれる、5月初めの朝鮮労働党大会に向けた、キム第1書記の「業績づくり」という側面もあるとみられます。北朝鮮が写真つきで公表した核爆弾の模型とみられる球体や、核弾頭の大気圏再突入を想定した模擬実験などは、本来、軍事機密にあたるものですが、あえて次々と公開することで、キム第1書記の指導による成果として、国民に誇示したい思惑もありそうです。
北朝鮮は、1月の「初めての水爆実験」とする4回目の核実験と、人工衛星の打ち上げと称した、2月の事実上の長距離弾道ミサイル発射、そして米韓合同軍事演習対抗した一連の軍事挑発を、キム第1書記の「歴史的な功績」として大々的に宣伝し、その威信と求心力を高めようとしているとみられます。
新たな挑発への警戒
米韓合同軍事演習が続く4月末までの間、北朝鮮では、キム第1書記の就任から4年となる11日や、キム第1書記の祖父キム・イルソン(金日成)主席の誕生日にあたる15日、それに朝鮮人民軍の創設記念日の25日といった節目を控えているほか、3月31日からワシントンで開かれる核セキュリティーサミットには、日米中韓4か国の首脳がそろって出席します。こうしたタイミングをとらえて、北朝鮮がさらなる軍事挑発に出ることも考えられます。
北朝鮮指導部は、朝鮮労働党大会が開かれる5月にかけて一連のシナリオを用意している可能性もあり、関係国は、北朝鮮に対する監視と警戒を強めています。
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2016_0324.html?utm_int=detail_contents_tokushu_004
【ワシントン時事】カーター米国防長官は25日、記者会見し、米軍が過激派組織「イスラム国」(IS)ナンバー2で「金融相」のアブドルラフマン・カドゥリ(別名ハジ・イマム)容疑者を殺害したとみていると語った。
NBCテレビによれば、米軍は今月に入り、シリアで急襲作戦を実施したという。
長官は殺害について「ISの作戦資金の調達活動全てを監督する指導者を排除した。戦闘員への賃金支払いや新たな戦闘員の雇用に打撃を与えた」と強調した。長官はまた、米軍が今週、イラク北部で戦闘員への賃金支払いを担当するIS幹部を標的に攻撃を行ったと明らかにした。
米政府はカドゥリ容疑者を国際テロリストとして手配し、700万ドル(約7億9100万円)の懸賞金を用意して行方を追っていた。米当局によれば、同容疑者はISの前身組織「イラクの聖戦アルカイダ組織」を率いたザルカウィ容疑者の副官を務めた経歴を持つ。
米軍は今月に入り、ジョージア(グルジア)出身でISの「戦争相」とされる上級司令官、アブウマル・シシャニ容疑者を狙った空爆をシリア北東部で実施し、殺害した。
米軍は、拘束したIS戦闘員の尋問などを通じ、より詳しい内部情報を把握できるようになっているもようで、幹部や重要施設を狙った作戦を強化していく構えだ。
最終更新:3月26日(土)2時13分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160326-00000002-jij-n_ame
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/400.html
「ジカ熱 知っておきたい6つの事:ZIKAウイルス感染拡大ではなくブラジルでの小頭症急増が“非常事態”の対象」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/500.html
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ジカ熱 ウイルスは2013年にはブラジルに[NHK]
3月25日 11時46分
中南米を中心に広がっているジカ熱について、ブラジルの保健当局はウイルスがブラジルに持ち込まれたのは、これまでの想定よりも1年ほど早い2013年で、ジカ熱の流行地からブラジルへの渡航者が増加したことでリスクが高まったと発表し、ことし8月のオリンピックの開催が近づくなか、感染の拡大防止に全力を挙げています。
ブラジル保健省の研究機関は24日、ジカウイルスがブラジルなど中南米に持ち込まれた経路を調べようと、イギリスの大学などと行った最新の研究成果をアメリカの科学雑誌「サイエンス」で発表しました。
それによりますと、ジカ熱の発症者7人から採取したウイルスの遺伝子を解析したところ、ウイルスがブラジルに持ち込まれたのは、これまでの想定よりも1年ほど早い、2013年5月から12月の間とみられるということです。
そのうえで、去年5月にジカ熱が初めて報告されるまで時間がかかった理由として、デング熱などほかの似た感染症に紛れ、気付かなかったと分析しています。
2013年は、年の始めと終わりを比べると当時のジカ熱の流行地からブラジルに入国した人の数が1.5倍に増えたことも分かり、人の移動量の増加が、ウイルスが持ち込まれるリスクを高めたとしています。
ブラジルでは、ことし8月からオリンピックが開催され、世界各地から訪れる人が大幅に増えることが予想され、ブラジルの保健当局では、感染の拡大防止に全力を挙げています。
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小頭症の赤ちゃん パナマで確認 ブラジル以外で初[NHK]
3月25日 14時04分
WHO=世界保健機関は、中南米を中心に感染が拡大しているジカ熱について、ブラジル以外で初めて、中米のパナマで、ジカ熱との関連が疑われる先天的に頭部が小さい小頭症の赤ちゃんが確認されたことを明らかにしました。
WHOは中南米を中心に感染が広がっているジカ熱について24日、最新のデータを発表し、この中で、中米のパナマで、ジカ熱との関連が疑われる小頭症の赤ちゃんが確認されたことを明らかにしました。中南米でジカ熱との関連が疑われる小頭症の赤ちゃんが確認されたのは、ブラジル以外ではパナマが初めてです。
WHOなどによりますと、パナマで報告された赤ちゃんは生後まもなく亡くなり、調べたところ、ジカウイルスへの感染が確認されたと言うことです。
ジカウイルスへの感染と小頭症との関連は、まだ明確になっていませんが、WHOのチャン事務局長は22日の会見で「知れば知るほど、状況が悪くみえる。もっと早く理解を深めなければならない」と述べ、早期の解明と適切な治療法や予防の開発を急ぐ方針です。
WHOによりますと、ジカ熱の広がりが確認されたのは、これまでに中南米のほか、太平洋の国々やアジアやアフリカなど、合わせて52の国や地域に上っています。
念のため、蒲田死刑囚が殺人を犯していないという主張ではなく、検察官や裁判官の有罪論拠が脆弱で有罪とできるほどの証拠がないというものである。
ざっくり言えば、最高裁で確定した蒲田死刑囚の死刑判決は、公判で無罪を主張し続けた蒲田死刑囚が強要されたものと否定した自白調書のみを根拠としており、物証もないまま、特殊な状況に身を置いたある時期の自白内容のみで死刑になってしまったと言える。
蒲田死刑囚を有罪とした証拠のなかで物証と言える唯一のものは、警察に送り届けられていた「挑戦状」に付いていた指紋との“一致”である。
二番目に転載している毎日新聞の記事に、「鎌田安利死刑囚(75)は1995年、大阪府警に窃盗容疑で逮捕された。85年に大阪府富田林市の女性(当時19歳)が殺害された事件で、遺体発見から3カ月後に犯人しか知り得ない内容を含んだ手紙を捜査本部のあった奈良県警高田署長宛てに送付。窃盗事件の捜査の過程で、手紙に残された指紋が鎌田死刑囚と一致し、逮捕の決め手になった」とある。
しかし、手紙に残されていた指紋と鎌田死刑囚の指紋と一致しているとしたら、蒲田死刑囚は「5人の女性連続殺人犯」ではなく、多くても2人の女性連続殺人犯で有罪になっていたはずである。(19歳の少女とその一ヶ月前に殺された家出中の主婦(46歳)の二人)
というのは、85年の19歳少女(知的障害者施設を抜け出し通天閣界隈で遊んでいた)殺害事件では、グリコ森永事件で有名になった「怪人22面相」の署名入りで挑戦状が奈良県警高田署の署長に送られているが、蒲田死刑囚は、自分にも疑いを向けられていることを知り(行きつけのスナックで聞き込みがあったことで)、「東京に行っていて犯行は不可能」と言う説明と新幹線の使用済み切符を同封した釈明状を実名で警察に送っているからである。
このような経緯は、警察が85年時点で蒲田死刑囚の指紋を採取でき、「怪人22面相」の署名入り挑戦状の封筒に付いていた指紋と照合できることを意味する。
仮に、封筒と新幹線切符から指紋を採取できなければ(指紋を隠すあやしい行為)、実名で送ってきたものであり、捜査の対象にもなっていたのだから、あとからでも蒲田死刑囚の指紋を採取することはできる。
蒲田死刑囚が、追及が自身に及ぶことを避けるため、他人の切符を使い、釈明状の発送も他人にすべてやってもらっていれば別人の指紋が警察に採取されることになるが、「怪人22面相」名義ではなく実名だから、警察が事実の確認に動けばわざわざ行ったウソの釈明がばれるというリスクがある。
※ また、「怪人22面相」の挑戦状から採取できた指紋は、当時の鑑識技術ではきちんと特定できない部分的なものだともされていた。(その指紋が送り主のものとは言えないが)
それならなお、捜査の対象になった人物から書状が送られてくるという格好の機会を得たのだから、警察は部分的で曖昧な指紋と蒲田死刑囚の指紋をいろいろな角度から照合したであろう。
このような理由で、蒲田死刑囚が95年に窃盗容疑で逮捕されたときにわかった指紋が、85年に「怪人22面相」署名入り挑戦状の封筒に付いていた指紋と一致したとする“物証”は、証拠力に乏しくこじつけの主張と考える。
(悪意で解釈すれば、85年に蒲田死刑囚が送った釈明状・封筒・新幹線切符から採取した指紋と95年に窃盗罪で逮捕された時に採取された指紋が一致したことをもって“物証”としている可能性がある)
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2人に死刑執行[NHK]
3月25日 9時38分
昭和60年から平成6年にかけて、大阪で小学生を含む5人の女性を相次いで殺害したとして、殺人などの罪で死刑が確定した鎌田安利死刑囚ら、2人の死刑が、25日午前、執行されました。
死刑が執行されたのは、鎌田安利死刑囚(75)と、吉田純子死刑囚(56)の2人です。
鎌田死刑囚は、昭和62年に大阪で、当時小学3年生だった9歳の女の子を殺害したうえ、家族に身代金を要求するなど、昭和60年から平成6年までの間に合わせて5人の女性を殺害したとして、殺人などの罪に問われました。
鎌田死刑囚は無罪を主張しましたが、1審と2審は死刑を言い渡し、平成17年に最高裁判所が「わいせつ目的や借金をめぐるトラブルなど身勝手な動機で5人もの女性を殺害した、あまりにも悪質な犯行だ」として上告を退け、死刑が確定していました。
吉田死刑囚は、平成10年から11年にかけて福岡県で、看護師仲間の女3人とともに、仲間の夫2人を薬物で眠らせて、血管に空気を注射するなどして殺害し、6700万円余りの保険金をだまし取ったとして、殺人や詐欺などの罪に問われました。
吉田死刑囚は「犯行を主導したのは自分ではなかった」と主張しましたが、1審と2審はいずれも死刑を言い渡し、平成22年に最高裁判所が「医療の知識と経験を悪用した犯行で、首謀者であることは明らかだ」として上告を退け、死刑が確定していました。
この事件で、吉田死刑囚とともに起訴された仲間の3人のうち、1人は1審の途中で死亡し、残りの2人は無期懲役と懲役17年の判決が確定しています。
第2次安倍内閣以降で死刑が執行されたのは、去年12月以来、9回目で、合わせて16人になりました。
岩城法相「慎重な検討経て命令発した」
岩城法務大臣は臨時の記者会見で、「この2つの事件は、誠に身勝手な理由から被害者の尊い人命を奪った、極めて残忍な事案であり、被害者や遺族の方々にとって無念このうえない事件だと思う。死刑執行に関しては、個々の事案につき、関係記録を十分に精査し、刑の執行停止、再審事由の有無などについて慎重に検討し、これらの事由などがないと認められた場合に初めて死刑執行命令を発することとしており、今回も同様の慎重な検討を経て、死刑執行命令を発した」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160325/k10010455781000.html?utm_int=all_side_ranking-access_002
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<死刑執行>署長に手紙「捕まえてみろ」5人殺害鎌田死刑囚
毎日新聞 3月25日(金)12時7分配信
25日午前に死刑が執行された鎌田安利死刑囚(75)は1995年、大阪府警に窃盗容疑で逮捕された。85年に大阪府富田林市の女性(当時19歳)が殺害された事件で、遺体発見から3カ月後に犯人しか知り得ない内容を含んだ手紙を捜査本部のあった奈良県警高田署長宛てに送付。窃盗事件の捜査の過程で、手紙に残された指紋が鎌田死刑囚と一致し、逮捕の決め手になった。
手紙には「わしがやった。捕まえられるものなら捕まえてみろ」と警察を挑発するような内容が記してあった。
鎌田死刑囚は大阪・奈良両府県警合同捜査本部の調べに、この女性や大阪市の小学3年生の女児(当時9歳)ら9〜45歳の女性5人を殺害したことを認めた。
しかし、公判では「全く覚えがない」「警察官から暴行され、うその自白をした」と否認に転じ、無罪を主張した。大阪地裁は99年、「まれにみる凶悪かつ重大な連続犯行。中でもわずか9歳の女児をためらうことなく殺害した事件は冷酷非道で、死刑はやむを得ない」と5人の殺害を認め、死刑を言い渡した。死刑判決では主文を後回しにするのが通例だが、開廷後すぐに死刑の主文が読み上げられた。
報道機関の取材で鎌田死刑囚の死刑執行を知ったという女児の弟(36)は毎日新聞の取材に応じ、「本当に長かった。しかし、これで姉が生きて戻ってきてくれるわけでもなく複雑です」と語った。
女児は3人きょうだいの次女で、弟は末っ子だった。猫が大好きで、公園で弟とよく遊ぶ面倒見がよい女の子だったという。弟は「事件当時は小学1年で、事件のことがまったく理解できず、お姉ちゃんはいつか帰って来てくれると思っていた」と話した。
10代の頃、鎌田死刑囚が逮捕されたことを知った。「当初は『殺してやりたい』というやり場のない怒りがこみ上げていた。ただ、死刑囚も75歳まで拘置所生活で苦しんだと思う。死刑執行を聞いて、『やった』と喜べる心境でもありません」とうつむいた。
一方、捜査に関わった元捜査員は「(鎌田死刑囚は)逮捕当初の取り調べにはふてくされ、反省するようなそぶりを一切見せなかった。死刑執行は当然で、遺族が少しでも報われればと思う」と話した。【安高晋、遠藤浩二】
最終更新:3月25日(金)14時10分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160325-00000035-mai-soci&pos=2
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「裁判官聞く耳持たず」「日々、懺悔」 死刑執行の2人
朝日新聞デジタル 3月25日(金)13時7分配信
法務省が約3カ月ぶりに2人の死刑を執行した。岩城光英法相は、就任後5カ月余りで2度目の執行となった。執行された2人は死刑廃止団体のアンケートなどに思いを書き残していた。
鎌田安利死刑囚(75)は、大阪市で1985〜94年、女性ばかり5人を殺害した事件で死刑が確定。「警察庁指定122号事件」だった。
鎌田死刑囚は公判で無罪を主張。99年の一審・大阪地裁判決は一連の事件を鎌田死刑囚の犯行と判断して死刑を言い渡したが、身代金要求については無罪とした。だが二審・大阪高裁は一審の無罪部分を破棄し、鎌田死刑囚の犯行と認定。最高裁で死刑が確定した。
鎌田死刑囚は市民団体「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」が福島瑞穂参院議員(社民)とともにこれまで3回送ったアンケートに、回答を寄せていた。2008年のアンケートには「法廷で、警察や検察で話したことは真実でないと言っても、裁判官は聞く耳を持たない」と捜査・公判を批判。その後は体調が悪化した様子で、昨年7月の回答には「びょうきで字が思うように書けません。それがいちばんつらい」と記していた。
一方、吉田純子死刑囚(56)は、同じ看護学校に通っていた元看護師3人と共謀し、保険金目的でうち2人の夫を殺害した。
二審判決直前の06年5月、弁護人を通じ報道機関に手記を寄せていた。A4判の便箋(びんせん)4枚につづられた手記では、一審判決で「主犯格」とされたことを否定。「もちつ、もたれつの中、知恵を出し合い、共謀へと及んだ哀(かな)しい結果だったのです」と書いた。「被害者の方々の魂が、どうか、天国で安らかでありますように。心より、お詫(わ)び申し上げます」と結んだ。
吉田死刑囚は「フォーラム90」の11年のアンケートにも「日々、内省と悔悟を胸に刻み、懺悔(ざんげ)の祈りを捧げております」と書いていた。(金子元希)
朝日新聞社
最終更新:3月25日(金)13時32分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160325-00000032-asahi-soci
中国が設立を主導したAIIB=アジアインフラ投資銀行の金立群総裁は、国際的なフォーラムの中で「現在参加している57か国に加え、さらに30か国以上が申請中だ」と述べ、AIIBへの参加国がADB=アジア開発銀行を上回るという見通しを示しました。
ことし1月に中国が設立を主導して開業した国際的な金融機関、AIIBの金立群総裁は25日午後、中国南部の海南島で開かれている国際的なフォーラムに出席しました。
この中で、金総裁は「中国は、AIIBを通じて現在の国際的な金融秩序の改善に貢献していきたい」と述べました。そのうえで「現在参加している57か国に加え、さらに30か国以上が参加を申請中だ」と述べ、67の国と地域がメンバーとなっているADB=アジア開発銀行を上回るという見通しを示しました。
AIIBを巡っては、日本とアメリカが国際的な金融機関にふさわしい基準を満たすか注視するなどとして参加していませんが、金総裁の発言にはAIIBの運営方針について、国際社会の理解を十分に得ているとアピールするねらいがあるものとみられます。
アジアの金融市場の安定を図るため、中国が各国の銀行などで作る新たな協会の設立を目指していることについて、これまでに日本の大手銀行3行が参加の意向を示していることが明らかになりました。
中国の李克強首相は24日、中国南部の海南島で開かれているフォーラムの演説で「アジアの金融市場をよりよく構築することで、再び大規模な金融の混乱が起きないよう、各国と協力したい」と述べ、アジアの金融市場の安定を図るため、各国の銀行などで作る『アジア金融協力協会』の設立を提唱していると発表しました。
これについて協会の設立準備に携わっている中国銀行業協会の楊再平氏はNHKの取材に応じ、これまでに中国とアジアを中心とする外資系の合わせて38の銀行や団体が参加の意向を示していて、ことし7月にも正式に設立する見通しだと明らかにしました。
そして、関係者によりますと、日本の大手銀行3行もすでに参加の意向を示しているということです。
協会設立の意義について楊氏は「国際的な金融のガバナンスではアジアに発言権がなく、アジア全体と国際的な金融の安定にとってマイナスだ」と述べ、欧米主導の金融秩序の中で発言権を高めるねらいがあるとしています。
中国はことし1月に開業したAIIB=アジアインフラ投資銀行の設立も提唱しており、中国が金融面からアジアへの影響力を強めていく新たな動きとしても注目されそうです。
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タイ・中国、鉄道計画を大幅縮小 融資・建設費で溝[日経新聞]
共同事業体も取りやめ
2016/3/25 22:01
【バンコク=京塚環】タイのアーコム運輸相は25日、中国の協力を受けて敷設を計画していた長距離鉄道を大幅に縮小すると発表した。最大5300億バーツ(約1兆7千億円)とされた事業費の分担や、中国からタイへの融資条件で折り合えなかった。タイは当面、自己負担で従来計画の3分の1以下の250キロメートルに絞って整備する。中国の技術を導入する方針は変えないが、両国の鉄道協力は大きく後退した。
両国政府が共同出資で特別目的事業体(SPV)をつくり、事業を担うはずだったが、この計画も取りやめる。
中国、タイ両国は2015年7月、タイ北部のラオス国境の町ノンカイを起点にタイを縦断する総距離約870キロの複線鉄道の整備協力で基本合意。同年10月に着工し、20年の全線開通を見込んでいた。最高時速約180キロで旅客と貨物兼用の路線とする計画だった。
修正計画では当初予定していた路線の一部にあたるバンコクから東北部ナコンラチャシマまで250キロの区間に、最高時速250キロの高速旅客鉄道を敷く。今年10月までに着工し、19年前半の運行開始を目指す。総事業費の1700億バーツはタイ政府が全額負担する。
25日にバンコクで記者会見したアーコム氏は「自分たちで投資することに決めた」と鉄道協力の大幅縮小を表明。ナコンラチャシマ以北の整備については「未定」と大きくトーンダウンさせた。
計画が縮小を余儀なくされたのは、巨額の整備費用や、整備事業を統括するSPVへの出資金などの分担で両国が合意できなかったためだ。中国海南省で開かれた中国・メコン5カ国首脳会談の際に李克強首相と会談したプラユット暫定首相は23日、タイ単独で事業を進める意向を伝えた。
タイ側はこの新線が中国南部昆明から東南アジアへの輸送ルート拡大につながるため中国の利点が高いと主張。SPVに対する中国の出資比率を60%とするよう求めたが、中国は受け入れなかった。中国からタイへの融資を巡っては中国側の貸出金利が高く、タイ側が難色を示していた。中国側が沿線開発の権利に固執したことも影響した。
「中国との政府間合意は破棄できない」(アーコム氏)ため中国との協業案件という枠組みは維持する。アーコム氏は信号システムや鉄道車両・鉄道システムなどで中国式の技術を採用すると言明した。
タイが計画推進を急いだ背景には成果を残したい軍事政権の意図が透ける。タイでは17年7月にも民政移管のための総選挙が予定されるが、同国は政権交代の度に大型公共事業計画が頓挫してきた歴史があり、強権を発揮できる軍政下での着工を急ぐ狙いだ。
一方、認可取得に手間取っていたインドネシアと中国国有企業との合弁事業のジャワ島の高速鉄道は近く本格的な工事が始まる。合弁会社に付与される50年間の事業権の開始時期でもめていたが「19年5月末開始」で決着した。だが用地の買収など課題は残る。住民の強い反対も想定されるが、インドネシア政府は土地収用などを側面から支援する。
合弁会社はインドネシア側が6割、中国側が4割出資。総事業費は51億3500万ドルで、75%を中国開発銀行が融資する。ジャカルタからバンドンまでの140キロメートル強を4つの駅で結び、駅周辺の都市開発も担う。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H9N_V20C16A3FF2000/?dg=1
中国が2013年にアジアインフラ投資銀行(AIIB)を創設すると発表したとき、一般的には多国間協調がゆっくりと死に向かう悲しい歩みの一つだと受け止められた。中国は自らが支配し、ほかの出資国は事実上、中国が設定する条件の下でのみ参加できる開発銀行を設立するのだろうといわれた。
だが今週、AIIBがアジア開発銀行(ADB)との共同融資を引き受けるとのニュースが流れ、そうした悲観的な筋書きは幸いにもあまり考えられなくなった。AIIBの設立は中国が国際協調を排除するのではなく、それを受け入れる方向への動きであるという見方は有力だ。
中国は2000年代の初めからアフリカのインフラ事業向けを中心に途上国への2国間融資を開始した。こうした融資は世界銀行の融資とは違って人権や環境への配慮とは無関係で極めて借りやすく、中国の開発融資額は10年には世銀を上回った。
だが、ガーナの石油開発への大型融資にみられるように失敗に終わる案件が続出し、中国はAIIBによる多国間融資で2国間融資を補完する方向へ向かい始めた。
ADBとの共同融資が実現すれば、それは名目的にも実質的にも重要な意味を持つ。ADBは日本の領域に属するとみなされ、米国がそれを支援してきた。米国も日本もAIIBには参加していない。中国はこの地域における主要な外交上のライバル機関と事実上の協調に踏み出すことによって、AIIBが単に中国の利益を投射するわけではないとのシグナルを発しているようである。
AIIBがどのような規則の下で活動していくのかまだ明らかではないが、国際協調の方向をめざすとのシグナルを出していることは賢明だ。
米国などが当初抱いていた懸念は過剰だった。中国は今後も巨額の2国間融資を続けるだろう。AIIBは主力になる新しいモデルというよりは、試験的な事業であるとみなされるべきだ。
中国は既存の開発機関に敬意を表すことで、AIIBが単に他の手段による中国の影響力の拡大を表すわけではないことを示している。
(23日付、社説)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
[日経新聞3月24日朝刊P.6]
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/134.html
中国の企業や個人が抱える過剰債務が深刻さを増している。国際決済銀行(BIS)によると、国内総生産(GDP)の2倍を超え、バブル崩壊後の日本に迫る勢いだ。リーマン・ショック後の大規模な景気対策で設備や不動産への投資が膨らんだ。債務圧縮が課題だが、急ぎ過ぎると需要が冷え込み、対中輸出の悪化や市場の動揺を通じ、日本の景気も足を引っ張られかねない。(川手伊織)
財政出動が契機
16日に閉幕した中国の全国人民代表大会。李克強首相は「新経済の発展を加速させる」と表明し、鉄鋼や石炭の過剰設備の解消などを明言した。中国の過剰債務は2月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも取り上げられるなど、世界経済のリスクとの認識が広がっている。
BISによると、中国の金融機関を除いた民間債務は2015年9月末時点で21.5兆ドル(2578兆円)で、GDP比で205%に高まった。日本の民間債務はバブル末期の1989年9月末に200%を超え、95年12月末には221%まで跳ね上がった。中国も日本のバブル末期から崩壊後の水準に迫る。
中国の民間債務残高はリーマン直後の08年12月末から4倍に急増した。中国が景気対策として打ち出した4兆元(当時のレートで約57兆円)の財政出動と金融緩和を背景に、中国企業は借り入れを増やして投資を拡大。粗鋼生産では世界の半分を占めるまでになった。だが生産調整が進まず、過剰生産で海外にデフレ圧力を広げている。
民間債務のうち、企業が15年9月末で17.4兆ドルと8割を占める。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は「負債比率が高い金属、資源、不動産、建材などの債務不履行に注意すべきだ」と警鐘を鳴らす。家計も住宅ローンの増加でリーマン当時の0.8兆ドルから4兆ドルに急拡大している。
バブル後の日本は過剰債務に苦しみ、貸し出しを増やした銀行の経営が揺らいだ。貸し渋りや貸し剥がしによる企業倒産も急増し、1990年代後半の金融危機を誘発。債務圧縮が一段落するのに約10年を要した。
過剰債務に苦しんだのは日本に限らない。低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)の拡大をきっかけにリーマン・ショックに見舞われた米国では08年9月末に民間債務が169%とピークに達し、債務圧縮に約4年かかった。
景気にブレーキ
今後、中国の企業や個人が債務の返済を優先させれば、消費や投資に回るお金が減り、景気にブレーキがかかる。日本にとって中国は米国に次ぐ主要輸出先。すでに15年の対中輸出額は建設機械などが不調で前年比1%減になり、輸出額全体に占める比率も17.5%と08年(16.0%)以来の低水準だった。債務圧縮で中国の需要がさらに縮むと、対中輸出は一段と減る可能性が高い。
バブル後の日本と同様に過剰債務の処理に手間取れば、経済がデフレに陥る危険性もある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮崎浩シニアエコノミストは「デフレで中国の金融システムが不安定になり、日米欧に飛び火するリスクもある」と警告する。市場が債務問題を意識すれば、年初以降の世界的な市場動揺が再び深刻になる可能性も否めない。
為替の変動を通じて急増する訪日観光客の動向にも影響が及ぶ。BISによると、海外の中国向け与信残高は15年9月末時点で1.1兆ドル。今後、資本の流出や海外からの借入金返済の動きが強まれば、人民元安が加速しかねない。
第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「元安の進行は訪日客の消費にも影を落とす」とみる。SMBC日興証券は元が10%下落すると、訪日客の消費は年換算で1491億円減ると試算している。
[日経新聞3月21日朝刊P.3]
※参考
「消費税転嫁対策特別措置法について」(公正取引委員会)
http://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/index.files/leaflet.pdf
「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(平成二十五年法律第四十一号)」
http://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/hourei_tenkataisaku/jyobun.html
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政府「中小と取引改善を」 製造大手幹部呼び面談へ
政府は4月、大手製造業を対象に中小企業との取引条件を改善するように要請する。企業幹部を首相官邸に呼び、官房副長官が面談する。政府の調査では中小製造業の多くが納入先の大手企業から単価を引き下げられたとしており、賃上げが広がらない要因となっている。中小企業の収益改善を通じて社員の賃上げにつなげ、アベノミクスの浸透を図る狙いだ。
政府は25日に「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」(議長=世耕弘成官房副長官)を開き、中小企業の取引条件などに関する調査結果を確認。これを受け、4月から業種ごとに大手メーカー幹部を呼び、取引価格の実態把握と改善を求める。
会議で確認する調査は中小企業庁が中小9406社を対象に実施。鉄鋼や自動車、産業機械などにかかわる中小企業の25%以上が納入先の大企業などに「1年前より取引価格を引き下げられた」と回答した。原材料価格の上昇などで「(納入先に)価格転嫁が必要」と回答したのは36%だった。そのうち「価格転嫁できなかった」と答えたのは30%だった。
安倍晋三首相は、24日に開いた政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で「アベノミクスの眼目は、中小・小規模事業者を含め、力強い好循環を実現することにある」と強調。「下請けなど中小企業の取引条件の改善に万全を期してほしい」と経済界や関係閣僚に求めた。
[日経新聞3月25日朝刊P.5]
アジア太平洋地域で、2つの地域協力メカニズムが動き始めている。米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)と中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)だ。前者は昨年10月の大筋合意を受け、今年2月に12カ国が調印し、各国の議会承認を待って発効する。後者は昨年末に57カ国で正式発足した。
ただ前者の協定発効には不確定要因が出始めた。米大統領選挙で、民主・共和両党の主要候補がTPP批判を強めている。米上院共和党のマコネル院内総務は「TPPの議会承認は大統領選後」との見方を示した。再交渉の可能性が浮上し、TPP再漂流の恐れさえ出てきた。
後者のAIIBは、欧州諸国などの協力下にアジアから欧州に至る経済圏構想「一帯一路(新シルクロード)」を動かし始めた。昨年末発足の東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体も、AIIBの支援を受けて統合の果実を享受しようとしている。
TPP交渉の陰に隠れていたアジア太平洋地域第3の協力メカニズムである東アジア地域包括的経済連携(RCEP)も、年内合意形成に向けて外交交渉を再稼働させる。ASEAN10カ国と日中韓、インド、オーストラリア、ニュージーランドが参加する。全経済分野で障壁撤廃を目指すTPPと違って、国内事情を加味した機能的な経済連携協定(EPA)網と社会経済文化協力の制度化を目指す。
また日中韓自由貿易協定(FTA)交渉も動き始めた。いずれも、いわゆる東アジア地域統合に連なる構想だ。
これら一連の動きは、日本のアジア外交の選択肢として改めてTPP以外に、RCEPの推進やAIIB参加の再検討を求める。日本のAIIB参加は、RCEP推進要因にもなる。こうした観点からAIIB設立の原点に立ち返って、今後の日本の道を展望してみる。
もともとAIIB構想は2000年代以降、中国側から提案されていた。例えば域内各国の代表研究機関連合が地域統合推進に向けた共通政策を提言する「東アジアシンクタンクネットワーク(NEAT)」の場で表明されていた。そして世界金融危機と福島原発事故を機に地域金融協力機関の必要性が明確になった。
国際通貨基金(IMF)やアジア開発銀行(ADB)が金融危機や防災インフラ強化に十分対応できない中で、地域金融メカニズムの改革もしくは新設が必要とされた。またアジアで地域協力を制度化していくには、単に自由貿易圏をつくるのではなく、域内の貧困を減らし格差を縮めるためにもインフラ整備強化に投資する必要が強調された。
こうした目的達成のためには、環境、資源、防災、農業などの諸領域で連結性(コネクティビティー)を強めなくてはならない。そこで中国はモノとカネ、ヒトと情報の障壁を除去しながら、インフラに重点投資してアジア内需を拡大させ、持続可能な発展による「シームレス(継ぎ目のない)アジア新発展戦略」を描き始めた。
脱国家的な持続可能発展モデルへの転換である。そのための多国間金融協力機関としてAIIB構想を位置づけ直した。構想の背景には、アジアインフラを巡る3つのギャップがある。
第1にインフラ需要と資金調達のギャップだ。インフラ整備が遅れているアジアには膨大な需要があるのに、対応できる資金が不足している。ADBによれば、10〜20年の域内インフラ需要は輸送、電力、エネルギー、電信電話など、総額で8兆ドルを超える。
ASEANだけでも、20年までに毎年600億ドルの資金調達を必要としているのに、対応できる融資メカニズムがない。ADBとASEANが共同で設立した「ASEANインフラ基金」による20年までの契約総額は36億ドルで、域内インフラ整備に必要な投資額にはるかに及ばない。
第2に既存機関による地域間ギャップだ。1991年以来、1兆7300億ドルが世界途上国地域のクロスボーダー(国境を越えた)インフラ開発計画に投じられたが、アジア太平洋地域の融資総額はその18.5%にすぎない。加えてインフラ投資の場合、民間融資だけではなく公的機関の融資比率も低い。インフラ計画融資総額に占める公的融資比率は世界平均の35〜40%に対し、アジアは20%だ。
IMFやADBが堅持する融資条件の財政規律維持原則もアジアインフラを巡る資金調達を難しくしている。
第3に、貯蓄・投資間ギャップだ。高成長下のアジア諸国には十分な外貨準備高と、高い貯蓄率による膨大な民間資金が眠っているのに、域内需要に対応できずに金融市場で滞留し続けている。東アジア域内の外貨準備保有高は5兆6千億ドルを超える。また、アジアには貯蓄の国内総生産(GDP)比率が40%を上回る国も多い(表参照)。AIIBの本格稼働により膨大な外貨準備と貯蓄を有効活用できる。
日本がAIIBに参加することで、内側から透明性とガバナンス(統治)を高められる。だがそうしたメリットにもかかわらず日本は消極姿勢を崩していない。AIIBは以下の3つの潜在性を持つ。
第1にアジアの広大な空間が持つ潜在性だ。インフラ投資の強化により、ユーラシア大陸から太平洋にかけ、発展促進要因として巨大な「空間ボーナス」を享受できる。
アジアの広大な地域空間は山岳や砂漠、海洋で分断され、これまで発展を阻害するとして低開発と貧困の原因とされてきた。しかし情報技術革命は、分断された自然空間を相互に結び付けることを容易にした。広大な空間は広域市場をつくり、連結したインフラ整備により投資と開発の好循環を可能にした。空間オーナス(重荷)から空間ボーナスへの転換は、広域アジアの富と繁栄に寄与していく。
習近平政権下の「一帯一路」構想はその具現化だ。インドネシアの新海洋国家戦略や、中国と周辺諸国とのガスパイプライン開発と結びあう。
第2に政治外交の安定をもたらす抑止力としての潜在性だ。国境を越えた広域インフラ投資は、巨額の資本と高度な技術とともに、国境をまたぐ共同開発管理体制を必要とする。そのため、海洋や大陸におけるエネルギー資源共同開発や、鉄道輸送路や情報通信網の整備建設における脱国家的な協力関係が不可欠だ。
しかも関係国は共同開発に関与しあうことで、対外的協力下での拘束を受け、領土や領海の一方的な単独進出・伸長の試みを相互に抑制せざるを得なくなる。外側からの拘束が、中国の潜在的な「膨張主義」をそぐ抑止要因となる。
多国間協力を構築することが、参加国のウィンウィン関係をもたらし、地域内抑止力に寄与する「協働安全保障」戦略の仕組みだ。その先例を、欧州連合(EU)の源である欧州石炭鉄鋼共同体や、中断中の東シナ海ガス田共同開発にみることができる。
第3に日本経済の再活性化をもたらす潜在性だ。日本が狭い列島内にダムや高速道路網をつくることで繁栄できる時代は終わった。一国内のインフラ投資は限界に来ている。今とるべき戦略はアジア太平洋地域へのインフラ投資を進め、開発と管理に共同参画することである。一国繁栄主義から21世紀型の「連亜連欧」への道といってよい。
ポイント
○既存機関はアジア資金需要に応えられず
○日本のAIIB参加は統治向上にプラス
○広域アジア生かす「空間ボーナス」着目を
しんどう・えいいち 39年生まれ。京都大卒、法学博士。専門は国際政治経済学
[日経新聞3月25日朝刊P.33]
[時事解析]欧州銀行不安の構図
(1) 収益圧迫要因相次ぐ マイナス金利重く
欧州で銀行不安が強まっている。債務危機の影響が残るなか、原油安、マイナス金利など新たな収益圧迫要因がのしかかっている。
欧州銀行の株価は2月半ば時点で、年初から約3割下落。足元は多少戻したが、それでも年初比15%下げている。英独スイスの有力銀行が2015年に赤字を計上するなど業績不振が背景だ。
欧州銀行は07年からの金融危機時には証券化商品投資で、10年からの欧州債務危機時には国債運用で、それぞれ損失を被った。資金洗浄、金融指標不正で罰金を科される銀行も相次いだ。
最近では原油や資源価格下落で、事業融資が不良化したり、関連派生商品取引に損失が出たりしている。原油関連融資が全融資の1割近い銀行もあり、影響が懸念されている。
米ゴールドマン・サックスは準備預金金利の0.1%下げが、欧州の銀行の利益を2〜3%押し下げると予測。「金融緩和が金融機関の利ざやを圧迫している」(国際決済銀行のハイメ・カルアナ総支配人)
世界の金融当局で構成する金融安定理事会(FSB)のマーク・カーニー議長は「年初からの金融混乱は低成長、低名目金利の環境にあわせて、銀行が一段のビジネスモデル調整を迫られている不安を映している」と指摘する。
金融危機後、欧州銀行は米銀に比べ資本強化と経営改革が遅れた。融資依存度が高いなど問題があったためだが、体力が回復する前に再び困難に直面。デフレから抜け切れない欧州経済に暗い影を落としている。
(経済解説部 太田康夫)
[日経新聞3月21日朝刊P.21]
(2) のしかかる不良債権 イタリア、懸念強く
銀行不安がとりわけ懸念されるのがイタリアだ。2008年以降、鉱工業生産が2割減り、9万社が倒産、100万人の職が失われた。
利払いが90日以上滞る不稼働融資(NPL)の融資全体に対する比率は18%に達するが、引当率は45%にとどまる。銀行の質の高い自己資本比率は08年の7.1%から12.3%に上昇したとはいえ、バブル崩壊後の日本の不良債権問題をほうふつとさせる状況だ。
イタリアは1月末、銀行のNPLを売却する新スキームで欧州連合(EU)と合意した。NPLを証券化し、一部に政府保証を付け民間投資家に売却する。銀行が保証手数料を負担し、政府による救済色を薄めている。
イタリア中央銀行のビスコ総裁は「銀行のバランスシートを強固にし、融資能力を改善できる」と強調。ただNPLの高リスク部分は銀行のバランスシートに残るとみられ、効果は不透明だ。
中小銀行も15年には4行が行き詰まるなど深刻だ。相互銀行の淘汰が遅れ、銀行数はなお640を超える。政府は株式会社転換して統合を進める考えだが、抵抗も根強い。
銀行が融資を手控えれば、景気低迷が長引く。大手のウニクレディトはドイツ南部や中東欧でも有力な貸し手としてグループ展開しており、影響はイタリアにとどまらない。
ハンガリー、アイルランド、スロベニアなどは銀行のNPL比率がイタリアより高く、危機のツケは銀行に色濃く残っている。経済が下振れすれば不良債権の重荷は、欧州金融システム不安の形で再燃する恐れがある。
(経済解説部 太田康夫)
[日経新聞3月22日朝刊P.20]
(3) 新興国リスク強まる 縮小・撤退を加速
2000年以降の新興国ブームを金融面で支えたのは欧州銀行だ。新興国に積極展開した英スタンダードチャータード銀行が08年のリーマン危機時も最高益を更新するなど、高い成長は欧州銀行の収益源となってきた。
しかし10年から中国経済が減速し始めると、東南アジア諸国連合(ASEAN)やブラジルも失速。アラブの春で期待が高まった中東でも混迷が深まった。さらに、原油安で一部産油国の債務不履行が懸念されるなど、新興国取引はリスクに変わりつつある。
多くの新興国では企業の設備投資が景気拡大をもたらしたが、その過程で企業債務が拡大。だが米利上げを機に資本が流出し、債務の持続可能性も懸念されている。
情勢の変化を受けスタンダードチャータードは中国、香港、韓国で消費者金融から撤退。ドイツ銀行はアルゼンチン、メキシコなど10カ国から撤退、英バークレイズはアフリカでの業務売却を、それぞれ打ち出した。
英HSBCは100件を上回る買収で新興国などに浸透したが、トルコやブラジルでの業務の売却を決めた。スチュアート・ガリバー最高経営責任者(CEO)は「脱リスク、低金利による収益減少を補うため、(世界中で地場に食い込む)ワールド・ローカル・バンクをやめる」と述べている。
欧州銀行は縮小にあたり採算の悪い債権を他の銀行に売却しているが、国際市場での新興国向け融資のシェアはなお50%を超える。資産圧縮が新興国の成長率を押し下げ、それが銀行に跳ね返る悪循環も懸念される。
(経済解説部 太田康夫)
[日経新聞3月23日朝刊P.30]
(4)意識された破綻処理 資本コスト上昇も
ユーロ圏は2016年1月から銀行の単一破綻処理制度を導入した。銀行監督・制度の統合を目指す「欧州銀行同盟」は第2段階に入った。
銀行に十分な資本を積ませるとともに、行き詰まった場合、まず株主、次に劣後債保有者に負担を求め、足りなければ処理基金から資金拠出する。
背景には銀行の過度なリスクテークを招いた「大きすぎてつぶせない」状況からの脱却がある。実行段階に入り「銀行が公的支援を受けにくくなることで、資本や債務の評価に響くとみられている」(イタリア中央銀行のシニョリーニ副総裁)。
単一破綻処理制度への不信もある。処理基金の規模は550億ユーロで、大手が破綻すれば不足する公算が大きい。単一預金保険の設立は24年と先で、安全網が不整備なのに破綻容認が先行したと受け取られている。
新しい枠組みでは健全性を保証する銀行資本の重みが増す。18年にも国ごとに異なる自己資本要件が統一される。米JPモルガンは「フランスなどで自己資本比率が下がり、域内で最大260億ユーロの資本が不足する」と指摘する。
銀行は経営悪化した際に、株式転換される新型資本(偶発転換社債=ココ債)も導入。今回、一部銀行で株式転換の恐れから新型資本価格が急落し、金融不安が強まった。事態が長期化すれば資本調達コストの上昇や一部での調達困難などが予想される。
日本が02年にペイオフを解禁した際、経営が悪化する銀行への懸念が強まったが、それと似た銀行不安が欧州に広がっている。
(経済解説部 太田康夫)
[日経新聞3月24日朝刊P.33]
(5)大規模リストラ相次ぐ 収益力向上が課題
欧州の銀行はユーロ導入以来、投資銀行業務強化による収益拡大、買収による規模拡大を目指した。しかし過度のリスクテークが裏目に出て損失が拡大し、多くの銀行が戦略転換を迫られた。
スイスUBSや英バークレイズは投資銀行業務の縮小に動いている。高リスク業務の切り離しで経営の安定性は増すものの、収益力は低下する。欧州では商業銀行業務と投資銀行業務を分離する規制が導入され、戦略見直しを余儀なくされている面もある。
買収による拡大戦略の見直しも相次いでいる。ドイツ銀行は小口金融(リテール)業務強化のために買収したポストバンク(郵貯)を20年までの中期計画で売却する方針を打ち出した。
欧州銀行がこの1年に打ち出した戦略転換に伴う人員削減は10万人を大きく上回る。市場部門で抱える在庫に損失が紛れていたり、売却を計画する事業が想定通りの価格で売れなかったりするなどリスクも山積、市場の懸念を増幅させている。
欧州中央銀行(ECB)のベノワ・キュレ理事は「ビジネスモデルにリスクがあるとみられている銀行は業務を見直し、不安を取り除く必要がある。資産処分でバランスシートを効率化し、新しいビジネス開発に取り組むことが、銀行を低収益構造から救う道だ」と指摘する。
欧州連合(EU)は米国や中国を上回る規模の経済圏だが、銀行の信用創造力の低下が成長を妨げている。リスクを抱えながらも動きだした欧州銀行改革の成否が、欧州経済の行方を左右する。
(経済解説部 太田康夫)
=この項おわり
[日経新聞3月25日朝刊P.33]
【ソウル時事】北朝鮮軍前線大連合部隊の長距離砲兵隊は26日、韓国の朴槿恵政権に対する「最後通告状」を発表し、金正恩第1書記ら首脳部への攻撃を想定した演習について「公式謝罪」や責任者の「公開処刑」を要求した。
その上で、応じなければ「軍事行動に移る」と威嚇した。朝鮮中央通信が伝えた。
北朝鮮の祖国平和統一委員会は23日、朴大統領を「除去」するための「報復戦」に入ると警告。25日には青瓦台(韓国大統領府)などを標的に想定した砲兵隊の大規模演習が行われたと伝えられており、脅迫の度合いをさらに強めた格好だ。
最終更新:3月27日(日)0時50分
【AFP=時事】英国人のコンピュータープログラマーの男性は、家族に無事だとメッセージを送ったところだった―
英メディアが伝えたところによると、デビッド・ディクソン(David Dixon)さん(51)は、ベルギー・ブリュッセル(Brussels)の空港で爆発があった後、無事を伝えるメッセージを叔母に送った。だが、空港での爆発から約1時間後、地下鉄で自爆攻撃が起きた時、ディクソンさんはその現場にいた。
ディクソンさんの家族は声明を出し、「恐ろしく衝撃的な」知らせだと語った。
英外務省によると、他に7人の英国人が負傷し、うち3人は依然として入院しているという。
欧州の象徴的な都市であるブリュッセルの国際性を反映するかのように、犠牲者の国籍は隣国のフランスやオランダから遠く離れたペルー、中国、米国まで多岐にわたる。
ベルギー在住のペルー人女性は、空港での爆発で死亡。ペルー外務省が確認した。女性の夫は、遊んでいた双子の娘たちを追って(現場から)離れていたため、娘たちとともに奇跡的に助かった。
米ニューヨーク(New York)在住のオランダ人兄弟は、身内と電話していた際に空港で爆弾が爆発、通話が途切れたと伝えられている。
オランダ人では他に少なくとも、もう一人、女性が事件で犠牲になっている。同国のメディアによると41歳の女性は、義父の葬儀に米国へ向かう途中だった。
またフランス外務省によると、フランス人男性1人が死亡し、12人が負傷、うち3人が重症。ドイツ警察は空港の爆発で1人が死亡したと発表した。さらに、ベルギーの中国大使館は25日、中国人1人が死亡したと確認した。【翻訳編集】 AFPBB News
最終更新:3月26日(土)18時51分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160326-00000023-jij_afp-int
【ブリュッセル時事】ベルギー検察は26日、同時テロ事件に絡み、24日の家宅捜索を受け拘束している3人のうち2人を正式に逮捕したと発表した。
同国メディアは、このうち1人が、国際空港のテロ後、逃亡していた男だったと報じた。事実とすれば実行犯の逮捕は初めてとなり、事件解明に向け大きな前進となりそうだ。
検察は「ファイサル・C」容疑者をテロ行為による殺害などの容疑で、「アブバカル・A」容疑者をテロ組織活動への参加の容疑でそれぞれ逮捕したと発表。地元メディアは、逃亡している容疑者をファイサル・シェフ容疑者と特定した。このほかフランスでの新たなテロ計画摘発に関連して拘束した容疑者1人も逮捕した。
検察は空港の監視カメラに写った「黒帽子」の男の写真を公開し、行方を追っていた。同国紙ルソワールによると、空港まで3人の自爆犯を運んだタクシー運転手が「シェフ容疑者が3人のうちの1人だ」と証言した。シェフ容疑者がフリーのジャーナリストだったとの報道もある。
最終更新:3月27日(日)0時44分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160326-00000096-jij-eurp
自民党の下村博文総裁特別補佐は27日午前のフジテレビ番組で、夏の参院選で自民党が擁立を検討している作家の乙武洋匡氏(39)が週刊誌で不倫を報じられたことについて、「人生前向きに一生懸命頑張っている好印象の高い人がああいうことを書かれるのは大ダメージだ。(公認は)慎重に考える」と語った。
来月12日告示の衆院北海道5区補欠選挙に関しては、「接戦だ。結果がその後の政局や解散総選挙に直結する」と述べ、同補選の勝敗が安倍晋三首相の衆院解散判断を左右するとの見方を示した。(2016/03/27-11:34)2016/03/27-11:34
(消費税法の改正で税率引き上げとその時期に関する部分を削除してしまえば、消費税増税問題は政治課題から消滅する)
これは、円ドルレートの円安基調とTPP交渉の妥結内容から判断したものと負われる。(消費税(付加価値税)は、社会保障財源とは無関係で、円高対策及び関税引き下げ対策として導入・増税が行われてきたもの:社会保障云々は国民向けインチキ説明)
ということから、昨年秋の複数税率(軽減税率)導入騒動は、公明党=創価学会を自民党の集票マシンとしてつなぎ止めるためのマヌーバーであったと推測できる。
安倍首相も財務省も、「輸出免税」制度と同じく特定事業者に税的利得を供与する仕組みであり複数税率制度に反対であり、創価学会のご機嫌をとるために渋々複数税率の導入に合意したが、税率を10%に引き上げない限り実施はされないことを見込んでのことだろう。
「軽減税率」という利益を鼻先にニンジンをぶら下げられただけで食べられない公明党=創価学会は、いつかは食べられると期待し、自民党への集票機能に精を出し続けるだろう。
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同日選、安倍首相判断を尊重=「リスク高い」とも―山口公明代表
時事通信 3月27日(日)12時20分配信
公明党の山口那津男代表は27日放送のラジオ日本の番組で、夏の参院選に合わせて次期衆院選を行う衆参同日選について、「解散権を持っているのは首相だ。安倍晋三首相が決断すれば、受けて立たざるを得ない立場だ」と述べ、連立与党として安倍首相の判断を尊重しなくてはならないとの認識を示した。
番組は16日に収録された。
山口氏は「仮に打診があれば、その理由や勝てる可能性、国民に説得力があるかを真摯(しんし)に相談したい」と指摘。ただ、「ダブル選は望ましくないと言ってきた。(自民党との)選挙協力がしづらくなるし、政権すら失ってしまうリスクが高い」とも述べ、慎重な姿勢を重ねて示した。
最終更新:3月27日(日)13時17分
【ワシントン=川合智之】米大統領選の民主党候補指名争いは26日、アラスカ州で党員集会を開き、バーニー・サンダース上院議員(74)が勝利を確実にした。米メディアが一斉に報じた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK27H0C_X20C16A3000000/
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民主党ワシントン州党員集会、サンダース氏が勝利確実
2016/3/27 7:41
【ワシントン=川合智之】米大統領選の民主党候補指名争いは26日、西部ワシントン州で党員集会を開き、バーニー・サンダース上院議員(74)が勝利を確実にした。サンダース氏は同日のアラスカ州党員集会に続く連勝となる。米メディアが一斉に報じた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK27H0F_X20C16A3000000/?dg=1
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共和主流派「反トランプ」で結束 クルーズ氏、ユタ勝利
【ワシントン=川合智之】米大統領選の民主、共和両党の候補指名争いは22日、西部3州(共和はうち2州)で予備選や党員集会を実施した。首位を走る民主のヒラリー・クリントン前米国務長官(68)、共和の不動産王ドナルド・トランプ氏(69)が大票田のアリゾナで勝利したものの、民主はバーニー・サンダース上院議員(74)がユタとアイダホ、共和はテッド・クルーズ上院議員(45)がユタを制するなど健闘した。
共和主流派は「反トランプ」の流れを加速して過半数の代議員獲得を阻止したい考えだが、トランプ氏が首位を走る構図は変わっていない。
ユタ州でクルーズ氏が勝ったのは「反トランプ」票をクルーズ氏に集中させた共和主流派の思惑もある。2012年大統領選の共和党候補だった主流派のミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事は、ユタ州党員集会でクルーズ氏への投票を表明した。
トランプ氏は22日のブリュッセルの空港と地下鉄駅での爆発を受け、テロ容疑者への違法な「水責め」の拷問を求めるなど、過激な発言を繰り返した。クルーズ氏もトランプ氏に負けずにイスラム教徒の住む地区の「監視」を要請。穏健な共和主流派にはいずれも受け入れにくい排外主義だ。
ただ他に有力なトランプ対抗馬が見当たらないなか、共和主流派はクルーズ氏に当面は票を集めてトランプ氏の独走を阻止する考え。ロムニー氏は「オハイオ州のジョン・ケーシック知事を応援しているが、彼に投票してもトランプ氏を勝たせるだけだ」と述べ、本来は支持したくないクルーズ氏に投票した複雑な思いを吐露した。
主流派が狙うのは、共和では約70年ぶりとなる決選投票での候補指名だ。7月の党全国大会までにトランプ氏が過半数の代議員を獲得できなければ、主流派は決選投票でトランプ氏やクルーズ氏以外の候補を新たに擁立できる。決選投票でライアン下院議長のような主流派を指名する構想を練る。
米メディアによると、クルーズ氏は党大会に出席する代議員に自身の支援者を送り込む準備を進めるなど、決選投票を見越した対策を進めている。クルーズ氏を利用しようとしている主流派の思惑を逆手に取り、決選投票に持ち込んで逆転を狙う構えだ。
[日経新聞3月24日朝刊P.7]
米国はブリュッセルでのテロ事件の後、ロシアのプーチン大統領の決定をよりよく理解できるようになった。ジョン・ケリー米国務長官が24日、ラヴロフ外相との共同記者会見で語った。
「ブリュッセルで行われた恐ろしいテロ事件の後、今日我々に課せられた課題がどのようなものであるかということを忘れてはならない。つまり、シリアにおける紛争を解決し、ダーイシュ(IS、イスラム国)撃滅に全力を尽くすことだ」とケリー国務長官。
「こうして我々は、ここ数年のプーチン大統領による決定をよりよく理解できるようになった。そして、今後どうするべきかも、よりよく理解できるようになった」。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160327/1850845.html
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ケリー長官のスーツケースは「プーチン氏と私だけのヒミツ」[スプートニク日本語]
2016年03月25日 16:58(アップデート 2016年03月25日 20:47)
ケリー米国務長官はプーチン大統領との会談に持ち運んだスーツケースの内容についてとうとう明かさなかった。
ケリー長官はこれについてはプーチン大統領だけに明かしている。
ロシアのマスコミ報道によれば、長官は「これはプーチン大統領と私しか知らない秘密です」とだけ語っている。
プーチン大統領はケリー長官との会談の冒頭で長官のケースの「秘密の中身」についてジョークを飛ばしている。
「あなたが自分の荷物を抱えて飛行機のタラップを降りるのを見て、ちょっと残念に思いましたね。米国ではうまくいっていないようだなぁ。国務長官がスーツケースを運ぶのを誰も助けないなんてって。」
「それから、あれ、まてよ。あのケースにはきっと、誰にも任せられないようなものがはいってるんじゃないか。きっとすごく大事なものだ。どうやら金を持ってきたらしいぞ。アレを使って重要問題をうまく取り付けるつもりだな、」
こんなプーチン大統領の言葉にケリー長官は、「何がかばんに入っているか、差し向かいでお教えしましょう」と語り、「きっと驚かれるでしょうね。嬉しいサプライズになるはずです」と茶目っ気たっぷりに答えた。
24日、プーチン大統領はケリー長官をクレムリンに迎えた。この会談はラヴロフ外相も出席し、4時間にわたって行われた。ラヴロフ外相の声明によれば、会談の内容は主に国際問題、シリア紛争、ウクライナ危機。
ベルギーのシャルル・ミシェル首相のウェブサイトが今日、ハッカー集団「ダウン・セク」からのサイバー攻撃を受けた。
サイバー攻撃はブリュッセルのテロ事件時におけるベルギー当局の行動に関連しているという。ハッカー集団が自身のTwitterで明らかにした。
同組織は、連続テロから数日後にテロへの警戒を弱めたことは当局の無責任な決定であるとして、首相に辞任を呼びかけた。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160327/1850774.html
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メルケル首相、ベルギー自爆テロ犯との友情を疑われる[スプートニク日本語]
2016年03月26日 21:30
ソーシャルネットワークのユーザーらが、ブリュッセル空港の自爆テロ犯に似た難民がドイツのメルケル首相と写真に写っている、と指摘している。
昨年9月、メルケル首相はベルリンの難民キャンプを訪問した。外国から来た難民らは首相と記念写真をとった。その中に自爆テロ犯ナジム・ラシュラウイと思しい若者がいる。
ラシュラウイはブリュッセル連続テロのコーディネーターと見られている。
http://jp.sputniknews.com/life/20160326/1850115.html
(写真:日本の政治家もパチパチ写真をとらせているけどね)
http://twitter.com/ifangermangad72/status/713606321543651328/photo/1
そして、NHKの記事は触れていないが、公聴会では、海軍のなかに来年から実戦配備するといっているところもあるが欠陥を抱えたままの配備は誤りだとも指摘されている。
※フライングでの岩国配備は、日本や韓国への売り込みでF35の開発・生産をなんとか採算ベースに持って行きたいロッキード・マーチン社と国防総省の思惑によるものだろう。
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米国のF-35 で日中のパワーバランスは均衡するか?
2016年03月26日 19:52
タチヤナ フロニ
米軍は2017年1月、第5世代戦闘機F-35を日本の岩国基地に配備する。現在、同機はアリゾナ州の基地で配備に向けた準備を進めている。
また、日本政府はF-35戦闘機を付属システム付きで42機購入する計画だ。これで日本の空中戦闘力は強化され、空対空および空対地の防衛能力が向上する。これまで価格が上昇したり納入が延期されたりはしたが、日本は莫大な出費にも用意があるようだ。その中には重大な戦略が透けて見える。ロシアの軍事専門家ウラジミール・エフセーエフ氏はそう語る。
「現在の中国のリーダー、習近平氏は、領土問題の解決に一定の軍事力を使用することを辞さない。この戦略は、中国抑止を念頭に置いている。このような状況下で、日本は圧倒的な制空権をつことを望んでいる。米国の第五世代戦闘爆撃機F-35の購入でその目的を達成しようとしているのだ。この戦闘機はステルス性能に優れているので、中国による領土紛争の武力解決を防ぐのには非常に有効であると考えられる。しかも戦闘機F-35をこれほど多数購入するというのだから、これはもう空中連隊を組むと言ってもいいようなことだ。そして、F-35戦闘機は、シリアで目覚ましい活躍を見せたロシアのSu-34の類似品でもある。 F-35は、さまざまな展開方法を可能にする。米国では、地上基地用機としても、艦上戦闘機としても使用されている。日本では、地上基地用機となる可能性が高い。いずれの場合も、F-35戦闘機は、迎撃用機にも、ミサイル爆撃機にも使えるものだ。つまり、汎用性があるのだ」。
F-35は世界で二番目に作られた第五世代の航空機である。最初のものはF-22「ラプター」だが、国家安全保障上の理由から、米国は他の国には同機を販売しない。日本にとって、中国抑止による国家安全保障の重要性が高まっている、とエフセーエフ氏。
「いま中国は空軍と海軍の近代化プログラムを実施している。日本はこのレースにおいて中国におくれを取ることを非常に恐れている。そのため、日本は、F-35のような航空機を購入することで、地域のパワーバランスが維持される、と期待している。中国には、高品質かつ現代的な戦闘爆撃機を生産する能力がない。よって、中国の対抗措置として、ロシアの航空機の購入ということも考えられる。ロシアにとって、これは一定のプラスだ。しかし、全体的に言ってこうしたことは、北東アジアの軍拡競争を強化させる。要するに、F-35を購入するという日本の決定は、地域の安全保障の強化に寄与しないのだ」。
日本の防衛省は英国の「ユーロファイター・タイフーン」、フランスの「ラファール」などでなく、米国のF-35を選択した。しかし、専門家によれば、その信頼性には疑問の余地がある。以前、米国国防総省試験評価局は、F-35の技術的な欠点に関する報告書を発表している。操作性の悪さ、アビオニクスの不安定、アフターバーナー、ヘルメット型情報ディスプレイなどについての難点が記されたものだ。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160326/1849361.html
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日本よ、F35戦闘機も買います、露中とも仲良くしますというのは、矛盾では?
2016年03月26日 09:49
日本の抱える計画には第1に、領土問題を解決し、平和条約を解決してロシアとの関係改善することが掲げられているが、第2の計画では米国の戦闘爆撃機F35を買い上げ、自国領土に配備することになっている。
これについて、モスクワ国際関係大学、国際調査研究所、上級研究員のアンドレイ・イヴァノフ氏は次のような見方を表している。
「ロシアと良好な関係にある日本にバカ高いF35が果たして必要なのか? ロシアは日本に攻撃しようとは絶対にしていない。ロシアは第2次世界大戦の結果を尊重しており、その結果、サハリン南部と南クリル諸島を再び管轄下においたが、北海道は日本の固有の領土としてこれを占領しようとはしなかった。日本のマスコミのよく言うクリミア『併合』は、ロシアの攻撃性と拡張を証明するものにはなりえない。なぜならクリミア半島は過去何世紀もの間、ロシアの領土であったのであり、その住人は主にロシア人で、彼らこそがクーデターのカオスで汚れされたウクライナから離れて、ロシアの懐に戻ることを望んだからだ。
ところでロシアの対空防衛スキルと最新のスホイ35、ミグ35、ツポレフ50の性能を考慮した場合、米国防総省が大々的に宣伝する最新の米航空機を購入するというのはドブに金を捨てるに等しい。おそらく日本の防衛省でもこれはわかっているのだろう。だからバカ高いおもちゃのF35は日本の軍部にとっては、ここ数年尖閣諸島を要求して日本を威嚇する中国からの防衛に必要なのだろうと思う。だが中国だって、ロシアから最新の対空防衛システムや航空機を購入できるのだ。そうなればF35は中国に対抗する手段にすらならない。
こうなると誰かさんとの間の領土問題を解決する最良の方法は軍備ではない。だが中国との対話は今のところあまりうまく行っていない。それに比べ、ロシアの方は日本とはどんな難しいテーマでも話し合う構えなのだ。このため今年5月、安倍氏がソチに行こうとしているのはこのリゾート地でプーチン大統領と露日の二国間関係を話し合おうとしているからだ。安倍氏は既に、ロシア大統領と会談し、平和条約と「北方領土」、つまり南クリル諸島の問題の進展を得たいという声明を再三にわたって表している。これにプーチン大統領も何度も、対日関係はロシアにとって非常に重要だと語り、平和条約の一日も早い、互恵的解決が行われることに賛同を示している。しかもロシアも日本もこの「互恵的解決」を見つけることが、いやはや、そんなに簡単なお話ではないことは重々承知しているのだ。それでも安倍氏はロシアに行くだけではない。あらゆる場所でも、領土論争の一日も早い解決を期待すると声明を表し続けており、まるで自らの手で自分を困難な状況に追いやることを恐れていない。
安倍氏はナイーブわけでも経験に乏しいわけでもない。つまり彼がこう行動したということは論理があるということになる。つまり、思い切った予想をするならば、ロシアと領土問題を解決する構えだと豪語したことはつまり、米国を前にしてプーチン大統領との会談を正当化するために必要だったからではないのか。その米国はここ数週間、ロシアとの協力の凍結を解除したが、それでも他の国にはこれを行うことを許していない。実際、安倍氏にはラジカルに対露関係を改善する必要があるのかもしれない。ところでこれが成立すれば、中国ともずっと話はつけやすくなるはずだ。なぜなら日本がF35を軍備しようとも、米国と軍事同盟を築いていようとも、そんなことは中国との話ではシリアスな論拠とはみなされないし、相手がロシアとなれば、なおさらの話だからだ。」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160326/1847342.html
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米軍F35の実戦部隊 来年1月に岩国配備の見通し[NHK]
3月24日 14時12分
アメリカ軍の幹部は、最新鋭戦闘機F35の最初の実戦部隊を来年1月に山口県の岩国基地に配備する見通しを明らかにし、中国や北朝鮮も念頭に、この地域でのアメリカ軍の増強を急ぐねらいもあるとみられます。
アメリカ海軍省のスタックリー次官補は23日、議会下院の公聴会で、アメリカなどが開発を進めている最新鋭戦闘機F35について証言しました。この中でスタックリー次官補は、「わが国で最初に作戦行動が可能となるF35の部隊が、2017年1月に岩国基地に派遣される」と述べ、最初の実戦部隊が来年1月に山口県の岩国基地に配備されるという見通しを明らかにしました。
F35はレーダーに探知されにくいステルス性能があり、日本も航空自衛隊の次期主力戦闘機として42機を導入する計画です。日本ではF35の導入に伴って日本国内での機体の組み立て作業が始まっていて、これについてスタックリー次官補は、ことし11月には最初の機体が組み上がるとして、このころまでに生産体制が整うという見解を示しました。
カーター国防長官は、オバマ政権のアジア重視政策の下、アジア太平洋に最新の装備を配備する方針を示していて、最初のF35部隊の岩国基地への配備には、中国や北朝鮮も念頭に、この地域でのアメリカ軍の増強を急ぐねらいもあるとみられます。
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ヨルダン王、欧州のテロにおけるトルコの役割について米国議員らに語る
2016年03月26日 18:53(アップデート 2016年03月26日 18:56)
ヨルダンのアブドラ国王は秘密会合の中で米国議員らに対し、トルコのエルドアン大統領は、地域問題に対する「イスラム過激派」的解決を提案しており、テロリストらの欧州への侵入は「トルコの政策の一部」であると語った。
また、2016年の初め以降、リビアにおける作戦には、英国の特殊空中部隊が動員されている、と述べた。また、英国軍は、アサド政権軍と戦ったシリア南部の機械化大隊の形成にも関与していた。ガーディアン紙が会話の内容を聞き出すことに成功した。
ガーディアン紙によれば、2016年1月11から17日までの期間、ヨルダンのアブドラ国王は米国議員らに対し、英国の特殊空中部隊が動員されている、と述べた。リビアの状況についてはジョン・マケイン議員も知らされていたという。国王はまた、トルコのリーダーによってもたらされる危険性について、米国の政治家らに警告した。
お詫びして追加させていただきます。
記事は、「スプートニク日本語」より転載しました。
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/410.html#c1
シリア政府軍はパルミラの街をダーイシュ(IS、イスラム国)から完全に解放した。軍部の情報をもとにAFPが伝えた。
「夜間の激戦の末、軍がパルミラを完全に制圧した。歴史地区も、住宅地も、両方だ」
— シリアに6つあるユネスコ世界遺産の一つ、パルミラ遺跡のあるパルミラは、5月半ば、武装勢力のコントロール下に入り、古代の遺跡や寺院が破壊の脅威にさらされていた。
「米国のF-35 で日中のパワーバランスは均衡するか?:岩国基地にはレーダー機能など致命的欠陥を残したまま配備」
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/513.html
米空軍大将でNATO欧州統合軍司令官のフィリップ・ブリドラフ氏は、ロシアに対する作戦を実行するためにEUに偵察機U-2を再配備する必要性を訴えた。インディペンデント紙が報じた。
U-2は「冷戦」の間、米空軍が積極的に使用していた。
ブリドラフ氏は、当該機は「ロシアの脅威の高まり」に効果的に対抗するために必要な追加的諜報手段となる、と述べた。
ロシアのNATO大使アレクサンドル・グルシコ氏はロシアが「安全保障に対する主要な脅威」と呼ばれているこの新戦略について、これは現実の安全保障上の要求にも世界の発展の上での要求にも合致していない、と述べた。
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北朝鮮、米国と韓国に核攻撃を行うと脅迫(動画)[スプートニク日本語]
2016年03月27日 13:19(アップデート 2016年03月27日 16:10)
北朝鮮軍は、もし韓国大統領が、米国との合同演習について謝罪しないのであれば、ソウルを攻撃すると威嚇した。26日、韓国聨合ニュースが伝えた。
聨合ニュースは、次のような北朝鮮軍の発表を引用しているー
「もし我々の最後の警告が無視されるのであれば、我が国(朝鮮民主主義人民共和国・北朝鮮)の長距離砲は、容赦のない軍事行動に移るであろう。」
韓国内では、1万7千の米国兵が参加して大規模な軍事演習が実施された。演習の一部では、戦争を想定し、北朝鮮の核及びミサイル施設殲滅に向けた作戦の仕上げがなされた。
また北朝鮮メディアDPRK トゥデイはYouTube 内のチャンネルで、「最後のチャンス」と題した動画を公開、米国に対する核攻撃を示唆した。
25日、バグダッド南郊にある競技中のサッカースタジアムで自爆テロが行われ、40人が死亡、100人以上が負傷した。先の報道では29人が死亡、少なくとも60人が負傷となっていた。
AFP通信によれば、事件はバグダッド近くのエル・アスリア村で発生した。
既にダーイシュ(IS、イスラム国、ロシアでは活動が禁止されている組織)が犯行声明を出している。
ドイツのメルケル首相と一緒に写真に写っているシリア人は、ブリュッセル連続テロ犯の一人ではない。ドイツのポータルMmnewsが報じた。
先に、メルケル首相が欧州入りした難民をフロントカメラで撮影した際、のちブリュッセルでテロを行う者とセルフィを行った、との報道がなされた。22日にブリュッセル空港で爆破テロを組織した疑いのあるナジム・ラシュラウイの画像が発表され、このことに注目が集まった。
しかし、メルケル首相と写っていた若い男は、ベルリンの家族に引き取られた18歳のアナス・モンダマニ氏であることがわかった。引き取り先の家族と親交のある作家で出版者のケルスチン・ハク氏の報告で明らかになった。
米カリフォルニアのロサンジェルスでサウジアラビアのアジズ・アリ・サウド皇子(29)がとんでもないスキャンダルを起こした。地元マスコミ報道によれば、皇子は借家を破壊した罪が着せられている。皇子がハリウッドで借りた家には数百人のゲストが集まり、正真正銘の破壊行動を起こした。
皇子が借りたハリウッドの豪邸、毎月の賃貸料は9万ドル。今、その所有者がアジズ・アリ・サウド皇子を訴え、30万ドルの弁償金を要求している。これは、皇子によって借家が蒙った損失を補填する額。
裁判所に提出された書類から、皇子が2015年8月に盛大に行ったパーティーではストリッパー集団が招かれ、全裸で歩き回ったほか、夜を徹してダンスパーティーが行われ、家具やインテリア、壁が壊されたことが分かっている。
イタリアのサレルノ市は、売春を生業とする女性が、あまりにセクシーな服装をしたり、人前で戯れたりした場合、そうした行為に罰金を科すと決めた。新聞「ザ・ローカル」が伝えた。市の決めた公衆道徳に違反した場合、500ユーロ以下の罰金を払うことになる。
こうした決定は、サレルノ市中心部でセックス産業の代表者、つまり売春婦の数が急激に増えたことからとられたもので、市内の広場で、お客さんにサービスを提供した場合、記録として残される。
市当局は、女性達が今よりもっと礼儀正しい服装をしたならば、お客さんも減り、市民や観光客の目に付くことも少なくなるだろうと期待している。
イタリアでは、売春行為は罰せられないが、売春婦を斡旋したり自分達のサービスを押し付けたり、売春宿を経営したりすることは禁止されている。
沿岸用ミサイル複合体「バル」と「バスタチオン」および新世代の無人機は2016年、再軍備計画の過程でクリル諸島に配備される。25日、ショイグ露国防相が明らかにした。
「予定されていたクリル諸島の軍部隊の統合再軍備が行われている。今年、ここには沿岸用ミサイル複合体『バル』と『バスタチオン』および新世代の無人機『エレロン3』が配備される。」ショイグ国防相は省内の会議で明らかにした。
ここ数年、国防省はクリル諸島での軍事上の建設を活発に行っている。ショイグ国防相が明らかにしたように、ロシア軍は今年、クリル諸島および北極の諸島部における軍事インフラの形成を終了する。
ドイツでセックスワーカーに求める条件を高める新たな法案が可決された。新たな法律では、仕事のために使うアパートや顧客用の個別のトイレがあること、またコンドームの着用義務が求められているほか、セックスワーカーは自分の職業を正式に登録しなければならない。
ドイツの「性的サービス」組合連合の広報担当者ウンディーネ・デ・リヴィエール氏は、新たな法律について、完全に非生産的だとの見方を表し、「これは売春婦の保護に関する法律だと言われているが、本質的には売春婦を監視する法律だ。これは業界に深刻な問題を引き起こすだろう。大勢のセックスワーカーが、法律の枠を超えざるを得なくなる」と述べた。
リヴィエール氏は、例えばコンドームの着用義務など、法律の複数の項目の遵守を管理するのが極めて難しくなると指摘している。リヴィエール氏はまた、新たな法律は長期的展望で売春を制限するためのものである可能性があると考えている。
おおさか維新の会は26日、大阪市内で党大会を開き、教育の無償化や統治機構改革などを柱とする憲法改正原案を決めた。松井一郎代表(大阪府知事)は参院選で自民党などと合わせて改憲勢力3分の2以上の議席確保をめざす意向を表明。与党の一角を占める公明党が慎重姿勢を崩さない中で、改憲論議を主導して安倍政権に協力する姿勢をにじませた。
松井氏は党大会後、記者団に「(憲法を)今の日本の価値観、時代に合うものにしようという勢力が出てくるべきだ」と語った。
改憲原案は(1)幼児期から高等教育まで全ての教育の無償化(2)道州制の導入による統治機構改革(3)法律や処分が憲法に適合しているか審査する「憲法裁判所」の設置――の3本柱。安倍晋三首相が意欲を示す9条改正には触れなかった。
松井氏は「(9条改正の入った自民草案は)怖いところもある。提案を受けて違う部分は違うと言いたい」と指摘した。安倍政権と改憲での連携を視野に入れつつ、野党側からも憲法改正を積極的に促す狙いがある。
党大会では2016年の活動方針も採択し「責任改革野党としての存在感を国民に理解してもらうことで支持を広げ、政権を目指す」などと明記した。
松井氏は「何でも反対の勢力ではない。いいことには賛成し、ダメなことは『こう変えてくれ』と交渉する」と改憲以外のテーマでも是々非々で政権との協力を検討すると表明した。野党統一候補の擁立を進める民主や共産などによる野党共闘とは一線を画すとした。
おおさか維新の会は26日の常任役員会で、小沢鋭仁元環境相の入党を認めた。小沢氏は改革結集の会に所属していたが同党は25日、民進党に合流する村岡敏英代表ら4人が離党し解散した。
◇
おおさか維新の会は26日、夏の参院選で選挙区2人、比例代表2人の計4人を公認したと発表した。(敬称略、すべて新人)
〈選挙区〉神奈川、丹羽大▽奈良、吉野忠男
〈比例代表〉鈴木望、高橋英明
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橋下氏、姿見せず 党内に待望論 与野党は警戒
26日のおおさか維新の会の党大会には、前大阪市長の橋下徹法律政策顧問は姿を見せなかった。党を引っ張ってきた橋下氏は昨年12月に政界を引退した。党内には「橋下氏が戻ってくれば党勢拡大に弾みがつく」と復帰への待望論が強く、与野党にはなお警戒感がくすぶる。
松井一郎代表は26日、記者団から「『脱橋下』『卒橋下』を考えるか」と問われ「党として脱も卒もない。おおさか維新として掲げた政策や実行力をどう評価してもらえるかだ」と述べた。橋下氏には党大会出席を要請しなかったという。
大阪で地元組織が対立を深める自民党や公明党には橋下氏の政界復帰への警戒感がある。民主党でも前原誠司元外相ら一部を除き、労働組合批判を展開する橋下氏への拒否感は強い。
橋下氏は大阪都構想の是非を問う昨年5月の住民投票で反対多数となったのを受け、政界引退を決めた。年末には安倍晋三首相と約3時間半会談し、改憲での協力を確認した。おおさか維新の会には「橋下氏は党になくてはならない存在」(党中堅)との声は根強い。
[日経新聞3月27日朝刊P.2]
文章のリズムがよく「1億総活躍社会」のスローガンとも響き合うものだが、ごくありふれた問題がブログに載った途端大騒ぎになることに違和感を覚えている。
阿修羅政治板では安倍首相は味噌糞の批判対象だが、安倍首相自身はきちんと考えられないとしても、政権のブレインはなかなか能力があり、米国支配層やコア支持層である右派層に本音を見破れないよう立ち回りながら本園の政策を少しずつ進めている。
(原発政策や沖縄基地問題そして東アジア外交など)
「保育園に落ちたのは私だ」のブログ騒動はまったく追いかけていないので、投稿者が明らかになったのかどうかも知らないが、安倍政権のブレインなら、転載する記事の政策を推し進めたりその延長線上として「給付」強化策を実現するために、「保育園落ちた日本死ね」騒動を仕掛ける可能性もある。
半分冗談だが、それに反応した津川雅彦氏ら愛国右派的な人士や国会論戦でネタとして使った民主党山尾さんらは、うまく引っかけられたのかもしれない。
昨年秋から書いているが、安倍政権は、大企業を中心としたサプライサイドに寄りそった政策から、需要者である国民とりわけ低所得者に経済的利益を供与する政策に転換しようとしている。
今回の補正予算に盛り込まれた政策は踏み込みが足りなく物足りないが、今後、「合算所得税」制度や「給付付き税額控除」制度まで進んでいくと予測している。
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待機児童・消費対策 柱に
経済対策、補正予算編成も 異例の春先から検討
政府が29日の2016年度予算案成立を踏まえて検討に入る経済対策は、待機児童の解消や消費刺激策が柱になる。女性や高齢者が働きやすい「一億総活躍社会」の実現に向けた総合策を5月にまとめ、今秋メドに16年度補正予算案を国会に提出する方向だ。春先から補正予算をにらんだ作業に入るのは異例のスピードで、消費や景気の停滞への政府の危機感を映す。(1面参照)
経済対策の規模は17年4月に消費税率を引き上げるかどうかの判断によって大きく変わる。増税を再延期する場合に比べ予定通り増税する場合の追加歳出は大きくなる見通しだ。消費増税の可否が定まるまで総額規模は決めないまま、5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けて緊急度の高い項目を絞り込んでいく。
優先課題の一つは待機児童の解消策だ。国会論戦でもたびたび取りあげられ、政府の一億総活躍国民会議が検討している。国から助成金を受け取れる企業内保育所の対象拡大や、2歳までの子どもを預かるミニ保育所(小規模保育所)の定員拡充などが想定されている。
もう一つ消費テコ入れも優先課題となる。米国で定着する年末商戦「ブラックフライデー(黒字の金曜日)」の日本版となる大規模セールなどを始める方向だ。政府は15年度補正予算で一部の高齢者に一律3万円を給付しており、16年度補正でも似た給付金や買い物券を配れば家計の消費意欲を喚起できるとの期待もある。
政府が経済対策を急ぐ背景には、足元の景気がふらついているとの認識がある。23日の月例経済報告で3月の景気判断を5カ月ぶりに下方修正した。今春の給与水準を底上げするベースアップ(ベア)は過去2年に比べ小幅な例が多く、個人消費が低迷しているのが響いた。経済対策は直接的な消費刺激と、待機児童解消など将来不安の払拭策を盛り込み、消費マインドに働きかける。
与党の一部には10兆円を超える財政出動を求める声も出ている。例えば災害に強いまちづくりを目指す公共事業を大幅に積み増し、景気を底上げしようとする発想だ。
経済対策の財源は秋に向けて詰める。企業の15年度決算が好調であれば税収の上振れ分を財源に活用できる。日銀のマイナス金利政策を受けた国債金利低下で国の利払い費は1兆円以上節約できそうな状況だ。マイナス金利政策で国の資金調達が楽になっているとして国債の追加発行を提案する政治家もいる。
[日経新聞3月27日朝刊P.3]
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首相、サミット前に経済対策
骨格策定 財政出動で国際協調/消費増税先送り視野
安倍晋三首相は世界経済の減速に対応し、消費喚起を狙った経済対策を策定する。5月26〜27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前にまとめ、財政出動による国際協調を構築する狙いだ。対策を裏付ける2016年度補正予算(総合・経済面きょうのことば)案は7月の参院選後、秋までに予定する臨時国会に出す。今後の景気状況によっては17年4月の消費増税再延期も視野に入れる。(関連記事総合・経済面に)
首相は29日午後、総額96.7兆円に上る16年度予算案の成立を踏まえ、記者会見する。5月にまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」に向け、消費喚起策や待機児童対策の検討を表明する。
補正予算案の編成も念頭に緊急性が高い政策は経済対策の骨格としてサミットで公表する。サミット議長として財政出動による内需拡大に率先して取り組み、各国の協力を得るためだ。
消費喚起策では額面を上回る買い物ができる「プレミアム商品券」や、子育てサービスに使うバウチャー(クーポン券)の配布、現金給付などが検討対象。待機児童対策では、保育士給与を既に実施した分を含め4%(月額1万2000円)上げる案も検討する。
首相は29日の記者会見で16年度予算の執行前倒しを表明する見通し。前倒しで年度後半の公共事業は減るが、経済対策を基にした16年度補正の執行を年内にも始め、切れ目なく需要を創出する。
首相は17年4月の消費税率10%への引き上げについて「リーマン・ショック級でない限り予定通り実施する」と強調する一方、「税収が上がらなくなるのでは元も子もない」とも述べており、経済の減速が鮮明な場合、内需拡大策の一環として再延期を視野に入れる。
財政出動の規模や増税の可否は5月18日の1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値などを踏まえて判断する。政府・与党内では「5兆円超」や「10兆円前後」などの見方がある。増税を延期しない場合は「増税の環境を整えるため規模が膨らむ」との声がある。
首相は14年11月に消費税率10%への引き上げ延期を決めた際、国民に信を問うため衆院解散・総選挙に踏み切った。参院選前に増税延期を判断する場合、衆参同日選で是非を問う可能性もある。
[日経新聞3月27日朝刊P.1]
【ドバイ=久門武史】サウジアラビアが隣国イエメンへの軍事介入を始めてから26日で1年になった。イスラム教シーア派武装組織「フーシ」を撃退する作戦は手詰まり感が漂い、原油安に苦しむサウジの財政を圧迫。民間人の犠牲も膨らんでいる。国連は4月に一時停戦と和平協議を目指すが、過去1年の停戦の試みはいずれも頓挫しており、難航は必至だ。
「(サウジは)戦闘停止について我々を支持している」。イエメン問題を担当する国連のアフメド特使は23日、ハディ暫定政権とフーシが4月10日からの一時停戦で合意したと発表し、サウジも協力の意向だと強調した。同18日からクウェートで和平協議を始める。
サウジとフーシは水面下で停戦合意に向けた道筋を探っていた。ロイター通信によると3月初旬、双方がひそかに直接交渉に臨んだ。9日、サウジはフーシとの捕虜交換を発表した。「大規模な戦闘は終わりに近い」。サウジのアシリ国防相顧問は16日、作戦が次の段階に移るとの見通しをAFP通信に示していた。
サウジは2015年3月、ハディ暫定大統領を支えるため、イスラム教スンニ派諸国とともにイエメン空爆に踏み切った。フーシを押し返し、政権側は7月に南部アデンを奪還したが、第3の都市タイズで激しい戦闘に陥っている。首都サヌアはいまだにフーシが支配したままだ。
国連によると軍事介入以降、6千人以上が死亡し、このうち半数は民間人だ。240万人が避難を余儀なくされ、人口の8割超の2120万人が人道援助を必要としている。サウジの空爆が民間人を巻き込んでいるとして、欧州ではサウジへの武器輸出に反感が広がる。国際社会の視線は厳しさを増す一方だ。
軍事介入はサウジの財政に重くのしかかる。16年予算では歳出の4分の1を軍事・治安に充て、10兆円規模の財政赤字を見込む。歳入の柱である原油価格は14年の高値の3分の1に低迷。赤字を補うため、国債の増発や新税も検討している。軍事介入の泥沼化は確実にサウジの力をむしばむ。
サウジでイエメン介入を主導しているとされるのが、サルマン国王の息子で国防相のムハンマド副皇太子。経済政策の司令塔も兼ね、急速に権限を集めた。「名目なしに介入をやめるのは難しい」(外交筋)との見方もあるが、財政事情を最もよく知る立場にある。
今回、一時停戦の合意に至ったが、和平協議は15年にも開かれ、不発に終わった経緯がある。サウジは対立するシーア派の大国イランがフーシを支援していると疑う。英リアリズム研究地政学・安全保障センターのソハイル・マフムード氏は「サウジはフーシが力を握るのを認めず、再び介入するだろう」とみる。
一時的に停戦が成立したとしても、分裂状態のイエメンを束ねる体制づくりは難しい。力の空白に乗じて勢いづくのがイスラム過激派だ。国際テロ組織アルカイダ系の「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」に加え、「イスラム国」(IS)も台頭した。「テロの温床」は停戦を脅かし、国際社会への直接の脅威にもなる。
[日経新聞3月27日朝刊P.7]
米大統領選挙の共和党指名争いに出馬している大富豪のドナルド・トランプ氏は、テロリストはシリア大統領よりもはるかに大きな問題であるため、テロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」とシリアのアサド大統領と同時に戦うのは愚かなことだとの考えを表した。
トランプ氏は、26日付のニューヨーク・タイムズ電子版に掲載されたインタビューで、「私はアサド氏ならびに『ダーイシュ』と戦うというアイデアは狂気の沙汰であり、愚かなことだと考えている。彼らは互いに闘っており、私たちは彼らの両方と戦っている」と述べた。
トランプ氏によると、「ダーイシュ」は米国にとってアサド大統領よりもはるかに大きな問題だという。トランプ氏は、「ダーイシュ」との戦いにおける主な戦略は、「ダーイシュ」が石油にアクセスできないようにすることだとの確信を示し、「私は、彼らから石油を奪えと何年も言ってきた。しかし彼らはまだ石油にアクセスすることができる」と指摘した。
厚生労働省は25日開いた介護保険部会で、2018年度の介護保険制度見直しに向けた議論に入った。保険財政の悪化を食い止めるため高収入の大企業社員らの保険料を上げ、一定以上の収入がある高齢者は自己負担の上限引き上げを検討する。大企業社員の保険料を労使合算で月平均600円ほど増やす案もある。制度の持続性を高める狙いだが、大企業の労使や高齢者の反発は確実。介護サービスへの企業参入促進など制度効率化に向けた方策も課題になりそうだ。
厚労省はすでにこうした論点案を同部会に提示した。月1回ほどのペースで部会を開き、年内に改革案をまとめて17年の通常国会に関連法案を出す。18年4月の介護報酬改定時に施行を目指す。
少子高齢化に伴い介護給付費は14年度に10兆円に達し、介護保険が始まった2000年度の3倍近い。18年度は3年に一度の改革年にあたり、保険料収入を増やす一方、介護費用を抑える方策を両面から検討する。
保険料については社員の平均年収が高い企業ほど保険料を重くする「総報酬割」にすることを目指す。40〜64歳の保険料は15年度の平均で月5177円。この金額を原則労使で折半しているが、「総報酬割」だと年収が高い企業の負担が高まる。
大手は月600円増
厚労省によると、大企業社員の平均保険料額は月額約600円(以下、労使合計)増える。公務員は約1900円増える一方で、中小企業の社員は約300円負担が減る見通しだ。平均年収が800万円を超えるような大企業なら月5000円ほど負担が増える可能性もありそうだ。
ただ大企業の反発は強い。昨年成立した医療保険制度改革法の影響で、18年度には大企業の医療費負担が労使合計で総額600億円、1人あたりでは年2000円ほど増える。介護保険の改革は一段の負担増を強いることになる。
介護保険の支え手を増やすため、保険料を納め始める年齢を現在の40歳から引き下げる案もある。仮に35歳に引き下げるとすると、最大で35〜39歳人口の800万人規模が新たに負担を迫られることになり、影響は大きい。
掃除は「10割」?
介護保険のサービスを利用する高齢者の負担も増やす方向で検討する。介護の必要度が軽い人が掃除や料理のサービスを受ける場合は保険の給付対象から外し、自己負担の割合を原則1割から「10割」に上げることも検討する。
原則1割の自己負担の月額上限引き上げも検討課題だ。現在は世帯の所得に応じ1.5万〜4.4万円と決まっている。一定の所得以上の世帯についてはこの上限を引き上げたい考えだ。
ただ保険財政悪化で収入の高いサラリーマンら「取りやすいところ」を狙い撃ちしたりサービスの給付水準を下げたりするだけでは、制度の安定性は高まらない。民間企業参入の門戸を広げるとともに、保育と一体の多機能型施設の普及を進めて合理化に取り組むことも欠かせない。
[日経新聞3月26日朝刊P.5]
幹部が会食に励み安倍政権とズブズブの関係と非難もされてる大手新聞系がこぞって“憲法改正は民意にあらず”という内容の世論調査結果を報じているのは、憲法改正!と力んで見せている安倍政権に憲法改正を政策化する意志がないことを示唆している。
「≪2016年3月日本テレビ世論調査≫安倍総理の憲法改正:評価する28.3%安保法:支持しない48.9%」
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/528.html
早々と第9条は改正の対象にはしないと日和ってしまった安倍首相が今なお憲法改正を高々と掲げているのは、コアの安倍支持層に対するリップサービスという側面が濃厚である。(安倍首相自身は改憲が望ましいと考えてはいる)
保守系とされる大手メディアの世論調査までが憲法改正に否定的という内容を打ち出すことで、時にあらずとなり、憲法改正に動かない安倍首相に対する非難の風が和らぐ。
「新安保法制」(戦争法案)・「原発政策」・「沖縄基地問題」などなど、安倍政権は奇妙な立ち回りで対米面従腹背の政策を推し進めていると言える。
※ 関連参照投稿
「「護憲」で本当に勝てるのか:現憲法の核心部分を変える「改憲」はできない(しない)と理解している安倍首相」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/568.html
「左派(共産党・社民党)と親米派が共有する「戦術的護憲論」:共産党・社民党も安倍政権と同類:米国改憲要求説は捏造か錯覚」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/714.html
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緊急事態条項、憲法に必要か
権力集中、立憲主義壊す 東大教授 石川健治氏
安倍晋三首相が「在任中に成し遂げたい」と意欲をにじませる憲法改正。自民党内などで議論が活発なのが、緊急事態条項の創設だ。有事や大災害など緊急時に一時的に内閣に権限を集中したり、国民の権利の一部制限を認めたりする目的だ。国政選挙の期日延期などの案もある。憲法学の石川健治東大教授と井上武史九州大准教授にその是非を聞いた。
――今の憲法には緊急事態に備えた条項がありません。
「明治憲法には天皇の戒厳大権や緊急事態に人権条項を停止する非常大権、法律に代わる議会閉会中の緊急勅令などがあった。現憲法はこれらを単に占領軍の言いなりになって削除したわけではない」
「非常大権の削除と、国会が閉会中でも活動しうる常置委員会の新設を日本側が当初から主張していた。回り回って結実したのが、参院の緊急集会という制度だ。現憲法も緊急事態を知っている。立憲主義を担保できる仕組みはこれしかないとの判断は重い」
――有事や騒乱への備えをあらかじめ明記する必要は。
「外敵が攻めてくるリスクに対しては日米安保条約があり、在日米軍がいて、今でも緊急事態に備えている。外的な緊急事態条項は、安保条約や基地問題の解消を本気で目指して初めて意味を持つ」
「国内的な騒乱状態に対しても、既に自衛隊法に治安出動の制度がある。そのうえ憲法に条項を置くなら、治安出動を超える自衛隊の対内投入を正当化する機能を持たざるを得ない。それは自衛隊が警察機能ではなく、軍隊として治安維持に当たる戒厳を意味する。そんな狙いはないと言うのなら、これも必要ない」
――大災害も心配ですが。
「既に様々な法律がある。我々は東日本大震災を経験した。千年に一度の地震や津波ももはや想定外とは言えない状況なのだから、必要ならさらに法律を整備して対応するのが正しいやり方だ。それをせず憲法改正で済ませようというのはむしろ不真面目だ」
――自民党の改憲草案は緊急時に衆院は解散されないとか、国政選挙の期日を延ばすなどの条項も含んでいます。
「改憲でそこがまず提案されそうだとの観測もあるが、典型的な緊急事態論とはおよそレベルが違う話だろう。災害が起きて被災地で選挙が実施できなくなり、やむなく期日を延ばしたとして、裁判所が違法と判断するのかどうかだ。例外を認める論理が考えられないわけでもない」
「今の衆参両院も、1票の格差が違憲状態で選挙に瑕疵(かし)があった、と最高裁に断じられ、それでも選挙は無効とまでは言えない、との評価を受けて成り立っているではないか。それと大災害で完璧な選挙ができなかった場合とは質的に変わりがない。選挙をやり直す方策だってある。わざわざ改憲しなくてはいけない理由にはならない」
――そもそも緊急事態条項は必要ないとお考えですか。
「緊急や非常、例外といわれる事態は起きうる。人を殺しても、正当防衛や緊急避難なら処罰されないように、例外状況を法はもともと想定している。ただし、その際、法的な評価を下す裁判所という第三者的な審査機関が用意されている。ここが大事だ。これに対して緊急事態条項は、緊急事態での国家の政治部門の行為については、そうした審査を外す効果を持つ」
「今の最高裁は、高度に政治的な国家行為は司法審査の対象から外す統治行為論を採っている。このままで緊急時に政治部門に権限を集中する憲法条項を置けば、完全な無統制状態、専制権力を創ってしまう。第三者的な統制主体を置くことこそ立憲主義であり、政治部門と対等な憲法裁判所の新設の是非など、統制主体への考慮がまず必要だ」
――立憲主義の根幹に関わる論点だということですか。
「立憲主義の城内にトロイの木馬を引き入れるようなもので、よほど慎重な議論が必要だ。一定の例外的事態を想定して憲法に書くと、さらにその先の例外に備えなくてよいのか、と穴を広げる議論を呼びこむ危うい構造もある。例えばドイツではいくつもの類型に条文を分け、議会の審査を絡ませて発動手続きを多段階にするなど、あえて動かしにくい仕組みにしている」
――安倍首相が意欲を示す改憲そのものに反対ですか。
「フラットな立憲主義の土俵が共有されたうえで議論できるなら、緊急事態条項も論じるに値する内容を含む。だが、現状では日本国憲法は押しつけ憲法だ、などと敵意を持つ勢力が政権側で改憲論の原動力になっており、土俵が非立憲側に傾きがちだ。これをまずフラットに戻したい」
「社会に出て発言する以上は、今の土俵のゆがみに自覚的でなければならない。学会のサロンで、学者同士で自由闊達に議論しようという話とは次元が違う。立憲か非立憲か。私自身はこの一点に絞って発言しようと決めている」
いしかわ・けんじ 東大法卒、東京都立大教授を経て現職。立憲デモクラシーの会呼びかけ人。著書に「自由と特権の距離」。54歳。
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平時に議論積み重ねを 九州大准教授 井上武史氏
――パリ同時テロ後のフランスで白熱する改憲論議に学ぼうと説いておられますね。
「仏政府がテロ直後に緊急事態を布告したのは、もともとあった法律による対応だ。1週間後に法改正し、司法官憲の令状によらず昼夜の家宅捜索を認めるとか、移動の自由の制限などで政府権限を強化した。これは今も延長されている。ただ、この改正法には人権侵害との訴えも多い。政府は憲法院から違憲と判断されるリスクも考え、緊急事態法の骨格を憲法に格上げする改憲案も議会に提出した」
「緊急事態は閣議により布告され、政府がとった措置はすぐ議会に伝えること、期間延長には法律が要ることなどを憲法に書きこむ案で幅広い合意に至りつつある。結局、憲法院は改正法を合憲としたので、改憲は不要とも言えるが、議論も冷静さを取り戻してきた。第二院の上院では権力の統制を強める方向で下院案を修正している。緊急事態の対象を狭め、延長できる期間を短くした。人身の自由を守る司法の権限も明記した」
――日本の緊急事態論議で教訓にすべき論点も多いと。
「まず緊急事態下で立法や、まして改憲に取り組むのは望ましくない。テロ直後の国民感情が高ぶった状況で、法改正も改憲案も慌てて出すはめになった面がある。2008年の憲法大改正の際に緊急事態条項の議論もあったので、全く唐突だったわけではないが、やはり平時に議論を積み重ねておくのが大事だ」
「フランスにはもともと緊急事態法があり、政府が動ける限界はこのあたりで、その先に踏み込むなら改憲という流れで具体論が進んだ。法律で何ができる、できないの仕分けが先で、憲法論議は出口だ。日本はいきなり憲法に書くべきか否かの論争になりがちなのが妙だ。初めから改憲ありきも説得力がないし、頭から改憲など必要ないと決めつける議論も誠実ではない」
――どんな事態を想定するかでも議論は変わりますね。
「20年の東京五輪・パラリンピックを見据えれば、テロ対策でどんな法整備が必要かは議論すべきだと思う。フランス並みの政府権限の拡大を考えるなら、日本で法改正だけで全てをやれるとはとても思えない。一方、災害対策では、大震災の経験を踏まえ、改憲で何ができるようになるかを具体的に議論すべきだ」
――自民党改憲草案が示した緊急事態条項への評価は。
「多くの事項を具体的には法律で定める、と規定しながら、その原案を示していない点は無責任だ。これでは議論が進まない。緊急事態下で、法律と同一の効力を持つ政令を内閣が制定できるとした点も全く良くない。これでは国会の否定だ。政府を統制するために法律があるのに、それ自体を政府が創れるのでは独裁と言われても仕方がない」
「ただ、これらがダメだからすべてダメという議論はすべきでない。迅速な立法が必要なら、フランスのように、政府の要請を受けて国会が優先的に審議する規定を置くなどの手もある。首相が閣議を経て緊急事態を布告する点、それに事前または事後の国会承認を要求する点、緊急事態で衆院解散を禁止する点などは仏改憲案と比べて遜色なく、仕組みとして悪くはない」
――自民党案は司法の関与のあり方に触れていません。
「緊急事態への対応で政府がとった行為も、当然、司法審査の対象となる。執行停止などの救済手続きも取りうるはずで、そこはあえて書かなくても良いと考えたのではないか。人権侵害に関しては、政府の高度に政治的な行為は司法審査の対象外だとする統治行為論は当てはまらない」
――立憲主義の危機を訴える憲法学者が目立ちます。
「立憲主義は憲法の特徴を測る時に使う概念だ。権力分立と人権保障がきっちり入っていれば、立憲主義的な憲法と評価する。ただ、法律や政府の行為となると『憲法に反する』かどうかは議論できるが、『立憲主義に反する』と言っても法的に意味がなく、外国語に訳せない。どうもマジックワードになっている」
「集団的自衛権論議も緻密な法律論より政治闘争になっていないか。安倍晋三首相の手法が横暴だと言うなら、憲法が統治者の行為を統制しきれていないのでは、と憲法の不備を検証するのが立憲主義の本来の問いのはずだ。例えば、論争のある法律を素早く審査する憲法裁判所を創設する、内閣法制局の独立性を高めるなど建設的な改革案を示すのが憲法学の使命だろう」
いのうえ・たけし 京大院修、岡山大准教授を経て現職。著書に「結社の自由の法理」。統治機構やフランス憲法も研究。38歳。
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<聞き手から>「お試し改憲」は許されぬ
緊急事態が起きても政治権力が法の支配を逸脱しないよう、あらかじめ憲法に書き込んで権力の行使を枠づけるべきか。それとも、例外がさらなる例外を呼びかねない危うさを警戒し、憲法に取り込むのはよほど慎重にすべきか。どちらが立憲主義にかなうかで憲法学にも両論がある。
政治はある政策目標を設定し、その達成にどんな手段が必要かの現実から出発して権力を使う。それを違法なのか合法なのか、という物差しで測るのが法治国家の論理だ。
「法と政治」の関係は根源的に緊張をはらむ。それがのぞく一場面が緊急事態だ。「お試し改憲」では到底済まされない詰めた議論を訴える点は論者2人に共通する。
温度差が大きいのは憲法論議が置かれた時代状況をどう考えるかだ。井上氏は眼前の政治情勢には距離を置き、専門家の立場から是々非々で統治機構改革の立論を試みる。石川氏には純粋に学問的な論争に徹したくとも今の政治環境がそれを許さない、との危機感がにじむ。
(編集委員 清水真人)
[日経新聞3月27日朝刊P.11]
「日本、米国に核爆弾50発分のプルトニウムを返却」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/351.html
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
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日本からのプルトニウム返還 米州知事、搬入を拒否 核サミット直前 オバマ氏の計画に誤算
【ワシントン=川合智之】日本から米国に返還する研究用プルトニウムについて、米サウスカロライナ州知事が受け入れを拒んでいる。同州の核施設に搬入される予定だが、知事は最終処分場となることを懸念し、輸送中止か移送先変更を米政府に要請した。オバマ米大統領は31日に米で開幕する核安全保障サミットで、日本からの返還を自ら主導した成果だと訴える見込みだったが、直前でつまずいた格好だ。
ニッキー・ヘイリー知事は米エネルギー長官にあてた23日付の書簡で、日本から同州にあるエネルギー省サバンナリバー核施設に輸送中の331キログラムのプルトニウムが搬入されると「同州が核物質の最終処分場になる恐れがある」と指摘。「輸送中止か移送先を変更せよ」と要請した。
返還されるプルトニウムは東西冷戦期に米英仏が日本に提供した。日本原子力研究開発機構が茨城県東海村の高速炉臨界実験装置(FCA)で保管していた。プルトニウムは純度が高く40〜50発の核兵器に転用できることから、核不拡散に熱心なオバマ米大統領が返還を持ちかけ、2014年の核安保サミットで日米が返還で合意した。
プルトニウムは22日に英輸送船で東海村を出航した。強奪を警戒し、詳細な輸送ルートや日程は非公表だが、5月にも米国に到着するとみられている。知事が強硬に受け入れを拒めば行き先が定まらず、異例の事態になりかねない。
受け入れ拒否の背景には、同州サバンナリバーでのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)工場の建設中断という事情がある。プルトニウムをウランと混ぜて原発で燃やすMOX燃料に加工する計画だったが、当初は10億ドルと見込まれた建設費が78億ドルに膨らみ、エネルギー省が14年3月に建設を凍結した。
MOX燃料に加工されなければ、同州がプルトニウムの最終処分場になりかねない――。こう懸念した知事は、すでに施設に搬入済みのプルトニウムも、処理するか州外への搬出を要請。同省が要請に応えないため、知事は1日100万ドルの罰金を科すなど、政府と州の対立は激化している。
「核なき世界」を掲げてノーベル平和賞を受けたオバマ氏にとって、核安保サミットは晴れ舞台だ。ただ、米とロシアとの戦略核兵器削減の交渉は進んでいない。日本からのプルトニウム返還は前向きな成果としてアピールできるはずだった。
使用済み核燃料を埋める西部ネバダ州ユッカマウンテンの最終処分場の計画も、オバマ政権が09年に地元の反対で中止した。日本でも最終処分場の立地は決まっていない。さらに高速増殖炉もんじゅなど核燃料サイクル政策が実質的に機能していない日本は、使うあてのない余剰プルトニウムを約48トン抱えたままだ。
[日経新聞3月26日朝刊P.7]
13日の地方選で野党「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進した結果、連立与党は福祉予算の上積みを決めた。「貧しい難民にはカネを渡すのに、貧しいドイツ人には渡さない」との印象を払拭したいようだ。つまり右派ポピュリスト政党の台頭で与党は左派色を強めたのである。
調査会社インフラテスト・ディマップの幹部によると労働者階級と失業者がAfDの支持基盤だ。その区分だけでみると旧東独のザクセン・アンハルト州では38%がAfDに票を投じた。これに対し、旧西独のバーデン・ビュルテンベルク州の自営業者での支持率は8%にとどまる。
AfDの支持者が問題視するのは、まずは難民危機。次が格差社会だ。所得層の最底辺ではなく、下流への転落を恐れる人がAfDを選ぶ。
きちんとした福祉政策を打ち出したわけではないが、それは、すでに垣間見える。長期失業者に手厚い支援を施し、公務員の給与を引き上げる。水道やごみ処理などの分野での民営化は凍結。一連の要求からは保護主義的な基本思想がにじむ。
今回の地方選では、既存政党に失望していた無党派層を取り込んだ。AfDが躍進したのは、これまで投票率が低迷していたところでもある。
米国との自由貿易協定には反対する一方で、ロシアのプーチン政権には心情的な近さを感じている。さらに国粋主義的で保護主義的、さらに社会福祉を重んじるAfDは学術面での分析も難しい。新しいタイプかもしれない。反資本主義だが左派ではないという政党の誕生である。
(ラルフ・ボルマン記者、20日付)
[日経新聞3月26日朝刊P.6]
日本では結婚したとき、9割強が夫の姓を選ぶ。働く女性を中心に姓が変わることに不都合を訴える意見は根強い。夫婦別姓を認めない日本の民法規定について、国連が3月上旬に見直しを求めた。最高裁は昨年末、同規定を合法とする判決を出したばかり。日本と国際社会の認識は隔たりが大きい。
国連は2003年、同規定を差別的だと廃止を求め、09年に再勧告、3月には3度目の是正勧告をしている。女性の地位向上を目指す国連機関「UNウィメン」のプムジレ・ムランボヌクカ事務局長に国際社会の見方を聞いた。
――最高裁判決をどう受け止めますか。
「国連ははっきりとした立場をとっている。女性は選択肢を持たなければならない。男女の平等を確かなものにする一例として。国連の女子差別撤廃委員会も同様に女性に選択肢をという明確な立場をとる。日本がそれを尊重すると希望を抱いている」
「世界で多くの女性が夫の姓を選んでいることは事実だ。だがそれを強いることは別問題だ。基本的に女性には選択肢がなければならないと考えている」
――国連はこのたび、再三の是正勧告をしました。
「国連は廃止勧告を繰り返し強調することが重要だ。UNウィメンは女子差別撤廃委員会のかつての勧告を可能な限り確実なものにすることを支持する」
――女性が働きやすい環境作りを日本政府に忠告するとしたら、どのようなことを伝えますか。
「20年までに女性の管理職を30%にするという日本政府の目標は称賛に値する。これは追い風であり始まりでもある。高等教育を受けている日本人女性にとっては達成可能だろう。日本人女性には多くの選択肢があるのだから、その豊かさとスキルを生かせば、日本は男女平等の主導的な国になれるはずだ」
――女性自身が昇進を目指すことをためらうという意見もあります。
「姓だけでなく、女性が何をしたいかという選択肢があってしかるべきだ。女性の地位向上を強いるのではなく、そうさせたいように促すのは公共教育がカギを握る。女性が役員室でなく家にいるべきだというステレオタイプな考え方は、21世紀にも日本のニーズにもそぐわない。女性が教育で得たものを正しく使うためには環境の整備が必要だ」
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同姓義務づけ、日本だけ 男性の当事者意識薄く
「実際には女性に夫の姓を強制している。過去の勧告が十分実行されていない」。国連の女子差別撤廃委員会は7日、日本の夫婦同姓制度を非難し民法規定改正を求めた。日本の夫婦同姓の慣行は明治時代に遡る。庶民が姓を名乗れなかった時代から、1898年に「妻は原則夫の姓を名乗る」とする明治民法が施行。第2次世界大戦後の改正民法で「夫または妻の姓を名乗る」となり現在に至る。
夫婦同姓を義務付けているのは世界を見ても日本だけだ。トルコ、インド、タイなど諸外国では法改正で夫婦同姓規定を廃止する流れができている。
結婚を機に姓を変えるのはほとんどが女性。職場での使い分けに苦労が絶えない。少子化が進み、一人っ子世帯には自分の姓を変えることに抵抗感を持つ人も増えた。夫婦同姓は時代遅れだと批判は相次ぐが、男性の当事者意識は薄い。男性がしっかりと考えることが重要だろう。
昨年12月の最高裁判決では、夫婦同姓制度について「我が国の社会に定着してきたもので、家族の呼称を1つに定めることには合理性がある」と合憲判断をした。内訳は合憲10人、違憲が5人。女性の裁判官3人は全員が違憲とした。
最高裁は同姓か別姓か選べる選択的夫婦別姓制度など「制度のあり方は国会で論じ、判断すべき事柄だ」と問題提起した。では国会の議論は進んでいるのか。
民主党は昨年、選択的夫婦別姓を認める民法改正案を国会に提出した。公明党も議論に前向きで、今年2月から党内で国際状況を踏まえた意見交換を続けている。ただ自民党は慎重な姿勢だ。安倍晋三首相は3月2日の国会答弁で、「夫婦の氏は家族のあり方に深く関わる問題だ。国民的な議論の動向を踏まえながら、慎重に対応する必要がある」と述べるにとどめた。
日本経済新聞社の昨年12月の世論調査では選択的夫婦別姓制度に「反対」が52%で、「賛成」の35%を上回った。20〜50歳代は賛成が多かったが、60歳代以上の反対が多い。(林咲希)
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〈wから〉
「日本人男性とは絶対結婚したくない」「日本人女性じゃなくてよかった」。昨年末、夫婦同姓の義務付けを合憲とした最高裁判決を受け、米ニューヨークで働く女性からは非難と驚きの声があがった。先進国の日本で「いまだに夫婦別姓が認められないなんて信じられない」と口をそろえた。結婚後も旧姓を当然のように使うニューヨークの女性に同判決は「男尊女卑以外の何物でもない」と映る。
専業主婦願望が強い女性や、一般の男性に夫婦同姓こそ当たり前だという意識は強いだろう。だが、自立して働く女性にとっては結婚後の名前の変更の煩雑さだけでなく、「自分が自分でなくなる」というアイデンティティーの喪失感が大きい。
かくいう記者も結婚話が出た相手の男性に「あなたが姓を変えるのは?」と聞いた。「考えたこともなかった」と驚かれた後、「日本の文化を尊重したい」と拒否された。仕事を続けたいと願う女性に、男性と同様の選択肢をどうか与えてほしい。
(ニューヨーク=高橋里奈)
[日経新聞3月26日朝刊P.33]
原油相場は一時1バレル30ドルを下回り、2008年に記録した史上最高値の5分の1に下げた。中国による「爆食」が顕著になった03年の水準だ。市場は落ち着きを取り戻しつつあるが、本格的な相場上昇はまだ描きにくい。
相場急落が油田などの開発投資に急ブレーキをかけたのは間違いない。米石油サービス大手、ベーカー・フューズ社がまとめる米国の油田掘削リグ稼働数は14年のピークに比べ4分の1に減った。
それでも米国の原油生産量の減少はわずかだ。直近の生産量は日量約900万バレル(米エネルギー省統計)と、シェールオイルの生産が拡大する前の08年を400万バレルも上回る。シェール勢の粘り腰で、サウジアラビアなどの中東産油国は想定外の持久戦に持ち込まれた。
市場はサウジ、ロシアなど有力産油国の協調減産に相場反転への期待を寄せる。だが、4月の会合がめざすのはこれ以上増産しない生産量の凍結。サウジのヌアイミ石油鉱物資源相は2月の講演で「非効率で非経済的な生産者が退場すべきだ」と減産の可能性を切り捨てた。
既視感のある風景だ。サウジは1985年の石油輸出国機構(OPEC)石油相会合で需給の調整役を放棄し、価格維持からシェア奪回に方針を大転換した。70年代の相場高騰でノルウェーなどの新勢力が台頭し、減産はOPECのシェア縮小を招くからだ。
86年に一時10ドルを下回った原油相場は、90年にイラクがクウェートに侵攻した際の一時的な急騰を除き、90年代末まで低迷を続けた。
相場が急落した場面での生産削減は、財政赤字が膨らむ産油国にとって危険な賭けだ。仮に減産が奏功し、原油相場を押し上げることに成功しても現状ではシェールオイルを勢い付かせる。
結局は世界経済が力強く成長し、石油需要が拡大するのを待つしかない。14年後半の相場急落から一貫して減産を否定するヌアイミ氏の発言の背景には過去の教訓がある。
企業に価格ヘッジ手法を助言するマーケット・リスク・アドバイザリー(東京・新宿)の新村直弘代表取締役は「原油の需給が均衡し始めるのは17年以降で、本格的な相場上昇はインドが人口ボーナス期に入る20年代に入ってから」と予測する。
その間は、相場急落が「負け組」を淘汰する市場メカニズムが働く。粘り腰を見せたシェール企業も追い詰められている。資源企業が拡大する「ストリーミング」と呼ばれる取引は、将来の生産分をお金に換える売り上げの先食いだ。ベネズエラ、アゼルバイジャンなど耐久力の弱い資源国は危機的な状況にある。
昨年9月にはスイスの資源大手、グレンコアの株価急落が世界の株価を揺さぶった。資源大手や資源国の危機が金融市場に波及する事態に警戒は怠れない。危機は往々にして市場の気の緩みを突く。
過去10年で資源権益の獲得に動いた日本企業にも逆風は強い。ただ、そこには新たな好機もある。資源市場の熱狂が続いた5年前までは考えられなかった優良権益が市場に転がり出てくるからだ。
住友金属鉱山は2月、米鉱山大手フリーポート・マクモランから米モレンシー銅鉱山の権益13%(年間生産量で約6万2千トン)を10億ドルで追加取得すると発表した。会見に集まった記者の多くは不思議に思ったはずだ。なぜ、こんな環境で千億円を超す資源投資に動くのかと。
その答えも30年前にある。同社がモレンシー鉱山の権益を最初に取得したのは86年2月。住友商事と共同で15%の権益を7500万ドルで手に入れた。
当時の非鉄金属市場はどん底だった。85年には国際すず理事会による相場買い支え資金が枯渇し、ロンドン金属取引所(LME)が取引停止に追い込まれる「すず危機」が起きた。住友鉱の中里佳明社長は「米有力誌が『鉱山の死』を特集した」と悲観論が充満した時代を振り返る。
同社が86年に権益を買い取った時のLME銅相場は1トン1500ドル以下だ。銅相場は11年に1万ドル台の史上最高値を記録し、現在は5000ドル前後にある。市場に向き合う経験が長い人ほど相場の先行きは誰も分からないことを身にしみて知っている。
市場は熱狂と悲観を繰り返す。それに惑わされず、長期的な視点で将来に備えた投資が必要になる。資源を持たない日本はなおさらだ。
30年前に権益取得を決めた先輩に感謝したい――中里社長に大型投資の決断させたのも市場の教訓に違いない。
[日経新聞3月27日朝刊P.12]
【アシガバート=田中孝幸】豊富な資源収入で高成長を続けてきた中央アジアのトルクメニスタンが曲がり角を迎えている。世界的な原油安と連動して主要輸出品である天然ガスの価格が下落したためで、2015年の経済成長率は5年ぶりに1桁台に減速した。現政権は日系企業などの誘致で経済活性化を目指すが、政権への全面支持の見返りとして国民に安定した生活を保障するこれまでの社会構造にも変化の兆しが出てきている。
「日本との協力を着実に実現させたい」。ベルドイムハメドフ大統領は25日、首都アシガバートの大統領宮殿を訪れた上月豊久駐トルクメン大使(駐ロシア大使兼務)に経済連携強化を呼びかけた。
人口約500万人のトルクメンは世界4位の天然ガス埋蔵量を誇る資源国。近年の資源ブームで急成長し、10年からの4年間で国内総生産(GDP)は5割程度増加した。政府は潤沢な資源収入を手厚い社会保障や公的給付に充て、1人当たりGDPでも中央アジアで2位に台頭した。
ただ、ガスに過度に依存した経済構造の改革は停滞。14年後半から進んだ資源価格下落が直撃し15年の実質経済成長率は6.7%に落ち込んだ。通貨マナトの対ドル公定レートも1年で2割以上下落。一方、インフレ率は7%で14年の4.4%から大幅に悪化した。
ソ連崩壊による独立後、北朝鮮にも比される独裁体制を敷くトルクメンにとって税収減で国民に分配する資金が減ることは政権運営の根幹に関わる問題でもある。同大統領も危機感を強めているとみられ、今年に入り経済政策担当の副首相のほか、少なくとも経済閣僚4人を更迭した。
苦境を脱しようと外資の取り込みにも躍起だ。昨年10月の安倍晋三首相の訪問時には総額180億ドル(約2兆円)以上の経済協力の推進で合意した。カカエフ副首相(石油・ガス担当)も25日、アシガバートを訪れた日本の経済人の視察団と1時間半会談し、トルクメンへの進出を訴えた。
政権内には同国産のガスの8割程度を買い上げているとされる中国への依存への懸念も根強い。同大統領は16日、パキスタンでシャリフ首相と会談。アフガニスタン経由でパキスタン・インドに向かうガスパイプラインの建設推進で一致した。
とはいえこうした取り組みは即効性に乏しい。ニヤゾフ前大統領時代に反体制派は国内からほぼ一掃され、今のところ政治情勢は安定している。ただ、地方部では給料の遅配や建設事業の延期に加え、市民と治安部隊の衝突も起きているとの情報もある。
市民への給付が削られる一方、エネルギー産業を中心に腐敗が横行、貧富の差は広がっている。非政府組織トランスペアレンシー・インターナショナルがまとめた15年の世界の腐敗認識指数ランキングではトルクメンは168の国・地域中で154位だった。政権は高度産業の育成を掲げるがアシガバート郊外に住む失業中の20代男性は「コネが全ての社会で近代化が実現するはずがない」と声をひそめて語った。
[日経新聞3月27日朝刊P.7]
安倍晋三首相が平成29年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを見送る方針を固めたことが27日、分かった。世界経済が減速・不安定化する中で再増税すれば国内の景気が冷え込み、政権が最重要課題に掲げるデフレ脱却が困難になるとの判断からだ。5月18日に発表予定の28年1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値などを見極めて最終判断し、同26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の前後に正式に表明するとみられる。
首相は26年11月、消費税10%への増税を27年10月から29年4月に延期することを決めた上で衆院を解散。今夏の参院選でも野党は再増税の是非の争点化を狙っており、早期に決着させる意図があったとみられる。
首相も出席する「国際金融経済分析会合」で、ノーベル経済学賞受賞者から再増税の凍結を求める意見が相次いだことも判断の背景にある。首相は最近、周囲に「彼らが『延期した方がいい』と言っていることには重みがある」と語った。
年明け以降、中国経済の失速や原油安で円高、株安が進んだ。国内景気はGDPの6割を占める個人消費が低迷し、政府は今月23日発表の月例経済報告で5カ月ぶりに景気判断を下方修正。こうしたこともあり、首相は税率10%への引き上げに「経済が失速しては元も子もなくなる」と慎重な姿勢もにじませてきた。
一方、10%引き上げと同時に導入される軽減税率制度では税率が8%と10%の2つになり、仕入れた商品を税率ごとに区分けし税額を計算する必要がある。多くの中小・零細企業では、来年4月までに準備作業が間に合わない見通しだ。一定期間の増税延期で、飲食料品を扱う小売業者や外食産業などの事業者の混乱を最小限にする狙いもある。
最終更新:3月28日(月)9時7分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160328-00000045-san-bus_all
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消費増税延期報道を否定=安倍首相
時事通信 3月28日(月)15時3分配信
安倍晋三首相は28日の参院予算委員会で、来年4月予定の消費税率10%への引き上げを延期する方針を首相が固めたとする産経新聞の報道に関し、「リーマン・ショック、大震災級の出来事が起こらない限り、予定通り消費税を引き上げていく考えだ」と述べ、否定した。
民進党の安井美沙子氏への答弁。
最終更新:3月28日(月)16時13分
林芳正参議院議員は、与党ということで型通りに、安倍首相がいろいろ考えでしかるべきときに判断するという見解を示した。
一方、古川元久代議士は、来年4月の増税どころか安倍政権での再増税はないだろうという見解を示した。
古川元久代議士の見解を聴いて、ここまでわかっていながら、予定通りの消費税増税を正論とする民進党岡田代表の頑迷な姿勢に驚いた。
安倍首相は消費税増税を凍結するという古川元久代議士の見立ては、次のようなものである。
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古川元久代議士「あのですね。もう、今や私は予定通りに上がるほうがサプライズだと思っています。安倍総理はですね、実は、いろいろ林さんおっしゃられていますが、元々そもそも、消費税を5から8に上げるのも、反対というかイヤだったひとなんです。ですから、5から8に上げて、予想以上に景気の落ち込みがあったというのを見て、たぶんですね、これは次は上げるつもりはないというのは、本心は決まっていると思うんです。ずっと決まってて、いろいろ言ってますけど、ええ、これから林さんが言うように決めるのではなく、本心は決まっているんだけど、どこでどういうかたちでそれを言うかというのを、いろんな演出をして、ええ、私はタイミングを計っているのだと思っています」
小西MC「先送りは既定路線になっていると?逆に、予定通りに増税することのほうがサプライズだと」
古川元久代議士「もしほんとうにそうやって予定通りにやると言ったら、これは私はサプライズだと思いますね、今や..」
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古川元久代議士の見解には同意だが、消費税増税凍結=衆議院解散総選挙という民進党のお尻に火が付くような内容を得々と話しているのには笑えた。
古川氏のような見立ては岡田代表の耳にも入っているはずだが、岡田代表は、昨日行われたいくつかのニュース向けインタビューで消費税増税問題を問われ、「財政健全化は次の世代に責任を果たす意味で非常に大事だ。条件を整えた上で上げていくべきだ」と主張している。
民進党は消費税増税に対する安倍首相の動きをちゃんと読んでいながら、共産党・社民党・生活の党・旧維新の党がまとまった消費税凍結法案提出にさえ同意しなかったのだからどうしようもない。
「危険な安倍政治」という思いが生み出している錯誤かもしれないが、共産党など、なぜか民主党(民進党)に期待し連携を働きかけてきた政治勢力もあるが、二大政党制の一方を担うつもりの民進党は、ニュアンスが違う政策を打ち出すことはあっても、“国策”の基本路線から逸脱することはない。
消費税増税を“国策”化したのも、TPP交渉への参加を“国策”化したのも、「新安保法制」の法案作りに動き始めたのも、菅−野田の民主党政権時である。
二大政党制とは、どちらかの政党が大失態で政権から陥落したとしても、“国策”の基本路線から逸脱するような他の政治勢力には権力が渡らないようにする仕掛けでしかない。
(岡田代表が今なお消費税増税を正論とする立場にこだわっているのは、“国策”として今後の消費税増税“余地”を確保するためだと思う。二大政党の両方が消費税増税は経済を悪化させるからダメとい言ってしまえば、“いざという時”(円高や関税引き下げ)に消費税の税率を引き上げられなくなってしまうからである)
岡田代表は、消費税増税について、「財政健全化は次の世代に責任を果たす意味で非常に大事だ。条件を整えた上で上げていくべきだ」と説明しているが、まったくもってデタラメな見解である。
消費税が財政健全化に寄与することはない。
89年消費税導入・97年消費税税率5%への引き上げがトータルの税収にどれほど悪影響を与えたかその推移を確認すればわかることである。
(いつかははじけるとしても89年の消費税導入でバブルが崩壊し、97年の消費税増税で日本経済は「デフレスパイラル」に陥った:付加価値税である消費税は、そういう事態を引き起こす論理が内在している)
14年4月の増税は、グローバル企業の利益が増大する円安基調や財政拡大(さらには、銀行などが法人税納付を再開)のおかげで、トータルの税収が減少という事態にはなっていないが、円安基調が円高方向に振れるとトータルの税収が減少するようになるだろう。
また、「財政健全化は次の世代に責任を果たす」という一見もっともらしい説明も誤りである。
次世代のみならずあらゆる世代に責任を果たす政策とは、研究開発や設備投資で生産性を引き上げ、高い国際競争力を維持することにつきる。
経済(GDP)は国民生活を安定的に維持する手段でしかないが、財政は、手段である経済(GDP)を支えるものでしかない。
手段の道具であるような財政の健全化を旗印にしてもなんの意味もないのである。
岡田民進党は、来る選挙で安倍自民党に本気で勝ちに行く気がないと見たほうがいいだろう。
※関連参照投稿
「消費増税、首相発言で臆測 予定通りか再び延期か:正当化のネタ探しはしているだろうが再延期は既定方針」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/822.html
「安倍政権支持率回復の秘策は「消費税増税再延期」の是非を問うかたちでの来年7月“衆参同時選挙”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/463.html
「衆参同日選ならてんやわんや 86年以来実施なく:消費税増税延期で解散総選挙なら自民の圧勝、同時で野党の選挙協力は雲散霧消」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/854.html
「安倍首相ブレーンはバカだね:「増税延期解散」とネーミングすればいいものを「アベノミクス解散」だって」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/856.html
一般会計総額が過去最大の96兆7218億円に上る平成28年度予算は、29日の参院本会議で自民・公明両党などの賛成多数で可決、成立した。民進党、共産党、おおさか維新の会は反対した。政府・与党は今後、会期末の6月1日をにらみながら、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の承認や関連法案の成立を目指す。安倍晋三首相は予算成立を受けた記者会見で、教育支援に向けて返済不要の給付型奨学金制度を創設する考えを表明した。
首相は国の奨学金制度について「本当に厳しい状況にある子供たちには返還がいらなくなる給付型の支援によって、しっかり手を差し伸べていく」と述べた。財源や対象基準などは具体的に言及しなかった。また、無利子奨学金を拡充する方針も明らかにした。
28年度予算全体については「名目国内総生産(GDP)600兆円に向け強い経済を確かなものにする」と強調。景気回復を確実にするため、28年度予算の早期執行を麻生太郎財務相に指示する考えも示した。
また、5月26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で世界経済の点検が主要議題になるのを踏まえ、「議長国として責任を果たす。持続的で力強い成長を実現するため、議論を尽くして見極めたい」と述べ、新たな経済政策を検討する考えを示した。
来年4月の消費税率10%への引き上げに関しては「リーマン・ショックや大震災級の事態にならない限り、予定通り上げていく」と述べた。さらに夏の参院選とあわせて衆院選を行う「衆参同日選」は否定した。
28年度予算は社会保障費に31兆9738億円を計上。1億総活躍社会関連として、保育の受け皿拡充や介護人材の確保など約2兆4千億円を盛り込んだ。防衛費は5兆541億円と初めて5兆円を超えた。伊勢志摩サミットを踏まえ、政府開発援助(ODA)は17年ぶりの増額。サミット議長国として国際社会への貢献を目指す姿勢を反映した。
税収は企業収益の改善で25年ぶりの高水準となる57兆6040億円を見込む。新規国債発行額は34兆4320億円とした。
予算と合わせ、消費税増税と同時に導入する軽減税率制度を盛り込んだ税制改正関連法も成立した。
http://www.sankei.com/politics/news/160329/plt1603290074-n1.html
【引用】
「3年間のアベノミクスによって、国民総所得は40兆円近く増加し、国の税収は15兆円増えました。」
【コメント】
目くらましで人々になじみが薄い国民総所得(GNI)を持ち出して40兆円近く増加したと自画自賛しているが、国民総生産(GDP)ベースなら、名目GDPで約24兆円、実質GDPでは約9兆円しか増加していない。
名目GDPではリーマンショックが起きた08年の水準さえ回復していない。
(名目GDPは3年間で5%増加しているが、国際比較で使うドルベースだと30%ほどの円安なので大きな減少になっている)
※国民総所得(GNI)は、GDPに国外からの所得(純受取)を加えたものなので、ドルベースで同じ額の純受取でも円安だと円ベースでは“肥大化”することになる。
税収の増加は、消費税増税及び円安によるグローバル(輸出)企業の利益増大と銀行などかつての赤字決算企業が法人税納付に移行したことによる法人税増収が寄与している。
なお、税収が増加したと言っても、1992年度・1993年度・1997年度(消費税5%引き上げ年度)と同レベルの税収ベースに“戻った”だけである。
【引用】
「正規か、非正規かといった雇用の形態にかかわらない均等待遇を確保する、そして、『同一労働同一賃金』の実現に踏み込む考えであります」
【コメント】
『同一労働同一賃金』は時間給ベースの比較であり、仮に100%同じでも、非正規の社会保険冷遇・賞与ナシ・退職金ナシを考えれば、均等待遇とは言えない。
『同一労働同一賃金』という“美辞麗句”で「望まぬ非正規」を固定化ないし増大させてしまうのは大きな問題である。
また、『同一労働同一賃金』は、労働者が今以上に人ではなく“機械の歯車”とみられようになったり、正規労働者の待遇低下につながったりするだけでなく、雇用形態が支えてきた日本企業の国際競争力を劣化させる可能性が高い。
※参照投稿
「首相、「同一労働同一賃金」実現へ法改正検討:「同一労働同一賃金」は労働者の“歯車化”、非正規の縮小や待遇改善を」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/326.html
◎内閣総理大臣による一方的な衆議院の解散は違憲だが、政界では、「解散・総選挙についてのウソは無問題」とされている。
※参照投稿
「消費税:民進党古川代議士「予定通りに上がるほうがサプライズ」「安倍総理はそもそも消費税を5から8に上げるのもイヤだった」」
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/588.html
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※産経新聞オンラインより転載
2016.3.29 21:59更新
【安倍首相記者会見詳報(1)】
「最大のチャレンジは働き方改革」
安倍晋三首相は29日夕、平成28年度予算の成立を受け、首相官邸で記者会見し、「戦後最大のGDP(国内総生産)600兆円に向けて強い経済を確かなものとする予算だ」と述べた。夏の参院選に合わせた衆参同日選の可能性については「頭の片隅にもない」と強調した。また5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)については、「現下の経済情勢が最大のテーマとなることは間違いない。G7(先進7カ国)の政策協調が求められている」と強調した。会見の詳細は以下の通り。
「本日、来年度予算が成立いたしました。この予算によって、1億総活躍社会の実現に向けた新しい取り組みが始まります。介護休業中の皆さんに支払われる給付は、賃金の40%から67%へとアップします。2020年代初頭までに50万人分の介護の受け皿を整備し、25万人の介護人材を確保するとの目標に向かって、取り組みをいっそう加速いたします。介護しながら仕事を続けることができる、来年度予算は介護離職ゼロの実現に向けて、大きな一歩を踏み出す予算であります」
「中小・小規模事業者の皆さんが成長のための設備投資を行う場合、固定資産税は半分に軽減されます。自らのアイデアで地方創生にチャレンジする自治体を、自由度の高い交付金で応援する新しい制度が動き出します。アベノミクスの暖かい風を全国、津々浦々に届けていく、来年度予算は戦後最大のGDP600兆円に向けて、強い経済を確かなものとする予算であります」
「子供が欲しいと願い、不妊治療を初めて受ける方には、治療費のほぼ100%に相当する30万円を助成します。この3年間、民主党政権時代の2倍以上のスピードで30万人分の保育の受け皿を整備しています。来年度もこのペースを維持し、さらに10万人分以上の保育の受け皿を作ります。病気になった子供たちの保育も拡充します。安心して子供を産み育てることができる社会を作る。来年度予算は希望出生率1.8という的に向かって、力強い矢を放つ予算であります。幼児教育の無償化をいっそう進めます。所得の低い世帯では第2子は半額、第3子以降は無償とします。1人親家庭への児童扶養手当の加算を倍増します。第2子は36年ぶり、第3子以降は22年ぶりの引き上げとなります。家庭の経済事情にかかわらず、全ての子供たちが夢に向かって頑張ることができる社会を作る。そのための来年度予算です」
「3年間のアベノミクスによって、国民総所得は40兆円近く増加し、国の税収は15兆円増えました。このアベノミクスの果実を生かし、誰もが活躍できる1億総活躍の時代を切り開くための力強いスタートを切る。それが本日成立した28年度予算であります。日本の未来をつくるのは、他の誰でもありません。私たち自身であります。少子高齢化の流れに歯止めをかけ、誰もが生きがいを感じられる社会をつくる。これは立場の違いを超えた共通の目標であり、私たちが力をあわせて実現すべき課題であります。予算案の国会審議では、与党だけでなく、野党の皆さんからも建設的な意見をたくさん頂きました。さらにこの半年間、私は対話を重ねてきました。20代の若者たち、子育て中のお母さん、介護をしている皆さん、高齢者の方々、難病や障害のある方々、パートタイムや契約社員として働いている皆さんなど、さまざまな状況に置かれている方々から、直接、お話を伺うことができました。就職の際に新卒者が優遇される文化、再チャレンジを阻む壁、子育てや介護との両立という壁、定年退職、年齢の壁、やりたいと思うことがあっても、さまざまな壁が立ちはだかる現実を改めて実感いたしました。こうした壁を1つ1つ取り除く、日本1億総活躍プランを策定します」
「最大のチャレンジは働き方改革であります。多様な働き方が可能となるよう、労働制度や社会の発想を大きく転換しなければなりません。時間外労働の規制を見直し、長時間労働や働き過ぎを是正します。再チャレンジ可能な社会を作るためにも、正規か、非正規かといった雇用の形態にかかわらない均等待遇を確保する、そして、『同一労働同一賃金』の実現に踏み込む考えであります。生涯現役社会を実現するため、定年引き上げや雇用継続の延長に向けた環境を整えるとともに、働きたいと願う高齢者の皆さんへの就職支援も充実する必要があります。若者たちにチャンスあふれる社会をつくる。多子世帯への支援、子育てや教育への支援を抜本的に拡充してまいります。家庭の経済事情に関係なく、希望すれば誰もが大学にも、専修学校にも進学できるようにしなければなりません」
http://www.sankei.com/life/news/160329/lif1603290034-n1.html
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2016.3.29 22:05更新
【安倍首相記者会見詳報(2)】
「世界経済のかじ取りにリーダーシップを発揮」
「本年から児童養護施設や里親の下で育った子供たちが進学した場合、毎月家賃相当額に加えて5万円の生活費を支給し、そして卒業後5年間仕事を続ければ、その返還を免除する新しい制度を始めました。本当に厳しい状況にある子供たちには、返還がいらなくなる給付型の支援によって、しっかりと手を差しのべてまいります。そして、可能な限り速やかに、必要とするすべての子供たちが、利子のない奨学金を受けられるようにして参ります。返済額についても、社会に出た後の所得に応じて変化させることで、過度な負担とならないように配慮致します。介護や子育てをしながら、仕事を続けることができる、そうした社会をつくるためにも、介護や保育の受け皿整備を一層加速します。未就学児のみならず、小学生の学童保育も含めた待機児童ゼロの実現を目指してまいります」
「介護福祉士を目指し、専門学校で学んでいる1人の学生と、先日出会いました。『4月から介護の現場で働くことに大きな期待を感じています』。こう語る小金さんは、最後にこう締めくくりました。『高い意識を持って、介護の現場で長く働いている人が、数多くいる。介護の仕事は、素晴らしく、本当にやりがいのある仕事だということを、国民の皆さんに正しく理解してもらいたい。そして、介護の仕事を積極的に目指す人が1人でも増えることを願っています』。高い使命感と希望を持って、介護福祉士や保育士の道を選んだ人たちを私たちは国を挙げて応援していかなければなりません。経験に応じた給料アップの仕組みをつくりながら、処遇の改善にもしっかりと取り組んでまいります。さらに、保育補助者の活用などにより、質の向上を図りながら、現場の皆さんの負担を軽減致します。10年先の未来を見据えながら、これまでの発想にとらわれない大胆かつ総合的な政策を日本1億総活躍プランとして、5月に取りまとめたいと考えています」
「さて、私はこれまで繰り返し、来年度予算の早期成立こそが、最大の経済対策であると申し上げてきました。その実をあげるためには、この予算を早期に執行することが必要です。可能なものから前倒し実施するよう、(麻生太郎)財務相に早速指示いたします。今年の春闘では3年連続多くの企業でベースアップが実現しました。民主党政権時代はもとより、それ以前も10年間達成できなかった今世紀に入ってもっとも高い水準の賃上げが3年続いています。さらに、連合の調査では、今年、非正規労働者の皆さんの賃上げ水準は、正規労働者を上回った。給料アップの流れはその裾野をどんどん広げています。有効求人倍率は、24年ぶりの高い水準です。就業地別で見れば、47の都道府県のうち、46で、1倍を超えている。1人の求職者に対して、1つ以上の仕事がある状態となっています。こうした中で、昨年は正規雇用が8年ぶりに増加に転じ、26万人増えました。非正規労働者ばかりが増えている、という批判もありましたが、昨年は非正規雇用の増加よりも、正規雇用の増加が上回った。これは、21年ぶりの出来事であります。わが国の雇用所得環境は、順調に改善を続けており、日本経済の回復傾向に変わりはないと考えております」
「他方で、年明け以降、中国の景気減速への懸念、原油価格の低下などを背景に、わが国を含め、世界的に需要が大きく変動しており、世界経済の不透明さが増していることも事実であります。先月のG20(20カ国・地域)でも、世界経済の下方リスクと脆弱(ぜいじゃく)性が高まっているとの認識で、各国が一致いたしました。5月の伊勢志摩サミットでも、現下の経済情勢が最大のテーマとなることは間違いありません。現在、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授やクルーグマン教授など国内外の有識者から現下の世界の金融経済情勢と、取るべき施策について直接、話を伺い、率直な意見交換を行っています。世界経済の持続的かつ力強い成長を実現するために、今、G7の政策協調が求められている。伊勢志摩サミットの行方に世界中が注目しています。そして議長国、日本への大きな期待を感じています。明日からのワシントン訪問でも世界のリーダーたちと可能な限りの首脳会談を行い、現下の経済情勢について忌憚のない議論を行う考えです。さらにこのチャンスを生かし、国際金融、経済に詳しい著名な方と意見交換する機会も設けたいと思います。こうしたさまざまな議論を踏まえて、G7の議長国として、新たな局面に入った世界経済のかじ取りにリーダーシップを発揮していきたいと考えています。私からは以上であります」
http://www.sankei.com/politics/news/160329/plt1603290062-n1.html
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2016.3.29 22:20更新
【安倍首相記者会見詳報(3)】
「衆院解散は頭の片隅にもない」
−−来年度予算の成立を受け、安倍内閣としてさらなる経済対策を取りまとめる考えはあるか。その場合、取りまとめの時期や規模、また補正予算案の編成についても考えを聞かせてほしい。また、来年4月の消費税率の10%への引き上げについて、自民党内には景気対策という面からも先送りを容認する意見や、それを争点にした衆参ダブル選挙に期待する声がある。一方で、安定した社会保障財源を確保するために予定通り引き上げるべきという意見もある。首相は消費増税の是非をいつまでに、どのように判断するつもりか。また衆参同日選についての考えは
「これまでも繰り返し申し上げてきたわけでありますが、来年度予算の早期成立こそが最大の景気対策である、こう申し上げてきました。おかげさまで、今般、成立しました。その実を上げるために可能な限り前倒しして、実施できるように財務相に指示します。政権交代後、デフレ脱却まであと一息というところまで来ました。今こそ少子高齢化の流れに歯止めをかけ、誰もが生きがいを感じる社会をつくるために日本1億総活躍プランを早急に取りまとめていきます。『GDP600兆円』『希望出生率1.8』『介護離職ゼロ』という新たな目標に向かって、国民の皆さんと日本の未来をつくっていきたいと考えております」
「今年の5月には伊勢志摩でG7サミットが開催されます。G7による政策協調が求められている中、わが国は議長国としてその責任を果たしていかなければなりません。世界経済の持続的かつ力強い成長を実現をしていくために、日本として、どのような貢献をしていくべきか。世界のリーダーたちと議論をしていきたいと考えています。世界のリーダーたちと議論を尽くしながら、まさに見極めていきたい、こう考えております。なお、来年4月の消費税率10%への引き上げは、これまで何度も国会で申し上げているところでございますが、世界に冠たる、この社会保障制度を次世代にしっかりと引き渡していくため、また市場や国際社会の信任を確保するために、リーマン・ショックあるいは大震災のような事態が発生しない限り、来年予定通り引き上げる考えには変わりはございません。また衆議院の解散ということについては、頭の片隅にもありません」
「今年の5月には伊勢志摩でG7サミットが開催されます。G7による政策協調が求められている中、わが国は議長国としてその責任を果たしていかなければなりません。世界経済の持続的かつ力強い成長を実現をしていくために、日本として、どのような貢献をしていくべきか。世界のリーダーたちと議論をしていきたいと考えています。世界のリーダーたちと議論を尽くしながら、まさに見極めていきたい、こう考えております。なお、来年4月の消費税率10%への引き上げは、これまで何度も国会で申し上げているところでございますが、世界に冠たる、この社会保障制度を次世代にしっかりと引き渡していくため、また市場や国際社会の信任を確保するために、リーマン・ショックあるいは大震災のような事態が発生しない限り、来年予定通り引き上げる考えには変わりはございません。また衆議院の解散ということについては、頭の片隅にもありません」
「他方で、法律の施行によって自衛隊には新たな任務が付与されたばかりであります。法律によって任務が付与されなければ、自衛隊は訓練を行うことができません。駆け付け警護を含め新たな任務を、安全を確保しつつ、適切に遂行するためにはあらゆる面で万全の体制を整え、そして教育訓練も含め、時間を掛けて周到な準備をしなければなりません。安全保障の現場というのは、そういうものでありまして、政治的な都合によってですね、それを早めたりするということはあってはならないわけでありますから、当然、周到な準備を今日から始めていく。そして、それにはしばらく時間がかかるということでありまして、当然、これは参院選があるから、ないから先送りするかどうかという話では全くないわけでありまして、その批判は極めて的外れ、現場を知らない話ではないかと思います。まさに今日から安全を確保するため、日本を守るために周到な準備、そのための訓練が始まるというわけであります」
http://www.sankei.com/politics/news/160329/plt1603290066-n1.html
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2016.3.29 22:38更新
【安倍首相記者会見詳報(4)=完】
トランプ発言に「候補者へのコメントは適切ではない」
−−日本経済の再生に向けて、これまで賃上げなどに取り組んできた。個人消費や内需には弱さが見られる。この要因は何と考え、分析しているか。また今後そういった内需、個人消費を拡大するためにどのような取り組みが重要だと考えられるか。与党内から消費税の先送り論、引き上げの先送り論も出ているが、引き上げを先送りをした場合、社会保障の充実も先送りされ、将来不安が増して、より国民の財布のひもが締まるのではないかという指摘がある。こうした指摘について、首相はどのように受け止めているか
「このところですね、個人消費については、世界経済の不透明感が高まる中において、消費者マインドに足踏みがみられることなどから、おおむね、横ばいとなっています。このためアベノミクスの果実を活用して安心できる社会基盤を築くことで、消費等にも良い影響を与える。さらに経済が成長していくという、成長と分配の好循環を作り出していく必要があると思います。そのために全力を尽くさなければならない。5月には日本1億総活躍プランを取りまとめ、そして600兆円経済に向けた道筋と子育てや介護の支援メニューをお示ししたいと考えています。また、さらに、賃金が上がっていくという実感も大切だろうと思います。企業が過去最高の収益を上げたことによって、今年の春闘では、今世紀に入って、最も高い水準の賃上げが3年連続続いています。3年連続でベースアップしたところもあります。安倍政権になるまで、ベースアップという言葉すら忘れ去れていたのも事実であって、私の地元の銀行なんかも、ベースアップするにあたって、そのためのソフトはもうなかったという状況になっていた」
「ですから、今年のベースアップと昨年のベースアップを例えば比べて、少し低いということよりも、3年続いて、ベースアップが実現をしている。しかも、その賃上げのレベルがですね、この15年間実現できていなかったレベルを3年連続続けているということを、しっかりとこれを受け止めていただきたいと思いますが、さらに連合の調査では、今年、非正規で働く方の賃上げ水準は、正規労働を上回ったわけでありまして、正に格差を是正する。これは高い方を低くするのではなくてですね、非正規の方を上げていくといういい形でですね、格差の是正が進んでいるということではないのかなと思います。こうした流れをしっかりと続けていく、さらに強くしていくことが、消費を上向かせることにつながっていくというふうに考えています。また、消費税率引き上げを延期した場合という、仮定の質問にはなかなかお答えできないのでありますが、来年4月の消費税率10%への引き上げにつきましては、先ほど申し上げましたように、リーマン・ショックあるいは大震災級の事態にならない限り予定通りあげていく考えであります」
−−先日、新聞のインタビューで(米大統領選の共和党候補指名争いで首位を走る)ドナルド・トランプ氏が、日本に対して「思いやり予算を大幅に増やさなければ、在日米軍を撤退させるかもしれない」と発言したほか、「日本は核兵器を持ってもいい」と言ったが、こうした考え方に対して、首相の受け止めを
「米国の大統領選挙は、わが国をはじめ、世界の国々に大きな影響を与えるわけでありまして、その推移については注目しております。しかし大統領選における候補者のコメント、逐一について、私が意見をいう、コメントをするということは差し控えたいと思います。また適切ではないのかなと、コメントすることは、適切ではないのかなと思います。次の米国大統領が誰になるにせよ、日米同盟は日本外交の基軸であり、アジア太平洋や世界の平和と繁栄のために米国と緊密に協力をしていくことに変わりはないと考えております」
−−待機児童問題について伺う。先ほど総理は50万人の受け皿を目指す考え、また可能な限りの予算の前倒し執行を言った。ただ、これから新年度を迎えるにあたり、子供を預ける先を見つけられない両親については、受け入れ先が、政策の効果になると思われると思うが、こうした予算措置だけでは、そこには行き着かずに、やはり自治体などの協力がなければ、予算の早期執行しても、行き着かないと思うが、そういった先のより丁寧なことに首相として、リーダーとして、どういった取り組みをするのか
「先程もお話をさせていただいたように、安倍政権においては、民主党政権時代の倍のスピードで保育の受け皿を整備をしています。しかし、同時に女性の輝く社会づくりを進めていく中において、多くの女性、90万人以上の女性が新たに仕事を始められた。そして、また昨年4月には、求職活動中であっても、同居親族がいても保育園に申し込めるようにいたしました。つまり申し込みするための基準を広く緩やかにしたわけでありまして、そうしたことも含めて申し込みが非常に増えてきたのは事実であります。従来の認可保育園だけではなくて、小規模で家庭的な雰囲気の保育、事業所内での保育など、希望に応じた保育サービスが受けられるように、現在さらに努めているわけでありますし、先程も申し上げましたように、50万人分の受け皿を確保していきたい、全力で、それに向かって努力をしていきたいと思います。また、国会におきましても、野党からさまざまなご意見、ご提案をいただきまして、そうした提案もよく検討しながら、対応していきたいと思っておりますが、今ご質問にあったように、『国だけではできませんね』という話だと思います」
「確かに、保育は自治事務でありまして、自治体が主役であります。国としては自治体が直面している問題を十分にくみ取りながら、自治体を応援するかたちで取り組みを強化していきたいと思います。そのためにも自治体と国がちゃんと連携していかなければ進んでいかないのは事実だろうと思いますので、連携をしっかりとしていきたい。待機児童問題は、地域によって千差万別でありまして、特に待機児童が多い自治体とは意思疎通を密にして一緒に考えていきたいと思います。5月にとりまとめ日本1億総活躍プランに、保育士の確保のための待遇改善、さらに中長期に取り組む課題についても位置づけていく考えであります。待機児童を解消し、安心して子どもを生み育てられる社会を実現するため全力で取り組んでいきたいと思います」
=(完)
http://www.sankei.com/politics/news/160329/plt1603290064-n1.html
「敗れたのはロシア シリア化学兵器問題の裏:アサド政権に化学兵器の原料を引き渡したのは独企業:アサド政権崩壊の準備」
http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/881.html
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ロシア外務省:アサドはロシアでなく西側の友人だ[スプートニク日本語]
2016年03月28日 08:05
ロシアはシリアでアサド大統領を支援しているのではない。アサド大統領はかつて一度としてロシアの親友だったことはなく、国の崩壊を防ぐために努めている。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官が述べた。
「我々はアサドを支援しているのではない。彼は我々の親友ではなく、西側の友人だった。我々は、合法的な政府、政権の維持を支援したのだ」と報道官。大統領が退陣すれば政府も退陣する。すると行政府と軍が崩壊する。するとテロリストがシリアに対し、リビアが「気楽な散歩」に見えるようなことをするだろう、と報道官。
同時に、アサド大統領はシリア現体制にいくつかの変更を行う準備を示しているとの情報もある。
米国のジョン・ブレナンCIA長官は、モスクワ訪問中、シリアでの休戦遵守、アサド大統領退陣に伴うシリア国内の政治調整といった問題を討議した。
これはブレナンCIA長官が協議したとのニュースを、駐モスクワ米大使館がコメントし、伝えたものだ。ブレナン長官がモスクワで誰と会ったかについては、伝えられていない。一方ロシア大統領府は「クレムリンでのCIA長官とのコンタクトはなかった」としている。
協議の詳細は、モスクワの米国大使館で、リア-ノーヴォスチ通信記者に伝えられた。駐ロシア米大使館のウィリアム・スチーヴンス報道官は「シリアでの休戦遵守問題以外に、ブレナンCIA長官は、アサド大統領退陣問題を提起した」と述べている。
報道官によれば、ブレナン長官は「シリアにおける政治的変革のプロセスを完全に支持している米国の立場を確認し、シリア国民の意志を反映する移行を保証するため、アサド大統領退陣の必要性を求めた」とのことだ。
なおロシア議会上院・連邦会議国際政治委員会のメンバーでシリア問題の専門家であるイーゴリ・モロゾフ上院議員は「CIA長官のモスクワ訪問は、ダーイシュ(IS,イスラム国)のリーダーに関する情報伝達と関係している可能性がある」との見方を示した。
中国では検索エンジン「グーグル」がブロックされて使うことができないが、28日から29日にかけて数時間だけアクセスすることができた。29日、サウスチャイナ・モーニング・ ポストが報じた。
インターネットの利用者たちは、現地時間で28日22日30分から29日01時15分までグーグルを使用することができた。なお、同じく中国でブロックされているフェイスブックやユーチューブは今まで通りアクセスできなかったという。
グーグルへのブロックが一時的に解除されたのは、アジアの新たなサーバーが立ち上がったおかげだと見られている。
中国のSNSではグーグルへアクセスできたことが幅広く議論され、言論の自由が復活し始めたと評価された。
[FINANCIAL TIMES]フェイスブック創業者の過信
アジア・エディター ジャミール・アンデリーニ
映画「ソーシャル・ネットワーク」の冒頭、マーク・ザッカーバーグ役を演じる俳優がデート相手に向かって、天才級IQを持つ中国の人の数は米国の人口よりも多いと言う。米フェイスブック創業者のザッカーバーグ氏はこの伝記映画は不正確で自分は傷ついたと述べた。だが、脚本家のアーロン・ソーキン氏は明らかに1つ、的を射ていた。ザッカーバーグ氏の中国への執着ぶりだ。
ザッカーバーグ氏が3月第3週に中国を訪問したことは大変な注目を集めた。同氏はひどいスモッグの中、天安門広場でジョギングをし、インターネットなどコンピューターネットワーク上の社会に属していると自負している中国人や欧米人の一部の「ネチズン(netizens)」から「ごますり」と嘲笑された。何千人もの人が彼のフェイスブックページを訪れ、紫禁城を笑顔で走り抜ける彼の写真を痛烈に批判したのだ。
□ □
海外に暮らす多くの中国人ネチズンは、1989年の天安門事件の痛ましい歴史を無視したザッカーバーグ氏を攻撃した。北京の住民が耐えているひどい大気汚染がないかのように振る舞った彼を愚弄する人もいた。通常、広場を監視し、イベントや集会を開く人を誰でも逮捕する多くの治安警官がなぜ写真に写っていないのか不思議に思った人もいた。
ザッカーバーグ氏がどうやって中国国内からフェイスブックに写真をアップロードできたのか問う人もいた。ツイッターやグーグル、ユーチューブと同様、フェイスブックも政府の検閲体制によってブロックされているからだ。
米大手ハイテク企業は、中国の検閲は反対意見を遮断するだけでなく、百度(バイドゥ)、騰訊控股(テンセント)、アリババといった国内トップ企業を保護する狙いのいわば非関税貿易障壁だと主張している。だが、ザッカーバーグ氏はそうした仲間で唯一、中国にへつらうことで、この魅惑的な市場への再参入を執拗に追求してきた。
今回、スーツ姿でプロパガンダと思想統制の責任を負う共産党指導者、劉雲山氏に会い、彼の話に熱心に耳を傾ける様子は国営テレビに大きく取り上げられた。その報道によると、ザッカーバーグ氏は「ネット分野で中国が遂げた前進を称賛し、サイバースペースでより良い世界を築くべく中国の仲間たちと協力すると語った」という。
中国系米国人と結婚したザッカーバーグ氏は、初歩的な標準中国語を話す。2014年には、中国に取り入ろうとする大きな取り組みの中で、中国のネット統括責任者に自分の持っている習近平国家主席の演説集を見せた。同氏は「中国の特色ある社会主義を理解してもらうべく」スタッフにも同じ本を数冊買ったと語ったという。
だが、こうした努力は、彼が利用者として取り込みたい人たちには受けが良くなかった。今回、訪問した直後に、中国人ネチズンだけでなく厳しく統制されているメディアの一部からも同氏には多くの冷笑が浴びせられたため、国家プロパガンダ当局が検閲指令を出したほどだった。
「ザッカーバーグ氏の中国訪問について悪意のある報道は統制するように。大げさな報道をしないこと」。リークされた通達には、こう書かれていた。
この反応は、ザッカーバーグ氏のアプローチが抱えるリスクを浮き彫りにする。まず倫理的な問題がある。弁護士やフェミニスト、人権活動家、書店関係者が逮捕されたり「姿を消したり」している時に、この市場にこれほど熱心に参入しようとするのは、道義的に問題があるように見える。
□ □
純粋に金もうけの観点からでさえ、同氏のアプローチがどれほど効果的かは定かでない。グーグルやツイッターなどと異なり、フェイスブックに代わる企業で大成功した中国企業は存在しない。従って同社の参入を阻む強力なロビー団体は存在せず、同社の中国参入禁止が解除される可能性は十分ある。
しかし、ブロック解除は最も厄介な条件の下でのみ実現する。フェイスブックのサーバーを中国に置き、ユーザーの個人的な情報とやり取りを公安機構に渡し、「デリケート」なコンテンツを削除するために大勢の検閲官を雇うと約束することなどが条件となる。
ザッカーバーグ氏は中国に参入する代償の一部として、こうした条件の多くを受け入れるかもしれない。だが共産党が締め付けを強めるにつれ、いずれ同氏がどうしてもできないことを要求してくるだろう。その時点で当局に、忠実な小さな愛犬だった同社が裏切ったと見なされ、同社は厳しく罰せられることになる。
ザッカーバーグ氏も知っているかもしれないが、中国語でゴマすりは「拍馬屁(パイマーピー)」と言う。「馬の尻をたたく」という意味だ。だが、これと関係した言い回しがあり、それは馬の尻を強くたたきすぎ、馬の足に手をすべらせたら多分に頭を蹴られると警告している。
(24日付)
[日経新聞3月27日朝刊P.15]
朝鮮半島の緊張が急激に高まっている。米国と韓国は、合同軍事演習を行い、北朝鮮の重要施設に対する攻撃の仕上げをしている。ほとんど毎日のように弾道ミサイルの発射実験がなされ、核弾頭改良に向けた作業が続けられている。これは、朝鮮半島での戦争が、現実のものになるかもしれない前触れなのだろうか?
スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者は、ロシア科学アカデミー極東研究所日本調査センターのワレーリイ・キスタノフ・センター長に、意見を聞いた。センター長は「おそらく中国はそうした事を許さないだろう。中国はロシアと共に、朝鮮民主主義人民共和国に対する新たな制裁に参加している」と指摘し、次のように続けた-
「米国、日本そして韓国は、もちろん、北朝鮮の現体制が舞台から去り、崩壊する事を強く欲しているだろう。南北朝鮮統一が起こるようにだ。当然、それは南、つまり韓国主導の、韓国の条件での統一だ。一方米国は、こうしたすべての事を高みから観察し、プロセスをコントロールしようとするだろう。しかしそうした事は、中国にとって全く受け入れられない。なぜなら米国は、どんな状況になろうと、自分達の部隊を朝鮮半島から撤退させるつもりはないからだ。中国にとってみれば、北朝鮮の体制が倒れれば、北朝鮮と中国を分けるヤールー川の対岸に、突然に米軍部隊が現れることになってしまう。それゆえ、もし事態が、武力を用いての北朝鮮の体制打倒の試みまで行ってしまった場合、中国の介入は避けられないと思う。米国の巨大な軍部隊が自分達のすぐ隣に出現するのを阻止するためなら、中国は、自国の部隊をそこに導入する事をためらわないだろう。
一方、もし中国軍が、北朝鮮領内に導入されたなら、彼らは、日本海沿岸に到達する危険性がある。領土問題が今も日中関係を尖鋭化させている事を考えれば、日本海の対岸に中国軍が出現するというシナリオを、日本政府は、恐らく喜ばないだろう。」
それ以外に、もし北朝鮮の体制が崩壊した場合、現在欧州で起きているような状況が生じる可能性がある。何十万人もの、あるいは百万単位の難民が、押し寄せるかもしれない。キスタノフ・センター長は「その場合、最も無防備な状態に置かれるのは、恐らく日本だ」と見ている-
「北朝鮮の体制が倒れた場合、この国の何百万もの人々が、国境を越えて中国や韓国、そしてロシアに逃げるだろう。しかし彼らにとって、最も魅力的な国になるのは、日本だと思われる。現在中東や北アフリカの何十万もの難民が、ドイツを目指すのと同じだ。
忘れてはならないのは、日本にはすでに、在外朝鮮人の非常に大きな社会が存在している、という事だ。つまり日本でも、今日ドイツで起きているのと同じことが起きるだろうという事だ。その際、日本と朝鮮半島の間にある対馬海峡の島々は、コントロール下、管理下に置かれていない難民達が今も流れ着いているエーゲ海のレスボス島(ギリシャ)や地中海のラムペドゥーザ島(イタリア)のような役割を演じるだろう。日本にとってはもちろん、そんなことは必要ない。日本の戦略専門家達は、そうしたシナリオも考慮に入れ、憂慮もしているのだろうが、それについて発言する人はいない。」
北朝鮮の核ミサイル計画問題には、世界中で取り組み、これを解決する必要がある。米国とその同盟国は、新たな制裁は、北朝鮮当局が譲歩しなくてはならないほど強力なものだと固く確信しているようだ。しかし北朝鮮当局は、中東で倒された体制の運命が自分達のところで繰り返されるのではないかと、ますます恐れている。それゆえ北朝鮮の体制を保証してはじめて、彼らを6カ国協議のテーブルに戻す事ができるだろう。もし北朝鮮を、追いつめるような事をすれば、極東で百万規模の難民危機が起きるというシナリオは、現実のものになってしまう可能性がある。
経済学者や分析専門家達が、次の世界的規模の危機がいつ始まるかを、あらかじめ様々に予測している中、ブルームバーグ・ガドフライ(Bloomberg Gadfly)のコラムニスト、クリストファー・レンゲル氏は「2018年元旦」という具体的な日付を示した。
彼の見解を、以下まとめてお伝えする。
「銀行融資のチャンスがさらに大きく制限され、銀行は最も確実な借り手にのみ資金を提供するようになる新しい規範が、まさに2018年1月から効力を発する。ブルームバーグ通信が行ったアンケートに答えた分析専門家らは皆、こうした措置は『世界中の倒産件数増加を促すだけだ』と指摘している。
例えば、銀行領域を調整する規範のみが厳しくなった場合、米国において銀行の働き口の数は、著しく減少してしまった。これは銀行が、追加資本を解放するため、採算の合わない支店を次々閉店せざるを得なかったため、起きた事だ。
銀行は、自分達の資金を制限せざるを得なくなる。この事は、さらに多くの倒産を呼び起こすだろう。首にされる人が増え、働き口が少なくなる。そうした事は、世界金融危機再来のシナリオを容易に思い起こさせるものである。」
国内最大級の指定暴力団・山口組。昨年八月下旬から分裂騒動が表面化してきた。離脱派は新組織・神戸山口組を設立。両者の抗争は2月以降頻発し、今月28日には8人が同時に逮捕された。
山口組と神戸山口組に一体何が起こっているのか、鈴木啓之牧師(シロアムキリスト教会)に現在の状況を分析してもらった。鈴木氏は17歳でヤクザの世界に入り、一時は命を狙われ逃亡生活を送る身だったが、その後改心してキリスト教の世界に入ったという異色の経歴の持ち主だ。現在は平成駆け込み寺の施設長や人生やり直し道場の理事長としても活躍し、人の悩みを聞き、命を守る活動に精力的に取り組んでいる。
鈴木氏によれば、銃器の使用に対する刑罰が重くなってきているため、抗争の内容は昔とは変わってきているという。
鈴木氏「現実問題、銃器の使用に対する刑罰が非常に重くなっているので、一人ひとりに『刃物や銃器を決して使用しないように』と通達しています。本来、ヤクザの抗争で、そういうものを使用しない、などということは考えられなかったのですが。つまりそれ位、当局の締め付けが厳しくなっているのです。殺傷能力の強い銃器を使うと重い刑罰を課せられます。」
スプートニク:抗争と言っても、深夜に車で突っ込んだり、消火器などを事務所に投げ込むなどのレベルにとどまっているのはそのためですか。
鈴木氏「そうです。組織として、内部の力の温存が必要ですが、ほんのわずかなことでも軒並み組員が引っ張られていきますから。抗争は言ってみればまだ序盤戦で、本当の戦いはこれからです。
もしどちらかの組織の、名のある幹部が殺されるということになれば、相手はやり返すしかないわけですから、抗争は泥沼化します。ただ抗争に、実際に行く人間というのは、下部組織や末端の人間です。彼ら『鉄砲玉』として行くわけです。しかし鉄砲玉一人では行かせられないので誰か責任者がついていきます。抗争の結果、人が亡くなってしまったら、少なくとも当事者やその責任者は無期懲役になるわけですね。
以前は無期懲役であれば、実際は十数年程度で仮釈放の対象になっていましたが、今は30年間は刑務所にいなければいけません。そうなると自分の人生はある意味で『終わる』わけです。そう考えれば、軽はずみに動けません。昔は抗争事件で『勤めに行って(=刑務所へ入って)』帰ってきたら組の幹部に就任する等の保障があったわけですが、今はもうありません。そもそも、組が存続しているかどうかも、自分が生きて刑務所から出られるかどうかもわからないわけです。」
鈴木氏は、両者の抗争はまだまだ続くと見ている。
鈴木氏「ヤクザのルールですから、今は『やられたらやり返す』ということが連鎖しているだけです。どこかで大きな問題が起きない限りは、まあ小康状態とまでは言えませんが、実際には本当の戦いとは言えないような、つばぜり合いがしばらく続くだろうと思います。」
米国の専門誌「ナショナルインタレスト」は「NATOにおける米国の政策は、古くなってしまった。米国は、世界における自分達の役割を考え直し、真剣にNATOからの脱退を考える時が来ている」と指摘した。
この論文は、その理由として、以下の2点を挙げている。
第一に、第二次世界大戦後に形成されたパワーバランスは、今や存在しない。米国は、世界政治における自分達の主導的役割が、長年にわたり必要不可欠であると確信していた。しかし、欧州の国々は、すでにかなり以前から、自分達の問題を自主的に処理する能力を持っている。
第二に、NATOが創設された時、欧州政治の鍵を握る重要なパートナーとの協力の道具として、それは理解されていた。誰も、NATOが絶えず拡大するだろうなどとは、言っていなかった。しかしソ連邦崩壊後、米国の指導者達は、深く考えずに、あたかもソーシャルネットワーク上で、新しい友人を加えてゆくように、東欧から新しい同盟国を受入れるようになった。しかしNATO憲章第5条が、状況を本質的に複雑で困難なものにしている。この第5条には、NATO加盟国に対する攻撃は、NATO全体に対する攻撃とみなされると書かれている。その結果、米国は、自分達に何の関係もない軍事紛争に引っ張り込まれる可能性がある。
今後数年間で日本の刑務所システムは、新たな課題に直面することになる。統計によれば高齢者の囚人が着実に増加しており、しかも多くが自ら望んで牢に入るのである。
フィナンシャル・タイムズによれば、商店での盗難の件数が特に目だって増加している。窃盗犯の再犯35%が60歳以上の高齢者で、40%が再犯、中には6回も同じ犯罪を繰り返している人もいる。
法務省の統計によると、全体で、1991年から2013年まで、高齢の犯罪者数は460%増加した。
専門家はこれらの犯罪者が食糧、避難所、医療を無料で手に入れるために故意に刑務所入りを望んでいると考えている。日本の最低年金は年間約78万円で、最低限の生活も不可能であるが、刑務所に入れば国が面倒を見てくれるのである。
http://jp.sputniknews.com/japan/20160329/1859278.html
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刑務所行きを望む「高齢者」強盗 日本に現れる!?[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年03月29日 18:02
リュドミラ サーキャン
日本における犯罪で、奇妙な現象が起きている。窃盗や強盗、殺人に至るまで様々な種類の犯罪を、日本では若者ではなく、ますます高齢者が侵す傾向が強まっているというのだ。新聞「ファイナンシャル・タイムズ«Financial Times»」の指摘によれば、特に、刑務所に入るために罪を犯す年金生活者の数が増えているとの事だ。
今では、商店での盗み、万引き犯の三分の一以上が60歳以上だ。おまけにその多くが、犯罪を繰り返す。中には、前科6犯という人までいる。日本の年金生活者は、支出を控え目にしたとしても、国からもらえる年金より25%も多いお金が、生活費に消えてしまう。
日本では、高齢者による殺人も増える傾向にある。例えば2014年、日本の警察は、自分の夫を毒殺した疑いで、筧千佐子(かけひちさこ)なる女性を逮捕したが、彼女の夫は、結婚してから数か月で亡くなっている。日本のマスコミ報道によれば、彼女は6回結婚したが、夫になった男性は、病気や事故などで次々に死んでいった。この事件の登場人物達の年齢は注目に値する。彼女自身は67歳、直接逮捕のきっかけとなった事件で毒殺された男性は75歳だった。
又犯罪報告の中には、高齢者が詐欺師の犠牲になるといった事件が、ますます多く見られるようになっている。高齢者犯罪は、ある程度、年金生活者が持つ財政状況への不満によって説明する事ができる。彼らは、人生のたそがれ時を迎え、非常に大きな経験を持ちながら、生産のプロセスからも、人生そのものからもはずれ、捨てられたと感じている。
スプートニク日本のリュドミラ・サーキャン記者は、ロシアの犯罪学の専門家オレーシャ・バルスコワさんに、意見を聞いた —
「日本は、(うつ病など)精神疾患に苦しむ人の数で世界有数の国だ。とりわけ現在70、あるいはこの年齢をはるかに超えた人々について話す時、この統計には真実がある。1960年代そして70年代の日本の所謂仕事中毒、1980年代の経済成長は、その世代の人々の一部を、休息したりリラックスしたりできず、仕事なしに人生を楽しむことができない人間に変えてしまった。
年金受給年限を越えると、ある人は旅行に出かけたり、ある人は孫と楽しい時間を過ごしたりしている。またある人は、何もしないで座りこんでいたりするのが嫌で、少しばかりお金を稼ぐために、年金生活者向けの仕事を得ている。中には、消えて行った人生の意義について悲しみ始める人もいる。かつてなかったほど簡単に人生というものに関わっている今の世代の人達と違い、長い間そうした人々は、絶えず飽かずに働き、お金を稼ぐことに慣れてしまっている。ひとことで言えば、生存競争に慣れてしまっている。だから、仕事が無かったり、自分が必要とされないと感じたり、孤独である事は、精神的に辛いのだ。中には人生から今放り出されてしまったのは、自分が悪いのだと考える高齢者もいる。また精神的な変化によって、社会への復讐を決心する人達もいる。時にそうした犯罪には、利己的な動機もある。貧しい一部の老人にとっては刑務所に入る事は、幸いなのだ。夫あるいは妻を殺すという犯罪について言えば、日本では保険金の額が少なくない。その一方で、警察はこれまで、高齢者の死には、特別熱心に取り組んではこなかったといってよい。」
日本における犯罪のレベルが、諸外国と比べ、かなり低い事には、好奇心がそそられる。しかし殺人件数は下がっているものの、老人犯罪の件数は増えている。これは、当局が発表しているように、日本が『高齢化社会』である印、果たしてそれだけだろうか。
米国とトルコの外交関係は、今も極めて重要な同盟国であるにもかかわらず、深い危機的状況にあるようだ。29日、BBCが伝えた。
最近、サイト「アトランティク(Atlantic)」は、オバマ大統領の多くのインタビューをもとに、オバマ政権の外交政策の広範な分析を行ったが、その中で「トルコ側は、オバマ大統領の多くの期待を裏切った」と指摘した。
当初オバマ大統領は、エルドアン大統領を、東西間に橋を架ける能力を持った「穏健なイスラム主義のリーダー」とみなしていた。しかし現在、オバマ大統領は彼を、トルコの強大な軍事力をシリア国内の安定を保証するために使うことを望まない、破綻した権威主義的リーダーであると捉えている。
米国とトルコの間の意見の違いは、様々な方面に及んでいるが、とりわけ、トルコの国内政策の現在の方向性に対する米国の失望感に、それが映し出されている。
日本も同じ傾向だが、欧米諸国は、自国及び同盟国(ないし軍事行動支持対象国)がイスラム圏で無差別空爆(テロリズム)を行っていることに無関心のひとが少なくないことのほうが問題だ。
なかには、暗殺手法として使われている無人機攻撃や一般住民を巻き込む空爆を“正義の戦い”や“やむをえない戦術”と居直るひともいる。
なお、記事中に「Twitterのあるユーザーなどは「エッフェル塔を、パキスタンのシンボルカラーである緑と白でライトアップしようとする動きさえない」と書き込んでいる」とあるが、フランスF2ニュースは、エッフェル塔をパキスタンのシンボルカラー緑と白でライトアップした映像を放送した。
パリやブリュッセルで起きた爆破事件が「偽テロ」であることや、ラホールの爆破事件で犯行声明を出したパキスタン・タリバン運動が英米のアセット“イスラム過激派”であることはおくとしても...
(アフガニスタンのタリバンとは無関係のパキスタン・タリバン運動は、あのマララ・ユスフザイさん“インチキ銃撃事件”に協力した組織でもある)
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EU域外のテロには無関心な欧州の人々 ブリュッセルとラホールの悲劇への対応に差[スプートニク日本語]
2016年03月30日 17:25
モスクワ市民は、パキスタン東部のラホールで起きたテロ事件の犠牲者を悼んで、花やイコン(聖像画)、ぬいぐるみなどを駐ロシア・パキスタン大使館前に供えている。この公園での自爆テロで、70人以上が亡くなった。しかし、多くの女性や子供が犠牲となったこの悲劇に、EUでは無関心な人々もいるようだ。
3月27日、ラホールの児童公園でテロリストが自爆、70人以上が亡くなり、340人以上が負傷した。被災者の大部分は、女性や子供達だった。 攻撃は、カトリックのイースターのお祭りに合わせて行われたと見られている。イスラム過激派運動体「タリバン」が犯行声明を出した。 悲劇の後、地元の人達は、被害者達を助けるため自分の血を提供しようと、献血所に長い列を作った。
しかし西側のインターネット上では、パキスタンを支持する大衆行動や、ラホールでのテロ被害者に連帯するハッシュタグなどは見られない。Twitterのあるユーザーなどは「エッフェル塔を、パキスタンのシンボルカラーである緑と白でライトアップしようとする動きさえない」と書き込んでいる。
北朝鮮の朝鮮労働党が、国連安全保障理事会の対北制裁決議に賛同した中国への対抗方針を指示したとされる文書を、産経新聞が27日までに入手した。「全ての党員と勤労者は、社会主義に背く中国の圧迫策動を核爆風の威力で断固打ち砕こう」と題した内容。金正恩(キム・ジョンウン)政権が敵対姿勢を示す米韓にも増して、強硬措置に転じた中国に対する強い反発がうかがえる。
北朝鮮消息筋によると、対抗方針は、安保理決議が採択された後の今月10日、党中央本部から各地方を統括する道党委員会に対し、地方幹部に通達するよう指示したものだという。
文書は、北朝鮮による1月の核実験後、「中国が国連制裁の美名の下、覇権的地位が揺るがぬよう、われわれへの制裁に本気で賛同している」と中国の「対(北)朝鮮敵視策動」を強く非難。「中国に毛の先ほどの幻想も抱くな」とする金正日(キム・ジョンイル)総書記の「遺訓」も持ち出し、「中国と同等に対応し、われわれを見くびる態度を変えさせねばならない」とくぎを刺した。
その上で、「より過酷な試練が迫っても、ひたすら金正恩元帥さまの周囲に団結し、主体革命の終局的勝利に向け、力強く戦っていこう!」と呼びかけた。
中国とのパイプ役を担った金正恩第1書記の叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏を2013年末に処刑して以来、関係を冷却化させた中国に対し、正恩政権は不満を募らせてきたとされる。しかし、習近平政権が最も神経をとがらせる「核」で威嚇し、「敵視策動」と名指しで批判するのは極めて異例だ。
国際的非難の中、後ろ盾となってきた中国は、今回の安保理決議を受け、北朝鮮船舶の事実上の入港禁止や石炭の原則輸入中止といった厳しい措置を打ち出している。金正恩政権は、これを朝鮮戦争時代に血で結ばれたとされる同盟関係に反する“裏切り”と受け止めているようだ。
一方で、中国の措置が北朝鮮経済に波及することは避けられず、「試練」に対する団結を改めて鼓舞し、党員や住民らに動揺が広がるのを押さえ込む狙いもあるとみられる。
http://www.sankei.com/world/news/160328/wor1603280010-n1.html
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北朝鮮当局 飢餓に向けて準備するよう住民に呼びかける[スプートニク日本語]
2016年03月30日 18:24
北朝鮮の住民は、新たな「苦難の行軍」に向けて準備しなければならない。1990年代の北朝鮮における4年間の飢餓が、「苦難の行軍」と呼ばれていた。「労働新聞」の社説の中で述べられている。
記事中では次のように述べられているー
「革命への道は遠く、険しい。我々は、再び草の根を食べなければならない苦難の行軍を行わなければならないかもしれない。もし我々が自分の命を捧げることになったとしても、私たちは我々の人生の最後まで、我々の金正恩リーダーに忠実であり続けなければならない。」
「苦難の行軍」という用語は、1993年に北朝鮮指導部が考えたもので、北朝鮮で4年にわたって続いた飢餓をあらわすために使われた。
複数の評価によると、この飢餓により24万人から350人が死亡した。
米国コーネル大学の分子生物学者達は、菜食主義ダイエットの否定的結果について明らかにした。
学者らは、菜食主義者が大腸ガンや心臓血管系疾患にかかるリスクが高いという直接的な証拠を手に入れた。彼らの研究成果は、専門雑誌「Molecular Biology and Evolution」に発表された。
研究によれば、菜食主義ダイエットをしている人達の体内では、不飽和脂肪酸オメガ-3とオメガ-6に関係した代謝障害が原因で、ガンにつながる炎症プロセスが生じる可能性がある、とのことだ。
学者らは、様々な国々のヴェジタリアンと肉を食べる人達を多数比較調査し、こうした結論を出した。
日本で自衛隊の権限を拡大する法律が施行された。同法律によると、日本の自衛隊から、国連部隊のメンバーとして外国で作戦に参加する際の一連の活動制限が解除される。自衛隊は日本に対する直接の攻撃ではなくても戦闘に参加する権利を得た。防衛に関する新法の重要な面は、米国との同盟関係の強化だ。
安倍首相は国会で、日本と米国はいざというときに互いに助け合うことができるようになったと指摘した。モスクワ国際関係大学のドミトリー・ストレリツォフ教授は、これは日本政府の束縛を著しく解くとの考えを示し、次のように語っている−
「米国との協力は、れっきとした軍事同盟という、より高いレベルへ移る。これは事実上、NATOブロックをモデルとした二国間同盟に近い。今はじめて軍事同盟の常時稼動の機関がつくられつつある。このようなものは今までなかった。これは機動的に軍事計画を立てたり、機動的に協力する機関だ。今後、状況評価に基づき、日本の主権に対する脅威が存在しない場合には、日本の自衛隊が米国と一緒に軍事作戦に参加したり、同盟国を支援することが可能となるのも重要だ。これは、日本が自国の領土から離れた場所で自国の利益を守るためには十分だ。このように日本の行政組織は自衛隊を用いるための追加的権利を得る。」
新たな法律は、大半の国民の不満を呼び、専門家たちは法律施行後に、日本の軍国主義の犠牲となったアジア太平洋地域の国々に再び恐怖が生まれるのではないかと危惧した。実際に日本は新たな法律のもとで、自国の重要な同盟国である米国のためだけでなく、他の「友好国」を保護するためにも自衛隊を使用する権利を得る。なおこの「友好国」の範囲は定義されていない。このような「保護」を得るという見通しは、例えば、日本軍について嫌な記憶が残っている韓国などの身震いを呼んでいる。日本とその同盟国の利益を守るためにどこで自衛隊が使用される可能性があるのか?日本専門家のアンドレイ・フェシュン氏は、次のような見方を示している−
「残念ながら、世界情勢は今、政治的にも経済的にも独立を望むあらゆる国が自国の軍を強化することを余儀なくさせている。これは中国からの脅威を感じている日本にも直接関係している。米国は日本に対して、完全なプログラムと呼ばれるもので日本を守る気はなく、日本は自国を防衛するという重荷を自ら背負うべきだと、さらに大っぴらに示唆するようになっている。これを受けて日本は自衛隊の法律に関して措置を講じた。すでに必要な場合には核兵器を製造する可能性についても語られている。なお日本の自衛隊は至る所で用いられる可能性がある。」
いま専門家たちを懸念させている重要な問題は、日本と中国の間で直接的な軍事衝突が起こる可能性はあるか?ということだ。日本は最近、中国との係争地である尖閣諸島から約150キロ離れた与那国島に自衛隊の部隊を配備した。これが安全保障関連法案の施行とほぼ一致したのは、日本はそのような可能性を除外していないということを物語っている。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160330/1871036.html
シリアのアサド大統領は、通信社スプートニクの独占インタビューで、テロとの戦いやシリアに設営されている外国の軍基地について語った。
スプートニク:シリア領内に外国の軍事基地があることをどのように思われていますか?これらの基地は今後も残るのでしょうか?
アサド大統領:もし私たちが、テロリズムとの戦いが行われている今の時期について述べるならば、もちろん我々はそのような基地の存在を必要とする。なぜならそれらの基地はテロリズムとの戦いで効果的だからだ。テロリズムはこの10年間で同地域に広がった。これに打ち勝つには長い時間が必要とされる。一方で基地はテロリズムとの戦いだけでなく、世界情勢全般とも関係している。そのため軍事基地は我々にとっても、みなさんにとっても世界の国際的バランスにとっても必要だ。」
スプートニク:基地についてですが、今話されているのは具体的にどの国のことですか?
アサド大統領:私が話しているのはロシアについてだけだ。他の国々ではない。なぜならロシアと我々の関係は60年以上であり、信頼と明快さに基づいて構築されているからだ。そのためシリアにロシアの軍事基地があらわれたのは、占領ではなく、その反対に、友情と交流の強化であり、安定性と安全保障の強化だ。私たちはまさにそれを望んでいる。」
http://jp.sputniknews.com/politics/20160330/1872556.html
ロシアは極東における自国の軍事プレゼンスを強化している。ロシアのショイグ国防相が発表した。国防相によると、4月に太平洋艦隊の専門家たちが、ロシア海軍の基地を設置する件に関して、クリル諸島を含む地域の調査に着手する。
ショイグ国防相は、次のように語った-
「現在、クリル諸島の軍部隊の計画的な統合再軍備が行われている。今年ここには、沿岸ミサイル複合体『バル』、『バスチオン』、そして新世代無人機『エレロン3』が配備される。4月に太平洋艦隊の船員たちは大クリル列島の島々に3か月の遠征に出発する。主な目的は、太平洋艦隊の今後の基地設営の可能性を調査することだ。」
ショイグ国防相の発言に日本も米国も注目したはずだ。日本は何よりも南クリルに新たな施設が設置されることを懸念している。アジア太平洋地域を重要な戦略的地域とする米国は、クリル諸島にロシア海軍の基地ができることを挑戦として受け止める可能性がある。
地政学問題アカデミーのレオニード・イワショフ総裁は、クリルの防衛力強化計画は、まず日本の軍事能力の増大と関係しているとの考えを表し、次のように語っている‐
「核兵器を除いた場合、日本はその機動能力で極東と太平洋艦隊の我々の部隊を凌駕している。日本人が宇宙プログラムを含めたロケット技術だけでなく、核プログラムについても考えているというデータがある。私は、日本が今後も現代兵器を発展させていくと思っている。そこには核兵器が含まれる可能性がある。しかし、それは密かに行われるだろう。」
モスクワ国際関係大学軍事政治研究センターのアレクセイ・ポドベレズキン所長は、クリル諸島の防衛力を強化したいという願望は、日本とロシアの関係に信頼が不足していることと関連しているとの見方を示し、次のように語っている‐
「アジア太平洋地域諸国ではここ数年、軍事支出が非常に急速に増大した。過去10年間で2倍になった。そして複数の国は、懸命になって海軍艦隊を構築している。それらの国が、互いの領有権の主張が悪化した時にどのような行動を取るかは分からない。同地域にはそのような国がたくさんある。私は、事があけっぴろげな軍事衝突にまで発展するとは思っていないが、そのように話す人たちもいる。クリルのロシア海軍基地についてだが、まずこの問題はまだ最終的には決まっていない。2つ目に我々と日本の間には巨大な海の境界があり、軍事活動は境界の両側で行われている。しかし信頼醸成措置が事実上存在していない。我々と日本の間では平和条約が締結されておらず、正常な善隣関係もない。これはもちろん異常だ。軍事技術協力はノルマであるはずだ。我々日本はこれについて何度も話をしましたが、まだ成果はあまりありません。」
ロシアは2015年12月、エトロフ島とクナシリ島で軍事都市の建設とインフラの刷新に着手した。また4月、3か月にわたるロシア太平洋艦隊の軍事演習も始まる見込みだ。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160329/1861405.html
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クリル諸島に配備されるロシア艦隊の規模は日本との関係次第だ[スプートニク日本語]
2016年03月26日 10:12
クリル諸島(千島列島)に配備される可能性のあるロシア海軍艦隊の規模は日本やその他のアジア太平洋地域の国々との関係次第で変わるだろう。ロシア連邦院国防・安全保障委員会のヴィクトル・オゼロフ委員長がリアノーボスチに語った。
ロシア海軍はクリル諸島に艦隊の基地設立を検討している。25日、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相はこのように発言した。
たが、オゼロフ委員長は、ロシアがクリル諸島に軍艦基地の設立を検討していることを日本は威嚇と捉えないでほしいと言う。
オゼロフ委員長によると、クリル諸島への艦隊の配備は国境の安全保証を強化するためのものだという。オゼロフ委員長は中国の例を挙げ、ロシアは中国と海上で長い国境を接しながらも「軍事面を含め平和と信頼の関係を築くことができた」と語った。
http://jp.sputniknews.com/russia/20160326/1847580.html
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ロシア、クリル諸島に最新ミサイルと無人機を配備へ[スプートニク日本語]
2016年03月25日 17:38(アップデート 2016年03月25日 18:40)
沿岸用ミサイル複合体「バル」と「バスタチオン」および新世代の無人機は2016年、再軍備計画の過程でクリル諸島に配備される。25日、ショイグ露国防相が明らかにした。
「予定されていたクリル諸島の軍部隊の統合再軍備が行われている。今年、ここには沿岸用ミサイル複合体『バル』と『バスタチオン』および新世代の無人機『エレロン3』が配備される。」ショイグ国防相は省内の会議で明らかにした。
ここ数年、国防省はクリル諸島での軍事上の建設を活発に行っている。ショイグ国防相が明らかにしたように、ロシア軍は今年、クリル諸島および北極の諸島部における軍事インフラの形成を終了する。
シリアにおけるロシア航空宇宙軍の作戦は、ロシア製武器の性能を世界に示し、それに対する他の国々の関心を高める、効果的なデモンストレーションの場となった。
消息筋の資料によれば、ロシア製武器の購入を計画している国々の中には、アルジェリア、インドネシア、ベトナム、パキスタン、イラク、イラン、サウジアラビアが含まれ、潜在的な契約総額は、60から70億ドルに達し、この額は、ロシアがシリアでの作戦に要した費用をかなり上回るものとなる。
例えば、具体的に挙げれば2015年12月には、スホイ-32型機12機の注文がアルジェリアからあった。この契約に関する取引は、およそ8年もの間緩慢な速度で続けられていたが、シリアでの空爆の成功が、契約成立に新たな刺激を与えた。
シリアでの軍事作戦に、ロシアは330億ルーブルを出費した。プーチン大統領は「ロシア製武器は、シリアにおける実戦でのテストに立派に合格した。この経験は、ロシア軍の改善を可能にするだろう。」と述べている。
北朝鮮当局による相次ぐ弾道ミサイルの発射を受け、日本は、パトリオット対空ミサイル防衛システムを常時配備する。米国のシステムが防衛省の近くに2017年3月までに設置される計画。これらの措置の目的は、政府機関本部が集中している東京周辺の防衛強化だ。
これまでは、北朝鮮の弾道ミサイル発射の脅威があると、そのつど近くの場所から東京にパトリオットPAC-3が持ってこられ、のちもとに戻された。最近でも北朝鮮が日本海の方向に複数の短距離弾道ミサイルを発射しており、これが日本に戦略変更を強いたと見られる。しかし、ロシアの軍事専門家ウラジーミル・エフセーエフ氏によると、この措置は、北朝鮮のミサイルの脅威から東京を守るには全く不十分だ。非常に単純な理由がある。米国のパトリオットシステムは、単に、この種のことを目的に作られてはいないのである。
「防空システム・パトリオットは対空システムであり、ミサイル防衛システムではない。迎撃有効範囲はかなり低く、弾道弾を迎撃することはできない。有効高度は20キロを超えないのだ。パトリオットPAC-3では、仮にミサイル攻撃の命中する危険のある方向に配置される場合であっても、行政区などごく限られた領域しか保護することができないだろう。しかし、パトリオットPAC-3は日本領土のいずれの地点にも到達することができる北朝鮮の弾道ミサイル「ノドン」や「ムスダン」から東京全体を保護してはくれない」
ではなぜパトリオットが東京に配備されるのか?この質問に答え、エフセーエフ氏は次のように述べた。
「同種のシステムは、9月11日のテロの後にホワイトハウスの周りに配備された。しかし、私は、それが本当に強く必要なことであるのかどうかは疑問に思っている。ミサイル防衛のための最も効果的な装置は、やはり米国のTHAADおよびイージスである。これなら数千キロ離れたミサイルからも防衛ができる。しかしこれらのシステムも、迎撃能力は限定的だ。軽いダミーの飛行体がいた場合、大気上層ではそれとの見分けがつかず、大気の緻密な層で行うことになる。また、グループ発射、つまり、ミサイル連隊による攻撃の場合、すべての弾頭を迎撃することは非現実的だ」
ゆえに、北朝鮮のミサイルの脅威から東京を守る方法としては、軍事でなく、外交のほうが優れている、ということになる。北朝鮮が、自らの安全の保証を受けた場合には、北朝鮮は喜んで日本と「攻撃しない」という協定に署名するだろう。ただし、その保証は、東京だけでなく、ワシントンからも得る必要がある。
朝鮮民主主義人民共和国は自国の核問題を巡る6カ国協議の再開に関心を寄せている。ロシア外務省の情報筋がこのように発言した。
「北朝鮮は現在アメリカとの協議を望んでいるが実現できていない。北朝鮮の核・ミサイル実験は毎回、アメリカが北朝鮮との協議を拒否し、その上軍事境界線での軍事演習を強化させた後で行われている」と情報筋は言う。
先週、北朝鮮は日本海に向けて5発のミサイルを発射した。中距離弾ミサイルの発射を含めると、これで過去2週間で3度目の北朝鮮によるミサイル実験が行われたことになる。
民進党が結党しました。今夜はこの新党が自民党の対抗勢力となりうるか、そして、夏の参議院選挙への影響を考えます。
参議院選挙に向けたギリギリのタイミング。私は今回の動きを取材し、これが新党の結成を促したというのが正直な印象です。4年前、民主党の政権転落、第2次安倍政権の発足以来、国政選挙で与党の圧勝が続き、自民党の一強多弱、安倍安定政権が続いてきました。民進党代表に就任した岡田氏は野党がバラバラの状態で参議院選挙を迎えれば、与党の勝利を許すという危機感を抱き、それが新党の結成につながりました。
民進党には民主党、維新の党など衆参156人の国会議員が参加しました。400人を超える自民党とは国会議員の数を見る限り、差はありますが、野党第1党としてはそれなりの勢力を確保することになります。
新党は主要政策に格差是正を掲げ、安倍政権のもとで教育、子育て、雇用などの分野で格差が拡大していると批判。その是正に取り組むとしています。また、きょう施行される安全保障関連法の廃止を求めています。参議院選挙を意識、安倍政権との対決姿勢を前面に打ち出しました。
ただ、この新党が自民党に対抗できる政党になれるかどうか、疑問視する声もあります。1つは新党の人事。もう1つは国民の視線です。まず1つ目。新党の人事です。岡田代表と枝野幹事長。民主党の人事を引き継ぐ形となったことに加え、代表代行には維新から江田元代表が就任しました。政調会長には当選2回の女性、山尾志桜里氏が就きましたが、トップ3が同じような顔触れでは清新なイメージはない。何も変わらないという声が出ています。2つ目。国民の視線です。NHKの今月の世論調査です。
新党に期待するは25%、期待しないが70%にも上っています。しかも、無党派層でも期待しないが期待すると答えた人を大きく上回っています。
結党前、民主党では代表選挙の実施を求める意見があがりましたが、執行部がそれを受け入れなかった経緯もあります。岡田代表は党大会で「代表として、すべての責任を負う」と、参院選の結果によっては代表を退くことも辞さない覚悟で臨む考えを示しましたが、党内にも不満を抱えた船出となりました。
もっとも執行部は参議院選挙に向けた、もう1つの対策を用意しています。共産党・社民党・生活の党との連携強化。事実上の選挙協力です。参議院選挙の勝敗は全国32にある定員1人の1人区の行方で決まると言われています。
実際、過去3回の選挙見ると、平成19年の選挙。この時は29の1人区のうち、23を獲得した民主党などが圧勝。次の22年、前回・25年の選挙は自民党が1人区で勝ち、全体でも勝利しました。
この1人区で野党4党は候補者の1本化を進め、これまでに32の1人区のうち、少なくとも11で調整が整ったか、整いつつあります。ほかの選挙区でも協議が行われています。各選挙区で共産党は強固な固定票を持ちますので、選挙情勢に変化を産むと言う見方が与野党双方にあります。
また、比例代表。社民・生活両党には民進党との統一名簿を期待する声があります。民進党にも岡田執行部にさらなる野党結集に動くべきだと言う声があります。非自民票のより大きな受け皿とするためです。
こうした状況にあって、安倍総理は参議院選挙を、「民共対自公の戦い」と指摘。自民党の閣僚経験者も「民進党結党は問題ではない。野党4党の野合を有権者がどう受け止めるかだ」という見方を示しています。
こうした発言の背景には▼民進党内外の、共産党アレルギーを刺激したいという想いがあります。具体的には▼共産党との連携に民進党議員を刺激し、分断を図ること、▼選挙の争点を体制選択選挙と位置づけ、民進党から有権者の離反を誘うことです。
さらに安倍総理が参議院選挙とあわせ、衆議院選挙を実施する、衆参同日選挙に踏み切るのではないかという見方が出てきました。安倍総理は伊勢志摩サミットに向け、ノーベル経済学賞の受賞者など、世界的に著名な経済学者から意見を聞いています。この中には来年4月に予定されている、消費税率の10%への引き上げ見送りを求めている学者も含まれ、こうした学者からは想定通りの提言を受けています。
安倍総理が増税見送りを決断したうえで、衆議院を解散、同日選挙に踏み切るための環境整備に動きだしという見方が出るのも、うなずけます。自民党には参議院を中心に同日選挙を歓迎する声があります。有利な戦いができるという期待感からです。同日選挙となれば▼野党各党はそれぞれの公認候補を当選させるための活動に専念しなければならず、選挙協力どころではなくなる。▼衆参一体で組織をあげて選挙が戦える。さらに▼サミット直後、しかも消費税率引き上げ見送りを掲げることによって、外交と経済に焦点があたり、安保法制や憲法改正問題への関心が相対的に下がると言う見方からです。
過去2度行われた同日選挙はいずれも自民党が圧勝しています。ただ、いずれも与野党の勢力が伯仲していたなかで衆議院解散。選挙制度も中選挙区制度でした。しかし、現状は衆議院で与党が3分の2を確保しています。与党にも小選挙区比例代表並立制という、現在の選挙制度のもとで行うのはリスクが大きいとの、指摘もあります。小選挙区制は選挙結果にブレが大きく、与野党逆転もありうるからです。安倍総理が実際に同日選挙に踏み切るかどうかの見方は分かれ、野党をけん制しているだけという声もあります。
実際、同日選挙が囁かれて以降、衆議院選挙に向けた連携をめぐり、民進党とほかの野党3党の間でズレも出ています。衆院選でも候補者調整を求める共産党や社民党などに対し、民進党には慎重な意見があります。衆院選は次の総理大臣を決める選挙。ここで共産党と協力すれば政権をともにすることを意味するという理屈からです。しかし、民進党は来月の衆議院北海道5区の補欠選挙ではすでに共産党と連携しています。国政選挙ごとに対応が分かれる、民進党の姿勢こそ整合性がない、これこそ国民に分かりにくいという不満もあります。
これまで見て来ました通り、民進党の結成、野党4党の連携強化は政府・与党側にも、対応を急がせています。一方で、民進党が自民党と対抗しうる政治勢力になれるかどうかは今の段階では未知数です。かつてリクルート事件で自民党が窮地に陥った時、党長老・伊東元外務大臣の「表紙を変えても、中身が変わらなければダメだ」という有名な言葉があります。
今回の新党にも表紙を変えただけ、中身は変わらないという冷ややかな声があることも事実です。これを払しょくできるかどうか。民進党の党名には「国民とともに進む」という意味が込められているといいます。それならばなお、これまでとどこがどのように違い、何がどう変わるのか、それを国民にわかりやく示し、何よりも国民に受け入れられるかどうか。新党の命運はそれにかかっているように思います。
(安達 宜正 解説委員)
フランスのオランド政権は、去年パリで起きた同時テロ事件を受けて、非常事態宣言を憲法に明文化するなど、憲法の改正案を議会に諮っていましたが、議会で合意に至らず、憲法改正を断念しました。
130人が犠牲となった去年11月のパリ同時テロ事件を受けて、フランス政府は全土に非常事態宣言を出し、ことし5月末まで延長してテロ対策を強化しています。さらにフランス政府は、非常事態宣言を憲法に明文化することや、テロに関連して被告が有罪判決を受けた場合、フランス国籍を剥奪することを盛り込んだ憲法の改正案を議会に諮りましたが、特に国籍剥奪を巡って議論が難航していました。
これについてオランド大統領は30日、声明を発表し、「議会で合意に至らなかった。妥協点を見いだすのは不可能で、憲法改正の議論を終えることを決めた」と述べ、憲法改正を断念する考えを明らかにしました。
フランスの議会下院は、社会党を中心とした与党が過半数の議席を占めていますが、上院は共和党など野党が多数を占めていて、オランド大統領は声明の中で、「野党の一部が、いずれの改正案にも反対した」と述べ、野党側の対応を批判しました。
ただ、国籍剥奪の規定を巡っては、与党内にも異論があり、テロ対策を進めるため議会に結束を呼びかけてきたオランド政権にとっては痛手となりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160330/k10010462441000.html?utm_int=news_contents_news-main_007
「水素水」という商品を、最近見聞きすることが多くなっています。ネットを調べると、「水素でイキイキ」「飲んでアンチエイジング」といった商品の広告が目につきますが、一方でソーシャルメディアなどでは、水素水の効能に懐疑的なコメントも見受けられます。水素水とはどのようなものなのか、専門家やメーカーに取材しました。
関心高まるきっかけは
そもそも水素水への関心が高まったきっかけは、平成19年、日本医科大学の太田成男教授の研究チームが発表した研究結果だと言われています。研究チームは、体内で老化や病気の進行に関わるとされる「活性酸素」を、水素ガスが除去することを確認したと発表し、ニュースでも報じられました。太田教授によると、その発表の時期と前後して、水素ガスを水に溶かして水素水として販売したり、自分で水に水素を注入できるとして器具などを販売したりする動きが出てきたということです。
大手メーカーも参入するようになり、清涼飲料水メーカーの伊藤園では、水素水の商品全体の直近の売り上げは、前年同期と比べて約4割増えているということです。
水素水の“効果”は?
太田教授は「水素水について、この9年間でパーキンソン病やリューマチなどに効果があるという臨床結果の論文が発表されている」と、今後の研究とその成果への期待を語っています。一方、メーカーの伊藤園では、「現時点では研究の途中なので、メーカーとして健康への効果についてはコメントできない」と述べています。
太田教授とともに水素の研究にあたった、東京都健康長寿医療センター研究所の大澤郁朗研究副部長は「水素が特定の病気に効果があるかどうか、まだ医学的には証明できていないのが現状ではないか」としながら、ちまたには、消費者が注意したほうがよい商品もあることを指摘しています。
水素がほとんど含まれない商品も
太田教授と大澤研究副部長がそれぞれ研究のために、水素水として販売されている商品の成分を調べたところ、中には水素がほとんど含まれていない商品もあったということです。
また国民生活センターによりますと、「自宅の水道水を『水素水』に変えられる」などとうたった器具について、「数十万円もしたのに表示どおりの性能が出ない」といった苦情や相談が寄せられたケースもあったということです。
大澤研究副部長は「通常の清涼飲料水と同じようなペットボトルでは水素が抜けてしまうので意味がありません。また、商品の説明で、『○○病』に効くなど、具体的な病気に対する効果をうたったものは医薬品医療機器法に違反する可能性があります」と指摘しています。
「ほかの健康食品と同様に・・・」
長年、健康食品に関する消費者問題に携わっているNACS(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会)消費生活研究所の戸部依子所長は「水素水のブームは、『科学的な理屈は難しいけれど、体によさそうな印象がある』という点で、過去の『アルカリイオン水ブーム』にも似ている」と話しています。そのうえで、「医薬品ではないので、飲んですぐに実感できるような効果は考えにくいと思います。多くの健康食品と同様、水素水だけですべての健康の問題が解決するような期待は禁物ではないでしょうか」と話しています。
ベルギーで起きた連続テロ事件を巡って、隣国のオランダは事件の6日前にアメリカのFBI=連邦捜査局から実行犯とみられる2人の容疑者に関する情報が寄せられていたことを明らかにしました。
ベルギーのブリュッセルで22日に空港と地下鉄の駅で起きた連続テロ事件を巡り、オランダ政府は29日、実行犯とみられるベルギー人の兄弟2人の容疑者に関する情報を、事件の6日前にアメリカのFBIから受け取っていたことを明らかにしました。寄せられた情報は、兄のイブラヒム・バクラウィ容疑者に犯罪歴があり、弟のハリド・バクラウィ容疑者にも以前テロに関与した疑いがあるとして、警戒するよう呼びかける内容だったということです。
オランダの警察は、この情報が寄せられた翌日、ベルギーの警察に伝えたとしています。ただ、これについてベルギー側は「そのような情報は受け取っていない」と否定しています。
兄のイブラヒム容疑者を巡っては、去年6月、シリアへ渡ろうとしたところをトルコ当局に拘束されオランダに送還されたものの、所在がつかめなくなった経緯があり、事件後、ベルギーとオランダの間でのテロに関する情報交換の在り方に批判が集まっています。
一方、ベルギーの政府と検察は、今回の連続テロ事件で死亡した人の全員の身元が確認されたとしたうえで、死者の数について一部、誤って二重に数えていたとして、これまで発表していた35人から32人に修正しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160330/k10010461481000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_011
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/447.html
ブラジルのルセフ大統領の支持率が低迷するなか、ブラジル議会で最も多い議席を占める政党が連立政権からの離脱を表明し、このままではルセフ大統領の弾劾手続きが進んで罷免される可能性が高まるという見方が出ています。
ブラジルでは国営の石油公社を巡る汚職事件で政財界の有力者100人以上が逮捕され、ルセフ大統領の支持率は11%にまで落ち込んでいます。
こうしたなか、ルセフ大統領が所属する政党と連立政権を組む「ブラジル民主運動党」がルセフ大統領に反発し、29日、政権からの離脱を表明しました。ブラジル民主運動党は政党の中で議席数が最も多く、今回の離脱で、与党の議席数は上下両院いずれも過半数を割り込むことになります。
ブラジル議会下院では現在、ルセフ大統領が政府会計の不正操作に関わったなどとして弾劾手続きの審議が行われていますが、現地のメディアは、このままでは弾劾に賛成する議員が増え、大統領が罷免される可能性が高まるという見方を伝えています。
一方、ブラジル民主運動党から入閣している6人を含む議員たちに対し、ルセフ大統領と与党は協力を求めるなど働きかけを強めていて、弾劾手続きの今後を巡っては、う余曲折が予想されます。
上下両院で与党が過半数割れに
ブラジル議会下院の513議席のうち、ルセフ大統領が所属する「労働者党」を含む連立与党は323議席で過半数を占めてきました。このうち連立与党からの離脱を表明したブラジル民主運動党は、政党の中で最も多い69議席を有しています。今回の離脱で、与党が254議席、野党などが259議席となり、与党の議席数が過半数を割り込むことになります。
一方、ブラジル議会上院の81議席のうち、ルセフ大統領が所属する労働者党を含む連立与党は52議席でこちらも過半数を占めてきました。このうちブラジル民主運動党は、政党の中で最も多い18議席を有しています。今回の離脱で、与党が34議席、野党などが47議席となり、上院でも与党の議席数が過半数を割り込むことになります。
弾劾の理由と手続き
ルセフ大統領を巡っては、2014年度の政府会計の不正操作に関わったり、国営の石油公社を巡る一連の汚職事件を見過ごしたりしたなどとして、去年12月、野党関係者などがブラジル議会下院に弾劾請求を行い、下院議長が受理して、弾劾手続きが始まりました。今月、議会下院に、各政党の代表合わせて65人による特別委員会が設置され、弾劾裁判を実施すべきか審議を行っています。
特別委員会は今後、ルセフ大統領に反論書の提出を求めるなどして審議を尽くし、その結果、弾劾裁判を実施すべきだと判断した場合は、「弾劾裁判の法廷を議会上院に設置すべき」とする意見書をまとめます。下院本会議で全議席数の3分の2以上、具体的には342票以上の賛成で可決されれば、意見書は議会上院に送られます。ブラジルのメディア各社は来月中にも下院本会議で採決が行われるのではないかと予想しています。
それを受けて、議会上院では特別委員会が設置され、弾劾裁判を実施すべきか審議を行います。そこでも弾劾裁判を実施すべきだと判断された場合は、「弾劾裁判の法廷を議会上院に設置すべき」とする意見書をまとめます。
意見書が上院本会議で過半数の賛成で可決されれば、連邦最高裁判所の長官を裁判長とする「弾劾法廷」が上院に設置されます。この時点でルセフ大統領は法廷が開かれる期間、最大180日間停職となり、その間、テメル副大統領が大統領の職務を代行します。
弾劾法廷では罷免の判決に上院の全議席数の3分の2以上、具体的には54票以上の賛成が得られた場合、ルセフ大統領は失職し、テメル副大統領が、大統領に昇格することになります。
ブラジルで、弾劾裁判が行われたのは、1992年、不正蓄財の疑いで弾劾手続きが行われたコロル大統領の1度だけで、コロル大統領は、裁判が結審する前に辞任したことから、弾劾裁判の判決によって罷免された大統領は1人もいません。
アジア開発銀行は、一部の先進国を除くアジア太平洋地域のことしの経済成長率について、中国経済の減速などの影響で、去年より0.2ポイント低い5.7%にとどまるという予測を発表しました。
アジア開発銀行は30日、日本やオーストラリアなど一部の先進国を除くアジア太平洋の45の国と地域について、ことしの経済見通しを発表しました。
この中で中国については、輸出や投資の落ち込みが続くなど景気の減速が鮮明になっているとして、ことしの経済成長率は、去年より0.4ポイント低い6.5%と予測しています。一方、インドや東南アジアの国々については、インフラ投資の増加や堅調な個人消費によって安定した経済成長が維持されるとしています。そのうえで、地域全体では中国経済の減速に加え、アメリカや日本など先進国の景気回復が力強さを欠いていることも影響し、経済成長率は去年より0.2ポイント低い5.7%にとどまると予測しています。
アジア開発銀行は、今後、アメリカの利上げなどによって各国の通貨の下落が進んだり、中国経済が一段と減速したりすれば、域内の経済成長はさらに鈍るおそれがあると指摘しています。
主任エコノミスト「中国経済さらに減速」
フィリピンの首都マニラに本部があるアジア開発銀行のパク・トンヒョン(朴東※)主任エコノミストは30日の記者会見で、中国経済について、「去年の経済成長率は、25年ぶりの低い水準だったが、ことし、来年とさらに減速するだろう」と述べ、来年の経済成長率は6.3%にとどまり、中国政府が2020年までの目標としている「年平均6.5%以上」を下回るという見方を示しました。
そのうえで、「中国経済がさらに減速するようであれば、アジア経済だけでなく、世界経済にとっても大きなリスクになる」として、中国政府が進める構造改革の行方を注視していく考えを示しました。
※「火」へんに「玄」
【ロンドン時事】2020年の東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の白紙撤回された当初案を手掛けた英国の女性建築家ザハ・ハディド氏が31日、気管支炎の治療を受けていた米フロリダ州マイアミの病院で心臓発作のため死去した。
65歳だった。ハディド氏の建築事務所が発表した。
イラクのバグダッド生まれ。ロンドンの英国建築協会付属建築学校で学び、1983年に香港の高級レジャークラブの建築コンペで1位となり頭角を現した。脱構築主義建築を代表する建築家の一人とされ、デザインがあまりにも斬新で、設計が実際に建築されないことも多かったため「アンビルト(建てられない建築)の女王」とも評された。代表作に12年のロンドン五輪水泳会場やウィーン経済大学ラーニングセンター(13年)などがある。
04年、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を女性では初めて受賞した。16年の王立英国建築協会「ロイヤルゴールドメダル」を受賞した。
新国立競技場の整備では国際公募で12年にハディド氏のデザイン案が採用された。しかし、総工費が予定の1300億円から2500億円以上と大幅に膨らんだことなどから、15年7月に安倍晋三首相が白紙撤回を発表した。その後の公募で、大成建設や建築家の隈研吾氏らによる案が採用されると、ハディド氏の建築事務所は同案が当初案と顕著な類似があると批判していた。
最終更新:4月1日(金)3時29分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160401-00000003-jij-eurp
「ロシアの軍事作戦はシリアの平和への道を開いた:シリア内戦介入諸国が協議し決断すれば終わることなのにおぞましい世界」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/355.html
「米、シリア反体制派支援を縮小 ロシア攻撃で大打撃:ロシアのシリア軍事介入のこれまでと今後:巡航ミサイル4発イラン領に着弾」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/158.html
「ロシア空爆、「イスラム国」不在地域か 米国防長官批判:空域競合で危険になるため、米露は否応なくシリア問題で実質的交渉へ」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/112.html
「〈FT特約〉プーチン氏の空虚な「勝利」 シリア内戦は終わらず」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/361.html
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『ニューズウィーク日本版』
2016−3・29
P.13
ロシア軍撤退を決断したプーチンの胸の内
シリア和平協議の主導権を確保できたので「お荷物」化したアサドを切り捨てた?
ロシアのプーチン大統領は先週、シリアに駐留するロシア軍の大半を撤退させると発表した。翌日にはロシア軍機が実際に撤収を開始したので、どうやら本気らしい。ロシア政府は公式声明で、「ロシア軍部隊は主要目的を達成した」と宣言した。
この撤退は、イラク戦争当時のブッシュ米大統領と同じような早まった決断なのか。とにかくシリア内戦の泥沼から逃げ出したかっただけなのか。それとも、本当に半年間の軍事介入で「主要目的を達成した」のか。
おそらく、3つの要素を部分的にすべて含んだ判断だろう。
ロシアの「主要目的」は、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の壊滅ではない。真の狙いはシリアにおける自国の権益を守ることだ。そのために、古い盟友のアサド大統領を当初は支援した。
だが、やがてコストと効果のアンバランスが目立ち始める。コスト面では、標的をピンポイントで狙う「スマート爆弾」を最初の数日で使い果たし、通常爆弾の備蓄も急速に減ってきていた。つまりプーチンには、軍事介入をこれ以上続ける物理的余裕がなかったわけだ。
効果の面では、アサドの存在がむしろ重荷になりつつあった。ロシア外交筋は2、3カ月前から、アサドの退陣に道を開く内戦の政治的解決に必ずしも反対しないと示唆し始めている。ロシアとしては新体制移行の時期と人選に関与し、シリアの安定と自国の権益維持を確実なものにしたいという意思表示だ。
アサドに電話で直接通告
これに対し、アサド退陣が和平の前提条件だと主張していたアメリカも、徐々にロシア側に歩み寄った。理由は2つ。アサドの即時退陣は権力の空自を生み、現政権よりも危険な勢力の台頭と内戦激化を招く危険性が高いこと。そして、維持可能な停戦合意にはロシアの関与が欠かせないという認識の高まりだ。
こうした米ロ間の歩み寄りによって、プーチンはアサドを切り捨てても問題ないと判断した可能性がある。公式声明によれば、ロシア軍撤退の知らせはプーチンが直接電話でアサドに伝えたという。
この電話が、シリア内戦の停戦を目指すジュネーブでの協議再開の直前だったことにも重要な意味があるかもしれない。プーチンは古い盟友に、もうロシアの軍事力を当てにするなと通告したのだ。
プーチンが軍事介入で最も手に入れたかったのは、シリア問題をめぐる交渉のテーブルで(オバマ米大統領と並んで)重要な位置を占めることだった。今やその日標は達成された。
数十万の死者と、それ以上の避難民、欧州全土を政治的大混乱に陥らせた難民危機―停戦協議に関わる国々は、シリア内戦にうんざりしている。プーチンも自分なりの理由から、この意見に同調したようだ。アサドが君臨する限り戦い続けると大多数の反体制派が主張している以上、恒久的な停戦にはアサド退陣が不可欠だという共通認識も受け入れたように見える。
近い将来、シリアに平和が訪れると断言するのは時期尚早だ。最終的な和平協議に参加する反体制派の顔触れについては、ロシアやイラン、その他の国々の問で対立が続いている。トルコとクルド人勢力の関係は、先週のアンカラの爆破テロ事件でさらに緊張が高まった。
それでもアサドの最も有力な守護者が戦闘から手を引いた今、内戦の元凶が権力を手放す日もそう遠くないかもしれない。
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)
今もって、ロシアとトルコが合作で露軍Su24を撃墜した目的が見えてこないのだが...
※関連参照投稿
「ロシア軍Su24M撃墜をめぐる虚実と目的〜その1〜:“露土衝突”ではなく「露土共謀軍用機撃墜」の経緯と行方」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/483.html
「ロシア軍Su24M撃墜をめぐる虚実と目的〜その2〜:両国公表内容や流布されている関連映像に見える「露土共謀撃墜劇」」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/484.html
「ロシアとトルコの共謀」で撃墜したSu24の搭乗員は全員無事!?:搭乗員は一人だけだった可能性が濃厚
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/500.html
「超絶プーチン!Su24機長“遺体帰国”を素材に制作の悲喜劇「テロと戦争の時代」:ハリウッド真っ青の壮麗かつ“漫画”的演出」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/503.html
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トルコ、ロシア機Su−24パイロット殺人事件容疑者が拘束[スプートニク日本語]
2016年04月01日 01:18
シリアで撃墜されたロシア機Su−24のパイロットオレグ・ペシコフ氏殺人事件で犯行声明を出していたアルプアルスラン・チェリクがトルコで拘束された。ハーバータークが31日に報じた。
チェリクは友人とともに訪れたイズミルで拘束された。14人の中にカラシニコフ一丁と大量の弾薬が発見された。
ヒュッリイェト紙によれば、チェリクはイズミルでシリアからの帰還を祝っていた。逮捕がロシア人パイロット殺人と関連しているかどうかは不明。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160401/1879893.html#ixzz44VxKWQ3j
トルコのディヤルバクルブラスト市のバス停付近で31日、爆発が発生した。トルコのバーバータークが報じた。
最新報告によると、6人が死亡、23人が負傷した。治安部隊の装甲車両が進行中の道路での爆発。
ディヤルバクルはトルコの南東に位置し、主にクルド人が居住している。
日本政府は、イラク当局に対し、予算赤字を埋め合わせる目的で、2億2千万ドルの融資を行う。31日、イラク財務省が声明を発表し、明らかにした。
声明の中では、次のように述べられている―
「イラク財務省は、2500億円の構造調整融資(政策変更を条件とした国際収支支援)に関する合意書に調印した。これは、2016年度予算支援に向けた直接融資である。」
http://jp.sputniknews.com/politics/20160331/1878478.html
31日シリアのアサド大統領は、スプートニク通信のインタビューに応じ「もし国民がそれを望むのであれば、任期満了前の大統領選挙実施の用意がある」と述べた。
アサド大統領は、次のように指摘している―
「それは、シリア国民の立場次第だ。もし任期満了前の大統領選挙実施について、国民の意志が、そうしたいというのであれば、私にとって、問題はない。
大統領選挙実施の要求は、現在の政治プロセスの一部として、提起されたものではない。」
昨年11月にウィーンで開かれた協議の中で、和平プランが作成されたが、このプランは、選挙実施の前に、新憲法の制定を規定している。現在の憲法によれば、次の大統領選挙は、2021年6月に行われることになる。
天文学者らはそのやり方を比較的単純な方法で説明した。シュミレーションでは異星人は数十から数百メガバイトのレーザーを使用することで地球で広く普及している高性能な望遠鏡から自分の惑星やそこでの生活の痕跡を簡単に隠すことに成功している。マンスリー・ノーティス・オブ・ロイヤル・アストロノミカル・ソサイエティ誌にこうした内容の論文が掲載された。
これまで宇宙望遠鏡ケプラーやHARPS(高精度視線速度系外惑星惑星探査装置)といった装置などが数多くの太陽系外惑星を観測しているが、知性の有無を問わず生命との遭遇には至っていない。
惑星学の開祖である米ニューヨーク州コロンビア大学のデイビッド・キッピングとアレックス・ティーチの両氏は異星人が地球に向けて特別なレーザーシステムを照射させることでケプラー宇宙望遠鏡などから自分たちの惑星を隠すことは簡単だろうと考える。両氏によると圧縮レーザー光線でケプラーなどのトランジット系宇宙望遠鏡などを無効化させることは事実上可能なのだという。
さらに、より低出力のレーザーでも微生物や有機体の存在、その他生命の徴候に関するデータを惑星のスペクトルから「取り除く」ことができるという。これだけでは惑星を守ることはできないだろうが、地球人やまた別の侵略的な異星人たちの関心を削ぐには効果が高いだろう。
米国の大手通信社AP通信は声明を表し、ナチス・ドイツ当局と協力し、反ソ連と反ユダヤ主義プロパガンダを行うのを助けたという指摘を否定した。
これは、学術雑誌「スタディーズ・イン・コンテンポラリー・ヒストリー(Studies in Contemporary History)」に掲載された論文に対するもの。論文では、AP通信は米国が第二次世界大戦に参戦するまでドイツで活動していた唯一の西側の通信社だったと述べられている。
先にドイツの歴史家ハリエット・シャルンベルク氏は、出来事をナチス・ドイツにとって有利に報じるために、第三帝国でAP通信が掲載する写真や掲載してはいけない写真が選ばれていたと指摘した。
米国の天体物理学者ダニエル・ウィットマイアー氏とジョン・マッツ氏は、2700万年ごとに起こる恐れのある地球の大量絶滅の原因は、惑星Xだとの考えを表した。
天体物理学者たちの研究は、「英国王立天文学会月報誌」に掲載された。
学者たちの理論は、太陽の周りを回る惑星Xの公転軌道がゆっくりと傾き、2700万年ごとにカイパーベルトを横切ることに基づいている。
これは、惑星Xがカイパーベルトの彗星を太陽系の奥へ「押し出している」というになる。彗星は(地球を含む)惑星に衝撃を与える。彗星は太陽に近づくにつれて分裂し、それが(地球を含む)天体に太陽光が届くのを妨げる。
学者たちによると、彼らが考えるシナリオは、生物の大量絶滅を宇宙に基づいて説明する最も受け入れ可能なシナリオだという。学者たちは他のシナリオについて、現時点では古生物学的確認を得ることができないと指摘している。
ウィットマイアー氏とマッツ氏が自分たちの仮説を発表したのは1985年。当初の仮説では、惑星Xの質量は地球の1−5倍で、太陽までの距離は地球と太陽の距離の100倍とされていた。
ロシアと米国の軍当局は、テロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」からシリアのラッカを解放するための共同行動を計画している。ロシアのスィロモロトフ外務次官が明らかにした。
外務次官は、次のように指摘した−
「米国は、互いを攻撃しないためには情報を交換するだけでなく、テロリズムとの戦いで実際に行動を連携させる必要があることを見抜き始めた。」
またロシア上院(連邦会議)のマトヴィエンコ議長は、シリアからロシア航空宇宙軍を撤退させるという決定が実行されていないとの西側のマスコミ報道を否定した。
マトヴィエンコ議長によると、現在ロシア国防省が行っているようにこれほど公然かつ透明性のある行動を取った外国の軍事関係官庁はひとつもない。
議長は、ロシアの軍人たちは休戦に関する決定の順守を監視し続けており、停戦へ駆り立てるために反政府勢力を含む様々なグループの指導者たちと作業していると指摘した。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160331/1875081.html#ixzz44W9DCLY9
米国は、北朝鮮にミサイルや核兵器の製造プログラムの停止を強制するために、国際連合を立ち上げようとしている。30日に米ワシントンの核安全保障サミットの場で始まった国際協議の目的はこれだ。同計画を考案した米国人たちによると、成功した暁には連合に中国が引き入れられるという。しかし成功は約束されていない。
モスクワ国立国際関係大学国際研究所主任研究員アンドレイ・イワノフ氏の私見−
中国なしに北朝鮮に圧力をかけるのは無意味であるのは明らかだ。今まさに中国が、北朝鮮の経済が生き残り、現在の政治体制が維持されるための重要かつほぼ唯一の「保障人」となっている。ロシアも自国の役割を果たしているが、はるかに控えめだ。
先に中国は、北朝鮮崩壊によって中国へ難民が流入するだけでなく、中国の国境近くに同国の敵である米国との協力を目指す統一された朝鮮の国家が生まれると考え、北朝鮮の同盟国を擁護していた。中国は支援の見返りとして、もし中国の意向に完全には服従しないとしても、中国の指導者たちの賢明な助言に時々耳を傾ける用意を示すことを北朝鮮に期待していた。米国に北朝鮮は人類の脅威の源だど言わせる口実を与えないために、中国が北朝鮮にミサイル実験および核実験を自制するよう執拗にアドバイスしたのは明らかだと思われる。
しかし北朝鮮はこのアドバイスを聞かず、中国は最近開かれた国連安全保障理事会で、ミサイルと核実験を行った北朝鮮に対する制裁の発動をロシアと一緒に支持した。西側の政治家や専門家、メディアは、中国は堪忍袋の緒が切れ、事実上中国が北朝鮮指導部に影響を与えることができないことが示されたことに怒った、とういようなことを話し始めた。ここから中国が今、北朝鮮に仕返しをし、彼らを処罰するために、米国が提案する北朝鮮に対する最も厳しい措置を支持するだろうとの結論を導くことができる。まさに今これに期待して、オバマ米大統領は、北朝鮮の金正恩第1書記の悪行に関するワシントンでの協議に、日本の安倍首相や韓国のパク大統領の他に、中国の習国家主席も引き入れることを望んでいる。
安倍首相とパク大統領の立場は予測できる。両氏は、北朝鮮への圧力強化に関する米国の提案を支持するだろう。しかし習国家主席がどのような路線を取るかを述べるのは難しい。
もちろん中国は、米国、日本、韓国で大胆な挑発と受け止められている北朝鮮の行動に強い憤りを感じている。しかし中国は恐らく、所謂「北朝鮮の核危機」と呼ばれるものの全てが、2000年代初めに米国によって扇動されたことも理解している。
米国の目的は、北朝鮮に軽水炉型原発を建設するというKEDOプログラムの枠内における西側による義務の履行を中止させたり、北朝鮮経済を破壊したり、北朝鮮と韓国が親しくなったり北朝鮮が国際的な孤立から脱出するプロセスを停止させたり、朝鮮半島の緊張を維持したり、また結果として、もちろん対中国を目的とした地域における米国の軍事プレゼンスを維持し拡大するための口実を残すことだった。
2008年、韓国では北朝鮮に対して伝統的に疑いを持って接している保守派が政権に就き、米国は先に挙げた目的を遂行するのがずいぶん楽になった。それらが韓国の国益に反しているにもかかわらずだ。またこれらは中国の利益にもならない。だが中国は韓国と違って、自国の国益に反して米国側でプレーすることは恐らくないだろう。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160331/1875221.html
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北朝鮮外務省 米国の行動に「核戦力」で応じる可能性がある[スプートニク日本語]]
2016年04月01日 03:48
北朝鮮外務省は、米国の行動に「核戦力」で応じる可能性があると発表した。リア・ノーヴォスチ通信が31日、報じた。
北朝鮮外務省のコメントでは、次のように述べられている−
「もし米国が我々の最高主権をほんのわずかでも脅かそうとするならば、我々は直ちに核戦力を含む全ての手段によって容赦のない報復を行う。」
韓国では米国の兵士1万7000人が参加する過去最大規模の軍事演習が行われている。演習では、北朝鮮との戦争が起こった場合に北朝鮮指導部を殲滅する作戦の訓練が行われた。これを受け、北朝鮮も軍事演習を開始し、米国と韓国を攻撃すると脅した。
中国は2016年、石油輸入量で米国を上回り、世界一となる可能性がある。中国の大手石油商社、ユニペックの、ジュン・フリャン副社長が予測を示した。
「今年の最初の2ヶ月間、中国の石油の輸入は1日800万バレル以上だ。我々の推計では、年平均では一日あたり750万バレルとなる。 2016年中に中国が米国を追い越し、輸入量で世界的トップとなる可能性もある」。北京で開催中の中国ロシア石油・ガス会議での発言。
民進党の岡田克也代表は30日、日本経済新聞とのインタビューで、所得再分配を通じた格差是正を経済成長の原動力とする政策を強調した。7月の参院選の争点とし、安倍政権の経済政策「アベノミクス」に対抗する考えだ。来年4月の消費税率10%への引き上げには行政改革の徹底や社会保障の充実が前提と指摘。政権の努力を求める一方、増税先送りの是非については言及を避けた。
――成長重視のアベノミクスに対し、格差是正を争点にしようとしている。
「我々も経済成長は重要だと考えている。アベノミクスの3本目の矢である構造改革はやらなければいけない。安倍政権では十分ではない」
「それ以上に政治がやるべきなのが所得の再分配や格差是正。格差是正が成長にもつながる。全体の経済の中で再分配をしっかりすることが大事だ。再分配で我々が重視するのが『人への投資』だ」
――安倍晋三首相は同一労働同一賃金や高齢者給付金など分配に目配りもみせている。
「最近、首相から同一労働同一賃金や多様性などの言葉が漏れて、首相にもっともふさわしくない言葉だとびっくりした。民進党の基本的な考え方にかぶせてきている。ただ、問題は中身だ。経済成長のために働き手がいるから介護離職ゼロや女性と言っているが、それは違う。経済成長は目的ではなく、人々が幸せになるための手段だ」
――消費増税の延期が取り沙汰されている。
「現時点で延期すべきだとか、すべきでないとか言うつもりはない。(ただ増税の)前提が満たされていない。行政改革や社会保障の充実がそうだ。少なくとも前提を満たす努力をすべきだ」
「次はリーマン・ショックと同様のことがない限り必ずやるといって選挙をした。公約の一部だ。さらに延ばすなら説明してもらいたい。延ばすことで国民の人気を得て解散に持ち込もうと考えているなら一国の首相としてあってはならない」
――安全保障関連法の廃止に米国の理解は得られるか。
「米国も憲法違反の法律を強制することは考えていないと思う。冷静に日本の置かれた立場を説明し、互いが着地点を見いだす努力をすべきだ」
――衆参同日選が取り沙汰されている。
「衆参同日選なら当然政権を争う選挙にする。候補者擁立は過半数を目標にしたい。あと50人擁立しなければいけない」
■増税の可否、歯切れ悪く
民進党の岡田克也代表は7月の参院選をにらんで格差是正を最大の対立軸に据え、自民党への対決姿勢を示した。同党は低所得者対策として消費税率10%引き上げ時に減税と現金支給を組み合わせた「給付付き税額控除」を提案。金融所得への課税を強化する法案も国会に提出するなど対案を示している。
ただ、来年4月の消費増税では歯切れが悪かった。旧民主党政権が決めた経緯があるうえ「安倍政権に先送りの口実を与えかねない」(幹部)として反対を打ち出しにくい。かといって賛成の立場を示せば「増税の可否を争点に政権が衆院を解散する可能性がある」(同)との懸念がある。
安全保障政策もなお曖昧な点を残す。国連平和維持活動(PKO)などの対案3本はまとめた。政府が集団的自衛権を行使する事例として挙げる朝鮮半島有事の際の米艦防護への対応策は、党内の議論が進んでいない。参院選前に具体案を示すことが求められる。(永沢毅)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS30H3N_Q6A330C1PP8000/?dg=1
民進党の岡田克也代表は30日の日本経済新聞のインタビューで、夏の参院選について「与党3分の2の阻止は最低限だ」と語り、改憲勢力が憲法改正に必要な3分の2以上の議席を獲得するのを阻止する考えを強調した。衆参同日選が行われる場合は「政権を争う選挙にする」と表明した。主なやり取りは以下の通り。
――参院選に向け、政策面では格差是正を争点にしようとしています。経済成長を重んじるアベノミクスに対し、何を最重要視しますか。
我々は経済成長は重要だと考えている。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の3本目の矢である、生産性を高めて成長するための構造改革や企業の設備投資を促すものはやらないといけない。むしろ安倍政権のもとでそれが十分になされていないのが最大の問題だ。1、2本目の矢は我々とかなり考え方が違うが、3本目の矢は労働規制など個々の中身は違うものの大きな方向性は一緒。そのうえで政治がやるべき話としては、再分配、格差の是正だ。格差を是正することがまた成長にもつながる。
――参院選公約に明示すると。
もちろんだ。
――民進党としての成長戦略を参院選に向けて打ち出しますか。
いま言ったのが我々の成長戦略だ。第3の矢が不十分だということと、もう一つは経済全体の果実。果実というと増分だけみたいなイメージがあるが、全体の経済のなかで再分配をしっかりすることが大事だ。再分配というときに、我々が重視するのが人への投資だ。
――政府は最近、同一労働同一賃金や所得の低い高齢者への1人3万円の臨時給付金など、やや分配にも目配りする方向にアベノミクスを修正しています。
同一労働同一賃金とか、最近安倍さんの口から多様性という言葉が漏れて、私は最も首相にふさわしくない言葉だと思ってびっくりしたが、言葉でかぶせてきている。「一億総活躍社会」も「すべての人に居場所と出番を、そして誰も排除しない」という民進党の基本的な考え方にかぶせてきている。ただ、問題は中身だ。例えば国内総生産(GDP)600兆円の目標。そのために介護離職ゼロ、仕事と家庭の両立と言っている。私には600兆円というのは手段でしかないとしか思えない。
――600兆円は手段でしかない、と。
600兆円を実現していくためには働き手がいるから介護離職はダメだよとか、女性の労働力が必要だから両立できるようにしないといけないと。でもそれは違う。基本的に間違っている。たとえば、やはり介護を受けないといけない人、介護する人のための幸せのために政策があるのであって、600兆円のためにあるわけではない。仕事と子育ての両立がその人にとって幸せなことだからやらないといけないのであって「人手が、労働力が減るから」「600兆円がうまくいかないから」ということではないはずだ。
――手段と目標をはき違えていると。
全く違っている。経済成長そのものも手段だ。目的ではない。人々が幸せになるための手段だ。
――首相は29日、予算執行の前倒しを表明。追加経済政策の検討も本格化する構えです。
根本のところをどうするか手当しないといけない。追加的な財政支出をして、それが伝統的な公共事業になってしまったら、古い自民党がやっていたそのものだ。金融政策は一度に方向転換はできないが、マイナス金利の対象をさらに広げていくと、金融機関の収益も圧迫されるし貸し渋りにもつながりかねない。これ以上金融政策に依存するような経済政策はやめるべきだ。もちろん「すぐに方向転換して引き締めろ」といっているのではない。
政府が何かするとしたら3本目の矢だ。生産性を高めるための財政支出とか規制改革であれば我々は反対するものではない。そういう経済政策を打ち出すべきだ。
――民主党時代には議員立法に積極的に取り組んできました。今後もその路線に目配りをしながら後半国会をやっていきますか。
当然だ。
――主に経済財政分野、社会保障が中心でしょうか。
それだけに限らないが、なるべくわかりやすく法案の形で出していきたい。これだけの勢力で、あるいは場合によっては4野党で法案を出すわけだから、しっかりと国会で議論する責任が与党にはある。
――消費税の10%への引き上げは予定通りに実施すべきですか。引き上げの先送りも取り沙汰されています。
先送りは噂話にすぎない。首相自身は国会で「2008年のリーマン・ショックのような危機的な事態がない限り予定通り上げる」と言っているわけだから、それと違うことを言っているような前提で議論する必要はない。ただ我々からすると(消費増税のためには)前提がいろいろある。その前提が満たされていないということははっきり申し上げておかないといけない。
――具体的には何でしょうか。
行政改革、社会保障の充実もそうだ。前提ではないが、軽減税率に1兆円あてるより人への投資や格差是正にそのお金をあてるべきだ。あるいは保育園、子ども・子育て。少なくとも前提のところを満たす努力をすべきだ。首相は増税延期を発表したとき、次はリーマン・ショック同様のことがこない限りは必ず増税しますと言って選挙をした。当面の延期と、来年4月から必ずやりますというのはセットになった選挙公約だ。リーマン・ショックのようなことがこないのにさらに延ばすというなら首相としてしっかり説明してもらいたい。延期して国民の人気を得て解散に持ち込むことを考えているとすれば、それは一国の総理としてはあってはならないことだ。現時点で消費税を延期すべきだとか、延期すべきでないとか、それを何か言うつもりはない。ただ、(消費税率を)上げる前提が満たされていない。
――政権を取ったら、国家公務員の総人件費を2割減らす財政健全化推進法案は実現させていくつもりですか。
もちろんそうだ。
――安全保障関連法。日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査で「廃止すべきでない」が43%で「廃止すべきだ」の35%を上回り、成立時と逆転しました。政権側は「世論の理解が進んでいる」と主張しています。参院選でも争点にしますか。何を訴えていくのでしょうか。
憲法違反の法律が時間が経てば憲法に合致するということにはならない。憲法違反は憲法違反だ。(安保法制が)必要だからとか、国民が少し賛成が増えてきたからと、そういうことで(憲法解釈を)変えるということになると立憲国家そのものを否定することになる。
首相は北朝鮮など最近の国際情勢を挙げて「日米同盟は大事だ」と言っているが、北朝鮮との関係で言えば、これは個別的自衛権あるいは米国が行使する集団的自衛権の話であって、日本が集団的自衛権を行使する話ではない。首相はそこを一緒にして危機感をあおって、黒いものを白と言おうとしている。
――安保法廃止法案は米国の理解を得られますか。
米国も民主国家だから、憲法違反の法律を強制するということは当然考えていないと思う。安全保障の問題は両国の国益のぶつかる話だ。日米同盟は重要だという大前提で私は話をしているが、日本の安全だけではなくアジア全体のプレゼンスの中で、日本に財政や軍事力の面でなるべく負担してもらいたいという米国の考えは当然だ。
しかし日本には日本の憲法があり、日本の国益がある。もちろん日米同盟は重要だという前提のもとで、歴代首相がいろいろな厳しいせめぎ合いをして着地点を見つけてきた。安倍さんは米国の議会に行って、限定的な集団的自衛権の行使の話すらせずに全面的に協力するような印象を与えてきてしまった。それはやっぱり日本の国益を考えたときに私は極めて問題があると思う。冷静に日本の置かれた立場を説明して、お互いが着地点を見いだしていく努力をすべきだ。
――政権を取ったら安保法を廃止しますか。
廃止する。代わりに対案を出している。
――民進党として参院選に向け憲法改正の具体案を取りまとめるつもりはありますか。
全面的な改正案は僕はいらないと思う。今の自民党の草案は、安倍さんがよく言われる「今の憲法はGHQの素人がたった4日間で作り上げた代物である」というところからスタートしている。だから新しい憲法を日本自身が全部作り直すことに意味があるという考え方だ。私はそういう考え方には立たない。70年たってすっかり定着し、基本的にはいい憲法だと思っている。具体的な問題があればそこを論じて手直ししていけばいい。公明党も同じような考え方ではないか。
――党として「この条文は時代に合わない」と提示すべきではないですか。
特に今、ありません。安倍さん自身も具体的には言っていない。首相はどこをどう変えたいのかきちんと具体的に言うべきだ。たとえば憲法9条2項の改正を言われた。草案によれば、集団的自衛権を限定なく認める内容だ。そういうことをはっきりと言われたらいい。国会で追及されると「私は首相だからそれについて具体的に言うことは避けたい」と言って逃げてしまっている。
――参院選までに民進党として具体的な案を取りまとめるつもりはないし、党内議論を後押しする予定も今のところないと。
首相が問題視しているところ、「やりたい」というところは参院選に向けて議論しなければいけない。おそらく9条、あるいは緊急事態法。あとは「家族は助け合わなければならない」という家族観のところがある。憲法に書くのはとんでもない。そういうことについて国会でも議論していく。首相もちゃんと答えてほしい。
――それらについては民進党としての見解もまとめていくつもりですか。
自民党の草案についての議論だから、そこをただしていく。
――参院選での民進党としての目標をどう掲げますか。
できるだけ勝つということだろう。選挙の予測はできないと思っている。科学的にしっかりとした予測なんてありえないので、数字を挙げることは私は意味があるとは思えない。しかし、今の流れを変えるためにできるだけ勝ちを増やすということだ。
――9月に予定される民進党代表選に参院選の勝敗が大きく影響します。より客観的な指標、目安のためにも、参院選での目標を明示した方がいいという意見もあります。
代表選に出るか出ないかは私が決めることだ。私が判断する。結果が出たかどうか、それだけのことだ。
――参院選の結果を出せたかどうかを踏まえてということですね。
参院選で結果が出なければ代表選に出るつもりはない。結果は必ず出すという前提ですよ。
――「改憲勢力に3分の2を取らせないようにしたい」という思いは変わりませんか。
何が改憲勢力かという定義がはっきりしないが、今の与党で3分の2を取ることは何が何でも阻止しないといけない。ただそのことを僕は目標という意味で言っているのではない。最低限だ。
――衆参同日選も取り沙汰されています。備えはできていますか。首相が同日選を打つ大義名分はありますか。
大義名分がなくても解散はできる仕組みだから、やるときはやってくるだろう。何があっても備えるようにしていくのは当然のことだ。候補者の擁立は他の野党も含めれば200人というところまできているが、やはり我が党だけでも過半数は立候補者を出すことを目標に頑張りたい。あと50人擁立しなければいけない。
――衆院選の小選挙区の候補擁立について、野党4党で話し合う余地はありますか。
野党4党で、当時5党だったが「国会の運営、国政選挙においてできるだけ協力する」と確認した。それに基づいてできるだけ協力していく。参院も個別の選挙区について何か協議していることは基本的にはない。それぞれの地域事情に応じて現場にある程度任せて、協定書をきちんと交わした宮城や長野のようなところもあるし、まったくないところもある。ある程度濃淡が出てくるのはやむを得ない。
――次の衆院選で政権交代を伺いますか。
同日選なら当然、政権を争う選挙にする。
――民進党単独で250以上の議席を取れる体制に持っていくと。
はい。
トランプ現象とオバマの「責任」
米社会:ブームの真の原因はオパマ政権の誕生
少数派の台頭に脅威を感じる白人層はトランプの旧弊な価値観に夢を託している
ジャメル・ブイエ(スレート誌政治担当記者)
初めに彼らは無視し、次に嘲笑い、それから戦いを仕掛け、そして私たちが勝利する―マハトマ・ガンジーが語ったとされるこの格言は、教室に掲げる標語や啓発活動のポスターにふさわしい。
だが米大統領選の序盤の山場「スーパーチューズデー」を翌日に控えた先月末、この言葉を引用したのはドナルド・トランプだった。大勢の支持者の前で演説する自分の写真をインスタグラムに掲載して、その格言を添えた。
好戦的な言動で知られる不動産王が、なぜこんな立派な格言を? いや、これこそトランプにぴったりの言葉だ。
昨年6月、トランプが大統領選の共和党候補指名レースに出馬すると表明したとき、人々は無視した。愚か者の冗談だ、夏が終わるまでには自滅する、と。次に人々は嘲笑った。秋が終わる噴には消えている、と。その後、共和党主流派はトランプの勢いを恐れ、攻撃を始めた。そして今……。
先週火曜日、大票田のフロリダ州など5州と北マリアナ諸島で共和党の予備選・党員集会が行われ、トランプはフロリダを含めて5勝を挙げた。指名獲得という勝利は大きく近づいている。
トランプを過小評価してはならないのはよく分かった。だがなぜ今、トランプなのか?アメリカは大不況から持ち直し、より強く豊かになっているのに、なぜかなりの数の有権者が突然、排外主義的な民衆扇動家を支持し始めたのか?
左派からは、トランプは数十年来の党派主義の産物だという声が上がる。選挙に勝つため、米南部の白人層の怒りをたき付けた共和党の戦略の論理的帰結ということだ。
右派の一部に言わせれば、トランプが象徴しているのは、共和党のエリートたちに対する草の板の反感だ。自由放任主義的な資本主義のために労働層の有権者を犠牲にする彼らに、大衆は憤っているという。
この2つの説明は相反するものではなく、いずれも「トランプ現象」の重要な側面を捉えている。
事実、共和党は選挙戦略として、白人層の怒りを利用してきた。共和党指導層が、工業経済の崩壊で苦しむ白人労働者層に解決策を掟供できていないことも確かだ。目まぐるしい経済や文化的変化への戸惑いのせいで、「アメリカを再び偉大な国に」と叫ぶ人物にすがりたくなる国民が相当数いることも間違いない。
ただしこれらの説は、今なぜトランプか、という問いに答えてくれない。労働者層の苦境は何年も前から続いている。アメリカの労働者貸金は長らく低迷し、大学を出ていない労働者の雇用機会が大幅に減ったことは、既に90年代に明らかだった。白人の怒りを利用するのも昔からある戦略だ。それだけでは、なぜ今かの説明にならない。
初の黒人大統領が持った意味
私たちは最も重要な要素を見過ごしている。トランプブームがここまで燃え広がった真の原因とは、おそらくバラク・オバマ大統領だ。
保守派ジャーナリストの問には、オバマの極端な政治姿勢が、トランプの成功につながっていると主張する声がある。だが実際には、オバマは多くの面で従来の政治家と変わらない。少なくともハ一その政策は民主党の中道左派の枠内に位置付けられ、主流の路線を少しもはみ出していない。
しかし、政治的シンボルとしてのオバマとなれば話は別だ。国家の構造に人種的階層が組み込まれているアメリカで、黒人のオバマが大統領に選ばれたのは革命的な出来事だった。
それを可能にしたのは少数派の力だ。08年の大統領選では、アジア系アメリカ人も中南米系アメリカ人もそろってオバマを支持し、黒人有権者の投票率は過去最高に達した。
リベラル派は、新時代の多数派となる新たな有権者層が台頭したと歓迎した。「米政治の未来を握るのは、人種的により多様で、教育程度がより高く、より都会的な有権者の支持を得られる政党だ」。鵬年大統領選の後、ワシントン・ポスト紙の記事はそう指摘した。「つまりバラク・オバマの民主党だ」
その一方で、拡大する多様性にも国際主義にもなじめない数多くの白人有権者は衝撃を受けた。「民主党的多数派の台頭」は、彼ら白人層の票が重要でなくなる時代を意味していた。オバマの大統領選出は「チェンジ」どころか社会構造の逆転であり、大不況が引き起こした収入や生活水準の低下と相まって、白人中心社会の終わりを告げているようにみえた。
支持者に広がる人種差別意識
ウエストフィールド州立大学(マサチューセッツ州)教授で、多文化教育を専門とするロビン・ディアンジュロは11年、「傷つきやすい白人」と題した論文を発表した。
それによると、傷つきやすさに陥った白人は「人種に絡むわずかなストレスにも耐えられず、さまざまな防御措置を講じる。怒りや恐怖心、罪悪感を表に出し、口論したり沈黙したり、ストレスを感じる状況を遠ざけたりする。こうした行動を取るのは、不安を解消したいからだ」。
これは職場での多様性トレーニングをめぐる解説だが、同じことは政治にも言える。オバマの出現と非白人が多数派となる将来を前に、人種的ストレスを感じる白人層は防御行動に走っているのではないか。白人の問で「逆差別」を問題視する声が上がるのも、恐怖や不安の表れだ。
オバマの下、アメリカでは人種間の分断がかえって広がった。先月、マルコ・ルビオ上院議員の集会で出会った年配の白人女性は、街で黒人と会ったり話したりするときに、彼らが自分の人種観を探っているようでプレッシャーを感じると語った。「前はそんなことはなかった。こんな状況にした(オバマを)恨んでいる」「アメリカ初の黒人大統領の誕生は、この国の政治でとうに影響力を失ったと思われていた人種主義が、党派政治に拍車を掛けるという皮肉な結果をもたらした」と、ブラウン大学のマイケル・テスラ一助教(政治学)は13年の論文で指摘している。「白人アメリカ人は、知的にも社会的にも自分たちより下だと思っていた人種の大統領の指導力に不安を抱いている」
とはいえ、それがトランプ人気とどうつながるのか。トランプが出馬当初に愚弄したのは、中南米系とイスラム教徒であり、黒人ではなかった。
実はトランプはかつて、オバマに対する人種差別的な言動を取り、注目を集めたことがある。11年、「オバマは外国生まれで、アメリカの市民権を持たないから、大統領の資格がない」と言い出したのだ。
この「疑惑」については、08年の大統領選で、オバマがハワイでアメリカ人の母親から生まれたことを示す書類が公開され、既に解決済みとみられていた。にもかかわらずトランプは、「正式な出生証明書を見せろ」と蒸し返した。それは反オバマ層を巻き込み、一種の社会運動にまで発展した。
今もトランプ支持者には、オバマがイスラム教徒だと考える人が62%、外国生まれだと考える人が61%もいる。ラスベガスの選挙集会に来ていたマーティンという男性は、「オバマは私の人生で最も反米的な大統領だ。外国にペコペコして、アメリカよりも外国を優先している」と吐き捨てた。
トランプ支持者の人種差別意識は最近、行動になつて表れている。ノースカロライナ州の選挙集会では、抗議の声を上げて退場させられた黒人男性が、白人男性から顔面パンチを浴びた。この事件に関するトランプのコメントは、「われわれはもっとこうした行動が必要だ」(後に暴力をあおったつもりはないと釈明した)。
「白人中心の国復活」という夢
もちろんトランプが支持されている背景には、白人労働者階級が置かれている経済的苦境もある。
リーマン・ショック後の大不況で、中間層は一段と厳しい状況に置かれてきた。特に学歴が高卒以下の労働者は、社会階層を上昇できるような仕事がほとんど見つからなくなった。経済的な苦境と未来への絶望が重なると、悲劇が起きるのは当然かもしれない。プリンストン大学のアン・ケース教授らの研究によると、白人労働者階級の自殺、薬物乱用、アルコール依存は年々深刻になっている。
こうした変化を目の当たりにしている教師、警察官、零細企業経営者、地方政府職員の問でも、トランプの支持は高い。彼らは、「アメリカを再び偉大な国に」というトランプのスローガンに、「白人労働者中心の国の復活」という夢を重ねている。
ごく最近までは、アメリカの白人は人種ピラミッドの上位にいるだけで、多くの恩恵を得られた。コロンビア大学のアイラ・カツツネルソン教授(政治学)は、著書『アファーマティプ・アクションが白人のものだったとき』で、アファーマティブ・アクション(差別是正措置)の起源は60年代の公民権運動ではないと指摘している。
カツツネルソンによると、この政策は30〜40年代に、南部の白人の人種的優位を確実にするために考案された。つまりアメリカでは、白人が多くの恩恵を受ける仕組みが制度的につくられ、白人であれば中間層への道のりが用意されていたというのだ。
公民権運動が高まり、公共の場での黒人差別が非合法化された後も、白人中間層であれば不況の最悪の影響は避けられた。麻薬や犯罪のはびこる貧困地区で暮らし、政府の補助に依存するのは、白人ではなく黒人と中南米系だというイメージが固まった。
今は違う。多くのアメリカ人にとって、かつて白人であれば得られた安全は失われた。白人も麻薬に苦しみ、政府の補助によって暮らし、経済不安と人種的な不安にさいなまれている。
これまでにもアメリカの歴史では、人種を取り巻く状況や経済情勢の絶え間ない変化に対して、多くの白人が根源的不安を覚えてきた。今まで人種ピラミッドの下にいた者に支配されるのではないか、最底辺に突き落とされるのではないかという不安だ。
こうした不安は、アメリカ人を突き動かす最強の要因の1つであり、トランプが登場するずっと前から、多くの政治家やデマゴーグに利用されてきた。
幸い、こうした運動は長続きしない。だがその運動は消すことのできない傷痕を残す。
トランプ批判派は、「トランプを支持する連中なんて、経済やテクノロジーの進歩によって縮小しつつあるグループだ」と思うかもしれない。いま起きているのは、人種差別的反動という時代遅れのトレンドの断末魔の苦しみであり、いずれ消えてなくなるに違いない、と。
だが、それは希望的観測というものだ。アメリカは今も白人が人口の7割を占める国であり、偏見を公然と振りかざすトランプに何百万人もの支持者が集まる国だ。それに、「いずれ」はしばらく先かもしれない。それまでの問に不安定な経済、白人労働者の苦境、非白人の増加、政治の機能不全といった現象が続けば、トランプブームは今後も盛り上がる可能性は高い。
共和党大統領候補の座を勝ち取っても、本選になれば、トランプは非常に苦しい戦いを強いられるだろう。その意味では、トランプには「賞味期限」がある。だがトランプ人気は既に、アメリカ政治に新しい潮流を生み出した。それは今後の共和党(と民主党)の在り方にも影響を与えていく。
トランプはピエロとして登場したかもしれない。しかしその舞台を降りるときは、既にアメリカで日常となったトレンドの象徴になっているだろう。
米国のオバマ大統領とトルコのエルドアン大統領は、ワシントンでの核安全サミットの場で会談し、安全保障、テロリズムとの戦い、移民といった焦眉の諸問題について意見を交換した。 ホワイトハウスは、このように伝えている。
オバマ大統領は、まずエルドアン大統領に対し、トルコ南東部にあるディヤルバクルで起きたテロ事件に関連し、同情の念を伝え、米国がトルコの安全を支持しており、テロリズムと共に戦う心積もりのある事を確認した。又「ダーイシュ(IS,イスラム国)」に対抗してゆく問題についても討議した。
ホワイトハウスが、オバマ大統領のスケジュールに、エルドアン大統領との公式会談はないと伝えた時から、米トルコ両大統領の会談をめぐり、様々な憶測が飛び交った。観測筋は、これは両国の同盟関係が冷え込んでいる事の表れだと指摘していた。しかしホワイトハウスは、両大統領間が意見交換するチャンスはあるだろうと約束し、結局この約束は果たされた結果となった。
ブラジル検察は世界で最も裕福な銀行家ジョセフ・サフル氏を汚職容疑で手配した。フィナンシャル・タイムズ紙が報じた。
組織的脱税に関与した疑いがある。ブラジル検察によると、氏の銀行グループ、サフラグループの経営陣は、18億ドルの税金を支払わないために、 1530万ドルの賄賂を支払う計画だった。
フォーチュン誌の格付けによると、氏は世界で最も裕福な銀行家。その資産は186億ドルと推定されており、クラフト、ハインツとの取引における億万長者ウォーレン・バフェットのビジネスパートナー、ホルヘ・パウロ・レーマン氏に次ぐ、ブラジルで第二の富豪。
CIAの職員が誤って、スクールバスの中に「爆発物」を置き忘れる、という仰天事件が米ヴァージニア州であった。このバスは「爆発物」を乗せたまま、3月28-29の両日、何度か生徒達の送り迎えをした。CIAが声明を発表し、伝えた。
声明は「その間、爆発物は、安定した状態にあり、生徒ら乗客に危険はなかった」と説明している。
先週、CIAの警察犬部隊が、犬と共に爆発物発見の訓練をしたが、その際、発見の対象として仕掛けられたものが、訓練後も除去されず、スクールバスに残されたままになっていた。
ブリュッセル国際空港ではテロ集団ダーイシュ(IS、イスラム国)の活動に肯定的な見解を持つ職員が50人以上働いている。ベルギー紙アト・ニューシュブラッズが警察からの情報として伝えた。
「現在、ブリュッセル国際空港にはダーイシュへの共感を公に示す職員が50人以上働いている。そうした見解を持つのは主に清掃や荷物の整理・運搬に携わる職員だが、中には都合上機内に入るために立ち入り禁止区域への通行許可証を持つ者いる」と同紙は指摘する。
「我々はすでに何度もそうした職員から立ち入り禁止区域への通行許可証を取り上げているが、全員から没収したわけではない」と警察の情報提供者は言う。
単にテロリスト集団への共感を示すだけでは罪に当たらないため、逮捕又は拘束された者はいない。
テロ組織ダーイシュ(IS、イスラム国)は欧州にテロリスト訓練コンベアーを作った。ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。
欧州連合(EU)に住むイスラム教徒への積極的な勧誘は、2012年から2013年あたりにスタートし、2014年までにこの「工場」は稼働したという。しかし、EU当局者は長い間、その存在の明らかな兆候に目をふさいでいた。
「これはこの半年で突然表れたことではない。彼らは2012年にシリアに移動した当時から他の国での攻撃を計画していたのだ」と米国諜報機関の元長官、マイケル・フリン氏は述べているという。
また、29歳のダーイシュ戦闘員レダ・ハマという人物の言葉も紹介されている。フランスで他の21人の戦闘員とともに拘束されたこの人物は、訓練は受けたが、テロは行わなかった。
「それは本当の工場だ。彼らはフランスやどこか他の欧州国家を攻撃するために、あらゆることを行うのだ」という。
「中国、2016年中に石油輸入量で米国を上回る可能性あり:中国の一日平均輸入量750万バレル」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/196.html
「『日本軍はなぜ満州大油田を発見できなかったのか』岩瀬昇著:戦前満州での大慶油田発見は対米戦争回避につながったか?」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/260.html
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凍り付く油田の街・大慶 中国石油失速、現地を歩く[日本経済新聞]
5万人一時解雇の観測も
2016/3/31 0:30
成長に急ブレーキがかかった中国石油天然気(ペトロチャイナ)など中国国有石油大手。膨張するエネルギー需要をまかなおうと各社が掘り進めてきた中国国内の油田に異変が起きている。その代表格が中国東北部の黒竜江省大慶市に広がる「大慶油田」だ。3月中旬、現地を訪れると、稼働を止めた石油掘削機が「墓標」のように並び、人々は不況の影におびえていた。
動きを止めた無数の石油掘削機が点在する(黒竜江省大慶市)
ススキ野原の向こうに音もなく静かにたたずむ石油掘削機が見えた。1年前まではモーター音を響かせ地下から石油をくみ上げていた大慶経済の屋台骨。地元住民の張さん(39)がつぶやく。「あいつら、間もなく取り壊されるんだ」
数万基の石油掘削機が点在する大慶市。今ではその半分近くが稼働を止めている。「習大大(習おじさん)が来てからすべてがおかしくなった」。張さんが声を潜めて言う。
習近平国家主席が中国東北部を視察に訪れたのは昨年7月。黒竜江省幹部との会議で習氏はこう発言したという。「そんなに多くの掘削機を動かしても電気の無駄遣いだ」。景気減速で原油需要が細り価格も下がっている。それでも原油をくみ上げ続ける大慶油田の非合理性を習氏は指摘した。
それから急激な変化が大慶市を襲う。市内の掘削機が次々に緊急停止し、油井が閉められていく。2015年の大慶油田の生産量は3838万トンとピーク時から3割減った。油田運営会社の売上高は964億元(約1兆6700億円)と前年比で半減。同社を傘下に持つペトロチャイナの業績悪化の主因にもなった。
大慶市は域内総生産(GDP)の6割を油田に頼る。270万人の人口の1割が油田運営会社の社員で、その家族や関連産業も含めれば、石油に携わる人たちは人口の半分に達する。原油減産が地元経済に与えるインパクトは計り知れない。
「去年の今ごろは月に80〜90台は売れていた。それが今は半分だ」。日産自動車系の「東風日産大慶易嘉店」の営業担当者が顔を曇らせる。油田関係者が現金一括払いで新車を買う例も珍しくなかったが、昨夏以降は客足がぱったり止まった。
市中心部で威容を誇る市政府ビル。「政府は我々の生活を保障しろ」。3月中旬、40人以上のタクシー運転手が大声を張り上げていた。不景気でタクシーを利用する人が急減。その不満のはけ口を政府に求めた。一時は武装警察が出動する騒ぎになったという。
市内最大級の商業施設に入店する米系コーヒーチェーン「スターバックス」では連日苦情が絶えない。「コーヒー1杯22元は高すぎる。こんな時なんだから、安くすべきだ」。収入が減った市民が訴える。
大慶市は270万人の人口のうち半分が石油に携わる
市政府も手をこまぬいていたわけではない。1年半前にはスウェーデンの高級車大手ボルボ・カーの乗用車工場が本格稼働。売れ筋のSUV(多目的スポーツ車)などを生産し、部品メーカーの誘致も活発だ。それでも新たに生んだ雇用は1千人程度にすぎない。
「市民の半分が不眠症にさいなまれている」。21日付の地元紙「大慶晩報」はこう報じた。仕事のストレスが原因という。不安に拍車をかけるのが、大慶油田が今夏に実施するという5万人規模のレイオフ(一時解雇)計画だ。
「あと3年で定年なんだ……」。寒空の下、油井の改修にあたるベテラン作業員(52)に出会った。プレハブに泊まり込み、昼夜問わず働いてきたという。だが今、周囲に連なる石油化学工場で煙を出しているのは半数程度。「何とか30年やってきたんだがね」。あきらめにも似た表情でそうつぶやくのがやっとだった。
▼大慶油田 1959年に発見された中国最大の油田。ロシアに接する黒竜江省のハルビンとチチハルの間に位置する。海外技術に頼らず中国独自に開発をなし遂げた模範職場として、かつて「工業は大慶に学べ」とのスローガンが全国で流行した。最盛期には日本の原油輸入量の3割に相当する年5千万トン以上の生産量を誇った。失脚した共産党の元最高指導部メンバー、周永康氏ら「石油閥」の出身母体としても有名だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX30H03_Q6A330C1FFE000/?dg=1
リオグランデ大学とキール大学の天文学者らは、大気がほぼ完全に酸素で構成されている白色矮星を初めて発見した。サイエンス誌をもとにN + 1が報じたところでは、これは大質量星の進化に関する理論を裏付ける発見だ。
天文学者はSDSS J124043.01 + 671034.68と呼ばれる星の大気上層が主に酸素で構成されていることを確認した。酸素の次に含有率の高い原素は、ネオン、マグネシウム、珪素だ。
大気中に水素やヘリウムがないことは驚くべきであることだという。近傍に軽元素の層を「剥奪」する同伴天体がいると見られる。
インドネシア当局は、「海賊」対策のため南シナ海南端のナトゥナ諸島に戦闘機F-16を配備する意向だ。木曜日、ブルームバーグ通信が、インドネシアのリャミザルド国防相の発言として報じた。
リャミザルド国防省の声明は、中国の沿岸警備艇とインドネシア船が、この海域で衝突した2週間後に出されたものだ。
リャミザルド国防相は、次のように述べた-
「この措置は、南シナ海の島々における軍事力増強に向けた行動の一環で、現地では新しい港の建設や滑走路の刷新が計画されている。
インドネシア軍は、海兵隊、特殊空軍部隊、陸軍大隊、巡視船3隻、新しいレーダーシステムと無人機を、すでに配備したか、あるいは今後配備する予定だ。」
中国は、南シナ海の海域の多くの部分を自分達の領海だと主張し、ブルネイやマレーシア、フィリピン及びベトナムなどとも島の領有をめぐって揉めている。
米ホワイトハウスのアーネスト報道官は、日本と韓国が核兵器を保有するのは「不安定化」の要因となるとの考えを示した。なお実際のところ、ずいぶん前から不安定化の主要要因となっているのは、米国の執拗な世界覇権願望だ。
モスクワ国立国際関係大学国際研究所主任研究員アンドレイ・イワノフ氏の私見−
部分的には、もちろん、アーネスト報道官は正しい。もし日本と韓国、また日本あるいは韓国が独自で核兵器を製造することを決めた場合、なお両国は科学的な面でも技術的な面でもずいぶん前からその用意があるが、これは東アジアの核軍拡競争を煽る。中国人は自国の核装備を急速に増やしている。台湾の人々は、独自の核爆弾を保有しようとしている。対北朝鮮制裁の発動で最近飢餓に向けて準備するよう呼びかけられたばかりの北朝鮮人でさえも、ベルトを少しきつく締めて、更なる熱意を持って、核の盾と剣の鍛造に取り組むだろう。そしてこれに対して彼らを批判するのはすでに非論理的かつ不公平となる。
もちろん、核兵器は危険なものだ。核保有国が増える場合は特に危険だ。そして核戦争が勃発するリスクを高めるこのプロセスに代わるのが、もし完全な核軍備撤廃とまではいかないならば、部分的な核軍縮となるだろう。米ワシントンの核安全保障サミットで米国が呼びかけるのは、まさにこれだ。
なおロシアを代表して同サミットに参加するのは大統領でも首相でもなく大使だが、ロシアはこのような呼びかけを無視している。その理由はロシアの攻撃性に起因しているわけではない。ロシアは先に米国と締結した核兵器の制限に関する条約を履行している。しかし自国の核軍備をさらに急進的に縮小したり、さらには核兵器を完全に放棄することは、ロシアにはできない。ロシアは単に、通常兵器で自国の安全を保障できる状態にはないからだ。ロシアは通常兵器で米国一国をとっても数倍劣っており、ロシアの西の国境に本格的に接近している米国とNATOの軍事ブロック、あるいは米国とそのアジアの同盟国である日本と韓国にいたっては言うまでもない。
その他に、米国が極超音速機の開発に積極的に取り組んでいるのも有名だ。この極超音速機はロシアには不利な方向で、さらにパワーバランスを変えるだろう。そのためロシアも極超音速分野での軍事開発を行わざるを得なくなっている。ロシアは自国が安全だとは感じていないのだ。その理由の一つは、米国が同国の民主主義の基準に合致せず、防衛手段を持たない国々に対してどのような行動を取っているのかを目にしているからだ。なおユーゴスラビア、イラクそしてリビアと悲しい運命を共有するかもしれないという懸念が、北朝鮮に国際協定違反や核兵器の製造を余儀なくさせている。
そのため、地球上の生命にとっての主要な脅威は核兵器ではなく、何らかの理由で気に入らない国を米国が空爆するという、割と最近生まれた習慣だ。その原因は民主主義の不足ではなく、原油の存在、あるいは、あまりにも独立した外交政策であることが多い。それゆえ、核兵器の完全廃棄あるいは部分的な核軍縮に関する無意味な呼びかけではなく、それがたとえ最も強い国であったとしても、いかなる国も、自国を義務的模倣の唯一の見本であり、何かについて同意できない国を国連の承認なしに空爆する権利を有する唯一の国だとみなすことはできないという規則の厳格かつ絶対的な遵守の確立から、今グローバル規模における安全保障の強化を始める必要がある。
ざっくり言えば、米国政権は、中国の意向に沿うかたちで、日本から兵器に転用できそうな物質を日本から除去する動きを強めていることになる。(中国の懸念は、米国の懸念でもあったわけだ)
転載する日経新聞は、「日本の核物質の国外搬出は、核安保サミット全体を通じた成果」と書いているが、“日本の核物質の国外搬出は、日米関係及び東アジア安全保障体制の大きな転換を意味している”と捉えるべきだろう。
今回の合意には含まれていないが、米国政権は、プルトニウムを取り出す核燃料再処理事業から日本を撤退させることも視野に入れている。
核燃料再処理事業の断念は、六ケ所村再処理施設や“もんじゅ”が危険なだけの無用の長物になることを意味する。
そして、それは、大混乱を引き起こさないよう問題をズルズルと先延ばししてきた日本政府に、否応なく、原発政策のシビアな見直しを迫ることになる。
「福島第一原発の悲劇は原子力発電に終止符を打たなかった:やめると言えない訳は高濃度放射性物質処理問題と米国の存続指示」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/669.html
日本は、原発政策とともに、「日米同盟」を含む外交政策を中長期的レンジで構築する必要があるだろう。
※ 関連記事
「日本、米国に核爆弾50発分のプルトニウムを返却」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/351.html
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
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核テロ防止へ日米協力 京大の濃縮ウラン回収へ [日経新聞]
2016/4/1 21:20 (2016/4/1 22:43更新)
【ワシントン=川合智之、坂口幸裕】日米両政府は1日、ワシントンで開いた核安全保障サミットで、核テロを防止するため協力を強化する共同声明を発表した。核テロ関連の秘密情報を共有するため両政府で交渉を始める。
ベルギー連続テロでは当初、原子力発電所が狙われていたとの見方が出ている。日米両政府は核テロが現実的な脅威になっているとの危機感から、核テロ防止を安保協力の重点に置く。共同声明は「テロリストらによる核物質の入手を防ぐ」と強調した。
核テロ関連の情報共有について日本政府は、核関連施設をテロ組織から守るためのノウハウや、核関連物質の移動に関して秘匿性の高い技術や情報を米国から受け取ることを想定している。
京都大の研究用原子炉からすべての高濃縮ウランを撤去することでも合意した。通常の原発は低濃縮ウランを燃料とするが、一部の研究用原子炉では核兵器の原料となる高濃縮ウランやプルトニウムを使っている。燃料が高濃縮ウランの京都大の臨界集合体実験装置を改造し、低濃縮ウランを使う原子炉に転換。燃料として備蓄していた高濃縮ウランは米国に運ぶ。
2014年3月にオランダ・ハーグで開いた前回サミットでの日米合意に基づき、茨城県東海村の日本原子力研究機構の臨界実験装置で保管していたプルトニウムなどの米国への引き渡しに向け、搬出を大幅に前倒しし、撤去が完了したことも確認した。
東海村の高速炉臨界実験装置にあったプルトニウムと高濃縮ウラン計500キログラムを積んだ英輸送船は3月22日、米国へ出航した。日本の核物質の国外搬出は、核安保サミット全体を通じた成果となる。
安倍晋三首相は1日、核安保サミットで演説し「日本は『利用目的のないプルトニウムは持たない』との原則を実践する模範国だ」と表明。「核物質の最小化と適正な管理への日本の決意を改めて示す」と強調する。
■日米共同声明のポイント
○核安全保障分野で秘密情報を共有するための枠組みに関し交渉を開始
○京都大の研究用原子炉からすべての高濃縮ウラン燃料を撤去
○茨城県東海村の臨界実験装置からのプルトニウムの撤去を前倒し完了
○核鑑識能力の向上
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM01H89_R00C16A4MM8000/?dg=1
これまでは、有数の科学技術力と産業力を融合させれば核兵器も短日月のうちにできるという日本の“存在感”を「対東アジア政策」で利用してきた面もあったが、歴史的にその必要性がなくなったというか、逆に、今後予測される“国際情勢”の変化のなかで日本国内で核武装論が高まることを危惧するようになったようだ。
※本文投稿先
「核テロ防止へ日米協力 京大の濃縮ウラン回収へ:米国にとっての日本のポジションが大きく転換、核武装の芽を摘む動き急」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/211.html
「核テロ防止へ日米協力 京大の濃縮ウラン回収へ:米国にとっての日本のポジションが大きく転換、核武装の芽を摘む動き急」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/211.html
これまでは、有数の科学技術力と産業力を融合させれば核兵器も短日月のうちにできるという日本の“存在感”を「対東アジア政策」で利用してきた面もあったが、歴史的にその必要性がなくなったというか、逆に、今後予測される“国際情勢”の変化のなかで日本国内で核武装論が高まることを危惧するようになったようだ。
※本文投稿先
「核テロ防止へ日米協力 京大の濃縮ウラン回収へ:米国にとっての日本のポジションが大きく転換、核武装の芽を摘む動き急」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/211.html
核情報共有の枠組み構築=濃縮ウラン減へ協力―日米共同声明
時事通信 4月2日(土)0時9分配信
【ワシントン時事】日米両政府は1日午前(日本時間2日未明)、核セキュリティー協力に関する共同声明を発表した。
核物質の適正管理に向け、核関連の秘密情報を共有するための枠組みづくりについて、両政府で協議を開始することなどが柱。
安倍晋三首相はこの後、ワシントンで開かれた核安全保障サミット全体会合で共同声明について説明。その上で東京電力福島第1原発事故に触れ、「日本の核セキュリティーは福島の事故と密接不可分だ。原発の安全性、事故対策の知見を世界に広げていくことが日本の使命だ」と訴えた。
共同声明は、京大の臨界集合体実験装置(大阪府熊取町)で保有する全ての高濃縮ウランについて、米国に引き渡して処分する方針を明記した。
また、2014年3月のオランダ・ハーグでの核安全保障サミットの際の日米合意に基づき、日本原子力研究開発機構の臨界実験装置(茨城県東海村)で保管していた高濃度プルトニウムなどの米国への引き渡しに向け、撤去が完了したことを確認した。
共同声明で日米は、こうした取り組みを通じて世界規模で高濃縮ウランなどの保有量を減らし、「テロリストらによる核物質の入手を防ぐ」と強調。原子力の民生活用で日米の協力を強め、「世界の核セキュリティーを強化する上で主導的役割を維持する」としている。
最終更新:4月2日(土)1時10分
政府は1日の閣議で、「憲法9条は一切の核兵器の保有および使用を禁止しているわけではない」とする答弁書を決定した。そのうえで「非核三原則により、政策上の方針として一切の核兵器を保有しないという原則を堅持している」との見解も併せて示した。
民進党の逢坂誠二氏と無所属の鈴木貴子氏の質問主意書に答えた。
政府はこれまで、自衛のために必要最小限度の実力を持つことは、憲法9条2項で禁じられていない、と解釈している。例えば、1978年に当時の福田赳夫首相は国会答弁で、核兵器について「憲法9条の解釈として、絶対に持てないということではない。必要最小限の自衛のためであれば持ちうる。ただ、非核三原則を国是としている」と述べている。
最終更新:4月2日(土)0時53分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160401-00000047-asahi-pol
※関連参照投稿
「朝鮮戦争論 ブルース・カミングス著 凄惨な「内戦」、歴史的文脈で解釈:勝ち過ぎないようマッカーサーを解任した米国支配層」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/740.html
○盧武鉉政権期の動き
「36年間の植民地時代も、半島を統一できなかったことも米国のせいとは [朝鮮日報]」
http://www.asyura2.com/0505/asia2/msg/764.html
「史上初 法務部長官指揮権発動「姜禎求を任意取調せよ」[朝鮮日報]【朝鮮戦争は統一戦争でマッカーサーは韓国の敵の発言者】」
http://www.asyura2.com/0505/asia2/msg/859.html
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[地球回覧]韓国に残る「6.25」の爪痕
折からの雨でダグラス・マッカーサーがぬれていた。朝鮮戦争時の連合国軍最高司令官。朝鮮半島を赤化(共産化)統一の危機から救った韓国の英雄だ。韓国西部に位置する港湾都市、仁川(インチョン)の高台に広がる「自由公園」の一角にその像はそびえ立つ。
「6.25(ユギオ)」。韓国では朝鮮戦争を1950年の開戦日にちなんでこう呼ぶ。マッカーサーは開戦3カ月後に仁川への奇襲上陸作戦を指揮し、釜山近くまで侵攻していた北朝鮮軍からソウルを奪還した。戦況は一変し、朝鮮戦争の転換点の一つとなった。
3月初旬の週末、雨にもかかわらず公園には来訪者の姿があった。年配の男性や家族らが花を手向け、像をバックに記念写真を撮っていた。
「大韓民国の自由と繁栄の基礎をつくってくださった方だ」。その1人、作戦の翌々年に生まれた徐己重(ソ・ギジュン、64)さんは父親からマッカーサーの偉業をよく聞かされた。現在住む大田(テジョン)から仁川に出かけるたびに像に足を運ぶ。家族と連れ立ってきていた朴真姫(パク・ジンヒ、44)さんも「マッカーサー将軍に助けてもらったので韓国人は一番好きだ」と話した。
その銅像が撤去されそうになった2005年、「もう一つの米韓」を韓国で目の当たりにした。
「半島の統一がマッカーサーに妨害された」と主張し、自由公園に集まった左派系の市民団体や学生の数は数千人。デモ隊が銅像の前まで押し寄せて保守陣営や警官隊と衝突し、双方に負傷者が出た。当時は革新系の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下で、朴槿恵(パク・クネ)大統領は野党の保守政党代表だった。
市民団体は「マッカーサーが虐殺した」と叫んでいた。すぐには理解できなかった。その6.25戦争の惨劇の舞台が韓国中部・忠清北道の老斤里(ノグンリ)にある。
京釜線の線路下の双陸橋に近づくと、周辺のコンクリート壁に無数の白い丸や三角マークが目に入る。弾痕を囲んだものだ。6.25戦争の初期、大田から釜山へと向かう当時唯一のルートだった老斤里一帯で、米軍部隊が韓国人避難民のなかに北朝鮮兵が混じっていると疑い、数百人を無差別に銃撃、虐殺した。事件から半世紀後の99年、メディアによって世に広められ、韓国で反米軍感情が高まる一因となった。
6.25戦争は仁川上陸作戦を機に形勢が逆転するが、中国義勇軍の参戦後、一進一退を繰り返し両勢力は北緯38度線を境に膠着状態に入る。53年の休戦までに韓国だけで約200万人の犠牲者と戦火を逃れる過程で朝鮮半島の南北に生き別れた1000万人ともいわれる離散家族を生んだ。
それから63年後のいま。朝鮮半島有事を警戒し、米韓両軍は12日、日本海に面した韓国南東部の浦項(ポハン)で1万7200人が参加する上陸作戦を展開した。韓国軍の戦時の作戦指揮権を握るのはいまも米軍だ。そのきっかけは6.25戦争だった。「韓国がどんなに中国に接近しようと戦時指揮権の存在がある限り米国から離れられない」(韓国政府関係者)
韓国国民の目に北朝鮮や米国、中国などがどう映るかは世代や個々の体験で大きく異なる。6.25戦争は激しい対立や分裂の形で韓国社会に随所に爪痕を残している。大統領選をはじめ保守系と革新系の一騎打ちが毎回接戦となるのも、分断国家・韓国の一断面だ。
マッカーサー像は5メートルの台座の上で双眼鏡を片手に沖を見つめている。日本の敗戦から71年たっても「私たちの解放はまだ完成していない」と韓国の知人がつぶやいた。
(ソウル支局長 峯岸博)
[日経新聞3月28日朝刊P.7]
【モスクワ時事】旧ソ連のアルメニアが事実上占領するアゼルバイジャンの係争地ナゴルノカラバフで2日未明、両国軍の戦闘が再発した。
100人以上の兵士が死亡した可能性があり、両国は、相手が攻撃を始めたとして互いに非難している。ロシアが仲介に乗り出したが、1994年の停戦合意後、最悪規模の人的被害となる恐れがある。
アルメニアは、双方に死傷者が出ていると発表し、アゼルバイジャンのヘリコプター、戦車などを破壊したと主張。アゼルバイジャンも、ヘリが撃墜されたとしている。報道によると、双方は「アゼルバイジャン軍の40〜50人が死亡した」「アルメニア軍の100人以上が死亡した」と説明している。
アルメニアは、南カフカス地方で唯一の親ロシア国家。一方、カスピ海沿岸の産油国アゼルバイジャンは、北大西洋条約機構(NATO)加盟国トルコと伝統的に友好関係にある。ナゴルノカラバフの緊張がエスカレートすれば、ロシアとNATOの関係にも影を落としかねない。
ロシアのプーチン大統領は「即時停戦と自制」を呼び掛けた。ショイグ国防相とラブロフ外相も、アルメニアとアゼルバイジャンの双方に電話して仲裁に入った。
最終更新:4月2日(土)23時45分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160402-00000107-jij-asia
その結果、「130万円の壁」は相変わらず立ちはだかり、せいぜい、2〜3%の賃上げ効果しか望めない。(政府がそれでもいいと考えているのならいいが、賃上げ分を政府が税金で負担していることになる)
こんな子供だましの政策で、所得税及び社会保険料の負担を考えながら就労しているパートタイマーの労働時間増加を期待する政府はおかしすぎる。
むろん、夫婦がフルタイムに近いかたちで働いている人たちとの公平性を考えれば、政府がパートタイマー就労者だけを優遇する政策に踏み出せない気持ちはわかるが、特定の雇用主(企業)に優遇策を講じるのも公平性を欠く措置であることを言っておきたい。
(共稼ぎ世帯も、どちらかの社会保険料及び所得税の負担を軽くして欲しいと主張するだろう)
この問題の解決には所得税制や社会保険制度の抜本的な変更が必要だが、暫定措置としても、パートタイマーが年収130万円を超えるレベルまで労働時間を増やした場合、所得税及び社会保険料を勘案しても手取り収入が増える政策にしなければ、労働時間の増加という目的は達成されないだろう。
※参照投稿
「パート就労拡大へ企業に補助金 「130万円の壁」対策:なんと!事業者の賃上げと社会保険料の負担増加を国費で負担」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/570.html )
「厚生労働相 女性の就労拡大へ助成金増額を:賃上げや社会保険料事業主負担を国費で面倒見るが就労者には益なしという詐欺的政策」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/698.html
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「130万円の壁」人手不足で追加策 主婦らの就労支援拡充[日経新聞]
政府方針
2016/4/3 0:03
政府はパートで働く主婦などが労働時間を増やしやすくするための追加対策を5月にもまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に明記する方針だ。就労時間の延長や賃上げを条件に補助金を企業に出す制度を大幅に拡充する。外食や小売りなどで深刻な人手不足の解消につなげる。
政府は年収が130万円を超すと年金や医療の保険料が約20万円かかって主婦らの手取りが減る「130万円の壁」の解消策を3月末に成立した予算に盛り込んだ。しかし、人手不足の対応策としては力不足との指摘があり、関係省庁間で拡充策の検討に入った。
4月から始まる補助金制度は2019年度までの時限措置として(1)大企業で2%、中小企業で3%以上の賃上げ(2)パート労働者が働く時間を週5時間以上延長――などの条件を達成した企業に補助金を出す仕組み。賃上げにより主婦らの所得が上がり、企業も労使で半分ずつ出し合う社会保険料負担を軽くできる。
拡充策はまず、ひとつの事業所あたり300万円としている補助金の受給上限をなくす。これまでは労働時間の拡大では1人あたり20万円を支払う仕組みで、対象者が15人を超えても300万円までしか受け取れなかった。人数に応じた金額を受け取れるようにして、働きやすくする。
補助金を受け取れる回数も増やすかどうかを検討する。安倍政権は毎年最低賃金を3%ずつ引き上げる基本方針を示しているが、今の制度では企業が毎年賃上げしても19年度までに1回しか受け取れない。財源面の制約も考えて、どこまで緩和するか関係省庁で詰める方針だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS02H1I_S6A400C1NN1000/?dg=1
「左派(共産党・社民党)と親米派が共有する「戦術的護憲論」:共産党・社民党も安倍政権と同類:米国改憲要求説は捏造か錯覚」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/714.html
「首相「占領時代の仕組み変える」 改憲へ意欲:志は良だが、従米政治家たちに米国支配層が厭う改憲をやれるはずもなく」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/653.html
「「護憲」で本当に勝てるのか:現憲法の核心部分を変える「改憲」はできない(しない)と理解している安倍首相」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/568.html
「緊急事態条項、憲法に必要か:「お試し改憲」は許されぬ:日経新聞世論調査「安倍政権での改憲に賛成34%・反対46%」」
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/540.html
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9条改正には「時間かかる」 首相、任期中の改憲は意欲
安倍晋三首相は28日の参院予算委員会で、憲法9条の改正について「説明には相当な時間がかかる。70年近く存在している憲法を変えるのは、そう簡単なことではない」と説明した。改憲の実現時期は「自民党としてすでに政権公約で示している。任期中にやらないと言うこと自体がおかしい。政治家としてむしろ不誠実だ」と述べ、在任中の実現に重ねて意欲を示した。
首相は「自民党の憲法改正草案で9条2項を書き換えると示している」と述べ、改正の必要性に言及した。「ここには首相として立っている。草案は(衆参両院の)憲法審査会で議論してほしい」と語ったうえで「まだ十分な説明がされておらず、自民党案を見ている人もほとんどいない」と指摘した。
社民党の吉田忠智党首が「7月の参院選で憲法改正をやりたいと正面から言うべきだ」と迫ったのに答えた。
2012年に自民党がまとめた改正草案では、「自衛権の発動」や「国防軍」の保持を明記している。
[日経新聞3月29日朝刊P.4]
桜の季節になっても世界経済はまだ冬景色だ。だが、雪解けの兆しはある。
昨年12月、米連邦準備理事会(FRB)は物価と雇用の2つの目標達成にメドを付けて利上げに踏み切った。しかし、金融正常化を急ぐあまり、ドル高のデフレ効果を過小評価していたようだ。今後の利上げを織り込んでドルが高騰した結果、米国の輸出と設備投資が減少しただけでなく、世界経済の先行き不安が高まり世界の株価が暴落し、国際金融市場の動揺を招いてしまった。
ドルは貿易信用状の8割強、国際金融取引の過半を占める基軸通貨だ。米国は基軸通貨国としてドルを安定させる責務がある。5年間に4割ものドル高を放置した結果、世界貿易が縮小し国際商品価格が暴落、新興国の失速で世界不況に逆戻りしかねない情勢だ。
こうした中でドルが下落し始めた。日銀がマイナス金利を導入し欧州中央銀行(ECB)は追加緩和に踏み切ったが、ドル安が進む。FRBが利上げを急がない姿勢に転じ、ドル安の流れは鮮明になった。
ドルの実質実効レートは変動相場制への移行以来43年間の平均に比べて、まだ1割程度高い。米国経済を浮上させ、世界経済を安定させるにはドルの一段安が必要だ。今後、FRBは利上げを物価上昇率の範囲内に抑え、実質的なマイナス金利を維持しつつドル安誘導に向かうのではないだろうか。
ドル安になれば世界の景色が変わる。原油市場はドル建てで取引されるため、ドルが下落すれば原油価格は上がる。資源国は原油価格の回復で危機から脱出するだろう。すでに資源国経済の回復を織り込んで資源国通貨が上昇している。
中国の輸出下支え効果も期待できそうだ。人民元の実効レートはドル高に連動して4年間に3割上昇し、競争力を失って輸出が激減した。だが、昨年8月以来、人民元は対ドルで約6%、バスケットレートで約7%下落した。今後、ドル安とともに人民元がさらに下落すれば輸出減少に歯止めが掛かり、中国経済も小康を取り戻すだろう。
世界経済は国際金融危機の後遺症を抱え、いぜん不安定な状況が続く。だが、ドル高の冬将軍が去れば雪解けが始まり、世界景気にも薄日が差すことになるだろう。
(富民)
[日経新聞3月29日朝刊P.19]
相続税の負担を減らす目的で高層のタワーマンションを買うタワマン節税。2015年1月の相続増税を機に需要がかさあげされ「相続税バブル」と評されたが最近は下火になりつつある。首都圏の今年1月のマンション契約率は7年半ぶりの50%台に沈んだ。国税庁と総務省の二段構えの節税策封じがきっかけだ。
高層階の評価額は平均で実勢価格の3分の1どまり(大阪市内のマンション群)
「新規のタワーマンション購入は去年より減った。国の規制強化を心配したお客からたくさん電話がかかってくる」。東京の都心部でマンション売買を仲介する営業マンは浮かない顔だ。
不動産経済研究所(東京・新宿)によると、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で1月に売り出された新築マンションの契約率は58.6%と前年同月より16.3ポイント下がり、市況の好不調の境目とされる70%を2カ月続けて割り込んだ。
契約率を押し下げたのは20階以上のタワーマンションの低迷だ。1月の契約率は32.0%となり過去10年で最低を記録した。2月以降は持ち直し傾向だが、タワマンの契約率が90%を超していた昨年夏ごろとは様変わり。価格高騰に加え「節税に使いにくくなったことが影響した」(不動産業界関係者)。
実勢価格と乖離
タワマン節税のしくみはこうだ。相続税の計算では、1戸あたりの土地の持ち分が小さいマンションは実勢価格より大幅に安く評価される。特に眺望の良い高層階は実勢価格が高いにもかかわらず低層階と同じ基準で評価されるため節税効果が大きい。現金のまま相続するよりも税負担は格段に軽くなる。
「タワーマンション節税」という言葉は不動産仲介を手がけるスタイルアクト(東京・中央)の登録商標だ。沖有人同社社長が14年に出したタワマン節税の指南書は昨年1月からの相続税の非課税枠縮小や最高税率の引き上げでヒット作になった。富裕層向けの節税セミナーには昨年1年間で約2000人が詰めかけた。
だが、沖氏でさえ最近はタワマン節税のセミナーで受講者を集めにくくなった。3月に東京・丸の内で開いたセミナーでは、空き地を高く売る方法など幅広い話題に触れる形にした。関西でも状況は同じ。大阪市内の不動産仲介会社の男性は「『相続税対策になる』とのうたい文句は控えるようにした」と言う。
市場を揺さぶる当局の税制の変化。発端は14年秋に国税庁がひそかに実施した調査だ。全国の20階以上の住戸343物件を調べたところ、評価額は平均で実勢価格のわずか3分の1。「行きすぎだ。看過できない」。分析にあたった松山清人資産評価企画官は昨年秋、全国各局の担当者を集めた。実勢価格と評価額が乖離(かいり)しているケースや取得、相続、売却の時期が不自然に近い場合は追徴課税するよう指示した。
昨年11月には総務省の関係団体が開いた固定資産税の制度改正を議論する有識者検討会で、委員の大学教授が提案した。「タワーマンションは階数で補正をかける方法もあるのではないか」
明確な基準なく
相続税の算定基準となる「評価額」は総務省令で定めている。現在はマンション1棟の評価額を各戸の所有者がそれぞれの床面積で均等に分割するため、階層や日当たりの条件によって差がつかず一律だ。同省はこれを高層階ほど評価額が上がるように見直す検討に入った。早ければ18年にも実施される見通しだ。
ただ、国税庁の指示は追徴課税するかの基準が曖昧で、総務省の制度改正も詳細が決まっていない。税制改正への警戒感が先行している段階だ。
スタイルアクトの沖氏は「ルールが多少変わっても節税になることに変わりはない」と指摘する。「早く明確にしてくれたほうがお客に売り込みやすくなる」と語る不動産大手の幹部もいる。
15年1月からの相続増税は、タワマン節税などの新手の節税策を生み出してきた。タワマン節税封じに納税者はどう動くか。攻防はヤマ場にさしかかった。
(江渕智弘)
[日経新聞3月30日朝刊P.2]
そんな仕組みが必要だと思うような税制は、社会保障制度の維持や充実との親和性はまったくない。
(なお、消費税を負担しているのはグローバル企業を除く事業者で、消費者は負担の一部を転嫁されているだけ)
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首相、消費税積み立て「建設的提案」
安倍晋三首相は29日の参院予算委員会で、納めた消費税の一部を政府が積み立てておき、年金受給時に戻す「消費税マイレージ」の仕組みの導入を求められ「消費を活性化するための建設的な提案だ。事務方にも勉強させたい」と述べ、一定の評価をした。日本のこころを大切にする党の中野正志氏が提案したのに応じた。
[日経新聞3月30日朝刊P.4]
金融危機の後から、株主や規制当局は給与やボーナスに狙いを定めている。不適切な報酬体系が銀行経営者に不要なリスクをとることを促す要因になると考え、それを防ぐため将来の報酬の制限を強く求めている。
JPモルガン、シティグループ、バンク・オブ・アメリカに対する投資家は、上級職員のより多くのボーナスをさらに長い期間――10年もの間――思いがけない損失やまだ発覚していない不正に対する保険として留保することを提案している。
米国の銀行はすでにこうした規則をいくつか導入済みだ。例えば、シティは上級職員に対し、支払い済みのボーナスの返還を求める(クローバック)か、支給前のインセンティブ報酬の取り消し(マルス)を支給(決定)から3年か4年以内に実行することが可能だ。
銀行がさらなる厳格化に異議を唱えるのはいつものことだ。既存のルールでも投資家の提案と同じ目的を達成できると銀行側は主張する。報酬の凍結期間を延長し厳格にすれば、採用や従業員の維持に支障をきたす。
不適切な管理の結果が発覚し調査が及ぶまでには何年もかかる。HSBCのスイスのプライベートバンキング部門による脱税指南スキャンダルが完全に暴かれるまでには8年を要した。英国の銀行による支払補償保険の不正販売は明らかになるまで20年以上かかった。
こうした事例に比べれば、クローバック期間を10年に延ばすのは妥当に思える。例えば、英規制当局は、上級管理職に対する調査が元のボーナス支給から7年以内に開始された場合はクローバック期間を3年延ばし、10年にすると定めている。
米規制当局はすでに米国の銀行の報酬支払い制限について、通常3年であるクローバックと取り消しのさらなる期間延長を検討している。実現すれば、ボーナスの50%を繰り延べることもできるようになる。英中央銀行のイングランド銀行は、銀行役員の転職の際に新たな雇用主が転職で取り消された報酬を穴埋めする「ボーナス・バイアウト」を防ぐため、規則を厳格化したい考えだ。
(29日付、社説)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
[日経新聞3月30日朝刊P.6]
米欧などの制裁解除を受け原油増産に向けて動き出したイランが出荷価格を引き下げている。通常は四半期ごとに価格を決めているが、3月積みでの異例の値下げにより制裁で失ったシェアの回復を急ぐ。主要産油国による増産凍結の動きを受け、原油価格はひとまず底入れしている。イランは増産姿勢を崩さず、上昇幅を抑える要因となっている。
イラン産原油は通常、競合するサウジアラビア産を基準に増減額を設定し出荷価格を決める。代表油種の一つである「イラニアンヘビー」も類似油種のサウジ産「アラビアンミディアム」が基準になる。
米情報会社プラッツによると、「イラニアンヘビー」は2015年通年でサウジ産より0.06ドル前後安かった。制裁解除後の1月以降、イランは値下げに動き1〜2月は0.1ドル安、3月に0.2ドル安とした。四半期の途中で変更するのは異例だ。この水準までサウジ産と価格差が広がるのは08年12月以来という。
イランは1月に核問題による米欧の経済制裁を解かれ、再び自由に原油を輸出できるようになった。直ちに日量50万バレルの増産を決定し、さらに50万バレルの上積みを掲げ制裁下で失った市場シェアの回復を急ぐ。疲弊した国内経済を立て直す財源として、原油輸出を伸ばすのが緊急の課題だ。
制裁解除後にまず、地理的に近い欧州への輸出に動いた。アジアでも売り込みに力を入れている。
原油の国際価格は年明け後に反発。指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は2月の1バレル26ドル台を底に一時41ドルまで回復した。サウジアラビアやロシアなど4カ国が他の産油国が同調することを条件に、増産凍結に向けて合意した影響が大きい。
底入れ感は広がっているものの、1バレル100ドルを超えていた2年前に比べると半値以下。依然として低い水準の値動きとなっている。米国のシェールオイルの減産のペースが鈍いことや、イランの増産など供給過剰の懸念が払拭されない。
4月17日にも産油国が再び集まり生産凍結を協議する見通しだ。サウジやロシアに加え他の産油国も参加し増産凍結で合意が広がる可能性がある。ただイランのザンギャネ石油相は産油量が日量400万バレルに達するまでは増産凍結に加わらない考えを表明。生産量を戻し販路を確保することを優先させる方針だ。
イランは2005年に日量388万バレルの原油を生産し、石油輸出国機構(OPEC)内で2位の約13%のシェアを占めていた。制裁により15年の生産量は290万バレル弱まで減少、シェアも約9%まで下がっていた。
日本は05年に13%あったイラン産のシェアが15年は約5%に低下している。石油連盟の木村康会長(JXホールディングス会長)は「安定供給と経済性のバランスを考えて、検討したい」と述べ、調達先の多様化にイラン産原油は役立つとみる。
[日経新聞3月30日朝刊P.20]
朝鮮半島を舞台に先鋭化する南北対立下で韓国が繰りだす強攻策が、ときに米国や日本をも驚かせる。主導するのは朴槿恵(パク・クネ)大統領。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記との間で強烈な個性がぶつかり合う。朴氏を駆り立てるものは何か――。
「無謀な挑発は自滅の道だ。北が思い知るまで断固として対応する」。25日、韓国中部の大田(テジョン)。北朝鮮による過去の事件の犠牲者らを前に朴氏は今後も強い圧力をかけていくと宣言した。14日夜には在外公館長167人を青瓦台(韓国大統領府)に集め、対北朝鮮制裁の完全履行に最善を尽くせと檄(げき)を飛ばし、30日午後、米ワシントンでの核安全保障サミット出席のためソウルを飛びたった。
「怒り」は1月6日に始まった。4回目の核実験強行に「必ず代価を払わせる」と宣言。1カ月後に長距離弾道ミサイルを発射されると、最近の韓国政権では半ば禁句となってきた北朝鮮の「体制崩壊」を口にした。
交渉相手として正恩氏を見限ったのだろう。韓国企業への打撃を覚悟で、北朝鮮内の開城工業団地の操業中断にも踏みきった。これまで北朝鮮からどんな挑発を受けても守り続けてきた最後の交流の門を閉ざした。
両親暗殺が影響
「これだ」と決めたら突き進む。大胆な言動は絶対権力者の家庭に生まれ育ち、その後、両親ともに暗殺され、自らも選挙の応援中に暴漢に襲われた類いまれな壮絶な人生とも無縁でない。
原点を政界入りする前の1989年の発言に見いだすことができる。この10年前に起きた朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の暗殺後、ひっそりと暮らしていた朴氏が久々にメディアに姿をみせた。父が主導した61年の軍事クーデターへの批判に「国が無くなる危機で民主主義を中断させるという話がどうして出てくるのか理解できない」ときつく反論。父の「革命」が北朝鮮から祖国を守ったと一心に擁護した。
父暗殺の5年前に父狙撃の流れ弾で実母を失った事件を、韓国は背後に北朝鮮の指令があったと断定した。北朝鮮をめぐる「因縁」が朴家に深く刻まれている。
大学で当時の女子学生には珍しい電子工学を専攻した。「専門性」が原則主義の行動に投影しているとの指摘もある。独身を貫き「国と結魂(婚)した」と話す。27歳のとき、父暗殺の悲報に接し、真っ先に口にしたのは「前方(軍事境界線)に異常はありませんか」。北朝鮮の侵攻を警戒したのだ。
外交のあつれきも辞さない。韓国が8日に発表した独自制裁「北朝鮮に寄港した船舶の180日間の韓国入港禁止」にロシアは眉をひそめたに違いない。ロシア産の石炭を北朝鮮の港に陸路で運び、船に積み替えて輸出する事業を韓国向けにはできなくなるためだ。
同事業の推進は朴氏がプーチン氏と決めた首脳合意だ。将来、朝鮮半島を縦断する鉄道やガスパイプラインの建設で朝鮮半島への権益拡大を狙うロシアがこだわり、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議でも例外対象にさせたほど。韓国の措置はプーチン氏を袖にした形となった。中国に対してはそれ以上だ。地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の在韓米軍配備に向けた米韓協議入りを決断し、中国政府の猛反発を浴びた。
裏切り許さない
微笑を浮かべた表情と敵味方を峻別(しゅんべつ)する手法に「氷の王女」の異名がある。「非朴派」の与党幹部が、野党と連携して大統領権限を制約する法改正に動くと、朴氏は「裏切りの政治」と激しく非難し、辞任圧力をかけた。4月13日投開票の総選挙の与党候補者選定でも非朴派の冷遇が際だった。
敵に容赦ない朴氏を北朝鮮は「老いぼれた雌犬」などと連日、口を極めて非難し、「朴槿恵逆賊一味を除去する報復戦に入る」と威嚇する。15日、正恩氏は近く核弾頭爆発実験と弾道ミサイル試験発射を実施すると予告した。国際社会の圧力に徹底抗戦の構えだ。
正恩体制の「業績」が並べられる朝鮮労働党大会は5月初旬。少なくともそれまでは朴氏の怒りがやみそうにない。
(ソウル支局長 峯岸博)
[日経新聞3月31日朝刊P.2]
[迫真]苦闘する野党
(1)「政権倒す塊がいる」
28日午前、国会内の旧民主党控室に木製の看板がかかった。毛筆で「民進党」の文字。代表の岡田克也(62)は「さあやるぞ、という感じだ」と意気込みを語った。国会対策委員長に就いた安住淳(54)も国対委員室に看板をかけ「看板倒れに終わらないようにがんばる」と笑顔を見せた。
民進党が27日に都内のホテルで開いた結党大会は、祝賀ムード一色とはいかなかった。旧維新の党代表の松野頼久(55)は壇上で民主党との合流の経過説明を終え、言葉を継いだ。
「維新は弱小政党のくせに『党名を変える』とか『解党だ』とか失礼なことを申し上げた。すべて政権を狙うためという思いで、お許しいただきたい」。異例のおわびは合流に至る激しいやりとりをうかがわせた。
□ □
2012年12月の衆院選で民主党が野党に転落した後、二大政党の一翼を再構築する動きは進まなかった。今回の合流のベースになったのは、岡田と旧通商産業省の3年後輩で旧知の仲である維新前代表の江田憲司(59)とのパイプだった。
江田はかねて政界再編を訴え、岡田に「清水の舞台から飛び降りてください」と促した。岡田は「自分は1990年代にそんなことはやり尽くした。もう再編は一切やらない」と繰り返した。
変化が起きたのは昨年夏。政府は安全保障関連法案の早期成立に動き、野党に焦りが強まった。
岡田は7月30日、都内のホテルのバーに江田を呼び出した。「一緒に新党をつくろう」。江田は変化に驚いた。だが提案には続きがあった。「ただし大阪系の議員を分党させてください」
民主内には安倍政権との協力姿勢をにじませる維新の最高顧問、橋下徹(46)に近い議員への不信感が根強かった。江田は「切らなくてもいいじゃないですか。うちとしてはのめない」と拒んだ。岡田は8月4日に江田や松野と会い、改めて思いを伝えた。「民主と維新が1つになってまとまらないと自民党には対抗できない」
維新内では民主党との協力を探る松野らと、国対委員長の馬場伸幸(51)ら大阪系議員が対立。8月末に分裂状態に陥った。岡田が求めた環境は整ったが、今度は分裂騒動で協議が停滞した。
岡田は松野らとの話し合いと並行し、民主内の調整を本格化する。しかし、ここでも解党に慎重な幹事長の枝野幸男(51)らリベラル派と、新党を求める元外相の前原誠司(53)ら保守派との板挟みとなる。
岡田は周辺に「民主党の解党は500近い地方組織を解散し、収支を締めるなど手続きが煩雑だ」と漏らし、解党は困難との判断に傾いていく。
協議は越年し、今年2月に入っても停滞した。松野が「このままならうちは共産、生活、社民と一緒に民主抜きでやりますよ」と迫ると、岡田は「これで決裂すれば互いに打撃が大きい」と一段の譲歩を促した。
両党の解党にこだわっていた松野が江田に「形式よりも党名の一新のほうが国民の目に新しく映る」との考えを伝え、最終的な活路が開けた。維新を民主が吸収する代わりに、民主が党名を変更する――。2月23日に大筋合意にこぎ着けた。
旧民主内には党名変更や出戻り組への不満がくすぶる。党名変更に反発し、寺田学(39)は合意の直後に広報委員長の役職辞任届を提出した。前首相の野田佳彦(58)は3月上旬、寺田をこう諭した。「お前の気持ちは分かるよ。でも安倍政権を倒す塊をつくらないといけないんだ。我々は魂を売ったわけではない」
□ □
結党大会を2日後に控えた25日夜、国会近くのホテルの日本料理店。「およそ1カ月で何とかここまでこぎ着けることができました」。岡田は前代表の海江田万里(67)や元農相の鹿野道彦(74)ら党顧問に経過を報告した。岡田はノンアルコールビールを手に珍しく高揚していた。
海江田が「衆参同日選になってもいいんじゃないか」と水を向けると、岡田は「その可能性は十分ある。まずは4月の2つの衆院補選に勝つ」と決意を示した。
民主党政権の負の遺産に区切りをつけ、非自民勢力を結集する新たな受け皿がようやくできた。しかし有権者の支持を得る政策や選挙体制づくりはまだスタートラインに立ったにすぎない。
(敬称略)
◇
民進党が始動した。衆参同日選もささやかれる中、「自民1強」の現状を変えようと苦闘する野党の動きを追う。
[日経新聞3月29日朝刊P.2]
(2)「あくまで始まりだ」
民主党と維新の党が合流で大筋合意した2月下旬。元外相の前原誠司(53)は国会内の一室で代表の岡田克也(62)と向き合った。前原は「よくここまでやっていただきました」と語りかけ、「これはあくまで野党再編の始まりですよ」と念を押した。岡田は淡々と「自分もそう思っている」と応じた。
前原はかねて「1強多弱」の現状打破に向けて、幅広い勢力が参加した新党結成を岡田に促してきた。「何を自民党との対立軸にするかの旗を掲げれば、好き嫌いなくその大義の下に集まれる」というのが持論だ。
昨年11月初旬、東京・銀座のバーに前原ら保守派の3人が集った。「年明けに通常国会が始まると新党どころじゃなくなる。年内にやらないとなあ。岡田さんに伝えるよ」。前原は気脈を通じる政調会長の細野豪志(44)、元防衛副大臣の長島昭久(54)と申し合わせた。
しばらくして前原は岡田に会い、決断を求めた。「仮に何もしなければ参院選は厳しい結果になる」と迫る前原に、岡田は「名前だけ変わっても仕方がない。最後は任せてほしい」と真意を明かさなかった。
同じ保守派でも前首相の野田佳彦(58)は、維新代表の松野頼久(55)らに複雑な思いを抱いていた。昨年夏、野田は岡田や維新前代表の江田憲司(59)らと意見交換した。「互いに解党して過去と決別し、新党をつくろう」と促す江田に、野田は「江田さんが代表ならいいが、松野さんならちょっとな」と漏らした。2012年夏、野田政権が決めた消費増税に反対して離党した経緯があるためだ。
今年1月30日、岡田が「新党結成も選択肢」と宣言した民主党大会の夜、野田は貸し切りにした東京・銀座のジャズバーに自身が率いる「花斉会」メンバー約15人を集めた。「誰より民主党に思い入れがあるのが岡田さんだ。その岡田さんが言うんだから支えようじゃないか」。維新の「出戻り組」の合流を認める考えを伝えた。
不満はくすぶっている。民進党は幹事長の枝野幸男(51)らリベラル系が執行部に残り、政調会長だった細野は外れた。結党大会後、細野は「ちょっと左に寄りすぎだが、執行部はこれで勝負する覚悟を決めたんだろう。俺はしばらく黙っているよ」と漏らした。
民進党はこれから7月の参院選の公約作りを本格化する。安全保障政策などを巡って摩擦が強まる恐れはある。
(敬称略)
[日経新聞3月30日朝刊P.2]
(3)「選挙はギブ&テーク」
2月16日昼、国立国会図書館の一室。共産党委員長の志位和夫(61)が社民党党首の吉田忠智(60)に語りかけた。「民主党はこちらが候補を降ろすのを当然だと思っていませんか。本来はいくつかの選挙区で少数政党に気を使うべきです」
「自民1強」に対抗するため7月の参院選で候補者調整を求める共産に民主はつれない態度をとり続けた。志位はこうも話した。「選挙協力はギブアンドテーク。候補者を降ろして一本化するには大義名分がいります」。吉田は「当然のことですね」とうなずいた。
他党と一線を画してきた共産が現実路線にカジを切るきっかけは、2014年の衆院選だ。改選前の8から21議席に躍進したが、与党が計326議席と圧勝。勢いを得て昨年、安全保障関連法の成立に動いた。「うちが躍進しても安倍政権が多数を握り続けては意味がない」。志位は危機感を募らせた。
昨年9月18日、安保法成立の直前に内閣不信任案の共同提出で一致した野党5党の党首会談。「もしこれが通ったら出した人で政権をつくるんですよ」。志位の言葉にどよめきが広がった。法成立を受け、志位は同法廃止をめざす連立政権「国民連合政府」構想を打ち出した。
共産の積極姿勢に民主では警戒感が広がった。
元防衛副大臣、長島昭久(54)は10月、民主代表の岡田克也(62)に「うちにプラスになりません。利用されるだけじゃないですか」と慎重な対応を促した。安保政策などで溝が大きく、安易な協力は野合批判を強めかねない。党内には「実質的に選挙協力を得られればそれでいい」と考える議員が多い。
今年2月19日、共産は安保法の廃止法案を民主を含む野党5党で共同提出した。志位は協力の環境が整ったと判断し、「国民連合政府」構想を脇に置いて32ある1人区の大半で候補を取り下げる考えを表明した。
「立てないで待っているのに」。民進党の結党を2日後に控えた3月25日、共産党書記局長の山下芳生(56)は野党幹事長会談で、衆参同日選を視野に次期衆院選でも秋波を送った。だが民主幹事長の枝野幸男(51)は「どうぞ立ててください」とそっけなかった。
共産は28日、衆院選の候補者擁立を進める方針を確認した。「人のよい対応をしすぎた。でも共闘関係は崩れない」。共産内は民進への不満と期待が入り交じっている。
(敬称略)
[日経新聞3月31日朝刊P.2]
(4)「統一名簿が必要だ」
3月2日夜、東京・北青山の日本料理屋「浅田」。生活の党共同代表の小沢一郎(73)が日本酒を片手に民主党代表、岡田克也(62)に訴えた。「参院選は統一名簿で戦うべきだ。野党がもっと大きな塊をつくり、国民の期待に応えないといけない」。岡田は「党内事情もあるのでちょっと難しいんです」とつれない返事だった。
小沢は2日後、国会近くで社民党幹事長の又市征治(71)と向き合った。口にしたのは民主への強い不満だった。「このままだと消費増税を再延期し衆参同日選をぶつけてくるぞ。『オリーブの木』をやらないと勝てない。それなのに民主党という政党は誰も判断しない」
「オリーブの木」はイタリアの政党連合にならって中道・左派勢力を結集させる構想だ。複数の政党で比例代表の統一名簿を作れば、生活や社民も存続できる。衆参合わせて5議席の生活は7月の参院選で改選2議席を維持できないと、政党交付金を得る政党要件を失う。
今年の元日、東京・深沢の私邸で開いた恒例の新年会。かつて100人超の国会議員を集めた会への今年の現職の出席者は約10人だった。小沢は最近「必ずしも合流せにゃならんちゅうわけじゃない。野党の協力体制がしっかりできることが国民の感動を呼ぶんだ」と周囲に語った。
参院選に党の存亡がかかるのは社民党も同じだ。3月上旬、国立国会図書館。机の上にお茶だけが置かれた部屋で、党首の吉田忠智(60)は民主代表の岡田に直談判した。「参院選を統一名簿で戦えませんか」。岡田の答えは「統一名簿をつくるのは新党をつくるのと同じ。衆参同日選になると統一名簿はできません」とにべもなかった。
社民党は2013年参院選で比例代表の1議席しか得られず、比例の獲得票は10年参院選からほぼ半減した。党幹部は「現在の実力では次の獲得議席はゼロだ。国政政党としては消滅だ」と危機感を募らせる。
党最大の支援労組、自治労の幹部は2月上旬、又市に民主と維新の党の合流について「社民党も協議に加わるべきだ」と促した。又市は「参院選までに地方組織の合意を取り付けられない」と首を横に振った。
生き残りを懸けたさらなる野党再編はあるか。「岡田さんが本気なら私も決断する覚悟がある」。吉田は最近、周辺に語ったが大同団結への道筋が見えているわけではない。
(敬称略)
[日経新聞4月1日朝刊P.2]
(5)「橋下さんがおらんと…」
3月7日、東京・平河町の都市センターホテルの会議室。おおさか維新の会の法律政策顧問、橋下徹(46)が憲法プロジェクトチームの会合で持論をまくし立てた。「教育の無償化は憲法に明記すべきだ」「憲法26条のこの単語はおかしい」
約20人が出席。2時間超に及んだ会議で橋下の存在感は圧倒的だった。「まず3分の2を取ろうじゃないか。中身の調整や妥協はその後でいい」。憲法改正が発議可能な参院勢力の形成へ与党との協力も訴えた。
橋下は昨年5月、大阪市長として命運をかけた大阪都構想の住民投票が反対多数となり、政界引退を表明した。
橋下が率いた維新の党は野党再編をめざす代表の松野頼久(55)らと、安倍政権との連携に意欲的な大阪系の対立が激化。橋下は10月末、盟友の大阪府知事、松井一郎(52)や片山虎之助(80)とともに約20人の国会議員でおおさか維新を旗揚げし、松野らとたもとを分かった。
大阪府知事・市長ダブル選挙でおおさか維新が勝利した直後の11月末、東京・赤坂の居酒屋。幹事長の馬場伸幸(51)と国会対策委員長の遠藤敬(47)は12月の橋下引退を前に党の先行きを案じた。「ここで踏ん張らなあかん」「役割分担して頑張ろう。それがでけへんかったら党がしんどくなる」
同党は野党共闘とは一線を画し、安倍政権に「是々非々」で臨む。だが年明けの通常国会では存在感が低下し、他の野党から「野(や)党でも与(よ)党でもないどっちつかずの『ゆ党』だ」と批判の声が漏れる。
首相官邸は野党分断の思惑もあって改憲志向のおおさか維新に秋波を送る。「橋下さん、どうするの?」。2月初旬の夜、官房長官の菅義偉(67)は馬場と遠藤に皇居近くで中華料理を食べながら尋ねた。「出たら面白いのにね。でも参院選には出ないか」。遠藤が「直接言うてくれたらいいじゃないですか。僕らが言うより効きますよ」と応じると菅は笑顔をみせた。
馬場は自らに「橋下さんがおらんと『維新スピリッツ』は実現でけへん。しばらく自分らだけで選挙を勝ち抜き、戻ってくるまでに基盤を固めておくしかない」と言い聞かせる。与野党それぞれとの距離感とあわせ、「橋下頼み」からの脱却が当面最大の課題だ。
(敬称略)
永沢毅、宮坂正太郎、飯塚遼、学頭貴子、林咲希が担当しました。
[日経新聞4月2日朝刊P.2]
久保文明 東京大学教授
現在、米国中のエリートや知識人が頭を抱えていると言って過言ではない。ドナルド・トランプ氏は共和党の大統領候補指名争いで明らかに優位に立っている。全く政治経験のない人物が、いきなり大統領の座をうかがおうとしている。昨夏に同氏の支持率が上昇して以来、米国で高名な政治評論家のほとんどがトランプ氏の失速を予想してきたが、ことごとく外れてきた。
同氏は共和党内でどんな有権者からどんな理由で支持されているのか。3月15日のフロリダ州での共和党予備選挙の出口調査を例にとる。トランプ氏は46%を獲得し、同州出身のマルコ・ルビオ氏(27%)、テッド・クルーズ氏(17%)、ジョン・ケーシック氏(7%)に大差を付けた。ルビオ氏は直後に撤退した。
トランプ氏は高卒以下の有権者で46%、若干の大学教育を受けた層で54%を獲得。大卒者の46%、大学院修了者の35%の支持も得ており、もはや低学歴層の候補とは言えない。所得やイデオロギーの違いでみても結果に大きな差はなく、党内すべての有権者集団で強みを発揮している。
世俗派のトランプ氏は、宗教保守層を基盤とするクルーズ氏も圧倒した。有権者が重視する争点では、移民と答えた層(全体の12%)でトランプ氏は60%という高い支持を獲得。経済・雇用、テロ、政府支出などを重視する有権者でも40%以上の支持を得た。
特にトランプ氏支持の特徴が浮かび上がるのが、候補者の特色についての回答だ(表参照)。「率直に発言する」(23%の有権者が重視)ではトランプ氏が80%を獲得。「変化を実現できる」(同28%)では52%、「当選可能性」(同10%)では51%を得ており、「自分と価値観を共有」(同34%)でルビオ氏に首位を譲ったにすぎない。
次の大統領は「経験ある政治家」(40%が同意)か「エスタブリッシュメント(支配階級)の外から」(同52%)かという二者択一では、後者でトランプ氏が74%の支持を得る一方、前者でルビオ氏が51%を獲得。また、イスラム教徒の一時的入国禁止措置については64%の回答者が賛成し、26%が反対しているが、賛成者の中でトランプ氏は59%の支持を受け、反対者ではルビオ氏が42%を得た。
米国政治では大富豪のイメージが日本と異なっている。社会的成功者とみられるだけでなく、トランプ氏が政治献金に頼らず、自己資金で選挙戦を展開していることが評価されている。彼には、利益団体から政治献金をもらわずに済む、だから大きな変革も実現できると多くの人は期待する。ちなみに無数の小口献金に頼る民主党のバーニー・サンダース氏の選挙戦も、似た評価を獲得している。
歯にきぬ着せぬ物言いも、支持者にとってトランプ氏の大きな魅力である。メキシコからの不法移民には麻薬中毒者や犯罪者が含まれていると語り、その公約の柱はメキシコとの国境に壁を築きその費用をメキシコ政府に支払わせるというもので、極めて単純明快である。差別や偏見に反対する「政治的な適切さ(political correctness)」には意図的に挑戦している。
3月22日のブリュッセルの連続テロの際にも、「オバマ米大統領その他全員が政治的適切さにこだわりすぎるためにテロリスト集団は育ってきた」とツイートしている。
トランプ旋風の土壌として経済の停滞が一つの原因なのは間違いない。1999年から米国の家計の実質所得の中位値は上がっていない。ただし、これらに加えて共和党に特有の理由も存在する。
より直接的な理由は不法移民問題である。現在米国には1100万人以上の不法移民が存在すると推測される。彼らへの反発は、中低所得者層に限らず、より広く共和党支持者に拡散している。
2005年末、共和党多数の連邦議会下院はほとんど共和党のみの賛成票で、すでに国内に居住する不法移民とその家族に対する罰則の強化、メキシコとの国境に新たに障壁を追加・新設することなどを主な内容とする法案を可決した。これは廃案となったが、この一件はすでに10年前からトランプ氏に近い案が共和党下院議員団により強く支持されていたことを示している。
そのような中で、09年に保守派草の根運動「茶会(Tea Party)」が台頭した。税金を使っての金融機関救済および皆保険化を目指すオバマケアへの反発を中心に訴え、翌年多数の新人議員を共和党から当選させた。茶会は党内予備選挙を通じて、多数の有能なベテラン現職議員に挑戦し落選させた。代わって当選した新人議員には、政治経験を持たず、品位を欠き、現実離れした極端な政策を語るものが多数含まれていた。
共和党の既成政治に対する茶会の反乱は、トランプ現象の前触れであった。ただし、茶会はより徹底した限定政府を求める方向に導かれていたが、そこに滞留した怒りは現在トランプ氏により、不法移民、共和党指導部、連邦政府に向けられている。これまでの共和党指導者は選挙で聞こえのよい公約をしてきたが、当選後には不法移民取り締まりも含めて、約束をほとんど実現していないと多くの共和党員は感じ、怒っている。
トランプ氏の台頭は共和党にとって危機である。限定的政府、信仰重視、積極的な外交といった党が立脚する原理と価値観を覆しかねない。同時に、共和国アメリカにとっても危機であろう。民族的多様性の尊重など、米国が立脚する価値観を脅かしている。
さらに言えば、トランプ氏は国際秩序にとっても脅威だろう。国際社会での米国の権威が失墜することは確実だ。日米安全保障条約についても事実誤認と思い込みから不公平性を語り、米軍撤退の脅しをかけている。中国についてもレトリック(修辞)は強硬だが、中国を人権問題あるいは安全保障上の脅威として語ることはほとんどない。
そもそも、日中両国について同盟国と非同盟国の区別をしない国際情勢認識は奇異である。トランプ氏は外交についての原則を、通商問題を除くと持たず、基本的にお金で妥協可能だと考えている。
トランプ氏の共和党候補者指名獲得の行方はどうか。獲得代議員が過半数に及ばない可能性はあるが、今や党指導部や候補者の代議員統率力は大きくなく、指名阻止は容易でない。本選の仮想レースについての世論調査では民主党候補が優位に立っているが、トランプ氏は共和党地盤州を固めたうえ、無党派・民主党の白人労働者層に浸透することにより、ペンシルベニア、オハイオ、ミシガンなどの州で善戦する可能性もある。
民主党側にも不安要素がある。例えばCBSニュースの調査では「好感がもてない」という非好感度で、トランプ氏は57%だがヒラリー・クリントン氏も52%だ。トランプ氏の敗北は確実ではない。
トランプ現象はヒスパニック系に対する偏見に訴えて成長してきた。それはエリート層や既成政治家、「政治的な適切さ」に対する、怒れる非エリート層による大規模な反乱だった。現在共和党エリート層の一部もトランプ氏支持になびいている。08年の大統領選挙では米国はオバマ氏を当選させて寛容な顔をみせたが、今年は異なる側面をみせつつある。われわれは、どちらも米国の素顔の一部であることを認識せねばならない。
ポイント
○トランプ氏はあえて政治的適切さに挑戦
○経済停滞や不法移民問題が支持の背景に
○同盟国と非同盟国を区別せぬ認識は奇異
くぼ・ふみあき 56年生まれ。東京大法卒、同大法学博士。専門は米国政治
[日経新聞3月31日朝刊P.37]
渡辺将人 北海道大学准教授
米大統領選挙では、民主党予備選挙でバーニー・サンダース氏が格差是正、環太平洋経済連携協定(TPP)反対を訴える、社会運動的な戦いを繰り広げている。「民主社会主義者」を自称する同氏の指名獲得は非現実的とされながらも、民主党の左傾化を促すという出馬の狙いは部分的に達成しつつある。
民主党内には3〜4割のリベラル層が存在し、彼らの不満を代弁する挑戦者の「市場」が常にある。今回の特徴は政党と距離を置いてきた独立系候補が党内に侵食していることだ。2008年の時のイラク戦争のような決定的争点の不在も、外交に無関心なサンダース氏に有利な「格差選挙」の展開を助長した。クリントン政権のライシュ元労働長官のサンダース氏支持は党内に衝撃を与え、経済ポピュリズムが選挙戦で共通語化した。
影響は外交にも及んでいる。1年前にオバマ政権が共和党議会指導部と超党派で、TPP合意に不可欠な大統領貿易促進権限(TPA)成立を目指した際、一括審議された貿易調整援助(TAA)法案が下院で否決された。妨害した下院民主党の狙いは時間稼ぎにあった。米議会はTPA法案通過に2カ月を浪費、TPP法案批准前に大統領選挙が到来してしまった。選挙が本格化すれば、候補者も法案反対を表明せざるを得ず、政権の批准能力は低下する。
案の定、国務長官としてはTPPを推進したヒラリー・クリントン氏も協定の大筋合意直後、否定的見解を示した。
組織票を持つ労働組合、環境団体、消費者団体がTPP反対運動をけん引する中で、サンダース氏への票の流出抑制、党内リベラル派の特別代議員囲い込みの要請上、やむを得ない面があった。ヒラリー氏は、アジアでの影響力を発揮するには、まずは中間層の雇用安定と国内経済の再構築が先決と述べ、アジア重視の撤回ではないことを示唆している。だが民主党内には方向性を不安視する声もある。
今回の選挙では、両党で一定の政党再編の兆候がみられる。共和党側では、ドナルド・トランプ氏の支持者が共和党の多数派となれば、党の性格を巡る再定義は不可避だろう。一方、民主党で問われるのは、ヒラリー氏が夫のクリントン政権の路線を受け継ぐのか、新たな中道的リベラル路線を開拓するのかだ。
1980年代末以降、民主党内では穏健派とリベラル派が激しい主導権争いを繰り返した。伝統的に民主党は保護貿易主義に傾斜しがちだったが、経済成長と国際的競争力を重視する穏健派「ニューデモクラット」は超党派で自由貿易を築こうとした。その立役者がビル・クリントン氏だ。
同氏の政権は緊縮財政、規制緩和による経済の安定成長で税収増を実現し、98年には財政収支の黒字転換を成し遂げた。94年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)では米国、カナダ、メキシコの加盟3カ国間で関税を10〜15年で撤廃することも決めた。
だが00年代半ば以降「ニューデモクラット」は、同派幹部がイラク戦争を支持したことで党内発言力が低下する。ペロシ下院議長就任、オバマ政権誕生、金融規制に厳しいエリザベス・ウォーレン氏の上院当選など、リベラル派が勢力を拡大させた。サンダース旋風もリベラル派の巻き返しの延長線上にある。NAFTAの成果に関しても米国内では否定論がくすぶり、TPP反対運動の温床となった。
皮肉であるが、ヒラリー氏は夫の政権とその主要成果を堂々と擁護できない空気の中で選挙戦を強いられている。
ただ、興味深いことに自由貿易自体には肯定的な民主党支持者が増えている。民主党予備選挙に投票予定の有権者を対象にしたピューリサーチセンターの調査では、貿易協定を拡大する候補者を45%が「支持する見通し」と答え、「支持しない見通し」は19%にとどまる(表参照)。2年前の同センター調査でも、民主党支持者で「貿易は望ましい」との回答が71%、「TPPは望ましい」も59%だった。
理念としては民主党支持者の多くも貿易協定に肯定的認識を示しており、保護貿易の政党という印象とは異なる実像も垣間見える。自動車産業救済という政治遺産があるオバマ政権は、この潮流をうまくとらえて、米韓自由貿易協定(FTA)を発効させた。
しかし同調査の個別の質問をみると「貿易は雇用を生む」への同意は19%、「貿易は賃金を上昇させる」への同意も14%だけだ。貿易の効果、とりわけ雇用や賃金に及ぼす影響には相当な不信感がある。同項目は共和党支持者でも24%(雇用)、21%(賃金)と低い。保護主義的なトランプ氏の台頭とも、ある程度の因果関係があるかもしれない。
「15年間も賃金と所得が停滞したままで、広範囲の貿易自由化を売り込むのは困難。NAFTAや対中最恵国待遇延長の実現当時は、自由貿易は賃金を上げると言えば国民は信じた」と民主党穏健派の関係者は回顧し、90年代との環境変化を強調する。左旋回を加速するヒラリー氏は今やTPPのみならず、カナダからテキサス州に原油を運ぶキーストーン・パイプラインの建設にも反対姿勢を示している。銃規制や安全保障以外ではサンダース氏と政策上の違いが一層小さくなっている。
そもそも一枚岩として理解されがちだった「クリントン」派は、実は内政ではヒラリー派とビル派に分化しているとの見方もある。元クリントン大統領補佐官のM・ラックス氏は、ビル派すなわち「ニューデモクラット」を、人工妊娠中絶にも同性愛にも寛容で社会争点ではリベラルだが、ウォール街やワシントンのロビイストには親和的と分類する。一方、環境団体や労働組合と接近するリベラル寄りのヒラリー派を「リベラル派エスタブリッシュメント(既存体制)」として区別する。
ワシントンの穏健派有力者の中には、ヒラリー氏の政策シンクタンクとされる「アメリカ進歩センター」の政策は、自由貿易路線の「ニューデモクラット」と温度差があるとの解釈も皆無ではない。「左傾化」が一過性でなく、新型のリベラル路線の芽生えならば党内勢力図の転換につながる。ヒラリー氏はリベラル派と穏健派双方の理解を得るべく、二正面の党内説得という未曽有の努力を求められる。
ヒラリー陣営にとって、トランプ氏を相手にする場合の不透明さも課題だ。労組系の米民間団体「ワーキング・アメリカ」の1月調査では、民主党支持層の4分の1がトランプ氏支持を表明するとの衝撃的な結果が報告された。
ヒラリー陣営は経済ポピュリズム路線を継続するようだが、「雇用に資する貿易協定」の論理を売り込めなければ、白人労働者票の民主党外への流出を食い止める決定打にはなりにくいだろう。国民皆保険、反TPPを唱えるトランプ氏とは差異化しにくい面もある。移民政策は対立軸になるが、労働者層の失業不安をあおるリスクと表裏一体だ。
本選挙では無党派票獲得に向け、中道回帰するのが常だ。だがトランプ氏のように政策的に民主党と重複する候補の場合、過去の法則が妥当との保証はない。史上まれにみる経験の厚みを誇る大統領候補のヒラリー氏だが、夫の政権をどこまで継承し、どこを否定的に修正するのか。典型的保守派ではないトランプ氏とどう差異化するか。党内外で二重の難問を背負っている。
ポイント
○ヒラリー氏もTPPに否定的見解へ転換
○サンダース氏と政策上の違い一層小さく
○クリントン派は内政では分化との見方も
わたなべ・まさひと 75年生まれ。シカゴ大修士。早大博士。専門は米国政治・外交
[日経新聞4月1日朝刊P.27]
[時事解析]黒田日銀の緩和策3年
(1)実質金利低下を重視 市場や経済を刺激
黒田東彦総裁率いる日銀が2013年4月4日に量的・質的緩和政策の導入を決めてからまもなく3年になる。14年10月31日には追加緩和に踏み切り、16年1月29日にはマイナス金利付き量的・質的緩和政策への衣替えも決めた。
黒田日銀のもとでの緩和政策の効果波及メカニズムは、「実質金利を押し下げることを起点とする」(15年4月公表の日銀レビュー「『量的・質的金融緩和』 2年間の効果の検証」)とされてきた。マイナス金利導入後も「政策の効果の本質は実質金利の低下」(黒田総裁)だという。
実質金利は予想物価上昇率を考慮した金利だ。例えば名目金利が1%でも、人々が予想する物価上昇率が2%なら、実質金利ベースでは前者から後者を差し引いたマイナス1%に下がる。インフレ期待が強まり将来の所得増加予想が広がれば、実質的な金利負担感は軽くなり緩和効果が生まれるという理屈だ。
実質金利を下げるための要素は2つある。第1が名目金利の引き下げ。そのためにマネタリーベース(資金供給量)を大幅に増やす巨額の長期国債購入(年間80兆円の保有残高増加)と銀行から預かる日銀当座預金の一部金利のマイナス化を実施してきた。第2がインフレ期待の刺激であり、2%物価目標を、2年程度を念頭に置き早期に達成する決意を強調してきた。
2つの要素の合わせ技で実質金利を下げ、市場環境の好転や実体経済の刺激を通じて、物価に上げ圧力を加える。これが黒田日銀の緩和策の基本的なメカニズムである。
(編集委員 清水功哉)
[日経新聞3月28日朝刊P.17]
(2) 一時、円安・株高に 年明け以降は反転
黒田日銀が重視する実質金利低下は実現したのか。まず長期金利(新発10年物国債利回り)は、量的・質的緩和導入決定前の0.5%程度が今はマイナス0.1%程度だ。エコノミスト向けESPフォーキャスト調査で2015年12月時点の7〜11年先の予想物価上昇率は3年前の1%から1.4%(消費増税の影響を除く)に拡大した。
この数字をみる限り3年前と比べて実質金利は下がったもようだ。名目金利が下がり期待インフレ率は上がったためだ。ただ期待インフレ率を一つの指標で計ることは難しく、16年に入ってからの市場混乱で予想物価上昇率は低下したとみられる点に注意が必要だ。
実質金利低下に反応したのが市場だ。円が売られ、量的・質的緩和の導入決定前に1ドル=92円台だった円相場は一時125円台に下落した。株価も上昇した。緩和導入決定前に1万2000円台だった日経平均株価は一時2万円台に上昇した。円安で輸出企業の業績が改善するとの見方が出た。日銀の上場投資信託(ETF)購入も、株価の下値不安を和らげた。
ただ円安や株高には欧州債務危機の後退や経常・貿易収支の変化などに支えられた面もあり、すべてが緩和策の効果とはいいにくい。「金融政策は市場のトレンドの背中を押せることはあっても、トレンドに対抗するのは難しい」(翁邦雄・京大教授)との指摘もある。
実際中国の経済減速や原油安などで市場が混乱するなか、16年1月のマイナス金利導入決定は市場混乱を十分に抑えられず、円高・株安が進んだ。
(編集委員 清水功哉)
[日経新聞3月29日朝刊P.33]
(3) 実体経済刺激は限定的 成長戦略が不可欠
量的・質的緩和の開始以降、市場環境は好転したが、実体経済への刺激効果は限定的だった。初年度の2013年度に株高による消費刺激などが寄与して実質国内総生産(GDP)伸び率は2.0%となったものの、消費増税があった14年度には失速しマイナス1.0%となった。15年度見通し(ESPフォーキャスト調査)も0.67%だ。
市場環境好転の経済刺激効果が限られた典型例は輸出だ。例えば追加緩和効果で円相場が1ドル=110円程度から一時125円程度まで下落した14年10月〜15年6月の局面。日銀によると輸出数量の伸び率(季節調整済み前期比)は14年10〜12月期がプラス3.8%、15年1〜3月期がプラス1.0%、15年4〜6月期がマイナス3.6%と15年に入りブレーキがかかった。米港湾ストなど海外要因に加え、円高時代の海外生産移転や日本製品の競争力低下も響いた。
成長期待が後退するなかでは実質金利の低下が企業の投資意欲を刺激する効果も限定的だったとみられる。日銀推計によると、日本の潜在成長率は0.2%台。ショックが加わるとすぐにマイナス成長に転落しやすい。量的・質的緩和がスタートした13年4〜6月期以降の11四半期をみると約半分で成長率がマイナスだった。
マイナス金利政策を評価する岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)も「人口減少に歯止めをかけ、労働市場の制度改革を進める成長戦略が同時に必要」と説く。日銀内にも「潜在成長率引き上げは喫緊の課題」(中曽宏副総裁)との声がある。
(編集委員 清水功哉)
[日経新聞3月30日朝刊P.32]
(4)遠のく物価2% 原油安・増税が誤算
日銀が2013年4月に量的・質的緩和政策を始めたとき、次のように宣言した。「消費者物価上昇率2%を、2年程度の期間を念頭に置きできるだけ早期に実現する」。だが2%目標は今も達成されていない。
政策の1年目は順調に物価に上げ圧力が加わった。緩和開始前にマイナス0.5%だった消費者物価上昇率(生鮮食品の価格動向と消費増税の直接的な影響を除く)は、14年4月に1.5%となった。
2年目に入ると物価上昇率は縮小。15年以降はゼロ%前後での推移が続く。2%目標の達成時期見通しは先送りが繰り返され、現在は「17年度前半ごろ」だ。
主に2つの想定外の事態が物価失速の理由だと日銀は説明する。14年4月の消費増税が個人消費に与えた影響が大きかったことと、同年夏場以降原油価格が急速に下落したことだ。
特に後者の影響が大きいとみる日銀は、物価の基調は原油安の短期的な影響を除いて判断するとの立場から、エネルギー関連品目も除いた物価(日銀版コア物価指数)の公表を始めた。同指数の上昇率は15年春以降、拡大基調で推移してきた。ただし、直近の16年2月に1.1%となっており、2%には達していない。
今後、市場混乱や米経済減速を受けて円高が進行した場合、日銀版コア物価の上昇率も下振れしてしまうリスクが指摘されている。「1%を割り込んでくれば日銀は追加緩和を余儀なくされる」(河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト)との見方もある。
(編集委員 清水功哉)
[日経新聞3月31日朝刊P.37]
(5)困難な出口政策 日銀は議論を封印
マイナス金利付き量的・質的緩和政策について、日銀は「物価上昇率2%を安定的に持続するために必要な時点まで継続する」としている。少なくとも「2%の安定的持続」に必要な時までは続けるという趣旨と解釈できる。その時点で必ずやめるとは書いていない。
実際、長期金利が不安定になりかねないため、「2%の安定的持続」の実現後も国債購入をやめられないとする見方もある。仮に買い入れをやめたとしても、保有国債の売却は難しいとの見方も多い。これも、売却が長期金利の上昇を招きかねないというのが理由だ。
巨額の国債を保有したまま市場金利を上げることは可能だ。日銀当座預金の超過準備の金利(現在は大半が0.1%)を上げればいい。しかし、その結果生じる銀行の巨額の収入を世論が容認するか疑問もある。「銀行への利払い膨張で日銀が損失を被り、国庫納付金が一定期間止まる。間接的な国民負担が生じる」(日本経済研究センター)とする見方もある。
問題発生を防ぐ手として、銀行が無利子で預ける当座預金分を増やす法定預金準備率引き上げもある。ただ経済の引き締め効果が大きく出る懸念もある。
様々な難問に直面しそうな出口政策。「日銀は戦略を議論し国民に説明することが求められる」(河村小百合・日本総合研究所上席主任研究員)との指摘に対し、日銀は議論は時期尚早とする。様々な想定外の状況に直面する可能性があり、具体的な議論が将来の政策の自由度を下げることを懸念している。
(編集委員 清水功哉)
=この項おわり
[日経新聞4月1日朝刊P.27]
米大統領選挙に向けた共和党候補者指名争いに立候補しているドナルド・トランプ氏は、NATO軍事ブロックへの貢献が極めて少ないとして米国の同盟国を再び非難し、これを根拠にNATO崩壊を許容した。ロイター通信が報じた。
トランプ氏はウィスコンシン州ラシーンの集会で、NATOの同盟国は「自分たちのしかるべき持分を支払っていない」と述べ、28カ国が加盟するNATOは「時代遅れだ」と指摘した。
またトランプ氏は、「彼らが過去の滞納金を支払うか、あるいは彼らが脱退するかだ。もしNATOが崩壊したならば、それはそれでしかたがない」と語った。
テロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」は財政危機を迎えている。高官の情報としてワシントン・ポスト紙が報じた。
これはダーイシュの石油インフラや金融機関が攻撃されたため。現金不足で新採用者の賃金は半値に下げられている。最近の諜報情報によれば、いくつかの部隊は数ヶ月お金を受け取っていないという。不足分を補うために、組織はますます高い税金を支配地域住民にかけることを余儀なくされている。
ロシア国防省は2月1日、ダーイシュは低い給与により新部隊の形成に問題を抱えている、と発表した。トルコとの違法な石油取引による所得の減少により賃金は3分の1カットされている。ロシア軍はこの違法ビジネスの取り締まりにおいて重要な役割を果たしていることも強調されている。
米国の著名な映画監督オリバー・ストーン氏は、米大統領選挙民主党候補使命争いのトップを走っているヒラリー・クリントン前国務長官を、汚職問題で告発した。
監督は、自身のFacebookの中に、大統領選挙で民主党を代表するのは、サンダース上院議員であるべきだと書き込んでいる。
ストーン監督は、次のように主張している―
「彼は、少なくとも、財政上の分別から、外国に対する我々の干渉を縮小し、部隊を故国に帰し、憎しみのために何兆ドルも費やさず、お金を自国民や学校そしてインフラに投じて、祖国を守ろうと試みる心積もりのある唯一の候補者だ。
また国政における汚職に反対する唯一の候補者でもある。
一方クリントン候補は、汚職にまみれている。」
3月26日の段階で、民主党の大統領候補指名争いでは、クリントン前国務長官が大きくリードしている。彼女は、サンダース上院議員の952人に対し、1690人の選挙人を獲得した。なお確実に民主党候補となるためには、2383人の選挙人を集める必要がある。
米国大統領選挙は、今年秋11月8日に実施される。
3日、バヌアツ諸島沖でマグニチュード7.2の地震があった。震源地は、居住地区ソラから南西に77キロの太平洋。太平洋津波警報センター(PTWC)によると、津波が発生する可能性がある。
PTWCの発表では、次のように述べられている‐
「地震に関する現時点でのデータに基づくと、震源地から半径300キロの沿岸部で大きな被害をもたらす津波が発生する可能性がある。」
今日の世界における少子化の主因は、名誉あるものの所持と言う形で表現される、高い社会的地位をめぐる競争である。フィロソフィカル・トランザクションズ・オヴ・ザ・ロイヤル・ソサイエティ誌に論文が発表された。
この仮説は、人類学者らにより、ツィマネ(ボリビアアマゾンの狩猟採集民)の国民性を例に、証明された。ツィマネの一般家庭では9人の子供もふつうであり、親はすべての兄弟のための食料や衣類を簡単に見つけることができる。
しかし、ツィマネが都市に移動した場合、子供の平均数は3に落ちる。市場経済に巻き込まれるためだ。
「彼らは最初の収入を社会的地位の象徴である、予想外に高価なものに費やす」という。
同様のプロセスが、人口が都市に移動してお金を稼ぎだす他の国でも発展しているという。すべての力が隣人並みになることに費やされ、子供たちに多くの物を買う余裕はない、感じられだす。
MH370=B777が墜落時にキャビン内部の一部が残骸として漂着するレベルで破壊されていれば、事故から日がたたないうちに、大量の破片が漂流しているのが確認されたり、漂着物としても発見されたりしていたであろう。
犠牲者や遺族を玩ぶような話はほどほどにしてほしい。
米国企業はイランとの取引を決済する際にドルだけではなくユーロも使うことができる。バラク・オバマ米大統領が核安全保障サミットで語った。ロイター通信が報じた。
「我々は無条件でドル決済をするよう要請はしない。欧州の諸機関を通じての活動も十分可能だ」と大統領は強調した。
同時に、オバマ大統領は、「核開発計画についての合意により、イランは国際社会や企業に対し、投資家を追い払うような挑発的な活動に当局は従事しない、と明確に述べた」とした。
これに先立ち、オバマ氏は、イランとの核取引の完全な実施の重要性について語った。
「ウクライナ情勢の今後:軍事的対応はハナからなしだが、実質的経済制裁も避けたい欧米先進国:焦点はウクライナ東南部地域の“地」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/169.html
「デフォルトを嫌う金融家のため、危機を頼りにする軍需産業のため、「東西」の合作で分断と対立を煽られたウクライナ」
http://www.asyura2.com/14/senkyo162/msg/467.html
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ロシア、イギリスへのガス供給を240%増加[スプートニク日本語]
2016年04月03日 02:27
ロシアのガスプロムは今年第1四半期のイギリスへのガス供給を昨年同期比で240%増加させた。ランブレル・ニュース・サービスがガスプロムのアレクセイ・ミレル社長の発表を伝えた。
「中間報告によると、イギリスへのガス供給は242.6%、39億立方メートル増加した」とミレル社長は言う。
ランブレル・ニュース・サービスによると、ガスプロムは年始から3月15日にかけて外国への輸出を33.5%、365億立方メートル増加させた。
2015年、ガスプロムは外国へのガス供給を前年比8%上昇の1594億立方メートルまで増加させた。ドイツへの輸出は17%増、イタリアへは12.6%増、フランスへは約37%増、そしてイギリスへは10%の増加であった。
韓国は、軍事情報に関する包括的保全協定(GSOMIA)を日本との間で調印する用意はないと結論付けた。この回答は、ワシントンで開かれた日米韓三国首脳会合で、韓国側が示したもので、この会合では、 軍事政治領域における三国の協力レベルを高める方策について意見が交換された。
会合終了後、韓国の対外政策及び安全保障問題担当大統領書記を務めるキム・ギュヒョン氏は、記者団に対し「日本との間で、そうした協定に調印するためには、しかるべき雰囲気が作られなければならない」と述べている。
日韓の間で軍事情報に関する包括的保全協定調印の試みが、失敗に終わったのは何も今回が最初ではない。2012年には、韓国議会が、トクト(日本名;竹島)の領有権を強く主張し、さらに日本側が「従軍慰安婦」問題を含め、第二次世界大戦時の犯罪に対し十分悔い改めていないとして、協定の調印を支持しなかった。
韓国が、この協定に調印するのを現在妨げているものは、一体何だろうか? ラジオ・スプートニク記者は、ロシア科学アカデミー東洋学研究所コリア課のアレクサンドル・ヴォロンツォフ課長にマイクを向け、話を聞いた-
「ワシントンで行われた日米韓協議は、軍事・政治分野での協力深化を、この三つの国が目指している事を証拠立てるものだ。そうした協力は事実存在しているが、今のところまだ、完全な同盟というレベルにまで達していない。そのプロセスは進展しており、それを前進させる主な力になっているのは米国であり、現在ある日米、米韓二国間合意が、三か国のパートナーシップへと進化するよう多大な努力を絶えず傾けている。
しかし、そのために必要不可欠な日韓の接近を、外交的、歴史的、心理的特徴を持った複雑で困難な問題が邪魔している。領土問題や、従軍慰安婦といった問題だ。まさにそうした理由で、数年前、すでに準備のできていた諜報情報交換に関する合意に調印できなかった。この合意は、軍事-政治協力のレベルを高め、関係を完全な同盟へと前進させるプロセスの本質をなすものである。当時この事に対し、米政府はいら立ちを隠さず、意見の違いをなくしてゆく努力をするよう日韓両政府に働きかけた。
昨年末、日韓両首脳は、文書に調印し、慰安婦問題克服し、二国間関係の議題からこの問題を除く事を宣言した。突破口が開けたのではないかと思われた。それゆえ今回の日米韓サミットには、目に見える成果が期待されていた。まして、北朝鮮をめぐる情勢の先鋭化が、諜報機関に関する協定の調印や意見の食い違いの克服を促すだろうと思われていたから、なおさらである。しかし、ある程度の進歩はあったものの、日韓の軍事-政治協力発展のカギを握る軍事情報に関する包括的保全協定の調印は、又もやうまくいかなかった。この事は、日韓関係が、今も容易でなく、両国間の矛盾が調整されていないままである事を物語っている。ここで忘れてはならないのは、従軍慰安婦に関する日韓合意に関し、韓国内で、ソウル当局は、合意調印の条件に関し今も生きておられる女性達の意見に関心を示していないと、大変激しい批判の声が上がった事だ。こうしたファクターは、余り取りざたされていないが、相変わらず、軍事-政治分野での日韓合意を深める上での障害となっている。」
米国の債務問題の解決には8年を要する。共和党の米大統領候補であるドナルド・トランプ氏は米紙ワシントンポストのインタビューでこのように語った。
トランプ氏は大統領就任後の最初の100日間で減税を行い、NATOにおける米国の役割といった事柄も含めて貿易取引や軍事条約の締結条件の見直しをすると語った。
また、トランプ氏は米国が19兆ドルの債務問題から脱するには「8年以上」必要だとした。
トランプ氏はさらにプーチン露大統領に対して米国を尊重するよう望むと発言した。
「私はプーチン大統領が米国を尊重することを望んでいる。プーチン大統領は強さを重んじているように思われるが、だとすれば以前申し上げたように私とプーチン大統領は折り合いがいいだろう。今はまだこのことについて知る由もなく、なんとも言うつもりはない。『私たちは馬が合いますよ』なんて言うのは滑稽だろう。だが、私はプーチン大統領と素晴らしい関係を築くことができるだろうと直感している」とトランプ氏は語った。
ベルギー当局は、欧州連合(EU)以外からの移民に対し、「欧州の価値観を受け入れる」との宣誓書、「統合の誓い」なるものに署名することを義務化する。
「多くの人々が異なる価値観を持ってベルギーに来ている。もしその彼らが欧州に来て、ここに住みたいなら、彼らは私たちの価値観を受け入れるという声明に署名する必要がある」。そうでなければ移民はこの国に滞在することはできない。亡命・移民担当内閣官房スポークスマン、ローラン・ムタンバイ氏が述べた。
文書には、テロのあらゆる試みを防止し、テロの計画について報告することなどについての誓約が含まれている。ベルギー議会は、今後数ヶ月でこれに関する提案を採択する見込み。
宣誓義務化の対象者は、学生や難民の保護者を除く、3ヶ月を超える期間ベルギーに滞在する移住者。
1991年にアゼルバイジャンから独立を宣言した飛び地で、国として認められていないナゴルノ・カラバフ共和国のダヴィド・ババヤン大統領報道官は、地域の紛争悪化にトルコが関与している可能性があると発表した。Panorama.amが2日、報じた。
報道官は、次のように述べた−
「我々は、このようなアゼルバイジャンの行動について、アゼルバイジャンのイニシアチブだけであるはずがないと常に発表してきた。あらゆる可能性から判断して、特にトルコなど、特定の勢力がアゼルバイジャンを支持している。」
ババヤン報道官によると、地域では1994年以来このような紛争の悪化はなかったという。
報道官は、「アゼルバイジャン軍は重火器を使用し、接触ラインの特定の場所で侵入を試みたが、相応の報復を受け、初めの位置まで戻り、大きな損失を被った」と述べた。
紛争地域の状況悪化が明らかになったのは2日午前。なおアゼルバイジャンとアルメニアは、起こっている出来事について異なる情報を伝えている。
アゼルバイジャンは、敵の人員や機器の多くの機器の破壊について発表し、アルメニアはアゼルバイジャン軍の大きな損失について語っている。
ロシアのプーチン大統領はすでに紛争当事者双方に一刻も早い停戦を呼びかけた。
ナゴルノ・カラバフは、1991年にアゼルバイジャンから独立を宣言した飛び地で、主にアルメニア人が住んでいる。アゼルバイジャンは、軍事作戦によって同地を再び支配下に置こうとしたが、失敗した。1994年、アゼルバイジャン、アルメニア、国として認められていないナゴルノ・カラバフ共和国は、ロシア仲介のもとでビシュケク議定書に調印した。
トルコ警察の関係者は、リア-ノーヴォスチ通信記者に対し、シリア領空でトルコ軍機F-16により撃墜されたスホイ-24のロシア人パイロット、オレグ・ペシコフ氏殺害について、その責任を認めた戦闘員アルパルスラン・チェリクが、トルコ西部で実際に拘束された事を確認した。
これに先立ち、トルコのマスコミは、チェリクの拘束をすでに伝えていた。容疑者は、反政府勢力側に立って闘っていたシリアからトルコに戻っていた。
リア-ノーヴォスチ通信に対し、詳細は明かせないとしながらも、警察の関係者は「チェリクは実際に拘束され、現在、拘留中だ」と認めた。
(1300トンの核物質の中にはナチスドイツ製“原爆”も含まれ、その年の8月、日本に投下されたと考えている)
※関連参照投稿
「核テロ防止へ日米協力 京大の濃縮ウラン回収へ:米国にとっての日本のポジションが大きく転換、核武装の芽を摘む動き急」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/211.html
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日本は大阪にある濃縮ウラン備蓄を手放す
2016年04月02日 15:51
日本は大阪の核施設で保存されている濃縮ウランの備蓄を手放す。ワシントンで開催の核安全保障サミットで安倍晋三首相が声明を出した。共同通信が報じた。
サミットでオバマ米大統領は次の声明を出している。「日本は高濃縮ウランとプルトニウム0.5トンあまりの運び出しに取り組んでいる。これは一国からの核物質の運び出しとしては歴史上最大級のプロジェクトだ」。
日本は核兵器を所有も製造も輸入もしないことを自らに義務付けているが、繰り返し、保有しているプルトニウムの量は核弾頭40発を製造するのに十分なものだ、と批判されている。 2014年の核安全保障サミットで、日本と米国は、プルトニウムの運び出しについて合意に達した。
前回の東京都知事選挙で落選し、先月、政治資金を巡る横領事件で捜索を受けた元航空幕僚長の田母神俊雄氏が、東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し「陣営の元幹部から選挙で世話になった人に合わせて2000万円を配ると報告を受けた」などと説明していることが関係者への取材で分かりました。特捜部に対し複数の人物が選挙運動の謝礼として現金を受け取ったことを認めているということで、特捜部は公職選挙法違反の疑いでも捜査を進めるものとみられます。
おととし2月の東京都知事選挙の前に設立された田母神氏の資金管理団体、「田母神としおの会」は1年間に支援者などから集めた1億3265万円のうち5000万円余りの支出を使途不明金として記載していて、東京地検特捜部は政治資金を不正に流用した業務上横領の疑いで資金の流れの解明を進めています。
特捜部の任意の事情聴取に対し、田母神氏が「陣営の元事務局長から選挙で世話になった人のリストを見せられ政治資金の中から合わせて2000万円を配ると報告を受けた」などと説明していることが関係者への取材分かりました。
一方で田母神氏は、「現金を配ることを了承したつもりはなく指示したこともない」などとみずからの関わりを否定しているということです。
関係者によりますとリストに記載された複数の人物が選挙運動の謝礼として現金を受け取ったことを認め、陣営の元事務局長も特捜部の事情聴取に対し「政治資金の一部を複数の人に配ったことは事実だ。しかし当時は運動員に違法な報酬を支払ったという認識はなかった」などと説明しているということです。
特捜部は、登録のない運動員に選挙運動の対価として報酬を支払うことを禁じた公職選挙法違反の買収の疑いでも調べを進めるものとみられます。
田母神氏「横領と言われるのは心外」
元航空幕僚長の田母神俊雄氏がNHKのインタビューに応じ、公職選挙法で禁じられた運動員買収の疑いについて、みずからの関わりを否定しました。
田母神氏はおととし2月の東京都知事選挙のあと、陣営の元事務局長から選挙で世話になった人に現金を配ると報告を受けていたということです。
これについて田母神氏は「元事務局長から選挙でお世話になった人の名前とそれぞれの金額が書かれたリストを見せられ、政治資金の中から合わせて2000万円を配ると言われた」と説明しました。
そのうえで田母神氏は「いったんは了承するようなことを言ったかも知れないが、金額が多すぎると思い元事務局長には『考え直してくれないか』と言って話を戻した。実際に現金が配られたことはあとで知ったが、私が指示したことはなく了承したつもりもない」と述べ、みずからの関わりを否定しました。
一方、田母神氏は、特捜部の捜索の容疑となったみずからの政治資金の不正流用についても否定しました。
田母神氏によりますと、資金管理団体の元会計責任者から月に2回ほどのペースで数十万円ずつ現金を受け取り、前払いの形で受け取った政治資金は合わせて1400万円に上るということです。
これについて田母神氏は「政治資金を前払いで受け取り、使った分の領収書を元会計責任者に提出していた。領収書の中には公的なのか私的なのか不明瞭な支出もあったが、年末にまとめて精算し、私的に使ったものについてはあとで返金することになっていた」と説明しました。
そして「年末に精算した際、元会計責任者からは120万円分が私的な支出だと言われたので、すぐに返金した。しかし特捜部からは、知人の女性の洋服やバッグ代などに使った450万円分について私的流用と指摘された。初めから450万円を返せと元会計責任者に言われていれば返していた」と述べました。
そのうえで、「年末に精算する約束で現金を使っており、私的流用の意思はなかった。これとは別に1500万円の自己資金を団体の使途不明金の補填(ほてん)に充てており、横領と言われるのは心外だ」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160404/k10010467441000.html?utm_int=news_contents_news-main_003
北朝鮮は国連安全保障理事会の制裁決議などを非難する談話を発表し、この中で、「貴重な過去の遺産と伝統をつぶした」として、中国を暗に批判し、北朝鮮に対し、アメリカと連携していく姿勢を示す中国にいらだちを強めているものとみられます。
北朝鮮の国防委員会は日本時間の4日未明、国連安保理の制裁決議や、アメリカ軍と韓国軍の合同軍事演習を巡ってアメリカを非難する談話を発表しました。
談話では制裁決議を巡って、「アメリカの要求に追従して国連決議による敵視政策に同調したことで貴重な過去の遺産と伝統をつぶした」として名指しを避けながらも「伝統」ということばを使って中国を暗に批判しました。
北朝鮮は2日の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」で、「メンツを重んじる一部の大国が、アメリカの脅迫や要求に屈し、血で結ばれた友好関係をためらいなく捨てた」とする論評を掲載して中国を暗に批判したばかりです。
中国は先月31日のアメリカとの首脳会談で習近平国家主席が「朝鮮半島の核問題など地球規模の問題で協力する方法を積極的に探っていきたい」と述べて、北朝鮮に対し、アメリカと連携していく姿勢を示していました。
北朝鮮としては、制裁などに対する一連の中国の対応にいらだちを強めているものとみられます。
旧ソビエトのアゼルバイジャン西部のナゴルノカラバフ自治州を巡って対立するアゼルバイジャンとアルメニアの武力衝突は3日も続き、緊張緩和には向かっていません。
旧ソビエトのアゼルバイジャンとアルメニアは、ソビエト崩壊後、アルメニア系住民が多数を占めるアゼルバイジャン西部のナゴルノカラバフ自治州の独立を巡る対立が紛争に発展し、1994年に停戦合意しましたが今月2日、停戦合意後、最大規模とされる武力衝突が起きこれまでに双方の兵士合わせて30人が死亡しました。
アゼルバイジャンのアリエフ大統領は3日、合意に違反したのは、アルメニア側だと非難し、アゼルバイジャン軍は応戦してアルメニア軍に壊滅的な損失を与えたとしたうえで、「停戦を維持する」と述べ、一方的な停戦を宣言しました。
これに対し、アルメニア国防省の報道官は「情報のわなで、一方的な停戦などではない」と述べ、武力衝突は依然、収まっていないと否定し、国際社会が即時停戦を呼びかけているにもかかわらず、緊張緩和には向かっていません。
また、今回の武力衝突を受けて、ロシア軍の爆撃機の撃墜でロシアとの対立を深めるトルコのエルドアン大統領が、友好国のアゼルバイジャンへの全面的な支持を打ち出す一方、ロシア軍がアルメニアに駐留していることから、関係国を巻き込む形で、紛争の拡大を懸念する声も出ています。
オランダのシンクタンクは、ヨーロッパからシリアやイラクに渡り、戦闘に参加したおよそ4000人の外国人戦闘員のうち、およそ30%が帰国したとする分析をまとめ、ヨーロッパ各国で戦闘員の情報を共有するよう提言しています。
これは、今月、オランダ・ハーグにあるシンクタンク「国際テロ対策センター」が、ハンガリーとギリシャを除く26のEU加盟国からのデータなどを基にまとめたものです。
この中で、2011年から去年10月までに、ヨーロッパ各国からシリアやイラクに渡り、過激派組織IS=イスラミックステートなどに加わった外国人戦闘員は、3922人から4294人に上るとしています。
国別ではフランスが最も多く900人以上、ドイツとイギリスは最大で760人ですが、人口比では、先月連続テロ事件が起きたベルギーが最も多くなっています。
また外国人戦闘員のうち、およそ30%はシリアやイラクからそれぞれの国に戻ったとみられ、去年のパリの同時テロ事件やベルギーの連続テロ事件の容疑者のように、本国でテロを引き起こす危険性が高いと指摘しています。
シンクタンクでは、ヨーロッパ各国に対して戦闘員の情報を共有するよう提言するとともに、若者が過激な思想に染まって戦闘員となるのを防ぐ対策や、国に戻った元戦闘員の社会復帰への支援で連携を強化すべきだとしています。
アメリカ政府高官は、原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する核燃料サイクルについて、核テロの危険性が高まるなどとして反対する姿勢を示す一方、日本に対しては政策の放棄を求める考えはないと強調しました。
アメリカ国務省で核の不拡散などを担当するカントリーマン次官補は1日、NHKとの単独インタビューに応じました。
この中でカントリーマン次官補は、原発の使用済み核燃料を再処理しプルトニウムを取り出して再び利用する核燃料サイクルについて、プルトニウムが増えテロリストの手に渡るリスクが高まるなどとしたうえで、「経済的にも割に合わないし、周辺国の懸念も強めるので、核不拡散という観点からはどこの国もやるべきではない」と述べ、反対する姿勢を示しました。
その一方で、日本の核燃料サイクル政策については「アメリカとして容認したり反対したりする立場にはない」と述べました。
核燃料サイクルを巡っては韓国なども意欲を示していますが、カントリーマン次官補は先月、議会の公聴会で「すべての国が再処理から手を引いてほしい」と発言し、日本にも核燃料サイクル政策の放棄を求めたものだとして波紋が広がっていました。このため、カントリーマン次官補はオバマ政権として核燃料サイクルに反対ではあるものの、日本に放棄を求める考えはないという立場を示して、事実上、発言を修正した形で事態の収拾を図るねらいがあるものとみられます。
日本の安倍晋三首相が非公式でロシアを訪問する予定。与党政党・自民党の稲田朋美政調会長が本日確認した。
同氏によると、2016年は、ロシアと日本の間の政治的な接触の点で最も充実した一年になる。「4月中旬に日本をラヴロフ外相が訪れるだけでなく、ロシアへの安倍首相の非公式訪問などの重要なイベントがある」
日本のメディアは繰り返し、日本の首相がロシアの大統領に会うために4月下旬-5月上旬にソチを訪問する可能性に言及している。
クレムリンの報道部は、まだ会談の計画の詳細を確認していない。一方、ロシア大統領府のドミートリー・ペスコフ報道官は2月5日、ロシアへの安倍首相の訪問が取りざたされているが、日本政府からその意図を鮮明にされてはいない、とした。
米国が「世界最長の射程距離を持つミサイル」と考えている大陸間弾道ミサイルDF−41が、近いうちに中国軍に装備される。雑誌「漢和防務評論(Kanwa Asian Defence)」が伝えた。
「漢和防務評論」によると、中国は2016年にもDF−41を装備できる見込み。DF−41は現在、テストの最終段階にある。
DF−41の射程距離は1万4500キロメートル。DF−41は、河南省新郷市にある中国人民解放軍の新たな戦略ミサイル部隊の基地に初めて展開される。
ミサイルは太平洋を経由した場合、ここから北極上空を通過してさらに少し先へ飛び、約30分で米国領内に到達することができる。
「漢和防務評論」によると、中国は同国の衛星測位システム「北斗衛星導航系統」が完成したらミサイルの射程距離を伸ばす計画だという。
[誤]射程1万4500m
[正]射程1万4500km
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/482.html#c1
ロシアのアレクサンドル・ノヴァク・エネルギー相は、記者団に対し「ロシアは今のところ、原油採掘レベルの制限についてサウジアラビアと討議していないが、必要があれば、ドーハでの会合までに、サウジ当局と個別に交渉する用意がある。これまで彼らと、討議してこなかった」と述べた。
エネルギー相は、ドーハでの会合までにサウジアラビアと協議する可能性に関する記者団の質問に対し「もしそうした可能性あるいは必要性があれば、必ずそうした問題について討議がなされるだろう」と答えた。
日本はアジア太平洋地域およびグローバルなレベルにおいて安保分野でのロシアとの協力を望んでいる。稲田朋美・自民党政調会長が述べた。
「安倍首相率いる現政権の方向性のひとつが平和維持のための積極的協力だ。ロシアはアジア太平洋地域および全世界における重要プレイヤーであり、ゆえにロシアとの安保分野での協力を望む」モスクワ国立国際関係大学における一般レクチャーで述べた。
露日協力の主要な分野として氏は国際テロ対策と朝鮮半島情勢を挙げた。
「露日はテロ対策での協力でよい展望をもっている」と同氏。
ヘッジファンドの投資家らは産油国は生産凍結に同意する準備ができていないとの市場参加者の疑念により原油市場での価格の上昇が継く可能性を信じられなった。ブルームバーグが報じた。
サウジアラビア、ロシア、ベネズエラ、カタールの生産を凍結するという提案を背景にWTI原油の価格が大幅に増加していた。
しかし、イランは、制裁のために失われた石油市場におけるシェアを回復するまで生産を減らさないという立場を明確にした。サウジアラビアは、イランを含むすべての主要なプレーヤーが決定に参加する場合にのみ生産を削減すると発表した。
このため石油アナリストらは、生産凍結協議の見通しについて疑問を表明している。
その結果、WTI原油価格の下落への期待は今週17パーセント上昇し、11月以来最大の増加率となった。
アルメニア議会は未承認のナゴルノ・カラバフ共和国(NKR)の独立認定の是非を議論することを排除していない。
先に野党会派「アルメニア国民議会」のグラント・バグラチャンはナゴルノ・カラバフ共和国の独立認定に関する議論を議会に求めた。
これまでアルメニアは、問題の平和的解決に向けた交渉プロセスに悪影響を与える可能性を理由に、カラバフの独立を認めていなかった。
4月2日の夜、カラバフ紛争地帯の状況は急激に悪化、航空機と大砲の使用を伴う戦いが始まった。当事者双方が接触線上における停戦違反を非難し合っている。
4月3日アゼルバイジャン国防省は、敵対行為を停止する一方的決定を発表した。しかし、エレバンとステパナケルトで戦闘が続いていることが報じられた。未承認のナゴルノ・カラバフ共和国国防省は「NKR防衛軍は従前の位置まで引き下がるという点における停戦の提案を議論する準備ができている」と述べた。
「対北朝鮮強攻に拍車 韓国・朴氏を駆り立てる因縁 中ロとのあつれき辞さず:4.13総選挙に向けた政治パフォーマンス 」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/219.html
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米韓軍事演習「フォール・イーグルは北朝鮮を「核の脅し」へと駆り立てている[スプートニク日本語]
2016年04月04日 19:49
リュドミラ サーキャン
北朝鮮は、米国と韓国を「核による報復」で脅している。その理由は、米韓合同軍事演習「フォール・イーグル(Foal Eagle)」だ。同演習は純粋に防衛的なものだとして発表されているが、複数の報道によると、米軍と韓国軍は北朝鮮の軍事施設への攻撃などを含む訓練を行っているという。
米ワシントンで開かれた核安全保障サミットで4月1日、北朝鮮の核の脅威が世界の安全保障の最も深刻な問題の一つとして認められた。これは、北朝鮮の好戦的な態度とミサイルや核の盾をつくろうとする欲望は、米国がユーゴスラビア、イラク、リビアで行ったように北朝鮮の体制も力で変えようとしているとの危惧によって引き起こされていると考えるロシアが、サミットへの参加を拒否したために生じた可能性がある。
ロシアの著名な東洋学者でソウルにある国民大学の教授を務めるアンドレイ・ラニコフ氏は、北朝鮮の核問題と呼ばれるものの最善の解決策は協議の再開だと思われるが、現時点でその可能性は低いとの見方を示し、次のように語っている‐
「協議が再開される期待はあるか?私は長い間期待を抱き、慎重な楽観論を持ってそれを見てきた。しかし今、韓国の次の選挙までは南北朝鮮に大きな改善は期待できないと確信している。北朝鮮の軍人たちには、『敵の行動には10倍そして100倍で返す』というスローガンがある。韓国の軍人たちにあるのは、もうスローガンではなく、行動指針だ。
もし北朝鮮側から何らかの砲撃や地雷の敷設、挑発などがあった場合、韓国軍は米国が支援してくれるという軍事的抑止力の力を信じて攻撃を行うことができる。同地域の状況や力のバランスを考えると、これらすべては深刻な危機へと様変わりする恐れがある。私は戦争について語りたくはない。恐らく戦争は起こらないだろう。
しかし今後1−2年の間に多くの人的被害をもたらす極度の緊張が発生する恐れがある。
北朝鮮が望んでいるものは何か?それは、全世界が北朝鮮を他の国と同等の核保有国として認めることだ。北朝鮮は、好適な方向転換があれば核兵器の制限について話す用意はあるが、核プログラムの廃止については話すのも不可能だと述べている。」
駐ロシア北朝鮮大使のキム・ヒョンジュン氏は、朝鮮半島情勢は核紛争に近づいているとし、その理由は「核の脅しと脅威、米国側からの制裁、そして圧力だ」と述べた。
北朝鮮では状況をこのように感じている。実のところ複数の専門家たちは、米国はいま北朝鮮どころではないと考えている。いま米国にとっては北朝鮮よりも中東でのイスラム主義者対策やロシアとの協力の新たな形の摸索の方が重要な問題だという。さらに米国はでは大統領選挙に向けた予備選が行われており、オバマ大統領にも、2016年米大統領選挙の主な候補者たちにも北朝鮮問題を解決するための綱領はない。
欧州は、テロの未然防止や移民問題の解決で忙しい。
中国当局は、悪化した場合に国内情勢の不安定化を引き起こす恐れのある国内の経済情勢を懸念している。恐らくそのため中国は対北朝鮮制裁の国際レジームに加わったのではないだろうか。
一方で、中国が北朝鮮への支援を完全に拒否することができないのは明らかだ。そして現在行われている米韓合同軍事演習も、米国はいま北朝鮮どころではないという考えを否定している。
今井 純子 解説委員
日銀の短観で、企業の景気認識が悪化していることがわかりました。これまで、安倍政権の経済政策で、最も恩恵を受け、経済のよい循環をつくりだす「起点」として期待されていたのが、企業でした。
その起点が、崩れ始めたということは、アベノミクスの先行きに赤信号がともる懸念がでてきたことを示しているように思います。では、好循環を取り戻すには何が必要なのか。簡単ではありませんが、消費を取り巻く不安を取り除く対策が、長期的な視点から見て、一番求められているのではないかと思います。こういった点をポイントに、見て行きたいと思います。
【好調だった企業 局面が変化】
(短観の内容・現状)
まず、短観の内容です。グラフは、景気が「よい」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いた指数の推移です。
今回、3月の調査で、「大企業の製造業」は、プラス6ポイント。前回12月と比べて、6ポイント悪化しました。半年ぶりの悪化です。
また、「大企業の非製造業」は、プラス22ポイントと、3ポイント悪化しました。一年6カ月ぶりの悪化です。
(短観の内容・3か月先)
そして、この先。3カ月先の景気についても、ともに、さらに、悪化するという見通しです。安倍政権の発足後、企業の景気認識は、高い水準を維持していましたが、明らかに、局面が変わり、悪化の方向に向かっているようです。
(背景は?)
背景にあるのは、企業を取り巻く環境の変化です。
▼ 国内の消費は低迷が続いていますし、
▼ 中国をはじめ、新興国の経済が減速していることで、輸出も伸び悩んでいます。
▼ そこに、今年に入って、円高が進んだことで、自動車など海外で活動している企業は、ドルで上げた利益を円に換算した額が、急激に目減りしています。
(減益へ)
短観で示された、企業の利益の予想を見てみると、3月までの一年間は、全体で、かろうじて、増益で、過去最高益を更新した見通しです。しかし、4月からの今年度は、減益に転じるという、見通しになりました。実際、減益になると、2011年度以来、5年ぶりのことです。
【アベノミクス振り出しに】
(好循環の起点として期待されていた企業)
安倍政権が発足して、日銀が異次元の金融緩和に踏み切って、まもなく3年です。
「経済再生」そして「デフレ脱却」という目標はどうなったのか、見てみると、GDPは、去年10月から12月は、マイナスに陥りました。この1年で見ても、プラスとマイナスを交互に繰り返しています。また、物価も、前の年と比べて、ゼロ%。前の年と同じ水準です。数字を見る限り、目標からは、ほど遠く、3年たって、振り出しに戻った形です。ただ、これまでは、大企業が好調でしたので、そこを起点として、まだ、賃金や投資が増え、経済の好循環が実現できると、いう期待が残っていました。
(好循環に赤信号)
それが、その大企業に、陰りがみられるようになったのです。今年の春闘では、賃金の引き上げ幅が去年を下回る見通しです。また、設備投資も、短観の今年度の計画では、大企業全体で、横ばいといった状態です。ここで、今後、本当に企業の業績が悪化して、賃金引上げや投資が一段と引き締まるようなことになれば、頼みの綱が切れて、アベノミクスの先行きに、赤信号がともりかねない。日本経済は、そのような転換点に差し掛かっているようです。振り出しに戻った形の今、この3年間の政策の何がうまくいかなかったのか、検証して、総括することが必要な時にきているように思います。
【新たな経済対策、消費増税先送りが焦点に】
では、その上で、この先どうしたらいいのでしょうか。
日銀については、国債を買い増すにしても、マイナス金利の幅を広げるにしても、もう限界近くに来ているという見方が、経済の専門家の間からはでています。
そこで、今、景気の刺激策として注目されているのが、新たな経済対策と消費増税の先送りです。
(新たな経済対策)
まず、新たな経済対策については、安倍総理大臣が今週、公明党の山口代表との会談で、夏の参議院選挙までに、取りまとめに入ることを検討する考えを示しました。この中味については、購入した額を上回る買い物ができるプレミアム付きの商品券や旅行券を発行するといった案も、出ています。
(消費増税の延期)
一方、来年4月に予定されている10%への消費増税を再び先送りする可能性について、安倍総理は、繰り返し「リーマンショック、あるいは、東日本大震災のような事態が起きない限り、予定通り引き上げる」と説明しています。
ですが、「経済が失速しては、元も子もなくなる」というように、微妙に発言を修正しているのではないかと、受け止められる発言もしています。
さらに、5月に予定されている伊勢志摩サミットに向けて、世界経済の安定に向けた議論をリードするためと言いながら、消費増税に慎重な経済学者を招いた「国際金融経済分析会合」を開いていることから、消費増税を先送りするための布石ではないかという見方も消えていません。
【低迷している個人消費への効果は?】
新たな経済対策と、消費増税の先送り。ともに狙いは、個人消費を喚起するところにあります。外需に頼れないのなら、消費をなんとかするしかない、という考えです。
(現金・預金が増えているのに、個人消費は低迷)
実際、個人消費の動向を示すグラフを見てみると、消費は、消費増税の後に落ち込んだあと、低い水準で低迷し続けています。
ところが、家計が抱える現金・預金は、去年12月の時点で902兆円。一年前より、12兆円増えて、過去最高の水準です。生活が楽なわけではない。そういう中でも、おカネを使わずに、ためている家庭が増えていることがうかがえます。
(人口減少や将来への不安が消費低迷の要因では?)
おカネがあるのに、消費が増えないことについては、「度重なる経済対策や8%への消費増税で、多くの人がクルマや家電製品を前倒しで買った影響ではないか」とか、「賃金の伸びが低い」からではないか。といった様々な理由が指摘されています。ただ、消費の低迷が長引いていることを考えると、それだけでなく、やはり、人口が減っている中、社会保障を含め将来に不安を感じて、おカネを使わない若い人が増えていることも、背景にあるのではないかと感じざるをえません。
そうだとすると、今ここで、商品券などを配っても、消費が本格的に増えるのかは疑問ですし、消費増税の先送りで、かえって将来の社会保障への不安が増すことにならないかも、心配です。
【まとめ】
消費を取り巻く不安を解消して、安心して消費を増やせるようにするには、従来の延長線上のような対策を繰り返しても、効果は限定的ではないでしょうか。簡単ではありませんが、少子化対策や社会保障制度の見直しといった、根本的な対策に本気で乗り出すこと。それが、遠回りに見えても、一番の消費対策。経済の好循環につながる道となるのではないでしょうか。
(今井 純子 解説委員)
しかし、スペインの「TVEニュース」が、ジャーマンウイングス機が墜落する前から8分間ほどいずれかの国の戦闘機が付近を飛行し“監視”していたと報じるなど不可解な話も出ている。
(当該事故は、ハイジャックではなく、精神を病んだ副操縦士が突発的に起こした意図的な墜落事故とされているので、戦闘機が緊急発進する時間的余裕はない)
※関連参照投稿
「エアアジア機 整備不良と操作ミスで事故:昨年12月のこれから始まり仏GW機・シナイ露機と続く不可解なA320系事故」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/844.html
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独機墜落操縦士の両親、新聞に哀悼の声明掲載 被害者遺族は激怒
AFPBB News
【AFP=時事】昨年3月に旅客機を故意に仏アルプス(Alps)山中に墜落させた独格安航空ジャーマンウイングス(Germanwings)のアンドレアス・ルビッツ(Andreas Lubitz)副操縦士(当時27)の両親が、事件から1年を機にドイツ紙に息子を哀悼する声明を掲載し、遺族らの逆鱗(げきりん)に触れている。
自身を含め乗客乗員150人が乗ったエアバス(Airbus)A320型機を墜落させたルビッツ副操縦士の両親は、息子を失った自分たちに対する友人や隣人の支援に感謝する旨の声明を地元の新聞に掲載した。ルビッツ副操縦士の名前である「アンドレアス」というタイトルに笑顔の顔写真が添えられた短いメッセージは、最後に太字で「あなたを失って寂しいけれど、今も、いつまでも、あなたは私たちの心の中にいる」との言葉で締めくくられていた。一方で、昨年は「恐怖に満ちた」1年だったと述べ、墜落で亡くなった149人について明確には触れていなかった。
乗客の中に息子がいたというユルゲン・フィッシェニヒ(Juergen Fischenich)さんは独日刊紙ビルト(Bild)に対し、ルビッツ副操縦士の遺族の悲しみ方が理解できないと述べ「公に感謝を示しておきながら、この人物(ルビッツ副操縦士)が殺した他の149人のことについてまったく触れないとは、どれだけ無神経で非礼というか、表現のしようがない」と語った。
搭乗時24歳で死亡したセバスティアン(Sebastian)・Sさんの両親は、弁護士を通じて怒りの声明を発表した。ビルト紙によれば「ルビッツ氏の家族の感謝の声明では、彼らの息子がまるで大切な人物のように述べられている。私たちの怒りは到底、言葉にできない」という内容だった。
同機の墜落に関する捜査では、ルビッツ副操縦士にうつ病の既往歴と自殺傾向があったことが分かっている。また同副操縦士は過去数年間に数十回にわたって医師の診察を受けていたにもかかわらず、操縦を許可され続けていた。こうしたことから操縦士の健康診断や、患者に対する医師の守秘義務などに関し、疑問が投げかけられている。
【翻訳編集】AFPBB News
「給付型奨学金」政策には、入学人数が減っている私学への助成という匂いもする。
奨学金は、対象を限定せず、無利子・長期返済の条件で提供するほうが公平感は保たれるだろう。
もしくは、高等教育に関する基本方針を明確にし、その範囲内の学生について授業料無償化に踏み切るほうが、給付型奨学金より望ましいかもしれない。
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給付型奨学金 “卒業後に返還免除”軸に検討[NHK]
4月5日 10時53分
馳文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で、自民・公明両党がそれぞれ創設を求める提言をまとめた、返済のいらない「給付型奨学金」について、入学前に支給するのではなく、卒業後に奨学金の返還を免除する仕組みを軸に検討を進めたいという考えを示しました。
自民・公明両党は、貧困家庭から大学などに進学する道を閉ざさないことや、学費などの教育支出により卒業後に多額の借金を背負わないよう、返済のいらない「給付型奨学金」を創設することを求める提言をそれぞれまとめ、4日、安倍総理大臣に提出しました。
これについて、馳文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で「給付型奨学金を巡る明確な提言が安倍総理大臣に出されたことは重く受け止めたい。政府内で合意を取りながら、水面下で煮詰めるところは煮詰めていきたい」と述べました。
そのうえで、馳大臣は「給付の在り方を考えた場合、最初から4年間分の奨学金をどうぞというのは課題が大きい。進学や単位の取得を踏まえて判断される必要があり、返済免除型の方が理屈に合い、モラルにも沿っているのではないか」と述べ、入学前に支給するのではなく、卒業後に奨学金の返還を免除する仕組みを軸に検討を進めたいという考えを示しました。
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自民・公明「給付型奨学金」創設求める提言提出[NHK]
4月4日 17時36分
自民・公明両党は、経済的な理由で子どもの教育に格差が生じないよう、返済のいらない「給付型奨学金」の創設を求める提言をそれぞれまとめ、安倍総理大臣に提出しました。
自民・公明両党は、教育再生に関する提言をそれぞれまとめ、4日、自民党の教育再生実行本部の本部長を務める渡海元文部科学大臣と、公明党の教育改革推進本部の富田本部長らが総理大臣官邸を訪れ、安倍総理大臣に提出しました。
提言ではともに、貧困家庭から大学などに進学する道を閉ざさないことや、学費などの教育支出により、卒業後に多額の借金を背負わないよう、返済のいらない「給付型奨学金」を創設することを求めています。
提言を受け取った安倍総理大臣は、給付型奨学金について、「いろんなことが考えられ、ほかにもいろんな手立てを検討している」と述べたということです。
提出後、渡海氏は記者会見し、「給付型奨学金については、国会でも議論されており、ぜひ実現してほしいと安倍総理大臣に申し上げた。補正予算を組むのであれば、提言を踏まえて組み入れてほしい」と述べました。
菅官房長官 与党とも連携して対応検討
菅官房長官は、午後の記者会見で、返済の必要がない「給付型奨学金」の創設について、まずは無利子の貸与型奨学金の充実に取り組む考えを強調したうえで、高校卒業後、働く人がいることなども考慮に入れながら、与党とも連携して対応を検討していく考えを示しました。
この中で、菅官房長官は、与党などから返済の必要がない「給付型奨学金」の創設を求める意見が出ていることに関連し、「政府の基本的な考え方は、貧困によって子どもが教育を受けられなくなり、貧困の連鎖につながることは決してあってはならないということだ」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は、「無利子奨学金の充実に取り組み、可能なかぎり速やかに、必要とするすべての学生が受けられるように、まずしていきたい。あわせて児童養護施設で育った子どもが進学した場合の支援や、犯罪被害者の子どものように本当に厳しい状況にある子どもには、給付型の支援によってしっかり手を差し伸べていきたい」と述べました。
さらに、菅官房長官は、「高校卒業後に働く方もいるなかで、大学進学者に返還不要の奨学金を給付することの是非や、どのように対象者を選定するのか、課題がある。引き続き、与党とも十分に連携してさらに検討していく」と述べました。
中国で北朝鮮問題を担当する武大偉特別代表は4日から日本を訪れていて、5日、外務省の石兼アジア大洋州局長と会談します。
武大偉氏は、駐日中国大使を務めるなど知日派として知られており、日本に滞在している今月8日までの間に岸田外務大臣をはじめ、福田元総理大臣や自民党の谷垣幹事長、それに公明党の山口代表などと会談する方向で調整しています。
これについて政府内では「来週10日から始まるG7=主要7か国の外相会合で、南シナ海を巡る問題を大きく取り上げないよう、けん制する目的があるのではないか」という見方が出ています。
G7外相会合では、岸田大臣が中国の海洋進出を念頭に、海洋の安全保障の問題を取り上げる考えを重ねて示しているほか、外務省幹部は「南シナ海の問題を扱わないことはありえない」と話しており、来月の伊勢志摩サミットもにらんで日中両政府間の駆け引きが激しさを増しています。
公明党の山口代表は、政府与党連絡会議で、来年4月に予定されている消費税率の引き上げと同時に導入される軽減税率について、事業者からの相談に応じる体制の整備など、制度の円滑な導入に向けて着実に準備を進めるよう政府側に求めました。
この中で、公明党の山口代表は、来年4月に予定されている消費税率の引き上げと同時に導入される軽減税率について、「税制関連法が成立したことで、軽減税率が消費税の制度に組み込まれることが確立した。政府は、周知徹底を図るとともに、事業者などからの相談にもきちんと応じる体制をとり、円滑な実施に向けて最大限の努力をお願いしたい」と述べ、制度の円滑な導入に向けて着実に準備を進めるよう政府側に求めました。
会議のあと山口氏は記者団に対し、「消費税率の引き上げが、社会保障の安定性や財政健全化などのためだと国民に理解を求める政府の努力が必要だ。同時に、国民の生活の心配を解消できる対策をとっていくべきだ」と述べ、予定どおりの引き上げに向け、環境整備を進めるべきだという考えを重ねて示しました。
日本は、主要7カ国と反核宣言を行う合意を取りまとめている。宣言は、広島で4月10-11日に行われるG7外相会合の際、採択される計画だ。宣言書には特に、核兵器が人道に反する事を認め、核兵器保有などの透明性を高める項目が含まれる見込みだ。そうなれば、世界の大国が保有している核兵器に関する情報公開につながるだろう。
先日、米大統領選挙共和党候補指名争いでトップに立っているトランプ候補が、事実上、日本と韓国に核兵器を装備するよう求める発言をしたが、日本政府は、これに対し、大変神経質な反応を示した。トランプ候補は「北朝鮮が攻撃してきた場合、我々は、両国が自分達の事を自分で心配する邪魔立てはしない」と述べ「米国の国家債務が19兆ドルもある中で、在日米軍5万4千、在韓米軍2万8500人を維持するには、余りに多くの経費がかかりすぎる」と指摘した。
日本の菅官房長官は、東アジアの不穏な状況の中で、日本は密かに自前の核兵器を製造するかもしれないとの噂を、すぐに否定し「日本が核保有国になる事は、恐らく米国にとっては有益だろうが、日本は、非核の立場を捨てるつもりはない」と言明した。さて一方韓国が核保有国に代る可能性についてはどうだろうか。
ロシアの東洋学者でソウルにあるクンミン大学の教授を務めるアンドレイ・ラニコフ氏は、スプートニク日本のリュドミラ・サーキャン記者の取材に対し「日本と違って韓国では、空想ではあるが、このテーマは極めて人気がある」と指摘し、次のように続けた-
「世論調査によれば、韓国人の大部分が、核兵器保有を望んでいる。それが軍事用である事は、言うまでもない。しかしそれは実現不可能な夢だ。なぜなら、核兵器拡散のどのような試みも、かなり厳しく阻止されるからである。もちろん韓国に対する厳しさの程度は、現在の北朝鮮に対するものよりは、かなり小さいだろう。しかし、制裁が最低限で、どのようなものであったにしろ、本質的にひどく敏感な反応が起こるだろう。もし韓国政府が、恐らく今存在しているような何らかの超機密プログラムのレベルではなく、もう少し目につくようなレベルで行動を始めたら、すぐに国際的な制裁メカニズムに含まれるに違いない。
北朝鮮では、飢餓の脅威さえ、政府の政策に影響を与えないが、韓国では、もし平均的な有権者の生活レベルが下がったならば、新車を5年に一度でなく7年に一度買うようになったなら、その有権者は、そうした問題を作りだした政権に反対票を投ずることになる。つまり、韓国人は核兵器保有を夢に見るとしても、核プログラム実現のために物質的精神的に我慢する用意ができていないという事だ。それゆえ、核兵器保有という夢は、夢のまま終わるだろう。」
一方日本の状況は、これとは違う。政治家や軍人の間で、そうした話が何度も繰り返されるが、有権者達は、核兵器について耳にする事を望んでいない。北朝鮮からの脅威が、深刻なものと捉えられていてもである。実際、日本には巨大な量の放射性物質があり、原発も含め、潜在的な核兵器製造技術もある。まさにそれこそが、隣国から有り得る攻撃を抑止する重要な無言の警告と見なされている。
日本の2016年版「外交青書」の草案では、ロシアとの関係の発展および強化は日本の国益にかない、地域の平和と安定の維持に寄与していると述べられている。
ロシアとの関係に関する日本の「外交青書」のこのようなトーンは長い間変わっていない。
日本に関する専門家のドミトリー・ストレリツォフ氏は、冷戦終結後、ロシアは日本の「外交青書」で常にアジア太平洋地域における日本の重要なパートナーとして位置づけられていると指摘している。ストレリツォフ氏は、これは日本にとってロシアとの関係が二国間フォーマットのみならず、東アジアの安定性という視点から見た国際的な文脈でも重要だからだとの見方を示し、次のように語っている−
「これは露日関係の基礎に置かれているある種の恒常的なものだ。ロシアと西側の関係が今日緊迫していることを念頭においた場合、この恒常的なものは、さらに国際的な促進剤となっている。多くの人が露日関係はロシアと西側諸国の対話正常化に役立つと考えている。しかしロシアと日本の関係には、具体的に東アジア地域と関連した重要な二国間の文脈がある。
それは、すでに長年にわたって同地域の全ての国の主要な議題となっている中国の要素だ。これは中国の経済的台頭であり、中国の軍事・政治的立場の強まりだ。このような目に見えない背景の中で、ロシアと中国の関係は発展している。日本の外交は、これを考慮せずにはいられない。そのため日本にとってロシアとの関係は、そのものだけでなく、中国の台頭を考慮したアジア全体における全体的にバランスの取れた外交の文脈でも重要なのだ。」
2016年版の「外交青書」では、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の訪日を早期に実現する方針が指摘されている。近いうちにも首脳会談の日程が明らかになる見込みだ。ストレリツォフ氏は、これは非常に重要だとの考えを表し、次のように語っている−
「この事実は、現段階でポジティブな構成要素が露日関係の前面に押し出されていることを物語っている。このポジティブな構成要素は、我々を近づける柱になると見られている。すなわち建設的な議題に集中するということだ。私はまさにこれが『外交青書』のような文書を作成する際に考慮されているのではないかと思っている。領土問題に関する日本側からの粘り強さや過度な圧力はなくなるかもしれない。個人的に、中期的には領土問題解決の見通しは弱く、実質的にはゼロに等しいと考えている。しかしこれは両国の首脳会談で何らかの合意が達成される可能性を排除しているわけではない。まさにそのため最大限ポジティブな雰囲気の中で首脳会談を実施するのが重要だ。『外交青書』は日本の外交官やロシア、その他の国にとって、日本がポジティブな議題に集中する意向であることを示す明確なシグナルとなっている。このポジティブというのは、領土問題に言及しなかったり、あるいはこの問題を隅に追いやるなど、必ずしも何らかの譲歩を意味しているわけではない。しかし建設的な気構えの表れは、ウクライナ危機を背景に凍結していた対話の再開に役立つだろう。」
ロシア大統領の訪日実施に関する露日の意向は、2015年11月のG20サミットの場で開かれた露日首脳会談で確認された。また日本の首相には、ロシアの地域への非公式訪問が提案された。
火曜日、アルメニア、アゼルバイジャン双方は、ナゴルノカラバフ紛争ゾーンでの停戦合意に達した。
ナゴルノ・カラバフは、1991年にアゼルバイジャンから独立を宣言した飛び地で、主にアルメニア人が住んでいる。アゼルバイジャンは、軍事作戦によって同地を再び支配下に置こうとしたが、失敗した。1994年、アゼルバイジャン、アルメニア、国として認められていないナゴルノ・カラバフ共和国は、ロシア仲介のもとでビシュケク議定書に調印した。
アイスランドのグンロイグソン首相は、オフシェア・カンパニーに資金を隠していたとの所謂タックスヘブン問題での批判を背景に、辞任を表明した。
先に「パナマ文書」の中で、グンロイグソン氏と彼の夫人が、租税回避地に設立された会社Wintrisの所有者であるという情報が明らかになった。
昨日、アイスランド議会の建物周辺では、首相の退陣を求める大規模な抗議集会が開かれ、野党側は、内閣不信任案を提出した。
火曜日、こうしたスキャンダルを背景に、グンロイグソン氏は、グリムソン大統領に対し議会の解散を求めた。
伝えられたところでは、大統領は、政党間の協議のあと、最終的な決定を下す考えだ。
米国務省のトナー報道官は、米国は自国の金融システムへのアクセスをイランに提供しないと発表した。
すなわちイランはこれまで通り、米ドルで何らかのオペレーションを実行することはできないということになる。
なおイランのロウハニ大統領は先に、対イラン制裁解除後にイランは米国との経済関係を発展させる意向はないと自ら述べ、それは両国間には制限が課される前も関係がなかったためだと語った。
テログループ「ダーイシュ(IS,イスラム国)」の戦闘員らは、シリア北部の町デリゾール(デイルエッゾル)の空軍基地のシリア軍人を攻撃した。軍事筋が明らかにした。そのさい、一連の兵士達が、化学兵器により窒息死した。
先にシリア政府軍は、テロリストらが、空軍基地攻撃を試みた事を伝えている。なお戦闘機は、ダーイシュの前衛部隊を攻撃し、彼らの軍事車両や戦闘員を殲滅した。
パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の秘密文書を入手した調査報道の国際コンソーシアム(ICIJ)のジェラルド・ライル事務局長は、近いうちにも「たくさんの米国人の名前」を公表すると発表した。
ライル氏によると、ICIJは米国の政治家のデータは持っていないが、米市民については近いうちにも公開する予定だという。なお新たなデータ流出の可能性についての詳細は、今のところ伝えられていない。
ライル氏は、「パナマ文書」に基づき、新たな資料の公表を続けると約束し、同プロセスにICIJのメディアパートナーが加わったと指摘した。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160405/1903814.html
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/268.html
「日本の2016年版「外交青書」:ロシアは重要かつ必要」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/260.html
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安倍首相 5月6日にロシア訪問か[スプートニク日本語]
2016年04月06日 15:57(アップデート 2016年04月06日 16:06)
新聞「イズヴェスチヤ」が外交筋の情報として伝えたところでは、安倍首相は、5月6日にソチを訪問する可能性がある。
新聞報道によれば、安倍首相は、ソチでプーチン大統領と会談する予定だ。また会談の際には、平和条約締結問題や、ロ日関係発展の諸問題、国際情勢などについても意見が交換される。
米大統領選挙共和党及び民主党候補者指名争いでトップを走っている、不動産王のトランプ氏そしてクリントン前国務長官の2人が、中西部ウィスコンシン州の予備選で、それぞれクルーズ上院議員、サンダース上院議員に敗れた。CNNテレビが伝えた。
特にクルーズ上院議員は48%の得票率で、トランプ氏の34%に大差をつけ勝利した。しかしそれでもトランプ氏は、共和党候補指名争いでトップに立っているが、2位につけているクルーズ上院議員との差は縮まった。
一方サンダース上院議員は、ウィスコンシン州で50%を越える票を獲得、クリントン前国務長官との差は9%だった。敗北したものの、クリントン候補は、さらに33人の代議員を得、その数を1712人とした。なおサンダース上院議員が獲得した代議員の数は、1011人となった。
「福島第一原発の悲劇は原子力発電に終止符を打たなかった:やめると言えない訳は高濃度放射性物質処理問題と米国の存続指示」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/669.html
「だから、高浜原発の稼働を停止させた大津地裁の判断も司法と内閣(政治)のグル」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/741.html
「日本は大阪にある濃縮ウラン備蓄を手放す:「一国からの核物質の運び出しとして史上最大級のプロジェクト」と自賛のオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/243.html
「米高官 核燃料サイクルに反対も日本に放棄求めず:内政干渉でやめさせたと思われたくないから“自主的”にやめろということ。」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/246.html
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原発差し止め今度は認めず 司法が揺らすエネ政策 安全性の理解浸透カギ
九州電力川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)だけでなく、全国各地の原発で運転差し止めを求める訴訟や仮処分申請が相次いでいる。原子力規制委員会による原発の安全審査とは別に司法が個々に判断しており、国のエネルギー政策が混乱しかねない。国や電力会社は東京電力福島第1原発事故で失った信頼の回復に向けて原発の安全性をより丁寧に説明する姿勢が求められそうだ。
2011年3月の福島原発事故後、原発の安全規制を取り巻く環境は大きく変化した。規制委は12年9月、原発を推進する経済産業省から規制を担う原子力安全・保安院を切り離し、環境省の外局として新たに発足した。
規制委が13年7月に導入した新規制基準は、福島原発事故の教訓を踏まえて地震や津波対策を厳しく求めた。放射性物質の拡散を食い止める設備の設置なども義務づけることで過酷事故を防ぐ。
政府は「世界一厳しいレベルの安全基準に合格した原発は順次再稼働させる」(安倍晋三首相)とし、新規制基準に基づく審査のもとで原発の再稼働を進める方針だ。これまでに16原発26基が安全審査を申請し、川内1、2号機や関西電力高浜3、4号機(福井県)など3原発5基が合格した。
ただ、新規制基準に対して司法の見方は大きく分かれる。15年4月、鹿児島地裁は「最新の科学的知見に照らし、不合理な点は認められない」と評価。川内1、2号機の周辺住民による運転差し止めの仮処分申し立てを却下した。
一方、15年4月に高浜3、4号機の運転差し止めの仮処分を下した福井地裁は「新規制基準は緩やかにすぎ、合理性を欠く」と批判。今年3月には、高浜原発の運転差し止め仮処分を決めた大津地裁が「新規制基準が直ちに公共の安寧の基礎となると考えることをためらわざるをえない」とした。この仮処分決定で高浜原発は再び停止した。
政府は原発を季節や天候、昼夜を問わず電力を安定供給する「重要なベースロード電源」と位置づける。各地で原発の運転の可否を巡る司法判断が分かれることで、エネルギー政策が大きく揺り動かされる状況は当面続く可能性がある。国や電力会社は原発の安全性や再稼働の必要性について国民の理解を深める努力が欠かせない。
[日経新聞4月6日夕刊P.3]
「原発差し止め今度は認めず 司法が揺らすエネ政策:大都市圏周辺は不稼働、人口疎の地方で一部再稼働というのが政府方針らしい」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/127.html
「司法が止めた原発:「原発メルトダウン危機の88時間」のようなインチキ総括しかできないデタラメ状況で再稼働停止は当然」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/345.html
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川内原発 差し止め認めず
福岡高裁支部「新基準に合理性」
九州電力川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めを周辺住民らが求めた仮処分申請の即時抗告審で、福岡高裁宮崎支部(西川知一郎裁判長)は6日、住民側の抗告を棄却する決定を出した。「原発の新規制基準は不合理とはいえない」と判断した。関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の運転停止を命じた3月の大津地裁の仮処分決定と司法判断が分かれた。
2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、全国の原発は停止。川内原発は安全対策を厳しくした国の新規制基準に基づく審査に合格し、ほかの原発に先駆けて昨年8月に再稼働した。
即時抗告審の主な争点は規制基準の妥当性のほか、川内原発の(1)地震対策(2)火山の影響(3)避難計画の実効性――だった。
この日の決定は、新規制基準は福島第1原発事故の教訓なども取り入れる形で策定されたなどとして「不合理とはいえない」と指摘。耐震設計で想定する最大の揺れの強さである基準地震動について、同原発は地域特性も考慮した上で設定されているとして「過小評価になっているとはいえない」とした。
火山の影響や避難計画についても住民側の主張を退け、「同原発の運転によって住民らの人格権に対する違法な侵害行為のおそれはない」と結論付けた。
九州電力は「川内原発の安全性は確保されているとの主張が認められたもので妥当」とのコメントを出した。
菅義偉官房長官は記者会見で「世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると判断した原発を、地元の理解が得られるなかで再稼働するという政府の姿勢に変わりはない」と語った。
訴えが退けられたことで、九電は川内1、2号機の月100億円の収益改善効果を維持できることになる。16年3月期は原発再稼働効果で5期ぶりに最終黒字を確保する公算が大きい。
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司法判断分かれる
2011年3月の福島第1原発事故以降、原発の運転差し止めについての司法判断が各地で出ているが、その結論は割れている。
九州電力川内原発の運転差し止めを周辺住民らが求めた仮処分申請については、昨年4月の鹿児島地裁に続いて運転を認めた。いずれも13年に原子力規制委員会が安全対策を厳しくした新規制基準が合理的と認めた。
同じ基準を「緩やかすぎで合理性を欠く」などと批判し、差し止めを命じたケースもある。関西電力大飯原発(福井県)をめぐる福井地裁判決(14年5月)や、高浜原発(福井県)での大津地裁決定(16年3月)だ。高浜原発のケースでは稼働中の原発が司法判断でストップする初のケースとなった。2件とも電力会社側が異議申し立てなどを行い、審理などは続いている。
一方、高浜原発をめぐっては、福井県内の住民らによる別の訴えで、福井地裁が15年4月に差し止めを命令。その後同地裁の別の裁判長が関電側の異議を認めて差し止めが取り消されるなど、同じ訴訟で判断がわかれるケースもある。
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福岡高裁宮崎支部決定の骨子
○耐震安全性について、新規制基準や原子力規制委員会の判断が不合理とはいえない
○火山の影響について、破局的噴火のリスクは考慮しなくても不合理とはいえない
○九電側は具体的危険が存在しないとある程度証明した
○その他に原発が安全でなく放射性物質が放出される具体的危険があるとはいえない
[日経新聞4月6日夕刊P.1]
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住民側「期待したのに」 川内運転差し止め認めず 地元、評価の声も
九州電力川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めを求める即時抗告が退けられた6日、福岡高裁宮崎支部前に集まった周辺住民からは落胆の声が漏れた。一方、地元の薩摩川内市内で決定を聞いた住民からは運転の継続を評価する声が聞かれた。
「不当決定」。決定文を受け取った住民側弁護団は、申立人の周辺住民や支援者らが待つ同支部の前で、厳しい表情を崩さず垂れ幕を掲げた。集まった住民らから、一斉にため息が漏れた。
決定は原発の安全性に関する新規制基準に「不合理な点はない」とし、運転差し止めを認めなかった。弁護団は「非常に残念」と声を絞り出し、「これから決定内容を検討する」「残念だが、これで終わりではない。本訴訟で、粛々と原発反対を主張していく」などと淡々と話した。
熊本県水俣市から決定を見届けようと足を運んだ無職、中山徹さん(71)は3月、大津地裁が関西電力高浜原発(福井県)の運転差し止めを命じたことを踏まえ「今回も期待していたのに」と憤った。
一方、薩摩川内市内で決定を聞いた不動産会社経営、山口公弥さん(75)は「薩摩川内はエネルギーの街。原発が停止していた時期の痛みをみんな知っている。裁判所の決定は喜ばしい」と歓迎。同市の無職、寺田守文さん(75)も「事故のリスクを考えると原発はないに越したことはない。ただ地元は土地を提供している以上、税収など経済効果も考えると活用できるのなら動かしてほしい」と話した。
安全を強調する九電側に対し、運転差し止めを求めた住民側は主に地震対策や火山の影響、避難計画の実効性を疑問視。2012年に鹿児島地裁に提訴したのに続き、14年に仮処分を申請。しかし同地裁は昨年4月、申し立てを却下した。
住民側は「再び福島第1原発のような事故が起こる可能性を容認した」と反発。同5月に即時抗告した。
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原発の新規制基準とは
▼原発の新規制基準 原発の設置や稼働に際し満たさなくてはならない基準で、東京電力福島第1原子力発電所の事故を教訓に2013年7月、国の原子力規制委員会が導入した。基準に基づく規制委の安全審査を通過しないと稼働できない。
新基準では炉心溶融や放射性物質の大量放出といった過酷事故対策や、航空機衝突などのテロ対策が加わった。地震、津波対策も強化され、火山や竜巻の影響も安全審査の際に検討対象となる。
[日経新聞4月6日夕刊P.15]
米国のロック・バンド「システム・オブ・ア・ダウン(System of a Down)」のリーダー、セルジュ・タンキャン氏は、トルコのエルドアン大統領が「ナゴルノカラバフはアゼルバイジャンに帰属すべきだ」と発言した事をコメントし、大統領を「白痴」と呼んで非難した。
タンキャン氏は、自分のFacebookの中に、次のように書き込んだ-
「エルドアン大統領は、歴史を学ばなかったようだ。ナゴルノカラバフは、歴史的にアルメニア人の土地だ。これはスターリンがアゼルバイジャンに与えた。そしてサージ・タンキアンは、東トルコもある時、完全な権利を持つ持ち主に戻されるだろうと語った。そうした人物は、白痴であり、彼の隣に立って彼を支持するすべての人も又白痴のように見える。」
「司法が止めた原発:「原発メルトダウン危機の88時間」のようなインチキ総括しかできないデタラメ状況で再稼働停止は当然」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/345.html
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福岡高裁 川内原発の運転差し止め請求を斥ける[スプートニク日本語]
2016年04月06日 17:31
今日、福岡高等裁判所宮崎支部は、昨年再稼働した川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1,2号機の運転差し止めを求める住民の請求を棄却した。
判決文の中では「大型地震あるいは火山の噴火により、原発が損傷を受ける可能性はある」と指摘されているものの、裁判長は「原子力規制委員会が(福島第一原発事故後)定めた原発の新規制基準や安全審査の結果は、不合理とはいえない」とし「抗告人らが重大な被害を受ける具体的な危険はない」と判断した。
九州電力は、昨年8月と10月に川内原発の1号機と2号機を再稼働させた。それぞれの原子炉の出力は、89万キロワットである。
「鳩山元首相、日中関係悪化で安倍政権を批判=「政府には逃れられない責任」―中国メディア」
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/899.html
では、安倍政権批判がメインとなっているが、人民網日本語版の記事はニュアンスが違っている。
「漁船衝突事件発生後、菅直人元首相が誤った対応をし、また、その後釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題において、東京都知事の石原慎太郎氏の不適切な発言と、野田佳彦前首相が釣魚島の「国有化」を決定、中日両国関係の正常な発展に影響をもたらし、自民党政権の靖国神社参拝、釣魚島問題と歴史問題で中国国民の感情を傷つけ中日関係をさらに悪化させた」と、菅元首相・石原前都知事・野田元首相は名前をストレートに出して批判しているが、安倍首相については“自民党政権”というかたちで言及しているだけである。
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鳩山元首相「日中関係悪化の大部分の責任は日本にあり」
人民網日本語版 2016年04月05日15:25
「両国友好の共通認識を拡大、民間の実務協力を推進」と題する中国広報文化外交協会主催の「中日知名メディア人対話会」が4日、日本の東京都で開かれた。3日には「人民日報」、中国国際放送局、人民中国といったメディアの代表者からなる中国側訪問団と日本の鳩山由紀夫元首相の交流が行われた。国際在線が伝えた。
3日午後、日本の鳩山由紀夫元首相が中日知名メディ人対話会の中国側代表団と交流を行った。鳩山氏は自身が在任中、中日関係は安定的な発展を維持したが、漁船衝突事件発生後、菅直人元首相が誤った対応をし、また、その後釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題において、東京都知事の石原慎太郎氏の不適切な発言と、野田佳彦前首相が釣魚島の「国有化」を決定、中日両国関係の正常な発展に影響をもたらし、自民党政権の靖国神社参拝、釣魚島問題と歴史問題で中国国民の感情を傷つけ中日関係をさらに悪化させたと述べた。
鳩山氏は、「目下日中の政治関係は好ましくなく、大部分の責任は日本にある。日中関係が正常な関係に回復するためには、特に日本側は歴史問題をはっきりと認識し、歴史的事実を認め、現在の状況を改善する努力をしなければならない」と述べた。
今年の全人代で、中国の王毅外交部長(外相)は中日関係について、「日本政府と指導者は、絶えず関係改善を口にする一方で、いたるところで中国とのトラブルを引き起こしている。典型的な表裏のある人間のやり方だ」と指摘していたが、鳩山氏もこの点に賛同し、「日本政府は一方で対中友好を掲げながら、一方で西沙、南沙、釣魚島といった区域での軍事脅威を誇張し、『中国脅威論』を打ち出しているが、これは日本の自信のなさの表れである」と述べた。
また鳩山氏は、中国経済は絶えず発展しているが、日本は「失われた20年」を経て経済は持続的に低迷し、戦後の高度経済成長で確立してきた自信が損なわれたとし、「二面性」は日本にとっても良いことはないと述べた。
歴史問題について鳩山氏は、多くの教科書が十分で正しい原因説明を行っていないため、日本の大多数の人が釣魚島や南京大虐殺といった歴史問題を正確に認識していないとし、「日本のメディアや政府がいくら私に圧力をかけようと、歴史の真実を伝えることを堅持する。正しく歴史を認識してこそ、日中韓三国の関係改善に資する」と述べた。(編集MI)
「人民網日本語版」2016年4月5日
「安倍首相 ロシアとの平和条約締結は「日本人の悲願」:日朝国交正常化と日ロ平和条約締結をもって戦後は終わる」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/125.html
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程永華大使「爆買い」と「包囲網」の同時出現を語る
人民網日本語版 2016年04月05日17:10
中国の程永華駐日大使は4日、日本の中国に関するメディアの報道にみると、ここ数年、2つの言葉がしばしば登場していることがわかると述べた。「爆買い」と「中国包囲網」だ。中国新聞社が伝えた。
長年にわたり対日実務を手がけ外交を知り尽くした程大使でも、2つの論理がかみ合わない言葉、さらに言えばまったく関連のない言葉が同時に報道に登場するのが不思議だという。程大使は、「これは第一に、中日両国国民の交流が日に日に密接になると同時に、政治や安全保障をめぐっては相互の信頼が欠けているという客観的な事実を反映したものだ。第二に、中国の急成長に対する日本の複雑な心境を映し出したものだ」と分析した。
程大使は、「中国人の日本に対する感情を考えると、日本は歴史、領海、安全保障政策の動向といった敏感な問題ではしばしば消極的な動きをみせ、必然的に中国メディアの注目と警戒を呼び起こしている。目下の世論環境が示すのは両国国民の感情の悪化だが、深層レベルで考えればお互いの理解がまだまだ不足しており、相互の信頼が欠けているといえる」と述べた。
程大使は同日、中日両国の伝統的メディアや新興メディアの関係者数十人が参加した「中日著名メディア関係者対話会」に招待を受けて参加し、あいさつの中で最新の世論調査の結果を挙げて、「中日両国国民で相手国に好感をもたないとする人がそれぞれ80%前後いたが、中日関係の重要性を認識している人もそれぞれ70%を超えた」と述べた
程大使は、「このような結果は、一方ではここ数年の中日関係の全体的ムードの影響を受けたもので、また同時に両国の世論環境とも密接な関わりがある。このため、両国のメディア関係者が客観的で全面的かつ中立の精神で、メディア関係者の社会的責任と職業上の良識を守り、中日関係を観察し報道し、両国国民の正しい理解と理性的な認識のために積極的な役割を果たし、中日関係の持続的な改善発展にプラスのエネルギーを蓄積することを願う」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年4月5日
自民党の山本幸三代議士は、大蔵省出身のばりばりの上げ潮派で、安倍首相の経済政策を支援してきた政治家である。
山本幸三代議士の「消費の数字から見れば、リーマンショック以来の事態が起こっていることになる。消費税は増税どころか減税すべきだというふうにも読めるということだと思う」という発言は、現状が安倍首相が消費税税率引き上げ再延期の条件として提示したリーマンショック並みの経済不況に相当していると言いたいだけで、アベノミクスの失敗を認めたものではない。
(なお、アベノミクスは「国債サイクル維持」政策でしかなく、総合的な経済政策といえるようなものではない。「国債サイクル維持」政策としてはとりあえず“成功”している)
ブログ主は、
「1、アベノミクスの大失敗の責任を取り、即刻内閣総辞職。
2、増税先送りじゃなくて5%に戻す。
3、1・2を速やかに実行する。
日本をなんとかするには
この道しかない!」
と主張されているが、安倍首相の熱心なサポーターである山本幸三代議士も、「増税先送りじゃなくて5%に戻す」べきと提言している。むろん、「アベノミクスの大失敗の責任を取り、即刻内閣総辞職」とは言わないが...
消費税を5%に戻す政策が可能なら、消費税を廃止すべきである。
※関連参照投稿
「消費税:民進党古川代議士「予定通りに上がるほうがサプライズ」「安倍総理はそもそも消費税を5から8に上げるのもイヤだった」」
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/588.html
[ロンドン 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 金融危機以降8年近くにわたって、いまだ資本規制を行っているとはいえ、アイスランド経済はそう悪くはない。同国の消費者信頼感と個人消費の伸びは、2007年以降で最高となっている。
非政府組織(NGO)トランスペアレンシー・インターナショナルの「腐敗認識指数」ランキングでは、アイスランドはオーストラリアと共に、世界で13番目に汚職の少ない国として挙げられている。
だがアイスランドは、パナマの法律事務所から流出した機密の金融取引文書、いわゆる「パナマ文書」で最初に大きな打撃を被った国となった。
パナマ文書により、アイスランドの破綻銀行が発行した債券を保有するオフショア企業の半分を、同国のグンロイグソン首相がかつて所有していたことが明らかとなった。首相は5日、辞任を表明した。
なぜアイスランドがドミノ倒しの口火を切る羽目に陥ったのか。これは単なる偶然ではない。グンロイグソン氏率いる進歩党への支持率は低い。透明性向上を約束し、2013年に同氏が首相に就任して以来、半分以上低下している。
アイスランドは危機から回復したが、信頼は依然として低い。比較的汚職のない国だが、世論の動向は間違った方向に向かっている、と米保守系シンクタンクのヘリテージ財団は指摘する。
アイスランド国民が海外に資金を移すのにいまだに制限を余儀なくされるなか、グンロイグソン氏の失墜に海外の隠し財産が絡んでいたということも、怒りを増幅させている。
とはいえ、アイスランドを脆弱(ぜいじゃく)にさせるものは、パナマ文書を最終的に全く無用にさせるものと同じである。同国は強い法の支配の下に成り立ち、国民が敏感に反応する民主主義国家だ。アイスランド議会は、世界で最も古い歴史をもつ議会の1つである。有権者の期待は高く、もしそれがかなわなければ、自分たちの意見を世に知らしめることができる。
ここで、中国について考えてみよう。パナマ文書によれば、8人の旧・現指導者の家族がオフショア企業を所有していたとされている。中国では、同文書流出に関して報道規制が行われている。たとえ規制されていなくても、中国の一般市民がそれについてどうするかを知るのは難しい。習近平国家主席さえ認めているように、汚職は根深く、染みついている。
もっと下世話な内容が明らかになるに違いない。英国、ウクライナ、パキスタンの指導者の親類もパナマ文書に記載されている。しかしアイスランドが早々に見舞われた災難は、スキャンダル全体を方向付けるだろう。いかに意図的であれ、流出はおおむね善人と言えるような人物に平手打ちを食らわせ、本当に腐敗した人間を野放しにする傾向がある。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。
http://jp.reuters.com/article/column-panama-papers-iceland-idJPKCN0X30GC?sp=true
iPS細胞は、DNA構造の特定やヒトゲノムの解読などと並んで、20世紀の生物学における最も重要な3つの出来事のうちの一つと言われている。この多能性幹細胞は、再生医療を実現するために重要な役割を果たすに違いない。
先日、日本の学者達は、幹細胞の助けを借りて、毛が生える元となる毛包や脂を分泌する皮脂腺を含む皮膚をすべて再生することに成功したと発表した。実験は、マウスを使って行われたが、学者達は近い将来、幹細胞の助けを借りて、人体のどのような組織も育てたり再生できると確信している。心臓及び血管の病気による死亡率が高いロシアでは、そうした疾患の治療のため、幹細胞の臨床実験に本腰を入れてアプローチしてきた。
人間の身体が良好な間は、幹細胞は、自分の活動領域を自由に独立して「彷徨っている」が、何らかの不都合を知らせるシグナルを受け取ると、痛手を受けた組織に直ちに向かい、骨や平滑筋、肝臓や神経など必要な細胞に変化する。人体は、およそ500億の幹細胞を含んでおり、それらは定期的に新しくなっている。しかし加齢と共に、それらの数は急激に減少してゆく。20歳になるまでにもう、幹細胞は消え始め、70歳になる事には、その数は全くわずかになってしまう。まして若くない人体の幹細胞は、もう以前のように万能なものではなく、それらは血液細胞には変わることはできるが、もう神経細胞に変わる力はない。
また人工的に幹細胞を人体に持ち込めば、働きが鈍く老いた、あるいは病気になった細胞の代わりになり、活発な生活を続ける助けとなる。しかし、こうした方法は、100%うまくいくわけではない。外から入ってくる細胞が、免疫系により拒否される事もよくある。ガンなどの病気が起きるリスクが高くなることも有り得る。ロシアの学者達は「患者を害してはならない」という医療倫理の原則にのっとって、患者の身体の中で幹細胞を作りだす力を活性化させるユニークな薬を作りだした。
ウラジスラフ・デイギン教授と彼の息子ユーリイ・デイギンが開発した革新的な薬剤は「ストヴォロゲン」と名付けられた。ユーリイ・デイギン氏は、スプートニク日本のリュドミラ・サーキャン記者の取材に対し「この薬剤は、効果と安全性の間で最適のバランスを取るものになっている」と指摘し、次のように続けた―
「[ストヴォロゲン』の歴史は、原子力潜水艦乗組員達の免疫力回復のため薬を開発してほしいとの軍医学アカデミーの要請にさかのぼる。彼らは、背後で原子炉が稼働しているという状態の中、投錨地に6カ月も留まったため、帰還後、免疫システムがひどく低下してしまった。早急に効果的に免疫システムの機能を回復させることができるような薬剤が必要だった。
『ストヴォロゲン』は、すでにそれから3世代あるいは4世代目のペプチドだ。その効果のメカニズムは、患者が体内で自分の幹細胞を作りだすのを刺激することにある。体内で、普通そうしたプロセスは自然に調整されるが、残念ながら、歳を取ると共に、そのスピードは鈍って行く。我々のメソードでは、何も他のものを体内に持ち込まない。一方自分で幹細胞を作りだす力は、1,5倍から2倍に向上する。これは大変良い事で、もし数倍あるいは何十倍も向上してしまったら、患者の身体の安全に支障が生じてしまう.『ストヴォロゲン』は、安全性と効果の間のバランスを程よく取っている。また私達は、胚や胎児の細胞などを使っていない。それは、3つのアミノ酸からなるペプチドで、鍵のように、柔らかく安全に、幹細胞作りを担当するシステムの扉を、ほんの少し開けるのだ。」
この薬剤は、 ロシア科学が突破口を開いた成果で、生物の防御特性、つまり免疫力を向上させるばかりでなく、命に係わる重病の後の早期回復、放射線被曝後の免疫力向上のために、極めて大きな潜在的可能性を持っている。「ストヴォロゲン」はすでに、米国やカナダその他の国々の市場に進出する準備をしている。なおペプチドを基礎にしたロシアの学者によるこれまでの薬剤も又、国際的な特許により保護されている。
扉を押し出口へと進んだはずなのに、ぐるりと回り元の場所に。子供のころ遊びに行った遊園地で、経験があろう。鏡の間である。
2017年4月の消費再増税を延期ないし凍結するかどうかで、大騒ぎとなっている。政府が開催している国際金融経済分析会合。ノーベル経済学賞受賞者であるジョセフ・スティグリッツ、ポール・クルーグマンの両氏は、そろって再増税の延期を主張した。
何という既視感。14年11月、安倍晋三首相は15年10月に予定していた再増税の延期を問う衆院総選挙に打って出た。財務省が再増税包囲網を敷くなか、延期を考えていた首相に自信を与えたのは14年11月6日に官邸を訪ねたクルーグマン氏。本田悦朗内閣官房参与が会談をしつらえた。
それから1年半近くたった。「デフレから脱却しきらないうちに、増税すべきでない」。そう唱える米経済学者を官邸に呼ぶ手法は制度化されたようだ。確かに、消費の各種指標をみると、14年4月の消費増税の前の水準を下回っている。
増税した14年度。政府は年度当初、実質成長率をプラス1.4%と見込んでいた。ところが年度を終えると、マイナス1.0%に。成長率は2.4%ポイントも下振れし、アベノミクスにはブレーキがかかってしまった。「今もトラウマになっている」と首相周辺はいう。
とはいえ「日本経済の再生」で胸を張りたい安倍首相にとって、再増税の延期ははたで見る以上に厳しい決断だろう。世論は延期が優勢で野党も延期に傾くが、一度延期した増税を再び先に延ばすと、「事実上の再増税封印となる」と財務省OBはいう。
「成長による財政再建」ということになり、一段と成長に軸足を置く必要が出てくる。もちろん日本経済が成長軌道に乗り、名目国内総生産(GDP)が20年ごろに目標とする600兆円に達すればよい。経済の足踏みが続くようだと、成長を通じた財政の立て直しの目標は崩れてしまう。
15年の名目GDPは499兆円。12年に475兆円だったGDPは、安倍政権の3年間で24兆円増えた。民主党政権下の10〜12年の3年間でGDPが4兆円増にとどまったのと比べれば、成果を上げたとはいえる。それでも世界経済が下振れするなかで、この先5年程度で名目GDPを約100兆円増やすのは、容易なことではない。
こんな現実をみて、アベノミクスは失敗と断じ、成長の限界を強調する向きも増えている。「成長より分配を」というわけだが、高齢化とともに社会保障のコストが膨らむ。そうしたなかで、成長路線の放棄は経済の活力を一層そぎかねない。企業も活動の場を海外に移すばかりだろう。
今は再増税を延期するかどうかばかりでなく、成長の道筋をどう描き直すのかが問われているのである。3年間に実現した24兆円の名目GDP増を踏まえ、どう上積みを図るか考えるのが現実的である。それとても、世界経済の逆風が吹くなかでは、容易ではない。
安倍政権は5月26〜27日に開く主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)を、「経済サミット」と位置づける。世界経済のけん引役だった中国など新興国が失速している。そんななか、G7会議が本来の経済サミットに戻るのは、大いに意味があるが、話が「財政の出番」というのにとどまってはなるまい。
何よりも重要なのは、消費の弱さをどう克服するかだ。雇用市場の逼迫を背景とした賃金上昇を引き続き後押しするとともに、社会保障の持続性への不安の払拭に取り組み、高齢者の安心感を高めることが欠かせない。
先進国に共通の悩みは、企業が高収益を上げながら、お金を抱え込み投資や賃金に回らないことだ。その先頭を走るのは日本であり、ここ20年ほどは企業が資金余剰を抱え込む「貯蓄主体」となっている。
黒田東彦日銀総裁が採用したマイナス金利政策は、企業が余剰資金を抱えていては損となる金融環境をつくろうというものだ。それでも企業の動きが鈍いとすれば、投資機会が乏しいとみているからにほかならない。景気がもたつくなかでお金を注ぎ続ければ、不動産など資産市場にばかり資金が流れ込みかねない。
果たして投資の種が本当にないのだろうか。インターネット・オブ・シングス(IoT)やビッグデータ、人工知能(AI)と総称される「第4次産業革命」はどうなのだろう。
新しい技術革新の波は、既存の大量消費分野でサービスのコストを下げ、需要を掘り起こすだけでない。これまで手が及ばなかった、各個人・各企業向けのきめ細かなサービスを提供することを通じても、新規の市場を創出することが可能となる。
石原伸晃経済財政・再生相に具体策を問うと「例えば蓄積された医療情報を適切に活用することを通じて、医療のコストを抑えるとともに、付加価値も高められる」と語る。経済財政諮問会議の常任メンバーに厚生労働相を加えることも考えている様子だった。
本気になってビジネス志向の姿勢を示し、企業と一緒になって日本経済の課題に取り組もうとしているのか。いま政権に問われているのはこの点だ。メッセージが不明確では、経済は鏡の間からは抜け出せない。
[日経新聞4月4日朝刊P.4]
米国やいくつかの先進国における経済格差について、さまざまな説明がある。トマ・ピケティ・パリ経済学校教授の「21世紀の資本」は、高い資本収益率を重視する。これによって相続された富は勤労所得より急ピッチで蓄積される。2013年に出版された同書は、米経済学者が再び格差を議題にするようになるのに大きな役割を果たした。
しかしほとんどの研究者は、米国の格差拡大の原因を、勤労所得と不労所得(資本による収益)の差ではなく、主に勤労所得の中にあると考えている。勤労所得の格差の理由として真っ先に挙げられるのは技術革新だ。これによって熟練労働者の需要の伸びが供給を上回る。第二の説明は、成功を収めた専門職の男性は、今や秘書ではなく自分と同等の専門職の女性を選ぶという、いわゆる「同類婚」だ。
第三は、歯医者から大学教授、映画スターまで、多くの専門職の「勝者総取り的」な性格だ。第四の説明では、企業、特に金融部門の幹部の報酬が極めて高いのは、経営者が事実上自分の報酬を自分で決められることによる。これは企業統治の失敗や税制、金融工学を反映している。
最後に、多くの人が支持する説明は、富裕層が政治献金を通して権力のテコを独占しているというものだ。資金提供を受けた政治家は、進んで献金者に有利な政策をとる。
しかし格差の原因が何であれ、格差縮小のため実施できる政策はたくさんある。低所得勤労者の税率引き下げなどによって税制をより累進的にできる。勤労所得税控除の強化は現在、有効な選択肢だ。
オバマ米大統領は1月の一般教書演説で、賃金保障制度の拡大を提案した。貿易によって職を失う勤労者を支援するこの制度を、技術革新によって失業する人にも適用できるようにする。ヘッジファンド運用担当者の所得に低い税率が適用される「成功報酬」の税制優遇は廃止されるべきだ。
格差に憤る人々の多くは民主党の大統領候補のサンダース上院議員(あるいは共和党のトランプ氏)の主張に魅力を感じる。多くの人は、問題の核心は富裕層が政治家を「買収」していることにあり、そこに迫るため大手銀行の解体が必要だと考えている。
政治におけるカネの問題は確かに大きい。しかし政治家はそのカネを何に使っているのか。政治家は私腹を肥やしているわけではない(少なくとも米国においては)。資金は選挙広告や支持者の動員など選挙活動に使われる。
私は、適切な政策を法律として成立させる候補に投票することの方が重要だと考える。選挙資金を減らそうと銀行解体を呼びかける候補に投票するよりも、はるかに有効な戦略だ。
((C)Project Syndicate)
Jeffrey Alexander Frankel 専門は国際経済学。米マサチューセッツ工科大博士。1996〜99年、米クリントン政権の大統領経済諮問委員会委員を務めた。63歳。
[日経新聞4月1日朝刊P.4]
増税延期「政治判断で」 1日の記者懇談 首相発言要旨
〈消費税〉
○市場や国際社会からの信認維持のためリーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、予定通り引き上げる。
○重大な事態があれば、引き上げ延期は専門的見地からの分析も踏まえ、その時の政治判断で決定すべきだ。延期には法改正が必要だが、適時適切に判断する。
〈衆院解散〉
○解散の2文字は全く頭の片隅にもない。解散の「か」の字もない。
〈伊勢志摩サミット〉
○最大の課題は世界経済にどう対応するかだ。オバマ米大統領らも経済問題をトップアジェンダ(最優先議題)にすることを支持。
○主要7カ国(G7)には強いコミットメントと政策協調が求められており、明確なメッセージを発信したい。
〈経済対策〉
○2016年度予算の早期執行こそ最大の経済対策だ。前倒し執行の具体的な方針を帰国後示す。
○G7の政策協調が求められるなかで日本がどんな貢献をすべきか、伊勢志摩サミットで議論を尽くし、見極めたい。
[日経新聞4月3日朝刊P.2]
史上最大規模の文書流出事件とされる「パナマ文書」のスキャンダルは実際のところ米情報機関による特別作戦である。ドイツの金融専門家エリスト・ヴォリファ氏はこのように語る。
ヴォリファ氏によると、この流出スキャンダルは米国が世界有数のタックスヘイブンをその座から引きずり下ろし自国が取って代わるために仕組まれたものだという。「米国ではネヴァダ州、サウスダコタ州、ワイオミング州、デラウェア州などが課税が完全に免除されるタックスヘイブンとなっている。『パナマ文書』の公開はただ米国のタックスヘイブンに資金を流入させる目的で行われた」とヴォリファ氏はスプートニクのラジオ放送で語った。
「この事件には米情報機関が関与していると確信している。何かが起こった時にはいつもそれが誰の得になるのかを考える必要がある。文書の流出は米国にとって好都合であり、また米国のやり方とも一致する。この事件によって損害を被るタックスヘイブンがあり、個人資産家や企業の資金はそこから米国のネヴァダ州やサウスダコタ州に移されるだろう」とヴォリファ氏は言う。
各国の首脳や著名人がタックスヘイブン(租税回避地)を利用している実態を暴露した通称「パナマ文書」の波紋が広がっている。5日には夫婦で資産隠しを指摘されたアイスランドのグンロイグソン首相が辞任し、最初の“犠牲者”となった。欧米各国の当局もパナマ文書を受け、関与した人物の行為に違法性がないか調査に乗り出した。
米財務省は4日、海外企業とのM&A(合併・買収)による米企業の節税策を防ぐ追加規制を発表した。課税回避の問題はパナマ文書によって企業だけでなく、世界中の富裕層にも広がっていることが明らかにされた。
□ □
「突然見知らぬ差出人から機密データを提供したいというメールが届いた」。パナマ文書作成のきっかけとなった南ドイツ新聞のバスティアン・オベルマイヤー記者は、パナマの法律事務所モサック・フォンセカから流出したデータを約1年前に受け取った経緯を英BBCラジオのインタビューで語った。
受け取ったのは、同法律事務所で1977年から40年間にわたり作成された顧客約1万4千人、企業にして約21万5千社に関わる1千万件超の文書という莫大な情報だ。
文書にはロシアのプーチン大統領の友人、キャメロン英首相の亡き父、中国の習近平国家主席の親族、ウクライナのポロシェンコ大統領、サッカー界スターのメッシ選手、俳優のジャッキー・チェン氏ら世界の政治家や著名人の名前が並ぶ。
影響力を考慮し、南ドイツ新聞は公表を自社媒体だけにとどめるのは不十分と判断。各国メディアで構成する「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)と共有することにした。約1年間にわたり76カ国、370人の記者とともに情報を検証し、今月3日に公表にこぎ着けたという。
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パナマ文書によると、辞任したアイスランド首相は2007年に英バージン諸島にペーパー会社を妻とともに設立、その会社を通じてアイスランドの銀行3社の社債を保有。金融危機でこれらの銀行が倒産し巨額の損失を抱えた。こうした事実を明かすことなく、首相は金融危機後に倒産した銀行の債権者団と交渉。この事実が暴露されると野党や国民から利益相反との非難が殺到した。
タックスヘイブンに法人を設立して金融資産を保有したり取引したりすること自体は違法ではない。ただ、情報の秘密性が極めて高く、脱税や資金洗浄に利用される例も多い。違法行為はなくとも「税率が極めて低いタックスヘイブンを世界中の富裕な有力者が利用していたという事実が、経済格差の拡大や政府の緊縮財政に不満を持つ庶民の怒りの対象になる」(米弁護士)のだろう。
パナマ文書は、経済格差への不満と公正を欠く政治家への不信に火を付けるという意味で、約4年半前の「ウォール街を占拠せよ」の活動をしのぐ世界的抗議行動につながる可能性もある。
(ニューヨーク=伴百江)
[日経新聞4月6日夕刊P.4]
「安倍首相 5月6日にロシア訪問か」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/125.html
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露外相 4月15日に日本でハイレベルコンタクトの準備に関する協議を行う[スプートニク日本語]
2016年04月06日 19:07(アップデート 2016年04月06日 19:13)
ラヴロフ外相は15日、日本を訪れ、岸田外相と会談し、両国の首脳会談の準備について協議する。ロシア外務省のザハロワ報道官が伝えた。
ザハロワ報道官は、次のように語った−
「岸田外相との会談では、二国間および多国間の議題の総合的な協議が予定されている。会談の重要なテーマの一つは、先に予定されたハイレベルコンタクトの準備となる。」
日本は、ウクライナに核燃料の貯蔵施設を建設するために350万ユーロを拠出する。ウクライナ大統領広報部が6日、発表した。
ウクライナ大統領広報部は、次のように伝えた−
「安倍晋三首相は、チェルノブイリ原子力発電所の核燃料用の中間貯蔵施設を建設するために日本が350万ユーロを拠出する意向であると伝えた。」
ウクライナはチェルノブイリ原発の使用済み核燃料の貯蔵施設の建設を2017年末までに完了する計画。
施設は、1986年に事故が起こった4号機の核燃料を保管するためのものとなる。
プーチン大統領はサンクトペテルブルクにおける全ロシア人民戦線メディアフォーラムでオフショアスキャンダルに言及した。
「あなたの謙虚なしもべはこのリストにはいない、話すことは何もない」。リア・ノーヴォスチが伝えた。
社会の不信を導くことによりロシアをより従順にする試みがとられている、とプーチン大統領。
大統領によると、ロシアの反対派が何より恐れているのは、ロシア民族の団結と連帯だ。
オフショア調査で大統領の友人らの名が挙がっていることについて大統領は、そこには汚職に関わる内容などない、と指摘した。
ドミートリー・ペスコフ大統領報道官によれば、大物政治家の秘密オフショア口座に関する報道はロシア国内の視聴者向けのものであり、しかもロシアのプーチン大統領に対する言及はなく、クレムリンはオフショアに関する調査報道の質に失望していると指摘した。
プーチン大統領は音楽家セルゲイ・ロルドゥギン氏との友情を誇りに思う、と述べた。
「セルゲイ・ロルドゥギンのような人物を友人として、またそもそも、誇りに思う」と大統領。
大統領によれば、「ミュージシャンの稼ぐほとんどすべてのお金を、彼は国外における楽器の購入に費やし、それをロシアに持ち込んでいる」
最近一部のマスコミが、プーチン氏とすでに40年以上のつきあいがあるロルドゥギン氏が、音楽やビジネス以外に、数百万ドルの運転資金を持つオフシェア企業を所有していると報道し、話題になっていた。
糖尿病が「無慈悲な足取りで」世界を駆け巡っている。罹患率はほぼ11人に1人。世界保健機関(WHO)が警告している。
2014年の時点で、全世界で約4億2200万の成人が糖尿病を患っており、これは1980年の4倍である。
専門家は、抜本的な対策を講じない限り、数字は成長を続けるだろうと予測している。
WHO専門家は次のように言う。「簡単な方法は、我々が運動し、健康な食品を食べ、自分の体重を気にすることだ」。
WHO専門家はまた、食品業界に対し、製品開発・販売にあたってはより社会的責任を意識し、脂肪と砂糖の量を減らすこと、未成年者にジャンクフードを宣伝しないよう呼びかけた。
糖尿病は世界の致死病リストで上位第8位に入っている。
フランス議会は買春(売春でなく)を犯罪とする法律を採択した。AFPが報じた。
違反者は初犯なら1500ユーロ、再犯なら3700ユーロの罰金を支払わなければならないとされる。また、売春婦のクライアントらは性サービス売買の危険性についての講習を義務付けられる。
同法はまた、売春をやめたいフランスにおける外国人性産業従事者の合法化プロセスを簡素化する。
法律の支持派は、これが強制売春の取り締まりに役立つことを期待している。反対派は、法律によって性産業従事者が地下に潜り、元締めや粗暴な顧客への依存が強化されると主張している。
豚の心臓を移植されたキイロヒヒが945日間にわたって生存した。ネイチャー・コミュニーションズ誌が伝えた。
異物移植を困難にする第一の要因は新しい器官に対して拒絶反応を示す被移植者の免疫システムの働きだ。
拒絶反応を抑制するために米研究者は霊長類に適応するように遺伝子操作によって「調整」された豚のドナーを使用した。さらに、キイロヒヒは免疫システムの働きを抑える抗体と薬剤を投与された。
この新しい技術の成功によって動物のドナーから人間への移植手術が可能になる日が来るかもしれない。
ミャンマーの軍事政権時代に力を蓄えた「政商」の経済支配が岐路を迎えている。アウン・サン・スー・チー氏が主導する国民民主連盟(NLD)の新政権は「軍産複合体」の癒着構造にメスを入れようとしているが、政商の影響力はインフラや資源開発分野で強く、中国とも結び付く。巨大な政商にどう立ち向かうか、新政権の大きな課題だ。
3月12日、ヤンゴン国際空港は数百人の招待客でごったがえしていた。年間受け入れ能力を大幅に引き上げる拡張プロジェクトの第1段階となる新ターミナルビルが完成したのだ。
テイン・セイン大統領(当時)らを笑顔で迎えた、東アジア系の顔立ちをした痩身の男性。事業を主導するミャンマー最大の複合企業「アジア・ワールド」総帥のスティーブン・ロー氏だ。中国企業幹部をテイン・セイン氏に紹介して回る姿は、中国とミャンマーをつなぐ政商そのものだ。
アジア・ワールドは、ロー氏の父が1992年に創業。国際的に孤立した軍政時代に国内交通インフラ整備を独占的に手掛けて急成長した。武器となったのが中国との太いパイプだ。
ロー氏は羅平忠という中国名を持つ。ターミナルビル建設には、中国から建設やエンジニアリング企業が多数参加した。プロジェクトの背後には、インド洋への出口に当たるミャンマーとの関係強化を狙う、中国政府の後押しがある。
NLDが15年11月の総選挙に大勝した後、ミャンマーにおけるアジア・ワールドの存在感を印象付ける事件が起きた。米財務省は軍政時代からの同社と国軍幹部の密接な関係を問題視し、制裁対象にしていた。だが突如、同社グループへの制裁を緩和し、米国企業との取引を一部解禁した。背景には、制裁で最大の貿易港「アジア・ワールド・ターミナル」を利用できない米国経済団体による再三の陳情があったようだ。
政商は「ミャンマー経済の半分を牛耳る」(地元記者)ほどの存在感を持つが、その支配構造は転機を迎えている。国民には政商支配への心情的反発が根強い。新政権を担うNLDは行政の透明性向上を公約に盛り込み、選挙に大勝した。
ティン・チョー大統領は就任前の3月17日、中央省庁統合案を国会に提出した。統廃合の対象は政商と関係の深い鉱業省など経済官庁が中心で、政商と官僚や軍との癒着構造にメスを入れる布石と見られる。
政商たちも手をこまぬいてはいない。アジア・ワールドは1月、有料道路の運営など中核事業の売却を表明したが、売却先は公表しなかった。「本体から事業を切り離し新政権の追及を免れる狙い」(外交筋)との見方がもっぱらだ。
テイン・セイン政権の5年間は外資開放をテコに高い成長を実現したが、なお資源やインフラは政商の支配下にある。とはいえ政商を完全に排除しては、ミャンマー経済自体が成り立たないのも事実だ。スー・チー氏は、経済の透明性を高めながら、いかに政商の力を国づくりに活用できるか、現実的なかじ取りが求められる。
(ヤンゴン=松井基一)
「Nikkei Asian Review」(http://asia.nikkei.com/)に
「Myanmar’s NLD aims to cut the cord between businesses, officialdom」と題して掲載
[日経新聞4月3日朝刊P.13]
シリア軍によれば、先日ダマスカス近郊で拉致された175人がダーイシュ(IS、イスラム国、ロシアでは活動が禁止されている組織)によって処刑された。
シリア産業省の情報として先にSANA通信が伝えたところによると、ダーイシュはアブ・アシャマト地区でアルバディア・セメント社の従業員少なくとも300人を拉致した。
ダーイシュはしばしば見せしめのためにこうした公開処刑に類する措置に訴える。1月にはデリゾールで280人が大量処刑されており、モスルではダーイシュに処刑された人数は4000人に達しているとされる。
福島第一原発敷地内に最大許容値の100倍の強力な放射線源が発見された。東京電力が本日報告を行った。
放射線源は汚染水の地下貯蔵庫傍で発見された。大量の水が常時、原発の地下に蓄積されている。なお、この貯蔵庫は3年前に建てられたもので、何度も漏出があったためにもはや使用されていないことが強調されている。
東電はこの貯蔵庫およびこれと同様の貯蔵庫からほぼすべての水を汲み出したが、常に貯蔵庫付近の放射線状況を監視していた。一週間前の時点で放射線レベルは87ベクレルだったのが、今では9300ベクレルになっている。放射線レベルの急激な上昇の原因は今のところはっきりしていないという。
リビアでは1年間で「ダーイシュ(IS、イスラム国)」のテロリストの数がほぼ倍増し、6000人に等しくなった。米軍アフリカ軍司令部のデービッド・ロドリゲス司令官が発表した。
ロドリゲス司令官は、次のように語った‐
「米情報機関の推計によると、リビアには今『ダーイシュ』の戦闘員がおよそ4000人から6000人いる。これは昨年のデータのほぼ2倍だ。」リア・ノーヴォスチ通信が伝えた。
ロドリゲス司令官は、北アフリカ全体で戦闘員の流入がみられていると強調した。
シリアで「アル-ヌスラ戦線」の戦闘員アブ-サッカルが死亡した。彼は、政府軍兵士の心臓を文字通り「貪り食った」事で一躍有名になった。新聞「ザ・デイリー・メール」が伝えた。
アブ-サッカルの護衛隊は、シリア北西部のラタキヤ県で待ち伏せに会い、銃撃戦となった。このイスラム過激派部隊を殲滅したのが誰か、政府軍兵士なのか、あるいは敵対するグループの戦闘員であったのか、今のところ正確には分かっていない。
2013年サッカルは、殺害した政府軍兵士の身体から肝臓と心臓を切り取り、それをビデオカメラの前で食べて見せ「アラーに誓って、我々はおまえ達の心臓や肝臓を食べて見せる。お前ら政府軍兵士は、アサドの犬だ」と言ってのけた。
ソーシャルネットワーク上に拡散されたこの映像は、シリア国内でも、又欧米でも嵐のような非難を呼び起こした。
「日本、米国に核爆弾50発分のプルトニウムを返却」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/351.html
「日本、今日一部のプルトニウムを米国に送る可能性あり:中国の「返還キャンペーン」が奏功」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/356.html
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
「岐路に立つ核燃料サイク:日米協定延長手続き:余剰プルトニウム 問題」
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/386.html
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サウスカロライナ州、プルトニウム関連契約の履行を国に要求[スプートニク日本語]
2016年04月08日 19:32
サウスカロライナ州の司法長官アラン・ウィルソン氏は6日、ロシアと米国が2000年に署名した余剰兵器用プルトニウムの利用に関する契約を遵守することを米国エネルギー省に義務付ける申立てを地方裁判所に提出した。サウスカロライナ州エイケン・スタンダード紙が報じた。
訴訟文でウィルソン氏は、連邦当局は原子力発電所用の混合酸化物燃料(いわゆるMOX燃料)中の余剰プルトニウムの処理を行う工場の州内建設と兵器用プルトニウムの州外搬出に関する義務を満たしていないと述べた。政府は10日、期限超過の場合、サウスカロライナ州に1億ドルの罰金を払う必要がある。
米エネルギー省はコメントを控え、問題を国家核安全保障局に転嫁した。
サウスカロライナ州の兵器用プルトニウムリサイクル工場は、サバンナ川沿いに予定されている。建造は2007年に始まり、今プロジェクトは68%実現している。連邦政府は工場の操業に先立ちサウスカロライナ州から兵器用プルトニウム1トンを2016年1月1日までに持ち出し他の場所で保管または処理するか、または遅延1日ごとに100万ドルを支払うことを義務付けられていた。ニッキー・ヘイリー知事は12月、サウスカロライナ州は米国エネルギー省に対して訴訟を起こす可能性がある、と発表した。
ヨーロピアン・コメンテーター ウォルフガング・ムンヒャウ
筆者の人生において初めて、欧州統合が一歩後退する可能性がある。テロ攻撃がさらに起きるのか、英国が欧州連合(EU)を離脱するのか、今年ないし来年に難民がどれほど来るのか、ユーロ危機が再来するのかどうかは予想できない。だが、こうした危機の少なくとも1つが手に負えなくなる確率が極めて高いことは確信している。
今から振り返ると、EUが適切な銀行同盟をつくらないまま単一通貨を導入したのは間違いだった。共通の国境警備隊と移民政策もないままに、パスポートなしで行き来できるシェンゲン圏を創設したのも間違いだった。筆者なら、このリストにEU拡大も加える。間違いだったのはその理念ではなく、その拡大を拙速に追求した点だ。
□ □
最近の重大な過ちは、ユーロ危機を何とか切り抜ければよいと決断したことだ。欧州の政治指導者が本来なすべきは政治・経済同盟の創設だったが、その創設に対する世論の支持を取り付けることができなかった。代わりに欧州理事会がやったのは最低限度のことで、ユーロがとりあえず短期的に存続すればそれでいいという対応だった。
そのためにこの政策は今、4つの側面からEUが抱える不安定性さを増幅させている。
最初の、そして最も明らかな側面は、EUが一度に一つの大きな危機に対処する能力しか持たないことだ。EUは政府ではない。欧州委員会は部分的に行政府であり、部分的に政権、部分的に欧州条約の守護者だ。欧州理事会も元来、政府ではない。決断を下すために年に数回、一堂に会する各国首脳の集まりだ。欧州理事会は最低限の妥協は見つけられるだろうが、現実の問題を解決する能力はないだろう。危機をしっかり解決するには行政権が必要だが、それがEUにはないからだ。
2つ目の側面は、2つの危機を、それが現実のものであれ架空のものであれ、それらを結び付けることによって生じている。ギリシャ経済は縮小し続けており、マケドニアが国境を封鎖して以来、ますます大勢の難民がギリシャで立ち往生している。これは現実の危機が2つ重なった事例だ。
だが、本来は関係のない異なる危機が結びつけられるケースもある。ポーランドは昨年合意された割当制度に基づいて、7000人の難民を受け入れるという同国の責任に疑問を投げかける口実に、ベルギー連続テロ事件を利用した。また、テロ攻撃と英国のEU離脱の可能性も無関係なはずだが、離脱支持派の一部はそんなことはお構いなしに、自分たちの離脱したいとの狭い政治目的のためにテロ攻撃を利用した。
3つ目の側面は経済的なものだ。いくつかのユーロ圏諸国の経済生産はまだ危機前の水準に戻っていない。緊縮策が最も影響を与えたのは国内外の治安・安全保障の分野だ。多くの政府にとって、社会保障の分野より警察、軍隊への支出を削る方が容易だった。
欧州の危機解決努力を妨げたもう1つの経済的要因は、富める者と貧しき者、北と南との格差拡大だ。これが比較的豊かな北部諸国が、南部への財政支援要請を受け入れることをちゅうちょさせた。支援額が大きくかつ恒久的なものになるからだった。
最も重要な4つ目の側面は信頼感と政治的資本の消失だ。様々な危機が解決されないたびに、市民の間では欧州懐疑主義が台頭してくる。EUが問題解決に失敗しているように思えたら人々は当然、EUに新たな権限を与えるのをためらうようになる。左派、右派双方のポピュリスト政党はEUの失敗につけ込んでいる。従って欧州の大国でいつかこうした政党の1つが選挙に勝っても、もはや驚かない。
この4つの側面が組み合わさることで、欧州統合を進めるための新たなプロジェクト、つまり連携してテロと戦い、難民流入に対処する中央機関を設立するなど、関係者全員に恩恵を与える素晴らしい取り組みが妨げられることになる。
□ □
もしEUがこれまでの危機で失態を演じていなかったら、人々は欧州共通の移民政策や対テロタスクフォースについてもっと前向きにとらえただろう。
だが、中規模の金融危機さえ封じ込められない人に、自分自身の身の安全を任せるだろうか。筆者なら任せない。だからパスポートなしで行き来できるシェンゲン協定を無期限で停止した方がいいと考えている。少なくとも国境と移民、テロとの戦いに関する主権が完全にEUレベルに移管されるまでは停止すべきだと思うが、そうした主権の移管は実現しないだろう。
経済史は金融危機を何とか切り抜けようと努力しても、決してうまくいかないことを何度も示している。大恐慌や日本の「失われた数十年」を考えてみたらいい。EUにとって、ユーロ危機への対応は破滅的な政策ミスだった。それは多くの国がまだ回復していない中で、新たな不況をもたらしただけではない。EU、そして欧州統合という考えそのものに対する世間の信頼をも破壊してしまったのだ。
(3月28日付)
[日経新聞4月3日朝刊P.13]
ドイツのメルケル首相の政治力に衰えが目立ってきた。高い支持率を背景に金融危機などを巧みに切り抜け、ドイツを「欧州の盟主」に引き上げたが、流入が続く難民の問題で、従来の政治手法が壁に突き当たっている。「反難民」の動きも勢いを増しており、支持率が低下、政権維持も難しくなりつつある。
2009年の金融危機以降に、欧州でのドイツの存在はひときわ大きくなった。ギリシャなど南欧諸国が高失業や銀行の不良債権問題などで緊縮財政を強いられる一方、ドイツはユーロ安などを追い風に巨額の経常黒字を稼ぎ、欧州各国への影響力を強めて、「ドイツが主導する欧州」という構図が出来上がった。
そこで威力を示してきたのがメルケル流の政治運営だ。ドイツが指導力を発揮して単一通貨ユーロの安定など欧州統合を推進するには、国民の支持が欠かせない。ギリシャなど債務国への支援もドイツ議会の承認が必要で、外交と内政のバランスが重要だ。
政権維持が大前提なので、他国の金融危機などには、すぐには対応しない。金融支援なども渋りに渋る。遅れて動き、「最後の救い手」としてゆっくり登場し、借り手に恩を売る。時間をかけるので支援に難色を示す国民も説得できる。絶妙の手綱さばきで、結果的に、ドイツの力が拡大した。くすぶり続けるギリシャ債務問題でも、この手法を自在に使ってきた。
これをリスク社会論で知られる社会学者ウルリッヒ・ベック氏は「メルキアヴェッリ」(メルケル+マキアヴェッリ)の手法と呼ぶ。マキアヴェッリはルネサンス期イタリアの政治思想家で「君主論」「政略論」を書いた。その権謀術数の教えから、メルケル首相は「女帝」の心構えを学んだ、とベック氏はみている。
ユーロ危機を原動力に権力を拡大し、欧州の構図を転換した。原発推進から脱原発へ方針を大転換したように、選挙に勝つためなら、今日は昨日の約束と正反対のことをしてもいい。マキアヴェッリ流で行動することで、欧州でさらに力をつけ、国内で人望も獲得できたのだという(島村賢一訳「ユーロ消滅?」)。
だが、「難民危機」では、勝手が違ったようだ。ドイツには昨年、約110万人の難民が中東やアフリカから流入した。メルケル政権は受け入れに寛容な姿勢をとってきたが、いまや政策転換を求める世論に揺さぶられている。
この問題でも「メルキアヴェッリ」の手法がうかがえる。押し寄せる難民をすぐには制限せず、時間をかけた。世論の動きを見ながら、人道的な措置である点を強調。70%を超える高い支持率を維持し、米誌「タイム」が15年の「今年の人」に選ぶなど世界からも称賛された。
だが、半年で状況は一変する。難民による暴行事件が起きたことなどで排斥デモや政権への批判が強まった。対応が後手に回った首相の責任を問い、辞任を求める声も出るなど支持率は下がり続け、一時40%台にまで低下した。
危機感を強めたメルケル首相は、やはりマキアヴェッリの教えで挽回を図ったようだ。「君主論」には「(君主は)自らが慈悲、信義、誠実、人間性、敬虔(けいけん)の権化であるように見聞されるよう充分な心配りをしなければならない」「運命の変化の命ずるところに従って自らの行動を変更する心構えを持つ必要がある」(佐々木毅訳)とある。
「難民に寛容」という看板は掲げたままで、実際には、出入国審査を厳格化し、国境管理を強化した。さらに、先月、欧州連合(EU)とトルコが協議して、難民の流入ルートの一部をとじた。体面は保ちながら、世論の回復を待っているようだ。
だが、いまのところ状況は厳しい。国民の不満は収まらない。メルケル首相は17年の総選挙で再び信任を得ることをめざしているが、その前哨戦の今年3月の地方選挙で反難民を掲げる民族主義政党が急伸。首相が率いる保守系のキリスト教民主同盟(CDU)が退潮するなど政権の弱体化に歯止めがかからない。
マキアヴェッリによれば、危機は権力の拡大をもたらすが、場合によっては、その崩壊も招く。メルケル首相は難民で労働力不足を補い、新たな成長につなげる戦略を描いているようだが、それには時間がかかる。その前に大前提である国民の支持が崩れれば、再選もなくなる。
瀬戸際に追い込まれた「メルキアヴェッリ」。政策転換に踏み切るのかどうか。戦略を一歩間違えれば、政権だけでなく、欧州全体を危険にさらす事態を招きかねない。
[日経新聞4月3日朝刊P.10]
「偽テロ事件」報道を見聞きしてよく思うが、ヒトは映像を見せつけられると、その映像に付与されている“説明”まで一緒に“真実”と思い込みやすいようである。
創作ではないリアルな映像であっても、時間的空間的に撮影者及び編集者の意図で切り取られた“断片”でしかないという事実が忘れられがちである。とりわけ、その映像が衝撃的であればあるほど...
取り調べの全面可視化には賛成だが、全面的な可視化であってもそれは、拷問・暴行・脅迫といった不法な取り調べを抑制する手段の一つでしかなく、冤罪を減少させるものだとは考えていない。
警察や検察は、それほど単純な国家機関ではないので、誰が見てもわかるような行為を通じて自白を強要するわけではない。
冤罪を減らすためには、取り調べの全面可視化を求めるのではなく、司法(裁判官)に憲法や刑事訴訟法などの規定に従った判断を求めることが何より重要だと考えている。
今回の旧今市市女児殺害死体遺棄事件の判決が、生の取り調べ映像を見せそれがあたかも“真実”であるかのように思わせる効果に支えられているということから、取り調べの可視化とその公開は、逆に、「自白」を証拠とする正当性を強化することで冤罪増加に拍車をかける危険性さえ孕んでいると言える。
このまま「自白偏重」の裁判が続けば、取り調べの可視化は、自白さえ導き出せば有罪確定という異様な状況を正当化する“道具”となるだろう。
※参照投稿
「冤罪事件の根源的最終的責任は裁判所(司法)にアリ」
http://www.asyura2.com/11/nihon30/msg/760.html
被告人が女児を殺害し遺体を遺棄したかどうかという問題は脇に置くが、昨日の旧今市市女児殺害事件に関する宇都宮地裁判決は違憲である。
なぜなら、被告人を有罪とした根拠が「自白」だけだからである。
日本の司法は、宇都宮地裁に限らず、任意性や信用性を根拠に「自白」を唯一の証拠として有罪にする悪癖があるが、日本国憲法第三十八条には「3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」と規定されている。
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※日本国憲法該当条文
第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
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第2項が別にあるように、第3項の規定は、被告人に対する取り調べの過程で、拷問や脅迫ないしは利益誘導(自白すれば罪を軽くするなど)があったかどうかを問題にしているわけではない。
端的に言えば、任意であろうが、信用性が高いものであろうが、「自白」のみの証拠で有罪にすることはできないという規定である。
(第2項は、確たる“物証”があるとしても、「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」に基づいて収集されたものなら採用できないという規定)
当該裁判で提出された“物証”は、Nシステム(自動車ナンバー読み取り装置)や猫の毛のDNA鑑定結果だが、せいぜい、「被告が犯人ではないとは言えない」というレベルのものであり、「被告が犯人である」というレベルのものではない。
それらは、裁判官も認めているように、被告人が犯行に及んだという前提で考えれば証拠のように思えるといった証拠(いわゆる「状況証拠」)である。
(Nシステムはある地点を通行した車両を特定するだけで犯行現場を映したものではないから、どのみち証拠にはならない。女児の死亡推定時刻については異説(10時間後から17時間経過以降)があり、ある日時のある地点のNシステムで被告の車(ナンバー)がある地点を通過したからといって犯罪の証拠につながるわけではない。猫の毛は、被害者の身体に付いていたとされるもので、被告人が飼っていた猫の毛ではないとは言えないというレベルの鑑定である)
当該事件を担当した宇都宮地裁松原里美裁判長は、憲法第三十八条を無視するかたちで、「自白は具体的で迫真性に富み、根幹は客観的事実と矛盾せず信用できる」とか「殺人のことを当初聞かれた時の激しく動揺した様子、気持ちの整理のため時間が欲しいと述べる態度は、事件に無関係の者としては不自然」といった理由を付けて、自白の信用性を認めている。
任意性や信用性があろうとも、憲法の規定で有罪の証拠にはならないが、別件(商標法違反)で逮捕された被告人が、女児殺害遺体遺棄で“取り調べ”(刑事訴訟法違反)を受け、4月中旬から6月初旬まで長期にわたる取り調べの果てに得た女児殺害に関する「自白」について、7時間ほどの録画再生映像を見ただけで安易に任意性や信用性を語って欲しくないと思う。
裁判官は「自白は具体的で迫真性に富み、根幹は客観的事実と矛盾せず信用できる」と言っているが、取調官は、犯人が誰かは知らないとしても、どういう殺され方をしたのか、遺体がどこにどうやって遺棄されていたかを知っており、「自白」に至るまでの長期(約2ヶ月)にわたって、被告人に、“こうやったんだろう”、“こう思ったんだろう”と吹き込んでいるから、被告人の頭のなかにも犯行に関する一定のイメージが形成されており、「具体的で迫真性に富み、根幹は客観的事実と矛盾せず」という内容になるのも当然である。
被告人は取り調べ官に暴行や威迫行為があったことも主張しているが、それらだけがやってもいない殺人を「自白」させる手段ではない。
長期の拘禁と日々聞かされる“犯行物語”は、ヒトの精神を歪めていく。
再生された取り調べ映像では、取調官がやさしく問いかけたときに自白したようだが、拘禁の不安と恐怖が募ると、やさしい対応をしてもらったヒトに“迎合”する気持ちも生じる。 そのヒトの意向に沿うことでそのヒトのやさしい対応をつなぎ止めたいと思う。
日本の司法の大きな問題として、犯行を否認した場合、反省していないとかいった理由を付けて量刑を重くすることを指摘できる。
そのような話を聞かされた被疑者のなかには、死刑になるよりとか、長いムショ暮らしになるよりはマシといった折り合いを付けてありもしない「自白」をすることもある。
「自白偏重」という憲法違反であり近代法理論にも反するおぞましい因習から脱しない限り、日本で積み上がってきた冤罪の山は低くならないだろう。
自白を迫る取り調べを否定はしないが、「自白」はあくまでも証拠(物証)を得るための手段であり、「自白」そのものを有罪の証拠とすることはできないのである。
※関連参照投稿
「2人に死刑執行:連続女性殺人犯蒲田死刑囚の物証(唯一)に疑問、公判では否定した自白“のみ”で死刑確定」
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/703.html
[飯塚事件]事件の経緯さえ未解明のまま死刑判決に踏み出した犯罪的裁判:DNA再鑑定の結果とは無関係で無罪のケース
http://www.asyura2.com/11/nihon30/msg/529.html
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<栃木女児殺害>「録音・録画で判断決まった」裁判員ら会見
毎日新聞 4月8日(金)21時58分配信
◇宇都宮地裁 裁判員たち、物証の「弱さ」を指摘
栃木県日光市(旧今市市)で2005年、小学1年の吉田有希ちゃん(当時7歳)を連れ去り殺害したとして、殺人罪に問われた勝又(かつまた)拓哉被告(33)=栃木県鹿沼市=の裁判員裁判。無期懲役の有罪が言い渡された勝又被告(33)の裁判員裁判を担当した裁判員らが閉廷後、宇都宮地裁で記者会見した。裁判員たちは物証の「弱さ」を指摘する一方、「(犯行を自供した)録音・録画がなければ判断は違っていた」と話した。
会見したのは裁判員6人のうち5人と、補充裁判員3人のうち2人の計7人。判決について、7人は「(被告は)真摯(しんし)に受け止め、罪を償ってほしい」と感想を述べた。
録音・録画について、70歳代の女性は「決定的な証拠がなかったが、録音・録画で判断が決まった」と話した。別の30歳代男性は録音・録画を評価しながらも、「抜けている部分が多いという印象を持った。もっと公開する範囲を広げてほしい」と指摘。女性会社員も「物的証拠が少なく、(判断が)より難しく感じ、はがゆかった」と語った。
評議時間の短さへの指摘も多く、女性看護師は「(読み込む調書の量など)情報量があまりにも膨大で、どう処理していいか分からなかった。振り返る時間がほしかった」と注文をつけた。判決が3月31日から延期された経緯については、裁判官側から「これでは間に合わないので延期できないか」と申し出があったためという。【高橋隆輔】
最終更新:4月9日(土)0時29分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160408-00000113-mai-soci
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栃木女児殺害
「自白、信用できる」求刑通り無期懲役判決
毎日新聞2016年4月8日 15時09分(最終更新 4月8日 20時36分)
宇都宮地裁の裁判員裁判、勝又被告に
栃木県日光市(旧今市市)で2005年、小学1年の吉田有希ちゃん(当時7歳)を連れ去り殺害したとして、殺人罪に問われた勝又(かつまた)拓哉被告(33)=栃木県鹿沼市=の裁判員裁判で、宇都宮地裁は8日、求刑通り無期懲役を言い渡した。松原里美裁判長は、焦点だった自白調書の信用性について「自白は具体的で迫真性に富み、根幹は客観的事実と矛盾せず信用できる」と述べた。
被告は捜査段階でいったん連れ去りや殺害を認めたが、供述は変遷を重ねた。公判では無罪を主張しており、弁護側は控訴する。
松原裁判長は、取り調べの録音・録画について「殺人のことを当初聞かれた時の激しく動揺した様子、気持ちの整理のため時間が欲しいと述べる態度は、事件に無関係の者としては不自然」と信用性を認めた。
被告の車が自宅と遺棄現場を行き来したとする自動車ナンバー自動読み取り装置(Nシステム)の記録、遺体に付いたネコの毛は被告の飼い猫と矛盾しないとのDNA鑑定結果など、検察側が主張した状況証拠についても検討。「被告が犯人の蓋然(がいぜん)性は相当高いが、犯人と直接結びつけるものではない」としながら、自白調書を重視し有罪を認定した。
量刑理由について「発覚を逃れるためナイフで何度も刺して惨殺した。身勝手で、あまりに過剰で残虐。地域社会への影響も見過ごせない」と述べた。
弁護側は公判で、「録画されていない暴力や暴言、利益誘導で犯行を認めさせられた。自白に任意性も信用性もない。状況証拠も犯人と特定できるものではない」と反論していた。
事件の取り調べの録音・録画は約80時間に上り、このうち検察、弁護側双方が合意した7時間余が公判で再生された。当初、判決は3月31日の予定だったが、裁判官と裁判員の評議が長引いたとみられ、異例の延期となっていた。
判決によると、勝又被告は05年12月2日午前4時ごろ、茨城県常陸大宮市の林道で有希ちゃんの胸をナイフで複数回刺して失血死させた。今回の無期懲役の判決は、区分審理で有罪とされた商標法違反事件などの部分判決も踏まえ言い渡された。【田中友梨】
栃木小1女児殺害事件
栃木県日光市(旧今市市)で2005年12月1日午後2時50分ごろ、小学1年の吉田有希ちゃん(当時7歳)が下校途中、友達と別れた後に行方不明となり、翌2日午後2時ごろ、約65キロ離れた茨城県常陸大宮市の山林で遺体で発見された。胸に複数の刺し傷があり、死因は失血死だった。行方不明の現場付近に以前、住んでいた勝又拓哉被告(33)が14年1月、商標法違反容疑で逮捕され、有希ちゃんを殺害したとして同6月3日に殺人容疑で再逮捕された。
平成 1 3 年 1 O月 4 曰 (適性捜査専科生)
被疑者取調べ要領
1 事前の把握を徹底する
○ 犯行現場の状況を自分の目で確認し、十分腹入れしておくこと。
○ 捜査記録は納得いくまでよく目を通す。
○ 問題点や疑問点があれば必ず解明する。 (調べ官が迷わされるのはこの辺の詰めが出来てないからである。)
2 被疑者をよく知れ
○ 被疑者の生い立ち、性格、知能程度、家庭環境、家庭状況、身上、趣味 などできる限り把握しておく。
○ 被疑者知れば知るほど調べ官は有利である。
○ 前刑の調べ官から聞いておく事も大事である。
○ 他の調べ官とはちょっと違うということを相手に暗黙の内に判らせることも大事である。
3 粘りと執念を持って「絶対に落とす」という気迫が必要
調べ官の「絶対に落とす」という、自信と執念に満ちた気迫が必要である
4 調べ室に入ったら自供させるまで出るな。
○ 被疑者の言うことが正しいのでないかという疑問を持ったり、調べが行き詰まると逃げたくなるが、その時に調べ室から出たら負けである。
○ お互いに苦しいのであるから、逃げたら絶対ダメである。
5 取調べ中は被疑者から目を離すな
○取調べは被疑者の目を見て調べよ。絶対に目を反らすな。
○相手をのんでかかれ、のまれたら負けである。
6 被疑者の心を早く説取れ (読心術を身につける) 一対一の勝負、腹の探り合いだから被疑者の心を早く読取れば勝負は早い
7 騙したり、取り引きは絶対にするな。真実を話ささねばならない。嘘偽りは後で必ずバレルれて取り返しがつかなくなる。
8 言葉使いには絶対に気をつけること
被疑者を馬鹿にしたり見下すような言葉は絶対に謹むこと。 こちらは大したことでないことであって、 被疑者に取ったら一番嫌なことだったりする
9 親身に相手の話を聞いてやることも必要
○家族や身内のことまた事件に関係なかっても何でも真剣に聞いてやる。
○同情する ことも必要である。
10 調べ官も裸になれ
○ 調べ官の生い立ち、学校生活、私生活等裸になった話をすることで、同じ人間である ことの共感を袴もつ
○ 調べ官は優位に立つことは絶対必要であるが、時には、ある意味では馬鹿になることも必要。
11 被疑者には挨拶 ・ 声をかける 留置場内で検房時等必ゞず被疑者に声をかけ挨拶する。
12 被疑者は、できる限り調べ室に出せ
○ 自供しないからと言って、留置場から出さなかったらよけい話さない。
どんな被疑者でも話をしている内に読めてくるし、被疑者も打ち解けてくるので出来る限り多く接すること。
○ 否認被疑者は朝から晩まで調べ室に出して調べよ。(被疑者を弱らせる意味もある)
○ 平素から強靱な気力、体力を養っておく必要がある
13 補助官との意志の疎通
○ 調べ官と補助官との間には阿吽の呼吸が必要、タイミングがよいとその一言で落ちることがある。
○ 調べ官には、話さないことでも、 補助官には、気を許して気軽に話す場合がある。
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椎谷紀芳「自白−冤罪はこうして作られる」より:
「ベテラン刑事が記者と話す。「人間はな、そんなに強いもんではないよ。細かな所はどうでもいい。キメ手などは出さんでもいい、ただし殺しを自供させてくれ、と被疑者をあてがわれれば、三人でも四人でも同じように自白させてみせるよ。今どきそんなことが、という顔をしているナ。何ならやってみるか。お前んとうは刑事の手の内を多少聞きかじっているから、少しはゆとりを見て、そう三日でいい。三日あったら、お前に殺人を自白させてやるよ。三日目の夜、お前は、やってもいない殺人を、泣きながらオレに自白するよ。」椎谷紀芳「自白ー冤罪はこうして作られる」171頁」
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/714.html
世界の軍事費は2015年、4年ぶりに1%上昇し、1.7兆ドルに達した。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が発表した。
軍事費のリーダーはやはり米国。軍事予算は、2.4%減少したものの、5960億ドルだ。第二位は中国。軍事費は2014年に比べて7.4%増の2150億ドルだ。第三がサウジアラビア(前年に比べ5.7%増の872億ドル)。第四がロシアで、7.5%増加の664億ドル。
以下、上位15カ国のリストには、イギリス、インド、フランス、日本、ドイツ、韓国、ブラジル、イタリア、オーストラリア、アラブ首長国連邦、イスラエルが挙がっている。アジア・オセアニア諸国における武器支出は5.4%増加。日本は第八位にランクイン。その軍事費は409億ドルで、ドイツや韓国などの国と同等。報告書によると、日本の軍事費の増加は、同国の複数年にわたる軍事費削減トレンドの終わりを意味する。日本の軍事費の増加は中国や北朝鮮からの脅威についての懸念を原因としている、とSIPRIはコメントしている。
世界の軍事費の成長は非常に明快に説明できる。退役大佐、独立軍事専門家のワジム・ルカシェヴィチ氏は語る。
「世界的テロとの闘いの先鋭化を含め、一般的に、国際的な緊張が高まっている。未解決の問題の結果として国家間のグローバルな競争や対立が高まっている。今、世界には、紛争はほとんど常にある。ひとつが収まったかと思えば、別のが起こり、どこかに第三のくすぶりが起こり・・・。
しかも対立傾向が増加し、軍事支出の成長につながれば、それは武器市場の主要なプレイヤーらには有益だ。世界が新たな冷戦の初期段階に入っていることは明らかであり、それぞれの国が、その理解するところの脅威に応じて、防衛力を整備する。ヨーロッパの軍事費の伸びがわずかである一方、例えば、アジア太平洋地域の緊張の高まりにより、日本、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどの国の軍事費が大幅な見直しを迫られている。
このレポートで言う軍事費の中には、軍備への支出、軍隊の維持費だけでなく、軍関連建設、研究開発、営業管理費、文民職員の給与などが含まれていることも心に留めておくべきだ。同時に、世界はまだ宇宙空間における軍拡競争には入っていない!世界的な軍事費の伸びに限界を定めることが出来るのは、戦争だ。これはもちろん最悪の、終末論的なシナリオであり、私は、健全な理性というものが、あらゆる野心と軍事的「食欲」に優先することを願っている。」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160408/1926877.html
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世界の軍事費の全体的な水準 4年ぶりに上がる
2016年04月06日 01:05(アップデート 2016年04月06日 01:06)
ストックホルム国際平和研究所が発表した報告書によれば、世界の緊張の高まりが、2015年の軍事支出の増加を促した。
2015年総計で、世界の軍事支出は、1兆6700億ドルとなり、これは前年に比べ1%の増加となった。
世界で最も軍事支出が大きかったのは、やはり米国で、2015年の米国の軍事予算は5960億ドルだった。続く第2位は中国で2150億ドル、第3位はロシアを抑え、サウジアラビアが入り、その額は872億ドルだった。一方ロシアは4位に後退、軍事支出は664億ドルだった。
2006年から2015年までの10年間で、米国の軍事予算は4%減ったが、一方中国のそれは132%と、大幅に増えた。またサウジアラビアも97%、そしてロシアも91%と、それぞれ急激な増加を示している。
米国は、少なくとも6年間は、独自のロケットエンジンを手に入れることができない。ロシアは依然として宇宙に行くために手が届き信頼性の高い選択肢だ。米国防総省が述べた。
米国防総省は6年間で独自のロケットエンジンを手に入れるまで軍事衛星打ち上げのためにロシアのRD-180エンジン18基が必要となる。
ペンタゴンの代表がロイターに語ったところでは、米国は、少なくとも2つの手が届き信頼性の高い選択肢を持っている必要があり、米国はロシアのRD-180に頼ることになる。
「6年間は新しいエンジンが手に入らないので、この移行期間はRD-180を必要とする」という。
韓国は北朝鮮の「核リュックサック」の謎を解明しようとしている。2013年と2015年、平壌でのパレードで、北朝鮮の兵士が胸に提げていた不思議なリュックサックのことだ。ラジオ局「自由アジア」の最近の報道では、このいわゆる「核リュックサック」は、「放射性物質入りの多目的爆発物」だという。
北朝鮮の消息筋によると、「核リュックサック」は、「衛星」と呼ばれる多目的爆弾の一種。タイマー機能、電磁干渉を発生させるシステムおよびミサイル誘導装置を搭載しているとされる。「衛星」の放射線危険度の兆候は、中に放射性物質が含まれていることを意味する。
「核リュックサック」は様々な演習で使用されているとの情報もある。北朝鮮空軍がパラシュートに「核リュックサック」をセットしたかと思えば、別の演習ではミサイル弾頭に使われる。重量は30キロ弱。有事の際には兵士1人につき「核リュックサック」2つが持たされるという。軍指導部は今年2月から、その使用法を説明し始めている。
平壌での軍事パレードと「核リュックサック」にまつわる北朝鮮の消息筋情報により、世界のメディアは、「北朝鮮はミニチュア核爆弾を持っているのではないか」と懸念しはじめている。しかし、北朝鮮の科学者やエンジニアに、そこまで先進的な軍事的核技術があるかは疑問である、とロシアの軍事専門家ウラジーミル・エフセーエフ氏。
「いわゆる核ブリーフケース、事実上の核地雷を作るためには、非常に高いレベルの核技術が必要だ。事実上、約1.5kgまで、使用されるプルトニウムの量を低減することができなければならない。北朝鮮はこのような技術を持っていない。北朝鮮はせいぜい約6.5キロまでしかプルトニウムを低減できない。よって「核リュックサック」やブリーフケースなどありえない。北朝鮮の技術は低く、少量の核分裂性物質で核爆発を起こすことはできない。これは純然なるイミテーションだ。もちろん、「核リュックサック」を、いわゆるダーティ・ボムとして用い、通常弾頭で爆破させて周辺に放射性物質を拡散させ、土地を汚染することはできる。
しかし、いわゆる「核リュックサック」ははったり、韓国への圧力要素だ。ミニチュア核兵器はロシアと米国、2つの国だけにしかない。しかし、それらも限られた時間しか有効でない。
製造後、小型核弾頭の機能を回復するために、所定の技術的手順をふむ必要がある。しかし、そのような仕事は、ロシアでも米国でも行われていない。
したがって、このタイプの弾頭は、ロシア、米国にもないのである。その使用は戦術核弾頭削減合意で否定されているのだ。
ミニチュア弾薬の保管は非常に深刻な問題を抱えている。最大のものは盗難だ。このタイプの弾薬を不正アクセスから保護することが困難なのだ。
このようなものがテロリストの手に渡ったらどうなるか。ミニチュア弾薬の保持を否定した時点では、テロの脅威はまだ今ほど強力ではなかった。しかし、今では、あの選択が正しかったことは明らかだ。今日、このような武器を持っているものは、世界に誰もいないと信じている。」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160409/1931629.html
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金正恩:ICBMエンジンテストで核攻撃能力を拡張する[スプートニク日本語]
2016年04月09日 15:20(アップデート 2016年04月09日 15:43)
北朝鮮の朝鮮中央通信は土曜、北朝鮮指導者が立ち合いのもと、ソヘ(トンチャンニ)発射場で大陸間弾道ミサイル(ICBM)のエンジンテストに成功したと発表した。
「テストの成功により、米国を始めとする敵に核攻撃を行う能力が手に入った」と金正恩氏は述べている。共同通信が伝えた。
金正恩氏は「米国の核の脅威に対応して、核攻撃の方法を多様化することができた。核兵器に対抗するには核兵器しかないからだ」と強調し、また、エンジンテストは5月に開催される「労働党大会への科学者と技術者からの最大の贈り物」と呼んだ。
【ロンドン=共同】タックスヘイブン(租税回避地)の金融取引を巡る「パナマ文書」報道で亡父の名前が挙がったキャメロン英首相に辞任を求めるデモが9日、ロンドンの首相官邸前などで行われ、千人以上の参加者が「税金を払え」とシュプレヒコールを上げた。
キャメロン氏は過去に亡父がパナマで開設したファンドへの投資で利益を上げていたことを認めている。ロイター通信によると9日、自身が党首を務める与党保守党の集会で「今回の問題にもっとうまく対処すべきだった」と反省を口にした。
デモには「出て行け」などと書かれたプラカードを持った人々が集結、市内中心部を練り歩いた。保守党支持者という男性は「首相の説明には納得できない。これまでクリーンなイメージだったのに残念だ」と語り、首相官邸に向かって「恥を知れ」と叫んだ。
キャメロン氏はパナマ文書で亡父の名前が挙がった際、ファンドから利益を得ていたかどうかについて曖昧な回答を繰り返したが、7日に一転して認め、野党が批判を強めている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM09H3Q_Z00C16A4000000/?n_cid=TPRN0005
ワン・ギャラップ・インターナショナル、64カ国対象に調査
米国44%、日本は11%で最下位
国際世論調査専門会社「ワン・ギャラップ・インターナショナル」が世界64カ国を対象に、祖国のために戦う意思があるか否かを問うアンケート調査を行った結果、韓国国民が「戦う」と回答した比率は42%となった。64カ国の平均は61%だった。国家報勲処(国家功労者を礼遇し、軍人・退役軍人の支援事業を行う省庁)が昨年11月、全国の15歳以上の男女1000人を対象に行った世論調査では、回答者の72.1%が「戦争が起こったら戦う」と回答していた。
ワン・ギャラップ・インターナショナルは2014年9月から12月にかけ、世界64カ国の18歳以上の男女6万2398人を対象に「あなたの国が戦争を回避できなくなった場合、祖国のために戦う意思があるか」という調査を行った。韓国では1500人を対象にアンケート調査を行った。このうち42%(626人)が「戦う」、50%(752人)は「戦わない」と回答し、「わからない」または無回答は8%だった。男性は56%、女性は27%が戦う意思を示した。年齢別では18−24歳の47%が「戦う」と回答し、最も多い結果となった。以下、45−54歳(46%)、35−44歳(44%)、25−34歳(43%)、65歳以上(30%)の順となった。
国別では、モロッコとフィジー(ともに94%)が最も高い結果となった。以下、パキスタン(89%)、ベトナム(89%)、バングラデシュ(86%)、アゼルバイジャン(85%)、パプアニューギニア(84%)、アフガニスタン(76%)の順となった。米国は44%、中国は71%だった一方、日本は11%で最も低かった。
チョン・ヒョンソク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/08/2016040800587.html
日本政府がこのほど、中国人観光客に対するビザ発給要件の緩和を検討していく姿勢を明らかにする中、中国のネットユーザーの10人中7人が「ビザが免除されても日本に行くつもりはない」と考えていることが分かった。
中国紙・環球時報は5日、「日本政府が中国を対象に観光ビザ免除を実施すれば、あなたの日本観光への関心が高まるか」という内容のインターネット投票を行い、同日午後までに回答者の71%が「いいえ」と答え、「はい」は29%にとどまった。
また、「はい」と答えた回答者の中には、「靖国神社のトイレを爆破しに行く」とのコメントを寄せた人もいた。今回の投票結果は、中国国内で日本に対するネガティブな認識が根強いことを物語っている。
これに関連し、日本の木原誠二外務副大臣は4日、中国メディア代表団と会見した席上、日本は将来的に中国人に対するビザ免除を実施するかもしれないと語っていた。
木原副大臣は「日本政府はより多くの中国人が日本を観光に訪れ、文化を体験することを希望している」と述べ、日本政府が外国人観光客数を2020年までに4000万人、30年までに6000万人にまで増やす目標を立て、新たな措置や政策を導入していく方針を説明した。特にビザ免除制度の検討対象に中国も含まれていると語った。
このほか、木原副大臣は日本人の10人中8人が中国に親近感を感じないという最近の調査結果に遺憾を表明し、両国は一日も早く関係修復に努力すべきだと主張した。
NEWSIS/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/06/2016040600716.html
「凍り付く油田の街・大慶 中国石油失速、現地を歩く:国際原油価格が安い今、採算性が低い大慶油田は価格上昇まで温存」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/209.html
「中国、2016年中に石油輸入量で米国を上回る可能性あり:中国の一日平均輸入量750万バレル」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/196.html
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[大機小機]石油から見た中国経済
中国は米国に次ぐ世界第2位の石油消費国、第5位の産油国だ。経済成長が減速し、原油価格が大幅に低下した中で、中国の石油事情が変わりつつある。
変化のポイントは3つ。(1)景気減速の割に原油輸入が増えている(2)石油製品の輸出が急増している(3)石油製品の需要構造が変わり始めている――ことだ。
昨年の中国の原油輸入は日量平均674万バレルで、前年に比べ8.8%増えた。政府発表の実質国内総生産(GDP)成長率6.9%を大幅に上回る。理由の一つは、価格が安い間に原油の備蓄を積み増したこと。中国石油天然気集団(CNPC)など三大国有石油会社の系列以外の企業の原油輸入を認めるようになり、独立系の精製会社が輸入を増やした事情もある。
中国国内の油田の生産コストは1バレル40ドル程度といわれるから、採算が悪化した国内の原油生産を抑え、安価な外国産原油の輸入を増やす傾向もみられる。
原油輸入が増える半面で石油製品の輸出も増える。石油製品について中国は今や、輸入より輸出が多い純輸出国だ。CNPCは、中国の石油製品輸出が今年、3割以上増えると見込む。
石油製品の輸出急増の背景には、国内の需要の伸び悩みと需要構造の変化がある。米国の石油・ガス情報会社、エナジー・インテリジェンスは、昨年の中国の石油需要を前年比4.1%増と推計。ケロシン(灯油・ジェット燃料)が17.3%、ガソリンが9.1%、液化石油ガス(LPG)が20.5%増えた一方で、ガスオイル(軽油・ディーゼル燃料)の需要は0.4%減ったと指摘している。
飛行機や乗用車、家庭用燃料の消費増加が続く一方で、建設機械やトラックなどの燃料消費は鈍く、余ったガスオイルが輸出にまわる構図だ。投資主導から消費主導へと経済構造の転換を目指すのと重なり合うように、石油消費のパターンが変わり始めている。
17日にカタールで開く予定の産油国会合には、CNPC傘下の事業会社ペトロチャイナの代表も参加する見通しという。国内の生産抑制は既定路線だから、価格下支え効果が期待される増産凍結合意に相乗りすれば好都合という計算もありそうだ。中国は久々に、産油国としての顔も見せようとしている。
(花山裏)
[日経新聞4月8日朝刊P.17]
民主・自民・公明の三党合意による14年4月の消費税税率引き上げは、リーマンショック後の円高傾向とTPPなどによる関税引き下げ予測に対応する政策として企図されたものである。
(転載する記事にも散見されるが、89年の消費税導入・97年の税率引き上げを含む期間の総税収推移でわかるように、消費税税率引き上げは結局のところ総税収の落ち込みにつながるため、社会保障制度の持続性や充実とは無関係の話である)
関税代替効果はともかく、円高対策としての消費税税率引き上げは、消費税税率引き上げを三党合意で決めた12年の秋以降に進んだ円安傾向により不要になった。
それが、14年4月増税に対する安倍首相(=財務省)の“迷い”となって現れたのである。
たとえ円ドルレートが1ドル=90円で定着したとしても、その対策として消費税税率引き上げを選択すべきではないが、財務省=安倍政権は迷う可能性がある。
それでも、官邸や財務省がそれほど愚かでない限り、消費税税率引き上げは凍結されるはずである。
※関連参照投稿
「消費税:民進党古川代議士「予定通りに上がるほうがサプライズ」「安倍総理はそもそも消費税を5から8に上げるのもイヤだった」」
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/588.html
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どうする消費増税
(上)東大名誉教授 御厨貴氏 政策的な議論不十分 不利益の配分考える政治を
2017年4月の消費税率10%への引き上げを巡る議論が活発になってきた。低調な国内景気や7月の参院選を控えた与党内では増税延期論が勢いづくが、財政健全化への悪影響を懸念する声も強い。学識者らに増税の是非を聞く。
――政府の「国際金融経済分析会合」でスティグリッツ米コロンビア大教授らが増税に慎重姿勢を示し、政府・与党内で増税延期論が広がっています。
「安倍晋三首相の最終的な判断はわからないが、スティグリッツ氏ら海外の識者を呼んだ経緯から判断しても見送り論が政府・与党内の大勢だ。延期になればその判断を問う衆参同日選になるだろう。増税判断の全てが政局と結びつき、そこに政策論をまぶす形になっている。これまでの政権では官邸が強いといわれても実際には裏で財務省が政策を動かしてきたが、今は財務省が完全に黙らされている。安倍首相が一言言えば決着で、政策的な増税論争はできていない」
――選挙を考えると延期しかありませんか。
「増税を掲げて選挙に勝った政権はなく、理屈のうえでは増税を訴えない方がよい。一方で安倍首相は14年の衆院選で増税を公約し、持続可能な社会保障制度の財源をつくると言った。少数派だが、本当に社会保障は大丈夫かという議論がある」
「仮に予定通り増税して選挙を戦っても、議席は多少減るだろうが連立与党が勝てるだろう。国民には民進党よりはマシだという意識があるからだ。安倍首相はサラダボウルに歴代政権よりはるかに多くの政策の選択肢を入れて次から次に繰り出す手法だ。集団的自衛権も憲法改正も少数派の意見だ。そのときの状況次第でうまくいきそうなら通すし、だめなら引っ込める。予定通り増税する可能性もゼロではない」
――予定通り上げるべきですか。
「国の財政状況を考えると増税の機会を逃すのはまずい。見送れば国民は『所詮、政府は自民党でも民進党でも増税を口にはしても実行はしない』と思う。少しずつだが国民の中にも『増税は仕方がない』という意識が育ってきており、今回上げないと次のチャンスはないとみていい」
「今までは国民への利益配分を軸に据えてきた政治だが、今後は(社会保障費負担など)不利益の分配も訴えるように考え方を変えないと、日本はだめになる。ポピュリズムの発想を続けてはだめだ。民主党は税と社会保障の一体改革を自民、公明両党との3党合意の下で実施した。民主党政権最大の成果だが、その後に選挙で負けたため敗北症候群から立ち直れていない」
――延期するとアベノミクス失敗との批判が出そうです。
「当然いわれるだろうが安倍首相にとっては痛くない。また(世論の)風を吹かせばいいと思っている。自民党税制調査会がかつてのような権威を持っていれば巻き返しも可能だったろうが、完全に力を失った」
[日経新聞4月6日朝刊P.5]
(中)慶応義塾塾長 清家篤氏 社会保障改革へ必要 労働市場、実行できる環境
――2017年4月の消費税10%への引き上げに先送り論が広がっています。
「できるだけ予定どおりに増税すべきだ。年金や医療・介護などの社会保障制度を将来世代に引き継ぐには、年齢にかかわらず負担を分かち合う消費税の引き上げが避けられない。自民、公明、民主による3党合意で議論をかさねた社会保障と税の一体改革は税率10%を前提にしている。子育てや介護の充実策を求めた社会保障制度改革国民会議が13年にまとめた提言を着実に実行してほしい」
――10%への増税は1度先送りしています。
「15年10月から17年4月に1年半ずらしたことで社会保障制度改革はすでに遅れている。団塊世代が75歳以上になり、医療・介護の需要が増える25年まで残された時間はそれほど長くない。改革の足踏みはなるべく避けたい。将来世代に負担のつけを回さないように手を打つのが我々の世代の責任だ」
――経済は消費増税に耐えられないような状況ですか。
「私は労働経済学が専門なので、その範囲で判断すれば状況は悪くない。少なくとも労働市場をみるかぎりは増税できる環境だ。2月の失業率は3.3%と低い。有効求人倍率は1.28倍とバブル期並みの水準だ。現在のような労働市場の需給関係が続けばやがて賃金も上がっていくだろう」
「リーマン・ショック級の経済危機が起これば追い打ちをかける消費増税は控えるべきだと思うが、そのような状況ではない。増税すれば短期的に消費が減るのは確かだが、少しでも消費が減退しそうなら増税はできないというのは極端だ。社会保障制度の安定という長期的なメリットと短期的なデメリットをてんびんにかけた場合、今は増税を選ぶべきだ。安倍晋三首相が自信を持って増税できる環境づくりも必要になる。16年度予算の早期執行や、増税後に予想される消費の反動減に備えた対策も求めたい」
――仮に増税を先延ばしした場合、注意すべき点は何でしょうか。
「増税を見送っても、子育て支援や介護サービスの拡充は予定どおり実施すべきだ。女性が働きやすい環境を整え、介護離職を食い止めなければますます労働力が減って経済が活力を失う。低所得高齢者向けの給付金や介護保険料の軽減などはさらに先送りせざるを得ないだろう」
「消費増税が難しいということであれば、税で社会保障財源を確保するだけでなく、支払い能力のある高齢者に医療や介護で応分の負担をしてもらうことで財源を捻出することを考えてもいいのではないか。高齢者が社会保障の支え手になれるように高齢者の就労を支援するのも一案だ」
[日経新聞4月7日朝刊P.5]
(下) 世代間の不公平解消を 三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員 片岡剛士氏
――来春の消費増税は予定通りすべきですか。
「凍結すべきだ。2015年10月に当初予定していた増税を先送りした後、経済対策も打ってきたが、消費回復の兆しは見えず景気低迷が深刻だ。海外景気の下振れリスクも高く、増税できる環境にはない」
「前回、安倍晋三首相は17年4月に必ず増税すると約束した。家計は増税に備えて支出を抑えるため消費は伸びない」
――社会保障の財源はどうしますか。
「相続税や資産課税を引き上げて社会保障の目的税にしてはどうか。消費税は逆進性が高く、低所得者ほど負担が重い。一般に年収は若年層の方が低く、今後30〜50年にわたって増税の負担がのしかかる。世代間の不公平は解消されない」
――景気てこ入れには何が必要ですか。
「政府は低所得者向け給付金などで消費を刺激しようとしたが効果は乏しかった。消費者の負担を和らげるため、デフレから脱却が明確になるまで時限的に消費税を減税してはどうか」
――増税を再延期して20年度までに財政健全化目標を達成できますか。
「日本の財政赤字が膨らむのはデフレの影響が大きい。健全化の一番の近道はデフレ脱却だ。政府はアベノミクスの何が問題なのかをきちんと整理すべきだ。成長には国内消費の回復が先決だ。名目国内総生産(GDP)600兆円を目指すなら年間10兆円規模の経済対策を少なくとも2年間続けるべきだ」
「予定通り増税し14年春以降のように景気が弱い状況に陥ることは海外からも受け入れられないだろう」
構造改革に取り組む必要 ゴールドマン・サックス証券チーフ日本株ストラテジスト キャシー松井氏
――消費増税を巡る議論を海外投資家はどう受け止めていますか。
「財政健全化目標の達成は遅れるが、弱い内需や消費を喚起するという意味では見送りが妥当だという意見が大多数だ。市場も見送りを織り込みつつある。安倍晋三首相が増税延期を打ち出してただちに日経平均株価が大きく上がるとは考えづらいが、追加的な財政出動が検討され始めていることも勘案すると企業に恩恵が及ぶ」
「海外投資家が日本株売りに動いているのは業績が頭打ちだと判断しているからだ。消費増税を見送れば成長の大きな障害がひとつ取り除かれる。中国経済は落ち着き、米国経済も堅調だ。私は日本株に対する見方が悲観的すぎると考えており、成長力が強まれば海外投資家は戻ってくる」
――海外で日本の追加財政出動を求める声は強いですか。
「日本と中国に対しては設備投資依存でなく、財政も使って内需を拡大してほしいというのが20カ国・地域(G20)のメッセージだ」
――日本国債の格下げリスクは高まります。
「日本の公的部門は赤字だが民間部門には現預金がたまっている。国債保有者がマネーを引き揚げて海外に資金を回す懸念はあるが、仮に増税を見送ってもそうした事態になる可能性は低い。成長で税収が増える可能性もあり、財政に全てがマイナスと言えない」
「海外投資家にはアベノミクスの追い風が止まったとの印象が広まっている。企業統治や女性の社会進出などの構造問題に取り組まないと、財政を緩和しても効果は短期間で終わる」
[日経新聞4月9日朝刊P.5]
再稼働させる原発の選別に司法を利用している政府も、最高裁で大津地裁のような判断を出させるわけにはいかない。かといって、福岡高裁のような「原発の新規制基準が不合理とは言えない」という判断も困る。
各地で原発稼働差し止めの仮処分申請を展開し、できるだけ多くの原発を稼働させないようにする戦術を選択すべきだと思う。
今、世界で大きな話題となっている「パナマ文書」。中米パナマにある法律事務所から流出した膨大な顧客データのことです。この「パナマ文書」をもとにした調査報道が、世界各国の首脳や著名人の「隠れた資産」を次々と指摘しています。
北欧アイスランドで首相が辞任に追い込まれるなど、各国の政治にも影響が出ていて、来月、G7の首脳が集まる「伊勢志摩サミット」でも議題に上がるといわれています。
この「パナマ文書」について、国際部の小原健右デスクが解説します。
パナマ文書とは
「史上最大の流出だ」。
今月3日、CIA=中央情報局のエドワード・スノーデン元職員が自身のツイッターで、そうつぶやきました。
アメリカの情報機関による大量の個人情報の収集を告発し、世界を震撼(しんかん)させたスノーデン氏をして、ジャーナリズムがこれまで扱ったデータの中でも類を見ないほど膨大で、汚職と腐敗を暴くものだと言わしめた「パナマ文書」。
最初に入手したのは、南ドイツ新聞に勤める2人の記者でした。
2人はおよそ1年前、ある人物から「見せたい情報がある。関心はあるか」との連絡を受けました。
数か月に及ぶやり取りの結果、分量にして2.6テラバイト、ファイルにすると1150万件という、実に膨大な量のデータを入手することになりました。
データは中米パナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出したものでした。
会計書類や電子メール、パスポートの写しなどのほか、会話を録音した音声ファイルなど、1977年から去年までの40年近くの活動を赤裸々に記録していました。
データは200の国と地域、21万4000の企業に及び、南ドイツ新聞は、世界各国の記者で作る団体、ICIJ=「国際調査報道ジャーナリスト連合」と連携して分析に乗り出したのです。
疑惑の「モサック・フォンセカ」
データが流出した法律事務所「モサック・フォンセカ」は、大きな資産がある個人や団体、それに企業の間では、世界的に有名な法律事務所とされています。租税の回避、すなわち、支払う税金の額をできるだけ少なくする方法を教えてくれるからです。
世界には、所得にかかる税率などが著しく低い国や地域があります。いわゆる「タックスヘイブン=租税回避地」と呼ばれるところです。
この法律事務所は、顧客にとって最も税金がかからない国や地域などを選び出し、そこに企業などをつくるのを手助けしていたといいます。
「パナマ文書」の流出前から、ブラジルの捜査当局などは、この事務所がマネーロンダリングといった不正な手法で得られた資金を隠すことに加担しているのではないかという疑惑を指摘してきました。疑惑に対して、「モサック・フォンセカ」は、不正は一切無いと、一貫して主張してきました。
しかし、今回流出した「パナマ文書」は、その主張に強い疑問を抱かせるものです。
次々と明らかになる「首脳」の疑惑
ICIJによりますと、「パナマ文書」には、アメリカがテロや麻薬取引などに関わる犯罪組織との関連が疑われるとしてブラックリストに指定した、少なくとも33の人物や団体の名前が含まれていました。
また、ICIJのメンバーとして調査に関わったイギリスのガーディアン紙は、北朝鮮の核兵器開発に関わる不正送金に関与した疑いで、先月、国連が制裁対象に指定した銀行が、この法律事務所の手助けを得てタックスヘイブンに企業を設けていたと指摘しています。
そして、最も大きな衝撃をもたらしたのが、世界各国の首脳や政府関係者などに関わる「隠れた資産運用」の詳細です。
皮切りとなったのは、北欧アイスランドの首相の「隠れた資産」です。
ICIJによりますと、グンロイグソン首相は2007年、タックスヘイブンとされるイギリス領のバージン諸島に、夫婦で購入した会社を通じて、自国の3つの銀行の債券に日本円で数億円の投資をしていました。しかし、この事実は、これまで公表されていませんでした。
アイスランドは、2008年のリーマンショックの影響で財政が破綻し、グンロイグソン首相が投資をしていた3つの銀行も破綻しました。問題とされたのは、首相が投資の事実を隠しながら、これらの銀行の債務処理に当たっていたことでした。国民からの批判の声の高まりでグンロイグソン首相は7日、辞任しました。
中国の指導層に近い人物たちの関わりも明らかになりました。
ICIJによりますと、習近平国家主席の姉の夫をはじめ、中国共産党で序列5位の劉雲山政治局常務委員の親族、それに序列7位の張高麗副首相の親族が、それぞれイギリス領バージン諸島の企業の株主になっていたとされています。
さらに、ロシアのプーチン大統領に関する疑惑も指摘されました。
ICIJは、大統領の古くからの友人とされる音楽家がいわゆるタックスヘイブンにある複数の企業に関わっていて、これらの企業がおよそ2200億円の資産を運用していたとしています。
運用は複数の企業の間で頻繁に行われていて、その複雑な企業ネットワークの構築には、プーチン大統領と関係が深いとされる「ロシア銀行」が関わったとしています。
ICIJは、この銀行について、アメリカが「まるで大統領の個人口座だ」と指摘していたことも挙げています。
ただ、ICIJは、ここで紹介した中国、そしてロシアの首脳について、企業を直接所有していたことなどを示す記載はないとし、資産の運用に違法性があるかどうかについても詳しく言及していません。
このほか、サウジアラビアのサルマン国王、シリアのアサド大統領、イギリスのキャメロン首相、そしてウクライナのポロシェンコ大統領もタックスヘイブンにある企業との関わりを指摘されています。
何が悪いのか
タックスヘイブンを活用して資産を運用することは、関係する国や地域の法律や規制、それにルールを守るかぎり、問題ないという主張もあります。
「モサック・フォンセカ」は、複数の国にまたがる企業どうしが合併するときや、各国の投資家から資金を集めるときなど、より効率的で競争力のある経済活動を行う必要がある場合、租税を回避できる国に関連の企業を設立することは合法的な活動だと反論しています。
しかし、ICIJが問題としているのは、こうしたタックスヘイブンを使って行われているマネーの流れが想像もできないほど巨額であるにもかかわらず、顧客のプライバシーなどを理由に、世界の一般の市民にはほとんど公表されていないことです。
NHKのインタビューに答えたICIJの担当者は「ガラス張りにすることが重要だ。政治家がなぜ会社を保有して外国に登録するのか。その会社がなぜ多額の資産を持っているのか。市民が聞きたいと思うのは当然だ」と指摘しています。
タックスヘイブンを使っていること自体を直ちに犯罪だとしているわけではなく、なぜ使っているのかを明らかにし、それに問題はないのかを問うのが目的だというのです。
注目は日本、そして各国の動き
ICIJの担当者は「世界各地で今も記者たちが新しい事実を掘り起こしている。今後、数か月にわたって文書をめぐる報道が続くだろう」と述べています。
気になるのは、やはり日本です。
調査に関わった報道機関などによりますと、「パナマ文書」には、日本国内を住所とするおよそ400の人や企業の情報が含まれているということです。
今回の流出と一連の調査報道を受けて、すでに各国は動き出しています。
問題の中心にあるパナマでは、バレーラ大統領が、海外の専門家などで作る独立した委員会を設置して、国内で行われている金融取引の実態を調査する考えを明らかにしました。
EU=ヨーロッパ連合は、加盟28か国共通のタックスヘイブンのブラックリストを作成し、不正が見つかった場合は厳格な制裁を科す制度の設立を目指すことになりました。
メキシコの税務当局は、パナマ文書で明らかになった国内の33人について、申告に問題がなかったか調査するとしています。
世界各国のジャーナリストが結集して発揮した調査報道の力が、隠れた巨額のマネーの流れに透明性を確保するのか。目を離せない状況が続きます。
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2016_0408.html?utm_int=tokushu-new_contents_list-items_001
「<栃木女児殺害>「録音・録画で判断決まった」裁判員ら会見:違憲の判決!取り調べ可視化が逆に冤罪増加の温床に」
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/713.html
【ロンドン=小滝麻理子】パナマの法律事務所から流出したタックスヘイブン(租税回避地)関連文書の問題を受けて、英国のキャメロン首相は10日、過去数年分の納税や所得申告の状況を公開した。亡父が租税回避地にもうけたファンドに同首相が投資していたことに関し、批判が高まっていることに対応した。英政府として「パナマ文書」問題を調査する専任チームを設けることも発表した。
英国の首相が納税の情報を開示するのは異例だ。野党党首だった2009年以降の分を公開した。
それによると、同首相は直近の15年度は約20万ポンド(約3000万円)の課税所得に対して約7万6千ポンドの税金を納めた。首相としての収入のほかに、ロンドン市内の自宅の家賃収入が約4万6000ポンドあることなどを明かした。
キャメロン首相は妻とともに亡父のファンドに1997年に投資し、首相就任数カ月前の10年1月に売却。同首相の持ち分として約9500ポンドの売却益を申告したことも明らかにした。課税対象となる基準よりも少なかったため、売却益にかかる税金は払っていない。
「パナマ文書」問題への対策強化も表明した。税務当局、国家犯罪対策庁などからなる横断的チームをもうけ、パナマ文書の内容を調査し、課税逃れやマネーロンダリング事例に厳しく対応する。約1千万ポンドの予算をつける。
キャメロン首相は7日、過去に亡父の租税回避地のファンドに投資し利益を上げていたことを認めた。同首相はこれまで課税逃れを厳しく批判してきたこともあり、野党などから批判が高まっている。9日にはロンドンの首相官邸前で「税金を払え」などと市民のデモが行われた。
キャメロン首相は納税状況の公開や対応チームの設置などで、批判を鎮めたい考えだが、野党は週明けも追及を強めるとみられ、事態が収束するかは不透明だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK10H10_Q6A410C1I00000/?dg=1
パナマの法律事務所から流出し、世界に波紋を広げる「パナマ文書」。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)がホームページ上で公開した資料を読み解くと、欧州を中心に、パナマなどタックスヘイブン(租税回避地)の小国を組み込んだ見えない「節税」ネットワークが構築され、そこに世界の富裕層が顧客に名を連ねる構図が浮かび上がった。
ICIJによると、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」は1977年から2015年にかけて、21カ国・地域に21万のペーパーカンパニーを設立した。ICIJはモサックを「世界で五指に入るペーパーカンパニーの卸売問屋」と皮肉る。
21万社のうち、半数以上の約11万3千社は英領バージン諸島にあり、4万8千社がパナマ、1万6千社がバハマ、1万5千社がセーシェルにあった。出資者は200カ国・地域の法人と個人で、政治家や官僚もわかっているだけで140人いる。
ペーパーカンパニーの設立をモサックに依頼したのは金融機関や他の法律事務所、コンサルティング会社などだ。金融機関はクレディ・スイスやUBS、HSBC、ソシエテ・ジェネラルなど欧州主要行の系列会社が名を連ねる。500に上る金融機関が1万5600のペーパーカンパニー設立に関わったとみられる。
モサックに関わった金融機関の多くはルクセンブルクやスイス、英国に本拠を置き、欧州が節税ネットワークの中心にあったことがうかがえる。モサックもチューリヒに支社を持っていた。これまでのところ、米国や日本の企業や投資家は目立たない。
資料によると、モサックが管理する企業数は15年時点で約6万6000社。09年の約8万2000社をピークに、廃業数が新規設立数を上回りだした。
09年にUBSによる脱税ほう助問題が米国で浮上。同年の20カ国・地域(G20)首脳会合で租税回避が主要議題になるなど、「徐々に国際的な規制が厳しくなってきたことが背景として考えられる」(国際税務に詳しい弁護士)という。
ICIJは5月上旬、パナマ文書に登場する企業や関連人物の全リストをホームページ上に記載する。世界の首脳や著名人の租税回避が新たに明らかになれば、トップ辞任など、波紋がさらに広がる可能性も出てくる。
[日経新聞4月9日朝刊P.3]
脱デフレ、長期戦に 日銀異次元緩和4年目へ
マイナス金利、効果に時間
日銀の量的・質的金融緩和(異次元緩和)が4日で4年目に入り、デフレとの闘いは長期戦となってきた。企業の利益は2015年度に過去最高になったもようだが、景気の先行きへの不安から設備投資や賃上げにつながっていない。アベノミクスの好循環の起点である円安・株高基調も揺らぐ。日銀が導入に踏み切ったマイナス金利政策の効果も未知数だ。
日銀は出口の見えない政策運営を強いられている(3月、記者会見する黒田総裁)
「必要な場合には量・質・金利の3つの次元で、追加的な金融緩和措置を講じる」。日銀の黒田東彦総裁は3月15日の記者会見で、デフレ脱却のためには追加策をいとわない覚悟を表明した。
量的・質的金融緩和の導入から4日でちょうど3年。当初2年で実現すると約束した物価2%上昇はいまだ達成できず、出口の見えない政策運営を強いられている。
導入当初は円安・株高が進み、生鮮食品を除いた消費者物価指数(CPI)の上昇率も1%台半ばまで高まった。だが最近の物価上昇率はゼロ近くにとどまり、企業も家計も物価はあまり上がらないと感じ始めている。
海外が誤算
誤算の大きな原因は海外経済だ。原油安で物価が上がりにくいだけでなく、中国経済の減速で世界経済が成長のエンジンを失うとの懸念が広がっている。金融政策の正常化を進めるはずだった米国も利上げペースを緩めざるを得ない状況だ。
この結果「異次元緩和の最大の波及経路」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二氏)だった円安にブレーキがかかり、日本企業の先行きへの警戒が強まっている。日銀が1日発表した企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感が異次元緩和の導入直後の水準に逆戻りしてしまった。
景況感の悪化は非製造業や中小企業にも及ぶ。国内需要も落ち込んでいる可能性があり「堅調とみてきた国内経済も危うい」(日銀幹部)との危機感が強まっている。
「経営環境の潮目が変わった」(トヨタ自動車の豊田章男社長)。企業は設備投資や賃上げに及び腰で、景気の好循環には黄信号がともった。
「欧州中央銀行(ECB)はマイナス0.4%だ」。黒田総裁は政策金利がマイナス0.1%の日銀にはまだ金利の下げ余地があると強調する。デフレとの闘いが長期戦になるのを見据え、緩和限界論を振り払おうとしている。
副作用の影
マイナス金利政策で10年物国債の利回りがマイナスに転じるなど金利は大きく下がった。企業への貸出金利や住宅ローン金利もじりじり低下しており、日銀は「時間はかかっても緩和効果は必ず出てくる」(別の幹部)と強気を崩していない。
もっとも貯蓄の多い高齢者や金融機関に不人気なマイナス金利政策をどこまで進めるかは微妙だ。海外経済の低迷が長引けば、17年度前半ごろとみている日銀の物価2%目標の達成の先延ばしは避けられない。不動産価格の上昇や国債バブルなど金融緩和の副作用が懸念されるなか、日銀だけに頼らない成長力の強化が課題になる。
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【30点】物価上昇に効果なかった
早川英男・富士通総研エグゼクティブ・フェロー(元日銀理事) 過去3年の日銀の政策は30点だ。過度な円高を是正する転機になったが、物価を継続的に押し上げる効果はなかった。効果の得られない実験を続ける意味はない。量的・質的緩和はここまで続けるべきではなかった。
一方、マイナス金利政策では効果と副作用を点検していく必要がある。ただサプライズを伴う導入の仕方が悪かった。預金を多く持つ高齢者層の不安や金融機関が日銀に持つ不信感を増大させた。
日銀が物価目標を達成するには民間企業が賃上げに積極的になることが必須。安倍政権のように労使交渉に介入し、賃上げを要請するのが有効だ。民間企業が今後どう応えるかが、日銀の物価目標達成のカギを握る。
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【85点】円安促しGDP引き上げ
嶋中雄二・三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所所長 この3年間を総合的に評価すれば85点だ。日銀が供給するお金の総額にあたるマネタリーベースの量を大幅に増やし、為替相場を大きく円安に動かした。円安は輸出増や訪日外国人の増加などを通じ、名目国内総生産(GDP)を引き上げた。
量的・質的金融緩和の開始から1年強で生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比は1.5%前後まで上昇するなど、当初は期待以上の効果を上げた。ただその後は原油急落の逆風が吹いた。これがなければ2%の物価目標も達成できたはずだ。
一方、日銀が新たに導入したマイナス金利政策は銀行収益圧迫への懸念から株安をもたらしてしまった。今の時点でマイナス金利の幅をさらに広げるのは得策でない。
[日経新聞4月4日朝刊P.3]
川内原発の仮処分について、水野倫之解説委員に聞きます。
Q:これまでも原発の仮処分の判断、示されているが、今回の仮処分の注目点は?
A:この1年間で仮処分きょうで5回目、今回1段あがって初めて高裁が判断を示すという点、そして仮に運転を認めない決定が出れば、日本が再び「原発ゼロ」になるという点。
これまで再稼働した4基のうち、先月福井県の高浜原発の運転を認めない決定が出たため、稼働中の原発は川内原発の2基だけに。
司法判断が原子力政策を左右しかねない状況で、政府や電力会社の注目ががぜん高まっている。
Q:今回の仮処分、何が争点となった?
A:火山の巨大噴火の影響など川内原発固有の問題もあるが注目したいのは、地震の揺れの評価方法などを定めている原発の新基準。
これまで鹿児島地裁は去年、「新基準は事故前に比べて改善されており、不合理な点はない」として、再稼働を認めた。
しかし同じ新基準について、高浜原発の仮処分では福井地裁が去年、「緩やか過ぎて、安全性は確保されない」として再稼働を認めなかった。
その後2審で別の裁判長が「内容は合理的だ」として今度は全面的に肯定。
ところが先月、大津地裁での仮処分ではまた疑問が示され、結局運転が止まった。
この新基準、政府や規制委は「世界で最も厳しいレベルにある」として胸を張っていますが、司法判断では2勝2敗。今回高裁がその妥当性まで踏み込むのかどうかが焦点。
Q:なぜこんなに判断が異なる?
A:仮処分の手続きはこれまで地裁レベルでしたので、できたばかりの新基準に対する裁判所としての判断が固まっているわけではない。
ただ今回は一段上がって高裁が初めて判断を示すわけで、より重いものとなる。
英国の原子力規制機関(ONR)が東芝傘下の米ウエスチングハウス(WH)が英国で計画する加圧水型軽水炉(PWR)「AP1000」の認証作業について改善を要請した。ONRは認証作業について「最終段階での進展が遅れている」と指摘。作業を早めるように促した。WHはこれに対し「懸念に対応するための修正案を提出した」とのコメントを表明。最終審査通過に向けた詰めの作業を急ぐ。
ONRがこのほどまとめた報告書で明らかにした。英国で原発を建設するにはONRによる認証「包括的設計審査(GDA)」を通過する必要があるが、「GDAを完了させるためにまだ合意すべきことがある」と明記した。AP1000では「機械工学」や「電子工学」などの項目について作業が遅れているという。
東芝は6割を出資する英電力事業会社ニュージェネレーションを通じてAP1000を3基運営する計画だ。2024年に初号機を稼働させる予定。
英国では日立製作所も4基の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)の建設を計画しているが、ONRは日立の審査については「想定通りに進んでいる」と評価した。
WHと日立の審査は現在、それぞれ第3段階の審査を終えており、ONRは最後の第4段階の審査の途中経過をまとめた。
[日経新聞4月4日朝刊P.9]
上海で開いた20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議以降、為替市場に微妙な変化が起きている。「ドル安であり人民元安だ」とシティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストはいう。
足元で円高・ドル安になっているのをみても、ドル安というのは分かる。主要6通貨に対するドル指数(1973年3月=100)は昨年12月初めには100を回復していたのに、足元は94台である。
一方の人民元。対ドル相場は、年初に1ドル=6.7元近くまで元安が進んだ後、足元は6.4元台まで持ち直した。これだけ見れば、ひとまず元安に歯止めが打たれ、元高・ドル安に向かったといえる。
元安批判に応え、中国が再び元高を容認しだしたのだろうか。そうではない。元の総合的評価を測るには、「CFETS(中国外国為替取引システム)指数」に注目する必要がある。昨年12月から公表を始めた通貨バスケットだ。
このバスケットはドル、ユーロ、円など13の通貨から構成され、ドルの比率は26.4%。残りはユーロ21.4%、円14.7%など非ドル通貨から成る。つまり、ドルが4分の1、ドル以外が4分の3の通貨バスケットである。
実際のCFETS指数(14年末=100)の値動きをみると、15年12月に101近辺だったものが、16年3月下旬には初めて98を下回った。ユーロや円の対ドル相場の上昇率が、元のそれを大きく上回っている。その結果、元はユーロや円に対して弱含み、CFETS指数も下落したのだ。
「ドル安であり元安」という現状は、米国にとっても中国にとっても都合がよい。米国はドル高による輸出企業への逆風が和らぐからだ。中国は対ドルで元高になった分、ユーロや円などの非ドル通貨に対し元安になることで、全体としては自国企業の輸出を後押しすることができる。
一方の日欧は金融緩和による自国通貨安というカードを封じられ、企業の輸出採算はきつくなる。米中が握ったと思えるような相場展開である。
(編集委員 滝田洋一)
[日経新聞4月4日朝刊P.14]
2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げ見送りや、それに伴う衆参同日選が取り沙汰されるなか、連立政権を組む公明党が揺れている。いずれも表向きは反対の立場だが、党内には足元の景気状況や安倍晋三首相への配慮も必要との声が出ている。
「同日選は慎重に判断してほしい。もしやるなら選挙協力できない」。公明党の山口那津男代表は3月30日、安倍晋三首相との会談できっぱりと伝えた。首相は「分かっています」と応じた。
実務は前倒し
公明党が同日選に慎重な理由の一つは、同党が選挙戦で支持母体である創価学会の組織力に大きく依存している点がある。衆参同日選になれば、衆参の2つの選挙に創価学会の組織力が分散されるため、集票活動が思うように伸びない懸念があるためだ。
さらに同日選になれば投票率が上昇し、組織選挙を展開する公明党に不利になる可能性がある。安倍政権が改憲勢力であるおおさか維新の会との協力も視野に入れる中、自民が実際に単独過半数の議席を得れば、与党内での公明の存在感は低下するのが必至だ。
しかし、それでも山口氏は30日の党首会談後「衆院解散は首相の専権事項。決断すれば対応する」と述べ、最終的には首相判断を尊重する姿勢を示した。この後、公明幹部は創価学会に「同日選もあるかもしれない」との認識を伝え、準備を促した。
背景にあるのは「自民1強」の状況が続く中、公明党が同日選へ最後まで抵抗を続けるのは難しいとの判断だ。このため表向きには同日選に反対しつつも、実務レベルでは両党は双方の参院選候補への推薦を通常よりも前倒しで決定。自民党幹部は「同日選をにらんで選挙協力を早めに進めている」と明かす。
特に公明は7月の参院選で、7選挙区で独自候補を立て党勢拡大をめざしている。都市部で共産党が支持を伸ばす中、自民党からの協力が不可欠と判断。自民の地方組織には反対もある中で、東京、大阪選挙区以外の5選挙区で自民からの推薦を急いだ。
支持者も意識
消費税率引き上げの再延期についても衆参同日選とセットとの見方が大勢を占める中で、反対と言わざるを得ないが、実情は微妙に変わりつつある。
公明支持者には低所得者層や中小企業経営者も多く、景気の腰折れリスクには敏感だ。ある公明幹部は「『予定通り引き上げ』と言い続けるのも苦しい状況になってきた」と本音を漏らす。
山口氏は4月4日の政府・与党連絡会議後、記者団に「社会保障の安定性、財政健全化を含め国民に再増税への理解を求める政府の努力が必要だ」と改めて予定通りの増税実施を強調した。しかし、「増税延期だけなら別の判断もあり得る」(党幹部)との見方も出ている。
[日経新聞4月5日朝刊P.4]
「もし我が党が食品安全問題にもきちんと対処できず、誤った対応を取り続ければ、我々の指導力が問われることになる」。習近平氏は中国の指導者になった翌年の2013年、党幹部らに警告した。
自分たちは「人民」の支持を得ていると常に主張してきた共産党のトップとしては、驚くべき発言だ。当局の無能さと腐敗に対する国民の不満がいかに爆発寸前の状況だったかを習氏が理解していたことが読み取れる。習氏は不正を働いた党幹部らを何万人も取り押さえ、1949年の建国以来の大がかりな腐敗撲滅運動に乗り出した。多くの国民が支持した。
今、中国でこの数年で最大の公衆衛生事件が起きている。期限切れで不適切に保管されていた数千万ドル相当のワクチンが違法に病院などに販売され、使用されていたのだ。
汚職撲滅や検閲、エリート層は不満
習氏の汚職撲滅運動は多くの場合、庶民への影響はほとんどなかった。庶民の生活や健康は依然、問題が山積したままだ。最近はエリート層が習氏に不満を抱き始めた様子も見受けられる。国営メディアは報道規制に公然と苦情を漏らし、ある著名実業家はミニブログで習氏を攻撃した。嫌気がさして辞任した編集幹部もいた。
習氏は毛沢東以来、最大の権力を手に入れた。これで思いのままに改革を遂行できるはずだったが、何を間違えたのか。
公正を期すために言うと、習氏が敵意を向けられるのは必然だった。習氏が暗黙の了解を破棄したことに腹を立てている党幹部は多い。汚職が目に余るほどではなく、しっかり仕事をしている限りは私腹を肥やしてもいいとされたのに、認められなくなったからだ。
習氏自身、権力の追求に多大な時間と労力がかかり、ほかのことに目を向ける余地があまりない。権力を掌握してきたこの3年半で、習氏は驚くようなペースで肩書を増やしていった。総書記、中央軍事委員会主席、国家主席であるだけでなく、改革や治安維持、経済政策でも主導権を握っている。事実上、「集団指導体制」という共産党の概念は捨て去られた。習氏は「万事の長」だとあるアナリストは言う。
習氏は同時に、個人崇拝を禁じた党の規範もないがしろにした。これは毛沢東主義の狂気が再現されるのを防ぐために1982年に導入されたものだ。
国営メディアは習氏と、「彭ママ」と呼ばれる彭麗媛夫人をほめそやしている。3月に公開された「習おじさんは彭ママを愛している」と呼ばれるダンスの動画は、すでに30万回以上視聴された。最近は習氏もやや行き過ぎだと感じているようで、同氏を毛沢東になぞらえた「東方又紅(東の空がまた赤い)」など、礼賛が特に甚だしい動画はインターネットから削除された。
批判者を徹底摘発、遠い内外の安定
国民の多くは、個人崇拝が害のない楽しみと大して変わらないと受け止めるだろう。習氏は毛沢東ではない。毛沢東はあまりにも専制的で称賛を好んだため、平気で中国を文化大革命へと導き、社会を錯乱と暴力に陥れた。年配者の中には、習氏の政治スタイルがとうに過ぎ去った時代を思い起こさせることに不安を覚える人もいるが、中国が再びそのような恐怖に陥りそうな気配はない。
しかし、毛沢東ほど極端ではないものの、習氏の権力集中の弊害はすでに表れている。習氏は汚職撲滅を進める以上に断固とした姿勢で抵抗勢力と戦ってきた。党を批判する者に対するこれほど徹底した取り締まりは、89年の天安門事件以降はなかった。インターネットの検閲官はソーシャルメディアの投稿に目を光らせている。違法ワクチン流通事件に激怒した市民の投稿や、共産党の統治能力に関する3年前の習氏自身の言葉に関する書き込みなどを削除するのに多忙を極めている。
警察は3月上旬、政府系サイトに(個人崇拝とメディア検閲などを理由に)習氏の辞任を求める匿名の書簡が掲載された件も捜査しており、約20人が逮捕された。だがそれで終わったわけではない。市民は反攻に出ている。いかに厳重に遮断され検閲されようとも、インターネットを通じ国民は声を上げ続けているのだ。
いくら反体制派を取り締まり、自身を実際より立派に見せたところで、習氏の地位や国の安定には全くつながっていない。同氏は党内の捜査担当者を使い汚職と戦っているが、捜査官は法律の公正な適用を気にするより、政治的な貸し借りを精算する方に大きな関心がある。これは行政を進める上で支障になる。党幹部らが調査を受けるかもしれないと思い、お金を使うことをただ恐れているだけだとしてもだ。
習氏がメディアを締め付けることにより、少なくとも1年前に怪しいワクチン売買が発見されたにもかかわらず、メディアはその時点で暴露するのを渋った。不祥事が明るみに出るころには、党や習氏の信頼性が一段と脅かされるようになってしまった。
習氏は市場に「決定的な役割」を与え、法の支配を確立することで「権力を檻(おり)に閉じ込める」と誓った。だが、同氏は国に繁栄と自由をもたらしてもいないし、安定によって諸外国を安心させてもいない。海外では習氏への不安が高まり続けている。南シナ海で支配権を確立しようとする同氏の強硬な取り組みは、アジア諸国を米国陣営の方向へ追いやっている。
権力維持に手いっぱい、大胆改革は期待薄
習氏の統治が始まったころ、自分の地位を確立した後、やると言っていた改革を本当に実行するかどうか観測気球が上がった。今や大胆な改革の実現可能性は薄れている。習氏には政治的に骨の折れる事柄に割く時間はほとんどなさそうだ。つまり、党が法律に従うようにしたり、赤字の国有企業を閉鎖したり、農村出身の出稼ぎ労働者に対する都市の公共サービスの利用制限を廃止するといった社会制度改革を進めたりすることだ。自身の権力維持で手いっぱいなのだ。
過去66年間の中国の共産党支配のなかで最も困難な時代は大抵、エリート層内部で緊張関係が起きたときに訪れた。習氏の統治スタイルはそうした緊張をあおるばかりだ。同氏が脅しの策略と腕力で敵を撃退しようとすればするほど、多くの敵をつくることになるだろう。
(4月2日号)
英エコノミスト誌の記事を翻訳し、火曜付で掲載します。電子版▼ビジネスリーダー→グローバル→The Economist
[日経新聞4月5日朝刊P.6]
【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は4日、EU域内の原子力発電所を安全に運用していくために、2050年までに最大で7600億ユーロ(約97兆円)の投資が必要になるとの見通しを示した。2011年3月の東京電力福島第1原発事故の後、EUが長期的な投資必要額を示すのは初めてだ。
欧州委が4日に公表した「原子力説明プログラム」という報告書の中で明らかにした。老朽化した原発の建て替えや廃炉、使用済み燃料の長期管理など、核燃料サイクル全般に必要な投資額を試算したのが特徴だ。
欧州委は「福島第1原発事故後の安全性向上に力点を置いた」と説明する。気候変動・エネルギー政策を担当するアリアスカニェテ欧州委員は「福島の事故から5年がたち、欧州は多くのことを学んできた。今回の報告書は原発をめぐる議論に貢献する」と強調。原発の将来に向けた議論の高まりに期待を示した。
報告書は低炭素社会の実現などの観点から「原子力エネルギーは50年に向けた欧州のエネルギーミックス(電源構成)の重要な要素であり続けると期待される」と指摘した。
ただ「欧州の原発は老朽化が進んでおり、膨大な投資が必要になっている」とも説明。50年にかけて6500億〜7600億ユーロの投資が域内で求められるとの試算を提示した。
必要な投資額のうち、最も比重が大きいのが、原発の建て替え費用だ。3500億〜4500億ユーロが必要になると算出した。原子炉の稼働延長などの対応がなければ30年までにEU域内の90%の原発が老朽化に伴い停止し、多数の建て替えが必要になるという。
報告書は役目を終えた原発の処理や処分に必要な投資額も示した。廃炉に1230億ユーロ、また使用済み燃料や放射性廃棄物の管理、地下への埋め立て処分などには1300億ユーロかかるとはじいている。さらに安全性の向上など、既存の原発の維持・更新にも450億〜500億ユーロが必要になるとみている。
欧州委によると、EU域内では14カ国が原発を導入し、129基が稼働している。域内のエネルギーの3分の1が原子力によって賄われている。
福島の事故を受けてドイツが22年までの「脱原発」を表明するなど、見直しの動きも相次ぐ。ただ25年の原発全廃を目指すベルギーは14年に老朽化原発の稼働を10年延長。相次ぐ発電トラブルに不安を訴える隣国のドイツやルクセンブルクなどから反発を呼んでいる。
一方、域内のうち10カ国では新設計画が進み、このうちフィンランド、フランス、スロバキアで計4基が建設中という。
[日経新聞4月5日朝刊P.7]
ファーストリテイリングが4日発表したカジュアル衣料品店「ユニクロ」の3月の国内既存店客数は前年同月比8.6%減だった。売上高も0.3%減と前年実績を3カ月ぶりに下回った。客足を回復させようと2月上旬から一部の商品を値下げしたが、2度の値上げで薄れた「低価格」イメージは簡単には取り戻せない。値上げの後遺症に悩まされる姿は企業の価格戦略が転機を迎えていることを映し出す。
「この商品は平日も週末も、毎日お買い求めやすい価格に見直しました」――。オックスフォードシャツやジャケット、チノパンなど定番商品の売り場に、こんな販促用の看板が並ぶ。ユニクロは2月上旬、一部商品を300〜1000円程度値下げした。
以前は金曜日にチラシを打ち、月曜日までの4日間、対象商品を値下げするセールを展開してきた。今はセールの対象商品や頻度を減らして数十品目を常時値下げしている。
柳井正会長兼社長ら幹部が値下げを決断したのは1月末とされる。商品タグの価格表記はそのままで実行に移した。商品タグと実際の価格の違いに消費者が混乱する懸念もあったが、あえて急いだのにはワケがある。
2014年に5%、15年に10%と2年連続で値上げしたユニクロ。原料高や急激な円安を受け「品質を維持するためには必要」(柳井氏)と考えた。賃上げが広がるなか、ある程度の値上げは消費者に受け入れられるとみていたが、客数の減少が止まらなくなった。昨年4月以降の1年間で、国内の既存店客数が前年実績を上回ったのはわずか3回にとどまる。
「このままの状態をよしとはしていません」。柳井氏は昨年末にこう話し、強い危機感を示していた。回復への切り札の一つが今回の値下げだ。
だが、一度他社に流れてしまった客を取り戻すのは容易ではない。ユニクロを利用していた30代のある男性は「値下げしたことを知らなかった」という。
機能やデザインで付加価値を高めた商品は、その分だけ値上げをしても客は逃げないはず。今回の値下げには、十分に付加価値を高められていない商品まで値上げした結果、客が離れてしまったとの反省もある。今後の価格戦略次第だが、今のところ消費者の間に「ユニクロは安くていい商品が並んでいる」というかつての印象が戻ったとは言い切れない。
ユニクロが値上げで失速している間にライバルは息を吹き返した。しまむらが4日発表した16年2月期の連結決算は3期ぶりに増益となり、3月の既存店売上高も11.8%増と好調だ。
しまむらの1商品あたりの単価は900円以下。客単価は2600円強にとどまり安い製品に強い。野中正人社長は「消費者は潜在的に安い製品を求めている」と業績回復の要因を説明する。
多くの企業で賃上げが抑えられるなか、消費者は品質と価格のバランスをこれまで以上に厳しく見極めるようになっている。外食や携帯電話でも値下げや割安な商品が広がっている。
アベノミクスのデフレ脱却と足並みがそろっていたユニクロの値上げだが、物価上昇を景気改善につなげる手法は行き詰まりも見える。3月の実績を底にできるかどうか。ユニクロの正念場が続く。
(岩戸寿)
[日経新聞4月5日朝刊P.11]
円相場が経験則と異なる動きをみせている。従来は米国株高など「リスクオン」の局面ではドルのほか、新興国株や商品などが買われる一方、安全資産とされる円は売られるケースが多かった。ところが最近は米株高でリスク資産が広く買われているにもかかわらず、海外投機筋の円売りは鳴りを潜めており、相場の潮目は変わったとの声が増えている。
「海外投機筋からの円売り注文はめっきり入らなくなりました」。外国為替ディーラーの間でこうした声が増えている。米国株や経済指標、要人発言……。どんな材料があっても投機筋からのまとまった円売り・ドル買い注文がこないという。
特にこの1カ月はその傾向が強まっており、4日も前週末の米株上昇にもかかわらず、円は一時1ドル=111円台前半と1円近く円高・ドル安が進んだ。シカゴ市場の投機筋の円売り残高をみると、約3万枚(約3800億円)と昨年の平均の3分の1にとどまる。
目新しいのは円相場が海外の金融市場と連動しなくなってきた点だ。従来は米株高など「リスクオン」の雰囲気が強まれば、円が売られ、反対に金融市場が不安に包まれれば円が買われていた。ところが、最近は米国株が上昇しても円売りがいっこうに出てこない。米低格付け債や新興国債券などは買われており、円相場だけが特異な動きをしている。
金融市場の“緩和”期待の受け皿が日欧から米国に移ったことが底流にある。欧州中央銀行(ECB)はマイナス金利政策の限界を示唆し、日銀のマイナス金利も国民や金融機関の評判が高くない。「物価が上がらなければ追加緩和」という観測が薄れ、「円を売っても大幅に利益を上げられるという期待が薄れてしまった」(JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏)。
“緩和”期待は利上げを探る米連邦準備理事会(FRB)の方にむしろ向かっている。FRBは3月に今年の利上げ見通しを4回から2回に引き下げた。新興国景気の減速や金融市場の動揺で、利上げのペースが遅れている。市場ではFRBは利上げを急がないという認識がほぼ共有され、今年は1回にとどまるとの予想が多い。市場が不安定なら来年にずれ込むとの声もある。
昨年までは「先進国で唯一の利上げ通貨」としてドルが買われてきたが、その反動が強まっている。かたや日銀の追加緩和は難しいとの見方が広がる。日米の金融政策への期待は昨年までと逆転したかたちで、投機筋が円売りに妙味を感じなくなっている。
このため米国株高で投資家心理が改善しても、円売りが誘発されなくなった。円相場の先行きを予想する通貨オプション市場でも、円安が進むことを見込んだ取引は細っている。
日本株はそのあおりを受け、世界的な株高の波に乗り切れていない。海外投資家は3月第4週まで12週連続で日本株を売り越した。4日の日経平均株価は5日続落し、1万6123円と1カ月ぶりの安値を付けた。
ただ、米国の今年の利上げ回数に関する市場予想が1回に減少し、利上げペースが緩やかになるとの“緩和”期待も限界に近づきつつある。米市場に広がる楽観論には危うさも伴い、海外発でもう一段の円高・日本株安が進むリスクもちらついている。
(後藤達也)
[日経新聞4月5日朝刊P.17]
[迫真]シャープの選択
(1)テリーの腹が読めない
写真撮影で台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の董事長、郭台銘(65、テリー・ゴウ)に肩を組まれると、シャープ社長の高橋興三(61)の硬かった表情はようやくほころんだ。2日午後、両者は共同運営する堺市の液晶パネル工場で記者会見を開き、握手を交わした。長く経営危機が続くシャープの支援企業探しに区切りがついた瞬間だった。
鴻海は3888億円を出資して66%の議決権を握り、シャープを傘下に収める。液晶パネルなど滞っていた戦略事業への投資が再開する。記者会見で郭は「シャープの技術を迅速に最高の品質で製品化できるように支援する」と宣言し、社員の雇用維持まで口にした。
□ □
年明けから大詰めを迎えたスポンサー選びは二転三転してシャープを翻弄した。1月下旬には官民ファンドの産業革新機構を軸に協議が進み最終調整に入っていた。しかし、鴻海が支援額を6600億円に積み増したことで事態は急転する。
機構案は主取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に最大3500億円の金融支援を求める。負担の大きさに両行が戸惑う間隙を郭は突いた。このときの鴻海案は銀行に追加負担を求めない。郭は1月30日にシャープ本社に乗り込んで支援案を説明した。
2月4日には鴻海からシャープに1000億円を保証金として前払いするとのメールも届いた。シャープは同日、鴻海との本格交渉入りを発表。機構案は鴻海との交渉が不調となった場合の代替案と位置付けられた。
2月25日。シャープは将来を託すスポンサーを選ぶ取締役会に臨んだ。鴻海の出資受け入れを決めたが、なぜか採決が2回行われている。1回目はシャープの優先株を引き受けた銀行系ファンドの社外取締役2人を外して11人で、2回目は13人全員で採決した。
鴻海案は優先株の消却を求めない。機構側は鴻海と利害関係があるとして2人を採決から外すべきだと主張していた。高橋の記者団への発表は「2回とも全会一致」だがシャープが金融機関などに説明した内容は少し異なる。「取締役の意向は7対6の僅差だった」。全会一致で決議したものの、2人を除いた11人が本音で賛否を示せば機構案が上回ることになる。
資金額では鴻海案が有利だが過去にもシャープへの出資契約を撤回したことがある郭との交渉が一筋縄でいかないことは明白だった。鴻海と破談になる場合のことも考えないといけない。「7対6」の説明は鴻海をけん制しながら、機構に配慮せざるを得ないシャープの事情をうかがわせた。
□ □
機構案支持が本音とされる高橋は、郭との交渉の難しさを肌で知る。海外担当の副社長だった2012年夏には、鴻海の中国工場にシャープが液晶技術を500億円で供与することで合意した翌日にひっくり返された。郭とは親交を深めていただけに落胆も大きかった。「家族ぐるみで付き合ったし、酒も飲み明かした。笑顔を見せていてもテリーの腹の中は読めんな」とこぼした。
郭は今回も高橋を揺さぶった。シャープが鴻海案を採択した前日の2月24日にシャープが提示した「偶発債務」をにわかに問題視。内容精査を理由に取締役会の決議を延期し、出口の見えない値引き交渉を始めた。水面下では2000億円の出資減額を突きつけた。
シャープは3月末に5100億円もの債務の返済期限が迫る。交渉を続ける間も台湾から「合意は4月以降」という情報が流れた。巧みに揺さぶりをかけた交渉は郭のペース。シャープと銀行は「前払いの1000億円は運転資金に使わない」「破談となった場合、液晶事業を鴻海が買い取れる」という条件ものまざるを得なくなった。
2月25日に鴻海案を選んだ際、高橋は「テリー・ゴウさんは見習うべきところが本当に多い、熱意あふれる立派な方」と社内放送で呼びかけている。技術や製品の開発に経営資源を割けず、債務の返済期限も迫る高橋に鴻海への迷いはあっても選択の余地はなかった。
「つぶれそうな会社の社長の気持ちなんて誰にも分からんやろ」。最近の高橋は周囲に漏らす。鴻海主導の新体制では経営陣から外れる見通し。郭の言う「早期黒字化」「世界企業としての再建」が実現されるほかに高橋の苦渋の選択が報われるすべはない。
(敬称略)
◇
シャープが日本の電機大手として初めて外資傘下に入る。鴻海や主取引銀行、経済産業省がせめぎ合った買収劇を追う。
[日経新聞4月5日朝刊P.2]
(2)鴻海も焦っている
シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による買収受け入れを決めた2月25日。鴻海董事長、郭台銘(65)は中国にいた。行き先は南部の広西チワン族自治区の南寧市。中国子会社の富士康科技集団(フォックスコン)と地元政府が結ぶ契約の調印式に出席した。
南寧市では巨大なIT(情報技術)産業パークを2020年までに順次稼働させる計画。「7万人の雇用を創出してみせる。前途は極めて明るい」。郭は地元政府幹部の前で大見えを切った。
台湾での郭は「中国大陸で最も成功した経営者」。そう呼ばれるのは出自に理由がある。郭は戦後、国民党とともに中国から台湾に逃れてきた人々とその子孫である「外省人」グループだ。両親が1948年に台湾に渡り、50年に郭が生まれた。親中感情はもともと強い。74年に鴻海を設立し、ためらうことなく中国に工場を移した。
中国共産党とのパイプも太い。13年2月、北京の人民大会堂。「我々は同じ中華民族だ」。共産党総書記の習近平(62)の呼びかけに、台湾訪中団の一人として参加していた郭はうなずいた。
台湾統一を狙う習は中華民族の偉大な復興という「中国の夢」を掲げる。郭は13年11月、南京市での講演で「『中国の夢』を聞くと台湾で生まれた中国人としての血が沸き立つ」と習を持ち上げてみせた。親中派であることを隠さない言動はインターネット上でたびたび「炎上」するが、郭は意に介さない。
□ □
中国は近年「5年で2倍」とされる人件費上昇が続く。現地で100万人前後の従業員を抱える鴻海には大きな負担だ。最大顧客である米アップルの成長鈍化も郭を悩ませる。主力事業である電子機器の受託製造サービス(EMS)に頼る成長は限界が近づく。
「君たちはこんな業績で恥ずかしくないのか!」。今年2月の旧正月直前に開いた15年度の業績報告会で、郭は居並ぶ幹部たちを怒鳴りつけた。多くの事業部門が数値目標を達成できていなかった。
15年12月期の連結売上高は前の期比6%増。13年以降は郭が掲げる「10%成長」という目標に届いていない。「どんな状況でもゴキブリのように生き抜いてみせる」と豪語してきた郭だが、成長の鈍化に焦りがにじむ。
鴻海は細かい意思決定まで郭の決裁を必要とする。ただ売上高が15兆円の巨大企業になり、強烈なトップダウン経営がなじまなくなってきた面も否めない。世代交代をにらんで外部から獲得した幹部候補も「嫌気が差して1年で半数が辞めていく」(鴻海の元幹部)。
シャープの経営危機が伝わったのは成長に向けた一手が見えなくなっていた昨年初めだ。「絶対に買収する」。郭は色めき立った。交渉が大詰めを迎えた年明けからはビジネスジェットで繰り返し来日。1月30日、シャープ本社でのプレゼンテーションでは「私の妻と子には日本人の血も流れています」と切り出した。妻の祖母が日本人であることから親日ぶりをアピールし、シャープ経営陣の心をくすぐった。
大胆さばかりが際立つ郭は慎重さも併せ持つ。2月下旬、シャープの偶発債務問題が発覚すると、「隠れ債務」の苦い記憶がよみがえった。10年に台湾液晶パネル大手の奇美電子(現・群創光電)を買収したが、その年末に欧州連合でカルテルの制裁金3億ユーロ(約370億円)の支払いを命じられている。強硬な態度でシャープ支援額の引き下げを求めた郭には「同じ轍(てつ)は踏まない」という思いもあった。
□ □
今月2日、買収契約後の記者会見では「早川徳次の勤勉、高潔の精神がシャープ社員に息づく」「100年の歴史を学ぶ」と力を込めた。鴻海関係者は「日本の大企業を買収できたことに異様に興奮している」と明かす。
鴻海は設立当初から日本の金型や射出成型の技術を学んで成長してきた。中国の工場に大量に並ぶ工作機械の多くはファナックなど日本メーカー製だ。シャープを「先生」と呼び続けてきた郭を包む高揚感は、「学んで師を超えた」との思いなのかもしれない。
12年に宣言したEMS依存からの脱却は進んでいない。自動車関連やデータセンター運営、通信などの事業に参入したが、収益の柱にするには時間がかかる。それだけにシャープの技術や事業の獲得がもたらす果実への期待は大きい。
「シャープ買収は鴻海にとってビジネスモデル転換の最後のチャンス。郭はそう考えている」。郭の側近は言う。シャープだけではない。鴻海もまた追い詰められている。
(敬称略)
[日経新聞4月6日朝刊P.2]
(3)このままでは持たない
「テリーさん、5月まで最終契約を延ばしたら、シャープは持ちませんよ」。3月16日、みずほ銀行専務執行役員の渡辺毅(56)と三菱東京UFJ銀行常務執行役員の二重孝好(55)は台北で、鴻海(ホンハイ)精密工業董事長の郭台銘(65、テリー・ゴウ)に訴えた。
この時、郭がシャープに突きつけていたのは、4890億円としていた支援総額を約2000億円圧縮、決算が固まる5月まで最終契約しないという見直し案だ。3月末に5100億円の融資の返済期限を迎えるシャープには死活問題。メーンバンク両行も見過ごせなかった。
鴻海とシャープの最終合意の記者会見の約2週間前のことだ。この頃、郭のシャープ不信は最高潮に達していた。2月24日に出てきた3000億円超の偶発債務を巡っては鴻海側の公認会計士が「認識せざるを得ないリスク分は約2900億円」とはじき出したが「400億円弱」とするシャープ側との溝が埋まらない。火に油を注いだのがシャープの急速な業績悪化だ。「16年3月期の営業利益は100億円と言っていたのに、1000億円も下振れするとは何だ」。郭は激怒した。
「このままではまずい」。鴻海案を後押ししてきたみずほフィナンシャルグループ社長の佐藤康博(63)もさすがに慌てた。
「あと1週間ください」。渡辺と二重は必死に郭を説得。何とか時間を稼ぎ、シャープに業績の精査を急がせた。あらゆるリスクを洗い出し、下振れ額は1800億円に膨らんだが、銀行保有の優先株を買い取る条項も延期、譲れるところは全て譲った。鴻海側も、資金繰り破綻を招きかねない現実を前に出資額の減額幅を1000億円にとどめ、最終契約すると決めた。
「鴻海は過去にもシャープへの出資計画を撤回した。ゲタを履くまでは何があるかわからない」。慎重姿勢を貫いていた三菱UFJフィナンシャル・グループ社長の平野信行(64)の表情がやわらぎ始めたのは3月下旬。28日に三菱東京UFJ銀行は支援条件の見直しを経営会議で決め、30日にはみずほ銀行も受け入れ最終交渉は決着した。
偶発債務、業績悪化という失態を繰り返したシャープ。交渉で高めの球を放り続けた鴻海。メーン2行は想定外の動きを繰り返す両社に翻弄されつつ、何とか契約にこぎ着けた。交渉に関わったある幹部は「これでは主力銀行ではなくて非力銀行ですね」と自嘲気味に振り返った。
[日経新聞4月7日朝刊P.2]
(4)はしごを外された機構
2月19日朝、みずほ銀行応接室。産業革新機構の最高経営責任者(CEO)、志賀俊之(62)はみずほフィナンシャルグループ社長の佐藤康博(63)を見据え「銀行はちゃんと支援してくれますよね」と念を押した。「シャープの決定を尊重します。事業計画を見ないと支援するともしないとも言えませんが」。佐藤も目をそらさなかった。
機構の意思決定機関でナンバー2を務める日商会頭の三村明夫(75)が同席した。直談判を発案したのは三村だ。同4日にシャープが鴻海(ホンハイ)精密工業と優先的に交渉すると発表。劣勢が伝わる中、相手の本丸に乗り込んでの最後の一手だったが、佐藤から言質を取り切ることはできなかった。
この頃には、機構と二人三脚でシャープを軸にした電機再編を目指していたはずの経済産業省は及び腰になっていた。鴻海案でも十分成長資金がシャープに行き渡るとの見通しが立ったためというが、実は首相官邸への配慮もあったようだ。
首相の安倍晋三(61)の政務秘書官を務める経産省出身の今井尚哉(57)は当時、「鴻海からの出資受け入れは政権が掲げる対内直接投資の活性化に大事だ」と周囲に漏らしていた。
「機構の手綱をしっかり握っておけ」。経産省の上層部からは担当部局にこんな指示が飛んでいた。シャープへの出資は機構の根拠法が禁じる企業救済とみなされかねない。鴻海につられ機構が金額を引き上げでもしたら……。次官の菅原郁郎(59)ら経産省首脳陣は「とりあえず様子を見よう」との意見で一致、動かなかった。
シャープは2月25日、取締役会で鴻海からの出資受け入れを決めた。ある機構幹部は「経産省は助けてくれなかった」と無念さを隠そうとせず、別の担当幹部はその夜の“残念会”で涙を流した。志賀は同26日に記者団に「この案件はクローズする」と話し、撤退を表明した。
「シャープと経産省の要請を受けてやったことなのに」。はしごを外された機構幹部たちは今も釈然としない。経産省幹部は「国内では『なぜ手を引いた』と批判されるが機構にこだわれば海外から『閉鎖的』と言われていたはず」と弁明する。
経産省と機構が夢見た国内再編はシャープが鴻海、東芝の家電部門が中国の美的集団の傘下に入るというグローバル化の荒波にのまれ、頓挫した。夢やぶれた先に見えたのは「官主導」の限界だった。
(敬称略)
[日経新聞4月8日朝刊P.2]
(5)俺たちは外資系
3月23日。日本一の高さを誇るあべのハルカス(大阪市)の33階で、シャープが学生向け採用説明会を開いた。予約制で40席用意した会場に集まったのは30人足らず。登壇した若手社員は働きがいをアピールしたが、「なぜシャープ製品が売れなくなっているのか」と問われ、返答に窮する場面もあった。
「バカかと言われるのを承知で新卒採用ページをオープンしました」。3月1日、シャープは公式アカウントのツイッターでつぶやいた。経営難にスポンサー探しのごたごたが重なり、かつての関西の人気企業も自嘲してコメントせざるを得ない。
将来を支える人材の採用に加え、優秀な社員をどう維持するかという問題も浮上している。台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の董事長、郭台銘(65、テリー・ゴウ)は「シャープの若い人はすばらしい。我々も見習わなくてはならない」と期待を寄せる。ただ、希望退職により既に6千人以上が職場を去った。放置すれば技術の空洞化は避けられなくなる。
退職者の行き先で目立つのは日本電産だ。関西を基盤とし、シャープ元社長の片山幹雄(58)が副会長を務める。会長兼社長の永守重信(71)は「応募があれば100人くらい採用してもいい」と意欲を隠さない。
液晶パネル事業でも競合するジャパンディスプレイ(JDI)に移る技術者が出始めた。工場を新設するJDIは「優秀な人はいくらでも欲しい」(幹部)。シャープから他企業への移籍者が元の職場の同僚に声をかけるケースも頻発している。鴻海の傘下に入れば人材流出が止まるのかは読めない。
「一体どっちのテリーさんを信じればいいのか」。郭はシャープと共同運営する堺市の液晶パネル工場に600メートルの雨よけ屋根「テリー・ロード」をつくり、豪華景品が出る忘年会を開いて社員と距離を縮めてきた。その半面、偶発債務問題が明るみに出ると、支援額を引き下げるよう強く迫り、剛腕経営者という一面を見せた。
硬軟両様の郭の態度には期待と不安が入り交じる。奈良県の事業所に勤務する40代の男性社員は言う。「『俺たちは外資系なんだぜ』と開き直るしかない」。国境をまたいだM&A(合併・買収)の奔流。歴史的な再編劇は、いや応なく社員をも巻き込んでいる。
(敬称略)
山下和成、玉木淳、飯山順、高見浩輔、世瀬周一郎、八十島綾平、細川幸太郎が担当しました。
[日経新聞4月9日朝刊P.2]
【ブリュッセル=森本学】金融支援を巡るギリシャ政府と欧州連合(EU)など債権団の交渉に再び不透明感がくすぶり始めた。ギリシャのチプラス首相は4日、債権団によるギリシャ側の改革評価を早急に終え、追加融資や債務軽減などの協議に移るよう訴えた。ただ年金改革などを巡ってなお大きな溝が残る。交渉が長引けば2015年夏に欧州を揺るがしたギリシャ危機が再燃するリスクもある。
EUや国際通貨基金(IMF)などで構成する債権団は4日、アテネで2週間ぶりに第1次評価の作業を再開させた。双方は当初、第1次評価を昨年11月に終える予定だったが、年金改革や財政黒字化目標の達成必要額などを巡る交渉が長引いている。
「数日中に終了されるべきだ」。ギリシャのチプラス首相は4日の講演で、債権団に協議加速を求めた。22日のユーロ圏財務相会合で、第1次評価への正式な「合格」承認を取り付けたい狙いだ。
さらにギリシャ首相府は4日、「非現実的な追加改革案の要求なし」での協議終了を求める声明も公表した。
EUなど債権団は昨夏、ギリシャへの総額860億ユーロ(約10.8兆円)規模の第3次金融支援で合意した。第1弾の融資枠として260億ユーロを設け、これまでに約200億ユーロを支援してきた。
ギリシャは7月後半に23億ユーロの国債償還を控えるなど夏以降に再び支払いが急増する見通し。金融支援に支払い原資を依存するギリシャはそれまでに第2弾の融資枠で債権団と合意する必要がある。
そのためには第1次評価で「合格」しなければならない。ギリシャ側が求める債務負担の軽減策の協議入りも第1評価の「合格」が条件だ。
EU側も22日のユーロ圏財務相会合での正式な「合格」承認の段取りを描いてきたが、ここにきて不透明感が強まっている。独財務省の報道官は4日、第1次評価の終了が5月以降にずれこむ可能性に言及した。ギリシャ支援を巡っては昨年も4月以降、交渉期限がずるずると後ずれし、夏のギリシャ危機につながった経緯がある。
背景にあるのが、再び目立ち始めた債権団とギリシャの間の不信感だ。内部告発サイト「ウィキリークス」は2日、ギリシャ支援を巡るIMFの内部文書を公開。ギリシャ支援からの「撤退」をちらつかせて、EU側にギリシャの債務負担軽減を受け入れさせる戦略を検討していたとの不信感が欧州側に広がった。
チプラス首相はIMF側に「IMFは信頼できるのか」とただす書簡を即座に送付。IMFのラガルド専務理事は3日返信し、交渉戦術のためにIMFスタッフがギリシャを債務不履行(デフォルト)のリスクにさらすとの臆測は「ばかげている」と反論する事態となった。
交渉難航を受け、ギリシャ国内では厳しい改革を求める債権団への反発が広がる。「EUとIMFはギリシャ人の血を吸っている。反撃しよう」。AP通信によると、債権団とギリシャ政府が4日、第1次評価の作業を再開したアテネ市内のホテル周辺で約200人の公務員組合のメンバーや左派政党の支持者らが抗議デモを繰り広げた。
[日経新聞4月6日朝刊P.6]
「どうする消費増税:5月段階で1ドル=100円を超えて円高が進みその水準が定着すると迷いも...」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/269.html
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増税再延期派、党内地ならし 自民議連、経済対策を要望
執行部も議論の場検討
自民党内で2017年4月に予定する消費増税の可否を巡る議論が活発になっている。6日、1年半ぶりに再開した議員連盟「アベノミクスを成功させる会」で再延期を求める声が続出。執行部は勉強会の設置を検討する。安倍晋三首相が経済が重大な事態なら政治判断する姿勢を示す中、党内の再延期派が地ならしを進める狙いがのぞく。
議連の山本幸三会長は会合で「消費は底割れした。リーマン・ショック以来の出来事で、増税どころか減税すべきだとも読める状況だ」と強調。14年11月以来、首相側近の下村博文総裁特別補佐ら33人が出席した。
講師を務めた嶋中雄二・三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長が「公共投資を含めた財政拡大を真剣に考えるべきだ」と主張。出席者から景気の底上げのために増税の再延期や大規模な公共投資を求める声も出た。
同議連は5月に増税延期を柱とする経済対策を首相に申し入れる。14年11月に首相が増税を1年半先送りした際も事前に延期を提言。山本氏は首相に近く首相の就任前から大規模な金融緩和による経済成長を進言した。
6日の会合後、山本氏は首相にメールで事前に再開を報告したと記者団に明かした。首相から「ぜひ大いに議論してもらいたい」と返信があったという。ただ出席者の中に「議論の盛り上がりはない」との声も漏れた。
消費増税の勉強会の検討を進めるのは二階俊博総務会長だ。5日の総務会で野田毅党税調最高顧問が「今回引き上げなければ消費税率を引き上げるタイミングがない」と訴えたのを踏まえ、専門家を招き議論する必要があると判断した。
執行部内は谷垣禎一幹事長、稲田朋美政調会長らを中心に予定通りの増税を主張。議論する場を設置すること自体が、先送りへ向けた地ならしとの見方も浮上している。逆に「増税反対派のガス抜きの場だ」と見る向きもあり、二階氏は真意を明らかにしていない。
首相は国内外の経済動向を見極めて判断する。5月18日に公表する1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値などが悪ければ、同月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の前後に再延期を決める可能性がある。
7月の参院選を控え、増税延期は景気下押し懸念払拭につながる。野党からは「増税環境を整えられなかったことは首相の経済政策『アベノミクス』の失敗」と批判を招くリスクがある。
[日経新聞4月7日朝刊P.4]
(上) 中国、在庫解消メド立たず
過剰な違法採掘 追い打ち
家電などハイテク製品に欠かせないレアメタル(希少金属)。主産地の中国で供給過剰が長引き、国際価格は軒並み約10年ぶりの安値圏に沈む。中国の生産会社の在庫解消のメドがたたない。日本企業にも事業見直しの波が押し寄せている。
ネオジムなどはここ1年で5割下がった
「今年に入って中国の生産会社は率先して値下げを打診してくるようになった」。レアメタル商社、マテリアル・トレイディング・カンパニー(東京・港)の小滝秀明代表取締役はそう漏らす。弱気な中国企業の背景にあるのは過剰な在庫だ。
中国企業の抱える在庫はこれまで中央政府が備蓄して吸い上げてきた。レアメタルの一種であるレアアース(希土類)の場合、2012年から14年まで世界の生産量の1割にあたる年間1万トンを備蓄。15年も備蓄を試みたが、生産会社が売値をつり上げたため政府が拒否し、入札が成立しなかった。狙いが外れた生産会社は一斉に安値売りに転じている。
実質的な違法採掘も過剰な供給に追い打ちをかける。日本のある大手磁石合金メーカーの幹部は中国南部の生産会社を訪れた際、現地企業の幹部の言葉を聞いてがくぜんとした。中央政府が決めた採掘指定量の2倍近くを掘っているという。「我々は資源税を払っているから、違法採掘ではない」との言い分だ。もともと中国南部でとれるレアアースは採掘しやすい。環境対策もなおざりなため生産コストが低い。
資源税は環境保護を目的とした税金。地方政府の税収にもなるため、企業が過度な採掘をしても黙認するケースが多い。こうした中央政府の規制をかいくぐった採掘が減らない。高性能磁石に使うネオジムは1キロ51ドル前後、ジスプロシウムは同258ドル前後と、ここ1年で5割下がった。
相場下落で中国の輸出は増えた。15年のレアアース輸出量(化合物除く)は14年比5割増の約5600トン。値下がりで調達を増やす需要家が増えた。米国で石油精製触媒に使うランタン、日本でネオジムの輸入が増加した。
好調な輸出を受けて、中国政府は16年1〜6月の企業に割り当てる生産枠を前年と同じ5万2500トンに設定。15年1月に輸出枠を撤廃する際、生産枠を大幅に増やした経緯があるため、今回の据え置きは高水準な生産を追認したことになる。だが輸出だけでは余剰な供給を吸収しきれない。
他のレアメタルも構図は同じだ。鋼材に添加するモリブデンは、1ポンド5.55ドルと約13年ぶりの安値圏にある。難燃助剤に使うアンチモニーや液晶部材に使うインジウムはここ1年でそれぞれ4〜5割安くなった。15年秋に経営破綻した中国のレアメタル取引所に大量の在庫が保管されている。在庫放出の懸念が相場を押し下げている。
取引所は15年夏に資金難から取引を停止。今年2月には取引所のトップを含め16人が詐欺容疑で逮捕されるなど刑事事件に発展している。取引所にはインジウムが世界需要の3倍以上、はんだに使うビスマスは世界需要と同程度残っている。
レアメタル商社、アドバンストマテリアルジャパン(東京・千代田)の中村繁夫社長は「混乱が完全に収束するまで数年はかかる。その間、取引所の在庫が意識され、相場の重荷になる」と話す。中国事情に翻弄されるレアメタル相場。波乱の出口はまだ見えない。
[日経新聞4月5日朝刊P.20]
(下) 日本勢 関心低下に不安も 世界供給 中国の寡占進む
政府系の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2015年12月、オーストラリアのタングステン鉱山の共同探鉱の契約を解消した。タングステンは超硬工具の原料で、世界供給の8割を中国が占める。
中国は今年6月までに生産工場を6社に集約する
JOGMECは豪州の探鉱会社と共同で11年に参入し、約4億円の探鉱費用を負担してきた。同機構は権益をもたずに資源量などを算定した後、権益を得たい日本企業に引き継ぐことを目的としていた。
だが、相場が参入当時と比べて6割安と予想以上に下がった。権益に興味を示していた商社の関心もなくなった。「今の価格の2倍くらいないと投資しても回収できない」(JOGMEC)として、契約解消を決めた。
相場低迷のあおりを受けた事業見直しは広がっている。今年2月、昭和電工の市川秀夫社長はレアアース事業に関し「他社との提携を含めて合理化策を検討する」と更なる見直しの可能性を示唆した。同社は15年7月末に中国のレアアース磁石合金の製造・販売子会社を解散すると発表した。
中国などに偏在するレアメタル。供給源の多様化は日本にとって長らく課題だった。10〜11年にかけて、尖閣諸島を巡る日中対立をきっかけに中国が事実上の禁輸措置をとり、価格が高騰。高性能磁石に使うネオジムは現在の10倍まで上昇した。
日本はその後、リサイクルや代替材の開発を進めてきた。ただ、自動車などの軽量化や高性能化が求められるなか、国内産業にとって欠かせない資源であることに変わりない。
「価格の下落で、使用量を抑える動きが鈍っている」。省レアメタルを進める大手自動車メーカーの技術者は話す。自動車のレアメタル使用比率は高く、モーターや窓ガラスにも使っており、値下がり恩恵は大きい。
大手磁石メーカーの幹部は「エアコンのモーターに再びレアアース磁石を使うなど家電メーカーの姿勢も変わってきた」と話す。小型化にはレアメタルを使った方が効率が良いためだ。新金属協会によると、15年のレアアース需要は14年比8.1%増の1万5412トンだった。
水面下で市場の寡占化も進む。中国では今年6月までに100社を超えるレアアース生産会社の6社への集約化を完了する予定だ。世界の9割の供給を6社で占めるようになる。アンチモニーなども同様の動きが見られる。
米メディアの報道によると、昨年6月に経営破綻した米生産大手モリコープの買収に中国企業が関心を示しているという。「買収をもちかけられたが断った」(日本の大手商社)。日本勢の関心が薄れるなか、中国は再び覇権を握ろうとしている。今は相場の下落で供給不安が薄れているが、中長期的には安定供給が揺らぐ可能性もはらんでいる。
今橋瑠璃華が担当しました。
[日経新聞4月6日朝刊P.21]
日本の株式相場が4月に入り、再び打たれ弱さを露呈している。日経平均株価は6日まで7日続落し、3月に見せた驚異的な「粘り腰」はすっかり影を潜めてしまった。急変した地合いの背後に、巨大投資家の影響を指摘する市場関係者は多い。「クジラ」の異名を持つ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など公的年金だ。彼らの動きは株価にゆがみをもたらした可能性がある。
「7日続落は円高で説明がつく。むしろ3月の株価の動きの方が気持ち悪かった」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真シニアポートフォリオストラテジストはこう語る。
3月に感じた違和感とは、日本株と円相場の「非連動」だ。日経平均は3月初めから1万7000円前後の水準に張り付くような展開が続いた。円相場は1ドル=110円台まで上昇する場面があったのに、日経平均は底堅く推移し、円高が打撃となるはずの自動車株や機械株が上昇することさえあったという。
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「相場全体を押し上げる力が働いたのは明らか」(古川氏)。連動性が高いはずの日経平均と円相場なのにチャートでみると、2月中旬以降は乖離(かいり)が鮮明だ。
円高にも動じないこの粘りは何だったのか。「(GPIFなど)クジラたちが目標達成に向けて粛々と買い進めていた」。大手証券のトレーダーはこう明かす。GPIFの国内株式の組み入れ目安は25%。年初からの株安で比率が下がれば、年度末に向けて目標値に近づけるために株式を買い増す必要がある。投資部門別の売買動向をみると、彼らの動きを映す「信託銀行」が大規模な買い越しを続けていたことが分かる。
昨年度末からは日本株相場が再び為替動向に敏感に反応するようになった。実際、3月下旬以降は日本株と円相場のチャートにも連動性が復活しているようにみえる。これも「年度が変わり、クジラの買いが止まった。ただそれだけだ」(トレーダー)という。
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クジラが去った後に残されたのは、株価のゆがみだ。「高い位置で株価を維持したツケを払うときがくる」。投資会社ウィズ・パートナーズでマクロ系ヘッジファンドを運用する石見直樹副社長はこう予言する。日本株の水準訂正が今後も続くなら、「本来は3月に出ていたはずの売りがワンテンポ遅れて出てくる可能性がある」と考えられるからだ。
海外勢が日本株を見る目は引き続き厳しい。米ヘッジファンド、メル・キャピタル・グループのグル・ラマクリシュナン最高経営責任者は「最近の円高進行は日本企業の業績に悪影響を及ぼす。消費増税を強行すれば日本経済は打撃を受ける」と指摘する。公的マネーの買い支えがないなかで、彼らが再び売りの姿勢を強めれば、株価は一方向に動きやすくなるだろう。
日経平均と円相場のチャートの乖離は依然大きく、今の円高水準が続けば、日経平均は1万4000円台まで調整する可能性さえ読み取れる。クジラ不在の閑散相場の裏で、相場のゆがみを突くヘッジファンドは虎視眈々(たんたん)と荒稼ぎの機会を狙っているはずだ。
(宮本岳則)
[日経新聞4月7日朝刊P.18]
(上)「ゼロ%の岩盤」厚く 広がり欠く低利調達の恩恵
日銀によるマイナス金利政策の導入を受け、企業がより有利な資金調達を模索している。調達金利は低下傾向にあるものの、「ゼロ%の岩盤」は厚く、マイナス金利で調達できた例はほとんどない。長めの金利も低下するなかで、より長期の資金にシフトする動きが出ている半面、設備投資の拡大などにつながるかどうかは未知数だ。
「融資の基準金利がマイナスになった場合でも変動金利がゼロ未満にならない条件にさせてください」。取引銀行から相次いでこんな要請が舞い込み、三井不動産の財務担当者は「対応に苦慮している」という。銀行にとっての調達金利にあたる預金金利をマイナスにするのは非現実的なので企業に融資する金利もマイナスにはできない、というのが銀行側のロジックだ。
資金需要が多いノンバンクをはじめ幅広い企業が、銀行から同様の要請を受けているようだ。三井不は結局、銀行の融資基準の落ち着きどころが見えてくるまでは変動金利の融資は借り換えないで、短期社債のコマーシャルペーパー(CP)の発行でつなぐことにした。
マイナス金利政策の導入後、CPの金利は急低下(価格は上昇)し、3月28日に三井住友ファイナンス&リースが初めてマイナス金利で発行した。だが、マイナス発行はこの1件だけで現時点ではむしろ例外。アサヒグループホールディングスやNTTファイナンスなどの優良企業のCPでも発行金利はゼロ%が下限となっている。
背景には日銀の金融政策がある。日銀は量的緩和の一環としてCPの買い入れオペ(公開市場操作)を実施している。マイナス金利政策の影響で日銀がCPを買い入れる際も金利もマイナス圏に落ち込み、この見合いで企業はCPのマイナス発行が可能になった。
ただ、日銀のCP買い入れ額には上限があり、にわかにすべてのCPの発行金利をマイナスにするほどの影響力はない。また、日銀は3月28日のオペでは突如、買い入れ金利に下限を設定した。同金利が急低下したことに対応したものだが、この措置を受けてCP市場では「金利はどんどん下がる」という見方は後退し、マイナス金利で発行できる雰囲気ではなくなったという。
銀行勢の動向もCP金利をマイナス圏まで下がりにくくしている。CPの売買では存在感の大きい銀行勢だが、「不用意に買い進んでマイナス金利をつけてしまうと、融資条件に跳ね返りかねない」(短資会社)として、思い切った取引は手控えているとされる。
「マイナス金利になっても借り入れ条件は改善されないね」。ある上場バイオベンチャーの幹部は嘆く。研究開発や設備投資向けに資金需要は旺盛で、有利な融資なら喉から手が出るほど欲しい。しかし、直近決算が先行投資の負担で赤字だったのを理由に、取引銀行は融資条件の緩和に及び腰だ。
実際、中小企業向けの融資条件の基準となることが多い短期プライムレートはマイナス金利導入後も低下していない。「マイナス金利」の恩恵が中小まで含めた日本企業全体に広がる道筋はまだみえてこない。
[日経新聞4月8日朝刊P.15]
(下)融資・社債、長期化急速に 国内投資への波及は不透明
銀座の数寄屋橋交差点の戦後を象徴するビルのひとつとして知られた「ニユートーキヨー」。この跡地でヒューリックが商業施設とホテルが入るビルの建設を進めている。投じる資金は263億円。都心での不動産再開発の拡大に伴い資金需要は増すばかりだ。
金利低下が続くなか、同社はこれまでは5年が中心だった銀行融資の期間を、新規に借りた分からは10年に延ばしている。2016年12月期の平均の借り入れ年数は5年超に延びる見通しで、「開発プロジェクトの平均期間に近づき、資金計画が安定する」という。
銀行側の利害も一致する。貸し出しの原資となる預金の平均的な滞留期間などを考慮し、「5年まで」が企業向け融資の標準となってきた。だが、マイナス金利政策の影響で10年物国債の利回りまでもマイナス圏に沈む。融資金利にも低下圧力がかかるため、金利を高めに設定できる長期の融資にシフトしないと収益が確保しづらくなってきたのだ。
社債の発行期間も急速に長期化している。JR西日本が2月に民間企業で最長の40年債を発行し、味の素も20年債で調達した。15年度に発行された社債の償還までの平均期間は11年8カ月と過去最長になった。14年度(平均7年4カ月)から一気に4年以上も延びる異例の事態だ。
償還まで数十年となれば返済能力の分析は極めて困難で、そもそも発行企業が存続しているかどうかも不確実。金利変動による債券価格のブレも急拡大する。とはいえ、期間が短い社債の利率はいまやゼロ%寸前。年金基金などの機関投資家はリスク度外視で金利の絶対水準を優先するほかなく、超長期社債に需要が集まる。
問題はマネーが国内工場の新設などに向かい、日本経済の援軍となるかどうかだ。3月に5年物社債をわずか0.09%の金利で発行したヤマトホールディングス。調達した100億円は主に東南アジアで輸送網の構築に振り向けるという。マイナス金利政策の追い風が吹くなかでも、調達した資金を国内で使うのは不動産などに限られる。
データで確認しても資金調達環境の緩和と国内の設備投資の関係は弱まっている。金利水準が高かった1980年代後半から90年代始めまでは金融緩和で実質金利が低下すると、企業のキャッシュフローに占める国内の設備投資の比率が拡大する効果がみられた。
90年代半ば以降、金利水準が低下するにつれて設備投資の感応度は弱まり、ここ数年は実質金利がマイナスまで低下しても設備投資は増えていない。大和総研の小林俊介エコノミストは「設備投資を増やしたいなら、規制緩和などを大胆に進め経営者に『日本は成長する国』との期待を抱いてもらう必要がある」と指摘する。
金融緩和を呼び水に設備投資を刺激すると、金利が上昇した局面では利益が出ない低採算な事業が増えてしまいかねないといった副作用も指摘される。マイナス金利という未曽有の環境のなかで財務戦略をどう構築していくか。企業価値を左右する重い課題だ。
藤原隆人、大酒丈典、真鍋和也が担当しました。
[日経新聞4月9日朝刊P.15]
日銀が難しい判断を迫られている。景気の先行き不透明感が強まるなか、円高・株安が進み、経済情勢だけをみれば追加緩和に動いてもおかしくない局面に入りつつある。ただマイナス金利政策への反発が強いため、追加策を打ち出すとかえって市場を混乱させるリスクもある。日銀は動くに動けない状況に追い込まれたのか、あるいはサプライズがあるのか――。
「不況に突入しようとしている状況ではない」。黒田東彦総裁は5日の衆院財務金融委員会で、日本経済は緩やかな回復が続いているとの認識を強調した。1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では企業の景況感の悪化が進んだが、ある日銀幹部は「悪化は想定の範囲内」と語り、景気シナリオを大きく修正する必要はないとの考えをにじませた。
日銀は1月末に、景気の先行きリスクの高まりに対応するため、マイナス金利政策の導入を決めた。想定していたリスクの一部が現実のものになったからといって、慌てて追加策を打ち出す必要はないというのが、日銀の考えのようだ。
もっとも、日銀はマイナス金利政策の拡大に動かないのではなく、動けないとの見方もある。政策への理解が広がっていないため、拡大を決めても「かえって株が下がったり、消費者心理を悪化させたりする可能性がある」(東短リサーチの加藤出氏)ためだ。
「日銀は頭でっかちだ」。ある銀行関係者は日銀の金融政策をこう批判する。理屈のうえではマイナス金利政策が需要拡大などの効果を持つとしても、金融機関や企業、家計が政策をどう受け止め、どう行動するかによって効果は変わってくる。サプライズを重視する黒田流はきめ細やかさに欠けるとの指摘だ。
日銀も政策への理解を広げるために動き出してはいる。ホームページ上に解説記事である「5分で読めるマイナス金利」を掲載するなど必死だが、「上から目線」との批判も浴びており、思ったような効果は得られていない面がある。
外国為替市場では5日の海外時間に一時、政府・日銀の防衛ラインとされる1ドル=110円を超えて円高・ドル安が進んだ。円高が勢いづけば、デフレ圧力が高まるほか、企業や家計の心理悪化にも歯止めがかかりにくくなる。市場では「金融政策に限界がないと言ってきた以上、動かざるを得ない」(SMBCフレンド証券の岩下真理氏)との声も根強い。
問題はどう動くのか。マイナス金利への抵抗が強いのであれば、従来のように量の拡大を進める手もある。しかし量を増やすことの限界を指摘されてマイナス金利を導入したのに再び量の拡大に転じれば、金融政策の行き詰まりを際立たせてしまうリスクもある。
「どうせ動けないとみんなが思えば思うほど、黒田総裁は『動いてやろう』と思うのではないか」。ある市場関係者は手詰まりとみられがちな状況でこそ、黒田流のサプライズの可能性があると指摘する。
(石川潤)
[日経新聞4月7日朝刊P.19]
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大手銀、「プロ向け」手数料 外銀や運用会社などに マイナス金利の負担転嫁
日銀のマイナス金利政策を受け、大手銀行が取引先の金融機関に手数料を課す動きが広がってきた。三井住友銀行は今月中に一部の外国銀行の決済用口座から手数料を取り始め、他のメガバンクも追随する見通し。信託銀行も運用会社などに手数料を求める。個人や企業でなく「プロ同士」の取引なら理解を得られやすいとみている。
日銀のマイナス金利政策で、民間銀行は日銀に預けるお金を増やすと日銀に金利の支払いを求められるようになった。日銀への預金が増えた銀行は、多くの預金を預けてくる金融機関に負担を転嫁しようと手数料の導入に動いている。
三井住友銀は一部の外銀や外資系証券の円預金口座に手数料を課す。国際送金に使う決済用口座で、一定額の残高を超えた大口顧客が対象だ。三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行も「対抗措置を取らないと我々の外銀預金が増える」として、手数料の導入を検討する。
今月中旬以降には三井住友信託銀行など信託銀各社も顧客の金融機関への手数料を導入する。大手銀は反発の強い個人や企業に手数料を課すことには慎重だ。
[日経新聞4月6日朝刊P.5]
2015年度に外国人投資家が日本株を売り越した金額は5兆円を超え、ブラックマンデー暴落のあった1987年度以来、28年ぶりの多さを記録した。円高や景気の先行き不透明感を背景に年度後半から売りを増やした。一方、自社株買いが活発だった国内事業法人は過去最高の3兆円強を買い越した。
東京証券取引所が7日発表した投資主体別売買動向によれば、15年度に外国人が日本株を売った金額は買った金額より5兆1025億円多かった。「売り」が「買い」を上回る売り越しは7年ぶりで、売越額は87年度(6兆2121億円)以来の規模に膨らんだ。
外国人は日本株売買で約7割のシェアを持ち、12年11月に始まった「アベノミクス相場」で買い越し基調を続けてきた。それが昨夏以降の原油安で産油国の投資マネーが売りに転じ、円高で業績悪化懸念のある日本株を手放す動きも広がった。
「アベノミクスで掲げた成長戦略の実行が遅れている」(米運用会社PNCキャピタル・アドバイザーズ)とみられたのも売りを加速させ、15年度の日経平均株価は13%下落した。国内勢では個人が約2兆円の売り越し。事業法人の買越額は統計のある83年度以降で初めて3兆円を超え、年金が顧客の信託銀行も約3兆円を買い越した。
[日経新聞4月8日朝刊P.1]
日本、タイ両国政府が開発を主導するミャンマーの「ダウェー経済特区」の近くに中国の資源商社、広東振戎能源(広東省)が製油所を建設することが7日明らかになった。投資額は約30億ドル(約3200億円)。ミャンマーにとって初の大規模製油所となる。広東振戎の背後には中国政府の影もちらつく。同特区の開発事業で商機を探る日本企業は計画練り直しを迫られる可能性がある。
ミャンマー投資委員会(MIC)が3月末に広東振戎の投資計画を認可した。プロジェクトにはミャンマー国軍系企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングス(UMEHL)や地場大手財閥企業も参加、2019年以降の稼働を目指す。
地元紙によれば製油能力は日量10万バレルで、タンカーが寄港する港湾や液化石油ガス(LPG)関連設備の建設も計画する。ミャンマー国内には近代的な製油設備はなくガソリンなど石油化学製品を輸入に頼っていた。広東振戎は製品の大半をミャンマー国内に供給することになる。製油所の完成で周辺での石油化学産業の集積も期待できる。
広東振戎は02年の設立で、大株主は中東から原油を輸入する中国の大型国有企業だ。中国のエネルギー安全保障の一端を担う国策企業がミャンマー経済を支える大事業に乗り出す。その裏に中国政府の後押しを感じる向きは多い。
これまでダウェーと中国の結びつきはなかった。最初に開発に着手したのは地理的に近いタイのゼネコン最大手イタリアン・タイ・デベロップメント(ITD)。工業団地の造成を始めたが、資金難もあって12年にはミャンマー・タイ両政府の国家プロジェクトになった。
それでも1兆円超という総事業費をまかなうのは至難の業。そこで声がかかったのが日本だ。15年夏までに日本政府がこの提案に応じ、3カ国共同開発の体制が固まった。日本にとっては三菱商事など3商社が主導する「ティラワ経済特区」に続くプロジェクトだ。
そんな「日・タイ・ミャンマー」主導の特区に中国がくさびを打ち込む。背景には、3月末に発足したアウン・サン・スー・チー氏主導の新政権の現実路線がありそうだ。
中国はミャンマーが国際的な孤立を深めた時期に接近し、影響力を強めてきた。だが11年春の民主化後にテイン・セイン前政権が欧米との関係改善を進め、その影響力は相対的に低下した。
スー・チー氏は最大の貿易相手国で投資国でもある中国との関係にも配慮する。外相を兼務するスー・チー氏が就任後に最初に会談した海外要人が5日の王毅・中国外相であることからも、日米欧であろうと、中国であろうと、実利で付き合う姿勢が見て取れる。
もっとも、ダウェーで発電所の建設や重化学コンビナートを開発する青写真を描いていた日本企業にとっては今回の製油所建設は青天のへきれきだ。建設候補地は経済特区の外だが、ダウェー開発に参加する日系企業関係者は「中国に先行されれば特区計画全体の練り直しを強いられる」と身構える。
ミャンマーのビジネス環境に浮かび上がる変化の芽。中国企業に対するミャンマー当局の今回の投資認可が日本企業にもたらす影響は小さくない。
ヤンゴン=松井基一
[日経新聞4月8日朝刊P.]
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[一目均衡]中国、外資「4倍買い」の光と影
編集委員 梶原誠
「また中国マネーか」と思った人も多いはずだ。米大手ホテルチェーン、スターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ・ワールドワイドの身売り交渉で、その姿が浮いては消えた。
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中国勢は昨年、買収に興味を示した。11月には同業の米マリオット・インターナショナルが買収を決めたが、今年に入り中国の別の買い手がより高い価格で名乗り出た。先週身を引いたとはいえ、企業買収での中国の存在感を見せつけた。
国有の中国化工集団が農薬世界最大手のスイス・シンジェンタを430億ドルで、海爾集団(ハイアール)が米ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を54億ドルでそれぞれ買うなど、今年は中国発のメガディールが続いている。
トムソン・ロイターによると、中国企業による外国企業の買収は今年の1〜3月で1020億ドルに及んだ。過去最大だった昨年1年間の実績に早くも並んでおり、このペースが続けば今年は昨年の4倍になる。
背景にちらつくのは、世界経済の主導権を握ろうという中国の意思だ。昨年11月、海南省の三亜で、中国経済のグローバル化をテーマとする国際会議が開かれた。中国の参加者からはこんな発言が飛び出した。
「(アジアから欧州に向けて経済圏をつくる)一帯一路政策を通じ、人材も文化も輸出しよう。そうすれば中国の標準は国際標準になる。世界の主要500社の70%はいずれ中国企業だ」。壮大な構想に、会場は拍手に包まれた。
先月、中国はくしくも同じ三亜でメコン川流域5カ国と首脳会談を開いた。浮き上がったねらいは、やはり覇権だ。メコン川流域の開発向けに100億ドルの融資枠を設け、自らの経済圏に組み込んでいく。
ただ外国への拡張は、中国経済の苦境の裏返しでもある。まず国内景気の失速懸念だ。「国内に限界がある以上、食べていくには外国に出るしかない」とは、ラオスで事業を拡張する中国企業トップの本音だ。
外資の買収が今増えるのは、経済の変調を背景に経営者が人民元の先安観を持っているからともいえる。買収の形を借りた資本逃避という暗い側面だ。
そして、産業の高付加価値化が避けられないという切迫した事情だ。長年競争力の源泉だった人件費は高騰している。採算を維持して生き残るには、世界先端の技術や人材を短期間で確保しなければならない。
中国が出て行く世界は今、内向きになっている。
大統領選本番の米国では、民主党のクリントン氏が環太平洋経済連携協定(TPP)に難色を示し、共和党のトランプ氏はイスラム教徒の入国禁止を掲げる。欧州でも反移民の機運が高まっている。排他的な空気が漂う中に「中国の標準は世界の標準」と飛び込めば、衝突は避けられない。
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中国の勢いと苦悩、退潮もささやかれるグローバリゼーション。世界経済の地殻変動を、中国の外資爆買いは映そうとしている。
[日経新聞4月5日朝刊P.15]
[時事解析]中国経済の構造問題
(1)鈍化する成長率 鍵握るサービス業
中国経済の構造問題を象徴するのが成長率の低下だ。2010年に10.6%あった実質成長率は15年には6.9%まで鈍化。政府はさらなる減速を見込み、今年の目標を6.5〜7%にした。
成長の鈍化は、労働力人口が減り始めて潜在成長率が落ちたことなどが原因。08年のリーマン・ショック時の景気対策の後遺症である過剰設備や国内外の需要の減退も響く。これを受け、政府は成長目標を昨年の7%前後から引き下げた。
成長目標に幅を持たせたのも今年の特徴だ。政府の有力ブレーンとして知られる胡鞍鋼・清華大教授は「点ではなく区間の目標にした」と強調。その理由について「地方によって状況が違う」と話し、地域経済の実情に合わせて柔軟に政策を運営できるような目標にしたと説明する。
問題は公式統計や目標の達成を疑う声が少なくない点にある。加藤弘之・神戸大教授は、日本を含む複数の研究者の推計を総合的に分析し「01年から14年までの中国の国内総生産(GDP)はおおむね過大評価されている」と指摘する。
一方で加藤氏は推計の精度について「経済のサービス化を進めつつある中国の実態を十分にとらえきれていない側面がある」とし、中国の統計を「虚偽」とする立場はとっていない。
第3次産業の重要性を強調する声はほかにもある。HSBCグローバル・アセット・マネジメントのビル・マルドナド氏は「サービス分野は力強く拡大しており、製造業の付加価値の向上も伴えば6〜7%の成長は可能」と話す。
(編集委員 吉田忠則)
[日経新聞4月4日朝刊P.21]
(2)過剰流動性の弊害 バブル起きやすく
2015年の中国経済は景気減速のあおりで貿易や投資、歳入が軒並み目標に届かなかったが、通貨供給量(マネーサプライ、M2)は前年比13.3%増と目標を1.3ポイント上回った。だがこれは政策の成果を示しているわけではない。
肖敏捷・SMBC日興証券・中国担当シニアエコノミストは「『(国内総生産に対する通貨供給量の比率を示す)マーシャルのk』が初めて2の大台を突破した。適正水準を上回る過剰流動性が発生している」と指摘する。以前は1.5前後だったが、08年のリーマン・ショック時の大規模な金融緩和をきっかけに上昇が始まった。
マーシャルのkは相対的なカネ余りの度合いを示す。中国はリーマン危機後も、景気が減速し始めた11年からは預金準備率引き下げなどで市場にマネーを供給し、地方政府や企業の資金繰りを支援。だが実体経済の活性化にはつながらず、バブルを起こしやすい市場環境という弊害を招いた。
その象徴が、乱高下を繰り返す株価と不動産価格だ。景気減速下にもかかわらず、上海などで住宅価格が急騰。住宅ローンの頭金規制に反し、ネットで資金を集めて頭金を融資するサービスまで登場。中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝副総裁は3月12日の記者会見で「金融リスクを増大させる」と懸念を表明した。
過剰流動性への対応策として肖氏は「国債を発行して資金を吸収する手があるが、金利水準の設定が課題。高成長時代のような投資に対する過大な収益期待を改める必要がある」と話す。
(編集委員 吉田忠則)
[日経新聞4月5日朝刊P.26]
(3)過剰設備が重荷 拙速な削減に不安
中国経済の重荷になり続けているのが企業の過剰設備だ。李克強首相は全国人民代表大会(全人代)の3月5日の演説で、第13次5カ年計画の初年に当たる今年の政策運営の課題として「過剰生産能力の解消、過剰在庫の消化、過剰債務の縮減」を挙げた。どれも2008年のリーマン・ショック時に打った巨額の景気対策の負の遺産だ。
設備過剰が特に深刻なのが鉄鋼と石炭だ。中国の昨年の成長率は6.9%に落ちたが、地域別にみると遼寧省は3%、山西省は3.1%に沈み込んだ。どちらも産業は鉄鋼、石炭関連など重工業が中心。中国が頭を悩ます製造業不況を象徴する地帯だ。
具体策も打ち始めている。鉄鋼の生産能力は現在、実際の生産量を約5割上回る12億トン。これを向こう5年間で1億〜1億5千万トン削減する計画を2月に発表した。生産効率が低く環境を汚す施設を閉鎖するよう地方政府に命じるとともに、金融機関には融資を縮小・停止するよう指示した。
問題は現政権が発足とともに掲げたぜいたく禁止令のように、中央が方針を示すと一方向に傾斜しやすい中国政治の体質にある。山西や河北、重慶などが一斉に生産能力の削減計画を打ち出し始めており、合計すると中央の計画を上回る可能性があるという。
中国経済は減速しながら安定を模索している最中。みずほ銀行(中国)の細川美穂子主任研究員は「過剰設備の解消は必要だが、地方の計画が実行に移されれば短期的に不況感が強まる恐れがある」と指摘する。
(編集委員 吉田忠則)
[日経新聞4月6日朝刊P.27]
(4)雇用不安は薄らぐ 余剰人員なお懸念
中国がまだ2桁成長を続けていたころ、「8%成長はゼロ成長に等しい」という見方があった。8%を下回ると雇用不安になるとみられていたからだ。では2015年の成長率が6.9%に落ちたのに、なぜかつて心配されたほど失業が深刻になっていないのか。
理由は2つある。まず15年までの10年間は減速しながらも比較的高い成長が続いたため、国内総生産(GDP)は3.6倍に拡大した。一方、労働力人口は12年から減少に転じた。その結果、以前と比べ雇用の吸収にゆとりが発生した。
労働力人口の減少は中国の経済にとって賃金コストの上昇を招く半面、雇用不安の防止ではプラスの面もある。08年のリーマン・ショック後に0.85倍に落ちた求人倍率は11年以降は1以上を保っている。国家発展改革委員会の趙辰●(日へんに斤)報道官は2月の記者会見で「おおむね求人数が求職を上回っており、雇用の流動化は良好だ」と語った。
最大の懸念材料は、過剰設備を抱える鉄鋼業などの整理・淘汰に伴い発生する余剰人員だ。尹蔚民・人事社会保障相は2月の記者会見で「石炭で130万人、鉄鋼で50万人」の再配置が必要になると述べた。それでも習近平政権は「陣痛は避けられない」とし、構造改革を断行する意向を表明している。
厳善平・同志社大教授は「2千万人の出稼ぎ労働者が帰郷するといわれたリーマン危機時と比べれば影響は限定的」と予測する。政府は企業内の配置転換や創業支援などで対応する方針。その成否が安定成長への移行を左右する。
(編集委員 吉田忠則)
[日経新聞4月7日朝刊P.29]
(5)くすぶる元安懸念 実効レートを重視
中国の通貨、人民元の先安懸念がくすぶっている。昨年来、中国では企業や個人が預金を元建てから外貨建てに移し替えたり、海外の投資家が資金を引き揚げたりするなどの動きが出ている。
2005年に対ドルの固定相場をやめて以降、中国人民銀行(中央銀行)の相場管理には2つのパターンがあった。
平時は複数の通貨から成る通貨バスケットを参考にするが、世界経済が混乱するとドルとの固定に戻すのがその一つ。08年のリーマン・ショックの直前からの2年間と、欧州で経済不安が高まった14年春ごろから1年余りドルに固定させた。
もう一つは対ドルでの下落を避けてきた点にある。昨年8月11日に対ドルで約2%切り下げて以降、この原則が崩れた。人民銀の張暁慧総裁助理は「長期的にみれば人民元は依然として強い通貨だ」と語ったが、市場では今なお元安予想は収まっていない。
一方、人民銀は「通貨バスケットを参考にする度合いを高める」(馬駿チーフエコノミスト)と強調。人民元の総合的な価値を示す実効レートが安定し、輸出入への為替相場の影響が小さくなるからだ。
結果はどうか。国際決済銀行(BIS)によると、昨年2月から今年2月までの実効レートの変動は0.35ポイント。信金中央金庫の露口洋介上席審議役は「実効レートで元は安定している。対ドル固定に戻す可能性は小さい」と指摘する。当面は対ドルの相場に注目する市場と、実効レートを重視するよう求める人民銀の綱引きが続きそうだ。
(編集委員 吉田忠則)
=この項おわり
[日経新聞4月8日朝刊P.26]
(上)過剰反応・軍事報復避けよ
一般市民の自制カギ
遠藤乾 北海道大学教授
欧州でのテロが止まらない。昨年11月のパリに続き、3月22日にはブリュッセルで連続テロが起きた。なじみの深い国、街、人々が傷つくとき、ショックは大きい。
その分、そうした事件に過剰な意味づけをしてしまう衝動もぬぐいがたい。欧州連合(EU)の理念の崩壊、EU域内の大半を国境検査なしで自由に移動できる「シェンゲン協定」の終えんなどヘッドラインは躍る。しかしいったんレンズを広角に持ち替えると、別の構図も浮かび上がる。
西欧での犠牲者は長い期間でみれば、もっと多かった時期もある(図参照)。1970年代以降猛威をふるった北アイルランドやスペイン・バスクの独立闘争、イタリアや西ドイツでみられた極左のテロは後景に退いた。代わって前面に出てきたのは散発の宗教テロだ。マドリード(2004年)では191人、ロンドン(05年)では52人、パリ(15年)では2回のテロで140人以上が犠牲になった。
西欧外に目を転じると悲惨ですらある。01〜14年の間にイラクの約4万3千人、アフガニスタンの約1万7千人、パキスタンの約1万4千人をはじめ、おびただしい数のテロ犠牲者が出ている。5年にわたる内戦やそれに伴う暴力で、シリアでは死者が約25万人にのぼるといわれる。
急いで付加すれば、西欧でのテロの問題が軽微だとか、犠牲者の数で話が尽きると言っているわけではない。
差別や疎外に培養されて、宗教的な急進主義や宗派対立がはびこり、戦乱やテロの中に「生の意味」をみいだす若者が、シリアから米カリフォルニアまで、バリからパリまで、グローバル化の下で行き来する。そうした新手の世界内戦の時代にあって、欧州は徐々に重要性を増す一つの舞台ということになろう。
欧州にとっての短期的な課題は明瞭だ。約5千人が欧州からシリアとイラクに渡航。10年前には国際テロ組織アルカイダの戦闘員は200人ほどだった。渡航者の中で総数が多いのはフランスで1200人が渡航し、人口比でトップを争うのが約500人のベルギーだ。約15%は死亡したものの、30%前後が欧州に戻ってきているといわれる。そのうちの誰が過激派組織「イスラム国」(IS)に幻滅し、他の誰が共鳴したあげくテロを起こしうるのか、より分けていかねばならない。
この作業はベルギーのような小国には手に負えない。いきおいEU・大国との協働作業となる。シェンゲン情報システムを通じて犯罪者データを蓄積し、欧州テロ対策センターを立ち上げたが、機密情報になると、公安当局間の猜疑(さいぎ)心は強くなり、ルールでも共有を禁じられ、協力は進まない。そもそもドイツのような大国でも、2千人のシリア渡航者データしか持ち合わせていないという。
内務協力の強化とともに取り組むべきは域外国境管理の徹底だ。しかしEUが4万4千キロメートルに及ぶ海と9千キロメートルの陸のシェンゲン境界線を24時間くまなくパトロールするのは至難だ。しかもトルコからギリシャへは海路で20分だ。
05年に発足したEUの対外国境管理協力機関(FRONTEX)は、幹部が「失われた10年を過ごした」と嘆くほど、政策資源を欠いている。
米国の税関・国境警備局が100億ドル(約1兆1200億円)ほどの年間予算を持つのに対し、FRONTEXには今年、予算が5割増しでも、1億7600万ユーロ(約220億円)しかない。人口5億人に対し、ワルシャワの本部には300人ほどのスタッフしかいない。またシェンゲン情報システムの犯罪データに、その代理人はアクセスできない。つまり実効的でない。
テロに限って言うとEUの危機の中身とは、これらの措置が不完全のまま、域内の移動の自由を維持した先に、おそらく新たなテロが待っているという展望にある。さらに言えば、EUは戦後長らく問題の解決枠として機能してきたが、改善がままならない程度に応じて、問題の一部となった。これが新局面である。
さらに根深い危機は、欧州での移民(今後定住するシリア難民を含む)の包摂にある。
従来、おおむね英国型の多文化主義(ベルギーも近い)とフランス型の統合主義の2方法で移民の包摂を図ってきた。しかし文化・宗教集団の方法を尊重する英国で、05年にホームグロウン(自国育ち)のテロが起き、時を同じくしてフランスでは、国民として同等に扱うとした移民の子孫が社会的排除に耐えかね、郊外で暴動を起こした。このころから、移民の包摂に失敗しているのではないかという深刻な疑問が突きつけられた。
政治的な穏健中道の勢力は概して、その包摂理念や方法の点検、改善、刷新に十分力を注がず、疎外された集団との対話は後手に回った。左派は、自由民主主義がよってたつ共同体構成員の枠組みの臨界について無頓着なまま域外民を受け入れる傾向にあり、その間隙を縫って極右が伸長した。度重なるテロや暴動にいらだつ国民を前に、穏健右派は次第に極右の手法に流され、その票を取り込み始めた。
政治的両極化の中でやせ細るリベラル中道派は排外的にならず、かといって共同体構成員の枠組みに無頓着にもならず、移民の社会的包摂の物語を紡ぎ直さねばならない。
この包摂の困難がそのまま危機の深化につながる。外からの人の流入を抑え内務情報をいくら交換しても、自国民が自爆テロリストになりテロを支援するようになることを、中長期的に内科的な手法で防げない限り、惨劇は続く。ベルギーのモレンベーク地区出身で、ブリュッセルでのテロの4日前に逮捕されたサラ・アブデスラム容疑者が、おそらくシリアへの渡航歴なしにパリ同時テロを支援していたことには留意が必要だ。
テロは単なる暴力ではない。それをみる者がいて初めて成り立つ、いわばみせる暴力だ。実行犯は被害者に直接の恨みを持たない。惨劇を目の当たりにさせたい相手はわれわれ一般市民であり、それは広義のテロ現象の不可欠な一部にほかならない。
それが意味するのは、テロの目撃者たるわれわれが実行犯、被害者に続くテロ現象の主役であり、実行犯の意図からすると、振る舞いが問われる決定的な主体ということである。具体的にはわれわれがテロを前に、合理的な警察行動の是認を超えて、政治的な差別や抑圧を助長し、軍事的な報復に手を貸すようなことになると、テロや暴力を再生産する結果に終わるだろう。
ある調査によると、14年8月から15年10月までに米軍が空爆で殺害したIS戦闘員は約2万人にのぼる。一方で、14年9月時点でISが勧誘した戦闘員は80カ国から1万5千人だったが、1年後には100カ国からの3万人に増えた。これは、テロの報復でフランスやベルギーが空爆をしたところで、ISの壊滅に役立たないことを端的に示す。
一方で、パリのテロ直後から、オランド仏大統領は非常事態を宣言し、延長してきた。テロ関与者のフランス国籍剥奪を定めた憲法改正案は廃案になったものの、強権の行使はいまだに可能だ。そして、多くのフランス国民がそうした対応を支持している。
テロに過剰反応する時、実行犯の術中にはまる。現況が本当に例外的な非常事態か、合理的な課題設定は何か、立ち止まって考えるべき時だ。
ポイント
○戦乱テロに「生の意味」みる若者が世界に
○対テロ内務協力と域外国境管理が不可欠
○「イスラム国」への空爆は壊滅に寄与せず
えんどう・けん 66年生まれ。オックスフォード大博士(政治学)。専門は国際政治
[日経新聞4月4日朝刊P.21]
(下)「イスラム国」排除後の姿描け
中東諸国へ権限移譲
福富満久 一橋大学教授
パリを襲った同時テロに続き、欧州政治の中心であるベルギーのブリュッセルが過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロに見舞われた。欧州委員会をはじめ、欧州連合(EU)の組織が多く集まる「中心」が狙われたことに世界は大きく揺れている。
ISがブリュッセルを狙ったのは、米国や欧州諸国の「横暴」を暴くために最小限で最大の効果を得られる場所であったということ、そのうえで空爆に屈しないという姿勢を示せる場所だからだ。しかし現実にはISは一層の弱体化を知らしめているといえる。ISの唱えるグローバルジハード(国際聖戦)は、メッセージのない空虚で残虐なテロ行為にほかならない。
第2次大戦後、欧州諸国のリーダーたちは、第1次大戦に続き欧州が戦争の起点となったことから、長い時間をかけてEUを創設した。EUとは不戦条約締結国の集合体でもあり、加盟国は互いに戦争をしたことがない。すなわち不戦を誓った場がEUであり、宗教・人種・出自に関係なく人権が保障される場がEUだった。中でも、言語が異なる領域が連邦制を構成する小国ベルギーはその理念を表すシンボル的存在だった。
だが、難民を保護し、人権や民主主義を声高に叫ぶ一方で、欧州が中東地域でしてきたことは何か。周知の通り、パレスチナ問題は英国の二枚舌外交が招いた問題だ。
ISの牙城となっているシリアは過半をフランスが委任統治していた。もともとイスラム教スンニ派が多数派を占める同国で、約13%を構成するにすぎなかった貧しいアラウィ派を、フランスが治安維持を担わせるために軍事教育したことが混乱の発端だ。
アサド大統領家はアラウィ派に属し、力を蓄えると、独立後バース党、政府機関、軍、国営企業の要職を実効支配し、多数派のスンニ派を排除して強権的に同国を統治してきた。中東の民主化運動「アラブの春」後、長年弾圧されてきたスンニ派の一部が国際テロ組織アルカイダ系「ヌスラ戦線」やISへ姿を変えた。
イラクでのIS台頭にも欧州が関係している。湾岸戦争終結後、米仏英主導で国連安保理下に設立された国連賠償委員会(UNCC)はクウェートとの協議の結果、イラクによる侵攻に伴う損害賠償額524億ドルを認定。イラクはこれまで478億ドルの戦後賠償をしてきた。ちなみに米国によるベトナム戦争や03年のイラク戦争、フランスによるアルジェリア戦争でも、一切戦後賠償はなされていない。
国家再興時に巨額の賠償を求められたイラクは最終的に経済運営がままならず、ISが政治に幻滅したスンニ派住民の支持を集め急拡大した。
欧州諸国の偽善を暴くにはその中心であるブリュッセルは最良の舞台だった。多くの権限が連邦政府から地方自治体に移譲され、警察機構が6地域に分割されていることもテロリストに好都合だった。またISの過激思想はアイデンティティー(主体性)形成に失敗した移民2世のくすぶる気持ちに入り込んでいた。
歴史に根を張った問題と、社会からの隔離や拒絶・失業問題など、現代社会特有の問題の2つが複雑に絡み合うため、解決は容易ではない。
シリアやイラクから帰還した工作員が、数百人規模で欧州に潜伏している現在、ISのテロをすべて未然に防ぐことは不可能に近い。欧州主要国の中で大規模テロが唯一起きていないドイツが、次の標的になることが懸念される。
ISは主権、領土、国民を有する国家の3要件を満たしておらず、国際社会からも認知されていないステート(国家)を名乗るテロリスト集団だ。命令系統も明確でない。国レベルならば停戦など話し合いをすることが可能だが、テロリスト集団と交渉すること自体、相手の存在を認めることになるため不可能だ。身代金交渉が公にならないのもこうした理由からである。
では、今後も悲観的な展開が続くのであろうか。
欧州内ではパリでのテロ以降、各国政府はイスラム教徒の特別警察要員や憲兵隊員など国家エージェント(代理人)をイスラムコミュニティーにもぐり込ませて内偵し、構成員のリストを入手するなど捜査を進めている。一方、国際ハッカー集団「アノニマス」によるハッキングでテロ計画が明らかになるなど、官民挙げてのIS包囲網は狭まっている。パリのテロ首謀者の捕獲にも成功しており、今後の捜査次第ではISは劣勢に立たされることになるだろう。
また、ISが凄惨なテロを実行すればするほど、内部からの崩壊を免れない。かつての被抑圧者が圧政者による不正義を糾弾するために行ったハイジャックなどのテロは、その政治的なメッセージを推し量れた。ところがISは、シリアやイラクでも子供を含め自国の無垢(むく)の民を目的なく殺傷している。IS構成員からも幻滅し離反する者が出始め、ISと戦う有志連合に加わっていたエジプトやサウジアラビアなど中東の主要国も空爆支持に回った。
ISをさらに追い詰めるには、テロリストの監視リストを各国で共有し、顔認証システムなど最新の技術を取り入れテロリストを追跡していくことも重要だろう。他方で、欧州のイスラム教徒はコミュニティーをより外に開き、責任を果たして社会を支えてきたこと、そして今後も社会を積極的に支えていくという姿勢をみせていく必要もある。
政治・行政レベルでは、機会均等を保障するアファーマティブアクション(積極的優遇政策)導入を含め、イスラム市民の包摂を広く深く議論していくことを期待したい。ISの本質を世界は理解しつつある。EU諸国民もそのことを知り、むやみにイスラム教徒に対して恐怖心を抱かないようにすることが肝要だ。
ISへの空爆では、アルカイダと異なり支配領域や「国家機関」を特定できることから、成果が上がっている。イラクとシリアにまたがるISは昨年1年間で14%の支配地域を失った(表参照)。さらに金融資産の凍結、石油資源や麻薬取引の管理強化で、構成員に報酬を払う資金源が絶たれた。日本人ジャーナリストの殺害に関わったとされるリーダー格の構成員も無人爆撃機などの空爆で死亡した。
とはいえ、欧米諸国は今後、国際法にのっとり中東諸国に権限を順次移譲していく、ということを考えるべきだ。
仮にシリアに欧米主導で本格的な軍事介入をするのであれば、その後の戦後復興まで視野に入れて国際社会全体で進める必要がある。カダフィ政権崩壊後のリビアでは、武装解除に失敗し、部族間・地域間抗争が激化した。これは欧米諸国が介入のみに注力して、戦後復興に腰を据えて手を差し伸べなかったからだ。
シリアを連邦国家として分割し、関係国が委任統治する案が協議されている。単一国家の形をとりながら、広範囲の自治権を付与する手法ならば治安回復に効果があろう。
ISはイスラムにとっても悪である。アルカイダの力がそがれていったように、長期的視点に立てばISはこれ以上の勢力拡大は見込めない。実際、中東でもイスラム過激主義に共感を寄せる国は皆無だ。ポストアサド体制を含め、地域の問題は地域の問題として責任の所在と応答できる範囲を中東諸国側と話し合うことが地域の安定の鍵を握る。
ポイント
○かつての欧州の中東介入が混乱の発端に
○金融資産凍結や資金源喪失でIS劣勢に
○シリア軍事介入なら戦後復興も見据えよ
ふくとみ・みつひさ 72年生まれ。早大博士(政治学)、パリ政治学院博士(国際関係学)。専門は国際政治・安全保障
[日経新聞4月5日朝刊P.26]
甘利明前大臣を巡る金銭授受問題で、元秘書が特捜部に対し、甘利氏が建設会社側から渡されたと認めている600万円のほかに「800万円を受け取った」と説明していることが分かりました。
千葉県内の道路建設工事を巡って、東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反の疑いでUR(都市再生機構)本社や建設会社「薩摩興業」などを家宅捜索しました。甘利氏は会見で、薩摩興業の元総務担当・一色武氏から、元公設第1秘書と合わせて600万円を受け取ったことを明らかにしています。関係者への取材で、元秘書が特捜部の任意の聴取に対し、600万円のほかに「頻繁に飲食接待も受けた」「一色氏と50回以上会って、800万円余りを受け取った」などと説明していることが分かりました。
薩摩興業元総務担当・一色武氏:「補償案が出た時点、その前後、必ず連絡して会うようにしていました。昼間じゃなくて夜ですね。(1回会うたび)15万円。5万とか10万プラスされた時もあります」
特捜部は、あっせんの有無などについて解明を進める方針です。
最終更新:4月10日(日)21時32分
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20160410-00000022-ann-soci
(上)待機児童ホントは何人? 100万人超の試算も
子どもを保育所に預けたくても預けられない待機児童問題。参院選の争点になることを恐れた安倍晋三政権は慌てて対策づくりに乗り出したが、そもそも保育所はなぜ足りないのか。「3つの疑問」を調べた。
待機児童対策の充実を訴える声が強まる(23日、衆院議員会館)
「本当は認可保育所がよかったんだけど……」。2歳の娘がいる東京都の主婦、梅川奈緒子さん(37)の表情はさえない。2014年秋から預け先を探し回った。保育所の助けが要ることをアピールするために土日は子どもを夫に預けて働きにも出たが、近くの認可保育所には軒並み断られた。
2月末にようやく見つかったのが地域の認可外保育所。ただ保育料は月4万7千円と認可保育所の月2万5千円の倍近い。結局、今でも認可保育所への転園を目指して申し込みを続けている。
保育所に入れない待機児童は全国に何人いるのだろうか。厚生労働省の説明では昨年4月時点で2万3千人。ただここには梅川さんのような例は含まれない。2001年に待機児童の定義を変更。やむなく認可外保育所に通っていたり、特定の認可施設を希望して空きがある施設の入所を断ったりしたケースを待機児童から外したからだ。
野党から「なぜ数字を小さくみせるのか」と追及された厚労省は昨年4月時点で「潜在的待機児童」が6万人いることを明らかにした。だがこの2つの人数を合わせた「8万3千人」という数字でさえ実態にはほど遠いとの指摘がある。
「本当の待機児童は171万人」。民間シンクタンクの社会保障経済研究所は最近こんな試算をはじいた。これは子どもを預けて働きたい気持ちがありながらも「どうせ保育所に空きがない」と申し込んでいない人を含めた数字だ。意欲あるすべての人が働ける環境をつくる「一億総活躍」の観点に立てば、この人数こそが「潜在的待機児童」ともいえる。
塩崎恭久厚労相は待機児童の範囲を狭くとらえて公表していることについて「緊急性の高い人を把握するため」と説明している。ただ「待機児童が膨らんで巨額の予算が必要になることを避けようとしているのではないか」(社会保障経済研究所の石川和男代表)との指摘もある。
共働きが主流になり、保育サービスの需要はどんどん拡大している。14年度の1年間で保育受け皿は14万6千人分増えたのに、厚労省が公表する待機児童数はこの間に逆に約1800人増えた。
仕事との両立に悩む親たちは保育所に滑り込もうと必死だ。「彼女が辞めると地元の医療は崩壊します」。東京都の30代の女性医師は上司のこんな推薦状を提出し、諦めかけていた保育所入所を勝ち取った。保育所入所の「テクニック」を指南するマザーネット(大阪市)の上田理恵子社長(54)のアドバイスが奏功した。
政府や自治体が待機児童の実態に向き合わない限り、保育所を巡る親たちの切実なバトルはもっと過熱しかねない。
[日経新聞3月31日朝刊P.5]
(中)株式会社運営なぜ増えぬ? 自治体、参入の壁に
保育所の9割は公立か社会福祉法人が運営している。株式会社も参入できるはずなのに大きく増えないのはなぜだろう。
「受け入れてくれたのは品川区だけだった」。保育企業のポピンズ(東京・渋谷)の中村紀子最高経営責任者(CEO)は怒りをあらわにする。
政府は昨年11月、国家戦略特区の規制緩和策として東京都の公園内に保育所を設置することを認めた。ところが中村氏が23区を回っても対応は冷たい。「対象は社会福祉法人とします」。48人の待機児童を抱える荒川区などは株式会社を最初から公募対象に入れていなかったという。
株式会社を避ける傾向は公園設置に限らない。政府は保育所の担い手を増やそうと、2000年度に株式会社が認可保育所を運営することを認めた。だが株式会社の認可保育所は解禁から15年たった昨年4月時点でも全体の3.9%しかない。
なぜ株式会社は歓迎されないのか。「競争相手に来てほしくない社会福祉法人が自治体の首長に圧力をかけている」。学習院大の鈴木亘教授はこう分析する。既存の法人にすれば「顧客」である親が行列をつくっている状況が、営業経費もかからず最も楽というわけだ。
「社会福祉法人には税制や補助金などの権益が侵されることへの警戒もある」(鈴木氏)。規模のメリットなどを生かして効率的に保育所を運営する株式会社が台頭すると、手厚い支援の不要論も出かねないからだ。
自治体側にも言い分はある。政府の会議で「株式会社の参入を阻害している」と名指しされたことがある東京都世田谷区は「株式会社を避けている事実はない。むしろ国の補助金が少ないので参入が鈍かったのではないか」(子ども・若者部の担当者)と指摘する。
「国や自治体は株式会社も含めて多様な事業者の参入を促すべきだ」。公正取引委員会は14年6月に国や自治体に異例の警告を出した。15年度からは保育所の初期投資を支える国の補助金に社福法人と株式会社の差はなくなった。それでも株式会社の参入が進む機運は高まっていない。
保育所と幼稚園の機能を併せ持つ「認定こども園」も順風満帆ではない。15年4月時点で2836園と前年の倍に増えたが、待機児童問題が最も深刻な東京都では93園と10園減っている。
「前年よりも約3千万円の減収になりそうだ」。昨年4月に保育業務を加えて認定こども園に移行したまどか幼稚園(東京・葛飾)の町山太郎園長はため息をつく。こども園への補助金は受け入れる子どもの定員が多いほど単価が下がる。定員が300人を超えるまどか幼稚園がもらう補助金では、移行前にもらっていた私学助成がなくなる分を補えない。
制度を所管する内閣府は「大規模園のほうがスケールメリットが出る」と補助の考え方を説明するが、全国認定こども園協会は「大規模園ほど建物の修繕費や光熱費がかさむ」(角田亨副代表理事)と訴える。
こども園は保育サービスを充実させる切り札との位置づけだったが、収入減を嫌って大規模な園が多い東京では認定こども園をやめる動きが出ているのが現状だ。
[日経新聞4月1日朝刊P.5]
(下) 保育士の給料なぜ安い? 公費頼み 生産性低く
保育所不足は処遇の悪さから保育士が集まらないのが一因とされる。保育サービスの需要が大きくなっているのに、なぜ給料は上がらないのか。
「発達にとって一番大事な時期の子どもを見ているのに給料は割に合わない」。横浜市内の保育所で昨年春から働く20代女性はこんな気持ちを強めている。常勤保育士8人で0歳児を含む約60人を預かり、1日10〜11時間働く。この1年で同僚5人が「給料が安い」「育児と両立できない」と辞めてしまった。
厚生労働省の調査によると保育士の基本給は平均で月21万3千円。全産業に比べて約10万円も低い。初任給は15万円ちょっとということもある。
保育所の運営費は自治体からもらう補助金が大半を占める。このため社会福祉法人などは「運営費が増えないと賃上げできない」と主張する。補助金の財源は親が払う保育料が2割弱。残りは税金だ。自治体や議員は親たちの反発を恐れて保育料アップは避けようとするので、議論は「公費投入を増やそう」となる。
確かに日本の社会保障支出は育児支援などの家庭向けが少ない。内閣府によると国内総生産(GDP)比で1.3%ほど。出生率が2.0に近いスウェーデン(約3.6%)やフランス(約2.9%)に見劣りする。
育児支援など現役世代向けをもっと厚くすることが課題だが、それには年金や医療など高齢者向けに偏る社会保障の配分の見直しや増税が要る。
3月9日、民主党(当時)の山尾志桜里衆院議員は保育士の処遇改善などを求め、母親たちの署名を塩崎恭久厚労相に渡した。厚労相は「一緒に財源確保をお願いします」とけん制気味に応じたが、参院選を控え、高齢者の負担増など痛みを伴う財源論に踏み込まないのは与野党とも同じだ。
こうした政治への不信も処遇が改善しない一因だ。政府は保育士の月給を2012年比で約7%上げられる上乗せ補助を計上してきたが、実際には基本給は2.3%増にとどまる。上乗せはいつなくなるかわからないので「賃上げのリスクを取れない」(東京都内の保育所)とボーナスで処遇しているのだ。
処遇改善には保育所の生産性を高める改革も欠かせない。特に社福法人は規模拡大や経営の多角化を探る余地は大きい。
介護事業に加え、首都圏13カ所で保育所を運営するソラスト(東京・港)は14年10月に常勤の保育士約100人の平均給与を18%も引き上げ、初任給も月20万円まで増やした。これにより保育士の毎年の離職率は賃上げ前の約25%から15年度は約15%まで下がった。
思い切った賃上げの背景には意思決定の早さや600億円超という売り上げ規模の大きさがある。「保育士が定着すれば業績が良くなる」(同社)と16年度も10%への離職率低下を目指す。
厚労省の統計では1000人以上が働く事業所の保育士の基本給は平均よりも3万4千円高い。財務・厚労両省もグループ経営を計画する保育所を支援する方針だが、社福法人の合併や介護・障害者福祉などとの一体運営など保育所の「革新」に踏み込めるかがカギになる。
中島裕介、山崎純、生田弦己が担当しました。
[日経新聞4月5日朝刊P.5]
日本国憲法第三十八条第3項は、「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」と規定している。
先日の旧今市市女児殺害死体遺棄事件宇都宮地裁判決は、憲法のこの規定に反するものである。
犯罪報道を通じて「冤罪製造の共犯」を担っているとしても、主要メディアは、違憲の判決に対しもっと厳しい論評を行って欲しい。
※関連投稿
「<栃木女児殺害>「録音・録画で判断決まった」裁判員ら会見:違憲の判決!取り調べ可視化が逆に冤罪増加の温床に」
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/713.html
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栃木女児殺害 判決の影響は[NHKオンライン]
4月11日 21時45分
栃木県の旧今市市、今の日光市で小学1年生の女の子が連れ去られて殺害された事件で、殺人などの罪に問われた被告に対して、宇都宮地方裁判所は今月8日、検察の求刑どおり、無期懲役の判決を言い渡しました。この裁判では、自白以外の決め手になる証拠がないため、取り調べを録音・録画した映像が異例の長時間、法廷で再生され、裁判所がどう判断するか注目されました。今回の裁判を踏まえて、今後の捜査や裁判にどんな影響があるのか。宇都宮放送局の家喜誠也記者が解説します。
有力な物証なき事件
事件が起きたのは11年前の平成17年12月。栃木県の旧今市市、今の日光市で、小学1年生だった吉田有希ちゃん(当時7歳)が、下校途中に連れ去られ、茨城県の山林で遺体で見つかりました。しかし、有力な目撃情報もなく凶器など、犯人に直接結びつくような物的証拠は見つかりませんでした。
また、当初、事件解決の決め手になるとみられた遺体に付着していたDNAがその後、当時の捜査幹部のものと分かるなど、捜査は難航しました。
事件が大きく動いたのは、8年半後のおととし(平成26年)6月。栃木県鹿沼市の無職、勝又拓哉被告(34)が逮捕されました。物証が極めて少ないなか、逮捕の決め手になったのが、勝又被告が捜査段階で殺害を認めた「自白」でした。
“自白”が最大の争点に
ことし2月に始まった裁判ではこの「自白」が最大の争点になりました。捜査段階で殺害を認めた勝又被告ですが、裁判では「無罪」を主張しました。それに対して検察が有罪を証明するために使ったのが、取り調べの様子を録音・録画した映像でした。
法廷では取り調べの映像が7時間13分にわたって裁判員の前で再生されました。この中では勝又被告が有希ちゃんを連れ去って殺害し、遺体を遺棄するまでの詳細ないきさつを、身ぶり手ぶりを交えて説明する様子が記録されていたほか、検察官の質問に対して被告が取り乱す様子などが生々しく映し出されました。
検察は映像を踏まえて、「自白は、被告の自由な意思で行われたものだ。その内容は犯人でなければ到底話せないもので、具体的で迫真性があり、高い信用性がある」と主張しました。これに対して弁護側は、取り調べのすべてが録音・録画されていないことなどを指摘して、「被告は長い期間身柄を拘束されたうえ、録音・録画されていない部分で捜査官から暴力や自白の誘導を受けた。自白の内容も遺体や現場の状況とも矛盾し、信用できない」と反論し、双方の主張は真っ向から対立しました。
有罪判断の決め手になった「録音・録画」
そして迎えた判決。宇都宮地方裁判所は検察の求刑どおり、無期懲役を言い渡しました。判決で宇都宮地裁は「自白の内容は、想像に基づくものとしては特異とも言える内容が含まれ、実際に体験した者でなければ話すことができないものだ」と検察の主張に沿う判断を示しました。
また、取り調べの際の被告の態度についても「殺人について聞かれたときの激しく動揺した様子や、『気持ちを整理する時間がほしい』などと述べる態度は、あらぬ疑いをかけられたとしては、極めて不自然だ」などと言及しました。録音・録画された取り調べの映像が判断を裏付けるものになっていたことがうかがえます。
裁判に参加した裁判員からは、その後の記者会見で「映像を見て判断に間違いがないかなと思った」とか、「書面とは違い、映像だと臨場感があった。これがなければ判断が変わっていた」といった感想が述べられ、録音・録画された映像が裁判員たちに強い印象を与えていました。
一部録画に疑問
一方で、取り調べの録音・録画については慎重に判断すべきだと指摘する専門家もいます。元裁判官で法政大学の水野智幸教授は、今回の事件で、すべての取り調べが録音・録画されていないことに問題があると感じています。 水野教授は、「そもそも、録音・録画は取り調べで『言った・言わない』の水掛け論を解決するための切り札と考えられるのに、部分的なものにとどまるのは不十分だ」と指摘します。
取り調べの録音・録画を巡っては、どの程度の範囲まで行うのか長く議論が続いてきました。
検察は、裁判員制度が始まるのを前に取り調べの録音・録画を平成18年に試験的に導入。警察も平成20年から試験的に始めました。しかし、その対象は一部に限られ、録画を始める時期や時間も捜査当局の判断で決まっています。その後、法務大臣の諮問機関の法制審議会で議論が行われ、取り調べのすべての過程の録音録画を義務化することを盛り込んだ法律案が現在、国会で審議されています。しかし、録音・録画が義務付けられるのは裁判員裁判の対象の事件と検察の独自捜査事件に限られるうえ、逮捕前の任意の取り調べについては義務付けの対象からは外れています。
今回の事件でも245時間に及ぶ取り調べのうち、すべてが録音・録画されたわけではなく、弁護側が主張した「録音・録画されていないときの暴力やどう喝的な取り調べ、自白の誘導」があったかどうかは、法廷で映像からは確認できませんでした。裁判に参加した裁判員からも「録音・録画されたのは全体の何割かしかないので、もう少し見たい気持ちもあります」などと述べる人もいました。
今後の捜査への影響は
一方、今回の裁判では、部分的な録音・録画でも有罪を立証できたことで、捜査機関が今後、積極的に起訴に踏み切るという見方をする専門家もいます。
元検事の落合洋司弁護士は、「取り調べの様子を録音・録画したことで自白について検察が立証できたケースだ。検察は今後、今回のように自白があっても証拠の裏付けが弱い事件について、より積極的に起訴に踏み切る可能性がある」と述べています。ただ、落合弁護士は、「自白を中心とした捜査は、誤った判断を導きやすいという危険性がある。捜査機関は自白によって有罪の印象を持ったとしても、ほかの証拠で裏付けられるよう常に意識するべきだ」と捜査機関に対して、くぎを刺します。
判決を受けて被告側は控訴する意向を示しています。2審でも、被告の捜査段階の自白が信用できるかどうか、審理が続くことになります。取り調べの録音・録画を踏まえた「自白」がどう扱われるのか議論が続くなかで、その試金石になるともいわれた今回の裁判。捜査や裁判への影響も大きいとみられ、2審の判断が注目されます。
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2016_0411.html?utm_int=detail_contents_tokushu_001
日本国憲法第三十八条第3項は、「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」と規定している。
旧今市市女児殺害死体遺棄事件の判決は、憲法のこの規定に反するものである。
「冤罪」のほとんどは、裁判官が憲法第三十八条に従った判決を行えば防げるものである。
自白があれば有罪、自白しなければ(罪を認めなければ)反省なしと量刑を重くするという刑事裁判の実態が続く限り、とにかく自白させれば“勝ち”という警察・検察の姿勢は変わらないだろう。
裁判官が自白はあくまで参考資料という態度を貫けば、警察や検察の捜査や取り調べは、まともになるだけでなくレベルも向上する。
自白は、有罪の証拠になるものではなく、有罪の証拠(物証)を収集する突破口にすべきものなのである。
※関連投稿
「<栃木女児殺害>「録音・録画で判断決まった」裁判員ら会見:違憲の判決!取り調べ可視化が逆に冤罪増加の温床に」
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/713.html
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2016年04月08日 (金) [NHK総合]
「取り調べの録音・録画 どう機能したか」(時論公論)
橋本 淳 解説委員
栃木県で小学生が連れ去られて殺害された事件で、裁判所は「捜査段階で被告が殺害を認めた自白は信用できる」として無期懲役の判決を言い渡しました。裁判では、取り調べの様子をビデオカメラで撮影した動画が異例の長さの7時間以上にわたって公開され、注目が集まりました。刑事司法改革の柱である取り調べの録音録画はどう機能したのかを考えます。
解説のポイントは2つです。録音録画は裁判員制度の導入をきっかけに運用が広がっていますが、取り調べの内容を客観的に判断できる点で有効だということです。本格的に試された今回の裁判からその意義を見ていきます。とはいっても、取り調べをすべて撮影しておかないと効果が半減してしまいます。その課題が2つ目のポイントです。
まずは、事件と裁判を振り返ります。平成17年12月、栃木県の旧今市市、今の日光市で、小学1年生だった吉田有希ちゃん(当時7)が下校途中に行方不明になり、翌日65キロ離れた茨城県常陸大宮市の山林で遺体で見つかりました。そして8年余りがたったおととし6月、勝又拓哉被告(33)が有希ちゃんを車で連れ去りナイフで殺害したとして逮捕・起訴されました。
1審の宇都宮地裁の裁判員裁判で、被告は「まったく身に覚えがない」と無罪を主張しました。この事件では凶器とされるナイフや女の子の持ち物などが見つかっていません。犯人につながる物的証拠が乏しい中で、検察にとっては捜査段階で殺害を認めた供述だけが大きな支えでした。取り調べでの被告の話は二転三転し、自白から否認へ、否認から自白へと大きく揺れ動きましたが、起訴される直前に犯行の一部始終を語った供述調書が作成されました。証拠の中で供述調書の比重が極めて大きく、被告が言うように自白はうそだったとすれば一気に無罪に傾く、そうした危うさをはらんだ構図になっていたのです。
宇都宮地裁は被告の主張を退け、求刑通り無期懲役を言い渡しました。「自白は信用できる」と判断した根拠の1つが取り調べの録音録画です。検察と警察は、取り調べの一部をおよそ80時間にわたってビデオカメラの映像と音声で記録し、これを見て弁護側が同意した7時間13分の動画が法廷で再生されました。取り調べの録音録画は、法制化に先駆けて捜査当局が実務上の運用で実施するようになっていますが、7時間以上もの動画が公開されたのは極めて異例です。一般的に供述調書は捜査側が被告の話を要約して文章化するのに対し、動画には受け答えの微妙な言い回しや表情、態度がありのままに記録されています。検察は「映像の様子からも、うその自白をしているとは思えない」と主張したわけです。
では、自白の信用性を認めた裁判所は、取り調べの録音録画のどの部分に注目したのでしょうか。判決はこのように指摘しました。「殺人について聞かれた時に激しく動揺したり、『気持ちの整理のための時間がほしい』と話したりする様子は、あらぬ疑いをかけられた者にしては極めて不自然だ。処罰の重さに対するおそれから、自白すべきかどうか逡巡、葛藤している様子もうかがえる」。判決はこう述べて取り調べでの態度を重視しています。その上で、犯人でなければ語れない内容も含まれていることと合わせて、取り調べの動画を有罪の大きな根拠としました。
とはいえ、自白の真偽のほどを見極めるのはプロの裁判官でも難しい作業です。とりわけ、今回のように供述の内容が変化した場合はより慎重さが求められます。犯人ではないのに取り調べで強く言われるとなかなか反論できず、相手に迎合して捜査側の意に沿う供述に変えてしまう人がいるからです。一方、犯人であっても自分を守りたいという気持ちや刑罰への不安から最初のうちは虚実とりまぜて供述し、矛盾点を指摘されて徐々に真実を語るケースもあります。供述の変化は無実の人の迎合によるものか、それとも犯人の心の葛藤の表れなのか。これまでの裁判は供述調書を基本とし、法廷で被告と捜査側の言い分を聞いてその信用性を判断していました。しかし、供述調書は一問一答の形式で書かれておらず細かなニュアンスまでは伝わってきませんし、法廷での言い分にしても双方の主張が平行線のまま水掛け論に終わり真相は闇の中ということも多かったのです。この点、取り調べをありのまま記録した動画があると、裁判所が判断するための情報量が飛躍的に増えることになります。取り調べの録音録画はより客観的に判断でき、冤罪の温床となる強引な取り調べを抑止する効果もあることから今後、積極的に活用される方向です。今回の事件でも取り調べの動画がなければ検察は起訴に踏み切らなかったかも知れません。それほど録音録画の存在感が高まってきています。
ただし注意しなければならないのが、解説ポイントの2つ目。すべての取り調べを録画しておかないと、その効果を最大限に生かせないということです。
仮に、捜査側が自白を強要した時にカメラを回さず、被告が諦めてうその自白をした時にだけ恣意的に撮影したとしたら、裁判で検証しようがありません。今回の事件でも、被告は「警察官から暴力を振るわれ、『ごめんなさいを50回言わないとご飯抜きだ』と言われるなど自白を強要された」と主張。警察官はそのような事実はないと反論しましたが、その日の取り調べは録画されておらず映像で確かめることができませんでした。これについて判決は、「撮影された部分を見る限り取り調べは適切に行われ、暴力や自白の強要があったとは認められない」としたものの、根拠が釈然としない印象も拭えず、すべての取り調べが録画されていればより明快になったのにといわざるを得ません。
取り調べの録音録画は刑事司法改革の柱です。去年、政府は一部の事件を対象に録音録画を義務化する刑事訴訟法の改正案を国会に提出しました。衆議院を通過し参議院で継続審議になっています。法案では、対象事件の取り調べは原則としてすべての過程を撮影するとしていますが、「容疑者が十分に供述できない」と捜査当局が判断した時には例外的に撮影しなくてもよいとされています。この例外規定については基準があいまいなため、捜査側が都合よく適用するおそれが指摘されていて、不当な取り調べがあってもわからないといった批判が根強くあるところです。例外を極力認めず密室での取り調べが全面ガラス張りになるよう、今後、国会での議論を今一度深めてもらいたいと思います。
今回の事件は供述以外に決定的な証拠がなく自白頼みの捜査でした。過去に相次いだ冤罪事件の反省から、捜査当局は取り調べに偏った姿勢を改め客観的な裏付け証拠を重視しようという教訓を学んだはずです。刑事司法改革の狙いもそこにあります。今回は自白の信用性を認めて有罪とされましたが、取り調べの録音録画があるからといって自白一辺倒の捜査を大目に見る免罪符にはならないことを忘れてはなりません。
(橋本淳 解説委員)
認知症に伴う幻覚などの症状が現れたときに投与される「抗精神病薬」について、初めて投与された高齢者は、全く投与されていない人に比べ死亡率が2倍以上高くなったことが順天堂大学の研究グループの調査で分かりました。研究グループは「リスクを医療者や家族が把握し慎重に薬を使うことが必要だ」と指摘しています。
抗精神病薬は、BPSDと呼ばれる認知症に伴う幻覚などの症状が現れたときに投与されるもので、調査は平成24年から25年にかけて、順天堂大学の研究グループが全国357の医療機関でアルツハイマー型認知症の高齢者合わせておよそ1万人を対象に行いました。
まず、調査の開始時点で、すでに抗精神病薬の投与が続けられていたグループの4800人余りと、全く投与されていないグループの4800人余りについて半年後の死亡率を比較したところ、ほとんど差はありませんでした。
ところが、調査の期間中に初めて薬を投与された85人について、全く投与されていないグループと比べると、半年後の死亡率が2.53倍高くなったことが分かりました。肺炎や心不全で死亡した人が多く、薬を飲み始めてから2か月から半年の間に死亡率が高くなる傾向がみられたということです。
研究グループの代表で順天堂大学の新井平伊教授は、調査によって薬を使い始めるときのコントロールの重要性が明らかになったとしたうえで、「リスクを医療者や家族が把握し慎重に薬を使うことが必要で、どうしても使わざるをえない場合は少量で短期間が望ましい」と指摘しています。
抗精神病薬を巡ってはNHKが去年、認知症の専門医を対象に行ったアンケート調査で、寝たきり状態になるなどの重い副作用が出ていたケースがあることが分かっています。アメリカでは死亡率を高めるとして使用を控えるよう警告が出されていて、日本でも薬の使用に関するガイドラインが見直され長期間の使用を避けるなど医師に対し、慎重に投与するよう求めています。
BPSDとは
認知症に伴って、BPSDと呼ばれる幻覚や妄想などの心理症状やはいかい、それに攻撃的になるなどの症状が出ることがあります。BPSDは、必要な介護サービスを利用したり、家族の対応のしかたを変えたりすることなどで改善する場合もあります。しかし、介護の現場では家族などの負担も大きいことから症状を安定させるために抗精神病薬などの精神科の薬が使用されているのが実態です。
認知症の高齢者への抗精神病薬の投与について、アメリカでは11年前(2005年)、死亡率が1.7倍程度高くなったとして使用を控えるよう警告が出されています。日本では厚生労働省の研究班が薬の使用に関するガイドラインを見直し、基本的にはBPSDの治療に抗精神病薬などは使用しないとしたうえ、やむを得ず使用する場合は少量で始め、長期の使用は避けるなど医師に対し慎重な投与を求めています。
副作用が出た女性は
抗精神病薬の副作用で食事がとれなくなり寝たきり状態になった女性もいます。
6年前、認知症と診断され、都内のグループホームで暮らす82歳の女性です。おととし1月、妄想やグループホームの職員への暴言が激しくなったりするなどBPSDの症状が現れるようになりました。対応に困った職員が医師に相談したところ、抗精神病薬が処方されました。
女性はおよそ1か月間薬を飲み続けた結果、妄想や暴言などの症状は治まりましたが、薬の副作用で姿勢が傾いて転びやすくなったほか飲み込む力が低下し食事をとることもままならなくなりました。日中もほぼ寝たきりの状態になり異変を感じた家族や職員が医師に相談し、薬の服用を中止しました。その後、女性の状態は徐々に回復し、再び食事や散歩ができるようになりました。
女性の長女は「抗精神病薬を飲み始め急に状態が悪くなり驚きました。あのまま薬を飲み続けていたら今頃どうなっていたんだろうと怖くなります。母が好きなものを食べたり、散歩したり、自分らしく生活させてあげたいです」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160411/k10010475321000.html?utm_int=news_contents_news-main_004
東京電力が福島第1原子力発電所の事故時、社内の基準に気づかず「炉心溶融(メルトダウン)」の判断が遅れたとする問題で、岡村祐一原子力・立地本部長代理は11日、当時から基準を「把握していた」と明らかにした。東電幹部が基準を認識していたことを認めたのは初めて。同日の記者会見で、この基準を把握していなかったのかとの質問に答えた。
東電が事故前に策定した原子力災害対策の方針を示したマニュアルには「炉心損傷割合が5%を超えていれば炉心溶融と判定する」と明記されていた。岡村氏はこれについて、5%を超えると炉心溶融だということは「長年の仕事の中で知っていた」と話した。
ただ当時は事故対策要員として4号機の使用済み核燃料プールへの注水策などを検討しており、「自分は炉心溶融を判断する立場にはなかった」と説明した。
東電は2月、事故当時に炉心溶融かどうかを判定する社内マニュアルが存在し、その基準に従っていれば、事故発生から3日後の2011年3月14日には炉心溶融を判断できたと発表した。記載を見落としていたため同年5月まで公表が遅れたと説明していたが、実際には基準の内容を把握していた幹部がいたことになる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO99540180S6A410C1EA2000/?dg=1
【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)は10日、日銀や欧州中央銀行(ECB)が導入したマイナス金利政策の評価報告書を公表し「金融刺激の効果はあるが、幅や期間には限界がありそうだ」とリスクや副作用に懸念を示した。とりわけ民間銀行にとっては「利ざやの圧縮で収益面での試練となる可能性がある」と指摘した。
IMFは銀行間取引の金利低下などの効果を認め「マイナス金利政策を支持する」とした。ただ民間銀行は個人の預金金利をマイナスにはできないため「貸出金利の低下幅は限定的だ」と指摘した。マイナス金利政策が長引けば「生命保険会社などの経営も悪化させる」と不安をのぞかせた。
マイナス金利政策は、中央銀行に資金を預ける民間金融機関に事実上の手数料を課す仕組みだ。そのため金利のマイナス幅が広がれば「民間銀行も現金を自行の金庫に置いて決済などに充てることもあり得る」とも指摘し、政策効果の限界をにじませた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM11H7T_R10C16A4FF8000/?dg=1
【ソウル=小倉健太郎】韓国で北朝鮮からの亡命が相次いで表面化している。中国にある北朝鮮食堂従業員の集団亡命に続き、11日には軍高官や外交官の脱北も明らかになった。韓国政府は個別案件は公表しないことが多いが、食堂従業員については写真や脱北の動機も紹介するなど異例の対応をとり「北朝鮮への経済制裁が効果を発揮した」と強調している。
北朝鮮は11日、金正恩(キム・ジョンウン)氏の第1書記就任4年を迎えた。朝鮮労働党機関紙である労働新聞は同日、正恩氏のもとでの団結を呼びかける社説を掲載した。朝鮮中央放送の報道をラヂオプレスが伝えた。外国への亡命は金正恩体制に対する国民の不満を示すだけに、韓国政府の脱北公表に北朝鮮が反発する可能性もある。
韓国国防省は11日、北朝鮮の朝鮮人民軍の情報機関、偵察総局で韓国を担当する大佐が韓国に亡命していたと明らかにした。韓国統一省は同日、アフリカ駐在の北朝鮮の外交官一家も脱北し韓国に来ているとした。いずれも昨年の動きがこのほど明らかになったとの報道を受けて事実関係を認めたものだ。ただ、国防省の場合は報道内容を認めること自体が異例だ。
8日に北朝鮮食堂のケースを発表した統一省はより積極的だ。一部を加工して顔はわからないようにしたうえで写真も公開。10日には、従業員らが「制裁が強まるなか、北朝鮮の体制にこれ以上希望がないと考えた」「韓国のテレビドラマをみて民主主義を知った」などと話しているとの追加情報を出した。
中国外務省は11日の記者会見で、この従業員らについて「6日未明、有効なパスポートを持って正常に出国した。合法的に中国に出入りした」と明らかにした。韓国政府は食堂の場所は非公開としていた。韓国メディアは浙江省寧波の「柳京食堂」だと報じている。
食堂従業員の脱北に関し統一省報道官は11日「制裁局面でこのような状況になったのは意味がある」と述べ、制裁効果が出たとの見方を示した。
政府の積極姿勢は13日に投開票を控えた総選挙を意識しているとの見方もある。統一省や国防省の記者会見では発表意図を問う質問が続出。最大野党の「共に民主党」は11日、「従業員の脱北公表は大統領府が指示した」との報道を受けて「大統領府は選挙介入を中断せよ」と訴えた。北朝鮮政策の成果を示して与党を支援する狙いがあるとの見方だ。ただ、統一省は報道内容を否定した。
北朝鮮は15日に金日成主席の誕生日「太陽節」を迎えるなど重要日程が続き、韓国は追加挑発への警戒を強めている。聯合ニュースによると大統領府報道官は11日、15日までに北朝鮮が核実験をする可能性を「鋭意注視している」と述べた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM11H5Q_R10C16A4FFB000/?dg=1
経済協力開発機構(OECD)のアンヘル・グリア事務総長は11日、日本記者クラブで記者会見し、2017年4月に予定される消費税率引き上げについて「(首相が)すでに明言しており、市場もそうすると予想している」と語り、予定通り実施すべきだとの考えを示した。そのうえで、OECD加盟国の平均では日本の消費税にあたる付加価値税の税率が約20%に達していることを紹介し、中長期的には日本も「15%まで引き上げる余地がある」と語った。
グリア氏はタックスヘイブン(租税回避地)に関する「パナマ文書」の問題については「大きなショック」としながらも「透明性に向かう動きが強まる」と述べた。パナマ政府が今回の問題を受け、OECDなどが進める租税回避の防止策に協力していくと表明したことも明かした。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL11HLR_R10C16A4000000/?n_cid=SPTMG002
なぜ、付加価値税(消費税)の税率引き上げが輸出企業の利益を増加させるか簡単に説明する。
仕入額1兆円で国内売上5千億円・輸出5千億円というケース(営業利益なしの一大バーゲンセール)でも、消費税の税率が5%なら、「輸出免税」制度だけで250億円の利益が手に入る。
一方、国内売上分の5千億円は、付加価値を稼いでいないので消費税負担はゼロである。
このように、輸出企業は、利益なしで商売しても、消費税制度だけで利益を手にすることができる。
同じケースで消費税の税率が10%になると、「輸出免税」制度で手に入る利益は500億円に増大する。
東京株式市場1部上場企業の株主外国人保有率は35%ほどと言われている。消費税税率が引き上げられれば、株式を保有している企業の利益が増加し、配当も増えるという構図である。
消費税の税率引き上げは、社会保障制度の持続性や充実とは無関係どころか、グローバル企業に利益を献上する制度であることから、徴税効率が極めて悪いバカげた政策である。
付加価値税を導入せず州税として小売売上税を採用している米国は“利巧”と言える。
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減益より怖い減配 海外勢、一段の売り誘発も[日経新聞]
証券部 松本裕子
2016/4/12 2:00
11日の日経平均株価は3日ぶりに反落した。4月下旬から本格化する決算発表を前に、投資家は積極的な売買を手控えており、東証1部の売買代金は2兆円を下回った。円高で今期が減益になるとの見方に加え、一部の投資家が気にし始めたのが株主還元機運の低下だ。減配が相次げば、海外投資家による一段の株売りを誘発する可能性がある。
8日に13%安と急落したファーストリテイリング株はこの日も売りに押され、一時は2013年3月以来の安値をつけた。終値こそ上昇したものの自律反発の域を出ない。16年8月期の業績下方修正に加え、「配当予想の引き下げが効いている」(大手国内証券)。
「減配リスク」を気にする声は投資家からも上がる。アムンディ・ジャパンの吉野晶雄氏は今月、日本株への資産配分を「ややアンダーウエート(基準よりも少ない)」に引き下げた。円高による業績悪化はもちろん、債券利回りの低下で配当への関心が高い時期だけに「減益以上に減配はリスク」と話す。
投資家の懸念は、シンガポール市場に上場する日経平均・配当指数の先物にも表れている。日経平均を1つの銘柄に見立て、1年間保有したらどのくらい配当が得られるかを示す。17年3月期を含む17年12月物は昨年末から下落傾向が鮮明だ。「今後、キャッシュフロー(現金収支)が減れば大幅増配は期待しづらい」(ソシエテジェネラル証券の杉原龍馬氏)という。
SMBC日興証券の伊藤桂一氏が注目するのは、「期限の異なる配当指数先物の水準」だ。予想期間が長ければ不確実性が増すため、通常は期限の先のものほど水準が低い。
だが、この1、2年、19年12月物が17年12月物を上回る状態が目立った。企業統治改革の流れの中で、15年にはファナックや青山商事が減益予想を出す一方、積極的な配当姿勢や自社株買いを掲げた。収益環境が厳しくても余剰資金を有効活用する動きに「将来に対する増配期待が急速に高まった」(伊藤氏)ためだ。
日本企業全体で減益の可能性が高まるにつれ、過剰なまでの還元期待が低下。5日には17年12月物が19年12月物を逆転した。
海外勢は今年に入り日本株を5兆円以上売り越した。シティグループ証券の飯塚尚己氏は、海外勢の売買が日経平均で1万4500〜1万5500円に集中する点を考慮すると「まだ2.5兆円の売り余地がある」とはじく。
マイナス金利政策で企業が現金を保有するコストは高まり「還元強化の流れは変わらない」(国内運用会社)との声も多い。還元強化は海外勢が日本株を買う大きな理由だった。決算発表で今期の減配が目立てば、アベノミクス失速の象徴になりかねない。企業の還元姿勢の変化にも注意が必要だ。
▼日経平均・配当指数 日経平均株価の構成銘柄を毎年1月から12月まで保有していた場合に得られる配当額を指数化したもの。先物はシンガポール取引所(SGX)などに上場しており、配当指数の最終値がいくらになるかを予想して売買する。減配リスクが高まれば価格は下落する。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF11H1T_R10C16A4EN1000/?dg=1
それは、戦後圧倒的な経済力と軍事力で覇権国家として西側世界に君臨してきた米国の“相対的衰退”を見据えたものである。
覇権国家米国は、日本など科学技術力と経済力から核兵器を保有できる国家に「核の傘」を含む“安全保障”を与えることで、核兵器保有の動きにタガをはめてきた。
今後の世界は、超覇権国家米国による一極支配(あくまでも外見的な話だが)が終わり、地域別ヘゲモニー国家とその連合によって世界の“秩序”が維持される方向に進むと予測する。
そのような過程で、米国の庇護下は許容できるが、“あの国”の下はイヤだという動きも出てくるだろう。
そういう国が核兵器保有に動く芽を摘もうとしてきたのが、09年のオバマ大統領の「核兵器なき世界」演説(これでノーベル平和賞)から進められてきた「核拡散防止」政策である。
(北朝鮮の核開発への制裁などの対応も、潜在的核兵器保有志向の日本や韓国などに対する威迫効果という狙いもある)
「核兵器なき世界」とは、イスラエル・インド・パキスタンといった例外国はあるとしても、UN安保理常任理事国が核兵器を専有する構造を強化したいという話である。
広島訪問は、主要国が大都市への原爆投下という筆舌しがたい暴虐と災厄を再確認したと見せることで、UN安保理常任理事国以外が核兵器を保有したいという“空気”を馬鹿げたものだと思わせる一助としたかったのだろう。
※関連投稿
「日本、米国に核爆弾50発分のプルトニウムを返却」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/351.html
「日本、今日一部のプルトニウムを米国に送る可能性あり:中国の「返還キャンペーン」が奏功」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/356.html
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
「岐路に立つ核燃料サイク:日米協定延長手続き:余剰プルトニウム 問題」
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/386.html
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ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は…?[スプートニク日本語]
2016年04月11日 20:45
米国のジョン・ケリー氏は、広島を訪れた米国最初の国務長官となった。広島は、1945年米国が原子爆弾を世界で初めて投下した町だ。日本人達の中には、国務長官に謝罪の言葉を期待した向きもあったが、その願いは適わなかった。そしてケリー国務長官ら、G7外相による広島訪問のその他の結果も、明るい未来を期待させるものとはなっていない。
モスクワ国際関係大学のアンドレイ・イワノフ上級研究員の見解を、以下皆さんに御紹介したい。
会談の目的は、全体として気高いものだった。すべての人々にとって、もっと安全な世界へと続く道を皆で話し合い、核兵器のない世界のための諸条件を創り上げるという立派なものだった。会談をまとめた宣言の中で、G7の外交担当責任者達は「我々は、そうした方向に前進する」と言明し、そうした動きを困難にしている問題があることを指摘した。具体的には、シリアやウクライナなどいくつかの地域の安全状況の悪化、そして北朝鮮の度重なる挑発行為である。
シリア、ウクライナ、北朝鮮という3つの地域で起きている事が、世界の安心感を高め、軍縮を奨励するものでないことは、争う余地がない。特に、こうした地域、さらに他の一連のホットポイントにおける緊張の真の原因を考慮するなら、言うまでもないことだ。ついでに言うなら、その原因について、欧米とロシアの見方は違っており、その事は、世界の安定と相互理解を妨げている。
欧米は、シリアでの出来事を「血塗られた独裁者」であるアサド大統領に対するシリア国民の戦いとみなしているが、ロシアは、地域の一連の国々によるアサド大統領打倒の企てとみている。なぜなら、ペルシャ湾岸のカタールからシリア領内を通じて欧州へと通ずるガスパイプライン建設を、アサド大統領が認めないからだ。そのため暴徒集団やテロリストを使って、アサド政権転覆を図っていると、ロシアは考えている。
さて、もう2年以上流血の無秩序状態が続くウクライナだが、欧米は、ウクライナ人が、ロシアの影響圏に残るのを望まず、自由をめざし汚職と闘うため「ヨーロッパへ入る選択」をしたゆえに起きたものと説明している。一方ロシアは、そうした親西欧的傾向は実際あったが、それは一部のウクライナ人の間だけで、そうした一部の人達が暴走し、国を分裂させ、内戦に導いたと見ている。またロシアは、この2年間でウクライナでは逆に汚職が増え、自由が制限された事、そしてウクライナ経済に至っては、ほぼ壊滅的な状態だ、という事をよく知っている。しかし欧米は、それを知りながら、そうした事実を認めようとしない。
さてここで、一つの問いが生じてくる。ロシアのどこが悪かったのか、なぜロシアに対し制裁が導入されたのか?という問いだ。また、今回広島でまとめられた宣言の中では「対ロシア制裁を今後も続けるかどうかは、ロシアがミンスク合意を完全に履行するかどうか、ウクライナの主権を尊重するかどうかに直接左右される」と述べられている。これは、明らかに狡猾なやり方だ。まず第一に、ロシアはミンスク合意を実現する事が出来ない。なぜなら、それを守っていないのはウクライナだからだ。第二に、ロシアはウクライナの主権を尊重しており、その侵害をたくらんでなどいない。クリミアについて言えば、ロシアの一部であって、ウクライナの主権とはもう何の関係もない。これはクリミアの住民自身が、真に民主主義的手段によって、自分達で決めた事だ。
最後に、北朝鮮について言えば、すべてはかなり単純だ。世界を核実験によって脅すような事は、もちろん、よい事ではない。それゆえロシアは、つい最近の、北朝鮮当局を非難し制裁導入を求める国連決議を支持した。しかし、米国のような力のある大国が、介入するとか、体制を打倒するとか言って小さな国を脅すのは、よくない事だ。小さな国の中では、恐怖のあまり、核兵器を作り始めている国もある。そうした行動に駆り立てた責任は、一体誰にあるのか? それは明らかだろう。
広島での今回の会議では、こうしたあれやこれやの問題に答えが出されなかった。それゆえ核兵器のない世界という夢の実現が、近づく事はなかった。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160411/1941295.html
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ケリー国務長官 米国による広島と長崎への原爆投下に対して謝罪せず[スプートニク日本語]
2016年04月11日 15:07(アップデート 2016年04月11日 17:25)
11日に広島の平和記念公園を初めて訪れたケリー米国務長官は、米国による日本の都市への原爆投下に対して謝罪しなかった。AP通信が報じた。
広島では、G7外相会合が開かれており、11日には核軍縮を呼びかける「広島宣言」が承認される予定。日本の岸田外相は、テロ対策、海洋安全保障、朝鮮半島やウクライナならびに中東情勢に関連した問題も議題となると伝えた。
ケリー国務長官は、1945年の米国による原爆投下後に初めて広島を訪れた米政府を代表する初の高官となった。
広島への原爆投下では、およそ14万人が犠牲となった。
またケリー長官の広島訪問の意向は、オバマ米大統領が任期終了までに広島を訪問する可能性があるとのマスコミの噂をかきたてた。
広島と長崎の両当局は、何十年にもわたって核兵器の恐怖と無慈悲さを米大統領が自分の目で評価するために両都市を訪れるよう訴えているが、いずれの試みも失敗に終わっている。
アルセーニー・ヤツェニューク氏がウクライナの首相としてロシアとの間に壁を築き、第二次世界大戦の歴史を書き換えることを試みた。スプートニクの記事から、ヤツェニューク氏の最も印象的な声明と行動 を拾った。
1、ウクライナ万里の長城
2015年5月ヤツェニューク氏はロシアとの「本当の境界線」の建設の開始を発表した。プロジェクトは「壁」と呼ばれた。完成は2018 年の予定だったが明らかに叶わなそうだ。お金が足りない。
2、国会における乱闘と花
2015 年12月、ウクライナ首相の演説は乱闘なしでは済まされなかった。議事堂のビデオカメラにヤツェニューク首相が黒のリボンつきの花束を贈られ、足を前にして議事堂から搬出されかかる様子が映された。一般に、「足を前にして」運び出されるのは遺体である。
ポロシェンコ大統領会派のオレグ・バルナ議員の抑制のきかない行動による珍事。質問への回答を続けさせるよう求めた首相は乱闘について、「馬鹿の多いことだ」と述べた。
3、ソ連はウクライナとドイツを攻撃した:ヤツェニュークの歴史講義
2015 年1月、ウクライナのヤツェニューク首相はARDテレビのインタビューで、ロシアはいま第二次世界大戦の結果を書き換えようとしている、と述べた。ウクライナ首相は次のように語った。
「ウクライナにおけるロシアの侵略行為は世界秩序、欧州秩序に対する攻撃である。ソ連によるドイツ、ウクライナ侵略は記憶に新しい。同じことを繰り返させてはならない。第二次世界大戦の結果を書き換える権利など誰にも無い。ロシア大統領プーチンがしようとしていることは、まさにこの書き換えということである」。
ロシア外務省はドイツに対しこのウクライナ首相発言への公式な立場を表明するよう求めた。この発言を、ウクライナにおける民族主義的哲学の高揚の証左と評価した。首相発言は第二次世界大戦の犠牲者に対する倫理的な犯罪であり、このような暴言に西側がなぜリアクションを取らないのか理解に苦しむ、ウクライナ民族主義派はリベンジを目論んでいるのだ。
4、「おしゃべり」対「泥棒」:サアカシヴィリ対ヤツェニューク
2015年の終わりにとヤツェニューク氏とオデッサ州知事に招待されたサアカシヴィリ氏の関係は損なわれた。後者は定期的に汚職や無能、改革意欲なしとして首相を非難。 ヤツェニューク氏は事を荒立てないようにした。
2015年12月、国民改革評議会の会議中で内務省のアヴァコフ大臣とオデッサのサアカシヴィリ知事の間で言い争いが発生。二人は互いを泥棒とののしりあい、卑猥な表現を使った挙句、アヴァコフ大臣はサアカシヴィリ知事に水の入ったコップを投げつけた。
内務省大臣側に立ったヤツェニューク氏は猥褻な言葉でサアカシヴィリ氏の性格をこきおろした。 「お前はおしゃべりだ!私たちは仕事を行わせるためにお前を国に招いたのだ。政治的詐欺に従事させるためではない。おしゃべり!」 ヤツェニューク氏はこのように述べ、 サアカシヴィリ氏に「ウクライナから出ていけ」と叫んだ。
この「熱戦」にはポロシェンコ大統領もお手上げだったようで、止めもせず、手で顔を覆っていた。
5、「Facebookに移行せよ、味方を助けろ!」
2015年10月ヤツェニューク氏はウクライナ学生にロシアのソーシャルネットワーク「VKontakte」を使用することをやめFacebookに移るよう勧めた。首相の論拠が興味深い。「創始者のマーク・ザッカーバーグがオデッサの家族の出だというだけで十分だ。味方を助けなければ」という。
不名誉な終わり:辞任を余儀なく
一般市民も信頼度が記録的な水準に減少しており、議員らは最後の2ヶ月間、ほとんど公に、誰を首相にすべきかを議論しており、西側のパートナーらは政治危機の迅速な克服の必要性を主張しており、すべての人がウクライナの首相の辞任を主張している感じがする。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160411/1941620.html
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2016.4.11 09:32更新
ウクライナ首相が辞任へ 経済悪化、汚職対策停滞で支持率低迷[産経新聞]
【モスクワ=黒川信雄】ウクライナのヤツェニュク首相は10日、テレビ番組で辞意を表明し、12日に最高会議(議会)に辞表を提出すると発表した。インタファクス通信が伝えた。
ヤツェニュク氏は2014年2月の親欧米派による政変後に首相に就任した。しかし経済悪化や汚職対策への不満から支持率は低迷し、連立与党に参加した政党も相次ぎ離脱を表明するなど、政治混乱が深刻化していた。
国際通貨基金(IMF)は改革の遅れを理由に、承認済みの対ウクライナ融資の一部しか実施していない。ウクライナは政治体制の刷新により、国際社会からの支援をつなぎ留めたい思惑がある。
ヤツェニュク氏の後任には、ポロシェンコ大統領の支持基盤である与党「ポロシェンコ・ブロック」が推すグロイスマン最高会議議長が有力視されている。
http://www.sankei.com/world/news/160411/wor1604110007-n1.html
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ウクライナ首相が辞意表明、政治的混乱深まる
CNN.co.jp 4月11日(月)11時59分配信
ウクライナ・キエフ(CNN) 政治的混乱が続くウクライナのヤツェニュク首相が10日、辞意を表明した。12日に正式辞任する見通し。
テレビ演説でヤツェニュク首相は「国が戦争状態にある時に、政府の安定を損なうわけにはいかない」と語り、新政権の発足を促した。またツイッターを通じて、政治家のボロジミール・グロイスマン氏が後任の首相に指名されたことを明らかにした。
ウクライナが抱えているのは純粋な政治問題ではなく倫理的な問題だとも指摘、現時点での目標として、新しい選挙法、憲法改革、司法改革、欧州連合(EU)および北大西洋条約機構(NATO)への加盟を挙げた。
ウクライナでは数カ月前から政治的分断が深まり、2月にはポロシェンコ大統領がヤツェニュク首相に辞任を求めていた。
ポロシェンコ大統領は10日に発表した声明で、新しい連立政権の樹立と後任の首相指名を急ぐよう指示した。
同国東部ではこの1年あまり、ロシアが支援する分離独立派との戦闘が続く。その影響で経済状態は急激に悪化。国際通貨基金(IMF)はウクライナに対する175億ドル(約1兆9000億円)の緊急支援で合意し、引き換えに経済改革を求めたが、IMFに要求された改革に対して国民は強く反発している。
米ホワイトハウスの発表によると、バイデン米副大統領は10日、ヤツェニュク氏の首相辞任について同氏と話し合い、内閣を発足させてIMFやEUが求める改革を断行することの重要性を確認した。
最終更新:4月11日(月)16時25分
モスクワとワシントンの当局にミハイル・ゴルバチョフとロナルド・レーガンのような人々が就任したとき、ロシアと米国の新冷戦は終了する。 RTアメリカのラリー・キング氏の番組「Politicking」の独占インタビューで米国の歴史学者・政治学者スティーブン・コーエンが述べた。
RT:ロシアとアメリカの関係は将来的に改善するか、または悪化するか?
スティーブン・コーエン氏:答えは非常に短い。私はいつもこう考えてきたし、誰もがその証拠を見てきたわけだが、ロナルド・レーガンとゴルバチョフを思い出してほしい。ホワイトハウスとクレムリンにしかるべき人が就任したなら、この新たな冷戦は2週間で過去のものとなる。わずか2週間でゴルバチョフとレーガンにはできた。問題は、ワシントンでもモスクワでも、完全にその同盟国を管理できていないということだ。あまりにも多くのしっぽが犬を振り回している。米国の同盟国、NATO加盟でありながら、今、ロシアとの戦争を挑発しようとしているトルコを、シリアを、ウクライナを見てほしい。私たちにレーガンのような、立場を変更することができるリーダーを与えてほしい。私たちにソ連のゴルバチョフのような、立場を変更することができるリーダーを与えてほしい。さすれば我々は非常に迅速にこの冷たい戦争を終わらせられる。
クレムリンは、在任中の最大の過ちはカダフィ政権の転覆であったとするオバマ大統領の発言にコメントした。ドミトリー・ペスコフ報道官は、今やリビアは失敗国家である、と述べた。
記者らにコメントを求められたペスコフ氏は、米国と同盟諸国のリビア作戦は国家をほとんど壊滅させたと述べた。インターファクスが報じた。
「私は繰り返しリビアでとられた一連の措置について遺憾の意を表明していたプーチン大統領の言葉を引きたい。つまり軍事作戦およびカダフィ大佐の殺害のことだ。我々は今、残念ながら、リビアが失敗国家となっているのを目にしている」と報道官。
朝鮮人民軍出身の脱北者ではこれまでで最高位
北朝鮮の党、政府、軍の幹部はここ2年で20人以上が韓国に亡命
北朝鮮で対南(韓国)工作を担当する偵察総局の大佐が2014年末に脱北し、韓国に亡命していたことが11日までに分かった。この人物は韓国で活動する工作員を実際に管理する職務に当たっていたという。今回を含め、北朝鮮の党、政府、軍の幹部による亡命は、ここ2年間で20人を上回った。
北朝鮮の内部事情に詳しい複数の消息筋は11日「北朝鮮の偵察総局で対南工作を実際に指揮していた工作官が、娘を連れて中国経由で脱北した」と明らかにした。この偵察総局大佐は平壌で対南工作を担当していたが、後に海外(中国)に派遣された際、娘が中国に留学した機会を利用して共に亡命したようだ。上記の消息筋の一人は「この大佐は、気が変わりやすい金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の下で働いていると、いつ命を失うか分からないという危機感を日頃から持っていたため、亡命を決意したと聞いている」と述べた。
偵察総局は北朝鮮では国防委員会直属の組織で、金正恩氏に直接報告などができる朝鮮人民軍の核心的な地位にある。そのため偵察総局大佐は、一般の朝鮮人民軍将校よりも待遇が良く、過去の元軍関係者の脱北者の中では最も地位が高い。上記の消息筋の一人は「この大佐は、2014年以前の偵察総局による対南工作について、非常に詳しい情報を韓国側に提供したようだ」と伝えている。
2013年末に張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長が処刑された直後から、党、政府、軍の幹部らによる亡命が相次いでいる。中には金正恩一家の裏金を管理する39号室の管理下にあるテソン銀行のアフリカ支店長、ロシアのウラジオストク代表、中国や香港の責任者クラスなども含まれている。彼らはいずれも300万−500万ドル(約3億2000万−5億4000万円)の現金を持って亡命してきたという。
さらに偵察総局から外貨稼ぎのため中国に赴任していた中領(中佐に相当)クラスの幹部、対南工作機関・統一戦線部の外貨稼ぎ担当者、東南アジアやアフリカ駐在の外交官らも昨年亡命しすでに韓国に入国している。外交官の中には家族を連れて亡命してきたケースもあるという。ある韓国政府筋は「彼らはいずれも『自分も粛正される恐れがある』として命の危険を感じ、韓国行きを選択したと証言している」「金正恩体制がスタートした後、一般の脱北者の数は減少しているが、エリートの脱北は逆に増加している」などと明らかにした。
アン・ヨンヒョン記者 , イム・ミンヒョク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/12/2016041200978.html
※関連記事
「対北朝鮮強攻に拍車 韓国・朴氏を駆り立てる因縁 中ロとのあつれき辞さず:4.13総選挙に向けた政治パフォーマンス」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/219.html
「北朝鮮からの亡命、韓国で相次ぐ 軍高官や外交官も:「粛清の嵐」が吹いている北朝鮮、危ないと思った人は逃げる」
http://www.asyura2.com/15/asia19/msg/887.html
「北朝鮮偵察総局幹部、娘を連れて韓国に亡命:いつ命を失うか分からないという危機感を日頃から持っていた」
http://www.asyura2.com/15/asia19/msg/893.html
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記事入力 : 2016/04/12 10:40
【記者手帳】総選挙期間中に北幹部の脱北を公開した韓国政府
11日午前10時40分ごろ、国防部と統一部(いずれも省に相当)の記者クラブがどよめいた。聯合ニュースがこの日午前「北朝鮮で対南(韓国)工作を担当する偵察総局出身の朝鮮人民軍大佐が昨年、韓国に亡命した」と報じたことを受け、国防部と統一部の報道官が定例記者会見で「そういう事実がある」と認めたからだ。
各メディアは昨年半ばから、北朝鮮の労働党、政府、人民軍の幹部らによる脱北、亡命が相次いでいると報じてきた。だが、韓国政府レベルでこれを確認したことはなかった。
政府の関係者はそのたびに「脱北、亡命を考えている人たちや、脱北者の家族の身辺の安全を考慮した措置だ」と釈明してきた。「脱北者たちが経由した第三国との外交的な摩擦を避けるとともに、脱北ルートを保護するためだ」という話もあった。
それから1年もたたずに、政府の方針が180度変わったのだ。統一部は今月8日にも緊急記者会見を開き、海外の北朝鮮レストランで働いていた従業員13人が集団で韓国に入国したと発表した。政府は海外の北朝鮮レストラン従業員の脱北を公開したことについて「国際社会の対北制裁が効果を上げている証拠だ」と説明した。また、偵察総局幹部の脱北を確認したことについては「幹部たちの相次ぐ韓国入りが、北朝鮮のエリート社会の崩壊の兆候と考えられ、意味があると見なしたからだ」と主張した。
これは一理ある話だ。にもかかわらず、国会議員総選挙を目前に控えた時期のため、説得力は低下してしまった。北朝鮮の幹部たちが亡命したのが昨年だったという報道も相次いだが、なぜ今回のように確認しなかったのかという説明はなかった。ただ、野党・共に民主党はすぐさま「今回の発表は(総選挙を前に)大統領府の指示で行われた」との疑惑に言及した。
安全保障に関する情報は、どの国の政府であれ、メディアの報道を十分に確認することはない。メディアもそのデリケートさや重要性を認識しているため、一定の部分については報道しないということを受け入れている。だが、政府がこのような情報を、今の時期に、あのような形で公開するのならば、今後は「保安」を求めるのが難しくなる。幹部たちの脱北が持つ意味すらも歪曲(わいきょく)しかねない。
チョン・ヒョンソク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/12/2016041201151.html
【ソウル聯合ニュース】韓国の統一部当局者は10日、「現在、北の実力者は金元弘(キム・ウォンホン)国家安全保衛部長」として、「人民保安部などにも影響を与え、偵察総局の業務も一部担当している」との見方を示した。
金元弘氏=(聯合ニュース)
国家安全保衛部は反体制派の摘発や監視などを行う秘密警察で情報機関。治安維持を担う人民保安部は韓国の警察庁に相当する。最近、一部メディアは国家安全保衛部が人民保安部の業務だった経済事犯まで担当するなど、権限が拡大しているとして、黄炳誓(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長ではなく、金氏を政権のナンバー2と考える住民が増えていると報じていた。金氏は1945年生まれで、現在70歳とされる。
一方、金英哲(キム・ヨンチョル)氏が統一戦線部長兼対南(韓国)担当書記に任命され、空席となっている偵察総局長の人選はまだ行われていないとした。
kimchiboxs@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/04/11/0300000000AJP20160411000700882.HTML
【ニューヨーク聯合ニュース】北朝鮮の李洙ヨン(リ・スヨン)外相が米ニューヨークで22日(米東部時間)に開催される地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」の署名式に出席する。国連の報道官が11日、明らかにした。
李外相のニューヨーク訪問は昨年9月の国連総会以来、7カ月ぶり。国連安全保障理事会で強力な制裁決議が採択され国際社会の対北朝鮮圧力が強まる中、李外相の訪問に関心が集まる。
パリ協定は2020年以降の温暖化対策の新たな枠組みを定めたもので、昨年12月にフランス・パリで開催された国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された。
署名式とは別に国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が李外相と会談するかどうかにも注目が集まる。これについて国連報道官は「確定した事項はない」と伝えた。
sjp@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/04/12/0300000000AJP20160412001100882.HTML
米国務長官、71年目にして初の献花
米国務長官、広島の原爆犠牲者慰霊碑訪問「謝罪ではない」
日本、「オバマ大統領訪問」可否に関心
米世論、真珠湾など問題視し反発の可能性
広島平和記念資料館から慰霊碑まで180メートル。ほかの主要7カ国(G7)の外相たちは手を振って歩いた。ジョン・ケリー米国務長官は笑顔でたびたち立ち止まり、歓迎のため出てきた広島の小学生たちの手を握った。11日午前11時49分、G7外相7人は原爆戦没者慰霊碑の前に白い花輪をささげ、短く黙とうをした。第二次世界大戦終戦後71年目にして米国務長官が原爆犠牲者の前で頭を下げた瞬間だった。
この日、ケリー国務長官の口からは「謝罪(apology)」という言葉は一言も出なかった。ケリー長官の補佐官は米国人記者たちに「ケリー長官は謝罪に行くのかと問われるなら、答えは『ノー(No)』だ。過去の悲劇に悲しみ(sorrow)を感じるかと問われるなら、それは『イエス(Yes)』だ」と語った。
しかし、ケリー長官の足取りは「見てくれ」と言わんばかりに軽やかだった。同長官は芳名録に「全世界のすべての人々がここに一度来てみるべきだ」と書いた後、芳名録の写真を自ら簡易投稿サイト「ツイッター」にアップした。そして、「ここを訪れた初の国務長官だということを誇りに思う」と書いた。
専門家らは「ケリー長官の献花は、日米同盟が『第二次世界大戦の戦勝国と敗戦国』という構図を越えて、外交・軍事的に一体となって動く段階に入ったことを示している」と言った。日本のメディアの注目は「ケリー長官が来たのだから、オバマ大統領も来るのでは」という点に集中していた。ホワイトハウスは、今回のケリー長官の訪問の結果を見て、来月バラク・オバマ大統領がG7サミットに出席するため日本を訪れた際に広島に立ち寄るか、最終決定する方針だ。
菅義偉官房長官は「世界の指導者に被爆の実相に触れてもらうことは核兵器のない世界に向けた機運を高める上で極めて重要だ」と歓迎しながらも、「(オバマ)大統領の日程は米側が決めることだ。(日本)政府としてコメントは控えたい」と語った。
問題は米国の世論だ。これまで日本の首相が真珠湾を訪れたことは一度もない。安倍晋三首相は昨年、真珠湾訪問を検討したが、実行に移してはいない。米議会で「真珠湾などさまざまな戦闘について刻まれた第二次世界大戦記念碑の前で深い悔悟の念を抱いて黙とうした」と語ったのがすべてだ。
ソウル大学のパク・チョルヒ教授は「こうしたことは互恵的に進めるべきだが、日本の首相が真珠湾に行く前に米大統領が広島に初めて行けば、米大統領選挙の局面で議論になるかもしれない」と言った。日本の真珠湾攻撃は戦争を起こす行為であり、米国の原爆投下は両国間の戦争行為だったことも混乱を膨らませる要素だ。
現実的な壁もある。ケリー長官の献花は、広島で開催されたG7外相会合の枠組みの中で行われたものだ。だが、これとは違い、オバマ大統領が出席するG7サミットは、広島から500キロメートル離れた伊勢志摩で開かれる。オバマ大統領だけ別に広島に行くのも、G7の首脳が全員そろって広島に行くのも、政治的に負担が大きい。日本が国際社会で「唯一の被爆国」と称していることも、真実の一方的な側面にばかり焦点を当てたものだ。広島と長崎で亡くなった21万人のうち、4万人が朝鮮の出身者だった。
東京=金秀恵(キム・スへ)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/12/2016041200610.html
【ソウル聯合ニュース】「選挙の女王」と呼ばれてきた韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は13日に実施された国会議員総選挙で与党セヌリ党が過半数を割り込む最悪の状況を迎えることになった。
労働・公共・金融・教育の四つの構造改革実現を掲げた政権後半の国政運営は少数与党という障害にぶつかり、朴大統領の求心力は大きく落ちる見通しだ。朴大統領のレームダック(死に体)化が予想より早まるとの見方も出ている。セヌリ党は議席を増やすため、公認候補に選ばれず離党したが無所属で当選した「非朴系」(朴大統領と距離を置く勢力)の復党を検討するとみられ、朴大統領の同党に対する掌握力も低下する可能性がある。
16年ぶりに与党の議席数が野党を下回ることになり、公認候補選びを事実上主導した「親朴系」と青瓦台(大統領府)の責任論が浮上するとみられる。
kimchiboxs@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2016/04/14/0900000000AJP20160414000400882.HTML
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韓国総選挙 比例は新党が与党に次ぐ議席獲得か [聯合ニュース]
2016/04/13 21:16
【ソウル聯合ニュース】韓国で13日、国会議員総選挙(定数300)の投票が行われた。地上波3社(KBS、MBC、SBS)は合同で出口調査を実施し、独自集計を行った結果、比例代表(47議席)の議席数は、与党セヌリ党が15〜19議席、最大野党「共に民主党」が11〜14議席、新党の「国民の党」が12〜14議席と予想した。革新系の正義党が3〜4議席で続くとした。
yugiri@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2016/04/13/0900000000AJP20160413002800882.HTML
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記事入力 : 2016/04/13 18:42
韓国総選挙 与党「過半数割れ」=地上波3社出口調査[朝鮮日報]
【ソウル聯合ニュース】韓国国会議員総選挙(定数300、任期4年)の投票が13日、全国約1万3000カ所の投票所で行われた。地上波3社(KBS、MBC、SBS)が午後6時の投票締め切り直後に発表した予想議席数では与党セヌリ党が過半数を割り込んだ。3社は合同で出口調査を実施したが、独自集計に基づき議席を予想した。
KBSはセヌリを121〜143議席と予想。最大野党「共に民主党」を101〜123議席とした。MBCはセヌリ118〜136議席、共に民主107〜128議席。SBSはセヌリ123〜147議席、共に民主97〜120議席。
新党の「国民の党」の3社の予想議席は31〜43。
選挙は与党が過半数を確保するかが焦点となっている。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/13/2016041301920.html
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韓国総選挙の投票率 前回上回るも60%に届かず [聯合ニュース]
2016/04/13 21:11
【ソウル聯合ニュース】韓国国会議員総選挙(定数300)の投票が13日午後6時に締め切られ、暫定投票率が58.0%と集計された。2012年の前回総選挙の54.2%より3.8ポイント多い。中央選挙管理委員会が発表した。
投票率には今回初めて導入された期日前投票(投票率12.2%)のほか、在外投票(海外有権者投票)も反映されている。
2008年の総選挙では過去最低投票率(46.1%)を記録したが、12年、16年と連続して前回を上回り、4年後の総選挙では60%を超えるとの見方も出てきた。
1990年代後半以降の総選挙の投票率は、96年が63.9%、2000年が57.2%、04年が60.6%、08年が46.1%だった。
今回は当初期待されていた60%台には届かないものの、前回、前々回に比べ高い投票率を記録した。総選挙で初めて導入された期日前投票に効果があったことに加え、各党の大票田を含み、多くの地域で接戦となったことが複合的に作用したためとみられる。
地域別では全羅南道が63.7%と最も高く、全羅北道が62.9%で続いた。一方、大邱は54.8%で最も低く、釜山が55.4%で2番目に低かった。
首都圏ではソウルが59.8%で平均を上回ったものの、京畿道は57.5%、仁川は55.6%で平均を下回った。
最終投票率はすべての開票が終了する14日午前に発表される予定だ。
yugiri@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2016/04/13/0200000000AJP20160413002900882.HTML
【平壌4月8日発朝鮮中央通信】祖国平和統一委員会(祖平統)書記局は、最近、朴槿恵一味がかいらい国会議員選挙を控えて野党を「従北」勢力に仕立て、「北の挑発脅威」をけん伝しながら反共和国対決謀略策動に悪らつに執着していることで8日、それを糾弾する報道第1103号を発表した。
「セヌリ党」の保守一味は、同族対決と戦争策動に反対する在野民主勢力と社会各階層の正当な要求を「北に対する屈服」であり、「降伏」であると言いふらす一方、野党が選挙で勝てば「開城工業地区が再稼働され、北の核開発を助けることになる」という悪意に満ちた対決妄言を吐いて「従北」騒動を起こしている。
特に、朴槿恵一味は毎日のように北の「サイバーテロ」だの、無人機による「奇襲攻撃」だの、「声東撃西式挑発」だの、何のというほらを吹いて南朝鮮内に殺伐な恐怖の雰囲気をつくっている。
報道は、これは近づくかいらい国会議員選挙で惨敗を喫しないために、意図的に考案した反共和国謀略シナリオによるものであると暴いた。
また、極度の危機に追い込まれるたびに、謀略的な「北風」事件をつくり上げて「北の挑発脅威」についてけん伝するのはかいらい一味の常套的手口だとし、次のように指摘した。
今、朴槿恵一味は執権3年間に働いた経済破たん、民生破たん、北南関係破たんの罪悪によって民心の呪いと糾弾を受け、最悪の窮地に追い込まれている。
これに極度にあわてふためいた朴槿恵一味は、その活路を反共和国対決から見い出そうとあがいている。
朴槿恵と「セヌリ党」が選挙前夜に「サイバーテロ」「奇襲攻撃」などと言うのを大げさにけん伝しているのは、南朝鮮人民の憤激した目をよそにそらし、民心を欺まんして票をかき集めてみようとする下手な小細工にすぎない。
報道は、朴槿恵と「セヌリ党」はいかなる卑劣な反共和国謀略騒動によっても、南朝鮮人民の峻(しゅん)厳な審判を免れられないと強調した。−−−
http://www.kcna.kp/kcna.user.article.retrieveNewsViewInfoList.kcmsf
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では、この国の基礎を築き初代国家主席を務めた故キム・イルソン(金日成)氏の生誕104周年を祝う15日の「太陽節」に向け、数々の祝賀行事が始まった。
複数の報道によれば、太陽節に関連して、首都ピョンヤンには、米国やフランス、イタリアなど多くの国々から代表団が次々に到着している。
太陽節では、この祝賀行事に合わせて催される芸術祭「4月の春」の枠内で、日本やロシア、ウクライナそしてベトナムのアーチスト達の合同公演が予定されている他、数々の文化イベントが目白押しだ。
またピョンヤンでの国際マラソンなど、スポーツ競技会も、祝賀行事の重要な部分を占めている。42キロ、21キロ、10キロのマラソン、ハーフマラソン、長距離走などには、世界のプロのアスリートと共に、様々な国々からやってきた外国人旅行者達も参加する。
朝鮮半島情勢全般は悪化しているものの、太陽節は、北朝鮮への関心を高める効果をもっている。すでにピョンヤンの外国人用ホテルは、満杯の状態だ。首都にそびえる国際ホテル「コリョ」ヤ「ヤンガクト」ホテルのタワーは、夜毎に美しく煌めき、ロビーやカフェ、レストランは多くの人であふれている。その多くは、外国人観光客や文化フェスティバルに参加するアーチスト、国外に住んでいる朝鮮人達だ。
そのような動きが事実だとしても、米朝交渉は、日朝国交正常化の後に行われるだろう。
北朝鮮が断念するミサイル輸出と核兵器開発の代償を米国が支払う気はなく、その役割を日本に押しつけているからである。
米国のそのような意図が、02年の小泉訪朝と日朝平壌宣言につながった。日朝国交正常化後に約束されている経済協力支援の金額にはそのような“代償”も含まれている。
北朝鮮はこれまでも核爆弾を保有しておらず、米中露(たぶん日本や韓国も)当局者は、それを承知のうえで、対北朝鮮制裁を含む朝鮮半島問題を扱っていると思う。
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アメリカと北朝鮮 核戦争と交渉対話の間[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年04月12日 23:32
タチヤナ フロニ
中谷元防衛大臣は、記者会見で「北朝鮮が自らの核兵器や、弾道ミサイル能力の増強を企図している。対米抑止力を過信している」と述べた。
北朝鮮の発射場で、新型のICBMのエンジンの燃焼実験を行い、それが成功したと北朝鮮メディアが伝えた情報に対し、中谷防衛大臣は「仮に北朝鮮がこうした弾道ミサイルの長射程化、技術の向上をさせると同時に核兵器の小型化・弾頭化を実現した場合は、北朝鮮が、米国に対する戦略的抑止力を確保したという認識を、一方的に持つ可能性がある。仮に、北朝鮮がそのような抑止力に対する過信、誤認をすれば、北朝鮮による、地域における軍事的挑発行為の増加、重大化につながる可能性もある」と述べた。
朝鮮半島の問題に詳しいロシア人専門家のゲオルギー・トロラヤ氏によれば、今日、北朝鮮の指導部では、アメリカは北朝鮮との関係を、昔のソ連との関係をモデルにして構築しようとしているという理論が支配的である。それはつまり、お互いを滅亡させることが確実である、という危険性を基にしている。そして北朝鮮は、自国の核弾頭の威力増大をデモンストレーションするという戦略を選んだ。
これは、アメリカに交渉のテーブルにつかせるためであり、アメリカと何らかの妥協点を見出したいためである。このようにして北朝鮮当局は、他国が侵略・干渉をしてきた際、北朝鮮には自国を守るに十分な能力があり、単に圧力をかけるだけでは無意味であるという内容のシグナルを世界に向けて発している。しかしながら、このような政策をとるにあたっては、北朝鮮自身にも大きな危険性が及ぶとトロラヤ氏は指摘している。北朝鮮の核弾頭プログラムについて討議が行われたアメリカから帰国したばかりのトロラヤ氏に見解は次のようなものである。
「危険性とはつまり、北朝鮮がアメリカを実際に攻撃できる能力がない、見せかけ状態であるうちに、アメリカ人が現行の状況に甘んじることができず、北朝鮮の核施設に対して、先制攻撃を与えるかもしれないということだ。このことにおいて、私と会話した専門家たちの大部分の意見というのは一致している。しかし、日本の防衛大臣の言及からは、北朝鮮が選んだロケット核弾頭による「恐喝戦略」というのは、ある程度の効果があるということが見えてくる。問題はこういうことだ。アメリカ人というのは病的なまでに、世界の中の誰かがアメリカに攻撃を仕掛けて被害を及ぼすことを、技術的に可能にしてしまうのではないかと憂慮している。このことは深くアメリカ人の精神の中に植えつけられている。なぜならアメリカ人は未だかつて一度も、自分たちの領土で戦ったことがないし、自分たちのことを「守られた大洋」だと見なしてきたからだ。そして北朝鮮は今、この痛い所に明らかに圧力をかけている。アメリカに憂慮を呼び起こさせ、彼らに何らかの手段をとらせるためだ。この何らかの手段というのは、北朝鮮が思い描いているところで言えば、交渉し、妥協を見出すことだ。
ある程度、この理論は生きている。1月初旬から、アメリカは静かに北朝鮮と対話を始める道を探しているのだから。ここにおいては、以前のように、核を放棄することに関しての前提条件さえも設けられていない。これはアメリカの立場において、肯定的な変化、雪解けといえる。北朝鮮が核の盾を利用して行うことができただろう挑発について言えば、これはむしろ、政治家と一般の人々を驚かせるためのものだ。
ここ数年、北朝鮮はどのような扇動行為もしていない。そう、北朝鮮はプロパガンダ的な言動をしたり、プロパガンダ映像を流したりして、デモンストレーションとも言える練習射撃とテストをしているだけなのだ。まあしかしこれは、PR行動によって、広く注意を集めようとしているだけなのだ。実際には、世界や安全保障体制を脅かすような行動には出ていない。
しかし北朝鮮への様々な場所の攻撃を想定したアメリカと韓国の合同軍事演習はこれとは事情が違う。米韓合同部隊は、陸上部隊を北朝鮮に上陸させる想定演習をしているし、物理的に北朝鮮の上層部を排除するトレーニングもしている。」
朝鮮半島にアメリカ軍が最新軍備を配置していること、そして戦略的に爆撃機や航空母艦を配備していることは、北朝鮮のプロパガンダ風のおしゃべりに比べれば、朝鮮半島の安定化のためには全く容易ならぬ、重大なことだとトロラヤ氏は見なしている。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160412/1949364.html
ロシアは南クリル諸島の帰属について日本と完全にはっきりさせることを望んでいる。ロシアのラヴロフ外相が12日に行われたモンゴル、日本、中国メディアとのインタビューで述べた。ロシアのマスコミが報じた。
ラヴロフ外相は、2001年に署名されたロシア大統領と日本の首相の声明を、島の帰属に関する交渉を行うための基盤と考えることができるかとの記者からの質問に、次のように答えた−
「これは、いずれにせよ声明にすぎず、批准された文書ではない。とはいえ私は、我々の目標が、4島全ての帰属に関する完全な明確さを保障することであるのを確認する。」
ラヴロフ外相は、ロシアと日本の間には、1956年10月19日の共同宣言が存在すると指摘し、「1956年10月19日の宣言は、ただ署名されただけでなく、この問題に関して我々の国の間で批准された唯一の文書である」と述べた。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160412/1949044.html
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ロシア外相 北方四島の帰属問題 交渉続ける姿勢示す
4月13日 4時32分
ロシアのラブロフ外相がNHKなどとのインタビューに応じ、北方四島の帰属問題について、日本と交渉を続ける姿勢に変わりはないとする一方、「第2次世界大戦の結果を認めなければ前進できない」と述べ、四島は戦争の結果、ロシア領の一部になったとする主張を、まずは日本が認めるべきだと強調しました。
ロシアのラブロフ外相は15日に日本を訪問し岸田外務大臣と会談するのを前に、12日、モスクワでNHKなどとのインタビューに応じました。
この中でラブロフ外相は北方領土問題について、「プーチン大統領と森元総理大臣が2001年にイルクーツクで会談した際に、四島の帰属を含むすべての問題について対話を続けることで合意した。ロシアは、これを拒否するわけではない」と述べ、四島の帰属問題について、日本と交渉を続ける姿勢に変わりはないとの考えを示しました。
そして、「両国が署名と批准をした唯一の文書は1956年の共同宣言だ」と述べ、ロシアとしては平和条約を締結したあとに、歯舞群島と色丹島の2島を引き渡すとした日ソ共同宣言をより重視する考えを示しました。
その一方で、「第2次世界大戦の結果を認めなければ前進できない。平和条約の議題が領土問題や領土の要求に絞られてはならない」と述べ、北方四島は、戦争の結果、ロシア領の一部になったとする主張を、まずは日本が認めるべきだと強調しました。
また、先送りになっているプーチン大統領の日本訪問の時期については「機が熟したときに、日本側が具体的な日程を示してくれれば検討する」と述べる一方、アメリカが日ロの首脳間の対話を懸念していることには「言語道断だ」と強い不快感を示しました。
「米朝、平和協定で一時交渉 1月核実験実施で決裂:腹が据わらぬ安倍政権に日朝国交正常化を急かせるメッセージ」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/652.html
「北朝鮮 プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置・ウラン濃縮遠心分離器+軽水炉原発は米国“公認”」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/142.html
ラヴロフ外相:ロシアは露大統領訪問の具体的な時期について日本から連絡を待っている[スプートニク日本語]
2016年04月12日 22:54(アップデート 2016年04月13日 00:49)
ロシアのラヴロフ外相は、モンゴル、日本、中国メディアのインタビューで、ロシアのプーチン大統領の訪日を妨げているものはないと述べ、ホスト国が具体的な時期を決める必要があると指摘した。12日、ロシアのマスコミが報じた。
ラヴロフ外相は、次のように述べた−
「プーチン大統領の訪日を妨げているものは何もない。招待した側に具体的な日付が出ることが必要だ。全ては、我々の日本の同僚たちが、いつ、自分たちはプーチン大統領にどの時期を提案するのかについて決めるのが可能だ、と感じるかにかかっている。」
2015年9月21日、ラヴロフ外相は、日本の岸田外相との会談を総括し、ロシアはプーチン大統領訪日の具体的な時期に関する日本の提案を検討すると伝えた。
テロ組織「ボコ・ハラム」(2015年から「『イスラム国』の西アフリカ州」に改名)は、ナイジェリア北部のチボクにある学校から拉致した少女たちの解放と引き換えに、約3500万ポンドの身代金を要求した。11日、テレグラフ紙が報じた。
テレグラフ紙は匿名の消息筋の話として、「ボコ・ハラム」の指導者たちがナイジェリア政府と接触し、少女たちの解放交渉を提案したと伝えた。
2014年4月14日、チボクにある学校の女子生徒276人が「ボコ・ハラム」に拉致された。その後、複数の少女たちが脱走に成功したが、未だに219人が行方不明となっている。
イラクは3月、原油生産量を455万バレルという記録的な水準に増加させた。イラク国営石油マーケティング(SOMO)社の情報をもとにブルームバーグが報じた。
2月、イラクの原油生産量は一日あたり446万バレルだった。3月の原油輸出は一日あたり381万バレルに増加。2月に比べて17.9%の増加だ。
国際エネルギー機関(IEA)によると、1月のイラクの原油生産量は一日あたり443万バレルだった。
2月16日、ドーハでの会議で、ロシア、サウジアラビア、カタール、ベネズエラは、世界の原油価格を維持するために、2016年の平均生産を1月のレベルで維持することに合意したが、他の産油者がこのイニシアチブに参加する場合にのみ、という条件がついた。支持を表明した国にはエクアドル、アルジェリア、ナイジェリア、オマーン、クウェート、アラブ首長国連邦がある。石油輸出国機構(OPEC)加盟国および非加盟国の会議がドーハで4月17日に行われ、生産凍結への取り決めが議論される。
http://jp.sputniknews.com/business/20160411/1939635.html
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サウジアラビア 「減産は忘れるべき」[スプートニク日本語]
2016年04月13日 21:57
サウジアラビアは、原油を減産しない。サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相が発表した。ロイター通信が報じた。
ヌアイミ石油相は、原油減産に関するロイター通信からの質問に対し、「その話題は忘れるべきだ」と述べたという。
この報道を受け、原油価格は約2パーセント値下がりして1バレル=43.77ドルとなった。
4月1日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王子は、イランが同様の措置に踏み切った場合にのみ、サウジアラビアも減産する用意があると述べた。
http://jp.sputniknews.com/business/20160413/1955541.html
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/481.html
今年2016年第一4半期、中国の原油輸入量は、昨年の同じ時期に比べ6%増加、一日の輸入量は734万バレルとなった。ブルームバーグ通信の指摘によれば、これは「この時期としては記録的な数字だ」。
今年1月から3月までの期間全体で、中国は約9110万トンを輸入した。これは、原油価格が変化しないうちに価格下落から最大限の利益を引き出したいとする独立系石油加工企業の活動が活発化し、原油需要が伸びた事によるものだ。
さきにStandard Chartered Bankは、次のような見方を示しているー
「昨年2015年、中国における石油製品の需要は6,2%増えた。今後も中国は、自国の戦略的ストックを補うために、国外での原油買付けの拡大を続けるだろう。 その結果、2018年末から2019年初めまでに、中国の原油輸入量は、一昼夜1千万バレルを越え、その事は、中国を押しも押されもしない世界最大の原油輸入国にするに違いない。」
http://jp.sputniknews.com/business/20160413/1953177.htmlr
国際通貨基金(IMF)対日ミッションの責任者を務めるリュック・エフェラールト氏は、「日本が現時点で、円高に歯止めをかける目的で為替介入を行う正当な理由はない」との見解を示した。通信社ブルームバーグが報じた。
エフェラールト氏はブルームバーグのインタビューで、「為替レートが極めて無秩序な動きを示さない限り、現時点での日本の介入には正当な理由はない」と述べ、「より重要なのは、日本が成長とインフレを加速するための国内政策を導入し、為替レートを放任することだ」と指摘した。ブルームバーグが伝えた。
ブルームバーグは、日本の介入に関するあらゆる予想が、今週開かれるIMFと世界銀行の春季会合の参加者たちの否定的な反応を呼ぶだろうと指摘している。
エフェラールト氏は、インフレ期待が予想よりも弱かった場合、日本銀行は政策緩和に向けて準備するべきだと語った。
ケリー米国務長官は、他のG7各国の外相と一緒に、広島平和記念公園内の平和記念資料館を訪問した後、原爆の被害を受けても唯一形が残った広島の原爆ドームを訪れた。
ケリー長官は、米国による原爆投下に対して公式な謝罪をしなかったが、この訪問から強い印象を受けたと指摘した。
ケリー長官は、展示について、核兵器のない平和を創造し維持する全ての人の義務について言及しているとの考えを示した。
ケリー長官はまた、平和記念資料館の重要性と人類を核兵器から解放する重要性を強調したほか、核のない世界が達成可能な目標であるとの確信を示し、そのために米国がロシアと緊密に協力していると語った。
ケリー長官は、「私たちの国は、核のない世界の概念を理解しており、この兵器をどのようにして相互に放棄するかについての対話を続けている」と指摘し、ゴルバチョフ大統領とレーガン大統領の時代に両国の核ポテンシャルを5万発の核弾頭から1500発にまで削減したことについて言及し、「我々も先へ進む用意がある」と述べた。
今週4月15日、ロシアのラヴロフ外相が東京を訪問し、岸田外相と会談する。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官によれば、ロ日外相会談の主なテーマは、プーチン大統領と安倍首相が以前合意に達したロ日首脳会談実施に向けた準備だとのことだ。
今年の初めから、ロシア政府高官の日本訪問が頻繁に行われるようになり、2月にはデニス・マントゥーロフ産業貿易相が、3月にはアレクセイ・リハチョフ副経済発展相が東京を訪れた。5月には、ユーリイ・トルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領全権代表の日本訪問が予定されている。現在、トルトネフ副首相と林幹夫経済産業相との会談について、打ち合わせがなされているところだ。ここで思い出されるのは、林経済産業相が最近「外国との貿易取引は大きく減少したが、ロシアとの経済協力は、拡大する可能性があるし、そうならなければならない」と述べた事だ。大臣によれば「日ロ両政府は、互恵協力の復活と拡大、税関手続きの簡素化及び日ロ貿易支援に向け活発な作業を続けている」という。
2月22日、日本経済新聞のインタビューに応じた中で、アルカーヂイ・ドヴォルコヴィチ副首相は「巨大な石油ガス採掘プロジェクトをコントロールできる株式の保有を日本企業に譲渡する用意がある」と語った。また副首相は、クリル諸島での経済発展プロジェクトに日本企業の参加を容認した。日本の複数のマスコミは「こうしたすべての事は、日本との経済協力を『停滞』から抜け出させ、プーチン大統領訪日に新しい刺激を与えるためのものだ」と見ている。
ロシア国際地域発展センターのイーゴリ・メラメド事務局長は、極東を含めたロシアとの経済協力に「日本は今も関心を持っている」とし「ただ延ばし延ばしにされてきただけだ」と指摘し、次のように続けた-
「かつて安倍首相がモスクワを訪問した時に示したような立場はすべて、残っている。それは、太陽エネルギーやサハリン-1やサハリン-2を含めた古く同時に新しいエネルギープロジェクトだ。それらは、ロシアの産地から日本への原料供給を保証する。
そして日本のテクノロジーを使ってロシア領内で食料品を大量生産する農業プロジェクトもある。安倍首相が述べたように、我々が一緒になれば、世界全体を『食べさせる』ことができるだろう。
さらに建築業や、巨大な投資プロジェクトを支える『スマートシティ』作りといったものもある。他にも流通、自動車輸送、医学クラスター、科学領域での協力に観光業の振興など、まだまだロ日協力の場はたくさんある。 そのための諸条件は作られた。投資家への優遇措置も決められた。今は、一連のプロジェクトの具体的実現に向けた、注意を要する細かい作業が続けられているに過ぎない。」
なおロシア極東研究所のオレグ・カザコフ主任研究員は「日本の実業界は、大変実利的で、儲けのあることしかしないだろう」と指摘し、次のような考えを示した-
「現在日本側が、ロシアに対し極めて慎重に接しているとはいえ、二国間の経済関係は、当然、議題に入っているだろう。ロシアにとって、政治的議題を経済的なものに置き換えるのは望ましい事だが、日本は決して、北方領土要求を放棄するような事はしないだろう。
日本人も含め、非常に多くの専門家達が、安倍首相がプーチン大統領との会談に対し、なぜ楽観的なのか、理解できないでいる。ここで推量できるのは、クリルの島々に関して、いかなる解決もなされないだろうという事で、私は100%の確信を持って、そう言う事ができる。」
「どうする消費増税:5月段階で1ドル=100円を超えて円高が進みその水準が定着すると迷いも...」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/269.html
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記事入力 : 2016/04/13 09:01
止まらない円高・株安、日本の対応に注目集まる
「G20(20カ国・地域)は偏った為替の動きに対し、(日本の)必要な措置を認めるはずだ」(麻生太郎財務・金融相)
円高が進行する中、14−15日に米ワシントンで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議以降、日本が円安誘導に向け、追加的な措置を講じるのではないかとの観測が高まっている。現在のような円高が続けば、日本経済が打撃を受け、世界経済まで不安定化するとの懸念から、G20は日本の円切り下げを容認するしかないとの見方だ。12日の麻生財務・金融相の発言で、円高の流れが一服し、同日の東京外国為替市場では円相場が前日比40銭円安ドル高の1ドル=108円30銭を付けた。
しかし、日本が安易に為替市場に介入することはないとの意見もある。米国も貿易赤字を計上している状況では、日本の為替介入が世界的な為替戦争を招く可能性があり、日本経済も現在の円高水準に耐える余裕があるとの論理だ。
■G20後の日本の対応注目
円相場は3月28日から11営業日連続で上昇し、4月11日には107円90銭を付けた。これは2014年に日本が第2次量的緩和に踏み切る直前の水準だ。日銀が200兆円を超える資金をつぎ込んでも円安維持に失敗したことで、日本の金融街では「日銀は頭でっかちだ」との批判が高まっている。最初はもっともらしいことを言うが、実体経済に目を向けず、融通が利かない日銀の状況を皮肉った表現だ。匿名の日本経済専門家は「この程度で効果があるだろうと劇薬(量的緩和)を投与したが、患者(日本経済)は少しも改善しない。不信が高まった状況でいくら荒療治をしてみたところで、逆効果を生みかねない」と話した。
円高が続き、日本企業は業績不振の泥沼にはまっている。三菱商事は最近、2016年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が1500億円の赤字になるとの見通しを明らかにした。第2次大戦以降初の赤字の危機に直面した格好だ。2月の日本の製造業の機会受注は前年同月比30.6%減と過去最大の減少幅を記録した。
こうした状況から、G20会議で根回しを行った上で、日本が円安誘導に動くのではないかとの見方は少なくない。安倍晋三首相が先月末、ポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大教授を首相官邸に招き、「国際金融経済分析会合」を開いたことについても、為替介入に米国などから事前了解を取り付けることが目的ではないかと受け止められている。金正G(キム・ジョンシク)延世大教授は「円高になれば、日本経済は困難に直面する。東アジアの覇権争いで中国の対抗馬として日本を立てなければならない米国は、円安を容認するだろう」と分析した。
これに関連し、世界の金融界では、日本が再び円安を起こすため、マイナス金利政策を強化するか、7月の参院選を控え、財政支出拡大というカードを切るのではないかとの見方が出ている。
■1ドル=100円まで円高進行との見方も
一方、日本経済がまだ持ちこたえられるとの判断から円高が当面続くとの意見もある。「ミスター円」として知られる元財務官の榊原英資・青山学院大学教授は11日、ブルームバーグのインタビューに対し、105円の水準は日本経済にとって「何ら問題ではない」と指摘した上で、円が年内に100円を超えて上昇する可能性があるとの考えを示した。日本の2月の貿易収支は4252億円の黒字だった。
また、米国は自国の貿易赤字を解消しなければならないため、これ以上の円安を容認しないとの見方もある。米国の2月の貿易赤字は前月に比べ3%近く増加し、471億ドルだった。ルー米財務長官は11日、「国際通貨基金(IMF)とG20は無分別な通貨切り下げ国に圧力をかけるべきだ」と発言した。ルー長官の発言は中国とドイツを標的にしたものだが、日本の行動の幅も制約されるとの見方がある。
崔炯碩(チェ・ヒョンソク)記者 , 東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/13/2016041300630.html
沖縄本島北部の国頭村(くにがみそん)・東村(ひがしそん)にまたがって位置している米軍の北部訓練場をめぐり、政府・沖縄県・地域住民の思惑が交錯している。
北部訓練場は総面積が7800ヘクタールにものぼり、ジャングル戦闘訓練センターとも呼ばれている。この一帯は「やんばるの森」として有名な森林地帯となっており、国の天然記念物、ヤンバルクイナやノグチゲラなどの希少種が生息している。
北部訓練場は、ベトナム戦争時には米軍にとってゲリラ戦のための格好の訓練場となった。当時、訓練のため猛毒・ダイオキシンを含む枯れ葉剤が沖縄に持ち込まれ、そのために健康被害を受けたと複数の米兵が証言している。ジャパン・タイムズ紙が米退役軍人省から入手した資料によれば、96年から2010年にかけて健康被害を訴えた米兵の数は132人にものぼるということだ。しかし米政府は、枯れ葉剤を沖縄に持ち込み、訓練に使用したことは否定している。日本政府も、この問題を突き詰めて調査することはなく、現在まで曖昧になったままだ。
この北部訓練場は、1996年のSACO合意に基づき、過半(約3987ヘクタール)を返還することになっている。しかしその交換条件として、ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)を返還されない区域に6カ所建設しなければならない。6カ所中、2カ所は既に建設済みだ。北部訓練場の部分返還は当初2002年度末を目処としていたが、ヘリパッド建設問題が解決されないため、延びに延びている。しかし国はこの問題に決着をつけるべく、年内の部分返還を目指すと明らかにした。
沖縄県は難しい立場に置かれている。新しいヘリパッドが完成すれば、新型輸送機オスプレイが配備されるだろうことは明らかだ。このためオスプレイの配備撤回を掲げる県は、ヘリパッド建設に反対する住民たちの運動を直接排除することはしていない。しかし沖縄における米軍専用施設の面積を減らしたいという点では、皆の思いは一致している。翁長知事は今のところ、返還計画の賛否に関して「交通整理が必要」だとし、態度を明らかにしていない。
ヘリパッドが全て完成すると、東村の高江の集落(人口約150人)は、ヘリパッドに囲まれるような形になってしまう。高谷の集落の住民としては、当然建設に反対だ。反対運動関係者は「東村としてはヘリパッド建設を認めています。基地を提供すれば交付金が出て、村の財政になりますから。沖縄本島最北部の国頭村の方は返還される部分が多いですが、東村はほとんど返還されずに訓練場が残ってしまいます。国頭村と東村の足並みが揃っておらず、そこに国がつけこんでいるのです」と話す。
工事現場周辺では、「ヘリパッドいらない住民の会」と、「高江ヘリパッド建設反対現地行動連絡会」のメンバーが座り込みで反対運動を行っている。メンバーの一人は、「政府としては我々の反対運動のために工事ができなくなっているので、これを排除することを沖縄県に依頼しています。この行政指導の求めに対し県がどのように対応するかが、目下の我々の問題です。」と話している。
「太陽節に向け準備するピョンヤンは旅行者でいっぱい」
http://www.asyura2.com/15/asia19/msg/901.html
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この時期に北朝鮮で国際マラソン大会とは驚きだ!
辺真一 | コリア・レポート 編集長 2016年4月8日 11時22分配信
北朝鮮は一週間後に金日成主席の生誕日(15日)を迎える。この日を記念して、毎年平壌ではマラソン大会が開催される。
正式名称は「万景台国際マラソン競技大会」。国際陸上連盟により認められた正式な国際大会なので「国際」という冠が付いている。ということは、外国人選手も参加していることになる。
「平壌マラソン」は今年で29回目を迎えるが、一昨年(2014年)の27回目から海外からも参加できるようになった。この年には中国、台湾、ロシア、ナミビア、エチオピア、ケニア、南アフリカ、ウズベキスタン、ドイツ、オーストラリアなど15か国から500人が、また昨年もマレーシア、シンガポール、スウエーデン、フィンランド、イギリス、イタリアなど30か国から600人の外国人が参加したと伝えられているが、その中には平壌駐在の外国大使館館員らも相当数含まれているようだ。
今年も、外国人選手の出場が見込まれ、すでにナミビア、南アフリカ、ザンビア、ジンバブエなどアフリカの選手らが平壌に到着しているようだ。アフリカからは平壌大会に箔を付けるため現地駐在の北朝鮮大使館が手をまわして「招待選手」して呼んだのであろう。
今年は、国連による「過去20年間で最強の制裁」が科せられている環境の下に置かれていることからもしかすると中止もあり得ると思いきや、制裁には屈しないとの決意の表れなのか、予定どおり決行するようだ。
すでに報道されているように日本からは国会議員でもあるアントニオ猪木氏が来賓として招待されていたようだが、日本政府及び国会の渡航自粛要請を受け入れ、訪朝を断念したようだ。
選手以外の観光を含めた一般人の募集は中国や米国などで行われているようだ。米国内で北朝鮮ツアーを斡旋している「我がツアーズ」の代表の話では、今年の大会には1千以上が参加するという。蓋を開けてみなければ、実際の数はわからないが、事実ならば、昨年よりも400人以上も多い。
旅費と参加費(登録費)は全額自己負担である。フルマラソンだと100ユーロ(ハーフマラソン=70ユーロ)かかる。これに航空費やホテル代などを含むと北朝鮮にとっては貴重な外貨収入となる。ちなみに訪朝にはすべて含めて一人当たり16万円から21万円かかる。外貨が北朝鮮の核とミサイル開発の資金に使われる恐れがあるとして流入を阻止しようと国連が制裁を科そうがおかまいなしにアジアの片隅の国に行こうとする「変り者」というか「冒険野郎」がいるから驚きだ。
日本にも「北朝鮮シンパ」を含め「北朝鮮オタク」や「北朝鮮マニア」が結構いる。この1千人の中にどれだけの数が含まれているのやら興味津々だ。
辺真一 コリア・レポート 編集長
東京生まれ。明治学院大学(英文科)卒業後、新聞記者を経て、フリージャーナリストへ。1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。1986年 テレビ、ラジオで評論活動を開始。1998年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー。1999年 参議院朝鮮問題調査会の参考人。2003年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(〜2015年3月)を歴任
http://bylines.news.yahoo.co.jp/pyonjiniru/20160408-00056368/
(むろん、経済の破壊的低迷を考えると、「北風」を利用したことでこの程度の敗北で済んだとも言えるのかも知れない)
辺氏は、政権浮揚の「奥の手」として、李前大統領に対する弾劾(非難)をあげているが、交代からすでに3年以上経過しているうえに同じ“保守セヌリ党”出身でもあることから、李前大統領追及が政権浮揚につながることはない。
朴大統領は、北朝鮮に対する国際的制裁の強化を煽るかのようにケソン工業団地からの撤退を決めた。この措置は確かに慢性的な外貨不足に苦しむ北に打撃を与えるが、同時に、ケソンで事業を拡大してきた韓国企業に大きな打撃を与えるものである。
「北風」(北朝鮮絡みの事件)は、韓国の“ひとり相撲”では空回りになって効果はない。ミサイルを発射する韓国攻撃を唱えるなど北朝鮮当局との“阿吽の呼吸”で進められることで実効性が高まる。(南北は裏で通じているということ)
韓国民がどこまで「北風」を意識したかはわからないが、それよりは経済問題のほうを重要視したと言えるだろう。
朴大統領が頭を下げてというわけにはいかないが、韓国の経済的利益にもつながるケソン工業団地の操業再開から「南北対話」に動くほかないというのが朴大統領の立ち位置だと思う。
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惨敗した「選挙の女王」朴大統領に政権浮揚の「奥の手」はあるのか
辺真一 | コリア・レポート 編集長 2016年4月14日 10時10分配信
韓国の総選挙(4月13日)は開票の結果、朴槿恵大統領率いる与党・セヌリ党は事前予想に反し、過半数(151議席)を大きく割り込み、122議席と惨敗した。一議席多い123議席獲得した野党・共に民主党に第一党の座を譲る大敗だった。
野党勢力は民主党から袂を分かれた国民の党の38議席に加え、革新政党の正義党の6議席を加えると、無所属(11)を除いても、167席と過半数を大きく上回る。実に16年ぶりの「与小野大」の国会となった
今回の総選挙は朴政権下での初の総選挙でもあった。ある意味では朴大統領の国政に対する国民による審判、信任投票の性格も帯びていた。
朴大統領はこれまで選挙に強いことから「選挙の女王」と呼ばれていた。金大中政権下の1998年に46歳で政界入りしてから4期連続当選。李明博政権下の2012年4月の総選挙では与党の党首として臨み、苦戦の予想を覆し、善戦したことで「セヌリ党のジャンヌ・ダルク」とも称された。同年12月の大統領選挙では野党の統一候補に勝てる玉として擁立され、激戦の末、ものの見事に当選し、保守政権を維持した。
大統領になってからも「ミニ総選挙」として注目された一昨年7月の国会議員再・補欠選挙(15か所)でも与党は11議席を獲得し、圧勝した。野党が強いソウル及び京畿道の首都圏で5つのうち4つを制し、さらには野党の牙城である全羅南道で26年ぶりに議席を獲得し、「選挙に強い」との神話さえ生まれた。そのジンクスが今回、崩れたのである。
任期残り2年を切った朴大統領にとっては求心力を維持するうえでも今回の総選挙は絶対に負けられない選挙であった。自ら乗り出し、投票日前に「北朝鮮の核問題や経済条件の悪化をはじめ、様々な困難を克服し、国民生活の安定や経済活性化に尽くすには新たな国会が誕生しなければならない」と訴え、国民に間接的に与党への投票を呼び掛けたのもこの選挙の重要性、重大性を誰よりも痛感していた。
「北風」(北朝鮮絡みの事件)は与党には追い風、対北融和派の野党には逆風になるとの過去のジンクスを信じ、脱北者については時間をかけて公表するとの慣例を破り、北朝鮮レストラン従業員13人の脱北を投票5日前に発表したのも、北朝鮮に対する制裁効果をアピールするとともに反北の保守票を掘り起こすことに狙いがあったからに他ならない。
朴大統領としては強力なリーダシップを発揮するには与党が大勝し、国会を制する必要があった。朴政権の目玉である経済活性化のためのサービス産業発展法や労働改革法案等が国会に提出されているが、国会議員の5分の3の賛成がないと法案を上程できないと定めた「国会先進化法」に阻害され、通せないでいる。最大で69万人の雇用を創出できると訴えているサービス産業発展法案に至っては提出して3年経っても塩漬けされたままだ。
朴大統領は仮に与党が単独で3分の2(180議席)を取れなくても、与党の公認から漏れ、無所属から出馬し、当選した議員らを復党させれば180議席になると読んでいただけに、3分の2どころか、過半数を割ってしまい、第一党の座まで野党に奪われたショックは大きい。
「与小野大」の国会となったことで大統領の求心力は低下し、今後政権運営が厳しくなるだろう。野党の協力なくしては、法案は一本も通らないからだ。また、求心力を失った時の世論の風当たりは半端ではない。
「聖域のない徹底調査」を約束しておきながら手を付けないままの客船「セウォル号」沈没事故の真相究明をはじめ大統領の元秘書らの政府人事介入疑惑、情報機関(国家情報院)による大統領選挙介入疑惑、歴代秘書室長ら与党政治家への献金疑惑などが再度追及されるかもしれない。慰安婦問題をめぐる日本との外交決着が蒸し返され恐れもある。また、対北朝鮮強硬路線も修正を余儀なくされるだろう。
大統領の場合、違法行為で弾劾されない限り、国会から不信任を突き付けられ、解任されることはなく、5年の任期を全うできるが、求心力を回復するには何らかの手を打たなくてはならないだろう。
低迷する経済の活性化は政権浮揚のカンフル剤になるが、任期中に世界経済が好転すれば話は別だが、韓国の独力だけでは限界がある。南北首脳会談も切り札にはなるが、朴大統領を「このアマ」呼ばりしている北朝鮮が受けるかどうかもわからない。
「核とミサイルを放棄しなければ、考えを改めなければ自滅させる」とまで言ってきた、息子ぐらい年の離れた相手に対話を呼び掛けるほど屈辱的なことはない。それでなくても、よりによって金第一書記の国防第一委員長就任日という北朝鮮にとってはお目出度い日に選挙で負けたことで金第一書記にプレゼントを献上してしまったと考えると、腸が煮えくり返っているかもしれない。
朴大統領には残された「奥の手」があるとすれば、かつての大統領のように前任大統領の非を追及することかもしれない。
朴大統領は選挙公約で大統領の親族及び側近の不正腐敗の根絶のための特別検事制度の常設化とともに「大統領親・姻戚及び特殊関係人腐敗防止法」を制定し、特別監察官制度の導入の推進を約束していた。まして、前任の李明博前大統領には大統領の私邸用地の不正購入疑惑をはじめ国家に財源的損失を与えたばらまき資源外交疑惑など疑惑が数々ある。
どうやら、後任の大統領が前任者を裁くというジンクスだけは復活しそうだ。李前大統領は枕を高くして寝られそうにもなくなった。
辺真一 コリア・レポート 編集長
東京生まれ。明治学院大学(英文科)卒業後、新聞記者を経て、フリージャーナリストへ。1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。1986年 テレビ、ラジオで評論活動を開始。1998年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー。1999年 参議院朝鮮問題調査会の参考人。2003年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(〜2015年3月)を歴任
http://bylines.news.yahoo.co.jp/pyonjiniru/20160414-00056593/
【北京聯合ニュース】中国にある北朝鮮レストランの従業員13人が集団で韓国に亡命した問題で、この店の中国人経営者が北朝鮮の従業員に1年分の賃金として100万人民元(約1700万円)ほどを前払いしていたことが分かった。
13人が働いていたとされる中国浙江省・寧波の「柳京食堂」で管理人を務めていた中国人は14日、聯合ニュースの電話取材に対し「店の経営者から(北朝鮮の支配人と従業員が)金を持っていったという話を聞いたが、それは(店側が前払いした)1年分の賃金だ」と明かした。また「20人ほどの北朝鮮従業員に対する1年分の賃金は100万元以上だ」とも述べた。
この賃金がいつ支払われたのか、北朝鮮に送金されたのか、あるいは本当に亡命した従業員が持っていったのかは分かっていない。
一方、柳京食堂の関係者が撮影した北朝鮮従業員のパスポート写真と外国人滞在登録証を聯合ニュースが入手し、確認した結果、この店で働いていた北朝鮮従業員は計21人と分かった。韓国入りした13人以外の行方は分かっていない。一部のメディアは全員または大半が北朝鮮に戻ったと報じたが、数人が中国に残り韓国入国を待っているとの報道もある。
stomo@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/04/14/0300000000AJP20160414005500882.HTML
親北朝鮮的な在米韓国人が運営するニュースサイト・民族通信が12日付の記事で、先週起きた北朝鮮レストラン従業員らの集団脱北は、韓国の総選挙(13日投開票)で保守派を有利にするため朴槿恵政権が仕組んだ「でっち上げ事件」であると主張している。
(参考記事:北朝鮮レストラン「集団脱北事件」…原因は中朝関係者間のトラブル?)
民族通信は、「韓国の国家情報院(国情院)に誘拐されそうになった」という北朝鮮の若者らを平壌で取材。それを根拠に、レストラン従業員らの脱北も同様の出来事であると言っているわけだ。
筆者はここで、国情院がそうしたオペレーションを行っているかどうか、その真偽について語る材料を持っていない。ただ、ときに南北が砲火さえ交える朝鮮半島情勢の苛烈さを鑑みれば、「やっていてもおかしくない」と考えている。
それは、今回の集団脱北についても同様だ。というのは、この件が金正恩体制に与えるダメージの大きさから逆算してみると、「何とも効果的なやり方だな」と思えるからだ。
北朝鮮の政府機関や事業体の多くは、国家の財政難のために独立採算を余儀なくされており、貿易や海外での事業で外貨を稼ぎださなければならない。もちろん、朝鮮労働党などから「上納金」のノルマを課せられており、それを賄うためには薬物、偽バイアグラ、金塊の密輸などにも手を染める。
(参考記事:北朝鮮外交官はなぜ金塊を密輸したのか!? 「金正日秘密資金」を追う)
(参考記事:金正恩氏の「バイアグラ資金」が盗まれている)
言うまでもなく、そのようは裏ビジネスは、摘発されるリスクが相当に高い。それに比べ、海外でのレストラン運営は完全に合法的なビジネスであり、外貨獲得の柱のひとつとなってきたのだ。
(参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発)
(参考記事:中国で失踪…北朝鮮「美人接待員」たちの素顔)
だが、今回の集団脱北は確実に、海外でのレストラン展開に対する北朝鮮機関の意欲を減退させる。実際、北朝鮮に住むデイリーNKの内部情報筋によれば、海外レストランを傘下に持つ機関の中にはすでに従業員らの撤収に動きだしているところがあるという。仮に同様の事件が起きてしまった場合、重い責任を問われることは避けられず、最悪ならば政治犯収容所に送られるか、公開処刑すら考えられるからだ。
(参考記事:北朝鮮の「公開処刑」はこうして行われる)
(参考記事:赤ん坊は犬のエサに投げ込まれた…北朝鮮「政治犯収容所」の実態)
おそらく、「脱北リスク」を恐れる風潮は、レストランの運営部門に限られないだろう。もしかしたら、これまでは「役得」が多いとされてきた外貨獲得部門から、人材が遠ざかってしまうこともあり得る。そのような現象が続くと何が起きるかといえば、北朝鮮全体での外貨獲得能力の減退である。
金正恩氏が部下の歓心を買って権力を維持するためにも、また核開発やミサイル開発を続けるためにも外貨は必要だ。仮に、今回の集団脱北がそこを狙って仕組まれたオペレーションであるとすれば、実に手際のよい仕事である。
いずれにせよ、生半可な方法で金正恩氏の暴走を止めることはできない。秘密工作であれ何であれ、使えそうな手段はすべて動員すべきなのだ。
(参考記事:徐々にわかってきた金正恩氏の「ヤバさ」の本質)
(参考記事:金正恩氏が「暴走」をやめられない本当の理由)
高英起 デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 』(宝島社) 『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)がある。
official site
デイリーNKジャパン
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kohyoungki/20160413-00056536/
【ソウル聯合ニュース】韓国の有権者が13日投開票の国会議員総選挙で、16年間に及ぶ与党主導の政局と8年間の与党セヌリ党独走にストップをかけ、変化を選択した。セヌリ党の惨敗は、コミュニケーションを取ろうとせずわが道を進む国政運営と、公認選びのいざこざに象徴された与党の傲慢さに与党支持者までもが愛想を尽かしたもので、自らが招いた結果だとされる。任期を1年8カ月ほど残す朴槿恵(パク・クネ)大統領の政権運営や求心力にも深刻な打撃を与えそうだ。労働改革や経済活性化など政府の主な国政課題がつまずくことになりかねない。
◇朴大統領の対応は
セヌリ党は最大野党「共に民主党」に第1党の座を明け渡し、与野党の勢力が逆転した。また、新党「国民の党」の躍進は20年ぶりの第三極の登場であり、政局に変革を巻き起こすと予想される。野党は今後、立法権と予算審議権を最大限活用して与党の政策を阻止するだけでなく、国会聴聞会や国政調査を通じ政権の実態に切り込んでいくとみられる。
何より来年末の大統領選挙に向け、政権奪還を目指し、朴槿恵政権を根本から揺さぶるため総力を挙げる可能性が高い。朴大統領が早々にレームダック(死に体)に陥るとの分析も政界で出始めている。
朴大統領の国会、野党との関係にも変化が生じるとの見方が多い。任期中盤までは力で国会を掌握してきたが、与野党が逆転した状況では野党を説得し、折れざるを得ない場面も出てくるためだ。
与党内でも朴大統領と距離を置く「非朴系」勢力との協力が必要になり、これまでとは異なる対応が求められることになる。内閣改造や青瓦台(大統領府)再編など刷新を通じ突破口を開くとの観測も出ている。
その一方で、朴大統領がこれまでの政治スタイルを変えず、自身の堅固な支持勢力を結集し正面突破を図るとの見方もある。
◇国会運営は国民の党が鍵
与野党勢力の逆転と主要3党によるトロイカ体制は、国会運営に相当大きな変化をもたらすことになる。
長年にわたる与党と野党第1党の2大体制が激しい対立と非効率さを生んできただけに、第三極の国民の党の登場は緩衝材、あるいはキャスティングボートとして国会の立法活動に活路を開くとの期待がかかる。セヌリ党と共に民主党が対立する主要法案は、国民の党がどちらにつくかによって行方が決まる公算が大きい。
◇与党内、野党同士で主導権争いへ
次期大統領選の前哨戦とされる今回の総選挙の結果を受け、与野党それぞれの内部の動きはさらに複雑化する。
セヌリ党の敗北の打撃は議席という数値にとどまらない。過半数を割り込んだだけでなく、要(かなめ)の首都圏の多くを野党に奪われ、大統領選の見通しにも暗雲が垂れ込める。惨敗の原因をめぐり、公認選びを主導した朴大統領に近い「親朴系」勢力と非朴系勢力が責任を押し付け合い、激しい争いを再開するとみられる。
野党の2大勢力は次期大統領選に向けた統合の局面で、それぞれが求心力を高めるようと主導権争いを繰り広げると予想される。共に民主党は地盤の湖南地域(全羅道)を国民の党に取られたものの、首都圏で圧勝し、セヌリ党の地盤である嶺南地域(慶尚道)でも善戦したことで政権奪還の可能性が高まったと評される。
国民の党は湖南中心の地域政党という印象が強まり、「新たな政治」という目標が薄れかねないため依然として先行き不安を打ち消すことができないのは事実だが、湖南を基盤に共に民主党との勢力争いに勝利すれば希望は膨らむ。
◇次期大統領候補は明暗
今回の総選挙で各党の次期大統領候補とされた出馬者は大きく明暗が分かれ、大統領選の候補者レース序盤の輪郭が浮かび上がってきた。
国民の党の安哲秀(アン・チョルス)氏と、地域対立感情の壁を乗り越えた共に民主党の金富謙(キム・ブギョム)氏は、それぞれの党の有力候補に急浮上する。
セヌリ党の公認から外れ無所属で出馬した劉承ミン(ユ・スンミン)氏は難関をくぐり4回目の当選を果たし、与党勢力の候補者として勢いを増しそうだ。セヌリ党代表の金武星(キム・ムソン)氏が公認選びと選挙戦の責任を負うとことになり、前ソウル市長の呉世勲(オ・セフン)氏が今回落選したことも劉氏に弾みをつけることになる。
前回の大統領選で朴大統領に惜敗した共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)氏は、党が予想を大きく上回り善戦したにもかかわらず、湖南での結果に自身の政治生命をかけるとした約束に縛られ、難しい立場に追い込まれる。
mgk1202@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2016/04/14/0900000000AJP20160414001600882.HTML
非営利団体オックスファムの報告書によると、アップル、ウォルマート、ゼネラル・エレクトリックなどの主要な米国企業は、オフショアに1.4兆ドルを埋蔵している。
アップルは3つのオフショア企業に1810億ドルを、ゼネラルエレクトリック社は118社に1190億ドルを、マイクロソフトは1080億ドルを保有している。トップ10リストには他にファイザー、グーグル・アルファベットとエクソンモービルが含まれている。
オフショア企業を使用することにより、これらの企業は、2008年から2014年までの期間に、35%から26.5%に平均税率を軽減することができた。
結果として得られた数十億ドルは国からの融資や財政保障の増大のためにロビイストの大軍に費やされた。
「ロビー活動に費やされた1ドルごとに、大企業50社が一括減税の形で130ドルの連邦政府融資、融資保証や債務の形で4000ドルの支援を受けた」とオックスファム報告書に記されている。
2016年が始まってまだ間もないが、南アジアでは少なくともこの短い期間で6つの大きな地震があった。近年、地域の地震の頻度は恐ろしい数量に達している。
これらの地震はいずれも深刻な破壊をもたらしており、南アジア全体が8000人以上の人々が地震で亡くなった2015年のネパールのような状況に直面する恐れがある。
しかし、地震の頻度が警戒すべきものになっていることに加えて、別の不吉な事実もある。科学者たちは、2015年の地震ネパールよりもさらに大きな破壊力をもつ地震が南アジアのヒマラヤ地域を襲う可能性があると予測している。
シリアの在野勢力は、休戦前に失った陣地を取り戻そうとしているが、シリア軍はそれをしていない。ロシアのプーチン大統領が、国民との直接対話の中で述べた。
プーチン大統領は、シリアのアレッポが解放されるのはまだ先のことか?との質問に対し、アレッポをめぐる情勢は非常に複雑だと述べ、次のように語った‐
「シリア軍は、自分たちの状態を改善させる必要はない。なぜなら停戦が発表される前に望むことはすべてやったからだ。我々は彼らを助けた。彼らは何も改善させる必要はない。一方で在野勢力は、失ったものを取り戻そうとしている。」
プーチン大統領はまた、「主に現地で戦っているのはシリア軍ではなく、クルドの部隊とその他の複数の武装グループで、互いに、そしてクルド人と対立している」と述べた。
平和条約のテーマに関する前進は、日本が戦後の歴史的事物を認めなければ不可能だ。14日、ロシア外務省が、15日に予定されているラヴロフ外相の日本訪問を前に発表した。
ロシア外務省は、次のように強調している‐
「閣僚会談では平和条約に関する交渉プロセスのテーマに触れられるだろう。ロシア側は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と日本の安倍晋三首相の要求に従い、この問題に関する協議を外務次官レベルで続ける用意がある。なお、同問題の前進は、日本が戦後の歴史的事物を認めなければ不可能だという立場を堅持している。」
また外務省の声明では、ラヴロフ外相の訪問は「実施について先に合意した今後のハイレベルコンタクトの充実した準備」を目的としていると述べられている。
【モスクワ=田中孝幸】ロシアのプーチン大統領は14日、日本との北方領土問題に関し「妥協はいつか見いだされる可能性があり、見いだされると思う」と述べ、協議を通じた解決に前向きな姿勢を見せた。安倍晋三首相の5月の訪ロについて「米国などパートナーの圧力にもかかわらず日本の友人は(ロシアとの)関係の維持に努めている」と高く評価した。
安倍首相との会談では「当然すべての問題を協議する」と言明。領土問題も議題に含める意向を示した。「第2次大戦後に解決できていない問題の解決のために我々がつくってきた手段は常に機能しなければならない」とも述べ、あらゆるレベルの話し合いを進める考えを表明した。
これまでの日ロの領土問題の話し合いを振り返り「日本がある段階で我々との接触を制限するのを決定した」と強調。ウクライナ問題を巡って日本が欧米と発動した対ロ制裁が協議を停滞させたとの認識を示した。ロシアへの強硬姿勢は「日本と日本国民の利益に全くかなっていない」とも語った。
プーチン氏がテレビを通じ全土の国民と直接対話する毎年恒例の特別番組に出演後、記者団に語った。5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の前に領土問題の解決をちらつかせ議長国の日本に秋波を送って、主要7カ国(G7)内の対ロ融和論を勢いづかせたい思惑があるとみられる。
番組でも、あえて北方領土の色丹島の漁業関連企業の問題を取り上げた。給与遅配や地元当局の腐敗の実態を訴える労働者の質問を受けたプーチン氏は同島を管轄するサハリン州などの関係当局に早急な対応を指示し「状況を改善させるために全力を尽くす」と語った。司法当局は同日、この企業のトップを訴追したと発表した。
ロシアの近海でとれた水産品が中国経由で輸入され、ロシアの生産者や消費者が不利益を受けている実態も関連法の制定を通じて改める考えを示した。漁業の振興に取り組む姿勢もみせ、同島を大きな関心事としていることをうかがわせた。
色丹島は歯舞群島とともに1956年の日ソ共同宣言で両国の平和条約締結後に日本に引き渡すとされた。大統領との対話番組で他国との係争地に住む市民の不満に焦点を当てるのも極めて異例で「日本側にロシアとの関係改善を急ぐよう促す意図がある」(日ロ外交筋)との見方も出ている。
タックスヘイブン(租税回避地)を使った世界の富裕層の節税実態を暴露した「パナマ文書」で、プーチン氏の親友の名前が挙がったことには「米側の情報操作」との見方を示した。文書については「おかしなふうに見えるが、情報自体は信頼できる」と指摘。「記者ではなく、法律家によって用意されたようにみえる」と論評し、政権関係者による違法行為はないと弁明した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO99676230V10C16A4FF1000/?n_cid=SPTMG003
14年4月の消費税増税までの1年間、かりそめでも景気が良くなったのは、ひとえに円安基調のおかげである。
円安基調ゆえに、グローバル企業の収益増加を期待して株価も上昇したのである。株高が資産効果で一定の消費拡大に貢献した。
(爆買いの中国人をはじめとする訪日観光客の急増も、円安に負う部分が大きい)
そして、円安基調をもたらした要因は、黒田日銀「異次元金融緩和」政策ではなく、欧州銀行(債務)危機の終息である。
ユーロ建て債券を保有するリスクを回避するために日本円建て投資に動いた流れが、リーマンショック以後とりわけギリシャ危機以後の円高基調をもたらした要因である。
その流れを逆転させたのが欧州中央銀行の南欧諸国国債無制限購入宣言であり、宣言があった12年9月をもって円高の流れに終止符が打たれ、円安傾向に転じた。
グローバル企業の円ベース利益が増加する理由で株高を支えてきた円安傾向は、黒田氏が日銀総裁に就任する前から始まっており、その意味で、13年段階からすでにアベノミクスは景気と無関係なのである。(アベノミクスは膨らんだ国債残高のスムーズな管理を企図した政策)
日本経済は、90円台→100円台→110円台→120円近傍という円安の流れに終止符が打たれたことで(米国FRBの金利政策の影響)、かりそめの好景気さえ再現しない条件になった。
仮に、安倍首相が来年4月の消費税増税を中止するという判断をすれば、(違憲だが)衆議院を解散して総選挙で信を問うほかない。
そうでなければ、首相に実施の判断が委ねられていた15年10月消費税増税を延期したことで信を問うた14年末の解散・総選挙との整合性が採れない。
一方、既定方針通りに来年4月に消費税を10%に引き上げれば、経済はさらに悪化し多数派の国民生活もより厳しいものになる。
いずれにしろ18年末までには否応なく総選挙をやらなければならない。経済が悪化した状況で総選挙を迎えれば、韓国の総選挙でわかるように、政権与党が惨敗する可能性が大きい。
そういうことで、安倍政権が課された“使命”を果たすために長期政権を望むなら、7月の参議院選挙に合うタイミングで来年4月の消費税増税を中止すると表明し、解散・総選挙に動くほかないのである。
(安倍首相の“使命”とは、前々から書いているように日朝国交正常化の実現である)
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[風見鶏]「寸止め」という選択肢
消費増税で景気が後退する来年4月以降の衆院選は自民党に不利である。参院選での野党共闘にひびを入れるには衆院選をぶつけるのがいちばん簡単だ。今年夏は衆参同日選があると読むのが政治の常識である。
1983年も似たような年だった。干支(えと)は亥(い)年。12年にいちど春の統一地方選と夏の参院選が重なる年だ。次の選挙まで間がある地方議員の動きが鈍り、亥年の参院選で自民党はいつも苦戦を強いられてきた。
秋にはロッキード事件で起訴された田中角栄元首相の一審判決がある。有罪は必至である。その前に衆院選を終えたい、というのが自民党の大勢だった。
この2つをみたす解は夏の衆参同日選しかない。当時の中曽根康弘首相は就任直前の82年秋に最大派閥のオーナーである田中氏と会った際、早々と「6月にダブル選をせよ」と厳命されたそうだ。
それだけに中曽根氏が83年4月に「解散見送り」を表明すると、野党も含めて政界は耳を疑った。
自民党は6月の参院選はダブル選で圧勝した3年前を1つ下回るにとどめた。だが、10月の田中有罪判決を受けた12月の衆院選は案の定、勝てなかった。単独過半数を6議席も下回り、新自由クラブとの連立でかろうじて政権を維持した。
なぜ中曽根氏はあえて不利な戦いを選んだのか。同日選見送りを表明する前日の日記にこう書き残している。「ここで解散をやれば鈴木氏の権威は落ちる」。中曽根氏の前の首相で、鈴木派を率いる鈴木善幸氏は田中支配が強まると福田赳夫氏との角福戦争で党が空中分解すると懸念。同日選に内々、反対していた。
選挙後、中曽根氏はいわゆる田中影響力排除声明を出し、幹事長を田中派の二階堂進氏から鈴木派の田中六助氏に交代させる。田中派で竹下登氏による代替わり狙いのクーデターが起きるのはこの1年後だ。
中曽根氏は選挙に負けることで自身を首相に押し上げた恩人の田中氏の力をそぎ、政局の主導権を握って長期政権への道を開いた。恐るべき深謀遠慮である。
3月の本欄で今年夏の参院選の見通しについて(1)衆院選との同日選(2)消費増税の先送り――などの後押しがあれば、改憲勢力が3分の2に「達しない方が驚きである」と書いた。
達したら改憲を求める声はいまの比ではすまない。保守派は安倍晋三首相の強力な応援団だが、2年以上も靖国神社に参拝しないなど現実路線をとっていることにはかなりの不満を抱いている。改憲の国会発議を可能にするだけの議席を持ちながら「様子をみよう」で納得するだろうか。
問題はさらにその先だ。国政選ではアベノミクスに期待して自民党に投票したが、改憲は反対という有権者は少なくない。国民投票で改憲案が否決されたら、ときの首相の退陣は避けがたい。吉田松陰に心酔する安倍首相でも確たる見通しなしに「無志はおのずから引き去る」ではあるまい。
改憲勢力が3分の2に届かなければ保守派との摩擦は起きない。自民党が改選51議席を上回りさえすればいちおうの勝利であり、政権への打撃にはならない。長期政権への一番の近道は「寸止め」である。そう考えれば、同日選である必要はなくなる。
現職議員が大型連休に選挙区を走り回ったら解散風は止められなくなる。だから中曽根氏はその前に決断した。安倍首相はどうするだろうか。24日の衆院補欠選挙に敗れて「おじけ付いて見送った」では格好が付かない。決断は意外に早いかもしれない。
(編集委員 大石格)
[日経新聞4月10日朝刊P.2]
【ソウル時事】韓国国防省関係者は、北朝鮮が15日午前5時から6時の間に、日本海沿岸で新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」と推定されるミサイル1発の発射実験を行ったが、直後に失敗したと明らかにした。
ムスダンの発射実験は初めて。
15日は北朝鮮の「最大の祝日」とされる故金日成主席の誕生日(太陽節)で、これに合わせて実施したとみられる。ムスダンは推定射程3000キロ以上で、実戦配備されているとみられていた。
韓国メディアは14日、北朝鮮が東部の日本海に面した元山付近にムスダン1、2基を配備したと報道。韓国国防省報道官は「5回目の核実験や、ムスダンなど弾道ミサイル発射の可能性を注視し、対応する態勢を取っている」と述べた。日本の自衛隊も迎撃態勢を維持していた。
最終更新:4月15日(金)9時57分
岸田文雄外相は15日の閣議で、2016年版外交青書を報告した。安倍晋三首相が進展に意欲を示すロシアとの北方領土問題について「首脳や外相間の緊密な信頼関係構築を重視しつつ、この問題を解決して平和条約を締結すべく精力的に交渉に取り組んでいる」と明記。「両国がアジア太平洋地域のパートナーとして関係を発展させていくことは地域の平和と繁栄に資する」とした。
日中関係は「改善の流れが見られ、長い間停滞していた対話・交流が再開された」と指摘。「戦略的互恵関係の考えの下に、様々なレベルで対話と協力を積み重ね、両国関係を発展させていく」と記した。中国による南シナ海での軍事拠点化に関し「現状を変更し緊張を高める一方的な行動」と批判。「日本を含む多くの国から懸念が表明されている」と強調した。
韓国との関係は15年末の慰安婦合意で「大きく前進した」と評価。「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」と記述した。14年版は「基本的な価値を共有する最も重要な隣国」としていたが、15年版は関係悪化を受けて「最も重要な隣国」と記述を短くしていた。
15年9月に成立した安全保障関連法に関しては「専守防衛に徹することをはじめ、日本の平和国家としての歩みをより確固たるものにしていく」と明記。「日米同盟が強化され、日本の抑止力が向上し、紛争を未然に防ぐこと、国際社会へのより一層の貢献が可能になった」とした。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H5N_V10C16A4EAF000/?n_cid=TPRN0005
ロシアで先月中旬、内外のエネルギー関係者を驚かせる発表があった。
国営石油最大手のロスネフチがインドに、東シベリア有数のバンコール油田の約5割の権益を売却するというものだ。プーチン大統領の側近でロスネフチを率いるイーゴリ・セチン社長が訪印し、合意文書や覚書に調印した。
インド国営の石油天然ガス公社(ONGC)の海外投資子会社に最大26%、オイル・インディアなど3社連合に23.9%の権益を売却するという。実際に履行されれば、インド側の出資比率は49.9%に上る可能性がある。
バンコールは3億6千万トンの埋蔵量を誇る巨大油田だ。資源の国家管理を強めたプーチン政権は従来、こうした大型油田やガス田開発権の外資開放に極めて慎重だった。
今回の合意はロスネフチに過半の権益が残るとはいえ、ロシアにとって異例の譲歩となる。ウクライナ危機に伴う米欧の経済制裁でロスネフチは資金繰りに窮しているとされ、背に腹はかえられなかったのかもしれない。
もっとも発表が意外感をもって受け止められたのは、もうひとつ別の理由がある。
2014年9月のことだ。プーチン大統領が中国の張高麗副首相に「我々は総じて外国パートナーの参加に非常に慎重に対処するが、中国の友人には制限がない」と、バンコールへの出資を自ら呼びかけた経緯があったからだ。
同年11月には中ロ首脳立ち会いのもと、ロスネフチと中国石油天然気集団(CNPC)が、同油田の10%の権益を売買する覚書を交わした。ところが最終合意に至らず、ロシアはついに中国を見限ってインドになびいたわけだ。
油田開発だけではない。ロシアは天然ガスを東、西の2つのルートでそれぞれ中国に大量供給する計画だが、エネルギー研究所のタチヤーナ・ミトロワ部長は「中国は西ルート経由の調達にさほど関心がない。最終合意はかなり難しい」と予測する。
中国の最近の景気減速を踏まえれば一見、当然のようにもみえる。ただ、ロシアの中国専門家、アレクセイ・マスロフ高等経済学校教授は「中国は欧米の制裁により、ロシア市場で独占的な地位を得たと意識している。中ロの経済交渉は以前より格段にやりにくくなった」と語る。
ロシアの対中貿易額は全体の約12%。国別では最大の貿易相手だが、昨年の額は前年比でおよそ3割も減った。「ロシアも当初は欧米制裁の打撃を中国が完全に補ってくれると期待したが、どれほど現実的かを直視するようになっている」と同教授は明かす。
実際、プーチン大統領は3月末に対外軍事技術協力について演説した際、有望な兵器輸出市場として中国より先にインド、イラク、エジプト、ベトナムを挙げた。過度の対中依存から脱却しようとしているのは間違いない。
中ロの実相は、経済のみならず外交にも垣間見える。
核実験などを強行した北朝鮮に対し、国連安全保障理事会は先月、制裁決議を採択した。その直前、公表された決議案の修正をロシアが求めたのは記憶に新しい。ロシアは米中がまとめた決議案を米国はおろか、中国からも事前に得られなかったという。
プーチン大統領は今夏にも訪中する予定だ。ロシアは今後も中国との「蜜月」関係を誇示するだろうが、その裏で吹き始めたすきま風の行方は注視する必要があろう。
折からラブロフ外相が近く来日し、来月には安倍晋三首相が訪ロする。ロシアが対中偏重を見直し、バランスのとれたアジア外交をめざすのなら、日ロの関係改善には追い風となる。もちろん、懸案の北方領土問題の解決に結びつくわけではないが、経済協力などを通じて互いに環境づくりを進める好機ではある。
例えばシベリアの資源開発だ。原油安と制裁の影響で開発計画はほぼストップした。日本企業連合が参画するサハリン沖資源開発事業「サハリン1」も天然ガスの仕向け先が宙に浮いたままだ。
このガスについてミトロワ部長は「液化天然ガス(LNG)にして日本、韓国に輸出するか、中国にパイプライン供給するしか選択肢はない」と指摘。LNGなら採算性の面からみて、稼働中の「サハリン2」基地を拡張して使う案が最も有望という。ただし「日本か中国かは、日中との外交関係の展開次第だ」。
原油安のいま、資源をめぐる議論は非現実的かもしれないが、ロシアが苦境に立たされている時だからこそ、長期的視野で検討に値する構想が浮上することもあり得る。
[日経新聞4月10日朝刊P.10]
で、「仮に、安倍首相が来年4月の消費税増税を中止するという判断をすれば、(違憲だが)衆議院を解散して総選挙で信を問うほかない」と書いたが。井吹代議士も、「憲法の精神から、国会との対立で内閣が行政権を行使できないとの大義が解散には必要だ。来年4月の消費増税を延期するとしても、参院選と同時に今信を問う理由にはならない」と書いている。
幅広い国民による時間をかけた論議を経ていない現行憲法は、条文の意図や目的が曖昧なまま運用されているきらいがある。
伊吹代議士は、「当面の景気も大切だが、財政再建をしないと長期的に日本は信認を失う。個人的なことや地域のことも大切だけど、国家全体のことを考える。これが政治家の矜持(きょうじ)で、与党に求められている姿勢だ」とも語っている。
財政再建は近未来的に必要だと思っているが、財政再建や財政健全化の意味や概念が重要であり、財政再建を絶対視しそれのみをターゲットに下政策を実行するととんでもない落とし穴にはまる。
設備投資が古い設備を更新するレベルで低迷する一方、長寿命化が進んでいる日本は、供給力強化が何よりの財政再建策と理解せず、財政さえまとになればいいという政策を実施すれば、財政さえ中長期にはボロボロになり、肝心な国民生活レベルは劣化する一方になる。
※ 参照投稿
「内閣不信任案可決を経ない首相の衆議院解散は憲法違反という理由」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/448.html
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[永田町インサイド] 「安倍1強」にもの申す
大衆逆なですれば自壊 伊吹文明 元衆院議長
閣僚や自民党議員の不適切な言動、後手に回った待機児童問題――。安倍政権は高い内閣支持率を保つが、おごりや緩みとの指摘を受ける出来事が相次いだ。追及する野党の存在感も薄いまま。首相官邸の権限が強い「安倍1強」の現状を政界に長く身を置くベテラン議員に聞いた。(黒沼晋、四方弘志)
――育児休暇を取得する意向を示していた自民党の宮崎謙介氏が不倫問題で議員辞職するなど「緩み」が目立つ。巨大与党のおごりが背景か。
「おごりというより、日本社会を覆う、豊かな時代に生まれた世代の奇妙な安心感や権利意識は自民党でも例外ではないということだ。憲法を読みこなしている議員が何人いるかな。『国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し』だから、預かった主権の行使を育休という私的理由で放棄するなど考えられないでしょう」
――衆参同日選を巡り自民党の溝手顕正参院議員会長は「賛成だ。参院にとって有利だ」と発言した。
「語るに落ちる。憲法の精神から、国会との対立で内閣が行政権を行使できないとの大義が解散には必要だ。来年4月の消費増税を延期するとしても、参院選と同時に今信を問う理由にはならない」
――憲法改正を大義に掲げた場合はどうか。
「発議には衆参の3分の2が必要だ。衆院で改憲勢力は3分の2ある。いつの時代にも党利党略はあり、権力は大切で、本音をうまく包んで話すのもリーダーの条件だ」
――党執行部からは若手議員を教育し直すべきだとの意見が挙がる。
「教育は党が教えてできるものではない。大切なことは憲法の精神、日本国の統治のあり方と自分の立場を理解することだ。例えば牧野伸顕や木戸幸一の日記、昭和天皇実録、エドマンド・バークの著書にある程度触れる必要がある。毎日1時間読書している若い議員がいるかな」
――「自民1強」なのか。
「民主党の体たらくがあったから自民党は政権に戻れたのだ。自民支持率が高いのは、他に投票するところがないからだ。大衆の気持ちを逆なですればガタガタと崩れる可能性は常にあると謙虚に考えることだ」
「かといって大衆迎合では国がもたない。当面の景気も大切だが、財政再建をしないと長期的に日本は信認を失う。個人的なことや地域のことも大切だけど、国家全体のことを考える。これが政治家の矜持(きょうじ)で、与党に求められている姿勢だ」
「安倍さんの政治理念は共有するところが多い。第1次安倍内閣時の、理念に忠実な手法が変わったかなあ。あのときの参院選敗北と、ねじれ、民主党政権誕生から学んだ権力の大切さ、維持の難しさの結果だ。権力を謙虚に大切に使うことだ」
いぶき・ぶんめい 衆院当選11回、自民党。大蔵省(現財務省)出身で税財政、福祉政策に精通。党幹事長、財務相などを歴任、2012年末から約2年、議長も務めた。大所高所から歯にきぬ着せぬ発言も多い。78歳。
[日経新聞4月10日朝刊P.12]
――自民党で議員による不適切な言動が相次いだ。
「本来、国会議員が言うべきじゃない酒飲み話のようなことを公のところで言っている。こんなのが議員でいいのかというのがやっている。政治家たるものは口に出したことに責任を持たないといけない。次の選挙で淘汰されるだろう」
――「安倍1強」で党側の存在感が薄い。
「若い議員は風で当選している。ちょっと上の連中は入閣したいので官邸の嫌がることを言わない。党が政策をばーんと出すべきだ。いまの党政調は会合もしーんとしていると聞く。ポストや、公認など選挙のことを考えると、にらまれたらいけないということだと思う。つかみ合いまでやって議論していくことはなくなったんじゃないか」
――本来、与党のあり方はどうだと考えるか。
「政権を必死になって支える。それは駄目なことは駄目と言うこと。こうすべきだというのはどんどん言うべきだ。党が省庁に具体的に示し、それを官邸がバックアップすればいい」
――アベノミクスの新3本の矢では社会保障対策や格差是正も重視している。
「中身がダメだ。花火だけぶち上げている。中小企業経営がちゃんとならない限り難しい。安倍政権は大企業の仕事が増えれば滴が落ちて中小も元気になると考えるが、そうはいかない。太るのは大企業だけで下に落ちていかない。安倍晋三首相が考えていたのは『美しい日本』『日本人の心を大事にする』。やっているのは逆のことだ」
「首相にいくら言っても良くならない。見切りをつけた。『大義親を滅す』だ。慶大の小林節名誉教授を先頭に、個人参加で日本を変える政策集団の『さくらの木連合』をつくる。市民連合、野党連合だ。参院選までに対応を決めるが政権と戦わないと世の中は変わらない。(野党で統一名簿で戦う)オリーブの木だ」
――野党第1党の民進党支援では駄目なのか。
「民進党は簡単に言えば社会党と一緒だ。資金はそこそこあり、議席がそこそこあればいい、政権を取れなくていいと思っているようにみえる。ただ、若い議員は自民党より政治家としていいのがたくさんいる」
かめい・しずか 衆院当選13回、無所属。小渕、森政権で自民党政調会長として政策運営を主導。2005年の「郵政解散」の後、自民党を離れて国民新党をつくり、09年発足の民主党政権に参加した。79歳。
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主導というより独裁的 横路孝弘 元衆院議長
――首相官邸主導で「安倍1強」ともいわれる。
「集団的自衛権などいろんな問題を閣議で決めてしまう。主導というより独裁的だ。国会だけでなく国民をないがしろにしている。2017年4月予定の消費税率の10%への引き上げでは、前回先送った14年、次は必ずやると言って衆院選を戦った。なのに先送りの話がある。上げない方向なら安倍晋三首相の言うことは信用できないとなる」
――増税先送りに絡む衆参同日選論も出ている。
「衆院解散は内閣不信任案が可決された場合の対抗措置として認めているものだ。最近は選挙に勝てると思えば自由自在。4年の任期があるのに(14年12月に)やったばかりだ」
――野党には政権取りの機会ともいえるが。
「衆参の二院制の意味は何か。選挙の時期が違い、その時々の意見を聞くというところもあると思う」
――官邸に比べ自民党の存在感が薄い。
「(選挙区で1人しか当選しない)小選挙区制の問題がある。議員は安倍首相に逆らうと選挙区に対立候補をたてられる恐怖感にとらわれている。小泉純一郎首相が(05年の郵政選挙で)やった。小選挙区制は政権交代しやすいが、マイナス面が目につく」
――不倫問題での議員辞職など不適切な議員の言動が指摘される。
「小選挙区制の中、公募などで候補を集め、知名度や顔などで選んでいる場合がある。社会の問題は貧困の増加、格差の拡大だが、そういったところに目線がいっているか。候補選びは党派を超えた共通問題だ」
――民主、維新両党の合流でできた民進党の支持を高めるにはどうすべきか。
「民主党の問題は政権を取ったときの内部紛争だった。一番の反省点だ。徹底的に議論して決まったことには従う。これを若い連中はできない。民進党は給付型奨学金など教育を最優先にすべきだ」
――安倍政権は新3本の矢で格差是正を訴える民進党の政策に近づき、選挙の争点隠しとも言われる。
「悪いことじゃない。自民党と社会党の時代も、議論して3年後ぐらいに実現することで医療や年金などは充実してきた」
――民進党議員に必要なことは。
「政策の専門家になることだ。委員会に1、2年いればその分野の専門家にならないといけない。地方議員とのコミュニケーションも必要。党員、支援団体をまとめる地方組織をがっちりつくらないといけない」
よこみち・たかひろ 衆院当選12回、民進党。「社会党のプリンス」と呼ばれ、北海道知事を経て旧民主党の結党に参加し、旧社会党系議員らを率いてきた。民主党政権時代は衆院議長を務めた。75歳。
[日経新聞4月10日朝刊P.12]
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/493.html
米アップルの最高経営責任者(CEO)ティム・クック氏のような人物が、共和党大統領候補としてのし上がるドナルド・トランプ氏と意見を同じにするような問題は多くないが、法人税はその一つだ。
アップルは世界各地で稼いだ利益を海外に保有している。だが近年、その利益を低い税率で本国に還流できるようにする措置を求めて、ほかの米ハイテク企業とロビー活動をしてきた。
今のところ、この活動は具体的成果を生んでいない。米企業が海外にため込んでいる利益額が膨らんでいるのは(ブルームバーグによると、その額は内部留保を含めると2兆ドルを超える)、アップルなどの企業がこうした資金を米国に還流させる際、課せられる35%の税金を払いたくないからだ。
□ □
資金を還流させる際の税負担の軽減は検討されたが、米議会における政治の停滞により何度も阻止されてきた。例えばオバマ大統領は昨年、海外で生じた利益の蓄積をインフラ投資に使うため米国に還流させる場合は、一度だけの例外措置として14%という低い税率を適用することで2380億ドルの追加税収を確保することを提案した。翌年以降は海外利益に19%を課税する計画だったが、この提案は議会でつぶされた。
だが米財務省が4日に、企業のタックス・インバージョン(租税地変換)を阻止しようと発表した規制が、いかに市場に衝撃を与えたか見てほしい。これを受け米医薬品大手ファイザーはアイルランドの同業アラガンとの1600億ドルに上る合併計画を撤回した。
この措置が導入されたのは、トランプ氏や民主党の大統領候補指名争いでリードするクリントン氏らが選挙戦でインバージョンの問題点を痛烈に批判した後のことだ。アイルランドのような税率の低い国に本社を移すことを目的に合併を進め、米国での納税額を減らすのは問題だと彼らは強く指摘したのだった。
だから投資家は、利益の還流は、トランプ氏の意見が明瞭で、かつ珍しく的確なテーマの一つであることに留意した方がいい。同氏は、米企業が「現金を持ち帰り、米国で活用する」場合は、一度だけ税率を10%に引き下げるという税制案を提案している。トランプ氏の顧問は、現金が雇用創出に使われる明確な証拠があれば、税率をさらに下げることも可能だと非公式に話している。
これをポピュリストの票集めのための提案だと片付けるのは簡単だし、トランプ氏が大統領に就任すると考えるのはまだかなり非現実的に思える。だが、それは今の問題の本質と関係ない。トランプ氏はこの数カ月、有権者がどんなことを考えているかをつかむにあたり見事な能力を発揮してきた。そのため、かつては資金還流を巡るマニアックな議論が、来年はしっかり主流になっていそうだ。
□ □
これは意外に思えるかもしれない。というのも今はポピュリズムが台頭しており、怒れる有権者は通常、経済が厳しいこの時期に裕福な企業を税制上優遇することを好まない。だが、トランプ氏の選挙運動、そして次第にクリントン氏、民主党指名争いのライバルであるサンダース氏の言葉遣いを見ていると、雇用創出や米国の利益の保護ということが、今回の選挙の重要なテーマとなっていることが分かる。数十年前にフランクリン・ルーズベルト大統領が行ったような大規模インフラ投資を進めるというのも重要なテーマだ。
従って、税の還流をナショナリストの言葉に包み直せば、オバマ氏が通すのに失敗したような理屈っぽい提案が大きく進展する可能性がある。米産業界には、そうした提案を支持する強いインセンティブがある。まず、パナマ文書の公表でオフショアのタックスヘイブン(租税回避地)に対する反発が高まっている。また、アップルのクック氏のような経営者は、米企業が海外で積み上げた利益に課税する権利が欧州連合(EU)加盟国にあるかどうかを巡り、EU本部と激しい政治的な戦いを繰り広げているという点がある。
これはもちろん賢明な租税政策を生み出す方法ではない。米経済に必要なのは、大衆受けする一時的な租税地変換の禁止や海外利益の本国還流に対する税の優遇措置ではない。国の法人税率を競争力あるグローバルな水準(例えば25%)に引き下げる一方、税の抜け穴をふさぐ包括的な改革案を進める方が望ましい。そうすれば、海外に資金をため込む合理的理由がなくなるからだ。
だが現実には、本国還流に対する税率を10%に下げるだけでも、間違いなく今の悲惨な状況よりはましだ。米企業の海外に保有する現金が増え続け、欧州との税を巡る闘いが展開され、インフラがお粗末なまま放置されるのは、誰にもプラスにならない。
いずれにせよ重要な点は、投資家が税の還流を巡る行き詰まりが今後も続くと考えるとしたら、それは違うということだ。ポピュリズムは時折、驚くようないい政策を生み出すことがある。つまり、ポピュリズムは何もかもが悪いということではないのだ。
(7日付)
[日経新聞4月10日朝刊P.13]
NATOは、4月20日に開催予定のロシア・NATO理事会大使級会合で、ロシアのスホイ24機が米国の駆逐艦「ドナルド・クック」の周囲を飛行した問題を提起する意向。NATO本部がタス通信に伝えた。
NATO本部は、欧州のリスク軽減について話し合う必要があると指摘した。
14日、ロシア国防省は、ロシア機が国際空域の使用規則に違反したとする米ホワイトハウスの解釈を否定した。ロシア国防省は、「米海軍駆逐艦の航行の自由の原則は、ロシア機の飛行の自由の原則を廃止するものではない」と指摘した。
13日、CNNはロシアの戦闘機スホイ24と戦闘ヘリコプターがバルト海でアメリカの駆逐艦ドナルド・クックの上空を飛行したと伝えた。CNNによると、これらの戦闘機は武器を搭載していなかった。アメリカ政府はこの件に関して、「公海上でお互いに非常に近く接近した際の軍の規範に矛盾するものだ」と声明を出した。
ロシアのプーチン大統領は、シコタン島における労働者の権利侵害を究明するようチャイカ検察庁長官に命じた。
14日、プーチン大統領の国民との直接対話で、昨年秋にシコタン島の魚工場「オストロヴノイ」で働いていた女性が、給与が支払われず、労働条件も基準に合致しておらず、労働者の募集は人材会社を通して行われたと語り、被害を受けた労働者を代表して、この問題の究明を求めた。
プーチン大統領は、「現地の役人、現地の法執行機関、特に検察と労働条件の監督機関は、早いうちに対応しなければならなかった。私は、ロシア検察庁長官が私たちの会話の一部を耳にし、この状況を調査し、サハリン州検察官の解任に関する決定を承認することを望む」と述べた。
プーチン大統領はサハリンから直接対話に参加したこの女性に謝罪し、「状況が改善されるためにあらゆることを行う」と約束した。
韓国人であろう朝鮮日報姜仁仙論説委員の言い分はわかるが、米国支配層は、アジアにおいて自分たちの存在意義を高めるために、「アジアの分断と対立」を望んでいるという理解が薄いような気がする。
オバマ大統領が広島を訪れるとしても、謝罪ではなく、原爆で死んでいった人たちに哀悼の意を示すためである。そのような行為を通じて、あのような災厄が二度と起きないよう、“高い理性と判断力”を有するUN安保理常任理事国が核兵器を独占しその拡散を防ぐ役割を担うことを正当化することが狙いである。
※参照関連投稿
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
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記事入力 : 2016/04/15 10:34
【コラム】オバマ大統領が広島に行ってはならない理由
▲姜仁仙(カン・インソン)論説委員
ジョン・ケリー米国務長官が先日、広島を訪問して原爆死没者慰霊碑に献花した。米国が広島に原爆を投下してから71年目にして現職の米国務長官が初めて訪れたのだから、どんな意味があってのことなのか、世界各国の関心が寄せられた。ケリー国務長官は「今回の訪問は過去ではなく現在と未来に対するもの」と述べた。米国側は「『謝罪』ではなく、オバマ大統領のビジョンである『核兵器のない世界』のための訪問だ」と説明した。
「謝罪」という単語が出ると、米国も敏感になる。米紙ニューヨーク・タイムズは「米国人の大多数は広島への原爆投下が日本の降伏を引き出し、米国人の命を救うために必要だったと長い間信じてきた。米国が謝罪しているような印象を与えるなら、政治的にかなりの打撃になり得る」と書いた。
米国国内でも歴史認識論争が敏感な問題であることを知らないわけではない。1995年、ワシントンD.C.は「スミソニアン論争」で騒々しかった。第二次世界大戦の終戦50年を迎えるにあたり、スミソニアン航空宇宙博物館は広島に原爆を投下した爆撃機「エノラ・ゲイ」と被爆資料を展示することにした。これに退役軍人団体が立ち上がった。この展示は第二次世界大戦時に数多くの米兵が犠牲になったことを無視するのと同時に、侵略者・日本を被害者であるかのように見せるものだと強く反発したのだ。紆余(うよ)曲折の末、博物館館長が辞任し、戦闘機だけが展示されることになった。
これまで米国は北東アジアの歴史問題に無関心だった。「韓日の歴史認識問題に関する確執とは関係がないし、解決のため間に入る考えもない」というのが一貫した見解だった。2000年代の韓日教科書問題や独島(日本名:竹島)問題などで溝が深まっても、「両国で判断し、解決すべきこと」としていた。
だが、その姿勢は最近少しずつ変わってきている。米国は昨年、韓日慰安婦問題合意成立のために表でも舞台裏でもかなり大きな役割を果たした。両国を促す一方で圧力も加えた。ワシントンで韓日首脳間の交流が断たれれば、米国が仲裁役になろうと忙しくなるという話が出るほど、米国役割論に注目している。
米サンフランシスコで先週、北東アジア歴史財団とカリフォルニア大学バークレー校が共催した学術会議「北東アジアの歴史と政治」もまさにこのテーマを取り上げていた。カギとなるのは中国と北朝鮮だった。アジアでは中国の影響力が急激に拡大し、北朝鮮の核・ミサイル軍事挑発が続いている状況において、韓米日の協力は米国の主要安保利益につながる。この安保の枠組みが正常に機能するには、韓日関係が安定しなければならないが、歴史問題で関係が冷え込めば米国にとって負担となる。米国が「北東アジアの歴史問題は米国の戦略的利益に直結する」と考えるのはそのためだ。
それでも、米国は依然として韓日歴史問題を理性に欠けた感情的対立くらいにしか考えない傾向がある。北東アジア歴史財団の会議に集まった韓米両国の学者たちは「北東アジアで歴史というもの自体が国際政治学的現実であり、国益であるという点を理解しなければならない」と述べた。
オバマ大統領も日本で来月開かれる主要7カ国(G7)首脳会談の際、広島訪問を検討しているという。広島は原爆の被害を象徴する都市だ。オバマ大統領の広島訪問は、日本が被害者だという印象を与えるもので、まだ反省と謝罪が終わっていないアジアの加害国だという事実を覆い隠す結果につながる可能性がある。北東アジアは歴史問題が国際政治問題に直結する特殊な地域だ。そのような北東アジアの歴史的感情を十分に考慮しないまま踏み出すオバマ大統領の一歩は、かえって混乱ばかり引き起こすかもしれない。
姜仁仙(カン・インソン)論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/15/2016041501047.html
今回の総選挙では投票前のずさんな世論調査が大きな影響力を行使していた。選挙前、調査会社の多くは与党セヌリ党の過半数確保と野党「共に民主党」の惨敗を予想していたが、結果は正反対だった。同じ選挙区に住む有権者を対象に、同じ日に行われた二つの会社の調査では、ある項目で30%近い大差が出るケースもあった。わずか1日や2日で調査結果が10−20%も変わるとか、当選予想が次々と変わるような調査など珍しくもなかった。これらのずさんな調査は国民の投票行動や各党内で行われる予備選などにも一定の影響を与えることから、調査会社が自らの影響力を意図的に悪用し、選挙結果を思い通りにしようとするようなケースさえあった。
不正な調査も多かった。ソウルでは党員を対象にしたアンケート調査の結果を、一般の有権者に対して行ったかのように見せかけたとして、セヌリ党のある予備候補が身柄を拘束された。オフィスが存在するのかさえ分からないある調査会社は、候補者から現金を受け取り、この候補者が望む結果をでっち上げたとして摘発された。選挙管理委員会が摘発した調査会社の違法行為件数は、前回の選挙当時と比べて3倍を上回っている。
このように世論調査の信頼性が低下した理由は、100社を超える零細企業が乱立し、回答率が2%にもならない自動応答機器による調査ばかり行われているからだ。携帯電話が普及しているにもかかわらず、調査会社が固定電話にばかり依存しているようでは、現実を正しく反映する調査結果など出るはずがない。調査会社も当然このような現実を知っているが、それでもあえてそのやり方を改善しようとしなかった。これでは犯罪行為と何ら変わりがないだろう。
調査会社によるずさんな調査や不正はこれ以上放置してはならない。与野党も直ちに制度の見直しに着手すべきだ。例えば選挙前に投票動向を調べる調査会社については認証制度を導入し、一定の条件を満たした会社に限って調査結果を公表できるようにしてはどうか。現在、政党に対してのみ認められている無線電話安心番号制度についても、番号などの情報を認証を受けた調査機関に提供することも前向きに検討する必要があるだろう。
さらに深刻な問題は、このようにずさんでなおかつ意図的に捏造(ねつぞう)された調査結果が、政党の公認候補を決める際に大きく影響しているという現実だ。世論調査の結果に基づいて候補者の一本化が行われたのは、2002年の大統領選挙で当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補と鄭夢準(チョン・モンジュン)候補によるものが最初だった。ところが今では政党による公認候補や政策も世論調査に基づいて決められている。政党は現在の世論調査の結果に大きく左右されるのではなく、公認候補を決める際にはより長期的な観点に基づいて検討するなど、公認制度について根本から見直していかねばならない。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/15/2016041501025.html
13日の韓国総選挙で与党セヌリ党が惨敗したのは、政権運営と党の候補公認を担った主流派の親朴派=親朴槿恵(パク・クンヘ)派=に一番の責任がある。親朴派によるいくつかの象徴的な行動は、既存の支持層にも背を向けられる要因となった。
(1)選挙情勢をかき回す「真朴」
親朴派には核心的な勢力として「真朴(本物の親朴派)」と呼ばれる勢力がいる。真朴による行き過ぎた選挙宣伝は、負けられない選挙で与党が敗北するに至ったきっかけだった。
親朴派は鄭宗燮(チョン・ジョンソプ)前行政自治部(省に相当)長官や秋慶鎬(チュ・ギョンホ)前国務調整室長らを辞任させた上で、反主流派の「非朴派(反朴槿恵派)」に対抗するため、占領軍のように大邱に投入した。人気が伸び悩むと、彼らは飲食店でスマートフォンで「真朴ショット」を撮影して回った。それがかえって逆風を呼ぶや、今度はチェ・ギョンファン、洪文鐘(ホン・ムンジョン)の両議員ら親朴派幹部が「大統領のために、親朴派を選ばなければならない」などと有権者に選択を強要した。
(2)非朴派ユ・スンミンたたき
特に非朴派の象徴であるユ・スンミン議員(前院内代表)の公認外しは、有権者の口からも「残忍だ」との声が漏れるほどだった。ユ議員を切り捨てた場合、「政治報復だ」との批判が巻き起こることを懸念し、ユ議員が自ら離党するよう追い込んだ。親朴派と李漢久(イ・ハング)公認委員長は、ユ議員の公認外しを決めながら、1週間以上も発表を先延ばしした。毎日のように「自分で出て行け」「候補辞退を待つ」「共に最善の道を選ぼう」などとユ議員に離党を迫った。その過程で、チョ・ヘジン議員ら親ユ・スンミン系の議員を1人ずつ公認から外し、「ユ議員が出馬する必要はあるのか」と揺さぶりをかけた。忍耐の限界まで締め上げた格好だ。その経緯を見守った有権者は「ひどすぎる」と感じ、セヌリ党に背を向けた。
(3)李漢久発言の波紋
李漢久公認委員長の露骨な発言、傍若無人な行動も論議を呼んだ。李委員長は公認手続きの当初から「現職議員であっても、成果が低いか人気がない者は公認から外す」と宣言し、脱落者に「低成果」「不人気」のレッテルを張った。さらに、大邱市・慶尚北道の現職6人への公認が強引に外されるという説が広まると、「それだけで済むのか」と発言し、公認は「最初から出来レースだ」という声が高まった。大統領府(青瓦台)の政務首席秘書官との秘密会合が報じられた際も、「誰と会おうが問題はないだろう」と語り、疑惑を増幅させた。党内からも「発言はあんまりだ」という指摘があったが、その後も李委員長は言いたい放題だった。
(4)「皆殺し」暴言の流出
ユン・サンヒョン議員の暴言による波紋も大きかった。2月にユン議員は酒に酔い、誰かと電話した際、非朴派の金武星(キム・ムソン)代表に触れ、「やってしまえ、皆殺しだ」などと話している様子の録音が外部に流出した。「あんな野郎をまずつまみ出して、公認から脱落させなければ駄目だ」などという発言が物議を醸した。しかし、党はユン議員の処分を決めかね、1週間後にようやく公認外しを決定した。その結果、親朴派が大統領と親しいユン議員を何とか救おうとしたのではないかという憶測を呼んだ。
(5)大統領の一方的な国会批判
総選挙期間の朴大統領による国会批判も票の流失につながったとみられている。昨年もずっと国会批判を続けてきた朴大統領は、選挙直前の3・1節記念式典や3月21日の青瓦台首席秘書官会議でも国会批判を緩めなかった。投票日5日前の8日には全羅北道全州市の創造経済革新センターを訪れ、「新国会はがらりと変貌した国会になることを願っている」と発言した。セヌリ党内部からすら「国会が空転した責任は青瓦台にもあるのに、大統領が我関せずとばかりに国会ばかり責めるのでは、選挙にはマイナスだ」との声が漏れた。
(6)代表が役割果たせず
金武星代表は党代表として、親朴派の行動をコントロールできなかった。むしろ外部の批判にも公認手続きの終盤まで口を閉ざし、「公認には介入しない」と繰り返した。そんな中、金代表が候補公認状への押印を拒否した「玉璽(ぎょくじ)騒動」が起きた。金代表は自ら騒動をパロディー化した動画にまで出演した。少なくとも金代表が初めから公認手続きをしっかり管理していれば、これほどの惨敗は防ぐことができた。
オム・ボユン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/15/2016041501006.html
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記事入力 : 2016/04/15 10:24
【社説】与党惨敗は人ごとなのか、朴大統領は立場を示せ
韓国大統領府は14日、鄭然国(チョン・ヨングク)報道官を通じ「第20代国会は今後も国民生活に目を向け、国民のために仕事をする新たな国会になるよう願う」「(選挙を通じて)国民の要求が改めて浮き彫りになったと思う」などとコメントした。政権与党のセヌリ党にとって今回の選挙は、結果的に第1党の座から転落するといういわば惨敗だったが、大統領府から出されたコメントはこの二つだけだった。しかも朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が直接何かを語ることはなかった。
政権政党が選挙でここまで惨敗したのであれば、まずは大統領自らこれまでの政権運営について反省し、新たな覚悟を表明すべきではないだろうか。これは先進各国などではよく見られる光景だ。しかも今回、与党惨敗の大きな原因として、朴大統領と朴大統領に近い親朴グループによる強引な公認、あるいは非親朴に対する強権的な態度が第一に挙げられているのだからなおさらだ。
ところが大統領府は自らの政権運営の問題点や強引な公認については一切言及せず、新しくスタートする国会に責任を果たすことだけを求めた。責任や反省に関する言葉もなく、また民意を謙虚に受け止めるといった今後の方向性についての言葉もなかった。これでは大統領府は「自分たちは選挙結果と何の関係もない」と言っているようにしか見えない。
大統領府では玄伎煥(ヒョン・ギファン)政務首席秘書など一部が選挙の責任を取って辞意を表明したが、朴大統領がこれを受け入れなかったことも伝えられている。もちろん一人や二人が辞任したところで、国民が納得することもないだろうが、もし大統領府に責任はないという考え故に辞任を認めなかったとすれば、これも納得し難いことだ。国民からの警告をただ聞き流しているようにしか見えないからだ。
国民は大統領が国会に対する批判をやめ、与野党との対話を通じて生産性の高い政権運営をするよう求めている。大統領は今こそ現在の与野党対立と混乱の責任を認め、その解決を目指すという覚悟だけでも示すべきではないか。選挙で政権政党が大敗した現実を前に、大統領府がこれを単なる人ごとのようにコメントしているようでは、朴大統領は残りの任期を自ら困難の中に追い込もうとしているようなものだ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/15/2016041501015.html
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記事入力 : 2016/04/14 09:36
【社説】朴槿恵大統領と取り巻きたちの傲慢さが招いた与党惨敗
韓国の国会議員選挙は13日に投開票が行われ、与党セヌリ党の惨敗という結果に終わった。セヌリ党は各地で支持を失い、最終的に与党系の無所属を合わせても過半数議席の獲得に失敗した。とりわけソウルと首都圏では、今回のように野党が分裂せず、完全な与野党一騎打ちで行われた前回の選挙よりも悲惨な結果となった。セヌリ党は自らの牙城とされるソウル市江南地区でも苦戦を強いられ、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に近い親朴グループの候補者たちは全国で相次いで落選した。釜山・慶尚南道でも野党に10以上の議席を奪われ、忠清南北道と江原道でも議席を失った。比例代表でも全国的に前回と比べて5%近く支持を失い、ソウルではやっと30%を超える程度だった。ちなみにセヌリ党は選挙戦の前半には「最大で180議席の獲得は確実」と豪語していた。今回の結果はこの傲慢(ごうまん)な態度によってもたらされたとも言えるだろう。もし野党が分裂していなければ、どこまで悲惨な状況になっていたか予想もつかない。
今回の結果に対する責任は、朴大統領と親朴グループが負わざるを得ない。もし朴大統領とその取り巻きたちが選挙結果の責任をセヌリ党に押し付けようとすれば、大統領と政府に対する支持はさらに落ち込むはずだ。朴大統領は昨年5月、自らの指示に従わないという理由で、当時セヌリ党の院内代表だったユ・スンミン議員を「裏切り者」扱いし、党の役職から解任した。また親朴グループは今回の選挙前に行われた公認作業でも主導権を握り、ユ氏に近い議員らを次々と公認から外した。なぜここまで強引にやるのか疑問視する声も相次いだが、それも意に介さず、朴大統領は気に入らない人間がいれば次々と追い出そうとした。「何をしても有権者の支持を失うことはない」という傲慢な発想がなければ、絶対にできない行動だった。
朴大統領は1年前から国民の前で政界への批判を繰り返し「議員の顔触れを変えてほしい」と何度も訴えてきた。今回も投票のわずか数日前まで各地を回り、国会への不満を口にすることで「選挙介入」といった批判の声も出たが、朴大統領本人は全く気に留めなかった。このように大統領自ら国会への不満を国民にぶちまけたのだから、結果として自らその審判を受けてしまったのだ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/14/2016041400889.html?ent_rank_news
ソウル市は今月初め、ホテル新羅が提出していた韓屋(韓国伝統家屋)様式ホテルの建設案を許可したが、韓屋ホテルの建設予定地は、かつて朝鮮総督府が伊藤博文を祭るために建立した「博文寺」のあった場所だ。この地で1939年、安重根(アン・ジュングン)の息子、安俊生(アン・ジュンセン)は伊藤博文の息子に対し「父に代わり謝罪する」と許しを請い、この一件を機に安俊生は「変節者(信念・主義・主張を変えた裏切り者)」のレッテルを貼られることとなった。
その後、安重根の孫娘、ファン・ウンジュ氏は、おじの安俊生について「伊藤博文を射殺した『殺人者の息子』という呪縛に苦しめられてつらい人生を送ってきた。また、あの日の謝罪は日帝(日本帝国主義)の懐柔と圧力によって強制されたものだった」と主張したが、評価は変わらなかった。どんなに執拗(しつよう)に懐柔され、残忍な脅迫を受けたとしても、安俊生があのとき折れなければ、韓国は民族的英雄の息子が親日反逆者になるという理不尽な歴史に直面することはなかったはずだ。
今年初め、韓国のガールズグループ「TWICE」の台湾出身メンバー、ツウィがテレビ番組で台湾(中華民国)の「国旗」を振ったことが波紋を呼び、ツウィが中国に謝罪するという事態が起きた。いっそのこと歌手をやめてしまえばいいのに、なぜ謝罪したのだろうと思った。ところが台湾の人々は、ツウィを集中的に非難することはなかった。逆に動画を公開した台湾出身の歌手ファン・アンを糾弾する集会を開いた上、謝罪を強要したとしてツウィの所属事務所JYPエンターテインメントと中国のネットユーザーを一様に批判した。台湾の人々はさらに、ツウィを団結の求心点と考えた。ツウィは「謝罪事件」の後、台湾の人々の拍手喝采を浴びながら台湾に帰り、中卒検定試験を受けたが、安俊生は植民地支配からの解放後にひっそりと(中国から韓国に)帰り、病魔と闘いながら寂しい死を迎えた。
安俊生による1939年の謝罪は、朝鮮総督府の役人が同行したと考えると「演出されたショー」だったのは明らかだ。従ってわれわれは安俊生ではなく、彼を脅迫した朝鮮総督府を糾弾すべきだったのだ。しかし、われわれは加害者の前で被害者同士が争うという道を選び、その被害者を殺そうとまでした。日帝は安俊生の謝罪を大々的に報道することで、この争いをあおった。一方、中国はそうすることはできなかった。台湾の人々の反応を見守った末、事態を早急に収拾する道を選んだ。
最近、ソウル市教育庁(教育委員会に相当)が親日人名辞典を市内の学校に一方的に配布した。ソウル市庁の図書館に行き、3冊からなる分厚い名簿を読んでみた。4390人にも上る親日の人物のリストを子どもたちが目にすれば、民族的な侮蔑感を感じるだろう。そう考えると残酷な気がした。
または「親日だったのは事実ではないのでは?」と深く考えるだろう。果たしてそう言うことはできるだろうか。親日人名辞典の収録対象には「毎日新報・満鮮日報など(朝鮮総督府の)国策機関紙の局長級以上と、論説部長、論説委員」が含まれている。このうち毎日新報は民族紙だったが、庚戌(こうじゅつ)国恥(日本による韓国併合)以降、一夜にして朝鮮総督府の機関紙になるという悲運を味わった。同紙の記者の多くはその後、親日の記事を書いた。
しかし、1918年12月8日から12日まで5回にわたって同紙に掲載されたシリーズを読むと、考えが変わってくる。当時、日帝は英親王と李方子の結婚を機に「日本と朝鮮は一つ」と宣伝するよう毎日新報に指示した。記者たちはその指示に従った。しかし記者たちは「朝鮮人たちは日本の女と結婚し、順調に暮らした」と書いたにとどまらず「子どもたちも日本語しかしゃべらず、日本人として生きていく」という事実も報じた。これは親日の証拠なのか、抗日の証拠なのか。植民地支配下の朝鮮人たちはこの記事を読んで憤る一方、抗日精神を鼓舞するという本心を行間に込めた記者の意図を見抜いてほほ笑んだ。親日人名辞典にはこのような陰での奮闘が反映されていない。歴史の加害者の前でわれわれ被害者同士がかみ付き合うという悲劇は、もうおしまいにすべきだ。
世論読者部=金泰勲(キム・テフン)部長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/08/2016040801966.html
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が日本経済新聞の取材に応じ、カジュアル衣料品店「ユニクロ」で2015年まで2年連続で実施した値上げについて「通用しなかった」と語った。戦略ミスと認め、即座に値下げを実施。事業拡大とともに大企業病に陥っていることへの危機感もあらわにした。国内衣料品最大手の価格戦略転換は、物価上昇による成長を期待する国内景気にも影響を与えそうだ。
「値上げした商品が評価されなかった。市場は非常にシビアで、そこで値上げしてしまったことがよくなかった。僕らが考えているよりも消費者の状況はもっと悪い」
ユニクロは為替変動などを背景に14年に5%、15年に10%の値上げを実施した。付加価値分を適正に価格に反映するという考え方は大切。値上げを我慢してしまうのは小売業のわがまま。下請け会社などにしわ寄せがでるのできちんと値上げをする判断は必要だ――。値上げの背景にあったのが、こうした考えだ。
しかし、15年9月〜16年2月期の国内既存店客数は6.3%減った。戻らない客足を受け、定番品など一部商品を300〜1000円程度値下げした。商品タグ変更が追いつかないなかでも、スピードが重要と実施に踏み切った。
「今は価格も、品質も、ファッションも全部でリーダーシップがないと売れない。ユニクロはどのくらいの価格の商品を売る店なのか、ぼやけていた」
柳井会長はリーダーシップとの言葉を使い、消費者の目が厳しいなか、商品の質に見合った価格が重要であると語る。値上げに見合う付加価値を提供できていなかったとの悔しさがにじむ。
「かつては1990円、2990円というわかりやすいプライスでやってきた。値上げで2490円など中途半端な価格が増えたこともよくなかった。1990円、2990円など単純明快な価格に戻す」
「今までの週末限定をせず、値引きなしで売って粗利益率を保つ。(セールは)ゴールデンウイークや入社式、年末など売れるシーズンに限定する」
これまで4日間程度実施していた週末限定のセールを大幅に抑制することで、値下げの原資を確保する。いつ来店しても安いという価格を実現し、ユニクロの成長力の源泉である割安感を改めて重視していく。
「(15年9月〜16年2月期の)今上期は成長でなく、膨張だった。みんなが自分の部署のことだけをみて『部署最適』を求めて、経営者感覚を持てず大きな変化についていけなかった」
「その芽は14年もあったが、たまたま寒かったので売り上げが増えた。14年ができすぎで同じ感覚でやった(暖冬だった)15年は粗利の低下と経費の増加につながった」
ファストリの15年9月〜16年2月期は純利益が470億円と前年同期比55%落ち込んだ。16年8月期通期は2年ぶりの最終減益となる見通し。柳井会長は相当前から社内に停滞感があったとし、トップの自分がそれを引き締めることができなかったと語る。
「組織を大きく変える」
ユニクロの社内組織はこれまで、企画や販売などの部門にトップ、中間管理職、部下の三角形の組織だった。これを5〜6人程度の小さなチームを多数つくり、プロジェクトごとに経費管理から人材育成まで責任を負う組織へと改める。重視する「経営者感覚」を社員が持てる環境を整える。
「ブランドが違っても、仕事への基本的な態度や価値観は変わらない。買収した企業についても現地経営者に任せず、全部自分たちでやるようにする」
今後の成長源である海外市場についても、M&A(合併・買収)後の統合方針を改める。12年末に買収し、赤字が続く米高級ジーンズ「Jブランド」のテコ入れへ、すでにファストリから経営陣を送り込んでいることを明らかにした。
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「経済の好循環」暗雲
生活財や外食などで、ここにきて消費者の低価格への関心が高まっているとの声は多い。
吉野家は6日、4年ぶりに豚丼の販売を再開した。牛丼並盛りの380円に対し、価格は330円。吉野家は材料の高騰を理由に2014年末に実施した値上げ以降、客足の回復が鈍い。節約志向に沿った商品を投入し、反転を狙う。
価格引き下げそのものは、消費者にとって歓迎すべきことだろう。ただ、値上げに代表されるデフレ脱却によって企業業績が改善し、賃金が増え、消費が伸びるという「経済の好循環」には暗雲が垂れ込めることになる。
すでに妥結した大手企業の今春の労使交渉では、3年連続のベースアップ(ベア)実施となるものの、15年ほどの勢いはない。国内の消費環境は「決してよくなく、むしろわるい」(ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長)なかで、価格戦略の重要性がより高まっている。
[日経新聞4月13日朝刊P.3]
昨年から続いてきた原油など国際商品価格の下落が、最終製品に広がってきた。完成品を示す「最終財」の価格は3月に前年同月比で2.1%下がり、3年8カ月ぶりの大きな下落率になった。足元で進行する円高と合わせ、今後は消費者物価指数(CPI)にも下押し圧力が強まる。安定的な物価上昇を目指す日銀にとっては逆風で、金融政策のかじ取りは一段と難しくなる。
日銀が13日に発表した3月の国内企業物価指数(速報値、2010年平均=100)は99.6と前年同月から3.8%下落した。下落は12カ月連続で、指数の水準は2009年12月の99.4以来の低水準だった。
物価の下落が原材料から「最終財」に広がってきたのが特徴だ。最終財の指数は昨年11月に下げに転じて以降5カ月連続で下げ、徐々に下落率も拡大してきた。輸入品だけでなく国内で生産された製品でも物価が下がっている。
原油や鉄鉱石といった「川上」の価格下落が「川下」に波及してきたことを示す。
完成品である最終財の指数は、消費者物価指数との連動性が高い。一部の食品などを除けば、大半は「半年程度かけて消費者物価に波及していく」(野村証券の木下智夫チーフエコノミスト)見通しだ。今はゼロ近傍にあるCPI上昇率が、さらに水準を切り下げる可能性が高い。
17年度前半に2%の物価上昇率目標の実現を目指す日銀にとっては逆風となる。4月末に物価見通しの下方修正を検討しており、目標達成のメドが後ずれする可能性もある。市場の一部では物価上昇目標の実現に向け、追加緩和の観測が浮上している。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「少子高齢化や人手不足などを背景に人件費が上昇しており、食料品やサービスなど幅広い分野で価格上昇圧力は根強い」と指摘する。
大幅下落を続けてきた原油をはじめとする原材料はここにきて下げ止まりの兆しがある。
原油価格の回復が軌道に乗れば、物価を下押しする圧力が弱まる可能性もある。
[日経新聞4月14日朝刊P.5]
ケリー米国務長官の広島平和記念公園訪問は歴史的で、ケリー氏にとって心を動かされる体験だった。広島・長崎の計り知れない悲劇を認識し、戦後日本の信じられないほどの発展や日米同盟の決定的な重要性が分かっただろう。
ケリー氏の注目点は過去だけでなく現在にある。北朝鮮の脅威に対抗するには日米同盟が不可欠だ。
今回の訪問はオバマ大統領の5月の伊勢志摩サミットの際、広島訪問に向けた基盤になる。現職大統領として初訪問というだけでなく、核拡散と戦うオバマ氏の決意を新たにするものとなるだろう。日韓が核武装すべきだとするドナルド・トランプ氏の主張に対抗する上でも得点になる。
(ワシントン=川合智之)
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ケリー氏の訪問、真剣な行動 米ブルッキングス研究所北東アジア政策研究センター所長 リチャード・ブッシュ氏
広島平和記念公園をケリー米国務長官が訪れたことは、米政府とケリー氏にとって象徴的で、真剣な行動だった。第2次大戦で米国が核兵器を使用したことには、日本人の複雑な感情や世界の懸念がある。オバマ米大統領の「核なき世界」を目指す立場を反映した行動といえる。
北朝鮮のように周辺国に敵意を持つ国がある限り、核兵器は必要な抑止力ではある。その一方で、平和記念公園は核兵器の破壊的な威力を思い出させるだろう。オバマ氏が広島平和記念公園を訪問するかどうかは分からない。個人的にはケリー氏が訪れるならオバマ氏は訪問しないだろうと思っていたが、そうはならないかもしれない。
(ワシントン=川合智之)
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オバマ大統領の広島訪問、流れ強まる 米報道官が検討明言
5月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)後にオバマ米大統領が被爆地、広島を訪問する流れが強まってきた。ケリー米国務長官が広島を訪れるようオバマ氏に進言すると表明したのに続き、12日にはアーネスト米大統領報道官が「前向きに検討する」と明言した。報道官がここまで踏み込んだ場合、実現するのが通例だ。
ケリー米国務長官(中)の広島訪問で米国内から目立った批判は出ていない(11日)
アーネスト氏は記者会見でオバマ氏が掲げる「核兵器なき世界」と広島を絡め「最初に核兵器の犠牲となった広島ほど強く象徴する都市はない」と強調した。一方で「世界の自由を守るため第2次大戦を戦った米国人の勇敢さや英雄的行為を大統領は強く支持している」と述べ、「謝罪外交」との批判は当たらないとの見解を示した。
ケリー氏も12日、米ロサンゼルスの演説で「(広島訪問は)印象的だった。機会があれば皆行くべきだ」と語り、近くオバマ氏に広島を訪れるよう勧める考えを重ねて明らかにした。ケリー氏の広島訪問を巡って米国内で目立った批判はない。
オバマ氏は米国内の反応を見極めたうえで最終決断する。日本政府高官は13日、「オバマ氏が広島訪問を見送る可能性はかなり低くなっている」と期待を示した。米政府は4月中にも米大統領警護隊を広島に派遣し、オバマ氏の訪問経路などの安全性を調べる。
(ワシントン支局 吉野直也)
[日経新聞4月14日朝刊P.7]
【ワシントン=川合智之】米紙ニューヨーク・タイムズは13日付の社説で「ケリー米国務長官が道を開いたいま、オバマ大統領が来月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で広島を訪問する初の米大統領となることを妨げるものはないはずだ」として、オバマ氏に広島訪問を促した。オバマ氏が提唱した「核なき世界」への道は停滞しており、北朝鮮の核・ミサイル開発阻止に向けた取り組みなど「具体的な新提案を準備すべきだ」とも注文した。
社説では、オバマ氏が10年にロシアと新戦略兵器削減条約(新START)に調印し、15年にはイラン核合意を実現するなどの成果をあげたと述べた。
[日経新聞4月14日朝刊P.7]
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/369.html#c1
オバマ米大統領は5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の後に被爆地、広島の平和記念公園を訪問する方向で検討に入った。実現すれば、大統領として初めてとなる。米国では第2次世界大戦の終結を促したという原爆投下正当化論が根強く、訪問には賛否がある。具体的に動き出したオバマ氏の広島訪問構想。その決断を左右する2人の女性がいる。
核軍縮でつなぐ
11日、平和記念公園の国際会議場。米国の閣僚として初めて同地を訪問したケリー国務長官の記者会見を静かに聞き入るキャロライン・ケネディ駐日米大使の姿があった。「オバマ氏の広島訪問の可能性は50%以上か」と質問されたケリー氏が「具体的な数字を出せればいいが……」と冗談交じりに切り出すと、キャロライン氏は苦笑した。
今回のケリー氏の広島訪問の舞台回しに動いたのはキャロライン氏だった。両氏はともに地元が米東部マサチューセッツ州で昔から親交がある。米政府でオバマ氏の広島行きを進言しているキャロライン氏はケリー氏の訪問が成功しなければオバマ氏の広島訪問につながらないと判断していた。
3月下旬、米国に一時戻っていたキャロライン氏はホワイトハウスでオバマ氏に会った。ケリー氏の平和公園訪問を念押しし、オバマ氏自身の広島行きを改めて訴えたといわれる。
キャロライン氏は学生だった1978年に日本を初めて訪れた際、叔父で上院議員だったエドワード・ケネディ氏と平和記念公園に足を運んだ。広島とキャロライン氏を結びつけたのは、父で元大統領のジョン・F・ケネディ氏だ。核戦争の脅威に直面したキューバ危機を乗り越えたケネディ氏は核軍縮を提唱した。
「我々は人類破滅の戦略に向かってではなく、平和の戦略に向かって努力し続ける」。暗殺される直前の63年6月、米アメリカン大で開いた卒業式。ケネディ氏の「平和の戦略」と題した演説は東西冷戦下の歴史に刻まれる。
2008年1月、キャロライン氏は、そのアメリカン大で米大統領選の民主党候補指名争いに出馬していた現大統領のオバマ氏への支持を表明した。ヒラリー・クリントン氏優位の流れを変えるきっかけをつくった。
オバマ氏とケネディ家をつないだ核軍縮。駐日米大使となったキャロライン氏が広島、長崎の式典に出席し、オバマ氏に大統領在任中の被爆地訪問を勧めるのは、自然な流れだった。
「見苦しい連敗だ」。米共和党全国委員会は9日の声明で、ヒラリー氏が米西部ワイオミング州の民主党党員集会で敗北したことを酷評した。本命といわれながらヒラリー氏はバーニー・サンダース上院議員に7連敗。ヒラリー氏が党候補指名を得た場合に「破ることは可能だ」と声明は言い切った。
世論に浸透期待
オバマ氏が広島訪問を発表しない主な理由は11月の米大統領選だ。自身の選挙ではないが、オバマ路線の継承を公言するヒラリー氏が不利になるような展開は避けたい。共和党がオバマ氏の広島訪問に否定的な退役軍人の支持拡大を狙うのは確実だ。
不動産王のドナルド・トランプ氏らがオバマ氏と政権1期目に国務長官だったヒラリー氏の外交政策を「謝罪外交」と決めつける可能性も高い。オバマ氏はケリー氏が広島訪問に際して力説した核軍縮の実現など「未来志向」の考え方が世論に浸透するのを待っているフシがある。
「最初に核兵器の犠牲となった広島ほど強く象徴する都市はない」。アーネスト米大統領報道官は12日の記者会見で、オバマ氏が唱えた「核兵器なき世界」と広島を関連づけ、オバマ氏が広島訪問を前向きに検討していると正式に認めた。
「米国は原爆投下の道義的責任がある。核廃絶の先頭に立つ」。オバマ氏が09年4月にチェコの首都プラハでした演説から7年がたった。米国内の慎重論を押しのけ、広島訪問に踏み切るのか。サミットまで残り1カ月あまり。世界はオバマ氏が下す歴史的な決断に目を凝らしている。
(広島で、ワシントン支局 吉野直也)
[日経新聞4月14日朝刊P.2]
「さらなる金融緩和の予防線を張ることなく財政をふかせば、景気押し上げによる通貨高の圧力がそのまま市場に伝わる」という説明もあるが、景気が良くなるのならけっこうな話ではないか。
※関連参照投稿
「寸止め」という選択肢:安倍首相がもう「4年の猶予」を手に入れたいと願うなら、消費税増税凍結→衆参同日選挙
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/481.html
「どうする消費増税:5月段階で1ドル=100円を超えて円高が進みその水準が定着すると迷いも...」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/269.html
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[スクランブル]輸出関連株 晴れぬ霧
財政出動に円高リスク
株式市場で円高懸念がしつこくくすぶっている。米利上げは緩慢なペースでしか進まないとみられているうえ、政府が補正予算などの財政出動に動けば巡り巡って円高圧力につながりかねないためだ。13日に軒並み高となった自動車などの輸出関連株に対しても、市場からは「戻りの持続力は不透明」と懐疑的な声が多く聞かれた。
13日の日経平均株価は前日比452円高の1万6381円で終えた。上げ幅はほぼ1カ月半ぶりの大きさだ。前日の米市場で原油相場が大幅高となったのを受けてリスクを取るムードが強まり、円安がさらに進んだのも追い風となった。
幅広い銘柄が上昇するなかでも勢いが目立ったのは輸出関連株だ。トヨタ自動車は約2.5%高、富士重工業が約4%高となった。とはいえ、市場では「下げがきつかった大型株を短期筋がまとめて買い戻しているだけ。年金など実需の買いは動いていない」(銀行系証券の営業担当者)といった声が聞かれた。
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根底にはくすぶり続ける円高懸念がある。
「今年の円相場は1ドル=100円を超えて上昇するかどうかの勝負になる」。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストがこう語るのは、世界景気の減速で米利上げは年内に1回、あるいはゼロ回となり、ドル安の地合いが続くとみるからだ。基軸通貨を握る米国の金融政策が変調する影響は大きい。「為替介入や日銀の追加緩和があっても円高にブレーキをかける効果はさほど期待できない」と唐鎌氏は話す。
「財政拡張への傾斜が円高に拍車を掛ける可能性がある」と、りそな銀行の黒瀬浩一チーフ・エコノミストは分析する。日銀の金融緩和の「限界論」が指摘されるだけに、景気下支えへ補正予算や消費増税延期の議論もかまびすしい。だが、さらなる金融緩和の予防線を張ることなく財政をふかせば、景気押し上げによる通貨高の圧力がそのまま市場に伝わる。「この構図による円高が1990年代には繰り返された」(黒瀬氏)という。
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原油相場の動向もやっかいだ。足元の原油高は17日にカタールで開く産油国の会合が材料だ。議題は「増産凍結」のはずだが、一部では「減産」まで取り沙汰されているという。会合の結果が出た後に行き過ぎた期待が修正され原油が反落すれば「リスクオフの円高」が再燃する恐れがある。
実際、円相場の下げは小幅にとどまっている。3月28日の直近安値から4月11日まで5%弱上昇し、そこからの下落率は1%程度にすぎない。日経平均が直近のピークから8%強下げ、その半分近くを取り戻しているのと比べると、円高修正の勢いは限定的だ。
やや長い目でみれば輸出関連株の値動きは弱いままだ。この日大幅高となった富士重も前月末比だと9.2%安と、日経平均(2.3%安)に大きく見劣りする。半面、代表的な円高メリット銘柄であるABCマートやあさひは逆行高となっている。
2012年11月から始まったアベノミクス相場は常に円安に支えられてきた。円高への懸念がぬぐえない輸出関連株は、日本株相場の視界の悪さを象徴している。
(証券部次長 山下茂行)
[日経新聞4月14日朝刊P.18]
去年と違い、春の値上げに勢いがない。4月は食料品や日用品の価格改定が集中する時期にもかかわらず、スーパーの値動きを示す指数の伸びが急速に鈍っている。いずれも昨春の物価上昇をけん引した品目で、日銀が描く物価上昇シナリオは雲行きが一段と怪しくなってきた。市場では追加緩和観測も浮上している。
全国のスーパーの販売情報をもとに算出する「日経ナウキャスト日次物価指数」(7日移動平均)をみると、11日時点で前年同日比の上昇率は0.72%と9カ月ぶりの低水準。3月は1.2〜1.4%上昇していたが、急ブレーキがかかった。
伸びが鈍った背景を品目別に探ると、昨年健闘した商品の息切れが目立つ。カレー、アイス、カップ麺、牛乳は昨年4月に3〜8%値上がりしたが、今年はほぼ前年並みの水準。指数を開発した渡辺努東大教授は「価格が上がらないだけでなく売上高も鈍っており、家計の需要の弱さを映している」と指摘する。
食料品や日用品は昨年物価上昇をけん引してきただけに、影響を限定的にみることはできない。消費者物価指数(CPI、生鮮食品とエネルギーを除く)との連動性も高く、指数は今後の物価全体の上昇鈍化を示唆している可能性がある。
日銀でも指数の変調に不安が広がっている。黒田東彦総裁自身、「企業の価格設定スタンスが明確に変化している」のを示す例として指数を使っていた。物価上昇の先頭ランナーのような存在だっただけに失速が長引けば、2%の物価目標の達成が危うさを増す。
日銀は28日に2016〜17年度の物価上昇率の見通しを見直す。1月時点では「17年度前半ごろ2%に達する」としていた。だが民間エコノミストの17年度の予想平均は足元で0.87%と、3カ月前より0.26ポイント低い。
黒田総裁は「物価安定の目標の実現のために必要な場合には、量・質・金利の3つの次元で追加的な金融緩和措置を講じる」と繰り返している。1月時点の物価見通しはマイナス金利政策を踏まえたもので、見通しが大きく下がるなら、追加緩和の必要性が増す。外国為替市場では「最近の急激な円高で追加緩和を見込む投機筋も増えてきた」との声がある。
一方で民間エコノミストの間では4月の追加緩和予想は3割程度にとどまる。マイナス金利は国民や金融機関の評判が悪い。1月の決定後も円高・株安に歯止めをかけられなかった。国債の購入額を増やしても、かえって緩和限界論が意識されるリスクもある。
みずほ証券の上野泰也氏は「臨戦態勢をアピールしながら緩和カードを温存するのではないか」とみる。市場は日銀が動きにくいことも嗅ぎ取っている。
(後藤達也)
[日経新聞4月14日朝刊P.19]
6年がかりで調整してきた環太平洋経済連携協定(TPP)が風前の灯(ともしび)になっている。参院選を前に与野党の攻防が激化、甘利明前経済財政・再生相の金銭問題を巡る地検の強制捜査も響き国会は一時空転した。関連法案の成立は今国会では困難との見方が強まってきた。しかし、根はもっと深い。
震源は米国である。大統領選挙がヒートする中、有力候補は全員TPPに反対だ。暴走を続ける共和党候補のトランプ氏は相変わらず「ばかげた協定」と切って捨てる。本来、自由貿易論者の保守強硬派のクルーズ候補も反対派に転向している。民主党陣営では国務長官を務めたヒラリー・クリントン氏も「今のTPP法案には反対だ」と言う。民主社会主義者を自称するサンダース氏も「破滅的だ」と激しく批判する。
それだけではない。大統領選と並行して上下両院で議会選挙が行われる。TPPの発効には両院それぞれで過半数の議員の賛成が必要だ。労働組合を支援団体に持つ民主党内のTPPへの抵抗感は根強い。自由貿易に理解があるはずの共和党には感情的なオバマ嫌いがある。選挙戦が熱を帯びれば保護主義に傾き、反TPP議員が増える可能性は少なくない。
もっとも希望の明かりがないわけではない。“レームダック作戦”である。新大統領は11月8日に決まる。だが実際の就任は来年の1月20日。新議員の就任もほぼ同じ時期である。そこで浮かぶ策が、このレームダック期間中の法案成立だ。オバマ政権下で引退議員や落選議員が残っているうちに法案を成立させてしまうという奇策である。
選挙が終わっているから冷静な判断に戻る、という期待もある。だが、そう簡単に手のひらを返すことになるだろうか。日本と違い党議拘束もない。安倍政権はこれまで「日本が率先して法案成立をめざす」と強調してきたが、無駄弾になりかねない。
さて、最終的にどうなるのだろうか。次期大統領に最も近いのはやはりクリントン氏だろう。考えられるのは、新政権に移行してからのTPP再交渉提案だ。「ちゃぶ台返し」である。日本や参加各国はこの翻弄に耐えられるか。なんともやりきれない気が遠くなるような危うさが生まれている。
(横ヤリ)
[日経新聞4月14日朝刊P.19]
[迫真]暗闘 農政改革
(1)レクサス農機は必要か
3月30日、自民党本部で開いた農林族幹部による非公開会合「インナー」。党農林部会長、小泉進次郎(34)の突然の発言が場の空気を変えた。
「農協別の農薬の価格差を調べた。これから公表したい」
血相を変えた参院議員の野村哲郎(72)が待ったをかけた。「価格差にはそれぞれ理由がある。分析をしないで出せば数字が独り歩きする」。小泉は聞き入れなかった。
青森1621円、山形860円――。その後の部会小委員会で公表されたリストでは、同じ殺虫剤でも農協別の価格差は最大2倍。「高い農薬を買わされていた青森や秋田の農家は驚くだろう」。リストをみた農林族の西川公也(73)も思わずつぶやいた。
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環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け日本の農政が岐路に立っている。世界市場で成長の道をみつけるか、関税障壁を失い国内市場を侵食されるか。「攻めの農林水産業に転換するための体質強化など万全の措置を講じる」。首相の安倍晋三(61)は7日に審議入りした衆院TPP特別委員会で訴えた。
だが、補助金漬けの高コスト体質を変えなければ、多額のTPP対策費はムダになりかねない。
「補助金があるから700万円ではなく1000万円のトラクターを買いましょう」。千葉県の農家は昨年、新しいトラクターの購入時に農機メーカーの営業マンから提案された。年に3〜4カ月ほどしか使わなくてもエアコンやステレオが付き「レクサス農機」といわれることもある。
2015年度補正予算に盛りこまれた緊急のTPP対策費。畜産向けには、自動搾乳マシンなどのリース料を補助する予算が前年度補正に比べ3倍の610億円ついた。
「補助金はくじ引きで利用者が決まった」。北海道の牧場経営者、斉藤和弘(39)は話す。やる気がある農家かどうか事業計画の審査は曖昧。自動搾乳マシンの価格はなぜか各メーカー横並びの1台2500万円だ。
「農業協同組合(JA)とメーカーが結託し、補助金にぶらさがる構図が農業の競争力を奪ってきた」。小泉は訴える。多くの農家は価格が高くても慣習によりJAが仕入れた農機や資材、農薬を買わざるを得ない。
農林水産省によると、コメ60キログラムを生産する費用は韓国が8500円、日本は1万5000円。内訳は農機具が韓国の5倍、肥料は2倍、農薬は3倍だ。小泉は明るみに出てこなかった「不当な価格や取引」の実態を公表。資材調達での自由競争を促そうともくろむ。
JA側の反発は強い。「農機や肥料を仕入れて農家に売る事業はもうかっていない」。JA全農常務理事の山崎周二(61)は3月23日、メディアを集め決算書を示し抗議した。15年3月期の事業収益は5兆円だが事業損益は約36億円の赤字。改革圧力をかわす狙いだ。
7月の参院選を控え選挙区からの突き上げも強まる。「野党との戦いはぎりぎりだ。もっと農業支援を打ち出して」。自民党新潟県連幹事長の小野峯生(63)は3月12日、自民党本部で選挙対策委員長の茂木敏充(60)に懇願した。最大の票田は農協だが、小野は「TPPのせいで市町村の組合長は自民を応援しないと言っている」と嘆く。
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巨額のTPP対策費をあてこみ、先祖返りする動きもある。「当選後は必ず予算を獲得します」。3月24日、福島県で開かれた県土地改良事業団体連合会(土改連)の総会。参院選に組織内候補として自民から出馬する進藤金日子(52)は声を高めた。
農村の公共事業を手掛ける土改連が組織内候補を出すのは9年ぶり。狙うのは1993年の多角的貿易交渉「ウルグアイ・ラウンド」合意に伴う農業対策費の再来だ。
当時の農林族が勝ち取った対策費は6兆円。「使い道がわからず多くを土地改良に回した」。当時の農林族で元農相の谷津義男(81)は語る。
「進次郎は風呂敷を広げすぎたな」とベテラン農林族。部会は秋をメドに提言をまとめる。「それまでに風呂敷をたたませる」。一方、小泉自身もJAや企業、農水省は「抵抗勢力」として攻撃するが、ぬるま湯につかってきた面もある個々の農家への言動は慎重だ。
◇
ウルグアイ・ラウンド合意から23年。政府は71兆円の予算をつぎ込んだが農業生産額は年11兆円から8兆円に減った。自民は自らの票田に痛みを迫り、いつか来た道を避けられるのか。課題を検証していく。
(敬称略)
[日経新聞4月12日朝刊P.2]
(2)100兆円はどこに
4月1日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の新理事長に高橋則広(58)が就いた。「マーケットで極めて認知度の高い方」と厚生労働相の塩崎恭久(65)。「日本最大のヘッジファンド」とよばれる農林中央金庫の元債券投資部長だ。だがそのヘッジファンドとしての農中のあり方が問われている。
JAの経営は金融事業が支える
農林水産省3階の大臣室。1月19日、農相の森山裕(71)が珍しく声を荒らげた。
農水官僚が前日の自民党農林部会の内容を説明した時のこと。森山が「農林中央金庫の話は出なかったのか」と尋ね官僚が「出ませんでした」と答えたのに怒った。「じゃあなんで新聞に出ているんだ」。省内には「大臣は相当に農中の件を気にしている」との見方が広がった。
発端は農林中金をめぐる1月13日の小泉進次郎(34)の発言。「農中は農家のためにならないならいらない」。茨城県での視察後、記者団にぶちあげた。
「96兆円もの資産があるのに農業融資は貸出全体の0.1%。お金は他の金融機関に回せばいい」。農業金融を担う農中は法人税率が低いなど優遇があるが、実際の運用は金融資産に集中し2015年度の外国債券保有残高は約35兆円。「その資金を農業に活用できれば年2〜3兆円ある農業向け財政負担を減らせるはず」。小泉は訴える。
農中は危機感を強める。茨城県のJA土浦中央支店。貯金やローンの窓口が並ぶが「営農指導」の看板はずっと奥。08年のリーマン・ショック時の投資の失敗で1兆5000億円強の含み損を抱えJAの資金で穴埋めした。その後、農業金融の拡大を打ち出したが進んでいない。
3月2日、農中職員らが参加した仙台市内の研修会。「昨日も今日も銀行の人は通ってきた。地銀には農業経営アドバイザーがいる。農協も人材を育てるべきだ」。講師を務めた大郷グリーンファーマーズ社長の郷右近秀俊(53)は訴えた。
農中側は小泉の理解を得ようと躍起だ。「法人税率が民間銀行と同じになってもやむを得ない」。農中理事長の河野良雄(67)は譲歩姿勢を示す。「きちんと説明したい」。1月下旬、農中専務理事の大竹和彦(56)は自民会合の終了後、帰ろうとする小泉に追いすがった。だが、小泉は応じず、小泉と農中側の面会は今も実現していない。
総資産100兆円。メガバンクに継ぐ巨大な「農業金融」を巡り神経戦が続く。
(敬称略)
[日経新聞4月13日朝刊P.2]
(3)やめるか、やめないか
4月上旬、自民党が札幌市内で開いた衆院北海道5区の補欠選挙対策会議。「また俺たちをだますのか」。突然、怒気をはらんだ声が響いた。
声の主は5区内にある新篠津村農業協同組合長の西井通泰(63)。政府の規制改革会議が8日に提言した生乳の流通自由化に反発した。同組合は今も環太平洋経済連携協定(TPP)に反対している。自民参院幹事長の伊達忠一(77)は「参院で反対決議を出す。安心してほしい」とあわてて場をおさめた。
生乳の流通は国が指定した10農協が一手に担う。約50年前に牛乳の安定供給のため作られた制度だ。参加しない農家は国の補助金がもらえない。乳業メーカーとの交渉や出荷先、生産計画の決定権は農協が持つ。
「もっと自由に生産、流通できれば酪農は成長産業になる」。規制改革会議は訴える。一方、農協側は輸送コストの軽減や価格交渉力の向上を主張する。
6日、農林水産省大臣室。北海道の指定団体、ホクレン農業協同組合連合会会長の佐藤俊彰(67)は農相の森山裕(71)に強く訴えた。「指定団体がないと酪農は崩壊する」。森山もうなずいた。「同じ思いだ」
農家の間では意見は割れる。乳牛650頭を飼う北海道幕別町の田口広之(56)は2年前から農協に属さない「アウトサイダー」となった。価格交渉も増産計画も自前。補助金はもらえなくなったが手取りは増えた。「経営規模まで指図される状況には戻りたくない」と語る。
「やめるか、やめないか」。稚内市で乳牛120頭を飼う大硲秀男(79)は提言を聞き同業者と話した。ホクレンの出荷価格は運賃も含み全道一律。稚内は主要港から遠い。「運賃コストが高くなりどこにも買ってもらえなくなる」と懸念する。
指定団体のない他の農産物も農協が流通を仕切る構図は似ている。「これじゃまともな経営にならないだろう」。千葉県の農業法人、さんぶ野菜ネットワーク事務局長の下山久信(70)は農協の単価表を見てつぶやく。手数料や農薬代で、中型トラックいっぱいのニンジン5トンを売っても手取り7万円。付加価値の高い有機野菜を作るさんぶは自主流通を確保できるが、一般の農家はコメの補助金や兼業に傾いてもやむを得ない状況だ。
生乳取引の自由化は、農協を通じた硬直的な流通改革への試金石だ。意欲ある農家への自由化か、弱い農家の保護か。選択を迫られている。
(敬称略)
[日経新聞4月14日朝刊P.2]
(4)農水省外しは陰謀だ
10日、北海道十勝にある中札内村。自民党の農林水産戦略調査会長、西川公也(73)は地元農家らへの講演で7月の参院選に向けた政策を明らかにした。
「飼料用米を安心して作ってもらうため、党公約に補助金予算の恒久化をめざすと書く」
主食米の生産調整(減反政策)を18年に廃止する――。首相の安倍晋三(61)が表明したコメ政策の大転換に、早くも「骨抜き」の兆しがみえている。減反政策の廃止には国主導でつりあげてきた米価を下げ、海外産品との競争力をつける狙いがある。だが農林水産省は代わりに飼料用米への補助金拡大に走った。16年度予算は3078億円。飼料用米を作らせ、主食米を減らす「事実上の減反政策」だ。
「18年産以降も枠組みは当然必要になる」。7日の自民会合で、農水省幹部は補助金が継続する可能性を示唆した。予算確保の実績づくりへ幹部らは全国キャラバンで生産拡大を訴える。3月には「飼料用米の多収を競うコンテストを開く」と農相の森山裕(71)が発表した。
競争力強化に逆行する補助金には農林族からも異論が出る。「10アールで最大10万5000円の補助金を未来えいごう払うのは無理だ」。農林族幹部の江藤拓(55)は7日の会合で発言した。
骨抜きは減反政策だけではない。2月18日、自民党本部の1室に農水省幹部と農林族が集まり内閣府幹部を責め立てた。「陰謀を張り巡らせた」「なぜ農水省に相談しなかったのか」
反発したのは、2月5日の国家戦略特区諮問会議での安倍の発言。企業の農地所有への規制緩和を「最終的に私の判断で法案に盛り込みたい」と語った。農水省側には寝耳に水だった。
農水省はすぐに巻き返しに出た。特区は受け入れつつ「担い手が著しく減り耕作放棄地が拡大している地域限定」など厳しい条件だらけの案を作成。西川が2月24日、官房長官の菅義偉(67)に持ち込み了承を得た。「10の特区で当てはまるのは兵庫県養父市だけ」と西川は語る。
予算確保と票田維持。利害を同じくする農水省と農林族は共同で参院選の公約づくりを進める。民主党政権で減った農業土木予算の拡大などが軸。競争力強化より政府介入や予算ばかりが増える政策が続く。環太平洋経済連携協定(TPP)発効後も日本の農業は生き残れるのか。農政を巡る暗闘の行方は日本の将来を左右する。
(敬称略)
羽田野主、小太刀久雄、福岡幸太郎、古賀雄大が担当しました。
[日経新聞4月15日朝刊P.2]
【ソウル=加藤宏一】13日投開票の韓国総選挙で、保守政党の与党「セヌリ党」が、まさかの大敗を喫した。16年ぶりに与野党の勢力が逆転し、朴槿恵(パク・クネ)大統領の政権運営は難しくなる。
「傲慢で恥ずかしい姿を見せ、党の力を結集できなかった」。セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表は14日、与党大敗の責任をとって辞任を表明した。
セヌリ党は公示当日まで、「親朴」派と、「非朴」派が選挙区の公認を巡り激しく対立した。韓国は経済成長率が2%台にとどまり、若年失業率が過去最悪を更新するなど苦境にあえぐ。そんなさなかの内紛劇。与党大敗を韓国メディアは「大統領と親朴の傲慢に対する国民的な審判だ」(朝鮮日報)と批判する。
受け皿になったのは、革新系の野党第1党の「共に民主党」と、中道勢力の「国民の党」だ。
共に民主党はソウルを含む首都圏で躍進。金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員会代表は「政権交代の道にまい進する」と勝利宣言した。
国民の党は改選前の2倍近い38議席を獲得。第三極の位置づけを明確にした。安哲秀(アン・チョルス)共同代表は「国民の党は全国で支持を受ける政党の座を得た」と胸を張った。
野党の躍進は朴大統領の手足を縛りかねない。
外交面では北朝鮮への強硬路線や従軍慰安婦問題を巡る日韓合意の履行など、朴氏の「原則外交」に逆風が強まる可能性がある。朴氏は外交・安全保障で安易に妥協しない姿勢で支持率を高めてきたが、野党が朴氏の外交姿勢を批判し、国内の反対世論が強まれば、朴氏は身動きがとりにくくなり、求心力が低下する懸念がある。
対北朝鮮政策で焦点になりそうなのが、韓国政府が2月に全面中断に踏み切った南北協力事業の開城工業団地だ。入居している中小企業を守ろうと、共に民主党、国民の党は再稼働を公約に明記している。両党からの突き上げが強まると、北朝鮮への圧迫を優先した朴大統領に世論の批判が強まる可能性がある。
対米、対中外交に関わるのが、在韓米軍による地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備問題だ。中国が警戒するTHAAD配備には、共に民主党が否定的な立場だ。議論を進めにくくなる可能性がある。
日韓関係で懸念されるのが、従軍慰安婦問題への影響だ。この問題に関する日韓合意について、共に民主党は再協議する公約を掲げた。国民の党の安哲秀(アン・チョルス)共同代表も合意には批判的な立場だ。野党からの圧力が強まれば、合意履行に強い意志を示す朴氏の立場は苦しくなる。
内政では、労働改革など野党の反対が根強い一連の構造改革が滞るのは避けられない。与野党で対立する法案の単独採決に事実上5分の3以上の賛成を必要とする国会先進化法のため、ただでさえ難しかった与党の法案成立が、さらに難しくなりそうだ。
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日本政府、慰安婦合意や安保協力に影響懸念
与党「セヌリ党」の敗北を受け、日本政府はようやく改善へ動き出した韓国との関係に影響が出ることを懸念している。とりわけ強まっているのが、昨年12月に旧日本軍の従軍慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」した合意の履行にブレーキがかかるのではないかという見方だ。
朴槿恵(パク・クネ)大統領の求心力低下は避けられない情勢だ。今回の総選挙で勝利した革新系の最大野党「共に民主党」は、選挙公約に慰安婦合意の再協議を盛り込んでいる。
菅義偉官房長官は14日の記者会見で「合意を日韓両国が責任をもって実施することは両国の発展のためにも必要だ」と指摘。韓国外務省報道官も同日の会見で「韓国政府の基本立場に変化はない」と述べた。
だが、元慰安婦を支援するための財団設立や、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦を象徴する少女像の移転問題など個別の合意内容も具体的な進展はない。日本政府内では「韓国の総選挙が終われば動き出す」との期待があったが、修正を迫られそうだ。
北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射をきっかけに強まる安全保障分野の協力にも冷水を浴びせかねない。
3月31日の日米韓首脳会談では、安保分野の協力強化を急ぐ方針を確認したばかり。日本側は軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の早期締結を働きかけているが、実現は遠のく可能性がある。
[日経新聞4月15日朝刊P.3]
東京で日本の岸田文雄外務大臣とロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相が協議し、安倍晋三首相のロシア訪問の詳細が詰められたが、平和条約と領土問題の解決には近づいているとは考えにくい。著名なロシアの歴史家、東洋諸国研究所のアナトリー・コシキン教授が語った。
「ラヴロフ外相訪日前には今訪問が北方領土問題解決への模索の試みのひとつであるという多くの投機的観測があった。モスクワ側は、主な目的はロシアへの安倍首相の非公式訪問への準備であるという立場だった。
会談後の声明ではいわゆる領土問題はついでに言及されているに過ぎない。これは、両国の立場が相いれないままであることを示している。
ロシアは島の譲渡に関する交渉があったという事実さえ拒否している。なお、それ以前のラヴロフ外相声明で、平和条約の問題は北方領土の問題と等価ではないと言われている。
ロシアは平和条約問題解決に向け相互に受け入れ可能な条件を見つけるための交渉の継続に異議を持ってはいないが、日本へのクリル諸島の譲歩がその主要な条件であるとは考えていない、との立場だ。しかし日本国内では、交渉継続への圧力が高まっている」
「スプートニク」:日本のメディア等でロシアに対する圧力が高まっている理由は何か?
「私は日本の右翼勢力は安倍首相がその右的立場にもかかわらず領土問題で妥協する可能性を恐れ、それを回避しようとしている、という印象を持っている。大資本に裏打ちされたこれら勢力の影響力を考えると、自民党と現日本政府が強硬姿勢を崩す可能性は低いと思われる。また、日本の外交は、いわゆる北方領土問題を作りだしたアメリカの人質だ。
この問題に関するロシアの立場は昨日テレビで放映されたホットラインの後で改めてプーチン大統領が表明している。いわく、ロシアは妥協点を見つけことを望んでいる。
2001年に彼が平和条約調印後、シコタンとハボマイの譲渡を決めた1956年の宣言の条項に回帰することを森首相と約束したことが知られている。しかし、ロシアにも日本にも1956年の条件に自動的に復帰する可能性を疑う人がいる。以来、状況は劇的に変わった。
1956年には単に島の問題だったが、今は各島の周りの豊かな経済圏が問題になっている。その陸棚からはガスとオイルが手に入る。そのことは以前には想像することも不可能だった。
さらに、1950年代に比べてこの問題の軍事戦略的側面は飛躍的に増大した。今では島だけの問題でなく、オホーツク海と太平洋を結ぶ島と島の間の海峡が問題になっている。南クリルが相手側にわたると海峡が阻止されることも排除できない。それにこれら島嶼に米軍基地が設置されないという保証もどこにもない。私見では今、領土問題の解決を延期し、妥協点に到達するための条件を作成することに集中するには、非常に好都合なタイミングだ。これまでのところ、日本側にもロシア側にもいかなる妥協の兆候も見られない。しかし、仮に日本が1956年宣言の条項への復帰というロシアの提案に同意することを前提としても、交渉は依然として非常に困難だろう」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160415/1970313.html
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日ロ外相 首脳会談後 早期に平和条約締結交渉を[NHK]
4月15日 19時21分
岸田外務大臣は、ロシアのラブロフ外相と会談し、北方領土問題を巡って双方が受け入れ可能な解決策を見いだすため、来月上旬の安倍総理大臣のロシア訪問のあと、できるだけ早期に外務省高官による平和条約締結交渉を行うことで一致しました。
岸田外務大臣は、日本を訪れているロシアのラブロフ外相と、15日午後、外務省の飯倉公館で、およそ2時間にわたって会談しました。
会談の冒頭、岸田大臣が「きょうの会談は、今後の首脳レベルでの政治対話に向けた準備という意味で大変重要なので、率直で建設的な意見交換を行いたい」と述べたのに対し、ラブロフ外相は「両首脳が約束したとおり、両国のすべての分野で関係が発展することを望んでいる」と応じました。
そして両外相は、来月上旬にロシア南部の保養地ソチで行われる見通しの、安倍総理大臣とプーチン大統領による非公式の首脳会談について、今後、日程などの詰めの調整を進めていくことを確認しました。
そのうえで両外相は、北方領土問題を巡って双方が受け入れ可能な解決策を見いだすため、安倍総理大臣のロシア訪問のあと、できるだけ早期に外務省高官による平和条約締結交渉を行うことで一致しました。
会談のあと、両外相はそろって記者会見に臨み、岸田大臣は「日ロ間の最大の懸案である平和条約締結問題の今後の交渉に弾みをつける、前向きな議論ができた」と述べました。
一方、ラブロフ外相は「平和条約締結問題に関するさまざまな側面を巡って意見交換した。ロシア側の『第2次世界大戦の結果を認めなければならない』というアプローチは変わらないが、あらゆる環境のなかで対話を継続する用意がある」と述べました。
海外観光客の増加は日本経済にとって数少ない明るい材料だ。2015年の訪日客数は1974万人で、12年の約2.4倍、旅行消費額は約3.5兆円で同じく約3.2倍となった。政府も自治体もこうしたインバウンド観光を今後の成長の柱と位置づけている。
期待に応えてインバウンド観光は増え続けるのか。その持続性を点検してみよう。訪日客の国内消費は観光サービスの輸出である。これが急増した理由として次の3つが考えられる。
第1は円安による価格効果だ。12年末に1ドル=80円程度だった円レートは、15年秋には同125円近くになった。3割を超える円安である。
為替レートの変化分がどの程度、輸出価格に転嫁されたかを示すのがパススルー率である。今回の円安過程では日本の輸出品の価格はあまり下がらなかった。つまりパススルー率が低かったことが知られている。円安でも輸出数量が増えなかったのはこのためだ。
しかし、観光サービスの輸出ではパススルー率はほぼ100%だった。円安でも国内価格は変わらなかったためで、これによって輸出数量に相当する観光客数が大幅に増加した。
第2は消費者の所得が増えたという所得効果だ。近年の中国、東アジア諸国の成長で消費者の可処分所得が大幅に増え、それが日本からの観光サービスの輸出を増やしたのである。
第3は裁定効果だ。近年の訪日外国人消費の中心は中国で、その消費金額は外国人観光客全体の約4割にも達している。その多くは大量のお土産を持ち帰る「爆買い」である。これは中国の消費者が購入したい商品が、中国の国内では制度的に購入できないことを補う裁定行動だといえる。
こうして考えるとインバウンド観光の持続性には疑問符が付く。円安が一段落すれば価格効果はなくなり、円高に動けばマイナス要因となる。中国や東アジアの今後の成長には不透明な面があるから、所得効果が続く保証はない。いずれ中国での販売体制の整備や製品輸入の増大などが進めば裁定効果も薄らぐ。
インバウンド観光を持続的な成長の柱としていくには、一時的な価格や所得、裁定効果に頼らない、付加価値の高い安定的な観光需要を創出していく必要がある。
(隅田川)
[日経新聞4月15日朝刊P.17]
[時事解析]日本の情報機能
(1)安保環境、不透明に 体制整備遅れ 顕著
日本周辺地域の安全保障環境が不透明さを増し国際テロの脅威も増大する中で、政府のインテリジェンス(情報)機能の強化が課題になっている。
一般にインテリジェンス活動は、(1)人的情報を中心とする国外情報(2)信号・通信情報(3)軍事情報(4)偵察衛星による画像情報(5)メディアなどの公開情報――の収集・分析や、外国スパイ対策に分けられる。分野別に専門機関を設け、連携させる「情報コミュニティー」を形成している国が多い。
日本では(2)の一部と(3)を防衛省情報本部、(4)を内閣衛星情報センター、(5)を一般財団法人ラヂオプレスなど、スパイ対策を警察の公安部局と法務省の公安調査庁が担っている。
ただ、(1)の機能を担い、国外に直属担当者を大規模に展開している情報機関はない。昨年、公安調査庁の情報収集に協力していた複数の日本人民間人が、中国当局の締め付け強化のあおりで相次ぎ身柄を拘束・逮捕された。国外での人的情報の収集をいかなる体制で進めるべきかの検討は急務になっている。
インテリジェンス問題に詳しい落合浩太郎・東京工科大教授は最近の論文で、国外情報機関に関して「新設の必要性についての議論は出尽くした感もあり、具体論の段階に入っている」と指摘した。
日本のインテリジェンス機能が立ち遅れている問題は、日本だけの問題ではなくなっている。ある主要国の関係者は「日本に国外情報の専門機関が存在しないことは、他国にとっても情報交換などの面で非常に不都合だ」と語る。
(編集委員 高坂哲郎)
[日経新聞4月12日朝刊P.28]
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(2)幻の構想、実現した機関 成否分けた「時代」
国外で人的情報(ヒューミント)を収集する専門機関としては、米国の中央情報局(CIA)、英国の秘密情報部(SIS、通称MI6)などが知られる。これらの機関との情報交換相手として日本には内閣情報調査室(内調)がある。ただ規模が小さいうえ警察の出先機関という色彩が強く、米CIAや英SISとは性格が大きく異なる。
内調の前身である内閣総理大臣官房調査室の発足に関わった当時の吉田茂首相や緒方竹虎副総理は、同調査室を拡充して「日本版CIA」に育てる構想を持っていたが、実現しなかった。
一方、画像情報(イミント)分野では内閣衛星情報センターが短期間に実現した経緯がある。画像情報では長く米国に依存していたが、1998年8月に北朝鮮が本州越えミサイル実験を実施すると、独自の衛星による探知能力を強めるべきだとの世論が高まる。2001年4月に同センターが発足した。
内調が本格的な国外情報機関になれなかった理由について、社会学者の吉田則昭氏は著書「緒方竹虎とCIA」の中で「最も致命的だったのは、当時の政治状況であり、吉田(茂首相)の政治的求心力の低下であった」と指摘する。戦前に報道統制を担当した緒方に対する戦後の報道各社の警戒は強く、国外情報機関への理解は浸透しなかった。
これに対し、衛星センターが短期間で誕生し得たことは、戦後の国際情勢の変化の中で、自前の情報能力を持つことへの国民の理解が徐々に広がってきたことを示しているようにもみえる。
(編集委員 高坂哲郎)
[日経新聞4月13日朝刊P.26]
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(3)国外・通信の専門機関、焦点 縦割り弊害除去を
日本のインテリジェンス(情報)活動は、あらゆる分野で改善が必要だが、早急に対処すべきなのが「国外情報」と「通信情報」の2分野だろう。
日本政府は、5月開催の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や、2020年の東京五輪をにらみ、外務省、警察庁、防衛省などのスタッフでつくる「国際テロ情報収集ユニット」を昨年12月に新設した。設置先は外務省だが、事実上の首相官邸直属機関として機能し、テロ関連情報を集める任務を帯びている。
こうした試みが将来、本格的な国外情報の専門機関に発展するかが注目される。
様々な通信などを傍受する信号・通信情報(シギント)機関を増強すべきだとの声もある。
自衛隊が冷戦時代から取り組んできた外国軍などの通信を傍受する活動が「伝統的シギント」だとすれば、テロ組織関係者などのメールやネット閲覧状況の監視は「新型シギント」といえる。米国では国家安全保障局(NSA)、英国では政府通信本部(GCHQ)というように専門機関が担当している。
警察庁出身の茂田忠良・日大教授は「(新型シギントの領域で)優れた能力を持てば、外国機関との情報交換で有利になるし、情報要員の人命損失のリスクも少ない」と指摘する。
今後、国外情報や新型シギントの分野で機関を新設する場合、一つのひな型となりそうなのが内閣衛星情報センターだ。防衛省や警察の出向者らでつくられてはいるが、関係者によると縦割りの弊害が比較的少ないという。
(編集委員 高坂哲郎)
[日経新聞4月14日朝刊P.27]
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(4)政治家の資質も課題 活動監視に不可欠
インテリジェンス(情報)活動は「政権中枢による情報要求→専門機関による情報収集・分析→報告→次なる情報要求…」というサイクルで進む。ある政府関係者は「安全保障政策の司令塔である国家安全保障会議とその事務局の国家安保局の発足後、良いサイクルが回り始め、専門機関も活気づき始めた」と話す。
ただ、先々政権が変わるなどして、流れが変わる可能性もある。過去には非常に大ざっぱな形でしか情報要求ができず、関係者を大いに戸惑わせた首相もいたとされる。
金子将史・PHP総研首席研究員は、共著「インテリジェンスなき国家は滅ぶ」の中で「政治指導者がインテリジェンス・リテラシー(知識)をいかに身につけるかが、わが国最大の課題かもしれない」と指摘した。
米国では、議会の情報特別委員会が政府の情報機関の活動をチェックする役割を担っている。同委員会には情報機関に必要な資料の提出を強制できる強い権限が与えられており、過去にはテロ容疑者収容施設での虐待行為などを明らかにした。
一方、現在の日本の国会には米議会のような強制権限がない。日本の場合、各政党の安保政策の差があまりに大きく、情報漏洩を恐れる政府機関が開示に積極的になれない面もある。英国は、信用できる議員を集めた組織を議会の外に設け、議会への報告の代替策としているとされる。
今後、民主主義国家である日本がインテリジェンス活動を強化する際には、こうした工夫が参考になるだろう。
(編集委員 高坂哲郎)
=この項おわり
[日経新聞4月15日朝刊P.27]
「リビアは、米国があの国に秩序を確立させることを望んでいなかった」と居直られても、介入してカダフィ政権を倒したため無政府状態になっており、“望む”も“望まない”も、それを判断する主体を消し去っているのだから話にならない。
ヒラリーさんが次期大統領になり、ISの跋扈を主たる理由に「カオスのリビア」に秩序をもたらすためと称して軍事介入(空爆中心に)する悪夢をみる。
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クリントン前国務長官「リビアのカオスに責任はない」[スプートニク日本語]
2016年04月15日 22:02
米大統領選に向けた民主党候補指名争いでトップに立っているクリントン前国務長官は、14日のサンダース上院議員との討論会で、彼女が国務長官を務めていた2011年、米国の介入後リビアがカオスの状態に陥った責任について、これを否定した。
クリントン候補は、次のように述べた―
「我々は、あの時、大変複雑で困難な状況にあった。リビアは、米国があの国に秩序を確立させることを望んでいなかった。しかし彼らは、自分達の安全を保障する事が出来なかった。」
これに対し、討論相手のサンダース上院議員は「クリントン氏がリビアにおける『体制の交替』を支持しながら、ホワイトハウスにはその後の行動プランが無かった」として、彼女を批判した。
一方クリントン候補は「オバマ政権は、国連の勧告に従ったまでだ」と反論した。
2011年、リビア国内の騒乱は、内戦へと発展した。この年の3月、国連安全保障理事会は、当時のカダフィ政権から平和的に暮らす一般住民を保護するためとして、介入を容認した。米国主導による連合軍、そしてフランスおよび英国が、リビアを空爆した。
何百万年も先の話として、地質学者のなかで、現在地震が続発しているあたりの東西ラインで九州島は南北に分断するという説が唱えられている。
一昨日から震度5以上の地震が東西ラインで連鎖的に続いている報は、そのような遙か遠い未来の地殻変動を想起させる。
全国で唯一川内原発の2基が再稼働を続けているが、地震列島日本で原発を動かす愚から早く脱却してもらいたい。
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阿蘇、大分も震源域に 九州横断の「溝」にずれ [熊本県]
2016年04月16日12時23分 (更新 04月16日 14時09分)
14日の熊本地震を上回るマグニチュード(M)7・3を観測した16日未明の地震は、強い揺れを引き起こし、九州に甚大な被害をもたらした。熊本地震について政府は15日、日奈久(ひなぐ)断層帯(約81キロ)の北端付近が引き起こしたと判断。ところが16日の地震は、熊本県の阿蘇外輪山から宇土半島付近に延びる布田川(ふたがわ)断層帯(約64キロ)のずれだと専門家はみている。その後、震源域は北東側に大きく移動してきており、地震が次の地震を呼ぶ連鎖が懸念されている。
気象庁は、マグニチュードが大きい16日午前1時25分の地震を「本震」と位置づけ、熊本地震をその「前震」に格下げした。
本震をもたらした今回の震源は、日奈久断層帯北端の北側、布田川断層帯に乗っている。東京大地震研究所の古村孝志教授(地震学)は「16日の地震は、熊本地震をきっかけに布田川断層帯が約30キロにわたってずれたことによる地震だ」と指摘する。
震源の深さは約12キロと浅い。マグニチュードも「九州の内陸部地震では、この100年で最大だった」(福岡管区気象台)ことが、各地の被害を大きくした。
さらに、その後の地震が特徴的な動きを見せている。14日までは熊本地震で震度7を記録した熊本県益城町が余震の主な震源域だったが、16日未明の地震以降、北東の同県阿蘇地方、大分県方面に移動し始めている。
もともと、大分県の別府湾から阿蘇山などを経て長崎県の雲仙に至る区間は、地盤間の溝(別府−島原地溝帯)が走っているとされる。溝を境に南北方向に引っ張る力が岩板(プレート)にかかり、この地域にある活断層が「横ずれ」と呼ばれる動きを見せるのはこのためだ=イラスト参照。
古村教授は「地溝近辺ではこれまで、大きな揺れがなくエネルギーがたまっているエリアが多い。地震が次の地震のきっかけになる連鎖が起きる可能性は否定できない」と注意を促す。
「本震の後に余震が続き、やがて収束していく『本震余震型』の地震のパターンだけではない」と指摘するのは、鹿児島大の井村隆介准教授(地質学)。2日前から前震が確認されていた東日本大震災(2011年)がまさに「前震本震型」だったという。
井村准教授は「今回の地震が本震なのかどうか、まだ分からない。これ以上の本震が今後あるかもしれず、余震が数カ月続くことも考えられる」という。
=2016/04/16付 西日本新聞夕刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/238664
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<熊本地震>異例の続発 九州の内陸部地震では過去100年で最大規模 被害甚大
西日本新聞 4月16日(土)12時57分配信
「このような規模の地震が広域的に続発するのは記憶にない」
16日午前1時25分ごろ、熊本県熊本地方を震源とする最大震度6強の地震が発生した。震源は深さ12キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・3と推定される。その後も大分県を含め震度6弱以上の地震が断続的に続いた。熊本県や各自治体によると、建物の下敷きになるなど正午時点で18人が死亡し、14日の熊本地震以降の死者は計27人となった。九州で少なくとも577人が負傷し、16日正午現在、7万5465人が避難している。橋や道路の崩落、列車の脱線など交通網は各地で寸断。菅義偉官房長官は記者会見で「甚大な被害が発生しているもようだ」と述べた。
16日発生したM7・3の地震は、熊本地震のM6・5を上回り、1995年の阪神大震災と同規模。気象庁は「14日以降の地震は前震で(今回が)本震と考えられる」との見方を示した。九州の内陸部地震では過去100年で最大規模。同庁は「このような規模の地震が広域的に続発するのは記憶にない」としている。
阿蘇大橋崩落 熊本城破損激しく
各自治体の発表や遺族によると、死亡者は熊本市で2人、同県益城町で3人、嘉島町で3人、西原村で5人。八代市では火災が発生し、1人死亡した。県警によると南阿蘇村でも2人が死亡。同村の東海大近くのアパートでは1階部分が倒壊し12人を救出したが、うち男女計2人の死亡を確認した。このほか、熊本市消防本部によると、市内で4人が心肺停止という。
南阿蘇村では阿蘇大橋が崩落したほか、阿蘇市では国指定重要文化財の阿蘇神社が倒壊。宇土市、大津町の庁舎が一部損壊した。熊本市の熊本城では、国重要文化財の宇土櫓などが一部損壊している。
別府では液状化も
各所で道路が寸断されており、南阿蘇村ではペンションや飲食店の従業員ら約120人が8カ所で孤立。大分県内でも家屋倒壊や土砂崩れが発生。同県別府市では別府港の一部が液状化した。
広瀬勝貞大分県知事は16日、陸上自衛隊に災害派遣を要請。防衛省は九州の被災地に隊員約1400人を送るほか、新たに15県警の警察官1249人が救助活動に向かった。
安倍晋三首相は同日、予定していた被災地視察を中止。首相は5回目の非常災害対策本部会合で「今夜から天候の悪化が予想される。二次被害も懸念されるので、この日中が勝負だ」と述べた。
=2016/04/16 西日本新聞=
西日本新聞
最終更新:4月16日(土)12時57分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160416-00010015-nishinp-soci
国土地理院は16日未明に起きた熊本県を震源とするマグニチュード(M)7・3の地震のエネルギーについて、阪神大震災の約1・4倍にあたるとする分析結果を発表した。
地震のエネルギーを精度よく示すとされるモーメントマグニチュード(Mw)の分析で明らかになった。国土地理院によると、阪神大震災のMwは6・9で、今回の地震は7・0だった。Mwが0・1増えると、地震のエネルギーは約1・4倍になるという。
国土地理院は、今回の地震で、熊本県を北東から南西に横切る布田川(ふたがわ)断層帯(全長約64キロ・メートル以上)の北東部の27・1キロ・メートルの断層帯が、幅12・3キロ・メートルにわたり、3・5メートルずれたと推定した。
最終更新:4月16日(土)20時36分
九州地方で14日夜から相次ぐ地震は、熊本から阿蘇、大分へと震源域が広がった。内陸の地震では異例だ。100キロメートル規模で地震活動が活発になったのは断層が集中する地域特有の地盤が影響している。今後どこまで広がるのかについては専門家でも意見が分かれている。
飯尾能久・京都大学教授は「今回の地震はよくわからない、見たことのない現象が続いている」と話す。これまでも内陸で断層を原因とする地震はいくつも起きているが、広域でマグニチュード(M)6級の地震が続くのは珍しいからだ。気象庁も「離れた3カ所で大きな地震が起こるのは前例がない」と言う。
地震活動が活発になっている地域の地盤には、南北方向に引っ張る力が働いている。このため、断層が水平方向にずれる「横ずれ型」の地震などが起こりやすい。大分県から熊本県にかけては、九州地方を東西に横断する「別府―島原地溝帯」と呼ばれる多数の断層を伴う地形がある。
断層が集中すると、地震の群発につながりやすい。1つの断層が動いて地震が起こると、ほかの断層周辺にひずみがたまり、新たな地震を引き起こすという流れが考えられるからだ。
政府の地震調査研究推進本部は14日夜に熊本県益城町で震度7の揺れを観測した地震について「日奈久(ひなぐ)断層帯」と呼ぶ活断層の北側がずれることで起きたとする。
国土地理院は16日未明に発生したM7.3の本震に関し、日奈久断層帯の北側にある「布田川(ふたがわ)断層帯」で起きたと発表した。断層のうち約27キロメートルが約3.5メートル滑ったという。気象庁によると、熊本地方の地震発生回数は2004年の新潟県中越地震に次ぎ、過去2番目のペースで推移している。
本震の後は熊本地方、阿蘇地方、大分県の3地域を中心に地震が相次いだ。国土地理院地理地殻活動研究センター・矢来博司地殻変動研究室長は「(本震が)周辺の断層に影響を与えた可能性がある」と指摘する。布田川断層帯の延長方向にある別府―万年山(はねやま)断層帯に飛び火したようにみえるからだ。
別府―万年山断層帯を東に延ばすと、四国や紀伊半島など西日本を横断する巨大な断層構造「中央構造線」につながる。豊後水道を越えて四国地方にまで影響が及ぶ可能性もあるが、気象庁は「中央構造線が活発化しているというようにはみえない」との見解だ。
名古屋大学の鈴木康弘教授も「四国地方は北西から南東の向きに圧縮する力が働いており、九州地方と根本的に地震のメカニズムが違う」と説明する。九州大学の松島健准教授は「今後、四国に延びるのか、反対側の長崎に延びるのかは分からない」と話す。
地震が多い地域では今後も警戒が必要だ。熊本大学の松田博貴教授は「布田川断層帯の中の空白域や日奈久断層帯の南側のエリアで地震が起こる可能性が高い」と注意を呼びかける。日奈久断層帯の中央部や南西部では今後1カ月程度は注意が必要との指摘もある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG16H4L_W6A410C1EA2000/?dg=1
http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/346.html
今回の地震活動は、西日本の太平洋沿いで起こる大規模な南海トラフ地震や阿蘇山の火山活動との関係を指摘する専門家もいる。
南海トラフ地震のような海溝型地震は、内陸側でひずみを解消しきれなくなって起こると考えられている。名古屋大学の木股文昭・元教授は「大きな意味では、南海トラフ地震の前震と考えることもできる」と述べる。長期的な視点でのとらえ方だ。東日本大震災についても2008年の岩手・宮城内陸地震の関連が指摘されている。
一方、東京大学地震研究所の加藤照之教授は「今回の震源域から南海トラフまでは距離があるため、巨大地震を誘発することはないだろう」と話す。今回の断層のずれが南海トラフに与える力は小さいとの見方だ。
阿蘇山は本震後の16日朝、小規模な噴火をした。噴煙は約100メートルの高さまで上がった。山岡耕春・名古屋大学地震火山研究センター長は「火口の内壁が崩れ、火口付近の熱い空気にのって上昇しただけかもしれない」と指摘する。そのうえで「今のところ、火山性の地震など阿蘇山が大規模に噴火する予兆はない」と話している。
そういう意味で、日本がタイトルにあるような「大規模な支払い不能危機の淵に立たされる」ことがないようにする政策が、アベノミクスなのである。
(どうであれ最終的に政府債務履行は可能だが、土壇場で対応するとみっともないだけでなく、悪性インフレにつながる可能性もある)
デフレは経済成長にとって好ましくないが、悪性インフレに較べれば、国民生活の水準維持に貢献する経済事象である。
問題は、デフレ基調の継続が設備投資の衰退を招くことで、悪性インフレを準備することにある。
日本経済の問題は、「大規模な支払い不能危機の淵に立たされる」ことではなく、供給力(生産性)の衰退により、長寿命化(少子高齢化)に対応できなくなることである。
供給力の衰退は、悪性インフレ(と円安=インフレ要因)をもたらし、国民生活をより過酷な状況にする可能性が高い。
それの解消ないし緩和に貢献するのは、国際経常収支の大幅な黒字だけかもしれない。
※関連参照投稿
「寸止め」という選択肢:安倍首相がもう「4年の猶予」を手に入れたいと願うなら、消費税増税凍結→衆参同日選挙
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/481.html
「どうする消費増税:5月段階で1ドル=100円を超えて円高が進みその水準が定着すると迷いも...」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/269.html
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大規模な支払い不能危機の淵に立たされる日本経済[スプートニク日本語]
2016年04月16日 20:30
タチヤナ フロニ
ブルームバーグ通信は、世界の価格変動(ボラティリティ)の中心は、徐々に中国から日本へと移りつつあると指摘した。経済学者や投資家達は、日本経済における大規模な危機を懸念している。巨額の公的債務を抑制し、「三本の矢」を推進力に極めて低い経済成長率を引き上げようとの安倍政権の4年に渡る試みは、どうやら失敗に終わったようだ。この事は、アベノミクスの破綻を意味するものではないのだろうか?
スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者は、ロシアの経済誌「エクスペルト」の分析専門家、セルゲイ・マヌコフ氏に意見を聞いた-
「元IMFの主任エコノミストで現在ワシントンのピーターソン国際経済研究所で働いているオリヴィエ・ブランチャード氏は、日本は今急速に、深刻な支払い能力危機に移行中だと見ている。またIMFや世界銀行といった金融組織やエコノミストの大部分も、日本経済に対するそうした否定的観測を口にしている。
3年前、安倍首相は、日本を長く続く不況から脱却させると公約して政権の座に就いた。そして彼のアベノミクスといわれる経済改革が、実際、肯定的な効果を持っている事は、多くの人々に示された。日本の新たな奇跡とまで言われたものだ。しかし奇跡の期間は、大変短いものだった。今もますます多くのエコノミストが、外国人も日本人も含め、全体としてアベノミクスは、その破綻を示したと指摘するようになっている。
アベノミクスの基礎に置かれたのは、円安だった。日本銀行は、絶えず数千億を日本経済につぎ込んだ。そうした強力な流動資産の流入は、東京の証券市場で時に、真の陶酔を呼び起こし、主要企業の株は相当上がり、86%という数字さえ記録した。当時は、日本の新たな奇跡だと語られたものだった。
しかし、人工的に作られたこのブームは、長くは続かなかった。今の日本銀行の主な夢は、インフレ率を2%にまで上げる事だ。そうした目的を持って今年1月、日銀はマイナス金利を導入し、皆をひどく驚かせた。この決定は、日銀内部の分裂を呼び起こした。マイナス金利導入に際しての投票では、5対4と支持派はかろうじて勝利した。
この政策は、商業銀行の収益性を疑わしいものとし、様々な国々の市場下落を招いた。日銀が主な目的とした円安の代わりに、円の対ドルレートは思いもかけず7%も上がってしまった。
しかし日銀指導部は、マイナス金利は、インフレ率が期待する2%にまで上がるまで据え置くと主張している。その際日銀は、今後国債を買ってゆくと発表した。そのため80兆円という途方もない資金を費やす考えだ。つまり重大な措置を講じているという事だ。しかし、それによって必要な成果は得られない。
客観的原因と並んで、純粋に日本的特殊性が、そこにはある。国民の高齢化、そして急速に進む労働人口の減少だ。人口動態学的予測によれば、日本の人口は、2060年までに8600万人にまで減る。つまり、今の人口の事実上三分の一が失われるという事だ。昨年第4四半期のGDPは、ほぼ1,5%減少した。国民の実質収入は、すでに4年連続で減っている。それゆえ日本人が、お金を消費するのを急がず、まさかの時のためにお金を貯蓄している事は驚くに値しない。経済学者らも、そうした形で日本人自身が、自国経済の成長にブレーキをかけているのだと捉えている。一方円高によって、経営者は、より用心深くなり、労働者の給与を上げる事に強く抵抗している。」
しかし安倍首相が、自分の政策を変更する事はないだろう。今年、経営陣と労働組合の間の交渉で、彼は、経営陣に対し、労働者の賃金を上げ、そうする事で国内に漂うデフレの雰囲気を壊すよう根気よく求めた。給与が上がれば、消費の伸びを助ける。そうなれば、日本が抱える巨額の債務を助けることになるというわけだ。ちなみに日本の債務は、およそ10兆5千億ドルで、対GDP比250%に近づいている。世界の先進国の中で、これだけ高い債務を抱えた国は他にない。
「最近は円高が進んだが、外国為替市場の動きは秩序的だ」
ルー米財務長官は15日、ワシントンで開いた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見でこう言い切った。最近の円高・ドル安が急な相場変動に当たらないとすれば、政府・日銀は円売り介入を正当化できなくなる。円高阻止に向けて工作を進めていた日本側をルー長官が冷たく突き放したことで、一服していた円高が週明け以降、再び勢いづく可能性が出てきた。
麻生太郎財務相はG20会議に先だって開いたルー財務長官との会談で「最近の為替市場での一方的に偏った動きに強い懸念を有している」と伝えていた。米国と認識を共有し、円高がさらに進んだ時に円売り介入や追加緩和を実施するフリーハンドを確保しておきたいというのが日本側の狙い。ところがルー長官が為替の動きは「秩序的だ」と言い切ったことで、日米の認識の違いが浮き彫りになり、円売り介入に踏み切ることの難しさをかえって市場に印象づけてしまった。
米国が冷ややかなのは、最近のドル安が日本以外の国にとっては望ましいものと映っているためだ。米国では2014年以降のドル独歩高が景気の重荷となっており、ドル高の修正を求める声が高まっている。中国などの新興国にとっても、ドル高基調が和らげば資金の米国回帰に歯止めがかかり、為替相場の安定につながる。緩やかなドル安はほとんどの主要国にとって好都合で、それに伴う円高の痛みを訴えても共感を得にくくなっている。
さらに、米国は大統領選挙のまっただ中で、米当局者に日本の為替介入を容認するような発言はそもそも期待しにくいという事情もある。4月は米財務省が議会に為替報告書を提出する時期でもあり、米財務省にとって日本の円高阻止に向けた動きは「空気を読めていない」と映った可能性もある。
週明けの相場はどのように反応するのか。三菱東京UFJ銀行の内田稔氏は「円高・ドル安方向を試す展開になる」と予想する。今週の円相場は一時1ドル=107円台まで上昇した後、週後半に2円程度、円安方向に戻す場面があった。これまで円買いを進めていたヘッジファンドなどの投機筋が利益を確定させるための円売りに動いたためだ。身軽になった投機筋がルー長官の発言を手がかりに再び円を買い始めれば、円高が再燃しかねない。
ルー発言の直後、麻生財務相は記者会見で「今日現在で見れば為替が激しい動きではないことは確かだ」と語った。ルー財務長官は今現在の状況を語っただけで、今後相場が急変した場合の円売り介入を封じるものではないとの考えのようだ。
確かに、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が急な相場変動があった場合には「為替介入は正当化される」と話すなど、介入への一定の理解は広がりつつあるようにみえる。ただ、実際に円売り・ドル買い介入を実施する場合に不可欠なのは、IMFではなく、相手国である米国の了承だ。ルー発言で介入の可能性が完全に失われたわけではないにせよ、米国の理解を取り付けるためのハードルの高さを見せつけられたのは間違いない。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO99737880W6A410C1I00000/?dg=1
総務省が新年度入り早々、好きな自治体に寄付する「ふるさと納税」の「行き過ぎ自粛」を求める通知を出した。寄付に対するお礼に商品券やパソコンなど特産品とは言いがたい品が目に余るためだ。2008年の制度導入から8年。納税者の支持を受けて順風満帆だった制度はどこで一線を踏み外したのか。
幼児向け教育ソフト・タブレット(多機能携帯端末)「iPadミニ」付き、健康センターの入浴回数券付きデジタルカメラ――。日本有数の漁港を抱える静岡県焼津市。ふるさと納税の寄付者に送る返礼品リストに並ぶ品物は自慢の海産物だけではない。
「隠すような表記だが実質は家電の返礼だ」(東北のある市)との批判もある同市は「市内業者が扱う商品が対象。特産品にはこだわらない」との考えに立つ。現在は市内約100社が返礼品を扱い、15年度の同市への寄付は38億円と全国トップクラスになった。
パソコンが目玉
ふるさと納税による寄付は急増中だ。15年4〜9月は453億円と14年度年間の389億円を半年で超えた。15年度の通年では14年度の約4倍に膨らむと予測される。
返礼品競争も過熱している。「4月8日よりVAIO製ノートパソコン6機種をお礼の品に追加します」。長野県安曇野市は地元メーカーのパソコンを目玉に据える。コメや果物だけでなく消費者の目を引きやすい家電などの返礼品が目立つようになった。
同市担当者は「地元企業の活性化と消費者への製品のPRになる」と話す。自治体は寄付を受ければ収入が増え、返礼品を扱う地元業者にもお金が回り一石二鳥だ。「育児や教育にお金をかけても大人になると上京して税収は入らない。制度をテコに都市から地方へのお金の流れをつくる」(焼津市)。財政難にあえぐ自治体は必死だ。
黙っていられないのは都市部の自治体だ。「単なる自治体運営の通販になっている」(東京都世田谷区)。住民がふるさと納税で寄付すると住民税が減る。寄付をする7割は三大都市圏の住民で、同区の減収額は15年度で2億6千万円に上る。「地方の収入を増やすのにこちらが割を食うのはおかしい」と憤る。
変容し始めた制度の見直しに、所管する総務省も今月、動いた。商品券、電子機器、ゴルフ用品など具体例を示し、これらの返礼の自粛を求めた。「制度はあくまで寄付。対価の提供になるような返礼は控えてほしい」(同省)ためだ。
実は自粛を求める通知は昨年4月に続いて今回で2回目だ。前回の対象は「換金性の高いプリペイドカード等」だった。「通知の意図を理解してくれるはず」と期待し細かく例示しなかった。
しかし、返礼品競争はあまり改善されず、家電などの返礼品が転売されているとの指摘も出て動かざるを得なくなった。「自治体は自分で自分の首を絞めている」。ある総務官僚はつぶやく。
潤っている地方は確かにある。宮崎県綾町、北海道上士幌町など寄付額が年間の税収を超える自治体も現れた。山形県天童市の返礼品、将棋の駒のストラップをつくる中島清吉商店の中島正晴代表は「売り上げは以前の2倍。1月から従業員を1人増やしたよ」とうれしい悲鳴を上げる。
「制度がいつなくなってもおかしくない」(天童市)との危機感も芽生え始めた。長崎県平戸市はいち早く「宴(うたげ)の後」を見据える。
通販の練習台に
「ジェラートのセットは8個と16個を用意して消費者の反応を見てみよう」。3月中旬、市の担当者は市内のジェラート店店長の男性とこんなやりとりをした。同市は返礼品をインターネット通販の練習とみなし、事業者にはニーズを踏まえた商品開発、曜日・時間指定の配送など通販仕様を徹底的に求めている。
中小・零細が多い同市の事業者は通販の経験が乏しい。黒田成彦市長は「事業者が力をつけて制度が終わっても取引を維持・拡大できるようにする」と意気込む。
将来の展望を描いている自治体はまだ少ない。戸崎肇・大妻女子大教授は「返礼品として行政への参加権を与えるなど地元の活性化につなげる工夫が不可欠」と指摘している。
(杉本耕太郎)
[日経新聞4月16日朝刊P.2]
(上)需要側からも解決策探れ
1〜2歳児保育、優先
前田正子 甲南大学教授
「保育園落ちた」のブログを契機に、保育所の待機児童問題に社会的関心が集まっている。1994年のエンゼルプラン以来、待機児童対策は政策課題に挙げられ、保育所の定員も大幅に増えている。2015年4月からは子ども・子育て支援新制度が始まり、小規模保育や家庭的保育なども地域型保育事業として位置づけられることになった。
15年度の受け入れ枠は、保育所と幼保連携型認定子ども園で前年度比約13万9千人、地域型保育事業も含めれば19万6千人増えた。だが待機児童は減らず、14年4月に2万1千人強、15年4月に2万3千人強にのぼる(図参照)。入所申込者も急増しているからだ。背景には出産後も退職せず就労を継続する人や、いったん退職しても早期の職場復帰を希望する人の増加、新制度が需要を掘り起こしたことがある。最初から入所をあきらめている潜在待機児童も6万人程度いるといわれる。
待機児童の3割強を占める東京都を含め、7割強は首都圏・近畿圏の7都府県と政令指定都市・中核市にいる。全国では受け入れ枠約253万人分に対し、利用児童は約237万人と保育所は定員割れしている。15年には保育所の利用児童数が前年を下回る市区町村が628ある。地方では少子化が進み、保育所入所児童が減る一方で、都市部では待機児童があふれる。首都圏でも、郊外の駅から遠い保育所は定員割れしている。
待機児童を減らすには需要と供給双方からのアプローチが必要だ。供給側から考える。
第1にマンションや空き店舗、あらゆる既存施設を利用して小規模保育や家庭的保育など0〜2歳児の保育を増やすことだ。待機児童の8割強は0〜2歳児だ。都心部で土地を確保して大規模の保育所を設置するには2〜3年かかるし、そもそも土地がない。
第2に幼稚園を活用することだ。幼稚園がなかなか認定子ども園にならないのは、給食施設の整備などハードルが高いだけでなく、低年齢児を預かるノウハウや収入面の利点がないからだ。図が示すように1〜2歳児の保育所利用率が4割近くにのぼる一方、3歳になった時に移る施設がない「3歳の壁」も生じている。幼稚園を3歳からの受け入れ場所とし、長期休暇のない恒常的な預かり保育の実施で、保育所と同程度の保育時間を確保するのが現実的だ。
第3は保育士の確保だが、これが最大の壁だ。15年11月時点の東京都の保育士の有効求人倍率は5.72倍だ。国は15年1月に「保育士確保プラン」を打ち出し、17年度末までに新たに6万9千人の保育士確保が必要としている。
近年、保育士養成施設の卒業生の約半分しか保育所に就職しない。再就職者も含め毎年約4万9千人が保育所に就職するが、逆に年約3万3千人が離職している。保育所で働く保育士は41万人いるが、資格がありながら保育士として働いていない潜在保育士は76万人いると推計される。
保育士が確保できない要因としては第1に、給与の低さに対する不満だ。保育士は勤続年数も短く、全職種の平均給与約33万円に対し、保育士は約22万円だ。いくつかの自治体では国の補助に加え、独自に保育士の処遇改善費を運営法人に補助している。
実際に補助金が保育士の給与として支払われているか確認する必要がある。ある社会福祉法人の保育所では、夫婦の園長と副園長合わせて年2500万円の給与をとり、働いていない親族を職員にしていたという不正が発覚した。
ではお金さえ払えば保育士は確保できるのだろうか。第2に保育士のワークライフバランスだ。保育士の退職理由の一番は出産であり、潜在保育士の復帰に当たっての懸念は給与よりも、労働時間だ。
個々の保育所の運営方針や保育士の働き方には大きな違いがある。ある園では朝7時半から夜8時半までの13時間保育を実施しているが、学童保育も併設し、その担当職員や園長もすべて保育士資格を持ち、職員全員が正規職員だ。そこでは「自分の子どもの予定を優先してよい。そのためにみんなで助け合う」というルールを徹底し、子どもの学校行事や病気の際には、保育士が休めるようにしている。働きやすいため離職率も低く、男性保育士も多い。
第3に一層深く保育を学べる機会であり、現職も潜在保育士も望んでいる。発達障害やアレルギーを持つ児童が増え、親とのコミュニケーションは難しく、乳児が増える中では事故が起きるリスクもあり、保育士が受けるプレッシャーは強い。人手不足の現場では研修にも参加しにくい。
保育士が定期的に研修を受け、知識や技能を深め、自信を持って働けるようにする現場への支援が必要だ。保育施設に保育指導者が訪れ、実施研修や助言をしている自治体もある。退職していた保育士が職場復帰する際には、実習も含め、体系的な研修を事前に受ける工夫も必要だ。
待機児童を減らすには需要側からの対応も必須だ。第1に育児休業の徹底だ。保育所入所が激戦になる中で1年間育児休業がとれる人も早めに切り上げ0歳児から入所させようとする。非正規雇用の人が増え育児休業がとれないだけでなく、自営業など経済的に長期間休めない親もいる。
だが0歳児保育は人手もコストもかかる。非正規雇用者も含め、親が安心して育児休業を取得できるようにし、1歳児からの定員を増やすのが有効だ。週3日の勤務や子育て中は短縮勤務が可能という人でも、保育の入所選考が不利になると、無理に勤務日数を増やし長時間勤務をすることもある。長時間労働の方が保育所入所の必要度が上がるからだ。保育所入所が多様な働き方を阻む皮肉な現実だ。
第2に親の働き方も変えなくてはならない。医師など夜間保育が必要な人もいる。しかし現在の長時間かつ生産性の低い働き方を当然視せず、短時間で生産性の高い働き方への改革に社会全体が取り組まなければならない。女性の労働力率も出生率も高い国はそもそも男女ともにすべての人の労働時間が短く、労働生産性も高い。大人の働き方を変えずに、保育のみで何もかも解決するのは不可能だ。
少子化が進展する中で、幼稚園に入るまで他の子と遊んだことがない児童もいる。保育所は乳幼児期から子どもが集団で遊び、共に育ち、親に育児文化を伝える重要な拠点だ。子どもたちの健やかな育ちを守るという視点から乳幼児の保育や教育をどうするのか、再設計も必要であろう。
一方、保育所をさらに増やし保育士の処遇を改善することは公費の投入増を招くだけに、私たちが税や保育料で負担する覚悟が欠かせない。
仕事を求めて人々が首都圏に流入し、保育ニーズの増加に応えるため、首都圏の自治体は全国から保育士を集めている。地方でも県庁所在地に人口が集中し、待機児童が発生している。地方都市の保育士不足の背景には、給与の高い首都圏への保育人材の流出がある。首都圏の人々の暮らしを支えるために若年人口が首都圏に流れ、地方の人口減が一層加速することになる。
目の前の待機児童対策は喫緊の課題であり、今できることにはすぐに着手しなくてはならない。だが長期的にみれば、企業や職場を地方に分散し首都圏一極集中を是正することなしに、根本的な待機児童対策は困難だといえよう。
○供給側では既存施設や幼稚園の活用急務
○育児休業普及させ1歳児からの定員増を
○働き方改革や首都圏一極集中是正も重要
まえだ・まさこ 60年生まれ。慶大博士(商学)。専門は社会保障、地方行政、人口問題
[日経新聞4月14日朝刊P.27]
鈴木亘 学習院大学教授
匿名ブログを契機に、待機児童問題への不満が再燃している。参院選の争点に浮上したことから、与野党ともに異例の早さで緊急対策を打ち出した。野党5党は保育士給与を月額5万円引き上げる「保育士処遇改善法案」を衆院に提出。一方、政府も与党の提言を受け、小規模保育や一時保育などの受け皿拡大を基本とする緊急対策を公表した。
野党案については待機児童対策というよりも、保育園・幼稚園向けの補助金バラマキが狙いといわざるを得ない。給与引き上げの対象は、待機児童が深刻な都市部だけでなく、無関係の地方部にも及ぶ。待機児童とは直接関係のない事務員や調理師、幼稚園教諭、児童養護施設職員も対象だ。
保育士給与は月額22万円で全産業平均より11万円も低いとされるが、これは私立保育園のみで計算された数字だ。認可保育園の約半分を占める公立保育園は計算に含まれない。公立保育園の正保育士は地方公務員なので、給与は全産業平均をはるかに上回る。問題の本質は、産業全体の低賃金ではなく、公立・私立間格差、正規・非正規間格差など、分配のゆがみだ。
対象は、都市部の無認可を含む私立保育園の保育士と、公立保育園の臨時保育士に限るべきだ。予算額も与党と折り合える現実的水準となる。
一方、政府の緊急対策は全く物足りない。一時保育の活用も小規模保育の定員拡大も数量的にはわずかだ。国の基準を超えるぜいたく保育の是正や、事業所内保育支援、送迎バス運行、無認可保育園の認可園化支援など、現場の知恵を数多く集めているが、一つずつが小さすぎる。
政府案が期待外れとなった理由は、予算案の国会提出後だったことに加え、根本的には保育関係予算の拡充が消費税率引き上げにひもづけられている仕組みにある。待機児童対策はいわば消費税増税の「人質」とされており、増税なしに予算拡充は難しい。
そもそもなぜ待機児童問題が起きるのか。経済学的には理由は明白で、認可保育園の保育料が安すぎるからだ。都市部の認可保育園での児童1人当たりの費用は月額15万〜20万円ほどだ(東京都のケース)。特に0歳児は高く約40万円もかかるが、親たちが実際に支払っている保育料は月額平均で2万〜3万円にすぎない。その差額はすべて自治体が公費で穴埋めしている。
保育料が安いので入園希望が殺到するが、自治体も莫大な公費負担を伴う認可保育園を次々つくれない。そのため大量の待機児童が発生し、割り当てをせざるを得ない。
この割り当ては理不尽なうえ不公平だ。各自治体ともポイント制を導入しており、生活保護世帯など貧困世帯を除き、両親ともに正社員の場合に有利となり、非正社員の場合には不利となる。非正社員の多くは無認可保育園を選ばざるを得ないが、公費の補助が乏しいためサービスの質の割に保育料が高い。図は、認可保育園を利用する親とそれ以外の親の所得分布をみたものだが、認可保育園には高所得世帯が多いことがわかる。
待機児童問題の解決策も経済学的には明らかだ。保育料を自由化し新規参入も自由化する。価格メカニズムが働き、需要に応じて供給が増えるので、割り当ては不要となる。
保育料は無認可保育園並みに高くなるが、保育園の利用者には政府が「バウチャー」という子育て利用券を配る。保育料が月額8万円に上がっても、5万円分のバウチャーを配れば、実質負担は3万円で済む。低所得世帯には特にバウチャーの金額を手厚くする。筆者の試算によれば、財源は認可保育園の公費投入を廃止すれば十分に賄える。
また、親たちはこのバウチャーを使って自分の好きな保育園を選べる。無認可保育園は親たちに選ばれようと必死にサービス水準を高める。認可保育園は高コスト体質を改めようと必死に経営努力する。公費の使い方として、極めて公平で効率的だ。
しかしこの経済学の改革案には業界団体が猛反対している。既得権が奪われるからだ。岩盤規制を突破するのは政治的に極めて難しいだろう。
そこで以下では現行制度の範囲内で、消費税率を上げなくてもすぐに実行できる提案をする。もちろん待機児童が深刻な都市部限定の施策だ。具体的には、国家戦略特区を活用するのが現実的だろう。
第1に保育士資格者割合の緩和だ。現在、認可保育園の保育士は全員、合格率1〜2割という難関の国家試験に合格するなどして保育士資格を有する必要がある。保育士不足が深刻化する中で、この規制は厳しすぎる。現に同じ認可園である小規模保育(B型)では、資格者割合は5割でよく、残りは一定の研修を経た子育て支援員などが担っている。東京都認証保育所も昔から資格者割合は6割だが、特に問題は生じていない。
認可保育園についても都市部に限り資格者割合を6割とする。それだけで定員も新設園も大幅に増やせる。余った公立保育園の資格者には、自治体が従前の給与を保証したうえで新設園に出向させる。無資格者を含む保育従事者数を今よりも1割増やせば、親たちも安心できるだろう。
第2に育休給付金の緩和だ。0歳児保育にかかる費用は極端に高い。1歳児以上に比べ2倍以上の保育士を配置する必要があるからだ。親が育児休業を利用し1歳児になるまで育てれば、その分、大幅に保育園定員を増やせる。
そのために育休給付金の給付基準を緩和し、正社員と非正社員が分け隔てなく使えるようにする。財源は雇用保険なので、消費税とのひも付けを回避できる。また雇用保険の積立金は現在、過去最高の6兆円を超える状況だから、財源の確保も容易だ。
ただ問題は、認可保育園の割当枠が多い0歳児のうちに親たちが無理に入園させようとすることだ。そこでたとえ0歳児で入園しても、1歳児になれば新しく割り当ての審査をし直す仕組みに改める。むしろ0歳児を家庭で育てた方がポイントを高くする。0歳児の保育料も費用を反映して、今よりも引き上げる。
第3に無認可保育に対するバウチャーだ。高コストの認可保育園が簡単に増やせない現状を考えると、東京都認証保育所のような一定の質が確保された無認可保育園を増やす方が現実的だ。現在、東京都内の自治体の多くは、無認可保育園利用者に対する助成制度を持つが、これは一種のバウチャーである。
この無認可保育園バウチャーの金額を国が補助して増やす。これは一種の景気対策でもあるから、補正予算を使う名目が立つ。無認可保育園の採算性が高まれば、実施主体は株式会社やNPO法人なので、すぐに供給が増える。その際、バウチャーを使える施設の条件として、一定の質基準をクリアすることを求めれば、劣悪施設対策にもなる。
第4に高所得者の保育料の引き上げだ。低所得者はともかく、高所得者については保育料を引き上げるべきだ。国の基準では年収1130万円以上の世帯には月額約10万円の保育料を課すことになっているが、自治体が独自に保育料を大幅軽減している。国が予算上のペナルティーを課して是正を迫るべきだ。高所得者の保育料が高くなれば、認可保育園ではなく、教育内容を充実させた高級保育園に移る可能性がある。その分、待機児童数は減少するだろう。
〈ポイント〉
○消費増税なしに保育関係予算拡充難しい
○認可保育園の保育料が安すぎるのが問題
○高所得者については保育料を引き上げよ
すずき・わたる 70年生まれ。上智大卒、大阪大博士。専門は社会保障論、医療経済学
[日経新聞4月15日朝刊P.27]
なぜなら、これまで曖昧なかたちで先延ばしにしてきた使用済み核燃料の最終処分や廃炉で出てくる高濃度放射性物質の処分を否応なく迫られることになるからである。
原発施設立地自治体や再処理施設がある六ヶ所村は、政府が原発をやめると表明したら、敷地内にある放射性物質を直ちに撤去するよう政府に求めるだろう。短期間なら、政府が“迷惑料”を支払うことで猶予して貰えるかもしれないが...
(使用済み核燃料は国内に1万7千トンほど存在し貯蔵能力の限界に近い。英国とフランスには再処理で抽出したプルトニウム合計で約23トン保管されている。英仏は、そのプルトニウムと再処理で出てきた高レベル核廃棄物の引き取りを求めている)
私は原発廃止派だが、首相であったなら、現状で「原発はもうやめる」と表明する“勇気”は持ち合わせていない。
米国政権の意向はともかく、高濃度放射性物質の処分に道筋が見えなければ、原発をやめるとは言えないと思うからである。
むろん、撤退の仕方を考えるのは政府の責任だから、国民が声を大にして原発はすぐにやめろ!と主張し続けることは正当でなんら問題はない。
逆に、声を上げなければ、政府は、ずるずる先延ばしにし、射性物質の処分方法を真剣には考えないだろう。
オバマ大統領の広島訪問もその一環だと思うが、IAEAの厳重な査察を受けているにもかかわらず、この間、兵器に転用できる核物質を日本から排除する動きが急である。
(オバマ氏の「核なき世界」とは特定の国々だけが核兵器を保有する世界のこと)
このような「核不拡散」の動きは、日本の原発政策の根幹に深く関わるものでもある。
理不尽でふざけた「核なき世界」政策だが、この流れを原発廃止に利用しない手はない。
プルトニウムや高濃度ウランを運び出しているくらいだから、日本が構想してきた核燃料の再処理(プルトニウムの取り出し)や「もんじゅ」(高速増殖炉:プルトニウムの拡大再生産)といった核政策を断念するほかないというのが当然の見通しなのである。
日本が生み出した核廃棄物は日本が責任をもって処分するというのが国際法の理念である。しかし、火山・地震列島の日本で、使用済み核燃料など高濃度放射性物質が納められている容器を10万年というレンジで“安全”に保管できる場所を確保するのは困難だと思う。
ロシアは、福島第1原発の事故以降、日本にある高濃度放射性物質の受け容れを表明してきた。
米国はいい顔をしないだろうが、核兵器保有を“公認”されているロシアに最終処分を委ねる他ないと思っている。
北方領土問題については、北海道に付属する歯舞諸島と色丹島は返還させなければならないが、千島列島を構成する国後島と択捉島は、元島民家族の自由往来など歴史的ないきさつと漁業権にロシアが配慮を示してくれるならロシア領で仕方がないと個人的には思っている。
ただ、領土問題は、国民感情を揺さぶる極めてセンシティブな政治テーマであり、平和条約を締結するために国後島と択捉島を諦めるという話になれば安倍政権は崩壊する(そのほうがいいと思っている読者は多いと思うが)からできない。
長年にわたって日本固有の領土と訴えてきた国後島と択捉島を諦めるネタとして、本来ならば自国で責任をもって処分しなければならない高濃度放射性物質をロシアが受け容れてくれると説明するのは悪くない話に思える。
※関連参照投稿
「脱原発依存派の安倍首相が脱原発を政策化できないワケの一つは宗主国米国の原発継続要求」
http://www.asyura2.com/14/senkyo168/msg/616.html
「原発の安全、立場の違い浮き彫り 高浜再稼働差し止め:司法を使って脱原発の動きを見せた安倍政権」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/249.html
「福島第一原発の悲劇は原子力発電に終止符を打たなかった:やめると言えない訳は高濃度放射性物質処理問題と米国の存続指示」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/669.html
「脱原発派の安倍首相が脱原発を宣言できないワケ:細川氏への期待は安倍首相の“脱原発依存”意識サポート」
http://www.asyura2.com/14/senkyo161/msg/191.html
「首相「簡単に原発やめると言えない」:内実は菅政権と基本的に同じ政策:原発依存度を可能な限り低減:新設増設もしない」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/141.html
「原発差し止め今度は認めず 司法が揺らすエネ政策:大都市圏周辺は不稼働、人口疎の地方で一部再稼働というのが政府方針らしい」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/127.html
「司法が止めた原発:「原発メルトダウン危機の88時間」のようなインチキ総括しかできないデタラメ状況で再稼働停止は当然」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/345.html
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
「日本、米国に核爆弾50発分のプルトニウムを返却」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/351.html
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
「岐路に立つ核燃料サイク:日米協定延長手続き:余剰プルトニウム 問題」
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/386.html
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日ロ首脳、ソチで来月6日会談
訪ロ後に平和条約交渉
岸田文雄外相は15日、ロシアのラブロフ外相と都内の飯倉公館で会談した。安倍晋三首相が5月にロシアを訪れ、プーチン大統領と会談する準備を進めると確認。6日に南部のソチで実施する方向だ。外相間では首脳会談後に北方領土問題を含む事務レベルの平和条約締結交渉を速やかに開くことで合意。日本側は首脳対話で領土問題の前進をめざすが、溝は深い。
「今後の交渉に弾みを与えるような前向きな議論をした」。岸田外相は会談後の共同記者会見で、領土問題に前向きな兆候があったことをにじませた。2年半ぶりに来日したラブロフ氏も「あらゆる環境の中で対話を継続する用意がある」と踏み込んだ。
外相会談は昨年9月と比べ、融和的なムードが漂った。前回は岸田氏が会見で「領土問題で突っ込んだ議論をした」と述べると、隣のラブロフ氏は「ロシア側は北方領土を議論していない」と反論した。今回、日本側は「極めて友好的な雰囲気の中で、実質的で中身の濃い議論が行われた」と説明。ラブロフ氏は岸田氏の訪ロも促した。
岸田氏は会談で「静かな交渉環境を維持するため、互いに配慮し相手の国民感情を傷つける言動を控えるべきだ」と働きかけ、ラブロフ氏も「そうすべきだ」と応じた。
安倍首相はプーチン大統領との対話を重ねて個人的な信頼関係を深め、停滞する北方領土交渉を進展させる糸口をつかみたい考え。首相の訪ロに続くプーチン氏の年内の来日も、岸田氏は「準備を引き続き行っていきたい」と強調した。
ウクライナ問題を巡るロシアと米欧の対立の中で、外相会談では接近ぶりが改めて際立った。プーチン氏は14日「米国などパートナーの圧力にもかかわらず日本の友人は(ロシアとの)関係の維持に努めている」と日本側の対応を高く評価。ラブロフ氏は会談でこの発言を何度も引用した。
ロシア側の期待も高い。両外相はウクライナ東部の停戦合意履行の重要性を確認したが、ラブロフ氏は日米欧による経済制裁を念頭に「不自然な障壁を排除しなければならない」と強調。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)議長国を務める日本に制裁緩和の流れを主導してもらいたい思惑がにじむ。
2国間の協力についてもラブロフ氏は共同記者会見で「(会談では)経済分野の協力に特に注意を払った」と力説した。安保分野では次官級協議も6月メドに開く。極東や中央アジアで勢力を伸ばす中国に対するけん制の狙いがある。
ただ、領土問題の進展につながるかはロシア次第だ。ラブロフ氏は会見で「第2次世界大戦の結果を(日本側が)確認しなければならないというアプローチは変わらない」と強調。平和条約締結後に旧ソ連が歯舞群島と色丹島を引き渡すとした1956年の日ソ共同宣言の内容を重視する構えを訴えた。
日本は択捉、国後両島を含む4島の帰属問題を解決して平和条約を締結するのが基本方針で、岸田氏も「歴史的、法的な立場に全く変わりはない」と強調した。首脳会談でのプーチン氏の対応が焦点となる。
[日経新聞4月16日朝刊P.4]
サウジアラビア当局は、2001年9月11日のテロについてサウジ政府を提訴することを可能にする法案が米議会で採択された場合には、7500億ドルで米国の資産を売却する意向だ。ニューヨーク・タイムズが報じた。
サウジアラビアは法案承認で米国内のサウジ資産が差し押さえられる可能性があることを嫌がっている、とリア・ノーヴォスチ。
具体的には、サウジは米国財務省証券を含むリスクゾーンの資産を売却する。これについては3月のワシントン訪問時にサウジのアデル・アル・ジュベイル外相がオバマ政権に通知した。
このような行動は重大な金融・経済的影響を伴うだろう、とNYT。
先に元上院議員ボブ・グラム氏はフォックス・ニュースに対し、バラク・オバマ氏は2001年9月11日のテロへの調査による28ページの報告書から「トップシークレット」の刻印を撤回する意向だ、と語った。
南米エクアドルでマグニチュード7.8の地震があり、41人が死亡した。
同国のグラス副大統領はツイッターで、さらに死者が増える恐れがあると発表した。
震源は、海岸沿いの町ムイスネから南東に27キロ、震源の深さは19キロだった。多くの建物に被害が出ている。
エクアドルではマグニチュード7.8の地震の後、余震が36回観測された。エクアドルの地球物理学研究所がフェイスブックで伝えた。
なお太平洋津波警報センターの報告によると、危険な波が発生する恐れは過ぎ去ったと見られている。
【北京=原田逸策】中国が主導して1月に設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)は13日、2016年の融資規模が約12億ドル(約1300億円)になると明らかにした。6月にも第1弾の融資先を決める見通し。融資のかなりの部分が世界銀行やアジア開発銀行(ADB)との協調融資になるとみられる。
AIIBの金立群総裁は昨年12月、設立当初5〜6年の年間の融資規模は100億〜150億ドルになるとの見通しを示していた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM14H5A_U6A410C1FF2000/?dg=1
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BRICSの新発展銀行 最初の融資を承認[スプートニク日本語]
2016年04月17日 05:45
新しく誕生したBRICS発展(開発)銀行の理事会は、総額8億1100万ドルの最初の融資(クレジットパッケージ)を承認した。なおこれは、再生可能エネルギー領域でのプロジェクトに関するものだ。
プロジェクトは、ワシントンで開かれた世界銀行とIMF指導機関の春の会期を利用した会合で発表された。
BRICS発展銀行は、全部で4つの投資プロジェクトに対する融資を承認した。ブラジルは3億ドル、中国は8100万ドル、インドは2億5千万ドル、南アフリカは1億8千万ドルの融資を受け取ることになる。銀行によれば、これらは、グリーン及び再生可能エネルギー領域のプロジェクトで、大気中に排出する有害物質の量を、年に総計で400万トン減らす助けになるとの事だ。
1千億ドルの外貨ストックをもとに、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ5か国が共同で銀行を設立するという合意は、昨年7月7日に調印された。この銀行は、参加国の財政的安定性を維持するために作られた安全メカニズムだ。BRICS諸国のドル準備高に問題が生じた場合、一定の条件で、銀行の資金を使う事ができる。
サウジアラビアが、イランなどの他の主要な生産者が決定に参加する場合にのみ生産を凍結する、と発表した。イランはむしろ生産を増やす一方であり、合意に達する確率は非常に小さいと見られている。
原油生産の凍結の是非が4月17日にドーハで議論される。
http://jp.sputniknews.com/business/20160417/1977738.html
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生産凍結でサウジアラビアは負け、ロシアは勝つ―BMI研究所[スプートニク日本語]
2016年04月14日 23:37(アップデート 2016年04月14日 23:41)
原油の生産凍結でサウジアラビアは潜在的な敗者として考えられ、ロシアは勝者の一角と見られる。BMI研究所がこうした見方を示した。
「凍結合意から利益を得るのはロシア、ベネズエラ、エクアドル、イラク、カタール、インドネシア、カザフスタン、ノルウェーなど、追加生産のチャンスが多くない国、あるいは今年月間生産記録を達成している国々だ」 ブルームバーグが伝えた。
一方、サウジアラビアは、一日あたりの230万バレルの予備生産容量を持っている。つまり生産を増加させることにより、原油価格の低下を補償することができる。ほかに潜在的な敗者の中には、BMIの専門家らによると、ナイジェリア、アンゴラ、クウェート、アラブ首長国連邦、アルジェリアがある。
ノーベル平和賞まで受賞したオバマ大統領(米国支配層)の「核なき世界」の“世界”とは、安保理常任理事国など特定国を除いた“世界”である。
※関連参照投稿
「日ロ首脳、ソチで来月6日会談 訪ロ後に平和条約交渉:恐縮ながら露に委ねたい使用済み核燃料の最終処分」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/565.html
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ロシア外務省:米国は核戦争の瀬戸際でバランスを取る構え[スプートニク日本語]
2016年04月16日 23:07
ロシアは米国の高精度核爆弾の欧州配備計画を懸念している。それは大量破壊兵器の使用のためのしきいを下げ、米国が核戦争の瀬戸際でバランスを取る慣行に回帰しようとしていることを物語る。ロシア外務省が声明を出した。
「米国が空前の規模で進める核兵器近代化プログラムで、欧州に小型だが精度を増加させられた新たな核爆弾を配備する計画は大きな懸念を呼ぶ。欧州にある米国の核が「戦場兵器」になるとき、核兵器の使用のためのしきいを大幅に下げることになる、非常に危険なプロジェクトである」という。
外務省によれば、25年前、露米両国は、こうした展開を拒否している。 「今米国は核戦争の瀬戸際でバランスをとる元の無責任な慣行に回帰しようとしているようだ」とロシア外務省。
「日ロ首脳、ソチで来月6日会談 訪ロ後に平和条約交渉:恐縮ながら露に委ねたい使用済み核燃料の最終処分」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/565.html
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原発や核物質についてIAEAの厳重な査察を受けているにもかかわらず、先月から活発な動きを見せていることでわかるように、兵器に転用できる核物質を日本から排除しようとしている。
このような「核不拡散」の動きは日本の原発政策の根幹にも深く関わる。
査察を受け続けているプルトニウムや高濃度ウランを日本から運び出しているくらいだから、日本が構想してきた「核燃料サイクル」(核燃料の再処理(プルトニウムの取り出し)や「もんじゅ」(高速増殖炉:プルトニウムの拡大再生産))政策を維持することができなくなったのは明らかである。
(オバマ氏の「核なき世界」とは、特定の国々だけが核兵器を保有しその他の国々に対する支配権の維持を目指す世界のこと)
理不尽でふざけた「核なき世界」政策だが、この流れを原発廃止に利用しない手はない。
北朝鮮のロケット打ち上げ失敗は「壊滅的」だった。金曜、国防総省のジェフ・デイビス代表が述べた。
「発火を伴う壊滅的な試みであり、失敗に終わったと言える」。APが伝えた。米国は情報収集を続けるという。
国防総省は打ち上げが可搬式打ち上げ装置で行われた可能性が高いと見ているという。
一方ジョン・カービー公式代表は、米国国務省は北朝鮮の中距離弾道ミサイル打ち上げ失敗の事実を確認していないと述べた。
土曜、国連安全保障理事会は、弾道ミサイルを発射する北朝鮮の試みを強く非難、失敗にかかわらず、このようなテストは国連決議に違反しているとした。
「日ロ首脳、ソチで来月6日会談 訪ロ後に平和条約交渉:恐縮ながら露に委ねたい使用済み核燃料の最終処分」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/565.html
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ロシア外務省:米国の対日圧力がモスクワ東京間の接触を狭くした[スプートニク日本語]
2016年04月16日 16:46
米国が日本に圧力をかけ、モスクワと東京間の対話を狭めた。ロシア外務省のマリヤ・ザハロワ報道官が述べた。
「米国の執拗な勧告を受け日本は我々との連絡を狭め、二国間の仕事を中断したと言うことができる」。RTの放送で、バラク・オバマ米大統領が日本の安倍晋三首相に電話しロシア渡航を控えるよう要請したという日本のメディア報道に対するコメントを求められ、述べた。
ザハロワ報道官によると、「これまでも日本には交換訪問には及ばない、とかなり厳しい形で要請されていた」「しかし、公式のワシントン代表が最近、ロシア当局者との単発の接触に怖いことなど何もない、とゴーサインを与えていた」とザハロワ報道官。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160416/1975744.html
報道官は、スホイ27型機が米機に対して横転飛行し、「無秩序で敵対的な行動」を取ったと指摘した。なお報道官によると、米機はロシア領空を侵犯していなかった。
エルナンデス報道官は、「1人のパイロットの相当な危険を伴う非職業的な行動が、両国間の緊張を不必要に高める恐れがある」と述べた。CNNが報じた。
先にケリー米国務長官は、米国の駆逐艦「ドナルド・クック」の上空を飛行したロシアのスホイ24型機の行動を非難する声明を表した。
ロシア、サウジアラビア、カタール、ベネズエラは、カタールの首都ドーハで会合し、原油増産凍結に関する草案を提示した。ロイター通信が報じた。
草案によると、増産は2016年10月1日まで凍結され、原油生産量は、1月の水準で据え置かれる。草案を実現するための条件として、他の産油国も生産基準量を順守することが挙げられた。また10月にロシアで再び会合が開かれる。同会合では、原油低価格対策が主要テーマとなる。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国の増産凍結に関する会合は、17日にドーハで開かれる。
グアテマラで15日、マグニチュード6.2の地震が発生。米地質調査所が伝えた。
地震は協定世界時(UTC)で14時11分(モスクワ時間で17時11分)、チャンペリコ市から南西95km、深さ48.4kmの地点で発生した。
今のところ、犠牲者や建物の倒壊に関する情報は伝えられていない。
【ソウル聯合ニュース】韓国軍の合同参謀本部は15日、北朝鮮が同日午前5時半ごろ、東海岸地域から中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイル1発を発射したが、失敗したとみられると明らかにした。
北朝鮮は2007年にムスダンを実戦配備したとされるが、発射を試みたのは初めて。ムスダンは発射の数秒後、軌道に入る前の上昇段階で空中爆発したとみられる。
ムスダンの射程は3000〜4000キロと推定され、日本全域とグアムの米軍基地を射程圏に置く。
韓国と米国の軍当局は北朝鮮が東海岸の江原道・元山付近の移動式発射車両(TEL)にムスダン2基を配備したことを確認し、イージス駆逐艦を東海に派遣するなど、動向を注視していた。韓米は北朝鮮が残りの1発も発射する可能性が高いとみている。
北朝鮮が発射に成功すれば、グアムの米軍基地を核攻撃する能力の証明につながる。
軍事専門家はムスダンについて、旧ソ連の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)R27を基に開発されたものであり、ある程度の性能が検証されているため、発射実験を経ずに2007年に実戦配備されたとみている。
韓国軍は北朝鮮が今月25日の朝鮮人民軍創建記念日、来月の7回目の朝鮮労働党大会に合わせ、ムスダンの再発射や5回目の核実験など新たな挑発を行う可能性があるとして、警戒態勢を強めている。
北朝鮮は今年1月6日に4回目の核実験を行い、「水爆実験に成功した」と主張した。2月7日には事実上の長距離弾道ミサイルを発射。3月初めからは中距離や短距離弾道ミサイルを発射し、核・ミサイル攻撃能力の進展を誇示してきた。
金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は先月中ごろ、弾道ミサイルの大気圏再突入の模擬実験を視察し、「核攻撃能力の信頼性をさらに高めるため、早い時期に核弾頭の爆発実験と核弾頭装着が可能な弾道ロケット(ミサイル)発射実験を断行せよ」と指示していた。
米CNNテレビは今月12日、複数の米政府当局者の話として、北朝鮮がTELから大陸間弾道ミサイル(ICBM)「KN08」またはムスダンを発射する可能性があると報じていた。
韓国軍関係者は「北はいつでも5回目の核実験をすることができる準備を終えた状態と見ている」とした上で、挑発を強行する可能性に備え、万全の態勢を維持していると強調した。
yugiri@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/04/15/0300000000AJP20160415005100882.HTML
北朝鮮の「ムスダン」発射 安保理への対応要請を検討=韓国[聯合ニュース]
2016/04/15 19:43
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が15日早朝に中距離弾道ミサイル「ムスダン」と見られるミサイルを発射したことを受け、韓国政府は国連安全保障理事会に対応を求めることについて検討に入った。政府消息筋が伝えた。
この消息筋は「北のミサイル発射は失敗したことが明らかになったが、安保理決議に違反する弾道ミサイル技術を利用したもの。国連レベルでの対応を求めることについて検討している」と話した。
韓国政府は安保理の理事国と協議を行ってから、対応を決めるものとみられる。
安保理による対応は決議が最も強く、議長声明、報道声明などがある。
北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射したり、核実験を実施したりした場合、国連安保理は既存の決議で規定する「トリガー条項」(自動介入)に基づき、さらなる制裁に乗り出すことになっている。しかし今回は長距離ではなく中距離弾道ミサイルであることに加え、発射に失敗したことが明らかになっているため、直ちに追加制裁につながることはないとみられる。
安保理議長宛てに書簡を送り、北朝鮮のミサイル発射実験に対し注意を喚起し、安保理文書として回覧するよう要請することで、今後さらに挑発があった場合、制裁につながりやすくする方法もある。
韓国政府は北朝鮮のミサイル発射が安保理決議に違反するとして、短距離ミサイル発射については国連安保理の北朝鮮制裁委員会に、中距離ミサイル発射については安保理議長にそれぞれ書簡を送っている。
yugiri@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/04/15/0300000000AJP20160415005300882.HTML
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮・豊渓里の核実験場で活発な動きが見られることから、韓国政府と軍当局は北朝鮮が近く核実験を強行する可能性が高いとみて監視を強化しているもようだ。
複数の韓国政府消息筋は17日、「最近、豊渓里の核施設で車両や人員、装備の活動が2〜3倍に増えた」としながら、動向を注視していると伝えた。
核施設の北側にある坑道付近を出入りする車両は、核実験の準備作業に当たっている技術者たちを乗せているとみられる。
ある消息筋は今月に入り車両と人員の出入りが急増しているとした上で、「核実験に向けた作業が大詰めを迎えているようだ」と話した。
韓国政府と軍は北朝鮮がある程度小型化された「核弾頭」を地下で爆発させる可能性が高いと分析し、核弾頭とみられる物体が坑道に搬入されるかどうか注意している。
別の消息筋は「北が今回5回目の核実験を行う場合、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載する小型化された核弾頭の爆発実験に成功したと発表する可能性が高い」と伝えた。
また、小型化された核弾頭を坑道に入れる際には、偵察衛星に捉えられないよう夜間に搬入するのではないかと説明した。
北朝鮮は先月9日、核弾頭の模型とみられる球状で銀色の物体の写真を公開した。
sjp@yna.co.kr
『満州モダン』を出版した韓錫政教授
「韓国人の鍋根性、せっかちといった『早く早く精神』も生んだ」
「韓国人の『早く早く精神』は、さかのぼると1930年代の満州国にルーツを求めることができる」
社会学者の韓錫政(ハン・ソクチョン)東亜大学教授(63)は、最近出版した『満州モダン』(文学と知性社)に、このように記した。韓教授は「いわゆる『鍋根性』(鍋のように熱しやすく冷めやすい気質)や気ぜわしいといった韓国人のせっかちさは、1960年代に韓国が高度成長を遂げる過程で形成され、60年代のブルドーザー式経済開発や安全保障中心の社会モデルは、満州国体制に淵源を確認できる」と主張した。
経済開発5カ年計画や国土開発、反共大会、標語作りなど、60年代の韓国人にはおなじみの行事や場面は、既に満州国時代から始められていた。60年代韓国の道路・都市・ダム・工業団地をひとまとめにした国土総合開発や水資源管理計画は、満州国の「総合開発」から影響を受けたという。韓教授は「朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領をはじめ作曲家の安益泰(アン・イクテ)・金聖泰(キム・ソンテ)、姜元竜(カン・ウォンヨン)牧師、中国人民解放軍の軍歌を書いた鄭律成(チョン・ユルソン)に至るまで、多くの人物が植民地時代に満州で経験を積み、光復(日本の植民地支配からの解放)後に韓国や中国で各界の指導者になった」と語った。
60年代の韓国と30年代の満州国を結び付ける環は、朴正煕元大統領と青年将校集団だ。韓教授は「関東軍が31年に起こした満州事変は、5・16クーデター(1961年5月16日。朴正熙陸軍少将〈当時〉らによる軍事クーデター)に影響を与え、30年代に関東軍が満州で主導した急速な産業化と社会動員の手法は、60年代の韓国の経済開発モデルになった」と分析した。しかし韓教授は「韓国の経済開発は親日勢力が主導したもの」というような解釈とは一線を画した。
韓教授は「朴正煕時代について、争うように極端な用語を使って批判する研究もあるが、こうした観点はその社会に実在していた二面性や複雑さを消し去ってしまうという結果を生む」「朴正煕政権が70年代の維新を通して民主主義の軌道から離脱したのは明らかだが、世界の最貧国だった60年代に、貧しさから脱出しようという情熱を込めて、圧縮的な近代化に乗り出したのも明らかな事実」と語った。60年代の韓国の経済開発モデルを30年代の満州国に求める韓教授の主張は、いささか「植民地近代化論」と似通っているようにも見える。しかし韓教授は「植民地時代を『親日と反日』『協力と抵抗』という二分法でしか見ないなら、その中間にあった『広大なグレーゾーン』を見逃すことになる」と語った。
韓教授は、ソウル大学国文学科を卒業後、米国シカゴ大学で博士号を取得した。94年にボクシングを始め、96年には釜山のアマチュアボクシング選手権(ウエルター級)で準優勝、現在も毎週1、2回はボクシングジムに通う。韓教授は「60年代、金基洙(キム・ギス)選手が韓国人として初めて世界チャンピオンになったころから、ボクシングへの夢を持っていた。60年代は、暴圧ばかりが乱舞していた時代ではなく、むしろ貧しくとも皆が夢を持っていた時代に近い」と語った。
キム・ソンヒョン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/15/2016041501638.html
EU側の専門家は13日、「EU-US Privacy Shield」について米側に反旗を翻した。欧米間の亀裂は拡大する傾向にある。中国新聞網が伝えた。
大西洋を跨ぐ同盟はかつてのように緊密ではない。EU側が米国の「ノー」を突きつけるのは、欧州議会と欧州理事会を召集して米国・カナダ国民のEU渡航へのビザ免除待遇を取り消したことに続くもので、「EU-US Privacy Shield」は欧米間の食い違いを示す新たな話題となっている。
欧州のデータ・プライバシー専門家は米側のデータ管理方式に懸念を抱いている。国家情報・自由委員会のトップは「米側はデータに対する管理措置が欧州の基準に合致することを示すさらなる証拠を示す必要がある。さもなくば、EUは『EU-US Privacy Shield』を承認すべきでない」と指摘した。
専門家の意見は参考に過ぎないが、EUの政策決定機関に対して相当の影響力を持つ。データ問題を担当するEU司法委員は専門家の分析を歓迎。欧州委員会は専門家の意見を評価し、最終的な決定を行うとした。
実はデータ・プライバシーをめぐり欧米間には常に溝があった。昨年10月欧州議会は米欧の立案した「安全港協議」を却下した。当時欧州議会の示した理由は、安全港協議はデータ・プライバシーが欧州側の基準を満たす保証がないというものだった。「EU-US Privacy Shield」は「安全港協議」挫折後の妥協の産物だ。
現地メディアによると、「EU-US Privacy Shield」がEU側の支持を得られなければ、データ・プライバシーをめぐる欧米間の協議は再び行き詰まる可能性がある。
ビザ免除待遇の取り消しからデータ・プライバシーへと、EUは立て続けに米国に反旗を翻しており、相互間の摩擦は明らかだ。現地メディアによると、一貫して米国の影に覆われてきたEUは国際社会で常に片隅に追いやられ、自らの主張を表明することが難しかった。大胆に声を挙げたことは、対米外交を変える意思がEUにあることを示している。EUが4月中旬に相次いで米国に反旗を翻したことは、オバマ大統領の英国、ドイツ訪問と大きな関係がある。(編集NA)
アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁は13日に米国ワシントンで、世界銀行のジム・ヨン・キム総裁と初の共同融資枠組合意に調印した。これにより双方の年内の協力の基礎がうち立てられた。新華社が伝えた。
世銀が同日発表したコメントによると、この合意では双方の協力プロジェクトにおける共同融資のおおよその規模が定められ、今後の協力の土台になるという。
世銀とAIIBは現在、12件の共同融資プロジェクトを検討中で、中央アジア、南アジア、東アジアなどの地域における交通、水道、エネルギー分野でのプロジェクトが含まれる。合意に基づき、共同融資プロジェクトの調達、環境影響評価、社会保障などの方面での準備や監督管理は世銀のルールを踏まえて行われることになる。
金総裁は同日、「世界銀行がAIIBの発足段階に惜しげもなく、タイミングよく支援を提供してくれることに感謝する。AIIBは双方がプロジェクトへの共同融資やその他の分野で長期的かつ成果の豊富な協力を展開することを願う」と述べた。
キム総裁は同日、「今回の合意に調印したことで2つの機関が開発プロジェクトに共同出資できるようになり、世銀と新しいパートナーが世界における巨大なインフラニーズへの対応で重要な一歩を踏み出したことになる」と述べた。
コメントによると、AIIBは今年、開発プロジェクト支援に12億ドル規模の融資を充てることを認可する予定で、そのうち世銀が参加する共同融資プロジェクトが大きな部分を占めるという。
金総裁は、「AIIBと世銀、アジア開発銀行(ADB)の共同融資プロジェクト第1弾は6月に認可される見込みだ。AIIBは独自の運営プロジェクトも準備している」と明かした。また、「インフラプロジェクトは規模が大きく、リスクが高く、1つの銀行が単独で20億ドル(1ドルは約109.7円)や30億ドルの支援を行っても割に合わない。AIIBは他の多国間開発機関とともに共同融資を行うべきだ」との見方を示した。
金総裁によると、「今後10年間にインフラ融資ニーズは10兆ドルに達するとみられ、AIIBは世銀、ADBなどの多国間開発機関とともに広大な協力の可能性を有しており、競争は存在しない。多国間開発機関が協力し合えばプロジェクト実施国のマクロ経済政策環境を改善することができる」という。
また金総裁は、「AIIBは『一帯一路』(1ベルト、1ロード)をめぐってよびかけたプロジェクトに融資を提供することができる。AIIBは参加するすべての新興エコノミーに融資を提供する。そのエコノミーが『一帯一路』のよびかけの範疇に入っていない場合でも融資を提供する」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年4月15日
日本の家電産業が転身の時期を迎えている。東芝は白物家電事業を美的に売却し、シャープは台湾地区の鴻海に買収され、サンヨーはパナソニックとハイアールに分割された。2015年下半期以降、日本の家電メーカーは「厳寒期」に入り、かつての家電市場の覇者たちは事業を切り売りして企業の存続をはかるしかなくなり、日本社会に大きなため息をつかせている。時代のリーダー役から生存の危機まで、わずか数十年のことだ。日本家電メーカーはどのようにして苦境に陥ったのか。未来はどこにあるのか。「環球時報」が伝えた。
▽かつての繁栄はマイクロ電子技術の革新のたまもの
日本家電産業が1980年代に飛躍的な発展を遂げたことは、慶応大学の井村喜代子名誉教授からみれば、「日本のマイクロ電子技術がもたらした必然的な結果」だ。「当時、米国はマイクロ電子技術を主に軍需産業と宇宙開発に利用したが、日本は国民が生活で利用する電化製品と産業機械に利用して、国際市場を急速に獲得していった」という。
中国のテレビがまだ真空管を使用していた頃、日本ではトランジスタの使用が始まっており、集積回路(IC)の開発も行われ、テレビ、ラジオ、ビデオに応用されていった。その後、日本メーカーは大小の家電の開発と製造をすべてカバーするようになった。
電子部品の製造を手がける企業であれば、家電製品を組み立てることはほぼ可能だ。人々は一番初めに電子製品を開発したメーカーの製品を買いたがる。日本の人口は1億人で、国内市場には限界があり、海外に廉価な家電製品を提供するのが、日本メーカーの必然的な選択肢だった。当時、国際社会には電子部品で日本と競争できる企業は少なく、家電製品で日本メーカーと勝負できる企業はさらに少なかった。技術の優位性により、日本家電産業はアジア市場を席巻した。
▽衰退の原因は時代とのずれ
1990年代以降、中国と韓国で製造された家電製品が、低価格や日本製品と大差ない機能で台頭し、日本製品の優位は崩れた。こうして日本家電産業は下り坂にさしかかった。
国外での熾烈な競争が日本家電メーカーの衰退の重要な原因ではあるが、日本の専門家の多くは、「真の問題はやはり日本企業自身にある」との見方を示す。前出の井村教授は、「経営モデルと製品のバージョンアップが世界の流れと合わなくなり、日本の家電メーカーは経営危機に直面するようになった」との見方を示す。
日本の大企業のリーダーは第二次世界大戦後に成人した人が多く、やる気と奉仕の精神に満ちているが、改革革新の力や新しい物事を学習し吸収する力が不足している。彼らの多くが既存のモデルに従うことを好み、世界の流れを理解しよう、新しい物事を学習しようとする人は少ない。50代や60代の上層部でパソコンを使いこなせない人も大勢いる。
日本企業はこれまでずっと「終身雇用」と「年功序列」の雇用スタイルを採用し、1つの会社に退職するまでずっといて、賃金上昇は基本的に年齢に基づくというのが一般的だった。企業は社員の革新や積極性を重視せず、制限することさえあった。上司が部下を率いて業務を完了させるのであり、部下は指示に従うだけでよかった。リーダーの方針決定が正しければみんなが利益を受けるが、決定を誤ればみんなが困った羽目に陥った。
日進月歩の現代にあって、日本企業はこれまでのやり方にとどまり、革新が不足している。その結果は容易に想像できる。
▽未来は家電以外にある
日本企業の多くは生き残りをかけて事業の一部を売却し始めており、資力と勢力を優勢産業に集中させてこれを守り抜き、難関を乗り越えようとしている。家電事業を素早く切り離した後、日立、パナソニック、NECなどのメーカーはモデル転換を達成した。
日立は09年に危機に直面すると、事業を調整して社会インフラと情報技術(IT)の融合に活路を見いだした。日立ブランド・コミュニケーション本部の溝口健一郎宣伝部長は、「日立は発電、鉄道、通信の分野での製造に強みがあり、IT分野でも長年の蓄積がある。両者の融合により、たとえば同じ鉄道プロジェクトであっても、日立は車両と信号設備だけでなく、運営コントロールシステムも提供できる」と話す。両者の融合の道を歩み始めた日立は、英国で1兆円規模の鉄道プロジェクトを獲得している。
パナソニックはここ数年、自動車部品、住宅設備などへの投資を拡大している。東京にあるショールームをのぞくと、パナソニックがITの利用に一層の力を入れていることがわかる。室内のエアコン、加湿器、音響設備が1つのシステムを形成し、スマートホームがうち出されている。理美容家電など小型家電の開発も行い、洗濯機やテレビといった大型家電の空白を埋めている。
東芝の上層部は、「2016年以降、東芝は事業を半導体、発電、エレベーターの3分野に集中させる」と話す。家電と医療事業を切り離し、身軽になって新たな戦いに挑むという。
日立は融合の道を歩み始めた後の15年に、ここ数年で最高の利益を上げた。パナソニックは家電事業が日本と欧米で成功を収め、今後は発展のため、新たに開拓した自動車と電気機械システムなどの分野に力を入れるという。東芝はエレベーター事業とメモリチップ製造で利益を確保しており、長期的には電力分野の開拓で発展をはかるとみられる。
今後、家の中にある日本製電化製品はますます少なくなるとみられるが、パナソニックや東芝などの日本ブランドが消滅することはあり得ない。こうしたブランドは家電以外に新たな生存の空間や利益獲得の可能性を見いだしたのだ。(編集KS)
国家統計局が15日に発表したデータによると、2016年第1四半期のGDP(速報値)は15兆8526億元(1元は約16.8円)で、不変価格に基づく計算では前年同期比6.7%増だった。同局の盛来運報道官は、「今年に入って以来、中国経済は『穏中有進』(安定の中成長する)の流れを維持し、構造調整はより一層推進され、新たな原動力の蓄積が加速し、いくつかの主要指標には積極的な変化が現れた。国民経済は幸先良いスタートを切った」と述べた。人民日報が伝えた。
第1四半期、一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)の付加価値額は不変価格で計算すると前年同期比5.8%増、増加率は前年(通年)比で0.3ポイント低下、今年1〜2月比で0.4ポイント上昇した。固定資産投資の名目増加率は10.7%(価格変動の影響を除いた実質増加率は13.8%)、増加率は前年(通年)比で0.7ポイント上昇した。社会消費財小売総額の前年同期比の名目増加率は10.3%(実質増加率は9.7%)、増加率は前年(通年)比で0.4ポイント低下、今年1〜2月比で0.1ポイント上昇した。第1四半期、中国都市部の新規雇用者数は318万人、通年目標の31.8%を達成した。住民所得は安定的な増加を保ち、第1四半期の全国住民の可処分所得は6619元、前年同期比の名目増加率は8.7%、実質増加率は6.5%となった。
財政部(財務省)が公表した最新のデータによると、3月、全国財政収入は前年同期比7.1%増の1兆1511億元、1〜3月の累計は前年同期比6.5%増の3兆8896億元となった。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年4月16日
世界の各大手メディアは15日、中国の最新のGDPデータをこぞって報道した。ロイター通信は「GDP成長率は2009年第1四半期以来の低水準となったが、その他のデータは、これまでに現れた好転の兆しを裏付けるものとなった。中国経済は正しい軌道に乗り、小売・工業生産・固定資産投資の増加率は予想を上回った」と報じた。環球時報が伝えた。
中国国家統計局が15日に発表したデータによると、2016年第1四半期の中国GDPは前年同期比6.7%増だった。このデータは2009年以来の低水準だったが、各国メディアはこれについて軒並み「中国経済は安定的な成長段階に入った」との評価を下している。
ドイツメディアは15日、「第13次五カ年計画の幸先の良いスタート」と題した記事で、「6.7%という成長率は中国にとって良いデータとは言えないかもしれないが、世界のその他の地域と比べれば、依然として夢のような数値だ。中国経済は『安定の時代』に入った。当然、中国経済には依然として多くの問題が存在するが、これはモデルチェンジの過程で必ず直面しなければいけないものだ。北京にはまだ多くの切り札があり、自信を示している」と報じた。
韓国「中央日報」は15日、「中国が中高速成長の時代に」と題した記事の中で、「3月以降の各経済指標から見ると、中国経済の楽観論が再び浮上してきた。生産・投資・消費・輸出といった中国経済の主要指標は今年3月にいずれも好転を見せた。中国経済の構造調整は今、輸出中心から内需による牽引への転換を図っている。サービス業など第3次産業が経済をけん引するエンジンとなり、この傾向は3月に特に顕著に表れた。3月、中国のサービス業成長率は7.6%で、製造業の5.8%を上回った。消費総額は前年同期比10.5%増加した」と報じた。
中国国際経済交流センターの魏建国副理事長は、「第1四半期のGDPを見ると、注目すべきいくつかの転換が見られる。まず、民間投資が初めて国有系企業による投資を上回った。輸出では、民間企業の輸出が初めて国有企業と外資系企業を上回った。一般貿易輸出が加工貿易輸出を上回り、中国自主ブランド製品の輸出増加を裏付けた。6.7%の成長率はボーナス還元の効果であり、構造調整の影響であり、中国経済のモデルチェンジの成果を反映している。このような好調な滑り出しは、今年と第13次五カ年計画の発展の良いスタートとなり、中国の改革に自信をもたらすほか、世界にも積極的な波及効果をもたらすだろう」と指摘した。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年4月16日
原油価格の回復と株価安定で、世界経済が落ち着きを取り戻している。しかし、世界的な「低成長病」の根は深い。
深刻な経済状況に直面する各国の対応も破格だ。世界経済のけん引役だった中国も同様だ。経済成長率の鈍化に苦しむ習近平国家主席の景気回復策で最も目立つのは減税と規制緩和だ。減税と規制緩和は「小さな政府」を志向する自由主義者に象徴されるスローガンだ。中国は共産党が統治する典型的な「大きな政府」ではないのか。
習主席は今年1月、中央財経指導小組の第12回会議で「供給体系が需要の構造変化に適応すべきだ」として供給サイドの改革を強調した。企業が消費者の需要に合う高品質の商品を生産できない中、企業の生産性を高めることを目指す動きだ。経済分野担当の李克強首相は先月、習主席の方針を具体化した減税政策を発表した。今年は大幅な財政赤字を覚悟で、企業・個人の税負担を5600億元(約9兆4500億円)軽減する。
習主席が減税と規制緩和を持ち出したのは、2008年の世界的金融危機以降に実施してきた景気浮揚策が限界に達したからだ。中国も欧米のように資金供給を増やし、輸出、消費、投資を刺激してきた。しかし、企業を絶えず革新して危機を脱出した米国とは異なり、中国経済は10年以降、成長率が低下している。このため、米国のように企業改革を通じ、経済にてこ入れする構想を描き、減税と規制緩和で企業の構造調整を支援することにした。
習主席が掲げる供給経済学、減税、規制緩和の象徴的指導者は本来、レーガン元米大統領だ。レーガンは不況を打開し、「偉大な米国」を再建するため、思い切った減税と政府予算削減、規制緩和を実施した。その結果、米国経済は1984年から5年間、年平均4.2%成長し、1000万人分を超える新規雇用を生み出した。しかし、ソ連との軍備競争で財政赤字は悪化した。それを意識し、習主席は減税と軍備縮小を同時に宣言した。習主席がレーガノミクスに追随したとの指摘もある。
無論2人が直面する経済状況は違う。当時の米国は1人当たり国民所得が2万5000ドルを超え、国民が税率に敏感に反応した。これに対し、中国の1人当たり国民所得は8100ドルにとどまっており、減税効果は相対的に小さい。議会中心の米国とは異なり、中国は規制を緩和しても、共産党が絶大な権力を握る政府主導の経済だ。
しかし、減税と規制緩和が持つ意味は想像よりも大きい。税金は一度下げれば、増税は難しく、規制も一度緩和すれば、規制を強化するのは容易ではない。共産党の権力低下につながりかねない冒険と言える。とはいえ、成長率低下と就業難に対し、絶対権力が選択できる現実的な策は多くはなさそうだ。
韓国では新国会が発足する。選挙戦に埋もれていた経済懸案が再び争点となるとみられる。韓国の政治家も世界的な低成長と就業問題に対処し、市民生活のために冒険すべき時を迎えている。
キム・ギフン・エコノミー朝鮮エディター
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/15/2016041501652.html
オバマ米大統領は先日FOXニュースのインタビューに「在任中の最大の過ち」として、リビアのカダフィ政権転覆後の状況についてしっかりと計画を立てていなかったことを挙げた。8年間の任期が終わるのを前に、オバマ大統領はリビア問題を繰り返し総括している。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
オバマ大統領は現在リビア情勢が収拾がつかないことを率直に認めたうえで、戦後の混乱の責任を同盟国である英仏の無関心さになすりつけた。だがオバマ大統領はリビアへの軍事介入自体が誤りであったことは認めなかったうえ、米国が少しの代償で、かつ同盟国が先頭に立ってカダフィ政権を倒したことを自慢げに語った。こうした選択的、限定的な介入が「オバマ主義」の重要な特徴であることは間違いない。
オバマ大統領は「チェンジ(変革)を掲げて出馬し、大統領に就任した。アフガニスタンとイラクでの戦争を終結させることを始め、ブッシュ政権の対外政策を変えることを誓った。オバマ大統領は本来ブッシュ前大統領の後塵を拝したくなかったのだが、結果としてやはりリビアに対する戦争発動に加わった。
シリア問題において、この「選択的介入」は新たな形を取った。米国が西側および地域の同盟国と連携して制裁を行い、シリアを孤立させた結果、アサド政権は国土の多くに対するコントロールを失い、シリアは混乱に陥った。現在までにシリアでは数十万人が命を失い、数百万人が家を失い、シリア難民問題が欧州を悩ませている。米国を代表とする西側諸国のこうした干渉はパンドラの箱を開け、リビアとシリアに深刻な結末をもたらした。
米国の介入方法は対象国により異なるが、いずれも程度が深いうえ、情勢を一層悪化させた。米国の介入の理由は多くが「安全」と「民主」であり、対象国が米国と世界の安全にとって脅威である、または米国と西側の民主的価値観に反すると考えるものだ。米国が強大な軍事的優勢、同盟国動員能力、国際的発言権を頼みに軍事的干渉を発動し、小国の政権を転覆するのは比較的容易だが、戦後の再建はそれほど容易ではない。冷戦終結後、クリントン政権の「新干渉主義」、ブッシュ政権の「新保守主義」、オバマ政権の「選択的介入」と、米国の対外干渉の手法と方法はある程度異なるが、本質に変化はない。どの強力な干渉も、平和と安定をもたらさなかった。
米国の外交政策の基本原則には多くの問題が存在する。これは中東政策に現れているだけでなく、対中関係にも影響を与えている。オバマ大統領は任期の初めには対中積極関与政策を講じ、ブッシュ政権後期の対中政策と「シームレスに連結」し、両国関係の平穏な移行を実現した。だが米国は台湾やチベットの問題で誤った政策を改めず、依然として痼疾にとらわれ、波瀾を招いてきた。南中国海問題では、米国の干渉が南中国海地域と中米関係に複雑な要素をもたらした。米国は中東政策で過ちに過ちを重ね、対中政策でも繰り返し問題を生じている。将来、中米は世界に最も大きな影響を与える両大国となる。世界は米国の対中政策にどれだけ「過ちを試す」余地を与えられるだろうか?
オバマ大統領は中東問題について省察が徹底していない。アジア太平洋リバランス戦略については省察を欠いている。これでは過ちを繰り返すことは避けがたい。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年4月13日
近頃、「日本人はどれほど他人に迷惑を掛けたがらないのか」と題した日本人に関する記事が微博(ウェイボー)で転載されている。記事では「日本人は日常生活の中で、極力誰にも迷惑をかけないように最大の努力を払っている」と具体的に多くの事例をあげて説明している。なかには中国人の目にはほとんど偏執的とさえ見えるものもある。(文:聶c氷。光明網掲載)
ちょうど数日前のことだが、中国人にもなじみの深い「瓷娃娃(磁器の人形)」こと福原愛が公式ブログで自身の恋愛に関する報道に対し、「この度は私のプライベートのことでお騒がせをして申し訳ありません」とコメントしていた。
このコメントは無意識のうちに最も直接的な形で、日本人が極度に礼儀を重んじる点を明らかにしており、感嘆を禁じ得ない。同時にある国を美化する人がいる一方で、必ずそれをバッシングする人々もいる。この二つの観点が対立していき、対立の最初の原因となった「日本人は他人に迷惑をかけないように努力している」という点はあっという間に忘れ去られ、新しい情報や話題にすり替わっていってしまう。
実際、「他人に迷惑をかけない」というのは中国の伝統の中でも常に守られてきた考え方の習慣である。しかも日本に比べ、中国人は日常生活の中でその度合いがほどよく、基本的に「礼儀正しさとお詫びの気持ち」は相手を心地よくさせる程度にコントロールされていて、それが互いのストレスになることはまずない。
様々な古い文献の中には「冒昧(僭越ながら)、打擾(お邪魔します)、叨擾(ご招待にあずかる)、労駕(すみません)、拝托(お願いします)」といった単語が頻繁に見られ、その使用率は非常に高い。漢詩の中で道を尋ねる場合は「借」という字が使われ、「借問酒家何処有?(借問す酒家は何れの処に有る)」となり、謙虚にお辞儀をする礼儀正しい君子のイメージがありありと浮かんでくるだろう。この詩に描かれている人物は気が滅入っているにも関わらず、自身の問いかけが牧童に迷惑にならないように配慮を怠らず、まず相手に敬意とお詫びの気持ちを示しているのだ。
また現代の中国人の日常生活において、少なくとも北京や河北省一帯では人々は会話の中で依然として「ご苦労様」、「ご容赦ください」、「すみませんが」、「お手数かけました」と言った表現を使っている。毎回、自分の行為が他人に迷惑をかける場合などは、この種の言葉を使うことで、自身の心からの申し訳なさと感謝の気持ちを伝えるのだ。
ただこれらの習慣はまるで祖父母の部屋にある古い書物のように、古びた街角に留まり、現代中国人の周りでは見かけなくなった。いつの頃からかわからないが、中国の教育は「自己」や「自分」を過度に強調するようになり、「人」が生きていく中で最も重要な能力である集団の中での一人としてその他のメンバーと平和的な関係を保つ能力を軽視するようになってしまった。
土曜日に微博(ウェイボー)で、ある父親が4歳の息子を連れて、国道沿いに河南省からインラインスケートで14日間かけて北京にたどり着いたというニュースが掲載された。138万人が閲覧し、1000件あまりのコメントがついた。称賛する人もいれば、子供の発育に影響するとコメントする人、安全を気にする人など様々なコメントがあったが、国道という道路状況が複雑な場所での「このような行為は国道を運転している運転手たちに迷惑をかけるのではないのだろうか」というコメントはほとんど見られなかった。
また以前、人々にどのように自分のためのチャンスを生み出すか啓発するような文章を読んだことがある。その文章には「研修会に参加した場合、必ず質問のチャンスを勝ち取ること。そうすれば教師のあなたに対する印象は深まり、覚えてもらうことができる。もし何も質問するような問題が無い場合は、先ほどの内容がよくわからなかったと言って、教師にもう一度繰り返させればよい」と書かれていた。
これが「人をダメにさせる」と言えるかどうかはわからないが、授業に参加している人なら誰でも知っているように、毎回の授業で質問できるチャンスはとても少なく、そして非常に貴重だ。もし知識を求めるためではなく、質の高い質問はないものの、先生への印象を深めるためだけならば、授業が終わってから廊下で先生と話すチャンスをうかがえば、相手に与える印象もさらに深まるだろう。それに皆の貴重な授業時間を無駄にすることもない。上述のような行為は教師とその他の生徒にとって迷惑以外の何物でもないからだ。
すでに何年もの間、中国人は皆、前へ前へと足早に進みながら、毎日ほとんど変わりの無い世界で暮らし、生活のために何かを奪い、全力を尽くし、声をからして、まるで窮地に身をおく人のように、必要のない重荷を全て投げ出し、全力で奪うことを続けてきた。その結果、ある日ふと振り返ってみると、とても多くの物を失ってしまったようだと気づいたのだ。この喪失感を恐れるあまり、中国人は焦って探し求め始めている。ドイツの匠の精神、日本の礼儀、イギリスの優雅さ、ニュージーランドの牧歌的な田園。しかしこれらは実は中国人の伝統の中にもともとあったものであるということを見落としている。しかも中国人がかつて受け継いできたものは、かの国々が持っているものよりもさらに純粋で成熟していた。「古くからの文明の国」という名は決して適当につけられたものではなく、五千年の文明の歴史はそう簡単に今日まで伝承されてきたのではないのだ。
だから中国人はあちこち探し回る必要などない。落ち着いて心の奥底と脈々と流れる血液に秘められた声に耳を傾ければ、再び大国としての自信とあらゆる伝承を取り戻すことができるだろう。(編集TG)
「人民網日本語版」2016年4月13日
エクアドルでマグニチュード7.8の地震 77人死亡[スプートニク日本語]
2016年04月17日 14:55(アップデート 2016年04月17日 20:23)
南米エクアドルでマグニチュード7.8の地震があり、77人が死亡した。
同国のグラス副大統領はツイッターで、さらに死者が増える恐れがあると発表した。
震源は、海岸沿いの町ムイスネから南東に27キロ、震源の深さは19キロだった。多くの建物に被害が出ている。
エクアドルではマグニチュード7.8の地震の後、余震が36回観測された。エクアドルの地球物理学研究所がフェイスブックで伝えた。
なお太平洋津波警報センターの報告によると、危険な波が発生する恐れは過ぎ去ったと見られている。
(1)消費 再点火に時間 現役世代 負担重く
景気の先行きに不安が広がっている。海外経済だけでなく国内需要も勢いを失ってきた。もたつく日本経済を点検する。
縮む団塊の胃袋
「500円天丼」を目当てにサラリーマンや学生でにぎわう店内。夕方になると、天ぷら総菜を持ち帰るシニアの姿が目立つ。ロイヤルホールディングスのてんやの売り上げは、ほぼ4年近く前年同月を上回る。手間のかかる揚げ物を自宅で作らなくなったシニアのニーズをうまくつかんだ。
絶好調にもかかわらず、菊地唯夫会長は気を緩めていない。「70歳に迫る団塊世代の食が細くなるため、今年から景気は弱含む」。総務省の家計調査によると、65〜69歳の食料支出は月7万3千円だが、70〜74歳になると6万8千円とがくんと減る。消費が低迷から抜け出せないのは縮む胃袋が影響している。
個人消費と一見関係なさそうな制度変更が高齢者のマインドを冷やしているとの見方もある。ワコールでは50〜60代の中高年向け女性下着の売り上げが減った。安原弘展社長は「相続税対策で生前贈与する世帯が増え、懐が寒くなったと感じた人が下着の購入頻度を落とした」と指摘する。
アベノミクス景気をけん引した個人消費は、株式などの保有割合が高い高齢者が主役を担った。株高の流れが昨年から反転し、高齢化という構造要因が顔をのぞかせる。
現役世代の消費もさえない。「給料が上がらないと消費意欲は高まらない」。しまむらの野中正人社長は心配顔だ。節約志向の流れに乗って同社の業績は好調を保つが、野中社長は「消費者の財布のひもは固い」と話す。連合の3月30日時点の集計では、今年の春季労使交渉の賃上げ額の平均は6239円で、前年の6944円を下回る。
家計支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数は、15年に25%と過去最高になった。14年4月の消費増税で食料価格が上がったことが一因だ。食品スーパーマルエツの上田真社長は「低価格品の販売が増えている実感がある」と話す。だが食費さえ切り詰めようとする節約の裏側にはもう一つの構造要因がある。
団塊世代が60歳の定年に達した07年以降、働く世帯の消費支出の落ち込みが大きくなっている。15年の税や社会保険料の負担は月9万8千円と、07年と比べて約1万2千円増えた。この間、実収入は約3千円減り可処分所得が圧迫されている。
喚起策ちぐはぐ
危機感を募らせる政府は個人消費のテコ入れに動き始めた。4日の経済財政諮問会議。提案に並んだのは、ブラックフライデー(黒字の金曜日)と呼ぶ一斉セール、額面以上の金額が使えるプレミアム商品券や子育て分野に使えるクーポン券の発行などだ。一時的な消費刺激になっても、効果は長続きしそうにない。
高齢化に伴って現役世代の負担は増える一方だ。消費喚起には社会保障費の抑制で負担の伸びを抑える工夫もいる。消費の再点火には時間がかかる。
(景気動向研究班)
[日経新聞4月12日朝刊P.1]
(2) 広がり欠く設備投資 収益懸念、足踏み
富士山の裾野に位置する山梨県忍野村。黄色のコーポレートカラーに外壁を彩られたファナックの産業用ロボット工場がフル稼働を続ける。稲葉善治社長は「国内外で需要が旺盛だ」と語る。これまで人手に頼っていた工程を自動化し、効率を高めたい。そんな企業のニーズをとらえる。
商機はファナックのライバル、ABB(スイス)にも広がる。日本法人が目を付けるのは北海道や大阪など中国人観光客に人気の地域の食品会社。「お土産用のお菓子の箱詰め工程などで使うロボットの引き合いが強い」と担当者は明かす。
計画なお高水準
1日に日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)。2015年度の大企業全産業の設備投資計画は14年度比で9.8%増だった。15年12月の前回調査から伸び率は1ポイント低下したもののなお高水準。省力化や効率化を狙う投資が下支えしている。
新日鉄住金は八幡製鉄所(北九州市)で設備刷新のための投資を急ぐ。投資額は当初から数百億円上積みして500億円前後に達するもよう。「鉄冷え」にあえぐ中でもグローバル競争を勝ち抜くための「攻め」の姿勢は失っていない。
新日鉄住金に限らない。日本政策投資銀行が資本金10億円以上の大企業を対象に調べる製造業の設備投資調査。投資の動機を探ると「合理化・省力化」「研究開発」の重みが増している。かつて主目的だった増産に向けた「能力増強」は15年度計画では22.2%。1986年度の調査開始以来、最低だ。
「量」から「質」へ
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「企業は単純な増産投資から質を高める投資に軸足を移している」と指摘する。問題は「量」から「質」へと中身を変える企業の設備投資をどう引き出すかだ。
日銀が導入したマイナス金利政策はどうか。今年創業70周年を迎える食用天然色素最大手の仙波糖化工業の堀川駿太郎社長は「マイナス金利は大歓迎」と言い切る。金融機関から資金を借り入れて老朽化設備を更新しやすくなるからだ。
もっとも広がりは限定的だ。長野市の自動車関連企業の社長は「金利が下がっても、景気の先行きが不透明ななかでは設備投資に踏み切れない」と明かす。
実際、企業家の景況感は晴れない。中小企業家同友会全国協議会が3月上旬に調べた1〜3月期景況調査。売上高DI(「増加」から「減少」を引いた割合)はマイナス1と、減収企業が増収企業を上回った。経常利益DIはプラス1だが、その幅は15年10〜12月期のプラス6から急低下だ。
大阪府内の設備メーカー担当者の実感が経営者の迷いを代弁する。「受注の案件自体はあるが、決定までに半年程度かかる案件もある」。景気がもたつけば、企業は将来必要な投資にすら二の足を踏みかねない。効率化や研究開発への投資を促す政策の目配りが欠かせない。
(景気動向研究班)
[日経新聞4月13日朝刊P.]
(3)世界、頼れぬ「米中」エンジン 政治迷走追い打ち
「製鉄所を解雇された。なぜ中国のダンピング(不当廉売)を取り締まらない」。米大統領選候補のヒラリー・クリントン前国務長官は、支持者から経済対策の不備を詰問されることが増えた。
米経済は一見したところ好調だ。3月の新車販売台数は15年ぶりの高水準を記録し「失業率が改善して消費者心理もいい」(フォード・モーターのマーク・フィールズ最高経営責任者)。個人消費に支えられ、米国の景気拡大は6年半を超す。
その好循環に新興国の景気減速が影を落とす。USスチールの2015年の売上高は前年から3割も減り、建機のキャタピラーも16年の売上高がピークだった4年前より3割少なくなりそうだ。
全米の雇用者数は月平均20万人強増えて底堅いが、製造業に限れば2カ月連続で減少した。アトランタ連銀は、輸出と設備投資の減少で1〜3月の実質成長率が0.1%に急減速したとみる。
余剰人員180万人
「政策を総動員する」。20カ国・地域(G20)は2月末の財務相・中央銀行総裁会議で宣言し、株安・資源安に歯止めをかけた。だが米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は「海外経済の見通しがさらに弱くなった」と話す。「下振れ圧力が大きい」(李克強首相)という中国経済が米景気の足を引っ張る。
中国メディアによると国有鉄鋼大手の鞍鋼集団(遼寧省)は16万人いる従業員を3年間で4割減らす。中国は08年のリーマン・ショック後の過剰投資で余剰設備を抱え、余剰人員は石炭・鉄鋼業だけで180万人いる。「20年まで年平均6.5%以上」を掲げた成長目標の達成は視界不良だ。
国際通貨基金(IMF)は今年の世界成長率見通しを3.2%に下方修正した。6年ぶりの低い伸びだった昨年から底ばいで、米中の二大エンジンの出力が鈍る世界経済は「長期停滞」(サマーズ元米財務長官)、「大低迷」(スティグリッツ・コロンビア大教授)と悲観的に表現され始めた。
過剰設備の削減や低利益の「ゾンビ企業」の淘汰という構造改革を迫られる今の中国に、リーマン後に4兆元(約70兆円)の財政出動で世界景気を支えた姿の再来は望めない。長期停滞を避けられるかの分水嶺に立つ世界経済に必要なのは、国境を越えて自由貿易やインフラ投資を促し、成長を再点火させる政治の指導力だ。が、その政治は混迷の色を深める。
高まる不信感
「苦しい数日間だった」。キャメロン英首相はパナマの法律事務所から流出したタックスヘイブン(租税回避地)関連の文書を巡り、亡父が設けたファンドに投資していたと認めた。「無関係」との説明を翻し、激しい非難を浴びる。英は6月に欧州連合(EU)への残留の是非を問う国民投票を控える。もし離脱となれば世界経済の混乱は避けられず、足元の政治不信の高まりは痛恨だ。
世界景気の頼みの綱である米も「環太平洋経済連携協定(TPP)には賛成できない」(クリントン氏)と内向き姿勢を強める。政治の迷走が世界経済にとって見過ごせないリスクになりつつある。
(景気動向研究班)
[日経新聞4月14日朝刊P.1]
(4)再燃する増税延期論 改革こそ成長導く
「失望した」。10兆円超の資産を運用する米運用会社GMOのポートフォリオ・マネジャー、トーマス・ローズ氏は3月の訪日が期待外れに終わったという。日銀がマイナス金利政策を導入しても脱デフレの道筋は見えず、資本効率向上に向けた企業の意識も低い――。日本株への投資判断は「中立」に据え置いた。
「2016年の日経平均株価は2万円を超える」という強気の見方はすっかり影を潜めた。世界的な市場動揺と無縁でないのは確かだが、アベノミクスへの期待も薄れつつある。期待を先取りしてきた外国人投資家の資金流入が細り、15年度の日本株の売越額は28年ぶりの大きさとなった。
株安と円高警戒
「暴力的な円高だ」。日本商工会議所の三村明夫会頭は不安を募らせている。円相場は昨年末の1ドル=120円台から107円台まで一気に13円近く上昇。市場では円高を誘う真偽不明の噂も飛び交い、ヘッジファンドなど投機筋の円買いは過去最大規模に迫る。
株安・円高で経営者の心理が冷え込めば、賃金や設備投資を押し上げるアベノミクスの好循環にブレーキがかかる。
「場合によっては必要な措置をとる」(麻生太郎財務相)
「必要な場合は追加的な金融緩和措置を講じる」(黒田東彦日銀総裁)
政府・日銀は「臨戦態勢」を強調してみせるが、円売り介入や追加緩和の可能性と効果を市場は疑問視する。マイナス金利政策は金融機関の収益悪化につながり、「かえって株安を招く可能性もある」(東短リサーチの加藤出氏)。
市場の関心は消費増税の先送りや経済対策に向かう。5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前後にも安倍晋三首相が増税先送りを表明するとの見方がくすぶる。
増税先送りの効果はどの程度か。野村証券の木下智夫氏によると増税した場合の実質国内総生産(GDP)は16年度0.9%増、17年度は0.1%減。見送った場合は16年度0.6%増、17年度は0.8%増となる。
増税をすれば個人消費などに駆け込み需要が発生し、その反動で17年度はマイナス成長に陥る。ただ増税幅は前回の3%よりも小さく、食料品などに軽減税率を導入するため、実質GDPの落ち込みは14年度の1.0%減と比べて小幅になる。
消費心理悪化も
一方、先送りならマイナス成長は避けられるが、待機児童対策など社会保障の財源が確保できなくなる恐れがある。働く人の不安が高まり、むしろ財布のひもが締まりかねない。財政健全化目標の達成時期も遠のく。
増税先送り論が再燃する背景には、日本経済の潜在成長率が0%台に低迷していることがある。外的なショックに弱い体質は変わらず、財政出動で目先の成長率を持ち上げる政策論に終始する。
労働市場や税制などの改革を通じて経済の地力を高めることが必要になる。規制も大胆に見直して民間の潜在力を引き出していく。道半ばの成長戦略を着実に実行することが何よりの経済対策になる。
(景気動向研究班)
=おわり
[日経新聞4月15日朝刊P.2]
ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は、4月14日にロシアのスホイ27型機がバルト海上空で米国の偵察機RC-135に危険なほど接近したとする外国メディアの情報は事実と一致していないと述べた。
コナシェンコフ報道官は、記者団に次のように語ったー
「4月14日、防空軍の当番部隊はバルト海上空でロシアの国境へ高速で向かう未知の飛行対象を発見した。対象を特定するためにバルト艦隊航空隊の当番部隊からスホイ27戦闘機1機が出動し、その対象の周囲を飛行、オブジェクトが米国空軍の偵察機RC-135Uであることを識別した。」
コナシェンコフ報道官によると、米国の偵察機RC-135Uは、ロシアのスホイ27型機を見た後、ロシアの国境とは反対方向にルートを変更した。
報道官は、「ロシア機の全飛行は、空域の利用に関する国際規則に厳格に従って行われ、緊急事態は一切なかった」と強調した。
イランの原油輸出は数日中に1日200万バレルに増加する。ジャワジ原油次官が述べた。
イランの原油生産量は一日あたり350万バレルに達したという。
「新しく署名された契約により原油生産量はさらに増加することが予想される」。日曜、イランのメディアが報じた。
次官によると、イランの原油の約30〜35%が欧州市場に輸出されている。
イランは生産量を制裁前のレベルにまで増加しようとしているため、ドーハで17日開催の原油生産を凍結することをめざす会議に参加しないことを決めたという。
イラン原油省代表によればテヘランは「黒い黄金」の市場価格を安定させるあらゆる努力を歓迎し、これに貢献するが、1日400万バレルという制裁前の原油生産量に達する意図を維持していると述べた。
米国、ロシア、中国は、核兵器の技術を向上させており、新たな冷戦を引き起こす恐れがある。ニューヨーク・タイムズが報じた。
ジェームズ・クラッパー米国家情報長官は、米議会軍事委員会を前に「我々は、冷戦と似たような別の発展スパイラルへ進む可能性がある」と述べた。ニューヨーク・タイムズが伝えた。
ニューヨーク・タイムズは、軍拡競争の証拠として、米露中の新たな開発を挙げている。同紙によると、中国は極超音速機のテストを行っており、米国も同様のプロジェクトを開発しているほか新たな巡航ミサイルの開発にも取り組み、核兵器の近代化も行っており、ロシアは大型ミサイルに小型の弾頭を搭載し、水中無人機を開発している。
ビル・クリントン政権において米国防長官を務めていたウィリアム・ペリー氏は、より小型化された核兵器の製造と非核兵器改善の際に、その使用はそれほど不可能ではないように思われ始め、緊張の高まりの防止はさらに困難なものとなるとの見方を示している。
政府は、多くの避難者に食料が行き渡っていない状況に危機感を募らせており、食料や物資の供給をはじめとする被災者の生活支援に全力を挙げている。
「熊本県や周辺の県に物資を届けているが、そこからどこまで届けるかの詰めが混乱している」
菅官房長官は17日の記者会見で、支援物資が避難者に届いていない現状を明らかにした。輸送網は至る所で寸断され、物資が避難所まで到達しない例も少なくない。
政府は、米軍の輸送支援の受け入れを決めた。安倍首相は17日朝の段階では、「直ちに米軍の支援が必要だという状況ではない」と慎重だったが、約2時間半後には「大変ありがたい申し出」と一転して受け入れを表明した。「輸送網の寸断などの状況を深刻に受け止めている表れ」(政府関係者)との見方が出ている。
首相は17日昼の非常災害対策本部会議で、「食料や水が近くの倉庫に届くだけでは役に立たない。被災者一人一人の手元に届かなければ意味がない」と述べ、全省庁で構成する「被災者生活支援チーム」の発足を発表した。その後、初会合を開き、18日にも現地に職員を派遣する方針を決めた。当面、各自治体に1〜2人常駐させる考えだ。
政府は今回、支援物資を自治体の要請を待たずに輸送する「プッシュ型支援」を実施しており、国の判断で90万食を現地に送ることを決めた。自治体の要請を待っていては対応が遅れる懸念があるためだ。政府は「市町村拠点搬入先連絡リスト」を作成し、支援物資が途中で滞らず、被災者の手元に届くための取り組みにも着手した。
また、政府は17日、自衛官OBの「即応予備自衛官」の招集も閣議決定した。中谷防衛相は地元出身者など最大約300人を生活支援に従事させる考えを示した。1997年の制度導入後、同自衛官の招集は東日本大震災以来、2度目となる。
14日夜の最大震度7の地震以来、地震は頻発している。政府は「避難生活が長期化する可能性もある」(河野防災相)とみて、仮設住宅建設などの対策も急ぐ考えだ。
最終更新:4月17日(日)23時37分
クウェートで17日、石油産業の労働組合のメンバーたちがストライキを行った。クウェートの石油生産量は、3月の日量281万バレルから110万バレルに減少した。クウェート石油会社「KOC(kuwait Oil company)」のサアド・アル=アズミ代表が、インスタグラムとツイッターで発表した。
通信社ブルームバーグによると、石油の生産および加工の減少は、緊急時の行動計画に従って行われている。
なおクウェート石油公社(Kuwait Petroleum)は顧客への輸出を続けている。同社のハレド・アル=アスシ代表が17日、ブルームバーグに伝えた。
現地時間で4月17日午前7時に作業を停止したクウェートの石油企業の従業員たちは、給与などの削減に抗議している。労働組合のサイフ・アル=カタニ会長が発表した。
現在、ストライキ参加者との交渉が続けられている。
クウェートの石油産油量は、石油輸出国機構(OPEC)の中で第4位。
出石 直 解説委員
4月13日に投票が行われた韓国の総選挙は、パク・クネ大統領を支える政権与党の「セヌリ党」が議席を大幅に減らして大敗し、第一党の座を明け渡すことになりました。野党が2つに分裂して与党有利の展開ではないかとみられていただけに衝撃の結果です。今回の選挙結果と今後の日韓関係、北朝鮮との関係に与える影響について考えます。
今回の選挙は、任期残すところ2年を切ったパク・クネ大統領の政権運営を問うとともに、来年12月に行われる大統領選挙の前哨戦という重要な位置づけでした。
きょうのポイントです。
▽与党の大敗でパク・クネ大統領の求心力が低下することは避けられません。強権的との批判もあったパク・クネ大統領の政権運営に少なからぬ影響を与えるものとみられます。
▽次に、大統領選挙への影響です。韓国の大統領には再選はありません。有力候補だった与党の代表が敗北の責任をとって辞意を表明するなど、次の大統領選挙に向けた候補者選びの行方は混とんとしてきました。
▽そしてもっとも気になるのが日韓関係への影響です。とりわけ去年暮れに決着した慰安婦合意が約束どおり履行できるのかどうか。さらには挑発を続ける北朝鮮への対応がどうなるのか。こちらもまた暗雲が立ち込め始めています。
【パク大統領の求心力】
まずパク・クネ大統領の求心力から見ていきましょう。
政権与党の「セヌリ党」は現有の146議席から122議席と議席を大きく減らしました。
野党の「共に民主党」は102議席から123議席へと躍進し第一党となりました。
第三極を模索して「共に民主党」と袂を分かった「国民の党」は20議席から38議席へと2倍近くも勢力を拡大しました。
保守層、とりわけ高齢者層から圧倒的な支持を受け、かつては“選挙の女王”とも呼ばれたパク・クネ大統領ですが、今回は国民から厳しい審判を突き付けられた形です。
政権与党の敗因として2点、指摘したいと思います。
▽パク・クネ大統領を支持する主流派と批判的な非主流派の党内対立が解消せず最後まで尾を引いたこと。
▽加えて、低迷する経済に対して有効な手立てを打ち出せなかったことも大きな要因だったように思います。
韓国経済はひところの勢いを失っています。去年の成長率は2.6%、ことしも横ばいが続くものと予測されています。好調だった輸出も中国経済の変調が影響して去年は8%近く減少しました。そんな中で社会問題となっているのが貧富の格差です。
先月IMFが発表した報告書によりますと、韓国では所得の上位10%の金持ち層が国民所得全体の実に45%を稼いでいます。格差は日本でも問題ですが、韓国はそれ以上、アジア太平洋地域でもっとも格差の大きい国です。1995年には29%でしたから、富の集中と格差の拡大がこの20年ほどで急速に進んでいることがわかります。
若者の就職難も深刻です。15歳から29歳の失業率は12.5%、大学を出ても就職できない若者が増えています。こうした先行きに対する不安に十分応えられなかったことが、支持離れにつながったものとみられます。
【大統領選の行方】
今回の選挙結果を受けて次の大統領選びの行方も混とんとしてきました。
パク・クネ大統領とは距離を置いて次の大統領の座を虎視眈々と狙っていたキム・ムソン代表は、敗北の責任を取って党代表を辞任する考えを明らかにしました。 “保守のプリンス”オ・セフン前ソウル市長ら有力候補も次々と落選、指名争いから後退しました。もうひとりの有力候補、パク・クネ大統領の意中の人とされる国連のパン・ギムン事務総長は、立候補に前向きと伝えられています。今回の選挙結果を受けて「勝てる候補はパン・ギムン氏しかいない」という見方が広がる一方、何事にも慎重な性格とされるパン・ギムン氏が、与党劣勢ムードの中、敢えて火中の栗を拾うのか疑問視する声も出始めています。
一方、野党側では、政権交代に向けた機運が高まっています。
しかし第一党となった「共に民主党」も過半数には届かず、“韓国のビル・ゲイツ”ことアン・チョルス氏率いる第3党の「国民の党」がキャスティングボートを握ることになります。氏の動向が、今後注目を集めることになりそうです。
【日韓、南北関係は】
そしてもっとも気になる日韓関係、そして北朝鮮との関係です。
去年暮れにようやく決着した慰安婦合意では、
▽韓国政府が元慰安婦の支援のための財団を設立、
▽この財団に日本政府がおおむね10億円を拠出し、
▽日韓両政府が協力して医療や介護など心の傷を癒すための措置を取る、
となっています。
選挙明けには財団の設立準備委員会が組織され、合意の履行に向けた動きが本格化する予定でした。しかし合意に反対し再交渉を主張している野党側が勝利したことで、合意履行に向けた動きが滞ることが心配されます。「最終的かつ不可逆的に解決する」ことを約束したはずの合意が、万が一にも反故にされるようなことがあれば、日韓関係に深刻な悪影響を与えることは確実です。このあたりは、パク・クネ大統領の毅然たるリーダーシップに期待したいところです。
もうひとつが北朝鮮です。今回の野党側の勝利をもっとも喜んでいるのは、もしかすると北朝鮮のキム・ジョンウン第1書記かも知れません。強硬な姿勢を崩さないパク・クネ大統領と違って、野党側は対話の重要性を強調しているからです。
韓国では、キム・デジュン政権、ノ・ムヒョン政権と北朝鮮に融和的な政権が2代10年間続き、その後、イ・ミョンバク政権、パク・クネ政権と北朝鮮に厳しい保守の大統領が政権を担ってきました。北朝鮮は、南北首脳会談を実現して莫大な経済支援を約束したキム・デジュン、ノ・ムヒョン政権の時のように、対話路線の大統領を誕生させようと、今後、あらゆる形で宣伝工作や働きかけを強めてくるものと予想されます。北朝鮮が新たな弾道ミサイルの発射準備を進めているとの情報もあります。日米韓の連携に緩みが出ないよう、ここは緊密な意思疎通を図っていく必要があります。
ダイナミックコリアという言葉どおり、韓国の政治は目まぐるしく変化します。今回の勝利で第一党になったとはいえ、「共に民主党」と第二党の「セヌリ党」との差はわずか一議席です。来年12月の大統領選挙に向けてこれからも離合集散が繰り返されることでしょう。これまで韓国の政治は、良くも悪くもパク・クネ大統領の強い個性とリーダーシップによって支えられてきました。与党大敗という今回の選挙結果を受け、韓国政治の流れがいっきに流動化することは間違いありません。
(出石 直 解説委員)
政府は17日、熊本地震の被害が拡大していることを踏まえ、米海兵隊の輸送機オスプレイによる輸送支援を受け入れる方針を決めた。中谷元・防衛相が発表した。日本の災害支援にオスプレイが参加するのは初めて。18日以降に作業を開始する見通しだ。安倍晋三首相は非常災害対策本部会議などで、復旧事業への国の補助率を引き上げる激甚災害指定の早期実施や、2016年度予算の普通交付税の繰り上げ交付、予備費投入に言及し「あらゆる手段を尽くす構えだ」と強調した。
政府は17日、住民生活の手助けを担う「被災者生活支援チーム」を設置。首相は熊本県内のスーパーやコンビニでの食品の品切れ解消に向けて「店頭に17日中に70万食を届ける」と記者団に語った。菅義偉官房長官は記者会見で、16年度補正予算案編成の可能性に言及した。
米軍が支援に使うのは、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備されているオスプレイ4機で、熊本県内の救援物資集積所から被災地に物資を輸送する計画だ。4機は既に普天間飛行場を飛び立ち、輸送作業の拠点となる米軍岩国基地(山口県岩国市)に到着した。
18日には米空軍のC130輸送機2機が航空自衛隊千歳基地(北海道)から熊本空港に自衛隊員や車両を輸送。米海軍のUC35輸送機も厚木基地(神奈川県)から自衛隊員を熊本空港に輸送する予定だ。
中谷氏は防衛省で記者団に「オスプレイは大規模災害に対し、高い機動力と空輸力を併せ持っている。早く物資を送るためにはオスプレイの能力は必要だ」と強調した。
これに先立ち首相は17日朝、記者団に、避難所での滞在を長期化させないため、宿泊施設の確保に取り組むよう関係省庁に指示したことを明らかにした。「食料、医療、水などの提供態勢をしっかりしていくよう強く指示した」と説明した。
首相は当初、米軍による支援に関し「支援の申し出があるが、直ちに必要な状況ではないと考えている」としていたが、米側から航空機による輸送支援が可能との連絡が入ったことから「輸送ニーズを調整し、整い次第、直ちに実施したい」と受け入れる考えを示した。(共同通信)
地震活動が活発な状況で寸断されている高速道路などの修復は困難だが、輸送路の損傷状況を確認し、物流に使える道路・鉄路のルートを確保することが重要。
熊本空港も、ターミナルビルの損壊で旅客輸送には使えないが、貨物輸送には活用できる。
孤立地域にはヘリで輸送することになるが、自衛隊を含む国内の力で物資を供給し続けることは可能なはずである。
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熊本県内のスーパー・コンビニ 営業状況[NHK]
4月17日 20時12分
一連の地震の影響で、熊本県内のスーパーやコンビニなどでは、営業を休止している店があります。
午後6時現在、熊本県内の主なスーパーの営業状況です。
熊本県内の「イオン」は、一部の店舗でフロアの一部や駐車場を使うなどして営業しています。このうち、熊本市中央区の「イオン熊本中央」、宇城市の「イオン宇城」、嘉島町の「イオン熊本」の3つの店舗は、午後6時で営業を終了します。また、天草市の「イオン天草」と、八代市の「イオン八代」は、午後10時まで、菊陽町の「イオン菊陽」と錦町の「イオン錦」は、午後9時まで営業する予定ですが、商品の在庫状況などによって閉店を早める可能性もあるとしています。「イオン九州」では、熊本県内の各店舗の営業状況をホームページで告知しており、18日の営業時間などについても分かり次第、掲載するとしています。
食品スーパーの「マックスバリュ」は、熊本市南区の「マックスバリュ御幸笛田店」、山鹿市の「マックスバリュ山鹿店」、荒尾市の「マックスバリュ荒尾店」、「マックスバリュ桜山店」、八代市の「マックスバリュ八代店」は、24時間営業を予定しているということです。また、熊本市西区の「マックスバリュ西熊本店」は午後11時まで、熊本市東区の「サンロードシティ熊本店」は、午後10時まで熊本市西区の「ザ・ビッグエクスプレス新土河原店」と菊陽町の「マックスバリュ光の森店」は、午後8時まで営業する予定だとしています。このほか、熊本市西区の「マックスバリュ田崎店」、「マックスバリュ内坪井店」、合志市の「マックスバリュ永江団地店」は、それぞれ午後7時まで営業するとしています。店舗の営業状況については、「マックスバリュ九州」のホームページで確認することができます。
「ロッキー」は、熊本市内の営業は、いずれも午後6時で終了しています。
「ゆめマート」は熊本市西区の「田崎店」、山鹿市の「山鹿店」と「東山鹿店」、天草市の「牛深店」と「松島店」、八代市の「鏡店」と「八代店」の「人吉店」、多良木町の「多良木店」、宇城市の「三角店」の10の店舗が午後10時まで、もしくは午後11時まで営業していますが、前倒しで閉店する場合もあるということです。一方、17日営業を見合わせていた熊本市中央区の「新町店」と宇城市の「松橋店」は、18日中に営業を再開する見通しのほか、熊本市中央区の「九品寺店」と東区の「長嶺店」は、引き続き店舗の外で食品の販売を行う予定です。中央区の「帯山店」など、熊本県内にある12店舗は18日も引き続き営業を休止します。
「ゆめタウン」は、熊本市中央区の「ゆめタウン大江」、荒尾市の「ゆめタウンあらお」、玉名市の「ゆめタウン玉名」、八代市の「ゆめタウン八代」が、午後10時もしくは午後11時まで営業していますが、閉店時間を前倒しする場合があるということです。
このほかの3つの店舗は、18日も営業を休止する予定です。「サンリブ・マルショクグループ」は、熊本県内の20店舗のうち12の店が営業しています。このうち天草市の「サンリブ本渡」、八代市の「マルショク八代店」と人吉市の「マルショク人吉店」、芦北町の「マルショク芦北店」は、午後8時、もしくは午後9時まで営業しています。このほか、熊本市南区の「マルショク薄場店」「マルショク白藤店」、熊本市西区の「マルショク横手店」、菊池市の「マルショク泗水店」、宇城市の「マルショク松橋駅前店」、「マルショク日奈久店」、御船町の「マルショク御船店」、合志市の「マルショク須屋店」は、午後6時で営業を終了しています。また、17日営業していなかった熊本市北区の「マルショク武蔵ヶ丘店」、中央区の「マルショク保田窪店」、東区の「マルショク江津店」は、18日は営業を再開する見通しです。
「西友」は、熊本市東区と中央区、菊池市にある「サニー」の3店舗すべてで17日の営業を休止しています。
コンビニエンスストアは、「セブンーイレブン」が、289店舗のうち286店舗で、「ファミリーマート」が163店舗のうち79店舗で「ローソン」が141店舗のうち7割に当たるおよそ100店舗程度で、それぞれ営業しているとしていますが、商品が無くなってて営業を終了した店や、夜間は営業を取りやめる店もあるということです。また、地震の影響で一部の道路が通れなくなっていて商品の配送に時間がかかっていることから、多くの店舗で水や食料を中心に品薄の状態が続いているということです。
ドラッグストアは、「コスモス薬品」が熊本県内の87の店舗のうち、熊本市北区の「徳王店」、八代市の「松江店」「海士江店」「麦島店」「高田店」、天草市の「本渡北店」「亀場店」「天草食場店」「諏訪町店」など34の店で営業しています。これらの店舗は午後9時まで営業しているということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160417/k10010484601000.html?utm_int=all_side_ranking-access_002
熊本県を中心に相次ぐ地震で、自衛隊や警察などは17日、熊本県南阿蘇村で行方不明者の捜索を続け、家屋が倒壊した現場近くで住人の女性1人を発見し、死亡を確認した。一連の地震の死者は42人となった。警察庁によると安否不明者は10人前後。熊本、大分両県で避難者は11万人に上っている。政府は被災者の生活支援を急ぎ、復旧などの対策費が膨らんだ場合、2016年度の補正予算編成で対応する検討に入った。
政府は当面、16年度予算の予備費で対応する。7月の参院選後の臨時国会に提出予定の経済対策目的の補正予算案に対策費を盛り込む方向だ。菅義偉官房長官は17日の記者会見で「できることは全てやる」と述べた。復旧作業では、安倍晋三首相が17日、被災地への助成を増やす激甚災害指定を急ぐ考えを示した。
17日の南阿蘇村立野地区の捜索で見つかり、死亡が確認されたのは同村の片島利栄子さん(61)。また県は16日に同村のアパートで遺体で見つかった1人は東海大2年の大野睦さん(20)と確認した。東海大生の死者は3人となった。
避難者は17日午前の集計で熊本県で約18万3千人、大分県で約1万2千人に上ったが、天候の回復後は自宅に戻るなどし、午後には計約11万1000人に減少した。夜間は避難所に戻るケースもあり、依然として多くの人々が避難所暮らしを続けている。
気象庁によると、14日夜以降、17日午後11時までに震度1以上の地震が488回発生。マグニチュード(M)3.5以上の地震は同日午後1時半現在で165回に上り、04年新潟県中越地震や08年岩手・宮城内陸地震、1995年の阪神大震災を上回った。
気象庁は震源域が南西方向に広がっていると説明。熊本、大分両県の広範囲で活発な地震活動が続いており、「予測は難しいが、全域で再び強い揺れが起きる可能性はある」と警戒を呼び掛けた。
国土交通省は17日までに熊本、宮崎、大分、佐賀の4県で計57カ所の土砂災害を確認。熊本県が48カ所と最多で、南阿蘇村では大規模な地滑りなど20カ所に上った。
九州新幹線は脱線によるレール損傷や高架のひび割れなどが判明。復旧の見通しは立っていない。ターミナルビルが被災した熊本空港も復旧のメドは不明という。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG17HEG_X10C16A4MM8000/?dg=1
(上)「ポスト朴」レース号砲 新党トップ、有力候補に
韓国総選挙は与党セヌリ党が大敗し、16年ぶりに少数与党体制になると決まった。任期を1年10カ月残す朴槿恵(パク・クネ)大統領の求心力の低下が避けられない。韓国はどこに向かうのか――。
「政治を変え、政権を変え、国民の暮らしを変える政治で、国民に報いる」。投票日から一夜明けた14日、新党「国民の党」の選挙対策委員会で、安哲秀(アン・チョルス)共同代表は、8年続く保守政党からの政権交代を訴えた。
野党勢力にとって政権交代のチャンスとなるのが来年12月の大統領選だ。次期大統領の有力候補のうち、安氏は最も株を上げた。安氏は2012年大統領選でも待望論が強まったが出馬を見送った経緯がある。今回の総選挙では保革二大政党に2月に旗揚げした新党で挑み、倍近くまで議席を増やした。
安氏はソウル大医学部卒のIT起業家で党派色が薄いため、保守、革新双方と大統領選で共闘できる可能性がある。この日、同党は与党セヌリ党の「改革派」に合流を呼びかけた。
最大野党「共に民主党」の金富謙(キム・ブギョン)氏は、今回の総選挙で大統領候補に一気に浮上した。金氏は朴大統領の地元、大邱(テグ)の野党候補で唯一、小選挙区を制した。58歳とはいえ当選4回のベテラン。セヌリ党候補は前京畿道知事の大物だった。
今回の総選挙は次期大統領選の候補者をふるい分けする場にもなった。セヌリ党の選挙戦の「顔」だった金武星(キム・ムソン)代表は14日に引責辞任を表明した。
自らは選挙区で当選したものの、党が大敗を喫し、保守地盤の地元・釜山でも野党に議席を許したことが響きそう。総選挙後の党代表辞任は既定路線だったが、大統領選準備のためとみられたシナリオに狂いが生じた。
朴氏が後継者として目をかけているとされたソウル前市長の呉世勲(オ・セフン)氏はソウル中心部の激戦区で与野党対決に臨んだ。セヌリ党からの支持者離れの波をもろにかぶり、大統領候補者争いから後退した。
前回大統領選で朴氏と争った文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党前代表の評価は難しい。同党の牙城、全羅道地域を国民の党に崩される一方で、与党が強い釜山や慶尚南道で自らに近い議員を多く当選させたためだ。
次期大統領候補者選びの陰の主役は潘基文(バン・キムン)国連事務総長だ。望ましい次期大統領に関する世論調査で高い支持率を誇るが、官僚出身で党の基盤がないのが弱み。セヌリ党が擁立に向けた動きを本格化させる可能性がある。朴大統領に近い「親朴」派主導で担ぎだすのが難しくなったとの見方もでてきた。本人は出馬するとも、しないとも明言していない。様々な思惑を秘めながら「ポスト朴」レースの号砲が鳴った。
(ソウル=峯岸博)
[日経新聞4月15日朝刊P.7]
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(中)穏健保守層、野党に向かう 首都圏に異変、若者も動く
韓国総選挙で躍進した第三極の「国民の党」の共同選挙対策委員長、李相敦(イ・サンドン)氏は選挙結果に目を凝らした。2月に旗揚げしたばかりの同党が比例代表の票を大きく伸ばしたのは分裂した相手の野党票ではなく、「与党票」が流れてきたためだった。
公認候補選びをめぐる朴槿恵(パク・クネ)大統領支持派「親朴」と「非朴」の内紛や経済低迷に与党支持者も嫌気をさしていた。好機とみた革新系野党「共に民主党」は「選挙区は共に民主党に、比例代表は好きな政党に」と呼びかけた。
全人口の半数が首都圏(ソウル・仁川・京畿道)に集中する韓国で、野党の共倒れを防ぐ戦略だった。比例代表では、野党支持者の多くの票が国民の党に向かった。結果的に首都圏の122選挙区のうち、共に民主党が82議席を獲得しセヌリ党(35議席)に圧勝した。比較的生活水準が高い住民が多いソウル南部の江南(カンナム)区の選挙区で、保守政党が革新政党に敗れたのは24年ぶり。比例代表では国民の党がセヌリ党に次ぐ2位に入った。朴大統領やセヌリ党の固定支持層に上乗せされてきた穏健保守層が野党に向かった。
もう一方の主役は若者だ。今回の投票率(暫定値)は2012年の前回より3.8ポイント高い58.0%で、韓国メディアによると、20歳代と30歳代が4〜8ポイント程度上昇した。
韓国は実質経済成長率が年率2%台にとどまり、若年失業率は今年2月に12.5%と過去最悪を記録。与党勝利を伝えた事前の各種世論調査は対象が固定電話のため携帯電話しか持たない若者の意識をつかみきれなかったとの指摘が多く聞かれる。
地域間の強い対立感情のもと支持政党が極端に偏る伝統的な「地域主義」にも風穴が開いた。セヌリ党の地盤である慶尚道地域の選挙区で共に民主党から9人が当選。一方で革新系候補が圧倒的な票を集めてきた全羅南道と全羅北道で1人ずつセヌリ党候補が小選挙区を勝ち抜いたことが話題になっている。
韓国には国会の混乱を避けるため与野党対決法案の成立に在籍議員の6割以上を必要とする国会先進化法がある。来年12月に大統領選を控え、16年ぶりの少数与党体制下で朴大統領は一段と厳しい政権運営を迫られる。
国会の構成や日程の決定に参加できる院内交渉団体が20年ぶりに3党に増えた。雇用格差や長引く輸出不振などに直面する韓国で「統治より協治が民心だ」(朝鮮日報)などと話し合いで問題を解決を探る国会運営への転換を求める声が強い。
15日発表の韓国ギャラップ社の世論調査(11、12両日実施)によると朴大統領の支持率は39%。前週より4ポイント下落しつつもなお4割前後を維持している。保革二大政党が激しく対決してきた韓国で「協治」の文化が生まれるだろうか。
(ソウル=峯岸博)
[日経新聞4月16日朝刊P.7]
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(下)朴外交に高まる「内圧」 慰安婦合意に逆風も
「朴槿恵(大統領)逆賊一味に下された民心の厳しい審判だ」。16日、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(電子版)は、13日の韓国総選挙で保守系の与党セヌリ党が過半数を獲得できず大惨敗を喫したと伝えた。国際社会の先頭に立って圧力をかけ続ける朴槿恵(パク・クネ)大統領を北朝鮮は連日のように名指しで批判してきた。
金大中、盧武鉉両元大統領の流れをくむ革新系野党「共に民主党」が国会で第1党になったことも紹介した。同党は朴政権が中断を決めた開城(ケソン)工業団地の再稼働を公約に載せた。金大中政権時代の南北首脳会談で設置が決まり、盧武鉉政権下で生産を始めた南北協力事業の象徴だ。
12、13両日、軍事境界線を挟んだ平壌では、朝鮮人民軍の党代表会が、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記を5月初めに開く労働党大会の代表に推戴すると決めた。黄炳瑞(ファン・ビョンソ)総政治局長は「金第1書記が祖国を世界的な軍事強国、核強国の前列に立たせた」と演説した。
「無謀な挑発を続ける北(朝鮮)の意図は『南南葛藤』を起こして韓国世論を分裂させること」。こう警戒してきた朴氏の懸念が現実味を増す。
総選挙の結果が「大統領の残り任期の内政・外政に悪影響を与える」と専門家の言葉を引用する形で指摘したのは中国国営新華社だ。一方で、中韓関係への影響については言及を避けた。
中国の最大の関心は、在韓米軍への地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備計画だ。レーダーで中国内のミサイル基地まで探知されるとみるためだ。韓国では配備反対派の市民団体が選挙戦のさなか配備先に名前があがる地域の候補者に公開質問状を送るなどの動きもでてきた。共に民主党の勝利で中国への配慮を求める声が高まる可能性もある。
13日夜、共に民主党候補が、陣営の顧問に就いた元従軍慰安婦の女性と当選を喜び合う写真が韓国のインターネットニュースに掲載された。昨年末の日韓合意に反対する元慰安婦の一人。朴氏の地元を野党で勝ち抜いた同候補は次期大統領選レースに名乗りをあげた。
ソウルの選挙区を制した候補者は、当選すれば慰安婦合意の無効または再協議決議案を国会で最初に通過させると宣言していた。党内には「国家間で協議した結果をやり直すのはよくない」とみる金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員会代表のような声もある。
日韓合意を踏まえ、元慰安婦支援に日本が10億円を拠出する財団設立やソウルの日本大使館前に設置した慰安婦を象徴する少女像の撤去問題は総選挙後に持ち越されてきた。与党勝利で合意の履行に弾みをつける両政府内の思惑は外れ、野党が過半数を占める国会から韓国政府が厳しい追及を受ける展開もありうる。改善の兆しをみせる日韓関係は逆風下に立たされる。
(ソウル=峯岸博)
[日経新聞4月17日朝刊P.6]
経済が新常態(ニューノーマル)に突入するという大きな背景の下、中国が「中所得国の罠」を回避して高所得国の仲間入りを果たせるかどうかが、各方面の注目するホットな話題になっている。これについて海外メディアは、中国は中所得国の罠の挑戦に立ち向かい、これを回避するとの見方を相次いで示している。新華社が伝えた。
多くの海外メディアが、中国は中所得のエコノミーから高所得のエコノミーへと発展する重要な時期にあり、中所得国の罠の挑戦に立ち向かい、これを回避しようとしている。目下実施中の「インターネットプラス」戦略や供給側改革、新たにうち出された第13次五カ年計画などの措置が経済の新たなエンジンを活性化させ、中国経済が罠の回避を実現するのを助けることになる、との見方を示す。
海外メディアの言うように、中所得国の罠を回避するのはたやすいことではない。ドイツ紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」は、「長年の急成長を経て、中国は今、『中所得国の罠』の挑戦に直面している」と伝えた。オーストラリアのイーストアジアフォーラムのサイトの論説では、「中国は目下、所得水準の引き上げという課題に直面している。高所得国の仲間入りするための近道はない」と伝えた。
困難に直面してはいるが、中国が問題を直視し、課題に向き合うためにしている努力や措置は海外メディアに賞賛されている。世論の指摘によると、中国が中所得国の罠を回避することは完全に可能だという。シンガポール紙「ザ・ストレーツ・タイムズ」が経済専門家・林毅夫氏の分析を引用し、「中国は発展途上国として、靱性が強く、潜在力が十分にあり、展開の余地は大きく、利用可能な政策の可能性は多く、6.5%以上の経済成長率を維持して、高所得国の仲間入りすることは完全に可能だ」としている。香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」のサイトは、瑞銀証券の王濤・中国チーフエコノミストの話を紹介して、「年成長率が4%だけでも、中国は10年以内に高所得国となって、中所得国の罠を完全に回避できる」と伝えた。
海外メディアは、一連の関連の政策がうち出され実施されたことが新たな成長のエンジンを喚起するとみる。隔月刊の米国誌「フォーリン・ポリシー」のサイトは、「中国の最新の五カ年計画は経済のリバランスを進め、国民の富の恒久的な増加に通じる道を構築することになる。中国が『インターネットプラス』を呼びかけたのは、ネット通販とオンラインサービスを基礎として、活力に満ちたデジタル経済をうち出すことに着目したからだ。また第13次五カ年計画はサービス業が雇用を大量に生み出し、新たに増加した労働力を吸収することに期待を寄せている」と伝えた。
シンガポール国立大学東アジア研究所の鄭永年所長はシンガポール紙「聯合早報」に発表した論説の中で、「中国は供給側改革を通じて中所得国の罠を回避し、中国が高所得社会に入るよう後押しすることを願っている」と述べた。
ドイツ紙「ディ・ヴェルト」のサイトは、「中所得国の罠に陥ることを回避するため、中国は新しいエンジンによって経済発展を牽引しようと努力しており、未来の中国経済は消費、サービス業、ハイテク、革新に推進されて発展するとみられる。中国は引き続き大型インフラ建設を展開して経済と雇用を活性化し、減税によってより多くの革新企業、サービス業、新興企業の発展を促進するとともに、科学研究開発への投資を拡大するよう努力していく」と伝えた。
海外メディアは中国が規則や制度をうち立て、市場を充実させ、革新能力と生産効率を高めるなどの措置により、中所得国の罠の回避という目標を実現することを提起する。「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」のサイトは、「中所得国の罠を回避できるかどうか、カギはエコノミーの革新における能力、及び生産率と生産効率の向上における能力にある」と報じた。
また「聯合早報」はサイトで発表した文章で、「長期的で持続可能な成長を実現するには、中央政府の政策環境がカギだ」と指摘した上で、「中所得国の罠の回避に成功したアジアの一連のエコノミーは、経済発展のあらゆる段階で中央政府による効果的な政策環境を提供することが可能だ」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年4月12日
地震の影響で運転できなくなっていた熊本県内のJRの在来線のうち、18日午後、一部が運転を再開し、熊本と福岡市の博多との間が在来線で行き来できるようになりましたが、その後、熊本駅のホームの柱で亀裂が見つかり、30分後に再び運転を見合わせました。
地震の影響で運転できなくなっていた熊本県内のJRの在来線のうち、鹿児島線の熊本と荒尾の間は18日午後1時22分に運転を再開し、熊本と福岡市の博多との間が在来線で行き来できるようになりました。
しかし、JR九州によりますと、その後、熊本駅のホームの柱に亀裂が見つかり、新たに点検が必要になったということです。このため、JR鹿児島線は、運転再開から僅か30分後の午後1時55分に再び運転を見合わせ、熊本と玉名の間で運転を取りやめています。
また、JRは、熊本駅構内にいた人たちを駅の外に避難させ、駅への立ち入りを禁止して詳しい状況を調べています。
改めて運転を再開するめどは立っていないということです。
一連の地震で、熊本市と福岡市の間は、九州新幹線、在来線、高速バス、いずれも運転できなくなり、18日の在来線の運転再開に大きな期待が寄せられていましたが、再び公共交通機関での移動が全くできない状態となっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160418/k10010486741000.html
ブラジル議会下院は17日、同国ルセフ大統領の弾劾手続きを可決した。
弾劾の支持派は、承認に必要な342票を上回る367票を獲得した。反対は137人、7人が棄権し、2人が欠席した。
採決は6時間以上にわたって続いた。下院の513人の議員が一人ずつマイクを使って10秒間で意見を述べなければならなかった。一方で多くの議員が、同規定を守らなかった。
ブラジルでは、議会の外の状況も緊迫していた。議会建物の周辺では、ルセフ大統領の支持者と反対派がデモを開き、合わせて数千人が集まった。
カタールの首都ドーハにおける原油増産凍結に関する会合で合意できなかったことを受け、東京株式市場では日経平均株価が18日午前の取引で約3パーセント下落した。共同通信が伝えた。
日経平均株価は、取引開始直後3.04パーセント安の1万6336円13銭となった。
なお産油国への打撃は、円高を引き起こした。
17日にカタールの首都ドーハで開かれた産油国会合は、増産凍結で合意できなかった。ロイター通信が報じた。
ロイター通信によると、カタールのアル・サダ・エネルギー相は、6月に開かれる次回のOPEC総会までに「さらに協議する必要があるとの認識で一致した」と語った。
産油国会合は、6時間半遅れで始まった。代表団の消息筋によると、サウジアラビアが突然イランを含むOPEC全加盟国が合意に加わることを要求したため遅れたという。
一方で、今年初めに国際的な制裁が解除されたイランは、産油量を制裁前の水準に引き上げる意向を示し、ドーハ会合に代表者を派遣しなかった。
会合には、OPEC非加盟国のロシア、アゼルバイジャン、メキシコ、カザフスタン、オマーンなどを含む17カ国が参加した。
論考にある「ソ連への攻撃は行われなかった。だがそれは日本の宣伝家たちが主張しているような、日本が中立条約の条件を誠実に遂行したからではなく、ドイツの『電撃戦』が失敗し、ソ連の防衛力が同国の東部で維持されたからだ」という説明は誤りである。
ドイツの『電撃戦』が失敗に終わったと認識される時期は、真珠湾奇襲攻撃(対米戦開始)の前日に始まったソ連軍の大反撃である。
(真珠湾奇襲攻撃を1ヶ月(半月でも)先に予定していれば、ドイツの対ソ戦失敗が明らかになり、日本が対米戦に踏み切ることはなかったはずである)
むろん、賢明な軍略家であれば、冬期を迎えた10月の時点で作戦目標を達成できず、夏服に象徴されるように冬の備えがないドイツ軍が劣勢に陥るのはそれほど難なく見通せる。
日本が関東軍特種大演習を発動しながら対ソ戦に踏み切らなかったのは、論考にも書かれているように、ソ連が満ソ国境の防備を固めていたからであり、ノモンハン事件の痛い敗北を経験しているからである。
シベリアで「ロシア革命への介入戦争」を経験している日本は、冬季に入る前の9月いっぱいで決着を付けなければ日本軍が勝てる見込みがないこともわかっていた。
WW2時の日ソ関係において、どちらが狡猾だとか、どちらが中立条約に違反したとかいっても子どものケンカレベルを超えない。
論考のなかに、「1941年6月22日にドイツがソ連を攻撃した時、日本の松岡外相は、急いで昭和天皇のもとを訪れ、ソ連を即刻攻撃するよう執拗に提案した」とあるが、松岡洋右氏は、ナチスドイツの実力を過大に評価していたが、対米関係に漂う不穏な空気が濃くなるなか、米英を刺激する「南進論」をなんとか押さえ込むことで対ソ戦より困難な「対米戦」を回避したいという思いで対ソ戦を進言したと考えている。
松岡洋右氏は、執拗な対ソ戦進言が徒となって、翌7月22日に外相を更迭される。そして、その直後に南部仏印進駐が開始され、強力な制裁を解除するために続けた対米交渉も膠着し12月8日を迎えることになる。
※関連参照投稿
「「北進論」と「南進論」 − 「空間をもって時間となす」戦略を打ち破らなければならない「北進論」 −」
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/369.html
「「北進論」&「南進論」と陸海軍の作戦統合」
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/378.html
「『日本軍はなぜ満州大油田を発見できなかったのか』岩瀬昇著:戦前満州での大慶油田発見は対米戦争回避につながったか?」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/260.html
「日本側“建前”損害データとソ連側“機密”損害データを比較しても意味がない」
http://www.asyura2.com/0401/dispute16/msg/566.html「
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中立条約は日本の狡猾さの証拠[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年04月14日 10:24(アップデート 2016年04月14日 18:55)
アンドレイ イワノフ
今から75年前、ソ連と日本は中立条約を締結した。ソ連は条約の期限が切れる1週間前に日本に廃棄通告し、8月8日に8月9日から日本との戦争状態に入ると考えていることを正式に発表した。
この事実は長年にわたって日本の歴史家や政治家たちが、狡猾さや不誠実さ、日本への予期せぬ攻撃、そしてその結果の南クリル諸島のいわゆる「不法占拠」でソ連を非難するために利用されてきた。しかしロシアの著名な歴史家で東洋大学教授のアナトーリー・コシキン氏は、事実は日本の行動が狡猾だったことを物語っていると述べ、次のように語っている‐
「1946年5月から1948年11月まで行われた東京裁判は、ドイツとソ連の戦争における日本の『中立』が、実際にはソ連が日本に攻撃するまでドイツを支援するための衝立となっていたことを認めた。日本では1960年代に、東京裁判のこれらの結論の正当性を確認する文書が公表された。目撃者の証言によると、中立条約署名の際にクレムリンで開かれたバンケットの最中に、ソ連の指導者スターリンが、日本代表団に対する乾杯を提案し、特に日本代表団の軍人たちの条約締結への貢献を指摘した。これに対して日本の松岡外相は率直に、これらの軍や艦隊を代表する人々は中立条約を締結したものの、実際には常にどうやってソ連を打ちのめすか考えていると述べた。スターリンは日本の軍人たちに、『ソビエトロシアは、皆さんが一度勝利した腐りきった帝政のロシア帝国ではない』と言及せざるを得なかった。」
コシキン氏によると、このスターリンの警告を日本は無視し、ソ連との戦争に向けて準備を続けた。1941年4月、当時陸軍大臣だった東条英機が「条約を無視して、我々はソ連に対する軍事的準備を積極的に行う」と述べた。その少し後には、ソ連との国境付近に配置された関東軍司令部のキムラ司令官が、関東軍統合司令官会議で、対ソ作戦を準備する必要性について発表した。
1941年6月22日にドイツがソ連を攻撃した時、日本の松岡外相は、急いで昭和天皇のもとを訪れ、ソ連を即刻攻撃するよう執拗に提案した。2週間以内に開かれた秘密会議で、枢密院の原嘉道議長が天皇同席のもと、「中国の事件」で日本が忙しいことを認めながらも、最初のチャンスが訪れた時にソ連を攻撃することを提案した。原議長は、「誰かが中立条約に関連して、日本がソ連を攻撃するのは非道徳的だと言うかもしれない… だがもし我々がソ連を攻撃したならば、誰もそれを裏切り行為だとはみなさないだろう。私はソ連を攻撃する機会を待ちわびている。ソ連は破壊されなければならない」と述べた。
コシキン氏は、それから間もなくして日本の参謀本部は1941年8月29日にソ連を攻撃すると決めたと述べ、次のように続けている‐
「しかしソ連への攻撃は行われなかった。だがそれは日本の宣伝家たちが主張しているような、日本が中立条約の条件を誠実に遂行したからではなく、ドイツの『電撃戦』が失敗し、ソ連の防衛力が同国の東部で維持されたからだ。いつ始まるかわからない日本の攻撃を撃退するための準備として、ソ連軍全体の28パーセント超に相当する549万3000人の中から156万8000人と数千台の戦車や航空機が極東と南の国境近くに配置された。この戦力は、ソ連とドイツの前線で効果的に使えたはずだ。そのため、軍国主義日本の政策が、戦時中に中立条約の規定に違反し、全体として大祖国戦争と第二次世界大戦を長引かせ、ソ連や他の国民の犠牲者を増やしたと考える十分な根拠がある。」
※本文投稿先
「中立条約は日本の狡猾さの証拠:WW2日ソ:時間稼ぎ・戦術的柔軟性確保・第三国牽制など他国を利用する狡猾さは国防外交の要諦」
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/881.html
※関連参照投稿
「「北進論」と「南進論」 − 「空間をもって時間となす」戦略を打ち破らなければならない「北進論」 −」
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/369.html
「「北進論」&「南進論」と陸海軍の作戦統合」
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/378.html
「『日本軍はなぜ満州大油田を発見できなかったのか』岩瀬昇著:戦前満州での大慶油田発見は対米戦争回避につながったか?」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/260.html
「日本側“建前”損害データとソ連側“機密”損害データを比較しても意味がない」
http://www.asyura2.com/0401/dispute16/msg/566.html「
18日、南太平洋の島国バヌアツの沖合でマグニチュード5.9の地震があった。米地質調査所が伝えた。
地震があったのは協定世界時(UTC)で13時6分(モスクワ時間で16時6分)。震源地は、イサンゲル市から北西に25キロ、震源の深さは74,5キロだった。
今のところ、犠牲者や建物の倒壊に関する情報は伝えられていない。また津波も予想されていないという。
http://jp.sputniknews.com/asia/20160418/1986983.html
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バヌアツ沖でマグニチュード6の地震
2016年04月14日 21:27(アップデート 2016年04月14日 22:22)
太平洋に浮かぶバヌアツの島、エスピリトゥサント島北部沖でマグニチュード6の地震があった。ロシア科学アカデミーシベリア支部地球物理学課が14日、伝えた。
地震があったのはモスクワ時間で14日15時17分。震源地は、バヌアツ第2の都市ルーガンビルから北に187キロの南緯14.57度、東経166.34度だった。 震源地の振動の強さは、「壊滅的」と評価されている。 伝えられたところによると、同地域では1週間前、1時間の間に小規模の地震が連続して観測された。うち一番大きい地震はマグニチュード6.7だった。
http://jp.sputniknews.com/incidents/20160414/1963203.html
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バヌアツ沖でマグニチュード6.9の地震
2016年04月07日 16:08
7日、南太平洋の島国バヌアツの沖合でマグニチュード6.9の地震があった。米地質調査所が伝えた。
地震があったのは協定世界時(UTC)で3時32分(モスクワ時間で6時32分)。震源地は、居住地区ソラから西に98キロ、震源の深さは33キロだった。
今のところ、犠牲者や建物の倒壊に関する情報は伝えられていない。また津波も予想されていないという。
http://jp.sputniknews.com/life/20160407/1916255.html
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バヌアツ諸島沖でマグニチュード7.2の地震 津波の可能性
2016年04月03日 19:03(アップデート 2016年04月03日 19:14)
3日、バヌアツ諸島沖でマグニチュード7.2の地震があった。震源地は、居住地区ソラから南西に77キロの太平洋。太平洋津波警報センター(PTWC)によると、津波が発生する可能性がある。
PTWCの発表では、次のように述べられている‐
「地震に関する現時点でのデータに基づくと、震源地から半径300キロの沿岸部で大きな被害をもたらす津波が発生する可能性がある。」
関西テレビの中継車、被災地で非常識な行動[スプートニク日本語]
2016年04月18日 19:40(アップデート 2016年04月18日 19:52)
関西テレビの中継車が熊本県菊陽町のガソリンスタンドで「並んでください」との注意を無視し列を抜かして給油。被災者が朝早くから列に並ぶ中の非常識な行動に非難が殺到している。
事態は、住民がこの事実をツイッターに投稿したため発覚した。関西テレビは事実を認め、公式サイトに謝罪文を出した。
17日の朝、関西テレビの中継車が被災地で非常識な行動に出た。熊本県菊陽町のガソリンスタンドでの給油の際、順番待ちの車の列を抜かして堂々と横入りをし、我先にと給油をしたのだ。「後ろに他の人もいるので列に並んでください」と注意されたにも関わらず、無視した。多くの被災者が給油のため朝早くから列に並ぶ中、非常識な行動に非難が殺到している。
事態は、住民がこの事実をツイッターに投稿したため発覚した。関西テレビは事実を認め、公式サイトに謝罪文を掲載した。関西テレビによれば、中継車には社員および委託スタッフが乗車していたという。「マスコミはいい絵を撮りたいだけ。阪神大震災を経験したはずの関西テレビが、情けない」と、住民は失望している。
ロシアのノヴァク・エネルギー相は、原油増産凍結について合意に至らなかったのは、サウジアラビアと一連のペルシャ湾岸諸国が原因だとの考えを表した。テレビ局NTBが、ノヴァク・エネルギー相へのインタビューを引用して伝えた。なおインタビューの完全版は、後ほど公開される予定。
ノヴァク・エネルギー相は、「誰が意図をくじいたのか?」との質問に、「今これは、すでに、恐らく秘密ではない。それはサウジアラビアと一連のペルシャ湾岸諸国だ」と述べた。
ノヴァク・エネルギー相はまた、市場が期待していた合意に至らなかったことが価格と市場に十分にネガティブな影響を与える恐れがあるとの見方を示した。
ノヴァク氏は、「だが少なくとも、我々はこれが市場の価格形成メカニズムを排除するものではないと考えている」と述べた。
http://jp.sputniknews.com/business/20160418/1983803.html
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第2四半期におけるブレント原油の平均価格はバレル当たり36ドルとなる、ドーハ会議は失敗だった―バークレイズ
2016年04月18日 20:28
2016年第2四半期のブレント原油の平均価格はバレル当たり36ドルとなるだろう。英国の銀行バークレイズの専門家が予測を示した。
アナリストによると、原油価格に影響を与える主な要因は引き続き市場での供給過剰である。
17日開催された原油生産量凍結に関する主要産油国のドーハ会議は不首尾に終わり、そのことは石油輸出国機構(OPEC)がもはや市場の安定を維持することができないということを投資家らに確信させた、という。
「会議は完全な失敗だった。交渉の失敗は、OPECの重要性が失墜したことを市場に明確に示した」。ロイターが伝えた。
【ソウル聯合ニュース】韓国の政府系シンクタンク、統一研究院の崔鎭旭(チェ・ジンウク)院長は18日、北朝鮮が核兵器を小型化する能力について、「技術的にはすでに(短距離弾道ミサイルの)スカッド、(中距離弾道ミサイルの)ノドンへの核弾頭搭載が可能とみる」と述べた。聯合ニュースのインタビューで語った。
北朝鮮の核能力の高度化に備え、韓国も核武装するか在韓米軍に戦術核兵器を再配備すべきだとの主張がある。これに対し崔氏は、核兵器に対する抑止力は核兵器以外にはないという主張は一般的だとしながらも、現実的には難しく、韓国は国際社会の一員としての役割を忠実に果たす必要があるとした。その上で、「今は北の核保有を認めず、(米国の最新鋭地上配備型迎撃システムの)高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)配備などを通じ抑止力を強化しながら、非核化のために全力を尽くすべき時だ」と強調した。
また崔氏は、米国は北朝鮮が2020年までにワシントンを標的とする大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発に成功すると予想していると伝えた。
国際社会と韓国政府による北朝鮮への制裁の効果に関しては、中国にある北朝鮮レストランからの従業員の集団脱北は効果のあらわれを意味するとした。まずは海外駐在員や労働者が脱北し、北朝鮮内部にも次第に動揺が広がっていくとみている。特に制裁対象に挙がった幹部らが精神的に追い込まれ、それが金正恩(キム・ジョンウン)政権に対するエリート層の不満につながる可能性が高いという。外貨稼ぎのノルマの厳しさや頻繁な粛清も脱北につながるとした。
崔氏は北朝鮮レストラン従業員の集団脱北に中国の協力があったとの見方を示しながら、これを「大変大きな変化だ」と評した。
中国の北朝鮮への制裁に関しては、「中国は北の挑発が韓米日の軍事協力を強化させていることに困惑しており、北のために米国と衝突する状況に持っていかれることを望んでいない」とし、中国は北朝鮮の挑発を抑止し制裁に賛同することで米国とのあつれきを回避しようとしていると分析した。ただ、中国は朝鮮半島の安定を最優先としており、戦争や北朝鮮急変のリスクを負ってまで北朝鮮を追い込まないだろうと述べた。
崔氏は、北朝鮮が来月予定する朝鮮労働党の第7回大会を機に平和を求める姿勢に転じる可能性を指摘した。制裁が長引くことに対し負担を感じており、年初から高まっている緊張状態を緩め出口を探る動きが出る可能性があるという。米国に平和のための対話を働きかけることが増えると予想し、米国も対話を否定しないとする見解を示した。ただ、核保有宣言を済ませている北朝鮮が平和を訴えたところで国際社会から受け入れられるのは難しいとの見方も示した。
mgk1202@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/04/18/0300000000AJP20160418000400882.HTML
「なぜウクライナに武器を与えないか?」米国連大使が明らかに[スプートニク日本語]
2016年04月18日 20:5
国連のサマンサ・パワー国連大使は「米当局は、キエフ当局に致死的兵器を与えない。なぜなら、ドンバス地域での紛争をエスカレートさせたくないからだ」と述べた。テレビ「Russia Today」が伝えた。
パワー国連大使は、次のように説明した―
「ホワイトハウスは、紛争の軍事手段による解決は、あらゆる人々を破滅させると考えている。もし我々がウクライナに、もっと兵器を供与するならば、はるかに多くの人々が命を失うだろう。」
現時点において、米国は、ウクライナに対し、無線通信用など非致死的機器、食料品や、軍装備購入用資金などを供給している。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160418/1984627.html
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NATO事務次長 ロシアとの秘密会合を明かす[スプートニク日本語]
2016年04月18日 16:31(アップデート 2016年04月18日 16:34)
ロシア連邦とNATOは、2年間に「秘密の会合を2回」行ったが、「あまり成果はなかった」。NATOのバーシュボウ事務次長が、テレビ局「1+1」のインタビューで明らかにした。
バーシュボウ事務次長は、次のように語った‐
「我々が(ロシアとの)協力を凍結した2年前、外交チャンネルは開かれたままであり、実用的な協力が時宜を得ない時でさえも、我々はロシアと対話する用意があると率直に発表明した。」
バーシュボウ氏はまた、NATOとロシアには「クリミア併合の後、すでに秘密の、そしてあまり成果のなかった会合が2回」あったことを明らかにし、「しかし我々は、ロシア人の行動で我々が許容できないと考えることについて彼らに説明し、彼らと対話するほうがよいという路線を堅持する」と述べた。
ロシア・NATO理事会大使級会合は、4月20日に開かれる。
【ソウル聯合ニュース】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は18日の首席秘書官会議で、与党セヌリ党の惨敗となった国会議員総選挙の結果について、「民意を謙虚に受け止め、国政の最優先順位を国民の生活に置き、経済発展と経済革新3カ年計画の達成に努力したい」と述べた。
朴大統領は選挙を経た国会について「国民生活と経済にまい進する、働く国会になることを期待する」として、「政府も新たに発足する国会と緊密に協力していく」と述べた。
朴大統領が総選挙の結果について言及するのは初めて。「民意」の具体的な内容に関しては言及しなかったが、最大野党「共に民主党」が第1党へと躍進したほか、2大政党の構図から「国民の党」を加えた3党構図となった国会と緊密に協力するとの原則を表明した。
朴大統領は「韓国は世界の経済低迷や北の挑発をはじめとする困難に直面している」として、「より多くの雇用を早期に創出できる政策を最優先し、雇用中心の国政運営を強化しながら肌で感じられる雇用対策や労働改革の実現に最善を尽くしてほしい」と強調した。
kimchiboxs@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2016/04/18/0200000000AJP20160418002000882.HTML
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朴大統領の支持率が就任後最低 総選挙後31.5%に急落[聯合ニュース]
2016/04/18 09:06
【ソウル聯合ニュース】韓国の世論調査会社、リアルメーターは18日、与党セヌリ党が惨敗した国会議員総選挙後の14〜15日に実施した世論調査の結果、朴槿恵(パク・クネ)大統領の支持率が前週より8.1ポイント下落し31.5%になったと発表した。同社は朴大統領の就任後約3年2カ月間実施してきた週間集計で最も低い数字だとした。
これまでの最低は朴大統領の元側近が国政に介入したとの疑惑や当時、セヌリ党の院内代表だった劉承ミン(ユ・スンミン)氏と青瓦台(大統領府)の対立などが表面化した2015年2月の第1週の31.8%だった。
朴大統領の不支持率は前回より7.8ポイント上昇の62.3%となり、最も高かった15年2月の第1週と同水準となった。支持率と不支持率の差は30.8ポイントで、就任後、最も大きくなった。
同社は「(支持地盤の)大邱・慶尚北道、60代以上、保守層で大きく下落するなど、ほとんどの地域、年齢、理念層で支持しない動きが急速に進んだ」と分析した。
政党の支持率は最大野党「共に民主党」が30.4%となり、初めて首位に浮上した。第3党の「国民の党」もこれまでで最も高い23.9%に急上昇。セヌリ党は7.3ポイント下落の27.5%となり、2位に転落した。
kimchiboxs@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2016/04/18/0200000000AJP20160418000200882.HTML
【ソウル聯合ニュース】韓国の全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領が在任中の1984年、日本の歴史教科書に是正を求める動きを北朝鮮が韓日の間を引き裂こうと背後で操ったものとみなし、韓国メディアの関連報道の統制を図っていたことが分かった。韓国外交部が17日に公開した外交文書で明らかになった。
外交文書によると、全元大統領は日本政府が高校の歴史教科書の検定内容を公表する4カ月前の1984年2月6日に、対応指針を記した自筆の文書を外務部(現外交部)に送った。教科書に対する是正要求の動きについて、北朝鮮が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と日本の左翼系の労働組合、知識人を利用し韓日の仲を引き裂くことを狙ったものだとした上で、「韓国のメディアはこれに偏向しないよう協力せよ」と指示した。北朝鮮が関与しているため、韓国メディアは関連報道を慎重に扱うべきだとする趣旨だ。
全大統領の自筆文書(外交部提供)=17日、ソウル(聯合ニュース)
日本の出版業界関係者でつくる日本出版労働組合連合会(出版労連)は同2月2日に歴史教科書の検定実態に関する中間報告書を発表し、日本は依然として歴史教科書で植民地統治を合理化していると指摘した。その翌日、在日韓国大使館は日本外務省の担当者から、出版労連の報告書は検定制度そのものをなくそうとする左翼グループの意図でまとめられたという話を聞き、韓国外務部長官に緊急報告した。その3日後、全元大統領は一種のガイドラインを外務部に示したことになる。
文教部(現教育部)も同3月に作成した資料で、歴史教科書への是正要求の動きに対する韓国国内の対策として「教科書問題の再燃防止に向けた国内世論に重点的に対処する」「事態の発展に備え対メディア、政界の接触窓口を構築する」と記した。日本への対応では、「文部省の検定が完了するまで、『鋭意注視』という関心表明で対処する」とした。
在日韓国大使館は6月26日、日本の歴史教科書の検定結果を本国に知らせ、8点のうち6点は日本による韓国侵略を「進出」と表記するなど、完全に是正されていないと報告した。
しかし、外務部は28日、教科書問題に関する事前説明資料で「82年9月にわが方(韓国)が即刻是正を要求した事項に対し、相当部分が是正されたとみられる」と評価。さらに、日本に修正まで要求すれば内政干渉という印象を与えかねないなどの理由を挙げ、慎重な対処が必要との認識を示した。また、「問題を国民感情の面で駆り立てて、結果的に日本と国内の左右対立に利用されたり北および総連の韓日離間策動に利用されたりしないよう、注意深く対処すべきだ」とし、メディアの協調の必要性も強調した。
mgk1202@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2016/04/17/0400000000AJP20160417000400882.HTML
韓国外交部が85年文書を公開
1985年、韓国の全斗煥(チョン・ドゥファン)政権が米国のロナルド・レーガン大統領に、大統領の間接選挙制などを盛り込んだ「第5共和国憲法」守護に対する支持表明を求めたものの、拒否されていたことが分かった。韓国外交部(省に相当)は17日、こうした内容を含む85年の外交文書を公表した。
85年に大統領直接選挙制への改憲を求める声が強まると、全斗煥政権は4月の米ワシントンでの韓米首脳会談を前に「憲法の守護を通じて平和と安定を追求する韓国政府の努力を支持する」というレーガン大統領の声明を繰り返し要求した。外務部(外交部の前身)の李源京(イ・ウォンギョン)長官は首脳会談の前日もワシントンで米国務省の関係者と会い「大統領が(この問題に)格別な関心を持っている」と伝えた。だが、ポール・ウォルフォウィッツ米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は「米国が言及すれば内政干渉との印象を与えかねない」として韓国の要求を拒否した。
当時、韓国の国内政治に関する問題は韓米間で頻繁に議論されていた。85年10月、盧信永(ノ・シンヨン)首相は国連総会出席のため訪米した際、米下院議員らから韓国の人権状況について改善の見通しなどを尋ねられた。これに対し、盧首相は「キムチと豆もやしスープを食べている韓国人に、毎日チーズとバター、牛乳を取るよう強要すれば消化できない。米国の水準に追いつくため最善を尽くしているが、こうしたプロセスは徐々に成し遂げられるべきものだ」と答えた。
米国に亡命していた韓国の金大中(キム・デジュン)氏(後の大統領)が85年2月、国会議員総選挙を前に帰国の意向を示すと、韓国政府は在米公館に金氏の帰国の動きを報告させたが、この過程で潘基文(パン・ギムン)氏(現在の国連事務総長)の名前が登場する。同年1月7日、柳炳賢(ユ・ビョンヒョン)駐米大使は「米国の学界・法曹界の130人余りが金大中氏の安全な帰国を求める書簡を(全斗煥)大統領宛に送る予定だ」とする電文を外務部に送った。柳大使はこの情報について「ハーバード大で研修中の潘基文参事官が大学教授から入手したもの」と説明している。
韓国政府は金大中氏の帰国に対処するため米国と水面下で調整を行ったが、意見が対立したことで全斗煥大統領の訪米発表が延期された。両国は「米国が金大中氏に帰国の延期を説得し、韓国が金氏を赦免する案」を議論していた。詳しい議論の内容は公表されていないが、米大使館は韓国外務部に対し「(米)国務省が非常に失望した。『太平洋計画』(全大統領の訪米計画)の発表延期も検討されている」と伝えた。韓国政府は強く反発したが、結局は発表延期に同意し、数日後「金大中氏の帰国がいつであっても受け入れる」と米国に伝えた。
一方、80年代前半に北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席がカンボジア前国王のノロドム・シアヌーク氏に対し「ソ連(ロシア)は信じられず、中共(中国)は信じない」と述べていたことも明らかになった。シアヌーク氏は金日成氏との対話内容をリチャード・ホルブルック米国務次官補に伝え、韓国政府は在韓米国大使館を通じてこれを把握した。
シアヌーク氏は78年のベトナム軍によるカンボジア侵攻の後、中国と北朝鮮で亡命生活を送り、金日成氏とは兄弟のように親しかった。対話内容によると、金日成氏はシアヌーク氏に「南(韓国)に攻め込む意思はなく、米国と戦う考えもない」と語ったという。シアヌーク氏は米国側に「金日成氏の健康状態は良い方ではなく、首の後ろのこぶは目につくほど大きい」と伝えた。
イム・ミンヒョク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/18/2016041801069.html
「親日派問題、韓国人同士でいがみ合う悲劇」
http://www.asyura2.com/16/asia20/msg/113.html
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記事入力 : 2016/04/18 08:08
ハルビンの安重根記念館、2倍に拡張へ=来館者4割は韓国人
中国黒竜江省ハルビン市にある安重根(アン・ジュングン)義士記念館が2018年末までに現在の2倍に拡張されることになった。新華社が伝えた。
ハルビン市とハルビン鉄路局は18年まで行われるハルビン駅改築工事に合わせ、現在約200平方メートルの安重根記念館を拡張する。新たな記念館は独立した展示室を設け、駅前広場に直接つながる形に設計される。費用は中国側が負担する。新記念館にはハルビン朝鮮民族芸術館が所蔵する安義士関連の遺品を展示するなど、展示される遺品の数が増える予定だ。
安重根記念館は、1909年10月26日に日本の朝鮮侵略の元凶である伊藤博文を安義士が射殺したハルビン駅舎内に2014年1月に開設された。記念館は中国政府主導で開館され、これまでに約30万人が訪れた。うち40%が韓国人だという。
北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/18/2016041800532.html
日銀がマイナス金利政策を導入した影響が個人投資家にも広がってきた。資産運用各社はマイナス金利に伴う負担を手数料として投資家に転嫁する方針を決めた。普通預金ではお金を預けて金利を取られる状況は起きていないが、投資信託では投資家が影響を被る。
三菱UFJ国際投信や大和証券投資信託委託などは、マイナス金利に伴う負担を投信の基準価格に反映させる。金額は投信全体で年間数十億円になる見通しで、そのぶん投信の価格が下がる。
投信は投資家から預かった資金のほとんどを株式や債券などに投資している。ただ解約などに備えるため、おおむね2〜5%程度を現金で持ち、信託銀行に預けている。信託銀はその大半を日銀の当座預金に預け、その一部に0.1%のマイナス金利がかかっている。
マイナス金利下ではいわばお金の預け側が手数料を支払う。三井住友信託銀行などの信託銀は自ら負担してきたマイナス金利相当の支払いを18日から運用会社に転嫁し始めた。野村アセットマネジメントや大和投信など運用各社は保有する現金について短期金融市場での運用を優先するが、対応しきれない部分には手数料を上乗せする。
影響は基準価格1万円の投信の場合で0.2〜0.5円程度。投信は保有資産の時価変動で価格が大きく変わるため投資家の実質負担は軽微だ。決済口座として使う残高10兆円の「マネー・リザーブ・ファンド(MRF)」はマイナス金利の適用対象外のため、今回の手数料はかからない。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO99811770Z10C16A4MM8000/?dg=1
石井啓一国土交通相は18日、ターミナルビルが被災したため閉鎖している熊本空港の運用を19日に再開すると明らかにした。日航と全日空、ソラシドエア、フジドリームエアラインズ(FDA)の到着便計18便が運航するが、ターミナルビルが使用できないため出発便は全便欠航する。国際線の復旧も急ぐ。
19日に運航するのは、日航が羽田と大阪からの計3便、全日空が羽田、中部、大阪からの計12便、ソラシドエアが羽田からの2便、FDAが名古屋からの1便。
熊本空港のターミナルビルは、16日未明から相次いだ地震のため、天井が崩落し水漏れも発生。16日以降、民間旅客便は全便が欠航していた。
19日もビルは再開しないが、離着陸は可能になるため、到着便のみ運航する。乗客は降機後、通常とは違うルートで出口に向かう。
管制塔にも被害があり、管制官は別室にある非常用の設備で、自衛隊機など災害対策用の管制業務を24時間続けていたが、19日からは管制塔に戻るという。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040012_Y6A410C1000000/?dg=1
【メキシコ市=共同】南米エクアドルで起きた地震で、ナバス治安調整相は18日、地震による死者が350人になったことを明らかにした。AP通信が伝えた。17日に被災地を視察したコレア大統領は西部ポルトビエホで記者会見し、倒壊した建物に閉じ込められた人が多数いるとして、死傷者数が今後「かなり増えるだろう」と述べた。
大統領は負傷者が2068人に上ったと発表した。内務省は負傷者が2500人以上としている。大統領は「人命救助が最優先。国中が緊急事態に対応するため動いている」とし、救助活動に全力を挙げていると強調。軍1万人と警察4千人を動員したという。
現地の日本大使館によると、西部マナビ州で在留届を出している日本人男性4人と連絡が取れていなかったが、菅義偉官房長官は18日の記者会見で「ほとんどの方とは連絡が取れ、安全を確認した」と述べた。
米CNNテレビスペイン語放送(電子版)によると、ポルトビエホの刑務所の壁が地震で損壊し受刑者約100人が逃走、約30人が後に拘束された。ロイター通信によるとベネズエラやメキシコ、チリなどの近隣国が救助隊や物資などを送った。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM18H8X_Y6A410C1FF8000/?dg=1
米大統領選挙の迷走が止まらない。共和党では実業家のドナルド・トランプ氏が常識を覆す発言で躍進。民主党でも「民主社会主義」を掲げるバーニー・サンダース上院議員が、本命のヒラリー・クリントン前国務長官を追い上げる。自ら第三党からの立候補を検討したマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長に混迷の背景や格差問題の行方などを聞いた。
――トランプ氏、サンダース氏ら党内の異端者の躍進を受け、二大政党制が揺らいでいます。共和党が宗教右派と穏健派に分裂し、「三大政党制になるのでは」との懸念も出ていますが。
「米国には二大政党制を堅持するため、多くの仕組みがある。それが第三党の創設を遠ざけている。一方で、確かに(共和党分裂の)可能性はあるだろう」
「過去、それぞれの政党には多くの小グループが存在した。民主党にはブルー・ドッグ・デモクラッツ(保守を自認する民主党議員集団)もいれば、(白人至上主義の)州権民主党もいた。民主党は仲良くやっていたことはない。これまでも多くの分裂が起こり、そして再度集結してきたのが二大政党の歴史だ」
――あなた自身、ニューヨーク市長になる前、民主党から共和党に党派をくら替えしていますね。
「私は(東部でリベラル派が多く)共和党員の少ないマサチューセッツ州で育ち、共和党員の少ないニューヨークで暮らした。もし知事や市長になる人間に何がしかの影響を与えようとしたら、民主党員にならなければならなかった。私はニューヨーク市長になりたかったが、民主党は私を支持しなかった。くら替えしたのは(後ろ盾となる)政党が必要だったからだ」
「私に言わせれば、二つの政党にさしたる違いはない。現時点で、それぞれの支持者が望んでいることこそ、彼ら(二大政党)が信じていることなのだ。支持者が考えを変えれば、政党も一夜にして態度を翻すだろう。実際、ヒラリー(・クリントン氏)はかなり左寄りになっている。すべての共和党候補も皆、かなり右寄りだ」
――今年の大統領選に出馬を検討した動機は?
「いずれの候補者も国家にとって正しいことをやるだけの気概を持っていなかった。私には二人の孫がいるが、彼らにより良い世界を残してやりたいのだ」
――共和党のジェブ・ブッシュ氏、民主党のヒラリー・クリントン氏らにも満足できなかった?
「ジェブ・ブッシュは良い大統領になると思っていた。彼は私の財団の理事でもあった。保守過ぎたが、移民政策や教育問題には良い考えがあった。彼は賢明で、私の表現を使えば『(正しい)軌道の上を走れる』はずだった。(オハイオ州知事のジョン・)ケーシック氏もそれができた」
「ヒラリーも軌道の上を走れる。この『軌道上を走る(Run the Railroad)』ことこそ、最も重要だ。私から見て候補者の多くは、軌道の上を走れない」
――それはヒラリー氏を支持するという意味?
「そうは言っていない。まだ選挙まで7カ月もある。二大政党が誰を候補者に選ぶのかも分かっていない。もちろん、ヒラリーが勝つチャンスは十分あるだろうが、(共和党のドナルド・)トランプにも同じようにチャンスはある」
――大統領選への出馬を見送ったのは何故ですか。
「(米国の政治)システムは二つの政党のために設計されている。そして、その二つの政党は第三政党を枠外に追いやることに利益を見出している」
――民主党では自称「民主社会主義者」のサンダース氏が健闘しています。
「それはトランプ現象と全く同じだ。エスタブリッシュメントがこれまでやってきたことについて、多くの人が不満を感じている。それに対して、ストライキ行動を起こしている。彼らに明確な代替案があるわけではない。彼らが支持している候補は何の考えも持っていないか、できもしないことを約束しているだけだ。バーニーに会ったことはないが、彼は楽しい男であり、愚かでもないと思う」
――トランプ氏は個人的にお知り合いですか?
「知っている。とはいえ、ゴルフコース(の開所式)でリボンを一緒に切った程度だ。二度ほど一緒にゴルフをしたこともある。彼も一緒にいると楽しい男だ。彼ら(サンダース、トランプ両氏)は二人ともエスタブリッシュメントではないから候補者でいられる。エスタブリッシュメントを支持してもいない」
――サンダース旋風もトランプ現象も米国の民主主義の衰退、あるいは危機を体現していませんか?
「そうは思わない。そうではなく、エスタブリッシュメントが変わることを示すサインだと私は思う。あまりにも長い間、彼ら(エスタブリッシュメント)は一般の人々のことを考えないでいた。なぜなら、市井の人々は決して組織化されなかったからだ」
「政治家という人種は自分たちを選び、再選してくれる人間にのみ反応する。そして、一般の平均的な人というのは(選挙対策のために)組織化されていない。今回の選挙で初めて、平均的な人々が(自らをインターネットなどで)組織化するチャンスを得たのだ」
格差根深く未来描けず
――米大統領選の混乱を見ると、米国がまず取り組むべき問題は格差の是正だと思うのですが。
「いずれの時代にも上位の20%と下位の20%の層は存在する。最上部の5%、最下部の5%も同じだ。問題は格差の存在にあるのではなく、その程度にある。最も重要なのは人々が人生を楽しみ、未来に自信を持ち、彼らの子供たちがより良い人生を送れることだ」
「『持たざる者』がいるから、より多く持つ者に視線が集まる。ある人が巨万の富を得ていることが悪い事なのかどうか、私にはわからない。本当の問題は『何故、その他の人々の生活が一向に改善しないのだ』ということではないか」
――米国を代表する富豪たち、デビッド・ロックフェラー氏やビル・ゲイツ氏、そして、あなた自身も手にした富を社会に還元しているのは何故ですか。
「米国という国家を理解する上で一つ、重要なことがある。我々の社会は血縁の上に成り立っているのではなく、ビジネスとフィランソロピー(社会貢献)で成り立っているのだ。そして、ビジネスの世界では引き継がれるということはあまり起こらない。最も成功するビジネスマンはいつも第一世代(創業者)だ」
「もちろん、父親が巨万の富を残し、あるいは父親が優秀で(その子供世代の)彼らも優秀というケースはあるだろう。だが、一般的に最も成功した人は彼らの一族で第一世代に属する人たちであり、その多くは富を慈善活動に投じる。ゲイツ氏も私もそうだ」
――それでも格差は引き継がれませんか?
「ポピュリストの問題点は『結果の均等』に焦点を当てることだ。資本家たちは『機会の均等』を重視する。もちろん、今日の社会では、たとえば英国や日本など失敗がその後もついて回るような文化もあるだろう。だが、米国では『息子が三つのビジネスを始めて二つは破産したが、残る一つはまだやっているよ』ということが多々ある。それは決して悪い事ではない」
――もう一つの格差問題ともいえる女性の社会進出はどうですか。日本は女性の労働力を重視しようとしています。
「米国でも同じことが起こっている。自国内で同じ言語を話し、文化も理解し教育も受けている労働力は豊富にある。そして、それをまだ活用しきれていない。彼らは偶然にも『女性』と呼ばれる存在なだけだ」
「これは日米双方に言えることだが、現存する労働力市場に(女性の活用によって)より多くの競争が起こるだろう。その市場は基本的に男性によって占有されており、競争の結果、彼ら(男性)の給与が上がることもあれば、下がることもある。あるいは職を追われるかもしれない。日本でも米国でも、すべての人に機会を与えるべきだ。私は機会均等をこよなく支持している人間だ」
――米国で女性大統領の誕生を阻む「ガラスの天井」はもはや存在しない?
「多くの女性は『ヒラリーが女性かどうかではなく、私はベストな人を求めたい』と言うだろう。同時に、女性(大統領)を選ぶべきだと感じている女性も数多く存在するだろう」
「私自身は、もしヒラリーが女性であるが故に自分に投票すべきだと考えていたならば、彼女に一票は投じない。女性が大統領になることに何の問題も感じないが、私も最善の候補を求めている。彼女は戦争を決断し、平和を堅持し、人々の健康、教育、子供たちの生活について多くの決断を下すのだ。だから、私は『ベストな人』を選びたい」
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第3党を創り出馬を一時示唆
Michael R. Bloomberg 米同時テロの衝撃が残る2001年11月、ニューヨーク市長選挙に共和党から立候補して当選。第108代ニューヨーク市長に就任し、13年末まで務めた。
米証券大手で成功を収めた後、1981年に経済ニュースを中心とする通信社、ブルームバーグを創設。ウォール街などに専用の金融情報端末を販売するビジネスで巨万の富を得た。米国を代表する富豪の一人として知られる。
今年の米大統領選で、第三党を創設して立候補する可能性を示唆した。最終的には自らの出馬が共和党のトランプ氏を利する結果になると判断して立候補を断念、話題を呼んだ。74歳。
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<聞き手から>理想と現実、米が苦悩
「『核の傘』は要らない、と言っているトランプ氏が選ばれるとしたら、どうするのか」
核の不拡散問題や、サウジアラビアとイランの緊張関係を話していた途中、唐突にブルームバーグ氏がそう尋ねてきた。
「日本に核武装の意思など存在しない」と即答すると「それが正しい」と笑みを漏らした。一方、欧州を悩ます中東からの難民問題の解決には「米地上軍を派遣するべきだ」と断言。これらのやりとりを通じて「幻の大統領候補」のリアリズム(現実主義)は十分に感じ取れた。
インタビュー全体を通じて支配していたのは、古き良き健全な米国人が醸し出す楽観論だった。世界経済の見通しや民主主義の将来を問うと「世界のどこでも欲しいものは買え、24時間以内に届けられる。その意味で世界は以前より悪くなっているのだろうか」という具合である。
だが、難民やテロ、核拡散、地球温暖化などに話題が転じるにつれ、表情は暗い影に覆われた。そこに悩める超大国・米国の矛盾と限界を感じた。あらゆる意味で世界を主導してきた米国の理想と現実が大きくかい離しつつある今、次の指導者選びで迷走するのは当然とも思えた。
(編集委員 春原剛)
[日経新聞4月17日朝刊P.9]
「LGBT」と呼ばれる性的少数者で、親になる人が増えている。レズビアン(女性同性愛者)の人が子どもを産むケースが多い。日本では法的な整備はほとんどされておらず、水面下で現実が先行している。
都内に勤める40代の佐藤ゆうこさん(仮名)は今、女性パートナーと4歳の男の子を育てている。「明るくてかわいい子。カブトムシの世話をさせられるのは大変だけど」。佐藤さんは目を細める。自分がレズビアンだと気がついてからも子どもは持ちたいと思っていた。パートナーに出会い、提案してみると「いいんじゃない」との返事。ネットを通じて3年以上、条件の合うゲイ男性を探し、精子の提供を受け妊娠し出産した。
「ここl〜2年、レズビアンに出産ブームがきている」。東京都渋谷区の認定カップル第1号となったレズビアンの増原裕子さんはこう話す。国内外での事例をネットなどで知り「自分たちも」と踏み切るカップルが多いようだ。「女性は年齢的に出産のタイムリミットがあることも後押ししている」という。ゲイカップルの場合は産む代理母などが必要でハードルが高く、日本では事例が少ない。
知人男性の精子で
女性カップルが子どもを持とうとする場合、知人男性から精子をもらうことが多い。養子縁組や、不妊治療を目的として病院で実施される第三者の精子提供は、法律上の夫婦でないと難しいためだ。
30代の会社員でゲイの鈴木孝さん(仮名)は数年前、友人の女性カップルから精子提供を依頼された。「していいことなのかさえ分からなかった」と振り返る。情報を求めネットの海をさまよった。答えは見つからず、友人や親、同僚にも相談した。「責任とれるのか」「親のエゴじゃないのか」。反対も多かった。半年以上悩んだ末、友人の希望に応えることにした。
まずは感染症にかかっていないか調べ、提供を始めた。女性カップルに月2回、採取した精子を手渡した。1年以上かかったがやがて友人は妊娠した。自分自身は子どもが欲しいと思ったことはなかったが、生まれた子を見に行き「あぁ」という言葉にならない声が出た。「僕にちょっと似てて。自分の子どもなんだと思った」
水面下で進む現実。問題もはらんでいる。一つは衛生上のリスクだ。女性カップルは病院で人工授精を受けるのが難しい。そのため、個人宅で精子をプラスチックケースなどに採取し、注射器のようなもので体内に入れることが多い。埼玉医科大学の石原理教授は「精液の採取や運搬時などに衛生上の懸念があり、性感染症のリスクもある」と指摘する。
「子の権利奪えぬ」
もう一つは法律上の位置づけだ。カップルと提供者の間では「認知しない」「子育てに関与しない」などの約束をすることが多い。しかし、LGBT支援も手掛ける中川重徳弁護士は「子どもには認知や養育費、相続を求める権利がある。それは大人同士の約束では奪えない」と話す。子どもが育ったときなどにトラブルになるリスクは残る。
社会の反発もある。増原裕子さんらが1月、ゲイ男性向けの代理出産セミナーを開いたところ「倫理上許されるのか」などの反対論がネット上にあふれた。ただ、自身も英国人女性との間に子どもを持つ神戸大学の青山薫教授(ジェンダー論)は「子どもが差別されるとの意見があるが現実は進んでいる。どんな親の元に生まれた子も差別されない社会にするように親や大人が努力していくしかない」と話す。
鈴木さんは今後、他人に精子提供はしないという。「子どもが大きくなったとき、ほかにも自分の子どもがいると知ったらショックだと思うから」。子どもの幸せを祈りつつレズビアンカップルを見守っている。
(福山絵里子)
[日経新聞4月17日朝刊P.10]
子どもつくる権利、欧米でも賛否 日本、議論は周回遅れ
日本では同性間の結婚は事実上認められていない。東京都渋谷区は同性カップルに「パートナーシップ証明書」を発行するが法的効力はない。現在レズビアンの女性が男性から精子提供を受けて出産すると、子どもは婚外子となる。男性が認知すれば戸籍上は男性が父親になる。
早稲田大学の棚村政行教授(家族法)によると、同性婚を認めている国は世界で20カ国以上ある。その上で、英米豪などは同性カップルが子どもを養子として育てたり、第三者からの精子提供などで子どもをつくる権利を原則認めている。一方、独仏などは子どもを育てることは認めるが、第三者提供で子どもを新たにつくることは議論中だという。家族秩序を守るという視点から慎重な意見がある。
棚村教授は「生まれている子どもについて、出自を知る権利などをどう担保するか日本でも早急な議論が必要だ」と話す。
[日経新聞4月17日朝刊P.10]
デピュティ・エディター ルーラ・ハラフ
これで公になった。戦争はもはや、戦車や大砲、戦闘機、爆弾、兵士、機械を配備するだけではない。米国のサイバー部隊は最初の軍事任務を与えられた。過激派組織「イスラム国」(IS)と戦うことだ。
長い時間がかかったものだ。カーター米国防長官が(編集注、2月29日の記者会見で、サイバー部隊を使ってISの通信ネットワークに過重な負荷をかけ、ISが部隊の指揮をとれなくするよう)サイバー攻撃を加えていると明らかにしたが、初めはなぜこれほど時間がかかったのかと不思議だった。ISが中東の舞台に突如、出現してから2年間で悪意を拡散し、組織化を図り、新兵を採用するために抜け目なくインターネットを利用する様子はかなり報道されてきた。カーター長官はなぜ今になって部隊に指令を出したのか。
まもなく5000人規模に拡大される国防総省の新設部隊は、かなり前に攻撃を始めたと思うかもしれないが、もしそうなら、ISに対し何ら目立った成果を上げていないことになる。
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恐らくこれまでは、作戦の重点が情報収集と監視に置かれていたのかもしれない。もしかしたら作戦が増強されたのかもしれない。あるいは、テロリスト対策を強化していることを示せという国内の圧力にオバマ政権がさらされていること以外、目新しいことは何も起きていないのかもしれない。
真の動機が何にせよ、カーター長官が初めてサイバー攻撃について公表したことで、専門家たちはこの話題で持ちきりになった。
「歴史的な瞬間だった」。ワシントンのシンクタンク、新アメリカ財団(NAF)のサイバーセキュリティーの専門家、ピーター・シンガー氏は筆者にこう語った。「我々はこの能力を行使するだけでなく、サイバー攻撃をすると公言しているのだ。これはサイバー攻撃を戦争の一形態として位置付けることになる」と。
恐ろしそうに聞こえるだろうか。確かにそうだ。だが必要なことでもある。サイバー戦争に関する法的、道義的な議論に弾みがつくかもしれない。
専門家は今や100カ国以上が軍事目的のサイバー能力をある程度備えたと見ており、(ISのような)国家ではない組織も存在する。だが、交戦規則や、戦争と犯罪の間のどこに線を引くかについては統一見解がない。
「報復か否かには関係なく、攻撃行為という意味で、西側諸国が実際に何をしようとしているのかに関し、これまでよりもっと開かれた議論をする必要がある」。元英空軍高官で現在は英王立防衛安全保障研究所に所属するイワン・ローソン氏はこう話す。「議論は法的、倫理的、道義的なものになるだろう。そして、報復も含め実際に戦争になった時のことも議論しなければならない」
ローソン氏は、2010年前後にイランの核施設のシステムに仕込まれたウイルス「スタックスネット」を引き合いに出す。この攻撃の背後には米国がいたとみられているが、米政府は一度も認めていない。
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「スタックスネットがある特定の場所の特定の遠心分離機を破壊したとは主張できる。しかし、そのウイルスはネットワーク上に存在した。他者もアクセスし、再操作できるということだ」とローソン氏は言う。「国の安全保障に関する姿勢を示すうえで、サイバー空間の利用をどう考えるか、徹底した議論が必要だ」
すでにサイバー空間で活動している他国に比べ、米国は攻撃的ではないと思われている。昨年4月に公表された国防総省のサイバー戦略は、先制攻撃ではなく抑止を念頭に置いたものだった。
他国、特に中国、ロシア、イスラエル、イランは米国と同様、サイバー戦を展開しているとは公言していないが、攻撃を加えている。サイバー攻撃の事例は様々だ。ウクライナでは昨年、政府がロシアの仕業だと非難した送電網に対する攻撃があったし、イスラエルは07年、シリアの核施設を空爆する前に、シリアの防空システムに電波妨害を仕掛けたことが疑われている。
米国は最初の攻撃に格好の標的を選んだ。ISに対するサイバー攻撃なら、ロシアも含めて誰も反対しない。攻撃自体も特に高度なものにはならず、恐らくネットワークの電波妨害や、彼らの通信妨害といったところだろう。ISはソーシャルメディアを使うことにたけているかもしれないが、国家のような能力は持たず、サイバー組織の支援を得ているわけでもない。
米国の動きにはもっと大きな目的がある。ISへの攻撃を公に宣言することで、国防総省は行動する意志があるというメッセージを送っていると専門家はみる。中国とロシアはこれを意識するだろう。このメッセージがサイバー戦争を暗がりから引っ張り出す最初の一歩でもあることは、意義深い。
(14日付)
[日経新聞4月17日朝刊P.13]
ブラジルのルセフ大統領が弾劾される可能性が高まっている。ルセフ氏は国営石油会社ペトロブラスを巡る汚職への関与を疑われているわけではない。その点では他の政治家と異なる。問題となっている時期にルセフ氏が同社会長を務めていたにもかかわらずだ。弾劾理由は2014年の大統領選を前にした予算の不正執行だ。
操作額は国内総生産(GDP)の1%にも相当しそうだ。とはいえ、これは手続き的な問題だ。むしろ弾劾の動きは政権の無能さやひどい腐敗、1929年の世界大恐慌以来、最悪の経済不況に対する国民の軽蔑や不満を映している。最新の世論調査では、国民の61%が弾劾に賛成している。
正念場は17日だ。下院が弾劾に賛成すれば、上院での審議に移るかどうかが決まる。弾劾手続きに必要な議席数は下院513議席中342。この何週間か、ルセフ氏側は政権強化と大統領の地位確保に向け、激しい集票工作を展開してきた。採決の結果は予断を許さない。下院が賛成すれば、上院も追随すると見られる。否決されれば、少なくとも別の疑惑が明るみに出るまでは問題は収まる。
株式相場は弾劾の可能性が高まるたびに高騰した。主要株価指数ボベスパは今年に入り17%上昇した。しかし、ルセフ氏が退任しても事態好転の見通しは立っていない。
ルセフ氏の失職で大統領に昇格するテメル副大統領にも、同様の予算の不正操作疑惑がかけられている。大統領の継承順位が3番目のクニャ下院議長も、資金洗浄やペトロブラスを巡る汚職の疑惑がある。
ブラジルの街頭は、弾劾の賛成派と反対派で時折あふれかえる。ルセフ氏と与党・労働党は手練手管を駆使して権力の座にとどまろうとしている。野党側もそれを阻止するため、あらゆる手段を使っている。弾劾手続きは事実上のクーデターだという政府の主張は誇張されているものの、一段と国民を怒らせた。すでに厄介な問題だが、事態はもっとこじれていくだろう。
(電子版、13日付)
[日経新聞4月17日朝刊P.13]
終了まで1年を切ったオバマ政権は、イラク撤退、慎重なシリア政策、軍事費削減に見られるように、一般的には軍事介入に後ろ向きの政権と解釈されがちだ。だが、戦争には表には出ない水面下の「影の戦争」がある。本書は、米中央情報局(CIA)が見えない戦争の主役になっている現状を米紙記者が丹念な取材で明らかにしたものだ。
転機は9.11テロだった。冷戦終焉(しゅうえん)で下降線を辿(たど)っていたCIAの予算と権限が、対テロ戦争で増大された。フォード大統領によって禁じられていた暗殺も認められるようになった。テロを事前に防ぐことが、インテリジェンス(諜報(ちょうほう))の蓄積なしには不可能である以上、CIAの権限拡大は必然だったかもしれない。
しかし、著者は深刻な弊害について問題を提起する。CIAが諜報の枠を超えて、軍事行動の当事者となっている実態だ。国防総省との縄張り争いのエスカレートは、軍事と諜報の相乗りを加速させている。
本書が明かす内容で衝撃なのは、無人機ドローンを用いた攻撃が頻繁に行われていることだ。「標的分析官が殺害の対象者を正確に把握していなくてもミサイル攻撃する許可」をCIAはホワイトハウスから得ているという。ドローン攻撃は対象が「疑わしい行動」をとったかで判断される。「戦闘可能な男」と見なされれば攻撃は合法となる。パキスタンでのドローン攻撃で「民間人は殺害していない」とオバマ政権が主張できる根拠がここにあったと著者は述べる。
伝統的な戦闘員と民間人の定義が通用しない時代に、いつのまにか突入している。旧来の戦争倫理がドローン攻撃に対応できるのか。本書はそうした問いへの挑戦状でもある。オバマ政権は、米兵の死傷報道で支持率が急降下する法則をイラク戦争で学んだが、軍事攻撃は極秘であれば「戦争」と定義されないことも裏の真実だった。
ビンラディン殺害作戦の記録としての価値も本書にはある。作戦はCIAのものとして遂行され、同局パネッタ長官が責任者だった。クリントン国務長官が行き過ぎたドローン攻撃に対して、駐パキスタン大使の承認が必要として牽制(けんせい)したのに対して、「間違っている」とパネッタ氏が反論するシーンは鮮烈だ。
反戦論者の印象が強いオバマ大統領がCIAのドローン攻撃を追認する一方、安全保障ではタカ派とされがちなクリントン氏が外交的手続き論を尊重していた様子は、オバマ政権内の興味深い裏側も浮き彫りにしている。
原題=THE WAY OF THE KNIFE
(池田美紀訳、早川書房・2200円)
▼著者は74年米国生まれ。米ニューヨーク・タイムズ紙記者。
《評》北海道大学准教授
渡辺 将人
[日経新聞4月17日朝刊P.21]
14日夜に発生した震度7の地震を皮切りに、熊本・大分地方では4日間で540回以上もの地震が発生している。気象庁は、活発な地震活動は今後1週間は続くだろうとみて警戒を呼びかけている。
国内で唯一稼動している原子力発電所は、鹿児島県・薩摩川内市の川内原発1・2号機だ。今日18日には「ストップ川内原発!3・11鹿児島実行委員会」のメンバーらが、九州電力に対し川内原発の運転停止を申し入れた。この2日前の16日には既に、作家らが作る「川内原発の即時停止を求める有志の会」が九電に対し、川内原発の即時停止を要請している。
しかし九州電力・政府・原子力規制委員会は揃って、稼動を継続させることは問題ないという見解を出している。18日、原子力規制委員会の田中俊一委員長は臨時記者会見で、震災時の原発に関する情報提供が国民のニーズと噛み合っていないことを指摘され「九州電力も色々な形で情報発信をしているし、随時、原子力施設に異常はないという報告をしているが、原子力規制委員会としてどこまでやればいいのか私自身も掴みかねていた」と述べた。
また、田中委員長は稼働中の川内原発について「エネルギー需給の問題は全くないと思う。止められない理由をお尋ねしたい」と質問したフリーの記者に対し次のように述べた。
田中委員長「私どもは科学的・科学技術としての判断基準に基づいて停止させるかどうかを決めているわけですね。ですから、そういったものがあるから止めたほうがいいという、それもひとつのお考えかもしれませんけれども、それは規制委員会や我々の判断ではなくて、安全上の問題があるなら、当然我々は止めなければいけないと思います。でも、そういうことではない、ということなんですね。今の段階で、ずっと見ている限りでは安全上の問題はありません。」
住民にしてみれば、現段階で安全上の問題がないことは、むしろ当然中の当然である。今、懸念材料になっているのは、安全なうちに稼動を「予防的に」停止させ、被災地の不安材料をひとつでも除去するということが何故できないのか、ということだ。川内原発の即時停止を求める有志の会は「異常があってからでは遅いということは、これまでの福島第一原発の事故の経験から、誰の目にも明らか」であると指摘している。
アメリカ国防総省は、過激派組織IS=イスラミックステートに対する軍事作戦で、重要拠点の奪還を目指すイラク軍への支援を強化するため、作戦の助言に当たるアメリカ兵を増派するとともに、攻撃ヘリコプターを作戦に投入できるようにすることを明らかにしました。
アメリカのカーター国防長官は18日、イラクの首都バグダッドでアバディ首相と会談し、アメリカ軍の過激派組織ISに対する軍事作戦への新たな強化策を示しました。
この中でカーター長官は、地上作戦を担うイラク軍の助言に当たるアメリカ兵を増派するとともに、アメリカ軍の攻撃ヘリコプター「アパッチ」を作戦に投入できるようにすること、砲兵部隊を追加で派遣することなどを明らかにしました。
アメリカ国防総省によりますと、増派するアメリカ兵は200人余りで、これに伴いイラクへの派遣要員の規模の上限を4000人余りに引き上げるということです。
ISに対する軍事作戦で、イラク軍は重要拠点モスルの奪還に向け態勢を強化しており、今回の増派によってアメリカ軍としても、より前線に近い場所でイラク軍への助言が可能になるとしています。
「クウェート ストライキで産油量減少:281万バレルから110万バレルに:長期契約先への輸出は維持」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/401.html
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クウェートでのストライキ ブレント原油の価格を42,60$レベルに維持[スプートニク日本語]
2016年04月19日 14:24(アップデート 2016年04月19日 14:53)
クウェートの石油産業労働者のストライキは、月曜日、ドーハからの否定的なニュースによる圧力のもとにあった石油市場を支えた。カタールの首都ドーハでは、主要産油国会議が開かれたが、採掘凍結に関する合意に達する事が出来なかった。
石油産業労働者の大規模なストライキにより、クウェートの原油生産は50%以上も落ち込んだ。
主要産油国間で合意はできなかったものの、それ以外に、市場における需要と供給のリバランスに対する期待感が、原油市場を支えた。
ロンドンのインターコンチネンタル取引所(ICE)でのブレント原油の6月先物取引では、モスクワ時間で朝8時の段階で0,4%下がり、1バレル=$42,60だった。
またニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)でのWTI(米国産標準油種)の5月先物取引では、同じくモスクワ時間朝8時の段階で0,08%下がり、1バレル=$39,75となった。
17日にカタールの首都ドーハで開かれた産油国会合は、増産凍結で合意できなかった。ロイター通信が報じた。
ロイター通信によると、カタールのアル・サダ・エネルギー相は、6月に開かれる次回のOPEC総会までに「さらに協議する必要があるとの認識で一致した」と語った。
産油国会合は、6時間半遅れで始まった。代表団の消息筋によると、サウジアラビアが突然イランを含むOPEC全加盟国が合意に加わることを要求したため遅れたという。
一方で、今年初めに国際的な制裁が解除されたイランは、産油量を制裁前の水準に引き上げる意向を示し、ドーハ会合に代表者を派遣しなかった。
シリアとの国境に近いトルコ南東部の町に、過激派組織IS=イスラミックステートが支配するシリア側の地域からロケット弾が撃ち込まれて4人が死亡し、トルコ軍が報復攻撃を行うなど、国境地帯で緊迫の度合いが増しています。
トルコ南東部のシリアとの国境に近いキリスで18日、シリア側のISの支配地域から発射されたロケット弾4発が町の中心部の住宅などに着弾しました。地元当局によりますと、この砲撃で3人の子どもを含め、この町で暮らすシリア人4人が死亡したほか、6人がけがをしました。一連の攻撃に対してトルコ軍は報復として、シリア側のISの拠点に対し砲撃を行いました。キリスでは先週も4日連続でロケット弾が着弾するなど、ことしに入ってシリア側から砲撃が相次ぎ、これまでに6人が死亡し、20人余りがけがをしています。さらに、シリア側の国境近くでも先週、3か所の避難民キャンプがISの襲撃を受けて2人が死亡し、数千人が退避を余儀なくされるなど国境地帯で緊迫の度合いが増しています。
海軍が哨戒機を南沙(英語名スプラトリー)諸島の永暑(英語名ファイアリー・クロス)礁に派遣して重病の労働者を搬送したとの17日午後のニュースが大きな関心を呼んだ。中国軍用機が永暑礁に公に着陸したのは初めてだ。中国側専門家によると、軍用機による人道任務の執行は正常な行動であり、過度に非難すべきものではない。環球時報が伝えた。
政府側情報によると、17日朝に海軍は南沙諸島の工事現場から、緊急治療の必要な重病の労働者がいるとの救援要請を受けた。同日午後1時50分頃、病人3人を乗せた哨戒機が三亜鳳凰空港に着陸した。中国軍側は南中国海で長期間パトロールを行っていたため、今回海軍上層部の命令を受けて、速やかに任務を執行できたという。
海軍専門家・張軍社氏は環球時報の取材に「今回の軍用機着陸は人々に誠心誠意奉仕する人民軍の精神を示している。また、南中国海の島・礁での中国の建設が人道救援任務の遂行にプラスであることを示すものでもある。南中国海地域の海況は複雑であり、漁船や商船が多い。緊急の災難が発生した場合、将来中国の船舶と航空機は南沙諸島の施設を利用し、即座に救援を得ることができる」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年4月19日
http://j.people.com.cn/n3/2016/0419/c94474-9046606.html
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中国軍用機が人工島に着陸 米国防総省がけん制[NHK]
4月19日 13時07分
アメリカ国防総省は、中国が南シナ海で造成した人工島に軍用機を着陸させたとしたうえで、軍用機の展開をやめるよう中国をけん制する姿勢を改めて強調しました。
アメリカ国防総省によりますと、中国軍は17日に、南沙(スプラトリー)諸島のファイアリークロス礁に造成した人工島に、軍用機を着陸させたということです。
ファイアリークロス礁には、軍用機も利用できる3000メートル級の滑走路が整備され、中国はすでに民間の航空機の試験運用を実施していますが、軍用機の着陸が公式に確認されたのは、これが初めてです。
中国軍は着陸を公表し、その目的について病気の労働者3人を搬送するためだったと説明していますが、アメリカ国防総省は「民間のためと言いながら、軍用機を使った理由ははっきりしない」と指摘しています。
中国は、南沙諸島のスビ礁とミスチーフ礁にも3000メートル前後の滑走路の整備を進めており、アメリカ国防総省は、中国が戦闘機などを展開させるなどして、軍事的な影響力を南シナ海全域に広げるのではないかと警戒しています。
このため、アメリカ国防総省は「中国には南沙諸島で軍用機の展開を計画していないことをはっきりさせてもらいたい」とのコメントを出し、中国をけん制する姿勢を改めて強調しました。
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自衛隊が中国国民救出 駐福岡中国総領事が謝意表明
人民網日本語版 2016年04月18日14:14
李天然・駐福岡中国総領事は16日夜、熊本県庁で蒲島郁夫知事と会見し、被災地での中国国民への救援活動に対し感謝の意を表明した。李総領事はまた、熊本市内で避難生活を送る中国人留学生を見舞った。新華社が伝えた。
李総領事は蒲島知事に対し、熊本県内の旅館に孤立状態となっていた中国人ツアー客20人を自衛隊のヘリコプターが救出したことに触れ、熊本県の中国国民への救出活動と支援に対し改めて感謝の意を伝え、双方への緊急連絡ホットラインが常時有効であることを再確認した。
在福岡中国総領事館は大型バスを3台熊本大学付近に派遣し、救援指揮センターを設置、周辺地域の中国国民、とりわけ留学生に対し支援を提供した。このバスは臨時避難所としても利用することができるという。
李総領事は16日夜、熊本市内で避難生活を送る中国人留学生を見舞った。桜山中学校の体育館内で李総領事は、領事館は留学生の状況に終始関心を寄せており、すぐに安全な場所に留学生を移動させると強調し、冷静に、互い助け合ってこの難関を乗り越えるようと声をかけた。(編集MI)
「人民網日本語版」2016年4月18日
カーター米国防長官はこのほど南中国海で任務遂行中の空母「ステニス」に乗艦した。この行動は注目され、AP通信などは南中国海における中国の「軍事建設」への不満を表明するものだと報じた。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
カーター長官が中国に圧力をかけるのは初めてではない。5カ月前にも南中国海周辺を航行する空母ルーズベルトに乗艦し、「最先端」の装備をアジア太平洋地域に配備して南中国海問題に対処すると公言した。
米国は昨年から南中国海問題について茶番を繰り返している。
武力の誇示がその要だ。米国はイージス駆逐艦「ラッセン」を中国の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺海域に不法に進入させた。B-52爆撃機を中国の島・礁近くに「誤って入れた」。さらにカーター長官も自ら参加して、米軍は居丈高な姿勢を示している。
「道義を説く」のも必須だ。米軍は中国に威力を示す一方で、いわゆる「航行の自由」の維持を強調し、中国に対して「国際法を遵守し」、平和的方法で争いを解決するよう呼びかけている。米国は「道徳的模範」のイメージを極力作ろうとしている。
様々な入念な演出は、実際には自国の利益のためだ。
第1に、直接の目的は南中国海での中国の活動を妨害することにある。米国は南中国海の領有権問題で特定の側につかないと口先では言っているが、実際の行動ではしきりに一方の肩を持っている。フィリピンなどの挑発行為に見て見ぬふりをする一方で、中国の正当な活動に対してはあれこれと妨害する。南沙諸島における中国の民用施設建設は、南中国海沿岸国と同海域を航行する各国船舶に資するものだ。米国はこれについて四の五の言い、灯台建設すら問題視している。対中防備の心理は明々白々だ。
第2に、米国から見て南中国海はアジア太平洋における地位に関わる。近年米国は相対的に力が低下し、地域の同盟国の訴えを満たすことができないばかりか、多くの分野で同盟国に自らの戦略実施に協力し、責任を分担することを求めている。こうした中、中国の脅威を騒ぎ立て、フィリピンの後押しをすることで、威信を確立し、同盟関係の重要性を高めようとしている。米国は南中国海巡航への参加を地域の同盟国に促してきたが、日本やオーストラリアは慎重な姿勢だった。そこで米国はフィリピンを引き込んで体裁を繕わざるを得なかった。
だが米国の懸命な行動も中国を思い通りに動かすことはできない。南中国海における中国の行動はすでに効果が現れ始めており、引き続き事を進めていく。
米軍があれこれと行動しているのに比べ、中国は悠然と構えている。国防部(国防省)ウェブサイトによると、範長竜中央軍事委員会副主席はこのほど南沙諸島を視察し、駐屯する将兵と建設労働者を慰労すると同時に、施設建設の状況について把握した。中国は3つのメッセージを発している。第1に、中国の主権の範囲内での活動にとやかく言う権利はどの国にもない。第2に、中国は平和的発展を堅持する。南中国海の平和を維持するとともに、より多くの公共財を提供することを望んでいる。第3に、中国には主権権益を維持する決意と能力がある。中国は強権を恐れず、虚勢はさらに恐れない。他の国々は中国の立場を誤って判断するべきではない。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年4月18日
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官は19日の定例会見で、ノーベル賞受賞者3人が訪朝し、金日成総合大などで講演するとの報道について、「訪朝を推進している国際平和財団に対し、今回の訪問が実現すると北によって政治的な目的に利用される懸念があるという意見を伝える予定」と述べた。
趙報道官は「政府は今後、彼らの実際の動向、北での活動、訪朝後に北によって宣伝に活用される可能性などについて関連動向を注視する」とした。
米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は英国のリチャード・ロバーツ氏(1993年生理学・医学賞)、ノルウェーのフィン・キドランド氏(2004年経済学賞)、イスラエルのアーロン・チカノーバー氏(2004年化学賞)の3人が29日に北朝鮮を訪問すると報じた。
kimchiboxs@yna.co.kr
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/04/19/0300000000AJP20160419002700882.HTML
北朝鮮の故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の妹で、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の叔母に当たる金敬姫(キム・ギョンヒ)氏の若い頃の姿が、最近北朝鮮のテレビ番組などでよく見られるようになったという。
金敬姫氏は2013年末、夫の張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長が金正恩氏によって処刑されて以降、北朝鮮メディアにはほとんど登場しなくなっていた。そのような中、最近になって突然メディアで取り上げられるようになったわけだが、これについて韓国国内では▲死亡説がささやかれるほど健康が悪化し死に備える必要が出てきた▲5月初めに予定されている朝鮮労働党大会を前に「白頭血統(金氏一家)」を強調するため−といったさまざまな見方が出ている。
北朝鮮の朝鮮中央テレビは今年1月14日、故・金日成(キム・イルソン)主席を追悼する記録映画を放映した際、1967年5月に金日成大学在学中だった金敬姫氏が労農赤衛隊の軍服を着用し、閲兵式で行進しながら敬礼する様子を映し出した。特に敬礼する金敬姫氏の表情は5秒にわたり拡大して映し出された。
3日後の17日には青年同盟創立70周年番組で「金敬姫」という同じ名前の別の人物を登場させた。この別の金敬姫氏は人民保安部(警察に相当)出身で、現在は最高人民会議(国会に相当)代議員を務めているという。つまり現在、北朝鮮の最高人民会議代議員の金敬姫氏は、金正恩氏の叔母の金敬姫氏ではないということだ。
朝鮮中央テレビは4月4日に故・金正日総書記の記録映画を放映した際にも、金総書記が地方の食品工場を視察した時に、金敬姫氏がこれに同行した様子を映し出した。さらに4月9日にはサングラスを掛けた金敬姫氏が金総書記・金正恩氏親子と並んで座り、軍事演習を視察する様子が映し出された。
キム・ミョンソン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/19/2016041901107.html
ロシア・エネルギー省は、4月17日にカタールの首都ドーハでの産油国会議で採掘レベルの凍結が合意に達さなかったことを受け、今後ロシアは採掘レベルの引き上げもありうるという姿勢を示している。19日、エネルギー省のキリル・モロツォフ次官が記者会見で明らかにした。
モロツィフ次官は、ドーハの交渉後のロシアの石油部門の計画についての質問に答えたなかで、「そうした(採掘の拡大の)可能性はある」と答え、「年間、5億4千万トンも十分ありうる」と付け加えた。
先の発表では、2035年までの石油部門発展のジェネラルスキームでは、ベースシナリオは今年2016年、ロシアのコンデンセートの採掘量を5億3100万トンにまで引き下げることを見越しているとされていた。
ブラジルのルセフ大統領は「議会が行っている自分に対する弾劾手続きには、法的根拠がない」と述べた。
AFPによれば、ルセフ大統領は首都ブラジリアでの記者会見で「私は選挙で5400万票を獲得した。議会の弾劾決定に強い怒りを感じている」と述べた。
これに先立ち、下院議員の多くは、大統領の弾劾に賛成票を投じた。最終的な決定は、上院に委ねられる。今後10日の間に、特別委員会が設けられ、その後上院議員達が、大統領解任問題を決めることになる。
180日間、大統領を一時的に解任するためには、少なくとも上院議員41人の賛成が必要だ。また最終的に大統領を弾劾するためには、最高裁判所長官を議長に、上院で個別の会議を開き、少なくとも54人の議員の賛成を得なくてはならない。そしてもし弾劾が成立した場合、大統領の職権は、2018年の選挙まで、テメル副大統領が遂行する事になる。
ルセフ大統領は、自分に向けられたあらゆる非難を否定している。彼女は、2011年1月1日からブラジル大統領のポストにある。
野党勢力は、ルセフ大統領の弾劾達成を試み、議会にルセフ大統領の辞任要求を提出すると共に、脱税疑惑及びおととし再選された際に、公的資金を使用したとの疑惑の調査を要求している。
ルセフ大統領は、すでに昨年10月にも、自分を解任し国内に憎悪の雰囲気を創り出す事を通じて、国家クーデターを起こそうとの企てがあると発言していた。
天木氏が取り上げている回顧録の絡みでのポイントは、「谷内氏は27日午前、戴氏と会った際、1枚の紙を取り出し、安倍首相も同意したという提案を出した。戴氏は「すぐ北京に戻り、報告する」と午後に帰国。同日中に報告を受けた共産党中央は日本側の提案を「基本的にOK」し、翌28日に再訪問するよう戴氏に命じた」と書かれている“安倍氏も同意した提案”の内容だろう。
尖閣諸島や南シナ海の領有権問題などで激しい対立があり、中国共産党は安倍首相を嫌っているようにも見える日中関係だが、それは表面的な話でしかない。
安倍首相が対中強硬発言を繰り返すのには二つの理由がある。
一つは、コアな安倍政権支持層である右派(反左翼・反中共)をつなぎ止めるためであり、 もう一つは、中国問題をアジアでのプレゼンス維持に利用したい米国支配層の期待に応えるためである。
日朝国交正常化や日中関係改善という左派が好むようなリベラルな外交政策を実施しなければならないがゆえに、安倍首相は、反日的諸国を嫌う右派=愛国保守の歓心をつなぎ止めなければならないと考えている。(安倍ブレーンは日本の多数派が愛国保守的心情の持ち主だと理解している)
何度か書いてきたが、安倍晋三氏がたいした実績がないまま自民党幹事長になり首相にまでなっていいた背景には、21世紀初頭の東アジア外交の軸になっている課題に安倍氏が“激突”してしまったといういきさつがある。
端的に言えば、安倍氏が政治的命を賭して達成しなければならない対北朝鮮・対中国・対韓国政策を実現するため、実績のない安倍晋三氏を自民党総裁=内閣総理大臣に就かせた。
しかし、無能でヘタレの安倍晋三氏は、命を賭して任務遂行に励むどころか、“脱税疑惑”報道に直面すると首相職を投げ出し遁走してしまった。
それでも、尖閣諸島国有化問題で日中関係が悪化した12年秋、日本に課された外交課題を知る自民党幹部たちは、そのようなカス政治家安倍晋三氏を再び自民党総裁=内閣総理大臣に就かせた。
12年秋に安倍晋三氏が自民党総裁に再任され民主党野田首相が衆議院解散を表明するに至った経緯(加えて石原慎太郎東京都知事の辞任)にも、中国や米国の意向が働いている。
安倍晋三氏は、中国共産党に望まれている日本国総理大臣に返り咲いたのであり、米国もそのために仲立ちを努めている。
13年暮れの靖国参拝も、「コアな安倍政権支持層である右派(反左翼・反中共)をつなぎ止めるため」に必要と中国や韓国の政権に説明し(米国政権にも)、事前に了解を得たうえの“暴挙”なのである。
※参照関連投稿
「[衆議院解散劇の裏を読む]米国も絡む日中関係に規定され動いてきた日本の12年後半政局」(http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/769.html)
「茶番劇!?石原氏は、息子も出馬した総裁選での安倍勝利を予め知っていた可能性:無視されたままの党首討論会「石原重要証言」」
http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/780.html
「日中首脳会談」11月の実現に向け意欲 安倍総理:実施確定:高村氏の「もう靖国神社には行かない」発言を利用した“猿芝居”
http://www.asyura2.com/14/senkyo168/msg/520.html
「桝添東京都知事訪中の真意は“安倍訪中の露払い”:日中関係悪化の理由に関する石原氏の説明と教科書検定で改善に向かう日中関係」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/312.html
「安倍政権は3月に教科書検定という裏口を使い「中国の領有権主張」と「南京虐殺」を認定:靖国不参拝も5月高村副総裁訪中で伝達」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/319.html
「安倍首相の“右翼愛国的言動”は、朝鮮半島統一を支えるため、韓国がスムーズに中国にすり寄っていけるにする猿芝居」
http://www.asyura2.com/14/asia15/msg/802.html
「オバマは知ってた?FTAと税逃れの不適切な関係
アメリカ:米パナマ自由貿易協定は「金持ちの税逃れ」を危惧する声を押し切って締結されていた
各国首脳や大手企業によるタックスヘイブン(租税回避地)の利用実態を暴露し、世界に激震を与えている「パナマ文書」。ところが今から5年以上前に、バラク・オバマ米大統領とヒラリー・クリントン国務長官(当時)は、この問題について警告を受けていた。
オバマは09年に大統領に就任すると、クリントンと共にパナマ、コロンビア、韓国それぞれとの自由貿易協定(FTA)を推進。交渉そのものはブッシュ政権時代に始まったが、米議会の都合で塩漬けになっていたものだ。
反対派の声は厳しかった。パナマは所得税率が非常に低く、銀行機密法があることから、外国人の資産隠しや、違法なマネーロンダリング(資金洗浄)の温床になりやすい。その上、外国の捜査当局から要請を受けても、協力を渋ることで知られていた。
オバマは富裕層の所得税率引き上げに力を注ぐ一方で、富裕層の税逃れを事実上容易にする米パナマFTAに11年に署名した。これに先立ちクリントンも、上下両院がFTA実施法案を採択すると、歓迎の意向を発表。パナマ、コロンビア、韓国とのFTAは「米企業の輸出を一段と後押しするだろう」と称賛した。さらにクリントンは、「オバマ政権は、世界におけるアメリカの経済的関与を深化させるべく、日々努力している。FTAはその決意の表れだ」と言い添えた。
しかし批判派は、FTAによって金持ちや企業は海外に作ったペーパーカンパニーや銀行口座を通じて、多額の税逃れが可能になると指摘した。「租税回避地は、所得税率がゼロまたは非常に低いか、銀行機密法があるか、税金問題に関して諸外国との情報交換に応じないという特徴がある」と、NGO「税の公正を求める市民連合」のレベッカ・ウィルキンズは11年に指摘した。「パナマの場合、この3つがすべてそろっている。おそらく最悪だ」
FTAで資産隠しが簡単に
オバマとクリントンが推進したFTAによって、アメリカの捜査当局は事実上、パナマを経由する個人や企業の疑わしい活動を取り締まれなくなったと、複数の市民団体は指摘する。FTAはパナマ政府に銀行関連法令の譲歩を強いるどころか、アメリカの捜査当局がパナマを通じた税逃れを取り締まろうとすれば、FTA違反として国際機関の処罰を受ける可能性がある。
「米パナマFTAは、税逃れを取り締まるためのアメリカの政策手段を制限するだろう」と、消費者団体パブリック・シチズンは当時警告している。さらに、このFTAによって公共事業の受注業者や、公的資金の注入を受けた大手金融機関も資産隠しがしやすくなると指摘した。
こうした反対意見にもかかわらず、一部の民主党議員はFTA成立に向けて、オバマ政権に積極的に働き掛けていた。民主党の重鎮マックス・ボーカス上院議月(当時)は、FTA実施法案を議会で可決させるべく尽力した。チャールズ・ランゲル下院議員は、オバマが「スター並みの人気を駆使」して、FTAを実現するよう促した。実際、オバマはパナマの大統領をホワイトハウスに招いて説得に当たった。
ルパート・マードックのニューズ・コーポレーションなどの大手企業も、米パナマFTAを実現するべく、ロビー括動を展開した。ハフィントン・ポストによると、当時ニューズにはパナマ籍の子会社が136社あった。
とはいえ、民主党がFTAに賛成一色だったわけではない。マイク・ミシュー下院議員は09年、オバマが大統領に就任した2カ月後に政治紙ザ・ヒルへの寄稿で、パナマとのFTAに反対を表明した。
「まるで二重苦だ。これはアメリカの雇用を減らす貿易協定だ。しかも米政府監査院(GAO)によると、パナマは国内外の主要監視団体が発表するタックスヘイブン監視リストで、例外なく名前が挙がる8カ国の1つだ」
ミシューはさらにオバマが大統領候補時代、これらFTAの再交渉を約束したことを指摘している。それと同時に、パナマが租税情報を共有するための協定調印を渋っていることは、この国が抱える大きな問題を象徴していると警告した。
結局、アメリカはFTA実施法案の可決前に、パナマと租税情報の共有協定を結んだ。しかしパブリック・シチズンによると、この協定は、「個別の事案で米政府の要請があった場合、パナマ政府は情報提供を拒否できない」ことを定めていたにすぎない。
あれから4年半。パナマの法律事務所モサック・フォンセカから洗出した文書は、過去40年近くの問に同事務所が提供するオフショア金融サービスを利用した企業21万社の情報を含んでいた。流出文書は計1150万点に上るという。
こうしたオフショア企業の多くはペーパーカンパニーで、関係者にはデービッド・キャメロン英首相の父親、アイスランドのシグムンドゥル・グンロイグソン首相、それにロシアのウラジーミル・プーチン大統領の側近など、現職または元国家首脳12人と、彼らとつながりのある60人が含まれている。
こうしたペーパーカンパニーは租税回避だけでなく、資金洗浄やテロ組織への資金提供など、明らかに犯罪組織につながる資金の流れも可能にする。それだけに「パナマ文書」が明るみに出て以来、世論の反発は大きく、既にグンロイグソンは辞任に追い込まれた。
オバマは先週、タックスヘイブンを利用した資産隠しを「大きな問題」だと語った。だが、その舞台がパナマだったことについては、なんら驚きではなかったに違いない。
クラーク・マインドドック、デービッド・シロタ」
オバマ米大統領は、ジェームス・クラッパー国家情報長官が現在、2001年9月11日の米国同時多発テロについてのレポートの機密部分を検討しており、その開示についておそらく助言を出すだろうと明らかにした。
オバマ大統領はCBSテレビに対して、重要なのは公開文書が米国の国家安全保障を損なわないという保証だと語っている。
CBSテレビのキャスターのチャーリー・ローズ氏が大統領自身はレポートのうち、28ページに及ぶ機密部分を読んでいるかという問いかけると、オバマ大統領は、内容の予想はついていると答えた。
9・11同時多発テロのレポート作成者の一人、ボブ・グレム民主党元議員は先に一連のマスコミに対し、レポートには旅客機のハイジャックし、ニューヨークの世界貿易センタービルと米国防総省本庁舎に差し向けた犯人らをサウジアラビアが支援していた証拠が含まれている可能性を指摘していた。
アフガニスタンの首都カブールで、情報機関の建物の前で爆弾を積んだ車が爆発して、少なくとも28人が死亡、300人余りがけがをし、反政府武装勢力タリバンが犯行を認めました。
アフガニスタンの首都カブール中心部で19日、情報機関の建物の前で爆弾を積んだ車が爆発し、警察などによりますと、少なくとも28人が死亡し、300人余りが割れた窓ガラスに当たってけがをしました。
内務省によりますと、爆発のあと数人の武装グループが敷地内に侵入して治安部隊と銃撃戦になりましたが、およそ3時間後に制圧したということです。
現場の近くにはJICA=国際協力機構の事務所がありますが、事務所によりますと爆風で窓ガラス数枚が割れたものの、けがをした人はいないということです。
事件のあと反政府武装勢力タリバンが声明を出し、情報機関を狙ったと犯行を認めました。
タリバンは先週、雪どけの春を迎え、駐留する国際部隊や政府関係者を狙って攻勢を強めるとする声明を出していて、治安部隊が警戒していました。
襲撃された情報機関は、テロ対策のほか、ガニ大統領など政府要人の警護を担当する治安維持の要で、アフガニスタン政府は改めて治安対策の見直しを迫られることになりそうです。
3.11のときも、原発の維持を図るために無意味で無謀な「計画停電」に踏み切ったり、復旧予算を人質に増税政策を打ち出させる「復興会議」を開催して復旧活動を先延ばしにする許しがたい動きに出た。
3.11でも「トモダチ作戦」と銘打った取り組みが行われたが、今回も、駐留米軍の存在意義を再確認させるため緊要性が乏しい米軍の支援を受け容れただけでなく、利用価値の宣伝効果を狙ってか危険視されているオスプレイをわざわざ使った輸送活動まで行っている(オスプレイは自衛隊も導入予定)。
米軍支援の話は、安倍首相は当初必要性を認めなかったそうだから、外務省や防衛省の官僚たちが「日米同盟」に配慮し進言したと推測できる。
消費税延期についても、延期(凍結)という結論には賛同だが、その理由として九州中部の震災を持ち出すのは、やはり“災害の政治利用”という謗りを免れないと思う。
問題は、消費税税率引き上げの延期理由を地震災害にしてしまうと、消費税増税が“凍結”ではなく、災害の復旧復興に目処が付くまでの“延期”になってしまう可能性が大きいことである。
消費税は、現在の8%をマックスの税率として凍結し、将来的には別の税に置き換えるかたちで廃止しなければならない。
※参照関連投稿
「消費増税、首相発言で臆測 予定通りか再び延期か:正当化のネタ探しはしているだろうが再延期は既定方針」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/822.html
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熊本地震発生で…増税“見送り”公算大きく[日テレNEWS]
2016年4月19日 17:27
安倍首相は消費増税見送りの検討に入っていたが、今後の日本経済への影響が避けられない震災の発生によって引き上げを見送る公算が大きくなった。安倍首相は、地震の被害規模や経済状況を見極めつつ来月の伊勢志摩サミットの前後に最終判断する考え。
熊本などでの地震を受け政府が来年4月の消費税率10%への引き上げを見送る公算が大きくなっている。
安倍首相はすでに消費税率の引き上げ見送りの検討に入っていたが、今後の日本経済への影響が避けられない震災の発生によって引き上げを見送る公算が大きくなった。
安倍首相は消費税率の引き上げ見送りを検討する一方で、表向きは「リーマンショック級あるいは大震災級の事態にならない限り、予定通り引き上げる」との言い方を変えていなかった。しかし、熊本地震の発生を受けて、ある政府高官は「影響はリーマンショック級くらいになるのではないか」と語るなど、消費増税見送りの条件に当てはまるとの認識を示した。
一方、自民党内には「景気対策を行うにも財源が必要だ」などと予定通り引き上げるべきとの意見も根強くある。安倍首相は、地震の被害規模や今後の経済状況を見極めつつ来月の伊勢志摩サミットの前後に最終判断する考え。
また、夏の参議院選挙に衆議院選挙をぶつける衆参ダブル選挙については、政府・与党内に難しくなったとの声も出ている。自民党幹部は「どれくらい余震などの影響が長引くかによる」と話している。安倍首相は今月24日の衆議院の補欠選挙の結果などをにらみながら判断するものとみられる。
一方、食料や水などが被災者に十分行き届いていないとの指摘がある中、政府は対応を急いでいる。当初予定していた食料90万食は19日、41万食を配送して、すべて配り終える予定。さらに90万食を20日以降、できる限り前倒しして発送する考え。
こうした中、国会では20日に予定されていた党首討論の延期が決まった。また、今国会でのTPPの承認も見送られる方向となった。
ブレント原油44ドル突破 ドーハ会談後の下落分取り戻し[スプートニク日本語]
2016年04月20日 00:21(アップデート 2016年04月20日 01:13)
ブレント原油44ドル突破 ドーハ会談後の下落分取り戻し
19日、ブレント原油先物取引6月の価格が、ロンドンICE先物取引所で2.6パーセント値上がりして1バレル=44.02ドルとなった。
これにより、ブレント原油の価格は、ドーハ会談後の下落分を完全に取り戻した。
ロシアの2016年の原油輸出量は、2015年と比較して約4パーセント増加し、2億5400万から2億5500万トンとなる可能性がある。ロシア・エネルギー相のテクスレル第1次官が発表した。
テクスレル氏は、「輸出量はおよそ2億5400万から2億5500万トンになる見込みだ。これは(ロシアの2015年の原油輸出量と比較しても)3パーセント以上多い」と述べ、「輸出量は2つの要素によって増加する。それは年間の原油生産量の増加と、加工量の減少だ」と指摘した。
ロシアの2015年の石油輸出量は、2億4448万5000トンだった。したがってロシア・エネルギー省の予測によると、ロシアの2016年の石油輸出量は3.9パーセントから4.3パーセント増となる。
「熊本地震発生で…増税“見送り”公算大きく:TPP採決も、地震活動が続けば「同日選挙」も見送りか」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/691.html
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[大機小機]消費増税の先送り方
九州地方で起きた熊本地震は、自然の恐ろしさを改めて見せつけた。政府は人命を第一に、救助・復旧に全力をあげてほしい。
道路や鉄道などのインフラは寸断された。訪日客の減少も懸念される。経済への影響はすぐには分からないが、2017年4月に消費税率を現行の8%から10%に引き上げるハードルは一段と高くなった。
もともと、景気は本調子からほど遠い。実質賃金は増えず、円高も心配だ。15年10〜12月期に続き、16年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)もマイナス成長がとりざたされる。「デフレ病」が悪化するくらいなら、増税は延期するのが正解だろう。
その判断は正しくても、ことはそう簡単ではない。危機的な日本の財政を考えれば消費増税は必要だ。第1に増税を先送りするなら、次にいつ上げるのか。
財務省幹部は「今の政権のうちにやらなければ無責任だ」という。安倍晋三首相の自民党総裁任期は18年9月だから、その場合は18年4月。しかし、1年の猶予で日本経済を巡る不安がなくなるだろうか。それなら19年4月? その年の夏には参院選がある。
第2に、次の増税時期を決めたとして、それを誰が信じるのか。14年11月に消費増税の先送りを表明した安倍氏は記者会見で「再び延期することはない。断言する」と力説した。
安倍氏は「リーマン・ショックや大震災のような事態が起きない限り、予定通り増税する」とも言ってきた。ただ、増税先送り論は熊本地震が起きる前から政権内にあった。法律にも書いた内容を2度もくつがえして「今度こそ」で納得するほど市場は甘くない。
首相周辺では、安倍氏が増税先送りを決断した場合の頭の体操が始まっている。「延期するかどうかではなく、どうやって延期するかが悩ましい」と政府高官は漏らす。税収増が見込めなくなる分、財政健全化は遅れる。子育てや介護など社会保障を充実させる財源が不足する問題もある。
「必ずや(増税できる)経済状況を作り出す」。14年11月、安倍氏はこうも言った。なぜそうならなかったのか。「決断」の理由を中国経済の不調などの外部環境や震災だけに求めるのなら、増税延期の先にあるのはやはり増税延期しかない。
(ペン尻)
[日経新聞4月19日朝刊P.17]
(上)iPS、進む応用研究
安全評価の温度差が壁
iPS細胞を使う再生医療が本格的な治療応用を前に足踏みしている。研究は活発で、予算や法制度の面で国の支援も進んだ。だが、移植する細胞の安全性の評価や臨床の進め方などで研究者間の意見の違いもみられ、計画に遅れが出ている。iPS細胞の開発から10年、国際競争が激しくなる中で、再生医療の「離陸」へ向けた関係者の模索は続く。
「再生医療は可能性の模索ではなく、普遍的な治療となる」。今月中旬、日本再生医療学会の記者会見で、理事長を務める大阪大学の澤芳樹教授はこう強調した。大阪市で開かれた学会では、iPS細胞を使った再生医療の実用化につながる成果の発表が相次いだ。
だが、会場から難病患者らが実現時期を次々に質問する姿はなかった。技術的には実用化に近づいているが、臨床応用が思うように進まないことが影響している。
理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらが目の難病の加齢黄斑変性の患者を治療する臨床研究を実施したのは2014年。だが昨年、2例目の実施を見送った。文部科学省は昨年12月、iPS細胞を使った再生医療実現の工程表を改訂、一部の病気で臨床の開始時期を遅らせた。
背景にあるのが安全性に対する考え方の違いだ。高橋リーダーらは2例目の実施前、移植に使う予定だった細胞に遺伝子の変異を見つけた。詳しく調べ、移植してもがん化するおそれはまずないと判断したが、臨床研究を審査する厚生労働省の委員会から「安全とはいい切れないのでは」と指摘された。高橋リーダーは「混乱すると思って中断した」と明かす。
「あまりにも慎重すぎる」。先週、京都市で開かれた国内外の有力研究者を集めた国際会議。マサチューセッツ工科大学のルドルフ・イェーニッシュ教授は理研の安全性評価を聞いてこう漏らした。すかさず同大学のリチャード・ヤング教授が「あらゆる問題に配慮しながら進めるべきだ」と反論した。米国でも見解は定まっていない。
厚労省と文科省が設置した研究班は安全性の評価基準づくりを進めている。3月末までにまとめる予定だが、作業は遅れ気味で、研究者や企業は慎重になるとの見方が多い。iPS細胞の生みの親である京都大学の山中伸弥教授は「研究者が苦しみながらでも責任をもって考えなくてはならない」と話す。そのうえで「遺伝子変異の安全性への影響は一つ一つのケースごとに判断していくしかない」とも指摘する。
iPS細胞から作った移植用の細胞などを製品化して普及させるには、法に基づいて厳格な審査・承認を受ける臨床試験(治験)が必要だ。しかし日本では、早く治療を試みるため、治験の手続きを経ずに臨床研究を進める場合も多い。理研の高橋リーダーらが実施した治療もこのケースだ。
再生医療学会は治療内容によっては臨床研究と治験の両方が必要との立場だ。阪大の澤教授は患者の太ももの筋肉細胞から心臓シートを作る技術を開発し、昨年9月、テルモが製造・販売の承認を受けた。「臨床研究でしっかり調べたのが治験で役立った」という。
一方で、治験から進めるべきだという意見も根強い。臨床研究は研究者が都合の悪い結果を省くケースもあるなど問題点も指摘されている。臨床研究情報センターの福島雅典センター長は「後から治験をするのは二度手間」と主張する。
国、研究者、医師が一枚岩にならないと臨床は進まない。考え方の違いはあれ、難病を克服したいという思いは共通する。再生医療の歩みを止めないために共通項を見いだす努力が必要だ。
米英、治験開始へ加速
人のiPS細胞や受精卵から得られる胚性幹細胞(ES細胞)などの万能細胞を再生医療に応用する試みは、米国や英国で加速している。米スクリプス研究所やバック加齢研究所、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターはそれぞれ万能細胞から作った神経細胞を移植してパーキンソン病を治す臨床試験(治験)を計画する。最初の治療が2017年秋ごろまでに始まる見通しだ。
英ロンドン大学のグループはES細胞から、これまで難しいとされてきた網膜の視細胞を作製した。理化学研究所の故・笹井芳樹氏らの手法を応用し微細構造まで再現した。3年内に加齢黄斑変性の治験開始をめざす。
富士フイルムが買収した米セルラー・ダイナミクス・インターナショナル(CDI)もiPS細胞を使った治験を始める。17年に米国立衛生研究所(NIH)の助成で網膜色素上皮細胞を作り加齢黄斑変性に使う治験を、19年にはパーキンソン病や心臓病の治験をそれぞれ始める予定だ。
治療に不可欠な安全で高品質なiPS細胞の備蓄も進む。米ニューヨーク幹細胞財団は拒絶反応を起こしにくいタイプの臍帯血(さいたいけつ)から、米国人の20〜30%に使えるiPS細胞を作製した。
セルラー・ダイナミクスも約35%に利用可能な細胞を作製済み。今年は50%のカバーをめざして備蓄を拡充、最終的に95%に引き上げる。将来は日本や中国、欧州とも連携し、これらの国・地域の人口の約半分をカバーしたいという。
[日経新聞3月28日朝刊P.13]
(中)体内の幹細胞実用化 先行 若手研究者の不足懸念
重症の心不全患者の治療に用いるテルモの再生医療製品が、近く販売される。患者の太ももの筋肉から採った細胞を培養して作った「ハートシート」だ。心臓に貼ると活性物質が分泌され、心機能を改善する。
食道がん患者の口の中の粘膜細胞を培養して作ったシートを食道に移植し、狭窄を防ぐ(長崎大学提供)
臨床試験(治験)を受けた患者は7人。従来の法制度下で承認を得るにはもっと多くの症例が必要だったとみられるが、2014年11月に施行された医薬品医療機器等法によって道が開けた。
日本の再生医療研究は20年ほど前に始まったが実用化では海外に後れを取った。12年末時点で欧州では20品目、米国で9品目、韓国で14品目の再生医療製品が承認されていたが、日本は2品目にとどまった。
再生医療に使うのは、患者などから提供された細胞だ。個々の差異が大きく、対象者も少ない。医薬品のように治験で有効性を証明するのは難しく、実用化が進まない原因になっていた。
新法では新たに「再生医療等製品」という枠を設け、少数例でも効果を推定できれば、一定の条件のもとで、期限つきで承認することを認めた。ハートシートの期限は5年。その間に60例のデータを集め、改めて承認申請する必要がある。
再生医療では、iPS細胞やES細胞といった万能細胞を使うものが注目されがちだ。だが実用化で先行するのは、体内にあり、特定の細胞になる「体性幹細胞」を使う再生医療だ。
ハートシートと同時に承認されたJCRファーマの「テムセルHS注」は患者以外の骨髄から採取した「間葉系幹細胞」という体性幹細胞だ。造血幹細胞移植の後に起きる合併症の治療に使う。
ここ数年で、体性幹細胞を使う再生医療を実用化するための環境整備は格段に進んだ。
厚生労働省は2月、試行的に始めた「先駆け審査指定制度」に、ニプロと札幌医科大学が共同開発している脊髄損傷の治療向けの間葉系幹細胞など2件を指定した。薬事承認の審査などで優先的に取り扱われる。
また自由診療で幹細胞治療を行う民間病院が続々と現れて安全性への懸念が高まり、厚労相への計画の事前提出を義務付けた。
治験の前段階となる体性幹細胞を使った臨床研究は、2月末で29件が実施されている。長崎大学病院は東京女子医科大学と共同で、早期食道がんの手術後に起きる食道狭窄(きょうさく)を防ぐ再生医療の臨床研究を患者10人に実施した。
患者の口内から採った粘膜細胞を培養しシートにして食道に移植する。組織が硬くなると狭窄が起きるが、移植した患者は「組織が柔らかく、経過はおおむね順調」(江口晋長崎大教授)。年内にも別の医療機関で治験が始まる予定だ。
体性幹細胞を使った再生医療はようやく走り出した感があるが、海外に追いつき追い越すには課題もある。研究現場における人材不足だ。再生医療全体の問題だが、特に体性幹細胞の研究はiPS細胞などと比べて予算が付きにくい。
日本医療研究開発機構再生医療研究課の武井良之調査役は「50歳以下の研究者の予算が不足しており、次代の研究者をいかに育てるかが課題」と話す。「細胞培養やその管理をする人材も不足している」という。
今後は体性幹細胞で臨床の実績をいかにiPS細胞やES細胞などを使う再生医療の実用化につなげていくかが問われることになりそうだ。
[日経新聞4月4日朝刊P.13]
(下)治療応用へ環境整備必要 資金集めや患者連携カギ
京都大学iPS細胞研究所長を務める山中伸弥教授が今、時間と労力を割いているのは病気治療用のiPS細胞を備蓄する取り組みだ。関係省庁などとの擦り合わせも必要で、忙殺される。「優秀な頭脳がもったいない」。同教授をよく知る大学研究者はこう嘆く。
iPS細胞研究に関する海外の成果も多く報告された(3月に京都市内で開いた国際シンポジウム)
文部科学省は2012年に山中教授のノーベル賞受賞が決まると、10年間に1100億円のiPS細胞研究費を投じると決めた。このうちの一部を細胞備蓄用とした。
再生医療を望む患者からその都度iPS細胞を作り、様々な組織に育てて使うのでは時間も費用もかかる。治療が間に合わない場合もある。そこで、他人の体内でも拒絶反応を起こしにくい免疫タイプの人からiPS細胞を作って凍結保存し、必要な時にすぐ使えるようにするのが備蓄だ。
再生医療の普及に欠かせないインフラとして米英でも整備が進むが、1つの大学に作製から安全性評価、備蓄まで委ねてはいない。米国立衛生研究所(NIH)は企業に委託し細胞を作製・備蓄する。英国でも研究から治療への橋渡しを担う国の関係機関が製造設備や専門の人員をそろえる。
作製・備蓄した細胞は安全に使えなければならない。山中教授は細胞のゲノム(全遺伝情報)を詳細に解析し、がん化の恐れがないか調べている。だが、リスクがないと断言するのは難しい。iPS細胞ができる仕組みやがん化の過程は未解明な点も多いためだ。
政府は再生医療を国の成長戦略の柱の一つに据え、日本医療研究開発機構を通じて治療応用という「出口」を意識した研究を推進する。iPS細胞の備蓄はそのモデルと位置づけるが、研究者出身の末松誠・同機構理事長は「研究者を出口へとせかしすぎてはいけない」と話す。分子生物学などの幅広い研究をもとに安全性を評価する必要があるとの考えからだ。
山中教授は資金集めにも奔走している。優秀な人材を通常の教員ポストと同じように無期雇用したいためだ。文科省のiPS細胞研究予算の一部は、期間が5年前後の複数の計画に割り振られている。終了とともに予算は打ち切られるので、従事する研究者やスタッフの多くは有期雇用だ。
そこで京大iPS研では基金を設立、集まった資金を人件費や研究費に充てる仕組みを作った。個人や企業から計10億円を超える寄付が集まる年もあり国内屈指だが、米国などに比べると資金源は限られ規模も小さい。
例えば米カリフォルニア州が出資する同州再生医療研究所は今後5年間に10億ドルを投じ、50件の臨床試験(治験)を実施する計画だ。フランスの筋ジストロフィー協会はテレビ番組と組み年間100億円規模の募金を集め、半分を研究助成に回す。
米欧では研究者と患者も緊密に連携する。「一緒に規制当局に治験の審査基準見直しを訴えることもある」。鎌状赤血球貧血という病気の米患者組織アクシス・アボカシーのエードリアン・ベルコース科学技術アドバイザーは話す。日本で再生医療を加速させるにはこうした工夫も参考に課題を再点検し、もう一段アクセルを踏み込める環境を整える必要がある。
編集委員 安藤淳、西山彰彦、草塩拓郎が担当しました。
[日経新聞4月18日朝刊P.15]
それはともかく、空虚で放埒な自由を旗印にソ連やロシアを破壊させたゴルバチョフ氏やエリツィン氏を評価しているJohn Lloyd氏が、プーチン・ロシアをまともに評価できるとは思えない。
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Column | 2016年 04月 19日 17:39 JST
コラム:ロシアはいつ壊れるのか[ロイター]
John Lloyd
[14日 ロイター] - ロシアはいつ崩壊するのか。どん底の原油価格や、西側諸国による制裁、インフレ、そして人口危機──。第2のロシア革命はいつ起こるのだろうか。1917年に発生したロシア革命から100周年を迎える来年だろうか。
第1次ロシア革命では、労働者や農民、兵士がサンクトペテルブルクの豪華な宮殿にいる貴族階級に反抗して決起した。その人数は膨大ではなかったが、十分なものだった。
プーチン大統領が率いるソ連崩壊後の支配階級は今や、モスクワの豪華なクレムリン宮殿に移り、生まれながらに裕福ではなかった埋め合わせに、大きな富をお互いにぐっと差し出し合っている。不平不満のある人々にとっては、魅力的な目標だろう。
今のところ、革命の兆しもないし、深刻なデモさえもない。クレムリンの中枢にいるプーチン氏は、世論調査で80─90%の支持率を享受し、非常に高い人気を今も誇っている。2014年3月にロシアがウクライナ南部にあるクリミア半島を併合して以来、この2年間そのような状況が続いている。
ウラジーミル・ナボコフの1945年の著書「A Conversation Piece(原題)」の中で、ロシアの白軍の亡命大佐は、彼の祖国を奪った共産党の宿敵だったが、スターリンへの敬愛の感情を爆発させている。「偉大なロシア人民は目覚めた。そして、我が祖国は再び偉大な国となる。今日、ロシアから出てくるあらゆる言葉に、私は力を感じる。私は古き母国ロシアの素晴らしさを感じる」
著名なリベラル色の強い評論家、アンドレイ・コレスニコフ氏は、現在のロシアの指導部が「不自由さを聖なるものにする」傾向があると書いた。すなわち「新しい社会契約は、ロシア人民がクリミアや国家威信と引き換えに自由を放棄することを要求している」
このような誇りの高まりに伴って、それを強化するような姿勢が現れている。つまり、スターリンへのさらなる称賛と、米国やヨーロッパ連合体(EU)に対する称賛の大幅な低下だ。ロシア人の大部分は、権力の誇示を称賛する亡命大佐と一致している。
「ロシアは再び偉大な国である」という誇りの植え付けは、クレムリンにとって最大の、そしておそらく唯一のカードであり、何度も使う必要があるだろう。ロバート・カプラン氏は最近のエッセイの中で、プーチン氏の「外交政策はより創造的に、そして、用意周到でなければならない。彼が海外でカオスを作り出せば作り出すほど、国内での彼の安定的な独裁体制が価値あるものとなる」と記した。
ロシア大統領が本当に西側を嫌いかどうかはともかく、プーチン氏が生き残れるかどうかは、彼自身がそう振る舞うことにかかっている。
しかし、プーチン氏の成功には1つの問題がある。クリミア併合は、制裁実施前から顕著だった同国の不況を補うものとなった。それは、堅調な消費増加と引き換えに、国家への忠誠を要求し、指導者層が裕福になるよう任せるという、プーチン流の社会契約から、人々の話題を変えた。
コレスニコフ氏が指摘するように、「国家イデオロギーは未来への最重要な概念は与えてくれない。その土台はロシアの過去の栄光だ。この意味では、国家イデオロギーは、極めて限定的な寿命しか持ち合わせていない」。カプランもこれに同意している。「プーチン氏は経済破綻の影響から自らのレジームを守ることはできなだろう」と。
ロシアで最も優秀なエコノミストの1人は今月、ロシアのナショナリズム、及び帝国主義の復活は脆弱であり、それを変える、もしくは変えなければならないとの予想の確固とした裏付けを示そうとした。(カプラン氏は、フルシチョフを1964年に倒したようなクーデターの可能性を排除できないと考えている)。
第1期プーチン政権で経済開発貿易相第1次官を務め、現在はフロリダ州立大教授のミハイル・ドミトリエフ氏は、「プーチンの春」で改革が実施できると考えた優秀な若手リベラル派のグループの1人だった。しかし、プーチン政権が独裁に向かって漂流しているとみるや、ドミトリエフ氏はグループを去った。
同氏は、英王立国際問題研究所(チャタムハウス)での年次ロシア講義の中で、注意深いエコノミストの手本となっている。すなわち、ロシア経済は大災害ではない。ロシアの中央銀行は、どの中銀に劣らず、景気後退を何とか管理してきた。失業率は約6%と低く、欧州の多くの国よりははるかに低水準だ。輸入が足りず、その分を国内生産でまかなう点で成功してきた。原油価格の下落で白日の下にさらされた、ロシアの原油価格依存は、経済を他の分野にも多様化させなくてはいけないという新たな関心を起こしている──。
とは言うものの、ロシアは今年、推定で1.5%のマイナス成長という景気後退に直面している。よくて、かなり低いプラス成長へ戻る予想だ。2017年は0.9%、2018年は1.2%の成長が見込まれている。運がよければ、ロシアは10年後、GDPが危機以前の水準まで戻るだろう。雇用は堅調だ。従業員を解雇するよりも、雇用者は賃金を削減するからだ。消費はかなり悪化している。
驚くべきことではないが、政治家の人気は落ち込んできている。メドベージェフ首相の支持率は大幅に低下してきている。多くの州知事の支持率も同様だ。
しかし、プーチン氏は違う。以前の多くの独裁者と同く、たとえ彼が命令を下したとしても、政治論争を超えた人物となっている。同氏は、自らのレジームが建てられている岩だ。欠かせない人物だ。大多数のロシア人が同氏に与えている支持、もしくは愛情、が消えるとすれば、現在の権力構造を支えるすべてが失われることになる。
その時、他の世界にいるわれわれは未知の領域に踏み込むことになる。ロシアは指導者を中心に団結することができず、はっきりとした後継者もいない。リベラル派は小さく、いまだ信頼を置けない集団のままだ。
皮肉にも、希望は抗議運動の中にある。ドミトリエフ氏によれば、ロシアにおいて、抗議運動はおおよそ経済的な混乱から数年遅れて起こるという。例えば、2011年の抗議運動の高まりは、世界の他の多くの国と同様、2008年の激しい景気後退の3年後だった。
抗議運動によって、より強く過激なナショナリストのグループや、プーチニズムの終焉はこの偉大な国が、自らの復活に必要な欧州との関係を再構築する好機とみる人々が、指導者として登場することもあり得る。
「ヨーロッパの運命」は、旧ソ連のゴルバチョフ元大統領が1980年代後半にソ連を開放した根底にある意味だった。それは、1990年代当時のエリツィン政権によっても、断続的に保たれた。しかし、それはもてあそばれ、2000年代になってプーチン氏によってきっぱりと捨てられた。
プーチン氏がもし失脚するならば、ロシアは復活のチャンスがある。それを望む人々は誰でも勇気と強さ、そして支援を必要とするだろう。こうした人々が失敗したとき、今日より危険な領域に私たちは踏み入ることになろう。
*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。
http://jp.reuters.com/article/russia-putin-idJPKCN0XG054?sp=true
ジャーナリストで経済ならびに金融分野の専門家のエルンスト・ヴォルフ氏は、米国は中東で紛争が続くことに関心があるとの見方を示した。
ヴォルフ氏は、数十億ドル規模の融資がなされたフラッキング技術をつかって掘削する米国企業は、原油価格が80ドルの水準でようやく採算が取れるため、現在大きな困難に直面していると指摘している。
融資金はすべて数千億ドルの保険がかけられているため、多くの企業が破産した場合、米国の金融システムは深刻な危機に陥る。
ヴォルフ氏は、「状況を改善できるのは原油価格の急騰しかないのは明らかだ。原油価格は何によって上昇するのか?それは非常に簡単だ。多くの油井が破壊される中東での戦争だ」と述べた。
国務院弁公庁はこのほど、「品質発展実施綱要2016年行動計画」を発表した。この中には、空気洗浄機や炊飯器、温水洗浄便座など、国民からの関心が高い消費財の品質向上に関する特別行動が含まれる。京華時報が伝えた。
「行動計画」では、空気清浄機、炊飯器、温水洗浄便座、スマートフォン、玩具、子供・ベビー服、キッチン用品、家具など、消費者からの関心が高い消費財を重点とし、消費財の供給を改善する特別行動、および消費財の品質向上プロジェクトを実施し、商品の種類を増やし、質を高め、ブランドを確立する方針が打ち出されたほか、以下の内容が提起された。
・重点分野におけるサービス業品質向上特別行動を実施する。
・「重大新薬開発」特別プロジェクトにより、新薬の研究開発の質とブランドの向上を推進する。
・医療の質向上に向けた特別行動、アフターサービスの質向上活動を実施する。
・アフリカや中東への輸出品、クロスボーダーEC商品の品質向上に力を入れる。
・輸出食品の競争力向上プロジェクトを実施する。
「行動計画」はまた、学校の食堂および飲用水設備の建設を推進し、学校食品の安全監督・検査を強化するよう要求したほか、重点食品、重点地域、重点問題、大型食品企業への監督管理を強め、食品安全の日常的な監督・特別検査・総合管理業務をしっかりと行い、安全リスクを排除し、生産・経営を全面的に規範化し、国民の「舌の上の安全」を全力で保障するよう求めた。
製品や企業に問題があるかどうか、今後はインターネットですぐに検索できるようになる。「行動計画」によると、発展改革委員会、工業・情報化部(省)、交通運輸部(省)などの機関は職責に基づき業務を分担し、全国的な信用情報共有プラットフォームを構築する。製品の質・知的財産権・水利プロジェクト・道路と水運・旅行会社・輸出入食品の国外生産企業などを含む信用情報を収集・統合し、信用情報の共有・交換を実現する。また、ウェブサイト「信用中国」を改良し、信用情報の一括検索を可能にする。国家製品品質信用情報データ収集業務を展開し、省レベルの品質信用データベースを試験的に構築する。輸入食品の国外生産企業の品質信用体系を試験的に構築し、情報のトレーサビリティと共有を実現する。
「行動計画」はさらに、クロスボーダーのオンライン取引における郵送ルートの監督管理を強化し、EコマースサイトやクロスボーダーECを利用した違法な密輸、「アリの引っ越し方式」などによる権利侵害・模倣品の輸出入といった違法行為を厳しく取り締まると指摘した。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年4月20日
国防部(国防省)新聞局は中国軍用機が永暑(英語名ファイアリー・クロス)礁に着陸して重病の労働者を搬送した件を米国側が問題視していることについて記者の質問に答えた。
【記者】米CNNによると、中国側が軍用機を永暑礁に派遣して重病の労働者3人を搬送したことについて、米国防省報道官はメディアの取材に「中国側が人道支援行動と称していることに留意している。だがなぜ民間機ではなく軍用機を使用したのかわからない」と述べた。米側は永暑礁に軍用機を配備しないよう中国側に求めもした。これについてコメントは。
【国防部新聞局】国民のために誠心誠意奉仕することは中国人民解放軍の根本的趣旨であり、緊迫した事態の際に国民を全力で救助するのは中国軍の優れた伝統であり、一貫したやり方だ。これと鮮明なコントラストを成して、人命が危険な時に米側は軍用機か民間機かを問題視する。もし米国民が米国領土で急病になった時、米軍は袖手傍観するのかとわれわれは問わざるを得ない。
強調する必要があるのは、中国は南沙(スプラトリー)諸島及びその周辺海域に対して争う余地のない主権を有しており、島・礁建設と防衛施設の配備は中国の主権の範囲内の事であり、あれこれ言う権利は米国にはないということだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年4月20日
中国の学者グループは、人工太陽製造において非常に大きな成果を上げた。その「太陽」は、摂氏5千万℃までの熱線を放射する能力を持つ。
合肥(ヘフェイ)にある装置は「実験用超伝導トカマク」と名付けられている。
中国科学院合肥物質研究院によると、実験装置は、電子温度5千万℃超の超高温長パルスプラズマ放電を102秒持続させる。また「人工太陽」は、コントロールされており、制限なくクリーンエネルギーを生産できる、とのことだ。装置は、太陽の表面で起こっている熱核融合プロセスを再現するものだ。
熊本地震発生後、初めて毎日新聞が16日と17日の両日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は先月より2ポイント上がり44%になった。地震への政府や関係自治体の対応について聞いたところ、回答者の65%が「適切だと思う」と答えた。韓国人の目には奇妙に思える現象だ。ここ熊本県では今も一日数十回の余震がある。寝て起きてテレビを付けてNHKのニュースを見るたび、14日からの地震発生回数が470回から540回、そして599回へとどんどん増えている。この記事を書いている最中にも足元で地響きがした。
安倍首相は地震発生以降、熊本県の近くにも来ていない。首相官邸と国会を行き来し、一日1−2回、緊急対策会議を主宰している。夜も早く官邸に戻っている。最初の大きな揺れがあった日だけ午前0時過ぎに官邸に戻り、それ以降は早ければ夜8時18分、遅くても夜10時35分には官邸に戻っている。日本政府は自衛隊を追加派遣し、迅速に対処しているが、現場ではあちこちで食事や水が不足している。車で2時間半の距離にある福岡は物資があふれているのに、熊本ではおにぎりが足りない。「首相はどこにいるんだ」「大臣はなぜ来ないんだ」「軍用機で食料を空輸せずに何をしているんだ」という声が殺到するのが普通だと思うのだが、実際にはそうした声が一切ない。
ただ、安倍首相は14日夜9時41分にカメラの前に立った。大地震が熊本を初めて襲ってから15分後のことだった。被害がはるかに大きかった16日の本震の時は、午前3時28分に記者会見するために出てきた。地震発生から2時間3分後だった。「住民救出に全力を尽くしたい」という短い言葉を、緊張感をもって言い、戻っていった。安倍首相は熊本には来ていないが、「では、その時間にどこにいたんだ」「誰と何をしていたんだ」という言い合いで国論が割れることはない。日本では首相の毎日の動向は翌朝の新聞に分単位で発表されるのが慣例になっている。記者が首相官邸執務室のエレベーター前に24時間張り込み、出入りする人々の氏名や肩書きを確認する。執務室のある階の廊下にも監視カメラが設置されており、誰が何時にどんな表情や足取りで出入りしたか、階下の記者室のモニターにリアルタイムで映し出される。
地震速報や通常の放送の合間に、NHKでは国会の主要会議を生中継した。与野党の議員たちが図表やメモ、政府報告書を見ながら実務的な地震対策を問い詰めた。揚げ足を取ったり、個人攻撃をしたりという方向には流れない。東日本巨大地震以降で最悪の自然災害に見舞われたが、そのことで国のリーダーシップまで満身創痍(そうい)になるようなことはない。安倍首相はまた強くなった。
熊本=金秀恵(キム・スへ)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/20/2016042000681.html
安倍総理大臣は、政府の非常災害対策本部の会議で、エコノミークラス症候群への対策強化とともに、被災者が避難所から自治体が確保した公営住宅などに早急に移れるよう、関係閣僚に指示しました。
政府はきょう午後5時前から、総理大臣官邸で、安倍総理大臣のほか、菅官房長官や河野防災担当大臣らが出席して、非常災害対策本部の会議を開きました。
この中で、安倍総理大臣は「被災者のために何ができるかという視点で支援策を加速化していかなければならない。特に要員が不足している被災自治体に対し、一両日中にさらに国の職員を投入する」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「被災者の心と体のケアについても気を配らなければならない。いわゆるエコノミークラス症候群の防止が急務で、車の中で睡眠をとる方々に対し、寝る前に意識的に水分をとるなど、予防法についてのチラシの配布を始めている。被災者に広く周知していただきたい」と述べました。
また、安倍総理大臣は、「避難所等での不自由な生活に起因する問題を根本的に解決するためには、住環境を早急に整備する必要がある」と述べ、高齢者や慢性疾患を抱える人など特に配慮が必要な人が、避難所から自治体などが確保した、公営住宅や民間の宿泊施設などに早急に移れるよう、関係閣僚に指示しました。
森山農林水産大臣は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に関する衆議院の特別委員会で、農産物5項目について、多くの品目で関税撤廃の例外を確保するなど影響を最小限にとどめているとして、国会の委員会決議に反するとする民進党の批判は当たらないという認識を示しました。
コメなどの農産物5項目を巡っては、森山農林水産大臣が、19日のTPPに関する衆議院の特別委員会で、生産物などの種類別にみた場合には、関税の税率をすべて変更することになったと明らかにしたのに対し、民進党は、「無傷だったものはなく、5項目を関税撤廃の例外とするとした国会の委員会決議に反する」と批判しています。
これに関連して、森山大臣は、20日の特別委員会で、「関税撤廃を求める強い圧力など、非常に厳しい交渉のなかで、重要5項目では424品目で関税撤廃の例外を確保して守られた」と述べました。
そのうえで、森山大臣は、「関税に変更を加えなかったかどうかだけで、守ったかどうかを判断するのではなく、影響を最小限にとどめたことを総合的に判断すべきだ。『守られたものがひとつもない』という主張は当たらない」と述べ、民進党の批判は当たらないという認識を示しました。
2016年のソウル市の財政で最も額が大きいものは何か。答えは、予算全体の34.7%、8兆3893億ウォン(約8065億円)に達する福祉費だ。
ならば、時計を戻して、植民地時代の1910年代ではどうだろうか。
ソウル歴史編さん院が『ソウルと歴史』第93号に収録した研究論文を見ると、このような答えが載っている。
当時、京城府(現在のソウル市)の最大の業務は「ふん尿の処理」だった。京城府の経常支出のうち、81%を占めていた。
1910年代を通して、ふん尿の処理費用は経常支出の半分以上を占め続けた。現在で言えば、ソウル市の最大の予算が「ふん尿くみ取り費」になったようなものだ。
その後、別の項目が大幅に増額されたことで処理費の割合は10%台まで低下した。しかし処理費は、水道費・事務費と並んで支出の上位3項目に入るほど、財政のかなりの部分を占めた。
京城府は衛生事業を拡大するため、35年からふん尿回収の手数料を導入し、36年には市の清掃義務を定めた「朝鮮汚物掃除令」が公布された。
回収されたふん尿は、光化門外の新堂里と麻浦の処分場に集められ、肥料メーカーや農場、個別の農家などに販売された。
しかし全般的に、肥料としてのふん尿の需要は日本の大都市ほど高くはなく、処分場のふん尿滞積は常に問題となっていた。化学肥料の導入、コレラ・寄生虫など衛生問題のため、後期になると肥料としての価値は下落した。
ふん尿処理は、植民地時代を通して京城府を苦しめた問題だった。
京城府は、回収がきちんと行われず、処分場があるせいで付近の住民が受ける被害、また肥料メーカーに対する特別待遇や贈収賄問題、さらに35年には回収手数料の導入などで頭を悩ませた。
NEWSIS/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/20/2016042001133.html
安倍晋三首相は20日、7月の参院選に合わせて衆院選を実施する衆参同日選を見送る意向を固めた。熊本、大分両県で続く地震への対応や足踏み状態が続く景気テコ入れを優先する。政府高官は20日に連立を組む公明党幹部に「衆院解散はない」と伝達した。
菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で、同日選の可能性を問われ、衆院解散は首相の専権事項としたうえで「首相が『解散』の『か』の字もない、と言うことは、解散しないということだと思う」と指摘。これまでより強い表現で同日選の可能性を否定した。
自民党の佐藤勉国会対策委員長は同日選の可能性について「我々は全く考えていない」と述べた。同党幹部は20日「もともとないと言っていたものが、今回の地震でさらになくなったということだ」と明言した。
同日選に期待していた参院自民党幹部も「これで同日選はなくなった」と強調した。公明党幹部は同日「同日選はない」と力説した。
これに関し、自民党の谷垣禎一、公明党の井上義久両幹事長は20日朝、今後の国会運営について協議し、震災対応を優先すべきだとの方針で一致した。環太平洋経済連携協定(TPP)の承認や関連法案の今国会成立を見送る方針を踏まえ、参院議院運営委員会では予定していたTPP特別委員会の設置を延期することを決めた。
公明党の支持母体である創価学会は地震発生後、被災地での支援活動を展開。「全国の小選挙区でくまなく選挙運動などをする余裕はとてもじゃないがない」(関係者)との声が強く、官邸側に同日選を見送るよう働きかけていた。
首相は憲法改正に必要な参院での3分の2の勢力確保に向けて、選挙戦で与党に有利になる同日選の可能性も政権の選択肢に入れていた。与党内には同日選になれば野党の選挙協力を分断しやすくなるほか、衆参の国会議員が連携して効率的に選挙運動をできるとの見方もあった。
自民党内には「熊本地震の災害復旧の状況を見極めた上で首相は最終的な判断を下す」として、なお解散の可能性を模索する向きもあった。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE20H01_Q6A420C1MM0000/?dg=1&nf=1
原子力規制委員会は20日、運転開始から40年がたつ関西電力高浜原子力発電所1、2号機(福井県)の再稼働に向けた安全審査の合格証にあたる「審査書」を正式決定した。運転延長を目指す老朽原発での合格は初めて。ただし延長を認められて再稼働するには、7月7日までに、機器の劣化がないことなどを確認する追加審査に合格する必要がある。
審査書は、関電の高浜1、2号機の安全対策の基本方針が、東京電力福島第1原発事故を踏まえてできた新規制基準を満たすことを示す。規制委は2月に審査書案をまとめて公表し、意見を公募。寄せられた約600件の意見を踏まえ、「基準に適合している」と結論づけた。
安全審査に合格した原発は、現在稼働中の九州電力川内1、2号機(鹿児島県)と、運転差し止めの仮処分により停止した高浜原発の3、4号機、再稼働に向け準備中の四国電力伊方3号機(愛媛県)の3原発5基。今回の合格で3原発7基となる。
福島事故を経て原発の運転期間は原則40年に制限されたが、規制委が認めれば最長60年まで延ばせる。ただし延長して再稼働するには、今後、7月7日までに規制委から設備の詳細設計を記した「工事計画」の確認を受け、機器の老朽化を調べる別の審査にも合格する必要がある。もし間に合わない場合は、廃炉に追い込まれる。
延長が認められても、その後設備の大規模工事をする必要があり、実際に運転を始めるのは2019年以降の見通しだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG20H0C_Q6A420C1MM0000/?dg=1
アメリカ大統領選挙に向けて重要な州の1つ、ニューヨーク州で予備選挙が行われ、共和党ではトランプ氏が、民主党ではクリントン前国務長官が、それぞれ勝利し、勢いを取り戻した形となりました。
ことし11月のアメリカ大統領選挙に向けた民主・共和両党の候補者選びは19日、代議員の数が多いニューヨーク州で予備選挙が行われました。
このうち共和党では、集計率94%の時点で、ニューヨークを地元とする不動産王のトランプ氏が60%の票を獲得し、圧勝しました。トランプ氏は演説し「アメリカを誇りの持てる国にする」と述べ、指名獲得への意欲を強調しました。
共和党では、候補者選びでトップを走るトランプ氏が、今月に入って党主流派の支持を受けるクルーズ上院議員に連敗していましたが、ニューヨーク州での勝利で勢いを取り戻した形です。
そして、アメリカABCテレビによりますと、トランプ氏が今回の勝利で、ニューヨーク州の代議員のほとんどを獲得して、これまでに確保した代議員の合計は845人となり、559人を獲得し、2位につけるクルーズ氏との差を広げました。
ただ、共和党の主流派はトランプ氏が指名獲得に必要な過半数の代議員、1237人を確保するのを阻止し、7月の党大会での決選投票に持ち込むことをねらっており、トランプ氏が過半数を確保するかどうかは依然、微妙な情勢です。
一方、民主党では、集計率94%の時点で、ニューヨーク州選出の上院議員を務めたクリントン前国務長官が58%の票を獲得したのに対し、ニューヨーク生まれのサンダース上院議員が42%となり、クリントン氏が勝利しました。
ABCテレビによりますと、クリントン氏がこれまでに獲得した代議員の数は1424人で、サンダース氏が1149人となりました。
民主党では候補者選びで先行するクリントン氏が、先月下旬以降、サンダース氏に連敗し、追い上げられていましたが、ニューヨーク州を制し、指名獲得に必要な2383人の代議員確保に向けて前進しました。
トランプ氏「誇りもてる国に」
ニューヨーク州の予備選挙で、共和党で勝利を確実にしたと伝えられた不動産王のトランプ氏は、「きょうの勝利は、本当にすばらしい。ここに集まった皆さんにありがとうと言いたい」と勝利を宣言し集まった支援者に感謝を伝えました。そのうえで、トランプ氏は「雇用を取り戻す。企業をメキシコに流出させることはしない。アメリカを直ちに、誇りのもてる国にする」と訴えました。
一方で、予備選挙や党員集会でいずれの候補も過半数の代議員を獲得できない場合、7月の全国党大会で決選投票によって大統領候補を決めることを念頭に「投票で代議員を獲得するのはとてもすばらしいことだ。誰も投票以外で代議員を得て、勝利を宣言するべきではない」と述べ、共和党の主流派が中心となって団結して、トランプ氏以外の候補の支援を画策する動きがあることにくぎを刺しました。
クリントン氏「団結して勝利を」
クリントン前国務長官は、予備選挙の結果を受けて、ニューヨークで演説し「ふるさとほどよい場所はありません。皆さんがいつも私の味方でいてくれたように、私はいつでも皆さんの味方です」と述べて支持者に感謝の気持ちを伝えました。
そのうえで、「共和党のトランプ氏やクルーズ氏は差別的で、危険な存在です。アメリカは寛大で、勤勉な人々の国のはずです。団結して勝利しましょう」と呼びかけ、大統領候補の指名を獲得して本選挙で戦うことに意欲を示しました。
出口調査の結果
ニューヨーク州の予備選挙でアメリカのメディアが行った出口調査によりますと、民主党・共和党ともに、有権者は経済問題を最も重要な争点に挙げていて、このうちの半数以上の有権者が今回の予備選挙で勝利したクリントン氏とトランプ氏を支持しています。
共和党の有権者のうち、「アメリカ経済に不安がある」と回答した有権者は92%に上り、このうちの6割がトランプ氏を支持し、経済に不安を抱える有権者の強い支持を集めました。また、60%余りの人が、次の大統領は政治の経験がない人が望ましいと答え、トランプ氏はこうした人たちの8割以上の支持を集めました。
一方、民主党の予備選挙の出口調査によりますと、クリントン氏は女性や黒人有権者などの支持基盤を手堅く固めました。人種別に見てみますと、全体の6割ほどの白人有権者の票をクリントン氏とサンダース氏で2分した一方、黒人の4分の3と、ヒスパニック系の60%以上がクリントン氏を支持しました。
また、有権者の半数が次の大統領は、オバマ政権が進めた政策を継続すべきだと回答し、このうちのクリントン氏への支持は7割以上に上っています。
米メディアは
ニューヨーク州の予備選挙の結果について、アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは、「トランプ氏とクリントン氏はやすやすと勝利した」という見出しで報じています。
このうち共和党のトランプ氏の勝利については、「トランプ氏は圧倒的な勝利によって候補者選びの主導権を取り戻し、指名獲得競争に勝つチャンスを高めた。得票数の結果によってはクルーズ氏に対するリードは決定的になるだろう」と評価しています。そのうえで、「これまでの数週間、クルーズ氏が代議員の獲得数を伸ばしていたが、ニューヨークの党員たちは、トランプ氏の復活を後押しした。トランプ氏にとって来週火曜日にペンシルベニア州などで行われる予備選挙へ向けて明確なはずみとなった」と分析しています。
また、有力紙ワシントン・ポストは、共和党の結果について、「トランプ氏にとって共和党の代議員の過半数を獲得するのに近づく大きな勝利だ」と評価しています。トランプ氏の勝因については、「トランプ氏の思ったことをそのまま言う性格は、ニューヨーカーたちの胸に響き、特に白人の労働者層の支持を得たことが勝利につながった。そして選挙戦を通じて共和党員に加えて無党派層や民主党嫌いの人にもアピールした」と分析しています。
一方、民主党のクリントン前国務長官の勝利について、ワシントン・ポストは、「ここ最近、サンダース氏から攻勢をかけられているなかでの勝利で、大きな弾みとなった。サンダース氏がクリントン氏に追いつくのはほぼ不可能なほど、代議員の数で上回っている」と評価しています。
また、ニューヨーク・タイムズは、「クリントン氏は、サンダース氏の勝利へのステップを食い止めた。ここ数日、接戦のように見えたが、開票速報ではクリントン氏が決定的に優位に立った。クリントン氏は黒人と女性からの強い支持を受けて勝利した」と分析しています。
おおさか維新の会の片山共同代表が熊本地震をめぐり「大変タイミングのいい地震」と発言したことについて、「大変申し訳ない」と陳謝した。
熊本地震について片山共同代表は19日、党の会合で衆参ダブル選挙や消費増税の判断などに影響する「大変タイミングのいい地震」と発言した。
片山共同代表「終盤国会の重要な時。大変不適切ですよ。自分ですぐわかる。被災地の皆さんが不愉快な思いしたら、もう大変申し訳ない。謝ります。心から」
片山氏は「国会対応など緊張感をもってしっかりやろうという趣旨だった」と釈明し、陳謝した。
片山氏は自らの発言を撤回したが、民進党などは「非常識な発言だ」などと批判している。
http://www.news24.jp/articles/2016/04/20/04328161.html?cx_recsclick=0
「プーチン大統領「今後も最新兵器使用」:プーチン氏、サウジのサルマン国防相(副皇太子)と会談、IS撲滅を共通の目標に」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/173.html
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[FT]暗転した石油協議 サウジ翻意の裏に副皇太子[日経新聞]
2016/4/20 6:30
カタールの首都ドーハで石油協議決裂の余波が広がっている。そんな中、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王子が王国のエネルギー政策を代表する予測不能な新たな立役者として浮上した。
ムハンマド王子は30歳の副皇太子でサルマン国王のお気に入りの息子だ。主要産油国の多くが、長引く原油安を食い止めるために15年ぶりの世界的な生産協定をまとめようと期待して集まったドーハに王子は参加してもいなかった。それでも王子のメッセージは、会場だったシェラトンホテルの大理石の大広間に鳴り響いた。「イランが参加しない増産凍結はない」
協議に臨むサウジのヌアイミ石油相(中央右)と代表団。イランが欠席したため、合意形成に至らなかった(17日、ドーハ)=AP
事情説明を受けた複数の関係者によると、17日日曜日の午前3時ごろ――会議が始まる予定のわずか数時間前――にムハンマド王子がサウジの代表団に電話をし、帰国を命じたという。代表団は残ったが、会議は頓挫したも同然だった。
このエピソードから、過去21年間サウジの石油相を務めてきた実務家のアリ・アル・ヌアイミ氏が脇に追いやられた印象が強まった。サウジ王家は常に石油政策について最終決定権を持っていたが、王族がこれほど公然と、それも自由に政策の方向性について語ることはめったになかった。他国の代表団は、ヌアイミ氏は合意を成立させるためにドーハに来ると聞かされていた。
「サウジの石油政策は今、ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子が完全に掌握している」。コンサルティング会社ガルフ・インテリジェンスのマネージングパートナー、ショーン・エバース氏(ドーハ在勤)はこう言う。
■合意するとみられていた朝
父親が昨年即位した後、ムハンマド王子は莫大な影響力を手に入れ、権力基盤を固めるために素早く行動した。王子は国防省と経済評議会を率いており、その地位から隣国イエメンでの戦争を指揮するとともに、サウジがポスト石油経済に移行する計画を策定した。
王子の指揮下で、サウジの石油政策は原油価格よりも国際政治に突き動かされているように見える。特に大きいのが、制裁が解かれたイランとサウジとの激しい対立関係だ。アナリストらは、サウジにとって、石油はイランとの代理戦争で使う武器になったと話す。
つい日曜の朝まで、世界の原油生産全体のおよそ半分を代表する18カ国の代表団は、サウジには取引する用意があると思うと話していた。サウジの実務家たちは、会議の出席者の間に出回っていた合意文書の原案にかかわったといわれていた。
石油輸出国機構(OPEC)の首席代表らは記者団に、サウジの参加はイラン政府の決断に左右されないと説明していた。イランは西側諸国による制裁が長年続いた後、石油産業を再建しているところで、一貫して生産の制限を拒んできた。
「ほぼすべての人が1時間以内に合意が締結されると思い込んでいた」と、ある代表者は言う。クウェートのようなサウジの盟友でさえ、日曜朝、合意の成立に「楽観的」だと話していた。
だが万事が順調ではないという噂がまもなく広まった。サウジの代表団が突如、原案に追加条項を要求したのは、ロシア陣営がサウジ、カタール、ベネズエラの代表団――今年2月、最初に増産凍結を支持した中核グループ――との交渉に没頭しているさなかのことだった。
■同盟国もサウジに立腹
その日の午後には、会議は茶番と化す恐れがあった。代表団は、なお合意を確保できる言葉遣いを見つけるのに悪戦苦闘していた。会議にはイランの代表者が一人もいなかったため、これは不毛な任務だった。「会議が終わる前に去ったメンバーもいた」と、ある代表者は言う。「議論が堂々巡りだということが分かったからだ」
日曜の午後8時すぎに会議がついに打ち切られたとき、合意はずたずたになっていた。サウジの同盟国である湾岸アラブ諸国でさえ、腹を立てていた。サウジの立場がそれほど強固で、イランの姿勢が周知の事実だったのなら、なぜOPEC加盟国と非OPEC加盟国が集まるのを容認したのかと問う人もいた。
「これ(サウジの動き)は純粋に政治的だったと理解している」。ある代表者はこう話す。「土曜にすべてに同意しておきながら、日曜にすべてをひっくり返すなんてことが、どうしてできるのか」
会議に向けた準備期間に、ヌアイミ氏は、イランへの譲歩を認めるかもしれない合意にサウジ政府内に反対論があるというそぶりを見せなかった。2月に公の場に姿を現したときには、減産は検討対象にならないが、増産を凍結する合意は「一つのプロセスの始まり」になりうると語っていた。
多くの人はヌアイミ氏の発言を、サウジが2014年末以来初めて石油市場の主導権を取り返す準備をしている兆候として受け止めた。当時、ロシアが減産への参加を拒んだ後、ヌアイミ氏は石油価格が1バレル20ドルまで落ち込もうともサウジは気にしないと警告していた。
ほぼ2年にわたる原油安でサウジ政府の手元資金は1000億ドル以上吹き飛んだ。以降、多くはサウジの姿勢が和らいだとみていた。サウジにとってさらなる懸念材料は、石油業界が「lower for longer(長期化する価格下落)」を受け入れ、いずれサウジの責任にされかねない供給不足を生み出すと一部の人が危惧するペースで投資を削減していることだ。
一方、ロシアの責任を問う向きもある。イランとの関係を利用し損ね、生産量が一定のレベルに達した後になって初めてイランに生産制限を義務付ける、寛大な提案でもって同国を交渉に引き出せなかったからだ。
ロシアのアレクサンドル・ノワク石油相は、イランがドーハに代表者を派遣していなかったことを考えると、サウジの立場は「理不尽」だったと評した。会議はすでに合意されていた――つまり、交渉しないと確定することが目的だったと語った。
「OPEC非加盟のプレーヤーがOPECの内情を知った今、もう二度と参加したくないと思うなら最悪だ」と、ある代表者は言う。
ムハンマド王子は先週、もし需要があれば、サウジは即座に生産量を日量1150万バレルに引き上げられると述べた。その時点では、イランから譲歩を引き出すための見え透いた脅しと見なされた。石油産業の多くの人は今、折しも需給がようやく均衡に向かい始めたように見える中で、王子がサウジの市場シェア政策を次のレベルに進めようとするのではないかと恐れている。
ペトロマトリックスのアナリスト、オリビエ・ヤコブ氏は「ドーハ会議の主な結論の一つは、サウジの体制が非常に予測不能になったことだ」と述べた。
By Anjli Raval in Doha, David Sheppard and Neil Hume in London
(2016年4月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
(c) The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO99826380Z10C16A4000000/?dg=1
ロシアのノヴァク・エネルギー相は、OPEC諸国が石油採掘の凍結合意にこぎつけるとの確信はもてないと言明。その上、ノヴァク大臣は採掘レベル凍結の合意締結そのものがアクチュアルではなくなる可能性を指摘している。
「我々が採掘量の凍結という提案のためにとった半年という時間はかなり短い。市場のファクターは独自の役割を演じ続けている上に受給バランスも低価格と投資の減退の結果、肩を並べるようになるだろう。」
ノヴァク大臣はこの他にも、市場バランスを戻すというアイデアは短期間的な性格のものだと指摘している。
「協議の場を持つ可能性を先送りすればするほど、こうしたメカニズムを利用できる時間はもっと短くなる。このため数ヶ月間黙ったままであれば、凍結の必要性はなくなってしまう…。6月にはもう、(このテーマは)アクチュアルではなくなるということもありうる。」
4月17日、カタールの首都ドーハでの産油国会議は採掘レベルの凍結合意に失敗。会議にはOPEC諸国のほか、ロシア、カザフスタン、アゼルバイジャン、オマーン、バーレーンが出席したが、何の成果も出さないまま終了した。
雑誌「フォーブス(Forbes)」は、ロシア産原油を購入している企業ベスト20 社を公表した。
ランキングで第一位となったのは、ロシアのルクオイルが所有者である、スイスの石油トレーダー「Litasco」だった。「フォーブス」によれば、この企業の購入量は、3580万トンで、契約額は130億ドルだ。この会社は、ルクオイル関連企業だが、欧州、CIS、地中海諸国及びアフリカ北部西部地域で取引をしている。
10位までのランキングは以下の通り。
A China National United Oil(中国石油天然ガス集団(CNPS)の子会社)
B Total Oil Trading(フランスの「トタル(Total)」の子会社)
C Trafigura(オランダ)
D Orlen(ポーランド)
E Shell International Trading(ロイヤル・ダッチ・シェルの子会社)
F Mercuria Energy Trading
G Ros-GIP Limited Glencore(アイルランド)
H Tatneft Europe(スイス、ロシアの「タトネフチ(タタールスタン石油)」所有)
I Concept Oil Services(中国)
※関連投稿
「ロシアはいつ壊れるのか」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/428.html
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F1のCEO、ヨーロッパはプーチン大統領が仕切るべき[スプートニク日本語]
2016年04月20日 22:21
F1を運営するフォーミュラワン・グループのCEOで実業家のバーニー・エクレストン氏がロシアのプーチン大統領が「ヨーロッパを仕切るべき」だと発言した。英誌ザ・ウィークが伝えた。
エクレストン氏はイギリスがEUに留まるべきかを論じる中でこのように発言した。同氏によると、イギリスはEUから何も得るところはなく、脱退するべきだという。
またエクレストン氏によると、イギリスにとってヨーロッパは以前より重要ではなくなり、経済的利益ももたらさないのだという。同氏はさらに、ロシアのプーチン大統領への賛辞を表し、プーチン大統領こそ「ヨーロッパを仕切るべき」だとした。
「日ロ首脳、ソチで来月6日会談 訪ロ後に平和条約交渉:恐縮ながら露に委ねたい使用済み核燃料の最終処分」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/565.html
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プーチン大統領、対日関係の発展はロシアの外交の最優先課題の1つ[スプートニク日本語]
2016年04月20日 19:45(アップデート 2016年04月20日 20:45)
プーチン大統領は、安倍首相のロシア訪問は5月6日に予定、会談はソチでと言明。
「我々は活発な政治コンタクトを、しかもあらゆるレベルで維持している。多角的な対日対話の発展はロシアの最優敵外交課題のひとつだ。5月6日の安倍首相の訪問が互恵的かつそれぞれの国益を考慮した露日関係の拡大を促すものと期待している。」
プーチン大統領はクレムリンで行われた新任大使の信任状捧呈の席でこう語った。
フランスの新聞「フィガロ」は「エロー外相は、自身のロシア訪問の中で、ウクライナ当局を戒め、ロシア当局を哀れんだ」と報じた。
新聞報道によれば、エロー外相は、ロシアのラヴロフ外相との会談の中で、ウクライナ当局に対し、平和合意遂行に関し自ら負った義務について思い起こさせ、そうすることでウクライナ紛争開始から初めて、ロシア側に立った」。
エロー外相は、次のように述べた―
「キエフ政権は、改革を実施しなければならない。特に憲法に、ドンバスの特別な地位及び地方選挙の手続に関する変更を加える必要がある。我々は、今年半ばまでに、成果が出るよう期待している。」
このエロー外相の言葉には、ウクライナ当局に対する「明らかな警告」が含まれている。外相は、ミンスク合意の遂行プロセスを故意に引き伸ばしているとして、ウクライナ当局を非難した。
エロー外相の訪問まで、欧米諸国のほとんどすべては、和平プロセスが引き伸ばされているのはロシアに責任があると主張してきた。しかし今回エロー外相は、自ら負った義務を遂行するようウクライナ側に公然と求め、そうする事でロシア側のものの見方に賛意を示した。
ハーグの裁判所は、ロシアに対してユコスの元株主に500億ドルの賠償金を支払うよう命じたハーグの仲裁裁判所が、そのためのしかるべき権限を持っていなかったことを認めた。
またハーグの裁判所は、およそ1万6801ユーロとみられている訴訟費用をロシアに支払うよう命じた。
2014年7月、ハーグの仲裁裁判所は、ユコス社の元株主たちの訴えを認め、ロシアに対して500億ドルの賠償を支払うよう命じた。
ロシアは上告したが、ユコスの元株主らは複数の国の裁判所に資産凍結を求め、フランスとベルギー当局は6月、ロシアのものとみなされた一連の資産を凍結した。またフランスにあるMIA「ロシア・セヴォードニャ」支部の銀行口座の資金も凍結された。なお数日前、パリ大審裁判所は、口座凍結が不当であることを認めた。
エクアドル沖で20日3時33分(現地時間)、マグニチュード6.1の地震があった。米地質調査所(USGS)が伝えた。
震源地は、エクアドル沿岸部ムイスネから西に27キロ、震源の深さは15キロだった。
エクアドルでは16日にマグニチュード7.8の地震があった。最新情報によると死者は480人に達し、負傷者は4000人以上、さらに230人以上が行方不明となっている。また2万500人が避難生活を強いられており、合わせて805棟の建物が倒壊した。
中国経済は、3年から5年、困難に直面する。アリババ社の創業者ジャック・マー氏が、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストのインタビューで述べた。
マー氏は、「これほどの規模の経済が2桁成長を永遠に続ける」のを期待するのは非現実的だとの見方を表している。マー氏によると、30年以上にわたって成長し続けた後、発展の方向を修正するために数年間を費やすのは全くもって合理的だという。
なおマー氏は、中国が日本のような不景気に陥るのではないかとの恐れを退け、中国には従来通り巨大なポテンシャルがあると述べた。
中国の2015年のGDP成長率は6.9パーセントと減速し、25年ぶりの低い伸び率となった。中国政府は2016年のGDP成長率目標を6.5−7パーセントとしている。なお第一四半期の成長率は6.7パーセントだった。
米中首脳会談から占う中国最高指導部人事[日経新聞]
編集委員 中沢克二
2016/4/20 6:30
中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞
「先の米中両巨頭の長時間会談の一場面から、来年の中国共産党最高指導部人事が占える……」。にわかには信じかたい話が、中国政治の中枢を駆け巡っている。中国国家主席、習近平が米大統領のオバマに南シナ海では一歩も引かぬ強硬姿勢を示した3月31日のワシントンでの会談である。
■第2列に退いた江沢民、胡錦濤時代からの知恵袋
中国国営の中央テレビのニュース映像の一場面を注視してほしい。中国側代表の中心は習近平。写真の右端が、政治問題のブレーンで共産党政治局委員の王滬寧だ。格が高い王滬寧の本来の席は習近平の隣だが、なぜか第2列に退いている。一方、左端に顔が見える経済ブレーンの劉鶴は、第1列にいて、堂々としている。
中央テレビは4月1日午後7時のメーンニュースで、この米中首脳会談の「意味深」な映像を長々と放送した。しかも劉鶴のアップ映像も多い。国営テレビの映像だけに、共産党関係者らが「大きな意味がある」と感じたのは当然だった。
王滬寧は、元国家主席の江沢民、前国家主席の胡錦濤に仕え、習も引き継いだ知恵袋である。「三つの代表」「科学的発展観」など歴代トップの政治論の構築に大きな力を発揮した。3代のトップが重用したまれに見る万能のブレーンだ。計25人いる政治局委員の1人でもある。上海の名門、復旦大学の教授だったが、江沢民時代に見いだされ、一気にトップの知恵袋となった。
党中央委員の劉鶴は、経済・財政政策の最高決定機関、党中央財経指導小組の弁公室主任で、国家発展改革委員会副主任。形のうえでは王滬寧に遠く及ばない。序列に厳しい共産党だけに、重要会談での王滬寧と劉鶴の位置関係は極めて不自然だ。
実は、この米中首脳会談が長引いた結果、遅れて始まった中韓首脳会談の席でも王滬寧は、米中会談の際ほど明確ではないが、半歩、下がっていた。やはり偶然ではない。
この第2列に退いた王滬寧の位置から冒頭の解釈が生まれた。つまり「劉鶴の次期党大会での大抜てきという人事が透けて見える」というのだ。北京の政治関係者は、2017年の党大会人事に向けて頭の体操を始めている。米中首脳会談の映像は、彼らに格好の話題を提供したことになる。
この人事観測には、もう一つ根拠がある。「王滬寧が担っていた役割の一部を既に劉鶴が引き継いでいる」。中国の政策づくりに精通する関係者の指摘である。経済のスピーチライターにとどまらず、政治面の理論構築などにも踏み出しているというのだ。
■習側近のゴボウ抜き大抜てきも
もしそうなら、次期党大会では劉鶴が政治局委員に昇格する可能性が極めて高い。「いや、習近平がその気なら、いきなりの最高指導部入りだってありうる」。こんな大胆な臆測まで北京の政界では出回り始めた。
その場合、「ポスト習」が絡む来年の最高指導部人事の構図に大きく影響する一大事だ。7人の政治局常務委員のうち、習と首相の李克強を除く5人が年齢制限によって退くが、そのうちの一席が決まってしまう。
そもそも来年秋の年齢でも62歳にすぎない王滬寧が退き、同じく65歳になる年上の劉鶴が抜てきされるのもあまり例がない。習の引退時期とも絡む年齢制限。これを有名無実化する動きになる可能性もある。
注目を集める劉鶴とは、どんな人物なのか。20年近く前に話したという日本人ビジネスマンは「温厚で真面目な学者だった。今の日の出の勢いは想像もできなかった」と回想する。
この劉鶴、実は習の「幼なじみ」だ。軍や党幹部の子弟が多い北京の名門「北京101中学」の同窓である。10代からの知り合いで、習が心の底から信用できる数少ない人物といえる。
習は名門、清華大学を出た後、中央軍事委員会で働いた。劉鶴もまた勇猛さで知られる北京防備の要である第38軍の軍人だった。共に軍に身を置いた経験もウマが合う理由のようだ。
劉鶴は、米ハーバード大ケネディスクールに在籍した経験があり、米経済に明るく、知己も多いとされる。1998年には、経済分野の論客を集めた「中国経済50人論壇」を立ち上げた。この集団には、世界銀行副総裁を務めた林毅夫、著名な改革派の経済学者である呉敬●(たまへんに連)らもいた。
劉鶴は、この頃から中国の経済戦略づくりを主導する立場を固めて行く。とはいえ、本格的な指導者の経済ブレーンとして有名になるのは、12年の習指導部の成立後だ。
先の「中国経済50人論壇」でのブレーンストーミングは、中国の対外政策にも大きな影響を及ぼした。中国と欧州、アフリカまで陸と海でつなぐ「新シルクロード経済圏」構想もここから生まれている。
当初は、供給過剰に陥っている中国市場の素材などの販路を西で開拓する単なる経済政策として議論された。その後、政治、外交・安全保障を統合した総合的な対外戦略にバージョンアップする。これは劉鶴の手腕とされる。
劉鶴は、習の経済スピーチのライターである。経済政策を固めた13年の中央委員会第3回全体会議(3中全会)声明の草稿づくりも担った。
「これが劉鶴です。この人は私にとって非常に重要だ」。13年に習は、訪中した当時の米大統領補佐官、ドニロン(国家安全保障担当)を前に異例の紹介をしている。このエピソードは、さほど目立たなかった劉鶴の名を世界的に有名にした。習が、劉鶴を自らの側近だと認めたのだ。
■独自のブレーン集団づくり
習が中国トップの有力候補であると、多くの中国人が認識したのは10年前にすぎない。中国の政界の常識からするとデビューは極めて遅い。そのためか、幅広い層から人材を登用する基盤は弱い。それが身内で固める人事につながる。
それでも習にとって絶対的な信用がおける独自のブレーン集団をつくることは極めて重要である。その核になるのが劉鶴だ。生き馬の目を抜く中国政界で生き残るためには、「幼なじみ」の重用はよく見られる。劉鶴は「幼なじみ」だからこそ、本当の意味の側近になる資格がある。
劉鶴は今、経済ばかりではなく、王滬寧が得意としてきた政治的な理論づくりをも担う準備をしている。共産党が仕切るこの国では、政治と経済は一体だ。それを象徴する人物が劉鶴だろう。減速が目立つ中国経済のかじ取りはどうなるのか。その面でも劉鶴の今後の処遇に注目したい。(敬称略)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK19H5D_Z10C16A4000000/?dg=1
「中国 米国を射程に収めるミサイルを軍に装備へ:射程1万4500mのDF−41」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/482.html
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米マスコミ「中国がワシントンを震撼させる新型弾道ミサイル実験」
2016年04月20日 15:55(アップデート 2016年04月20日 16:09)
中国は、最新型大陸間弾道ミサイル「DF-41(東風-41)」の発射実験を行った。米国のニュースサイト「ワシントン・フリービーコン(Washington Free Beaco)が米国防総省の消息筋の話として伝えた。
米特務機関の評価によれば、中国の最新鋭弾道ミサイルは、6から10の核弾頭を搭載し、1万キロ以上を飛行できる。30分で、米国のあらゆる地点に達する事が可能だ。
今回の新型ミサイルの実験は、周辺諸国との間でその領有権をめぐり紛争が起きている南シナ海の島々の一つを、中国軍高官が視察する日付に合わせて行われた。なお打上げの3日後、米国のカーター国防長官は、南シナ海に現在派遣されている米空母「ジョン・K・ステニス」を訪れている。
先に雑誌「Kanwa Asian Defence」は、中国は、世界最長の射程を誇るミサイルを2016年中には装備できるだろうとの情報を伝えている。
財務省が20日発表した2015年度の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は1兆792億円の赤字となった。5年連続の赤字だが、原油安で赤字額は14年度から大幅に縮小した。中国経済の減速や、熊本県を中心とする地震が輸出に影響する可能性もあり、収支改善が続くかは見通しにくい。
15年度の赤字は14年度(9兆1277億円の赤字)と比べると、一気に8兆円超少なくなった。過去最大の赤字は13年度の13兆7563億円で、改善傾向が鮮明になっている。
月次でみても2月に黒字に転換したのに続き、3月は黒字幅が7550億円と大きく増えた。東日本大震災の影響があった11年度以降、原発停止の影響で原油などの輸入が増えていたが、原油安で収支が良くなった。
ただ、熊本などの地震で自動車といった輸出へ影響が広がるとの見方もある。財務省は「現時点では判断できないが、サプライチェーンの寸断が長引けば輸出に響く可能性がある」としている。
15年度の輸出額は74兆1173億円。前年度比0.7%減と3年ぶりに前年度を下回った。対中国が3.1%減、中国を含む対アジアが2.8%減だった。輸出品目別では鉄鋼が15.6%減、有機化合物が14.3%減と素材の輸出や電子部品の輸出が低調だった。対中国の貿易収支は6兆625億円の赤字で、過去最大の赤字だった。
自動車の輸出が好調だった対米国は6.2%増えた。為替市場で対ドルの円相場は前年度比10.2%円安の水準だったが、中国経済の減速で輸出の数量が落ち込んだ影響が全体に響いた。
輸入額は75兆1964億円で前年度比10.3%減った。未精製の原料油を輸入した際の通関単価は前年度比39.6%減で、輸入金額の減少につながった。サウジアラビアなどからの原料油が37.9%減、液化天然ガス(LNG)は41.4%減だった。財務省は赤字幅の縮小について「輸出が強かったわけではなく、資源関連の輸入額が大きく減ったことが要因」とみている。
同時に発表した3月の貿易収支は7550億円の黒字だった。黒字は2カ月連続。
輸出額は前年同月比6.8%減の6兆4566億円。アジア向けが振るわなかった鉄鋼が28.6%減った。足元では円高が進んでいるが、原油下落の影響が大きい。輸入額が14.9%減の5兆7016億円だったことから全体では黒字だった。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は足元の貿易黒字について「円高を誘発する要因になる」と指摘する。企業がもうけた外貨を円に替えるため、円買いが増えるためだ。今後は「このところの円高が輸出に逆風となるほか、原油価格の上昇で輸入額も下げ止まるだろう」として、黒字構造を定着させるのは難しいとみている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS20H0G_Q6A420C1MM0000/?dg=1
世界最大手の半導体メーカー、アメリカのインテルは、市場が縮小しているパソコン向けの半導体事業からデータセンターなど成長が期待できる事業への転換を図るため、最大で1万2000人の従業員を削減すると発表しました。
アメリカの半導体メーカー、インテルは19日、世界の従業員の11%に当たる、最大で1万2000人の従業員を削減する計画を明らかにしました。
インテルは、市場が縮小しているパソコン向けの半導体事業から企業向けのデータセンターやIoTと呼ばれるあらゆるものをインターネットにつなげる事業といった、成長が期待できる分野への転換を進めています。人員削減はその一環で行われるもので、年間で14億ドル日本円でおよそ1500億円のコスト削減につながるとしています。
また、インテルが合わせて発表したことし1月から3月までの決算では、データセンターなどの事業が好調だったことから、前の年の同じ時期と比べて増収増益を確保しました。
インテルのブライアン・クルザニッチCEOは、「戦略の転換による効果が現れ、成長への確かな土台ができつつある。今はこの勢いを加速させ強さを構築する時だ」と話しています。
ロシアのプーチン大統領は、来月6日に南部のソチで安倍総理大臣と首脳会談を行うことを明らかにし、「両国の相互利益に基づく2国間関係の発展に寄与することを望む」と述べ、首脳会談での成果に期待を示しました。
ロシアのプーチン大統領は20日、首都モスクワで、日本の上月豊久大使など新たに着任した各国の大使から信任状を受け取る式典に出席しました。
この中で、プーチン大統領は対日関係について発言し、「日本とのさまざまな分野での対話の発展は、ロシアの対外政策の中で優先課題の一つだ」と述べました。そのうえで、「5月6日に予定されている安倍総理大臣のソチへの訪問が、両国の相互利益に基づく2国間関係の発展に寄与することを望む」と述べ、来月6日に安倍総理大臣がロシア南部の保養地ソチを訪れることを明らかにし、首脳会談での成果に期待を示しました。
プーチン大統領は今月14日、安倍総理大臣との首脳会談について記者団から質問を受けた際、「すべての問題について話し合う」としたうえで「いつか妥協策を見つけることができる」と述べ、北方領土を巡る交渉に前向きな姿勢を示しています。
消費に課す税という前提で、経済全体への影響を緩和するために小刻みな税率引き上げという案も出てくるのだが、ここ20年の日本のように、GDP成長率がゼロ近傍で低迷を続け、設備投資も低迷で生産性が伸び悩み、家計の実質可処分所得も対前年マイナス基調という状態では、小刻みな増税策を採っても効果はない。
(消費に課す税という前提でも、家計の可処分所得が持続的に増加する状況でなければ打撃は緩和されない)
消費税は付加価値税であり、増税で打撃を受けるのは、稼いだ付加価値(荒利)から税を徴収される内需型の企業である。(輸出企業は逆に税制的に利益を享受する)
増税のせいで、付加価値の使い道として60%ほどを占める賃金の水準が低迷することになり、それでさらに経済が打撃を被るという悪循環に陥る。
(消費者は、無い袖は振れぬで、税が転嫁されたら買わない(買えない)とか買う量を少なくするという対応になる。これが企業収益を圧迫するので経済に悪影響を与えることになる)
小刻みの消費税増税策を採ることで打撃が緩和されるとしても、設備投資による生産性の上昇が持続的に成し遂げられている高度成長期のみである。
そのような経済状況は、60年代・70年代の日本を思い起こせばわかるが、インフレ基調であり、実質賃金も上昇基調にある。
(インフレ基調でも、生産性上昇が持続しているので、名目だけでなく実質で賃金が増加し“豊か”になる)
このような状況であれば、小刻みの消費税増税を実施してもその負担増加を吸収し、企業は収益の増加基調を維持することができる。賃上げで家計の実質所得も増加するので、経済全体として、増税の打撃を露わにさせることなく跳ね返すことができる。
高度成長期に小刻みの付加価値税増税を行っても、インフレで価格が上がったのかそれとも増税で価格が上がったのかさえわからない。
価格が少々上がっても、それ以上に賃金が上がっているので家計に打撃を与えない。
企業サイドも、生産性が上がっているので(同じ単価で売っても利益が増加)、思うように価格を引き上げられないとしても、収益は圧迫されないですむ。
(生産性を上昇させる設備投資を行えない企業や競争で劣位の企業は小刻みの増税でも大きな打撃)
記事のなかで、大和総研チーフエコノミスト熊谷亮丸氏は、「1%ずつの引き上げは経済への影響を和らげる意味で効果的だが、企業の事務負担を考えると現実的ではない」と説明しているが、緩和効果は上述のようになく、否定の理由である“企業の事務負担”も、消費税がある限りは変わらないので誤っている。
企業の事務負担を小売業の値札(価格表示)問題と考えても、消費税増税に関係なく価格を引き上げられないような経済状況で消費税を増税するのは愚策である。(高度成長(インフレ)期は、数ヶ月に一度は値札を書き換えていた)
同じく、第一生命経済研究所首席エコノミスト永浜利広氏の「無理して来春に消費増税をする必要はない」という結論はまっとうだが、「1%ずつ小刻みに上げる案は一考に値する」というのは、上述のように疑問である。
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消費増税1%刻みも選択肢 自民政調会長
自民党の稲田朋美政調会長は19日、日本経済新聞のインタビューで、2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げについて、経済に深刻な影響を与えると判断した場合は「1%をまず上げるという考え方も選択肢としてはある」と述べ、増税幅2%の縮小に言及した。20年度までの基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化目標は「簡単には変えない」との考えを示した。
稲田氏は「まずは震災対応に全力を尽くす。対応が一段落すれば、(増税の是非を)検討して結論は出していくべきだ」と指摘。そのうえで「日本経済がつぶれてまで消費増税をすべきではない」と強調した。14年4月の5%から8%への引き上げに触れ「3%いきなり上げたのはちょっと問題だった」と指摘した。
前回の増税による個人消費の落ち込みが現在も続いているとの見方を示した。そのうえで「(8%から10%に)2%いっぺんに上げなければいけない理由はない。固定概念にとらわれず、しっかり上げていく道筋を出すことが重要だ」と指摘した。
2%の消費増税の見送りで財政再建が遠のくとの見方には「(経済成長と財政再建の)両方やるにはどうしたらよいかを考えるべきだ」と述べた。
景気への悪影響を抑えるため税率を1%ずつ引き上げる案は、8%に引き上げる際、内閣官房参与の浜田宏一、本田悦朗両氏が安倍晋三首相に進言したことがある。
[日経新聞4月20日朝刊P.1]
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■専門家の見方
「1%刻み」、非現実的
熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト 消費増税は予定通り実施するのが望ましい。1%ずつの引き上げは経済への影響を和らげる意味で効果的だが、企業の事務負担を考えると現実的ではない。今の経済状況がリーマン・ショック並みに悪いとは言えない。前回の消費増税で想定を上回る悪影響が出たのは事実なので、大規模な経済対策を打ち出すべきだ。
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無理な増税、必要ない
永浜利広・第一生命経済研究所首席エコノミスト 無理して来春に消費増税をする必要はない。一昨年に税率を3%引き上げたことで、実質個人消費は腰折れしているといえる状況だ。1%ずつ小刻みに上げる案は一考に値する。基礎的財政収支の黒字化目標も、財政状況の改善と経済成長さえ確保できていれば、20年度で達成しなくても信認は失わないはずだ。
[日経新聞4月20日朝刊P.4]
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稲田・自民政調会長「財政黒字化目標を堅持」
増税、延期でも現政権で実現に道筋
自民党の稲田朋美政調会長は19日の日本経済新聞のインタビューで、2017年4月の消費増税を延期した場合でも、20年度までの基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化目標を原則、堅持すべきだとの考えを示した。先送りしても安倍政権で増税実現に向けた道筋をつける方針も明らかにした。
――熊本地震の発生もあり党内で増税延期論がますます強まっている。
「今、引き延ばすかどうかを議論している場合ではない。日本経済がつぶれてまで増税をすべきでないというのは私は今も一緒。災害対応が一段落したら検討して結論を出すべきだ」
「14年4月に消費税率をいきなり3%引き上げたのは問題だったという声は多い。1%をまず上げる考え方もあるし、2%上げても大丈夫という判断もある。様々な意見がある」
――増税の可否の判断は7月の参院選前か。
「選挙時にどうかということと、しっかり(景気を)見極めるという両方の側面があるので、一概には言えない」
――増税を先送りすれば20年の黒字化目標の達成は無理ではないか。
「個人的な考えだが、消費税率を1%ずつ上げるとか、どの時期にやるとか、いろんな組み合わせで20年に黒字化する方法を考えるべきだ。経済が壊れずしかも財政再建も可能な方法がないか」
――黒字化を実現するための財政健全化計画は変えないのか。
「簡単には変えない」
――増税先送りや1%にすると言ったりすれば説得力がなくなる。
「1%ずつ上げるというのでも? 何もそうすべきという意味じゃなくて、いろんな選択肢をあまり固定概念にとらわれずに両方同時にやるにはどうしたら良いかを考えるべきだと思う」
――社会保障の充実などをそのまま実現するのは難しいのではないか。
「それはそうだ。本当なら歳出改革もしつつ増税もしなければいけない。見合った形でいかないといけない。社会保障を充実させて後から消費税を上げるのではなく、セットで考えるべきだ」
――社会保障費に切り込むのは政治的に難しいのではないか。
「年5000億円に伸びをとどめることすら、何バカなことを言っているんだって(党内で)怒られるけどやっぱり数字がないと改革できない」
――切り込むのか。
「こういうとまた怒られるが、メリハリだ。真に困った人に手厚くというのはしっかりやる」
――先送りする場合でも安倍政権で消費税率は上げるべきか。
「安定政権でなければ上げられない。安倍政権で道筋をつけることが重要だ」
――財政健全化や社会保障もセットで示すべきということか。
「パッケージでということだ。道筋がたてば(黒字化目標の)20年に1年でも遅れたらだめってわけでも…。だけどちゃんと黒字化できて経済も成長するという道筋をたてて先が見通せるようにしないといけない。なんか増税先送りが前提(のような言い方)になっちゃってるね」
――野党は実質賃金が伸びないことなどをあげてアベノミクスの失敗と指摘している。
「方向は間違っていないが、成長戦略はすぐに効果が表れない。不退転の決意で臨むことが一番重要だと思う」
――安倍晋三首相は改革よりも憲法改正に熱心との声もある。
「そんなことない。一番大きいのは雇用改革だ。やる」
――できるのか。
「規制改革もやるんです。問題あるかなあ。変なこと言っている?」
[日経新聞4月20日朝刊P.]
※参照関連投稿
「技術や安全だけでなく国際関係的にも破綻した「核燃料サイクル」:使用済み核燃料の最終処分に道筋をつけ原発廃止」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/503.html
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
「オバマ大統領が広島に行ってはならない理由:広島訪問を安保理常任理事国の「核独占」正当化に利用するオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/365.html
中国の習近平国家主席は3月31日と4月1日に米ワシントンで50余りの国と国際組織の指導者や代表と世界の核安全保障の大計について話し合う。近く開催される第4回核安全保障サミットは中米協力の重要性を示す窓口だ。中米は核安全保障の確保面で高度に認識を共有し、良好な協力を保っている。中国国家原子力機関の責任者がこのほど中米の核安全保障協力の目玉を人民日報の記者に紹介した。人民日報が伝えた。
■核安全保障年次対話制度を構築
2015年9月、習主席とオバマ米大統領は両国の核安全保障年次対話制度の構築で合意した。双方は2016年2月20日にスウェーデン・ストックホルムで初の中米核安全保障対話を行い、国際核安全保障問題における両国の調整と協力を一層深化した。
■核安全保障モデルセンターを設立
第1回核安全保障サミットで、中米は核安全保障モデルセンター(COE)を中国に設立することを発表した。2011年1月、胡国家主席(当時)の訪米時、両国は覚書に署名し、中国側が土地を提供し、建設し、完成後の管理に責任を負い、米側が主要な技術設備提供の責任を負うことを明確にした。核安全保障モデルセンターは2015年12月に完成し、2016年3月に運用が開始された。
■高濃縮ウランの安全を強化
高濃縮ウラン燃料を使用する原子炉の低濃縮ウラン化改造を強化することは、高濃縮ウランの流失の危険性を下げ、核安全保障水準を高める有力な措置であり、中米の核安全保障協力の重要な一部でもある。2011年末、中国国家原子力機関は中国原子力科学研究院と米アルゴンヌ国立研究所の協力を承認。高濃縮原子炉の低濃縮化改造を行った。改造は2016年3月26日に完了した。
■放射線源管理を強化
中国は厳格に管理して安全を確保することを前提に、放射線源の民生分野での応用を促進し、国内の放射線源の安全水準の向上に力を入れ、各都市の放射性廃棄物質保管の安全水準の向上を全面的に推進し、放射線源の安全方面の協力を全面的に展開している。
■核物質の不法移転の取り締り
中国は核物質の不法移転を核テロ防止の重要な一部と見ており、一貫して不拡散を強く重視し、米国などと協力文書を調印し、税関で多くの協力を行い、関連する育成センターや試行事業を行い、核物質の不法移転を取り締る能力を高めた。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年3月29日
今夏の参院選に自民党公認で立候補を表明している山田宏・前杉並区長(58)の妻が、週刊文春の取材に応じ、夫の家庭人としての実像を語った。
山田氏は3月末に、「保育園落ちた」ブログを「まあ落書きですね。『生んだのはあなたでしょう』、『親の責任でしょ、まずは』と言いたいところだ」と批判し、注目を集めた。
山田氏は、2010年に「週刊朝日」で愛人やその子供の存在が報じられていたが、関係を否定していた。妻は当時を振り返り、こう語った。
「当初は『知り合いの子供を、私の子供にして欲しいと頼まれた』と言い訳していましたが、その後、弁護士を通じ、山田の子であることを認めました。結局、認知しましたが、その際に交わした文書では『悪かった』と非を認めて謝っています」
山田氏は、妻との間にも三人の子供がいるが、保育園に通った時期も含め、子育てにほとんど携わらなかったという。山田氏は、妻との離婚を求めて、昨年から裁判を起こしている。
山田氏は、弁護士を通じて、離婚裁判を起こしたことを認め、愛人との子供の認知については「お答えできません」と回答した。
山田氏は、子育てについて自著『第3の道』でこう持論を述べている。
<正しい生き方を自信を持って子供に伝えるには、親自身が胸を張って、正しいと言える生き方をしなくては>
山田氏は、安倍晋三首相に口説かれて出馬を決意したと語っているが、参院選の自民党候補者として、自らの言葉と行動との整合性が問われることになりそうだ。
<週刊文春2016年4月28日号『スクープ速報』より>
「週刊文春」編集部
最終更新:4月20日(水)16時6分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160420-00006091-sbunshun-pol&pos=4
テログループ「ダーイシュ(IS,イスラム国)」の戦闘員らは、イラク北部にある彼らの本拠地モスルで、性奴隷になる事を拒否した女性250人を処刑した。新聞「デイリーメイル(The Daily Mail.)」が伝えた。
処刑された女性や少女達は、「ダーイシュ」の戦闘員らと一時的な結婚をするよう、事実上は彼らの性的享楽の相手となるよう強制されていた。
所謂そうした「性奴隷」、彼らの言うところの「性的聖戦」に参加するのを拒否した女性や少女達は皆、処刑された。家族もろとも殺された例もある。
モスルの女性達は、一人で家から出ること、公共の場所で顔を見せたりすることが禁じられ、頭には必ず被り物をしなければならない。また結婚の相手を自分で選ぶことも禁じられている。
【ワシントン(スプートニク)】米国は、イラクでの対「ダーイシュ(IS、イスラム国)」作戦で、初めて戦略爆撃機B-52を使用した。
米軍・中東司令部のスティーブン・ウォーレン報道官は、B-52は月曜日に攻撃を行い、標的はカイアラ周辺の武器庫だったと伝えた。なおどのような武器で攻撃したのかは明らかにされていない。
報道官は、4月に地域に到着したB−52が、この20か月の間に軍事行動で目にしてきた「ピンポイント攻撃」も行うと指摘した。
B−52は、1995年から米空軍で運用されている第二世代ミサイルを搭載する多機能の重量級超長距離大陸間戦略爆撃機。B−52は、今も米空軍の主要な長距離爆撃機とされており、今後も数年間はこの状態が続く見込み。
豪州政府は新潜水艦の発注リストから日本をはずすことを決めた。20日、地元の「オーストラリアン」紙が報じた。
オーストラリアン紙の報道によれば、19日に行なわれた閣議で治安維持関係省の大臣らから日本は海外の海軍用軍事機器の生産の経験に乏しいことから、日本のオファーは「著しいリスク」を負っているとの判断が示された。
豪州は当初、潜水艦の発注を入札を行なわず三菱重工および川崎重工を中心とする日本のコンソーシアムに委託する計画だったものの、その後入札の実施を発表。仏のDCNS(造船役務局)と独のティッセンクルップ・マリン・システムズが有力ライバル候補とされている。
「オーストラリアン」紙は、日本の敗退は予想の範囲だったものの、今回の事実は軍事輸出大国になり、この地域での自国の地位を強化しようという日本の計画には深刻なダメージを与えるだろうと指摘している。
豪州が中国人投資家らとの間で土地の売買契約を締結。豪州が売却する土地の面積はアイルランド一国分に相当する。インディペンデント紙が報じた。
契約額は3億7100万ドル。契約締結後、今度は両国政府の承認が取り付けられねばならない。
売却予定地は豪州最大の農場地。国内最大のオージービーフ・メーカー、「S・キッドマン&コーポレーション」が所有していた。
土地面積はおよそ1100万ヘクタール。豪州全土の1%に相当する。
日本は「韓国の切り離すことのできない領土の一部」であるトクト諸島を退けねばならない。今週、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のノドン新聞はこうした声明を表した。ノドン新聞は、日本が外交青書にこの諸島を日本の領土として含めるという決定にこのようにして反応を示した。ノドン紙はこの日本のトクト島要求は事実上、「朝鮮半島へ日本軍が再度侵略した証拠」との見方を示している。
今日の朝鮮半島の緊張状態を考えると、ノドン新聞の記事内容はどこか普通ではないわけではない。なぜならば北朝鮮は以前にもこのことを再三に渡って公言してきており、トクト諸島に対する日本の立場を批判してきたからだ。そしてこの記事が今発表されたということも、おそらく、偶然のことではないだろう。ロシア科学アカデミー、極東研究所、朝鮮調査センターのキム・エンウン氏は、記事は韓国への接近を目的として出されたシグナルではないかとして、次のように語っている。
「北朝鮮は常にトクトは韓国の領土だと主張してきたが、これが北朝鮮領だといったことは一度も無かった。先週、韓国では議会選挙が行なわれ、政権与党が手痛い敗北を帰し、議席数の獲得では1位ではなく、2位となってしまった。これはセヌリ党の敗北にとどまらず、パク大統領と彼女の行なってきた政策が敗北したことを示している。これには南北朝鮮分野の政策も含まれる。
パク氏は大統領就任当時、北との信頼、ユーラシア・イニシアチブの回復を目指していたが、これは今すべて、現政府によって葬り去られている。経済協力もならなかった。これに付け加えてケソン工業団地まで閉鎖された。これは北と南を経済分野でつなぐ最後の細い糸だったが、それが切れてしまった。交流のあらゆるラインが閉じられてしまった。これを韓国国民が議会選挙で考慮したとも考えられる。だから政権与党に与えられた票がこんなにも少なく、逆に政権を批判する候補者が著しく多い票を獲得したのだ。
この状況で北朝鮮はおそらくなんらかの意図をもって、もし韓国が立場を変えるのであれば、北は対話と協力に戻る用意があるという提案を行っているのではないだろうか。」
北朝鮮では日本は依然として「過去に犯した罪を物語る」事実を否定しており、自分が指導的立場を演じる「大東亜共栄圏を打ち立てるという昔の夢」を捨てきれていないと捉えられている。
キム・エンウン氏は日本を批判するという立場では南北朝鮮は結束しているとして、さらに次のように語っている。
「日本批判という点では南北朝鮮の立場は、現時点での両国関係がどうであろうとほぼすべて一致している。第一に、日本が植民地時代および第2次世界大戦中に朝鮮人や他のアジアの民族に対し侵した罪を無かったことにしようとしているとして、南北はそろってこれを批判している。南北朝鮮は、日本で先にいわゆる集団安全保障に関する法律が発効したことから、この国の軍国主義が再び自分たちを侵略するのではないかという危惧感を表しているのだ。」
キム氏は、南北朝鮮の市民が特に憂慮している点は今の日本がすでに本格的な軍事力を持ち、核ミサイルを製造しているとして北朝鮮を非難しながら、自分も非常な短期間に自前の原子爆弾、弾道ミサイルを製造する能力を有しているということだと指摘する。キム氏は、軍事強国として日本が復活するという恐怖、そして日本の植民地支配時代についての共通の記憶が原動力となり、南北朝鮮を接近させるのではないかとの見方を示している。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160421/2000421.html
「全斗煥政権の「護憲支持」要請、米側が拒否=1985年韓米首脳会談:金大中帰国問題、シアヌークが金日成との会話を米国に伝達」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/413.html
「日本教科書への是正要求の背後に北 84年に全大統領が言論統制:検定問題視は左翼勢力という日本外務省の説明がきっかけ」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/412.html
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記事入力 : 2016/04/21 10:18
全斗煥元大統領が回顧録を出版へ、一部衝撃的な内容も
全3巻・1500ページ以上、朴槿恵大統領との秘話も
側近「読み手によっては衝撃的な事実に驚き、あるいは不都合な真実に拒否反応」
全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領が、回顧録の執筆をほぼ完了し、早ければ今年6月ごろに出版する意向であることが分かった。全元大統領の側近は20日「現在、回顧録の原稿を推敲(すいこう)している。推敲作業が終われば、直ちに出版する方針だ」と話した。この側近によると、全元大統領は3−4年前から回顧録の執筆を始め、回顧録は全3巻、1500ページ以上に及ぶという。回顧録の出版は、出版社「時空社」を経営する長男・宰国(チェグク)氏が引き受ける可能性が高いという。
全元大統領の回顧録には、1979年10月26日の朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領暗殺事件から、同年12月12日の粛軍クーデター、80年5月18日の光州民主化運動(光州事件)に至る過程や、7年間の大統領在任中に起こった出来事、退任後の百潭寺(江原道麟蹄郡)での蟄居(ちっきょ)や「5共(第5共和国=全斗煥政権)聴聞会」、金泳三(キム・ヨンサム)政権下でのクーデター容疑による逮捕などについてつづっているという。回顧録の原稿を読んだ全元大統領の側近は「5共聴聞会を前に密使を通じ、崔圭夏(チェ・ギュハ)元大統領との間で、朴正煕元大統領暗殺事件後の状況について整理し意見を交わしたこと、1987年の6・29民主化宣言に際しては、長男の宰国氏を通じ、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領との間で宣言の2日前まで意見を調整したこと、いわゆる「三金」(金泳三元大統領、金大中〈キム・デジュン〉元大統領、金鍾泌〈キム・ジョンピル〉元首相)や朴槿恵(パク・クンへ)現大統領、現代グループ創業者の鄭周永(チョン・ジュヨン)氏やサムスン・グループ創業者の李秉普iイ・ビョンチョル)氏といった財閥オーナーたちとの秘話も盛り込まれている。読み手によっては衝撃的な事実に驚き、あるいは不都合な真実に拒否反応を示すことだろう」と語った。
崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/21/2016042101096.html
次の在韓米軍司令官への就任が予定されているビンセント・ブルックス氏は19日「米国が提供する核の傘がなくなれば、韓国は自国の安全を守るため核武装を検討するだろう」と発言した。米上院軍事委員会で開催された聴聞会において「米国が核の傘を引き上げた場合、これは韓国が核兵器開発を行う動機になるのか」という質問に対し、ブルックス氏はこのように答弁した。
ブルックス氏の発言は、現在米大統領選の候補者選びで共和党のトップに立つトランプ氏の主張に反論するものとも解釈できる。トランプ氏は演説で「米国には財政面での余力がないため、韓国が核武装を行って自分自身を守るか、あるいは米国に対してより多くの防衛費を支払うべきだ」と何度も訴え、さらに「韓国に核の傘を提供する必要はない」などとも主張している。これらトランプ氏の主張に対しては共和党の幹部らが強く批判しており、時には嘲笑されることもあったが、それでもトランプ氏はこの考えを今なお撤回していない。
今のところ「韓半島(朝鮮半島)非核化」について米国政府の立場に変わりはない。また「核の傘」に関する約束も、1978年の韓米安全保障協議会において正式に取り上げられて以来、これまでずっと守られてきた。オバマ大統領もトランプ氏が韓国の核武装に言及したことに対し「韓国と日本に提供している核の傘は、アジア太平洋地域において米国が十分に影響力を発揮できる礎だ」としてこれに強く反論した。また北朝鮮が核実験を行うたびに、オバマ大統領は「核の傘によって韓国を守る」との立場を何度も繰り返してきた。
しかし「核の傘の提供をやめる」とか「韓国が独自に核武装を行う可能性」が他でもない、米国国内で議論されているとなれば、これは絶対に聞き流すことはできない。とりわけ今回「韓国の核武装論」が議論されている理由が、韓半島における安全保障を強化するためというよりも、米国が提供する核の傘への疑問の声が米国国内で上がっていることに起因しているとなれば、これは深刻に受け止めなければならない。もし米国が核の傘の提供をある日突然やめた場合、韓国は北朝鮮による核兵器の脅威に対し、素手同然で立ち向かわねばならなくなるからだ。
ちなみに米国国内では最近「米国政府は同盟国を守るため、本当に核兵器を使用するのか」といった疑問の声が上がり始めている。つまり「韓国が核兵器による攻撃を受けたときに、米国が本土に対する核攻撃のリスクを甘受してまで代わりに報復できるのか」というのがそのポイントだ。米国政府と有力な大統領候補が今になってこの問題で論戦するのはあまりにも無責任であり、またこのような状況が繰り返されれば、北朝鮮に的外れな冒険に踏み切らせる恐れも高まってくるだろう。
北朝鮮は来月、36年ぶりの朝鮮労働党大会を予定しているが、それを前後して5回目の核実験を強行する可能性が高まっている。北朝鮮は最終的に核保有国としての地位を米国などに認めさせ、その上で在韓米軍の撤収を含む軍縮交渉を求めてくるはずだ。韓国と米国の両政府はこのような北朝鮮の動きに対し、経済制裁を強化すること以外にこれといった対抗策を見いだせていない。このような状況の中、米国国内で核の傘を見直すという話が繰り返し議論されれば、韓国国内でも独自の核武装を求める声が当然高まってくるだろう。そのため韓国政府は米国国内における議論の推移を鋭意注視し、今から対策に取り組んでおかねばならない。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/21/2016042100984.html
韓国の「報道の自由度」が70位とランキングを下げ、過去最低の順位になった。
これは、国際的なメディア監視団体「国境なき記者団」(RSF)が20日に発表した「報道の自由度」ランキングで、韓国が10位も順位を下げ、過去最低を記録したことが分かったもの。韓国は調査対象国180国中70位にとどまった。
韓国の「報道の自由度」の順位は、2002年に集計が始まってから06年には31位まで順位を上げたが、13年は50位、14年に57位、15年に60位と下落傾向を続けている。
「国境なき記者団」は「最大7年の懲役を言い渡せる名誉毀損(きそん)罪がメディア自己検閲の主な理由だ。北朝鮮との関係についての公開討論は、国家保安法の妨害を受けている。これはインターネット検閲の主な原因でもある」と論評した。
北朝鮮は昨年と同じく、全180カ国のうち179位と最下位グループに入った。北朝鮮のほかには中国(176位)、シリア(177位)、トルクメニスタン(178位)、エリトリア(180位)が最下位グループだった。
日本もメディアが安倍政権について自己検閲をしているという理由で72位にとどまった。
チョン・サンヒョク記者
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/21/2016042100660.html
経済成熟(低迷)期にある日本での消費税税率引き上げが経済全体にどのような影響を与えるかを考える一助にしてもらえば幸いである。
※本文投稿先
「消費増税1%刻みも選択肢 自民政調会長:高度成長期なら有効な手法だが現状では悪影響のレベルは結果的に同じ」
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/685.html
アメリカのオバマ大統領は中東で同盟関係にあるサウジアラビアを訪問しましたが、オバマ大統領が空港に到着した際の歓迎式典にサルマン国王は姿を見せず、両国の冷え込んだ関係を示したものという受け止めがでています。
中東とヨーロッパの3か国を訪問する予定のオバマ大統領は、20日、最初の訪問国、サウジアラビアの首都リヤドに到着し、サルマン国王と首脳会談を行いました。
ホワイトハウスによりますと、両首脳は2国間関係の重要性を確認し、過激派組織IS=イスラミックステートの掃討作戦を進めることや、シリアやイエメンの内戦終結に向けた協力についても話し合ったということです。
ただ、これに先だってリヤドの空港で行われた歓迎式典にサルマン国王は姿を見せず、オバマ大統領を出迎えたのはリヤドの州知事でした。オバマ政権がサウジアラビアと対立するイランとの間で核開発問題を巡る合意に達したことなどから、アメリカとサウジアラビアとの関係は冷え込んでおり、アメリカのメディアは「オバマ大統領は空港で冷ややかな形で迎えられた」などと伝え、両国の現状を示したものという受け止めがでています。
オバマ大統領は21日にはペルシャ湾岸の6か国の首脳たちとの会合に出席する予定で、サウジアラビアなどへの安全保障に関与する姿勢を強調し、関係の修復をアピールしたい考えです。
世界有数の産油国、サウジアラビアが日本の大手銀行を含む海外の銀行から1兆円を超える融資を受ける方向で最終調整に入っていることが明らかになりました。サウジアラビアが海外から融資を受けるのは、およそ25年ぶりで、原油安の長期化で巨額の財政赤字に陥るなか、財政資金を確保するねらいがあるものとみられます。
関係者によりますと、サウジアラビアは海外の銀行十数行から合わせて100億ドル、日本円で1兆円を超える融資を受ける方向で最終調整に入っていて、近く契約を結ぶ見通しです。
融資には日本の大手銀行3行も参加し、3行の融資は合わせて2千数百億円に上る見通しです。サウジアラビアが海外から融資を受けるのは、およそ25年ぶりで、原油安の長期化で巨額の財政赤字に陥るなか、財政資金を確保するねらいがあるものとみられます。
原油安に伴って、湾岸の産油国ではこれまでに、カタールやオマーンが財政資金を確保するため海外の銀行から融資を受けています。
原油価格を巡っては、サウジアラビアやロシアなど主要な産油国が今月17日に開いた会合で増産の凍結で合意できなかったことを受け、低迷が長引く可能性も指摘されています。今回のサウジアラビアの動きは、原油価格の低迷が産油国の財政に大きな打撃を与えていることを改めて示しています。
20日、ロシアのアレクサンドル・ノヴァク・エネルギー相が伝えたところでは「今年のロシアの原油採掘量は、5億4千から4千4百万トンまで増加する」と述べた。
ノヴァク・エネルギー相は、次のように指摘している-
「もし価格がもっと高くなり、投資が続き、大陸棚での開発や掘削が続けられるならば、ロシアの原油採掘量はもっと多くなるかもしれない。6億5千万トンまで採掘できる可能性がある。
現在我々が達した指標、つまり年間5億2千万から5億4千万トンという数値は、今後数年を最も適正なものとするために、基礎に置く指標に過ぎない。」
なお昨年2015年のロシアの原油採掘量は、5億3400万トンだった。
Apple社は、iOSとその他の製品のユーザーの最大限の安全を守ることができるが、今のところiPhoneについては、携帯電話ネットワークのレベルでかなり脆弱なままだ。
CBSによれば、すでにドイツのハッカーは、iPhoneユーザーの電話番号さえ分かれば、あらゆるユーザーの電話での会話を盗聴し、送信テキストを読み、彼らの居場所を追跡できることを証明した。
音声通話のシステムは、現在もSS7という技術がもとになっており、これは1970年代の技術であるため、21世紀のハッカーに対してはかなり無防備なものだ。
http://jp.sputniknews.com/world/20160420/1993776.html
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ハッカー、Wi-FiでiPhoneやiPadのバッテリーを破壊[スプートニク日本語]
2016年04月15日 22:54
サイバーセキュリティ企業PacketSledのパトリック・ケリー氏とマット・ハリガン氏は、自作のWi-Fiアクセスポイントでアップル社のモバイルガジェットを損傷させ、そのバッテリーを破壊することに成功した。14日、デイリーメールが報じた。
アップル製品が馴染みの名前のワイヤレスネットワークに自動的に接続する機能を利用すると、既知のネットワークを装ったWi-FiアクセスポイントでiPhoneとiPadを強制接続できる。
そして、特別に構成されたサーバーが、デバイスのシステムデータを1970年1月1日の日付に変更。これで、iOSのバージョンが9.3に更新されていないガジェットは故障した。デバイスのバッテリーが極端な温度まで加熱し始め、20分後には電源を喪失した。
考古学者らが衛星画像を用いてペルーの先史時代遺物ナスカの地上絵の謎を解明した。科学者が行った分析で、古代の水道橋とナスカの地上絵が同一の方法で作られたことが示された。デイリーメールが報じた。
科学者らによると、ナスカの地上絵は、古代に存在した水道システムの一部である。それらのいくつかは今も保存されており、ピキオスと呼ばれている。かつて科学者たちはナスカの地上絵がピキオスと関係しているかどうかを知らなかった。
ピキオスは砂漠が居住好適となるために行われた地下帯水層から水を抽出するための複雑な油圧システムだ。 ピキオスにより、ナスカ文化では一年中水が使用可能だった。水は家庭用及び農業用に使用された。
[ロンドン 18日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)の下で働く科学者たちのおかげで、使っている歯ブラシに発がん性リスクはないとほぼ確信していいだろう。過去40年間にわたり、WHO傘下の国際がん研究機関(IARC)は、ヒ素から整髪料まで989の物質や行為などを評価してきた。
その結果、ヒトに対し発がん性リスクが「恐らくない」のはわずかに1つ、ストレッチ性のヨガパンツや歯ブラシの毛に使われているナイロンの成分だけだった。
残りの988の物質は、IARCによると、ある程度のリスクがあるか、さらなる調査が必要だという。同機関が挙げる発がん性の高い物質のなかには、プルトニウムやマスタードガスや喫煙といった明らかに有害なものが含まれている。
だが、その他は意外性に満ちている。例えば、木材粉じんや中国の塩漬けされた干し魚は、発がん性が認められる「グループ1」にランクされている。
IARCは、塗装業には発がん性が認められ、携帯電話の使用も恐らくそうだとしている。また、パイロットや看護師のようなシフト勤務の仕事も「恐らく発がん性がある」としている。同機関は昨年10月、加工肉をプルトニウムと同じ「グループ1」に分類した。
IARCのこのような分類に、とりわけ科学者ではない人たちは困惑している。
世界で年間800万人以上が命を落とし、1400万人超の新たな患者を生み出しているがんの世界的権威として、IARCは多大な影響力をもち、批判的な人たちの間でさえ、敬意を表する者もいる。
その一方で、学術界や産業界、公衆衛生の専門家たちは、IARCが人々や政策当局者を混乱させていると主張。発がん性リスクがあるかどうかを検討し、それを伝えるIARCのやり方には欠陥があり、改革が必要だと批判する声も上がっている。
赤身肉には発がん性の恐れが、加工肉には発がん性が認められるとして分類すべきとのIARCの発表には、監督する立場のWHOでさえ不意打ちを食らったような格好だ。WHO報道官は、IARCの決定が肉の摂取をやめるべきということを意味するわけではない、としている。
問題なのは、IARCのこのような分類が、何百万人もの生活、国家や多国籍企業の経済活動に影響を及ぼしかねないということだ。それは化学物質の認可、消費者の製品選択やライフスタイルなど多くのことに波及する。
だが、IARCの分類はほとんど理解されておらず、世の中の役にあまり立っていないと、米国立がん研究所にかつて在籍し、現在は国際疫学研究所で生物統計学のディレクターを務めるボブ・タローン氏は指摘。「科学の役にも、規制当局の役にも立たない。それに人々を混乱に陥れるだけだ」と語った。
IARCに19年間勤め、遺伝学と疫学のチームを率いたパオロ・ボフェッタ氏は、同機関を「今でも強く支持」すると述べたうえで、そのやり方は時に「科学的な厳密さ」に欠けると話す。なぜなら判断において、科学者は、自身や同僚の研究の見直しを余儀なくされることがあるからだ。
批判に対し、IARCは断固反論する。同機関で分類プログラムを率いるクルト・ストライフ氏は、どのように発がん性リスクを評価しているのかとの質問に対し、「これはまさに考え得る最強のプロセス」だと答えた。
IARCのクリストファー・ワイルド所長も複数の科学誌で反論。1誌に対しては書簡で、分類に携わる科学者たちは「ヒトのがんの原因を突き止め、病気予防に貢献することで、公衆衛生を向上させたいという強い願いによって奮起している」と語った。
がん対策と世界の健康問題を専門とする英ロンドン大学キングス・カレッジのリチャード・サリバン教授は、いかなる混乱もIARCの役割に対する誤解がまん延しているせいだと指摘。「IARCは純粋に科学を行うための機関であり、それはそれでいいのだが、純粋な科学と、政策や公衆衛生に向けたメッセージとの間に乖離(かいり)がある。そこに問題が生じる」と述べた。
<加工肉とたばこが同じ分類>
IARCは専門家を集め、すでに存在する科学的証拠を見直し、物質や行為を発がん性の度合いに応じて5つに分類している。
IARCの分類が何を意味するかは誤解を受けることもある。IARCは「危険」、つまり、物質や行為が何らかの形でがんを引き起こす可能性をめぐる証拠の強さを評価するとしている。通常レベルのヒトへの暴露量や消費量は考慮されていない。要するに、何かによって、ヒトががんになる「リスク」や可能性を評価しているわけではない。
例えばIARCは、プルトニウムやアルコールによってがんになる相対的なリスク水準について見解を示していない。この2つの発がん性について明らかな証拠があると言っているだけだ。そのため、発がん性が認められる物質として、どちらも「グループ1」に分類されている。
米アルベルト・アインシュタイン医学校のがん疫学者ジェフリー・カバト氏はIARCを公に批判しており、同機関の分類は人々に「危害」を加えていると話す。
「皆が知りたいのは、健康に明らかな影響を及ぼすであろう身の回りの化学物質は何か、ということだ。現実的ではない状況下で影響があるかもしれないというような机上の空論ではない」と同氏は指摘する。
世間が誤解する危険性は、赤身肉と加工肉に関するIARCの発表に対するメディアの反応の一部に顕著に表れていた。ニュースサイト「ハフィントン・ ポスト」は「肉は新たなたばこ」と宣言し、英紙デーリー・メールは「保健当局のトップたち」が「加工肉をたばこと同じレベルに位置づけた」と報じた。
このような解釈は、IARCの見方からすると、誤解を招きやすいと言える。前述のストライフ氏はロイターに対し、混乱の責任は産業界や活動家団体、メディアにあると語った。
同氏は、加工肉とプルトニウムは「両方ともヒトに対して発がん性があるという明らかな証拠がある」として、同じカテゴリーに分類するという決定を擁護した。
<「反科学的ではないものの、ナイーブ」>
批評家の中には、IARCの研究論文はニュースで取り上げられるずっと以前から問題があったと言う人もいる。彼らが懸念するのは、IARCの5つの分類カテゴリーのうち、どこに物質や活動を入れるかを決定する「専門家研究グループ」の構成にある。
これらの専門家の中には、審査中の物質や活動ががんを起こすかどうか、長年にわたって研究成果を発表してきている人も含まれている。彼らは、自らや親しい同僚の研究を審査するIARCの研究グループの一員かもしれない。
例えば、IARCは2012年から2015年の間、314人の科学者が関わる18の研究論文を発表したり、手掛けたりした。ロイターの分析では、このうち少なくとも61人の科学者が、自らの科学的研究を考察する研究論文の研究グループに従事した。
国際疫学研究所のタローン氏や他の科学者は、記事科学雑誌の評論や記事、または書簡で、こうした人々が「同僚や自らの研究の妥当性や方法論の健全性について、最良の判断を下せるか」どうかについて疑問を呈してきた。
IARCのストライフ氏は、同機関の研究グループは「世界で最高の専門家」で構成されており、科学的な証拠を批判的に評価し、自らや親しい同僚による従来の発見に引きずられないグループだと述べた。
ストライフ氏は「正当な理由により、研究について最も知っている人々は、それまでにその研究にかかわってきた人々だとの強い信念がIARCにはある」と話した。
ストライフ氏はIARCの規則上、「筆者や関連のある同僚」は自らが発表した研究について直接評価することはできないと述べた。そして、「擁護などが許容されない」環境下で、20人から30人が議論に参加していることから、中立性が担保されていると話した。
タローン氏はロイターの取材に対し、全ての専門家が分離され、独立しているとするIARCの前提は「反科学的とは言わないものの、ナイーブだ」と述べた。「利己心や評判、出世主義に基づく先入観の問題がないと主張するのは馬鹿げている。邪悪な動機とは全く関係ない。それは単に人間の本能だ」
タローン氏や他の批評家は、IARCが潜在的な利害対立の対処の仕方で首尾一貫していないと指摘し、携帯電話から放出される放射線の研究をその一例に挙げた。
IARCは2011年6月、携帯電話からの放射線が「おそらくがんを誘発する」と結論づけた。それは、携帯電話を、鉛とクロロホルムと同じカテゴリーに位置づけるものだった。
<赤肉の評価>
IARCの研究グループの会合には、「関連性があり、科学的な信用のある」オブザーバーが招待された。しかし、彼らは守秘義務を負わされ、議事進行について議論してはならないことになっていた。ストライフ氏は、彼らの反対意見や議論が承諾なしに外部に報じられないことによって、科学者たちが率直に話せるようになると語る。
2015年に赤肉・加工肉の研究グループにオブザーバーとして招待された食物と動物の専門家は、ロイターの取材に匿名で応じ、科学的な証拠を審査する専門家パネルが、あたかも特定の結果を狙っているようだったと主張する。
この評価で、IARCは、リスクではなく、その危険性について評価するという通常の権限を超えてしまった。IARCは、赤肉・加工肉製品を食べるリスクについて具体的な警告を出した。
例えば、加工肉を毎日50グラム食べると、結腸がんを発達させるリスクが18%増えるとIARCは指摘。前述のオブザーバーはロイターの取材に対し、これらのデータが「一晩でどこからともなくやってきた」ように見えると話した。
オブザーバーは「科学は高い水準の厳粛さをもって審査されると期待していた。しかし10日過ぎて、科学的な視点からみて、私は本当に大変なショックを受けた」と話した。
ストライフ氏は、それらのデータが、審査中の科学文書の「複合分析」から出てきたと指摘。研究グループの専門家が確信できるような人間の疫学研究での十分な証拠があったことから、IARCの発表に至ったと語った。
ストライフ氏は、オブザーバーによっては、研究グループの議論の一部を見過ごしたかもしれないと言う。「私たちは本当に24時間働いた。夜遅くまで、そして週末も。オブザーバーが常にずっとそこにいたかかどうかは分からない」
IARCによる発がん物質としての加工肉の評価に異議を唱えることはなかったが、WHO本部はその背景を数々のツイートで説明した。「加工肉の健康リスクは、たばこやアスベストとのそれとは大いに異なっている」とWHOは強調。「肉は多くの必要不可欠な栄養を含んでおり、適度に消費される限り、健康的な食生活を送れる」と述べた。
この論争はWHO本部内で、IARCをきちんとコントロールできているのかという疑問を生むことになった。ジュネーブ在住のWHO本部の内部関係者は「IARCを抑える必要性についてここで議論が行われている」と述べた。
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のグローバルヘルスセキュリティセンターに務める国際公共衛生の専門家のチャールズ・クリフト氏は「IARCの赤肉・加工肉の研究成果の発表をめぐって、WHOはもう少し役割を果たすべきだった」指摘。「WHOは正式なガイダンスを出すべきだ。IARCや他から出てくる、間違って解釈されかねないことを単に是認するだけではなく」と語った。
WHOの報道官は、IARCは「機能的に独立」した組織であり、IARCが発がんの危険性を警告する場合、「WHOはそれらの危険性に関連したリスク水準を評価、もしくは再評価する」と語った。「そのリスク評価に基づき、公共衛生を保護する目的で、WHOは既にあるガイドラインを確認したり、新たなものを出したりする」
IARCのストライフ氏は「私たちが現在行っている方法に満足している。本当に科学的コミュニティーの最前線にいる」と話した。
(Kate Kelland記者 翻訳:高橋浩祐、伊藤典子 編集:下郡美紀)
http://jp.reuters.com/article/special-report-who-cancer-meat-idJPKCN0XI0CB?sp=true
Andy Critchlow
[ロンドン 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - サウジアラビアがお金にまつわるジョークを口にすることは滅多にない。ということは、米議会で2001年9月11日の同時攻撃(9.11)の被害者がサウジアラビア政府に賠償請求できるようになる法案が可決された場合、同国がドル建て資産を売却することを示唆した事実を、投資家は簡単に切り捨てられない。
サウジにとっては、投げ売りすれば破滅的な影響を被るだろうが、それでもイランのように資産を凍結されるよりはましなのだ。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、サウジのジュベイル外相は、同国の資産が接収されるのを防ぐためには売却せざるを得なくなる、と米議会に警告した。法案が成立すれば、サウジは最大で7500億ドルのドル建て資産を手放すことを余儀なくされるという。
米国債を中心とするサウジ保有のドル建て資産は、財政悪化につながった原油安から自国経済を守る最後の砦と言える。サウジは昨年、国内総生産(GDP)の15%に相当する財政赤字を計上した。今後5年間の原油価格が平均1バレル=30ドルで推移するなら、発生する赤字をカバーするには5800億ドル借り入れる必要がある、というのがシティの試算だ。これはサウジ通貨庁(SAMA、中央銀行)がなお保有する準備金の額にほぼ等しい。
政府系ファンドとしての役割も果たしているSAMAは、過去1年間で石油収入の急減を補うために資産売却を進めてきた。直近の財務報告書によると、2月までの1年間に準備金は17%減って5930億ドルとなった。今のペースならば、原油価格の反転がない限りSAMAの準備金は2020年までにほぼ底をつきかねない。この資金が使えなければ、サウジ王家は国内情勢を平穏に保つのは難しくなるだろう。
だからこそジュベイル外相の脅しは、軽々に扱えない。もちろんこれほどの規模で性急に資産を売却するのは信じられないほど危険な行為だ。サウジリヤルはドルペッグ制を採用しており、急速にドル建て資産を手放すことで、SAMAはペッグ制を維持する能力があるかどうかが問われる。その上に世界の金融市場を動揺させ、原油需要を一層冷え込ませるかもしれない。
サウジ政府がこうした大混乱を招く行動をあえて取ろうと考えていることからは、権力を維持するためにいかに多くのお金を必要としているかがうかがえる。それが今回の大騒ぎが発したメッセージの中で最も恐ろしいものだろう。
●背景となるニュース
・ホワイトハウスは18日、米議会で9.11に対するサウジアラビア政府の責任を問う内容の法案が可決されたとしても、サウジが保有するドル建て資産の売却を実行することはないと自信を示した。
・ニューヨーク・タイムズの15日の報道によると、サウジのジュベイル外相は米議会に対して、この法案が可決された場合、最大で7500億ドル相当の米国債その他のドル建て資産を売らざるを得ない、と警告した。
・アーネスト米大統領報道官は、オバマ大統領は法案を支持しておらず、署名もしないと断言した。法案は、9.11の被害者がサウジ政府を提訴することを認めている。
・アーネスト氏は記者団に「サウジは、国際金融システムの安定維持が共通の利益であることをわれわれと同じぐらい重々承知しているのは間違いない」と語った。
・オバマ大統領は今週、サウジを訪問する。大統領は、この法案は米国が他国民から訴えられる危険をもたらすとの理由から反対している。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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http://jp.reuters.com/article/usa-saudi-arabia-breakingviews-idJPKCN0XI0BP?sp=true
豪潜水艦調達と日独仏の競争 ― アメリカは誠実な仲介者を
ジョナサン・D・キャバリー
ウッドロー・ウィルソン・センター フェロー
同盟諸国に「中国の拡大主義に抵抗する試みを強化するように」と働きかけてきたアメリカにとって、オーストラリアが新型の潜水艦を導入するのは歓迎できるニュースだろう。フランスやドイツにとって、共同開発・生産契約を受注できれば、重要で魅力的なディールになる。日本にとっては、契約を受注することはさらに大きな意義がある。契約を受注すれば、日豪のインフォーマルな同盟関係が強化され、中国を封じ込める上で大きな価値をもつからだ。アメリカ政府もこの見方を受け入れ、水面下では日本が契約を受注するのが好ましいと考えているようだ。しかし、前回の潜水艦調達をめぐって大きな失敗を犯したオーストラリアが今回求めている基準はかなり高く、日独仏のいずれにとっても、これを満たすのは容易ではない。重要なのは、軍事予算を押し潰すことなく、必要とする潜水艦をオーストラリアが調達できるかどうかであり、アメリカはその調達をめぐる「誠実な仲介者」の役割を心がけるべきだろう。
■豪の次期潜水艦選定
次期潜水艦12隻を共同開発・生産するというキャンベラの最近の決定は、オーストラリアの外交政策だけでなく、アジアの地域政治を今後半世紀にわたって規定することになるだろう。当然、開発・生産契約の受注を望むフランス、ドイツ、日本だけでなく、アメリカと中国という地域大国、そして自国の安全保障の未来を心配する周辺諸国は、オーストラリアが共同開発相手を選ぶプロセスを、固唾をのんで見守ることになる。
次期潜水艦を導入すれば、オーストラリアは領海をより効果的に防衛し、マラッカ海峡や南シナ海のような、遠くの戦略ポイントにもパワーを投射できるようになる。最近の豪国防白書は「(潜水艦による)将来の作戦行動は、北アジアの安全保障、そしてオーストラリアの貿易を支える遠大な海岸線のコミュニケーションの防衛に貢献する」と指摘している。
オーストラリアを含む同盟諸国に「中国の拡大主義に抵抗する試みを強化するように」と働きかけてきたアメリカにとって、これは歓迎できるニュースだろう。すでにかなりの軍事輸出を行っているフランスとドイツにとっても、オーストラリアの次期潜水艦の契約を受注できれば、重要で魅力的なディールになる。一方、地域的な現状維持という大義を共有したいと考え、第二次世界大戦後初めて武器輸出の機会を模索している日本にとっては、契約を受注することはさらに大きな意義がある。
この流れがオーストラリアにとって最大の貿易パートナーである中国の不興を買うのではないかと懸念する分析もあるが、アメリカとオーストラリアの外交専門家たちは、最近のウォールストリートジャーナルの論説記事からも明らかにように、必ずしも日本の潜水艦能力を前提とする判断ではないにせよ、日本が共同開発・生産契約を受注することを強く支持している。
日本が契約を受注すれば、オーストラリアとのインフォーマルな同盟関係が強化され、中国を封じ込める上で大きな価値をもつからだ。アメリカ政府もこの見方を受け入れ、日本が契約を受注するのが好ましいと考えているようだ。もちろん中国は、「日本オプション」に強く反対している。
■必要とされる膨大なコスト
こうした捉え方はメディアには好都合かもしれない。しかし、「アマチュアは戦略を、プロはロジスティックスを語る」という軍事的格言もある。
何よりも、潜水艦は兵器であり、(その調達によって)財政を破綻させずに、長距離をカバーできる破壊力(あるいは抑止力)を備えていなければならない。したがって、価格、パフォーマンス、生産スケジュールが重要な鍵を握る。最近の豪国防白書は、12隻の潜水艦隊を設計・建造するのに必要なコストは500億オーストラリアドル(370億米ドル)を超えると試算しており、その後の活動とメンテに、さらに1000億オーストラリアドル(750億米ドル)が必要になるとしている。
これがオーストラリアにとって、どれほど膨大な支出であるかを理解するために、アメリカのF35統合打撃戦闘機(JSF)の生産計画を考えてみよう。ウインスロー・ウイーラー(国防情報センター・ストラウス軍事改革プロジェクトディレクター)がその底なしの開発・生産コストゆえに「ペンタゴンを食い潰すジェット」と呼んだJSF計2443機分の価格は4000億ドルとされる。これは米国防総省の年間予算の約3分の2に相当する。一方、オーストラリアの潜水艦12隻の調達コストは、2015〜16年の国防支出の1.5倍と想定されている。つまり、オーストラリアの次期潜水艦用の予算は、アメリカの次期戦闘機以上に、国防予算を食い潰す危険が大きいということになる。
潜水艦は複雑な工業製品で、しかもオーストラリアが求めている基準はかなり高い。この国の地理的広がり、広範な領域に及ぶ利益、パトロール予定の海域が本国からかなり離れているために、長距離をスピーディに航行し、目的地に到着すると同時に作戦行動を実施する能力が求められている。
■競い合う日独仏とアメリカの立場
オーストラリアはすでに、次期潜水艦にアメリカの戦闘システム、そして、これまでのライバル国の潜水艦が搭載したことのない重量級の魚雷を搭載することを決めている。一方(日独仏による)提案のすべては、高度なテクノロジーを集積したもので、契約の受注を望む企業は、キッチンのリフォームの業者同様に、そのリスクを控えめに描写し、言葉巧みに売り込もうとしている。
フランスは、(オーストラリアの意向で、得意とする)原子力潜水艦ではなく、ディーゼル型の通常動力による推進システムを提案せざるを得なくなり、ドイツも(オーストラリアの意向を満たすには)既存の214型潜水艦のサイズを倍にしなければならい。一方、日本はこれまで主要な兵器を輸出したことはなく、ましてや、外国で兵器を生産したことはない。(オーストラリア南部に雇用をもたらすために、キャンベラは国内での潜水艦建造を条件としている)。
一方、オーストラリアとしては、前回の調達契約がうまくいかなかっただけに、次期潜水艦の調達には慎重にならざるを得ない。現在のコリンズ級潜水艦は、より小型のスウェーデンの潜水艦のデザインを改良してオーストラリアで建造されたが、これは、国防調達サークルの大失敗だつたとみなされている。予算内に収まらなかったばかりか、生産は遅れ、不備の多い戦闘システムを最終的に入れ替えざるを得なくなった。効率に欠けるライフサイクルのメンテ計画にも悩まされた。現状のオーストラリア海軍の潜水艦隊では、海洋での活動期間のベンチマークさえクリアーできない。
それだけに今回は、野心的なパフォーマンス基準を妥当な投資で実現し、調達を大幅な遅延なく、ほぼ計画通りに達成することをキャンベラは重視せざるを得ない。特定国のデザインを他国のそれよりも好ましいと判断することの地政学的利益やコストは、それほど大きくはないし、アメリカの戦闘システムを搭載すれば、いずれにせよ、オーストラリアはアメリカの太平洋戦略に歩み寄ることになる。
アメリカが、戦略を理由にオーストラリアに特定の圧力をかけていないのは、この理由からだ。アメリカとしては、(特定国への発注を働きかけるよりも)オーストラリアがその軍事的必要性にフィットする潜水艦を選ぶのを助ける「誠実な仲介者」として振る舞う方がはるかに好ましい。
完全とは言えないが、軍備調達の技術的側面にうまく対処できる組織はペンタゴンをおいて他にない。実際、アメリカの軍艦の設計・建造・保守・管理(及び戦闘システムの開発)を担当する米海軍・海洋システム司令部には、オーストラリアの国防総省全体を上回るスタッフが働いている。アメリカのこうした分析能力を利用すれば、もっとも能力が高くリスクを抑え込んだ設計の潜水艦をキャンベラが選ぶのを間違いなく助けられるはずだ。
これまでもアメリカはそうした支援を提供したことがある。1980年代、イスラエルは、アメリカのF16に相当する能力をもつラビ戦闘機の試作を試みた。小規模な航空産業しかもたない小国にとって、これはかつてない試みだった。
コストの肥大化に悩まされたイスラエルにべンタゴンが協力し、イスラエル国防省プログラム分析部の5倍規模の暫定(分析)チームが立ち上げられた。事実を前提に、ラビジェット計画の問題点を一つずつ潰していった暫定チームは、技術的前提の非現実性、そして生産コストが過小評価されていると結論づけた。これらはイスラエルの能力では具体的に特定できないポイントだった。
■誠実な仲介者
より高い価値をもつ次期潜水艦の調達に専念し、ワシントンが日本の提案をアメリカが支持しているかのような態度をとるのを避ければ、日本同様にアメリカの重要な同盟国であるフランスやドイツを苛立たせずに済むし、中国でさえも、アメリカは公平な立場をとったと最終的に考えるようになるかもしれない。
アジアの地域国家にとって、潜水艦はその海洋戦略に不可欠な一部だ。中国は2020年までに、能力面でのバラツキはあるとしても、潜水艦70隻を保有していると考えられる。アメリカは、現状で57隻の攻撃型潜水艦を保有しているが、その数は(引退などによって)2028年までに41隻へと減少する。当然、オーストラリア海軍の潜水艦艦隊の完成が遅れたり、数が減らされたりすれば、西太平洋における海洋の戦略バランスは変化する。
だからこそ、軍事予算を押し潰すことなく、必要とする潜水艦をオーストラリアが(タイムリーに)調達(開発・生産)することは極めて重要だ。太平洋の軍事同盟を口先で強化しても、それを支える軍事力なしでは意味はないのだから。●
Jonathan D. Cavaerley ウッドロー・ウイルソン・センターフェロー、マサチューセッツ工科大学リサーチアソシエート(安全保障研究)。米海軍の潜水艦士官、ノースウエスタン大学助教授(海軍エンジーテリング)などを経て、現職。
Robert L. Borosage
[14日 ロイター] - 2016年の米大統領選に向けた政治論争のなかで、通商政策が焦点となっている。共和党指名争いでトップを走る不動産王ドナルド・トランプ氏は中国からの輸入品に45%の関税を主張している。
また、民主党指名を目指すバーニー・サンダース上院議員からのプレッシャーを受け、ヒラリー・クリントン前国務長官まで、オバマ米大統領が進める環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に反対している。同氏は以前、貿易協定の「模範」とまで称賛していたにもかかわらずだ。
いま明らかになりつつあるのは、米国のグローバル通商政策・関税政策がいかに破壊的なものだったかという点だ。確かに、輸入品の価格低下とその多様化は、米国民に恩恵を与えた。だが、その一方で米国は過去に類を見ないほどの貿易赤字を抱えており、その額は現在、年間約5000億ドル(約54.5兆円)、すなわちGDP(国内総生産)の約3%に相当する。
中国との貿易に限っても、米国は1990年から2010年までに、推定240万人の雇用を失っている。対中貿易収支も、記録を開始して以来となる過去最大の赤字である。企業は人件費が安く環境保護・消費者保護の規制がほとんどない中国のような国々へ良質な雇用を移転させてしまい、米国には地域社会が丸ごと荒廃してしまった例がいくつもある。
エコノミストの試算によれば、人件費の安い国々との貿易に伴い、米国のブルーカラー労働者の賃金は年間約1800ドル低下してしまったという。解雇された労働者は所得も家も失い、結婚もできず、希望を失っている。次の職を見つけるために驚くほど長期にわたって苦労したあげくに、多くは以前よりも低い収入の職に就かざるを得ない。
貿易協定による恩恵の大部分は、企業のバランスシートを改善し、投資家、経営上層部を潤わせる。一方で労働者は、所得も、雇用の安定も、力も失っている。
では、米国の新たな通商政策とはどのようなものだろうか。
第1に、批准待ちの状態になっているTPPを放棄し、現在進行中の環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)の交渉を中断することにより、最近の貿易協定のテンプレート(ひな形)とは縁を切ることだ。
新たな通商政策は、今までとは異なる原理に基づくものになる。ハーバード大学ケネディスクールで国際政治経済学を研究するダニ・ロドリック教授が主張するように、貿易は、それ自体が目的ではなく、手段として見なされるべきだ。連邦政府は、米国が、そして他国が、自身の価値観を追求できるような貿易システムを模索すべきなのである。
良識あるシステムの下では、各国は労働者の権利保護や環境関連法制など、自国の社会的な取り決めを守っていけるだろう。議会は、貿易協定について明確な目標を定め、何を交渉の対象とするかを決定する権限を取り戻し、進行中の交渉内容を知ることができるようになる。大統領に秘密交渉を認め、議会は合意内容を修正できずに賛否だけを表明せざるを得なくなるファストトラック権限は撤回されるだろう。
また、貿易協議の実質も大きく変わるだろう。たとえば、製薬会社の特許権の執行に関する詳細な交渉の代わりに、労働者に影響を与える差し迫った問題が新たに注目を集めることになる。「パナマ文書」が暴露した租税回避スキャンダルが裏付けているように、グローバル企業に対する課税の強化と調和、タックスヘイブン(租税回避地)の閉鎖と協調的な税務執行が交渉の中心になるだろう。気候変動対策としてグローバルな炭素排出価格の設定推進も優先課題になる。各国が通貨操作に対して報復する権限を与えることも重要だ。
経済政策研究センターのディーン・ベイカー共同所長が提案する取り組みとして、医師、歯科医師、弁護士の過剰な所得を守っている障壁の排除がある。海外で訓練を受けた医師や歯科医師が米国で開業できるようになれば、年間900億ドル、1人あたり約300ドルの医療費が節約できるとベイカー氏は試算している。
また国際的な交渉によって、医療研究に対する公的な直接融資を行うグローバル基金が誕生する可能性もある。研究の成果はパブリックドメインのままとなる。ベイカー氏の試算では、米国において、医薬品のコストが下がれば、年間3600億ドル、対GDP比で2%、1人あたり約1100ドルの節約になるという。これはTPP推進派が同協定から得られるとする恩恵よりもはるかに大きい。
下院最大の議員連盟として70名以上が参加する「進歩的議員連盟」は、思慮に富む代替的な包括通商政策を提示している。この計画では貿易の拡大、ただしバランスの良い貿易を目標として掲げている。米大統領の立場から、米国が5年間で貿易収支をほぼ均衡状態にまで持っていくことを計画していると発表することもできる。そうすれば貿易黒字を抱える諸国は、国内需要を増やし、輸出主導の成長への依存を低下させなければならないと気づくだろう。またグローバル企業も、もし米国市場にアクセスしたければ、米国内でもっと投資した方がいいことに気がつくはずだ。
より均衡のとれた貿易を求める声は、2009年の金融危機発生後に開催された主要20カ国・地域(G20)会合でも支持されていた。だがドイツと中国が危機を脱するために輸出に力を入れたことで、この合意は長続きしなかった。
貿易収支均衡は、かつて著名投資家ウォーレン・バフェット氏が提唱したように、トレードバウチャー制度によって実現することも可能だ。一定の額の財を輸入する権利を企業に与え、毎年その額を予想輸出額に近づけていく仕組みだ。または、米国の主要貿易相手国について、米国が遵守すべき貿易赤字の上限をそれぞれ定めてもいい。そうすれば貿易相手国には、輸入増加と輸出削減を迫るプレッシャーがかかり、さもなければ事実上の関税として作用する課徴金を支払うことになる。
第2に、議連が提案する計画には、労働者の権利、人権、消費者保護、環境保護を実現する手段を詳述している。これらの課題について各国がその希望に応じてより厳しい法制を定める権利も保護される。貿易協定によって必須医薬品に対する妥当な価格でのアクセスが確保されることも必要とされる。こうなれば、特許による保護を拡大しようとする製薬会社の企ても抑制されるだろう。
第3に、議連の計画では、貿易協定が「国家としての権利」を尊重することを求めている。これを実現するために、投資家対国家間の紛争解決制度(ISD制度)は撤廃され、グローバル投資家は各国の法制度に依拠せざるをえなくなる。グローバル企業が腐敗した国内制度に懸念を持つのであれば、自家保険をかけるか、別の国に投資すればいい。
また計画は、政府調達に関する「米国製品優先購入(バイ・アメリカン)」政策を拡大し、擁護することになる。自分が納めた税金が、世界中の雇用を支えるためではなく、自国の雇用を支えるために使われることを要求できるようにすべきなのだ。
第4に、実はこの計画は、自由貿易主義者が理屈のうえで支持していることをうまく達成することになる。つまり、グローバル貿易の勝者が敗者に補償を与えるということだ。
失業した米国の労働者は、拡大貿易調整支援法に基づく支援を得られる。以前より賃金の低い仕事に就かざるを得なければ、拡大された失業給付・賃金保険を受けられる。新たなイニシアチブでは、工場閉鎖によって打撃を被った地域社会に対する的確な支援が提供されるだろう。米国よりも労働者の賃金が高いデンマークとドイツでは、労働者が貿易システムの犠牲にならないよう、米国よりはるかに多くのリソースを高度な研修・就職斡旋プログラムに投じている。
明快な産業戦略も、より均衡のとれた貿易のためにプラスになる。すなわち、すでに世界を席巻しつつある「グリーン産業革命」に欠かせない製品の発明、製造、販売における優位を生かすことに特化した戦略である。
米政府の現在のシステムの支持者は、自由貿易か保護主義かという選択を装っている。だが、現在のような貿易協定は自由貿易を生み出すものではない。特定の利権のための選択的な保護を行っているだけだ。米国の破滅的な貿易赤字は、グローバリゼーションの避けがたい帰結ではなく、通商・関税政策の意図した結果なのである。
サンダース、トランプ両候補は、米国の現在の針路の愚かしさを暴くのに貢献した。
我が国の通商政策は、少数の利益に有利なルールの典型的な例である。労働者が不利になり、CEOたちがますます高額の所得を得るなかで、エコノミストたちも、米国の異常なまでの格差拡大に彼らが直接貢献していることを認めるようになっている。進歩的議員連盟の提案は、理にかなった代替案が可能であることを示している。米国の現在の窮状は、政治と権力の問題であり、運命ではないのだ。
*筆者は進歩主義的な米シンクタンク「Institute for America’s Future」の設立者。姉妹団体「Campaign for America’s Future」の共同ディレクターも務める。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。
http://jp.reuters.com/article/borosage-trade-idJPKCN0XH05T?sp=true
オバマ米大統領は20日、サウジアラビアの首都リヤドを訪問したが、同国のサルマン国王の出迎えはなかった。そのためマスコミは、オバマ大統領は「冷遇された」と報じた。
通常オバマ大統領が外国を公式訪問する時は盛大に迎えられるが、20日は華やかさも荘厳さもなかった。ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
飛行機から降りたオバマ大統領を迎えたのは、「サウジ当局の一握りの人たち」だったという。なおサルマン国王は空港でペルシャ湾岸諸国の首脳らを出迎え、オバマ大統領と会ったのは、宮殿で開かれた2国間会談だった。
CNNは、SNSではオバマ大統領が冷遇されたと言われていると報じ、米国とサウジの間に大きな意見の不一致が存在するさらなる兆候だと考えられると指摘した。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、オバマ大統領のサウジ訪問は困難だと報じた。
アトランティコは、オバマ大統領はオーストラリアのターンブル首相との会談で、サウジアラビアとの関係は「複雑だ」とすでに述べていたと報じた。
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歌手プリンスさん 死去[スプートニク日本語]
2016年04月22日 02:27
米国の歌手プリンスさんが、ミネソタ州チャンハッセンにある自身の録音スタジオで遺体で発見された。57歳だった。
http://jp.sputniknews.com/life/20160422/2004922.html
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Life | 2016年 04月 18日 09:14 JST
米歌手プリンス、体調悪化で自家用機が緊急着陸 搬送先で回復
[ロサンゼルス 15日 ロイター] - 芸能ニュースサイトTMZによると、米歌手プリンス(57)は15日、自家用機内でインフルエンザの症状が悪化したため、緊急着陸後に病院に救急搬送されたが、同日中に退院した。
プリンスの代理人はTMZに対し、プリンスは14日夜にインフルエンザによる体調不良を押してアトランタ公演を行った後、移動のため搭乗した自家用機の中で体調がさらに悪化したと説明。機体はイリノイ州モリーンに緊急着陸し、プリンスは現地の病院に搬送され、治療を受けた。その後退院し、再び自家用機で自宅に向かったという。
TMZによると、プリンスはこの前の週にインフルエンザのためアトランタの2公演をキャンセルしていた。
http://jp.reuters.com/article/ent-prince-recovering-flu-idJPKCN0XF009
東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原子力発電所にある建物の中で21日午後「装置から煙が出ている」という連絡が入りました。
実際は煙ではなく装置に入ったバッテリーの液体の漏えいと確認されましたが一時、消防車などが出動する騒ぎとなりました。
21日午後2時すぎ柏崎刈羽原発の6号機と7号機のタービン建屋の間にある「廃棄物処理建屋」という建物の地下1階で、歩いていた関連企業の作業員が電源盤から煙のようなものが出ていると通報しました。
東京電力によりますと、電源盤は作業員が連絡を取り合うための通信設備の電源で、中にはバッテリーが入っているということです。
この通報を受け緊急事態に備えて消防車など8台が出動しましたが、詳しく調べた結果バッテリーの中の液体が漏れ出ていたことが分かり、煙や火は確認されませんでした。
放射性物質が外に漏れ出るなどの異常もなく、消防などでは液体が霧状に漏れ出たのが煙のように見えたのではないかとしています。
柏崎刈羽原発を巡っては重要なケーブルが不適切に敷設されていたほか、5号機で原子炉内の制御棒が勝手に動きだすなどトラブルが相次いでいます。
04月21日 17時42分
http://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/1034741771.html?t=1461264972466
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世界最大の柏崎刈羽原発で発煙[スプートニク日本語]]
2016年04月21日 21:32(アップデート 2016年04月21日 22:57)
新潟県の柏崎刈羽原子力発電所で21日、6号機、7号機の地下にある放射性使用済み燃料の処理施設から発煙。同原発は世界最大の原発として知られる。共同通信が運営会社の東京電力からの発表を引用して報じた。
発煙現場は25台の蓄電器のある熱交換建屋。おそらく蓄電器のひとつから希釈硫酸が流れ出し、それが発煙の原因になったとの見方がなされている。同原発では6人の職員が喉の痛みを訴えた。
東京電力が確認したところ放射性物質は漏れ出しておらず、煙もしばらくの後、消えた。東京電力と地元消防は発煙の原因究明を行っている。
テロリストに武器を供与することでサウジアラビア、トルコ、カタール、フランス、英国がシリアのインフラと経済を破壊しようとしている。シリアのハリキ首相がリアノーボスチ通信からのインタビューにこう明かした。
「サウジアラビア、トルコ、カタール、そして英仏といった西側諸国はシリアの政治プロセスの調整が実際に進むことを望んでいない。これらの諸国は逆にテロ活動がエスカレートするよう助力している。」
ハリキ首相によれば、先週だけでもトルコ側から国境を越えてシリアのアレッポ、イドリブ両県に5千人を越える武装戦闘員が越境した。
中国の国営企業「中国石油天然気集団公司」はロシアの石油大手「ロスネフチ」を部分的に買収する構えを表した。同社のヴァン・チジュンツァイ第1副社長が記者団に対して明らかにした。
チジュンツァイ第1副社長によれば、中国石油天然気集団公司の買収できる割合については、これから露中の首脳レベルで話し合われる。
兵庫県警の49歳の警部補が捜査のために訪れた住宅から現金200万円を盗んだとして、窃盗の疑いで逮捕されました。
逮捕されたのは、兵庫県警捜査1課の警部補、山下洋司容疑者(49)です。
警察の調べによりますと山下警部補は、兵庫県播磨町の71歳の女性の住宅で、バッグの中に入っていた現金200万円を盗んだとして窃盗の疑いが持たれています。
山下警部補は、先月27日、女性の住宅で家族が首をつって自殺しているのが見つかったことから、同僚の警察官ら5人とともに捜査のためにこの住宅を訪れたということです。
今月10日になってバッグの中の現金がないことに女性が気付き、警察が捜査していたところ、21日午前、山下警部補が盗んだことを認めたため逮捕しました。
現金200万円は今月18日、女性の住宅のガレージの中で見つかり、警察の調べに対し山下警部補は「自分が現金を置いてきた」と供述しているということで、警察は現金を盗んだ動機について詳しく調べることにしています。
兵庫県警察本部の河本博幸監察官室長は「警察の信用を失墜する行為であり、被害者をはじめ県民の皆様に深くおわび申し上げます」とコメントしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160422/k10010493131000.html?utm_int=all_side_ranking-social_003
三菱自動車が、「ミラージュ」「デリカ D:5」「アウトランダーPHEV」を除く全ての車種について、少なくとも2002年から、日本で認められていない手法で走行抵抗値を測定していたことが分かった。走行抵抗値は燃費測定試験を行うシャシーダイナモの設定に必要な数値の1つで、自動車メーカーがテストコースなどで測定して国土交通省に報告する。
三菱自動車は不正な手法で走行抵抗値を測定した上に、燃費試験に有利に働く測定値を選んで国土交通省に届け出ていた。一連の不正により、軽自動車の「eKワゴン」「eKスペース」、日産自動車に供給している「デイズ」「デイズルークス」は、本来よりも5〜10%高いJC08モード燃費を公表していた格好になる。
現在公表されている4車種のJC08モード燃費は、eKワゴン/デイズが30.4km/l、eKスペース/デイズルークスが26.2km/l。5〜10%悪化するとすれば、eKワゴン/デイズは27.3〜28.8km/l、eKスペース/デイズルークスは23.5〜24.8km/lで、ダイハツ工業の「ムーヴ」「タント」、スズキの「ワゴンR」「スペーシア」、ホンダの「N-WGN」「N-BOX」といった競合車の中で最下位になる計算だ。
●測定手法と報告する数値、2つの不正
三菱自動車が2016年4月20日に国土交通省で開いた会見で、同社 社長の相川哲郎氏は「不正は意図的に行われたものだった。なぜ不正をしてまで燃費にこだわったのか、理由については聞き取り調査を進めているところだ」と説明した。
同社は2002年から「高速惰行法」という手法で走行抵抗値を測定していた。日本では道路運送車両法で「惰行法」という方法で走行抵抗値を測るよう定められており、三菱自動車では法令に沿わない手法が、多くの車種で10年以上にわたって用いられてきたことになる。日産自動車が惰行法でデイズ/デイズルークスの走行抵抗値を正規に測定したところ、三菱自動車が高速惰行法で測定した場合よりも7%高かったという。
高速惰行法自体が不正確で信頼性の低い測定手法というわけではなく、米国では燃費測定時に高速惰行法で測定した走行抵抗値を用いている。欧州では日本と同様に惰行法が採用されている。
走行抵抗値の測り方は惰行法と高速惰行法で異なる。「惰行法は一定の車速の状態からギアをニュートラルに入れて、定められた速度まで減速するのにかかる秒数を測定して算出する。これに対し、高速惰行法は一気に減速して1秒間に時速何km低下するかを基にする」(同社 副社長 品質統括部門長 開発担当の中尾龍吾氏)。
高速惰行法は惰行法と比較して試験に要する時間が半分程度に短くなるが、高速惰行法を選んだ動機については「調査中」(同氏)としている。
走行抵抗値の測定は、日本以外の海外市場では、その国に準拠した方法を行っていたという。
測定手法だけでなく、国土交通省に報告した走行抵抗値にも問題があった。通常、複数測定した数値の中から中央値を選ぶ必要があるが、三菱自動車は燃費の測定で有利となるように中央値よりも低い範囲から数値を選んで報告していた。この数値は「全て実測値であり、でっちあげたものではない」(中尾氏)としている。
自動車メーカーは国土交通省に対して走行抵抗値の全ての測定結果を提出するのではなく、定められた方法で測定した中央値を報告する必要がある。
国土交通省は手始めに、eKワゴン/eKスペース/デイズ/デイズルークスの走行抵抗値について、正規の試験法で測定した上で速やかに届け出るよう三菱自動車に指示を出した。
走行抵抗値を測定し直すことによって、JC08モード燃費は発売時に公表した数値から5〜10%悪化する見込みだ。エコカー減税の減税額が変わる可能性もあり、その場合は「本来の減税額との差額を返納する」(相川氏)との考えだ。燃費は悪化する見込みだが「排気ガス基準を達成していることには相違ない」(中尾氏)としている。
軽自動車4車種を含めた一連の不正が行われた車種は保安基準を満たしているため、すぐさまリコール対象とはならない。
●日産がいなければ明るみに出なかった
三菱自動車が行った走行抵抗値の測定の不正は、日産自動車の指摘によって発覚した。日産自動車が軽自動車の新モデル開発のため、現行のデイズ/デイズルークスの燃費をあらためて測定したことが、発覚のきっかけになった。
eKワゴン/eKスペース/デイズ/デイズルークスは、日産自動車と三菱自動車が折半出資で2011年に設立した合弁会社「NMKV」で共同開発したモデルだ。本来は競合同士の自動車メーカー2社が協力し合うことで、ダイハツ工業やスズキ、ホンダがシェアを握る軽自動車市場での巻き返しを狙っていた。eKワゴンとデイズは2013年6月、eKスペースとデイズルークスは2014年2月に発売。2016年3月末までに4車種累計で、三菱自動車は15万7000台を、日産自動車は46万8000台を売り上げた。
2015年夏、NMKVで手掛ける新型車の開発を日産自動車が主導することに決まった。日産自動車が得意とする予防安全技術を生かして商品力を向上させるためだ。新型車の開発に向けて日産自動車が現行のデイズ/デイズルークスの燃費を測定したところ、カタログ値と大きく差があり、同年12月に日産自動車が三菱自動車に調査を申し入れた。
2016年2月には2社で調査を開始し、同年3月に燃費の乖離の原因が走行抵抗値の差であることが分かったという。愛知県岡崎市の開発拠点の性能実験部が不正な測定方法を実施していたことが判明し、同年4月13日に社長である相川氏に報告が届いた。この時、国内市場向けの大半の車種で同様の不正が行われていたことが明らかになった。18日に日産自動車に不正があったことを伝え、20日午後には水島製作所のeKワゴン/eKスペース/デイズ/デイズルークスの生産ラインを停止し、販売も取りやめた。
走行抵抗値の不正な測定は開発の後期段階で行われたものであり、「三菱自動車の社内で、設計部門などが気付くことは難しかった。長期にわたって性能実験部内でどのように指示や“引き継ぎ”があったのか、今後の調査で明らかにする」(相川氏)としている。
また、自動車メーカーから走行抵抗値の申告を聞くだけの国土交通省も、走行抵抗値の測定方法までは確認できなかった。三菱自動車が行った不正は、日産自動車が気付かなければ明るみに出なかったといえる。
三菱自動車の顧客への対応や、国内の生産拠点や販売店で働く人々の今後、不正が行われた軽自動車以外の車種の扱い、NMKVの運営など、明確になっていない点は多い。三菱自動車は独立性のある外部の有識者のみによる調査委員会を設置し、3カ月以内に何らかの報告を公表する計画だ。
最終更新:4月21日(木)6時25分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160421-00000021-it_monoist-ind
ソウル市松坡区新川洞の「蚕室ロッテワールドタワー」は先月、最上部の尖塔構造部分の工事が終了し、地上123階、高さ555メートルの韓国最高層、世界5位の巨大高層ビルの外観が姿を現した。しかし、そこには「知られたくない真実」がある。
75万トンの建物の重さに耐えるための基礎設計は英アルップ社、その基礎の上に19万5,000平方メートルのコンクリート、4万トンの鉄骨を組み上げる建物設計は米KPFとレラ社、風速80メートルの強風に耐えるための風洞設計はカナダのRWDI(社、合計2万個のガラス壁を取り付ける外壁工事は日本のリクシルと米CDCがそれぞれ担当した。「韓国の建築技術の集大成」かと思われたロッテワールドタワーは実際には外国企業の手で建てられたものだ。
建設業界関係者は「事実上、コンクリートと鉄筋だけを我々の手で組み上げた格好だ。韓国の建設会社が海外に建てた数多くの高層ビルも実情は同じだ」と明かした。
ロッテワールドタワーは、独自技術なしで見た目の成長にばかり執着してきた韓国産業の限界を象徴している。
韓国は1993年に造船受注世界1位、94年に世界初の256メガバイトDRAM開発、95年に世界5大自動車生産国入りなど「製造業大国」の陣列に加わった。しかし、その虚像が建設、造船、スマートフォン、液晶ディスプレー、鉄鋼、自動車など主力産業の至る所で露見している。20年間の「製造業神話」は崩れつつある。
中国の液晶パネル業者、京東方科技集団(BOE)は昨年12月、安徽省合肥市に第10.5世代のパネル工場を着工した。現在第8世代が主力の韓国を2段階乗り越え、かつて韓国製テレビが日本のソニーを追い越すのに決定的な役割を果たした韓国の液晶ディスプレー産業に追い付いた格好だ。通信設備事業でも中国に圧倒され、1996年にCDMA方式を世界で初めて商用化した名誉は色あせている。
韓国企業はこれまで独自技術なく、大規模投資で「より薄く、より軽い」製品をライバル国よりも「より安く」生産することに集中し、成長してきた。しかし、韓国主導の「量産技術革新」は限界に直面している。サムスン電子は最近、回路線幅18ナノメートル(ナノは10億分の1)のDRAM開発に成功したが、10ナノメートル未満の超微細製造プロセスは不可能だとの見方が支配的だ。そのため、これまでとは全く異なる概念の半導体が求められている。
「製造業の没落」は、20年以上にわたり世界トップに君臨してきた造船業でも現実化している。
現代重工業、大宇造船海洋、サムスン重工業の造船3社は昨年だけで石油掘削装置などの海洋プラント部門で約4兆5000億ウォン(約4280億円)の営業損失を出した。「なせば成る」精神で走り抜けてきたが、複雑な海洋プラントに必要な設計能力が決定的に不足していた。基本設計は海外に委託し、それを土台に作成した設計図は発注元から100回以上も突き返された。
結局、建造費用が雪だるま式に膨らみ、建造期間も延びた。造船業界役員OBは「韓国のエンジニアは海外のエンジニアリング会社が作成した基本設計をしっかり理解できていない状態で大雑把に受注価格を算出した」と話す。
製造技術の競争力が限界に達し、製造業の空洞化もますます深刻化している。独自技術不在で製造業を営む国ならばいくらでもあるからだ。
サムスン電子のスマートフォン事業はベトナムに生産拠点を移転。世界5位の自動車メーカー、現代自動車は過去18年間、韓国国内に工場を新設していない。
このため、世界最高に迫る青年失業率(11.8%)は改善の兆しを見せず、韓国の勤労者の労働時間は依然として、経済協力開発機構(OECD)でトップ圏だ。
ソウル大の李正東(イ・ジョンドン)教授(産業工学)は「これまで韓国の産業は他国を速やかに見習う『ファスト・フォロワー』で成功を収めてきたが、それに慣れ親しんでしまい、時代錯誤の蓄積で、白紙の状態から新たなものを誕生させる能力を育てられなかった。韓国経済の新たな飛躍に向けたパラダイムシフトが求められている」と指摘した。
李性勲(イ・ソンフン)記者 , 写真=キム・ヨンジョン客員記者 , グラフィック=キム・ソンギュ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042201041.html
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記事入力 : 2016/04/22 14:01
韓国最長の橋も外国技術頼み、独自技術不在で海外に従属
【特集】色あせる「メード・イン・コリア」神話
今月14日、京畿道安養市東安区にある安養コンバインドサイクル発電所を訪れると、直径約10メートルの巨大なガスタービンがごう音を立てて回っていた。1047度の超高温ガスで毎分3600回転し、発電を行う発電所の中枢部だ。ガスタービンには「アルストム製」と書かれていた。米ゼネラル・エレクトリック(GE)に合併されたフランスの重工業設備メーカーの社名だ。
GSパワーのキム・ウンファン専務は「高温でも溶解したり変形したりしない最先端の素材技術、わずか数ミリの誤差も許さない製造技術がなければできない作品だ。他の設備は大部分が国産だが、ガスタービンだけはまだ国産化できない」と話した。
現在韓国で稼働している30カ所余りの中型・大型のコンバインドサイクル発電所で使われるガスタービンには国産品は皆無だ。いずれもGEや独シーメンス、日本の三菱日立パワーシステムズなど海外メーカーが製造したものだ。業界関係者は「韓国企業にはまだ、高温・高圧に耐え、正確に稼働する大容量タービンを製造する素材技術と基礎設計の経験がない」と指摘した。
■韓国最長の橋も外国技術頼み
仁川市の松島と永宗島を結ぶ長さ21.28キロメートルの仁川大橋は韓国最長、世界でも6番目の長さを誇る。2009年に完成した当時には、「韓国の建設業界の底力を世界に示した快挙」という賛辞があふれた。しかし、実態は異なる。工事こそ韓国企業が行ったが、重要技術はほとんど海外に依存したからだ。
設計段階からして外国企業が担当した。仁川大橋のような大型の橋りょうでは、風、波、自動車の通行量、地震など橋にかかるさまざまな力を分析し、絶対に崩れないような構造設計を行うことが重要だ。設計は日本の長大が行った。1968年設立で、世界の20以上の大型橋りょうを設計した経験を持つ業者だ。土木設計専門家は「長大の技術者が仁川大橋だけでなく、永宗島大橋の構造設計も担当した。その技術者個人の経験と技術は、韓国の橋りょう設計業秋が束になってもかなわないと言っても過言ではない」と指摘した。
仁川大橋は主塔から延びるケーブルが橋の上板を支える斜張橋だ。そのケーブルを製造したのも新日本製鉄(現新日鉄住金)だ。ケーブルの設置はフランスのフレシネという企業が担当した。ソウル大のコ・ヒョンム教授(土木構造)は「韓国にはそうした経験を持つ企業がない。結局はいくら高くても外国企業の言い値を払うしかない」と話した。
■独自技術不在で海外に従属
独自技術の不在は技術的な従属につながる。大型タービンや海を渡る橋などの維持、補修にも巨額の費用がかかるが、そのたびに最初に技術を提供した外国企業に依存しなければならない。例えば、ガスタービン1個には自動車1台の価格の相当する動翼(ブレード)が200−300個必要だが、その交換費用も外国企業に支払われる。韓国の発電業者が支払うガスタービンの維持費用は年間2000億ウォン(約194億円)を超える。
ソウル大のカン・シンヒョン教授(機械工学)は「タービンの価格よりも維持費用の方がはるかにかかる。ガスタービン1台を売れば、数十年稼げるというのが先進国の企業の競争力だ」と指摘した。
チョン・チョルファン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042201047.html
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記事入力 : 2016/04/22 14:02
「1位の外国企業まねてばかりの韓国企業オーナーたち」
【特集】色あせる「メード・イン・コリア」神話
「韓国の産業界は他人の技術を追いかけて先頭まで来た。しかし、これ以上突き進んでいく実力や推進力は皆無の状態だ」
韓国工学界の第一人者、ソウル大学工学部の李建雨(イ・ゴヌ)部長(61)=写真=は先日の本紙インタビューで、「このような状態が続けば、サムスンや現代自動車といった韓国経済を支える企業も、ノキアのように一朝一夕にして崩壊してしまうかもしれない」と言った。李工学部長は目を赤くして「最近の韓国経済の現実を思い、韓国の学生たちの将来を考えると眠れない」と言った。
そして、李工学部長は「韓国産業界に根深く浸透している『模倣・改良精神』が韓国の行く手を阻んでいる。企業オーナーたちに会うと『私たちの目標は2位だ』と話す。『1位の企業がやることを見て、その後を追いかけさえすれば安全だ』と考えているからだ。大企業の新事業について調べてみると、グローバル企業とは比べものにならないほど安全志向だ」と話した。韓国企業は外国企業を一生懸命に追いかけて1位になったが、まだ過去の成功方程式から抜けられないということだ。
李工学部長はまた、「財務の健全性ばかり維持しようという経営では将来がない。韓国の業界が直面している危機は、高付加価値の核心技術、すなわち創造的な概念の設計能力がないことだ。この能力は金を払ってすぐ買えるものではなく、長年の試行錯誤を経て経験と知識を蓄積するものだが、韓国企業は依然として他人のまねをするベンチマーキングを最高のやり方だと思っている」と言い切った。
解決策を問うと、「ツートラック(two track)戦略」という答えが返ってきた。これまで通り、既に成功した技術や製品に迅速に追いつく「ファスト・フォロワー(Fast Follower=高速追撃)」戦略は維持するが、経験の蓄積が必要な将来の分野では今からでも常に挑戦し、また失敗の経験を積んでいかなければならないというのだ。
李工学部長は「オープンでクリエーティブなベンチャー企業が韓国の業界の変化をリードすべきだ。(そのためには)企業・政府・学校など、すべての集団が力を合わせてクリエーティブな蓄積を目指す社会システムと文化を構築しなければならない」と述べた。
朴淳燦(パク・スンチャン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042201057.html
しかし、広島訪問を、“理性的で責任ある”米英仏露中などが核兵器を独占し、その他の国々はその威迫の元で生存すべしという「核不拡散」政策に利用されるのはいたたまれない。
日本は、この間慌ただしくなった、日本から兵器転用可能な核物質を運び出したり原発政策の要である「核燃料サイクル」に反対するようになった米国の動きに対し、あまりにも“鈍感”に思える。
(従米で「日同盟」強化を旗印にしている安倍政権は、裏切りとも言えるそのような米国の動きは国民にとりわけ支持基盤である右派には知られたくないと思っている)
※参照関連投稿
「技術や安全だけでなく国際関係的にも破綻した「核燃料サイクル」:使用済み核燃料の最終処分に道筋をつけ原発廃止」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/503.html
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
「オバマ大統領が広島に行ってはならない理由:広島訪問を安保理常任理事国の「核独占」正当化に利用するオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/365.html
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記事入力 : 2016/04/22 08:01
オバマ米大統領の広島訪問、記者の質問はぐらかす菅官房長官
主要メディアは連日報道、菅官房長官は「米国が決めること」
米国のバラク・オバマ大統領が、来月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせ広島を訪問することになり、日本政府と最終的な調整に入っている、と読売新聞が21日付で報じた。菅義偉官房長官は記者会見で、「報道内容は正しいのか」という質問に対し「そのような事実はない」と一蹴した。さらに記者たちが「ニューヨーク・タイムズなど米国の主要メディアが『オバマ大統領は広島に行くべきだ』という社説を掲載している」と質問したが、菅長官は「それは米国が判断することだ」と答えるにとどまった。
このような問答はこの日が初めてではない。今月11日にジョン・ケリー国務長官が、米国の現職閣僚としては戦後初めて広島の原爆死没者慰霊碑に献花した後、日本メディアはオバマ大統領の広島訪問の可能性について相次いで報じた。東京発の5大全国紙(読売・朝日・毎日・産経・日本経済)や共同通信、NHKのニュースでも、11日以降200件以上も報じられた。また各テレビ局の番組でも「オバマ大統領が『任期中に広島を訪問したい』と話したという話が何度も取り上げられている。首相官邸の定例記者会見でも「オバマ大統領が広島を訪問するというのは本当か」という質問が1日おきに出ている状況だ。菅官房長官はそのたびに「米国が決めることだ」として明言を避けている。
東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042200634.html?ent_rank_news
【ワシントン聯合ニュース】ローズ米大統領副補佐官は21日(米東部時間)、ホワイトハウスのアーネスト報道官と定例会見を行い、「北朝鮮が過去の約束を履行し、朝鮮半島の非核化への意思があれば対話にオープン」との姿勢をあらためて示した。ただ、「北朝鮮は逆に行動している」と批判した。
ローズ氏はオバマ政権がイラン、キューバとは対話を行う一方で、北朝鮮とは行わないことについての質問に対し「北朝鮮は非核化について少しも真摯(しんし)な姿勢を見せなかった」と指摘。イラン核交渉は外交が問題を解決できることを示したが、北朝鮮はそういう道筋をたどっていないと強調した。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042201073.html
昨日(22日)朝NHKBS1で放送された「ロシアRTRニュース」は、イスラエルのネタニエフ首相がモスクワを訪問しプーチン大統領と首脳会談を行ったことを報じた。
過越の祭について話があり、プーチン大統領がネタニエフ首相がモスクワから世界のユダヤ人に対し過越の祭を祝うメッセージを発信したことは画期的で喜ばしいと語った。
具体的な内容については振れられなかったが、両者は、中東での対テロ作戦で協力することを確認したという。
イスラエル軍機への発砲“事件”に関することはまったく触れられることはなかった。
なお、1週間ほど前、プーチン大統領はロシアユダヤ人会議及び世界ユダヤ人会議の幹部と会談している。
日本の熊本県を中心に相次いで地震が発生し、被災者の被害が拡大する中、中国企業が日本の地震を「祝う」イベントを行うなどして、物議を醸している。
香港紙・蘋果日報(アップル・デーリー)によると、中国の昆明銀工金属製品は熊本地震「祝賀セール」に関する告知を自社のブログに掲載した。「日本大地震を祝い、17日から3日間、最低価格で商品を販売する」との内容だ。
同社はまた、「余震が続けば、キャンペーンを継続する。仮にマグニチュード8の地震が起きれば、値引き幅を拡大する。日本人10万人が死亡すれば、さらに値引きし、日本が沈没すれば在庫一掃セールを実施する」と宣伝した。
告知を見た中国のネットユーザーは一斉に「非人道的な企業がとんでもないイベントを行っている」と非難している。ネット上には「こんなイベントを企画するなんて正気か」「この会社こそ地震で滅べばいい」といった怒りの書き込みが相次ぎ、論争が拡大するや、同社も問題の告知を削除した。
中国では日本の地震被害に関する報道にもかかわらず、同情論どころか、むしろ反日感情をエスカレートさせる雰囲気を指摘する声が増えている。中国のある大学教授は最近、公の席で「日本の地震を喜ぶべきだ」と発言し、失言騒動を起こした。
これについて、中国のインターネットメディア「紅網」は、「日本とエクアドルの地震に対する中国のネットユーザーの反応は全く異なる。中国メディアとネットユーザーは無分別な発言をやめるべきで、日本の政府と国民を同一視してはならない」と指摘した。
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042200630.html
米国ではここ10年で自殺者の数が激増。年齢、性別では中年女性の自殺率が高まった。
政府の調査の結果、自殺増加の理由として挙げられのは経済後退、麻薬、離婚、社会的な孤立で多くはインターネットによるコミュニケーション手段が増えたことに起因している。ワシントンポスト紙が報じた。
統計では1999年から2006年の期間は米国の自殺率は年1%の割合で増えていたが、経済危機の後、自殺率は2倍に高まった。総計では1999年からの自殺件数は24%も増えている。
この政策は、本当の意味のマイナス金利政策と言えるが、基本的には「銀行支援」策である。
日銀が金融機関向けに貸し出しを行うと“おまけ”(マイナス金利分)を付けるわけだから、かたちとしては日銀が損を出しながら銀行に利益を供与する政策である。
この意味で、呼び名は同じだが、現在のマイナス金利政策とは矛盾する政策である。
マイナス金利が1%だとすると、銀行は、日銀から100億円を借りると1年に1億円を受け取る。銀行は、その100億円を金利0%(無利子)で融資しても、日銀から受け取る“負の利息”によって利益を上げることができる。
銀行は日銀から借り入れを受けるとき担保を出さなければならないが、「国債補完供給」(買戻条件付売却)により国債を膨大に抱え込んでいる日銀から融通してもらうこともできる。(再売却時の期間利回りマイナス3%はどうなるのか?)
この政策が現実化しても、大企業はともかく、中小企業や家計住宅購入への融資がマイナス金利になることはないだろう。せいぜい、借り入れ金利が今よりも低くなる程度と思われる。
大企業も、マイナス金利になったからといって国内の設備投資を大幅に増大させる可能性は低い。更新期に当たった設備投資での借り入れは有利になるが、無利子やマイナス金利だからといって、新規に大きな設備投資に動く企業はほとんどないだろう。
現金を機械装置に固定化するリスクの大きさから、新規設備投資は、需要動向やインフレ動向に大きく左右されるからである。
無利子やマイナス金利になって増大する資金需要は、株式投資や不動産投資に集中するだろう。高配当株を買えば、借り入れには利子が付かないのにそれで買った株式からは3%といった利回りで配当を手にすることができる。
訪日客の増加で不足している宿泊設備や商業施設への投資も、無利子やマイナス金利で収益性が上昇するので増大するだろう。
しかし、そのような損得勘定は多くの人が行うので、株価が配当利回り的に魅力がない水準まで上昇したり、地価や建物も高くなり収益性の悪化や買値を超えた転売が不能になったりする可能性が高い。あげく、ミニバブルの崩壊に遭遇する可能性もある。
預金金利はほぼゼロになり、目に見えるもの目に見えない(相手方負担)ものの手数料が高くなる可能性がある。
銀行にとって預金はそれほどありがたいものではなくなる。
新規発行国債利回りは、大企業向け融資に先行してマイナスになると思われる。政府部門は、101億円を借りて元利合計で100億円を返せばいいといった有利な条件で国債を発行できる可能性が高い。
最後に、記事によると、「Stimulating Bank Lending Facilityのプログラムの枠内」(銀行貸し出し刺激策)で行われるということなので、日銀がマイナス金利で貸し出す金額は、個別金融機関ごとに、基準期間に対する貸し出し額純増を基準にしたものになると思われる。
それゆえ、日銀から銀行への貸し出しでマイナス金利になる金額は、当初、それほど多くないはず。
※関連参照投稿
「中銀のマイナス金利、インフレ予想低下させ逆効果か:経済学の間違いで、利払いも費用=コストだから金利引き下げはデフレ要因」
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/272.html
「<長期金利>初のマイナス 株安円高、日銀に誤算:「マイナス金利」導入は「異次元量的金融緩和」政策の“終わりの始まり”」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/415.html
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日本銀行 金融機関の貸し出しにもマイナス金利を検討か?[スプートニク日本語]
2016年04月22日 19:50
日本銀行は、マイナス金利での貸し出しを行う事で民間銀行など金融機関支援の可能性を検討している。信頼すべき消息筋の情報として、ブルームバーグ通信が伝えた。
最も大きな可能性として、マイナス金利での融資、つまり貸し出しが、Stimulating Bank Lending Facilityのプログラムの枠内で行われるものと見られている。現在は、このプログラムの枠内で、ゼロ金利で融資がなされている。
専門家達は、日銀の支援策にそうしたツールが加わることで、日本経済に肯定的影響を及ぼすものと期待している。
ブルームバーグ通信によれば、三井住友アセットマネジメントの分析専門家、市川雅浩シニアストラテジストは「この事は、日銀が、自分達のもとに来る金融機関に支払いをする事になるわけで、銀行の採算にとってプラスになる」と指摘した。
日銀の次の会議は、4月27-28日に予定され、その後、マイナス金利での貸し出し開始、同時に、現在-0.1%.である金利をさらに引き下げるかどうかを明らかにする。
なお日本銀行は金融機関が資金を預ける当座預金の一部にマイナス金利を適用している。
「ワシントン・フリー・ビーコン」が報道
北朝鮮専門ウェブサイト「38ノース」は「豊渓里で車両の移動続く」
直ちに核実験を実施する可能性も
今月15日に北朝鮮が移動式の中距離弾道ミサイル(IRBM)「ムスダン」の発射に失敗した際、現場にいたミサイル技術者らが死亡、もしくは負傷し、移動式発射車両も破損したという。
米国の保守系メディア「ワシントン・フリー・ビーコン」は20日、米軍関係者や外交消息筋の話を引用し「北朝鮮は東海岸にムスダンIRBM2基を配備し、発射試験を準備した。ところが1発目のIRBMが発射からわずか5−6秒後、90メートルほど上昇したところで爆発し、もう1基は発射もできなかった」「ムスダンの発射失敗に関する報告書の内容をよく知る外交消息筋は『ムスダンの発射失敗の原因は、燃料システムやターボポンプの問題とみられる』と語った」と伝えた。また同メディアは、北朝鮮によるムスダン発射前のプロセスを米軍が空中偵察装備や衛星を用いて監視し、映像を撮影したと報じた。
北朝鮮は、戦略爆撃機などが配備されたグアム島の米軍基地まで届く射程3000−4000キロのムスダンを2007年に実戦配備したが、発射試験を行ったのは今回が初めて。同メディアは「ムスダンは、ロシアのSSN6潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を改造したもので、1990年代にロシアから隠密裏に持ち込まれたと考えられる。ロシアが数回にわたって試験発射を行い、北朝鮮も地上発射試験を行ったので、実戦でも問題ないだろうとみていたが、地上試験と実際の発射試験は全く違っていた」と伝えた。
一方、北朝鮮専門ウェブサイト「38ノース」は20日、衛星写真を分析した結果「咸鏡北道豊渓里の核実験場で、多くはないが、車両や装備、人員の移動が続いている。09年以降 2−4回目の核実験を実施してきた北側の坑道入り口で、持続的にこうした動きが捉えられている」「北朝鮮は、先の4回目の核実験で示したように、事前の準備の兆候もなく核実験を行える能力を備えた。核実験を直ちに実施する可能性もある」と報じた。
ワシントン=ユン・ジョンホ特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042200895.html
前日の457円高を受けた22日の日経平均株価は朝方こそ利益確定売りが先行したものの、終わってみれば4日続伸。終値は1万7572円とこの日の高値で引けた。
「日銀が金融機関への貸し出しにもマイナス金利の適用を検討している」。午後に伝わった一部報道で、相場の空気は一変した。まず銀行株が敏感に反応。三菱UFJフィナンシャル・グループが7%高となるなどメガバンクはそろって上昇し、地銀株も軒並み買われた。業種別日経平均・銀行は全36業種中で上昇率首位になった。
もともとこの日は朝方から、銀行や保険などの金融株が底堅く推移していた。熊本地震で景気の腰折れ感が一段と高まるなか、日銀は次の手を打ってくるのではないか――。27〜28日の金融政策決定会合が近づくにつれ、日銀が追加緩和に動くとの観測が強まっていたからだ。
三菱UFJの平野信行社長が講演で「銀行業界には少なくとも短期的には効果はネガティブ」と指摘するなど、日銀のマイナス金利政策は金融界ですこぶる評判が悪い。にも関わらず、朝方から銀行株が買われたのは「マイナス金利幅の拡大というより、上場投資信託(ETF)など資産買い入れ額の積み増しを見込む市場参加者が増えてきた」(大和証券の石黒英之シニアストラテジスト)からだという。ただ、日銀によるETFの買い入れ余地はかねて限界を指摘する声もある。金融株買いはいわば、メーンシナリオから外れた「大穴狙い」の側面が強かった。
そこに降ってわいた新たなマイナス金利の導入観測。本当に実現すれば、銀行は低利融資でも利ざやが稼げるようになる。金融株は大穴から一躍、「本命」に浮上するかもしれない。
もっとも、日銀の追加緩和頼みでは相場けん引力の持続性には疑問符も付く。昨年10月中旬のように、決定会合前に緩和観測で金融株が盛り上がり、結果が物足りないと潮が引いたように売られる展開は過去にも何度も繰り返されてきた。まして今回は、安倍晋三首相が議長を務める5月26〜27日の主要7カ国(G7)首脳会議を控えるタイミング。「政策協調でG7が結束する直前に日銀が追加緩和に踏み切るのは難しい」(シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジスト)という声は一聴に値する。
22日の東京市場では円安・ドル高も進み、約半月ぶりに1ドル=110円台を付けた。ただ、4月中旬以降に日経平均が2000円ほど切り上がったのに対し、円相場の動きはやや鈍い。これまで奇妙なまでの相関がみられただけに「円相場に比べて株高が行きすぎている可能性がある」(UBS証券の大川智宏エクイティ・ストラテジスト)との警戒もある。
金融株上昇の波に乗って買いに傾いた投資家は、はしごを外されるリスクも背負ったかもしれない。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO99962780S6A420C1000000/?n_cid=TPRN0001
【ソウル=名村隆寛】韓国軍合同参謀本部は23日、北朝鮮が同日午後6時半(日本時間同)ごろ、東部の咸鏡南道(ハムギョンナムド)・新浦(シンポ)の北東沖の日本海上で、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられる飛翔(ひしょう)体1発を発射したと明らかにした。
聯合ニュースが韓国政府関係者などの話として伝えたところでは、飛翔体は水中での発射後に点火に成功し、数分間で約30キロ飛行した。韓国軍は北朝鮮のSLBMは成功段階にはないと分析、今回も兵器としては発射は失敗したとみられている。
北朝鮮は昨年5月、SLBMの「水中試験発射に成功した」とし、写真を公開。昨年12月にもSLBMの実験を行い、今年1月に「成功した」と発表し、映像も公開した。ミサイルが海面からほぼ垂直に発射されていたが、映像の改竄(かいざん)と失敗の可能性が指摘されていた。
日本のある軍事アナリストは、「新浦は、北朝鮮が軍事に関するテストを行う拠点のような場所。5月の朝鮮労働党の党大会に向けて、あらゆる軍事テストを行っている一環とみられるが、(SLBMは)兵器としてはまだ使えるレベルにはない」との見方を示している。
一方、北朝鮮では北東部の咸鏡北道(プクト)の豊渓里(プンゲリ)で、5回目の核実験の兆候が衛星によって捕捉されている。韓国国防省では「いつでも核実験を行うことができる状態を維持している」とみており、監視と警戒を強めている。
最終更新:4月23日(土)23時54分
米国の人気歌手プリンス氏の遺体解剖が4時間にわたり、ミネソタ州の最も経験豊かとされる病理学者達の手によって行われたが、死因は特定できず、さらなる調査が必要となった。
医師や警察は、毒物学的検査のデータも入手する考えだ。またプリンス氏の両親や他の親族の病歴なども調べたいとしている。さらには彼が亡くなる前、どんな薬を服用したのか、その特定も進められている。プリンス氏が、普通言われる「自然死」したとは到底信じられないからだ。
遺体解剖を行ったセンターのスポークスマン、マーサ・ウィーバー氏は記者会見で「すべての情報を明かす事は出来ない。今のところ、完全なデータを我々はつかんでいないからだ」と述べる一方で「必要なあらゆるデータを集めるためには、恐らく、さらに数週間が必要だ」と伝えた。
日本の当局は、農家の作業を自動化するのに役立つロボット20種類を開発するために3700万ドルを投じる。ブルームバーグが報じた。
G7農相会議で計画が発表された。日本の農相によれば、農場は高齢者が著しく、例えば、日本の農家の平均年齢は67歳であると指摘した。
国内最大手の農業機器メーカー、クボタは、田んぼで使用できる自律式トラクターのプロトタイプを開発したという。
同社はまた、高齢の農家が背中で運ぶことができるようにな装置の開発も進めている。この装置は果物や野菜の収穫を楽にするものだという。
日本、韓国、米国は国連安全保障理事会に対し、北朝鮮が核実験を行った際には北朝鮮への石油の輸出全面禁止する決議を採択するよう求めた。朝日新聞が今日報じた。
国連の新決議には石油の輸出全面禁止のほか、北朝鮮唯一の航空会社高麗航空に対する飛行禁止令も含められる可能性があるという。「平壌に対する厳しい制裁に関しては、3カ国は中国、ロシアとも協力していく」と同紙。
ロシアは積極的にシリアとイラクのクルド人との関係性を強化しているが、このことは近東におけるロシアの影響力を拡大する可能性がある。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
同紙の指摘通りロシアは武器と弾薬の供給の強化及び石油取引の締結によってクルド人との関係を強めていこうとしている。
こうした親交が「アメリカとクルド人との長年続く同盟関係に影を落と」し、当該地域におけるロシアの影響力を強める可能性がある。
また政治学者は、「たとえアメリカにそうした意図がない」としても、アメリカ政府はこれ以上ロシアの影響力が強まることがないようにクルド人への武器の供給を強化することもありえると指摘する。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160423/2012739.html
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米国 クルド人をめぐりトルコ大統領と取引[スプートニク日本語]
2016年03月16日 13:18
近く米国は、シリア紛争の当事者としてのクルド人を切り捨て、彼らをシリアでの休戦対象の例外とするよう強く求めるトルコの要求に譲歩する用意がある。
「ザ・ネイションズ(The Nations)」の報道によれば、米政府は、自分達のそうした行動について、トルコ南東部でクルド人に対し激しい戦争を展開しているエルドアン大統領を支援するためであり、またクルド人勢力がシリアにおいてロシアの作戦に協力しているとの声明を出したためだと説明している。
クルド人勢力は、テロ組織「ダーイシュ(IS,イスラム国)」との戦いの中で最も効果的な役割を果たしたグループの一つだった。
エルドアン大統領のスポークスマン、イブラギマ・カリーナ報道官は、この問題に関連して「トルコは、クルド人がロシアの指揮官達に重要な情報を渡したとの情報がある事から、シリア領内のクルド人民防衛隊に対し、攻撃を加える可能性について検討中だ」と伝えた。
シリアでの作戦後、ロシアの武器に対する世界の需要が供給を上回っている。ロシア連邦軍事機器協力庁のアナトーリー・プンチュク副長官が22日、武器見本市FIDAE2016を総括し、リアノーボスチ通信に対して明らかにした。
FIDAEはサンチャゴで開催のラテンアメリカ最大の国際武器見本市。プンチュク副長官は見本市でロシア代表団の団長を務めた。
プンチュク副長官は、「現在、国際市場ではロシア製の武器に対する需要が供給を上回っている。外国から売りを求められてもそれに答えることができない場面も頻繁にある」と語った上で、需要がアップしたのはロシア航空宇宙軍がシリアでの作戦を成功させてからだと強調した。
プンチュク長官は、現在、防衛機器の輸出額は総額で540億ドルと語っている。
ロシアがシリアでの作戦を行なったのは5ヵ月半。この短期間にロシアはテロリストへの武器、弾薬輸送ルートをたたき、石油の不要供給ルートをほぼ遮断して、一連の県をテロリストの占領から開放することに成功した。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160423/2011569.html
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シリアでのS-400の成果を見て中国とインド 買い入れを計画[スプートニク日本語]
2016年04月18日 20:01
軍事技術協力分野に関するロシア大統領補佐官を務めるウラジーミル・コージン氏は、インドと中国が、ロシアが開発した多目標同時交戦能力を持つ中・長距離地対空ミサイルシステムS-400「トリウムフ」の購入に大きな関心を示していると伝えた。13日、TV「Russia Today」が報じた。
コージン大統領補佐官は、次のように述べた―
「非常に多くの国が、購入を希望している。中国やインドと交渉をしているが、我々が、S-400を全ての希望国に供給する事はないだろう。なぜなら、まず第一に、ロシア軍には優先順位というものがあるからだ。」
シリアでのロシア航空宇宙軍による対テロリスト作戦の際、示されたS-400「トリウムフ」の成功が、インド側の関心を高めた。S-400については、中国も購入したいとの意向を明らかにし、すでに先月3月、ロシア側に購入のための前金を振り込んだ。
S-400「トリウムフ」は、最新鋭の中及び長距離地対空ミサイルシステムで、2007年にロシア軍に配備された。
科学者たちは、アシュケナージ(中央ヨーロッパに形成されたユダヤ人グループ)の先祖はほとんどが2000年前、今のトルコ北部に住んでいたことを突き止めた。インディペンデントが報じた。
紀元1世紀ごろ、ペルシャからのユダヤ人の影響を受けて、彼らはユダヤ教に改宗した。
英国の遺伝学者らが北部・東部ヨーロッパに住むユダヤ人367人の DNA調査を実施し、アシュケナージの祖先の90%が現代のトルコの北東にあるコミュニティの一員であったことを突き止めた。
オバマ米大統領が広島の原爆記念館を訪問する。こうしたニュースを日本経済新聞が米国政府内の消息筋からの情報として報じた。
オバマ大統領の広島訪問は5月末、日本でのG7サミットの終了後と指摘されている。この情報は日本側からも米国側からも公式的には認められていない。だがアレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使はオバマ氏はおそらく本当に広島訪問を行うだろうとの見方を示し、次のように語っている。
「よく知られているようにオバマ氏は、まさに原子力爆弾禁止に賛同したということでノーベル平和賞を受賞している。このためオバマ氏にとっては広島訪問は自分の大統領としてのキャリアの大詰めに挙げられる。これまでにオバマ氏はすでにキューバを訪れており、米国のリビア進攻は誤りだったとする声明も表している。そして今度は広島を訪問することで調停者の役割で歴史に名を残したいと考えているに違いない。こうした歩みは大統領任務もあと数ヶ月という現在の彼の政治プログラムには十分当てはまる。
とはいえ、米大統領が謝罪することはもちろんありえない。ケリー米国務長官も広島視察では詫びの文句は一切口にださず、多くの人命が失われたことが残念だと語るに留まった。それにオバマ氏もおそらく同じような行動にでるだろう。なぜなら米国民は未だに広島長崎の原爆投下は正当な行為だったという考えを支持しているからだ。
それでもこれが軍事的視点から絶対に正当化できないものであったことは間違いない。なぜなら広島には目立った軍事施設など全くなかったからだ。それだけではない。そこにいた米国人軍人らもまた同様に死亡している。
実はこんな広島、長崎も日本があの戦争で蒙った悪夢の一部でしかない。東京大空襲など、たった一晩で10万人もの人が殺されており、あまりにも非人間的な空爆だった。米国は焼夷弾で東京のかなりの部分を焼き尽くした。日本の都市の3割から4割が破壊され、民間人に多大な数の死者が出た。
これは野蛮な戦争方法であり、米国はそれに対する責任を負っている。原爆についてはさらに、これを使用する必然性は一切なかった。なぜならばこの時点ですでにソ連の対日参戦については合意がなされており、米国はソ連がさっさと勝利にこぎつけるだろうことはわかっていたからだ。」
日本人は原爆を投下した米国を果たして許したのだろうか? 米国人が謝罪を行なった場合、これが日米関係にどう影響するのだろうか? パノフ氏はこれについて次のように語っている。
「もちろん、日本は許してはいない。多くの人が未だにこの野蛮な原爆投下を未だに忘れてはいない。頭ではおそらく日本が米国との戦争を始めたのだから自分たちが悪いのであり、その結果、高い代償を支払うはめになったのだという理解がおそらくあるのだろうが、それでも支払った犠牲の大きさは、真珠湾攻撃での死者が2300人だったことを考えれば、計り知れないものだ。
それに今、米大統領が広島を訪問すれば、日本国民にとっては大きな象徴的な意味となるだろう。なぜなら今まで広島、長崎を訪問した米大統領はひとりもいなかったからだ。被爆地訪問は米大使らも長い間行なってこなかった。米大使らが視察をし始めたのはここ3年のことだ。
もちろん、米国民も、あまりにも大きな悪い事を行なってしまったのだと理解していることは常に感じられていたが、それでも謝罪を行なうとか、過去の行為を悔やむなどといったことは彼らの頭には一切なかった。
このため未だに米国民の全員がオバマ氏が広島訪問を考えていることをよしとはしていない。異議を唱える者もいる。だがこうした意見もオバマ氏にはどうでもいいようだ。近いうちに大統領職を離れるのであり、キューバ訪問のときもそうだったが、批判にはさほど注意を払っていない。」
[スプートニク日本語]
米共和党から大統領選挙に立候補している不動産王ドナルド・トランプ氏が大統領になることはない。理由の一つは女性の支持の低さだ。4年前のオバマ大統領再選では女性票も原動力だった。4月初めに発表された世論調査でトランプ氏支持の女性は23%にすぎない。共和党候補になっても大統領選の勝利はない。しかし、同氏の外交政策を吟味しなくていいというわけではない。その見解への支持は大統領選後も続くからだ。
一般的な認識とは異なり、トランプ氏は孤立主義者ではない。米軍の強化を望み、シリアに米地上部隊を派遣する可能性を示唆したこともある。場合によっては核兵器を使って過激派組織「イスラム国」(IS)を「たたきつぶしてやる」と言い、テロ容疑者の拷問を認めると語っている。貿易に反対しているわけでもない。過去の不公平な貿易協定を破棄し、米国に有利な条件で新たな協定を結びたいと言っているだけだ。
トランプ氏は、米同盟国のほとんどは力が弱く、ワシントンの愚直ともいえる寛大さを利用していると考えている。そして同盟国や機関が米国の行動を制約しているうえ、金がかかりすぎると批判する。例えばフランスやドイツなどが軍事支出を大幅に増やさない限り、北大西洋条約機構(NATO)から脱退すべきだと主張する。また、米国が他国の安全保障の責任まで負わなくて済むように、日本や韓国、そしてサウジアラビアにさえも核武装を認めるべきだと主張する。
確かに、米国の伝統的な同盟国は、米国よりも大きな危険に直面している。欧州は中東の混乱やロシアの野心に米国よりも影響を受けやすい立場にある。中国の拡張や北朝鮮の脅威は、米国よりも日本や韓国にとって大きな懸念だ。ISは米国よりもサウジアラビアにとってはるかに大きな脅威だ。しかし、米国人はかつてほどサウジアラビアの石油を必要としていない。多くの米国人は今や貿易は雇用の喪失につながるというトランプ氏の主張を支持しているようにみえる。最近では、グローバル化が米経済を強化すると考える米国人はほとんどいなくなった。
私は最近、トランプ氏が「米国第一(アメリカ・ファースト)」の外交政策を掲げていると書いた。本人がこれを吹聴しているのを知って驚いた。ほめたつもりはなかったが、米国はこうした意見が正しいかどうか、なぜそうなのかについてオープンで真剣な議論を必要としている。
貿易相手により多くの経済的利益をもたらす貿易協定はよい協定なのか。他国の負担を軽くするために米国がより多くの負担をすることは、米国の国益にかなうのか。不安定化が進む世界で、米国は安全を守り繁栄を続けられるのか。世界中の航行の自由を保障するために米海軍が他国よりも多くのことをするのは、米国の国益に本当にかなうのか。集団安全保障に伴う費用やリスクを同盟国がもっと負担する必要があると米国の政策決定者は主張すべきか。米同盟国と米有権者はもっと多くのことを知る必要がある。
トランプ氏が大統領になることはないと分かっていても、その外交政策を無視するのは愚かだ。同氏が提起している問題や代弁している怒りに対応しなければ、今後もそれらは課題として残る。
それだけに、対立候補がいまだにこうした議論を回避できると考えているのは残念なことだ。
Ian Bremmer 世界の政治リスク分析に定評。ユーラシア・グループは米調査会社。著書に「スーパーパワー――Gゼロ時代のアメリカの選択」など。46歳。
[日経新聞4月18日朝刊P.4]
世界最大級の産油国サウジアラビアが原油シェアを落としている。世界の主要15市場のうち9市場でシェアが低下した。ロシアなど他の産油国による販売攻勢が響いた。17日に開いた増産凍結に向けた産油国の会合で、サウジはイラン抜きでの合意を拒否した。増産姿勢を強めるイランの台頭で、シェア低下への警戒感を強めている。
主要15市場の原油シェアを調べた英調査会社FGEによると、サウジは2015年に9市場で13年よりシェアを落とした。「市場拡大と同じペースでサウジは海外シェアを伸ばせなかった」(FGEのジェネイト・ガザコグル氏)。サウジのジュベイル外相は相次ぐ増産で原油価格が1バレル30ドル台に低迷していた3月、「シェアを維持する」と言い切ったが、戦略は空回りしている。
サウジのシェア低下が目立ったのが中国だ。15年は15.4%と首位を守ったが、13年に比べ4ポイント低下した。輸出量も日量約99万バレルと6万バレル減った。「自動車の保有台数の増加や、原油安による国家備蓄の伸長などで需要は旺盛」(丸紅の栃本恵一・石油貿易課長)で、中国の全輸入量は日量650万バレルと19%増えたのと対照的だ。
一方、他の産油国の中でロシアとイラクは躍進した。サウジのシェアが下がった中国は、独立系の中小製油所や石油化学企業に15年から原油の直接輸入を順次解禁、「ロシアはこの流れに乗った」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之氏)。ロシアは地理的に近く輸送コストの安い東シベリア産原油の中国への輸出を拡大。8.8%(4位)だったロシアのシェアは、15年に12.6%(2位)に拡大。サウジを超える月もある。
イラクは価格で対抗した。米情報会社プラッツによれば、13〜15年にイラク産の代表油種はサウジ産を下回る価格で推移。約1ドル安い時期もあった。イラク戦争で減った生産は、外資誘致で15年に日量約400万バレルと3倍まで拡大。イラクの中国でのシェアは9.7%と1.3ポイント上昇した。
サウジは韓国、台湾、欧州でもイラクの安値攻勢にさらされている。米国ではシェール革命で原油の輸入が減少。南アフリカは地理的に近いアンゴラやナイジェリアからの輸入を増やした。
足元でもシェア争いは激しい。イランの代表油種は制裁解除後にサウジ産に比べ値引きが顕著だ。米クリッパーデータによると、インドでも「3月のイランの輸出は日量50万バレル増えた」。原油輸出を解禁した米国も立ちはだかる。産油国のシェア争いが原油相場に水を差す可能性もある。
[日経新聞4月20日朝刊P.18]
米ニューヨーク州に本拠を置く世界最大級の投資銀行、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)銀行の分析専門家は「ここ最近の原油価格の上昇は、物理的な市場における根本的要因とは関係がない。それゆえ価格は、近く再び下がって行くだろう」との見方を示した。
ロイター通信は、同銀行の専門家の意見として、次のように伝えている —
「市場において原油が長期にわたり持続して不足する事はなく、また現在の安定が短期的及び一時的性格を持ったものであることを考慮するならば、現在の原油価格の状況を、価格回復の兆候とみなすのは時期尚早である。
原油価格に影響を与える要因の数々は、最終的に、今年の第3四半期まで安定する事はない。
それは抑止力としては無駄が多く、環境を汚染し、挑発的な手段ではあるが、インドネシア政府は極めて効果的な方法でもあると主張する。同国のスシ海洋・水産相は4月5日、インドネシア領海内で違法に操業したとして拿捕(だほ)したマレーシアとベトナムのトロール漁船計23隻が、木っ端みじんに爆破される様子を中継映像で見た。
ジョコ・ウィドド氏が2014年に大統領に就任し、地元の漁業権益を守ると約束して以来、インドネシアは170隻以上の外国船を破壊した。政府は密漁者の数が減り、国内漁業者による漁獲量が増えたとみている。
違法操業の船押収
インドネシアが怒り
そして今、闘争的で(少なくとも国内では)人気のあるスシ海洋・水産相は、さらに10隻の漁船を破壊するのをインドネシア最高裁に認めてほしいと思っている。いずれも14年に密漁で押収した漁船。船籍は、どの国よりも多くの漁船がアジアの海で違法操業という巨大な成長ビジネスにかかわっている国、中国だ。
インドネシアはすでに、3月に起きた事件での中国の対応に怒りを募らせている。インドネシア当局がナトゥナ諸島沖で密漁していた中国漁船を拿捕し、港に曳航(えいこう)している最中に、中国海警局の監視船に漁船を奪還された一件だ。船員8人を拘束したが、別の1人が監視船に護衛され、漁船を中国南部の北海市の港まで戻してしまった。船員は米ニューヨーク・タイムズ紙に、自分たちがインドネシア領海で操業していたことは「あり得る」と語った。実際はほぼ確実だろう。
ナトゥナ諸島がインドネシアに帰属していることは誰もが認めており、中国の船員らは国際法で定められているナトゥナの排他的経済水域(EEZ)内にしっかり入っていた。それなのに中国は「伝統的な中国の漁場」海域にいたと主張し、船員を擁護した。問題の海域は、中国が南シナ海ほぼ全域に対する領有権を示すため、地図に(そしてパスポートにも)描く広大な「九段線」内に入っている。
中国の漁船員は日本、フィリピン、台湾、ベトナムでも拘束されている。いずれも海洋領有権の主張が中国のそれと重なるか、完全に重なっている国・地域だ。
しかし、中国漁船が問題を起こすのは係争海域だけではない。中国人は近年、ロシア極東、北朝鮮、スリランカでも拘束されている。11年にはある中国船員が韓国の海洋警察隊員を刺殺した。翌年は太平洋に浮かぶ小さな共和国パラオで中国船員が警察に殺された。昨年12月には、20カ国以上のアフリカ諸国が中国に西アフリカ沖での違法操業をやめるよう要請した。そして4月中旬には、アルゼンチンで拘束されていた中国船員4人が釈放されたばかりだ。
中国の船員がこうした遠隔地に出て行ってまでリスクを冒す背景には、国家主権の問題以上に、同国がなんといっても世界最大の魚の消費国(かつ輸出国)だという事実がある。中国人1人当たりの魚の消費量は世界平均の2倍だ。需要増の大部分を水産養殖で賄ってきたが、漁獲量も圧倒的だ(12年は1390万トンで、インドネシアの540万トン、米国の510万トン、日本の360万トン、インドの330万トンを大きく上回る)。
資源枯渇し遠洋に
政府は補助金で奨励
しかし、乱獲と汚染で中国の沿岸漁業は死に体になった。漁業資源の枯渇ぶりは深刻で、世界の漁獲量の1割を占める南シナ海の沿岸漁場には、今や1950年代当時の5〜30%しか残っていない。中国の漁業者はさらに沖合の遠洋へと追いやられているのだ。
中国政府がこの動きを後押ししている。食糧安全保障は優先事項であるうえ、漁業を雇用の源泉と見ているからだ(漁業の雇用者数は1400万人に達する)。習近平国家主席は2013年に中国南部の海南島の漁港、潭門を訪れ、漁業者に「もっと大きな船を造り、もっと遠くの海へ出て、もっと大きい魚を取る」よう奨励した。政府は新しい船や燃料、航行補助設備に補助金を出している。
だからといって、必ずしも漁業者が拡張主義的政策の道具になるわけではない。実際、政府は時折、中国の漁業者をコントロールするのに苦労しており、その軽率な行為にメンツをつぶされてきた。
シンガポールのシンクタンク、RSISの研究員、張宏洲氏はマリーン・ポリシー誌に寄せた「係争海域における中国人漁業者」に関する最近の論文で、潭門など中国の漁港の視察結果を報告している。潭門では多くの漁業者が習主席の激励に従うのではなく、違法だがもうかる商売に手を出していたという。保護の対象になっている絶滅危惧種のカメやオオジャコガイを捕獲していたのだ。
常習的な海域の侵入
既成事実化が目的
それでも漁業は、戦略的な目的にもなり得る。中国が大量の資金を投入し、南シナ海の岩礁で人工島を建設しているように、係争海域に多数の中国船が常習的に存在すると、それが既成事実化し、争うのが難しくなる。同時に、中国には伝統的に領有権があるという概念を裏付けることにもなる。
実際、領有権の主張を強めるために漁業者が利用されている。1974年、武装したトロール漁船の船団が中国の前衛部隊として活動し、当時の南ベトナム政府から西沙(英語名パラセル)諸島の南部の島々を奪った。南シナ海の別の場所からフィリピンを追い出す際にも似たような作戦を用い、成功した。95年のミスチーフ(中国名・美済)礁、2012年のスカボロー礁(同・黄岩島)だ。
密漁や係争海域での操業に国としてのお墨付きを与えるのは危険だ。東シナ海の無人島、尖閣諸島を巡り、日本との間に緊張が劇的に高まった一件は、10年9月にさかのぼる。違法操業で捕まった中国のトロール漁船が、日本の海上保安庁の巡視船に衝突したのだ。
海の軍事化が進むにつれ、衝突のリスクは高まる。従来、中国海軍はまれにしか関与してこなかったが、一部の中国漁港は「海上民兵」(武装した民間船)を増やしている。中国や他国の沿岸警備隊も武装を強化しつつある。
ナトゥナでの中国の挑発行為を受け、インドネシア政府は海兵隊、特殊部隊、1個大隊、フリゲート艦3隻、新型レーダーシステム、ドローン(無人機)、それにF16戦闘機5機を派遣する方針だ。だが、中国と漁業者が一段と遠方へ網を放つのは、恐らく止められないだろう。
(4月16日号)
[日経新聞4月19日朝刊P.5]
しかも、自衛隊は、集団的自衛権行使であう日米安保条約のサブセットであり、米軍の支援や下働きをするための軍事組織である。
普天間−辺野古問題にしても、違憲である「日米安保条約」に日本の政治が縛られていることに由来し、日米安保条約の是非に関する棚上げは、戦後政治の“黙認”や“許容”につながり、基地や戦争にかかわる反対運動も結実しないものになる。
法論理的には、記事にある井上達夫東大教授の立場を支持する。
※関連参照投稿
「60年以上前から行使している集団的自衛権:議論されているテーマは“集団的自衛権”ではなく「他衛権」や「米軍下請けの範囲」」
http://www.asyura2.com/14/senkyo166/msg/740.html
「左派(共産党・社民党)と親米派が共有する「戦術的護憲論」:共産党・社民党も安倍政権と同類:米国改憲要求説は捏造か錯覚」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/714.html
「反発招いた首相の「誤算」 安保関連法が成立:成立後の適用をPKOレベルにとどめたい安倍政権は反対運動の高まりを“歓迎”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/322.html
「安倍首相の憲法解釈見直し判断「私が最高責任者」論を擁護:ほとんど誰もくみ取らない安倍首相の真意は“脱官僚”」
http://www.asyura2.com/14/senkyo161/msg/485.html
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[風]集団的自衛権論争の余波
集団的自衛権行使を巡る憲法解釈論争の余波が収まらない。憲法学では多数派とみられる違憲説に、学界の垣根を越えて行政法や法哲学の重鎮が相次いで疑念を呈する。
「憲法学がなお法律学であろうとするならば、政治的思いをそのまま違憲の結論に直結させることは、むしろその足元を危うくさせる」。藤田宙靖・東北大名誉教授(行政法)は「自治研究」2月号に寄せた論考で、こんな一石を投じた。
長年の政府の憲法解釈は法規範として骨肉化しており、変更は法的安定性を損なうとの違憲説には「なお理論的な根拠付けが不足する」と疑問を示す。集団的自衛権の発動要件となる「存立危機事態」は事例によって「非常に微妙」とし、「合憲限定解釈」の余地も示唆。違憲とは断定しない。
違憲立法審査権を持つ最高裁の判事も務めた藤田氏の立論は、政官界でも関心を集めている。
一方、井上達夫・東大教授(法哲学)は近著「憲法の涙」で、憲法学者の中でそもそも自衛隊違憲説に立つ「原理主義的護憲派」が、自衛隊合憲を前提とする従来の政府見解を守れと主張するのは「許されない欺瞞(ぎまん)だ」と痛罵する。
自衛隊合憲説だが、集団的自衛権は否定する「修正主義的護憲派」に対しても、9条の条文に戻れば自衛隊合憲説も解釈改憲だとして「安倍政権の解釈改憲を非難する資格がない」と手厳しい。
2人から名指しされた憲法学の長谷部恭男・早大教授は新著「憲法の理性 増補新装版」で反論。歴代内閣の解釈を「内容も明確であり、安定性を備え、諸官庁を含む多数の者の行動を的確に調整し、制約してきた」と「機能する憲法」を形作ってきたと高く評価し、十分な理由なしに変えるべきではない、と訴える。
(編集委員 清水真人)
[日経新聞4月20日朝刊P.26]
法律学者たちが、新安保法制や自衛隊については「合憲」や「違憲」を語っても、日米安保条約の違憲性については語らないという“現実”は、日本の対米従属構造を如実に物語るものである。
中米パナマの法律事務所から流出した「パナマ文書」で、世界の首脳らによるタックスヘイブン(租税回避地)の利用実態が暴露された。タックスヘイブンの仕組みや取引の実態はどんなものか。国際課税や各国の税制のあり方はどう考えるべきか。
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タックスヘイブン、資金洗浄の温床で捜査困難 元カナダ連邦警察 ビル・マージャー氏
2002年、米マイアミでの隠密捜査のとき、パナマの法律事務所の弁護士と会ったことがある。架空の麻薬カルテルの代理人のふりをしていた私に、弁護士は「パナマに基金をつくれば、7%の手数料率で資金洗浄できる」と持ちかけてきた。
数多くのマネーロンダリング(資金洗浄)の捜査に関わった立場から言うと、多くの著名人の名前が出たことを除き、パナマ文書に目新しい話はない。
なぜタックスヘイブンが資金洗浄に使われるのか。複数のタックスヘイブンを組み合わせると、捜査当局による犯罪の証拠集めや資産の凍結が非常に難しくなるからだ。
例えば、私が日本の犯罪者だとしよう。詐欺や麻薬売買でもうけた汚い金を日本の銀行口座に置いておけば、日本の警察が見つけるのはとても簡単だ。
だがタックスヘイブンに設けたペーパーカンパニーの口座に資金を移せば、日本の警察は刑事共助条約に基づいて現地の警察に捜査依頼を送らなければならない。半年以上たって「そのペーパーカンパニーの持ち株会社は別のタックスヘイブンにある」という回答があれば、今度は別の警察に捜査依頼を再び送る必要がある。あっという間に1〜2年かかる。犯罪者が捜査の動きに気づけば、警察よりも常に一歩先に金を動かせる。
国境を越えた警察の協力はハードルが高い。各国で犯罪の定義や捜査の進め方が異なる。プライバシー保護の観点からも情報共有が難しくなった。解決策の一つは、オフショア企業の実質的なオーナーや利用者がわかる中央登録機関を作らない限りタックスヘイブンの企業の商業利用は認めない、という国内法を先進国が整備することだ。だが実現は容易ではないだろう。
カナダでは四大会計事務所の一つが超富裕層向けに課税逃れの仕組みを提供していたが、税務当局は刑事責任の追及を見送った。会計事務所のロビイストが政治家に働きかけたためだ。
タックスヘイブンの利用は違法ではないが、公正さや常識的な感覚に反する。個人の納税漏れは厳しく追及するのに、富裕層はおとがめなしという「二重基準」に世界中の人々が飽き飽きしている。だが既得権益として現状維持を望む権力者も多い。捜査当局は過去20年以上、政府に注意を促してきたが、何も変わらなかった。パナマ文書でも状況を大きく変えるのは難しいのではないか。
(聞き手は香港=粟井康夫)
Bill Majcher カナダ連邦警察(RCMP)で金融犯罪や麻薬取引の捜査を担当した。現在は香港でサイバーセキュリティー対策会社EMIDRを率いる。53歳。
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合法的な節税、今後も拡大 作家 橘玲氏
金融市場はグローバルで1つだが、税制は国ごとに異なる。課税ルールを一体にしない限り、タックスヘイブンの利用はなくならない。米国の株式会社では株主のために合法的に節税できるのに、それをしない経営者は責任放棄となる。最も安全に金をもうける方法として節税ビジネスは今後も広がる可能性がある。
日本の大企業はタックスヘイブン法人を資産流動化などに使うが、基本的に合法だろう。むしろ合法的な節税対策は遅れているくらいだ。脱税に使うのは中小企業のオーナーや自営業者が多い。よくあるのは代理人名義で現地法人をつくり、日本法人に資金を貸す手口。日本法人は利子を払い、その分が税務上の損金となり税を逃れる。元の資金が日本法人から出ているのかどうか、現地法人の登記情報だけだと分からない。
この対策としては銀行口座情報を自動交換することが効果的だ。経済協力開発機構(OECD)は情報交換に非協力的な国の基準を設ける方針だ。非協力国は“ブラック国”との認定を受け、実質的にグローバル金融市場から排除されるだろう。
プライベートバンク(PB)などのタックスヘイブン・ビジネスの顧客は先進国から新興国に移っている。パナマ文書にはプーチン・ロシア大統領の周辺、習近平・中国国家主席の義兄の名前があった。こうした国では身の危険から蓄えた資産を海外に移すニーズが高い。
先進国で問題になったのはアイスランドの首相、キャメロン英首相の亡父で、ほかに大物政治家は出ていない。先進国では納税を求める政治家が脱税疑惑を持たれるデメリットは大きい。
パナマ文書の内容は基本的にタックスヘイブンの会社の登記情報だ。社名と株主名、資本移動などで、見ただけでは脱税かどうかは判断できない。ポイントは顧客の代理として口座をつくったPBやコンサルタントの名前が出たことだ。代理人が分かれば、その国に調査を求める圧力がかかる。
こうした秘密文書は1970年代までは紙だった。PBの創業者一族の社長が重要顧客を担当し、情報は漏れようがなかった。80〜90年代のIT(情報技術)化ですべてデータベースにするようになった。もはや情報セキュリティーは保てず、どんな情報が出てもおかしくない。
(聞き手は福士譲)
たちばな・あきら 2002年に経済小説「マネーロンダリング」で作家デビュー。「永遠の旅行者」「タックスヘイヴン」など投資や税に関する著書多数。57歳。
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課税逃れ、国際協調で抜け穴ふさぐ 財務官 浅川雅嗣氏
タックスヘイブンを通じた租税回避、そうした場を経由した非合法の脱税、そして資金洗浄という3つを区別すべきだ。誤解もあるようだが、タックスヘイブンを通じた租税回避はよくあることで合法だ。パナマ文書で暴かれたとしても、びっくりするような事柄ではない。
日本を含む各国はいわゆるタックスヘイブン税制を備えている。日本企業が法人税率の低い国につくった子会社に合理的ではない理由で利益を留保すれば、日本で課税できる。ただ租税回避目的かどうかは個別に判断するので当局と納税者の間で意識の差が生じやすい。
もう少し根本から租税回避をやめさせようとするのが、経済協力開発機構(OECD)が昨秋まとめた国際課税の新ルールだ。多国籍企業や個人は様々な技法を駆使して税負担が軽い国に利益を移そうとする。正当な経済活動があった場所で正当な額の税金が払われるよう課税の抜け穴をふさぐ。この新ルールには44カ国が参加した。
税金の軽い国に所得を隠すのはこれとは質の違う話で脱税だ。各国の税務当局が情報交換の対象を広げて対応する。従来は怪しい人物の銀行口座の情報は各国の当局に要請して取り寄せていた。今後は各国が租税条約に基づいて自動的に交換する方向で、要請は不要になる。日本は2018年に始まる。
これには98カ国・地域の賛意を得ていてパナマとバーレーンを除く大多数のタックスヘイブンが含まれる。参加を拒めば、よからぬことをしていると疑われる。各国の姿勢は全く同じではないが、グローバルな流れはできつつある。パナマ文書はこれを加速させそうだ。
ワシントンで先週開いた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議ではパナマ文書をきっかけに議論を交わした。パナマとバーレーンに国際的な枠組みに早く参加するよう促す文言を共同声明に盛り込んだ。非協力的な国を列挙する仕組みづくりでも合意した。“ブラックリスト”入りを避けようと改心するのを促す圧力になる。
世界の国の税率がどこも同じならば租税回避は起こらないだろう。現実には国家主権に基づいて税率を下げる国がある。税率の違いから国際的な資金の流れがゆがむのは所与の事実として受け入れざるを得ない。その上でOECDルールのような対策を打ってきた。今までと違う処方箋が必要になったとは思わない。
(聞き手は上杉素直)
あさかわ・まさつぐ 財務官として財務省の国際政策を総括する。2011年から国際課税ルールを決めるOECD租税委員会の議長を務める。58歳。
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法人税改革との両輪で ユーラシア・グループ会長 クリフ・カプチャン氏
世界の政治家や著名人の節税の実態を明らかにしたパナマ文書は「情報は力だ」ということを示した。
今回の情報リークは特定の政治家や政府を狙ったのではなく、透明性や正義のためにやったのだろうが、一部の政治リーダーは退任を余儀なくされた。今後起きる情報漏洩は政治的な暴露になる可能性がある。
パナマ文書で英国のキャメロン首相の地位が大きく低下したとはいえ、強固な民主主義国家では政権そのものは揺るがない。ロシアや中国など独裁的国家も政府は耐えうる。ベネズエラのような弱い独裁政権が攻撃されやすいターゲットになる。
政治的な動きでは米国で法人税改革が起こるだろう。米企業が国外に利益を持ち出すことを防ぐため法人税率を低くするはずだ。米国の政治家は減税に向けて動く必要がある。
一方、脱税は難しい問題だ。資金洗浄やテロ資金対策に取り組む国際組織「金融活動作業部会(FATF)」があるが、参加は三十数カ国・地域で加盟は任意だ。世界のリーダーにはよりいっそうの相互協力や情報共有、透明性の強化が求められる。
パナマ文書による経済面への影響では、銀行や企業に対する規制が強まり、短期的には緩やかなマイナスの影響が出るだろう。特に銀行業界には逆風が吹く。だが2〜4年たてば透明化が進み、ビジネスは効率的になってプラスに働く。脱税への懲罰も強化されるだろう。結果としてビジネス環境は改善するはずだ。
租税回避を試みる企業も減るだろう。企業はペーパーカンパニーに利益や事業を移すことを考え直すことになるのではないか。企業はこうしたメカニズムを利用することを恐れ、懸念するようになると思う。
世界的な経済の低成長や格差の問題は政治への膨大な要求を生み、課税逃れ問題でも政治リーダーに何とかしろという圧力をかけるはずだ。企業の行動の透明化や法人税改革を求める声も広がるとみている。
(聞き手はニューヨーク=高橋里奈)
Cliff Kupchan 世界経済やロシアの外交・政治、イランの核開発問題などが専門。米国務省などを経て、政治リスクの調査会社の会長。60歳。
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[アンカー] グローバル時代、税のあり方問う
納税をお願いする立場の政治リーダーやその関係者が資産を外国に置いて節税に励んでいた。パナマ文書が投げかけた最初の問題は政治家の倫理だ。近年は税逃れ対策が主要国首脳会議(サミット)のテーマだっただけに、世間の失望や怒りは大きくなった。所得隠しの脱税や資金洗浄はもちろん許されない。
もっともタックスヘイブンを利用した富裕層や企業の節税の多くは合法であり、国際ルールに沿っている。軽い税金を求める行動は合理的だからこそ、主要国は法人税率を競うように下げてきた。国際的な連携と透明性をいかに高めるか。パナマ文書は人も企業もグローバルに活動する時代の税制のあり方を問い直す契機でもある。
(上杉素直)
[日経新聞4月21日朝刊P.9]
[時事解析]揺らぐ邦銀の収益基盤
(1)マイナス金利が痛手 潜在リスク高まる
日本の銀行の収益基盤が揺らいでいる。国内業務ではマイナス金利、海外業務ではアジアの成長減速が収益に悪影響を及ぼすことが懸念される。
年初から3月末までに主要銀行の株価は3割近く下落しており、銀行不安が続く欧州銀行の下げ幅を上回った。
市場評価が落ちた一因は日銀のマイナス金利導入だ。もともと邦銀の収益力は主要国銀行で最低水準にある。三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長は「資金利ざやはさらに縮小。銀行業界には少なくとも短期的には効果はネガティブだ」と指摘する。
邦銀は収益確保をめざし住宅ローンに注力している。金利が10年固定で1%程度と融資では高めだからだ。残高は1990年の2.5倍の117兆円にのぼるが、所得減で利払い負担が重荷になる借り手が増えている。
足元で急拡大しているのが不動産融資。不動産投資信託向けも含めた融資残高は前年比4.7%増の71兆円強で、全融資に占める比率は15%強と90年代初めを上回る。
銀行は金融緩和が進んだ80年代後半に増やした不動産融資が、90年代の地価下落で不良化し危機に陥った経緯がある。今は当時より金利が大幅に低く、人口減少により地価が下がった場合のリスクをカバーできているのか疑問視されている。
世界の金融当局で構成する金融安定理事会(FSB)は3月末に東京で開いた会議で「多くの銀行の収益性が脅かされている。銀行は低成長、低金利にビジネスモデルをあわせる必要がある」と指摘した。
(編集委員 太田康夫)
[日経新聞4月18日朝刊P.21]
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(2)増える地銀統合 縮小均衡脱せるか
地方銀行の融資の伸び率は年3%強と都市銀行(同0.7%)を大きく上回り、政府の地方創生に協力してきた。ところが日銀のマイナス金利導入による金利低下で、利ざやに縮小圧力がかかる。地銀は信用力がやや低い企業にも厚めの利ざやで融資してきたが、そうしたビジネスモデル維持が難しくなり融資余力が損なわれつつある。
日銀は当座預金のうち、昨年までに積んだ基礎部分に0.1%付利しマイナス金利による収益減を補う。しかし地銀・第二地銀は融資額で都銀を上回るにもかかわらず、基礎部分は都銀の4分の1で収益減が十分に補われない。
経営環境が厳しくなる中で地銀の経営統合が増えている。肥後銀行と鹿児島銀行、横浜銀行と東日本銀行、常陽銀行と足利銀行などだ。金融庁は将来の人口減少を見越した経営の選択肢の一つと言及している。
統合は結果的に融資基準が厳しくなったり、間接部門の合理化で雇用削減につながったりする縮小均衡的な面がある。広域統合すれば、県に本部を置く上場銀行がなくなるなど、地元のイメージや心理への影響もある。
大槻奈那・名古屋商科大教授は「統合しても運用難など本質的な問題は解決できない。給与は高い方にあわせる例がほとんどで、統合効果も限られる」と指摘する。
地銀が期待されているのは、融資増で経済の好循環をもたらすことだ。長期的な健全性は大切だが、それを偏重して融資に慎重になれば、せっかく出始めた地方創生の芽が育たない恐れがある。
(編集委員 太田康夫)
[日経新聞4月19日朝刊P.24]
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(3)アジア業務の誤算 融資戦略見直しも
2008年のリーマン危機後、邦銀はアジア業務を強化した。危機の影響が比較的小さいうえ、危機で傷んだ欧米銀行が業務を縮小したからだ。
日系企業だけでなく、非日系企業との取引も拡大。タイ、マレーシア、インドネシアでは、国別で外資の最大シェアを獲得し、アジアの成長を取り込む体制を整えた。
しかし「アジア経済は中国の経済ショックが飛び火するリスクが高まっている」(シンガポール金融通貨庁)。米国利上げによる資金流出や原油・商品価格の低迷の影響で企業業績が悪化し、マレーシア、中国では国の信用格付け引き下げのリスクもある。
3メガバンクの15年9月のアジア向けリスク管理債権は前年同期比64%増えた。原油や商品価格の低迷で、事業融資(プロジェクトファイナンス)の一部で採算が悪化した。投資適格企業への投融資が中心で、リスク管理債権の比率は今のところ0.2〜1.2%にとどまっている。
ただ現地の銀行の公表不良債権比率(リストラ債権含む)はインドで12%、タイで6%超。今後、中国やシンガポールでの上昇が予想され「資産の質は08年の国際金融危機時より悪化している」(米ゴールドマン・サックス)。邦銀が業務の拠点としてきた香港やシンガポールでは不動産価格が下落しており、融資への影響も懸念されている。
メガバンクの資産に占めるアジア資産は8〜10%。資産悪化が経営を大きく揺らす恐れは小さいが、アジアは戦略分野だっただけに融資戦略の練り直しが迫られている。
(編集委員 太田康夫)
[日経新聞4月20日朝刊P.26]
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(4)国際金融規制の影響 問われる資本の質
メガバンクの健全性を示す普通株等中核自己資本比率は10〜12%と欧米有力行並みだ。ただ資本には無形固定資産なども混じる。制度交渉で資本算入を勝ち取った成果ではあるが、普通株重視の欧米からは実力以上のかさ上げと映る。
各国当局で構成するバーゼル銀行監督委員会は2014年から簡素さや比較しやすさを重視する資本計算の改革に着手。規制資本の計算に、銀行がリスク管理に使っている内部モデルの利用を認め、モデルが高度だとリスク量を減らせる仕組みにしてきた。
メガバンクは内部モデルを積極活用して自己資本比率を約2%上げたほか、金融庁は公的資金投入行や地方銀行にまで内部モデル利用を認めた。資本計算の裁量を増やした結果、同じ資産を保有していても銀行によって資本比率が最大4%異なることが判明。このためバーゼル委は3月に公平性の観点から、多くの分野で内部モデル利用禁止案を打ち出した。
邦銀は「行きすぎた規制強化はコスト増などを通じ金融仲介機能の制約になり得る」(国部毅全銀協会長)との立場。内部モデル廃止にも反対論が根強い。
バーゼル委のウィリアム・コーエン事務局長は「内部モデルは銀行がリスクを過小評価する誘因になる。銀行による差が大きく、銀行の自己資本の充実度を評価しにくくなる」と強調している。
国際的に内部モデルを官民挙げて活用してきた国は日本以外にほとんどなく、廃止論が優勢だ。廃止に近い決着となれば、邦銀が増資を迫られる可能性がある。
(編集委員 太田康夫)
[日経新聞4月21日朝刊P.29]
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(5)くすぶる格下げリスク ドル調達に不安も
邦銀の海外での資金調達が厳しさを増している。昨年末、欧米でプレミアム(邦銀向け上乗せ金利)を払わないと資金調達できなくなった。調達環境は今後悪化する恐れがある。
その背景の一つは、10月に予定される米国のMMF(マネー・マーケット・ファンド)の規制強化だ。邦銀の現地法人などが発行するコマーシャルペーパー(CP)で運用するタイプのMMFの規模縮小が予想される。受け皿が細るためCP発行による資金調達がしにくくなり、邦銀などのドル調達金利に上昇圧力がかかるとみられている。
もう一つは格下げだ。銀行格付けは国の保護もあり、国の格付けに連動しやすい。国の格付けについて米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは「日本国の信用の質は財政赤字を埋める新たな手法を見つけるまで徐々に悪化する」と指摘する。市場では消費税率引き上げを延期すれば格下げにつながるとの見方が出ている。
国際市場での邦銀の信用供与シェアは国別でトップだ。ただ薄利多売的な融資が多く、利ざやは国内より厚いものの1%程度にとどまる。銀行格下げで欧米銀行が邦銀向け信用供与枠を絞れば、ドル資金の調達金利は一段と上がり、採算割れする融資が増える公算が大きい。
邦銀は1990年代、住宅金融問題や銀行危機でジャパン・プレミアムがつき、海外融資の大幅圧縮を迫られた。銀行業務の核である資金調達で不良債権問題の教訓を生かしたリスク管理ができていたのかが問われる。
(編集委員 太田康夫)
=この項おわり
[日経新聞4月22日朝刊P.27]
「 チュニジアを「アラブの春」の唯一の成功例とし、今回のようなテロ事件が起きたことに対する衝撃が語られることも多いが、チュニジアとエジプトの“政変(アラブの春)”には相似性というか類似性があると思っている。
端的に言えば、旧政権内部の一部が、クーデタというわかりやすいかたちではなく、国民の政治的運動を利用することで反撃を受けることなく恐い親分を排除し、その後“時間をかけて”権力を奪取してしまうという共通性である。
エジプトのシシ大統領はムバラク時代の軍幹部であり、昨年12月に大統領に当選したチュニジアのエセブシ氏も、11年1月に国外に脱出したベン・アリー政権時代の幹部だった。
エジプトのシシ派は、青年を中心とした反ムバラク運動を“放置”することでムバラクを失権させ、その後いったんはムスリム同胞団のモルシ氏に政権を取らせシシ氏は国防相についたが、およそ1年後には反モルシの大衆運動をしかけ、それを口実にクーデタを決行した。その後、シシ氏は“正規”の選挙で大統領に当選し“政治的正当性”を手に入れた。
チュニジアも、屋台で商売をしていた青年が治安組織による迫害を理由に自殺したことがきっかけで反政府運動が高まったが、治安組織はいつもながらの弾圧には動かず、そのため1ヶ月足らずでベン・アリー大統領は国外に逃げた。
そして、11年10月に行われた選挙でアンナハダというムスリム同胞団の影響も受けている穏健的イスラム主義政治勢力が第一党になるが、野党指導者たちの“暗殺”など治安が悪化したことにより政権の体制は落ち着かず、昨年秋から年末にかけて議会選挙と大統領選挙が行われた。
この議会選挙と大統領選挙で勝利したのが、ベン・アリー大統領の与党であった立憲民主連合の幹部たちが中心になって組織した政党「チュニジアの呼びかけ」である。
エジプトもチュニジアも、ムバラク氏やベン・アリ氏といった長期独裁的執権者に政権側勢力の一部が嫌気(権益の問題や一族での権力継承問題もあるだろう)を覚え、国民の政治運動を利用することで、うまく“怖い”独裁的執権者を権力の座から引きずり降ろし、時間をかけながらも旧政権内の一部が最終的に権力を掌握する政変劇だったと言えるのではないだろうか。」
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[迫真]迷走セブン&アイ
(上)任せていただけないか
18日午後、セブン&アイ・ホールディングス本社(東京・千代田)の9階にある会長執務室。取締役の井阪隆一(58)はある決意を持って会長の鈴木敏文(83)のもとを訪ねた。
「会長を尊敬している。今後も顧問として残ってほしい」と訴える一方、「経営は私に任せていただけないか」。セブン&アイ社長への昇格が内定していた井阪はグループの全役職から退任する意向の鈴木にこう迫った。
2カ月前――。同じ執務室で鈴木はコンビニエンスストア事業を担う中核子会社、セブン―イレブン・ジャパンの社長を務める井阪に対し、社長を退くよう命じた。わずか2カ月で2人の立場は大きく変わっていた。
□ □
セブンイレブン大卒社員1期生の井阪は商品開発部門を歩み、グループ共通のプライベートブランド(PB=自主企画)「セブンプレミアム」の立ち上げで中核の役割を担った。その実績が鈴木の目に留まり、2009年に生え抜きの社員で初めて社長に就任した。
米国生まれのセブンイレブンだが、育ての親は鈴木だ。おにぎりや弁当を並べ、銀行も備え生活に欠かせないインフラに育てた。井阪を社長に据えた当初、「後継者として検討したい」と話すほど期待していた。
グループの利益の8割を稼ぐセブンイレブンは16年2月期まで5期連続の営業最高益と業績は好調だ。その裏側で2人の師弟関係はぎくしゃくするようになっていった。
鈴木は部下と厳しく接することでやる気を引き出す経営者だ。井阪には役員会などで叱責することが常態化していた。期待が大きかった分、「今のセブンイレブンからは新しい商品やサービスが出てこない。おれの考えていることをやっているだけだ」と不満を募らせていった。
井阪は米セブン―イレブンへ異動する――。15年はじめにはこんな臆測が社内で公然とささやかれるようになっていた。
□ □
鈴木の下した決断が微妙だった2人の関係にひびを入れた。セブン&アイの主要株主である三井物産グループとの取引を減らすと言い出した鈴木に対し、井阪は「セブンプレミアムの商品開発で貢献してもらっている。コンビニの取引先にまで口出ししないでほしい」と強硬に反対した。
三菱商事は三菱食品、伊藤忠商事には伊藤忠食品、日本アクセスとグループに有力な食品卸を抱える。競合との力関係で見劣りする三井物産に鈴木は満足できなかった。
15年秋の三井物産からの意外な提案も鈴木の三井物産離れを加速させたとみる関係者がいる。米マクドナルドが検討している日本マクドナルドホールディングスの株式の売却に絡み、会食の席で三井物産首脳は「興味はありませんか」と持ち掛けた。鈴木は「相乗効果がない。コンビニをまったく理解していない」と一蹴した。
その後、井阪の反対を鈴木が押し切り、セブンイレブンは三井物産系の三井食品との取引の大幅削減を決めた。代わりに食品卸3位の国分グループ本社と結んだ契約は年間1000億円を超える。ほとんど付き合いのなかった国分が一躍、大口取引先となる異常な事態。競合する食品卸のある幹部は「三井物産によほどのミスがあったなら分かるが、そんな噂は聞こえてこない」と驚きを隠さなかった。
15年末には井阪の統率力に対する鈴木の不信が一気に膨らむ事件が起きた。セブンイレブンの幹部2人に関する怪文書がグループ内で出回ったことだ。パワーハラスメントなどを指摘された幹部のうち、1人は降格となり、もう1人が代わりに昇格するという不可思議な幕引きとなった。醜聞騒動を未然に防ぐことができなかった井阪に鈴木は見切りを付けた。
鈴木が井阪に退任を求めた2月以降、2人の確執は先鋭化する。4月初旬のセブンイレブンの執行役員会議。鈴木が「今のセブンイレブンには新しいモノが何もない」と声を張り上げた。いつもなら沈黙が続くその場で「数字はしっかりとついてきている」と井阪はすぐさま反論した。
直後の7日、鈴木はセブン&アイの取締役会に井阪をセブンイレブンの社長から外す人事案を諮った。
(敬称略)
◇
セブン&アイの中興の祖、鈴木敏文氏が経営の一線から退く。カリスマ経営者の引退に至るまでの迷走を追う。
[日経新聞4月21日朝刊P.2]
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(中)人事案は私の中にある
親愛なる伊藤教授
セブン&アイ・ホールディングスは長期的な株主価値改善にやれることがたくさんあります。なるべく早く我々のメンバーと会って議論していただけませんか――。
2016年1月末、セブン&アイの社外取締役を務める一橋大大学院特任教授、伊藤邦雄(64)に1通の英文の手紙が届いた。差出人は「物言う株主」として知られる米投資ファンド、サード・ポイントを率いるダニエル・ローブ(54)。「我々と同じ哲学をお持ちのあなたの考えが取締役会において有益だと確信しています」と訴えた。
□ □
伊藤に手紙が届いたころ、セブン&アイ会長の鈴木敏文(83)は取締役の井阪隆一(58)を中核子会社、セブン―イレブン・ジャパンの社長から外す方向で動き始めていた。2月中旬には井阪本人に交代を打診。創業者であるセブン&アイ名誉会長、伊藤雅俊(91)のもとには社長の村田紀敏(72)を送り、人事案を事前に報告した。
ここで鈴木に誤算が生じる。これまで経営には口を出してこなかった名誉会長から井阪交代の人事案に理解を得られなかったことだ。
もうひとつの誤算で混迷は一気に深まる。サード・ポイントによる株式の保有が明らかになったこともあり、セブン&アイは3月に指名報酬委員会を設置した。指名委員会等設置会社ではないセブン&アイにとって指名報酬委はあくまで社外の意見を聞く任意の諮問機関であり、決定権はなかった。その指名報酬委が意思決定機関のような存在に変質していく。
最初の指名報酬委は3月30日。直前の27日にサード・ポイントからセブン&アイの役員に書簡が届く。「井阪氏の社長職を解く噂を耳にしたが、降格は理解できない」。サード・ポイントは書簡を報道機関にも公表し、井阪交代案を世間に広めるよう仕向けた。
「5期連続で営業最高益を達成した会社のトップを変えることは理解できない」。30日の指名報酬委では鈴木、村田が示したセブンイレブンの社長交代を含む人事案に委員長の伊藤邦雄、元警視総監の米村敏朗(64)の2人の社外取締役がかみついた。
□ □
指名報酬委の承認がないまま、鈴木が人事案を諮った4月7日の取締役会。ここでも社外取締役の伊藤が重要な役回りを演じる。従来の挙手に代えて、「鈴木さんの顔色をうかがい、挙手では本音が出ない」と無記名投票を提案した。結果は人事案に賛成7票、反対6票。2人が棄権の白票に回り、賛成が取締役15人の過半に届かず、否決となった。
「1人に権限が集中する体制にはしない」
「最高経営責任者(CEO)などの肩書はやめようかと考えている」
「鈴木さんを支持した村田さんが社長を続けるのはよくない。会長になるのも変じゃないか」
新たな人事案の取りまとめが進むなか、社外取締役の伊藤の声はどんどん大きくなっていく。自宅前に連日押し掛ける報道陣に対し、自らが考える人事案を語る伊藤は明らかに高揚していた。
一方、鈴木の引退表明で司令塔を失ったセブン&アイの社内の混乱はピークに達していた。事態の収束を急ぐなか、人事案は鈴木を除く全員が留任し、セブン&アイは村田、セブンイレブンは井阪が社長を続けるという方向に傾いていった。
15日に設定された指名報酬委。事前の調整のため、村田は13日、伊藤、米村と会談を開いた。井阪も含む社内の取締役がおおむね合意していたにもかかわらず、伊藤は村田の留任に反発した。その夜、伊藤は「一番常識があるのは社外取締役だから。私の中にある人事案を会社が受け入れてくれるかどうかですよ」と報道陣に話した。
翌14日、再び伊藤、米村と会談した村田は自身の退任を受け入れると申し出た。決着したかにみえた議論は伊藤の次の発言で紛糾する。「井阪さんはセブンイレブンの代表取締役会長も兼務すべきでは」。村田は「あなたはどこまで鈴木をおとしめれば済むんだ」と烈火のごとく反論した。
セブン&アイの中興の祖、鈴木は自らが育てたセブンイレブンの会長を兼務する。その鈴木と井阪をいきなり同格に扱うことに村田は我慢できなかった。徹底抗戦する構えの村田に伊藤は矛を収めた。しかし、15日の指名報酬委でも新たな波乱が起きる。
(敬称略)
[日経新聞4月22日朝刊P.2]
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(下)ビルから出てください
「あなたは経営がどんなものか何も分かっていない」。15日に開かれたセブン&アイ・ホールディングスの指名報酬委員会。社長の村田紀敏(72)は声を張り上げた。もめるはずのなかった委員会で何があったのか。
「『最高』とはどういうことですか。影響力が残るのでは」。きっかけはやはり社外取締役の一橋大大学院特任教授、伊藤邦雄(64)の発言だった。退任する会長の鈴木敏文(83)にセブン&アイは名誉職を用意する方向で調整してきた。伊藤は「最高顧問」という肩書が気に入らなかった。
20年以上にわたってグループのトップに君臨してきた鈴木。セブン&アイにとっては要の存在が突如消えることによる影響の大きさは計り知れない。指名報酬委で議論する対象は持ち株会社の取締役と執行役員、事業子会社の社長であり、退任する鈴木の処遇まで社外取締役から意見を聞く必要はない。影響力の排除を声高に主張する伊藤に村田は言葉を失った。
□ □
セブン&アイが19日に開いた取締役会はセブン―イレブン・ジャパンの社長を務める取締役、井阪隆一(58)の社長昇格などを正式に決議した。その後に発表したグループ人事の資料に鈴木の処遇は「退任」と記されただけだった。
20日に開かれたイトーヨーカ堂の店長会議。全国から集まった店長や幹部社員を前に鈴木は「流通業に興味があったわけではない。しかし、約50年身を置いて、与えられた仕事を全うする信念を持って仕事をしてきた。セブンイレブンをつくるときも社内外で反対された」と語り始めた。「みんなが一丸となって前を見て、新しい仕事を、今何をすべきかを考えてほしい」と話し終えると、拍手がわき起こり、涙ぐむ社員もいた。
鈴木が1974年に米国から持ち込み、日本に根付かせたコンビニエンスストア。鈴木と40年以上の付き合いがあるセブンイレブン1号店のオーナー、山本憲司(66)は「銀行をつくるときも相当な障壁があったはず。それでもお客さんにとっては必ず便利だという信念で実現させた。体力が続く限り辞めないと思っていた」と話す。
7日のセブン&アイの取締役会では井阪をセブンイレブンの社長から外すという鈴木の考えた人事案が否決された。その場で「井阪を辞めさせる意味が分からない」と強い口調で発言した社内の取締役がいる。セブン&アイの名誉会長を務める創業者、伊藤雅俊(91)の次男、順朗(57)だ。無記名投票の決議でも順朗は反対票を投じた。
ひと月前の3月8日、セブン&アイは不振が続くスーパー、百貨店の店舗閉鎖を柱とする構造改革計画を発表した。閉鎖の対象にはヨーカ堂の1号店、千住店(東京・足立)も含まれていた。
北海道・東北が地盤のスーパー、アークスの横山清(80)は創業者の伊藤と家族ぐるみの付き合いを続ける。伊藤の妻が鈴木への不満を口にすれば、「やめなさい」とたしなめるのがいつもの伊藤の役回り。直近の会食の席、構造改革計画を伝え聞いていた伊藤が横山に漏らした「千住店を閉めるんだって」という言葉は寂しげだった。
□ □
1992年にヨーカ堂の社長を鈴木に譲って以降、創業者の伊藤はグループの経営から一定の距離を置いてきた。人事案の否決後、記者会見した鈴木は自身が主導した人事案に反対し、井阪を守った創業家の判断について、「世代代わりがあった」とだけ説明した。セブン&アイの筆頭株主である「伊藤興業」は創業家の資産管理会社だ。高齢の伊藤と妻に代わり、資産管理会社を切り盛りする役目は伊藤の長女に変わりつつある。
今回の迷走劇。鈴木とともに主役となった井阪は今後、社長として巨大流通グループのかじ取りを担う。人事を巡っては井阪を支えることで利害が一致した創業家と「物言う株主」のサード・ポイント。しかし、祖業のヨーカ堂を憂う創業家、スーパーや百貨店など不採算事業の整理を求めるサード・ポイントでは描く未来図は異なる。
鈴木は「顧問」を受けるかどうか揺れている。取引先やコンビニのオーナーに慰留の声が広がる一方、「影響力が残ります。本社ビルからは出てください」と井阪から言い渡されているからだ。カリスマを追い出し、グループの全権を握る井阪が背負うものは重い。
(敬称略)
松田直樹、湯浅兼輔、豊田健一郎、宮住達朗、牛山知也が担当しました。
[日経新聞4月23日朝刊P.2]
この問題については、フォローアップ投稿を参照していただきたい。
※関連参照投稿
「厚労省自身が「リスクは高い一方で効果は不明」と説明する子宮頚癌ワクチンが“定期接種化”されるという異常事態」
http://www.asyura2.com/13/senkyo146/msg/742.html
「どうする?子宮頸がんワクチン:今なお、メリットもあるとか先進諸国は接種に積極などと接種推奨モードのNHK」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/777.html
「子宮頸がんワクチン:接種2日後、女子中学生が死亡[毎日新聞]」
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/454.html
投稿者 あっしら 日時 2011 年 9 月 12 日 23:52:22:
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子宮頸がんワクチン、小児科学会など「推奨」
全身の痛みやしびれなどの副作用が報告されている子宮頸(けい)がんワクチンについて、日本小児科学会など17団体は21日までに、ワクチン接種後の診療体制などが整備されたとして、積極的な接種を推奨するとの見解を発表した。
見解では、子宮頸がんワクチンを導入したオーストラリアや米国など複数の国で、子宮頸がんの前段階の病変の発生が約半分に減っており、有効性は明らかと指摘。
健康被害に遭った人への救済が開始されたことも推奨する理由に挙げた。
子宮頸がんワクチンは2013年4月、小学6年から高校1年に相当する女子を対象に定期接種が始まったが、全身のしびれや痛みの報告が相次ぎ、厚生労働省は同6月に接種の呼びかけを中止した。
[日経新聞4月22日朝刊P.38]
※コメント欄はあっしらのものだけを引用、詳細は上記スレッドでご確認ください。
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非婚者の性交を前提とした感染を防ぐ医療行為に公的扶助を投じる問題点はともかく、ヒトパピローマウイルスの感染が主要な原因だと言われている子宮頸がんだが、それが事実かどうかあやしいと言われている。
というのは、年齢とともに罹患者が増加するのが自然だと考えられている子宮頸がんが40代になると減少することから、ヒトパピローマウイルスの感染による“非ガンの皮膚病”がガンと誤って診断されているとも考えられている。
(若い時にヒトパピローマウイルスの感染でがんに似た細胞変化を伴う皮膚病が発症するが、経年で自然に治癒するとも考えられている。それが事実なら、本来は不要な子宮切除手術までがガン治療という名目で行われていることになる)
ワクチン接種という医療行為自体が危険性をはらむものであり、十分な安全性と効果の検証なしに、公的資金を投入した“宣伝”まで行って推奨するのは政府が推し進める“人体実験”だと言っても過言ではないだろう。
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06. あっしら 2011年9月13日 17:52:13: Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI
Pj82T22SRI さん、レスありがとうございます。
●「03. 2011年9月13日 12:47:45: Pj82T22SRI
>子宮頸がんが40代になると減少
これは間違いだろう」
●「02. 2011年9月13日 12:41:27: Pj82T22SRI
>ヒトパピローマウイルスの感染による“非ガンの皮膚病”がガンと誤って診断されている
>本来は不要な子宮切除手術までがガン治療という名目で行われている
悪質な病院は別だが
普通は、生検で必ず確認するから、そういう例はほとんどないし
全摘は、あり得ないよ」
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03のコメントに対するものが中心になりますが、02の“生検”の的確性(難しさ)についても触れられている内容です。
参考にしていただければ幸いです。
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『名医の「有害な治療」「死を早める手術」 患者が知らない医の本質』近藤誠著大和書房発行より:
ガンに関して反主流というか異端児的考え方を持つとされる慶応大学医学部近藤誠講師と主流派の対談当時大阪府立成人病センター調査部長 大島 明氏のあいだで行われた子宮がんをめぐる討論を引用したものです。
【引用】
P.89
「「子宮がん検診は有効」の根拠は何か
近藤:検診の話をすると、例えぱいま日本で見つかっている上皮内がんというのは本当にがんなのかという疑いがあります。例えば宮城県のデータで見ると三〇〜三九歳に上皮内がんの見つかる率は一〇万人に四五人ですが、これが四〇歳以上になると下がってくる。
[注:(図@)として掲載されている「宮城県の検診データ」は省略]
大島:それは外国でも同じですね。
近藤:でも、発がん理論からいうと一種の矛盾だと思うんです。
大島:上皮内がんがすべて浸潤がんになるというモデルなら、それは矛盾しますね。
近藤:遺伝子の傷がだんだん蓄積されて「多段階発がん」につながるなら、複数の遺伝子が傷つかないとがんにならないから、年齢の上昇とともに発がん頻度は高くなる--これはどんながんでも認められると思うんですね。成人病センターの統計でも一般にそうなっていると思う。
大島:確かに一般的ながんの場合、年齢の上昇とともに罹患率は高まります。
近藤:それなのに、なぜ子宮の上皮内がんだけは年齢の上昇とともに罹患率が下がるのか。これをどう説明するのか、間題が残る。
大島:全部が全部浸潤がんに移るのでなく、一部が移ることで説明できる。
近藤:いや、一部が移るんであれば、年齢が高くなるにつれて新たに上皮内がんとして加わってくる人もいうわけだから、率は同じか高くなっているはずで、逆に半分とかそれ以下になるのは矛盾です。例えば一九九〇年の宮城県のデータは、四〇歳から四九歳では一〇万人中二一人と半減しているんです。五〇歳から五九歳では一〇万人中六人と、ほぼ七分の一になっている。
大島:検診発見率はプレバレンス(Prevalence:ある集団をある時点で観察したときの有病率)ですから、そこに出入りはある。
近藤:出ていくなら浸潤がんとして出ていって―。
大島:浸潤がんだけでなく、上皮内がんの場合はリグレツション(Regression:退縮)もある。
近藤:いや、退縮を言い出すと、よけいがんじゃないという話になる。
大島:ですから、上皮内がんというのは一部はがんでないものもあるわけです。しかし、早期胃がんの場合には退縮はない。
近藤:がんが退縮するなら非常に深刻な問題なわけですが、上皮内がんの場台には退縮ではなくてパピローマ・ウイルス感染のある形態をがんと見てしまっているのではないか。
三〇代はセクシャル・アクティビティが高いしホルモン環境も年寄りと違え加齢に伴って環境が変わるとがんとは見えなくなっていく。だから検診をやっても発見頻度は下がると考えるのが一番スッキリするでしょう。
大島:病理組織学的に分類できればいいけれど、その区別がつかないわけですよね、いまの段階では。
近藤:そういう曖昧な病理診断学に基づいた上皮内がんの検診というのは、疑問があると思うんですね。
大島:ですから、上皮内がんがすべて浸潤がんになるのではなく、その一部が浸潤がんになり、さらに放っておけば命を落とすそういうデータも示した上で患者さんが判断するのが好ましい。
近藤:そうなると、大島さんの従来の発言には撤回していただかなけれぱならないところがありますね。例えばこれは『産婦人科治療』の大島さんの論文ですが、「子宮がん検診の有効性については、すでに疑問の余地はない」とある。
大島:いや、疑問の余地はないんです。
近藤:けれど退縮するがんも、見つけられれぱ切られてしまうわけですからね。それは「疑問の余地がある」と言わざるをえないと思うんですけど。
大島:それは見解の違いじゃないですか。
近藤:見解の違いを埋めようとするのがこのディスカッションの一つの目的ですから。それと、がん死が減るかどうかの観点からしても、ケース・コントロール・スタディしか子宮頸がん検診では行われてないのですから、「疑問の余地がない」と言い切るのは非常に問題だと思います。
大島:いや、しかし、人間を対象とする医学というのはもともとですね、集団としてきちんと証拠が揃っても個々の一人ひとりについてまで疑問の余地なく白黒が決まるものではありません。「疑間の余地がない」というのは集団として見た場合の有効性についてですよ。
近藤:けれども、言い切るためには、大島さん自身が言ってきたようにRCT(くじ引き試験)をしなければならないわけですから。
大島:いえいえ。RCTができる状況ならRCTをしましょうと言ってる。子宮頸がんの場合は検診がすでに広まっていますから、RCTをしようと思ってもできない状況にあるじゃないですか。
近藤:それは有効性が検証できないということであって、有効性が認められたということではない。
大島:それはあまりにも一面的な話ですね。RCTによるきちんとした証拠がなければ絶対だめということではありません、RCTがなくても、いくつもの観察的研究によるデータに基づき、いろんな類推で有効性については判断できるわけです。そこは、近藤さんといくら話しても埋まらないところだと思います。」
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12. あっしら 2011年9月14日 01:17:50: Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI
Pj82T22SRIさん、こんばんは。
【引用1】
>子宮の上皮内がんだけは年齢の上昇とともに罹患率が下がる
ただ宮城県の実データを見ないと何とも言えないが、40代以降で減少というのは少し信じ難い。
全国データからは「20歳代後半から40歳前後まで増加した後横ばいになり、70歳代後半以降再び増加」ということがわかる。
若年層での増加は、生行動や食生活など生活パターンの変化や、検査率の向上が原因と見るべきではないかな。70代以上でも医療費無料や暇なための受診率の向上が効いている可能性はある。
【引用2】
http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics04.html
年齢別にみた子宮がんの罹患率(りかんりつ)は、子宮頸がんでは20歳代後半から30歳代後半まで増加した後横ばいになり、70歳代後半から再び増加します。
【コメント】
「子宮頸がんでは20歳代後半から30歳代後半まで増加した後横ばい」という“文学的表現”は、「わりとと言えばカラスも白い」に近いもので、実数的には06で引用したように、明瞭に40年代になると減少しており、“横ばい”と表現したことに少し悪意を感じます。
実数のデータは、下記にアクセスして、カテゴリーを3つほど選択することで表示できます。
国立がん研究センターがん対策情報センター
http://ganjoho.jp/pro/statistics/gdball.html?22%8%2
「死亡/罹患」で「罹患」を選択
「部位」で「子宮頸」を選択
「グラフ」で「年齢階級別 率」を選択
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13. あっしら 2011年9月14日 12:54:50: Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI
Pj82T22SRIさん、こんにちは。
【引用】
「パピローマ・ウイルス感染のある形態」であって、放置しておいても問題のない良性腫瘍なのか、どうかの判別が不十分なのであれば、もっと遺伝子レベルでの研究を進めるべきだろうね。」
【コメント】
子宮が女性にとって重要な器官ということで「子宮検診促進運動」が“効”を奏し、パピローマ・ウイルス感染による“皮膚病”を多く発見させ、誤ってガンと診断させている側面があると思っています。
(若年者の子宮ガン検診がまったく普及していなかったら、内部ではパピローマ・ウイルス感染による“皮膚病”があっても本人も気がつかず、ある年齢に達したら自然治癒するというケースが数多くあったはず)
製薬会社にそそのかされたり、健康問題に積極的に取り組む政治家や政党だと有権者に思われるために、中学生にまで性交を前提にしているワクチンを公的扶助で投与するよりも先に、貴殿が言われているように、生体検査によるガンがどうかの識別能力を高める研究に人手(お金)をかけるほうがずっと重要だと思っています。
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16. あっしら 2011年9月14日 17:44:16: Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI
Pj82T22SRIさん、どうもで。
【引用】
>。ヨ子宮検診促進運動」が“効”を奏し、パピローマ・ウイルス感染による“皮膚病”を多く発見させ、誤ってガンと診断させている
実際は、術後の生存率が向上しているから、そうした陰謀論は余り根拠はないし
多くの現場の医療者は、それほど私利私欲では動いていない
【コメント】
陰謀論でも、医師の私利私欲を云々しているものでもありません。
検診が主たる発見機会と考えられる子宮頸がんの罹患状況(子宮頸がんの年齢階層別罹患率)から、そう推定しているだけの話です。
「術後の生存率が向上しているから」と言われますが、ガンでもない子宮の一部や全部を摘出している可能性があるのに、生存率をどうこういっても意味がないと思いますよ。
それこそ、必要のない手術により、合併症で死んだりおかしくなったり、QOLが下がることをまじめに考えるべきだと思います。
http://www.asyura2.com/14/iryo4/msg/895.html
経済産業省の有識者研究会は19日、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場について、沿岸部の海底下でも「技術的に実現の可能性がある」とする報告書案をまとめた。海岸線から15キロメートル以内の海底下に処分場を建設するのに必要な基本技術は整備されていると判断した。報告書案では、沿岸部での地質環境の調査をはじめ、海底下での処分場の設計や建設、気候変動を想定した安全性評価といった技術的な対応は可能との方向性を示した。
[日経新聞4月20日朝刊P.4]
タックスヘイブン(租税回避地)を利用した各国首脳や著名人らの租税回避を明らかにした「パナマ文書」に関連し、米当局が捜査に乗り出した。今のところ米国の大物政治家や著名人の名前は挙がっていないが、オバマ大統領が国際的な租税逃れを「大きな問題」と発言。格差の拡大に不満を募らせる米国民の関心も高まり、捜査当局の背中を押したようだ。
文書を入手・分析した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に加盟する英ガーディアン紙はニューヨークの連邦地検がICIJに協力を要請したと報道した。同紙によると、同地検の検事はすでに、文書に名前が挙がった200人以上の米国人のうち数人の捜査を開始している。
国内で税逃れ?
米ブルームバーグ通信は21日、ニューヨーク州の金融サービス局の動きを報じた。パナマ文書で名前が挙がったドイツ銀行やクレディ・スイスなど13行の支店に対し、問題のパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の従業員との電子メールや電話のやり取りを提出するよう要請。10日間の猶予を与えたという。
パナマ文書には意外なほど米国人が登場しない。ICIJは米国内で規制が緩いデラウェア州や州法人税がないネバダ州を例に、こうした州が「企業オーナーに匿名性を許し、企業の透明性を高める動きにあらがってきた」と指摘する。自国内で租税逃れができたとの見立てだ。モサック・フォンセカの顧客が欧州中心で、米企業や富裕層の顧客が少なかっただけの可能性もある。
それでも当局が捜査に乗り出したのは、米国とは無関係とはいえないからだ。パナマ文書では米国の制裁対象の33企業・個人がモサック・フォンセカの顧客だったことが判明している。
対象は国外にも
捜査対象は米企業・国民にとどまらない可能性もある。2015年の国際サッカー連盟(FIFA)の汚職事件では米司法省が米国外の幹部らを起訴した。不正送金などに「米国の金融システムが使われた」ことを根拠に国内で起きた犯罪とみなし、米国の法律が適用できると説明した。
パナマ文書で暴かれた租税回避に国民の不満は強く、米大統領選の争点の一つになってきた。米議会調査局は15年、米企業・国民の租税逃れによる損失を年間1千億ドル(約11兆円)と推定。民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官はタックスヘイブンを「大金持ちのためのとんでもない場所」と批判した。対抗馬のバーニー・サンダース上院議員もパナマ文書を「富と所得の驚くべき不平等」と話した。
一方、共和党候補の不動産王ドナルド・トランプ氏とテッド・クルーズ上院議員は租税回避の背景に高すぎる連邦法人税率があると指摘。法人税率引き下げを主張する。
[日経新聞4月22日朝刊P.2]
(与党のヘイトスピーチ対策法案は表現の自由との兼ね合いから罰則を設けていないとしても、立法で表現に関する“善悪の基準”を設定するのは問題)
「米軍出て行け」のスローガンは、生身の軍人の集合体に対する表現ではなく、「日米安保条約に基づく(沖縄県での)米軍駐留に反対」を意味するものであり、「米軍出て行け」を憎悪表現と認定するような立法は罰則の有無に関わらず違憲の可能性がある。
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「米軍出て行け」は×で「沖縄への中傷」は○? ヘイトスピーチ対策の与党法案
沖縄タイムス 4月24日(日)5時2分配信
人種や民族への差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)対策として自民、公明両党が参院に提出した法案で、米軍人が保護の対象となることが分かった。法案は「本邦外出身者」への「不当な差別的言動は許されない」と宣言する内容。日米地位協定上の特権を持つ米軍人が、マイノリティーである在日コリアンと同様に保護される。一方、沖縄の人々は「本邦外出身者」ではないためヘイトスピーチを受けても保護されない。
法案は19日に審議入りした。そのまま成立すれば、「米軍は沖縄から出て行け」という訴えが米軍人へのヘイトスピーチとされる恐れがあり、専門家から懸念が出されている。
法案について、自民党の長尾敬衆院議員(比例近畿)は自身のフェイスブックやツイッターで「沖縄の米国人に対するヘイトスピーチにも関連する」「米国軍人に対する排除的発言が対象」と説明している。
法案を審議する参院法務委員会が在日コリアンへのヘイトスピーチがあった川崎市を視察したことに関連し、「普天間、辺野古基地のゲート前、地域住民のお声にも耳を傾けてください」と求める書き込みもあった。
本紙の取材申し込みに対し、長尾氏の事務所は「どなたの取材も遠慮している」と応じなかった。長尾氏は昨年、自民党の「文化芸術懇話会」で沖縄メディアについて「左翼勢力に完全に乗っ取られている」などと発言し、党から厳重注意を受けた。
与党のヘイトスピーチ対策法案は、表現の自由との兼ね合いから罰則を設けていない。旧民主党など野党も昨年5月に対策法案を参院に提出し、継続審議になっている。国籍を問わず「人種等を理由とする不当な行為」を「禁止」する内容で、やはり罰則規定のない理念法になっている。(北部報道部・阿部岳)
最終更新:4月24日(日)14時22分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160424-00000003-okinawat-oki
争いがあるとしたら、市議の容疑者が相手の年齢を認識していたかどうかである。
当事件では児童買春の疑いもかかっているので、容疑者は相手のことを小学生と認識してなかった可能性もある。
それにしても、容疑者の市議が普段の政治活動でどのような言動をしていたか気になる。
※参考
[刑法]
(強姦)
第百七十七条 暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
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小学高学年女児に乱暴容疑、鹿嶋市議を逮捕
読売新聞 4月24日(日)14時46分配信
茨城県警は24日、同県鹿嶋市議の高村典令(のりよし)容疑者(46)(茨城県鹿嶋市旭ヶ丘)を強姦(ごうかん)と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春)の疑いで逮捕した。
発表によると、高村容疑者は昨年10月12日、同県内のホテルで、小学高学年だった女子児童に乱暴するなどした疑い。
最終更新:4月24日(日)15時3分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160424-00050038-yom-soci
北朝鮮は、軍事境界線の北側に新型のロケット砲約300門を配備した。聯合ニュースが韓国政府筋の話として伝えた。
聯合ニュースが消息筋の話として伝えたところによると、北朝鮮軍は2014年から境界線付近に射程約40キロの口径122ミリの新型ロケット砲を配備し始め、これまでに計300門を配備したという。
また聯合ニュースは、「122ミリロケット砲は発射管が30個と40個の2種類があり、30個のロケット砲300門を同時に発射すると約9000発が韓国の領土に落下する。新型は2010年の延坪島砲撃事件の際に使われたものより砲身が長くなり、射程も約2倍となった」と報じた。
また聯合ニュースによると、北朝鮮の開城近くから発射した場合、「ソウル近郊の京畿道北部やソウル市内の青瓦台(大統領府)付近、仁川の松島まで射程に入る」という。
米国のオバマ大統領は「米国とEUの間で環大西洋貿易-投資パートナーシップ(TTIP)を創り上げるためには、自分達の『部分にこだわった国益』を克服すべきだ」との考えを示した。
オバマ大統領は、ロンドンで若者達を前に演説し、次のように述べた-
「TTIP協定の締結は、困難な課題である。なぜなら各国は、部分的にこだわるそれぞれの国益を持っているからだ。合意締結のためには、各国は、何かを捨て去らなければならない。」
TTIPに関する合意文書は、それを採択する事で、EU諸国と米国の間の関税率引き下げ、そしてビジネスを規制する障壁の撤廃を可能にし、それにより、二つの経済空間で活動する企業への要求は、比較的ユニバーサルなものになる。一方TTIP反対派の人々は「合意は、欧州内での規制措置を緩め、監督・管理を弱めるよう強く求める多国籍企業の利益ばかり反映したものだ」と主張している。
このような思考法は、戦後対米従属で培われたものというより、明治維新後の近代化過程や「脱亜入欧」的価値観のなかで育まれた“シナ蔑視”(近代に対応できない遅れた国:チャンコロという蔑称もあった)の残滓に影響を受けたもののように思える。
鳩山元首相のことを悪し様に言う人も少ないが、彼のようなひとがいるおかげで、中国人の対日観が少しは“中和”されていると思っている。
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日本の民意が安倍氏の対中国政策を生み出したのか?
人民日報・丁剛記者の訪日手記(3)
人民網日本語版 2016年04月22日16:43
日本の鳩山由紀夫元首相と丁剛氏
日本に到着した当日午後、鳩山由紀夫前首相を取材した。私は鳩山氏に対し、日本では日本の侵略の歴史に関する認識がどうして広まっていないのか、またどうしたら日本の国民に正しい歴史観を広めることができるかという2点について質問した。環球網が伝えた。
鳩山氏は「戦後の教科書が釣魚島(日本名・尖閣諸島) 領有問題や南京大虐殺等の事件に関して十分かつ正確に説明していないことが、多くの日本人が間違った歴史観をもつ主な原因と考えている」と答えた。
また鳩山氏は「私は中国侵略日本軍南京大虐殺遭難同胞記念館を訪れたことがあるが、今後も機会を見つけて謝罪のため、また訪れるつもりだ。犠牲者の数が30万人かどうかというのは問題ではない。殺したのがたった一人だったとしても犯罪だからだ。私は中国人が『もう十分だ』と言うまで謝罪を続けるつもりだ。これが私が韓国烈士記念碑前で跪いた原因でもある」と語った。そして日本のメディアや政府がどれほどのプレッシャーをかけようと、国民に歴史の真実を説明し続けるだろうとした。なぜなら彼は正確に歴史を認識することが中日韓三ヵ国の関係改善に役立つと考えているからだ。
鳩山氏は首相を務めたこともあるが、彼のような考え方は日本ではごく少数派であり、ネットではしばしば一部の急進派の民族主義ユーザーから悪罵されている。鳩山氏が孤立しながらも信念を守り続けていることは、敬意に値すると同時に、日本の世論の右翼化の深刻さを反映していると言える。
右翼化の原因の一つとして、中国のGDPが日本を上回った一方で、日本の経済は低迷を続けたままで、一部の人々は羨望から嫉妬し、嫉妬が焦りや恨みを生んでいるのではないかと鳩山氏は考えている。日本経済に危機が生じるたびに、日本国内が右翼化していくという。
程永華駐日本中国大使はしばしば日本人の中国に対する心の変化をある比喩を使って表現している。それは、中国は日本人の住む一戸建ての裏庭にある小山で、それが一夜のうちに大きな山となってしまったことに日本人は慣れることができないというものだ。
安倍政権の対中国政策の政策の変化はこのような民意の変化によるものだ。2006年、安倍氏は首相になると訪中を宣言、しかし2013年に再度首相となった彼はたちまち対中国の態度を変えた。その主な原因の背景にあるのは民意の変化だ。先ごろ、私は中国のテレビ局が放送した中日関係に関する対談番組を見た。その番組の中で司会者は「安倍氏のこういったやり方は日本国民に受け入れられているようだ」と語っていたが、実はその反対で、国民のこのような考えを受けて、安倍氏の今日のような対中国政策があるのではないだろうか。
ある中国人外交官は現在の中日関係は若い世代が担っていると話す。日本側を見ると、罪悪感に突き動かされて中日友好を推し進めてきた古い世代の人々はすでに歴史の舞台から降り、正確な歴史教育を受けていない、アメリカの政治や経済、文化などの影響を大いに受けて育った若い世代が担っている。70年以上前の戦争は彼らの記憶と思考から遠い過去になってしまっているのだ。
私達が交流した日本のメディア人もその多くが安倍氏への支持を表明している。日本のメディア人は常に政府に対し、批判的な態度を持ち続けているが、そんな彼らも走馬灯のようにころころと変わってきた今までの首相に比べて、安倍氏はこの20年来、かつてない支持を得ていると語る。安倍氏は保守主義の傾向が強いが、この急進的な保守の政策スタイルまでも国民の多くが認めている。ある日本の同業者は私に日本人も安倍氏の対外政策がアジアの大きな流れに適していると考えていると語った。
そのいわゆる大きな流れの背後に立っているのは民主主義の人権と国際法の旗を持った米国人だ。日本人学者の松田武氏はその著書「戦後日本におけるアメリカのソフト・パワー」の中で、「覇権の構造とは、非覇権国家に普遍原理としてのイデオロギーや規則、および政治体制を同じくするその他各種制度を受け入れさせ、双方をある種の秩序に基づき基本的に一致させることで、この秩序をより長期的に維持するというものだ。当然ながら覇権とは武力の使用を排除するものではない」としており、これこそまさに「硬軟取り混ぜた対日政策が最終的に日本の60年以上にわたる米国に対する依存体質を作り上げた」ゆえんだ。
戦後構築されたこのような体制は長年の運用を経て、米国の価値観やシステムを信奉する国民を次々と生み出してきた。そのため、中国との南中国海問題のような衝突が起きると、彼らは自然と米国側に立つことになる。これは日本メディアとの交流の中で明らかに感じたことだ。我々は歴史観を語り、彼らは価値観を語って、共通点を見出すことは非常に難しかった。
日本は島国として、伝統的に自己の生存に強烈な危機感を抱いており、ゼロサムの考え方で周辺やアジアや世界を見ている一方で、日本が「アジアの解放者」のリーダーであるという民族的な一種の優越感を抱いている。日本は明治維新から「脱亜入欧」政策を実行し、この種の危機感と優越感が混ざりながら強まっていき、極端な民族主義となり、最終的に侵略戦争を起こす主な動機となった。第二次世界大戦後は米国がたちまち日本を米国の冷戦同盟に引き込んだことで、日本はその民族性と戦争に関して全面的に反省する機会を失った。
現代の人々が日本とASEANや中国などかつて日本が侵略したアジア各国との関係をみると、確かに戦後大きな改善が見られた。多くの人々はこれは日本の巨額な援助がもたらした作用だと考えている。しかし実のところ、援助はその原因の一つに過ぎない。さらに重要な原因は、1970年代、日本にアジアを改めて重視する考えが生じたことにある。これと時を同じくして、中日関係は新たな段階に入った。1978年、福田赳夫首相がケ小平氏の初来日を実現させ、中日間で「日中和平友好条約」を締結した。しかしこのような政策の変化は内閣政策の範囲内にとどまった。日本の中国に対する政策の変化は戦後の平和主義への民意転換の影響を受けているが、この種の転換は、民族全体が戦争の被害者ではなく発動者という立場からより深く反省するまでには至らなかった。
もし日本にアメリカの「アジア回帰」戦略における位置づけを与える場合、少なくとも3つのパラメータを考慮する必要があるだろう。1つは自国をアジアのリーダーとして「最優秀」な民族とみなしているか、2つ目は中日の競争を「ゼロサムゲーム」とみなしているか、そして3つ目は自国が米国と西洋の価値観システムの重要な一員であるとみなしているか、だ。これらのパラメータが中日関係改善の難しさを決定することになるだろう。(編集TG)
「人民網日本語版」2016年4月22日
海外特派員を20数年勤め、50あまりの国を訪れたが、いまだ日本に行ったことが無かった。今回、環球網と中国公共外交協会が主催するイベントに参加して、日本のメディア関係者と交流することになった。(文:丁剛。人民日報社上級記者。環球網掲載)
訪日経験のある友人が「日本に行ったことのない人は日本の悪口ばかり。日本に行ったことのある人は日本を褒めてばかり」と話すのを聞いたことがあったが、ちょうど日本へ行く前日に、日本旅行から戻ったばかりの親戚が私に会いに来た。50過ぎの親戚は会うなり「多分私が生きているうちに中国が日本に追いつくのを見ることはできないだろう」と言うと、数々の日本人の礼儀正しさに関するエピソードを数え上げ、日本で購入したトイレの消臭剤、電気炊飯器、空気清浄器などについて一つ一つ語ってくれた。
親戚の見聞は私がネット上で見た多くの中国人が語る日本旅行の経験とおよそ似通っていた。人によって細かい点は異なるものの、主な内容は同じなのだ。これらの日本人がいかに礼儀正しく、日本製の商品がいかに細やかであるかというストーリーは、中国人が心に描く日本の主要な部分となりつつある。それらが最終的に中国人の日本全体のイメージを変えることになるだろうか?現時点では何とも言えないが、日本政府が中国人向けの観光ビザの緩和を決定したのは、経済的な要素ばかりを考慮したわけではないという一点は確信できる。
中国と日本は動かざる隣国であり、中国の日本への認識は今に始まったことではない。日本は中国が開国して最初に接触した「外国」であり、現在も中国市場の重要な地位を占めている日本企業は全て最も早い時期に中国に進出した外国企業だ。しかし、多くの同胞と共にパスポートを手に入国検査を通った時、突然中国人の日本への認識は始まったばかりだという感覚に襲われた。
実際、中国人がより遠い国まで足を運ぶようになり、そのペースが加速するにつれて、近隣という意義はすでに地理的概念で括られるものではなくなってきている。日本は影のように中国人や中国企業に寄り添い、世界各地に出現している。私が海外に駐在していた20数年あまりの間も実はこの影を振り切ることはできなかった。日本というのは常に無視することのできないテーマだからだ。
私はタイに3年ほど駐在したが、バンコク国際空港から市内に移動するたびに、二つの大きな広告パネルの前を通る。一つは中国のハイアールのもので「世界最大の家電サプライヤー」と書かれている。もう一つは日本の三菱で「タイの製造業発展をサポートします」と書かれている。この二つのキャッチコピーが中国とタイ、日本とタイの異なる関係と二社のタイにおける異なる地位を明確にしている。
2011年に日本の近海で大地震が発生したニュースがタイに伝わると、その日から多くのタイ人が街頭での募金活動を始めた。タイの日系自動車企業では、タイの工場労働者が日本人経理と抱き合いながら涙するという感動的なシーンも見られた。統計によれば、タイは日本に6億バーツ(約18億7千万円)を超える募金を行ったという。このデータが公表されると、中国の外交官は四川大地震に対するタイからの募金は3億バーツにも満たなかったことを大変感慨深く思い起こしたという。
ミャンマー北部を取材した際、日本の慈善団体が独立武装勢力であるミャンマー北部の少数民族に停戦を条件に援助を申し出ていることを知った。フィリピンではミンダナオ島のイスラム系住民の武装勢力の武装を解くのに日本の慈善金が使われたと聞いている。
今年1月には、2年余りにわたったブラジル駐在を終えた。2014年にブラジルで開催されたワールドカップC組の試合では、日本チームが1対2でアフリカのコートジボワールチームに敗れた。日本チームはグラウンドでは敗れたが、グラウンドの外では勝った。なぜなら、日本のサッカーファンたちが雨具を着て、会場内のゴミ拾いをする写真がネットに載せられたからだ。これらの写真はツイッターやフェイスブックといったSNSを通じて世界各地に広まった。
日本の国際的なイメージがアップする一方で、多くの人々はまだ人類が忘れてはならない歴史を忘れることはない。
日本人は本当にこんなにも簡単にあの歴史を拭い去ることができたのか?いや、そうではない。
著名作家であるイアン・ブルマの著書「戦争の記憶―日本人とドイツ人」で、日本人の第二次世界大戦に対する認識がどうして我々と「つながる」ことがないのかその原因を知った。ブルマは日本人とドイツ人の比較を通じて、ドイツ人にとっての第二次世界大戦とはスターリングラード攻防戦でも、ベルリンの戦いでもなく、アウシュビッツ収容所が発見された瞬間だとし、日本人にとっては真珠湾攻撃でも、ミッドウェー海戦でもなく、広島の原爆なのだとしている。
今度のG7サミットは広島で開催される。日本は特にこの原爆投下の歴史を強調し、全世界からユース非核特使を集め、サミットという機会を通じて、ボランティアから日本の国家イメージを国際舞台で示そうとしている。このような巧妙な国際外交手段により、原爆の悲惨な歴史を日本国民に伝えていくことができるだけでなく、国際的には反核を通じて自国の侵略者としての本来の姿を隠すことができる。原爆は説得力と合法性のある外交カードであり、日本はこのカードを使って、核保有または保有しない国々の間をまわり、積極的に議題を設定し、自国に有利に運ぼうとしている。
戦後の日本は、大国の冷戦が続く中、アメリカとの同盟を利用し、次第に戦争の罪という重荷を捨て去り、国家イメージを変えていった。しかしそれにより中日両国は信頼のおける政治的基礎を構築することができなかった。
70年後、中国は日本を越えて、世界第2位の経済大国となった。一方の日本は弛まぬ努力を続け、アジアで良好な国家イメージを作り上げた。中国と日本の両国の経済格差は縮まるばかりだが、両国の国民の心理的な距離は益々開くばかりだ。中国人は日本人からかつての日本兵の影を追い払うことができず、日本人もまた巨大な中国という影に恐怖を覚えている。
この世界で、文化的にも最も共通点の多い国であるのに、どうしてこんなにも距離があるのだろうか?という点について、とても知りたいと思う。わずか5日間の訪問で、正確にこの「距離」を推し量ることはできないかもしれない。しかしここから私の「測量」の仕事はずっと続いていくだろう。(編集TG)
「人民網日本語版」2016年4月20日
米紙「ナショナル・インタレスト」ウェブサイトはこのほど、「もし第3次世界大戦がアジアで勃発したら」とする記事を掲載した。同記事は中米の海上衝突が将来発生する可能性を暗に指摘した。同ウェブサイトは先月には「第3次世界大戦を引き起こさずに南中国海を守る」と題する記事を掲載し、南中国海で米国が演じるべき役割を強調した。他の西側メディア複数も「第3次世界大戦」に関する記事を掲載しており、南中国海と中国への言及が多い。(文:華益声・国際問題専門家。人民日報海外版「望海楼」掲載)
米メディアの議題設定の手口は明らかだ。
第1に、南中国海情勢の緊張を故意に煽る。こうした記事では「輸送航路」「航行の安全」「海軍」「潜水艦」などの言葉が繰り返し用いられ、南中国海の安全がすでに危ないとの印象を与える。次に、中国に矛先を向けている。西側メディアは中国の正常な発展を南中国海の不安定の原因と位置づけ、南中国海における中国の正当な行動を悪意をもって歪曲し、「中国脅威論」の新たなセールスポイントとしている。さらに、中米関係の将来性に悲観的な見方を示している。
米国がこうした動きの背後の主要な推進者であることは間違いない。米側が「第3次世界大戦」という根も葉も無い話題を騒ぎ立てるのには、複数の目的がある。
第1に、最も直接的なものとして、米軍はこれを利用してアジア太平洋での軍事力配備を強化し続けることができる。軍事的プレゼンスの強化は「アジア太平洋リバランス」戦略の重要な構成要素だ。近年、米側は「中国への対処」を理由に地域の国々との軍事協力を推進し、成功も収めている。
第2に、客観的に見て米国はフィリピンが一方的に提起した国際仲裁と策応している。米国は中国を「武力によって」国を強大化していると中傷することで、フィリピンを「平和的方法によって争いを解決する」弱い立場に見せ、国際世論において同情を集めている。これによってフィリピンが中国の主権権益を挑発している事実を覆い隠し、中国の権益維持行動を妨害することもできる。
第3に、米国は機に乗じて世界に号令しようとしている。米国はまず南中国海という「安全保障上の難題」を作り出した後、団結維持と協調的行動を同盟国に求めることで、同盟関係を強化するとともに、同盟体制のネットワーク化を試みている。米国はすでにフィリピンといわゆる「合同パトロール」の実施を発表するとともに、日本とオーストラリアも引き込もうとしている。米日豪、米日豪印などの協力枠組もこれによって新たな原動力を得ている。来月開催されるG7サミットで、米国は引き続き南中国海問題で「共通認識を形成」すると見られる。
こうした行動は、いずれも冷戦思考の名残だ。米国内の一部勢力はゼロサム思考を固守し、台頭する大国である中国は必然的に守成する大国としての米国の地位に挑戦すると考えている。こうした誤ったロジックは中米を「トゥキディデスの罠」に引き込み、最終的に両国共に傷つける結果になるだけだ。
米国は平和と発展こそが時代の潮流であり、世界各国が利益融合の運命共同体となりつつあることを認識するべきだ。「第3次世界大戦」の準備は歴史の潮流に反するものであり、どの国であろうと必ずその罰を受ける。現代世界において、冷戦時代の封じ込め戦略を繰り返すことはできない。中国には様々な障害を打破し、「中国の夢」を平和的に実現する自信と能力がある。米国は、中国の発展が米国にとって挑戦ではなくチャンスであることを認識すべきだ。中国の発展に制限を設けようとすれば、最終的に自らに災いが降りかかる結果となるだけだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年4月20日
イングランドのサッカークラブ「マンチェスター・ユナイテッド」のミッドフィルダーでスペイン代表メンバーでもあるフアン・マタ選手が、年俸があまりにも高額だとして不平を述べ、自分の生活は異常だと指摘した。
マタ選手は「他の世界への敬意にもかかわらず、我々は到達不可能な、信じられないようなお金を稼いでいる。私はシャボン玉の中に住んでいる。私の友人は現実の世界に住んでいる。彼は働く必要がある。失業した場合には手当を受け、仕事が見つかるまで転々としなければならない。これが普通の生活だ。サッカー選手としての私の生活は、普通ではない」と語った。
27歳のマタ選手は、「私はサッカーがビジネスになったことが気に入らない。私はサッカーが好きだ。私は練習や試合が好きだ。もしビジネスがサッカーにこれほど影響を与えないのであれば、私は喜んで減俸を受け入れるだろう」と述べた。
マタ選手の「マンチェスター・ユナイテッド」での「週給」は、約14万ポンド(約20万1000ドル)。契約は、2018年夏まで結ばれている。
マレーシア航空MH17便(ボーイング777型機)は、ウクライナの戦闘機が民間航空機に向けて発射した「空対空」型ミサイルで撃墜された可能性がある。これは、5月3日に公開予定のBBCの新たなドキュメンタリー映像の中で述べられている。デイリー・メール紙が報じた。
デイリー・メールによると、BBCの同映像の正しさは、映像の製作者たちが集めたボーイング機墜落の目撃者証言によって裏付けられている。
またデイリー・メールによると、映像では、米中央情報局(CIA)が準備したある種の「テロ作戦」が墜落原因となったというバージョンも紹介される可能性があるという。
マレーシア航空MH17便(ボーイング777型機)は、2014年7月17日にウクライナ東部ドネツク州で墜落した。ウクライナは墜落について、ドンバス(ウクライナ東部・南部)の義勇軍に責任があるとして非難したが、義勇軍側は非難を否定した。
数日後、米国は、ボーイングが義勇軍の兵士たちによって撃墜されたことを物語る証拠を持っていると発表したが、未だにいかなる情報も提示していない。
米連邦航空局(FAA)は、飛行中にエンジントラブルが発生する恐れがあることから、旅客機「ボーイング787ドリームライナー」176機のエンジンを交換するよう命じた。
テレグラフ紙が、エンジン製造会社GEアビエーション社の代表リック・ケネディー氏の話として伝えたところによると、「氷によりファンブレードがエンジンケーシングにこすりつけられることでエンジンの振動を引き起こす」という。
FAAは、欠陥によって飛行中に深刻なトラブルが発生する恐れがあると指摘し、「問題が取り除かれなかった場合、飛行中に1つあるいは2つのエンジンが損傷し、再びエンジンを迅速に始動させることができない恐れがある」と伝えた。
近年では、米国のニュースネットワークは、大袈裟な、嘆かわしい、また、下に語られるように、完全に架空の物語を借りて聴衆の注目を集めようとしている。RT(ロシア・トゥデイ)テレビは、今日多くのアメリカ人がもはや冗談と本当のニュースを区別することができなくなっているということを突き止めた。
RTは、アメリカ人がどのようなニュースが本当で、どれが冗談であると考えるかを調べるために、ニューヨークの住民にインタビューをした。「200年後にはすべてのブロンドが絶滅する」「ゲイパレードにダーイシュの旗」「カダフィ大佐はリビアにおける大量レイプ実行のために兵士にバイアグラ使用を命じた」等の見出しが示された。これらのセンセーショナルな捏造記事のいくつかを西側ニュースメディアは絶対的な真実のごとく報じたが、真相は最良の場合でも歪曲されていた。
AP通信とアメリカ・プレス研究所が設立したメディアインサイト・プロジェクトの一環として、米国人のメディアへの態度が調査された。それにより、ニュースで言われていることを信じているのは人口の6%未満であることがわかった。
アサド大統領を打倒するためにシリアで地上作戦を行うことは西側の間違いだ。オバマ米大統領が英BBCのインタビューで語った。
「米国、英国や西側諸国にとって、アサド政権の打倒のために地上軍を送り込むことは間違いだ」と大統領。
スペインの開発者たちは、夫婦間の忠誠を監視できるマットレスを製造した。デイリー・メール紙が報じた。
このマットレスはスマートフォンと連携し、特別なプログラムがスマートフォンの所有者に、ある時間帯に何人がマットレスを使用したかを知らせるという
開発者たちは、「我々の発明は、男性や女性が職場にいながらにして夫あるいは妻がなんらかのあるまじき行為をしていないかを知ることができ、職場にいる男性や女性たちに落ち着きを与える」とコメントしている。
学者たちによると、「マットレス上の活性化」を伝えるセンサーは、スプリングの隣に設置されているという。
北朝鮮で2001年まで専属料理人を務め、今月、4年ぶりに、再び北朝鮮を訪問した日本人男性が帰国し、滞在中、前回に続き、キム・ジョンウン(金正恩)第1書記と面会したことを明らかにしました。
2001年までの13年間、北朝鮮でキム・ジョンイル(金正日)総書記の専属料理人を務めた藤本健二氏は4年前、後継者のキム・ジョンウン第1書記の招きで11年ぶりに北朝鮮を訪れたのに続いて、今月12日から再度、北朝鮮を訪問しました。
藤本氏は25日夜、経由地の北京から帰国し、羽田空港で報道陣が「滞在中にキム第1書記と会ったのか」と質問したのに対し、「3時間ほど面会した」と話し、前回に続きキム第1書記と面会したことを明らかにしました。今月15日の故キム・イルソン(金日成)主席の誕生日に合わせた招待だったということですが、面会の詳しい内容は話しませんでした。
藤本氏は前回、4年前に北朝鮮を訪問した時、面会したキム第1書記から「いつ来ても歓迎する」と言われたことや拉致被害者の横田めぐみさんの名前を挙げて問題の解決や日朝関係の改善を呼びかけたことを明らかにしていて、今回、キム第1書記が面会で話した内容や、軍事的な挑発をくり返しているこの時期に藤本氏を招いた意図に関心が集まりそうです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160425/k10010498301000.html?utm_int=news_contents_news-main_004
北朝鮮は、キム・ジョンウン(金正恩)第1書記の立ち会いの下、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの発射実験に再び成功したと、24日、発表しました。このミサイルは、北朝鮮が23日、日本海で発射したものを指すとみられますが、韓国軍は北朝鮮が発射に失敗したという見方を示しています。
北朝鮮は、キム・ジョンウン第1書記の立ち会いの下、戦略潜水艦からSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルを発射する実験に再び成功したと、24日、国営メディアを通じて発表しました。
国営テレビは、SLBMだとするミサイルが水中の発射口から垂直に打ち上げられ、その後、オレンジ色の炎を吹き出しながら上昇していく様子や、双眼鏡をのぞいたり笑顔で上空を見上げたりするキム第1書記の姿などを撮影した数多くの写真を放送しました。
実験では、新たに開発した固体燃料エンジンが使われたとしたうえで、「すべての技術的な指標が、水中からの攻撃作戦を実現する条件を十分に満たした」と主張しています。
実験の日時や場所は明らかにされていませんが、北朝鮮は23日夕方、東部のハムギョン(咸鏡)南道のシンポ(新浦)付近の日本海で、SLBMとみられる1発を発射しており、このミサイルを指すとみられます。
23日の発射について韓国軍は、「SLBMは少なくとも300キロ飛ぶが、今回の飛距離はおよそ30キロにすぎなかった」と指摘し、北朝鮮が発射に失敗したという見方を示しています。
SLBMを巡って北朝鮮は去年5月、発射実験に成功したと初めて発表して以降、映像の公開などを通じて開発が進んでいるとアピールしていて、25日の軍の創設記念日に合わせ、さらなるミサイル発射などを強行する可能性もあり、関係国が警戒を強めています。
SLBM 発射準備の察知難しい
北朝鮮が発射に成功したと主張しているSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルは、海中の潜水艦から発射されるため、偵察衛星やレーダーで場所が特定されにくく、発射準備を察知するのが難しいとされています。このため、仮に地上にある弾道ミサイルが破壊されても、SLBMで反撃することが可能になります。
北朝鮮の国営メディアは、「発射の成功により海軍の水中作戦能力が大きく強化され、強力な核攻撃のための別の手段を持つことができた」などと主張しています。北朝鮮がSLBMの開発をさらに進めた場合、軍事的な脅威が一層高まることになります。
中谷防衛相「情報収集と分析に万全期す」
中谷防衛大臣は東京都内で記者団に対し、「現時点で、わが国の安全保障に直ちに影響を与えるような事象は起こっていない。北朝鮮は、これまでも弾道ミサイルの発射を繰り返し、新たなミサイルの開発を含め軍事力の強化に努めているとみられる」と述べました。そのうえで中谷大臣は、「北朝鮮は少なくとも過去2回、SLBMの発射を公表している。わが国の領域、周辺海域に到達しうる弾道ミサイル能力の増強につながるものであれば、わが国の安全保障上強く懸念すべきものだ。引き続き重大な関心を持って情報収集と分析に万全を期したい」と述べました。
仏外務省「EUは独自追加制裁を」
北朝鮮が23日、日本海で潜水艦発射弾道ミサイルとみられる1発を発射したことについてロイター通信は、フランス外務省の報道官が「事実であれば、国連安全保障理事会の決議違反だ」と述べたと伝えました。
そのうえで、「北朝鮮の挑発を止めるため国際社会が結束して断固とした措置を取る必要があり、フランスは、特にEU=ヨーロッパ連合に独自に追加制裁を適用することを求める」と述べたとしています。
北朝鮮がSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルとみられる1発を発射したことについて、国連安全保障理事会は24日、報道機関向けの声明を発表し、「たとえ発射が失敗したとしても、一連の安保理決議に違反しているのは明白だ」と北朝鮮を厳しく非難しました。そして、北朝鮮に対して、改めて安保理決議の順守を迫るとともに、国連加盟国に対して、先月、安保理で採択された決議に基づいて、北朝鮮に対する厳しい制裁措置を着実に実施するよう求めました。
アメリカを訪れている北朝鮮のリ・スヨン外相は、アメリカが韓国と毎年行っている合同軍事演習をやめれば、新たな核実験を中止する考えを示し、アメリカ政府に対し5回目の核実験をちらつかせて、北朝鮮への政策を見直すよう求めました。
国連本部で開かれた温暖化対策のパリ協定の署名式に出席するため、ニューヨークを訪れている北朝鮮のリ・スヨン外相は23日、AP通信のインタビューに応じました。この中で、リ外相は新たな核実験の可能性について、「アメリカに対して朝鮮半島で行っている軍事演習をやめれば、われわれも核実験を中止すると提案した」と述べました。
そのうえで、「対立が続けば世界全体にとって破滅的な結果をもたらす。アメリカ政府がわれわれに対する敵視政策をやめることは極めて重要だ」と述べ、アメリカ政府に対し5回目の核実験をちらつかせて、北朝鮮への政策を見直すよう求めました。
アメリカと韓国は毎年、この時期に合同軍事演習を行っていて、特にことしは過去最大の規模で先月から今月末までの予定で続けています。
リ外相は22日に国連本部で行った演説でも、「アメリカの軍事的脅威によって平和と安定が損なわれている」と非難しており、今回の発言もみずからの核ミサイル開発をアメリカへの対抗手段として正当化することで、アメリカ政府に揺さぶりをかけるねらいがあるとみられます。
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オバマ大統領 北朝鮮のミサイルに強い警戒感[NHK]
4月25日 4時55分
アメリカのオバマ大統領は、北朝鮮がSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルとみられる1発を発射したことについて、「核ミサイルの能力を追求し、実験を繰り返しながら、知識を蓄積している」と述べ、強い警戒感を示しました。
アメリカのオバマ大統領は訪問先のドイツで、北朝鮮が23日にSLBMとみられる1発を発射したことについて、「北朝鮮の行動は引き続き分析中だが、挑発的な行動を続けていることは明確だ。核ミサイルの能力を追求しており、実験を繰り返しながら、知識を蓄積している」と述べ、北朝鮮を非難したうえで、強い警戒感を示しました。
そして、「われわれは国際社会とともに北朝鮮を孤立させ、制裁を強化してきた。中国とも協力しているが、中国は北朝鮮の行動に対してさらなる代償を支払わせようとしている」と述べ、中国が北朝鮮への圧力を強める役割に期待を示しました。
一方、北朝鮮の外相が、アメリカが韓国と毎年行っている合同軍事演習をやめれば、新たな核実験を中止する考えを示したことについては、「そのような約束は真剣に受け止めていない」と一蹴したうえで、北朝鮮の弾道ミサイルに対し、日本や韓国と協力し、ミサイル防衛を強化する方針を確認しました。
原子力規制委員会は、IAEA=国際原子力機関から「検査制度の改善が必要」と指摘されたことを受けて、原発の検査の際の事前の通告を止めたり、検査の重点項目をみずから決めたりする形で見直しを進めることを決めました。
原発の検査は、四半期に1回、主に保守管理や点検方法の確認を行う「保安検査」と、原則13か月に1回、主に設備面の確認を行う「定期検査」などがありますが、いずれも時期や項目が細かく法律で定められています。
これについて原子力規制委員会は、ことし1月にIAEAの調査を受けた際、「原発の検査の実効性を高めることが必要だ」と指摘されました。このため規制委員会は、25日の会合で検査制度の見直しを進めることを決め、このうち「保安検査」については、電力会社に事前に通告して法律で決められた検査項目を確認している現在の方式を改め、事前の通告なしにいつでも検査でき、重点項目も検査官が決める形に改める方針です。
また「定期検査」についても、書類上での確認が多い現在のやり方や頻度をどう改めればよいか検討することにしています。
規制委員会は来月、専門家を含む検討チームを設けて議論を重ねたうえで、来年2月ごろ国会に法律の改正案を提出し、4年後の平成32年から新たな検査制度を導入したいとしています。
「仕方ない」と考える日本、「なんとなかる」と思う韓国
悲惨な自然災害に遭っても「平常心」保つ日本人…地変がつくり出した「現実的唯物論」
人災が多い韓国では正反対、「おまえのせいだから、なんとかしろ」
社会的な疲労は高まるが、これも「活力」の象徴では
日本の熊本から再び驚くようなニュースが飛び込んできた。地震が起こった後の話だ。「家族8人でようやくおかゆ2杯の配給しか受け取っていないのに、さらにもらうために再び列に並ぶ人がいなかった。ある被災者は『これだけでも食べることができるのは本当に感謝』と言った」「給水台の前で列が乱れると、互いに『お先にどうぞ』と譲り合う。誰一人として先にもらおうとする人がいなかった」「この大混乱の中でも恨み節一つ聞こえてこなかった」
教養のある個人が悲惨な災害や事故に面しても品格を失わないことはある。しかし、10人、100人を超える集団がある同じ傾向を見せるというのは深刻に考えてみるべきだ。2011年に東日本大震災に対処する日本人の姿を観察した早稲田大学の外国人教授は「お釈迦(しゃか)様の姿に匹敵する」と表現したが、そのお釈迦様の姿は今回も健在だった。これは美談ではなく「神話」のレベルだ。うらやましいくらいだ。成熟した市民意識というのはこういう状態をいうのではないか。他の先進国の人々も日本人の態度には驚くという。だとすれば、その根底には何か違うものがあるのだろうか。
日本はプレートの上に建てられた国だ。日本の歴史とともに始まった地震や津波は、「人間にできることなど何もない」という判断をひそかに後世に伝える役目を果たしているのかもしれない。日本について研究するある学者は「日本で仏教と神道が融合し、宗教的権威の代わりに刀を持った武人に圧倒された日本の封建制以降の歴史を根拠に、来世よりも『現世』や『現在』を重視する観点が生じた」と分析する。多くの神社があるにもかかわらずだ。
一言で整理すると、「仕方ない」という考え方だ。恨みはむなしいことなのだ。状況を変えることができなければ、今に忠実でなければならない。あるいは日本人は環境がつくり出した唯物論者だ。評判や和合が重要で、迷惑を掛ける人間は共同体から排斥される。「品格ある犠牲者」の根底には受容、放棄、虚無主義も交じっているだろう。
ここまで来ると、次のような言葉が浮かんでくる。(韓国は)「虚無主義であろうが何であろうが構わないから、互いにののしり合うのだけはいい加減やめてほしい」。韓国の現実と比較する中、自然とこんな言葉が出てきてしまう。災害現場では常に罵声が飛び交っている。あるいは政府に責任があると思えば「現政権は総辞職せよ」というスローガンがいとも簡単に登場する。
どんな罪なのか、誰の罪なのか明らかにする前に「罪人の首を早く打て」と注文が飛び出す。そのため、その罪が明らかにされることも少なく、改善は一層困難になる。
韓国人の属性が最もよく表れている「なんとかしろ」という言葉は、なんだか妙な感覚を抱かせる。「助けてくれ」は急いでいる場合、どんな文化圏でも簡単に聞ける言葉だが、誰かに向かって「なんとかしろ」と叫ぶ文化圏はそう多くない。韓国で起こる災難のほとんどが「天災地変」というよりは「人災」であることが多いためか、韓国人にはこうした態度が共同体に対して無礼だと思う気持ちもない。
ところでたいていの現象は、2次元の平面ではなく3次元の立体だ。両面性が存在している。慎重過ぎると活力に欠け、迫力があると混乱する。
日本をよく知る人々は、日本は相変わらずすごい国だが、国家の活力(ダイナミックス)は韓国には及ばないという。日本人が自民党をあまりよく思っていないにもかかわらず自民党を圧倒的に支持するのも「集団的無気力」「集団的流れの認定」の象徴だという。逆らうことができなければ受け入れるようにだ。
大規模な自然災害の記憶がほとんどない韓国は、人のすることは全て覆すことができると考える。ある日本人記者は、今回の韓国の総選挙の結果をめぐり「日本人が自民党体制を認めるように、韓国でも同じような結果が出るものと思っていた」と語った。韓国人は心の中で地震を起こし、「コンクリートの支持」に最初から活断層を作り出した。
韓国人には取り返しのつかないことなどない。不可逆もあり得ない。仕方がないことも存在しない。それが横車を押して騒ぎを生み出し、時には予測できない変化をつくり出す。「現実は心の持ち方によって変わってくる」という素朴な観念論者であると同時に、「成せば成る」という朴正煕(パク・チョンヒ)精神の末裔(まつえい)なのだ。
朴垠柱(パク・ウンジュ)デジタルニュース本部副本部長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/25/2016042500862.html
先月15日、中東カタールの首都ドーハで建設作業員として働く北朝鮮労働者2人が監視の目をかいくぐって逃げ出し、現地の警察署に駆け込む事件が起きた。2人は「(当局の)搾取がひどくて耐えられない」と訴えたという。
中東の消息筋と韓国政府の当局者が24日に伝えたところによると、脱走した北朝鮮労働者は警察の調べに対し「猛暑の中で2年余り働いたが、全く稼げなかった」と述べ、当局の過酷な搾取の実態を明かした。カタールのある建設会社は先ごろ、北朝鮮労働者20人余りを一斉に解雇したが、脱走した2人もこれに含まれていたという。現在、2人の身柄はカタール当局が確保しているが、被解雇者のため北朝鮮への強制送還の危機にさらされているようだ。
また、先月19日にはクウェートの首都クウェート市で、北朝鮮の建設作業員100人余りが国家安全保衛部(秘密警察)職員の面前で騒ぎを起こしたと伝えられた。現地の指導員が夜に労働者を集め「上半期の外貨稼ぎの目標額を太陽節(故・金日成〈キム・イルソン〉主席の生誕記念日、4月15日)までに納付すれば、成果として報告する」と述べたことが発端となった。
この言葉に興奮した労働者たちは一人、二人と立ち上がり「月給ぐらいきちんと払ってくれ」と声を荒げたという。中には「早期の上納」を口にした指導員に飛び掛った労働者もいた。保衛部職員の制止で事態は一段落したが、これら労働者が所属する北朝鮮建設会社の社長は「労働者の管理がきちんとできていない」とソ・チャンシク駐クウェート北朝鮮大使に叱責されたとのことだ。北朝鮮民主化ネットワークの金永煥(キム・ヨンファン)研究委員は「保衛部職員が同席した場であからさまに不満を口にするなど、北朝鮮社会では想像もできないこと」と話している。
中東で働く北朝鮮労働者のこうした反発は、平壌から派遣された「検閲団」が帰った直後に起きた。国家安全保衛部は2月20日から先月8日にかけ、労働者の引き締めを図るためクウェートやカタール、アラブ首長国連邦(UAE)などに12人からなる検閲団を派遣し、労働者の日常を点検したり、携帯電話の通話履歴を調べさせたりした。北朝鮮事情に詳しい消息筋は「検閲が終わって数日で逸脱行動が相次いで発生した。外貨稼ぎに従事する労働者たちが自制力を失うほど、平壌(北朝鮮当局)の搾取がひどくなっている」と伝えた。
中東事情に詳しい消息筋によると、北朝鮮の対外建設指導局は2月末、指導層への上納金をねん出するため、労働者の勤務時間を3時間延ばすよう指示したという。中東の北朝鮮労働者は冷房設備もない環境で1日10−16時間の重労働を強いられている。疲労がたまり、現場での事故も多い。先月25日、ドーハでは労働者の1人が工事現場で転落死した。だが、現地の北朝鮮幹部は金正恩(キム・ジョンウン)第1書記に伝わることを恐れ、本国にこれを報告しなかったとされる。
韓国統一部(省に相当)によると、北朝鮮は50カ国余りに最大6万人の労働者を派遣している。労働者は年間2億−3億ドル(約220億−330億円)を稼いでいるとされ、この資金は金第1書記をはじめとする幹部のぜいたく品購入や核・ミサイル開発に充てられている。
国際社会では、金正恩政権の「最後の資金源」である労働者の海外派遣を制裁対象とする動きが出ている。米国は先月発動した北朝鮮制裁に関する行政命令に、北朝鮮による海外への労働者派遣を禁じる内容を初めて盛り込んだ。
欧州連合(EU)でも、海外の北朝鮮労働者の人権問題に関する議論が活発に行われている。EUアジアセンターが今月20日に開催した討論会で、朝鮮半島専門家であるオランダ・ライデン大のレムコ・ブロイカー教授は「国際法とEUの規定に基づき、劣悪な環境で搾取されている海外の北朝鮮労働者を保護することが、北朝鮮政権の資金源を断つことにつながる。各国における北朝鮮労働者に対する人権侵害を調査し、搾取された賃金が平壌に流れないようにすべきだ」と指摘した。
キム・ヒョンウォン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/25/2016042500996.html
2011−12年に合計16兆ウォン(約1兆5500億円)規模の赤字を出して倒産の危機にあった日本のパナソニックが最近、米国の時電気自動車メーカー「テスラモーターズ」の普及型電気自動車「モデル3」予約好調で活気づいている。
テスラは8日、「モデル3の事前予約台数は32万5000台」と正式発表した。発売5日目にして140億ドル(約1兆5400万円)分が契約されたのだ。通常、電気自動車の製造コストの約30%がバッテリーの値段であることを考えれば、パナソニックは今回、事前の契約で最大40億ドル(約4390億円)を手にしたことになる。
このため、バッテリー部門でパナソニックと競い合っているLG化学、サムスンSDI、SKイノベーションといった韓国バッテリー業界に赤信号が灯った。これまで韓国のバッテリー業界は今後の受注量・生産能力・源泉技術などで高い評価を受け、世界市場1位として知られてきた。ところが、悔しい思いをしていたパナソニックなど日本企業が浮上、「バッテリー王国・韓国」の地位が揺らいでいる。
■パナソニック、市場シェア圧倒的1位
パナソニックは昨年、電気自動車のバッテリー出荷量が5550mWh(メガワット時・電気自動車で約5万−6万台規模)で、全世界の電気自動車バッテリー市場シェア1位(36%)に浮上した。パナソニックのバッテリーを使っているテスラの高性能セダン「モデルS」が昨年約5万台売れ、パナソニックのシェア向上をけん引した。トヨタのハイブリッド車「プリウス」に納品するPEVE社が2位、日産の電気自動車「リーフ」に納品するAESC社が3位だった。 1位から3位までのすべてが日本企業だ。
一方、LG化学(5位)、サムスンSDI(6位)、SKイノベーション(8位)はやや停滞気味だ。市場シェアは3社を合わせても17.7%(2827mWh)で、パナソニックの半分にとどまっている。LG化学のバッテリーを搭載しているGMのプラグイン・ハイブリッド(PHEV)「Volt(ボルト)」と、サムスンSDIのバッテリーを使っているBMWの電気自動車「i3」モデルの販売が振るわないためだ。
韓国のバッテリー業界は、現代・起亜自動車、フォード、アウディなどの自動車メーカーからそれぞれ1万−20万台分のバッテリー納品契約をしているが、まだ車両開発中の状態で、今年末以降、実際のモデルが発売されなければ供給量が増えるかどうか分からない。
もしテスラのモデル3が事前の契約規模通り30万台以上売れたら、パナソニックは1万−2万mWhを追加で出荷することになり、シェアが大幅に拡大する見通しだ。業界関係者は「モデル3と同じくらい人気があるモデルが出るのは容易でないため、パナソニックは最もいい『頼みの綱』を握っていることになる」と言った。
パナソニックは生産能力の拡大も準備している。現在のテスラと共に5兆ウォン(約4800億円)をかけて、米ネバダ州にバッテリーと電気自動車を生産できる工場「ギガファクトリー」を建設している。業界関係者は「電気自動車を年間50万台生産できるこの工場が来年以降完成すれば、生産能力で韓国のビッグ3を圧倒する可能性もある」と言った。
■「源泉技術はまだ韓国の方が優位だが、パナソニックのR&D無視できない」
韓国メーカーの源泉技術は現在、パナソニックよりも優位にあると評価されている。パナソニックがモデル3に納品する円筒形バッテリーは充電・放電を繰り返すとバッテリーの性能が急低下する欠点があり、この問題を改善したのがLG化学、SKイノベーションの主力製品「ポケット型バッテリー」とサムスンSDIの主力製品「角形バッテリー」だ。
主にノートパソコン・デジタルカメラに使われる円筒形バッテリーは、技術開発からすでに30年が過ぎた。テスラがこのバッテリーを使うようになったのは2003年の設立当初、電気自動車用バッテリーの中で最も価格が安く、生産しやすいのが円筒形だったからだ。
現在の電気自動車市場は、円筒形からポケット型や角型バッテリーに移りつつある。市場調査機関SNEリサーチが昨年1月から10月まで、全世界の電気自動車モデル(約220種)を分析した結果、角型を使う電気自動車は120モデル(54%)、ポケット型が50モデル(23%)、円筒が50モデル(23%)だった。LG化学関係者は「各企業はポケット型・角型バッテリーで電気自動車を作っており、まもなく円筒形バッテリー電気自動車よりも市場規模が大きくなるだろう」と語った。
しかし、パナソニックが技術力不足を克服する可能性もある。すでにパナソニックとテスラは耐久性や安定性に劣り、電気自動車用には不適切だと言われていた円筒形バッテリーを電気自動車に搭載して販売している。パナソニックもポケット型バッテリーと角形バッテリー技術は確保しているという。コンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー」のキム・トギュン・パートナーは、「パナソニックからすればテスラは心強い『キャッシュカウ(cash cow=カネのなる木)』になっている。現金をバッテリー技術の開発に投資すれば、たちまち競争力を持つようになるだろう」と述べた。
ユン・ヒョンジュン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042201966.html
ニア財団の招きで会談
韓国・李泰鎮氏「歴史問題解決をより難しくする」
中国・時殷弘氏「米大統領の広島訪問は中国を刺激」
日本・若宮啓文氏「望ましいことだが波紋を呼ぶ
米国のバラク・オバマ大統領が来月、広島を訪問する可能性が浮上しているが、これに対し、ニア財団(鄭徳亀〈チョン・ドック〉理事長)の招きにより22日にソウルで会談した韓国・中国・日本の代表的な識者たちは懸念を示した。オバマ大統領は「非核化」や「平和」についてのメッセージを伝えるため、世界初の原子爆弾の被爆地となった広島への訪問を検討しているというが、これに対し「戦争を起こした国である日本を被害者扱いし、日本の過去の侵略の歴史に免罪符を与えかねない」と懸念する声も出ている。
国史編さん委員長を務めたソウル大学の李泰鎮(イ・テジン)名誉教授は「北東アジアの(歴史)問題が現在もかなり複雑に絡み合い、解決の見通しも不透明な状況の中、オバマ大統領が広島を訪問すれば(歴史問題解決を)さらに難しくしてしまう。歴史問題が解決され、北東アジアの平和共存体制が確立された後、米国の大統領だけでなく各国の首脳が一緒に訪問するというのが妥当だ」と主張した。
中国人民大学国際関係学院の時殷弘教授も「米国の大統領が被爆都市(広島)を訪問するのは、中国を刺激する行為だ。(米日両国は)安全保障をめぐる競争をあおり、アジアの平和を脅かす行為をやめるべきだ」と述べた。
当事者である日本から出席した朝日新聞の若宮啓文・前主筆は「広島は日本の被害ではなく、人類全体の悲劇を象徴する場所であり、米国の大統領が訪問するのは『核廃絶』のメッセージを発信するうえで基本的に望ましい。広島には韓国人被爆者も多かった」と述べた。ただ「右派の首相が政権の座に就き、米国との防衛協力を増強している時期でもあるので、特に中国や韓国などに波紋を呼ぶのだろう」とも述べ、「その意味でも日本の首相の中国・南京への訪問、天皇の韓国訪問が可能な状況であれば、より望ましい」と述べた。南京は1937年、日中戦争のさなかに日本軍が大虐殺を行ったとされる都市だ。
北東アジアの歴史問題の解決方法について、李名誉教授は「3カ国の青少年たちが歴史を学び、平和共存を模索する道をつくっていくべきだ」と主張し、若宮氏は「韓国が(朝鮮戦争当時に北朝鮮を支援した)中国に対し寛大な姿勢を見せるのと同じように、日本に対しても寛容な姿勢を見せてほしい」と述べた。時教授「日本政府が歴史に関する和解に向け努力してこそ、中国の人民たちの心をつかむことが可能だ」と主張した。
李竜洙(イ・ヨンス)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/23/2016042300411.html
韓進海運は22日、韓国産業銀行をはじめとする債権金融機関主導の経営再建に向けた協約締結を申請したと発表した。これにより、先月協約を結んだ現代商船とともに大手海運2社が本格的なリストラに入ることになった。昨年末現在で現代商船の負債比率は2006%、韓進海運も847%に達し、正常値である200%のそれぞれ10倍、4倍に達している。世界的な海運不況で2社が積み上げた債務の山は10兆4000億ウォン(約1兆100億円)に達する。その上、2社は国際相場の最大5倍という価格で貨物船の長期リースを受けており、景気が回復しなければ、年間数千億ウォンの赤字が出る状況だ。決断は先送りできない。
世界の海運業界では、航路や埠頭(ふとう)を共同利用し、費用を少しでも削減しようという企業間で合従連衡が盛んだ。世界1、2位の海運大手であるデンマークのマースクとスイスのMSCが提携すると、中国、台湾、香港の海運会社も結束を表明した。世界海運業界の同盟はこれまでに4陣営から2陣営に再編されつつある。しかし、韓国の海運会社は対外信用度が低下し、そうした動きに同調できずにいる。海運同盟から排除されれば、当面はコスト競争力が低下し、航路や拠点まで失うことになる。船主協会によると、直接・間接の損失は最大で34兆ウォン(約3兆3100億円)に達する見通しだ。
海運業は単純な運送業ではない。主要国はいずれも国家基幹産業と見なしている。貿易に依存する韓国では言うまでもない。そうした海運業がグローバル競争で後れを取る中、リストラは弥縫(びほう)策にとどまっている。韓国政府は「海運会社の判断で進めるべきだ」とし、責任を負わない姿勢だ。
政策当局と債権団、海運会社は今からでも2大海運会社の合併を含む抜本的な解決策を考えるべきだ。合弁が難しければ、持ち株会社が海運2社を支配し、リストラを主導する案も検討する必要がある。海運業の構造調整の目標は、40年間の成果である世界の貿易航路、拠点を守り、国際競争に遅れないことだ。これ以上一時しのぎにとどまっていてはならない。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/25/2016042500625.html
ポッドキャスト(インターネット放送の一種)『ナヌン・コムスダ(「私は小ざかしい」の意、通称ナッコムス)』の元司会者、キム・ヨンミン氏が先の国会議員総選挙で落選した与党候補に「落選祝い」の花輪を贈ったというニュースを見て「来るべきものが来た」という気がした。キム氏はナッコムスで有名になり、国会議員に立候補した過去もある人物だ。今は何をしているのだろうと気になっていたが、ポッドキャストのポータルサイトをのぞくと「キム・ヨンミン・ブリーフィング」という番組が人気1位になっていた。ナッコムスのメンバーだった鄭鳳株(チョン・ボンジュ)氏が3位、キム・オジュン氏が5位だ。こっちの世界がどう動いているのか、全く知らなかった。数年前、鄭鳳株氏が帰農したというやけに大きな記事が本紙に載ったが、いつの間にか「Uターン」したようだ。やはり腕力よりも口が達者なせいだろうか。それぞれの内情は知らないが、この勢いで再び結集すれば猛威を振るうに違いない。
ナッコムスをおもしろく聴いていたこともある。やや度が過ぎていても、公人をおちょくる世人の楽しみは許されるべきだ。初心を忘れず風刺とウィットに富んだ放送を続けていれば、彼らは韓国の政治とマスコミに変化をもたらしただろう。だが結局は教養の限界だろうか。人気が出ると調子に乗って周りが見えなくなってしまった。キム・ヨンミン氏の口から大統領の私生児を暗示する言葉が飛び出し、人々が背を向けた。彼らの人気に便乗した野党は総選挙と大統領選挙で国民の審判を受けた。その様子を見て、韓国社会の価値観をあらためて理解した。無能力は擁護しても、無礼は許さないという価値観を。この国が健全だという証拠と受け止めた。
1カ月ほど前、マスコミ界の重鎮と会った。北朝鮮の出身であるせいか、常に保守党を支持している人だ。だが、その日は与党の保守系セヌリ党に憤っていた。「セヌリ党には上下関係もないのか」と。総選挙の党公認をめぐる内紛で、朴槿恵(パク・クネ)大統領に近い「親朴派」の公認管理委員長が、朴大統領と距離を置く「非朴派」の金武星(キム・ムソン)党代表(いずれも当時)に対し「バカみたいなことを言っている」と口にした日だった。
総選挙の1週間前に会った政界の重鎮は、ソウルの中心部から出馬した与党候補を批判した。ほかの選挙区で立候補しても当選するのに、大統領の座を狙い、あえて先輩を押しのけて中心部の選挙区を確保したとして、その人格を非難した。その候補は落選した。公認選びの内紛が響いたためだが、先輩のポストに居座るという「無礼さ」がより大きな原因だったと思っている。
与党の大敗に終わった今回の総選挙で、私自身も怒りを覚えたことがあった。セヌリ党の金代表が一部の公認候補を認めず、押印を拒んで波紋を呼んだ日だ。いくら気に食わないといっても、公認をせず有権者の選択権までをも奪ってしまうのは、民主主義を否定し、公党であることを放棄する振る舞いではないのか。だが自身はものすごい決断と感じていたようだ。翌日にはインターネット上に「(金)武星が玉璽(ぎょくじ=印鑑)を持って飛ぶ」という広告映像を掲載した。親朴派の元裕哲(ウォン・ユチョル)氏をおちょくり「元裕哲の印鑑訪ねて三万里」という映像もセットで載せた。こんな悪ふざけをするとは、どれほど高慢なのか。やはり韓国社会は無礼を許さなかった。
私の周囲には、今回は野党を選んだ保守層が多かった。与党が派閥を解体して政策政党に復帰すれば、いつでもまた支持に回る人たちだ。私はこの選挙結果を、時代の変化とは受け止めていない。革新系のやり方で、国民の生存がかかった経済・安全保障問題を根本的に解決することはできない。私たちは依然として保守の時代に生きている。野党の2党が票を得るため、保守派を擁立したのもそのためだろう。礼儀を取り戻し、政策政党として戻ってくることさえできれば、与党はすぐにこの逆風を突破できる。新たなリーダーも、野党との激しい政策闘争の過程で自ら生み出すべきではないのか。空からぽとりと落ちてくることを願うのではなく。これは中学生でも知っている公党の基本だ。
この世はめぐりめぐっている。相手の失敗から教訓を得られないためだ。野党はすでに暴走している。保守政権の失政をめぐる聴聞会を開こうとさえ言い出している。これまでの腹いせに、ということだ。この先、経済と安保の基盤を揺るがす数々の政策が法案となって国会になだれ込むだろう。当選議員が来月就任すれば、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の流れをくむ「親盧派」から殺気立った暴言もたくさん出てくるだろう。だが、相手をののしることに熱を上げる野党勢力の有様ほど、野党の政権交代の可能性を遠ざける強力な伏兵はない。
ナッコムスが登場したのは2011年の今ごろだった。大統領選の1年8カ月前だ。そして今、再び彼らが暴れ回るときが来た。かつて大きな騒動を巻き起こした、いわゆる「BBK事件」を旬が過ぎても1年以上、引っ張り続けた彼らだ。独身の女性大統領を放っておくわけがない。根拠のないうわさを引っ張り出しておちょくり、無駄話を繰り広げる違いない。今度はどんな発言で世間を騒がせるのか、今から気がかりだ。キム・ヨンミン氏の「落選花輪」を見る限り、彼らの本質は変わっていないようだ。すでに活躍中の鄭鳳株氏、キム・オジュン氏が結集し、近く国会議員バッジを外す鄭清来(チョン・チョンレ)氏までもが加われば、全盛期の威力を取り戻す「ドリームチーム」をつくることも可能だろう。
記者生活の25年間、人と組織の盛衰をたくさん目にしてきた。実力がないから、後ろ盾がないからと誰もが成功できないわけではない。だが、無礼な人、尊大な態度の組織はいつしか姿を消し、滅びた。だからこそ、子どもにこれだけは教えている。「謙遜を忘れずに生きろ」と。
鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042201960.html
北京の韓国人社会では最近「コリアタウン消滅論」が話題だ。代表的なコリアタウンである望京地区からは韓国人が消えるのではないかと言われている。ここ数年で製造業の駐在員が大幅に減ったほか、住宅価格の高騰で格安な郊外や河北省に住まざるを得ない人が増えているからだ。一時は10万人と言われた望京地区の韓国人は現在では3分の1にも満たないという。
望京地区からの韓国人の脱出は、世界最大の電子商取引業者、アリババの影響が大きい。アリババの第2本社が望京地区に進出し、その社員の「アリババマネー」が周辺の不動産を独占した。その影響で面積60平方メートルのマンションがソウル・江南地区の30−40平方メートルの物件に匹敵する11億ウォン(約1億660万円)で取引されるほどだ。
韓国人が立つ瀬を失う望京地区のストーリーは韓国の未来を予告しているようにも思える。中国で競争力を失いゆく韓国製造業の不振が望京地区を襲った衝撃の第1波だったとすれば、中国のサービス産業が積み上げた巨大な富が第2波だった。しかし、韓国では第1波に関する警報は聞かれるが、第2波には無感覚のようだ。
中国は昨年、産業全体に占めるサービス業の割合が初めて半分を超えた。2億人を超える中産階級がよりよい学校、便利な買い物、おいしくて清潔なレストラン、安全な病院を渇望し、サービス産業が躍進している。韓国の民間シンクタンクの北京事務所関係者は「中国のサービス産業を見ると、『韓国は何で食っていけばよいのか』という思いがする。重要な変化なのだが、韓国では製造業の話しかしない」と話した。
サービス大国に様変わりする中国に先進各国は速やかに対応している。キャメロン英首相が「英サービス産業の成否は中国にかかっている」として、アリババの馬雲(ジャック・マー)会長を経済諮問委員に迎えた。昨年中国が誘致した外国直接投資の70%をサービス分野が占める。製造業で対中競争力が急速に低下している韓国は、中国への直接投資でサービス業の割合が30%にとどまっている。
中国のサービス産業が巨大人口に支えられていると考えるのは誤算だ。例えば韓国人は「ITはやっぱり韓国だ」と自負するが、中国のITサービスは衝撃的なほど便利だ。昨年韓国でブームを巻き起こしたモバイル簡易決済サービス「サムスンペイ」は中国ではほとんどニュースにもならない。中国の「ウィーチャット」による決済サービスのほうがはるかに便利だからだ。検索ポータルの「百度(バイドゥ)」を使えば、「(韓国の)ネイバーが太刀打ちできるのか」と感じる。韓国のの無料通話・メッセンジャーアプリ大手、カカオの金範洙(キム・ボムス)議長が「中国の巨大津波がやがて韓国を覆うだろう」と述べるほどだ。中国の電子商取引に関して、日本経済新聞は「米国よりも優れている」と評している。
最近北京市中心部の地下レストラン街で食事をした。注文を終えると、従業員が25分間を測る砂時計をテーブルに置いた。時間内に料理を出すという約束だった。厨房の従業員は胸に1−3個の星を付けている。サービスと実力を評価した結果だ。「世界の工場」中国がサービスを理解し始めたと考えると、砂時計の中で落ちる砂が韓国に対する警告のように見えた。
北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042201965.html
専門家「来年ごろ実戦配備の可能性も」
衛星で察知困難、韓国の防衛システムを無力化する恐れも
北朝鮮は23日午後、東海(日本海)上で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星(KN11)」1発を発射し、水中からの発射と30キロの飛行を成功させた。
韓国軍当局は、飛行距離がSLBMの最低射程である300キロに大きく及ばなかったため、失敗との見方を示したが、専門家は北朝鮮のSLBM開発が予想を上回るスピードで進展しており、実戦配備の時期が来年ごろに前倒しされる可能性もあると評価している。
韓国軍合同参謀本部は23日、北朝鮮が同日午後6時半(日本時間同)ごろ、東部・咸鏡南道新浦沖の東海上でSLBMと推定される飛翔体1発を発射したと明らかにした。飛行距離は約30キロだったと伝えた。
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」などは、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が視察する中、SLBMの水中発射実験を「大成功させた」と報道。潜水艦からの水中発射や海面浮上後のエンジン点火、ミサイル上昇などの場面を写した写真を公開した。これは、SLBMの開発で最も難しい水中発射とエンジン点火の技術を確保したという意味に受け取れる。
北朝鮮がSLBMを実戦配備すれば、東海や南海など韓国の後方地域に侵入し、ミサイルで奇襲攻撃を仕掛けることが可能になる。潜水艦の動きは米軍の偵察衛星でも察知が難しい。韓国軍は北朝鮮の地上配備型弾道ミサイルに備え、核・ミサイル設備に先制攻撃を加える防衛システム「キルチェーン」や韓国型ミサイル防衛(KAMD)システムの構築を進めているが、SLBMはこれらを事実上、無力化しかねない。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/25/2016042500936.html
北朝鮮が来月初めの朝鮮労働党大会を控え、近く5回目の核実験を強行するとの見方が強まっている。北朝鮮は今月15日、故・金日成(キム・イルソン)主席の生誕記念日を迎え中距離弾道ミサイル「ムスダン」を発射し、朝鮮人民軍創建記念日(25日)を控え23日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射した。
北朝鮮メディアは先月15日、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が核実験と核弾頭装着可能な弾道ミサイルの発射実験の早期実施を指示したと伝えた。韓国政府の高官は24日「(最近の北朝鮮は)金第1書記の言葉をほぼ実行に移している」と述べ、5回目の核実験を実施する可能性はかなり高いとの見方を示した。
北朝鮮は、失敗した先のムスダン発射には一言も言及していないが、今回のSLBMについては朝鮮労働党機関紙「労働新聞」などのメディアを総動員して内外に宣伝している。統一部(省に相当)の関係者は「北朝鮮はSLBMの発射により弾道ミサイル能力をアピールした。これからは次の核実験に集中するだろう」と話している。軍の消息筋によると、5回目の核実験のための技術面での準備はすでに終わっており、「あとは日にちを選ぶだけ」だという。
専門家は、核実験は人民軍創建記念日(25日)から労働党大会(5月初め)の間に行われる可能性が高いとみている。国策シンクタンクの関係者は「北朝鮮は5回目の核実験を『核弾頭の爆発実験』と主張し『米国への核攻撃が可能になった』と宣伝するだろう。これは党大会で金第1書記の政治・軍事分野の業績になる」と説明する。
韓国政府筋はこの日、北朝鮮北東部、咸鏡北道吉州郡の豊渓里にある核実験場周辺でまだ車両や人の動きが捉えられているとし、これらが突然消えれば核実験直前と見なせると伝えた。
李竜洙(イ・ヨンス)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/25/2016042500937.html
【ヘイガースタウン(米メリーランド州)=吉野直也】米大統領選で共和党の候補指名で2位のテッド・クルーズ上院議員(45)と3位のオハイオのジョン・ケーシック州知事(63)の陣営は24日夜、5月以降の3州予備選で共闘すると発表した。首位の不動産王ドナルド・トランプ氏(69)の候補指名を阻止するためだ。
具体的にはインディアナ州(5月3日)、オレゴン州(5月17日)、ニューメキシコ州(6月7日)の3州の予備選だ。クルーズ陣営はインディアナの運動に集中。オレゴン、ニューメキシコ2州の運動をやめる。ケーシック陣営はインディアナから手を引く。
26日のペンシルベニアなど東部5州の予備選はトランプ氏が優勢。5月の予備選で順調に勝ち進むと党大会前の過半数獲得が視野に入る。クルーズ、ケーシック両氏への票の分散がトランプ氏優位の状況をつくり出していることから両氏は3州に限って協力することにした。
主要な世論調査を平均した米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると、インディアナはトランプ氏39.3%に対し、クルーズ氏33.0%、ケーシック氏19.3%。ケーシック票がクルーズ氏に上積みされれば、逆転可能だ。
東部5州の予備選の次の焦点はインディアナで、ここでトランプ氏がクルーズ氏に敗北すると、党大会前の過半数到達へのハードルが上がる。トランプ氏は24日のメリーランドでの演説で「嘘つきテッドはニューヨーク(の予備選での敗北)で死んだ」と指名獲得へ自信を示した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H8E_V20C16A4FFB000/?dg=1
【ドバイ=久門武史】サウジアラビアのムハンマド副皇太子は25日、世界最大の石油会社である国営サウジアラムコの株式を同国内で上場すると明らかにした。上場後の時価総額は世界首位の米アップルを大きく上回る2兆ドル(約220兆円)超を見込む。上場で得た資金などで成長分野に投資し、原油への依存度を下げつつ財政収支を改善する狙いだ。
アラムコの新規株式公開(IPO)は、サウジ政府が25日に決定した包括的な経済改革構想「ビジョン2030」の一環。アラムコが管理する原油などの可採埋蔵量は、民間で最大の米エクソンモービルの10倍以上になる。アラムコの関連会社のIPOも目指す。
サウジ資本の衛星テレビ局アルアラビーヤのインタビューで、副皇太子はアラムコ株の「5%未満」を売り出すと明言。「我々は原油依存症に陥っている。危険なことだ」とも話し、外国からの投資を歓迎する意向を示した。
上場はリヤドにあるサウジの証券取引所で行う方針だが、時期は明示しなかった。サウジは2015年、株式市場を海外投資家に開放し、一定の基準を満たす外国の金融機関に直接取引を認めている。
副皇太子はアラムコ株を含む政府保有資産を設立済みの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)に持たせる考えを表明した。2兆ドル超の政府系ファンドが実現すれば世界最大規模になる。原油安の中、PIFは新たな収益につながる投資先を探る。
ムハンマド副皇太子はサルマン国王の息子でサウジの王位継承順位第2位。同国国防相を務めるほか、経済政策を統括し、改革を主導している。アラムコ上場を含む今回の改革もムハンマド副皇太子の肝煎りとされる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H8M_V20C16A4MM8000/?dg=1&nf=1
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サウジ、収入源多様に 原油依存下げ目指し軍需会社も上場へ[日経新聞]
2016/4/25 23:37
【ドバイ=久門武史】世界最大の原油輸出国サウジアラビアが25日に決定した経済改革構想は、原油に頼らなくても成り立つ経済への転換を狙う野心的な目標を掲げる。国営石油会社の上場や政府系ファンドの拡充で収入源を多様化。民間企業との協力も進め、雇用を創出する青写真を描く。ムハンマド副皇太子肝煎りの改革で、原油安の苦境を乗り切る構えだ。
「2020年までには、原油がなくなったとしても生き残れるようになる」。副皇太子は衛星テレビ局アルアラビーヤが25日に放映したインタビューで強調した。
サウジ政府が同日決定したのは、長期の改革の道筋を示す「ビジョン2030」。その目玉として新たな収入源と位置づけるのが、2兆ドル規模になる政府系ファンドだ。上場後の国営石油会社サウジアラムコの市場価値を裏付けにした資金で、投資運用収益を増やす。国境を越えた大型投資や買収の台風の目になる可能性もある。
副皇太子は25日、自国の軍事産業を傘下に置く政府全額出資の持ち株会社をつくる意向も表明。将来はサウジ市場に株式を上場するとした。
雇用の創出にも言及し、失業率を7%に下げる目標を掲げた。サウジに長期滞在する外国人労働者に、5年以内にグリーンカードを発行する考えも示した。
長引く原油安は、歳入の73%を原油に頼るサウジの財政をむしばんでいる。16年予算では3262億リヤル(約9兆7000億円)の財政赤字を見込み、2月の外貨準備は2兆2224億リヤルと前年同月より17%減った。歳入の落ち込みを補うため、サウジは国際銀行団から100億ドルを借り入れる見通しだ。
国際通貨基金(IMF)は25日、サウジを含むアラビア半島の産油国について「野心的な財政再建が実行に移されているが、原油価格が急落すれば収支は悪化する」と指摘。「追加的、実質的な赤字削減の努力」を求めた。
ただ副皇太子はアルアラビーヤのインタビューで、国民向け補助金の削減や新たな課税にあえて踏み込まなかった。国民の痛みを伴う改革への反発が高まらないよう、王室は細心の注意を払っている。サルマン国王は23日、水利電力相を交代させた。昨年12月の水道・電気料金引き上げについて副皇太子が不満を示しており、更迭とみられている。
石油依存からの脱却や経済の多角化はかねてサウジの課題だった。過去にも改革を掲げたことはあるが、原油価格が回復すると機運が薄れ、実効性は限られた。今回目指す改革が功を奏するかは、今後詰める制度設計でどこまで具体的に肉付けできるかが左右する。
「米シェールの債務はギリシャ並み:負債総額850億ドル(約10兆円超)メジャーがシェール企業を安値で手に入れるチャンス」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/214.html
「剣が峰の米シェール企業 融資交渉次第で淘汰も 原油増産のハードル高く:おいしい所をメジャー系が安く手に入れて収束?」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/852.html
「中東での戦争が米国の金融システムを救う?:実行するとしてもメジャーがシェール会社を安値で買収したあと」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/565.html
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米シェール淘汰の波、破綻60社・負債2兆円 15年以降
原油安で行き詰まる
2016/4/25 12:30
【ニューヨーク=稲井創一】米シェール企業の破綻が相次いでいる。原油安が定着した2015年からの倒産件数は60社を超え、負債総額は約200億ドル(2兆円超)に上った。原油安で経営に行き詰まった。一時乱立したシェールの破綻などで米原油生産は14年10月以来の低水準に減り、原油市況の改善につながっている。
中堅シェールのグッドリッチ・ペトロリアムは4月中旬、米連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。約5億ドルの負債が重荷となった。「厳しい商品市況に対応するため新しい段階に踏み出す」とした。借入金の利払いに窮したエナジーXX1も4月中旬に連邦破産法11条を適用申請した。
米弁護士事務所ヘインズ・アンド・ブーンの調査(4月3日時点)によると、15年1月から破綻したエネルギー企業は59件に上った。大半がシェール企業だ。1〜3月の倒産数は17社と前年同期の6社から大幅に増えた。グッドリッチやエナジーXX1を加えると破綻企業は60社を超える。
原油安で事業計画通りの収益が上がらず、借金を膨らませて開発・生産してきたシェール企業の経営手法が裏目に出た。金利負担などが重荷になり、資金繰りに行き詰まる例がほとんどだ。4月は多くの米金融機関が融資先の信用度を見直す時期。金融機関は原油安でシェール企業への追加支援に慎重とされる。
米エネルギー業界では、シェール大手で米天然ガス2位のチェサピーク・エナジーの行方が注視される。15年12月期は146億ドルの最終赤字。昨年末時点で約100億ドルの長期負債を抱える。
米金融オッペンハイマーのフェデル・ゲイト氏は「原油価格が1バレル50〜60ドルに戻ったとしても、シェール企業の半数は事業を継続できる状況にない」と分析している。
米エネルギー情報局(EIA)によると、4月15日時点の米原油生産は日量895万バレルで前の週に続き14年10月以来の900万バレル割れとなった。直近のピークである15年6月の961万バレルから約7%(約60万バレル)減った。シェール企業が現金確保を優先して投資を抑え、生産減につながった。
シェール老舗、コンチネンタル・リソーシズのへラルド・ハム最高経営責任者(CEO)は「16年は現金収入の確保に集中する」と言う。16年の投資額を前年比で7割弱も減らし、16年の原油・ガス生産量は前年比で約1割減るという。シェール企業の多くが投資削減を加速させており、米原油生産はさらに減る見通し。EIAは16年4〜6月期の生産を日量879万バレルと予測。16年通年は15年比で9%減の日量860万バレルに減るとした。
先週末22日の米原油先物は指標油種が反発した。原油の供給過剰が年後半に向けて緩やかに解消に向かうとの見方が改めて意識され、買い優勢となった。22日の終値は1バレル43.73ドル。2月の安値水準から5割近く高い。
この1カ月間、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、ほぼ絶えずドイツの政治家による非難にさらされてきた。彼らは常に金融緩和政策に強く反対し、ECBの金融刺激策の中でも特にマイナス金利政策の導入について、ドイツの預金者を圧迫し、過激政党の台頭を促し、同国の金融機関に負担を強いていると批判している。
受け入れがたいのは、彼らがECBの政策にもっとドイツの意見を取り入れることを求め、次の総裁はドイツ人にするよう要請するなど、公然とECBに政策転換を迫っていることだ。
ドラギ氏は21日、ECBが従うのは法律であって政治家ではなく、政策理事会は現在の方針と独立性を維持することで全会一致していると強調。さらにマイナス金利は機能していると主張した。2014年に導入したこの政策なしではデフレになり、ユーロ圏の成長率はかなり低かっただろう。
それでもドラギ氏は、ドイツの政治家の懸念を認識している。マイナス金利を導入した1年目は欧州の銀行の利益は全体的には拡大したが、ドイツの小規模の貯蓄銀行や年金基金、生命保険は苦境に立たされた。ユーロ圏経済にとって理にかなう金融政策は、長期的にはユーロ圏最大の債権国であるドイツの金融に破壊的な影響を与えるかもしれない。
とはいえ、ドラギ氏が米国の年金基金や保険会社は長期的なほぼゼロ金利の試練の中で崩壊しなかったと指摘したのは正しい。ドイツの金融機関が苦しんでいるのは、主として同国の規制や特有の事業モデルのせいだ。
ECBの法的義務はインフレを目標値まで回復させることであり、この先数年は金利を現在の低水準に維持する以外、選択肢はほぼないだろう。
ECBの政策を国益同士のせめぎ合いとして描こうとすれば、欧州経済通貨同盟の土台を揺るがすことになる。これはドイツの国益にはならない。同国が通貨同盟を成功させたいなら、ドイツ連邦銀行のクローンをつくろうとするのをやめて引き下がるべきだ。
(22日付、社説)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
[日経新聞4月23日朝刊P.6]
【北京=共同】中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)は22日、中国が初の海上浮動式原発を建設する計画を進めていると報じた。完成すれば南シナ海で造成した人工島にある軍事施設などに電力供給が可能との専門家の声も伝えた。完成時期は不明。
中国はフィリピンなどと領有権を争う南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で岩礁や暗礁を埋め立てて人工島を造成。滑走路やレーダー施設を建設するなど領有の既成事実を積み上げており、海上原発の建設計画には実効支配を強める狙いがあるとみられる。
[日経新聞4月23日朝刊P.6]
イラク侵攻の“大義”の一つであった「大量破壊兵器」が見つからなかったことやその後のイラクの破滅的混乱を踏まえ、米英では「対イラク戦争」について曲がりなりにも検証が行われている。
しかし、日本は、先の大戦に関する検証も国家として主体的に行っていないから当然ということになるが、支持し自衛隊も派遣した「対イラク戦争」について検証と言えるような検証を行っていない。
それどころか、安倍首相は、14年春、「集団的自衛権」をめぐる国会論戦のなかで、小泉政権が米英のイラク侵攻を支持した問題について問われ、フセイン政権が“大量破壊兵器の不保有”を証明できなかったことが悪かったのであり、米英などの対イラク戦争を小泉政権が支持したことに問題はないと主張している。
※参照投稿
「フセイン政権に「悪魔の証明」(「不存在の証明」)を求めることで対イラク戦争支持を正当化している“危険で度し難き”安倍首相」
http://www.asyura2.com/14/senkyo167/msg/558.html
その安倍首相が、今年2月3日の衆議院予算委員会で、民主党(当時)岡田代表の「金銭授受が安倍政権の政策決定を左右したことはなかったのか」との質問に、「環太平洋経済連携協定(TPP)や経済財政運営に影響するはずがない。一切ないとはっきり申し上げる」と断言し、岡田代表がさらに「根拠を示すべきだ」と追及したが、「ないことの根拠を求めるのは“悪魔の証明”だ」と言って突っぱねている。
米英のイラク侵攻を支持した小泉政権の正当性の根拠して「悪魔の証明」を持ち出した 安倍首相だが、ないことを証明するのは「悪魔の証明」だという論理を16年2月3日時点で理解していたことがわかる。
イラク戦争について、フセイン政権が“大量破壊兵器の不保有”を証明できなかったことが悪かったと言い放った安倍首相の答弁を引き出したのも確か岡田代表だったと思うが、甘利斡旋利得疑惑をめぐる質疑応答で「悪魔の証明」を利用して追及をはねのけた安倍首相に対し、イラク戦争フセイン政権責任論を「悪魔の証明」でこじつけた答弁との矛盾を指摘し、安倍首相の欺瞞性を指摘することすらできなかったのである。
日経新聞は、さすがというか気を利かせて、安倍首相の「悪魔の証明」発言を記事にはしていない。
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[風見鶏]検証なき国は廃れる
市場の競争にさらされる企業は失敗から教訓を学び、生かさなければ、廃れてしまう。国も同じだ。
その意味で、日本として注目すべきできごとが近く、英国である。2003年、イラクが大量破壊兵器を隠しているとして、当時のブレア英首相は世論の猛反対を押し切り、米国とイラク戦争を始めた。だが、結局、そんな兵器は見つからなかった。
だれが、どこで、なぜ、間違ったのか。英政府が09年に設けた独立調査委員会が今月、8年越しの検証を終え、6月にも結果を公表するのだという。ブレア氏をはじめ、尋問に応じた当時の要人や軍幹部は百数十人にのぼる。
「あの戦争は英国民に、英米同盟への強い疑念を植え付けてしまった。その後遺症は癒えていない」。当時を知る英政府の元高官はこう自省する。それでも英国にはなお、失敗から学ぼうとする能力がある。
一方、米政府はイラク戦争だけでなく、01年の同時テロの教訓も独立調査委で洗い出し、それぞれ約600ページの報告書を10年ほど前に出している。
では、日本はどうか。残念ながら、あまりにもお粗末と言うほかない。
小泉政権(当時)は大量破壊兵器があるという前提でイラク戦争を支持し、復興に自衛隊も送った。支持を決めた経緯については、民主党政権の指示を受けた外務省が調査し、12年12月に結果をまとめた。
しかし、発表されたのは、たった4ページの要約だけ。同省は「これ以上、公表すると、各国との信頼関係を損ないかねない情報がある」と説明する。
むろん、日本は戦争を始めたわけではない。だが、攻撃に参加しなかったオランダも、戦争を支持したことが正しかったかどうか調査し、約550ページの結果を発表している。
日本はなぜか、失敗を深く分析し、次につなげるのが苦手だ。「小切手外交」とやゆされた1991年の湾岸戦争、安保理常任理事国入りに失敗した05年の国連外交、小泉純一郎首相による2度の北朝鮮訪問。外交だけでも、検証すべきできごとはたくさんある。
だが、元幹部を含めた複数の外務省関係者によると、これらを正式に調べ、総括したことはないという。多くの人が原因にあげるのが次の2点だ。
*日本人の性格上、失敗の責任者を特定し、批判するのを好まない。
*これからも同じ組織で働く上司や同僚の責任を追及し、恨まれたくないという心理がみなに働く。
同省にかぎらない。日本の組織には多かれ少なかれ、こうした「ムラ的」な風土がある。ならば、ときには第三者が必要な検証をしていくしかない。国家の場合、その役割をになうべきなのは立法府である。
ひとつの試金石になるのが、約1年前、衆参両院にできた情報監視審査会だ。メンバーは与野党の議員。政府が「特定秘密」の指定を乱用し、開示すべき情報を隠していないか、チェックするのが役目だ。
特定秘密とは、漏れたら安全保障が脅かされる情報で、漏洩には厳罰が科せられる。政府は約19万点の文書を指定ずみだ。まず審査会が知ろうとしたのが、この大まかな実態だ。
ところが「政府側は19万点の文書の件名も、すべては明かそうとしない」(審査会メンバー)という。
衆院審査会の額賀福志郎会長(自民)は「1年目は改善を要求するにとどめたが、対応が改められなければより重みがある勧告権を発動する」と語る。
日本は先の大戦で、自国民だけで約310万人の命を失った。再び、国策を誤ることはないのか。国の検証力の貧しさを考えると、不安になる。
(編集委員 秋田浩之)
[日経新聞4月24日朝刊P.2]
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※参考記事
甘利氏問題 残る疑念 衆院予算委 民主、「裏金」と追及
2016年度予算案の実質審議が3日、衆院予算委員会で始まった。野党は経済財政・再生相を辞任した甘利明氏の金銭授受問題で安倍晋三首相らを引き続き追及した。事実関係が明らかになるなか、安倍政権は幕引きをしきれずにいる。
「まず甘利氏についてお聞きしたい」。民主党トップバッターとして質問に立った岡田克也代表が真っ先に取り上げたのが金銭授受問題だった。
甘利氏は辞任表明した1月28日の記者会見で13年11月と14年2月に千葉県の建設会社から50万円ずつ受け取った事実を認めた。13年11月は大臣室での授受だった。
岡田氏は「黙ってお金を置いていった。危ないお金だと思うのが普通だ」と指摘。甘利氏が政治資金規正法にのっとり適正処理を指示したと説明していることに「お金は11月に受け取り、届け出は翌年2月。裏金とみざるを得ない」と述べた。
民主党の大西健介氏は2回の現金授受を政治資金収支報告書に計100万円の寄付と記したことに疑問を呈した。高市早苗総務相は一般論として収支報告書には「12月末現在のその年の収支を書く」と説明。大西氏は「年が違うものを足し上げて書くことは法の趣旨に反する」と強調した。
もう一つの論点は「口利き」の有無。当時、建設会社と都市再生機構(UR)は道路工事を巡って補償額の交渉をしていた。甘利氏は交渉への介入を否定しているが、民主党はURが公開した元秘書との面会記録に基づき事実関係をただした。
元秘書とURの面会は13年6月から16年1月までに計12回。大西氏は「元秘書は『少し色をつけて』と言った。金額交渉への介入だ」との見方を示した。URの上西郁夫理事長は「やり取りで影響を受けたとは考えていない」と答弁。ただ、URが元秘書に「これ以上は関与しない方がよい」と伝えたことを認め、理由を「本来、当事者同士の話し合いで行うべきだと考えた」と話した。
金銭授受が安倍政権の政策決定を左右したことはなかったのか。首相は「環太平洋経済連携協定(TPP)や経済財政運営に影響するはずがない。一切ないとはっきり申し上げる」と断言。岡田氏は「根拠を示すべきだ」と納得しなかった。
甘利氏側は事実関係を調査、報告する予定。新たな疑問が生じる可能性もある。安住淳国会対策委員長代理は記者会見で「本質を明らかにしていきたい」と意欲を示した。
[日経新聞2月4日朝刊]
「迷走セブン&アイ:チュニジアやエジプトの「アラブの春」を彷彿とさせる長期トップ鈴木会長=“上昇阻害物”排除劇」
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/768.html
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/852.html#c1
「サウジ、国営石油のアラムコ上場へ 原油安で経済改革:収入源多様に 原油依存下げ目指し軍需会社も上場へ:副皇太子主導」
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/817.html
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[FT]サウジアラビアの大胆な経済改革(社説)
2016/4/26 14:00
サウジアラビアの原油依存をわずか4年で終わらせるという公約とともに、30歳の副皇太子ムハンマド・ビン・サルマン氏が挑んでいるのは、保守的な王国そのものの変革にほかならない。
無駄の多い政府支出を引き締め、脱原油依存経済を構築し、民間部門の雇用創出を高めるとする2030年に向けたムハンマド副皇太子の「ビジョン」の包括的目標は正しい。しかし、サウジの指導部は数十年前から多角化を口にしながら実現できなかった。問題は、サルマン国王の有力な息子でMbSと呼び習わされるようになったムハンマド副皇太子に、官僚機構、王家内で権力を争うライバル、超保守的な聖職者からの抵抗を乗り越える成算が立つのかどうかだ。
ムハンマド副皇太子に有利な一つの要因は、改革を必要とする財政事情の緊急性だ。原油価格の下落により、最近のエネルギー補助金削減にもかかわらず今年の財政赤字が国内総生産(GDP)の19%に達する見通しにあるサウジの公共財政は、持続不可能であることがはっきりした。過去の改革は原油価格が回復するとたちまちしぼんだ。しかし今、米国産シェールオイルのしぶとさが原油価格をいつまでも抑え続ける可能性がある。2030年までの計画は1バレル30ドルの原油価格を前提としているが、どのような価格であっても実施されるとムハンマド副皇太子は断言している。
改革を楽観視する第2の理由は、ムハンマド副皇太子への前例のない権力集中だ。父を後ろ盾に、自ら議長を務める評議会を通じて経済のあらゆる側面をコントロールしている。この影響力は、ムハンマド副皇太子が官僚を押しのけてサウジはイラン抜きでは原油増産の凍結はしないという主張を押し通した最近の石油輸出国機構(OPEC)会合で示された。このような「全てか無か」という戦術は外交ではリスクが高いかもしれない。しかし、国内政策では事を起こすのにまさしく必要な手になりうる。
国営石油会社サウジアラムコの部分的民営化と政府系ファンドの拡大など、25日に発表された施策はムハンマド副皇太子の野心の大きさを示している。しかしながらサウジ経済の再編には、政府の気前の良さに慣れた極めて保守的な社会の遠大な変革も求められる。
公共財政を正常な形に整えるには、痛みを伴うさらなる補助金削減、新税の導入、公的部門の閑職の根絶がなければならない。これはつまり、体制が忠誠と引き換えに職と手厚い福利を与えてきた社会契約の根本的な変更を表す。
サウジ国民は今のところ(相対的な)緊縮財政の必要を受け入れている。しかし、さらなる削減となると、たとえ政府が最も貧しい人々に全面的影響が及ぶことを防ぎ、慢性的な住宅不足など他の問題に対処するとしても、国民の忍耐に無理が生じるかもしれない。改革に信頼が伴うには、サウジの権力中枢にいる王族全体の財政の透明性を高める喫緊の必要がある。
■若者を失望させてはならない
活力ある民間部門を構築することは、さらに大きな挑戦かもしれない。短期的には外国投資が極めて重要であり、ムハンマド副皇太子が概要を示したグリーンカード制度は外国投資の促進を意図している。しかし長期的には、低賃金の外国人労働力への依存を終わらせることが必須となる。これは教育に新たな重点を置くことと、女性の労働参加を高めることを意味する。
サウジの多くの若者は、経済改革が息苦しさを軽減させより平等な社会につながることを望んでいる。彼らを失望させるのは危険だ。サウジ国民の半数以上が25歳未満だ。速やかな雇用創出がないと、不満を募らせた世代が暴力的活動へ流れ込んでいく本当の危険が存在する。
ムハンマド副皇太子の計画が成功することが望まれる。しかし、それが成功するのは、経済改革の野心に見合う社会と政治の変革の必要性をサウジ体制が受け入れた場合だけである。
(2016年4月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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http://www.nikkei.com/article/DGXMZO00096770W6A420C1000000/?n_cid=TPRN0005
かつて性風俗は借金や精神疾患など、何か「特別」な事情を抱えた一部の女性が稼ぐ最終手段の場であった。しかし現在は経済的に困窮した「普通」の女性が、生活費を確保するためにカラダを売っている。性風俗業界の動向から日本の格差と貧困を読み解く『図解 日本の性風俗』を著した中村淳彦氏の特別リポート。
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カラダを売っても稼げない
「もう、風俗歴20年になるかな。10年くらい前までは稼げたけど、今は1日1本つけばいい方。持って帰れるお金は1万円にはならないわ」
鶯谷の熟女デリヘルで働く渡部美幸さん(仮名・50)はこう話した。埼玉県某市のベットタウンで夫と2人暮らし。ごく一般的な主婦だったという渡辺さんは、結婚11年目で夫が個人経営する喫茶店が廃業、住宅ローンが払えなくなった。諸々の事情から購入した一軒家を手放すことができず、首が回らなくなり悩んだ末に風俗で働くことにしたという。
風俗嬢として働き始めた最初の5年間は、月50万円以上は稼げたという。ところが1999年の風営法改正でその風向きが変わる。デリヘルが激増し、客が徐々に減ったのだ。風俗だけでは収入が足りず近所のスーパーマーケットでパートを始めた。今も週3日はデリヘル、他3日はスーパーで働いている。
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この数年間、風俗業界は深刻な不況と、風俗嬢の収入の下落にあえいでいる。いまや風俗嬢の「超高収入でラクして稼いでいる、消費と遊び好きな女性」というイメージは、80〜90年代の全盛期を経て過去のものとなった。ブランド物で着飾った派手な風俗嬢はほんの一握り、大半はバーゲンやアウトレットで買った洋服を着て、格安居酒屋で割り勘で飲むという地味な生活を送っている。
その傾向は、風俗業界に大打撃を与えたリーマンショック以降から特に顕著で、現在の風俗嬢のほとんどは中小企業のサラリーマンと同レベルか、それ以下の賃金でカラダを売っている。カラダを売っても中小企業のサラリーマン以下の賃金とは夢も希望もない話だが、これが現実だ。
風俗の下落はなぜ起こったのか
風俗嬢のセカンドキャリアを応援する非営利法人「GrowAsPeople」やセックスワーカー自助団体「SWASH(Sex Work and Sexual Health)」などのアンケート調査によれば、風俗嬢の現在の平均賃金は月33万円〜38万円程度で、2000年ごろの月70万円程度といわれていた頃と比べると半減している。世間の世帯収入の下落を大きく上回り、風俗嬢たちの収入は激減しているのだ。
風俗嬢が稼げなくなった原因は、性風俗のデフレ化によるものだ。00年代から社会全体がデフレに悩まされているが、「女性のハダカ」の価格はその実質経済を上回る勢いで下がり続けている。デリヘルを中心に多くの風俗店が価格競争に巻き込まれ、サービスの単価を下げながら、集客も減らしている。社会と連動する形で、性風俗の世界でも格差が広がっているのだ。
性風俗のデフレ化の最大の要因は、従来であれば性風俗業とは無縁の一般の女性が続々とハダカになったこと、そしてデリヘルの激増によるものだ。
単身女性の3人に1人が相対的貧困に該当するという「女性の貧困」が深刻化したことで、一般女性の風俗志願者が増えた。さらに1999年の風営法でデリヘル(無店舗型)が実質合法化されたため、男性客が減り需要と供給のバランスが崩れたのだ。
それまでの店舗型性風俗は、違法か合法かわからないグレーゾーンの業種だったが、どんな業種でも合法化(規制緩和)されれば参入が増える。デリヘルも他に漏れず異業種参入が続き、現在警察への届出数は1万9000店舗超えた。
この数はセブン-イレブンの店舗数1万8572軒(平成28年2月現在)と同程度で明らかに供給過多といえる。限られた需要の中で店舗が増えれば、男性客が分散し稼動も下がる。その結果誰も稼げなくなってしまったのだ。
デフレが進んだ現在のデリヘルは、過半数以上が60分1万円以下という破格の価格帯で性的サービスを提供している。この価格帯は安すぎだ。そんな格安風俗店を支えるのは、若さでは勝負できない30歳以上の熟女たちである。
近年の人妻熟女の流行で風俗嬢の上限年齢はなくなったものの、労働者派遣法を代表とする格差に拍車をかける政策によって、現在、生活のために風俗を志願する一般の女性の増加が後を絶たない。風俗業界全体で需要と供給のバランスを完全に崩壊させたことで、単価は下落の一途を辿っている。
さらに、カラダを売っても貧困レベルの低賃金しか稼げないという女性も存在する。経済的な苦境に陥りハダカになった風俗嬢の中で、さらにその下層にいる稼げない女性たちの多くは40歳以上の熟女だ。
下層風俗嬢の多くは、未婚、バツイチ、シングルマザーなどの単身女性たちだ。彼女たちは自分の稼ぎで生活を支えなくてはならず、風俗店の増加による供給過多のため厳しい競争にさらされている。競争に負けた風俗嬢たちの収入は生活保護水準を下回り、「食べるのもやっと」といった危険な状態となっている。
ハダカの女性は社会を映す鏡
カラダを売って貧困レベルの低賃金しか稼げないという現実を信じられない読者のために、デフレの象徴である、激安デリヘルで働く女性を想定して収入を試算してみよう。
続々と競合店が増え続ける中、性的魅力が普通レベルの女性が働ける店は限られている。都市部デリヘルの値下げ競争の象徴とされている某老舗チェーンでは30分3900円、45分5900円という価格帯でサービスを提供しており、そのうち女性の取り分は2400円、3500円と異常なほどの低賃金だ。単価が安すぎるこの店には各種性風俗を断られた女性が集まってくる。
デリヘルはとにかく男性客が少なく、低価格の格安店でも女性1人あたりの客数は平均で3人、人気のある上位の女性でも多くて6人程度だ。3500円(1人あたりの単価)×3人で、日給は1万500円、週4日勤務でも16万8000円しか稼げない。東京都の最低賃金は900円なので、待機時間を含めれば、コンビニのアルバイト同等か、交通費なども入れればそれよりも低い賃金となる。
生活にお金のかかる東京で暮らすにはこの金額では最低限の生活もできないだろう。早朝に時給1000円程度の清掃のアルバイトをしてプラス月3万程度を確保し、なんとか凌いでいる女性もいるほどだ。
地方のピンクサロンも同様に厳しく、回転なしの30分5000円の店で時給は2000円、週4日勤務で日給1万2000円だ。雑費1000円と源泉徴収を引かれると、日給は9800円、月16日働いても15万6800円にしかならない。この収入は低賃金が社会問題となっている介護職と大して変わらない金額だ。
カラダを売ることは、性風俗が誕生した400年以上前から女性が稼ぐ最終手段であった。日本が貧しかった戦後や昭和期に風俗や売春を覚悟した女性たちの月収は大卒初任給の数倍と大きなリターンを受けていたが、90年代後半の新自由主義政策以降は一般女性の大量参入によって「簡単に価値が認められる」という大前提が崩れてしまった。
社会のマジョリティに属する一般女性が風俗や売春をする覚悟を決めても、貧困から逃れられない層を生む社会は異常としかいいようがない。多くの女性たちは月5〜6万円のお金が足りないがゆえに「ハダカの世界」に足を踏み入れている。これ以上「普通の女性」が風俗嬢にならないためには、最低賃金の上昇が不可欠だ。
現在と物価が変わらないことを前提として、その層の女性たちの収入が月5〜6万円アップすれば、おそらく風俗嬢志願者は激減する。時給に換算して最低賃金を約300円上げるだけで、カラダを売らなくても生活できる一般女性が大幅に増えるのだ。東京都では時給1200円、大阪は1150円、沖縄は1000円。しかしシングルマザーら常勤が難しい層を加味すれば、500円程度まで上げるのが妥当だろう。
格差が広がり女性の貧困が進むほど、風俗志願者が増え女性が生き延びるための最終手段が崩壊してゆく。格差社会の煽りを受けた女性たちが性風俗の世界に足を踏み入れても、立ちはだかる「貧困」からは逃れられないでいる。ハダカの女性は、今の日本の姿を映す鏡なのだ。
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中村淳彦(なかむら・あつひこ)東京都生まれ。アダルト業界の実態を描いた『名前のない女たち』『職業としてのAV女優』『日本の風俗嬢』『女子大生風俗嬢』『ルポ中年童貞』など著書多数。フリーライターとして執筆を続けるかたわら介護事業に進出し、デイサービス事業所の代表を務めた経験をもとにした『崩壊する介護現場』が話題に。『熟年売春〜アラフォー女子の貧困の現実』(ミリオン出版)。最新刊は4月27日『図解 日本の性風俗』(メディアックス)
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中村淳彦
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160426-00048511-gendaibiz-soci
日本の電子部品大手の受注が4年ぶりに減少した。村田製作所やTDKなど大手6社の2016年1〜3月期の合計受注額は前年同期を4%下回った。日本勢の部品が多く使われている米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone」の販売不振が響いている。自動車、機械と並ぶ日本の主力業種の減速は、国内景気のもたつきを長引かせる要因になる。
京セラ、日本電産、日東電工、アルプス電気を含む6社の受注額(一部は売上高)を日本経済新聞が独自集計した。16年1〜3月の受注総額は約1兆2400億円で、東日本大震災やタイの洪水の影響を受けた12年1〜3月期以来、16四半期ぶりに前年実績を下回った。15年度通年も約5兆4000億円と前の年度比6%増。12年度から3年間続いた2桁の伸び率が縮小した。
1〜3月期の受注減はiPhoneの不振が大きい。主力モデル「iPhone6s/6sプラス」の販売が低調なことを受け、米アップルは1〜3月期にiPhoneを前年同期比で3割程度減産した。
企業によってばらつきがあるものの、村田製作所はスマホをはじめとする通信分野が連結売上高の約6割を占める。TDKもスマホ向けが4割。高機能部品を多数搭載するアップルは日本メーカー品の採用比率が高く、苦戦の原因となった。
最も影響が大きかったのはiPhone向けに液晶パネル部品やタッチパネル部品を多く供給する日東電工で、受注の減少幅は約2割になったもよう。京セラは半導体保護部品やコネクターなどが減り、約10%減となった。日本電産もiPhone向けとみられる振動デバイスの増産投資に踏み切ったものの、デバイスの受注は想定を下回ったようだ。
円高の進行も響いた。村田製作所は受注こそ前年同期を上回ったが、円換算すると横ばいにとどまった。TDKは前年同期比約5%減だったとみられる。
アップルは4〜6月期も3割程度の減産を続けている。電子部品各社の4〜6月期受注も大きな伸びは見込みにくい。
電子部品は国内の生産全体の8%を占め、約2割の自動車、1割強の機械と並ぶ。日本メーカーの受注の落ち込みが続くと、電子部品そのものの生産にとどまらず、設備投資にも影響が広がりかねず、景気の下押し要因となる。
中長期的にも電子部品を取り巻く環境は変わり始めている。成長を支えてきたスマホ市場は伸びが鈍化している。米調査会社IDCによると、世界のスマホ出荷台数は16年に15億台を超える見込みだが、伸び率は5.7%と初めて1ケタ台にとどまる見通しだ。
そこで各社は新たな成長分野を探し始めている。成熟期に入ったスマホでも高機能かつ薄型にするために欠かせない部品の需要は伸びるとみて、京セラは約150億円を投じて薄型樹脂基板の新工場をつくる。
車載部品などに事業を広げる動きも加速してきた。TDKはスマホの高機能化に向けた増産投資に踏み切ると同時に、自動車向け部品の売上高を現在より75%多い3500億円に引き上げる。車の自動運転の実用化が進めば、電子部品の需要は一段と伸びると期待されている。成長分野をうまく取り込めるかどうかが、今後の成長を左右しそうだ。
[日経新聞4月24日朝刊P.1]
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Apple iPhoneの売り上げ減を初めて報告[スプートニク日本語]
2016年04月27日 16:08(アップデート 2016年04月27日 16:13)
Apple社は、同社の基本的な商品であるiPhoneの売り上げが減少した事を初めて発表した。ロイター通信が伝えた。
Appleによれば、今会計年度第2四半期の売り上げ数は5120万個だった。なお1年前の同時期の売り上げ数は、6120万個だった。
また同四半期のAppleの純利益は、105億ドルだった。
人気商品であるiPhoneは、ここ数年、売り上げを伸ばしてきたが、多くの投資家達は、需要が飽和状態に達したのではないかと懸念している。
また、豪が、今現在日本と中国の関係でどちらを重視するか考えれば、答えは経済的取引で圧倒的になった中国となる。
中国も、日本製(ほとんどが豪で組み立て)潜水艦が南シナ海を哨戒するという現実は受け容れがたい。
日本政府も、豪向け潜水艦販売を、経済界が求める「防衛装備移転」(武器輸出)の嚆矢としたかっただろうが、世界的にみても高いとされる日本の潜水艦建造技術が豪に流出することは面白くない。
このようなことで、まず日本が脱落し、次に同じ敗戦国であるドイツが負け、フランスが受注する順当な結末になった。
フランスは、建造費は4兆円ほどだがメンテナンスまで含めると10兆円近い潜水艦供給契約が成立したことで歓喜している。(受注企業CDNは経営難でリストラの渦中にある)
結果として、“国際社会”は丸く収まったと言えるだろう。
※関連参考投稿
「豪潜水艦調達と日独仏の競争 ―アメリカは誠実な仲介者を:日本は脱落したが背景を知る参考資料として」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/579.html
「豪州、潜水艦発注リストから日本をはずす:日本に米英豪の下働きをさせるため歓心を買う太腿チラリズム」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/576.html
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豪潜水艦受注できず 海洋安全保障再検討か[NHK]
4月27日 4時11分
オーストラリアの新しい潜水艦の共同開発国に選ばれなかったことを受けて、政府内には、共同開発国になれば、防衛協力が強化され南シナ海への海洋進出を強める中国へのけん制につながるという期待もあっただけに、海洋の安全保障を巡る政府の方策は再検討を迫られることになりそうです。
オーストラリアが導入する新しい潜水艦を巡り、日本は新たな「防衛装備移転三原則」に基づいて、オーストラリアとの共同開発の実現を目指していましたが、ターンブル首相は26日、フランスと共同で開発すると発表しました。
選ばれなかった要因について、政府内では「海外での装備品の共同開発という実績がほかの国に比べて不足し、現地への経済効果のアピールなどで出遅れた」などといった意見が出ています。
一方、岸田外務大臣や中谷防衛大臣は26日、安全保障分野におけるオーストラリアとの連携について、「特別なパートナーであることに変わりはない」として、今後も重視する考えを強調しました。ただ、政府内には、共同開発国になればアメリカを加えた3か国の防衛協力が強化され、南シナ海への海洋進出を強める中国へのけん制につながるという期待もあっただけに、海洋の安全保障を巡る政府の方策は再検討を迫られることになりそうです。
「迷走セブン&アイ:チュニジアやエジプトの「アラブの春」を彷彿とさせる長期トップ鈴木会長=“上昇阻害物”排除劇」
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/768.html
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2016年04月27日(水) 週刊現代
直撃!鈴木敏文「裏切り者たちに告ぐ」
〜「アイツだけは許せない」という怒り
あまりに急だった日本を代表するカリスマ経営者の退任劇。話題を呼んだ会見から数日後、本誌記者は渦中の会長宅を訪ねた。その口から洩れた言葉には、「謀略」「面従腹背」への怒りが溢れていた。
「嘘が一番、許せない」
100坪以上はある邸宅が立ち並ぶ都内屈指の高級住宅地には人通りもなく、ひっそりと静まり返っていた。4月12日19時。本誌記者が鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス会長の自宅のインターホンを鳴らすと鈴木氏の妻と思われる女性が応答したが、同氏と話したい旨を述べると、すぐに本人が出た。
—週刊現代の記者です。インタビューのお願いに上がりました。
「なんですか。ああ、おたくの雑誌はね、こないだ書いた記事は、まったくデタラメが書いてあるからさ、取材は受けられないよ。ぜんぜんデタラメ書いてるんだもん」
硬い声色で、すぐにインターホンは切れてしまうが、再度鳴らすと、また本人が対応した。
「あのね、デタラメ書いてあるものはしょうがないでしょう。その、要するに、言ってもいないことを言ったなんて書いているし、こっちが迷惑するんですよ」
—お叱りの言葉も含めて、きちんと話を聞かせてもらえないでしょうか。
「じゃあ一言だけ、いま出て行って話をするよ」
インターホンが切れて1分ほどして、ワイシャツにグレーのスラックス、えんじ色のカーディガンを羽織った鈴木氏本人が出てきた。外は風が冷たく、少し寒そうな様子だった。
「あのね、要するに、息子(鈴木康弘取締役執行役員)が社長になるなんていうのは、まるっきり嘘で、誰もそんなこと言ってない。まるきりそんなことはありえないし。
僕はね、今までいろんなところから、おたく(講談社)からも本を出しているし色々やっているけれども、一番、そういう嘘とかなにかっていうことは、僕の人生観では許さないの。だから、今回の問題だって、スパッと引いたわけ。そういうことだから」
終始、落ち着いた口調で感情的な話し方ではないが、息子に関する話をするときは、表情も声も強張ったように感じられた。
後述するが、息子の康弘氏はセブン&アイのネット事業を担当している。実績がほとんどない中で、昨年5月にセブン&アイの取締役執行役員に出世したため、「親の七光りだ。会長は息子を社長の座に就けたがっているのではないか」という疑念が社内に渦巻いていた。
「残ってくれと言われている」
鈴木氏の話は今年1月に、就任後わずか1年半で辞任した戸井和久イトーヨーカ堂社長のことに及んだ。
「ヨーカ堂の社長が辞めたときのことだってね、『辞表を叩きつけた』だとかなんとか……。なんでそういう嘘を書くのかね(編集部註:本誌1月30日号の記事「鈴木敏文会長に叱られてイトーヨーカ堂社長が『逆ギレ辞表』を叩きつけるまで」)。
嘘は嫌なのよ。本当のことを書かれるのならいいけれども。雑誌を売るためにね。ご存知だと思うけど僕はトーハンの役員もやっているんだよ。自分でも編集の仕事をしたけれどね、ああいう売らんがためのことを平気で書かれたらね。大変迷惑だよね」
言うまでもなく本誌は、慎重な取材に基づいた記事を掲載している。イトーヨーカ堂の業績を上向かせることができなかった戸井氏のことを、本誌が「生え抜きのエースだった」と持ち上げたり、鈴木会長に批判的な内部の声を紹介したことが、鈴木氏の怒りを誘ったのかもしれない。
—(鈴木氏の)お話を偽りなく記事にしたいので、インタビューに応じてもらえませんか?
「いや、いま申し上げた通りだから、それで充分だと思うんですよ。僕は嘘が嫌いだし。それからなにか謀略的なこと、そういうことは僕の人生には、そういう『ページ』がないの」
—しかし、どうして辞めてしまわれるのか? 辞める理由に納得していない人も多いと思います。
「なぜって、要するにね、実際には僕がしていないことをしていると、そういうことを社内で言ったりするのもいるし。そういうことは、僕は絶対嫌なの。そんなことまでしてね、仕事をしたくない。
ただ、いま困っていることはたくさんあるの。FC(フランチャイズ・チェーン)のオーナーの皆さん方からね、なんでもいいから残ってくれとか。社員からもものすごい、やはりそういうあれ(声)があるんでね。それがただ困っているだけでね。それ以外は、自分では今は非常にすっきりした気持ち。そういうことですから」
当初はやや硬めだった表情も、自身の引き際に関しての話題になると和らぎ、穏やかなものになっていく。
部下に厳しすぎたがゆえに
—(7日の)会見では辞めることは「今日決めた」とおっしゃっていましたが、そんなに潔く辞められるものですか?
「そうそう、そうだよ。『あなたを支持します』とかなんとか言っていてね、駆け引きでやっているのもいるし。そういうのは嫌いなのよ」
—社内で、表では鈴木会長にいい顔をしているが、裏では別のことをしている人間がいたということですか。
「そうそう。そういうことは絶対にね、許さない。自分の持って生まれた性格だから。本当のこと以外は、嘘は絶対に許せない性格だから。すいません。それじゃあ。今後は自宅で取材は受けないことにしますから」
そう語りながら、門扉を閉めて、玄関の中に去って行った。終始「嘘は嫌い」とくり返しているように、率直で飾らない言葉で語った鈴木氏。「絶対に許さない」と語る声には一際力がこもっていた。
このような率直な物言いは鈴木氏の飾らない性格の表れであるが、社内の会議や朝礼ではときに激しい叱責にもなり、現場の社員たちは延々と続くお説教に辟易することもあったという。
「とりわけ定期的に開かれるイトーヨーカ堂の業務改革会議のときには、不満をぶちまける鈴木氏の独壇場になった」(イトーヨーカ堂の社員)
本誌は、今年1月に行われた業革会議の速記録を入手した。一部引用してみよう。
*
鈴木会長 全部売れない時代の中で、抜け出せば売れるんです。やればできる。売り上げが落ちることがおかしい。ヨーカドーは、落ちっぱなしじゃないか。どういうことか。言っていることを全然実行していない。
商品部に僕は(こういう商品を開発しろと)言ったことも指示したこともない。そんなこと僕の仕事ではない。君たち自身がどう実行するか。(系列店の)セブンイレブンSSも進歩がない。いまだに過去のデパートのやり方にとらわれている。でもヨーカ堂はもっとひどい。(中略)担当商圏のことを本当にわかっているのか? 机で数字をいじっているだけじゃないのか?
婦人服担当 申し訳ありません。過去のDB(データベース・マーケティング)のやり方を全部否定し、やっていきます。
鈴木会長 根拠がない同士で「これだけやったらどうだ?」って言いあっているだけ。全部失敗、やったことが。成功しているようなことを言っているが、数字をみると全部失敗、そうだろう?
*
売り上げ改善のための叱咤激励といえばそれまでだが、このような激しいダメ出しを社員に出し続ける一方で、業績を上げたとは言い難い息子の康弘氏が引き立てられることに不満を抱く社員も多かったという。セブンイレブン社員の声。
「康弘氏が担当しているインターネット事業は赤字続きです。3年ほど前、康弘氏の鶴の一声で埼玉県の久喜に大きな物流倉庫を構えたのですが、成長の見通しが甘すぎたため、注文もなくガラガラの状態です。
康弘氏が社長を務めていたセブン・ネットショッピングは赤字続きでしたが、倉庫の建設費や維持費が足を引っ張ったこともあって'14年にセブン&アイ・ネットメディアに吸収されてしまった。
傍から見たら赤字を垂れ流し続ける息子の事業を親父が引き取った、というふうにしか見えませんよ。社内ではこの倉庫にかかった数十億のカネは『子ども手当』と呼ばれています」
鈴木会長は稀代のカリスマ経営者として、日本の小売業界を引っ張ってきた。そのビジネスマンとしての才覚と先見の明は、誰もが認めるところである。
それほどの経営者であっても、自らの息子には厳しくなりきれない—これは人間の性なのかもしれない。例えば、以下のような不満の声は、鈴木会長の耳にまで届いていたのだろうか。かつて康弘氏の下で働いた経験のある社員が語る。
「康弘氏は会議の席ではいつも偉そうにしていて、部下の報告が気に入らないと机を蹴飛ばすようなこともある。それに自慢話が多い。ソフトバンクに在籍していたので『俺は孫(正義)さんとツーカーの仲だよ』と吹聴したり、米国出張から帰ってくると『グーグルのラリー(社長)とも友達だから』と言ったりする。それほどの人脈があるなら、うちのネット事業をどうにかしてくれよというのが現場の本音でしたね」
井阪社長の言い分
実績のない康弘氏がトントン拍子で出世していくわけだから、いくら鈴木会長が「息子に跡目を継がせる気はない」と明言しても、周りは疑心暗鬼になる。
やがて社内に不穏な空気が流れ、鈴木会長が「許せない」と語った面従腹背の勢力も動き出すことになった。
鈴木会長は退任会見で、井阪驤黹Zブンイレブン社長が「ケンカ腰で食ってかかってきた」と語った。これまで自分の子分だと思っていた井阪氏に反抗され、創業家の伊藤家も含めて彼を担ぐ勢力が人事案を否決してしまったのだから、「裏切られた」という思いはひとしおだろう。
都内にある井阪氏の自宅前で今回の騒動について聞いた(今月19日の取締役会で、セブン&アイ社長に就任した)。
「絶対にもう、あんなこと(取締役会という密室で社長人事を決めること)はよくない。合意形成をちゃんとやりながら議論し続けるのが組織だと思います。
密室の会話については話すつもりはありません。絶対に出さない。(鈴木会長が会見で指摘したような『セブンイレブンの功績は、すべて自分のおかげだ』という尊大な発言について)私はもちろんしていません。
今後も鈴木会長と話し合う予定はありません。ただ役員室で並んで飯を食うだけです。気まずいかって? いやそんなことないですよ。真剣に(商品の)味見をしているんですから(笑)」
これからセブン&アイは集団指導体制に移行することになるだろう。40年以上にわたって流通業界のカリスマとして君臨してきた鈴木氏の胸に去来する思いは、「あいつだけは許せない」という怒りか、はたまた恬淡とした悟りの境地だろうか—。
「週刊現代」2016年4月30日号より
「核のごみ処分、海底下も 経産省案「技術的に可能性」:10万年という長さと地殻変動を考えると“海洋投棄”と同じ」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/540.html
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佐賀 玄海町長 “核のごみ”処分場受け入れるか検討[NHK]
4月27日 12時15分
原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の処分場を巡り、佐賀県玄海町の岸本英雄町長は、国が沿岸部の海底の地下も候補地の選択肢に含めるとした新しい方針を踏まえて、仮に国が玄海町を候補地として示した場合、町として受け入れるかどうか検討する考えを示しました。
原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の処分場について、国は地質や輸送のしやすさなどを踏まえて、有望な地域を示し、地元の合意を得るという手順で進めることにしていて、沿岸部の海底の地下も候補地の選択肢に含める新たな方針を示しています。
海底の地下が候補地に含められたことについて、九州電力玄海原子力発電所が立地する佐賀県玄海町の岸本英雄町長は、NHKの取材に対し「選択の余地が増えるので、われわれの議論のなかではありがたいかなという気はします」と述べました。
また、岸本町長は「玄海町周辺の海域も可能性としてはゼロではないと思う。ただ、周辺にいっぱい影響を及ぼすことになる。ここに最終処分場を造るのはなかなか厳しい」と述べました。
そのうえで、仮に玄海町を中心とした地域が国から候補地として選定された場合の対応については、「現実に原発が立地している自治体として、核のごみの問題などについて、住民の不安を取り除く作業をやらないといけない。そういう状況になれば、当然住民の皆さんにも説明会は開かないといけない」と述べ、受け入れるかどうか町として検討する考えを示しました。
玄海町の住民は
玄海町の住民からは、さまざまな反応が聞かれました。
70代の女性は「福島第一原発の事故もあったので、処分場がつくられると、事故の心配が増え、怖い」と話していました。
また、60代の男性は「原発も最終処分場も同じ場所につくってしまうと、もし事故が起きた場合、誰が管理するのか、周りの環境への影響も心配だ。処分場は原発が立地していない地域に設けるべきだ」と話していました。
玄海町の外津漁協の尾崎行雄組合長は、国や町から説明を受けてないので詳しいことは分からないとしたうえで、「一般論としては、海底となると、漁業に影響が出ないか心配する人もいるだろうし、玄海町以外の地域の漁業者などにも関係してくるので、調整は難しいのではないか」と話していました。
原子力が抱える「最大の課題」
高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」は、原子力が抱える「最大の課題」とも言われています。
「核のごみ」は、原子力発電所から出る使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムなどを取り出したあとに残る廃液をガラスで固めたもので、人が近づくと十数秒で死に至るレベルの強い放射線を出します。放射線を出す能力は時間とともに弱まりますが、天然のウラン鉱石と同程度になるまで数万年かかるため、地下300メートルより深い場所に埋める「地層処分」が行われることになっています。
しかし、世界的に見ても処分場の確保は困難で、これまでに建設予定地が決まっているのは、去年、国の建設許可が下りたフィンランドと、現在許可に向けた審査が進められているスウェーデンだけです。それ以外の国では、周辺住民の合意を得るのが難しく、処分場は決まっていません。
日本では平成12年に処分に関する法律が作られ、平成14年以降、NUMO=原子力発電環境整備機構が全国の自治体から処分場の候補地を募っていましたが、平成19年に高知県の東洋町が唯一応募しただけで、その東洋町も住民の反対などによってすぐに応募は撤回されました。
このため、国はおととし、科学的に有望な地域を示したうえで、複数の自治体に処分場の選定に向けた調査を申し入れるやり方に方針転換しました。火山や活断層の周辺を避けるなど科学的に候補地にふさわしい要件を検討し、年内にも適地とされる地域を3段階に色分けした地図で示すとしています。
これまでの検討では、海岸からおよそ20キロ以内の沿岸部は廃棄物の輸送の安全面から「より適性の高い地域」とされ、この中には沿岸の海底の地下についても選択肢に含めることになり、ことしから海底の地下の地質や海水の影響といった技術的な課題を、専門家による研究会で検討しています。
福島第一原発の事故で福島県大熊町の双葉病院から避難する最中に亡くなった2人の患者の遺族が起こした裁判で、東京地方裁判所は、東京電力に対して合わせておよそ3100万円を賠償するよう命じる判決を言い渡しました。
福島第一原発から4キロ余り離れた福島県大熊町の双葉病院では、原発事故で多くの入院患者が避難を余儀なくされ、その最中に亡くなった98歳と73歳の男性患者の遺族が東京電力に賠償を求める裁判を起こしました。
東京電力は責任の一部を認めたうえで、「2人が死亡した原因はほかにも考えられる」などとして、賠償の額を争っていました。
27日の判決で、東京地方裁判所の中吉徹郎裁判長は「2人は地震によって病院が停電したため低体温症に陥り、バスで避難する間に低体温症や持病などが悪化して死亡したと認められる」と指摘しました。
そのうえで、2人が死亡したのは原発事故のほか、地震や本人の持病の影響もあったとして、東京電力に対して2人の遺族に合わせておよそ3100万円を賠償するよう命じました。
双葉病院からの避難を巡っては、遺族が東京や福島、千葉の裁判所に訴えを起こしていて、一部は和解が成立していますが、判決が言い渡されるのは初めてです。
原告の1人で、亡くなった当時73歳の男性の義理の姉は「原発事故さえなければ、弟は今でも生きていられたはずで、助けてあげられなかったことが本当に悔しいです。判決は一つの区切りですが、寂しさはずっと消えません。弟の墓参りに行って、判決について報告したいです」と話しています。
東京電力は「判決の内容を確認したうえで引き続き真摯(しんし)に対応します」とコメントしています。
双葉病院の避難では死者相次ぐ
双葉病院は福島第一原発から南西に4キロ余りの場所にあり、原発事故の当時、330人余りが入院していました。
裁判の資料などによりますと、原発事故の翌日に10キロ圏内の住民に避難指示が出されたため、自分で歩くことのできる人など200人余りが避難しましたが、寝たきりの患者などが病院に残されました。
患者は事故の5日後までに自衛隊に救出されましたが、バスで長距離の避難を余儀なくされ、その最中に亡くなる人が相次ぎました。
福島県によりますと、避難を余儀なくされた双葉病院の入院患者と近くにある系列の介護施設の入所者のうち、事故の翌月までに亡くなった人は51人に上りました。
双葉病院の入院患者などが死亡したことを巡っては、東京電力の元会長など旧経営陣3人が、検察審査会の議決を受けて業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されていて、今後、裁判で刑事責任が争われる見通しです。
原子力規制委員会は27日、北陸電力志賀(しか)原発1号機(石川県)の原子炉建屋直下の断層について、「活断層と解釈するのが合理的」とした有識者会合の報告を受理した。規制委は「重要な知見」として扱う。新規制基準は活断層の上に重要施設の設置を認めていない。北陸電は活断層でないと主張しているが、結論を覆せなければ1号機は廃炉を迫られる。
有識者会合は規制委の石渡明委員と活断層に詳しい外部専門家4人からなる。別の専門家の検証も踏まえて、「活断層の可能性は否定できない」とした昨夏の報告書案の表現を修正して結論をまとめた。活断層かどうかは、規制委が新基準に基づく審査の場で最終的に判断する。原子炉建屋直下の活断層の可能性を認める報告が受理されたのは、日本原子力発電敦賀2号機(福井県)に次いで2例目。
有識者会合で焦点になったのは、敷地内を通る8本の断層のうち3本。1号機の原子炉建屋直下の「S―1」断層は、建設時の詳細な地層のスケッチなどから活断層と解釈するのが合理的と判断した。1、2号機の冷却用配管など重要施設の直下を横切る「S―2」「S―6」も活断層の可能性を指摘した。1号機は結論を覆せなければ新基準に適合せず、再稼働できない。2号機も大規模な耐震工事などが必要となる。
北陸電は「事実誤認がある」などとして否定しており、すでに再稼働に向けた審査を申請している2号機の審査の場で争う考え。1号機も申請をめざすという。規制委は、敷地内のボーリング調査や周辺の断層の調査など追加データの提出を求め、最終的に判断する。(北林晃治)
■敦賀原発2号機、活断層と結論
一方、日本原子力発電の敦賀原発2号機について有識者会合は、2013年5月に原子炉建屋直下の断層を活断層と結論づけた。日本原電は追加調査を行い、再評価を求めたが、15年3月、「活断層の可能性がある」と改めて認定した有識者会合の報告書を、規制委が受理した。日本原電は同年11月に活断層ではないとして2号機の再稼働を目指して規制委に審査を申請。審査が続いている。
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《志賀原発》 北陸電力唯一の原発。福島第一と同じ沸騰水型炉の1号機(出力54万キロワット、運転開始1993年)と改良型沸騰水型炉の2号機(120万6千キロワット、同2006年)の2基ある。06年に営業運転中の原発として初めて、耐震性をめぐり、2号機の運転差し止めを命じる判決が金沢地裁で出たが、上級審で差し止めを求めた原告側の敗訴が確定した。
朝日新聞社
最終更新:4月27日(水)13時19分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160427-00000021-asahi-soci
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志賀原発1号機の断層「動く可能性否定できず」
4月27日 17時27分
石川県にある志賀原子力発電所1号機の下を通る断層について、原子力規制委員会の専門家会合は「将来動く可能性は否定できない」とする評価書を規制委員会に報告しました。結論が覆らないかぎり1号機は再稼働できず、廃炉になる可能性があり、今後、北陸電力の申請を受けて行われる再稼働に必要な審査での議論が焦点になります。
志賀原発1号機の下を通る断層を巡っては、北陸電力が「活動性はない」と主張していますが、規制委員会の専門家会合は去年7月に続き、先月も「将来動く可能性は否定できない」という見解をまとめ、27日に正式な評価書として規制委員会に報告しました。
評価書では、この断層の1号機の周辺部分について「12万年から13万年前の後期更新世以降に活動したと解釈するのが合理的と判断する」としています。
一方で、今回の評価が建設当時の断層のスケッチなど限られたデータに基づいていて、断層の延長線上にある1号機の南東側の調査では後期更新世以降の活動の形跡は見られないことから、より正確な評価をするにはさらに詳しい分析やデータが必要だとも指摘しています。
新しい規制基準では将来動く可能性のある断層の上に原子炉建屋など重要な施設の設置を認めておらず、結論が覆らないかぎり1号機は再稼働できず、廃炉になる可能性があります。
北陸電力は今後、1号機の再稼働に必要な審査を申請する方針で、この審査で新たに出されるデータや議論が焦点になります。
一方、1号機と2号機の原子炉につながる冷却用の配管の下にある別の断層については「将来地盤を変形させる可能性がある」としており、設備の移設や補強など大がかりな変更が必要になる可能性があります。
最大の根拠は地層のスケッチ
志賀原発1号機の下を走る「S−1」と呼ばれる断層について、専門家会合が「活動性が否定できない」とした最大の根拠は、建設当時、原子炉建屋のすぐ脇を掘って現れた地層のスケッチでした。地下の岩盤にはっきりとした亀裂があり、これを境に段差が出来ています。北陸電力は浸食によるものだと主張しましたが、専門家会合は、スケッチに書かれた周辺の地層の状態などから、12万年から13万年前の後期更新世以降に変位した可能性が否定できない、つまり「将来動く可能性が否定できない」としています。
しかし、スケッチに書かれた場所は地表付近がすでに工事で削られて、今、地層を観察することはできません。新たに行われた1号機周辺の調査では、スケッチで書かれた断層の活動性と整合するデータもありましたが、断層の南東方向の延長線上では活動の形跡はなく、スケッチ以上に決定的なデータは得られていません。このため評価書では「評価は限られた資料やデータに基づいて行われている」として、この断層の1号機の周辺部分の評価についても「後期更新世以降に活動したと解釈するのが合理的と判断する」として、現時点の解釈だという表現にしています。そのうえで、建設当時に得られた別のスケッチや写真、断層部分に含まれる鉱物のより詳しい分析など、より正確な評価をするにはさらなるデータが必要だと指摘しています。
現在、志賀原発について、北陸電力は2号機の再稼働を目指して規制委員会の審査を受けていて、1号機についても今後審査を申請する方針で、この審査で1号機の下を通る断層の議論が続けられることになります。今のところ北陸電力は断層周辺の新たな写真やスケッチは見つかっていないとしていて、結論を覆すデータを示すのは難しいのが現状です。
今後は、北陸電力が「S−1」の活動性を否定する新たなデータを提出するかどうかや、審査会合で規制委員会がどのような判断を示すかが焦点になります。
規制委 委員長「現状データでは評価書尊重」
原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「今後の審査でも、現状のままのデータだと、専門家会合の評価書が尊重されると思う」と述べ、新たなデータが示されないかぎり、結論は変わらないという見通しを示しました。そのうえで、「建設当時の新たな写真など6項目でデータの拡充を求めたが、北陸電力がそうしたデータをそろえるのは、てこずるかもしれない」と述べました。
北陸電力「審査でしっかりと主張」
北陸電力の金井豊社長は、今回の評価書について、「断層には活動性がないことをしっかりと説明してきたつもりだが、われわれの調査結果が十分に反映されなかった。今後の規制委員会の審査でもしっかりと主張を行い、それでも不十分であれば追加調査を実施することも考えたい」と話しています。
石川県と志賀町は
石川県の谷本知事は「今回の評価書は一つの手続きであり、志賀原発の安全性は原子力規制委員会で最終的に判断される。今後はデータを拡充したうえで、住民や電力会社も納得できるようなしっかりとした根拠を示して判断してほしい」と話しています。
志賀原発が立地する石川県志賀町の小泉町長は「今後の規制委員会の審査ではより正確に、確実な評価を行うためのデータが拡充され、科学的根拠に基づいた議論が行われると考えている。北陸電力はデータを丁寧に説明し、国も十分な議論を行い、住民の理解と納得が得られるよう説明責任をしっかりと果たしてほしい」とコメントしています。
ブルームバーグ通信は、原油の世界価格の上昇が、米国でのシェールオイル採掘業者の市場復帰をもたらす可能性があると伝えた。
原油価格は、2月に最安値を記録して以来、60%上昇した。
米国務省エネルギー資源局のリチャード・ウエスターデイル局長は「シェールオイルの採掘再開により、一昼夜50万バレル程度が市場に流れ込む」と見ている。
しかし市場関係者の反応は、今のところ一様ではない。テキサス州にある最大のシェールオイル採掘企業、EOG Resources Incは「市場のバランスがとれるまで、今のところ、採掘拡大はしない」としているが、Pioneer Natural Resources Co.は、今年2016年の採掘予想を増加させた。
http://jp.sputniknews.com/business/20160427/2033570.html
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ブレント原油 1バレル=45ドル突破[スプートニク日本語]
2016年04月26日 22:34(アップデート 2016年04月26日 23:20)
ロンドンのICE先物取引所では、ブレント原油先物6月の価格がモスクワ時間で14時28分までに0.47ドル(1.06パーセント)値上がりして、1バレル=44.95ドルとなった。先に価格は1バレル=45.18ドルに達した。通信社ブルームバーグが伝えた。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、WTI原油先物6月の価格が、同じくモスクワ時間で14時28分までに0.45パーセント(1.06パーセント)上昇して1バレル=43.09ドルとなった。
英石油大手ブリティッシュ・ペトロリアム社のボブ・ダドリー最高経営責任者(CEO)は、市場の需要と供給のバランスは年末までに確立される可能性があると指摘した。
「米国のオバマ氏が権力の座に着いた時、ドイツはすぐに、彼に大きな期待をかけた。しかし彼は、ドイツ人にとって失望の対象となってしまった」―ドイツの雑誌「シュピーゲル」が伝えた。
同誌の意見では、オバマ氏は、素晴らしい演説をするが、その裏付けとなる行動が無い。新聞「ウェルト」の中で彼は、ドイツのメルケル首相の難民政策を称賛したが、米国自体は、シリアからの難民およそ2500人を受入れたに過ぎない。今年その数は、1万人となる。これについてオバマ大統領は国内で、昨年米国は、自らの政治的安定をリスクにさらしながら、100万人を受入れたと述べている。
一方雑誌「シュピーゲル」は、イランの核問題に関する合意、イラクやアフガニスタンからの米軍部隊の撤退、キューバとの関係正常化など、オバマ氏の政治的勝利を評価している。
しかし、失敗例も少なくないとし、そうしたものとして「シュピーゲル」は、グアンタナモ刑務所を公約通り閉鎖できなかった事、戦争で無人機を使用し、罪もない人々を犠牲にした事、米国が世界をトータルコントロールしようとしている事を挙げた。また「シュピーゲル」は、オバマ氏が国内問題を処理できなかったとして、社会の分裂や社会的不平等を許した事、医療保険制度改革の失敗などを指摘した。
なお同誌は、最後に「オバマ氏は,世界をより良いものにしなかった。もし道徳が、国家が所有する資本だとしたら、米国は破産している」と書いている。
日本は3月、ロシアから前年同月比52.6パーセント増の182万トンの原油を輸入した。通信社ブルームバーグが、日本財務省のデータを引用して伝えた。
ロシアは3月、サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦に続いて、日本の原油輸入先で4位となった。
なお3月、日本へのイラン産原油の輸入は、前年同月比で26.9パーセント減少した。
ブルームバーグは先週、中国の税関総署の情報として、中国は3月、ロシアから前年同月比58パーセント増の465万トンの原油を輸入したと伝えた。
4月26日、チェルノブイリ原子力発電所で世界で最も恐ろしい事故が発生してから30年となる。ベラルーシの汚染地域の面積は、同国の総面積の20パーセント以上、ウクライナは5パーセント、ロシアは19地域の0.6パーセントとなった。
事故から数日後、原発周辺の30キロ圏内が立ち入り禁止区域となり、住民の退去が始まった。学者たちによると、現在圏内の平均的な放射線量は一時間あたりおよそ10ミリシーベルトで、人間の健康への有害な影響は事故直後の4分の1となった。しかし危険は今も近くに潜んでいる。道路から数歩離れた溝やコケでは、線量計の針が限界値を振り切るほど放射線量が高い。チェルノブイリ原発のイーゴリ・グラモトキン所長は、いつになったら原発周辺が居住に適した土地となるのか?との質問に、「2万年はかかる。少なくともチェルノブイリ周辺には3000年は住むことができない」と答えた。
チェルノブイリ原発の事故処理には60万人以上が参加した。当時のソ連のほぼ全地域の代表者たちが事故処理に従事した。原発では現在2500人が作業を行っている。彼らの課題は、事故が発生した4号機を覆うコンクリート製の石棺の上に新たな「アーチ」型の構造物を建設することだ。4号機の石棺は、外部要因と放射線の影響で崩壊し始めた。これは極めて危険だ。なぜならそこには今もおよそ200トンの放射性物質が残っているからだ。新たなアーチ型構造物は石棺を覆い、その部分的な解体の開始を可能とする。
チェルノブイリ原発事故後、事故の犠牲者として正式に認められたのは、急性放射線症候群で死亡した200人のみ。一方で複数の情報によると、犠牲者の数は2万5000人から30万人。放射性ヨウ素の作用によって引き起こされる甲状腺がんは、チェルノブイリ事故の身体影響の唯一の重要な指標となったが、多くの学者たちは、この結論は間違っているとの見方を示している。病気が外部被ばく及び内部被ばく線量と直接関係していることを証明するのは極めて難しい。一方で医師たちの情報によると、外部被ばく及び内部被ばくを受けた2人に1人に健康上の問題が見つかっているという。
すでに10年以上にわたって、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの被災した3カ国で、多くの国の代表者たちが、チェルノブイリ原発の事故処理作業に参加している。それは物理学者、放射線医学者、化学者、生物学者、医師、環境学者、ボランティアなどだ。日本は、診断、治療、および必要な機器の供給で多大な援助を行った。2011年3月に福島第1原子力発電所で事故が起こった時、多くの人がチェルノブイリ原発事故と比較した。この2つの事故では、特に事故の影響という点では、相違点よりも類似点の方がはるかに多い。それは立ち入り禁止区域、強制退去、子供の甲状腺がん、放射性廃棄物の処分の問題、被災者への補償、等々たくさんある。日本の学者たちが事故の様々な方面に携わるロシア、ウクライナ、ベラルーシの施設に最も頻繁に訪れたのも理由があってのことだ。
チェルノブイリ原発事故から30年。この間に人類は、放射線医学、放射線生物学、遺伝学、細胞学、免疫学などの分野でたくさんの知識を新たに得た。その基礎にあるのは、数百ないし数千もの臨床研究、実験的および理論的研究だ。残念ながらこのテーマに終わりはない。ドイツの放射線生物学研究所の学者マイケル・アーベント氏は、「世界には非常にたくさんの原子力施設がある。そしてチェルノブイリ原発やフクシマで起こったような事故が繰り返されないことを保証できる人は誰もいない。このようなリスクが存在する間は、研究を行い、地球の未来のために事故の影響を最小限にすることを学ぶことが学者たちの義務である」と述べている。
「政府が震災後これまで見せなかったほどの速さで汚染肉牛買い上げを政策化するワケ」
http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/692.html
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チェルノブイリと福島で新たな危険が発見[スプートニク日本語]
2016年04月26日 22:30
米サウスカロライナ大学の生物学者らがチェルノブイリ原発と福島第1原発の立入禁止区域における野生動物1頭あたりへの照射の影響を発表した。調査の結果は4月26日付けの「サイエンス・オブ・トータル・エンバイロメント」誌に発表されている。
調査の結果、放射性物質によって野生動物の個体数は減少し、白内障などの疾患が増えていることがわかった。
核実験に際して、医師らによって放射能を浴びた人間に白内障がおきやすい事実が指摘されていたが、今回、生物学者らは同様の症候がほかの場所に比べ、立入禁止区域に生息する鳥類、げっ歯類により頻繁に重度の高い状態で現れている事実を確認した。
チェルノブイリ・ゾーンに生息する動物には脳の縮小、腫瘍の拡大、生育能力の低下、鳥類の異常発達などもよく見られている。
中国におけるグループ企業の平均寿命は7〜8年で、中小企業の平均寿命は3年を超えない。統計によると、世界にある100年を超える長寿企業は、日本が2万2千社余り、米国は歴史こそ短いが1100社ある。これに対して中国はたったの10社余りで、最も古い企業は明代の嘉靖9年(西暦1530年)に創業された六必居だ。
無数の企業家が生まれ、同じように会社を興し経営をする。それに関わらず、なぜ中米日三カ国でかくも大きな差が生じるのだろうか。社会的環境要素を除き、筆者は次のいくつかの点から分析を試みたい。
1つ目は、本業への専念という観点だ。百年もの間続く企業は、その本業だけに専念してきた企業だ。1837年から日用品だけを販売するP&G、1886年に創業したコカ・コーラなどがその例で、他の分野に目移りすることなく本業に専念している。西暦578年創業の世界最古の企業、日本の株式会社金剛組は、40代以上にわたり寺院の建築だけに専念してきた。それに対し中国の企業はどうか。起業して間もなく不動産を始めたかと思えば金融に手をだし、儲かることなら何でもやるといった様だ。
2つ目は、極めるという観点だ。小米(シャオミー)の創設者・雷軍氏は、創設当初「究極、専念、口コミ、スピード」という理念を打ち出していたが、小米の「スピード」感のある発展に伴い、「究極」は捨てられ、「専念」は忘れ去られ、今では「口コミ」もユーザーから消えようとしている。中国の企業は常に追い越されることを恐れ、スピーディーな発展や拡大ばかりを求め、質の追求を忘れる。スティーブ・ジョブズ氏の「究極の普通」という理念がいかに偉大かが証明される。日本の金剛組も、今日まで手作業を堅持している。
3つ目は信用だ。日本の帝国データバンクが4000社を対象に行った調査によると、漢字一字で「長寿の秘訣」を表した場合、最も多かったのが「信」で、次が「誠」であった。
4つ目は、コア競争力だ。長らく栄える企業は、いずれもコア競争力を絶えず向上させている。華為(ファーウェイ)を例に挙げると、2015年に1000億元(1元は約17円)、約154億ドルを研究開発に投じている。一方、アップルが同年81億5000万ドル、グーグルが99億ドルを研究開発に投じたのと比べると、その規模の大きさが分かる。かつて世界最大のソーラー発電企業であった無錫尚徳は、創業12年で破綻。その重要な原因は、同社が精力を製品開発に注がず、低価格の製品を大量製造して価格競争に走ったことにあり、その後業界全体の衰退に繋がった。
5つ目は、人材の安易な選抜だ。中国には「富は三代続かず」という古い言葉があるが、日本では子孫の不孝による企業の衰退を防ぐため、多くの家族企業が徳と才能のある養子を選んで継承しているのだ。海鑫鋼鉄の倒産は継承と人選の失敗にその要因がある。創始者李海倉氏は暗殺により逝去し、後に息子李兆会氏が学業を辞めて帰国、会社を継承していた。しかし、彼の関心事は資本市場だけに集まり、社内に顔を出す事はなく、資産百億元の海鑫鋼鉄は2003年から2014年のたった12年間で破産宣告に至った。当時もし総経理(社長)で、人望の厚い李海倉氏の5番目の弟・李天虎氏が継承していれば、企業の運命は書き換えられていただろうと巷で囁かれた。
6つ目は資本の慎重な運用だ。上場は企業の知名度を高め、企業規模を拡大させるため、多くの起業家が上場を一つの目標に掲げる。しかし、日本では長寿企業のほとんどが非上場企業なのだ。中国の新東方の創設者である俞敏洪氏は、「上場と同時に株主への責任が生じ、規模と利益ばかりを追求することになり、物事のゆとりを失ってしまった」と上場を悔いている。華為の任正非氏は、「資本市場には入らない。大量の資本が華為に流れ込めば、企業は多元化し、華為の20年余りの秩序ある管理が崩れてしまうだろう」と強調している。飲料水大手の娃哈哈も上場していない。宗慶後社長の理由は「上場して融資を受ける必要はない」だ。老干媽創始者の陶華碧氏も「上場すれば倒産のリスクを負う」「上場は人様のお金を騙すようなもの」と上場には反対している。
「小企業は社長に頼り、中企業は制度に頼り、大企業は文化に頼る」。企業の発展は制度のデザインと文化の創造と切っても切り離せない。しかし、企業が速い発展を目標とし、お金儲けを唯一の目標としたとき、深い企業文化の蓄積が望めないだろう。当然百年企業にもなりえないだろう。(編集MI)
「人民網日本語版」2016年4月27日
アジア信頼醸成措置会議(CICA)の第5回外相会議が27、28日に北京で開催され、中国の習近平国家主席が開幕式で演説する。今回の会議は「対話により安全保障を促進」をテーマに、今後2年間のCICA協力の計画を立て、CICA発展のトップレベルデザインを一層強化する重要な会議だ。(人民日報「鐘声」国際論評)
2014年5月に中国はCICA議長国に初めて就任し、上海首脳会議の開催に成功すると共に、共通、総合、協調、持続可能というアジア安全保障観の確立を最初に打ち出した。中国側はCICA議長国就任後の2年間、上海首脳会議での合意を各国が共に実行するよう推し進め、CICAの能力開発はこの過程で強化され続け、CICAの国際的影響力も日増しに拡大した。各加盟国が中国の議長国任期を2018年まで延長することに一致して同意したことは、議長国としての中国側の取り組みが認められていることを十分に反映している。
アジアが世界経済成長の重要な原動力となって以来、国際社会はアジアの安全保障の展望に強く注目し続けている。今日のアジアは平和、発展、協力、ウィンウィンが常に地域情勢の主流であり、協議と交渉を通じて溝や紛争を解決することが域内国の主要な政策方針でもある。アジアの安全保障協力が困難を乗り越えて進み、様々な協力メカニズムも活発さを増していることを人々は見ている。だが同時に、歴史の残した問題、現実的利益の摩擦、領土権益紛争、地政学的角逐が依然アジア全体の安全保障構造に影響を与えている。ここしばらくの間、他国の脅威を故意に誇張することで軍事同盟を強化している域外国がある。侵略の歴史を反省しないだけでなく、平和の「束縛」を段階的に突破している国がある。もめ事を引き起こし続け、後ろ盾があるので怖いものがないとばかりに、地域の安定を脅かしている国がある。経済・金融安全保障、エネルギー安全保障、食糧安全保障、サイバーセキュリティーなど非伝統的な安全保障上の試練も今日のアジアで度々顕在化している。経済面の融合が進んでいるのと比べ、アジア全体の安全保障体制構築は依然明らかに後れている。
こうした時代背景の下、中国がCICA上海首脳会議で打ち出したアジア安全保障観は、地域安全保障協力の骨格構築の方向性を指し示すうえで、その意義を一層強めている。アジア安全保障観はアジアの知恵に根差し、アジアの必要性に合致しており、共に構築し、共有するウィンウィンのアジア安全保障の道をアジア各国が共に歩み出す助けとなる。共通の安全保障を追求して初めて、アジア各国の利益が融合し、安危を共にするという新たな現実に追いつくことができる。総合安全保障を追求して初めて、安全保障問題の内包と外延を拡大し続ける中で有効な安全保障ガバナンスを提供することができる。協調的安全保障を追求して初めて、紛争を平和的方法で解決し、各国の相互信頼を強化し続けることができる。持続可能な安全保障を追求して初めて、安全保障問題解決の「最大の鍵」をつかんで、安全保障上の試練を有効に取り除き、長期的な安定・平和を実現することができる。
CICAはアジアで最も広範で、参加国が最多で、代表性が最も強い地域安全保障フォーラムだ。アジア地域の安全保障協力の必要性が高い今日、CICAには広大な行動の余地がある。中国は各国と共に、引き続きアジア安全保障観を実行し、CICAの発展を力強く支持し、アジア地域の安全保障協力のたゆまぬ前進を促す。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年4月27日
オバマ米大統領は、北朝鮮政権を巨大な挑戦だと述べ、北朝鮮は予測不可能だと指摘した。
オバマ大統領は26日、米国のCBSテレビのインタビューで、北朝鮮は「かなり予測不可能であり」、指導者の金正恩氏は「かなり無責任だ」と述べた。
またオバマ大統領は、米国市民と同盟国の保護という米国の課題はそれほど簡単なものではないと述べた。
オバマ大統領は、「我々は、明らかに、私たちの兵器を使って北朝鮮を殲滅することができるだろう」と述べ、しかし人的損失の他に、重要なパートナーである韓国も被害を受ける恐れがあると語った。
朝鮮民主主義人民共和国は無責任な行動や核大国の地位を獲得しようとする試みを慎まねばならない。27日、ラヴロフ外相はこうした声明を表した。
ラヴロフ外相は第5回国際安全保障モスクワ会議で演説した中で、「朝鮮半島の状況エスカレート、また北朝鮮が国連安保理決議に表された国際社会の世論を執拗に無視していることは深い憂慮の念を起こさせる。北朝鮮側は無責任な行動を控え、核大国の地位獲得の試みは幻想であることを認識すべきだと考える」と述べた。
外相はこうした上で、米国や他の諸国は朝鮮半島の状況を北東アジアにおける自国の軍事プレゼンスの拡大に利用しようとしているが、これは危険であり、非生産的だと力説した。
ハーバード大学国際関係学部の教授で政治学者のスティーブン・ウォルト氏は、フォーリン・ポリシー誌向けの論文の中で、米国は他の国で積極的に民主主義体制を確立するのをやめるべきだとの考えを表した。
ウォルト氏は、民主主義を広めるための軍事力の行使は明らかに失敗に終わるアイデアだとの確信を示し、複数の論拠を示している。
一つは、成功した民主主義体制が外部によって確立されることはなく、民主主主義体制の確立を成功させるためには、新憲法を作成し、選挙を実施するだけでは不十分だが、米国はまさにこのような道を進んでいる。
2つ目は、外国で民主主義を確立する際の軍事力の行使は、国内の激しい反発に直面することが多々あり、厳重に武装した占領者から命令を受けるのを好む人は少ない。
その他にも、武力行使は残酷な行為の正当化につながり、専制的指導者にその影響力を強める機会を与える。
「検証なき国は廃れる:フセインに「悪魔の証明」を求めイラク侵攻支持の正当性を主張した安倍首相だが甘利斡旋利得疑惑では...」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/196.html
【シドニー=共同】オーストラリアの連邦警察は、大詰めを迎えている同国の次期潜水艦共同開発相手の選定で受注を競う日独仏の3者のうち日本が劣勢と相次いで報じられたことを巡り、情報漏えいの疑いで捜査に乗り出した。地元メディアが23日までに報じた。政府は国防省の検討結果を基に内閣の国家安全保障会議(NSC)で最終選考を進めており、週明け以降に発表されるとみられている。20〜21日に一部地元メディアが、日本の提案が候補から「除外された」、「最も弱い」などと報じた。
[日経新聞4月24日朝刊P.4]
「豪潜水艦受注できず 海洋安全保障再検討か」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/215.html
北朝鮮は27日、36年ぶりの朝鮮労働党大会を来月6日に開会すると発表し、就任から4年となるキム・ジョンウン(金正恩)第1書記を頂点とした体制が確立されたと内外にアピールするものとみられます。一方、党大会に向けた国威発揚のため、北朝鮮が5回目の核実験や、さらなる弾道ミサイル発射を強行する可能性もあり、関係国は警戒を強めています。
北朝鮮は27日、朝鮮中央テレビなど国営メディアを通じて、朝鮮労働党大会を来月6日に首都ピョンヤンで開会することを党の中央委員会政治局が決定したと発表しました。
朝鮮労働党大会は党の最高指導機関と位置づけられ、国家事業の成果を報告するとともに政策や幹部人事などを決定します。前回は、1980年10月、キム・イルソン(金日成)主席の下で5日間開かれ、のちに総書記に就任するキム・ジョンイル(金正日)氏が後継者として初めて公の場に姿を現しましたが、その後は1度も開かれず、今回が36年ぶり7回目の開催となります。
27日の発表では、キム・ジョンウン第1書記が党大会の代表に「推戴(すいたい)」されたとしたうえで、「キム第1書記の指導に従って革命偉業を完遂しようとする固い意志が示された」と強調しています。このため、北朝鮮指導部は、今回の党大会を通じて、就任から4年となるキム第1書記を頂点とした体制が名実ともに確立されたと内外にアピールするものとみられます。
一方で北朝鮮は、今月23日にSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルとみられる1発を発射したことについて、「党にささげる贈り物だ」と正当化していることなどから、党大会に向けた国威発揚のため、5回目の核実験や、さらなる弾道ミサイル発射を強行する可能性もあり、関係国が警戒を強めています。
第1書記みずから演説行う見通し
来月6日に開会する朝鮮労働党大会では、キム・ジョンウン第1書記がみずから演説を行い、幅広い政策の展望を示す見通しです。
この中でキム第1書記は、「初めての水爆実験だった」とする4回目の核実験や、「人工衛星の打ち上げ」と称する事実上の長距離弾道ミサイルの発射などを、現体制の成果として誇示するとみられます。
そのうえでキム第1書記は、核開発と並行して経済の立て直しを進める「並進路線」と呼ばれる政策の推進を再確認し、「国民生活の向上」にも取り組んでいく姿勢を強調するとみられます。
また、朝鮮労働党の規約を改正して、キム第1書記の独自色を打ち出すとともに、党幹部の人事を刷新して、大幅な世代交代を図るのではないかという見方も出ています。
さらに南北関係を巡っても、前回の党大会でキム・イルソン主席が「高麗民主連邦共和国」と呼ぶ連邦制による南北統一案を発表したことにならって、キム第1書記が具体的なビジョンを示すのかどうかが注目されます。
防衛相「挑発的行為の可能性 否定できない」
中谷防衛大臣は防衛省で記者団に対し、「北朝鮮は最近でもミサイルを発射する際に『党大会にささげる高貴な行為だ』などと発表しており、党大会に向けてさらに挑発的な行為が行われる可能性は否定できない。防衛省として情報収集・分析を進めるとともに、警戒監視に万全を期して、いかなる事態にも対応できる態勢をとっていきたい」と述べました。
北朝鮮で2001年まで専属料理人を務め、今月、4年ぶりに北朝鮮を訪問してキム・ジョンウン(金正恩)第1書記と面会した日本人男性がNHKのインタビューに応じ、キム第1書記が「戦争するつもりはないが、外交でアメリカに近づくと無理難題を押しつけてくるので、ミサイルを発射している」などと述べたことを明らかにしました。
2001年までの13年間、北朝鮮でキム・ジョンイル(金正日)総書記の専属料理人を務めた藤本健二氏は、4年前、後継者のキム・ジョンウン第1書記の招きで11年ぶりに北朝鮮を訪れたのに続いて、今月、再度、北朝鮮を訪問し、キム第1書記と面会しました。
藤本氏は27日、NHKのインタビューに応じ、その内容を明らかにしました。それによりますと、面会は藤本氏が到着した12日にピョンヤン市内の施設で行われ、キム第1書記を始め、妹のヨジョン(与正)氏や朝鮮労働党のチェ・リョンヘ(崔竜海)書記ら20人余りと食事を共にしたということです。
冒頭、第1書記は藤本氏に「ミサイルを発射したりしているわが国のことを日本はどう見ているのか」と尋ねたということで、藤本氏が「非常に悪いです」と答えると、「そうか」とうなずいていたということです。また、第1書記は「戦争をするつもりはない」としたうえで、「外交でアメリカに近づくと核の放棄などの無理難題を押しつけてくるが、われわれは絶対に折れない。だからミサイルを発射している」と述べたということです。藤本氏によりますと、こうした発言について第1書記は「公表していい」と言ったということで、今回の面会には、藤本氏を通じてメッセージを打ち出し、軍事的挑発に対する国際社会の批判をかわそうとする思惑があったのではないかとみられています。
面会は約3時間
面会は、藤本氏がピョンヤンに到着した今月12日におよそ3時間行われました。
ホテルの玄関で藤本氏が待機していると、キム第1書記が自分でベンツを運転してやって来たということで、藤本氏は、第1書記とは別の車で会場に向かったということです。面会で第1書記は、前回、4年前と同じように、握手を交わしたあと藤本氏を抱きしめたということです。
ワインで乾杯したあと、第1書記は藤本氏に「ミサイルを発射したりしているわが国のことを日本はどう見ているのか」と尋ねたということで、藤本氏が「非常に悪いです」と答えると、「そうか」とうなずいていたということです。また、第1書記は「戦争をするつもりはない」としたうえで、「外交でアメリカに近づくと核の放棄などの無理難題を押しつけてくるが、われわれは絶対に折れない。だからしかたなくミサイルを発射している」と述べたということです。藤本氏によりますと、こうした発言について第1書記は「公表していい」と言ったということで、一連の言動は、アメリカを強く意識していることをうかがわせています。
藤本氏によりますと、第1書記との間では「腹が痛いからきょうはあまり酒が飲めない」といったやり取りがあったほか、藤本氏が「高麗ホテルにラーメン店を出したい」と持ちかけると、「高麗ホテルは古い。新しく街を作っているからそこでやればいい」と応じたということです。最後に、第1書記は「困ったことがあったら何でも言ってくれ。なるべく早く北朝鮮に戻って来いよ」と声をかけたということです。
出席者は
面会に同席したキム第1書記の妹のヨジョン氏は20代後半とみられていますが、第1書記が権力を掌握して以降、指導部内で存在感を増している人物の1人です。
北朝鮮の国営メディアは、おととし11月、ヨジョン氏について「朝鮮労働党中央委員会副部長」という肩書で紹介していました。藤本氏は面会で、ヨジョン氏が思想統制や体制の宣伝を担当する宣伝扇動部の副部長の職にあることをキム第1書記から知らされたということです。また、一時期、農場に追放されたという見方が出ていたものの、ことしに入って国営メディアの報道を通じて復権したことが確認された朝鮮労働党のチェ・リョンヘ書記も同席したということです。前回、4年前の面会のときに同席したキム第1書記の夫人は姿を見せず、その理由について、第1書記は「子どもがかぜだから」と説明したということです。
藤本氏は出席者の大半と面識がなく、第1書記が「藤本の知らないやつらばかりだろう」と話す一幕もあったということで、今回の出席者からは北朝鮮が世代交代を進めていることをかいま見せています。
「正当性を国際社会に訴える意図か」
今回の面会でのキム第1書記の発言について、北朝鮮情勢に詳しい関西学院大学の平岩俊司教授は「『戦争するつもりはない』という発言は、北朝鮮側から戦争を仕掛けることはないという意味で、戦争になれば戦力的に及ばないことを理解しているはずだ。核実験やミサイルの発射は、核放棄を迫るアメリカ側の主張や米韓の軍事演習などに対抗するのがねらいで、自分たちの行為に正当性があることを藤本氏を通じて国際社会に訴える意図があるのではないか」と話しています。
TBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ」4月26日(火)放送
TBSラジオ、夕方のニュース番組「荒川強啓デイ・キャッチ!」。
本日(26日・火)、北朝鮮の故・金正日総書記の元専属料理人、藤本健二さんが出演しました。
藤本さんは今月中旬から北朝鮮を訪問し、25日に帰国。金正恩第一書記と直接面会したそうです。
※裁判傍聴芸人・阿曽山大噴火さんがインタビューした内容は、以下
-------北朝鮮に行った目的は?
目的を持っているのは正恩氏の方でしょう。
-------どういうことをやっていましたか?
初日に正恩氏とお会いしまして、一緒に会食しまして。帰るときにはすばらしいお言葉をいただきました。「いいか、藤本と私の仲だから、困ったことがあったら、私に何でもいってこいよ」と。
--------故・金正日総書記の生誕記念祭では何をされていましたか?
劇場行きましてね。歌とか踊りを見てきた。仕事に行ったんじゃありません。客として。
-------イベント以外の日は何を?
新しく作った未来通りとか、あぁいうところを全部見学しましたからね。キムチャンソン氏とずっと一緒ですからね、私の家族と。4人で行動していました。
-------日本に対する意識は読み取れたましたか?
今、共和国(北朝鮮)とアメリカはギクシャクしてますでしょ。正恩氏は言いましたよ。「今こういう仲だけども、わが国は戦争するつもりは一切ない。ただ、わが国の外交の人間がアタックすると、アメリカ側が無理難題を押し付けてくる」と。それにイラついてミサイルを上げたりして、スッキリさせるんだと。だからね、アメリカに近づきたいんですよ、共和国は。アメリカがちょっと声をかけてくれれば、丸くおさまるんですよ。
-------この時期に藤本さんが呼ばれているのは意図があるのでしょうか?
日本との仲を修復したいんだよ。だから私に特使として動いてもらいたいんだよ。私は動かないといけないね。来月も行きますよ。呼ばれましたからね。
-------来月は何があるのでしょうか?党大会?
何か起こりそうだね(笑)何があるかは知らないけど「1ヶ月以内に帰ってこいよ」とは言ってましたけどね。
-------金正恩氏からは他にどんなお話がありましたか?
私のことを、「政治家になったみたいだな」と言うわけですよ。そういう目で見ていると。私は何かを持ってくるだろうと。それを手ぐすね引いて待ってるんですよ。
-------何を期待されていますか?
安倍総理と会いたいんじゃないかと思う。私は正恩氏の心の中を見通しましたからね。
TBSラジオ
荒川強啓デイ・キャッチ!
月〜金 午後3時30分〜5時46分放送
http://news.biglobe.ne.jp/economy/0426/prt_160426_6702788558.html
北朝鮮の指導者、金正日(キム・ジョンイル)総書記の元専属料理人、藤本健二氏(仮名)は、金正恩氏を幼い頃から知っているが、今月ピョンヤンを再訪し、金正恩氏に面会した。その際、金第一書記は、藤本氏に対し「私には、米国と戦争をするつもりはない」と請け合った。27日、共同通信が伝えた。
藤本氏は、1989年から2001年まで、金正恩氏の父親で北朝鮮の前指導者、金正日総書記一家の専属料理人として働いた稀な経験を持っている。
藤本氏は、今月ピョンヤンに招待され、12日に約3時間、金正恩第一書記と食事をとりながら「面会」した。
共同通信のインタビューに応じた中で、藤本氏は、金正恩第一書記の次のような言葉を伝えた-
「私には全く、対米戦争を行う考えはない。しかし米国は、絶えず根拠のない要求を持ち出している。私には、ミサイルを打上げる以外、他の選択肢がない。」
世界の人々は、藤本氏が北朝鮮での仕事の後、書いた本を通じて、金正日総書記存命中に金正恩氏の存在について、初めて知ることになった。
5月初め、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正恩第1書記は朝鮮労働党大会を実施する構え。このことは正恩氏が自ら推し進める政治改革に朝鮮労働党メンバーの広範な層の支持を取り付けることで政権強化を図ろうとしていることを物語っている。
これについて、モスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員、アンドレイ・イヴァノフ氏は次のような考察をまとめた。
「北朝鮮の改革を開始したのは金正恩氏ではなく、その父親の金正日氏だ。金正日氏が改革を余儀なくされたのは1990年代後半、北朝鮮は旱魃だ、洪水だと様々な自然災害に見舞われたことが理由だった。こうした災害のおかげで大規模な飢餓が起こり、このために中国、ロシア、米国、韓国、日本など多くの諸国の行なった人道援助にも関わらず、天災による犠牲者の数は、西側諸国のマスコミ情報によれば数十万人とも数百万人ともされている。同時に社会主義陣営が姿を消し、それとの結びつきが断たれたことも北朝鮮経済には打撃となった。生き残るために人々はあらゆる規則、法律を侵し、事実上、民間企業活動に従事し始めた。北朝鮮政権はといえば、だまってこれを看過し、金を稼ぎ、食物を買うために市民が中国との国境を不法に越境する事実にも目をつぶった。
その結果、北朝鮮には中国製の製品、食料品が姿を現し始め、民間経営のレストラン、小規模の工場が出来始めた。だがこうした無秩序状態に終止符を打つ代わりに、2000年代の初め、金正恩(正しくは正日)氏は経済改革の開始を宣言した。正恩(正しくは正日)氏が感化を受けたのは中国、ベトナム、ロシアの事例だった。といっても当然ながらエリツィン型の経済改革ではない。プーチン型のものだ。そしてこれを韓国の金大中(キム・デジュン)大統領が支援した。かつて政権からの抑圧を受け、韓国版CIAの韓国中央情報部によってもう少しで殺害されるところだった金大中氏は、対北関係に『太陽政策』を推し進め、2000年の夏にはピョンヤンを訪れ、金正日氏と会談まで実施した。
北朝鮮は国際的な孤立状態から急速な勢いで抜け出ようとし始めた。こんな北朝鮮と外交関係を樹立しようという国は西側諸国のなかに出始めた。とはいえ、当時、ジョージ・ブッシュ政権の米国がこうしたプロセスを激しく阻害したのも事実である。というのもブッシュ大統領を取り巻く補佐官らは北朝鮮問題は交渉ではなく、喉元を絞めあげる制裁を用いて解決すべきと考える者らばかりだったからだ。米国側からの非難は改 革に反対する北朝鮮エリートの保守層の影響力を強めてしまい、おそらくはこうした者らとの戦いに疲れ、金正日氏は死期を早めてしまったのだろう。2011年12月にこの世を去った。
ところが、国内の改革反対者の抵抗、米国のあからさまな敵意、保守が政権に返り咲いた韓国の、どう考えても利口とは言えない政策にもかかわらず、政権を引き継いだ金正恩氏は改革に新たな弾みをつけた。こうしたことは、スイスのエリート校で学んだこの人物からは十分期待できたことだった。かくて北朝鮮のバラエティーショーのステージには、以前なら『米国帝国主義』のシンボルとして禁じられていたミッキーマウスやミニー、西側のスケールからしてもあまりにも短すぎるミニスカートをはいた少女歌手が登場しはじめる。また北朝鮮経済には成金が出現した。この成金らは一見、『役人』の仮面を被っているが、実際は自前の工場や企業を持つ、れっきとした経営者だ。
一言で言うならば、北朝鮮は変わりつつある。この国は民主主義の輸出国である米国のずたずたにされたユーゴスラビア、イラク、アフガニスタン、リビアのような悲惨な運命を繰り返さないために、軍備に途方もない経費を費やさざるを得ないものの、それでも新たな経済を築こうとしているのだ。
この路線を揺ぎ無いものとするために金正恩氏は今、大会を必要としている。若い指導者は西側からの多大な圧力に抗し、保守派の改革反対を克服するために与党政権党の党員らの支持を取り付けたいと望んでいる。この試みが吉とでるかどうか。ピョンヤンへ赴き、大会の様子を見てみようと思う。
中国の習近平国家主席は28日、北京で演説し、朝鮮半島情勢について「戦乱が起きることは絶対に許さない。各国は互いに刺激しないようにしてほしい」と述べ、北朝鮮にこれ以上のミサイル発射や核実験を自制するよう求めるとともに、関係国にも6か国協議の早期再開を呼びかけました。
中国やロシアなど26の国と地域が加盟するアジア信頼醸成措置会議の外相会合が28日、北京で開かれ、議長国・中国の習近平国家主席が演説しました。
アジア信頼醸成措置会議は、安全保障問題などに関するアジアの地域協力を話し合う枠組みで、習主席は朝鮮半島情勢を最初に取り上げ、先月、国連の安全保障理事会で採択された制裁決議について「中国は、安保理の常任理事国として全面的に履行する」と強調しました。
そのうえで「朝鮮半島で戦乱が起きることは隣国として絶対に許さない。各国は互いに刺激し合うのではなく、ともに努力して核問題を対話による解決の道に引き戻してほしい」と述べ、北朝鮮にこれ以上のミサイル発射や核実験を自制するよう求めるとともに、北朝鮮に加え、日米韓3か国にも6か国協議の早期再開を呼びかけました。
一方、南シナ海の問題について習主席は「中国はみずからの主権と権利を断固として守る。直接の当事国の話し合いで争いを平和的に解決する方針を堅持する」と述べ、アメリカや日本などが問題に関与しないよう改めてけん制しました。
アメリカ大統領選挙に向けた共和党の候補者選びでトップを走るトランプ氏が外交政策について演説し、アメリカ軍が駐留する日本などの同盟国には経費の負担の増額を求めていく考えを改めて強調する一方で、ロシアと中国に対しては関係の立て直しが重要だと主張しました。
野党共和党の大統領候補を決める指名争いでトップを走る不動産王のトランプ氏は、27日、首都ワシントンでみずからの外交政策について演説しました。
この中で、トランプ氏は、オバマ政権の外交政策によってアメリカの経済力と軍事力が衰えたなどと主張したうえで、もし自分が大統領に選ばれればアメリカの国益を最優先に掲げるアメリカ第一主義の外交政策を打ち出すと発表しました。
そのうえで、アメリカ軍が駐留する日本やヨーロッパなどの同盟国に対しては、「防衛にかかる費用を支払わなければならない。支払わないなら、自分たちで防衛させなければいけない」と述べ、経費の負担の増額を求めていく考えを改めて強調しました。一方で、ロシアと中国については、大きな問題があるとしながらも、「敵対関係になってはならず、共通の利益を見いだすべきだ。ロシアとの関係改善は可能だし、中国との関係を立て直すことも重要だ」と述べ、両国との関係の立て直しが重要だと主張しました。
トランプ氏は今回の演説で、オバマ政権の外交政策は失敗だったと繰り返し主張していて、大統領選挙に向けて与党民主党の最有力候補でオバマ政権の外交政策を担ったクリントン前国務長官を強く批判した形です。
専門家「アジア太平洋地域は非常に不安定に」
トランプ氏の外交政策について、ワシントンの保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所で、日本部長を務めるマイケル・オースリン氏は、NHKとのインタビューで、「アメリカの外交安全保障政策の中核は、日本や韓国、オーストラリア、NATO=北大西洋条約機構など同盟国との緊密な関係を築くことにある。トランプ氏が、その関係を変えようとするのであれば、影響は計り知れず、アメリカにとっても同盟国にとっても、衝撃的なものとなるだろう」と警告しました。
また、トランプ氏が、アメリカ軍が駐留する日本などの同盟国に対して、経費の負担の増額を求め、軍の撤退も示唆したことに対し、「仮にそうなれば、戦後70年の歴史の中で、全く経験したことがない事態となる。長期にわたって、アメリカと同盟国との関係、そして、アジア太平洋地域は非常に不安定となり、中国と北朝鮮を利する結果になるだろう」と分析しました。
また、トランプ氏が、アメリカの国益を最優先に掲げるアメリカ第一主義の外交政策を打ち出すとしていることについて、「トランプ氏は、長年、アメリカの国際社会での関与を減らしていくという考えを主張してきた。オバマ大統領もそうした方針をいくらかやってきたが、中東のシリア情勢、ウクライナ情勢、南シナ海の情勢でみられるように機能していない。トランプ氏の政策の下では、さらに悪化するだろう」と述べ、国際社会がさらに不安定になると警告しました。
北朝鮮は日本時間の28日夜、新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられる1発を発射しましたが、発射直後に爆発し、発射は失敗したとみられます。
アメリカ国防総省の当局者によりますと、日本時間の28日午後7時24分ごろ、北朝鮮が、東海岸から新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられる1発を発射したことを確認したということです。
ミサイルは発射直後に爆発し、発射は失敗したとみられるということです。
また、韓国軍の関係者は発射されたのは東部のウォンサン(元山)からとみられると話しています。
北朝鮮は28日午前6時40分ごろにも同じ場所から「ムスダン」とみられる1発を発射し、数秒後に落下したとみられており、28日だけで、ミサイル2発の発射が確認されたことになります。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160428/k10010502951000.html?utm_int=news_contents_news-main_005
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韓国国防部:北朝鮮は弾道ミサイルの打ち上げに失敗[スプートニク日本語]
2016年04月29日 01:47
北朝鮮が弾道ミサイルの打ち上げに失敗した。韓国国防部が報告した。
「北朝鮮が今日19:26、一日で2発目となる中距離弾道ミサイルを発射。ウォンサン市地区からで、タイプは「ムスダン」と見られ、おそらく失敗だった」。
同じく韓国国防部の発表では、同タイプのミサイルが同地区から朝6:40にも発射された。発射数秒後に地面に落ちたと見られるという。
http://jp.sputniknews.com/asia/20160429/2044236.html
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米政府高官 北朝鮮のミサイル発射や核実験に懸念[NHK]
4月28日 5時06分
アメリカ政府の高官は、北朝鮮が来月6日、36年ぶりとなる朝鮮労働党大会を開くのを前に、ミサイル発射や核実験を強行する可能性があるという見方を示し、北朝鮮に影響力を持つ中国に対し、圧力を強めるよう求めました。
これは、アメリカのブリンケン国務副長官が27日、議会上院外交委員会の公聴会で証言したものです。この中で、ブリンケン副長官は、国連の安全保障理事会がこれまでで最も厳しい制裁決議を採択して以降、北朝鮮が挑発行為をエスカレートさせていると指摘しました。
そのうえで、「来月6日の朝鮮労働党大会の開会を前に、新たなミサイル発射や核実験を行うことも十分考えられる」と述べ、北朝鮮が36年ぶりとなる朝鮮労働党大会を開くのを前に、弾道ミサイルの発射や5回目の核実験を強行する可能性があるという見方を示しました。さらに、ブリンケン副長官は「中国が安保理の制裁決議を徹底的に、そして、持続的に履行すべきだ」と述べ、北朝鮮に影響力を持つ中国が北朝鮮に対する圧力を強めるよう求めました。
「キム第1書記「米に対抗しミサイル発射」:料理人藤本氏に日本の対北朝鮮観を質問、妹も同席:正恩氏が車を運転し到来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/522.html
「北朝鮮の故・金正日総書記の元専属料理人、藤本健二さん出演:TBSラジオ:正恩氏は安倍首相に会いたいと思っている」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/527.html
「金正恩氏 日本からの友人に「北朝鮮は、米国と戦争するつもりはない」と語る」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/528.html
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2016.4.27 20:58更新
【北朝鮮情勢】
正恩氏「仕方なくミサイル撃っている」? 面会の元専属料理人に 日本世論にも関心[産経新聞]
今月中旬から北朝鮮を訪問していた故金正日総書記の元専属料理人、藤本健二氏は27日、東京都内で共同通信の取材に応じた。平壌で会った金正恩第1書記が「米国と戦争する気は一切ないが、無理難題ばかり押し付けてくる。だから仕方なくミサイルを撃っている」と述べたことを明かした。「日本はわが国をどう思っているのか」と日本世論に関心も示したという。
面会時には金第1書記の妹の与正氏も同席。与正氏が朝鮮労働党の宣伝扇動部副部長を務めていると第1書記から紹介されたという。同部は北朝鮮の国営メディアなどを統括する重要部署。
藤本氏は今月12〜23日に訪朝。金第1書記とは12日夕、約3時間にわたり食事を共にした。党の崔竜海書記ら約20人が同席したという。
藤本氏は金総書記の専属料理人を10年以上務め、幼少期の金第1書記とも親しかった。
http://www.sankei.com/world/news/160427/wor1604270042-n1.html
近い将来、先進国の市場では株や国債への投資収入の減少が予想されることから、老後のたくわえを行っている人々は労働年数を更に増やすか、または老後の蓄え分率を増やすか、消費レベルを下げざるを得ない。ロシアのビジネス新聞RBKがコンサルタント企業「マッキンゼー・アンド・カンパニー」の概観を引用して報じた。
マッキンゼー・アンド・カンパニーの分析によれば、欧米の投資家らにとってこれまでの30年は株や国債からの収入が今までの100年の平均値より高く、「黄金時代」だった。だが今、この「黄金時代」も終焉に近づいており、これからの10年はインフレが高まり、経済は弱体化し、収入は下がる。
専門家らはこれからの20年で欧米の株市場では収益率は4−5%ダウンし、国際市場も現在より多少低めの1%落ちる。
見方を変えれば、西側証券市場の「黄金時代」の終焉はロシアも含めた発展途上国にとってはプラスとなる可能性がある。投資家らはより収益性の高い株を探し始めるため、そのカテゴリーにまず当てはまるのが発展途上国の市場となる。
欧州の複数の国は、6月のサミットで対ロシア制裁を解除する意向。ギリシャの外交筋が伝えた。
外交筋によると、欧州の多くの国は、制裁解除をミンスク合意の履行と関係づけたが、政治家たちは次第に、ウクライナも合意を履行するべきであることを理解し始めたため、ウクライナ政府に対して「圧力がかけられており、圧力は強化される」という。
外交筋は、「イタリアは、6月に対ロシア制裁の自動延長はせず、問題は協議されると発表した。イタリア、フランス、ドイツ、オーストラリアなどが制裁解除の意向を示している。しかし別の立場を持つ国もある。それは近いうちに大統領選挙が予定されている米国だ。オバマ大統領は去り、別の大統領が現れる。しかし制裁の解除は今行う必要がある。米国の次期大統領を待つ必要はない」と述べ、「欧州の雰囲気は変化している」と指摘した。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160428/2041518.html
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フランス国会議員ら、対ロシア制裁の廃止に賛成票[スプートニク日本語]
2016年04月28日 18:33(アップデート 2016年04月28日 19:09)
フランス議会下院で木曜行われた投票で、ロシア連邦に対するEUの制裁の延長に反対するよう政府に求める野党提出の決議が可決された。
投票には98議員が参加、50票で可決となるところ、55票が集まった。
ステファン・デ・ミストゥーラ国連シリア担当特使は28日にかけての深夜、シリア政府と反体制派による協議の4月ラウンドの結果を総括した。
特使はその前、2時間にわたり、米ニューヨークで開かれた国連安全保障理事会を前にした電話会議形式で行われた作業について報告した。
特使の報告は、小さな進展があったものの、ロシアと米国が責任を持つシリアでの停戦体制が維持されなかった場合、この進展は水泡に帰する可能性がある、というものだった。
特使によると、シリア情勢は、同国での停戦体制がロシアと米国が「奇跡を起こすことに成功した」2月下旬の水準に回復するまでは、シリア政府と反体制派による協議の新ラウンド実施を無意味にするほどのレベルにまで悪化したという。
特使は、今後「さらに少なくとも2ラウンドあるいは2ラウンド」が控えているため、5月に協議を実施することを望むと指摘した。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160428/2040920.html
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シリア和平協議 いったん中断 来月中に再開の意向[NHK]
4月28日 11時49分
シリアの内戦の終結を目指す和平協議について、仲介役の国連は、停戦が危機的状況にあるため協議をいったん中断すると発表しました。関係国によって停戦の枠組みの維持を確認したうえで、来月中に協議を再開したいとしています。
シリアの和平協議はスイスのジュネーブで、仲介役の国連のデミストラ特使が政権の移行を焦点に、アサド政権側と反政府勢力側のそれぞれと個別に会談を続けてきましたが、アサド大統領の処遇を巡って双方が対立し、協議はこう着状態に陥っていました。
デミストラ特使は28日、ジュネーブで記者会見を行い、国連安全保障理事会に状況を報告したうえで協議をいったん中断すると発表しました。デミストラ特使は「シリアでは協議の期間中に戦闘が次々と起こり、27日にもアレッポの病院が空爆を受け、死者が出ている」と述べて、停戦が危機的状況にあり、協議の進行を妨げていると指摘しました。
そのうえで、アメリカやロシアなど関係国による閣僚級の会合を開催して、ことし2月に発効した停戦の枠組みの維持を確認したうえで、来月中に協議を再開したいという意向を示しました。
シリアでは、政権側と反政府勢力側の戦闘が激しさを増し、停戦の枠組みが崩壊した場合、和平協議の再開が絶望的となることから、停戦を呼びかけたアメリカとロシアによるさらなる働きかけが期待されています。
ロシア、イラン、イスラエルの関係はさらにもつれ、複雑な三角関係となっている。ガーディアン紙が報じた。
イランは、ずいぶん前からロシアとの関係改善を支持している。イランにとってロシアは、シリアのアサド大統領へのサポートに関する同盟国であり、世界のガス市場への影響に関する潜在的パートナーでもある。また防衛分野での協力も改善されており、ロシアはイランにミサイルシステムS−300を供給する方針だ。
一方でロシアとイランの間には、深刻な意見の相違も残っている。重要な意見の不一致は、ロシアとイスラエルの緊密な関係だ。なおイランはこの関係を認めることを拒否している。
イスラエル情報機関の元職員ヨッシー・アルフェル氏は、シリア問題に関するロシアとイスラエル間の調整は成功に終わり、中東の大きな戦略的変化となっていると述べた。
米上院軍事委員会のジョン・マッケイン委員長はロッキード・マーティン社の5世代戦闘機F−35プログラムをとりあげ、「スキャンダルと悲劇だ」と非難した。
マッケイン議員は議会で演説したなかで、「F−35プログラムの示した指標はかかった費用、時間、作業の質からしてスキャンダルであり悲劇だ。F−35の開発はすでに15年以上も延び延びになっている。当初の試算より費用も2倍に増えた」と指摘。
マッケイン議員は不安定なレーダー、乗員の救助システムが十分でないこと、エンジンの信頼性の低さなどF−35機にまつわる問題を列挙した。
ロッキード・マーティン社のF−35開発にはすでに1.5兆ドル近くが費やされている。
今年3月、日本の輸出高が減少したが、これはすでに6カ月連続の落ち込みだ。専門家らは、世界経済の伸びの鈍化が、日本経済の成長に刺激を与えようとする安倍首相の努力を台無しにしていると見ている。
例えば、日本の財務省のデータによれば、2月の輸出は、昨年の同時期に比べ4%、3月は7%それぞれ落ち込んだ。日本製のスチールや半導体、金属加工機器に対する需要も弱まった。これは、円が再び強くなったことの結果だ。ロシアの経済誌「エクスペルト」の分析専門家、アンナ・コロリョヴァさんは、日本経済の状況が良いと言うには程遠く、満足のいくものとは到底言えないという外国の専門家達の意見に同意し、次のように指摘した―
「ここ数か月、日本経済の状況は、悪くなる一方だ。もちろん多くの点でこれは、世界全体のグローバルリスクや世界経済の側からの圧力と関係しているが、マイナス金利によるアベノミクスの肯定的影響については言うまでもない。日銀の代表者らは、マイナス金利は、よいインストゥルメントだと言っているが、結論を出すのは明らかに時期尚早だ。マイナス金利は、融資をサポートするために導入されたが、ここ3カ月、あべこべに融資のテンポは、ここ3年間で最もゆっくりしたものへと下がってしまった。ただ運輸関連は例外で 、前年比2%増加した。
金融市場では、極めて否定的な状況が形成されている。グローバルな投資家にとって日本経済には現在、明らかにほとんど何の魅力もない。2016年初めから、外国人投資家達は、日本市場、東京証券市場から資金を引き出している。すでにそうした状況は、13週連続して続いている。1998年以来最もネガティヴな傾向だ。外国人投資家達が、460億ドルの株を売ったと言えば十分だろう。株価指数は、18%下がった。これは世界の株式市場において、イタリア市場を除けば、最も急激な下落だ。こうした外国人投資家達の信頼感の喪失は、言うまでもなく、安倍首相にとって打撃である。それは、アベノミクスにとってリトマス試験紙のようなものだ。2013年9月、安倍首相がニューヨークの証券取引所を訪れた時、彼は『日本は戻ってきた、アベノミクスに投資して下さい』という風に発言した。言葉はすべて、大変熱い調子だったが、恐らく説得力のあるものだった。実際、日本の株も、ある期間、伸びを見せた。しかし現在、投資家達は、楽観主義の根拠を益々見つけ出せなくなっている。今やアベノミクスと彼の構造改革の金融刺激戦略が、実際刺激を与えたのは投機関係者だけで、国が抱える問題を深めたに過ぎないとの懸念が広がり始めた。
対中国輸出は、この3月、7,1%落ち込んだが、日本の財務省によれば、こうした事は2カ月ぶりの事だった。最大の貿易相手国である米国への輸出も、5,1%.減った。
一方輸入の方は、3月全体でほぼ15%減った。輸入減は、すでに15カ月連続である。しかし分析専門家の中には、2017年までに日本経済が、多少とはいえ、回復を見せ始めると予想する人達もいる。しかしそうした事は、アベノミクスとは関係が無く、国際舞台での肯定的なシグナルと関係したものとなるだろう。」
最後に、アンナ・コロリョヴァさんは、次のよう締めくくった―
「世界経済の改善が進めば、日本のハイテク・知識集約型製品の需要が相変わらず高い以上、それによって、輸出及び日本製品に対する需要という形で、経済は一定の刺激を受けるだろう。日本は、他の国々と同様に、基本的にそうした方向から景気の改善を期待してよい。その際日本経済の国内的諸問題は、残ってしまう。そうした問題解決に向けた途上で多くの事がなされたとは言えないからだ。」
【ワシントン=河浪武史】米商務省が28日発表した1〜3月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率換算で0.5%増にとどまった。原油安と新興国の減速で設備投資と輸出が2期連続で減少し、個人消費も鈍化した。雇用が底堅い米経済は、中期的には2%台の成長軌道に戻るとの見方が強いが、今後の利上げ議論にも影響しそうだ。
成長率は2015年10〜12月期の1.4%から一段と減速し、市場予測の平均値(0.9%)も下回った。マイナス成長だった14年1〜3月期以来、2年ぶりの低い伸び率だ。09年夏から6年半続いた景気回復局面は、踊り場にあるといえる。
減速要因は設備投資と輸出の落ち込みだ。原油安の影響でエネルギー関連投資が大きく減り、民間設備投資は前期比年率5.9%減と2期連続でマイナスとなった。輸出も2.6%減と前期よりマイナス幅が広がった。
個人消費は1.9%増と伸び率が鈍化し、11年4〜6月期以来、約5年ぶりの低水準となった。とりわけ自動車関連の落ち込みが大きく、耐久財消費は1.6%減とマイナスに転落した。1〜3月期は世界的な株安に見舞われ、高額品の消費に強い逆風となった。
国際通貨基金(IMF)は16年も米経済は2%台の成長率を維持すると見込んでいる。失業率が5.0%まで低下するなど雇用が堅調で、個人消費を下押しした株価も足元では持ち直しているためだ。ただ、新興国経済の減速や原油安の悪影響が長引けば、企業部門の業績悪化が一段と進み、米経済が下振れするリスクは残っている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK28H55_Y6A420C1000000/?dg=1
総務省が発表した「家計調査」によりますと、先月の家庭の消費支出は、物価の変動を除いた実質で前の年の同じ月を5.3%下回って、2か月ぶりの減少となりました。2月がうるう年で1日多かった影響を考慮すると、実態としては7か月連続の減少となります。
総務省が発表した「家計調査」によりますと、先月の消費支出は、1人暮らしを除く世帯で30万889円となり、物価の変動を除いた実質で前の年の同じ月を5.3%下回りました。
消費支出の減少は2か月ぶりですが、2月がうるう年で1日多かった影響を考慮すると、実態としては減少が7か月続いたことになります。
減少となった理由は、去年4月に軽自動車税が引き上げられたことで軽自動車の販売が伸び悩んでいることや、先月中旬以降、比較的気温の低い日が多く、春物の衣類の販売が伸び悩んだことが挙げられ、GDP=国内総生産の過半を占める個人消費の不振が続いていることをうかがわせる結果となりました。
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3月消費者物価指数 5か月ぶりに下落[NHK]
4月28日 8時37分
先月・3月の全国の消費者物価指数は、原油安の影響でガソリン代や電気代などが下落したことから、変動の大きい生鮮食品を除いた指数が前の年の同じ月を0.3%下回り、5か月ぶりのマイナスとなりました。
総務省の発表によりますと、モノやサービスの値動きを示す先月・3月の全国の消費者物価指数は、天候による変動の大きい生鮮食品を除いて、平成22年を100とした指数で102.7となり、前の年の同じ月を0.3%下回りました。
消費者物価指数は、去年11月にプラスに転じて以降、プラス、または横ばいで推移してきましたが、5か月ぶりにマイナスに転じました。これは、原油安の影響で、前の年の同じ月には上昇していたガソリン代や電気代などが下落したことが主な要因です。
一方、酒類以外の食料と、エネルギーを除いた指数は0.7%上回り、平成25年10月から2年6か月連続でプラスとなりました。
また、全国の先行指標とされる今月・4月の東京都区部の消費者物価指数の速報値は、生鮮食品を除いた指数が前の年の同じ月を0.3%下回り、4か月連続でマイナスとなりました。
総務省は「エネルギー関連を除けば、物価は上昇傾向にあるという見方に変わりはない」としています。あわせて、昨年度1年間の全国の消費者物価指数も発表され、おととし4月の消費増税の影響が和らいだことなどから、前の年度と変わりませんでした。
しかし、80年代後半のように溢れたカネの国内での使い道が株式や不動産への投資に偏り、設備投資などは海外向けに行われるというような成熟期経済においては、逆に経済全体の足を引っ張る“悪性腫瘍”のような税制でしかない。
高度成長がとっくに終わり、“円高”状況で輸出企業が否応なく海外展開をせざるを得なくなった89年に「消費税」(付加価値税)を導入したのは最悪とも言える政策判断である。
付加価値税は、グローバル企業を別にすれば、“先取り給与税”であり、“債務履行税”であり、“利益税”である。
“債務履行税”という意味は次のようなものでる。
借りたお金は、稼いだ付加価値(ないし稼いだ投資利益)から返済することになるから、利益に余裕がなくぎりぎりで経営している事業者は、消費税が課されるようになると、その負担増分だけ多く付加価値を稼がなければ債務をきちんと履行できなくなる。
89年の消費税導入は、バブルが崩壊した要因の一つなのである。97年の消費税増税も、その秋に拓銀や山一証券など金融破綻を引き起こしている。
いろいろ問題はあるが、付加価値税を導入していない米国は、その点でまっとうだと言える。
※参照投稿
「消費増税1%刻みも選択肢 自民政調会長:高度成長期なら有効な手法だが現状では悪影響のレベルは結果的に同じ」
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/685.html
「消費税制は、「消費税増税+法人税減税」がセットになってこそグローバル企業の利益が大きく膨らむ仕組み」
http://www.asyura2.com/13/senkyo150/msg/762.html
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[政 その瞬間]国民生活向上へ付加価値税(70年 自民・水田政調会長) 消費税 導入の源流
「高度成長を続けてきた日本経済も成熟期に入る。所得税、法人税の自然増収は期待できなくなる」。1970年初夏、自民党政調会長の水田三喜男は党本部に政調幹部と大蔵省(現財務省)主税局長の細見卓らを集めて力説した。
同年6月、水田らは日本の消費税に相当する新税「付加価値税」を導入したばかりの欧州に向けて出発する。細見は同行する部下の内海孚(まこと)に「議員さんたちに付加価値税をあまり思い込ませないように。さりとて、その芽を摘まないように」と指示した。
のちに財務官を務める内海は当時の心境を「守り育ててきた税制に異物が入り込むことへの抵抗が主税局に根強く存在していた」と振り返っている。
戦後、日本は米国の専門家がまとめた「シャウプ勧告」に沿って、所得税と法人税などの直接税中心の税体系を築いた。水田は景気に税収が左右される直接税は「いずれ壁に突き当たる」として、税収が安定しやすい付加価値税の導入を目指していた。
欧州でまず水田らは68年に最初に付加価値税を導入したフランスを訪問。ベルギー、西ドイツ、イタリアなどを精力的に回った。帰国後、水田は「国民生活向上のための財源として付加価値税が最も妥当だ」と明言した。しかし、首相の佐藤栄作は沖縄返還に全力を傾けており、水田の思いは届かなかった。
76年、水田は付加価値税の導入を目にすることなく息を引き取った。3年後の79年、首相の大平正芳は80年度からの「一般消費税」の導入準備を閣議決定するが、党内、消費者団体などの反発を受けて断念した。87年に首相の中曽根康弘が売上税法案を国会に提出。猛反発を受けて廃案となった。
消費税を導入できたのは竹下登内閣の89年4月。水田の訪欧から約20年が過ぎていた。
=肩書は当時、敬称略
(福岡幸太郎)
◆「政 その瞬間」は政治が大きく動いた場面を検証し、象徴する言葉とともに人間模様を描きます。
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変動相場制への移行も背景
藤井裕久元財務相 水田氏は消費税の元祖だ。訪欧は日本が消費税の導入に向かううえで大きな転機だった。ドルの変動相場制への移行にも水田氏は関わったが、為替が変動すれば経済も変動する。そのときは消費税のような安定財源がないと、必ず所得税や法人税は波を打って、まともな社会保障政策もできない。見識を持った人だった。
[日経新聞4月24日朝刊P.10]
インターナショナル・アフェアーズ・エディター デビッド・ガードナー
1945年2月、米国のルーズベルト大統領はヤルタ会談からの帰途、サウジアラビアのアブドゥルアジズ・イブン・サウード国王と会った。米国がアラブ王国の安全と領土の保全を、サウジが妥当な価格での石油の供給をそれぞれ保証することを確認し、それが戦後の中東の礎石になった。
先週のオバマ米大統領のサウジ訪問では、70年続いたこの合意に綻びが生じたように見えた。シェールガスによるエネルギー革命により、米国はサウジなど湾岸諸国に頼らなくてもすむようになるだろう。オバマ氏が主導した昨年の主要国とイランの核合意も、サウジには許せない。イスラム教スンニ派のサウジは、イランや周辺のシーア派イスラム教徒を忌み嫌っている。2013年、イランとの核協議がまだ暫定的だったときでさえ、サウジは憤慨し、自らロビー活動をしてきた国連安全保障理事会の非常任理事国のポストを蹴ったほどだ。
両国の意見の相違は、01年の米同時テロに端を発する。実行犯の中心が、サウジ出身のウサマ・ビンラディンの指示を受けた同国人テロリストだったからだ。
オバマ氏はサウジの保守的なイスラム教思想がイスラム過激主義をあおり、アラブの近代化を阻んでいると見る。オバマ氏は長らく地域の緊張緩和と、サウジとイラン両国の自律的な力の均衡を訴えてきた。だが、そのような地域の緊張緩和はサウジには受け入れがたい。
サウジでは高齢のサルマン国王の息子で、30歳のムハンマド副皇太子が実権を握る。今月中旬、カタールの産油国会合で、サウジがムハンマド副皇太子の指示で増産凍結合意を破棄した一件は、サウジが抱くイランへの敵意が自国の経済利益に勝ることをはっきり示した。
サウジはオバマ氏の後継を選ぶ大統領選の行方を心配しながらにせよ、とにかくオバマ氏の退任を待っている。湾岸地域問題の米大統領顧問ロブ・マリー氏は「どこが我々の同盟国でどこがそうでないかは明白だ」と言う。否、サウジにとっては明らかではない。恐らく米国にとってもそうだろう。
(20日付、電子版)
[日経新聞4月24日朝刊P.11]
南太平洋の島国バヌアツの沖合でマグニチュード7・3の地震があった。米地質調査所が伝えた。
震源はロカトーロ市から25キロの地点。震源の深さは10キロ。
現時点では人的物的損害については明らかにされていない。
「色あせる「メード・イン・コリア」神話:独自技術不在で海外に従属:1位の外国企業まねてばかり:中国は後ろ?前?」
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/729.html
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記事入力 : 2016/04/29 10:14
革新的技術はことごとく他国へ、「先見の明」がない韓国
【特集】色あせる「メード・イン・コリア」神話
今年2月、サムスン電子は「『3次元半導体(FinFET)』技術をベースにしたモバイル用半導体の量産に成功した」と発表し「半導体の構造的限界を克服した技術的な成功」と自画自賛した。3次元の技術を導入した半導体は、従来の平面構造の製品に比べ、性能とエネルギー効率がはるかに優れている上、チップのサイズも極小化することができる。この半導体を利用すればサムスンのスマートフォンはさらに薄くなり、バッテリーの持続時間も飛躍的に伸びる。サムスンの新技術はそれほど画期的な技術なのだ。しかしこの時点で、サムスンのFinFET半導体の生産はライバル社のインテルより4年遅れていた。
実はサムスン電子はかなり前に、この技術を他社に先駆けて占有するチャンスがあった。15年前の2001年10月、イ・ジョンホ円光大教授(当時)が京畿道器興にあるサムスンの半導体事業所を訪れ、自身の開発した「3次元半導体量産技術」を公開していたのだ。イ教授はサムスン電子の役員の前で「現在の主流である2次元の平面素子では高性能の半導体開発は限界を迎える」と述べ「素子の構造を3次元にすれば、消費電力と製品のサイズを小さくできるため、性能を大幅に高められる」と訴えた。
しかし、出席した役員たちの反応は冷ややかだった。イ教授が「今、3次元半導体の技術に投資しなければ後れを取る」と主張したが、出席者たちは「先走り過ぎではないか」といったムードだったという。イ教授は結局、1年4か月後の03年2月にインテルにこの技術を提案し、以降ロイヤルティーを受け取る条件でインテルへの技術移転を進めた。インテルは11年、世界で初めてFinFETの量産に成功し、世界一の半導体企業の座を固めた。
サムスン電子の関係者は「当時はわれわれも3次元半導体技術の開発に乗り出していた」と釈明した。それに加えて当時、世界の半導体業界が供給過剰で厳しい状況に追い込まれていたという状況を考えれば、数千億ウォン(数百億円)もの開発費を要する技術をすんなりと導入するのは難しかっただろう。しかし、韓国を代表する企業各社は、新技術への果敢な投資を怠ったことで「ファーストムーバー(市場の先行者)」になるチャンスをことごとく逃してしまった。ソウル大工学部のイ・ジョンホ企画部学長は「当時、韓国の大企業のシステムでは誰がその場にいたとしても同様の結論を下すしかなかっただろう」と述べた。
企業用ソフトウエア世界第2位のドイツ企業、SAPは11年から全てのソフトウエアをビッグデータ処理技術「HANA」のプラットフォーム上で作成している。この技術は従来のハードディスクドライブ(HDD)よりも読み書き速度が数百倍速い半導体メモリに大半のデータを乗せて処理する。おかげで、以前は想像もできなかったようなスピードで大容量のデータを処理することが可能になった。SAPが昨年「HANA」を適用したビッグデータ処理用ソフトウエアで稼いだ金額は10億ユーロ(約1300億円)を超える。SAPにこのように大きな利益をもたらした技術も、元はといえば韓国で生まれたものだ。2000年にソウル大のチャ・サンギュン教授が、研究室の大学院生らと共同でデータベース(DB)処理技術を研究する過程で、この技術を開発したのだ。
■すぐに利益が出ないものには関心がない韓国
「HANA」の技術も初めからSAPの手に渡ったわけではない。チャ教授は当時、この技術を韓国で常用化しようとさまざまな努力を重ねた。韓国の大企業への接触を試みたり、自らスタートアップ(起業したばかりの企業)を立ち上げたりした。チャ教授は「当時、韓国ではITブームが起きていたが、みな即座にカネになる技術にしか関心がなかった」「『HANA』 のようなソフトウエア技術に興味を示す投資家や企業はなかった」と話した。
結局チャ教授たちは2002年、韓国を離れて米国シリコンバレーへと移った。そこでSAPに出会った。SAPは韓国からやって来た見慣れない技術に期待以上の関心を示した。近い将来ビッグデータ時代が幕を開ければ、既存の技術よりはるかに高速なデータ処理技術が必要となることを、同社は予測していたのだ。結局、チャ教授の開発した技術はSAPに売却された。
世界最大級の石油企業の一つ、フランスのトタル社が活用する最先端の地下油田探査技術も、韓国で生まれたものの残念ながら自国で確保できなかった技術だ。この技術はソウル大のシン・チャンス教授チームが08年に開発した。地下に埋蔵されている原油を、地震波を利用して探知するもので、同様の原理を利用した従来の技術よりも解像度がはるかに高く、油田探査の成功率を大幅にアップさせた。
シン教授のチームは当時、韓国の複数のエネルギー企業にこの技術の移転を打診したが、提案を受け入れる企業は1社もなかった。業界関係者は「韓国のエネルギー企業の中で直接石油を探査してボーリングする企業はほとんどないため」と説明した。最終的にこの技術は2010年、125万ドル(現在のレートで1億4000万円、以下同じ)の技術使用料と引き換えにトタル社に移転された。現在トタル社はこの技術を活用して中東や北海などで油田の探査を進めている。
■韓国が拒否し、グーグルに売却された「アンドロイド」
海外から「棚ぼた」の形で入ってきた新技術を突っぱねてしまったケースもある。外信によると、スマートフォン用オペレーティングシステム(OS)「アンドロイド」を開発したアンディ・ルービン氏は04年、アンドロイドOSを売却するためにサムスン電子と接触した。ルービン氏は韓国を訪れ「全世界のスマートフォンメーカーに無料でOSを提供し、エコシステムを構築したい」と事業戦略を紹介し、提携と投資を要請した。しかしサムスン電子の役員らはルービン氏の提案を拒否した。「わが社のエンジニア数千人でもできないことを、社員わずか6人のあなたの会社ができるというのは信じがたい」という理由だった。
韓国にアンドロイドOSを提案して断られたアンドロイド社はその2週間後、グーグルに5000万ドル(約56億円)で買収された。アンドロイドも、サムスン電子が手掛けていればグローバル化に成功していなかった可能性もある。ソニーも自社製品のグローバル化を試みたものの、何度となく失敗していた。韓国のスマートフォンメーカーのある幹部は「小さなネジすら必要のないグーグルのアンドロイド事業は現在、利益率が70%を超える。あのとき韓国がアンドロイドを買収していれば成功していたかといわれれば、それは保障できないが、少なくとも現在のようにグーグルに完全に従属するという状況は避けられただろう」と述べた。
朴淳燦(パク・スンチャン)記者 , カン・ドンチョル記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/29/2016042901057.html
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記事入力 : 2016/04/29 10:14
「韓国企業に5−10年間の長期ロードマップなし」
【特集】色あせる「メード・イン・コリア」神話
「追い求めるのはボタン押しさえすればいい技術ばかり」
短期で成果挙がらない技術投資はCEOにとって「金食い虫」
ますます広がる短期成果主義も、韓国企業が源泉技術を確保するため思い切った投資をしない原因の一つだ。2−3年の任期内に具体的な実績を出さなければならない最高経営責任者(CEO)にとって、将来の技術への投資は「金食い虫」に過ぎないというのだ。
自動車業界のあるCEOは「専門経営者にとって最も重要なのは年間実績。会社にあるのは今後2年間のロードマップだけで、5−10年の長期ロードマップは皆無の状況だ」と言った。サムスン系列企業の社長クラスの人物は「新技術投資の提案があっても、簡単には採用できない。(新技術に投資すると)すぐに会社の株価が下がると言われる」と語った。
専門家たちは、LG電子がスマートフォン事業に対する初期対応が遅れたせいでひどく苦戦しているのも、短期成果主義と関連していると見ている。2009年の「チョコレートフォン」「プラダフォン」などのフィーチャーフォン(従来の携帯電話)で大きな利益を挙げたため、スマートフォン事業への転換をためらったというのだ。事実、LG電子の社内では当時、「技術よりもマーケティングを中心にしろ」という米国的な成果主義が経営方針になっており、成功するかどうか分からないスマートフォンに思い切って投資するのを避けようとしていた。
短期成果主義が企業の研究・開発(R&D)戦略を阻む事例もある。ある自動車メーカーの研究者は「『品質マネジメント』という名目で量産技術のR&D人材ばかり集め、肝心の将来の技術については全く準備できていない。販売実績はすぐに伸ばせるが、10−20年後の市場は奪われることになる」と言った。
こうした韓国企業とは違い、トヨタは短期的成果に左右されずに、将来の市場に備える組織改革を進めている。10年後に生産する車に備える「先行技術開発組織」を量産技術開発組織から分離・独立させたのだ。また、昨年11月には米国に人工知能を研究するトヨタ・リサーチ・インスティチュート(TRI)を設立した。本社と完全に分離して独自に運営されているこの組織に、トヨタは今後5年間で約10億ドル(約1090億円)を投資する。
数年前に韓国の大企業に技術を移転したある教授は「ボタンを押すだけで、またはキーをひねるだけでできる技術ばかり追い求める今の風潮では、絶対に韓国企業は独自技術を蓄積できない」と指摘した。
朴淳燦(パク・スンチャン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/29/2016042901058.html
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記事入力 : 2016/04/29 10:14
韓国30大企業の研究開発費、昨年は減少
【特集】色あせる「メード・イン・コリア」神話
電子商取引大手のアマゾンを創業したジェフ・ベゾス氏と電気自動車メーカー、テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は10年以上も宇宙開発に没頭している。「宇宙観光ツアー」という壮大な目標を掲げたベゾス氏は、これまでに5億ドル(約550億円)を投資したとされる。マスクCEOも約10億ドル(約1100億円)をつぎ込んだ。現在は底が抜けた水がめに水を注いでいるようにも見えるが、こうした投資が新たな技術や世の中を変える革新を生むのだ。
一方、韓国はこうした未来技術に対する投資どころか、これまで進めてきた研究開発でさえ停滞しているありさまだ。全国経済人連合会(全経連)が今年初め、30大企業グループの研究開発費を調査した結果、昨年は31兆7000億ウォン(約3兆600億円)で、前年(32兆2000億ウォン)に比べ、5000億ウォン減少した。2010年から2桁台の伸びを示してきた投資額が減少に転じた格好だ。30大企業の今年の研究開発費も前年比0.3%増の31兆8000億ウォンにとどまる見通しだ。
韓国企業の研究開発投資は、世界的企業と比較にならない。売上高に占める研究開発費の割合は、フェイスブック(26.5%)、グーグル(16.4%)、マイクロソフト(13.6%)など軒並み10%を上回る。これに対し、サムスン電子の研究開発費は昨年、売上高の7.5%、現代自動車は2.4%だった。サムスン電子と現代自はそれでもましな方で、重厚長大産業の研究開発費はさらに割合が低い。造船世界ビッグスリーのサムスン重工業、現代重工業、斗山重工業の研究開発費は売上高の0.5〜3.51%で、建設大手10社のうち、研究開発費が売上高の1%を超えるのは現代建設1社だけだ。
金城敏(キム・ソンミン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/29/2016042901055.html
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記事入力 : 2016/04/29 10:14
危機局面で研究開発削減、好況時に苦戦する韓国企業
【特集】色あせる「メード・イン・コリア」神話
昨年12月、斗山インフラコアの研究開発(R&D)部門に務めていた研究員Aさんは「希望退職」という形で会社を去った。Aさんは「研究職に事務職より数百万ウォン多い年収を保証し、R&Dに総力を挙げるという言葉を信じ、5年前に入社した」と話した。斗山インフラコアは当時、中国の蘇州工業団地に新工場を建設し、中国の掘削機市場で日本のコマツに次ぐ2位まで浮上した。
しかし、2014年に三一重工など中国メーカーの攻勢で、斗山インフラコアのシェアが半分にまで落ち込むと、社内の雰囲気が一変した。昨年には平社員と代理クラスを含む事務職3000人全員を対象に希望退職を募った。緊縮経営の嵐に最もさらされたのは研究開発部門だ。12年に新設された技術本部が3年で解体され、退職者(1659人)のうち565人(約34%)を研究開発担当者が占めた。
■研究開発から削減する韓国企業
韓国企業が世界市場をリードする技術を確保できない点をめぐり、危機局面で真っ先に研究開発分野を縮小する経営慣習にも大きな責任があるとの指摘がある。会社の経営が少しでも悪化すると、優秀な研究開発人材が会社を去り、新技術開発が断絶するとの指摘だ。そして、好景気が訪れても、新技術不在で再び業績不振に陥るという悪循環を繰り返す。
これは研究開発部門をリストラで最も後回しにする世界的企業と対照的だ。米国のモバイル機器用半導体メーカー、クアルコムは、業績に関係なく、年間売上高の20%を研究開発に投資し続ける。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は08年の金融危機当時にも年間10億ドル(1,100億円)の人材教育予算に手を付けなかった。
危機に際し、研究開発組織を真っ先に縮小するのは今に始まったことではない。13年に解体されたSTXグループは11年5月、グループの戦略に沿った開発を行い、実行に移すシンクタンクとして、「STX未来研究団」を設けたが、会社が経営危機に直面すると、わずか1年後の12年6月に組織を廃止した。
サムスンも昨年、業績不振に陥ると、グループ再編の過程で、長期的な研究を行う「サムスン綜合技術院」を大幅に縮小。「デジタル・メディア・コミュニケーション(DMC)研究所」も所属していた2000人の3分の2以上を一線部署に配置転換し、事実上組織をなくした。SKイノベーションは最近5年にわたり、新事業として研究開発を進めてきたエネルギー貯蔵装置(ESS)事業の業績が上がらず、昨年撤退を決め、研究開発担当者を別の部署に配置転換した。
■「研究開発は無駄」という考えは誤り
危機に際し、研究職が真っ先にリストラされるのは、韓国企業が長期研究開発を単純なコストと認識しがちだからだ。財界20位に入る大企業の研究所長は「研究開発はカネばかりかかるという考えを持った企業経営者が多い」と指摘する。ある政府系企業の研究本部研究員は「月給は払うから、役に立たない研究プロジェクトはやめてくれ」という声も聞くという。
こんな状況だけに、技術が結実する前に研究開発を放棄するケースも出てくる。ハンファケミカルは08年、43億ウォン(約4億1,500万円)を投資し、ソウル大の玄沢煥(ヒョン・テクファン)教授らが開発した「均一ナノ粒子量産技術」の移転を受けた。医療現場で使われる磁気共鳴画像装置(MRI)の造影剤を開発する目的だった。09年には同粒子を一度に1キログラム以上生産する量産設備を完成させ、動物実験まで進めたが、昨年8月に突然開発を中断した。
同社関係者は「世界的に認められた技術だが、臨床試験に時間がかかるために放棄した」と話した。産業研究院のイ・ハング上級研究委員は「危機だからといって、研究開発を中断することは、復活の種に除草剤をまくようなものだ。韓国企業には技術開発を通じ、市場をリードしようという『先駆者のDNA』が不足している」と指摘した。
金城敏(キム・ソンミン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/29/2016042901056.html
韓国軍は28日、北朝鮮が中距離弾道ミサイル(IRBM)「ムスダン」を1日の間に2度も発射し、いずれも失敗したことを明らかにした。北朝鮮が1日に2度も弾道ミサイル挑発を試みていずれも失敗に終わったというのは、前例がない。これは、36年ぶりの労働党大会開催を来月6日に控える北朝鮮が、金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記の軍事的業績を積み上げるため、かなり焦って動いた結果だという分析が登場している。
韓国軍の消息筋は28日「北朝鮮が同日午前6時40分ごろ、元山付近からムスダンと推定される飛翔体1発を撃ったが、わずか数秒で墜落した。続いて同日午後7時26分ごろ、元山地域からムスダン1発をまたも発射したが、数キロ上昇したところで空中爆発したものと見られる」と語った。北朝鮮は、故・金日成(キム・イルソン)主席の誕生日にあたる15日に初めてムスダンを発射したが、空中爆発のため失敗していた。
韓国軍当局では、北朝鮮が15日の失敗原因を正確に究明できていない状態で、来月の労働党大会の「祝砲用」として無理に再度の発射を行い、続けざまに失敗したと分析している。韓国軍の一部からは、ムスダン発射の連続失敗で丸つぶれになった体面を取り戻すため、北朝鮮軍部が5回目の核実験を強行する可能性が高まった、という見方も出ている。金正恩第1書記は先月中旬「近日中に、核弾頭爆発試験と数種類の弾道ミサイル試験発射を断行せよ」と公に指示した。28日に北朝鮮軍部がムスダンの連続発射という無理な手を打ったのは、金正恩第1書記の圧迫があったから、という分析が多い。
ムスダンIRBMの射程は3000−4000キロで、日本全域はもちろん、西太平洋のグアム島にある米軍基地まで攻撃できる。旧ソ連のSSN6潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を改良したもので、全長は12メートル、直径は1.5メートル、重さ650キロの核弾頭を運搬できると推定されている。北朝鮮は2007年から、ムスダンおよそ40基を実戦配備しているが、試験発射は最近ようやく行われた。
ユ・ヨンウォン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/29/2016042900772.html
「豪潜水艦受注できず 海洋安全保障再検討か」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/215.html
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記事入力 : 2016/04/28 08:12
豪次期潜水艦で日本が受注失敗、背景に中国の反対か
オーストラリア政府は26日、500億オーストラリアドル(約4兆2300億円)規模の次世代潜水艦12隻の共同開発相手としてフランス国営のDCNSを選定した。これをめぐり、オーストラリア最大の貿易相手国である中国の影響力が背景にあったのではないかとの見方が浮上している。同潜水艦事業は昨年から日本、ドイツ、フランスなどが受注競争を展開し、当初は世界最大のディーゼル潜水艦建造能力を保有する日本の三菱重工業、川崎重工業のコンソーシアムが有力な受注候補となっていた。
ウォール・ストリート・ジャーナルは27日、「事業者の選定過程で最も影響を与えたのは、日本の応札に反対してきた中国だ」と指摘した。中国の王毅外相は今年2月、北京でオーストラリアの外相と会談した際、「第2次大戦を記憶し、アジア各国の感情を考慮してもらいたい。日本の兵器輸出の野心は平和憲法と一致しない」と述べた。朝日新聞は、オーストラリア政府内に日本を選べば、中国との関係が悪化しかねないとの声があったと伝えた。昨年9月に対日関係に積極的だったアボット前首相が退任し、「中国通」として知られるターンブル首相が就任したことで、オーストラリア政府が中国を意識し、日本に事業権を与えなかったとの見方だ。
オーストラリアの決定で、日本とオーストラリアによる長年の安全保障協力も打撃を受けた。日本はオーストラリアとの潜水艦共同開発で米国を含む3カ国の安保協力を強化し、南シナ海などで海洋進出を強める中国をけん制する狙いだったとみられている。
イ・ボルチャン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/28/2016042800615.html
米大統領選の候補者選びで共和党の先頭に立つドナルド・トランプ氏は27日、ワシントンで行った遊説で「米国が守ってやっている国はその費用を負担しなければならない。費用を負担しないのならば、われわれはその同盟国に対して自分で自分を守らせるよう準備しなければならない」と発言した。その具体的方策としてトランプ氏は「わたしが大統領になれば、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国とアジアの同盟国に首脳会談を求め、防衛費負担の見直しはもちろん、共同のチャレンジに向けた新たな戦略について話し合いを行う」などと述べた。適正な防衛費の負担を行わない同盟国に対し、米国は米軍撤収を含む新たな対応について検討を行う可能性があるとも解釈できる内容だ。
トランプ氏は26日、米東部5州で行われた予備選を全て制し、共和党の正式な候補者指名に必要な過半数の代議員獲得に向けて大きく前進した。この日の演説でトランプ氏が語った内容は、今後の本選挙に向けて掲げる外交・安全保障政策構想とも言える内容で、これまでのように刺激的な発言は控え、演説原稿を映し出すプロンプターをみながらこれを読み上げた。ただし演説の中で韓国を名指しすることはなく、また核武装という言葉も使わなかった。
トランプ氏は今回の候補者選びの序盤から、韓国を含む米国の同盟国に対し「安全保障にただ乗りしている」などの批判を繰り返し、「韓国は核武装を行うことで自分たちを守るか、あるいは防衛費をもっと負担すべきだ」「韓国に核の傘を提供する必要などない」などと語ることもしばしばあった。しかしトランプ氏が掲げる「アメリカ・ファースト」と呼ばれるこの外交・安全保障政策構想は、今の国際社会における現実への基本的な理解さえ欠如した矛盾だらけの内容だ。同盟国が防衛費を負担しなければ、軍事面での支援やサービスを行わないというのは、防衛とビジネスを混同していると言わざるを得ない。
トランプ氏が実際に大統領に就任したとしても、遊説の中で主張した政策を実行に移せるかどうかは疑問だ。しかし米国内で今の韓米同盟をトランプ氏のような考えでみつめている有権者が増えているのも事実だ。われわれは米国内におけるこのような動きに常に注目し、今から備えをしておかねばならない。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/29/2016042900693.html
【4月28日 AFP】21日に急逝した米歌手プリンス(Prince)さんが、死亡時に処方薬のオピオイドを所持していたと、米メディアが報じた。プリンスさんの自宅からも同じ薬が見つかっているという。検視によるプリンスさんの死因の特定はまだされていない。
米CNNは27日夜、捜査当局者の話として、オピオイドの処方薬がプリンスさんの遺体と自宅兼スタジオの「ペイズリー・パーク(Paisley Park)」から発見されたと報じた。
オピオイドは鎮痛剤として用いられる。ミネアポリス・スター・トリビューン(Minneapolis Star Tribune)紙によると、オピオイドはプリンスさんの「死亡現場」で発見されたという。情報筋が同紙に語ったところによるとプリンスさんの死とオピオイドに何らかの関連性があるのか、現在も調査が進められている。(c)AFP
末期癌患者の疼痛緩和など用法・用量を守ればそれほど害はないが、合法的麻薬として使われるようになると歯止めがきかなくなるケースも出てくる。
※関連記事
「プリンスさん、死亡時に「オピオイド」を所持 米報道」
http://www.asyura2.com/09/news8/msg/1107.html
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原因は処方薬、米で急増する鎮痛剤の依存・中毒死[日経新聞]
ワシントン支局 長沼亜紀
2016/4/29 6:30
鎮痛剤に使われる物質の一種「オピオイド」の依存症や中毒死が米国で増えている。米疾病対策センター(CDC)によると、2014年のオピオイドによる中毒死(ヘロインを含む)は過去最高の2万8647人を記録し、薬物中毒死者数の6割を占めた。1日当たり78人が亡くなっている計算だ。医師に処方された薬の服用が原因で依存になるケースも多いという。かつて都市貧困層の問題だった薬物依存が郊外や地方の白人中流層にも広がり、深刻さを増している。
シカゴ在住の元不動産仲介業者ベツィ・タリーさん(69)がオピオイドを知ったのは2001年、54歳のときだった。交通事故がきっかけで始まった慢性の腰痛で訪れた専門医から、強力なオピオイド鎮痛剤オキシコドン20ミリグラムを処方された。痛み止めとしては効果があったが、薬が切れるたびに痛みがぶり返し、さらに多くの薬を必要とするようになった。
11カ月後には280ミリグラムもの鎮痛剤が処方されるようになった。薬の効果が切れると痛みに加えてひどい吐き気や大量の発汗に襲われ、仕事もできない状態になっていた。「違法な薬を試したことがなかったのでわからなかったのだが、典型的な禁断症状だった」とタリーさんは振り返る。
深刻な薬物依存になっていることに気付き、診療施設に入院。依存を断ち切るのに7年かかったという。タリーさんは「中毒死しなくて幸運だった。処方薬を飲んでいただけなのに」と人生が狂ってしまったことにいまも怒りが収まらない。
オピオイドはケシの抽出成分やその合成化合物で、強い鎮痛、陶酔作用があり、米国では、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどが医療用麻薬として用いられている。依存を招く懸念から、長らくガンや末期の治療のみに使われてきた。しかし、1990年代中ごろに製薬会社が新薬を発表、長期使用しても安全で依存リスクが極めて少ないとして、積極的に売り込みを開始した。
同じ頃、米国疼痛(とうつう)学会など専門家団体も、患者は無用に痛みに苦しんでおり、医師はもっと積極的に痛み治療に取り組むべきだとする運動を展開。医療界の認識も変わり始め、さまざまなオピオイド鎮痛剤が腰痛、関節痛、頭痛、歯痛まで幅広く用いられるようになった。この結果、99年から2009年までに販売量は4倍に増え、並行して中毒死者数も約4倍に急増。足元でもこの傾向は続いている。
「オピオイド鎮痛剤の分子構造はヘロインと実質的に変わりない。リスクが過小評価される一方、効果が過大評価されている」と警告するのは、ジョンズ・ホプキンズ大学公衆衛生学部薬物安全・効果センターのカレブ・アレクサンダー共同ディレクターだ。「依存リスクは1%以下」との理解が浸透していたが、最近の研究ではるかに依存性が高いことが明らかになっており、逆に痛み緩和効果に疑問が投げかけられている。
「責任あるオピオイド処方のための医師団」の事務局長、アンドリュー・コロドニー医師は「医者は患者を助けようとして間違った情報に基づいて薬を処方した結果、現在の『危機』を招いてしまった」と考えている。オピオイド鎮痛剤の多くは、かかりつけ医や、歯科医など身近な医療関係者によって処方されている。CDCによると12年の処方件数は2億5900万件にのぼり、これは米国の全成人に1瓶の薬が行き渡る数だ。「あまりに安易に大量の薬が処方されており、これを変えない限りまん延は止められない」とコロドニー医師は指摘する。
処方薬による依存は、若者が自宅で親などに処方された薬を盗み飲んで始まる事例と、タリーさんのように中年層が慢性的な腰痛や頭痛を緩和するために医師から処方された結果という事例が多い。中毒死亡率を州別でみると、ウエストバージニア州、ニューメキシコ州、ニューハンプシャー州、オハイオ州など、製造業や農業に従事する人口が多い地域で高く、年齢別では45〜54歳が最も多い。鎮痛剤を多く必要とする高齢者の死亡例も増えている。
4月21日に57歳で急死した米人気ロック歌手プリンスさんの遺体からもオピオイドが検出されたと、米メディアは報じている。司法当局が死因を調査中だが、オピオイドの過剰摂取による中毒死の可能性があるとされている。
かつて薬物依存は、貧困、犯罪と結び付けて語られ、大きな社会問題として取り上げられることは少なかったが、家族を失う中流層が増えるにつれ注目されるようになり、米政府も対策に動き出した。CDCは3月、慢性の痛みの初期治療にオピオイド鎮痛剤は望ましくないとする初のガイドラインを発表したほか、米食品医薬品局(FDA)も3月、処方薬のラベルに依存、過剰摂取、死に至る危険がある点を明示するよう義務付けることを決めた。
2年前、当時26歳だった長男をオキシコドンの過剰摂取で亡くしたバージニア州在住の元連邦職員、ドン・フラタリーさん(62)は、一般市民や行政、医師に対する啓発活動に取り組んでいる。「信頼する医師が出す薬だから安全という神話がある。誰にでも起こりえる悲劇を防ぐために、正しい情報を広める必要がある」。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO99812480Z10C16A4I00000/?dg=1
株式上場から半年を迎える日本郵政がもがいている。中核のゆうちょ銀行の株価は公募価格を下回ったまま。マイナス金利で国債運用は厳しく、貯金限度額の引き上げで集まる資金をリスク資産に投資せざるを得ない。相次ぐ逆風に試練の経営が続く。
「大変苦しい船出だと思う」。日本郵政の長門正貢社長は3月の就任会見で厳しい顔を見せた。昨年11月の上場直後、アベノミクスの追い風に乗って株価は急騰。だが年が変わると、良好な市場環境は一変した。
世界的な市場動揺で急激な円高・株安・低金利が進み、ゆうちょ銀を中心に立ち上げた資産運用会社は2月、2つの投資信託のうちの1つの販売を取りやめた。ゆうちょ銀は規制で企業に融資できない。投信販売の手数料収入を柱の一つに育てたかった日本郵政には大きな痛手になった。
ゆうちょ銀とかんぽ生命保険で合計300兆円近い巨額の資産運用にも逆風が吹く。市場の動揺に加え、1月末に日銀がマイナス金利政策の導入を決定。10年物までの国債利回りはマイナス水準に沈み、いくら貯金金利を引き下げても利ざやを確保できない。
春になっても逆風は収まらない。「こんな運用環境で貯金を増やしても大丈夫か」。ライバルのメガバンク幹部からも心配の声が漏れる。
4月以降、ゆうちょ銀の貯金限度額は1000万円から1300万円、かんぽの加入限度額も1300万円から2000万円にそれぞれ増えた。だが個人顧客からお金をいくら集めても、マイナス金利下では安定した運用は難しい。「タイミングは最悪」(かんぽ生命関係者)だった。
マイナス金利政策下では増えた貯金を運用せずに日銀に預ければ、金利分の支払いが生じる。ゆうちょ銀は日銀への金利支払い分の約半分を占めるとみられる。
ゆうちょ銀の株価は22日時点で1384円。業績好転の展望は描けず、公募価格の1450円を下回ったままだ。
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「保守的な運用変える時期」 リスク投資を突破口に
「保守的な運用を変える時期だ」。10年物国債のマイナス利回りが定着した3月、かんぽ生命の石井雅実社長はリスク資産での運用を強化する決意を語った。
為替変動リスクがある外国債券などのほか、第一生命保険と提携して同生保の資産運用会社を通じて海外のインフラ事業にも投資。リスク資産を運用資産全体の1割まで増やす計画だ。
ゆうちょ銀も同じだ。2016年3月末のリスク資産は60兆円に達し、運用資産の約3割を占める。外債に加え、未公開株や不動産投資信託(REIT)など、よりリスクの高い資産にも投資対象を広げる考えだ。
「国内が低金利なので他の収益機会を探さざるを得ない」。長門社長率いる日本郵政は資産運用強化のため、ゴールドマン・サックス証券の副会長を務めた佐護勝紀氏をゆうちょ銀の運用担当の副社長に据えるなど体制強化に本腰を入れる。
「最も身近で信頼される銀行へ」。ゆうちょ銀はこれまで全国隅々に展開する郵便局で貯金を集め、国債で運用。地元の安全な金融機関として信頼を築いてきた。
だが日銀が生み出したマイナス金利時代はこうした姿勢を認めず、リスク資産への投資を迫る。上場した日本郵政は株主の監視下でリスク管理能力を磨くしかない。ゆうちょ銀株が公募価格を上回れないのは市場の信認を十分に得られていない証しでもある。
株価低迷はゆうちょ銀やかんぽ生命の経営を縛る要因になる。市場で売り出した株式はそれぞれ11%ずつで、事実上の国有状態。新規事業には金融庁と総務省の認可が必要で時間がかかる。
ただ金融2社株の売却収益は事実上の復興財源で、財務省は「株価が低迷するなかで売るのは認められない」(幹部)との立場だ。追加売却の見通しは立たず、日本郵政が真の民営化を果たすまでの道のりはなお見えない。
(山崎純)
[日経新聞4月25日朝刊P.5]
【パンガシナン(ルソン島北部)=佐竹実】5月9日投票のフィリピン大統領選挙まで2週間となった。6年に1度の選挙の最大の争点は、アキノ政権下の高成長を維持できるかどうかだ。4候補による混戦が続く中、犯罪の一掃を掲げるダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)が過激な発言で注目されている。外交政策次第では中国が軍事化を進める南シナ海情勢にも影響するだけに、選挙戦の動向が注目される。
24日にパンガシナン州で開かれた候補者による公式討論会で、ドゥテルテ氏は「不正を正し平和な国をつくる」と主張した。自前の「暗殺団」を用いてダバオの治安を改善したとされる同氏は、「大統領になっても犯罪者は法の範囲内で殺害する」と公言し、世論調査で僅差でトップに立つ。
有権者の一部は、経済や外交よりも身近な犯罪に関心が向いている。アキノ政権でも解消できない経済格差が犯罪の温床となっているためで、同氏のリーダーシップに期待する人が増えている。
だが最近では過激な発言が裏目にも出る。レイプ犯罪の被害者をジョークにしたことについて、米国とオーストラリアの駐比大使が批判した。これにドゥテルテ氏は「黙れ。俺が大統領になったら両国との関係を切ってもいい」と反論した。
フィリピンは南シナ海の領有権を巡って中国と争う。現政権は米国など同盟国との関係を深めるが、次のリーダーが関係を悪化させれば、地域のパワーバランスに変化をもたらしかねない。
同氏は地方の権限を強める連邦制を主張するが、経済についての言及はそれほど多くない。世論調査で2位の上院議員のグレース・ポー氏(47)は討論会で、「法人税を引き下げ雇用を作り出す」「地下鉄など公共鉄道を充実させ、渋滞担当相を置く」と主張した。無所属ながら汚職撲滅を進めたアキノ政権の基本路線を引き継ぐ考えを示しており、外交では「南シナ海は中国の水族館ではない。同盟国との関係が重要だ」と語った。
捨て子だったポー氏は、幼い頃に国民的俳優フェルナンド・ポー氏の養子となった。上院で汚職を追及するなど清廉なイメージが強い。米国暮らしが長いため出馬資格に疑義が付いたが、最高裁が3月に正式に認めた。
マヌエル・ロハス前内務・自治相(58)は討論会で「経済特区にさらなる優遇を与える」と述べ、雇用創出のために外資誘致を優先する考えを示した。ジェジョマル・ビナイ氏(73)も雇用が重要とした上で、「住宅や医療、無料の教育を提供する」と主張した。いずれも20%前後の支持率を維持しており、4人に大差は付いていない。経済成長の維持だけでなく地域の安全保障にも関わる選挙戦は、残り2週間の情勢から目が離せない。
▼フィリピンの大統領選挙 マルコス長期独裁政権の反省で大統領は任期6年で再選が禁じられており、外資から評価の高い現職のアキノ大統領は6月末で退任する。約6千万人にのぼる有権者による直接選挙で、政策よりも人気が重視される傾向がある。副大統領選挙も同時に実施される。正副大統領はセットで選挙戦に臨むが、投票は別々のため、現在のビナイ氏のように対抗陣営から副大統領が選出されることがある。
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経済政策、方向性は維持 現政権に評価、今年6%成長へ
【パンガシナン(ルソン島北部)=佐竹実】フィリピンは東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも比較的堅調な経済成長を維持している。アジア開発銀行(ADB)は、2016年の成長率は6%、17年は6.1%と予想する。先進国の景気回復の遅れや中国の経済減速が影響する中でも、ADBは「消費と投資が経済を支えている」と評価する。
好調な経済の礎を作ったのが、10年に誕生したアキノ大統領で、就任以来おおむね6%程度の成長を維持してきた。汚職撲滅を掲げて財政を改善させ、外資から評価されたことが大きい。
成長を持続する上で、次の大統領が誰になっても経済政策の方向を大きく変えることは難しい、というのが進出する日本企業を含めた大勢の見方だ。HSBCのエコノミスト、ジョセフ・インカルカテラ氏は「各候補の主張は、おおむねアキノ政権の経済政策から外れていない。政権運営や財政の改善などが大幅に変わることは考えにくい」と指摘している。
[日経新聞4月25日朝刊P.7]
熊本県を中心に続く地震で、震源域が連鎖するように広がった異例の展開を説明する専門家の分析が相次いでいる。全地球測位システム(GPS)の解析では、九州地方でひずみが蓄積しやすい帯状の地域と今回の震源域が一致。被害が大きい建物の周辺には、未知の活断層が見つかった。過去の内陸直下型地震とは違い、観測史上初めて震度7が連発するなど想定外の現象の解明を急ぐ。
■年最大1センチ押し合う地殻
京都大学の西村卓也准教授らは全国約1300カ所のGPSデータをもとに、九州地方を横断する震源域にひずみが蓄積しやすい状態だったとする解析結果をまとめた。京都大学で22日開いた研究会で発表した。
地震前のデータからは大分県を含む地域は西に、熊本県を中心とする地域は南に移動していた。詳しく解析すると、九州を横切るように地殻が2つに分かれて押し合っているように見えるという。
この2つのブロックがぶつかり合う境界は年間最大約1センチメートル動いてひずみが蓄積しており、今回の震源域と重なるという。西村准教授は「地震がいつ起こるかは答えられないが、今回の震源域付近はリスクが高かったといえる」と説明した。
ただちに北海道大学や鹿児島大学などと協力し、阿蘇地方に臨時のGPS観測点を設置した。今回の地震は震源域が3カ所に分かれ、地震が起きていない地域を間にはさむ。新たな観測点で地震後の地殻の動きを詳しく調べれば「空白域が生じる理由にも答えられるのでは」と話す。
防災科学技術研究所は24日の緊急報告会で、大分県で発生した地震について、16日に熊本県で起きたマグニチュード(M)7.3の本震で別の地震が誘発され、強い揺れになったとの分析結果を発表した。
大分県内の地震計が観測した地震波を解析したところ、本震による揺れではなく、別の地点で起きた地震である可能性が高いことが分かった。
立て続けに地震波が届いており、短時間に連続して地震が起きていたとみられる。
青井真・地震津波火山ネットワークセンター長は「熊本の地震に誘発されたローカルな地震だと考えられる」と話す。さらにほかのデータで裏付けられれば、連鎖のメカニズムが分かるかもしれない。
■想定より断層長く
京都大学の林愛明教授らは16日未明の地震の震源となった布田川断層帯が従来の認識よりも北東に7〜8キロ長いことを突き止めた。阿蘇神社(熊本県阿蘇市)の大きな被害など、広い範囲で強い揺れを起こした原因とみている。林教授は「今後の防災上、大事な情報になる」という。
同じ調査で布田川断層帯の数キロメートル南に、阿蘇山のカルデラ内に続く新たな断層を発見した。一般に火山の地下は液体のマグマがあり断層が途切れるが、林教授は「地表数キロメートルの浅い部分は硬いため割れが続く可能性がある」と指摘する。
国土地理院は16日の震度7が発生した後、航空写真から布田川断層帯周辺の地表に現れた亀裂の分布を調べた。一続きの亀裂は布田川断層帯とほぼ重なっていたが、熊本県益城町付近では断層帯から延びる別の亀裂があった。地表にできたひび割れの可能性も残るが、直線上に延びる様子からは新たな活断層の恐れもある。
■火山の軽石で土砂崩れ拡大
京大の松四雄騎准教授らは阿蘇カルデラ西側の緩やかな斜面で起きた地滑りが、阿蘇山の火山活動で降り積もった軽石層の破壊が原因とする調査結果をまとめた。
空撮動画やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の情報などを集計。南阿蘇村周辺で300カ所以上の斜面崩壊が見つかり、そのほとんどが16日未明の本震によるもので、特に阿蘇カルデラの西側に集中していた。
掘削調査や過去の土砂災害などのデータをもとに分析したところ、水を含んだ軽石層が地震の揺れで壊れ、液状化によって緩斜面で地滑りが起きたと推定できた。松四准教授は「(地滑りの原因となる)軽石層がどう分布しているか把握すべきだ。今後も地震や雨などで崩れてくる可能性がある」と警戒を呼びかけている。
[日経新聞4月25日朝刊P.11]
使用済み核燃料保管・処分や六ヶ所村核燃料再処理施設など様々な問題が噴出するため、口にすることができないようだが、「核燃料サイクル」政策は、技術的にも国際政治的にも破綻したのである。
※ 関連投稿
「技術や安全だけでなく国際関係的にも破綻した「核燃料サイクル」:使用済み核燃料の最終処分に道筋をつけ原発廃止」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/503.html
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「もんじゅ」有識者会合大詰め 報告書、再稼働前提に 外部人材の活用、明記へ
高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)の運営体制を話し合う文部科学省の有識者会合の議論が大詰めを迎えた。安全管理の問題で原子力規制委員会から見直し勧告を受けていた。5月末にもまとめる報告書は、再稼働を前提に外部の監視の目が必要などとした組織改革を盛り込む方針だ。
焦点だったもんじゅの運営を担う新たな組織については、現在の運営主体である日本原子力研究開発機構を衣替えするのか、運営を原研機構から切り離すのかは今後の検討課題となる。経済産業省などと議論を急ぐ。
もんじゅは日本で原子力発電所から出た使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル政策」を進める重要施設。この20年は運転実績がほとんど無く、維持費に年間200億円かかる。存続の是非は政策の転換につながるとして幅広い議論も期待されたが、組織論にとどまる方向となった。
報告書では、望ましい組織のあり方として運営を担う部門のほかに外部の人材が運営状況を監視できる体制を導入する案などが浮上している。
もんじゅは機器の点検漏れが相次いだ。規制委は2015年11月、原研機構に運転を担う資格はないとし、文科省に対して新たな運営主体の検討を求めた。有識者会合は、新たな運営主体には責任体制を明確にするよう報告書で指摘する方針だ。委員会設置会社を取り入れた企業が参考となる。もんじゅの運営主体に当てはめると、運転など運営を担う部門とは別に、運営を監督する部門を外部人材を中心に設ける。
文科省は15年12月に有馬朗人・元東京大学学長を座長にする有識者会合を設け、規制委の勧告に対する対応を議論してきた。27日にも会合を開き、報告書の取りまとめに向けて議論を詰める。
これまでの会合で、原研機構は運転保守に関する知見の蓄積が少なく、士気が低下しているといった指摘をしている。
[日経新聞4月25日朝刊P.11]
がん研究会のがん化学療法センターは、がんの転移を防ぐ方法を見つけた。がん細胞が血中の血小板をよろいのように身にまとい、免疫細胞から逃れる性質に着目。たんぱく質でできた抗体で血小板とくっつくのを妨げる。転移しやすい肺がんや肉腫の治療を狙う。3年以内に臨床試験(治験)を始めたい考えだ。
転移しやすいがんは、血小板とくっつきやすいという。血小板は免疫細胞に異物として認識されないので、血小板の付いたがん細胞は体内を動き回りやすいとみている。
がん細胞の表面のたんぱく質が、血小板とくっつく接着剤の役割を果たしている。
研究チームは、このたんぱく質が結合する際に重要な働きを担う部分を特定した。ここにふたをするような抗体を新たに開発した。
[日経新聞4月25日朝刊P.11]
中央銀行の金融政策手段は限界に達しつつあるのか。金融市場では究極の奇策とも言える「ヘリコプターマネー」に対する関心が高まっている。21日の欧州中央銀行(ECB)理事会後の記者会見での質問にドラギ総裁は次のように説明した。
まず、3月の記者会見での「学会などで議論されている非常に興味深い概念だ」との発言の独り歩きに苦言を呈し、「言葉の解釈に本当に驚いている」と当惑の表情を見せた。その上でECBでは「考えたことも話し合ったこともない」と繰り返した。
「ヘリコプターマネー」の手法には多くの議論がある。ひとつは字義通り、中央銀行が無償でマネーをばらまくというものだ。「人民のための量的緩和」として知られる。このほか、政府の財政拡張と連携した量的緩和や、中銀が保有する国債を帳消しにすることなど、財政ファイナンスを支援するのが目的だ。
債務危機の後遺症で、欧州経済はなおデフレ転落の瀬戸際にある。ドラギ総裁はあらゆる政策手段を検討する一方、「財政政策が経済の回復を後押しする」と強調してきた。ただ、ドイツなどの支持を得られない中で、「受け入れ可能な政策手段を使い果たしつつある」(英キャピタル・エコノミクスのジェニファー・マキューン氏)。
JPモルガンのデビッド・マッキー氏は「ユーロ圏経済が大きく落ち込む事態が起きれば、ヘリコプターマネーに類似した政策が実行される可能性が高い」と指摘する。折しも、欧州では英国の欧州連合(EU)離脱懸念が高まり、新たな景気後退を招きかねないリスクをはらんでいる。
ほんの最近まで、マイナス金利ですら極端な政策手段としてみられてきたが、今では多くの中銀が採用するようになり、タブーはなくなりつつある。中銀当局者にとっては見たくない現実ではあるが、マイナス金利政策でも効果を上げられなければ、究極の奇策の発動も検討せざるを得なくなる可能性がある。
(欧州総局 黄田和宏)
[日経新聞4月25日朝刊P.12]
日銀のマイナス金利政策の影響が、年金の負担増を通じ企業収益を圧迫し始めた。長期金利の利回りがマイナス圏に下がったことで、企業が将来の年金の支払いに備えて用意する必要のある金額が増えるためだ。関連費用は判明分だけで1000億円を超えた。日清食品ホールディングスや住友不動産などで今期の関連費用が膨らむ見通しで今後、上場企業に同様の処理が広がりそうだ。
円安の一服や海外景気の減速など、企業収益を押し上げてきた追い風が弱まっている。年金負担は帳簿上の処理のため企業から現金が流出するわけではないが、日本企業の新たな重荷となる。資金調達を容易にして企業活動の活発化を狙ったマイナス金利の副作用といえそうだ。
あらかじめ将来の給付額を決める確定給付型の年金の場合、企業は従業員の将来の退職金や年金の支払いに備えて現時点で必要な金額(退職給付債務)を準備する。その際、「割引率(総合・経済面きょうのことば)」と呼ばれる利率を使って債務額を計算する。
適用する割引率は長期国債の利回りなどを基に決めており、市場金利が下がると割引率も低下する。割引率を下げると退職給付債務が増えるため、不足分を決算に反映する必要がある。反映させる時期や期間は企業ごとに異なる。
日清食品ホールディングスは2017年3月期に数十億円規模で関連費用が膨らみ、利益水準をその分押し下げそう。住友不動産では17年3月期に費用が数億円増加し、三井金属でも数十億円の費用が生じる可能性がある。システム開発のオービックは2億円前後の費用を計上する見通しだ。
既に業績に反映させた企業もある。LIXILグループは16年3月期に国内の年金関連費用が約100億円増えたことなどで、連結最終損益が200億円の赤字(前の期は220億円の黒字)に転落した。大和ハウス工業も16年3月期に関連費用849億円を特別損失に計上した。
住友林業は割引率を1.2%から0.5%程度に下げたため関連費用が115億円増えた。モスフードサービスは割引率を0.86%から0.45%に引き下げ、関連費用を1億3000万円程度計上したもようだ。
割引率の低下に加え、企業は運用する年金資産の利回り悪化にも直面している。格付投資情報センター(R&I)の集計によると、主要企業の15年度の運用利回りは5年ぶりにマイナスとなった。金利の低下は債務と資産の両方で企業業績を圧迫する可能性がある。
[日経新聞4月25日朝刊P.1]
大企業は納税の実態を説明せよ――。欧州を中心に、企業に納税情報の公開を求める動きが強まっている。英国は近く各社に納税方針のネットでの開示を義務付ける制度を施行する見通しだ。さらに「パナマ文書」発覚で租税回避行為への批判は加速、欧州連合(EU)の欧州委員会は納税額の報告義務化を提案した。日本企業も対応を迫られている。
(植松正史)
「現地で対応を検討中だが、税務情報の公開の経験がほとんどない」。英国に複数の子会社を持つオリンパスの担当者は戸惑いを隠せない。英税務当局の歳入関税庁(HMRC)が昨年12月、同国で活動する大企業に対し、納税に関する会社の方針や考え方などの情報公開を義務付ける新制度案を公表したからだ。
ネット公開義務
新制度は英国内で事業を展開し、年間売上高が英国で2億ポンド(約310億円)超か、全世界で7億5千万ユーロ(約920億円)超の企業が対象となる見込みで、該当する日本企業も少なくない。
取締役会で承認した「税務戦略」のネットでの公開義務を定め、違反すれば罰金が命じられる。現在は関連法案の微修正の段階で今年7月にも施行される見通しだ。
PwC税理士法人(東京・千代田)は1月に税務ガバナンス支援チームを新設するなど企業側からの相談受付体制を拡充した。問い合わせは相次ぎ「英国に子会社を持つ日本企業で、既に公開に向けた税務戦略を策定した社もある」という。
同法人パートナーの高島淳税理士は「一般的に日本企業は極端な節税策を取らない一方、情報開示にも消極的だった」と指摘。「新制度をきっかけに税への意識が高まる可能性もある」と話す。
各社が英国の新制度への準備に本腰を入れ始めた4月、タックスヘイブン(租税回避地)の利用実態に関する大量の内部文書「パナマ文書」が発覚。極端な節税策を講じた政治家や富裕層、企業などへの批判が高まり、欧州委員会はEU域内で活動する多国籍企業に国別の利益や納税額などの報告・公開を義務付ける制度の新設を提案した。
加盟国間に温度差があり、提案がどう決着するかは未知数だ。ただ英国の新制度以上の情報開示がEU全体で求められる展開もあり得る。
各社の胸中は穏やかでない。ロンドンの大手税理士法人は「日本企業から『欧州委員会の提案はどうなるのか』との問い合わせが相次いでいる」と明かす。欧州での売上比率が高く、昨年から英国の新制度向けの準備を進めてきたサントリー食品インターナショナルも「情勢が動いており、どう対応すべきか検討中。各国の法規の動向を見定めたい」と困惑する。
国際税務に詳しい太田洋弁護士は「多国籍企業に納税情報の開示を求める流れは以前からあり、突然始まったことではない」と指摘する。欧州は多国籍企業の租税回避策に対する批判が根強く、行政によるチェックや法規制を世界に先駆けて進めてきた経緯がある。
不買運動に発展
2012年には米スターバックスに対し英国での法人税納税額が少ないとの指摘が浮上、大規模な不買運動に発展した。その後もアップルやグーグル、フェイスブックなどの節税策がEUで問題視され、各社は追加納税などに追い込まれた。
デンマークは12年末、国内で事業展開する企業の法人税額や課税所得の公開を決定。現在はネット上のデータベースで12〜14年の情報を提供している。英国は情報開示の強化に先立って昨年、意図的な税逃れと認定した多国籍企業などに高税率を適用する、通称「グーグル税」を導入した。
各国の姿勢が厳しさを増すことに呼応して、企業側にも新しい動きが見られる。税に関する情報をあえて自主的に積極開示する企業の出現だ。
英通信大手ボーダフォンは各国別の利益や納税額、投資額などを含む50ページ以上のリポートをネットで公表。石油大手のBPや、ビール大手のカールスバーグなどは毎年の納税総額を明らかにしつつ、「納税によって地域社会に貢献している」などと訴えている。
企業の租税回避に詳しい一橋大学大学院の吉村政穂准教授(国際課税)は「欧州を中心に、企業に対して税の情報公開の流れが進むのはほぼ確実だ」と予測する。
吉村氏はさらに「日本企業はそもそも税に関する会社の統一方針がない場合が多い」と指摘。「今後、競合他社の公開状況と差が出れば『税の透明性に関して企業の姿勢が消極的だ』と批判されかねない」と取り組みの遅れを危惧している。
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国ごとで異なる税制の隙を突く
▼多国籍企業の租税回避行為 国境をまたいで事業展開する企業が、国によって異なる税制の隙を突いて行き過ぎた節税を行うこと。国内でしか活動できない企業や個人との公平さを損ねるほか、各国の税収を減らす要因になるため問題視される。
例えば、アップルが編み出したとされ、「ダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチ」と呼ばれる仕組みが有名。米国やアイルランド、オランダの法規制や条約の特性をフル活用し、米国外の利益の大半を無税で留保できるようにしたという。
スターバックスは1998年の英国進出以降、スイスやオランダの子会社を利用して法人税の大半を“節税”。フェイスブックはアイルランド法人を絡めた会計処理により、2014年の英国での法人税納付を4327ポンド(約70万円)に抑えた。いずれも世論や関係国からの厳しい批判にさらされ、自主的な追加納付や、節税策の見直しなどを余儀なくされている。
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OECDやG20も対策 EUとの整合性 課題に
多国籍企業の極端な節税策を巡っては、経済協力開発機構(OECD)や20カ国・地域(G20)首脳会議などの国際的な枠組みでも対策が進む。
リーマン・ショック後の2009年、OECDがタックスヘイブンのリストを公表。13年からはOECDとG20が連携して具体的な国際課税のルール作りに着手し、「BEPS(税源浸食と利益移転)行動計画」の最終報告書をまとめた。
行動計画は国際間取引への課税ガイドラインなど15項目。多国籍企業が各国の税務当局に、国別の利益・納税額の報告文書を提出する仕組みも盛り込んだ。
ただ「企業の機密情報が流出する危険がある」と反発も強い。米内国歳入庁(IRS)はむしろ、国際間の金融口座のチェック強化を優先させたいなど、各国には温度差もあり、報告内容は各国税務当局内で慎重に扱われることになった。
OECDが各国当局への報告を求める一方、パナマ文書問題を受けてEUが打ち出した案は、納税情報の公開も求めている点が異なる。日米の経済界を中心に「OECDのルールと違う」などと反発も広がっており、今後、整合性が図られるか動向が注目される。
[日経新聞4月25日朝刊P.13]
クリントン氏の大統領選の勝利は、第三次世界大戦の勃発も含め予想外の結果をもたらす可能性がある。クリントン氏の自叙伝の著者ディアナ・ジョンストン氏がイタリア紙イオ・ジョルナーレのインタビューで語った。
ジョンストン氏は、クリントン氏がまだ国務長官に在任していた頃、押しの強い外交政策を掲げていたと指摘した。クリントン氏はアメリカのイラク侵攻及びリビアでの戦争参加を支持し、そして現在はシリアのバッシャール・アサド大統領に反対する姿勢を支持している。
これに加えクリントン氏は反ロシア的見解に固執している。
ジョンストン氏によると、世界は不安を呼び起こすような選挙公約を掲げるクリントン氏の「積極的な活動」に対して用心するべきだという。クリントン氏は外交の代わりに軍事力を用い、あらゆる事件が第三次世界大戦を引き起こしかねないほどにNATOを強化するつもりである。
現代化されたロシアの潜水艦隊がアメリカ軍を苛立たせている。新たな無音技術によってロシアの潜水艦がほぼ無敵となっているためだ。
「ソ連の潜水艦は多くの優れた点を有していた。それらは速く、またより深く航行することができた。だが欠点として騒音の問題があり、追跡が容易であった」とCNNは伝えた。
CNNはまた、新しいヤーセン型潜水艦は今後より無音に近づき、アメリカ軍にとって状況は一層困難なものになるだろうと指摘。
CNNはさらに、ロシア海軍の存在感が黒海や地中海地域、太平洋で強まることはアメリカ政府を警戒させるだろうと強調した。
「病院誤爆 看護師が当時の様子語る:クンドゥズ、建物の外で銃撃戦:タリバン兵士の治療が気に入らずに意図的に空爆だろう」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/151.html
「米軍が病院を誤爆、駐アフガン司令官が経緯説明:医療スタッフが米軍当局に誤爆を通報後も約1時間爆撃継続」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/129.html
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アフガン病院誤爆 米軍、16人処分も「戦争犯罪に当たらず」
CNN.co.jp 4月30日(土)12時59分配信
ワシントン(CNN) 米国防総省は29日、アフガニスタン北部クンドゥズで昨年10月に起きた国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」の病院誤爆事件について、米軍による調査結果を発表するとともに、軍の要員16人に処分を下す方針を明らかにした。ただ、意図的ではない人為ミスと機器の不具合が誤爆の原因となったことから、戦争犯罪には当たらないとしている。
米軍は処分理由について、病院誤爆に関与した要員の一部が交戦規定や武力紛争にまつわる法令を順守しなかったと指摘。また、処分を受ける要員の中に将官1人が含まれていることも明らかにした。
処分内容は、停職や指揮官の地位からの罷免(ひめん)、戒告のほか長期の再訓練など。米軍はこうした措置について、処分される要員の昇進にも影響を及ぼす可能性があるとしている。
一連の処分は、米中央軍のジョゼフ・ボーテル司令官がワシントンで開いた記者会見の中で発表された。
ボーテル司令官はこの中で、誤爆を戦争犯罪としなかった理由について、「包括的な調査を行った結果、一連の人為ミスに加え、手続き上の問題や機器の不具合が重なって悲劇的な事故が起きたとの結論に至った」と説明。米軍機の乗組員は病院を爆撃していることに「気付いていなかった」ともしている。
誤爆された病院はMSFが運営していたもので、標的として意図されていた反政府勢力タリバーンの支配地域から約400メートル離れていた。MSFによれば、当時100人以上の患者がこの病院に入院していたという。
MSFの中東責任者であるパブロ・マルコ氏は28日、CNNの取材に対し、MSFは当初から独立した調査を行うことを要求してきたと指摘。米国の内部調査は行われたものの、独立した調査はいまだ実現していないとして、引き続き独立調査の実施を求めていく意向を明らかにした。
ボーテル司令官によれば、米軍幹部はMSF関係者と二十数回以上にわたり会談。弔意を伝えて誤爆の経緯を説明したほか、将来の取り組みについても概要を報告したという。
今回の調査は、アフガン駐留米軍を当時指揮していたキャンベル司令官が監修。「客観的な観点を持たせるため」アフガン国外から米軍の将官3人が招かれ、調査にあたった。病院の職員ら証人65人と面談したほか、文書数千点を検証したとしている。
最終更新:4月30日(土)13時55分
【ニューヨーク=稲井創一】原油安が石油メジャーの業績を直撃している。エクソンモービルが29日発表した2016年1〜3月期決算で純利益は前年同期比63%減の18億1000万ドル(約2000億円)となった。シェブロンは2四半期連続の最終赤字だった。経営体力のあるメジャーも原油安が財務の重荷となっており、投資戦略の見直しなどを迫られそうだ。
トムソン・ロイターによると、16年1〜3月期のエクソンの純利益は四半期ベースで1999年1〜3月期以来の低水準だった。99年11月の同社発足以降、四半期ベースで最も低い水準だ。
売上高はエクソンが27%減の487億700万ドル、シェブロンが32%減の235億5300万ドルだった。米原油先物相場の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート、期近物)価格は1〜3月期に約3割下落。両社とも原油生産量は高水準を維持したものの、販売価格が大幅に下落した。
売上高の急減で固定費などが重くのしかかり、利益を圧迫した。特に米国での生産・開発の上流部門が両社ともに大幅な赤字となった。化学部門など下流部門が好調だったことで、エクソンは最終黒字を確保した。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は26日、原油安による財務への影響が避けられないとして、エクソンの信用格付けを最上位「AAA(トリプルA)」から「AAプラス」に1段階引き下げた。
一方、化学部門を持たないシェブロンの最終損益は7億2500万ドルの赤字(前年同期は25億6700万ドルの黒字)に転落した。1バレル100ドル近辺で手がけた開発案件などの減損処理が膨らんだようだ。同社は29日、2016年末までに14年末比で8000人の人員削減を目標にすることを明らかにした。
28日に1〜3月期決算を発表したコノコフィリップスも最終損益が14億6900万ドルの赤字となり、追加で投資を削減。原油安が響き、石油大手が経営戦略を見直す動きが出ている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO00285710Q6A430C1NNE000/?dg=1&nf=1
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サウジの石油採掘量、数週間内に記録的数値に[スプートニク日本語]
2016年04月30日 10:05
サウジアラビアの石油採掘量はこの先数週間で記録的数値に達する。ロイター通信が報じた。
一方でこうしたサウジの採掘量拡大でグローバル石油市場に供給過多が起きる確率は低い。産油業界の情報筋の評価ではこの夏、採掘量は日量最高でおよそ1050万バレルにまで達する恐れがある。
4月、カタールでの産油国会議でサウジアラビアがイランとの合意抜きに話し合いをまとめること拒否したため採掘レベルの凍結交渉が決裂した後、市場には急激な供給過多への憂慮が広がっているが、こうした予測はそれを和らげる可能性がある。
ロシアの石油企業「ルクオイル」総裁は同社にとって危機的な原油価格は1バレル12ドルだ、と述べた。ロシアのメディアが報じた。
「他のどの企業もそうだが、我々も投資プログラムへの費用を削減できる。全面的に削減した場合の危機的な原油価格は1バレル12ドルだ」。ドイツ紙ヴェルトのインタビューで述べた。
当面は既存の投資の影響で、産湯(油)量は2015年比でプラスマイナス1%となり、2017年は若干の削減が見込まれるという。
【北京=秋山裕之】中国訪問中の岸田文雄外相は30日午前、北京の釣魚台迎賓館で王毅外相と会談した。会談時間は約3時間20分に及んだ。9月に中国で開く20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた安倍晋三首相と習近平国家主席の会談実現に向け、両国の関係改善を探る。外相訪中は、国際会議を除くと民主党政権下の2011年11月以来。
会談の冒頭、王氏は熊本地震について「被災地の方々に対し、お見舞いを表したい」と述べた。その上で「中日関係は絶えずぎくしゃくしてきたが、その原因は日本側が一番よく分かっているのではないか」と指摘。「歴史を直視し、約束をきちんと守り、対抗ではなく協力することを基盤にしなければならない」と強調した。
南シナ海や東シナ海で海洋進出を強める中国への懸念を繰り返す日本側をけん制する狙いがあるとみられる。
岸田氏は「日中両国は大切な隣国であり、外相同士の往来が長く途絶えていることは望ましくない。頻繁に往来できる関係に戻していきたい」と呼び掛けた。「世界経済が不透明感を増しているなか、両国は互いを必要としている」とも語った。
日中関係は14年11月の安倍首相と習主席による会談で、外相同士の相互訪問の再開で合意し、日中関係の修復に向けた道筋が見えていた。ただ、南シナ海などの海洋安全保障をめぐる対立から、昨秋以降は足踏み状態が続く。王氏は岸田氏に対し、議長国として日本が5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で南シナ海問題を取り上げる方針に反対するとみられる。
中国は南シナ海で人工島を造成し、軍事化を急速に進め、東シナ海では日本との協議を中断したまま、ガス田開発を進めている。4月の主要7カ国(G7)外相会合の声明は名指しを避けながらも、中国を念頭に「現状を変更し、緊張を高めうるあらゆる威嚇的、挑発的な一方的行動に強い反対を表明」と明記した。
日中が16年の早期開催で合意した閣僚級の「ハイレベル経済対話」、東シナ海のガス田協議の再開、偶発的な衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」の運用開始は、いずれもメドが立っていない。
岸田氏は30日午後、中国ナンバー2である李克強首相や、外交トップの楊潔篪国務委員(副首相級)らとも会談する。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H5C_Q6A430C1MM0000/?dg=1&nf=1
「独立国家になるか、それとも中国の一都市になるか。選択肢は2つしかない」
香港の独立を公約に掲げる初の政党「香港民族党」を3月末に旗揚げした陳浩天代表(25)が日本経済新聞の取材に応じた。陳氏は香港に幅広い自治を認める「一国二制度」はすでに機能不全に陥っていると指摘。「われわれは中国人ではなく、香港人だ。法の支配を尊重し(公用語として)広東語を話す世界でも唯一の存在だ。こうした認識が広がれば自動的に香港は独立へと向かうだろう」と語り、香港人としてのアイデンティティーを強調した。
香港民族党は「香港共和国」の樹立を将来の目標に掲げ、9月の立法会(議会)選挙で候補の擁立を目指している。「香港独立論をテレビや新聞で宣伝する格好の機会になるし、当選すれば議員の立場で台湾や日本、韓国を訪れて独立への支持を訴えられる」。中心メンバーは20歳代の学生や会社員など40〜50人程度だが、「運動に加わりたい」との声がインターネット経由で毎日のように寄せられているという。
■きっかけは「雨傘運動」の挫折
陳氏が独立を唱えるようになったきっかけは、2014年秋の「雨傘運動」の挫折だ。香港行政長官選挙の民主化を求めて民主派の学生や市民が79日間にわたって中心部の道路を占拠したが、習近平指導部は一切譲歩しなかった。香港理工大学に通う学生だった陳氏も座り込みに参加した一人だが、大きな失望を抱いた。「中国共産党が香港に民主主義を与えないなら、香港が共産党支配から離れるしかない。それが私が雨傘運動から学んだ教訓だ」
にこやかに質問に答え、好青年の印象を抱かせる陳氏だが、今年2月の春節(旧正月)休暇に九龍地区の繁華街、旺角(モンコック)で警官隊と若者たちが激しく衝突し、多くの逮捕者やけが人を出した騒動にも参加した。「目標を達成するためにはあらゆる手段を使う」と暴力的な手段も選択肢として排除しないという。
もちろん陳氏のように中国からの独立を唱える向きは香港でもごく少数派だ。憲法にあたる香港基本法は第1条で「香港特別行政区は中華人民共和国の不可分の領土である」と定める。中国政府は「独立を公然と主張する政党の設立は表現の自由の領域を超えており、容認できない」(張暁明・駐香港特別行政区連絡弁公室主任)と警告する。
香港の法律専門家の間では「独立を唱えるだけでは扇動罪や国家転覆罪といった犯罪にはならない」との意見が有力だ。だが中国共産党の機関紙、人民日報の海外版は23日、「(香港政府は)法律上の措置が必要かどうか詳細に研究する必要がある」との記事を掲載した。香港政府の袁国強司法官も関連法令に抵触しないか検討する方針を慌てて表明した。
■既存の民主派政党、「独立論」とは距離
既存の民主派政党も「香港はあくまで中国の一部だ」として独立論とは距離を置く。雨傘運動を主導した一人、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏(19)が4月に設立した新政党、香港衆志(デモシスト)も「一国二制度が期限を迎える2047年以降の香港の将来を決めるため、10年後に住民投票を実施すべきだ」とするだけで、独立は選択肢の一つとの位置づけだ。
それでも香港民族党など「香港こそが自分たちにとっての本土だ」として中国からの自立を訴える「本土派」への支持は若者層を中心に急速な広がりを見せている。香港中文大学が3月に実施した世論調査では、自らを「本土派」と位置付ける回答者が全年代では8.4%だったのに対し、18〜29歳の若年層では29.8%と、「穏健民主派」(38.7%)に次ぐ2番手に躍り出た。
外資系企業に勤める女性(27)は「雨傘運動の前には中国からの独立なんて考えもしなかった。だが全く譲歩しない中央政府をみて、これまでのやり方ではどうしようもないとよくわかった」と香港民族党への支持を公言する。
香港政府の梁振英行政長官は26日の記者会見で「独立や自決の主張は中央の信任を失わせる。少数の人々の行動で700万人の全市民がツケを払うことになる」と域外からの投資や旅行客の落ち込みにつながりかねないと語った。だが親中国派による度重なる警告は一部の若者の「離中感情」をさらに高め、独立論を勢いづける皮肉な結果を招きつつある。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO00146750X20C16A4I00000/?n_cid=DSTPCS019
三菱重工業は25日、大型客船の建造が遅れたため2016年3月期に508億円の特別損失を新たに計上すると発表した。折しも20日には同社が筆頭株主の三菱自動車で燃費データの改ざんが発覚。2000年から三菱自が起こしたリコール隠し問題では三菱重工が中心となった「三菱御三家」で支えた。今回は三菱重工に相次ぎ襲いかかる試練が先行きに影を落としている。
「一から大型客船を造るのは初めてだったのに従来の客船の延長線上でやってしまった」。三菱重工本社(東京・港)で記者会見した宮永俊一社長は悔しげだった。顧客から何度も設計図を突き返されて、1年のはずだった基本設計に3年かかった。納入前の試運転で指摘された騒音の対策や、1月に3回発生した火災の影響で損失は雪だるま式に膨らんだ。
16年3月期の連結純利益は前の期比40%減の660億円となる。大型客船の特損は今回が初めてではなく、累計2375億円に達した。1番船はすでに引き渡したが、2番船は「(予定の)年内引き渡しは難しい可能性がある」。大型客船の建造を続けるかどうかは「夏から秋に決める」。
積極的な再編戦略で事業を見直し保守的な社風を変革してきた宮永社長。だが客船以外にも想定通りに進まずリスクが拡大する案件も目に付く。20年度としてきた国産ジェット旅客機「MRJ」事業の黒字化は相次ぐ納入延期でずれ込む可能性が出ている。米国では原子力発電所の事故で約9300億円の損害賠償を求められた。追い打ちとなるのがファンド経由も含めて約20%を出資する三菱自の不祥事だ。
三菱自は00年と04年に発覚したリコール隠しで販売が急減し経営危機に陥った。救いの手をさしのべたのが重工がとりまとめ役となった三菱グループだ。04年から三菱自が発行した約6千億円相当の優先株を三菱重工、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の御三家が中心になり引き受けた。経済合理性以上に「三菱を守る」というグループを貫く思いが各社を動かしたのだ。
14年3月、三菱自は御三家が引き受けた優先株を買い取って消却し復配するなど再建に一定のメドを付けた。宮永社長は「長く続けてきた三菱自への再建支援が終わったら、16年度は次にどうするかを考える予定だった」と話す。独り立ちしようとする矢先に燃費データの改ざんが発覚した。
三菱自の経営は再び危機に直面する可能性がある。宮永社長は三菱自の支援について「三菱グループのブランドへの影響、社会的責任、当社の業績への責任など総合的に考えて決めたい」と述べた。だが、今回は前回の支援の際と事情が違う。
特損に苦しむ三菱重工だけでなく、三菱商事は資源安の打撃で16年3月期、連結決算に移行した1969年以降で初めて最終赤字に陥った。三菱東京UFJ銀行も利ざやの縮小や運用する国債の利回り低下が見込まれ収益環境は厳しさが増す。
市場の見方は「(三菱自は)三菱重工にとってシナジーがあるとは思えない」(SMBC日興証券の大内卓シニアアナリスト)と手厳しい。三菱の論理を再び優先するのか。今度は難しい選択を迫られる。
(篤田聡志、若杉朋子)
[日経新聞4月26日朝刊P.11]
経済産業省は27日、人工知能(AI)やロボットなどの技術革新によって、何も対応しなければ2030年度には国内雇用が735万人減るとの試算を発表した。労働力人口(15年平均)の1割強にあたる。海外企業にAIなどでビジネスの根幹を握られれば、日本企業の下請け化が進み賃金の高い仕事が国内から流出すると警鐘を鳴らした。
モノ作りでのAIやロボットの活用は欧米で「第4次産業革命」と呼ばれている。経産省は日本が第4次産業革命を主導するために、規制や教育の改革や業界の枠を越えた企業連携などを進められれば、雇用の減少は161万人に抑えられるとした。
政府がAIやロボットの就業構造への詳細な影響試算を公表したのは初めて。経産省は職業を9つに分け、15年後の従業者数の変化について「現状放置」と「変革」の2つシナリオを示した。
例えば高度なコンサルティングを伴う営業・販売職は、変革シナリオでは30年度までに114万人増加。より深い顧客需要の把握や新しいサービスを創出するため、データ分析などの技術を持った人材がますます必要になるとみている。反対に現状放置シナリオでは、新たな顧客サービスの創出が進まず従業者数も62万人減る。
営業・販売職については、レジ係などロボットに取って代わられる可能性が高い仕事も分析している。こちらは変革シナリオでも、現状放置シナリオでも60万人以上の減少が避けられない。
[日経新聞4月28日朝刊P.5]
経済学者の間ではマイナス金利に一定の効果を期待する声がある。マイナス金利によって現実の実質金利を自然利子率に近づけることができる、と考えられるからだ。自然利子率とは、需要と供給の差(需給ギャップ)が埋まり経済が完全雇用状態となる利子率を指す。完全雇用状態に近づければ不況を脱出できる。
最近出た日本経済研究センターのリポートでは、日本の自然利子率は供給要因によってマイナスになっていることが示された。現実の金利をマイナスの自然利子率に近づける政策がマイナス金利政策だといえる。
デフレが継続している経済では、マイナスの自然利子率を達成することは難しい。これまで日本では名目金利をゼロに据え置く政策が実施されていた。しかし、ゼロ金利でもデフレ下では借金の実質的な負担は上がる。実質金利、つまり名目金利から物価上昇率を差し引いたものはプラスだったのだ。
名目金利をゼロにしても実質金利はプラスで、マイナスの自然利子率より高かった。だから不況が終わらなかった。名目金利をマイナスにすれば実質金利を自然利子率に近づけられるので景気が回復するはずだ。これがマイナス金利を肯定する論理である。
しかし、この話は「倒錯」していないか。
日本の自然利子率が供給要因でマイナスになっているのはなぜなのか。高齢化や人口減、技術劣化によって長期的な経済成長がマイナスになるという予想があるからだ。長期的なマイナス成長の要因を放置して、短期の金利をマイナスの自然利子率に近づけるならば、確かに一時的には不況から脱出できるだろう。
だが、長期的な経済成長がマイナスになることは変わらない。経済が長期的に縮んでいくと予想されるので、自然利子率もマイナスのままだ。マイナスの自然利子率に合わせて政策を運営するより、自然利子率がプラスになるような経済政策が本筋ではないのか。
それには構造改革などの成長戦略に本気で取り組むしかない。こうした改革の具体案こそ政策論の中心にあるべきだろう。マイナスの自然利子率を所与の条件と受け入れて、それに合わせて単に需給ギャップを埋める政策を進めるのは、本末転倒の不健全な議論ではないか。
(風都)
[日経新聞4月28日朝刊P.19]
[迫真]AI大競争
(1) 人間の能力を拡張せよ
「完敗。人工知能(AI)を見くびっていた」。3月中旬、ソウル市内で開かれた米グーグルのAI「アルファ碁」と世界トップ級の棋士、韓国の李世●(石の下に乙、イ・セドル)九段(33)の5局勝負。李九段はカド番の第3局で勝負手が空振りに終わると、頬を引きつらせて投了した。
すぐに敗因を探ろうと、李九段は震える手で盤上の碁石を並べ替え始める。しかし、このハイレベルな碁がわかる人間はいない。解説者や別室で観戦したプロ棋士でさえ、勝敗の分かれ目が把握できない始末だった。
チェスは局面の数が10の120乗、将棋は10の220乗だが、囲碁は10の360乗と桁違いに多い。チェスや将棋で人間を打ち破ってきたAIも、「あと10年は勝てない」とみられていた。だが、知能ゲームの最後の砦(とりで)は、世界中の囲碁ファンの目の前であっさりと突き崩された。
□ □
歴史的な対局の半年前。シリコンバレーのグーグル本社の一室で、シニアフェローのジェフ・ディーン(47)が1枚のスライドを映した。右肩上がりのグラフには、アルファ碁にも使ったAIの最新技術「ディープラーニング(深層学習)」を取り入れた製品やサービスの開発計画が1000件以上も示されていた。
検索や地図などグーグルのサービスを支えるコンピューターシステムを設計した天才科学者のディーンが、人間の脳をモデルにしたディープラーニングの研究に乗り出したのは2011年。
翌年には1000台のコンピューターをつないだAI「グーグルブレイン」に1000万枚の画像を見せたところ、自力で「ネコの顔」を見分けるようになったと発表した。コンピューターが自ら学習する能力を獲得した成果は世界の研究者に衝撃を与えた。
「真にインテリジェントなコンピューターシステムを作り、人間の能力を拡張する。それがゴールだ」。脳のイラストが入ったTシャツ姿のディーンはこう語る。自動車や飛行機が人間の移動能力を飛躍的に高めたように、AIが人間の知的能力を高める。
20年前後の実用化を狙う自動運転車も応用先の一つ。センサーとカメラを駆使し、高速道路や市街地を走り抜ける。米運輸省は2月、グーグルの自動運転車に搭載されたAIを、人間と同じ法律上の「運転手」とみなす初めての見解を示した。
「従来のコンピューターで1万年かかることが、1秒でできた」。昨年12月8日、グーグルと米航空宇宙局(NASA)の共同記者会見。グーグルのハルトムート・ネヴェンが13年からNASAと研究してきた最新の成果を報告すると、会場がどよめいた。
人間並みの知能を備えたAIの実現にはハードの進化も欠かせない。グーグルが目を付けたのは量子力学の原理を応用しスーパーコンピューターをはるかにしのぐと期待される量子コンピューター。「まだ不安定だが、実用化できれば、あらゆるやり方が変わる」。研究陣を率いるネヴェンは高揚した表情で語る。
□ □
「まるでゴールドラッシュだ」。米フェイスブックのAI研究部門を率いるヤン・ルカン(55)は、足元のAIブームを複雑な思いで見つめる。
グーグル、フェイスブック、中国の百度(バイドゥ)、トヨタ自動車――。AIの重要性に気づいた世界の有力企業はいま、激しい競争を繰り広げる。だが1950年代に産声を上げたAI研究は、ブームと停滞を繰り返してきた。70年代と90年代の「冬の時代」は、いずれもAIに対する期待に技術が追いつかなかった。
「50年ぶりのブレークスルー」とされるディープラーニングが登場した今回は違うとの見方も広がるが、ルカンは楽観論を戒める。「特定の用途に限れば、人間より賢いシステムはすでにある。だが汎用AIの開発はまだ五里霧中だ」
「今回の勝利はより賢いマシンを作るための小さな、でも意義のある一歩だ」。アルファ碁の開発チームを率いたグーグルのデミス・ハサビス(39)は対局後、ブログでこうつづった。ハサビスが見据えるのは、AIの「科学者」と人間の科学者が協力して病気の診断や気候変動などの難問を解く世界。今は夢物語に見える「その日」はゆっくりと、だが着実に近づいている。
(敬称略)
◇
急速な進歩が世界の注目を浴びるAI。人間の能力を超える時代は来るのか。未来を先取りする最前線の動きを追った。
[日経新聞4月26日朝刊P.2]
(2)感性を持たせたい
「人の言うことを85%以上は理解できますよ」「いけそうだな。よし、進めよう」。東京駅前のJPタワー内にある三菱東京UFJ銀行。デジタルイノベーション推進部次長の野元琢磨(50)は、D&Iラインリーダーの藤戸初夫(49)とこんなやり取りをして人工知能(AI)の導入にゴーサインを出した。
2月18日からAIが利用者の質問に答えるサービスを始めた。新システムはIBMのAI「ワトソン」日本語版を組み込み、無料対話アプリのLINEを通じて「口座を新しく作りたいけど……」といった各種の質問を受け付ける。内容に応じて回答を画面で示す。
コンピューターが質問の意図をきちんと理解できるか、テスト版で検証した。キーワードをもとにした従来の方法では認識率は40%台だったが、AIは本番までに約90%に達した。
導入から2カ月あまり。従来の約15倍、月間1万5千件の問い合わせをさばく。「AIで顧客との接点が広がる」と野元。次は、ウェブ上で顧客がAIと会話をしながら金融商品を提案する「eファイナンシャルプランナー」を計画している。
AIは創作活動にも励む。名古屋大学大学院教授の佐藤理史(55)がパソコンのキーを押すと、400字ほどの文章が出てきた。「悪魔がスマホ越しに何やら呪文を呟いたと思うと、邦男の眠気はさっぱりと消え飛んだ。(略)それ以来、邦男は一睡もすることができなくなった」。できあがりは人間が作った文章と見分けがつかない。
佐藤はAIに小説を書かせる「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」のメンバー。文章作成を担当している。小説のあらすじと、使用する単語などの「部品」の候補は佐藤らが用意する。AIは、前後に矛盾がないよう「部品」をつないで文章を完成させる。
短編小説を募る第3回星新一賞。作者がAIとは名乗らずに応募した作品が佐藤らを含め11編あった。入選は逃したが1次審査を通った作品も現れた。
4年前にプロジェクトを発案した人工知能学会会長、松原仁(57)は、今やトップ棋士に勝つまで力を付けた将棋ソフトの対戦イベントの仕掛け人。「将棋のような論理だけでなく、感性や創造性をAIに持たせたい」。当時「周囲の研究者からもAIが小説など書けるわけがない、と散々にいわれた」というが、「AI作家」は早々とデビューを果たした。
(敬称略)
[日経新聞4月27日朝刊P.2]
(3)トヨタが未来を託した男
1月、シリコンバレーの名門スタンフォード大学から車で5分の場所に、新会社「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」がオープンした。5年間で10億ドル(約1100億円)を投じ、人工知能(AI)や、自動運転技術の開発を目指すトヨタ自動車の戦略拠点だ。
「週に1人、年間で50人ずつ増やす計画だったが、最初の3カ月で60人も集まった」。最高経営責任者(CEO)のギル・プラット(54)は予想を上回る反響にうれしい悲鳴を上げる。
グーグル、テスラ・モーターズ、メルセデス・ベンツ――。シリコンバレーは自動運転車の開発を進める企業が集結。人材の獲得競争は激しいが、トヨタには他社にない強みがある。ほかでもないプラット自身だ。
ロボットの専門家でもあるプラットの前職は、米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)のプログラムマネジャー。福島第1原子力発電所事故の教訓を生かそうと、世界に呼びかけて開いた災害対策ロボットの国際競技会を成功に導いた手腕と人脈にトヨタが目をつけた。
トヨタでプラットを支えるのは、まさに「ドリームチーム」。グーグルのロボット開発部門の元トップ、家庭用掃除ロボット「ルンバ」の生みの親など、そうそうたる顔ぶれがそろう。
今月7日、新メンバーが加わった。ライアン・ユースティス(40)とエドウィン・オルソン(38)。最近までフォード・モーターの自動運転車開発に携わっていたミシガン大学の教授コンビだ。「トヨタが掲げるビジョン、ギルの人柄とリーダーシップが参加の決め手になった」
「1兆マイル(約1兆6000億キロ)」と「120万人」。プラットには胸に刻む数字が2つある。1年間で世界中のトヨタ車が走る距離の合計と、世界で亡くなる交通事故の犠牲者数だ。
トヨタには自動運転技術で交通事故を減らすだけでなく、「1兆マイルの信頼性」を確保する責任がある。初めてトヨタ本社を訪れた夜、その目標の高さに「一睡もできなかった」という。
だが産官学連携が盛んなDARPAで鍛えたプラットの気持ちの切り替えは早かった。スタンフォード大、マサチューセッツ工科大、ミシガン大との提携を立て続けに決め、「次の拠点は東京に」と意気込む。
「この分野に今必要なのはただの競争ではなく、コーペティション(協力と競争)」。トヨタが未来を託した男は、ライバルをも巻き込みながら革新を起こそうとしている。(敬称略)
[日経新聞4月28日朝刊P.2]
(4)常に新技術を求めよ
1月、米国ラスベガスの展示会。6台の自動車模型が走り回る。しばらく急停止を繰り返していたが、数分でスイスイと行き交うようになった。最新の人工知能(AI)を1台ずつに搭載し、自力で走り方を学ぶ自動運転車の実験だ。
AIベンチャー、プリファード・ネットワークス(PFN、東京・千代田)社長の西川徹(33)は「車同士が学び、いずれ協調する」と胸を張る。その先進技術にNTTやファナックなどがほれ込む。創業2年で共同研究の打診が引きも切らない。
2月下旬、都内で開いた会社説明会。「泳ぎ続けるマグロのように、常に新技術を追い求める人が欲しい」「優れた技術を持つだけの人は要らない」。壇上の西川が切り出した。
学生や転職を望む技術者が詰めかけた。AI事業は優れた研究者と組めば少人数でも覇権を握れる確率が高い。西川の自信に満ちた発言は優秀な人材を挑発し、自社の原動力に変える。
「自分の意志で動かせる仕事をしたい」。副社長の岡野原大輔(34)は東京大学在学中、米グーグルのインターンシップに参加した。研究環境は良かったが大企業だった。結局、グーグルへは就職せず情報ベンチャーを起業した。2014年に西川とともに立ち上げたのがPFN。その会社は社員30人程度だが、今では大企業も一目置く。3年後にも約100人に増やす。
米国シリコンバレーからの転職組もいる異能の人材は、既に社内で化学反応を始めている。
「米国の面白い研究者に会ってきた。彼らの論文がこれだ」。ランチのハンバーガーを食べ終えた途端、議論が始まった。世界ではAIの最新研究が続々と発表されている。岡野原が壁のスクリーンに論文を示すと、技術者らが見入る。「AIは技術の進展が速い。常に分析し、社内で共有する」。岡野原は半年で350編の論文を読んだ。
国内にも世界の先頭集団に入る企業が現れた。それでも東大特任准教授の松尾豊(41)は歯がゆく感じる。「日本はまだ動きが鈍い」。ドワンゴなど数社の支援を取り付け、東大に最新のAI技術「深層学習」を学ぶコースを開く。「プロの囲碁棋士も破り、AIは一段と進歩する。今からが正念場だ」。AIを誰がいち早く使いこなすのか。国際競争は激しさを増す。
(敬称略)
吉川和輝、小川義也、山川公生、出村政彬が担当しました。
[日経新聞4月29日朝刊P.2]
中国商品市場での取引が急拡大している。だぶつくマネーで投機熱が高まる最新の現象だ。当局はシャドーバンキング(影の銀行)の興隆から不動産バブル、そして2015年8月の株価暴落まで、借り入れをテコとした成長策が招いた過剰な現象を抑え込もうとしてきた。経済の急激な減速阻止に1〜3月期に6兆元を超える記録的な信用拡大に踏み切り、その後、金属市場に資金が流入している。
国際市場はこうした動きに懸念を強めている。だが、魅力的な代替案を示すことは容易ではない。
巨額の債務がもたらすリスクは明らかだ。負債総額は国内総生産(GDP)の約240%に相当し、大半の新興国の比率をはるかに上回る。赤字の国有企業がかなりの債務を抱えているため、この数字が長期的に持続可能であるはずがない。さらに懸念されるのは債務増加の速度である。
もっとも、現在では深刻な金融危機のリスクは限定的だろう。閉ざされた資本市場、高い家計貯蓄率、潜在的経済成長力を考えると、中国の全体的な負債水準は警戒レベルを下回るだろう。また、政府には企業債務(実際には国有企業や地方政府関連が多い)を国庫のバランスシートに移し替える余裕がある。政府の財務内容は依然、巨額の公的準備に裏付けられ、健全である。
だが、不良債権処理の包括計画をまとめないうちは、問題の先送りにすぎない。国際通貨基金(IMF)が警告したように、政治的に微妙な分野を含めて産業の再編に取り組まなければ、(債務の株式化や証券化を通じて処理する)現政府案は逆効果ともなりかねない。中国経済のリバランス(消費主導型への再均衡化)は極めて難題で、当局は予見しうる将来、刺激策を続けなければなるまい。
これまではゾンビ企業にあまりにも肩入れしてきた。重要なことは保健、教育、都市の住宅、輸送、大規模な環境浄化など、より社会的に有益な分野に支出することだ。
最も衝撃の小さいシナリオでも、債務負担の軽減にまだ10年近くはかかるだろう。その間、世界各国は中国の改革の遅れのあおりを覚悟することになる。
(28日付、社説)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
[日経新聞4月29日朝刊P.6]
【ワシントン=川合智之】米大統領選の共和、民主両党の指名争いで先頭を走る候補が外交・安全保障政策を示した。共和のトランプ氏(69)は「米国第一主義」を掲げて海外への関与を縮小する意向を表明した。民主のクリントン前米国務長官(68)は中東に積極的に関与すると明言した。両候補はそれぞれが所属する政党の伝統的な政策と一線を画した。
「『トランプ政権』では、海外の二の次にされると感じる米国民はいなくなる」。トランプ氏は27日の演説で「米国民の利益と米国の安全保障を最優先する」と訴えた。同氏がまとまった外交政策を公表したのは初だ。
批判したのは、日韓や北大西洋条約機構(NATO)加盟国などの同盟国。「米国が守っている国は費用を払わなければならない」と述べ、経費負担を増やさないなら駐留米軍は撤退すると突きつけた。一方、中ロとは「共通の利益に基づく一致点を探る」と関係を改善する考えを示した。
核兵器は「近代化と更新が必要だ」と述べ、米軍の規模拡大を主張。過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討を目標に掲げながらも「我々は予測不能な国にならなければならない」と述べ、具体策は口にしなかった。
米欧メディアはトランプ氏の政策を「近年の共和党の外交政策とは大きく食い違う」(米紙ウォール・ストリート・ジャーナル)や「第2次大戦前の米国の孤立主義だ」(仏AFP通信)と指摘した。日本政府は28日に「米軍の駐留経費は従来より日米間で互いに交渉しながら適切に分担している」(菅義偉官房長官)と反論した。
クリントン氏の外交・安保政策の中核になるのは、オバマ政権と同じく中東からアジアに安全保障の軸足を移すリバランス(再均衡)政策だ。対中国では、国務長官在任時から南シナ海の領有権争いや人権問題などを批判する発言が多かった。
中東政策はイスラエルの同盟関係を強化するとともに、核不拡散の観点からイラン核合意を支持する見通しだ。IS対策はオバマ氏より積極的で、米軍特殊部隊の投入や飛行禁止区域の設定など、米の関与を強化すべきだとする発言が多い。
クリントン氏は民主党の中でも「中道寄り」で知られる。現在は最左派のバーニー・サンダース上院議員(74)と指名を争っているため、保守的な主張は表に出していないが、指名を獲得すれば外交・安保政策はオバマ氏よりも強硬路線を採る可能性がある。
26日の東部5州の予備選でトランプ氏は全勝し、クリントン氏も4勝と好調だった。いずれも指名を獲得すれば、米軍を率いる最高司令官としてふさわしいか厳しく問われる。国務長官を務めたクリントン氏の方が今は具体的な政策を打ち出しているが、トランプ氏も27日の演説で軌道修正を始めた。
[日経新聞4月29日朝刊P.7]
※参照関連投稿
「コラム:中国けん制に走る日本、「平和主義」は本物か:比以外の周辺国は日本の安保政策変更を凶兆視:憲法改正ができないワケ」
http://www.asyura2.com/14/senkyo168/msg/775.html
「左派(共産党・社民党)と親米派が共有する「戦術的護憲論」:共産党・社民党も安倍政権と同類:米国改憲要求説は捏造か錯覚」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/714.html
「首相「占領時代の仕組み変える」 改憲へ意欲:志は良だが、従米政治家たちに米国支配層が厭う改憲をやれるはずもなく」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/653.html
「「護憲」で本当に勝てるのか:現憲法の核心部分を変える「改憲」はできない(しない)と理解している安倍首相」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/568.html
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首相、9条改正に意欲 「ずっと後回しでいいのか」
安倍晋三首相は29日の日本テレビ番組で、憲法改正について「指一本触れてはならないという考え方はおかしい」と改憲への意欲を強調した。憲法9条は「自衛隊を憲法学者の7割が違憲と言っている状況のままで良いのか、真剣に向き合わねばならない。これからもずっと後回しにしていいのか」と主張した。番組は28日に収録した。
7月の参院選で与党が改憲発議に必要な3分の2以上の議席確保は「ほとんど不可能に近い」と指摘。改憲に積極的な野党などの協力を得て実現をめざす考えを示した。
2017年4月からの消費増税は「リーマン・ショック級、大震災級の出来事がない限り予定通り引き上げていきたい」と指摘した。5月26〜27日に開く主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせた増税の可否判断は「ありません」と述べるにとどめた。
[日経新聞4月30日朝刊P.2]
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/367.html
岸田外務大臣は、訪問先の中国で王毅外相と会談し、不透明さが増す世界経済への対応などで協力を強化し、両国の関係改善に向けて努力していくことや、弾道ミサイルの発射などを繰り返す北朝鮮に対し、緊密に連携して対応していくことで一致しました。
中国の北京を訪れている岸田外務大臣は、日本時間の30日午前11時すぎから、王毅外相と会談しました。日本と中国の外相が、国際会議の機会以外で、相互訪問して会談を行ったのは4年半ぶりで、会談は、当初の3時間の予定を大幅に上回り、およそ4時間半にわたって行われました。
冒頭、王毅外相は、「両国関係は絶えずぎくしゃくし、たびたび谷間に陥ってきたが、その原因は日本側がいちばんよく分かっていると思う。今回の会談が、両国関係の改善に向け積極的な役割を果たすよう望んでいる」と述べました。
これに対し岸田大臣は、「大切な隣国どうしの外務大臣の往来が、長きにわたって途絶えているのは望ましいことではない。より頻繁に往来できる関係に戻していきたい」と述べました。
会談で岸田大臣は、不透明さが増す世界経済への対応や、環境対策、防災対策など5つの分野で協力を強化していくことを提案し、両外相は、可能な分野での協力拡大を通じ、両国の関係改善に向けて努力していくことで一致しました。
また両外相は、弾道ミサイルの発射など挑発行為を繰り返す北朝鮮に対し、深刻な懸念を表明するとともに、国連安全保障理事会の決議に基づいて、着実に制裁を履行するため、緊密に連携していくことで一致しました。
一方、南シナ海や東シナ海での中国による海洋進出の問題を巡って、外務省は、議論の具体的な内容は明らかにせず、岸田外務大臣も、会談終了後、記者団に対し、「私から日本の立場をしっかり伝え、王毅外相からは中国側の立場が説明された。突っ込んだ率直な意見交換をしたが、それ以上の詳細は控える」と述べました。
岸田外相「両国間の歯車を回す端緒に」
一連の会談を終えた岸田外務大臣は、訪問先の北京で記者団に対し、「今回の会談で、日中関係の重要性を確認し、さらなる改善のために双方が努力していくことで一致した。私から、新しい時代にふさわしい日中関係について説明し率直に意見交換した。4年半ぶりの日中の2国間訪問は、有意義な訪問で、両国間の歯車を回す端緒になった」と述べました。
岸田外務大臣は訪問先の中国で李克強首相と会談し、停滞している日中関係を前進させるため、大局的な観点から両国関係を改善していくことが重要だという認識で一致しました。
中国を訪問している岸田外務大臣は王毅外相との会談後、中国共産党の最高指導部が執務する中南海を訪れ、日本時間の午後5時すぎから、李克強首相とおよそ30分間会談しました。
冒頭、李克強首相は「両国の関係は改善の兆しがあるが、その基礎はまだ確固たるものではない。両国関係をもう一度正常な軌道に戻せるよう、ともに取り組んでいくことを望んでいる」と述べました。
このあと会談で岸田大臣は、南シナ海の問題などを巡って停滞している日中関係を前進させるため、環境対策や防災対策など5つの分野で協力を強化していくことを提案したのに対し、李克強首相も賛同する考えを示しました。
そのうえで両氏は、大局的な観点から日中関係を改善していくことが重要だという認識で一致し、双方が努力していくことを確認しました。
また、岸田大臣は李克強首相との会談に先立って、中国で外交を統括する楊潔※チ国務委員ともおよそ1時間会談し、安倍総理大臣と習近平国家主席による首脳会談の早期実現に向け、具体的な外交日程の調整を進めていくことを確認しました。
※「チ」は竹かんむりに「褫」のつくり。
【北京=矢板明夫】北京では30日、李克強首相と楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)国務委員、王毅外相の3人が岸田文雄外相と会談した。日中関係の改善に意欲を示した岸田外相に対し、中国側はその主張に同意しつつも、首脳会談の開催などについて慎重な姿勢を崩さなかった。歴史問題をめぐる安倍政権の今後の対応や、日本が南シナ海問題にどこまで介入するかを見極める思惑とみられる。
李首相はこの日の会談で、「中日関係に改善の兆しはあるが、その基盤はまだ確固たるものではない」と強調した。発言の真意について、中国の国際問題専門家は「南シナ海と歴史問題で中国を刺激するような行動を取らないよう暗に求めている」と分析した。
さらに鮮明な姿勢を示したのが王外相だ。「日中両国は大事な隣国であり、外相会談をもっと頻繁に開催するような関係に戻したい」と述べた岸田外相に対し、王外相は「聴其言、観其行」(言葉を聞き、振る舞いを見極める)という中国古来のことわざを引用し、「日本側の実際の行動をみてみたい」と強調、回答を留保した。
中国の外交関係者によると、中国の対日外交の重点は最近、尖閣諸島(沖縄県石垣市)や歴史認識の問題から、南シナ海問題にシフトしつつあるという。
中国は、アジアで大きな影響力をもつ日本がこの問題に積極的に介入することを最も嫌っているようにみえる。この時期に岸田外相の訪中を受け入れた背景には、日本との関係をある程度修復し、南シナ海問題で日本の動きを牽制(けんせい)したい思惑があるといわれる。
また、日中関係が改善しなければ、安倍首相が終戦記念日や秋の例大祭などの際に靖国神社を参拝する可能性もあり、中国としてはそれを阻止したい思惑がある。しかし、今の中国は安倍政権の真意をつかめないでいるようだ。
9月には浙江省杭州で、中国が議長国を務める主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる。日本側は首脳会談の開催を求めているが、中国はまだ返事をしていないもようだ。日本側の対応を見極めながら判断する方針がうかがえる。
http://www.sankei.com/world/news/160430/wor1604300052-n1.html
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2016.5.1 00:49更新
【日中外相会談】
誠実に歴史反省、「中国脅威論」まき散らさない…中国が対日4項目を要求 関係改善目指すことは確認[産経新聞]
【北京=田北真樹子】中国を訪問している岸田文雄外相は4月30日、北京市内の釣魚台迎賓館で王毅外相と会談し、関係改善に向けて努力することで一致した。
岸田氏は東シナ海や南シナ海問題に対する日本の懸念を伝えた。王氏は「日本が『中国脅威論』や『中国経済衰退論』をまき散らさない」などとする4項目の「希望と要求」を行った。
岸田氏は、外交担当の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)国務委員とも会談し、安倍晋三首相と習近平国家主席の首脳会談の早期実現に向け、協議を加速することで一致した。
日本の外相の訪中は国際会議出席を除くと4年半ぶり。岸田氏は記者団に「(会談が)日中関係の歯車を回す端緒になった」と述べた。
岸田氏は李克強首相とも会談。李氏は「関係改善の基盤はまだ確固たるものではない。双方は改善の勢いを保ち、両国関係が正常な軌道に戻れるよう取り組むことを望む」と述べた。
中国外務省の発表によると対日要求は、(1)誠実に歴史を反省し、「一つの中国」政策を守る(2)積極的かつ健康的に中国の発展を取り扱い、「中国脅威論」や「中国経済衰退論」をまき散らさない(3)経済面で中国を対等に扱い、互恵を基礎に各領域の協力を推進(4)国際・地域協力で中国への対抗心を捨てる−の4項目。
外相会談では「互いに協力のパートナーであり、脅威にならない」と確認。北朝鮮の核実験やミサイル発射については「深刻な懸念」を共有し、国連安全保障理事会の対北制裁決議の厳密な履行を確認した。停滞する世界経済の安定へ連携していくことや、副首相級が出席するハイレベル経済対話開催でも一致した。
王氏は秋にも日本で開く予定の日中韓外相会談のため訪日する意向を示した。一連の会談で中国側から熊本地震への見舞いの言葉があり、岸田氏は謝意を示した。
http://www.sankei.com/politics/news/160501/plt1605010006-n1.html
日中外相会談は、その後の昼食会も含めて約4時間20分もの長時間に及び、双方は主張をぶつけ合った。
平成24年12月の第2次安倍晋三政権の発足以降、中国側が避けてきた直接対話が実現し、「関係改善」が論じられた。
日本側は、中国の経済的苦境や、台湾で日米との連携志向の蔡英文政権が20日に発足することが中国の態度の変化を促しているとみている。
もっとも、外相会談の冒頭、笑みを浮かべた岸田文雄外相とは対照的に、王氏の言葉にはトゲがあった。
「中日関係は絶えずぎくしゃくし、たびたび谷間に陥ってしまったが、原因は日本側が一番よく分かっているのではないか」
報道陣を前に、関係冷却の責任を日本になすりつける王氏に、岸田氏はとっさに反論できなかった。
それでも会談で岸田氏も日本の立場を繰り返し、応酬となった。最も白熱したのは南シナ海、東シナ海をめぐる問題だった。
王氏は、対日4項目の要求で、自国の傍若無人な海洋進出を棚に上げ、「日本が『中国脅威論』をまき散らさないこと」を求めた。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海へ公船を侵入させているのも、南シナ海で人工島の軍事化を進めているのも中国だ。
岸田氏は、中国は国際ルールを尊重すべきで「力による現状変更」は認められないという日本や国際社会の立場を強調した。
反論する王氏に、岸田氏が「立場を述べるだけなら報道官でいい。その上でどうするかを考えるのが外相だ」と促す場面もあった。
日本側は、中国が対日4項目で、経済面で対等に扱えとした点などは自虐的で、強気一辺倒ではなくなってきたと見ている。
歴史問題でも中国は、日本に反省を求める立場に固執したが、岸田氏は歴代首相の談話などを説明するにとどめた。
日本側は、応酬内容はほとんど公表しなかった。習近平国家主席が議長となる9月の20カ国・地域(G20)首脳会議の際に日中首脳会談を実現するため配慮をしたものとみられる。(北京 田北真樹子)
http://www.sankei.com/politics/news/160501/plt1605010007-n1.html
中国の王毅外相が30日、日中外相会談の冒頭で「誠意があるなら歓迎する」などと発言したことに対し「招待しておいて礼儀に欠けるのでは」と批判する声が中国のインターネット上で相次いだ。
王外相は冒頭、岸田文雄外相に対し「中日関係が谷底に落ちた原因は日本側が自分で分かっているだろう」「あなたが誠心誠意を持って来たのならわれわれは歓迎する」などと発言、その間、笑顔を一切見せなかった。
これに対し、中国のネットでは「気骨を見せた」と評価する声も多い一方で「一国の外相が言う言葉か」「外交儀礼は(粗末な)田舎の接待にも劣る」「低級だ」などの批判が目立った。
王外相は3月の記者会見で日本に対し「中国を友人と見なすのか敵と見なすのか」と迫るなど「指導部の幹部の中でも対日強硬姿勢が突出している」(外交筋)との見方が出ている。会談冒頭の発言はそうした見解を裏付ける形となりそうだ。(共同)
http://www.sankei.com/world/news/160430/wor1604300054-n1.html
米地質調査所によると、土曜、西太平洋のバヌアツ共和国沖で、マグニチュード6.0の地震が起きた。
震源ラカトロ南西32メートル、深さ4.8キロの地点。津波警報は出ていない。
人的・物的被害についても報じられていない。
【北京=山田周平】自民党の二階俊博総務会長は29日、北京で国家観光局の李金早局長と会談した。二階氏によると、李局長は2015年に約500万人だった中国からの訪日客が「今年は600万人を超えそうだ」と語った。二階氏は胡耀邦・共産党元総書記の息子で習近平国家主席に近い胡徳平氏とも会談した。
[日経新聞4月30日朝刊P.2]
(上) EUへ不満と期待 二分
残留派が経済的メリット訴え、離脱派は財政負担・移民に反発
【ロンドン=小滝麻理子】英国は欧州連合(EU)から離脱すべきか、残留すべきか。6月23日の英国民投票まで2カ月を切った。離脱派がEUの官僚体質への不満や移民問題を叫ぶ一方で、キャメロン政権ら残留派は経済的なメリットを説き、英世論は真っ二つに割れている。英国のEU離脱「Brexit(ブレグジット)」は、欧州統合の流れに逆行するだけでなく、世界経済にも打撃を及ぼすリスクをはらむ。
「6月23日を英国の独立記念日にしよう」
国民投票に向けた正式キャンペーンが始まった15日夜。離脱派の中心人物、ジョンソン・ロンドン市長は英中部マンチェスターで宣言した。「このままでは英国はナビゲーションの壊れたタクシーの乗客だ」とEUの機能不全をあげつらうと、聴衆から歓声が上がった。
5400億円持ち出し
EUの官僚体質への反感は根深い。加盟国に緊縮財政を強いる一方、EUの支出は過去10年で4割強増加した。財源は各国の分担金だ。英国は、ドイツ、フランスなどと同様、配分される予算より分担金が多く、2014年度でみると43億ユーロ(約5400億円)の「持ち出し」になる。
EU予算の半分以上は農業や域内の低所得国への補助に回る。拠出超過の先進国にEUからインフラ整備の予算が“下賜”される例もある。英国民の目には欧州議会とEU官僚が権限と組織を肥大化させていると映る。
伝統的に競争を重視する英国と、民間部門への政府関与を好む大陸諸国との溝は深い。英国民の多くは労働時間規制や製品の安全基準などEUのルールは細かすぎると受け止める。銀行員の報酬制限や金融取引税などの導入にも、金融街シティの反発は強い。離脱派は「規制を緩和し、中国やインドなどと独自に自由貿易協定(FTA)を結ぶ方が英国の競争力が高まる」と主張する。
流入が続く移民の問題でも、年間30万人強という純流入数を減らして英国民の職を守り、福祉制度の「ただ乗り」を阻止すると訴える。欧州で移民やその子弟によるテロが相次いだことも離脱派に追い風となっている。
これに対し残留派は経済的な打撃に焦点を当てたキャンペーンを展開。英財務省は18日、EU離脱は30年までに国内総生産(GDP)を約6%押し下げるという試算を公表。キャメロン首相は「EUに残れば、英国はより強く、より安全で、より豊かになれる」と訴える。
「帝国」への郷愁
この結果、直近の世論調査では離脱が4割、残留が5割弱と、やや残留派が盛り返している。ただ差は小さく、移ろう世論を見通すのは難しい。実際、1975年にEUの前身、欧州共同体(EC)の加盟継続を問う国民投票を行った際は、世論は短期間で離脱優勢から残留へ変化した。
離脱派を根っこで支えるのが、大英帝国時代から育まれた「英国と大陸欧州は違う」という自負と気概だ。特に73年のEC加盟前を知る世代には「独立」という言葉は魅力的に響く。「EUの中の英国」で育った若い世代で残留支持が多数派なのとは対照的だ。
英国史が専門のリンダ・コリー米プリンストン大教授は23日付英フィナンシャル・タイムズへの寄稿で「離脱派は『失われた帝国』を求めるノスタルジーにとらわれている」と指摘した。EUへの嫌悪感と「独立」への郷愁。理屈を超えた感情が欧州統合の行方を左右しようとしている。
[日経新聞4月28日朝刊P.7]
(中)経済覆う不透明感 離脱なら投資急減も
【ロンドン=黄田和宏】「1〜3月の商業用不動産取引の落ち込みは全国で4割、ロンドンでは6割に達した」。4月中旬、英上院で証言した英中央銀行イングランド銀行のカーニー総裁は、欧州連合(EU)離脱問題を巡る不透明感は、既に経済に悪影響を及ぼしていると懸念を示した。
輸出4割はEU
EUは英国の輸出の4割以上を占める最大の貿易相手だ。離脱となれば、英国の輸出に甚大な影響が及びかねない。最大の経済ロビー団体、英産業連盟(CBI)は「最善の将来はEUにとどまること」と立場は明確だ。会員向け調査でも、8割は残留を支持し、離脱派は5%にとどまる。
企業が危惧するのは離脱後の混乱が長引き、投資などの企業活動が滞ることだ。CBIはスイスなどの過去の事例をもとに、英国とEUの新たな関係の構築に「10〜15年かかる可能性がある」と警鐘を鳴らす。
3%近い英国の高い成長率は、EUなど海外からの投資に支えられてきた面がある。だが、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの予測では、EUから離脱した場合には、「今後10年間に海外からの直接投資が22%減少する」という。
懸念されるのは金融センターとしてのロンドンの地位低下だ。金融業は対内投資残高の4割強を占める。欧米の金融機関は英国を拠点に欧州各国に金融サービスを提供してきたが、EU離脱はそうしたビジネスモデルを揺るがしかねない。自動車産業でも、離脱が現実になれば生産台数が約12%に相当する18万台以上落ち込むとの試算もある。貿易交渉が進まなければ、EUへの自動車輸出に10%の関税がかかる懸念もある。
身構える市場
影響はヒトの流れにも及ぶ。企業の採用活動に緩やかにブレーキがかかり、年末から年明けにかけて失業者数はじわり増加。離脱派は移民数の制限で英国民の職を守ると主張するが、英国立経済社会研究所は27日、移民労働者の制限は英企業の競争力に「重大で不利な影響を与えかねない」との調査結果を発表した。
金融市場はリスクに身構える。離脱と残留の間で揺れ動く世論を映して値動きが大きくなり、市場参加者の不安心理を示すポンド・ドルの予想変動率が大幅に上昇した。
債券市場も反応している。オズボーン英財務相は今月中旬、EU離脱の影響を巡り「物価が上昇し、インフレ目標を採用する英中銀がこれに対応するだろう」と利上げ圧力が高まる可能性を示唆した。英10年物国債利回りは26日に1.6%台後半と3カ月ぶりの高水準に上昇(債券価格は下落)。「現時点で離脱は完全には織り込まれていない」(シティグループのジェレミー・ヘイル氏)が、英国債の2割強を占める海外投資家は敏感になっている。
独調査会社センティクスが26日発表した投資家向け調査では、機関投資家の約2割、個人の3割が英国のEU離脱を予想する。EUを離脱した場合には8割近い機関投資家が「EUの安定が脅かされる」と考えており、欧州市場全体に影響が及ぶのは必至だ。
[日経新聞4月29日朝刊P.6]
(下)「離脱ドミノ」EU警戒 止まらぬ求心力低下
創設国で波乱
今月6日、オランダで欧州連合(EU)の未来に影を落とす事態が発生した。EUとウクライナの連携強化を進める「連合協定」の是非を問う国民投票で、反対派が勝利したのだ。国民投票はオランダ国内の反EU派が仕掛けたもので、その行方は英国のEU離脱「ブレグジット」を問う国民投票の前哨戦という位置づけで注目を集めていた。
オランダ(ネザーランド)のEU離脱「ネグジット」を主張してきた極右政党、自由党のウィルダース党首は「EUの終わりの始まりだ。英国も続くと期待する」と気勢を上げた。ブリュッセルの「EU官僚」から解放され、南欧諸国のツケを払う必要がなくなれば、オランダ経済はもっと良くなる。その主張は英国の離脱派と重なる。
欧州統合の源流は1952年発足の欧州石炭鉄鋼共同体にある。オランダは創設6カ国の一つで、今回の反EU派の勝利は統合の「核」で波乱が起きた形だが、ざわついているのはオランダだけではない。
フランス人の53%がEU離脱を問う国民投票を望んでいる――。3月、独立系シンクタンクの「欧州政策センター」がブリュッセルで開いた政策セミナーで、英エディンバラ大学のヤン・アイヒホルン研究員らがまとめた衝撃的な調査が話題をさらった。
仏極右に追い風
素早く反応したのは仏極右政党の国民戦線のマリーヌ・ルペン党首だった。自身のブログに仏のEU離脱を意味する「フレグジット」と題した記事を掲載。同調査を「非常に心強い結果だ」と取り上げた。国民戦線は2017年に迫る仏大統領選で政権奪取すれば、EU離脱を問う国民投票を実施すると公約している。難民危機へのEUの不手際を“追い風”に、党勢は強まるばかりだ。
英国を起点に広がるEU離脱ドミノの懸念。だが、EU首脳らは、打つ手を見つけられないでいる。
「超国家的な組織体が必要だと訴えても、もはや欧州の国民からは尊敬されない」。今月19日、仏ストラスブールの欧州議会。反EUの勢力拡大を問われたユンケル欧州委員長は、欧州統合の求心力低下を認めた。「EUの過度な干渉」が加盟国の不満を招いていると自ら指摘し、EUへのさらなる権限集中に慎重な構えをみせた。英国民に残留を選ぶようメッセージを送った形だが、守勢は覆いようもない。
EUのトゥスク大統領は英国のEU離脱が引き起こす地政学的リスクへの警戒を促す。主要国である英国の離脱は「EUの分断を目指す者たちにとって勝利となる」。トゥスク氏はウクライナと国境を接するポーランドの元首相。ロシアの脅威という「共通の敵」を求心力につなげようという意識は高いが、それ以上に今のEUがさらされている遠心力は強い。
46年に「欧州合衆国」構想を唱え、第2次世界大戦後の荒廃から欧州統合への道を示したのは、英首相を務めたチャーチルだった。それから70年。今度は曲折を経ながらも統合へと進んできた欧州の歩みを、英国が反転させるのか。6月23日の英国民投票には、欧州の未来がかかっている。
(ブリュッセル=森本学)
[日経新聞4月30日朝刊P.7]
【ワシントン=吉野直也】米大統領選の共和党候補指名争いがヤマ場を迎えるなか、首位の不動産王ドナルド・トランプ氏(69)への抗議活動が一部暴徒化する騒ぎに発展した。騒動があったのは28、29両日に西部カリフォルニア州で開いた集会。29日までに数十人が警察に拘束された。
共和党は6月7日に大票田カリフォルニア(代議員数172人)で予備選を開催する。トランプ氏が7月の党大会前に候補指名に必要な過半数(1237人)に達するかは同州までわからないとみられており、トランプ氏も運動に力を入れる。
米メディアによると、トランプ氏が演説を予定していたホテルの前でデモ隊と警官隊が衝突。同氏は裏口からホテルに入った。「人種差別主義者もトランプ氏もいらない」などと書いたプラカードが掲げられ、トランプ氏の車を止めようとする参加者もいた。
[日経新聞5月1日朝刊P.5]
「AIIB外交戦から見える「日中分離」政策とアジア経済牽引二頭立て馬車方式:日本はイソップの狐意識から脱却を」
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/359.html
「アジア・インフラ投資銀行(AIIB)創設に反対したのは米国の戦略的誤り:ゼーリック氏:戦術的にも戦略的にもベターな政策」
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/853.html
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アジア開銀、アジア投資銀と覚書 協調融資など
アジア開発銀行(ADB)が中国主導で発足したアジアインフラ投資銀行(AIIB)と政策対話や協調融資に関する覚書を結ぶことが30日、分かった。途上国への貸し付けや、インフラ開発で協力関係を築く。ドイツのフランクフルトで5月2日に開幕するADBの年次総会で表明する。
AIIBは中国が中心になって2015年12月に設立した。もともとADBとの連携を表明しており、今回、具体的な内容を記した覚書を正式に結ぶ。第1号案件の候補に挙がっているパキスタンの道路建設への融資も、ADBと協調して実施する方向だ。
政策対話では例えば、二酸化炭素(CO2)の排出量を減らすために最新鋭の石炭火力を導入する国に対し、ADBとAIIBが協力して排出量取引の市場を育成するよう促す。協調融資だけでなく政策立案やインフラ投資のノウハウでも協力し、増大するアジアのインフラ需要に対応する。
ADBの年次総会は5日まで開く。AIIBの設立後では初めての総会となる。期間中の3日には日中韓財務相・中央銀行総裁会議や日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)の財務相・中銀総裁会議も開く。一連の会合には日本から麻生太郎副総理・財務相と黒田東彦日銀総裁が参加する。
[日経新聞5月1日朝刊P.3]
「名護市長“計画断念を” 防衛相“変更せず”:日米安保破棄が多数派にならない限りこのような芝居で時間を稼ぐしかない日本」
http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/550.html
「翁長さん、安倍さん、猿芝居をぎりぎりまで続けてください」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/401.html
「日米首脳会談で「沖縄県知事は辺野古移転に反対」と「普天間基地の5年以内の運用停止」の二つを明確に語った安倍首相に“敬意”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo184/msg/146.html
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浮具撤去に「一定評価」 辺野古巡り沖縄県知事
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古で30日、防衛省沖縄防衛局が立ち入り制限区域を示すフロート(浮具)とオイルフェンスの撤去を始めたことに対し、翁長雄志知事は「県が要望した事項の一つで一定の評価をしている」とコメントした。
[日経新聞5月1日朝刊P.2]
※関連参照投稿
「子宮頸がんワクチン、小児科学会など「推奨」:“選択の自由”ならいざ知らず、現状で「推奨」という不見識」
http://www.asyura2.com/14/iryo4/msg/894.html
「摘出手術もされてる「子宮頚ガン」のなかに“非ガンの皮膚病”も」
http://www.asyura2.com/14/iryo4/msg/895.html
【イスタンブール=佐野彰洋】イラクの首都バグダッドで30日、イスラム教シーア派の指導者サドル師の支持者らが政治改革の遅れに抗議し、政府施設や各国大使館が集まる旧米軍管理区域(グリーンゾーン)内に突入した。一部が連邦議会議事堂になだれ込み、本会議場を占拠した。イラク治安当局は非常事態宣言を出し、デモ隊に対して催涙ガスなどで対抗した。
ロイター通信によると、デモ隊が突入した際、警備側との間で目立った衝突はなかった。サドル氏は同日、中部ナジャフで演説し、内閣改造案審議の遅れを非難していた。デモ隊の突入はその直後に起きたもようだ。
イラクでは人口で多数派を占めるシーア派のアバディ政権に対し、汚職の横行などに対する批判が根強い。特に2015年夏に停電が頻発して国民の不満が急速に高まっていた。政権に協力する立場だったサドル師は今年に入って、アバディ政権に内閣改造をすることを求めていた。
2014年9月にマリキ政権を引き継いで発足したアバディ首相は内閣の改造を目指しているが、議会内の反発から手続きが進んでいない。このためサドル師が圧力をかけるため、実力行使に出たとみられる。
グリーンゾーンは、バグダッド中心部のチグリス川西岸にある旧米軍管理区域。米国大使館のほかイラクの省庁などの中枢機関がある。チェックポイントが多くあるなど警備が厳重なことで知られる。このグリーンゾーンを多数のデモ隊が突破するのは異例で、同国の混迷を浮き彫りにした。
イラクでは過激派組織「イスラム国」(IS)が台頭するなど、治安面に課題を抱えるが、根深い宗派対立を抱え効果的な対策が採れないでいる。
米国はISの力をそぐため、アバディ政権と協力する姿勢を示している。カーター国防長官は18日、バグダッドを訪れアバディ首相と会談。ISの掃討支援へ米軍をイラクに増派することで合意したほか、4月にバイデン副大統領とケリー国務長官もイラク入りしている。
[日経新聞5月1日朝刊P.5]
「沖ノ鳥島:中国が「岩」主張譲らず [毎日新聞]」
http://www.asyura2.com/0411/senkyo6/msg/865.html
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台湾、沖ノ鳥島沖で漁民保護へ 巡視船が出航[日経新聞]
2016/5/1 19:18
【高雄=伊原健作】日本が東京都・沖ノ鳥島沖の排他的経済水域(EEZ)で台湾漁船を拿捕(だほ)したことに台湾当局が抗議している問題で、台湾の海岸巡防署(海上保安庁に相当)の巡視船など計2隻が1日、南部の高雄から同島沖に向け出航した。周辺で漁民保護活動にあたる。
巡防署幹部によると、保護活動は必要に応じて1〜3カ月間続ける方針だという。日本側から放水などの実力行使があった場合は「相応の対応をとる」とする一方、あくまで平和的に活動したいとも強調した。
台湾の馬英九政権は沖ノ鳥島は「島ではなく岩」と主張し、公海上での拿捕は違法として反発している。5月20日には民進党・蔡英文政権の発足を控える。馬政権の対日強硬姿勢の背景には、親日的とされる次期政権をけん制する狙いがあるとみられる。日本側は「沖ノ鳥島は国際海洋法条約で島としての地位が確立している」と冷静な対応を呼びかけている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM01H1M_R00C16A5FF8000/?n_cid=TPRN0001
米オバマ政権が進めてきた金融規制強化策の行方が混沌としてきた。規制に反発する米生命保険最大手が金融当局を相手取った訴訟の一審で勝訴。政府側が上訴する攻防に発展した。2008年のリーマン危機の教訓を踏まえた政策は米大統領選もからんで不透明感を増している。
「地裁判断を不服として政府は速やかに上訴する」。今月7日、米財務省が出したわずか1行の声明にルー財務長官の怒りがにじんだ。
米ワシントン連邦地裁は3月30日、保険会社メットライフに対する政府の資本規制強化を無効とする判決を出した。争点は「SIFI(シフィー)」と呼ぶ、国際的な金融システム上重要な金融機関への規制。指定されると、自己資本の大幅な積み増しを求められ、配当や自社株買いなどの株主還元策も制限される。
指定拡大に反発
SIFI指定はもともと金融危機の震源となり、公的資金の注入や米連邦準備理事会(FRB)の資金繰り支援を受けたウォール街の銀行と投資銀行(資産500億ドル以上)を標的としていた。
その後、「破綻すると幅広い経済システムにリスクを及ぼすノンバンク」にも対象を広げ、14年末にメットライフが指定された。健全経営で公的資金と無縁だった同社は反発。「(長期投資を通じて)むしろ金融市場の安定回復に貢献した」と解除を求め提訴した。
地裁判決は「規模が大きいというだけで規制強化を正当化する十分な根拠を提示していない」と指摘した。同社のスティーブン・カンダリアン最高経営責任者(CEO)は「我々の顧客や株主にとって大きな勝利だ」と宣言。市場は「金融当局に勝利した男」と同氏を称え、判決当日の株価は一時8%上昇した。
財務長官が議長を務める米金融安定監視評議会(FSOC)は同社のほかに保険2社とノンバンク1社もSIFIに指定している。判決を受け、指定解除を求める動きが強まる可能性がある。
このうちゼネラル・エレクトリック(GE)はすでに傘下のGEキャピタルの解除を申し入れた。13年の指定で「もはや金融はもうからない」(ジェフリー・イメルトCEO)と中核部門だった同社の解体をやむなく進めてきた経緯がある。
保険大手のプルデンシャル・ファイナンシャルはメットライフと同様に公的資金を受け入れていない。これまでは「当局を敵に回しても始まらない」と矛を収めていたが、ライバルの勝訴を踏まえ、指定解除要求に動くのかが注目だ。
攻防の「陰の主役」はかつての保険最大手AIGだ。金融危機を増幅する高リスクの保証業務を手掛けて破綻寸前に陥り、1820億ドルという公的資金注入を受けた。これは大手銀行への注入額を上回り最大だ。
国際規制に影響
「様々な選択肢を留保したい」。AIGのピーター・ハンコックCEOはメット勝訴を受けたコメントで言葉を選んだ。「(同社には)歴史がある」と金融危機の戦犯だった自覚があるためだ。
ただ日本事業の売却などリストラが進み、公的資金は完済済み。大株主に浮上した代表的な「もの言う投資家」カール・アイカーン氏が株価の上昇につながる指定解除の申請を促しており、経営陣は追い込まれている。
オバマ大統領は危機当時、「納税者への侮辱だ」とAIGを糾弾した。金融機関の監督強化を政権の「レガシー(遺産)」と位置づけており、AIG指定解除は受け入れられない一線。大統領選の共和党候補者選びで先行するドナルド・トランプ氏が根拠法である金融規制改革法の見直しを掲げるだけになおさらだ。
米国のドタバタは国際的な規制づくりにも響く。主要25カ国・地域による金融安定理事会(FSB)は国際展開する米欧中の保険9社を名指しして資本規制強化に動いている。メットライフやAIGなど米国勢のほか、独アリアンツや中国平安保険といった「メガ保険」が巻き返すきっかけになるかもしれない。
(編集委員 佐藤大和)
[日経新聞4月29日朝刊P.2]
高松市で開いていた日米独など主要7カ国(G7)の情報通信相会合は30日、人工知能(AI)の研究開発に関するルールづくりで合意して閉幕した。第三者がAIを乗っ取って悪用したり、AIが暴走して人間に危害を加えたりすることを防ぐ。経済や社会に与える影響も共同で調査する。
議長役の高市早苗総務相は会合後の記者会見で「AIはいずれ人間の知能に並び、社会・経済に革命的な変化をもたらす」と述べた。
AIは囲碁のトップ棋士を破るなど、分野によっては人間の能力を上回り始めている。一方、発展途上の技術を国が厳しく規制すれば産業の成長を妨げかねない。産業の育成と規制のバランスをどうとるか、G7各国は今後、経済協力開発機構(OECD)などの場で議論を進める方針だ。
[日経新聞5月1日朝刊P.3]
ナチスを毛嫌いしたオーストリアの著名作家ヨーゼフ・ロートなら、4月24日の大統領選挙で極右の自由党のホーファー氏が36%を超す得票率で首位になったのをどう見るだろう。大衆迎合的な極右政党が第2次大戦以降、国政選挙でこれだけの得票率を取ったことはなかった。
躍進の理由は主に3つある。1つは同党がイスラム教徒の大量流入で、文化や雇用、福祉制度が脅かされていると訴えたことだ。昨年半ば以来、多くの移民や難民がオーストリアに押し寄せており、危機感を抱いた有権者の共感を誘った。
2つ目は実体経済への懸念だ。低成長が続き、失業率も上昇しているが、教育制度などの改革は先送りされたままだ。
3つ目は「プロポルツ」と呼ぶ政治・社会制度の弊害だ。雇用とポストを社会民主党と国民党の二大政党間で分配する仕組みで、何十年も続く間に腐敗と縁故主義が生まれた。
両党の人気はかなり前から陰りがみえていた。2002年の議会選挙の得票率は両党合わせて79%だったが、13年ごろには50%強にまで落ち込んでいた。
5月22日の決選投票では、ホーファー氏は大統領に選ばれないかもしれない。反自由党の有権者が結集し、ホーファー氏の対抗馬でリベラル政党「緑の党」の支援を受けるファン・デア・ベレン氏に一票を投じる可能性があるからだ。
だが、これで終わりではない。自由党は世論調査で一貫して30%以上の支持を得てトップに立つ。国民党など既成政党の衰退は、18年9月までに実施される次の国政選挙の後、これらの政党が大連立を組んでも、自由党が権力の座につくのを防げないということを示す。むしろ自由党が連立政権に加わり、法と秩序や移民などに関する政策に関与することが十分考えられる。
1980年代前半、穏健な主張を掲げていた自由党は2000年から06年にかけ、極右政党として政権の一端を担ったことがある。これは不幸な経験だった。党は二分し支持率は低下した。今回、自由党とその指導部は同じ過ちを繰り返すつもりはないだろう。
(4月27日付)
[日経新聞5月1日朝刊P.13]
めまいを訴える人のほぼ半数は「良性発作性頭位めまい」というあまり聞き慣れない病気だ。耳の中にある小さな「耳石」が三半規管に入り込み、平衡感覚をつかさどる細胞を乱す。不快な症状が何度もぶり返すことはあっても、良性というだけあって悪化しないのが特徴だ。ほとんどの人は適切な運動で耳石を取り除け、症状が治まるという。
40代のAさんはある朝、急なめまいの発作に襲われた。ベッドから起き上がった瞬間に目の前がぐるぐる回り始め、立っていられないほど。すぐに治まったが、発作は日中もたびたびあった。ほかの症状がないので近くの耳鼻咽喉科を受診したところ、医師に「典型的な良性発作性頭位めまいです」と言われた。
□ □
この長い名前の病気が人々に知られるようになったのは2012年、女子サッカー日本代表だった澤穂希選手が診断されてからだ。澤選手は海外遠征中に体調不良を訴え、大事な試合を欠場した。約1カ月間治療に専念して完治。無事に戦線復帰を果たした。
良性発作性頭位めまいの原因である耳石は、大きさが5マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル程度の塊で、成分は炭酸カルシウムだ。数百個が内耳の前庭と呼ばれる部位の感覚細胞に隣接する。身体が動いた際に感覚細胞を刺激し、加速度を感じさせる重要な働きがある。
この耳石が何らかの拍子ではがれ、すぐ近くの三半規管に入ることがある。三半規管の中はリンパ液で満たされており、耳石がリンパ液の流れをかき乱す。実際の姿勢とは異なるバランス情報が感覚細胞から脳に送り出され、脳が混乱してめまいが起きる。
めまいの症状は主に耳鼻咽喉科の医師が診断する。「フレンツェル眼鏡」という眼球を拡大する装置を使い、めまいの時に眼球が異常に振れる「眼振」という現象を観察する。ゴーグルのような装置をかぶり、移動する対象を注視する際の眼振を測定する装置も併用する。
三半規管は直交する3つの半円状のループからなり、それぞれ前後・左右・上下の平衡感覚をつかさどる。眼振をチェックすると、めまいの原因部位が分かる。良性発作性頭位めまいでは、縦方向に関する三半規管に耳石が入ることが多く、2番目に多いのが左右に関する三半規管という。
□ □
リンパ液に浸った耳石はいずれ溶けるが、それまでめまいはなくならない。そこで身体を動かして、耳石を積極的に追い出すことが重要になる。東邦大学医療センター佐倉病院の鈴木光也教授は「めまいがするからといって安静にしていると、かえって回復が遅くなる」と指摘する。
気持ちが悪いときにどんな運動が効果的なのだろうか。頭部を細かく動かして耳石を追い出す「エプリー法」が国際的に知られているが、医師の指導が欠かせない。同病院は同法を発展させて独自の運動療法を編み出した。身体をより大きく動かすのが特徴だ。
ポイントは(1)寝ている状態から身体を起こす(2)座っている状態から頭を前後に動かす(3)寝ている状態で左右に身体を反転させる――の3つだ。いずれもゆっくり動作し、これを繰り返す。患者個人の判断で実施すればよく、鈴木教授は「2週間以内で9割は元通りになる」と話す。
ただ、めまいを訴えて受診しても「患者の眼振が分かるのは2〜3割」(鈴木教授)。具体的な診断に結びつかないと当座の対策として酔い止めの薬が処方されるが、根本的な治療にはつながらないので、その場合は何度か受診する必要がある。
良性発作性頭位めまいの患者の特性について、山根耳鼻咽喉科(東京・千代田)の山根雅昭院長は「年齢や性別を問わず起きる。体力の有無も関係ない」と話す。生活面でとくに気をつけることはないが、「栄養不足になると、耳石がはがれやすくなる」(山根院長)ので、無理なダイエットなどは考え物だ。
日本めまい平衡医学会はめまいの相談に乗る専門医を紹介する制度を設けている。症状があるときに確実な診断・治療を望むなら、同学会のホームページで近くの病院・医院を調べてから訪ねてみるのがいいだろう。
(池辺豊)
[日経新聞5月1日朝刊P.14]
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解剖 北朝鮮リスク 小倉和夫、康仁徳ほか編著 日韓の研究者が多面的に分析
なぜ、経済的に苦境の国が、国際社会を敵に回すだけでなく、莫大な経費も必要な核実験やミサイル発射を、突然行うのか。この不透明さが「北朝鮮リスク」なのだろう。
「東アジア最大の地政学リスクの1つである」と本書は位置付ける。12人に及ぶ日韓両国の名うての研究者が分担執筆した本書は、北朝鮮の政治・軍事・経済・社会をめぐって、その現状分析、リスク認識、そして日韓協力のあり方を説く。たとえば北朝鮮のサイバー脅威は張哲運(慶南大研究員)論文でその深刻な実態がわかる。
北朝鮮問題は、核・ミサイル・拉致などの「攻撃性」と経済難・体制維持などの「脆弱性」の2つに分かれるという。周辺国によって問題解決の優先順位が異なるため、政策上の足並みがそろわない。これこそ、「6カ国協議が北朝鮮の核実験を阻止できなかった最も大きな理由」で、問題解決には「他国との連携が必要不可欠となる」と平岩俊司(関西学院大教授)は書く。クリアな分析と提言である。
韓国にとっては「攻撃性」よりも「脆弱性」のほうが恐怖だろう。康仁徳(元韓国統一相)は、韓国が最も憂慮するリスクを「急変事態」だと言明する。「北朝鮮住民の大規模蜂起、主要エリートの反乱などによって北朝鮮体制が短期間に崩壊し、住民統制力を喪失して周辺国家に悪影響を及ぼす状況」である。そうなれば、陸続きの韓国は激しい社会混乱が発生するだろう。韓国はその事態に備え、「統一につながるように徹底的に準備するなど、万全の対策を講じている」そうだ。
康は統一後の朝鮮半島像に関して、非核化、日米との伝統的友好関係維持、領土問題などでの民族感情に訴える感情的アプローチの自制などを主張する。康ら7人の韓国人執筆陣から、こうした冷静な見解が聞けるのも、本書の特徴である。小倉和夫(元駐韓大使)による、日本にとっての朝鮮半島論や急変事態後の政治的安定方策論は、歴史を遡った秀逸な論稿である。
執筆者は共同研究会のメンバーで、「北朝鮮が自ら核廃棄することは期待できない」「金正恩政権が体制強化や人民の支持取り付けのため、これまで以上に経済政策に力を入れている」という2点で見方がほぼ一致する。この現状認識のもと、まとめの章で政治指導者に次のように求める。「政策にメリハリをつけ、北朝鮮への圧力、インセンティブ(奨励策)とも、従来を上回る強力なメニューを用意する必要がある。少々の軋轢(あつれき)は覚悟すべきだ」と。正論である。
(日本経済新聞出版社・3000円)
▼編著者はほかに日本経済研究センター。小倉氏は38年生まれ。康氏は32年生まれ。
《評》静岡県立大学教授
小針 進
[日経新聞5月1日朝刊P.21]
米国は世界の70カ国以上に何百もの基地を展開している。「世界の警察」役を果たすためだが、米軍基地は本当に米国や受け入れ国の利益にかなっているのか。本書は地元住民への影響、環境破壊などさまざまな側面から、米軍の海外駐留のデメリットを分析する。著者は人類学の専門家。安全保障の専門家からは異論も出そうだが、米軍基地を多く抱える日本にとっては興味深い一冊だ。市中芳江ほか訳。(原書房・2800円)
[日経新聞5月1日朝刊P.21]
「[日中外相会談]誠実に歴史反省、「中国脅威論」まき散らさない…中国が対日4項目を要求 関係改善目指すことは確認:中国発表」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/560.html
「[日中外相会談]意外?当然? 王毅氏発言にネットで「非礼だ」批判 「気骨見せた」擁護も」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/562.html
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中国外相が「4つの要求」 日本政府は不快感
中国の王毅外相が4月30日の岸田文雄外相との会談で示した日本への「4つの希望と要求」に、日本政府が「事実と違う」(外務省幹部)と不快感を示している。
中国外務省が発表した会談概要の題は「王毅外相が中日関係改善へ4つの要求を提示」。王氏は第1に「歴史を直視・反省し(中国と台湾が不可分とする)『一つの中国』政策を守る」を挙げ、台湾で独立志向の民進党政権の発足を前に、民進党を重視する安倍晋三首相を警戒した。
2点目の「中国脅威論や中国経済衰退論をまき散らさない」は中国の海洋進出を批判する首相へのけん制とみられる。岸田氏は会談で「事実関係としてない。報道に出ているだけだ」として日本政府は中国脅威論を唱えていないと反論した。
3つめは「経済面で中国を対等に扱い協力を推進する」。「どちらかが一方に依存しているという時代遅れの思考を捨てるべきだ」とするが、何を指すか不明確だ。4項目の「地域や国際社会の問題で中国への対抗心を捨てる」は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本の参加見送りが念頭にありそうだ。
王氏は昼食を含め4時間20分の会談中、流ちょうなはずの日本語をほとんど使わなかった。岸田氏に「誠心誠意で来たなら歓迎する」と声をかける場面もあり、中国国内にも「やりすぎで非礼だ」との指摘がある。
(北京=永井央紀)
王毅外相が示した「4つの希望と要求」
○歴史を直視・反省し、「一つの中国」政策を守る
○中国脅威論や中国経済衰退論をまき散らさない
○経済面で中国を対等に扱い協力を推進する
○地域や国際社会の問題で中国への対抗心を捨てる
[日経新聞5月2日朝刊P.2]
転載する記事を読んでも、憲法第9条に対する民進党岡田代表の考え方や立場はわからない。
岡田代表のこれまでの言動や安倍自民党の考えなどから勝手に推測すると、安倍政権のもとでの憲法第9条改正発議は容認できないということなのだろう。
そんな日がやってくるかどうかわからないが、岡田代表的スタンスは、民進党主体の政権ができても、「新安保法制」の発動や憲法第9条の改正志向はないことを意味するのでいいことかもしれない。
それが、第9条の改正ができないことがわかっている安倍政権の狙いなのかも...
※関連参照記事
「首相、9条改正に意欲 「ずっと後回しでいいのか」:自衛隊は違憲に意味、違憲状態の是正か憲法の変更かという設問はまっとう」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/367.html
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憲法9条を最大争点に 民進・岡田代表
民進党の岡田克也代表は1日、7月の参院選で憲法9条改正の是非を最大の争点に位置付ける考えを示した。「安倍晋三首相は9条改正に何回も言及している。与党が参院で3分の2の議席を取れば改正するという意思表示だ」と述べた。宮崎市で記者団の質問に答えた。
[日経新聞5月2日朝刊P.2]
日本経済新聞社とテレビ東京による4月29日〜5月1日の世論調査で、内閣支持率は3月の前回調査から7ポイント上昇し53%になった。不支持率は40%で2ポイント上昇した。熊本地震への政府の対応は「評価する」が53%で「評価しない」の35%を上回った。内閣支持率が50%台に乗ったのは2015年5月調査以来、11カ月ぶり。
災害時は政府の危機対応を尊重して内閣支持率が上がる傾向がある。11年3月の東日本大震災の際、菅直人内閣の支持率は4月に27%と2月より5ポイント上昇した。このときは政府対応を「評価する」34%、「評価しない」56%だったが、今回は評価する声が多いことも支持率上昇の要因に加わったとみられる。衆参同日選は「反対」43%、「賛成」41%。3月調査は「賛成」がわずかに「反対」を上回っていたが逆転した。
調査は日経リサーチが全国の18歳以上の男女を対象に乱数番号(RDD)方式で電話で実施。今回から固定電話に加え携帯電話にもかけた。対象も7月の参院選からの18歳選挙権導入に合わせて変更した。
[日経新聞5月2日朝刊P.1]
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参院選投票先、自民44% 民進は15% 「態度未定」12ポイント減
世論調査で7月の参院選で投票したい政党を聞くと、自民党が44%と3月調査から8ポイント上昇した。前回参院選の13年4月調査時の47%に近づいた。民進党は2ポイント上昇の15%。自民党が勝った衆院北海道5区補選や熊本地震で自民党が支持を広げたとみられ、態度未定は24%と12ポイント減った。
参院選で「投票したい政党」か「投票したい候補者がいる政党」を政党名を読み上げて聞いた。公明党は4%と横ばいだった。野党で民進党に続いたのは、おおさか維新の会の6%で3ポイント上昇。共産党5%、社民党1%はそれぞれ横ばい。野党5党を合わせても28%で自民党には及ばない。
政党支持率は自民が8ポイント上昇の46%、民進は2ポイント上昇の11%。無党派は21%と20ポイント減った。
[日経新聞5月2日朝刊P.2]
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「やじ、修業足りない」 首相、民放の番組で
安倍晋三首相が出演したフジテレビのバラエティー番組が1日放送された。収録は熊本地震の発生前の14日。首相は国会での自らのやじについて聞かれ「独り言だったが大きくなった。修業が足りない」と釈明。首相を辞めたらやりたいことを問われ「ちょっとの間はぼーっとしたい。小泉純一郎首相は退任後、目覚まし時計をかけない生活をした」と語った。
[日経新聞5月2日朝刊P.2]
「内閣支持、53%に上昇 熊本地震対応に評価:数字が鉛筆ナメナメのものかはともかく報道の扱い方で印象は変わるもの」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/413.html
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消費増税反対 66%に上昇
自民支持層で13ポイント増
日本経済新聞の世論調査で、2017年4月の消費増税への反対論が一段と広がってきた。増税に「反対」は66%で、3月調査より5ポイント上昇した。「賛成」は1ポイント減の29%。反対した人にどうすればよいかを聞くと、増税を中止すべきだとの声が最も多く、延期や引き上げ幅の見直しを求める意見が続いた。
増税反対論は内閣支持層の58%(前回は48%)、自民党支持層の60%(同47%)と政権支持層でも半数を超えた。公明党支持層は「反対」が41%から63%に20ポイント余り増え、与党内での増税先送り論の広がりを裏づけている。
増税に「反対」と答えた人にどうすべきか聞いたところ「引き上げるべきでない」と増税中止を求める声が49%で最も多かった。ほかは「時期を遅らせるべきだ」が27%、「引き上げ幅を見直すべきだ」は22%だった。
増税を延期する場合、どの程度の期間、先送りするかが課題になる。自民党の稲田朋美政調会長は、毎年1%ずつ引き上げるのも選択肢だとしている。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」への評価も厳しさを増している。「評価しない」が4ポイント増の53%と「評価する」の36%を上回った。為替の円高基調が続き、賃金や設備投資を押し上げるアベノミクスの好循環にブレーキがかかる懸念が広がる。政府は7月の参院選前に経済対策を打ち出す構えだ。
政府・与党は環太平洋経済連携協定(TPP)承認案と関連法案の今国会での成立を見送った。TPPの推進に関しては「賛成」が49%、「反対」は32%。ただ農林水産業では「反対」が圧倒的に多い。地域別では首都圏や関西圏は「賛成」が50%に達しているが、それ以外の地方は「賛成」45%、「反対」36%とやや反対論が増える。
原発再稼働は「進めるべきでない」が61%(2月調査は60%)、「進めるべきだ」が29%(同26%)だった。政府は原子力規制委員会が安全と判断した原発の再稼働を進めるが、熊本地震の影響もあり、国民の慎重な姿勢は変わっていない。
[日経新聞5月2日朝刊P.2]
共産党の志位和夫委員長は1日、都内で開いた全労連系のメーデー集会であいさつし、民進党などとの野党共闘について「衆院小選挙区でも実現し、安倍政権が早期の解散・総選挙に打って出たら衆参ともに自公とその補完勢力を少数に転落させよう」と訴え、衆院選での候補者調整を急ぐ考えを示した。
[日経新聞5月2日朝刊P.2]
日本経済が再び注目を集めている。「アベノミクス」の成果が輝かしいからではない。国際経済界は日本の長引く停滞や深刻なデフレに「日本病」の診断を下した。主要国首脳会議(サミット)が5月末に日本・三重県で開催される。開催国が「病身で参加」し、病気は感染しやすいので、どのように予防すべきか、どうやったら困った事態を抜け出すことができるかと、世界が不安を感じている。「経済日報」が伝えた。(文:陸忠偉・中国現代国際関係研究院元院長)
モルガン・スタンレー元アジア会長のスティーブン・ローチ氏は、「『日本病』とはすなわち日本経済の長期的な低迷、転覆した船や枯れた樹木のような状況、救いようのない深刻な病状を指す。第二次世界大戦後の日本の経済周期から考えて、1990年以降に5回の衰退期があり、2015年までの5年間(の衰退期)には、国内総生産(GDP)の年平均成長率がわずか0.8%にとどまり、それまでの45年間の年平均7.25%を大幅に下回った」と述べる。
最近の景気の指標も楽観できないものだ。経済は2四半期連続で縮小し、日本銀行(中央銀行)は2年ぶりに景気判断を引き下げ、円相場は下げ止まって上昇し、復興を喚起する効果は始めは高かったが徐々に低下し、一部の企業は賃金上昇幅が昨年の半分にとどまり、物価上昇率を2%に押し上げる力はまったく備わっていない。日本経済はデフレの悪影響を強く受けて、出口の見えないトンネルの中にいるといえる。
日本経済の停滞はすでに常態となっている。「日本病」は潜伏期間にはわかりにくいが、発病すると拡大していく。「オランダ病」、「英国病」、「ギリシャ病」などと似ており、物価の低迷、内需の縮小、投資の不振、負債の山、翌年の収入を食いつぶさなければならない経済的困難、産業の空洞化、競争力の弱まり、根本的対策にならない各種の政策、デフレや低成長から抜け出せない遅々とした歩み、といった病状も似ている。
最近、米国や欧州の経済が弱々しく復興に向かう中で、「日本病」の症状がひっそりとみられるようになった。消費の不振、通貨の過剰供給、これ以上は下がりようのない金利、深刻なインフレなどだ。08〜15年には、ユーロ圏のGDP年平均成長率はわずか0.1%だった。欧州中央銀行は16年のユーロ圏のGDP成長率予測を1.7%から1.4%に下方修正した。同じように米国でも米連邦準備制度理事会(FRB)がGDP予測を2.4%から2.2%に引き下げた。
欧米などの発達したエコノミーだけでなく、中国を除く新興エコノミーもGDP成長率が軒並み低下し、成長の鈍化が一般的な現象となり、15年の経済成長率は4%にとどまった。モルガン・スタンレーの予測では、16年のグローバル経済成長率は3%で、以前にうち出した予測の3.3%を下回り、これから日本のような長期的低迷に陥る可能性があるという。
そこで安倍内閣はサミットの前に大規模な経済活性化プランを再びうち出し、財政・金融の「無制限フリーマッチ」を戦おうとしている。財政予算約450億ドル(約4兆8299億円)を追加拠出して、公共事業の費用を前倒しで支払ったり、「プレミアム商品券」を発行したりするほか、消費税率引き上げの先送りも検討している。ここから「アベノミクス」には目新しいカードがそれほどないことがわかる。
海外の経済専門家の中には、グローバル経済の低迷に対処するには、「アベノミクス」のバージョンアップ版を早急にうち出す必要がある。また金融・財政政策を一層緩和し、構造改革と関連づける必要がある、とみる人もいる。この提案は「船に目印をつけて落とした剣を探そうとする」ようなものだ。腕のある医者ならば、症状に応じて適切な薬を処方し、病状に応じて量を調節し、いろいろな薬を用いて、さまざまな病気を治すことができるからだ。
「日本病」は直りにくい病気ではなく、処方箋がないわけでもない。安倍内閣の経済活性化のための使い古したやり方が、新たな情勢の変化に追いついていないだけだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年5月2日
李克強総理は4月30日午後、日本の岸田文雄外相と中南海紫光閣で会談した。
李総理は「長期的に健全で安定した中日関係の発展は、両国および両国民の根本的利益に合致し、地域と世界の安定と繁栄に寄与する。ここ数年中日関係は回り道をしたが、現在両国関係は改善基調を呈している。だがその基礎は依然脆弱であり、双方がしかるべき責任感によって中日関係の正しい方向性を把握する必要がある。中国側は『歴史を鑑として未来に向かう』精神で日本側と共に努力し、政治的相互信頼を強化し、両国関係を再び正常な発展の道に戻すことを望んでいる」と表明。
「中日国交正常化の政治的な基礎に関わる原則的問題を揺るがしてはならない。日本側が平和的発展の道を堅持し、中国の平和的発展はチャンスだとの姿勢表明を行動に移し、積極的な対中政策を真に遂行し、双方が何度も苦労を経て合意した4つの基本文書を揺るがず維持し、両国関係に根本的影響を与える敏感な要素を適切に処理し、中日両国間の対話・協力制度の段階的再開と中日韓首脳会議開催のためにプラスの雰囲気を醸成し、国民感情の改善と民間の相互理解促進のために確かなことを行うよう希望する」と指摘した。
また「中日の経済は補完性が高く、協力の基礎は厚い。中国側は日本側と各分野の実務協力の将来性を拡大し、互恵を実現し、両国民に幸福をもたらすことを望んでいる」と強調した。
岸田外相は「日本側は日中間の4つの基本文書の精神に基づき、『互いに協力パートナーとなり、脅威にならない』との共通認識を堅持し、中国側と尊重し合い、相互信頼を強化し、溝を管理・コントロールし、両国の上の世代の指導者が切り開いた日中関係を前進させるべく努力し、未来志向の日中関係を構築することを望んでいる。日本側は中国側の推し進める経済の構造的改革措置を心から称賛する。各分野で中国との協力を強化し、日中関係発展のために積極的な要素を積み重ね続けていきたい」と表明した。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年5月2日
外交部(外務省)の華春瑩報道官は26日の定例記者会見で「日本の岸田文雄外相が講演で前向きなメッセージを少なからず発したことに中国側は留意している。日本側が言動を一致させ、両国関係の改善・発展に確かな努力をすることを希望する」と表明した。
【記者】報道によると、日本の岸田外相は25日に中日関係について講演し、今後の中日関係改善・発展に向けて多くの前向きな姿勢を示した。だが同時に、中国の軍事力発展の問題、海洋活動問題への言及もあった。これについてコメントは。
【華春瑩報道官】岸田外相が講演で前向きなメッセージを少なからず発したことに中国側は留意している。日本側が言動を一致させ、両国関係の改善・発展に確かな努力をすることを希望する。
だがわれわれは同時に、日本側が依然いくつかの問題で中国側に対してとやかく言っていることを遺憾に思っている。中国は平和的発展の道を堅持し、防御的国防政策を堅持する。戦略的意図は透明なものだ。
東中国海と南中国海における中国の活動は完全に正当・合法であり、非難の余地はない。特に南中国海問題において、日本側は域外国として自らの位置づけと意識を正し、中国に対してあれこれ口出しすることを止めるべきであり、ましてや常に特定の国の背後で地域の安定維持にマイナスのことをするべきではない。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年4月27日
最高裁判所が誤りを認めて異例の謝罪をしました。かつてハンセン病の患者の裁判が隔離された場所で開かれていた問題です。最高裁は25日、調査報告書を公表し、「患者の人権と尊厳を傷つけた」と自らの過ちを反省しています。人権を守るべき裁判所が差別を助長した、その罪深さを取り上げます。
ポイントは3つです。まず、最高裁の検証は遅きに失した面が否定できません。また、謝罪したものの、検証の内容は踏み込み不足と言わざるを得ません。そして、関係者の名誉回復を図る必要があるということです。
最初に経緯を振り返ります。ハンセン病は感染のおそれがあるという理由で、戦前から平成8年までおよそ90年にわたって隔離政策がとられました。患者たちは人里離れた各地の療養所に強制的に収容され、その数は1万1000人にも上りました。療養所から外出を禁止されて仕事に就けず、結婚しても子どもをもうけられないなど人権を制限され、激しい差別や偏見にさらされました。戦後になって特効薬が実用化され、感染力が極めて弱いことがわかったあとも隔離政策は続き、その後の裁判で「憲法違反だった」とする判決が確定しています。
こうした背景を踏まえ、最高裁の司法行政部門の事務総局が自ら検証したのが、昭和20年代から40年代にかけてハンセン病を理由に特別な法廷で開かれた95件の裁判手続きです。そのほとんどは患者が被告となった窃盗や強盗などの刑事事件で、通常の裁判所ではなく隔離された療養所などに設けた特別法廷に裁判官が出向いて審理しました。
これについて最高裁の報告書は、「ハンセン病が確実に治るようになった遅くとも昭和35年以降、特別法廷を設ける手続きは違法だった」と誤りを認めています。特別法廷は、裁判所で法廷を開くことが難しい場合に各地の裁判所から申請を受けて最高裁がその必要性を判断し、極めて例外的に設置することができます。ハンセン病の場合、申請があった96件のうち申請が撤回された1件を除く95件すべてで特別法廷が認められました。これに対して、結核などハンセン病以外を理由に認められたのは61件の申請のうち9件にとどまっています。報告書は「ハンセン病では必要性を具体的に検討しないまま形式的に特別法廷の設置を認めており、差別的な取り扱いだった疑いが強い」としています。その上で「偏見や差別を助長し、患者の人権と尊厳を傷つけたことを深く反省する」として、最高裁の事務方のトップである事務総長が異例の謝罪をしました。
最高裁が過去の過ちを率直に詫びたことは一定の評価ができると思います。しかし、対応は余りにも遅かったと言わざるを得ません。隔離政策が廃止されてから今年で20年、憲法違反の判決を受けて政府と国会が謝罪してから15年にもなるからです。11年前の平成17年には、国が設けた検証会議の報告書で特別法廷の問題が取り上げられ、「不合理な差別だ」と指摘されていました。にもかかわらず、最高裁は平成25年に元患者などの団体から要請されるまで自ら検証作業に動こうとしませんでした。「問題を放置したのではないか」との声も出ていましたが、今回の報告書では、なぜ対応が遅れたのかという疑問への具体的な説明はありませんでした。
そしてもう1つ物足りなさを感じたのは、特別法廷を開く手続き的な誤りとは別にそもそも憲法に違反していなかったのかというより本質的な問題の議論です。最高裁が今回の検証にあたって設置した学者や弁護士などの有識者委員会は、ハンセン病の患者を一律に特別法廷で裁いたことは差別的で憲法が保障する平等の原則に違反するとしていました。また、特別法廷は社会から隔離された場所で開かれたので実質的には非公開のケースが多かったのではないかという見方があり、有識者委員会は「憲法が定める裁判の公開に反していた疑いもある」と指摘していました。しかし、最高裁は報告書に委員会の意見を併記したものの、当時の資料が十分に確認できないといった理由で憲法違反とまでは認めませんでした。憲法違反を認めなかったことについて、元患者からは「検証が不十分だ」と失望の声が上がっています。元患者の団体は「単に運用を誤ったというのであれば司法の責任がまったく不問にされたに等しく、到底受け入れられない」と批判しました。私も、憲法の番人たる最高裁にしては腰が引けていると言われてもしかたがないように思います。特別法廷の違憲性にもっとしっかりと向き合うべきだったのではないでしょうか。
さらに特別法廷の最も重大な問題は、差別意識が蔓延する中できちんと審理されていなかったのではないかという中身の公正さへの懸念があることです。かつて特別法廷に立ち会った弁護士は出版した書物の中で、「当時は伝染病だと思っていたので早く審理を終えたいという気持ちが強かった。裁判官や検察官も同じ気持ちだっただろう」と記しています。また関係者によりますと、特別法廷の書記官を務めた人は、「誰もが差別と偏見をもって裁判にあたり、被告を人間ではなくぼろ雑巾にように扱った」と悔やんでいたといいます。ところが最高裁は、今回の調査対象を手続き論にとどめ個別の裁判の内容までは検証しませんでした。
元患者たちが感じる検証の不十分さもそこにあります。最高裁が個別の内容に踏み込まなかったのは、「裁判官の独立」への配慮があったからです。裁判官の独立とは、裁判の公正さを保つために外部からの介入や圧力を排除するという考え方で、裁判所の行政部門の幹部が確定した裁判の善し悪しを論じることも
これに抵触するとされています。この考え方が、今回の対応の遅れにつながったのではないかとの見方も出ています。私は、裁判官の独立というのは適正な司法手続きが守られてこそ尊重する理念であって、ましてや審理の公正さに疑問が投げかけられている時に最高裁が裁判官の独立を持ち出すのはお門違いのように思います。
特別法廷の中にはえん罪の可能性が指摘される事件もあります。例えば、昭和27年に熊本県で起きた殺人事件では、ハンセン病とされた被告が無実を訴えたものの死刑判決が確定し10年後に刑が執行されました。この被告が公開の法廷に立つことは一度もなく、弁護団は十分な証拠がないまま予断に満ちた捜査と裁判が行われたと指摘してきました。裁判所は「人権を守る最後の砦」と言われています。特別法廷の過ちを自ら認めた以上、法廷で何が行われていたのか、その実態を直視し、元患者や家族が望めば、再審=裁判のやり直しを速やかに行って名誉回復を図る責務があるのではないでしょうか。
ハンセン病は、いわれのない差別によって患者や家族の人生が大きく狂わされた根の深い問題です。救いを求める声が今なお絶えません。司法も加担したこの課題を解決に導くには、社会全体で改めて責任を問い直す必要があるように思います。
(橋本 淳 解説委員)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/243235.html
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ハンセン病隔離法廷、最高裁長官が謝罪 「深くおわび」
朝日新聞デジタル 5月2日(月)18時54分配信
最高裁の寺田逸郎長官が3日の憲法記念日を前に記者会見を開いた。ハンセン病患者の裁判を隔離された「特別法廷」で開いていた問題について、「裁判所のあり方を深くおわび申し上げなければならない」と謝罪の言葉を述べた。
特別法廷をめぐっては、最高裁が4月25日、調査報告書を公表。司法行政を担う事務方トップの事務総長が、特別法廷を認めた裁判所の運用が裁判所法違反だったとして、謝罪した。
寺田長官は会見の冒頭にこの問題に触れ、「最高裁として自らを省みて二度とこのようなことを繰り返すことがないよう決意する。裁判所の対応に、差別の助長につながる姿勢があったことは、痛恨の出来事だ」と話した。
調査の過程で、特別法廷が憲法の「法の下の平等」に反すると有識者に指摘されたにもかかわらず、報告書で認めなかったことについては「違法と結論づけたので、それ以上に憲法違反かどうかの判断は法律的には必要ない」と説明。「事務総局が(憲法判断を)躊躇(ちゅうちょ)したのは、理解できる」と繰り返した。
特別法廷が実質的に「非公開」で、憲法の保障する「裁判の公開」に違反するとの指摘に対しては、「資料が乏しい中で、『公開の法廷』を意識した設営作業がみられた」と発言。「調査によっては個々の裁判の判断に影響を与えることにもなりかねず、調査の限界を踏まえたのだろう」と語り、「裁判官の独立」への配慮を強調した。
調査を要請した元患者らが要望している再発防止策については「人権意識の向上のために、新たな研修プログラムなどが求められるのではないか」と述べた。
また、参院選でも争点の一つとなる憲法改正については「国民的な議論をもとに、国会や社会全体で決めることだと思う」との見解を示した。安保関連法の国会審議などで、集団的自衛権と憲法をめぐる議論が高まったことについては「憲法の柱となる民主主義のあり方について、社会で議論が進むのは大変望ましいことだ」と話した。(市川美亜子)
最終更新:5月2日(月)21時27分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160502-00000037-asahi-soci
NATO=北大西洋条約機構の事務総長はヨーロッパでロシアの軍事的な脅威が高まっているとして、ロシアに隣接するバルト3国とポーランドに4つの部隊を派遣して防衛力を強化する方針を示しました。
ベルギーやフランスなどの新聞社は2日付けの紙面で、NATOのストルテンベルグ事務総長のインタビューを掲載しました。
この中でストルテンベルグ事務総長は「ロシアは軍事費を増やし、ウクライナの一部を併合するなどヨーロッパの国境を脅かしている」と指摘し、ヨーロッパでロシアの軍事
的な脅威が高まっているとの見方を示しました。
そのうえで「NATOは防衛力を強化して対応しなければならない」と述べ、NATO軍として、ロシアに隣接するエストニアなどのバルト3国とポーランドに4つの部隊を派遣する方向で加盟国と協議に入ったことを明らかにしました。
それぞれの部隊の規模は数百人から1000人程度になる見通しで、参加国の構成や任務の詳細などはことし7月にポーランドの首都ワルシャワで開催するNATO首脳会議で正式決定するということです。
NATOは先月、緊張緩和に向けロシアとの政治協議を2年ぶりに再開させましたが、バルト海では最近、アメリカ軍の艦艇や偵察機にロシア軍機が危険な接近を繰り返していることなどから改めて警戒感を強めています。
戦闘が再燃しているシリアを巡って、アメリカのケリー国務長官はシリア全土で停戦を実現させるため監視態勢を強化することでロシアと合意したことを明らかにしました。
アメリカのケリー国務長官は2日、訪問先のスイスのジュネーブでシリアの和平協議を仲介する国連のデミストラ特使と会談したあと記者団の取材に応じました。
このなかでケリー長官は、戦闘が再燃しているシリア北部のアレッポで多くの市民が犠牲になっていることについて、「政権側と反政府勢力側ともに混乱の原因となっている」と述べて双方を非難しました。
そのうえで、戦闘の激化を防ぎシリア全土で停戦を実現させるため停戦の監視態勢を強化することでロシアと合意したことを明らかにしました。具体的には、ジュネーブの国連ヨーロッパ本部でシリアの停戦を常時監視する要員を増やすとしています。
さらにケリー長官は「アメリカなど関係国はシリアの反政府勢力に対して、またロシアとイランはアサド政権に対してそれぞれ停戦を守るよう働きかける責務がある」と述べ、各国にも協力を呼びかけました。
一方、デミストラ特使は3日にロシアのラブロフ外相と会談して停戦への協力を求める方針を明らかにし、こうした一連の働きかけによって戦闘の鎮静化につながるかどうかが焦点となっています。
複数の米国企業がオーストラリアの潜水艦に搭載する兵器の競争入札に参加する。これまでは仏の造船メーカーDCNSが注文を受けていた。フランス通信社が伝えた。
フランス通信社によると、潜水艦用の兵器として納入されるのは長距離魚雷のMk−48。メーカーはまたオーストラリア政府に照準システムも提供することとなる。
採用候補として米航空機メーカーのレイセオンの名が挙がっていると同通信社は指摘。
以前、オーストラリアのメディアはフランスが日本とドイツを抑えてオーストラリアへの新世代潜水艦12隻の納入権を獲得したと報道した。メディアの情報では、フランスの勝利はオーストラリアの新しい潜水艦が非原子力発電のバラクーダ型であることを意味する。潜水艦はDCNSが造船すると伝えられている。
米国は自由貿易と投資パートナーシップに関する交渉で、EUに強い圧力をかけている。南ドイツ新聞より。
グリーンピースが開示した機密文書によると、EUは米国製品が欧州市場に入れるように、社会的、法的、環境分野における標準を大幅に低減する必要がある。米国は譲歩を強いるため脅迫まがいの手を打っている。
たとえば、より多く米国の農産物を購入することを拒否した場合、米国のEUからの自動車輸入を削減すると米国は脅している。また、米国は、貿易と投資に関わる紛争において民間仲裁裁判所にかわり透明な自国裁判所を利用する問題でも譲歩するつもりはない。
文書はまた、米国は人間の健康や環境に有害ではないことが証明されている場合にのみ商品の販売を許容するというEUの原則を廃止したい考えであることを示している。結果、欧州市場に遺伝子組み換え食品や植物が入る可能性もある。
2001年9月11日のテロに関する完全なレポートの公開は米国とサウジアラビアの関係を害する可能性がある。米中央情報局(CIA)のジョン・ブレナン長官がNBCとのインタビューで語った。
サウジ当局のテロリスト支援について語った28ページの報告書には、未確認情報が含まれている、と長官。
調査委員会は事後、サウジ政府が「アルカイダ」を支援していたという証拠はなかったと指摘した。
中国の製造業の景況感を示す4月の指数は、新たな受注の伸び悩みなどで前の月から悪化し、中国経済の減速懸念が裏付けられるかたちとなりました。
イギリスの調査会社と中国のメディアは毎月、中国国内のメーカーを対象に景況感の調査を行い、その結果を製造業のPMI=購買担当者景気指数として発表しています。
3日に発表された先月のPMIは49.4で、市場の予想を下回って前の月から0.3ポイント悪化し、景気判断の分かれ目となる50を14か月連続で割り込みました。
具体的には直近の生産の水準は前の月とほぼ横ばいだった一方で、新たな受注の伸び悩みから、今後の生産見通しには慎重な見方が広がり、従業員をリストラしたり、新たな採用を控えたりする動きも出ているとしています。
調査した会社では「中国経済は回復の基礎が固まらず、外需の弱さもあって減速懸念が続いていて、政府はこの状況を重視すべきだ」と指摘していて、中国経済の減速懸念が裏付けられるかたちとなりました。
中国政府は鉄鋼などの過剰な生産能力の削減を進める一方、企業の生産コストを引き下げるために減税措置などの対策を打ち出していますが、内需、外需ともに弱さが目立つことから、インフラ建設などによる景気下支え策を一段と強めるという見方も出ています。
自民党草案は“見せ金”と同じお話しレベルのものだが、憲法について、一つの条項を変更したり加えたりするにしても、参議院の構成を考えれば、民進党が発議に加わられなければうまくいかない。
民進党が安倍政権下での改憲認めないと表明したことで、安倍首相の改憲を阻害しているのは民進党を代表とする野党ということになり、本気で改憲に動く気がない安倍首相ではあっても、「改憲は口先だけ」、「肝心なことはできないヘタレ」といった非難を免れることができる。
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野党4党の党首訴え 安倍政権下での改憲認めない[NHK]
5月3日 16時29分
民進党や共産党など野党4党の党首が、憲法を守る立場の団体が東京都内で開いた集会であいさつし、安倍政権の下での憲法改正は認められないとして、夏の参議院選挙に向けて、政権と厳しく対じしていく考えを強調しました。
この中で、民進党の岡田代表は「安倍総理大臣が目指しているのは参議院選挙で多数を得て、憲法9条の本丸に切り込んで改正することだ。限定された集団的自衛権どころか、限定のない集団的自衛権の行使をやり抜くのが、安倍総理大臣の魂胆であり、力を合わせて阻止しよう」と述べました。
共産党の志位委員長は「自民党の憲法改正草案を許してよいのかが、参議院選挙の大争点だ。憲法で権力を縛るのではなく、憲法によって国民を縛りつける道を断固拒否しよう。変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにする政治だ」と述べました。
社民党の吉田党首は「これまで憲法が1字も変えられていないのは、国民が変えることを望まなかったからだ。憲法の理念を実現する政治を勝ち取るため、安倍政治を終わらせる戦いをしなければならない」と述べました。
生活の党の小沢代表は「憲法の理念や理想を守ることや、安全保障関連法の廃止を実現するためには、選挙に勝たなければならない。安倍政権を退陣に追い込んで、国民のための政治を実現しよう」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160503/k10010507911000.html?utm_int=all_side_ranking-social_002
アメリカ大統領選挙に向けた共和党の候補者選びで、クルーズ上院議員が選挙戦からの撤退を表明したあと、共和党の全国委員会の委員長は、不動産王のトランプ氏が共和党の大統領候補に指名される見通しになったとして、11月の本選挙に向けて党の結束を訴えました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160504/k10010508631000.html?utm_int=all_contents_just-in_001
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共和党 クルーズ上院議員が選挙戦から撤退へ[NHK]
5月4日 9時43分
アメリカ大統領選挙に向けた共和党の候補者選びで、クルーズ上院議員が選挙戦から撤退する考えを表明しました。
クルーズ上院議員は日本時間の4日午前9時半ごろ、予備選挙が行われたインディアナ州の州都インディアナポリスで支持者を前に「当初から勝利の可能性があるかぎり戦い続けると言ってきたが、今夜、残念ながらその道は閉ざされてしまった。選挙戦から撤退する」と述べました。
米国の複数の上院議員及び9-11テロ犠牲者の親族らは、オバマ政権に対し、このテロ事件に関する報告書の極秘部分を公表するように求めている。しかしブレナンCIA長官は「報告書には、取り調べ過程の機密情報が含まれている」と指摘「情報は正確ではない」と述べた。2日、ロシアのテレビ局Russia Today (RT)が伝えた。
これに対し、元駐サウジアラビア米国領事館の職員、マイケル・スプリングマン氏は「ブレナンCIA長官の発言は、全くもってナンセンスだ」と批判している。
スプリング氏は、次に様に述べた-
「ブレナン氏の発言は、ナンセンスとしか言いようがない。彼は、報告書の中に不正確なデータが含まれていると主張しているが、我々自身が自分で、その不正確さの度合いを判断できるよう、データは公表すべきだ。それらを厳しい極秘状態おいてはならない。データがどれほど不正確か分かった段階で、その後で極秘扱いにすればいいのではないか?」
米国を訪問している民進党の細野豪志元環境相は3日午前(日本時間3日夜)、ワシントンのシンクタンクで自民党の小野寺五典元防衛相らとともに講演し、共産党との選挙協力について「米国の方々は民進党が共産党と協力をするというと違和感を持つかもしれないが、共産党と政権をともにすることはあり得ない」と強調した。
さらに「選挙協力という言葉も使っていない。共産党が自らの判断で候補者を出さないことについてはプラスになるので、それを認めているに過ぎない」と述べた。
また、細野氏は夏の参院選に合わせて衆院選を行う「衆参同日選」について「今でもダブル選挙の可能性が高い。そのときに国民に選択してもらえるような準備をしている」と述べた。
小野寺氏は安全保障関連法が選挙に与える影響に関し、「法案が成立してから賛成が反対を上回っている。選挙に与える影響はない」と説明した。(ワシントン支局)
米大統領選挙の共和党候補者争いでトップに立っている不動産王、ドナルド・トランプ氏は「自分が大統領に選出された場合、米国を尊重するとの条件のもと、他の国々との間で途方もなく良い関係を築くことができるだろう」と述べた。
これは火曜日夕方、ニューヨークで多くの支持者を前に演説した際、述べたもので、トランプ候補は、次のように強調した―
「我々と、諸外国との関係は信じられないほど良いものになるだろう。しかし彼らは、我々に正しく接しなくてはならない。米国を尊重しなければならない。国際関係というのは、上下線のある道路のようなものである。」
米国のアーネスト・モニズ長官は、共同通信のインタビューの中で「日本は、米国産液化天然ガス(LNG)の主な買い手の一つになるだろう」と述べた。
モニズ長官は、インタビューの中で、次のように伝えた-
「日本は、明らかに、主要な買い手の一つになるだろう。米国産LNGの供給は、今年3月、メキシコ湾から始まった。
現在の原油価格下落による世界市場での需要と供給のアンバランスについて言えば、恐らく1年後には、そうした傾向は一掃されるだろう。」
http://jp.sputniknews.com/japan/20160503/2066053.html
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米エネルギー省「今年中に原油市場の需要と供給のバランスは取れてゆく」[スプートニク日本語]
2016年05月04日 08:56
5月1日2日の両日北九州市で開かれた先進7か国(G7)エネルギー大臣会合に出席した米エネルギー省のアーネスト・モニズ長官は「原油市場における需要と供給は、今年中にバランスが取れてゆく」との見方を示した。3日、共同通信が公表したインタビュー記事の中で、長官は、そのように述べている。
モニズ長官は「もし、需要面においても、又供給面においても、突発的な事が起こらなければ、現在のアンバランス状態を、大体今年いっぱいで通り過ぎる事になるだろう」と予測した。
また長官は、米国が原油の輸出禁輸措置を40年ぶりに解除した事をコメントし「当局は、この措置を講ずることで、市場に本質的な影響があるとは期待していなかった」と指摘した。さらに長官は、液化天然ガス(LNG)の国外供給についても触れ「日本は、明らかに主要な供給国の一つになるだろう」と強調した。
債務不履行状態にある米国の石油会社の数が増加しており、すでに記録的な数に達している事が分かった。新聞「ファイナンシャル・タイムズ(Financial Times.)」が伝えた。
国際格付け会社フイッチ(Fitch)のデータによれば、米国の石油ガス会社の13%が倒産した。1年前には、その数字は2%に過ぎなかった。
分析専門家の予測によれば、この数字は、今年2016年末までに20%に達する可能性がある。Invesco社の専門家が、新聞「ファイナンシャル・タイムズ」に伝えたところでは「債務不履行状態の会社が増え続けている。これは多くの会社が、その資本構造のせいで、原油1バレル=$45.では活動できないからである」とのことだ。
トルコによるロシア軍戦闘爆撃機スホイ24撃墜事件がシリアであったものの、ロシアとトルコは当該地域で依然として重要な国であり、互いに必要としあっている。トルコのアフメト・ダウトオール首相がこのように発言した。
「我々の方針は以前から変わっていない。ロシアとトルコは常に隣国であり、今日この両国もまた当該地域において重要な国であり続けている。我々はお互いを必要としている。戦闘機の事件はロシアへの敵対を意味するものではなかった」とダウトオール首相は語った。
ダウトオール首相はまた、以前はロシアとトルコの関係が友好的であったと指摘。「両国関係が将来においても良好であることを望む」と付言した。
ロシア・トルコ関係は、2015年11月24日シリアでロシアのスホイ24爆撃機がトルコ側により撃墜された事件の後、危機的状況となっている。
2015年11月24日、ロシア機スホイ24が、シリアで墜落した。ロシアのプーチン大統領は、ロシア機について、シリア上空でトルコのF−16戦闘機の「空対空」型ミサイルによって撃墜され、トルコとの国境から4キロのシリアで墜落したと発表した。プーチン大統領は、テロリストの共犯者たちによる「裏切り行為だ」と指摘した。
ロシア国防省の声明によると、パイロット1人は脱出して降りる最中に地上から攻撃されて死亡、またパイロットの救助作業を行っていたヘリコプター「ミル8」も攻撃され、作業に参加してした海兵隊員1人が死亡した。
オバマ米大統領は、1945年の日本への原爆投下について謝罪の必要はないと考えている。2日、米ホワイトハウスのアーネスト報道官が伝えた。
報道官は、記者会見で、オバマ大統領は原爆投下について日本は謝罪を受ける必要があると考えているのか?との問いに、「ノー」だと述べ、大統領は「そのようには考えていない」と答えた。
日本政府は、オバマ大統領に広島あるいは長崎を訪問するよう何度も呼びかけてきた。オバマ大統領は、5月に日本で開かれるG7首脳会談に出席する。
4月10日、広島でG7外相会合が開催され、米国のケリー国務長官が会合に合わせて広島平和記念公園を訪問したが、第二次世界大戦中の原爆投下について謝罪はしなかった。
中国政権は経済アナリストらに対し、国民経済の状態の悲観的予測を行なわないよう要請した。ウォールストリートジャーナル紙が消息筋の情報を引用して報じた。
ウォールストリートジャーナルは中国政権与党の共産党内外の情報筋の見解として、こうした決定は、中国経済が現在、長期の経済停滞状態にあるため、その予測に対する中国指導部の憂慮の高まりを背景にとられたものと説明している。特に指導部は中国からの投資の引き揚げをこうした方法で停めようとしている。
中国政府省庁はこのコメントに対するウォールストリート紙からの質問およびコメント要請を退けている。中国共産党指導部は中国経済が深刻な危機状態にあるとの認識を拒んでいる。
米国の人気シンガー、プリンス氏は、麻薬学の専門家のもとを訪れる前日に亡くなった。「ハリウッド・リポーター(The Hollywood Reporter.)」が伝えた。
プリンス氏は、4月21日に亡くなったが、翌22日彼は、カリフォルニアの医師ハワード・コルンフェルト氏と会う予定があった。この人物は、鎮痛剤に依存していたプリンス氏を治療するはずだったと見られている。
プリンス氏の死後、彼のもとで鎮痛剤が見つかったとの情報が現れたが、それがプリンス氏の体内から検出されたのかどうか、彼の死に何らかの関係があるのかについて、毒物学的分析の結果は、今のところ出ていない。
「米国が、ロシアに対し厳しい制裁政策をとる中、その戦略的同盟国である日本は、ロシアとの友好を強化する道を模索している」−新聞「ウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)」はこのように指摘した。
同紙は次のように指摘している―
「6日、安倍首相は、ソチを公式訪問し、プーチン大統領と会談する。両首脳が会談するのは、すでに13回目である。今回の会談は、日ロ関係の新しい段階を特別に示すものだ。
ロシアと日本には、共通する多くの利益がある。第一にまず、両国は、経済協力拡大のための潜在力を持っている。日本政府は、原油及びガスの輸入先の多角化を図りたいと考え、ロシアは、世界的な原油ガス危機という条件下、新たな投資国の獲得を目指している。
そして第二に、安倍首相は、幾度となくロシアとの領土問題解決の願いを口にしてきた。今年、安倍首相は、この問題の調整に向けた長期的プロセスを開始するため、プーチン大統領を東京に招く意向だ。」
http://jp.sputniknews.com/politics/20160504/2070843.html
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「プーチン、安倍両首脳はクリル問題を討議、だが急速な発展は期待薄」露大統領府報道官[スプートニク日本語]
2016年05月04日 18:25(アップデート 2016年05月04日 19:26)
プーチン大統領と安倍首相はクリル諸島のテーマを話し合うものの、急な発展を期待することはおそらく不可能。ペスコフ露大統領報道官は記者会見でこうした声明を表した。
ペスコフ報道官は記者団に対し、「むろん、いずれにしてもこのテーマに触れられるだろうことは容易に予測がつくが、明日にも本格的な発展があると期待することはおそらく無理だろう。なぜならこのテーマはあまりにもデリケートなものであり、専門的レベルでの綿密で長期的で、なおかつ連続的な作業が要されるからだ」と答えた。
ペスコフ報道官はこう語る一方で、今回の会談はこの問題の早期解決を促すだろうと指摘している。
先日ジャパンタイムズ紙は、ドイツのメルケル首相が2015年3月に日本を訪れた際に、安倍首相にNATO加盟を提案したと報じた。だが安倍首相は、このような可能性について公に議論するのは、北方領土問題に関する露日協議を袋小路に追い込む可能性があるとして断ったという。
日本は、NATOの「グローバル・パートナー」には入っているものの、NATO加盟国ではない。そのためジャパンタイムズは、メルケル首相の提案が実現される確立は極めて低いと指摘した。しかし、所謂メルケル首相の「思いがけない提案」に関する記事が掲載されたのは、5月6日にロシアのソチで安倍首相とプーチン大統領が会談する前のことだった。露日関係の専門家で、モスクワ国際関係大学の教授でもあるドミトリー・ストレリツォフ氏は、次のような見解を表している−
「日本がNATOへ加盟する現実的な可能性は、恐らく存在しなかったと思われる。日本は地理的に北大西洋ブロックには属しておらず、日本憲法によると、日本が何らかの軍事ブロックに入る可能性は制限されている。ジャパンタイムズに記事が掲載されたのは、近いうちに予定されている安倍首相のソチ訪問に関係した一種の陰謀をさらに張り巡らせるためのものだと考えられる。知られているように、ロシアはNATOに断固として反対の立場を取っており、これは露日間における新たな合意の可能性を防ぐためのロシアおよび日本に対する一定の圧力の可能性がある。なぜなら2016年は、両国の合意達成にとって最善の年だからだ。」
安倍首相は、元衆議院議員の鈴木 宗男氏との会談で、米国は選挙で忙しくなり、日本への手綱を緩めるため、日本とロシアにとっては新たなチャンスとなるとの旨を説明したという。ストレリツォフ氏は、これは日本の首相をさらに粘り強くさせるとの見方を示し、次のように語っている−
「米国では来年すでに新たな大統領が存在し、恐らくその人物はロシアに対してより厳しい外交政策を取るだろう。日本にとっても衆議院選挙が迫っており、安倍首相の行動はその状況とさらに関係を持つようになるだろう。なお日本は、主に米国の圧力の下で環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に署名し、国家安全保障上の一連の法律を承認し、十な説得力を持ってすでに日米同盟への忠誠を証明した。そのためまさに今、米国が忠誠でないとして安倍首相を非難するのは難しいだろう。安倍首相は今、駆け引きや何らかの妥協的決断をするための十分な可能性を持っている。そして、それらがソチでの会談で、何らかの形で現れる可能性もある。」
日本は、何に期待しているのだろうか?ストレリツォフ氏は、中国の要素という政治的計算だと指摘し、次のような見方を表している−
「日本は、ロシアが中国への関心を失うのではなく、複数のプロジェクトへの支援や融資不足に関連していくつかの失望を経験することに期待している。ロシアは今、自国の政策を東で多角化する課題に直面しており、日本は、ロシアがそのパートナーの輪を広げようとすることに期待している。
さらに日本は、クレジットラインや技術支援、新プロジェクトの始動などによって、実際に経済支援でロシアに『配当』を与えることができるだろう。第2の点は、西の要素だ。見たところ日本は、ロシアと西側の関係正常化の橋となり、対制裁政策の負の影響を排除することができるとして、ロシアの説得に成功すると考えている。そしてロシアが平和条約と領土問題でより譲歩するようになると考えているようだ。ロシアはそのような行動に出るだろうか?恐らくロシア側からなんらかの画期的な決定が出されることはないだろう。知られているように、日本は4島譲渡の定式に基づいて十分に保守的な立場を堅持している。そのため主な策略は、日本が何か新しいものを提案して、どれだけ努力するかということにある。」
なおストレリツォフ氏は、「いずれにせよ何らかのポジティブな前進はあるだろう」との見方を示し、安倍首相の訪問は、露日関係に改善の傾向が見られる中で行われると指摘した。
米国では、2015年の死者の3分の1(25万人以上)が、医療ミスで死亡した可能性がある。米ジョンズ・ホプキンス大学の学者たちが発表した。インディペンデント紙が伝えた。
学者たちは、時宜を得ていない診断や不十分な診断、誤診、間違った治療や過剰な治療は、医療ミスだと考えている。
統計によると、死因の第1位は、心臓血管疾患(61万1000人)、2位は、がん(58万5000人)、3位は、慢性呼吸器疾患(14万9000人)だった。
バヌアツ沖で5日、マグニチュード5.7の地震が発生した。米地質調査所が伝えた。
震源はルーガンビル市から74キロで、地震の深さは35kmだった。
物的損失や死傷者に関する情報は伝えられていない。
オバマ米大統領はワシントンポストに寄稿し、環太平洋パートナーシップ(TPP)のメリットを訴えた。大統領によると、米国は更なる成長のために新たな市場を必要としている。その中で最も有望なものの一つが、アジア太平洋地域市場だという。同地域でもうひとつのプレイヤーになろうとしているのが中国だ。
オバマ氏は、北京が自らの周りに作ろうとしている地域パートナーシップは米国市民にとってマイナスである、とする。国有企業との不当競争を防ぐことができなくなり、インターネットの自由を保護することもできなくなるという。
一方これらの欠点は、世界経済の40%をカバーし、12カ国を含む、米国主導のTPPには存在しないという。
「アメリカはルールを記述し、意思決定を行う必要があります。その他の国は、その逆もアメリカとパートナーを設定したルールで遊ぶ、とはならない — オバマ氏は言いました。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160503/2065134.html
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中国、米国の貿易リーダーシップに関するオバマ大統領の声明を取るに足らないものと断ずる[スプートニク日本語]
2016年05月04日 11:01
中国外務省は、環太平洋パートナーシップに関するオバマ米大統領の声明についてコメントし、世界貿易のルールは一つの国によって定められないことに注意した。ロシアのメディアが報じた。
「米国の声明は通常、形の上で野心的だが、内容的には取るに足らない。今後、世界貿易のルールは、世界のすべての国が一緒に定めるのであり、いずれかの国が一国で決定することはできない」と中国外務省。
これに先立ち、ワシントンポストのインタビューでオバマ氏は次のように述べた。
「米国はルールを定め、決定を行う必要がある。米国とそのパートナーが設定したルールの上で他の国はプレイしなければならない」
シリアの停戦を破らせようと願う者は多い。ラヴロフ外相は4日、スプートニク通信社からのインタビューにこう語った。
ラヴロフ外相は露米合同のモニタリングセンターをジュネーブに開設することでリアルタイムで停戦体制がコントロールできると指摘している。
「だが停戦を破ろうと目論むものは少なくない。『ヌスラ戦線』の活動のほかにもトルコとの国境問題も存在している。これ(国境)を通って武器のトランジットが行なわれ、戦闘員がシリアへと送られているほかに、石油などシリアからトルコへの不法な商品密輸が行なわれている。」
「もちろん、ロシアの航空宇宙隊も、ロシアに続いて米連合軍も石油の密輸者に対して空爆を行なっている。こうしたおかげで石油密輸の流れは縮小されたが、それでもまだ残されており、これがテロリストらの収入源となっている。」
http://jp.sputniknews.com/russia/20160505/2075329.html
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シリアの暴力度が数分の1に、露国防省が報告[スプートニク日本語]
2016年05月04日 22:32
シリアにおける暴力レベルが今年2月末に比べ数分の1に下がった。シリア領内敵対方面停戦センターの所長をつとめるセルゲイ・クラレンコ中将が明らかにした。
クラレンコ中将によれば、2月27日のセンター創設以来、銃撃回数は双方側からとも8分の1に減っている。
中将はシリア領内の状況は安定しつつある一方で、ラタキア北部、アレッポおよびダマスク県の数箇所では緊張状態が続いていると語っている。
対外経済で最大のパートナーであり、北朝鮮にとっても最大の対外活動の拠点である中国から北朝鮮が逃げている――。そんな動きが表面化したようだ。
5月3日、韓国の大手紙「中央日報」によれば、北朝鮮の貿易関係者や外貨稼ぎを担当する幹部ら50人が今年3月、中国に築いていた活動拠点をタイやカンボジアなど東南アジアに移し始めたと報道した。北朝鮮の消息筋の証言とした内容では、「北京や上海など中国主要都市に滞在してきた北朝鮮の幹部級がベトナムやタイ、カンボジア、ミャンマーなどに拠点を移した後、新規事業を模索している」と述べたという。
続いてこの消息筋は、「中国現地では彼らのことを“平壌版赤い資本家”と呼ばれてきた」とし、彼らの中には朝鮮労働党39号室や朝鮮鉱業貿易開発協会(KOMID)、瑞川(タンチョン)商業銀行の幹部関係者だと打ち明ける。朝鮮労働党39号室などは、北朝鮮による今年1月の核実験、2月のミサイル発射を契機に、国際連合(国連)の安全保障理事会から制裁決議がなされた際、制裁リストに上った機関だ。
■ 国連制裁に備え中国から移転
閉鎖国家とも呼ばれる北朝鮮だが、実は世界約160カ国と国交があるのは意外に知られていない事実だ。東南アジア諸国とは以前から国交を樹立しており、北朝鮮は大使館を設置し、また海外での主要活動拠点として少なくはない北朝鮮人も滞在している。特にインドネシアやマレーシアなど、ビザ取得といった北朝鮮関係者の出入国に対する規制が相対的に緩い国もある。そのため前述の消息筋は「カンボジアのように、その国の国籍取得が簡単な国家では、北朝鮮の関係者が現地国籍を主として活動する国もある」と証言する。
中央日報の報道では、別の北朝鮮消息筋の話として、「国連安保理で対北朝鮮制裁案を決議した後の今年3月上旬から、中国の貿易観や外貨稼ぎ担当の幹部らを東南アジアに送り始めた。中国が国連制裁決議の実行に積極的な姿勢を見せ始めると、北朝鮮の活動がより自由と判断した地域に移り始めた」と言う。中国の公安当局が北朝鮮側のこのような動きを「集団脱北を行おうとしている」と誤認したという話もあるようだ。
シンガポールで北朝鮮の資金管理を担当し、その後韓国に亡命した韓国・国家安保戦略研究院のキム・グァンジン博士は中央日報の取材に対し、今年1月に核実験を行った直後から、いわば「脱・中国計画」を立案した可能性が高いと言う。それは、「海外の貿易代表部に勤務する幹部など要員を交替させようとすれば、少なくとも2、3カ月間は、労働党中央による“幹部事業”と呼ばれる適性調査など身辺検査が必要であるため」と証言している。
福田 恵介
最終更新:5月5日(木)10時0分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160505-00116603-toyo-bus_all
ロシアは中国領内へと淡水を輸送するプロジェクトを提案する構え。トカチェフ農相が中国のハン・チャフ農相との会談で明らかにした。
トカチェフ農相は「我々はロシアのアルタイ地方からカザフスタンを通り、中国の新疆ウイグル地区まで淡水を輸送するプロジェクトを提案する準備がある。近い将来にもカザフスタンの同僚も加えて、協議を行う」と語っている。
トカチェフ農相によれば、この問題は中国、ロシア双方の専門家レベルでの策定が要される。
農業省の発表では、ロシアは春の出水で出される水を中国に対し、年間7千万立方メートル差し向けることができる。
2月中旬、世界で淡水不足に悩む国についてのオランダのトゥウェンテ大学の調査結果が発表。それによれば水不足に悩む世界人口の半数がインドと中国に集中し、残りの50%は豪州、バングラディシュ、パキスタン、ナイジェリア、メキシコ、米南西部のカリフォルニア、テキサス、フロリダ州に分散されていることがわかっている。
「野党4党の党首訴え 安倍政権下での改憲認めない:民進党を“戦術的護憲”派にしたのは安倍政権の戦術的勝利 」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/488.html
ヨーロッパ歴訪中の安倍総理大臣は、今月6日に行うロシアのプーチン大統領との日ロ首脳会談で、ロシア経済の発展と国民生活の向上に向けて、石油、ガスなどのエネルギー開発や極東地域の産業振興など8項目の協力プランを提示することにしています。
今月の伊勢志摩サミットの事前調整のため、ヨーロッパを歴訪している安倍総理大臣は今月6日、ロシアのソチを非公式に訪問し、プーチン大統領との日ロ首脳会談に臨むことにしています。
このなかで安倍総理大臣は、ロシア経済の発展と国民生活の向上に向けた8項目からなる協力プランを提示することにしています。
協力プランには、石油、ガスなどのエネルギー開発、港湾や空港の整備、それに農地開発などからなる極東地域の産業振興、渋滞緩和や上下水道の強じん化など都市整備、最先端病院の建設など、8つの分野のメニューが盛り込まれています。
安倍総理大臣は首脳会談で、北方領土問題を含む平和条約交渉の前進と合わせてこれらの協力を具体化することで日ロ関係をより発展させていきたいという考えを伝えることにしています。
安倍総理大臣は今回の会談で、停滞している平和条約交渉を加速化し、先延ばしになっているプーチン大統領の日本訪問に道筋をつけたい考えで、幅広い分野での協力プランを示すことでプーチン大統領から前向きな対応を引き出すねらいもあるものとみられます。
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安倍首相 ロシアに8項目の経済協力プラン提示へ―TV[スプートニク日本語]
2016年05月05日 16:15(アップデート 2016年05月06日 00:11)
安倍首相は、6日に行われるロシアのプーチン大統領との首脳会談で、8項目からなる二国間経済協力プランを提示する。NHKが伝えた。
NHKによると、協力プランには「石油、ガスなどのエネルギー開発、港湾や空港の整備、それに農地開発などからなる極東地域の産業振興、渋滞緩和や上下水道の強じん化など都市整備、最先端病院の建設など、8つの分野のメニュー」が盛り込まれているという。
NHKは、安倍首相は首脳会談で「北方領土問題を含む平和条約交渉の前進と合わせてこれらの協力を具体化することで日ロ関係をより発展させていきたいという考えを伝えることにしている」と報じた。
また露日首脳会談では、ロシア大統領の日本訪問についても話し合われる見込み。
自民党の高村副総裁ら日中友好議員連盟の訪問団は、5日夜、北京で中国の李源潮国家副主席と会談し、両国関係の改善に向けて双方が努力していく必要があるという認識で一致しました。
北京を訪れている自民党の高村副総裁ら超党派の日中友好議員連盟の訪問団は、5日夜、人民大会堂で、李源潮国家副主席と会談しました。
この中で、李副主席は「日中両国の関係は改善の動きがみられるが動きは鈍く、双方がともに発展させていくべきだ」と述べました。
これに対し、高村氏も「改善のスピードは必ずしも十分ではなく、双方が努力していくべきだ。いちばん大切なのは、両国の首脳間の信頼関係を築くことで、首脳どうしが頻繁に交流することが重要だ」と応じ、両国関係の改善に向けて、双方が努力していく必要があるという認識で一致しました。
このあと、高村氏は現地で記者会見し、「相違を乗り越えて、共通の利益を目指す認識を共有でき、極めていい話し合いができた」と述べました。
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外相 南シナ海の中越対立でベトナムと連携確認[NHK]
5月6日 4時06分
東南アジアを訪れている岸田外務大臣はベトナムのミン外相と会談し、南シナ海で中国がベトナムなどと激しく対立している問題について、「国際社会共通の懸念だ」と述べ、引き続き、緊密に連携して対応していくことを確認しました。
ベトナムを訪問中の岸田外務大臣は、日本時間の5日夜、ミン外相と会談しました。
この中で岸田大臣は、南シナ海で中国が軍事的な動きを活発化させ島々の領有権を巡ってベトナムなどと激しく対立している問題について、「一方的な現状変更の試みは、国際社会共通の懸念となっている」と述べました。
ベトナムでは、先に新しい国家主席や首相が就任しており、会談で、両外相は、引き続きこの問題に緊密に連携して対応していくことを確認しました。
また岸田大臣は、先月、海上自衛隊の護衛艦がベトナム海軍の最重要拠点で南シナ海に面したカムラン湾に初めて寄港したことを踏まえ、両国の防衛当局間の交流が進むことに期待を示しました。
安倍総理大臣とロシアのプーチン大統領の首脳会談が行われるのを前に、ロシア大統領府の補佐官は、9月にロシア極東で開かれる国際経済フォーラムに安倍総理大臣を招待することを明らかにし、日本との経済関係の強化に期待を示しました。
ヨーロッパを歴訪中の安倍総理大臣はイギリスの訪問を終えたあと、ロシア南部のソチを非公式に訪問し、日本時間の6日夜、プーチン大統領との首脳会談に臨みます。
ロシア大統領府で外交問題を担当するウシャコフ補佐官は5日地元メディアに対し、今回の首脳会談は安倍総理大臣とプーチン大統領が2人だけで話す機会が設けられるほか、ロシア国営の石油会社「ロスネフチ」のセーチン社長や経済閣僚も加わり、拡大した形式でも行われると説明しました。
そのうえで「ロシアは9月2日から3日までウラジオストクで開かれる東方フォーラムに安倍総理大臣を招待する」と述べ、首脳会談でロシアが最優先課題と位置づけるシベリア・極東開発に外国からの投資を呼び込むための国際経済フォーラムに招待することを明らかにし、日本との経済関係の強化に期待を示しました。
さらに、9月に中国で行われるG20サミットや、11月に南米のペルーで行われるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議の場も首脳間の接触の機会になると述べ、日ロの首脳どうしがテンポよく対話を積み重ねていくことを呼びかけました。
大統領の弾劾手続きが進むブラジルで5日、弾劾手続きを主導してきた下院議長が、みずからに対する汚職事件の捜査を妨害しようとしたとして、連邦最高裁判所は議長職を剥奪し、議員資格を停止する決定をしました。ルセフ大統領側はこれを機に弾劾阻止に向けた攻勢を強めていて、政治の混乱が深まることが予想されます。
ブラジルではルセフ大統領が政府会計の不正操作に関わったなどとして、大統領の弾劾に向けた手続きが進んでいて、来週にも議会上院で弾劾法廷の設置の是非について採決が行われる見通しです。
こうしたなか、ブラジルの連邦最高裁判所は5日、汚職事件で起訴されているクーニャ下院議長が、事件の捜査を妨害しようとしたとする連邦検察の訴えを認め、下院議長の職を剥奪したうえで議員資格を停止する決定を下しました。
下院議長には大統領への弾劾請求を受理する権限が与えられていて、クーニャ氏がルセフ大統領に対する弾劾請求を受理した時期は、クーニャ氏とルセフ大統領の所属政党との対立が深まった直後だとされ、政治的な背景があったとみられています。
ルセフ大統領側は、議会下院で可決された弾劾手続きは無効だと連邦最高裁に訴える構えを見せるなど攻勢を強めてきており、クーニャ氏に対する決定を受けて政治の混乱がさらに深まることが予想されます。
「トルコ首相:トルコはロシアを必要としている:Su24偽撃墜劇は早期決着が得策だと思うが、何か隠れた目的が存在?」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/664.html
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トルコ 首相辞意で難民問題巡る外交姿勢強硬化も[NHK]
5月6日 5時35分
トルコではダウトオール首相がエルドアン大統領との対立から事実上、辞任に追い込まれ、エルドアン大統領の影響力が強まって難民問題などを巡るトルコの外交姿勢がより強硬になることも予想されます。
トルコの与党AKP=公正発展党の党首を務めるダウトオール首相は5日、首都アンカラで記者会見を開き、今月22日に臨時の党大会を開催して党首選を実施するとしたうえで、「私は立候補しない」と述べ、任期半ばで辞任することを表明しました。
ダウトオール氏はおととしエルドアン氏が大統領に就任した際に首相に任命され、政治学者や外相としての経験から特に外交の分野で指導力を発揮してきました。
しかし大統領の権限強化に対し慎重な立場を取ったことからエルドアン大統領との対立が取り沙汰され、先月末には地方の党幹部の人事権を剥奪されるなど与党内で孤立が深まっており、事実上、辞任に追い込まれた形です。
トルコは、隣国シリアの内戦や、ヨーロッパを目指す難民の問題などで重要な役割を担っています。
EU=ヨーロッパ連合との対話を重視してきたダウトオール首相が辞任することで、エルドアン大統領の影響力が強まって難民問題などを巡るトルコの外交姿勢がより強硬になることも予想されます。
戦闘が再燃していたシリア北部のアレッポでは、戦闘停止に向けたアメリカとロシアの新たな合意を受け、5日、大きな衝突は起きていませんが、北西部では避難民キャンプが空爆され、これまでに28人が死亡するなど、全土での戦闘停止は困難な状況となっています。
シリア北部のアレッポで先月下旬以降、政権側と反政府勢力側双方の攻撃で市民250人以上が死亡するなど戦闘が再燃したことを受け、アメリカとロシアは4日、アレッポおよびその周辺での戦闘停止に向けて働きかけを強めることで新たに合意しました。
これを受けて、アサド政権のシリア軍は現地時間の5日午前1時から48時間と期限を区切ったうえでアレッポで攻撃を停止すると発表し、アレッポにいる反政府勢力の活動家もNHKの電話取材に対し、「大きな衝突は起こっていない」と話しています。
一方、反政府系の人権団体「シリア人権監視団」によりますと、北西部イドリブでは5日、アレッポなどでの戦闘から逃れてきた人たちが生活する避難民キャンプが空爆され、これまでに女性や子どもを含む28人が死亡したということです。
シリアの国営テレビは5日、「アレッポを含めたシリア全土の解放を目指す」というアサド大統領の発言を伝えるなど、アサド政権は「テロ組織との戦い」は続けるという立場は崩しておらず、全土での戦闘停止は困難な状況となっています。
米国はシリアのアレッポで反政府勢力がテロリスト集団のアル=ヌスラ戦線と合流したことを認め、このいわゆる穏健派集団に影響を与えると約束した。しかし、米国務省のマーク・トナー報道官は停戦を支持する武装組織を見分けるための具体的な情報を提供することはできなかった。ロシア・トゥデイが伝えた。
米国は前日から始まった停戦体制がアル=ヌスラ戦線まで広まっていないと主張しているが、米政府がテロリストの拠点の正確な位置を把握していないことは明らかだ。同様に、米政府は現在のところ反政府勢力が停戦体制の決定に対していかなる反応を示したかについて情報を得ていない。
マーク・トナー報道官は「市民の苦しみは許しがたい」ものであり、戦闘行為は「もしそれがアル=ヌスラ戦線に向けられたもの」だとしても、やめさせる必要があると語った。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160506/2082512.html
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アサド大統領、アレッポの状況を第二次世界大戦時のスターリングラード攻防戦に例える[スプートニク日本語]
2016年05月05日 21:46
シリアのアサド大統領が勝利の日に際しプーチン大統領に送った電報の中で、シリアのアレッポの状況をスターリングラード攻防戦に例えた。国営シリア・アラブ通信が伝えた。
アサド大統領は電報内で、「侵略者による活動の結果、私たちの町や村は荒廃し、また多くの人命も失われた。私たちは何としてでもシリアのための最終的な勝利と当該地域の平和を求めていく」と表明した。
アサド大統領はまた、「第二次世界大戦時にロシア人は先例のない偉業を成し遂げたが、このことは常に新しい世代への教訓となるだろう」と指摘した。
スターリングラード攻防戦は人類史上最大の地上戦とされている。1942年から1943年にかけソ連軍はスターリングラード(現在のヴォルゴグラード)の防衛に成功。この戦闘でナチスドイツは甚大な損失を被り、ナチス軍がソ連領土から撤退する嚆矢となった。
「ロスネフチ」と「ガスプロム」は、炭化水素の抽出および処理のための共同プロジェクトの実施について日本企業と交渉している。ユーリイ・ウシャコフ大統領補佐官が語った。
再生可能な代替エネルギー源の分野での協力、平和的な原子力エネルギー分野での協力の見通しもあるという。
菱東京UFJ銀行、三井住友銀行やみずほ銀行など日本の銀行最大手もエネルギー分野におけるロシアと日本の間の協力、特にガスプロジェクト「北極LNG 2」の資金調達に参加する見込み。
2015年、ロシアから日本への液化天然ガスの輸出量は650万トン、原油は1450万トン、石油製品は170万トン、石炭1620万トンだった。
モスクワ北東部で再開発が進む「ボタニーチェスキー・サード」交通結節点(TOD=Transit Oriented Developmentとも呼ぶ)建設の新プロジェクトを、モスクワのデベロッパー、ピオネール社が手がけることが3月23日に正式に決まった。ピオネール社は日本の大手設計事務所「日建設計」によって作られた開発プロジェクトを引っさげ、開発権を得るための公開コンペに参加していた。審査の結果、ピオネール社は建設予定地の100パーセントの開発権を得ることができた。ここにはオフィスや商業施設、ホテル、そして複数の交通機関を結び付ける交通インフラができる予定だ。
ボタニーチェスキー・サードには、従来の地下鉄駅に加え、モスクワ小環状鉄道の駅が開業する予定だ。モスクワ小環状鉄道はもともと貨物用だったが、旅客用にリニューアルするための建設工事が4年前から進められてきた。現在、全工程の約8割の工事が終了している。モスクワ当局は、モスクワ小環状鉄道に誕生する31の駅全てで、TODを生かす予定だ。公共交通機関に基盤を置いた、駅・住宅・商業施設・オフィス等を一体にした街づくりは日本ではおなじみだが、モスクワではまだまだ主流ではない。点と点をつなげ、人・モノの流れをよりスムーズに、快適にすることが、新しいモスクワの街づくりに求められている。
ピオネール社は既に日建設計と組み、ボタニーチェスキー・サード駅の北側にマンション・コンプレックス「LIFE・ボタニーチェスキー・サード」を手がけた実績がある。今回のコンペの勝利によって、南側の開発権も得ることになり、この一帯に更に調和をもたらす開発ができそうだ。同マンションは発売直後から人気が出すぎたため価格を10パーセント値上げしたが、それでも売れ行きは好調である。第二期分譲ゾーンにはヤウザ川が流れている。日建設計のファディ・ジャブリ執行役員・グローバルマーケティングセンター中東・ロシア・インドグループ代表は「都会にありながら植物公園と川に囲まれたすばらしい立地。第二期は第一期とコンセプトを少し変え、家族で自然を感じながらくつろげるようなスペースを設けたい」と話している。家族連れがたくさん入居してくることを見越し、マンション・コンプレックス内に開校する私立学校「ロモノーソフ・スクール」のファサード・デザインも日建設計によって進められている。
モスクワ当局が日本の経験を活かすことに積極的なのは、昨年の東京視察によるところが大きい。2015年10月にモスクワ市のセルゲイ・ソビャーニン市長が東京を訪問した際、都市計画政策および建設を担当するマラト・フスヌリン副市長も同行していた。フスヌリン副市長は、東京駅やそれにつながるビル群などを視察。フスヌリン副市長に同行した関係者によれば、副市長は「東京駅から全てが繋がっている」ことの利便性を肌で感じ、大変感銘を受けていたという。フスヌリン副市長は今年4月に自らボタニーチェスキー・サードTODの現場視察を行い、ロシア国営テレビの取材に対し「これは非常に高いレベルのプロジェクトで、モスクワ北東行政管区を飾るにふさわしい、誇りにすべきものになると考えています」と述べた。
ロシアの建設的な参加はウクライナ、シリアの危機解決および朝鮮半島情勢の正常化には欠かせない。安倍首相は5日、訪問先の英国での記者会見でこう語った。
安倍首相は、翌日のロシア訪問について、ロシアとは様々な国際問題を共に解決していけるような関係を構築したいと意欲を表し、ウクライナ、シリアの危機や朝鮮民主主義人民共和国問題の解決のためにはロシアの参加が必要だと強調した。
5月6日、ロシアの保養地ソチで安倍首相とプーチン大統領の会談が非公式的な形で実施される。NHKの5日の報道では安倍首相はプーチン大統領に対し、8つの分野で協力を行う経済プランを手渡す計画をたずさえてくる。安倍首相は5月26日、27日の伊勢志摩で実施のG7サミットに向けた準備の枠内で欧州歴訪を行なっており、ロシアは最後の訪問国となった。安倍首相はすでにG7加盟国である伊英独仏を訪れており、ベルギーでは合同での反テロ対策の合意に達している。
両首脳の非公式的会談の結果、具体的な経済合意が結ばれるかもしれないという情報は、両者が個人的には良好な関係を有しているとはいえ、多くの人にとっては予期しないことだった。両首脳の会談の行方について、スプートニク日本のアンナ・オラロヴァ記者はロシア戦略調査研究所の上級研究員、ユリヤ・クリャチキナ氏にインタビューを行なった。
「今日、日本の報道で安倍首相がソチに二国間経済関係の拡大に関する一連の提案を携えてくるというニュースが流された。提案はエネルギー分野にも産業分野にも様々なインフラプロジェクトにも関連している。これによって両国関係が、極東も含めて活発化する期待がもてる。実際にはこうした会談は政治対話で、将来、専門家、エコノミストらの協議を行なうための土壌作りがその目的だ。今回の会談はこの先の具体的プロジェクトを拡大する上で非常に良い土台を築く可能性がある。」
クリャチキナ氏は、現時点で極東に進出している日本企業は中国韓国のライバルらに水をあけられてしまっていると指摘する。クリャチキナ氏は今回の安倍首相のロシア訪問でこうした状況は変わる可能性があるとして、さらに次のように語っている。
「日本の実業界は昔からより慎重だ。今年の2月末から3月はじめにかけて東京で行なわれたビジネス・フォーラムでは、日本の実業界は先進発展領域(TOR)にもロシアへの投資にももちろん関心があると言うが、それでも現段階では慎重に注意を払って現地の進行具合を見守っているという感じだった。おそらく日本の実業界には何らかの成功例が必要なのだと思う。将来性はもちろんある。日本の実業界の関心を何よりもまずひくのは様々なインフラ、運輸プロジェクト、都市開発だろう。また農業分野のプロジェクトも関心の対象になると思う。」
両国の平和条約締結後の極東で露日の経済関係はどのようなものになると思われますか?
「そこまで政治と経済を結びつける必要はない。経済的関係というのはビジネスにある種の互恵的関心があり、旨みのある投資環境があるといった場所で改善されるものだ。平和条約締結と経済関係の改善を同等におく必要性はそうない。平和条約交渉と経済関係を徐々に拡大していくという2つのことは十分パラレルに行なわれうるプロセスなのだ。」
「米バージニア州選出上院議員」という情報から、発言の主は、これまでも謀略説を広言しているリチャード・ブラック上院議員だと思われる。
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米国人政治家:米国はシリアに武器を供給するためにカダフィ大佐を打倒した[スプートニク日本語]
2016年05月06日 00:17
米国は2001年にはすでにシリア政府の打倒のために準備し始め、作戦の詳細は2006年までに策定された。 RTが伝えた。
「米国は2001年に初めてシリア政府転覆を考えた。社会不安を起こしてクーデターを実現する詳細な計画は2006年までに策定された。2011年には、我々は武器を押収してトルコを介してシリアに送るために、リビア政府を打倒した。その後、我々はシリアでの戦争に進んだ」と米バージニア州選出上院議員。
同氏によると、紛争における大抵のことはCIA、英国MI6およびフランス諜報機関の活動の結果だ。 「重要な役割を演じたのがサウジアラビア、トルコ、カタールだ。アサド政権を転覆するためにシリアのイメージ失墜が決定された」という。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160506/2080629.html
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2015/11/27(金曜) 22:01
アメリカ上院議員、アメリカと同盟国のテロ支援を認める[イランラジオ日本語]
アメリカ・バージニア州選出のリチャード・ブラック上院議員が、「アメリカと同盟国がテロ支援を停止すれば、シリアの情勢不安は終わる」と強調しました。
ファールス通信によりますと、ブラック上院議員は、「アメリカは依然として、シリアの衝突を激化させているシリアのテロリストへの武器供与により、世界の治安に対するこのグループからの脅威を拡大している」と述べました。
さらに、「人々はアメリカ、フランス、イギリスがテロ支援をやめれば、戦争は終わることに気づくべきだ」と強調しました。
また、「数万台のトヨタのトラックがトルコの港に入っており、23ミリ機関砲がこの車両に設置され、シリアで戦っているアルカイダ系のグループやISISの手に渡っている」と述べました。
さらに、「アメリカは今もシリアの正規軍と戦うためにテロリストを訓練し、彼らを装備させている」と語りました。
ブラック議員は、「この4年、アメリカは月におよそ200人のテロリストをヨルダンの基地で訓練し、継続的にシリアに流入させている」と述べました。
さらに、「アメリカはおそらくMANPAD携帯式防空ミサイルシステムをテロリストに移送している」としました。
「ロシア、中国に淡水のおすそ分けを提案:石油より淡水のほうが貴重な資源」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/610.html
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世銀予測レポート、水不足で中東経済は破綻
2016年05月05日 19:59(アップデート 2016年05月05日 20:00)
中東諸国のGDPは淡水の不足が原因で2050年までに14%以上も落ち込む危険性がある。世界銀行の専門家らはこうした帰結に達した。世銀の行った調査についてテレグラフ紙が報じた。
中東諸国が人工的に雲を作ったり、山を作るなどして同地域の降水レベルの引き上げを行わなかった場合、こうした事態になりうるという。中東地域の降水レベルの低さは地球温暖化の結果、引き起こされたもの。
世銀の報告書には、淡水不足が深刻化し始めている地域として他に米国、西ヨーロッパが上げられている。この他、淡水不足でインドと中国のGDP成長も伸び悩む危険性がある。
世銀は水の豊富な地域から不足した地域へと水資源の再分配を図ることを勧めている。専門家らの考えでは水は資源として金銭的価値をもち、販売が行われるべき。
現在、地球上で淡水不足にあえぐ人口は16億人を超えている。
韓国には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)からの核の脅威があるとして 、米国はこれを理由に北朝鮮 に核の先制攻撃をかける可能性も排除していない。元米国務省武器不拡散管理問題担当補のロバート・エインホーン氏はこうした声明を表した。韓国の聨合通信が報じた。
エインホーン氏はソウルにある学術センターのひとつ、峨山(アサン)政策研究院主催の会議、「アサン・プレナム」に参加した。エインホーン氏によれば、米国は一度として「核兵器を最初に使用」するという原則を支持したことはないものの、韓国と日本を支援するために必要であれば、核の先制攻撃を行う構えだという。
ロシア科学アカデミー極東研究所、朝鮮調査センターの専門家、コンスタンチン・アスモロフ氏はこうした現象が現われたということは十分に憂慮すべき兆しではあるものの、状況を大げさに捉えないほうがいいとして、次のように語っている。
「韓国国民は米国人の発言を非常に自由に解釈することがある。だがエインホーン氏の北朝鮮に対する先制攻撃に関するこの発言だが、実際は新しいことはなんら語っていない。米国の軍事ドクトリンは常に先制攻撃に立脚している。それに米の核兵器がまず姿を現したのは朝鮮半島だった。米国は軍事ドクトリンでは一時、核による抑止ではなく、まさに先制攻撃を行う唯一の国だったのだ。そしてこんどは北朝鮮のほうが、米韓が自国の安全保障に脅威となった場合、これらに先制攻撃を行うと言いはじめたのだ。だが今、エインホーン氏の声明が出された後、北朝鮮には全世界に対してこの文言を鼻先に突きつけるすばらしいチャンスが到来した。それだけではない。先制攻撃には常に付きまとう問題がひとつある。その問題とはこの攻撃が正当なものであったことを証明せねばならないということだ。『(敵からの攻撃があったように)思えた』とか、『正しい情報が与えられなかった』からこそ、我々は核ミサイルを発射したのだといった論拠はここにはありえない。 」
韓国は北朝鮮が5回目の核実験の準備を終え、2月に発射したのはミサイルで、1万2千キロ先の的を撃ち落すことができるものだったと考えている。アスモロフ氏は、これによって専門家らの間には、北朝鮮は先制攻撃を行い、本当に米国を威嚇できると思い込む者がでてきていると語る。
「北朝鮮の核ミサイルプログラムがこれだけの勢いで発展していった場合、先制攻撃が必要だという米国の確信は強まるだろう。なぜなら米国にとっては北朝鮮のような国が米国の大陸部分に攻撃を行う可能性を持つといった状況は心理的に耐えられないからだ。こういった状況では国家権力は常に警護的な反応を始める。つまり複雑なことを行い、それによって取り返しのつかない誤りを犯すよりも保険をかけておいたほうがいいというわけだ。だが北朝鮮も自殺願望があるわけではない。ただ北朝鮮にとってはその核ミサイルプログラムはこんにち、米国からの保証がない中、唯一の保証なのだ。シリア、イラク、リビアの示した例は米国と合意を結び、なんらかの保証と引き換えに核プログラムを断念することが無意味であることを示している。このため北朝鮮にとっては核ミサイルプログラムは自国の独立を守り抜き、侵略を阻止するための唯一の道なのだ。北朝鮮は米国に対し、どんなに米国にとって気に入る相手ではなかったとしても、世界地図から抹殺できる国としてではなく、まさに交渉相手国であるとはみなさねばならないと分からせようとしてきたのだ。」
ロシアを訪れている安倍総理大臣はプーチン大統領との日ロ首脳会談を終えたあと、記者団に対し、北方領土問題を含む平和条約交渉について、停滞を打破する突破口を開く手応えが得られたとしたうえで、「今までの発想にとらわれない新しいアプローチで交渉を進めていく」と述べました。
伊勢志摩サミットを前にした欧州歴訪を終えた安倍総理大臣は、ロシア南部の保養地ソチに到着し、日本時間の6日午後10時前から郊外にある大統領公邸でプーチン大統領との日ロ首脳会談に臨みました。
会談は夕食会も含めておよそ3時間にわたって行われ、7日午前1時前に終了しました。このあと安倍総理大臣は記者団に対し、北方領土問題を含む平和条約交渉について、「停滞を打破する突破口を開く手応えを得ることができた。プーチン大統領も同じ認識だ。2人で解決していこう。未来志向の日ロ関係を構築するなかで解決していこうという考えで一致した」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「今までの発想にとらわれない新しいアプローチで交渉を進めていくということになった。そして9月にウラジオストクで再び会うことで合意した」と述べ、ことし9月にロシア極東のウラジオストクで再び日ロ首脳会談を行うことで合意したことを明らかにしました。
この新しいアプローチについて、安倍総理大臣は「平和条約交渉は停滞をしていたと言わざるをえない。この停滞状況を打破するためには今までの発想とは違う新たな発想に基づいて交渉を進めなければならないと考え、そのなかで『新しいアプローチで進めていきたい』と、その考えをプーチン大統領に伝え、そしてプーチン大統領もその基本的な考え方に合意をしたということだ」と述べました。
また、安倍総理大臣は先送りになっているプーチン大統領の日本訪問について、「適切な時期に実現するため、さらに検討していきたいと考えている」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160507/k10010511501000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
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露日首脳会談、プーチン大統領「日本は重要なパートナー」[スプートニク日本語]
2016年05月06日 22:08(アップデート 2016年05月06日 23:28)
プーチン大統領は安倍首相とのソチでの会談の席で日本はロシアにとって重要なパートナーであり、両国は政治、経済面で注目を要する問題を抱えていると語った。
プーチン大統領は、「日本は単なる隣国ではない。我々のパートナー であり、しかも我々にとってはアジア太平洋地域における重要なパートナーだ。周知の事が原因で政治分野でも貿易経済関係でも我々はある程度注意を要する問題を複数抱えている。もしかするとこうした状況のために我々は両国関係を構築し、それを高いレベルで維持することに殊更の注意をさくべきなのだ」と語った。
プーチン大統領は「尊敬する首相、あなたのこの訪問をまさにこうした、相互に関心のある問題に共に取り組む可能性だととらえましょう」と指摘した。
これに対し、安倍首相は次のように語った。
「昨年9月の首脳会談以来、我々の両国間関係は活発に前進している。」
「今日、私は平和条約締結をはじめとする政治といった双方向の課題や、我々、また全世界の目の前に立ちはだかるアクチュアルな国際問題について、ウラジーミルと共に忌憚のない意見交換をしたいと思っている。」
安倍首相はプーチン大統領に対して、親しい間柄で用いる二人称で呼びかけた。
安倍首相は「首脳会談以来、両国関係は活発に前進している…。私たちは国連総会やG20の場のみならず、電話でも良い対話を行なってきた。こうしたコンタクトを私は高く評価している」と語った。
「ソチの美しい光景を思い出しながら、昨年11月以来、ウラジーミルと会う機会を待ちきれない思いで待っていた。私は今日、あなたに会えて本当に嬉しい。」安倍首相はこう付け加えた。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160506/2091505.html
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日ロ首脳会談始まる 「胸襟開いて議論したい」[NHK]
5月6日 22時32分
ロシアを訪れている安倍総理大臣は、日本時間の6日午後10時前からプーチン大統領との日ロ首脳会談に臨み、冒頭、プーチン大統領が日ロ関係の発展に期待を示したのに対し、安倍総理大臣は領土問題を含むさまざまな課題について胸襟を開いて議論したいという考えを示しました。
伊勢志摩サミットを前にした欧州訪問を終えた安倍総理大臣は、ロシア南部の保養地ソチに到着し、郊外にある大統領公邸で日本時間の6日午後10時前から、プーチン大統領との日ロ首脳会談に臨んでいます。
会談の冒頭、プーチン大統領は「日本はロシアにとって隣国というだけでなく、アジア太平洋地域における重要なパートナーだ。政治的な分野でも経済貿易分野でもいくつか諸問題があるが、今後とも関係構築に注意を払い、それを高いレベルで維持しなければならない」と述べました。そのうえで、プーチン大統領は「今回、安倍総理大臣の訪問は、このような諸問題をはじめ、さまざまな分野で共同作業ができるためのよい機会と見なしている」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は「ウラジーミルと平和条約締結問題を含む政治・経済・文化等の2国間関係について、さらには世界が直面するさまざまな課題についても胸襟を開いて議論したい」と述べました。
会談は夕食会も含めて3時間程度が予定されていて、安倍総理大臣は停滞する北方領土問題を含む平和条約交渉の加速化を確認し、プーチン大統領の日本訪問に道筋をつけたい考えです。
ロシアと日本の間で平和条約締結問題を話し合う外務次官級協議が6月に開催される。露日首脳会談後の会見でラヴロフ外相が述べた。
「会談では平和条約についても話し合った。露日平和条約協議、次のラウンドが6月行われる。」
http://jp.sputniknews.com/politics/20160507/2094959.html
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ラヴロフ外相「プーチン大統領と安倍首相は、巨大投資プロジェクトについて話し合った」[スプートニク日本語]
2016年05月07日 02:55
ロシアのラヴロフ外相は「プーチン大統領と安倍首相は、巨大投資プロジェクト実現に向けた用意について述べ、安倍首相は、そうした作業を個人的に奨励することを約束した」と伝えた。
ラヴロフ外相の言葉によれば「会談では、具体的な考えが選び出され、それらを対象別に詳しく検討するよう委任がなされた。まず第一に、財界も引き込んだ貿易経済協力に関する政府間委員会のラインを通じて、それらは検討される」。
またラヴロフ外相は「安倍首相は、そうした作業を個人的に奨励すると約束した。ロシア側からも、同様のことが伝えられた」と述べている。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160507/2095417.html
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ラヴロフ外相、露日首脳会談は全方面の相互関係の拡大への構えを示した[スプートニク日本語]
2016年05月07日 01:25(アップデート 2016年05月07日 02:46)
プーチン大統領と安倍首相の会談は二国間関係をあらゆる方面で拡大しようとする両国の意気込みを示した。ロシアのラヴロフ外相は5月6日の露日首脳会談を総括してこうした声明を表した。
ラヴロフ外相はまた、モスクワでは露日両国外務省および国防省の「2プラス2」フォーマットによる協議の再開に向けての作業が始まったことを明らかにした。
ラヴロフ外相はプーチン大統領と安倍首相の首脳会談を総括した記者会見にのぞみ、
「我々の側は、かつてロシアと日本の外務省および国防省の『2プラス2』フォーマットが創設されたこと、これがよい効果を持つストラクチャーであったことを指摘し、その作業を再開できるのではないかと発言した。」
プーチン大統領は安倍首相を9月にウラジオストクで開催の東方経済フォーラムへ招待した。
このほか両首脳はシリア情勢を話し合い、ロシアは日本の人道問題グループへの参加に支援を示した。
共同通信社によると、日本の安倍晋三首相は6日、ロシアを訪問し、プーチン大統領と非公式首脳会談を行う。これに先立ち、ウクライナ危機を受けて日本政府は西側に追随して対露経済制裁を発表したため、元々予定されていたプーチン大統領の訪日は実現しなかった。今回の日露接近は、双方関係にどのような影響を与えるのだろうか?人民日報が伝えた。
■経済・貿易が先行
安倍首相はプーチン大統領との会談によって平和条約締結を促したい考えを一度ならず表明してきた。今回の日露首脳会談が北方四島(ロシア名・南クリル諸島)をめぐる領土紛争を避けて通れないのは明らかだ。これについてプーチン大統領は以前「将来的には妥協できると思う」とのべ、四島の帰属問題について対日姿勢をいくらか軟化させた。中国社会科学院日本研究所の呂耀東外交研究室長はこれについて「ロシアが敢えて低姿勢を示したのは、西側の経済制裁を打破し、経済・貿易によって国内経済の低迷状態を突破するためだ。だがプーチン大統領は同時に、領土問題は1956年の日ソ『共同宣言』に基づくべきだとも強調している。これはロシアの譲れぬ一線だ。今回の日露首脳会談はやはり経済から着手し、経済協力を今後の領土交渉の下地とする。ロシア側の態度は明確だ。話し合う事はできるが、経済・貿易を先行するというものだ」と分析した。
■関係改善は容易でない
読売新聞によると、オバマ米大統領は電話会談で安倍首相に訪露計画の一時停止を促したが、安倍首相は拒絶した。安倍首相は今年1月の初の記者会見で、両国の平和条約締結のため、プーチン大統領と合わなければならないと表明した。「安倍氏が訪露問題でオバマ氏に『ノー』と言ったことは、日本にとって対露外交が非常に重要であることを物語っている」。呂氏は「平和条約締結および四島の領土問題は日本の根本的利益に関わる。日本は米国と歩調をそろえて自らの根本的利益を捨てるわけにはいかない」と指摘。また、将来日露関係が急速に改善する可能性は大きくないとの見解を示した。
北京外交学院の周永生教授は「日本は多くの現実的な利益上の必要からロシアに友好的姿勢を見せているが、日露間の複雑な歴史的摩擦、領土摩擦を考えると、日露関係がすぐに春を迎えるのは不可能だ」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年5月6日
本紙が韓国産業技術振興協会と共同で製造業の大企業・中小企業57社の最高技術責任者(CTO)を対象にアンケートを実施した結果、回答者57人のうち50人(88%)が韓国製造業の産業競争力について「深刻、またはそれ以上の危機」状態にあると答えた。このうち8人(全体の14%)は「このままでは(製造業が)だめになる」と答え、韓国製造業の競争力低下に強い危機感をにじませた。「危機状態ではない」と回答した人は1人にとどまった。
各社のCTOは、韓国製造業の産業競争力の未来についても暗い見通しを示した。「韓国経済が中国の追い上げをかわし、先進国の技術を追い越すことが可能だと思うか」との質問では、39人(68%)がその可能性について「悲観的」または「非常に悲観的」とした。グーグルやフェイスブック、テスラのような革新的なベンチャー企業が韓国で生まれる可能性についても、42人(74%)が「低い」または「非常に低い」と答えた。
半導体大手SKハイニックスのホン・ソンジュ未来技術研究院長(副社長)は、韓国製造業の産業競争力が低下した原因として「中国の追い上げ、スペシャリスト養成を怠ったこと、政府の関心不足」を挙げ「まずは企業が努力すべきだが、政府レベルでも人材育成や中小企業の研究開発力強化を後押しすべきだ」と指摘した。
チョン・チョルファン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/06/2016050600470.html
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記事入力 : 2016/05/06 08:57
「中国の技術に衝撃」「革新力がない」 韓国産業現場に漂う悲観論
【特集】色あせる「メード・イン・コリア」神話
主要製造企業のCTOを調査
韓国製造業の大企業・中小企業57社の最高技術責任者(CTO)を対象に実施したアンケートで、CTOらは韓国産業競争力の現在だけでなく未来までも悲観的に見ており、その最大の理由は中国の台頭と革新力の不足であることが分かった。
調査対象のCTOら57人のうち、実に47人(83%)が「中国の技術力を体感し、大きな衝撃を受けた経験がある」と答えた。合金メーカー、大昌のユン・ウィハン技術研究所長は「合金の製造に欠かせない添加剤はこれまで欧州企業が独占していたが、最近は中国メーカーの製品が登場した。長期にわたる研究開発(R&D)と技術の蓄積、経験が必要な分野にもかかわらず、中国が短期間で追いついてしまった」と説明した。
■中国の台頭と革新力の不足
アンケートは、韓国企業のR&Dを支援する韓国産業技術振興協会と本紙が共同で実施。製造企業の構成比率を踏まえ、半導体大手のSKハイニックス、化学大手のLG化学、電気設備大手のLS産電など大企業11社、売上高5000億ウォン(約470億円)以上・1兆ウォン(約930億円)未満の中堅企業8社、中小企業38社の計57社のCTOまたは研究所長を対象とした。
CTOらは韓国の産業競争力に大きな危機感を持っており、その理由としては主に「中国企業に技術力でも追い越されそうな状況にあるため」「収益性の劣る現在の事業に代わる革新的な新製品・新技術がないため」を挙げた。
また、中国と韓国の技術競争力の差を問う質問で、半分に当たる28人が「すでに中国が韓国を追い越したか、差があるとしても1年未満」と評価した。韓国が「3−5年先をいっている」と回答したのは8人(14%)、「5年以上先をいっている」としたのは3人(5%)にすぎなかった。LS産電のイ・サンホ顧問は「中国は韓国ができないロケットさえも作って打ち上げるほど技術力のある国。韓国が家電やIT(情報技術)、通信などで先をいっていると言われたが、もはやそれは当てはまらない」と指摘した。
CTOらは、中国の台頭が産業力低下の外因だとすれば、内因は産業生態系の革新力不足だと指摘する。「低調な産業生態系の革新力を引き上げるためには何を急ぐべきか」との質問に、回答者の29%が中小・中堅企業の研究開発力強化を挙げた。ある中小企業の研究所長は「優れた要素技術(製品の根幹をなす技術)を持つ中小企業を育てるには、大企業に従属しない専門中小企業を存続させるための法制度を整えるべきだ」と提言した。
産業生態系の革新力を引き上げる策としては、技術革新に向けた政府の確実な計画立案(17%)、産学研の研究システム改革(17%)、工業大学の教育革新(13%)も挙がった。暁星重工業のパク・スンヨン研究所長は「政府が大学と政府系研究所を直接支援しているため、大学と研究所が(企業のことを考えず)政府ばかりを気にして研究をしている。企業にも大学にも問題があるが、最大の問題は政府の役割だ」と指摘している。
■「大学教育と社会的ムードの刷新を」
CTOらは、韓国の大学の理工系教育にも苦言を呈した。理工系出身の研究者の能力について、回答者の54%が「過去と比べて低い」と指摘し「以前よりも高い」との回答は19%にとどまった。理工系出身者の能力は過去の68%水準と評価された。LG化学のチョ・ウォンソク技術顧問は「R&D担当者の仕事をやり遂げようとする熱意、問題を自分で解決しようとする意識は過去よりも低い」と評している。
こうした問題意識は韓国の起業環境への憂慮にも表れている。グーグルやフェイスブック、テスラのような革新的なベンチャー企業が韓国で生まれない理由を複数回答で尋ねたところ「革新的な技術とクリエイティブなマインドを持つ技術者がいないため」(27%)、「大企業中心の産業生態系ではベンチャー企業やスタートアップ企業が育ちにくいため」(26%)、「失敗を受け入れる風潮や制度がなく、再起が難しいため」(26%)といった回答が上位を占めた。「長い目で見て投資する、本当の意味でのベンチャーキャピタルがないため」(12%)という回答もあった。
ある中堅企業のCTOは、大企業が好むスペック(学歴や資格など)を満たした、独創性のない人材では大企業をまねることしかできないとし「大学教育の枠組みと社会的なムードを変えていかなければ、起業も技術競争力の強化も望めない」と警鐘を鳴らした。
チョン・チョルファン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/06/2016050600472.html
36年ぶりとなる北朝鮮の朝鮮労働党大会は6日、首都ピョンヤンで開会し、キム・ジョンウン(金正恩)第1書記が、核実験と事実上の長距離弾道ミサイルの発射について「前例のない成果だ」と強調しました。
北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは日本時間の6日午後10時半から、36年ぶりとなる朝鮮労働党大会の模様を放送しました。
映像では会場の「4・25文化会館」で、スーツ姿のキム・ジョンウン第1書記が、参加者たちの拍手に迎えられて幹部らと共に登場しました。キム第1書記はおよそ15分間にわたって「開会の辞」を肉声で読み上げ、「最後の勝利を早めるための全人民の闘争の中で党大会を開くことになった。キム・イルソン(金日成)主席とキム・ジョンイル(金正日)総書記に最大の栄誉をささげる」と述べました。
そのうえで「ことし水素爆弾の実験と人工衛星の打ち上げを行い、前例のない成果を残した」と述べて、核実験と事実上の長距離弾道ミサイルの発射を成果として強調しました。
キム第1書記の両脇の席にはキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長とファン・ビョンソ朝鮮人民軍総政治局長が座り、壇上にキム・イルソン主席とキム・ジョンイル総書記の肖像画が掲げられ、キム第1書記の発言に参加者が何度も大きな拍手をしていました。
このあと朝鮮中央テレビはキム第1書記が行った「党の活動総括報告」を伝え、「党が輝かしい成果と高貴な経験を成し遂げた」などとして、キム第1書記の業績を強調しました。
一方、今回の党大会の議題については、活動総括のほか党の規約の改定、それにキム・ジョンウン氏を党の最高ポストに選出すること、さらに党幹部の選挙と伝えています。
北朝鮮指導部としては、3日か4日程度とみられる大会の期間中、こうした議題の討議を行うことで、就任して4年となるキム第1書記を頂点とする体制が名実ともに確立したとアピールするものとみられます。
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金正恩氏と北朝鮮テレビは国際社会を無視し続けている[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年05月07日 02:46(アップデート 2016年05月07日 03:19)
アンドレイ イワノフ
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の主権の擁護は保証されている。朝鮮労働党第7回大会の開会式で金正恩第1書記はこう宣言した。忘却の彼方のソ連とは異なり、北朝鮮は党大会の生中継を行なわず、外国人記者らも現段階では式場への入場が許可されていない。このため正恩氏のスピーチ内容を現地テレビの夕方の報道から知るために、スプートニクの特派員も他の数十名の外国人記者らと同じくピョンヤンへとやってきた。ピョンヤンからアンドレイ・イヴァノフ評論員がレポートをお届けする。
「金正恩氏は大会代表団の前にヨーロッパ式の濃紺のスーツに灰色のネクタイを締めて登場した。正恩氏の歓迎の辞もまた東洋的様式ではない。正恩氏は端的かつ明確に国の成功について報告すると、なぜ本大会が勝利者大会と呼ばれているかについて次のように説明した。朝鮮労働党の叡智ある指導部の元、北朝鮮国民が自分たちの労働で核ミサイルの盾を作り、その主権をしっかりと守ることを保証したからだ、という。
その数時間前にピョンヤンの街角でスプートニクの特派員が、3月26日記念ピョンヤン電気ケーブル工場の労働者やエンジニアにインタビューした際も全く同様の発言が聞かれた。実はまさにこの日、つまり3月26日に同工場を北朝鮮の創設者である金日成氏が視察し、その後工場はあっという間に電気ケーブル生産でトップにのし上がったという経緯がある。
ところがテレビ中継は正恩氏の演説が終わった時点で中断されてしまい、ピョンヤンまで来て中継に見入っていた外国人記者らをがっかりさせた。これで大会の正恩氏のプログラム演説が行われたかどうか、という問いへの答えはとうとう宙に浮いてしまった。仮に行なわれたとすれば、北朝鮮発展のどの方向性が示されたのだろうか? ジャーナリストや専門家らの間ではプログラム演説は炸裂する爆弾の効果を持つことから、この騒々しいアクションは時間も遅いし、翌朝に持ち越そうということになったのではないかという見方がもっぱらされている。
というわけでたくらみはそのまま温存された。まぁ、鮮やかな朝というこの国の朝を待とうではないか。朝のほうが夜より思考も賢明なのだ(ロシアのことわざ)。」
トルコのダウトオール首相の辞任でトルコがEUとの間に結んだ移民合意の実現が危うくなる。フィナンシャル・タイムズが報じた。
トルコがEUと結んだ合意ではギリシャの諸島まで到達した不法移民および難民は自動的にトルコに引き戻され、これへの見返りとしてトルコ市民のEUへのビザなし渡航が許可されることになっている。
フィナンシャル・タイムズは、この合意が破棄されないためにはトルコは反テロ法制定に完全に取り組み、民法の見直しも迫られると指摘している。EUはダウトオール首相の退陣で改革の約束が果たされないのではないかと危惧感を表している。
フィナンシャル・タイムズ紙は、トルコの公式人、エルドアン大統領らが2週間前、ダウトオール首相がメルケル独首相ほかEUの公式人らに対して難民キャンプの視察を行なう様子をさして喜ぶ様子もなく見守っていたと指摘している。
フィナンシャル・タイムズ紙は、エルドアン大統領はダウトオール首相がEUに接近し、国際舞台で自分の座に入れ替わる試みがあるとして、これに脅威を感じていたと書いている。こうしたことも一因となって二人の関係は悪化し、首相の退陣劇を招いた。
米国の大手総合情報サービス会社ブルームバーグは「安倍首相のソチ訪問は、クリミア統合後ロシアが陥っている『国際的孤立』に逆行するものだ」と指摘した。
これに対しモスクワ・カーネギーセンターの専門家アレクサンドル・バウノフ氏は、今回の安倍首相のソチ訪問について「日本は、ロシアの孤立化のような贅沢を自分に許すことはできない。これは、中国や韓国が、日本そのものに『疑い』を持って接していることと関係がある」と述べ、次のように続けた―
「日本は、東アジアに友人がいない。まさにそれゆえに日本にとってロシアとの関係は、大変重要なのだ。」
安倍首相は、ソチ滞在中、クリル(北方領土)問題、貿易経済及び人道分野での日ロ協力発展の現状及び見通し、さらにはシリア情勢などについてロシア側と協議する計画だ。
また安倍首相は、エネルギー産業を含めたロシア経済の支援、そして極東地域の産業発展のため、8つの方向性に沿った協力プランを提案する考えだ。
プーチン大統領と安倍首相の会談が示したものは両国ともがあらゆる方面で二国間関係を拡大する可能性の模索に狙いを絞ったということだった。平和条約についての協議は続けられる。これについて会談終了後の記者会見でラヴロフ外相が語った。
5月6日ソチで両首脳はあわただしさを避け、落ち着いた雰囲気の中で会談を行った。3時間以上にも渡った話し合いでは二国関係の主要問題や一連のアクチュアルな国際問題が討議された。プーチン大統領が安倍首相と初めて顔をあわせたのは2014年のソチ五輪だった。それ以来、ふたりは国際サミットの場で何度も席を設けてきたものの、そうした場ではもちろんのこと、十分な話し合いを行なうためには時間が足りなかった。昨日の会談のテーマはシリア正常化、ウクライナ、朝鮮半島情勢、国連の枠組みの中での相互関係などだった。
領土問題では胸襟を開いた意見交換が行われた。領土問題の解決は平和条約締結にむけた重要な一歩だ。この問題についての両外務省間の次の協議は6月に予定されている。このほか両国はそれぞれの安全保障局のラインでの作業を続け、外務省と国防省の「2プラス2」フォーマットでの交渉を再開することでも合意した。
両首脳の注意はもちろん、貿易経済パートナー関係にも当てられた。プーチン大統領は会談の初めに、「日本は単なる隣国ではなく、我々のパートナーだ。しかも我々にとってはアジア太平洋地域における重要なパートナーだ。周知の事実により政治面でも貿易経済関係でも特別な注意を要する問題が複数ある」と指摘した。プーチン大統領は安倍首相を今年9月2日、3日とウラジオストクで開催される第2回東方経済フォーラムに参加するよう招待した。シベリア、極東の優先的発展路線をとったロシアは日本の投資と協力の招致に関心がある。日本はこの極東マクロ地域にとっては主要な貿易パートナー国の一つであり続けている。日本の投資家らはまた先進発展領域(TOR)やウラジオストク自由港への関心を表している。
ラヴロフ外相は「様々な理由が重なり貿易取引高も左肩下がりの傾向があったし、今もそれは続いている。だが両指導者はこの状況を正す道の模索に狙いを定めると強調した。そしてこれを単に貿易関係を拡大することを通してだけではなく、大型の投資プロジェクトの実現化を通しても行なおうとしている」と指摘している。TORの枠内での外資が挙げた最初の結果も、第2回東方経済フォーラムで紹介される計画となっている。
東洋学研究所の上級研究員、エリゲナ・モロヂャコヴァ教授の見解をご紹介したい。
「対話を継続しようとする露日の意気込みは双方にとって必要なものだ。ロシアは極東において中国だけに頼ることなく自国の経済的国益を多角化せねばならない。ロシア自身、エネルギー資源や旨みのある投資といった観点からも、またアジアのパワーバランスの維持という点からも魅力的なポテンシャルを抱えている。平和条約を含め、多くの問題解決に接近できるのは経済を通してのみだ。近い将来にポジティブな解決ができないとしても、対話を行い、ビジネスにとって関心のあるあらゆる方面で経済協力を推し進めることは欠かせない。日本の首相が自国でのG7サミットを目前に控え、米国の承認が取り付けられないにもかかわらず、なんとしても会談を成立させたという事実ひとつをとっても、首相が自国の地域政策の中でロシアにいかに重要な意味を付与しているかが覗える。」
安倍首相もこれに対し、プーチン大統領を日本に招待することを確認した。現時点では訪日の期日は発表されていないものの、安倍首相はプーチン大統領を東京ではなく、故郷の山口県で出迎えるつもりであることは明らかにされた。専門家らはこれは特別な扱いだと評価している。
ドナルド・トランプ氏は、11月初めに行われる米大統領選挙後、「トランプ大学」の活動をめぐる詐欺事件で、サンディエゴで裁判を受けることになる。
AP通信の情報によれば、トランプ氏に対して3つの訴えが出されている。そのうち2件はカリフォルニア州、1件はニューヨーク州だ。陪審員には客観的が求められるため、判事は、大統領選挙後に審議を開始する予定だ。
所謂「トランプ大学」は、すでに大分前から存在していない。なぜなら認可を受けずに活動していたからだ。この大学は、不動産契約分野で成功する心得や技能を教えるコースが呼び物で、受講料は3万5千ドルだった。訴えを起こした人達は、有益な知識をそれほど得ることはなかったと主張している。
http://jp.sputniknews.com/us/20160507/2096939.html#ixzz48036q96U
「健康になるためのブログ」氏は、両方の写真を比較し、大統領夫妻の立ち位置が正しく、安倍夫人の立ち位置が“非礼”(外交プロトコールに反する)にあたると考えているようである。
私自身、外交プロトコールは尊重すべきと思ってはいてもそれほどのこだわりはなく詳しくもないが、安倍首相夫妻の立ち位置が“非礼”にあたるとは思えない。
まず、公式の会談や会合に付随する写真ではなく、夫人同伴で挨拶に出向いたときの記念撮影であり、被写体となる人々の立ち位置で問題になるとしても、安倍首相とエリザベスU女王の位置関係であろう。
外交関係における格としては、元首であるエリザベスU女王が内閣総理大臣でしかない安倍首相の上位になる。それゆえ、国際会合などでの撮影であれば、エリザベスU女王が左、安倍首相が右になる。(右(向かって左)上位の原則:APECなどではそれぞれの参加者の地位の格と在任年月の長さにより記念撮影の序列が決まる)
今回の写真で二人の立ち位置が逆になっているのは、エリザベスU女王が招待したホステスで、安倍首相がゲストだからである。
次に安倍夫人の立ち位置だが、写真で肩のポジションを見ればわかるように、エリザベスU女王や安倍首相のラインより半歩後ろに下がっており、問題はないと言えるだろう。
安倍首相の夫人という肩書で同席していることをその立ち位置で示していると言える。
逆に、安倍夫人がミシェル夫人と同じくエリザベスU女王の(向かって)右側に立ち、ミシェル夫人と同じようにエリザベスU女王より前に立っていると“違和感”を覚える。
仮に、安倍首相夫人の立ち位置が“誤り”だとしても、それを正すのは随伴スタッフの役割であり、安倍首相や昭恵夫人に責はない。(儀礼や儀典は取り扱いが難しく専門職が用意されている)
ミシェル夫人の立ち位置を出しゃばりすぎとまでは言わないが、オバマ大統領夫妻の写真は、国家元首同士の記念撮影としてフレンドリーな雰囲気が強く出ているもので、安倍首相夫妻の写真は首相夫人の奥ゆかしさが出ているものと言えるだろう。
話は変わるが、オバマ大統領夫妻が09年にエリザベスU女王と会った時の“非礼”というのは、広間でエリザベスU女王を交えて欧米の首脳らが歓談しているとき、ミシェル夫人がエリザベスU女王の背中に手を回したことである。
もう一つ、“非礼”ではないが、ミシェル夫人がエリザベスU女王に会ったときにひざを曲げて会釈する動作(curtsy)をしなかったこともメディアに取り上げられている。
(君主制国家と共和制国家という価値観の違いがあるのでそれをどうこういうのは筋違い)
一方、同じ09年に皇居を訪れたオバマ大統領は、出迎えた天皇夫妻に深くお辞儀したことで、米国のメディアから、米国の元首である大統領が同格である天皇に対するお辞儀としては深すぎると非難を受けている。
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)第1書記は、36年ぶりとなる朝鮮労働党大会で行った演説で「世界の非核化」に言及しましたが、北朝鮮は「核保有国」だとする立場を改めて示し、今後も核・ミサイル開発を進めていく考えに変わりがないことを強調しました。
北朝鮮のキム・ジョンウン第1書記は、1980年以来、36年ぶりとなる朝鮮労働党大会で、6日と7日、みずから演説して党中央委員会の活動総括報告を行い、その詳しい内容を、国営メディアが8日朝、伝えました。
この中でキム第1書記は「わが国は、侵略的な敵対勢力が核で自主権を侵害しないかぎり、先に核兵器を使用しないだろう」と述べました。そのうえで、「国際社会において、核兵器の拡散を防止する義務を誠実に履行し、世界の非核化を実現するために努力するだろう」と述べ、「世界の非核化」に言及しました。
しかしキム第1書記は、4年前の就任直後に憲法を修正して明記した、北朝鮮は「責任ある核保有国」だとする立場を改めて示し、みずからの核開発を正当化しました。そして、核開発と経済の立て直しを並行して進める「並進路線」について、「恒久的に堅持すべき戦略的な路線だ。核戦力を中心とする防衛力を固く築きながら、経済建設に一層拍車をかける」と述べ、今後も核・ミサイル開発を進めていく考えに変わりがないことを強調しました。
また経済に関しては、ことしから2020年までの5か年計画を推進し、持続的な発展のための土台を作り上げるとしたほか、韓国との関係を巡って、前回の党大会でキム・イルソン(金日成)主席が提案した「高麗民主連邦共和国」と呼ぶ連邦形式などによる統一の実現を呼びかけています。
一方、キム第1書記は演説の中で日本について、「わが民族への過去の罪悪を反省し謝罪すべきで、南北統一を妨害してはならない」と述べましたが、拉致問題など日朝間の懸案に関する言及はありませんでした。
「並進路線」とは
「並進路線」は、核開発と経済の立て直しを並行して進めるとする政策で、2013年3月に開かれた朝鮮労働党の中央委員会総会で、キム・ジョンウン第1書記が打ち出しました。
この中では、「並進路線は、国防費を増やさなくても、戦争抑止力と防衛力の効果を決定的に高めるとともに、経済建設と、国民生活の向上に力を集中させることができるようになる」と主張しています。これは、核保有国のアメリカに対抗するには核開発が不可欠だとする立場から、核兵器を保有すれば、新たな通常兵器を配備する必要性が低下し、その分の予算を経済の立て直しに回すことができるという独自の考え方に基づいています。
北朝鮮では、1960年代にキム・イルソン主席が経済建設と国防建設を並行して進める政策を掲げたことがあり、キム第1書記が進める「並進路線」は、祖父であるキム主席の政策にならったものだと受け止められています。
「高麗民主連邦共和国」とは
「高麗民主連邦共和国」とは、前回、1980年の朝鮮労働党大会で、キム・イルソン主席が提案した南北統一案です。
この案では、自主的かつ平和的な統一を目指すとした1972年の南北共同声明を踏まえて、北朝鮮と韓国が、ともに相手側の思想と政治体制を容認したうえで、統一政府を立ち上げるとしています。
また、統一政府では南北が同等の権限を持ち、それぞれの地域の自治を行う連邦形式で国政運営に当たるとされていますが、在韓アメリカ軍の撤退などが前提条件とされたため、韓国政府は受け入れられないという立場です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160508/k10010512381000.html?utm_int=news_contents_news-main_002
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記事入力 : 2016/05/08 11:09
「自主権侵害なければ先に核兵器は使用しない」=金第1書記[朝鮮日報]
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が6〜7日に開かれた第7回朝鮮労働党大会の中央委員会事業総括報告で、「共和国(北朝鮮)は責任ある核保有国」と宣言し、「侵略的な敵対勢力が核を用いてわれわれの自主権を侵害しない限り、すでに公にしているように先に核兵器を使用することはない」と述べた。朝鮮中央通信と労働新聞が8日、報じた。
金第1書記は「核伝播防止(核拡散防止)の義務を誠実に履行し、世界の非核化を実現するため努力する」と表明。「戦争のない平和な世界を建設することはわが党の闘争目標であり、地域と世界の平和と安全のために闘争するのは党と共和国政府の一貫した立場」と強調した。
南北関係については、「自主的な統一を成し遂げようとするのは党の確固たる意志」とした上で、「『祖国統一3大憲章』を守り、統一の道を切り開いていかねばならない」と呼び掛けた。祖国統一3大憲章とは、北朝鮮が1997年から公式に使用している用語で、1972年の南北共同声明で表明した祖国統一3大原則、1980年の第6回党大会で示した高麗民主連邦共和国創立案、1993年の最高人民会議で提示した全民族大団結10大綱領を指す。
金第1書記は「差し迫った問題は北南関係を根本的に改善することであり、北と南は相手を尊重し、統一の同伴者として手を握り合い、関係改善と祖国統一運動の新たな場面を切り開いていかなければならない」と強調した。
また、「党は今後、北南関係を改善し、自主統一を早めていくことに崇高な使命と責任を尽くす」と宣言。韓国政府に対し、「北と南の和解と団結に抵触する各種の法律的、制度的な装置を取り除き、関係発展に有益な実践的措置を取るべきだ」と促した。
ただ、「人民軍隊は共和国に反対する米帝と南朝鮮の好戦勢力の無謀な戦争挑発策動に対処するための態勢を堅持し、敵が戦争の火を放つなら侵略者たちを無慈悲に懲罰し、祖国統一の歴史的な偉業を成し遂げなければならない」と指示した。
米国に対しては、「反共和国の制裁圧殺策動を中止し、朝鮮半島問題から手を引くべきだ」と声を上げた。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/08/2016050800516.html
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記事入力 : 2016/05/08 11:56
「命令下れば核の雷声を鳴らす」=北朝鮮軍総参謀長[朝鮮日報]
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の第7回朝鮮労働党大会の2日目となる7日、李明秀(リ・ミョンス)朝鮮人民軍総参謀長は討論で「最高指導者同志(金正恩(キム・ジョンウン)第1書記)の命令さえ下れば、人民軍隊は敵たちの頭上に核の雷声を鳴らす」とした上で、「米国という土地自体を地球上から完全になくす」と威嚇した。朝鮮中央放送と平壌放送が報じた。
李氏は「青瓦台(韓国大統領府)とソウル市内の反動統治機関はもちろん、南の全地域の主要対象をたたきつぶす威力のある攻撃手段がすでに実践配備され、アジア太平洋地域の米帝基地と米国本土を狙う核の攻撃手段は発射待機の状態にある」と主張した。
一方、朝鮮中央テレビは、討論に金己男(キム・ギナム)朝鮮労働党書記や趙延俊(チョ・ヨンジュン)党組織指導部第1副部長らが参加し、金第1書記をたたえ、忠誠を誓ったと伝えた。
金第1書記は党大会が開幕した前日と同様、スーツ姿で登場した。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/08/2016050800609.html
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記事入力 : 2016/05/08 11:57
金第1書記の発言 「非核化しないとの意味」=韓国当局者[朝鮮日報]
【ソウル聯合ニュース】韓国の政府当局者は8日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が第7回朝鮮労働党大会で、「責任ある核保有国」として「世界の非核化を実現するため努力する」と発言したことについて、「非核化しないという意味」と説明し、「全世界が核を放棄すれば北も放棄するということ」と述べ、事実上、非核化を拒否した言及との見方を示した。
北朝鮮メディアが報じた金第1書記の事業総括報告に関しては、「核分野でこれといった肯定的なメッセージがない。核保有国として認めるよう求めている北の既存の立場に変化はない」と分析した。
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞などによると、金第1書記は事業総括報告で、「共和国(北朝鮮)は責任ある核保有国」と宣言し、「侵略的な敵対勢力が核を用いてわれわれの自主権を侵害しない限り、すでに公にしているように先に核兵器を使用することはない」と表明。「核伝播防止(核拡散防止)の義務を誠実に履行し、世界の非核化を実現するため努力する」と述べた。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/08/2016050800611.html
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は6〜7日に開かれた第7回朝鮮労働党大会の中央委員会事業総括報告で、「国家経済発展5カ年戦略」を提示した。特に、電力問題の解決に注力するよう求めた。
金第1書記は事業総括報告で「2016年から20年までの国家経済発展5カ年戦略を徹底的に遂行しなければならない」と述べた。その上で、「5カ年戦略の目標は人民経済全般を活性化させ、経済部門の均衡を保障することで国の経済を持続的に発展させる土台を作ることだ」と説明した。
北朝鮮経済の状況については「経済全般をみると、先端水準に達した部門がある一方、著しく遅れている部門もある」と指摘した。
北朝鮮はこれまで党大会を開催するたびに経済開発のための中長期計画を発表してきた。「人民経済発展」を主要政策目標に掲げてきた金第1書記は今回、「5カ年戦略」という方策を打ち出した。
具体的には、核開発と経済発展を並行する「並進路線」を進め、エネルギー問題を解決しながら4大先行部門(石炭、電力、金属、鉄道)と基礎工業部門を正常軌道に乗せ、農業と軽工業生産を増やすことで人民生活を向上させるべきだとした。
特に、電力問題の解決を5カ年戦略遂行の先決条件として挙げた。電力問題の解決は経済発展と人民生活向上のための中心的な要素であり、国をあげて注力しなければならないと強調した。
ただ、5カ年戦略に部門別の具体的な数値目標が盛り込まれているかどうかは今後の発表を見守る必要がある。
ソウル大統一平和研究院の張容碩(チャン・ヨンソク)責任研究員は「計画なら段階別の目標値があったかもしれないが、戦略は方向性や枠があるだけで詳細な計画がない可能性もある。具体的な内容が発表されるかどうかを見守るべきだ」との見解を示した。
聯合ニュース
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/08/2016050801117.html
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キム第1書記 核開発・経済立て直し言及か[NHK]
5月8日 5時07分
36年ぶりに開かれている北朝鮮の朝鮮労働党大会は、2日目の7日、キム・ジョンウン(金正恩)第1書記が初日に続いて演説を行いました。具体的な内容は明らかにされていませんが、演説を受けて原子力開発と経済部門の代表が発言していることから、核開発と経済の立て直しを並行して進める「並進路線」に言及したものとみられています。
北朝鮮で、1980年以来、36年ぶりに開かれている朝鮮労働党大会は、2日目の7日、キム・ジョンウン第1書記が初日に続いて演説し、党中央委員会の活動総括報告を行いました。
国営の朝鮮中央テレビは、日本時間の7日午後10時半からそのもようを放送し、キム第1書記の肉声は紹介されなかったものの、演説の中で、「百戦百勝の不敗の党へと発展させるための課題と方法を示した」と伝えました。
具体的な内容は明らかにされていませんが、演説を受けて発言した、経済部門を統括するパク・ポンジュ首相は、「経済強国の建設のための戦略的な路線を示したキム第1書記を全面的に支持する」と述べました。
また、原子力開発の責任者は、「わが国の核技術は最高の水準に達した。核強国の尊厳は、偉大な指導者をいただくわが民族だけが享受できる最大の幸運だ」と述べました。
こうしたことから、キム第1書記は、核開発と経済の立て直しを並行して進める「並進路線」に言及したものとみられています。
北朝鮮の国営メディアは、今回の党大会が3日目の8日も続くと伝えています。
「キム第1書記「米に対抗しミサイル発射」:料理人藤本氏に日本の対北朝鮮観を質問、妹も同席:正恩氏が車を運転し到来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/522.html
「北朝鮮の故・金正日総書記の元専属料理人、藤本健二さん出演:TBSラジオ:正恩氏は安倍首相に会いたいと思っている」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/527.html
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記事入力 : 2016/05/07 09:29
【コラム】「金正日の料理人」が語る言葉の軽さ
『金正日(キム・ジョンイル)の料理人』という著書で知られる藤本健二氏を2010年12月にソウルで取材したことがある。金正日総書記が死去する1年前のことだ。1989年から金正日氏の専属料理人だったという藤本氏は、次男の金正哲(キム・ジョンチョル)氏や三男の金正恩(ジョンウン)第1書記の遊び相手でもあった。藤本氏は「金正日総書記は幹部たちの前で『正哲は気が弱くて女のようだが、正恩は男らしい』とよく口にしていた。早くから正恩氏を後継者として考えていたようだ」という趣旨の内容を同書で明らかにしている。北朝鮮の権力は藤本氏の予想通り金総書記から金正恩氏に引き継がれた。これほどの内容を語れるのであれば、藤本氏は間違いなく第1級の情報源と言えるだろう。
金正恩氏に関する巷の情報は8割が本当かどうかわからない。単なるうわさレベルのものが多く、確認の取りようがない。しかし藤本氏は本当に金正恩氏についてよく知っているように生々しく語ることができた。藤本氏によると、金正恩氏は15歳の時からジョニーウォーカーの最高級品を愛飲し、また藤本氏と2人だけでイブサンローランのたばこをよく吸っていたという。金正恩氏が「わたしはこんなにうまいものばかり食べて暮らしているが、人民はどのように暮らしているのか」と藤本氏に尋ねたことがあるそうだ。このような話も単なる作り話には聞こえなかった。
藤本氏にはじめて会った時、記者は少しとまどった。暗いロビーで頭には頭巾をかぶり、真っ黒なサングラスをかけていたからだ。誰がみても一目で藤本氏とわかるくらい目立っていたが、それでも藤本氏は「北朝鮮の情報関係者に尾行されるので、いつもこんな格好をしている」と語った。記者は「それならサングラスを取ったらどうか」とつい口にしそうになった。自宅の場所も秘密だそうで、名刺にはオフィスの住所しか書いていなかった。言っていることとやっていることが何か一致しないように感じた。
2001年に「食材を買うため日本に行ってきます」と言って日本に逃げ帰った藤本氏だが、それでも金正恩氏については、誰かに監視されているわけでもないのに必ず「大将同志」「将軍」などの尊称を使う。インタビューの中でも「金正恩氏は指導者としての器がある。彼が北朝鮮人民の暮らしをよくすると期待している」といった内容をよく語った。記者は「この男は金正恩氏に『いつの日かまた会いたい』というシグナルを送っている」と感じた。
その後、金正恩氏は藤本氏を何度か北朝鮮に呼んだ。幼い頃口にしたまぐろの寿司が忘れられないというエピソードも聞こえてきた。しかし記者が目の当たりにした藤本氏は、それほど料理の味にうるさいようには感じられなかった。2010年、インタビューが終わった直後、彼は記者を夕食に誘った。案内人は「藤本氏は味覚にうるさいので、辛い韓国料理は好きではない。高級ホテルの日本料理店に行こう」と言ってきた。しかし閉店時間が近かったので、記者はその言葉を無視して藤本氏を近くの海鮮チゲ屋に連れて行った。辛いだけでなく、おそらく味の素のような人口調味料が大量に入った海鮮チゲだ。藤本氏は妻ではないが同棲中という中年女性とともにこの海鮮チゲを残さず食べ、最後はご飯を入れて汁まで平らげた。金正日親子の口を魅了したという藤本氏の味覚がこれほど安っぽいものだったのか。辛さで汗をかいた藤本氏は、身の安全のためといっていた頭巾も脱いでしまった。
このようにどこか脇が甘く、態度も雑でこっけいでもある藤本氏を通じ、金正恩氏は先月「わたしは戦争を起こすつもりはない。米国の圧力に怒って核実験を行いミサイルを発射した」というメッセージを送ってきた。金正日一家の秘密を暴露したとして有名になった藤本氏だが、今は金正恩氏の代弁者になりつつある。これも藤本氏の言葉を額面通り受け止めてはならない理由の一つだ。
政治部=鄭佑相(チョン・ウサン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/07/2016050700493.html?ent_rank_news
朝鮮民主主義人民共和国の指導者金正恩第一書記は、第7回朝鮮労働党大会で演説し、その中で「日本は、過去の植民地支配について自覚し、悔い改めなければならない」と述べた。タス通信が、朝鮮中央通信の報道を引用して伝えた。
金正恩第一書記は「日本は、自覚し悔い改める義務がある」と指摘し、さらに「日本は、南北朝鮮統一問題に干渉すべきではない」と付け加えた。
また金正恩第一書記は、朝鮮の再統一に向けた作業に取り組む必要性を強調した。
先に金正恩第一書記は「朝鮮民主主義人民共和国は、我々の元敵対者との関係を正常化する」と発言している。
朝鮮民主主義人民共和国の首都ピョンヤンで取材に当たっているスプートニク日本のアンドレイ・イワノフ特派員は、朝鮮労働党第7回党大会2日目の作業を総括して言える事は「金正恩(キム・ジョンウン)第一書記が、その政治的立場を強化したことである」と伝えた。これは、イワノフ特派員が大きな関心を持って見た、朝鮮中央テレビの特別番組から明らかだとのことだ。
党大会第2日、金正恩第一書記は、初日に開始した活動総括報告を終えた。その演説の中には「朝鮮労働党は、朝鮮人民の勝利の組織者であり続けるだろう」との文言がある。
大会参加者らは、予想された通り、第一書記の報告を熱狂的に支持した。特に朝鮮労働党中央委員会の金己男(キムギナム)書記は、報告を綱領的文書と呼び「党は、大会の決定実現のために全力を尽くすだろう」と約束した。
北朝鮮の軍の代表達も、重要な発言をしている。朝鮮人民軍の李明秀(リミョンス)総参謀長は、軍事を優先し人民軍を主力として国を発展させてゆく政治路線である「ソングン(先軍)」思想は、革命の主力であり続けていると述べ、また朝鮮人民軍の力が、かつてない高みに上り詰めたことにおける金正恩第一書記の功績を指摘した。
また李明秀参謀総長は、米韓軍事演習の結果、朝鮮半島をめぐり作り出された困難な状況にあっても、軍は「ソングン」思想を守り抜くと誓った。
防衛研究アカデミーのワン・チハン総裁は、核エネルギー開発発展における成功を指摘し、朝鮮が核大国になったことは、朝鮮人民最大の幸福であると述べた。
なお改革派の中心人物とみなされている朴奉珠(パク・ポンヂュ)首相の発言から判断する限り、北朝鮮においては、金正恩指導部のもとで現在行われている経済改革路線が今後も続けられるものと期待できる。朴奉珠首相は、金正恩第一書記の路線に忠実である立場を確認し「第一書記の報告の中には、強い経済を持った大国の建設に向け必要な、あらゆる処方箋が含まれている」と強調した。
北朝鮮指導部は、朝鮮労働党の党大会を、外国人ジャーナリストに北朝鮮が達成した成果を宣伝するために利用した。ロシアの情報通信社「スプートニク」のアンドレイ・イワノフ特派員は、世界40カ国の約130人の外国人ジャーナリストと共に、北朝鮮の成果に感嘆した。
北朝鮮の閉鎖性は、この国を悪い意味でからかう理由となった。西側では、北朝鮮といえば荒廃と飢餓が蔓延し、何かといえば核兵器を使って威嚇する国としてのイメージしかない。この間違ったイメージを修正するために、北朝鮮指導部は、いつものように賢明な行動に出た。指導部は、朝鮮労働党の党大会に外国人ジャーナリストを招待したのだ。しかし外国人ジャーナリストたちを数時間におよぶ党の会合に縛り付けておくのではなく、見学ツアーを企画した。
金日成主席の生誕地とピョニャンにある先端工場を訪れたあと、外国人ジャーナリストたちにはピョンヤンの地下鉄が紹介された。なお平壌の大学で学ぶ大学生でない限り、外国人がこの地を訪れるのは簡単なことではない。しかしピョニャンは訪れるに値する。地下鉄路線図を見れば分かるが、駅の数はそれほど多くない。
しかしそれらの駅は宮殿を髣髴させ、その内装の美しさはモスクワの地下鉄にも劣らない。ここでは平壌の景色、トラクターで平和に土を耕す農村の風景、野原を嬉しそうに歩く人々、そしてすがすがしい風になびく旗が描かれたモザイクの壁を眺めることができる。そしてもちろん、働く人々や自然に囲まれた金日成主席と金正日総書記の肖像画もある。
なお平壌の地下鉄の車両は非常に古く、約60年前にドイツでつくられたもののように思われる。だが今、新車両も導入されており、十分に現代的だ。とはいえもちろん、デザインや内装は中国のみならずモスクワの地下鉄にも劣る。だが少なくとも北朝鮮で地下鉄の近代化が全速力で進められているのは明らかだ。
西側のジャーナリストたちが、地下鉄で見たものをどのように受け取るかはまだ分からない。あるジャーナリストは前回ピョンヤンを訪れたとき、地下鉄のレポートで「北朝鮮は地下鉄とミサイル以外に誇れるものは何もない」とコメントした。
これは真実ではない。ピョニャンでは今、美しいマンションが建てられており、昨年5月、大同江(テドンガン)の川沿いのミレ(未来)通りには、40−50階建ての高層マンションが建設された。そのうちの複数のマンションは学者のためのものだ。ソ連時代と同じように、マンションの住民たちは、高い生活文化を目指し、誰が自分の家を頻繁に掃除しているかを競い合っている。競争結果は、1階の入口付近に貼られている表で示されており、「優勝者」の家のドアの上には、ここに住む家族が先軍政策実現を成し遂げたことを証明するプレートが飾られている。
ところで、面積210平方メートルの家の清潔さを維持するのは簡単なことではない。しかし家主であるピョンヤンの大学の工学部の学部長は、それをやり遂げ、さらに突然の客たちのためにビールまで用意した。
マンションには、まだ入居していない家もある。人々は高層階に住むのを断っているという。その理由は、北朝鮮ではエレベーターが止まる原因となる停電が良く起こるからだ。その責任はもちろん、陰謀と制裁によって北朝鮮の原発建設を失敗させた米国人にある。これによって米国人が勝ち取ったものは何か?北朝鮮の人たちはエレベーターには乗らないが、核爆弾をつくった。果たして米国人は、それで楽になったのだろうか?
北朝鮮の金正恩第1書記は、北朝鮮に対して「敵視政策」を行っていた国々との関係を正常化する意向を表明した。8日、ロイター通信が、朝鮮中央通信の発表を引用して伝えた。
金正恩第1書記は、次のように強調した−
「朝鮮労働党と北朝鮮政府は、過去に敵視政策を行っていたとしても、北朝鮮の主権を尊重し、北朝鮮に対して友好的に接する国々との関係を改善、正常化する。
第1書記はまた、北朝鮮政府の役割を強化し、その機能を拡大する必要性についても述べ、次のように語った−
「政府を強化し、その機能と役割を高め、それらと同時に、熟慮して、イデオロギー的、技術的、文化的な3つの革命の党の基本路線をダイナミックに実現する必要がある。」
朝鮮中央通信が報じた。
現在の在韓米軍駐留費の分担協定が2018年末に期限満了を迎える。18年と17年初めに韓米の新政権がそれぞれ発足して間もなく、新たな分担協定交渉が必要になる。韓米同盟は新たな試練に直面しそうだ。
米大統領で共和党の大統領候補に事実上決まったトランプ氏は「韓国の駐留費負担はごくわずかだ」などと発言しており、トランプ氏が大統領に就任すれば、韓国にとっては「災難」となりかねない。トランプ氏の発言について、韓国政府は批判を控えているが、内部では既にかなりのプレッシャーを感じている。韓国政府が昨年負担した在韓米軍駐留費は9320億ウォン(約855億円)で、韓国政府は約2兆ウォンと推定される駐留費全体の半分程度を負担している格好だ。
■米国と韓国市民団体の板挟み
在韓米軍は北朝鮮の脅威から韓国を守ると同時に、アジア太平洋地域で米国主導の秩序を維持し、米国の安全保障利益に重要な役割を果たしている。韓米両国がいずれも恩恵を受けている格好だ。韓国が駐留費を100%負担すべきだとするトランプ氏に論理はとんでもない話だ。
問題はトランプ氏ほど過激ではないにせよ、「同盟国は駐留費をもっと負担すべきだ」という認識が米政界全体に広がっていることだ。米上院軍事委員会は2013年に駐留費交渉を控え、「在韓米軍の駐留費が増大しているが、韓国の負担が追い付いていない」と批判。米議会調査局(CRS)も韓米関係に関する報告書で、「米国防総省関係者が韓国に50%以上の負担増を求めた」と指摘した。
こうした認識の背景には、米国の国防費削減がある。米国は巨額の財政赤字を縮小するため、毎年政府予算を自動的に削減しており、国防予算がその筆頭となっている。国防予算が削られたことで、同盟国に負担増を求めている形だ。
駐留費負担規模をめぐり、米国、韓国の市民団体や野党の主張が全く食い違っていることも韓国政府のジレンマだ。米国は「韓国が駐留費を十分に負担していない」としているのに対し、韓国の一部市民団体と野党は「駐留費を負担し過ぎだ」と政府を非難している。政府が論理的に反論しようとすれば、相手側の主張に利用されかねない状況だ。
例えば、韓国政府は14年に駐留費交渉で合意した当時、韓国の市民団体や野党に「駐留費負担の90%は米軍が雇用する韓国人、韓国の建設・軍需企業を通じ、結局は韓国の懐に入る」と強調した。しかし、トランプ氏はその点を突き、「米国が一方的に損をしている」と主張する可能性がある。
■韓国の駐留費負担、23年で9倍増
韓国政府は1991年から正式に在韓米軍の駐留費を負担し始めた。1966年に韓米が結んだ「在韓米軍地位協定(SOFA)」に基づき、91年に「駐留費分担特別協定(SMA)」を結んだためだ。SOFA第5条には、米軍は在韓米軍の維持経費を負担し、韓国側は駐留に必要な施設と区域を提供することになっている。
駐留費の負担は91年の1億5000万ドルから23年間で約9倍に膨らんだ。98年の通貨危機当時には、韓国の苦しい経済事情で一時的に減少し、2005−06年には在韓米軍縮小で負担額が凍結された。14年からは期間5年の第9次駐留費負担特別協定が適用されている。2年前の消費者物価指数上昇率に基づき、駐留費を毎年引き上げるが、引き上げ幅を4%以下と定める内容だ。予算編成と決算の透明性を高めるため、国会への報告も義務付けられている。
駐留費負担金は人件費、軍事建設費、軍需支援費として使われている。人件費は在韓米軍に勤める韓国人勤労者の賃金を支援するもので、人件費総額の75%以内で提供される。軍事建設費は営舎、環境施設など在韓米軍の施設建設を支援するものだ。軍需支援費は弾薬備蓄、航空機整備、鉄道・車両輸送などを行うことを目的としている。駐留費全体に占める割合は、軍事建設費が45%(14年)で最大だ。
イム・ミンヒョク記者 , ユ・ヨンウォン軍事専門記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/06/2016050600545.html
世界各地に駐留している米軍への防衛費分担金は、国ごとに支援方式や算定方法などが異なり、画一的に比較するのは難しいというのが現実だ。韓国政府当局は、おおむね「米軍駐留費用の分担比率を基準にすると、韓国は日本より低いが、ドイツなどNATO(北大西洋条約機構)よりは高い水準」と説明している。しかし、分担金の比率を国内総生産(GDP)基準で計算すると韓国が世界最高水準、という分析結果もある。
韓国政府は2013年に、米軍駐留費用の分担率について、韓国は42%で半分に届かないが、日本は半分以上、かなりの部分を負担していると説明した。その後、韓国の分担率は少しずつ高まり、50%に迫っている。
2013年に韓国国会の予算政策処が出した委託研究報告書によると、12年の時点で、韓国の防衛費分担金(7億8200万ドル=現在のレートで約839億円。以下同じ)のGDP比は0.068%で、日本の0.064%(12年基準)より高いことが判明した。12年の日本の防衛費分担金は38億1700万ドル(約4094億円)で、韓国よりはるかに大規模だが、経済力に照らしてみると韓国の方が日本より負担が重かったというわけだ。また、13年のドイツの防衛費分担金は5億2500万ドル(約563億円)で、GDP比では0.016%にすぎなかった。ただしドイツは、これとは別にNATOの分担金を出しているという。韓国政府の消息筋は「KATUSA(在韓米軍に配属される韓国軍人)支援費用など、これまで算定の内訳から除かれていた支援部分を米国側に認識させる必要がある」と語った。
ユ・ヨンウォン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/06/2016050600588.html?ent_rank_news
◆前代未聞の挙式!
2015年11月、北朝鮮で日本人の新婚夫婦が結婚式を挙げた。
日本政府は依然として朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への渡航を自粛するよう要請しているが、そんな中で前代未聞の偉業(?)を成し遂げたMさん夫妻の、北朝鮮での結婚式の段取りから後日談までをレポートする。
そもそも、なぜ北朝鮮で挙式をしようと思い立ったのか?
Mさん自身は、『朝鮮は第二の故郷』と謳うほどの北朝鮮マニア。07年から複数にわたり訪朝しており、彼の趣向については妻も了解済みとはいえ、さすがに北朝鮮で挙式となると、日本人女性のほとんどは嫌がると思うが……。
「もともと出会いのきっかけが『北朝鮮』なんですよ。朝鮮観光のガイドブックを総武線の電車内で読んでいたら、隣の席から話しかけてきたのが妻なんです。海外旅行のガイドブックを読んでいるなと思っていたら、『平壌』という文字が目に飛び込んできて驚いたからだとか。そこから交際に発展したのですが、鎌倉で最初のデートをしたとき妻は『海が近いから拉致られないかな?』と思っていたそうです(笑)」(Mさん)
妻の理解も得て、Mさんは中国にある朝鮮観光旅行社にその旨をメールし、仲介を要請。だが現在は徐々に増えているとはいえ日本からの観光客はリピーターが中心で、他国に比べて非常に少ない。ましてや結婚式を挙げる人など前例がないため、申し込んだ当初は先方にもなかなか信用されなかったという。
◆馴染みのガイドのおかげでスムーズに進んだ交渉
北朝鮮で結婚式を挙げたい。そんな希望を北朝鮮専門旅行社に伝えたが、申し込んだ当初は先方にもなかなか信用されなかったというMさん。
「向こうは、冗談かイタズラで問い合わせていると思ったそうです。だから初期の見積もりもいい加減で、ビザ発給の段階でようやく真面目に交渉が始まりました。最初は5万円くらいでできるという話が最終的に20万円ほどまで膨れ上がったのですが、外国人に恥ずかしくないレベルのものを提供したいという意気込みだったからだと思います。私たちは当初、現地の人とまったく同じ式をやりたかったのですが、結果的に朝鮮国内でも豪華なものになってしまいました」
だが訪朝経験も複数あり現地とも信頼関係があったため、結果的にはスムーズに事が運んだという。
「馴染みのガイドは、『結婚式を希望する日本人がおり、ガイドに君をリクエストしている』という話が来たとき、すぐに私であると分かったようです。これが一見さんだったら難しかったのではと思います」
かかった費用は以下のとおり(見積もりは日本円&ユーロの混在)
新婦着用チマチョゴリ:150ユーロ
新郎着用人民服:150ユーロ
ムービー撮影(披露宴&新婚旅行6泊7日全行程):150ユーロ
式場代金:10万円(日本円)
ゲスト一人当たり:プラス5000円
ゲストは日本語案内員の中から20人まで招待可能。上限いっぱいの20人を招待し10万円
合計:約25万円
結婚式の代金は直接、平壌まで持参。日本語観光担当部長とガイド2人と高麗ホテルで最終的な打ち合わせを行い、着手金として約1500ユーロを手渡した。
「その後、馴染みのガイドとホテルの地下で呑んだのですが『私はあんな大金を目の前で見たことはないよ』と悲しそうに呟いていたのが印象的でした」
◆縁もゆかりもないのに盛り上げてくれたガイドたち
北朝鮮において庶民は市場で買った安物の衣装に最低限の式を挙げるが、「ドンジュ」と呼ばれる富裕層の子女の挙式では150ドル以上もの衣装にレンタルのベンツが利用されると言われており、Mさん夫妻の式もそれに近いものであったと考えられる。結婚式は、まず衣装を着て街中で記念ムービーと写真撮影を行ったのちに市内の式場で披露宴を行う。ムービーは新郎が画家に扮し、「あそこの景色が特にいいんだよ」などと新婦に説明しながら絵を描くなどの「演技指導」も盛り込まれ気恥ずかしかったという。
披露宴では司会役の日本語ガイドによって二人の馴れ初めの紹介がされ、朝鮮青磁器や高麗人参を使った化粧品、刺繍画などの「ご祝儀」が贈呈された。そして新郎による結婚の挨拶を行ったのち、歌手が祝いの曲を歌った。Mさんも朝鮮語で一曲を披露した。
◆北朝鮮の現在の経済事情
道中では北朝鮮の昨今の経済事情も垣間見ることができた。
「2012年の訪朝時に比べLEDが爆発的に普及していたのと、ソーラーパネルをあちこちで見かけたのが印象的でした。LEDのおかげで平壌の夜はかなり明るかったです。またガイド、ドライバー、カメラマン皆が中国製のスマホを持っており、クルマの中でスマホをシガーソケットから充電していましたね」
道路には、レクサスが普及している。
「レクサスが売れているのは、ラグジュアリーカーとしての位置付けではく、悪路を走ったり地方へ行く際の実用面で優れているからだそうです。乗り心地はもちろん、故障が少ないことがなによりも良いのだとか。前回訪朝時の2012年にもちらほら見かけましたが、今回はかなり増えているなとの印象を持ちました」
それに伴い、交通量も増加中だという。
「2007年に開城に行った時は、平壌から2時間あれば着きましたが、今回は道が悪いところを避けて蛇行し3時間近くかかりました。ガイドも認めていましたが、交通量の増加に対し道の補修が間に合わないとのことでした。試しに沙里院(北朝鮮の地方都市)付近で対向車の数を数えたところ、たった10分で22台とすれ違って驚きました」
◆日本人との交流に積極的な日本語ガイドたち
日本人が他国の観光客に比べて少ないため、朝鮮国際旅行社の中でも日本語ガイドたちだけが暇を持て余しているという話は事情通から複数、漏れ伝わっている。彼らは大学で日本語を習得したものの、拉致問題をきっかけに日朝断絶が続いているためスキルやキャリアを長年活かせずにいるのだという。Mさんは、だからこそ彼らは、日本人との生の交流に積極的であると話す。
「社会情勢や政治情勢ではなく、個人同士の立場で文化的な話をするときが一番心を通わせられたと思います。そうしていくうちに、向こうも”素顔”を見せてくれる。開城でオンドル(※床下暖房)部屋に泊まったとき床や部屋があまりに暑かったので『ちょっと電圧下げて!』と言ったら、少し怒り気味に『Mさん、我が国の電力事情を考えてください。そのオンドルは火を焚いたものです』と(笑)。ガイドも初対面の頃は電力不足について『エコ』『省エネです』と取り繕うのですが、親交を深めていくにつれ、本音で話すことができました」
また北朝鮮は特に国策においては親中であるが、民間レベルでは嫌中感情が高まっていることが知られている。Mさんの訪朝時にもそれは顕著に感じられたとか。
「しょっちゅう中国人観光客の団体とバッティングしましたが、ガイドは『中国人はマナーがない』『中国人は威張っているんですよ』と、あからさまに嫌悪感を出していました。ガイドの説明を明らかに聞いてなかったり、痰を吐いていたり、朝鮮の人々が神聖視したり重要視したりしているところでそういう行動をとっているのは、私も不快に感じました。結婚式ムービーを撮るため、私たちが平壌の街中を歩いているときも、中国人観光客がスマホやタブレットで私たちをむやみに撮るので、妻も怒っていました」
かくして、無事に挙式を終えることができたMさん夫妻。肝心の妻はどんな反応だったのか?
「妻は滞在中、閉鎖的な雰囲気と不便さに気持ちが滅入ることもあったようですが、帰国後は色々と思うことがあるようで、北朝鮮のニュースが出ると、『あのガイドさん、今どうしてるだろうね』という話をよくします。担当ガイドの奥さんが重い病気だったので。ただ、挙式のことは家族や友人にはまだ言わないでおきたいみたいですが(笑)」
2002年の日朝平壌宣言および拉致問題の勃発から14年、未だに膠着状態が続く日朝関係。Mさん夫妻のような“英断”は、単なる物好きの枠を超え、二国間関係解決の糸口を探るには、貴重な情報源になると言わざるを得ないだろう。<取材・文/HBO取材班>
ハーバー・ビジネス・オンライン
最終更新:5月5日(木)17時59分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160505-00093071-hbolz-int
※関連投稿
「橋下氏の問題は米国文化の認識欠如ではなくポン引き言動:「従軍慰安婦」ではなく「軍内慰安婦」制度を活用している米国」
http://www.asyura2.com/13/senkyo147/msg/737.html
「イスラム圏での長期駐留対策として「軍内慰安婦」制度を活用する一方で性的暴行の取り締まり強化を訴えるオバマ氏の腐臭度」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/502.html
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アメリカ軍内の性的暴行に関する、アメリカ国防総省の新たな報告[イランラジオ日本語]
May 07, 2016 20:16 Asia/Tokyo
アメリカ国防総省が、「アメリカ軍内での性的暴行の事例の多くは、報復や厳しい処遇への恐れから公表されていない」と表明しました。
ミールターヘル解説員
アメリカ国防総省は年次報告において、「アメリカ軍は、昨年度中の軍内における性的暴行に関する、およそ6000件の報告を受理している」としました。アメリカ国防総省の報告では、2014年と2015年に受理された、これらの性的暴行の事例は、3604件だった2012年と比べておよそ2倍近くに増加しているとされています。
アメリカ国防総省性的暴行対策室の執行顧問はこれについて、「性的暴行の被害者のうち、報告されているのは、女性は40%、男性は10%に過ぎない」と語りました。また、「2015年に報告された性的暴行のうち、19%が男性からのものだった」としています。さらに、アメリカ国防総省性的暴行対策室長も、「正式に報告される性的暴行の件数が、過去最多の水準に達しているのかどうかは定かではない」と語りました。この報告はこの報告はまた、「このような犯罪を届け出る人物の68%は、同僚や司令官からの不適切な対応に直面している」としています。この問題により、アメリカ軍関係者の中で、耐え難い状況に直面したことで、やむなく軍内の上級幹部に報告してこの問題の解決策を考える隊員の数は、非常に少なくなっています。さらに、アメリカ軍兵士の多くは、こうした状態に慣れきってしまい、公に提訴することはありません。アメリカ国防総省性的暴行対策室の執行顧問はまた、「届出のあった事件のうち、38%の犠牲者はさらに甚大の人権侵害に発展した報復を受けている」と語りました。
近年、メディアでも繰り返し報じられているアメリカ軍内の問題の1つは、兵士たちの互いに対する性的暴行です。これは今や、1つの大問題となっており、アメリカ軍の女性兵士の状況は惨憺たるもので、彼女たちが軍内で性的暴行を受ける確率はもはや、戦場で敵に性的暴行を受け、殺害される確率よりも高くなっています。
アメリカ軍内での女性兵士に対する性的暴行は、一般社会での平均を上回っており、このためアメリカ軍の軍司令官は被害者に聞き取り調査を行い、性的暴行の犯罪者を公正に処遇できるよう、この犯罪の現状を分析するために被害者特別部隊を結成することを余儀なくされました。
アメリカ軍内で性的暴行による危機は、さらに拡大しており、アメリカ軍内の専門家や一般の人々の間に懸念を引き起こしています。専門家は、この現象を客観的、組織化されたものとして、一部の点からアメリカ軍内の一部の部隊が機能を失うことにつながるだろうとしています。
アメリカ社会では、女性の6人に1人が性的暴行を受けていますが、一方でアメリカ軍の正式な統計によれば、アメリカ軍の女性兵士については3人に1人となっています。一部の人々は、残りの2人はこれについて発言することを好まず、もしこれらの被害者が口を開いたならば、この性的暴行について、さらに正確なデータが得られるかもしれないと考えています。今や、アメリカ軍の部隊の一部では、男性兵士からの性的暴行への懸念から、女性兵士が屋外の浴場での入浴や、夜間に数時間に渡り単身でいることを恐れているのが現状なのです。
http://parstoday.com/ja/news/world-i7768
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アメリカ国防総省、軍内部の性的侵害に対する調書の発表を妨害[イランラジオ日本語]
4月 19, 2016 20:51 Asia/Tokyo
アメリカ国防総省が、アメリカ軍内部の性的侵害に関する調書の発表を妨害しようとしています。
アメリカ国防総省は、アメリカ軍内部の性的侵害の増加に直面しており、しばしばこれに関する文書を修正することで、大幅にこの事件の件数を減らそうとしているということです。
AP通信記者の調査は、アメリカ国防総省が軍に汚点がつくのを防ぐため、アメリカ軍の性犯罪に関する報告を修正し、疑惑が生じないようにしていると伝えています。
この調査ではまた、アメリカ国防総省は兵士たちの間の性的暴行などに関する曖昧且つ正しくない情報をアメリカ議会に提供しているとされています。
アメリカ国防総省関係者は、軍事法廷は性的犯罪に対する厳格な方針をとっていると主張していますが、こうした理由からこの調書は一般的な裁判所ではなく、軍事法廷に提出されることになります。これはアメリカ国防総省が、軍の性的犯罪を隠す機会を与えることになります。
原発もそうだが、国家が行う事業は、いったん踏み出すと自らの意思でなかなか終わらせることができない(ものらしい)。なかでも、合理的な思考に基づく厳しい議論を経ないで“空気”に支配されてゴーサインを出す傾向が強い日本の支配層は、自縄自縛状態に陥り、多数が内心では終わりにすべきと思っていても、それを口に出すことさえできないことが多い。
支配層の一部が負ける戦争に日本を引きずり込んだ陰謀はともかく、「アジア太平洋戦争」の帰趨はミッドウェイ海戦で決したと言える。(ミッドウェイ海戦の大敗そのものが海軍最高幹部による陰謀のおかげだが)
ミッドウェイ海戦以後の太平洋(対米)戦局は、サイパンの陥落を待つまでもなく、米国に比べただでさえ貧弱な日本の軍需品供給力を加速度的に消耗させるものでしかなかった。
その象徴がガダルカナル島攻防戦であり、無意味なうえに誤った作戦を続けることにより、2万を超える陸軍将兵のみならず、よく訓練された有能なパイロットと貴重な航空機が海の藻屑となって消えていった。
フィリピンが陥落し、その時点ですでに150万人を超える戦死者を出しながら、沖縄戦に玉砕精神で臨む道を選択した。
転載する記事にあるように、日本支配層はヤルタ会談の情報をつかんでおり、ナチスドイツ降伏後にシベリア鉄道で満州国境地域に運び込まれる武器弾薬の急増も察知している。
それでも、一部支配者はソ連を仲介者とする和平を模索し(願望を持ち)、陸軍のなかには満州に天皇をいただく親ソ共産主義国家の樹立さえ夢想するものもあった。
このような日本支配層に引導を渡したのがソ連の参戦である。
原爆は無慈悲で悲惨な大量殺戮兵器だが、通常爆弾による繰り返しの空爆でも同等の犠牲者と建造物破壊は可能である。
昭和天皇をはじめとする当時の戦争指導部にはきつい物言いになるが、膨大な数の臣民(日本国民)が空爆や砲撃(沖縄など)で死ぬのを厭う気持ちが支配層に“少しでも”あったのなら、物資及び軍需品供給力が急減していく状況とあいまって、遅くとも、沖縄戦終結時点で戦争終結を決断していたはずである。
それゆえ、米国による(ドイツ製)原爆投下を、日本が降伏を受け入れる決断をした第一義的理由と言うのは難しい。
(米軍が降伏したドイツから連れてきた技術者の支援を受けながら原爆を完成させたのは1946年と推定。米国製原爆の初実験は46年7月のクロスロード作戦だろう:米国支配層は、ナチスは使わなかった原爆を日本の都市に対し使ったのである)
日本の戦争指導部が8月を迎えるまで継戦を夢想できた理由は、満州と朝鮮半島の存在である。
日本周辺における制海権も制空権も失い、満州や朝鮮から物資を運び込むことは難しくなっていたが、陸軍幕僚がソ連と同盟する共産主義国家を夢見ることができたように、満州が無傷であったことが最後の支えになっていた。
配線前夜においても、満州は、まさに「日本の生命線」だったのである。
満州では、資源や産業力は温存されていたが、精強とうたわれた関東軍は、まともな部隊が対米戦のために南方に送られ続け、常に関東軍の仮想敵国であったソ連と戦える状態にはなかった。
「日本の無条件降伏をもたらしたのは何か:原爆か、それともソ連参戦か?」という問いに対する答えは、ソ連参戦ということになるのだろう。
※関連スレッド
「日本の無条件降伏をもたらしたのは何か:原爆か、それともソ連参戦か?(Sputnik)」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/688.html
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なぜ戦争でソ連が中立を守るという日本の見込みは裏切られたのか[スプートニク日本語]]
オピニオン
2016年05月07日 08:23
タチヤナ フロニ
5月9日に祝われる大祖国戦争におけるナチズムへの勝利71周年を記念して、スプートニクは、軍事史家アナトリー・コシキン氏とのインタビューシリーズを発表する。
1941年4月13日、ハルヒン・ゴル国境紛争の2年後、モスクワで、日本とソ連が相互の中立性を約束した条約に調印した。今だに日本の歴史家の間では、第二次世界大戦の終わりにソ連が不可侵条約に違反する裏切り行為を行なった、との意見が支配的だ。しかし、以来、歴史の多くの未知のページが発見された。それらは、日本政府が日本に対するソ連の侵攻について事前によく知っていたことを示している。知っていただけでなく、ソ連に中立を守らせようと、あらゆる措置が講じられていた。
歴史学の博士で戦略研究センターの専門家、第二次世界大戦歴史家協会理事会メンバーのアナトリー・コシキン氏は次のように述べた。
「1944年の終わりまでに、日本の政治家や軍事指導者らは、ドイツが第二次世界大戦で敗北するという結論に達した。これに関連して、ドイツの敗戦後にソ連がどのような立場を占めるかについて多くの懸念が生まれた。今日では、日本の現代史家や政治家は、日本政府が1945年2月に行なわれた歴史的なヤルタ会談の決定を知っていたことを否定している。実際には、日本人はスターリンがドイツとの戦争の終了後2-3ヶ月で極東における米英の同盟軍を支援するという秘密情報を取得していたという証拠がある。
これは、スカンジナビアで一緒に働いていた日本の有名な諜報員オノデラ氏の妻にも確認されていることだ。死の直前、彼女は回顧録を出版し、その中で、夫の暗号解読を手伝う傍ら、ヤルタの決定について個人的に情報の解読を行っていたことを明かした。それによれば、ドイツとの戦争後2-3ヶ月でソ連は対日参戦する、とのことだった。むろんこれは日本指導部を震撼させた。」
それは、日本軍がそうした状況を甘んじて受け入れる準備ができていたことを意味しているか?反対に、日本政府は、このような展開を防止するためにできるすべてを行うことを試みた、とコシキン氏。
「日本は、ドイツの巨大な軍事機構を破ったソ連の強力な軍隊が加われば、日本に有利な条件で戦争を終わらせる見込みは全く断たれると、十分に認識していた。よって1944年の終わりに日本外務省はソ連が興味を示しそうな譲歩のリストを策定した。ソ連が中立を守り、日本に対する戦争に入らないように、だ。その中に、それまで日本領だった領土を自主的にソ連に引き渡すというものもあり、興味深い。具体的にはサハリン南部とクリル諸島だ。これら領土を明け渡すことでソ連の参戦を予防しようとしたのだ。ドイツ降伏後も自らの責任を少しでも減らすように、あらゆる手を尽くしてソ連との友好関係を演出しようとした。たとえば日本は意図的にソ連がかつて対ドイツ戦線で使用できたはずのソ連の巨大な力を釘付けにした。ソ連にとってはこのことが大幅に犠牲者の数を増加させ、第二次世界大戦を延長させたのだ。
日本はナチスドイツの同盟国だった、そして米英、ソ連の同盟諸国と戦った。したがって、国際法にのっとり、4月5日、日本政府に公式な通牒を送り、今のような状況では1941年4月13日署名した中立協定の延長はもはや不可能であることを発表した。これがソ連が参戦するという明確なシグナルを日本側に与えた。つまり実際の参戦の4ヶ月前、日本政府は事実上、ソ連参戦の可能性について警告を受けていたのだ。しかも日本政府は1945年の春から極東への軍の大部隊、兵器の多くの集中を始めていた。したがって、日本の歴史家が言う、中立条約に反してソ連は裏切りを行ったという説は、穏やかに言えば、事実に反するのだ。」
どころか、ソ連が不可侵条約を破棄したとき、日本軍指導部は、日本に対するソ連の参戦が間もなくあると知りながら、早期に第二次世界大戦を終わらせるための行動を特にとらなかった。日本史専門家コシキン氏はそう語る。
オーストリアのファイマン首相が9日、辞任を宣言した。辞任宣言は首相自身のサイトによって明らかにされた。
サイトによれば、ファイマン首相は出身政党である社会民主党内で十分な支持が得られないことをこうした決定の理由に挙げている。
首相のサイト上の声明によれば、辞任の決定は直ちに効力をもつ。
ルセフ大統領の弾劾手続きが進むブラジルで9日、議員資格を停止された下院議長に代わって議長代行を務める議員が、弾劾手続きを上院に進めた先月の決定は無効で採決をやり直すと表明し、政治の混迷が深まっています。
ブラジルでは、ルセフ大統領が政府会計の不正な操作に関わったなどとして、先月、下院が大統領の弾劾に向けた手続きを上院に進める決定をしましたが、その後、弾劾手続きを主導してきた下院議長がみずからの汚職事件の捜査を妨害しようとしたとして、連邦最高裁判所から議長職の剥奪と議員資格の停止処分を受けました。
この処分を受けて、下院議長の代行を務める別の議員が9日、上院に進めることにした先月の下院の決定には手続きに不備があったとして無効とし、採決をやり直すと表明しました。
上院では今月11日にも、弾劾法廷の設置の是非について採決が行われる見通しとなっていましたが、下院の決定が無効となれば法律上、上院での手続きは進められないことになります。しかし、これに対して野党側が下院の決定を無効としないよう連邦最高裁に訴える構えを見せているうえ、上院の議長も下院議長代行の発言を無視して、弾劾を巡る手続きを進めるとしており、政治の混迷が深まっています。
個人の判断で使うトレイ区域を決められるのなら、女性トイレに侵入して性的な犯罪をなそうとする人を既遂まで取り締まれない。
女装をすることで外見は女性ないし女性志向の男性と見てもらうことはできるが、女性トイレに入りたいためにそうしているのかなど、その人の内面まではわからない。
(このような論理でノースカロライナ州の法律を擁護した元レッドソックスの投手は避難を浴び、解説者の職を失った)
むろん、同性愛者もいるわけで、男性が男性トイレで男性を物色するケースも考えられる。
米国特有のPCで、少数派問題について“差別”や“人権侵害”を声高に叫ぶ傾向が見られるが、一歩引いて現実的合理的に判断するほうがいいように思える。
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体の性でのトイレ使用義務は差別か 米国で訴訟合戦[NHK]
5月10日 11時24分
アメリカ南部ノースカロライナ州で、出生証明書に記載されている性と同じ性別のトイレを使うよう義務づけた法律が、心と体の性が一致しない性同一性障害の人の差別に当たるかどうかを巡り連邦政府と州の見解が真っ向から対立して、双方が裁判所に訴え合う事態に発展し、全米の注目を集めています。
ノースカロライナ州では、ことし3月、州の庁舎や州立大学などで、出生証明書に記載されている性と同じ性別のトイレや更衣室を使うよう義務づける法律が施行されました。
これについて、司法省は、違う性別のトイレや更衣室を使いたいと願う性同一性障害の人たちへの差別に当たり、性別に基づく差別を禁じる公民権法に違反しているとして、法律の見直しを求めていました。
これに対し、ノースカロライナ州は9日、公民権法に性同一性障害に関する規定はなく、法律はトイレや更衣室の安全を守るために必要だとして、主張の取り下げを求める訴えを連邦地方裁判所に起こしました。
これについて、リンチ司法長官は記者会見で、「州が率先して性同一性障害の人たちを差別している」と非難し、連邦政府も法律の停止を求める訴えを起こしたことを明らかにしました。
性同一性障害の人の権利の保護を巡り、連邦政府と州の見解が真っ向から対立する事態を受けて、裁判所の判断に全米の注目が集まっています。
「フィリピン大統領選 接戦 過激発言ドゥテルテ氏に勢い、「南シナ海」影響も 来月9日投票」
http://www.asyura2.com/16/asia20/msg/199.html
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当選見通しのドゥテルテ氏 中国と直接対話も
5月10日 12時26分
9日に行われたフィリピンの大統領選挙で当選する見通しとなったロドリゴ・ドゥテルテ氏は、南シナ海を巡る問題への対応について「多国間での取り組みで事態が前に進まなければ中国と直接話し合う」などと述べ、中国がインフラ整備などで経済支援を行えば領有権争いを棚上げする考えを示しました。
フィリピンでは9日、アキノ大統領の任期満了に伴う大統領選挙が行われました。現地の選挙管理委員会によりますと、開票率は89.25%で、得票率は南部ミンダナオ島のダバオ市長、ロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)が38.70%、続いてアキノ大統領の後継のマヌエル・ロハス氏(58)が23.21%、無所属の上院議員のグレース・ポー氏(47)が21.68%などとなっています。
選挙の結果は議会の承認を経ておよそ1か月後に確定しますが、2位のロハス氏が残りの票をすべて獲得しても逆転できないため、ドゥテルテ氏が当選する見通しとなりました。
ドゥテルテ氏は、南シナ海を巡る問題で中国との関係改善に取り組む姿勢を強調していて、9日夜の記者会見では、領有権は譲れないとする一方「多国間で問題の解決に取り組むが、事態が前に進まなければ中国と直接話し合う」と述べ、中国がインフラ整備などで経済支援を行えば領有権争いを棚上げする考えを示しました。
現職のアキノ大統領は、同盟国アメリカや日本などとの関係を強化して中国に対抗してきましたが、専門家の間では、ドゥテルテ氏が現政権の路線を転換するような外交方針を取れば南シナ海問題の行方に影響を与えるという見方も出ています。
中国は1999年の時点で北朝鮮は核兵器を保有していないという分析を行っていた。現在の北朝鮮がほんとうに核兵器を保有しているかどうかも、中国と米国がいちばんわかっているはず。(日本や韓国もわかっているとは思うが)
朝鮮半島は、形式的なものであれ、韓国を引きつけた中国の影響下で統一に向かうことで米中がすでに合意していると考えている。(北は中国・南は米国という国際関係の対立構造のままでは形式的なものであっても統一は困難)
形式的統一に至る前に、日朝国交正常化(内容はともかく拉致問題解決)で膨大な金額の経済支援が行われ、それを突破口に米朝関係の正常化(平和条約・国交樹立)が実現されることになる。
政治資金相続脱税疑惑で首相職を投げ出して遁走した国会議員の資質さえない安倍晋三氏が内閣総理大臣に再任された理由は、ひとえに、命を賭けて推し進めなければならない彼の政治的課題=日朝国交正常化を成し遂げるためである。
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中国 習国家主席 キム第1書記に祝電送る[NHK]
5月10日 5時25分
中国の習近平国家主席は9日、北朝鮮の朝鮮労働党大会で「党委員長」に選出されたキム・ジョンウン(金正恩)第1書記に祝電を送りました。
中国国営の新華社通信によりますと、習主席は共産党トップの総書記と個人の名義でキム第1書記に「熱烈な祝意」を表し、北朝鮮の国民に対しても「キム・ジョンウン委員長をはじめとする朝鮮労働党の指導のもと、社会主義建設において新たな業績が得られるようお祈りする」と祝福しました。
そして「中朝の伝統的な友情は、双方の古い世代の指導者がみずから築き上げ、丹精込めて育てた共通の貴重な財産だ。中国の党と政府は中朝関係を非常に重視している。ともに努力し、友好協力を絶えず発展させ、双方の国家と国民に幸福をもたらし、地域の平和と安定と発展に貢献したいと願っている」と伝えたということです。
キム第1書記は祖父のキム・イルソン(金日成)主席にならう形でみずからの権威づけを図っているとみられることから、中国側は祝電で「古い世代の指導者」が中朝の友情を築いたと言及することで、キム第1書記に対して両国関係の修復にかじを切るよう促すねらいがありそうです。
「なぜ戦争でソ連が中立を守るという日本の見込みは裏切られたのか:日本支配層の継戦夢想を粉砕し降伏を決断させたソ連満州侵攻」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/692.html
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/883.html
北朝鮮で6日から開かれていた朝鮮労働党第7回大会が閉幕し、大会の最後に各機関の人事が発表された。一部からは、大幅に若返りを図るのではないかという予想もあったが、大きな入れ替えはなかった。
一方、朝鮮中央通信が10日に配信した党政治局委員候補と中央軍事委員会委員の一覧の中に、目を引く名前がある。今年2月初めに公の場から姿を消し、粛正、または処刑されたと見られていた李永吉(リ・ヨンギル)前朝鮮人民軍総参謀長だ。
(参考記事:北朝鮮軍「処刑幹部」連行の生々しい場面)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kohyoungki/20160215-00054409/
日韓メディアが、李永吉氏の粛正・処刑説を報じた直後、総参謀長は李明秀(リ・ミョンス)氏に交代したことから、彼が表舞台から姿を消したことは確実と見られていた。
公開写真が明かす「降格」
リ・ヨンギルという名前は決して珍しくはないが、このクラスに同姓同名の他人が突如として現れることは、ほぼありえない。また、朝鮮労働党機関紙の労働新聞は10日付で、李永吉氏の写真も公開しており、本人と見て間違いない。李永吉氏は復権したようだ。
ただし、粛正・処刑ではなかったものの、一時的に失脚したことをうかがわせる材料もある。李永吉氏の階級だ。下の写真を見てほしい。
(左)2013年10月2日付け労働新聞(右)2016年5月10日付け労働新聞
左は2013年10月の写真だが、肩の階級章の星は4つ(大将)だった。しかし、5月10日付けの労働新聞に掲載された右の写真では、星が3つ。すなわち降格されたことになる。
極悪性スキャンダルでも復権
北朝鮮で、一時的な失脚や更迭は珍しくない。その代表例が、今回も政治局常務委員に名前を連ねる崔龍海氏。女癖の悪さで有名な崔氏は、変態性欲スキャンダルで醜聞にまみれた過去を持つほど、何度も女性問題が理由で失脚、復権を繰り返している人物だ。
(参考記事:美貌の女性の歯を抜いて…崔龍海の極悪性スキャンダル)
http://dailynkjp.com/archives/154?ky=yh0510bu
北朝鮮の軍幹部の粛清人事としては、まるで見世物のように殺されたとされる玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)前人民武力部長の例が記憶に新しい。それに対し、李氏はいかにして死を逃れ、復権できたのか。金正恩氏に対して改めて忠誠を誓ったのは間違いないが、正恩氏はどのような考えから、このような形での復権を許したのか。
筆者の見たところ、今回の党大会には、正恩氏の独裁権力を強めるための様々な仕掛けが隠されているようなのだが、李氏の復権もまた、その一部である可能性がある。その「仕掛け」の全容については、機会を改めて解説しようと思う。
高英起 デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 』(宝島社) 『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)がある。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kohyoungki/20160510-00057532/
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処刑説の北朝鮮軍高官が「復権」…幹部リストに同姓同名、顔写真も「同一」
2016年05月10日 | インテリジェンス, 粛清
今年2月初めに公の場から姿を消し、処刑説が伝えられていた北朝鮮の李永吉(リ・ヨンギル)前朝鮮人民軍総参謀長と同一と見られる人物が9日、新たに朝鮮労働党政治局委員候補と中央軍事委員会委員に選出された。
朝鮮中央通信は10日、前日に行われた朝鮮労働党中央委員会第7期第1回総会に関する公報を配信。新たに選出された幹部一覧のうち、党政治局委員候補の9番目と、中央軍事委員会委員の10番目に李氏の名が見られる。
一方、朝鮮労働党機関紙の労働新聞も10日付で、同様の内容を報道。新たに選出された委員らの顔写真も掲載している。
治安要員が連行
同紙に掲載された李氏の写真を見る限り、前総参謀長の李永吉氏と同一と見て間違いない。
デイリーNKの北朝鮮内部情報筋から伝えられていた情報では、李前総参謀長は2月2日、3日にかけて平壌の4.25文化会館で開かれていた朝鮮労働党中央委員会、朝鮮労働党人民軍委員会の連合会議拡大会議の最中、治安要員によって連行され、その後の消息が途絶えていた。
こうした動きを受けて、聯合ニュースなど韓国メディアは2月10日、処刑説をいっせいに報じていた。
李前総参謀長は少なくとも、革命化教育などの一時的な粛清か、更迭処分を受けていた可能性は残るが、今回の人事により復権を果たした形と言える。
米国務省は、ロシアのプーチン大統領と日本の安倍首相が会談した後、日本に「一つのまとまった立場の重要性」について思い起こさせた。
米国務省のエリザベス・トルドー報道部長(報道官)は、記者団に次のように述べた-
「我々は、一連の地域問題やグローバルな諸問題について、日本政府と定期的に協議している。ロシアに対する我々のアプローチにおいて、きわめて重要なのは、EUやG7も含めた我々のパートナー間の一つのまとまりを維持し続けることだ。」
なおプーチン・安倍会談の成果についてコメントしたトルドー報道部長は、日本政府に注意を促した。
ロ日首脳会談は、6日、黒海沿岸の保養地ソチで行われた。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160510/2111222.html
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安倍首相とプーチン大統領の会談について:日本は事実上、対ロシア制裁システムから抜け出した。[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年05月11日 00:10
タチヤナ フロニ
日本の首相は、ロシアとの平和条約交渉で本当の飛躍が訪れると確信している。安倍首相はロシア南部ソチでプーチン大統領と会談した後、与党「自民党」の委員会会合で、そのような確信を示した。
安倍首相は、「北方領土」問題に関するハイレベル対話を含む積極的な交渉プロセスを続けると指摘した。なお菅官房長官は、南クリル問題に関する日本の基本的立場に変化はないことを強調した。その原因についてロシアの複数の専門家たちは、プーチン大統領と安倍首相の会談が、露日関係の主要な方向性の答えを与えたのではなく、不明瞭で矛盾した考えを引き起こしたからだとの見方を示している。ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、次のような見解を表している−
「このような声明は、すでに双方から出されていた。しかし私は、安倍首相が両国関係を70年間も陰気にさせている問題を解決したリーダーとして歴史に名を残すのを実際に夢見ていると考えている。また安倍首相の父親の安倍晋太郎氏は、外務大臣を務めていた時に、当時のソ連大統領だったゴルバチョフ氏を日本に招くために非常に多くのことを行った。その時ゴルバチョフ氏は、領土問題は存在していないというそれまでのソ連の立場から事実上離れ、少なくともそれを話し合う必要があると考えた。その時、安倍氏はがんを患っていたが、ゴルバチョフ氏と個人的に会うために病院のベッドから起き上がった。これは同問題が安倍晋太郎氏にとってどれほど重要であるかを示しており、恐らくその息子である安倍晋三氏にとっても同じであると思われる。ロシア関係における日本の現首相の行動は、実際に決断力のあるものだと述べることができる。なぜなら安倍首相は、米国側からの極めて強い圧力があるにもかかわらず、そのような行動を取っているからだ。事実上、安倍首相は現在、G7にとって『スト破り(streikbrecher)』となっている。安倍氏は共通の体制から抜け出して、ロシアへの制裁や圧力政策を無視した。
安倍氏は、ロシアとの交渉で進展を得ようという決断力に満ち溢れているかのようだ。」
またアレクサンドル・パノフ元駐日大使も、安部首相のソチ訪問は、今のところいかなる具体的な声明も表されていないものの、実際には両国関係に多くの進展をもたらしたとの見方を示し、次のように語っている−
「安倍首相のソチ訪問は、極めてポジティブなものとなった。なぜなら、すぐに両国関係にたくさんの動きを与えたからだ。その際、日本は事実上、公式には述べられなかったものの、西側の対ロシア制裁システムから抜け出した。安倍首相がソチへ持ってきた提案を見た場合、ほぼ全ての分野に飛躍的かつ非常に重要なポイントがあるのが分かる。政治的対話が盛んになってきている。今年、政治的対話はかつてなかったほど集中的に行なわれるだろう。ハイレベル会談は5回以上予定されており、安倍首相はウラジオストクで開かれる経済フォーラムへの招待を受け入れた。
安倍首相は経済でも関係発展のための日本のプランを提示した。そこでは西側の制裁下に置かれた分野も取り上げられている。それはハイテク協力や原子力エネルギーでの協力だ。シベリアと極東での協力は、インフラ建設で日本の投資が求められている。そしてこれも西側の制裁政策の下から抜け出すものだ。
領土問題だが、これについては日本の政策で何らかの新たな要素が実際に現れそうだ。いずれにせよロシアの大統領報道官は、安倍首相とプーチン大統領のソチでの一対一の会談についてコメントし、テーマは極めて建設的な雰囲気の中で取り上げられたと指摘した。安倍首相は4島返還を求める日本の立場に変わりはないと述べたが、その際、協議では過去の考えから解放された新たな立場も用いられるだろうと指摘した。そしてロシア側は、日本のこのアプローチを極めてポジティブに評価した。なぜならこれは今後交渉を実施するための新たな基盤を与えるからだ。以前は日本の変わらぬ立場によって平和条約に関するいかなる交渉もなく、ただ足踏み状態だったからだ。」
これら全てを総括し、安倍首相とプーチン大統領のソチでの会談のための新たな提案を日本が自ら作成したことを考慮した場合、これは、平和条約締結に関するロシアと日本の交渉プロセスの進展が実際に可能であると考えるきっかけを与えている。
米国はこの先、シリアのアサド大統領の進退問題を第1に掲げることはなく、アサド氏辞任がシリア正常化交渉の条件に問われることはない。ロシア外務省のゲンナージ・ガチロフ次官はイズヴェスチヤ紙からのインタビューにこう語った。
ガチロフ外務次官は米国の立場は交渉プロセスの当初から変化を余儀なくされたと指摘し、状況を次のように説明している。
「当初、中心にすえられていたのはアサド氏の退陣で、これを抜きにしてはいかなる交渉もありえないと言われていた。現在、時間が経過し、この問題が事を左右するわけではない、これが交渉開始の条件にはならないことがはっきりした。この問題に変化はあるが、それでも公平さのために相手はアサド氏には政治的将来性がない、彼は退陣せなばならないと言い続けているのだ。」
内戦が続くシリア情勢を巡り、アサド政権はこれまで表明していた北部アレッポでの攻撃の停止をさらに48時間延長すると発表しましたが「テロ組織との戦い」を名目にした攻撃は続けており、事態の鎮静化につながる可能性は低いものとみられます。
シリアでは2月末のアサド政権と反政府勢力の間の停戦合意以降、戦闘は各地でいったん鎮静化しましたが、先月からは北部のアレッポなどで戦闘が再燃し、停戦は危機的な状況となっています。
こうしたなか、アサド政権の政府軍は先週、アレッポでの攻撃を一時的に停止すると表明したのに続き、9日夜、「アレッポでの攻撃の停止を10日午前1時からさらに48時間延長する」と発表しました。
シリア情勢を巡っては、アメリカとロシアが9日、政権側と反政府側の双方に停戦の維持を求める共同声明を発表したばかりで、アサド政権としてはこれを受けて戦闘の鎮静化に前向きな姿勢を打ち出すねらいがあるとみられます。
しかし、政府軍は攻撃の停止を表明したあとも「テロ組織との戦い」を掲げて、アレッポでアルカイダ系組織だけでなく反政府勢力の一部への空爆などを続け、反政府勢力側もこれに応戦しています。このため、政府軍による今回の攻撃停止の表明によって、事態の鎮静化につながる可能性は低いとみられます。
資源の確保ができなくなっていた1945年当時の日本は、支配層の指揮命令が貫徹しないゲリラ戦以外すなわち正規部隊の継戦能力をほぼ喪失していた。
(どっちに鉄砲が向くかわからないゲリラ戦に踏み切る勇気は日本の支配層にない)
昭和天皇は、沖縄戦直前にあった近衛文麿氏の戦争終結進言に対し「一撃後の講和」を主張した。
しかし、日本の海上部隊ないし航空部隊が米部隊を相手に会戦レベルの勝利ができる条件もチャンスもなかった。せいぜい、数隻の小型艦船や数機の航空機を破壊できるというものだった。
(最後のチャンス(あくまで可能性だが)は、フィリピン・レイテ島への上陸作戦を敢行する米軍に甚大な犠牲を強いる陸海空一体の挟撃猛襲だったが、米上陸部隊の背後を海から襲う役割を担う栗田艦隊が遅れたうえに“ナゾの反転”で戦域を離れたため、日本軍が膨大な犠牲を出すだけで終わった)
降伏(終戦)を国家意思としてまとめ上げられなかった日本支配層は、“イヤなことの先延ばし”でしかないが、2月のヤルタ会談でドイツ降伏後に対日参戦を約束していたソ連に講和の仲介を期待するにとどまらず、満州に天皇をいただく共産主義国家を樹立したうえでソ連と同盟することを“夢想”する陸軍幕僚まで現れるという異様さを示していた。
(昨年夏、NHKはそのような“変な共産主義者”の一人である松谷誠大佐を戦争終結に動いた勇気ある人物として特集番組で紹介した:「知られざる陸軍終戦工作 あなたは“弱気の勇気”がもてますか?」 http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/3663/2803141/)
膨大な国費をかけて建造しながら一度も実戦を経験していない戦艦大和までが沖縄に向かう途中であの主砲を活かすことなく撃沈されてしまい壊滅状態にあった海軍はともかくとして、陸軍は、日清・日露の勝利を経て築き上げてきた満州・朝鮮半島が社会基盤としてほぼ無傷であったことを、自分の判断をごまかしなお戦争が継続できると考える最後の拠り所にしていた。
結論を言えば、米国は、日本に原爆を投下せずとも、ソ連の対日参戦で満州が侵されることで日本は継戦能力のみならず継戦意欲までも喪失すると承知の上で、原爆を広島と長崎に投下したのである。
“ナチス超え”の歴史的犯罪とまで言うゆえんは、それらの原爆が欧州で“手に入れた”ものだったからである。
(米国支配層が原爆の威力に終戦させる能力があると考えているのなら、一発目は、大都市に投下せず警告のうえ過疎地域などに投下すれば済む)
日本は、サイパン陥落後1945年(昭和20年)に入るとほとんどの都市がB29による空爆の対象となり、東京大空襲を筆頭に数十万人の国民が犠牲になり住宅をはじめ都市機能も破壊されていった。
それでも、日本の支配層は戦争終結へと動かなかったのだから、日本支配層が降伏を決断した決定的打撃が甚大な犠牲者を出した原爆ではないことがわかる。
原爆で降伏を決意したのなら、15万の犠牲者とされる東京大空襲や20万県民が犠牲になったとされる沖縄戦を経た6月には降伏の判断をしていたはずだからである。
この問題に関する補足説明は、
「なぜ戦争でソ連が中立を守るという日本の見込みは裏切られたのか:日本支配層の継戦夢想を粉砕し降伏を決断させたソ連満州侵攻」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/692.html
を参照していただきたい。
※参照関連投稿
「技術や安全だけでなく国際関係的にも破綻した「核燃料サイクル」:使用済み核燃料の最終処分に道筋をつけ原発廃止」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/503.html
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
「オバマ大統領が広島に行ってはならない理由:広島訪問を安保理常任理事国の「核独占」正当化に利用するオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/365.html
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米国、広島原爆投下の決定は見直さない[スプートニク日本語]
2016年05月11日 03:04(アップデート 2016年05月11日 03:10)
米国はオバマ大統領の広島訪問に関して、広島への原爆投下の決定を見直すつもりはない。ベン・ローズ大統領第1副補佐官はこうした声明を表した。ローズ氏は国家安全保障、主要外交問題で鍵を握る人物。
「我々は第2次世界大戦末期に原爆を使用した決定を見直すことはない。」ローズ氏はポータル「メディウム」の中の自身のブログにこう書いた。
ローズ氏はさらに、米国は「共同の未来コンセプト」を提案していると書く一方で、オバマ大統領の広島訪問は「戦争のもたらす悲惨で破壊的人的損失を示すだろう」とも書いている。
ホワイトハウスは9日、オバマ大統領は5月末の訪日の際に広島も視察する事を明らかにした。これによってオバマ氏は、1945年の原爆投下後、広島を訪れる最初の米大統領になる。
「米国、広島原爆投下の決定は見直さない:投下は戦術的には不要と承知で“都市投下実験”を強行した“ナチス超え”の歴史的犯罪」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/699.html
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オバマ大統領広島訪問 米専門家の見方は[NHK]
5月11日 14時05分
オバマ大統領が、現職のアメリカの大統領として初めて被爆地、広島を訪れることについて、アメリカの専門家は、原爆投下に対するアメリカ社会の微妙な変化が今回の決定を可能にしたなどと指摘しています。
外交問題評議会の上級研究員で日本専門家のシーラ・スミス氏は、大統領の決断を可能にした背景には大統領自身の就任当初からの核廃絶に向けた強い決意があったことを挙げました。
そのうえで「最近の世論調査では、30%を超す人が原爆投下は正当ではなかったと答えており、社会が徐々に変化している。さらに、多くのアメリカ人が実際に広島を訪れたことも重要だ」と述べて、原爆投下に対するアメリカ社会の微妙な変化が今回の決定を可能にしたと指摘しました。
そして「広島でオバマ大統領は、被爆して苦しみ犠牲になった人たちへの配慮を示すと思う。同時に、大統領自身が感じたことや核兵器に対して、これからどのような取り組みをしなければならないのかについて述べると思う」と述べ、2009年にチェコのプラハで行ったような政策に踏み込んだ演説は行わないだろうという見方を示しました。
さらにスミス氏は、「日米両国の指導者が、両国にとって極めて困難だった戦争を乗り越え、過去と対話しながら友情をともに示すことが重要だ」と述べ、広島訪問は日本の近隣のアジア諸国へのメッセージにもなると強調するとともに、太平洋戦争の発端となったハワイの真珠湾を日本の総理大臣が訪れるべきだという意見には賛成しない考えも示しました。
アメリカの歴史学者で原爆の投下に批判的な立場を取るアメリカン大学のピーター・カズニック教授は、「広島は核の時代の始まりを表す非常に重要な場所であり、オバマ大統領がその場にいること自体が、暗黙の謝罪もしくは原爆の恐ろしさに対する認識を示すことになる」と話しています。
またカズニック教授は、原爆を投下せずとも戦争を終わらせることはできたと主張したうえで、「私はオバマ大統領は謝罪すべきだと考えている。そしてこれに対する批判が出ることで、戦後71年を経てアメリカの政策を巡る健全な議論へとつながるだろう」と述べました。
一方、「核兵器なき世界」を目指したオバマ大統領の政策については、「現実に減らすことができた核兵器は歴代の政権と比べて少なく、核兵器廃絶の約束に反する。今回の訪問はそれを取り戻す機会であり、核兵器を削減していくというメッセージを訴えるべきだ」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160511/k10010516181000.html?utm_int=news_contents_news-main_002
「米国、広島原爆投下の決定は見直さない:投下は戦術的には不要と承知で“都市投下実験”を強行した“ナチス超え”の歴史的犯罪」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/699.html
「技術や安全だけでなく国際関係的にも破綻した「核燃料サイクル」:使用済み核燃料の最終処分に道筋をつけ原発廃止」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/503.html
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
「オバマ大統領が広島に行ってはならない理由:広島訪問を安保理常任理事国の「核独占」正当化に利用するオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/365.html
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オバマ大統領広島訪問へ 米国内や海外の反応[NHK]
5月11日 5時37分
オバマ大統領が現職のアメリカの大統領として初めて被爆地、広島を訪れることについて、アメリカ国内をはじめ海外の反応です。
謝罪すべきかは意見分かれる
オバマ大統領が現職のアメリカの大統領として初めて被爆地、広島を訪れることについて、ニューヨークでは、訪問に肯定的な意見が多く聞かれましたが、謝罪すべきかどうかについては意見が分かれました。
このうち、マーケティング会社に勤める40代の女性は、「核兵器を初めて使ったアメリカの大統領が広島を訪問することはすばらしいことで、そうすべき時が来たのだと思う。戦争の経験がない若い世代に原爆がもたらした被害と苦しみを知らせることにつながる」と話していました。
2008年に広島を訪れたことがあるというNPOで働く20代の男性は、「アメリカ人にとって広島を訪れることは重要だ。軍事力によって何をすべきで何をすべきでないかを考える助けになると思うからだ。原爆で多くの無実の人々を殺害したことについてアメリカは謝罪すべきだと私は考えている。地球上に核兵器はあるべきものではなく、大統領が訴える核兵器の廃絶を支持する」と話していました。
また、西部ネバダ州から訪れていたトラック運転手の50代の男性は、「大統領の広島訪問はアメリカと日本の関係をよくすることにつながると思う」と話す一方、「原爆は大勢の日本人の命を奪ったが結果的には多くの兵士や市民の命を救ったと思っている。大統領には謝罪はしてほしくない」と話していました。
そして、南部ノースカロライナ州の元広告会社社員の60代の男性は、「原爆投下は恐ろしい出来事だったが、オバマ大統領が2度と起こさないと願う熱意を示すことができればいい。大統領が謝罪すべきだとは思わないが、原爆で苦しんだ人々にお悔やみの気持ちは示すべきだ」と話していました。
捕虜になった元米兵「謝罪してほしくない」
旧日本軍の捕虜となった元アメリカ兵たちでつくる団体の元会長のレスター・テニーさん(96)は、「大統領には、戦争により日米双方で多くの命が失われたことは認識してもらいたいが、歴史的な出来事に哀悼の意はささげても謝罪はしてもらいたくない」と述べました。
テニーさんは、自身もフィリピンで捕虜になり、アメリカ兵に多数の死者が出たとされるいわゆる「バターン 死の行進」を経験し、その後、日本で強制労働を強いられたということで、広島訪問を巡り先月、オバマ大統領に書簡を出し、捕虜たちが経験した苦しみを訴えていました。今回、広島への訪問が決まったことについてテニーさんは「元捕虜にとっての問題は訪問そのものではなく大統領が何を言うかだ。広島と長崎があったから第2次世界戦争が終結したのであり、戦争を終結させたことに対してどうして謝罪する必要があるのだろうか」と話しています。そのうえで、オバマ大統領が日本を訪問する際にはアメリカ兵の元捕虜の慰霊碑も訪れてもらいたいとしています。
国連総会議長 核軍縮の追い風を期待
国連総会のリュッケトフト議長は10日、「オバマ大統領が広島を訪れ、歴史上初めて使われた核兵器が多くの苦しみをもたらした事実を認めることは意義深い。核兵器を再び使用してはならないことや、核兵器が存在するかぎりその脅威はなくならないことを確認する意義もある」と歓迎しました。さらに、「かつてオバマ大統領がプラハで演説した、核兵器の廃絶へのプロセスを再び活性化させることにつながってほしい」と述べ、停滞する世界の核軍縮の追い風となることに期待を示しました。
国連のデュジャリック報道官は10日の記者会見で、「オバマ大統領の広島訪問を歓迎する。パン・ギムン(潘基文)事務総長は広島から核廃絶を目指す教訓を得るべきだと訴えてきた。大統領の訪問は、世界に核軍縮の必要性を改めて訴えるものになる」と述べ、この訪問が停滞する核軍縮の機運を再び盛り上げることに期待を示しました。
新華社通信「米は謝罪のためではないとしている」
中国国営の新華社通信は、10日夜に伝えた記事の中で、「アメリカは、この訪問は、広島への原爆投下を謝罪するためのものではないとしている」と強調しています。さらに、「広島と長崎への原爆投下は、侵略戦争をした日本をできるだけ早く降伏させるよう促したものだ」としたうえで、「日本は、みずからを第2次世界大戦の被害者だとして、原子爆弾が投下された歴史的背景にほとんど触れてこなかった」としています。
ロシアは国際世論への影響注視か
アメリカのオバマ大統領が広島訪問を決めたことについて、アメリカと並ぶ核大国のロシアは公式のコメントを出していませんが、核兵器を巡る国際世論にどのような影響を与えるのか注視しているとみられます。
ロシアのプーチン大統領は、アメリカのケリー国務長官が広島を訪問した先月11日、声明を出し、核実験を全面的に禁止するCTBT=包括的核実験禁止条約について「世界の安全保障の問題で指導的な役割を自認する国が批准していないことに強い懸念を表明する」として、名指しは避けたものの、CTBTを批准していないアメリカを事実上、批判しました。
また、ロシアは、アメリカがヨーロッパやアジアで進めるミサイル防衛システムの計画についてもロシアの核戦力を無力化するねらいがあり、世界の核戦力の均衡を崩すものだと非難しています。
ウクライナ情勢などを巡る対立から核軍縮の交渉も停滞しており、ロシアは、こうしたなかでのオバマ大統領の広島訪問が核兵器を巡る国際世論にどのような影響を与えるのか注視しているとみられます。
アメリカのオバマ大統領が被爆地・広島を訪問することになったことについて、アメリカで最大規模の退役軍人の団体「アメリカン・リージョン」は11日、声明を出し、原爆の投下について「多くの無実の人々の命が失われたことへの悲しみを共有する」とする一方、「謝罪は適当ではない」と主張しました。
この中で、オバマ大統領の広島への訪問に関し「ホワイトハウスがオバマ大統領による原爆投下への謝罪はないと約束したことに励まされている」としたうえで、原爆の投下が戦争の終結を早め、その結果、多くのアメリカ人や日本人の命が救われたとして、今後も謝罪はすべきではないという見解を示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160511/k10010516561000.html?utm_int=news_contents_news-main_002
※参照関連投稿
「米国、広島原爆投下の決定は見直さない:投下は戦術的には不要と承知で“都市投下実験”を強行した“ナチス超え”の歴史的犯罪」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/699.html
「オバマ大統領広島訪問 米専門家の見方は:カズニック教授 原爆投下は不要、オバマ氏は核兵器削減に消極的」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/822.html
「技術や安全だけでなく国際関係的にも破綻した「核燃料サイクル」:使用済み核燃料の最終処分に道筋をつけ原発廃止」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/503.html
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
「オバマ大統領が広島に行ってはならない理由:広島訪問を安保理常任理事国の「核独占」正当化に利用するオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/365.html
「自国の支配層によって三たびも“核の人体実験”に投げ込まれた日本国民:NHK「原爆投下 活かされなかった情報」」
http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/396.html
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オバマ氏広島訪問 菅官房長官、安倍首相のハワイ真珠湾訪問「検討事実ない」
産経新聞 5月11日(水)10時53分配信
菅義偉官房長官は11日午前の記者会見で、オバマ米大統領の広島訪問が決まったことを受けて安倍晋三首相が米ハワイの真珠湾訪問を検討するとの観測が出ていることについて、「政府として検討している事実はない」と述べた。
菅氏は、オバマ氏の広島訪問の意義に関し「核兵器のない世界を目指す国際的機運を盛り上げる上で極めて重要な歴史的機会になる」と強調した。
また、オバマ氏が広島訪問の際に被爆者と面会する可能性については「具体的な行事は米側と調整していきたい」と述べるにとどめた。
最終更新:5月11日(水)15時17分
英国と中国は、歴史的な確執もあり、国家や国家統治者に関する価値観や統治理論も異なる。とりわけ近代世界では新参の“大国”中国は、なお劣等意識を引きずっていることもあり、ことさらメンツを重んじる。
英国女王の発言については次のようなことも明らかにされている。
昨日NHKBS1で放送された「BBCニュース」は、キャメロン首相がナイジェリアやアフガニスタンの大統領は汚職や腐敗の是正に不熱心でどうしようもないヤツとエリザベス二世女王に語ったことで、女王から「そんなことを言うべきではないでしょ。あの方々は困難な状況のなか一所懸命取り組んでいるのではないの」と叱られたことを報じていた。
BBCが女王の発言を立て続けに公にする意図はなんだろうね。
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英女王が異例の発言 中国側一行の対応は「とても失礼」[NHK]
5月11日 23時43分
イギリスのエリザベス女王が去年、中国の習近平国家主席を国賓として迎えた際の中国側一行の対応について、「イギリスの大使に、とても失礼でした」と発言し、女王の異例の発言として注目されています。
エリザベス女王はロンドンのバッキンガム宮殿で、10日に行われた園遊会で、去年10月に中国の習近平国家主席を国賓として迎えた際、警備の責任者を務めた女性警察官と会話を交わしました。
この中で、警察官が「ご存じかどうかは分かりませんが、あのときは非常に大変でした」と述べると、女王は「ええ、知っていますよ」と応じました。そして、警察官が中国側の一行が打ち合わせの途中で、「もうやめだ」などと述べて出ていったことに言及すると、女王は「大使に対して、とても失礼でした」と話し、調整に当たった中国駐在のイギリス大使への中国側の対応を批判しました。
イギリス王室は「女王の私的な会話にはコメントしない。国賓としての訪問は大成功だった」とする声明を出しましたが、外交に関する発言に慎重な女王の異例の発言として注目されています。
イギリスは、中国が創設したAIIB=アジアインフラ投資銀行への参加をG7=主要7か国の中ではいち早く表明したほか、原子力発電所の建設計画に中国からの出資を呼び込むなど経済面での関係強化を進めてきました。
中国ではBBCの放送一時中断
中国本土では11日、イギリスの公共放送BBCの国際放送がエリザベス女王が去年、中国の習近平国家主席を国賓として迎えた際の中国側一行の対応について、「イギリスの大使にとても失礼でした」と発言したニュースを伝えた際、画面が真っ暗になり、映像や音声が一時、中断されました。
中国側は、これまでも習近平国家主席のイギリス訪問について、「両国関係は『黄金時代』に入った」と強調してきたことから、訪問の成果に水を差すような今回の報道に、神経をとがらせているものとみられます。
BBCの電子版は中国の報道内容を分析しているBBCのスタッフの話として、「今のところ、中国国内のメディアも女王の発言を伝えていないが、このようなことは珍しいことではない。メンツが重んじられる中国にとって、女王の発言は非常にやっかいなものに違いない」と伝えています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160511/k10010517421000.html?utm_int=all_side_ranking-social_004
10日、宇都宮市の小学校で出された給食の食材のタケノコから国の基準を超える放射性物質が検出されたことが分かりました。タケノコは原発事故以降、出荷が制限されている地域のものが入っていた疑いがあり、県などは詳しいいきさつを調べています。
宇都宮市や栃木県によりますと、10日、宇都宮市の小学校1校で、出来上がった給食を対象に月1回行っている簡易検査で、タケノコごはんのタケノコから国の基準を超える放射性セシウムが検出されました。このため、県が詳しく調べたところ、最大で国の基準の2倍を超える1キログラム当たり234ベクレルの放射性セシウムが検出されたということです。
県によりますと、食材のタケノコは卸売業者が市内に住む男性から仕入れたもので、男性は原発事故以降、出荷制限がかかっている地域から、タケノコを採っていた疑いがあるということです。
県の調査に対し、男性は「タケノコを採った地域が出荷制限がかかっているとは知らなかった」などと話しているということです。
宇都宮市学校健康課は「児童1人のたけのこの摂取量は多くなく、直ちに健康に影響を及ぼす数値ではないと考えているが、安全な給食提供のため、調査を徹底したい」とコメントしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160511/k10010517351000.html?utm_int=all_side_ranking-social_002
プーチン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の間柄は「男どおしの友情の手本」と独高級日刊紙「ターゲスシュピーゲル」が評価。同紙は、両首脳はしばしば意見が食い違うものの、それでも互いを敬う様子は政治家はかくあるべし、という姿を見せ付けていると指摘している。
ターゲスシュピーゲル紙は、大きな金が動き、国益がうずまく政界で本物の友好関係はなかなかお目にかかれないものだが、付き合う中で同じ価値観、親近感をはぐくむことで共通の路線を構築し、衝突を避けることもできるとし、その好例としてプーチン大統領、イスラエルのネタニヤフ首相の例を挙げた。
意見の食い違いはいくつかあったものの、両首脳はシリア問題で緊密な相互関係をとっており、ロシアがシリアでの軍事作戦を開始して以来、ロシアとイスラエルは最高レベルでの交渉を続けている。
ケリー米国務長官はCNNのインタビューで、ロシアのおかげでシリアで初の停戦を実現できた、と語った。その結果、「何万人もの人々が救われた」と長官。また、100万人もの人が人道援助を受けることができたという。
「誇張なしに、数万人の命が救われた。200人が毎日死ぬことを考えるとそうなる。それが一定期間、停止した。人々は何年も人道支援を受けていなかった。今は、ほぼ100万人が人道支援を受けている。そういうわけで、停戦は利益を生んだのだ。理想的な停戦であるとは言えない。まだ作業課題はある」。InoTVが伝えた。
英国の女王エリザベス2世は、英国の駐中国大使に対する中国代表団の「無礼さ」について語った。ガーディアン紙が報じた。
エリザベス女王は、ロンドン警視庁のルーシー・ドーシー警視長との会話で、警視長が2015年に中国の国家主席が英国を訪問した際に安全保障を担当していたことを知り、「あなたは、なんてついていなかったのでしょう」と述べ、「彼らは、私たちの大使に対して大変失礼だった」と語った。大使とは、英国のバーバラ・ウッドワード駐中国大使のことで、警視長は、中国国家主席の英国訪問は「非常に苦い体験」となったと述べ、ある時、中国代表団が「訪問は終わった」と述べて、大使とドーシー警視長のもとから「去った」と訴えた。
女王は、「信じられない」と述べ、ドーシー警視長は「はい、非常に失礼で、外交的ではなかった」と答えた。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160511/2117929.html
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/713.html
英国のキャメロン首相は国内の汚職レベルに関する発言でナイジェリア大統領にショックを与えた。水曜、インディペンデントが報じた。
ムハンマド・ブハリ大統領はナイジェリアとアフガニスタンが世界でおそらく最も汚職のひどい国だという発言に「深くショックと恥辱を受けた」という。
ナイジェリア側によれば、キャメロン首相に対して、かつての植民地経営政策にこそ現在のナイジェリア政治の悪評の原因を探すよう提案があった。19-20世紀、同国は英国の植民地だった。
キャメロン首相はエリザベス女王の90周年を記念したレセプションで汚職について語った。首相はその模様が動画に撮られていることを知らなかった。
人体組織には実に多くの微生物が棲みついている。そのなかには病気を引き起こすものもあるが、ほとんどは無害どころか人体にいいことをしてくれている。
この微生物の種類が多ければ多いほど、腸内環境にはプラスだ。国際的な研究グループは今回、ワインが微生物の多様性を広げるために実は一役買っている事実を明らかにした。
ケフィア(ヨーグルトに似た乳酸品)やバターミルクを多く摂取している人の腸内環境はより多様性が大きく、これが組織の免疫システムに良い影響を与えている。
研究の結果、コーヒー、お茶、ワイン、ヨーグルト、果物、野菜もケフィア、バターミルクと全く同じ、よい効果を腸にもたらすことが出来ることがわかった。
一方でグルコース、乳糖を多く含んだ食品は大事な働きをしてくれる微生物の数を減らしてしまう恐れがあることがわかった。また成分無調整牛乳、甘い炭酸飲料も腸内微生物にネガティブに影響してしまう。
しばらくの間というもの、フィリピンの申し立てで設けられた南中国海仲裁裁判所による権限の拡大と乱用を問題視し、警戒する声が上がっている。仲裁裁判所は基本的事実を無視し、国連海洋法条約を含む国際法に違反し、管轄外の領土・海洋境界画定問題に手を伸ばした。これは国際紛争の平和的解決という国際法の趣旨に違反し、国際法治を深刻に損ない、摩擦を激化するものであり、南中国海の平和・安定の助けにならず、その意図は悪辣で、公正でない。(人民日報「鐘声」国際論評)
この仲裁裁判所を国際司法裁判所など国連の正式機関と同一視して、いわゆる「神聖性」を与えようとする論調が現在世界にはある。実際には、仲裁裁判所はフィリピンの一方的な申し立てにより設けられた一時的機関だ。仲裁裁判所の仲裁員5人中4人は欧州出身で、世界各地の異なる法体系を代表するものではない。さらに5人中4人は2013年に当時の国際海洋法裁判所所長だった日本人の柳井俊二氏によって選定された。東中国海をめぐる中日間の争いを考えると、柳井氏は法に基づき避けるべきであったが、この事実を故意に無視した。これは手続き上の正義に明らかに違反する。法廷尋問における仲裁員の発言を見ると、彼らは南中国海における中国の歴史的事実について理解を拒絶するだけでなく、偏見を抱き、中国の合法的権益を意図的に無視した。このような姿勢は客観性、中立性を全く欠くものだ。
仲裁裁判所は設置初日から権限拡大を図り始めた。周知のように、南中国海をめぐる中比の争いの核心は領土と海洋境界画定の問題だ。領土問題は国連海洋法条約の調整範囲に含まれず、中国も2006年に国連海洋法条約第298条に基づき、海洋境界画定紛争を強制紛争解決手続きの適用から除外すると宣言した。国連海洋法条約に基づき設置される一時的機関である仲裁裁判所には、この問題について全く管轄権がない。仲裁など国際司法を通じて争いを解決することは、本質的に第三者の解決制度に訴えるものだが、これはとうに中比双方により排除されている。中比間には交渉と協議を通じて争いを解決するとの共通認識がある。これは両国間の一連の文書に反映されているだけでなく、『南中国海における関係国の行動宣言』における厳粛な約束でもある。国連海洋法条約自体も第280条と281条で、紛争解決方法を締約国自らが選択する権利を尊重すると明確に定めている。仲裁裁判所はこれについて見て見ぬふりをし、国連海洋法条約の強制紛争解決手続きの前提条件、除外と例外を突破し、自ら管轄権を得る目的を達するため、紛争解決方法についてのこれまでの中比の共同の選択を悪意をもって解釈し、国家間の合意を安易に否定した。これは中国が主権国家および国連海洋法条約締約国として有する、紛争解決方法を自ら選択する権利の重大な侵害だ。
それだけではない。仲裁裁判所は審理過程において明らかに権限を乱用した。仲裁裁判所は南沙(英語名スプラトリー)諸島を全体として見る中国側の一貫した立場を顧みず、「切断」の手法を弄して、中国が駐屯する南沙の島・礁を南中国海諸島という大きな地理的背景から差別的に切り離した。フィリピンなど他の国が不法に侵略・占拠する島・礁に対しては一言も触れず、領土主権問題をいわゆる島・礁の法的地位の問題とした。これは南中国海における中国の領土主権と海洋権益の否定が目的だ。証拠と事実の認定および選択の面においても、仲裁裁判所はすり替え、事実のねじ曲げ、自らを欺くなどの手法を弄しており、理・義・実に失する点が多くあった。同時に、法律の適用において、仲裁裁判所はフィリピン側の訴えに対してあらかじめ結論を設け、自ら基準を設定した後に、適用する法律条項を選択的に選択した。論証過程における偏向は非常に明らかであり、さながらフィリピンの代理人になったかのようで、フィリピンによる不法な侵略・占拠、主権侵害行為を肯定した
国際司法機関が自らの利益のために動き、権限を拡大し、乱用する趨勢はここ数年いくらか進行しており、「存在感」を示そうとする一部の裁判官の動機は覆い隠しがたい。フィリピンによる南中国海仲裁裁判については、「存在感」というほど単純ではないだろう。本質的に、この裁判は「法律の仮面をかぶった政治的挑発」であり、特定の域外国がこのために多くの力を注いでおり、その陰謀は誰の目にも明らかだと言える。
嘘は1千回言っても真実にならない。仲裁裁判所がどのような裁決を示そうと、一部の国と勢力がどのように騒ぎ立てようと、中国は裁決の結果を受け入れず、認めない。中国は国際法治の創設者、擁護者、建設者であり、「国際法治」を口実にして摩擦や争いを引き起こし、さらには激化させることに一貫して反対している。一部の者の拙劣なパフォーマンスが国家の主権と領土の一体性を守る中国の決意を揺るがすことはできず、国際法治を基礎に地域と世界の平和・安定を維持すべく尽力する中国の不動の精神力を揺るがすこともできない。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年5月11日
ブラジル議会上院は、ルセフ大統領に対する弾劾法廷を設置するかどうかについて、日本時間の11日午後10時から採決に向けた審議を始めました。可決されれば、8月のオリンピック開催を前にルセフ大統領は職務停止に追い込まれることになります。
ブラジルでは、ルセフ大統領が政府会計の不正操作に関わったなどとして弾劾に向けた手続きが議会下院で可決されたあと、上院が審議してきました。
上院では現地時間の11日午前10時、日本時間の11日午後10時からルセフ大統領に対する弾劾法廷を設置するかどうか採決に向けた審議が始まり、議員がそれぞれ意見を表明しています。採決は議員の意見表明のあと、早ければ11日夜、日本時間の12日午前にも行われる予定です。
議員定数の過半数に当たる41人の議員が賛成すれば、可決されて弾劾法廷の設置が決まり、ルセフ大統領は数日中に職務が停止されます。
ルセフ大統領は弾劾は不当だとして賛成しないよう議員たちに働きかけていますが、景気の低迷や大規模な汚職事件の発覚で求心力は弱まり、現地メディアの多くはルセフ大統領が職務停止に追い込まれる可能性が高いと伝えています。
職務が停止されている間はテメル副大統領が代行することになりますが、政治的混乱の中で8月に南米初となるリオデジャネイロオリンピックを迎えることになります。
13次5カ年計画(2016-2020)の最初の年となる今年の第1四半期(1-3月期)、中国経済は幸先の良いスタートを切った。人民日報記者はこのほど、「権威筋」を再び独占取材し、中国経済の行方を占ってもらった。「人民網図解ニュース」が、この人物が明らかにした15の重要な政策シグナルをまとめた。人民日報が伝えた。
1.経済の分化
分化は、経済発展の必然である。ある資源は、新たな道を探しに行き、革新を生んでいる。あるものは動きが鈍く、元の場所でこらえて、運が自分のところに回っているのはいつかと待っている。「新常態」(ニューノーマル)において我々は、資源配置を最適化し、新たな原動力を育て、新たな構造を形成する必要に迫られている。つまり分化は速ければ速いほどいいということである。
2.投資の拡張
現在と今後しばらくの間、主要な問題点は供給側にあることになる。供給側の構造改革を強化し、これを主な取り組みの方向としなければならない。需要側は、主要な問題点を解決するための環境を整える役割を担っている。投資の拡張は適度にしなければならず、過度にしてもならず、需給のそれぞれが担う役割を超えないようにし、主従を混乱させてはならない。
3.高いレバレッジ
樹木は天まで伸びることはできない。高いレバレッジは高いリスクをもたらす。コントロールを間違えば、全システムにかかわる金融危機を引き起こし、経済のマイナス成長につながり、庶民の貯蓄を泡にしてしまうことにもなりかねない。そうなれば大変だ。
4.レバレッジ追加
レバレッジ追加という方法で経済成長を無理に後押しするべきではないし、その必要もない。最も危険なのは、現実から離れて、両方を求めようとして、果敢に決断できないことだ。
5.株式市場・為替市場・不動産市場の政策
我々は、株式市場と為替市場、不動産市場の政策の方向性をすでに明確化している。即ち、各自に定められた機能と位置付けへと立ち返り、各自の発展の法則を尊重し、成長を維持する手段として安易に用いてはいけないということだ。
(1)株式市場については、市場融資の機能の回復と投資者の権益を十分に保護し、市場メカニズムの調節効果を十分に発揮し、株式発行や市場撤退、取引などの基礎的な制度の建設を強化し、市場の監督管理を強化し、情報公開の質を高め、裏取引や株価操作などの行為を厳しく取り締まる必要がある。
(2)為替市場については、通貨政策の自主性の向上と国際収支の自動調節機能の発揮に立脚し、為替レートの基本的な安定を保持すると同時に、市場の需給を土台とし双方向に変動する柔軟性を持った為替レートの運営メカニズムを形成する必要がある。
(3)住宅は人が住むためにある。この位置付けからあまり外れるようなことがあってはならない。不動産市場の在庫整理は、人々の都市化によって行うべきで、レバレッジの追加によって行うべきではない。中央がマクロをコントロールし、地方を主体とした差別化調整政策の整備を進めなければならない。
6.供給側改革案
中央各機関は、詳しい調査研究を急ピッチで進め、具体的な実施案の制定をはかっている。一部の案はすでにほぼ形を整えている。この案は、方向性が高く、政策措置が明確で、操作性も高いものと言える。中央は今後、これに合わせた特別研究を進め、できるだけ早い案の実現を推進する。
各地も自ら積極的な取り組みを展開しており、広東・重慶・江蘇・浙江・山西などの省(市)は、それぞれの供給側構造改革案を続々と発表している。
今年年初以来、一連の政策がすでに相次いで打ち出されている。コスト削減措置の充実化や弱点分野の補強強化などが挙げられる。今後は、過剰な生産能力の解消や「ゾンビ企業」の処理などの措置もより深いレベルへと推進される。この取り組みでは、「引き算」の色彩が濃く、人間と金銭つまり雇用と債務が避けては通れない問題となる。そのため難度と要求も比較的高いものとなる。
7.「5大任務」の具体的要求
(1)過剰な生産能力の解消にあたっては、各地は、具体的な任務と具体的な目標を明確にし、環境保護・エネルギー消費・品質・基準・安全などの各種の参入条件を高め、制度建設や法執行を強化する。「ゾンビ企業」の処理を進め、補助を断つべきものは断ち、融資を断つべきものは断ち、「点滴」や「人工呼吸器」のようなものでの延命はきっぱりとやめなければならない。
(2)レバレッジの解消にあたっては、マクロ面では過度な資金流通をせず、ミクロ面では「元本保証の投資信託」を秩序正しく打破し、違法な資金調達などの状況を法にのっとって処理し、市場の秩序を現実に寄り添って規範化する。
(3)不動産市場の在庫整理にあたっては、戸籍制度改革の取り組みを強化し、出稼ぎ労働者の都市移住の財政・租税・土地などの総合制度を構築・整備する。
(4)コスト削減にあたっては、全体的な税負担を引き下げ、不合理な費用徴収は撤廃し、行政による審査認可の対象を減らす。
(5)弱点分野の補強にあたっては、貧困撲滅の取り組みをより照準のしぼられたものとし、科学技術の革新とエコ文明の建設をしっかりと進め、インフラ建設の「資金が拠出された場所にしか投じられない」という体制・制度の問題の解決をはかる。
8.供給側改革における行政手段
行政介入の減少には政府の自己革命が不可欠となる。「ゾンビ企業」への補助の減少は、行政命令なしに市場だけに頼っていてできるだろうか。もちろん行政介入が元からなく市場メカニズムが良好に発揮されている分野についてあれこれと指図する必要はない。例えば消費財分野は市場化のレベルが高く、競争が比較的十分に行われ、市場は自ら需給の均衡を取ることができ、生産能力の解消を図るかどうかは完全に市場調節に基づいて行われる。
9.政策の意思疎通
将来を見据えた牽引を強化し、透明度を高め、政策への理解の誤りの余地を減らし、偏向はすばやくただし、いきなり何をすることを避けなければならない。
10.企業家
企業家に革新精神を発揮させる。現在最もカギとなるのは、財産権や知的財産権の保護を通じて、企業家が落ち着いて安定した生産を実現できるようにすることである。「親」(親しい)と「清」(清廉)という政治と企業の新たな関係を構築し、企業家を自らの仲間とみなし、権利の平等や機会の平等、規則の平等を彼らが享受できるようにする。具体的な政策の実施においては、過去の事実をむやみに引っ張り出すのをやめ、企業家に安心感を与える必要がある。
11.金融緩和
金融拡張を利用した経済成長刺激の限界効果が逓減する中、金融緩和というカードによって経済成長の加速をはかり、分母を拡大してレバレッジを下げるという幻想は捨てなければならない。各種の金融市場に存在するリスクに対しては、金融監督当局は連携を強化し、状況を把握し、対応策を用意する必要がある。
12.企業の破産
救いようのないことが確実な企業に対しては、閉鎖すべきものはきっぱりと閉鎖し、破産させるべきものは法に基づいて破産させる。債券の株式転換や不合理な再編などをむやみに行うべきではない。そのようなコストの高い措置は、自らと他人を騙すだけで、いつかは大きな負担を背負うこととなる。
13.レイオフと人員の再配置
今回レイオフが行われる産業と地域は比較的集中しており、ほとんどが国有企業で、対象者の多くは40歳から50歳の従業員である。「人を守り企業を守らず」という方針を取り、人員の再配置を「ゾンビ企業」の処理や過剰な生産能力の解消の最重点とする。訓練を受けられる者は訓練を受けさせ、転職できる者は転職させ、転職が不可能な者にもしっかりと周到なサポートを提供する。人間的配慮を心がけ、感情に寄り添い、相手の身になって考え、レイオフされた人々の生活上の困難を解決し、再就職の能力を高める。
14.国有企業改革
生産能力の過剰が与えた教訓の一つは、前回の国有企業改革から10年余りが経つにもかかわらず、国有企業における人員過剰が依然として深刻であり、従業員のレイオフやリストラの難度が高いということである。企業が社会の代わりとなり、行政と企業、企業と社会が分かれていないという問題が依然として際立っている。今回の国有企業改革においては、この面での実質的なブレークスルーを実現し、市場競争に直面することのできる、品質と収益とに導かれた現代の企業として、国有企業を発展させる必要がある。
15.食品価格の上昇
価格の変動、特に工業品価格と消費財価格、資産価格、その相互効果によく注意を払う。一部の食品価格の上昇問題については、配分を強化し、供給を保障すると同時に、過度な反応はせず、価格シグナルには介入しないようにしなければならない。(編集MA)
「人民網日本語版」2016年5月11日
「北朝鮮「処刑された軍高官」が再登場した!:今年2月に処刑説が流れた李永吉元総参謀長、降格されながらも復権」
http://www.asyura2.com/16/asia20/msg/259.html
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記事入力 : 2016/05/11 10:37
「処刑された李永吉氏」は健在、韓国情報当局またもや大恥
韓国の情報当局が今年2月に「電撃処刑された」と伝えていた朝鮮人民軍の李永吉(イ・ヨンギル)前総参謀長(朝鮮人民軍序列3位)が、朝鮮労働党第7次大会において「政治局候補委員」として名前が上がった。処刑されていたはずの李永吉氏が朝鮮労働党の重要な地位に就いたのだ。ここ最近、韓国の情報当局は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長のモスクワ戦勝記念行事出席、朴正川(パク・チョンチョン)朝鮮人民軍総参謀部副総参謀長解任など、誤った情報を国会情報委員会などに何度も報告してきた。これでは韓国政府の内外から「裏付けのない情報を公表し、あるいは情報を読み違えて自ら信頼を失っている」といった指摘を受けるのも当然のことだ。
政府が李永吉氏処刑のニュースを最初に公表したのは、開城工業団地閉鎖が発表された2月10日だった。当時、政府は「李永吉氏は2月2日か3日、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記主催の党中央委員会・軍党委員会連合会の前後に処刑されたようだ」とする資料を公表した。韓国軍の合同参謀議長に相当する地位にあった李永吉氏処刑のニュースは、開城工団閉鎖を前に金正恩政権の残酷さを改めて認識させる効果があった。とりわけ李永吉氏は昨年、非武装地帯で地雷を爆発させた当事者の一人として注目され、また金正恩氏の信頼も厚かったことから、処刑のニュースに伴う衝撃は一層大きかった。
韓国の情報当局が当時伝えた李永吉氏の罪状は「分派活動および派閥勢力・不正」だった。要するに金正恩氏に反対する派閥の構築および権力乱用ということだが、専門家はこれらの罪状について「最高尊厳(金正恩氏)の権威に傷を付ける結果をもたらすため、これは処刑の理由になり得る」との見方を示していた。ところが李永吉氏の健在が明らかになると、「分派活動」の容疑が掛けられたとする情報当局の判断能力自体が非常に疑わしいものとなった。ちなみに韓国政府関係者は李永吉氏の現状について「階級を降格させた上で、再び仕事を任せたようだ」との見方を示している。ただし北朝鮮は李永吉氏の姿を公表はしなかった。
韓国政府の情報当局が北朝鮮関連情報を読み違えるのは今回が初めてではない。 昨年4月、情報当局は国会に「金正恩氏は5月にモスクワで行われる戦勝記念行事に出席する」と報告したが、その翌日に北朝鮮がロシアに不参加を通知し大恥をかいた。情報当局による立て続けのミスを受け、米国ワシントン・ポスト紙は「韓国の情報機関が主張する内容は、正しいことと同じくらい間違うケースもある」と指摘したほどだ。
さらに昨年11月、情報当局が国会に「解任されたとみられる」と報告した朴正川朝鮮人民軍総参謀部副総参謀長兼火力指揮局長も、その数日後には労働新聞を通じて在任中であることが確認された。情報当局は朴正川氏について当初「8月に朝鮮人民軍が砲撃を行った際、韓国軍の反撃に対応できなかった複数の人物が責任を追及されたようだ」と指摘し、解任されたとの見方を示していた。
問題はこの種の誤った情報発信が国内外に大きな影響を及ぼしかねないという点にある。安全保障問題のある専門家は「北朝鮮関連情報が間違っていた場合、韓国の安全保障政策に決定的な悪影響を及ぼすのはもちろん、外交問題にまで発展する恐れがある」と指摘する。
情報当局は今年2月、国会情報委員会に「北朝鮮の長距離ミサイルはロシアから供給されているようだ」と報告したが、直後にロシア側から「韓国の情報当局は、ロシアが北朝鮮にロケット(ミサイル)部品を供給したと発表したが、これは非常に無責任でなおかつ専門性に欠けた発言だ」と激しく批判した。すると4月に情報当局は国会に「北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)技術はロシアのものに近いが、ロシア政府とは関係ない」と改めて報告した。上記の韓国政府関係者は「北朝鮮関連情報でミスが見つかると、そのたびに政府に対して『北朝鮮問題を国内問題に利用している』といった批判の声が高まるだろう」と警戒した。
ヤン・スンシク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/11/2016051101118.html
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記事入力 : 2016/05/11 10:39
【社説】韓国情報当局が伝えた「李永吉氏処刑」、あまりにも愚かだ
今年2月に処刑されたと伝えられていた李永吉(リ・ヨンギル)前朝鮮人民軍総参謀長(韓国の合同参謀議長に相当)が生存していたことが分かった。10日付の労働新聞によると、李永吉氏は現在開催中の第7次朝鮮労働党大会において、政治局候補委員9人の中の一人として選出された。階級はかつての大将から上将(中将に相当)へと1段階降格されていたが、政治的な立場においてはさほど大きな違いはない。
李永吉氏処刑のニュースは当初、韓国政府からメディアに伝えられたものだ。韓国統一部(省に相当)は今年2月10日、同部担当の記者らに「2月10日に李永吉氏が処刑された」と公の場で伝えた。罪状は「分派活動および派閥勢力・不正」ということだった。このニュースは韓国のメディア各社が一斉に報じ、翌日には米国務省報道官も「(韓国の報道について)疑うべき理由はない」とコメントしていた。つまり北朝鮮は3カ月近くにわたり、韓国の情報当局による「勘違い」をあざ笑っていたわけだ。
北朝鮮の内部事情は人間を通じて知らされるケースが多いため、100パーセント正確でないケースも当然あることから、情報を正確に把握するには裏を取ることが非常に重要だ。それを怠り今回のように間違った情報発信が繰り返されると、国の情報収集能力自体が信頼を失い、決定的な瞬間に大きな混乱に陥る事態も発生しかねない。統一部は李永吉氏健在の事実が確認された10日「政府部処(省庁)間における情報共有の次元から(李永吉氏処刑に関する)資料を受け取った」としかコメントせず、この情報をどこから受け取ったのかは明らかにしなかった。しかし普通に考えれば、情報のソースは政府の情報担当部署だろう。その無能さに関しては改めて指摘するまでもないが、この種の不確実な情報を100パーセント事実のように簡単に信じてしまうとなれば、事態は深刻だ。今この瞬間にも北朝鮮により虚偽の情報をつかまされ、踊らされている可能性も十分にあるだろう。
政府が李永吉氏処刑のニュースを積極的に公表した理由についても疑問が残る。北朝鮮関連情報が事実であることが確認されたとしても、それを公表する場合は必要なものだけに限定しなければならないはずだが、この情報に関しては積極的に公表する理由が見当たらない。ちなみに統一部がこのニュースをメディアに公表する直前、韓国政府は開城工業団地からの完全撤収を発表していた。もし開城工団撤収の雰囲気を高めるためだけに李永吉氏処刑のニュースを公表したのであれば、あまりにも愚かな行動と言わざるを得ない。工団からの撤収が避けられないことに関しては、すでに国民の大多数が理解していたため、これにあえて何らかの理由付けをする必要はなかったからだ。このように姑息(こそく)な手段ばかり使っていると、後から必ず何らかの形で跳ね返ってくるものだ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/11/2016051101119.html
仁荷大学医学部研究チーム
「浮遊粒子状物質の重金属、胎児の臓器形成妨げる」
韓国における先天性異常児出生率が100人中5.5人に上昇したことが分かった。研究者らは、浮遊粒子状物質のうち粒子径が10マイクロメートル以下の「PM10」や環境ホルモンの増加など環境的な要因が複合的に作用したものと推定している。
仁荷大学医学部のイム・ジョンハン社会・予防医学教室教授チームは「2009年から10年の間に韓国の7大都市で生まれた新生児40万3250人の健康保険診療費請求書から先天性異常があるとされた子どもたちを調べたところ、1万人当たりで548.3人(男306.8人、女241.5人)という集計が出た」と9日、明らかにした。同様に大規模な調査が行われ、比較対象となった1993年から94年までの先天性異常児出生率は100人当たり3.7人(1万人当たり368.3人)だったので、16年間で約1.5倍に上昇したことになる。今回の研究結果は、サイエンス・サイテーション・インデックス(SCI)級の国際学術誌「BMC妊娠と出産(BMC Pregnancy and Childbirth)」に発表された。
先天性異常を疾患別に区分すると、心臓異常などの循環器疾患(1万人当たり180.8人)が最も多く、泌尿生殖器疾患(同130.1人)、筋骨格系異常(同105.7人)、消化器系異常(同24.7人)、中枢神経系異常(同15.6人)の順だった。特に左右両心房の間の心房中隔に穴があく心房中隔欠損症などの心臓先天性異常が増加した原因としては、大気汚染が疑われている。研究チームは、「浮遊粒子状物質の中の重金属物質は妊婦の体に入ると胎児の臓器の形成に損傷を来すという事例が報告されている」と説明した。また、ビスフェノールAやフタル酸エステルなどの環境ホルモン物質にさらされて「内分泌かく乱」が起こり、先天性異常児の出産につながる可能性もある、と同研究チームは説明している。妊娠初期の葉酸不足なども先天性異常児の出生率を高めたものと見られる。
イム教授は「学者が断続的に発表する研究結果にばかり依存せず、保健当局が立ち上がって定期的に先天性異常児の出生率を集計・研究する必要がある。先天性異常児の出生率が急激に高まっているだけに、原因究明と対策作りを急がなければならない」と語った。
金成謨(キム・ソンモ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/10/2016051001000.html
「米国、広島原爆投下の決定は見直さない:投下は戦術的には不要と承知で“都市投下実験”を強行した“ナチス超え”の歴史的犯罪」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/699.html
「オバマ大統領が広島に行ってはならない理由:広島訪問を安保理常任理事国の「核独占」正当化に利用するオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/365.html
「自国の支配層によって三たびも“核の人体実験”に投げ込まれた日本国民:NHK「原爆投下 活かされなかった情報」」
http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/396.html
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2016.5.12 01:00更新
【阿比留瑠比の極言御免】
原爆投下、謝罪や賠償求める必要なし 決めるのは米国
米国のオバマ大統領が被爆地、広島を訪問するとの発表を受けて、東京裁判で被告全員無罪を主張したインドのパール判事の言葉をいくつか読み返した。そこには、昭和天皇が「残虐なる爆弾」と呼ばれた原爆投下に対する強い憤りが示されている。
「もし非戦闘員の生命財産の無差別破壊というものが、いまだに戦争において違法であるならば太平洋戦争においては、この原子爆弾使用の決定が、(中略)ナチス指導者たちの指令に近似した唯一のもの」
「原爆投下について、これまで米国はいろいろと弁明しているが、(中略)幾千人の軍人の生命を救う代償として、罪のない老人や子供や婦人を、あるいは一般の平和的生活を営む市民を、幾万人幾十万人も殺していいというのだろうか」
パール氏の存在は、米国にとってはさぞや煙たかったことだろう。また、昭和21年5月の東京裁判公判では、米国人で被告弁護人であるブレイクニー弁護士が、次のように訴えた。
「(訴因の一つの)真珠湾爆撃による米軍人の死が殺人罪になるならば、われわれは広島に原爆を投下した者の名を挙げることができる。(中略)この投下を計画し、その実行を命じ、これを黙認した者がいる。その人たちが裁いている」
ところが、弁論のこの部分は通訳が打ち切られ、日本文速記録でも「以下通訳なし」とされて明らかにされなかった。米国が原爆投下について批判されることに、いかに神経質になっていたかがうかがえる。
現在、米国では原爆投下を正当化する世論が根強いとされるが、意識の奥底では自国の負の歴史として刻まれている部分があるのだろう。米国内でも、謝罪の要不要をめぐって意見が分かれているようだ。実際には、日本政府は当初から「米国による謝罪は百パーセントあり得ない」(高官)と見切っていたが。
ただ、いずれにしろオバマ氏を受け入れる側のわが国から、謝罪や賠償などを求める必要はない。それはあくまで米国側が考え、決めるべきことだからだ。相手国に謝罪や賠償を突きつけることで道徳的に優位に立とうとするような流儀は、日本にはなじまない。
20年前の平成8年にインドネシアで現地の慰安婦問題について取材した際、英字紙「インドネシア・タイムズ」のジャマル・アリ会長(当時83歳)が語ったこんな言葉を思い出す。
「われわれには、韓国とも中国とも違う歴史とプライドがある。『お金をくれ』などとは、360年間、わが国を支配したオランダにだって要求しない」
安倍晋三首相は10日夜、オバマ氏の広島訪問決定について記者団にこう意義を述べた。
「唯一の戦争被爆国の首相である私とともに、世界で唯一核兵器を使用した国の指導者が共に犠牲者に対して哀悼の誠をささげる。このことが正に被爆の犠牲となった方々、そして今も苦しむ人々の思いに応えるものだと私は信じている」
安倍首相は昨年4月の米議会演説では、第二次大戦メモリアルを訪ねた際の思いをこう語っている。
「私は米国の若者の、失われた夢、未来を思いました。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って、黙●(=示へんに寿の旧字体)(もくとう)をささげました」
そこにことさら「謝罪」の言葉はなかったが、米議会は大きな拍手で歓迎した。日米同盟関係の成熟の一つの表れだと感じた。(論説委員兼政治部編集委員)
http://www.sankei.com/premium/news/160512/prm1605120008-n1.html
広島県被団協の箕牧智之(みまき・としゆき)事務局長は、1945年の原爆投下による広島の被爆者らは米大統領の広島視察時に大統領の口から米国民を代表する謝罪を聞こうとは思っていないと語った。
ホワイトハウスは10日火曜、オバマ大統領は5月27日にG7サミットに参加するため日本を訪問した際、安倍首相とともに広島を訪問すると発表。
オバマ氏は米空軍が1945年8月に原爆を落とした都市を訪問する最初の現役大統領となる。
箕牧さんは「私たち被爆者たちにとって夢のようです。原爆資料館を訪れて原爆被害や核兵器の恐ろしさを感じてほしいです。謝罪をするとか慰霊碑の前で頭を下げるとかということはおいておいて拍手で迎えて拍手で送りたい。訪問をきっかけに核兵器廃絶がさらに前進することを願います」と訪問が決まった喜びを語っている。
原爆投下時、わずか3歳だった箕牧さんは、被爆者全員の悲願である核兵器の完全廃絶を人生の一番の目標とされている。
英国のエリザベス女王が、昨年10月に同国を国賓として公式訪問した中国の習近平国家主席の一行について、「とても失礼だった」と発言する様子がテレビカメラのマイクに拾われ、映像とともに、英BBC放送などが報じた。
報道によると、女王の生誕90歳を祝いバッキンガム宮殿で10日に開かれた園遊会で、習主席夫妻の警備を監督したロンドン警視庁の女性警視長、ルーシー・ドルシ氏を紹介された女王は、「まあ、お気の毒。運が悪かったわね」と話しかけた。随員が女王に「中国側に非常に業務を妨げられた」と説明。ドルシ氏が「あのときはかなりの試練でした」と答えた。
さらに、女王は中国駐在のバーバラ・ウッドワード英国大使に対しても、「とても非礼だった」と発言。ドルシ氏も「非礼で配慮に欠けていたと思います」と同意した。
このやり取りは偶然、録音・撮影されたという。報道を受け、英王室はBBCに「女王の私的な会話にはコメントしない。習氏の訪英は大成功だった」と回答した。
一方、中国外務省の陸慷報道局長はも11日の会見で「訪英で両国関係は黄金時代に入ったとの認識で一致している」と強調した。
習氏の訪英の際には、女王自らが出迎え、住居であるバッキンガム宮殿に泊めるなど破格の厚遇でもてなした。そのかいもあり、投資や貿易で総額400億ポンド(約6兆2500億円)に上る契約を結ぶなど、経済関係の強化に成功。一方、中国におもねる姿勢に批判も出た。
http://www.sankei.com/world/news/160511/wor1605110031-n1.html
史上最強の戦闘機を再生産する案が米国で持ち上がっている。レーダーに映らないうえ、戦闘機としてほぼ敵機に後ろにつかれることのない機動性を持ちながら、高価格と世界的軍縮のため生産中止になった「F−22ラプター」について再生産を検討するよう、米下院が空軍に命じたのだ。実現すれば世界の軍事バランスを変えるのはもちろん、日本のステルス戦闘機配備計画にも大きな影響を与えそうな計画だが、再生産予算を調達できるまでにはまだ波乱がありそうだ。(岡田敏彦)
最強の翼が再び?
米軍事サイト「ディフェンス・ニュース」などによると、米下院が空軍に対しF−22ラプターの組み立て再開を検討するよう命じたことが4月19日に公表された。
F−22は、1985年に空軍が要求したATF(先進戦術戦闘機)案に米航空機メーカーのロッキード・マーチン(LM)社が応えたもので、試作機のYF−22は90年9月に初飛行した。レーダーに映らない特殊な外形と内部構造を有し、表面にも特殊な電波吸収材を塗布。空対空ミサイルなどの兵装は、従来のように翼の下に懸架する方式では敵レーダーに映るため、すべてを胴体内のウエポン・ベイに収納する方式を取った。
その大きな機体に強力なエンジンを2機搭載し、高度な飛行性能を与えた。推力重量比は1・27。この数字は、理論上は翼による揚力を借りずとも、ロケットのように垂直に打ち上げられるだけのパワーを持つことを示す。
量産は2001年から始まり、2011年に最終号機の187号機が工場を出て、生産は終わった。当初の計画では750機を生産する予定だったが、1機あたり1億5千万ドル(約170億円)とも言われる高価格と、冷戦構造の崩壊による軍縮の潮流がネックとなり、わずか4分の1の生産で終わった。米軍や航空自衛隊が運用するF−15は1機100億円とされ、F−22が極めて高額なことがわかる。
その性能は折り紙付きだ。しかし、コンセプトから数えれば30年以上前の飛行機に、なぜいま再生産の話が持ち上がるのか。実はいま、最新鋭の戦闘機として生産が進むF−35に疑惑が持ち上がっているのだ。
開発費高騰とF−35
新型戦闘機を作るにあたって、開発費は年々高騰してきた。一つの理由は1970年代、米国製戦闘機F−16ファイティング・ファルコンにおけるFBW(フライ・バイ・ワイヤ)の実用化だ。直訳すれば「電線による飛行」。金属製のロープ(ケーブル)と滑車、金属棒などで操縦桿の動きを各舵面に伝えていた従来方式から、電線(ワイヤ)を使いモーターなどで各舵面を動かすハイテクが導入された。これによって操舵にコンピューターを介在させることが可能となり、戦闘機設計上の革命的な変化につながった。
戦闘機には機敏な動きが必要だが、設計時にそうした運動性能を重視し過ぎると、まっすぐ飛ぶだけで一苦労になる。かといって大型旅客機のように安定性を求めると、動きは鈍重になる。レース用バイクと観光バスの良いとこ取りをして1台にまとめるのは無謀だ。しかしコンピューターが無理難題を可能とした。人間の反射神経では乗りこなせない不安定で過敏な機体を、コンピューターの補正で無理矢理に飛ばすのだ。
ただし、膨大なプログラム作成などで開発費は高騰する。軍縮で戦闘機の必要数が激減したことから、量産効果による研究開発費の回収も難しい。もはや一国で新戦闘機開発の予算を工面できる国は、世界に数えるほどしかなくなった。
そんな状況でF−35計画はスタートした。F−22より安く、かつ次世代戦闘機が必要ながら単独開発できなくなった欧州など各国の要求を取り入れた戦闘機。それは1機種で空軍と海軍、さらに海兵隊でも使える「万能戦闘機」を生み出そうとの野心的なプランとなった。
F−35のA型は空軍用、B型はSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)型の海兵隊用、C型は海軍の空母艦載用だ。基本フレームなどを共通として設計開発費を安価に済ませようとの思惑があった。
しかし計画が進むにつれ、共通で済む部分は当初予想より少ないことが判明する。また飛行や攻撃のプログラムは各型用に専用のものが必要で、開発費、開発時間とも当初計画を大きくオーバーした。さらに、その性能に疑問符をつける専門家がいる。
世界でベストセラーとなったF−16戦闘機の開発に携わった航空機設計者のピエーレ・スプレイ氏は、F−35について「地上軍への近接支援に空対空戦闘、戦線後方への爆撃、全部1機種でできるはずがない」と指摘。「マニューバ(急旋回などの格闘機動)ができない。F−35は戦闘機とされているが、あれはくだらない爆撃機だ」と批判する。もしF−35に問題があるならば、エンジンが1機で小型で安価なF−35を「何でも屋」にしようとした点にあるのかもしれない。量産の遅れに開発費の高騰、そして“鈍重”疑惑がF−35に降りかかるなか、出現したのがF−22の再生産計画だ。
中露が呼び水も…まさかの選挙目当て?
ロシアや中国がレーダーに映らないステルス機を開発し実用化が間近とされるいま、米空軍戦闘機の優位性は減っているとの見方が強い。上院軍事委員会の公聴会で、ジェイムズ・ホームズ空軍参謀次長は「ロシアと中国が予想を上回る性能の機体を開発している」と発言している。
そこでF−35の配備が遅れる中、即戦力として期待できるF−22を再生産し、配備数を増やそうというのだ。米下院軍事委員会は2017年度国防政策法案の一部に、F−22の再生産を始めて最低194機を調達した場合の費用の検討を求める項目を追加。検討結果を17年1月1日までに提出するよう求めた。
かつてF−22が量産期間中には、日本とオーストラリアが購入を打診していた。高度なステルス技術が使われていることを理由として98年に「輸出は行わない」との決定が下されたが、再生産の話が本格化すれば購入の話も再び浮上する可能性がある。ただ、本当に再生産にこぎつけるかは未知数だ。
F−22の生産ラインで使っていた機械や治具は保存されている。しかし米空軍は現状の装備の更新だけで膨大な予算を必要としており、F−22再生産の導入予算をどこから引き出すのかという問題がある。また生産に携わっていた特殊な技能を持つ工員たちを再び集めたり、新規作業員に技能を一から教育したりするコストの問題もある。
さらに、再生産を主張する政治家の中心人物がランディ・フォーブス下院議員(共和党)だったことが明らかになり、現地で懸念を呼んでいる。フォーブス議員はヴァージニア州選出だが、選挙区が変更され、新選挙区は民主党有利な地盤となってしまった。そしてこの選挙区にはF−22戦闘機を配備しているラングレー空軍基地がある。米下院選挙は10月の大統領選とともに実施されるため、再生産話は、空軍基地関係者の票を得るためではないか−との推測も出ている。
http://www.sankei.com/west/news/160511/wst1605110006-n1.html
日産自動車は約2千億円を投じて三菱自動車の3割強の株式を取得する方向で最終調整に入った。日産が三菱自の第三者割当増資を引き受け実質傘下に入れる案が有力だ。燃費データの改ざんが発覚した三菱自の経営立て直しに協力する。中国やアジアなどでの生産・販売でも連携する。三菱自の不祥事をきっかけに、自動車メーカーの大型再編につながる可能性が出てきた。
両社は12日に取締役会を開いて資本提携を決める。日産は三菱自の約20%の株式を所有する三菱重工業を上回る筆頭株主となる。
三菱自と日産は2011年に折半出資で軽自動車の共同企画会社を設立している。三菱自の水島製作所(岡山県倉敷市)で生産し、日産に供給している。軽4車種の燃費データの改ざんについて、三菱自は「日産の関与はなかった」としている。三菱自の軽自動車の販売台数は国内全体の6割を占める。
同社は16年3月末で自己資本比率が48%あり、現預金も約4500億円ある。当面は財務的な余力があるが、00年以降のリコール(回収・無償修理)隠しなど度重なる不祥事で消費者の不信が深刻になっている。軽以外の車種の販売への影響も必至だ。
一方、海外では三菱自は一定のブランド力を保っている。タイやインドネシアでは「パジェロ」などの三菱自の多目的スポーツ車(SUV)の人気は高く、アジアで連結営業利益の5割超を稼ぐ。不正発覚後も海外では目立った販売減は起こっていない。トヨタ自動車やホンダに比べてアジアのシェアが低い日産にとって、三菱のブランド力は魅力だと判断した。
両社は電気自動車(EV)の開発でも協力する。ハイブリッド車(HV)に加え、燃料電池車(FCV)を次世代エコカーの柱と位置づけるトヨタやホンダに対し、EV技術でも連携して競争力を高める狙いだ。EVの軽自動車の共同開発も視野に入れる。
国内自動車市場で軽の存在感が増すなかで、11年に日産は三菱自との提携を選んだ経緯がある。同社からOEM供給を受ける軽の販売台数は国内の3割近くに達しており、三菱自の経営再建は日産の日本での事業戦略を左右する。今回の不正発覚後も、軽の生産拠点を持たない日産は「できれば三菱自との提携を続けたい」(幹部)との意向を示していた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ11IQK_R10C16A5MM8000/?dg=1
「アングル:日産など自動車各社、走行距離長い手頃なEVで火花」
http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/648.html
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“予約32万台” 新型EVの衝撃[NHK]
5月11日 18時04分
大手メーカーによる新型車の投入や新興メーカーの参入などによって、一時は大きな注目を集めながらも、いまひとつ普及が進んでいなかった「電気自動車」。最近、大きなニュースがありました。
アメリカのテスラモーターズが、新型車の発表後1週間で全世界から32万台余りの予約が集まったと公表したのです。その新型車とはどんな車なのか? そして日本のメーカーはどう迎え撃つのか? (経済部 宮本雄太郎記者)
“1週間で32万台の予約”
「この値段でこれよりも優れた車を買うことは不可能だ」
新興の自動車メーカー、テスラモーターズのイーロン・マスクCEOは、3月末にアメリカ・カリフォルニア州で開いた新型の電気自動車の発表会で、自信たっぷりに宣言しました。
この新型車は、1回の充電で走行できる距離は345キロ、価格は3万5000ドル(1ドル107円換算でおよそ375万円)。テスラのこれまでの電気自動車が1000万円前後だったのに比べると半額以下です。
実物が顧客の手に渡るのは来年の末からとなりますが、発表から1週間で世界で32万5000台の予約が入ったということです。日本での予約件数は公表されていませんが、電気自動車としてはかつてない現象を世界で巻き起こしたと言えます。
都内に住む30代の男性は、新型車の発表を受けて、大型SUVからの乗り換えを決め予約を入れました。「去年生まれた娘の将来を考えて、環境に配慮した電気自動車を選ぶことにした。走行可能距離が短いと難しい部分もあったが、フル充電で走行できる距離が長いことも決め手の1つになった」と話しました。
通常のガソリンエンジン車の場合、1回の給油で500〜600キロ程度走行することができるのに対して、これまでの電気自動車は200キロ台が主流で、普及に向けた大きな課題となっていました。
新型車は、価格が下がったことに加え、ガソリン車には及ばないものの走行可能距離が300キロを超えていることで、短期間に多くの予約が集まったと言えそうです。
カギはバッテリー
「価格の低下」と「走行可能距離の改善」。
その実現に向けて、カギはバッテリーにあると言います。
専用のバッテリーを開発している大手自動車メーカーとは違い、この会社はパソコンなどに使われる汎用のリチウムイオン電池を用いて独自のソフトウエアで効率的に管理する手法をとりました。
さらに今回の新型車に向けてアメリカに「ギガファクトリー」と呼ぶ巨大なバッテリー工場の建設を進めています。みずからバッテリーを大量生産することでコストを引き下げ、得意とする制御技術を組み合わせる戦略で、価格の低下と走行可能距離の改善を図っているのです。
トップメーカー日産の対抗策
日本の自動車メーカーも黙って見ているわけではありません。電気自動車をこれまでに20万台以上を販売している日産自動車は、性能向上の“切り札”とも言える新型バッテリーを開発しました。
バッテリーの内部はセルと呼ばれる薄い膜が積み重ねられていますが、新開発のバッテリーはセルの化学的構造を一から見直すとともに、セルをより多く積み重ねる技術も活用。バッテリーの大きさや重さをほぼ変えることなく、電気をためることができる量を2倍に高めたということです。
開発責任者の矢島和男ダイレクターは「技術的に走行可能な距離を600キロまでのばすことは実現できる」と述べ、自社で開発している次の電気自動車に搭載される予定です。
また、電気自動車のバッテリーは繰り返される発進や加速に伴って性能が劣化してしまうため、長期間にわたって変わらぬ性能で乗りたいという人には交換が避けられません。その費用は現在、60万円程度かかっています。
そこで日産は、電気自動車のバッテリーを家庭やオフィス向けの蓄電池としてリサイクルする実験に乗り出しています。こうしたリサイクルが確立されれば、バッテリーの交換費用などを抑えることにつながり、電気自動車の普及の後押しになると考えています。
エコカー本命争い
では、電気自動車は次世代エコカーの本命となるのか。
そう断言するのは、まだちょっと早いと思います。充電できるプラグインハイブリッド車や、水素などから発電する燃料電池車に力を入れる大手メーカーもあるからです。
ただ次世代エコカーの覇権争いの結果を待つことなく、世界では車の環境規制が強化されようとしています。アメリカ・カリフォルニア州では2018年から排ガスを出さないエコカーの販売を自動車メーカーに一定の比率以上義務づける規制がさらに厳しくなり、EU=ヨーロッパ連合も2021年に二酸化炭素の排出量の規制をさらに厳しくする見通しです。
では、どんな車がエコカーの本命になるのか。その行方しだいでは、世界の自動車業界の様相のみならずインフラ整備も含めた社会の在り方も大きく変わる可能性がありますので、環境性能はもちろん商品性の面でも各メーカーの開発競争から引き続き目が離せません。
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2016_0511.html?utm_int=detail_contents_tokushu_002
ブラジル上院の投票でルセフ大統領が職務停止
http://jp.sputniknews.com/politics/20160512/2125306.html
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ルセフ大統領、投票の結果を待たずに大統領宮殿から荷物を引き上げ[スプートニク日本語]
2016年05月12日 14:32
ブラジルのジルマ・ルセフ大統領は、上院での弾劾投票の終了を待たずに、個人宅に大統領宮殿から持ち物を輸送するよう命じた。
上院は既に180日間大統領を罷免することを12時間討議している。これまでのところ、35人の上院議員のうち28人が弾劾に賛成。このイニシアチブを通すためには41人の投票が必要。
180日間、大統領を一時的に解任するためには、少なくとも上院議員41人の賛成が必要だ。また最終的に大統領を弾劾するためには、最高裁判所長官を議長に、上院で個別の会議を開き、少なくとも54人の議員の賛成を得なくてはならない。そしてもし弾劾が成立した場合、大統領の職権は、2018年の選挙まで、テメル副大統領が遂行する事になる。
野党勢力は、ルセフ大統領の弾劾達成を試み、議会にルセフ大統領の辞任要求を提出すると共に、脱税疑惑及びおととし再選された際に、公的資金を使用したとの疑惑の調査を要求している。
ルセフ大統領は、すでに昨年10月にも、自分を解任し国内に憎悪の雰囲気を創り出す事を通じて、国家クーデターを起こそうとの企てがあると発言していた。
ルセフ大統領は、自分に向けられたあらゆる非難を否定している。彼女は、2011年1月1日からブラジル大統領のポストにある。
ドイツの有権者たちは11年の間に同国のメルケル首相に疲れ、2017年の総選挙でメルケル氏が再選するのを望んでいない。ドイチェ・ヴェレが、雑誌キケロの委託で世論調査会社INSAが実施した世論調査の結果を引用して伝えた。
世論調査によると、約64パーセントのドイツ人が2017年の総選挙でメルケル首相と同氏が率いるキリスト教民主同盟(HDZ)を支持しないと答えた。
メルケル首相の支持率は、同氏の移民政策の結果ドイツに中東諸国から100万人以上の移民が訪れた後、急落した。
サウジアラビアは2016年石油生産を「著しく増加」する計画であり、グローバル市場での自国のプレゼンスを強化する方針。10日、国営石油企業サウジアラムコのアミン・ナーサル社長が発表した。
特に、サウジアラビア南東部にあるシャイバ油田では、産油量が日量およそ33パーセント増の100万バレルとなる計画。通信社ブルームバーグが報じた。
7日、サウジアラビアのサルマン国王は、ヌアイミ石油鉱物資源相を退任させ、同省をエネルギー産業鉱物資源省と改称した。エネルギー産業鉱物資源相に任命されたのは、サウジアラムコの会長を務めていたファリハ氏。
ファリハ氏は8日、「我々は今まで通り、国際エネルギー市場における我々の役割の維持と、世界で最も信頼できるエネルギー供給国としての我々の立場の強化に身をささげる」と発表した。
イランでの原油生産は4月、制裁前の水準に予測より早く到達した。国際エネルギー機関の月次レポートをブルームバーグが伝えた。
先週5日、イラン国営石油会社(NIOC)社長で石油次官のルクネディン・ジャワディ氏は、OPEC加盟諸国と市場安定化策を議論するためのイランにとっての重要条件は輸出量の制裁前の水準への復帰だと述べた。
IEAによれば4月の原油生産は日量356万バレル。同様の数値が制裁措置の発動2ヶ月前である2011年11月に見られた。
イランは予測より速く市場に戻る。IEAの石油市場部門ニール・アトキンソン長官は先週こう述べた。ベネズエラ、ナイジェリアでの生産減少はイランの原油供給の増加で相殺されているという。
原油価格は12日の取引でも値上がりし、多くの産油国で採掘量減少を背景に最高値を記録。ブルームバーグが報じた。
WTI原油の6月供給価格は12日、日本時間22時31分までにニューヨーク・マーカンタイル取引所で66セント高い1バレル46ドル89セントに達した。ブレント原油7月先物価格もロンドンのICE取引所で同じ時刻までに33セント値上がりし、1バレル47ドル93セントに達している。
12日の取引でブレント原油は1バレル48ドルのラインを超え、WTI原油も11月初頭以来、初めて47ドルを突破。
国際エネルギー機関は、国際石油市場の今年前半期の供給だぶつきはインド、中国、ロシアの需要の伸びのおかげでおそらく予測値より下回ると発表。
5月6日にソチで開催されたプーチン大統領と安倍首相の会談で、両国関係が良い方向に進んだ。ロシアと日本両方の、専門家や外交官の多数のコメントから、そう判断できる。ただ、日本の首相が提案し、ロシア側も建設的なものと認めた、領土問題を解決するための「新しいアプローチ」は、公衆および両国の専門家に隠されたままだ。
リア・ノーヴォスチのインタビューで筑波大の中村逸郎政治学教授は次のように語る。「重要なのはこの新しいアプローチが日本が問題は解決済みであるという事実を認めることを意味するのか、それともそれは領土問題の解決策を模索し続けることを意味するのかだ」「私は唯一の解決策は問題が解決済みであることを日本が認めることだと考える。しかし、ここで別の問題が発生する。もし問題が解決済みのものとなるならば、日本の首相とロシア大統領はもう何も議論することがなくなるということだ」と同氏は強調した。
元ロシア大使を務めたアレクサンドル・パノフ氏は、安倍首相は以前に考案されていたいずれかのシナリオを提示した可能性がある、と見ている。
「日本側は平和条約締結によってハボマイとシコタンを譲り受け、イトゥルプとクナシルについては30-50年間ロシアの行政権を存置するという選択肢を示したかもしれない。これは日本にとっては妥協だ」とパノフ氏。
一方極東研究所日本研究センターの主任研究員ヴィクトル・パヴリャチェンコ氏はスプートニクのインタビューで、日本人は自分の主張を絶対に曲げない、と述べた。日本人にとっては平和条約署名のためのあらゆる条件が彼らに満足のいく解決策と連動する。「私は、この点で、画期的な解決策などあり得ないと思う。しかし、安倍自身がプーチンに何かを提案し、それが両国の世論を喚起しないように非公開に伏されているという事実は非常に明白だ」氏によれば、これまで両当事者は交渉の中でいくつかの文書に依拠していた。それは1956年共同宣言であり、1993年と1998年の東京およびモスクワ宣言であり、2001年イルクーツク宣言であるという。
もしそうなら、二つの選択肢が考えられる。まず、安倍首相はプーチン大統領に、日本の標準的定式である、「互恵的な経済協力に関する大規模イニシアティブと引き換えの平和条約プラス四島」。ここには追加の要因として、ロシアの経済発展を妨げる国際制裁もある。この場合、日本は一方的にその制裁を解除するが、ロシアも逆の措置を行う必要がある。ただし、この選択肢では、根本的に新しいものは何もない。これは1997年にクラスノヤルスクで当時のエリツィン大統領と橋本首相の会談で話されたのと同じことだ。このとき6項目からなる類似した経済対策が討議され、さらに2000年までに平和条約に署名する合意さえ結ばれた。
2つ目のシナリオは、平和条約が署名された後、日本へシコタンとハボマイを引き渡す、と規定する1956年宣言への復帰。この1956年宣言は両当事者が署名し批准したクリルのステータスに関する唯一の文書であるという点もこの仮説を支持する。現在のロシア政権も度々この宣言を遵守することを確認している。この選択肢の新しい点として考えられるのは、クナシルとイトゥルプの将来の地位に関する協議の継続に関する当事者の義務、島の非軍事化、そしてたとえば、日本の資本への特権アクセスをもつ経済特区の設置などだ。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160512/2125477.html
上智大・上野教授、日露首脳会談を高く評価する3つの理由とは[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年05月12日 07:16(アップデート 2016年05月12日 13:41)
徳山 あすか
5月6日、ソチで行われた日露首脳会談の成果をどのように評価するか、という問いに対し、ロシア政治に詳しい上智大学の上野俊彦教授がスプートニクに回答を寄せてくださった。以下、上野教授の見解をご紹介する。
「会談の成果を評価する前に、日露首脳会談を行うことを目的に訪露して会談が行われたこと、そのこと自体を高く評価したい。
そもそも、日露首脳会談はそう頻繁に行われるものではない。たとえば、2012年12月26日の第2次安倍内閣発足以降に行われた日露首脳会談は、電話会談を除くと、今回の首脳会談を含めて10回しかない。この10回の日露首脳会談の行われた日付、場所、訪問の目的、会談時間を表にまとめてみた。
この10回の会談のうち、日露首脳会談を行うことを目的に相手国を訪問して会談が行われたのは、2013年4月29日、2014年2月8日、そして今回の3回である。このうち、2014年2月8日の訪露は、IOC会長の招待によるソチ冬季五輪開会式への出席を兼ねており、実際には首脳会談が目的の訪露だったと考えられるが、表向きは冬季五輪開会式への出席のついでに首脳会談が行われたかたちになっている。したがって、もっぱら日露首脳会談を行うことを目的に相手国を訪問したのは、厳密に言えば、今回が2回目ということになる。ところで、いま、「相手国の訪問」と述べたが、この間、プーチン大統領の訪日は行われていないので、実際には、すべて安倍首相の訪露である。
日露首脳会談を行うことを目的として相手国を訪問し、会談を行うことがいかに重要であるかは、その会談時間を見れば一目瞭然である。表に見るように、何らかの多国間首脳会議等に出席するために第三国を訪問した際に行われた日露首脳会談は7回あるが、その会談時間を見ると、5回は40分であり、例外的に1時間30分だったことが1回、実際には会談とは言えないような立ち話にすぎなかった10分の会談が1回である。通訳を介しての会談では、10分では挨拶程度、40分でも突っ込んだ話し合いは難しい。やはり、日露首脳会談を行うことを目的として相手国を訪問し、首脳会談に専念できてこそ、突っ込んだ話し合いをするための十分な時間が確保できるのである。
会談の回数を見てみると、2013年は4回、2014年は3回、2015年は2回と、年を追うごとに回数が減少している。しかも、日露首脳会談を目的とした相手国の訪問も2014年2月8日のソチ訪問を最後に、過去2年間行われなかった。これには、2014年2月以降のウクライナ政変に起因する欧米諸国とロシアとの関係の悪化が影響している。その意味でも、今回の日露首脳会談の意味は大きい。
会談の成果について言えば、全体として高く評価できる。その理由は三つある。
一つは、今回の首脳会談で、日露関係を、ウクライナ政変前の2013年の水準に戻すことが、事実上、合意されたことである。具体的に言えば、@「平和条約締結交渉を6月中に東京で実施することで一致した」(日本外務省公式発表)こと、A「日露安全保障協議及びテロ対策協議を近く実施すること、防衛当局間の交流及び海上保安庁・国境警備局間の交流を継続することで一致した」ことである。平和条約締結交渉は、継続を前提としていると推測されるので、これは、平和条約締結交渉事務レベル協議の復活と考えてよい。後者は、外務省の公式発表には明示されていないが、2013年10月から11月にかけて第1回がおこなわれ、その後中断している日露外務・防衛閣僚会議「2プラス2」の復活を意味していると考えられる。少なくともロシアの外交筋ではそう述べている。
二つ目の理由は、「これまでの(平和条約締結)交渉の停滞を打破し、突破口を開くため、双方に受入れ可能な解決策の作成に向け、今までの発想にとらわれない『新しいアプローチ』で、交渉を精力的に進めていくとの認識を両首脳で共有した」ことである。その際、外務省の公式発表では、「日露二国間の視点だけでなく、グローバルな視点も考慮に入れた上で、未来志向の考えに立って交渉を行うこと」が言及されている。この認識がロシア側に共有されたのかどうかは定かではないが、少なくとも、日本側がそうした認識を持っていることは重要である。日本政府が、いわゆる「北方領土問題」を解決するためにも、平和条約締結交渉に際して、「グローバルな視点」と「未来志向の考え」に基づいた「新しいアプローチ」を提案することを、私は大いに期待したい。
三つ目の理由は、「安倍総理から、日露双方が静かな交渉環境を維持するために互いの国民感情に配慮し、相手の国民感情を傷つけるような行動や発言を控えるべきであることを指摘した」ことである。たとえば、日本には、「ロシアによる北方領土の不法占拠」という言い方がある。こうした主張にもそれなりの根拠はあるが、ここではその根拠の是非は問わない。問題は、交渉しようとするとき、その交渉相手を「不法」と言ってよいか、ということである。考えてみれば、答えは明らかである。不法な相手とは交渉の余地はない。「不法占拠」はやめさせるしかない。逆に言えば、相手を「不法」と言ってしまえば、交渉はできない、ということである。他方で、ロシアは、第二次世界大戦で、日本の同盟国であるドイツと戦い、第二次世界大戦参加国の中で最大の犠牲者を出している。それは、独ソ戦のほとんどがソ連の人口が最も多いソ連欧州部において地上戦として戦われたからである。このことからも、ロシア国民は第二次世界大戦について特別な感情を持っており、その大戦をドイツや日本が開始したこと、その大戦の戦後処理の一環として千島のソ連への引き渡しが連合国の米英ソ三国首脳によって合意されたことは、ロシア国民にとっては極めて重要な歴史的事実である。この第二次世界大戦の開戦の責任を持つ日本が、あたかも大戦の犠牲者であるかのような立場で大戦の最大の被害国であるロシアに領土返還を迫ることをロシア国民はどのように考えるのか、ということも考えてみることが必要であろう。もちろん、シベリア抑留、日ソ中立条約の一方的な破棄など、また米軍の投下した原爆によって唯一の被爆国となったことなど、第二次世界大戦中の出来事について、日本側から言いたいことはほかにもたくさんある。しかし、これから交渉しようという相手に、過去の出来事をあれこれ言っても生産的とは言えない。まさに、「未来志向」の立場に立って、「相手の国民感情を傷つけるような行動や発言を控えるべきである」。
南クリル諸島、あるいは北方領土は、ここ数週間、何度にもわたって日本のマスコミの報道の対象になった。これは、ロシアの閣僚や、省庁の役人たちが、これらの島々を訪問したためだ。
日本とロシアとの間の領土問題、第二次世界大戦の終結後からいまだ解決に導かれていないこの問題は、二カ国の間の障害となっている。これに際してロシアは、クリル諸島の経済発展の分野で、日本と協力することができないかと、日本の注意・関心を引くことを積極的に試みてきた。
日本の読者の皆様の、南クリルというテーマへの興味・関心を受けて、スプートニクは「南クリル諸島:不和あるいは協力の島?」というタイトルのもと、特集記事を連載することにした。
※ 以下に示す記事は、ロシアの対日宣伝の片棒を担ぐことになるが、「スプートニク日本語」の当該記事に掲げられている関連記事のなかから選択したものである。
記事中にあるイトゥルプとクナシルは露側の呼び名で、イトゥルプ=択捉島・クナシル=国後島。
■「クリル諸島には水産養殖のための全ての条件が整えられる」
http://jp.sputniknews.com/russia/20151104/1120834.html
■「イトゥルプの新波止場、新たな投資を待つ」
http://jp.sputniknews.com/business/20151105/1123788.html
■「クリルは日本企業を呼んでいる!」
http://jp.sputniknews.com/business/20150808/713437.html
■「南クリル開発を日本が拒否すれば、中国韓国がその場を占める」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20150923/942724.html
■「ロシア人専門家、日本との平和条約なしに70年、ということはこの先もなくても大丈夫だろう」
http://jp.sputniknews.com/politics/20151023/1062667.html
http://jp.sputniknews.com/trend/russia_japan_cooperation_in_kuril_islands/#ixzz48Str04fy
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領土を奪還するためならロシアとの戦争も辞さずと腹を決め、その戦争に勝てると思っているひとには何も言わない。
しかし、領土回復を戦争に訴える気がないのなら、現実をきちんと踏まえ、交渉で獲得できる最大限の果実を見定めなければならない。
これまでのように、不法占拠(安倍首相に倣ってロシア国民に気を遣うと平和条約締結までの保障占領)されている色丹島・歯舞諸島のみならず国後島・択捉島を含みかたちで“日本固有の領土”と主張し続けているだけでは、ロシアも返還する意思を見せている色丹島・歯舞諸島さえ取り戻せないのだ。
ロシアは、長い国境線を接し台頭著しい中国に、炭化水素系資源の販売先のみならず産業基盤整備や極東開発まで依存したくないと思っている。
しかし、日本が北方領土全面返還にこだわり平和条約を先延ばしにするのなら、脱資源経済・極東開発重視を掲げるロシア政府は、中国・韓国・ドイツなどとの協力を進めていくだろう。
そのような協力の流れが定着していけば、ロシアにとって、日露平和条約を締結するメリットが消えていくことになる。
人口に富み国際決済資金も豊富な中国が民生品レベルの産業力で日本に追いつけば、ロシアにとって日本の魅力はぼやけたものになるだろう。
※参照投稿
「安倍首相 ロシアとの平和条約締結は「日本人の悲願」:日朝国交正常化と日ロ平和条約締結をもって戦後は終わる」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/125.html
「南シナ海領有権問題と同じ構図だが、だからといって放棄した日本が千島列島の一部に領有権を主張できるものではない」
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/721.html
イラクの首都バグダッドでは、市場などで起きた3件の爆発で1日の犠牲者としては、ことしに入って最も多い89人が死亡し、過激派組織IS=イスラミックステートがいずれの事件についても犯行を認める声明を出しました。
イラクのバグダッドで11日、シーア派の住民が多く暮らす地区の市場で果物や野菜を積んだトラックが突然、爆発し、買い物に来ていた女性や子どもを含む64人が死亡、80人余りがけがをしました。
この爆発のあとも、バグダッド市内では、シーア派が多く住む地区の警察の検問所2か所で、車が爆発したり、爆発物を身につけた男が自爆したりするテロが相次ぎました。
この3件の爆発では、合わせて89人が死亡したほか、けが人も160人以上に上り、1日の犠牲者の数としてはことし最悪の事態となりました。いずれの事件についても、過激派組織ISが犯行を認める声明を出し、敵対するシーア派の民兵組織を狙ったと主張しています。
イラクではISが支配する第2の都市モスルの奪還を目指して、政府軍が軍事作戦を進めていますが、目立った成果が上がらないなか、首都バクダットでも治安の悪化が進み政府に対する住民の不満が募っています。
大手旅行会社のエイチ・アイ・エスは、抽せんで選ばれた旅行客が海外に向かう際に女子大生が一緒に航空機に乗ってくれるキャンペーンを実施する予定でしたが、インターネット上で「セクハラではないか」などの批判が相次いだため、急きょ中止しました。
大手旅行会社のエイチ・アイ・エスは11日、この夏の海外旅行で、写真誌「東大美女図鑑」のモデルを務める東京大学の女子大生が航空機の機内で隣に座ってくれるキャンペーンを実施すると発表しました。
会社によりますと、キャンペーンは抽せんで選ばれた5組の旅行客にそれぞれ1人の女子大生が同行し、機内で行き先の街について解説してくれたり、子どもがいる場合には夏休みの宿題を手伝ってくれたりする予定だったということです。
しかし、発表後、インターネット上で「女子大生にする必要があるのか」や「セクハラではないか」、「気分の悪い企画だ」などの批判の声が相次いだということです。
このため、会社側は急きょキャンペーンを中止することを決め、ウェブサイトに「ご不快な思いを感じさせる企画内容で深くおわび申し上げます」とコメントを掲載しました。
NHKの取材に対し、エイチ・アイ・エスでは「航空機の機内でも楽しく有意義に過ごしてもらおうと思い企画したが、誤解を生んでしまった。皆様のご意見を真摯(しんし)に受け止めて中止しました」としています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160512/k10010517471000.html?utm_int=all_side_ranking-access_004
「英女王が異例の発言 中国側一行の対応は「とても失礼」:昨年10月国賓で訪英の習主席一行:キャメロン首相も暴言でお叱り」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/710.html
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英マスコミの「野蛮人」は礼儀教育必要 中国紙、英女王の発言で
AFP=時事 5月12日(木)19時34分配信
【AFP=時事】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)が一部の中国高官らを「とても非礼」と述べたことを受け、中国の国営新聞は12日付の社説で、英国メディアは「野蛮人」であふれ返っており、中国古代文明の礼儀を学ぶことが役に立つだろうと述べた。
女王はロンドン(London)のバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)で催された園遊会で、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席による昨年の英国訪問について、無防備なコメントを発したところをカメラに捉えられた。女王による外交的な失言はまれだ。
女王の発言は11日に世界中で報じられたが、中国国内では当初、広範囲にわたって検閲され、英国放送協会(BBC)によるとBBCの放送も中国で一時遮断された。
中国共産党の機関紙・人民日報(People's Daily)系列の国営英字紙・環球時報(Global Times)は社説で、英国メディアがこの発言を大げさに取り上げ、まるで「最も貴重な宝物」であるかのようにこの動画をほめそやしていると非難した。
「西洋は近代において世界のトップに上り詰め、卓越した文明を築いた。しかし、西洋のメディアは見境のない『ゴシップ狂たち』であふれている。彼らは牙をあらわにして爪を振りかざし、極めて自己陶酔的であり、『野蛮人』の非礼さを今も持ち続けている」(環球時報社説)
また中国語版ではさらに、「われわれは、5000年続いた東洋文明に彼ら(西洋メディア)が絶えずさらされるにつれて、彼ら(のマナー)も進歩するだろうと信じている」と英語版にはない文面も付け加えられた。【翻訳編集】 AFPBB News
最終更新:5月12日(木)19時39分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160512-00000031-jij_afp-int
体調に問題があるとしても、翌日に首相を辞任しなければならないほど酷い状態であったなら、所信表明演説を行う前に辞任するのが、首相まで登り詰めた政治がとるべき最低限の身の処し方である。
日経新聞記者は、「健康問題には触れなかった。現職首相が体調を理由に辞任するのは潔いことではないとの考えからだが、その理由は誰の目にも明らかだった」と安倍晋三氏を“擁護”しているが、「今の状況で政策を前に進めるのは困難な状況だ。局面を転換しなければいけない」といった政治的政局的理由を付けて首相職を辞任するのなら、最低限、所信表明演説を行う前でなければならないと批判するのが政治記者のつとめでありモラルだろう。
笑えることに、この記事は、辞任を表明した日、翌日発売されるはず「週刊現代」に安倍首相が父親晋太郎氏から相続した政治資金団体に関して脱税の疑惑があるとの記事が掲載されているという情報が流れた事実を無視している。
仮に体調不良であったにしても、前日に所信表明演説を行い、代表質問を受ける当日に突然辞任を表明するという異様な動きであったことを考えれば、仮にそれが直接の理由でないとしても、「脱税疑惑記事」の存在をスルーすることはできないはずだ。
日経新聞記者は、「安倍は再起を果たした12年12月以降、見違えるほどの安定運営を続ける」と書いているが、主要メディアがこぞって安倍政権を支える報道を行っているのだからそう見えてしまうのは当然である。(「新安保法制」では憲法解釈をめぐって安倍批判もあったがほぼ3ヶ月間の“公演”:これも深層では安倍サポート)
民主党政権時代も、主要メディアが“公平”に報じていれば、国民の評価は変わったものになっていただろう。
当時、参議院選挙で敗北し政局運営が難しくなったことが背景にあったとしても、「脱税疑惑記事」が出るや、前日の所信表明に対する代表質問を受ける日に内閣総理大臣職をを投げ捨て病院に遁走するという不様で醜悪な姿を晒した政治家失格の人間が再び内閣総理大臣に就任してしまうという頭がくらくらするような政治状況に日本はある。
さらに言えば、次の総選挙後に内閣総理大臣がほぼ間違いないと考えられていた12年9月に安倍氏が自民党総裁に選任されたのも、米国・中国そして両国の意向を受けた自民党長老たちの働きかけとメディアのサポートによるものである。
その総裁選では党員投票で石破氏が安倍氏を上回ったが、総裁・総理の前に国会議員としての資格さえない安倍氏に票を入れた自民党国会議員の政治的資質の低さがよくわかる。
政治家失格の安倍氏が自民党総裁に選任される一方で、同じく米国・中国の意向を汲むかたちで、尖閣諸島東京都買い上げをぶち上げた石原東京都知事とそれに対抗すべく尖閣諸島国有化を表明した野田首相の二人が辞任(野田氏は辞任ではなく衆議院解散だが当時の解散は辞任に直結)することになった。
安倍氏が再び内閣総理大臣になった使命(ワケ)は、「日朝国交正常化」を政治生命を賭して成し遂げることである。
(その安倍式別表現が、「任期中に必ず拉致問題を解決する」というものである。脱税疑惑記事を目の当たりにして遁走した政治家にできるかどうかはわからないが...)
舛添氏は、言い訳にさえなっていない内容だったが、ともかく政治資金に関する疑惑の説明を行った。主要メディアも揃って、いつまでそれを続けるかという問題はともかく、舛添批判を展開した。
しかし、安倍首相の場合、第一次政権を投げ捨てた日に明らかになった「政治資金団体相続をめぐる脱税疑惑」について、まったく説明しないまま現在に至っているのである。
※関連参照投稿
「[衆議院解散劇の裏を読む]米国も絡む日中関係に規定され動いてきた日本の12年後半政局」(http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/769.html)
「首相「犯罪者扱い」に激高 社民・吉田氏の脱税疑惑質問に:あの所信表明直後の遁走に絡む脱税疑惑で説明責任を果たさず逆ギレ」
http://www.asyura2.com/14/senkyo173/msg/887.html
「茶番劇!?石原氏は、息子も出馬した総裁選での安倍勝利を予め知っていた可能性:無視されたままの党首討論会「石原重要証言」」
http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/780.html
「安倍首相は、奇妙なかたちで「戦後レジームからの脱却」をめざし、自ら“しばかれ隊”を買って出ている変態」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/533.html
「左派(共産党・社民党)と親米派が共有する「戦術的護憲論」:共産党・社民党も安倍政権と同類:米国改憲要求説は捏造か錯覚」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/714.html
「首相「占領時代の仕組み変える」 改憲へ意欲:志は良だが、従米政治家たちに米国支配層が厭う改憲をやれるはずもなく」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/653.html
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「首相辞任で局面転換」(07年9月、安倍首相) 政権放棄、健康問題触れず
「体力的に限界だ」。2007年9月10日、首相の安倍晋三はアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれたシドニーから帰国する政府専用機で、辞任について真剣に考えた。大腸に持病を抱えていたが、8月のインド訪問でウイルス性大腸炎にもかかった。自ら生んだ「ねじれ国会」で国内政局も混迷していた。
帰国したその日に召集された臨時国会。参院本会議での所信表明演説では集中力が続かず、原稿を3行読み飛ばす失態を演じた。直後、国会内で会った幹事長の麻生太郎に「もう辞めたい」。その夜、首相公邸で夫人の昭恵にも決意を伝えた。
テロ対策特別措置法の延長は道筋をつけたいと求めていた民主党代表の小沢一郎との会談は12日昼までに断られた。
ボロボロの体で臨んだ午後2時の緊急の辞任会見。「今の状況で政策を前に進めるのは困難な状況だ。局面を転換しなければいけない」
健康問題には触れなかった。現職首相が体調を理由に辞任するのは潔いことではないとの考えからだが、その理由は誰の目にも明らかだった。
戦後最年少、初の戦後生まれの首相ともてはやされ、「戦後レジームからの脱却」「美しい国づくり」を掲げてきた安倍。幕切れは「政権放棄」と批判されながらの退陣だった。
安倍が自らの口で本当の理由を語ったのは、辞任から12日後の入院先での会見。「体調は悪化し続け、自らの意志を貫く基礎となる体力に限界を感じた」と明かした。
安倍が生んだ混乱を自民党は立て直せず、09年に同党は野党に転落。安倍は戦犯の烙印(らくいん)をおされる。しかしこの経験を糧とし、安倍は再起を果たした12年12月以降、見違えるほどの安定運営を続ける。
=肩書は当時、敬称略
(酒井恒平)
◆政治が大きく動いた場面を検証し、象徴する言葉とともに人間模様を描いた「政 その瞬間」は今回で終わります。
[日経新聞5月8日朝刊P.12]
安倍晋三首相は13日、2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げを再び延期する方針を固めた。国内外の経済に先行き不透明感が広がるなか、4月の熊本地震による景気への影響も出ている。増税すれば政権の最重要課題であるデフレ脱却がさらに遠のくと判断した。今月26〜27日に開く主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議論などを踏まえて表明する見通しだ。
首相は政府・与党幹部に増税見送り方針を伝えた。これを受け、政府内では増税を1〜3年延期する場合の影響の検討に着手した。2年後の19年4月であれば「東京五輪前で景況の改善が期待できる」との声がある。
消費増税に合わせた軽減税率導入を公約に掲げてきた公明党は予定通りの増税実施を求めていたが「首相が決めたのであれば仕方がない」(幹部)と容認論が出ている。
首相は当面の経済状況やサミットでの議論などを踏まえて増税再延期の方針を表明する見通しだ。政府・与党内では6月1日の通常国会会期末の記者会見で表明する案が浮上している。首相は衆参同日選も見送る意向で、7月の参院選で増税再延期について信を問う形となる。参院選後の臨時国会に増税延期のための法案を提出する方針だ。
増税延期の一方で、政策経費を税収でどの程度賄うかを表すプライマリーバランス(PB)を20年度に黒字化する目標は維持する方向。「18年度にPB赤字を国内総生産(GDP)比で1%」との中間目標は修正する。
首相が再延期を固めた最大の理由は経済だ。今月2日には「消費税率8%への引き上げが予想以上に消費に影響を与えた」と指摘。国会答弁では「増税して税収が増えなければ元も子もない」と繰り返していた。
消費税率は14年4月に5%から8%に引き上げ、15年10月に10%にする予定だった。だが首相は「個人消費を押し下げデフレ脱却も危うくなる」との理由で、14年11月に10%への引き上げを17年4月に延期した。
足元の国内経済は15年10〜12月期のGDP改定値が物価変動を除く実質で前期比0.3%減。今月18日発表の16年1〜3月期のGDP速報値も低成長予想が多く、消費者物価も下落している。今後は熊本地震の影響も景気に影を落とす。
世界経済も中国をはじめとする新興国経済に陰りが見え、原油市場も不安定だ。年明けから円高・株安も進んでいる。有識者から経済政策の意見を聞く国際金融経済分析会合では、スティグリッツ米コロンビア大教授らが増税先送りを求めた。
首相はサミットでこうした世界経済の不安を共有し、財政出動による需要喚起などで協調を呼びかける考えだ。各国に財政出動を求める一方で日本が消費増税をすれば「需要拡大に逆行する」と指摘される可能性もある。
首相は14年11月に増税先送りを表明した記者会見で「再び延期することはない。ここでみなさんにはっきり断言する」と語った。その後は「リーマン・ショックや大震災のような事態が発生しない限り、予定通り引き上げる」と繰り返してきた。今回の再延期では、国内経済の悪化と国際的な経済政策の協調、熊本地震など「複合的な理由」を訴える見通しだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS13H56_T10C16A5MM8000/?n_cid=NMAIL003
安倍首相のあいさつのなかで問題と思う表現は、「原爆や戦争を恨まず、人の中に巣くう『争う心』と決別する、そのような歴史的な訪問にしなければならないと決意している」という部分である。
日本は自ら仕掛けた戦争で原爆まで投下され負けた。そのような国の後代の政治的指導者が“原爆や戦争を恨まず”と表明するのはわかるが、中国をはじめ日本のために戦乱に引きずり込まれ甚大な犠牲を強いられたアジア諸国の人々のなかには、“戦争を恨まず”という安倍首相に“ふざけるな!”と思うひとは少なくないだろう。
オバマ大統領の広島訪問に対し、中国や韓国は、加害者である日本への免罪符になりかねないと懸念を表明している。
オバマ大統領の広島訪問自体がそのような機能を果たすわけではないが、日本の総理大臣が、その機会を利用し、“戦争を恨まず、人の中に巣くう『争う心』と決別する”というような考えを表明すれば、何を身勝手なことを言っているんだと反発を招くことになるだろう。
彼はそんなことを言わないだろうが、鳩山由紀夫元首相が同じ事を言えばなんとなく納得してもらえる可能性もあると思うが、歴史認識問題で近隣諸国とのあいだで波風を立て、米国との国外での共同軍事行動を可能にする「新安保法制」を成立させた安倍首相が、“戦争を恨まず、人の中に巣くう『争う心』と決別する”と言ったところで好意的な反応はまったく得られないと心したほうがいいだろう。
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米大統領の広島訪問 首相「争う心と決別する訪問に」[NHK]
5月14日 12時06分
安倍総理大臣は東京・千代田区で開かれた集会であいさつし、アメリカのオバマ大統領の広島訪問について、「核のない世界」を実現するうえで大きな力になると強調し、「『争う心』と決別する歴史的な訪問にしなければならない」と、決意を述べました。
この中で、安倍総理大臣は「伊勢志摩サミットの終了後、私はアメリカのオバマ大統領とともに被爆地、広島を訪問する。アメリカの大統領が被爆地を訪問するのは戦後71年にして初めての出来事だ。被爆の実相に触れ、そのときの気持ちを思いを世界に向けて発信することが『核のない世界』を実現していく大きな力になる」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「世界で唯一の戦争被爆国の首相である私と、世界で唯一核兵器を使用した国の指導者が、ともに犠牲者に哀悼の誠をささげる、それが『核のない世界』に向けての一歩になると信じている。原爆や戦争を恨まず、人の中に巣くう『争う心』と決別する、そのような歴史的な訪問にしなければならないと決意している」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160514/k10010520981000.html?utm_int=news_contents_news-main_004
アメリカのオバマ大統領はスウェーデンなど北欧5か国の首脳と会合を開き、「ロシアがバルト海などで軍事的な存在感を高めている」と懸念を示し、結束して対応していく方針を確認しました。
アメリカのオバマ大統領は13日、ホワイトハウスでスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランドの北欧5か国の首脳と会合を開きました。
このあと、オバマ大統領は記者団に対し、「われわれはロシアがバルト海などで軍事的な存在感を高めていることを懸念している」と述べました。そして、ウクライナ情勢を巡って停戦合意が完全に順守されるまで、ロシアに対する制裁を維持するなど、結束して対応していく方針を確認したことを明らかにしました。
バルト海の上空ではアメリカ軍の偵察機とロシア軍の戦闘機が異常接近するなど、双方の間で対立が深まっています。
また、会合では過激派組織IS=イスラミックステートの壊滅やシリアの内戦終結を目指して協力して取り組むことでも一致したということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160514/k10010520931000.html?utm_int=news_contents_news-main_006
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ロシア大統領 東欧での米迎撃ミサイル運用を非難[NHK]
5月14日 13時50分
NATO=北大西洋条約機構のミサイル防衛システムの一環として、アメリカが東ヨーロッパで地上配備型の迎撃ミサイルの運用を始めたことについて、ロシアのプーチン大統領は新たな軍拡競争につながると強く批判し、対抗措置をとる考えを示しました。
アメリカはNATOのミサイル防衛システムの一環として、東ヨーロッパのルーマニアで12日から、地上配備型の迎撃ミサイルの運用を始めたのに続き、13日にはポーランドで関連施設の建設を開始しました。
これについて、ロシアのプーチン大統領は13日、アメリカの核戦力を強化するもので、アメリカと旧ソビエトが冷戦時代に調印したINF=中距離核ミサイル全廃条約に違反すると指摘しました。そのうえで、「国際的な安全保障の構図を揺さぶるもので、新たな軍拡競争のスタートにつながる」と述べ、アメリカの対応を強く批判しました。そして、ロシアは軍拡競争に巻き込まれないとしながらも、「戦略的なバランスを維持するために必要なことはすべて行う」と述べて、対抗措置をとる考えを示しました。
ロシアはウクライナからクリミアを併合したあと、アメリカが主導するNATOがロシアとの国境近くで軍事力を増強していると批判していて、バルト海の上空で米ロの軍用機が異常接近するなど、双方の間で対立が深まっています。
テログループ「ダーイシュ(IS)」の戦闘員らは、イラクの首都バクダッドにあるサッカークラブ「レアル」(スペインの首都マドリードに本拠地を置く)のファンクラブを襲撃した。
3人のテロリストが、ファンクラブが置かれたカフェに向け機関銃を発砲、16人が死亡、20人が負傷した。犯人達は、事件後、逃走した。
スペイン・プロサッカー・リーグのハヴィエル・タバス会長は、自分のTwitterに次のように書き込んだ-
「イラクにある『レアル』のファンクラブが攻撃されたことに唖然としている。サッカーがテロの標的になるなんて信じられない。」
「米大統領の広島訪問 首相「争う心と決別する訪問に」:アジア諸国から猛反発を受ける考え方」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/122.html
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ロシア上院議長が広島訪問へ プーチン氏側近は断念[NHK]
5月14日 5時20分
被爆地・広島への訪問を検討していたロシアのプーチン大統領側近の下院議長が訪問を断念し、代わりにロシア政界のナンバー3とされる上院議長が、ことし後半の広島訪問を調整していることが、政府関係者への取材で分かりました。
被爆地・広島を巡っては、アメリカのオバマ大統領が伊勢志摩サミット終了後の今月27日、現職のアメリカ大統領として初めて訪れることにしています。
一方、ロシアでは、プーチン大統領側近のナルイシキン下院議長が、来月中旬のロシア文化を紹介するイベントに合わせて東京を訪れる際に、原爆の犠牲者を追悼するため広島を訪問することを検討していました。
しかし、政府関係者によりますと、ナルイシキン下院議長は日本に滞在する日程の都合で、広島への訪問を断念したということです。
そして代わりに、ロシア政界のナンバー3とされるマトビエンコ上院議長がことし後半に広島への訪問を調整していることを、日本政府に伝えていたことが分かりました。
核戦力でアメリカと対じするロシアとしては、有力な政治家を広島に派遣し、アメリカによる原爆投下を批判するとともに原爆の被害に向き合う姿勢も示すことで、核を巡る議論がアメリカ主導で進まないよう存在感を示すねらいがあるものとみられます。
「オバマ大統領広島訪問 米専門家の見方は:カズニック教授 原爆投下は不要、オバマ氏は核兵器削減に消極的」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/822.html
「技術や安全だけでなく国際関係的にも破綻した「核燃料サイクル」:使用済み核燃料の最終処分に道筋をつけ原発廃止」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/503.html
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
「オバマ大統領が広島に行ってはならない理由:広島訪問を安保理常任理事国の「核独占」正当化に利用するオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/365.html
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北朝鮮、オバマ米大統領の広島訪問を非難[日経新聞]
2016/5/14 18:45
【ソウル=加藤宏一】北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞(電子版)は14日、オバマ米大統領の広島訪問について「核の犯罪者としての正体を隠すことに(目的が)ある」と非難した。同紙は「朝鮮半島と世界を核戦争へ追い込もうとする米国が核軍縮と非核世界を唱えるのは偽善だ」と指摘。オバマ氏の「核兵器なき世界」は米国による「核独占戦略、支配戦略」であると批判した。朝鮮通信(東京)が伝えた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM14H7Q_U6A510C1FF8000/?dg=1
ドイツ元外相のゲンシャーが3月末に亡くなった。彼は1974〜92年、18年間にわたって外相を務めた。冷戦下で東西関係を安定させ、コール元首相とともにドイツ統一を成し遂げた。EU条約をまとめ上げた功績も大きい。
ドイツは経済大国でありながら、過去の影のもと、国際政治の舞台では抑制的な姿勢を維持。EUでも北大西洋条約機構(NATO)でも、信頼できるパートナーの地位を築いた。しかし統一から四半世紀が過ぎ、ドイツに対する批判の声も大きくなってきた。
今日のドイツをめぐる議論で一番気になるのは、国外からのドイツの見え方と、ドイツ国内での国際情勢の見え方との違いである。国外では、ドイツによる支配のリスクを強調する帝国論が盛んに見られる。ところが国内では、ドイツの政策は規範的にも政策的にも正当なもので、どこに問題があるのかがわからない、なぜEUの他の国々はドイツと同じ政策を展開しようともっと努力しないのかがわからないという認識がある。
●努力理解されず
労働市場を中心として身を切る苦しい改革をシュレーダー前首相の時代に実現し、労働コストを下げて、ドイツ経済は今日の繁栄の基盤を整えた。それが国内の認識だ。しかし外から見れば、共通通貨ユーロが安く抑えられているおかげでドイツ企業の輸出競争力が強くなっている。それは南欧諸国が債務危機を克服するため、厳しい構造改革の下にあることとの引き換えなのである。ギリシャが選挙という民主的な方法で政権交代によって反乱をおこしても、結局はドイツ主導のユーロという帝国的なシステムによって抑え込まれたことで、ドイツの債権者目線からの政策が継続していると見られるのである。
経済から見たドイツの今を最も説得力ある形でわかりやすく紹介するのが、田中素香著『ユーロ危機とギリシャ反乱』(岩波新書・2016年)だ。長年の冷徹な分析の成果に基づいて、ドイツの目線とギリシャの目線の対比も織り込みながら、EU経済とユーロの現状と課題を緻密、かつ体系的に論じている。ユーロ圏の中心にありながら、しかし弱者に配慮した安定をめざすような公共財は十分に提供しないために覇権国とは評価できず、かえってシステムの不安定化を招きかねないドイツの立ち位置が見事に示されている。
財政規律の確立による通貨の安定というドイツ型の理想を追い求めるだけでは、苦境に追い込まれたギリシャが経済的に立ち直ることは難しい。同様に、難民問題に目を向けても、理想を追求することにより、かえって困難な状況がもたらされている。
ドイツ基本法(憲法)は歴史的背景から、政治的に迫害されている庇護(ひご)申請者を受け入れることを規定している。21世紀の内戦で流出したシリアなど多数の難民にその憲法の理念をそのまま適用し、入国を認めたことで、15年には約110万人の庇護申請者が入国した。通過国となったギリシャやバルカンルートの国々には大きな負担がかかり、EUが築いてきた難民審査ルールと自由な国境通過のルールが傷ついた。
●理念先行の傾向
三好範英著『ドイツリスク』(光文社新書・15年)は、理想と現実のパラドックスを通して、ドイツ政治の特徴を捉えようとしている。理想を追えば追うほど、現実は裏腹の結果となってしまう。本書の副題にある「夢見る政治」とは、現実をさめた目で見るのではなく、自分の価値観から対象を評価し、理念を先行させる政治と要約できる。
ドイツ政治は理念的に政策を規定しすぎており、現実との乖離(かいり)が危うさを生むという見方である。思想的な背景から政策を分析すれば印象論に終わってしまいがちだが、長年にわたりドイツと対峙してきたジャーナリストの経験が、脱原発のエネルギー政策、ユーロ、対露・対中関係という世界に影響を与える課題の分析で十分に生かされている。
ドイツの政治経済について、さらに体系的に、政党システムや代表的な政策分野の構造を把握したければ、西田慎・近藤正基編著『現代ドイツ政治』(ミネルヴァ書房・14年)は最も良い出発点となろう。気鋭の研究者たちによる信頼できる本書は、統一後のドイツの変化を多面的に描き出している。反ユーロから右派的に性格を変えてきた政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の伸長もあり、来年秋の国政選挙へ向けてドイツには一層注目していかねばならない。
[日経新聞5月8日朝刊P.19]
気候変動はビジネスチャンスだ、そう考える人たちがいる。地球が温暖化すると凍土が融(と)け、従来地中に閉じ込められていた鉱物資源や化石燃料が取り出しやすくなる。それに氷が融けて北西航路(カナダ北極諸島の間を抜けて太平洋と大西洋を結ぶ航路)が常時航行可能となれば、物資の輸送も格段と楽になり、ビジネスチャンスが広がる。アメリカ、ロシア、カナダなどが受ける恩恵は大きく、経済が活性化するというわけだ。グリーンランドなどは、これまで手が付けられなかった石油、鉱物資源、漁業資源等が手に入るようになり、そのおかげでデンマークからの独立の見込みさえ出てくるという。
本書の著者は、このような楽観論を支える一つの柱が自由市場主義だとみる。水を例に考えてみよう。気候変動がもたらす旱魃(かんばつ)と洪水によって、利用できる水の量が減る。問題は水の需給バランスの地理的不一致がはなはだしくなることだ。だが、水の取引を市場に任せれば問題は解決する、そう考える市場原理主義者がいるのだ。一連の水ビジネスをハイドロコマースと呼ぶのだそうだが、やがては「水のナスダック」が登場する気配さえある。
楽観論のもう一つの柱がテクノフィクス(ハイテクによる問題解決)と著者は言う。気候変動によって洪水が起き、海面が上昇しても、浮島や浮遊式の町を造れば適応可能だ。高潮防潮堤も洪水対策に有効である。海面上昇のペースが世界平均よりも早いニューヨークなどは大助かりで、技術の売り込み合戦も始まっている。
もちろん著者はこのような考え方を肯定しているわけではない。新たな化石燃料の採掘はエネルギー使用を増加させる恐れがある。テクノフィクスで海水を淡水化するにしても人工的に雪を降らせるにしても大量のエネルギーを必要とする。気候変動を加速化させてしまうかもしれないのだ。
もっと深刻な問題がある。こうしたビジネスが盛んになっても、その恩恵を受けるのは資金と技術を持つ豊かな国だけということだ。温暖化によって北極圏域の資源の恵みにあずかれる国はわずかである。
他方バングラデシュのような国は、水の塩性化、サイクロン、洪水などによって大打撃を受ける。貧しい国は経済的にも環境的にも損害を受けかねない。「しわ寄せは弱者へ」というわけだ。気候変動を抑止する努力を忘れてビジネスに走る現代経済へ、本書は鋭い警告を発している。
原題=WINDFALL
(柴田裕之訳、ダイヤモンド社・2000円)
▼著者は米国生まれ。米スワスモア大で学ぶ。ジャーナリストとして「ハーパース」「ナショナル・ジオグラフィック」誌などに寄稿。
《評》慶応大学教授 細田 衛士
[日経新聞5月8日朝刊P.19]
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上のスレッドは主要メディアではまずお目にかかることがない消費税の本質や内実を説明した記事なので、それをベースに補足説明をさせていただく。
オリジナルスレッドで筈井利人氏が説明されているように、「消費費税は、消費一般に広く公平に課税する間接税です」という財務省の説明は詐欺的な虚偽である。
消費税は、基本的に「事業者が稼いだ付加価値に課される直接税」である。
財務省や財政・経済学者の大半がどうしてそのような詐欺的説明を行っているのかという問いには、二つの主要な目的を提示できる。
一つは、消費税について、買い物をする消費者が支払わなければならないものであるという“強迫観念”を消費者に植え付けること。
そのような洗脳を制度的に支えているのが、「外税方式」の小売価格表示である。
まともに付加価値税(VAT)と称している欧州諸国などではすべて「内税方式」(というより税の性格からそれしかない)の価格表示なので、ある程度のVATが転嫁されているとは当然思っているとしても、付加価値税(消費税)を自分が支払っているという意識は持たない。
日本は、ある期間(04年〜13年)を除き、消費税を負担している(負担しなければならない)と消費者に思わせる小売価格表示の「外税方式」を認めてきたが、「事業者が稼いだ付加価値に課される直接税」である消費税に「外税方式」の価格表示を許すこと自体が詐欺にあたる。
消費税を消費者が負担していると考えるのは、最終利益に課される法人税のある範囲も消費者が負担していると考えることに通じる。
(消費税は、法人税とは課税ベースが違う“法人税”と考えるとわかりやすい)
もう一つの目的は、輸出に対して適用される「輸出免税」(輸出売上に係わる消費税の税率は0%)をもっともらしい公平で正当な制度と思わせることである。
消費税の内実である「事業者は稼いだ付加価値について所定の税率で消費税を納付する」という説明をすると、輸出で稼いだ付加価値に消費税が課されないどころか、国内売上で稼いだ付加価値に対する消費税までが“減額”される「輸出免税」制度に対する理解を得られにくい。
(同じように事業努力しているのに、国内で稼いだ付加価値(荒利)には消費税が課され、輸出で稼いだ付加価値(荒利)には消費税が課されないという不公平がまかりとおるのかと、国内専業事業者から非難の声が上がる)
あまり知られていないようだが、日本在住者が自動車の購入で負担したつもりになっている消費税は、自動車業界や関連業界のトータルの納付と還付の結果、1円たりとも国庫や地方自治体の金庫に入っていない。トヨタなどの自動車メーカーが受け取る還付金のほうが大きい。
それが、「輸出免税」制度という詐欺の結果だと多くの国民が理解するようになれば、消費税制度そのものが廃止の危機に直面するだろう。
多段階の取引過程で消費税が課され最終的には消費者が負担するものと説明することで、輸出では“外国”の消費者から消費税を徴収できないから、輸出事業者について“も”、仕入で“負担”した消費税を控除するという仕組みがもっともらしく見えるようになる。
「輸出免税」がどのようなものか、簡単に説明する。
「輸出免税」があると、輸出事業者は、仕入れ値と同じ価格で輸出したとしても、税制度を通じて利益を上げることができる。
実際の数字を使って説明してみよう。
消費税は8%(付加価値に対する実効税率は7.4%)とする。
3千億円で仕入れたものをそのまま3千億円で輸出する。この場合、輸出取引で利益(荒利:付加価値)はない(ゼロだ)が、消費税の還付として222億円を受け取ることになるのでそれが利益となる。
このロジックを知れば、日本経団連が「消費税の税率を引き上げろ!」と言い続けているワケがわかるだろう。(財政の健全化や社会保障制度の維持といった理由は、自分たちの利益を隠すためのダシである)
消費税が10%(付加価値に対する消費税実効税率は9.1%)に引き上げられると、3千億円で仕入れたものをそのまま3千億円で輸出したケースの消費税還付金=利益は、273億円に増加する。
そして、利益を増大させるこの計算式の怖さは、消費税で仕入と認められる部分の金額が大きくなればなるほど利益が大きくなることである。
だからといって、素材や部品を高く仕入れたら損である。
利益増大につながるかたちで消費税で仕入と認められる金額を大きくする方法は、直接雇用(従業員)であった労働者を派遣の労働者に切り替えることである。
直接雇用の賃金は、仕入ではなく稼いだ付加価値から充当しなければならないものである一方、派遣会社に支払う経費は、消費税制度のなかでは仕入として稼いだ付加価値を減少させる働きをする。
ハケンを利用することで、人件費は派遣会社が転嫁してくる消費税を考慮しても20%ほど少なくなるだけでなく、消費税まで負担が減少(グローバル企業の場合は還付が増大)するのである。
このロジックが、長期不況と相俟って、非正規労働者の増加に拍車をかけたのである。
そして、従業員の賃金は、稼いだ付加価値から充当しなければならないからこそ、消費税の税率を引き上げると賃金レベルが低下するのである。付加価値税である消費税は、国内専業事業者に、「給与支払い税」として重くのしかかっている。
※補足説明
「輸出事業者について“も”仕入で“負担”した消費税を控除する」と説明したのは、国内売上について、仕入で“負担”した消費税を控除するのは付加価値税として当然の考え方である一方、「輸出免税」は詐欺的な考え方だからである。
国内売上についての消費税額は、次の二つの式で計算できる。
A:消費税額=売上×消費税実効税率−仕入×消費税実効税率
B:消費税額=(売上−仕入)×消費税実効税率
国内売上ではAもBも同値だからどちらの式でも同じだが、Bの算定式は、消費税が付加価値に課される税であることを明確に示す簡潔なものである。
簡潔で本質を示すBの算定式を使う前提なら、「輸出免税」で“利益”(消費税還付金)が生まれない。(消費税実効税率をマイナスにしなければならない)
「輸出免税」でAの算定式が適用されることで、「売上×0%−仕入×消費税実効税率」=マイナスの値(還付)と消費税の還付が発生する。
※追記
複数税率(俗に言う「軽減税率」)制度では、Aの算定式が拡張され
C:消費税額=売上×売上に係わる消費税実効税率−仕入×仕入に係わる消費税実効税率
となる。
「輸出免税」は、Cの算定式の「売上に係わる消費税実効税率」がゼロのケースと考えることができる。
そして、「軽減税率」制度は、「輸出免税」のゼロほど利益(還付)を生まないとしても、事業者の利益を増大させる制度であることは同じである。
だからこそ、日本有数の宅配新聞社である創価学会のために公明党が軽減税率の導入を叫び、読売新聞や朝日新聞などの新聞が“民主主義の糧”などといって新聞への軽減税率の導入を求めてきたのである。
「軽減税率」を消費者の消費税負担を軽減するものと考えているひとは、失礼ながら、財務省や主要メディアがしつこく行ってきた(いる)詐欺的な消費税の説明に騙されているのである。
「消費税に関する詐欺的虚偽説明は、「輸出免税」制度を正当化したり消費者への転嫁は当然と思わせるための仕掛け」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/146.html
米国務省は、一方的にシリアで軍事作戦を行なうというトルコの意図を関知しているが、それについてコメントするつもりはない。木曜、エリザベス・トルドー報道官が述べた。
「私はそうした報道を目にした。この問題についてはトルコ政府に確認するよう我々は勧める」。NATOの支援が頼りないため対ダーイシュ(IS、イスラム国)作戦を一方的に行なう用意がある、とのエルドアン大統領の声明へのコメント。
トルドー氏は、米国とトルコは同盟国であり、様々な問題について議論を継続する、と付け加えた。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160513/2132075.html
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独占情報:トルコの地区病院でダーイシュ(IS)戦闘員が治療されている(写真)[スプートニク日本語]
2016年05月13日 22:41
トルコのガジアンテプにあるエルシンアルスラン地区病院でダーイシュ(IS)戦闘員が治療されている。匿名希望の医師がスプートニク特派員に語ったところ、5日、シリアとの国境で負傷した戦闘員4人が病院に搬送されたという。医師によれば、ダーイシュ戦闘員の入院および治療は病院側で書面による裏づけを受けていない。
先にガジアンテプのオグゼリ地区でシリア国境を不法に越えようとしたダーイシュ外国人戦闘員らにトルコの国境警備が発砲したことが明らかになった。結果、戦闘員3人が死亡、11人が負傷した。4人がエルシンアルスラン病院に運ばれた。
医師は次のように述べた。「当院にダーイシュ戦闘員4人が運び込まれた。うちの1人が1993年生まれのアフガン人、バグル・フェルハドだ。私も検診を行なった。みな銃創を負っていた。全員、命に別状はない。4人ともカルテに正式に記載されてはいない。彼らがここで治療を受けたことが知られないように、との病院指導部の配慮だろう。一部の医師や医務院はダーイシュの制圧下にあるシリアの地域から連日ミサイル攻撃を受けている町の出身者であり、戦闘員の治療に反対している」
政府が「もんじゅ」を存続させる最大の動機は、2〜3兆円という莫大な国費をかけてつくった原子炉がなんら成果を上げることなく廃炉になってしまうことで問われる責任問題から逃れるためである。
転載する記事は、「使い道のないプルトニウムが約48トンあり、国際社会から疑念を示されているため、高速増殖炉で消費することも重要視されている」とおかしな説明している。(使い道のないプルトニウムが約48トンのうち約40トンは、再処理を請け負った仏英に保管されている)
“高速増殖炉”の概念は、炉心中心部のプルトニウム239の核分裂により生じる中性子を周辺部のウラン238が吸収し、燃料より多くのプルトニウム239を生み出すことである。
要するに、「使い道のないプルトニウムが約48トン」を“消費”することで、50トンといった新たな“使い道のないプルトニウム”を“生産”してしまうのが高速増殖炉なのである。
また、「政府がもんじゅ存続を表明することで廃炉への懸念を払拭する」とも説明しているが、廃炉を懸念するのは財政的支援が受けられる立地自治体や原子炉ムラに限られ、原発の再稼働に圧倒的多数の国民が反対していることからわかるように、大多数の国民は、懸念ではなく安堵するはずである。
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政府、もんじゅ存続表明へ 機構に代わる受け皿探しは難航
産経新聞 5月15日(日)7時55分配信
原子力規制委員会が廃炉も含めた運転主体の見直しを勧告していた高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)について、政府が存続の方針を表明することが14日、分かった。文部科学省の有識者検討会が月内にも報告書をまとめた後になる見込み。規制委が文科相に対し勧告の回答期限のめどとしていた「半年」はすでに過ぎているが、いまだ現在の日本原子力研究開発機構に代わる受け皿の具体案は出ておらず、実際の存続は不透明な状況にある。
もんじゅをめぐっては、規制委が昨年11月13日、原子力機構について「運転を安全に行う資質がない」と断定。機構に代わる運転主体を具体的に特定し、新たな受け皿が見つからない場合はもんじゅの抜本的な見直しをするよう、機構を主管する馳浩文科相に勧告した。その回答期限を「半年をめど」にしている。
もんじゅはナトリウムを冷却材に使う特殊な炉で、受け皿探しは難航。文科省は受け皿を議論する検討会(座長、有馬朗人元文相)を発足させ、4月末までに計7回の会合を開いた。検討会では「新主体が備えるべき要件」や「理想的な体制」の議論にとどまり、具体名を取り上げるには至っていない。
一方、政府はもんじゅの存続を堅持する方針を固めている。政府関係者によると、平成26年4月に決定したエネルギー基本計画で、もんじゅを「国際的な研究拠点」と位置付け、「国の責任の下」で維持することを決めたためという。
また、使い道のないプルトニウムが約48トンあり、国際社会から疑念を示されているため、高速増殖炉で消費することも重要視されている。政府がもんじゅ存続を表明することで廃炉への懸念を払拭するという。
ただ、規制委の動向は不明だ。規制委は文科相の回答を受けた後、代わりの運転主体が示された場合、安全性の観点で信頼に足る組織かどうか検討に入る。規制委の田中俊一委員長は「看板の掛け替えを許容するつもりはない」と話し、厳格に審査する方針だ。
最終更新:5月15日(日)9時56分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160515-00000050-san-soci
四国電力は10日、伊方原子力発電所1号機(愛媛県)を廃炉にした。運転開始から40年近くたち、安全対策費用がかさむうえ、規模が小さいためだ。一方、同じ伊方原発でも比較的新しく、規模も大きい3号機は7月下旬にも再稼働する見通し。電力会社が採算性を厳しく見極めながら、原発の存続を判断する姿勢が鮮明になっている。
伊方原発1号機(右)は運転開始から40年近くたつ(3月、愛媛県伊方町)
四国電は10日に経済産業相に届け出ている発電設備から伊方1号機を除外し、廃炉とした。
東日本大震災以降、廃炉となる原発は福島の原発をのぞくと伊方1号機で6基目。四国電は今後1年程度をかけ、解体に向けた作業計画をまとめる。放射性廃棄物の処理を伴う原発の廃炉作業は30年程度かかる見通し。すでに廃炉に必要な費用407億円のうち、360億円を引き当てており、残る費用を10年間で分割してまかなう。
2017年に運転開始から40年となる伊方1号機は、最大20年間の延長を申請できた。ただ原子力規制委員会の審査に合格するには、全長数百キロメートルとされる電源ケーブルを燃えにくくするための工事などをしなければならず、1700億円を超える追加投資がかかるとされていた。一般的な原発の出力が100万キロワット規模なのに対し伊方1号機は56万6千キロワット。四国電力は投資負担に見合う収益は得られないと判断、運転継続を断念した。
これに対し、今夏にも再稼働する伊方3号機は運転開始から20年あまりしかたっておらず、1号機ほど追加の工事費用はかからない。出力も89万キロワットと1号機を大きく上回り、再稼働した場合の年間の収益改善効果は400億円近くにのぼる。
昨年春に決まった関西電力の美浜原発1、2号機(福井県)、中国電力の島根原発1号機(島根県)などが廃炉を余儀なくされた理由は伊方1号機と同じ。逆に出力が80万キロワットを超える関西電の高浜原発1、2号機(福井県)は運転開始から40年を超えたが、関電は収益改善効果が大きいとみて、規制委の審査を経たうえで再稼働を目指す。
大手電力は4月の電力小売りの自由化によって、ガスや石油元売りなど異業種との競争にさらされている。地域の電力需要を独占していた時代は電気料金に上乗せする形で投資コストを回収できたが、安易な値上げは難しくなっている。電力各社が投資と利益を比較検討した結果、大型の原発が残り、小型で古い原発が淘汰される傾向が強まりそうだ。
ただ大型で比較的新しい原発でも、再稼働にこぎ着けるのは簡単ではない。規制委の長期にわたる審査に加え、司法判断も壁となる。関西電の高浜3号機は規制委の審査合格を受けて今春再稼働にこぎつけたが、大津地方裁判所の司法判断により、1カ月あまりで再び運転を停止している。四国電の伊方3号機も住民訴訟の対象となっており、目指す7月下旬の再稼働が実現できるかは見通しにくい。
[日経新聞5月10日朝刊P.2]
現在の「ペナルティ金利」政策は、銀行に、ペナルティをできるだけ回避するつまらない行動を促しているだけで、狙った(日銀が説明した)効果は生まれず、中期的にはデフレを深刻化させるなど負の効果をもたらす。
現在のペナルティ版マイナス金利政策がいつまで続くかは、日銀が金融機関の貸し出しにもマイナス金利を適用する“真の”マイナス金利政策に踏み出すかどうかにかかっていると思う。
※参考
「日本銀行 金融機関の貸し出しにもマイナス金利を検討か?:銀行は日銀からの借り入れで“利得”、投機的借り入れを増長?」
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/744.html
黒田総裁はマイナス金利をさらに下げることもできると説明しているが、日銀当座預金積み増しに対するペナルティを拡大する政策は、混乱をもたらすだけで効果がないことを彼らも知っている。
何より、積み増しに対するペナルティを拡大する気があるのなら、まずは、日銀当座預金に付けている付利0.1%(超長期国債の利回りに相当する高金利)を廃止するはずである。
「真のマイナス金利」政策に踏み出さない限り、実質的には銀行にとって日銀当座預金積み増しがペナルティにならない仕掛けに切り替えていくと思う。
物価目標を達成していない手前「量的金融緩和」の幕引きはできないだろうが(投資家も意味もなくうろたえる)、銀行や機関投資家の資産運用がもう少し滑らかになるよう、国債の買い取り額を少し減らしたほうが合理的な政策である。
※関連参照投稿
「中銀のマイナス金利、インフレ予想低下させ逆効果か:経済学の間違いで、利払いも費用=コストだから金利引き下げはデフレ要因」
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/272.html
「マイナス金利政策の功罪(中)むしろデフレ回帰の恐れ 金融市場機能低下も 櫻川昌哉 慶応義塾大学教授」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/573.html
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[核心]大混乱防げても「大停滞」へ
改革遅らすマイナス金利 客員コラムニスト 平田育夫
何かと評判の悪いマイナス金利だが、日銀はこの政策を長く続ける考えとみられる。国債購入による量的緩和が限界に近いからだ。時機をみてマイナス金利を深掘りしデフレ脱却や国の債務軽減を狙うだろう。
多額の国債購入が長引くと、購入額を減らす時に金利が跳ね上がり経済の大混乱を招く恐れがある。新しい金利政策を使えば、その心配は比較的少ない。
だがゼロ以下の低い金利は財政規律を緩ませるほか、収益性の悪い企業の延命を助けるなど経済・財政の改革を遅らせかねない。大混乱を防げても「大停滞」に入るリスクが高まる。
日銀は4月末、政策の現状維持を決めたが、ある日銀OBは「日銀はいずれ、マイナス金利による収益圧迫を嫌う金融機関に配慮した措置をとり、新政策の定着を目指す」とみる。
3年前、黒田東彦総裁の音頭で始めた緩和策は大量の国債を買って市中にお金を供給。2年後に物価を前年比2%上昇させデフレを抜け出す筋書きだった。
この量的緩和は円安・株高や国債金利の低下をもたらした。しかし消費者物価は今年3月でも前年比0.3%下落と上がらない。上がらないから国債購入をやめる理屈が立たない。
だが年80兆円も国債保有を増やせば、買える国債はやがて枯渇する。また日銀が国債を異常なほど高い価格で買い続けると、インフレ目標を達成し購入額を減らす時にこの“国債バブル”がはじけて金利が急騰し、経済を混乱させる。
リスク多くして功少なしというのか、日銀内にも量的緩和は「時間の経過とともに副作用が効果を上回る」(木内登英審議委員)との声があった。
お金の量より金利に照準を定めるマイナス金利策なら、量的緩和の限界を超え金融緩和を継続できる、と日銀は考えたようだ。
また菅野雅明JPモルガン証券チーフエコノミストは「量的緩和を縮小するとき、マイナス金利策で国債金利の上昇を抑え、経済混乱を防げるかもしれない」とみる。量的緩和の「出口」での痛みを和らげる狙いもあるのだろうか。
一方、裏の大きな狙いは公的債務の負担をより軽くすること。国債金利をインフレ率より低く保てれば国債の実質価値が年々減り、そのぶん国の負担は軽くなる。金利を抑えつけるので「金融抑圧」と呼ぶ。
これまでインフレ率が低いため債務軽減はあまり進まなかった。国債金利がゼロ以下なら実質マイナス金利が続き軽減効果が増す。マイナス金利国債の大半を買う日銀は損をかぶるので国への納付金が減る点は割り引く必要がある。それでも歳出削減や増税への抵抗が強いこの国で「皆が知らぬ間に債務が目減りする」なら為政者には魅力だ。
「世界的にインフレ傾向が強まらない限り、マイナス金利策、ゼロ金利策の下で、金融抑圧は今後、少なくとも20〜30年は続く」と河野龍太郎BNPパリバ証券チーフエコノミスト。
預金金利をマイナスにせず、現金に課税しなくても今の政策金利のマイナス0.1%を同0.5%程度にはできる見通し。それなりの効果はあろう。だが副作用も金融機関の収益圧迫などにとどまらない。
自民党の会合で最近「国債金利がゼロ以下という環境をいかし積極財政を」という声が出た。「国債金利がマイナスだから」という理由で財政楽観論が勢いづき、社会保障改革も後回しになれば、財政再建はさらに遅れる。
また貸出金利の低下は収益性の低い企業を温存させ新陳代謝を遅らせる。財政金融政策で景気がもつ間は規制緩和など痛みを伴う改革は足踏みするだろう。
米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は日欧のマイナス金利について「(年金や貯蓄頼みの)退職者にとっても問題」という。預金金利などの低下は人々の倹約意識を強め消費低迷を長期化させかねない。
それに加え円がマイナス金利になるとドル資金への需要がさらに増し邦銀のドル調達金利を押し上げる。そのコストは国全体で負う。「停滞と消耗の時代」の到来か。低成長、物価低迷と財政再建は長引こう。
債券市場などの専門家、徳勝礼子氏は著書『マイナス金利』で、物価が低迷するなか、マイナス金利による金融抑圧で財政の辻つまを合わせていく形となれば「衰弱死的な経済」に至るとし、そうした展開は高インフレによる財政・経済の破綻が「いや応なく再生を強制する」のと比べ、むしろ怖いと警鐘を鳴らす。
つまりマイナス金利にも大リスクが潜む。日銀頼みそのものが限界に近い。
成長率低迷の大きな原因は実質0〜0.5%と低い潜在成長率にある。生産性の向上や労働力の流動化促進など供給面の構造改革で成長力を高めるのがカギ。それは政府の仕事だ。
ただし政府が見込む実質2%の成長は難しく、1%がせいぜい。インフレ目標の2%も過大で1%が現実的だ。その前提に立てば社会保障を中心に財政改革も着実に進めざるをえない。だが安倍晋三首相にとって経済構造改革や社会保障改革は二の次の印象である。
黒田氏は2018年春に任期末、首相は同年秋に自民党総裁任期末を迎える。マイナス金利の末路を両氏とも在任中に見届けないだろう。そのことが新政策への不安をさらに募らせる。
[日経新聞5月9日朝刊P.7]
米国の大統領選まで半年を切った。共和党の候補指名が確実となったドナルド・トランプ氏と、あるヘッジファンドの関係が注目されている。
ニューヨーク本拠のデューン・キャピタル・マネジメント。会長兼最高経営責任者のスティーブン・ムニューチン氏がトランプ陣営の全国資金調達責任者に招かれたのだ。
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この人選に注目すべき理由はいくつかある。
一つは、自由な立場で発言するため自己資金で戦ってきたトランプ氏が、外部から資金を募り始めたということだ。
予備選は放言三昧で関心を引けばよかった。本選で勝つための組織を整備するには自己資金では足りない。そう考えての柔軟な方針変更なら、現実主義者としてのしたたかな横顔を示す傍証となりうる。
もう一つの理由は、ムニューチン氏が米ウォール街最高の栄誉とも言われた、ゴールドマン・サックスのパートナーだったということだ。しかも親子2代にわたって、だ。
民主党のヒラリー・クリントン氏とウォール街の親密さを批判してきたのは、トランプ氏だ。自陣営にウォール街セレブを迎えるのは矛盾するようだが、金融界との意外なパイプをうかがわせる効果もある。
勢いで勝ってきた異端の候補は、多様な面を持つ戦術家なのかもしれない。戸惑いつつも察知した市場は、米国第一を掲げる保護貿易主義者が大統領になるリスクを、いつ本格的に織り込みにかかるのか。
UBSは5月4日付のメモで、市場から見た米大統領選の見解を発表。「歴史的に見て株式相場が選挙特有の不確実性で大きな悪影響を受けたことはない」として、顧客に冷静な対応を呼びかけた。
しかし、日本の核武装容認さえ口にする人物が共和党大統領候補になる現実への対処を、経験則だけから導き出すのは難しい。特に情報に制約がある日本の個人投資家などはどうしたらよいのか。
「トランプ大統領誕生に備える投資アイデア」。eワラント証券のチーフ・オペレーティング・オフィサー、土居雅紹氏が個人の意見として自社サイトに書き込んだのは、4月初めだ。
トランプ氏が予備選で過半数を獲得しそうになったら現物株ポジションを手じまい、日米株価指数のプット(売る権利)を買うべき――。個人の顧客に不確実性への備えをゆめゆめ怠らぬよう、警鐘を鳴らす内容だった。
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大統領選の結果がどうであれ、米国は世界の様々な問題を身を低くしてやり過ごす国になる恐れがある。日興アセットマネジメントの神山直樹チーフ・ストラテジストは、こんな分析を示したことがある。
「トランプ大統領」が誕生すれば、市場が対峙するのはなおさら不確実で内向きの米国。もはやそれを、影響は大きいが発生確率は小さい「テール・リスク」とは片づけられない。
[日経新聞5月10日朝刊P.15]
大胆な金融緩和でデフレ打破に挑んできた日銀の黒田東彦総裁の影響力に陰りがみられる。「最も強力な緩和」と自認するマイナス金利政策は市場金利を大きく押し下げた。それでも円高・株安の基調は続き、景気や物価上昇の回復は鈍い。市場の意表をつく緩和策には消費者や企業からの抵抗感も出始めた。強まる逆風を日銀はどう克服していくのか。(編集委員 菅野幹雄)
マイナス金利に誤算
日銀が金融政策の現状維持を決めた4月28日、追加緩和期待の空振りで日経平均株価は600円以上急落した。「マイナス金利の効果は金融面ですでにあらわれている」「必要ならまだまだいくらでもマイナス金利を深掘りできる」と記者会見で強調した黒田総裁。だが「やや覇気を欠いていた」と複数の日銀ウオッチャーが口をそろえる。
たしかに悩ましい展開だ。銀行が日銀にあずける当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を付ける政策の決定は1月29日。市場は驚きをもって反応し、景気の下振れリスクに先手を打つ会心の一手に映った。
だが、実際にはここから日銀は数々の誤算に直面することになる。金融緩和の効果が伝わっていく経路に目詰まりが生じかねないのだ。
1つの誤算は円高・株安だ。本来、大胆な緩和策をとれば円売りの動きを招き、為替は円安に触れやすくなる。円はマイナス金利決定の直後に1ドル=120円台に下げたが、翌週は円高方向に転じ、5月初めには一時105円台に急騰した。
円高が海外展開企業の収益を悪化させる懸念から、1万8000円に迫った日経平均株価も1万6000円台に弱含んだ。
根源のひとつは米欧など海外の要因だ。世界経済の減速や原油安への不安で米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースに減速感が強まった。
みずほ総合研究所の高田創氏は「一極集中のドル高に耐えられなくなった米国は、マイナス金利による円安誘導に反対の意思を示した」とみる。4月29日に米政府の報告書が日本の為替政策を監視対象に据えたのも同じ流れだ。
第2の誤算は金融市場との対話のほころびだ。
4月の金融政策決定会合の数日前から市場では追加緩和の観測で円安・株高が進む「催促相場」の様相になった。日銀は今回の会合では早くから様子見を決め込んだ節があるが、市場の期待感が一方的に高まった。政策変更がないことで失望が一気に広がり、相場は大きく反転した。
「市場に日銀の行動原理が理解されていない」とJPモルガン証券の菅野雅明氏はいう。市場を驚かせるサプライズ緩和を続けてきた日銀だが、説明が不十分だったことが混乱の引き金になったというわけだ。
マイナス金利は市場に株式や投資信託などリスク資産投資を促す政策。市場との対話にヒビが入れば効果は落ちてしまう。
「2年で2%の物価上昇率を実現する」と宣言し、市場や人々の「期待」に強力に働きかけてきた黒田氏。だが、物価目標の達成時期はこの1年で4回も先延ばしした。原油安などの外的要因があるとはいえ、言葉の信頼度は下がっている。
第3に緩和マネーを民間に供給する金融機関との意識のすれ違いだ。
「銀行界にとっての短期的な影響は明らかにネガティブだ」。平野信行三菱UFJフィナンシャル・グループ社長は4月14日の講演で、マイナス金利への批判を公言した。期間の長い金利がより大幅に下がり、金融機関は運用による利ざやを確保しにくくなった。体力勝負が厳しくなる中で、金利を下げても企業や家計が投資に動くのか。そんな業界の本音を代弁した。
1月のマイナス金利導入決定で銀行の現場は大慌てだった。システムがマイナスの金利を想定しない設定で手作業でのデータ入力を迫られた金融機関も数多い。日銀への不満は根強い。
黒田総裁は「金融政策は金融機関のためにやるのではない」と反論する。マイナス金利を取る範囲を限定して銀行収益の悪化に配慮をしたとの自負もあろう。だが日銀と金融機関との協力関係にはすきま風が吹く。
4番目の誤算はより根深い。実体経済を動かす消費者や企業に、マイナス金利への戸惑いが隠せないからだ。
日銀が3月に実施した生活意識に関するアンケート調査で、現在の金利が「低すぎる」と答えた人の割合は65%と3カ月前の調査から13ポイント余り増えた。マイナスにならなくとも預金金利は下がる。年金や保険の利回り低下が意識される流れだ。
「日本は高齢者の割合が高い。借入金利の低下を喜ぶ人よりも不安を感じる人の方が多い」と東短リサーチの加藤出氏は言う。マイナス金利は心理に働きかけ「いずれ物価が上がる」と思ってもらう政策。ところがそれが長引きそうだと思われると、将来を気にして逆に消費心理を冷やしかねない。
市場の動きを映す予想物価上昇率はマイナス金利の導入前より0.5ポイントほど低下した。名目長期金利も0.2ポイント程度下げたが実質金利の引き下げは日銀の思い通りには実現していない。
日本経済の実力である潜在成長率がゼロ近くに低迷するなかで、日銀が孤軍奮闘してもなかなか物価や景気を上向かせるのは難しい。実体経済に効果が及ぶまで「半年も1年もかからない」と断言する黒田総裁だが、言うほど視界は開けていないだろう。
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正念場の6月 総力戦へ
黒田日銀が人々や市場のココロを再びつかめるかどうか、6月は正念場だ。景気や物価に漂うモヤモヤ感がさらに強まれば追加緩和をためらうべきでない。市場や銀行とのほころんだ対話の修復も不可欠だ。政府も日本経済の足腰を強くする改革に真剣に取り組み、日銀の孤立を防がなければならない。試練の克服には総力戦がいる。
日米欧の中央銀行が金融政策を決める会合は1カ月半に1回の頻度で開く。6月はユーロ圏の欧州中央銀行(ECB)が2日、米連邦準備理事会(FRB)が14〜15日、日銀が15〜16日の順番だ。7月下旬にも同じ順で日米欧の政策会合がある。
内外の政治日程も絡む。5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を踏まえ、政府は財政出動や消費税率引き上げについての判断を6月にかけて下す可能性がある。
4月の会合で市場の失望を買った日銀にとって、混乱の再来は是が非でも避けたいところだ。マイナス金利による市場金利や貸出金利の低下が着実に経済を押し上げるか。原油安の一服とともに人々の物価見通しが高まるか。そうした点を見極めたうえで、市場に説明を尽くして誤解を持たれないようにする必要がある。
日銀の政策決定の直前、6月16日未明には米FRBの判断も出る。東短リサーチの加藤出氏は「米国が利上げを見送り、7月以降の利上げにも慎重姿勢を示せば、円高阻止の観点で日銀の緩和圧力は増す」とみる。
追加緩和が必要な場合の手法についての意見は分かれる。日本経済研究センターの岩田一政理事長は「中銀に赤字が生じ財政コストがかかる量的緩和はもう難しい」と、政府の財政出動とマイナス金利拡大の組み合わせを主張する。若田部昌澄早大教授は財政出動で増発した国債を日銀が買い増す「ヘリコプター・マネー」の考え方。「6月に追加緩和と補正予算編成、来春の消費増税の見送りを決める可能性は高い」と指摘する。
緩和の有無にかかわらず、銀行界とのコミュニケーションの改善は急務だ。日銀の取れる手が狭まる中で、政策効果が行き渡る環境作りが問われている。
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中銀トップ、欧米でも受難
悩ましい境遇にあるのは黒田日銀総裁だけではない。金融危機後の市場混乱と戦ってきた主要国の中央銀行トップは受難の時を迎えている。
欧州の市場不安を鎮め「スーパー・マリオ」と称賛されてきたドラギECB総裁はユーロ圏の盟主ドイツで袋だたきに遭っている。矛先はマイナス金利の拡大など度重なる金融緩和策だ。ショイブレ財務相をはじめ有力政治家が相次ぎ不快感を公言している。
中央銀行の独立を重んじる国での異常事態だ。ECBの緩和が低所得者の生活苦を深め、地方選で極右躍進を招いた――そんな批判も。ドラギ氏は「我々は法律に従う。政治家には従わない」と真っ向から反論する。亀裂は決定的だ。
米国では大統領選挙で共和党候補に選出が濃厚なトランプ氏が、2018年に任期が来るイエレンFRB議長の再任を認めない考えを示唆した。慎重に利上げ路線を探る議長にけん制球を投げている。
株価や景気を支える日米欧の大胆な緩和策は「黒田バズーカ」「ドラギ・マジック」などと異名をとったが、魔術は色あせた。世界全体で成長が頭打ち傾向にあるなかで、中央銀行の緩和頼みは限界を迎えている。
[日経新聞5月12日朝刊P.9]
[迫真]震度7 連鎖の衝撃
(1)気象庁の敗北宣言
4月16日午前1時半。中央省庁の危機管理担当者らが入居する東京都心の宿舎で休んでいた気象庁地震津波監視課長の青木元(51)は、緊急参集を告げる携帯電話のけたたましいアラーム音で跳び起きた。
「過去の経験則に当てはまらない地震」に、青木課長は「分からない」と繰り返した(4月16日未明、気象庁)
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14日夜、熊本県で最大震度7を観測したマグニチュード(M)6.5の地震に不眠不休で対応し、ようやく帰宅したばかりだった。
緊急参集の理由は、同じ熊本県で発生したM7.3の大地震だった。エネルギーは14日夜の地震の約16倍。「まさか……」。大急ぎで着替え、気象庁に急行した。
24時間体制で地震や火山を監視する2階の現業室には続々と職員が駆けつけ、分析や資料作成に取りかかった。その間にも、地震発生を告げる「地震処理、起動」という自動音声が頻繁に響く。
14日のM6.5の地震について気象庁は当初、最大規模の本震後に余震が続き、収束していく一般的な「本震―余震型」と考えていた。同庁が余震確率算出に使うマニュアルには「(最初の地震が)M6.4以上なら本震とみる」とある。過去の内陸直下型地震のデータでは、その規模の発生後にそれ以上の地震が起きたことはないからだ。
16日午前3時40分に気象庁1階で始まった記者会見。「本地震が本震、14日からの地震群は前震と考えられる」。紺色の防災服姿の青木が説明を始めた。地震活動は熊本地方だけでなく阿蘇地方、大分県にも広がっていた。これだけの広範囲で同時に地震が活発化するのも前例がない。
「本震を予測できなかったのか」「今後の見通しは」などの矢継ぎ早の質問に、ふだんは笑みを絶やさない青木も険しい表情で「予想はできない」「分からない」などと繰り返すしかなかった。
同じ頃、2度目の震度7に見舞われた熊本県益城町などでは多数の住民が倒壊家屋の下敷きになっていた。14日の揺れで半壊した同町内の自宅に戻っていた男性(84)も妻とともに下敷きに。妻は救出されたが、男性は帰らぬ人となった。
16日夕に避難先から同町に戻った理髪店経営の松岡和幸(57)は、無残に倒壊した自宅兼店舗に絶句した。自宅には父、作松(81)が1人で残っていた。「じいちゃん!」と叫ぶと、自力ではい出した父は放心した様子で近くに座っていた。
「最初より規模の大きい地震が来るなんて、誰も思っていなかった」と松岡は振り返る。地震による直接的な死者は14日の前震の9人に対し、本震では40人に上った。
「過去の経験則に当てはまらない地震」(青木)がはっきりした今、気象庁の口は重い。本震発生前、同庁は「震度6弱以上の余震が起こる可能性は今後3日で20%」と予測したが、その後、熊本地震を巡る余震発生確率は一切公表していない。
気象庁は東日本大震災で、津波の高さの予想が甘かったなどとして批判された。同庁地震予知情報課長の橋本徹夫(56)は「東日本大震災以来、『想定外』がないよう構えてきた。ただ、今の地震学は物理の法則で全て説明がつかず、過去のデータに頼らざるをえない。そこはジレンマでもある」と悔しげに話す。
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気象庁は過去100年以上の膨大な地震データを蓄積しているが、千年、万年単位で動く断層や地震活動に比べれば「たった100年。あまりに少ない」(地震情報企画官の中村浩二、50)。
政府の地震調査委員会委員長で東大地震研究所教授の平田直(61)も「現在の地震学では前震から本震を予測することはできない」と話す。阪神大震災後、地震のリスクを社会に知らせなかったとの批判を受けて発足した同委員会。大地震が起きる度に、その存在意義を問う声さえ上がる。
被災地では今なお1万2千人超が避難生活を続ける。5月6日、青木は取材に「本当は被災者が安心できるような情報を出せればいいが、慎重に考えざるを得ない。今の状態で『安心して帰れます』とは言えない」と無念さをにじませた。震度1以上の地震は1300回を超え、「活発な状態」という気象庁の説明に変わりはない。
(敬称略)
◇
東日本大震災を教訓に強化されたはずの日本の地震防災が、再び「想定外」の事態に直面した。防災を担う関係者の衝撃は大きい。その実相から今後の課題を探る。
[日経新聞5月10日朝刊P.2]
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(2)ここにも活断層が
「ひどいな……」。4月16日朝、研究の拠点である仙台から福岡へ飛び、レンタカーを走らせて現地に向かった東北大学教授の遠田晋次(49)は思わずうなった。視界に壊れた家々が続く。活断層の専門家として数多くの直下型地震の被災地に足を運んできたが、震度7を連発し、震源域が100キロメートル以上に及んだ今回の地震の被害は想像を超えていた。
17日、遠田は熊本県御船町に入った。自ら確かめたいことがあったからだ。「ここにも現れていたか」。目にしたのは畑を横切る不自然な亀裂。地震の規模が大きく、断層が地表に顔を出していた。日奈久(ひなぐ)断層帯と呼ぶ活断層がずれた痕跡だった。
「ずれが大きい。まだ危ないぞ」。背筋が冷たくなった。マグニチュード(M)7.3を記録した16日未明の「本震」は、布田川(ふたがわ)断層帯で起きた。だが御船町の痕跡は、南にあるもう一つの日奈久断層帯も連動した事実を物語っていた。余震域は南にも広がり、また大きな地震が来ることが気がかりだった。
活断層がずれ動くのは1000年から数万年に一度。いつ地震を発生させるかは誰にもわからない。それでも遠田は言う。「大地震を起こした断層が周辺にどう影響するのか。今後、何を警戒すべきか。きちんと知るために現場に入る」
4月19日、名古屋大学教授の鈴木康弘(55)は南阿蘇村で、阿蘇山噴火の堆積物に隠れていた活断層のずれが地上にむき出しになった様子を確認した。本震を起こした布田川断層帯が、従来の想定より北東に長く延びていた。東海大学の学生寮など、南阿蘇村は大きな被害に見舞われた。「活断層がないと安心していた住民がいたとしたら、反省しなければならない。もっと丁寧な説明が必要だった」
「耐震補強や家具の固定に取り組んできた人はどれほどいただろうか」。熊本大学教授の松田博貴(56)は後悔の念が消えない。防災の専門家として、減災をテーマに住民説明会を開いてきたが「伝わっていなかったのかもしれない」。震度7の揺れに襲われた益城町で目撃した被害に、衝撃を受けた。今も心に穴が空いたような感じだ。
「想定外」だった東日本大震災から5年。熊本・大分の地震は、地震学者に再び多くの問いを突きつけた。
(敬称略)
[日経新聞5月11日朝刊P.2]
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(3)防災拠点になるはずが
「防災対策はもっぱら南海トラフ地震への備えだった」。余震が収まらない熊本県庁の災害対策本部で4月下旬、熊本県危機管理防災課長の沼川敦彦(52)は苦渋の表情で振り返った。「備え」とは南海トラフ地震の際に物資を空路で運び、他県を救援すること。「防災拠点になるはずの熊本が2度も震度7の地震に遭うとは」と、被災地を空撮した映像モニターを前に沼川は言葉少なだった。
熊本は九州の中心に位置する。自衛隊の部隊があり、空港は内陸部といった条件から、2015年には国から南海トラフ地震発生時の現地対策本部候補に選ばれた。「九州の安全を守るモン!」。県のキャラクター、くまモンが地元自慢をする県のサイトには被災自治体を支援する熊本の姿が紹介されている。
南海トラフの発生確率は今後30年以内で最大70%。これに対し、熊本で最も確率が高い日奈久断層帯による直下型地震は同16%。沼川は「南海トラフは今後30年の間に起こると予測されていた。活断層による地震の可能性は認識していたが、情報が県民には十分周知されていなかった」と率直に認める。
実際、地元の人にとって記憶に残る大きな地震はない。熊本県益城町の自宅が全壊した兼業農家、河本貢(66)は「断層があるとは聞いていたが、地震が少ない地域だったはずなのに」と肩を落とす。庁舎の一部が損壊した宇土市は最初の地震があった4月14日、庁舎建て替えに関する市民アンケートを発送していた。企画部長の山本桂樹(59)は「直ちに震度7がくるとは思わなかった。特に、東日本大震災後は津波対策にシフトしていた」と悔やむ。
「熊本市の避難者が最大11万人に上ったのは、大地震の連鎖と同時に誤算だった」。熊本市長の大西一史(48)は5月上旬にかけ、記者会見で繰り返し説明した。想定外の出来事は何かと問われたが、市の防災計画では震度7の大地震が襲った場合の最大避難者は5万7千人。実際には最大11万人が避難し、指定避難所に入りきれない人が続出した。大西自身、自宅が損壊、賃貸物件を探す身で、5月初めには体調を崩し激しい咳(せき)に苦しめられた。
被災後、ガスが止まった知事公邸で冷水を浴びて汗を流した蒲島郁夫(69)は痛感する。「想定外を想定し、先手先手で復旧・復興にあたらなければならない」
(敬称略)
[日経新聞5月12日朝刊P.2]
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(4) 覆された経験則
阿蘇山の火口約7キロメートルの山麓に京都大学火山研究センターが建つ。噴火観測の最前線となる拠点を京都大学教授の大倉敬宏(52)が恨めしげに眺める。
4月16日未明、センターを熊本地震が襲った。当直勤務していた大倉はベッドから吹き飛び、地滑りでセンターは観測業務の停止に追い込まれた。
大倉は阿蘇山を監視する気象庁に助言する立場だが、救急隊員に諭されて撤退。「ほぼ100年、大噴火でも観測を続けたのに」と唇をかんだ。今は火口から20キロメートル離れた仮事務所で復旧を急ぐ。
阿蘇山は大丈夫か――。16日、防災科学技術研究所が公開する観測データにアクセスが集中。普段の10倍近い2万人に迫った。火山防災研究部門長、棚田俊収(57)は「これほど注目されるとは思わなかった」と驚く。
気象庁は「変化はない」というが、専門家も火山活動への影響が全くないとは言い切れない。「活断層が阿蘇山まで延びているのではないか」。17日、政府の地震調査委員会で報告を受けた九州大学教授の清水洋(59)は青ざめた。「1〜2年、阿蘇は注意がいる」と警戒する。
火山活動以外にも、熊本地震は東日本大震災後に人々が抱いた不安を呼び覚ました。
最初の震度7から一夜明けた15日朝、原子力規制庁の幹部に官邸から1本の電話が入った。幹部は原子力規制委員らへの連絡に走った。同日午前、官邸での会見で官房長官の菅義偉(67)は「九州の原発について情報が不十分。規制委には迅速に発信してもらう」と語った。
当初、規制庁は「原子力発電所がある市町村の震度が5弱以上で状況を公表」との基準にこだわった。全国で唯一稼働中の九州電力川内原発がある鹿児島県薩摩川内市の最大震度は4。「情報発信は不要」だった。
だが原発への注目の高さと菅の言葉に促され、方針転換を余儀なくされる。規制庁は18日午前、臨時に会合を開き、「地震がゼロでも九州、中国、四国地方の4原発は1日2回状況を伝える」と発表。規制委員長の田中俊一(71)は「率直に反省しなければならない」と陳謝した。
震度7の激震が数々の「経験則」を覆した今、いかに災害に備えるのか。一人一人の心構えが問われている。
(敬称略)
松沢巌、新井重徳、生川暁、伴正春、安倍大資、岩井淳哉、奥山美希が担当しました。
[日経新聞5月13日朝刊P.2]
※関連スレッド
「社民が民進に“合流”打診も…野党の「大合併」は進むのか(日刊ゲンダイ)」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/105.html
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民進合流案、来週にも結論
社民、党内になお異論 支援労組は後押し
社民党が民進党への合流に向けた調整に入った。7月の参院選に単独で臨んでも支持拡大が厳しいとみて、野党結集に応じて事態の打開をはかる狙い。かねて合流に前向きな支援団体の労働組合の意向も働く。社民党内は前身の社会党時代を含めて約70年の歴史に幕をおろすことに異論も根強い。来週にも結論を出す方針だが、意見集約が難航する可能性がある。
合流論の旗振り役は吉田忠智党首だ。12日午前、党本部で開かれた常任幹事会。参院選対応を巡る約1時間の議論の最終盤で、吉田氏は「民進党との合流を選択肢の一つとして考えなければいけない。合流の決断を提起したい」と表明した。
■「統一名簿難しく」 同党は退潮傾向が続いている。党名変更後の1998年の参院選は比例代表で400万票超を得たが、2013年は125万票で1議席。16年の参院選では野党共闘で先細りの状況から脱したい考えは党内共通だ。
又市征治幹事長を中心に、複数の野党が比例代表の統一名簿をつくり連携する構想も進めている。だが、共闘を主導する民進党は参加しない方針を決定済み。12日の常幹で、吉田氏は「統一名簿を追求するが、難しいと考えている」との見解を示した。
安全保障関連法を違憲と指摘した小林節慶大名誉教授が参院選に向けてつくる新たな政治団体への参加についても議論した。選挙準備に必要な期間を確保するため、来週中に参院選対応の結論を出す方針だ。
吉田氏は民進党の岡田克也代表に電話で合流を打診済み。12日、岡田氏との会談について記者団に「条件整備ができれば会うことになる」と述べた。
吉田氏が合流の検討を進めるのは同党を支援する労組の意向もある。官公労系で最大労組の一つ、自治労は国政選挙で旧民主党と社民党を支援してきた。幹部が社民党に対し、旧民主党と維新の党の合流協議に加わるよう促した経緯がある。別の労組関係者は「支援先を一本化すれば体制も整えやすく、集票力が高まる」と話す。
■連合会長が歓迎 自治労を傘下に置く連合は民進党の支持団体。神津里季生会長は日本経済新聞の取材に、合流案を「野党の受け皿を強化することにつながるのであれば望ましい方向だ。歓迎したい」と述べた。
ただ、党内には旧社会党から続く党の歴史へのこだわりも根強い。社民党は12日、合流案について「常任幹事会でそのような提案や決定は行っていない」とのコメントを書面で出した。
一方、民進党は12日の執行役員会で社民党の議論を見守る方針を確認した。民進党には、社民党の村山富市元首相の地元である大分県など九州や四国などで根強い社民党の集票力は魅力的だ。旧民主党時代からの党の基盤が弱い地域と重なるためだ。民進党が軸となる野党再編が次のステージに進むとの期待もある。
ただ、蓮舫代表代行は12日の記者会見で「政策の一致が大前提だ」とクギを刺した。社民党は福島瑞穂氏の党首時代、旧民主党政権で連立を組んだ10年5月、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)を辺野古に移設する日米合意に反対し連立を離脱した。
社民党は環太平洋経済連携協定(TPP)や憲法改正にも明確に反対の立場。民進党には保守系議員を中心に賛成論があり、明確な姿勢を示しにくい事情を抱える。保守系議員には「リベラル勢力が拡大しかねない」との懸念がある。
[日経新聞5月13日朝刊P.4]
今年3月から4月にかけて、日本が保有している高純度のプルトニウムや高濃縮ウランが“取り上げられ”国外に運び出された。
日本は、“西側同盟”の一員として従順に振る舞い、IAEAの厳しい査察も素直に受けてきた。それでも、日本国内には核兵器の原料となる物質は留め置かないというのがUN安保理常任理事国=核兵器保有特例国の政策なのである。
そのような国際情勢のなか、プルトニウム239を生産する仕組みである「六ヶ所村核燃料再処理施設」や高速増殖炉原型炉「もんじゅ」が今後も稼働できると考えるのは夢想である。
オバマ大統領の広島訪問は、原爆の悲劇を利用し、日本のプルトニウム生産の道を閉ざすことが隠れた目的である。
日本は、たんに廃炉の先延ばしでしかない「もんじゅ」の存続表明や小手先の資金確保である「再処理等拠出金法案」を成立させるといった無意味な対応ではなく、F1事故に加え国際政治の現実を直視し、核燃料再処理もできず(仮に技術的に可能でも)高速増殖炉を稼働できない可能性が高い状況で、原子力を利用したエネルギー生産を今後どうするのかという根底的で総体的な議論を行わなければならない。
※関連参照投稿
「政府、もんじゅ存続表明へ 機構に代わる受け皿探しは難航:高速増殖炉を使ってプルトニウムを“消費”するというデタラメな説明」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/669.html
「日本、米国に核爆弾50発分のプルトニウムを返却」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/351.html
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
「岐路に立つ核燃料サイク:日米協定延長手続き:余剰プルトニウム 問題」
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/386.html
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
「オバマ大統領が広島に行ってはならない理由:広島訪問を安保理常任理事国の「核独占」正当化に利用するオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/365.html
※参考資料
「日本のプルトニウム・プログラムは、核拡散防止体制を脅かすとノーベル賞受賞者らが警告」
http://kakujoho.net/npt/ucs_npt.html
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民進会派の5人が棄権 原発関連法
11日の参院本会議で可決された原子力発電所から出る使用済み核燃料に関する再処理等拠出金法の採決で、民進党と統一会派を組む小野次郎氏ら5人が棄権した。いずれも脱原発を掲げていた旧維新の党出身。民進党はこのほかに6人が欠席した。
[日経新聞5月12日朝刊P.4]
※参考資料
使用済燃料の再処理等に係る 制度の見直しについて
平成28年2月 資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/020/pdf/020_006.pdf
「「再処理等拠出金法案」が閣議決定されました」経産省サイト
http://www.meti.go.jp/press/2015/02/20160205001/20160205001.html
【ニューデリー=黒沼勇史】インドのモディ政権が進めてきた兵器の国産化に暗雲が漂ってきた。自国開発の短距離ミサイルをインド軍が今後は購入せず、代わりに外国製を輸入する方針を固めたことが明らかになった。輸入兵器に比べ性能が劣るためで、外資を呼び込んで技術移転を促す政策が壁にぶつかる可能性が出ている。
インド陸軍が追加発注の見合わせを決めたのは、射程25キロメートルの地対空ミサイル「アカッシュ」。国防省幹部は取材に対し「技術・研究面で問題があった」と認めた。代替調達の候補に挙がるイスラエル、ロシア、スウェーデンのミサイルの「発射試験は済んだ」としたうえで、性能について「(イスラエル製ミサイル)『スパイダー』が抜きんでている」と語った。
アカッシュは国防省傘下の防衛研究開発機構(DRDO)が約30年前から開発し陸海空3軍に供給する予定だった。これまでに陸軍が2基、空軍が15基を発注し、総額は2500億ルピー(約4100億円)に上る。陸軍はパキスタンや中国との国境付近に計6基を配備する計画で、残り4基もアカッシュをあてるとみられていた。
関係者によると、陸軍はDRDOに対し、アカッシュを追加で発注しないと通知した。最新の標的追尾装置のない旧式技術であることが敬遠された原因の一つ。イスラエル製なら操作してからミサイルが発射されるまでの所要時間が4〜5秒で済むが、アカッシュは8〜9秒もかかるため、迎撃能力が劣ることも難点と判断された。
別の国防省幹部は、イスラエルとの「契約交渉は今後始まる」と述べた。交渉次第ではアカッシュと同程度まで価格が下がるとの見方も出ている。
国産ミサイルが技術面で劣るのは、開発が10年以上遅れたため。海軍はアカッシュの「安定性の問題」を指摘し、空軍も追加では発注しない公算が大きい。アナリストのラジーブ・シャルマ氏は「DRDOが20年以上かけ開発した戦車も性能が低くて買い手がいない」としDRDOの機能不全を指摘する。
モディ政権は外国の技術を取り込んで軍備の国産化を進めようと、防衛分野で2014年に外資の出資上限を26%から49%に引き上げた。印タタ・グループが米ボーイングと軍用機の製造合弁会社を設けるなど外資進出の動きも出始めている。
ただ今回の措置は「国産品かどうかにかかわらず、性能の面で妥協しないことを示す国防省のメッセージだ」(防衛専門ジャーナリスト)とされる。外資勢には最先端技術の移転に慎重な声も多く、政府の外資誘致が思惑通りには進まない可能性が高まってきた。
ストックホルム国際平和研究所によると、インドの国防費は世界6位で、歳出に占める割合は9%と、中国(6%)や日本(2%)を上回る。武器の輸入額は世界1位で、その負担は財政と国際収支の両面にのしかかる。軍備増強と負担軽減の両立を狙うモディ政権は国産化に期待するが、軍備の過半を輸入に頼る状態は当面続きそうだ。
[日経新聞5月14日朝刊P.6]
原油の値上がり傾向が続いている。米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は13日、1バレル46ドル前後の6カ月ぶり高値圏で推移した。山火事によるカナダの石油施設の操業停止など相次ぐ供給トラブルが相場を下支えする。米国のシェールオイル減産で供給過剰幅が縮小し、強材料に反応しやすくなっている。
「サウジアラビアは予想以上に強気だ」。5月上旬、サウジの国営石油会社、サウジアラムコが6月積み原油のアジア向け調整金の引き上げを通知すると、日本の石油会社や商社から驚きの声が出た。指標原油に加減する調整金は現物の需給を勘案して決める。代表油種の調整金は昨年11月積み以降は割引きだったが、割り増しに転じた。
「クウェートで4月中旬に発生した労働者ストライキの影響が出ている」(石油会社の原油調達担当者)。クウェートでは日量280万バレルの生産量のうち、100万バレル超の生産が一時的に止まった。アジアの原油の余剰感が薄れたのが、調整金の上げにつながったとみられる。
「夏場のガソリン需要増など需給の引き締まりも意識される中、以前よりも供給途絶のインパクトが増している」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミスト)。カナダで発生した山火事やナイジェリアの政情不安など供給面での不安材料が出るたびに先物相場は敏感に反応している。
底流にあるのは米国のシェールオイル減産だ。業績が悪化したシェール企業は資金調達が難しくなり「原油相場が回復しても簡単には増産に動けない」(英石油情報会社、アーガス・メディア日本代表の三田真己氏)。米エネルギー情報局(EIA)によると、米国の生産量は6日時点で日量880万バレルと昨年6月のピークから約80万バレル減った。
「劇的に縮小する」。国際エネルギー機関(IEA)は12日発表した石油月報で、今年前半に日量130万バレルの供給過剰幅は年後半に20万バレルに縮小するとの見通しを示した。英エネルギー調査会社のFGEは中国などのガソリン需要増も背景に、年後半には日量20万バレルの供給不足になると予測する。相場は需給が均衡に向かうとの見方を織り込みつつある。
もっとも上値は重いとの指摘も多い。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、WTIのファンドなどの買い越し幅は3日時点で約32万枚(1枚=1000バレル)と前週比5%減った。買い越し幅は昨年6月以来の高水準に膨らんでおり、利益確定の売りが出やすい状態だ。
長年サウジの石油政策を指揮したヌアイミ石油鉱物資源相が退任したのも不透明要因だ。サウジは価格支持よりシェア重視を鮮明にするとみられているからだ。供給トラブルという一時的な要因がはげ落ちれば、相場は調整色を強める可能性もある。
(田上一平)
[日経新聞5月14日朝刊P.21]
【マニラ=佐竹実】フィリピンの次期大統領に就任するミンダナオ島ダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテ氏は16日に同市内で記者会見し、次期政権の主要閣僚案を発表した。閣僚経験者を置くほか、フィリピン共産党から労働雇用相など4人を迎える。共産党ゲリラを抑え込んで同島の治安を改善させ、投資を呼び込むためとみられるが、海外からは中国寄りとの印象を強めかねない。
ドゥテルテ氏は6月30日の就任に向けて閣僚人事などの準備を本格化しており、会見では労働雇用相、環境天然資源相、農地改革相、社会福祉開発相をフィリピン共産党から起用する案を明らかにした。ドゥテルテ氏は「労働や社会福祉について最も注意深くやってくれるのは彼らだ」と述べた。
フィリピン共産党の入閣は過去にほとんどない。同党の軍事組織で、反政府の共産ゲリラの「新人民軍(NPA)」の活動を抑え込む狙いがあるとみられる。ミンダナオ島で誘拐事件を起こすNPAが活動をやめれば、同島の治安は改善し、投資や開発につながる可能性があるものの、一方で、軍や治安当局の反発が予想されている。
フィリピン共産党は中国と資金面などでのつながりが指摘されており、共産党員の入閣が実現すれば、政権全体としては中国寄りのイメージを持たれるリスクもある。
財務相には、1980年代のコラソン・アキノ政権で農相を務め、地元ダバオ市でホテルチェーンを経営するカルロス・ドミンゲス氏を招く。国防相にも閣僚経験者を充て、自身の国政での経験不足を補う考えだ。
ドゥテルテ氏陣営は、アキノ政権のマクロ経済政策を引き継ぐ考えを示しており、現政権からの入閣も検討されている。
共産党入閣による治安改善、投資誘致という手法はもろ刃の剣だ。フィリピンは高い英語力や人口の増加に裏付けられた労働賃金の安さが着目されて、日本などの製造業の進出が増えている。雇用労働相が最低賃金の上昇を打ち出せば、外資の進出のペースが鈍りかねない。
ドゥテルテ氏は会見で、中国と領有権を争うスカボロー礁(中国名・黄岩島)について「我々の排他的経済水域(EEZ)に属する。なぜ実効支配されているのか」と従来の主張を繰り返した。
[日経新聞5月17日朝刊P.7]
韓国経済研究院院長 権泰信(クォン・テシン)
韓国の主力産業に対する中国の追撃が激しい。飽和状態に達したスマートフォン(スマホ)市場では中国企業中心に再編が進む。世界トップ5のうち3社が中国で発展速度は恐ろしいほどだ。半導体では中国企業の直近1年間の投資額が75兆ウォン(約6兆9千億円)に迫るという。サムスン電子が韓国・平沢に建設している世界最大の工場に投じる額の5倍だ。3〜6倍の年収を提示して人材確保にも熱をあげている。
全般的な技術水準でも中国の躍進は驚くほどだ。国連がまとめた製造業の競争力は、2000年に韓国が12位、中国は23位だったのが、10年は韓国4位、中国7位となった。中国が輸出市場でトップシェアを持つ品目数は07年の1210から13年に1538に増えた。韓国は同じ期間に73から65に減った。
中国の猛追の秘訣は何か。まず攻撃的なM&A(合併・買収)だ。最近では海爾集団(ハイアール)が米ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電部門買収を決めた。中国企業が今年、成功したM&Aの総額は既に昨年1年間の1068億ドル(約11兆6千億円)を超えた。
もうひとつ注目すべきは起業ブームだ。昨年1年間の創業社数は前の年より21.6%増えたという。企業生態系が躍動的なことを意味する。この中から第二の馬雲(ジャック・マー、アリババ集団会長)が出る可能性は高い。13億人の内需市場を持つのも中国企業の強みだ。
韓国が進むべき道も中国の分析から見えてくる。積極的にM&Aに取り組み、相乗効果が期待できる分野の技術とノウハウをいち早く手に入れるよう努めなければならない。ベンチャー企業の育成にも拍車をかけるべきだ。
中国の内需市場もチャンスにできる。現在は中間財中心の輸出構造だが今後は消費財により力を注ぐのがよい。化粧品のアモーレパシフィックが成功しているように、現地の趣向を綿密に分析して戦略を立てるべきだ。
韓国は産業構造改革を加速し比較優位を得られる新たな領域を探す必要もある。それは米国の詩人、フロストのいう「誰も行かなかった道(The road not taken)」かもしれない。
韓中日が東北アジアの産業覇権を巡り競争する様子は山岡荘八が小説に描いた日本の戦国時代のようだ。10年、20年後にはどのような形に落ち着いているだろうか。
[日経新聞5月19日朝刊P.27]
9日閉幕した北朝鮮の朝鮮労働党大会で金正恩(キム・ジョンウン)氏は新設した最高位ポストの党委員長に就き、自らの時代の本格的な幕開けをアピールした。3代世襲の独裁体制を強固にした北朝鮮はどこに向かうのか。記者が党大会取材のため10日間滞在して垣間見た首都平壌の姿から「金王朝」の虚実を探った。
「『最高尊厳』にかかわるものは認められない」。3日午後、平壌入り早々に「国内法」にぶちあたった。平壌国際空港内の荷物検査でスーツケースの中身一つひとつにチェックが入り、正恩氏の写真入り資料などを取り上げられた。食い下がっても容赦ない。同空港を利用した14年前には経験しなかった厳しい“取り締まり”だ。
正恩氏が参加する行事に先立つ「安全検査」もすさまじかった。外国報道陣は開会の約4時間も前に平壌市中心部の人民文化宮殿に集められた。「検閲・取り締まり」の腕章を着けたカーキ色の軍服姿の兵士が、体が痛いほど金属探知機を全身に擦りつけた。みな目つきが鋭く高圧的。会場での安全検査では、何を用心しているのか、壁に向かってデジタルカメラの試写まで要求されるほどの念の入れ用だ。
北朝鮮住民が恐れる体制批判の監視網や検閲の一端を記者自身、肌身で感じた。最高指導者の晴れ舞台を傷つけられないとの緊張感は、北朝鮮のあらゆる層から伝わってきた。
安全検査を受けた3回のうち2回の行事は結局、正恩氏が姿を現さなかった。予定変更の理由を尋ねても当局者は「我々にもわからない」。外国メディアを監視する彼らも軍から同じ検査を受ける。正恩氏どころか党大会の日程や軍部の動向も把握できないようで、体制内部にも秘密主義が徹底していると実感した。
思想教育、幼児から一貫
幼いころからの一貫した思想教育も独裁統治に欠かせないようだ。
「偉大なる首領金日成大元帥様は主体1年、1912年4月15日この家で誕生なされて……」。金正淑平壌製糸工場内の託児所で、金主席が生まれたとされる万景台(マンギョンデ)の模型を前に、幼児たちが生誕時の様子をそらんじていた。
小学校入学時などには制服と靴、靴下、リュックの一式が児童に配られる。青やえんじ色などのしゃれた高層マンションが立ち並ぶ「未来科学者通り」は、科学者と教育者向けに正恩氏が建設を指示した。いずれも「首領様からの贈り物」と教え込まれ、「幼い頃からこの人はよい人だと思うようになり、骨身に染みていく」(平壌に住む20歳代女性)という。
毎週「自己批判の時間」
若い正恩氏が自らの体制支持の中核に据えようと腐心するのが若者世代だ。金日成広場を10万人以上とみられる平壌市民らが埋め尽くした10日の大規模パレードとろうそく集会。金日成総合大学などの大学生らが昼は真っ赤な党旗を手に行進し、夜はろうそくを手に巨大な人文字を暗闇に次々と浮かびあがらせた。
「こんなパレードは共和国(北朝鮮)にしかできない。わが国には当たり前のことだ」。当局者は得意げだったが、表情まで統制されたような若者の姿は異様だ。集団行動は例外を認めない。北朝鮮の学生は毎週土曜日に「生活総括」(自己批判集会)の時間があるという。クラスメートからも批判を浴びる相互監視のシステムだ。
ただ、最高指導者が自分たちのために何かをしてくれるという信頼や期待は市民の間では薄らいでいる、と元労働党幹部の脱北者は話す。国の配給制度は崩壊し、闇市場を拠点に商売で生計を立てる人が増えているのも現実だ。
韓国に入った脱北者が約3万人に達したのは、北朝鮮内の不満の広がりを端的に表す。厳しい監視や統制が張り巡らされたこの国では、違和感を覚えた住民が社会の変化を求めて行動に移すのは至難の業だと感じた。
(平壌で、峯岸博)
[日経新聞5月17日朝刊P.7]
(中)制裁の影響じわり 自給自足で働きづめに
10日午前、平壌の金日成広場の観覧席から記者がひな壇を見上げると、パレードが始まっても金正恩(キム・ジョンウン)委員長が隣の朴奉珠(パク・ボンジュ)首相と真剣な表情で話しこんでいた。朴氏は地方の工場支配人からのたたき上げで経済改革派の象徴だ。
朴氏を5人しかいない党政治局常務委員に抜てきし、党中央軍事委員会委員に就けたのは軍への影響力を強める狙いがみえる。平壌市など3つの重点地域のトップを政治局員候補へ昇進させたのも経済重視の一環だ。核武装とともに「並進路線」の一翼である経済建設が進まない焦りがひな壇から伝わってきた。
12年ぶりの平壌の夜は発光ダイオード(LED)照明の街灯が車道に沿って続き、往来する車のライトも明るさを放っていた。林立する高層マンションの多くの部屋からも明かりがもれる。漆黒の闇に主体思想塔だけが赤くともっていた12年前の光景とは変わった。
派手な党大会や行事を支える裏方は労働者たちだ。朝鮮労働党の号令のもと2月24日から5月2日まで大増産運動「70日戦闘」が展開され、全ての職場で生産拡大やノルマの早期達成などの成果が課せられた。「『70日戦闘』の先頭をひた走り、上半期の目標を超過達成した」。9日に訪れた金正淑平壌製糸工場の責任者は胸を張った。
工場内で黙々と働く女性従業員は疲労の色が濃くにじむ。北朝鮮では工場、職場、個人それぞれに生産・技術別のノルマが設けられ、赤や青の棒グラフで達成度合いが一目でわかるようになっている。市民の一人に話を聞くと、朝7時すぎから夜9〜10時まで70日間一日も休まず働きづめで、「銃声のない戦場」と振り返った。
平壌でよく耳にしたのが「自強力」。正恩氏が新年の辞で言及した言葉を当局者たちはおうむ返しに繰り返していた。自国内の資源や技術、労働力を使って生産し、自国内で消費するとの経済建設の理念だ。当然、コストはかかるが、国際社会からの制裁に対抗するため、北朝鮮指導部は人民に労働強化を迫った。
深刻な外貨不足も実感した。宿泊先の羊角島(ヤンガクド)国際ホテルでは北朝鮮ウォンが使えなかった。米ドルでの支払いが歓迎され、釣り銭が出るのをどの店も嫌った。中国元で戻ってくることが多く、ミネラルウオーターのときもあった。
法外な通信料金には閉口した。持ち込みのパソコンをインターネットに接続すると通信料が猛スピードでかさむ。現地で借りたプリペイド式携帯電話は1枚10ドル(約1100円)で約3分しかもたず、使い切ったカードの束がどんどん膨らんだ。当局者は「制裁を受けているから通信料金も高いんだ」と悪びれる様子もなく語った。
北朝鮮当局は外国メディアに対し、平壌市民の暮らしぶりが以前より上向いているとの姿を見せようとしたが、国際社会の制裁で北朝鮮がじわりと追い込まれているのも感じた。「制裁の狙いは北朝鮮住民の不満を高めること」と訪朝前に韓国政府関係者から聞いていたのを思い出した。
一般住民が生活物資の多くを頼る政府黙認の闇市場「チャンマダン」を取材したいと申し入れた。が、最後まで認められなかった。
(平壌で、峯岸博)
[日経新聞5月18日朝刊P.7]
(下)核・ミサイルに固執 権威付け にじむ不安
平壌に「ミサイル」があふれている。小中学生が技能を磨く課外活動施設の万景台学生少年宮殿に記者が入ると、北朝鮮が「人工衛星」の打ち上げに使ったロケット「銀河3号」の模型がそびえ立っていた。金正淑平壌製糸工場内の託児所の園庭では幼児がロケットを模した乗り物に興じ、平壌を離れる際には空港内のキッズスペースでロケットの絵をみつけた。
いずれもモデルは事実上の長距離弾道ミサイルだ。子どもが集まる施設や場所に多いのが印象的だ。これだけ目にするようになったのは最近になってからだと聞いた。金正恩(キム・ジョンウン)委員長体制が市民に幼い頃から「ロケット」開発の重要性を教え込んでいるように思えた。
朝鮮労働党大会開幕にあたり正恩氏は、1月の「水爆」実験と2月の事実上の長距離ミサイル発射を「民族史に特記すべき大きな出来事」と力説した。経済建設に見るべき成果が打ちだせない以上、核・ミサイルを「並進路線」の業績に据え、独裁体制と権威付けにつなげる狙いなのだろう。
なぜ核にこだわるのか。平壌で何人かの当局者に質問をぶつけると「戦争抑止のためだ。核を捨てれば米国にだまされてイラクやリビアのようになる」と口をそろえた。憲法序文に明記した「社会主義朝鮮」の体制維持は最大の外交目標だ。
同時に、正恩氏は北朝鮮で「科学技術」と呼ぶ核・ミサイル開発で民心の離反を食い止めようとしているとの思いを強くした。平壌の10日間で最も伝わってきたのが「科学技術」への並々ならぬ力の入れようだった。
それは不安の裏返しに映る。北朝鮮では正恩氏の「偶像化」が急ピッチで進む。11日、党大会の記念行事として柳京鄭周永体育館で開いた合同公演。北朝鮮の女性グループ「モランボン楽団」の曲は「我々にはあなたしかいない」などと正恩氏ら最高指導者や労働党をたたえる内容ばかりだ。
フィナーレで舞台の大画面に正恩氏の姿が映しだされると会場は総立ちで割れんばかりの拍手。党が先頭に立って最高指導者への忠誠心をあおっていると感じた。
もっとも30歳代前半で軍の実戦経験もない3代目に祖父のようなカリスマ性は見込めない。正恩氏をあがめる理由を市民に聞くと「金日成主席と金正日総書記を継承している」「風貌も指導力も金日成主席にそっくり」との答えが返ってきた。
正恩氏もわかっているのだろう。開会の辞で36年ぶりの党大会を「金日成・金正日主義党の強化発展の歴史的契機」とし、約14分間で祖父と父の名前に計9回も言及した(うち1回は金正日総書記のみ)。祖父と父の威光になお頼らざるを得ない実情を示し、3代世襲の正統性を最大限アピールしているようにみえた。最終日に発表された指導部人事は大方の予想に反して世代交代が進まず、祖父や父の時代からの重鎮の顔ぶれが並んだ。
韓国の北朝鮮専門家によると、正恩体制下で処刑されたのは約140人。「党や軍部を押さえていても不安感が強い」との分析だ。正恩氏が核・ミサイル開発に突き進むのは、米国の脅威から体制を守るためだけではないようだ。
(平壌で、峯岸博)
[日経新聞5月19日朝刊P.7]
大津地裁が3月、住民の求めに応じ、関西電力に対し高浜原子力発電所3、4号機の運転差し止めを命じたのは衝撃だった。
司法の姿勢に変化があるのか。幾人かの法曹関係者から話を聞いてみた。脱原発か原発推進かを問わず、全員が「変わった」、または「これから変わる」とみていた。「パラダイムシフトだ」とすら言う人もいた。これも正直なところ驚きだった。
大津地裁の決定を受け、原発推進側からは判例を逸脱したとの批判や非難の声があがった。しかし電力会社やその応援団がいまなすべきは、法曹界の意見に注意深く耳を傾けることではないか。
四国電力・伊方原発の設置許可取り消し訴訟での最高裁判決(1992年)が、原発訴訟でよく引き合いに出される判例だ。
判決は行政の裁量を広く認めたものと理解されてきた。原発は複雑な技術なので、安全規制は専門家に委ねることにし、審査の過程に見過ごしがたい過ちがある場合に設置を無効にできるとして、住民側の上告を棄却した。つまり審査プロセスは問うが、基準の中身は問わないという。
ただ判決文を見直すと「審査基準に不合理な点があり、あるいは(中略)看過しがたい過誤、欠落があり」とある。これは基準の中身も問えると読める。そうした読み方はこれまでもあったが、世間で広く知られたのは狭い解釈の方だ。「判例を逸脱」の批判は狭い解釈から生じたものだろう。
これはなぜか。ひとつには「裁判所が伊方の判例を適切に踏まえて、規制基準の合理性を問うことを怠ってきたからだ」と、学習院大学の桜井敬子教授(行政法)は話す。もっとはっきりと、裁判所は「逃げていた」と厳しい言い方をする人もいる。
教科書的な本にもある。原発訴訟に限らない一般論だが「行政に対するコントロールを自制し、司法審査に関して各種の限界理論を形成するなどして裁判審査を消極化してきた」(原田尚彦著「行政法要論」)。
東京電力・福島第1原発事故が流れを変えた。大津地裁の決定は、規制基準に対しても「十二分に余裕を持った内容にすべき」だと真っ向から疑問を投げかけた。
福島事故で、司法が判断を委ねてきた専門家が実は頼りにならないことが露呈した。例えば停電時間。8時間以上の停電はないと専門家は主張していたが、福島第1では外部電源復旧まで10日以上かかった。
津波によって多重の安全システムが同時に損なわれた「共通要因故障」が惨事の引き金だった。「伊方判決のころはこうした事態を十分に想定していなかった」と、一橋大学の高橋滋教授(行政法)は指摘する。
旧原子力安全委員会の班目春樹委員長ら規制関係者も、福島事故以前の基準には足らざるところがあったと認めている。
司法の消極的な姿勢は過去のものだと断言するのは性急に過ぎるが、変化があるとみるのが自然だ。
「危ないものは危ないという裁判官の生の判断が出るようになった」と住民側に立つ弁護士の河合弘之氏は言う。河合氏らは全国で300人を超える弁護士を組織化し、各地で運転差し止め仮処分を申請している。差し止めの判断が今後も繰り返される可能性があり、原発は「司法リスク」に直面している。
河合氏らの動きに対し批判的な見方もある。
仮処分は裁判で最終的に判断が確定する前に、即時に効力を発揮する。高浜3、4号機は運転を止めた。
社会的に大きな影響を及ぼしかねないため「著しい損害が起きる恐れがあったり、急迫の危険が存在したりすることが仮処分の要件だ」と、名古屋大学名誉教授で弁護士の森島昭夫氏は指摘する。仮処分がもたらす利益と不利益の比較考量が必要で、大津地裁の決定は「前のめりだ」とみる。
また伊方訴訟は政府の判断の是非を問う行政訴訟だったが、運転差し止めは民事訴訟だ。原発が生命の安全や健康的な暮らしを脅かすとする。
「規制基準の合理性を問うのであれば、行政を相手にした行政訴訟にすべきであって、民事訴訟は適切な受け皿とはいえない」と高橋教授は言う。
福島事故を風化させないという意味で差し止め申請の連発は効果的であるかもしれない。原発の安全性に対する国民の関心や懐疑を常に喚起できる。
ただそれが原子力をめぐる大きな意見の隔たりを乗り越えるうえで有用だろうか。逆である可能性が大きくはないか。
電力会社には何ができるのか。自然災害などへの備えについて今まで以上に丁寧な説明が要るのは当然。説明の以前に、多く人々が抱く心配に耳を傾ける姿勢が求められる。
九州電力は熊本、大分地方で地震が続くなか、隣県の鹿児島にある川内原発の運転を止めない判断を下した。原子力規制委員会もこれを是認した。
なぜ自信をもってそう判断できるのか。その根拠は。多くの人が知りたがったが、九電も規制委もどれだけ耳を貸しただろうか。
原発の安全性に関し、電力業界は国民と対話する貴重な機会を逸したのかもしれない。
[日経新聞5月16日朝刊P.7]
マイナス金利政策の効果を巡り、日銀と民間で温度差が広がっている。百貨店などの小売業界から今後も効果を期待できないとの声が上がっているほか、メガバンクも効果を疑問視する。日銀は2月の導入から半年以内に効果を発揮するという立場をとっているが、効き目が出ないと、秋前までに追加緩和を迫られる可能性がある。
日銀の黒田東彦総裁は13日の講演で、追加緩和について「効果がはっきりするまで待つことは全くない」と強調した。日銀がマイナス金利政策を始めたのは2月。総裁は4月の金融政策決定会合後の記者会見で「効果の度合いを見極めることが適切」と述べ、市場の多くが織り込んだ追加緩和を見送った経緯がある。はたして「効果」はいつ鮮明になるのか。
内閣府が5月12日発表した4月の景気ウオッチャー調査は、2〜3カ月先の街角景気を示す先行き判断指数が45.5と3カ月連続で低下した。調査は景気に敏感な百貨店の販売員ら2000人を対象にした。日銀は1月に「消費や投資を刺激する」とマイナス金利導入を決めたが、指数はそれから右肩下がりが続く。
一方でマイナス金利には肯定的な評価もある。南関東の物流会社の経営者は「借り入れに対する負担が軽くなり、動きやすくなる」と指摘。四国の住宅販売店が「住宅需要が増えて家具を買ってもらえる」と予想するなど、金利低下でモノの動きが活発になるのを期待する声も一部ある。
ただこうした意見は少数派。目立つのは、効果を疑問視する声だ。近畿の百貨店マネジャーによると「為替や株価が不安定。様子見の雰囲気が広がっている」。南関東の衣料品店も「消費者は節約ムードに慣れており、どんな影響が出るか不透明」と語る。
追加緩和見送りで円高が進んだことを懸念する声も多い。神戸の不動産営業は「円高が続くため景気が良くなるとは思えない」と悲観的。「外国人観光客の伸びが旺盛ではない」(北海道の観光ホテル)などインバウンド消費への影響を心配する意見もある。
メガバンクも負の効果を見込む。みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長は13日の決算会見で「マイナス金利だけで設備投資が目に見える形で増えることはない」と指摘。16年度からの新しい中期経営計画では、3年間はマイナス金利が続く可能性があるという見方を示した。三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長も16日の会見で、最大1000億円の減益要因と明かし「金融市場が不安定ななかで個人の警戒感が増した」と言及した。
黒田総裁は効果を見極めるために追加緩和を見送った4月の会見で「(効果が出るのは)半年も1年もかかることではない」と述べた。逆算すると、マイナス金利は秋前までに効果が表れないと理屈があわない。民間がマイナス金利に厳しい目を向けるなか、6月、7月の日銀の決定会合に注目が集まる。
(馬場燃)
[日経新聞5月17日朝刊P.17]
【ドバイ=久門武史】国家分裂状態にあるリビアの統一を支援するため、欧米など関係国は国連がリビアに科している武器禁輸の緩和への支持を表明した。リビア統一政府が武器を入手できるようにし、同国で台頭する過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)との戦いを後押しする。国内を安定させ、リビアがイラクやシリアに代わるISの拠点になるのを防ぐ狙いだ。
リビア周辺国に加え、米国や旧宗主国のイタリア、ロシア、欧州連合(EU)などの外相らは16日、ウィーンで会合を開いた。リビアのシラージュ暫定首相は会合後の記者会見で「できるだけ早く制裁解除を求める武器のリストを国連に提出する。国際社会に緊急に支援を求める」と強調した。
リビアでは中東の民主化運動「アラブの春」の余波で2011年、40年あまり続いたカダフィ政権が崩壊した。だがその後の民主化は混迷。12年の選挙で発足したイスラム勢力中心の制憲議会は機能不全に陥り、14年に暫定議会選が実施された。リベラル勢力が勝利したが、イスラム勢力は暫定議会を認めていない。
制憲議会は首都トリポリを中心とする西部、暫定議会は東部を拠点に対立。双方は15年12月、国連の仲介を受けて統一政府の樹立で合意したが、それぞれ内部の強硬派が抵抗し、シラージュ氏をいただく統一政府はうまく機能していない。
分裂状態にある国内の混乱と、権力の空隙に乗じて勢力を伸ばしたのがISだ。北中部のシルトを拠点として、首都トリポリで高級ホテルを襲撃するなどテロを重ねている。国連安保理は昨年の報告書で、リビア国内に最大3000人のIS戦闘員がいると指摘した。
地元のイスラム主義者のほか、隣国アルジェリアなどから過激思想に染まった若者が合流しているもようだ。ナイジェリアを拠点とする過激派組織「ボコ・ハラム」がリビアのISと共闘しているとの情報もある。リビアは南部の国境がサハラ砂漠にあり、近隣国との戦闘員の往来は容易だ。
リビアには戦闘や貧困から逃れるため、地中海を渡ってイタリアなど欧州に向かう難民も多い。難民を装ったイスラム過激派の流入に欧州諸国は警戒を強めている。
リビアの安定に向け、米国などは武器供給が有効と判断した。しかし武器がISの手に渡る可能性も排除できず、逆にIS掃討が難航する恐れもある。ケリー米国務長官は会合後の記者会見で「難しいバランスだ」としつつ、「テロと戦う正統な政府が、国連の行動に苦しめられてはならない」と指摘した。
ISは本拠地のイラクとシリアでは、米軍主導の有志連合などの空爆を受けて劣勢に回っている。米国防総省のクック報道官は16日の記者会見で、イラクでISの支配下にあった地域のうち「約45%を奪還した」と語った。こうした状況下で、ISがリビアで勢力の拡大を探る構図となっている。混乱からリビアが立ち直るのは簡単ではない。
[日経新聞5月18日朝刊P.6]
【ワシントン=川合智之】米国防総省は21日、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンの最高指導者マンスール師を標的として、無人機で空爆したと発表した。アフガニスタンの隣国パキスタンのメディアは、同師の死亡を確認したとするアフガン当局者の発言を伝えた。
空爆はオバマ米大統領の承認のもと、アフガンとパキスタンの国境地帯で実施した。国防総省のクック報道官は声明で、マンスール師は首都カブールでのテロ攻撃に関与したほか「アフガニスタン政府との和平交渉の障害となっていた」と指摘した。
タリバンは前最高指導者のオマル師が2013年に死去していたことが昨年判明し、マンスール師が後を継いだ。同師が死亡すれば、停滞していた和平協議の再開に向けて進展する可能性がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H0A_S6A520C1FF8000/?dg=1&nf=1
北朝鮮当局は北朝鮮国内にいる日本人の動静を確実に掌握しているはずだから、「ストックホルム合意」は日朝国交正常化の時間稼ぎのために行われたイベントと考えることができる。
どうしてそんなバカバカしいことまでしなければならないかと言えば、拉致被害者の生死に関わらず北朝鮮側の報告内容をそのまま国内向けに公表することができないからである。
一例として上げれば、拉致ではなく自由意思で北朝鮮に入った人、今なお日本に戻りたくない人がいる可能性が高いからである。これまでの「拉致問題」観を考えれば、そのような内容は公表したくない。
北朝鮮当局が拉致被害者の現状を承知しているのなら、「ストックホルム合意」は、日本側だけが利益を与える義務を定めた片務合意でしかないことになる。
その内容は、
「―日本側
第一に,北朝鮮側と共に,日朝平壌宣言に則って,不幸な過去を清算し,懸案事項を解決し,国交正常化を実現する意思を改めて明らかにし,日朝間の信頼を醸成し関係改善を目指すため,誠実に臨む
第二に,北朝鮮側が包括的調査のために特別調査委員会を立ち上げ,調査を開始する時点で,人的往来の規制措置,送金報告及び携帯輸出届出の金額に関して北朝鮮に対して講じている特別な規制措置,及び人道目的の北朝鮮籍の船 舶の日本への入港禁止措置を解除する」
2年たっても合意を履行しない北朝鮮になお猶予を与え続けようという安倍政権は、ポーズとして制裁!制裁!と叫んでいるだけと言える。
安倍首相は、日朝国交正常化を最大の任務として恥ずかしながら首相に再任された政治家だが、腹が据わっていない安倍首相は、2002年当時とほとんど変わらない壁の前で立ち尽くしている。
メディアや他の政治家がここまで支援しているのだから、安倍首相は、日朝国交正常化=拉致問題解決に向けたシナリオを書き直し、達成後に政治生命を失う覚悟を決めて実行して欲しい。
※参照投稿
「再調査結果報告遅延で北朝鮮に猶予を与える摩訶不思議:根性なしの安倍首相が第一の問題だが、松茸不正輸入事件で事態を正当化」
http://www.asyura2.com/15/senkyo187/msg/835.html
「日朝合意から1年 拉致問題の行方:オバマ大統領になぜかまたも拉致問題解決を約束した安倍首相はヤルしかない」
http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/755.html
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首相、拉致再調査合意「破棄せず」
政府は19日、超党派の国会議員と北朝鮮による日本人拉致問題について協議する政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会を開いた。安倍晋三首相は日本人拉致被害者の再調査に関するストックホルム合意について「破棄する考えはない」と強調した。
[日経新聞5月20日朝刊P.]
※参考資料:外務省
日朝政府間協議(概要)
平成26年5月30日
5月26日から28日まで,スウェーデン・ストックホルムにて開催された日朝政府間協議の概要以下のとおり。(日本側代表:伊原純一アジア大洋州局長,北朝鮮側代表:宋日昊(ソン・イルホ)外務省大使)
今回の日朝政府間協議は,前回の議論の内容を踏まえつつ,双方が関心を有する幅広い諸懸案について,集中的に,真剣かつ率直な議論を行った。(29日に発表した合意文書は別添のとおり。)
その他,北朝鮮側からは,改めて朝鮮総連本部不動産の競売問題に関して強い懸念の表明があり,日本側から現在,裁判所により進められている手続について説明した。
また,日本側からは,北朝鮮による核・ミサイル開発及び地域・朝鮮半島の緊張を高めるような挑発行動について,北朝鮮の自制を求め,日朝平壌宣言や関連国連安保理決議,六者会合共同声明等を遵守するよう求めた。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kp/page4_000494.html
[ストックホルム合意事項]
双方は,日朝平壌宣言に則って,不幸な過去を清算し,懸案事項を解決し,国交正常化を実現するために,真摯に協議を行った。
日本側は,北朝鮮側に対し,1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地,残留日本人,いわゆる日本人配偶者,拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人に関する調査を要請した。
北朝鮮側は,過去北朝鮮側が拉致問題に関して傾けてきた努力を日本側が認めたことを評価し,従来の立場はあるものの,全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施し,最終的に,日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明した。 日本側は,これに応じ,最終的に,現在日本が独自に取っている北朝鮮に対する措置(国連安保理決議に関連して取っている措置は含まれない。)を解除する意思を表明した。
双方が取る行動措置は次のとおりである。
双方は,速やかに,以下のうち具 体的な措置を実行に移すこととし,そのために緊密に協議していくこととなった。
―日本側
第一に,北朝鮮側と共に,日朝平壌宣言に則って,不幸な過去を清算し,懸案事項を解決し,国交正常化を実現する意思を改めて明らかにし,日朝間の信頼を醸成し関係改善を目指すため,誠実に臨むこととした。
第二に,北朝鮮側が包括的調査のために特別調査委員会を立ち上げ,調査を開始する時点で,人的往来の規制措置,送金報告及び携帯輸出届出の金額に関して北朝鮮に対して講じている特別な規制措置,及び人道目的の北朝鮮籍の船 舶の日本への入港禁止措置を解除することとした。
第三に,日本人の遺骨問題については,北朝鮮側が遺族の墓参の実現に協力してきたことを高く評価し,北朝鮮内に残置されている日本人の遺骨及び墓地の処理,また墓参について,北朝鮮側と引き続き協議し,必要な措置を講じることとした。
第四に,北朝鮮側が提起した過去の行方不明者の問題について,引き続き調 査を実施し,北朝鮮側と協議しながら,適切な措置を取ることとした。
第五に,在日朝鮮人の地位に関する問題については,日朝平壌宣言に則って, 誠実に協議することとした。
第六に,包括的かつ全面的な調査の過程において提起される問題を確認するため,北朝鮮側の提起に対して,日本側関係者との面談や関連資料の共有等について,適切な措置を取ることとした。
第七に,人道的見地から,適切な時期に,北朝鮮に対する人道支援を実施することを検討することとした。
―北朝鮮側
第一に,1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地,残留日本人,いわゆる日本人配偶者,拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施することとした。
第二に,調査は一部の調査のみを優先するのではなく,全ての分野について,同時並行的に行うこととした。
第三に,全ての対象に対する調査を具体的かつ真摯に進めるために,特別の権限(全ての機関を対象とした調査を行うことのできる権限。)が付与された特別調査委員会を立ち上げることとした。
第四に,日本人の遺骨及び墓地,残留日本人並びにいわゆる日本人配偶者を始め,日本人に関する調査及び確認の状況を日本側に随時通報し,その過程で発見された遺骨の処理と生存者の帰国を含む去就の問題について日本側と適切に協議することとした。
第五に,拉致問題については,拉致被害者及び行方不明者に対する調査の状況を日本側に随時通報し,調査の過程において日本人の生存者が発見される場合には,その状況を日本側に伝え,帰国させる方向で去就の問題に関して協議し,必要な措置を講じることとした。
第六に,調査の進捗に合わせ,日本側の提起に対し,それを確認できるよう,日本側関係者による北朝鮮滞在,関係者との面談,関係場所の訪問を実現させ, 関連資料を日本側と共有し,適切な措置を取ることとした。
第七に,調査は迅速に進め,その他,調査過程で提起される問題は様々な形式と方法によって引き続き協議し,適切な措置を講じることとした。
福井県は新たな核燃料税条例案の骨子をまとめ、6月の県議会に提出する。廃炉となった原子力発電所にも全国で初めて課税するほか、長期間保管された使用済み核燃料にも課税し県外搬出につなげる。
対象が広がることで関連する税収は2014年度の約60億円から約90億円へ増える見通し。総務相の同意を得て11月施行を目指す。
[日経新聞5月20日朝刊P.4]
訪日外国人(インバウンド)消費の恩恵を受けてきた企業の今期業績は明暗が分かれそうだ。客室稼働率が上昇する帝国ホテルは2ケタの最終増益を見込む。円高や中国政府の税関検査の厳格化で高額品の売れ行きが鈍り、百貨店や時計メーカーは苦戦しそうだ。訪日客数は過去最高ペースが続いているが、消費動向の変化が業績に影響を及ぼし始めた。
政府観光局によると4月の訪日外国人数は208万人と前年同月比18%増え、単月では過去最高を更新した。恩恵が大きいのがホテルだ。帝国ホテルは本館の改装が終わり、今期は全客室が稼働する。外国人を含む客数増で、2017年3月期の連結純利益は前期比11%増の35億円を見込む。
ワシントンホテルを運営する藤田観光は、宿泊者に占める外国人比率が29%と前期に8ポイント高まった。「円高や中国景気鈍化の影響は4月以降も出ていない」という。
家電製品などに比べ単価が安い化粧品も好調だ。資生堂は16年12月期の訪日外国人需要による増収効果を340億円と、従来予想(270億円)に比べて上方修正した。
コーセーは主力ブランドの「雪肌精」などの販売が好調で「何度も購入する顧客が増えている」(小林一俊社長)。化粧品を販売するドラッグストアにも恩恵は広がる。
振るわないのは時計や高級ブランド品など高額品の販売だ。三越伊勢丹ホールディングスとエイチ・ツー・オーリテイリングは今期の免税売上高の伸びをゼロとみる。「円高や中国の税関検査の厳格化の影響で不透明」(H2Oリテイ傘下の阪急阪神百貨店の荒木直也社長)。百貨店大手4社合計の今期の免税売上高は6%増と、前期の2倍から伸びが鈍る。
セイコーホールディングスの中村吉伸社長は「インバウンドの重心が高額品から医薬品や日用品に移り、以前のような爆買いは期待できない」とみる。今期の純利益は100億円と18%減る。
ビックカメラは16年8月期の訪日外国人の客単価が2割程度減る見込みだ。売れ筋が高級炊飯器や時計からドライヤーなどの理美容家電など低価格品に移ったという。
[日経新聞5月20日朝刊P.15]
日本百貨店協会が20日発表した4月の全国百貨店売上高で、これまでけん引役だったインバウンド(訪日外国人)向けの売上高が3年3カ月ぶりに前年同月を下回った。売れ筋がブランド品から単価の安い化粧品に移ったことなどが影響した。
百貨店の免税品売上高は約180億円と前年同月比9.3%減り、2013年1月以来のマイナス。客足は堅調で三越伊勢丹ホールディングスは4月の訪日客が10%強伸びたが「客単価が3割落ちた」(大西洋社長)。
売れ筋変化、中国の関税引き上げに加え、大西社長は「(並行輸入を手掛ける)ブローカーの減少」を指摘する。円高で日本で大量購入しても利益確保が難しくなっている。同協会は今後も前年割れが続くとみている。
免税品を含む全国百貨店売上高全体は3.8%減の約4536億円と2カ月連続で落ち込んだ。
[日経新聞5月21日朝刊P.3]
菅義偉官房長官は20日のインターネット番組で、7月の参院選について「選挙戦はそんなに心配ないと思う」と自信を示した。米大統領選で共和党の候補指名を確実にしたドナルド・トランプ氏に関しては「ある意味くみしやすい人ではないか。大統領になると現実的な政策にならざるを得ない」と述べた。
[日経新聞5月21日朝刊P.4]
日銀は将来の金融緩和の「出口」で保有国債に損失が生じる事態に備え、2015年度に初めて4500億円程度の引当金を積む。これに伴い日銀の利益が目減りし、15年度に政府に納付する金額は大幅に減少する。単年度でみれば量的・質的金融緩和(異次元緩和)のコストが国民に転嫁されることになる。
日銀は来週にも15年度決算を発表する予定で、引当金や納付金も公表する。
日銀は異次元緩和による購入で膨らんだ国債の利息収入の一部を引当金に積める制度を15年度につくった。黒田東彦総裁は物価目標の達成が難しくなれば追加金融緩和を辞さない考えを示しているが、新たな引当金は異次元緩和の出口を見据えた布石だ。
日銀が持つ国債は3月末で349兆円と3年間で2.8倍に急増した。デフレ脱却が確実になり日銀の金融緩和が出口を迎えれば、現在はマイナス圏に沈む長期金利が上昇(債券価格は下落)することは確実。日銀が保有する大量の国債も値下がりし損失が大きく膨らみかねない。日銀の試算では長期金利が1%上がると保有する国債の時価は21兆円減る。
引き当ての原資には国債の利息収入を充てる。大量に国債を買い続けているため、15年度の利息収入は1兆3千億円程度と14年度より3割ほど増えたもようだ。4500億円程度を引当金とし、自己資本に算入する。将来収益が悪化した際には引当金を取り崩し、赤字に陥ることを避ける。
日銀は企業の最終利益にあたる剰余金から毎年政府に納付金を支払っている。15年度は4500億円規模の引当金を積むため、その分だけ利益が目減りすることになる。円高の影響で外貨建て資産の評価額が減ることも利益を圧迫する要因になる。15年度の納付金は4000億円前後にとどまる可能性が高く、14年度(7567億円)を大きく下回る。
納付金が5000億円を下回れば、10年度以来、5年ぶりの少なさになる。日銀は「引当金は収益の振れをならすもので、長い目で見た納付金の総額は変わらない」(幹部)としている。
しかし、単年度でみれば納付金の減少は国民負担が増えることを意味する。日銀の異次元緩和によって景気や物価が支えられている面がある一方で、国民には負担が回っている形だ。
日銀の国庫納付金とは
▼日銀の国庫納付金 日銀は企業の最終利益にあたる剰余金の大半を政府に納め、一般会計の歳入となっている。原則として剰余金の95%を政府に納めている。2014年度は財務基盤強化のために麻生太郎財務相の認可を得た上で75%に下げていたが、15年度は引当金制度ができたため95%を納める方向だ。
[日経新聞5月21日朝刊P.]
最長60年までの運転延長を目指す関西電力美浜原子力発電所3号機(福井県)が今夏にも原子力規制委員会の安全審査に合格する見通しとなった。合格すれば運転開始から40年前後の老朽原発では4月の関電高浜1、2号機(同)に次ぎ2例目。ただ再稼働には機器の健全性を確認する審査などが残り、11月末の期限までに通過できるかは現時点では不透明だ。
規制委は20日に開いた安全審査の会合で、美浜3号機の敷地を襲う地震の揺れの大きさや津波想定などを最終確認した。設備の耐震性の評価方法など大きな論点も既に確認済みで、安全対策の基本方針に関わる主な審査項目の議論を終えた。
関電は近く、審査の議論を踏まえた安全対策の書類を提出する。規制委は安全審査の事実上の合格証にあたる「審査書案」をまとめる。正式に合格すれば九州電力川内1、2号機(鹿児島県)などに次ぐ4原発8基目となる。
東京電力福島第1原発事故後の原子炉等規制法の改正で、原発の運転期間は原則40年となった。ただ、規制委が認めれば最長60年まで延ばせる。
美浜3号機が再稼働するには11月末までに、安全審査に加えて設備の詳細設計を記す「工事計画」の確認や機器が延長に耐えられることを示す別の審査にも合格する必要がある。
[日経新聞5月21日朝刊P.5]
「日本のプルトニウム・プログラムは、核拡散防止体制を脅かすとノーベル賞受賞者らが警告」
http://kakujoho.net/npt/ucs_npt.html
「日本、米国に核爆弾50発分のプルトニウムを返却」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/351.html
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
「岐路に立つ核燃料サイク:日米協定延長手続き:余剰プルトニウム 問題」
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/386.html
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もんじゅ受け皿示せず 有識者会合が報告書案
原子力規制委員会から運営見直し勧告を受けた高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)の問題を議論する文部科学省の有識者会合は20日、報告書案を固めた。もんじゅの存続を前提に外部の専門家が過半数を占める運営形態の実現などを求めたが、具体的な運営主体には言及しなかった。規制委が求める抜本的な見直しからほど遠い内容となった。
有識者会合は月内にも最終的に報告書をまとめ、文科省に提出する。同省は関係省庁と協議しながら、具体的な運営主体を示すための作業を進め、夏をめどに規制委に回答する。規制委が納得する内容を示せるかが今後の焦点となる。
報告書案は、機器の点検漏れが相次いだもんじゅの運転再開に向けた体制を検討できる「最後の機会」と指摘。新運営主体の条件として、国立大学法人が設置する経営協議会などを参考に、産業界や学界、法曹界など原子力以外の専門家が経営に参画するよう求めた。
保守管理部門の強化も挙げた。他の原子力施設で経験を積んだ外部人材を管理職として配置し、ノウハウを職員が習得できる体制にすることなどを求めた。
ただ原子力発電所を持つ電力会社も、特殊な炉であるもんじゅの支援には慎重姿勢だ。電気事業連合会の八木誠会長は同日の記者会見で、技術的な知見がないことなどを理由に「電力会社が実施主体を引き受けることは難しい」との考えを示した。産業界から人材供給などで協力が得られるかも不透明だ。
[日経新聞5月21日朝刊P.5]
【ソチ(ロシア南部)=古川英治】ロシアのプーチン大統領は20日、東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳らと南部ソチで首脳会議を開いた。会議後、協力方針を盛り込んだ共同宣言と行動計画を発表し、「戦略的パートナーシップを目指すことで合意した」と表明した。米中が覇権を競うアジアで「大国」ぶりを演出し、存在感を示す狙い。テロ対策や武器輸出をテコに取り込みを図る。
ロシアでASEANとの首脳会議を開くのは初めて。ASEANからはフィリピンを除く9カ国の首脳が出席した。19日から2日間開いた。
プーチン氏は会議後の記者会見で、各国共通の課題としてテロ対策を挙げ、「軍事技術協力を進める」と発言、武器輸出を拡大する方針を示した。今回の首脳会議に合わせて国防相会議を初めて開催、行動計画には対テロ情報の交換を推進することも盛り込んだ。
共同宣言ではASEANの一部加盟国と中国が領有権を争う南シナ海の問題にも言及し、「行動規範」の早期採択を支持すると表明した。ロシアが米中とともに参加する東アジア首脳会議を軸にアジアの安全保障問題の協議を進めるとした。
南シナ海問題でロシアは中立的な立場を維持している。ロシア政府関係者は中国から同問題で支持するよう求められていると明かしたうえで「ベトナムなどとの良好な関係にも配慮しなければならない」と指摘した。
南シナ海を巡る中国との緊張を受け、軍備強化に動くASEAN諸国は、ロシアにとって「有力な武器市場」に浮上している。ロシアの武器輸出に占めるASEANの割合は2010年の6%から15年は15%に高まった。プーチン氏は原子力発電所の輸出にも期待を示した。
会議でロシア側は自らが主導するユーラシア経済連合とASEANの間で自由貿易協定(FTA)を締結することを提案。共同宣言には検討事項として盛り込まれた。
ロシアはユーラシア経済連合やアジアインフラ投資銀行、中ロと中央アジア諸国で構成する上海協力機構(SCO)の代表も招き、ASEANに連携を呼びかけた。米主導で進む環太平洋経済連携協定(TPP)などの動きに取り残されることを警戒しており、経済統合の枠組みでASEANを取り込む思惑と見られる。
ウクライナへの軍事介入を巡り欧米と対立が続くなか、ロシアは政治、経済両面で中国への依存を強めている。対アジア外交を広げ、バランスを取る必要にも迫られている。エネルギー交渉などで中国に主導権を握られる展開が続き、外交面でも「中国の格下のパートナー」になることを懸念している。
プーチン氏は会見で、日本に関連して出された「(北方)領土を売り渡すのか」との質問に対し、「経済協力と平和条約交渉を結びつけていない」と言明した。「日本は重要なパートナーだ」とも指摘し、対話を通じて関係を発展させる意向を示した。
[日経新聞5月21日朝刊P.6]
アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンの最高指導者マンスール師について、オバマ大統領はアメリカ軍の空爆で死亡したことを確認し、和平に応じるようタリバンに呼びかけました。
タリバンの最高指導者マンスール師は、アフガニスタンとの国境近くのパキスタン南西部を車で移動中にアメリカ軍の空爆を受け、アフガニスタン政府はマンスール師が死亡したと発表しました。
これについて23日、アメリカのオバマ大統領は声明を発表し、「アメリカ軍などに攻撃を仕掛け続けてきた組織のリーダーを取り除いた」としてマンスール師の死亡を確認したうえで、「アフガニスタンの平和と繁栄に向け、重要な節目だ」と強調しました。
そして、「タリバンは長い紛争を終わらせるための唯一の道を追求する機会をつかむべきだ」として、和平に応じるよう呼びかけました。
マンスール師は去年7月、前の最高指導者オマル師の死亡を受けて後継者になってから各地で軍や治安部隊を襲撃し、アフガニスタンやアメリカの政府からの和平の呼びかけに応じていませんでした。
アメリカ政府としては、マンスール師の死亡をきっかけにアフガニスタンで和平を実現させたい考えですが、最高指導者を殺害されたタリバンが反発し、攻勢を強めることも予想されます。
ドイツの大手医薬品メーカー、バイエルは、遺伝子組み換え種子の製造・販売で世界最大手のアメリカのメーカーに対し、日本円にしておよそ6兆8000億円で買収するという提案を行ったと発表しました。
ドイツの大手医薬品メーカー、バイエルが23日に発表したところによりますと、バイエルは、遺伝子組み換え種子の製造・販売で世界最大手、アメリカのモンサントに対し、すべての株式をおよそ620億ドル(およそ6兆8000億円)で買収するという提案を行ったということです。
バイエルは、今回の買収によって、モンサントが持つ遺伝子組み換えなどの最先端の技術を取り込むねらいがあり、買収の3年後には1600億円を超える利益の押し上げが期待できるとしています。
買収が実現すれば、農薬や種子の分野で、世界最大のメーカーが誕生する見通しで、この提案に対し、モンサントがどう対応するかが焦点となります。
世界の農薬・種子メーカーは、穀物価格の低迷の長期化を背景に経営環境が厳しさを増していて、去年12月にアメリカの大手、ダウ・ケミカルとデュポンが合併することで合意したほか、ことし2月には、中国国有の化学メーカーがスイスの大手農薬メーカーを買収することで合意するなど、大がかりな再編が相次いでいます。
アメリカのオバマ大統領はベトナムでクアン国家主席と会談して、ベトナムへの武器の輸出を禁止する措置を全面的に解除する考えを表明し、南シナ海で海洋進出を強める中国をけん制するねらいがあるとみられます。
ベトナムを初めて訪問したオバマ大統領は23日、首都ハノイでクアン国家主席と会談しました。
終了後に共同記者会見に臨んだオバマ大統領は「われわれは引き続き防衛協力を深めることで合意した」と述べ、ベトナムへの武器の輸出を禁止する措置を全面的に解除する考えを表明しました。
これに対し、クアン国家主席も「両国の関係の完全な正常化に向けた動きだ」と述べて歓迎しました。
また、オバマ大統領は、ベトナムが中国と領有権を争う南シナ海の問題について「国際法に基づいて平和的に解決されるべきだ」と述べ、航行の自由を守る姿勢を強調しました。
一方、会談では、両国がTPP=環太平洋パートナーシップ協定の早期発効を目指す方針も確認しました。
アメリカ政府は、ベトナムの人権問題を理由に1984年以降、武器の輸出を正式に禁止してきましたが、この措置の全面解除に踏み切った結果、かつて戦火を交えた両国の関係が一段と強まることになります。オバマ大統領としては、南シナ海の問題を念頭にベトナムとの協力を強化することで、海洋進出を強める中国をけん制するねらいがあるとみられます。
社債利回りはマイナスにならない――。市場関係者の間で暗黙の了解だった「ゼロ金利の壁」が崩れようとしている。市場にマイナス利回りでの購入をいとわない投資家が登場したからだ。その投資家とは、ドルを円に換える取引と組み合わせて利益を狙う海外勢と、待機資金を減らしたい投資信託。需給要因でマイナス圏突入が現実味を帯び、社債市場は新たな局面を迎えた。
「国債に続き、財投機関債など公共債でもマイナス利回りの取引が出始めた」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井光太クレジット市場部長はこう話す。国債を除く一般債の利回りはマイナス金利導入後もゼロ以上に踏みとどまっていた。だが、ここにきて残存年数の短い政府保証債や財投機関債の一部がマイナス圏に入ってきた。
マイナス利回りの買い手としてまず名前が挙がるのは海外勢だ。発行市場でも強い買い意欲が確認されている。
13日に2年物の政保債の発行条件を決めた預金保険機構。入札による応募者利回りはマイナス0.125%と、日銀が当座預金の一部に課す利率よりマイナス幅が大きい。起債規模も1200億円に達し、市場関係者の間では驚きが広がった。買い手の多くは海外投資家とみられている。
実は海外投資家は、デリバティブ取引を通じてマイナス利回りを「プラス」に転換できる。彼らは手持ちのドルを円に交換して円債に投資する。市場では慢性的なドル不足でドルを欲しがる投資家が多く、海外勢はドルを円に換える際に上乗せ金利(プレミアム)を手にできる。日米の短期金利差による影響も加味すると上乗せ幅は約1.5%。少々のマイナス利回りで円債を買っても十分利益が出るわけだ。
国内の投信もマイナス利回りの買い手として存在感を示している。投信は解約などに備えて信託銀行に資金を預けるが、4月中旬から預け金に手数料がかかるようになった。社債の利回りがマイナスでも、信託銀に支払う手数料より小さいなら、社債を買う動機が生まれる。事実、政保債や財投機関債の取引では運用目的ではなく、手持ちの現金を減らすための買いがみられるという。
国債に比べ信用リスクの高い社債は、日銀による買い入れを除き、ゼロ以下で売買されないとみられてきた。ところが、新たな買い手の登場でマイナス金利の波が近くまで押し寄せている。
みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストは「海外勢からは鉄道や通信会社の社債に関する問い合わせが増えてきた。高格付け社債のマイナス化はありうる」と話す。生命保険会社など運用難の国内投資家は、いっそう厳しい立場に追い込まれそうだ。
(宮本岳則)
[日経新聞5月21日朝刊P.17]
「【イラク情勢】反フセイン派 Vs. フセイン派を軸にイラク・スンニ派の動向を考える」
http://www.asyura2.com/0401/dispute16/msg/978.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 4 月 08 日 03:38:09:Mo7ApAlflbQ6s
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イラク軍 IS支配のファルージャ奪還へ攻勢[NHK]
5月23日 21時22分
イラクの政府軍は、過激派組織IS=イスラミックステートが支配する中部の都市ファルージャの奪還に向けた軍事作戦を開始し、周辺の一部地域を制圧するなど地上部隊が空爆と連動して、ISに対する激しい攻撃を続けているもようです。
イラク政府軍は23日、首都バグダッドから西におよそ50キロ離れた過激派組織ISが支配する都市、ファルージャの奪還に向けて本格的な軍事作戦を開始しました。
地上戦にはイスラム教シーア派の民兵や、地元のスンニ派のグループなども加わっていて、現地のメディアは、ファルージャの東の地域を制圧したあと、中心部に向けて部隊を進めていると伝えています。また、ファルージャの中心部から南に2キロほど離れた工業地帯など数か所で、政府軍とISが激しい戦闘を続けているということです。
アバディ首相は現地の作戦本部に詰めて指揮に当たっており、空爆と連動する形で地上部隊を複数の地点からファルージャ中心部に向けて一気に投入することで、短期間での制圧をねらっているものとみられます。
政府軍は今回の軍事作戦に先立って、住民に対し誤って攻撃の対象とならないよう住宅の屋上に白い旗を掲げたり、避難の際に白い服を身につけたりするよう指示しています。
しかし、ISの戦闘員が住民に紛れたり、住民に対しいわゆる「人間の盾」となることを強制したりするおそれもあり、人口が密集するファルージャ中心部では、より慎重な作戦が求められることになります。
日本は長年、経済協力をテコに、ロシアとの北方領土交渉を動かそうとしてきた。だが、いまだに領土が戻る兆しはない。
ならば、やり方をがらりと変えるしかない。安倍晋三首相はこう確信し、プーチン・ロシア大統領に「新しいアプローチ」にかじを切る決意を伝え、合意を取りつけた。
安倍氏周辺によると、これが5月6日、ロシアの保養地ソチで約3時間におよんだ首脳会談の本質だ。
では、新しいアプローチとは何か。これは主に、安倍氏とプーチン氏が2人だけで会った35分間に話された。領土交渉の核心にかかわる極秘であり、両政府は一切、やり取りを公表していない。
複数の関係者によると、その輪郭はこうだ。
アジアの地政学図をながめると、日ロは安全保障上、協力できる余地が多い。まずはそうした協力を動かし、信頼を築いていく。そのうえで両首脳のトップダウンにより、領土問題を一気に決着させる――。
日本はこれまで、まず領土問題を打開し、関係を前進させるとの発想だった。この順序を逆さまにして、まず大きな戦略で手を握り、“良き隣人”になってから、一緒に領土問題に対処しようというわけだ。
安倍氏がこの路線を決断したのは、強大な中国に向き合うには対ロ関係の安定が急務だと信じるからだ。周辺はこう明かす。
「彼は領土問題の解決に熱意を傾けているが、『返還実現』だけが目的なわけではない。いちばんの狙いは日ロの距離を縮めて、外交の選択肢を広げ、中国台頭に対応できる足場を固めることにある」
これはプーチン氏にも悪い話ではない。ロシアは国内総生産(GDP)で中国の5分の1以下、人口では約10分の1に落ち込んだ。膨張する中国に内心、脅威を感じている。
安倍氏がどこまで領土交渉で譲るつもりなのか、プーチン氏は真剣に見極めようとしている。
内情に通じた日ロ関係筋によると、ソチでの会談に先立ち、彼は3時間半のブリーフを2回、ラブロフ外相から受けたという。6日の首脳会談の途中で、安倍氏がプーチン氏と2人だけで話したいと持ちかけたとき、ラブロフ氏も同席しようとしたが、プーチン氏はあえて退けた。
プーチン氏はさらに、ロシア極東での9月の再会談を提案した。次は自分が訪日する番なのに訪ロを促したのにも、ひそかな思惑がある。同関係筋は語る。
「彼はもう一度、安倍氏と2人だけで話し、本気度を見定めたいと考えている。盗聴器が仕掛けられかねない日本では、本音の話ができない。ロシアならその心配はないうえ、会話をそっと録音できる」
両首脳の歯車がかみ合えば、プーチン氏は12月にも来日し、交渉が動きだす。だが、リスクもかなり大きい。彼の本音は歯舞、色丹の2島返還決着にあるようにみえるからだ。そこには安保上の事情も絡む。
南を上にした地図をみていただきたい。ロシア軍は米核戦力に対抗する切り札として、オホーツク海に核ミサイル搭載型の原子力潜水艦を置いている。
それらが太平洋に出るうえで「北方領土はとても大切な通り道だ」(ロシアの軍事専門家)。米ロの対立が深まれば、北方領土の重要性はもっと高まる。
虎穴に入らずんば、虎児を得ず。この成句にたとえれば、安倍氏はプーチン氏の虎穴に踏み込もうとしている。相手はスパイ機関の元トップだ。一筋縄でいく相手ではないことだけは、分かっている。
(編集委員 秋田浩之)
[日経新聞5月22日朝刊P.2]
(上)8年の対中融和 転換 東アジアの安定に影
台湾で20日発足した民主進歩党(民進党)の蔡英文政権は中台関係の「現状維持」を掲げ、不振にあえぐ経済の再生を重視する。対する中国は民進党の理念「台湾独立」を警戒する。過去8年、親中的な国民党政権で続いた台湾海峡の「なぎ」は終わった。台湾の政権交代で生じる中台関係の変化は、東アジア全体に波及する可能性がある。(1面参照)
■政権への示威行動 「歩兵、砲兵など10種類の兵を組み合わせ、鉄の拳をつくり上げる」。中国人民解放軍の機関紙・解放軍報は17日、台湾対岸の福建省アモイに本拠を置く「第31集団軍」の上陸演習を写真付きで報じた。中国国防省は「演習に特定の目標はない」というが、蔡政権への示威行動なのは明らかだ。
「いかなる形の台湾独立の動きも断固阻止する」。習近平国家主席がこう語った3月5日以降、中国はかつて台湾を外交承認していたガンビアと国交を結ぶなど、蔡政権が発足する前から圧力をかけ続けた。
一方の蔡総統は中国を刺激しないよう配慮をにじませる。20日の就任演説では「両岸(中台)の政権は歴史の重荷を下ろそう」と呼びかけ、対話による現実路線を探る。
だが、蔡政権誕生の原動力は、8年にわたる馬英九・前政権の対中傾斜を疑問視する有権者の支持だ。自らを中国人ではなく台湾人と疑わない「天然独(生まれながらの独立派)」という若者層の発言力も強まった。
蔡氏も演説で、中国が求める「一つの中国」の原則には最後まで触れなかった。「大陸(中国)からの圧力に反発し、独立色を帯びた発言や行動が増える恐れがある」(台湾師範大学の范世平教授)というように、中台関係に働く遠心力の源には台湾の民意がある。
中台関係の変化は、中国が軍事拠点化を進める南シナ海の領有権問題にも影を落とす。
「太平島は岩ではなく島だ」。台湾の「中華民国国際法学会」は3月、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に意見書を提出した。太平島は南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島にあり、台湾当局が実効支配する。フィリピンが中国を相手に申し立てた国際仲裁手続きに絡み、馬前政権が台湾の立場を主張した。
仲裁を無視する構えの中国はこれまで、「一つの中国」の原則に基づく馬前政権との蜜月関係から、台湾の動きを黙認してきた。しかし、蔡総統はこれまで「争いは国際法に基づいて処理すべきだ」と述べており、中国に不利な仲裁の受け入れも示唆する。中台の「共同歩調」が崩れ、南シナ海問題がより複雑になる恐れがある。
■「現状維持」でも落差 台湾が中国から離れ、米国や日本と安全保障や経済で接近すればいいという単純な未来図も描きにくい。民進党が初めて政権に就いた00〜08年、当時の陳水扁総統は中国が「将来の台湾独立につながる」と非難した住民投票を強行。中国との対立が深まり、地域の不安定化を懸念する米国との関係もぎくしゃくした。
米国防総省は13日、「台湾独立を支持しない」と表明し、蔡氏に地域の緊張を高めないようくぎを刺した。中台関係が冷えれば、日本と台湾の接近に中国が反発し、日中間の摩擦がまたひとつ増える恐れもある。
たとえ蔡政権が「現状維持」を訴えても、対中融和にまい進した過去8年との落差は大きい。蔡氏が望むと望まないとにかかわらず、それが地域の安定に新たなスキを生む恐れをはらんでいる。
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蔡総統どんな人? 縁故なし、清新さに若者支持
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領をはじめアジアの女性リーダーは政界有力者との血縁など「縁故」がある人物が多い。蔡英文氏は台北市の裕福な家庭に育ったが、両親は本省人(戦前からの台湾住民とその子孫)で政治的な背景はない。清新な印象は若者らの支持を集める。
1978年に台湾で最難関とされる台湾大学法学部を卒業、84年に英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで法学博士号を取得した。08〜12年と、14年から現在まで民進党主席を務める。「民進党のイメージを変えた」(台湾の研究者)とされる。民進党は過去の国民党の独裁体制に対し民主化運動を繰り広げた人々の集まり。「口はうまいが荒っぽい」(同)のが特徴だが、内向的と評される蔡氏に将来を託す選択をした。59歳、独身。2匹の猫と暮らす。愛称は「小英(英ちゃん)」。
(台北=伊原健作)
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蔡総統の演説要旨
台湾の蔡英文総統による20日の就任演説の要旨は次の通り。
《中台関係》 両岸(中台)の窓口機関は1992年、相互理解に加え、相違点を脇に置いて共通点を模索する考えに基づいて協議を進め、若干の共通認識に達した。この歴史的事実を尊重する。
両岸はその後20年以上にわたる交流で築いた成果を共同で守り、関係の平和的な発展を推進しなければならない。新政府は中華民国憲法などに依拠して両岸の事務を処理する。両岸の2つの政権党は歴史の重荷を下ろし、対話を深めるべきだ。
《領土問題》 私には総統として中華民国の主権と領土を守る責任がある。東シナ海と南シナ海を巡る争いは棚上げし、共同で開発を進める。
《経済政策》 我々は台湾の経済構造を抜本的に改革する必要がある。新産業の育成などで持続的な発展が可能な経済モデルを構築し、活力と自主性を強化する。環太平洋経済連携協定(TPP)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を含め、積極的に世界や地域での経済連携を推し進める。単一の市場に依存する状況からは決別しなければならない。
(台北=伊原健作)
[日経新聞5月21日朝刊P.7]
(下)長引く経済不振 選挙の追い風、足かせに
台湾北東部の宜蘭市。中心部から5キロほど南に行くと、「宜蘭科学園区」という真新しい看板が目に入る。約71ヘクタールの敷地に建物は3棟しか見えず、野鳥のさえずりが響く。散歩に訪れたエンジニアの男性(61)は「開発が遅すぎる。会社も人材もみんな大陸(中国)に行ってしまう」とこぼす。
通信分野などの先端研究開発拠点として整備が始まったのは2005年。国民党の馬英九・前総統が08年に国家計画事業に位置づけたが、企業誘致や環境対策が難航し、10年以上もたなざらしとなった。「蚊子園区(蚊が飛び交う産業パーク)」と皮肉られるこの地は、台湾経済の停滞を映す。
■「四小龍」の最下位 先端のIT(情報技術)を輸入し、高成長を実現する。かつて「キャッチアップ型」の成長モデルの典型とされた台湾は、韓国、シンガポール、香港と並ぶ「アジアの四小龍」と呼ばれた。ところが16年1〜3月期の実質域内総生産(GDP)は前年同期比0.84%減と、3四半期連続のマイナス成長に陥った。
人件費の上昇に加え、輸出の4割近くを占める中国の需要が鈍った。技術力を高めた中国勢との競合も激しい。「台湾は自前の技術や製品の付加価値を高めるという課題を克服できなかった」(九州産業大学の朝元照雄教授)。同様の課題を抱えるライバル・韓国にも水をあけられ、「四小龍」のなかで最も低い経済成長に沈んでいる。
20日就任した民主進歩党(民進党)の蔡英文総統にとって、経済の不振は8年ぶりに政権に返り咲くうえで強力な「追い風」だった。馬前総統は中国と接近すれば経済は「馬上好(すぐによくなる)」と唱えたが、実質賃金は10年前に比べて2%減った。投資資金は低成長の事業を避けて不動産市場ばかりに流入し、マンションなど住宅価格の急上昇で貧富の差はかえって広がった。
暮らしに期待が持てず、弱った経済は大陸にからめ取られていく――。蔡氏が選挙戦で掲げた「点亮台湾(台湾に灯をともそう)」という標語は、住民の怒りと危機感をくみ取り、1月の総統選での大勝利をもたらした。
しかし、蔡氏が総統に就いたいま、経済不振という現実は「追い風」から「足かせ」に転じる。
蔡氏は20日の就任演説の大部分を経済問題に費やし、環太平洋経済連携協定(TPP)への加入などで「台湾経済の新モデルをめざす」と訴えた。バイオやモノのインターネット「IoT」などを五大分野と位置づけ、当局主導で開発を加速する方針も示している。
■脱・中国依存の道険しく ただ、新産業の育成には時間がかかる。脱・中国依存の切り札と位置づけるTPP加入には、米国産豚肉の輸入解禁に対する地元農家の抵抗が強い。実際に参加に動けば、中国による反発も予想される。中華経済研究院の呉中書院長は「投資環境の整備などで強い指導力を発揮できるかどうかがカギだ」と指摘する。
中国は台湾企業の投資認可を絞り込んだり、台湾を訪れる観光客に必要な書類の発行を遅らせたりするなど、台湾経済を揺さぶる多様なカードを持つ。台湾初の女性総統は脱・中国依存をめざしつつ、経済を立て直すという難路を歩み出した。
伊原健作が担当しました。
[日経新聞5月22日朝刊P.5]
野党第一党民進党の代表が「消費税増税延期」論を公言したことで、安倍首相は、消費税増税延期の判断を表明するにあたり、解散・総選挙を選択することもできるし、“総意”を尊重しての判断と説明することもできるという高い自由度を得たのである。
論考の表題となっている「民進党が共産党と共闘するのはあり得ない選択肢」というのも、上久保教授の論理に従えば「自民党が公明党と連立政権をつくるのはあり得ない選択肢」であるはずのものが現実として否定され18年も経っているのだから、思い込みか空念仏である。
民進党が共産党を選挙協力に誘い込んだ成果として、共産党の政策を“右”にシフトさせたことを上げられるので、自民党を含む支配層も好ましい戦術だと考えているはず。
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民進党が共産党と共闘するのはあり得ない選択肢だ
ダイヤモンド・オンライン 5月24日(火)8時0分配信
安倍晋三首相と岡田克也民進党代表は「党首討論」で、2017年4月の消費税率10%への引き上げの是非について論戦を交わした。岡田代表は「引き上げを先送りせざるを得ない」と主張し、「2019年4月まで消費増税の3年間延期」を首相に迫った。一方、首相は2014年12月に「消費増税を延期する決断を致しました」と言って衆院を解散した前歴がある(第94回)。首相が、再び増税延期を決断するという見方は根強いが、党首討論では「適時適切に判断する」と繰り返すだけで明言を避けた。
● 民進党の「消費増税延期」で 自民党は野党の主張には乗りづらくなった
岡田代表が「消費増税延期」を安倍首相に迫ったことは、来たる参院選のための戦術として合理的ではある。まず、首相より先手を打って「増税延期」を打ち出したことで、参院選前の与野党の駆け引きで主導権を握ろうとした。首相が野党の主張に乗ったというのでは格好がつかない。首相は増税延期を言いにくくなるからだ。首相が増税延期を決断するには、野党を超える「理屈付け」が必要になった。
また、2014年12月に増税先送りを理由に衆院を解散したように、安倍首相が「衆参同日選」に打って出ることを封じる狙いもあるだろう。誰も反対しない増税先送りだが、今度は「野党のが主張」したということになる。2014年12月のように、首相が主導権を取って、一方的に押し切るという選挙はできなくなるからだ。
そして、安倍首相が増税先送りを決めれば、野党は首相を「うそつきだ」と批判することができる。首相は、2014年12月の衆院解散時、「必ず消費税を上げられる状況にする」「再び延期することはないと断言する。確実に引き上げていく」と国民に約束していたからだ。
更に、首相が「消費税を上げられる状況」を作れなかったのだから、野党は「増税延期はアベノミクスの失敗」だと批判することもできる。党首討論では、岡田代表が「消費がこれだけ力強さを欠いているなかで、もう一度消費税の引き上げを先送りせざるを得ない状況だ」と指摘し、アベノミクスの失敗の責任を取り「内閣総辞職すべきだ」と首相に迫った。
一方で、安倍首相が予定通り増税を断行するならば、それはそれで野党に不都合はない。「増税延期」は野党の公約となり、首相は「不人気な増税」を公約に参院選を戦わねばならなくなる。岡田代表は、先手を打って増税延期を主張することで、安倍首相が増税についてどう判断しようと、野党側が主導権を握ることになると考えたのだろう。
安倍首相は年明け以降、世界経済の減速などから、消費増税延期の空気を醸成してきた。ノーベル経済学賞受賞者を呼んで「増税延期」の意見を聴き、伊勢志摩サミットで共同宣言に「政策をバランスよく進める」という、いかようにも解釈できる表現を盛り込ませ、消費増税の延期と、選挙対策としてのバラマキに、「国際的なお墨付き」を得ようとしていたのは明らかだった(第131回・5p)。だが、岡田代表の発言で、首相の目論みは少し狂ってきたといえるかもしれない。
● 財政再建を真剣に考える国民は 参院選での選択肢を失った
岡田代表の「増税延期先出し戦術」が当たるかどうかは別として、1つ指摘しておきたいことがある。それは参院選で「財政再建を真剣に考える国民」にとって、選択肢がなくなったということだ。
アベノミクスに対する高い支持が続いたので忘れられてしまっているが、国民は、第二次安倍政権が発足するまでは、歴代政権が苦心惨憺取り組んできた財政再建や持続可能な経済運営にある程度の理解を示していた。野田佳彦政権時には、国民は消費増税の必要性に一定の支持があったのは間違いない(第40回)。
アベノミクスを一言でいえば、株高・円安に誘導することで、企業が短期的に営業利益を増やして目の前の決算期を乗り切り、一息つけるというものだ。長年のデフレとの戦いに疲弊し切っていた国民は、企業経営者や、部長、課長、その部下の平社員の「とにかく利益が出るならなんでもいい」という気持ちで、アベノミクスを支持した(第75回・1p)。しかし、アベノミクスの化けの皮が剥がれつつある今、真面目に財政再建を考えていたことを思い出す国民が、少なくないはずだ。だが、彼らには参院選で支持すべき政党がないのである。
● 安倍政権は増税実施を決断しても もはや「財政健全化の国際公約」達成は遠い
安倍政権は、増税延期を決断しようがしまいが、財政再建に取り組む政権と見なすことはできない。安倍政権が誕生する前、民主・自民・公明の三党は消費増税の「三党合意」を成立させていた。だが、安倍政権が誕生すると、自民党内で三党合意を進めた政治家は、アベノミクスの意思決定から外された(第51回・2p)。
アベノミクス3本の矢の1本目・金融政策とは、円高・デフレ脱却に向けて2%の物価上昇率を目標として資金の供給量を劇的に拡大する「異次元の金融政策」を断行し、為替を円安に誘導し、輸出企業の業績改善を狙うものだった(第58回)。
第二の矢・公共事業は、公共事業の大幅な増額による巨額な財政出動であった(第51回)。2013年度には、予算規模は過去最大規模の100兆円を超え、国債発行額は、民主党政権時に財政ルールとして定められていた44兆円を大きく上回る49.5兆円に達した。
2014年度予算編成では、各省庁が概算要求で軒並み前年度より大幅増の要求を行った。一般会計の総額は、過去最大の95兆8823億円に達した。歳出で最も大きい社会保障費は4.8%増の30.5兆円と、初めて30兆円を突破した(第73回)。2016年7月の参院選に向けては「一億総活躍社会」を打ち出したが、「一億総活躍」の予算を狙った族議員やさまざまな業界が予算獲得を目指して跋扈する状況となった(第117回)。
安倍首相は消費増税に関しては、2013年10月に、当初の予定通り消費税率を現行5%から、2014年4月に8%に引き上げると決断したが、前述の通り10%への増税は延期した。また、「法人税の実効税率引き下げ」も決定した(第68回・3p)。公明党の意向も受けて、社会保障のための税収増を事実上先送りすることになる「軽減税率」も決定した(第121回)。
要するに、安倍首相は「財政健全化の国際公約」(第68回)よりも、景気腰折れを防ぐための対策と選挙対策としての財政出動・金融緩和を優先させてきたといえる。結果として、財政健全化の達成は遠のいてしまっているのが現実だ。安倍政権は参院選で、財政再建を真剣に考える国民の選択肢にはなり得ない。
● 「増税延期」で共産党と共闘すれば、 民進党はサイレントマジョリティの支持を失う
一方、岡田代表が「増税延期」を表明したことで、野党側も財政再建を真剣に考える国民の選択肢ではなくなった。もちろん、野党側にも「三党合意」に関わった政治家は多数いる。だが、野田前首相などは政権から転落した「戦犯扱い」されて、野党側の意思決定の中枢から外されている。
民進党内部で「リベラル系」の影響力が強くなっている。安保法制を巡る攻防で、野党側の保守系議員が安倍首相に対する態度を硬化させてしまった(第111回)。それ以来、野党側は安倍政権との対立軸の明確化を図るようになり、リベラル派が主導権を握る流れとなった。その流れに乗って近づいてきたのが、「国民連合政権構想」を提唱する共産党だ。
筆者は、民進党が共産党と共闘するのはあり得ない選択肢だと考える。安倍政権憎しで安保法制反対で一致したが、本来、安全保障政策は野党間で最も違いが大きい政策課題であり、民主党政権の混乱の一因も安全保障政策の不一致だった。民進党と共産党が共闘しても、必ずそのうち問題が起きてしまうからだ(第122回・3p)。
また、「消費増税延期」で民進党が共産党と組むのは、安全保障政策以上に問題だ。繰り返すが、民進党内には、社会保障充実や財政再建のために予定通りの増税を求める声が少なくない。岡田代表は、参院選を控えて共産党との共闘を重視したが、この判断は将来大きな禍根を残すことになり、いずれ後悔することになるだろう。
なぜなら、共産党との共闘は、日本のサイレントマジョリティである「中流」の支持を失うことになるからだ。「中流」というのはアバウトな概念だが、サラリーマンを引退した高齢者、現役世代のサラリーマン家庭、その予備軍である思想的な偏りのない若者などである。この「中流」の人たちは、食べていくため、家族を養うため、非常に現実的に社会を見ている(第115回・下)。
「中流」の人たちは、民進党・共産党が共闘しようとしている「安保法制廃止」の非現実性に、半ばあきれ果てている。また、元々「消費税廃止」を訴えていた共産党の非現実性に引きずられる民進党に対して、白け始めている。
なによりも問題なのは、「中流」の人たちが、実は民進党・共産党が熱心に訴える「弱者救済」に微妙な嫌悪感を持っていることだ。なぜなら、彼らは税金を多く取られているという痛税感が強く、その割に行政サービスを十分に受けられていないという不満を持っている。それなのに、「弱者救済」ということで彼らが払った税金が他人に使われることには、納得できない感情があるのだ(井手・古市・宮崎『分断社会を終わらせる』2016)。
一見、「弱者救済」は疑いようのない正義のように思われる。だが「弱者救済」を、度を越して訴えすぎると、日本のサイレントマジョリティである「中流」が不公平感を持ち、不満を募らせることになる。「中流」を取り込めなければ選挙には負けてしまう。「増税延期」を野党共闘の象徴的な政策として掲げるのは、間違いである。
● 民進党は1回の選挙の勝ち負けに右往左往せず 「政権担当能力」を持つ大政党を目指すべきだ
筆者は、共産党の野党共闘の戦略は、政党のあり方として間違いであると強く批判したい。共産党の政策を支持すれば、小選挙区での立候補を取り下げて、他の野党の候補者に共産党の支持票を提供するという戦略が合理的であることは認める。しかし、議会制民主主義下の政党としては問題があるのではないだろうか。
政党とは、「選挙で議席を増やして政権を目指すのが使命」だからだ。立候補を取り下げて、議席を減らすことになるのに、政党としての影響力が高まるというのは違和感がある。主権者である国民に対して失礼な話である。候補者を出さないのならば、政党としての存在意義はない。共産党がこの戦略を取り続けるならば、一旦解党するのが筋なのではないだろうか。
この連載では、「小政党の横暴」を防ぐために、二大政党制の優位性を再評価すべきと主張してきた(第106回)。二大政党制に対する代表的な批判は「少数意見を切り捨てている」というものだ。だが、それは事実ではなく、二大政党が少数意見を切り捨てているわけはないことは、歴史が証明している。
英国の保守党・労働党は、1960-70年代の高度成長期に、ともに福祉政策の拡大を競った「福祉国家」の時代があった。現在でも保守党・労働党のマニフェストには、「経済」「外交」「雇用」「医療」「福祉」「教育」「移民」「女性」「環境」「エネルギー」など、あらゆる分野の政策が並び、民族、宗教など少数意見に配慮した政策も含まれている。そして、財源を考慮しながら、政策の間に優先順位を付けた包括的なパッケージとなっている。
確かに、二大政党は「単一争点の中小政党」のように支持者の利益を一方的に実現しようはしない。だが、国民全体の世論の動向や、経済・財政の状況のバランスを考慮する中で、少数意見を政策の中に取り入れてきたのである。
日本政治の問題は、中小政党が、少数者の利益を強引に実現しようとすることで、歴代政権の意思決定が混乱し、財政赤字拡大を招いてきたことだと考える。今の日本政治に必要なのは、英国の二大政党のような、財源を考慮してさまざまな政策の優先順位を付けた包括的な政策パッケージを作る「政権担当能力」を持つ大政党ではないだろうか(第50回)。
民進党は、共産党に決して引きずられてはならない。1回の選挙の勝ち負けに右往左往するのではなく、堂々と自民党のオルタナティブとなる「政権担当政党」を目指すべきなのである。
<参考文献>
井手英策・古市将人・宮崎雅人(2016)『分断社会を終わらせる:「だれもが受益者」という財政戦略』筑摩選書
上久保誠人
最終更新:5月24日(火)8時0分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160524-00091758-diamond-soci&pos=1
国会は最終盤を迎え、与野党が安倍内閣不信任案と解散をめぐって神経戦を繰り広げています。
「内閣不信任案を出す環境を整えている段階です」(民進党・安住淳国対委員長)
民進党など野党側は来週、安倍内閣不信任決議案を提出する方向で調整しています。
こうした動きを受け、24日朝の自民党役員連絡会では冒頭、高村副総裁が内閣不信任案が提出された場合の対応についていきなりこう切り出しました。
「それじゃあ(解散して)国民に聞いてみようというのは、立派な大義名分になり得ることだけは確かだと」(高村正彦副総裁)
野党側の不信任案提出を封じたい与党側からは、衆議院の解散をちらつかせ野党側をけん制する発言が相次いでいるのです。
「(衆・参)ダブル選挙の可能性も、20%はあります」(自民党・下村博文総裁特別補佐 〔23日〕)
「(不信任案を)粛々と否決する、これも一つの方法です。直ちに解散に打って出るということだってあり得ないことはない」(自民党・二階俊博総務会長)
これに対し野党側は、民進党の安住国対委員長が「解散を政局の道具に使っているだけだ」などと反発、枝野幹事長はこう訴えました。
「もし、解散という暴挙に出てきたときに対応できるよう、お備えをいただければと思う」(民進党・枝野幸男幹事長)
内閣不信任案と解散をめぐり神経戦が繰り広げられる中、解散権を握る当の安倍総理は公明党の山口代表に・・・。
「(首相は)『解散はかの字も考えていない』と」(公明党・山口那津男代表)
改めて解散を否定しましたが、その後、安倍総理と会談した新党大地の鈴木代表はこう漏らしました。
「ただ(安倍首相がオバマ大統領と)広島行って、またぐっと高揚でもしたらどうなるか、そこら辺は全く知る由はありませんね」(新党大地・鈴木宗男代表)
(24日16:27)
最終更新:5月25日(水)0時17分
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160524-00000108-jnn-pol
南シナ海における米国、平和創設者なのか、煽動者か?[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年05月24日 21:09(アップデート 2016年05月24日 22:04)
アンドレイ イワノフ
オバマ米大統領はベトナム訪問で美しい呼びかけを行なった。その内容は南シナ海の論争は平和的方法で解決せねばならず、大国らは小国を脅かしてはならないというものだった。同時に小国が大国に怯えないよう、オバマ氏は50年も続いてきたベトナムへの武器輸出制限を撤廃した。
一見すると非常に正当な話に思える。中国はベトナムや他のASEAN諸国との間に西沙(パラセル)諸島、南沙(スプラトリー)諸島に関する論争を抱えている。これを歴史的法的論拠を使って解決することは叶わない。
なぜなら中国はこの問題に関しては南シナ海の個々の国と話を付けたいのだが、相手はASEANの枠内で共闘したいと望んでいるからだ。中国は係争水域で一方的に人工島を建設し、軍事基地を建て始めている。これに対して他は大いに憤慨しているが、だからといって何も出来ない。
なぜなら彼らの軍事力は束ねたところで中国のそれには劣るからだ。それでもどこかで誰かが誰をいじめたならば、いじめられた者をかばおうと必ず米国がやってきてくれるではないか。
そして米国は今回だってやってきた。最初はフィリピンと軍事協力を再開し、次は中国が埋め立てた人工島に戦艦と偵察機を送り込み、そして今度はベトナムへの兵器禁輸を撤廃した。でも当然のことながらミサイル駆逐艦も爆撃機も、当然ながら中国にはおびただしい数がある核弾道ミサイルも米国はベトナムなど南シナ海で中国と言い争う諸国には輸出することはない。
なぜなら、もし輸出すればそれは中国に対して銃口を向け、戦争を準備することになり、ありとあらゆる不快な事態を招くことになるからだ。だが中国を旧式のボートや飛行機で脅すというのもなんだか不真面目な話である。
となると疑問がわく。なぜ米国人は中国に対抗する国々に実際の援助を行なうことなく、中国を怒らせようとするのか?
この問いに答える格好のレポートが今日付けのインターネット記事に登場した。記事の筆者は、なぜ米国はここ最近中国とロシアを必死で煽動しようとしているのか、なぜその国境付近にやれ軍用機だ、やれ軍艦だと送り込み、兵力を集めようとしているのか、これに答えようとしている。まじめな専門家らは米国は今の状態ではロシアや中国を別々に相手にしても戦争を行なう力はない。まして2国を同時に相手にするなど話にもならない。おそらく米国はロシアや中国を相手に揉め事を起こすとは自殺行為に等しいとよく理解しており、戦おうとはしていない。だがしつこく煽動を行なうことで自国に軍事力がないことから国際社会の目をそらそうとしているのだ。
これが実際そうである場合、西沙、南沙諸島におけるASEAN諸国の権利に対して米国が見せる甲斐甲斐しさも同じ理由から発生している。だからこそ中国との論争では助けにはならない。これは単に中国を苛立たせ、この地域における中国の軍事行動を活発化させるだけだ。
それでもオバマ氏がハノイで行なった演説には一点、合理性があった。それはこの地域の論争を平和的方法で解決せよといった呼びかけだ。だがこれはやるなら米国抜きでやったほうがいい。そうでないと米国の参加はそれが南シナ海だろうと、新疆だろうと台湾だろうと中国を非常に苛立たせてしまうからだ。だがもし中国人を煽動せず、彼らと誠実に話をつけようとするならば、ひょっとするとすぐにではなくとも、うまく行くかもしれない。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160524/2190801.html
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/834.html
仏にある全ての石油精製工場8箇所が一斉にストに突入。地元マスコミが仏労働総同盟の声明を引用して報じた。
ストを宣言した労働者らはデモを開始し、労働改革に不服を訴え、精製工場に通じる道路を封鎖した。労働者の改革に対する不満は雇用、解雇プロセスの簡略化に集中している。仏政府は新法を議会の投票を迂回して5月10日に採択。
ヴァルス仏首相は24日声明を表し、政府は労働改革では譲歩しないと明言。
エネルギー関連のコンサルタント企業FGEは、このストで8つの工場のうち6箇所の作業は1週間で最高で72時間分カット縮小されるとの見方を示している。
FGEは、ストが長引けば、仏の石油精製量は著しく縮小し、仏の石油輸入量が減る恐れがあると指摘している。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160524/2189782.html
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仏 ストライキで数百カ所のガソリンスタンドが営業停止[スプートニク日本語]
2016年05月23日 17:26
フランスで、労働組合が石油精製所へのアクセスを遮断したため、全国数百カ所のガソリンスタンドが営業を停止した。BBCニュースが伝えた。
22日、フランスにあるガソリンスタンド1万2000カ所のうち830カ所で貯蔵しているガソリンが底をついた。さらに800カ所で、少なくとも1種類のガソリンがなくなった。
労働組合は、新たな規則による従業員の雇用と解雇手続きの簡素化に不満を持っている。政府は5月10日、議会で採決せずに新たな法律を承認した。
フランスのヴァルス首相は、当局はストライキの影響に対処するための十分な資源を持っていると述べた。首相によると、数時間後あるいは数日後にも大多数の製油所へアクセスできるようになるという。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160523/2181753.html
ハリウッドでは映画スタジオの影響力のある人物では小児性愛が大いに流行っている。「指輪物語」のフロド・バキンズ役で有名なハリウッド俳優のイライジャ・ウッド氏が「サンデータイムズ」紙に明らかにした。
ウッド氏は自分が幼少のときにそうしたセクシャルバイオレンスにあわないですんだのは、母親が映画界の代表者らが催すパーティーに自分をいかせなかったからだと語っている。ただし、他の未成年たちはそうした偏愛者の犠牲となった。
「これは全て仕組まれたことだった。この産業部門には頭の中は自分の関心だけといったいやらしい人間は少なくない。」
ウッド氏によればこうした性犯罪は続けられている。それは犠牲となった人たちが権力の下にいる人間と同様に大声でものをいえないからだ。
ハリウッドの大物たちが謳歌している小児性愛についてこうした告白が行なわれたのは初めてではない。テレグラフ紙が報じた。
「安倍氏、ついに「虎穴」へ:日露平和条約交渉の「新しいアプローチ」とは」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/829.html
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ロシアは日本から北海道を買い上げたいのか?[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年05月23日 21:18(アップデート 2016年05月23日 21:17)
アンドレイ イワノフ
ロシアのマスコミはソチのASEANサミットにおいてプーチン大統領が、ロシアはいかなる領土も売り渡すつもりはない、逆に買い上げる構えだと語った声明を発表した。この声明を表すことでプーチン大統領は、日本に南クリルを売り渡すつもりかという記者団からの質問に答えたことになる。
南クリル諸島を日本に売却するというテーマはソチでのプーチン、安倍両首脳会談が成立した後、ロシアのマスコミに現れだした。会談内容について正確な情報がないこと、日本側が会談結果に大満足していること、また日本の実業界がロシア方面での活動を活発化させようとしているニュースが入ったことから、ロシア人ジャーナリストらの間には安倍氏がプーチン大統領に対して対露制裁を遵守せず、ロシア経済への投資拡大を行なうからといって南クリルを現金払いで売らせたのではないかという疑惑が広がった。これに対してプーチン大統領はASEANサミットの場でそうした取引はなかったことを明確に示したわけだった。ロシアは何も売り渡す気はない。逆に買う用意がある。これはまさか北海道のことではあるまいか? いやひょっとするとアラスカか? それともボスポラス・ダーダネルス海峡のことだろうか?
少なくともラヴロフ露外相がこれより前、ソチでのプーチン・安倍会談を評して声明を表したように、この会談では「ロシア大統領も日本の首相もあらゆる方面での関係拡大の可能性をなんとか模索しようとする姿勢が示された」。こうした狙いを定める姿勢は実業界にもまたロシア、日本社会のより広いそうにもある。そうでなければ日本が、米国があらゆる同盟国に対してロシアを経済制裁でもって孤立化させ、首を絞める政策を押し付けているにもかかわらず、それを事実上サボタージュした事実はどうにも説明がつかないはずだ。そして今、露日関係はなかなかの発展振りを見せている。だがこのプロセスを阻害しうる要因はまだある。
それは米国側からの圧力ではない。日本は必要とあらばこれにあらがうことはできる。問題は領土問題がすわ解決されるのではないかとの期待値があまりに高まってしまったことになる。つい先日、野党の民進党の岡田代表も、平和条約締結問題をプーチン大統領の就任期間に解決しようとする安倍首相の姿勢を支持するという声明を出したばかりだ。岡田代表はこの声明で、プーチン氏は強いリーダーとしてこの問題を解決できると信じていることを示した。だが岡田氏はその際に、平和条約の締結は領土問題が解決されて初めて行なわれることを強調し、仮にプーチン氏、安倍氏がソチの会談で述べた新たなアプローチが領土問題の解決なき平和条約の締結である場合は、こうした姿勢を自分たちは支持しないと明言している。
菅官房長官はこれより前、露日両首脳は領土問題、平和条約に関しては古い解決構想に拘泥せず、双方が受け入れ可能な解決を模索する方向での新たな発想での交渉継続を続けることを明らかにしている。ところが日本の要求は最初に領土論争を解決し、それから平和条約を締結しようというもので、新たなものはなにもない。ここでは双方に満足のいく新たな発想を見つけることは容易ではなさそうだ。これについてがっかりする必要はひょっとしてないのではないか。模索し、考え、その間に経済協力を積極的に発展させるほうが、ロシア経済が強化され、アジア太平洋地域でのロシアの積極性が強化されているという条件下では特にロジカルではないだろうか。
「首相辞任で局面転換」(07年9月、安倍首相) 政権放棄、健康問題触れず:「脱税疑惑報道」に触れずが正しい表題
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/102.html
「安倍政権支持率回復の秘策は「消費税増税再延期」の是非を問うかたちでの来年7月“衆参同時選挙”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/463.html
「岡田代表 あす党首会談で共産の方針確認へ:ヤキが回った共産党の提案は票のかさ上げには魅力だが政策協定締結は困難」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/571.html
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同日選、募る疑心暗鬼 不信任案巡り与野党駆け引き[日経新聞]
2016/5/25 0:15
7月の参院選に合わせて衆院解散・総選挙に踏み切る衆参同日選を巡り、与野党で疑心暗鬼が募っている。安倍晋三首相は与党幹部に同日選を見送る意向を伝えているが、26〜27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)などの追い風や、野党が検討する内閣不信任決議案を理由に、自民党が野党をけん制する思惑がある。6月1日の国会会期末に向け臆測は消えそうにない。
首相は24日、公明党の山口那津男代表と首相官邸で約50分、昼食を取りながら会談。首相は「解散の『か』の字も考えていない」と改めて表明した。与党で最も疑心暗鬼を強めるのは同日選に反対の立場を明確にしてきた公明党だ。山口氏はサミット後にも会談し、最終的な首相の意向を確認するとみられる。
ただ、これに先立つ自民党役員連絡会では、高村正彦副総裁が「野党から内閣不信任案が出た場合、国民に聞いてみようという立派な大義名分になる」と指摘した。会期末に野党が内閣不信任案を出せば首相が解散に踏み切るとの見立てだ。
内閣不信任案と衆院解散の関係を見ると、直近では2009年に麻生内閣が不信任決議案を与党の反対多数で否決した後に衆院を解散。05年の小泉内閣では、不信任案を採決しないまま解散に踏み切った。不信任案の提出は解散の口実になる。
首相に解散の大義を持たせないため、選挙準備の遅れている野党が不信任案の提出に及び腰になるよう同日選論をあおっているとの見方がある。党内で同日選に慎重姿勢を示してきた二階俊博総務会長も24日の記者会見で「解散に打って出ることもあり得ないことはない」と発言した。
首相の専権事項である衆院解散に党幹部が相次いで言及するのは異例。ベテラン議員は「同日選がないと知っているから、あえて言及しているのでは」とけん制にすぎないとの見方を示す。
選挙地盤の弱い若手議員間には「これだけ解散があると言われると準備しないわけにはいかない」(当選2回議員)との声が急速に広がっている。
首相は17年4月の消費税率10%への引き上げを延期する意向で、自民党内に「解散して信を問うべきだ」との声がある。伊勢志摩サミットやオバマ米大統領の広島訪問は政権の追い風になるため「これ以上の解散の好機はない」(自民党幹部)との見方も後押しする。
首相は24日、山口代表との会談後、麻生太郎財務相とも会談。麻生氏は消費増税が必要との立場だが、一方で自民党の議席数底上げにつながるとみて同日選を支持しているとされる。「同日選を巡り意見交換したのでは」との臆測が出ている。
野党は警戒感を強める。民進党の岡田克也代表は24日の常任幹事会で「同日選の可能性も半分以上あると思っている」と指摘。「会期末に向けて緊迫の日々を迎える」と引き締めをはかった。
小川敏夫参院幹事長は24日の記者会見で「解散の大義名分になると言われて、引っ込めることは考えられない」と強調。安住淳国会対策委員長も「解散なら受けて立ちたい」と訴えた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS24H6G_U6A520C1PP8000/?dg=1&nf=1
憲法草案の「上院の公選制は廃止し約20年ぶりに任命制に戻す。定員250人で、国軍最高司令官ら治安当局トップ6人が議席を確保し、軍政が残る244人を選ぶ」というのも、下院(総選挙)で勝てる見通しがないゆえのあがきである。
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タイ、かすむ民政復帰 憲法案「軍が監視」色濃く
クーデター2年、対立続き厳しい言論統制
【バンコク=小谷洋司】タイの軍事クーデターから22日で2年。「軍監視下の民主主義」を容認する憲法草案への賛否を問う国民投票を8月に控え、軍事政権と民主派勢力の対立が激しさを増す。軍政の強硬な言論統制は国際社会にも波紋を広げる。経済は成長が滞る「中所得国のわな」から抜け出せない。日本にとって東南アジア最大の投資先をなお閉塞感が覆う。
18日、首都バンコクのホテルにタイ内務省が全国から動員した約500人が集まった。憲法草案について各地で講義する「先生」に選ばれた人々だ。軍政が指名した憲法起草委員会のミーチャイ委員長は「皆さんは国の将来を握っている。人々に草案の良さを伝えてほしい」と激励した。
だが、おのおのの地元で起草委の代弁者となる彼らの前途は多難だ。タクシン元首相派を含む民主派勢力は、草案に猛反発しているためだ。
最大の争点は、新憲法施行後の5年間適用する非民主的な暫定措置を盛り込んだことだ。上院の公選制は廃止し約20年ぶりに任命制に戻す。定員250人で、国軍最高司令官ら治安当局トップ6人が議席を確保し、軍政が残る244人を選ぶ。
「上院は事実上『国軍党』として機能する」とある識者はみる。予算や法案の審議、各種独立委員会の人事などに軍政の影響力が残る。上院は首相指名に関わる可能性もある。選挙で選ばれた下院与党は、軍監視下での政策運営を迫られる。
国民投票の行方は予断を許さない。タクシン元首相派のタイ貢献党とライバルの民主党の二大政党はそろって草案に反対。軍政は草案への賛否を訴える政治運動などを禁じ討論会も制限した。市民が公に意見を交わす機会はほとんどない。
4月末には反軍政の活動家8人が交流サイト(SNS)のフェイスブックに不適切な書き込みをしたとして当局に拘束された。地元メディアは「批判に対する抑圧は国の恥だ」(3日付の英字紙バンコク・ポスト社説)と反発を強めた。
厳しい言論統制は国際社会との摩擦も生んでいる。11日、人権問題を話し合う国連会合で、タイに厳しい声が飛んだ。言論の自由や政治集会の権利を認めるよう欧米の代表らが次々と要求した。
「社会の分断を避けるため、権利の制限は避けられない」「善良な市民に影響はない」。タイ側はこう理解を求めた。
翌日には米国のデービース駐タイ大使が人権状況への「懸念」を表明。タイのプラユット暫定首相は「タイは米の植民地か」と不快感をあらわにした。
軍政に強権発動を正当化させているのは、かつて流血の事態を招いたタクシン派と反対派の政治対立だ。対話を軽視した前歴を持つ既存政党に対し不信感を持つ国民は「治安維持」を優先して軍政を支持している。
憲法草案の国民投票は軍政への信任投票の性格も帯びる。軍政はここにきて、草案が否決されると来年半ばごろとしてきた総選挙が遠のくと言い始めた。否決なら軍政が長期化し、可決なら「軍監視下の民主主義」が待つ。「民政復帰」という言葉がかすんでいる。
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タイの2014年軍事クーデターとは
▼タイの2014年軍事クーデター タクシン元首相派のインラック政権打倒を目指す反対派デモが13年後半から拡大。インラック首相の失職後もタクシン派と反対派のデモで治安悪化の恐れがあるとして、軍が全権を掌握し、憲法を廃止した。
1932年の立憲君主制移行後、クーデターは19回目。当時陸軍司令官だったプラユット氏が主導し、その後暫定首相に就いた。軍事政権は新憲法を早期に制定するとの方針を示したが、遅れている。軍政は、新憲法下で17年半ばに総選挙を実施して「民政移管」すると約束している。
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改革遅れ経済低迷 知識集約型産業 育たず
【バンコク=京塚環】帝国データバンクによれば、タイへの日本企業進出数は4月末時点で東南アジア諸国連合(ASEAN)最多の4788社だった。大洪水や政情混乱を経てもなお、タイの動向は日本企業にとり大きな関心事だ。
経済担当のソムキット副首相は最近「タイランド4.0」という標語をよく強調する。賃金上昇と労働力不足に陥るタイの産業構造を労働集約型から知識集約型に移行する取り組みだ。
その一環で、医療や航空宇宙、自動車など高度技術を必要とする分野で研究開発投資を呼び込む政策をとる。しかし「適用条件が複雑すぎて申請には至らない」(日系企業関係者)。申請件数は16年3月までの15カ月間で11件にとどまる。
技術者の不足も逆風だ。「採用後に一から教育し直しており(学校が)無駄になっている」。タイを代表する経営者、素材大手サイアム・セメント・グループのガン前最高経営責任者(CEO)は不満を口にする。軍政は教育改革を掲げるが具体策が出ない。
政策の空回りで、タイ経済のエンジンの一つである外資受け入れは低迷。個人消費もインラック前政権によるばらまき政策の後遺症から立ち直れず、成長率は3%前後と、かつて巡航速度といわれた5%はほど遠い。
大手銀行系のカシコンリサーチセンターのピモワン副所長は「内需の回復は難しく今後3年間は成長率3%以下が続く」と厳しい見方を示す。
1人当たりの国内総生産が約6000ドルに達したタイ。軍政は掛け声だけにとどまらず実行力と継続性を伴った産業構造改革が必要だ。民選政権が行き詰まる度にクーデターが起こり経済政策が変わるタイに厳しい命題が突きつけられている。
[日経新聞5月22日朝刊P.5]
事故後すぐにテロ説が流布される異様な状況はおくとして、墜落直前のMS804に関する不可解な動きは、
1)航行状態が正常な時点で、ギリシャの管制官が何度か呼びかけてもパイロットから返信がなかったこと。最後の呼びかけの2分後に機体に異常な動き発生。
2)機内での煙発生を示す警告メッセージが発信されていながら、パイロットは管制官に報告しなかっただけでなく、管制官の何度かの呼びかけにさえ応じていない。
3)墜直前に、機体が、左に90度旋回し、その後右に360度旋回した動きは、機体の変調に伴うものとは考えにくく、“意図的な”操縦と指摘できる。
などを上げることができる。
現時点で遠隔操縦による意図的な墜落だったと断定はできないが、航空当局とエアバス社は、遠隔操縦で対象としたA320をどのレベルまでコントロールできるのか明らかにすべきである。
無線交信まで完全に支配できるのか(遠隔操作で交信機能を切断できるのなら呼びかけに応答できない)、警告メッセージの制御はどこまでできるのか(遠隔操作でアラームを鳴らせるなら煙がなくとも煙発生と偽装できる)、個別機体への遠隔操縦アクセスキーは誰が管理しているかなどについて遠隔操縦機能を説明する義務がある。
また、ギリシャ管制官との最後の交信の内容及びその後墜落に至るまでの経過を詳細に公表しなければならない。
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※「エジプト航空機エアバス320の乗客の遺体が司法医療鑑定された結果、墜落原因は機内の爆発であったことが判明」というスプートニク日本語の記事もあるが、ジャーマンウイングスのアルプスへの激突事件と同じで言葉だけによる説明のレベル。
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エジプト航空については、1999年、大西洋上を飛行していたMS990便(B767)が遠隔操縦で乗っ取られ墜落させられた可能性が高く、今回も遠隔操縦による意図的な墜落なら2機目ということになる。
(マレーシア航空も、MH370便(遠隔操縦で墜落)・MH17便(撃墜できる状況に誘導)の2機が遠隔操縦の犠牲になった可能性が高い)
9.11同時多発テロも、WTCに激突した2機とペンタゴンの芝生に墜落した1機は遠隔操縦によるものと考えている。
米国の国家機関が敢行した自作テロを放置した(している)ことで、遠隔操縦による航空機事故が頻発し無辜の乗客が多数犠牲になる事態につながっているとも言える。
※関連参照投稿
「国際テロ組織「アルカイダ」:9-11テロに霊感を与えた事件を明らかに:あの不可解なエジプト航空990便事故」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/509.html
(9.11同時多発テロ関連)「3機が遠隔操縦による“激突”で、1機は“撃墜”だと考えています」
http://www.asyura.com/0304/dispute10/msg/171.html
「エアアジア機 整備不良と操作ミスで事故:昨年12月のこれから始まり仏GW機・シナイ露機と続く不可解なA320系事故」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/844.html
「独機墜落操縦士の両親、新聞に哀悼の声明掲載 被害者遺族は激怒:副操縦士の意図的な墜落とされているが真相は“藪の中” 」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/253.html
「マレーシア航空機MH17便墜落から1年:南シナ海MH370便・ウクライナMH17ともに乗っ取り遠隔操縦が発端」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/212.html
「OZ214便SFO着陸失敗事故→MH370便南シナ海失踪事件→MH17便ウクライナ撃墜事件という“系譜”」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/488.html
「アシアナ航空の着陸失敗「機器にも問題」 :サンフランシスコ国際空港:777の機器設計そのものにも問題とアシアナ航空指摘」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/396.html
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「墜落前にエジプト機内に煙」仏事故調が確認
【パリ=竹内康雄】パリ発カイロ行きエジプト航空804便の墜落で、フランスの航空事故調査局(BEA)は21日、墜落機が消息を絶つ前に、機内で煙が発生したことを示す警告メッセージが発信されたことを明らかにした。AFP通信など仏メディアが伝えた。
メッセージは機内で煙を感知すると、自動的に地上の管制などに発信される仕組み。電気系統の故障や爆発などの可能性が考えられ、BEAの報道官はAFPに「事故原因を特定するのは時期尚早だ」と語った。
墜落前に操縦士が管制に異変を報告したとの情報はない。エジプトなど関係各国はブラックボックスを含む機体の残骸の捜索を続けており、墜落の原因の解明を急ぐ考えだ。
[日経新聞5月22日朝刊P.5]
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墜落機の残骸発見 エジプト軍発表、乗客?の荷物も
【カイロ=岐部秀光】パリ発カイロ行きエジプト航空804便の墜落でエジプト軍は20日午前、沿岸の都市アレクサンドリアから290キロの沖合で、機体の残骸や乗客のものとみられる荷物を発見したと発表した。テロの可能性が取り沙汰されるなか、墜落原因を特定する証拠は見つかっていない。
エジプト大統領府は20日声明を出し、エジプト機の墜落について「深い悲しみと遺憾」を表明した。乗客と乗員あわせて66人を乗せたエジプト機は19日、地中海上空で墜落。シシ大統領が海・空軍などに早期の機体発見を指示していた。
ケリー米国務長官は20日、エジプトのシュクリ外相と電話で協議し、エジプト機墜落の調査に支援を申し出た。被害者に弔意を表すとともに、今後の捜査の進展について緊密に連絡をとることで一致した。
今後の墜落原因の究明では、機影がレーダーから消えた前後の状況を記録しているブラックボックスの発見・回収がカギを握る。フランス、ギリシャ、イタリア、キプロス、英国などが捜索活動に協力している。
テロ説を後押ししているのは墜落寸前の機体の不可解な動きだ。ギリシャのカメノス国防相によると、機体は急旋回を繰り返し急速に高度を下げており、不測の事態に見舞われた状況をうかがわせる。
また、レーダーから機体が消える10分ほど前にギリシャの管制官がパイロットと連絡を取ろうと繰り返し呼びかけたが応答がなかったことも明らかになっている。当日の天候は安定しており、視界も良好だったという。
英BBCテレビによると、墜落した航空機は18日にエリトリアからカイロに飛び、カイロとチュニジアの首都チュニスを往復した後、パリに向かった。パリからの復路で墜落した。
乗客の家族の多くはカイロ国際空港近くのホテルに滞在し、エジプト航空や当局が捜索状況について説明している。
エジプトでは昨年10月、シナイ半島のリゾート地シャルムエルシェイク発のロシア機が墜落し、乗客乗員224人が死亡する惨事に見舞われた。過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う地元組織が犯行声明を出した。3月には国内便が乗客にハイジャックされる事件もあった。外国人観光客は大幅に減少しており、エジプトが外貨獲得の頼みとする観光業にとって今回の事件は追い打ちとなる。
[日経新聞5月21日朝刊P.6]
【ソウル=小倉健太郎】北朝鮮の金己男(キム・ギナム)朝鮮労働党副委員長は21日、対話に応じるよう韓国に求める談話を発表した。国防省に相当する人民武力部は同日、軍事当局会談開催に向けた実務接触を今月末か来月初めに開くよう提案する通知文を韓国軍に送った。朝鮮中央通信が伝えた。
[日経新聞5月22日朝刊P.5]
http://www.asyura2.com/16/asia20/msg/346.html
※関連参照投稿
「デフォルトを嫌う金融家のため、危機を頼りにする軍需産業のため、「東西」の合作で分断と対立を煽られたウクライナ」
http://www.asyura2.com/14/senkyo162/msg/467.html
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[創論]ロシアとどう向き合うか
イタリア元首相 マッシモ・ダレマ氏/リトアニア外相 リナス・リンケビチュス氏
プーチン大統領が率いるロシアとどう向き合うべきなのか。ウクライナへの軍事介入を巡り対ロ制裁が続いているが、テロや難民問題などを抱える欧州では制裁を解除すべきだとの声も出てきた。欧州内でそれぞれ融和派、強硬派とされるイタリアのマッシモ・ダレマ元首相と、リトアニアのリナス・リンケビチュス外相に聞いた。
■対テロで協力不可欠 イタリア元首相 マッシモ・ダレマ氏
――ロシアのウクライナへの軍事介入を受けて「新冷戦」とも呼ばれる状況が続いています。
「プーチン政権がナショナリズムに訴え、ウクライナのクリミア半島を併合し、(東部の)親ロ派を軍事支援していることは大きな過ちだ。ロシアは冷戦後、欧米がロシアを大国と見なしていないことに反発し、攻撃的な行動を取るようになった。北大西洋条約機構(NATO)がロシア国境まで拡大し、ロシアを包囲しようとしているとの印象を与えてしまった面もある」
「冷戦の構図をつくり出してはならない。最大の脅威はロシアではなく、イスラム過激派によるテロだからだ。イスラム過激主義とテロ対策にはロシアとの協力が必要で、敵対してはならない」
――対ロ制裁は解除すべきだとの考えですか。
「我々は制裁で高い代償を払っている。欧州経済の回復力を弱める一因になっている。米国と対ロ戦略の見直しを協議する時だ。制裁解除にはウクライナ東部の停戦合意を履行させるという条件があるが、ロシアと合意する可能性は数カ月前と比べて高まっている」
「原油価格の急落によりロシア経済は厳しい状況にあり、制裁の痛みは強まっている。生活水準が低下すればプーチン政権の支持も下がりかねず、紛争を続ける意欲はそがれているはずだ。クリミア半島をロシアが明け渡すと考えるのは現実的ではないが、少なくとも部分的に制裁を解除することはできる」
――国境を侵したクリミア併合を容認すれば、中国などの行動にも影響しませんか。
「同じような行動は受け入れられない。しかし、多くの住民はウクライナに戻ることを望んでいない。西側はコソボ独立を承認したことで国境は不可侵という主張は説得力が弱まった。ここは現実的に対処すべきだ」
――ロシアが求めているのは勢力圏の分割との見方があります。
「NATOと欧州連合(EU)の拡大を制限することをロシアに約束するのは可能だ。ウクライナなど旧ソ連諸国を加盟国にするのは現実的ではない。同時にウクライナの独立を守ることも我々の責務だ。自由貿易協定(FTA)や連携協定を通じウクライナを支援する。EU加盟が狙いでないことを明確にすればロシアも受け入れられる。ウクライナはロシアとEU双方と良好な関係を維持するため、橋渡し的な国になりえる」
「新たな安全保障の枠組みを構築することが欧州の最重要課題だ。ロシアとNATOはテロやイスラム原理主義への対策、不安定化する中東、中央アジア、北アフリカ情勢で協力できる。率直で生々しい議論が協力構築の前提になる」
――シリアではロシアが空爆を強行し、アサド政権を支援しました。
「ロシアは地域での影響力を維持するためにアサド政権を支援した。ロシアが成功したのは、欧米が数カ月にわたり戦略のないまま、ちぐはぐな対応を繰り返したためだ」
「ロシアは欧米が支援する反体制派と和平で合意しなければならない。この戦争に勝利することはできないし、トルコやサウジアラビアなどイスラム教スンニ派のロシアへの敵対心が高まっている。アラブとの関係悪化のリスクがロシアを欧米との協力に向かわせる」
――クリミア併合も中東混乱も、米国のリーダーシップの衰えが背景では。
「世界は米ソ冷戦という二極時代から米国一極化を経て、多極的な混乱の時代に入ったとみている。多極的な秩序を構築する必要がある。米国が世界秩序に果たす役割は変わらないが、米国はアジアシフトを進め、地域への関与を減らしていくだろう。欧州は地域の安全保障を担わなければならない。中東を安定化させなければ、我々の代償は難民問題も含めてあまりにも大きいものになる」
――ロシアとの協力により欧州の理念や価値観が犠牲になるとの批判もあります。
「平和がすべての大前提だ。民主主義や自由、人権といった価値観は平和が無ければ意味がない。対立はロシアの民主化にとっても最悪の展開だ。プーチン政権がナショナリズムをあおり、独裁に利用するからだ。ロシア国民が米国やNATOを脅威と受け取らず、大国として扱われていると感じるようになれば、民主化を促しやすくなる」
Massimo D’Alema 1998〜00年首相、06〜08年プロディ政権で外相。イタリア左派を代表する政治家。与党民主党議員。67歳。
◇ ◇
■原則守り団結対峙を リトアニア外相 リナス・リンケビチュス氏
――リトアニアは対ロ強硬派の急先鋒(せんぽう)と見られています。
「ロシアがウクライナに軍事介入を続け、その事実を否認しているという現実がある。これは我々のロシアに対する政策や期待、リスク評価がうまくいっていないことを示している。外交の重要性は否定しないが、対話が(現実を隠す)偽装に利用されている。まずロシアに紛争の当事国であることを認めさせるべきだ。ロシアが変わらなければ対話は機能しない。国際法の原則や価値観に基づき、団結して対峙することによってしか侵略は止められない」
「一貫性の欠如こそが問題だ。2008年にロシアがジョージア(グルジア)に侵攻し、領土の一部(アブハジアと南オセチア)を占領した時、欧米は当初の撤退要求を曲げ、数カ月後には『対話』の名の下に現状を受け入れてしまった。私は当時、クリミア半島でも同じことが起こりえると警告していた。教訓を得たのは我々ではなく、ロシアだった。たいした犠牲を払わずにある国の一部を占領できることを学んだのだ。我々の対応がロシアのクリミア併合を招いた面も否めない」
――NATOは4月、ロシアのクリミア併合後に停止した対話の枠組みを2年ぶりに再開しました。
「対話を主張する一部加盟国の要請を受けて実現したが、深刻な意見の相違があり、実務協力には戻れないとの認識が双方から示された。ロシアに建設的な話し合いの用意があるのかどうかは疑わしい。協議の直前にバルト海の公海上でロシア軍機が米海軍の駆逐艦と異常接近するなどの事件が続けて起きた。ロシアが孤立していないとの宣伝に対話が利用されるだけならば意味がない」
――欧州では、対テロや難民問題でのロシアとの協力を優先し、対ロ制裁を解除すべきだとの声も出ています。
「ロシアのウクライナ東部への介入に対して発動した経済制裁について、EUは夏場に継続するかどうかを判断する。最近、現地を視察したが、停戦違反は常態化している。親ロ派武装勢力よる迫撃砲の攻撃が我々の300メートル手前で起きた。停戦合意の履行を制裁見直しの条件とすることで、EU加盟国は合意したはずだ。停戦合意にはウクライナ側も東部で選挙を実施し、自治権を与えることが盛り込まれているが、安全が確保されなければ進展は難しいだろう」
「テロの脅威や難民問題を理由にロシアの行動に目をつぶることがあってはならない。ロシアはシリアへの軍事介入により力を見せつけたが、我々のパートナーとしてではなかった。地域での影響力維持、ウクライナ問題で欧米の譲歩を引き出す思惑も透け、目的は国際社会とは異なる。難民問題も(欧州の揺さぶりに)利用している」
――オバマ米政権はウクライナ問題への深入りを避けてきた印象もあります。
「世界戦争に発展しかねないロシアとの対決を回避しなければならないことは理解できるが、米国のより積極的な関与を我々は必要としている。米国のリーダーシップが弱まれば、その空白を平和や秩序の維持に関心のない別の大国が埋めてしまう。そんな状況が各地で起きている」
――クリミア併合の国際秩序への影響をどう見ますか。
「連鎖的な反応が起きる可能性は否定できない。ロシアの手法を他国が使っても驚きはない。大国が拒否権を持つ国連安全保障理事会の限界も改めて露呈した。リトアニアが議長国だった14年に、ウクライナを巡り多くの問題提起をしたが、いずれも拒否された。世界平和を構築すべき安保理の常任理事国が紛争当事国であれば、何も動かない現実を突きつけられた」
――2国間関係を含め、各国はロシアとどう付き合うべきなのでしょうか。
「私が国防相を務めた当初、ロシアにとってリトアニアは存在していなかった。隣国として招待した軍事演習や会議は一切無視された。これが02年に一変した。ブッシュ前米大統領が訪問し、リトアニアの敵は米国の敵だと明言したことで、ロシアはわが国と建設的な関係を持つようになった。一貫した明確なメッセージがカギになる。挑発を恐れて行動を抑制したり、主張を後退させたりした印象を与えることが逆に(相手を攻撃的にする)挑発になる。対ロ政策で繰り返されてきた誤りはそこにある」
Linas Linkevicius 1990年代と2000年代に2度国防相を務め、NATO大使。12年から現職。55歳。
◇ ◇
〈聞き手から〉窮地の欧州、日本に警鐘
ロシアはシリアにも軍事介入し、欧米が退陣を要求する同国のアサド政権を支援する。シリア内戦は過激派組織「イスラム国」によるテロや難民問題の起点となっており、ロシアは欧米を交渉のテーブルに引きずり出した。ロシアへの対応は伊勢志摩サミットでも議論となる。
対ロ政策で欧州は分裂しかねない。原則を説くリンケビチュス氏に対し、現実主義に傾くダレマ氏の意見はテロや難民問題など多方面から課題を突きつけられ、追い詰められる欧州の姿も映し出す。
ドイツなどは対ロ制裁解除の環境を整えるために仲介外交を加速しているが、ウクライナ問題でロシアはむしろ強硬になっていると交渉にあたる欧州の外交官は明かす。
「主張を後退させたとの印象を与えれば逆にロシアを挑発することになる」。リンケビチュス氏の発言は、北方領土問題の解決を目指して対ロ接近姿勢を強める安倍晋三首相への忠告のようにも聞こえた。
(モスクワ=古川英治)
[日経新聞5月22日朝刊P.9]
インターナショナル・アフェアーズ・エディター デビッド・ガードナー
第1次世界大戦中に英国とフランスがひそかに結んだ「サイクス・ピコ協定」から100年がたった。オスマン帝国の領土を英仏の勢力圏に分割する密約は、両国の都合で取り決められた。
シリアは5年にわたる内戦で分断され、イラクは2003年の米国主導の侵攻で分裂した。民族・宗派が割拠する同協定以前の状態に逆戻りしたことになる。
過激派組織「イスラム国」(IS)は14年、シリア東部とイラク西部にまたがるカリフ制国家の樹立を宣言し、「サイクス・ピコを破壊した」と主張した。
今、我々が目にしているのは暴力による「ミレット(宗教共同体)」の再興だ。これはオスマン帝国時代の行政単位で、支配下に置いた人々に一定の自治と民族・宗教的な結束を与えたものだ。
欧州がアラブの領土を人工的に切り分けたことは、間違いなくオスマン帝国の遺産を傷つけた。しかし、英国がエジプトとイラクで、フランスがシリアで行ったような介入は、恐らくサイクス・ピコ協定以上にアラブ人の将来をゆがめた。これに輪をかけたのが強権的指導者の出現と、1953年のイランのクーデターや2003年のイラク侵攻など様々な介入だった。米国をはじめとする西側諸国は、共産主義やイスラム主義が広がるのを恐れ、強権的指導者を支持した。
シリア和平のための外交は暗礁に乗り上げ、イラクは崩壊の危機にある。両国から国境を越えて広がる暴力や破壊力は衰える兆しがない。地域が元の状態に戻るすべは、恐らく何らかの形の緩やかな連邦制以外にないだろう。米国などと組んで地上戦を戦っているシリアのクルド人は、すでに自治を行っているイラク系クルド人がしたように、自分たちが支配するトルコ国境南側の広大な領土を将来のシリア連邦の自治地域だと宣言した。
光明は中央集権支配を志向する人々でさえ、連邦制を話題にし始めたことだ。だが、悲しいかな、共同体間の信頼や互恵のつながりも交渉を行う枠組みも全くないなか、有効な施策がすぐに生まれてくるとは思えない。中東は引き裂かれ、軍閥の支配が続く。
(電子版、17日)
[日経新聞5月22日朝刊P.13]
タイのインラック前政権を倒した軍事クーデターから22日で2年。街頭の政治デモは鳴りを潜めている。10年以上も国民を分断してきた政治勢力同士の和解は進んだのか。その答えを見つけるため北部のチェンマイ県を歩いた。
チェンマイ国際空港からほど近いサンカムペーン郡。2001〜06年に国を率いたタクシン元首相の故郷だ。在任中に1回30バーツ(93円)の低額医療の導入、外資誘致、自由貿易協定(FTA)の締結などを推し進めた。半面、強権的な政治手法や汚職体質は既得権益層の猛反発を買った。汚職の罪に問われ、今は海外で亡命生活をおくる。
タクシン氏の妹、インラック氏を引きずり下ろした現軍事政権は、「秩序維持」を理由にタクシン派政党のタイ貢献党の活動に神経をとがらせる。もちろん故郷も例外ではない。
田園風景の中に廃虚のような2階建ての建物を見つけた。かつてタイ貢献党の事務所だった。小型トラックが1台あるが、さびた鉄製の門扉には南京錠がかけられている。人けはなかった。クーデターの日を境に人の出入りがなくなった。
郡中心部のある商店主が重い口を開いた。彼は「今もタクシン氏が好きだ。軍政は非民主的だから嫌いだ」と切り出すと、タクシン氏の地方振興策を挙げて「我々の生活の質を上げてくれた」と評価した。だが、タクシン氏の帰国を望んではいない。いま帰れば現政権による逮捕や拘留が避けられないからだ。彼は「拘留中に暗殺される可能性がある」と真顔で話した。
軍政の言論抑圧の威力を実感できる。人々は名前や職業を伏せる条件でないと記者と話すのをためらう。「いま選挙をしたらどこが勝つと思いますか」。同じ質問に全員が迷うことなく「タイ貢献党」と答えた。
40歳代とみられる住民は「軍政になっても生活は全然良くならない」と不満げ。農村部は農産物価格の下落や干ばつ被害に苦しむ。
タクシン氏の足跡が残る数少ない場所の一つを見つけた。サンカムペーンの中心部にある絹織物の販売店だ。いまも元首相の親戚が営み、入り口にタクシン氏の大きな写真を掲げている。ただ、支持者らが訪れる様子はなかった。
8月7日、軍政は憲法草案を国民投票にかける。草案は上院を一部公選制から任命制に変えるなど、民主主義の後退ともとれる内容だ。軍政は草案や自らへの批判を封じ込めるため、容赦なく強権を振るう。
クーデターから2年、軍政は治安を安定させた「功績」をアピールする。だがサンカムペーンで実感したのは、足元の平穏が国民の和解の産物ではなく、言論や表現の自由を抑え込んだ効果にすぎない可能性があるということだ。いまなお国民の「分断」は根深い。
幼き日のタクシン少年が通った小学校の前を通りかかった。1年生が休み時間におしゃべりしていた。外の露天商から駄菓子を買ってもおとがめはなし。子供らは自由を謳歌していた。彼らが大人になったとき、タイの政治・社会はどう変容しているのだろうか。
(サンカムペーンで、小谷洋司)
「Nikkei Asian Review」(http://asia.nikkei.com/)に
「Surface calm belies deep splits in Thai politics」と題して掲載
[日経新聞5月22日朝刊P.13]
昔、銀行強盗といえば目出し帽をかぶり、トンネルを掘ったが、もはやそうではない。3カ月前、世界は史上最大の銀行強盗を経験した。窃盗団がバングラデシュの中央銀行から1億100万ドル(約110億円)を盗んだのだ。
21世紀の詐欺師は銃を使わなかった。その代わり、国際銀行間通信協会(スイフト)が運営する銀行間の決済情報をやりとりする国際的なシステムへのアクセスコードを入手し、これらのコードを使って米国の連邦準備銀行を信じ込ませ、自分たちの口座へ資金を送金させた。その後、関係銀行のソフトウエアを書き換え、自分たちがサイバー空間に残した痕跡を消した。
これは由々しき事態だ。加えてさらに心配なのは、これが単発の事件ではないことだ。スイフトの幹部は5月中旬、ベトナムのある銀行が6カ月前に似たような攻撃に遭い、窃盗団が100万ドル以上を盗もうとした(幸い失敗したが)ことを認めた。
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スイフトの担当者たちは自分たちの顧客である世界の銀行に、スイフトのアクセスコードを使い、その後、証拠を消すソフトを使うといった手口により、システムへ侵入しようとした「複数」のケースについて、調査中だと伝えている。
これは当然、世界中に衝撃を走らせ、米JPモルガンなどの銀行は従業員にスイフトコードへのアクセスを制限すると通達している。米映画「俺たちに明日はない」の21世紀バージョンでいうと、ちょうど不気味な音楽が鳴り始め、銀行員たちが錠前をこじ開けられる魔法のカギを持った強盗団が金庫にいることを恐れる場面だろう。
金融界はこの事態にどう対応すべきか。明白な優先事項が少なくとも2つある。まず世界の規制当局者と民間金融機関の幹部は早急にサイバー防衛のレベルを引き上げる必要があるということだ。
近年、大半の大手欧米銀行はサイバー防衛を強化した。ウォール街の何がすごいかといえば、ある大手銀行の最高経営責任者によると、大手金融機関は毎分「数万件」の攻撃に見舞われているというのに、実際に成功するサイバー攻撃は極めて少ないという点だ。
ただ、個別銀行のセキュリティーのレベルは高いものの、国境を越えた協力体制の動きは鈍いことが多く、システムには驚くべき穴が複数ある。例えばロンドンの保険業界の幹部らは17日、サイバー攻撃に対して有効な保険をかけている金融機関は1割にすぎないと語っていた。ハッカーを訴追する法的な枠組みは不備が非常に多い。銀行間の情報共有も往々にしてお粗末だ。英国とスウェーデンの中央銀行は民間銀行に自行のスイフトコードの監視強化を求めたが、新興国の政府は公式な対応をほとんどしていない。
第2の優先事項は、規制当局も投資家も金融システムの「結節点」にもっと注意を払うことだ。鎖の強さは一番弱い輪で決まるからだ。スイフトという輪への監視を厳しくし、もっと公の議論を深めるべきだ。
スイフトは1973年に非営利の協同組合として設立され、1万強の銀行が加盟している。最近までその送金システムは地味な存在で、めったに関心を集めなかった。従業員数もわずか2400人(売上高は6億5000万ユーロ)。だが地政学的観点では、組織の規模を大きく上回る影響力を持つ。スイフトのシステムは、国境を越えた高額な支払いのほぼ半分を送金するために使われているからだ。
一部の観測筋にとって、このミスマッチは憂慮すべき問題だ。例えば、スイフトの企業統治構造が十分に機敏で、今日の動きの速いイノベーションに対処できるだけの経営資源を備えているのかといった疑問が浮上する。そう考えると、「フィンテック」の起業家たちが、スイフトに代わる技術として、ビットコインの基幹技術である「ブロックチェーン」や、シリコンバレーの天才児たちが生み出しているほかのシステムを導入すべきだと主張しているのも意外ではない。
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問題は、こうした技術も脆弱であるということだ。例えばブロックチェーン自体も詐欺に見舞われている。米国のハイテク企業が信頼と同じくらい不和の種をまいている今の世界で、金融システムのこの一角がまだ米国以外の非営利公共団体に支配されているという事実は、ある意味で喜ばしい。結局、世界は中立的な国際協調のプラットフォームをできる限りたくさん必要としているからだ。
いずれにせよスイフトに何らかの将来があるとすれば、スイフトコードの安全を確保できることを疑問の余地なく証明し、何にもまして加盟銀行にもっと強固なサイバーロックを取り付けるよう説得する必要がある。スイフトにとって、これは40年の歴史上最大の課題だ。
我々はスイフトがこの難題に対処できることを祈った方がいい。もし対処できなければ、既に様々な問題を抱えている国際金融には、ほかにも深刻な弱点があることが新たに判明してしまうことになるからだ。
(20日付)
[日経新聞5月22日朝刊P.13]
昨年11月にパリを、今年3月にベルギーを襲ったテロは世界を揺るがした。犯人が重複する、この2つのテロに関わったとされる30人余の容疑者のほとんどは射殺ないし拘束され、ネットワークは解体されたかにみえる。もっとも、2015年1月のパリは「シャルリエブド」襲撃事件に始まり、昨年にはフランスだけでも11件ものテロ未遂事件があったと報告されているから、危機が過ぎ去ったとは到底いえない。
危機が常態化しているのは、テロが欧州の「外側」ではなく「内側」にあるからだ。三井美奈著『イスラム化するヨーロッパ』(新潮新書・15年)は、移民を出自とする、これらテロリストがどのような社会環境のもとで暮らしてきたのかを広範に取材、報告する。先のテロに加え、欧州の難民危機までをフォローするが、日本の現状にも言及しつつ、それが幾世代にもわたって蓄積されてきた不可逆的な問題であることに警鐘を鳴らす。一読すれば「イスラムVS西欧の価値」などという、解(わか)り易い二項対立では論じ切れないことが理解できる。
●宗教の力強まる
潜在的なテロリストとみなされる当事者たちの苦悩は深刻だ。ハニフ・クレイシ著『言葉と爆弾』(武田将明訳、法政大学出版局・15年)は、パキスタン人の父とイングランド人の母を持つ英国人作家が、双方の社会で差別された生々しい体験から、イスラムも西欧もそれぞれに欺瞞(ぎまん)があることを告発する。一方は他方を物質主義的で不道徳だとなじり、他方は一方を狂信的で無知だと論難する。原理主義に囚(とら)われていった彼の親しい友人や親戚は、格差、戦争、貧困、無関心、暴力、憎悪などの負の連鎖の矛盾に耐え切れなかった人々だ。実際、最近になって相次いで公表されるIS(イスラム国)の外国人ジハーディストのプロファイル分析では、彼らは高等教育を受けたイスラムの教義に明るくない若者であり、かつ不安定な社会的地位にあって犯罪に手を染めた者が多いとされている。
欧州社会の亀裂がテロの土壌となる「プッシュ要因」だとして、アンナ・エレル著『ジハーディストのベールをかぶった私』(本田沙世訳、日経BP社・15年)は、そのテロを実行に移させる「プル要因」たるISの実態を暴くルポルタージュだ。ジャーナリストの著者はイスラム系フランス人少女を演じ、ネットと携帯電話でIS戦闘員と1カ月もの間、会話をし続け、何とか理解しようとする。ただ、そこで露(あらわ)になるのはシャリーア(イスラム法)の教える愛や正義、忠誠心を弄して、若者を欧州から招きよせようとする、狡猾(こうかつ)なISの姿である。ストーカーとその被害者と見紛(みまご)うばかりのやりとりは手に汗握るほどだが、この女性ジャーナリストはISから死刑宣告を受けるに至った。
今月になって、フランス政府は1万人弱にのぼるとされる過激派の更生施設を各地に設けると発表した。それにしても、なぜ現代にあってここまで宗教の訴求力が強まっているのか。ウルリッヒ・ベック著『〈私〉だけの神』(鈴木直訳、岩波書店・11年)は、宗教がそもそもグローバルな性格を有しており、個の自己決定権が重んじられる現代で、個人が宗教を自在に操るようになったこと、すなわち「ホットラインで呼び出せる神」が出現したのが原理主義台頭の理由だとする。グローバルと個人の時代だからこそ、宗教的過激主義が台頭するのであれば、イスラム原理主義テロはやはり我々自身が作り出しているものということになる。それでもこの稀代(きだい)の社会学者は、宗教こそが寛容をもたらす源泉になると強調することを忘れない。この事実に、問題のさらなる根深さが横たわる。
●日常生活で対抗
ところで、レストランのテラス席も狙われた昨年11月の同時テロの後、パリ市民は「#私はテラスにいる」とのハッシュタグをツイッターに投稿した。確かに幾度ものテロに襲われつつ、パリ市民は何事もなかったかのように、街角で喧嘩(けんか)をし、カフェで議論し、広場でデモを決行している。思えば、パリとは内乱と戦争、そして共生の歴史でもあった。エリック・アザン著『パリ大全』(杉村昌昭訳、以文社・13年)を読めば、100人近くのテロ犠牲者を出したバタクラン劇場から1キロ離れたペールラシェーズ墓地で、パリコミューン崩壊時、ドイツ軍の協力を得た政府軍が数万人を殺傷したことが、また、お隣のベルヴィル街ではユダヤ人8千人余りがアウシュヴィッツ送りになったことが思い起こされる。「たゆたえども沈まず」││このパリ市の標語は、平凡な日常生活を送ることがテロとの最善の戦いであることも、また教えてくれる。
[日経新聞5月22日朝刊P.19]
ヨーロッパで約900万人の死者を出した第1次世界大戦の終盤の1917年、ロシアで二月革命が起こり、8月に首都ペトログラードに潜入したイギリス秘密情報部(SIS、通称MI6)のサマセット・モームは、ロシアのケレンスキー首相に、対独戦争継続と来るべきボリシェヴィキ戦のための軍資金を提供する旨を伝える。だが、優柔不断な首相のために、モームの極秘任務は水泡に帰する。その後の十月革命でソビエト政権の首班となり、反革命軍との内戦に勝利したレーニンは、西欧資本主義国に対する第一の攻撃目標は英領インド帝国であると宣言する。
ところで、09年創建のSISは、この大事件にアッと言わせるやり方で対応した。
本書は、ロシア革命から21年の英ソ通商協定締結までの5年間の英ソのスパイ戦を扱う。
第1次大戦勃発直後の14年9月、SISはペトログラードのロシア陸軍省内に、18人編成の支局を創設した。元保守党下院議員で準男爵が支局長、作家、外交官、陸・海軍将校、新聞記者、実業家、音楽者などがメンバーであった。彼らは、変装・欺(ぎ)瞞(まん)作戦の名手であった。だが、レーニン暗殺未遂事件やソ連政府転覆未遂事件が、残忍なチェカー(ロシア秘密警察)による「赤色テロ」を誘発し、全支局員は国外退去する。
その後、赤軍と反英イスラム勢力が連帯したインド革命作戦が本格化し、SISの3人の諜報(ちょうほう)員がソ連に再潜入する。命懸けでソ連の戦略を探る。赤軍車両部隊の運転手、あるいは逮捕状が出ている自分自身の逮捕を下達されるチェカー将校、またコミンテルンの創設大会に出席する来賓などに事もなげに変装する強者であった。彼らの情報を生かしたのがインド帝国諜報部であった。
ソ連のインド帝国作戦の進行中に、工業生産の不振と穀物の凶作のためにソ連の経済が崩壊の瀬戸際になった。鳴り物入りの「戦時共産主義」政策の大失敗であった。数百万人の餓死寸前の国民を抱えたソ連政府が打ち出した起死回生の妙薬はイギリスとの通商協定の調印であった。それには、イギリス側からの強い条件、つまりインド帝国に対する陰謀の恒久放棄、を呑(の)むことであった。すでにSISはソ連政府の高官を手の内に抱えモスクワでの極秘会議の内容をほんの数時間後に正確に把握していたのだった。
諜報活動は、「昔ながらの戦争よりも徹底的に敵を叩(たた)くことができる」が、これ以降のイギリス対外政策の教訓となったのである。
原題=RUSSIAN ROULETTE
(築地誠子訳、原書房・3500円)
▼著者は66年生まれ。英国の作家。
《評》法政大学名誉教授
川成 洋
[日経新聞5月22日朝刊P.21]
【ジュネーブ=共同】世界保健機関(WHO)は20日、中南米で流行するジカ熱と同じ型のウイルスが、アフリカ地域としては初めて、西アフリカの島しょ国カボベルデで検出されたと発表した。
ウイルスはブラジルからカボベルデに持ち込まれた可能性が高いという。WHOアフリカ地域事務局のモエティ事務局長は声明で「(中南米発の)ジカ熱が拡大し、アフリカ大陸に迫っていることを示している」として警戒強化を呼び掛けた。
ジカ熱はこれまで中南米を中心に感染が拡大。新生児の小頭症や、感染者本人に手足のまひを伴う病気「ギラン・バレー症候群」を引き起こす可能性が指摘されている。
WHOによると、カボベルデでは今月8日までにジカ熱への感染が疑われる患者が7557人に上り、小頭症も数件報告されている。
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米の妊婦157人感染 海外領土でも122人
【ワシントン=共同】米疾病対策センター(CDC)は20日、米国内50州で計157人の妊婦がジカ熱に感染、海外領土でも122人の妊婦が感染したと発表した。集計は12日時点。海外領土では特に自治領プエルトリコで急増している。
最新の研究によると、妊婦がジカ熱に感染すると発熱などの症状が出なくても、小頭症の赤ちゃんが生まれる可能性がある。
このためCDCは今回から集計方法を変更。妊婦の感染実態を幅広く把握するのが目的で、正式な検査結果や症状がないケースも感染者数に含めることにした。簡易な検査も含め、感染の有無の判断を各地の医療機関に委ねて調査した。
[日経新聞5月22日朝刊P.30]
英国企業が製造したクラスター爆弾が、サウジアラビアの国境から約6キロのイエメンで発見された。
サウジアラビア率いる連合軍が、クラスター爆弾を使用したとみられている。インディペンデント紙が人権活動家の話を引用して伝えた。
クラスター爆弾は、100カ国以上で禁止されている。
インディペンデント紙によると、英国は1980年代と1990年代に大量のクラスター爆弾をサウジアラビア、ならびに同じく連合軍に参加するアラブ首長国連邦に売却した。
Hunting Engineering社が製造したクラスター爆弾は、爆発した際に広範囲に散布される147個の子爆弾を含んでいる。クラスター爆弾は無差別の攻撃を行う。
インディペンデント紙によると、サウジアラビアは先に英国から航空機「トーネード」を購入し、同機からクラスター爆弾を投下しているという。なお英国は、クラスター爆弾の使用に関する全ての非難を否定した。
「英国はサウジアラビア率いる連合軍には入っていない。英国の担当者はイエメンでの空爆、連携、あるいは作戦実施、ならびに(連合軍による)目標の選択や決定の承認プロセスとは関係ない。」
イエメンでは2014年からイスラム教シーア派の一派、フーシ派(正式名称「アンサール・アッラー(神の支持者)」)」及びサレフ前大統領を支持する軍の一部と、地上と空からアラブ連合軍の支援を受けているハディ現大統領支持派との間で軍事紛争が続いている。
「墜落前にエジプト機内に煙」仏事故調が確認:煙ではなくあくまで警告の確認:遠隔操縦による意図的な墜落も疑うべき
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/840.html
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エジプト航空機A320 墜落まで3分間 コックピット過熱との情報[スプートニク日本語]
2016年05月25日 14:26(アップデート 2016年05月25日 14:30)
エジプト航空機A320 型機がレーダーから消える前に、コックピット内で温度が上がっていたことが分かった。新聞「アル∸アフラム」のインターネット版が、旅客機専技術門誌の情報として伝えた。
それによると「12時26分、コックピットの機長補佐席の隣、右側の窓の温度が上昇しているとの情報が届いた。この情報が伝えられたのは、エジプト航空機がレーダーから消える3分前のことだった」。
今回の事故の主な原因の一つとして、テロ説があるが、現在に至るまで、どの組織からも犯行声明が出されていない。
また昨日、エジプトの医療審査官らは、機内で爆発があったとのデータを否定した。
パリからカイロに向かっていたMS804便がレーダーから消失したのは5月19日早朝。12カ国の66人(ロシア人はいなかった)、つまり56人の乗客、3人のセキュリティ担当者、7人の乗組員が乗っていた。
なお消息を絶ってから一昼夜を経て、エジプト航空機の残骸は、アレクサンドリアの北方290キロの地中海上で発見された。
新聞「The Washington Post.」は、米国の中東政策は、この地域に混沌と破壊をもたらしただけだった、と指摘した。
以下、同新聞に掲載された論文の要旨をご紹介する。
オバマ大統領は、中東において様々なアプローチを次々と試みた。イラクには大量の干渉軍を送り込んだし、リビアでは軍事作戦を展開、シリアではよく考え抜かれた遠隔からの作戦を行った。しかしそのどれもうまく行かず、崩壊と混乱をもたらした。
オバマ大統領には当初から、長期耐久戦の途上で。軍事力を用いたり、期間を決めずに外交的手段を使う考えはなかった。まさにそうしたアプローチは、米国と韓国の行動の中に成功例がみられる。
その代わり中東において、オバマ大統領は、アフガニスタンからの撤退時期を、この国の国内状況とは関係なく明言し、イラクでは、安定維持のために1万5千から2万の兵士を残すことを拒否し、さらにはリビアではカダフィ体制を打倒しておきながら新しい政府に援助もしていない。
米国の次期大統領は、中東における政策を必ずや転換せざるを得なくなるだろう。テログループ「ダーイシュ(IS,イスラム国)」の跳梁跋扈ぶりは、状況を複雑かつ困難にし、崩壊と混乱を、すでに欧州に広げている。遅かれ早かれ彼らは、米国にもその魔の手を伸ばすだろう。
「イラク軍 IS支配のファルージャ奪還へ攻勢:“反フセイン”のスンニ派地域で米軍侵攻以来地獄が13年続くファルージャ」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/749.html
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「ダーイシュ(IS)」イラクで人間を「生きた盾」に[スプートニク日本語]
2016年05月25日 15:41(アップデート 2016年05月25日 16:21)
国際テログループ「ダーイシュ(IS、イスラム国)」の戦闘員らは、イラク中部、首都バグダッド西方の町ファルージャの住民を「生きた盾」として利用している。イラク政府のジャマリ報道官が、新聞「イズヴェスチヤ」の取材に応じた中で伝えた。
ファルージャを「ダーイシュ」から解放する作戦は、昨日開始された。これまでの間にイラク軍は、ファルージャ近郊の村落をいくつかすでに解放している。またファルージャにおける「ダーイシュ」の頭目で、ハジ・ハムザの名前で知られる人物が殲滅された。
ジャマリ報道官によれば、現在戦闘員らは、学校や病院、住民の家などに身を隠している。
「もんじゅ受け皿示せず 有識者会合が報告書案:政府は無言だが対日核物質締め付け強化でプルトニウム生産施設「もんじゅ」は廃止」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/712.html
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「もんじゅ」の運営主体の議論 「勧告に沿っていない」
5月25日 17時43分
安全管理上の問題が相次いだ福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」の新たな運営主体を示すよう勧告した原子力規制委員会の田中委員長は、文部科学省の検討会での議論について、「勧告に沿った議論がされているようには見えない」などと述べ、安全を確保するためのより具体的な検討をして、運営主体を示す必要があるという認識を示しました。
「もんじゅ」を巡り、原子力規制委員会は去年、運転を安全に行う資質を持っていないなどとして、日本原子力研究開発機構に代わる新たな運営主体を示すよう勧告し、文部科学省の検討会は今月20日、具体的な運営主体は示さず、経営に外部の専門家が入ることなどを盛り込んだ報告書の案を提示しました。
これについて、規制委員会の田中俊一委員長は25日の記者会見で、「もんじゅの安全とは何なのかという議論は少なくともされていないのではないか。炉心の詳しい状態も分からず、勧告に沿った議論がされているようには見えない」と述べ、安全を確保するためのより具体的な検討をしたうえで、運営主体を示す必要があるという認識を示しました。
また、馳文部科学大臣が24日の会見で、もんじゅの運転再開後にかかる費用や効果などを明確にするなどと述べたことについて、田中委員長は「費用対効果は求めていない。安全に運転できる組織を選ぶことを求めている」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160525/k10010534741000.html?utm_int=news_contents_news-main_006
「<栃木女児殺害>「録音・録画で判断決まった」裁判員ら会見:違憲の判決!取り調べ可視化が逆に冤罪増加の温床に」
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/713.html
「取り調べの録音・録画 どう機能したか:間接的ながら栃木女児殺人事件宇都宮地裁判決にNHKの厳しい批判」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/352.html
「栃木女児殺害 判決の影響は」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/351.html
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2016年05月19日 (木) [NHK総合]
「刑事司法制度改革 えん罪を防ぐために」(時論公論)
橋本 淳 解説委員
事件の捜査や裁判のあり方を変える刑事司法制度改革の関連法案が19日、参議院の法務委員会で可決され今の国会で成立する運びとなりました。改革の柱は容疑者の取り調べの録音録画を捜査機関に義務付けることです。後を絶たないえん罪の防止にどうつなげるのかを考えます。
取り調べの録音録画の主眼は捜査の適正化ですが、解説のポイントは、録音録画でうその自白を見抜けるかということです。無実の人が犯人扱いされたえん罪事件は、その多くで容疑者がうその自白に追い込まれていました。取り調べの動画が裁判に出された場合、国民から選ばれた裁判員は自白が本当に信用できるのか判断を迫られることになります。
録音録画の法案では、殺人や誘拐といった一定の重大な犯罪を対象に警察や検察が容疑者を逮捕してから起訴するまでの間、原則としてすべての取り調べをビデオカメラで撮影するよう義務づけています。密室での尋問を映像と音声で記録することで、自白を強要するような不当な捜査を抑止し、のちの裁判でも供述の真偽を正しく判断できるようにしようという狙いです。
法制化の機運が高まったのは平成22年です。栃木県で女の子が殺害され、菅家利和さんが服役中に捜査の誤りがわかった足利事件。そして厚生労働省の局長だった村木厚子さんの無罪が確定した郵便不正事件と、えん罪が相次ぎました。これをきっかけに5年越しの議論を経て、取り調べの録音録画の法案が成立する運びとなったわけです。
録音録画の制度は世界の潮流です。日本の刑事司法は欧米やアジアの国々から大きく後れをとり、「まるで中世のようだ」と揶揄されたこともあったので、遅まきながら国際標準への第一歩という意味では評価できます。ただし問題は、あからさまに強引な捜査を抑止できたとしても、うその自白が生じる危険があることです。裁判で自白の真偽を見極めるには、供述に頼ってきた刑事司法の構造的な問題や取り調べに潜む危うさを理解しておかねばなりません。
捜査や裁判では、なぜ自白が重視されるのでしょうか。裁判ではおよそ90%の被告が犯行を認め、99.9%の事件で有罪が言い渡されています。「自白=有罪」という図式が染み付いてきたわけです。捜査機関からすれば、自白させることで事件の解明が進み捜査が楽になる面があります。担当の捜査官も職務上の評価につながります。また裁判所にとっては、自白事件なら裁判を長引かせずに被告の反省や立ち直りを促せますし、被害者の気持ちを落ち着かせるのにも役立つとされてきました。これが「自白は証拠の王様」と言われたゆえんです。捜査や裁判が自白に頼ったのも、「処罰を覚悟であえて自分に不利益の供述をするのだからまさかうそはないはず」と信じていたからにほかなりません。
ところが、その「まさか」が起きるのがえん罪です。無実の人がなぜ自白するのでしょうか。一般には、「拷問まがいの取り調べ」というイメージが強いかもしれません。しかし最近は、直接、暴力や脅迫を受けなくても心理的に追い込まれるケースが多いと言われています。連日のように「君がやっただろう」と言われ、「違う」といくら弁明しても聞き入れてもらえず、これが延々と続くうちに絶望感や無力感に苛まれて「やりました」とつい認めてしまう。このプロセスはえん罪の被害者が口をそろえて指摘していることです。そして、ひとたび認めてしまった後は捜査官から犯行のストーリーを語るよう求められることになります。
心理学者の浜田寿美男さんは、「犯人じゃないので『わからない』と答えても、『否認するのか』と言われてまた無力感にとらわれる。そこで巧みな尋問にヒントを得ながら捜査官が期待する筋書きに沿って語り、犯人を演じてしまう」と話しています。一方、捜査官は犯人だという確信を深めているのでその方向にどんどん走ってしまう。このようなことがえてしてあるわけです。
では、録音録画があれば裁判でうその自白を間違いなく見抜けるのでしょうか。多くの専門家は、いったん自白した後の録音録画だけを見ても真偽を見分けるのは難しいと言います。
例えば、改革議論のきっかけとなった足利事件では菅家さんに対する取り調べの一部を録音したテープが残されていました。録音テープは無実が明らかになってから存在が分かり、再審(裁判のやり直し)の法廷で再生されました。テープでは、それまで自白していた菅家さんが否認に転じた際、検察官は「ずるいんじゃないか、君」とか「誠実さを失ったら人間として失格じゃないかな」などと執拗に語りかけ、菅家さんが泣きながら「ごめんなさい。(否認は)取り消してください」と自白に戻ると、検察官は「言わなきゃいけないという気持ちと逃げたいという気持ちが入りまじっているんだね」と優しく応じていました。
取り調べの様子は拍子抜けするほど穏やかで、「この場面だけを聞けば自白は信用できると大半の人が思ってしまう」と専門家は指摘しています。菅家さんの涙も汚名を着せられ悔しくて流したものなのに、逆に罪を悔いる涙ととらえてしまうというわけです。
こうして見ますと、裁判で正しく判断するには、自白した後だけでなく自白に至る過程の録音録画が必要で、とりわけ初期の取り調べが重要であるように思います。この点、法案で義務付けているのは容疑者を逮捕して以降の取り調べです。しかし、逮捕の前に任意同行を求め、ある程度自白をとってから逮捕状を執行する。そうした事件も多く見られるわけで、逮捕前の任意の取り調べの段階から録画を義務付けておかないと捜査側に都合よく利用されかねないという懸念が根強くあるところです。
この懸念が強まりかねない裁判が先月ありました。栃木県の旧今市市、今の日光市で小学生が連れさられ殺害された事件です。被告は無罪を主張し、裁判では自白した後の取り調べを撮影した動画が再生されました。1審は無期懲役を言い渡し、一部の裁判員が記者会見で「映像だと臨場感があった」とか「録音録画がなければ判断はどうなったかわからない」と述べました。ところが、この発言に少なからぬ専門家が違和感を覚えたといいます。この事件では逮捕直前の任意の取り調べが録画されておらず、インパクトの強い自白後の動画を見て有罪判断の根拠にしていたからです。裁判が確定していないので早計なことは言えませんが、今後に議論の余地を残したのではないでしょうか。
取り調べの録音録画は義務化されても、ようは運用次第、使い方を誤れば逆にえん罪を生む危険さえあるかもしれません。録音録画が完璧でない以上、捜査機関には供述を吟味する技量の向上と取り調べに偏らないような意識改革が求められます。また裁判所も過去のえん罪を検証し、裁判員にうその自白のこわさを共有してもらう工夫も必要でしょう。録音録画の制度化を機に刑事司法の改革をさらに前に進めてほしいと思います。
(橋本 淳 解説委員)
安倍首相はG7に出席するため日本入りしたオバマ米大統領に対し、沖縄で起きた米海兵による日本人女性殺害遺棄事件について抗議を申し入れた。安倍首相は、「オバマ大統領に日本の首相として断固抗議した。沖縄だけでなく、日本全体に大きな衝撃を与えており、こうした日本国民の感情を、オバマ大統領にはしっかりと受け止めて頂きたい」と語った。だがロシア人日本専門家のアナトーリー・コーシキン氏はこうした形式的な抗議を行ったところで日本領内における米軍人の犯罪はなくならないとの見方を示している。
「米国人が日本領内でとんでもない犯罪を起こすたびに、これは日本国民の怒りと憤慨を呼んできており、国民自身、終わりのない戦争状態で生活を続けることに疲れたと語っている。この状態は特に沖縄で強く感じられる。沖縄の住民は自分自身の生命の危険も近しい人間、子どもたちの生命の危険も感じているからだ。
米国側ももちろん措置は講じており、戒厳令を敷いたり、夜間は基地の外に出るな、アルコールを飲用するなといろいろ禁じている。だがこれらはすべて中途半端なものだ。やはりこの問題を解決しようとなると、米軍基地には日本から、沖縄から出て行ってもらう以外ない。これを沖縄住民は執拗に求めているのだ。
日本の首相が今回、個人的に抗議を表さざるを得なかったということがこの抗議に特別な重みを与えている。だがこんな形式的な抗議で日本人の気持ちを静めることはできない。状況を一層緊張化させているのは、これがG7サミットを目前に控えて起きたということだ。これは日本国民および日本のプレスがサミットに参加しに来た米大統領へ示す態度に表されないわけにはいかない。
日本領内に米軍が駐留し始めてこのかた、溜まりに溜まった米軍人の犯罪の事実によって日本には、特に沖縄県内には米軍人に対してのみならず、全体として米大統領府に対する断固とした抗議の姿勢が生まれてしまっている。日本はもうすぐ議会選に突入するが、野党が結集し、米国の圧力から日本を解き放ち、米国の保護領という立場から日本を解放するため、この暴力の事実を利用する可能性も私はあると思う。もちろんこれはサミット開催時に日本で組織される抗議行動にも現れてくるだろう。これによって日本の治安維持機関はサミットのゲストを守るため補足的な保護策をとらざるを得なくなると思う。
だが重要なのはこの状況は永遠に続くわけではないということだ。2008年に民主党政権が誕生した時、当時の鳩山由紀夫首相は、米軍基地が密集する沖縄からせめてその一部でも撤退させるということを自らの目標に掲げていた。この課題は残り続けていくだろう。それだけではない。トランプ次期米大統領候補の呼びかけを思い起こしてほしい。トランプ氏は言い方は別だが、日本領内における米国の軍事アピアランスの縮小に事実上賛成を示したではないか。これは日本の野党にとっては、安倍氏が常に呼びかけている日米軍事同盟の強化という路線に反対する論拠になりうる。
そういえば安倍氏はソチにいってプーチン氏とあったが、これは米国側からの禁止に反してのことだったといわれているが、そうではない。これについては核安全保障サミット時の安倍・オバマ会談で話はついていた。これが示すことはあらゆる外交的な抗議、反対は形式的なものだったということだ。ところが実際は安倍氏自身もその背後にいる自民党、つまり日本のネオ保守も右翼ナショナリスト勢力もこの先、自国の軍事、戦略プログラムを米国のプランとこの上なく緊密に結びつけるという路線をとり続けるだろう。これはつまり、米軍基地は残存し、ひょっとするとより強化されてしまうことを意味する。ということは日本の一般市民に対する米軍人の犯罪はこの先も続くということだ。」
「スプートニク」:民主党が選挙で勝利した場合、米国の軍事アピアランスは縮小するだろうか? それを目標に掲げた鳩山由紀夫氏が米国には何の影響も及ぼすことなく、早々に首相職を退かざるをえなかったことは記憶に新しいが。
「日本国民の中には米軍人が日本領内に存在するという事実自体にネガティブな意識が出来上がっている。ネガティブな感情は溜まっていくものだ。もし野党が努力を結集し、本腰を入れてこの問題に取り組んだならば、与党が国民に対し、この先軍事分野で米国との関係を強化する必要性を証明することは容易ではなくなる。とはいえ、もちろん中国の増強、北朝鮮からの脅威など、持ち出すネタはあるが。またロシアの脅威については、ソ連時代のときほど、今このことをとやかく言う人はそう多くはないが、ロシアは日本の軍事文書では潜在的敵国に留まっている。だがこの論拠はいつもいつも力を持つわけではない。こうした脅威を信じる日本の新しい世代はますます少なくなってきている。このため、野党がこれからも日本における米国の覇権を弱めるよう求めていくならば、遅かれ早かれなんらかの具体的成果につながる可能性があると思う。」
エジプトの専門家たちは、地中海で墜落したエジプト航空機のラジオビーコンのシグナルを確認した。事故調査委員会のアイマン・アル=ムカッダム委員長が発表した。
委員長によると、ラジオビーコンは、通常航空機事故が発生した時に行われるように、人工衛星にシグナルを送っているという。
委員長は、「人工衛星にシグナルを送っている機器が存在する地域が明らかとなった。その位置の半径は5キロだ」と述べた。新聞「アル・アフラム」が伝えた。
調査委員会はまだ原因を特定できずにいる。独立した専門家たちは、機内で爆発が起こったとの見方に傾いている。
パリからカイロに向かっていたMS804便がレーダーから消失したのは5月19日早朝。12カ国の66人(ロシア人はいなかった)、つまり56人の乗客、3人のセキュリティ担当者、7人の乗組員が乗っていた。
なお消息を絶ってから一昼夜を経て、エジプト航空機の残骸は、アレクサンドリアの北方290キロの地中海上で発見された。
安倍晋三首相は26日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、世界経済について「危機に陥るリスクがある」と訴えた。政策対応を誤ればリーマン・ショック級の経済危機が発生しかねないとして各国に財政出動を促したが、認識は必ずしも一致しなかった。首相の強い訴えには、2017年4月に予定する消費増税を再延期する地ならしの思惑が透ける。
「リーマン・ショック直前の洞爺湖サミットは危機を防ぐことができなかった。そのてつを踏みたくない」。首相は世界経済に関する討議で、日本が前回議長国を務めた08年の洞爺湖サミットに言及し「将来の危機」への対処を求めた。
首相の「危機」へのこだわりには並々ならぬものがある。討議では商品価格や新興国経済に関する指標を並べた4ページの資料も配布。いずれのページにも「リーマン・ショック」という単語を盛り込み、「リーマン前と状況が似ている」と指摘した。
前のめりの姿勢の背景にあるのは消費税だ。首相は14年に増税先送りを理由に衆院を解散した際、17年4月の増税を「再び延期することはない」と断言。その後はリーマン・ショックや大震災のような事態が起こらない限り、増税方針は変えないと説明してきた。
政権が目指すデフレ脱却や景気の腰折れの可能性を考えると、予定通りの増税は政権運営へのマイナス面がある。だが「いまはリーマン・ショックのような事態とはとてもいえない」(首相周辺)状況。7月の参院選を控え、説得力のある材料をそろえなければ有権者から理解は得られない。
首相はすでに増税延期の方針を固め、来週に表明する見通し。国会会期末の6月1日に記者会見を開く案が有力だ。
政権内で浮上しているのが経済状況の悪化懸念と、熊本地震の2つの「合わせ技一本」という案。いまはリーマン・ショック級ではないが、将来の下振れリスクはある。G7でそう合意し、財政出動の必要性でもお墨付きを得れば「負の財政出動」ともいえる増税延期の理由になる。
だが各国の反応は首相の期待とは微妙に異なる。日本政府関係者は「危機、クライシスとまで言うのはいかがなものか、という意見もあった」と語る。英国政府の説明によると「G7各国は、それぞれの必要性に応じて経済政策をとるべきだというドイツのメルケル首相の意見を支持した」という。
首相が各国首脳に提示した討議資料にも、身内である自民党執行部内から「世界からどんな反応が出るか心配だ」との声が漏れた。
討議終了後、記者団の質問に答えた首相は「世界経済は大きなリスクに直面しているとの認識については一致できた」と語った。それは「我々は大きな危機に……」と語り始めたのを言い直した表現だった。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO02843290X20C16A5EA2000/?dg=1&nf=1
世界経済は規模においてリーマン・ブラザーズの破綻後に発生した2008年の危機に匹敵する新たな危機に直面するかもしれない。G7伊勢志摩サミットで26日、安倍首相が述べた。ロイターが報じた。
それによると、原料価格は2014年から55%減少、これはリーマン・ブラザーズの破綻前の状況に似ている。もうひとつの不穏な兆候は発展途上国の成長ペースが世界危機の期間よりもさらに低くなっていること。G7サミットでは景気後退に対処する方法を議論する必要がある、と安倍首相は述べた。
安倍首相のこの懸念はどの程度根拠のあることなのか。高等経済学院のアンドレイ・フェシュン氏がスプートニクの取材に答えた。
「私は、2008年の大規模な危機の再発、それによる世界経済への非常に深刻な影響という安倍首相の発言はまったく偶然的なものではないと考えている。日本は残念ながらデフレ状況が継続しており、よく広報されたアベノミクス計画のいわゆる「3本の矢」は、どこにも命中していない。デフレ状態からの出口についても将来的に明確な見通しはないままだ。この不確実性に、中国経済が加わった。その経済成長は大幅に鈍化した。北京は、当然のことながら、ドルに対する元の価値をわずかに減らすことにより、経済状況を良くしようとしている。しかし、これらの見通しは不明だ。これに欧州の状況が加わる。最近の政治的なイニシアティブでもEUの経済状況についての懸念は払拭されていない。世界経済は危険な状況にあるという首相の見立ては絶対的に正しい。ただ、彼が出口を示せるかどうかは別問題。おそらく無理だろう。したがって、この種の警告は正当だし意義もあるが、それが状況を改善することは期待しにくい」
この関連でロシアと日本の経済関係およびソチ会談を考えるのは論理的なことである、とフェシュン氏。
「安倍首相とプーチン大統領の会談、そこにおける全く予想外だった8部門の経済協力提案は、グローバルおよび日本国内的な経済問題の全体像に合致する。私は、東京はロシアとの関係改善のためならいかなるわらをもつかむ状態だと思う。日本側は、経済が本当に悪くなったときのための最低限の保証を得たいとの考えだろう。しかし、ロシアとの関係推進は、非常に残念だが、日本にとって優先事項ではない。それは依然として政治情勢に左右されるのだ。そして、仮に日ロ関係があまりにもアクティブに成長する場合は、日ロの接近を懸念する米国がその重大な発言権を行使し、それが日本の立場に大きな影響を与えるのだ。」
(真珠湾に日本の飛行機が出現してようやく対応に動いた米軍の“大失態”が米兵に多数の犠牲を強いた)
日本国内閣総理大臣がハワイを訪れたついでに真珠湾を訪れ哀悼の意を表すことに問題はないが、米国大統領が広島を訪れ哀悼の意を表したから、日本の首相も真珠湾...というような考えは倒錯であり容認できない。
25日夜の日米共同記者会見で安倍首相が語っていたように「無辜の市民が大量に犠牲になった原爆投下」と軍組織がぶつかって戦った真珠湾攻撃作戦を同列に置くことはできないのである。
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安倍首相、オバマ氏広島訪問後にパールハーバー視察計画はないと断言[スプートニク日本語]
2016年05月26日 07:19
安倍首相は近日中に米海軍のパールハーバー基地を視察する予定はない。安倍首相は2日間にわたるオバマ大統領の訪日を総括した声明で明らかにした。
首相は、現時点でハワイ訪問の具体的プランはないと断言している。
安倍首相はこの一方でオバマ大統領の広島訪問の決定に支持を示し、広島訪問が非核平和を目指す運動に追い風となるよう期待感を表している。
これより前、日本のマスコミには安倍首相がオバマ大統領の広島訪問に答えてパールハーバーを訪問するというニュースが流れていた。
[東京 27日 ロイター] - 安倍晋三首相は2017年4月から予定されている消費税率10%への引き上げを再延期する方針を固めた。複数の政府関係者が明らかにした。安倍首相は、近く麻生太郎財務相、公明党の山口那津男代表とそれぞれ会談し、延期期間を何年程度にするのか詰めの調整に入る。
26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、G7首脳は、不透明感が増している世界経済の現状を共有。安倍首相は、増税に踏み切ればデフレからの脱却が困難になると判断したもようだ。
安倍首相は26日、記者団に対し「世界経済は分岐点にあり、政策対応を誤ると危機に陥るリスクがある」と述べた。
実施時期をいつまで延期するかは29日に麻生財務相、30日に山口代表と個別に会って最終調整する。
安倍首相は、増税を延期しても2020年度に基礎的財政収支の赤字を解消する財政健全化目標を堅持したい考えで、関係者によると、1年から3年程度延期する案を軸に、政府・与党で協議するとみられる。
政府は、31日に「ニッポン1億総活躍プラン」「新成長戦略」と併せて、消費増税を前提に策定していた骨太方針を閣議決定する方針だったが、首相方針を踏まえ、骨太の閣議決定を6月初旬に先送りする方向だ。
「米国、広島原爆投下の決定は見直さない:投下は戦術的には不要と承知で“都市投下実験”を強行した“ナチス超え”の歴史的犯罪」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/699.html
「自国の支配層によって三たびも“核の人体実験”に投げ込まれた日本国民:NHK「原爆投下 活かされなかった情報」」
http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/396.html
「オバマ大統領広島訪問 米専門家の見方は:カズニック教授 原爆投下は不要、オバマ氏は核兵器削減に消極的」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/822.html
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Column | 2016年 05月 27日 10:18 JST
コラム:広島「原爆神話」、米国はどう海外攻撃を正当化したか
Peter Van Buren
[25日 ロイター] - オバマ米大統領が、現役の米大統領として初めて、世界初の原爆被爆地となった広島の平和記念碑を訪問する。写真映えのする訪問となりそうだが、この訪問は、この地が持つ真の歴史的な意味への認識を避けるものとなるかもしれない。
ケリー国務長官が4月に平和記念碑を訪問し、それ以前にも2人の米国駐日大使が訪れているが、彼ら同様、オバマ大統領も原爆投下をめぐる主要な問題には触れない方針だ。ベンジャミン・ローズ大統領副補佐官(国家安全保障担当)は以前、大統領は「原爆投下の決定について立ち返ることはない」と述べている。
まれな例外を除き、原爆投下が第2次世界大戦を終結されるために必要だったかどうかについての深い議論は、米学界の安全圏内でのみ行われている。
つまり、原爆投下がなくとも地上侵攻は避けられたのか。さらなる外交努力によって、2つの都市を破壊することなく、同じ目的を達成することができたのか。無人島での原爆実験で日本人を説得することはできなかったか。広島原爆投下の2日後、そして、長崎での投下1日前に、歴史上の偶然によって、旧ソ連が太平洋戦争に参戦したが、日本の降伏は主にこのことで引き起こされたものではなかったか。
しかし、議論が避けられてきたのは、その決定にまつわる歴史そのものだけではない。破壊行為の向こう側に横たわるのは、原爆の神話である。つまり、実際に起きなかったことを大衆が記憶するという戦後の創造物だ。
世間一般の意識に浸透している原爆神話は、簡単に言えば、原爆投下は復讐や悪意によるものではなく、軍事的な必要性からしぶしぶ決定されたというものだ。その結果、原爆投下は、道徳性についての深い自己反省や国家的な考察を呼び起こすことはなかった。
「神話」という言葉の使用は適切である。当時のトルーマン大統領は1945年の広島への原爆投下を伝える演説で、復讐と、米国だけが持つ新しくて並外れた力を強調。軍事的に必要だったという議論はその後、原爆投下を擁護する1947年の論文によって生まれた。
この論文は、ヘンリー・スティムソン元陸軍長官の名前によって執筆されたが、実際は、ベトナム戦争の政策立案者のマクジョージ・バンディと原爆建造に関わった科学者のジェームズ・コナントが草稿を用意した。コナントは、冷戦開始時に発表された論文の目的について、「未来に向かって多くを準備する前に、過去を整理する必要がある」と述べている。
スティムソンの論文は、ジャーナリストのジョン・ハーシーが執筆した広島で被爆した人々の惨状を描いた記事に対する回答だった。この記事は1946年にニューヨーカー誌に初掲載され、後に出版された。
戦時中の検閲のため、米国人は原爆戦争がもたらした地上の真実をほとんど知らずにいた。この記事が人々に与えた衝撃は、米政府が公式な回答をせざるを得なくなるほど大きいものだった。自らを良識ある人々とみなすアメリカ人の一般感覚は、米国の名の下で行われた過去と折り合いをつける必要があった。スティムソンの論文は文字通り、広島の神話誕生の瞬間だった。
原爆投下には道徳上の問題はなく、それゆえに考察も自己反省もいらないとの国家的な信仰は、今日まで繰り返されているものである。「そして、長崎も」と、長崎への原爆投下を歴史的な補足として軽率に扱う方法もそのことを痛感させる。
新たな「パールハーバー」とも称される、9・11の米同時多発攻撃によって、たとえ破壊的で不完全であっても、殺害によって人々の命を守るという道徳的要請に応じた一連の不道徳的な行為が始まった。
米国が下した戦争や拷問、容疑者の他国への引き渡し、さらには無期限拘留などの決定は、性善な者が性悪な者と向き合う上で、不快だが必要な行動だと、多くの人々に受け止められている。広島は「自分たちがやるなら、正しい」という圧倒的な国家的概念を始動させた。
こうしたことを踏まえれば、広島での破壊や、イラクのアブグレイブ刑務所内で起きた「衝撃と畏怖」の恐怖から距離を置くことは、単に程度の差である。こうした神話は、たとえわずかな数でも民間人が痛ましく斬首されたことを受けて、世界で最も強力な国が被害国として、戦争に突入することを可能にした。
一方で、ドローンが結婚式に参加していた子供たちを殺害しても、それは不運ではあるが、国際的なテロリズムを打ち負かすという目的達成のための単なる巻き添え被害だとみなされている。それは、単に誰がナイフを持っていたかによって暴力行為を分析し、一部に対し道徳的な正当性を認める気味の悪い計算である。
実際、私たちはアフガニスタン人の一部を殺害することによって、アフガニスタンの国民に善い行いを施していると考えているかもしれない。それは第2次世界大戦を終わらせるため、日本本土への地上侵攻が実施されていたならば、命を無くしたであろう何万人のために善い行いをしたと信じていることと同じである。
「テロとの戦い」をめぐる議論はほとんど起きない。なぜなら議論そのものが多分に不必要だからだ。広島の神話は、ご都合主義の幻想が道徳的懸念を拭い去ってしまうことを物語っている。それは私たちの良心の中に巧妙にしまい込まれ、次はどこを攻撃するか考えることを残すのみだ。
日本もまた、戦時中の自身の戦争行為を深く検証できないという罪を犯している。それでも、第2次世界大戦中とそれ以降の驚くべき残虐行為の数々と比較しても、世界で唯一となる核兵器使用は、不名誉なものとしてなおも重大な位置を占めている。
犠牲となった多数の罪のない民間人を日本政府に見せて降伏に追い込むこと(1945年当時はこの計画がうまく行くかは誰にも分からなかったが)。そして、さらに多くの爆弾を投下すると脅し、無防備な都市に対する将来的な連続攻撃に対して、日本という国を人質に取ること。これらはかつて見たことがないほどの残酷さを物語っている。
オバマ大統領が、こうした不幸な人命の損失の理由について、それらがあたかも自然災害だったかのように、考察することなく広島を訪れることは、過去71年間、どの米国大統領もこの被害都市を訪問することの重要性を特に感じていなかった点と、悲劇的に合致している。20世紀の最も重大な出来事の1つに対する米国の自己反省の欠如は、21世紀への影響も伴って、今も続いている。
*筆者は、米国務省に24年間勤務。著書にイラク再建の失策を取り上げた「We Meant Well: How I Helped Lose the Battle for the Hearts and Minds of the Iraqi People(原題)」などがある。最新刊は「Ghosts of Tom Joad: A Story of the #99 Percent(原題)」。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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http://jp.reuters.com/article/hiroshima-obama-idJPKCN0YI02V?sp=true
中国は、今後しばらく、セーフティネットの充実と底割れを防ぐレベルの公共投資を行いつつ、構造改革(過剰産業分野の企業淘汰)を続けていくのが正解だろう。
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中国指導部、経済巡り溝
李首相ら、景気の安定重視/習氏周辺、構造改革を優先 金融・財政政策で食い違い
【北京=原田逸策】中国の指導部内でマクロ経済政策を巡る温度差が目立ってきた。李克強首相ら政府高官が中国経済の現状を前向きに評価するのに対し、習近平国家主席に近いとみられる人物が反論。景気・雇用の安定重視か、構造改革優先かで意見が割れているもよう。異例の不協和音は、習氏への権力集中が進む中、来秋に開く共産党大会での最高指導部人事を巡る摩擦が背景にあるとみられる。
発端は中国共産党の機関紙、人民日報が9日付で掲載した匿名インタビュー。中国経済を「権威人士」なる人物が語った内容が政府と食い違っていた。中国では「権威人士」は習氏の経済ブレーン、党中央財経指導小組弁公室の劉鶴主任とその周辺とみられている。
異なる現状認識
まず異なるのが経済の現状認識だ。1〜3月の成長率は3期連続で減速したが、3月単月は経済指標も改善が目立った。
政府内からは「(16年は)幸先良いスタートを切った」(国家発展改革委員会の趙辰●〈日へんに斤〉報道官)との声が相次ぎ、先行きに「短期的には(成長率が上振れする)U字やW字もありうる」(国家統計局の盛来運報道官)と楽観的な見通しが出た。
だが、「権威人士」は「固有の矛盾は解消せず『幸先良いスタート』では説明できない」と政府見解を否定し、先行きも「U字やましてV字でなく(成長率が上がらない)L字だ」と強調した。
実際、工業生産など4月の経済指標は悪化したが、政府は16日に公式サイトで「4月は昨年より営業日が1日少ない。1〜3月と同じく安定する」と反論し溝が深まる。
個別の政策も食い違う。中国は昨年から今春にかけて金利と預金準備率を度々引き下げた。「権威人士」は「(債務を膨らませる)高いレバレッジで為替、株式、債券、不動産と銀行融資のリスクが上がっている」と指摘。「コントロールできなければ金融危機を起こし、マイナス成長になる」と警鐘を鳴らした。李首相は16日に「債務はコントロールできる水準」と反論した。
財政出動でも「権威人士」が「バラマキで経済にカンフル剤を打つのは避けるべきだ」と指摘すると、李首相は9日に「ここ数年、経済の下押し圧力に直面しても強い景気刺激策はとらなかった」と強調した。
市場も疑心暗鬼
両者の違いは過剰な生産能力を削減したりする「供給側構造改革」への姿勢から来る。「権威人士」は「負けられない戦争」とまで表現して改革を最優先せよとの姿勢だが、政府側は景気腰折れや雇用悪化にも目配りすべきだとの立場だ。
市場も疑心暗鬼になる。中国人民銀行(中央銀行)が13日発表した4月の企業や家計の資金調達額は3月より大幅に減り「『権威人士』の影響で金融政策が変わった」と臆測を呼んだ。
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党人事にらみ不安定期 来秋党大会で幹部大幅入れ替え
【北京=永井央紀】対外的な結束を重視する中国共産党で、指導部の路線対立が機関紙ににじみ出た。内部に詳しい関係者は「党内が不安定期に入っている」と指摘。背景には最高指導部の大幅な入れ替わりが見込まれる2017年秋の次期党大会に向けた、つばぜり合いがあるとみられる。
習近平国家主席は汚職摘発で政敵を倒し「1強」と言われる権力基盤を固めてきた。主な標的となったのは江沢民・元国家主席につながる人脈で、李克強首相の出身母体である共産主義青年団(共青団)派の多くは「比較的、中立的な立場で協力してきた」(党関係者)。
ただ、党大会が近づくにつれて共青団には「このままでは冷遇されかねない」との警戒が強まっている。習氏の人事は地方勤務時代の部下らを要職に起用するケースが目立つためだ。江派からの反発も残る。
今年1月以降、習氏を「核心」とたたえる発言が各省のトップから続いたが、3月にはぴたりと止まった。ネット上では習氏を批判する文書が続出。習氏を文化大革命期の毛沢東のように称賛する風潮に知識人から反発が出るなか、李氏は知識人の輩出元である清華大と北京大を同時に視察する異例の動きを見せた。
「権威人士」の評論は習氏が改めて党内を引き締めにかかった一環との見方がある。
[日経新聞5月23日朝刊P.4]
嶋津洋樹SMBC日興証券 シニアマーケットエコノミスト
[東京 24日] - 20―21日に仙台市で開催された主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は、事前に報道されていた通り、各国が世界経済の成長確保に向けて金融・財政・構造政策を活用していくことで合意し、閉幕した。ただし、日本にとっては、実りに乏しく、なんとか体裁を整えたという印象が拭えない。
実際、現在の為替相場について、ルー米財務長官が「無秩序な状況とするためのバーは非常に高い」と発言し、麻生財務相の「明らかに秩序だった動きとはいえない」との認識の違いが改めて浮き彫りになった。
また、ショイブレ独財務相の「いかなる大きな決定もしなかった」との言葉は、日本がドイツに求めていた財政政策の拡大が受け入れられなかったことを示すだろう。日本経済は今後も円高圧力と世界経済の足取りの重さという外部環境の悪さに悩まされそうだ。
<実は緊縮財政の緩和に向かうドイツ>
もっとも、ルー米財務長官は日本の消費増税について、「景気の足かせにならないように慎重に判断すべきだ」と景気への影響に懸念を示し、「選択肢はいろいろある」と述べたようである。麻生財務相はこれに対し、ルー米財務長官に「(消費増税は)予定通りという話を申し上げた」と明らかにしたが、今後も日本の景気の足取りが鈍い場合、消費増税の延期や、大規模な景気対策と合わせた実施などが正当化される環境が一段と整ったと言えるだろう。
また、上述した通り、為替介入で円高を阻止するハードルは上がったが、ルー米財務長官は「日本の金融政策は、国内での目的のために国内ツールを利用するとの合意に沿っている」とも発言した。金融政策の目標が為替相場でないのは当然だが、実力以上の円高が輸入物価や輸出競争力の低下などを通じて、物価安定に悪影響を及ぼすリスクがある以上、日銀が金融緩和で対抗することは引き続き、批判の対象にはならないと考えられる。
しかも、ショイブレ独財務相の「債務を伴う成長モデルは限界」との言葉とは裏腹に欧州では財政再建の取り組みが後退している。例えば、欧州委員会はスペインとポルトガルの財政赤字が2016年、17年とも欧州連合(EU)の規定する3%を上回る可能性が高いことに強い懸念を表明しつつも、両国に対する処分の決定を先送りした。また、イタリアの16年度予算について、柔軟性を認めたとも報じられている。
反EU、反ユーロを掲げる政治勢力が、ギリシャやイタリア、スペインのみならず、ドイツやフランスなどでも拡大するなか、「債務を伴う成長モデルは限界」だとしても、国民の反発を招く緊縮財政を強くは押し出せないというのが現実だろう。17年にドイツで総選挙、フランスで大統領選と議会選挙を控えていることを踏まえると、ユーロ圏で目先、財政再建の取り組みが本格化することは考えにくい。
それどころか、財政政策の活用に否定的なドイツでも16年のユーロ圏主要国で最も緊縮財政が緩和することが見込まれる。例えば、国際通貨基金(IMF)の最新の財政モニターによると、16年のドイツのプライマリーバランス(基礎的財政収支)は景気循環の影響を除いたベースで前年比マイナス0.8%ポイントと、15年の同プラス0.1%ポイントからマイナスに転じることが予想されている。
<ショイブレ独財務相は減税の可能性に言及>
また、独財務省16―20年度の財政計画では、16年度、17年度の予算規模がそれぞれ3169億ユーロ、3255億ユーロと15年度の3114億ユーロから拡大することが示されている。15年7月に公表された15―19年度の財政計画では15年度の予算規模が3016億ユーロにとどまっており、難民の流入などを背景にドイツでも最終的な予算規模が拡大する傾向にあることを確認できる。
フォンデアライエン独国防相が「国防予算を現在の約340億ユーロから20年までに390億ユーロに増額」する方針を示し、独政府が「電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車の購入者を対象にした総額10億ユーロ規模の新たな補助金制度の計画」を公表した点なども併せて考えると、ドイツは従来ほど財政支出の抑制に積極的ではないと言える。それどころか、ショイブレ独財務相が21日、17年の総選挙後に減税を実施する可能性に言及したことで、ドイツの財政政策の転換は明確になったとすら考えられる。
こうしたドイツの変化は、メルケル独首相が難民の受け入れに前向きな姿勢を修正しない限り続くだろう。ドイツ国民がいかに寛容であったとしても、自らの生活が脅かされると感じれば、そうした精神状態を維持することは難しい。
ドイツは東西統一に伴うバブル崩壊以降、年金制度の改革や失業保険の要件厳格化など、痛みを伴う改革を幾度となく断行している。その分、難民よりも自分の生活に配慮して欲しいとの意見が国民のなかで強まっても不思議ではない。そして、政治家はそうした国民の声に敏感である。次の選挙を控えていれば、なおさらだろう。
上述した通り、仙台G7は日本にとって確かにそれほど実りが多いとは言えなかった。しかし、財政政策に最も慎重なドイツの変化は今後、欧州全体に広がり、欧州景気が世界をけん引することもあり得るだろう。
*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントを経て2010年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネージャーとして、日米欧の経済、金融市場の分析に携わる。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hiroki-shimazu-idJPKCN0YF0E6?sp=true
北京市内の語学学校に勤める王さんは最近、地下鉄で古里の方言を耳にすることが急に増えた。王さんは山西省の炭鉱の街の出身。炭鉱の仕事にあぶれた地元の若者が北京に来て、インターネット通販の普及で急成長した小包配達の仕事をしているという。
習近平指導部が進める過剰設備の縮小とゾンビ企業の淘汰。まず標的になったのは石炭と鉄鋼だ。
石炭と鉄鋼が主力の遼寧省の瀋陽。炭鉱や製鉄所に大型機械を売る国有企業の幹部は「地元では受注がないがどうしようもない」とあきらめ顔だった。地下鉄建設の設備を市政府から受注するなどしてしのいでいるという。
統計にも影響が出始めた。民間投資が急減速している。
1〜4月の固定資産投資は前年同期比10.5%増と堅調だが、全体の6割の民間投資は5.2%増。昨年1〜4月の12.7%増から失速した。
これまで民間投資と投資全体の伸びはほぼ同じだったが今年に入って異変が起きた。ちょうど習氏が1月18日に全国の省や中央政府の幹部に「供給側構造改革」を訴えたのと符合する。1〜2月は全体が10.2%増なのに民間は6.9%増と落ち込み、月を追うごとに伸び率が下がった。
1〜4月で不振だったのは石炭採掘(23.9%減)、鉄鉱石採掘(29.8%減)。炭鉱と製鉄所が集中する中国東北地方の投資額は23.1%減に沈んだ。国家統計局の盛来運報道官は「製造業の市場環境が良くなく、生産能力の過剰も深刻で、投資先がみつからない」と話した。
中国は投資に依存した経済から消費が引っ張る経済に移り変わる途上。投資が国内総生産に占める比重はまだ高い。いまは民間投資の失速を2割増の公共工事で補うが、大盤振る舞いには指導部内にも批判がある。民間投資がさらに減速すれば、公共投資を追加するか、または成長率の下振れを容認するのか、指導部は難しい判断を迫られる。中国経済に関して市場が注目する材料がまた1つ増えた。
(北京=原田逸策)
[日経新聞5月23日朝刊P.9]
たんに1年から3年の延期表明であれば、14年4月の8%への増税で受けた生活の打撃が身に染みている人たちの財布の紐は今後もきつく絞られた状態が続く。
家計の実質所得が着実に増加するまで消費税は増税しないと宣言することで、財布の紐も少しは緩むだろう。
日本の消費税は、事業者(企業)が負担する付加価値税でありながら、政府が外税方式まで許容して最終小売価格への転嫁を強く求めているため、一般消費者(国民)は、消費税の税率引き上げがわかると、税率引き上げ幅と同率の物価上昇すなわち税率引き上げ幅分の実質可処分所得減少を考えるようになる。
成長(パイ増大)派で増税嫌いの安倍首相としては、自分の首相在任中は消費税を引き上げないと言いたいだろうが、その発言は“安倍永久政権”につながる危ないものとして受け止められるので口にはできない。
しかし、世界経済が危機的だから来年4月の消費税増税は○年まで延期するという説明では、国民多数派の消費性向も上向かず、現状がだらだら続くことになる。企業も、それがわかっているので設備投資には積極的になれない。
国民多数及び企業のマインドを大きく変えるためには、消費税のヤル→延期の繰り返しではなく、消費環境が良くなるまでは消費税の増税は行わないと宣言する必要がある。
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日本の消費税引き上げは1−3年延期[スプートニク日本語]
2016年05月27日 21:04(アップデート 2016年05月27日 21:06)
ロイター通信の日本政府内の情報筋によれば、安倍首相は消費税率の引き上げを1−3年見送る。
日本政府は国の財政赤字を減らす主要策として消費税の引き上げを検討しているが、役人らは景気後退やデフレのリターンという恐れから引き上げは見送りも可能との見方を示した。
当初の予定では日本政府は2017年4月からの消費税引き上げを導入するはずだったが、消費税引き上げに直接的に関与するロイター通信の情報筋の3人全員が、最高で3年の導入見送りを明らかにした。情報筋は、延期で政府はいずれにせよ2020年の特殊予算黒字を達成できるとの見方を示している。
71年前のよく晴れた雲のない朝、空から死が降ってきて世界は変わった。閃光(せんこう)と火の壁が町を破壊し、人類が自らを滅ぼす手段を手にしたことを示した。
我々はなぜここ広島を訪れるのか。それほど遠くない過去に解き放たれた、恐ろしい力について思いを致すためだ。亡くなった10万人を超える日本の男性、女性、子供たち、数千人の朝鮮半島出身の人々、そして捕虜になった十数人の米国人を追悼するためだ。
彼らの魂は我々に内面を見つめ、我々が何者であるかを振り返り、これからどのようになっていくのかを考えるように語りかけている。
広島を際立たせているのは戦争という事実ではない。歴史的な遺物をみれば、暴力による争いが初期の人類からあったことが分かる。我々の初期の祖先は石から刃物を作り、木からヤリを作る方法を学んだ。こうした道具を狩りだけでなく、同じ人類に対しても用いるようになった。
穀物不足や黄金への欲望、民族主義や宗教的熱意にせき立てられようと、どの大陸も文明の歴史は戦争で満ちている。帝国は台頭し、衰退した。人々は支配されたり解放されたりしてきた。節目節目で苦しんできたのは罪の無い人々であり、数え切れない彼らの名前は時とともに忘れ去られてきた。
広島と長崎で残虐な終わりを迎えた世界大戦は、最も豊かで強大な国の間で起きた。彼らの文明は世界に偉大な都市、素晴らしい芸術をもたらしてきた。思想家は正義と調和、真実という概念を発展させてきた。しかし戦争は初期の部族間であった支配や征服と同じような本能から生まれてきた。抑制のない新たな能力が、古くからの支配・征服の構造を増幅させた。
数年の間におよそ6千万人の命が奪われた。我々と変わらない男性や女性、子供たちが銃撃され、打たれ、連行され、爆弾に巻き込まれた。投獄されたり、飢えたり、ガス室に送り込まれたりした。世界各地には勇敢で英雄的な行動を伝える記念碑や、言葉には言い表せないような邪悪な出来事を反映する墓や空っぽの収容所など、戦争を記録する場所が数多く存在している。
しかし、この空に上がったキノコ雲の姿は、人類が持つ矛盾を強く思い起こさせる。我々の思考、想像力、言語、道具を作る能力は、大きな破壊的な力も生み出した。
いかにして物質的な進歩や革新がこうした事実から目をくらましてきただろうか。崇高な理由のために暴力をどれだけたやすく正当化してきただろうか。偉大な宗教は愛や平和、正義を説いている。それらは決して人を殺す理由になってはいけない。国の台頭は人々の団結や協力として語られてきたが、人類を抑圧し、人間性を奪う理由にも使われてきた。
科学の力で、我々は海を越えてコミュニケーションし、雲の上の空を飛び、病気を治し、宇宙の真理を知ることができるようになった。しかし同じ科学の発見が、効率的な殺人の機械を生み出すこともある。
近代の戦争や広島はこの真実を告げている。科学の進歩に見合うだけ人間社会に進歩がなければ破滅が訪れる。原子核の分裂を可能にした科学の進化と同様、道徳の進化も求められている。
だから我々はこの場所に来る。広島の真ん中に立ち、原爆が落とされた時に思いをはせる。目の前の光景に子どもたちが味わった恐怖を感じる。声なき悲鳴に耳を傾ける。あのひどい戦争やそれまでの戦争、そして未来の戦争の罪なき犠牲者全員に思いを寄せる。
言葉だけではそのような苦しみに声を与えることはできない。歴史を真っすぐに見つめ、再び苦しみを生まないために何を変えなければいけないのかを問う責任がある。
いつか、証言をしてくれる被爆者の声を聞くことができなくなる日が来る。しかし1945年8月6日朝の記憶は決して消えない。この記憶によって我々は独りよがりではいられなくなる。道徳的な想像力がかき立てられ、変わることができる。
そしてあの運命の日から、我々は希望ある選択をしてきた。日米は同盟だけでなく友情を鍛え、戦争で得られるよりもはるかに大きな利益を勝ち取った。欧州の国々は連合体を築き、戦場を商業と民主主義(の地)に変えた。抑圧された人々や国々は自由を得た。国際社会は戦争を回避し、核兵器を制限、削減、ついには廃絶するための機構や条約を作った。
それでも、国家間の紛争、テロ、腐敗、残虐さや抑圧を世界中にあり、道のりが遠いことを思い知らされる。人間が悪を働く力をなくすことは難しく、国家や同盟は自分自身を守る手段を保持しなければならない。しかし我が米国をはじめとする核保有国は、恐怖の理論から逃れ核兵器のない世界を目指す勇気を持たなければならない。
私の生きているうちには、この目標を達成することはできないかもしれない。しかしたゆまぬ努力により惨劇の可能性を後退させることはできる。新たな国や狂信者たちが恐ろしい兵器に拡散するのを止めることもできる。
しかし、それだけでは十分ではない。世界をみれば、非常に原始的なライフルや樽(たる)爆弾がどれだけ大きな破壊力を持つか分かる。私たちは戦争そのものへの考え方を変えなければならない。外交の力で紛争を防ぎ、紛争が起きたら終わらせようと努力をする。
国と国が関係をはぐくむのは、暴力的な競争のためではなく、平和的な協力のためだ。兵力によってではなく、何を築くかで国家を評価するべきだ。そして何にも増して、同じ人類として、互いのつながりを再び考えるべきだ。それが、人間が人間たるゆえんだ。
遺伝情報のせいで、同じ過ちを繰り返してしまうと考えるべきではない。我々は過去から学び、選択できる。過去の過ちとは異なる物語、我々は同じ人間で、戦争が今よりも起きにくく、残虐さが簡単には受け入れられないような物語を子どもたちに語ってきかせることができる。
我々はその物語を被爆者から学ぶ。原爆を落としたパイロットを許した(被爆者の)女性は、パイロット個人ではなく戦争そのものを憎んでいることを知っていた。日本で殺された米兵の家族を捜し当てた(日本人)男性は、彼も米国人も家族を亡くした同じ喪失感を抱えていると信じていた。
私の国の物語はシンプルな言葉で始まる。すべての人は平等で、神によって生命や自由に加え、幸福を追求する譲歩不可能な権利を与えられている。この理想を実現することは米国内の米国市民であっても、決して簡単なことではない。しかし、この物語を実現することは、努力に値する。それは努力して、世界中に広められるべき理想の物語だ。
私たち全員は、すべての人間が持つ豊かな価値やあらゆる生命が貴重であるという主張、私たちが人類という一つの家族の一員だという抜本的な観念を語っていかなければならない。
私たちは、その物語を語るために広島に来た。そして愛する人のことを考える。朝起きてすぐの子どもたちの笑顔、夫や妻とのテーブル越しの暖かなふれあい、そして親からの暖かな抱擁。こうしたことに思いをはせ、そしてそんな素晴らしい瞬間が、71年前この広島にもあったことを知る。
亡くなった人が、私たちとなんら変わらない人たちだったと、普通の人なら分かるだろう。その普通の人たちは、これ以上戦争が起きることは望まない。彼らは科学は、生活を破壊するためではなく、より良くするために使われるべきだと考えている。国家やリーダーは、何か選択をするとき、広島が教えてくれたこのシンプルな知恵を生かすだろう。
ここ広島で、世界は永遠に姿を変えてしまった。しかし今日、この町の子どもたちは平和の中に生きている。なんと貴重なことか。守られるべきことで、世界中の子どもたちが同じように平和に過ごせるようになるべきだ。それが我々が選びうる未来だ。そして、その未来の中で広島と長崎は、核戦争の夜明けとしてではなく、私たちの道義的な目覚めの始まりとして記憶されるだろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H6X_X20C16A5FF1000/
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オバマ米大統領・広島訪問 スピーチ全文(英語)[沖縄タイムス]
2016年5月27日 20:20
71 years ago, on a bright cloudless morning, death fell from the sky and the world was changed. A flash of light and a wall of fire destroyed a city and demonstrated that mankind possessed the means to destroy itself.
Why do we come to this place, to Hiroshima? We come to ponder a terrible force unleashed in the not so distant past. We come to mourn the dead, including over 100,000 Japanese men, women and children, thousands of Koreans and a dozen Americans held prisoner.
Their souls speak to us. They ask us to look inward to take stock of who we are and what we might become.
It is not the fact of war that sets Hiroshima apart. Artifacts tell us that violent conflict appeared with the very first men. Our early ancestors, having learned to make blades from flint and spears from wood, used these tools not just for hunting but against their own kind.
On every continent the history of civilization is filled with war, whether driven by scarcity of grain or hunger for gold, compelled by nationalist fervor or religious zeal. Empires have risen and fallen, peoples have been subjugated and liberated, and at each juncture innocents have suffered -- a countless toll, their names forgotten by time.
The World War that reached its brutal end in Hiroshima and Nagasaki was fought among the wealthiest and most powerful of nations. Their civilizations had given the world great cities and magnificent art. Their thinkers had advanced ideas of justice and harmony and truth, and yet the war grew out of the same base instinct for domination or conquest that had caused conflicts among the simplest tribes, an old pattern amplified by new capabilities and without new constraints.
In the span of a few years some 60 million people would die; men, women, children -- no different than us, shot, beaten, marched, bombed, jailed starved, gassed to death.
There are many sites around the world that chronicle this war -- memorials that tell stories of courage and heroism, graves and empty camps, the echo of unspeakable depravity.
Yet in the image of a mushroom cloud that rose into these skies, we are most starkly reminded of humanity's core contradiction -- how the very spark that marks us as a species, our thoughts, our imagination, our language, our tool making, our ability to set ourselves apart from nature and bend it to our will -- those very things also give us the capacity for unmatched destruction.
How often does material advancement or social innovation blind us to this truth? How easily do we learn to justify violence in the name of some higher cause?
Every great religion promises a path to love and peace and righteousness. And yet no religion has been spared from believers who have claimed their faith has a license to kill.
Nations arise telling a story that binds people together in sacrifice and cooperation, allowing for remarkable feats, but those same stories have so often been used to oppress and dehumanize those who are different. Science allows us to communicate across the seas, fly above the clouds, to cure disease and understand the cosmos. But those same discoveries can be turned into ever more efficient killing machines.
The wars of the modern age teach us this truth. Hiroshima teaches this truth. Technological progress without an equivalent progress in human institutions can doom us. The scientific revolution that led to the splitting of an atom requires a moral revolution as well.
That is why we come to this place. We stand here in the middle of this city and force ourselves to imagine the moment the bomb fell. We force ourselves to feel the dread of children confused by what they see.
We listen to a silent cry. We remember all the innocents killed across the arc of that terrible war, and the wars that came before, and the wars that would follow.
Mere words cannot give voice to such suffering. But we have a shared responsibility to look directly into the eye of history and ask what we must do differently to curb such suffering again.
Some day the voices of the Hibakusha will no longer be with us to bear witness. But the memory of the morning of August 6, 1945 must never fade. That memory allows us to fight complacency. It fuels our moral imagination, it allows us to change.
And since that fateful day we have made choices that give us hope. The United States and Japan forged not only an alliance, but a friendship that has won far more for our people that we can ever claim through war.
The nations of Europe built a union that replaced battlefields with bonds of commerce and democracy. Oppressed peoples and nations won liberation. An international community established institutions and treaties that worked to avoid war and aspired to restrict and roll
back and ultimately eliminate the existence of nuclear weapons.
Still, every act of aggression between nations, every act of terror and corruption and cruelty and oppression that we see around the world shows our work is never done. We may not be able to eliminate man's capacity to do evil, so nations and the alliances that we formed must possess the means to protect ourselves.
Among those nations like my own that hold nuclear stockpiles, we must have the courage to escape the logic of fear and pursue a world without them. We may not realize this goal in my lifetime, but persistent effort can roll back the possibility of catastrophe.
We can chart a course that leads to the destruction of these stockpiles, we can stop the spread to new nations, and secure deadly materials from fanatics. And yet that is not enough, for we see around the world today how even the crudest rifles and barrel bombs can serve up violence on a terrible scale.
We must change our mindset about war itself -- to prevent conflicts through diplomacy and strive to end conflicts after they've begun; to see our growing interdependence as a cause for peaceful cooperation and not violent competition; to define our nations not by our capacity to destroy but by what we build; and perhaps above all reimagine our connection to one another as members of one human race -- for this too, is what makes our species unique.
We're not bound by genetic codes to repeat the mistakes of the past. We can learn. We can choose. We can tell our children a different story, one that describes a common humanity, one that makes war less likely and cruelty less easily accepted.
We see these stories in the Hibakusha: the woman who forgave the pilot who flew the plane that dropped the atomic bomb because she recognized what she really hated was war itself; the man who sought out families of Americans killed here because he believed their loss was equal to his own.
My own nation's story began with simple words. All men are created equal and endowed with certain inalienable rights, including life, liberty and the pursuit of happiness.
Realizing that ideal has never been easy, even within our own borders, even among our own citizens. But staying true to that story is worth the effort. It is an ideal to be strived for, an ideal that extends across continents and across oceans.
The irreducible worth of every person, the insistence that every life is precious, the radical and necessary notion that we are part of a single human family: that is the story that we all must tell.
That is why we come to Hiroshima, so that we might think of people we love, the first smile from our children in the morning, the gentle touch from a spouse over the kitchen table, the comforting embrace of a parent.
We can think of those things and know that those same precious moments took place here 71 years ago. Those who died, they are like us.
Ordinary people understand this, I think. They do not want more war. They would rather that the wonders of science be focused on improving life and not eliminating it.
When the choices made by nations, when the choices made by leaders reflect this simple wisdom, then the lesson of Hiroshima is done.
The world was forever changed here, but today the children of this city will go through their day in peace. What a precious thing that is. It is worth protecting and then extending to every child.
That is a future we can choose, a future in which Hiroshima and Nagasaki are known not as the dawn of atomic warfare, but as the start of our own moral awakening.
※米政府が発表したものではなく、共同通信が起こしたものです。(共同通信)
「日本、米国に核爆弾50発分のプルトニウムを返却」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/351.html
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
「日本のプルトニウム・プログラムは、核拡散防止体制を脅かすとノーベル賞受賞者らが警告」
http://kakujoho.net/npt/ucs_npt.html
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
「米国、広島原爆投下の決定は見直さない:投下は戦術的には不要と承知で“都市投下実験”を強行した“ナチス超え”の歴史的犯罪」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/699.html
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日本の核兵器拒否はもう時宜を得ていない?[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年05月25日 09:08(アップデート 2016年05月27日 17:04)
タチヤナ フロニ
日本と韓国は今後も自国の主権を米国の核の傘で守ることができるのだろうか?それとも独自の核兵器をもつ時期が訪れたのだろうか?西側のマスコミは、G7サミットに合わせたオバマ米大統領の日本訪問が近づくにつれ、このような問いをさらに積極的に提起し始めた。
オバマ大統領は広島を訪問する意向で、日本人は核のない平和な世界を願っている。一方で、ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究 センターのヴィクトル・パヴリャテンコ専門家は、これは日本に独自の核兵器製造支持者がいないことを意味しているわけではないと述べ、次のように語っている−
「日本にとって今重要なのは、必要な場合に最短で核兵器を製造する可能性を持つことだ。技術的な面と金銭的な面では、日本は完全にその準備が整っている。日本は、原子力発電所の使用済み燃料から兵器級プルトニウム239を回収できる能力を持つ数少ない非核保有国だ。日本はこの可能性を維持し続けると思われるが、米国がこれについてなんとかして日本を制限することは恐らくできないだろう。正式な視点から見た場合、日本は国際舞台で核不拡散運動のメンバーとして積極的に活動しており、この方針を守ると常に述べ、軍縮も支持している。一方で日本は、今の段階で核軍縮について何らかの具体的な成果を実際に得るのは恐らく不可能であることもよくわかっている。そのため日本は平和路線をとり続けながら、必要な場合に独自の核兵器を迅速に製造する可能性を維持するために可能なことを全て行なっている。日本の世論を前にこのような政策を正当化する理由となれるのは、『北朝鮮の核の脅威』と『中国の脅威』だ。世論は、原爆に向けて用意している。福田康夫氏が総理を務めていた時に、憲法は日本の核兵器保有を禁止していないと述べたのは、理由があってのことだ。首相よりも低い階級の役人が同じような発言をしても考慮されない。」
核兵器保有の権利に関する議論は、日本に続いてアジア太平洋地域における米国の重要な戦略的同盟国である韓国でも行われている。2013年に実施された世論調査では、韓国の3分の2の住民が「北からの脅威」に対抗するために核兵器開発を支持している。一方でパヴリャテンコ氏は、今のところ米国が韓国人の核の夢を失わせていると述べ、次のように語っている−
「数年前、韓国人は0.2グラムの濃縮ウランの製造に成功した。
そして韓国全体が学者たちが成し遂げた成果を誇りに思った。すなわち韓国にも核大国になるポテンシャルがあるということだ。しかし米国は韓国が重要な境界線に近づきつつも、核の研究を中止するように、韓国に対して可能なことを全て行なった。」
一方で、北朝が続けるミサイルおよび核兵器製造作業や、中国の核ポテンシャルの拡大は、日本と韓国の政府に核保有の権利を宣言させるきっかけを与えるかもしれない。北朝鮮と中国を自国の核ポテンシャルの開発と拡大に向けさせたのは、世界覇権を誇示し、中国を後退させようとする米国の出来の悪い政策であることを思い出す人は誰もいなくなるだろう。
しかも、自民党規約に拠れば、安倍首相の自民党総裁任期は、最長でも18年9月までである。自民党総裁の任期は、党規改正を行わず、「総裁総理分離」という奇策も採らないなら首相の任期でもある。
次の消費税増税実施時期というより、今回と同様、首相(与党トップ)が最終的に増税を実施するかどうかを判断するタイミングになるはずの18年末の時点ですでに安倍首相はその職にいないのである。
党規変更による「安倍総裁3期9年」論もあるが、自分が“最終”判断を行う立場にとどまれない時期に、自分が延期した増税を実施するという内容を法定化するのは、安倍首相のあとを継ぐ首相を縛る無責任な政策である。
安倍首相は、今回を含めてだが、10%への税率引き上げをすでに2回中止している。14年暮れの判断は改正消費税法の付帯条項に従って行われたものだが、今回の判断は、法律を改正しなければならないという意味で前回を超える重たいものである。
14年暮れの延期にあたっては、17年4月には増税が必ず実施できるよう経済回復を実現するとも公言している。
このような経緯を考えれば、国民(経済財政学者や経済アナリストを含む)が、消費税の税率引き上げを法律で決めたとしても、首相(多数派勢力のトップ)が中止(延期)と判断すればやめることができる話と考えるのは必定である。
まともな政治家であれば、消費税増税を実施する経済条件を定め、それをクリアした段階で、それから1年以内の4月ないし10月に増税を実施するといった内容にするはずである。
※参照投稿
「日本の消費税引き上げは1−3年延期:延期ではなく消費の安定的拡大が定着するまで増税しないという宣言が必要」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/741.html
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消費税増税 2年半延期 安倍首相、麻生財務相らに伝達
産経新聞 5月28日(土)22時53分配信
安倍晋三首相は28日夜、平成29年4月に予定していた消費税10%への引き上げ時期を31年10月まで2年半延期する方針を麻生太郎副総理兼財務相らに伝えた。
政府関係者が明らかにした。
最終更新:5月28日(土)23時59分
G7サミットそのものは国際的にはあまり関心を持たれていないようだが、オバマ大統領の広島訪問は多くの海外メディアが取り上げていた。
そのなかで興味を引いたのは、英国BBCニュースの「スピーチを行い被爆者と話を交わした広島平和祈念公園に「核のボタン」ブリーフケースも持ち込まれていた」という指摘である。
単純化して言うと、被爆者を含む人々の前で「核なき世界」を理想として掲げそれを追い求めるという“非核”のスピーチを行うことになっていたオバマ大統領が、広島平和祈念公園に「核兵器の発射ボタン」を持ち込んでいたというのである。
広島平和祈念公園に限らず、米国大統領が行くところには「核のボタン」が付きそうものだから、この事実自体は、米国大統領と米国軍事組織にとって規定に従った対応でしかなく、戦後世界で覇権国家として振る舞ってきた米国にしてみれば、ごく当たり前の対応ということになる。
そういう前提を理解したうえで言いたい。
オバマ大統領があの場に「核のボタン」を持ち込んだ(持ち込みを容認した)のは、核大国として傲慢さの現れでありあまりの無思慮である。
あのスピーチを行った広島平和祈念公園に「核のボタン」を持ち込んだという事実を多くの人が知れば、スピーチも、抱擁も行った被爆者との交流も、実のある誠意に基づくものではなく、口先だけポーズだけの政治的対応と判断するようになるだろう。
戦争というものは、突然降ってくるものではなく、それなりの期間を通じて前兆や交渉過程があるものである。
規則はともかく、オバマ大統領が広島平和祈念公園を訪れたあの時点が、大統領のすぐそばにどうしても「核のボタン」ブリーフケースが必要な国際政治状況であった考える米国当局者はいないだろう。
「核のボタン」を携えている人は、広島平和祈念公園の外で待機していれば済むはずである。
オバマ大統領はスピーチのなかで「我が米国をはじめとする核保有国は、恐怖の理論から逃れ核兵器のない世界を目指す勇気を持たなければならない」とまで言っている。
そのスピーチを発していた大統領のそばに「核のボタン」がスタンバイしていたという事実は、ブラックユーモアを超えて世界を愚弄する狂気と言えるだろう。
この「広島平和祈念公園“核のボタン”持ち込み」事件は、英国のオンライン新聞インデペンデントも取り上げている。
Barack Obama's soaring rhetoric in Hiroshima contradicts his own mixed record
In office, President Obama has launched a three-decade effort to upgrade America's nuclear strength
David Usborne New York
Saturday 28 May 2016
拙い訳だが、
表題は、「広島でのバラク・オバマの高邁な雄弁は彼自身の様々な記録と矛盾」という辛辣なものである。
サブ表題となっている「In office, President Obama has launched a three-decade effort to upgrade America's nuclear strength」では、「オバマ大統領は今後30年を見据えた米国の核戦力強化に着手」と“核なき世界”を標榜するオバマ大統領の矛盾に満ちた動きを指摘している。
インデペンデントの記事から「核のボタン」に関する箇所のみ抄出する。
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He was seen hugging and smiling with the two survivors, 91-year-old Sunao Tsuboi and 79-year-old Shigeaki Mori, (reporters were too far removed to hear what was said), but those with the keenest eyes might have spotted the military attache who is never far away when an American president travels. He is the one carrying the so-called “Nuclear Football”, actually an armoured briefcase containing the codes for a president to authorise a nuclear launch.
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(私訳)
オバマ大統領が被曝者である坪井直さん(91)と森重昭さん(79)と抱擁し微笑んでいる場面が見えた(記者たちは遠く離れた場所にとどめられていたので話の内容は聞こえない)。しかし、鋭い目で見れば、米国大統領の旅行に離れることなく随行するあの陸軍武官を見つけることができる。彼こそ「核のフットボール」の運び人であり、その装甲が施されたブリーフケースには大統領が核弾頭発射を承認するコードが収められている。
※参照投稿
「日本の核兵器拒否はもう時宜を得ていない?:オバマ氏の広島訪問は日本政府の核兵器保有欲求に引導を渡すための儀式」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/743.html
「日経新聞訳+英語書き起こし:現在進行形で無実の市民を空爆で殺害し続けながら平然とこの内容を語れる厚顔無恥のオバマ氏」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/742.html
「被爆者を愚弄する核大国米国:平和祈念公園でのスピーチや被爆者交流のあいだもオバマ大統領のそばに「核のボタン」」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/794.html
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まず、大統領就任後のオバマ氏について評価できるのは、対キューバ断交の根拠(理由)であった米国民の在キューバ資産接収について、それを理由にした断交は植民地主義的過ちであったと表明したことくらいである。
日本では従米国家のメディアらしく“オバマ広島訪問”を礼賛する報道が中心だが、英米のメディアは、広島訪問を機に、口先だけの詐欺氏的大統領オバマ氏に対し手厳しい批判報道が行われている。
(NHKなどいくつかのメディアは核軍縮については同じ内容をそっと報じてはいる)
冷戦後の米国で削減された核兵器の数はオバマ大統領時代が最も少ないだけでなく、オバマ大統領は、老朽化した核兵器を安全にすると称して、実戦での使用抑制を低くする「スマート核兵器」(放出核エネルギーの調節)や戦略爆撃機の開発に1兆ドル(約110兆円)をかける計画にゴーサインを出した。
オバマ大統領は、先日、広島で次のようにもスピーチした。
「我が米国をはじめとする核保有国は、恐怖の理論から逃れ核兵器のない世界を目指す勇気を持たなければならない。
私の生きているうちには、この目標を達成することはできないかもしれない。しかしたゆまぬ努力により惨劇の可能性を後退させることはできる。新たな国や狂信者たちが恐ろしい兵器に拡散するのを止めることもできる」
核兵器開発に1兆ドルの予算を投入することを承認したオバマ大統領の政策と照らし合わせれば、スピーチの内容が詐欺師の言動に近いものであるとわかる。
詰まるところ、オバマ大統領の「核なき世界」とは、UN常任理事国の核戦力独占であり、日本をはじめ「新たな国や狂信者たちが恐ろしい兵器に拡散するのを止める」ことが狙いなのである。
だからこそ、原爆投下の爆心地に設定された広島平和祈念公園に「核のボタン」を持ち込みながら、核軍縮を唱え、被爆者との歓談や抱擁もできるのである。
オバマ大統領的言動に“感動を覚える者”は、ケツの毛羽を抜かれるまで振り込み詐欺に引っかかる恐れありとだけ言っておきたい。
※ 関連参照投稿
「連邦政府機関閉鎖の原因ともなった「オバマケア」の内実:連邦政府が医療保険会社の商品を“押し売り”するという稀代の悪政」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/872.html
「オバマケアに新たな火種、現行保険契約の解約迫られる例相次ぐ:しらっと平気で嘘をつくオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/545.html
「殺害されたうちの4%にも満たない:急増させた無人機攻撃でオバマ大統領があげた“戦果”の96%は民間人」
http://www.asyura2.com/14/warb14/msg/570.html
「アメリカの卑劣な戦争(上・下) ジェレミー・スケイヒル著:脱法的な行動オバマ政権下でも」
http://www.asyura2.com/14/warb14/msg/692.html
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オバマ氏広島訪問「象徴的意義大きい」 欧米メディア[日経新聞]
2016/5/28 23:24
オバマ大統領の広島訪問を欧米メディアは総じて好意的に伝えた。
米ニューヨーク・タイムズ(電子版)は27日、「謝罪はなくとも、多くの日本人はオバマ氏の演説や被爆者との対面を歓迎した」と報じた。オバマ政権下で核兵器削減が進んでいない点を指摘し「崇高な理想だけでは不十分」と注文も付けた。
ワシントン・ポスト(同)は広島訪問を「第2次世界大戦の敵同士が緊密な同盟国になった象徴」と表現。欧州と比べ、歴史認識などを巡る対立が根強いアジア地域の和解を進めるのもオバマ氏の狙いの一つだったとして「全ての当事者が責任を持つ一方、被害者でもある事実を明らかにした」とも指摘した。
独紙のフランクフルター・アルゲマイネは28日、1面に大きな写真付きの記事を掲載。さらに別面でオバマ氏が掲げる「核なき世界」への評価と、米国の安全保障政策への影響を解説した。「日韓と共に米国主導の対中包囲網を構築するのが狙い」とみている。
仏紙ルモンド(電子版)はオバマ大統領が歴代大統領よりずっと少数の核兵器削減しか実現できていないとする統計を紹介。「核廃絶に向けてどの前任者よりも熱心だったが、残念な数字を残すことになる」と指摘した。ただ核軍縮が進まなかったのは「米上院の支持を得るためだった」との側面も示し、米議会が必ずしも協力的でないという内情もあるとした。
英BBCはオバマ氏と被爆者らとの抱擁が「多くの日本人に深く印象づけられただろう」と述べた。核軍縮の停滞を指摘する一方で「原爆を投下した唯一の国の指導者が犠牲者に献花した象徴的な意義は大きい」とも報じた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H8C_Y6A520C1FF8000/?dg=1
「被爆者を愚弄する核大国米国:平和祈念公園でのスピーチや被爆者交流のあいだもオバマ大統領のそばに「核のボタン」」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/794.html
への活発なコメントありがとうございます。
※本文投稿先
「非核を唱える一方で核戦力強化を図る詐欺師オバマ大統領:広島平和祈念公園に平然と「核のボタン」を持ち込む「反核」政治家」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/892.html
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/814.html
※関連参照投稿
「日本のリニア技術、米国に提供を表明…首相」
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/344.html
「行かなきゃよかった安倍首相:国内向けはともかく、世界における日本の存在感と政治力を貶めてしまった日米首脳会談」
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/326.html
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米国 ロシアと中国から同盟国を守るためにレールガン使用へ[スプートニク日本語]
2016年05月29日 16:59
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、米国防総省が、新兵器レールガンを使ってロシアと中国から同盟国などを守ることを計画していると報じた。
レールガンは、爆薬や火薬を必要とせず、電気伝導レールに電流を流して物体を加速して打ち出す。米軍顧問は、ロシアからバルト諸国、そして南シナ海で同盟国を中国から守るためにレールガンを使用できると考えている。
土曜日、南極近くの南大西洋、サウスサンドウィッチ諸島(英国の海外領土)近海で、マグニチュード7,3の地震があった。米地質調査所(USGS)が伝えた。
地震が起きたのは、モスクワ時間で⒓時47分、震源は、サウスサンドウィッチ諸島ビソコイ島の北東50キロ、震源の深さは93,2キロだった。
津波警報は出されていない。
サウジアラビアが国家財政に占める原油への依存度を下げるため、経済改革に動き出した。国営石油会社の株式上場や政府系ファンドの拡充など収入源を多様化する。中心にいるのは、30歳すぎの若さで強力な権限を握るムハンマド副皇太子。その決断力に注目が集まるが、背後には信頼する4人の側近が支える。
「影の石油相」
サウジのサルマン国王は8日、ファリハ保健相を石油鉱物資源相に任命する人事を発表した。石油相は実力派のヌアイミ氏が20年以上務めてきたが、高齢で引退説が流れていた。その後任に抜てきされたのがファリハ氏だ。石油鉱物資源省をエネルギー産業鉱物資源省に改組し、水資源や電力部門まで管轄する。
ファリハ氏は50代半ば。180センチメートルを超す長身で精悍(せいかん)な風貌、分析力と部下の統率力に定評がある。国営石油会社サウジアラムコの最高経営責任者(CEO)を経て、保健相兼アラムコ会長に就いていた。
サウジではサルマン国王直系のムハンマド副皇太子が国防相ポストにありながら経済、政治両面で大きな力を握る。その若き指揮官が厚い信頼を寄せる側近の一人がファリハ氏だ。昨年石油政策の実質的決定権を得た副皇太子の助言役としてロシア訪問や、米英エネルギー担当相との会談などに同行。「影の石油相」とも呼ばれていた。
王族に媚(こ)びず、歯に衣(きぬ)着せない発言をするファリハ氏は当初「生意気な男」と受け取られたようだ。だが石油から新エネルギーまで幅広い知識で信頼を得ると「今や副皇太子の前で唯一足を組んで座れる側近」とささやかれる。
ファリハ氏と並ぶ経済面の重要側近がファキーフ経済計画相だ。副皇太子はファリハ氏の助力を得て、向こう15年の経済改革の目標を示した「ビジョン2030」計画を発表し、財政負担軽減や「脱石油依存」政策の加速を明示した。アラムコの上場はその目玉だ。上場後の時価総額が2兆ドルともいわれるアラムコの資産内容を査定し、18年までの実現を目指す。
ファキーフ氏も省庁の壁を越え、ビジョンとりまとめに貢献した。イスラム金融で頭角を現したアルジャジーラ銀行会長や西部の商業都市ジッダの商工会議所会頭などを歴任。金融に明るい知識面とサウジ経済界の人脈の豊富さで評価が高い。
副皇太子は改革で最初の5年を重視する。5月末〜6月をメドに民営化や人材育成の具体案を示す「国家改造プログラム」の作成を指示した。「妙案捻出へライバル意識むきだしのファリハ氏とファキーフ氏を競わせている」(サウジ王族に近い関係者)とされる。
外交では国際法に詳しいジュベイル外相がカジを取る。米同時テロの際に駐米大使を務めたが、実行犯19人のうち15人がサウジ国籍だったことが判明した後、緊迫した両国関係の維持に奔走。テロ対策で対米協力を流ちょうな英語でアピールした。
対米関係は中東と距離を置くオバマ政権でぎくしゃくしたが、経済改革では米企業の協力も受けており「外交・軍事の対米協調で今後ジュベイル氏の役割が増す」と在中東の外交官はみる。
イランの専門家
50代が多い側近の中で30代と若いのがトライフィ文化情報相だ。主な担当は政府の広報だが、イラン問題の専門家の一面もある。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで国際紛争やイラン問題を専攻。ペルシャ語にたけ、メディア面から融和政策を提唱してきた。副皇太子はそこに着目しているとの声がある。
サウジは1月に宗派問題で対立するイランと断交、域内に波紋を広げた。だがイランとの緊張関係は資金調達や民営化政策にマイナスに働く。最近、サウジなど湾岸協力会議(GCC)加盟国と、イランとの関係が指摘されるイエメンのイスラム教シーア派武装組織が和解に向け接触し始めた。経済改革を円滑に進めるためイランとの緊張緩和へ情報相の出番が巡ってくる可能性もある。
大胆な方針やイランへの強硬姿勢で型破り、暴走気味との風評もあるサウジ副皇太子。だが、個性あふれる側近に耳を傾け政策を決める一面にも注目する必要がある。
(編集委員 中西俊裕)
[日経新聞5月25日朝刊P.2]
安徽省懐寧県は中国中部のありふれた街だ。農業や軽工業が中心の経済は北京や上海に遠く及ばないが、貧困地区でもない。1921年結党の中国共産党で初代総書記に就いた陳独秀の故郷である以外には、中国国内でも話題にのぼることが少ない。
「このアンケートに答えてもらえますか」。中国人民大学で国際政治を研究する趙衛濤・助理研究員(31)は2015年8月、妻の故郷の懐寧に1カ月滞在し、知人のいる職場や学校を回った。対日感情に関する実地調査を行うためだ。
中国人の対日感情を正確に把握することは日中関係の難題の一つ。中国では体制批判に転じかねないため、世論調査自体がほとんどない。数少ない調査も大都市が対象で、13億人の中国人全体を代表しているとは言いがたい。
日中の国民感情に関心を持つ趙氏は「ごく普通の街である懐寧は草の根の対日感情を知るのにいい場所だ」とアンケートを思いつき、362人から有効回答を得た。近く論文にまとめる本人の許可を得て、その一部を分析してみた。
「日本の第一印象は」という問いの答えは「南京大虐殺」が最多。一方で「日本の基本的な印象は」は「経済が発達している」がトップだった。「中日関係の重要性は」との問いでは「比較的重要」と「非常に重要」が合計で5割を占めた。
「日本製品のボイコットをどう見るか」は「意義がある」が36%を占めたが、「意義は大きくない」「理性的でなく誤り」が合わせて5割を超えた。歴史問題で厳しい回答が目立つものの、日本の良さや重要性を否定しているわけではない。
今春のある週末、懐寧の中心部にある「独秀公園」を訪れた。
公園のシンボルである陳独秀の石像の回りでは桜が咲き、家族連れでにぎわっていた。ぶしつけに趙氏と同じ質問をしたところ、5人に答えてもらえた。
日本人の印象は「残忍」(70歳代の農民)、「身勝手」(50歳代の工員)、「文明的で礼儀正しい」(40歳代の会社員)。回答には日本への好悪が入り交じっているが、「日本人と会ったことがない」点は全員に共通していた。
実は趙氏のアンケートでも、362人のうち日本人と接触した経験があるのは50人足らず。5人が日本に1、2回行ったことはあったが、何度も行ったことのある人はゼロだった。
「日本を知る主な手段」との問いでは「歴史の教科書」と「テレビのニュース」の2つの答えが抜きんでて多かった。懐寧住民の対日感情は「おおむね厳しく、前向きな見方もあるが、基本は間接情報に基づいている」と総括できる。
中国人の訪日者数は15年、過去最高の約500万人と前年の2倍強になった。ただ、中国の総人口の0.4%ほどで、比率としては懐寧と同様まだ低い。懐寧は地方都市にすぎないが、趙氏の読みの通り、中国の草の根の対日感情の縮図となっている可能性がある。
趙氏は「庶民の関心は生活にあり、中日の政治対立をあおる考え方は少ない。中日に友好の基礎はある」と前向きだ。実際に、急増する日本経験者は日本のサービスの質の高さや街並みの清潔さを知り、そろって日本への好感を高めている。
「1901年10月に初めて日本に留学し、一生に5回、日本に渡った」。独秀公園の石碑には、陳独秀が中国最後の王朝の清朝打倒につながる革命思想に日本で触れたことが刻まれている。日中交流の意義の大きさは懐寧の先達も示している。
(中国総局長 山田周平)
[日経新聞5月25日朝刊P.6]
※関連参照投稿
「デフォルトを嫌う金融家のため、危機を頼りにする軍需産業のため、「東西」の合作で分断と対立を煽られたウクライナ」
http://www.asyura2.com/14/senkyo162/msg/467.html
「ウクライナ情勢の今後:軍事的対応はハナからなしだが、実質的経済制裁も避けたい欧米先進国:焦点はウクライナ東南部地域の“地」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/169.html
次に、この春に公開され騒然となった「パナマ文書」だが、それには北朝鮮政府系金融機関の名前もあり、その取引相手は豪の鉱山関連会社だったことがわかっている。
北朝鮮については、2千基とも4千基とも言われる遠心分離型ウラン濃縮装置が稼働していると言われ、米国ロスアラモス研究所の元所長がわざわざ稼働の様子を確認するため訪朝している。
※参照記事:「北朝鮮が4回目核実験示唆 寧辺核施設の状況は?:どこかが提供したらしい軽水炉は稼動に向け最終準備段階」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/416.html
北朝鮮のウラン鉱石埋蔵量は世界屈指と言われ、仏アレバがマリで採掘・精製・濃縮を行っていることでもわかるように、先進諸国は、放射線や放射性物質にまみれる“汚れ仕事”から手を引くようになった。
「パナマ文書」や米国の動きから推測するに、制裁下の北朝鮮がそれなりの経済成長を遂げ、平壌市民の表情も柔らかくなっている背景には、豊富なウランを原料とした核燃料関連の国際取引があると思われる。
※関連参照投稿
「ロシア 北朝鮮に軍事技術を供与したという非難を否定:プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/549.html
「北朝鮮のウランを使って再び世界を脅かす米国:国内での採掘・製錬に制約を抱える米豪が支える北朝鮮のウラン濃縮事業」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/313.html
「「で爺」さんへ:核兵器だ!ミサイルだ!という“国際政治ショー”の裏側で北朝鮮の「ウラン濃縮」が容認されるワケ」
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/223.html
「「で爺」さんへ」
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/250.html
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GE・日立連合、ロシア企業と提携
原子力燃料、米で加圧水型向け
米ゼネラル・エレクトリック(GE)と日立製作所が合弁で設立した原子力発電所向け燃料事業会社は24日、ロシアの原子力企業ロスアトムの燃料子会社と米国事業で戦略提携すると発表した。ロシア社から技術を得て、2つある原発のタイプ両方に燃料を供給できる体制を構築。原発を取り巻く環境が厳しくなる中で収益基盤を強化する。
GEと日立の合弁会社である米グローバル・ニュークリア・フュエル(GNF)が、ロスアトム傘下のTVELフュエルと提携する。GNFは東京電力福島第1原子力発電所と同じ「沸騰水型軽水炉(BWR)」向けに燃料を加工し、GEや日立が建設した原発に供給している。TVELの「加圧水型軽水炉(PWR)」原発向け燃料のノウハウを得て、米ノースカロライナ州の工場でPWR用燃料を製造する。
米国で稼働している原発約100基のうち、BWRの比率は4割弱ある。米国の原子力規制当局の認可などを得て、PWRを運営する発電会社への受注活動を始める。6〜8年後の受注をめざす。将来は合弁会社を新設することも視野に入れているもようだ。
ロスアトムはイランなどでの原発建設も計画しているほか、日本での原子力向け燃料市場への参入を検討したこともある。今回の提携によって米国に足場を作るとともに、GE・日立との連携を軸に世界で原子力ビジネスを拡大する。
原子力ビジネスは原子力発電所の建設と、発電所に燃料を供給する燃料事業の両輪がある。GNFは2000年にGEと日立、東芝が設立し、現在は議決権ベースでGEが68%、日立が32%出資している。GEと日立は07年に原子力事業も統合した。
東芝は06年に米ウエスチングハウス(WH)を買収し、世界ではWHが主体となり燃料を供給。国内ではWH子会社の原子燃料工業が手掛けている。三菱重工業は仏アレバと組み、燃料は世界ではアレバ、国内では三菱原子燃料がそれぞれ供給している。
東日本大震災による福島第1原発の事故で、日本国内の原発は稼働を停止した。再稼働も少なく、燃料ビジネスも限定的になっている。海外も中国を除いて、原発建設は進んでおらず、原発ビジネスは低調。日米ロの企業が手を結ぶことで、中国なども巻き込んだ国際再編が加速する可能性もありそうだ。
[日経新聞5月25日朝刊P.12]
1998年から米国に住んでいる、北朝鮮の金正恩氏の叔母コ・ヨンソク氏(60)が長い沈黙の末にワシントンポストのインタビューに応じた。
まず、金正恩氏が1984年に生まれたということは確かなことだと言う(公式発表は異なる)。また、金正恩氏は1996年にスイスに住んでいた。
「彼らはケーキを食べ、レゴで遊んでいた」と北朝鮮指導者の叔母。
また金正恩氏の叔母は、子どもたちとパリのディズニーランドに行ったことがある、とし、金正恩氏は母親と東京ディズニーランドを訪れている、とも述べた。また、金正恩氏はフレンチリビエラの海で泳ぎ、アルプスのスキーに行き、イタリアのレストランを訪れたという。
北朝鮮は、Facebookと形がよく似たデザインのソーシャルネットStarconを始動させる準備をしている。CNN Money.が伝えた。
このソーシャルネットは、現在試験的に機能している。専門家らは今のところ、北朝鮮当局が、こうしたプロジェクトに関係を持っているのかどうか確信が持てないでいる。他の国のユーザーがソーシャルネットへのアクセスを得られることは、この国の実情を考慮すれば、奇妙だからだ。
より言えば、明示的に謝罪はしなくとも、日本への原爆投下は戦術的合理性がなく終戦のために必要もなかったと表明するだけで同じ効果が得られる。(実質的な謝罪だが)
残す任期8ヶ月のオバマ氏が政治的生命を賭けて「謝罪」を行っていれば、彼が念願とする「核なき世界」がリアルなものとして引き寄せられていただろう。
ノーベル平和賞まで貰ったオバマ氏の「核なき世界」構想は、UN安保理常任理事国の核独占をより強固にするためのマヌーバーでしかないから、オバマ大統領が、「核のボタン」を持ち込む一方で、実質を含め謝罪しなかったのは当然だと言える。
※関連投稿
「非核を唱える一方で核戦力強化を図る詐欺師オバマ大統領:広島平和祈念公園に平然と「核のボタン」を持ち込む「反核」政治家」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/892.html
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もしかして、オバマ大統領は被爆者に「ごめんなさい」と言った?[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年05月27日 20:44(アップデート 2016年05月27日 22:43)
リュドミラ サーキャン
米国のオバマ大統領は化学兵器使用についてベトナムの人々に謝罪せず、広島と長崎への原爆投下について日本に公に謝罪していない。NHKのインタビューでは、戦争の複雑さを理由に、原爆を民間人の住む町に投下したことを正当化した。
アジアは特に謝罪にこだわる。日本の首相が繰り返し日本の軍事行動の犠牲となった人々に許しを請うたが、中国や韓国などからの要求は今も続いている。1995年、当時の村山首相は、第二次世界大戦の終結50周年を記念した演説で、戦時中の日本の行動はアジア諸国を含む外国で多くの人々に多大な損害を与えたことを認めた。その後、2005年には、小泉純一郎首相も謝罪を述べた。つい昨年は安倍首相が次のように述べた。「我が国は第二次世界大戦における自らの行動について繰り返し心からのお詫びを述べてきた。我々の隣人であるアジアの民の苦しみの歴史を我々は永遠に胸に刻み続ける」。合わせて首相は、過去の戦争に関与していない将来の世代には、謝罪の責任を負わせるべきではないと付け加えた。1993年10月、当時のエリツィン大統領は、第二次世界大戦後の日本人捕虜への虐待について日本に謝罪した。エリツィンはソ連・ロシアを通じて謝罪を明言した最初の一人となった。
ワシーリイ・モロジャコフ拓殖大学教授によれば、日本人はオバマ氏から謝罪を期待していない。「日本では、オバマ氏が謝罪することはない、と考えられている。戦争は自分たちが始めたし、自分たちは負けたのだから。そして、彼らがオバマ氏から聞きたいこと、オバマ氏自身が日本人のみならず全世界に訴えたいことは、核をなくすということだ。オバマ氏は、原爆投下は悲劇だったが、戦争犯罪ではないと確信している」
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官によると、重要なのは謝罪ではなく、人々の記憶。「思うに、日本人自身が自分の歴史を記憶し、それを歪めたり、書き換えたりしないことが重要だ。何がどうして起きたか、どのような被害が出たか。それが優先だ」
しかし、それでもオバマ氏は、日本に謝罪することになった。きっかけは、米国軍基地関係者による、日本人女性の残忍な殺人事件だ。「私はこの犯罪の極悪さ、卑劣さに憤慨している。それは沖縄だけでなく、日本の人々全員に衝撃を与えた」と安倍首相。答えてオバマ氏は「米国では自国民によるあらゆる暴力行為に憤慨の声が上がっている。これは許されないことであると我々は考えており、再発防止に全力を尽くす」
なぜ時に、謝罪はかくも難しくなるのか?それは罪または、許しを請わねばならなくなった事由を認めることだからだ。今日オバマ氏は広島訪問で、3人の被爆者と面と向かって話した。日本原水爆被害者団体協議会の坪井直さん(91)、岩佐幹三さん(87)田中熙巳さん(84 )だ。岩佐氏は広島で母親と妹を、田中氏は長崎で家族5人を失った。いずれもオバマ氏からの謝罪を要求しなかったが、彼らの目を見た時、もしかしたら何かが心の中で震え、オバマ氏は「ごめんなさい」と囁いたかも知れない?
一般の日本人は原爆投下に対する謝罪の必要性についてどのように思っているのだろうか。スプートニクがインターネット上で行ったアンケートの結果を見てみると、オバマ米大統領の広島訪問に際して、「謝罪しなくてもよいが、被爆者と面会し、彼らの声を聞くべきだ」という回答が4割以上にのぼった。次に多かったのは「謝罪しなくてもよい。オバマ米大統領が広島を訪問すること自体が、米国の謝罪の念を表している」という意見と「謝罪すべきだ。原爆投下は非人道的犯罪で、アメリカを戦争犯罪の罪で裁くべきだ」が、ほぼ同率で、全体の2割弱を占めた。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160527/2206600.html
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被爆者がオバマ大統領に、自分は米国を責めない
2016年05月28日 02:01(アップデート 2016年05月28日 02:04)
27日、広島の平和記念公園を訪問したオバマ米大統領と被爆者を代表して会見した日本原水爆被害者団体協議会の坪井直代表委員(91)は米国を責めてはいないことを伝えた。共同通信が報じた。
坪井さんは大統領に対して、自分たちは米国を責めておらず、憎しみの感情はないと伝えた。
オバマ大統領は米国大統領としては初めて広島を訪問。大統領は広島を訪問を前に断言していたように、原爆投下に対する謝罪の言葉は発しなかった。
「もしかして、オバマ大統領は被爆者に「ごめんなさい」と言った?:謝罪がオバマ氏念願の「核なき世界」につながったのに」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/901.html
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いったい誰が宇宙で米国に脅威を与えるのか?[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年05月28日 20:30
タチヤナ フロニ
オバマ大統領は、議会へ、宇宙空間において敵を抑止することに向けた政策に関する報告書を送った。ほんの少し前、米国防総省は、ロシアと中国に対し、宇宙で米国を攻撃するためのポテンシャルを拡大しているとして非難したばかりだった。米国側の主な不安は、なによりも自分達の人工衛星の安全にある。
では実際、誰が、どの国が、宇宙から米国に脅威を与えているというのだろうか?それとも米国は、宇宙において軍拡競争を展開するための口実を探しているだけなのだろうか? この問いを、スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者は、CIS諸国研究所上海協力機構ユーラシア統合・発展部の軍事エキスパート、ウラジーミル・エフセーエフ氏に聞いてみた。以下その内容をまとめてお伝えする。
「米国の軍事力は、人工衛星から送られてくる通信から始まり、偵察・標的の捕捉、照準合わせに至るまで、様々なタイプの宇宙機器の利用に大変大きく左右されている。こうした宇宙関連システムが、米軍のほぼ半分で使われている。それ故、米国は、その通信・諜報部分が、宇宙からのものも含めた攻撃に脆弱ではないよう、極めて大きな配慮をしている。その際米国自身はと言えば、宇宙空間に兵器を持ち出す用意がある。彼らは積極的に、この分野で仕事をし、自分達の軍事力の優位性を保つために他国の人工衛星を撃墜することも厭わない。しかし国際社会の目をそらすために、他の国々が、対人工衛星兵器を製造していると言って非難するのだ。
一方ロシアと中国は、すでに2008年、宇宙空間に兵器を配備するのを阻止する国際条約の共同案を、ジュネーヴ軍縮会議での検討に持ち出した。しかし米国は、対人工衛星兵器問題の効果的解決を含め、それが可能だったにもかかわらず、わざとらしい口実のもと、ロ中の共同提案を葬ってしまった。
かつてソ連と米国は、主として空中発射を想定したレーザーやミサイルを使った様々なタイプの対人工衛星兵器システムを、積極的に発達させていた。そうした開発技術は、どこかに消えたわけでは決してない。しかしソ連崩壊後、ロシアが積極的にそれに取り組まなかったのに対し、米国は作業を続け、ある時、自国の人工衛星を撃ち落とした。そして中国が、同じことをした時、つまり制御できなくなった自国の気象衛星を撃ち落とした時、米国は非常に心配し始めた。実際中国は、米国にとって問題を作り出すようなある種のシステムを持っている。特に、あるデータによれば、中国は、少なくとも人工衛星を撃ち落とせる3つのレーザー兵器を所有しているという。つい最近、日本の偵察衛星がコントロールできなくなり、謎の爆発を遂げたあと軌道を外れたが、地上からレーザー兵器で攻撃されたのではないかと疑われている。
また、米国政府が、宇宙空間へ兵器の配備を目指す理由には、もう一つある。
米国は、自分達が作っているグローバルな対ミサイル防衛システムが、宇宙からの援護がないと効果的なものになりえないことを、よく理解しているからだ。 つまり高度10万メートル程度の低い軌道を回る人工衛星が必要だという事だ。飛行経路の最後の区間でミサイルを撃退する様々なシステムが、そうした衛星には備えられるだろう。
最後に皆さんの注意を促したいことは、ロシア政府が何度も、宇宙空間の非軍事化について提案してきたという事実だ。例えば、今年4月にも、セルゲイ・ラヴロフ外相は『ロシアは、宇宙空間に武器を配備する最初の国にはならない』と約束した。しかしどうやら今回も米国は、こうした考えに耳を傾けるつもりはないらしい。」
ケリー米国務長官はベトナム大経済都市で記者団を前に非常に興味深い声明をいくつか表した。これらを分析すると、米国はアジア太平洋地域における首位を守るという目的は維持しつつ、地域における作戦行動を変えると読み取れる。
ロシア語にこんなことわざがある。「柔らかな物言いをするが大きな杖はもっていけ。」これは日本語で言う「 言葉は丁重だが、中に針を含んでいる」という表現に相当する。これをケリー長官は記者団の前で行った声明に用いたわけだ。
ケリー長官がベトナムの対中関係の改善を図ったことは明らかだ。長官は南シナ海における中国の軍国主義化を批判はしたが、それでも中国をこの地域における脅威とはみなさないようオーディエンスに呼びかけている。「我々は強い中国の成長を歓迎している。中国はグローバルなリーダーとして、超大国としての責任を引き受けており、自国の義務を遂行している」というのだ。
この地域で世界に主たる脅威を与える役をケリー長官は北朝鮮とその指導者である金正恩氏、その大量破壊兵器の拡散に関連した活動に付与している。中国について、と北朝鮮について、という、この2つの話はケリー氏の発言の中にこのように読み取ることができる。これについては25日に「南シナ海における米国、平和創設者なのか、煽動者か?」というタイトルの解説でみなさんにお伝えした。
米国はどうやら中国の成長を止め、地域のリーダー、世界の超大国へと変貌することを阻止する力は自分にはないということを悟ったらしい。中国とはアジア、世界における影響圏をどう分割するか、話し合って決めねばならない。そして今米国はこうした交渉において自分により都合のいい条件を作ろうとしている。
このためには米国は自国側にベトナムを引き込んでおこうとしている。だからこそ、ケリーの口から南シナ海における中国の軍事活動を批判する言葉が聞かれたのだ。
だが米国は北朝鮮を自分の側に引き寄せようとは望んでいない。北朝鮮にはユーゴスラビアやイラク、アフガニスタン、リビアに対したような行動はとらないと、書面で保証すると合意することはその気になればできたはずだ。だが今、米国のエリートらの中では北朝鮮と合意するなど意味がないと考える人間がより支配的な位置を占めている。合意するより潰してしまうほうが簡単だというわけだ。
これがために北朝鮮には、うまく飛ばないミサイルや最後まで開発しきれていない核爆弾で世界中の平和と民主主義を脅かす地獄の産物という烙印を押し、これに対して喉元を締め付ける制裁を発動しているのだ。
だがそうした制裁を発動した本人でさえも、制裁が機能していないことをよくよく理解している。しかも私のように最近北朝鮮を訪問した者などは、制裁があるにもかかわらず、北朝鮮は成長しており、徐々に韓国に似た姿になってきているのを目撃している。
制裁が機能するためには北朝鮮は完全な経済的孤立状態になければならないが、そのためには中国からの北朝鮮支援がただ単に止められなければならないのではなく、完全にストップされなければいけない。だからこそケリー長官はホーチミン市で中国に対して(米国は中国の増長を認める覚悟ですよ)という明確な意思表示をしたわけなのだ。
当然ながら米国はこういったことに対して中国から謝意が表されるものと期待している。ありがというの気持ちは正しい行動が採られる中で表されるべきだ。もし中国が南シナ海の係争諸島の帰属要求を取り下げる気がないのであれば、とりあえず北朝鮮への支援は止めていただきたい。しかも北朝鮮は米国だけでなく、中国も大いにてこずらせているではないか。
ゲームは狡猾だ。だが中国が米国のトリックに引っかかるということはまずない。北朝鮮は確かに中国の手を煩わせてはいるが、それでもやはり同盟国なのだ。または米国がいうように馬鹿息子であっても、やはり実の子には違いない。しかもこの馬鹿息子…、おっと失礼、同盟国だがここ最近、世界に披露しているのは核ミサイルだけではない。ノーマルな経済を構築する途上で初めて目に見える形での成功を収めたところを見せ付けている。こうした相手をずたずたに引き裂いたり、ライバル国の陣営に押し込んだりする必要など果たしてあるのだろうか?
朝鮮労働党第7回党大会は、終盤に近付いている。一部の専門家の予想に反して、大会では、いかなるセンセーショナルな発言も聞かれなかった。しかし、金正恩第一書記の一部発言や、大会が開かれている人民文化宮殿の外で行われている出来事を注意深く見るならば、ここ数日ピョンヤンで取材に当たっているスプートニクのアンドレイ・イワノフ特派員の胸中には「北朝鮮はやはり、重要な変革の淵に立っているのだ」との思いが生じている。
ピョンヤンからイワノフ特派員の報道をお伝えする。
朝鮮労働党のリーダー達の言葉の中では「革命」であっても、それらが「革命的」でないことは、おそらく珍しいことではない。しかしレトリックが、誤解を招いてはならない。金正恩第一書記は、自分の側近を考慮に入れないわけにはいかないような抜本的な改革など、側近にやらせはしない。だが彼の大会での報告は、解決が求められている問題について、彼が非常によく理解していることを示した。まず第一に、経済領域での問題である。経済面での成功は、金正恩第一書記の認識によれば、政治面あるいは国防力向上における印象的な成功には、遠く及ばない。
欧米のマスコミにより作り出され支えられている、広く普及した誤った考えに反し、北朝鮮は、アジアで最も貧しい国では決してないが、金正恩第一書記は、経済的な遅れを克服する意向だ。では彼は、それをどうやって成し遂げるつもりなのだろうか? チュチェ思想に従いながら、つまり自力でそれをやり遂げようというのである。これは具体的には、輸入しないで国産品で代替えする経済発展の加速化を意味する。ついでに言えば、これは、北朝鮮と同様に、欧米諸国の制裁下にあるロシアが直面する課題と同じである。しかし、ピョンヤンの通りを走る自動車やトロリーバス、商店や屋台の棚に並ぶかなり多様な商品は、次々に発射される、大体において北朝鮮製のミサイルについては言うに及ばず、北朝鮮はそうした課題を完全に処理可能なことを示唆している。
ここで重要なのは、金正恩第一書記が、経済を監督する国家機構の強化ばかりでなく、請負システムの発展を通じた勤労者の創造的イニシアチブの奨励を拠り所にしようと考えている点だ。簡単に言えば、国家計画を遂行する企業や農場に、注文によって追加的に収入を得るチャンスを与えるということだ。個人的にもチャンスが生じる可能性がある。ずっと北朝鮮の状況を見守っている専門家達は、北朝鮮にもすでに、かなり多くの私企業があり、富裕層も存在していると確信している。北朝鮮の官僚達は、小規模な会社の存在は認めているが、私企業や富裕層の存在については否定している。しかしそれならば、ピョンヤンの街で見かける、多くの高級車はだれが運転しているのだろうか? 官僚や党幹部、特務機関のメンバーなのだろうか? いったい誰が、大きく高価な新築アパートを購入するのか? ピョンヤンでアパートの部屋の売買が行われているが、公式にはこれも否定されている。しかし、追加払いを伴った交換という隠れ蓑の裏で、事実上の売買が存在しているのである。
そして官僚は、改革の存在も否定している。彼らは、そうした言葉さえ使わない。北朝鮮の社会政治・経済システムは、いかなる改革も必要ないと強調するか、 何のためにこれほど完全なものを変える必要があるのだと逆に質問してくる。
しかしすでに上述したように、金正恩第一書記は、国の経済的な遅れを克服する必要性を認めた。これはもう、事実である。北朝鮮における「改革」もだ。何と呼ぼうが「改革」は事実である。大会での金正恩第一書記の演説から判断して、それは今後も縮小しないばかりか、逆に新しい刺激を得るにちがいない。ともかく、そのことに期待を持ってよいと私は思う。
北朝鮮が大量破壊兵器を拡散している脅威はアジア地域全体に対する主たる脅威だ。ケリー米国務長官は先日ホーチミン市を訪問した中でこうした声明を表した。これについて、国際安全保障問題で著名な韓国人専門家(匿名を希望)はスプートニク通信からのインタビューに対し、長官の声明は米国の対中、対露戦略を反映しているとの見方を表している。
この韓国人専門家は米国にとって東アジア地域における主たる国益は依然として南シナ海の南沙諸島周辺の状況および、かつて欧州で行ったようにMDシステムを展開することであり続けていると指摘し、「まさにこのために米国は北朝鮮に神経を尖らせている」と語っている。
韓国人専門家の見方では、こうした行動の目的は東アジアには核兵器が使われうるという仮想の脅威から守るというお題目で伸張する中国の軍事力を抑止し、ロシアとの戦略バランスを自国にいいように変えるためにMDを創設することにある。韓国人専門家は「米国務長官がベトナムでこのことを言ったということは、昨日(5月25日)の、中国が南沙諸島付近で軍事力を強化を図り続けているというオバマ大統領の声明から注意を逸らす必要性から説明がつく」と語っている。
南沙諸島の水域は国際的な海上運輸の最高で50%が行われている場所だ。このため米国はベトナム、フィリピンなど中国と領土論争を抱えている諸国を支援するところをアピールしている。ベトナムの東海岸に米国が軍事海軍基地を配備する構えだという噂も多く流れているが、これは実現できるとは思えない。このため米国は欧州での例にならって自国のMDを段階的に展開するという目的をすえた。このプロセスの初期段階が朝鮮半島へのTHAADシステム配備となる。韓国人専門家は、この計画が実現されるにしたがって、現在ある中国、ロシアとの対立は著しく激化するだろうと予想している。
韓国人専門家は「米国指導部はロシアとの関係のリセットをよく口にするが東アジアではこうしたリセットはまさに完全なMDの創設を意味している」と語っている。
米リバタリアン党が、民主党と共和党に先駆けて11月の米大統領選挙の候補者を指名した。指名されたのは、元ニューメキシコ州知事のゲーリー・ジョンソン氏。同氏は4年前にも大統領選に参加している。
ジョンソン氏は党大会で55.8パーセントの票を獲得した。フォックス・ニュースが伝えた。
一般的にリバタリアン党は大統領選で勝利するチャンスを有していない。しかし今回ジョンソン氏は世論調査で常に10パーセント以上の支持を得ている。共和党のドナルド・トランプ氏と民主党のヒラリー・クリントン氏の人気が低いため、ジョンソン氏にも一定のチャンスが生まれている。
リバタリアン党は、自由な市場経済、自由貿易、市民の権利と自由の確保、他国への内政不干渉などを支持している。
【ワシントン=川合智之】私用メール問題などが響いて支持率が低下するクリントン氏と、共和党候補指名を確実にした勢いで逆転したトランプ氏。11月の大統領選本選で雌雄を決する両氏はしかし、米国民からの好感度では、過去30年余りの二大政党の歴代候補中では最下位だ。
米紙ニューヨーク・タイムズなどが実施する好感度調査は、その候補者を「好ましい」と感じる人から「好ましくない」と感じる人を引いた数字を集計している。今年3月時点の調査では、トランプ氏はマイナス33ポイント、クリントン氏はマイナス21ポイントと低迷しており、好ましくないと考える人の割合が大きく上回る。
民主党予備選で健闘するサンダース氏は、クリントン氏を「ワシントンの支配階級」と批判して喝采を浴びている。背景には貧富の格差が広がるなど米社会に根差す政治不信があり、弁護士からファーストレディー、上院議員とエリート街道を歩んできたクリントン氏は「傲慢」「強欲」といったイメージを払拭できていない。
逆に既存政治への不信を集票の原動力とし、共和党の主流派を抑えて候補指名を確実にしたトランプ氏だが、一部の有権者に熱狂的に支持される過激な表現は、国民の多数派には不快感を与えているようだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM26H4M_W6A520C1FF2000/?dg=1
G7参加各国の首脳は5月26日に日本で開幕するサミットでは、税、マネタリングなどの措置によって世界経済へ追加的刺激策を採るという合意は行われない。麻生副首相兼財務相は25日、東京で行われた記者会見でこうした声明を表した。麻生氏は、世界経済の状況改善のためには5月20−21日に仙台で行われたG7財務相・中央銀行総裁会議で達せられた合意で十分という姿勢を表している。
だがこれを議題にあげなくてもサミットで話し合うテーマはかなり広範にわたっている。国際貿易もしかり、グローバル経済にとっての潜在的リスク評価、「ダーイシュ(IS)」との闘い、中国に関する共通の危惧もそうだ。日本は中でも中国が南シナ海の人工島に軍事インフラを建てるのではないかと非常に憂慮している。中国問題、次期米大統領になる可能性の高いトランプ氏、日露関係といった問題は議題には挙げられていないものの、おそらく討論ではテーマに挙げられるものと見られている。
トランプ氏が米大統領に選出されそうであることはオバマ氏をも含め、G7の首脳らに明らかに緊張を強いている。なぜならこれはもうひとつ予測不可能な力が出現することを意味するからだ。日本については、トランプ氏は米国市場に日本車を溢れさせ、米国のビジネスの一番美味しいところを貪欲に漁っているとして再三にわたって批判してきた。「日米貿易の不均衡はもう信じられないほどだ。日本は何でもかんでも売りつけてくるのに、米国のほうはほとんど何も売っていないじゃないか。」とトランプ氏はあるインタビューで語っている。
トランプ氏はつい先日、日本と韓国に対し、自前の核兵器で防衛せよ、米国の核の盾を当てにするなと呼びかけている。そのトランプ氏が北朝鮮のリーダー、金正恩氏と直接交渉を行うこともやぶさかではないとした声明は、日本の主たる最優先事項に対するあからさまな違反であり、安倍氏側からの厳しい反発を呼んだ。安倍首相は、「次の米大統領が誰になるにせよ、日米同盟は日本外交の基軸だ」と力説した。しかしトランプ氏にホワイトハウスに引越しするチャンスがどれほどあるのか、それをオバマ氏の口から聞きたいと思っているのは日本に限らず、他の西側諸国も同じだろう。
サミットのホストである安倍首相に対してはおそらくロシア大統領との特殊な関係について質問が飛ぶだろうと予想される。ソチでの安倍・プーチン会談の結果には双方ともがかなり楽観的な評価を与えているからだ。だが実際に何について具体的に合意したかは未だに不明なままで、その秘密を安倍氏がサミット参加者らに明かしてくれるつもりなのかどうかはいわく言いがたい。
中国はこのサミットに国際政治の、またそれに留まらない最重要ファクターとして姿を見せずに同席することになる、と語るのはロシア外交国防政策評議会議長団の代表で雑誌「グローバル政治の中のロシア」の編集長をつとめるフョードル・ルキヤノフ氏だ。ルキヤノフ氏は、中国というファクターは露日関係の背後に立っているとの見方を示している。
「両国はこの地域における最大の力としての中国の伸張となんとかバランスをとろうとしており、これが二国関係を雪解けへと導いている。同時に中国というファクターは日米関係にも強力に存在している。これは北朝鮮の核ミサイルの脅威に対抗しうる共通の盾を作ろうとすることと同じだ。
米国がロシアとイスラム急進主義者らの危険性についてどんなに口にしようが、中国はかつての米国の主たる地政学的敵であり、今もそうであり続けており、米国はどんなにしても中国の上に立つことができない。このため異なる国益を抱える米国もロシアも地政学的関心を解決するには日本を抜きにしてはこれはできない。」
「スプートニク日本語」は、「ワーゲンクネヒト氏は、メルケル首相の移民政策を激しく非難している」と書いているが、そうではなく軌道修正したメルケル首相に近い認識を示したためにチョコケーキを投げつけられたのである。
チョコケーキを投げつけられたワーゲンクネヒトさんは、一昨日の党大会で演壇に立ち、移民の受け容れに反対する“右派ポピュリズム政党”AfD(ドイツのための選択肢)を叩きのめすと熱弁を振るっていた。
(左翼党は、地方選挙で、AfDに食われるかたちで得票率を下げている)
※動画は「スプートニク日本語」のサイトでどうぞ。
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メルケル首相のライバル 顔にチョコレートケーキを投げつけられる(動画)[スプートニク日本語]
2016年05月30日 07:58
ドイツのマクデブルクで、左翼党のサラ・ワーゲンクネヒト氏の顔にチョコレートケーキが投げつけられた。週刊誌デア・シュピーゲルが伝えた。
この様子を撮影した動画が、ユーチューブに投稿された。
ワーゲンクネヒト氏は、メルケル首相の移民政策を激しく非難しているほか、対ロシア制裁の解除も呼びかけている。
ウクライナのポロシェンコ大統領とグロイスマン首相は、IMFとの間で秘密文章に署名した。それによると、ウクライナは、土地売却のモラトリアムを解除し、さらに電気ガス料金を引き上げる義務を負う。ウクライナの「ヴェスチ」が全ウクライナ連合「祖国」の党首、ティモシェンコ元首相の発言を引用して伝えた。
また秘密文書に従えば、教師や医療従事者の優遇された退職条件がなくなり、こうした領域で原楽人の数が減らされる、とのことだ。
なおティモシェンコ元首相は、議会に対し、政府への質疑の時間に、この秘密合意問題を取り上げるよう求めた。
ウクライナ当局とIMFの間の合意については、極右勢力、急進党のリャシコ党首も批判している。リャシコ党首は「あらゆる条件を遂行するためには、ウクライナ当局は、年金支払いを拒否するか、あるいは年金生活者のために安楽死を導入するか、しなければならなくなるだろう」と指摘した。
ゴリラが男児をあやしているからといってそのままにしておくわけにはいかないという判断は理解できるが、画面で見る限り緊急性があったようには思えないので、射殺ではなく麻酔銃の対応でよかったのではと思う。(撃たれたゴリラが暴れるリスクは麻酔でも銃撃でもある)
ABCニュースによると、子どもの親は動物園に感謝の気持ちを表したそうである。
ともかく、子どもが動物飼育エリアに入り込めず落ちないようにすることが肝要である。
※「スプートニク日本語」のサイドに貼ってある動画は削除され見られなくなっています。
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米国 ゴリラの囲いに転落した男児を「あやした」ゴリラが射殺される(動画)[スプートニク日本語]
2016年05月29日 16:25
米オハイオ州の動物園で、ゴリラの囲いに3歳の男児が転落し、ゴリラが射殺された。AFP通信が報じた。
AFP通信の情報によると、男児は柵をすり抜けて囲いの外側の堀に落下した。
雄のゴリラは男児を捕まえ、叫び声を上げる男児を約10分間「あやした」という。その後、動物園の職員はゴリラの射殺を決めた。
なお男児は病院に搬送されたが、命に別条はないという。
政治の実相に照らせばバカバカしい話だが、「あっせん利得処罰法」は、甘利氏にURに関する権限がないということで適用できない。(政治家は逃げ道を用意して法律をつくる)
この問題を幕引きとせず、疑惑として燃やし続けるためには、政治資金規正法・秘書の背任及び横領の罪・猫ババしたとされる秘書の所得税法違反などをネタにするほかない。
秘書、秘書というのはちょっぴり心苦しいが、親分が道義に欠ける政治家だからやむえない。
罪を秘書におっかぶせるかたちなるだけで、甘利氏は政治的痛手を負うだろう。
※関連参照投稿
「渦中の問題で金銭の受け取りを“告白”してしまった甘利大臣」
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/149.html
「甘利氏「告発者は最初から録音狙い」 今週中に会見:録音などの対抗策は責任を果たさず“食い逃げ”する政治家が多いから」
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/281.html
「甘利氏疑惑、金銭授受・口利き焦点 28日に説明会見:疑惑の事実は否定できそうもなくカネの“意味”をどう説明するかが焦点」
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/374.html
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東京地検 甘利氏から任意で聴取 刑事責任問うのは困難か[NHK]
5月30日 21時05分
甘利前経済再生担当大臣の事務所が、UR=都市再生機構と補償交渉をしていた建設会社側から現金を受け取っていた問題で、東京地検特捜部が甘利氏本人から任意で事情を聴いたことが、関係者への取材で分かりました。甘利氏側は口利きを否定しており、これまでの捜査で刑事責任を問うのは難しいという見方が出ていて、特捜部は今後、最終的に判断するものとみられます。
この問題は、甘利氏の事務所が平成25年から26年にかけて、URと補償交渉をしていた建設会社の元総務担当者らから現金を受け取っていたもので、東京地検特捜部はあっせん利得処罰法違反の疑いで、先月、URなどを捜索し、捜査を進めています。
あっせん利得処罰法は、国会議員や秘書などが権限に基づく影響力を使って口利きし、その見返りに報酬を受け取ることを禁じています。
特捜部はこれまで甘利氏の元秘書やURの担当者などから任意で事情を聴いていますが、30日までに甘利氏本人からも任意で事情を聴いたことが、関係者への取材で分かりました。
この問題について甘利氏側は「あっせん利得処罰法に当たるような事実はない」などと、口利きを否定していて、特捜部に対しても同様の説明をしたものとみられます。
関係者によりますと、これまでの捜査で「甘利氏側のURへの接触を、権限に基づく不正な口利きと立証し、刑事責任を問うことは難しい」という見方が出ていて、特捜部は今後、最終的に判断するものとみられます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160530/k10010540541000.html?utm_int=news_contents_news-main_004
消費税税率引き上げの再延期について国民の信を問うのがスジだが、熊本・大分の地震被害の復旧復興優先を理由として、総選挙で信を問う解散は断念し、参議院選挙に委ねると説明することもできる。
しかし、野党4党が内閣不信任決議案を提出すれば話が変わってくる。
内閣不信任決議案提出を逆手にとって、それなら、与党の政策が国民の支持を得ているか失っているか総選挙で問おうじゃないかと攻めに転じる可能性がある。
野党4党は内閣不信任決議案を提出する理由として、
1)安保法制を強行成立させ、憲法改悪を推し進めることは、立憲主義と平和主義への重大な挑戦である。
2)アベノミクスの失敗は、国民生活を破壊し、格差と貧困を拡大した。
3)甘利前大臣の疑惑問題やTPP交渉に関する情報開示のあり方、また沖縄問題への対応など、国民の声に耳を傾けない強権的な政治である。
を上げている。
そのような理由に基づく内閣不信任決議案提出を受けて、それが国民多数派の声かどうか確認したいと言って解散し与党が多数派を維持したならば、
安保法制は国民多数に戦争防止法と理解されている。
アベノミクスは道半ばであって失敗ではないと考えられている。
3)も、甘利問題は検察が捜査していると突っぱねることができるほか、TPPの情報開示問題も外交交渉のルールを尊重したことが理解された、沖縄問題も沖縄県との話し合いで訴訟合戦を避ける合意を得たことが評価されている。
などと主張できてしまう。
端的に言えば、野党4党の内閣不信任決議案提出は、(総選挙の与党勝利が条件だが)野党4党が“安倍暴政”とする重要な政治問題について、安倍政権が国民からお墨付き(支持)を得る機会を与えてしまうリスクでもある。
主要メディアが安倍政権をサポートしている現状では、野党が多数派を形成するのは困難である。
そういう政治状況で、国民は安保法制やアベノミクスを支持していると言える結果が生まれる可能性がある内閣不信任決議案提出は愚策である。
※参照投稿
「安倍首相の任期をはるかに超える19年10月に増税を実施するという無責任:経済政策としても効果が薄く半端な判断」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/792.html
「日本の消費税引き上げは1−3年延期:延期ではなく消費の安定的拡大が定着するまで増税しないという宣言が必要」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/741.html
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首相 消費増税再延期も解散せず 野党は不信任案提出へ[NHK]
5月31日 4時01分
安倍総理大臣は、来年4月の消費税率の引き上げを、2019年、平成31年10月まで2年半再延期するとともに、再延期に伴う衆議院の解散・総選挙は行わない方針です。
民進党などは31日午後に安倍内閣に対する不信任決議案を提出するなど、対決姿勢を鮮明にしていて、夏の参議院選挙もにらんだ攻防が展開される見通しです。
来年4月の消費税率の引き上げを巡って、安倍総理大臣は30日、自民・公明両党の幹部と相次いで会談し、2019年10月まで2年半再延期する考えを伝えて、理解を求めました。
また、30日夜には、再延期に慎重な姿勢を示してきた麻生副総理兼財務大臣と改めて会談し、麻生副総理は最終的に再延期を受け入れる考えを伝えるとともに、再延期に伴う衆議院の解散・総選挙は行わないことを確認しました。
これを受けて、自民・公明両党は31日にそれぞれ政調全体会議などを開いて対応を協議することにしていて、参議院選挙を前に、政府・与党の結束を優先し、安倍総理大臣の意向に沿って引き上げを2年半再延期することで速やかに意見集約を図ることにしています。
そして安倍総理大臣は、早ければ今の国会の会期末の来月1日に記者会見して、再延期の方針を正式に表明することにしています。
これに対して、民進党、共産党、社民党、生活の党の野党4党は、30日の党首会談で、消費税率引き上げの再延期はアベノミクスの失敗を明確に示すもので、安倍総理大臣の責任は重大だという認識で一致しました。
そして、31日午後に4党が共同で安倍内閣に対する不信任決議案を衆議院に提出することにしています。
不信任決議案は31日中に衆議院本会議で採決が行われ、与党側の反対多数で否決される見通しですが、野党側は対決姿勢を鮮明にしていて、夏の参議院選挙もにらんだ攻防が展開される見通しです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160531/k10010540731000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
(違法性がない小沢陸山会政治資金規正法違法起訴事件と照らし合わせると唖然とするほかない)
また、口利きが“権限”に基づかないから「あっせん利得処罰法」違反には当たらないというのはわかるが(不正な口利きはなかったの根拠)、「補償金の支払いを斡旋(あっせん)した事実は確認できなかった」ということなら、甘利事務所の秘書たちは、対価として政治献金を受けながら約束を履行しなかったことになる。
「薩摩興業」の総務担当だった一色武氏はURからより多くの補償金を得られるよう甘利事務所に依頼し政治献金を渡し、甘利事務所側もそれに同意したはずである。
URに対する甘利事務所の口利きは“不正ではなかった“という認定だから、両者の契約は公序良俗に反するものではなく、履行を約束して金銭を受領していながら履行しなかった秘書たちは、詐欺罪が成立する可能性もある。
さらに、政治資金規正法違反についても、「この300万円は秘書個人の管理下にあり、政治資金にはあたらない」とあるが、政治資金ではないとしても、秘書の横領にあたる行為である。
恥知らずの親分を揺さぶるには、秘書を叩き、秘書の口から甘利氏への怨嗟の声を上げさせる方法しかないだろう。
※関連投稿
「東京地検 甘利氏から任意で聴取 刑事責任問うのは困難か:検察による幕引き:政治資金規正法違反・横領罪・脱税で追及を」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/882.html
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甘利氏現金授受問題 甘利氏と元秘書2人を不起訴 東京地検
産経新聞 5月31日(火)15時35分配信
甘利明前経済再生担当相の現金授受問題で、東京地検特捜部は31日、あっせん利得処罰法違反罪と政治資金規正法違反罪で刑事告発されていた甘利氏と元秘書2人を不起訴処分(嫌疑不十分)とした。甘利氏はこれまで「あっせん利得処罰法に当たるような事実はない」と口利きなどを否定していた。
特捜部は甘利氏側が不正な口利きを行い、補償金の支払いを斡旋(あっせん)した事実は確認できなかったと判断したとみられる。都市再生機構(UR)も、これまでに口利きを否定していた。
甘利氏側に現金を渡していた千葉県白井市の建設会社「薩摩興業」の総務担当だった一色武氏(62)は、産経新聞の取材に甘利氏側が口利きを明確に認識していたと証言。特捜部は現金授受の経緯などについて、甘利氏から任意で事情を聴いていた。
甘利氏の説明によると、元秘書は平成25年8月、URと補償交渉していた建設会社側から500万円を受領したが、政治資金として処理されるべき300万円を元秘書が私的に流用。政治資金収支報告書には200万円の記載しかなかった。甘利氏も同年11月と26年2月に、それぞれ50万円ずつを受け取っていた。
URは国がほぼ全額を出資しており、その契約について政治家や公設秘書が口利きし、見返りに報酬を受けた場合は、あっせん利得処罰法に抵触する可能性があったが、特捜部は甘利氏側の働きかけなどを通常の政治活動の範囲にとどまると判断したもようだ。
甘利氏と元秘書は一色氏から受け取った600万円のうち、自民党神奈川県第13選挙区支部と神奈川県大和市第2支部の平成25年分の政治資金収支報告書に計300万円分しか記載しておらず、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪でも告発されていた。
関係者によると、残りの300万円は事務所の会計帳簿に「返却予定」と記載され、その後、秘書の報告に基づき「返済」と記載されていたことなどから、この300万円は秘書個人の管理下にあり、政治資金にはあたらないと判断したもようだ。
甘利氏は今年1月に閣僚を辞任。その後、睡眠障害で療養中などとして公の場に姿を見せていなかった。
最終更新:5月31日(火)16時7分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160531-00000571-san-soci
※関連投稿
「首相 消費増税再延期も解散せず 野党は不信任案提出へ:不信任案提出という愚策で解散総選挙にまだ可能性」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/883.html
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首相「増税延期、参院選で審判」 同日選、熊本配慮で見送り[日経新聞]
自民・細田派会合で
2016/5/31 23:34
安倍晋三首相は31日夜、都内で開いた自民党細田派の会合で、消費増税の2年半の延期について「国民の審判を仰ぐという点では参院選がある」と述べ、衆院解散により国民の信を問う必要はないとの認識を示した。7月の参院選にあわせて衆院選を実施する衆参同日選については、熊本での地震などを理由に見送ると説明した。
会合後、塩谷立政調会長代行が記者団に明らかにした。細田派は首相の出身派閥。
首相は衆院選に関して「熊本の震災もあったし、色々な状況で、それこそ前回(の衆院選)からまだ1年半しかたっていない」と指摘。「選挙をやることが国民にとって理解できるかということも含め、今回は先送りする」と表明した。
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)での世界経済を巡る議論については「将来予想される危機を回避するためにどうするかは主要7カ国(G7)が共通して理解を得た。G7がこれから経済対策をしっかりやっていく」と強調。そのうえで「G7が危機を起こすべきではない。その一環として、消費増税は先送りする」と語った。
内閣不信任案を31日に提出した民進党の岡田克也代表の主張については「共産党と一体になった」と批判。7月の参院選については「全員当選に向けて頑張ろう」と訴えた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS31H6J_R30C16A5PP8000/?dg=1&nf=1
【5月28日 AFP】北朝鮮の最高指導者、金正恩(Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の叔母、高英淑(コ・ヨンスク、Ko Yong-Suk)氏が、1998年に米国へ亡命した後、ニューヨーク(New York)でクリーニング店を営みひっそりと暮らしていると、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)が27日、報じた。
高氏は故・金正日(Kim Jong-Il)総書記の3番目の妻とされ正恩氏の実母である故・高英姫(コ・ヨンヒ、Ko Yong Hui)氏の妹。現在は夫のリ・ガン(Ri Gang)氏、3人の子どもたちとともにニューヨークで別名を使って暮らしているという。
夫妻は金政権と近しい立場にあったことから、正恩氏らスイスに留学した金一家の子どもたちの世話役としてスイスに派遣されていた。
当時の正恩氏について高氏は「問題児ではなかったが気が短く忍耐心に欠けていた」と語っている。母親に勉強しないで遊んでばかりいると叱られると正恩氏は口答えこそしなかったが、ハンガーストライキなど別の手段で抵抗したという。
高氏によれば正恩氏は1984年生まれ。これが事実ならば2011年に父親の正日氏が死去したことを受けて後継者に就いた際、正恩氏は当時報じられた33〜34歳ではなく、わずか27歳だったことになる。(c)AFP
「甘利氏現金授受問題 甘利氏と元秘書2人を不起訴 東京地検:政治資金規正法違反も不起訴で完全幕引きをはかる検察」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/903.html
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<甘利・前経済再生担当相>現金授受問題 不起訴 法適用、高いハードル
毎日新聞 6月1日(水)8時24分配信
甘利明前経済再生担当相(66)を巡る現金授受疑惑の捜査は、不起訴処分で終わった。建設業者との癒着や官への働き掛けが顕在化しても、議員側の刑事責任を問えない結果となり、法律の限界が浮き彫りになった。
あっせん利得処罰法は、政治家や秘書の「口利き」を防ぐために議員立法で制定され、2001年に施行された。国の行政処分や契約などに関して請託を受け「権限に基づく影響力を行使」して報酬を受け取ることを禁じる内容だ。だが、この影響力の行使については、議会で行政に不利な質問をするとちらつかせることなどが想定されており、国会議員やその秘書が立件された例は一度もない。
薩摩興業側から頼まれた元秘書は、15〜16年にUR側と計11回の面会を繰り返し「少しイロをつけてでも地区外に出て行ってもらった方がいい」「事務所の顔を立ててもらえないか」と求めていたことが判明した。元秘書は計1000万円以上の接待も受けたとされるが、交渉は進まなかった。
検察幹部は「仮に補償を得られていたとしても、『こうしなければ国会質問をする』というような強い文言がなければ影響力を行使したとは言えない」と指摘。適用のハードルが高く「政治家の、政治家による、政治家のための法律になっている」と説明する。
参院議員として法制定の審議に関わった大脇雅子弁護士は「特定の個人や団体の利益のための口利きは、あるべき政治活動とはいえず、政治不信をうむ。法律の内容や運用に問題がないか議論を深める必要がある」と話した。【石山絵歩、小林洋子】
最終更新:6月1日(水)9時57分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160601-00000001-maiall-pol
簡単に言えば、消費税増税で5兆円の増収があったとしても、そのうち2兆円は低所得者の生活を「これまでのレベルに維持する」ために使わなければならないのである。
さらに、中所得者や事業者のカネ回りも痛手を被るので、これまでの増税でもそうであったように、景気対策というかたちで3兆円を投入しなければならないことにもなる。
こういった論理で、消費税の税率を引き上げたからといって社会保障制度を充実させることはできないのである。
わかりやすく言えば、消費税を社会保障制度の財源とするという考えは、稼ぎがそれほどよくない(貧乏人ともう少しは稼ぎがある)人たちの相互扶助をセーフティーネットの基礎にしようというものである。
そのような相互扶助制でも最貧層の救済はできるかもしれないが、それによって中低所得レベルの実質購買力が落ちるため、財政出動で支えない限り景気は落ち込むことになる。
社会保障制度の維持や拡充を大義名分に、消費税を導入したり消費税の税率を引き上げたりしようという考えは倒錯以外の何ものでもないのである。
さらに言えば、消費税の増税は、法人税や所得税(消費税は給与支払い税)の減収につながるので、中長期的に考えれば、消費税の税収は増加しても、総税収は減少という悲惨な結果に陥る。
それは、89年の消費税導入、97年の消費税増税は、総税収の減少を招き財政状況をより悪化させてきたことを確認すればわかる。
今回(14年4月)の消費税増税は、円安によるグローバル企業の増益や過去赤字決算企業の法人税免除措置終了などによって、今のところ総税収の減少を免れているだけである。
法人税の税率引き下げと過剰な円安の修正が相俟って法人税収入の減少が顕著になり、今年度から総税収の減少に転じる可能性もある。
小泉進次郎代議士は、「延期するけれども決まっていた(社会保障)充実策はやるというなら、こんなおいしい話はない。そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」と発言したという。
言葉だけをたどると筋を通したことを言っているようにも思えるが、上述した消費税制度の性質を考えれば、消費税の増税で社会保障の充実を主張するほうが味わえない“おいしい話”であることがわかるだろう。
さらに、経済論理からいえば、日本はここ20年思うように消費も拡大せず物価も上がっていないのだから、国民所得から税のかたちでカネを吸い上げる必要はない。
逆に、経済活動を活発にするために、唯一“借金地獄から自由な”中央政府が財政を使って支える必要があるのが現状の日本である。
自民党主力政権も民主党主力政権も、30兆円から50兆円の赤字財政を続けてきた。そして、経済活性化を名目に法人税の税率引き下げも行っている。
社会保障の充実には使ってこなかっただけで、地方自治体への財政支援・公共投資・軍備拡張などには財源論を乗り越えて財政支出を続けてきた。
どちらも必要だが、供給主体(企業)へのカネの配分と低中所得者へのカネの配分のどちらをより優先するのかという問題なのである。
公共事業などは企業へのカネの配分であり、社会保障は低中所得者へのカネの配分ということになる。
とにかく、税収の増加ではなく、経済活動を活性化させ続けることこそが、社会保障制度を持続させる唯一の条件である。
小泉進次郎代議士の「おいしい話」論を援用するなら、消費税増税は、輸出企業(グローバル企業)にとって、税制度(輸出免税)を通じて利益増加させる「おいしい話」である。
さらに、10%の引き上げは、複数税率(軽減税率)制度の導入につながるので、創価学会や新聞社に“新たに”税制度を通じて利益を供与する「おいしい話」でもある。
消費税増税が低中所得者の実質可処分所得を減少させるのが確かだが、消費税は、“特定”(非輸出)事業者の稼ぎ(付加価値)に課税する法人税の変種であり、税で吸い上げたおカネを輸出事業者(グローバル企業)に分配する仕組みでもある。
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消費税増税再延期 自民・小泉進次郎氏「そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」
産経新聞 5月31日(火)17時28分配信
自民党の小泉進次郎農林部会長は31日、党本部で開かれた党政調全体会議に出席し、消費税率の10%への引き上げを来年4月から2年半延期するという安倍晋三首相の方針について「延期するけれども決まっていた(社会保障)充実策はやるというなら、こんなおいしい話はない。そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」と発言した。
さらに、首相が平成26年秋にも消費税増税の1年半延期を決断し、来年4月に先送りされた経緯を念頭に「二度あることは三度ないという説明をどうやったらできるのか。おそらくできない」と指摘。予定通り増税するべきだとの考えをにじませた。
一方で、「今回の決断は社会保障の構造的なあり方(の改革)にもう一度アクセルを踏んでいくスタートにしなければいけない」とも強調。再延期の方針を半ば容認しながらも、社会保障制度の見直しを同時に進めていくべきだとの認識を示した。
小泉氏は会議後、記者団に対し、民進党が再延期の間の社会保障政策の充実を赤字国債を財源に実施するよう主張していることにふれ「自民党はどう責任あるあり方を示していくのかが(夏の参院選の)一つの論点になるだろう」との見方を示した。
最終更新:6月1日(水)12時25分
「GE・日立連合、ロシア企業と提携 原子力燃料、米で加圧水型向け:対露制裁って何?:ウラン精製濃縮で北朝鮮が絡む可能性も」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/898.html
東京大学のインカレサークル「誕生日研究会」所属の5人の東大生・東大大学院生が、強制わいせつ容疑で逮捕された。メンバーの自宅マンションに連れ込んだ21歳の女子大生に対して彼らが行ったのは、裸にして身体を触った上、カップラーメンの汁をかけたり、局部にドライヤーで熱風を浴びせるといった、卑劣な行為――逮捕された5人の素顔と経歴を明らかにする。
***
5月11日に逮捕された主犯格の男は、すでに報じられている通り、東大工学部4年の松見謙佑(22)。そして、19日に逮捕されたのは、別の東大生や東大大学院生4人である。年齢が22歳から24歳までのその4人を、ここでは仮にA、B、C、Dとしておこう。
まずは、主犯の松見について。彼は武蔵中学、武蔵高校を経て東大に入学。事件当時は工学部のシステム創成学科に所属していた。
武蔵高校の同級生の話。
「英語がすごく得意な子として記憶に残っています。ただ、卒業アルバムでクラスメイトが彼について“怖い。バカにされている気がする”というコメントを書いていることからも分かる通り、得体の知れない、何を考えているのか分からない人でもありました」
男子校ということもあり、高校時代は周囲に女性の影も形も見当たらないが、東大に入学してからは、
「1年、2年の時は『コスモス』というテニサー(テニスサークル)に入っていて、3年になってからは『オレンジペコ』というテニサーに所属していた。それらを含めて、これまでに在籍したテニサーにそれぞれ1人ずつセフレ(セックスフレンド)がいると言われていて、それとは別にちゃんと彼女もいると聞いたことがある」(システム創成学科の学生)
ちなみに松見の父親も東大法学部出身。日本興業銀行(現みずほ銀行)を経て現在はファンド運営会社に勤務している。
■数学選手権大会優勝のA、父は小学校教師のB
次に、5月19日に逮捕された4人のうちの1人であるAは、福井県立藤島高校を経て東大入学。
「彼は中学生の時に通っていた進学塾の中でも並はずれて勉強ができる人だった。模試などの成績もずば抜けていた。高校に入ってからは、とりわけ数学が得意なことで知られていた。2010年には4人のチームで全国数学選手権大会に出場し、優勝しています」(高校の同級生)
東大関係者によると、
「現在は東大大学院工学系研究科の原子力国際専攻に所属する修士1年生です。つい最近、原子力に関係する学会の大会で賞を受賞しています」
Bは岡山県立岡山朝日高校を卒業した後、東大へ。事件当時は主犯の松見と同じ工学部システム創成学科に所属していた。岡山市内の小学校で教師として働いているBの父親が話す。
「確か2年から3年にあがる時だったと思うんですが、必修科目を1つ落として留年しています。大学に入ってから遊び呆けている、という印象は私にはないんですが……」
■自著を上梓したばかりのD
Cは東京学芸大附属高校出身。東大入学後は、
「工学部システム創成学科を選び、今は大学院の修士1年生です」
と、システム創成学科の関係者。
「あと、彼は高校の時からハンドボールをやっていて、東大に入ってからも体育会のハンドボール部に所属していた。3年の春頃に前十字靭帯を切ってしまって4年の春に引退。でも、引退した後も自分の出身校である学芸大附属のハンドボール部にコーチをしに行ったりしていました」
東京都立国立高校を卒業した後、東大に入学したDは最近、自著を上梓したばかりだった。
「問題解決力を高める東大式のメソッドを教えてくれる、というフレコミの本です。実は、彼の母親も何冊かの本を書いています」(先の東大関係者)
Dが上梓したばかりの本の著者紹介文によれば、彼は現在、〈東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻〉の修士1年生だ。
自慢の孫のDについて、祖父母が口々に語るには、
「中学では生徒会長をやったし、足も速くて、何でも先頭に立ってやる子でした。皆さんに羨ましがられたものです。爽やかとも言われていました。中学、高校と野球部に入っていました。国立高校では、一応、甲子園を目指していた。でも、途中で左肩を壊してしまってできなくなってしまった。一浪はしましたが、東大だけではなく、早稲田も慶応も全部受かって……」
いずれ劣らぬスーパーエリート。家族の誇りでもあった東大生と東大大学院生たちは、人生をパァにしてしまった。
「特集 日本一の大学に入れたのに親が泣く! 『強制わいせつ』で5人逮捕! 『バカ東大生』が人生をパァにした真夜中の狂態」より
「週刊新潮」2016年6月2日号 掲載
新潮社
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160531-00508977-shincho-soci
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【続報】強制わいせつ逮捕の東大生 前国家公安委員長・山谷えり子議員の親戚だった
デイリー新潮 6月1日(水)17時0分配信
東京大学のインカレサークル「東大誕生日研究会」に所属する5人の東大生・東大院生が強制わいせつで逮捕された事件。その中に、かつて教育再生担当の首相補佐官も務めた山谷えり子参院議員(65)の親戚がいることが、「週刊新潮」の取材により判明した。6月2日発売号が報じる。
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主犯格の東大工学部4年の松見謙佑(22)ら5人は、5月10日から11日未明にかけてメンバーの自宅マンションに女子大生(21)を連れ込み、裸にして胸を触った。さらに松見は殴る蹴るの暴行を加え、カップラーメンの汁をかける、局部にドライヤーで熱風を浴びせるという行為に及んでいる。逃げ出した女子大生の通報により、松見はその場で逮捕、残る4人も19日に逮捕された。
山谷議員の親戚に当たるのは、東大大学院工学系研究科の原子力国際専攻に所属する修士1年のA。福井県を代表する進学校、県立藤島高校出身で、全国数学選手権大会で優勝したほどの秀才だ。
山谷議員はほかに、第2次安倍内閣では国家公安委員長や拉致問題担当相などの要職にも就いている。山谷議員の親類は週刊新潮の取材に対し、「議員から見てAは従兄弟の子」にあたる血縁関係であると証言している。
これについて尋ねるべく山谷議員に電話をかけるも、「山谷先生ですよね?」と尋ねた記者に、議員は「違います」と返答し、以降、電話は不通に。これまで過激な性教育や性暴力ゲームに反対する発言をたびたび行ってきた山谷議員には耳が痛い事実……今夏の参院選への影響は避けられない。
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東大誕生日研究会は、4月にも泥酔させた女子大生をマンションに連れ込んでいる。「週刊新潮」6月2日発売号では、その際のAの振る舞いや、実刑の可能性もあるという5人の今後についても言及する。
「週刊新潮」2016年6月9日号 掲載
新潮社
最終更新:6月1日(水)23時2分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160601-00509114-shincho-soci
北海道七飯町の山林で小学2年生の男児(7)が行方不明となっている問題で、「しつけと虐待」の線引きをめぐる議論が巻き起こっている。ネット上で盛んな意見が交わされる中、SNSなどで持論を展開する芸能人も続々と登場している。
「明らかにネグレクト!虐待です」「殺人同等で問われるべきですね」――。今回の件を「しつけではなく虐待」とみた芸能人からは、このように両親を過激に批判する声が次々と上がっている。一方で、ビッグダディこと林下清志さんなど、自身の育児経験から「(親を)責める気にはとてもならない」と同情的な立場をとる芸能人もいる。
■茂木健一郎「しつけではありません。犯罪です」
男児が行方不明になったのは2016年5月28日17時頃。両親から「しつけ」として七飯町の山中で車から降ろされた後、行方が分からなくなった。約5分後に父親が現場に戻った際には姿が見えなくなっていたという。警察や消防が100人以上の体制で捜索を続けているが、31日17時時点では男児の手がかりすら見つかっていない。
当初、両親は山菜採りをしていた際にはぐれたと警察に説明していた。事実とは異なる虚偽の説明をしたことについて、父親は「世間体を気にした」などと複数のメディアからの取材に答えている。産経新聞電子版が29日に配信した記事によれば、父親は「親としての威厳を示さなければ」という思いで、男児に反省を促すため山中に放置したという。
この一件を発端に、ネット上では「しつけ」と「虐待」の線引きをめぐって盛んな議論が交わされることになった。ツイッターやネット掲示板には、両親への批判や同情を含む様々な意見が数万件以上は寄せられている。
こうした議論には、芸能人も次々と「参戦」している。脳科学者の茂木健一郎さんは29日のツイッターで、「『しつけ』ではありません。『保護責任者遺棄罪』(刑法218条)という犯罪です」とツイッターに投稿。続けて、「『しつけ』という言葉を使う人も嫌いです」とも述べており、両親に批判的な立場を示している。
タレントのクリス松村さんは29日、「置き去りが...しつけという感覚...恐ろしい」と持論を展開。「大人という立場を利用して、子供に対する精神的な暴力」として、「許しがたい行為」だと断じた。また、エジプト出身タレントのフィフィさんも同日のツイッターで、「どんな結果であれ親はネグレクト、いや虐待」「殺人同等で問われるべきですね」などと両親の行為を厳しく批判している。
「お父さんを責めるつもりにはとてもならない」
尾木ママこと教育評論家の尾木直樹さんは、今回の件に関連したブログ記事を続けざまに更新している。
29日には、「明らかにネグレクト!虐待です」と厳しく指摘。翌30日にも、「しつけのお仕置きで7歳を山中に放置するでしょうか!? 」「悪いしつけの見本です...虐待です」などと複数の記事にまたがって持論を展開。さらに31日には、今回の事件を直接指したわけではないが、「(日本では)変な人権侵害の放置事件まで発生する」とまで言及していた。
その一方で、自身の育児経験から「しつけ」をした両親に同情的な立場を示す芸能人もいる。タレントの伊集院光さんは30日放送のラジオ番組で、言う事を聞かない子供については「(親も)パフォーマンスを大きくせざるを得ない」「しつけの手加減って、難しい」などと一定の理解を示した。
また、18人の子供の父親である「ビッグダディ」こと林下清志さんは31日に更新したブログで、自身の育児経験を引き合いに「一般論や育児論を持ち出して、今あのお父さんを責めるつもりにはとてもならないのです」など同情的な意見を展開している。
林下さんによれば、日々の生活に追われる中では、口頭で丁寧に諭すしつけを実践することは「なかなか難しい」。そのため、今回の件についても、「しつけとしての方法としての論議はあるのでしょうが...」とした上で、「自らが招いてしまったこの事態に、お父さんの後悔の気持ちもいかほどかと察してつらくなります」とつづっている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160531-00000007-jct-soci&pos=4
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「しつけ」で子どもを山に「置き去り」 意外に多い「私も同じ目にあった」
J-CASTニュース 5月30日(月)17時49分配信
北海道七飯町の山林で北斗市の小学2年生の男児(7)が行方不明となった一件は、「しつけのために山中で放置した」という両親の証言で新展開を見せている。
当初「山菜採りの最中に行方が分からなくなった」と警察に説明した両親だが、これが後に嘘だと発覚。「しつけ」と言えるのか、とネット上の意見が「親批判」に傾く一方で、「私もよくされた」と体験談を語る人も多い。
■とくダネ・小倉「親の叱り方としてはありがち」
男児は2016年5月28日に家族4人で鹿部町を訪れた。しかし、水遊びの後、車道に向かって石を投げたため父親から叱責。七飯町の山中で「しつけのため」車から降ろされた。泣きながら車を追ったため1度は車内に入れられたものの、約500メートル先で再び降ろされた。約5分後、両親がその場に戻った頃には姿が見えなくなっていたという。周囲はうっそうとした山林で、函館中央署などが29日に約180人で捜索したが、日没までに見つからなかった。30日も朝6時から捜索が始まっている。
男児の父親は30日朝放送の情報番組「とくダネ!」(フジテレビ系)スタッフの取材に
「最初にお仕置きで(中略)って話を出すのは...気持ち的にちょっと...それで(捜索を)お願いするのはできなかった。ちょっと世間体を気にしてしまいました」
と答えた。
7歳の男児を山林に置き去りにし、警察に虚偽の説明をする――。そんな両親の姿勢にネット上では疑問の声が噴出した。
一方、自身の体験談を踏まえて「(親による置き去りは)よくあることだ」と指摘する人も少なくない。
父親への取材を放送した「とくダネ!」で、番組司会の小倉智昭さんは「そんなに悪いことするんだったら連れて行けないからここにいなさい、ってのは親の叱り方としてありがちだと思う」と語った。
財布叩きつけられ「これで帰りたければ帰りなさい」
事件をうけ、ツイッター上でも
「私も幼少期によく親に怒られては置いて帰られていました。」
「長女があんまりわがまま酷くて、車から下ろして置き去りにしたことある」
「私も妹も言うこと聞かなくて夜に山連れてかれた」
といった「告白」が相次いでいる。
兵庫県に住む20代女性はJ-CASTニュースの取材に、こんなエピソードを明かす。
「以前、能登(石川県)の山林で母親に財布を叩きつけられ、『これで帰りたければ帰りなさい』と言われて放置されました。比較的人通りの多い山道だったので無事でしたが、その時は泣きながら親を探し回りました」
行方不明となって捜索された経験はないにせよ、今回の男児と同じ経験をした、もしくは自分の子どもにさせた人は存外多いのかもしれない。
ただ、今回の場所はヒグマも生息しているとされる北海道の山林で、夜はまだまだ冷え込む季節。「場所が悪かったかねぇ」――30日放送の「とくダネ!」で、小倉さんはこうつぶやいた。
最終更新:5月31日(火)8時18分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160530-00000001-jct-soci
西側の制裁で対外債務削減を迫られる中での原油安がロシアにおける改革に強い刺激を与え、その経済強化を促している。テレグラフ紙が伝えた。
「ロシアがすでに根本的に変化した景観に適応しているという事実は、ロシアが新たなチャンスを活用すればそこにあるはずの成功の前触れだ」とアナリストは指摘する。
専門家は今年0.4%のGDP成長率を予測しており、来年は1.9%の成長となるという。
ロシア中央銀行にとっての主要な焦点はインフレをターゲットだ、とアナリスト。
アナリストはまた、エネルギー需要の堅調な成長により年末までに原油の価格はバレル当たり60ドルのレベルに進むと予測している。
1970年代に米国とサウジアラビアの間で結ばれ、41年間秘密にされていた合意の詳細が明らかにされた。ブルームバーグ通信が伝えた。
1974年、米国経済に打撃を与えた世界的な石油危機を背景に、当時の米国のウィリアム・サムソン財務長官は、ジェフリー・パスキ副長官と共に、中東及び欧州各国を歴訪した。
この歴訪の主な目的は、サウジアラビアのジッダを訪問だったが、この事は極秘にされた。サウジ訪問では、経済的な武器としての原油の中立化を図ることが、最大の課題だった。
サムソン財務長官が選んだシナリオの主な枠組みは、次のようなものだった:米国は、サウジから原油を買い、同王国に軍事援助を与え、物質的技術的保証を与え、その見返りに何十億ドルものオイルマネーを受け取る-というシナリオだ。
現在明らかになった取引の総額は、1170億ドルにのぼっているが、匿名を条件に取材に応じた米財務省の元職員の証言では、サウジアラビアは、事実上、その倍の投資をしたとのことだ。
ロシアの国営原子力企業「ロスアトム」のセルゲイ・キリエンコ社長は、TVロシア24のインタビューに応じた中で「日本は、原発の廃炉作業に関し、我々とのパートナーシップに関心を持っている」と述べた。
「ロスアトム」は、福島原発の汚染水浄化など、ユニークなテクノロジーのための入札で獲得した注文を、日本のパートナーのために遂行した。
廃炉問題では「ロスアトム」との協力について、英国やドイツも関心を示している。
ロシアは、これまで何度も、福島第一原発事故後の処理活動における援助を提案してきた。2014年、日本政府は、福島第一原発の汚染水浄化に向けたデモンストレーション・プロジェクト実現のためのパートナーとして、ロシアの複数の企業を選んでいる。
【AFP=時事】米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)のシンクタンク、米韓研究所(US-Korea Institute)は1日、北朝鮮の寧辺(ニョンビョン、Yongbyon)にある核施設について、最新の衛星画像の分析結果を基に、新たな核兵器の製造に向けてプルトニウムを抽出する作業の準備を進めているか、既に開始したことを示す証拠が確認されたと明らかにした。
新たな衛星画像には、放射化学実験施設付近でタンクやキャスク(容器)を載せた平台型貨車2台が写っている。米韓研究所によると、平台型貨車は2000年代初めに北朝鮮がプルトニウムを抽出した際にも確認されており、キャスクは抽出作業用の化学薬品を運ぶのに使用できるという。
さらに、放射化学実験施設を暖めるプラントから煙が出ている様子も確認できたほか、プラントに隣接の石炭貯蔵所は石炭で満杯になっているように見える。
米韓研究所は施設内にある出力5000キロワットの主要原子炉について、蒸気の発生など活動している様子がみられないことから、稼働していないか、稼働していても極めて低い水準とみている。使用済み核燃料を再処理のため取り出すには、稼働を停止する必要がある。
この原子炉をフル稼働させた場合、年6キロのプルトニウムが生み出されるとみられており、これは核兵器1〜2個を製造できる量に相当する。ただ米韓研究所は、この核施設で抽出できる兵器級プルトニウムの正確な量は不明としている。【翻訳編集】 AFPBB News
最終更新:6月1日(水)14時43分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160601-00000017-jij_afp-int
習主席、北朝鮮高官と3年ぶり会談 自制と対話求める[日経新聞]
2016/6/2 0:58
【北京=永井央紀】中国国営新華社によると、習近平国家主席は1日、北京を訪問中の北朝鮮の李洙墉(リ・スヨン)・朝鮮労働党副委員長と人民大会堂で会談した。約3年ぶりに北朝鮮要人と会談した習氏は、緊張する朝鮮半島情勢を巡り、自制と対話を求めた。李氏は金正恩(キム・ジョンウン)氏が党委員長に就任した5月上旬の党大会の内容を説明した。1月の核実験で冷え込んだ中朝関係を修復したい意向も伝えたとみられる。
国営中央テレビは夜7時のニュース番組のトップで会談内容を伝え、習氏が笑顔で李氏と会談する様子を放映した。習氏は党大会の説明に来た訪中団に対して歓迎の意を表明し「この訪問は中朝両党が重要な問題を戦略的に協議する伝統を体現している」と述べた。
中朝関係を重視しているとも伝えたうえで「朝鮮半島問題についての中国の立場は一貫して明確だ。関係国が冷静さを保って自制し、意思疎通を強化して地域の平和安定を維持することを望む」と強調した。習氏自ら中国が求める朝鮮半島の非核化を念押しした。
李氏は「北朝鮮は中国とともに中朝の伝統的な友好関係を強化発展し、朝鮮半島と北東アジアの平和安定を守りたい」との正恩氏のメッセージを口頭で伝えた。中朝両国は関係修復を探るものの、新華社は習氏の要求に対する北朝鮮側の具体的な反応については紹介していない。
北朝鮮は5月の党大会で核開発と経済建設を同時に進める「並進路線」を確認し、非核化に応じない姿勢を強調したばかりだ。習氏が会談に応じるにあたり、中朝両国が核開発の問題でどう折り合ったかは不明だ。
中国の朝鮮半島研究者の中からは「原子力発電などの核開発は進めるが、核実験は封印すると約束したのではないか」との観測が出ている。5月の党大会で「責任ある核保有国」を宣言した正恩氏が今後は疲弊した経済の立て直しに向けて対外関係の強化にも動きだすとの分析が背景にある。
習氏と正恩氏による初の中朝首脳会談の開催に関して話し合われた可能性もある。ただ、中国の外交関係者には核開発をやめない北朝鮮への不満は強い。「南シナ海などの問題を抱えるなかで、北朝鮮問題に対する優先順位は高くない」(政府関係者)。中国側が金氏の訪中を受け入れるかどうかは不透明だ。
北朝鮮は2013年2月に3回目の核実験を実施した際も、3カ月後に崔竜海(チェ・リョンヘ)・軍総政治局長(当時)を特使として中国に派遣した。習氏はこの時も面会に応じ、同年7月には中国の李源潮・国家副主席が北朝鮮を訪れた。しかし、正恩氏の訪中にはつながらなかった。
中国側は会談で、核・ミサイル問題について話し合う6カ国協議への復帰も求めたとみられる。北朝鮮側は米国との直接交渉を希望しており、中国に仲介を要請した可能性が取り沙汰される。
中国政府関係者によると、中国の対北朝鮮政策は1月の核実験以降も現行体制を維持する方針に大きな変更はない。北朝鮮の体制が混乱すれば多くの難民が中国との国境地帯に押し寄せるとの懸念が強いためだ。
4回目の核実験を受けた国連安全保障理事会の決議に基づく制裁を4月5日から実施に移しているが、4月の貿易統計では石炭など禁輸対象品の貿易量の減少は限定的だった。北朝鮮に対する水面下の支援が今後も続くとの見方は多い。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM01H63_R00C16A6FF2000/?uda=DGXZZO0242484019022010000007&nf=1
(TPP交渉も基本的に終わり円高も修正されている現状では、消費税の税率引き上げは百害あって一利なし。消費税は、関税の代替と円高の緩和が目的の税制)
G7で「現状がリーマンショックに似ている」という扇情的な説明を行ったことで批判も飛び交っているが、「消費税増税絶対必要」論が政界・産業界・学界・メディア界ではびこってる(そのように国民を“洗脳”してきた)日本では、それくらい刺激的な話を持ち出さないと増税延期にロジカルな理解が得られないという現実がある。
また、消費税の税率引き上げをできる限り延期したいとも考えたと記者会見でわざわざ表明したことから、安倍首相は、消費税の税率引き上げに“絶対的に”慎重な立場であることもわかる。
それでも、財政健全化(PB黒字化)スケジュールを無視するわけにはいかないため(袋叩きに遇う)、安倍氏が総理としてはいない将来(19年10月)に消費税の税率引き上げを実施する法改正を行うと説明する無責任ぶりを見せてしまった。
記者との質疑応答で、「増税の次の時期について、19年10月に延期されましたけれども、御自身の自民党総裁としての任期は18年9月までで、その任期を超える設定となっております。野党などからは無責任ではないかという指摘もあります」と質問されたが、「総裁の任期を超えるのではないかという御指摘がございました。今回は、経済の再生のためには、アベノミクスを進めていく上において負荷をかけずに、正にそのエンジンを最大限に回転させ、正にアベノミクスを最大限にふかしていくことが必要です。そして、脱出速度を得てデフレから脱却をしていく。正に、このリスクに直面するG7で経済の牽引役を果たしていくという責任も、そこで果たしていきたいと考えています。アベノミクスをフル回転させて経済をよくする」と、無責任論にはまっとうに答えず、ただ頑張ります!でごまかしている。
もう一つの問題は、財政という重要政策を変更しようとしているのに、総選挙で国民の信を問わないでいいのかということである。(財政や社会保障のための増税であるはずだから、増税は国民の誰もが反対というありきたりの話では総選挙を回避できないい)
7月の参議院選挙で国民に信を問うと説明しているが、政権選択につながらないうえに半数だけ改選の参議院選挙で国民の信を問うというのはスジ違いである。というより、民進党もすでに消費税税率引き上げ延期法案を提出しており、来年4月の消費税増税を是とする政治勢力が皆無に近い状況では、増税延期政策の信を問う意味は喪失していると言える。
7月の参議院選挙で自公が過半数の議席を獲得できなかったといって、消費税増税延期をやめる(来年4月に実施)ということにはならない政治状況だからである。安倍首相も、参議院選挙で目標が達成できなかったといって増税延期を中止するわけではないだろう。
安倍首相は、「同日選挙についてでありますが、先ほど国民の信を問いたいと申し上げましたが、今週に入って、野党から内閣不信任案が提出をされるということに至りました。その中において、内閣不信任案でありますから、内閣は総辞職せよということなのだろう。それは当然、岡田代表はどういうわけかおっしゃらなかったのですが、解散を求めるという意味もあったのかなと思いますから、ですから、その時に衆議院を解散することについて、私の頭の中を解散についてよぎったことは否定いたしません」と答えているが、消費税増税延期法案を提出してくれた民進党岡田代表にエールを送るかたちで解散は断念したと推測する。
※ 関連参照投稿
「首相 消費増税再延期も解散せず 野党は不信任案提出へ:不信任案提出という愚策で解散総選挙にまだ可能性」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/883.html
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平成28年6月1日安倍内閣総理大臣記者会見
【安倍総理冒頭発言】
本日、通常国会が閉会いたしました。この国会で成立した法律や予算によって介護休業給付の拡充、介護や保育の受け皿整備、不妊治療への100%助成、ひとり親家庭への児童扶養手当の増額など、一億総活躍社会の実現に向け、新たな取組が次々とスタートいたします。
少子高齢化の流れに歯止めをかけ、誰もが生きがいを感じられる社会を創る。一億総活躍の未来を切り開くため、大きな一歩を踏み出す。「未来へと挑戦する国会」になったと考えています。
他方、足元では新興国や途上国の経済が落ち込んでおり、世界経済が大きなリスクに直面している。こうした認識を先般、伊勢志摩サミットに集まった世界のリーダーたちと共有しました。
先般の熊本地震では、熊本や大分の観光業や農業、製造業など、九州の広い範囲にわたって経済や暮らしが打撃を受けています。
これらが、日本経済にとって新たな下振れリスクとなっている。最悪の場合、再び、デフレの長いトンネルへと逆戻りするリスクがあります。
今こそアベノミクスのエンジンを最大にふかし、こうしたリスクを振り払う。一気呵成に抜け出すためには「脱出速度」を最大限まで上げなければなりません。
アベノミクスをもっと加速するのか、それとも後戻りするのか。これが来る参議院選挙の最大の争点であります。
伊勢志摩で取りまとめた合意を議長国として率先して実行に移す決意であります。アベノミクス「三本の矢」をもう一度、力一杯放つため、総合的かつ大胆な経済対策をこの秋、講じる考えです。
最も重要なことは、構造改革を断行し、将来の成長を生み出す民間投資を喚起することであります。
TPPの早期発効を目指します。さらには、日EU・EPAなど「良いものが良い」と評価される自由で公正な経済圏を世界に拡大することで新しい投資機会を創り出します。
現下のゼロ金利環境を最大限に生かし、未来を見据えた民間投資を大胆に喚起します。
新たな低利貸付制度によって「21世紀型のインフラ」を整備します。リニア中央新幹線の計画前倒し、整備新幹線の建設加速によって、全国を一つの経済圏に統合する「地方創生回廊」をできるだけ早く創り上げます。
保育所や介護施設の整備など、未来の一億総活躍社会を見据えた投資を力強く進めます。
最大のチャレンジは、「多様な働き方」を可能とする労働制度改革です。
長時間労働の慣行を断ち切る。雇用形態に関わらない均等待遇を確保する。そして、同一労働同一賃金を実現します。「非正規」という言葉を日本国内から一掃する、その決意で全体の所得の底上げを図り、内需をしっかりと拡大していきます。
こうした諸改革と合せて、今なお地震が続く熊本地震の被災者の皆さんの不安な気持ちに寄り添いながら、被災地のニーズをしっかりと踏まえつつ、本格的な復興対策を実施いたします。
G7で協力し、世界的な需要を強化するため、将来の成長に資する分野で大胆に投資を進める。人工知能、ロボット、世界に先駆けた技術革新を日本から起こす。しっかりと内需を支える経済対策を行う考えであります。
その上で、来年4月に予定される消費税率の10%への引上げについてお話しいたします。
1年半前の総選挙で、私は来年4月からの消費税率引上げに向けて必要な経済状況を創り上げるとお約束しました。そして、アベノミクスを強力に推し進めてまいりました。
現在、有効求人倍率は24年ぶりの高い水準となっています。それも、都会だけの現象ではありません。就業地別で見れば、北海道から沖縄まで47の都道府県全て1倍を超えました。これは史上初めての出来事であります。一人の求職者に対して一つ以上の仕事があるという状況を創り出すことができたのです。
リーマンショック以来、減少の一途をたどっていた正規雇用は昨年、8年ぶりに増加に転じ、26万人増えました。この春の高校生の就職率は、24年ぶりの高さであります。大学生の就職率は、過去最高となりました。政権交代前から中小企業の倒産も3割減少しています。ここまで倒産が減ったのは、25年ぶりのことであります。
所得アップについても、連合の調査によれば、中小企業も含めて、一昨年、昨年に続き、今年の春も3年連続で、今世紀に入って最も高い水準の賃上げを実現することができました。今世紀に入って最も高い水準であります。それを実現することができたのです。そして、パートの皆さんの賃金も過去最高を記録しています。一部の大企業で働いている方の給料が上がっただけでは、決してありません。パートで働いている皆さんの時給も過去最高となっているのです。どうかここも見ていただきたいと思います。
雇用を創り、そして所得を増やす。まだまだ道半ばではありますが、アベノミクスは順調にその結果を出しています。
しかし、世界経済は、この1年余りの間に想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増しています。
最大の懸念は、中国など新興国経済に「陰り」が見えることです。リーマンショックの時に匹敵するレベルで原油などの商品価格が下落し、さらに、投資が落ち込んだことで、新興国や途上国の経済が大きく傷ついています。
これは、世界経済が「成長のエンジン」を失いかねないということであり、世界的な需要の低迷、成長の減速が懸念されます。
世界の経済の専門家が今、警鐘を鳴らしているのは、正にこの点であります。
これまで7回にわたって国際金融経済分析会合を開催し、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授やクルーグマン教授を始め、米国や欧州、アジアの経済の専門家から直接意見を伺ってまいりました。
その専門家の多くが、世界的な需要の低迷によって、今年、そして来年と、更なる景気悪化を見込んでいます。
こうした世界経済が直面するリスクについて、G7のリーダーたちと伊勢志摩サミットで率直に話し合いました。その結果、「新たに危機に陥ることを回避するため」、「適時に全ての政策対応を行う」ことで合意し、首脳宣言に明記されました。
私たちが現在直面しているリスクは、リーマンショックのような金融不安とは全く異なります。しかし、私たちは、あの経験から学ばなければなりません。
2009年、世界経済はマイナス成長となりましたが、その前年の2008年時点では、IMFも4%近いプラス成長を予測するなど、そのリスクは十分には認識されていませんでした。直前まで認識することが難しい、プラス4%の成長予測が一気にマイナス成長になってしまう。これが、「リスク」が現実のものとなった時の「危機」の恐ろしさです。
私は、世界経済の将来を決して「悲観」しているわけではありません。
しかし、「リスク」には備えなければならない。今そこにある「リスク」を正しく認識し、「危機」に陥ることを回避するため、しっかりと手を打つべきだと考えます。
今般のG7による合意、共通のリスク認識の下に、日本として構造改革の加速や財政出動など、あらゆる政策を総動員してまいります。そうした中で、内需を腰折れさせかねない消費税率の引上げは延期すべきである。そう判断いたしました。
いつまで延期するかについてお話しいたします。
中国などにおいては、過剰設備や不良債権の問題など、構造的課題への対応の遅れが指摘されており、新興国経済の回復には時間がかかる可能性があります。そうした中で、世界的な需要の低迷が長期化することも懸念されることから、できる限り長く延期すべきとも考えました。
しかし、私は、財政再建の旗を降ろしません。我が国への国際的な信認を確保しなければならない。そして、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たす。安倍内閣のこうした立場は、揺るぎないものであります。
2020年度の財政健全化目標はしっかりと堅持します。そのため、ぎりぎりのタイミングである2019年10月には消費税率を10%へ引き上げることとし、30か月延期することとします。その際に、軽減税率を導入いたします。
3年間のアベノミクスによって、国・地方を合わせて税収は21兆円増えました。その2年半の延期によって、その間にアベノミクスをもう一段加速する。そのことで更なる税収アップを確保し、2020年度のプライマリーバランスの黒字化を目指す考えであります。
1年半前、衆議院を解散するに当たって、正にこの場所で、私は消費税率の10%への引上げについて、再び延期することはないとはっきりと断言いたしました。リーマンショック級や大震災級の事態が発生しない限り、予定どおり来年4月から10%に引き上げると、繰り返しお約束してまいりました。
世界経済は今、大きなリスクに直面しています。しかし、率直に申し上げて、現時点でリーマンショック級の事態は発生していない。それが事実であります。
熊本地震を「大震災級」だとして、再延期の理由にするつもりも、もちろんありません。そうした政治利用は、ひたすら復興に向かって頑張っておられる被災者の皆さんに大変失礼なことであります。
ですから今回、「再延期する」という私の判断は、これまでのお約束とは異なる「新しい判断」であります。「公約違反ではないか」との御批判があることも真摯に受け止めています。
国民生活に大きな影響を与える税制において、これまでお約束してきたことと異なる判断を行うのであれば、正に税こそ民主主義であります、であるからこそ、まず国民の皆様の審判を仰いでから実行すべきであります。
信なくば立たず。国民の信頼と協力なくして、政治は成り立ちません。「新しい判断」について国政選挙であるこの参議院選挙を通して、「国民の信を問いたい」と思います。
「国民の信を問う」以上、目指すのは、連立与党で改選議席の過半数の獲得であります。
これは、改選前の現有議席を上回る高い目標でもあります。さらに、野党は政策の違いを棚上げして、政策の違いを棚上げしてまで、選挙目当てで候補の一本化を進めています。大変厳しい選挙戦となる。それは覚悟の上であります。
しかし、この選挙でしっかりと、自民党、公明党、与党で「過半数」という国民の信任を得た上で、関連法案を秋の臨時国会に提出し、アベノミクスを一層加速させていく。その決意であります。
9年前、私は総理大臣として、あの夏の参院選で大敗を喫し、その後、総理の職を辞することとなりました。
あの時の挫折は、今も私の胸に深く刻み込まれています。
困難な政策であればあるほど、国民的な理解を得て、国民と共に前に進むほかに道はない。これがあの時の反省であります。その反省の上に、この3年余り、国政に邁進してまいりました。
4年前の総選挙、3年前の参議院選挙、1年半前の総選挙、国民の皆様から大きな力をいただいて、アベノミクスを加速することができました。
その結果、世の中の雰囲気は確かに皆さん、大きく変わった。大きく変わったことは事実であります。まだまだ道半ばではありますが、雇用は確実に増え、所得も確実に上がっています。
この道を力強く前に進んでいこうではありませんか。4年前のあの低迷した時代に後戻りさせてはなりません。
世界経済がリスクに直面する今、ロケットが大気圏から脱出する時のように、アベノミクスのエンジンを最大限にふかさなければなりません。デフレからの「脱出速度」を更に上げていかなければなりません。
そのためには、もう一度、国民の皆様の力が必要であります。国民の皆様の御理解と御支持をお願いいたします。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、皆様から質問をいただきますので、質問される方は所属とお名前を明らかにした上で質問をお願いいたします。
初めに幹事社から。
(記者)
時事通信の松本です。
消費税についてお伺いいたします。
消費税について、総理は引上げを先送りした前回2014年11月の記者会見で、10%に確実に引き上げると明言されました。その発言を実現できなかった政治的責任を、まず総理はどうお考えでしょうか。
また、増税の次の時期について、19年10月に延期されましたけれども、御自身の自民党総裁としての任期は18年9月までで、その任期を超える設定となっております。野党などからは無責任ではないかという指摘もありますけれども、その19年10月の引上げをどのように担保されるのでしょうか。
さらに、社会保障などの安定財源の不足が懸念されていますけれども、これをどう確保していくのか、具体的なスケジュールも含めてお考えがあればお聞かせください。
(安倍総理)
冒頭申し上げましたように、中国など新興国の経済が落ち込んでいます。その中で、世界経済において、需要の低迷、また成長の減速が懸念されているわけであります。こうした世界経済のリスクについて、今回、伊勢志摩の地において、日本が議長国として行ったサミットにおいて、この世界経済の状況、リスクについて認識を共有したわけであります。そうした中において、新たな危機に陥ることを回避するため、適時に全ての政策対応を行うことで合意をし、これが首脳宣言に明記されたわけであります。
G7と協力して、日本としても構造改革の加速や財政出動など、あらゆる政策を総動員していかなければなりません。それが正に今回、議長国として首脳宣言を作成する、いわばリーダーシップをとった国の責任でもあろうと思います。正にこういうリスクのある中において、需要が低迷する、成長が減速する、このリスクの中でやるべきことを全てやっていかなければならないという中において、私たちが進めてきた、いわば「三本の矢」の政策を、G7でこの「三本の矢」の政策を進めていく。この認識を共有したわけであります。この認識を共有する中において、この議論を主導した議長国日本としての責任があるだろうと思います。
その中で、先ほど申し上げましたが、政治的な責任、かつて言っていたことと違うではないか。確かにリーマンショック級の出来事は起こっていませんし、大震災も起こっていないのは事実であります。ですから、新しい判断をした以上、国民の声を聞かなければならないわけであります。
代表なくして課税なし、税こそ民主主義。この考え方は私の考え方として一貫しています。国民生活に大きな影響を与える税制において新しい判断を行うのであれば、御指摘のような御批判も含めて、その判断は前の判断と違うではないかという御批判も受け止めて、そして国民の皆様の審判を受け止めた上で、秋の臨時国会にそのための法案を出したいと考えています。
正に民主主義とは何か。それは、選挙を通じて国民の声を聞くことであります。この政治の責任、国民の声を聞くことによって、我々はしっかりとこの選挙に、その中で勝ち抜いていく中において、責任を果たしていきたいと考えています。国政選挙である、この参議院選挙を通じて、国民の信を問いたいと考えた次第であります。
そして、この選挙でしっかりと過半数という国民の信任を得た上で、19年10月からの引上げを明記した関連法案を秋の臨時国会で成立させたいと考えています。加えて、総合的かつ大胆な経済対策を講じて、アベノミクスを一層加速させていく決意であります。
先般の伊勢志摩サミットの合意に基づいて、G7諸国と力を合わせて世界経済が直面するリスクに立ち向かうことによって、19年10月からの引上げが可能な環境を整えるべく、力を尽くしてまいります。
そして、総裁の任期を超えるのではないかという御指摘がございました。今回は、経済の再生のためには、アベノミクスを進めていく上において負荷をかけずに、正にそのエンジンを最大限に回転させ、正にアベノミクスを最大限にふかしていくことが必要です。そして、脱出速度を得てデフレから脱却をしていく。正に、このリスクに直面するG7で経済の牽引役を果たしていくという責任も、そこで果たしていきたいと考えています。
そのためには、先ほども申し上げましたように、できる限り延ばすということも考えたわけでありますが、同時に財政再建という、この旗を降ろすつもりはありません。その中で最適のタイミングが19年の10月であるという判断に立ったわけであります。むしろ、自民党の総裁任期で判断してはならないと考えたわけでありまして、それは国民生活にとって大きな影響がある経済です。
これを間違えれば、また20年間続いたデフレに戻る。どんなに頑張ったって仕事がないという状況に戻ってしまうのです。どんなに頑張ったって給料が上がらないという状況に戻ってしまう。それを単に私の任期がこうだからこの中で収める、そういう判断は私はしませんでした。経済的にそれは正しいという時期を選んだわけであります。
総裁任期によって判断を歪めてはならない。当然そういう御批判はあるだろうと思いました。しかし、例えば2020年度のPB(プライマリーバランス)黒字化目標というのも、私の任期を超えている目標ではありますが、この目標にもしっかりとかなう判断をしたところであります。この実現に向けた道筋を私の任期中にしっかりとつけていく。それが私の果たしていく責任であると、こう考えたところであります。
そして、社会保障については給付と負担のバランスを考えれば、10%への引上げをする以上、その間、引き上げた場合と同じことを全て行うことはできないということは御理解をいただきたいと思います。
民進党のように、赤字国債を発行してその給付を全て賄う、社会保障費を全て賄うということは、私は無責任だと思います。赤字国債を財源に社会保障の充実を行うような無責任なことは、私たちは行いません。自民党と公明党の連立与党はそういうことは絶対にしない、ということをまず明確に申し上げておきたいと思います。
しかし、安倍政権の下で子育て世帯を支援していく、この決意は揺らぎません。保育の受け皿50万人分の確保、来年度までの達成に向け、約束どおり実施いたします。
また、「介護離職ゼロ」に向けた介護の受け皿50万人分の整備も、スケジュールどおり確実に進めていきます。
さらに、保育士、介護職員等の処遇改善など、一億総活躍プランに関する施策については、アベノミクスの果実の活用も含め、財源を確保して、優先して実施していく考えであります。
この3年半のアベノミクスによって、国、地方を合わせて税収は21兆円増加をしました。私がこの経済政策を進めた時、税収がそれで増えていくということを言った人は少ないと思います。私は、必ず税収は増えていく、そう主張しましたが、随分それは批判にさらされました。そういう批判がありましたが、我々はこのアベノミクスを進めた結果、国、地方を合わせて税収が21兆円増えたわけであります。
ですから、この一事を見ても、私たちの政策が失敗したとは言えないと思います。民進党が、失敗したと言うのであれば、共産党と一緒になって、では、代わりの政策を示していただきたいと思う次第であります。
それは正に逆戻りにつながっていく。しっかりとこの道を進んでいくことで、私たちは税収を更に増やしていきたい。アベノミクスを一段と加速することによって、税収を一段と増やしていきたい。こう考えているのです。そして、その果実も使って、可能な限り社会保障を充実させてまいります。いずれにせよ、優先順位をつけながら今後の予算編成の中で最大限努力をしていく考えであります。
(内閣広報官)
なるべく多くの方に御質問いただきたいので、質問者は一人一問でお願いします。
それでは幹事社、もう一問、どうぞ。
(記者)
テレビ東京の宮アです。
参院選について、先ほど冒頭発言の中で争点や勝敗ラインについてお触れになられましたが、日程についてはどうお考えでしょうか。
そして、消費税増税を再延期する決断に当たり、衆参同日選挙で国民の審判を仰ぐ考えはなかったのでしょうか。今回、衆議院の解散は見送ったものの、与野党内では安倍総理の対応に注目が集まっています。2018年の12月に任期満了を迎えるに当たって、任期満了を迎えるのをにらんで、次の衆院選のタイミングをどういうふうに考えていらっしゃるのか、お考えをお聞かせください。
(安倍総理)
まず、参議院選挙の投票日は7月の10日といたします。公示日については、沖縄の慰霊の日に配慮して6月22日といたします。これを明日、閣議決定いたします。
そして、この参議院選挙の最大の争点は、正にアベノミクスを力強く前に進めていくのか、あるいは後戻りするのか、これを決める選挙なのだろうと、こういうふうに考えます。その中で、国民の信を問う選挙でありますから、改選議席の過半数を自民党、公明党、与党で獲得するべく全力で選挙戦を戦っていく決意であります。
そして、同日選挙についてでありますが、先ほど国民の信を問いたいと申し上げましたが、今週に入って、野党から内閣不信任案が提出をされるということに至りました。その中において、内閣不信任案でありますから、内閣は総辞職せよということなのだろう。それは当然、岡田代表はどういうわけかおっしゃらなかったのですが、解散を求めるという意味もあったのかなと思いますから、ですから、その時に衆議院を解散することについて、私の頭の中を解散についてよぎったことは否定いたしません。
しかし、熊本地震の被災地では、いまだ多くの方々が避難生活を強いられている中において、参議院選挙を行うだけにおいても、これはその準備でも大変な御苦労をおかけしている状況であります。こうしたことなどを考慮いたしまして、同じく国政選挙である参議院選挙において、国民の信を問いたいと、このように判断したところであります。
その中においては、参議院の全体の過半数であれば、前回勝利した分があります。大きなプラスがありますが、それは入れずに、信を問うというのであれば今回の改選議席の過半数、これは厳しい戦いになりますが、それを目標として定め、勝ち抜き、信任を得たい。そう決意をしたところであります。
そして、私の任期は18年の12月ではなくて9月まででありまして、この任期の間に選挙をやるかどうか、今の段階では、解散の「か」の字もないということであります。
(内閣広報官)
それでは、これから幹事社以外の方から御質問をいただきますので、御希望をされる方は挙手をお願いしたいと思います。
それでは、内田さん。
(記者)
朝日新聞の内田です。
参院選の目標議席について伺いたいのですが、総理は今、目指すのは与党で改選議席という目標をおっしゃられましたけれども、以前は改憲勢力で3分の2を目指す考えも示されていたと思います。改めて、今回の参院選でこの3分の2を目指すのかどうか、また、この3分の2を獲得した場合は任期中に憲法改正の発議を目指すのかどうか、お考えをお聞かせください。
(安倍総理)
憲法の改正というのは、衆議院、参議院それぞれ3分の2、それはそう簡単なことではないということは従来から申し上げておりますし、例えば自民党、公明党、与党で3分の2をそれぞれとることは、私は不可能であると申し上げてきました。正にそれは憲法審査会において議論を進める中において、逐条的な議論を例えば進めていく中において、それだったら賛成しましょう、あるいはここをこう修文すれば議員が増えていくということになって、初めてその可能性は見えてくるわけであります。
この選挙においても、我々は憲法改正草案を示していますが、これをやりますから3分の2になるために賛成する人は誰ですかということを募っているわけではありません。ですから、それはそう簡単なことではありませんし、いわば決意として申し上げているわけでありまして、選挙の勝負というのは常に、これは与党で過半数ではないでしょうか。そうでなければ、では、どちらが勝ったのだということになります。野党において全く政権から遠い状況でも、では、勝ったのかということになってしまいますから、これは常識として、これは世界の選挙の常識だと思いますが、例えば衆議院においては選挙で過半をとった勢力が政権を担います。ですから、そこが分岐点であるのは当然のことであります。それ以下であった政党が勝ったということ自体が、これはおかしいのではないでしょうか。つまり、正に勝負の岐点はどこかと言われれば過半数であろうと、このように思います。
ですから、私は再々、今申し上げておりますように、普通であれば、参議院全体の過半数としては、前回勝っておりますから、参議院というのは6年間という長いスパンでどちらが過半数をとるかということになりますから、既に私たちは前回、60を超える議席をいただいておりますから、これを足し込んだもので過半数ということになるのだろうと思います。ですから、今度、こういう形で消費税について、前回申し上げたことと違う新しいことを申し上げている中で信を問う、ということを申し上げていなければ、私は参議院全体での自民党、公明党で過半数を維持する、これを目標としていました。しかし、今回はそうではなくて、正にこの国政選挙で信を問いたいと申し上げておりますから、過半数をこの改選議席の中でとるという厳しい目標を掲げたわけであります。
(内閣広報官)
最後にもう一問だけいただきます。
では、原さん。
(記者)
総理、伊勢志摩サミットでは、中間層が経済的な利益を得られるような財政出動ですとか投資を行うべきだという認識で共有されたわけなのですけれども、個人消費の伸びに力強さがないことに対して、中間層が細っているですとか、あるいは格差が拡大しているという批判がありますけれども、そういった御指摘に対して総理はどのように受け止められていますでしょうか。
また、消費増税の延期と合わせて、中間層を分厚くするための経済対策を講じる考えはおありでしょうか。
(安倍総理)
サミットにおいても、中間層の重要性について議論がありました。私からも、中間層は重要である、中間層を重視をしていかなければ、いわば社会の安定性を確保していくためにも中間層が必要である、という趣旨のことを申し上げたわけであります。
その考え方の下に、我々も政策を進めて今までまいりました。「三本の矢」によって、もはやデフレではないという状況を創り出すことができました。
その中で、例えば非正規で働く方々の正社員化や、最低賃金を3年連続で上げたことによって、先ほどパートの時給が過去最高となったと申し上げましたが、これは3年間連続で高い、15円、16円、18円と高い水準で3年連続最低賃金を引き上げた結果、パートの時給が過去最高となった。
今後も中間層が将来に期待を持てるようにするために、財政支出や民間投資が重要であるといった指摘がありました。正にそのとおりだ。そのために我々は、一億総活躍社会の実現を目標に掲げて、教育費の負担軽減や、子育て、介護と仕事を両立できる環境整備に力を尽くしているわけであります。
こうした我が国の取組を踏まえて、私から各国首脳に対して、人材育成や教育といった分野への官民の更なる投資にコミットすることを訴えました。成長を社会の全ての層の利益となることの確保や人材育成、教育等の経済成長に資する分野への更なる投資が合意されたわけであります。
今後このG7の合意も踏まえまして、このG7の合意、先ほど申し上げましたように中間層が大切である。そのために一億総活躍社会を進めている。その中の正にエッセンスについて、これをこのG7の合意として書き込んでいくべきだということが合意され、今、申し上げたことが入り込んだわけでありますが、その合意も踏まえて同一労働同一賃金の実現による非正規雇用の更なる処遇改善や、保育士・介護士の処遇改善、保育・介護の受け皿の整備や奨学金制度の更なる拡充など、一億総活躍社会の実現に向けた施策を進めていきたい。
一億総活躍社会というのは、皆が活躍できる社会であります。であるからこそ、その結果は間違いなくそれを進めていけば、中間層はより厚くなり、そして、いわば欧米で起こっているああした一部の人たちに富が集中する、一部の人にしか機会がないという社会ではなくて、皆にチャンスがある社会を創っていく。皆に機会がある社会を創っていく。皆がそれぞれ才能を生かしていくことができる社会を創っていくということが、我々が進めている一億総活躍社会であり、正に今回の伊勢志摩サミットで指摘された議論は、我々が進めてきた議論、やるべき政策と方向性の一致するものであったと、このように思っています。
(内閣広報官)
では、予定をしておりました時間を経過いたしましたので、これをもちまして記者会見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
(安倍総理)
ありがとうございました。
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0601kaiken.html
記事にはあれこれ根拠レスなことを書かれているが、仮にアベノミクスが順調であったとしても、消費税の税率を引き上げれば、不調に転換する。
財政も、89年消費税導入・97年消費税増税それぞれの中期的な税収変動を見れば、消費税増税が健全化に貢献しないことがわかる。
国民経済に打撃を与えないで徴税できる対GDPはほぼ決まっており、国民経済に打撃を与えないかたちで総税収を上げたいのなら、GDPを増大させるしかない。
それが達成できないで消費税を増税すれば、GDPそのものが縮小し、国民生活を支える国民経済の基盤が崩壊していく悲惨な結末を迎える。
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消費増税延期 アベノミクス「難航」の見方 海外メディア、相次ぎ報道
安倍晋三首相が消費増税を2年半延期すると表明したことを海外メディアも大きく報じた。首相は新興国経済の落ち込みなど世界経済の下振れリスクへの備えを延期の理由としたが、デフレ脱却や持続的な経済成長を目指すアベノミクスが難航しているとの厳しい見方が相次いだ。財政再建が一段と遠のくとの指摘も多い。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は増税の延期について「安倍首相が就任前に約束した持続的で力強い経済成長が困難に突き当たっていることを浮き彫りにした」と報じた。
AP通信は「世界経済の下振れリスクに備える」との安倍首相の記者会見での説明を紹介したうえで、「消費増税は有権者には不人気だが、巨大な政府債務の圧縮には不可欠とみられていた」と伝えた。
ロイター通信は日本経済について、企業業績や賃金の鈍さを挙げ「多くのエコノミストが失望するほど弱くなってきたとの認識で一致している」と指摘。「増税を見送るほど悪いかは確信が持てないが、個人消費の先行きは楽観できない」との小売大手幹部のコメントを伝えた。英BBC(電子版)は「個人消費は少子高齢化の課題にも直面している」と解説した。
韓国の聯合ニュースは消費増税の先送りについて「日本の財政の健全性に対する懸念が高まって国債市場が揺らぎ、韓国をはじめとする国際金融市場に負の影響を与える可能性がある」との見方を伝えた。
中国でも相次ぎ報道された。通信社、中国新聞社(電子版)は日本政府が財政健全化目標を堅持するとの方針も伝えたうえで「アベノミクスが失敗に終わったとして、野党は安倍政権の退陣を要求している」との事実を伝えた。
国営新華社系の上海証券報は電子版で「安倍首相が消費増税を2年半延期すると表明した」と速報した。
香港系のニュースサイト、鳳凰網は「安倍首相は姿勢を百八十度転換した」と指摘した。そのうえで、数兆円規模の税収が減るとの海外メディアの分析を引用する形で、日本の財政悪化に懸念を示した。
[日経新聞6月2日朝刊P.7]
安倍晋三首相は1日の記者会見で、消費増税の再延期を表明するとともに、参院選の獲得議席目標は「与党で改選議席の過半数」と述べた。3年ごとに半数改選する参院の改選議席は121で、自民党と公明党で過半数をとるには61が必要になる。非改選を含めた全体で過半数をとるには自公で46なら到達するため、これに比べると15上積みしなければならない。首相が「高いハードル」と説明したゆえんだ。
もう1つの焦点がある。自民党は改選50から7つ増やした57を獲得すれば、単独過半数を獲得する。1989年、当時の宇野宗佑首相で惨敗し、結党以来初めて参院で過半数を割って以来、自民党は一度も単独で過半数を制したことはない。27年ぶりに「衆参両院で自民単独過半数」が実現しても、ただちに公明党との連立政権が解消されるわけではない。だが、単独過半数は中期的にみれば、政権運営と政策遂行を変質させる要素をはらんでいる。
そもそも、連立政権を組んでいるのは、参院で過半数を持っていないからだ。衆院で法案を可決しても、参院で否決されれば、自民党1党で衆院3分の2以上の勢力で再可決しなければ法案は成立しない。89年以降、自民党は公明、民社両党とのパーシャル(部分連合)、最初の野党転落を経て、連立の相手を変えながら政権を維持してきた。現在の「自公体制」は1999年から始まっている。
現実問題として、自民党内では「多くの衆院議員の陣営は公明党・創価学会の集票を、既存のものとして組み込んでしまっているため、公明党と離れることはできない」との声が大勢だ。自民党が単独過半数をとっても、自公連立は続くのが当然と誰もが疑わないが、長い目でみれば政策遂行もかわってくる。
とりわけ、自公の主張が大きく食い違う場合だ。公明党の主張に大幅に譲歩しなくても、法案を自民党の力だけで成立させることができることは、自公調整に心理的な影響を与える。自民過半数も、参院選での見どころだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK01H4I_R00C16A6I00000/?dg=1
消費税率10%への引き上げが2年半延期されることで、国と地方で計1000兆円を超える巨額の債務を抱える財政の一段の悪化は避けられない。
国と地方を合わせた債務残高は過去10年、年30兆円前後のペースで増え続け、2014年度に1000兆円を突破。国内総生産(GDP)に対する比率は2倍を超え、先進国で最悪の水準だ。財政赤字で危機に陥ったギリシャ(15年に1.9倍)より悪い。少子高齢化で社会保障関係費が膨らんでいるのが主因。政府は毎年の予算編成で過去の債務を借り換えるのに手いっぱいで、根本的な債務削減はほぼ手つかず。それでも、日銀や国内金融機関が国債を購入し続けているため、財政破綻が避けられている。
政策経費を借金に頼らずに税収などでどれだけまかなえているかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を20年度に黒字化するという目標を、政府は維持する。
PBは単年度の収支を示す指標で、前年度が赤字でも20年度に黒字になれば目標は達成されたことになる。しかし黒字化しても積み上がった債務が簡単に解消に向かうわけではない。安倍政権は「ニッポン1億総活躍プラン」など歳出増につながる政策も掲げているが、その一方で歳出削減に向けた具体的な取り組みは乏しいのが実情だ。【工藤昭久】
最終更新:6月2日(木)0時43分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160601-00000091-mai-bus_all
原子力規制委員会の検討会は2日、東京電力福島第1原発の汚染水対策で、建屋周辺の土壌を凍らせる「凍土遮水壁(とうどしゃすいへき)」が完全に凍結しないため、周辺にセメント系の材料を注入する東電の計画を了承した。運用開始から2カ月が経過しても汚染水抑制の効果が見えず、追加工事が必要と判断した。東電は近日中に工事に着手する。
東電によると、凍土壁周辺の地中温度は測定箇所の97%で0度を下回ったものの、1号機北側、東側と4号機南側では7・5度を超え、凍らない箇所が複数残った。石の多い地層で水が流れやすくなっていることが原因とみられ、工事で隙間を埋め凍結を促進する。
規制委は、海側から段階的に進める凍結範囲の拡大について、地下水位の急激な変化などのリスクが小さいことから、山側の95%まで凍結する次の段階への移行も了承した。
最終更新:6月2日(木)16時42分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160602-00000540-san-soci
「墜落前にエジプト機内に煙」仏事故調が確認:煙ではなくあくまで警告の確認:遠隔操縦による意図的な墜落も疑うべき 」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/840.html
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エジプト機、墜落原因の決め手欠く 発生1週間 観光業に打撃
【カイロ=岐部秀光】乗客と乗員あわせて66人を乗せたパリ発カイロ行きエジプト航空機が19日に墜落してから1週間となる。乗っていた全員の命を奪った墜落の原因がテロによるものなのか、何らかの技術トラブルがあったのか、決定的な証拠は見つかっていない。
出発地であるフランスも目的地のエジプトも、ともに「イスラム国」(IS)などの過激派が標的と宣言してきた国だ。エジプトのファトヒ民間航空相は、技術的問題よりもテロの可能性の方が高いとの見解を示した。
当日の天候は良好でパイロットは経験豊かだった。ところが管制塔への連絡は突如途絶えた。現場から集められた遺体の一部の検視の結果、空中で爆発した可能性を示唆する当局者もいる。
一方でテロ説を疑問視する材料もいくつかある。通常はテロの直後に出される犯行声明が今回は出されていない。昨年10月にエジプトのシャルムエルシェイク発ロシア行きの航空機が墜落し、200人以上が死亡した事件では、IS系の組織が直後に犯行を認めた。
今回も同様の爆破テロとすれば、犯人が離陸から3時間以上も経過してから犯行に及ぶというのも不自然だ。ギリシャ国防相が明らかにした墜落直前の急旋回などの機体の異常な動きについては否定するエジプト当局者の発言も伝えられる。
原因究明のカギを握るのは墜落直前の様子を記録しているフライトレコーダー(飛行記録装置)の回収だ。ロイター通信によると、エジプト政府はフランスなどの欧州企業に記録装置の回収で協力を求めた。
機体はエジプト沖の地中海に墜落した。記録装置は水深3000メートルの地点まで沈んでいる可能性があり、その信号を受けるには深さ2000メートルまで水中聴音機を持ち込む必要があるという。記録装置が位置を知らせるための信号を発するのに使うバッテリーは今後3週間で切れる恐れがある。
治安の悪化で外国人の訪問が激減しているエジプトの観光業には一段の打撃が広がっている。1〜3月に訪れた観光客の数は前年の同期に比べて40%減った。減少が加速するのは避けられない。
[日経新聞5月27日朝刊P.6]
先月、地中海に墜落したエジプト航空の旅客機について、エジプトの航空当局は、飛行状況や操縦室内の音声を記録した装置から発信されたとみられる信号を探知したと発表し、原因の究明に向けて回収を急いでいます。
パリからカイロに向かう途中、先月19日に地中海に墜落したエジプト航空の旅客機は乗客乗員66人全員が死亡したとみられていて、エジプトとフランスの当局は飛行状況を記録したフライトレコーダーと、操縦室内の音声を録音したボイスレコーダーの2つの記録装置の発見を急いでいます。
エジプトの航空当局は1日、捜索にあたっているフランス海軍の船が捜索海域の海底から墜落した旅客機の記録装置が発信したとみられる信号を探知したと発表しました。これについて、フランスの航空事故調査局の報道官は「確証は得られないが、記録装置から発信されたものと、ほぼ間違いないとみている」と述べ、フライトレコーダーか、ボイスレコーダーのいずれかとみて、発見と回収のため潜水艇を積んだ船を近く現場海域に派遣することを明らかにしました。
墜落したエジプト航空の旅客機を巡っては直前に操縦室の近くで煙が検知されていたことが分かっていて、エジプトとフランスの当局は探知した信号をもとに記録装置を回収し、原因の究明を進めることにしています。
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墜落エジプト航空機A320のラジオビーコンシグナルを確認[スプートニク日本語]
2016年05月26日 16:34
エジプトの専門家たちは、地中海で墜落したエジプト航空機のラジオビーコンのシグナルを確認した。事故調査委員会のアイマン・アル=ムカッダム委員長が発表した。
委員長によると、ラジオビーコンは、通常航空機事故が発生した時に行われるように、人工衛星にシグナルを送っているという。
委員長は、「人工衛星にシグナルを送っている機器が存在する地域が明らかとなった。その位置の半径は5キロだ」と述べた。新聞「アル・アフラム」が伝えた。
調査委員会はまだ原因を特定できずにいる。独立した専門家たちは、機内で爆発が起こったとの見方に傾いている。
パリからカイロに向かっていたMS804便がレーダーから消失したのは5月19日早朝。12カ国の66人(ロシア人はいなかった)、つまり56人の乗客、3人のセキュリティ担当者、7人の乗組員が乗っていた。
なお消息を絶ってから一昼夜を経て、エジプト航空機の残骸は、アレクサンドリアの北方290キロの地中海上で発見された。
【パリ=竹内康雄】フランスが兵器の輸出を拡大している。2015年の受注額は過去最高の160億ユーロ(約2兆円)に達し、16年もオーストラリアでの次期潜水艦事業への参加などで記録を更新する見込み。背景には中東情勢の悪化など地政学リスクの高まりによる需要増がある。実戦投入した兵器の実績をアピールし、相手国への技術移転や現地生産を認めて官民一体で売り込み、受注につなげる。
「数千人の雇用が生まれ、それが50年も続く。大きな勝利だ」。4月下旬、ルドリアン仏国防相は仏軍艦製造DCNSがオーストラリアの次期潜水艦の共同開発事業(約4兆3000億円規模)を受注したことを称賛した。フランスではこのところ大型兵器の受注が相次いでおり、足取りの重い仏景気を上向かせるとの期待が高まっている。
フランスの15年の兵器輸出は160億ユーロで、前年のほぼ2倍と過去最高を記録した。貢献したのがダッソー・アビアシオン社製の戦闘機「ラファール」だ。ラファールの運用開始は2000年ごろ。国外への輸出を目指していたが、仏軍の利用にとどまっていた。15年にエジプトとカタール輸出を立て続けに決め、全体を押し上げた。
16年には豪潜水艦や、ロシアに売却するはずだったミストラル級強襲揚陸艦のエジプトへの輸出の一部が計上され、「15年の額を上回るのは確実」(仏国防省装備総局)。今もエジプトには軍事通信衛星、サウジアラビアには軍用車両やヘリコプターなど、アラブ首長国連邦(UAE)やマレーシアにはラファールを売り込んでいる。
輸出増の理由は複数ある。まず地政学的な緊張の高まりだ。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると15年の世界の軍事費は前年比1%増の1兆6760億ドル。世界的な経済危機などで減少傾向が続いていたが、4年ぶりの増加に転じた。
ウクライナや中東、南シナ海などで緊張が高まったため各国が国防費を拡大。16年もこの傾向は続くとみられる。
もう一つは仏製の兵器への信頼性向上がある。フランスは西アフリカのマリや中東などに戦闘機や軍艦を派遣し、実際の軍事作戦で使っている。「実戦で実績を積み重ねた」(仏国防省)ことで各国の関心が高まった。
SIPRIによると、10〜14年累計の世界の兵器・武器輸出に占めるシェアは5%。米ロに次ぎ、中国やドイツなどと3位グループに入る。フランスは中東やアフリカなど成長が見込める国々と結びつきが強く、雇用創出につながるとして重点産業と位置づけている。
[日経新聞5月27日朝刊P.7]
野生馬がのんびり草をはむ日本で最も日の入りが遅い与那国島に出現した巨大な5本の塔――。今の日中関係を如実に示す風景だ。陸上自衛隊のレーダー基地は150キロ北の尖閣諸島(沖縄県石垣市)をにらむ。約160人の陸自隊員が3月末から駐屯している。
2012年、中国での反日デモで日本企業が被害を受け、尖閣諸島の領海への中国公船の侵入が常態化する。翌年、中国は東シナ海に防空識別圏を設置した。
レーダー基地は太平洋への道を開きたい中国には邪魔だ。当然、外交、国防当局が猛烈に反発するかと思いきや、おとなしい。中国公船の侵入は同じだが、中国メディアも海外報道の引用で中国当局の不快感を示すにとどめた。不可解だ。
謎は間もなく解けた。「まず南だ。東は焦点ではない。日本への善意でもある」。中国の安全保障関係者から漏れ伝わる声だ。南シナ海問題での主張を親中の国々に発信する防戦で手がいっぱいとの意味である。
南シナ海の「航行の自由」を訴えるオバマ米大統領はベトナムを訪れ、武器輸出解禁を決めた。日本での記者会見では南シナ海問題解決について「中国次第だ」と突き放した。ベトナムはカムラン軍港に海上自衛隊艦船の寄港も認めた。
呼応するように主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)は首脳宣言で海洋安全保障を巡り「力や威力を用いない」「紛争解決には仲裁手続きを含む平和的手段を追求すべきだ」とした。中国を名指しこそしない。だがフィリピンが訴える国際司法裁判所の判断が近く下るのを意識している。
中国の反応は過剰だった。王毅外相はあえてサミットの初日に当てて、北京で記者会見を開いた。秋に中国で開催する20カ国・地域(G20)首脳会議の意義を訴え、G7に経済論議への特化を要求した。中国メディアも連日「G7は中国、インドなど主要新興国がいない時代遅れの金持ちクラブ」と批判した。
サミットに習近平中国国家主席の姿はない。とはいえ影の主役は習氏、その人。議論した世界経済の減速、パナマ文書に絡む課税逃れ防止は中国も主役だ。G20のテーマでもある。
習氏には今、悩みがある。昨秋、北朝鮮、日本、台湾との関係改善へ相次ぎ特使を送った。中国包囲網を緩めるための秋波だった。
結果は芳しくない。北朝鮮は核実験という恩をあだで返す挙に出た。蜜月関係だった韓国も、中国の反対を無視して米軍の高高度ミサイル迎撃システム(THAAD)導入に動く。北朝鮮のせいだ。台湾とは歴史的な中台首脳会談にこぎ着けたが、逆効果になり、総統選で大勝した独立志向の民進党政権が発足した。
対日関係は膠着状態だ。中国は南シナ海での日本の動きが気に入らない。それでも習氏は安倍晋三首相と本気でケンカするリスクはとりにくい。東シナ海にも緊張が広がれば、南シナ海との「二正面作戦」を強いられ、中国には不利だ。
もう一つ要因がある。中国の内政だ。「反腐敗」運動を武器に権力を固めたはずの習氏の周辺から不協和音が聞こえる。強権手法、個人崇拝への反発を機に面従腹背の傾向が見える。経済の司令塔、李克強首相と、習氏の経済ブレーンの関係も微妙だ。まさに「内憂外患」の様相である。
安倍政権はこんな事情も頭の片隅に置きつつ、実務的に対中関係を動かす努力をすべきだ。中国はとんがった発言をする半面、国際力学を踏まえて現実的に対処する国でもある。まず懸案の日本での日中ハイレベル経済対話(閣僚級)を早期に実現する必要がある。
(編集委員 中沢克二)
[日経新聞5月29日朝刊P.2]
財政支出の財源を中央銀行が直接まかない、空からお札をばらまくように減税や給付金で国民にお金を届ける。そんなヘリコプター・マネー(ヘリマネ)政策の是非を巡る議論が世界的に熱を帯びている。実験の舞台として注目されているのは他ならぬ日本だ。
ヘリマネ政策は歯止めが利かなくなり、通貨価値の急落や物価の暴騰を招くとして禁じ手とされてきた。今になって脚光を浴びる背景には金融政策だけでは先進国の「長期停滞」を突破できないとの危機感がある。
昨年11月、国際通貨基金(IMF)はワシントンで開いた金融政策に関する会議の冒頭テーマにヘリマネ政策を取り上げた。元英金融サービス機構(FSA)会長のアデア・ターナー氏は「選択肢から外すべきでない」と主張。IMFの幹部からは「タブーとされた政策だったはずだが」との声も漏れた。
4月にはかつて「ヘリコプター・ベン」と呼ばれたバーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長もブログに「排除は時期尚早」と記し、米国内外で話題になった。
こうしたなかで財政政策と金融政策が接近するのが日本だ。安倍晋三首相は27日閉幕の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で財政出動で率先する構えをみせた。消費増税も再延期の方向だ。日銀は大量の国債を購入しており、間接的に政府の財源調達を助ける色彩が濃くなる。さながら「疑似ヘリマネ」だ。
ただ日銀の黒田東彦総裁はヘリマネを否定し、物価安定のあかつきには保有国債の残高を減らす構えだ。その場合、政府に将来の財政負担が残り財政支出による景気浮揚効果も小さくなる。
通常の財政支出は消費者がお金を受け取っても「後から増税などを通じて回収される」と心配して貯蓄に回し、効果が相殺されるという。これに対し、ターナー氏の主張の中核は、政府は中銀から調達したお金を返す必要がなく、利子も払わなくていい点にある。
もっともヘリマネ政策は財政支出に歯止めがかからなくなるリスクも大きい。そうした事態を防ぐため、ターナー氏も「中銀の独立を確保しつつ、政治家の乱用を防ぐルールを確立すべきだ」と唱える。疑似ヘリマネはその歯止めもない点に大きな危うさを抱える。
ターナー氏は「日本は5年以内にヘリマネ導入を余儀なくされる」と予言する。彼が考える処方箋は「日銀が保有する大量の国債を政府への無利子・無期限の預け金に切り替える」というものだ。形の上では国債による大量の借金が帳消しになり、財政再建への道が開かれる。通常の財政支出の選択肢も増えるうえ、消費者の将来不安も高まらない――。
「国債」を「預け金」に変えるだけでうまくいくならよいが、身内(広義の政府部門内)の話とはいえ、借金の帳消しは日本の信用力に響く恐れがある。究極の奇策に頼るのか、地道に経済成長と財政再建の両立をめざすのか。世界が日本の今後を注視している。
(ニューヨーク=大塚節雄)
[日経新聞5月29日朝刊P.3]
「米国、広島原爆投下の決定は見直さない:投下は戦術的には不要と承知で“都市投下実験”を強行した“ナチス超え”の歴史的犯罪」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/699.html
「非核を唱える一方で核戦力強化を図る詐欺師オバマ大統領:広島平和祈念公園に平然と「核のボタン」を持ち込む「反核」政治家」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/892.html
「日本の核兵器拒否はもう時宜を得ていない?:オバマ氏の広島訪問は日本政府の核兵器保有欲求に引導を渡すための儀式」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/743.html
「日経新聞訳+英語書き起こし:現在進行形で無実の市民を空爆で殺害し続けながら平然とこの内容を語れる厚顔無恥のオバマ氏」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/742.html
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オバマ氏の広島訪問 米識者に聞く
日米協力の強化に寄与 米戦略国際問題研究所(CSIS)日本部副部長 ニコラス・セーチェニー氏
米国の現職大統領として初めて広島を訪れ、「米国をはじめとする核保有国は核兵器のない世界を目指す勇気を」と演説したオバマ大統領。米国政治に詳しい識者2人に評価を聞いた。
「戦争の恐ろしさを考えさせる感動的な演説だった。オバマ氏の被爆者との対面が、訪問と演説をより歴史的なものにした。演説トーンは適切だったと思う」
「微妙な言い回しで日米や国際社会の指導者には国際秩序を維持する共通の責任があり、核不拡散をその中心的な課題にすべきだと訴えた」
「我々は核の不拡散と削減に取り組むべきだが、核兵器による拡大抑止力が日本の安全保障に不可欠であり、日米同盟の核となる要素であるのも事実だ。現実を認めつつも長期的な目標に向けた努力を怠るべきではないというのがオバマ氏のメッセージだと思う」
「演説が核不拡散や核抑止力、安全保障を巡る包括的な議論を促すことにつながれば、重要なレガシー(政治的遺産)となろう」
「オバマ大統領と安倍晋三首相は日米同盟の堅固な枠組みを築いてきた。今回の訪問は特に核不拡散問題での協力強化につながるのではないか。安倍首相の真珠湾訪問を求める声が出るかもしれないが、個人的には日米同盟の将来に焦点を当てるべきだと考える」
(ワシントン=芦塚智子)
Nicholas Szechenyi ジョンズ・ホプキンス大で国際経済・日本研究の修士号を取得。2005年からCSIS研究員。日米関係や米国の東アジア政策に詳しい。
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逆効果、核廃絶に不必要 米ヘリテージ財団上級研究員 ブルース・クリングナー氏
「米国の観点から適切な歴史的文脈を欠いていた。米国には40万人の犠牲者がいたが、もし広島や長崎での出来事がなければ米の犠牲者は少なくとも倍増していたし、数百万人の日本人も命を落としただろう」
「オバマ氏は広島訪問で過去の亡霊を刺激した。日本と韓国の和解への取り組みを損なう恐れがある。韓国には、米は韓国ではなく日本を選び、米韓の緊張を高めたとの見方もある」
「『核なき世界』は理想主義だ。米国に核弾頭を打ち込むための長距離弾道ミサイルを北朝鮮が発射した。オバマ氏は北朝鮮などの独裁者に対抗して結束するよう、世界の指導者に呼びかけるべきだった」
「オバマ氏が広島に行く前に安倍晋三首相が真珠湾を訪れるのが適切だったという指摘が出ている」
「オバマ氏の広島訪問は核廃絶には不必要で逆効果だ。2009年のプラハ演説での見解を改めて明確にしたいのだろうが、世間知らずだ。誰も核兵器の廃絶などできない。オバマ氏が核兵器の起動装置を持った軍当局者を広島に同行させたのは皮肉なことだ」
(ワシントン=川合智之)
Bruce Klingner 米国防大卒。米中央情報局(CIA)で朝鮮半島情勢の分析を担当。2007年からヘリテージ財団。日米関係や北朝鮮情勢、米国の対アジア政策などに詳しい。
[日経新聞5月29日朝刊P.5]
【ワシントン=川合智之】米大統領選の共和党候補指名が確定した不動産王ドナルド・トランプ氏(69)は27日、米カリフォルニア州での演説で、オバマ大統領の広島訪問について「謝罪しない限り、まったく構わない。誰が構うものか」と述べた。「私が日本の核武装を望んでいるというが、そんなことは言っていない」とも述べ、発言の軌道修正を図った。
共和党の元副大統領候補、サラ・ペイリン元アラスカ州知事はトランプ氏の集会で、オバマ氏の広島訪問を「謝罪の旅だ」と批判。「数千人の米国人が殺された、いわれのない真珠湾攻撃に応酬したことが誤りだったと最高司令官(大統領)が示唆した」と強調した。
[日経新聞5月29日朝刊P.5]
東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国を務めるラオスのトンルン首相は28日、日本経済新聞の取材に応じ、南シナ海の領有権争いについて「平和的な解決に向けた対話を関係国に促していく」と述べ、中国との2国間協議をフィリピンなどに働きかける考えを示した。ASEAN全体で中国に圧力をかけるよう求める比などとは一定の距離を置いた格好だ。
インタビューに答えるラオスのトンルン首相(28日、名古屋市)
トンルン氏は4月に発足したラオスの新政権で首相に就いたばかり。5月27日に開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の拡大会合に参加するため来日した。
南シナ海では中国が人工島を埋め立てて軍事拠点化を進めており、領有権を主張するフィリピンやベトナムが反発している。トンルン氏は「ASEAN議長国として関係国が前向きに対話できる環境をつくる」とのラオスの立場を強調。各国間の協議が進むよう後押しすると同時に、緊張を高める行動を控えるよう求めるという。
フィリピンやベトナムは自国だけで中国と対抗しても難しいため、ASEANに共同歩調での対応を求めてきた。比は国際社会を巻き込むため、オランダ・ハーグの仲裁裁判所に中国を相手に仲裁を申し立てており、近く判断が出る見通し。その後にASEANの結束を示すための共同宣言を出すよう求めている。
ただ、トンルン氏は「状況をみながら慎重に判断したい」と述べ、共同宣言を出すかどうかは明言を避けた。共同宣言はシンガポールなどが前向きな半面、中国と関係が深いカンボジアなどは反対している。トンルン氏はASEANが行動する場合は全加盟国の一致が原則だと主張しており、現状のまま宣言を出すのは簡単ではない。
ラオスは中国から多額の援助を受けており、経済関係が深い。同時にインフラ開発で支援してきた日本とも親密だ。
トンルン氏は日本が米国とともに主導する環太平洋経済連携協定(TPP)に触れ、「どのような利点があるか、興味を持って調査している」とラオスが参加の検討に入ったと明らかにした。
ASEANではTPPにシンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイが参加。インドネシア、タイも参加に前向きだ。トンルン氏は「販路を広げるために(TPP参加国の)市場を調べていきたい」と語った。
ただ後発国のラオスは主要産業が農業。日本の製造業などが進出しているものの、自国産業は十分に育っていない。TPPに加われば、国内経済に悪影響が出る恐れもあり、結論には時間がかかりそうだ。
[日経新聞5月29日朝刊P.5]
【ソウル=峯岸博】韓国各紙は28日、オバマ米大統領が広島訪問時に平和記念公園内にある韓国人原爆犠牲者の慰霊碑を訪れなかったことにそろって不満を示した。
中央日報は「惜しまれるオバマの広島訪問」との見出しの社説で、オバマ氏が演説で北朝鮮の核問題に言及しなかった点も挙げ「米国の核兵器が韓国人に残した傷と韓(朝鮮)半島の厳然たる現実に背を向けたまま日本との歴史的和解に傍点を打った」と伝えた。
東亜日報は「歴史問題では韓日間で均衡をとってきた米国のバランスが日本側に傾いた瞬間だった」と分析。社説では今回の訪問が「被害者イメージを政治的に利用しようとする安倍政権に免罪符を与えた」とした。
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北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「打算的な訪問」
【ソウル=峯岸博】北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は28日、オバマ米大統領の広島訪問について「再侵略を追求する日本を引き入れ、米国のアジア支配戦略の実現に利用しようとする打算がある」と批判した。「『核兵器なき世界』を力説し、世界最悪の核犯罪者としての正体を覆い隠そうとする下心が潜んでいる」とも指摘した。朝鮮中央通信が伝えた。
[日経新聞5月29日朝刊P.5]
中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞
「日本は南シナ海問題を大げさに騒ぎ、緊張を宣伝している。G7(主要国首脳会議)は世界経済を論議する場なのに、日本はそれを利用し、ケチなソロバンをはじき、小細工をした」
中国外務省の伊勢志摩サミットの成果に関する公式論評である。まるで北朝鮮の宣伝放送なのかと見まごう口調だ。
■日中外相会談での高圧姿勢
これで驚いてはいけない。4月30日、北京で開かれた日中外相会談では、外相同士の高尚な協議の場のはずなのに、これと同様か、それ以上に高圧的な言葉が外相の岸田文雄に浴びせられた。発言者は中国外相、王毅である。
「誠意があるなら歓迎する」。王毅は会談冒頭の握手場面でも厳しい表情を崩さず、けんか腰にも見える言葉を吐いた。会談のホストとしては極めて異例だ。ここから食事も挟んで4時間、激しい応酬が続いた。
会談の公式ブリーフには出ていない王毅の激しい言葉は、在京の外交関係者らに少しずつ漏れ、大きな話題になったほどだ。細かいニュアンスが分かるよう英語に訳した場合、聞くに堪えないやり取りになる。攻撃性を帯びた余計な一言も多い。岸田は冷静だった。「ミスター・キシダは、これでよく耐えましたね」。中国と距離のある国の外交筋からは、こんな感想まで出たという。
実は、温厚さで知られる岸田も反論はしている。「立場を述べるだけなら外務報道官でもできる。立場の違いを認識した上でどうするのかを考えるのが外務大臣だ」。その場に気まずい雰囲気が漂ったのは想像に難くない。
それでも岸田は激高はしなかった。年内の日本でのハイレベル経済対話(閣僚級)と日中韓首脳会談に道筋を付けたいと考えれば、当然だ。そして9月に中国・杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議の際、首相の安倍晋三と、中国国家主席、習近平の首脳会談を実現する必要がある。
もう一つ、王毅が主導した「事件」が起きた。伊勢志摩サミットの初日だった5月26日。あえてその日に当てて、北京で記者会見を開いたのだ。G20の意義を強調し、G7に南シナ海問題を扱わないよう要求する中身だった。異例である。中国で外相が自ら記者会見するのは、年に1度、3月の全国人民代表大会(国会に相当)の時ぐらいしかないのだから。
この記者会見には国際的な影響力を持つ欧米メディアも出ている。いくら「G20の100日前」との理由を付けても、「G7を邪魔しようとする意図は明らか」と揶揄(やゆ)されるのは目に見えていた。逆効果だ。それでも王毅は、中国外務省の“気骨”を見せるため開催せざるを得なかった。
中国当局の矛先は、南シナ海問題を含めたG7の議論を主導する日本と、首相の安倍晋三に向いている。だが、米大統領、オバマには言及しない。オバマが5月25日の日米首脳会談後の共同記者会見で「南シナ海問題の解決は中国次第だ」と強くけん制したにもかかわらず、である。
「広島訪問で全世界の注目を浴びる米大統領を直接攻撃すれば逆効果だ、との計算が働いたのは確かだろう」。アジア外交筋の見方である。
■若き日から中国外務省のエース
日本政府内には王毅への不信感が漂う。だが、それだけでは生産性に乏しい。なぜ王毅がこんな態度をとるのか詳細な分析が必要だ。そこには、なかなか深い闇がある。
62歳の王毅は、1960年代終わりから黒竜江省でいわゆる「下放」を経験する。その後、25歳という年齢で北京第二外国語学院に入学し、日本語を専門に学んだ。29歳で中国外務省で仕事を始めたなかなかの苦労人である。その後は日本畑から順調に昇進し、駐日中国大使を務めた知日派である。
だからこそ注意が必要だ。中国共産党の内部、軍内には反日機運が残る。ともすると「日本びいき」と後ろ指をさされかねない。外相就任後、3年もたつのに対日関係の表舞台に出るのを慎重に避けてきたのはそのためだ。
他国に比べ中国での外相の地位は極端に低い。王毅は200人以上いる党中央委員の一人にすぎない。日本の場合、外相は重要閣僚で、中国で例えるなら「チャイナ・セブン」といわれる党政治局常務委員クラス。米国でも外交を担う国務長官の地位は極めて高い。記憶にある範囲で、中国の外交畑から副首相、党政治局委員にまで昇進したのは1990年代の銭其●(たまへんに探のつくり)の例くらいだ。
「王毅には外務省の地位格上げを狙って国務委員から副首相、あるいは党政治局委員まで狙ってほしい。本人も一段の出世のためには日本と関わらないほうがいい、と思っているのでは……」。こんな臆測まで中国内にある。
一般社会で中国外務省は誤解を受けやすい立場にある。「特権意識があり、外国の立場ばかりおもんぱかる骨のない輩(やから)の集まり」と見られがちなのだ。
「外国と渡り合うために、骨を強くするカルシウムを飲みなさい」。そんな意味を込めて外部から「カルシウム剤」が外務省に送りつけられる事件も実際にあった。激励に見せかけた揶揄だ。最近はあまり聞かない。それが王毅の一連の「強い外務省」というパフォーマンスの結果なのかは不明だが。
■習近平ら「紅二代」ともパイプ
「王毅は、習近平ら『紅二代』(共産党・政府の高級幹部の子弟)とのパイプも持っている」。王毅の人脈に関してこんな声が中南海の動きを観察する関係者から聞こえる。カギは岳父だという。王毅の妻の父は、中国外務省の幹部だった。しかも長く首相(外相も兼任)を務めた周恩来の外交面の政治秘書を務めていた。
ちなみに王毅の妻も東京での勤務経験がある。
こんなエピソードも残っている。1980年代に総書記を務めた胡耀邦が訪日した際、日本での演説の草稿を書いたのは、まだ下積みの外務省員だった若き王毅だ。胡耀邦は、ほんの少し直しただけ。「非常によく書けている」と褒めたという。人脈と共に実力も認められ王毅は出世の階段を昇っていく。若くして中国外務省のエースといわれるようになった。
王毅は2月の訪米時、ワシントンの米戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、台湾問題で驚くべき発言をした。5月に発足する台湾の蔡英文民進党政権に「現行憲法」の尊重を要求したのだ。蒋介石・国民党政権が大陸で制定した中華民国憲法が「一つの中国」を前提にしているとの解釈からだ。
しかし、これは中国国務院台湾弁公室の専管事項である。中国外務省は所管外だ。「越権行為が許されたのは上層部とのパイプゆえだ」。外交関係者の見方だ。上層部とは習近平と、その周辺を指す。
なにかと注目される王毅は今、事実上、初めて対日外交の現場に出てきた。「中国の主張を押し通すため踏ん張った」。そんな評価を中国内から得たいのは分かる。だが、中国外交の責任者で知日派なら、堂々と対日政策の最前線に立ち続けて仕切るべきだ。かつて培った日本各界とのパイプもなお生きているはずだ。
実は王毅の趣味はテニス。腕は相当なものだ。かつて彼には北京駐在の外国人記者らを慰労するため共にテニスを楽しむようなおおらかさもあった。理念の違う西欧諸国、日本を含む周辺国とも協調することで中国の経済発展を目指す姿勢は明確だった。
膠着している日中関係の修復、前進は極めて重要である。カウンターパートの日本側にも「押してだめなら引く」といった老練な手法が必要だろう。オバマの広島訪問で歴史的な“和解”を果たした首相の安倍も自信を持って対中関係の再構築を考えるべきだ。日本と中国の真の和解は極めて難しい。だからこそ目指す価値がある。(敬称略)
日本の経済規模を抜き、すでにほぼ2倍にふくれ上がった中国。実はもうひとつ、日中に新たな逆転現象が起きている。海上の治安を守るための警備力だ。この変化は日本の安全保障に濃い影を落とし始めている。
米有力シンクタンク、米戦略国際問題研究所(CSIS)が4月、ホームページに載せた分析が、日本の安全保障当局者らの目をひいた。
尖閣諸島をめぐる攻防で、中国が将来、日本の優位に立ちかねないと警告する内容だったからだ。その根拠として、中国が監視船を猛烈な勢いで増強していることが紹介されていた。
中国が軍事拠点を広げる南シナ海に比べると、東シナ海はかろうじて安定を保っているようにみえる。だが、水面下では深刻な事態が進んでいる。日中がもっている海上警備力がついに逆転し、どんどん差が開こうとしているのだ。
領海や近海のパトロールは、日本では海上保安庁、中国側は海警局が担う。紛争になれば、軍事力がものをいうが、そういう危機はめったに起きない。平時にはこの海上警備力が東シナ海の秩序を大きく左右する。
「中国は海軍力だけでなく、海警局の体制も急速に増強している。このままでは、東シナ海の力関係が中国優位に傾きかねない」
実は、日本政府は約4年前から「逆転」の兆しに気づき、米政府にもひそかに危機感を伝えてきた。それが現実になってしまったのである。
日中の海上警備力を比べるとき、カギをにぎるのが、中国から尖閣付近までやってこられる千トン以上の大型船の数だ。中国は詳しい統計を公表していないが、中国側の報道や資料を総合すると、2013年ごろまでは日本が優位だった。
ところが、14年には日本54隻、中国82隻となり、日中が逆転。15年には日本62隻、中国111隻と大きく水をあけられた。16年以降はさらに差が広がる見通しだ。
もっとも、中国海警局は南シナ海も管轄しており、すべての大型船をいつも東シナ海に置いているわけではない。それでも日中逆転の影響は、東シナ海にもおよび始めている。
いちばん懸念されるのが、尖閣諸島への影響だ。尖閣領海にはいまでも中国監視船の侵入が続いている。
海上保安庁の集計によると、14年以降の侵入日数は毎月、平均2〜3日。12年9月の尖閣国有化後、12年と13年には月7〜8日のこともあったため、これだけみると、中国の攻勢が少し、和らいだように映る。
しかし、現場に目をこらすと、そうは言っていられない現象が起きている。複数の日本の安全保障担当者によると、尖閣に近づいてくる中国船が近年、急激に大型化しているという。
船が大きくなれば、悪天候でも船体が揺れず、尖閣海域にとどまりやすくなる。速度も高まり、日本の巡視船の追跡からも逃れやすい。
CSISは中国側統計として、驚くべき数字を紹介している。尖閣に接近してきた中国船の平均総トン数は14年、2200トンにとどまっていたが、15年には3200トンになったというのだ。
海上保安庁が現在、もっている3千トン級の巡視船は17隻にとどまる。今のところ、中国監視船による危険な挑発行為は目立っていないが、“力比べ”になったら受け身に立たされかねない。
国有化の直後、中国は大量の船を送り込むなど、尖閣に激しい揺さぶりをかけた。この結果、かえって日米の結束が強まり、14年春、オバマ大統領が尖閣への日米安保条約適用を明言するにいたった。
「中国はこうした教訓を学び、極めて危険な挑発は手控えるようになった。その代わり、(船の大型化により)尖閣への圧力をじわりと強めていく戦術に切り替えた」
米国防総省のブレーンはこう語る。いわば、真綿で締めるような持久戦によって、米国の介入を招かずに尖閣の実効支配を崩すねらいだ。
中国監視船に加えて、日本側が警戒しているのが漁船の動きだ。ここにきて、尖閣領海に入り、操業する中国漁船がふえているからだ。
いちばん目立ったのが、14年の208隻で、11年比で約26倍に激増した。15年はそれよりは少ないが、同9倍弱(70隻)にのぼっている。中国は南シナ海では漁船を事実上の海上民兵として使うケースもみられる。
政府関係者によると、今のところ、武装した中国漁船が尖閣近海に現れた事例は報告されていないが、今後の火種になるかもしれない。
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中国海警局とは
中国海警局 2013年7月発足。それまで中国の海上法執行機関は「五龍」と呼ばれ、海洋調査・管理の「海監」、海上警察の「海警」、漁業管理の「漁政」、密輸取り締まりなどの「海関」、航行安全の「海巡」に分かれていた。このうち「海巡」以外の4組織を統合。船舶数や人員で日本の海上保安庁をしのぐアジア最大の海上警備機関となった。日本の海保とは異なり、海難救助などは主要任務としていない。
過去の海警は各地の港湾で小型船を中心に活動し、尖閣近辺を航行するのは海監の非武装の大型船が多かった。今はすべてが公安部傘下で警察権を持つが、外国公船への法執行方針など詳細は明らかでない。
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ガス田開発・海洋調査加速 中国、強気の姿勢
中国による東シナ海での攻勢は、尖閣だけにとどまらない。東シナ海の日中中間線付近では、日本側の抗議にもかかわらず、中国によるガス田開発が加速している。こうした強気の行動も、海上警備力の逆転と無縁ではなさそうだ。
中国は中間線付近で、採掘のための施設をすでに16基建てた。今年2月までに、このうち9つから、炎が出ていることが確認されている。
もうひとつ、ここにきて目立っているのが、日本の排他的経済水域(EEZ)における中国の海洋調査。中国は2001年、日本のEEZで調査する際には、事前に通報する取り決めを交わした。
ところが、海上保安庁によると、15年、事前通報なしの調査が22回にのぼり、前年の9回から急増した。とりわけ多いのが、尖閣諸島や久米島周辺などの調査だという。
中国の真意は不明だが、海底の地質を調べ、尖閣などが中国の大陸棚上にあることを証明しようとしているとの見方がある。いざというとき潜水艦がすばやく行動できるよう、海底の地形を詳しく把握する意図もありそうだ。
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両国の武力衝突 リスク大 持久戦、警備力が重要に 梁雲祥・北京大国際関係学院教授
中国は習近平指導部になって以降、民族主義の一環として海洋進出を強めていると見られている。資源問題のほかに東シナ海では民族感情、南シナ海では海上交通路の確保という問題もある。このような状況下で中国と日本が武力対峙するのは危険が大きく、双方とも望んでいない。
多くの中国人は中日間で軍事衝突が起きれば制御が難しいと考えている。ただ、中国の経済成長は日本よりも速いから時間は中国に味方しており、焦る必要はない。こうした戦争に至らない段階が続く中では、海上警察力が重要になるのは当然のことだ。
中国から釣魚島(沖縄県・尖閣諸島の中国名)近海に行くのは海警局の船で海軍ではない。日本も海上保安庁で海上自衛隊ではない。双方とも自制している。釣魚島近海に行く船の数にも双方に暗黙の了解がある。日本は島への上陸を抑えるだけだし、中国も上陸はしていない。そうしなければ衝突するからだ。
ただ、中国には日本より強くなければいけないという基本的な考え方がある。海警局が使う船には過去に退役した軍艦があり、船の総トン数や航続能力は近年めざましい成長を遂げている。すぐにではないが、いずれは隻数だけでなく全体的な性能でも日本を超えるかもしれない。
一方、中日は偶発的な軍事衝突を防ぐための海空連絡メカニズムも協議している。必要性では一致するのに正式な署名に至らないのは、適用区域をめぐる対立があるからだろう。中国は釣魚島を含めるべきだと主張しているが、領有権問題の存在を認めたくない日本が反対している。
もし適用区域を曖昧にできれば署名できるかもしれない。特に南シナ海情勢が緊張している時は可能性が高くなる。中国は南シナ海と東シナ海で同時に問題を抱えたくないので東シナ海を安定させようとするからだ。曖昧な規定は実際の運用段階で問題が生じる可能性があるが、日中はこれまでの政治文書や共通認識でも曖昧な処理をしてきた。
王毅外相は4月の岸田文雄外相との会談で「中国脅威論をまき散らすな」と訴えた。域外国の日本には南シナ海の問題に関わってほしくないということだ。岸田氏は中国に自制を求めるが、中国には束縛しようとしているように映る。この問題は根本的に同じ土俵で話し合う方法がない。
(中国総局 永井央紀)
りょう・うんしょう 北京大院で博士号取得。専門は日中関係や国際法、北東アジア政治。60歳。
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<記者の目>続く「グレーゾーン」の緊張
アジアの地政学図はどう変わっていくのか。各国の軍事力を比べるだけでは、答えは出てこない。ここでは戦争でも平時でもない、「グレーゾーン」の緊張が続くとみられるからだ。より重要になるのが、海上警備力の比較だ。今回調べてみると、中国優位が驚くべき速さで進んでいた。アジアの安定を揺らす大きな原因になりそうだ。
(編集委員 秋田浩之)
[日経新聞5月29日朝刊P.12]
イラク北部のモスルを支配する過激派組織「イスラム国」(IS)の部隊は極めて脆弱に見える。西には進軍の用意ができている武装勢力があり、北、南、東にも陸軍と民兵部隊が20キロ先まで迫っているからだ。
だがイラク軍と民兵組織によるモスル奪還は容易でない。周辺の勢力は激しい対立関係にあり、同地域の支配を巡り政治的野望や勢力闘争が渦巻いている。このことがISとの戦いの軍事作戦を妨げている。
ISがモスルをはじめ、シリアとイラクの広大な地域を制圧し世界に衝撃を与えてから2年。以来、ISと戦う米主導の連合部隊は成果を上げてきた。米国防総省によると、ISは掌握したイラク領の46%、シリア領の支配地域の16%を失った。これは米政府関係者の想定より速いペースだ。そのため、地域の様々な勢力は戦争が終わったかのように自信を深めている。
紛争の終結妨げ、流血招く事態も
ISが生み出した地域再編により、新たな領土を奪ったり、勢力圏を再確立したりする機会が生まれた。こうした野望は紛争の終結を妨げるだけでなく、今後、宗派間の流血の惨事と地域内の代理戦争を引き起こす不安を招く。
ISとの戦いは3つの領域の奪還にかかっている。モスルとシリアのラッカ、トルコ国境に近いマンビジポケットと呼ばれる地域だ。だが、いずれも複雑な利害関係に覆われている。
イラクは政府を支配する多数派のシーア派アラブ人と、少数派で権限拡大を求めるスンニ派アラブ人、独立を求める少数派クルド人に分裂している。モスル周辺の現状はその緊張を反映する。モスルはイラク中央政府と半ば自治を行っているクルド自治政府(KRG)が、かねて領有権を主張してきたいわゆる係争地域の一部だ。つまり、自分たちが奪い合おうとしていた領土をISから奪還するために同盟関係にあるが、両者の関係はよくない。
要所モスル奪還は「運良くて来年」
KRGは渋々、モスルの南にある自分たちの拠点にイラク陸軍の部隊5000人を受け入れたが、同部隊が進軍しようとして失敗した時、クルド人は傍観しているだけだった。
一方、トルコはモスルの北に置く部隊を増強し、イラク政府とその支援国イランの怒りを買っている。ISが制圧する以前のモスルはトルコの商業活動と諜報(ちょうほう)活動の主要拠点だった。モスルに拠点があれば、トルコと米国がテロリスト集団と見なし、トルコが30年戦ってきたクルド労働者党(PKK)が勢力を振るう地域の近くにトルコ政府は足がかりを持つことにもなる。PKKは今やイラク北部から国境を越え、シリアの姉妹組織が勢力を持つ地域にまで影響力を広げる。
モスル出身のある識者は、奪還後のことを考え、連合軍は住民が信用する部隊を送り込む必要があると指摘する。こうした事情を考えると、今年中にモスルを奪還する計画は楽観的に見えるとあるクルド人は言う。「運が良くても来年だ」
宗派間や民族間の緊張関係はマンビジポケットとして知られる地域にも存在する。これはトルコとシリアの国境沿いにアルライなどを通る90キロ続く地帯で、マンビジなどにも広がる。イスラム過激派たちがトルコへ入る最後の通過地点で、欧州への玄関口となっている。
問題は連合部隊内の対立にある。この数週間で、トルコ人と連合部隊の支援を受けたシリア反政府組織がアルライを制圧した。米国とトルコの部隊は対立し、統制がとれていないため、彼らが支援するグループも緊張関係にあったという。そうした間隙を突き、ISが地域を再び取り返し、何千人もの難民が生まれた。マンビジポケットの西部ではそれ以来、ISとシリアの反政府勢力による勢力争いが続いている。
欧米の連合部隊には強力な援軍がいる。PKKと関係があるシリアの組織で、YPGとして知られる人民防衛隊だ。YPGは連合部隊の航空支援を受け、ISの支配地域を少しずつ切り崩し、シリア東部のクルド人が支配する地域をほぼすべて奪還した。
米国はシリアのアサド大統領の退陣よりISとの戦いを優先すべく、シリア民主軍(SDF)という旗印の下にYPGと手を組むようアラブ人武装勢力を引き込もうとしたようだ。しかし、トルコと強い絆を持つ大半のアラブ人武装勢力は、クルド人部隊とは違い、参加には慎重だ。
親米勢力間でも派閥争いが激化
トルコが自国領内でPKKと戦っていることから、米国とクルド人の同盟は米国とトルコの協力関係にも影を落とす。
地域の武装勢力は、親トルコ派と親米派とで対立している。親米派の間でも、国防総省派と中央情報局派の争いがある。「このように武装勢力間で分裂していて、どうして攻撃や防衛の地点で合意などできるだろう」。ある反政府勢力の指導者は言う。
クルド人とアラブ人の緊張が生じる可能性は、ラッカ奪還に向けた連合部隊の動きに特に表れている。
ラッカは圧倒的にアラブ人が多いが、ラッカを射程圏内に入れているのはクルド人が支配的なSDFだけだ。SDFにはアラブ人部隊がほとんどいない。
「都市を奪うだけならラッカ奪還は容易だ」とある米政府高官は言う。「街を保持する部隊の編成の方が難しい。街を制圧し、すぐに去るわけにはいかない。それが何を意味するか、我々は(イラクとアフガニスタンで)学んだ」
米国とクルド人の同盟を強力に支持したオバマ政権内の一派は批判にさらされている。アラブ人とクルド人の敵意はシリア北部全域で急激に増した。武装勢力がPKKの姉妹部隊を弱体化させることを望むトルコにあおられ、アレッポ周辺で激しい戦闘が起きている。たとえISを倒したとしても、この戦いの火を消すのは難しいだろう。
連合部隊は周辺地域を掌握し、ラッカを兵糧攻めにしようとしているが、それでも周辺の街の掌握には、もっと大きなアラブ人部隊が必要になる。米国は最近、ISと戦うシリア人部隊を増強するため、250人の米兵を追加派兵した。
かつてSDFと手を組むことを検討したシリアの野党勢力の一部は今、米国とロシアがアサド大統領を残留させようとしていると疑い、参加に反対している。ある野党顧問は「今の目標は、次の米政権まで踏ん張ることだ」と話す。
モスルでは、住民が自分たちを解放しようとしている部隊を警戒する。ISのモスル制圧の責任を負わされるのを恐れているのだ。
そうした緊張は、ISにつけ込む余地を与える可能性がある。宗派紛争はまだ勃発していないが、イラク政府に対する怒りは高まっている。「ISの台頭を許した力学には、まだ何の変化もない」とクルド人組織の幹部は言う。
(24日付)
[日経新聞5月29日朝刊P.13]
「首相 消費増税再延期も解散せず 野党は不信任案提出へ:不信任案提出という愚策で解散総選挙にまだ可能性」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/883.html
「安倍首相記者会見:延期は公約違反:できる限り長く延期との考えも:解散も俎上:参議院選7月10日投票過半数61議席目標」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/153.html
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不信任案提出「慎重に」 社民幹事長
社民党の又市征治幹事長は26日の記者会見で、野党が検討している内閣不信任決議案について「衆院解散をやりたくて仕方がない安倍晋三首相に大義名分を与える格好になりかねない」と述べ、慎重姿勢を示した。「国会より目の前の参院選で安倍内閣に不信任をつきつけることに力を注ぐべきだ」とも語った。
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社民、共産候補を支持 参院香川
社民党は26日の常任幹事会で、7月の参院選の香川選挙区に共産党が擁立した新人の田辺健一氏の支持を決めた。社民党が共産党の公認候補を支持するのは異例だ。香川は民進党が岡野朱里子氏の擁立を取りやめ、野党4党が一本化している。
[日経新聞5月27日朝刊P.4]
3日発表の5月の米雇用統計は、市場の想定を超える「ネガティブ・サプライズ」になった。景気を敏感に映す非農業部門の雇用者数が市場予想(前月比16万人増)をはるかに下回る3.8万人増にとどまった。この結果を受け、外国為替市場では円買い・ドル売りが集中し、円相場は一気に1ドル=106円台後半まで急騰した。市場には6月の米利上げ観測もあったが、市場参加者は改めて米景気の動向を再点検する必要に迫られそうだ。
円相場は5月上旬以来の106円台を付けた後は、もみ合っている。同時に発表された5月の失業率が4.7%と市場の事前予想の4.9%よりも大幅に改善し、約8年半ぶりの水準まで改善したためだ。米国は完全雇用に近い状態にあり、雇用者数だけでは現在の雇用情勢を判断しづらいとの見方も残っている。
市場では「米利上げ観測は依然消えないが、6月14〜15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではなく、7月のFOMCになるだろう」(クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長)との指摘が出ている。斎藤氏は1カ月後に発表される6月の米雇用統計で雇用回復を確認することが条件になるとみている。
米利上げのタイミングをどう読むか。ヒントを探ろうとする市場関係者の視線は週明け6日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の講演に向かっている。
(中西誠)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF03H0R_T00C16A6000000/?dg=1&nf=1
今の日本でできる(必要な)経済政策は所得再分配の強化である。それに向けた施策が打ち出されない限り、消費税税率引き上げを延期しても、消費は低迷し設備投資を含む供給活動も上向かない。
参議院選挙は消費税増税延期策で乗り切れると踏み、「所得再分配強化」策は、次の総選挙向けの温存しているのかもしれない。
※憲法改正問題参照投稿
「左派(共産党・社民党)と親米派が共有する「戦術的護憲論」:共産党・社民党も安倍政権と同類:米国改憲要求説は捏造か錯覚」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/714.html
「首相「占領時代の仕組み変える」 改憲へ意欲:志は良だが、従米政治家たちに米国支配層が厭う改憲をやれるはずもなく」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/653.html
「「護憲」で本当に勝てるのか:現憲法の核心部分を変える「改憲」はできない(しない)と理解している安倍首相」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/568.html
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自民 参議院選挙公約「アベノミクスをフル稼働」[NHK]
6月3日 19時06分
自民党は与野党各党のトップを切って3日、参議院選挙の公約を発表しました。アベノミクスの継続・推進を掲げ、デフレ脱却をより確実なものとするため、消費税率の引き上げを再延期し、「アベノミクスのエンジンをフル稼働する」としています。
自民党は3日、稲田政務調査会長が記者会見し、参議院選挙の公約を発表しました。
公約では有効求人倍率が史上初めて全国47都道府県すべてで1倍を超えたことや、3年連続で2%水準の賃上げとなったことなど、経済指標が改善していることを示して、安倍政権の経済政策・アベノミクスの成果を強調し、「経済の好循環をさらに加速させる」としています。そのうえで、デフレ脱却をより確実なものとするため、消費税率の10%への引き上げを2019年・平成31年10月まで2年半再延期し、「成長に資する構造改革を加速するとともに、アベノミクスのエンジンをフル稼働する」としています。
一方で「赤字国債に頼ることなく安定財源を確保し、可能な限り社会保障を充実させる」として、経済再生と財政健全化を両立させる姿勢を鮮明にしています。そして、一億総活躍社会の実現に向けて、最低賃金を時給1000円とすることや、「同一労働同一賃金」の実現による非正規労働者の処遇の改善、待機児童の解消を目指し保育の受け皿を50万人分増やすことや、保育士の処遇改善などを打ち出しました。
また、焦点となっていた憲法改正については具体的な改正項目には触れず、「衆・参両院の憲法審査会で議論を進め、各党との連携を図るとともに、国民の合意形成に努め、憲法改正を目指す」という表現にとどめ、公約のいちばん最後に盛り込みました。
一方、去年成立した安全保障関連法について、民進党などが廃止を訴えていることを踏まえ、「法律の施行を受け、あらゆる事態に切れ目のない対応が可能な態勢を構築し、日米同盟を不断に強化するなどして、抑止力の向上に努める」としたうえで、「『不戦の誓い』を将来にわたって守り続ける」と明記し、平和と安全を守るための法整備だと強調しています。
また、沖縄のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設を推進するとする一方、沖縄県でアメリカ軍関係者が逮捕された事件を受けて、「日米地位協定のあるべき姿を検討する」ことも盛り込みました。
このほか、今回の参議院選挙から、選挙権を得られる年齢が18歳に引き下げられることを踏まえ、選挙に立候補できる「被選挙権年齢」の引き下げを検討するとしたほか、参議院の選挙制度は都道府県から少なくとも1人が選出されることを前提に、憲法改正を含め在り方を検討するとして、いわゆる「合区」の見直しに意欲を示しています。
政調会長「成長と分配の好循環で財政健全化も」
自民党の稲田政務調査会長は記者会見で、「『アベノミクスは失敗だ』という野党の主張は全く違う。消費増税を再延期して、社会保障の充実を赤字国債で賄うという、民進党のような無責任な政策を採らず、個人消費を底上げするために成長と分配の好循環を回し、財政健全化もしっかりやると訴える」と述べました。
また、稲田氏は、公約で掲げた安全保障政策について、「『不戦の誓い』ということで、国民の生命や領土を守る決意を表した。共産党のように『自衛隊は憲法違反だ』などと言っている党とともに戦う民進党に、この国を守る意思や、与党になる気概があるのかが選挙で問われる」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160603/k10010545551000.html
そういう前提のうえで:
通常は、政権を担っている与党のほうが財源がないからそのような政策は実施できないと言い、野党のほうが予算の組み方で特定の政策への歳出増は可能だと主張するものだ。
中学校の学級委員がふさわしいヒトのように思える民進党岡田代表は、野党なのに、財源論で自民党の公約を批判している。その一方で、民進党は、消費税の税率引き上げを実施するまで赤字国債を発行し先行的に社会保障の充実を図るという政策を打ち出している。
岡田代表の思いは、赤字国債を発行しなければ社会保障の充実策の財源はないはずなのだから、赤字国債依存を語らないまま社会保障の充実を公約に掲げる自民党は卑怯だということだろう。
しかし、日本の財政は、97年4月消費税増税で景気と“税収”が落ち込んだ98年以降、リーマンショック直前(米欧がバブル)の2年間(06年・07年)を除き、30兆円を超える額で国債を発行し続けている。
財政における国債依存度も、98年以降、06年33.7%と07年31.0%を除き、35%を超えている。
それだけの“放漫財政”を続けても、悪性インフレになるどころか、デフレ基調からさえ完全に脱却できていないのである。
言いたいのは、2兆円程度の社会保障充実策を実施するという政治課題で、財源はどうする、赤字国債を発行するのかしないのかという議論自体が、“虚しい”というかバカバカしい状況にあるということだ。
北海道や九州そして北陸などの新幹線全通を前倒しにするとか、リニア新幹線も大阪まで急ぐといった議論が出ていることを考えれば、社会保障制度の充実が、財源で阻害されているわけでなく、消費税増税を進めるための“人質”というか道具になっていることは明白であろう。
岡田代表は、消費税増税を経済政策として活用したいがそうは言えず社会保障制度に結びつけている政治的デマに沿って説明を行っているのである。
自民党の“やり口”は、消費税の税率を10%に上げることを条件に打ち出している社会保障の充実には赤字国債は発行しないが、公共事業など他の費目の歳出額を減じて緊急の社会保障政策に回し、減らした費目は、景気対策(アベノミクスのフル稼働)を名目に赤字国債を発行してでも補正予算を組んで対応するというものである。
口先だけのゴマカシだが、そういうインチキな手法で、財政健全を考慮していると思わせている汚い政治勢力なのである。
※参照投稿
「安倍首相記者会見:延期は公約違反:できる限り長く延期との考えも:解散も俎上:参議院選7月10日投票過半数61議席目標」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/153.html
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民進 岡田代表 自民参院選公約は財源が不明確
6月3日 20時27分
民進党の岡田代表は名古屋市で記者団に対し、自民党が参議院選挙の公約で、消費税率の引き上げを再延期する一方、赤字国債に頼ることなく安定財源を確保し、可能な限り社会保障を充実させるとしていることについて、財源が不明確だと批判しました。
この中で、民進党の岡田代表は自民党が3日発表した参議院選挙の公約で、消費税率の引き上げを再延期する一方、赤字国債に頼ることなく安定財源を確保し、可能な限り社会保障を充実させるとしていることついて「自民党は社会保障の充実策のうち、どれをやって、どれをやらないのかを示すべきだ」と指摘しました。そのうえで、岡田氏は「『法人税や所得税などの税収の底上げがあるから大丈夫だ』ということなら、株も乱高下し、輸出関連企業の利益も減るなかで、果たして財源として期待できるのか。結局、赤字国債の発行が必要になるのではないか」と述べ、財源が不明確だと批判しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160603/k10010545521000.html
日本は福島第一原発の事故処理のために一連の困難な課題を解決することになる。うちの一つが、停止した6つの原子炉の廃炉だ。ロシアはこの分野における豊富な経験を日本と共有することができる。
こうした可能性について、モスクワで6月1日に開かれた、「ロスアトム」社のバックエンド関連製品およびサービスの国際販売をテーマとする展示会「アトムエクスポ」の記者会見で、「テフスナブエクスポルト」社のバックエンド課長ミハイル・バリシニコフ氏が語った。
TENEXの商標で知られる「テフスナブエクスポルト」社は、2016年から積極的に原子力発電所の廃炉に関するサービスや製品を提供している。同社は福島第一原発における溶融物の除去について自社の技術を提供する準備ができている。ただ、バリシニコフ氏によれば、「ロスアトム」には溶融物の除去に関する一般的な方法論があるが、情報が不足しているため、今のところ具体的なシナリオは存在しないという。
「どこに溶融物があるかなど、誰にも分からない。その正確な組成も、誰にも分からない。したがって、何をどうすべきかについて全体像を得ることは誰にもできない。まさにこのような物質の取り扱いについて、ロスアトム社にはユニークな経験がある、と言える。ソ連の機関はチェルノブイリ原子力発電所の原子炉下の空間に形成された溶融物の組成の分析に直接参加していた。サンプルは調査のためにモスクワに送られた。この経験をロシア企業は東京電力に提供し、溶融した原子炉から燃料を抽出し、切断し、処分する最良のシナリオを策定できるようにする準備がある。」
バリシニコフ氏によれば、原子力産業での協力はしばしば技術置換原則に基づいて構築されており、それが日本企業との協力で用いられる可能性がある。
「我々はこの意味で、日本を代表する業界最大手と話し合いをしている、と言える。我々はある種の共同プロジェクトの枠内で、日本にロシアの経験を適用することを彼らに提案しており、日本側も、我々がロシアの注文主に彼らを紹介するよう、同様のことを我々に頼んでいる。具体的には、バックエンド関連の日本の開発品、放射性廃棄物の取扱いについてだ。放射性廃棄物の取扱いに際して日本は、高精密機器の開発についてそう多くの蓄積を有していない。日本はこれをロボット技術とは名付けず、ある種の自動化ソリューションであるとしている。我々は三菱、東芝、日立という日本の大企業三社と交渉中だ。」
「ロスアトム」社は原子力産業における70年の活動で、バックエンドに関して極めて豊富な経験を蓄積してきた。ハンガリーの「パクシュ」原発事故後の処理ではロシアの組織が壊れた燃料を除去し、搬出できるようにした。2014年には燃料はハンガリーから搬出され、すでにロシアの生産複合体「マヤーク」で処理された。 2009年にはセルビアの研究用原子炉「ヴィンチ」から出た使用済み核燃料のロシアへの搬出と処分に関するロシア・セルビア間の合意が締結された。次は福島第一原発の番、かも知れない。
親にしつけのために山間部に置き去りにされ、1週間も行方が分からなくなっていた田野岡大和君(7)の事件は親のしつけがどこまで許されるかについてインターネット上で激しい論議を呼んだ。多くのネットユーザーが置き去りにした親を処罰するべきだとの見解を表している一方で、ロシア人の心理学者らからは別の声が聞かれている。
スプートニクがロシア人心理学者らにインタビュー調査を行ったところ、1週間も行方不明となってしまった大和君の両親の状況について一様に、大和君におとらず、かなり大きなストレスを受けていたにちがいないという考察が返ってきた。
そんな1人、セルプスキー記念ロシア国立社会司法心理学術センター、児童心理ラボのエレーナ・ドゾルツェヴァ室長は次のように語っている。
「親御さんたちはこの事件がおきるまでは状況はすべて自分たちの手でコントロールできると思っていたのでしょう。これは親にとってはものすごいショックのはずです。こんなことが起きた後に親御さんに対して何らかの処罰が必要とは思いません。彼らは十分制裁を受けたのですから。」
4日の記者会見で大和君の父親は息子が自分の謝罪を受け止めてくれたことを明らかにした。
共同通信の報道によれば、父親が「つらい思いをさせて、お父さん、本当にごめんな」というと大和君は「うん」と言ってうなずいた。
89年に消費税が導入され、不動産バブルやまだ完全には崩壊していなかった株式関連の税収増と相俟って、翌90年には総税収が60兆円に達した。しかし、この60兆円が史上最高額の税収で、その後二度の消費税増税が行われたが、未だその金額を超えた年度はない。
97年に消費税を増税(3%→5%)したが、前年96年の税収は52兆円レベルにまで落ち込んでいた。
97年の消費税増税(所得税も増税)で54兆円近くまで税収が増えたが、この増税により、日本経済はデフレスパイラルに陥り、翌98年からは税収が50兆円を下回る状況が続いた。
安倍政権下で実施された14年4月の消費税増税は、円安によるグローバル企業の増益や銀行やトヨタなど過去の赤字決算で免除されていた法人税が復活したこともあり、昨年度までは総税収でも増加している。
しかし、税収をドルベースで見れば増加しているとは言えず、円高基調に転換すると、総税収が過去の消費税絡みと同じように減少していく可能性が高い。
税収はつまるところGDP(総付加価値)から吸い上げるものだから、経済に打撃を与えないレベルの税率(対GDP税負担率)は一定である。
より高い率で税として吸い上げると経済に打撃を与え、GDPそのものが縮小するため、吸い上げ率を上げても税収額は増えない。
過去28年の貴重な財政データがあるのに、まともな税収論議がなされていないのが日本なのである。
それもひとえに、グローバル企業の国際競争力や経営基盤強化のための手段である消費税(付加価値税)の税率を引き上げるために、“財政危機”や社会保障制度財源を利用したいがためである。
消費税政策が、人々の財政に対する理解をおかしく歪めているのである。
転載する記事の中で、慶應大学ビジネス・スクールの小幡績准教授(財務省出身)も、相変わらずおかしな論理と分析を振り回している。
【引用】
「小幡氏「長期的にはマイナスの影響をもたらすでしょう。日本は短期の景気対策ばかりをしてきたため、長期投資へまわるお金が足りなくなっています。短期の景気対策の結果、1000兆円も借金を抱えているということは、民間の資金を1000兆円も使ってしまっているということです。」」
【コメント】
グローバル企業など優良企業の内部留保は350兆円に達しており、長期投資は、そのためのお金がないから行われないのではなく、国内で設備投資など長期的投資を行う“意欲”が湧かないので行われていない。
金融財政論としても、銀行が預金で購入した国債は猛烈な勢いで日銀が買い上げており、大量の国債が大量の現金(日銀当座預金残高)に変わった銀行は、日銀のマイナス金利ペナルティをどうやって回避するか呻吟するほど保有資金の運用に難儀している。
長期投資へまわるお金が足りないとか、民間の資金を1000兆円も使ってしまっているといった小幡氏の説明は、恥ずかしいくらいデタラメなものである。
【引用】
「小幡氏「私自身は、日本政府の支出の大きな部分を占めている社会保障関連の支出を減らしていくことは必要だと思います。」
【コメント】
日本の供給力や国際決済力が衰え始めたら、社会保障関連の支出も減少させるしかない。
そうしなければ悪性インフレと円安の連鎖が始まり、実質レベルの国民生活はより悪化する。
しかし、現状は、35兆円もの膨大な赤字財政でも日本はデフレ基調を完全には払拭できていないのだから“供給力過剰”状態である。
社会保障関連の支出を減らすと言うことは、家計の可処分所得が減り総需要が減るということである。それは、供給力がより過剰になることを意味する。
社会保障費に限らないが、財政支出を減らせば、それだけ景気は下振れするのである。
日本の近未来的課題は、長寿命化のなかで絶対不可欠の社会保障制度を、悪性インフレに陥らないまま維持することである。
それは、社会保障関連の支出を減らすことで達成できるものではなく、設備投資による生産性の上昇でのみ達成できる。
※参照投稿
「民進 岡田代表 自民参院選公約は財源が不明確:書生レベルの岡田民進党では自民党に立ち向かうのは困難」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/233.html
「安倍首相記者会見:延期は公約違反:できる限り長く延期との考えも:解散も俎上:参議院選7月10日投票過半数61議席目標」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/153.html
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日本はもっと活力のない国になる、子どもに割くお金はない[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年06月03日 21:42(アップデート 2016年06月03日 22:20)
徳山 あすか
3日、自民党は参議院選挙の公約を明らかにした。それによれば「2019年10月に消費税率を10パーセントに引き上げ、その間、赤字国債に頼ることなく安定財源を確保して可能な限り社会保障の充実を行う」としている。赤字国債に頼らず、どのように社会保障政策の財源を捻出するかについては、明記されていない。
消費税の引き上げ延期をめぐって安倍晋三首相は、2014年11月の記者会見で「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」と述べていた。
政府の経済政策が予定通り進んでいるのならば、いったん断言した方針を、参議院選挙直前のタイミングで曲げる必要はないはずである。3日のテレビ番組収録に参加した古賀誠・元自民党幹事長は「これだけ政局が安定し、内閣支持率の高い首相の下で(消費税増税が)できないなら、いつやるんだという心配は正直言ってある」とコメントした。小泉進次郎農林部会長も、「増税は延期するが、社会保障は予定通り充実させるというおいしい話だけでは駄目だ」と釘をさしている。
市民からは、「絶対的に必要でないならそもそも増税すべきではない」「増税を延期した理由は選挙に勝つためではないか」「消費税が上がると思っていた国民が多い中での再延期は、政局を複雑にし混乱させることになるのでは」などといった様々な声が出されている。
慶應大学ビジネス・スクールの小幡績(おばた・せき)准教授は、消費税増税の再延期は「じわじわと日本の活力を阻害するだろう」と見ている。
小幡氏「長期的にはマイナスの影響をもたらすでしょう。日本は短期の景気対策ばかりをしてきたため、長期投資へまわるお金が足りなくなっています。短期の景気対策の結果、1000兆円も借金を抱えているということは、民間の資金を1000兆円も使ってしまっているということです。そのため民間は実物投資や海外への金融投資などの、利益を出す投資ができなくなっています。結果として、日本経済全体の所得がダウンし、潜在成長力が落ちてきています。しかし短期的には、日本の赤字が膨らみすぎて危機に陥るということはないでしょう。増税再延期はもっと長期的にじわじわと、日本の活力を阻害する方向に影響すると思います。」
自民党が行おうとしている社会保障政策の充実とは、誰を対象にしたものなのか。日本の待機児童問題が一向に解消されないのも、ここに一因がある。
小幡氏「私自身は、日本政府の支出の大きな部分を占めている社会保障関連の支出を減らしていくことは必要だと思います。高齢者への年金額を減らす、という策しかないと思われますが、いざ年金が減るとなると有権者の怒りを買いますので、これは政府にはできません。
となると、今のところまだ予算がついていない、これから必要となってくる分野に、お金をつけることができなくなります。託児所や幼児施設への補助、小中学生に対する教育投資といった分野への政府の補助は足りないままです。この分野は非常に民営化・自由化が遅れているということもあり、例えば託児所などの建物等にお金がついたところで、供給は急には増えません。働き手が不足しているという問題は依然として残るためです。ですから政府は、お金を出さずにすませようとしているところもあると思います。」
増税が延期され、目先の家計のことだけを考えると少し安心してしまうが、小幡氏は長期資金の不足は結果的に、誰にとっても良くない結果を生み出してしまうと指摘している。目前に迫った参院選は、有権者がどれ程長期的な視点をもって臨むかが問われる選挙となりそうだ。
【ワシントン=河浪武史】米労働省が3日発表した5月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が5年8カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。海外経済の減速で製造業や鉱業などの雇用が減り続けているところに、大手企業のストライキという一時的な要因が重なった。金融市場では米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ観測が後ずれしそうだ。
ベライゾン店舗前でストライキのデモを行う人々(4月、ニューヨーク)=ロイター
「雇用の改善が続けば、数カ月内の利上げがおそらく適切だ」。FRBのイエレン議長は5月27日の講演でこう明言し、6月14〜15日か7月下旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げする考えを示唆していた。ただ、FRBが利上げの前提とする雇用増には急ブレーキがかかった。
根本的な原因は、海外経済の減速が米雇用に波及し続けていることだ。高い賃金を手にできる職種の製造業は、輸出の停滞で雇用が1万人減り、2カ月ぶりにマイナス。長引く資源安で鉱業も1万人減と雇用者数の減少が続いている。世界経済は中国など新興国が減速しており、けん引役の米経済にも影を落とす。
一時的な要因もある。米通信大手ベライゾンの従業員が4月からストに入り、約3万5千人分の雇用が一時的にマイナスとなった。統計上、ストは雇用減として計算されるためだ。同社のストはすでに終わり、6月からは雇用者数を押し上げる要因になる。
米景気の持ち直しによって失業率の低下が進んだことも、かえって雇用者数が増えにくくなる要因だ。5月の失業率は4.7%と前月から0.3ポイントも低下し、金融危機が深刻になる前の2007年11月以来の低水準となった。転職が多い米国では完全雇用に近い水準とされる。これまで雇用の受け皿だった小売業やサービス業は、人手が集まりにくくなり就業者の伸びが縮小している。
イエレン氏らFRB高官は「完全雇用に近い水準になれば月10万人程度の雇用増で十分だ」と指摘。「月20万人が好不調の目安」とする市場の見方をけん制してきた。ただ、5月の雇用増はストの一時要因を除いても10万人に届かず、雇用の落ち込みは鮮明だ。
雇用減が続く製造業や鉱業は、雇用の受け皿となってきた小売業などに比べて2倍ほども賃金水準が高い。イエレン氏は低賃金の雇用者が高い賃金の職種に移る「雇用改善の質」も重視するが、5月の指標は量と質の両面で不足感がある。
完全雇用に近づけば、企業は賃上げで人手を集めようとする。FRBがめざすのは「失業率の低下→賃金の上昇→物価全体の押し上げ」という好循環シナリオだが、なお道半ばだ。平均賃金の上昇率は08年のリーマン・ショック前の3〜4%に届いていない。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO03218190U6A600C1EA2000/?dg=1&nf=1
医療現場での人工知能(AI)活用の可能性について、医師専用の情報交換サイトを運営する「メドピア」(東京)が医師約3700人を対象にアンケートしたところ、約7割が「20年以内に診療を担う時代が来る」と答えたことが28日、分かった。
数値データの解析や難病の診断に有効との声がある一方、「医師と患者のコミュニケーションは将来も不可欠」との意見もあった。人工知能は近年急速に進化し、農業や製造業などさまざまな分野での本格導入に向けた研究も進められている。
アンケートはサイト上で5月上旬に実施。人工知能が診療に参画する時代が来るかどうかに関し、その時期の見通しも含めて聞いた。
その結果、「10年超20年以内」が33%で最も多く、次いで「5年超10年以内」が23%、「5年以内」13%。20年以内を合計すると69%に上る。「20年超50年以内」は16%、「50年超100年以内」は6%で、「来ない」は10%だった。
肯定的な自由記述としては「数値化やマニュアル化できる部分は早いうちに機械化できる」「専門性が必要な『希少疾患』では人工知能の方が正診率が高い」との指摘があった。
一方で「インフォームドコンセント(説明と同意)や治療法の選択に関する話し合いは、やはり人と人のコミュニケーションが必要」「人工知能が間違いを起こした際の責任の所在など、法的・倫理的問題のクリアに時間がかかる」と慎重な意見も出された。
[日経新聞5月29日朝刊P.30]
スイスで国民一人当たりに毎月2260ユーロを支給するベーシックインカム策が早急に開始される可能性がある。すでに明日5日に支給の是非を問う国民投票が行なわれる。独ラジオ「ドイチェ・ヴェレ」はこの支給について「スイス全国民に尊厳ある生活と社会生活への参加を保障するはずのもの」と報じている。
発案者の話では支給対象には成人だけでなく児童も含まれ、これによってスイス国民が本当にやりたいことを実現させるのが目的。追加的な収入を得る可能性が目の前に開けているにもかかわらず、スイス国民の多くはこの案に反対し、支給開始後、国民の大半が働くのを止めてしまうのではと懸念している。反対者らは結果的に国にとって大きな足かせとなり、経済の不安定化を招くとの考えを示している。
「米国 ロシアと中国から同盟国を守るためにレールガン使用へ:米国に無償供与するリニア技術も貢献:開発を競う新型射出兵器」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/773.html
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米国新型レールガン、ロシアは恐れるにたるか?
オピニオン
2016年06月02日 20:54(アップデート 2016年06月02日 20:59)
タチヤナ フロニ
ロシアの軍事専門家らは米国の誇る新型「奇跡の兵器」の効果のほどに首をかしげている。新型兵器とはレールガンのことで、これには火薬や爆発物が一切用いられていない。
この大砲には電磁気レールが使用されており、これが弾丸を戦場で小惑星とまがう超スピードで飛ばす能力がある。このプロジェクトの支持者らは、電磁投射砲は将来、軍事戦略を変え、ロシア、中国の兵器をモデルに発達する武器に対する米国の優位を維持する力を持っていると考えている。
ところがロシア人専門家らは米国のこの「奇跡の兵器」はブレイクスルー的な発明ではないと捉えている。ロシア人軍事専門家のコンスタンチン・シフコフ氏は、戦闘の場面で電磁投射砲を使うのは無理との見方を示し、次のように語っている。
「電磁投射砲はソ連時代、80年代にすでに製造されており、かなり成功していた。その設計はかなりシンプルなもので、弾丸は火薬が燃えて出たガスではなく、電磁誘導により加速されて撃ち出される。電磁投射砲が火薬を燃やす従来の大砲に比べて一番の優れた点は撃ち出される弾のスピードに制限がないことだ。」
だがシフコフ氏は、金属的な弾の飛ぶ速度をとんでもないスピードまで上げるには途方もない量の電子エネルギーが要されるとして、さらに次のように語る。
「構造的には電磁投射砲はかなり大型の設備になる。自走砲の機械や戦車に設置するのは今の条件では無理だ。こうした大砲が設置できるのは排水量1万4千トンのズムウォルト級ミサイル駆逐艦のような巨大な施設の甲板のみだ。米国が今、実験を行ったのはそんなに金のかからないものだ。今のところのスピードは11キロの弾丸で毎秒1600メートル。比較のためにいうと、ロシアの戦車T−64、T−90の最新型の大砲で使用する20キロだと、初期スピードは毎秒1750メートルになるが、米国の大砲の口径はそれよりずっと大きい。」
シフコフ氏は米国の新型「奇跡の兵器」はロシアを軍拡競争に引き込もうとする試みに過ぎないとの見解を表し、次のように語っている。
「電磁投射砲が完成するに従い、これは実際に将来性のある兵器になる可能性もある。強力な磁場は最高で毎秒5000〜6000キロのスピードで弾丸を飛ばすことができる。これはもう宇宙的スピードだ。ここまでくれば電磁投射砲は関心をひく対象となるが、現在はまだ実験的なものであり、米国がこれを船に設置するとすればそれは演習目的にとどまる。11キロの弾を毎秒1600メートルの速度で飛ばしても何にもならないからだ。電磁投射砲でこれぞブレイクスルーといえるものはまだ出来上がっていない。」
米国防総省では、電磁投射砲に対する関心はまず、これが上空に飛来した敵機を従来のMDより抑えたコストで撃墜できるという点に集まった。が、電磁投射砲が最初の弾を発射すると、過熱した大砲の強力な電磁波熱放射はすぐさま敵のレーダーに対して、ミサイル駆逐艦のある場所を教えてしまう。そうなると間違いなく敵はミサイルまたは上空からの攻撃を行ってくるだろう。過熱された電磁投射砲が冷え、新たな射撃に備えられるようになるには数十分がかかってしまう。こうなると、ミサイル駆逐艦から発射された最初の一発は最後の一発になってしまう可能性がある。
※ 関連参照投稿
「「ロシアとトルコの共謀」で撃墜したSu24の搭乗員は全員無事!?:搭乗員は一人だけだった可能性が濃厚」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/500.html
「超絶プーチン!Su24機長“遺体帰国”を素材に制作の悲喜劇「テロと戦争の時代」:ハリウッド真っ青の壮麗かつ“漫画”的演出」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/503.html
「ロシア軍Su24M撃墜をめぐる虚実と目的〜その1〜:“露土衝突”ではなく「露土共謀軍用機撃墜」の経緯と行方」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/483.html
「ロシア軍Su24M撃墜をめぐる虚実と目的〜その2〜:両国公表内容や流布されている関連映像に見える「露土共謀撃墜劇」」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/484.html
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エルドアン大統領 対ロ関係確立を欲す[スプートニク日本語]
016年06月01日 14:35(アップデート 2016年06月01日 14:42)
大統領は、記者会見で、次のように発言した-
「我々は、ロシアとの争いを欲してはいない。あべこべに我が国は、ロシアとの関係発展を欲している。プーチン大統領とは友人だった。間違いを犯したパイロットにより、あるいはほかの理由により、トルコのような巨大な国を犠牲にする事は、ためらわずにはいられない。我々は、再びロシアとの関係を築き上げるため、努力を傾ける必要があると思う。我々が、できるだけ速やかに、こうした問題を克服するよう望んでいる。」
プーチン大統領は、ギリシャ訪問の際「ロシアは、トルコとの関係回復を欲しており、トルコ政府からの具体的措置を待っているが、今のところそうしたものはない」と述べ、トルコに撃墜されたロシアの爆撃機に関する謝罪と損失補償の必要性を指摘した。
「エジプト機、墜落原因の決め手欠く 発生1週間 観光業に打撃 」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/132.html
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エジプト航空機 墜落前日にシステム障害が3回確認されていた[スプートニク日本語]
2016年06月02日 15:29(アップデート 2016年06月02日 15:52)
専門家たちは、地中海上空で行方不明となったエジプト航空機のシステム障害を3回確認しており、全ての問題は行方不明になる前日に生じていた。仏紙ル・パリジャンが、消息筋の話として伝えた。
ル・パリジャンによると、問題はエジプト航空機MS804便がエリトリアの首都アスマラから離陸する際と、チュニジアならびにエジプトから離陸する際に生じた。
ル・パリジャンは、エジプト航空機は行方不明になる前日に中距離線を6回飛び、最後にパリのシャルル ド ゴール空港に到着したと伝えた。
パリからカイロに向かうMS804便がレーダーから消失したのは5月19日早朝。12カ国の66人(ロシア人はいなかった)、つまり56人の乗客、3人のセキュリティ担当者、7人の乗組員が乗っていた。
行方不明になった翌日、地中海で機体の破片と乗客の所持品が見つかった。
1日フランス海軍の艦艇が、地中海でエジプト航空機の「ブラックボックス」の信号を受信した。専門家たちは、墜落原因の解明につながると期待している。現在エジプト航空機の墜落をめぐっては複数の説があり、そこにはテロも含まれている。
「ロシア、日本の脱原発を助ける:安倍首相が露に接近する一要因だが、露が国内の使用済み核燃料も受け容れる可能性」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/769.html
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2島の運命を話し合おうというロシアの姿勢はいつまでも続かない[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年06月02日 17:35
アンドレイ イワノフ
ロシアのラヴロフ外相は数日前、ロシア指導部は日本との平和条約を締結するためにクリル諸島を犠牲にするわけにはいかないという声明を表した。ラヴロフ外相は同時に、ロシアは1956年に結ばれたソ日共同宣言の第9条にある、平和条約締結後にシコタン諸島、ハボマイ諸島の引渡しができるという条項は未だに効力を持ち続けているととらえていることを示した。これが何を示すのか、スプートニクは戦略開発センターの専門家、アナトリー・コーシキン氏にインタビューを試みた。
コーシキン氏:「1956年、ソ連指導者のニキータ・フルシチョフ氏はハボマイとシコタンを引き渡すことに同意したが、それは善意の発露という形であり、一般の日本人の、第一にそれは漁師らだが、彼らの利益を考慮してのものだった。しかもこの際にフルシチョフはこれは最大限の譲歩であり、ソ連は日本の出す他の領土要求の検討は拒否すると明言している。これを知った上で当時の鳩山一郎首相は共同宣言に調印したのであり、これは両国の議会で批准された。宣言を見るとハボマイ、シコタンを獲得することが当時の日本政府の最終目的であり、クリル諸島のほかの諸島に対する要求を推し進めることは米国によって、特にダレス米国務長官に煽動されたことであることがわかる。このため共同宣言で明記されたことが実現されなかった責任は日本政府にある。」
スプートニク:今、50年代半ばの状態に自動的に回帰することは可能か?
コーシキン氏:「共同宣言は全く異なる歴史的エポックに締結されたのであり、その第9条を今、適用しようと思えば書き換えなしには不可能だ。ロシア政府はハボマイ、シコタンを日本に引き渡す条項について廃棄通告を行う可能性さえある。これは1969年5月23日に結ばれた条約法に関するウィーン条約の第62条には『条約の締結の時に存在していた事情につき生じた根本的な変化が当事国の予見しなかつたものである場合には、次の条件が満たされない限り、当該変化を条約の終了又は条約からの脱退の根拠として援用することができない』とある。まさにこうした事情の変化というのが1977年、200海里水域宣言の導入だ。今日、日本に南クリル諸島を渡した場合、ロシアは島の領土を失うだけではない。豊かな生物、エネルギー資源に恵まれた21万海里という水域をも失うのだ。日本はこれを認識しており、ロシア側の立場を考慮している。にもかかわらず今、ロシア指導部はまた、1956年の条件を土台にして交渉を行うことに同意しているのだ。だがこの立場も変わる可能性がある。なぜならロシアの圧倒的大多数の国民が領土では日本に対していかなる譲歩も行うことに反対しているからだ。ロシア政府もこれを考慮しないわけにはいかない。」
スプートニク:ロシアが共同宣言にあるハボマイ、シコタンの引渡し条項を認めた立場を維持するようにするには、日本は何をせねばならないか?
コーシキン氏:「日本政府は第2次世界大戦の領土上の総括を認め、ロシアがクリル諸島全島を合法的に所有することを認める声明を表さねばならない。この声明は同時にこれら、または別の領土の『返還』要求を一切拒否するものでなければならない。なぜならこれは第2次世界大戦の結果を書き換える試みに見えるからだ。平和条約に締結し、それを両国の議会が批准して初めてロシア政府は共同宣言第9条の実現化についての交渉に踏み切ることができる。この交渉が討議を必要とするのは以下の問題だ。200海里の経済水域での漁業、諸島の大陸棚の資源産地の開発、諸島の軍事目的での使用。この島を軍事目的で使用する問題は、米国が日米軍事同盟を維持し、日本を自国の軍事戦略に完全に組み込もうとしているがゆえに特別な意味を持つ。クリル諸島域にロシアに対抗する米国の軍事基地を創設したり、戦略的に重要な南クリル海峡を米国がコントロールするような危険な事態をロシアは憂慮しないではいられないのだ。」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160602/2236842.html
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ラヴロフ外相:ロシアは日本にクリル諸島を渡すつもりはない[スプートニク日本語]
2016年05月31日 21:26(アップデート 2016年05月31日 21:28)
ロシアはクリル諸島を日本に渡すつもりはなく、平和条約締結を日本に頼み込んでもいない。ロシアのラヴロフ外相が述べた。
外相は、露紙「コムサモリスカヤ・プラヴダ」の読者たちの質問に答え、「我々はクリル諸島を渡さない。我々は日本に平和条約を頼み込んではいない」と述べた。
またラヴロフ外相は、ロシアはソ連の後継国としてソ連の全ての義務を引き受けたと語った。
ラヴロフ外相は、1956年の日ソ間の合意に従って両国は平和条約を締結するべきであり、「その後で、ソ連が善意の印としてシコタンとハボマイ群島を渡す用意があるという問題につい検討される可能性がある」と述べた。
またラヴロフ外相は、「第二次世界大戦の結果を認めずに領土問題の相互に受け入れ可能ななんらかの解決策について話し合いを行うのは不可能だ。協議では毎回これについて日本のパートナーたちに話している」と強調した。
それでも実効性がある対北朝鮮政策が採れないのは、安倍首相が腹が据わっていないというか決着(日朝国交正常化)に向けたシナリオを固められないためである。
そのために、これまで実効性のないバカバカしい対北朝鮮制裁騒動が続いている。
※関連参照投稿
「ロシア 北朝鮮に軍事技術を供与したという非難を否定:プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/549.html
「北朝鮮のウランを使って再び世界を脅かす米国:国内での採掘・製錬に制約を抱える米豪が支える北朝鮮のウラン濃縮事業」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/313.html
「「で爺」さんへ:核兵器だ!ミサイルだ!という“国際政治ショー”の裏側で北朝鮮の「ウラン濃縮」が容認されるワケ」
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/223.html
「「で爺」さんへ」
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/250.html
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日本と北朝鮮の関係:柔軟な柔道かハードな相撲か?[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年06月02日 02:40
アンドレイ イワノフ
驚くべきことだ。柔道の柔軟な技術で世界の武道文化を豊かにした日本は、国際政治では、例えば北朝鮮との関係においてしばしば相撲の技術を使用する。すなわち、ハードな圧力である。
水曜朝開かれた外務省アジア大洋州局長石兼公博氏、北朝鮮担当米国務省特使ソン・キム氏、韓国外務次官キム・ホンギュン氏による三者会談の結果は、このような結論を促す。彼らは、北朝鮮への圧力を強め、北朝鮮が非核化への姿勢を示さない限り、交渉再開の申し出を受け入れないことで合意した。
このような圧迫戦術には何らの新しい、驚くべきこともない。ただ驚くべきは、日本、韓国、西側が、その頑固さが全く反対の結果を出すことに気付いていないかのように、北朝鮮が核ミサイル兵器開発の断念を強制しようと頑固さを示し続けていることだ。
米国が「北朝鮮は秘密裡にウラン濃縮計画を持っている」と北朝鮮を非難し軽水炉原子力発電所建設を停止した2001年では、北朝鮮には現実として、原子爆弾はおろか、ウラン濃縮プログラムはなかった。
2005年、北朝鮮に対する核廃絶要求の厳格化により北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議を破綻させようとする米国と日本の絶え間ない試みに疲れた北朝鮮が、核兵器の創設を発表した。2006年10月には初の核実験を行った。そのひと月後、韓国外務省で私が聞いたところでは、あれはプルトニウム装置であり、やはり北朝鮮にウラン濃縮プログラムはなかったのだろう、ということだった。
今は、それがある。そして、どうやら、何らかの核兵器もある。プルトニウム兵器。もしかしたら、ウラン兵器も。しかし何より重要なのは、核を進んで手放すことはできないと北朝鮮当局が感じていることだ。なぜなら近年、米国人が米国にとって不愉快な大量破壊のない国に何をしてきたか、彼らはまざまざと見てきたからだ。
これは何も北朝鮮が誰かを攻撃したいと思っているという意味ではない。北朝鮮は経済改革を実現するための平和な生活を望んでおり、交渉再開を提案している。しかし、今、日本、韓国、米国が再び、北朝鮮が武装解除するまで北朝鮮と交渉することに同意しないと述べた。
これはつまり、西側がついに現実の感覚を完全に失ったことを意味する。東京、ワシントン、ソウルがどれだけ望もうと、北朝鮮は、武装解除しない。西側が怖いからだ。そして、今日のような声明は、この恐怖を強めるばかりだ。そしてそれは、自分の核ミサイル盾を強化するという決意をも強めるだろう。
そのような感覚は、西側がネガティブな結果しかもたらさない北朝鮮への粗雑な圧迫戦術を停止し、柔軟性を発揮し、前提条件なしに交渉に同意したときはじめて、変化する可能性がある。現在の米国および韓国の政権下ではそれはほとんど不可能であるが、政権交代はそう遠くない。重要なのは、挑発を停止するよう平壌に呼びかけるワシントン、東京、ソウルが、自ら北朝鮮を孤立化し、圧迫する政策によって北朝鮮を挑発し、何らかの決定的な行動に踏み出させないようにすることだ。しかし、彼らがそれこそを望んでいる、ということが、ちょうど本日の東京会談で示された。
塩控えめの食事は体によくない。カナダのマクマスター大学の研究者らがこうした帰結に達した。
マクマスター大学の調査には世界49カ国から13万人を越す被験者が参加。
その結果、減塩にも健康に害をもたらさない最低レベルがあることがわかった。調査では減塩の必要性のある人は全人口の10%足らずで、そのほかの人たちが減塩した場合、逆に循環器、血管に支障が出ることがあきらかになった。
スウェーデンとフィンランドの学者グループは、ビールは、アルツハイマー病の進行阻止を助けるとの結論に達した。彼らの研究では、ビールは、病気を誘発させるβ-アミロイドの蓄積を遅らせる効果があるという。この発見は、雑誌「lcoholism: Clinical and Experimental Research.」に発表され話題になっている。
学者達は、ビールや酒など様々なアルコール飲料の消費とβ-アミロイドの蓄積量の間の関係を、様々な理由で亡くなった35歳から70歳までの男性125人を対象に研究した。
β-アミロイドの蓄積量は、年齢を重ねるとともに、あらゆる調査対象者の間で増えていたが、ビールを飲んでいる人の場合は、本質的に減少した。
ただ世界中の研究者達は、個々に肯定的な側面もあるが、その種類や量とは関係なく、アルコール類の摂取は、人間の身体に破壊的な影響を及ぼし、社会的に危険な行動につながる場合も稀ではないという点では、意見を同じくしている。
北海道七飯町の山林で両親に「しつけのため」として車から降ろされたあと行方不明になった7歳の男の子が、3日、6日ぶりに保護されたことを受け、警察は、心理的虐待の疑いがあるとして児童相談所に通告しました。今後、児童相談所が両親などから話を聞いて調査を進めることになります。
先月28日、北海道七飯町の山林で、北斗市に住む小学2年生の7歳の男の子が「いたずらをしたことへのしつけのため」として両親に車から降ろされたあと行方不明となりましたが、3日、およそ6キロ離れた自衛隊の演習場で6日ぶりに無事、保護されました。
警察によりますと、男の子は、行方不明になった日の夜から保護されるまで演習場内の休憩施設にいて、水道の水だけで過ごしていたということで、大事をとって病院に入院しています。
男の子が保護されたことを受けて、警察は、心理的虐待の疑いがあるとして函館児童相談所に通告しました。今後、児童相談所が両親などから話を聞いて虐待に当たるかどうか調査を進めるほか、警察も男の子の退院を待って詳しいいきさつを調べることにしています。
【ジュネーブ=原克彦】スイスが5日実施した国民投票で、すべての住民に無条件で毎月一定額を支給する「最低生活保障(ベーシック・インカム)」の導入が否決されることが確実になった。最低生活保障を導入する代わりに年金や失業手当を廃止する提案だったが、財源不足や国民が働かなくなることへの不安が強かったもようだ。
ベーシック・インカムの具体的な支給額は提案の可決後に決める段取りだった。市民運動家らは月額で大人が2500スイスフラン(約27万5千円)、子供は625スイスフランを提唱していた。スイス公共放送は開票の途中経過から8割近くが反対したと予想。賛成派が逆転する可能性はほぼなくなった。
政府は現在の年金や失業手当を充当しても財源が不足すると指摘し、反対するよう呼びかけていた。経済界も働く意欲が大幅に下がるとして強く反対したほか、労組は想定する支給額では収入が減る年金受給者もいるとの理由から反対した。右派、左派とも明確に賛成する政党はなかった。
これに対し賛成派は貧困対策に有効なことや、社会保障の一本化で行政の効率化につながると主張。提唱する支給額は物価が高いスイスでは豊かに暮らせる水準でなく、勤労意欲の低下にはつながらないとしていた。
ベーシック・インカムは失業問題など市場経済の副作用を是正する仕組みとして期待される一方、ばらまき政策に陥る懸念や労働者が働く動機を失うとの批判も多い。資本主義国家では本格的に導入した事例がないこともあり、スイスの投票結果が注目されていた。
直接民主制が浸透したスイスでは10万人の署名が集まれば、国民からの提案を投票に諮ることが決められている。ベーシック・インカムの提案は、制度の実現よりも問題提起を目指した面もある。所得を巡る案件では2014年に時給22スイスフランの最低賃金を設ける提案を否決したことがある。
5日の国民投票では、公共サービスの改善に向けて通信会社スイスコムなど政府系企業を非営利にする提案の賛否も問われたが、反対多数で否決される見通しだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H2U_V00C16A6FF8000/?dg=1
こんな政治家だから、いつまで経っても拉致問題を解決できないのだ。
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与党過半数 できねば退陣かの問いに 首相「何としても獲得」[NHK]
6月4日 18時42分
安倍総理大臣は、熊本県益城町で記者団に対し、来月の参議院選挙で目標とする自民・公明両党で改選議席の過半数を獲得できなかった場合に退陣するのかと質問され、「過半数を獲得することで頭はいっぱいだ」と述べるにとどめました。
この中で安倍総理大臣は、来月投票が行われる参議院選挙について、「まさにこの選挙は、しっかりと力強く前に進んでいくのか、あるいはまたかつての民主党政権時代のような混乱の状況に戻ってしまうのか、それを決める選挙だ」と述べました。
そのうえで安倍総理大臣は、記者団が「目標とする連立与党で改選議席の過半数を取れなければ退陣するのか」と質問したのに対し、「何としても与党で過半数を獲得する。まさにそのことで頭は今いっぱいだ」と述べるにとどめました。
また安倍総理大臣は「消費税率の引き上げを2年半延期する以上、10%に引き上げ時に予定をしている社会保障の充実、拡充のすべてを行うことはできない。アベノミクスを一段と加速することによって、新たな果実を得て、優先順位を付けてできるところからやっていきたい」と述べました。
任期満了に伴う沖縄県議選(定数48)は5日投開票され、米軍普天間基地(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する勢力が過半数を占めた。米軍属による女性遺棄事件を受け、県内の反基地感情が高まったことが響いた。
辺野古移設に反対する翁長雄志知事は県議選の結果を受けて政府への対決姿勢を強めるとみられ、政府と県との和解協議や7月の参院選にも影響を与えそうだ。
13選挙区に71人が立候補し、無投票当選が決まった名護市選挙区(定数2)を除く12選挙区で69人が争った。投票率は53.31%。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS05H2W_V00C16A6MM8000/?dg=1&nf=1
第22回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)は31日、2日間の日程を終えて閉幕した。対談に登壇したマレーシアのマハティール元首相は、南シナ海を巡る領有権争いについて「解決のためには対話を継続することが重要だ」と強調した。モンゴルのプレブスレン外相は、核開発を加速する北朝鮮の問題に積極的に関与していく考えを述べた。
海上輸送の要衝の南シナ海では、中国が領有権を主張してベトナムやフィリピンなどと対立。偶発的な衝突を避けるため、東南アジア諸国連合(ASEAN)は法的拘束力のある行動規範の策定で中国と合意済みだが議論は進まない。マハティール氏は「規範の採択はまだ実現していないが何年かかっても対話を続けるべきだ」と語った。
中国をけん制するため、米国は「航行の自由作戦」を標榜して艦船などを派遣している。日本経済新聞のインタビューではマハティール氏は「中国の軍事的行動を強めかねない」と批判。域内で解決すべきとして米の積極的な関与には否定的な姿勢をにじませた。
その米国では大統領選で共和党の候補指名が確定したドナルド・トランプ氏が「米国第一」を掲げ、演説などで保護貿易主義をあおっている。
マハティール氏はインタビューで、トランプ氏の方針はアジアとの関係になじまないとし、米国が内向き姿勢に傾けば「米国にもアジアにも利益にならない」と述べた。
仮にトランプ氏が大統領に就任した場合は「アジアと米国の関係に良くない影響が出る」と断言。ただし「トランプ氏はできることとできないことに関し、周囲の助言を聞き入れると思う」と予想し、選挙戦でみせている過激な強硬姿勢を修正するとの見方も示した。
モンゴルのプレブスレン外相は講演で、北朝鮮問題について「平和的に解決できるよう支援する」と強調した。モンゴルは日本と北朝鮮の双方と友好的関係にある。日本人拉致問題の進展にも協力しており、2014年には日本と北朝鮮の当事者が首都ウランバートルで面会するお膳立てをした。双方との太いパイプを生かして「仲介者の役目を続ける」と語った。
インタビューでは「北朝鮮は核開発をやめるべきだ」と語り、核問題で孤立する北朝鮮とは、友好関係を生かしつつも一定の距離を置く姿勢をにじませた。
スリランカのアムヌガマ特別プロジェクト相はインフラ整備をテーマとした討論で「大規模な港湾都市建設を進めて海運のハブを目指したい」と表明した。
[日経新聞6月1日朝刊P.1]
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北朝鮮問題、仲介続ける モンゴル外相 ルンデグ・プレブスレン氏
アジアは様々な問題を抱えている。環境問題や自然災害、水・エネルギーの不足、感染症などの問題で海洋上の領有権争いにも深刻な懸念がある。宗教間の対立や過激思想も広がっている。サイバー攻撃やテロリストによる化学兵器、核兵器の使用の可能性も新たな脅威になりつつある。各国と連携して解決方法を見いだしていきたい。
モンゴルはこれまで様々な対話の枠組みを提案してきた。各国が対話に参加するよう促し、問題解決で協力している。北朝鮮を含む多くの国と友好関係を維持している国として、独自の貢献を果たしたい。アジアにおける緊張を和らげるためには、国同士の不信感を取り除くことが欠かせない。定期的に話し合いを続けていく必要がある。
北朝鮮問題では平和的に決着できるよう支援していく。モンゴルは北朝鮮の核開発を巡る6カ国協議に参加していないが、日本や米国と北朝鮮の2国間協議の仲介役を担ってきた。今後もその役目を続けていく。
昨年の「アジアの未来」で提案した新たな国際対話の枠組み「フォーラム・オブ・アジア」も前進させる。すべてのアジアの国が参加し、相互信頼を深める仕組みだ。共通の課題を議論し、安全保障面で協力する枠組みをつくることで、共通の脅威に団結して対処できるようにする狙いだ。市民や研究者のレベルで交流を始め、各国政府を巻き込んでいきたい。
アジアが抱える課題が世界から注目を集めているのは、世界経済におけるアジアの重みが増しているからだ。2015年末にはAECが立ち上がり、日本とモンゴルの経済連携協定(EPA)が近く発効する。世界がアジア経済の動きを注視するなか、様々な経済統合を一段と進めていく必要がある。
[日経新聞6月1日朝刊P.8]
先進諸国で「長期停滞」から頭一つ抜け出す可能性を秘めている国は日本とドイツくらいだろう。
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技術革新の恩恵受けるには 経済開放・市場主導が必須
「長期停滞」にも終わりあり
リー・ブランステッター・カーネギーメロン大学教授
経済的展望を巡り重度の悲観論が広がっている。グローバル金融危機は終息したが、待ち望んでいた持続的な力強い景気回復は訪れていない。
ロバート・ゴードン米ノースウエスタン大教授は、著書「米国の成長の盛衰(The Rise and Fall of American Growth)」で、21世紀のイノベーション(技術革新)には、過去の偉大な発明ほど経済成長のけん引を期待できないと指摘。ローレンス・サマーズ米ハーバード大教授も、今や人類は「長期停滞期」に入っており、世界経済の低成長は恒久的に続くと警告する。
もっとも「長期停滞」という概念を発明したのはサマーズ氏ではない。アルビン・ハンセン・ハーバード大教授が1938年の講演でこの言葉を使った。かつて米国の経済成長は広大な未開拓地、高い人口増加率、技術分野での重要なイノベーションに長く依存してきたが、30年代には未開拓地はなくなり、人口の伸びが減速する一方で高齢化は加速、技術進歩のペースも衰えてきたという。未来への希望の余地は乏しく、悲観的になるべき理由が多々あるとハンセンは考えた。現代の経済学者はまさに彼の見方を踏襲して用語まで借用している。
だが21世紀の今では、ハンセンの懸念は杞憂(きゆう)だったことがわかる。第2次世界大戦後、米国は過去に例のない生産性の急伸と繁栄を謳歌した。欧州と日本は誰も予期しなかったような速いペースで復興を果たした。日欧の起業家と発明家によるイノベーションと製品開発は、戦後数十年の間に西側諸国の生活水準を大幅に押し上げた。
この黄金時代は70年代に突然の終わりを迎えたようにみえた。20世紀の偉大な発明の効果が薄れ始め、特に米国では生産性の伸びが大幅に落ち込んだ。ロバート・ソロー米マサチューセッツ工科大名誉教授は、情報技術の普及にもかかわらず、80年代半ばを過ぎても生産性の伸びが低水準にとどまっていることを懸念した。「コンピューターは至るところにあるが、生産性統計にだけは出てこない」という87年の発言は有名だ。
しかし今では、ソロー氏も間違っていたことが証明された。あの発言から数年後には、ソロー氏が至るところでみた情報技術投資により、50年代、60年代に劣らない力強い生産性の伸びが実現したからだ。
産業の歴史をひもとくと、生産性が急激に伸びる時期の後に、大幅に鈍化する時期が訪れるパターンが繰り返されてきたことがわかる。イノベーションというものが着実で安定したプロセスではなく、不確実で曲折の多いプロセスであることに由来する。
現在開発中の多くの有望な技術のうち、どれが全く新しい産業を創出し人類の新たな可能性を切り開くのか、前もって見定めるのは極めて難しい。また、例えば今日のようにグローバル経済が低迷し、生産性の伸びが鈍化する時期に入ったとみられる場合、いつどのようにそれが終わるのかを知ることも困難だ。
とはいえ過去2世紀の産業史を振り返れば、「長期停滞期」がいずれ終わることを示す事例が豊富にみられる。いつの時代にも、人間の創意工夫が裾野の広い新技術を生み出し、生産性の急伸期を導いてきた。教育、研究、開発の種をまき続ける限り、いずれは革新的技術という収穫が得られると期待してよい。ただし辛抱強さが求められる。産業史には、種をまく時期と刈り取る時期があるからだ。
経済が不振の時期には、かつては成長を実現したが今となっては役に立たないようにみえる政策を放棄したくなるものだ。だが経済への市場志向型アプローチは、長い時間をかけて価値が実証される。
このアプローチではあらゆる社会階層への良質な教育の提供、経済運営に必要なインフラの構築、知的財産権を含む財産権の強化、基礎研究の支援など、政府に果たすべき重要な役割がある。同時に政府は、科学技術を製品として具現化するプロセスを民間に委ねなければならない。
政府が役割を果たすとともに、開かれた経済の実現に強い意欲を示し、国内のみならず国境を越えた財や資本、人材の自由な行き来を促すならば、国内外の新しいアイデアは法的保護、資金援助、商業開発支援の下で、新しい製品や、時には全く新しい産業に結びつくだろう。そして市場が開かれていれば、イノベーションが国外で生まれたとしても、その恩恵を受けられる。
英国の歴史で驚かされるのは、平均的な労働者の生活水準が英国産業の全盛期だった19世紀ではなく、第2次世界大戦後に大幅に向上したことだ(図1参照)。第2次大戦後といえば米国が世界の経済大国にのし上がった時期だ。英国は自国より経済規模が大きく、活況を呈していた米国、日本、ドイツなどから様々なイノベーションを輸入し、自国の成長に結びつけた。
今日の日本では、はるかに速いペースで成長しているようにみえる米経済をうらやむ人が多いかもしれない。だが実際には、労働年齢人口1人当たりの国内総生産(GDP)伸び率は、日本が米国を大きく上回っている(図2参照)。その一因は、日本が国内だけでなく米シリコンバレーのイノベーションにも自由にアクセスできることにある。
経済が不振の時期には、ドナルド・トランプ氏のような扇動政治家が出現し、経済を救うには市場開放型アプローチへの支持を打ち切るべきだなどと主張する。だが生産性の新たな力強い伸びを約束してくれるのは、開かれた経済の維持にほかならない。
産業革命から20世紀末までは世界の産業の進歩はごく限られた人材に依存してきた。英国で起きた第1次産業革命を主導したのは、世界人口のほんの一部にすぎない。電気とモータリゼーションによる第2次産業革命を主導した人材はもう少し多く、技術者や経営者たちだった。それでも世界のイノベーターの大半は欧米人の男性など、一握りの先進国の国民だった。
翻って今日では、インドや中国など人口の多い発展途上国が数百万人の科学者や技術者を教育しており、現代の情報技術のおかげで彼らが日本や米国の優秀で経験豊富なイノベーターとリアルタイムで連携することが可能だ。多国籍企業の研究開発に関する筆者の調査によると、多国籍企業の中国拠点で働く技術者が生み出すイノベーションの質は、その多国籍企業の母国で生み出されるイノベーションに劣らないことがわかった。
新興国でイノベーション能力が高まることは、決して欧米や日本にとって脅威ではない。全く逆だ。それは人材のプールがグローバルに拡大することを意味する。時が来ればこの人材の宝庫から、現世代そして次世代の生活を豊かにするようなイノベーションの次の波が生まれるだろう。
その可能性を現実とするには、貿易、投資、人的移動などの面で開かれた経済を維持することや、市場主導のイノベーションを後押しすることが欠かせない。そうした姿勢を貫くことは現在の状況では代償が大きいようにみえるかもしれない。だが長い目でみれば、払う価値のある代償だということがわかるはずだ。
現在のような景気低迷は、少しも目新しいことではないし、永遠に続くものでもない。いますべきは、種をまき続け、辛抱強く勇気を持って見守ることだ。やがて時が来れば、刈り取ることができる。
○生産性の急伸期と大幅鈍化期は繰り返す
○国境を越えた財、資本、人材の往来を促せ
○新興国の技術革新は欧米や日本にプラス
Lee Branstetter ハーバード大博士(経済学)。専門はイノベーション、東アジア経済
[日経新聞6月1日朝刊P.29]
「日本はもっと活力のない国になる、子どもに割くお金はない:それはウソ、社会保障財源を消費税増税の人質にしているだけ」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/234.html
「民進 岡田代表 自民参院選公約は財源が不明確:書生レベルの岡田民進党では自民党に立ち向かうのは困難」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/233.html
「安倍首相記者会見:延期は公約違反:できる限り長く延期との考えも:解散も俎上:参議院選7月10日投票過半数61議席目標」
「消費税:民進党古川代議士「予定通りに上がるほうがサプライズ」「安倍総理はそもそも消費税を5から8に上げるのもイヤだった」」
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/588.html
「またも「ヘリコプター・マネー」論 日本、危ういタブー接近:ヘリマネは表立って必要ない一方、その実施は銀行に破滅的打撃」
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/400.html
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増税再延期を問う
(上) 出直し改革 覚悟はあるか
安倍晋三首相が再び消費税の増税を延期する。力を欠く個人消費、中国ら新興国の不安といった逆風を受けた判断とはいえ、増税できる環境を整えられなかった首相の責任は重い。弱々しい日本の経済、財政、そして政治への信頼の回復へ時間の空費は許されない。
「再び延期することはない。ここではっきりそう断言します」。2014年11月の安倍首相の言葉だ。この1年半は一体何だったのか。「こんな強い政権で増税できなければ、他ではおよそできない」。小林喜光経済同友会代表幹事の失望はもっともだ。
市場は増税再延期を完全に織り込み、世論調査も増税反対の声が圧倒的に多い。今の景気では増税に耐えられないと多くの人が感じている。アベノミクスで強く経済を押し上げ、先進国で最悪の財政を徐々に立て直す筋書きは大きく狂った。
雇用を筆頭に日本は改善しているが、世界の景気悪化が心配だ。そんな首相の論理はあべこべに聞こえる。日本の成長こそ主要国で突出して低い。国際通貨基金(IMF)は16年の実質経済成長率を0.5%とみる。危機に苦しんだユーロ圏の3分の1だ。
日本が人材や設備を生かして得られる経済の底力、潜在成長力は0.2%程度に下がった。2年半後に本当に増税できる環境を整えるには、今すぐ底力を鍛え直す経済政策を幅広く動員しなければ、間に合わない。
14年秋の増税延期の決定時より条件は苦しい。日本銀行が異次元緩和で買ってくれた「改革への時間」は空回りだった。黒田東彦総裁が引っ張る金融政策は明らかに余力が乏しい。第2の矢の財政は増税延期で年4兆円近い増収が見込めなくなる。大盤振る舞いの財政出動に動く余裕はない。
第3の矢である構造改革の再点火が急務だ。環太平洋経済連携協定(TPP)を迅速に承認して海外の成長を取り込む強い経済・貿易の体制をつくる。外国人材を精力的に受け入れ、働き方改革で女性や高齢者の力を生かす。農業や労働、IT(情報技術)分野の規制緩和で成長源を育てる。全てに真剣に取り組まないと活路は開けない。
日本の財政のゆくえも一段と不明瞭になった。
来春に増税をして名目3%の成長を続けても、20年度に基礎的な財政収支を黒字にする財政健全化目標には6兆円足りない。増税がなければ現実味の乏しい一段と高い成長率を達成するか、別の収入を確保するか、歳出を削る必要がある。東京五輪前の特需で20年度の目標を一時的にクリアしても、長続きしない。
消費増税を財源に少子化対策などの社会保障を充実する枠組みは事実上壊れた。高齢世代の増加で医療費や介護のコストは膨らみ、金利低下で公的年金の運用も苦しくなる。崩れる負担と給付のバランスにメスを入れずに社会保障制度を維持するのは一層困難になる。
それなのに与党も野党も「社会保障の充実」ばかりを唱える。財源のひとつと見込まれるのは、日銀のマイナス金利政策で市場金利が下がることで浮いた国債の利払い費だ。みんなが痛みに鈍感になっている。
デフレ脱却の遅れで日銀が打つ苦肉の金融政策。副産物である利払い費の軽減を恒久的な支出にあてるのは、将来世代にツケを回す禁じ手にほかならない。
増税延期は甘えの政策を許す露払いではない。摩擦やあつれきを恐れずに改革を進め、将来に安定した経済と財政を引き継ぐ覚悟があるのか。「アベノミクスのエンジンを最大限にふかす」と力説する首相に問いたい。
(編集委員 菅野幹雄)
[日経新聞6月2日朝刊P.1]
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(中) 民力高める工夫はいつ
「風がやんで等身大の姿に戻った」。先月、2017年3月期に4割もの営業減益になると発表したトヨタ自動車の豊田章男社長は記者会見でこう語った。
3年半にわたるアベノミクス。金融緩和に伴う円安の進行は企業活動に「追い風参考記録」(豊田氏)ともいわれる特需をもたらした。
政府は法人税の実効税率も下げ、産業界が窮状を訴えた「6重苦」はかなり改善した。だが、アベノミクスは企業の創意工夫を生かす規制緩和や構造改革の勢いが不十分でもあった。
企業の資本効率を示す自己資本利益率(ROE)。安倍晋三政権になる直前の12年6月末は上場企業平均(金融除く株式時価総額で上位1千社)が5%弱にとどまっていたが、15年12月末には政府が「最低ライン」と言及した8%弱に改善した。だが欧米企業にはなお見劣りし「上昇分は円安と過去3年間の法人実効税率の引き下げ要因が大きかった」とSMBC日興証券の圷正嗣株式ストラテジストは指摘する。
伸び悩んだ原因は何か。同社の分析によれば、「人手不足で人件費が高止まりし、企業再編の停滞から過当競争も続いて販管費が低下しなかったため」(同)だという。
昨年起きた東芝の会計不祥事も元をたどれば企業再編の遅れが背景にあった。不採算事業を抱えつつ、問題解決を先送りする企業がまた現れるのは避けたい。企業が姿勢を正す一方で、再編を嫌がる会社や従業員をその気にさせるようなインセンティブを政府も考えてはどうか。「事業を売ったら法人税を減らすなどの制度があれば再編の起爆剤になる」と投資ファンド、KKRジャパンの平野博文社長はみる。
シェアリングエコノミーや「インダストリー4.0」といわれるような新しい経済への対応もまだ足りない。
民泊の予約仲介サイトを運営する百戦錬磨(仙台市)の橋野宜恭最高財務責任者は「政府の対応が各国に比べて遅い」と話す。民泊では規制緩和を待たずに事業を本格化している企業も少なくなく、「順法意識から政府の法整備を待つ企業が割を食っている」という。
アプリで車の相乗りを仲介する米ウーバーテクノロジーズ。先月から自家用車で人を運ぶサービスを始めたが、認められたのは公共交通機関の空白地帯である京都府内の一部だ。タクシー業界の警戒感が強く、政府の対応もやはり後手に回る。
民泊も相乗りも世界では成長産業だ。米国では株式未公開ながら斬新な発想で企業価値を10億ドル以上に拡大した「ユニコーン」と呼ばれる企業群が勃興している。代表例が民泊のエアビーアンドビーやウーバーであり、時価総額世界一を競うアップル、グーグルなど既存勢力を脅かす存在だ。
日本でもそうした企業が次々に誕生し、新陳代謝を起こせば、稼ぐ力が増す。解雇規制や労働時間規制の見直しなども併せて進め、生産性の低い分野から高い分野に人材を移すような雇用改革にもつなげたい。
日本の企業には将来の成長に向けた原資がないわけではない。上場企業の手元資金はアベノミクス前後で3割以上増え、100兆円を超えた。
ためるだけでは経済は活性化しない。政府が必要な成長戦略や構造改革を進めたうえで企業も技術革新につながる研究・開発や消費を促す賃上げ、投資を進める。
手をこまぬいている余裕はない。消費税率を10%に引き上げる19年10月まで40カ月。それまでに生産性を向上させ稼ぐ力を伸ばさなければ、増税への道筋は整わない。
(編集委員 中山淳史)
[日経新聞6月3日朝刊P.1]
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(下) 「経済最優先」の旗は本物か
消費増税の再延期を決め、安倍政権の幹部には達成感が漂う。「景気の先行きを心配する経営者らの声に応えることができた」。だが社会保障制度などへの国民の将来不安には、どう応えていくつもりだろうか。
安倍晋三首相が2度目の増税延期に動く過程で、与党議員の関心は経済財政政策よりむしろ選挙戦略に向けられた。
「首相が増税延期の表明とセットで衆院を解散する噂がある。7月は衆参同日選になる」。1月初旬に通常国会が召集されると、与野党でささやきが一気に広がった。
首相は2014年秋に消費税率の10%への引き上げを17年4月まで1年半延期すると表明し、衆院解散に打って出て大勝した。同日選は「二匹目のどじょう」を狙う構想だと受け止められた。
だが増税を再延期する今回の決断はいくつかの矛盾をはらんでいる。
首相は1日の記者会見で有効求人倍率や賃上げなどのデータをあげ「アベノミクスは順調だ」と言い切った。増税延期の主な理由は「中国など新興国や途上国を中心とする世界経済の大きなリスク」と説明した。野党からの失政批判に反論するため、海外に責任転嫁した印象がぬぐえない。
衆院解散・総選挙を最終的に見送ったのは「参院選単独でも与党は勝てる」との見立てに加え、4月に熊本地震が起きた影響が大きい。
同日選の可能性をぎりぎりまで探った結果として与野党は浮足だち、環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案や雇用の規制改革を含む労働基準法改正案などの成立が難しくなった。
首相が重要な政策課題について自らの責任で判断し、指導力を発揮するのは重要である。しかし国会の会期末になって増税延期を表明し、与党内の調整や国会審議を軽視して選挙になだれ込む進め方は強権的だといわれても仕方ない。
増税の再延期により12年の民主、自民、公明3党による「社会保障と税の一体改革」の合意はさらに空洞化する。
新たに設定した19年10月の税率10%への引き上げは、18年9月末の安倍自民党総裁の任期切れより先になる。消費増税の方針を誰が引き継ぐのかは極めて不明確だ。
7月の参院選は3年半を経た安倍政権の経済運営への評価が大きな争点となる。アベノミクスは円高是正や株高で日本経済を立て直す時間をもたらしたが、まだ十分な成長力の底上げにはつながっていない。
首相は「経済最優先」の旗を掲げてきた。だが増税先送りだけで力強い個人消費や設備投資が戻るわけではない。「安倍1強」といわれる政治資産を何のために使うのかが問われている。政策の優先順位を明確にし、成長戦略や社会保障改革に本腰を入れるべきだ。
民進党は増税延期を容認する一方で、社会保障の充実策は予定通り実施するよう訴える。2年間の財源は赤字国債の発行でまかなうという。
成長力が鈍化して難しい課題が増えた先進国では、痛みを伴う政策を避け、大衆に迎合する政治の空気が強まっている。日本もポピュリズムのわなに落ちる懸念がないとは言い切れない。
今回の参院選は18歳と19歳が新たに選挙権を得る。与野党は「次の世代」にどういう日本を引き継ぐのかという具体案をこれまで以上に積極的に競い合ってほしい。
(編集委員 坂本英二)
[日経新聞6月4日朝刊P.1]
14年4月の8%への増税も、10年に菅元首相が消費税増税の口火を切った当時の経済環境とは異なり円安基調に転換していたため悩みに悩み、おそらく、TPPなどFTP・EPA交渉に絡む関税引き下げ問題を考慮して実施に踏み切ったのだろう。
(これは、安倍首相の“苦悩”というわけではなく、財務省の“苦悩”でもある)
何度も書いてきたが、消費税税率引き上げは、財政健全化や社会保障精度の持続性確保とは無縁の政策である。
消費税増税は、円安に似た輸出企業の国際競争力アップと関税に代わる国内事業者保護強化(消費税税率は実質的に関税:ただしグローバル企業は負担を免れる)として政策化されたものである。
消費税税率が10%になるタイミングで複数税率(俗に言う「軽減税率」)を導入し、軽減税率を適用する商品のなかに宅配新聞を含めたことで、新聞社やテレビ局(ほとんどが新聞社系列)そして創価学会・公明党は、鼻先にぶら下がった人参をできるだけ早く食べたいと思っているので、同じく税的利益が増大することになるグローバル企業(日本経団連加盟社中心)ともども、消費税税率を確実に早期に10%へと引き上げることを願っている。
消費税(付加価値税)は、国内専業事業者が稼いだ(国民から)儲けの一部を税制を通じてグローバル企業に“再分配”するシステムである。複数税率(軽減税率)制度は、そのような政府による詐欺的利益供与を国内特定事業者に拡大するものなのである。
たとえ経済成長が軌道に乗ろうとも、悪性インフレで否応なく増税を必要とするようになろうとも、このような国家詐欺的消費税の増税に委ねようという政策は、日本を衰退に向かわせる最悪の政治的選択である。
※関連参照投稿
「消費税:民進党古川代議士「予定通りに上がるほうがサプライズ」「安倍総理はそもそも消費税を5から8に上げるのもイヤだった」」
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/588.html
「日本はもっと活力のない国になる、子どもに割くお金はない:それはウソ、社会保障財源を消費税増税の人質にしているだけ」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/234.html
「消費税軽減、財務省案に反対 新聞協会声明、新聞に軽減税率を:財政危機を煽る一方、己の消費税特権は要求する恥ずべきメディア」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/178.html
「軽減税率「必要」74% 内閣支持41%、不支持と拮抗:数値の真偽はともかく自分の首を絞める「軽減税率」を支持する愚」
http://www.asyura2.com/15/senkyo195/msg/749.html
「軽減税率、攻防再び:公明山口代表 新聞や書籍も対象にすべき:生活の党ならライフライン(水道電気ガス)を優先するはず」
http://www.asyura2.com/15/senkyo195/msg/150.html
「混迷する「軽減(複数)税率」問題を考えるための基礎的理解」
http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/707.html
「安倍首相(財務省)が消費税増税を延期するワケ(その1)」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/757.html
「安倍首相(財務省)が消費税増税を延期するワケ(その2)5兆円規模の「経済対策」や2兆円規模の「法人減税」の有効性」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/770.html
「消費税増税政策(その3):消費税増税後の日本の姿」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/780.html
「首相、消費税8%方針表明…閣議で正式決定へ:アホな決定がそのままなら日本経済は奈落に向かうことになる」
http://www.asyura2.com/13/senkyo154/msg/455.html
「安倍首相記者会見:延期は公約違反:できる限り長く延期との考えも:解散も俎上:参議院選7月10日投票過半数61議席目標」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/153.html
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アベノミクスの傷隠す
海外要因に転嫁 課題は成長戦略
安倍晋三首相は1日の記者会見で、消費増税を再延期する理由について「世界経済が危機に陥るリスクを回避する」と説明した。だがその裏には、自身の経済政策「アベノミクス」が足踏みしている現状への危機感が透ける。衆参同日選を見送り、増税時期を2018年9月の自民党総裁任期を越えて設定したことにどんな狙いがあるのか。首相の発言から新たな政権戦略を読み取る。
「率直に言ってリーマン・ショック級の事態は発生していない。公約違反との批判も真摯に受け止める」
首相は14年11月の増税延期時に「再び延期することはない」と述べ、「リーマン・ショックのような重大事態でなければ確実に増税する」と繰り返してきた。この過去の発言との整合性をどうとるかが課題だった。
首相が選んだ再延期の理由は、世界経済が危機に陥るリスクへの国際協調だった。5月26〜27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言で「危機へのリスク」「あらゆる政策をとる」ことを確認し、国際的なお墨付きを得た。首相は会見で「これまでの約束とは異なる新しい判断だ」と強調した。
しかし、こうした海外要因には与党内でも「延期理由には弱い」(閣僚経験者)との声が多い。
「内需を腰折れさせかねない」
首相はこうも言及した。増税延期の本音は、政権の求心力の源泉であるアベノミクスが足踏み状態にあることだ。首相は前回の延期時に「3本の矢を前に進め、必ずや(増税の)経済状況をつくりだす」と語った。だが3本目の矢である成長戦略は力不足で、景気の好循環はつくりだせていない。増税をすれば景気が失速し、デフレからの脱却がさらに遠のく可能性がある。
「できるだけ長く延期すべきだと考えた。しかし、20年度の財政健全化目標を堅持するギリギリのタイミングだ」
延期幅が2年半になったのはなぜか。首相周辺は「景気回復に1年では短い。最大限延ばすにはそれしかない」と語る。首相の自民党総裁任期は18年9月。延期幅が1年だと任期切れ直前に消費増税による景気の下振れリスクを抱える。
一方で政権は20年度にプライマリーバランスの黒字化目標もある。目標を堅持するには遅くても19年度中に増税する必要があり、延期幅が3年だと間に合わない。政権内では当初、2年の延期幅が検討されていたが、19年は春に統一地方選、夏に参院選がある。選挙への影響を避け、19年10月への延期が決まった。
「頭の中を解散がよぎったことは否定しない。今の段階では解散の『か』の字もない」
増税を総裁任期後にしたことで党内には「無責任」との声や、「首相が『自分が増税する』と総裁任期を延長する布石では」との指摘がある。
首相は参院選後に内閣改造に踏み切り、9月下旬にも召集する臨時国会で16年度第2次補正予算案を提出して経済成長をめざす。経済の好循環を生み出せれば高水準の内閣支持率を維持して党内の求心力を保てる。さらに衆院解散・総選挙で勝利すれば任期延長の芽も出る――与党内にはそんな見方もある。
秋の臨時国会は、消費増税を再延期する関連法案、第2次補正、環太平洋経済連携協定(TPP)の承認と、日程は窮屈だ。今秋に解散に踏み切れば「なぜ夏に同日選で増税延期の是非を問わなかったのか」との批判が上がる可能性もある。首相周辺では、1月の通常国会冒頭の解散の可能性も取り沙汰されている。
一方、増税延期という絶好の解散の大義を手放したことで、政府・与党内には「このまま解散できなくなるのでは」との見方もある。「解散カードがない」と見られれば首相は求心力を失いかねない。
「アベノミクスのエンジンを最大限吹かす」
首相は「アベノミクスはまだまだ道半ばだ」と指摘した。今後の政権運営も解散戦略もアベノミクスの成否にかかっている。
[日経新聞6月3日朝刊P.2]
「原発の安全、立場の違い浮き彫り 高浜再稼働差し止め:司法を使って脱原発の動きを見せた安倍政権」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/249.html
「<高浜原発>3、4号機再稼働差し止め 福井地裁、仮処分:司法の独立性が希薄な日本では政権の意思とも...」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/229.html
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高浜1・2号機「合格」へ 老朽原発、初の運転延長 規制委審査
原子力規制委員会が運転開始から40年を過ぎた関西電力高浜原子力発電所1、2号機(福井県)について運転延長を認める見通しになった。報道官を務める松浦克巳・原子力規制庁総務課長が31日、明らかにした。運転延長が認められるのは初めてで、他の老朽原発の延長審査にも影響しそうだ。
東京電力福島第1原発事故後、原発の運転期間は原則40年となった。規制委が認めた場合は最長20年間延長できる。老朽原発の再稼働には、新規制基準に基づく安全審査のほか、設備の詳細な設計を記した「工事計画」、老朽化による機器の影響を検証する延長審査の3つで合格することが必要になる。
高浜1、2号機は4月に安全審査に合格。工事計画の審査は最終段階で、規制委が近く認可する見通しだ。運転延長に関する主要な審査も2日に終える見込み。6月中にも延長審査に関する事実上の合格証に当たる「審査書案」をまとめる。
審査の期限となる7月7日までにすべての手続きが終わる見込み。ただ、関電は大規模な安全対策工事を予定しており、再稼働は2019年秋以降になる。関電は美浜3号機(福井県)でも運転延長を目指しており安全審査が大詰めを迎えている。
[日経新聞6月1日朝刊P.1]
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老朽原発の延長審査 3つの関門クリア必要
▽…東京電力福島第1原子力発電所事故後、原子炉等規制法によって、原発の運転期間は原則40年に決まった。延長するには、原子力規制委員会による3つの審査を経る必要がある。(1)安全審査(2)設備の詳細な設計を記した工事計画の認可(3)機器が60年の運転に耐えられることを示す延長審査――だ。すべてに合格すれば、1回だけ最長20年間、運転を延長できる。
▽…延長に向けたハードルは多い。まず安全審査では、福島事故の教訓を踏まえた新しい規制基準に対応した地震・津波対策などの強化が必要になる。老朽原発の多くは可燃性の素材の電源ケーブルを使っており、追加の安全対策が求められる。延長審査では原子炉などの重要設備を点検して劣化がないことを証明し、規制委の確認を受ける必要がある。
▽…基本的には運転開始から40年たつまでに延長手続きをすべて終える必要がある。ただ関西電力の高浜1、2号機(福井県)については、新制度が導入された2013年7月8日の時点で40年が迫っていたため、3年間の猶予が与えられた。
[日経新聞6月1日朝刊P.3]
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「40年原発」延長に弾み 高浜1・2号機運転延長、関電の収益改善へ
稼働から40年を過ぎた関西電力高浜原子力発電所1、2号機(福井県)は、老朽原発として初の運転延長となる。順調に進めば2019年にも再稼働し、関電の収益への貢献が期待される。政府が目指す最適な電源構成(ベストミックス)の実現も一歩近づく。半面、東京電力福島第1原発事故後に導入された原則40年の運転期間のルールが形骸化する恐れもある。
関電は原発を「経済性のある電源。安全の確認された原発は再稼働したい」(八木誠社長)とし、経営改善の柱に位置付ける。高浜1、2号機の再稼働による収益改善効果は1カ月約90億円と試算する。
関電は16年3月期連結決算が最終黒字となった。しかし燃料安が続くとは限らず、今後の収益環境は不透明だ。今年4月に策定した中期経営計画では管内の原発の大半を再稼働させるとし、10年後の経常利益は3千億円以上を目標に掲げる。
高浜1、2号機は他の老朽原発の審査のひな型になりそうだ。関電美浜3号機(福井県)は夏にも規制委の安全審査に合格する見通しで、11月末までに運転延長に必要な手続きの完了を目指す。
一方、四国電力が今年5月に伊方1号機(愛媛県)を廃炉にした。電力各社は巨費を投じてまで延長を目指すのか、費用対効果を見極めている。
老朽原発の再稼働は日本のエネルギー政策も左右する。政府は原発を、安定的に電力を供給する基幹電源と位置づけている。30年度時点の望ましい電源構成では全電源に占める原発の割合を20〜22%とした。
達成には国内に40基余りある原発のうち30基程度の稼働が前提だ。だが運転期間を原則40年に限る制度を厳密に運用すれば、20基程度しか残らない。大半の原発が延長が認められれば制度の意義を問われかねない。
[日経新聞6月1日朝刊P.4]
設備投資が拡大する時期は、生産性が上昇するだけでなく賃金も上昇するので、稼いだ付加価値に課される税率が数%引き上げられても、消費税(付加価値税)支払後の営業利益を増加させることができ、国内専業の事業者も一般消費者もそれほど痛手を被らずに増税を乗り切ることができた。
(一般消費者も、物価上昇率(消費税・付加価値税増税分を含む)よりも高い賃上げを獲得していれば、増税があっても、実質の生活レベルがアップするので許容できる)
しかし、日本を含む主要先進国でマイナス金利政策が採られていることでわかるように、現在の先進国経済は、設備投資の低迷と実質賃金の低下(非上昇)が大きな問題になっている。
このような経済環境で、グローバル企業により多くの利益を供与するために付加価値税(消費税)の税率を引き上げれば、税負担の増加を販売価格に転嫁できないか、売上数量を減少させるかによって、消費税(付加価値税)支払後に残る営業利益を減少させる企業がほとんどになる。
日本は、バブル真っ盛りの1989年に消費税(付加価値税)を導入した。
それは、1985年の「プラザ合意」で飛躍的に高くなった円レートの悪影響を緩和したいという思いで進められたが、成熟期を迎えた日本では適合しない政策だったのである。
バブルの崩壊そのものは避けられなかったと思うが、現実にバブル崩壊の引き金を引いたのは消費税導入だったのである。
(消費税は、稼いだ荒利から返済する借り入れ元本や支払い利子の実質負担を大きくする。100万円の債務返済を行うためには、消費税として徴収される分を考慮して108万円程度の荒利を稼ぐ必要がある。消費税の導入や消費税増税は、借金や支払い利子の負担を一気に膨らませることになる)
何より、付加価値の60%ほどは人件費に支弁されるものだから、手元に残る付加価値が削られる消費税増税は賃金引き下げ圧力となる。
また、直接雇用の人件費は消費税支払後の付加価値を原資としなければならないが、派遣労働者向けに支払う人件費には消費税が課されないので、消費税増税は、派遣労働者の割合を増加させる誘因となる。
90年代から現在に至る非正規労働者の増加には、消費税導入や消費税増税も大きく寄与している。
12年に「社会保障と税の一体改革」と称して消費税増税のために「三党合意」を主導した野田元首相などは、安倍首相の消費税増税延期判断に対し、次の世代のことより次の選挙のことを優先する誤った政策と非難している。
しかし、次世代がきちんと安定した生活をおくれる条件は、財政の健全性ではなく、供給力(経済力)の確保である。
断言するが、供給活動に打撃を与える消費税税率引き上げこそが、現世代の生活をより厳しい困窮に向かわせるだけでなく(というかそれゆえに)、次世代の生活条件をも根底から崩壊させてしまう愚策なのである。
転載する日経新聞の記事は、財務省などが消費税増税にこだわったトーンが貫かれているが、今回の消費税増税延期については財務省幹部も安倍首相と同じ考えである。
その一方で、円高など、いつかまた消費税増税を必要とする(今の時代では錯覚だが)状況がやってくる可能性を考え、「消費税増税は必要!」という洗脳を続けているのである。
※関連参照投稿
「アベノミクスの傷隠す 海外要因に転嫁 課題は成長戦略:消費税増税延期:「軽減税率」でお預けをくらった新聞社の歯ぎしり」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/328.html
「日本はもっと活力のない国になる、子どもに割くお金はない:それはウソ、社会保障財源を消費税増税の人質にしているだけ」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/234.html
「増税再延期を問う:経済成長が軌道に乗ろうとも増税が否応なく必要になろうとも消費税増税は国を衰退させる最悪の選択肢」
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/493.html
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[迫真]決断増税先送り
(1) 際立つ「安倍1強」、火種も
首相の安倍晋三(61)が再び消費増税の延期に踏み切った。伊勢志摩サミット後、わずかな期間で異論を押し切った決断は「安倍1強」を際立たせた一方、今後の火種をのぞかせた。
5月28日夜、首相公邸。副総理兼財務相の麻生太郎(75)は激していた。「消費税は予定通り上げるべきだ」。安倍が首を縦に振らないと畳みかけた。「それなら当然、衆院解散をするんでしょうな。前回増税を延期した2014年は解散した。筋が通らない」。盟友の指摘に安倍は「いや、それは……」と口ごもった。
重苦しい場に自民党幹事長の谷垣禎一(71)と官房長官の菅義偉(67)が加わった。谷垣は「延期なら解散を」と麻生に加勢する。菅が「同日選は公明党が反対だ」と異を唱えると、麻生は「公明党に気を遣いすぎだ」と一喝した。
安倍の面前で、安倍の専権事項である解散権を巡って、政権中枢がやり合う異例の事態。麻生、菅とともに安倍を支えていた前経済財政・再生相の甘利明(66)が抜け、麻生と菅の対立が先鋭化したとの観測も流れた。政権にきしみをもたらしたのは、盟友にさえ耳を貸さない安倍の独走ぶりだ。
□ □
増税延期の調整は官邸のごく一部で進めた。「財務省は信用できない。言う通りに増税していたら大変なことになっていた」。こう漏らす安倍の意を受けたのは首相秘書官の今井尚哉(57)。昨年12月、古巣の経済産業省幹部らと増税延期を理由に同日選に踏み切るシナリオを描き始めた。
悩んだのは「リーマン・ショックのような重大な事態でない限り予定通り増税」としてきた安倍の言葉との整合性だ。「『嘘つき』と言われるのを相当、恐れていた」という安倍は年が明けると側近の一人に「延期するにはどうしたらいいだろう」と相談している。
その「解」になったのが世界経済の変調だ。年明けから円高・株安が進み、2月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が財政出動の必要性を確認すると「米国が日本に消費増税の延期を求めている」との情報が官邸に伝わった。
5月のサミットで財政出動で合意し、延期の理由にする戦略が今井を中心に固まった。「サミット次第だ。それまでに延期の調整を始めたら国会で追及される」と首相周辺は語った。
□ □
官房長官の菅は、パイプのある公明党とその支持母体・創価学会との関係を気にしていた。学会幹部が「同日選なら自民党を応援する態勢はとれない。避けてほしい」と頼んできたからだ。
公明党は軽減税率と消費増税にこだわっていたが、同日選回避の方がはるかに重要だ。菅は増税して同日選を回避する案も模索。「増税延期なら同日選になる。2つはセット。だから増税延期はダメという考えもあった」と菅周辺は解説する。
だが4月中旬の熊本地震がセット論を崩した。与党や安倍周辺から「被災者がいるのに政権の都合で同日選なんてできない」との声が上がった。さらに自民党の参院選情勢調査で単独過半数をうかがえる結果が出た。「参院選で確実に勝つために同日選を」とのダブル論はしぼみ、官邸は与党幹部に「同日選は見送り」と伝えた。
同日選が消え、増税延期と切り離されると、菅は増税延期に動いた。
大型連休明けの5月上旬。首相官邸を財務次官の田中一穂(60)らが訪ねた。「予定通り増税するなら、増税分は全額、当面の消費刺激策に使います」。10兆円規模の経済対策を16年度2次補正予算として組む案だ。
安倍は何も答えなかったが、別途、説明を受けた菅は厳しかった。「よくわかった。今度は増税を延期する場合の経済対策を持って来てくれ」。公明党につながる菅を増税の援軍とみていた財務省は動けなくなった。
菅はこの頃、すでに学会に延期の可能性を示していた。学会には民進党と共産党の連携で「公明党は増税推進と言われる」との懸念が広がり、延期容認論が出ていた。首相周辺も一部の与党幹部に延期を伝達。5月中旬までに学会も「同日選回避なら延期はやむを得ない」と官邸に伝えた。
孤独な決断の重圧は経験者しかわからない。安倍は30日、都内で3時間、麻生と酒を酌み交わした。「俺も首相をやったから孤独なのは分かる。だからこそ何でも連絡してほしい」。こう話す麻生に安倍は「申し訳ない」と口にした。(敬称略)
[日経新聞6月2日朝刊P.2]
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(2)次の世代より次の選挙
増税先送りを首相の安倍晋三(61)が表明した1日夜。首相公邸に幹事長の谷垣禎一(71)ら自民党役員が顔をそろえた。「批判も含め、参院選で審判を受けたい」。安倍がカリフォルニアワインを振る舞いながら上機嫌であいさつすると、出席者の一人は「こういう説明もあるのかな」とつぶやいた。
谷垣らが増税延期を正式に聞いたのはこの数日前。党幹部は「すでに決定事項で議論の余地はなかった」と話す。しかし安倍が早くから増税延期に含みを持たせる中、党側に議論する時間がなかったわけではない。
□ □
2月、安倍から消費増税の先送りを考えていると打ち明けられた首相補佐官の衛藤晟一(68)は、同じ安倍側近の政調会長の稲田朋美(57)に「安倍さんの思いは増税延期ですよ」と伝えた。
稲田が主宰する党財政再建特命委員会。2月の会合で園田博之(74)は「増税から逃げたら社会保障を含め予算を切るしかない。この場で増税の是非を議論すべきだ」と稲田に迫った。だが同調する声は出ず、特命委が増税延期を議論することは最後までなかった。
自民党税制調査会も5月31日、幹部会合を開いたが増税延期は議論しないまま終わった。幹部の一人は「官邸が決めた以上、何もできない」。ポピュリズムに陥らず増税も唱えてきた税のプロの姿はそこにはない。
同じ31日の政調全体会議も、政策決定のあり方には異論が出たものの、増税延期自体には目立った反対はなかった。
理由は単純だ。参院選を控え、増税を訴える選挙は勝てないと肌で感じているからだ。政党交付金と選挙の公認を握る安倍には刃向かえない。だが不満はくすぶる。
「増税を先送りするような安倍政権だ。我々がもっと頑張らなければいけない」。6月1日夜、都内で開いた額賀派会合。消費税を導入した元首相、竹下登を兄に持つ前復興相の竹下亘(69)はこう訴えた。
同じ頃、近くで開いていた岸田派会合では、名誉会長の古賀誠(75)が「首相は芯がない。何をしたいのかわからない」と日本酒を口にしながらぶちまけた。ポスト安倍候補の外相、岸田文雄(58)は受け流したが、出席者から「安倍政権の終わりの始まりだ」「官僚は官邸しか見ていない」と不満が漏れた。
こうした声が公の会議で出ず、遠ぼえにしか聞こえないのが今の自民党だ。自民党会派を離脱した前参院幹事長の脇雅史(71)は「権力に弱く、言論空間としての国会が死んでいる」と話す。
□ □
2月17日の自公党首会談。安倍が「増税はもちろんやります。ただ経済情勢も注視しますが……」と話すと、公明党代表の山口那津男(63)は「経済は生き物ですからね」と応じた。安倍は「山口さんも経済次第で延期はやむを得ないと考えている」と受け取った。
山口は谷垣とともに2012年、社会保障と税の一体改革で消費増税を決めた民主、自民、公明3党合意の当事者。だが前回14年の増税先送りに続き、今回も延期を認めざるを得なかった。痛みを分かち合う時代の政治の知恵とされた3党合意はかすむ。
3党合意のもう一人の当事者が民進党の前首相、野田佳彦(59)だ。野田は2日、参院副議長の輿石東(80)に電話で安倍批判を展開した。「19年まで延期なんて誰も信じません。世界経済のリスクなどと言ったら絶対にできない」。その野田も苦しい立場にある。
「安倍さんは必ず延期すると言いますよ。その前にこちらが表明しないと機会を逸します」。民進党の発足間もない4月上旬、代表代行の江田憲司(60)は代表の岡田克也(62)に促した。
先手を打って延期を表明すれば、安倍が増税する場合、争点にできる。安倍が延期を表明すれば「アベノミクスの失敗」と訴えられる。こう踏んだ岡田は5月18日の党首討論に照準を定めた。
党首討論の前週、野田は岡田から「2年延期を打ち出したい」と相談を受けた。岡田は野田の下で一体改革に取り組んだ間柄だ。野田は不満を抱きつつ「代表の足を引っ張ることはしない」と岡田を立てた。
野田も安倍と同様、衆院解散時の消費税発言を問われる立場にある。解散した12年の記者会見で「民主党は次の選挙より次の世代を考えた候補者がそろう」と話したからだ。自民党の重鎮の一人は嘆く。「今の政治は与党も野党も、次の世代より次の選挙しか考えていない」
(敬称略)
[日経新聞6月3日朝刊P.2]
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(3)凍結でなくてよかった
「東日本大震災やリーマン・ショック級の出来事が起きない限り、予定通り引き上げます」。来年4月に予定した消費税率引き上げを延期すべきだ、と首相周辺から聞こえ始めた春先。次官の田中一穂(60)ら財務省幹部が真意を確かめるたび、首相の安倍晋三(61)は国会答弁で使う決まり文句を繰り返した。
「オレは安倍さんを信じている」。第1次政権で安倍の首相秘書官を務めた田中は周囲に語っていた。そう言いつつも消せない不安を埋めるため、財務省もなりふりかまわぬ姿勢を見せた。
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4月上旬、財務次官室の田中を主計局長の福田淳一(56)、主税局長の佐藤慎一(59)らが囲んだ。内密に話し合ったのは一時的に所得税率を引き下げる大型減税だった。消費増税による家計への負担は4兆〜5兆円と見込まれた。負担増を和らげるために所得税を活用しようという発想だ。
だが所得税は社会の構造変化に対応させる本格見直しに取りかかったばかり。つまみ食いのように減税すれば改革機運に水を差しかねない。省内の一部から「あまりに筋が悪い」と猛烈な反対の声が出て、お蔵入りになった。幹部たちが奇策に手を伸ばすほど財務省は焦っていた。
増税延期ムードが政府内外に広がってからも、表だった抵抗は封じられていた。理由は安倍の言葉にある。「首相が『上げる』と言っているのに役人が『上げるべきだ』と説いて回るわけにはいかない」(主計局幹部)
省内の若手からは「首相の本音が延期だとすれば、財務省は建前しか話してもらえていない。我々は野党と同じ扱いか」とため息が漏れた。
財務省が表向き沈黙を守ったもう一つの理由は、前回の消費増税先送りが決まった2014年秋の“失敗”への反省だ。安倍が「すごい勢い」と表現した財務省の根回しは結果的に不調に終わった。やり過ぎると逆効果かも――。押してダメなら引いてみるといった体の戦術転換だった。
□ □
日銀も相似形の変化を見せた。「政府は財政再建を進めることを約束している」。財務省OBの日銀総裁、黒田東彦(71)は5月末に北海道函館市でインタビューに答えていた。与党が最終調整していた増税先送りにそれとなく懸念を示した。
1年半前に比べるとトーンダウンは明らか。黒田は14年9月の記者会見で「増税しない場合、政府の財政健全化の意思や努力に市場から疑念を持たれる事態が起こると、政府・日銀としても対応のしようがないことにもなりかねない」と強い調子でけん制。増税予定を1年後に控えた10月に追加金融緩和に踏み切った。言葉と行動で増税実施を促したと受け止められたが、安倍には届かず11月に先送りが決まった。
日銀は今回も増税予定を1年後に控えた4月に金融政策決定会合を開いたが追加緩和は見送り。市場の一部で高まっていた期待を裏切る形になり円高が加速した。「円安に支えられたアベノミクス効果に陰りが見える」という景気悲観論に拍車をかける結果を招いた。
黒田がかつて懸念していた増税先送りによる市場の恐怖も鳴りを潜めている。「債券市場はまるでしかばね」(みずほ証券の上野泰也)。マイナス金利政策でゼロ近辺に張り付く長期金利は、増税延期が伝わってもほとんど反応しなかった。
舞台回しは首相官邸が独占した。安倍が5月26日、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で示した「参考データ」。商品相場や新興国景気をリーマン・ショック時と並べ危機のリスクを訴えた。増税延期の布石だ。財務省の国際会議担当が察知したのは開幕の数日前。内閣府幹部は「字体もグラフの作り方も内閣府と違う。誰が作ったのか」と首をかしげた。
ある関係者がコンピューターのデータから資料の経緯をたどると、首相秘書官の今井尚哉(57)が作成に関与した記録に行き着いた。その記録によると、資料の作成が始まったのは大型連休明けの5月11日だった。
財務相の麻生太郎(75)はじめ財務省幹部が官邸を訪れ、内々に消費増税の必要性を説いたのが同10日。この時すでに先送りの流れはできていた。「延期にはなったが凍結にならずによかった」(財務省の課長クラス)。敗北の淵から漏れた安堵感が財務省の今を象徴している。
(敬称略)
佐藤理、中山真、上杉素直が担当しました。
[日経新聞6月4日朝刊P.2]
消費者が電力の購入先を選べる小売り自由化が4月に始まって2カ月が経過した。大手電力からの契約切り替えは103万件強と全契約の1.7%にとどまり、出足は鈍い。料金引き下げの効果が小さく乗り換えに勢いがつかない。電力仕入れコストの高さなどから値下げには限界もあり、自由化で先行する米欧に追いつくには課題が多いようだ。
経済産業省の認可法人、電力広域的運営推進機関は3日、5月末までに契約先を切り替えた家庭は103万5500件だったと発表した。4月初旬は1週間に10万件近いペースで切り替えが増えていたが、5月に入ると週5万件程度にテンポが鈍った。
6000万件を超える大手電力の契約件数と比べるとわずかで、「自由化の恩恵が行き渡っているとはいえない」(経産省幹部)。同省内では契約全体のまず10%程度の切り替えを期待する声があるが、目標到達に数年単位の時間がかかる可能性が高い。
消費者の動きが遅いのは、切り替えても電気料金が大きく下がらないため。新規参入業者の料金プランでは、電気を多く使う世帯でも自由化前の料金と比べた値下げ率は平均5%前後だ。
4月に東京電力エナジーパートナーから東京ガスに切り替えた東京都内の30代の女性は、「多少は下がるが高いことに変わりはない」と不満げ。
プライスウォーターハウスクーパースの調査では、大半の消費者が切り替えを考えるのは値引き率が20%を超えた場合で、300社を超える小売り各社の多くが消費者の食指が動くプランを提示できていない。電気をあまり使わない世帯は切り替えで料金が上がるケースもある。
日本の電力市場は変電所などの送配電部門も含めた完全自由化は2020年の予定だ。小売りを自由化してもインフラは大手電力による地域独占が残る。新規組は大手のインフラに頼らざるを得ず、コスト削減にも限界がある。
1990年代以降、相次いで電力小売市場を自由化した欧米では環境整備が進んでいるところも多い。ドイツでは小売事業者の参入は約1150社に上っており、消費者の選択肢は豊富だ。
米国のある南部州ではウェブサイトで居住地の郵便番号を入力すると200以上のプランを比較でき、1セント単位のギリギリの料金競争も盛んだ。
英独では電力消費全体の半分程度が卸取引所を経由しているのに対し、日本の卸取引所のシェアは2%程度。大手電力が発電設備を囲い込んでいることが、競争が活発になりにくい一因だ。
[日経新聞6月4日朝刊P.3]
「電力切り替え100万件 自由化2カ月、鈍い出足 安値の実感乏しく:電力大量消費家庭か大規模集合住宅でなければメリット少」
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/517.html
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住宅蓄電池、小型・安価に 京セラなど
電気の自家消費に的 大和ハウス系半額90万円
住宅用蓄電池各社が小型・低価格の蓄電池を相次いで発売する。大和ハウス工業などが出資するエリーパワー(東京・品川)は従来品の半額となる90万円以下の小型蓄電池を今夏に販売する。住宅用太陽光発電の余剰電力買い取り制度開始から10年がたつ2019年には売電価格が大幅に下がる見通し。売電目的から自宅で使う用途向けに改良し、需要を掘り起こす。
リチウムイオン電池メーカーのエリーパワーは、容量は2.5キロワット時だが、価格を従来品の約半額にあたる90万円以下に抑えた新製品を発売する。テレビ1台、発光ダイオード(LED)照明2つ、扇風機1台を8時間使える分の電力を蓄えられる。
次世代パワー半導体を使い、同じ容量で約2割小型化したほか、出力を4割高め、同時に使える電気製品の数を増やした。室内設置向けでコンセントのほか、太陽光パネルからの充電もできる。
京セラは17年をめどに、既存品よりも電気をためられる容量が少なく安価な家庭用蓄電池を発売する方針だ。現在販売している7.2キロワット時の電池は使い切れなかった太陽光発電の電気をため、世帯によっては1日の消費分を充電できる。ただ、定価が259万円と高価なのが普及のネックになっている。
京セラは「災害時の停電の数時間だけ持てばいい、という家庭もある。様々な要望に応えられるようにしたい」(戸成秀道マーケティング部責任者)として、容量が少なく安価な電池の開発を進める。
パナソニックは5月、設置面積を小さくした新製品を発売した。戸建て住宅の外壁に沿って設置する電力変換装置で、既存品よりも幅を20センチメートル縮小し、地中に打つ基礎も5センチメートル少ない10センチメートルですむ。都心部の敷地面積が小さい住宅でも使えるようにした。
[日経新聞6月4日朝刊P.12]
安倍首相の右翼に見せる仮面はリベラルな政策を実現するための防波堤であり、アベノミクスが国民生活改善や経済成長に資することがなかったことへの反省を踏まえ、今後は所得再分配政策の強化などリベラルな政策へと舵取りを行うことになる。
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[大機小機]そして首相は何をする
安倍晋三首相が2017年4月に予定していた消費増税の2年半先送りを決めた。衆院解散も見送った。首相にとって、もともと気乗りしなかった消費増税を再び延期するのは想定どおり。誤算は、熊本地震などの影響で、7月の参院選にあわせた衆参同日選ができなかったことだろう。
ダブル選挙には、自民党の集票力をフル回転させ、憲法改正の発議に必要な衆参両院でそれぞれ3分の2の議席を、自公両党など改憲勢力で確保する狙いがあった。悲願である改憲にむけて一世一代の勝負をするチャンスは消えた。
「安倍さん、参院選で3分の2をとれなかったら何をするの?」。永田町や霞が関からは、気の早い声が聞こえてくる。増税から解放された首相が、本気で取り組む課題は何か。それは安倍氏が持つ「3つの顔」のどれが表に出てくるかによる。
一つは理念的な保守政治家の顔だ。従軍慰安婦問題を巡る河野談話の見直しに意欲を示したり、首相就任後に靖国神社に参拝したりしたときの安倍氏だ。だとすれば、参院選後はやはり憲法改正。民進党保守派など改憲勢力の糾合にあの手この手を考えるだろう。保守の枠にはまらないかもしれないが、北方領土や北朝鮮による日本人拉致問題の解決も優先課題になる。
安倍氏には、意外と現実主義者の顔もある。従軍慰安婦問題で「おわびの気持ち」を表明した昨年末の日韓合意などがそうだ。靖国神社にも一度参拝したきりで「毎年参拝」にこだわった小泉純一郎元首相とは違う。こちらの顔が前面にでれば「政権運営に最も必要なのは脱デフレにむけた経済再生」に落ち着く。
気になるのは、ときおり安倍氏がみせる昔ながらの自民党政治家の顔だ。かつて郵政造反組の議員を復党させて言った言葉は「おかえりなさい」だった。優しさがあだになって非情になれない。選挙優先で業界団体への配慮がちらつく。アベノミクスのカギを握る規制改革がいまひとつ、迫力がないのはこのためだ。
衆参同日選をしても両院で3分の2を超す保証はなかった。それでも解散を探った理由を、ある自民党議員は「安倍さんは選挙好きでケンカ好きだから」と言っていた。ケンカならデフレを相手に思う存分、やればいい。
(ペン尻)
[日経新聞6月4日朝刊P.17]
首相が「衆院解散は頭の片隅にもない」と言えば、じゃあ頭のど真ん中にあるのかと裏読みする。「解散の『か』の字も考えていない」と繰り返せば、ますます怪しいと思う。永田町は駆け引きと権謀術数が渦巻く世界である。
前回の衆院選から1年余りで衆参同日選が浮上したこと自体が驚きだった。最終的に消費増税の再延期の是非は7月の参院選で国民に信を問う方向になった。それでも安倍晋三首相は年末から来春にかけた衆院解散の可能性をまだ捨てていないように見える。
そもそも季節はずれの解散風がここまで吹き荒れたのはなぜだろう。
ベースにあるのは「今なら勝てる」という自民党内の空気だ。衆院の1回生議員は3月にこう語った。「参院選に向けて各種団体との会合を全部セットした。もし衆院解散になってもタスキをかけて参院候補の横に並ぶだけで済む。この際、同日選がいい」
大した争点もなく、何度も衆院を解散されてはたまらない。参院選だけでも経費が約600億円。衆院選は約700億円かかる。野党も容認する増税延期への民意をあえて同日選にして聞く必要はなかった。
首相の狙いは微妙に変化した。最初は憲法改正の発議に必要な3分の2の勢力を参院でも確保する「勝つための同日選」。しかし情勢はそう甘くなかった。次は衆院議員をフル稼働させて参院の議席を底上げする「負けないための同日選」。自民党関係者は2つの分析結果が解散断念の決め手になったと話す。
「衆院選は現有290議席を20前後減らしかねない。参院選の上積み効果は予想ほど大きくない」
「参院選は単独でも改選50議席から1割程度の上積みが期待できる」
同日選で相乗効果を上げるには後援会の組織力が前提だ。党幹部は「当選1〜2回の衆院議員の地元での活動ぶりはほとんどが落第点だ」と顔を曇らせた。
与党が僅差で勝った4月の衆院北海道5区補選は無党派層の7割が野党候補を支持。過去の同日選は投票率が高く無党派層の投票が増えたが、それは自民党に有利でないことが分かった。熊本地震も解散見送りのダメを押した。
景気回復の足取りは重く、3月に発足した民進党と共産党の話し合いで野党共闘はかなり進んだ。与党が最小のリスクで選挙に勝てる構図は変化している。
それでも首相が早期解散を模索するのは、長期政権への戦略が絡んでいる。首相周辺は「2020年7月の東京五輪・パラリンピックの開会式は誘致に成功した安倍首相にぜひ現職として出てほしい」と語る。
首相は18年9月に自民党総裁の任期が切れ、3選はできないルールだ。党則を改正するには高い支持率を維持したまま、18年の総裁選前後に衆院選の日程を重ねて続投への党内の期待感を膨らませる必要がある。
18年に解散する戦略の自由度を高めるには、その前に一度、衆院選を済ませておくのが得策だ。年内解散なら大型経済対策を掲げて選挙に臨む形になる。
とはいえ、まずは7月の参院選である。首相が勝敗ラインとした「改選議席の過半数」(与党で61議席)は高いハードルではないが、必ず超えられると楽観できる水準でもない。
長丁場の通常国会は同日選騒動もあり成果が乏しかった。会期中に最も印象に残ったのは5月のオバマ米大統領の広島訪問ではなかったか。内閣支持率は上昇し、自民党中堅議員はなお悔しげだ。「衆院解散はいつやるのか。絶好の機会を逃したのではないか」
(編集委員 坂本英二)
[日経新聞6月5日朝刊P.2]
一時は全世界で約3兆ドル(約330兆円)にまで増えたヘッジファンドの運用資産が、減少に転じている。リーマン・ショック後の金融緩和で市場にあふれたマネーの受け皿となり、存在感を高めてきたヘッジファンドに何が起きたのか。
世界のヘッジファンドは2015年10〜12月期に差し引き15億ドルが流出した。さらに16年1〜3月期も150億ドルが純流出した。金融危機の時期に重なる08年7〜9月期から09年4〜6月期までの4四半期以来、7年弱ぶりに2四半期以上続けて資金が流出したことになる。
資金流出の根本的な理由は、新興国経済の変調で株式や通貨が乱高下し、良い運用成績が上げられなかったことだ。運用低迷により「管理手数料として残高の1〜2%、成功報酬として運用益の20%」というヘッジファンドの手数料体系も不透明で割高と批判され、投資家の解約が増えたとみられる。
こうした批判は、かねて聞かれた。カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は14年の時点でヘッジファンドへの投資を取りやめる意向を表明。「コストや運用の複雑さなどを考慮すると適切な投資手段ではない」(運用責任者)との判断からだった。ここにきての運用低迷で、カルパースのような動きが加速している。
ヘッジファンドの運用不振で今年1〜3月期に赤字決算となった米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は、同ファンドの残高を110億ドルから55億ドル程度に圧縮する方針だ。
注目すべきは「アクティビスト」に分類されるファンドからの資金流出が目立つことだ。企業の経営戦略や利益還元に注文をつけ収益を上げる投資手法で、日本では「物言う株主」と呼ばれる。今年1〜3月の純流出額は43億ドルと全体の純流出額の3割弱を占めた。
これまで「アクティビスト」はヘッジファンド全体の中でも運用成績が相対的に高く、年金基金の人気があった。ここにきて市場の混乱から安定した成績が上げにくくなり、解約の波が及んできたという。
「ファンド設定(1996年)以来、最も壊滅的な期間だった」。顧客向け書簡にこう記したのは、ソニーやファナック、セブン&アイ・ホールディングスなど日本企業への投資でも知られる、米アクティビストのサード・ポイントだ。ファンド収益率を見ると、設定来では年平均15.8%と同期間の市場平均(7.3%)を上回るが、今年1〜3月はマイナス2.3%と市場平均(1.3%)より悪い。
日本では利益還元を実行させたり、トップ人事に影響力をふるったりと、連戦連勝の感があるサード・ポイント。しかし、ファンド全体としての苦戦は否めない。「他にも投資先の業績不振で運用がふるわないアクティビストは少なくない」(大手証券のヘッジファンド専門家)
物言う株主は企業統治改革を追い風として日本で存在感を高めた。今後は運用成績の回復を期して、一層厳しいリストラや利益還元を要求してくるのではないか、といった見方も浮上している。
(編集委員 小平龍四郎)
[日経新聞6月5日朝刊P.3]
「「長期停滞」にも終わりあり:バブル崩壊後も日本が米国を大きく上回る労働年齢人口1人当たりGDP伸び率」
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/492.html
「決断増税先送り:消費税増税の必要性について「次の選挙より次の世代」という妄言」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/371.html
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[創論]混迷する世界経済の行方は
米資産運用大手ジャナス ポートフォリオ・マネジャー ビル・グロス氏/中国中信(CITIC)董事長 常振明氏
フォームの終わり
安倍晋三首相が消費増税を再延期する理由にも用いた世界経済の変調。下振れや悪化のリスクはどの程度か。先行きをどう見るか。「債券王」の異名を持つ米資産運用会社ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロス氏と、中国や世界でビジネスに取り組む中国・国有複合企業最大手、中国中信集団(CITIC)の常振明・董事長に聞いた。
■生産性、世界的に伸びず 米資産運用大手ジャナス ポートフォリオ・マネジャー ビル・グロス氏
――最近、主要国の長期的な低成長を予想して話題になりました。
「米国は今年、3%の成長が可能という人も多いが、私はせいぜい2%と見ている。同じくユーロ圏は2%ではなく1%にとどまるだろうし、日本はプラスになれば御の字だ。最も深刻な要因は、労働生産性の伸びが長期的に低下していることだ。米国でいえば、10年以上前は年2〜3%で伸びていたが、最近はほぼ横ばいにとどまっている」
「世界中の企業が生産性を高めるための投資をためらっているからだ。米企業は今、空前の規模の現金を抱えている。ところが経営者はこの資金を使って自社株を買うだけだ。工場、設備、そしてイノベーションへの投資が決定的に不足している」
「企業が投資をしないのは需要がおぼつかないからだ。お客が製品やサービスを買ってくれなければ、経営者はリスクを取って投資をするわけにいかない。そして、お客が買ってくれない理由は高齢化だ。米国で第2次世界大戦後に生まれた大量のベビーブーマーが引退している。これまでの消費で多額の負債を抱えていることもあり、新たな大型消費には慎重だ。高齢化は欧州や日本でも進んでいる」
――そのような状況で6月、米連邦準備理事会(FRB)は利上げができますか。
「利上げの確率は25%にとどまると読んでいる。イエレン議長はもともと金融引き締めに消極的な『ハト派』だ。米国内だけでなく、新興国への打撃にも神経をとがらせるだろう。新興国はドル建ての債務を多く抱えている。利上げでドルが上昇すれば、債務の返済が重荷になる」
「私は米国が量的金融緩和を復活させる可能性が50%の確率であると見ている。量的緩和を実施している他の主要な中央銀行もこの政策を長く続けるだろう。世界の需要不足は構造的だ」
「低金利、さらには欧州や日本が導入したマイナス金利の負の側面を中央銀行が理解しつつある。銀行も保険も年金基金も、利ざやの縮小や運用難で打撃を受けている。これらの社会的な機能が行き詰まれば資本主義は回らない。利下げに限界がある以上、唯一残る手は量的緩和だ。副作用があるのは事実だが、『毒性』は比較的弱い」
――市場関係者は中国経済の減速が世界景気の重荷になるのではと気にしています。
「投資主導から消費主導への移行は可能だと思うが、消費に火が付くまでには時間がかかる。結局景気の失速を避けるために、投資を続けていくのだろう。その結果、かつての日本のように、行き先の無い橋のような非生産的な建造物が生まれないか。私は中国が世界景気を支え続けるとは思っていない」
「中国は社会保障制度を充実させる必要がある。今は老後を心配して貯金をしている人々が、安心して消費できるように。だが、制度を作るには何年もかかる。これらの構造的な問題に気づいているのはほかならぬ中国の人々だ。大量の中国マネーが米国にもカナダにも逃避している」
「情報開示の不足もあり、中国経済の実態はわかりにくい。だからこそ、企業の倒産動向には注目している。借りたお金が返せなくなるのは、経営者による当初の見込みほど経済が成長していない証拠でもあるからだ。政府からの支援があるとしても、いずれ限界が来るだろう」
――日本の「アベノミクス」に対して冷ややかな声が広がっています。
「目的は果たしていないかもしれないが、第1の矢である金融政策、第2の矢である財政政策はそれぞれ方向を間違っていなかった。やらなかったら深刻な景気後退に陥っていただろう。ただ、構造改革という第3の矢はまだ放たれたように見えない」
「消費税増税の再延期は正しいと思う。世界では、消費者心理を刺激して需要を喚起するために、大量の資金を供給する『ヘリコプター・マネー』すら活発に議論されている。増税は逆に、マネーを掃除機で吸い取るようなものだ。少なくとも、今の局面で取るべき政策ではない」
「日本経済が再起動するには円安が欠かせない。問題は、どのようにして実現するかだ。円安は米国が望んでおらず、日本との利害の衝突もここにきて表面化した。爆弾のない戦争のようなもので、投資家がもっとも嫌う不確実性だ。政策を協調する道を探ってもらいたい」
Bill Gross 米ピムコを世界的な運用会社に育てた。14年に移籍したジャナスには第一生命保険も出資。72歳。
◇ ◇
■中国の企業淘汰に時間 中国中信(CITIC)董事長 常振明氏
――中国経済の先行きに世界が注目しています。
「地域や業種によって差が大きく、中国経済を一言で言い表すのは難しい。当社のビジネスを通して見ても、大都市である深圳の景気は非常にいいが、東北地方からは成長に向けての厳しい現実が伝わってくる」
「地域ごとに産業の基盤が異なるからでもある。重工業を基礎にしている地域は厳しい。東北地方への逆風も、この地域に集まっている冶金や石油化学などの伝統的な重工業が受注を非常に減らしているからだ。製品がだぶついている。政府が投資主導から消費主導への移行を軸にした構造改革を打ち出しているのもこのためだ」
――政府は経営不振の「ゾンビ企業」を淘汰する方針も鮮明にしましたが、副作用もありそうです。
「活力や競争力を失っている企業は市場メカニズムを使って退場を促さないと生産の過剰は収まらない。ただ、この問題はすぐに解消することはできない。失業が増え、社会問題に発展しかねないからだ。時間をかけて、段階的に進むことになるだろう」
――春以降、政府がインフラ投資を増やしているのは、このような改革に伴う衝撃を吸収するためですか。
「そうだと思う」
――伝統的な産業は今後どうなっていくのですか。
「生き残るには、数量を増やす経営から質を追う経営に変わらなければならない。当社でいえば、重機部門の受注は全体で見ると確かに減っている。しかし鉱山での安全な操業に用いる新しい特殊ロボットの受注は増えている」
「言い換えれば、旧来の伝統的な産業でも新しい技術を用いれば再生できる。当社も伝統的な事業を多く経営しているが、そのような事業でイノベーションを起こしていきたい。インターネットの活用がカギを握るだろう」
――中国の景気減速は世界的な資源価格の下落をもたらし、資源の輸出国にも打撃を与えています。
「経営者として注意深く観察している。中国の需要が減少するという不安とドル高(によるドル建て価格の低下)が、資源価格が低迷した原因だと考えている。ただ、銅、アルミニウム、鉄鉱石などは将来的に価格が回復していくと予想している」
「中国は大きい国だ。国内でのインフラ建設の需要は引き続き強い。空港の数1つ取っても、中国は米国に大きく見劣りしている。建設には資源が必要だ。他の新興国も注目に値する。インドの人口は10億人を上回り、東南アジアも、合計で6億人の人口を抱える。中国と同じようにインフラの需要が根強い」
「供給を見ると、中国国内での資源開発は今後はあまり増えないだろう。(人件費の高騰などで)開発コストが上昇して採算が合わなくなっているからだ。中国は資源の海外依存度を高め、国際価格を押し上げるだろう」
――米連邦準備理事会(FRB)が昨年末に利上げを開始しました。利上げのペースをどう見ていますか。
「慎重に進めざるをえないと思う。米国は11月に大統領選挙を控えている。利上げで景気の足を引っ張って、選挙期間中に物議をかもしたくないだろう。実体経済を見ても、米景気は悪いとはいえないが、まだ回復途上だ。世界の投資家は、中国の不良債権問題などにも疑心暗鬼になっている。このように市場心理が萎縮している中で利上げをするのは簡単ではない」
――世界経済についてはどう考えますか。
「分極化ともいえる不安定な状況だ。米国はまずまずだが欧州景気は停滞している。日本も成長のスピードが非常に遅く、それほど良い方向に向かっていない。新興国には資源価格の下落で傷ついているところも多い」
「さほど良くないといえる世界景気だが、それは世界でビジネスを展開している当社にとっての経営環境でもある。当社は多くの業種を手掛けているが、これからは合理化を進めていくつもりだ」
「業界のリーダーになれる業種は今まで通り続けていく。しかし、そうでない業種は逆に経験豊富な業界のリーダーと手を組んで、弱点を補完していきたい。中国国内はもちろん海外でもこの方針だ。伊藤忠商事、タイのチャロン・ポカパン(CP)グループとの提携もその結果であり、いくつかの協力案件の検討が進んでいる」
Chang Zhenming 日本通で、1980年代には大和証券などで半年間の研修も受けた。囲碁はプロ級の腕前を誇る。59歳。
◇ ◇
〈聞き手から〉「新たな常識」模索続く
「常識では考えにくいことが起きている」。世界経済の現状認識について、グロス氏は繰り返し強調した。世界的に生産性の低迷が長引いていることや、日欧で異例のマイナス金利の導入が進んだことなどだ。長引くリーマン危機の影響に加え、先進国で高齢化が現実の問題になってきたことなどが原因に浮かぶ。
中国の苦境もリーマン危機を抜きに語れない。巨費を投じた危機後の景気対策が、過剰設備となってのしかかる。投資主導から消費主導への構造改革を時間をかけて進める点、改革に伴う悪影響は政府がインフラ投資で吸収する点で2人の見方は一致する。
だが、結果の予想は異なる。インフラ需要が多いという常氏に対し、グロス氏は無駄な投資が繰り返されると恐れる。その先にあるのは銀行の不良債権の増加をはじめとする「日本化」への懸念だ。
世界経済は「ニューノーマル(新たな常識)」の模索が続く。政策当局者も投資家も試行錯誤を繰り返すだろう。
(編集委員 梶原誠)
[日経新聞6月5日朝刊P.9]
――安倍政権の経済政策の決定過程をどう評価しますか。
「経済財政諮問会議を司令塔としてもっと活用してほしい。政策会議はたくさんあるが、法律で位置づけたうえで首相が議長を務めるのは経済財政諮問会議と国家戦略特区諮問会議だ。諮問会議の存在感が低下しているのはもったいない」
「いまの政権はよくも悪くも『経済産業省内閣』。ミクロ政策に強く経済活性化に貢献した一方、マクロ政策や金融をもっと強化する必要がある。消費増税の是非や軽減税率の設計を巡る議論は重要な話なのに、諮問会議でほとんど議論されなかった。首相の政治判断を重視するあまり、議論していないのではないか」
――安倍政権の政策会議は多いです。
「政策会議が多いと、首相の時間がとれなくなる。大事な政策を首相のもとで議論して、首相が決めるスタイルが重要だ。首相が議長を務める経済財政諮問会議のもとに各種の政策会議を分科会のように位置づけて運営するのがよい」
――安倍晋三首相と財務省の関係をどう見ますか。
「小泉純一郎政権の経済財政諮問会議は、財務省の主張も俎上(そじょう)に載せていた。民間企業や経産省の言い分も議論して最後は首相が決断した。いまは諮問会議がそうしたクッションの役割を果たせず、結果的にいきなり首相官邸と財務省の対立のように映ってしまう。諮問会議というオープンな場で異なる議論の対立を国民に見せる方がよい」
――成長戦略は力不足ですか。
「一層のブレイクスルーが必要だ。成長戦略をつくる産業競争力会議の運営は経産省の影響が強く、ミクロ政策に力点が置かれている。国が制度をつくっても自治体の首長が及び腰なのにも問題がある。国家戦略特区で企業の農地所有を進めた兵庫県養父市の市長のような方がもっと出てきてほしい」
――消費増税の再延期を巡って首相と麻生太郎副総理・財務相の意見が食い違う場面がありました。
「必ずしもぎくしゃくしたとは思っていない。消費増税できる経済情勢でないのは明らかだ。麻生財務相が増税延期に反対意見をひととおり述べたことで収まった面は大きい。本気で対立していたら財務相の辞任に発展していただろう。ある意味で、自民党の知恵だと思っている」
たけなか・へいぞう 東洋大教授・慶応大名誉教授。1973年に日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)入行。慶応大教授などを経て、2001年に小泉純一郎内閣で経済財政相。和歌山県出身。65歳。
「諮問会議を司令塔役に 元経済財政相 竹中平蔵氏:安倍政権は「経産省内閣」:消費税増税延期をめぐる安倍Vs麻生はお芝居」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/375.html
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[永田町インサイド]乱立 安倍会議
目立つ短命・開店休業…政策の重点、様変わり
歴代の政権は政策を実現するために有識者を加えた会議を活用してきた。国民に政策を分かりやすく伝えるためでもある。安倍晋三首相の場合はどうか。経済政策「アベノミクス」の重点に応じて会議は乱立。めくるめく政策会議の舞台が変わり、短命に終わったり開店休業に陥ったりする会議も目立つ。
「世界経済の持続的で力強い成長をけん引するため力強いメッセージを出していきたい」。首相は5月19日、首相官邸で開いた国際金融経済分析会合の最終回で、5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けた決意を強調した。
合計7回の会合で12人の有識者が招かれ世界の経済情勢を語った。焦点が当たったのは、2017年4月に予定していた消費税率引き上げの是非。首相が増税延期に踏み切る環境をつくる狙いがあった。有識者の見解が割れたのは想定通り。結局、増税を19年10月まで2年半延ばす判断につながった。会合は約2カ月の短命だったが、首相の思惑通り役割を果たした。
□ □
安倍政権は6月2日、消費増税の延期を前提とした「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2016」を閣議決定した。盛られた政策メニューは新鮮味に乏しい。当初は17年4月の消費増税を前提とした文言を盛り込んでいたが、経済財政諮問会議ではほとんど議論のないまま、首相の延期表明を受けて削除した。
骨太とともに閣議決定したのが「ニッポン一億総活躍プラン」だ。秋の臨時国会に提出する16年度第2次補正予算案の柱になるとみられていたが、目玉は保育士と介護職員の賃金増ぐらいで約2000億円の予算にとどまる。担当部署からは「財源がなく思い切った政策ができなかった」との声が漏れる。具体策を議論するため15年10月末に設置した一億総活躍国民会議は約7カ月で終了となった。
成長戦略を話し合う産業競争力会議は創設した13年に14回開いたものの、経済財政諮問会議との合同会議を除いた単独開催は15年に4回。16年は3回にとどまる。今年まとめた成長戦略は市場ではほとんど材料視されなかった。
規制改革会議は農業改革に取り組む予定だったが、先送りされた。参院選を前に関係団体の反発を警戒したとみられる。
政府は5月20日、貧困や飢餓の撲滅に向けた「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を立ち上げた。これも本部長を務めるのは安倍首相で、会議は減らない。
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12年12月に再登板した安倍首相は経済政策に力を入れた。その重点は経済情勢に応じて様変わりしている。13年は成長戦略に重点を置き、産業競争力会議で具体策を連発していく作戦を取った。
14年は経済の好循環を進めるうえで企業の賃上げが焦点になった。安倍政権は経団連、連合と「政労使会議」を開き、賃上げに向けて3者が取り組みを進めることで合意した。15年には、首相や経済閣僚と経済界が参加する「官民対話」に変え、労組が加わった枠組みの政労使会議は役割を終えた。
15年は経済財政諮問会議で検討した財政健全化計画が注目を集めた。経済成長と財政再建の両立をめざした。
12年末の第2次安倍政権の発足以降、経済政策決定の中心メンバーは「3A+S」と呼ばれた。安倍首相、麻生太郎副総理・財務相、菅義偉官房長官、甘利明前経済財政・再生相の頭文字を取ったものだ。
今年1月に「政治とカネ」を巡る問題で甘利氏が退き、後任に石原伸晃氏が就いたが、甘利氏ほど目立たない。消費増税の再延期に向けた調整で麻生氏と菅氏が対立し、中枢メンバーの結束力に陰りも見える。
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歴代内閣は会議どう利用? 小泉氏、郵政民営化の原動力 橋本氏、元首相招き族議員けん制
歴代内閣は政策会議をどう使ったのか。
2001年に就任した小泉純一郎首相は経済財政諮問会議をうまく利用した。慶応大教授だった民間人の竹中平蔵氏を経済財政相に充てた。まずは民間議員が連名で「民間議員ペーパー」を提出し、問題を提起。議論がもつれると司会役の経財相が論点を整理し、まとめる。論点が出尽くしたところで首相指示を下す流れをつくった。
終了後は当日中に内閣府ホームページに討議資料や経財相の記者会見の内容を掲載する。3日後には議事要旨も公表する。「抵抗勢力」と名付けた反対派の主張が分かり、政策決定のプロセスを見えやすくした。04年には小泉首相の悲願だった郵政民営化の基本方針をまとめ、改革の原動力になった。
1996年発足の橋本龍太郎内閣は「財政構造改革会議」を設置。中曽根康弘、竹下登、宮沢喜一の元首相を知恵袋として担ぎ出し、族議員らを抑え込もうとした。小泉氏がフル活用した諮問会議を作ったのも、橋本政権時代の「橋本行革」だった。
大平正芳政権は学者や文化人らのブレーンによる9つの研究会を立ち上げ国家ビジョンを打ち出した。80年には「田園都市国家構想」「環太平洋連帯構想」など日本の将来像を提唱した。
80年代の第2次臨時行政調査会(臨調)の焦点は日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本専売公社の3公社改革だった。臨調第4部会は破産状態にあった国鉄に「分割・民営化」策を突きつけた。
中曽根康弘内閣の83年6月、国鉄再建監理委員会が発足。委員だった加藤寛氏は国鉄経営陣の入れ替えを中曽根氏に進言した。中曽根氏は受け入れ、分割・民営化の実現にこぎつけた。
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〈記者の目〉政策会議の「選択と集中」を
複数の政策会議に出ている経済閣僚は「会議の議論は消化不良」と漏らす。分刻みのスケジュールを迫られる首相が出席できる時間は限られる。あらかじめ作った筋書きにそって結論を導くだけの場面も目立つ。官邸主導をうたい文句に政策決定は「何でも官邸」になりがちで、激論は見られない。国民に政策を理解してもらうための工夫が必要だ。形式的な会議はいらない。政策会議の選択と集中が求められている。
(羽田野主)
[日経新聞6月5日朝刊P.12]
まず確認しておきたいのは、投票結果がキャメロン政権の判断を縛るものではないということである。国民の意向を投票で確認した政府がどうしなければならないのかは、法律で定まっているわけではない。
むろん、60%を超えるような圧倒的多数で離脱への支持が表明されたら、キャメロン政権も政治的に離脱に向けて動かざるをえない。
キャメロン首相は残留支持を呼びかけているが、労働党やスコットランド民族党の党首たちのような「EU信奉者」ではなく、英国とEUの関係を変える(桎梏を外す)かたちで残留したいと考えている。
昨年5月の総選挙では選挙結果の“管理”が行われたとみているが、それは、この国民投票の結果を“管理”するための準備でもあったと考えている。
政府としては、残留・離脱のいずれが多数派になるにしろ、大差がつく結果は拙いと考えている。
僅差と言える結果であれば、多数派が残留でも離脱でもいいと思っているはずだ。
結論的に言えば、キャメロン政権は、国民投票の結果がどうであっても、EUとの関係性を調整し残留するという方針に変わりはないのである。
ユーロを採用しなかったことでもわかるが、英国はEUのコントロールに甘んずる国ではないという英国民の意思を見せることで、EU(ユーロ圏)との関係性でより高い主権性及び自律性を認めさせるための強い交渉力を手にしたいとキャメロン政権は考えている。
EUは、今後、ユーロ参加国と非参加国で加盟国家としての位置づけを変えていくほかないと考えている。
ギリシャ危機でわかるように、ユーロ圏EUは、財政統合すなわち政治統合に向かわなければ、今後も繰り返し債務危機に見舞われることになる。
政治統合には長い期間を要するが、ユーロ参加国は、金融政策に加え財政政策も徐々にEUに委ねることになる。
英国をはじめユーロ非参加国は、とうていそのような流れに付き合うことはできない。
EU残留をめぐる英国の国民投票は、EUの二層構造化を推し進める契機になると考えている。
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[FINANCIAL TIMES]英離脱が招く破壊ドミノ
チーフ・ポリティカル・コメンテーター フィリップ・スティーブンズ
欧州連合(EU)離脱を問う6月23日の英国の国民投票は、EUと英国両方の運命を左右する。離脱となれば、EUの残る27加盟国にも深刻な結果を及ぼす。ドイツとフランスは間違いなく、英国以外の加盟国の結束をどう高めるか必死に考えている。より深刻なのは、離脱によって分裂の危機にさらされる英国だ。
離脱派の背景には強力なナショナリズムがある。保守党の離脱派は自分たちのロジックを打ち捨て、ファラージュ党首率いるポピュリスト(大衆迎合主義者)の英国独立党と運命を共にしようとしている。両者に共通しているのは移民、支配階級、知識人などあらゆるものへの反発。怒り作戦とでも呼ぶべきものだ。
結果がどうであろうと、有権者の票は地域によって割れるだろう。ロンドン、北アイルランド、スコットランドの3地域はEUとの関係を維持しようとしているはずだ。ウェールズは予想が難しい。
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ロンドンが欧州寄りの立場を取るのは欧州と同様、グローバル都市として、欧州や世界から労働者や移民を受け入れてきたからだ。30万人のフランス人を受け入れ、フランス第6の都市とも呼ばれる。イタリア、ポーランド、スペイン、ポルトガルやもっと遠くの国々から来た人々にとっても第2の故郷になっている。
多様性も享受してきた。5月の市長選では保守党のザック・ゴールドスミス氏が恥知らずな反イスラム運動を繰り広げたが、市民は圧倒的に英国生まれのイスラム教徒、サディク・カーン氏を支持した。
英国らしさを意識しすぎ、離脱に傾いている周辺地域とは一線を画する。ロンドンには貧困も存在するが、イングランド南部の東海岸の一部の町に見られるような民族対立はない。私が思うに、ロンドン市民は「どちらかを選べ」と迫られたら、ポーランド人医師やインド人技師が来るのを拒絶するよりも、英国の地方から移ってくる英国人の流入を厳しくするはずだ。
北アイルランドでは、最近の世論調査で残留派が大多数を占めることがわかった。大まかに言うと、カトリックは残留派で、プロテスタントは離脱派と残留派にほぼ二分しているが、全体でみると、この地域は残留を選ぶだろう。
それでも国民投票で離脱が決まれば、様々な懸念が生じる。かつて北アイルランドが英国に属すべきと主張するユニオニストと、アイルランドへの帰属を訴えるナショナリストを長年の対立から和平に向けて説得できたのは、英国とアイルランドの両国がEU加盟国だったからだ。以来、北アイルランドが経済的発展を遂げてきたのも、アイルランドと開かれた国境を持ち、EUからかなり多くの補助金や投資優遇策を得られてきたことによる。
しかし離脱となれば、今は無きに等しいアイルランドとの国境が、EU加盟国でなくなった英国とEUの境界線になる。つまり単一市場から離れ、英国として移民制限を強行すれば、アイルランドとの往来にも貿易にも国境審査が必要になる。英国では、北アイルランドを経済的な重荷だという人も出てくるだろう。
スコットランドは保守党に近いせいか、欧州懐疑派が根付いたことはない。ファラージュ氏の英国独立党も限定的な支持を得ているだけだ。ロンドンや北アイルランドと同様、スコットランドでも残留派が多数を占めそうだ。だが国民投票で離脱が決まれば、英国からの独立を求める一派を勢い付かせることになる。
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スコットランドの独立は2014年の住民投票で否決された。独立推進派のスコットランド国民党は5月の議会選でも敗北した。過半数を失い、独立を再度問う住民投票を行うことができなくなった。英国の離脱が決まれば、独立を求める議論が再燃するだろう。欧州大陸にバリケードを築くような英国に縛られているぐらいなら、今は英国の一部でいいと思っているスコットランド人も考え直すのではないか。
英国がEUの一部であり続けるのがいいのと同じように、英国も連合王国として結束しているべきだ。その方が国家としての能力を高められるからだ。イングランドがEUを離脱したなら、スコットランドは英国の一部でいるより、EUに加盟した方がいいと考えてもおかしくない。
ロンドンの独立の可能性を論じるのは現時点では早すぎるが、離脱が決まればこの都市が自治の拡大を求めるのは当然だ。明白なのは離脱が連合王国の分裂につながっていくということだ。EU加盟国でなくなった英国は、もはや魅力的ではなくなる。
(3日付)
[日経新聞6月5日朝刊P.13]
【ベルリン時事】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は6日の記者会見で、北朝鮮・寧辺にある核施設の人工衛星画像を分析した結果として、核燃料の再処理活動を示唆する動きが見られたと明らかにした。
IAEA報道官は、現地に査察官がおらず、確定的なことは言えないとしつつ、「使用済み燃料の再処理を行っていることはあり得る」と指摘した。米ジョンズ・ホプキンス大高等国際問題研究大学院の米韓研究所は5月31日、寧辺の人工衛星画像を基に、核兵器製造に必要なプルトニウム抽出の兆候があると指摘していた。
天野氏は5000キロワット黒鉛減速炉の再稼働やウラン濃縮施設の拡張の兆候も捉えられたと述べた。
最終更新:6月7日(火)1時25分
行方不明男児の「両親批判」続けた尾木氏のブログが「炎上」
「教育評論家の発言とは思えない」「もう喋らない方が良い」――。北海道七飯町の山林で行方不明となっていた小学2年の男児(7)が2016年6月3日朝に発見されたことを受け、「尾木ママ」こと教育評論家の尾木直樹氏に対するバッシングがネット上で過熱している。
これまで尾木氏は、「(本当に置き去りなのか)疑いたくなってしまいます」「間違いなく逮捕される」などと親への批判をブログで繰り返していた。男児の発見後には「良かった!見つかりました!」と喜びを爆発させた尾木氏だが、ツイッターやネット掲示板には「両親への謝罪が先では」といった批判が殺到している。
■「置き去りそのものが真実なのか失礼ながら疑いたく...」
「良かった、良かった!! 見つかりましたよ!見つかりました!」。男児発見のニュースが流れた3日朝、尾木氏はこんなタイトルのブログを更新。本文では、「こんなにほっとしたことも珍しい!合同捜査本部解散のニュースに落ち込んでいた尾木ママ いきなり元気 元気!! 」と喜びを爆発させていた。
だが、尾木氏はこれまで、同じブログ上で「両親に対する厳しい批判」を繰り返し綴っていた。男児を放置した親の行動を「虐待です」との批判ではおさまらず、「しつけのお仕置きで7歳を山中に放置するでしょうか!? 」(5月30日)と事件性を疑うような記述まで見つかる。
5月31日には、「北海道の放置親に同情する方々に問いたい」と切り出し、両親への批判を展開。最終的には、保護責任者遺棄罪などを踏まえてなのか、「(両親は)警察にも間違いなく逮捕されることでしょうね」とも断言していた。
尾木氏の「放言」はまだ止まらない。男児の発見を喜んだブログ記事を更新する約8時間前、6月3日未明には「(自衛隊の捜索でも見つからないなんて)はっきりいってあり得ない」と持論を展開。「置き去りそのものが真実なのか失礼ながら疑いたくなってしまいます...」と疑問を投げかけていた。
「教育評論家の発言とは思えない」
尾木氏の一連の発言について、ネット上では「両親へ謝罪しろ」「反省した方がいい」といった批判が殺到。ツイッターなどには、
「有名人が憶測でブログなどにのせるのは教育評論家のすることではない!ご両親に謝るべき!口を出し過ぎ!」
「父親に謝れよ。変な勘ぐりをして、実のないコメントをしたんだからな」
「発言の無責任さに閉口する。何が教育評論家だ」
といった投稿が秒単位で上がっており、まさに「炎上状態」となっている。
今回の件だけではなく、尾木氏の「放言ブログ」をめぐっては過去に幾度も騒動が起きている。
15年8月の「五輪エンブレム騒動」の際には、デザインの盗用が疑われた佐野研二郎氏が、デザイン料などで「200億円」を受け取る予定などと、事実と異なる内容のブログを投稿。「デマを拡散した」と大きな批判を受け、ブログに謝罪文を掲載。その中で尾木氏は、
「未知の世界の問題は もっともっと慎重に学んでから しっかり事実理解してから 自分の見解 発信しようと思います…」
と反省の弁を述べていた。
つい最近では、政治資金の「公私混同」問題に揺れる東京都の舛添要一知事に対する猛批判を展開中。16年6月1日には舛添知事を「腐ったミカン」と表現し、「急いで棄てましょうよ」と呼びかけていた。この投稿に対しても、ネット上では「教育評論家の発言とは思えない」「教育に携わる人間でいながらこの表現を使うとは」との批判が出ていた。
最終更新:6月4日(土)0時9分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160603-00000003-jct-soci
上久保氏は、党首討論で民進党の岡田代表が消費税増税延期を主張したときには、「民進党の「消費増税延期」で 自民党は野党の主張には乗りづらくなった」と説明している。穿った見方をすると、これで消費税増税が既定方針通りに来年4月に実施されると期待したのかも知れない。
※参照投稿
「民進党が共産党と共闘するのはあり得ない選択肢だ:岡田代表の「消費税増税延期」論で解散なしの増税延期に余地」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/571.html
上久保氏は、「次の消費増税は「若者のための増税」にしなくてはならない」と主張しているが、法人税増税や高所得者増税と違い広く薄く負担を強いる消費税が「若者ための増税」になることはない。
消費税はグローバル企業(輸出企業)以外の企業が稼いだ付加価値に課するものだが、企業は税負担を必死になって転嫁するものだから、一般消費者の可処分所得が浸食されることになる。
そういう意味で消費税が発揮する特定層の負担と受益を考えると、“貧乏人からより貧乏な人に、若者からより苦しい若者に”というなんともいびつなものなのである。
消費税増税を「「若者のための増税」にしなくてはならない」と主張する学者が通用していることに驚かされる。
※ 関連参照投稿
「決断増税先送り:消費税増税の必要性について「次の選挙より次の世代」という妄言」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/371.html
「消費税増税再延期 自民・小泉進次郎氏「そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」:デタラメな筋論で格好を付ける二世議員」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/129.html
大塚久美子社長の戦略転換は“失敗”だったのか――。
大塚家具が過去最大の営業赤字を計上する見通しとなった。同社は6月3日、2016年12月期の業績予想を大幅下方修正。5億円の営業黒字予想から一転、15億円強の営業赤字(前2015年12月期は4億円の営業黒字)へと修正した。リーマンショックの影響で14億円の営業赤字に陥った、2009年12月期をも超える赤字規模だ。最終損益も6年ぶりの赤字に転落する。
大きな赤字を出すことになる要因は、何と言っても売上高が急落しているためだ。今期の売上高は前期比42億円減の538億円と、過去15年間で最低になる見込み。2016年1月から既存店の減少傾向が続いており、引越しシーズンだった稼ぎ時の3月には前年同月期比11.8%減、さらに直近の5月は「大感謝会」と銘打った集客策を実施したものの、不発に終わり、同46.2%減とほぼ半減した。
久美子社長は「1〜2月は昨年末に実施した、売り尽くしの反動減が大きい。さらに店舗のリニューアル準備に加え、(新しい手法に変更後の)運用の不慣れさもある」と説明。また、2015年は5〜6月に「おわびセール」で大きく売上高を伸ばしており、その反動減もあって、5月に続き、6月も大きな落ち込みが見込まれる。
■ テレビ露出も減っていった
久美子社長は2015年3月の株主総会で、経営権を争った創業者で父の勝久氏に勝利。社長に就任後、勝久氏が作り上げたビジネスモデルと決別した。象徴的だった「会員制」を廃止。誰でも気軽に入れる店舗へと順次リニューアルし、顧客に必ず付き沿っていた接客手法も変更した。さらに高級家具の売り場を縮小する一方、中価格帯を強化するなど、“普通の家具店”になっていった。
くしくも2015年はお家騒動が世間の注目を集めたため、大塚家具の知名度が向上。総会後に久美子社長はバラエティ番組に頻繁に登場するなど、自らが広告塔の役割を果たしてきた。さらに勝久氏時代はほとんどなかった大規模セールも頻発。こうした効果もあり、前2015年12月期には売上高が大きく伸び、営業黒字に転換していた。
だが、リニューアルなど本格的なビジネスモデル転換が始まったのは、今年に入ってからだ。そうした意味では、新生・大塚家具への顧客支持は広がっていない。総会から1年以上経ったことで、久美子氏のテレビ露出効果も消え、大規模セールで顧客を先食いした影響も出ている。
大塚家具は下期(7月〜12月)以降の回復を目指している。顧客対応のオペレーションが熟練されていくとみているためだ。ただ、古豪の社員ほど、戸惑いは大きい。これまでは最初から決められた顧客を手厚く接客してきたが、新たな運用ではセルフサービスが基本となるため、顧客に話しかけるタイミングが重要になる。
一方、「匠大塚」という家具の新会社を設立した父・勝久氏のもとには、大塚家具から数十人規模の社員が転職してきている。しかも幅広い部署から移っており、部長など幹部級も少なくない。
その匠大塚は6月29日に、大塚家具創業地である埼玉・春日部に大規模店舗をオープンする。西武百貨店の跡地を利用し、1階から5階までの約2万7000平方メートルと、日本最大級の売り場になるという。近くには大塚家具の春日部ショールームがあり、まさに古巣と”ガチンコ勝負”となる。勝久氏は「前の会社(大塚家具)とは差別化したいと思って、違うビジネスモデルを考えた。匠大塚は全員プロだ」と自信を見せている。
これに先立って匠大塚は、東京・日本橋でも4月、高級家具のショールームをオープンした。事前予約制でプロ向けだ。大塚家具を去っても、基本は高級路線であり、会員制による接客重視という自分のビジネスモデルを貫く構えを見せており、久美子氏とは対照的だ。
■ 株主対策で配当を倍にしたが…
もっとも大塚家具の業績がさらに悪化すれば、父・勝久氏がもう一度登場することもありえるが、少なくとも筆頭株主だった勝久氏は、断続的に大塚家具の株を放出しており、5%未満まで下がる見通しだ。そういった意味では大株主としての力はもうない。
久美子社長は就任以来、株主還元重視を掲げて、配当を2015年〜2017年の3年間は倍増の年80円にする政策を実施しており、個人株主にとって大塚家具株の人気は高い。その間にビジネスモデルを転換、成長軌道に乗せる算段で、ある程度の業績低迷は久美子社長も承知のうえだったが、想像以上の大苦戦となっている。
はたして今は次なる成長への過渡期なのか、それともこのまま下落を続けていくのか。久美子社長は崖っ縁に立たされている。
冨岡 耕
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160604-00121265-toyo-bus_all
「米国 ゴリラの囲いに転落した男児を「あやした」ゴリラが射殺される:男児に走り寄り抱き上げたのに麻酔銃ではなく」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/914.html
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転落男児の親に刑事責任なし=動物園ゴリラ射殺―米検察
時事通信 6月7日(火)5時39分配信
【ニューヨーク時事】米オハイオ州シンシナティの動物園で5月、ゴリラ舎の柵を乗り越えて中に落ちた3歳の男児を守るため、動物園がゴリラを射殺したことについて、州検察は6日、同伴していた母親の刑事責任を問わないと発表した。
「保護者責任を果たさないからゴリラが殺された」と親を非難する声が上がっていた。検察によれば、母親は当時、男児を含む4人の子どもを連れていた。「数秒間目を離した隙に男児が駆け出した」といい、刑事責任はないと判断された。ネット上では「母親を撃て」と脅迫が書き込まれるなどしていた。
最終更新:6月7日(火)9時49分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160607-00000010-jij-n_ame
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射殺されたゴリラ、よくある行動だったと専門家
ナショナル ジオグラフィック日本版 6月2日(木)11時40分配信
動物園によるゴリラの射殺は正しい判断だったのか
米シンシナティ動物園で飼育されていたゴリラのハランベが5月28日、男の子を引きずり回し、動物園スタッフの手によって射殺された事件で、動物の専門家は、ハランベの行動には特に凶暴性があったわけではないと説明している。
「群がった人々に反応して攻撃的になってしまったのか、単なる遊びだったのか、判断するのは難しい」と、米アトランタ動物園の元園長で、飼育動物の心理状態に詳しいテリー・メープル氏は言う。「けれども、男の子へ対してそれほど手荒に接していたとは思いません」
むしろ、ハランベの行動はおとなのオスのゴリラが自分の子どもと遊ぶ時に見せる行動とよく似ているという。
「正直言って、あの動画のハランベはごく普通に見えました。つまり、普通のゴリラの行動だということです。オスのゴリラは時々、赤ちゃんゴリラの足首や手をつかんで走り回ったりします」
「難しいながらも正しい判断」
たとえそうだとしても、ハランベを射殺したシンシナティ動物園は、難しいながらも最終的には正しい決断をしたと、メープル氏は考えている。
ところが、動物愛護活動家たちはこれに激しく抗議している。ニシローランドゴリラは近絶滅種(Critically Endangered)に指定されている。野生の個体は9万5000頭にも満たず、その数は過去20〜25年間で少なくとも60%減少している。食用や野生動物取引を目的とした商業狩猟に加え、エボラ出血熱の流行で、1980年代以降、その数は急激に減少した。動物園で飼育されているゴリラの数は、約765頭である。
ハランベの行動に隠された動機よりも動物園にとって最優先だったのは、当然のことながら子どもの命だったのだと、メープル氏は言う。
「決断を下したスタッフにとってはひどくつらいことだったと思います。けれども、どこの動物園でも同じことをしたでしょう。どれほど複雑で難しい状況だったかを、世間は理解する必要があると思います」
米エモリー大学の霊長類学者フランス・デ・ワール氏も同意して、ハランベは男の子を守るようなそぶりも見せていたが、動物園は射殺する以外に選択肢はなかったと語る。
「考えれば考えるほど、また状況が明らかになればなるほど、他に選択肢はなかったのだと思えてきます」と、デ・ワ―ル氏はメールでのインタビューに答えた。「様子をうかがう余裕などありません。ゴリラの力は非常に強い。ハランベの心中は分かりかねますが、たとえ男の子へ対して好意的に接していたとしても、死なせてしまう恐れはあったでしょう」
麻酔銃で眠らせようにも、囲いの外からでは遠すぎてダート銃が届かない場合もあり、高い危険を伴う。上手く命中したとしても、麻酔薬は完全に効き目が現れるまでに数分かかり、ハランベを興奮させて、子どもにけがをさせたり死なせてしまう確率も高くなる。また、安全用の堀に落ちておぼれる恐れもある。
メープル氏は、今回の悲劇的な事故によって、動物園関係者、とりわけシンシナティ動物園は深い悲しみに暮れていると強調した。「ゴリラに関わる人々は、愛情を持って彼らに接しています。人間が死んだのと変わりはありません」
文=Michael Greshko/訳=ルーバー荒井ハンナ
最終更新:6月2日(木)11時40分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160602-00010003-nknatiogeo-n_ame
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ゴリラ射殺は氷山の一角、世界で相次ぐ動物園事故、問われる安全管理
ナショナル ジオグラフィック日本版 6月2日(木)7時20分配信
事故が起きれば動物も人も不幸に
5月28日、米国のシンシナティ動物園で、囲いに転落した子どもを救出するため、17歳のニシローランドゴリラ、ハランベが射殺された。この事故は、動物と同じく人間の安全についても、世界の動物園に厳しい警告をつきつけた。
ハランベは亡くなってしまったが、現在、ゴリラの命はとても重い。ニシローランドゴリラは近絶滅種に指定されており、野生での生息数は17万5000頭に満たない。世界の動物園では765頭前後のゴリラが飼育されており、そのうち360頭ほどが飼育下繁殖プログラムの対象となっている。
非営利動物愛護団体ボーンフリーUSAが管理するデータによると、1990年以降、米国内にある動物園水族館協会の認可動物園で、逃走したり人間に危害を加えたりして動物が殺された事例は42件あるという。同じ期間に人間が死亡した事故は15件だ。今回のシンシナティ動物園を含め、人間が負傷したケースは110件にのぼる。
ゴリラが射殺された事件は2004年にも発生した。米テキサス州、ダラス動物園で13歳のニシローランドゴリラ、ジャバリが脱走して数人に襲いかかり、最終的に警官に向かって突進して射殺された。
1990年以降、米国の認可動物園で霊長類が人間に危害を加えたのは15件で、ほかの動物も含めた全負傷事故件数の7分の1を下回る。この期間、霊長類が人間の命に関わるような重大事故を起こしたことはない。
対して、ライオンやトラなどの大型のネコ科の動物によって人間が負傷した事例は41件あり、そのうち5件は死亡に至っている。
また、1986年と1996年には、米国と英国で飼育されているゴリラが転落した子供を「守った」事例もある。
この日、シンシナティ動物園を訪れていたある客は、地元テレビ局WLWTの取材に対し、ハランベも子供を守ろうとしていたように見えたと話している。 動物園側は、ハランベが囲いのまわりにある堀で子供を引きずり回しており、子供の命が危険な状態だったと述べている。
世界的に見れば、動物園の安全や動物福祉の基準は大きく異なる。しかし、この数週間で似たような事故が世界の動物園で起きている。
5月23日に、インドのネルー動物公園で酒に酔った男が2頭のライオンに触れようと囲いの中に飛びこみ、すんでのところで救助され、怪我を免れた。5月21日にはチリ国立動物園で20歳の男が自殺しようと囲いに飛びこみ、やむを得ず職員が2頭のライオンを射殺した。
その数日前には、中国の西霞口野生動物園で、セイウチに近づいて自撮り写真を撮影していた来場客が水中に引きずり込まれ、助けようとした飼育員とともに溺死している。
文=Michael Greshko/訳=鈴木和博
最終更新:6月2日(木)10時2分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160602-00010000-nknatiogeo-int&pos=5
米海軍が将来の戦闘攻撃機として導入を予定していた無人機X−47Bの開発が中止された。レーダーに映らないステルス性を備え、かつ遠隔操縦の必要なく、全自動で多くの作戦行動を行えると期待された新鋭の無人機だったが、今年3月に計画中止が発表された。専門家が「将来、有人戦闘機はなくなる」と指摘するなか、最新技術をつぎ込んで誕生した“有望なルーキー”がなぜ落第したのか。
(岡田敏彦)
人の操縦なしに自動着艦
X−47Bは2003年に開発が始まったX−47Aの発展型。米航空機大手ノースロップ・グラマン社が主導し研究開発してきた。その特徴は、操縦士の操作なしで空母に発着艦し目的地への飛行や帰投も可能で、こうした自動飛行ができる無人機(UAV)はX−47Bが史上初だとされている。
現在米軍が実用化している無人機「RQ−1プレデター」や「MQ−9リーパー」は遠隔操縦方式で、攻撃、偵察ともに地上の誘導基地にいる操縦者による操作が必要だった。
X−47Bはこうした操作が不要だ。飛行する際も、あらかじめプログラムされたルートをたどるのではなく、目標地点での作戦内容などに応じて人工知能(AI)が自分で最適な飛行経路や高度などを考え、結論を出し、実行する。いわば「空飛ぶロボット兵器」だ。
主武装も未来的で、将来的にはレーザー光線と高出力マイクロ波を採用する案があった。敵地の奥深くに侵入し、発射段階の敵弾道ミサイルを破壊する能力を付与する方針だったのだ。
革新的なコンセプトのX−47Bは2011年2月に初飛行した。同5月には、当時の海軍将官が「2018年には無人艦載機(X−47B)を運用開始する計画に変更はない」と強調。その後、米CNNテレビ(電子版)などによると、13年5月には原子力空母「ジョージ・H・ブッシュ」からの射出(発艦)試験に成功し、同7月には航行中の空母への自動着艦という歴史的なミッションに成功していた。
さらに15年4月には空中給油にも成功し、海軍当局は「空中給油を自立的に出来れば、無人機の利用範囲と飛行作戦の柔軟性が増す」と高く評価していた。
にもかかわらず、米海軍は3月10日、「予算上の理由」で開発計画を中止したと明らかにした。最新鋭の“夢の兵器”に予算が付けられなかった理由は、「機械VS人類」の戦いにあった。
有人から無人へ
世界的には、次期主力戦闘機は無人機になるとの予測がある。無人機のメリットは、人が耐えられないような高G(重力加速度)を伴う機動が可能となり、格闘戦において有人機より機敏な行動が可能となるからだ。
さらに重要な点として、敵の地対空ミサイル基地などの戦闘機にとって極めて危険なターゲットに対し、人的損失を考慮することなく攻撃できるという利点もある。しかしこれは、戦闘機操縦者にとって諸手を挙げて歓迎できる話ではない。
米空軍では、ベトナム戦争以来こうした敵ミサイル基地の攻撃、つまり敵防空網制圧という特殊任務専用の「ワイルドウィーゼル」(野イタチ)機を開発、運用してきた。F−105GサンダーチーフやF−4GファントムIIなど、過酷な任務をこなすため、レーダー妨害装置など高度な電子戦装備を設けた専用機がワイルドウィーゼル任務に充てられてきた。
ちなみに米空軍三沢基地に駐留する第35戦闘航空団所属機の垂直尾翼に大きく描かれたテイルコード「WW」は、ワイルド・ウィーゼル任務に当たってきた伝統に由来する。
米海軍もEA−6Bプラウラーといった、特殊な電子戦機で敵防空網制圧任務を行ってきた。
こうした過酷で特殊技能と並外れた勇気を必要とする任務を遂行することは、戦闘機操縦者にとっては栄誉でもある。誰も出来ない困難な任務を遂行してのけることは、戦闘機操縦者が自身の優秀性を示すうえで最も確実かつ誰の目にも見える“チャンピオンベルト”であり“金メダル”なのだ。
無人機は、この誇りをエヴィエイター(米海軍航空機操縦者)から奪うものではないか−。X−47B計画の裏では、こうした考えが、米海軍の空母航空団の戦闘機操縦者とそのOBにして軍高官となった者たちの間に広がっていたのだ。
さらに大きな危機も見え隠れしていた。現在の米海軍主力戦闘機はF/A−18ホーネットとスーパーホーネットで、後継機にはF−35が決定している。そのF−35の後継機として、X−47B(の実用型)は有力候補に挙がっていた。現実化すれば、米海軍空母には無人機だけが配備され、有人機はなくなってしまう。将来、米海軍から「戦闘機操縦者」という職種を根絶する可能性を含んでいたのだ。海軍内部から積極的な計画推進の声が出ないのは当然だ。
そんななか、X−47Bの欠点も明らかになった。
成功の陰で
13年7月に無人機として初めて空母への着艦に成功したX−47Bだが、この際は着艦に4回チャレンジしている。1回目と2回目は成功したが、3回目は着艦直前に中止。4回目は空母への着艦コースにのる前にAIが中止を決め、陸上の飛行場に着陸していた。X−47Bに搭載されている3機のAIが着艦までの飛行経路について、それぞれ違う結論を出したため“多数決”で結果を出すことができず、着艦中止の判断を下したとされている。
一部では3回目と4回目を「着艦失敗による事故を未然に回避した」と褒める声もあったが、X−47Bに与えたコマンド(命令)は「着艦しろ」なのだから、実験が成功裏に終わったとは言い難いだろう。
空母は常に位置と移動方向を変え、気温や高度は航空機の速度に影響を与える。さらに波で上下左右揺れる空母の甲板も問題なら、レーダーに映らないことを重視した結果として垂直尾翼も水平尾翼もないことによる操縦性の特異さ、問題を複雑にする。
こうした問題を解決するためには、膨大な実験を伴うプログラムの開発とフィードバック、新しい誘導機器の開発が必要だ。
しかし、米国では海軍のみならず軍全体の予算がオバマ政権下で強制的に削減され続けている。昨年末の米海軍の艦艇数は272隻。同海軍は「第一次世界大戦以降で最低の数字」と訴えていた。2020年代には308隻に増やす計画があるが、予算削減の流れは変わる気配がない。こうした状況下で、X−47Bの開発を続けなければならない必然性は乏しい。
結局、X−47B開発計画は中止となり、かわりに戦闘・攻撃能力がなく、偵察もしくは空中給油だけが可能な無人機「MQ−25スティングレイ」の実用化を進めることが決まった。小型で簡易かつ安価なMQ−25なら、“人のライバル”となるには力不足ではあるが、だからこそ空母に居場所ができるかもしれない。
http://www.sankei.com/west/news/160607/wst1606070009-n1.html
米国の特務機関は、米政府の課題に従って、事実上、日本のすべての市民を監視している。これは、東京大学で開かれた現代社会における監視についてのシンポジウムにインターネット回線を通じて参加した、元米中央情報局(CIA)及び国家安全保障局(NSA)職員のエドワード・スノーデン氏が述べたものだ。現在彼は、ロシアに住んでいる。
以前、日本の複数のマスコミが伝えた「米国の諜報員は、日本政府の閣僚の盗聴さえしていた」との情報が引き起こしたスキャンダルも、当然忘れるわけにはいかないが、今回は「それが氷山の一角に過ぎなかったこと」を明らかにした。スプートニク日本記者は、ロシア科学アカデミー極東研究所日本センターの指導者、ワレーリイ・キスタノフ氏に意見を聞いた。以下その内容を抜粋してお伝えする。
キスタノフ氏:米国が、日本でも、全体的な監視活動をしていたことが明らかになった。つまり事実上、高い地位にいる官僚、政治家、銀行家あるいは企業のトップマネージャーから、普通の人まで、彼らが関心を持っている日本人の誰一人として、米国の諜報機関による監視を受けていないと確信を持って言えない状況なのだ。肝心なのは、日本は、特別なケースではないという点だ。これは、全世界を自分のコントロール下に置くことを目指す米国のグローバルな戦略全体の表れにすぎない。
同盟国であるなしに関係なく、米国は、例外なくすべての国々で盗聴活動をしている。ウィクリークスのおかげで暴露された、ドイツのメルケル首相やフランスの指導者達の携帯電話の盗聴スキャンダルは、その明白な証拠だ。この情報はスキャンダルとはなったが、すぐに静まってしまった。しかしNATOの同盟国でさえ、米国のコントロール下にあるという事が明らかになった。監視から身を守るのは大変困難である。特に、米軍基地がある国、例えばドイツや日本のような国々ではそうだ。なぜなら、米軍基地がおかれているところでは、言ってみれば、本腰を入れて同盟国の盗聴活動ができるからだ。いかなる同盟の絆があろうと、同盟についてどんなに反対していないとしても、それは盗聴解除につながる万能薬ではない。
その際、米国は、事実上、合法的基盤に立って他の国々の市民に関する情報を集めている。これに関連してスノーデン氏は、日本で施行された、機密漏えいに対する責任を厳しくした「特定秘密保護法」について「民主主義にとって危険なものだ」と批判した。スノーデン氏によれば「法律は、日本における米国の諜報活動を容易にするために採択された」とのことだ。
スプートニク記者:日本政府は、そうした米国のやり方を甘受せざるを得ないのか?
キスタノフ氏:私は、日本人に対する全面監視がなされていたという情報が、日米の戦略的同盟を揺るがしたり、あるいは何か躓きのもとになったりするとは思っていない。ここでは、他のもっと重要で深いファクターが作用している。現在アジア太平洋地域では、中国というファクターによって呼び起こされる軍事政治状況の抜本的変化が起きている。 米政府の考えでは、中国は現在、この地域における米国の独占と支配に挑戦状を叩き付けている。
そうした中、日米同盟は、米国にも日本にも、両政府にとってますます重要になってきている。それゆえ、いかなる監視スキャンダルも、レイプ事件も、日米同盟をぐらつかせることはない。沖縄での世論の大きな怒りや、全面監視というスキャンダラスな事実があったとしても、何らその跡を残すことはない。この事は、米国の監視がいかに深く根を張ってしまっているかを、さらに物語るものだ。悪性腫瘍のように、それは、自分の同盟国も蝕みながら、世界中に広がりつつある。
なおスノーデン氏は、日本の人々が秘密保持システムの管理に加わらないこと、政府に対する市民の側からのコントロールが弱いことについて、
日本にとって深刻な問題であるとみなしている。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160606/2258091.html
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スノーデン氏 日本での暮らしや日本人に対する監視について語る[スプートニク日本語]
2016年06月05日 16:03(アップデート 2016年06月06日 16:55)
米中央情報局の元職員エドワード・スノーデン氏は、東京で開かれた現代社会における監視についてのシンポジウムにインターネット回線を通じて参加し、日本の住民一人ひとりが米国の潜在的な監視対象だと述べた。ジャパンタイムズが報じた。
スノーデン氏は、「彼らは、皆さんの信仰、皆さんが誰を愛しているのか、誰に気を配っているのかを知っています。私の仕事は、あらゆる人間の人生の状況を描き出すことでした」と語った。
スノーデン氏は、2009年から2011年まで米軍横田基地で暮らし、大手コンピューター会社デルの職員として米国家安全保障局(NSA)のための仕事を行なっていた。
米国による情報収集活動などを暴露したスノーデン氏によると、NSAは、あらゆるユーザーの電話やコンピューターから合法的に情報収集を行なっている。
またスノーデン氏は、プライバシーの問題への市民の関心度が薄いことや、政府に対する市民のコントロールが弱いことが、いま日本の前に立ちはだかる深刻な問題だと述べた。
クーデターの画策を封じたカザフスタン特務機関の断固とした行動は、西側の支援を受けた過激派らによって国は分裂し、内紛にまで発展したウクライナの無残な経験をカザフ政権が見事にものにしたことを示した。カザフスタンに憲法秩序を導入する上で必要とあらばこれにロシアが助力するだろう。そうした予測を可能にする根拠はある。
カザフスタンでは数日前、クーデターの試みが封じられた。この事件はロシア人専門家らの注目の的となったが、それは決して偶然ではない。カザフスタンは、ロシアと中国という2つの世界大国が揃う上海協力機構では、その統合プロジェクトの最重要国に数えられているからだ。このためカザフスタン国内のいかなる震動もこうしたプロジェクトの実現を危機にさらし、露中の国際的な立場を非常に弱める危険性がある。
ロシア人専門家らは、長い間カザフスタンは中央アジアで最も安定した国と思われてきたものの、不安定を産む土壌は存在すると認めている。それは現在75歳のヌルスルタン・ナザルバエフ大統領が職務権限を逸した後を狙って、この国の政治エリートの間で闘いが展開されているからだ。ところが政権譲渡のメカニズムはカザフスタンには事実上ない。加えてもうひとつ、街頭での抗議行動を触発しうる不安定要素は未解決の社会経済問題だ。その他にもカザフスタンではイスラム主義者のグループも無秩序を引き起こしうるが、こうした者たちが今回の軍事クーデターの背後にいたことがカザフ政権の公式的発表でも明らかにされた。西側が、カザフの反体制エリートやこの国の情勢を不安定化させるイスラム主義者の努力に全く関与していないとはとても想像しがたい。いずれにせよ、カラー革命という戦法を止めようとしない米国はこのカザフの不安定要素を必ずや利用しようとするだろう。
有名なロシア人専門家のエヴゲーニー・サタノフスキー氏はカザフの今の状態を「アラブの春」やウクライナの「マイダン」に類似した「中央アジアの春」の撚り戻しと呼んだ。サタノフスキー氏は、ロシア側はつかんでいたカザフの「革命」の準備情報を相手国に渡したことが幸いして、これだけの速さで効果的にクーデターを封じることができたと考えている。だがナザルバイエフを引きずりおろし、ロシアとの協力路線を拒否しようという者たちがまだ手を引かないというのであれば、サタノフスキー氏は、ロシアには、必要とあらばカザフ指導部が憲法秩序をしくために力を貸すことのできる法的手段は揃っているとの考えを示している。
サタノフスキー氏は「ロシアはこの場合、必要性に応じるという形で行動するだろう。カザフ指導部転覆の企てがあまりに大規模で、指導部もロシアの支援行動なしには太刀打ちできないという場合、ロシアは集団安全保障条約機構、上海協力機構、ユーラシア経済連合の一員として、ウクライナのシナリオがカザフで繰り替えされないために、エジプト、チュニジアの二の舞にならないために、あらゆる必要なことを身に引き受けると思う」と語っている。
ここで補足しておきたいのだが、カザフスタン情勢の不安定化にロシアと劣らず無関心ではいられないのが中国だ。なぜなら中国は自国の提唱する新シルクロード・プロジェクトの主要国としてカザフをとらえているからだ。
つまり、それが誰の気にいるか、気に入らないかにかかわらず、カザフの安定にはそれを保証するロシアと中国という双璧が存在している。
中東諸国は、地域での紛争がエスカレートして以後、銃器など小型武器の輸入量を急激に増やした。
小型兵器を監視しているスイスの研究所Small Arms Survey.の調査報告によれば、そうした武器の中東地域への供給額は、6億3千万ドルと記録的な水準に達している。
報告の基礎になっているのは、2013年のデータで、これは、武器・弾薬・スポーツ及び狩猟用銃、ピストルの販売に関するものだ。
報告書によれば、中東の主な輸入業者は、武器買い付け量を2013年には、前年に比べ80%も増加させた。中東で小型武器を最も多く買い付けている国は、アラブ首長国連邦とサウジアラビアで、世界全体では第4位、そして第5位を占めている。
なお小型武器監視についてのプロジェクトは、ジュネーブにある国際関係・発展研究所の独立調査センターによるものである。
「<福島 小児甲状腺がん>新たに6名(合計172名)事故当時5歳以下の子供も発症!(県民健康調査記者会見文字起こし)」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/791.html
※参照投稿
「福島で甲状腺がん検診 被災者の「見守り」継続を:御用学者を自認して恥じない山下俊一氏インタビュー 」
http://www.asyura2.com/14/genpatu38/msg/120.html
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福島県内の子供 がん確定30人に 甲状腺検査2巡目
東京電力福島第1原子力発電所事故の健康への影響を調べている福島県の「県民健康調査」検討委員会が6日、福島市で開かれた。県内全ての子供が対象の甲状腺検査を巡り、2014年4月に始まった2巡目の検査でがんと確定したのは、前回会議(今年2月)での報告から14人増えて30人となった。がんの疑いは27人。
確定と疑いの計57人は、事故から約3年までの1巡目の検査でほとんどが「問題ない」と診断されていた。
委員会後の記者会見で、星北斗座長(福島県医師会副会長)は「原発事故の影響とは考えにくい」と従来の見解を繰り返しながらも「人数が増えて県民の不安が増していることも間違いない。さらに詳細な調査をしたい」とした。
[日経新聞6月7日夕刊P.14]
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「県民健康調査「甲状腺検査(本格検査)」実施状況」16年6月発表:下記は一部抜粋
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/167943.pdf
[がん及びがん疑い]
(2)細胞診等結果 穿刺吸引細胞診を行った方のうち、57 人が「悪性ないし悪性疑い」の判定となった。
57 人の性別は男性 25 人、女性 32 人であった。
また、二次検査時点での年齢は 9 歳から 23 歳(平均年齢は 16.8±3.4 歳)、腫瘍の大きさ 5.3mm から 35.6mm(平均腫瘍径は 10.4± 5.6mm)であった。 なお、57 人の先行検査の結果は、A 判定が 53 人(A1 が 28 人、A2 が 25 人) 、B 判定が 4 人であった。
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[判定概要]
(1) 一次検査 超音波画像診断装置により甲状腺の超音波検査を実施。
なお、検査の結果は、以下の基準により複数の専門医により判定している。
(@) A 判定:A1、A2 判定の場合は次回(平成 28 年度以降)の検査まで経過観察としている。
(A1)結節やのう胞を認めなかった場合。
(A2)5.0 o以下の結節や 20.0 o以下ののう胞を認めた場合。
(A) B 判定:B 判定の場合は二次検査を実施している。
5.1 o以上の結節や 20.1 o以上ののう胞を認めた場合。
なお、A2 の判定内容であっても、甲状腺の状態等から二次検査を要すると 判断した方については、B 判定としている。
(B) C 判定:C 判定の場合は二次検査を実施している。
甲状腺の状態等から判断して、直ちに二次検査を要する場合。
トルコ最大の都市イスタンブールで大きな爆発があり11人が死亡した事件について、地元メディアは容疑者4人が拘束されたと伝えていて、トルコの治安当局は政府への反発を強めるテロ組織による犯行とみて事件の背景について捜査を進めています。
イスタンブールの世界遺産になっている旧市街で7日、警察官が乗ったバスが通りかかった際、路上にとめてあった車が爆発し、市民4人を含む11人が死亡、36人がけがをしました。
イスタンブールにある日本総領事館によりますと、日本人が巻き込まれたという情報はないということです。
この事件について、地元メディアは、爆発したのはレンタカーで、治安当局がこの車を借りた人物ら4人を容疑者として拘束したと伝えています。また、バスは、現場近くにある大学を警備する警察官の交代要員を乗せていたということです。
トルコでは、このところ、イスタンブールや首都アンカラなどの主要都市で、過激派組織IS=イスラミックステートやクルド系の組織によるとみられるテロ事件が相次いでいます。これまでのところ犯行を認める声明は出ていませんが、治安当局は今回も政府への反発を強めるテロ組織による犯行とみてどの組織が関与したかなど事件の背景について、捜査を進めています。
ウクライナは、チェルノブィリ原子力発電所の原子炉すべてからの核燃料の抽出を完了した。国家原子力規制監督局報道部が伝えた。
次の措置となるのは、これらの原子力施設の地位を失わせる決定を下すことだ。放射性廃棄物を取り扱う施設とみなされ、その一方で、チェルノブィリ原発廃止に向けた作業が活発化される。
チェルノブィリ原発1号炉からの使用済み核燃料の貯蔵所への移送作業は、すでに終わった。しかしこの貯蔵所の設計容量は、すべての使用済み核燃料保管のためには不十分だ。それゆえウクライナは、使用済み核燃料の処理及び保管のために、それらをロシアに運び出す。
米国エネルギー省は、3月末に日本が送ったプルトニウム331キロと高濃縮ウランを受け取った。それらは、サバンナ・リバーにある米エネルギー省の施設に到着した。
月曜日、米エネルギー省付属国家原子力安全局報道部が伝えた。
日本の高濃縮ウランは、米テネシー州オークリッジにある米エネルギー省の原子力総合施設Y-12に送られ、そこで、より濃縮度の低いものに加工される。
一方こうした合意は、地元住民の講義にもかかわらず、実現された。例えば、サウスカロライナ州のニッキ―・ヘンリー知事は、3月末、連邦当局に対し、同州内にある原子力総合施設への日本のプルトニウムの移送をやめるよう求めている。ヘンリー知事は「プルトニウムの移送は、サウスカロライナ州を恒久的に核物質のゴミ捨て場に変えてしまう危険性がある」と指摘した。
http://jp.sputniknews.com/us/20160607/2260433.html
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※参照関連投稿
「日本のプルトニウム・プログラムは、核拡散防止体制を脅かすとノーベル賞受賞者らが警告」
http://kakujoho.net/npt/ucs_npt.html
「技術や安全だけでなく国際関係的にも破綻した「核燃料サイクル」:使用済み核燃料の最終処分に道筋をつけ原発廃止」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/503.html
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
「オバマ大統領が広島に行ってはならない理由:広島訪問を安保理常任理事国の「核独占」正当化に利用するオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/365.html
「オバマ大統領広島訪問 米専門家の見方は:カズニック教授 原爆投下は不要、オバマ氏は核兵器削減に消極的」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/822.html
ウクライナ東部のドネツクに墜落したマレーシア機MH17の事件を調べている国際調査団はこうした事件を調べるには十分な経験を有していない事を認めた。
「こうした種類のこれだけの規模でこれだけ複雑な捜査を行なった経験はどんなグループも持っていない。専門家らは捜査の進む中で自分を頼りにせねばならない。これはつまりイノベーションを行い、自分の専門的な関連、経験に基づいて、捜査が進む段階で問題を解決することを覚えていく。」
合同捜査グループの中間的な作業総括に関しては専門家らはマレーシア機は今度は「ミサイルの不注意な発射」の結果、撃墜された可能性も否定していない。
カリフォルニア大学が豚の体内をインキュベーションとして用い、ヒトのすい臓を作る試みに初めて着手する。テレグラフ紙が報じた。
研究者らは豚のDNAを組み替え、豚の組織にヒトの細胞を組み入れることに成功。研究者らの話ではほぼ人間の組織細胞に等しい状態のすい臓を持った豚の胎児を作ることができる。この試みによって、世界初のヒトのすい臓を持った豚がこれから28日後に誕生する。
ただし研究者らにも実験の成功に関する確信がない。その原因は割れる倫理的評価。動物擁護者らは生きたインキューベーションとして豚を用いることに反対しており、また専門家らからも人間の細胞は動物の他の臓器にも移ってしまう危険性があると指摘があげられており、例えばそうした方法でヒトの臓器を内包した豚の脳はよりヒトに近い状態になるおそれがあるとしている。
米国大統領選挙まで、あと5か月となったが、これまでの過程を東アジアの国々は、注意深く見守ってきた。中でも主要2大国である日本と中国は、同様の警戒感を持って、トランプ氏の外交政策に関する発言を受け止めている。
特に、日本と韓国は、独力で自分の国を守れるようにする必要があるといったトランプ氏の発言や、自国の核兵器を持つべきだとするアドバイスは、毎日新聞が正確に表現しているように「政府内に戸惑い」を呼び起こしている。
なお発言後すぐにトランプ氏は、自分の言わんとしたことは日本の軍国化では決してなく、駐日米軍に対する今以上に気前のよい財政援助だとの説明を付け加えた。これに対し新聞Japan Timesは、そうした目的のために、日本の国家予算から毎年、170億ドル拠出されていることに注意を促した。
トランプ氏は、日米間の貿易のアンバランスについても、信じがたい法外なものと法外な、批判した。しかし2016年2月の統計によれば、日本の輸入全体に占める米国製品の割合は19%,で、この2年で2倍になっている。なお米国経済の日本製品への依存度は、4,7%にすぎない。
このほか、トランプ氏とクリントン氏二人が、TPPに対し否定的な評価を下している事にも、日本政府は「戸惑い」を感じている。この合意に反対する声は日本国内でも少なくないが、自動車や機械製品などの輸出のための新しい市場を開く見通しの方が、日本にとって、これまでの交渉努力を台無しにするより、もっと大きな希望を持って受け止められている。
さて中国だが、トランプ氏は、この国に対しても、経済領域でのクレームを蓄積させてきた。彼の言葉によれば、米国は、中国との2国間貿易のアンバランスにより、5000億ドルを失ったとのことだ。これに対し中国は、対中貿易での米国の赤字分は、5000億ドルではなく3660億ドルだと指摘し、訂正している。所謂「トランプ現象」に対する中国国内での態度は、今のところはっきりとは示されていない。しかし、中国政府は、アジア太平洋地域における米政府の政策がやはり、中国抑止に向けられていると受け止め、もし米国が仮に、中国と対峙する場所から去るならば、その地位を代わりに占める可能性があるのは、東アジアで主要なプレーヤーとしての役割を明らかに求めている日本だろうとはっきりと自覚している。
政治分析センターのキリル・ペトロフ氏は、スプートニク日本記者のインタビューに応じた中で、次のような見解を明らかにした-
「こうした脅威論は、誇張されたものだ。これは、トランプ氏が、挑発的な文言によって、スキャンダラスな話題を作り上げている選挙戦の過熱化と関係がある。もちろん多くの国々にとって、共和党候補は当分の間、「吉とでるか、凶とでるかわからない玉手箱」のような存在であり続けるだろう。この事はオバマ現大統領も認めている。彼は日本でのG7閉幕後の記者会見で『トランプ氏は、世界のリーダー達の不意を襲っている。彼らは、どの程度真剣に、彼が言っていることを受け止める必要があるのか分からない』と述べ『トランプ氏の多くの提案は、世界事情について彼がどれほど無知か、あるいは問題をよく考えもせずに解決しようと試みているのか、そのどちらかであることを証拠立てるものだ』と指摘している。
しかし私の見るところ、トランプ氏もクリントン氏も、両方とも、国益という観点から見れば、日本にとって、それほど悪くはない。おそらく中国の方が、もっと懸念すべきだろう。トランプ氏は、中国製品のために、米国に変動金利の導入を考えている。また彼は、中国との競争に直面する中、米国内に雇用の場を生み出すようなビジネスを支持している。この事は、多くの米国民の票をトランプ氏に保証している。
しかしトランプ氏のチャンスは、過大評価されているように思う。もし彼が、それでも勝利したならば、彼の革命的な物言いは『少し影を潜め』、それは米国にとってより伝統的なものへと姿を変えるだろう。まして対外政策においてクリントン氏が急激な措置を行うとは、想像しがたいゆえに、なおさらだ。」
ロ日の最高指導部と両国の外務当局が、平和条約問題解決のために領土問題で歩み寄りの道を見つけようと努力している一方で、マスメディアの方は、滑稽なことばかり言い立てるのに忙しいようだ。ロシア外務省は「産経新聞」の非客観的立場を批判する分析レポートを書き、意味不明という理由で、それを同新聞社のモスクワ支局に送付した。ロシアの有名な歴史学者であるアナトリイ・コーシキン氏は「産経新聞」の主張は、一連の日本の専門家同様、批判に値するものだ、と捉えている。
「産経新聞」は、ソ連は「クリルを盗み、戦争末期に『火事場泥棒』のような行動をとった」と書いている。それ以外に、同新聞紙上では、先日いわゆる「北方領土返還」を求める積極的な闘士の一人、北海道大学の木村汎名誉教授が、ロシアに対し「島の返還」を求めたのみならず、日本に「島の住民の70年間の利息」を支払うよう求めた。こうした意見は、実にバカげている、なぜなら敗者は、勝者から損害賠償を得ることはできないからだ。
しかし南クリルに関する日本の立場の他の若干の側面にも、少なからぬ、そうしたバカげたことがある。肝心な点は、1904年から1905年にかけて行われたロ日戦争での敗北の後、ロシアがサハリンの半分を、米国の支援の下、日本に引き渡さざるを得なくなった後、日本は、クリルの島々を領有する法的権利を失った、という事である。
1875年、ロシアは、サハリンを求めないという合意で、日本にそれらの島々を渡したが、1905年、ポーツマスでの和平交渉でロシア代表団長を務めたセルゲイ・ヴィッテが、日本側に対し、サハリンに対する要求は1875年の合意と矛盾すると指摘した際、日本代表団長の小村寿太郎外相は、高飛車な態度で「戦争は、条約を取り消すものだ。あなた方は、敗北を喫したわけですから、戦争の後に形成された状況に立脚して下さい」と述べている。
まして、ポーツマス条約の議定書の付属文書の中には、日本側の強い要求により、日本とロシアのこれまでの条約、つまり1855年に下田で結ばれたロ日和親条約、1875年に結ばれた条約、そして1895年に結ばれた日露通商航海条約は、無効とする条件が含まれている。このように日本自身が、クリルの島々の領有に関する法的権利を放棄したのだ。
スプートニク日本記者は、コーシキン氏に、いくつか質問をぶつけてみた。
スプートニク記者:この事は、その後のクリルの運命に、どんな影響を与えたか?
コーシキン氏:1925年の日本との外交関係回復の際、ソ連は、政府の特別声明の中で、ロ日戦争の領土的結末に対する不同意を確認した。1940年11月、日本との間の不可侵あるいは中立条約締結の条件作成の際、ソ連のヴャチェスラフ・モロトフ外相は、日本の建川美次(よしつぐ)駐ソ特命全権大使 に対し「ソ連の世論は、不可侵条約の締結問題を、奪われたかつての領土である南サハリンとクリルの島々の返還問題と結びつけるだろう」と述べている。
当時、南サハリンの返還について、話すことはできなかったからだ。
それでロシア政府は、日本との間に不可侵ではなく、中立条約を結んだのだった。そして1945年9月2日、時の指導者スターリンは、ソ連国民に向けメッセージを出し「ロシアからサハリン南部を奪い取り、クリルの島々において地盤を固め、そうすることで太平洋へのソ連の出口のすべてに鍵をかけるため、日本は帝政ロシアの敗北を利用した」と指摘し、国民の注意を促した。
スターリンは、先に紹介した小村外相の発言を引用することもできた。というのは今度敗北したのは、日本だったからだ。
スプートニク記者:一方、日本はそれを認めたのか?
コーシキン氏:もちろんだ。ポツダム宣言にもとづいた降伏条件が受け入れられ「日本の主権は、本州、北海道、九州、四国そして我々が示す若干の大きな島々に制限される」ことを認めた。それ以外に、クリルの島々の放棄は、現在も効力を持つ1951年のサンフランシスコ講和条約の中でも記録されている。それにもかかわらず、木村教授は「産経新聞」の記事の中で、「南クリルは、第2次世界大戦の結果、ソ連の領土になった。日本側は、それを受け入れるべきだ」とするラヴロフ外相の発言を、日本側は受け入れることができないと述べている。
しかしここで、もし日本政府が、木村教授や「産経新聞」の他の論客の論理に従うのであれば、ロ日間の平和条約は、今後さらに長い間、存在しないことになることを、日本側は理解すべきだと私は思う。
英国の特殊部隊がシリアの最前線におり、毎日テロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」による攻撃にさらされている在野勢力部隊を支援している。司令官らがタイムズ紙のインタビューで述べた。
タイムズ紙によると、英特殊部隊の兵士たちはヨルダンに拠点を置いており、イラクとヨルダンの国境近くにある戦略的に重要なアル・タンフ村を確保している在野勢力部隊を支援するためにしばしばシリア入りしている。
同部隊は、シリアのアサド大統領軍から離反したシリア特殊部隊の元兵士で構成されている。部隊は英国と米国のインストラクターによる訓練を受けているという。
タイムズ紙は同オペレーションについて、シリア領内で英国軍が直接戦闘行為に参加している最初の証拠だと伝えている。
北朝鮮に近いうちにも金正恩第1書記が率いる新たな最高権力機関が誕生し、従来の一連の構造は廃止される可能性がある。
韓国国家情報院付属国家安保戦略研究院のコ・ヨンファン副院長が伝えた。
「ロシースカヤ・ガゼータ(ロシア新聞)」は複数の情報として、新機関は「中央人民委員会」あるいは「中央最高人民委員会」と名付けられる可能性があると報じた。
原子力エネルギーは今後発展するものの、現在それは苦しい時代に直面している。先日、モスクワで開催された「アトムエキスポ」フォーラムでこうした評価がもらされた。
原子力エネルギーの人気が落ち込んだ最大の理由について、TENEM(ロシアの原子力企業「ロスアトム」の対外貿易会社「テフスナブエクスポルト」が米国におく子会社)のフレッチャー・ニュートン社長は、5年前に起きた福島第1原発事故がその一因として次のように語っている。
「この事故は計り知れない意味を持った。日本は直ちにウランの使用およびウラン濃縮作業への支払を一時停止した。現在、世界ではウランが非常に余っている。福島の事故までのウランの価格は1ポンド(0.453 592 37 kg)あたり73ドルだったが、現在それは28ドルにまで下がっている。ウラン濃縮作業代もSWUあたり128ドルだったのが今や60ドルだ。これは多大な打撃だ。なぜなら燃料の全ての材料の需要が減ったからだ。こうした現象が起きたのは日本に限らない。ドイツでもベルギー、スイスでも同じで、米国でさえ過去5年ですでに5基の原子炉が閉鎖された。なんでドイツで津波に襲われないようにという理由で原発を稼動停止する必要があったのか理解に苦しむ。私の見解ではこうした反応は正しくないのだが、実際には我々全員がこれに直面してしまったのだ。」
スプートニク:日本の原子力産業は将来どうなるだろうか?
ニュートン氏:「福島の事件は5年前におきた。日本政府が全ての原子炉を稼動停止するなど誰も予期しなかった。だが日本人はまさにそうしたのだ。その決定を他の者たちは、(まぁ、仕方ない。それでも1年か2年たてば、徐々に全部の原子炉を再稼動するだろう)と考えた。これだけ長期に渡って全部の原子炉が閉鎖状態になることなど誰も考えもしなかった。現在日本で稼動しているのはわずが2基。福島の事故前までは53基が稼動し、電力の約30%を生産していたのだ。1月から2月にかけて2基が再稼動されたが、すぐに稼動は停止された。なぜなら地元民が裁判所に訴えたからだ。この先再稼動計画のある数箇所の原子炉に対してもすでに裁判プロセスが準備されている。だからこの先何が起きるかを口に出来る人は誰もいないと思う。
日本はエネルギー依存の観点から原発なしには立ち行かない反面、すでに5年もそれなしでやってきた事実がある。これがどこに行き着くのかは正直いって分からない。私からすれば、これはあまりに大きな誤りであり、欠如だ。日本政府内には市民に対し、『確かにこれは深刻な事故でしたが、これには感情的ではなく科学的に対処する必要があります』と正面切って言える人が誰もいない。日本が原発なしの営みを長く続ければ続けるほど、市民は全部廃炉にしてしまえと思うだろう。ただし私はそうはならないと思う。日本は最終的には原発を再稼動すると思う。ただそれがいつ、何基になるかはわからない。」
英デイリー・メール紙は、独自の調査の結果、トルコにテロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」用の戦闘服をつくる工場があることを明らかにした。
なお工場ではシリア難民の子供たちが働いており、わずか9歳の子供もいるという。子供たちは工場で1日に12時間労働させられている。デイリー・メール紙が伝えた。
シリア難民の親たちは、必要に迫られて子供たちを辛い環境での仕事に送り出した。
工場の所有者は、「ダーイシュ」のイデオロギーへの同調を否定しており、戦闘服の生産はお金を稼ぐために始めたにすぎないと述べている。
戦闘服は、トルコとシリアの国境経由の密輸ルートで「ダーイシュ」や「アル=ヌスラ戦線」、その他の過激派組織に供給されている。
各組織用に独自の戦闘服が生産されており、工場の所有主によると、一番人気は米国の基準でつくられた戦闘服だという。
今日から2日間の予定で、韓国は、日本との間で領有権を争っているトクト(日本名:竹島)海域で軍事演習を開始した。共同通信が伝えた。
なお韓国軍司令部スポークスマンによれば「今回の演習は、定例的なもので、韓日二国間関係を含めた、今の国際情勢とは関係がない」とのことだ。
共同通信の情報では、演習には、艦船10隻、パトロール機P-3 Orion、さらには潜水艦攻撃用ヘリコプターLynxが参加する。
演習のシナリオに従い、韓国軍は、敵に島を占領されたと仮定して、島の解放作戦の仕上げ訓練を行う予定だ。
2016年の世界平和度指数によると、世界の安全保障レベルは低下しており、紛争に全く関与していないと考えられる国はわずか10カ国しかない。
中東情勢の悪化、移民・難民問題の未解決、テロによる死者数の増加などが、世界平和度指数悪化の原因となった。インディペンデント紙が報じた。
10年前から世界平和度指数を発表している経済平和研究所によると、内部紛争にも外部紛争にも全く関与していない国は、ボツワナ、チリ、コスタリカ、日本、モーリシャス、パナマ、カタール、スイス、ウルグアイ、ベトナム。
なお世界で最も平和な国は今回もアイスランドで、最も平和でない国はシリアだった。
約80カ国が以前よりも安全となり、79カ国の情勢が悪化した。
統計の結果、ロシアの対日食糧輸出は2016年1−2月、著しい伸びを見せた。中でも最も伸びたのはラード、植物油、砂糖、菓子で6.9倍に、穀物類も2.5倍、穀物類から出来た製品は46%増、魚やカニは26%増えた。
東京にあるロシア通商代表部のセルゲイ・エゴロフ首席代表によれば、食肉は2ヶ月で2倍に拡大。日本人が特に関心を払っているのはロシア産豚肉、鶏肉。これらの食肉は日本では飼料が値が張るため、それが価格に反映されてしまうが、ロシア産のものは原価が低いのが人気の理由。エゴロフ氏によれば現在、ロシア産牛肉、豚肉、ラム、鶏肉などの検疫証明書の合意作業が行われている。
「食肉産業」誌のアレクセイ・ゴルバトフ編集長はスプートニクからのインタビューに対し、ロシア産食肉および農産品の輸出の伸びを促したのは生産の全体量が増えたからだとして、次のように語っている。
「ロシアは2016年1月から4月までの間に食肉生産を79万2千トンにまで増やした。これは昨年同時期比で13.5%多い。こうした増加の背景には米国、EU諸国からの食糧輸入禁止の導入後、ロシア政権が農業に強力な支援を行ったことがある。仮にこうした成長速度がキープされたなら、ロシアは近いうちに深刻な食物過剰に直面してしまう。 とはいえ、輸出全体で見ると食肉の占める割合は現段階ではそう大きくはないが。それでも家畜の病気や輸入国の要求にあわせた体系的な保証といった主たる問題が解決されれば、将来、輸出は年間数十万トンに達する可能性がある。」
ゴルバトフ編集長の指摘では、食肉の大型輸出国というのは同時に輸入国でもある。これは肉の種類や製品の種類の専門化が進むためだ。その証拠に日本側もロシアへの神戸産霜降り和牛肉の輸出拡大に関心を示しており、2015年3月にロシア企業S.Meatによって兵庫県の3社からの輸入が開始されている。また2016年3月には在露日本大使館の田島浩志(たじま・ひろし)公使はロシア農業監督庁との交渉で、さらに日本の220社がロシア市場への食肉製品の輸出に手を挙げている事実を明らかにしている。
駐日ロシア通商代表部からの最新ニュースによれば、ロシアのビール「オチャコヴォ」も取引契約が締結され、日本向けテスト輸出も開始された。現在、日本市場に売られているロシア産ビールは「バルチカ」だが、そういえばアサヒ・スーパードライの生産が行われているのもロシアの「バルチカ」ビール工場だ。
それ以外にもロシア通商代表部エゴロフ首席代表によれば、露日間ではルーブル・円決済への移行が話し合われ始めた。この提案は昨2015年、ウラジオストクでの東方経済フォーラムに参加した日本側から提起された。同様のスキームはすでにロシアと中国、ベトナム間で実施されている。JBIC (国際協力銀行)もすでに最高で12種類の外貨オペレーションを行える権利を有している。
米国も中国も、北朝鮮を核大国としては受け付けない。米中戦略・経済対話の閉幕式でケリー米国務長官がこうした声明を表した。一方、ロシアの専門家ゲオルギー・トロラヤ氏は、北朝鮮に対抗して米中が統一戦線を組むことなど絶対にありえないとして次のように述べている。
「これは中国外交のかなり巧妙な手口だと思う。なぜなら中国は、まさに北朝鮮を核保有国に認定しないという条項においては、米国だろうが、他のどんな国を相手にしても、自由に協力するだろうからだ。
そもそも、現行の核不拡散条約は核保有国を5ヶ国としているため、この枠内では北朝鮮を核保有国として認めることはできない。このため、この不拡散条約の枠内でインドであろうが、パキスタン、北朝鮮、イスラエルだろうが、どんな国でもそれを新たな核保有国と認めた場合、それはこの条約と今ある世界の秩序全体を壊すことに繋がってしまう。こんなことは誰にも必要ではない、中国は、この点においてはアメリカやこれに関連した決議案を支持する可能性が高い。」
また、北の核保有国不認定という米の立場を中国が支持したのにはもう一つ理由がある。中国は、北朝鮮による度々の核保有国の主張に苛立っていた。このような声明がだされれば、実際には中国に向けられることになるミサイル防衛システムを配置する口実を米国に与えかねない。まさにこうした理由で、以前は北朝鮮に対してかなり自制した立場をとっていた中国が今、対北朝鮮制裁の強化という決議案を支持したのだ。中国国内では北朝鮮の口座が凍結されはじめ、北朝鮮のビジネスマンの作業に障害が設けられ出した。しかし、中国が決議案を厳しく履行すると、今ようやく危機から脱け出そうとしている北朝鮮の経済には深刻な打撃となってしまう。こうなれば北朝鮮の体制崩壊に繋がる可能性があり、その結果、多くの難民が中国に流れ込むだろう。しかし、北からの流入も、ドイツの例のように統一された朝鮮国家が自国の国境に沿って出来上がることも、中国には不必要だ。トロラヤ氏は、こうした理由からアメリカとの行なった共同声明にも関わらず、中国は北朝鮮に強い圧力は加えないとの考えを示し、さらに次のように語る。
「北朝鮮は今、関係改善に努力しているため、中国は北朝鮮からのさらなる不満を恐れてはいない。それに中国も、自分たちはいささかかっとなりすぎて、全面的に余りに厳しい制裁を支持してしまったと思い至ったようだ。米国だって中国がこれほど急激に反応するとは予期していなかったと思う。そのため中国は今、巻き戻しを計っている。中国は国内での北朝鮮批判を止め、北朝鮮の公使とのハイレベル会談を始め、様々な手段で友好の意向を示している。しかしその上で米国を満足させるためには、誰にも何の義務を負わせない決議案に同意することはできるのだ。」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160608/2272000.html
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ロシア、北朝鮮の核プログラムに「過剰に」反応しないよう求める[スプートニク日本語]
2016年06月05日 19:08
朝鮮半島の情勢は深刻な問題である、しかし、「北朝鮮の行動に対する過剰な軍事的対応」はあってはならない。国防次官アナトーリイ・アントーノフ氏がアジア太平洋地域の安全保障に関する国際会議「シャングリラ対話」で述べた。
ロシアは「不拡散体制と北朝鮮の核の野望を認めないという立場を一貫して主張し、推進している」。同時に「北朝鮮の行動に対する過剰な軍事的対応には反対し、地域の軍事バランスを変更する口実として北朝鮮のミサイルと核プログラムを利用する試みは断固として受け入れられないと確信する」と次官。
それは第一に「米国のグローバルミサイル防衛システムの拠点を新たにアジア太平洋地域に展開する計画を指す」 。「このような近視眼的措置は地域の安定性の観点から壊滅的な結末をもたらしうるものだ」と次官。
なお、日本政府もわかったうえで「政府と軍は連携取れているのか」と発しているのだろうが、航行ルートを見ればわかるように、共産党・政府・軍が対日限界ラインを設定しながら行った作戦であったことは明白だ。
※参照投稿
「中国、釣魚島への測量標識設置を計画:公的機関の衝突につながる挑発:半年も続く「二重権力状況」の早期解消を」
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/876.html
「桝添東京都知事訪中の真意は“安倍訪中の露払い”:日中関係悪化の理由に関する石原氏の説明と教科書検定で改善に向かう日中関係」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/312.html
「海でも崩れた日中均衡 経済に続き警備力も「逆転」 尖閣支配へ じわり侵食」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/796.html
「尖閣諸島領有権問題:X氏の批判に応える1:尖閣諸島に対する日本領有を正当化できる根拠」
http://www.asyura2.com/13/senkyo151/msg/729.html
「尖閣諸島領有権問題:X氏の批判に応える2:関係改善が見えてきた日中関係:日中両国民の多数が納得できる解決策を」
http://www.asyura2.com/13/senkyo151/msg/749.html
「尖閣諸島領有権問題:X氏の批判に応える3:敗戦処理〜「カイロ宣言」からSF講和条約へ、そして沖縄返還協定〜」
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/762.html
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緊張の尖閣、新段階に 中国艦航行ドキュメント[日経新聞]
2016/6/10 0:47
中国海軍の艦船が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域を初めて航行したことを受け、日本政府は8日深夜から9日未明にかけて慌ただしく対応した。軍艦が領海にまで侵入する事態になれば不測の事態につながりかねないからで、「緊張レベルは一段上がった」(政府関係者)とみる。中国側に強く抗議する一方、偶発的な衝突を避ける体制を早期に整える構えだ。
■自衛艦がロシア艦を追尾中
真夜中の尖閣周辺の接続水域で何が起きたのか。
事の発端はロシア海軍の艦船の動きだった。8日午後9時50分ごろ、海上自衛隊の護衛艦「はたかぜ」が尖閣諸島の接続水域の南側からロシア軍艦3隻が航行するのを確認し、追尾した。3隻は久場島と大正島の間を抜け、9日午前3時5分ごろ接続水域を出た。
一方、この間の8日午後11時ごろ、海自の別の護衛艦「せとぎり」が中国海軍のフリゲート艦1隻が久場島北東の接続水域に近づいていくのを把握した。
■警告を無視、未明の侵入
海自護衛艦は中国軍艦に同水域に入らないよう無線で警告を発したが、中国軍艦はこれを無視し、翌午前0時50分ごろに進入した。
「一方的に緊張を高める行為で受け入れられない」。午前2時すぎ、岸田文雄外相の指示を受けた斎木昭隆外務次官が、中国の程永華駐日大使を外務省に呼び抗議した。
中国軍艦が接続水域を出たのはそれから約1時間後。ロシア軍艦が同水域を離れた直後の3時10分、大正島の北北西から出た。
接続水域は領海につながる公海で、航行自体は原則、国際法違反にはならない。今回、ロシア軍艦3隻は演習後、ウラジオストク港に戻る最中だったとされる。過去にも尖閣周辺の接続水域を航行したことがあったが、日本政府はいずれも抗議していない。
菅義偉官房長官は9日の記者会見で「常日ごろ中国は尖閣諸島に関して独自の主張をし、これまで公船が領海侵入している。一方、ロシアはそうした事情がなく同様の対応はしなかった」と説明した。中国は尖閣諸島の領有権を主張し、日本と対立しているため対応が異なるとの説明だ。
尖閣周辺では日本の海上保安庁にあたる中国海警局などの船が領海や接続水域に入ることが常態化している。だが軍艦の航行は初めてだ。
日本政府は中国側の意図の分析を進めている。自衛隊幹部は「中国指導部の了解を得たうえでの行動とみられる」と指摘。5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や今月シンガポールで開いたアジア安全保障会議など国際会議が終わったばかりのタイミングで「国際社会から批判されにくいとの思惑もあったはずだ」と解説する。
海自護衛艦がロシア軍艦を追尾して接続水域に入ったため、尖閣諸島を自国の領土だと主張する中国軍艦が対抗して入ったとの観測や、「中国が自国の領土だとアピールするいい機会だと捉えた」との見方もある。
■「政府と軍は連携取れているのか」
いずれにせよ仮に中国軍艦が領海にまで侵入してきた場合、海上保安庁の巡視船の能力では対応しきれない。日本政府関係者によると、中国軍艦は接続水域に入った後「通常の航行ではみられないような動きをした」ともいう。領海で同様の行動をとった場合、日本政府が自衛隊による海上警備行動を発令する事態になりかねない。
海上警備行動は自衛隊法に基づき防衛相が首相の承認を得て発令するもので、停船命令に従わない場合は威嚇射撃ができる。日本政府が緊張のレベルが上がったと受けとめ、異例の未明の抗議に出たのはこうした不測の事態につながりかねないからだ。
日本政府は今後、海自や海保による周辺海域の警戒を強めるとともに、米国など関係国と連携し中国に自制を促していく構えだ。中国も参加する国際会議などを活用し、中国の行動がこれ以上エスカレートしないよう国際世論にも訴えていく。
「政府と軍は連携を取れているのか」。斎木氏は中国側への抗議で、程氏にクギを刺した。政府の統制がきかずに軍が一方的な挑発行動をとっているとすれば、緊張は高まるばかりだからだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS09H5T_Z00C16A6EA2000/?dg=1&nf=1
世界で原子力発電所の運転が始まってから60年あまり。施設の老朽化が進み本格的な原発の廃炉時代を迎えた。2022年に全原発の運転停止を決めているドイツは世界でもいち早く作業が進む。北部にある世界最大級の廃炉拠点では放射性物質などを取り除く作業がほぼ終わり、風力発電の工場へ生まれ変わろうとしていた。
首都ベルリンから北へ約200キロ離れたルブミン町。豊かな漁場のバルト海に面する土地にグライフスバルト原発がある。隣にあるグライフスバルト市にちなんで名づけられた。南側にある正門は大型トラックの出入りが激しいが、施設内で働く作業員はあまり見当たらず、廃炉作業は静かに進んでいる印象だ。
同原発が運転を始めたのは旧東独時代の1973年。旧ソ連式加圧水型と呼ばれる方式で、80年代末までに8基が建設された。発電能力は1基当たり約44万キロワットと小型だが、一時は東独で消費する電力量の約10%を供給した。廃炉が決まったのは91年。86年に旧ソ連でチェルノブイリ原発の事故があり、東西ドイツの統合後、危険性の高い旧ソ連式は廃炉が決まった。炉心のある圧力容器を覆う格納容器がなく、大事故が起きれば放射性物質が大量に飛散する恐れがあった。
廃炉作業を担うのは政府が全額出資する国営企業のドイツ・ノルトエネルギー(EWN)だ。グドルン・オルデンブルク広報部長は「ここは原発廃炉のミュージアムだ」と説明する。廃炉にかかわる一連の作業や施設が見学できるほか、敷地にある中間貯蔵施設は使用済み核燃料などを保管する。8基の原発を持つ施設の廃炉は世界でも最大級で、日本を含め世界から原子力関係者の見学が絶えない。
ミュージアムと呼ぶ理由はもう一つある。8基のうち3基が運転前に廃炉が決まり放射性物質に汚染されなかったため、廃炉の作業手順を検討する実物大の訓練施設として活用できた。6号機は圧力容器や蒸気発生器などが残されており、今でも見学できる。
高さ約50メートルの6号機建屋の1階から入り、まず案内されたのが「センサー・ルーム」だ。細いステンレス製の配管が張り巡らされ、原発内を流れる水の圧力を約200カ所のセンサーで計測する。運転の監視には欠かせない場所だ。
階段を上り厚さ約30センチある鋼鉄製の扉から中に入ると、圧力容器が目の前に立ちはだかる。オルデンブルク部長は「ここが原発の心臓部だ」と指をさした。内部をのぞくとウラン燃料が入れられる原子炉が見えた。原子炉の高さは約23メートル、幅は約4メートルで、約42トンの核燃料が挿入される。その原子炉とつながるのが蒸気発生器だ。
いずれも運転を始めると、放射性物質で汚染されてしまう。運転前に廃炉を決めた原発だからこそ、作業の流れを検討するには最適な施設だと一目でわかる。
廃炉が決まってから25年がたち、作業は最終段階を迎えている。2006年には核燃料、09年には圧力容器、13年には発電機など大型設備の撤去をそれぞれ終えた。オルデンブルク部長は「作業員が誤って被曝(ひばく)するなど小さなトラブルはあったが、放射性物質が大量に漏れるような大きな事故はなかった」と説明する。遠隔操作によるロボットや高圧の水を出す除染装置を使ったり、防護服などの検査を厳重にしたりするなど被曝対策を徹底した。放射性物質に汚染された設備などはほぼ取り除かれ、28年には建屋も壊される予定だ。
廃炉作業が進むにつれ、新産業の誘致も進む。タービンなどが並んでいた長さ約1キロメートルの建屋は設備の撤去後、頑丈で巨大な空間を生かし風力発電を組み立てるクレーン工場になった。バルト海における風力発電の建設で活躍する。風力発電関連企業も約30社立地し、原発施設は再生可能エネルギーの生産拠点に生まれ変わりつつある。
ドイツの民間企業で組織するドイツ産業連盟シニアマネジャーのデニス・レントシュミット氏は「廃炉事業は成長産業だ」と強調する。全世界で廃炉が進み、蓄積した技術のノウハウは海外にも輸出できるからだ。政府も積極的に技術力をアピールしている。
廃炉に向けて残された課題は放射性廃棄物の最終処分だ。中間貯蔵施設には近隣の原発からも廃棄物が持ち込まれるが、最終処分地は決まらず行き先は不明なまま。これまで廃炉にかかった費用は約30億ユーロ(約3660億円)だが、廃棄物の行方によっては上振れする恐れもあるとしている。
(竹下敦宣)
[日経新聞6月5日朝刊P.23]
安倍晋三首相が7月の参院選に合わせた衆参同日選を見送ったことで、永田町の関心は次の衆院解散・総選挙の時期に移ってきた。2017年4月に予定していた消費税率10%の引き上げは19年10月まで2年半延期され、解散時期の自由度は増した。参院選の結果を踏まえ、18年9月の自民党総裁の任期延長を視野に入れると、衆院選と総裁選の密接な関連が浮かび上がる。
(1)年内〜来年1月の通常国会冒頭
「確実に勝ちが見込める機会はそう多くない。解散するなら早い方がよい」。首相に衆参同日選の実施を進言していた首相周辺は、経済が比較的好調で、野党の支持率が低いうちに解散した方が有利と主張する。民進党の岡田克也代表も3日、「年内の可能性が高い」との見方を示した。
議席占有率6割を超える勝利を収めた12年と14年の衆院選はいずれも12月。自民党若手議員は「政治は縁起が大事だ」と話し、参院選で勝利した場合、12月中の選挙が有力との見方を示す。12月に予定するロシアのプーチン大統領の来日時に北方領土問題を前進させ、その成果を掲げて解散に踏み切るとの説も取り沙汰される。
ただ、次期臨時国会では、環太平洋経済連携協定(TPP)関連法案や、消費増税延期を盛り込む税法改正案など重要法案が山積し、その後には17年度予算編成が控える。政治日程への影響を考えれば、17年度予算の審議が始まる前の来年1月の通常国会冒頭解散も有力になってくる。
(2)17年通常国会〜臨時国会
首相が17年4月からの消費税率10%への引き上げを再延期したため、これまでは困難とされてきた17年中の解散も選択肢となった。17年度予算を成立させた同年4月以降の衆院選でも増税の影響がないからだ。
ただ、この場合のハードルは高い。1つが先の通常国会で成立した改正公職選挙法の影響だ。小選挙区を「0増6減」する新しい区割りは来年夏以降の適用となり、一般的に制度変更の前後は解散・総選挙はしにくいとの見方がある。仮に新しい区割りの適用前であれば「定数削減を回避する思惑があるのでは」と批判され、適用後であれば「候補者調整が間に合わない」との問題が出てくるためだ。
2つ目は連立を組む公明党が国政選挙並みに重視している東京都議会選が17年夏に予定されていることだ。
支持母体の創価学会が大規模な組織戦を展開するため、同党はこの時期の衆院解散・総選挙になれば集票力が分散しかねないとして消極的な姿勢を示す。
(3)18年の自民総裁任期満了前
現在の衆院議員の任期は18年12月までだが、首相の総裁任期はその前の9月末までだ。自民党則は延長を認めないが、過去には中曽根康弘氏が任期切れまで3カ月となった1986年夏、衆参同日選挙に踏み切って大勝し、その功績が認められ、特例で総裁任期を1年延長した例がある。今回も任期切れ直前で解散し、大勝すれば任期延長にも道を開くとの計算が働く。
東京五輪を2020年夏に控え、首相が任期中の実現に意欲を示す憲法改正も任期延長が不可欠だ。消費税率10%への引き上げ時期が任期切れ後の19年10月となったことも任期延長論の根拠となる。稲田朋美政調会長は5日のフジテレビ番組で安倍首相の総裁任期延長について「自民党内のルールなので安倍首相が首相(総裁)を続行している可能性は十分ある」と述べた。
もっとも総裁任期満了前の解散の場合、いったん年内から年明けにかけて衆院解散に踏み切り、さらに総裁任期満了前に2度目の解散に踏み切る「小刻み解散」のタイミングとなる可能性もある。首相は14年に衆院任期を2年以上残して解散して圧勝した。衆院選の間隔を短くして党内の求心力を保つと同時に、野党の選挙準備が整わないようにする狙いだ。
一方、党内には「衆院で3分の2を失わないために今回は同日選を見送ったのだから当分、解散はないだろう」(ベテラン議員)として18年まで解散できないとの見方もある。ただ同年12月までの衆院の任期満了時期に近づくほど有利なタイミングで解散できる余地が狭まり、実質的な解散権を行使できぬまま「追い込まれ解散」になりかねないリスクをはらむ。
[日経新聞6月6日朝刊P.2]
(台北 5日 中央社)林全行政院長(首相)が今月3日、慰安婦について、志願者がいた可能性を指摘し波紋が広がっている問題。同氏は5日、必要があれば立法院(国会)で公式に謝罪する意向を示した。
林院長は3日の立法院質疑で「志願した人もいれば、強制された人もいた可能性がある」と発言。同日夜には「関係者を傷つけかねず、社会に迷惑をかけた」として謝罪していた。
5日、台北市内の高齢者施設を訪問した林院長は、報道陣に対し「必要があれば、適切な時間に(国会で)謝罪する」と表明。質疑では理解が不十分で不適切な発言があったと釈明した。
(戴雅真/編集:齊藤啓介)
最終更新:6月5日(日)11時54分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160605-00000001-ftaiwan-cn
フランス軍特殊部隊がシリア北部に送られ、テロ組織ダーイシュ(IS)と戦う反政府勢力の指導に着手した。
この作戦の主な目的は、テロリストと戦う地元軍隊を訓練することだという。地元軍は武器や空からのサポートを受けるほか、軍事演習も実施される。
フランス国防省のジル・ヤロン氏によれば、特殊部隊の作戦のため、これ以上の詳細は明かせない、という。
ロシアの「ロスセチ」といえば世界最大の送配電企業に数えられる。その「ロスセチ」のオレグ・ブダルギン代表取締役と日本の「ソフトバンク」の孫正義社長、国際協力銀行の前田 匡史代表取締役専務との交渉が数日前、日本で実施された。
会談では、日本企業が参画してロシア領内で今行われているインテリジェントネットワークの発展プロジェクトの今後が話し合われたが、スプートニクが「ロスセチ」のロマン・ベルドニコフ副代表取締役にインタビューを行ったところ、会談の主な目的はアジア各国の電力網を統合するいわゆる「アジアン・リング」だったという回答がえらえた。
ベルドニコフ氏:「エネルギーリングの創設を討議する中で今まさに日本はリーダー格ではないものの、非常にアクティブなプレーヤーだ。それまでのプロセスではリードしていたのは中国だった。完全なエネルギーリングの創設が重要で急務を要するのはこれが事故、災害の発生時、非常事態時にエネルギー−リングのいかなるポイントへも必要な電力を供給することができるためだ。しかもエネルギーリングプロジェクトは国際協力、国際統合の枠内における技術発展につながる。つまり共通の電力ネットワーク複合体の統一基準、規範に移行するということだ。
一月ほど前、日本、中国、ロシア、韓国間で4者間協力メモランダムが調印された。そして今、我々はプロジェクトのフィジビリティスタディの策定に差し掛かっており、このなかでエネルギーリングのすべてのルートの試算が行われる。」
スプートニク:このプロジェクトはエネルギーリング創設の4者覚書にサインしたうち、どの参加者のどんな経済的課題に一助となるか?
ベルドニコフ氏:「日本にはこれは長期的な代替電力エネルギーの供給を約束する。この期待には今の原子力エネルギーの生産削減が影響していると思う。中国にとってはアジアンリングシステムはエネルギーの輸入、輸出の両方の可能性を与えるだろう。ソ連時代にはすでに電力エネルギーシステムのレジーム、管理原則、交流信号を統一したネットワークが作られていたが、これもれっきとしたわけがある。これがある場合、地域間の電力エネルギーの交換が可能となり、例えばある地域が深夜の場合、そこからより安価な電力を他に送ることができる。
日本と中国は経済上の合目的性からこの作業原則を支持している。確かに、他の地域からより安い価格で電力が得られるなら、どこに蓄電する意味があるだろうか?このプロジェクトには韓国も興味を示しているため、我々は韓国の国営企業『韓国電力公社(KEPCO)』と覚書を取り交わした。だが今、我々が今大きなアクセントを置いているのは4社メモランダムだ。なぜならこれはすでに統合プロセスであるのが理由だ。このプロジェクトには他の国も興味を示しており、拡大するにつれ、北東アジア諸国全体を統一するエネルギーシステムが出来上がることだろう。」
日本は、日中間の係争水域である尖閣諸島付近の水域にロシアと中国の艦艇が通過している状況について、ロシア側に「注意を喚起する」よう要請。防衛省の調べでは中国のフリゲート艦は尖閣諸島付近に2時間にわたって留まったものの、日本が自国水域だと主張しているゾーンには立ち入らなかった。この他、中国のフリゲート艦隊とともにロシアの艦艇数隻も尖閣諸島に接する中立水域にいたことがわかっている。
これについてロシア人軍事専門家のヴァシーリー・カーシン氏は次のような考察をあらわしている。
「尖閣諸島という係争水域に同時に中国のフリゲート艦とロシア太平洋艦隊の3隻の船隊が航行した事実は日本国内に政治的な反応を呼び、この2国はそろって日本に反対することを示したという論議を呼んでしまった。ロシアと中国は今に至るまで、日本との係争水域でのそれぞれのポジションを通報しあってきてはいない。もう数十年も変わらないこうした基本的アプローチはどう変化しても、 地域の政治により大きな影響を与えるはずだ。
事件を正しく理解するためにはまず、ロシアのどういった船が諸島付近に入ったかに注意を払う必要がある。西側のマスコミは「軍艦3隻」と書きたてたが、これは事実に反している。ロシアの船団のうち軍艦は対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」プロジェクト1155、1隻だけで、他はそれに随伴するタンカー「イルクート」とタグボート「フォーチイ・クルィロフ」だった。
なぜロシアの船団がこの海域にいたのか? 現時点までに出された発表を見ると、船団は国際演習に参加し、東南アジア諸国に立ち寄る遠洋航海から太平洋艦隊基地に戻る途中だった。ロシアは外国のように補給や修理のための発達した軍事基地網がないことから、これだけの遠洋航海ともなると貨物補給と救難用にタグボートを引き連れている。
この船団が軍事ミッションで太平洋へと漕ぎ出したのは3月28日にさかのぼる。4月にはインドネシアを訪れ、国際演習「コモド2016」に参加し、5月にもさらにアジア太平洋地域の30カ国が参加する多方面的な対テロ演習『ADMMプラス-2016』に参加したほか、シンガポール、ブルネイで表敬訪問を行っている。
この船団はミッションを終えて帰路についているところなのだが、全行程で船は軍事外交ミッション、演習課題を遂行しており、その中で唯一の軍艦は老朽化している。ロシアの船団は係争諸島の水域を一切侵犯していないにもかかわらず、もう少しでこの地域の軍事外交情勢に影響を及ぼすところだった。
露日関係は最近改善しており、最高レベルでの会談も成立して経済分野の巨大なプロジェクトも討議され、平和条約締結問題でも解決への進展に希望の光がさしてきている。この地域に同時に露中の船団が現れたのはおそらく偶然の一致だろう。ただしこのことは、露中日の軍部間でもより効果的な通報メカニズムを作らねばならないのではないかということを再度、思い起こさせた一件だった。」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160609/2280207.html
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尖閣諸島周辺にロシアの艦艇 日本は困惑[スプートニク日本語]
2016年06月09日 14:41(アップデート 2016年06月09日 14:47)
日本は、同国と中国の領有権争いの対象となっている尖閣諸島(中国名:ジャオユイダオ)周辺をロシアと中国の軍艦が航行したことを受け、外交ルートを通じてロシアに「注意喚起」を行った。9日、菅官房長官が記者会見で明らかにした。
先に日本政府は中国の軍艦が尖閣諸島周辺を航行したことを受け、中国側に抗議した。
防衛省によると、中国のフリゲート艦が、尖閣諸島周辺を約2時間にわたって航行した。なお日本が自国の領海と考えている水域には入らなかった。
また防衛省は、中国のフリゲート艦の他にロシアの艦艇も尖閣諸島周辺の接続水域に入り、しばらくしてから水域から出たと伝えた。
中谷防衛相は、「中国の艦艇がロシアの艦艇の動きに対応した可能性がある」と述べた。
http://jp.sputniknews.com/japan/20160609/2275947.html
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「日ロ双方の艦艇に対抗か」 東京財団研究員・小原凡司氏[日経新聞]
尖閣接続水域に中国艦
2016/6/10 2:00
今回の中国海軍の動きが、南シナ海問題をめぐる日本へのけん制だという分析には疑問を感じる。5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や、シンガポールでのアジア安全保障会議からも時間が経過しすぎている。中国が今回の問題に合わせて声明を準備していたようにもみえない。
中国は尖閣を中国領と明記した領海法を制定し、国連海洋法条約に規定する無害通航を認めていない。中国海軍の艦長は中国が主張する「領海」に進出する可能性があるロシア海軍の艦艇と、それを警戒監視する海上自衛隊の護衛艦に対処しようとしたのではないか。ロシアと共同で行動したのではないだろう。
中国が接続水域に入ったといっても、尖閣諸島の久場島と大正島の付近をなめるような抑制的な動きだ。中国が事態をエスカレートさせる意図はないようにみえる。ただ今回のロシア軍艦のような偶発的な要素が加わると、日中両国の意図とは別に緊張が高まる事態に陥る可能性が示されたといえる。(元在中国日本大使館防衛駐在官)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO03446370Q6A610C1EA1000/?nbm=DGXLASFS09H5T_Z00C16A6EA2000&nf=1
「気心と戦略の安倍体制 「蚊柱」の均衡に危うさも:軽薄右派活用でリベラル性を隠す安倍首相を幹部・官僚・メディアが支える構造」
http://www.asyura2.com/15/senkyo195/msg/433.html
「子2人以上なら最大2倍 児童扶養手当の加算額 来年度から ひとり親世帯対象:安倍政権の“リベラル”性に鈍感な小沢一郎氏」
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/468.html
低所得者の税負担軽減 政府税調の中間整理案 若年層の子育て後押し:所得再分配機能の強化に動く安倍政権
http://www.asyura2.com/15/senkyo196/msg/579.html
「「リベラル」は褒め言葉ではなく罵倒語:安倍首相のコアな支持層=“軽薄な愛国保守タカ派”を安倍氏から離反させる手法でも..」
http://www.asyura2.com/15/senkyo195/msg/459.html
「反発招いた首相の「誤算」 安保関連法が成立:成立後の適用をPKOレベルにとどめたい安倍政権は反対運動の高まりを“歓迎”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/322.html
「日米の新防衛指針、反対47・9% 共同通信世論調査 賛成上回る:反対の声拡大が重要だが、安倍首相も真意は“反対”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo184/msg/227.html
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安倍政権は「リベラル」なのか 与野党政調会長らに聞く
6月10日(金)11時1分配信
2016年6月1日、通常国会が閉会した。
部落差別、民族差別、レズビアンやゲイ、トランスジェンダーといった性的少数者(LGBT)への差別……。今国会で特徴的だったのは、そんな社会のマイノリティへの差別を防ぐ「人権擁護」系の法案が相次いで検討されていたことだ。紋切り型に言えば、いずれも「リベラル」な法案群である。それは安全保障や歴史認識などで「保守」色の強い安倍政権のイメージとは相反するとも言える。
いったいなぜ今国会でこうした人権擁護系法案が多く検討されたのか。いや、それとも、そもそも安倍政権は「リベラル」なのか。
稲田朋美・自由民主党政務調査会長、山尾志桜里・民進党政務調査会長、組坂繁之・部落解放同盟中央執行委員長、神谷悠一・LGBT法連合会事務局長、社会活動家の湯浅誠氏に話を聞いた。
(ジャーナリスト・森健、岩崎大輔/Yahoo!ニュース編集部)
<私のLGBT支持で逃げた保守層もいた>
稲田朋美・自由民主党政務調査会長
稲田朋美(いなだ・ともみ) 1959年福井県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1985年、弁護士登録(大阪弁護士会)。2005年、衆議院議員総選挙にて福井1区より出馬して初当選。現在、4期目。内閣府特命担当大臣(規制改革担当)、国家公務員制度担当大臣を歴任。2014年9月より自由民主党政務調査会長(撮影: 長谷川美折)
今年5月の大型連休、レズビアンやゲイなど性的少数者=LGBTのイベント「東京レインボープライド2016」に私が参加したら、会場で「えっ!」と驚かれました。また、性的少数者の差別解消を目的としたLGBT法案を検討している時には、「自民党らしくない!」という批判を受けたりしました。いわゆる保守層である私のファンには「なぜ稲田さんがそんなことを言うの?」と離れた人もいる。LGBTを支持すると、逃げていく人もいるのです。
でも、そもそも、リベラルだから人権を守って、保守だから人権を守らない、ということはありませんよね。歴史観や思想信条がどうあれ、人権は守らねばならないものです。
ただ、私がそう言うと、また批判する人もいます。
なぜなら、野党時代の2012年、私が党の法務部会長の時に「民主党の『人権委員会設置法案』に断固反対」と公約に入れた経緯があるからです。
いわゆる「人権擁護法案」とは、この「人権委員会設置法案」や2002年に自民党から上程された「人権擁護法案」のことで、人権侵害による救済の申し立てができる機関「人権委員会」の設置が柱です。しかし、この法案の規定する「人権」の範囲は幅広く、かえって人権を侵害する危険性があった。
たとえば、昨今安倍総理が靖国神社参拝したことをもって、なぜか「人権侵害された」と裁判に訴える人がいます。もし「人権擁護法案」が成立していたら、人権委員会が裁判所を通さずに安倍総理に対して立ち入り調査が行える。そして私のように「総理は参拝すべし」という言論は、「人権侵害を助長するもの」と捉えられる可能性もあった。つまり、定義が広すぎる「人権」は拡大解釈で、思想信条、表現、政治活動、言論の自由まで規制しかねない可能性があった。だから包括的な「人権擁護法案」には反対したのです。
そのかわり、人権問題は個別に解消していくことにしました。障害者差別解消法をはじめ、法案の対象を個別に分解していく。そこで、多くの法律をつくることになったのです。
正直に言って、私も当初はLGBTに無関心でした。でも、息子が大学生の時、その親しい友人がLGBTだと知りました。その彼と話をするうちに、性的指向が不可逆的なもので、人権問題として捉えるべきだと気づいたのです。
2015年の電通の調査で、LGBTの人口は全人口の7.6%と推計されています。少なくない数です。彼らが誤解に苦しんでいるのなら、自分らしく生きられる社会をつくらねばなりません。
今国会では、自民党がヘイトスピーチ、LGBT、部落差別、年齢差別の問題に取り組んだことで、「参院選向けの争点潰し」「優しい自民党のアピール」「改憲の狙いを隠すため」と批判されますが、考え過ぎです。取り組みは、「一億総活躍社会」の実現を目指す政権の姿勢そのものだと思うのです。
まだ党内もいろんな考えがありますが、党内でも国会でも様々な場所で話し合い、一歩一歩理解を深めたいと思います。
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(注)「人権擁護法案」とは、2002年の小泉政権下に提出された法案。人権侵害の際、救済の申し立てができる機関として「人権委員会」を設置することが政策の柱だった。その後、廃案。2012年の野田内閣で同法が修正された「人権委員会設置法案」が閣議決定されるも、審議未了のまま廃案となった。
<"リベラル法案"は選挙対策でしかない>
山尾志桜里・民進党政務調査会長
山尾志桜里(やまお・しおり) 1974年宮城県生まれ。東京大学法学部卒業。2004年検察官任官、東京地検、千葉地検、名古屋地検岡崎支部勤務を経て、2009年、衆議院議員総選挙にて愛知7区より出馬して初当選。現在、2期目。2016年3月、民進党結成、政務調査会長に就任(撮影: 岡本裕志)
たしかに今国会では、マイノリティへの差別解消などの法案の議論が多かったかもしれません。しかし、国会の審議を見て、本当に「安倍政権がリベラルだ」と思っている人がいるんですかね……。
今国会は「参議院選挙を前にした、政府・与党のリスク・ヘッジ戦略」というのが私の見方です。人権に鈍感な政党だということがばれるリスクを回避(ヘッジ)したのです。人権を守るための数々の法案に対して、意欲だけみせて提出しなかったり、私たちの提案を骨抜きにしたり、要するに必死で人権を守るフリ、守ったフリをしたのが今国会の与党の特徴でした。
人権擁護の本気度は、各政党の提案した法案の中身やその法案に対する態度をつぶさに見ればわかります。
たとえば民進党は今国会、LGBT差別解消法案や政治分野における「男女同数候補」を目指す法案、衆議院比例区で「男女交互名簿」を可能にし、女性議員を増やす法案などを提出しました。もちろん、自民党にも共同提出を呼びかけましたが、同意を得られませんでした。
つまり、自民党は本音ではLGBTの差別解消、政治分野における女性の活躍には賛成できないということでしょう。実際、岐阜県議会で自民党の県議がLGBTに対する全く無知・無理解な野次を飛ばしていたように、自民党にはいまの時代に考えられない旧弊な人権感覚をもった方が少なからずいます。
今回成立した「ヘイトスピーチ対策法」ですが、与党案と野党案が並行審議されており、旧民主党(民進党)提出の案では禁止規定を盛り込んでいました。一方、自民党の対案は、禁止規定もなく、制約範囲も相当せまいものでした。
ここで私たち野党にはジレンマがありました。自らの信じる法案成立を目指して対案に反対するのか、賛成と引きかえ一歩でも内容を改善させて成立させるのか、悩むのが常です。しかし、人権保障に100点はない、一歩でも前進させようという判断で与党の修正案に賛成し、法案を成立させました。
一方、私たちはこうして一つ一つの法案に真剣に取り組んでいるのに、与党が「やります、やります」と言い続けて、何もやっていないのが保育です。保育に関して、新規につけられた予算は、この4年間「ゼロ」です。私たちは保育士の給与を5万円上げるための法案を出していますが、自民党はまったく審議拒否です。
本当にこの国を立て直したいのなら、子どもと若者に予算を集中すべきです。私自身、子どもをもち、保育園に通わせる中で、母親としての理解が深まりました。「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログを国会で取り上げたのも、国会に生活者の声をぶつけたかったからです。保育園の問題は保守やリベラルといったイデオロギーがないからか、とても支持が広がりました。
こうした声に向き合うために、保育なら保育の問題について、政府・与党が国会や委員会で具体的にどういう働きをしたか、メディアがきちんと調べて報じて欲しい。自民党の「言うだけ」「やったふりだけ」で幕引きさせたくありません。
安倍政権はリベラルか。自民党の憲法改正草案を見れば一目瞭然なんです。考え方は「国民のための国家」ではなく「国家のための国民」。この方向性に象徴されるように、安倍政権は人権に鈍感な権力としか言いようがないのです。
<部落差別解消に安倍政権は政治生命をかけたのか>
組坂繁之・部落解放同盟中央執行委員長
組坂繁之(くみさか・しげゆき) 1943年福岡県生まれ。大学卒業後、27歳で部落解放運動に入る。部落解放同盟福岡県連合会書記長、中央本部書記長を経て、98年に中央執行委員長に就任、現在に至る。九州大谷短期大学講師、折尾女子経済短期大学講師(撮影: 岡本裕志)
部落差別はネット社会が進むことで、より深刻化しました。今回上程された「部落差別解消法案」は、おもにネット上で部落差別を助長する情報が放置されていることを踏まえて議論されてきたものです。
そもそもの発端は、『全国部落調査』という古い書籍を「部落地名総鑑の原点」として復刻し、現在の地名を加えたものを販売しようという動きがあったことです。
『全国部落調査』は全国5367カ所の同和地区の地名、世帯数、人口などが記載されたもので、1936年、財団法人中央融和事業協会という団体が発行しました。この本が原典の一つとされる「部落地名総鑑」が、企業や興信所によって就労や結婚の際の身元調査に利用されたことは、後年、社会問題となり、国会でも取り上げられました。
当団体では『全国部落調査』の復刻に反対し、出版差し止めに動きましたが、すると、ネット上で「部落解放同盟関係人物一覧」として当団体関係者の名前、住所、電話番号などを勝手に掲示する人物も現れた。こうした行為は、いまの時代にまた部落差別を印象づけるかのような、人権上たいへん悪質なものですが、現行法ではそうした活動を抑えられないのです。
2002年3月小泉純一郎政権当時に上程された「人権擁護法案」は、改善すべき点は多々あれど、マイノリティにとって必要と思われる法律でした。しかし、この法案は2005年の郵政解散で流れた。その後民主党政権でも類似した「人権委員会設置法案」が出されましたが、現在の安倍政権では一貫して反対されてきました。
変化があったのは2015年11月16日、自民党の二階俊博総務会長を実行委員長とする和歌山県東京集会「人権フォーラム」でした。その席で稲田朋美政調会長が講演し、「部落差別の撤廃を目的とした個別法として法整備していく」と述べた。それが「部落差別解消推進法案」という形になりました。今国会で成立はしませんでしたが、二階総務会長の尽力であとわずかに迫った。
安倍政権のもとで「障害者差別解消法」などの成立に続き、人権関係法案が並んだ理由には、与党で連立を組む公明党の存在も大きいと思います。理念だけでなく現実として、票田である公明党・創価学会の声を無視できない。参議院選挙が近づく中、政権運営をする上で公明党への配慮も考えた。それが、今回「部落差別解消推進法」が上程された背景の一つでしょう。
実際のところ、これまでの人権関係法案は、安倍首相が政治生命をかけて成立させたようなものではありません。安倍政権の本質は「憲法改悪」や安全保障関連法制に見られるように国権主義だと思います。ただし、政権運営にあたっては、自民党内の自分とは異なった価値観をもった国会議員や連立を組む公明党の存在も無視せず、汲み入れる。このバランス感覚があるから政権を維持できているのでしょう。
<LGBT当事者は選挙後を注視している>
神谷悠一・LGBT法連合会事務局長
神谷悠一(かみや・ゆういち) 1985年、岩手県生まれ。早稲田大学教育学部卒、一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会学)。約10年間「LGBT」を支援するNPOの役員等を歴任し、2015年4月、「性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(LGBT法連合会)」の事務局長に就任。共著に『「LGBT」差別禁止の法制度って何だろう?』(撮影: 長谷川美折)
レズビアンやゲイ、トランスジェンダーなど性的少数者には30年近く前からそれぞれ団体があり、自分たちの人権の観点で法制化が必要という認識はもってきました。ただ、そうした活動が具体的に進んだのは2000年代になってからで、2015年4月にLGBT法連合会という会を発足したのです。
われわれ当事者が抱える困難でわかりやすいものは、教育や就労の現場における差別的対応やハラスメントがあります。
たとえば、学校で担任の教師にカミングアウトしたら、翌日には親にも教職員にも広まってしまい、無理解な言葉を投げかけられた。あるいは、就活の面接でLGBTであることを語った瞬間、面接を打ち切られた。就職ができたものの、飲み会で「お前はホモか? 男っぽくしろ!」と言われた……。当事者にとっては、痛烈に生きづらさを感じる体験です。ほかにも、自らの性(性自認)に沿ったトイレや浴室の利用ができなかったり、入院でも性自認にあった病室の利用ができなかったりと、困難を感じる場面は少なくありません。
当事者ならぬ人にはその困難はなかなか実感されにくいかもしれません。でも、私の友人で、生きづらさで4人が自死を選択し、1人が未遂で一命を取り留めたと言えば、どれだけ日々のつらさがあるか想像がつくでしょうか。当事者にとっては、差別や偏見、無理解というのは非常に残酷なことなのです。
そうした差別や困難を連合会としてまとめ、同時に取りまとめた差別禁止法試案と一緒に超党派の議員連盟の会長の馳浩議員にお渡ししたのが2015年6月8日でした。その時点では議連は法案づくりというより、まだ世界の現状等を調査している段階でした。
特に動きが速くなったのは、2016年に入ってからで、1月末には自民党の菅原一秀議員が座長、民進党(当時民主党)の西村智奈美議員が事務局長となって実務的な法整備を考える立法ワーキングチームが議連に設置されることになりました。
議員立法での急速な展開に、私たちも「これは形になるかもしれない」と期待感で盛り上がりました。また、各党でもそれぞれ法整備の検討が進んでいきました。ネットに情報を告知していくと、リツイートや「いいね」も増え、リアルの集会の参加人数も増えました。5月の大型連休に代々木で行ったパレードはそんな期待の中で行われたものでした。
実際には、今国会ではいろいろな動きがあり、具体的な審議はなされず、法案は提出延期となりました。延期は残念ですが、仕方がありません。
それより、われわれが懸念しているのは、選挙後も変わらずLGBT法案に取り組んでいただけるのか、また議員の方が本当にどこまで私たちの困難に取り組んでいただけるのかということです。いまなお一部の議員の方の中には「あれは病気だ」「異常だ」という間違った認識をしている方がいるのも気がかりです。
その一方で、突然熱心にこの分野に取り組んでくださるようになった議員もいらっしゃいます。ただ、それまで関心のなかった方がいきなり「LGBTは大事」と仰っていることに、正直、困惑する部分もあります。それでも、前向きに取り組んでいただけるのであれば、歓迎したいと思っています。選挙が終わっても熱心に取り組んでいただけるのか、という若干の心配もありますが……。電通の調査ではLGBTの人口は7.6%とされます。少なくない人数が「LGBT」ということで、選挙の票として注目されているのかもしれませんが……。
「LGBT」に施策を進めようとすることが、すなわちリベラルというわけではないと思います。実際に幅広い当事者の声に耳を傾け、当事者の立場に立った法整備をできるかどうか。多くの当事者が政治家の姿勢を注視していると思います。
<リベラルかどうかより、政治は結果だ>
湯浅誠・社会活動家、法政大学教授
湯浅誠(ゆあさ・まこと) 社会活動家。1969年東京都生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。大学院在学中より、ホームレス支援など社会活動に携わり、2008年末には「年越し派遣村」村長として注目を集める。民主党政権下では内閣府参与(2009年〜2012年)。現在、法政大学教授(撮影: 岡本裕志)
今回、駆け込みでいくつも出てきた人権擁護系法案群。民主党政権で内閣府参与をした経験から、これらがどうして提案されたかを考えると、政府・与党が野党に対抗するため、政略的にイヤイヤ出したわけではないと思います。
むしろ、部落差別、障害者差別、性的少数者差別といった差別解消への取り組みは、安倍政権が掲げるスローガン「一億総活躍」と地続きだと見えます。「一億総活躍」の中には、女性も障害者も在日外国人もいる。さらにはフリースクールの子やLGBTもいる。そう見れば、経済成長に主眼があるとはいえ、自民党が出してきた法案は突飛とは言えません。
リベラルの考え方には縦軸と横軸があります。縦軸は「国家対個人」。安倍首相は靖国神社参拝や憲法改正など国家的観点で政策を主導し、SEALDsや朝日新聞は個人を重視して安倍政権を批判する。
一方、横軸は「多様な人、考え」「包摂的かどうか」を示すものです。戦後日本のリベラリズムは、この横軸が弱かった。安倍政権の経済政策のバックボーンは新自由主義ですが、それは市場の中で有能ならば、女性でも若者でも障害者でも外国人でもかまわない、中高年男性の「既得権益」を剥がしていくという考え方です。そう考えれば、安倍政権がLGBTなどに対して寛容なのも理解できます。経済政策的にも、格差が拡大しすぎると経済成長そのものに悪影響を与えるという見方も出てきているし、政治的に国家主義を強調する自民党でも、多様な価値観の併存とある程度の保障こそ経済成長の源泉だと考える人がいても、まったく不思議ではありません。
安倍政権の政策には、特定秘密保護法、安全保障関連法制などの国家主義的な政策群と、一億総活躍や女性活躍推進法のような個人の生産性を高めることで経済成長を果たそうとする政策群が併存しています。比重の置き方は選挙との関係で変わり、時局によって巧みに分けている。さらに言うなら、安倍首相のように「タカ派」と呼ばれる右派的な人だからこそ、右派議員や支持者の不平を抑えて、リベラルな法案を通すことができた。そういう見方もできます。
私は貧困問題にずっと取り組んできました。どの政権でも、貧困対策は主要な政策にはなりません。かつてもないし、今後もないでしょう。貧困対策の優先度が上から何番目かを気にするより、その時にできることを精一杯やるしかないんです。
安倍政権は、2013年に「子供の貧困対策推進法(子どもの貧困対策の推進に関する法律)」を成立させました。じつは民主党政権時代、私は同じ法案をつくろうとしました。けれども、2010年の小沢一郎民主党幹事長(当時)の資金管理団体の土地購入疑惑騒動で上程できなかった。安倍政権は、私がやりたかったことで、私ができなかったことを、やってくれたわけです。
政治は結果です。私は特定秘密保護法や安全保障関連法制には賛成ではありません。それでも、安倍政権で子供の貧困対策推進法ができたことは高く評価します。法ができる。制度がつくられる。予算がつく。役所に担当部署ができる。その結果こそが大事であって、誰がつくったからほめる、誰がつくったからケチをつける、というのはフェアでないと思います。
霞が関(官僚)でも同じことが言えます。政府の事務方である官僚には、リベラルな方が少なくない。「これは野党から批判されるから、やっておいたほうがいい」と与党政治家を説得する人もいるでしょうし、安倍政権が長期安定している今がチャンスだと起案する官僚もいるでしょう。民主党から自民党へと政権は変わっても官僚機構はそのままで、官僚は変わらず、同じ人が政策を起案しています。一億総活躍に関する政策もそうでしょう。
昨今はメディアでもネットでも、「右・左」や「リベラル・保守」といったレッテル貼りをよくします。でも、個人も政党もそんなに一枚岩ではない。安倍政権はリベラルなのか、本気なのか。本質的にはどうでもいい話です。政策の評価や政治への働きかけにおいては、現象を多面的に見て何が可能なのかを具体的に見極めていく。そんな政治の捉え方が大事なのだと思います。
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森健(もり・けん)
1968年、東京都生まれ。ジャーナリスト。2012年、『「つなみ」の子どもたち』で大宅壮一ノンフィクション賞、2015年『小倉昌男 祈りと経営』で小学館ノンフィクション大賞を受賞。
岩崎大輔(いわさき・だいすけ)
1973年、静岡県生まれ。ジャーナリスト、講談社「FRIDAY」記者。主な著書に『ダークサイド・オブ・小泉純一郎「異形の宰相」の蹉跌』、『団塊ジュニアのカリスマに「ジャンプ」で好きな漫画を聞きに行ってみた』など。
マイナス0.155%をつけ、過去最低を更新した長期金利(10日午後、東京都中央区)
10日の債券市場で新発10年物国債利回りがマイナス0.155%まで下がり(価格は上昇)、過去最低を更新した。英国の欧州連合(EU)離脱への懸念や米利上げが遅れるとの見方から、世界で国債を買う動きが加速した。日銀による大量の国債購入も引き続き強く影響している。外国為替市場ではユーロを売って、円を買う動きが強まった。
10年物国債が過去最低を付けるのは4月21日(マイナス0.135%)以来、1カ月半ぶり。新発20年債もプラス0.19%となり、初めて0.2%を割り込んだ。
海外でも長期金利が下がっている。英国はEU離脱を問う国民投票を23日に実施する。世論調査では賛否が拮抗しており、離脱した場合の欧州経済への悪影響の懸念が広がっている。安全資産とされる国債が買われ、ドイツの10年債は0.0%台前半と過去最低水準に低下。英国でも大きく下がっている。
米国では足元での雇用が鈍く、利上げ観測が遠のいている。米10年債は1.6%台と5月末より0.2%ほど下がった。長期金利は世界的に連動しやすく、「海外市場の金利低下が日本に波及している」(東海東京証券の佐野一彦氏)という。
日銀の金融政策も強く影響している。日銀は年80兆円のペースで買い続けており、10日も1兆2千億円あまりの長期国債を市場から買った。日銀は金利水準を問わず大量の国債を買うため、経済情勢にかかわらず金利に低下圧力がかかりやすくなっている。
三菱東京UFJ銀行が国債の入札に特別な条件で参加できる資格の返上に動くなど投資家の国債離れが強まっている。市場では将来の金利が上昇する懸念もあるが「当面は日銀の購入を背景に金利は下がりやすい」(大手証券)との声が多い。
6月7日夜、米カリフォルニア州サンタモニカ空港の古びた飛行機格納庫で米大統領選の集会が開かれた。地鳴りのような「革命」コールが響くなか、「民主社会主義者」を自任する民主党のバーニー・サンダース上院議員が登壇し、「真の変革は下からわき起こるものだ」と聴衆に語りかけた。ロビンフッドの帽子をかぶった同氏の顔の巨大パネルが揺れる。ロビンフッドは資産再分配のシンボルだ。
駆けつけた作家のトッド・シュワルツ氏(60)は「サンダース氏の影響で自分は『社会主義者』になった。深刻な格差もあり資本主義の国、米国が社会主義を受け入れ始めている」と語る。エルサルバドル系移民の共産党組織に所属する運動家バーニー・モト氏(49)も「移民を中心に構成員は数百人規模まで増え続けている」と話した。
米国で資産の共同所有、再分配を主張する人々と出会うのはもはや珍しいことではない。
トランプ氏の別荘前で抗議するためやってきた毛沢東主義者を名乗るヘンリー・キャラウェイ氏(右)。拡声器とトレードマークの毛沢東バッグを愛用する。
米大統領選予備選の趨勢がほぼ決まった3月1日の「スーパーチューズデー」。共和党のドナルド・トランプ候補はオハイオなど各地での遊説を終え、金色の字で自分の名前が刻まれた自慢の自家用機「トランプジェット」でフロリダのパームビーチ空港に降り立った。パトカーを前後に従え自慢の別荘「マール・ア・ラーゴ」に向かう。勝利宣言する記者会見を開くためだ。
■トランプ氏は「格差の象徴」
別荘の前にはトランプ氏が来ると聞きつけ抗議に来た青年の集団がいた。毛沢東の顔がついたカバンと小さな拡声器を持ったリーダー格、ヘンリー・キャラウェイ氏は19歳。自らを「毛沢東主義者」だと名乗った。地元のツアーコンダクターの仕事をこなしながら運動家としての活動を始めたところだ。労働者運動が激しかった英国から来た父親の影響を受けたという。
大躍進運動や文化大革命について知っているのか尋ねると「誰しも間違いはある。現代の激しい格差を是正するためには生産設備や様々な資産の共同保有が必要」と主張した。キャラウェイ氏にとってはトランプ氏こそがまさに否定されるべき激烈な格差の象徴なのだ。
マール・ア・ラーゴの庭には巨大な星条旗がはためく。景観保護のため看板や旗を高く掲げることを禁じている地元の条例をトランプ氏は無視。「表現の自由」と主張し続けて自治体に認めさせたものだ。
「トランプはカネがすべて。地域のことなど何も考えていない」。
近くを通り過ぎる住民は一様にトランプ氏への不満を口にするが、名前は名のりたがらない。
歴史的建造物であるマール・ア・ラーゴを手に入れるため、トランプ氏は建物の前の美しい砂浜をまず買い占め、他には売りにくくさせた。そして壁をつくって海が見えないようにすると脅し、1985年に破格の安値で買い取った。「壁と脅し」は同氏の得意技だ。
マール・ア・ラーゴは空港に近い。上空は飛行機の通り道だ。トランプ氏は騒音被害で空港に訴訟を仕掛け、代償として空港が所有する一部の土地のリース権を手にした。この土地はいま、同氏の名前を冠した豪華なゴルフ場になっている。週末に自家用機で別荘マール・ア・ラーゴに来て、「トランプ国際ゴルフクラブ」に行くのが同氏のお気に入りのコースだ。
トランプ氏が所有するゴルフ場前のバス停。ガラスが割られ、地面に粉々の破片が積もったままだ(米フロリダ州ウエストパームビーチ)
ゴルフ場の警備は厳しい。周囲は二重の生け垣の間にフェンスもはさんだ3重の高い壁が部外者を寄せ付けない。
ゴルフに来る富裕層が決して使わないであろうゴルフ場前のバス停のガラスは割られ、飛び散っている。その横には空のビール瓶が転がる。ゴルフ場の向かいは公立図書館。固定通信契約を持たない貧困層がインターネットを使うたまり場になっている。富める者1%とそれ以外が高い壁を隔てて同居する米国の今を象徴する世界がそこにはある。
■入り交じる愛憎の念
フロリダは温暖な気候も手伝い、老後の人気移住先だ。65歳以上の人口比率は2割近くに達し、全米で最も高いが、フロリダは米国でも貧富の差がより見えやすくなっている場所の一つだ。あふれる移民や貧困層の姿に政府による支援が必要だと強く感じる人々が増えると同時に、治安や雇用に対する不安、壁をつくる必要性を感じる人々もまた増える。
「トランプ氏はビジネスで実績のある強い個性を持ったリーダー。不法移民を追い出し、製造業を米国に戻して雇用を生み出してくれる」。
トランプ氏の熱烈な支持者ヤヌス・ビスクペク氏(50)はそう語る。建設業に従事する同氏にとってはトランプ氏が唱えるメキシコ国境の壁や外資系企業を阻むビジネス上の壁はどちらも大歓迎だ。
別荘の庭園を清掃していたヒスパニック系従業員は「トランプ氏は好人物。ここの仕事は待遇もいい」と語った。「不動産王」として知られる同氏はホテルやリゾート開発など、自身のビジネスで大きな雇用を生んできた。この実績が同氏の売りである雇用創出政策の説得力につながっている。
別荘前で抗議集会に参加していた活動家ウェス・マレン氏(19)は「ずぬけたビジネスの才覚、富と名声。悔しいが米国人が好む特徴を兼ね備えている」と敵対勢力ながらトランプ氏を冷静に評価する。
4月29日、トランプ氏が参加したカリフォルニア州の共和党集会が開かれたサンフランシスコ空港近くの高級ホテル、ハイアットリージェンシー。同ホテルの前では反トランプデモが開かれていた。警官隊が防御に使っていたホテル前の生け垣の壁をヒスパニック系の若者を中心とする参加者が次々と乗り越えていく。
■社会主義団体「経済危機以降、会員増えている」
ここにメンバー集めのために来た社会主義団体PSLの活動家エステバン・ヘルナンデス氏(27)は「経済危機以降、会員は増え続けている。ウォール街占拠運動や黒人の権利向上運動などを吸収し、次々に新たな社会主義団体が生まれている」と語る。PSLも2004年にこの新しい社会主義の波に乗ってできた団体だ。同氏は「社会主義にはチェ・ゲバラのかっこいいイメージがある」という。
冷戦が終結してすでに四半世紀が過ぎた。若者にとって社会主義はファッショナブルな存在に映るようだ。
2010年の世論調査では特定の集団で社会主義的な傾向が強まったことが分かっていた。この時には黒人の55%、リベラルな民主党員の59%が社会主義が好ましいと回答した。最近では米調査会社ギャロップが、1980年以降に生まれたミレニアル世代の約7割が大統領選で社会主義者の候補に投票してもいいと回答したとの調査を発表している。これはミレニアルの親の世代に比べ倍以上の水準だという。生産設備の接収まで主張する毛沢東主義者は極端な例だが、社会主義的な考えを持つ若者は確実に増えている。
トランプ氏が移動に使う自家用機「トランプジェット」は、格差を際立たせる
トランプ氏への激しい愛憎と若い社会主義者たちの増加。これらが映すのは「内向き」になった米国の姿だ。経済危機と都市化という二つの大きなうねりの中で、米国は国外の脅威よりも移民と貧困層という「内なる他者」により強い関心を持つようになってきた。それを雇用や治安を脅かす存在とみるか、友好的に支援すべき対象とみるかは同じコインの裏表だ。
教育などで無料の公共サービスの大幅な拡充を掲げるサンダース氏は今月7日、ヒラリー・クリントン氏の指名獲得が確定した後も、7月の党全国大会まで選挙運動を続ける意向を示した。サンダース氏の躍進に象徴されるように、米国でも社会主義者は奇異な存在ではなくなってきている。無料公共サービスを増やし、国が雇用の面倒を見るべきだという意見を持つ人が増えている表れだ。それはおそらく資本主義の牙城である米国の社会構造の変化を映したものであり、若者の間に一時的に流行する単なる青臭い理想主義として終わるようにはみえない。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03264450W6A600C1I00000/?dg=1
南シナ海問題をめぐり、激しさを増している米軍と中国軍のせめぎ合い。そんなさなかに、びっくりする計画が明らかになった。両軍の艦船がグアムからハワイまで一緒に航行し、途中で共同訓練もやるというのだ。6月9日未明には、中国軍艦船が日本の尖閣諸島の接続水域に入る事件もあった。それでもなぜ、米軍は中国軍と交流を深める行動に出るのか。
共同航行が予定されているのは、6月下旬。両軍の艦船がグアムで合流し、捜索救助など複数の共同訓練を実施しながら、米太平洋軍司令部があるハワイに向かうという。中国軍からは5隻の艦船が派遣される方向だ。
■親米的な国々による海上軍事演習に中国参加
それだけではない。中国軍艦船はハワイに着いた後、そのまま現地にとどまり、6月30日から始まる「環太平洋合同演習(リムパック)」にも参加する。
北京の人民大会堂で中国の習近平国家主席(右)と会談するケリー米国務長官。米中戦略・経済対話は南シナ海問題を巡り物別れに終わった(6月7日)=共同
リムパックは米軍が主導し、ほぼ2年に1回開いている世界最大規模の海上軍事演習。今回で25回目となる伝統ある演習だ。ことしは約30カ国が集まり、ハワイやカリフォルニア州南部で8月4日まで続く。
日本は以前から招かれ、自衛隊を派遣している。メンバーは米国の同盟国に限定されているわけではないが、米軍主導の演習だけあって、親米的な国々が中心だ。
こうしたなか、中国軍艦船がグアムから一緒に米軍と航行し、「仲間内の演習」であるリムパックにも加わるというのは、かなり異例なできごとだ。しかも、米中両軍はいま、南シナ海でにらみあい、なかばケンカ中ともいえる状態に近い。
米海軍は5月10日、南シナ海に中国がつくった人工島の12カイリ(22キロメートル)以内にイージス艦を派遣し、軍事拠点化を認めない姿勢を改めてみせた。
中国側はすかさず戦闘機と艦船を送り込み、ただちに立ち去るよう、米軍艦船に警告。中国外務省報道官は記者会見で「中国の許可なく、違法に海域に入った」と非難した。
5月17日には、南シナ海を偵察していた米軍機を退去させるため、中国軍機が約15メートルまで接近する事件が発生。中国軍機は今週も、東シナ海で似たような挑発に出た。このたびごとに、米中両政府は非難の応酬を交わしている。
そうしたなか、対中強硬派とされるハリス米太平洋軍司令官は今月初め、対中交流を深める狙いについて記者団にこう説明した。「協力できる分野では協力する。しかし、必要なら、(中国軍に)立ち向かう」。つまり、硬軟両様というわけだ。
■元米軍幹部「軍事力の差を見せつける」
米政府ブレーンによると、米軍がいま、中国軍との交流を強めようとするのは、おもに3つの理由があるという。
第1に「中国政府は中国軍への発言力が弱い。米政権の声を中国軍首脳に正確に伝えるには、軍同士のパイプを太くするしかない」(同ブレーン)という事情がある。
第2は、米中の緊張が高まっているからこそ、衝突を防ぐための危機管理体制づくりを急がなければならない、という切迫感だ。
米国とフィリピンの合同演習の閉会式に臨むカーター米国防長官。南シナ海の共同哨戒活動を始めている(4月15日、マニラ)=AP
米中両軍はすでに、ビデオ会議もできるホットラインで結ばれてはいる。ただ、いざという事態になったとき、ホットラインで協議できるようにするには、普段から一定の人間関係を築いておく必要がある。
そして、いちばん興味深いのが、第3の思惑だ。「米中の軍事力の差を、中国軍幹部に見せつける。それにより米軍に対抗できるという幻想を、中国側に抱かせないようにする」(元米軍幹部)
もっとも、米軍の思惑通りにことが運ぶ保証はない。実は、米軍は前回の2014年のリムパックにも、中国軍を招待した。
ところが、中国軍は参加する艦船とは別に、情報収集艦をひそかにハワイ沖に派遣。演習の様子を監視していたことが発覚し、批判を浴びた。
米議会重鎮のマケイン上院軍事委員長(共和党)とリード同委員会幹部(民主党)はこうした行動を問題視し、今年のリムパックには中国軍を招かないよう、カーター国防長官に求めていた。
米軍による対中関与策が吉と出るかどうか、まだ分からない。ただ、その結果が、南シナ海問題の行方に影響することだけは確かである。
秋田浩之(あきた・ひろゆき)
1987年日本経済新聞社入社。政治部、北京、ワシントン支局などを経て編集局編集委員。著書に「暗流 米中日外交三国志」。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03387680Y6A600C1000000/?dg=1
資源に大きく依存するモンゴル経済が不振に陥っている。2013年まで2桁だった実質経済成長率は15年に2.3%まで急減速した。景気の低迷で財政の悪化が鮮明になり、外債の償還を不安視する声が強まっている。11日に立候補者を締め切り、29日に投開票する総選挙では経済と財政の再建が最大の争点となる。総選挙の結果は来年に控える大統領選挙にも影響を及ぼしそうだ。
ウランバートル市内の建設が頓挫したビル
モンゴルは石炭など天然資源への依存度が高く、市場の動向に経済が大きく左右される。2011〜13年に2ケタ成長を記録、1人当たり国民総所得も4千ドルを超え、中国やタイと同様に中所得国に仲間入りした。
ただ、その後は資源価格の下落に加え、輸出で全体の約6割、輸入で約3割を占める中国の成長鈍化がモンゴル経済を直撃した。11年に17.3%の急成長を達成した経済成長率は14年から急速に鈍化。世界銀行は16年について0.8%の低成長へと一段と減速すると予測している。
首都ウランバートルでは工事が止まったビルが目立つ。1940年代に建てられた団地は老朽化で倒壊する恐れがあるが、建設業者は資金不足から建て替えを断念した。団地に住むエンクバートルさん(43)の部屋は7平方メートルの1室だけ。7人家族の一部は郊外の移動式住居「ゲル」で暮らしている。「売ることも担保にすることもできない。早く家族全員で一緒に住みたい」と嘆く。
市中心部のチンギスハン広場近くの一等地にも、鉄骨がむき出しの25階建てビルが放置されていた。別のビルは建設中断が約4年に及び、外壁が一部がはげ落ちている。
経済の不振で財政も悪化した。モンゴルは17〜18年に計21億ドル(約2310億円)相当の外貨建て債務「チンギス債」の償還時期を迎えるが、財源のメドは立っていない。債務不履行(デフォルト)に陥れば国際市場で信用を失い、経済再建がおぼつかなくなる。
与党・民主党政権は緊縮財政による自主再建を進めるが、それでも「今年は歳出超過に陥る見通し」(別の政府関係者)という。これに対し、野党第1党の人民党は国際通貨基金(IMF)の支援を受け、その管理下で財政を再建すべきだと主張。他の政策の違いは小さく、財政再建に具体策が総選挙の争点となる。
与党・民主党は経済の不振や議員の汚職問題などによる劣勢を挽回しようと、選挙制度を従来の中選挙区比例代表制から小選挙区制に変えた。選挙区の区割りは民主党に有利とされる。人民党を除く野党はすべての選挙区に候補者を立てることは難しく、両党の事実上の一騎打ちとなる。
今回の総選挙の結果は、17年の大統領選挙の行方を占う。もっとも、景気の悪化に加え、汚職のまん延や貧富の差の拡大などから、有権者には「どこが政権を取っても同じ。選挙には興味がない」(ウランバートル市内の男性)という政治不信も広がっている。
(ウランバートルで、原島大介)
[日経新聞6月10日朝刊P.7]
「経済の体温計」とも呼ばれる長期金利が世界で低下している。日本では10年物国債利回りが年マイナス0.155%と過去最低を更新。世界全体でも国債残高の半分近くがマイナス金利となる異例の事態だ。企業の成長期待が落ち込み、金利が低くても借金して成長に向け投資する動きが鈍っている。中央銀行が強力な金融緩和をしても経済成長につながりづらくなっている。
投資意欲低く
日本の長期金利が過去最低水準を更新したのは4月21日以来。英国の欧州連合(EU)離脱への懸念から、世界的に国債が買われる流れが波及した。
金利はその経済全体のお金の需要の強さに左右される。経済成長の期待が強まれば、高い金利を払ってでも借金して新しい工場や店舗を建てたりする。国債の金利はその国の成長期待と物価上昇予想、政府債務への警戒感で決まるとされる。
英バークレイズ・インデックスの集計では世界の国債の平均利回りは0.73%と史上最低を更新した。日本では国債残高の8割近くがマイナス金利で、ドイツでも10年債は0.0%台前半と過去最低の水準だ。償還までの期間の短い国債ならフランスやイタリアなどの欧州でもマイナス金利が相次ぐ。利上げ局面の米国も年明け以降、下がる傾向にあり、10年債は1.6%台と4カ月ぶりの低さだ。
日欧の中央銀行は物価上昇に向け大量の国債を買い続けている。国債は価格が上昇すれば金利が下がる仕組みで、中銀のように大量に買う人がいれば経済の実勢よりも金利は下がりやすくなる。
ただそれだけでは金利低下は説明できない。経済が将来成長するとの期待が強ければ、企業は積極的にお金を借りて、設備投資や住宅購入にお金を使うはずだからだ。ところが、異例の低金利でもそうした意欲が高まらず、金利低下に歯止めがかからなくなっている。
先進国の企業が抱える現預金は過去最高水準にあるが、設備投資はリーマン危機前を下回る。米アップルのような成長企業ですら、稼いだお金は投資より株主還元に回す。生産性(生産活動の効率)が高まらず、人口も頭打ち。先進国は総じて経済成長のイメージを持ちにくくなっている。
新興国景気にも不安が根強い。みずほ総合研究所の高田創氏は「世界的に金利が上昇しづらい状況は当面続くだろう」と指摘する。
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緩和頼み、回らぬ歯車 構造改革が急務
なぜ長期金利が上がらないのか。世界経済が活力を失うなか、日米欧の主要中央銀行がマイナス金利政策や国債の大量購入によって力ずくで抑え込んでいる面もある。
日米欧の中央銀行を駆り立てているのが、1990年代以降の日本を苦しめたデフレの教訓。経済がひとたび継続的な物価下落に陥れば、企業は投資に消極的になり、家計は消費を控える。
日本の失敗を繰り返すまいと、米連邦準備理事会(FRB)はリーマン・ショック後、大量に国債を購入する量的金融緩和を導入。FRBは昨年12月に利上げに踏み切ったが、今でもそのときの国債を抱え込んでいる。
デフレの本家である日本は年80兆円という大量の国債購入で金利を押し下げているうえ、今年1月にはマイナス金利政策の導入を決定。日銀はすでに国債の総発行額の3分の1を買い占めており「日銀の国債買いが続く以上、金利の上昇余地はほとんどない」(国内証券)という状況だ。
だが、金利を抑えても、企業が投資に動き出さなければ、成長力底上げは難しい。FRBのイエレン議長がいう「労働生産性の伸びが近年、異常に弱い」状況を打破していけるかがカギになる。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は6月初旬、「すべての国で構造改革が必要だ」と話した。20カ国・地域(G20)は成長力押し上げへ「政策の総動員」で合意したが、具体策はこれから。異例の金融政策で確保した時間を政府や企業が有効に使えなければ、都市部の不動産価格の高騰などといった緩和の副作用を抑えきれなくなる。
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マイナス金利国債10兆ドル 全体の半分、日本は8割
格付け会社フィッチ・レーティングスによれば、世界でのマイナス金利の国債の量は5月末時点で10兆4千億ドル(1100兆円)。1カ月で約5%増え、日欧で増え続けている。世界の国債の残高は20兆ドル程度で半分近くがマイナス金利になっている。
「いつか爆発する超新星だ」。債券王の異名を持つビル・グロス氏は9日、ツイッター上でこうつぶやいた。マイナス金利はお金を借りる側が利息をもらえる異常事態。中銀が人為的にもたらした面も強く、グロス氏は警鐘を鳴らした。
中央銀行が国債を買うのはあくまで物価を支える異例の措置。いずれは国債の保有量を減らさねばならないが、反動で金利が急上昇するリスクを懸念する声もある。
[日経新聞6月11日朝刊P.1]
研究者らは将来、セックス用ロボットが登場し、人間どうしの正常な関係を阻害すると警告を発している。英国シェーフィールド大学のロボット技術の専門家らは将来、10代の青少年らがまさにロボットを相手に性交渉を開始するようになり、悲惨な結果をもたらすと危惧感を表した。
学者らは、青少年にとって、もしロボットとの性交渉が人生で初めてのものであった場合、その後、ロボットによって対人関係を構築する意思がなくなるおそれがあると指摘する。
日米ではセックスロボットが販売されているが、学者らはこうしたものは将来、異性との不健全な関係を誘発しないよう、16歳以下には販売してはならないとの見方を表している。
ロンドン、メルボルンに続いて東京にもヌードレストランがオープンする。マッシャブルが報じた。東京のヌードレストラン「アムリタ」は前者2店と異なり、お客様の体や体重を量り、あまりに太った方の入店はお断りする。
「アムリタ」の開店は7月29日。標準体重を15キロ以上オーバーした人は入れない。
また年齢制限もあり、入れるのは18−60歳まで。
店内では紙製の下着が配られるほか、「世界一美しい肉体を持つ男性」たちを集めたというウエイター陣も部分的には体を隠す。
「AV出演発覚でゴールドマン・サックス「内定取り消し」〜TOEIC935点の美少女を襲った不運な現実(週刊現代)」
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/667.html
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ゴールドマン・サックスが元AV女優の内定を取り消し[スプートニク日本語]
2016年06月10日 23:10
日本人女性の「みなもと・しずか」さんが投資銀行ゴールドマン・サックス社日本支社から内定を取り消された。内定取り消しはゴールドマン・サックス社がみなもとさんが過去にAV映画に出演していたことを知った直後にとられた。
みなもとさんは大学1年、2年生時代に数本のAV映画に出演。2011年撮影のAV映画「ロスト・ヴァージン」のヒロイン役をつとめていた。この映画はヒロインの女優の高いIQを売りにしている。映画DVDの説明にもみなもとさんのIQが130であることをキャッチフレーズにしていた。
ゴールドマン・サックス社の社則では元AV女優の就労は直接的には禁じられていない。形式的にはみなもとさんが面接で過去の履歴について正直に語らなかったことが内定取り消しの理由とされている。
テログループ「ダーイシュ(IS,イスラム国)」の頭目、アブー・バクル・アル=バグダーディー(アラビア語表記から)とグループの一連の指揮官らは、イラク・シリア国境地域で展開されている国際有志連合軍による空爆の結果、負傷した。
アラブ諸国の複数のマスコミが伝えた。
5月末米空軍は、米軍の協力を得ているたテログループ「ダーイシュ(IS,イスラム国)に対抗しているシリアの部隊に、誤爆した。
マリ市の地域で数人の反体制派戦闘員が死亡したと、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは6月10日報じた。
【イスタンブール=佐野彰洋】過激派組織「イスラム国」(IS)が「首都」と位置づけるシリア北部の都市ラッカ奪還を巡り、米国が支援するクルド人などの部隊とロシアが後ろ盾のアサド政権軍が攻略を競っている。今後、南北から挟み撃ちを受けて苦境に立つISによる捨て身の抵抗は確実で、巻き添えになる一般市民の犠牲や無差別テロが増える恐れもある。
「数日中に攻撃を開始する」。米軍主導の有志連合司令部のガーバー報道官は8日、シリアの少数民族クルド人を主体とする部隊が近く同国北部マンビジュ市街地を守るIS部隊への攻撃を開始するとの見方を示した。
マンビジュはラッカとトルコを結ぶ補給路に位置する。ラッカ奪還に向け北方から5月下旬に進軍を始めたクルド人らの部隊はマンビジュ周辺の幹線道路をほぼ制圧したもよう。米軍は特殊部隊を投入したほか、空爆などで緊密に連携する。
ロイター通信によると、フランス軍の報道担当者は9日、仏軍の特殊部隊もラッカ奪還の作戦に加わっていることを明らかにした。米軍が支援するクルド人などの部隊に、武器を提供するなどしているという。
アサド政権軍も6月に入り南西方向から新たな地上作戦を開始した。シリア人権監視団(英国)によると、ロシア軍の空爆支援を受け、水源のダムや空軍基地を抱え、ラッカ防衛に重要なタブカに迫っている。
ラッカはユーフラテス川に面し、シリア北部とトルコ、イラクを結ぶ要衝。ISが2014年8月に一帯を制圧し、事実上の首都と位置づけてきた。
クルド人勢力は、シリア北部のトルコ国境沿いに支配地域を広げている。アサド政権はクルド人勢力の「南下」を強く警戒、アラブ人の街であるラッカがクルド人勢力の支配下に入ることを避けたい思惑がにじむ。米軍の活動領域が広がることを望まないロシアの意向も働いているもようだ。
二正面で攻勢をかけるが、ラッカ陥落は簡単ではない。
アハラム政治戦略研究センター(エジプト)のディア・ラシュワン氏は「ラッカの陥落は組織の存亡に関わるだけにISはあらゆる手段で抵抗を試みるだろう」と指摘する。一般市民を「人間の盾」にする戦術を採る可能性が高い。本拠地での劣勢を挽回するためにシリアの政権支配地域や欧州などでの無差別テロを実行するリスクも高まる。
米軍主導の対IS有志連合も足並みが乱れている。トルコは国内のクルド人分離勢力に対する掃討作戦を展開しており、ISと戦うシリアのクルド人勢力もテロ組織とみなす。その結果、同勢力を支援する米国との間で溝が広がっている。
トルコのチャブシオール外相は7日、「作戦終了後はクルド人勢力が撤退するとの保証を米国から得ている」と一方的に公表し、米国をけん制した。
[日経新聞6月10日朝刊P.6]
政府は7日の閣議で、安倍晋三首相が5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で各国首脳に配った討議資料の作成過程について「今後の事務の適正な遂行に支障を及ぼす恐れなどがあることから差し控えたい」とする答弁書を決定した。民進党の長妻昭衆院議員の質問主意書に答えた。
首相が配ったのは商品価格の下落などをリーマン・ショック時の指標と比べた資料。世界経済に下振れリスクがあるとの懸念を共有し、危機回避に向け政策総動員で臨む姿勢を首脳宣言に盛り込んだ。首相が「リーマン級の事態が起こらない限り実施」と説明していた2017年4月からの消費増税の延期に向けた布石になったとされる。政府の月例経済報告と異なる景気認識で、政府内でも波紋が広がった。
[日経新聞6月8日朝刊P.4]
「これからの5年は過去50年よりも大きな変化が起きる」。米ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)=写真はロイター=は自動車業界で起き始めた地殻変動をこう表現する。IT(情報技術)化が進み、いまやグーグルなど新興勢が参入をうかがう。全米で販売首位のGMの地位も盤石ではない。
今年に入ってからのGMはバーラ氏が好む「破壊者」という言葉を地でいく。配車サービスのリフトに出資し、シリコンバレーの自動運転ベンチャーも買収した。7日の株主総会では「技術が変化を促すなかで、そのリーダー役でいたい」と投資家に語り、新たなライバルとの競争に意欲を見せた。新旧業種を巻き込んでの苛烈な競争が、自動車の世界で始まっている。
(ニューヨーク=中西豊紀)
[日経新聞6月10日朝刊P.6]
上海浦東国際空港で爆発があった模様。中国メディアが報じた。現在伝えられている情報によると、1人が負傷した。
中国中央テレビは、現地時間で14時42分に上海浦東国際空港の第2ターミナルで爆発があったと伝えている。
新華社通信も当局の情報として空港で爆発があった可能性について報じている。なお爆発原因について公式発表はなく、現在調査が行なわれている。
新華社通信はツイッターで、爆発の原因は火薬の可能性があり、1人が負傷したと伝えている。
「緊張の尖閣、新段階に 中国艦航行ドキュメント:雨降って地固まるという話もあるが、日本は米軍の「航行の自由」作戦を支持」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/213.html
「米中両軍、ハワイに異例の“洋上デート”:一方で、今日から尖閣諸島周辺で日米印合同演習←これが中国軍艦船侵入の理由かも」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/221.html
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沖縄東方海域で米日印の演習開始[スプートニク日本語]
2016年06月12日 15:20
沖縄県東方海域で、米国、日本、インドの合同演習「マラバール」が始まった。ドイチェ・ヴェレが伝えた。
演習は、東シナ海の係争諸島周辺で行なわれている。
「マラバール」は1992年に米国とインドが合同で開始し、2007年に日本が初参加した。
中国上海の浦東空港のターミナルで12日午後、爆発音があり、中国国営の新華社通信は爆竹や花火によるもので、けが人が出ていると伝えています。旅客機の運航に影響は出ていないということです。
上海の浦東空港第2ターミナルの出発ロビーで12日午後、爆発音がしました。中国国営の新華社通信は、爆発音は爆竹や花火によるもので、けが人が出ていると伝えています。
また空港管理会社によりますと、3人の旅行客がけがをしたということです。
中国版ツイッター「ウェイボー」には、現場とみられる写真が投稿されていて、ターミナルに大きな被害は出ていないものの担架で運ばれる人が写っています。
現場には、警察が出て、爆発音がしたカウンター付近を封鎖して警戒にあたっていますが、空港管理会社によりますと旅客機の運航に影響は出ていないということです。
NHKの番組「日曜討論」で参議院選挙の争点について、自民党が安倍政権の経済政策・アベノミクスは「道半ばだ」としてこれを前進させるかどうかが問われると主張したのに対し、民進党は「強い者をより強くする政策だ」としてアベノミクスの軌道修正を訴えていくという考えを示しました。
自民党の茂木選挙対策委員長は「安倍総理大臣は、国民の信を問う選挙だと言っており、今まで以上に重みを持つ選挙になる。この3年半、アベノミクスで日本経済の再生に全力で取り組み、間違いなく、日本経済は改善の兆しを見せているが、消費の弱含みや地方創生などの課題もある。アベノミクスは道半ばであり、この道をさらに力強く前に進めるのか、それとも民主党政権時代の混乱の時代に時計の針を戻すのか。前進か後退かが問われる選挙だ」と述べました。
公明党の斉藤選挙対策委員長は「今、道半ばの、アベノミクスを続けさせて頂くことができるのかどうかがいちばんの争点だ。自由と民主主義を基調とする保守中道路線を選ぶのか、社会主義、共産主義革命を目指す勢力が政治の中心になるのか、日本の進路を問う選挙とも言える」と述べました。
民進党の玄葉選挙対策委員長は「今回の選挙は日本の分かれ道だ。強いものをより強くという経済政策がアベノミクスだが、私たちは普通の人から豊かになり、多くの人をおいてきぼりにしない経済政策に軌道修正すべきだ。また、海外で自由に武力行使をする国になるのか、あくまで抑制的であり続けるのかも大きな争点だ」と述べました。
共産党の小池書記局長は「憲法に基づく政治を取り戻すのかどうかが問われる。『戦争法』を廃止し、立憲主義、平和主義、民主主義を取り戻すのか。解釈改憲の上に明文改憲を積み重ねて戦争ができる国に突き進むのか。安倍政権の強権政治全体が問われる」と述べました。
おおさか維新の会の馬場幹事長は「『古い政治を壊す。新しい政治を創る』がスローガンだ。幼稚園、保育園から大学院まですべての教育を無償化するため憲法26条を改正しどの政党が政権を取っても未来永ごう続くよう、憲法改正を訴えていきたい」と述べました。
社民党の又市幹事長は「アベノミクスで広がった格差と貧困の是正が極めて大きい問題で、下からの消費拡大による景気回復への転換を迫りたい。また、『戦争法』の廃止と、安倍政権による憲法改悪を阻止することを訴えていきたい」と述べました。
生活の党の玉城幹事長は「安倍政権は、憲法の理念をじゅうりんしている政権であると言わざるをえない。憲法軽視の姿勢で本当によいのかということを、若い人たちに問いかけていくのが今回の選挙の大きな問題であり論点だ」と述べました。
日本のこころを大切にする党の中山代表は「日本の人々が培ってきた伝統や習慣を中心にして、あたたかな社会を作っていくことを訴えたい。国際的にも平和を維持して、独立国家としてしっかりとした国を作っていく」と述べました。
新党改革の荒井代表は「脱原発をするただ一つの保守政党であり、脱原発をするかどうかで社会が変わる」と述べました。
「≪速報≫大阪維新の会が舛添都知事の不信任決議案提出を決定!自民公明に踏み絵!15日の本会議に!」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/602.html
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共産 志位氏 都知事辞任なければ不信任決議案提出へ[NHK]
6月12日 19時23分
共産党の志位委員長は、神戸市で記者団に対し、政治資金などを巡る一連の問題に関する東京都の舛添知事の説明に、都民は納得しておらず、辞任すべきだとしたうえで、辞任しないのであれば、今週、不信任決議案を都議会に提出するという見通しを示しました。
この中で、志位委員長は、「舛添知事は、いろいろな説明を行っているが、納得する都民は誰もいない。法律に基づく調査権を持つ百条委員会の設置が必要だ。舛添知事は、しっかりと説明したうえで辞任すべきだ」と述べました。
そのうえで志位氏は、「党の都議団が、当然、責任ある対応をやることになる。不信任決議案を提起することになる」と述べ、舛添知事が辞任しないのであれば、今週、不信任決議案を都議会に提出するという見通しを示しました。
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自民・下村氏 舛添知事の不信任案「ノーと言えないか」[NHK]
6月12日 13時21分
東京都の舛添知事の政治資金などを巡る一連の問題で、自民党の下村総裁特別補佐は記者団に対し、13日の都議会での集中審議では、より踏み込んだ説明が必要だという考えを示しました。そのうえで舛添知事に対する不信任決議案が提出された場合の対応について、「なかなかノーとは言えないのではないか」と述べました。
東京都の舛添知事の政治資金などを巡る一連の問題で、都議会では、13日と、今月20日の2回、総務委員会の集中審議が行われ、各会派からの一問一答形式の質疑に、舛添知事が答えることになっています。これに関連して、自民党東京都連の会長代行を務める下村総裁特別補佐は、記者団に対し、「これまでのような『違法性はない』ということではなく、道義的、道徳的に見てどうなのかという視点から答弁する必要がある。さらに踏み込んで、誠心誠意、答えられるかどうかが問われる」と指摘しました。
そのうえで、下村氏は、舛添知事に対する不信任決議案が提出された場合の対応について、「9割以上の都民が『納得していない』と言っていることに、都議会自民党だけが『納得した』とはとても判断できない。なかなか『ノー』とは言えないのではないか」と述べました。
民進 玄葉氏「説明できなければ身を引くべき」
民進党の玄葉選挙対策委員長は、NHKの番組「日曜討論」で、東京都の舛添知事の政治資金などを巡る一連の問題に関連して、納得できる説明が果たせない場合舛添知事は辞任すべきだという考えを示しました。
この中で、玄葉選挙対策委員長は、舛添知事の一連の問題に関連して「説明ができなければ、身を引くべきだ」と述べました。さらに玄葉氏は「自民・公明両党は、舛添知事を応援した経緯があるので、しっかり、身を引かせる責任がある」と指摘しました。
維新 馬場氏「都議会で不信任決議案を提出」
おおさか維新の会の馬場幹事長はNHKの番組「日曜討論」で、東京都の舛添知事の政治資金などを巡る一連の問題に関連して、今週、党として、舛添知事に対する不信任決議案を都議会に提出するという見通しを明らかにしました。
この中で、おおさか維新の会の馬場幹事長は舛添知事の一連の問題に関連して「われわれは、都議会に議員が1人いるが、今週15日に、舛添知事に対する不信任決議案を提出することを決定したと報告を受けている」と述べました。そのうえで、馬場氏は、「ほかの政党の皆さんが、これに対して、どういう反応を示すのか。小手先で処理するようなことがあれば、都民のみならず、国民全員の怒りが、その政党に向かうのではないか」と述べました。
【ニューヨーク時事】米南部フロリダ州オーランドのナイトクラブで12日午前2時(日本時間同日午後3時)ごろ、銃撃があり、市当局の発表によれば50人が死亡し、53人が負傷した。
容疑者の男は一時、人質を取って店内に立てこもり、警察との銃撃戦の末、死亡した。警察は「テロ」として捜査している。米国で起きた一度の銃撃事件としては過去最悪の被害となった。
男はライフルと拳銃で武装していた。閉店間近のクラブで警戒に当たっていた警官と撃ち合った後、人質を取った。約3時間後、警察は人質救出のため特殊部隊を投入し、男は殺害された。人質少なくとも30人が救出された。
男は州内在住のオマル・マティーン容疑者と特定された。米メディアによると、家族はアフガニスタンの出身で、容疑者は1986年に米国で生まれた。警察は入念に準備された犯行との見方を示した。CNNテレビは、男がイスラム過激思想に傾倒していた可能性も含め、連邦捜査局(FBI)が捜査中だと伝えた。
現場はオーランドでよく知られたゲイバー「パルス」ナイトクラブ。目撃情報によると、当時、店内には100人以上がおり、数十発の銃声が響いた。
最終更新:6月13日(月)0時59分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160612-00000082-jij-n_ame
【ニューヨーク=上塚真由】米南部フロリダ州オーランドのナイトクラブで12日未明、銃乱射事件が発生し、地元当局によると、50人が死亡し、53人が負傷した。容疑者の男は警察との銃撃戦の末、店内で死亡した。米連邦捜査局(FBI)などは「テロ事件」として捜査を始めた。米CNNテレビは「米国史上最悪の犠牲者数となった」と報じた。
事件は12日午前2時(日本時間12日午後3時)ごろ、「パルス」というクラブで発生。男がクラブの客を人質に立てこもったため、約3時間後に警察特殊部隊が突入し、激しい銃撃戦の末、男は射殺された。店内に取り残されていた約30人は救出された。
当局によると、男は、同州在住のオマル・マティーン容疑者。29歳で家族はアフガニスタンの出身という。自動小銃など複数の銃を所持しており、警察当局は「周到に準備していたとみられる」と述べた。FBIなどはイスラム過激派との関わりを含めて、動機や背後関係を捜査している。
マティーン容疑者は無差別に乱射したもようで、客の一人は、米メディアに「バンバンと繰り返し撃っている音が聞こえた。あちこちが血まみれで、現場はひどい状態だった」と話した。
フェイスブックの同店のページでは、同性愛者が集うクラブと紹介。午前2時ごろには「店の外に出て走って逃げろ」などと書き込みがあった。
同州オーランドではコンサート会場で10日夜、人気音楽オーディション番組「ザ・ボイス」に出演した女性歌手(22)がファンとみられる男に銃で撃たれ、死亡する事件が起きたばかり。オーランドはディズニーワールドなどのテーマパークも多く、訪れる日本人観光客が多いことでも知られている。
最終更新:6月13日(月)1時17分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160613-00000500-san-n_ame
6月中旬、ミサイル駆逐艦、ミサイルフリゲート、補給艦、潜水艦救難艦、それに病院船の5隻からなる中国海軍艦隊が西太平洋でアメリカ海軍駆逐艦と合流し、ハワイのパールハーバーを目指す。ハワイ周辺海域を中心に実施される、多国籍海軍合同演習「RIMPAC(リムパック)2016」(6月30日〜8月4日)に参加するためだ。
(参考)ホノルル沖に出現した招かれざる客、中国海軍のスパイ艦「北極星」(JBpressのサイトへ)
■ 世界最大規模の多国籍海軍演習
RIMPACは、アメリカ海軍が2年ごとに主催する世界最大規模の多国籍軍海軍合同演習である。1970年代にはアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国海軍によって実施されていた。海上自衛隊がRIMPACに初めて参加したのは1980年であった。それ以来海上自衛隊は毎回参加しており、日本はRIMPACの古参メンバーである。
RIMPAC2010からは参加国数が飛躍的に増加し、それとともに参加する艦艇数や航空機数も極めて多くなった(図を参照)。そして近年のRIMPACには、海軍艦艇や航空機に加えて、海軍と行動をともにして水陸両用戦に投入される陸上戦力である海兵隊や海軍陸戦隊なども参加するようになり、多種多様の海洋軍事演習が実施されるようになった。
2012年には、かつてアメリカ海軍の仮想敵であったロシア海軍までもが参加し、中国海軍もオブザーバーとして招かれた。そして前回のRIMPAC2014には、ロシア海軍は参加しなかったものの、中国海軍が正式に参加し、4隻の軍艦をパールハーバーに差し向けたのだ。
■ RIMPAC2014のトラブルメーカー
2014年には、アメリカ海軍が実施する数多くの軍事演習の中でも最大規模のRIMPACに中国海軍が参加するということで、アメリカ海軍関係者だけでなく一般のメディアの間でもパールハーバーに姿を現した中国艦隊への関心が非常に高まった。
内外メディアの中国海軍への関心があまりにも盛り上がり、アメリカ海軍当局に対する質疑応答などでもメディアの質問は中国海軍に集中した。そのため、直接の主催者であるアメリカ海軍太平洋艦隊の司令官であったハリス提督(現在は太平洋艦隊の上部機関であるアメリカ太平洋軍司令官)が、「RIMPACには中国海軍だけが招かれているのではない。20カ国の友人たちも参加していることを忘れてもらっては困る」とメディアに苦言を呈する始末だった。
その中国海軍だが、RIMPAC2014には4隻の艦船(駆逐艦、フリゲート、補給艦、病院船)を公式に参加させた。ところが、それらの演習参加メンバーに加えて、中国海軍情報収集艦「北極星」が合同演習中にホノルル沖を遊弋し、しばしば演習に参加していたアメリカ海軍空母にぴったり寄り添って電子情報の収集に勤しんでいた。
中国海軍にとってRIMPACは、アメリカ海軍並びに海上自衛隊をはじめとするアメリカ同盟軍の艦艇や各種航空機の電子情報を“まとめて”収集するための何よりの機会であった。
北極星は、RIMPAC2014参加艦艇の行動を妨害したわけでも、ハワイ諸島沿岸12海里内のアメリカ領海内で情報収集活動を実施したわけでもない。したがって、このスパイ艦による電子情報収集活動は国際法的に問題が生ずるわけではなかった。しかしながら、多国籍海軍演習への参加国が、演習参加艦船以外の軍艦を、それも電子情報収集艦を派遣して、演習に参加している“仲間”の軍事情報を掠め取ろうとする行動は、まさに海軍間の信義に背く前代未聞の出来事であった。
そのため、RIMPAC2014開催中に、参加海軍はもとよりアメリカ連邦議会やメディアなどからも、中国海軍のスパイ艦派遣に対して強い非難の声が巻き上がった。
演習中の各国海軍代表による会議やレセプションなどでも、中国海軍関係者に対して“冷たい”視線が向けられることになった。にもかかわらず、中国海軍幹部たちは「全く何事も生じていない」態度に終始しており、参加国の海軍将校たちの多くは半ばあきれていたようだ。
さらに各国海軍を驚かせたのは、参加国海軍が“もてなし料理”(ホットドック程度の簡単なものだが)の屋台を出して、他国の海軍将兵をねぎらった親善レセプションでの出来事である。レセプション会場には、スパイ艦事件の張本人である中国海軍に対する“ぎこちない雰囲気”が漂っていた。その会場に中国海軍の屋台は見当たらなかった。さすがの中国海軍といえども気まずかったのかと思いきや、大勢の人民解放軍海軍将兵が会場に押しかけてきて、各国海軍の料理を食い散らかして引き上げていった。これには百戦錬磨のアメリカ海軍将校たちも絶句していた。
■ それでも招待された中国海軍
親善行事はともかく、自らが参加する多国籍海軍演習にスパイ艦を派遣して外部から合同演習仲間の艦艇や航空機の電子情報を収集するのは、まさに背信的行為に他ならない。その非常識な行為に対して、対中強硬派の連邦議員たちは、RIMPAC2014開催中から「今回のRIMPACが中国海軍にとって最初で最後の参加ということになる」といった強い言葉を投げかけていた。
そしてRIMPAC2014後は、反中政治家だけではなく海軍内部からも、「RIMPACのようなアメリカ軍や同盟軍にとっても意義深い合同演習に、中国海軍を二度と招待してはならない」という論調が噴出し始めた。
さらに2015年になり、南シナ海南沙諸島での中国の人工島建設状況が予想をはるかに上回るスピードで進展している状況が確認されると、「中国海軍を次回のRIMPACに招待すると、アメリカが中国の南シナ海での行動に断固反対する意思を持っていないという誤ったメッセージを中国側に与えかねない」という危惧の念が、多くの米海軍関係者たちの間で論じられるようになった。
RIMPACの主催者は米海軍太平洋艦隊であり、太平洋艦隊が直接招待状を各国海軍に発することになっている。だが、この種の大規模合同演習ともなると、もちろん外交的意味合いも大きいため、太平洋艦隊はもとより海軍が招待国を独自に決定することはありえない。最終的にはホワイトハウスの意向によって招待国、とりわけ中国のような問題がある招待国の決定が左右されるのである。
中国による南沙諸島での人工島=本格的軍用飛行場を含む軍事拠点の完成が近づくに比例して、海軍戦略家たちからの「中国をRIMPACに参加させるな」との声はますます大きくなっていった。しかし、オバマ政権は口では中国の南シナ海支配の目論見を非難するものの、RIMPAC2016の参加リストから中国海軍を抹消する動きは全く見せなかった。
オバマ政権によってRIMPACに招待された中国海軍艦隊は、まもなくアメリカ海軍駆逐艦と合流してハワイ沖に向かい、RIMPAC2016の一員として海上自衛隊をはじめとするアメリカの同盟国海軍や友好国海軍と肩を並べて各種合同演習を実施する。
次期アメリカ大統領はいざ知らず、多くのアメリカ海軍関係者たちが異を唱えた「中国海軍の参加」すら拒絶できないのがアメリカの対中姿勢の現状なのだ。
北村 淳
最終更新:6月11日(土)8時25分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160609-00047034-jbpressz-int
「上海浦東国際空港で爆発:第2ターミナルで爆発の原因は非公表」
http://www.asyura2.com/16/china8/msg/852.html
「中国 上海の空港で爆発音 爆竹や花火か けが人も」
http://www.asyura2.com/16/china8/msg/853.html
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上海の空港でビール瓶を使った手製爆弾爆発 男は自分の首を刃物で刺す
2016年06月12日 23:56
12日、上海浦東国際空港第2ターミナルで男がビール瓶を使った手製爆弾を爆発させた。男は首を切って自殺しようとした。上海市の公安当局が発表した。
12日、上海浦東国際空港第2ターミナルで男がビール瓶を使った手製爆弾を爆発させた。男は首を切って自殺しようとした。上海市の公安当局が発表した。
中国の食品はほぼ全ての国の店の棚にある。ロシアの専門家たちは、人体への危険な影響を避けるために、どの中国の「美味」を避けたほうがいいかの調査を試みた。
食品の見た目をできるだけ長く維持し、経費を削減するために、中国のメーカーは毒性のある物質を利用したり、遺伝子工学に走る可能性がある。
さらに、中国の大規模な環境問題が、質の良くない生産の問題を一層深くする。
中国では、野菜や果物の栽培の際に毒性を持つ危険な農薬を多量に使っているため、中国産の果物やニンニクは健康に危険をもたらす可能性がある。
中国産の魚も危険だ。不適切な環境でも魚が生き延びるよう、水産養殖者が魚の餌として強力な抗生物質や成長ホルモンを投与しているからだ。
坑道で危険を知らせるカナリアの役割を、債券市場が忘れて久しい。財政規律派の市場参加者の歯ぎしりをよそに、日本国債の利回りが低下を続けている。10年債は一時、マイナス0.155%と過去最低を更新した。
米利上げの先送り観測と英国の欧州連合(EU)離脱懸念。国内では6月か7月かと、日銀の追加緩和の時期を巡って、金融市場の思惑が交錯する。いきおい投資資金は債券に向かい、全世界でマイナス利回りの債券は合わせて10兆ドルにのぼる。
そんななか、ドルなど外貨を元手とする外国勢にとって、日本国債は投資対象として、とてもおいしい。彼らは5月に日本の中長期債を1兆円買い越した。4月の買越額が2.7兆円に膨らんだのに続き、高水準となっている。
買いの理由は簡単明瞭。円建てではマイナス利回りの日本国債も、ドルを円に換えて投資する際の利回りが、米国債の利回りを上回っているからだ(グラフA)。
手品のような利回りのかさ上げは、ドル資金と円資金の需要の違いに由来する。「ドル資金需要>円資金需要」。その結果、日本の金融機関や投資家が円を元手にドル資金を調達するためには、外国勢に対し日米金利差に上乗せして、割高な金利を払う必要が出ている。
この金利上乗せ分を「ベーシススワップ」という。1年物の取引を例にとると、日本勢はドルを借りるために、日米金利差に加え0.6%もの金利上乗せを求められている。
こうした金利上乗せはドル資金が逼迫する年末の現象とされてきた。が、グラフBが示すように今や日常化している。その水準は08年のリーマン・ショックや11年の欧州政府債務危機のころに匹敵し、かつ持続している。日本勢による外貨の需要が高まっているのはほかでもない。
邦銀などが海外でドルなど外貨建ての投融資を拡大したからだ。その資金調達は短期市場での借り入れに依存している。直近では、ゆうちょ銀行が外貨建て運用のアクセルを踏んでいる。
それでも、米銀など外国金融機関からスムーズに外貨資金を借りられれば、問題は表面化しなかったはずである。だが金融規制が一段と強化されている折から、外国勢は資金供給の蛇口を絞っている。
その結果、日本勢は金利の上乗せ幅を拡大しないと、ドルなど外貨を調達できなくなっている。一方、外国勢は左うちわで、日本勢から上乗せ金利を得ることが可能になっている。
彼らも日本勢から提供された円資金を遊ばせておくのはもったいない。そこで日本国債を購入している。全体を通してみれば、ドル資金を元手にした日本国債への投資は、利ザヤの稼げる商売になっているのである。
従来もドルベースの日本国債投資には、こうしたメカニズムが働いていた。とはいえ、欧州の国債がプラスの利回りだった局面では、外国勢は欧州の国債を購入していればよく、あえて日本国債を買う必要はなかった。
ところが、欧州の国債の利回りが軒並みマイナスになったことで、絞り出されるように日本国債へと資金が向かいだしたのである。日銀による追加緩和が見込まれるなかでは、外国勢の日本国債投資は一段と拡大する見込みだ。
こうした資金の流れは「日銀のマイナス金利政策を補完し、日本の財政の綻びを繕う役割を果たすことになる」――。そんな指摘も聞かれるが、外国勢の日本国債投資はあくまでも短期的な利ザヤ狙い。
外国勢が労せずして利益を得られる裏側には、ジャパンプレミアム(日本勢の金利上乗せ)に苦しむ邦銀などの存在がある。国債のマイナス利回りは日本の財政にとっても「棚から牡丹餅」だが、その裏側で進む市場のきしみには目を凝らす必要がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03459980Q6A610C1000000/?dg=1
安倍晋三首相は10日、民進党の岡田克也代表の地元、三重県桑名市に入り街頭演説した。介護や子育てなどの社会保障の充実策について「アベノミクスの果実が13兆円ある。保育の充実や介護離職のゼロのために使っていく」と述べた。2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを2年半延期しても、経済成長による税収増で一定の財源が確保できるとの考えを示した。
自民党は参院選の公約で社会保障の充実策について「赤字国債に頼ることなく安定財源を確保して可能な限り行う」と明記している。ただ具体的な安定財源や実施可能な施策については明らかにしていない。
首相は街頭演説で「7月の参院選の最大のテーマは経済政策だ」と主張。「アベノミクスはまだ道半ば。ギアを一段も二段も上げる」と述べ、デフレ脱却に向けて強い意欲を示した。また「野党は統一した経済政策がなく批判ばかりだ」と非難した。
民進党など廃止を求める安全保障関連法を巡っては「日本を守るために日本と米国がしっかりと助け合うことができるようになった」と力説。「この法制の廃棄は日米同盟を根底から揺るがすことになる」と批判した。
一方、民進党の岡田代表は同日、京都市内にある民進党の候補者の事務所を訪れて激励した。山尾志桜里政調会長は都内で街頭演説し、「働く人の実質賃金は下がりっぱなしだ」とアベノミクスの効果に疑問を呈した。
[日経新聞6月11日朝刊P.4]
自民党の古賀誠元幹事長は10日、東京都府中市の多磨霊園を訪ね、自らが名誉会長を務める同党岸田派(宏池会)の衆院議員4人とともに、同派会長だった大平正芳元首相の命日を前に墓参りした。
大平氏は日中国交正常化や財政再建に取り組み、1980年の衆参同日選のさなかに急死した。史上初の同日選で自民党は大勝し、この時に初当選した古賀氏は「喪章をつけて戦った」と振り返った。
もっとも、安倍晋三首相が同日選を見送ったことについて「(大平氏は)やれば良かったとおっしゃっているだろう」と皮肉り、消費増税を再延期し、同日選も見送った安倍首相の対応に疑問を呈した。
(恒)
[日経新聞6月11日朝刊P.4]
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/667.html
トヨタ自動車が誇る「環境車メーカー」の看板が米国で揺らいでいる。最大市場のカリフォルニア州でハイブリッド車(HV)への燃費規制が2018年に向けて強化され、旗艦車「プリウス」がエコカーではなくなるのだ。優遇するのは排ガスを出さない電気自動車(EV)だ。世界が倣う米規制でのつまずきはグローバル戦略にも影を落としかねない。
カリフォルニア州のエコカー優遇から外れる(米販売店の店頭に並ぶプリウス)=ロイター
「こんなに稼いでいるのか」。EVベンチャーのテスラ・モーターズ。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が4年後の100万台生産計画をぶちあげた5月の決算会見で、自動車業界の関係者が台数以上に注目したのは5700万ドル(約62億円)の「ZEVクレジット」収入だった。
「Zero Emission Vehicle(排ガスゼロ車)」を意味するZEVは、加州が自動車メーカーに一定割合の販売を義務付けている。環境に優しい電気駆動の車の普及が狙いで、達成できないメーカーは罰金を払うか、他社からクレジットを買う必要がある。テスラはたまったクレジットを売ることで赤字体質の収益を補完してきた。
販売台数24%減
米国最大の車市場である加州ではどのメーカーもZEV規制を意識する。実はそこで苦戦を強いられているのが日本では環境イメージの強いトヨタだ。1990年施行の規制は段階を経て厳しくなり、12年には18年以降のHVをZEVとして扱わないことが決まった。プリウスも例外ではない。
影響はビジネスに直結する。まず州の高速道路のエコカー専用渋滞回避レーンでの走行が11年7月からHVはできなくなった。渋滞が多いサンフランシスコなどの消費者にとっては致命的で、プリウス人気は低迷した。原油安も加わり、新型を含めたプリウスの1〜5月の販売台数は前年同期と比べて24.9%のマイナスだ。
HVの販売不振にあわせて獲得クレジットも減る。トヨタは18年以降を見据えクレジットの貯蓄を始めたとされるが、15年には初めてクレジットの買い手に転落した。トヨタは規制を緩和するよう当局への陳情を繰り返したが一切聞き入れられなかったという。
加州がそこまで排ガスゼロにこだわる背景には、公害に悩まされてきた地域の歴史がある。40年代のロサンゼルスでの光化学スモッグ対策が自動車規制の発祥だ。
今のZEV規制は、大気汚染とそれに伴う健康被害への対策に、温暖化問題が加味された。
加州大気資源局(CARB)のアルベルト・アヤラ副局長は「HVは燃費面で優れた技術だが、有毒な排ガスを出している時点でダメだ」と言い切る。
国際基準に
見逃せないのは加州の規制がグローバルでのひな型になりつつあることだ。連邦法に基づき、他州はCARBの規制をそのまま導入してもよい。ニューヨークやコネティカットなど東西9州が連合を組み、これだけで米新車市場の3割をカバーする。
さらにドイツやノルウェーなど加州を参考にEV優遇の規制を導入する国も出てきた。
トヨタも無策でいるわけではない。米国で15年に販売が始まった燃料電池車(FCV)「ミライ」はEV同様に排ガスゼロで加州の要望を満たす。だが現時点で州内の水素充填インフラは18基だけで普及には時間がかかりそう。ニューヨークなど他州でのインフラ整備の本格化は17年以降だ。
その間隙を縫うようにEVではテスラが台頭、ゼネラル・モーターズ(GM)も年内に1回の充電で200マイル(約320キロメートル)走行する大衆向けEVを出す。HVのプリウスが世界に先駆けた00年とは異なり、今のエコカーを巡る競争環境はかつてなく厳しい。
ただ、歴史を振り返れば自動車の技術の進化は規制の強化と裏腹でもあった。70年代、米国が制定した厳格な排ガス規制「マスキー法」はホンダなどの低燃費車の開発を後押しし、結果として同社の米国進出を助けた。
今後の規制の道筋について、CARBは「50年にZEV比率を100%にする」(アヤラ副局長)と宣言している。トヨタが今を危機と見なすか好機と見なすか。「環境車メーカー」の腕の見せどころである。
(ニューヨーク=中西豊紀)
[日経新聞6月11日朝刊P.2]
民進党香川県連は11日、高松市で常任幹事会を開き、参院選香川選挙区(改選数1)で、共産党新人田辺健一氏(34)の推薦や支持を見送り、自主投票とすることを決めた。県連代表の小川淳也衆院議員は幹事会後に記者会見し「反対意見が根強く、推薦、支持での意見一致に至らなかった」と述べた。参院選で民進、共産、社民、生活の4野党は、32の改選1人区全てで候補を一本化し、田辺氏は唯一の共産党公認候補となる。
[日経新聞6月12日朝刊P.2]
また、「経済が成長し、税収がきちんと増える環境を整えるのは正しい路線だ。だが楽観的なシナリオに頼り切りで不人気な歳出改革を怠っていては、財政の将来はもたない」という最もらしく聞こえる“正論”も出されているが、財政は、国民経済の付随物(サブシステム)であり、財政を“健全化”するためと称し国民経済及び国民生活を破壊してしまうような考えは本末転倒というしかない。
財政は、国民経済の身の丈で運営されなければならないのは当然だが、そうであるかどうかの検証は、公的債務の規模ではなく、物価変動(インフレ率推移)で行うべきものである。
自国国民経済の身の丈を超えた財政運営を行えば、供給力を超えた需要が生まれるのでインフレ率が更新し、ついには悪性インフレに陥る。
その前提で日本の実状を見れば、目標とするインフレ率(2%)にはるかに及ばず、デフレ基調への回帰が憂慮されているほどである。
市場経済での企業は、経済成長=利益増加が見込めない市場での投資を控える。これは、将来的な供給力の低下を意味する。
現在の日本が何より考えるべきは、財政ではなく、財政に依存する割合が増加する長寿命化が進むなかで、悪性インフレを招かないようにする経済政策である。
「歳出改革」は将来必要になる可能性が高いが、現実には、悪性インフレの芽が見え始めた時点で考えればいいテーマなのである。
※参照関連投稿
「首相、アベノミクスの果実で社会保障充実:13兆円、アベノミクスではなく国際環境で起きた円安の果実だが再分配政策強化要」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/665.html
「決断増税先送り:消費税増税の必要性について「次の選挙より次の世代」という妄言」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/371.html
「消費税増税再延期 自民・小泉進次郎氏「そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」:デタラメな筋論で格好を付ける二世議員」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/129.html
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[けいざい解説]「成長で税収増」は安定財源か 歳出改革、怠れば停滞
参院選に向けた与野党の公約が出始めた。消費増税の延期で4兆円の増収がお預けになっても「社会保障の充実」は各党の合言葉だ。
安倍晋三首相は1日の記者会見で「アベノミクスを一段と加速して税収を増やしていきたい。この果実を使って可能な限り社会保障を充実させていく」と語った。
2016年度予算の国・地方の税収は99.5兆円。民主党から自民党に政権交代した12年度より21兆円多い。14年に消費税率を3%上げて8%にした増収が約8兆円で、個人と法人の所得課税の税収は13兆円増えた。円安・株高で企業収益や資産運用が改善し、給与も増えたことによる「自然増収」の表れだ。
成長による税収増は子育てや介護離職の対策など「一億総活躍」実現の安定財源になりうるのではないか。経済財政諮問会議はそう問題提起した。麻生太郎副総理・財務相は「中長期的に安定した底上げなのか」と反論し、「果実」とは何かの結論は出ていない。
予想を上回った増収なら、使って構わない。そう考えがちだが、見落としがちな点がある。
「二重計上はやめてほしい」。土居丈朗慶大教授は指摘する。
政府の財政健全化目標は20年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字、つまり政策経費を税収などで賄える状態を目指す。内閣府の試算では名目3%程度の成長と強気の前提でもなお6兆円分の収支改善が必要だ。「税収底上げは楽観的な財政試算に織り込みずみ。別の歳出に充てるなら財政健全化の目標は一段と遠のく」と土居氏は警告している。
高い増収が続くのか、という疑問も消えない。
内閣府試算は15、16年度に名目2.9%の成長が続く想定だが、15年度の実績は2.2%増と0.7ポイントも低い。16年度も厳しい状況にある。「『世界経済に危機が来るかもしれない』という前提のもとで税の自然増収を望むのは非論理的だ」と第一生命経済研究所の熊野英生氏は首をひねる。
「所得課税の収入増ペースは13年度をピークに落ちている」(SMBC日興証券の宮前耕也氏)との指摘もある。名目経済成長率に比べてどの程度、税収が伸びるかを示す「税収弾性値」は13年度の5.6から16年度は1程度に下がった。円高再燃や企業収益の悪化で「20年度にかけて税収が伸びない可能性もある」と厳しい見方だ。
経済が成長し、税収がきちんと増える環境を整えるのは正しい路線だ。だが楽観的なシナリオに頼り切りで不人気な歳出改革を怠っていては、財政の将来はもたない。
本当の試練は20年度以降だ。25年度にはいわゆる「団塊の世代」が全員75歳以上となり医療や介護の支出が膨らむ。
19年10月に消費税率を上げ、東京五輪前の特需の助けも借りて20年度の財政目標をギリギリで達成しても、その先は「五輪景気と消費増税駆け込みという二重の反動減がくる」(熊野氏)恐れがある。安倍氏が口癖にする「成長と分配の好循環」が「停滞と負担の悪循環」に化けないよう、今から手を打つべきだ。
(編集委員 菅野幹雄)
[日経新聞6月12日朝刊P.3]
日銀は15〜16日に金融政策決定会合を開く。景気回復は勢いを欠き、物価2%目標達成への道のりはなお見えてこないが、日銀内では今のところ追加の金融緩和に慎重な意見が多い。銀行などがマイナス金利政策に猛反発し、金融緩和のハードルが一段と高まるなか、限られたカードをいつ切るかの判断は難しさを増している。
日銀は今年1月にマイナス金利政策の導入を決めたが、その後の物価の足取りは力強さを欠いている。消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)の上昇率は2カ月連続でマイナスとなり、原油安の影響を除いた指標でみても上昇率は2%から遠ざかっている。
物価上昇のカギになる賃上げが前年実績を下回り、スーパーの店頭価格などをみると企業は値上げに及び腰になっている。企業や家計が「物価はやはり上がりにくい」と感じ始めており、日銀が掲げる2017年度中の物価2%目標達成はかなり微妙になってきた。
それでも日銀内で追加緩和への慎重論が強いのは、緩和のハードルが高まっているためだ。三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)の資格返上の方針を固めるなど、マイナス金利政策への金融機関の反発は強い。企業や家計も突然のマイナス金利政策導入に動揺しており、マイナス幅を現在の0.1%から広げても大きな効果が得られるとは限らない。
現在年80兆円の国債の購入量を増やす手もある。ただ日銀はすでに総発行額の3分の1を買い占めており、買い取りのペースを上げれば、市場の国債が干上がる時期も早まる。緩和の限界を自ら手前に引き寄せることになりかねない。
市場では上場投資信託(ETF)の購入拡大への期待もあるが、ETFの買い取りだけを増やせば相場への露骨な介入と受け取られてしまう。
問題はこうした高いハードルを覚悟したうえで、あえて追加緩和に踏み込むほど、経済・物価情勢が危ういかどうかだ。黒田東彦総裁は「必要があればちゅうちょなく追加措置を講じる」方針で、デフレに逆戻りするリスクが高まっていると判断すれば、銀行がいくら反対しようとも追加緩和に動くとみられる。
日銀内ではひとまずマイナス金利政策の効果を見極めたいとの声が多い。原油価格の反転で市場の動揺も収まってきた。好調な企業収益と人手不足を背景に夏のボーナスにも期待できそうで年後半には物価が再び上がり始めるとみている。
6月23日には英国の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票があり、その前に緩和に動いても投票結果次第では無駄弾になりかねない。安倍政権からの緩和圧力もさほど強まっていない。日銀は14〜15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果や円高の勢いを見極めたうえで、追加緩和するかを最終判断する。
[日経新聞6月12日朝刊P.3]
国民投票の結果はキャメロン政権の判断を縛るものではない。国民の意向を受けて政府はどうしなければならないのか法律で定まっているわけではないからである。
彼らの目指すものすなわち国民投票の目的は、政治的統合へと向かう流れにあるEU主要構成国に対し、EUに残留しながら英国の主権強化を認めさせることである。
23日の投票結果は“管理”されるだろうが、建前が民主制国家だから大差なら結果に従うことになるとしても、離脱が小差で勝利しようと残留が小差が勝利しようと行く末は同じである。(残留と離脱が明確な差にならないよう“管理”される)
英国支配層にとって、国内政治的には残留が僅差で勝利するのが望ましく、外交的には、“主権”確保交渉で強く出られる後ろ盾になる、僅差の離脱派多数が望ましい。
※参照投稿
「英離脱が招く破壊ドミノ:僅差で離脱派が多数になっても離脱に動くことはない英国:EUとの関係性を調整するネタとして利用」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/167.html
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[創造]英のEU離脱 是か非か
ナイジェル・ローソン氏/ロマーノ・プロディ氏
欧州連合(EU)からの離脱か、残留か。その判断を問う英国の国民投票が23日に行われる。離脱となれば、世界の政治、経済への影響は計り知れない。離脱の是非と影響について、離脱を支持する英元財務相のナイジェル・ローソン保守党上院議員と、残留派で、かつて欧州委員長も務めたロマーノ・プロディ元イタリア首相に聞いた。
■独自の貿易戦略、可能に 英元財務相 ナイジェル・ローソン氏
――なぜ英国のEU離脱を支持するのですか。
「まず言いたいのは、離脱派は決して孤立主義を掲げているわけではないということだ。英国は歴史的に米国と特別な関係を持ち、大英帝国時代から築いたアフリカ、アジアまで広がる英連邦諸国もあり、新興国との関係も強化している。英国の強さはこのグローバルな視点にこそある。それなのに今はあまりにも多くのEUの規制や権限に縛られている。地理的には欧州のなかにあるが、EUを離れて、グローバルな視点で独自の戦略を追求したほうが、英国にとって有益だ」
――EUに属する意味が薄れてきたということですか。
「EUの大元となった欧州石炭鉄鋼共同体の設立は、2つの大きな大戦を経て、ドイツの脅威を封じ、新たな大戦を防ぐことが出発点だった。たしかに現在もロシアなどの脅威はあるが、安全保障上は北大西洋条約機構(NATO)の枠組みがあり、そのほかにもテロなどグローバルな地政学リスクに対応するための国際体制がある。EUに加盟する理由にはならない」
「一方、各国の主権に対するEUの権限は強まるばかりだ。欧州司法裁判所は英国の最高裁判所よりも優位に立ち、EUの法令が英議会の法律よりも上位にある。金融危機を受けてEUが導入を決めた金融取引税に、オズボーン英財務相は英国の金融業の競争力が低下すると猛反対したが、受け入れられなかった。EUの最終目的は常に政治統合であり、経済統合を重視する英国とは相いれない」
――キャメロン首相は「離脱すれば英経済に悲劇が訪れる」と訴えています。
「全く同意しない。80年代を思い出してほしい。70年代に『欧州の病人』といわれるほど経済状態が悪かった英国は、思い切った改革を行う必要があった。当時財務相だった私をはじめサッチャー政権が取り組んだのは、規制緩和であり、民営化であり、金融ビッグバンなどの徹底した構造改革だ。英国はすでにEC(欧州共同体)に加盟していたが、そのおかげで経済が立ち直ったわけではない」
「英経済の基本は改革マインドだ。だが今はEUの規制が多すぎて、こうした改革を進めることすら難しい。企業や投資家が立地や投資を決める際に最も重視するのは税制や規制環境であり、その国がどの経済共同体に属しているかは決定打ではない。EUを離脱して、企業や金融街シティーの競争力を高める規制緩和を行えば、むしろ長期的には英経済の成長力が高まる」
――「離脱すれば貿易協定で不利な扱いになる」と懸念する声は多いですが。
「残留派はEU単一市場に参加することによる関税の減免措置の恩恵を強調するが、世界的に自由貿易の流れが強まっている。EUの域外関税の平均は3.6%とごくわずかだ。関税措置がなくなってもたいした打撃ではない」
「大事なのは貿易を拡大することであって貿易協定ではない。英国は貿易協定がなくても、日本や米国、中国、インドなどと活発に貿易している。参加国の多いEUは他国との自由貿易協定(FTA)も一向に進んでいない。むしろEUを抜けた方が、独自に貿易戦略を進め、世界貿易機関(WTO)に対しても英国の主張を貫くことができる。多くのEU加盟国よりも高い成長を遂げているスイスは2国間の貿易協定を軸にしているが、英国も離脱後の交渉で有利な条件を引き出せる」
――国民投票を巡り保守党内の亀裂も深まっています。
「保守党は歴史ある党で、これぐらいで分裂したりしない。ただ、キャメロン首相への信任は今後の言動いかんでぐらつく可能性がある。キャンペーンを通してキャメロン氏は国民に離脱の恐怖を訴えすぎている。仮に投票結果が10%以内の僅差なら、2度目の国民投票を実施する圧力が党内からも高まるだろう」
――EUの未来像をどのように見ていますか。
「個人的には財務相だった80年代から統一通貨ユーロには反対してきた。結果はもう明白ではないだろうか。債務危機は繰りかえされ、域内の経済は低迷し、若年層の失業率は高止まりしている。にもかかわらずEUはなお権限を増大し、統合を深化させようとしている。残留派はEU離脱後の英国の姿が見えないと批判するが、私からすればEUの未来こそ見えないのだ」
(聞き手はロンドン=小滝麻理子)
Nigel Lawson サッチャー政権下で閣僚を歴任し、財務相として規制緩和や民営化を主導。EU離脱運動の中心人物の一人。84歳。
◇ ◇
■国際政治で影響力弱く 元欧州委員長 ロマーノ・プロディ氏
――英国のEU離脱に強く反対していますね。
「EUには英国が加わっていてしかるべきだとの思いがある。国民投票をすること自体が間違いだ。(離脱の可能性が浮上したことで)英国はEUでの存在感が弱くなった。キャメロン首相は残留のために『これ以上EUとは緊密にならない』というが、容認しがたい。国際社会で重要な役割を持つには結束したEUでなくてはならない」
「英国の離脱が世界に発するメッセージも懸念する。例えば、インドは英国の眼鏡を通して欧州をみるからだ。アフリカの大半もそうだし、オーストラリアもそうだ」
――昨年からの難民危機の影響をどう見ていますか。
「難民問題は離脱運動の大きな論点だ。『英国が難民に侵略される』とまでいう人もいる。だが国民投票を行う決定は、今ほど問題が深刻になる前のことだった。英国が常に離脱を望む世論を内包していたということだ」
――ギリシャの債務問題などは離脱派に「結束する欧州」の負の側面と映るのでは。
「英国は単一通貨ユーロを採用していないのでギリシャ問題が大事だとは思わない。より重要なのは過去20年にわたり英メディアが『EUは強すぎる。EUの官僚はいらない』という論陣を張ったことだ。EUは無駄遣いをする怪物のように扱われた。欧州委員会の予算は域内総生産の1%に満たないのに」
「英国の論調は常に『我々の方が優れているのだから、できの悪い連中に統治されたくない』というものだった。現実離れした意見だ。だが今は英フィナンシャル・タイムズも『ブリュッセルの方が英国の官僚主義よりマシかも』と離脱に反対している」
――離脱派の背後にナショナリズムを感じますか。
「もちろんだ。だが、その根底にあるのは中間層の崩壊と収入の(伸びの)停滞であり、さらには中国などの台頭への不安だ。それはドイツやオーストリア、イタリアにもみられる。本質的には英国のEU離脱とは無関係なのに離脱派に追い風になっている。その全体的な流れこそが、最も心配すべきポイントだ」
「将来への不安は米国や日本にもある。グローバル化は貧しかった国の成長に貢献し、裕福な国に新たな課題を突きつけた。(途上国に富が行き渡る)世界的な社会正義が先進国の内部を分断したという意見があり、そうした反応がポピュリズムの政党と結びついたのが英国の離脱問題だ。不安や格差が離脱派をここまで強くしてしまった」
――スイスやノルウェーのようにEU非加盟でも強い経済を維持する国はあります。
「スイスは国連機関を多く招致する一方、国際的な問題に関与していない。経済では限られた産業でスキルを高めた。欧州に2つ目のスイスは存在し得ない。ノルウェーは資源国で人口も少なく、英国との違いはさらに大きい」
「英国は欧州の金融センターだから離脱の影響は大きい。もっとも経済的な損害の予想は誇張が多すぎる。壊滅的とまではいかないだろう。離脱しても英国経済は生き延びるが、国際政治の場で消滅する。それが私の見方だ」
――投票後の英国とEUの関係をどうみますか。
「どちらに転んでも『2段速度の欧州』になる。より緊密になるための努力をする国と、それを拒む国に分かれる状態だ。英国など複数の国はもとから、検査なしで国境を越えられる協定にもユーロにも加わっていない。その構図がより鮮明になる」
「だが20年もすれば誰もがEUの重要性を再認識するだろう。かつて英国は欧州経済共同体(EEC)に加わらず、欧州自由貿易連合(EFTA)を主導したが、EECが成功だとわかるとくら替えした。将来を考えれば英国はEUにとどまるしかない」
――離脱派にはEUが「ドイツ1強」になったことへの不満もあるのでは。
「ドイツが強いのは自前の規律と美徳があるからだ。それに加えて、過去15年でフランスが段階的に弱くなったこともある。ドイツと距離を置こうとして離脱を求める運動はフランスやスペイン、イタリアでもあるだろう。だが欧州には誰もが入れる傘は1つしか開かれていない。それはドイツの傘だ。英国は既にかつての力を失い、(離脱で)それを取り戻すこともない。EUにとどまった方がいくらかの影響力を残せるのだ」
(ローマで、原克彦)
Romano Prodi イタリア商工相などを経て96〜98年と06〜08年に同国首相。99〜04年に欧州委員長を務めた。76歳。
◇ ◇
<聞き手から>独立国家の誇りと郷愁
「良い機会だから少しご案内しましょう」。取材後、こう切り出したローソン卿と、19世紀からロンドン中心部に鎮座する薄暗い国会議事堂を歩いた。「民主主義の源がここにあるのです」。ローソン卿の言葉が重く響いた。
移民や労働規制、経済・貿易政策などEU離脱派の主張は多岐にわたるが、根底にあるのは独立国家の誇りだ。「英経済の神髄は改革」と語るローソン卿には、1980年代に市場重視の構造改革をやり遂げた自負がにじむ。
だが、そこには失われた大英帝国の栄光への郷愁に似た響きがあるのも否めない。冷戦終結から四半世紀。急速なグローバル化で世界は変わった。英経済を支えるのは今や欧州など世界中から受け入れる資本や人材だ。EU離脱が引き起こす混乱と停滞は英国を一時的にせよこの流れの「圏外」に押しやりかねない。
復古的な名誉ある孤立に舞い戻るのか。23日の投票で英国民は、世界と向き合う姿勢を問われる。
(小滝麻理子)
[日経新聞6月12日朝刊P.9]
「 ――党幹事長時代に消費増税を巡って党が分裂しました。
「小沢一郎さんは民主党が政権をとったマニフェスト(選挙公約)に消費税を上げるなんて書いてないからやめろと主張した。野田佳彦首相は今苦しくても消費税を上げないと財政が破綻して、ギリシャのように国が大変なことになると言った」
「僕は3回、小沢さんと話した。話せば分かると思った。景気が悪くなった場合は増税を延期できるような条項を入れようと相談した。小沢さんは景気条項を法律の本則に入れてくれと言ってきた。野田首相は付則でどうかと言った。小沢さんはそれを受け入れなかった」
――安倍晋三首相は再び増税先送りの方針を表明しました。
「新しい判断でリスクがあるから先送りだというが、リスクは常にある。そんなことを言ったら、いつまでも消費増税はできない。経済は生き物だ。経済的なリスクを理由に一回決めたことをやらないと言い出したら、永久にやらないということになる」」
元民主党の幹部たちが財務省の消費税増税キャンペーンにすっかり乗せられていることがよくわかる発言である。
岡田代表の消費税増税延期発言について、政治的にはそう言うしかないとは思うが、既定方針通りに増税すべきだったと主張する民進党政治家は少なくない。
小沢氏が12年に採った消費税増税反対運動は支持するが、民主党を分裂に導いた“離党”騒動については支持できない。
輿石氏の話がどこまで事実かは別として、消費税増税を政府の判断で中止できる景気条項を本則に入れるか付則で済ますかで対立し“離党”にまで進んだというのなら、小沢氏の行動は論外である。
民主党内にとどまって多数派形成ができない政治勢力が、新政党で多数派を形成できると考えるのは妄想でしかない。
※参照投稿
「民主党主流派と自民党が揃って“大連立”に進む絶好機として仕掛けている小沢派大量離党を小沢支持者までが望む“異常事態”」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/898.html
記事では、自民党参議院議員の脇雅史氏が12年の民主から自民への政権交替について面白い秘話も開陳している。
「 ――国会対策担当を長く務めてきました。
「18年間の議員生活のうち、国対は13年。国対委員長に就いたのは野党の時だった。自民党総裁だった谷垣禎一氏に『与党国対と野党国対は警察官と泥棒くらい立場が違う。やるべきことは政権奪還だ。死に物狂いでやるほかない』と話した。民主党政権を倒すのが最大の務めと思っていた」
――2010年の参院選で潮目が変わりました。
「10年参院選で民主党の過半数を阻止したのが政権奪還のポイントだった。それでも衆院で自民、公明両党で過半数をとるのは難しいとみていた」
「衆院選でどこも過半数がとれない事態が生じたら、自民と民主有志で手を組もうと政策集を準備していた。民主側は当時、国対委員長だった羽田雄一郎さんや、桜井充さんらだ。12年衆院選で自民党が大勝ちしたから世に出なかった。幻のシナリオだな」」
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良識の府 再興を 引退議員、思い託す
7月10日投開票の参院選を終えると、かつて日本政治を動かした重鎮らが静かに表舞台から去る。政局の舞台裏や後進への思いを引退議員に聞いた。
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自民 脇雅史氏 国会の言論、死んでいる
――国会対策担当を長く務めてきました。
「18年間の議員生活のうち、国対は13年。国対委員長に就いたのは野党の時だった。自民党総裁だった谷垣禎一氏に『与党国対と野党国対は警察官と泥棒くらい立場が違う。やるべきことは政権奪還だ。死に物狂いでやるほかない』と話した。民主党政権を倒すのが最大の務めと思っていた」
――2010年の参院選で潮目が変わりました。
「10年参院選で民主党の過半数を阻止したのが政権奪還のポイントだった。それでも衆院で自民、公明両党で過半数をとるのは難しいとみていた」
「衆院選でどこも過半数がとれない事態が生じたら、自民と民主有志で手を組もうと政策集を準備していた。民主側は当時、国対委員長だった羽田雄一郎さんや、桜井充さんらだ。12年衆院選で自民党が大勝ちしたから世に出なかった。幻のシナリオだな」
――安倍晋三首相の政権運営をどうみますか。
「政界全体がダメになっている。言論、言葉を大事にしていない。国会は言論空間だ。言葉をバカにしたら成り立たない。一番の例は、なんか変なことをいうと『取り消せ!』ということ。言論空間で取り消しがありだったら議論にならない。言ったら責任をとる。辞めるんだったらやめる。それが本来の姿だ」
――自民党では「物言えば唇寒し」と言う人もいます。
「言論空間としては死んでいる。力の前では弱い。選挙で公認しないぞ、と言われたくない。閣僚や役員にしないと言われるのが嫌だということなんだろう。スケールが小さい話だ。それだと権力者の言いなりになる」
――今回の参院選から隣接県を1つの選挙区にする「合区」が2つの選挙区で導入されました。
「違憲状態とした最高裁判決に応えるには、改革案とともに合理的な理由が必要だ。今回の見直しには合理的理由がない。これでは再び違憲判決は免れない。理屈が通らない人とは仕事ができないと思い、自民党会派を離脱した」
――参院のあり方は。
「今いる参院議員が、参院として何をなすべきかをよく考えてやればいい。それだけのことだ」
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民進 輿石東氏 野党は1つの塊になれ
――印象に残るのは。
「2009年の政権交代だ。だが3年3カ月で終わってしまった。経験不足と、最後はひとつにまとまって結束していくという文化が民主党に不足していた」
――党幹事長時代に消費増税を巡って党が分裂しました。
「小沢一郎さんは民主党が政権をとったマニフェスト(選挙公約)に消費税を上げるなんて書いてないからやめろと主張した。野田佳彦首相は今苦しくても消費税を上げないと財政が破綻して、ギリシャのように国が大変なことになると言った」
「僕は3回、小沢さんと話した。話せば分かると思った。景気が悪くなった場合は増税を延期できるような条項を入れようと相談した。小沢さんは景気条項を法律の本則に入れてくれと言ってきた。野田首相は付則でどうかと言った。小沢さんはそれを受け入れなかった」
――安倍晋三首相は再び増税先送りの方針を表明しました。
「新しい判断でリスクがあるから先送りだというが、リスクは常にある。そんなことを言ったら、いつまでも消費増税はできない。経済は生き物だ。経済的なリスクを理由に一回決めたことをやらないと言い出したら、永久にやらないということになる」
――今の民進党に注文はありますか。
「バランスと緊張感がなければ、権力は腐敗する。権力が横暴になる。今はバランスがよくない。野党が弱すぎるからだ。野党はまとまり、一つの大きな塊にならないといけない。野党第1党の民進党がしっかりしないといけない」
「二大政党が拮抗していれば、バランスもとれて片方が暴走できなくなる。今回の参院選では共産党も含めた協力で1人区で野党統一候補を多く擁立した。方向性は間違っていない」
――参院の役割が問われています。
「参院は地域代表なのか職能代表なのかを含めて考えるべきだ。職能代表をもう少し重視してもいいと思う。もう少し学者、文化人も入れるようなイメージだ」
――今後の活動は。
「政治活動は続ける。中国の子どもたちとの教育交流など、平和な社会をつくる努力をしたい」
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公明 荒木清寛氏 政権運営、ブレーキ役に
――60歳での引退は若い方です。
「公明党は余力を残してバトンタッチする内規がある。ルールに従って後進に道を譲るのが公明党議員としてあるべき姿だ。新たなステージで党勢拡大のための応援もするし、弁護士として社会貢献したい」
――最も印象的なことは。
「1999年、法務委員長として通信傍受法を含む組織犯罪対策3法を成立させたことだ。当時野党だったが、公明党以外の民主、社民、共産各党が猛反対した。本会議で委員長解任決議案も出され、徹夜国会になった」
――公明党は今後どう歩むべきか。
「国会議員、地方議員一人ひとりが『大衆とともに』という立党精神を毎日振り返りながら活動すれば、針路は間違えない。連立政権の一角を担うようになり、ますます仕事ができる立場に置いてもらっている。後輩はその責任を自覚し、いかに大衆のための政治が実現できるかに心血を注いでもらいたい」
――安倍政権に注文を付けるとすれば。
「支持率が高く、国民の評価を得ている。しかしそれに驕(おご)って、強引な政権運営になってはいけない。その時は公明党がブレーキをかけないといけない」
――参院のあるべき姿は。
「選挙制度までさかのぼって見直すべきだ。地域ブロックごとの大選挙区制にすれば、中小政党、無所属の人も出られる。二大政党制を志向する衆院とは少し異なった構成にすれば、衆院の行き過ぎをチェックする本来の役割を果たしうるのではないか」
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自民 岸宏一氏 「地方代表」明確に
安倍晋三首相が就任してから外交面で日本の地位が上がった。2015年10月に議員連盟でブルガリアを訪問した際に、同国の大統領、副大統領、議長からそろって安倍首相のブルガリア訪問を要請された。「安倍首相は世界のリーダーの一人だ」と。1年ごとに首相が変わる体制ではなかったことだろう。あえて運営に注文をつければ、自民党内の手続きは丁寧にしてもらいたい。
憲法を改正し、参院議員は地方代表だということを明確にしてほしい。合区は廃止すべきだ。参院の独自性を示すことができるし、国民的な理解も得られる。
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民進 江田五月氏 「鳥の目」を大事に
民主主義の議論には(1)情報の共有(2)発言の自由(3)相互浸透(4)多数決(5)少数意見の尊重――の5つの原則がある。安倍晋三首相に欠けているのは相互浸透。相手の意見に影響される気持ちがまるでない。敵対意識を持たず、泰然として人の意見をよく聞いてもらいたい。そうでないとどこかで大間違いをすることになる。
後進に「もっと遠い先をみたらどうか」と伝えたい。与野党とも目の前のことだけで右往左往している。政治は理想に向けて現実に一つ一つ改革を加えていく営みだ。虫の目も大事だが、鳥の目も大事だ。
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民進 北沢俊美氏 野党巻き込んで
(1992年初当選時の)私がいたころの自民党は野党に最大限、国会で発言の機会を与えた。野党転落を経験してゆとりがなくなり、議会を軽視する風潮が強まっている。第2次安倍政権以降は顕著だ。安倍晋三首相は議会をもっと大切にし、謙虚な姿勢で臨んでほしい。憲法はもちろん、外交や安全保障政策は野党第1党を巻き込んでまとめるのが王道だ。
若い人には国民に選ばれた自覚をもち、国民への奉仕を1番に据えてほしい。党が政策をまとめる際、時には自説に沿わぬ内容でも大きな枠の中で許容する度量をもつことが大切だ。
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民進 直嶋正行氏 安倍政権は「強権」
安倍政権は強権政治、新重商主義だ。経済格差と国民の間の溝が広がっていく。安倍晋三首相は強引にやらずに、もっと国民合意をしっかり取るべきだ。特に憲法改正など重要な問題は国民の合意を得ないと、亀裂が残ってうまくいかなくなる。
政治は参院から変わる。2007年は野党だった民主党が圧勝して、09年の政権交代につながった。10年の敗北は2年後の民主党政権の下野につながった。国民の信頼を回復させることが一番大切だ。「チーム民進」で思い切ってやってほしい。改革の精神は忘れてはいけない。
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お維 江口克彦氏 保守の野党必要
パナソニックの創業者、松下幸之助氏の考え方を永田町に注入したいという思いがあって国会議員になった。民進党の野田佳彦前首相をはじめ、松下政経塾出身の政治家の多くは松下氏の考えを軽視したやり方で政治活動をしている。その姿をみて残念に思った。もう一度、松下氏の考え方を心で勉強してほしいと言いたい。
70歳で政界に入った。与野党の議論はすれ違いばかりだ。お互いに言いっ放しになっている。革新野党ではなく、保守の野党が必要だ。天国にいる松下氏には、政経塾を始めるのが遅すぎたと伝えたい。
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進む世代交代
参院選で改選の対象となる議員の任期は7月25日までで、20人が引退や不出馬の見通しだ。民進党では輿石氏や江田氏ら旧民主党で中枢を担ったベテランが引退し、世代交代が進む。広田一、安井美沙子両氏は次期衆院選の小選挙区にくら替え出馬を予定する。
共産党の市田忠義副委員長は今期限りで引退する方針だったが、その後に撤回。野党間協力が重視される中、13年にわたり書記局長を務めた経験に頼らざるを得なかったようだ。自民党では小坂憲次元文部科学相が出馬を見送った。病気治療に専念すると説明。政界引退は否定している。
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選挙改革、骨太の議論期待
引退する議員から異口同音に漏れたのは、参院のあり方を問う警鐘だ。7月の参院選から合区が導入されるが、あくまで暫定措置。次々回の参院選に向けて仕切り直しの選挙制度改革議論が始まる。議員の死活問題に関わる改革はどうしても数合わせに走りがち。「良識の府」のはずの参院をどう形づくるか。今度こそ骨太の議論を期待したい。さもなくば、参院不要論がいよいよ現実のものとなる。
(黒沼晋)
[日経新聞6月12日朝刊P.12]
テレビのワイドショーなどで一方的な批判にさらされている人を見ると弁護したくなる性分だ。新聞記者として、好き嫌いや怒りの感情はできるだけ排除して客観的に物事を見るよう心がけてもいる。そんな自分でも、この人に関してはそんな気持ちにまったくなれない。「厚顔無恥」「ひきょう」「さもしい」。悪口ばかり浮かんでくる。政治資金の「公私混同」で猛烈な批判を浴びている東京都知事、舛添要一氏のことである。知事は本当に8月のリオデジャネイロ五輪の閉会式で、次回大会のホストシティーの代表としてオリンピック旗を受け取るセレモニーに登場するつもりだろうか。
■知事の後ろには大会エンブレム
先日会った2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の関係者が嘆いていた。「知事の会見のたびに、後ろには大会エンブレムが映っているんですよ」
6日の知事の会見も突っ込みどころが満載だった。疑惑の調査を担当したという元検事の弁護士2人が同席したが、渦中の本人が自分で選任した弁護士を厳しい目の「第三者」とすることから無理がある。「自分は信頼を失っている」と自覚する舛添氏の言い分を、代わって主張してくれる代理人と考えるべきだろう。
その調査報告書を読んでも、主に知事と秘書の聴取と簡単に入手できる資料によって事実関係を判断している。当事者である知事の説明を信頼している印象が強い。第三者の証言などによる裏取りはほとんどない。調査件数が多すぎて時間がなかったのは分かるが、これでは元特捜検事の肩書が泣いている。
疑惑の焦点となる13年、14年正月の家族同伴での千葉県木更津市のホテル宿泊の際の会議については、両年とも元新聞記者の出版社社長と会談したと初めて明らかにされた。もっとも、この社長への聴取はない。どうやってそれを事実と認定したのか。そもそも知事は以前の会見で、会議参加者は事務所関係者らと説明していたはずなのだが、その食い違いを追及した様子もない。
よく分からないのが、絵画の購入は「違法ではないものの不適切」なのに、書の購入は「不適切とまではいえない」となっている点。どちらも舛添氏の趣味であるが、絵画は「政治活動と関わりがないとはいえない」、書は「政治活動と関わりがある」との微妙な違いで、「数が多すぎる」という指摘は同じだ。どこで線引きしたのだろう。舛添氏が「(絵画は)インターネットオークションだと安くて、つい買いすぎた」と認めたからだろうか。政治資金で購入した美術品はどこかに寄贈するというが、それには書も含まれるのか。書については手元に残したいのではないかと、勘繰ってしまった。
■人間の品性が問われている
もっとも、知事の代理人ともいえる弁護士の調査ですら、私的流用で「不適切」と認定するケースがいくつも出てきた事実は重い。問題の本質は違法性の有無ではない。
税金が含まれる政治資金を、家族旅行でも家族での食事でも、自分の趣味にでも、「政治活動に関係がある」ことにして平気で使ってしまう人間の品性が問われている。自分のお金にはシビアだが、自分が使える公金には遠慮なし。公用車の使い方も超高額な出張経費も根っこは同じだ。似たような公私混同をしている政治家はほかにもきっといるだろうが、そんな人間に税金の分配を決める行政のトップを任せられるわけがない。
説明責任を果たせといわれているが、もはやそんな段階ではないと思う。知事自身も「常識から外れていた」「極めて恥ずかしい行動」「汗顔の至り」と反省の言葉を繰り返している。それなら、自分の弁護士の調査結果を受けてさっさと職を辞すのが筋だろう。
いくら居座ろうとしても、できるわけがないはず。ところが「今辞められると、4年後の五輪のときに知事選をやることになる」というのが、延命を許す大きな理由の一つになるから悩ましい。警備や行政事務の負担を考えれば、避けたいのは確かだろう。
その五輪に関していえば、心配なのがリオ五輪の閉会式でオリンピック旗を国際オリンピック委員会(IOC)会長を介してリオ市長から東京都知事へ引き継ぐセレモニーだ。IOCは政治家のプロパガンダや国威発揚に五輪を利用されるのを嫌い、開閉会式など式典のルールを厳格に定めている。ホストシティーの首長でも、式辞などは許されない。唯一の晴れ舞台がこのセレモニーなのだ。リオでは東京をPRするパフォーマンスも披露される。世界の注目を東京に集める場の主役として、知事もやる気満々という。
■20年大会には致命的ダメージも
この状況で舛添氏がオリンピック旗を受け取り、誇らしげにアピールなどしたら、国民や都民はしらけるばかりだろう。テレビのワイドショーは連日、舛添氏をたたき続けている。知事を追及する都議会のネット中継にはアクセスが殺到し、一時視聴できなくなったそうだ。みんながどんな気持ちで知事が責められる姿に注目しているかと思うと怖くなる。こんな言い方は申し訳ないが、今の知事は「信頼を失っている」というレベルではなく、大半の人々から「軽蔑されている」のだと思う。都民は「恥」だと思っている。その最悪のイメージが五輪と重なる。20年大会にとって致命的なダメージになりかねない。
ルール上は、旗を受け取るのは次期開催都市の首長と決まっているが、リオでは開会を宣言するはずのブラジル大統領も職務停止中で副大統領が代役で行うことになりそうだ。ここは東京も「今の知事では五輪の価値を損なってしまう」と説明して、交代を願い出たらどうだろう。IOCもきっと了承してくれる。
問題は誰が知事に欠席するように説得するか。新国立競技場の旧計画もパクリ疑惑にさらされた大会エンブレムも白紙撤回となったが、その最大の理由は「国民みんなに祝福してもらえる大会にするため」だった。五輪・パラリンピック担当の遠藤利明大臣に聞いてみた。「今の知事の状況で、国民みんなが祝福する大会など可能ですか」。回答は「都民が納得できるように知事には説明責任を果たしてもらいたい」。危機感がまるでない。
組織委の森喜朗会長でも安倍晋三首相でも都議会議長でも構わない。誰か知事に「リオ五輪は諦めなさい」と引導を渡してもらえないでしょうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03401530Z00C16A6000000/?dg=1
[FINANCIAL TIMES]持続不能なギリシャ債務
チーフ・エコノミクス・コメンテーター マーティン・ウルフ
ギリシャをユーロ圏内で経済的に自立した国にする道はあるだろうか。それには何が必要なのか。ギリシャが今、経済的苦境にあり、周辺諸国とも悲惨な関係にあることを考えると、これは大問題だ。現在、ユーロ圏はギリシャが債務不履行(デフォルト)状態にないふりをし、ギリシャは改革するふりをして、時間を稼いでいる。だが問題を直視することが必要だ。
まず国際通貨基金(IMF)がこのほど発表した債務の持続可能性に関する分析に目を向けたい。その内容を簡潔に要約すると「私たちが引き起こした混乱についておわびしたい」ということだ。
IMFは2010年に合意した救済プログラムが非現実的だったことを認めた。また、11〜12年に決めた債務減免措置でも不十分だと認めた。
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実際、その後の状況を見れば、これらの目標がいかに達成不可能だったか分かる。IMFは最後にこう書いている。「すべての重要政策分野(財政と金融セクターの安定、労働および製品、サービス市場)について当局が立案した今の計画では、現在掲げている野心的な財政・成長目標の達成はできない」
つまり、IMFは現実的な分析をしたのだ。IMFは、ギリシャが国内総生産(GDP)比3.5%相当の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字を持続的に達成できないとしている。この達成に必要なGDP比4.5%の追加的な財政圧縮など無理だ。そんな調整はいかなる国でも難しい。政府も税制も機能不全に陥っているうえに、大不況にあるギリシャではあり得ない。IMFはプライマリーバランスがGDP比1.5%の黒字なら実現するとみている。
トリプルA格付けのユーロ圏の国債利回りはいずれ今より上昇し、ギリシャの対ユーロ圏公的債務に課されている金利(加重平均で1.2%)の上昇につながるとも見ている。また、ギリシャが再び国債を発行できるようになった際には、当初6%の利回り負担になると想定している。つまり、ギリシャの債務は持続不能だという。
ユーロ圏諸国が避けたい元本の削減なしに債務を持続可能にするには、さらなる大幅な償還・返済期限の延長と、金利の1.5%以下への固定が必要だ。その結果、ユーロ圏諸国は欧州連合の救済基金「欧州安定メカニズム」に対し、ギリシャ向け融資の金利を固定することで生じる損失を補填(ほてん)する必要が出てくる。これは目に見える「財政移転」だ。
従来の楽観的な見方に対し、これは恐ろしく悲観的な展開だと考える人たちがいる。そう見る人たちは、状況が多少改善し、欧州中央銀行から新たな支援があれば、ギリシャの経済と債務状況はIMFが想定しているより改善する可能性があると考えている。債務の利払いが優遇されているのだから、今手を打つ必要はない、と。ショイブレ独財務相が望んでいるように、最善の政策は「待つ」ことだという。
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では、こうした状況の中で何をすればいいのか。ユーロ圏には、現実的な選択肢が3つある。
第1は現在同様、今後も数十年、ギリシャが倒れずにやっていけるだけのお金を少しずつ与える一方、持続可能になる目標を主張し続けることだ。その間、ギリシャ政府は永遠の思春期青年のように、ギリシャの保護者役はけちだと不満をこぼし続けるだろう。
第2は、今、想定しているプライマリーバランスの黒字化を非現実的だと認め、この発想から脱却することだ。そして債務の現在価値の恒久的削減は、改革が本当に達成された後に実施する。控えめな改革でも状況を一変させるかもしれない。ただ、変革には時間がかかると認識すべきだ。
第3は、ギリシャはユーロ圏内では繁栄できないと認めることだ。ギリシャが直面する厄介な経済問題は、財政ではなく対外収支だ。経済悪化で輸入が圧縮されているのに、貿易収支はまだ黒字化していない。もし内需が回復したら、対外赤字は再び拡大する。誰も資金を出さなければ、永遠に不況から抜け出せなくなる。それを抜け出す方法は2つしかない。恒久的な財政移転か、実質的な通貨価値の大幅切り下げだ。その場合、ギリシャのユーロ圏離脱の選択肢が再浮上することになる。
一方、IMFは自己の立場について決断を下す必要がある。IMFは今回、ユーロ圏に挑戦状を突きつけたことになる。ドイツはIMFの参加を望んでいるが、債務に関するIMFの要求は望んでいない。だからドイツは選択する必要がある。IMFは譲歩を得られなければ、ギリシャ問題から手を引くべきだ。その場合、ギリシャは救えないかもしれないが、少なくともIMFは自らの立場は守れる。
(8日付)
[日経新聞6月12日朝刊P.13]
トランプ人気の背景とは 「反知性主義」の再来か
慶応大学教授 渡辺靖
米大統領選で共和党の候補者指名を確実にした不動産王ドナルド・トランプ氏。リアリティー番組の司会者としても人気を博した同氏だが、公職経験が無いまま党内の有力政治家やワシントンの既成政治に挑み、勝ち上がっていくさまは、まさに究極のリアリティー番組を観(み)ているようだ。
この「トランプ現象」は古くて新しい事象でもある。
一方では、建国以来、米国史の振り子を揺らしてきた「反知性主義」の再来といえる。
1964年のピュリツァー賞を受賞したリチャード・ホーフスタッター著『アメリカの反知性主義』(田村哲夫訳、みすず書房・2003年)によれば、それは知性そのものの否定ではなく、権威化する知への反発を意味する。
著者は米国史を紐(ひも)解(と)きながら、エリート階級の固定化を嫌う、反知性主義の徹底した平等主義が、欧州の旧世界とは一線を画す、極めて米国的な態度である点を鮮やかに描き出す。
権威化した教会に対する草の根の信仰復興運動。学問知や観念知よりも身体知や実践知を重んじる実用主義。世襲よりも自助を称(たた)える社会風土……。政治エリートに反旗を翻すトランプ氏は優れて米国的な存在であり「変わらぬ米国」の象徴ともいえる。
●エリートに憤る
もう一方で、同氏は「変わる米国」の象徴でもある。
チャールズ・マレー著『階級「断絶」社会アメリカ』(橘明美訳、草思社・13年)は過去50年間に及ぶ豊富な社会データを駆使しながら、もはや同じ米国人としての行動様式や価値をほとんど共有しない、エリート階級と労働者階級が乖離(かいり)する現実を活写する。
そのうえで、著者は、自らの特殊な世界に籠もり、市井の米国人から孤立する半面、国の命運にはより大きな影響力を行使しようとする「見かけ倒しのエリート」に自戒を迫る。
もはや共和党も民主党もエリートのための党になったのではないか。自分たちは党に裏切られたのではないか。そうした労働者(とりわけ白人)の憤りが政治的救世主の出現を渇望させる。
トランプ氏はそこに勝機を見出(みいだ)した。反自由貿易から富裕層への課税強化まで、共和党の基本方針に背く主張を厭(いと)わないのはそのためだ。民主党内でも「異端」のバーニー・サンダース氏が主流派のヒラリー・クリントン氏に抗い、予想以上に健闘した。
一般的に、中産階級の力が弱くなると、社会全体としての余裕が無くなる。国内的には「他者」への寛容度が低下し、排外主義的傾向が強くなり、対外的には国際関与に消極的になり、孤立主義的傾向が強くなるとされる。
地政学リスク分析の第一人者であるイアン・ブレマー著『スーパーパワー』(奥村準訳、日本経済新聞出版社・15年)はG7もG20も機能しない、リーダー不在の「Gゼロ」時代における米外交のシナリオを検討する。
著者が有力視するのは、自国の利益・安全・自由の確保を最優先する「独立するアメリカ」という選択肢である。
すでにバラク・オバマ大統領も「米国はもはや世界の警察官ではない」と認めているが、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏の外交姿勢はより孤立主義的だ。同盟国への負担増を求める姿勢は労働者の共感も得やすい。
このように「トランプ現象」は「変わる米国」において生まれるべくして生まれたともいえる。
●新世代の心理は
もっとも、米国はさらに変わり続けている。
藤井光著『ターミナルから荒れ地へ』(中央公論新社・16年)は新世代の米文学の担い手たちの作風や背景に注目。近年の興味深い特徴として、米国人が米国を舞台に語るという従来の枠組みに囚(とら)われず、むしろ無国籍で幻想的な雰囲気が漂っている点を挙げる。
文化芸術には来る社会の想像力を先取りする面があるが、新世代の作家たちの感性は、多文化世界により開かれた若い次世代のそれと重なり合う。
トランプ氏もクリントン氏もミレニアル世代からの支持がすこぶる低い。いずれ米社会の中軸を担ってゆくこの世代の心を掴(つか)むことはできるのか。
加えて、四半世紀後には米国の白人人口が5割を下回る。トランプ氏の言葉は白人以外の米国人にも届くのか。
独立宣言から240年。変わらぬ米国と変わる米国の狭間(はざま)で米国民は如何(いか)なる選択をするのか。
[日経新聞6月12日朝刊P.19]
1989年の天安門事件の後、私たちは中国が民主化の道を歩むと思い込んでいた。しかし、その見通しは大きく外れた。
そしていま、私たちは中国をめぐる2つの問いに直面している。1つは、なぜ壊れると思っていた体制が持続しているのか、いま1つは、体制を覆すと思われていた社会はいまどの様に体制と向き合っているのかである。前者は中国共産党の強靱(きょうじん)性、後者は中国社会の強靱性という言葉で語られる。
本書は、2011年から16年5月まで北京に駐在した時事通信記者が、中国で生活する人権派弁護士や民主活動家、改革派の学者、調査報道記者らを主役に位置付け、活動を再現した「記録」である。主役の1人、弁護士の浦志強氏はいう。「共産党がどうなるかなんて考えていない。自分たちがどうなるかだ。我々が限られた空間と資源をどう利用できるかどうかであり、一つ一つのことをこなしていくことだ」と。彼らが共産党と向き合う「記録」を緻密に積み上げ、社会の強靱性を描く。
体制に抑圧された「消された記録」に着目したのは、そこに中国社会の行き先を見るからだ。別の主役、人権活動家の許志永氏は語る。「中国では昔から今まで正義の士が、社会の進歩のために代償をいとわなかった。今、自分も代償を背負う機会を得られ、非常に光栄だ」
もちろん中国の民主化を希求するナイーブな本だと捉えるべきではない。著者は読者に2つの痛烈な批判を投げかける。
1つは私たちの中国理解が一元的すぎることである。著者は既存の報道が共産党に関心を置きすぎだと疑問視し、49名の主役に光を当てることで複眼的な視点を提示する。「権力の動きだけを追っていては中国社会の本当の姿は分からないのではないか」と著者に思わせた盲目の女性の手記で本書を締めくくるところに、その思いがにじむ。
いま1つには、日本に住む私たちに中国と向き合う覚悟を説く。12年9月に中国各地で大規模な反日デモが吹き荒れる一方で、主役たちが「『本当の日本を見たい。そして真実を発信したい』という気持ちを逆に強く」した姿や、デモが「ナショナリズムの下で爆発し、日本を標的にした暴力行為に変わった」ことを憂慮してそれを「中国問題」の裏返しと捉えたさまを描く。「爆買い」とは異なる中国社会の「新たな日本観」の萌芽(ほうが)を、私たちは理解する必要があると訴える。
中国を理解するためには強靭な視点が必要だ。本書は、そのために不可欠な知的訓練の場を提供してくれる。
(白水社・3600円)
しろやま・ひでみ 69年生まれ。通信社の中国特派員を経験。著書に『中国共産党「天皇工作」秘録』など。
《評》政治学者
加茂 具樹
[日経新聞6月12日朝刊P.21]
米大統領選で共和党の指名獲得を確実にしたドナルド・トランプ氏は、テレビ局フォックス&フレンズのインタビューで、米国にある全てのモスクを検査する必要があると述べた。サイトAwards by Trendolizerに掲載された。
トランプ氏は、「我々はモスクの検査について非常に毅然とした態度を示す必要がある」との考えを示し、「それについて大勢の人が、私たちはしたくない、私たちはそれを望まない!私たちはしない、と言ったとしてもだ」と述べた。
またトランプ氏は、「みなさんは、彼(12日に米フロリダ州オーランドで銃を乱射した容疑者)のことを知っていた大勢の人たちが、彼は頭がおかしい、何かそのようなことが起こるかもしれないと感じていたことを発見するでしょう。彼のことを知っていた元妻や他の人たちは彼について話さなかった。何らかの理由から、イスラム教徒のコミュニティは、このような人たちのことを明かさないのだ」と語った。
http://jp.sputniknews.com/us/20160614/2303038.html
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トルコ紙、米ナイトクラブの犠牲者らを「変態」呼ばわり[スプートニク日本語]
2016年06月13日 16:32
トルコの新聞「イェニ・アキト(Yeni Akit)」紙の電子版は昨日米オーランド州のナイトクラブで起きた乱射事件について「ホモセクシャルの変態らが通うナイトクラブの犠牲者が50人に」という見出しをつけた。
「イェニ・アキト」紙はこれまでにもユダヤ人、アルメニア人、キリスト教者を名指しで批判している。デイリーメール紙が報じた。
異文化間の関係構築を追及するフラント・ディンク基金が3年前の2013年に行なった調査では、1−4月のわずか4ヶ月間だけでも「イェニ・アキト」紙は8の様々な少数者に対する悪を書き立てる記事を175も掲載していた。RTが報じた。
オーランドの事件についてはすでに「ダーイシュ(IS)」が犯行声明を表している。事件では50人の死者と53人の負傷者が出ている。最新の情報では病院に搬送された9人が死亡。
ロシアの原子力国家コーポレーション「ロスアトム」の傘下のTENEX社はこれから「バックエンド」事業という新たな方向性を打ち出していく。「バックエンド」とは原子力施設の廃炉に取り組む作業だ。
フォーラム「アトムエクスポ2016」に参加した同社のリュドミラ・ザリムスカヤ代表取締役はスプートニクからのインタビューに次のように語っている。
スプートニク:専門家らの間からは世界最大の原子力施設でその使用停止に著しい尽力と非標準的なアプローチが要求されるのがまさに日本の福島原発だという指摘が挙げられている。日本側は福島第1原発の使用停止作業にTENEXの参加の可能性を検討しているだろうか?
ザリムスカヤ代表取締役:ロシア人専門家らは原子力部門で原子力施設のバックエンドで使用済み核燃料、放射性物質の問題解決や放射能汚染地域の除染など、おびただしい数の複雑な事例に70年間取り組んできた。
マヤーク核技術施設(チェリャービンスク州)やチェルノブイリ原発の事故後の処理作業、国防関連核施設の復旧、原子力潜水艦の解体作業の規模を思い起こすだけでそれは十分理解できると思う。こうした課題を解決するために莫大なリソースが使われたが、その結果、ロシアには稀有な経験が蓄積された。
これらの経験を、残念ながら福島原発事故後の数年間、日本側はあまり必要としてこなかった。そのために今日、彼らには非効果的な解決を行なった結果生じてしまった問題を取り除くために、図りしれないほど多大な努力が要されている。
これは破壊された原子炉の冷却水の除染にも汚染土壌にも関係してくる。ロシア人専門家らはこれらを見通しており、日本側に対し、最も困難な問題についても事故後の災害処理者らがようやく今取り組み始めた、破壊燃料の除去、莫大な量の標準外の放射性廃棄物の扱いなど問題についても技術上のソリューションを提案している。
TENEXはこの分野におけるロシア、日本の企業間の対話に積極的に参加している。2015年11月、我々は東京でロシアのバックエンド技術に関するセミナーをロシアのリーダー格の専門家らを参加させて行い、これが日本側の大きな関心を惹いた。今日、具体的問題、施設に関する交渉が形作られており、事例ごとの交渉が準備されている。ロシアの経験は日本人専門家が目前に立ちはだかる月並みではない問題を解決する上で必ずや必要になってくるはずだ。
欧州委員会トゥスク委員長は、英国のEU離脱は投票から実際に国がこの組織から離れるまでをあわせると7年以上はかかるとの見解を明らかにした。
トゥスク委員長は独ビルド紙からのインタビューに答えたなかで、英国が最終的な決定を採択するまでに2年、その後、肯定的な決定が出た場合は離脱のプロセスそのものが開始される事を指摘。
「EU加盟国27カ国も欧州委員会も最終的な結果を承認せねばならない。これにはどうしても5年はかかるだろうし、それが成功するという100%の保障は残念ながらない。」
英国のEU離脱を問う国民投票は6月23日に実施。
2015年の世界の武器市場は、サウジアラビアの武器購入額が増加したため、過去10年で最高の成長となった。IHS 社の報告書Global Defence Trade Reportで述べられている。
2015年の市場は前年584億ドルだったのに対し、650万ドルに達した。2015年、サウジアラビアの武器購入額は93億ドルに増えた。ブルームバーグが伝えた。
ブルームバーグは、サウジアラビアの武器購入額の急増はイエメン紛争への参加によるものであり、この事実などにより、報告書によると、2015年の全世界の武器販売規模は10パーセント増加したという。
サウジアラビアの武器輸入額は2015年、前年比50パーセント増で世界1位となった。
朝鮮民主主義共和国のハッカーが韓国の160の大企業のコンピューター14万台をウィルスに感染させた。韓国警視庁が明らかにした。
「北朝鮮は国家への大規模なサイバー攻撃を行おうと長期に渡って準備作業を行っていた模様。」リアノーボスチ通信が警視庁内の消息筋の情報として伝えた。
ハッカーらは4万2千通のファイルにアクセスし、情報を盗んだ。その中には戦闘機F−15に関する情報も含まれている。これについて軍部は重要な軍事機密情報は漏洩してしていないとの見解を表している。
そうなると、全会派での不信任案決議提出(可決)だから、都議会選後に再び都知事不信任案が提出され可決されることになる。(選挙後の議会で再び不信任決議案が提出された場合、出席議員の過半数の賛成で成立する。そして、都知事(首長)は議長から通知があった日に失職する)
となると、夏のあいだに都知事選も行われることになる。
これは、4年後の8月に開催される東京オリンピックの前に都議会選そして前後に都知事選が行われることを意味する。
舛添氏がすんなり辞任すると、7月に都知事選が行われ、東京オリンピックの前に都知事選が行われるスケジュールになる。
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舛添氏公私混同疑惑 不信任案成立へ 全会派が賛同、舛添氏「辞職」を受け入れず
産経新聞 6月14日(火)15時22分配信
東京都の舛添要一知事の政治資金「公私混同」問題で、都議会自民党は14日、舛添氏の不信任決議案を提出することを決めた。都議会の全会派が不信任に賛同しており、不信任案が成立する。都議会が閉会する15日の本会議で審議される見通し。舛添氏は不信任案の可決後、10日以内に辞職か、都議会解散の選択を迫られ、解散しない場合は自動的に失職する。
自民党都連は同日朝、国会議員や都議が都内のホテルで対応を協議し、参院選への影響を懸念して「早期の辞職が必要」との考えで一致した。
当初は不信任案の提出には慎重だったが、関係者によると、議会運営委員会に先立ち、川井重勇議長(自民)が14日午後、舛添氏に自ら辞職するよう促したが、舛添氏は受け入れなかったといい、不信任案の提出に踏み切った。
この日は、公明や共産などが舛添氏の不信任案を提出する意向を示しており、最大会派である自民党の対応が焦点となっていた。
地方自治法によると、不信任案は本会議で都議の3分の2以上が出席し、4分の3以上が賛成すれば可決される。知事は10日以内に辞職か、議会解散の選択を迫られる。解散しない場合、知事は自動的に失職。解散した場合は、改選後の都議会で過半数が賛成して不信任案が可決されれば、失職が決まる。
舛添氏は就任以降に力を入れた「都市外交」に関し、海外出張費が「高額すぎる」と批判を集めたことをきっかけに今年3月以降、公金の使い方に厳しい視線が注がれるようになり、神奈川県湯河原町の別荘にほぼ毎週末、公用車で通っていた問題などが次々と発覚した。
政治資金では、家族旅行のホテル代や私的な飲食費を収支報告書に計上。大量の美術品を購入し、自宅に多額の事務所費を支払うなどの公私混同ぶりが批判を浴びた。舛添氏は「私は都民の信頼を失っている。厳しい専門家の目で調べてもらう方がいい」とし、5月25日に元検事の弁護士2人に調査を依頼。「不適切だが、違法ではない」などとする結果を公表したが、理解は得られず、都議会で厳しい追及を受けていた。
最終更新:6月14日(火)15時22分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160614-00000537-san-soci
米フロリダ州オーランドのゲイ・ナイトクラブ「パルス(Pulse)」で銃乱射事件を起こしたオマール・マティーン容疑者は、同性愛の性的指向を持っていた。ニューヨーク・ポスト紙が、マティーン容疑者の元妻がブラジルのテレビ局のインタビューで語った話を引用して伝えた。
元妻のシトラ・ユスフィーさんは、2009年に3ヶ月間マティーン容疑者と結婚していた。ユスフィーさんの現在の婚約者マルコ・ディアスさんは、花嫁のユスフィーさんに代わり、ユスフィーさんが、マティーン容疑者には同性愛の性的指向があったと考えており、容疑者の父親がユスフィーさんの前で容疑者のことを同性愛者と呼んでいたことを伝えた。
またディアスさんは、「米連邦捜査局(FBI)が、このことを米国のマスコミには語らないよう彼女(ユスフィーさん)に頼んだ」と述べた。
警察学校時代の同級生も、マティーン容疑者の同性愛についてマスコミに語っている。同級生は、マティーン容疑者と他の同級生らが一緒に時間を過ごし、警察学校の授業の後で時々ゲイクラブに行っていたと語った。
「オーランド銃乱射事件 容疑者の元妻 彼は同性愛者だったと語る:警察学校の同級生も同趣旨を発言:FBIが元妻に対し口止め」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/266.html
トルコのエルドアン大統領が、ロシアのプーチン大統領に電報を送った。
エルドアン大統領は電報で、6月12日の「ロシアの日」を受けてロシア国民を祝福した。リア・ノーヴォスチ通信が伝えた。
電報では次のように述べられている-
「尊敬する大統領閣下!『ロシアの日』を受け、全トルコ国民の名において、あなたに代表される全てのロシア人を祝福し、また今後ロシアとトルコの関係がしかるべきレベルに達することを願っております。」
トルコのユルドゥルム首相もメドヴェージェフ首相に書簡を送り、今後の協力、そして両国関係が「両国国民の共通の利益にとって必要なレベルに達する」ことに期待を表した。
2150億ドルという記録的な額を、2015年、非常に多くの中国人が海外で消費した。中国人観光客が世界に溢れかえった。モスクワや東京、パリ、プラハ、オーストラリアやニュージーランドなど、いたるところで、カメラ、スマホ、買い物袋をぶら下げている中国人団体に遭遇する。中華人民共和国観光局のデータによると、2015年、中国人の海外渡航回数は1200億回に上った。つまり、10人に1人の海外旅行者が中国人ということになる。国連世界観光局(WTTC)は、この5年で、中国人海外旅行者の数はまさに天文的なものになるだろうとしている。
ロシア連邦観光局のセルゲイ・コルネーエフ副局長は中国人観光客の増加には世界中が歓迎しているとの見解を表し、次のように語っている。
「中国に中間層が現れて、その途端に世界を学びに飛び出した。中国人は、観光業が発展しているほぼすべての国で歓迎される。そして、海外休暇中の消費額でほかを凌駕する中国人観光客は、今では高級店の最上客だ。
中国国内の景気停滞にも関わらず、中国人の海外旅行での消費総額は、2150億ドルに達する。これは、ベトナムの国内総生産に匹敵する。
さらに、2015年の海外旅行中の消費総額は前年比で、世界平均では3.1%増だったのに対し、中国人による消費総額は53%増だった。
また、2015年、中国人観光客受け入れにより最も利益を得た国は日本だった。訪日中国人の消費額は、一年でほぼ50%増えた。これらには円安や対中ビザ要件緩和が影響している。
ロシアに関して言うと、ロシアには昨年100万人以上の中国人が訪れた。中国人観光客は旅行中、平均1万5000中国元(2500ドル)消費することを考慮すると、2015年で中国人がロシアに落としたのは2億ドル以上ということになる。今後、この数字は伸びていく一方だと確信している。観光分野では、サービスを『チャイナ・フレンドリー』規格に順応させ、サービスを中国人向けにしている。また、新たな便が就航し、便数も増えている上、ルーブル安は、買い物好きである中国人にロシア観光をよりお得にしている」
ロシアへの観光客の波の増加は、越境の要件緩和のおかげでもある。露中間に協定が結ばれ、隣国である両国を訪れる際、観光客にとってビザ取得は必ずしも必要ではなくなった。ツアーを申しこむとビザの代わりに、ビザなしグループのリストが作られる。この際、グループには5人以上50人以下の参加者が必要で、滞在期間は15日を越えてはならない。しかし、すでに両国の間で、グループの最低人数を3人まで減らし、最大滞在期間を21日まで伸ばす修正案が審議されている。この修正案が実現されれば、中国人観光客のさらなる増加につながるだろう。なぜなら非常に多くの中国人が家族や友人とともに世界を旅行するからだ。修正案採択がいつとなるかその期日は明らかにされてはいないが、何かの行事や公式訪問によるハイレベル会談に合わせて採択される可能性は除外されない。直近にはこうした行事として、6月、ウラジーミル・プーチン大統領による中国訪問が挙げられる。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160614/2306179.html
土曜日から日曜日にかけての深夜、49人が犠牲となった米フロリダ州オーランドのゲイクラブPulseの客達の証言によれば、襲撃犯のオマル・マティーン容疑者は、以前にもクラブを訪れていたとのことだ。
新聞「オーランド・センタイネル」(Orlando Sentinel)によれば、少なくともクラブの常連4人が、店で彼を見たことがあると語っている。
ある常連客は「時々彼は、隅の方に行って座り、一人で酒を飲んでいた。時には、騒がしく攻撃になるほどひどく酒をあおっていた。彼は、少なくとも10回は、店にやってきた」と証言し「何人かの客は、彼と言葉を交わしたが、そのとき彼は、自分の家族、父や妻そして子供のことを話していた」と付け加えた。
6月12日、ゲイクラブ「パルス」(Pulse)でオマル・マティーン容疑者は銃を乱射、49人が死亡、53人が負傷した。犯人は、アフガニスタン出身のフロリダ州住人で、警官隊との銃撃戦で死亡した。この事件は、米国で起きた銃撃事件としては、その犠牲者の数で史上最悪のものとなった。
「ソフト・パワー」という基準での影響力で、ロシアは初めて世界の上位30カ国入りした。英国のPR機関Portlandの年次調査の中で、明らかになった。
新聞「コメルサント」によれば、ロシアは初めて、Portlandがランク付けする「The Soft Power 30」の中に入った。それによるとロシアは、ハンガリー(26位)につづいて27位だった。なお最下位30位はアルゼンチンが占めた。
一方ランキングの第一位は米国で、英国を凌いでいる。2位はドイツ、そして3位は日本だった。
「舛添氏公私混同疑惑 不信任案成立へ全会派が賛同、舛添氏「辞職」を受け入れず:都議会選→都知事選で五輪前後にもダブル選か」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/740.html
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舛添知事の不信任決議案 可決が確実に[NHK]
6月15日 0時32分
東京都の舛添知事の政治資金などを巡る一連の問題で、自民党は15日に開かれる都議会の本会議に、ほかの会派とともに舛添知事に対する不信任決議案を提出することを決めました。不信任決議案は可決されることが確実となり、舛添知事が辞職するのか、都議会を解散するのか、対応が注目されます。
東京都の舛添知事の政治資金などを巡る一連の問題で、都議会は13日に集中審議を行い、自民党を除く5つの会派が辞職を求めたのに対し、舛添知事はリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックが終わるまで不信任決議案の提出を猶予してほしいという考えを示しました。
これを受けて都議会では14日から各会派が対応を協議していて、自民党を除く6つの会派がすでに不信任決議案の提出を決定していましたが、自民党もほかの会派とともに15日の本会議に不信任決議案を提出することを決めました。
14日、舛添知事は議会側に対し、現時点で辞職はしないとしたうえで、進退については9月の定例議会まで待ってほしいという考えを改めて伝えていましたが、その後、自民党などとの協議が不調に終わり、15日不信任決議案が可決されることが確実となりました。
可決された場合、舛添知事は10日以内に辞職するか、都議会を解散するかなどの判断を迫られることになり、舛添知事の対応が注目されます。
不信任決議案「信頼回復はもはや不可能」
東京都の舛添知事の政治資金などを巡る一連の問題で、自民党や公明党を含む7つの会派は15日に開かれる本会議に共同で不信任決議案を提出し、採決することを決めました。
決議案では「舛添知事は政治資金問題、公用車の不適切使用、高額な海外出張経費などについて、都議会定例会の本会議質問や総務委員会の集中審議を通じて説明責任を果たしたとは到底、言えない」としたうえで、「都民の不信が一段と高まるなか、知事自身の一連の問題が都政の停滞や混乱を生じさせており、信頼回復はもはや不可能であると判断せざるをえない」として、舛添知事の不信任を決議するとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160615/k10010556751000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
フランス北西部の町で、警察官の男性とパートナーの女性が男に殺害され、オランド大統領は犯行をテロと断定し、テロに対して強い姿勢で臨む方針を改めて強調しました。
フランスの首都パリから50キロ余り西のマニャンビルで13日夜、刃物を持った男が警察官の男性を路上で殺害し、その後、この警察官の自宅に立てこもりました。
治安部隊が住宅に突入して男を射殺しましたが、警察官のパートナーの女性も遺体で発見され、捜査当局はテロ事件として捜査を開始しました。
フランスの検察は14日に会見し、男はフランス生まれのラロシ・アバラ容疑者(25)で、過激な思想を持つ人物として監視対象にしていたことを明らかにしました。
アバラ容疑者は過激派組織IS=イスラミックステートの指導者に忠誠を誓っていたということで、検察はISがイスラム教の断食月、ラマダンに合わせて自国でテロを行うよう呼びかけたのに応じて犯行に及んだ可能性があるとみて、関係者の身柄を拘束するなどして調べています。
事件を受けてオランド大統領は14日、演説で犯行をテロと断定したうえで「フランスは極めて深刻なテロの脅威に直面している」と述べ、テロに対して強い姿勢で臨む方針を改めて強調しました。
去年、2度のテロが起きたフランスでは、全土に非常事態宣言が出されていて、今月10日に開幕したサッカーのヨーロッパ選手権に合わせて、警察官や軍の兵士など10万人余りが厳重な警戒に当たっています。
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「ダーイシュ(IS)」パリでの警官殺害を認める
2016年06月14日 17:16
パリ郊外で人質を取って立てこもった警官殺害犯は、テログループ「ダーイシュ(IS,イスラム国)」のメンバーだった。「ダーイシュ」と関係のあるニュース通信社Amaqの情報を引用して、BBCが報じた。
BBCが目撃者の証言として伝えるところでは、犯人は、攻撃の際「アッラー・アクバル」と叫んだという。
火曜日、フランスのオランド大統領は、エリゼ宮でこの事件に関する会議を招集する。
報道によれば、パリの郊外で月曜日夕方、警察官が、腹部をナイフで9か所刺され亡くなった。犯人は、警察官の自宅前で犯行におよび、彼の家族(妻と息子)を人質にとって立てこもった。
特務部隊Raid およびBISによる急襲作戦決行まで、犯人との対話が試みられたが、失敗に終わった。作戦の結果、犯人は殲滅された。なお人質にされていた警察官の息子は無事救出されたものの、彼の母、つまり殺された警察官の妻を救うことはできなかった。
http://jp.sputniknews.com/incidents/20160614/2304507.html
ドイツの軍事コンツェルン「Rheinmetall Defence」は、主にロシアの最新鋭戦車T14「アルマータ」及びТ-90新改良型戦車との戦闘用に用いる新しい大砲の試作品を、軍事見本市「Eurosatory-2016」で展示した。英国の軍事分析出版社「Jane's.」が伝えた。
大砲は130ミリ滑腔砲(かっこうほう)で、砲身内にライフリング(旋条)が無く、重さは3トン。マズルブレーキ(砲口制退器)が装備されていない砲身の重量は1400キロだ。
「Rheinmetall Defence」社は、近く、砲撃テストに着手する計画だ。
ロシア国防省は、地対空ミサイルシステムS400とS500に、敵の航空偵察の検出技術から守る「見えないコンテナ」を装備する計画。イズヴェスチヤ紙が報じた。
軍当局者は、「今年我々は、特にS500を含む最新の地対空ミサイルやミサイル防衛システム用のコンテナを受け取る計画だ」と語った。イズヴェスチヤ紙が伝えた。
ロシア国防省は、数年前から最新機器の開発に取り組んでいる。消息筋は、現在コンテナの一部が量産されており、残りはテストが行われる予定だと指摘した。
新たなコンテナのボディーの内側は特殊コーティングされていおり、電磁放射の拡散を防止する装置も入っている。また消息筋によると、複数のコンテナには、人も入ることができるという。
水面下で、舛添氏と自民党(政権)のあいだでどういう密約が交わされたかは不明だが、舛添氏のゴネ具合と決着タイミングから推測すると何らかの“得”を引っ張り出したと思われる。
それはともかく、小沢氏陸山会事件を考えれば、検察が、権力側にある政治家の不始末についていかに甘いかよくわかる事例である。
自分の財布から持ち出しなければならないような駆け出しの政治家は別だが、政治資金を所得や資産を助ける非課税のお金だと考えている政治家はごろごろしている。
このような実状を踏まえれば、政治資金規正法は政党助成法ともども廃止し、政治家(及び政治団体)に入ったお金にも課税し後はご自由にどうぞとしたほうがスッキリする。
※参照関連投稿
「小渕氏辞任:40歳政治家で2児の母に「同情」と「批判」: 課税と秘密投票で政治資金規制や買収取り締まりはやめたほうがいい」
http://www.asyura2.com/14/senkyo173/msg/266.html
「東京地検 甘利氏から任意で聴取 刑事責任問うのは困難か:検察による幕引き:政治資金規正法違反・横領罪・脱税で追及を」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/882.html
「甘利氏現金授受問題 甘利氏と元秘書2人を不起訴 東京地検:政治資金規正法違反も不起訴で完全幕引きをはかる検察」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/903.html
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「政治とカネ」、また引導=刑事責任、検察幹部は慎重―舛添都知事辞職
時事通信 6月15日(水)15時14分配信
東京都知事に2代続けてレッドカードを突き付けた「政治とカネ」の問題。
舛添要一知事は公私混同が政治資金規正法違反に当たるとして刑事告発されたが、検察幹部は「支出先は明らかにしており、違法性を問うのは難しい」と慎重な姿勢を見せる。
猪瀬直樹前知事は、医療法人グループから現金5000万円を受け取ったとして、2013年12月に辞職した。その後、公選法違反罪で東京地検特捜部に略式起訴され、罰金50万円の略式命令を受けた。
12年に発足した第2次安倍政権以降では、閣僚4人が辞任に追い込まれた。小渕優子元経済産業相は14年、関連政治団体が開催した観劇会をめぐり、政治資金収支報告書の収支にずれがあることが発覚し辞任。元秘書が在宅起訴されたが、小渕氏は嫌疑不十分で不起訴処分となった。
今年1月には甘利明前経済再生担当相が金銭授受問題で辞任する事態に。特捜部は5月、政治資金規正法違反容疑で告発された甘利氏や元秘書らについて不起訴とした。
政治資金規正法は収入に関して厳格に規定する一方、支出は資産運用などを除き、使途を制限する規定を設けていない。
舛添氏は規正法違反容疑で告発されたが、検察幹部は使途の妥当性は有権者の判断に委ねるべきだと指摘。「捜査機関が使途の中身まで立ち入るのは、政治活動の自由の侵害にもつながりかねず難しい」と話す。
最終更新:6月15日(水)15時19分
【引用】
「セコイ金への変な嫉妬感情で桁違いの金を無駄遣いして恐らくもっと微妙な政治家を選ぶってブラックジョークでしかないよほんとに。」
【コメント】
嫉妬感情かどうかは別として、家族での旅行や食事の費用を政治資金から賄って居直っているというわかりやすい出来事への怒りであることは認める。
しかし、そのような世論の醸成に注力したのはメディアであり、それによって東京五輪誘致“贈賄”疑惑や甘利事務所無罪放免事件が霧のなかに隠されたとも言える。
東京都民が舛添氏を辞めさせることで鬱憤が晴れるのなら、50億円と言われている選挙費用も惜しくないかもしれない。
大金をかけた選挙の結果、舛添氏より悪い都知事が誕生したとしても、そう多くが判断すれば、辞めさせればいいのである。
【引用】
「『庶民』の皆さんは都知事の給料が高いと思ってるみたいだけど、都政を任せられるような人は民間企業で一桁はちがう給料貰えて馬鹿の相手もしなくていい。叩かれることもない。無私の奉仕精神がないと都知事なんか馬鹿馬鹿しくてやってられません。俺だってやだもん。」
【コメント】
今回の舛添騒動では、都知事報酬の多寡は問題になっていない。
これまでの言動からの推測でしかないが、舛添氏が、「民間企業で一桁はちがう給料貰え」る人物かどうかはあやしい。
それらはともかく、「無私の奉仕精神がないと都知事なんか馬鹿馬鹿しくてやってられません」という堀江氏の感覚は政治家の心性をしらない発言である。
自己の政治的価値観や政策を実現するために権力を手にしたいのが政治家であり、“無私の奉仕精神”は有権者相手に口先では言うかも知れないが、自分(価値観など内面を含む)にこだわらないような人物が都知事など政治家になるほうがより問題である。
共産党など左派系の「弱者のために」・「革命のために」などに身を捧げて政治運動を行うという考えも、無私ではなく、“自己愛”の苛烈な発露である。
※関連投稿
「「政治とカネ」、また引導=刑事責任、検察幹部は慎重―舛添都知事辞職:小沢氏は別格だが小渕優子氏や甘利事務所がセーフではね」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/796.html
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堀江貴文氏が都知事に持論「無私の奉仕精神ないと」
日刊スポーツ 6月15日(水)16時41分配信
ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏(43)が15日、自身の公式サイトなどで、政治資金流用問題などで同日、辞表を提出した舛添要一東京都知事(67)に対し、持論をつづった。
「週刊誌は政治家のスキャンダルはせっせと貯めておいて部数捌くために絶頂のタイミングで放出します。国民の為ではない。セコイ金への変な嫉妬感情で桁違いの金を無駄遣いして恐らくもっと微妙な政治家を選ぶってブラックジョークでしかないよほんとに。『庶民』の皆さんは都知事の給料が高いと思ってるみたいだけど、都政を任せられるような人は民間企業で一桁はちがう給料貰えて馬鹿の相手もしなくていい。叩かれることもない。無私の奉仕精神がないと都知事なんか馬鹿馬鹿しくてやってられません。俺だってやだもん。」(原文のまま)
堀江氏は、「週刊文春」が舛添都知事の公用車による別荘地通いなどを報じたことをはじめ、週刊誌の報道に対し疑問を呈した上で、舛添都知事の後任を選ぶ都知事選挙にも疑問を呈した。さらに、都知事の仕事が、多くの犠牲を払うものだと持論を展開した。
堀江氏はこれまで、ツイッターなどで、舛添東京都知事が政治資金を私的に利用したことについて「セコビッチ」と批判しつつも、「舛添さんを擁護してんじゃなく、辞任して選挙しても次はもっとトータルで都民のためにならない政治家が当選する確率が高いと思ってるんで、今回のケースはこのくらいにしてやったらどうって提案してるだけ」などと主張してきた。
最終更新:6月15日(水)16時50分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160615-00000104-nksports-ent
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堀江貴文氏「セコビッチ」だけど…舛添氏の辞任反対
[2016年6月6日17時44分]
ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏(43)が、舛添要一東京都知事(67)の“セコさ”にはあきれるも、代わる人材が居ないとして舛添知事が続投するべきとしたこれまでの考えを繰り返した。
舛添知事は6日、政治資金流用問題についての調査結果を都議会に報告した。説明を聞いた都議会自民党の宇田川聡史幹事長によると、舛添氏は「けじめとして湯河原の別荘を売却する」と話したという。
この会見内容に有識者を含む多数の批判の声がネット上にあがったが、堀江氏はツイッターで「んー、コメント欄見る限りフルボッコですが、本当にそれで良いのかなあ。猪瀬さんの時もそうだったけど。選挙勝てるだけの知名度、実力あって、清貧で不倫もしないで、愛嬌(あいきょう)もある政治家なんて、レアキャラだと思いますが、そんな無理ゲーいつまで続けるんすか?? この程度のセコビッチならスルーした方がトータルでプラスだと思うんですけど。。。」と、これまで通り舛添知事が辞任することには反対意見を示した。
また堀江氏は、「因みにわたしは舛添さんを擁護してんじゃなく、辞任して選挙しても次はもっとトータルで都民のためにならない政治家が当選する確率が高いと思ってるんで、今回のケースはこのくらいにしてやったらどうって提案してるだけっす」と出張を繰り返し、「舛添さんがセコビッチなのはその通り笑」とした。
舛添知事は一連の問題の責任を取るため任期中の給与を全額返上するとしていましたが、辞職を決めたため、給与を返上するための条例案は取り下げられました。
仮にこの条例が施行されたあとで舛添知事が辞職した場合は、退職金も無くなる予定でしたが、舛添知事には、およそ2200万円の退職金が支払われる予定です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160615/k10010557361000.html?utm_int=all_side_ranking-social_004
アメリカのオバマ大統領は南部フロリダ州の銃乱射事件を受けて、過激派組織IS=イスラミックステートの壊滅を目指す決意を強調するとともに、殺傷能力の高い銃の販売を禁止すべきだと訴えました。
オバマ大統領は14日、ISへの対策を協議するため招集したNSC=国家安全保障会議で、フロリダ州のナイトクラブで男が銃を乱射し多数の死傷者が出た事件について報告を受けました。
会議のあとオバマ大統領は記者会見し「海外のテロ組織が攻撃を指示したことを示す情報は今のところないが、男がインターネットで過激な思想に染まっていたのは間違いない」と指摘しました。
そのうえで「そうした単独あるいは少人数のテロリストを見つけるのは非常に難しいが、できるかぎりのことをするつもりだ」と述べ、組織の指示を受けない、いわゆる「一匹おおかみ」によるテロ事件を防ぐため全力を挙げる考えを示しました。
そして「われわれの任務はISを打倒することだ。困難な戦いだが、進展もある」と述べ、ISの壊滅を目指す決意を強調しました。
さらに「国内で同じような悲劇が起きるのを防ぐためには、アメリカ人を殺害しようとたくらむ人々が簡単に武器を手に入れられないようにしなければならない」と述べ、殺傷能力の高いライフル銃の一般への販売を禁止すべきだと訴えました。
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米銃乱射事件 国連が銃規制強化求める異例の声明[NHK]
6月15日 4時19分
アメリカ南部フロリダ州の銃乱射事件を受けて、国連は新たな犠牲者を防ぐため、銃規制を強化するようアメリカ政府に求める異例の声明を出しました。
フロリダ州にあるナイトクラブで12日起きた銃の乱射事件では、49人が死亡、53人がけがをし、アメリカで起きた銃の乱射事件としては過去最悪となりました。
この事件を受けて、重大な人権侵害を防止するため各国政府との話し合いも担当している国連のゼイド・フセイン人権高等弁務官は14日、アメリカ政府に対し新たな犠牲者を防ぐため銃規制を強化するよう求める声明を発表しました。
声明では今回の事件について「不十分な銃規制の結果であり、防げたはずの暴力行為だ」としたうえで、「アメリカ政府は市民を守るための責務を果たすべきだ」としています。
さらに、ゼイド人権高等弁務官は「アメリカが銃の規制を強化する前に、どれほどの生徒や才能のある歌手などが犠牲にならなければならないのか」と疑問を投げかけるとともに、「偏見が犯罪に拍車をかけている」と指摘し、事件の背景にあるとみられる同性愛者に対する偏見も念頭にマイノリティーの人たちを銃犯罪から保護するために必要な措置を取るようアメリカ政府に求めています。
国連によりますと、人権高等弁務官が公式の声明でアメリカに銃規制の強化を求めたケースはほかに例がないとしています。
NATO=北大西洋条約機構の国防相会議が開かれ、ロシアの脅威に対抗する一環として、バルト3国とポーランドに4つの部隊を配備することで合意しました。
NATOの国防相会議は14日から2日間の日程でベルギーのブリュッセルで始まり、初日はロシアの軍事動向を中心に話し合いました。
この中で各国は、ロシアに隣接するバルト海沿岸のエストニア、ラトビア、リトアニア、そしてポーランドに、加盟国で構成する合わせて4つの多国籍部隊を配備することで合意しました。
部隊はいずれも1000人程度の規模になる見通しで、アメリカ、ドイツ、イギリスの軍が中心的な役割を担う方針だということです。
NATOはおととし、ロシアがウクライナ南部のクリミアを併合して以降、ロシアの軍事的な脅威が高まっているとして、防衛力の強化を進めてきました。
これまでに有事の際の即応部隊を3倍の4万人規模に拡大したほか、先月にはルーマニアでミサイル防衛システムの一環となる地上配備型の迎撃ミサイルの運用を始めています。
会議のあとの記者会見で、NATOのストルテンベルグ事務総長は「ロシアとは対決ではなく対話を望むが、いかなる脅威に対しても防御の手は緩めない」と述べました。
こうした動きに反発を強めるロシアが対抗措置に出る懸念もあり、NATOは来月、ポーランドで開く首脳会議で、今後の防衛戦略について協議することにしています。
ポーランドでは過去最大規模の軍事演習
NATO=北大西洋条約機構が部隊を派遣することを決めたポーランドでは現在、アメリカを含めたNATO加盟国とともに過去最大規模の軍事演習を行っていて、ロシアに対抗する構えを改めて鮮明にしています。
今月7日に始まったポーランド軍の軍事演習には、NATOに加盟するアメリカやヨーロッパの各国をはじめ、ロシアと敵対するウクライナなど合わせて23か国が参加しています。
14日は航空機の支援を受けながら敵に占拠された村を兵士たちが奪還する訓練が行われ、その様子が報道陣に公開されました。
およそ3万1000人が参加する今回の軍事演習には、戦車などの車両、およそ3000台、戦闘機などの航空機100機余りが投入される予定で、ポーランドで行われる軍事演習としては1989年の民主化後、最大規模となります。
ポーランドやバルト3国はウクライナ情勢を巡って、ロシアの軍事的な脅威に対する懸念を強めていて、今回の軍事演習でアメリカをはじめとするNATOの加盟国と軍事面での連携を深め、ロシアに対抗していく姿勢を改めて鮮明にしています。
ロシア 対抗姿勢鮮明に
NATOの国防相会議がバルト3国とポーランドに4つの部隊を配備することで合意したことを受け、ロシア外務省でヨーロッパを担当する局長は地元メディアに対し、「ロシア国境に向けた危険な軍事的な拡大だ。われわれに何らかの回答を迫ったものだ」と述べ、強く反発しました。
また、ロシア国防省もプーチン大統領の指示を受け、ロシア全土で14日から軍の即応態勢の確認や予備役の兵士を直ちに招集できるかなどについて抜き打ちの検査を始めたことを明らかにし、NATOへの対抗姿勢を鮮明にしています。
ロシア側はNATOの東方拡大と、アメリカが地上配備型の迎撃ミサイルの運用を東ヨーロッパのルーマニアで始めたことに反発を強めていただけに、今回のNATOの決定によって今後、ロシアと欧米の対立が一段と深まることが懸念されます。
外交部(外務省)の陸慷報道官は14日の定例記者会見で「日本政府は早急に福島原発事故の本当の状況について自国民、近隣諸国、国際社会に責任ある説明をすべきだ」と表明した。
【記者】日本メディアの報道によると福島県は12日、放射線量が比較的高い「居住制限区域」の避難指示を解除し、避難者が放射能に汚染された旧居住地に戻ることを認めた。だが放射線に対する被災者の懸念は消えず、日本政府が解除を急いだのは東京五輪のムードを高めるためだと考えている。これについてコメントは。
【陸慷報道官】福島原発事故の問題については、すでに繰り返し立場を表明しており、速やかに、全面的に、正確に、誠実に状況を国際社会に通知するとともに、海洋環境保護のためにあらゆる必要な措置を講じるよう日本政府に求めている。5月30日に東京電力の原子力部門の責任者が、過去5年間福島原発事故の本当の状況を隠蔽していたことを明らかにして以降、日本政府は現在にいたるもなお真摯で責任ある対応をしていない。
あなたが言及された日本政府に対する日本国民の不満については、完全に日本の内政であり、私がコメントすべき立場にはない。だが福島原発事故が環境、生態、食品安全にもたらした影響が日本に限らないことから、私はやはり日本政府は自国民、近隣諸国、国際社会に責任ある説明をすべきだと考える。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年6月15日
【ワシントン=長沼亜紀】15日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明要旨は次の通り。
前回4月のFOMC会合後に得た情報によると、経済活動は上向いたようだが、雇用改善のペースは減速した。失業率は低下したが、雇用増は縮小した。家計支出の伸びは強まった。今年初め以降、住宅部門は改善が続いており、純輸出の低迷も和らいだようだが、企業の設備投資は軟化した。
物価上昇率は、先のエネルギー価格およびエネルギー以外の輸入価格の低下もあり、FOMCの長期目標である2%を下回る水準で推移している。市場が織り込むインフレ率は低下した。アンケート調査による測定の大部分では長期のインフレ予想はこの数カ月総じてあまり変わっていない。
法律で定められた使命を達成するため、FOMCは雇用の最大化と物価安定の実現に努める。FOMCは現在のところ、金融政策の運営姿勢の緩やかな調整によって、経済は緩やかなペースで拡大し、労働市場関連の指標も力強さを増すと予測している。物価上昇率は短期的に低くとどまるが、過去のエネルギー・輸入価格の低下による一時的な影響が消え、労働市場がさらに力強さを増すにつれ、中期的に2%に向かって上昇すると予測する。FOMCは引き続き物価指標および世界経済と金融市場の動向を注視する。
FOMCはこうした状況を受け、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25〜0.50%に据え置くことを決定した。緩和的な金融政策は維持し、労働市場の一層の改善と物価上昇率の2%への回帰を支える。
FF金利の誘導目標を調整する今後の時期と規模を判断するにあたっては、FOMCは雇用の最大化と物価上昇率2%という目標との比較で経済情勢の実績と見通しを評価していく。労働市場の状況に関する指標や、インフレ圧力・インフレ予想の指標、金融動向や国際情勢を含めた幅広い情報を考慮して判断していく。物価上昇率が現時点で2%に届いていないことから、目標達成に向けた実際の進捗と予想を注意深く観察する。FOMCは、経済情勢はFF金利の緩やかな引き上げのみを許すようなかたちで進むと予測している。FF金利は当面、FOMCが長期的に通常とみる水準以下に維持される可能性が高い。ただし、実際のFF金利の上がり方は、データが伝える経済見通し次第だ。
米機関債と住宅ローン担保証券の償還した元本を住宅ローン担保証券に再投資し、保有国債の償還金を入札で再投資する既存の政策は維持する。FF金利が通常の水準に戻り軌道に乗るまで、この政策を維持すると見込んでいる。米連邦準備理事会(FRB)が非常に大きな額の長期証券を保有し続けるこの政策は、金融緩和状態を維持するのに役立つはずだ。
決定はイエレン議長及びダドリー副議長を含む10人のメンバー全員の賛成による。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN15H2M_V10C16A6000000/?nf=1
中国軍艦、日米印訓練で情報収集か 鹿児島沖で領海侵入[日経新聞]
2016/6/16 0:07
中国海軍の情報収集艦が15日、鹿児島県沖の領海に侵入した。中国軍艦の領海侵入は12年ぶりで、日米印3カ国が実施している共同訓練の情報収集や妨害が目的とみられる。中国は領海侵入について「航行の自由」だと主張、南シナ海の人工島の「領海」に米国がイージス艦を派遣した「航行の自由」作戦を意識し、政治的なアピールを狙ったとの見方も出ている。
午前3時30分ごろ、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦1隻が口永良部島の西方の領海に侵入、午前5時ごろ屋久島の南方から領海を出た。海上自衛隊の哨戒機P3Cが領海侵入する前から「このままでは日本の領海に入る」と警告したが、侵入をやめなかった。
日米印は17日まで九州から沖縄東方の海域で、対潜水艦や防空の戦闘訓練をしている。領海侵入した中国情報収集艦はインド艦を追尾していたもようだ。中国艦船は訓練参加中の米空母ジョン・C・ステニスも追尾し、15日に報道陣に公開した空母からは十数キロメートル先に情報収集艦とみられる艦船を確認。米軍幹部は「南シナ海から追いかけてきている」と語った。
情報収集艦は艦船などの電波を傍受できる。鹿児島沖なら沖縄東方海域は傍受範囲。政府関係者は「情報が漏れるようなら、一部の訓練を見合わせるかもしれない」と訓練の妨害につながる行為だとの認識を示す。
領海侵入について中国国防省は15日「中国軍艦の通過は国連海洋法条約が規定する航行の自由の原則に符合する」との談話を発表した。国際法が定める無害通航の範囲内だとの主張だ。南シナ海問題で「航行の自由」を主張する米軍を逆手に取ったといえる。
南シナ海問題では、フィリピンが中国を訴えた仲裁裁判の判決が近く出る。中国軍に詳しい関係者は「軍が東シナ海の主権を強める動きは、軍事衝突に至るリスクを避ける形で今後も続く」と見ている。
中国軍艦の領海侵入は2004年11月に沖縄県の先島諸島周辺を航行した潜水艦以来。このときは潜水したまま航行する行動が無害通航に当たらないと判断し、自衛隊が武器を使用できる海上警備行動を命令した。
今回は発令していない。「蛇行や停泊もなく直進していた。客観的な証拠が不十分なまま海上警備行動は出せない」(防衛省幹部)。発令できないギリギリの行動を中国が取ったとの分析がある。
中国が挑発を続ける可能性があるため、政府は今回の領海侵入が無害通航に該当しない可能性があるとして分析する。同様の行為を繰り返せば、海上警備行動の発令があり得るとの姿勢を示してけん制する構えだ。
▼無害通航 軍艦を含め、全ての国の船舶が沿岸国に事前通告せずに領海を航行できる権利。国連海洋法条約は通航が「継続的かつ迅速」で「沿岸国の平和、秩序や安全を害しない限り無害」と規定。無害でない事例には「沿岸国の防衛や安全を害する情報収集行為」「沿岸国の防衛、安全に影響を与えるのを目的にした宣伝行為」などを挙げている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H41_V10C16A6EA1000/?dg=1
【ワシントン=共同】米連邦準備制度理事会(FRB)が15日発表した5月の鉱工業生産指数(季節調整後)は前月比0.4%低下し、2カ月ぶりのマイナスだった。市場予想の0.2%低下を上回る落ち込みとなった。主力の自動車生産が不振だった。
生産指数は製造業が0.4%低下と2カ月ぶりのマイナス。電力・ガスも1.0%低下した。一方、エネルギー価格の下落が逆風となってきた鉱業は0.2%上昇し、プラスに転じた。
製造業のうち自動車・同部品は4.2%、一般機械は1.0%それぞれ低下した。一方、家電などは0.2%上昇した。
設備稼働率は前月比0.4ポイント低下の74.9%で、市場予想の75.2%を下回った。
http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040012_V10C16A6000000/?dg=1
サウジアラビアの国防大臣が、アメリカ民主党のクリントン前国務長官に選挙資金を提供したことを認めました。
イルナー通信によりますと、サウジアラビアの副皇太子のサルマン国防大臣は、クリントン前国務長官の選挙資金の20%以上を提供していたことを認めました。
サルマン国防大臣は、「サウジアラビアは過去においても常に、アメリカの主要な2つの政党の候補者に資金援助をしてきた」と述べました。
一方、アメリカ大統領選挙の候補者が、他国からの資金援助を受けるのは違法とされています。
この報告によりますと、ノルウェー、クウェート、カタール、ブルンジ、オマーン、イタリア、ジャマイカも、クリントン前国務長官に対する総額およそ2千万ドルの資金援助を行っているということです。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、アメリカのイランに対する態度は、常に、敵対的で頑なさを伴ったものだとし、「アメリカは、核合意の問題においても、取り決めの重要な部分を履行していない」と強調しました。
キャラミー解説員
ハーメネイー師は、14日火曜夕方、イランの三権の長、及び、体制責任者と会談し、イランのイスラム共和制の存在に対するアメリカの敵対と核合意について、重要な発言を行いました。
ハーメネイー師は、核合意について、「アメリカは、核合意における取り決めの重要な部分を履行しなかったが、イランは事前にすべきことを済ませ、濃縮度20%のウランの製造を停止し、フォルド核施設とアラーク重水炉を閉鎖した」と語りました。また、核合意を破るとしたアメリカ大統領選挙の候補者の脅迫について、「もしこの脅迫が実現されれば、イランは核合意を燃やすだろう」と警告しました。
核合意は1月に実施の段階に入り、協議に参加した双方は、核合意で定められた取り決めの代わりに、相互に様々な措置を講じることになりました。核合意には、長所と短所が存在し、短所の方が長所よりも目立ちます。最高指導者の言葉を借りれば、核合意に曖昧な点が多いことが、相手側がこの合意を悪用するきっかけになっているとしています。
イランは、濃縮度20%のウランの製造の停止、遠心分離機の数の削減、アラーク重水炉の改築といった条件をのむ代わりに、制裁が完全に解除され、外国との貿易や金融取引が過去の状況に戻されることになりました。イランは自らの取り決めを履行しており、言い換えれば、約束を守ってきました。しかし、相手側、特にアメリカは、約束を守っていません。相手側は制裁を完全に解除すべきでした。しかしそれを守らず、制裁の一部を解除しましたが、実際は制裁は解除されていません。
イランと外国の銀行の取り引き上の問題は残っています。アメリカ政府は、イランとの銀行取引に障害はないと発言していますが、実際は、銀行に、イランと取り引きを行う勇気を持たせないような態度を取っています。タンカーの保険の問題も解決しておらず、他国にある資金や石油収入も、イランに完全に支払われたわけではありません。
アメリカの敵対や約束破りは、核合意に限られません。この敵対は、常に、イランの力を失わせようとするためのものです。アメリカは、イランとの敵対を隠しません。なぜなら、その本質は変わっておらず、イランとの敵対において、民主党にも共和党にも違いはないからです。
ハーメネイー師は、アメリカの明らかな敵対に注目し、イランはアメリカに譲歩し、問題を解決できるとする一部の見方は、空想であり、誤っているとしました。アメリカが問題にしているのは、イランのイスラム共和制の存在であり、それは協議や外交によって解決できる問題ではありません。なぜなら、ハーメネイー師によれば、イスラムによる独立と力は、覇権主義者にとって容認できないものだからです。
イランは、イスラムの思想的、実践的な基盤に基づき、理不尽な政策や覇権主義に反対しており、多くの圧力を受けているにも拘わらず、その力と影響力は日々、地域や世界で高まっており、覇権主義大国が力ずくで奪おうとする利益を問題に直面させています。アメリカを筆頭にした覇権主義体制のイランに対する敵対の継続に注目すると、防衛力、経済力、科学技術力の拡大は、敵の陰謀を退けるための力の要素と見なされるのです。
日本が13日に発表した調査データによると、今年第2四半期(4-6月)には大手製造業企業の信頼感が前期に続いて悪化した。また経済データの不振、持続的な円高、英国での欧州連合(EU)離脱を問う国民投票などの影響により、同日の東京証券取引所は開始時から低迷し、日経平均株価は前営業日比3.51%低下して、4月12日以来の約2カ月ぶりの安値を記録した。「経済参考報」が伝えた。
日本の財務省と内閣府経済社会総合研究所がこのほど実施した共同調査によると、4〜6月の大手製造業企業の景況判断指数(BSI)はマイナス11.1、1〜3月はマイナス7.9だったが、企業は第3四半期(7-9月)には景気が上向くとの見方を示した。ロイター社の報道によれば、第3四半期の大手製造業企業のBSIは7.0と予想され、前回調査時の予想は7.1だった。経済の苦境から脱出するため、日本の当局は経済活性化政策を準備中で、経済成長を喚起しようとしているという。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社の固定収益担当のシニアアナリストは、「現在、経済は停滞状態にあるが、これ以上悪化することはないとみられる。マイナス金利政策の影響が及ぶ範囲は広く、資本支出は最終的には活性化する可能性もある」と話す。調査によれば、マイナス金利政策の影響により、貸出コストが低下し、日本企業は4月から始まる16年度の資本支出が前年比3.8%増加すると予想する。前回調査時は6.6%減少の予想だった。
円はリスク回避通貨として投資家に人気があり、対米ドルレートは1ドル106円の円高となり、投資家は輸出関連銘柄を大量に投げ売りした。13日の株式市場をみると、日経平均株価は582.18円安の1万6019.18円で引けた。鉱業銘柄と鉄鋼銘柄の下げ幅が特に大きかった。
日本経済の低迷が「アベノミクス」に対する失望感を高めている。海外投資家の撤退傾向が顕著であることから、日本の株式市場には激震が走っている。
ロイター社の報道によれば、長期投資を重んじる海外のファンドは日本株の評価を引き下げ、大規模な金融緩和政策や財政活性化政策が実施されて3年あまりになるのに、日本政府は20年もの長い低迷状態から経済を抜け出させることができずにいるとの見方を示す。
このほどアジアの投資家を取材したJPモルガン・チェースのデリバティブ主管は、「構造改革が実現せず、長期投資家の多くが日本株を手放した。金融政策の決定が短期的な効果しか上げられないこともある」と話す。
証券取引所のデータをみると、1〜5月に外資が売却した日本株は約4兆5千億円に上るが、購入した日本株も約2兆8300億円に上る。資金が流れ込む先が変化するのにともない、今年の日経平均株価は累計15%値下がりし、世界の株式市場に比べて不調だ。ニューヨーク証券取引所のS&P500指数は2%以上上昇している。
アナリストは、「経済が低迷し、インフレの動きは弱々しく、対外貿易と消費が落ち込むなどさまざまな問題があり、日本経済に対する悲観的なムードが投資家の信頼感を挫いている。円の高止まりを受けて、部では輸出企業の利益が損なわれるのではないかとの懸念が広がり、日本政府が消費税率の引き上げを先送りすると、日本の信用格付けが下がるのではないかとの焦燥感が現れ、投資家は日本経済のリスクに新たな評価を下すようになった。
こうした状況は、安倍晋三首相が12年12月に政権の座に返り咲いた当初の楽観的なムードとは大いに隔たりがある。アベノミクスという処方箋によって、日経平均株価は15年6月に18年半ぶりの高値を記録した。現在は円が大幅に上昇して、1ドル106円前後の円高だが、昨年6月は125.85円の円安だった。
経済の苦境から脱するため、日本当局は経済活性化政策を準備中で、経済成長を喚起しようとしているが、一部の銀行などは疑念を抱く。
ロイター社が複数のアナリストを取材したところ、日銀は今月は政策の調整を行わないが、7月に再び緩和政策をうち出し、マイナス金利をさらに引き下げたり、国債や高リスク資産の購入を増やしたりする、またはこれらを同時に行うとの見方を示した人が多かった。
三菱東京UFJ銀行はこのほど、「日本国債の入札に有利な資格で参加できる特別資格の返上を検討している」と発表した。このニュースによる国債市場への影響はまだ確認できないが、証券会社には大きな衝撃が広がった。こうした動きは現在、日銀のマイナス金利政策への不満を募らせる日本国債市場の最も明確かつ最もオープンな態度表明とみなされている。
日銀をよく知る消息通によると、「三菱東京UFJ銀行の決定は、日銀が進めるべき国債購入の縮小プロセスに影響を与える可能性があり、日銀は通貨を発行する期間を当初の計画より長くせざるを得なくなる可能性もある」という。
アナリストは、「日本のあと2つの大手銀行グループが三菱東京UFJ銀行の動きにただちに追随するような様子は見られないが、日本国債の保有にかかるコストを負担しきれなくなれば、特別入札資格者である22社のうち、規模の小さな銀行や証券会社は国債市場からの撤退を検討し始める可能性がある」と指摘する。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年6月14日
北朝鮮が保有する核兵器の数を増やした。ロイター通信が、米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)の情報を引用して伝えた。
ISISは、北朝鮮が核兵器の数を4−6個増やし、保有数は13-21個、あるいはそれ以上になったとの報告書を発表した。ロイター通信が伝えた。2014年末の時点では、10−16個の保有と推計されていた。
またISISの報告書では、専門家らがアイソトープの分離が行なわれていると考えている施設で活発な活動の兆候が見られると述べられている。専門家らは、これは熱核兵器の開発に必要なトリチウムを生産するために使用される可能性があるとの見方を示している。
北朝鮮は先に、同タイプの兵器開発を拡大する計画だと発表していた。
アメリカでことし4月、2000億円近くに上るイランの凍結資産を、イランの関与が疑われるテロ事件の遺族などに分配する司法判断が下されたのに対し、イランは資産を取り戻すため、損害賠償を求める訴えを国際司法裁判所に起こしました。
アメリカの連邦最高裁判所はことし4月、制裁のため国内で凍結されていた日本円で2000億円近くに上るイラン中央銀行の資産について、1983年に中東レバノンで起きたアメリカ軍などに対するテロ事件の遺族などに分配することを認める判断を下しました。
原告側は、テロ事件を起こしたイスラム教シーア派組織は、同じシーア派の大国イランの支援を受けていたと訴えていました。
これについて、イランのロウハニ大統領は15日、首都テヘランで行った演説でイランの事件への関与を否定したうえで、「アメリカの司法判断は認められず、黙っているべきではない」などと述べ、資産を取り戻すため、損害賠償を求める訴えを国際司法裁判所に起こしたことを明らかにしました。
1979年にイランで起きたイスラム革命以降、鋭く対立してきたイランとアメリカは、去年7月、核開発問題を巡る最終合意に達するなど、関係改善につながる動きも見せていますが、新たな問題を抱えることになりました。
アメリカのオバマ大統領は、中国が反対していたチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世との会談をホワイトハウスで行い、チベットの宗教や人権の保護に支持を表明するとともに中国政府との対話の実現に期待を示しました。
アメリカのオバマ大統領は、2年4か月ぶりにダライ・ラマ14世をホワイトハウスに招いて会談し、チベットの状況について意見を交わしました。ホワイトハウスによりますと、会談でオバマ大統領は、中国でチベットの宗教や言語それに人権が保護されるように支持すると表明したうえで、ダライ・ラマ14世側と中国政府との間で、緊張を和らげ立場の違いを解決するため、意義のある直接対話が実現することに期待を示したということです。
この会談を巡っては、中国外務省が「チベットの独立を目指す勢力に誤ったメッセージを送ることになる」などとして、北京にあるアメリカ大使館に抗議していましたが、ホワイトハウスのアーネスト報道官は記者会見で、あくまでも私的な会談だとしたうえで、「アメリカのチベット政策に変更はなく、アメリカはチベットを中国の一部と考え、独立も支持しない」と強調しました。
一方、ダライ・ラマ14世は会談のあと、ワシントンで講演し、対話の必要性を強調しましたが、中国政府との対話は2010年以降途絶えていて、中国政府による抑圧的な政策が続いているとしています。
トルコ軍によるロシア軍機の撃墜をきっかけに両国関係が冷え込むなか、トルコのエルドアン大統領がロシアのプーチン大統領に、撃墜後初めて書簡を送ったことが分かり、両国関係の改善につながるかどうか注目されています。
トルコ与党のAKP=公正発展党の幹部は14日、地元メディアに対し、エルドアン大統領がロシアのプーチン大統領に書簡を送ったと述べました。
地元メディアは、書簡には「トルコとロシアの関係は本来あるべきレベルにまで高めなければならない」などと書かれていて、去年11月にトルコ軍がロシア軍の戦闘機を撃墜して以来、冷え込んできた両国の関係を修復するよう求める内容だと伝えています。
また、ロシアの大統領府も、エルドアン大統領からプーチン大統領に宛てた書簡を受け取ったことを認めました。
エルドアン大統領がプーチン大統領に書簡を送ったことが明らかになるのは戦闘機の撃墜以降、これが初めてです。
トルコは経済的な結びつきが強かったロシアから経済制裁を受けて、観光や農作物の輸出など経済に大きな影響が出ており、今回の書簡をきっかけに両国関係が修復に向かうのか注目されています。
イランは、経済制裁が解除されたあとも外国の銀行との取引が正常化していないなどとして、制裁を主導してきたアメリカにさらなる対応を求めました。
イランのザリーフ外相は15日、訪問先のノルウェーで、アメリカのケリー国務長官と1時間余りにわたって会談しました。
イランでは、欧米などとの合意に基づいて、ことし1月に核開発に関連する経済制裁が解除されましたが、外国との銀行取引の正常化や凍結された資産の返還が思うように進んでいません。銀行などにとっては、アメリカがイランに科しているほかの無数の制裁に、図らずも違反してしまうという懸念が強く、イランのメディアによりますと、ザリーフ外相は、懸念を払拭(ふっしょく)するためには、アメリカ側の踏み込んだ対応が必要だとの認識を示したということです。
会談のあと、ケリー長官は「誠意を見せることは重要だ」などと述べ、どのような取引が許されるのかについて、より明確にしていく意向を示しました。
イランは、最高指導者のハメネイ師が「相手が合意を破るのであれば、それを燃やしてやる」と述べるなど、欧米側への不満を強めていて、今回の会談が、イランが強く望んでいる銀行取引の正常化などにつながるのか注目されます。
しかも、報道のタイミングが死後というのも多くに共通する特徴である。
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フロイトの孫はペドフィリアだった[スプートニク日本語]
2016年06月16日 03:46
有名な精神科医シグムント・フロイト の孫で、政治家、ブロードキャスターだった故クレメント・フロイト氏が、ペドフィリアで非難された。デイリー・テレグラフ紙が15日、報じた。
調査の結果、数人の少女がフロイト氏の犠牲になったことが分かった。
デイリー・テレグラフは2つのエピソードを伝えた。まず、フロイト氏の行動によって同氏と家族ぐるみで仲良くしていた夫婦の娘が苦しんだ。フロイト氏はこの少女が10歳になった時、少女に嫌がらせを開始したという。
2つ目は、11歳の少女への嫌がらせだ。少女の名前は不明。調査によると、フロイト氏はこの少女が18歳になった時に暴行したという。
フロイト氏の妻は、夫の行為について、「ショックを受け、深く悲しんでおり、心から残念に思っている」と発表した。
2011年の福島第1原子力発電所事故時に核燃料が溶け落ちる「炉心溶融(メルトダウン)」の公表が遅れた問題で、東京電力の第三者検証委員会(委員長・田中康久弁護士)は16日、経緯を調べた報告書を正式に公表した。当時の清水正孝社長が「(首相)官邸からの指示により、この言葉(炉心溶融)は使わないように」と社内に指示したなどと記載し、官邸からの圧力があったとみられることを指摘した。
第三者委は同日、東電の広瀬直己社長に報告書を提出した。報告書によると、東電の清水元社長は事故から2日後の11年3月13日に官邸で枝野幸男官房長官(当時)と面会。その後、同社の部長に対し、報道機関に発表する際は、文面や公表資料などについて事前に官邸から了解を得るように指示したという。「その事実からすれば、官邸側から事前に了承を得るようにとの要請を受けたものと推認される」と結論づけた。
広瀬社長は第三者委との面会後、報道陣に対し「炉心溶融の公表の件は、皆様に大変なご心配をおかけ致しました」と陳謝。「再発防止などの対策を今月中にはしっかりとまとめて私の方からまた改めてご報告をさせていただきたい」と述べた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG16H2M_W6A610C1000000/?dg=1&nf=1
東京電力が福島第一原子力発電所の事故のあと、2か月以上、メルトダウン、いわゆる炉心溶融が起きたことを認めなかったことについて、原因などを調べてきた外部の弁護士らで作る委員会は、当時の清水正孝社長が官邸からの指示で炉心溶融ということばを使わないよう指示していたなどとする検証結果をまとめました。
福島第一原発の事故では、1号機から3号機まで3つの原子炉で核燃料が溶け落ちるメルトダウン、いわゆる炉心溶融が起きましたが、東京電力は事故から2か月後まで正式に認めませんでした。
事故の大きさを端的に示す重要なことばが、なぜ長期間使われなかったのか、東京電力の依頼を受けた弁護士らで作る第三者委員会が、ことし3月から原因や経緯の検証を進めていました。
その結果がまとまり、16日、東京電力に報告されました。それによりますと、当時の清水社長が事故から3日後の3月14日夜、記者会見中だった武藤副社長に対し、広報の担当者を通じて、炉心溶融と書かれた手書きのメモを渡させ、官邸からの指示として、「炉心溶融ということばを使わないよう」指示していたことが分かったということです。
この問題を巡っては、新潟県が技術委員会を作って追及を続けていて、東京電力のこれまでの説明では、「正確な定義があるわけではなく、誤解を与えるおそれがあり、使わなかった」などとされていて、具体的な指示関係が明らかになったのは初めてです。
しかし、清水社長などへのヒアリングで官邸の誰から、どのような指示や要請を受けたかは解明できなかったとしています。
一方、炉心溶融の判断が事故の2か月後になったことの是非について、第三者委員会は、炉心の状態を見て確認できない当時の状況を考えると、「不当であったとは言えない」としながらも、当時、すでに炉心溶融の発言が出ており、対外的に認めることが可能だったとの見方もできるとして、委員会としての判断は示しませんでした。
この問題を巡っては、この委員会とは別に、新潟県と東京電力で作る合同の検証チームで今後、より詳しい調査を行うことになっています。
東電社長「今月中には再発防止策を」
報告書を受け取った東京電力の廣瀬直己社長は内容をまだ十分に把握していないとしたうえで、「報告書の内容をしっかりと受け止め、今月中には再発防止の対策をまとめて改めて報告したい」と話しました。
炉心溶融の公表 遅れたいきさつ
メルトダウン、炉心溶融の公表遅れは、政府の事故調査・検証委員会が報告書の中で経緯をまとめています。
それによりますと、炉心溶融ということばが最初に使われたのは事故発生翌日の12日午後、当時の原子力安全・保安院の記者会見で、広報の担当者が「炉心溶融の可能性がある」と発言しました。
しかし、その日の夜の会見では急きょ担当者が交代、「炉心が破損しているということは、かなり高い確率だと思うが、正確には分からない」と述べ、ここから炉心溶融ということばが使われなくなります。
東京電力も事故の3日後の3月14日に、炉心溶融を判断するための核燃料の損傷の割合が1号機で55%、3号機が30%に達していることを把握し、翌日、公表しますが、核燃料が溶けているのではないかという報道陣の質問に対して炉心損傷と表現し、炉心溶融やメルトダウンということばを使いませんでした。
結局、国や東京電力が炉心溶融を認めたのは事故から2か月たった5月になってからで、解析の結果として1号機から3号機の3つの原子炉でメルトダウンが起きていたことを正式に認めました。
新潟県の追及が真相解明に
メルトダウンの公表遅れがなぜ起きたのか、政府の事故調査・検証委員会の報告書でも、当時の経緯は整理されていますが、原因などの真相は、事故から5年がたった今も、解明されていません。
そこにメスを入れたのが、新潟県が設置した技術委員会です。東京電力の柏崎刈羽原発がある新潟県は、福島第一原発の事故の検証なしに再稼働の議論はできないとして、徹底した事故の検証を続けていて、その中で事故の深刻さを示すメルトダウン、炉心溶融が起きていたことをなぜ、事故から2か月もの間、東京電力が認めなかったのか、追及してきました。
こうしたなかで、ことし2月、重大な事実が明らかになりました。東京電力の社内調査の過程で、炉心損傷割合が5%を超えていればメルトダウンと判定すると明記したマニュアルが見つかったのです。事故から5年近くがたっていました。
メルトダウンの公表が遅れたことについて、東京電力は技術委員会に対し、「判断の根拠がなかった」などという説明を繰り返していましたが、その説明が誤っていたことになります。
新潟県は「意図的に隠蔽していたのではないか」と、東京電力にさらなる調査を求め、その結果、東京電力は外部の弁護士らに問題が起きた経緯や原因の究明を依頼し、調査を行っていました。
新潟県知事「極めて遺憾」
検証結果について、新潟県の泉田知事は「県の技術委員会に対して虚偽の説明をしていたことになり、極めて遺憾だ。東京電力と合同で設置することとした検証委員会で徹底した追及を行う。東京電力は組織として何事も包み隠さず、真摯(しんし)に対応してほしい」とするコメントを発表しました。
専門家「東電がつくった委員会の限界」
今回の検証結果について、新潟県の技術委員会の委員で多摩大学情報社会学研究所の山内康英教授は、「社長の指示があったことなど経緯を明らかにしたことは大きい」と一定の評価をする一方で、炉心溶融を認めるまで時間がかかったことの是非を委員会が判断しなかったことなどから、「不十分であいまいな結論であり、東電がつくった委員会の限界だ」と指摘しました。山内教授は、新潟県の技術委員会が東京電力と合同でつくる検証チームでこの問題の調査を続けるということで、「炉心溶融ということばを使わなかった背景や社会的影響、あるいは、果たして故意はなかったのかなど、報告書で判断できなかった部分を追及していきたい」と話しました。
福島 浪江町長「ふんまんやるかたない」
福島県浪江町の馬場有町長は「東電の姿勢には、いつも、ふんまんやるかたない。事故がわい小化、小さくされていると思う。当時、かたくなにメルトダウンということばを使わず、5年もたってそういうことを言い出すのは、とんでもない話で、徹底的に情報公開し説明責任を果たさなければならない。今後の廃炉作業も適切な監視が必要だ」と話しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160616/k10010558831000.html?utm_int=news_contents_news-main_003
「ケリー米国務長官らG7の外務担当責任者 非核世界をめざし広島へ しかしその結果は?:超覇権国家米国のタガが外れる将来」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/331.html
「オバマ大統領が広島に行ってはならない理由:広島訪問を安保理常任理事国の「核独占」正当化に利用するオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/365.html
「オバマ大統領広島訪問 米専門家の見方は:カズニック教授 原爆投下は不要、オバマ氏は核兵器削減に消極的」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/822.html
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近い将来核廃絶は誰もしない[スプートニク日本語]
2016年06月16日 21:54
世界の核兵器の数は減り続けているが、核兵器を保持している国で、予見される近い将来、核兵器を廃棄する用意ができている国は一つもないと、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の報道担当が伝えた。
2016年始めの情報によると、米、露、英、仏、中、印、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の9カ国で、1万5395発の核兵器が処分され、2015年には15850発が処分された。各兵器削減は主に、世界全体の93%の核兵器を持つアメリカとロシアによる核兵器廃棄によるものが大きいと、SIPRIの分析官は書いている。
同時に、両国による長期間の核兵器廃棄計画は、今後の核兵器システム近代化を意味すると専門家は続けている。たとえば、アメリカは2015年から2024年の期間、核戦力の維持と更新に3,580億ドル費やす計画だ。SIPRI上級研究員であり、報告書の執筆者の一人ハンス・クリステレン氏はこう書いている。
「オバマ米大統領の執行部に見られるアメリカの近代化への野心的な計画は、核兵器削減というオバマ大統領の約束とは強いコントラストを見せる。」
9月11日アメリカで起きた、同時多発テロに関する捜査報告書の秘密部分には、事件へのサウジアラビア政府関与の直接的な証拠はないと、CIA局長ジョン・ブレナン氏はドバイのアル=アラビーヤ放送局のインタビューで声明し、こう語った。
「9.11テロのあと、調査委員会はサウジアラビア政府関与を示す証拠を全て念入りに調べたが、サウジアラビアが国家権力機関として、また、高位の人物が個人的に、9月11日のテロ事件を支援したことを示す、いかなる証拠も存在しないと結論付けられた」
ブレナン氏は、まもなく報告書の28ページ目が公開されると述べた。
ライプツィヒ大学が実施した世論調査の結果、ドイツ市民の10人に1人が、「総統」による国の統治を望んでいることが分かった。デイリー・メール紙が伝えた。
世論調査は、ドイツ市民の一部が国の状況に不満を持ち、「強い意志を持った」リーダーを必要としていることを明らかにした。
世論調査ではドイツ人2240人のうち約34パーセントが、ドイツは「危険なほど外国人であふれかえっている」と考え、11パーセントが、社会におけるユダヤ人の影響力があまりにも大きいとの考えを表した。
またドイツ人の10人に4人が、イスラム教徒のドイツへの移住を禁止する必要があると答え、回答者の半数が、祖国で自分のことを「外国人だ」と感じていることを認めた。
さらにドイツ人の12パーセントが、本質的に自分たちの人種が他の人種よりも「優れている」と考えていることが分かった。デイリー・メール紙は、これはナチスドイツのイデオロギーの中心的要素だったと指摘している。
また世論調査は、ジプシーや同性愛者などへのネガティブな感情が高まっていることも示した。
イギリス中部で、女性の下院議員が男に銃で撃たれたあと刃物のようなもので刺され、大けがをしたということです。警察は、現場近くで男を拘束し、事件の背景を調べています。
イギリスの公共放送BBCによりますと、イギリス中部のウエストヨークシャー州の図書館の前で16日、女性の下院議員が男に銃で撃たれたあと刃物のようなもので刺され、大けがをしたということです。
襲われたのは労働党のジョー・コックス下院議員で、コックス議員は、病院で手当てを受けていますが、けがの程度は重いということです。
警察によりますと、事件のあと現場の近くで52歳の男が拘束されたということです。
コックス議員のフェイスブックによりますと、コックス議員は、今月23日に行われるEU=ヨーロッパ連合からの離脱の是非を巡る国民投票で残留を訴えていました。警察は、詳しい事件の背景を調べています。
コックス議員 EU残留を呼びかけ
ジョー・コックス議員は、イギリス最大の野党、労働党の下院議員で、去年行われたイギリスの総選挙で初めて当選しました。
コックス議員の公式サイトによりますと、ウエストヨークシャー州出身の41歳で、2人の子どもがいるということです。
コックス議員のフェイスブックによりますと、今月23日に行われるEU=ヨーロッパ連合からの離脱の是非を巡る国民投票では、EUへの残留を呼びかけていました。
フェイスブックの写真では「EUに残留するよう投票しよう」と書かれたプラカードとともに、「EUからの離脱は、イギリスの経済や雇用、地方の人たちのビジネスや地域社会を不安定にするだろう。私たちは、EUの中でイギリスをより強く、より安全に、よりよくするために残留を訴えていく」とコメントしています。
双方の団体「運動中止」
イギリス中部で女性の下院議員が男に銃で撃たれたあと刃物のようなもので刺された事件を受けて、EU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票で残留を支持する団体「ストロンガー・イン」は、ツイッター上で「きょうはすべての運動をとりやめる。われわれの思いはコックス議員と彼女の家族とともにある」という声明を出しました。
また、離脱を支持する団体「ボート・リーブ」の広報担当者もロイター通信の取材に対して、16日の運動を取りやめることを明らかにしています。
英首相「自身も活動取りやめ」
イギリス中部で、女性の下院議員が男に銃で撃たれて大けがをした事件をうけ、イギリスのキャメロン首相は自身のツイッターで「ジョー・コックス議員がけがをしたと聞いて、とても心配している。コックス議員と家族のために心から祈っている」とコメントしました。
さらにEU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票を1週間後に控え、キャメロン首相は各地で残留支持を訴えていますが、残留支持派の団体が16日のすべての活動を中止することを決めたことを受けて「このような悲惨な事件があったので、すべての活動を中止するのは正しい判断だと思う」として、自分自身も活動を一時取りやめることを明らかにしました。
東京都の舛添知事が政治資金などを巡る一連の問題で辞職することについて、海外のメディアも報道しています。このうち、アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは、記事の中で「せこい」という日本語をそのままローマ字で表現しています。
ニューヨーク・タイムズは、舛添知事が辞職したことについての記事を電子版で15日に掲載し、「おそらく、今回の騒動を説明するのに最も多く使われたのは、“sekoi”ということばだ」と説明しています。そして、「せこい」という日本語を英語に訳さず、そのままローマ字で表現しています。また、都議会の代表質問で一部の議員が述べた「せこすぎる」という発言についても「too sekoi」と表現し、インターネット上などで注目を集めました。
日本の大学に通っているスウェーデン人の男子学生は「日本語を全く知らない人が読んだら、どういう意味なんだろうと興味がわくと思う」と話していました。
また、日本に20年以上住んでいるタレントの「パックン」ことパトリック・ハーランさんは、「ほかの英単語では表現しきれない『せこい』ということばの独特のニュアンスを伝えようとしたのではないかと思う。『sekoi』ということばが日本から発信されても、世界の人たちは日本人がみんなせこいとは思わないので、大丈夫だ」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160616/k10010558961000.html?utm_int=all_side_ranking-social_004
安倍総理大臣は、ロシアのプーチン大統領側近のナルイシキン下院議長と会談し、幅広い分野での両国の協力関係の重要性を改めて確認するとともに、先送りになっているプーチン大統領の日本訪問に向けて準備を進めていくことで一致しました。
安倍総理大臣は、16日夕方、総理大臣官邸で、ロシア文化を紹介するイベントに出席するため、日本を訪れているロシアのプーチン大統領側近のナルイシキン下院議長とおよそ20分間、会談しました。
この中で、安倍総理大臣は、先月、ロシア南部のソチで行われたプーチン大統領との日ロ首脳会談の結果や、ことし9月にウラジオストクで開催される国際経済フォーラムにみずからが出席することなどを巡って意見を交わし、幅広い分野での両国の協力関係の重要性を改めて確認しました。
そして、安倍総理大臣とナルイシキン下院議長は、先送りになっているプーチン大統領の日本訪問に向けて準備を進めていくことで一致しました。会談のあと、ナルイシキン下院議長は記者団に対し、「日ロ両国と、両国国民にとって関心のある諸問題についても話をした。プーチン大統領からの温かいメッセージを伝えた」と述べました。
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露下院議長と日本の首相は何を話したか?[スプートニク日本語]
2016年06月16日 20:51
ロシア議会下院(国家会議)のセルゲイ・ナルィシキン議長と日本の安倍晋三総理大臣が会談し、ロシアと日本双方が関心を持つ一連の問題が審議された。ナルィシキン議長は安部首相との会見の後こう述べた。
「我々は両国そして両国民双方が関心を抱いている一連の問題について話し合った。私は会談の結果に満足している」
さらに、2016年5月始めに行われた安倍首相のソチ実務訪問の結果と、9月にウラジオストクで行われる東方経済フォーラムへの今後の参加について、ナルィシキン議長と安倍首相は話し合った。
木曜日16日から始まった日本訪問の間、ナルィシキン議長は日本の国会指導部や日本の非政府団体「民間外交推進協会」のメンバーと会談する予定だ。また、日本の第11回ロシア文化フェスティバルのオープニング・セレモニーに参加する予定だ。
16日、インド・中国の国境紛争地帯でインドが実効支配しているアルナーチャル・プラデーシュ州(中国語表記では蔵南地区)で両国の軍隊の衝突が再発。中国軍は4つの地点でインド領へ侵入した。
公式的な情報筋によれば、16日、インド軍は侵入を試みた中国軍を押し返し、領域を掌握した。
情報筋によれば、衝突が解決されたのは中国軍の将校4人と通訳がインド軍司令部と面会し、チョコレートの入った袋を2つ渡したため。
中国とインドの間では2011年から長江流域で小競り合いが始まった。
6月9日には中国軍の兵士らがインド領に3時間にわたって侵入し、インド軍の抵抗にあって中国領に戻っている。
現在インドは全力をあげて原子力供給国グループに加わろうとしており、中国はこれを依然として阻止しつづけている。
「福島原発「炉心溶融使うな」、清水東電元社長が指示:官邸からの指示により指示:官邸は東電の事故関連発表前に検閲」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/848.html
「「炉心溶融ということば使うな」 当時の社長が指示:国家対応で当事者能力がなかった東電、政府の責任をぼやかすメディア」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/850.html
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官邸の誰が…踏み込まず 東電「炉心溶融」公表遅れ[日経新聞]
検証委報告
2016/6/16 21:19
東京電力の第三者検証委員会が16日公表した報告書では、事故当時の首相官邸が清水正孝元社長に発表内容を事前に了承を得るように指示したなどと指摘した。事故から5年がたち「第三者の目」で事実関係の解明を進めてきたが、不明瞭さは残る。
事故発生当時、政府は原子炉の状況の説明を巡り錯綜(さくそう)した。経済産業省の旧原子力安全・保安院もいったんは「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表したものの、「炉心が破損している確率はかなり高い」と説明するようになった。
東電は今年3月、田中康久・元仙台高裁長官を委員長とする第三者検証委を設置。関係省庁への通報や社内テレビ会議での発言内容などの確認に加え、清水氏や武藤栄元副社長ら関係者のべ70人に聞き取り調査した結果、報告書をまとめた。
第三者検証委が着目したのは、事故から2日後の2011年3月13日に清水氏と枝野幸男元官房長官による官邸での面会だ。清水氏に2回聞き取りしたが、当時の記憶が曖昧などと説明。官邸の誰から具体的にどのような指示や要請を受けたか解明はできなかった。
田中委員長は「清水社長は(炉心溶融を)なるべく控えるのが望ましいという意向だと理解をしたのだと思われる」と説明した。
炉心溶融の公表遅れを巡っては、東電が再稼働を目指す柏崎刈羽原発が立地する新潟県の技術委員会の要請を受け、福島原発事故時の対応を社内調査を進めている過程で判明。同社は今年2月、社内マニュアルに記載された判定基準を事故から5年にわたり見過ごし、事故から2カ月後まで公表が遅れたと発表していた。
第三者検証委は、当初炉心溶融の定義がないなどと説明。用語の幅が広いことなどから「判定基準を隠していたとは認めがたい」と結論づけた。
ただ、新潟県の泉田裕彦知事は16日、「虚偽の説明をしていたということで、極めて遺憾」とのコメントを出した。今後は、県の技術委員会が東電の第三者委に求めていた約70の検証項目のうち、未検証項目や検証が不十分な事項などについて、「さらに真実を明らかにする必要がある」と指摘。東電と合同で設置した別の検証委を通じて実態をさらに解明する方針だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG16H4T_W6A610C1EA1000/?dg=1
○日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言
昭和三十一年 十月十九日 署名の内閣決定
同 年 同月 同日 モスクワで署名
同 年十二月 五日 国会承認
同 年 同月 七日 批准の内閣決定
同 年 同月 八日 批准書認証
同 年 同月十二日 東京で批准書交換
同 年 同月 同日 公 布
同 年 同月 同日 効力発生
千九百五十六年十月十三日から十九日までモスクワで、日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦の全権団の間、交渉が行われた。
日本国側からは
内閣総理大臣 鳩山一郎
農林大臣 河野一郎
衆議院議員 松本俊一
が参加し、
ソヴィエト社会主義共和国連邦側からは、
ソヴィエト連邦大臣会議議長 エヌ・ア・ブルガーニン
ソヴィエト連邦最高会議幹部会員 エヌ・エス・フルシチョフ
ソヴィエト連邦大臣会議議長第一代理 ア・イ・ミコヤン
ソヴィェト連邦第一外務次官 ア・ア・グロムィコ
ソヴィエト連邦外務次官 エヌ・テ・フェドレンコ
が参加した。
相互理解と協力のふん囲気のうちに行われた交渉を通じて、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との相互関係について隔意のない広範な意見の交換が行われた。日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間の外交関係の回復が極東における平和及び安全の利益に合致する両国間の理解と協力との発展に役だつものであることについて完全に意見が一致した。
日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦の全権団の間で行われたこの交渉の結果、次の合意が成立した。
1 日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の戦争状態は、この宣言が効力を生ずる日に終了し、両国の間に平和及び友好善隣関係が回復される。
2 日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間に外交及び領事関係が回復される。両国は、大使の資格を有する外交使節を遅滞なく交換するものとする。また、両国は、外交機関を通じて、両国内におけるそれぞれの領事館の開設の問題を処理するものとする。
3 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、相互の関係において、国際連合憲章の諸原則、なかんずく同憲章第二条に掲げる次の原則を指針とすべきことを確認する。
(a) その国際紛争を、平和的手段によつて、国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように、解決すること。
(b) その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使は、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むこと。
日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、それぞれ他方の国が国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有することを確認する。
日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、経済的、政治的又は思想的のいかなる理由であるとを問わず、直接間接に一方の国が他方の国の国内事項に干渉しないことを、相互に、約束する。
4 ソヴィエト社会主義共和国連邦は、国際連合への加入に関する日本国の申請を支持するものとする。
5 ソヴィエト社会主義共和国連邦において有罪の判決を受けたすべての日本人は、この共同宣言の効力発生とともに釈放され、日本国へ送還されるものとする。
また、ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要請に基いて、消息不明の日本人について引き続き調査を行うものとする。
6 ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国に対し一切の賠償請求権を放棄する。
日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、千九百四十五年八月九日以来の戦争の結果として生じたそれぞれの国、その団体及び国民のそれぞれ他方の国、その団体及び国民に対するすべての請求権を、相互に、放棄する。
7 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、その貿易、海運その他の通商の関係を安定したかつ友好的な基礎の上に置くために、条約又は協定を締結するための交渉をできる限りすみやかに開始することに同意する。
8 千九百五十六年五月十四日にモスクワで署名された北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約及び海上において遭難した人の救助のための協力に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の協定は、この宣言の効力発生と同時に効力を生ずる。
日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、魚類その他の海洋生物資源の保存及び合理的利用に関して日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦が有する利害関係を考慮し、協力の精神をもつて、漁業資源の保存及び発展並びに公海における漁猟の規制及び制限のための措置を執るものとする。
9 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。
ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。
10 この共同宣言は、批准されなければならない。この共同宣言は、批准書の交換の日に効力を生ずる。批准書の交換は、できる限りすみやかに東京で行われなければならない。
以上の証拠として、下名の全権委員は、この共同宣言に署名した。
千九百五十六年十月十九日にモスクワで、ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書二通を作成した。
日本国政府の委任により
鳩 山 一 郎
河 野 一 郎
松 本 俊 一
ソヴィエト社会主義共和国連邦最高会議幹部会の委任により
N・ブルガーニン
D・シェピーロフ
[参考書簡]
書簡をもつて啓上いたします。
日ソ両国間に恒久的の友好関係を樹立するため、すみやかに両国間の国交正常化を図ることは、本大臣のかねて抱懐する念願であること、閣下の承知せられるとおりであります。
本大臣は、今日に至るまでの両国間の交渉経緯にかんがみ、この際領土問題に関する交渉は後日継続して行うことを条件とし、まず (一)両国間の戦争状態終了、(二)大使館の相互設置、(三)抑留者の即時送還、(四)漁業条約の発効及び (五)日本国の国際連合加盟に対するソ連邦の支持の五点について、あらかじめソ連邦の同意を表明せられるにおいては、両国間の国交正常化を実現するため交渉に入る用意がある旨を通報いたします。
前記の五条件については、在東京貴国漁業代表部首席チフヴィンスキー氏より河野農林大臣及び高碕国務大臣との数回にわたる非公式会談において、ソ連邦政府としては同意である旨の意思表示が行われました。
本大臣は、前記非公式会談においてチフヴィンスキー氏の表明したとおり、ソ連邦政府が前記の五条件を受諾する用意がある旨の閣下の文書による確認を入手しうれば幸甚とするものであります。閣下による右の確認を接受する場合は、日本国政府はすみやかにモスコーにおいて交渉を再開する用意があります。なお右の交渉においては、後来のロンドン及びモスコーにおける交渉当事者間の妥結事項もできうる限り採択せられるべきことを希望するものであります。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向つて敬意を表します。
昭和三十一年九月十一日
日本国総理大臣 鳩山一郎
ソヴィエト社会主義共和国連邦閣僚会議議長
エヌ・ア・ブルガーニン閣下
(仮訳)
書簡をもつて啓上いたします。
本議長は、貴総理大臣が日ソ交渉を直ちにモスクワにおいて再開すべき日本国政府の用意を表明せられ、かつ、両国間の関係の正常化に関するソヴィエト連邦政府の同意の確認を要請された千九百五十六年九月十一日付の貴簡を受領したことを通報する光栄を有します。
ソヴィエト政府は、両国が相互にあらかじめ討議してきた次の事項から生ずる貴簡に述べられた考慮に即応して、この際平和条約を締結することなく、日ソ関係の正常化に関する交渉をモスクワにおいて再開する同政府の用意を確認するものであります。
1 ソヴィエト社会主義共和国連邦と日本国との間の戦争状態の終結の宣明
2 外交関係の回復及び大使館の相互設置
3 ソヴィエト社会主義共和国連邦において刑を宣告されたすべての日本国民の釈放及び送還
4 千九百五十六年五月十四日に署名された漁業条約の効力発生
5 国際連合加盟に関する日本国の要請の支持
なお、本議長は、ロンドン及びモスクワにおける交渉の過程において合意に到達した諸点に関する貴要望に関しては、双方がこれらの諸点に関し意見を交渉することができるものと考えるのであります。
本議長は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向つて敬意を表します。
千九百五十六年九月十三日モスクワにおいて
ソヴィエト社会主義共和国連邦閣僚会議議長
ニコライ・ブルガーニン
日本国総理大臣 鳩山一郎閣下
書簡をもつて啓上いたします。
本全権は、千九百五十六年九月十一日付鳩山総理大臣の書簡とこれに対する同年九月十三日付ブルガーニン議長の返簡に言及し、次のとおり申し述べる光栄を有します。
前記鳩山総理大臣の書簡に明らかにせられたとおり、日本国政府は、現在は、平和条約を締結することなく、日ソ関係の正常化に関し、モスクワにて交渉に入る用意がある次第でありますが、この交渉の結果外交関係が再開せられた後といえども、日本国政府は、日ソ両国の関係が、領土問題をも含む正式の平和条約の基礎の下に、より確固たるものに発展することがきわめて望ましいものであると考える次第であります。
これに関連して、日本国政府は、領土問題を含む平和条約締結に関する交渉は両国間の正常な外交関係の再開後に継続せられるものと了解するものであります。
鳩山総理大臣の書簡により交渉に入るに当り、この点についてソ連邦政府においても同様の意図を有せられることをあらかじめ確認しうれば幸甚に存ずる次第であります。
本全権は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向つて敬意を表します。
千九百五十六年九月二十九日
日本国政府全権委員 松 本 俊 一
ソヴィエト社会主義共和国連邦第一外務次官
ア・ア・グロムイコ閣下
(仮訳)
書簡をもつて啓上いたします。
本次官は、千九百五十六年九月二十九日付の閣下の次のとおりの書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
[日本側書簡]
これに関連して本次官は、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府の委任により、次のとおり申し述べる光栄を有します。すなわち、ソヴィエト政府は、前記の日本国政府の見解を了承し、両国間の正常な外交関係が再開された後、領土問題をも含む平和条約締結に関する交渉を継続することに同意することを言明します。
本次官は、以上を申し進めるに際し、閣下に向つて敬意を表します。
千九百五十六年九百二十九日モスクワにおいて
ソヴィエト社会主義共和国連邦第一外務次官 ア・グロムイコ
日本国政府全権委員
松本俊一閣下
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1957/s32-shiryou-001.htm
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降伏文書
昭和二十年九月二日東京湾上ニ於テ署名
下名ハ茲ニ合衆国、中華民国及「グレート、ブリテン」国ノ政府ノ首班ガ千九百四十五年七月二十六日「ポツダム」ニ於テ発シ後ニ「ソヴィエト」社会主義共和国聯邦ガ参加シタル宣言ノ条項ヲ日本国天皇、日本国政府及日本帝国大本営ノ命ニ依リ且之ニ代リ受諾ス右四国ハ以下之ヲ聯合国ト称ス
下名ハ茲ニ日本帝国大本営並ニ何レノ位置ニ在ルヲ問ハズ一切ノ日本国軍隊及日本国ノ支配下ニ在ル一切ノ軍隊ノ聯合国ニ対スル無条件降伏ヲ布告ス
下名ハ茲ニ何レノ位置ニ在ルヲ問ハズ一切ノ日本国軍隊及日本国臣民ニ対シ敵対行為ヲ直ニ終止スルコト、一切ノ船舶、航空機並ニ軍用及非軍用財産ヲ保存シ之ガ毀損ヲ防止スルコト及聯合国最高令官又ハ其ノ指示ニ基キ日本国政府ノ諸機関ノ課スベキ一切ノ要求ニ応ズルコトヲ命ズ
下名ハ茲ニ日本帝国大本営ガ何レノ位置ニ在ルヲ問ハズ一切ノ日本国軍隊及日本国ノ支配下ニ在ル一切ノ軍隊ノ指揮官ニ対シ自身及其ノ支配下ニ在ル一切ノ軍隊ガ無条件ニ降伏スベキ旨ノ命令ヲ直ニ発スルコトヲ命ズ
下名ハ茲ニ一切ノ官庁、陸軍及海軍ノ職員ニ対シ聯合国最高司令官ガ本降伏実施ノ為適当ナリト認メテ自ラ発シ又ハ其ノ委任ニ基キ発セシムル一切ノ布告、命令及指示ヲ遵守シ且之ヲ施行スルコトヲ命ジ並ニ右職員ガ聯合国最高司令官ニ依リ又ハ其ノ委任ニ基キ特ニ任務ヲ解カレザル限リ各自ノ地位ニ留リ且引続キ各自ノ非戦闘的任務ヲ行フコトヲ命ズ
下名ハ茲ニ「ポツダム」宣言ノ条項ヲ誠実ニ履行スルコト並ニ右宣言ヲ実施スル為聯合国最高司令官又ハ其ノ他特定ノ聯合国代表者ガ要求スルコトアルベキ一切ノ命令ヲ発シ且斯ル一切ノ措置ヲ執ルコトヲ天皇、日本国政府及其ノ後継者ノ為ニ約ス
下名ハ茲ニ日本帝国政府及日本帝国大本営ニ対シ現ニ日本国ノ支配下ニ在ル一切ノ聯合国俘虜及被抑留者ヲ直ニ解放スルコト並ニ其ノ保護、手当、給養及指示セラレタル場所ヘノ即時輪送ノ為ノ措置ヲ執ルコトヲ命ズ
天皇及日本国政府ノ国家統治ノ権限ハ本降伏条項ヲ実施スル為適当ト認ムル措置ヲ執ル聯合国最高司令官ノ制限ノ下ニ置カルルモノトス
千九百四十五年九月二日「アイ、タイム」午前九時四分日本国東京湾上ニ於テ署名ス
• 大日本帝国天皇陛下及日本国政府ノ命ニ依リ且其ノ名ニ於テ
重光葵
• 日本帝国大本営ノ命ニ依リ且其ノ名ニ於テ
梅津美治郎
千九百四十五年九月二日「アイ、タイム」午前九時八分日本国東京湾上ニ於テ合衆国、中華民国聯合王国及「ソヴィエト」社会主義共和国聯邦ノ為ニ並ニ日本国ト戦争状態ニ在ル他ノ聯合諸国家ノ利益ノ為ニ受諾ス
• 聯合国最高司令官
ダグラス、マックアーサー
• 合衆国代表者
シー、ダブリュー、ニミッツ
• 中華民国代表者
徐永昌
• 聯合王国代表者
ブルース、フレーザー
• 「ソヴィエト」社会主義共和国聯邦代表者
カー、デレヴヤンコ
• 「オーストラリア」聯邦代表者
ティー、エー、ブレーミー
• 「カナダ」代表者
エル、ムーア、コスグレーヴ
• 「フランス」国代表者
ル、クレール
• 「オランダ」国代表者
セイ、エイ、ヘルフリッチ
• 「ニュー、ジーランド」代表者
エル、エム、イシット
(出典:外務省編『日本占領及び管理重要文書集』第一巻 1949年刊)
http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/j05.html
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一般命令第一号 聯合国最高司令官総司令部
聯合国最高司令官総司令部 指令 第一号 千九百四十五年九月二日
千九百四十五年九月二日日本国天皇及日本帝国政府ノ代表者並ニ日本帝国大本営ノ代表者ニ依リ署名セラレタル降伏文書ノ規定ニ従ヒ別添「一般命令第一号、陸、海軍」及右ヲ敷衍スル必要ナル訓令ヲ日本国軍隊及日本国ノ支配下ニアル軍隊並ニ関係非軍事機関ニ対シ遅滞ナク 発出シ之ヲ十分且完全ニ遵守セシムベシ
聯合国最高司令官ノ指示ニ依リ 参謀長 米国陸軍中将 R、K、サザーランド
添附書 一般命令第一号
陸、海軍 一 帝国大本営ハ茲ニ勅命ニ依リ且勅命ニ基ク一切ノ日本国軍隊ノ聯合国最高司令官ニ対スル降伏ノ結果トシテ日本国内及国外ニ在ル一切ノ指揮官ニ対シ其ノ指揮下ニ在ル日本国軍隊及日本国ノ支配下ニ在ル軍隊ヲシテ敵対行為ヲ直ニ終止シ其ノ武器ヲ措キ現位置ニ留リ且左ニ指示セラレ又ハ聯合国最高司令官ニ依リ追テ指示セラルルコトアルベキ合衆国、中華民国、聯合王国及「ソヴィエト」社会主義共和国聯邦ノ名ニ於テ行動スル各指揮官ニ対シ無条件降伏ヲ為サシムベキコトヲ命ズ指示セラレタル指揮官又ハ其ノ指名シタル代表者ニ対シテハ即刻連絡スベキモノトス但シ細目ニ関シテハ聯合国最高司令官ニ依リ変更ノ行ハルルコトアルベク右指揮官又ハ代表者ノ 命令ハ完全ニ且即時実行セラルベキモノトス
(イ)支那(満洲ヲ除ク)、台湾及北緯十六度以北ノ仏領印度支那ニ在ル日本国ノ先任指揮官並ニ一切ノ陸上、海上、航空及補助部隊ハ蔣介石総帥ニ降伏スベシ
(ロ)満洲、北緯三十八度以北ノ朝鮮、樺太及千島諸島ニ在ル日本国ノ先任指揮官並ニ一切ノ陸上、海上、航空及補助部隊ハ「ソヴィエト」極東軍最高司令官ニ降伏スベシ
(ハ)
(一)「アンダマン」諸島、「ニコバル」諸島、「ビルマ」、 「タイ」国、北緯十六度以南ノ仏領印度支那、 「マライ」、 「スマトラ」、 「ジャヴァ」、小「スンダ」諸島(「バリ」、 「ロンボク」及「チモール」ヲ含ム)、 「ブル」、 「セラム」、「アンボン」、「カイ」、「アル」、「タニンバル」及「アラフラ」海ノ諸島、「セレベス」諸島、「ハルマヘラ」諸島並ニ蘭領「ニュー、ギニア」ニ在ル日本国ノ先任指揮官並ニ一切ノ陸上、海上、航空及補助部隊ハ東南亜細亜軍司令部最高司令官ニ降伏スベシ
(二)「ボルネオ」、英領「ニュー、ギニア」、「ビスマルク」諸島及「ソロモン」諸島ニ在ル日本国ノ先任指揮官並ニ一切ノ陸上、海上、航空及補助部隊ハ濠洲陸軍最高司令官ニ降伏スベシ
(ニ)日本国委任統治諸島、小笠原諸島及他ノ太平洋諸島ニ在ル日本国ノ先任指揮官並ニ一切ノ陸上、海上、航空及補助部隊ハ合衆国太平洋艦隊最高司令官ニ降伏スベシ
(ホ)日本国大本営並ニ日本国本土、之ニ隣接スル諸小島、北緯三十八度以南ノ朝鮮、琉球諸島及「フィリピン」諸島ニ在ル先任指揮官並ニ一切ノ陸上、海上、航空及補助部隊ハ合衆国太平洋陸軍部隊最高司令官ニ降伏スベシ
(ヘ)前記各指揮官ノミガ降伏ヲ受諾スルノ権限ヲ付与セラレタル聯合国代表者ニシテ日本国軍隊ノ降伏ハ総テ右指揮官又ハ其ノ代表者ノミニ対シ為サルベシ
日本国大本営ハ更ニ日本国国内及国外ニ在ル其ノ指揮官ニ対シ何レノ位置ニ在ルヲ問ハズ一切ノ日本国軍隊又ハ日本国ノ支配下ニ在ル軍隊ヲ完全ニ武装解除シ且前記聯合国指揮官ニ依リ指定セラルル時期及場所ニ於テ一切ノ兵器及装備ヲ現状ノ儘且安全ニシテ良好ナル状態ニ於テ引渡スベキコトヲ命ズ
追テ指示アル迄日本国本土内ニ在ル日本国警察機関ハ本武装解除規定ノ適用ヲ免ルルモノトス警察機関ハ其ノ部署ニ留ルモノトシ法及秩序ノ維持ニ付其ノ責ニ任ズベシ
右警察機関ノ人員及武器ハ規定セラルルモノトス
二 日本国大本営ハ聯合国最高司令官ニ対シ本命令受領ノ後遅滞ナク日本国及日本国ノ支配下ニ在ル一切ノ地域ニ於ケル左ノ諸点ニ関スル完全ナル情報ヲ提供スベシ
(イ)一切ノ陸上、海上、航空及防空部隊ノ位置及将兵ノ数ヲ示ス表
(ロ)一切ノ陸軍、海軍及非軍用航空機ノ数、型式、位置及其ノ状態ニ関シ完全ナル情報ヲ与フル表
(ハ)日本国ノ及日本国ノ支配スル一切ノ水上及潜水海軍艦艇並ニ補助海軍艦艇ニシテ就役中ノモノ又ハ就役中ニ非ザルモノ及建造中ノモノノ位置、状態及運行ヲ示ス表
(ニ)日本国ノ及日本国ノ支配スル一切ノ総噸数百噸ヲ超ユル商船(嘗テ聯合国ノ何レカニ属シ現ニ日本国ノ権内ニ在ルモノヲ含ム)ニシテ就役中ノモノ又ハ就役中ニ非ザルモノ及建造中ノモノノ位置、状態、運行ヲ示ス表
(ホ)一切ノ機雷、機雷原其ノ他ノ陸上、海上又ハ空中ノ行動ニ対スル障害物ノ位置及施設状況並ニ右ニ関聯スル安全通路ニ関スル完全且詳細ナル地図附情報
(ハ)飛行場、水上機基地、対空防備施設、港、海軍基地、物資貯蔵所、常設及仮設ノ陸上及沿岸防備施設、要塞其ノ他ノ防備地域ヲ含ム一切ノ軍事施設及建造物ノ位置及説明
(ト)聯合諸国ノ俘虜及被抑留者ノ一切ノ収容所其ノ他ノ抑留所ノ位置
三 日本軍及民間航空所管当局ハ一切ノ日本国ノ陸軍、海軍及非軍用航空機ガ追テ其ノ処理ニ関シ通告アル迄陸上、海上又ハ艦上ニ留ルコトヲ保障スルモノトス
四 日本国ノ又ハ日本国ノ支配スル一切ノ型式ノ海軍艦艇及商船ハ聯合国最高司令官ノ指示アル迄之ヲ毀損スルコトナク保全シ且移動ヲ企図セザルモノトス航海中ノ船舶ニ於テハ直ニ一切ノ種類ノ爆発物ヲ無害ト為シ海中ニ抛棄スルモノトス航海中ニ非ザル船舶ニ於テハ直ニ一切ノ種類ノ爆発物ヲ沿岸ノ安全ナル貯蔵所ニ移転スルモノトス
五 責任アル日本国ノ及日本国ノ支配下ニ在ル軍及行政当局ハ左記ヲ保障スルモノトス
(イ)一切ノ日本国ノ機雷、機雷原其ノ他ノ陸上、海上及空中ノ行動ニ対スル障害物ハ何レノ位置ニ在ルヲ問ハズ聯合国最高司令官ノ指示ニ従ヒ之ヲ除去ス
(ロ)航海ヲ便ナラシムル一切ノ施設ハ直ニ之ヲ復活ス
(ハ)前記(イ)ノ実施迄一切ノ安全通路ハ之ヲ開放シ且明瞭ニ標示ス
六 責任アル日本国ノ及日本国ノ支配下ニ在ル軍及行政当局ハ聯合国最高司令官ヨリ追テ指示アル迄左記ヲ現状ノ儘且良好ナル状態ニ於テ保持スルモノトス
(イ)一切ノ兵器、弾薬、爆発物、軍用ノ装備、貯品及需品其ノ他一切ノ種類ノ戦争用具及他ノ一切ノ戦争用資材(本命令第四項ニ特ニ規定スルモノヲ除ク)
(ロ)一切ノ陸上、水上及空中運輸及通信ノ施設及装置
(ハ)飛行場、水上機基地、対空防備施設、港及海軍基地、物資貯蔵所、常設及仮設ノ陸上及沿岸防備施設、要塞其ノ他ノ防備地域ヲ含ム一切ノ軍事施設及建造物並ニ一切ノ此等ノ防備施設、軍事施設及建造物ノ設計及図面
(ニ)一切ノ戦争用具並ニ軍事機関又ハ準軍事機関ガ其ノ運営ニ関シ現ニ使用シ又ハ使用セントスル他ノ資材及資産ヲ製造スル為又ハ此等ノ製造若ハ使用ヲ容易ナラシムル為計畫セラレ又ハ之ニ充当セラレタル一切ノ工場、製造場、工作場、研究所、実験所、試験所、技術上ノ要目(「データ」)、特許、設計、図面及発明
七 日本国大本営ハ聯合国最高司令官ニ対シ本命令受領ノ後遅滞ナク前記第六項(イ)、(ロ)及(ニ)ニ掲グル一切ノ項目ニ関シ其ノ数量、型式及位置ヲ示ス完全ナル表ヲ提供スベシ
八 一切ノ兵器、弾薬及戦争用具ノ製造及分配ハ直ニ之ヲ終止スルモノトス
九 日本国ノ又ハ日本国ノ支配下ニ在ル官憲ノ権内ニ在ル聯合諸国ノ俘虜及被抑留者ニ関シテハ
(イ)一切ノ聯合諸国ノ俘虜及被抑留者ノ安全及福祉ハ細心ノ注意ヲ以テ之ヲ保持スルモノトシ右ハ聯合国最高司令官ガ其ノ責任ヲ引継グニ至ル迄適当ナル食糧、住居、被服及医療ヲ確保スルニ必要ナル管理及補給ノ業務ヲ含ムモノトス
(ロ)聯合諸国ノ俘虜及被抑留者ノ収容所其ノ他ノ抑留所ハ夫々其ノ設備、貯蔵品、記録、武器及弾薬ト共ニ直ニ之ヲ右俘虜及被抑留者中ノ先任将校又ハ指定セラレタル代表者ニ引渡シ其ノ指揮下ニ入ラシムルモノトス
(ハ)聯合国最高司令官ノ指示スル所ニ従ヒ俘虜及被抑留者ハ聯合国官憲ガ之ヲ引取リ得ベキ安全ナル場所ニ輸送セラルルモノトス
(ニ)日本国大本営ハ聯合国最高司令官ニ対シ本命令受領ノ後遅滞ナク一切ノ聯合国ノ俘虜及被抑留者ノ所在ヲ示ス完全ナル表ヲ提供スルモノトス
十 一切ノ日本国ノ及日本国ノ支配下ニ在ル軍及行政当局ハ聯合国軍隊ノ日本国及日本国ノ支配スル地域ノ占領ヲ援助スベシ
十一 日本国大本営及日本国当該官憲ハ聯合国占領軍指揮官ノ指示アル際一般日本国民ノ所有スル一切ノ武器ヲ蒐集シ且引渡ス為ノ準備ヲ為シ置クベシ
十二 日本国ノ及日本国ノ支配下ニ在ル軍及行政官憲並ニ私人ハ本命令及爾後聯合国最高司令官又ハ他ノ聯合国軍官憲ノ発スル一切ノ指示ニ誠実且迅速ニ服スルモノトス本命令若ハ爾後ノ命令ノ規定ヲ遵守スルニ遅滞アリ又ハ之ヲ遵守セザルトキ及聯合国最高司令官ガ聯合国ニ対シ有害ナリト認ムル行為アルトキハ聯合国軍官憲及日本国政府ハ厳重且迅速ナル制裁ヲ加フルモノトス
十三 日本国大本営ハ聯合国最高司令官ニ対シ前記第二項、第七項及第九項(ニ)ニ要求セラルル情報ヲ提供シ得ベキ最モ速ナル日時ヲ直ニ通報スルモノトス
「官邸の誰が…踏み込まず 東電「炉心溶融」公表遅れ 検証委報告:遅れではなく隠蔽、本部長菅元首相の決済がないならより深刻」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/865.html
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炉心溶融「官邸からこの言葉使わぬように」
東電検証委の報告書要旨
2016/6/16 22:10
【「炉心溶融」に係る通報関係等】
▽東電の記者会見での説明
東京電力福島第1原子力発電所では2011年3月12日の早朝から、1号機の炉心損傷の可能性を認識していた。同日の記者会見で小森明生常務は、炉心溶融の可能性がある旨の回答をしていた。
14日午後8時40分ごろからの記者会見中に、武藤栄副社長が、その席上で広報担当社員から「炉心溶融」などと記載された手書きのメモを渡され「官邸から、これとこの言葉を使わないように」と耳打ちをされた。広報担当社員はその指示を清水正孝社長から直接受けたと説明している。
▽官邸から東電に対する指示の有無
官邸に詰めていた東電社員は、福島第1原発1号機の原子炉建屋爆発後の写真を官邸への事前連絡なしに公表されたことに関し12日夜、首相及び官房長官から不快感を示されたため、13日午前に、清水社長に官邸に説明に赴くように進言した。清水社長は、同日午後2時頃、小森常務らと官邸を訪れ、官房長官執務室に清水社長1人が入室して、官房長官と面談した。
清水社長が東電本店に戻ってから、東電の部長に対し、今後の記者発表では、事前に公表資料について官邸の了解を得るように指示した。対外的に炉心溶融を認めることについては、慎重な対応をするようにとの要請を受けたものと受け止めていたことが推認される。
▽当第三者検証委員会の原災マニュアルに関する認定
福島第1原発の緊急時対策班の要員らが、同マニュアルを確認しながら、通報等の業務にあたっていたものと認定した。通報文に「炉心溶融に当たる」と記載した場合、その通報文が地方自治体など関係諸機関にファクス送信されることから、その通報内容がマスコミに知られる蓋然性が高かったといえる。そのため、福島第1原発において、緊急時対策班は、通報文への記載を避けた可能性が濃厚である。
【その他の通報について】
▽11〜15日までの通報
12日午後3時36分には、1号機原子炉建屋が水素爆発。通報は午後4時27分だった。爆発後の放射線量変化や被害状況の報告は見当たらず、通報内容はやや不十分であり、通報にも時間がかかりすぎていると評価をせざるを得ない。
▽検証委が特に妥当性を問題視した通報
放射線量は、敷地境界付近の数値の測定にとどまっていた。状況判断には、原子炉付近での測定数値の報告が望ましかった。放射線量の顕著な上昇があった場合には、改めて通報する必要があった。例えば、15日の4号機水素爆発後の午前10時22分に付近で測定された毎時100ミリシーベルト、3号機付近で毎時400ミリシーベルトの結果は通報すべきだった。
原子炉爆発後の現場の状況や影響に関する情報提供は必ずしも十分ではなかった。ベントが決定した際にも、具体的にいつ実施するかなどの情報提供が不十分だった。
【新潟県および技術委員会と東電の協議】
18日の新潟県知事に対する東電社員からの説明では、原子炉の状況が不明のため炉心溶融したとも、していないとも言っていないが、知事側は炉心溶融を否定したと受け止めた。12年7月からの技術委員会では社員が「炉心溶融」という用語の定義が定まっていないという誤った報告をしていた。事故当時は「炉心溶融」の判定基準を知らず、事故後には判定基準が原災マニュアルから削除されたため、気づかなかった。
【提言など】
▽通報や報告について
官庁や地元住民に必要な情報を迅速かつ正確に通報する姿勢を徹底する必要がある。新潟県や技術委員会への説明は、社内の情報共有が不足していたことが原因で、共有の方策の検討が必要不可欠だ。
▽訓練の必要性
全電源が喪失した場合や配電盤が使用できない状態の防災訓練を実施していれば、適切な通報ができた可能性もある。
(肩書は当時)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG16H4J_W6A610C1EE8000/?nbm=DGXLASGG16H4T_W6A610C1EA1000
今月23日、EU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票が行われるイギリスで、16日、EUへの残留を呼びかけていた女性の下院議員が銃で撃たれるなどして死亡し、警察は、現場近くで拘束した男から事情を聴いて動機などを調べています。
イギリス中部ウエストヨークシャー州の図書館の前で、16日午後1時ごろ、日本時間の午後9時ごろ、野党・労働党のジョー・コックス下院議員が男に銃で撃たれたあと刃物のようなもので刺されました。
コックス議員は、病院で手当てを受けていましたが、地元の警察は、コックス議員が死亡したと発表しました。
警察によりますと、近くにいた77歳の男性もけがをしたということです。
警察は、現場近くで52歳の男を拘束するとともに銃などを押収しました。
コックス議員は、ウエストヨークシャー州出身の41歳で、本人のフェイスブックによりますと、今月23日に行われるEUからの離脱の賛否を問う国民投票では、EUへの残留を呼びかけていました。
今回の事件と国民投票との関連は分かっていませんが、警察は、拘束した男から事情を聴いて動機などを調べています。
事件を受けて、国民投票で残留を支持する団体は、16日のすべての運動を取りやめると声明で明らかにし、離脱を支持する団体もロイター通信の取材に対して、この日の運動を取りやめることを明らかにしました。
経済成長に伴う中間層の娯楽支出の拡大を背景に、アジアのテーマパーク間の集客競争が激化している。アトラクションへの投資やテーマ設定の巧拙が集客を左右する。
米テーマエンターテインメント協会の調査によると、アジア太平洋のテーマパークトップ20の入園者数は2015年に合計1億3000万人と前年比6.9%増えた。
新たな主戦場は中国本土だ。マカオの隣の広東省珠海市に14年開業した珠海長隆海洋王国は、香港を訪れていた顧客層を取り込み4位に急浮上した。中国宋代の歴史文化というテーマが支持を集め、杭州宋城も25%増。半面、長年アジア首位の東京ディズニーランド(千葉県)は伸び悩む。
地元の中国人だけでなくアジア観光客の流れを変えそうなのが、16日に正式開業する上海ディズニーランドだ。ピーク時の入場料は499元(約8100円)と東京を上回るのに、初日の入場券はすぐに売り切れた。入園者数は初年度から1000万人を超えそうだ。
上海の3分の1の規模にとどまる香港ディズニーランドは15年度に赤字に転落した。従業員のリストラを余儀なくされるなど優勝劣敗が鮮明だ。
[日経新聞6月10日朝刊P.5]
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上海ディズニーが開園、魔法を実現するハイテク
人民網日本語版 2016年06月16日13:33
中国大陸部初のディズニーランド、上海ディズニーランドが16日、正式に開園した。記者はこれまでに2度にわたり建設現場を取材し、ファンタジックな世界に隠されている「魔法」の秘密に迫った。科技日報が伝えた。
パレードのルートには、世界最新の科学技術の成果が集まっている。電線やケーブルは事前に音響や街灯の中に埋め込まれ、制御室と連結している。車が通過すると、ワイヤレス感知・認識システムにより、さまざまな効果を生むことができる。
プロジェクト技術マネージャーの張友傑氏は、「パーク内を一周しても2時間もかからないが、地下の配線・配管の長さは1100キロに達し、上海市から天津市までの距離に相当する。パーク内の水、暖房、電気、ガスなどの配線・配管のほぼすべてがここを通過すし、上下11層に重なって交錯しているところもある。配線・配管は地下9メートルに埋められている。さまざまな複雑な状況に対応するため、プロジェクト部は建築情報模型「BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)」技術を使い、建築物の実際の情報をシミュレートした。伝統的な二次元の図面と比べ、BIMは動的な3D図面を提供するようなもので、すべてをより正確に把握できる」と説明した。
10万枚以上の図面を実際の建築物と正確に結びつけるため、天宝ロボット、3Dリバーススキャン技術などの「ハイテク」が駆使されている。図面や座標などの情報を入力し、アングルを設定するだけで、システムは自動的にレイアウトが必要な方向を向き、360度の全方位の捕捉を行い、プロジェクトの実情と設計の誤差を分析する。(編集YF)
「人民網日本語版」2016年6月16日
「中国軍の大部隊がインド北部に侵入!中国兵約250人が東カメン地区に居座る!日本の領海侵犯とほぼ同時期、領有権を主張!」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/878.html
「中印の紛争がチョコのおかげで解決:裏に何があるかは不明」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/887.html
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上海協力機構、新加盟国受け入れプロセスの重要な一歩
人民網日本語版 2016年06月16日15:54
上海協力機構(SCO)首脳会議第16回会合が6月下旬にウズベキスタンの首都タシケントで開催される。今回の会合は、加盟国のトップがロシアのウファで行われた前回サミットで提起されたインドとパキスタンの加盟受け入れプロセス開始の決定を着実に実施する場になり、新メンバーの受け入れプロセスがさらに重要な一歩を踏み出す場となる。人民日報が伝えた。
タシケントサミットの前段階として、SCO外相会議が5月24日に同じくタシケントで開催された。会議ではインド、パキスタンの加盟に際しての義務覚書が審議可決され、サミットでの批准・署名が提起された。どちらも両国の加盟に向けた重要な一歩だ。
ウファサミットでは両国の加盟プロセス開始の決議のほか、ベラルーシをオブザーバーとして受け入れること、アゼルバイジャン、アルメニア、カンボジア、ネパールを対話パートナーとすることが決議された。いずれもSCOの発足以来、最も重要な組織の変革であり、SCOの代表的役割や国際的な役割を高める上でプラスになり、SCOの今後の発展に深く大きな影響を及ぼすことになる。
外交部(外務省)の李恵来部長補佐は15日のブリーフィングで、「中国は、意欲があり、基準を満たした国が上海協力機構の加盟国申請を行うことを歓迎し、SCOとの協力を絶えず深めていく。またすべての加盟国とともに、SCOの加盟国受け入れの法的文書と話し合いで一致した原則に基づき、関連国のSCO加盟の申請を真剣に検討していきたい」と述べた。
ロシアのイタルタス通信の14日付報道によると、SCOのアリモフ事務局長は、「両国のほかにも5カ国からSCOの対話パートナーの申請があり、現在、すべての申請について審議を進めている」と述べた。
現在、SCOの加盟国は中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの6カ国。オブザーバーはベラルーシ、モンゴル、インド、イラン、パキスタン、アフガニスタン。対話パートナーはトルコ、スリランカ、アルメニア、ネパール、カンボジア、アゼルバイジャンとなっている。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年6月16日
「上海協力機構、新加盟国受け入れプロセスの重要な一歩:インドとパキスタンが加盟へ」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/304.html
韓流文化の影響の拡大と地理的優位性から、韓国を留学先に選ぶ中国人学生がますます増えつつある。韓国政府も地方経済活性化の原動力として、中国人留学生に着目する動きがでている。韓国教育部(省)は先日、「Study Korea 2023」計画を始動、2023年までに留学生数を現在の2倍にあたる20万人にするとし、ソウル以外の地方大学で学ぶ中国人留学生に対しては、奨学金を出すなどして約3万人を地方都市に呼び込み、それによって地方経済を活性化させたい考えを発表した。
地方経済に貢献する中国人留学生
統計によると、中国は韓国の大学最大の留学生源となっており、中国人留学生が占める割合は全体の6割近くに上っている。文化、経済、先端技術といった分野が毎年多くの中国の若者を韓国へと引き付けている。
記者がソウル周辺の主要大学に足を踏み入れてみると、至る所で中国語の会話が耳に入った。今では韓国の主要大学周辺には中国語の看板が林立し、中華料理レストランから中国系スーパーまでが軒を連ね、近年では中国系のカラオケボックスやネットバー、ドリンクバー、漫画喫茶も登場し、中国の朝食を提供する店まで現れ、立派な中華街と化している。
首都ソウルで中国人留学生が大学生たちの暮らしを変えたとなれば、その影響は地方都市ではさらに顕著となる。ソウルから地下鉄で1時間ほど走れば、忠清南道牙山市(チュンチョンナムド・アサンシ)に入る。この地の住民である金さんの話によると、中国人留学生が訪れる前は、大学近辺は「意気消沈」し、地域経済も壊滅的な状態となっていた。しかし、中国人留学生がやってくると、まるで活性剤でも打たれたかのように地方経済はみるみる回復し、学生数が増えるに連れて、中国人学生ばかりか韓国人学生も学校周辺の店に戻ってくるようになったという。
地元政府の統計によると、牙山地区の大学周辺の空き部屋率は、2008年には69%に達していたが、地方経済の活性化によって、2015年には30%以下まで下がった。
韓国の大学の窮地
韓国の大学は現在窮地に立たされており、これも留学生を引き付けたい大きな要因となっている。
この窮地の根本的問題は韓国の下がり続ける出生率にある。出生率が下がり続けることで入学者数も減少を続けており、韓国の教育界は大きな危機に直面することになった。
減少する出生率とは反対に、高齢化は増加の一途を辿り、総人口に占める高齢者の割合は2000年に7.2%だったのが、13年には12.2%に膨れ上がっている。この勢いが続けば、韓国の人口は2018年から大幅に減少し、2750年に韓国は無人国家となるという悲観的な予測をする学者まで出てきている。
それだけではない。近年は韓国の内需市場に見切りを付けて中国といった海外市場に目を向ける韓国企業が増え、これによって企業の「グローバルな視野をもつ人材」への需要が拡大、海外留学を選択する韓国人学生は大幅に増え、国内の教育産業は赤字からの脱却の術を見出せずにいる。
困窮の中、やむを得ず考え出された解決策が留学生に依存するといもの。しかし、韓国には学生募集の制限があり、大学側の政府に対する不満は膨らんでいる。年に一度開かれる「韓国私立大学長会議」で、釜山外国語大学のある教授は取材に対し、「韓国政府は過度に大学の自主権を押さえ込んでいるところがある。昨今世界各国が留学政策を緩める方向で進んでいるにも関わらず、韓国はその逆を行っている」と不満を漏らし、大学により多くの自主権を与えるよう政府に求めた。(編集MI)
「人民網日本語版」2016年6月16日
【北京=原田逸策】中国で民間企業による投資が失速し始めた。国家統計局の13日の発表では、1〜5月累計の民間投資額は前年同期に比べて3.9%増にとどまり、固定資産投資全体の伸び率が16年ぶりに10%を割り込む主因となった。過剰設備を抱えた鉄鋼や石炭関連の投資が大幅に減った。好調だった個人消費にも陰りがみられ、中国経済は「けん引役不在」の様相を強めている。
設備投資の減速が経済回復の足を引っ張る(深圳の自動車工場)=ロイター
1〜5月の固定資産投資は前年同期比9.6%増と、1〜4月より伸び率が0.9ポイント下がった。国有企業による投資(前年同期比23.3%増)やインフラ投資(同20%増)は伸びたが、民間投資の失速を補えなかった。
中国は公的部門の比重が大きいものの民間部門は投資全体の6割を占める。2015年は民間投資と投資全体の伸び率が約10%で一致していたが、16年に入って民間投資が失速。月を追うごとに伸び率が鈍化している。
民間投資では鉄鉱石(32.7%減)や石炭(27.4%減)の減少が目立つ。両部門は国有企業ばかりと思われがちだが、実際には「鉄鋼メーカーの50%超は民間企業」(楼継偉財政相)という。
習近平指導部は過剰設備の廃棄など構造改革を掲げており、政策に敏感な民間企業が投資に慎重になった可能性がある。統計局の盛来運報道官も13日の記者会見で「生産能力削減は短期的には経済成長に対し(下押し)圧力となる」と認めた。
投資依存の経済から消費主導の経済への転換は中国の長年の課題だ。1〜3月の国内総生産の伸びへの寄与度では消費が投資を上回り、経済の「体質改善」は進みつつある。ただなお依存度が高い投資分野で民間部門が失速し、公共投資に頼らざるを得なくなる展開は誤算。政府はすぐに9つの調査チームを全国18の省や市に派遣し、投資の実態調査に乗りだした。
ただ投資以外も状況は心もとない。5月の工業生産は前年同月比6%増と伸び率は4月から横ばい。輸出の前年割れが続き、生産にも力強さはない。逆に国際社会から過剰生産を批判されている粗鋼(1.8%増)や鋼材(2.1%増)は4月より伸び率が拡大した。
気がかりなのは好調だった消費に伸び悩み気配が見えることだ。5月の社会消費品小売総額は前年同月比10%増。4月より伸び率が0.1ポイント縮小し、昨年4月以来の低さだった。可処分所得の伸びが鈍り、不動産価格の上昇も家計を圧迫する。
その中で自動車は同8.6%増と「全体を下支えする重要な役割を果たした」(盛報道官)。中国汽車工業協会が13日発表した5月の新車販売台数(工場出荷ベース)は前年同月比9.8%増の209万1700台。3カ月連続のプラスで、伸び率も4月(6.3%増)から拡大した。
景気対策の目玉として政府が昨年10月に開始した小型車向け減税の効果が続く。
減税対象の排気量1600cc以下の小型車販売の伸び率は18.8%と大きく、乗用車全体の7割強を占めた。内陸部の主要都市・重慶の仏プジョー系の新車販売店では営業担当者が接客に追われる。ただし「減税が年内いっぱいで終わるため(現在の活況は)駆け込み需要の面が強く、その後の反動が怖い」と話す。
[日経新聞6月14日朝刊P.9]
アメリカとロシアはシリア領内でのテロとの戦いで、「お互い密に協力して合っている」と、CIA長官ジョン・ブレナン氏が伝え、米上院委員会の公聴会でこう語った。
「紛争解決の件に関して私たちはロシアと協力しており、テロとの戦いのため何ができるかを決めようと試みている」
2001年3月からシリアでは武力抗争が続いていて、その結果、国連のデータによれば、22万以上の人が亡くなった。政府軍は、様々な武装集団に属する戦闘員と対立している。最も活発的なテロ集団は、「ダーイシュ(IS,イスラム国)」と、「アル=ヌスラ戦線(「アルカイダ」のシリア支部)」だ。
転載するNHKの記事が見出しを「東電調査結果に 民進 枝野氏 事実関係を否定」となっていることでもわかるように、今回も取材はしていると思われる菅元首相の責任を曖昧にしている。
記事の中で、菅元首相は、「総理大臣であった私自身が、東京電力や、原子力安全・保安院に、“メルトダウン”、あるいは“炉心溶融”という表現を使わないように指示したことは一度もない」と言い、「委員会は、東京電力が依頼した弁護士などで構成されており、第三者とは言えない。まず、東京電力は、東京電力関係者の政府の事故調査・検証委員会での全ての証言と、当時のテレビ会議の記録を全て公開するべきだ。そのことが、事故の検証にとって、最も必要なことだ」と反論している。
東電に対する情報コントロールが原子力安全・保安院の“独断専横”で行われた可能性もあるので、現段階で菅元首相の主張をウソと言うつもりはない。
しかし、菅元首相の言い分は、私など部外者の言い分なら認められるとしても、当時、原子力災害対策本部本部長であった人物には認められないものである。
(原子力災害対策本部も会議録を“秘匿”しているが(会議録を採っていないと主張)、それを含め、すべての会議録や証言を公表すべきである)
報道担当であった枝野元幹事長はともかく、福島第一原発の重大事故発生を受け「原子力緊急事態宣言」を発し、対応のために設置した原子力災害対策本部の長にあった菅元首相は、炉心溶融(メルトダウン)という用語を東電に使うななどと指示したことはないと反論して胸を張れる立場にはない。
福島第一原発事故は、内閣が「原子力緊急事態宣言」を発した時点から、事故対応の最終責任が東電から政府に移行している。
(当時の菅内閣は、「原子力緊急事態宣言」の“公表”さえ意図的に遅延させている。遅くとも3月11日午後5時までに原発の重大事故発生を国民向けに公表しなければならなかった。しかし、福島県内向けや一部マスメディアサイトなどで情報伝達があったが、NHK総合テレビが「原子力緊急事態宣言」を全国放送で報じたのは午後9時20分過ぎである。ところがご存じのように、福島第一1号機は、その公表よりずっと前、午後6時頃にはメルトダウンを起こしていた。この初手の“情報操作”問題さえ、今もってきちんと総括されていないのである)
事故関連データなどは事業主体である東電に収集させるとしても、そのデータに基づく事故状況の最終判断は、菅元首相が本部長である原子力災害対策本部が責任をもって担う。
※原子力災害対策特別措置法
(原子力災害対策本部の所掌事務)
第十八条 原子力災害対策本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 緊急事態応急対策等を的確かつ迅速に実施するための方針の作成に関すること。
(以下略)
福島第一の事故状況を把握する最終最高の主体は原子力災害対策本部であり、人格としてはその長である内閣総理大臣なのだから、当時の菅首相が、福島第一のそれぞれの号機でいつメルトダウンやメルトスルーが起きたのか承知していなければ職責をまったく果たしていなかったことになる。
今回の“炉心溶融”をめぐる情報操作に関して言えば、菅元首相は、東電が会見などで“勝手に”メルトダウンの事実を曖昧にしたり隠したりしていたら、事実をきちんと伝えるよう指導しなければならない立場にあったのである。
菅元首相は、願いとする脱原発のためにも、「当時、総理大臣官邸には、政治家や官僚に加え、東京電力関係者もいた。『官邸側』とは具体的に誰なのかを明らかにすべきだ。この件で、第三者委員会と称するところから、私への問い合わせは一切なかった」という防御の姿勢ではなく、当時の最高責任者(原子力災害対策本部長)として、“情報操作”にかかわる実態を明らかにする姿勢を見せるべきであろう。
※関連記事
「官邸の誰が…踏み込まず 東電「炉心溶融」公表遅れ 検証委報告:遅れではなく隠蔽、本部長菅元首相の決済がないならより深刻」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/865.html
「福島原発「炉心溶融使うな」、清水東電元社長が指示:官邸からの指示により指示:官邸は東電の事故関連発表前に検閲」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/848.html
「「炉心溶融ということば使うな」 当時の社長が指示:国家対応で当事者能力がなかった東電、政府の責任をぼやかすメディア」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/850.html
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東電調査結果に 民進 枝野氏 事実関係を否定[NHK]
6月17日 13時58分
福島第一原子力発電所の事故を巡り、東京電力が依頼した委員会が、当時の社長が官邸からの指示だとして、“炉心溶融”ということばを使わないよう指示していたことを明らかにしたことについて、当時、官房長官だった民進党の枝野幹事長が記者会見し、「指示や要請をした事実はなく厳重に抗議する」と否定し、東京電力と委員会への法的措置も検討する考えを示しました。
東京電力が、福島第一原子力発電所の事故のあと、2か月以上、炉心溶融いわゆるメルトダウンが起きたことを認めなかった問題で、東京電力が依頼した弁護士らの委員会は、当時の社長が官邸からの指示だとして、“炉心溶融”ということばを使わないよう指示していたという検証結果を発表しました。
これについて、事故当時、民主党政権で官房長官を務めていた民進党の枝野幹事長は、17日、国会内で記者会見し、「当時の菅総理大臣や私が、“炉心溶融”ということばを使わないよう指示や要請をした事実はない。著しく不適切で厳重に抗議する」と述べ、否定しました。
そのうえで、枝野氏は「菅氏や私への聞き取りなどはなされておらず、東京電力の一方的な釈明を並べたものになっており、甚だ不誠実だ。菅氏や私の信用と名誉を毀損するものであり、民進党の信用も毀損する。参議院選挙を目前に、一方的で、不誠実な調査結果と称するものを公表することは、選挙妨害との疑いも免れない」と述べ、東京電力と委員会への法的措置も検討する考えを示しました。
菅元総理「指示は一度もない」
民進党の菅元総理大臣は、コメントを発表し、「当時、総理大臣であった私自身が、東京電力や、原子力安全・保安院に、“メルトダウン”、あるいは“炉心溶融”という表現を使わないように指示したことは一度もない」としています。
そのうえで、菅氏は、「当時、総理大臣官邸には、政治家や官僚に加え、東京電力関係者もいた。『官邸側』とは具体的に誰なのかを明らかにすべきだ。この件で、第三者委員会と称するところから、私への問い合わせは一切なかった」としています。
さらに、菅氏は、「委員会は、東京電力が依頼した弁護士などで構成されており、第三者とは言えない。まず、東京電力は、東京電力関係者の政府の事故調査・検証委員会での全ての証言と、当時のテレビ会議の記録を全て公開するべきだ。そのことが、事故の検証にとって、最も必要なことだ」と指摘しています。
第三者委員会 官邸側への聞き取り行わず
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、炉心溶融、いわゆるメルトダウンの公表が遅れたことについて、東京電力が設置した第三者委員会は16日、当時の社長が官邸からの指示だとして“炉心溶融”ということばを使わないよう指示していたなどとする検証結果をまとめましたが、その際、官邸側への聞き取り調査は行われませんでした。
理由について、第三者委員会の田中康久委員長は記者会見で、官邸側を調査する権限はなかったとしたうえで、「事故当時の官邸の対応はこれまでの事故調査報告書で一定の調査がされている。官邸側に調査の対象を広げるとさらに時間がかかり、検証結果をいち早くまとめるには時間が限られていた」と説明しました。
官邸の具体的な指示について検証結果では、清水社長などへのヒアリングを行ったものの、官邸の誰から、どのような指示や要請を受けたかは解明できなかったとしています。
菅官房長官「一層の事実解明を」
菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で、「新潟県の技術委員会と東京電力との間で検証が行われており、事故発生当時の官邸の様相など一層の事実の解明に取り組んでもらいたい」と述べ、さらなる事実解明が必要だという認識を示しました。
そのうえで菅官房長官は、「危機管理では、事実に基づいて正確に国民に伝えることが極めて大事だ。私自身、危機管理を行うにあたって、そうしたことをしっかりと心にとめながら対応をしている」と述べました。
一方で、菅官房長官は、記者団が政府として独自の調査を行うか質問したのに対し、「国会や政府の事故調査委員会で膨大な聞き取り調査などを含んだ報告書が取りまとめられており、今後、新たに調査することは考えていない」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160617/k10010559671000.html?utm_int=all_side_ranking-access_001
「原発の安全、立場の違い浮き彫り 高浜再稼働差し止め:司法を使って脱原発の動きを見せた安倍政権」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/249.html
「<高浜原発>3、4号機再稼働差し止め 福井地裁、仮処分:司法の独立性が希薄な日本では政権の意思とも...」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/229.html
「司法が止めた原発:「原発メルトダウン危機の88時間」のようなインチキ総括しかできないデタラメ状況で再稼働停止は当然」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/345.html
「原発差し止め今度は認めず 司法が揺らすエネ政策:大都市圏周辺は不稼働、人口疎の地方で一部再稼働というのが政府方針らしい」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/127.html
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高浜原発 運転停止の仮処分 効力停止の申し立て退ける[NHK]
6月17日 11時01分
福井県にある高浜原子力発電所3号機と4号機について、大津地方裁判所はことし3月に運転停止を命じた仮処分の決定の効力を停止するよう求める関西電力の申し立てを退けました。
福井県にある高浜原発3号機と4号機について大津地方裁判所はことし3月、「福島の原発事故を踏まえた事故対策や緊急時の対応方法に危惧すべき点があるのに関西電力は十分に説明していない」として稼働中の原発では初めて、運転の停止を命じる仮処分の決定を出しました。
関西電力は決定の取り消しを求めて異議を申し立てるとともに、仮処分の決定の効力を停止するよう申し立てていました。
これについて大津地方裁判所の山本善彦裁判長は「関西電力は原発に具体的な危険性はないと主張するが、福島の原発事故の原因に関する説明などが不足している。国の新しい規制基準に適合したことだけで安全性が確保されたとは言えず申し立てを認める理由がない」として、効力の停止を求める申し立てを退けました。
山本裁判長はことし3月に運転停止を命じる決定を出したのに続いて、申し立てに対する判断も行いました。
一方、仮処分の決定の取り消しを求める申し立てについては今後判断することになっていて、高浜原発3号機と4号機は決定が取り消されないかぎり、再稼働できない状態が続くことになります。
関西電力「誠に遺憾」
仮処分の効力を停止する申し立てが退けられたことについて関西電力は、「申し立てが認められず誠に遺憾だ」とするコメントを発表しました。一方、関西電力は、仮処分の決定そのものの取り消しを求める申し立ても行っていて、今後、裁判所から判断が示されることになっています。これについて関西電力は「高浜3号機と4号機の安全性が確保されていることについて、裁判所にご理解いただき早期に仮処分命令を取り消していただきたい」としています。
「高浜原発 運転停止の仮処分 効力停止の申し立て退ける:3月に運転停止を命じた裁判長が関西電力の反訴を再び担当」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/912.html
「原発の安全、立場の違い浮き彫り 高浜再稼働差し止め:司法を使って脱原発の動きを見せた安倍政権」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/249.html
「<高浜原発>3、4号機再稼働差し止め 福井地裁、仮処分:司法の独立性が希薄な日本では政権の意思とも...」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/229.html
「高浜原発1・2号機、安全審査合格 老朽原発で初:3・4号機が司法判断で稼働できないのに...」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/528.html
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高浜原発3・4号機 8月核燃料取り出しへ[NHK]
6月17日 23時31分
福井県にある高浜原子力発電所3号機と4号機について、関西電力は運転停止を命じた裁判所の仮処分の決定に対する申し立てが退けられ、停止が長期化する可能性があるとして、ことし8月に原子炉から核燃料を取り出すことを決めました。
高浜原発3号機と4号機は、ことし1月から順次、再稼働しましたが、3月に大津地方裁判所が運転停止を命じる仮処分の決定を出し、運転できない状態が続いています。
関西電力は決定の取り消しを求めて異議を申し立てるとともに、仮処分の決定の効力を停止するよう申し立てていましたが、大津地方裁判所は17日このうち、効力停止の申し立てを退け、効力を維持する判断を示しました。
これを受けて関西電力は、運転停止が長期化する可能性があるとして、3号機と4号機の原子炉にある合わせて314体の核燃料を取り出し敷地内の燃料プールに移すと発表しました。
それによりますと、4号機はことし7月中旬から準備を始め8月上旬に、3号機は8月上旬に準備を始め8月下旬にそれぞれ3日間かけて核燃料を取り出すとしています。
これによってこれまで原子炉と燃料プール2か所ずつ4か所で行ってきた監視を燃料プールの2か所にするということです。
高浜原発の運転停止を命じた仮処分の決定を巡っては、残る異議の申し立てに対する判断が今後、示されますが、決定が覆らないかぎり運転できない状態が続きます。
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高浜1.2号機「工事計画」を認可 規制委、運転延長へ大詰め
原子力規制委員会は10日、稼働から40年以上過ぎた関西電力高浜原子力発電所1、2号機(福井県)の設備の詳細な設計を記した「工事計画」を認可した。これを受け、関電は週明けにも最長60年までの運転期間の延長に必要な最終書類を規制委に提出する。規制委は6月中にも国内の原発で初となる運転延長の認可を出す見通しだ。
東京電力福島第1原発事故後、原発の運転期間は原則40年となった。規制委が認めた場合は最長20年間延長できる。老朽原発の再稼働には、新規制基準に基づく安全審査のほか、工事計画、老朽化による機器の影響を検証する延長審査の3つで合格が求められている。
規制委は高浜1、2号機について、今年4月に安全審査に合格を出し、今回、工事計画を認可した。延長審査の主要な議論も今月2日までに終えた。
規制委、志賀2号機の審査会合再開
原子力規制委員会は10日、北陸電力志賀原子力発電所2号機(石川県)の再稼働の前提となる安全審査の会合を約1年9カ月ぶりに再開した。敷地内の断層や地盤の調査結果などについて北陸電から聴取した。同原発を巡っては断層を評価する有識者会合の議論を先行させたため、審査会合は事実上中断していた。北陸電は今後、追加でデータを示す方針だ。
[日経新聞6月11日朝刊P.4]
「高浜原発3・4号機 8月核燃料取り出しへ:運転停止仮処分に対する効力停止の棄却で運転停止長期化を覚悟」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/861.html
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/912.html#c1
スタンフォード大学は2050年までに人類はセックスを行わないようになるだろうとの予測を発表した。
少なくとも、人口を増やす目的での性行為は行われなくなる。もし性交渉が行われるとすれば、それは満足感を目的としたものに限定される。
この説を唱えているのは避妊薬を開発した同大学のカール・ジェラシー教授(91)。
ジェラシー氏によれば36年後には若い人の多くは卵子、精子を凍結させ、その後避妊手術を行うようになる。ジェラシー氏は、こうすることによって、女性も男性も妊娠し、心の準備の無いまま親になることなしにセックスを楽しめるようになると語る。堕胎もなくなることから、女性の健康はより守られるようになる。
「東電調査結果に 民進 枝野氏 事実関係を否定:菅元首相も否定だが、当時の最高責任者として“自己防衛”的態度は醜悪」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/911.html
ロシアとユーラシア経済連合の他の参加国は中国、インド、パキスタンなど一連の国を参加させた大ユーラシア・パートナーシップの創設に賛同している。
17日、プーチン大統領はサンクトペテルブルグの国際経済フォーラムの総会で演説したなかで次のような声明を表した。
「我々がパートナーらとともに考えているのは、ユーラシア経済連合はより広範な統合の輪郭を形作る中心のひとつになりうるということだ。」
プーチン大統領はこの問題は5月末のアスタナでのユーラシア経済連合の指導者会合で話し合われたことを指摘した。
「より大きなユーラシアのパートナーシップの創設を、ユーラシア経済連合や我々とすでに緊密な関係を構築した諸国の参加のもとに行なうことを検討するよう提案する。そうした国とは中国、インド、パキスタン、イランであり、CIS諸国のパートナー国はもちろん、他にもこれに関心を抱く国や統合体も入る。」
ロシアのプーチン大統領側近のナルイシキン下院議長が東京都内で記者会見を行い、16日に安倍総理大臣に対して、終戦直後にソビエト軍が広島と長崎の被爆地の状況を撮影した映像を手渡したことを明らかにしたうえで、広島を訪れたアメリカのオバマ大統領が謝罪しなかったことを非難しました。
ロシアのプーチン大統領側近のナルイシキン下院議長は16日から来日しており、17日、東京都内で記者会見を行いました。
この中でナルイシキン議長は、16日に会談を行った安倍総理大臣に対して、終戦直後にソビエト軍が広島と長崎の被爆地の状況を撮影した映像を手渡したことを明らかにしました。
会見でナルイシキン議長は「原爆投下によって数十万人が犠牲になったことは誠に遺憾だ」と述べたうえで、先月、アメリカのオバマ大統領が広島を訪問したことについて、「被爆者に謝罪しなかったことに驚いている。アメリカの軍人と政治家は犯罪の責任がある」と述べ、被爆者に謝罪しなかったことを非難しました。また、ナルイシキン議長は17日に会談を行った公明党の山口代表に対して、日本とアメリカが進めるミサイル防衛システムの配備について、ロシアが憂慮していることを伝えたということで、「ミサイル防衛システムは地域の安定や均衡を壊すことになる。日本側はロシアの懸念と憂慮を理解してほしい」と訴えました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160617/k10010560121000.html?utm_int=news_contents_news-main_005
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ナルィシュキン氏、日本首相に露大統の書簡渡す[スプートニク日本語]
2016年06月17日 07:04
ロシア議会下院のナルィシュキン議長は木曜日、日本の安倍晋三内閣総理大臣に、ロシア大統領ウラジーミル・プーチン氏からの書簡を渡したと、共同通信が報じ、記事にはこう書かれている。
「ロシア議会下院議長ナルィシュキン氏は、16日、安倍首相との会談の際にプーチンロシア大統領からの書簡を渡した」
書簡の内容は公開されていない。
共同通信によると、東京での会談でナルィシュキン議長と安倍首相は、両国の経済的協力発展の道と、今年9月にウラジオストックで開かれる東方経済フォーラムで予定されている、安倍首相とプーチン大統領の会談について意見を交わしたようだ。
ロシアとの経済的協力が、日本による南クリル諸島要求と関係した、領土問題解決前進の助けになると、安倍首相は期待していると共同通信社は指摘した。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160617/2319193.html
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平和条約に関するロ日協議 6月22日 東京で[スプートニク日本語]
2016年06月18日 00:16(アップデート 2016年06月18日 01:10)
平和条約に関するロ日競技の次のラウンドは、6月22日、東京で行われる。17日、ロシア外務省が伝えた。
ロシア外務省の発表は、次の通り —
「22日、ロシアのイーゴリ・モルグロフ外務次官と、対ロシア関係日本政府代表の原田親仁氏が、東京で、平和条約問題に関するロ日交渉の定例ラウンドを行う。」
http://jp.sputniknews.com/politics/20160618/2328525.html
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プーチン大統領と安倍首相の次の会談期日・場所明らかに[スプートニク日本語]
2016年06月17日 14:54(アップデート 2016年06月17日 14:55)
金曜日、日本訪問中のロシア議会下院・国家会議のセルゲイ・ナルィシキン議長が述べたところでは、プーチン大統領と安倍首相の次の会談は、9月初めに、極東のウラジオストクで行われる見込みだ。
ナルィシキン下院議長は、民間友好組織のメンバーと会った際「ロ日両国首脳の次の会談は、ウラジオストクで9月初めに東方経済フォーラムが開かれる際、行われると期待できる」と述べた。
なおプーチン大統領と安倍首相は、先月6日、黒海沿岸の保養地ソチで会談している。
プーチン大統領は、米国は今や唯一の超大国だとしながらも「米国は、ロシアの事に介入すべきではなく、ロシアとEUの関係に影響を与えるべきではない」とみなしている。
17日、大統領は、そうした考えを、サンクトペテルブルグでの国際経済フォーラムで明らかにした。プーチン大統領は、次のように述べた —
「米国は、偉大な国だ。恐らく今日、唯一の超大国だろう。我々は、それを理解している。そして米国と共に仕事をしたいと欲しており、その用意がある。
世界には、米国のような強国が必要だ。我々も、必要としている。しかしその際、絶えず我々の事に干渉したり、どう生きるべきかを指示したり、欧州との関係構築を邪魔する必要はない。」
http://jp.sputniknews.com/politics/20160617/2326585.html
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鳩山元首相、米の圧力に屈しなかった安倍氏のソチ訪問を高く評価[スプートニク日本語]
2016年06月17日 22:50
鳩山由紀夫氏はナルィシキン露下院議長との会談で安倍首相の外交政策は支持しないものの、ソチ訪問を行ったことは高く評価した。
鳩山氏は会談後、記者団に対し、
「安倍氏の外交政策には全て賛同できないものの、ソチ訪問を行い、その際にプーチン大統領との最高レベルの会談が行われたこと、また米国の強硬な反対にもかかわらず、安倍首相がロシアとの二国間関係を発展させたいという熱い希望を推し進めたことを高く評価する」と語った。
ドイツ人社会学者ガブリエル・クビ氏によれば、学校における児童への性教育は文明の滅亡につながる。「ルースキイ・クリエール」が伝えた。
「米国やドイツ、西側諸国全体で、学校で何が行われていることか。考えられもしない。学校で児童に性について語らせ、児童が教科書で不適切かつ猥褻な図像を見たとき、彼らは恥の感覚を喪失する。ジークムント・フロイトが言うように、恥の感覚が破壊されたとき、もはや子供をしつけることは不可能になる」とクビ氏。
クビ氏によれば、性教育によって若者は他者を愛惜する能力を失う。男は父になることに興味をなくし、女は母になることに興味をなくす。出生率低下。人口動態学的危機。経済に打撃。そして文明崩壊、という道筋である。
アメリカ空軍は、シリアでの飛行禁止区域確保の準備ができているが、そのためにはシリア上空を飛んでいるロシアの飛行機を打ち落とす権利を手に入れなければならないと、アメリカのデービッド・ゴールドフェイン副参謀総長(空軍大将)は声明した。
ゴールドフェイン氏は、飛行禁止区域導入のためには3つの条件が必要だと言い、1つ目の条件として、違反する飛行機全てを撃墜する許可を挙げ、こう述べた。
「「ダーイシュ(IS、イスラム国)」が飛行機を持たない以上、私に必要なのはロシアとシリアの飛行機を打ち落とす許可だ」
2つ目の条件として、難民帰還の課題解決と、難民への人道的援助提供のためには、「地上で」状況をコントロールする「地元の勢力」が必要だとした。
また、ゴールドフェイン氏によると、飛行禁止区域と対テロ作戦の間でどう空軍の勢力を割り当てるかを、正しく理解する必要がある。
http://jp.sputniknews.com/japan/20160617/2321011.html
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米国務省職員 オバマ大統領にシリア政府軍への攻撃を要求[スプートニク日本語]
2016年06月17日 15:07
シリアに対する様々な政策に取り組んでいる米国務省の50人を超える職員らが、ホワイトハウスの対シリア政策への不同意を表明するメッセージに署名した。新聞「The Wall Street Journal」が、国務省内の関係者から届いた情報のコピーを引用して伝えた。
それによれば、米国務省の一部の職員らは、停戦体制が近く崩壊することを背景に、シリア政府軍に対し「目標を絞った軍事攻撃」を実施するよう求めている。
なお国務省は、こうしたメッセージが存在することは認めたものの、指導部がその内容を詳しく把握するまでは、コメントできないとしている。
「オバマ大統領が広島に行ってはならない理由:広島訪問を安保理常任理事国の「核独占」正当化に利用するオバマ大統領」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/365.html
「オバマ大統領広島訪問 米専門家の見方は:カズニック教授 原爆投下は不要、オバマ氏は核兵器削減に消極的」
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/822.html
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オバマ氏の演説について日本被団協「空から死が降ってきたのではなく、もたらされた」[スプートニク日本語]
2016年06月17日 17:59(アップデート 2016年06月17日 18:07)
先日広島で行われた演説中に、アメリカのバラク・オバマ大統領が、アメリカの「責任を回避」しようとしたことに、「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」は怒りを覚えていると、共同通信は伝えた。
アメリカの現職大統領として広島市を訪れた、初めての大統領であるオバマ大統領は、演説をこの言葉から切り出した。
「71年前、雲のない晴れた朝、空から死が降ってきて、世界は変わった」
「あたかも自然現象のようだ」が、原爆投下機が「死をつくったのだ」と、田中熙巳事務局長(84)はこの表現を非難したと、共同通信が伝えた。また、木曜日に採択された日本被団協の2日間にわたる総会のこのような決議案を報じた。
「投下に対する謝罪の証しとしても、核兵器廃絶への責任と行動を一層深く求める」
米国は、アジア太平洋地域における中国の野心を抑え込むために、ロシアとの関係を確立しなければならなくなるだろう。ワシントン・タイムズが伝えた。
ワシントン・タイムズによると、西側との関係悪化は、ロシアを中国との関係強化に向かわせた。中国とロシアの新たな軸となっているのは主に経済協力だが、対ロシア制裁が延長された場合、この軸がさらに何か大きなものになる可能性があるという。
また中国はロシアのサポートを受けて自国のアジア計画をさらに積極的に遂行し続ける可能性がある。これは南シナ海における中国の行動が示している。
これを受けてワシントン・タイムズは、米国政府にロシアとの関係を見直すようアドバイスしている。
そうなれば、米国はたとえロシアが対中同盟に積極的に参加しなかったとしても、地域で落ち着いていられるという。
またワシントン・タイムズは、ロシアが同地域で独立した平和維持の役割を務めるようになり、南シナ海に関する紛争解決や、北朝鮮の核プログラムに関する国際協議にも貢献することができると考えている。
ワシントン・タイムズは、制裁はロシアにウクライナに関する自国の立場を変えさせるために発動されたが、その目的達成に役立たなかったと指摘し、ロシアにとっても米国にとっても現在の状況は有益なものではないが、米国はこれをまだ完全には理解していないと締めくくっている。
両親に離婚してもらうしかないのかも知れない――。東京都内の男性会社員(44)は、こんなことを真剣に考えている。
脳出血で半身マヒになった母(80)は最も重度な要介護5。4年待った末、東京23区内の特別養護老人ホームで2年前から暮らす。
その特養からの請求額が昨夏以降、はね上がった。食費や部屋代に介護保険の自己負担分なども含め、月約8万円から約17万円に倍増。両親の年金は月約28万円だが、実家の借地料は月8万円近く、一人暮らしをする父(75)の医療費や社会保険料の負担も重い。男性は毎月4万円の仕送りを始めたが、なお足りない。
負担が増えたのは、介護保険制度の改正で昨年8月から施設の食費・居住費の補助(補足給付)を受けられる条件が厳しくなったため。母は特養の住所で住民票登録をしており、実家の父と「世帯分離」をしている。これまで非課税世帯とみなされた母は補助を受けられていたが、制度改正によって世帯が別でも配偶者が住民税の課税世帯なら補助の対象外になった。
自治体の生活相談窓口では、担当職員から「国にはもう財源がない。生活プランを見直して欲しい」と言われ、在宅介護も勧められた。男性は住宅ローンや教育費を抱え、仕送りはギリギリ。両親を離婚させて再び補足給付を受けるしか手段がないと思い悩み、弁護士とも相談している。
「いくら財政が厳しいと言っても、利用料がいきなり倍なんて尋常じゃない」
住民税が非課税の世帯も一定の預貯金があれば、補足給付を受けられなくなった。厚生労働省によると、昨年8月末の補足給付の認定数は約90万件で、前月末の約120万件から一気に減った。制度改正の影響が大きいとみられる。
金沢市で二つの特養を運営する「やすらぎ福祉会」の酒井秀明さんによると、昨年夏の一連の介護保険制度見直しで計144人の入居者の3割ほどで負担が増えたという。「中間層でも生活がギリギリになる人がいる。『払える人が負担する』という制度の趣旨を超えている。負担増の線引きがこれでいいのか疑問だ」
その特養の個室に入居する認知症の女性(88)も夫(80)と「世帯分離」をしている。夫の年金収入で補助の対象外となり、施設利用料は月約7万円値上がりして約14万円に。合計月23万円余りの夫婦の年金だけでは足りず、貯金を取り崩すようになった。
20歳で上京して電線会社で長年働き、定年後に故郷の金沢に戻った夫は「アベノミクスで成長って言われても、こんな負担増が続けばいずれ暮らしが成り立たなくなる」と嘆く。守り続けてきた「中流」の暮らしの揺らぎを感じている。
朝日新聞社
最終更新:6月19日(日)22時22分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160619-00000026-asahi-soci
「サウジアラビア、クリントン氏に対する資金援助を認める:サルマン副皇太子が「違法献金」を暴露した意図は?:昔からの慣例とも」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/285.html
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米大統領とサウジ国防相 対ISで協力確認[NHK]
6月18日 13時06分
アメリカのオバマ大統領はサウジアラビアの国防相と会談し、進展が見られる過激派組織IS=イスラミックステートに対する軍事作戦などで、さらなる協力を確認しました。
オバマ大統領は17日、サウジアラビアの国防相を務めるムハンマド副皇太子とホワイトハウスで会談しました。
ホワイトハウスによりますと、この中で、両国が参加する過激派組織ISに対する軍事作戦を巡り、イラクで2年以上にわたって支配されていたファルージャを奪還するなど進展が見られていることを確認し、イラク政府に対して人道支援活動を強化することで一致しました。
また、中東ではサウジアラビアとイランがことし1月に国交を断絶するなど緊張が続いていることから、オバマ大統領は、緊張の緩和に向けてもムハンマド副皇太子と話し合ったということです。
サルマン国王の息子、ムハンマド副皇太子は、30歳の異例の若さで石油生産に依存する財政からの脱却を目指した経済改革を主導するなど、若手のリーダー格として知られ、国防相としては軍事力の増強に力を入れ、イランに対する強硬な姿勢を示しています。
オバマ政権は、核開発問題を巡ってイランとの間で最終合意に達したことから、イランと敵対するサウジアラビアとの関係が冷え込んでおり、今回の会談では関係修復を図るねらいもあるとみられます。
「米、シリアで露飛行機撃墜の権利求む(米軍副参謀総長):米国務省職員 オバマ大統領にシリア政府軍への攻撃を要求(有志)」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/897.html
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米のシリア政策 国務省の50人余の外交官が異議
6月18日 11時24分
内戦が続くシリア情勢を巡り、アメリカ国務省の50人を超える外交官が、アサド政権への空爆に踏み切らないオバマ大統領の政策に対して異例の批判をしていたことが分かり、アメリカのシリア戦略が行き詰まっていることへの不満の高まりと受け止められています。
これはニューヨーク・タイムズなどが16日、報じたものです。
それによりますと、国務省の外交官らが、シリアのアサド政権による市民への弾圧をやめさせるためには、アサド政権に対する空爆などさらなる圧力が必要だとして、オバマ大統領の政策を厳しく批判するメモを作っていたということです。
このメモは、中東政策に関わる中堅幹部51人が署名し、政権の方針に異議を申し立てる制度を使って国務省の上層部に送られたということです。
国務省のカービー報道官は17日の記者会見で、事実関係を認めたうえで、「これだけ多くの人から申し立てがあったのは、異例だ。ケリー国務長官もメモを読むだろう」と述べる一方で、今後の政策に影響があるかは明言を避けました。
シリア情勢を巡ってオバマ大統領は、過激派組織IS=イスラミックステートに対する軍事作戦を優先し、アサド政権に対しては軍事行動は行わず、外交交渉によって退陣を迫っています。
しかし内戦終結の見通しは立っておらず、50人を超える外交官からの異例の批判は、シリア戦略が行き詰まっていることへの政権内の不満の高まりと受け止められています。
4年前、住民の抗議活動を受けて、中国では珍しい村長などの直接選挙が認められた南部の村で、村長が地方政府への陳情に向けた住民集会を計画したところ、突然、賄賂を受け取った疑いで拘束され、地方政府が住民の抗議活動を抑えこもうとしているという見方も出ています。
中国南部の広東省の烏坎村は4年前、土地の強制収用を巡って住民が激しく抗議し、事態を収拾するため共産党が1党支配する中国では珍しく、村長などの直接選挙が認められた「民主の村」として知られています。
しかし住民が求めた土地の返還がほとんど進んでいないことから、村長が住民集会を計画したところ、17日夜に突然、警察に拘束されたということです。
警察は、中国版ツイッター「ウェイボー」で、村長が賄賂を受け取った疑いで調査を受けていることを明らかにするとともに、住民に過激な行動を取らないよう呼びかけました。
香港のメディアによりますと、村長は19日に住民集会を開き、21日には住民とともに地方政府に対して陳情を行う予定だったということで、それを前に村長を拘束することにより、地方政府が住民の抗議行動を抑えこもうとしているという見方も出ています。
中国国防省は、アメリカ軍が2年に1度行う多国間の大規模な演習、リムパックに参加するため、中国海軍の艦隊がアメリカ軍の艦艇とともにハワイへ向かったと発表し、南シナ海などを巡る対立が続くなかでも、アメリカとの軍事交流を続ける姿勢を示しています。
リムパック=環太平洋合同演習はアメリカ軍が2年に1度、ハワイやその周辺の沖合で行う世界最大級の多国間の軍事演習で、中国海軍が参加するのはおととしに続いて2回目です。
中国国防省は、ことしのリムパックに参加する中国海軍の艦隊が18日、沖縄の大東諸島の南側に到達し、アメリカ海軍の2隻の駆逐艦と合流したと18日夜、発表しました。
中国の艦隊はミサイル駆逐艦やフリゲート艦など5隻からなり、アメリカ軍と通信訓練などを行いながら、今月29日にハワイに到着する予定だということです。また、リムパックでは艦砲射撃や海上補給の訓練などを行うとしています。
中国にはリムパックに参加して、アメリカとの軍事交流を続ける姿勢を示すことで、南シナ海などを巡る米中間の対立を先鋭化させたくないという思惑があるとみられます。
ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイアー外務大臣が、バルト三国で行われているNATOによる多国間軍事演習「セイバーストライク(Saber Strike)」を批判し、ロシアに対話と協力を呼びかけたと、ロイター通信が伝えた。
シュタインマイアー外相は、独紙「Bild am Sonntag」のインタビューでこう述べた。
「我々が今、すべきではないことは、武器を大きく鳴らし軍人が叫ぶことで、情勢を緊迫化させることだ。NATOの東の国境で行われる、戦車による象徴的なパレードが、安全をより確実なものにすると考えている人は、間違っている」
防衛の準備は、対話と協力の準備と平行して行われなければいけないとし、「ロシアを責任ある国際的パートナー関係に引き入れる」必要があると、シュタインマイアー外相は語った。
「Saber Strike」は、駐ヨーロッパアメリカ陸軍が行う演習で、NATOに加盟している13カ国から軍人約1万人が参加する。
インド経済のかじ取り役として、国内外の投資家から評価が高く、続投を求める意見も出ていたインドの中央銀行の総裁が、ことし9月の任期切れに伴い退任することを明らかにし、経済や株価に与える影響が注目されます。
インドの中央銀行に当たる準備銀行のラジャン総裁は18日に声明を出し、ことし9月上旬の任期切れに伴って退任し、研究生活に戻ることを明らかにしました。
ラジャン総裁は、IMF=国際通貨基金のチーフエコノミストなどを歴任した著名なエコノミストで、リーマンショックのような金融不安を事前に予測したことでも知られ3年前、準備銀行の総裁に就任しました。
就任当時、インドでは物価が急激に上昇して個人消費が冷え込み、景気が減速していましたが、ラジャン総裁は物価上昇の抑制を最優先に掲げて政策金利を相次いで引き上げるなどして、10%近かった物価の上昇率を5%台まで引き下げることに成功しました。このため個人消費は復調し、GDP=国内総生産の伸び率も7%台に上向いていて、ラジャン総裁は経済のかじ取り役として、国内外の投資家などから高い評価や続投を求める意見が寄せられていました。
その一方、モディ政権の与党の一部からは、ラジャン総裁に対して、「金融緩和に慎重すぎる」とか、「外国での活動が長くインド人らしくない」といった批判も出て、去就が注目されていて、今後インド経済や株価に与える影響が注目されます。
<上> 中国勢、高付加価値で台頭 大型パネル・8Kでも攻勢
パソコン需要の縮小に加えスマートフォン(スマホ)市場も成熟化し、電子部品市場は成長の先導役が乏しくなってきた。液晶パネルを中心に中国勢の台頭も著しく、国内各社は需要の伸び悩みと価格下落に直面している。高付加価値品の開発など、新たな成長に向けた取り組みを模索し始めた。
東京都港区にあるオフィスビルの一室。画面の横幅が2メートルを超える110型の巨大テレビの前で、来場者が画面に見入っている。画質はフルハイビジョンの約16倍の解像度を持つ8K。このテレビの液晶を作ったのはサムスン電子でもシャープでもない。中国最大手の京東方科技集団(BOE)だ。
BOEは2015年1月、8Kテレビの体験コーナーを初めて東京に設置。商談も相次ぎ成立している。BOEジャパンの久保島力社長は「もっと宣伝をしたいが、対応能力に限界がある」と顔をほころばす。
15〜16年にかけ、生産能力の拡大で液晶市場の存在感を一躍高めた中国勢。米調査会社IHSによると、BOEや華星光電、天馬微電子など中国勢の生産能力シェアは15年は18%と前の年を4ポイント上回ったもよう。18年には29%と台湾を抜き去り、トップの韓国(36%)に迫る見通しだ。
中国メーカーの生産拡大で需給緩和が加速し、テレビ向け32型のオープンセル(バックライトなどがつかない半製品)の大口向け価格は、15年の1年で3割以上値下がりした。他のサイズも値下がりし、韓国や台湾、日本の主力メーカーの収益は軒並み悪化した。
中国勢はシェア確保に向けた攻勢の手を緩めない。テレビ向けでは大型の50型超にも取り組み、4K、8Kなど画質も高いパネルの生産拡大を進める。
BOEは昨年12月、安徽省合肥市で新工場の建設を始めた。約6400億円を投じ、65型以上の大型品を中心に生産を強化する計画。ディスプレー事業の責任者、張兆洪氏は「今後も8K商品を投入していく」と強調する。中国勢が増産すれば、50型台後半以上の大型パネルでも価格の下落圧力は避けられない。
高画質テレビ向けばかりではない。次世代を担う新たなデバイスにも中国メーカーの参入が進み始めた。
パソコン部品店が軒を並べる東京・秋葉原。パソコンの記憶装置ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)の売り場で今年春ごろから目立つのが中国製だ。店頭価格は240ギガ(ギガは10億)バイトで5700円前後と、韓国や米国製の大口向け価格を下回るケースもある。
大容量SSDのコストを大きく下げる3次元NAND型フラッシュメモリーはサムスン電子や東芝が開発で先行する。ただ中国でも半導体メーカーのXMC(武漢市)が、米メモリーメーカーと共同で3次元品の開発を進めているもよう。
当面は受託生産にとどまるとの臆測が目立つ一方、「自社ブランドで安値で売り出せば、価格は一気に下がる」(パソコン部品メーカー)と警戒する声も絶えない。半導体開発技術でなお優位に立つ先進国メーカーだが、中国の追い上げが進めば液晶のように予想外の消耗戦を強いられる可能性がある。
[日経新聞6月16日朝刊P.23]
(下)市場開拓、技術で挑む 耐久性・小型化に磨き
セイコーエプソンが自動車の姿勢検出向けに水晶を使ったエアバッグ向けセンサーの量産を本格化し、まもなく1年がたつ。水晶を用いたこの種のセンサーを手がけるのは同社のみだ。同社は「採用実績を徐々に上げたい」(マイクロデバイス事業部)と意気込む。
技術革新が速く陳腐化しやすい電子部品は新興国との競争が激しい。DRAMや液晶パネルはコスト競争力で韓国や台湾、中国のメーカーに敗れ去った。
一方、日本企業が得意とする高い技術力をいかせる分野では、生き残りをかけた製品開発の動きが続く。回路などの微細加工のほか、素材の水晶の純度を高めるノウハウが必要な水晶デバイスで、日本企業はなお世界で優位に立つ。
セイコーエプソンは水晶素子を薬品で不要部分を除去して形状加工する技術を確立。小型化と高品質を両立し、センサー開発につなげた。
スマートフォン(スマホ)などに使う代表的な部品の温度補償回路付き水晶発振器(TCXO)は、大口価格で1個19円程度。一方、自動車向けなどのセンサー価格は200〜300円と汎用品の10倍以上。セイコーエプソンは今後、このセンサーの生産規模を引き上げる方針だ。
付加価値を高めたいメーカーが新たな需要先として注目しているのが、安全性や室内環境を高めるため電子化が進む自動車向けだ。使用を想定する温度帯が、民生用と比較にならないほど広い。衝撃への耐久性や安全維持への要求も厳しい。
水晶大手の日本電波工業も対応温度の上限を引き上げたTCXOを開発。自動車部品メーカーの需要を見込み量産準備に入った。
蓄えられる電力量が大きい積層セラミックコンデンサー(MLCC)も日本のメーカーが依然優勢な産業の一つ。業界最大手の村田製作所は自動車向けを視野に、最高使用温度がセ氏200度のMLCCを年内にも量産する。
汎用的なMLCCは1個0.5円程度とみられ「競争メーカーが多く、値下がり圧力が強い」(部品商社)。高付加価値品は性能への条件は厳しいが、その分高い単価を期待できる。「要求特性に最適化した材料を独自で開発し、量産するのが強み」(村田製作所)。17年3月期も、超小型品や車載向けなどを中心に前期から10%の設備増強を実施する計画だ。
もっとも技術革新のペースが速まり「汎用化で価格が下がるまでの期間が短くなってきた」(富士重工業)。東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは「稼げる時に次の収益分野を見つけられるかで企業の勝敗がつきやすくなる」と指摘する。
TDKはスマホなどに使う高周波部品事業の一部を、米クアルコムに譲渡することを決めた。今後はより成長が見込まれる自動車や産業機器向けに軸を移す。生き残りには技術開発力に加えて、成長市場を見極める力を一段と磨く必要がある。
松下太郎が担当しました。
[日経新聞6月17日朝刊P.18]
自動車素材の主流は鉄――。こんな常識が欧州から崩れようとしている。旭化成は16日、ドイツで自動車に使う部材の開発提案から営業までを手掛ける拠点を開設。日本の化学大手が相次ぎ欧州で自動車向け市場の開拓に乗り出している。あくまで鉄にこだわる日本車と、鉄以外へのシフトに積極的な欧州車。軽量化を巡る素材の攻防は新たな展開を見せ始めた。
独デュッセルドルフで旭化成が開いた新拠点「旭化成ヨーロッパ」。開所式には現地の自動車・部品大手の関係者ら約200人が詰めかけた。BMWやフォルクスワーゲンに素材を提案し、共同開発に持ち込む。「ここを起点に独自動車メーカーに食い込みたい」と小林友二副社長は言う。
技術者ら約40人が常駐する。売り込むのは例えばナイロン系の「レオナ樹脂」。分子構造を工夫して高温、振動に強い性能を持たせ、エンジン周りの素材としての用途を開拓した。エンジンオイルを入れる「オイルパン」の素材は鉄をはじめ金属製が主流だが、樹脂にすれば6割軽くできる。
現在は日系向けが大半の自動車分野の売上高を、欧州向けの上積みで、2025年度までに15年度比約3倍の3000億円に引き上げる計画だ。
鉄以外の素材で、自動車向けに売り込むために欧州で拠点を設ける日本企業が目立つ。三菱ケミカルホールディングスは17年春にも欧州で開く計画だ。4月に開設した米国拠点と同様に、樹脂製の燃料タンクやガラス繊維を使ったボンネット部品の共同開発を顧客に提案する。石渡直明・自動車関連事業推進センター長は「今後の成長のけん引役は欧米自動車メーカーとの取引」と言う。
東レはイタリアで炭素繊維加工メーカーを買収。鉄からアルミへの代替が進む米国ではUACJがアルミ骨格材メーカーを買収した。現地の自動車大手への販路を開く。
欧米では厳しくなる燃費規制を鉄から新しい軽量素材への切り替えで乗り切ろうという自動車大手が多い。BMWは電気自動車(EV)で、炭素繊維を使った強化プラスチック(CFRP)を主要骨格に大量採用した。
素材の組み合わせ技術や高性能な触媒の開発が進み、鉄並みの強度がありながら軽く、コストも遜色ない製品が登場している。化学最大手の独BASFによると、シートの骨組みやオイルパン、エンジン周りといった、鉄製が当たり前の部品が欧州車では続々と樹脂製に切り替わっている。
「独自動車メーカーにはまず化学メーカーと話そうという文化がある」(BASF)。米国ではフォード・モーターやテスラ・モーターズがアルミを大量採用している。
一方の日本。化学大手は「鉄が強すぎる。自動車メーカーに代替素材を提案すると鉄鋼メーカーににらまれる」と明かす。新型車開発で密接に連携するトヨタ自動車と新日鉄住金の関係に代表されるように、自動車と鉄の結束は固い。日本車大手の技術者は「鉄を徹底的に使いこなす」と言う。日本の化学大手が世界シェアの大半を握る炭素繊維でさえ日本車への採用はわずか。鉄鋼大手の壁は厚く化学やアルミ大手は欧米に目を向けた。
1台あたり1トン程度が使われてきた自動車素材の王者、鉄。これまでは日本車大手と鉄鋼大手が協力し、世界の自動車軽量化を主導してきたと言っても過言ではない。だが素材技術は日々進歩している。日本車がいつまでも鉄の檻にとらわれていたら、世界の素材を巡る攻防のなかでガラパゴス化に陥る恐れもある。
(佐藤浩実、湯沢維久)
[日経新聞6月17日朝刊P.11]
原子力規制委員会は4月、北陸電力志賀原子力発電所1号機(石川県)の直下に活断層があるとみられるとの有識者会合の評価書を受理した。敷地内の活断層を再調査していた6施設のうち5施設の評価書がそろい、2施設について原子炉直下に活断層がある可能性が指摘された。今後、規制委が同様に判断すれば、再稼働は不可能になる。
地震は原発にとって大きなリスクの一つだ。ある断層が割れて動き、巨大地震が起きると、周囲の断層もしばしばそれにつれて動く。断層のうち比較的最近に動いたことがあり、将来も動く可能性があるものを「活断層」と呼ぶ。
地震のたび厳格化
志賀原発で活断層と疑われている断層は数百メートルと短く、熊本地震のような巨大地震を起こす恐れはない。だがもし原子炉の直下で断層が動くと、配管などの重要な設備が損傷する恐れがある。
活断層への対策は、想定外の地震が起きるたびに厳しくなってきた。
1978年に制定されたかつての耐震指針では、5万年前以降に動いた断層を活断層と定め、そこで起きる地震の揺れを想定して原発を設計するよう求めていた。しかし2000年に、活断層ではないとされていた断層を震源とするマグニチュード7.3の鳥取県西部地震が発生。国はこれを受けて06年、活断層の範囲を「約12万〜13万年前以降の活動が否定できない断層」に拡大した。
11年3月に東京電力福島第1原発の事故が起きると、旧原子力安全・保安院は、全国の原発敷地内にある断層の資料を総点検した。そして志賀原発や日本原子力発電の敦賀原発(福井県)など6施設は、敷地内に活断層がある疑いがあると指摘。電力会社に詳細な調査を指示した。
12年9月に保安院に代わって規制委が発足。6つの原発それぞれについて、活断層の有無を調べる有識者会合を立ち上げた。13年7月に原発の新規制基準を施行し、活断層の上に原子炉建屋などの重要施設を置くことを明確に禁じた。重要施設の下に活断層がないことを証明しないと、原発は稼働できなくなった。
志賀原発の有識者会合は3月、1号機の原子炉建屋の直下を通る断層を「活断層と解釈するのが合理的」との評価をまとめた。根拠の一つが約30年前、1号機の建設予定地に掘ったトレンチの地層を描いたスケッチだ。原子炉建屋から南東に延びる断層が途中で約20センチメートルずれており、「典型的な活断層に見える」と地形学者から指摘された。
地層は1号機の建設で取り除かれ、今となっては確認できない。北陸電は断層が伸びた先に新たにトレンチを掘って調査し、「断層には活動性がない」と主張した。有識者会合は新たに調査した南東部分に活動の痕跡がないことは認めたが、建屋直下の部分に活動があった可能性は否定できないとの見解だ。
法的拘束力なし
このほか敦賀原発の有識者会合も、2号機の建屋直下に活断層がある可能性を指摘している。もし規制委がこれを追認したら、廃炉の可能性が濃厚だ。東北電力東通1号機(青森県)も、敷地内に活断層がある疑いが浮上した。
一方、関西電力大飯原発(福井県)の敷地内の断層は「活断層ではない」、美浜原発(同)も「活断層ではない可能性が高い」とされた。日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(同)は検討中だが、活断層の可能性は低いとの見方が強い。
有識者の判断に法的な拘束力はないが、規制委は「重要な参考知見の一つ」と位置づけている。志賀原発の所長代理を務める米田貢さんは、「新しい資料を示して、丁寧に説明を続ける」と話す。
ただ、専門家がまとめた評価を覆すのは簡単ではない。首都大学東京の名誉教授、山崎晴雄さんは「規制委が安全性を下げる方向に判断を曲げると思えない。いつまでも結論が出ない状況が続くのではないか」と話している。
(松添亮甫)
キーワード 断層調査
活断層かどうかを調べるには、まず文献で地質の全体像を調べる。航空写真などを撮影し、断層が地表に現れている地形を探す。断層が見つかったら、付近に縦穴を掘ってサンプルとなる地層を抜き出す掘削調査を実施する。人工の地震波を照射して、地下の地質の構造を調べる物理探査をすることもある。
断層を横切るようにトレンチと呼ぶ溝を掘り、岩盤や地層の様子を直接確認する方法もある。堆積している火山灰や岩石の性質から地層ができた年代を特定し、段差やずれなどの活動がいつごろ起きたかを推定する。
[日経新聞6月17日朝刊P.31]
【ソウル=小倉健太郎】韓国サムスン電子は2016年に8兆ウォン(約7200億円)程度を投じて有機ELパネル(総合2面きょうのことば)の生産設備を拡充する。スマートフォン(スマホ)用パネルに換算すると2億数千万枚分で現状より5割超増える。米アップルや中国メーカーへの供給体制を整える。最大手の大規模増産でスマホパネルの液晶から有機ELへの移行が加速。画面が鮮明で多様なデザインのスマホの普及が進みそうだ。
アップルは有機ELスマホを出す時期を部品メーカーに伝えていた18年から、一部機種は17年に前倒しする計画。有機ELパネル市場をほぼ独占するサムスンに供給を打診したもようだ。
子会社サムスンディスプレーが韓国・湯井に持つ工場を拡充する。16年の設備投資はパネル全体で10兆ウォン程度で、約8割を有機ELに充てる。過去3年は液晶と有機ELの合計で年平均5兆ウォン弱を投じた。現在の有機ELの生産能力はスマホ用換算で年3億枚を大きく上回るとみられる。
サムスンのスマホ「ギャラクシー」は販売台数が世界1位で、2位のアップルの「iPhone(アイフォーン)」と競合するが、アップルは半導体メモリーなどの部品事業の顧客でもある。スマホに並ぶ収益源である部品事業を拡大するとともに、注力する有機ELの市場を拡大させる。
有機ELパネルはガラスを使わない基板もあり曲面などに加工しやすく、商品デザインの自由度が高まる。液晶より発色が鮮やかで視野角が広く見やすい。一方、寿命が短いなどの課題が残る。
サムスンの大型投資は競合のパネルメーカーの脅威になりそうだ。液晶世界最大手のLGディスプレーは今後数年間でテレビ用などを含めて有機ELパネルの増産に10兆ウォン超を投資。スマホ用にも参入する。ジャパンディスプレイは500億円を投じ17年春に有機ELの生産ラインを新設。18年以降に本格量産を始める。アップルが有機ELを採用することで、ほかのスマホメーカーが追随する可能性がある。
[日経新聞6月18日朝刊P.1]
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[きょうのことば]有機ELパネル サムスンがスマホ用独占
▽…液晶パネルに続く次世代ディスプレーで、電圧をかけると発光する有機化合物を使い、表示する。基板にガラスだけでなく樹脂も使えるため様々な形状に加工しやすく、テレビやスマートフォン(スマホ)などで多様なデザインが可能になる。液晶より深い黒の表現ができ、コントラスト(明暗)比が優れる。
有機ELパネルはデザインの自由度が高い
▽…サムスン電子は2008年からスマホ用の生産を始め、自社のスマホに搭載してきた。高級機種から中低価格品を含めた大部分の機種に広げ、パネルとしての外販にも力を入れている。日本のパネルメーカーも長く研究してきたが、一時量産していたソニーが撤退するなどし、サムスンが事実上独占している。
▽…テレビ用の大型パネルでは生産時の良品率を高めるのが難しい。韓国のLGグループは独自のパネル構造を開発して量産に踏み切ったが、コストがかさみ、有機ELテレビの普及は遅れている。テレビ用、スマホ用とも高価な真空設備が必要な「蒸着」と呼ばれる方式で生産しているが、各社が研究している印刷方式での生産が実現すればコストは大幅に下がる見通しだ。
[日経新聞6月18日朝刊P.3]
マグニチュード6.6の地震が南太平洋に浮かぶバヌアツ共和国沿岸で発生した。米地質調査所が伝えた。
地震があったのは現地時間20時47分(モスクワ時間12時47分)。震源地はタンナ島にある町イサンゲルの南東120キロメートル、震源の深さは10キロメートルだった。
犠牲者と建物の損害についての情報は入っていない。津波注意報は出されていない。
ロシアと米国の軍人たちはビデオ会議で、シリア領空における事故防止の覚書の実施について協議した。ロシア国防省のコナシェンコフ報道官が伝えた。
コナシェンコフ報道官によると、米国側はロシアの航空機があたかも米国の依頼に反してシリア南部で在野勢力部隊へ意図的に空爆を行ったと伝えた。
報道官は、「空爆を受けた施設は、米国側が停戦に加わった在野勢力の活動地域だと発表した領域から300キロ以上離れている」と述べた。
コナシェンコフ報道官によると、ロシア航空宇宙軍は、手順の枠組みの中で行動し、目標の選択について米国主導の有志連合に前もって知らせていたが、米国側は同国が管理下に置いている部隊の活動地域の座標を提供しなかったという。
報道官はまたロシア国防省はずいぶん前に米国に対してシリアで活動している勢力の所在地を記した共通地図の作成を提案したが、まだ進展はないと伝えた。
なおコナシェンコフ報道官は、意見交換は建設的な雰囲気の中で行われたと指摘した。
※関連参照投稿
「高浜原発 運転停止の仮処分 効力停止の申し立て退ける:3月に運転停止を命じた裁判長が関西電力の反訴を再び担当」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/912.html
「原発の安全、立場の違い浮き彫り 高浜再稼働差し止め:司法を使って脱原発の動きを見せた安倍政権」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/249.html
「<高浜原発>3、4号機再稼働差し止め 福井地裁、仮処分:司法の独立性が希薄な日本では政権の意思とも...」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/229.html
「原発差し止め今度は認めず 司法が揺らすエネ政策:大都市圏周辺は不稼働、人口疎の地方で一部再稼働というのが政府方針らしい」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/127.html
「川内原発 差し止め認めず:安倍政権の原発再稼働方針が透けて見える:大都市圏周辺は不可・人口疎の地方は一部容認」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/437.html
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高浜原発1・2号機 40年超の運転延長 認可へ[NHK]
6月20日 4時56分
運転開始から40年が経過した福井県にある高浜原子力発電所1号機と2号機について、原子力規制委員会は20日、施設の劣化状況の評価に問題はないとして、原発事故のあと導入された運転期間を原則40年に制限する制度の下で初めて延長を認める見通しです。
関西電力が運転期間の延長を目指している高浜原発1号機と2号機について、原子力規制委員会はことし4月、古い原発特有の課題になっている電気ケーブルの防火対策など、見直された安全対策が新しい規制基準に適合していると認め、今月には設備の耐震性などを記した「工事計画」を認可しました。
20日の会合では、許認可で残されている施設の劣化状況を評価する「運転期間延長認可」を議論し、問題はないとして最長20年の延長を認める見通しです。認められれば、原発事故のあと導入された運転期間を原則40年に制限する制度のもとで初めてとなります。
高浜原発1号機と2号機は来月7日が延長認可の期限ですが、設備の耐震性を確認するため実際に原発の設備を揺らす試験についてはこの期限の前には実施せず、補強工事が完了したあとの検査で実施することを規制委員会が了承し、原発の運転に反対する市民グループは「合格ありきの審査で原則40年のルールは形骸化している」などと批判しています。
これについて、行政法が専門で早稲田大学の首藤重幸教授は「必要な安全性の確認を審査という関門を通過してから実施することに疑問を感じる。原発事故のあと、原発行政にはより一層の国民の納得が必要になっていて、規制委員会は説明責任を果たさなくてはならない」と指摘しています。
原則40年制限制度と現状
原子力発電所の運転期間を原則40年に制限する制度は、安全対策の強化の1つとして福島第一原発の事故のあと、導入されました。
電力会社が40年を超えて原発を運転しようとする場合、原子炉などの劣化状況を調べる特別点検を行ったうえで規制委員会の審査を受け、期限までに必要な許認可が得られれば最長20年の延長が1回に限り認められます。
これまでに運転延長を目指し審査を申請したのは、高浜原発1号機と2号機、それに同じ福井県にある美浜原発3号機の3基です。
美浜原発3号機は、運転開始から40年を迎えることし11月末が審査の期限で、来月にも新たな規制基準に事実上合格したことを示す審査書案が取りまとめられる見通しですが、詳しい機器の耐震性など残りの審査が期限までに終わるかが焦点となります。
一方、運転期間を制限する制度の導入で福井県にある敦賀原発1号機など5原発6基が運転を延長せずに廃炉にすることを決めました。
これら運転期間の延長を申請したり廃炉を決めたりした原発を除くと、今後10年以内に運転開始から40年を迎える原発は合わせて9原発14基あります。
運転延長には、新たな規制基準に沿った安全対策の強化などで多額の対策費が見込まれるうえ、審査に合格しても追加の工事が終わるまで再稼働できないため、延長後の稼働期間が20年より短くなる可能性もあります。
実際に高浜原発1号機と2号機は追加の安全対策で2160億円がかかり、再稼働の時期も工事が終わる平成31年10月以降とされています。
電力各社は、今回の高浜原発のケースを踏まえ安全対策の費用や稼働期間を考慮して、運転期間の延長か廃炉かを判断するとみられます。
延長認可期限後に試験
高浜原発1号機と2号機を巡っては、設備の耐震性の審査で議論がありました。
高浜原発1号機と2号機で想定される最大規模の地震の揺れについて、関西電力は周辺にある3つの活断層が連動した場合を考慮して、原発事故前の550ガルから700ガルに引き上げて申請しました。
その際、従来の耐震性の評価方法で計算すると、一部の設備の設計が揺れに耐えられない結果になることなどから、精度が高いとされる新しい評価手法を用いる方針を示しました。
新しい手法を用いることが妥当かどうか、原発の施設を実際に揺らして確かめる試験は、高浜原発では耐震補強の工事が終わっていないため、タイプが似た別の原発で行われました。
規制委員会はその試験結果を妥当だとする一方、高浜原発でも実際に設備を揺らす試験を行うよう求め、試験は来月7日の延長認可の期限がすぎたあと、補強工事が完了してから行われることになりました。
これについて、規制委員会は「過去の認可でも前例があり、法的な問題はない」としましたが、一部の委員からは「古い原発を動かすことに社会は非常に注目をしており、認可のあとの試験で基準を満たせなかった場合、社会的な信頼は得られないのではないか」という意見が出されていました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160620/k10010562181000.html?utm_int=all_side_ranking-social_003
土地問題を解決するため住民が上級政府に陳情しようとした直前、住民側リーダーの村長が拘束された中国広東省の烏坎(ウーカン)村で19日、当局に抗議する集会が開かれた。村民1千人以上が参加し、「リーダーを帰せ」とデモ行進した。
中国・直接選挙で選ばれた村長、拘束される 陳情の直前
烏坎村は5年前に腐敗した共産党幹部を住民らが追放し、直接選挙を実現した村として知られるが、きっかけとなった村有地が村民側にまだ返ってこないことから、19日に村民大会を開き、21日に上級政府に陳情しようとしていた。その直前の18日に、当局が村長で村の党支部書記でもある林祖恋氏(70)を汚職容疑で拘束。「腐敗した政府が住民運動をつぶそうとした」と怒りが広がった。
村民らは19日、ドラの音を合図に広場に集まり、国旗を手に「林書記は無罪」「土地を返せ」などとシュプレヒコールを上げた。その後、反政府活動ではないことを示すため「共産党万歳」と叫びながら村内をデモ行進した。途中、警戒する多数の警官の前を通ったが、警官側は静観したままで衝突は起きなかった。
集会に参加した主婦(28)は「これだけ時間がかかっても、土地は返ってこない。それなのに腐敗官僚が捕まらず、なぜ私たちのリーダーが捕まえられるのか」と批判した。(広東省烏坎村=延与光貞)
http://www.asahi.com/articles/ASJ6M5J3SJ6MUHBI00F.html?ref=yahoo
イラン民間航空機構のアベドザデ総裁は、米ボーイング社から航空機100機を購入することで合意に至ったと明らかにした。政府系日刊紙イランが19日、報じた。イランの核開発に対する制裁が1月に解除されたことに基づく措置で、米国とイランの関係改善に向けた一歩となる。
アベドザデ氏によると現在、米財務省の承認を待つ段階で、契約額は未定。米国は1月以降も制裁の一部を独自に維持しており、イランは、米国の取り組みの遅れで欧州や日本などのイラン回帰が進まないとして「米国が核合意を破るなら、我々はそれを燃やす」(最高指導者ハメネイ師)と不満を強めていた。
イランは制裁解除直後の1月、欧州のエアバス社とも航空機118機、総額約250億ドルの購入契約を結んだ。制裁中は航空機や部品の輸入ができず、イラン国内にある250機のうち230機は交換する必要があるとしている。(テヘラン=神田大介)
朝日新聞社
最終更新:6月19日(日)20時56分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160619-00000033-asahi-int
容疑者は、本物の金塊を持ち出しレプリカを返却したとされる。
容疑者が持ち出すためにどういう手続きを経ていたのか不明だが、「仕事で使う」と説明するだけであっさり本物の金塊を持ち出せるというのもあまりに杜撰な管理システムである。
そして、レプリカが返却されても本物かどうか確認されることなく、5ヶ月後にようやくレプリカであることに気づいたというのもmあまりに杜撰な管理システムである。
容疑者は15Kg相当の金塊を質屋で換金したそうだが、一般に流通している金塊(インゴット)は1Kgであり(キロ未満は多数流通)、ロンドン金市場受渡適合品(400トロイオンス、約12.5Kgの「ラージ・バー」)とも違う15Kgの金塊の換金によく応じたものだ。
容疑者が賠償できない場合、たぶん率の良いレートで換金に応じたはずの質屋が“善意の第三者”と認められるかという問題も生じる。
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時価約6380万円の金塊盗む 造幣局職員
日本テレビ系(NNN) 6月20日(月)15時36分配信
東京・豊島区にある造幣局の博物館で展示されていた時価約6380万円相当の金塊を盗んだとして、造幣局職員の男が逮捕された。
窃盗の疑いで逮捕されたのは、独立行政法人造幣局東京支局の職員・梅野穣容疑者(54)。警察によると、梅野容疑者は今年1月、豊島区の造幣東京博物館にあった時価約6380万円、重さ約15キロの展示用の金塊1個を盗んだ疑いがもたれている。
梅野容疑者は、広報活動などを担当する職員で、今年1月に他の職員に「仕事で使う」と説明し、金塊を持ち出していたが、6月になって返却されていないことが判明し、職員が警察に相談していた。
梅野容疑者は容疑を認め、「FX取引での損失を補てんするために盗んだ。金塊は質屋に売った」と供述しているという。
最終更新:6月20日(月)15時56分
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160620-00000048-nnn-soci
米国際貿易委員会(ITC)は、18日に出した環太平洋経済連携協定(TPP)に関する報告書で、日米両国間にコメに関する「文書化されていない約束」があるとした。公表分とは別に、日本に米国産米の輸入枠を設ける約束があるとしている。農林水産省は否定している。
「約束」があるとしたのは、日本のコメの最低輸入義務枠(ミニマムアクセス、MA、計77万トン)のうち、加工用中粒種に限定した6万トン分について。うち8割の4万8千トンを米国に割り当てる、という未公表の約束があるという。農水省は「そうした約束はない。米国コメ業界の単なる期待感ではないか」(農産企画課)と否定している。
今国会でのTPPを巡る審議で、政府は「協定文書がすべて」として、交渉経緯の公開を拒んでいた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12368283.html?_requesturl=articles%2FDA3S12368283.html&rm=150
「原発の安全、立場の違い浮き彫り 高浜再稼働差し止め:司法を使って脱原発の動きを見せた安倍政権」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/249.html
「<高浜原発>3、4号機再稼働差し止め 福井地裁、仮処分:司法の独立性が希薄な日本では政権の意思とも...」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/229.html
「司法が止めた原発:「原発メルトダウン危機の88時間」のようなインチキ総括しかできないデタラメ状況で再稼働停止は当然」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/345.html
「原発差し止め今度は認めず 司法が揺らすエネ政策:大都市圏周辺は不稼働、人口疎の地方で一部再稼働というのが政府方針らしい」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/127.html
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大飯原発の地震想定 過小評価の指摘受け再計算へ[NHK]
6月20日 17時13分
福井県にある大飯原子力発電所を巡り、想定する地震の揺れが過小評価になっているおそれがあると元委員が指摘したことを受け、原子力規制委員会は別の方式で再計算することを決めました。そのうえで、すでに了承している地震の想定を見直すかどうか検討するとしています。
おととし退任した原子力規制委員会の島崎邦彦元委員は、原発で想定される最大規模の地震の揺れについて、一部の原発では現在の計算式を使うと過小評価されるおそれがあると指摘したうえで、まず大飯原発の想定を再計算するよう今月、田中俊一委員長らに求めました。
大飯原発について、規制委員会はおととし、最大で856ガルとする地震の想定をすでに了承していて、対応を話し合った結果、指摘を受け入れるかたちで、別の式を使って再計算することを決めました。
一方で、20日の会合では、委員から「新たな知見は学会などで、しかるべき評価をされたものをベースに、規制委員会が独自に判断して取り入れるのが基本的な姿勢だ。実際に審査を担当した島崎元委員の指摘なので、できるだけ早く計算して報告してほしい」という意見が出されました。
このため、規制委員会では、想定を見直すかについては再計算の結果を見極めたうえで検討するとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160620/k10010562961000.html?utm_int=news_contents_news-main_005
「高浜原発1・2号機 40年超の運転延長 認可へ:新しい3・4号機でさえ司法判断で運転停止の現状を考えればムダな認可」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/872.html
「高浜原発3・4号機 8月核燃料取り出しへ:運転停止仮処分に対する効力停止の棄却で運転停止長期化を覚悟」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/861.html
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高浜原発1・2号機 最長20年の運転延長を認可[NHK]
6月20日 14時55分
運転開始から40年が経過した、福井県にある高浜原子力発電所1号機と2号機について、原子力規制委員会は、最長20年の運転の延長を全会一致で認めました。原発事故後に導入された運転期間を原則40年に制限する制度の下で延長が認められるのは初めてです。
高浜原発1号機と2号機について、原子力規制委員会はことし4月、古い原発特有の課題になっている電気ケーブルの防火対策など、見直された安全対策が新しい規制基準に適合していると認め、今月には設備の耐震性などを記した「工事計画」を認可しました。
20日の会合では、許認可で残されていた施設の劣化状況を評価する「運転期間延長認可」について議論が行われ、一部の配管が劣化して薄くなると耐震基準を下回るため、補強工事を行うことなどが報告されました。こうした対応を含め、委員から異論は出ず、最長20年の延長を全会一致で認めました。
これで高浜原発1号機と2号機は、期限とされている来月7日の前に必要な許認可がすべて得られ、最長の運転期間は、1号機が2034年11月まで、2号機が2035年11月までとなります。
福島第一原発の事故のあと導入された運転期間を原則40年に制限する制度の下で延長が認められるのは初めてです。ただ、実際の再稼働には安全対策の追加工事などを終える必要があり、関西電力は3年以上かかるとしています。
規制委「あくまで例外」 専門家「安全性だけ見て審査を」
原発の運転期間を原則40年とする制度は、福島第一原発の事故後、安全を重視する世論の高まりを受けて導入されました。原子力規制委員会の審査を受け、必要な認可を得られれば、最長20年の延長が1回に限って認められます。
規制委員会は「運転期間の延長はあくまで例外だ。厳しい審査が必要で、延長できる原発は限られてくる」という見方を示し、これまでに運転開始から40年前後が経過した6基の原発の廃炉が決まっています。
こうしたなかで、初めて申請が行われた高浜原発の2基について延長が認められたことで、今後、電力各社は今回の審査を踏まえて、ほかの原発の延長を模索するとみられます。
その一方で「延長は本当に例外的な扱いと言えるのか」と疑問視する声も上がっています。経済産業省が去年示した2030年時点の電源構成の見通しでは、原発の比率を20%から22%としていますが、これを達成するには、15基前後が40年を超えて運転を延長することが前提となります。
これについて、原子力規制委員会の審議会の委員を務める明治大学の勝田忠広准教授は「規制委員会は国のエネルギー政策とは全く関係なく、国民のために、安全性だけを見て審査を進めていくべきだ。福島第一原発の事故の経験を忘れず、常にそこに立ち返って審査を続けてほしい」と話しています。
「廃炉にすべき」規制委の前で抗議活動
高浜原発1号機と2号機の運転延長の認可に合わせて、原子力規制委員会が入る東京・港区のビルの前には、原発に反対する人たちが集まり、「高浜原発再稼働反対」などと書かれた紙を掲げながら、「40年ルールがなし崩しになっている」とか「老朽原発は今すぐ廃炉にすべきだ」などと訴えていました。
川崎市から来た69歳の女性は「運転期間を原則40年にするルールは福島第一原発の事故の教訓でできたものであり、規制委員会はこのルールを徹底すべきだ」と話していました。東京の48歳の女性は「あまり例のない40年を超えての運転は絶対に認められず、廃炉にすべきだ」と話していました。
全国の原発 審査などの状況は
福島第一原発の事故を踏まえて作られた新しい規制基準の審査には、これまでに高浜原発1号機と2号機を含む3つの原発の7基が合格し、このうち鹿児島県にある川内原発の2基が、現在、運転中です。
廃炉が決まった原発を除くと、全国には16原発42基があり、建設中の青森県の大間原発を含め、これまでに26基で再稼働の前提となる審査が申請されました。
審査は「PWR」=加圧水型と呼ばれるタイプの原発が先行しています。申請のあった8原発16基のうち、20日に運転延長が認められた高浜原発1号機と2号機のほか、これまでに、同じ高浜原発の3号機と4号機、鹿児島県にある川内原発1号機と2号機、それに愛媛県にある伊方原発3号機が審査に合格しています。
このうち運転しているのは、去年再稼働した川内原発の2基です。高浜原発3号機と4号機はことし1月以降、順次再稼働しましたが、4号機は再稼働の3日後にトラブルで原子炉が自動停止し、さらに大津地方裁判所の運転停止を命じる仮処分の決定を受け、2基とも決定が覆らないかぎり運転できない状態です。伊方原発3号機はことし7月下旬に再稼働する計画です。
高浜原発1号機と2号機と同様に関西電力が運転期間の延長を目指す、福井県にある美浜原発3号機は、ことし11月末の期限までにすべての審査に合格する必要がありますが、新しい耐震評価の方法などを巡る議論が続いていて、期限までに審査が終わるか見通せない状況です。
このほかのPWRでは、北海道にある泊原発3号機、佐賀県にある玄海原発3号機と4号機、それに福井県にある大飯原発3号機と4号機の審査がおおむね終盤に入っていますが、いずれの原発も合格の具体的な時期は見通せない状況です。
福井県にある敦賀原発2号機は、焦点となっている真下を走る断層の活動性から議論を始めていて、審査は序盤です。
一方、事故を起こした福島第一原発と同じ「BWR」=沸騰水型と呼ばれるタイプの原発は、これまでに新潟県にある東京電力の柏崎刈羽原発など8原発10基で審査が申請されていますが、耐震評価の審査などに時間がかかることから、合格の時期は早い原発でも来年以降になるとみられます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160620/k10010562801000.html?utm_int=news_contents_news-main_002
ユーロに懐疑的な野党候補 ローマ市長に当選[NHK]
6月20日 12時06分
イタリアで統一地方選挙が行われ、首都ローマの市長選挙では通貨ユーロに懐疑的な姿勢を示す野党の候補者が与党の候補者を破り、当選しました。
イタリアでは19日、120余りの自治体のトップや議員を選ぶ統一地方選挙の決選投票が行われました。
このうち、最も注目されていた首都ローマの市長選挙は汚職の撲滅などを掲げ、通貨ユーロに懐疑的な姿勢を示す新興政党「五つ星運動」の候補者、ラッジ氏と、レンツィ首相率いる与党「民主党」の候補者、ジャケッティ氏の2人の争いとなりました。2週間前に行われた1回目の投票では、当選に必要な過半数の票を獲得した候補者がいなかったため、決選投票となりました。
イタリア内務省によりますと、開票の結果、得票率はラッジ氏が67%余り、ジャケッティ氏が32%余りで、ラッジ氏がジャケッティ氏の2倍以上の票を獲得し、ローマでは初めての女性市長が誕生することになりました。
このほか、イタリア第4の都市トリノでも、「五つ星運動」の候補者が与党の候補者を破って当選を決めていて、EU=ヨーロッパ連合に批判的とされる野党の躍進は、EUを支持するレンツィ首相の政権運営に大きな打撃になると指摘されています。
アフガニスタンの首都カブールで、外国企業を守る警備員を狙った自爆テロがあり、少なくとも14人が死亡して反政府武装勢力タリバンが犯行を認める声明を出しました。現地ではタリバンに対する警戒を強めているところでした。
アフガニスタンの首都カブールで20日朝早く、警備会社の宿舎を出たマイクロバスの近くで爆発が起き、乗っていたネパール人の警備員など少なくとも14人が死亡しました。
内務省によりますと、道路脇にいた男がバスに近づき、身に着けていた爆弾を爆発させたということです。
カブールでは各国の大使館や企業を守るため、多くのネパール出身の警備員が働いていますが、自爆テロ事件のあと、反政府武装勢力タリバンが声明を出し、警備員を狙ったと犯行を認めました。
タリバンを巡っては先月、最高指導者のマンスール師がアメリカ軍による空爆を受けて殺害されたばかりで、カブールではタリバンからの報復に備え警察が警戒を強めていました。
NHKの世論調査によりますと、安倍内閣を「支持する」と答えた人は、1週間前に行った調査より1ポイント下がって47%、「支持しない」と答えた人は、1ポイント下がって34%でした。
NHKは今月17日から3日間、全国の18歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。調査の対象となったのは3035人で、66%に当たる2000人から回答を得ました。
それによりますと、安倍内閣を「支持する」と答えた人は、1週間前に行った調査より1ポイント下がって47%でした。一方、「支持しない」と答えた人は、1ポイント下がって34%でした。
来月10日に投票が行われる参議院選挙で、投票に行くかどうか聞いたところ、「必ず行く」が60%で、1週間前と比べて5ポイント上がり、前回、3年前の参議院選挙の同じ時期と比べても2ポイント高くなっています。また、「行くつもりでいる」が26%、「行くかどうかわからない」が9%、「行かない」が4%でした。
今回の参議院選挙にどの程度関心があるか尋ねたところ、「非常に関心がある」が25%、「ある程度関心がある」が48%、「あまり関心がない」が19%、「まったく関心がない」が4%でした。
今回の参議院選挙で投票先を選ぶ際に最も重視したいと考えることを、6つの政策課題を挙げて聞いたところ、「社会保障」が28%、「経済政策」が26%、「消費税」が14%、「憲法改正」が9%、「外交・安全保障」が7%、「原子力政策」が5%でした。
今回の参議院選挙で与党と野党の議席がどのようになればよいと思うか尋ねたところ、「与党の議席が増えたほうがよい」が23%、「野党の議席が増えたほうがよい」が31%、「どちらともいえない」が40%でした。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」への評価を聞いたところ、「大いに評価する」が5%、「ある程度評価する」が41%、「あまり評価しない」が34%、「まったく評価しない」が13%でした。
今の憲法を改正する必要があると思うか尋ねたところ、「改正する必要がある」が26%、「改正する必要はない」が33%、「どちらともいえない」が33%でした。
今回の参議院選挙で、民進・共産・社民・生活の野党4党が連携を強めていることを評価するかどうか聞いたところ、「大いに評価する」が11%、「ある程度評価する」が34%、「あまり評価しない」が30%、「まったく評価しない」が15%でした。
東京都の舛添知事が、政治資金などを巡る一連の問題を受けて、知事を辞職することについて尋ねたところ、「辞職は当然だ」が77%、「辞職する必要はない」が5%、「どちらともいえない」が12%でした。
舛添知事の政治資金などを巡る一連の問題が、今回の参議院選挙で自分の投票に影響すると思うか聞いたところ、「影響する」が26%、「影響しない」が45%、「どちらともいえない」が23%でした。
河野勝 早稲田大学教授
7月10日に参議院選挙が行われる。首相に解散権のある衆議院の選挙と異なり、参院選は3年に1度、必ず実施される。この定期性は、今どのような変化が日本の政治に起きているか、またそれらの変化がどれぐらい重大なものであるかに思いを巡らすうえで、一つの道標となる。
この観点から振り返ると、最近の日本政治にはいくつもの重大な変化が起きている。自民党と「二大政党」を張り合った民主党の民進党への衣替え、みんなの党の消滅、そして橋下徹前大阪市長の退出は、3年というごく短い間に日本の政界地図が大きく塗り替えられたことを示唆する。
政策に関しても、経済ではマイナス金利が導入され、安全保障では集団的自衛権を容認する新しい法制が成立した。さらに今回の参院選では、18歳の人も投票できるようになった。いずれも「戦後初めて」という修飾句がついて語られるべき画期的な政策・制度上の転換である。
しかし数々の劇的な変化が起きているにもかかわらず、参院選に対する有権者の関心は決して高いとはいえない。それどころか現下の日本政治には、漠とした停滞感が漂っているように感じられる。
参院選の意義を考えるうえで最も重要なのは、制度上、その結果をどう解釈してよいかが極めてわかりにくい選挙だという点にある。まず参院選は政権を選択する選挙ではない。極端なことをいえば、たとえ今回の選挙で野党側が過半数の議席を確保する番狂わせを起こしたとしても、衆院で自民党と公明党による連立政権の首相指名を阻止することはできない。
また現行の憲法では、参院の議席の半分を3年ごとに改選していくという仕組みになっている。それゆえ自公両党は改選部分のみの過半数を勝敗ラインとすることもできれば、ややハードルを下げて改選されない部分も含めた院全体の過半数を目標に設定することもできる。さらに与党側が設定する目標と野党側の目標が一致するとも限らない。民進党は、憲法改正に必要な3分の2の議席を自公にとらせないことを「最低限」とうたっているが、与党の側がそれを選挙の勝敗基準として受け入れているわけではない。
勝ち負けを定義するルールのない競技スポーツは、定義矛盾で無意味か、このうえなく退屈かのどちらかだ。全く同じ理由から、与野党が何を目標にしてこの参院選を戦うのかが明確にならない限り、政治に対する有権者の熱意を掘り起こすことはできない。
有権者の関心が低迷する理由としては、選挙の争点に新鮮味がないということも指摘できる。現在の第2次安倍政権にとっては、これが3回目の国政選挙だが、この間、中心的な争点は常に経済および経済政策であり続けている。
選挙のたびに憲法改正が争点化する気配はあるものの、結局それが前面に押し出されることはない。結果として「アベノミクスの評価」という紋切り型の題目が政治家やメディアにより繰り返され、有権者はなぜ同じことを何度も問われなければならないのかと静かにいら立っている。
アベノミクスの是非は、これまでも決着がつかなかったし、この参院選を通しても決着がつくことはあり得ない。アベノミクスに限らず、一般に経済政策の成果をどう測るかについては、専門家の間でさえ意見の一致がない。ましてや一般の有権者からみれば、経済政策に対する評価は、数値化された指標がどうあれ、自らの景気判断や暮らし向き感覚により左右される。
特に選挙が近づくと、経済を巡る人々の認知や態度は党派的なバイアス(ゆがみ)に影響されることを免れない。
このことを示すため、米国で大統領予備選挙が佳境に入ろうとする昨年11月に実施された世論調査の結果から、一例を紹介しよう。表は「2009年にオバマ大統領が就任してから今日まで、失業率は高くなったと思いますか、低くなったと思いますか」という質問に対する回答の分布を支持党派別に集計したものである。
この分布からは、明白な党派性バイアスの影響をみてとれる。民主党支持者の間では76%が失業率が「低くなった」と答える一方で、共和党支持者の間では「高くなった」という回答が過半数の53%を占める。政府発表の統計値によれば、オバマ政権の下で米国の失業率はほぼ一貫して低下している。世論調査の結果と統計指標とのかい離は、疑いようのない経済動向についてさえ、党派性バイアスが人々の認識を大きくゆがめる効果を持つことを如実に物語る。
ともするとわれわれは重要な国政選挙では、与野党がそれぞれ別個の争点を掲げ議論がかみ合わないよりは、共通の土俵で論争が繰り広げられる方が、熟議を深めるのでより有意義だと思いがちだ。しかし争点が一致したからといって、多くの有権者がどちらかの主張で説得されるようになるとは期待できない。
現在、安倍政権は消費増税を再延期するにあたり、その根拠を世界経済の停滞に求めている。一方、野党は増税再延期自体がアベノミクスの破綻を立証するという主張を展開し、形のうえでは論争が経済政策の評価という同じ土俵で繰り広げられている。この論争もおそらく、安倍政権にもともと同情的な有権者は前者の解釈を、もともと批判的な人々は後者の解釈をとるということに終始するだろう。
参院選は政権を選択する選挙でなく、政権与党のその時点までの業績に対して中間的な評価を下す機会だ。それゆえ参院選は野党に有利に働くメカニズムを内包している。
衆院選では、与党と野党はともに政権構想を有権者に訴えなければならない。その際、様々な実績を誇示できる与党に対して、約束事しか語れない野党は圧倒的に不利な立場に置かれる。しかし政権選択でない選挙であれば、野党には自らの政権構想を明確にすることなく、主に政権与党の政策を検証してその非を明確にするという選挙戦略が可能となる。
米大統領選のはざまの「中間選挙」で、しばしば大統領与党の議会勢力が大きく後退するのは、まさにこうしたメカニズムが働くからである。
しかし安倍晋三首相は、今回の参院選を評価でなく選択の選挙として位置づけようとしている。衆院選を同時に行うかを最後まで明言しなかったこと、消費増税の先送りについて「国民に信を問う」と攻勢をかけていること、そして今回の選挙が「自公対民共」の対立であると印象づけようとしていることなど、その演出は周到である。
選択の選挙かそれとも評価の選挙かの違いは、有権者の判断を与野党間の相対評価に求めるか、政権与党だけに対する絶対評価に求めるかの違いである。絶対評価とは、本人自身がベストを尽くした場合の理想の到達点をレファレンスポイント(参照点)にして、実際はどうだったかに成績をつける作業である。
野党がどうあれ、政権与党に「あなたがたは国政に最善を尽くしているか」を問うことは、民主主義の重要なプロセスであると、筆者は考える。もちろんライバルである野党がていたらくであればあるほど、相対評価よりも絶対評価の方が厳しい基準となる。それゆえ、今求められているのは、政権与党が自ら進んでそうした基準に基づく有権者の判断を仰ぐことなのである。
ポイント
○政権選択でない参院選結果の解釈難しい
○有権者の支持党派が経済政策評価を左右
○与党に最善尽くしているか問うのは重要
こうの・まさる 62年生まれ。上智大卒、スタンフォード大政治学博士。専門は政治学
[日経新聞6月16日朝刊P.29]
北東アジアの安全保障について話し合う国際会議に4年ぶりに出席するため、20日、北京に北朝鮮の高官が到着し、北朝鮮の核問題を巡る6か国協議の関係国を前に核開発を改めて正当化するものとみられます。
北京に到着したのは、北朝鮮外務省アメリカ局のチェ・ソニ副局長です。チェ副局長は21日から3日間の日程で北京で開かれる国際会議に出席することになっていて、到着した空港では報道陣の問いかけには答えず、北朝鮮大使館の車に乗って北京市内へ向かいました。
今回の国際会議はアメリカの大学が毎年開いているもので、北朝鮮の核問題を巡る6か国協議の関係国の当局者や民間の研究者が出席し、北東アジアの安全保障について意見を交わします。北朝鮮からの出席は4年ぶりです。
チェ副局長は、先月行われた朝鮮労働党大会の決定を踏まえ、核開発と経済の立て直しを並行して進める「並進路線」に言及して、6か国協議の関係国を前に核開発を改めて正当化するものとみられます。
北朝鮮の核開発を巡っては、アメリカなどが非核化に向けた具体的な措置を求める一方で、北朝鮮は核開発を続ける姿勢を堅持していて、2008年12月以来開かれていない6か国協議の再開の見通しは立っていません。
ノルトライン=ラインヴェストファーレン州で、「多様性の学校」教育プログラムの一環の新たな試みが提示された。ドイツ紙「ディ・ヴェルト」が報じた。
同性愛関係、トランスセクシュアル、また、様々な種類の非伝統的なセックスについて子ども達に語られる。教師には一連のワークショップを行うよう提案され、子どもたちは小規模な劇を演じる。
劇中シーンの模範的なテーマとしては次のものが提案されている:オーガズムと早期のオーガズム、サドマゾヒズム、アナルセックス、オナニーのための部屋だ。
ディ・ヴェルト紙が伝えるところ、プログラムの目的は、非伝統的な性的指向を持つ人々への敬意を子どもに教えることにある。
児相、オーストリア女性から子供取り上げる。女性のIQ低すぎると[スプートニク日本語]
2016年06月21日 22:59
オーストリアの児童相談所が、IQテストの結果を根拠に、2人の子を母から取り上げた。テストによると、母、エブリン・ミューラーさん(34歳)の知能指数は64だった。ドイツのThe Localが伝えた。
結果、 生後半年のビクトリアさんと2歳のライアンさんが、保護施設に送られた。保護施設では子供のために養父母が探されている。しかし、ミューラーさんは絶望に沈むことなく、助けを求めた。慈善団体がミューラーさんに助けを申し出て、弁護士を雇う手助けをした。現在、弁護士は法廷で児相の決定に異議を唱えている。
このような根拠では、実質的に100家族に1家族の割合で子供を取り上げることができる。 IQが85−115の範囲が普通の指数だと考えられている。しかし、統計によると、122人に1人の人が、IQ64もしくはそれを下回る。
また、ミューラーさんは、高くないIQ指数にかかわらず、中学校を卒業できた。
http://jp.sputniknews.com/life/20160621/2344640.html
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最悪の父親たちがいる国を学者が特定[スプートニク日本語]
2016年06月21日 12:25
最悪の父親たちはイギリスに住んでいる。15ヶ国で行われた調査の結果、英父性研究所の学者はそのような結論に至った。
報告によると、母親が子供と過ごす一時間当たり、父親は24分しか子供に時間を割かない。
だが同時に、イギリスの父親たちはより家庭的で、女性が家事を行う一時間当たり34分まで家事を行う。
父親ランキングでリードしているのはポルトガル人で、彼らが子供と過ごす時間は「女性による」一時間より39分以上だと、RT(ロシア・トゥデイ)が伝えた。最高の父親としての優等生はまた、スウェーデン、フランス、イタリアそしてニュージーランドの男性だ。
※動画は「スプートニク日本語」のサイトでご覧ください。
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新型7トン自律型戦闘ロボットRoBattleお披露目(動画)[スプートニク日本語]
2016年06月20日 19:25(アップデート 2016年06月20日 19:32)
RoBattleとは、イスラエルの兵器メーカー「イスラエル・エアロスペース・インダストリー(IAI)」が作ったモジュール設計のロボットだ。RoBattleの重さは7トンで、3トンまでの重さのセンサー、武器、戦闘行動に不可欠な他の道具を運ぶことが出来る。
設計者はRoBattleをこう説明する。「RoBattleは、IAIによる最新の地上ロボットシステムを代表する機体で、自動制御、ナビゲーション、レーダーマッピングの部品を含むモジュールや、センサー、一そろいの物資が搭載されている」
システムは自立的な運用、キャタピラーと車輪による移動が可能だ。
今週、地上、航空防衛システムがテーマの、パリ郊外で開催された国際防衛・安全保障展示会ユーロサトリ2016でロボットが展示された。
21日午後、北海道釧路市の大型商業施設で、男が買い物客など女性4人を包丁で次々と切りつけ、1人が死亡し、3人が重軽傷を負いました。男は殺人未遂の疑いで逮捕され、警察によりますと、「人生を終わりにしたかった。死刑になるために人を刺した」などと供述しているということです。
21日午後3時15分ごろ、釧路市昭和中央4丁目の「イオンモール釧路昭和」で、男が包丁を振り回しながら買い物客など女性4人を次々と切りつけました。
警察によりますと、このうち、買い物に来ていた釧路市の戸沼雅子さん(68)が背中を刺されて死亡し、40代から70代までの買い物客や店の従業員合わせて3人が重軽傷を負いました。
男は店の警備員に取り押さえられ、殺人未遂の疑いでその場で警察に逮捕されました。
警察によりますと、逮捕されたのは釧路市の職業不詳、松橋伸幸容疑者(33)で、調べに対し、「人生を終わりにしたかった。死刑になるために人を刺した」などと供述しているということです。警察が詳しいいきさつを調べています。
イオンモール釧路昭和は、JR釧路駅から北西におよそ5キロほど離れた所にある大型商業施設で、店の従業員によりますと、21日は特売日で、ふだんの平日より多くの買い物客が訪れていて、当時は逃げまどう人たちで騒然となったということです。
男は刺身包丁のような刃物持つ
大型商業施設を運営する「イオン北海道」によりますと、女性を切りつけた男は角刈りのような髪型で、先がとがった刺身包丁のような刃物を持っていたということです。そして、1階のスーパーの食品売り場から専門店街につながる通路で、次々と女性を刺していったということです。また、刺された女性は3人が買い物客で1人が専門店の従業員だということです。
「やめて」と叫ぶ声響く
事件が起きた商業施設の1階に入る衣料品店の従業員は「午後3時15分ごろ、女性の『やめて』と叫ぶ声がフロアに響いた。その後、すぐに警察が来て男の身柄を確保した。聞いた話では、刺された女性はぐったりとした状態で搬送されていった。みんなパニック状態で騒然として、今も何も考えられない」と話していました。
また、事件当時、商業施設の中にいた釧路市内に住む30代の主婦は「エスカレーターで2階に上がる途中、1階のほうから『キャー』とか『やめて』などという悲鳴が聞こえて振り返ると、包丁を振り回している人の姿が見えた。周りの人は走って逃げていた。刺された人は店員が止血をしたり、AEDを使って手当てをしたりしていた。目の前でこんな事件が起きてすごい恐怖で、一緒にいた息子も怖い光景を見てしまったので心配です」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160621/k10010564741000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
中東のヨルダンのシリアとの国境近くで車が爆発するテロがあり、難民キャンプの警備にあたる兵士ら6人が死亡しました。ヨルダンでは今月、ほかの難民キャンプが襲撃されて警察官が死亡する事件も起きていて、難民が避難先でも危険にさらされる状況となっています。
ヨルダンの北東部ルクバンで21日早朝、突然、車が爆発し、兵士ら6人が死亡、14人がけがをしました。現場は国境に近く、隣国シリアから逃れた難民5万人以上が身を寄せているキャンプがあります。
これまでに犯行声明などは出ていませんが、ヨルダン軍は国境や難民キャンプの警備にあたる兵士が狙われたテロだとみています。
ヨルダンでは今月6日にも、パレスチナ難民のキャンプで政府の事務所が何者かに襲撃され、警察官ら5人が死亡する事件が起きています。
戦火から何とか逃れることができた難民たちが避難先のキャンプでも危険にさらされる状況となっていて、ヨルダン政府は「過激な思想を排除し、テロとの戦いを強化していく」としています。
実質国有企業である東電の社長としては、政府を非難の矢面に立たせるわけにはいかないので、自身が謝罪し決着を付けるという選択しかないのだろう。
昨日夕方放送された日テレニュース(every)で、菅元首相(当時の原子力災害対策本部長)は、東電から炉心溶融という報告さえなかったと東電を批判していたが、当時の原子力災害対策本部が、東電から逐次発表されていたデータを解析し、各号機で順次メルトダウンそしてメルトスルーと評価できなかったとしたら、そちらのほうが、“隠蔽”よりずっと重大な問題である。
脱原発依存を掲げる菅元首相は、このような問題が明るみになったことを好機と考え、津波到達以前に地震で破滅的損傷を被ったことや4号機使用済み核燃料プールに関する緊急避難行動など、いまなお“隠蔽”されている事故の経緯について明らかにすべきである。
※参照関連投稿
「東電調査結果に 民進 枝野氏 事実関係を否定:菅元首相も否定だが、当時の最高責任者として“自己防衛”的態度は醜悪」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/911.html
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“「炉心溶融使うな」は隠蔽” 東電社長が謝罪[NHK]
6月21日 14時14分
東京電力が福島第一原子力発電所の事故のあと2か月以上、「炉心溶融」いわゆるメルトダウンが起きたことを認めなかった問題について、東京電力の廣瀬社長は「炉心溶融を使わないよう当時の社長が指示し公表を差し控えたことは重大で隠蔽ととらえられるのは当然だ」などと述べて隠蔽だったと認め謝罪しました。
福島第一原発の事故で東京電力は、炉心溶融=メルトダウンが起きたことを事故発生の2か月後に正式に認めましたが、5年近くたったことし2月、当時の社内マニュアルに従えば事故の3日後にはメルトダウンと判断できたことが明らかになりました。
この問題を検証するため東京電力が依頼した弁護士らでつくる委員会は当時の清水社長が炉心溶融ということばを使わないよう指示していたなどとする報告書を今月16日、公表しました。
これについて21日東京電力は記者会見を開き、廣瀬社長が「炉心溶融を使わないよう当時の社長が指示し、公表を差し控えたことは重大な事実だ。痛恨の極みであり、社会の皆様の立場に立てば、隠蔽と捉えられるのは当然だ」と述べて謝罪しました。
さらに記者から「社長としてどう認識しているか」と問われたのに対し、「隠蔽ですね」と答え、隠蔽だったと認めました。
この問題を巡り東京電力の委員会は報告書で、当時の社長の指示が官邸からの指示によるものだったとしていますが、当時の民主党政権の菅元総理大臣や官房長官だった民進党の枝野幹事長はそのような指示をしたことはないと否定しています。
このことについて廣瀬社長は会見で、「報告書では官邸の部分は、推認となっている。いかなることがあったにせよ、それに左右されるのではなく、社長として口止めにあたる指示をしてしまったことは痛恨の極みと考えている」と述べて、官邸の指示があったかどうかについては回答を避けました。
「官邸の誰から指示があったのか調査する考えはないのか」という質問に対しては、「われわれとしての調査の限界があるし、それによって変わるようなことがないような対策を考えた」と述べ、今後、東京電力として調べる考えがないことを明らかにしました。
また再発防止策として、事故の際に使う用語を技術的に判断する責任者を設置することや社会の目線に立った情報発信を社長に提言する仕組みを取り入れること、それに情報発信の訓練や緊急時マニュアルの理解度テストを実施することなどを示しました。
新潟県知事「再発防止策 論評に値せず」
東京電力の柏崎刈羽原発がある新潟県の泉田知事は「東京電力が依頼した第三者検証委員会の検証が不十分であることから、新潟県との合同検証委員会を設置し、真摯(しんし)に検証に取り組むこととしたものであり、現段階での再発防止策などについては論評に値しない」とするコメントを発表しました。
「合同の検証は試金石に」
福島第一原発の事故のメルトダウンの公表を巡る問題は、事故を独自に調査してきた新潟県の技術委員会と東京電力が合同で検証を続けることにしています。
検証に加わる委員の1人は「マニュアルの調査が不十分だったでは済まされず、合同の検証は東京電力が原子力を扱うに足る会社かどうかの試金石になる」と述べました。
東京電力の柏崎刈羽原発がある新潟県は福島第一原発の事故の検証なしに再稼働の議論はできないとして、専門家による技術委員会で独自の調査を続けています。技術委員会の中島健座長は21日、調査の一環として行った福島第一原発の視察のあと、取材に応じ、「隠蔽があった」とする東京電力の発表について「しっかりと報告を受けていない状態だが、事実だとすれば東京電力に真摯(しんし)な対応をお願いしたい」と述べました。
また、技術委員会側の代表の1人として、この問題を東京電力と合同で検証する新潟大学名誉教授の立石雅昭委員は「隠蔽だったと認めたことは東京電力が調査結果を受け止め踏み込んだ総括を行ったと思うので評価したい」と述べました。一方で、東京電力が技術委員会に対し結果的に虚偽の説明を繰り返していたことについて「マニュアルの調査が不十分だったでは済まされず、今後の合同検証委員会でも議論されるべき問題だ。東京電力が原子力を扱うに足る会社かどうかの試金石になる」と述べました。
そして、官邸側の指示の有無については「一つの民間会社や県では解決できないレベルの問題で、合同検証委員会でも結論は出せないと思う。国民の要望として解明に向け申し入れをしていくべき話だ」という考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160621/k10010564531000.html?utm_int=all_side_ranking-social_003
http://www.asyura2.com/16/senkyo208/msg/283.html
(上)「爆買い」に急ブレーキ 1人当たり旅行消費額減
5月の大型連休明け。家電量販店のヤマダ電機はJR新橋駅前(東京・港)の店舗をひっそりと閉めた。不採算60店を一斉閉店する一方、新たな「戦略店」として2015年春に開いた免税専門店だった。
1年で見切り
「インバウンドは経営の核にならない」。山田昇会長は1年あまりで見切りをつけた。1台10万円近い炊飯器を何台もまとめ買いする中国人客。一本調子で増えてきたこんな「爆買い」にブレーキがかかった。
中国は経済成長が鈍り、15年夏には上海株が急落。円高・人民元安が進み、この1年で日本の商品の“お得感”は2割近くも失われた。ただ、爆買いがしぼむ理由をこれだけで片付けることはできない。
訪日観光ビザの4割を発給する上海の日本総領事館では1〜4月の発給件数が前年同期比15%増。日本への旅行熱が冷める気配はない。沿岸部中心に給与水準は上昇。2桁成長が続く中国の消費市場では依然、日本製の人気は高い。実際、16年1〜3月期に訪日中国人客の旅行消費額は客数の伸びが寄与し、前年同期を4割強上回った。ただ、1人当たりに換算すると、12%近くも減っている。
「税制が変わってコストが合わない」。九州に住む中国人の主婦、高園園さん(29)が話す。ドラッグストアなどで買い付けた商品を本国の客に販売してきた代購(代理購入)。いわゆるブローカーだ。
中国政府は4月、越境EC(電子商取引)に関する税制を変更した。事実上免税だった個人輸入扱いの荷物に一般貿易並みの税金が課される。税制の抜け道を使って荒稼ぎするブローカーを締め出し、正規の貿易業者の不公平感をなくすことが狙いとみられる。人海戦術で商品を調達してきた代講は関税引き上げと円高でうまみがなくなった。
日本百貨店協会がまとめた4月の全国の百貨店のインバウンド向け売上高は3年3カ月ぶりに前年割れとなった。客数は7%以上増えたにもかかわらず、単価が16%近く落ち込んだ。三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は「ブローカーが減った」とみる。
大きな振れ幅
免税店大手のラオックスは5月まで全店売上高が4カ月連続で前年割れとなった。店舗数は増やしても単価下落が補えない。8月をめどに日本行きのクルーズ船が発着する上海港に展示場を設ける。家電や化粧品など1000点超をそろえて、訪日前に予約販売。日本の店舗で手渡す。クルーズ旅行の富裕層を店舗に呼び込む苦肉の策だ。
免税販売は想定ほど伸びない。家電量販店のビックカメラは16年8月期の連結売上高を下方修正した。宮嶋宏幸社長は「インバウンドは1割程度が適切」と強調する。単体売上高に占める免税販売の比率は15年12月〜16年2月期ですでに11%程度となっている。
15年には3兆4000億円に達し、百貨店や家電量販店を潤したインバウンド消費。振れ幅の大きさはリスク要因となりかねない。
◇
安倍政権が成長戦略の柱のひとつに掲げるインバウンド。右肩上がりの伸びが続く一方、流行語ともなった「爆買い」はすっかり影を潜めた。変わるインバウンド最前線の風景に迫る。
[日経新聞6月18日朝刊P.1]
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(中)「鳥取 コナン」で検索 クールな体験 地方で探す
47都道府県のうち、宿泊客数が下から4番目の鳥取県。しかし、空港から車で40分も離れた「青山剛昌ふるさと館」(北栄町)では平日、中国語が飛び交う。
お目当ては人気漫画「名探偵コナン」だ。作者の出身地に建てられた記念館に海外からファンが押し寄せる。2015年度の来館者は初めて10万人を突破。約1割をインバウンド(訪日外国人)客が占める。
「鳥取とコナンを併せて検索している。漫画をきっかけに鳥取を訪れる傾向がうかがえる」。中国ネット検索最大手、百度(バイドゥ)日本法人の高橋大介国際事業室室長は中国人の動きをこう分析する。
増える個人旅行
1〜4月の訪日観光ビザ発給件数が前年同期比15%増えた中国・上海総領事館。初めて訪日する「一見(いちげん)さん」が中心の団体旅行用が5%減る一方、リピーターが多い個人旅行用は40%増えた。爆買いがしぼむ背景には訪日客の関心の「モノ」から「コト」へのシフトもある。
旅慣れた訪日客は日本でしかできないニッチな体験を求め、全国各地を歩き始めた。
昔ながらの蔵造りの街並みから「小江戸」と呼ばれる埼玉県川越市では和装の訪日客が行き交う。台湾から訪れたツァン・スージュエンさんは初めて着た浴衣に「伝統的で美しい衣装にうっとりする」と話す。
かつてすさんだ街として知られた横浜市黄金町。高架下のスタジオで開かれるアートイベントに中華系の訪日客が目立ち始めている。町の名前が中国で縁起が良いとされる金を連想させる。理由は単純だが、交流サイト(SNS)経由で拡散し、評判となった。訪日客が集まれば、そのための商売やイベントも増え、街は活気を生む。
農家や温泉魅力
観光庁によると、地方の外国人の延べ宿泊者数は15年に前年比60%増えた。東京、京都、大阪など三大都市圏の42%増を上回り、訪日客が地方に足を延ばす傾向は強まっている。
訪日人気の代表格がアニメなどの「クールジャパン」だ。だが、「クール」は人によって感じ方が違う。日本人が知らない魅力を訪日外国人が発見している。
栃木県大田原市の第三セクター、大田原ツーリズムが手掛ける「農家民泊」。農家と一緒に野菜を収穫したり、郷土料理を作ったりして、日本に根付く田舎の暮らしを堪能できる。年6500人の体験者の約3割が訪日客だ。
玉川温泉や乳頭温泉など日本を代表する名湯を抱える秋田県仙北市は、温泉と病院での健康診断を組み合わせた医療ツーリズムを推し進める。国家戦略特区を使い、外国人医師の受け入れ体制も整える。5月下旬には中国国家観光局の日本駐在幹部が訪れ、門脇光浩市長が出迎え熱心に売り込んだ。
リピーターの増加で、訪日外国人の行き先に変化の兆しが出てきたのは間違いない。それでも、三大都市圏に宿泊する訪日客がまだ6割を超え、都市部のホテルは慢性的に予約を取りにくい状況が続いている。
20年に訪日客4000万人をめざす日本。インバウンドの果実を日本全体に広げるためには、訪日客をさらに地方に分散させることができるかがカギとなる。日本人が忘れてしまった魅力を再発見してくれる訪日客が増えれば、新たな地域活性化にもつながる。
[日経新聞6月19日朝刊P.1]
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(下)訪日客消費 GDP1%の壁 おもてなし 工夫の余地
家電量販店のビックカメラに台湾からの訪日客の「指名買い」を受ける店員がいる。新宿東口駅前店(東京・新宿)で働く台湾出身の永井恵美さんだ。「すごく親切だった」という交流サイト(SNS)への書き込みが拡散し、ちょっとした有名人になった。
「日本に行くので商品を取っておいて」。SNSを通じ、こんなメッセージが頻繁に届く。買い物の後は店内で一緒に記念撮影。その写真がまた投稿される。
数はあるのに…
「おもてなし日本」を海外に発信するSNS。しかし、買い物の様子をアップしようとしても、通信環境が整っていないとの不満が訪日客には根強い。観光庁の調査によると、旅行中に最も困ったことの1位は無料公衆無線LANの30.2%。2位の「言葉が通じない」(21.1%)を大きく引き離す。
約100万カ所と推計される日本の公衆無線LANは海外と比べても遜色ないという。問題は使い勝手の悪さだ。各地の公衆無線LANは通信会社や自治体が整備し、訪日客は移動のたびに名前や国籍、性別などを登録する必要がある。総務省は一度の登録で異なる公衆無線LANを使えるようにする検討に入った。
日本独特のルールへの戸惑いも多い。例えば、食券による前払いや現金対応のみという飲食店に訪日客はなじみがない。
松屋フーズは2017年3月末までに全約1000店の食券販売機を外国語表示が可能な新型に切り替える。英語、中国語、韓国語に対応。外国人が好むメニューを分析し、新商品開発に生かす思惑もある。
外国人が日本で使ったお金から日本人が海外で使ったお金を引く旅行収支は15年、53年ぶりに黒字に転換した。アジアを中心とする海外の成長が国内に流れ込む。その恩恵に浴するためには飲食店など典型的な内需産業もグローバル化が求められている。
規制緩和が不可欠
政府は6月2日、20年に訪日客数を4000万人にする成長戦略を閣議決定した。ビザの緩和や円安を原動力に当初の「20年に年間2000万人」を前倒しで達成し、大幅に目標を引き上げた。このためもう一段の規制緩和が欠かせない。
最大の課題は宿泊施設の整備だ。主要都市のホテルではすでに高水準の稼働が続く。新たな受け皿と期待される民泊のルールづくりはこれから具体化する。
焦点の一つは営業日数の上限だ。180日以下が一般的な海外に対し、日本の旅館業界は30日以下を強硬に主張する。エアビーアンドビーの共同創設者、ジョー・ゲビア氏は「最終的には国や自治体が決めることだが、規制が多いほど、その経済効果は限られる」と懸念を示す。
3兆4000億円に膨らんだ訪日客の消費額も対国内総生産(GDP)でみれば0.5%にすぎない。2%に届くイタリアやフランスとの差は大きく、米国やカナダの1%と比べても見劣りする。20年に政府が目標とする8兆円になれば、GDP600兆円経済でも1%の壁を突き破ることができる。そのためには官民で工夫しなければならない課題はまだまだ多い。
新沼大、藤川衛、伊藤大輔、小高航、原島大介が担当しました。
[日経新聞6月21日朝刊P.1]
四国電力が伊方原子力発電所3号機(愛媛県)の原子炉を7月26日ごろに再稼働させる方向であることが17日、わかった。再稼働すれば原子力規制委員会が2013年に導入した新規制基準の下では、九州電力の川内1、2号機(鹿児島県)と関西電力の高浜3、4号機(福井県、運転差し止めの仮処分決定)に続き、3カ所(5基)目。
関係者によると、四国電は6月24日ごろから核燃料157体の搬入を始め、原子炉容器組み立てや冷却水の不純物除去を進める予定。トラブルがなければ、1カ月後の7月26日ごろに制御棒を引き抜いて起動し、3日程度で発電・送電を始める。
伊方3号機は現在、設備の安全性を現地で確認する最終手続きの「使用前検査」をしている。四国電は検査申請時から再稼働時期を7月下旬と見込んできた。
[日経新聞6月18日朝刊P.4]
総務省は17日、スマートフォン(スマホ)の通信料金の国際比較を発表した。端末購入から3年目以降で見ると、日本は月7022円。6カ国のうち米国の7610円に次ぐ2位で、最も安い英国(3180円)の2倍以上の水準だ。日本は同じ端末を長く使う人の負担が重くなっている。
2015年度の電気通信サービスの内外価格差調査は日本、米国、英国、フランス、ドイツ、韓国の料金を調べた。金額は3月時点。
日本では端末購入から2年間に限り、通信料金を割り引く独自の商習慣がある。当初2年間の負担額は米英などと似た水準だが、割引が無くなる3年目からは通信料金が跳ね上がる傾向がある。
スマホを新規契約したばかりの通信料金と端末代の合計負担額は8642円。6カ国中3位で平均額をやや下回る。合計負担額のうち、通信料金は4484円で、端末代が4158円。正規の通信料金は7022円だが、端末購入者に対する割引が2538円あるため、契約から2年間の通信料金は安く済む。
[日経新聞6月18日朝刊P.5]
【シリコンバレー=小川義也】スマートフォン(スマホ)を利用した「ライドシェア(相乗り)」サービスを巡る攻防が激しくなっている。最大手の米ウーバーテクノロジーズに対し、米中印と東南アジアの競合が連携して包囲網を構築。自動車大手やIT(情報技術)大手も参戦する。5兆4000億ドル(約570兆円)規模に達する輸送サービス市場は変革期を迎えている。
東南アジアで配車サービスを展開するグラブ(シンガポール)が今月2日、ウーバーのお膝元の米国に“上陸”した。グラブの利用者は全米200以上の都市で、使い慣れたアプリから米同業大手リフトの契約ドライバーを呼び出せる。
グラブとリフトは昨年12月に配車アプリの相互利用で提携。中国の滴滴出行、インドのオラも加わり、連合を形成する。「提携により、ノウハウを共有し、それぞれの市場で最も優れたサービスを提供できる」。グラブ共同創業者のフーイ・リン・タン氏は語る。
米有力ベンチャーキャピタル、クライナー・パーキンス・コーフィールド&バイヤーズ(KPCB)によると、2016年の世界のライドシェア利用回数は63億回と、1年前の3.7倍に拡大する見通し。驚異的な成長をけん引するのは全体の7割を占める中国だ。
「ウーバー? 滴滴の方が断然いいわ」。北京市内の外資企業に勤める女性社員(33)は、通勤や週末のレジャーで滴滴のアプリが手放せないという。
約70カ国・地域でサービスを展開するウーバーだが、滴滴が約9割のシェアを握る中国では苦戦が続く。トラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)は2月、中国での事業が年間10億ドル以上の赤字であることを明らかにした。
滴滴は中国国内400都市で1400万台以上のドライバーを確保。タクシーが捕まりにくい大都市や公共交通機関が乏しい地方都市の「日常の足」として定着しつつある。8億人近くが使う騰訊控股(テンセント)の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の電子決済サービスで支払える利便性も売りだ。
最大市場での巻き返しに向け、ウーバーは今月1日、サウジアラビアの政府系ファンドから35億ドル(約3700億円)を調達した。資金調達額は累計で135億ドルを突破。米メディアによると、さらに最大20億ドルの借り入れを計画しているという。
“軍資金”の調達では滴滴も負けていない。5月に発表した米アップルからの10億ドルを含め、総額70億ドル以上の資金を新たに調達。柳青総裁は「我々のサービスの方が優れている」と対決姿勢を鮮明にする。
ライドシェアに着目するのは、アップルのようなIT大手だけではない。米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)は1月、リフトに5億ドルを出資して取締役を派遣。トヨタ自動車も5月にウーバーとの資本業務提携を発表した。欧州勢では独フォルクスワーゲン(VW)が5月にゲット(イスラエル)に3億ドルを投資。独ダイムラーや独BMWもライドシェアやカーシェア分野への投資を拡大している。
自動車大手にとってライドシェアはクルマの需要を減らす可能性がある。それでも競うように投資するのは、「所有」から「利用」へという自動車産業の構造変化をにらみ、収益源を多角化するためだ。
ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長は8日、ベルリンで開かれたイベントでウーバーのカラニック氏と対談。「変化にあらがうより、その一部になった方がよい」と述べ、カーシェアリングを含めた輸送サービスを強化する考えを示した。
[日経新聞6月18日朝刊P.7]
自らもグラスを傾けながら、みなにワインを振る舞う安倍晋三首相。円卓には、地元でとれたアワビのポワレや伊勢エビ、松阪牛のヒレ肉が並ぶ。供宴が進むにつれ、首脳の会話は熱を帯びた。
5月26日。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の夕食会での光景だ。長野県産のワインや地元の日本酒を、何杯もおかわりした首脳もいた。
サミットでは誰が、どんな発言をしたのかは公表しない。だが、検証すると、首脳たちはかなり“ぶっちゃけた”会話を交わしていた。特に大激論になったのがロシアへの対応だ。
ウクライナ内戦の責任を負うプーチン政権に、どう向き合うか。強硬な米国と、ロシアとの対話を探る日欧がぶつかる構図だが、予想外の一幕があった。対ロ政策では一枚岩のはずの欧州同士でも、激しい口論になったのだという。
「もっと、プーチン大統領と話し合えばいいじゃないか」。ある首脳がこう口火を切ると、ロシアに詳しい欧州首脳が色をなし、「プーチン氏をよく知らないのに、軽々しく言わないでほしい」とかみつき、応酬になった。
こうした不協和音が生まれるのは、硬軟交えたプーチン氏の揺さぶり戦略に、日米欧が翻弄されていることが一因だ。
ウクライナ問題で強気を貫く一方で、米欧が手を焼くシリア内戦では、停戦に協力するそぶりをみせる。こんなロシアのしたたかさに、米国防総省ブレーンも思わず舌をまく。
「彼らは人口が減り、国力は衰えている。だが、ぬけ目ない戦略は相変わらず、天下一品だ」
これと対照的に、いつになく首脳の足並みがそろったのが、中国の南シナ海問題だ。昨年のサミットではアジアから遠い欧州と日米のズレがのぞいたが、今年の光景はちがった。
「海洋の国際ルールへの違反者には、厳しくのぞむべきだ。強いメッセージを発したい」。議長の安倍氏がこう提案すると、異論が出るどころか、中国にどう国際ルールを守らせるか、熱弁を振るう首脳が相次いだという。
欧州側からは、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)についても「加盟してみたものの、全然、うまくいっていない」との不満がもれた。
日本が議長国だったから、例年より中国の議論に時間を割きやすかった面はある。だが、対中ビジネスに前のめりだった欧州の対中観が、少し冷めてきたことも事実のようだ。
先行指標になるのが、フランスの動きだ。仏のルドリアン国防相は6月上旬、欧州連合(EU)各国が南シナ海に海軍艦船を定期派遣し、そろって警戒にあたるよう呼びかけた。近く、具体策を提案する。
英国と異なり、仏はいまでも南太平洋に海軍基地を残し、艦隊を置く。中国海軍がインド洋に進出し、アフリカ東部のジブチにまで初の海外基地を建設していることが、ついに仏の神経を刺激した。同国の安保当局者は力説する。
「わが国の太平洋艦隊は南シナ海や東シナ海を航行し、アジア各国との共同訓練もしている。中国が海洋ルールを破れば、他人事ではすまない」
フランスの後を追うように、英国もアジアへの軍事関与を探る。今秋に初めて戦闘機を日本に送り、自衛隊と共同訓練する。
遠く離れた日米と欧州が、アジア戦略で組むことは簡単ではない。それでも、対中政策をめぐる「断層」が少しでも縮まるとすれば、アジア太平洋の地政学図は変わる。
(編集委員 秋田浩之)
[日経新聞6月19日朝刊P.2]
中国のスーパーコンピューター「神威太湖之光(Sunway TaifuLight)」が計算速度世界一になった。AP通信が伝えた。
中国の無錫国立スーパーコンピューティングセンターが作ったコンピュータが、前回一位だった中国の「天河2号」から一位の称号を奪った。
天河2号がインテルのCPUで稼動しているのに対し、新型機は中国で自主開発・自主制作された純中国製プロセッサー(CPU)を使っている。
「神威太湖之光」は1秒間に9.3京回、計算を実行する。
中国の銀行で不良債権が膨らんでいる。不良債権比率の公表値は1%台にとどまるが、過剰な債務を抱えて利益を出せなくなった国有企業向けなど潜在的な不良債権の規模ははるかに大きいとの見方が広がっている。
中国の銀行業監督管理委員会の集計によると、2016年3月末の中国の銀行の不良債権残高は1兆3900億元(約22兆円)と1年前に比べて42%増加。融資全体に占める不良債権の比率は1.75%と約7年ぶりの水準に上昇した。不良債権の予備軍とされる「関注」(要注意)債権を合わせると、比率は5.76%に膨らむ。
実態はさらに悪いとの見方も少なくない。国際通貨基金(IMF)は4月に公表した国際金融安定性報告書で、企業が稼ぐ事業利益が支払利息を下回るなど潜在的な貸し倒れリスクを抱える債権の比率は15.5%に上ると推計した。公表されている不良債権比率の約9倍に上る。
違いはどこから来るのか。一つは不良債権の計上基準だ。香港の証券会社CLSAの張耀昌・中国香港戦略研究部長によると、日米欧の銀行が借り手が3カ月以上返済を延滞すると不良債権に区分するのに対し、中国の銀行は企業からの返済が滞っても、銀行が担保などで回収可能と認定すれば、不良債権に計上しなくてもよい。
例えば資産規模で5位の交通銀行は1〜3月期決算で3カ月以上延滞債権のうち、35%は不良債権に含めなかった。国有企業向けで貸し倒れが見込みにくいというのが主な理由だ。
だが政府の後ろ盾を得て銀行からの借り入れを膨らませ、生産性の低い投資を重ねてきた国有企業こそが過剰債務問題の核心でもある。習近平指導部は利益を出さない「ゾンビ企業」の淘汰を掲げており、こうした潜在的な不良債権があぶり出される公算が大きい。
不良債権の拡大がすぐに金融システム危機につながるとの見方は今のところ少ない。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは国有企業の過剰債務の解消にGDPの20〜25%相当の財政負担が必要になると試算するが「強い国有企業が弱い企業を救済合併するなど手段はいろいろあり、銀行セクターがすべてを負担するとは限らない」(マネージング・ディレクターのマイケル・テイラー氏)。
ただ過剰債務の解消のスピードを巡り、指導部の意見は割れている。5月上旬、人民日報は習国家主席の経済ブレーンとみられる「権威人士」(権威のある人)の話として「(銀行融資を)コントロールできなければ金融危機を招く」と警告した。一方、李克強首相は直後の講演で「債務はコントロールできる水準だ」と反論した。金融監督当局も不良債権の証券化や債務の株式化を通じて軟着陸を図っている。
景気の腰折れや失業増を招かない範囲で不採算企業を徐々に整理するのか、痛みを覚悟して抜本処理に踏み出すのか。バブル崩壊後の日本が直面した難問に、中国も向き合おうとしている。
(香港=粟井康夫)
[日経新聞6月19日朝刊P.3]
商用化が遅れている三菱航空機(愛知県豊山町)の国産ジェット旅客機「MRJ」。機体の安全性について航空当局から認証を受ける「型式証明」の取得は難航、受注機数は採算まで届いていないもようだ。2018年半ばを目標とする初号機引き渡しに向けどう巻き返すのか。森本浩通社長に聞いた。
――型式証明の取得は遅れています。
「(操縦システムや機体強度など)試験データを取り、安全かどうか立証するが、知見が足りなかった。4月に120人規模で型式証明取得の専門組織を立ち上げた。戦闘機開発のエンジニアを投入したほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や三菱電機系システム会社など社外人材も加わった。経験豊富な米ボーイングからの応援も増える」
――試験飛行機5機のうち4機を持ち込む米国での体制づくりは。
「ボンバルディア(カナダ)など航空機分野出身の200人ほどのエンジニアを採用中で、4割ほど確保した。米国には三菱重工の航空機事業部門のトップ級に就いていた2人を副社長として送り込んだ。三菱重工の宮永俊一社長も最大の正念場という認識だ」
――2月には航空機リース会社から1年半ぶりに受注しました。
「まだ飛んでいない機体なのに、リース会社が資産としての価値を認めてくれたことは営業の大きな弾みになる。世界で運航される航空機の約4割はリース機だが、MRJのような100席未満のリージョナルジェット(RJ)機はまだ3割。開拓余地はまだある」
――市場攻略に力を入れるエリアは。
「新たに市場調査を始めるのはイランだ。昨年、経済制裁が解除され日本との縁もある。イランは今後10年で150〜200機のRJ需要が見込める。ただ、整備や補修の際、MRJが採用する米国製部品がイランに輸出規制される可能性がある。見極めが重要だ」
――量産や顧客サポートの整備も並行して進める必要があります。
「当社は専業会社に機体整備を委託するが、その会社を年内に選定したい。(競合するブラジルの)エンブラエルの顧客サービスの高さをベンチマークに、定時発着率や故障発生率などを比較しながら最良のパートナーを選びたい」
「MRJは100万点の部品からなる巨大システム。部品が滞留しないようにするためのサプライチェーン・マネジメント(SCM)がカギだ。物流センターを愛知県に新設するが、部品の流れを常時『見える化』するIT(情報技術)ネットワークを構築する。ここまで大規模なSCMは三菱重工にとっても初めてで高い管理能力が求められる」
もりもと・ひろみち 77年(昭52年)京大経卒、三菱重工業入社。発電プラントの営業畑が長く、三菱重工米国法人の社長などを歴任。15年4月から現職。東京都出身。62歳。
<聞き手から一言>
人材の融和と スピード感を
米ボーイングは新型機の型式証明を取得する際、最初から急旋回など危険な飛行をさせて安全性を評価するという。その安全性が基準内に適合していれば、他の評価項目も一気に証明され、試験時間が短縮されるというわけだ。
経験値がない三菱航空機がボーイングのやり方をまねるのは無理だが、時間の猶予は一刻も許されない。
社外技術者が大量に増えるなか、人材の融和はもちろん、スピード感が伴わないと競合するエンブラエルに水をあけられる。
(上阪欣史)
[日経新聞6月19日朝刊P.]
2016年の国内新車販売が500万台を割り込む見通しだ。東日本大震災のあった11年以来5年ぶりの低水準となる。若者の自動車離れや複数の会員で車を使うカーシェアリングサービスの台頭といった構造要因に加え、14年の消費増税から続く販売不振から抜けきれない。三菱自動車やスズキの燃費データ不正問題も追い打ちをかける。日本の自動車産業(総合・経済面きょうのことば)は就業人口の1割弱を占める基幹産業。市場縮小が続けば景気への影響も広がりそうだ。
業界団体によると1〜5月の累計販売は前年同期比4.8%減の212万6千台にとどまった。排気量660cc超の登録車は0.2%増の135万4千台だったが、軽自動車は12.5%減の77万2千台と落ち込んだ。6月も「軽市場は1割前後のマイナスが続いている」(大手メーカーの販売店)。この結果、1〜6月は250万台前後と12年以降で最低の水準となる見通しだ。
国内の新車市場は少子高齢化によって1990年の777万7千台をピークに減少基調をたどっている。11年の東日本大震災以降はプラスを確保していたが、昨年は504万6500台と4年ぶりのマイナス。モノの所有にこだわらない消費者が増え、スマートフォン(スマホ)を使ったカーシェアの利用が広がっていることも新車販売の現場に影を落とす。
今年は4月に発生した熊本地震の影響でトヨタ自動車やダイハツ工業などが完成車組み立て工場を一時休止したことも販売に影響する。燃費不正問題も逆風だ。改ざんが明らかになった三菱自動車の軽自動車「eKワゴン」や同社が供給する日産自動車の「デイズ」などは4月20日から販売を停止。燃費試験で不正があったスズキは全車種の生産と販売を続けているが、5月の軽は前年同月を15.4%下回った。
各社は新車投入で巻き返しを狙う。トヨタ自動車は今秋にプラグインハイブリッド車(PHV)の新型車を投入、日産自動車も今夏にミニバン「セレナ」の新モデルを出す予定だ。ただ例年、年後半は3月の年度末商戦が盛り上がる前半に比べて販売台数が少ない。17年4月に予定していた消費税率10%への引き上げは2年半の延期が決まり駆け込み需要も見込めない。
国内市場の縮小で各社は国内生産台数の維持が課題となる。15年は927万8千台と2年ぶりの前年割れだった。生産を下支えする輸出は前年比2.5%増の457万8千台と3年ぶりに増えたが、各社は為替対策もあって新興国など需要が伸びる地域で生産する「地産地消」を進めている。国内生産を輸出で支えるには限界がある。
自動車産業は裾野が広く、その生産動向は部品や素材など幅広い業種に影響が及ぶ。新車市場の縮小に歯止めがかからなければ、地域経済への影響が懸念される。
[日経新聞6月19日朝刊P.1]
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日本の自動車産業 設備投資、製造業の2割
▽…2万〜3万点の部品で構成される自動車は産業の裾野が広い。自動車部品や鉄鋼、プラスチックなど車を生産するために直接使う加工品のほか、鉄鉱石や電力などにも影響がある。経済産業省がまとめた計54の産業ごとの他産業への生産波及効果では「乗用車部門」が最も大きい。
http://www.nikkei.com/content/pic/20160619/9695999993819688E3E59BEA878DE3EAE2E4E0E2E3E49C9CE3E2E2E2-DSKKZO0379402018062016NN1000-PN1-2.jpg
▽…日本政策投資銀行によると、2015年度の国内の主要製造業の設備投資額は7兆571億円で自動車だけで2割を占めた。雇用吸収力も高い。製造のほか、損害保険、販売・整備などを含む関連の就業人口は529万人と全体の8.3%にのぼる。
▽…乗用車8社が15年度に国内で生産した自動車は14年度比4.1%減の866万台だった。900万台の大台割れは、東日本大震災の影響を受けた11年度以来。トヨタ自動車は公約の「国内生産300万台」を維持して前年度とほぼ横ばいだったが、海外生産を拡大してきた日産自動車やホンダなどは前年度を下回った。各社にとっては国内工場の稼働率向上が課題になっている。
[日経新聞6月19日朝刊P.3]
英国政府にしてもEU主流派(フランス・ドイツ両政府)にしても、ちゃぶ台をひっくり返し、相互の経済取引や人的交流のルールをゼロからつくるようなバカバカしいことは望まない。
離脱派も、EUとの経済的関係を断ち切ろうというわけではなく、EUと新しい協定を締結するという考え方なのだから、ちゃぶ台をひっくり返してしまう愚にすぐ気づく。
※参照投稿
「英離脱が招く破壊ドミノ:僅差で離脱派が多数になっても離脱に動くことはない英国:EUとの関係性を調整するネタとして利用」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/167.html
「英のEU離脱 是か非か ナイジェル・ローソン氏/ロマーノ・プロディ氏:離脱ではなくあくまでも残留の態様に関わる国民投票」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/254.html
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[FINANCIAL TIMES]英のEU離脱 その代償は
チーフ・ポリティカル・コメンテーター フィリップ・スティーブンズ
英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う6月23日の国民投票を前に、離脱派はいわばEUへの抗議を表明している。EUにうんざり、あるいは移民問題が心配というなら離脱に投票をと訴えている。確かに今回の国民投票は英国民に第2次大戦以降、最も重大な選択を迫っている。それだけに離脱した場合と残留した場合、双方のケースをきちんと比較して考える必要がある。モノや人の移動に対し、バリケードを築くことが本当に賢明な選択肢なのか。有権者がいずれを選ぶのかは間もなく判明する。
民主主義の素晴らしい点は、市民が考えを変える機会があることだ。政治家が約束を破ったら次の選挙で落とせばいい。だが今回は結果がもたらす影響があまりに大きい。英国が残留を選べば10年、20年後の再考は十分あり得る。だが離脱を決めたら、それは永遠の結果となり、連合王国の解体につながることになる。
□ □
英国を外から見守る人はなぜ今なのかと不思議に思うだろう。確かにEUは理想的な状態にはないが、近年数々の重圧を乗り切ってきた。国民投票のタイミングはEUの本質とは全く関係ない。すべては党運営の問題であり、キャメロン英首相は国民投票をすれば保守党をまとめておけると思ったのだ。首相としては賢明な判断ではなかった。
各国の中央銀行が金融市場に走るショックに対処する方法を学んだとしても、離脱が決定した場合の影響は英国外にも大きく広がる。EUのトゥスク大統領は、英国の離脱は西洋文明の終わりの始まりになりかねないと言った時、恐らく誇張していた。だが残るEU各国を含む西側諸国にも強烈な打撃となるだろう。
EUがなし遂げようとしていることは3つの柱に基づく。国家の繁栄、安全、そして自由、民主主義、法の支配といった価値観だ。西側の利益と価値観が世界中の独裁者から挑戦を受けている今、これらは多くの英国民が自分たちのものだと考える価値観である。
英保守党内の反EU勢力が強いだけに、あまり明らかにされてこなかったが、英国は1973年に欧州の病人としてEUに加盟して以来43年間、実は経済的繁栄を謳歌してきた。この間の英国の1人当たり国内総生産(GDP)の伸び率は年平均1.8%と、ドイツの1.7%、フランスの1.4%、イタリアの1.3%を上回る。
加盟したことで、英企業は競争に直面し鍛えられ、同時に単一市場へのアクセスを得、さらに海外から大規模な長期投資がなされるなど英国は大きな利益を受けてきた。経済協力開発機構(OECD)が記したように、英国は欧州各国ほど労働規制が厳しくないことによっても競争力を発揮してきた。つまり、EUが英国の発展の足かせになっているという主張は根拠がないということだ。
大きな声では言えないが、英国は欧州大陸から来る野心的で勤勉な若者からも恩恵を受けた。移民問題を巡る失敗は、大規模な移民流入に適応するために必要な資源を自治体に与えなかった歴代政権の失敗だ。
戦後の繁栄は安全保障に依存していた。EUの加盟国が互いに協力してまとまった体制として存在することは、米国が平和の保証人として機能することと密接につながってきた。軍事問題では北大西洋条約機構(NATO)の役割が大きいが、米政府にとってはEUがまとまって政治や外交政策を出せることも同じくらい重要だ。ロシアのウクライナ侵攻に対し制裁を科したのはNATOではなくEUだ。成功を収めたイランとの核交渉のきっかけを作ったのもEUだ。
ロシアのプーチン大統領の領土を取り戻そうとする姿勢、核拡散、過激派組織「イスラム国」(IS)のテロ、中東やアフリカ北部からの際限のない移民流入、国際的な犯罪組織ネットワーク、気候変動などはすべて集団的な対応を必要とする脅威だ。英国のEU離脱は欧州を弱体化させ、こうした脅威への対処を難しくする。同時に英国をも弱体化させ、その対応力を損ねる。
□ □
離脱派の考え方は啓蒙時代以前のように古く、道徳や倫理観といった発想があまりない。人権は欧州が勝手に考え出した概念だとみなしている。英国が欧州人権裁判所創設の原動力だったことも念頭にない。移住者は犯罪者、たかり屋として悪者扱いされる。皮肉にも彼らは議会主権こそが重要だと主張するが、英議員の3分の2は離脱に反対しており、矛盾している。
離脱の是非を巡る議論には、難民の人権などの道義的側面に加え、経済的利害も絡んでいる。国の安全と繁栄の基盤となる開かれた国際体制は、法の支配があって成立している。英国もそうだ。だがルールを支える価値観を軽視するなら、無法状態にも近いカオスに舞い戻ることになる。
離脱派にはこうした問題はどうでもいいようだ。彼らの信念は、昔から変わらぬポピュリスト(大衆迎合主義者)の主張で、「支配階級を攻撃せよ」と駆り立てる。そうしたい気持ちは分かるが、その代償に目を向けなければならない。
(17日付)
[日経新聞6月19日朝刊P.13]
総務大臣や法務大臣などを歴任した自民党の鳩山邦夫衆議院議員が、東京都内の病院で亡くなりました。67歳でした。
鳩山邦夫氏は衆議院福岡6区選出の当選13回、東京都出身で、祖父は鳩山一郎元総理大臣、兄は鳩山由紀夫元総理大臣です。
田中角栄元総理大臣の秘書を経て、昭和51年の衆議院選挙に旧東京8区から立候補し初当選しました。
宮沢内閣で文部大臣として初入閣したあと、平成5年に自民党を離党し、旧新進党を経て、平成8年には兄の鳩山由紀夫元総理大臣らと旧民主党の結党に参加し、副代表も務めました。
その後、平成12年に自民党に復党してからは、衆議院議院運営委員長や法務大臣、総務大臣などを歴任しました。
鳩山氏は、自民党内でみずからが会長を務める派閥横断の議員グループを作るなどして活動を続けていましたが、体調を崩し、入院していた東京都内の病院で亡くなりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160622/k10010565971000.html?utm_int=news_contents_news-main_006
「“「炉心溶融使うな」は隠蔽” 東電社長が謝罪:官邸の指示があったかどうかの解明は国民の要望でなされるべきという意見も」
http://www.asyura2.com/16/senkyo208/msg/283.html
アベノミクスは既発債償還(借り換え)・新発債消化・低金利維持が目的であり、それにより、1千兆円レベルまで肥大化した政府債務が財政政策(30兆円レベルの新規国債発行)や金融動向に悪影響を与えることを避けるものである。
12年秋から円安に反転した円レートの動きは、13年春から始まったアベノミクス(黒田日銀による異次元量的金融緩和)とは無関係(せいぜい円安傾向判断の心理的支え)で、欧州ユーロ圏の銀行危機(南欧政府債務危機)の終焉によってもたらされたものである。
欧州中央銀行が南欧諸国の国債無制限買い上げを表明した後の野田政権時代12年10月にはすでに円安傾向に転換しており、アベノミクスが円安をもたらしたわけではなく、“期せず”して円安がくっついてきたのである。(野田政権は13年8月までは粘ることができたが、そういう経過であっても、円安=株高は実現されていたのである)
円安への転換が12年春などともっと早ければ、二段階の消費税増税政策も浮上しなかっただろう。(消費税(付加価値税)は、円安に替わって、グローバル企業の経営基盤や国際競争力を強化するものであり、社会保障政策の維持や財政健全化とは無関係)
IMFのエコノミストたちが、「日本経済の現状のもとで、日本の指導部がポジティブな変化を達成することはできないだろう」と結論し、「4年目を迎える安倍政権の経済政策「アベノミクス」について、効果的ではないことが分かった」とし「当局の行動は国が掲げたインフレ率と経済成長に関する目標達成の助けにはならない」と総括しているのは正しい。
しかし、上述のように、アベノミクスは、大量に国債を発行しながらも財政を維持し、金利も低めに抑え込み金融に支障を来さないようにする政策なのだから、IMFのエコノミストたち挙げている理由を根拠に放棄する必要はない。
IMFのエコノミストたちは、「現在の経済路線が変わらなかった場合、日本銀行の政策が、日本経済の強い円安依存へ導く」と確信しているようだが、理論的誤りというか誤解である。
貸し出し(マネーサプライ)が増加しないベースマネー(日銀券残高)の増加だけで円安が実現できるわけではない。
日銀当座預金の残高を膨らませることで円安ないしインフレ率上昇が達成できるなら、日本経済は20年以上も苦しんでいないし、消費税増税に依存する必要もない。
現実としても、資源価格の低迷、欧米及び新興国の経済動向という国際条件のなか、マイナス金利政策(これは対銀行ペナルティ政策)まで導入した異次元金融緩和政策状況でも、円レートはややだが円高に振れていることからも、IMFという理屈は適合性がないとわかる。
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日本は「アベノミクス」を放棄するべきだ―IMF[スプートニク日本語]
2016年06月22日 07:01(アップデート 2016年06月22日 08:46)
国際通貨基金(IMF)の専門家たちは、日本経済の現状のもとで、日本の指導部がポジティブな変化を達成することはできないだろうとの見方を示している。
IMFは、4年目を迎える安倍政権の経済政策「アベノミクス」について、効果的ではないことが分かった、と考えている。当局の行動は国が掲げたインフレ率と経済成長に関する目標達成の助けにはならないという。
IMFの専門家たちは、現在の経済路線が変わらなかった場合、日本銀行の政策が、日本経済の強い円安依存へ導くとの確信を示している。
IMFは、現在の状況のもとでは、日本が掲げる経済成長率やインフレ率上昇、財政黒字の目標を達成することはできないとの見方を示している。
ロシアの専門家らは、福島第一原子力発電所の汚染水から放射性物質トリチウムを取り除くことができる試験装置の開発に成功した。6月20日、ロシア連邦北西部レニングラード州サンクトペテルブルグから70キロの町ソスノーヴィ・ゴーラドにある原子力公社「ロスアトム」の関連企業(低レベルの放射性廃棄物を処理する「ロスラオ」の支部)の敷地内で、この装置が、初めて日本のマスコミに公開された。NHK、共同通信及び日本経済新聞の記者と共に、スプートニク日本のアンナ・オラロワ記者も、現地で所在に当たった。
「ロスラオ」のレニングラード支部は、すでに1962年に基礎が作られた特殊企業「ラドン」の後継企業で、液体及び固体放射性廃棄物の処理、運搬そして保管に携わってきた。
「ロスラオ」レニングラード支部の代表者によれば、原子力発電所などから出る汚染水から放射性物質トリチウムを取り除くことができる最初の装置を開発し始めたのは、2008年から2011年の時期だった。
福島第一原発の敷地内にたまった汚染水からトリチウムを除去する装置製造に向けての国際入札実施を、日本政府が発表するまでに、ロシアでは、水からトリチウムを除去する技術は開発されていた。そして浄化の効果は日本側が必要とするものより100倍も高い水準にあった。
日本での国際入札のために作られた装置は、一度に3つのテクノロジーが使用されている点で特にユニークだ。その三つとは、摂氏60°Сでの蒸留による水の浄化、CECEプロセス(廃液処理法の一種)、そして固体トリチウム廃棄物生成の際のスポンジチタンの利用である。これにより、汚染水を蒸気にして、トリチウムを水から分離させ、最終的に金属と混ぜて固形にすることができる。
試験装置は半年かけて建設され、2016年2月に三菱総合研究所の代表らが公開用の施設を査察、そして3月31日、福島第一原発の汚染水処理用施設建設の入札の期限が切れた。現在日本側は、入札参加者に足りないデータを要求し、結果を検討中だ。
ロシアの「ロスラオ」以外に、国際入札には、米国のKurionや、カナダ・日本共同のGE/Hitachiが参加し、勝利を目指し戦っている。
スプートニク日本のオラロワ記者は「ロスラオ」レニングラード支部の指導者アレクサンドル・ボグツキイ氏に話を聞いた-
「我々は、自分達のプロジェクトが、他より効果的で有益であることを証明するため、あらゆることをしている。我々は、日本の人々を助けることができるだろうと大変期待している。ロシアの設備が適用されるかどうかの決定は、日本側にかかっている。」
汚染された水からトリチウムを除去するシステムの製造には、ロシアの原子力公社「ロスアトム」に所属する5つの会社の150人以上の専門家が携わった。彼らの予想では、カスケード方式、つまり福島第一原発内に連続し数珠つなぎとなった40の浄化施設からなるカスケードを建設することで、5年から6年の間に83万立方メートルの汚染水が浄化できる。
その際、装置の開発に当たったセルゲイ・フロリャ主任は「長期的処分の対象となる固形トリチウム廃棄物は、全部で3立方メートルの容積のコンテナ40個分にしか過ぎない」と述べている。なおコンテナ中のトリチウムが崩壊する期間は、およそ150年である。
ロシアでは、液体トリチウム廃棄物を海洋に捨てることは禁止されている。セルゲイ・フロリャ主任は「こうした放射性廃棄物浄化装置は、日本での入札条件に合わせて作られたものだが、ロシアのあらゆる原発にも設置することが可能だ。そうなれば、原子力発電所の稼働の際に形成されるトリチウムを含んだ水の浄化にかかるコストを、将来的には本質的に減らす助けになるだろう」と指摘している。
パプアニューギニア沖でM6.3の地震が発生した。米国地質調査所が発表した。
震源はナマタナイ市から北西へ68キロ、深さ365キロの地点。
負傷者や物的被害は報じられていない。津波警報も出ていない。
アメリカ西部カリフォルニア州にある原子力発電所が、再生可能エネルギーへの転換を理由に9年後までに運転を停止して廃炉になることが決まり、原発大国アメリカでは、原発から撤退する動きが続いています。
廃炉が決まったのは、アメリカ西部カリフォルニア州にあるディアブロキャニオン原発2基で、運営する電力会社は、現在の運転の認可が切れる2025年までに運転を停止して廃炉にするとしています。
カリフォルニア州では、電力会社に対して、2030年までに、電力の供給源の50%を原子力や火力ではない風力や太陽光などの再生可能エネルギーに切り替えるよう法律で定めています。
これを受けて原発を運営する電力会社は、再生可能エネルギーへの転換を進めて州の基準を満たすために今回原発の廃炉を決めた、などと説明しています。
ディアブロキャニオン原発の1号機と2号機は、それぞれ1985年と86年から営業運転を続けていますが、東京電力福島第一原発の事故後、安全性への懸念から、地元では廃炉を求める声が高まっていました。
世界最大の原発大国アメリカでは、ここ数年間で採算性の悪化などを理由に原発の廃炉や、廃炉の決定が相次いでいます。今月初めにも、大手電力会社が中西部イリノイ州にある2つの原発合わせて3基について、再来年までに運転を停止して廃炉にすると発表されたばかりで、アメリカでは原発から撤退する動きが続いています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160622/k10010566351000.html?utm_int=all_side_ranking-social_005
http://www.asyura2.com/16/senkyo208/msg/308.html
イギリスの教育専門誌がアジア各国の大学の最新のランキングを発表し、シンガポールの大学がトップに立った一方、このランキングで3年連続でトップだった東京大学は7位に転落しました。
イギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」は、研究内容や論文の引用回数など13の指標を基にアジアの大学のランキングを発表しています。
日本時間の21日発表されたことしのランキングでは去年まで3年連続でトップだった東京大学が7位に転落しました。東京大学は教育の質では全体の1位だったものの、学生と教員の国際性では70位となっていて順位を押し下げた要因になりました。
日本の大学では京都大学が去年の9位から11位に、東北大学も去年の19位から23位に後退し上位100位以内の大学は去年より5校減って14校となりました。
一方で、トップはシンガポール国立大学、2位は、同じシンガポールの南洋理工大学と中国の北京大学となり、特に中国の大学は上位100校以内に日本を上回る22校が入りました。
これについて、イギリスの教育専門誌は、シンガポールや中国の政府が大学に潤沢な資金を投入し優秀な人材を集めているのに対し日本では「20年間にわたって大学が資金の制約を受けており世界の大学との競争や国際化のための支援が少ない」と指摘しています。この教育専門誌が去年、発表した世界の大学ランキングでも、東京大学はシンガポールと中国の大学に抜かれ、アジアのトップから転落していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160621/k10010563841000.html?utm_int=all_side_ranking-access_003
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News Up 東大がアジアトップ陥落[NHK]
6月21日 17時12分
イギリスの教育専門誌がアジア各国の大学の最新のランキングを発表し、ここ3年、トップだった東京大学が7位に転落、日本の大学はおおむねランキングを下げました。このニュース、インターネット上では、「残念だが実力」とか、「日本も他国のように教育にお金をかけてほしい」など、さまざまな声が上がり、大きな注目を集めました。
東大がアジアトップ陥落
イギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が日本時間の21日発表したことしのアジアの大学のランキング。去年まで3年連続でトップだった東京大学が7位に転落しました。
ランキングは、▽教育の質、▽研究内容、▽論文の引用回数、▽学生と教員の国際性など13の指標をもとに評価されています。
東京大学は、教育の質では全体の1位、研究内容では3位だったものの、論文の引用では19位、学生と教員の国際性では70位となっていて、順位を押し下げた要因になりました。
日本の大学では京都大学が去年の9位から11位に、東北大学も去年の19位から23位に後退し上位100位以内の大学は去年より5校減って14校となりました。
一方で、トップはシンガポール国立大学、2位は、同じシンガポールの南洋理工大学と中国の北京大学となり、特に中国の大学は上位100校以内に日本を上回る22校が入りました。
これについてイギリスの教育専門誌は、シンガポールや中国の政府が大学に潤沢な資金を投入し優秀な人材を集めているのに対し日本では「20年間にわたって大学が資金の制約を受けており世界の大学との競争や国際化のための支援が少ない」と指摘しています。
ネット上の反応は
今回のランキングの発表についてインターネット上ではさまざまな声が上がりました。
日本の大学のランキングが落ちたことについては、「大学だけでなく企業も衰えが目に余る。競争させない教育の影響ではないか」「残念だが実力」「今さらの感も」「日本が落ちたというよりほかの国が上がったのでは。経済力と同じ」など、実力や競争力の低下を指摘する声が。
またランクを下げる要因となった国際性については「学生だけでなく教員も海外から呼ぶべき。競争はますます激化する。その覚悟を文科省や大学が持たなければ」「そもそも英語で授業もできない大学には行かない」といった声の一方、「日本語で質の高い高等教育を受けられる機関であってほしい。グローバル化と言って授業を英語に切り替える必要はない」などという指摘や、「国際化より奨学金を」といった切実な声もありました。
また日本の大学が資金の制約を受けているとされたことについては、「大学教育の国庫負担が減っていく現状で、研究者たちが資金確保に時間を取られるのは不毛で損失だ」「日本も他国のように教育にお金をかけてほしい」などの声が上がっていました。
一方で「評価の基準があいまい」「国際性が重要であれば内向きの日本が不利なのは当たり前」「国際化に重みを置きすぎでは。比重は妥当なのか」といった調査そのものについての疑問や「ランキングよりも何を勉強して何を考えどうしたいかを重視する社会になってほしい」などといった声もありました。
文部科学省の分析は
ことしのランキングでは東大が順位を下げただけでなく、上位100位以内に入った日本の大学が去年より5校減って、14校となりました。
この理由について、文部科学省は、日本の大学はアジア諸国の大学と比べて▽大学の国際化を示す留学生の数が少ないこと、さらに、▽質の高い研究が行われていることを示す、論文の引用回数が少ないことをあげています。
また、「日本の大学は資金の制約を受けている」と指摘されたことについては、「国からの財政支援が重要な役割であることは理解しているが、今の日本の財政事情は厳しい。資金を投入するには社会の理解が得られるような研究成果や取り組みを示すことが大学にも求められている」と話しています。
大学の予算要望には応えたい
今回のランキングの発表について馳文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で、「結果は結果として、厳粛に受け止めたいが、ランキングの尺度は、実施主体によって違うので、あまり一喜一憂しないほうがよい」と述べたうえで、「国立大学への運営費交付金や私立大学への私学助成など、基盤的経費をしっかりと確保するという『安定性』が、高等教育機関にとっては、いちばん重要だ。学長や経営主体の頑張りに期待したいが、大学側の予算要望にも、しっかり応えていかなければいけないと思っている」と述べました。
アジアの大学ランキング詳細
イギリスの教育専門誌が発表したアジアの大学ランキングは次のようになっています。
1位は、シンガポール国立大学。
2位は、シンガポールの南洋理工大学と中国の北京大学。
4位は、香港大学。
5位は、中国の清華大学。
6位は、香港科技大学。
7位は、東京大学。
8位は、韓国のポハン(浦項)工科大学。
9位は、韓国のソウル大学。
10位は、韓国科学技術院でした。
このほか、日本の大学では、11位が京都大学、23位が東北大学、24位が東京工業大学、30位が大阪大学、34位が名古屋大学、46位が筑波大学、48位が九州大学、49位が北海道大学、などとなっています。
私立大学では、111位から120位の間に順天堂大学、慶応大学、121位から130位の間に東京理科大学、早稲田大学、161位から170位の間に近畿大学などとなっています。
【ソウル=加藤宏一】韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は22日午前、日本海側の元山(ウォンサン)付近から中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイル2発を発射した。1発目は失敗したと推定されるが、2発目の失敗の是非は確認中だ。ムスダンとみられるミサイルの発射は4月以来、今回で合計6回目。相次ぐ挑発行為に国際社会の反発は必至で、日韓など関係国は追加挑発の可能性もあるとみて警戒を強めている。
北朝鮮の新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」(15年10月、平壌)=共同
ミサイルは1発目が午前5時58分、2発目が同8時5分にそれぞれ発射された。1発目は150〜160キロ飛行した後、空中で爆発し、複数の破片が落下した。一方で2発目は約400キロ飛行しており、米韓両軍が分析作業を急いでいる。4月から5月の過去4回については、いずれも発射後すぐに爆発している。
ムスダンは射程3千キロ以上で、米領グアムに届く飛行距離を持つ。北朝鮮は自らの体制維持に向けて米国との対話の実現を最優先課題と位置づけている。ムスダンとみられるミサイルの発射の背景には米国にとっての直接の脅威を作り出して、対話を有利に導きたい考えがあるとみられる。
北朝鮮の相次ぐミサイル発射に国際社会は反発を強めている。韓国国防省の報道官は北朝鮮のミサイル発射を受けて「弾道ミサイル技術を利用したすべての発射行為を禁止した国連安全保障理事会の決議に明白に違反している」と非難した。
金正恩(キム・ジョンウン)党委員長は今年3月、「近い期日に核弾頭爆発実験や核弾頭の装着が可能な様々な種類の弾道ロケット試験発射を断行する」と発言。これ以降に北朝鮮はムスダンのほか、中距離弾道ミサイル「ノドン」や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などを相次いで発射している。29日には国会に当たる最高人民会議の開催を控えており、ミサイル発射で北朝鮮内部での正恩氏の求心力を高める狙いもありそうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK22H12_S6A620C1000000/?dg=1&nf=1
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北朝鮮、中距離弾道ミサイル「ムスダン」発射も失敗か[日経新聞]
2016/6/22 7:22
北朝鮮の新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」(15年10月、平壌)=共同
【ソウル=加藤宏一】聯合ニュースによると、韓国軍関係者の話として北朝鮮が22日午前5時58分ごろ、中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイル1発を発射しようとしたが、失敗したようだと伝えた。ムスダンとみられるミサイルの発射は4月以来、今回で5回目だがすべて失敗している。相次ぐ挑発行為に国際社会の反発は必至で、追加挑発もあるとみて関係国は警戒を強めている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H0B_S6A620C1000000/
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北朝鮮 “ムスダン”2発発射 2発目は日本海に[NHK]
6月22日 11時45分
北朝鮮は22日午前、東部のウォンサン(元山)付近から、新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイル2発を相次いで発射しました。韓国軍によりますと、1発目の発射は失敗したものの、2発目は東におよそ400キロ飛行して日本海に落下したということで、韓国軍がアメリカ軍とともに分析を進めています。
韓国軍の合同参謀本部によりますと、北朝鮮は日本時間の22日午前6時前、東部のウォンサン付近から、アメリカ軍基地があるグアムに達するとされる新型の中距離弾道ミサイル、「ムスダン」とみられるミサイル1発を発射したものの、再び失敗したと推定されるということです。
さらに、北朝鮮は日本時間の午前8時すぎ、同じウォンサン付近から、「ムスダン」とみられるミサイルをもう1発発射し、ミサイルは東におよそ400キロ飛行して日本海に落下したということで、韓国軍がアメリカ軍とともに分析を進めています。
これを受けて、韓国大統領府は今後の対応を協議するため、外交や安全保障の関係閣僚を集めて、緊急のNSC=国家安全保障会議を開きました。
北朝鮮では、1950年に朝鮮戦争が勃発した日に当たる今月25日を「反米闘争の日」と位置づけているほか、29日には各地の代表が出席して、最高人民会議が開かれることから、韓国軍は北朝鮮指導部が国威発揚を狙って、さらなるミサイル発射を強行する可能性があるとして、警戒と監視を続けています。
核やミサイル巡る北朝鮮の動き
北朝鮮は、ことし1月に4回目の核実験を、2月には事実上の長距離弾道ミサイルの発射を、それぞれ強行したのに続き、3月以降は射程の異なる弾道ミサイルやロケット弾の発射を繰り返してきました。
ミサイル技術の向上や国威の発揚に加えて、アメリカ軍と韓国軍による合同軍事演習に対抗することなどが目的とみられ、先月までの3か月間に発射されたのは新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」や、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルなど、合わせて24発に上っていました。
さらに北朝鮮は、みずからの核ミサイル開発の技術が進展していると盛んにアピールしてきました。国営メディアはICBM=大陸間弾道ミサイル「KN08」とみられるミサイルを視察するキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長や、弾道ミサイルが大気圏に再突入した場合を想定した模擬実験の写真を公開したほか、新型ICBMなどのエンジンの燃焼実験が成功したと発表しました。
先月、36年ぶりに開かれた朝鮮労働党大会で、キム委員長は核ミサイル開発を推進していく姿勢を鮮明にし、核開発と経済の立て直しを並行して進める「並進路線」が、党の規約に新たに盛り込まれました。
また、今月1日に中国で習近平国家主席と会談したリ・スヨン朝鮮労働党副委員長は「並進路線」に言及したうえで、習主席に直接、核開発を継続する姿勢に変わりはないとする立場を伝えました。
こうしたなか、IAEA=国際原子力機関は今月に入って、衛星写真を分析した結果、北朝鮮が核兵器の原料となるプルトニウムの抽出に関係する再処理施設を再稼働させた兆候があることを明らかにするなど、北朝鮮による核ミサイル開発の進展に対する国際社会の懸念が一段と強まっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160622/k10010566031000.html?utm_int=news_contents_news-main_004
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北朝鮮発射の2発目 高度が1000キロ超に[NHK]
6月22日 14時20分
北朝鮮は22日午前、東部のウォンサン(元山)付近から、新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイル2発を相次いで発射しました。防衛省は、北朝鮮が2回目に発射した弾道ミサイルについて、自衛隊のレーダー情報を分析した結果、「高度が1000キロを超えた」と発表しました。
それによりますと、2発目のミサイルは午前8時3分ごろ北朝鮮東岸から北東の方向に発射され、およそ400キロ飛んで日本海に落下したとしています。
また、自衛隊のレーダー情報を分析した結果、ミサイルの高度は1000キロを超えたということで、これまでの北朝鮮の動向から発射されたのは新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるとしています。
防衛省は「今回の発射によって中距離弾道ミサイルとしての一定の機能が示されたことは、日本の安全保障に対する深刻な懸念と考える」としています。
自衛隊は、引き続き情報収集や分析を進めるとともに、警戒と監視に当たってています。
防衛相 「安全保障上 強く懸念」
中谷防衛大臣は午後1時すぎ、防衛省で記者団に対し、2発目の弾道ミサイルが1000キロメートルを超える高度に達していることについて、「わが国への飛来は確認されていないが、わが国の領域や周辺海域に到達する能力の増強につながりうるものと考えられ、安全保障上、強く懸念する。北朝鮮の弾道ミサイルの能力分析をさらに続け、わが国の平和と安全の確保に万全を期す」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160622/k10010566311000.html?utm_int=news_contents_news-main_005
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日本の参謀本部「北朝鮮のミサイル発射により日本は脅威にさらされている」と認める[スプートニク日本語]
2016年06月22日 14:45(アップデート 2016年06月22日 14:54)
水曜日朝、北朝鮮は、またも中距離弾道ミサイル発射実験を行った。
韓国軍のデータでは、ミサイルのうち1発は、150キロ飛行し空中で爆発、もう1発は、400キロ飛行後、日本海に落下した。
あらゆることから判断して、6回目となる今回の発射実験は、多かれ少なかれ成功したと言ってよい。
中谷防衛相は、東京で記者団に対し「中距離ミサイルにとって必要な一定の特徴を示すものだった」とし、次のように述べた―「わが国の安全保障に影響を及ぼす事態は発生していない。弾道ミサイルの発射は、わが国を含む国際社会の安全保障上の重大な挑発行為で、断じて容認できない。」
中谷防衛相はまた「ミサイルは、原則的に、日本に達することができるかどうか?」という質問に対して、これを認めた。
米国および韓国軍は、聯合ニュースの報道では、今回の実験がどれほど成功裏になされたかを理解するため、現在ミサイル発射のデータを分析中だ。
報道によれば、今回飛行した400キロという距離は、北朝鮮の中距離弾道ミサイルが到達できたものとしては、これまで最長である。
なお今回を含め北朝鮮は、全部で6回、中距離弾道ミサイル発射実験を行ってきたが、これは、国連安全保障理事会決議に反するものだ。
北朝鮮が新型の中距離弾道ミサイルとみられる2発を発射したなか、中国の北京で、北朝鮮を含む6か国協議関係国の当局者が出席して国際会議が開かれ、北朝鮮の核やミサイル開発について意見を交わしているとみられます。
中国の北京で開かれているこの国際会議は、アメリカの大学が毎年開いているもので、北朝鮮の核問題を巡る6か国協議関係国の当局者と民間の研究者が出席して、22日と23日、北東アジアの安全保障について話し合います。
北朝鮮からの出席は4年ぶりで、北朝鮮外務省アメリカ局のチェ・ソニ副局長が出席しています。
また、外務省の金杉アジア大洋州局長や、アメリカのソン・キム特別代表、それに中国の武大偉特別代表などが顔をそろえました。
会議は非公開ですが、北朝鮮が22日朝、新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられる2発を発射したことも踏まえ、北朝鮮の核やミサイル開発などについて意見を交わしているとみられます。
チェ副局長は21日、報道陣に対し、「会議で意思疎通ができたらよいと思う」とだけ述べ、どのような主張をするか明らかにしませんでしたが、核開発と経済の立て直しを並行して進める「並進路線」に言及し、核開発を改めて正当化するとみられます。
一方で、非核化を求める各国と北朝鮮との間の立場の隔たりは大きく、2008年12月以来、開かれていない6か国協議の再開の見通しは、これまでのところ立っていません。
毎日新聞は22、23両日、第24回参院選の特別世論調査を行い、取材情報を加味して序盤情勢を探った。憲法改正に前向きな自民、公明両党など4党が、非改選も含めて改憲発議に必要な3分の2(162議席)に達する78議席の獲得をうかがう。自民党の獲得議席は58以上になりそうで、非改選の65議席と合わせると27年ぶりの参院単独過半数となる勢いだ。公明党も議席上積みが見込まれ、安倍晋三首相が掲げる自公で改選過半数(61議席)の「勝敗ライン」に達するのは確実だ。民進党は伸び悩み、改選46議席が半減する可能性もある。
投票先を決めていないと答えた人や無回答が選挙区で約4割に上り、7月10日の投開票日までに情勢が変わる可能性がある。
参院は定数242議席の半数が3年ごとに改選される。選挙区73、比例代表48の計121議席に計389人が立候補している。
参院選の勝敗を左右するとされる改選数1の「1人区」は32あり、民進、共産、社民、生活の4野党は全1人区で候補者を一本化した。しかし、1人区では自民が堅調で、26選挙区で優位に立っている。3選挙区で自民と野党系候補が競り合い、野党系候補が優勢なのは宮城、山形、沖縄の3選挙区にとどまっている。
自民は改選数2以上の「複数区」でも優勢で、2人を擁立した東京、千葉では2議席獲得の可能性がある。公明は複数区で過去最多の7人の候補者を擁立し、堅調な戦いぶりで選挙区全員当選も視野に入る。比例代表も含めると改選9議席を上回るのは確実だ。
焦点の憲法改正は、衆参それぞれの3分の2以上の賛成で発議が可能となる。自公両党とおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の非改選議席は計84議席で、この4党が今回の参院選で78議席を獲得すれば「改憲発議ライン」の162議席に達する計算だ。
自公の改選議席だけで78に達する可能性もある。また、維新は改選2議席から数議席積み増す見通しで、その場合はさらにハードルが下がることになる。与党は衆院では3分の2超の議席を有しており、衆参それぞれで改憲発議を行う環境が整う可能性が出てきた。
民進党は、複数区の北海道で2議席を確保する可能性が高まっているが、他の複数区では2議席目の獲得の見通しは立っていない。全体では改選議席を大きく割り込む見通しだ。
野党では共産党が改選3議席から大きく議席を伸ばしそうな勢い。比例代表にとどまらず、選挙区でも東京で議席を得る可能性が高まっているほか、神奈川や大阪でも議席獲得をうかがっている。
社民党は比例代表で1議席を確保できそうな情勢。生活の党、こころ、新党改革は議席獲得のめどが立っていない。【古本陽荘】
調査の方法 22、23日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に、調査員が電話をかけるRDS法による調査を、JNNと協力して実施した。福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号は除いた。選挙区ごとの目標回答数は、改選数1=500▽同2=750▽同3、4=1000▽同6=1200。全国の有権者2万7500人から回答を得た。
最終更新:6月24日(金)4時40分
先日の投稿で、「英国支配層にとって、国内政治的には残留が僅差で勝利するのが望ましく、外交的には、“主権”確保交渉で強く出られる後ろ盾になる、僅差の離脱派多数が望ましい」と書いたが、投開票“管理”の有無はともかく、キャメロン政権はEU内での在り方をめぐる交渉で大きな後ろ盾を得たことになる。
※参照投稿
「英のEU離脱 是か非か ナイジェル・ローソン氏/ロマーノ・プロディ氏:離脱ではなくあくまでも残留の態様に関わる国民投票」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/254.html
「英離脱が招く破壊ドミノ:僅差で離脱派が多数になっても離脱に動くことはない英国:EUとの関係性を調整するネタとして利用」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/167.html
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英国民投票 EU離脱多数が確実 英BBC[NHK]
6月24日 12時44分
イギリスで23日に行われたEU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票でイギリスの公共放送BBCは、「離脱」の票が多数を占めることが確実になったと伝えました。
イギリスのEUからの離脱の賛否を問う国民投票は、各地で開票作業が進められています。
これについてイギリスの公共放送BBCは、「離脱」の票が多数を占めることが確実になったと伝えました。
これまでの開票作業では日本時間の午後0時40分現在、「離脱」が1300万7483票で51.7%、「残留」が1216万6965票で48.3%と離脱が上回っています。
国民投票に向けた運動では、経済への影響や移民問題への対応などを争点に離脱派と残留派が激しい論戦を繰り広げました。これによって金融市場の混乱が懸念されるほか、EUの将来にも大きな影響を与えるものと見られます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010569961000.html?utm_int=all_contents_just-in_002
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英国民投票 開票進む 「離脱」がやや上回る[NHK]
6月24日 12時41分
イギリスで23日に行われたEU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票は開票作業が進められ、4分の3の開票所で開票が終わり、これまでのところ離脱が残留をやや上回っています。
イギリスのEUからの離脱の賛否を問う国民投票は、各地で開票作業が進められています。イギリスの公共放送BBCによりますと全国382か所の開票所のうちこれまでに半数を超える287か所で開票作業が終わり、結果が発表されました。
それによりますと、「離脱」が1197万9414票で51.5%、「残留」が1128万6544票で48.5%と離脱が上回っています。
BBCは「残留支持者が多い都市部と、そうでない地方との争いになっている」と伝えています。またイギリスの民放ITVは、これまでに結果が発表された開票所では離脱が予想を上回っているうえ、残留の支持が多いとされるスコットランドで投票率が低いとみられることから離脱が有利な情勢だと分析しています。
国民投票に向けた運動では、経済への影響や移民問題への対応などを争点に離脱派と残留派が激しい論戦を繰り広げました。イギリスがEUから離脱する事態になれば、金融市場が混乱することが予想されるほか、EUの将来を左右しかねないだけに、結果が注目されます。
開票作業が順調に進めば、日本時間の24日午後に大勢が判明する見通しです。
世論調査的にも、高齢者が離脱・若者が残留という傾向が如実に出ているので、「より長く未来を活きる人たちの意向を考慮すると、52%対48%という僅差の投票結果で、EUから離脱すると安直には判断できない。英国の主権がより強化されるようEUと交渉を進めていき、EUに残留してもEU離脱派の意向が尊重される内容を勝ち取りたい」と説明すれば、残留という判断をしても政治的には問題にならないだろう。
(もともと、今回の国民投票は国民の意向をきくというもので、その結果が政府の判断を厳格に縛るものではない)
※関連参照投稿
「英国民投票 EU離脱多数が確実 英BBC:英国は残留で関係性再交渉、EUはユーロ圏と非ユーロ圏に二層化」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/354.html
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株価 1万5000円割れ 「離脱」が多数確実と伝わる
6月24日 12時52分
24日の東京株式市場は、イギリスのEUからの離脱の賛否を問う国民投票で離脱の票が多数を占めることが確実になったと伝えられたことを受けて、日経平均株価は1000円以上値下がりし、およそ4か月ぶりに1万5000円を割り込みました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010569981000.html?utm_int=all_contents_just-in_002
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円相場 一時1ドル=99円台に急騰 英国民投票受け
6月24日 11時46分
24日の東京外国為替市場は、イギリスの国民投票を巡って円相場が乱高下するなかで、EUからの「離脱」が優勢なのではないかという観測から円を買う動きが急激に強まり、円相場は一時、1ドル=99円台まで値上がりしました。1ドル=99円台は、2013年11月以来、2年7か月ぶりです。
24日の東京外国為替市場は、イギリスの国民投票を巡って円相場が乱高下するなかで、EUからの「離脱」が優勢なのではないかという観測から円を買う動きが急激に強まり、円相場は一時、2年7か月ぶりに1ドル=99円台まで値上がりしました。
市場関係者は「これまでのところ情勢はきっ抗しているが、離脱派がやや優勢なのではないかという観測が一段と広がり、比較的、安全な資産として円が急速に買われている」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010569801000.html?utm_int=all_side_ranking-social_003
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長期金利 過去最低を更新 英国民投票受け[NHK]
6月24日 12時44分
24日の国債の市場では、イギリスの国民投票でEU=ヨーロッパ連合からの離脱派が優勢だという見方から、比較的、安全な資産とされる日本国債を買う動きが強まり、長期金利の代表的な指標である満期までの期間が10年の国債の利回りが一時、マイナス0.215%まで低下し、過去最低を更新しました。
24日の国債の市場では、イギリスの国民投票でEUからの離脱派が優勢だという見方から、午後に入って、投資家が日本国債を買う動きを強め、国債の価格が上がりました。
国債は価格が上昇すると利回りが低下するという関係にあるため、長期金利の代表的な指標になっている満期までの期間が10年の国債の利回りは、一時、マイナス0.215%まで低下し、過去最低を更新しました。
市場関係者は、「イギリスの公共放送BBCがEUからの離脱の票が多数を占めることが確実になったと伝えたことで、投資家の間で、リスクを避けようという動きが強まっている」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010569971000.html?utm_int=all_contents_just-in_003
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英ポンド 31年ぶりの安値に[NHK]
6月24日 12時59分
イギリスの国民投票で、公共放送BBCなど現地のメディアが離脱の票が多数を占めることが確実になったと相次いで伝えたことから、外国為替市場では、イギリスの通貨ポンドが主要通貨に対して売られています。この結果、ポンドは、ドルに対して、1985年以来、31年ぶりの安値となる1ポンド1.33ドル台をつけました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010569991000.html?utm_int=all_contents_just-in_001
日経平均先物 大阪取引所で売買一時中断の措置[NHK]
6月24日 13時18分
イギリスの国民投票で「離脱」の票が多数を占めることが確実になったと伝えられたことを受けて、日経平均先物に大量の売り注文が出て、23日の終値より1330円値下がりしたため、大阪取引所では取り引きの混乱を避けるために午後0時48分から10分間、売買を一時中断する「サーキットブレーカー」と呼ばれる措置が取られました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010570011000.html?utm_int=all_contents_just-in_001
http://www.asyura2.com/16/senkyo208/msg/382.html#c1
外務省幹部は、NHKの取材に対し、「経済的にも政治的にも、国際社会を揺さぶる結果で、大変なことになったと受け止めている。今後、日本への経済的な影響を中心に投票結果の分析を行うとともに、EUの反応などを注視して、日本政府としても、対応を検討しなければならない」と述べました。
麻生副総理兼財務大臣は、財務省で緊急に記者会見を行い、イギリスの国民投票について「世界経済に与えるリスクについて極めて憂慮している」と述べたうえで「為替市場の動向を緊張感をもって注視していく」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010570051000.html?utm_int=all_contents_just-in_001
英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利したことを受け、残留を主張していた英キャメロン首相は24日、「新しい指導者が必要だ」との声明を読み上げ辞任する考えを表明した。時期は「私の考えでは保守党党大会が始まる10月までに新首相を選ぶべきだ」とした。
キャメロン氏は「私は英国がEUに残留した方がいいと信じるが、離脱多数という結果には疑問を差し挟む余地が無い。尊重しなくてはいけない」と発言。今後英国とEUが離脱の時期や方法を議論するが、「新しい指導者が交渉をすべきだ」と辞任の理由を明らかにした。
国民投票の結果は離脱を求める票が51.9%、残留を求める票が48.1%と国を真っ二つにした。キャメロン氏は「私を含め、負けた側は離脱がうまくいくよう協力すべきだ」と強調し、国内が再度団結する必要性を訴えた。自身も来週欧州理事会に赴き、今後の方針などについて説明するという。
国民投票の結果を受け、英ポンドが急落するなど市場では動揺が広がっている。キャメロン氏は「英国経済は基本的に力強い」と市場関係者に冷静な対応を呼びかけた。「すぐに人、モノ、サービスの流れが変わるわけではない」と説明した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H6Z_U6A620C1000000/?dg=1&nf=1
米ホワイトハウスは24日、英国の欧州連合(EU)離脱が決まった国民投票を受けて、オバマ米大統領がキャメロン英首相と会談するとした。ロイター通信が伝えた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H4U_U6A620C1000000/?nf=1
東京都議会が、8〜9月のリオデジャネイロ五輪・パラリンピックを視察する都議団の派遣を中止する方向で調整していることが24日、議会関係者への取材で分かった。同日中にも議会運営委員会理事会を開き、正式決定する。
都議団の視察費用は当初予算で約6200万円としていたが、大会期間の宿泊費の高騰などで大幅に上回る見通し。都議会として舛添要一前知事の高額な海外出張を追及しただけに、世論の批判を招くと判断した。
都議団は自民、公明、民進系2会派の計4会派の都議27人。五輪とパラリンピックにそれぞれ派遣し、競技会場や大会の運営方法、大会ボランティアの活動などを視察する予定だった。
一方、2020年の東京大会に向け、運営上の課題などを実際に見て確認する必要性も高いとして、一部の議員は自費での視察も検討しているという。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG24H3X_U6A620C1CC0000/?dg=1
暴力団工藤会(本部・北九州市)系組幹部の裁判員裁判を巡り、裁判員が組幹部の知人に声を掛けられた事件で、福岡地裁小倉支部は23日、「重く受け止め、(裁判員の保護対策に)一層の工夫を加え、万全を期したい」とのコメントを発表した。
5月10日に声掛けがあったが、小倉支部は一切発表せず、問題が明るみに出た同30日以降も会見やコメントの発表を拒否。声掛けがあったかどうかも明らかにしていなかった。
このような対応の理由について小倉支部はこれまで「小倉支部長が継続中の裁判について記者会見すると、司法権の独立を害する」としていた。
コメント発表に先立つ23日午前、寺田逸郎最高裁長官が全国の高裁長官や地裁所長らが集まる場で「国民が負担を感じずに参加できるよう、万全を期したい」と訓示していた。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04016850U6A620C1CC0000/?n_cid=TPRN0009
不安をあおられて高額な包茎手術を受けさせられたといった相談が、全国の消費生活センターにこの5年間で1000件余り寄せられていていることが分かりました。被害を言い出せない人は相当な数に上るとみられ、国民生活センターは注意を呼びかけています。
5年で相談1000件・高額な契約迫られるケースも
国民生活センターによりますと、全国の消費生活センターに寄せられた包茎手術を巡る相談は、ことし3月までの5年間で1092件に上っています。
相談を寄せた人のおよそ60%は20代の男性で、相談内容は、「性器の状態がひどい」、「安い手術では仕上がりがよくない」などと不安をあおられ、インターネット上の広告などでは5万円から10万円となっていたのに、50万円から150万円ほどの高額な契約を迫られたというケースが多く、中には200万円を支払った男性もいるということです。
“え死”や“排尿障害”も
手術を受けたあと痛みや出血が続いたり排尿などの機能に障害が残ったりしたという相談もあり、痛みが引かないため別の病院を受診すると「縫い方がいい加減でえ死している」と言われたというケースもあったということです。
特に、医療機関を受診したその日のうちに手術を受けてトラブルになるケースが多く、患者に対して手術の内容や効果、リスクなどを十分に説明していなかったり、状態によっては保険が適用できる手術の方法もあるのに説明していないとみられるケースも目立つということです。
ネットの反応は
今回のニュース、ネット上でも高い関心を集め、さまざまな反応がありました。
「手術して大量出血とか、え死とか、怖い」「恐ろしい」「見出し見ただけで痛い」といった声のほか、「高額を取られたうえにえ死とか、かわいそうすぎる」「男のコンプレックスを利用した悪質な詐欺で許せない」など怒りや同情の声、さらに「リスク背負って手術までする必要があるのか」といった疑問の声もありました。
また「病院をよく選ぼう」「即日手術は避けるべき」「悪質なサイトもある。
ネットの情報にはくれぐれも注意を」など注意を呼びかける書き込みも見られます。
社会部デスク『20年前からあった』
国民センターが今回初めて発表した包茎手術の問題ですが、実は、こうしたトラブルや苦情についての相談は20年前からありました。
社会部の伊藤竜也デスクは、19年前、仮性包茎の手術を受けた当時35歳の会社員の男性を取材しました。当時の取材資料をもとに、話を聞きました。
Q。どんなケースでしたか?。
A。伊藤デスク
「男性は誰にも相談せず悩んでいました。ある日、無料カウンセリングを受けるため雑誌の広告で知った東京都内のクリニックを訪ねましたが、医師からその日のうちに手術するよう勧められ、了承して手術を受けました。
手術代は事前に20万円と聞いていましたが、実際に請求されたのは、その10倍近い188万円余り。持ち合わせがある訳がなく、男性が払えないというとローンを組まされたといいます」。
Q。男性はなぜ高額な請求になったのですか?。
A。伊藤デスク
「男性は手術の際『強化する』という名目で『1単位6万円のコラーゲンを30単位注入する』と言われたといいます。1つ6万円のコラーゲンが30ですから、これだけで180万円になりました。私が別の医師に取材したところ、このコラーゲンとはタンパク質で、注入しても体内に吸収されてしまうため長期的な効果はほとんどなく、手術にも不必要ということでした。また、この医師は一度に30単位ものコラーゲンを注入することは不可能ではないかとも話していました」
Q。男性はその後、どうしましたか?。
A。伊藤デスク
「高額のローンを抱えることになった男性は消費生活センターを通じて弁護士に相談、内容証明郵便を送ったところ、すぐにクリニックから支払った診療報酬が返還されてローンも解約できたということでした。男性は私の取材に対して『知識がなかったので判断できず言われるがままだった。自分の弱みであり恥ずかしさもあったので、その場では断れなかった』と話していました」
Q。20年前にもあった問題が今でもなぜ?
A。伊藤デスク
「仮性包茎の手術は、ほとんどが保険の適用外です。このため、手術代は高くなります。こうした問題は、手術を受けた側が不平や不満を感じても他人に相談することをためらうことが多いとみられます。個人の触れられたくない部分でもあり、当時は大手メディアも積極的には取り上げませんでした。ただ最近は、インターネットのサイトで気軽に相談したり知識を得たりすることができるようになったため、消費生活センターへの相談が増えているのではないでしょうか。取材した医師は『仮性包茎であっても清潔に保っていればなんら気にやむことはない。学校などの性教育で、異常でないことをきちんを伝える必要がある』と話していました」
相談できない被害者が多数か
国民生活センターによりますと、悩みにつけ込まれ恥ずかしさなどから相談できない被害者はかなりの数に上るとみられています。
このため国民生活センターは、美容医師で作る団体に対して手術の効果やリスクなどを丁寧に説明し、不安をあおって手術を急がせることは慎むよう要望するとともに、厚生労働省に対しても、医療機関への指導を求めました。
また、手術を希望する人に対しても事前に必要性やリスクを冷静に考えるよう呼びかけています。
国民生活センターの坂東俊秀課長補佐は「女性の美容医療の相談が昨年度、500件ほど減少したのに対して、包茎手術に関する相談は減っていない。
トラブルが起きている実態や手術に関する正確な知識が広まっていないことが背景にあるのだと思う。手術によっては保険が適用され一般の病院の泌尿器科で受けられるものもある。万一トラブルになった場合は1人で悩まずに相談してほしい」と話しています。
また、今月26日には弁護士による無料の電話相談会が開かれます。電話番号は03−6869−8452で、午前10時から午後3時まで受け付けるということです。被害の実態を把握したうえで再発防止に向けた活動に取り組んでいきたいとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010570501000.html?utm_int=all_side_ranking-social_004
大リーグ、マーリンズのイチロー選手が、今月15日にマークした日米通算4257安打が、ギネス世界記録に認定されました。
イチロー選手は今月15日のパドレス戦で、日米通算の安打数を4257本とし、ピート・ローズ氏が持つ大リーグ通算最多安打記録を上回りました。
この記録について、ギネス・ワールドレコード社が24日、「プロ野球における通算最多安打数」として世界記録に認定したと発表しました。
イチロー選手のギネス世界記録は、2004年に達成した大リーグ年間最多安打の262本や、2007年のオールスターゲーム史上初のランニングホームランなど、これで7個目になりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010571011000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001
アテネオリンピックの陸上ハンマー投げ金メダリスト、室伏広治選手が24日、名古屋市で開幕した陸上の日本選手権で、リオデジャネイロオリンピックの出場権を獲得することができず、競技の第一線を退き、事実上現役を引退することを明らかにしました。
室伏選手は2年ぶりの実戦の舞台となるオリンピック最終選考会を兼ねた日本選手権で、男子ハンマー投げに出場しました。
室伏選手は1投目で64メートル74センチ、2投目で64メートル2センチ、3投目はファウルで、日本記録でもある自己ベストに20メートル以上届かず、上位8人による4投目以降に進めませんでした。
室伏選手は出場した19人中、12位に終わり、5大会連続となるオリンピック出場権の獲得はなりませんでした。
室伏選手は競技のあと、「体力の限界を感じた。今後はオリンピックや世界選手権を目指すことはない」と述べて、競技の第一線を退き、事実上、現役を引退する意向を明らかにしました。
室伏「これが1つの区切り」
室伏選手は競技のあと、「精いっぱいやった結果だと思う。久しぶりにこういう場に来て投げることができて、よかったと思う」と振り返りました。
そのうえで、「短い準備期間だったというのもあるが、やはり体力の限界は感じた。オリンピックや世界選手権など第一線で高みを目指したり、活躍することは今回が最後になると思う。これが1つの区切りだと思う」と述べ、事実上現役を引退する意向を明らかにしました。
そして、今後については、「これからは後輩の指導に当たったり、日本のスポーツ界に少しでも貢献できればいいと思っている。多くの方のサポートがあって長く競技を続けてこれたし、今はただお礼を言いたい」と笑顔を見せながら話していました。
競技以外の活動にも積極的
室伏広治選手は静岡県出身の41歳。男子ハンマー投げの日本記録保持者で、アテネオリンピックの金メダリストです。
「アジアの鉄人」と呼ばれた父、重信さんの影響でハンマー投げを始め、指導も受けて世界のトップ選手に成長しました。
オリンピックには4大会連続で出場していて、初出場のシドニー大会は9位でしたが、2回目のアテネ大会では、当初金メダルを獲得した選手がドーピング違反で失格となったため、銀メダルから繰り上がり、投てき種目では日本選手初の金メダルを獲得しました。続く北京大会は5位、37歳で迎えた前回のロンドン大会では銅メダルでした。
84メートル86センチの日本記録を持ち、日本選手権ではおととしまで前人未到の20連覇を達成するなど長く陸上界を引っ張ってきました。
競技以外の活動も積極的で、国内では2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会では、アスリートの視点からアドバイスを送るスポーツ・ディレクターを務めるほか、東京医科歯科大学の大学教授の肩書きも持ち、現役選手では異例となる、JOC=日本オリンピック委員会や日本陸上競技連盟の理事を務めています。
海外でも、国際陸上競技連盟とWADA=世界アンチドーピング機構のアスリート委員を務め、反ドーピング活動にも力を入れています。
さらに最近は、震災などの被災地支援や後進の指導などにも力を入れているため、競技以外の分野での活動が多忙を極め、競技のための練習量が限られていましたが、「熊本地震の被災者を勇気づけたい」という思いから2年ぶりの日本選手権への出場を決め、5大会連続のオリンピックに向け、短い時間を利用し、独特の練習方法で調整していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010570791000.html?utm_int=all_side_ranking-social_003
http://www.asyura2.com/09/news8/msg/1109.html
アメリカのオバマ大統領は、イギリスが国民投票でEUからの離脱を選択したことについて、24日に声明を発表し、「われわれはイギリス国民の決定を尊重する。アメリカとイギリスの特別な関係は続く」と強調しました。
そのうえで、オバマ大統領は「イギリスはNATO=北大西洋条約機構のメンバーであって、引き続きアメリカの外交、安全保障、それに経済政策の要だ。EU=ヨーロッパ連合と、われわれの関係もそうで、安定や経済成長、それに民主的な価値を促進してきた。イギリスとEUはアメリカにとって、欠かすことのできないパートナーであり続ける」としています。
米副大統領「違う結果を望んでいた」
アメリカのバイデン副大統領は24日、アイルランドの首都ダブリンの大学で演説し、「われわれは違う結果を望んでいたと言わざるをえず、ここにいる皆さんも同じ気持ちだと思う」と述べて、イギリスのEU残留を支持していたアメリカ政府の立場を示しました。
そのうえで、バイデン副大統領は「アメリカはすばらしい民主主義国家であるイギリスと長い友好関係にあり、イギリスの決断を尊重する。アメリカのイギリスとの特別な絆は強く、今後も続くと断言したい」と述べて、強固な関係には変化はないという考えを強調しました。
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英国民投票受け 米大統領選の候補者は[NHK]
6月25日 2時16分
イギリスの国民投票の結果を受けて、アメリカ大統領選挙で共和党の指名獲得を確実にしたトランプ氏と民主党の指名獲得を確実にしたクリントン氏は、それぞれ声明を発表しました。
トランプ氏は声明で、「イギリス国民は自国の政治と経済そして国境を取り戻すためEUからの独立を宣言した」と評価しました。そのうえで「アメリカ国民も11月の本選挙で、再び独立を宣言する機会がある。現在のエリートによる政治を拒否し、アメリカ国民を第1に考える貿易や移民政策それに外交のために、票を投じる機会がある」として、アメリカ第1主義を掲げるみずからの主張をアピールしました。
一方、クリントン氏は声明で、「われわれはイギリス国民の選択を尊重する」としたうえで「この結果を受けて起きている経済的に不安定な状況がアメリカに悪い影響を及ぼさないよう取り組まなければならない」としています。そして「今回の不安定な状況を見れば、ホワイトハウスには冷静で堅実かつ経験豊富な指導者が必要なことが明らかだ」と指摘し、政治経験のないトランプ氏よりも自分こそが大統領にふさわしいと強調しました。
アメリカ大統領選挙に向けた民主党の候補者選びで、サンダース上院議員は敗北を事実上認め、11月の本選挙ではクリントン前国務長官に投票する意向を示しました。
アメリカ大統領選挙に向けた民主党の候補者選びで、クリントン前国務長官と争ってきたサンダース上院議員は24日、テレビ番組に出演しました。
この中で、サンダース氏は「クリントン氏が私よりも多く代議員を確保していることは分かっている」と述べ、敗北を事実上認めました。
そして、「共和党のトランプ氏を倒すため、できるかぎりのことをするつもりだ。トランプ氏が大統領に選ばれれば、大惨事になる」と述べ、11月の本選挙では民主党の指名獲得を確実にしているクリントン氏に投票する意向を示しました。
一方で、「私の今の仕事は民主党の党大会で最も強力な政策綱領を作るために闘うことだ」と述べ、選挙戦からの撤退は表明せず、来月の党大会で採択される党の政策綱領に最低賃金の引き上げなどの、みずからの主張を反映させることを目指す考えを強調しました。
サンダース氏としては、トランプ氏が大統領になるのを阻止するため、最終的にはクリントン氏に協力する姿勢を示しながらも、政策綱領の採択に向けてできるだけクリントン氏から譲歩を引き出したい考えとみられます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160625/k10010571091000.html?utm_int=all_side_ranking-social_002
24日午後、東京・立川市のマンションの1室で、この部屋に住む80代の母親と、いずれも50代の長女と次女の3人が血を流して倒れているのが見つかり、このうち、次女が死亡しました。警視庁は長女が2人を包丁で刺して、自殺を図ったとみて、調べています。
24日午後3時半すぎ、立川市錦町のマンションの1室で、「玄関に血痕がある」と、部屋から異常を知らせる通報を受けて、駆けつけた警備員から110番通報がありました。
警視庁によりますと、この部屋に住む80代の母親と、いずれも50代の長女と次女が血を流して倒れているのが見つかりました。
このうち、次女の関根香代子さん(57)が意識不明の重体でしたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。ほかの2人も病院で手当てを受けていて、長女が首や腹などに刺し傷があって重傷、母親も背中に刺し傷があるということです。
警視庁によりますと、長女が「2人を包丁で刺して殺そうとした。自分も死のうとしたが、死にきれなかった」などと話し、部屋の床には、包丁が2本落ちていたということです。
警視庁は長女が2人を包丁で刺して自殺を図ったとみて、詳しい経緯を調べています。現場はJR立川駅からおよそ2キロ離れた住宅街です。
元俳優の高知東生容疑者が24日、横浜市内のホテルで覚醒剤と大麻を隠し持っていたとして厚生労働省の麻薬取締部に逮捕されました。
逮捕されたのは、東京・世田谷区に住む、元俳優で会社経営の高知東生、本名、大崎丈二容疑者(51)です。
厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部によりますと、24日朝、高知容疑者が泊まっていた横浜市内のホテルを捜索したところ覚醒剤4グラムのほか、大麻たばこや吸引器具などを隠し持っているのを見つけ、一緒にいた33歳の女とともに覚醒剤取締法と大麻取締法違反の疑いでその場で逮捕しました。
2人は、「覚醒剤と大麻は使うために持っていた」などと供述し、容疑を認めているということです。
高知容疑者は俳優の高島礼子さんの夫で、麻薬取締部は覚醒剤や大麻の入手ルートなどについて調べています。
福岡県筑後市でリサイクルショップの従業員と4歳の男の子ら3人が死亡した事件で、殺人などの罪に問われた経営者夫婦のうち妻に対し福岡地方裁判所は「暴行を繰り返した過程は陰惨でほかに例を見ない事件だ」として懲役30年を言い渡しました。
福岡県筑後市のリサイクルショップ経営、中尾伸也被告(49)と妻の知佐被告(47)は、平成16年に、従業員だった日高崇さん(当時22)に暴行を加えるなどして殺害した罪に問われているほか、平成18年に知佐被告の妹の夫で従業員だった冷水一也さん(当時34)と長男の大斗ちゃん(当時4)を死亡させたとして傷害致死の罪でも起訴されました。
夫婦のうち、妻の知佐被告は裁判で「暴行したのは夫で、指示もしていない」と述べて、殺人と傷害致死について無罪を主張し、検察は無期懲役を求刑していました。
判決で福岡地方裁判所の平塚浩司裁判長は日高さんに対する殺人については「命を奪った最終的な暴行などの状況が不明であり、殺意が認定できない」と述べ傷害致死にあたると述べました。
そのうえで「体罰などにかこつけて暴行をとめどなく繰り返し、幼児を含む3人を死に追いやった過程は陰惨というほかなく、ほかに例を見ない事件だ」と指摘しました。そのうえで「法律上許された上限の刑をもって臨むのが相当だ」として懲役30年を言い渡しました。
※関連参照投稿
「司法が止めた原発:「原発メルトダウン危機の88時間」のようなインチキ総括しかできないデタラメ状況で再稼働停止は当然」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/345.html
「原発差し止め今度は認めず 司法が揺らすエネ政策:大都市圏周辺は不稼働、人口疎の地方で一部再稼働というのが政府方針らしい」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/127.html
「川内原発 差し止め認めず:安倍政権の原発再稼働方針が透けて見える:大都市圏周辺は不可・人口疎の地方は一部容認」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/437.html
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伊方原発3号機 燃料入れる作業開始[NHK]
6月24日 11時51分
愛媛県伊方町にある伊方原子力発電所3号機で、原子炉に核燃料を入れる作業が24日から始まりました。原子炉に核燃料が入れられると、四国電力が来月下旬を目指す再稼働に向けた準備は最終段階に入ることになります。
伊方原発3号機の原子炉に核燃料を入れる作業は24日午前9時に始まり、原子炉建屋の中にあるプールに保管している157体の核燃料を、作業員がクレーンなどを使って1体ずつ原子炉に入れています。
157体のうち16体は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランとを混ぜた「MOX燃料」です。
伊方原発3号機は、福島第一原発の事故の翌月に停止したあと、原発事故後に作られた新しい規制基準に去年合格しました。
3号機の原子炉に核燃料を入れるのはおよそ3年2か月ぶりで、作業は1日におよそ40体のペースで進められ、週明けの今月27日に完了する見通しです。
その後、再稼働に向けた準備は最終段階に入り、四国電力は重大事故を想定した訓練などを行ったうえで、来月下旬に3号機を再稼働させる計画です。
3号機が再稼働すると、新しい規制基準のもとでは、九州電力の川内原発と関西電力の高浜原発に次いで3か所目となりますが、高浜原発は裁判所から運転停止を命じる仮処分の決定を受けて、現在は停止しています。
原発の正門前で抗議活動
伊方原子力発電所3号機で原子炉に核燃料を入れる作業を始めたことを受けて、再稼働に反対する市民が原発の正門前で抗議活動を行いました。
抗議活動を行ったのは伊方原発の再稼働に反対する愛媛県内の市民グループのメンバーなど10人余りで、「再稼働反対」と訴えながら原発の正門の周辺を歩いたあと、抗議文を読み上げました。
抗議文では、伊方原発に電気を送る設備は大地震には耐えられず、安全性は確保されていないなどとして、核燃料を入れる作業に抗議する意思を示しています。
松山市から参加した男性は、「熊本地震も発生しているので、見切り発車で燃料を入れるのはやめてほしい」と話していました。
非核保有国として日本だけに使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」を認めたのが日米原子力協定で、1988年に発効し、30年後の2018年7月に期限切れとなる。
日本には、現在、使われないまま積み上がっているプルトニウムが47・8トンもあり、それは核弾頭6000発前後に相当。核弾頭に代用できるプルトニウムの不用意な増加は、核不拡散の旗振り役である米国にとって迷惑な話である。
だがそれは、日本が使用済み核燃料をもんじゅや、プルトニウムにウランを混ぜたMOX燃料として燃やす通常の原発でのプルサーマル発電を行う核燃料サイクルだから認めたことだ。その象徴であるもんじゅが廃炉になれば、日米原子力協定の継続は厳しくなる。」
【コメント】
伊藤 博敏氏は“穏やか”に語っているが、研究用のプルトニウムや高濃縮ウランを取り上げ回収した米国のやり方を考えると、米国は、プルトニウムを取り出す「核燃料再処理」やプルトニウムを拡大生産する「高速増殖炉」を認めないだろう。
すでに下交渉は行われていると思われる18年改定の日米原子力協定では、使用済み核燃料の再処理や高速増殖炉を認めない可能性が高い。
原子力ムラも、人脈もある政府には対抗できても、米国相手になると手も足も出ない。仲間内で米国に向けて罵詈雑言を吐くだけで、ぐっと我慢することになる。
伊藤 博敏氏は、遠回しながら、「もんじゅ」は、技術的問題だけでなく政治的にも存続できないから、早く撤収の覚悟を決めたほうがいいと言いたいのだろう。
文科省や官邸も、六ヶ所村の核燃料再処理施設や「もんじゅ」を存続できないことを承知しているが、現段階でそれらを廃止すると言ってしまえば、「うちにある使用済み核燃料をさっさと運び出せ!」怒号が飛び交い収拾が付かなくなる。
安倍政権が“時間をかけながら”川内原発や伊方原発などいくつかの原発の再稼働に踏み切っているのも、原発をヤメるわけではないというプロパガンダの意味合いが大きい。
政府が「原発をヤメめる」と言った途端、全国の原発立地自治体から、「うちにある使用済み核燃料をさっさと運び出せ!」という声が嵐のように巻き起こり対処できなくなる。
※関連投稿
「脱原発派の安倍首相が脱原発を宣言できないワケ:細川氏への期待は安倍首相の“脱原発依存”意識サポート」
http://www.asyura2.com/14/senkyo161/msg/191.html
「首相「簡単に原発やめると言えない」:内実は菅政権と基本的に同じ政策:原発依存度を可能な限り低減:新設増設もしない」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/141.html
「脱原発依存派の安倍首相が脱原発を政策化できないワケの一つは宗主国米国の原発継続要求」
http://www.asyura2.com/14/senkyo168/msg/616.html
「日本のプルトニウム・プログラムは、核拡散防止体制を脅かすとノーベル賞受賞者らが警告」
http://kakujoho.net/npt/ucs_npt.html
「日本、米国に核爆弾50発分のプルトニウムを返却」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/351.html
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
「岐路に立つ核燃料サイク:日米協定延長手続き:余剰プルトニウム 問題」
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/386.html
原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物について、千葉市が放射性物質の濃度を再び測定した結果、国の基準を下回っていることが確認できたとして、来週中にも全国で初めて環境省に指定解除を求める申請を行うことになりました。
自治体などで保管されている指定廃棄物について、環境省は、放射性物質の濃度は時間の経過とともに下がるため、基準を下回れば指定を解除して一般の廃棄物として処分できるようにしました。
これを受けて、千葉市が、美浜区の清掃工場で保管している7トン余りの廃棄物を再び測定した結果、1キロ当たりの放射性物質の濃度は、4000ベクレルから6100ベクレルで、国の基準の8000ベクレルを下回っていることが確認できたということです。
このため千葉市は環境省に対し、来週中にも指定廃棄物の指定解除を求める申請を行うことを決めました。環境省によりますと、申請が行われれば全国で初めてとなります。
千葉市は指定が解除された場合も、廃棄物を直ちには処分せず、当分の間、清掃工場で保管を続けるとしています。
一方千葉市は、千葉県内の指定廃棄物の処分場の候補地となっていますが、熊谷俊人市長は「指定廃棄物が全く存在しないと確認できたのに処分場を受け入れることは市民の理解を得られないだろう」と述べ、受け入れを拒否する姿勢を改めて示しました。
結果は予想した範囲ないのものだが、久々に英国政府が表立って動く策謀を目の当たりにし、さすが大英帝国の末裔だと思った。
愛国右派の仮面をかぶった安倍政権の政治的マヌーバーもなかなか面白いが、一日の長がある英国政府のマヌーバーはより見応えがある。
辞任表明したキャメロン首相が10月まで居座って何ができるのか?というまっとうな問いはともかく、これからキャメロン首相が退任する10月までの4ヶ月間ほど、なかなか見ることができない国際政治劇が展開されるだろう。
(英国支配層が立ち回ったはずのWW2や日本の真珠湾攻撃=対米開戦などの策謀と違い、戦争や人殺しが直接的には絡まないので素直に楽しめる)
関連でまず取り上げたいのは、残留派の票を増やす機能を果たしたと思われる事件である。
先週16日、ウエストヨークシャー州にある自身の選挙区でジョー・コックス議員が殺害された。
事件そのものは、殺害者=トーマス・メア容疑者が現行犯として逮捕されたので、イスラム過激派“テロ”とは異なりシンプルな構図に見える。
このジョー・コックス議員が殺害された事件を知ったとき、EU離脱をめぐる国民投票のキャンペーンが盛り上がるなか、政治的高揚に触発された政治的過敏症の人物がことを起こした“単純な”事件と思った。
というのも、昨年5月の総選挙で見えたように、英国の投開票は“管理”されており、ジョー・コックス議員を殺すことで残留派の票を増やすといった陰謀の必要性はないと考えているからである。
ただ、ジョー・コックス議員殺害事件が、投票の前日まで“活用”され、ジョー・コックス議員の配偶者のみならず、あのマララ・ユスフザイさん(本人が自覚しているかどうか別として“偽テロ”関与者)までが演壇に立ってEU残留のキャンペーンを行ったことにあやしさを覚えた。
国民投票の結果を素直に考えれば、配偶者やマララ・ユスフザイさんらの奮闘も虚しく、ジョー・コックス議員の死は報われることなく“犬死に”で終わったことになる。
だからといって、今現在、ジョー・コックス議員殺害事件について、“陰謀”という心証さえもない。
気にかかるのは、ジョー・コックス議員の願いとは反対の結果で国民投票が終わったことで、ジョー・コックス議員殺害事件までが忘れ去られていくのではないか、事件の真相がうやむやにされるのではないかということである。
ジョー・コックス議員は、国民投票の結果が残留多数なら、彼女の死が迷っている人たちの心を揺さぶり残留派に勝利をもたらしたということでヒロインになっていただろう。
ジョー・コックス議員を殺害した容疑者トーマス・メアは、「ブリティッシュ、ファースト!」と叫びながら襲ったとされ、ナチス関係の思想・政治書を保有し、20年ほど前の話だが、アメリカの極右団体から拳銃の製造方法が書かれたマニュアルを購入していたことから極右信奉者という見方もされている。
その一方で、容疑者の近隣住民は、「あいさつ程度しか交わさないが、穏やかで、ことを荒立てることもなかった」、「精神病の治療を受けていたようだ」と語っている。
ジョー・コックス議員殺害事件のキーは、容疑者が使用したとされる拳銃の入手方法である。
アメリカと違い英国で拳銃を手に入れるのは難しい。
事件から1週間以上経過しているが、トーマス・メア容疑者が犯行に使った拳銃をどうやって入手したか明らかになっていない(していない)。
拳銃の入手方法によっては、精神障害を抱える容疑者を操って犯行に走らせた“第三者”の存在を考慮しなければならなくなるだろう。
(英国がEUから離脱すれば、スコットランドがEUに“新規加盟”するハードルは低くなる)
英国のEU離脱がスコットランド独立を代償とするほどの価値があるのかという話が大きく浮上するが、それだけでなく、自由貿易を掲げ金融面でも欧州共同市場が必要と考え、英国にやってくる移民もそれなりの数で必要とわかっている英国支配層が、EU内での関係性変更をめざすのではなく、ちゃぶ台をひっくり返し各種協定をゼロから交渉するという非合理で不必要そしてリスキーな動きに向かうはずもない。
第一ランドは、自分はEU離脱問題に手を染めないと言いながら辞任を4ヶ月も先延ばしにしたキャメロン首相の後継者が誰なのか、そして、後任の首相がいつEUに離脱を通告するのか(離脱は“切り札”として持つだけで通告はしないのか)という駆け引きになる。
(キャメロン氏の後継者と目されてきたオズボーン財務相は。EU残留派の中核政治家であり、政治的道義的に後継者になるのは難しい。離脱派のカリスマとして存在感を示したボリス・ジョンソン氏が後継として取りざたされているが、彼はキャメロン氏の“盟友”なので、キャメロン氏(英国支配層)の意を汲みうまく立ち回るだろう)
EUへの離脱通告からカウントダウンが始まり、原則として2年後にEUから離脱することになるが、英国政府が実際に離脱通告するのは、2年後(18年)とも4年後(20年)とも言われている。
むろん、英国のポジションどころか離脱問題さえ曖昧という状況が2年も続けば、英国の政治的対立は激化し、英国への投資も控えられ経済的苦境も増大するから、そんなに先延ばしすることは考えられない。
さらに離脱通告後2年の交渉期間を考慮すれば、英国及びEU諸国は、とんでもなく長い間英国のEU離脱問題に振り回され続けることになるので、どの国もそんな状況を望まないだろう。
久々に国際舞台で主役を張る英国がどれほどの政治力を発揮するか見物させてもらう。
最後に、EUの統合性維持は、英国ではなく、ドイツにかかっていると考えている。
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EU、英離脱後に包括協定検討 通商や規制にルール[日経新聞]
経済の停滞回避狙う
2016/6/26 1:13
【ベルリン=赤川省吾、ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)は英国とのあいだで包括的な経済・貿易協定を結ぶ検討に入った。国民投票で英国がEUからの離脱を決めたことを受け、両地域で企業が活動しやすいように通商分野や規制などで新しいルールを設ける。具体的な内容は英国との離脱交渉と同時並行で詰める見通し。欧州の先行きへの不透明感を払拭するため、EUは交渉開始を急ぎたい考えだ。
25日、ベルリンで会見するEU6カ国の外相=ロイター
英国はEUに離脱を正式に通告してから2年間は現状を維持できる。新しい協定は、それ以降の経済や司法、教育、テロ対策などを含めた英・EU関係を定めるものとなる。
EUは、これまでに周辺国と結んだ協定を参考にしながら英国との交渉に臨む。例えばノルウェーのケースでは、ほとんどの分野での関税撤廃などの恩恵を受けられる半面、EUへの拠出金を求められる。EUの法律や規制を守ることも求められるが、EUの政策決定には参加できない。
カナダは工業製品の関税撤廃などを盛り込んだ包括的経済・貿易協定(CETA)を結んでいる。EUからの移民労働者の受け入れなどを含んでいない。EUへの予算拠出も不要だ。それぞれの方式には一長一短があるため、英国との協定は独自の新しい枠組みになる見通しだ。
独紙ハンデルスブラットは24日、ドイツ財務省が英国をEUの「準パートナー」に位置づける案を作成したと報じた。加盟国ではないが、EUと密接につながる関係国というイメージだ。
ただ英国に柔軟に対応すれば、加盟国のあいだで不公平感が強まる恐れがある。このためEU側は英国との交渉に硬軟両にらみで臨む公算が大きい。英国がこれまで享受してきた関税撤廃などを認めるかも焦点となる。交渉は曲折しそうだ。
協定作りは、EUと英国の離脱交渉が進んでいることが前提となる。ところがキャメロン氏は10月をめどに辞任すると表明し、EUとの交渉は後任に任せたいとの思いをにじませる。このため一連の作業がいつ進むか見通せない状況にある。
国民投票でEU離脱を決めたのに一連の交渉が始まらなければ欧州の先行きに対する不透明感が強まる。企業が投資を手控えて英国だけでなく、EUに残るユーロ圏経済も下振れしかねない。
そこでEUには英国とともに沈むのを避けたいとの防衛本能が働く。
独仏伊などEU6カ国の外相は25日の会合で、英国に早期の離脱交渉を促すことで一致。会合後の記者会見でシュタインマイヤー独外相は「できるだけ早く手続きを始めたい」と語った。
英国を含むEUは週明けにブリュッセルで首脳会議を開く。28日にキャメロン氏に交渉を始めるように求めたうえで、29日に英国を除く27加盟国で会合に臨む段取りになっている。「英国はEUとどのような関係を望んでいるのか提案してほしい」。メルケル首相は25日語った。
一方、英国のキャメロン首相は不安を抑え込むのに躍起となっている。
24日夜は米国のオバマ大統領と電話会談。米英の「特別な関係」を続け、これまで通り安全保障分野を中心に緊密に連携することで合意した。さらに記者会見で「EUとの交渉はこれからで、貿易や人の移動がただちに変わるわけではない」と語り、資金逃避などが起こらないように、投資家に慎重な対応を求めた。
キャメロン氏の後継をめぐっては保守党内で離脱派の議員を軸に調整が進む。国民投票で深まった党内の亀裂が修復できるかが注目点だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H6F_V20C16A6MM8000/?dg=1&nf=1
【6月25日 AFP】英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利し、加盟各国の「ドミノ離脱」へと発展する懸念が高まる中、大打撃を受けたEUは24日、英国に対して「なるべく速やかに」離脱するよう促した。
ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相とフランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領は、英国との衝撃的な決別を乗り越えるためにEUに改革を要請した。
また、EU加盟国の首脳陣は英国への未練を直ちに断ち切るかのように共同声明を発表し、英国に対して「離脱の手続きは困難を伴うかもしれないが、英国民が今回出した結論をなるべく速やかに実現」するよう強い口調で呼び掛けた。(c)AFP/Danny KEMP
【6月25日 AFP】欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長は、英国の欧州連合(EU)離脱について、「円満な離婚ではない」が速やかに行ってほしいとの考えを示した。
ユンケル委員長は24日、ドイツ公共放送ARDに対し、「英政府が(EU本部が置かれているベルギーの首都)ブリュッセル(Brussels)に離縁状を送るかどうかを決断するのになぜ10月まで必要なのか、私には理解できない」として、「私としては直ちに送ってほしい」とコメントした。
またユンケル委員長は、EUは英国の残留を望んでいたが、今となっては、離脱の手続きをできるだけ速やかに、なおかつ痛みを伴わない形で進めることが肝心だとし、さらに、「(EUと英国は)円満な離婚ではないが、親密な恋愛関係というわけでもなかった」「英国とEUにとって良き日ではないが、私たちは前に進まなければならない」と述べた。
英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相は24日、同国のEU離脱の是非を問う国民投票で離脱派が勝利した結果を受け、10月に辞任し、「ブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)」をめぐるEU側との交渉は後任となる首相に任せる意向を表明した。(c)AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3091773?cx_part=txt_topstory
【6月25日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は24日、英国で行われた欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票について、英政府の「考えが甘く、思慮が足りなかった」と批判する一方で、英国のEU離脱に向けてロシア政府が水面下で動いたとの見方を否定した。
ロシアの国営放送で放送された発言の中でプーチン大統領は、今回の国民投票について「一国、そして欧州全体にとっての重大な決定に決着を付けるやり方としては、英国首脳部の考えが甘く、思慮が足りなかった」と述べた。
EU加盟諸国の関係にくさびを打ち込もうとしていると非難されてきたプーチン大統領にとって、英国のEU離脱は「思うつぼ」だとする見方も多い。
しかしプーチン大統領は同日、英国をEUから離脱させるためにロシア政府が英国の国民投票に働き掛けたとの見方を一蹴。「当然、情勢はしっかり見守っていたが、わが国がその過程に影響を及ぼしたことはなく、影響を及ぼそうと試みたことさえない」と述べた。
プーチン大統領はさらに、ロシア政府としては英国のEU離脱のロシア経済への影響を最小限に抑える努力をすると明言した。ロシア経済は原油安と通貨ルーブルの下落によって既に打撃を受けている。
一方、ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相は、英国のEU離脱が各国市場に及ぼす影響によって「世界経済、ひいてはロシア経済にもさらなるリスク」が生じていると警鐘を鳴らした。(c)AFP/Gabrielle Tétrault-Farber
いろいろ疑いを抱いているものとしては、ブラックボックス修復作業には中立な機関(そんな機関や専門家がいるのかという話もあるが)に立ち会ってもらいたい。
※関連参照投稿
「国際テロ組織「アルカイダ」:9-11テロに霊感を与えた事件を明らかに:あの不可解なエジプト航空990便事故」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/509.html
「マレーシア航空機MH17便墜落から1年:南シナ海MH370便・ウクライナMH17ともに乗っ取り遠隔操縦が発端」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/212.html
「OZ214・MH370・MH17のパイロットたちは“乗っ取り”をどう感受したのか?:MH17操縦士は“異常感なし”」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/503.html
「OZ214便SFO着陸失敗事故→MH370便南シナ海失踪事件→MH17便ウクライナ撃墜事件という“系譜”」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/488.html
「アシアナ航空の着陸失敗「機器にも問題」 :サンフランシスコ国際空港:777の機器設計そのものにも問題とアシアナ航空指摘」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/396.html
「エアアジア機 整備不良と操作ミスで事故:昨年12月のこれから始まり仏GW機・シナイ露機と続く不可解なA320系事故」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/844.html
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墜落機のブラックボックス、仏へ送付 エジプトで解析できず[CNN]
2016.06.24 Fri posted at 11:50 JST
(CNN) 5月に地中海に墜落したエジプト航空804便のブラックボックスが、修復のためフランス航空事故調査局(BEA)に送られることになった。内部のメモリーチップの損傷がひどく、これまで解析作業に当たっていたエジプトの調査当局にはデータを引き出すことができなかった。
エジプト航空の23日の発表によると、コックピットの音声を記録したボイスレコーダーと、飛行データを記録したフライトデータレコーダーは、フランスで修復を行って堆積した塩分を除去した上で、エジプトに送り返されて民間航空省でデータを解析する。
墜落原因究明の鍵を握るブラックボックスの修復や解析に関して、BEAは世界でも有数の技術を持つとされる。
フライトデータレコーダーは同機のセンサーがとらえた25時間分の情報を記録。飛行速度や高度、エンジンや翼の状態を知る手がかりとなる。
ボイスレコーダーには操縦室内での会話や警報、背後の物音などの音声が記録されている。
同機は5月19日、乗客乗員66人を乗せてパリからカイロへ向かう途中で地中海に墜落した。
ブラックボックスは地中海の捜索で発見され、回収された。エジプト航空によると、現場の海域では船舶による機体の残骸や犠牲者の遺体の捜索が続けられている。
イギリスで行われた国民投票でEU=ヨーロッパ連合からの離脱の運動を主導し、キャメロン首相の後任の最有力候補とみられていた、前のロンドン市長のボリス・ジョンソン下院議員は、30日、与党・保守党の党首選に立候補しないことを明らかにしました。
イギリスの国民投票でEU離脱が決まり、残留を訴えていたキャメロン首相が辞意を表明したため、与党・保守党は、次の党首を選ぶ党首選への立候補者を30日の正午まで受け付けていました。
締め切り間近に記者会見したジョンソン議員は「仲間と相談し、議会の現状を考えた結果、次の首相になるのは私ではないという結論に達した」と述べ、党首選に立候補しないことを明らかにしました。
率直な物言いなどで国民の間で人気の高いジョンソン議員は、キャメロン首相の後任の最有力の候補とみられていましたが、保守党の中からは、もともと親EUとされながら、突然離脱支持に回ったことについて、首相の座を狙って態度を変えたなどと批判が高まっていました。イギリスのメディアは、ジョンソン議員の党首選を支援する考えを示していたゴーブ司法相が、ジョンソン議員について、「このままではリーダーシップを発揮できず、チームを作れない」などと指摘し、30日になって、みずから立候補する意向を示したことも、要因の1つだと分析しています。
党首選の立候補者の受け付けは締め切られ、離脱派のゴーブ司法相のほか、残留を支持したものの目立った運動はしなかったメイ内相など、合わせて5人が立候補を届け出ました。新しい保守党の党首は議員や党員の投票を経て9月9日までに決まる見通しで、エリザベス女王に任命され、次の首相に就任し、EUに対して離脱を通知して交渉を行うことになります。
保守党 党首選の顔ぶれは
キャメロン首相の後任を決める与党・保守党の党首選に立候補したのは5人です。
このうち、EUからの離脱の賛否を問う国民投票で離脱を支持した勢力からは、3人が立候補しました。
離脱派の運動を率いた1人で、当初は党首選でジョンソン下院議員を支持する意向を示していた、マイケル・ゴーブ司法相(48)、元銀行員で、電力やガス市場の担当相を務める、アンドレア・レッドサム氏(53)、党首選への立候補は2005年以来2度目となる、リアム・フォックス元国防相(54)です。
また、残留を支持した勢力からは、2人が立候補しました。党内の要職も歴任し、テロ対策の責任者の1人としてキャメロン政権を支えてきた、テリーザ・メイ内相(59)、党の結束や国民投票後のイギリスの安定を掲げる、スティーブン・クラブ雇用・年金相(43)です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160630/k10010578891000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
日本人熟年男性 実の妻を捨て「セックス・ドール」と暮らす(写真)[スプートニク日本語]
2016年06月29日 22:22(アップデート 2016年06月29日 22:29
長野県出身の熟年男性が、プラスチック製の所謂「セックス・ドール」と住み始めた。この男性には、実の妻と二人の子供がある。新聞Daily Mailが報じた。
ナカジマ・センジ氏(Senji Nakajima)(61)は、人形を「さおり」と名付け、東京の自室で「彼女」と一緒に暮らしている。彼は、諸般の事情により、約6年前に長野を出、一人暮らしとなったが、「人形」との同棲生活を決意した。最初彼は、人形をセックス処理用としてのみ使っていたが、ある時期が過ぎてからは、情が移り、人間のように「彼女」に魅かれているという。
現在ナカジマ氏は「さおり」さんと共に店に買い物に行ったり、公園で散歩したり、デートに出かけたりしている。彼によれば「彼女」が何の下心もなく自分の隣にいてくれるところが良いとのことだ。
ナカジマ氏は「実の妻は、私の隣にいたいとはもう望んでいない」と語った。なお彼の家族が「さおり」さんをどう考えているのかについては、新聞報道は言及していない。
北朝鮮の国営メディアは、29日、ピョンヤン(平壌)で開かれた最高人民会議で、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が、国家機関を率いるポストとして新設された「国務委員長」にも就任したと伝え、さらなる権威づけを図り、求心力を高めたいという思惑があるとみられます。
北朝鮮の最高人民会議は、毎年、代議員と呼ばれる各地の代表が首都ピョンヤンに一堂に会して開かれるもので、憲法や法律の改正、国家機関の人事などを決定します。
国営の朝鮮中央テレビは、日本時間の29日午後10時すぎ、先月、36年ぶりに開催された朝鮮労働党大会のあと、初めてとなる最高人民会議が29日開かれたと伝えました。議場の映像では、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が、2年ぶりに最高人民会議のひな壇に着席したのに続いて、ヤン・ヒョンソプ副委員長が、国家機関を統括してきた国防委員会を「国務委員会」に改編し、新設されたトップのポスト、「国務委員長」に、キム委員長が就任したことを明らかにしました。
キム委員長は、先の党大会で、新しく設けられた朝鮮労働党トップのポストである朝鮮労働党委員長に就いたばかりで、国家機関を率いるポストも新設してみずから就任することで、さらに権威づけを図り、求心力を高めたいという思惑があるとみられます。
また、キム委員長としては、軍事優先の政治を掲げた父親のキム・ジョンイル(金正日)総書記の時代に権限が強化された国防委員会を、事実上、廃止することで、祖父のキム・イルソン(金日成)主席の統治スタイルにならう姿勢を一段と鮮明にするねらいがありそうです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160629/k10010577281000.html?utm_int=news_contents_news-main_002
ロシアと中国は、自国通貨での決済を拡大する。北京訪問中のプーチン大統領が、明らかにした。
大統領は、そうした方法をとれば、外の景気に左右されることが少なくなると指摘し、次のように述べた―
「外の景気に左右されるのを少なくするために、我々は、相互決済における自国通貨の使用を拡大する。そうした支払いにおいてルーブルが占める割合は3%だが、人民元は、はるかに大きく9%である。おまけに人民元の割合は、ロシアに人民元取引のための決済清算センターができた後には、目に見えて増えるに違いない。」
イギリスがEU=ヨーロッパ連合からの離脱を決めるなか、スペインの議会選挙が行われ、EUの財政の緊縮策への批判を繰り広げてきた急進的な左派の政党は支持が拡大せず、3位にとどまる見通しです。
スペインでは26日、上下両院の議会選挙の投票が行われ、日本時間の27日午前3時すぎから開票作業が始まりました。
選挙管理当局によりますと、日本時間の午前6時、下院では開票率95.41%で、ラホイ首相率いる保守の「国民党」が32.94%、左派の「社会労働党」が22.78%、EUの財政緊縮策に反対する急進的な左派政党「ポデモス」を中心とする左派の連合が21.13%となっています。
今回の選挙戦では、EUのもとで進められてきた緊縮策などが主要な争点となり、イギリスがEUからの離脱を決めた直後なだけに、EUの在り方を批判しているポデモスが、どこまで支持を集めるのかに注目が集まりました。
これまでのところ、支持は伸び悩んでおり、日本時間の午前6時すぎに首都マドリードで会見したポデモスのイグレシアス党首は「別の結果を期待していた」と失望感をにじませました。
スペインの議会選挙は去年12月に行われましたが、各政党間の連立協議が失敗し、僅か半年で再選挙となりました。
今回も前回と同様国民党が第1党の座を維持するものの、過半数の議席獲得には至らない情勢で、今後、連立協議が行われることになります。
NATO新本部よりサンディエゴにある米海軍兵学校の建物を上空から見たデザインのほうがはるかに似ていると思う。
米海軍兵学校の建物についての確認は、「スプートニク日本語」のサイトにある動画で...
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新しいNATO本部がナチスの「稲妻」を思わせるのは偶然か?(動画)
2016年06月28日 19:14(アップデート 2016年06月28日 23:00)
恐らく、それはデザインとして失敗作と言っていいだろう。しかし、対ロシア国境地域において、NATO軍部隊の数が増えているという現在の状況下では、とてもシンボリックに見える。
「あなた方及び将来の世代にとって」の新しいNATO本部の建物は、大きな反響を呼び起こした。建物は、独自のデザインにより、ナチス軍人のユニフォームの襟の所についている「稲妻」を不気味に思い起させるものになっている。
ナチスのシンボルが、NATOの大規模軍事演習「Anaconda War Games」に参加したドイツ軍部隊と共に、やってくる。この演習は、ナチス・ドイツによるソ連領内への宣戦布告なき侵入からちょうど75年目に当たる時期にポーランドで実施された。
米国にはこの他にもナチスのシンボルを彷彿させる建物がある。
Googleマップが登場した2000年代に、もう一つ興味深い発見があった。サンディエゴ湾(カリフォルニア州)にある米海軍兵学校の建物が、ハーケンクロイツ(鉤十字)と瓜二つだとして大きな議論を呼び、大勢の市民が建物の取り壊しを求めた。
萩生田官房副長官は記者会見で、今月17日、中国の軍用機に対し、自衛隊機がスクランブル=緊急発進したことを明らかにしたうえで、引き続き周辺海空域での警戒監視活動に万全を期すとともに、国際法などに従って厳正に対処していく考えを示しました。
この中で、萩生田官房副長官は今月17日、中国の軍用機が南下し、自衛隊機がスクランブル=緊急発進したことを明らかにしたうえで、「攻撃動作をかけられたとか、ミサイル攻撃を受けたという事実はない。上空で、中国機との、ある意味では近距離でのやり取りは、当然あったと思う」と述べました。
そして、萩生田官房副長官は「政府としては、わが国の領土、領海、領空を、断固として守る観点から、引き続き、わが国周辺海空域での警戒監視活動に万全を期すとともに、国際法、自衛隊法に従い、厳正な対領空侵犯措置を実施していきたい」と述べました。
一方、萩生田官房副長官は、航空自衛隊の元幹部が中国の軍用機が自衛隊機に攻撃動作をしかけたなどと、インターネット上に書き込んだことについて、「国際社会に与える影響も極めて大きく、個人的には遺憾だと思っている。今回のことは特別な行動ではないと判断している」と述べました。
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南シナ海巡る日本の中国批判が悪影響 中国大使館幹部[NHK]
6月29日 20時29分
日本と中国が海上や空で、偶発的な衝突を避けるための「連絡メカニズム」について、東京の中国大使館の幹部は29日、日本が南シナ海を巡る問題で中国への批判を繰り返しているため運用の開始に向けた交渉に悪影響が出ているとして、日本側をけん制しました。
東京の中国大使館で29日開かれた定例の記者会見で薛剣公使は沖縄県の尖閣諸島などを念頭に日本と中国の間に一定の緊張があると指摘しました。そのうえで日中の政府が海上や空での偶発的な衝突を避けるため運用の開始に向けて取り組むことで一致している「連絡メカニズム」について、「現在の情勢においては非常に重要だ」と述べました。
一方で、薛公使は「日本国内の一部の人が国際的な場で、南シナ海を巡る問題で、根拠のない中国批判を繰り広げていることが、交渉に悪影響を与えている。交渉を再開できる雰囲気作りが大切で日本側の積極的な回答を期待している」と述べ、南シナ海での中国の海洋進出を批判する日本側をけん制しました。
日本の国連大使に就任した別所大使は、安全保障理事会で北朝鮮を巡る議論を深めるとともに、来月には議長国としてアフリカの平和構築や国連の次期事務総長の選出手続きを主要な議題に据え、力を尽くす考えを示しました。
新しく国連大使に就任した別所浩郎大使は、外務審議官などを経て、4年前から韓国大使として慰安婦問題や北朝鮮の核実験などへの対応にあたってきました。先週、国連本部に着任した別所大使は、早速、北朝鮮のミサイル発射を受けた安全保障理事会の緊急会合に出席しました。
別所大使は28日、初めて記者会見し、「安保理は北朝鮮の動向に対して非常に強い関心を払っており、制裁決議を着実に実施していく認識も共有している。一方で北朝鮮を正しい方向に導くには、制裁とともに対話が必要だと主張している国もあり、今後も議論が行われていく」と述べ、安保理の非常任理事国として、アメリカに加え中国やロシアとも議論を深めていく考えを示しました。
また、日本が来月、安保理の議長国を務めるにあたり、アフリカの平和構築やシリアを始めとする中東情勢、それに年末に任期満了を迎えるパン・ギムン(潘基文)事務総長の後任の選出手続きを主要な議題に据え、円滑な運営に力を尽くす考えを示しました。
■3党「懐疑的」、2党「交渉継続」
参院選の論戦の中で、北朝鮮による拉致問題が埋没している。主要10政党のうち9党が公約で拉致問題に言及しているが、21日の党首討論会では経済や社会保障に関する議論が目立ち、拉致問題はわずかだった。拉致被害者の家族から「置き去りだ」と嘆きの声が上がる中、産経新聞が10党に実施したアンケートでは、拉致被害者らの再調査実施で日朝両政府が合意した「ストックホルム合意」をめぐる評価の違いが鮮明に表れた。
アンケートでは、公約集で問題に言及しているか▽問題を担当する組織があるか▽これまでの取り組みはどのようなものか▽解決のため今後、具体的にどう取り組むか−を質問した。
今後の取り組みについて、与党の自民党と公明党はともに「対話と圧力」「行動対行動」を原則や方針として回答。自民は「対話の窓口は開きつつも、北朝鮮の挑発的行為に対しては、制裁措置の厳格な実施とさらなる検討も含めた対応を行う」とし、国際社会との連携も含め、あらゆる手段で帰国を実現するとした。公明は「拉致、核、ミサイルといった諸懸案について、包括的な問題解決に向けて尽力していく」とした。
野党ではストックホルム合意に関する意見が目立った。懐疑的な立場を取るのは3党で、民進党は「合意の枠組みでは拉致被害者の帰国につながらない」、おおさか維新の会も「全く機能しておらず、制裁も効果を上げていないという極めて厳しい状態」と分析。日本のこころを大切にする党は「合意に基づく日朝交渉を継続していても、拉致被害者を救出できないことは明白」として交渉をいったん中断し、「被害者救出に的を絞った交渉」を求めた。
合意を生かすべきだとしたのは2党。共産党は「合意に基づき、粘り強く交渉を続けることが必要」と主張し、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の再開の必要性にも言及。社民党も「合意に基づき、粘り強い交渉と対話を求めていく」とし、北朝鮮の6カ国協議復帰と日朝包括協議に応じるよう働きかけるとした。
生活の党と山本太郎となかまたちは「外交努力を積み重ねていくことが重要」と説明。新党改革も外交努力を挙げ、「特に国連との協調で解決に努力する」とした。幸福実現党は「一般の国民に拉致問題を啓蒙(けいもう)する講演会の開催」などを挙げた。
公約集で拉致問題に言及していると回答したのは、生活を除く9党。担当組織については自民、民進、公明、日本のこころの4党が設けているとした。
担当組織を「なし」とした党のうち、おおさか維新は「新党結成より間もないため」、幸福は「政調会の中で講演会などに取り組んでいる」と理由を説明。担当組織の有無について明確な回答がなかったのは3党で、「党中央委員会として責任を持ち取り組んでいる」(共産)、「全国連合常任幹事会全体で対応することにしている」(社民)、「組織より政府中心に解決するよう協力していく」(改革)とそれぞれ説明した。
最終更新:6月30日(木)13時48分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160630-00000079-san-pol
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参院選 「人ごと」「本当に全力だったか」…拉致被害者家族から漏れる嘆き[産経新聞]
2016.6.30 00:09
「大事な問題なのになぜ(拉致問題について)言わないのでしょうか」。拉致被害者、横田めぐみさん(51)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(80)は参院選で拉致問題が取り上げられることが少ないと感じている。
被害者の命のかかった問題に触れない政治家は「どこか人ごとと考えているのではないか」。そう思うと言い、「自分の子供がこういうことになったら、何も言わないというわけにいかないでしょう」と語った。
拉致被害者、田口八重子さん(60)=同(22)=の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(78)は「毎回そうです」と国政選挙で拉致問題がほとんど話題にならないことを嘆き、「拉致問題にはっきりと言及し、解決する意志の強い候補者に投票してほしい」と呼びかける。
拉致の可能性を排除できない特定失踪者で、昭和51年に行方不明になった藤田進さん(60)=失踪当時(19)=の弟、隆司さん(58)は「拉致問題は10年以上動いていない。『全力を挙げる』という各党の姿勢は分かるが、本当に全力だったのか問い直してほしい」と事態を打開する政策の実行を求めた。
各党のアンケート回答に関し、拉致被害者の支援組織「救う会」の西岡力会長は「解決に向け、具体的な政策のない党があったのが残念だ。対策組織を作るなりして政策をまとめるべきだ」と指摘。参院選で拉致問題が主要争点になっていないことについては、「政権を攻める立場である野党の責任が大きいと思う。野党は拉致問題について政策論議を挑み、与党も自分たちの政策を訴えてほしい」と話した。
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/160630/plt16063000090002-n1.html
しかし、ロシアとトルコは、なんのために、露軍機撃墜という騒動を起こしたのだろう?
※ 関連参照投稿
「「ロシアとトルコの共謀」で撃墜したSu24の搭乗員は全員無事!?:搭乗員は一人だけだった可能性が濃厚」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/500.html
「超絶プーチン!Su24機長“遺体帰国”を素材に制作の悲喜劇「テロと戦争の時代」:ハリウッド真っ青の壮麗かつ“漫画”的演出」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/503.html
「ロシア軍Su24M撃墜をめぐる虚実と目的〜その1〜:“露土衝突”ではなく「露土共謀軍用機撃墜」の経緯と行方」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/483.html
「ロシア軍Su24M撃墜をめぐる虚実と目的〜その2〜:両国公表内容や流布されている関連映像に見える「露土共謀撃墜劇」」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/484.html
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ロシア・トルコ首脳が電話会談 関係修復で一致[NHK]
6月29日 22時45分
去年11月のトルコ軍によるロシア軍機の撃墜を巡り、対立を深めていたロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が、撃墜後、初めて電話で会談し、テロとの戦いでの協力など関係を修復することで一致しました。
ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は29日、電話会談を行いました。
ロシア大統領府によりますと、この中で、プーチン大統領は、イスタンブールの国際空港で起きた自爆テロ事件で多くの犠牲者が出たことに哀悼の意を示したうえで、両首脳はテロとの戦いで国際的な協力を深めることの必要性を確認しました。また、ロシアは現在、ロシア人観光客のトルコ訪問を制限する措置をとっていますが、プーチン大統領は、これを解除する方向で関係機関に指示することを伝えました。
そのうえで、両首脳は関係を修復することで一致し、近く直接会談を行うことでも合意しました。
両首脳が電話で会談したのは、去年11月にシリアの国境付近で起きたトルコ軍によるロシア軍の爆撃機の撃墜後、初めてで、エルドアン大統領は6月27日、謝罪と受け取れる内容の書簡をプーチン大統領宛てに送っていました。
ただ、内戦が続くシリアを巡っては、アサド政権を支援するロシアと反政府勢力を支援するトルコの立場は隔たっていて、今回の関係修復をきっかけに、歩み寄りがみられるかどうかは不透明な状況です。
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プーチン、エルドアン両大統領が直接的な会談へ合意[スプートニク日本語]
2016年06月29日 21:30
プーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は電話会談で直接的な会談を行うことで合意。トルコ大統領府報道部が明らかにした。
プーチン大統領はエルドアン大統領に対し、昨日イスタンブール空港で起きたテロ事件に関して哀悼の意を表した。トルコ大統領府報道部の発表によれば、会談では二国関係の正常化について触れられ、二国間の協力の重要性が強調された。
両首相は昨11月、トルコのアンタルヤでのG20サミットの席以来、会談を実施してこなかった。この会談の数日後、ロシアの爆撃機スホイ24がシリア上空でトルコの戦闘機によって撃墜。
プーチン大統領はこれをテロリストの共犯者らによる「背信行為」だとし、トルコに対して一連の制裁を発動した。
その後、アルパルスラン・チェリクがパイロット殺害に関与したとの声明を表した。4月初旬、チェリク容疑者はトルコのイズミルで武器の不法所持容疑で逮捕された。容疑者は取り調べで、ペシコフ氏を銃撃したのは自分ではないが、戦闘グループの司令官としてその責任を負ったと主張した。イズミル検察庁は、「証拠不十分」としてチェリク容疑者に対するペシコフ氏殺害の訴追を取り下げたが、6月27日に予審判事が審理を再開した。
また27日、トルコのエルドアン大統領がプーチン大統領に書簡を送り、スホイ24型機の撃墜について謝罪し、パイロットの家族に哀悼の意を表したほか、トルコはロシアとの関係が損なわれるのを望んでいないことを明らかにした。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160629/2394697.html
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ロシアはトルコへの観光制限を解除する−プーチン大統領[スプートニク日本語]
2016年06月29日 20:35(アップデート 2016年06月29日 21:52)
プーチン大統領は政府に対し、トルコのエルドアン大統領との電話会談を総括し、対トルコ関係の正常化プロセスの開始を伝えた。
プーチン大統領は政府閣僚との会議の冒頭、「トルコ大統領がわれわれに宛てた書簡のあと、トルコとのパートナー関係の正常化プロセス開始の決定が採られた」と述べ、「もちろん、会談ではまず私はトルコ大統領、トルコの全国民に対してイスタンブールでのテロ事件に関して哀悼の意を表した」と語っている。
プーチン大統領は「我々の二国間関係に関しては、観光問題から開始したいと思う。とはいえテロが活発化しているなか、これはどうかとも思うが、いずれにせよこの分野の行政上の制限措置は取り払う」と語り、「ロシア連邦政府にはトルコとの貿易経済関係全体の正常化プロセスを開始するようお願いしたい」と付け加えた。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160629/2394182.html
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トルコ ロシア軍機撃墜で遺憾の意 関係修復へ両国歩み寄り[NHK]
6月28日 6時46分
去年11月のトルコ軍によるロシア軍機の撃墜についてトルコ政府が遺憾の意を伝え、これに対してロシア政府は謝罪と受け止めていると発表し、両国が関係の修復に向けて歩み寄りを見せています。
トルコ軍は去年11月、シリアとの国境付近でロシア軍の爆撃機を撃墜し、これをきっかけにロシアとトルコの間で緊張が高まって経済関係も大きく冷え込んでいます。
トルコ政府は27日、エルドアン大統領がロシアのプーチン大統領に宛てて「ロシア軍機のパイロットの遺族と痛みを分かち合い、哀悼の意を表したい」とする書簡を送ったことを明らかにしました。
これに対してロシア大統領府は、トルコ側から「申し訳ない」とする内容の書簡が届いたとして、謝罪と受け止めていると発表しました。
トルコがロシアに対して書簡を送ったのは今月半ばに続いて2度目で、ロシアも来月、黒海沿岸のソチに周辺国を集めて開く経済会議にトルコを招待するなど、両国が関係の修復に向けて歩み寄りを見せています。
ロシアは、トルコ経由でヨーロッパに天然ガスを輸出するパイプライン計画などの再開に期待を寄せている一方、トルコは、ロシアによる経済制裁で観光や農業に大きな打撃を受けており、双方の思惑が一致した形です。
また、トルコは、イスラエルとも外交関係の正常化で合意したばかりで、内戦が続くシリア情勢をはじめ、各国の利害が絡み合う中東の緊張緩和につながることが期待されています。
トルコ大統領 関係修復に決意示す
トルコのエルドアン大統領は27日、首都アンカラで行った演説で、「ロシアのプーチン大統領に送った書簡で、撃墜事件について深い悲しみを表すとともに、中東地域で両国が果たすことのできる協力の在り方について伝えた」と述べました。
そのうえで、「トルコは、ロシアにも、われわれにも何の利益ももたらさない現在の状態を終わらせ、直ちに関係を正常化する」として、ロシアとの関係修復に向けた決意を表明しました。
また、トルコのユルドゥルム首相は国営放送の番組で、「29日か30日にエルドアン大統領がプーチン大統領と電話で会談する予定だ」と明らかにし、ロシア側への働きかけを強める考えを示しました。
「ロシア・トルコ首脳が電話会談 関係修復で一致:目的が今なお見えない露土合作「露軍機撃墜劇」は7ヶ月で幕」
http://www.asyura2.com/16/warb18/msg/144.html
※ 関連参照投稿
「「ロシアとトルコの共謀」で撃墜したSu24の搭乗員は全員無事!?:搭乗員は一人だけだった可能性が濃厚」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/500.html
「超絶プーチン!Su24機長“遺体帰国”を素材に制作の悲喜劇「テロと戦争の時代」:ハリウッド真っ青の壮麗かつ“漫画”的演出」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/503.html
「ロシア軍Su24M撃墜をめぐる虚実と目的〜その1〜:“露土衝突”ではなく「露土共謀軍用機撃墜」の経緯と行方」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/483.html
「ロシア軍Su24M撃墜をめぐる虚実と目的〜その2〜:両国公表内容や流布されている関連映像に見える「露土共謀撃墜劇」」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/484.html
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プーチン大統領、対トルコ制裁解除に関する命令に調印[スプートニク日本語]
2016年07月01日 00:54(アップデート 2016年07月01日 02:10)
ロシアのプーチン大統領は、トルコに対する制裁を廃止する命令に署名した。クレムリン広報が発表した。命令は公式発表の日に発効する。
大統領はならびに政府に対し、ロシアとトルコの経済関係に関わる問題をトルコ政府と討議するよう命じた。
両国間のチャーター空輸再開やトルコへの観光渡航解禁についても措置をとるよう命じられた。クレムリン広報が発表した。
この10年でロボットとのセックスは非常に人気になり、この現象を無視したり、マージナルなものとするのはすでにうまくいかなくなるだろうと、英国の未来学者イエン・ピルソン氏が述べた。氏の意見によれば、それどころか、「ロボフィリア(ロボット性愛)」は承認されるようになるという。主に、女性によって。デイリー・ミラーが報じた。
「機械の愛」というコンセプトは実際のところ何も新しいものはなく、すでに現在、性具市場は非常に多種多様な様相を見せ、性具はより一層と洗練されていっているとピルソン氏は語る。そして、性具がより早く改良されるほど、人々の間で、自分と似たようなものとふれあう必要性が下がる速度がより急速になる。
「2050年までにはセックスロボットの人工知能は非常に強力になり、人々は自らの機械仕掛けのパートナーに恋するようになるだろう。その時には、全地球を「ロボフィリア」エピデミックが覆うだろう」とピルソン氏は指摘する。
ジュネーブで今年の終わりまでに朝食のモカやカプチーノ一杯と一緒にオーラルセックスを「販売」するセックスカフェが出現する。
オリジナルなコンセプトをもつ同店の名称は「カフェ・フェラチオ」。スイス紙ローカルによると、平均費用は約60ドル。
同様の店がタイにあることを知った地元輸入業者Facegirlのブラッドリー・チャヴェ・オーナーが創設した。
次のような仕組みだ。空腹の(文字通りの空腹ならびに比喩的な空腹)男がやって来て、メニューのコーヒーを注文、同時に、彼に性的快感を与える売春婦をiPadで選ぶ。それから彼はテーブルに席を取り、注文の品を楽しむというわけだ。
売春はスイスでは合法だ。それは厳しく管理されており、就業者は有効な許可証を持っている必要がある。
米国人は、ドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏のどちらも良い大統領になることはできないと考えている。米国のクイニペク大学が委託した全国世論調査の結果明らかになった。
米国人の53パーセントは、元米国務長官のヒラリー・クリントン氏は良い大統領になることができないと考えている。億万長者ドナルド・トランプ氏に関しては58パーセントが同意見。タス通信より。
支持率ではクリントン氏がリードしているが、ドナルド氏の40パーセントに対して42パーセント。 6月1日の時点ではトランプ氏41パーセントに対して45パーセントだった。
【ロンドン=岐部秀光】キャメロン英首相の後継者を選ぶ保守党の党首選は、30日の登録締め切り直前になって「本命」だったジョンソン前ロンドン市長が突如出馬を見送ると表明し、英政界に大きな衝撃が走った。欧州連合(EU)からの離脱派の「顔役」で、カリスマ的人気を誇るジョンソン氏の翻意の真意は不明だ。ただ残る候補は残留派だったメイ内相も含めて対EU強硬派が多く、離脱プロセスは対決色が強まる可能性がある。
30日午前11時半(日本時間同午後7時半)すぎ。ロンドンのホテルの演壇に登場したジョンソン氏を出迎えたのは、出馬表明の力強い言葉を期待する拍手と声援だった。
「EUからの離脱でロンドンも英国も繁栄するだろう」。英国の将来について熱く語り始めたジョンソン氏。だが、演説の終わり近くになって突然、「(国を率いるのは)自分ではないと結論づけた」と発言した。予想外のことに会場は凍り付き、沈黙が流れた。
次期党首、そして次期首相の最有力候補とみられていたジョンソン氏の戦線離脱。翻意の予兆はあった。この日の朝、ジョンソン氏を後押ししてきたはずのゴーブ司法相が急きょ出馬を表明し、関係者を驚かせたのだ。
国民投票のキャンペーンで共に離脱を訴えたジョンソン氏とゴーブ氏は密接な協力関係を築いた。ジョンソン氏が首相の座を射止めれば、ゴーブ氏を重要閣僚に起用するとの見方も強かった。ところがゴーブ氏は自身の出馬表明で「ボリス(ジョンソン氏のファーストネーム)ではリーダーシップを発揮できず、チームワークを発揮できない」と盟友を批判した。
調査会社ユーガブが29日に公表した保守党員向けの調査では、メイ氏が36%で首位、ジョンソン氏は27%で2位。事前の世論調査が当てにならないのは国民投票が証明済みで、十分に挽回可能な差と思われた。だが党内で一定の影響力を持つゴーブ氏が出馬したことで、若手議員らがゴーブ氏の支持にまわり、国民投票で離脱を支持した党員の票が割れるとの懸念もあったとみられる。
30日午前には残留派だったメイ氏が出馬を表明し「英国はEUから離脱する」と明言した。国民投票で民意を問うた以上、もはや離脱の撤回はないとの考えを強調し、プロセスの混乱を避けることの重要性を訴えた。
国民投票で勝利した離脱派は、その後もEUとの具体的な交渉方針などを示していない。EUへの拠出金額を水増しして訴えるなどキャンペーンでの虚偽発言も発覚し、批判を浴びた。
反EUの論陣を張った人気者のジョンソン氏が首相の座に就くことへの期待は、離脱に投票した有権者の動機のひとつだった。しかしそもそもオックスフォード大卒で富裕な家庭に育ったジョンソン氏が、反エリート感情を原動力とする離脱運動の旗振り役となる構図にはねじれがあった。
「ここで投げ出すとはあまりに無責任ではないか」。ロンドン市内ではジョンソン氏の不出馬の決断に市民から怒りの声が聞かれた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H91_Q6A630C1EA2000/?dg=1&nf=1
(誤)もつれるだろうがUとの関係は「離婚」ではなく「別居」
(正)もつれるだろうがEUとの関係は「離婚」ではなく「別居」
※ 「離婚」というのはEUのメンバーシップを失うことを意味し、「別居」は、政治(財政)的統合に向かうユーロ圏とは違う位置づけを強化してEU内にとどまることを意味します。
(協定の一部適用除外の拡張は追求しても、移民も必要とし自由な市場アクセスも欲しい英国が、EUとのあいだでわざわざ新たな協定を交渉する道を選択する合理性はない)
英国がたいへんではなく、ユーロ圏の中核であるドイツとフランスが政治的に苦難の道を歩むことになります。
中国が南シナ海で法に反する行動をとっているとしてハーグの国際司法裁判所にフィリピンが持ち込んだ訴えの判決が、数日のうちに下る。国際的な世論の注目はこの問題に釘付けになっている。なぜなら国際司法裁判所にこうした種類の問題が持ち込まれたのは前代未聞のことだからだ。
訴えが起こされたのは2013年。中国が事実上、スカボロー礁(中国名:黄岩島)に対する実行支配を開始した1年後。この島はフィリピンから140海里の地点に、つまりフィリピンの主張では排他的経済水域の200海里内に位置している。発端はスカボロー礁付近に8隻の中国の漁船が出現したことだった。この漁船の船員らはフィリピン海軍の船によって拘束され、密漁を行なっていたとして訴えられた。
このシナリオは2010年、尖閣諸島を廻って起きた事件と共通するものがある。事件の発端は中国の漁船が日本の沿岸警備艇と起こした衝突騒ぎだった。中国人船長が接舵戦を逃れようと日本の船に体当たりを食らわし、これが火に油を注いだ。日本側は中国漁船を拿捕し、船長は裁判にかけられ、地域紛争にまで発展する恐れが生じた。だが幸いなことにすべては両国での大声でのアピールに集約され、法的、歴史的根拠を入念の模索する試みがなされ、日本のマスコミでも中国側でも煽動的なレトリックが多々なされるに留まった。
さて今回のフィリピンの訴えだが、注視すべきなのは訴えがスカボロー礁やその他の係争諸島の帰属権には全く関与していない点だろう。訴えは南シナ海といわゆるU字ラインがひかれ、その大半が中国領であることを示す地図が中国で出されたことに集約されている。これは海洋法に関する国際連合条約に即しているかどうかが問題視されている。この訴えの弱点は中国、フィリピン以外にもこの水域の領有権を主張する台湾、ベトナム、マレーシア、ブルネイの考える境界線も全く同様に他国の領土に侵入している点だ。
もしハーグが中国は国際法に違反しているという判決を下せば、国際社会からの批判は間違いなく強まる。ところが中国はいかなる決定も自国の国益を縮めるものであるならば遂行する構えにはない。ひょっとするとフィリピンもまさにこれを計算に入れているのではないだろうか?大して意味のない地点でもせめて一箇所でポジティブな決定をものにして、中国が国際法規に違反しているところを示す、というのが目論みなのだろうか?
世界には争いの程度の差こそあれ、何百もの領土論争がある。堂々と辺りに聞こえるようなものもあれば、たいした意味を持たないために世論の注目からはずれているものもある。例えば北極にあるケンネディー海峡の中央部にある、わずか1.3キロ平米の無人島ガンス島。この島をめぐって長年カナダとデンマークはいさかいを続けてきた。
1970年代初め、両国は北極の海上の線引きをどこにするかで合意した。ところが島の地位は確定されないまま残された。双方ともが間断なく自国の調査船を島へ送り、自国の旗を立て、抗議の記しを送りあっている。1984年、紛争は新たなレベルに達した。デンマークは旗ざおの下にアルコールのビンを置き、そこに「デンマーク領にようこそ!」というメモを貼り付けた。しばらくたってデンマークは非対称的な報復をカナダ産ウイスキーという形で食らった。それ以来、すでに30年以上もNATO加盟のこの2国は何もない裸の島をめぐって凄惨な戦いを続け、それぞれ相手に対して贈り物を置き土産にすることも忘れていない。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160625/2369519.html
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南シナ海に対するロシアの立場の真実とは[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年06月30日 23:45
フィリピンがハーグの国際海洋法裁判所に起こした中国に対する訴えは7月12日に判決が下されることになっている。これを目前に控え、一連の諸国のマスコミは南シナ海の問題に対するロシアの立場を程度の差こそあれ、曲解して報じている。
このテーマを明確にするためにスプートニクはコンスタンチン・ヴヌコフ駐ベトナム・ロシア大使にインタビューを行なった。
「南シナ海の係争問題に対するロシアの立場は全く明確だ。ロシアには二重底は一切ない。我々もロシアの立場を最高レベルを含むあらゆるレベルで再三にわたって繰り返してきた。ロシアの立場を端的に言うならばロシアはこうした論争には加わっていないということだ。だがこれ以外にもロシアはこの地域に著しい関心を持っており、ベトナムに対してもそれは同じだ。我々はまた、そこにあるあらゆる問題が政治的外交的手段、こうした論争の当事国を交えた交渉という手段で解決されることに関心がある。
我々は南シナ海周辺で緊張を高め、地域の軍事化を拡大させることには断固として反対する。この状況から正常な形で脱する唯一の手段は国際法を基盤とする交渉であると考える。それはまさに1982年の第三次国連海洋法会議最終議定書及び条約である。これはASEAN諸国および中国間で策定されたものだった。これらの文書を基に相互に受け入れ可能な解決を見出す必要がある。
そして先日、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相も指摘したように、我々は論争の国際化およびこの問題に直接的には関係しない方面が入りこむことには異議を唱える。我々はいずれの方面にも肩入れしない。ロシアは完全に独立した立場に立っている。」
フィリピンで先月行われた大統領選挙で当選した、ロドリゴ・ドゥテルテ氏が30日に大統領に就任し、南シナ海を巡る問題など外交や安全保障の分野で、どのような政策を進めていくのか注目されます。
フィリピンで先月行われた大統領選挙で当選した、ロドリゴ・ドゥテルテ氏は30日に首都マニラで就任式に臨み、各国の大使らおよそ600人を前に宣誓を行い、大統領に就任しました。
このあとの就任演説で、ドゥテルテ新大統領は、最大の公約として掲げる犯罪の撲滅に全力で取り組む姿勢を強調したうえで、「どんなに強いリーダーも民衆の支えがなければ何一つ成し遂げることなどできない」と述べ、国民に協力を呼びかけました。
一方、ドゥテルテ政権の最大の外交課題は、中国との間で激しい対立が続く南シナ海を巡る問題で、前の政権では、同盟国アメリカとの軍事的な関係を強化するなどして中国に対抗してきました。これに対して、ドゥテルテ新大統領はこれまでに、中国がインフラ整備で経済支援を行うなどした場合は「領有権争いを棚上げする」と発言しているほか、直接の対話を通じて関係改善に取り組む考えを示しています。南シナ海を巡る問題では、前の政権が申し立てた国際的な仲裁裁判の判断が来月12日に示される予定で、それを受けてドゥテルテ新大統領が、外交や安全保障の分野でどのような政策を進めていくのか注目されます。
習主席がお祝いメッセージ 関係改善に意欲
フィリピンでロドリゴ・ドゥテルテ氏が、新たな大統領に就任したことを受けて、中国の習近平国家主席は、お祝いのメッセージを送りました。中国外務省によりますと、この中で習主席は「両国は引っ越しできない隣人であり、両国関係において、1000年以上受け継がれてきた善隣友好は堅持すべき正しい方向だ。現在の両国関係は、重要な発展の機会を目の前にしていて、私はドゥテルテ大統領とともに、関係改善を推し進め、健全で安定した発展を実現するよう努力したい」としていて、フィリピンとの関係改善に意欲を示しています。
「自衛隊機 17日に中国の軍用機に対し緊急発進:官房副長官「攻撃動作をかけられたとかミサイル攻撃を受けたという事実はない」」
http://www.asyura2.com/16/warb18/msg/143.html
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空自機へ攻撃動作「事実無根」=中国大使館
航空自衛隊の元空将が、中国軍機が空自機に「攻撃動作を仕掛けた」とする記事をインターネット上で公表したことについて、在日中国大使館の薛剣報道官代理は29日の記者会見で、「全く事実無根」と否定した。その上で「人為的な誇張やあおりは、関連問題の処理と解決、中日関係改善のプロセスに悪影響をもたらす」と指摘した。 (2016/06/29-19:21)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016062900817&g=pol
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対中国機の緊急発進増加=統幕長が異例の言及
時事通信 6月30日(木)18時4分配信
自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長は30日の記者会見で、4〜6月に発生した領空侵犯のおそれのある航空機に対する緊急発進(スクランブル)が前年同期比で90回以上増え、中でも中国機に対する発進は80回以上増加したことを明らかにした。
自衛隊は緊急発進回数を定期的に発表しているが、統幕長が会見で言及するのは異例だ。
最終更新:7月1日(金)1時27分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160630-00000113-jij-pol
http://www.asyura2.com/16/warb18/msg/147.html
韓国の統一省は、北朝鮮で29日に開かれた最高人民会議で、新設された国務委員会のトップの国務委員長に、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が就任したことなどについて、キム委員長の権力基盤がより強固になったという分析を明らかにしました。
北朝鮮の国営メディアは、29日にピョンヤンで開かれた最高人民会議で、軍主導の政治の中心となってきた国防委員会を改編して国務委員会を新設し、トップの国務委員長にはキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が就任したと伝えました。軍事優先の政治の象徴的な存在となってきた国防委員会の今回の改編は、軍事色を薄め、軍よりも党を重視するキム委員長の独自色を打ち出すねらいがあるとみられています。
韓国の統一省は30日、最高人民会議についての分析を発表し、国務委員会について、国防委員会よりも役割を拡大し、南北の統一や外交、経済など、すべての分野を網羅する総合的な政策決定機関になったと指摘し、「正常な国家に転換する試みだ」と述べました。
そのうえで、「キム・ジョンウン時代の権力構造が完成した」として、キム委員長が国務委員長に就任し、主要なポストに、キム委員長の側近たちが就いたことで、権力基盤がより強固になったという分析を明らかにしました。
「父はやっていない」−−。熊本県宇城(うき)市(旧松橋=まつばせ=町)で1985年に男性(当時59歳)が刺殺された「松橋事件」で、殺人罪などで懲役13年が確定して服役した宮田浩喜(こうき)さん(83)の再審開始を認めた30日の熊本地裁決定。父親の無実を信じ続け、裁判のやり直しを求めてきた長男貴浩(たかひろ)さん(60)=熊本市西区=の思いがようやく実を結んだ。【柿崎誠】
「警察は映画のシナリオのように父を犯人に仕立てたとしか思えない」。貴浩さんは事件当時28歳。「親族の悪口を言われたのが動機というが、そんなことで自宅に小刀を取りに戻って殺害するだろうか」。任意の事情聴取に否認していた父親の突然の逮捕に納得できず、30年以上にわたり警察への憤りを胸に日々を過ごしてきた。
法廷で無実を訴えた宮田さんは99年に出所したが、その後はあまり事件について語らなくなった。弁護士らの支援を受けて2012年に再審請求したが、その時には既に認知症の症状が出ていた。現在は熊本市の介護施設で暮らし、「必ず無罪を勝ち取れるから」と励ますと黙ってうなずいてくれる。事件や服役していたことは忘れた様子で「自分はプロ野球選手だ」と話すこともあるという。
貴浩さんは今年1月、支援者や報道関係者らと事件現場から当時の自宅までの道のりを1時間かけて歩いた。犯行時に使った軍手を「捨てた」と自白したとされる大野川の川岸に差しかかると自然に足が止まった。「捜索してそれらしい軍手が見つからないと、今度は『燃やした』と供述が変わるなど明らかにおかしい」と捜査への不信感をにじませた。そして「捜査に当たった警察、検察の関係者も父と同じ期間を刑務所で過ごしてほしい。そうでなければ冤罪(えんざい)はなくならない」と憤った。
再審開始決定については「もし出ればいち早く父に報告したい。丁寧に説明すればきっと喜んでくれるはず」と話していた。しかし、その後、体調を崩して入院したため、この日の決定を地裁で受け取ることはできなかった。
◇速やかに開始を 県弁護士会・吉田賢一会長
松橋事件の再審開始決定を受け、県弁護士会の吉田賢一会長は30日、声明を発表した。声明では元被告の宮田浩喜さん(83)が高齢であることから「生きているうちに冤罪(えんざい)を明らかにし、救済をなすことが急務」と指摘。検察側には即時抗告せずに速やかな再審開始を求めた。【蓬田正志】
◇九州再審弁護団連絡会も声明
九州で起きた7事件の再審開始を目指す弁護団でつくる「九州再審弁護団連絡会」(世話人・八尋光秀弁護士)は30日、「松橋事件」の再審開始決定を受けて、検察に即時抗告の断念などを求める声明を発表した。
声明は、自白の信用性を否定する一方、任意性を支持した裁判所の決定内容については「いわれなき殺人の罪をかぶせられて任意に自白しないと考えるのが社会常識」と指摘。「特別な事情を証明する証拠が無い虚偽自白には安易に任意性を認定すべきでない」とした。【柿崎誠】
最終更新:7月1日(金)16時9分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160701-00000052-mai-soci
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松橋事件
再審決定、宮田さん感涙 「懲役13年」服役 31年前の殺人 熊本地裁
毎日新聞2016年7月1日 東京朝刊
熊本県宇城(うき)市(旧松橋(まつばせ)町)で1985年に男性(当時59歳)が刺殺された「松橋事件」で、熊本地裁(溝国禎久裁判長)は30日、殺人などの罪で懲役13年が確定して服役した宮田浩喜(こうき)さん(83)の請求を認め、再審を開始する決定をした。熊本地検は上級庁と協議し、福岡高裁に即時抗告するかどうか検討する。即時抗告されれば、再審の可否は福岡高裁で再び審理される。【柿崎誠、野呂賢治】
再審開始決定を受け、弁護団が熊本市内で開いた記者会見には、車椅子に乗った宮田さんが晴れやかな表情で姿を見せた。弁護士が決定について説明すると、涙を浮かべてうなずく仕草を見せた。弁護団共同代表の斉藤誠弁護士は「感無量だ。大変すばらしい決定と評価している」と述べた。
宮田さんは捜査段階で自白し、1審途中から否認に転じて無実を訴えたが、公判では認められなかった。確定判決では宮田さんと犯行を結びつける証拠は自白以外になく、再審請求審では自白の信用性が主な争点となった。弁護側は傷が凶器の形状と一致しないことなど自白と矛盾するとする証拠を提出。検察側は「再審開始の要件である新規性も明白性もない」として請求棄却を求めていた。
被害者の傷と凶器とされた小刀の形状が一致しない点について、溝国裁判長は「新証拠である鑑定書などから、被害者の傷の一部は凶器として提出された小刀ではできない合理的な疑いがある」と指摘。さらに宮田さんが「小刀に血液がつかないように巻き付け、犯行後に燃やした」と自白した「布切れ」については「弁護人が提出した新証拠である布切れにより、布切れが燃やされておらず、血液も付着していないことが判明した」と述べた。その上で「凶器にも血痕が付着していないのは不自然で、小刀が凶器ではない疑いが強まった」と結論づけた。
宮田さんの供述の変遷については「取調官から客観的事実との矛盾を追及され、取調官に迎合して作り話をした疑いがある」と指摘。「自白の重要部分に客観的事実との矛盾が存在する疑いが生じており、自白のみで確定判決の有罪認定を維持することはできなくなった」と述べた。
弁護団、自白偏重を批判
弁護団は熊本市内で開いた記者会見で「決定は画期的」などと評価し、同席した宮田さんはほほ笑んで涙を浮かべた。
「宮田さん、再審が認められました。あなたの無罪に向けてこれから裁判が始まります。分かりますか」。熊本市内の介護施設に入所している認知症の宮田さんが車椅子に乗って記者会見の会場に姿を見せると、弁護団共同代表の斉藤誠弁護士が決定内容を伝えた。宮田さんは時に涙を浮かべながら、約40分にわたって無言のまま記者会見を聞いていた。その後、支援者から花束を受け取り、笑顔のまま退席した。
斉藤弁護士によると、判決が確定した3年後の93年、岡山刑務所で服役する宮田さんと面会したのが今回の出発点。「再審請求の準備を始めます」と切り出すと、「やってくれるんですか」と語った宮田さんの笑顔が印象強く、今も記憶に残っているという。
決め手となった新証拠の一つが凶器に巻いたとされるシャツの一部が出てきたこと。確定判決では「燃やした」とされたが、検察が保管していたことが証拠開示で明らかになった。斉藤弁護士は「自白だけを求め、客観証拠は調べず、公判にも出さない。そうした姿勢が問われている」と指摘した。【野呂賢治】
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■解説
「決定的新証拠」なくとも道
熊本地裁の決定の特徴は、弁護側が積み重ねた123点もの「新証拠」を総合的に判断し、確定判決の唯一の支えだった自白の信用性を覆した点だ。犯人性を明確に否定する新証拠がなくても、既存の証拠との関連を調べて再審開始につなげる近年の流れの延長にある決定といえそうだ。
再審開始に必要な新証拠は、新たに見つかった「新規性」と、裁判で検討されていたら結論を変えていた「明白性」が求められる。かつてはDNA型鑑定で明確に犯人でないと分かるなど「決定的証拠」が求められる傾向があったが、近年はそこまで求めないケースも散見されている。
大阪市東住吉区の女児焼死事件では、弁護側の着火の再現実験などを新証拠と認め、2012年に大阪地裁が再審開始決定を出した。今回の決定も宮田さんが犯人ではないとする「状況証拠」を弁護側が積み重ねた結果と言える。
一方、決定は自白の任意性は否定しなかったものの、旧来型の「自白偏重」の捜査手法を否定したと言える。5月には取り調べ可視化などを柱とした刑事司法改革関連法が成立し、捜査のあり方が変わりつつある中で改めて警鐘を鳴らした。【吉住遊】
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■ことば
松橋事件
1985年1月8日、熊本県宇城市(旧松橋町)の民家で男性(当時59歳)の遺体が見つかり、将棋仲間の宮田浩喜さんが殺人容疑で逮捕された。熊本地裁は86年12月、殺人罪などで懲役13年を言い渡し、90年に最高裁で判決が確定した。確定判決によると、85年1月5日夜、男性宅で飲食中に口論になった後、帰宅して小刀を取って戻り、6日未明に男性の首や顔などを小刀で十数回突き刺して失血死させたとされる。99年に出所した宮田さんは認知症の症状があり、2012年に成年後見人の弁護士が再審請求した。
2004年に起きた「熊本・宇土市病院長夫人殺人事件」は、松橋署管轄の事件なので「松橋事件」と地理的には近い場所で起きている。(宇土市と宇城市は近接)
さらに、「顔や頭には数十箇所も刺されたあとがあった。また、顔や頭をメチャクチャに殴られていた。しかし首から下は、検死の必要がないほどキレイだった」というように、殺し方も「松橋事件」に似ている。
※参照スレッド
「【異常な殺し方・事件】熊本・宇土市、院長夫人殺人事件」
http://www.asyura2.com/0403/nihon12/msg/342.html
投稿者 エンセン 日時 2004 年 3 月 18 日 00:55:30:ieVyGVASbNhvI
アメリカ政府で軍備管理などを担当する政府高官が1日に東京都内で会見し、核兵器を持たない一部の国が制定を呼びかけている核兵器禁止条約について、「兵器の管理を安全保障のうえで考慮する事項から切り離そうというもので機能しない」と述べて、改めて反対する考えを示し、核軍縮には現実的なアプローチが必要だと強調しました。
アメリカのローズ国務次官補は、先月30日まで東京で開かれていた、核軍縮が進んでいるかどうか検証するための、仕組み作りについて話し合う国際会議で共同議長を務めており、1日に東京都内で記者会見を開きました。
このなかでローズ次官補は、会議に核保有国だけではなく、核軍縮を巡って意見が対立する核兵器を持たない国も参加したことを評価し、「すべての国がアメリカと意見が一致するわけではないが、目標は共有されている。さらなる進展を促進するには相互協力が鍵となる」と述べ、各国と連携して核軍縮に取り組む姿勢を示しました。
そのうえで、メキシコなどが制定を呼びかけ、ことしから国連の作業部会で議論が始まった核兵器の保有や使用を禁止する核兵器禁止条約について、「兵器の管理を、安全保障上考慮する事項から切り離そうというもので機能しない。北朝鮮のような国に核兵器を放棄させることもできないだろう」と述べて、改めて反対する考えを示すとともに、核軍縮には現実的なアプローチが必要だと強調しました。
【NQNロンドン=菊池亜矢】著名投資家ジョージ・ソロス氏は30日、欧州議会でスピーチした。英国の欧州連合(EU)離脱について、ブレグジットはEUを立て直す窓口を開いた一方で、金融と難民の2つの迫り来る危機を悪化させたと指摘。「ブレグジットは2007年から08年の重大さに匹敵する危機を金融市場に解き放った」と警告し、緩やかに進行してきていた危機がブレグジットによって加速され、すでに広がっていたデフレ傾向を強めるだろうと語った。欧米メディアが伝えた。
また、ユーロ圏経済は「他の地域に比べて回復が遅れている」と指摘。今や差し迫った景気減速に取り組まなければならないとした。
一方、EUを維持しようとする運動がより強固でより良い欧州への肯定的な勢いを作っている、とも指摘した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL30HOK_Q6A630C1000000/?n_cid=TPRN0001
トルコ最大の都市、イスタンブールの国際空港で起きた自爆テロ事件で、地元メディアはトルコの情報機関が事件の20日ほど前に過激派組織IS=イスラミックステートがこの空港などを狙ったテロを計画していることを把握し関係機関などに警告していたと伝えました。
トルコ最大の都市、イスタンブールにあるアタチュルク国際空港で28日に起きた自爆テロ事件では、44人が死亡200人以上がけがをして、トルコ政府は過激派組織ISが関与したという見方を示しています。
この事件について地元の主要メディアは、トルコの情報機関が事件の20日ほど前に、ISがイスタンブールを狙ったテロを計画していることを把握し政府関係者や関係機関に警告していたと伝えました。
標的として挙げられていた施設のリストには、アタチュルク国際空港も含まれていたということで、テロに関する情報を事前に把握していたにもかかわらず、なぜ未然に防ぐことができなかったのか市民の間で懸念が広がっています。
一方、別の地元メディアは、今回のテロ事件はISがイスタンブールで計画していた大規模なテロの一部で、治安当局が犯人を特定し爆発物を押収するなどしたため別の2件のテロを防止できたと伝えました。
台湾南部の海軍基地で、艦船から対艦ミサイル1発が誤って発射されて台湾海峡に落下し、台湾の漁船に当たって船長1人が死亡し、3人がけがをしました。台湾では、関係が冷え込んでいる中国との間を隔てる台湾海峡で起きたことから影響を懸念する声も出ています。
台湾の国防部によりますと、1日午前、台湾南部の高雄にある海軍基地の港で、軍の艦船からミサイル1発が誤って発射されました。ミサイルは、台湾西部の離島、澎湖島沖の台湾海峡に落下し、国防部は当初、けが人はいないと発表していましたが、午後、改めて記者会見を開き、周辺の海域を航行していた台湾の漁船に当たり、乗っていた4人のうち、船長1人が死亡、3人がけがをしたことを明らかにしました。
誤って発射されたミサイルは、台湾が開発した対艦ミサイル「雄風3」で、当時は、予定されていた訓練を前に、艦船の装備の点検が行われていたということです。
国防部によりますと、訓練では、基地からおよそ70キロ離れた海上に仮の目標を設定していましたが、実際にミサイルを発射する計画はなかったということで、国防部は点検の際に正しい手順が踏まれていなかったとみて、原因を詳しく調べています。
台湾では、中国と距離を置く民進党の蔡英文総統がことし5月に就任して以来、関係が冷え込んでいて、台湾海峡での誤発射による影響を懸念する声も出ています。
中国「台湾は責任ある説明を」
台湾軍の対艦ミサイル1発が誤って発射され台湾海峡に落下したことについて、中国国営の新華社通信は、中国政府で台湾問題を担当する国務院台湾事務弁公室のトップで閣僚級の張志軍主任のコメントを伝えました。この中で張主任は「『1つの中国』を共通認識として台湾海峡の平和と安定を守りたいと、中国大陸側が再三強調しているときに、こうした事態が発生した影響は非常に重大だ。台湾側の責任ある説明が必要だ」と述べたということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160701/k10010579771000.html?utm_int=all_side_ranking-access_002
中東のペルシャ湾を航海していたアメリカ海軍の小型船がイランに拿捕(だほ)された事件を巡り、アメリカ海軍は、現場で多くのミスが重なり、統率力の欠如などが見られたとする調査結果をまとめ、当時の部隊の司令官らを解任したことを明らかにしました。
この事件は、ことし1月に中東のペルシャ湾で、アメリカ海軍の小型船2隻がクウェートからバーレーンに向かう途中、イランの革命防衛隊に拿捕され、兵士らが拘束されたものです。
アメリカ海軍の制服組トップのリチャードソン作戦部長は30日、当時の状況をまとめた調査結果を発表しました。それによりますと、当時小型船は予定より遅れて出発したうえ、軍が認めている航路を使わずにイランの領海に入ってしまうなど複数のミスが重なったとして、「統率力の欠如などが見られ、本来は防げた」と指摘しています。そのうえで、部隊の司令官ら2人をすでに解任したことを明らかにしました。
一方、当時イラン側は、船を拿捕したうえ、アメリカ軍の兵士を拘束した様子について国営放送などを通じて繰り返し放送しており、リチャードソン作戦部長は「国際法などに違反する行為だ」と述べ、イランの対応を非難しました。
この事件を巡っては、アメリカとイランが直接交渉を行った結果、翌朝には兵士が解放される異例の展開を見せて、両国の最近の接近ぶりを印象づける一方、野党・共和党からはイランの対応を批判する声が上がっていました。
不安定な治安情勢が続くアフガニスタンで、警察官を狙った自爆テロがあり、少なくとも30人が死亡し、反政府武装勢力タリバンが犯行を認める声明を出しました。
アフガニスタンの首都カブールの近郊で30日、警察官を乗せたバスの車列に爆弾を積んだ車が突っ込み、爆発しました。さらに、この爆発でけがをした人を助けようと集まった警察官や市民の近くで、男が身に着けていた爆弾を爆発させ、内務省によりますと、2回の爆発で少なくとも30人が死亡し、58人がけがをしました。
警察によりますと、事件に巻き込まれた警察官たちは警察学校を卒業したばかりで、イスラム教徒にとって神聖な断食月「ラマダン」が来週明けるのに合わせて休暇を取っていたということです。事件のあと、反政府武装勢力タリバンが声明を出し、警察官を狙ったとして犯行を認めました。
タリバンを巡っては、ことし5月に最高指導者のマンスール師がアメリカ軍による空爆で殺害されたあと、ナンバー2だったハイバトゥラー・アクンザダ師が後継者に選ばれましたが、これまでのところ和平に応じる姿勢を見せておらず、各地でテロや襲撃が続いています。
前回の東京都知事選挙で運動員に報酬を渡した罪に問われている田母神俊雄元航空幕僚長が、政治資金を私的に流用した疑いで告発されていた問題について、東京地検特捜部は「政治活動以外の目的で私的に使っていたとまでは認められない」などとして、嫌疑不十分で不起訴にしました。
航空自衛隊トップの航空幕僚長を務めていた田母神俊雄被告(67)は、おととし2月の東京都知事選挙のあとに、選挙運動の報酬として運動員に現金を渡していたとして、公職選挙法違反の運動員買収の罪に問われています。
田母神元幕僚長の資金管理団体を巡っては、5000万円余りの支出が使途不明金として記載されていて、田母神元幕僚長と陣営の元事務局長、それに元会計責任者の3人は、政治資金を私的に流用した業務上横領の疑いでも告発され、東京地検特捜部が捜査を進めていました。
これについて特捜部は、田母神元幕僚長と元事務局長の2人について、「政治活動以外の目的で私的に使っていたとまでは認められない」などして、嫌疑不十分で不起訴にし、元会計責任者については起訴猶予にしました。
NHKの取材に対し元幕僚長の弁護士は「洋服代など個人的に使ったと疑われた分は資金管理団体に返金した」と説明しています。
参議院選挙の争点。3回目は安全保障・憲法改正についてです。去年9月に成立した安全保障関連法について、民進党など野党4党は、法律の廃止を掲げて共闘しています。また、憲法改正を巡っては、今回、与党と憲法改正に賛成する政党が、参議院全体で改正の発議に必要な3分の2の議席を獲得するかどうかが焦点の1つになっています。日本周辺の安全保障環境が厳しさを増すなか、各党は安全保障政策のあり方について、どう訴えているのでしょうか。また、憲法改正については、どのようなスタンスをとっているのでしょうか。(政治部 田中泰臣記者)
安保法を巡って各党は
去年9月に成立した安全保障関連法。憲法解釈の変更によって、集団的自衛権の限定的な行使などが可能になり、自衛隊の海外での活動は大きく広がることになりました。
この安保法を巡り、今回の参議院選挙で、民進党、共産党、社民党、生活の党の野党4党は、「安保法は憲法違反だ」などとして、廃止を旗印に共闘しています。選挙全体の勝敗のカギを握る1人区で、共産党が多くの選挙区で自前の候補者を降ろして、野党4党の候補が一本化され、32の選挙区すべてで自民党の候補と激突しています。ほかの野党では、日本のこころを大切にする党、新党改革は、賛成の立場。おおさか維新の会は、集団的自衛権の行使の要件を厳格化するとしています。
各党の安全保障政策は
では、今回の選挙で、与野党はどのような安全保障政策を訴えているのでしょうか。
まず与党を見ると、自民党は公約の冒頭に「安保法の成立によって、日米同盟のきずなは、いっそう深まっている」と安保法の成果を強調し、日米同盟を不断に強化し、抑止力の向上に努めるとしています。
公明党は「安保法は、自衛隊員の安全確保を含め、着実な運用に努める」としています。国会審議で安全確保が論点になったことを踏まえ、慎重に運用していく考えを強調しています。
一方、民進党は「近くは現実的に、遠くは抑制的に」というキャッチフレーズを掲げました。尖閣諸島などで侵害が起きた際への対処として、自衛隊や海上保安庁が連携して対応できる「領域警備法」を制定するとしています。
共産党は「憲法9条にたった平和の外交戦略」が必要だとしており、野党の中にも、主張の違いが見られます。
期待する議論は
日本周辺の安全保障環境に目を向けますと、6月に入っても、中国海軍の艦艇が日本の領海や接続水域に相次いで侵入し、北朝鮮はグアムまでをも射程に収めるとされる、新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイルを発射するなど、厳しさは増しており、その点では、与野党とも認識はほぼ一致していると思います。
今回の選挙で、与党には、安保法に基づき、そうした事態に対して自衛隊を実際にどう運用していくのか、また、野党が指摘するように、安保法により紛争に巻き込まれる懸念はないのか。一方の野党には、抑止力をどう高め、不測の事態にどう対処していくのか、より具体的な議論を期待したいと思います。
憲法改正も焦点に
今回の選挙で焦点の1つとなっているのが、78という数字です。
自民・公明の与党と、憲法改正に賛成している、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党を加えた4党が、78議席を獲得すると、参議院全体では、3分の2の議席に届くことになります。3分の2が賛成すれば、憲法改正を国民投票にかける「発議」を行うことができます。憲法改正を目指す勢力が、衆参両院で3分の2の議席を獲得すれば、初めてのこととなるだけに、今回、注目されています。
各党の主張は
憲法改正について、各党は公約でどのような主張をしているのでしょうか。
自民党は、「憲法審査会で議論を進め、国民の合意形成に努めて改正を目指す」としています。自民党は、おととしの衆議院選挙の際には、「憲法改正原案を国会に提出し、国民投票を実施する」としていました。それに比べると、抑えた表現になっています。安倍総理大臣も、これまでの各地での遊説では、憲法改正について触れていません。
民進党は、「憲法9条の改正に反対」「未来志向の憲法を国民と構想する」としています。「安倍政権の狙いは、9条を改正し、制約のない集団的自衛権の行使に道を開くことだ」として、それを阻止するとしています。ただ、憲法改正そのものを否定してはいません。
公明党は、今回の公約には、憲法について記載をしていません。公明党も、2年前の公約では、このテーマについて記載していましたが、今回、山口代表は、「憲法改正を国民に問いかけるほど、議論は成熟していない。国会での議論を深めるべきだ」と述べています。こうしてみると、与党側が、憲法改正を争点化するのに慎重、もしくは、避けているのがうかがえます。
共産党は、「憲法改悪を許さない」としています。今の憲法は「世界最先端の先駆的な内容」だとして、変える必要はないとしています。
おおさか維新の会は、「時代に合った手直しは当然」としています。
社民党は、「平和憲法を変えさせない」としています。
生活の党は、「憲法の理念を尊重」としています。
日本のこころを大切にする党は、「自主憲法の制定を目指す」としています。
新党改革は「憲法改正は時期尚早」としています。
私たちの選択は
今回の選挙で、民進党は、「3分の2の議席を許せば、安倍総理大臣は、必ず憲法9条の改正に踏み出す」としています。
一方、安倍総理大臣は、「9条改正に対しては、まだまだ、国民的な理解、支持が広がっているという状況にはない」と話しています。
ただ、憲法改正を目指す勢力が、衆参両院で初めて3分の2の議席を確保すれば、少なくとも議論が進んでいく可能性は高まりますので、私たちは、今回の選挙で、憲法についても、大きな選択を問われていると言えます。
憲法改正の問題は、社会保障などと比べれば、ふだん、身近には感じられないテーマかもしれませんが、国の大きな方向性を決めるという意味では、私たちの生活、そして、子や孫の世代に、深くかかわる問題と言えます。
今回、公約では、具体的に踏み込んでいる政党は少ないのですが、私たちは、党のリーダーや各候補者の訴えなどを通じて、各党の主張を見極めていく必要があると思います。
政治部
田中 泰臣
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2016_0630.html?utm_int=detail_contents_tokushu_003
日本の最高裁は国内のイスラム教団体に対する警察の監視を合法と判断した下級裁判所の決定を支持した。インディペンデントが伝えた。
2010年、警察のファイル114件が漏洩し、イスラム教徒への監視に関する情報が明らかになった。祈りの場やイスラム教徒向け飲食店、東京都内のイスラム教団体の事務所が監視対象となっていた。
その後、中東・北アフリカからの移民を主体とする日本のイスラム教徒17人が、憲法上の権利が侵害されているとして、日本政府を訴えた。
原告はプライバシーの侵害について 88万ドルの金銭的補償を受け取ったが、裁判所は警察の行動を国際テロに対する防衛のために「必要かつ不可避」のものと判断した。
31日、岸田外相は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が行った中距離ミサイルの発射実験に憤慨し、重大な挑発行為と呼んだ。だが、岸田氏の憤慨はまったくの徒労におわった。なぜか? これについてモスクワ国際関係大学、国際調査研究所のアンドレイ・イヴァノフ上級研究員は次のような考察を表している。
「射程距離が最高3千キロのミサイル発射がうまくいかなかったことが問題ではない。困るのは北朝鮮がミサイルを発射し、核爆弾を爆発させ、様々な国際的責務に違反しておきながら、米国が全世界に説いていることに対しては厳格にこれを遵守して行動しているということなのだ。
米国がメキシコ、キューバ、ベトナム、グレナダ、ユーゴスラビア、イラク、アフガニスタン、リビアといった国に対しては軍事的な攻撃をしかけては常に国際法を侵している事実は誰にも秘密ではない。
米国はいつも攻撃の言い訳を見つけ、全人類に対して、自分たちは自由と民主主義を擁護しているのだと説いて聞かせている。
全人類のなかでも米国の支援に頼っているか、または自国領内に米軍基地を抱える一部は、この説明を信じているふりをしている。だが米国人自身だって分かっているのだ。全人類の一部が平和、自由、民主主義の擁護の御伽噺を私たちは信じていますよというふりをして、米国を騙しているのだということを。
そりゃそうだろう。これを信じられるとすれば、正真正銘の大ばか者だけだ。だから米国人は自分たちが全面的に操作するマスコミや欧州、アジアの政治家らの力を借りて全人類に対し、このように行動できる権利を持つ国は世界広しといえども米国だけであるというところを必死で吹き込もうとしてきた。そうでなければ世界はカオス状態になってしまう。そうしたカオスを起こさないために米国は、米国と同じことが自分にも許されるとうぬぼれる国は厳しく罰するからな、と誓ったわけなのだ。
だがここ最近、米国はどうやらこの鉄則を変え始めたようだ。これはロシアのテレビで人気のトークショーで始まった。トークショーに様々な政治家、政治学者らを呼び、これに米国人まで加えて討論が行われる。米国はいつも嘘をつき、約束を破り、攻撃的な行動をとることについてのロシア人参加者からの批判に答え、米国人の参加者は、昔だったらそんなことは米国はしていないと憤慨したはずだろうが、なんといっても米国はモラル度の高い国であるからして、『なんでまぁ、ロシア人さんよ、いつも米国批判ばかりされるんですか?いいですか? これは競争なんです、ライバル競争ですよ。怒ってばかりいないで、ロシアも米国と同じように振舞ったらよいではないですか』といい始めたのだ。
ロシアだって、実のところは米国の許可などなくともずいぶん前から米国と同じように振舞っている。ロシアがアピールしたものは次の通り。南オセチアをグルジアの攻撃から守りました、クリミアは地元住民の選択でロシアの構成体に戻りました、ウクライナの攻撃を受けているドネツクとルガンスクの住民に支援を行っていますよ、シリア情勢に介入しましたよ、というものだ。だが、ロシアのテレビ界に出演する米国人政治学者の発言はロシア政権に対して、ロシアが緊急事態では米国人に劣らず断固とした態度で行動しており、正しい行動をとっていることを補足的に裏付けていることになる。
こうしたトークショーをモスクワに勤務する北朝鮮人が見ていることは間違いない。米国人政治学者らが、米国みたいに行動しなさいよ!と呼びかけたことに、彼らが注意を向けたとしてもおかしくない。そうであれば、北朝鮮が米国の熱心な教え子になったことを誰が非難できるだろうか?」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160531/2226415.html
今週、朝鮮民主主義人民共和国の首都ピョンヤンで開かれた、国会に当たる最高人民会議の成果として主要なものは、何といっても、国務委員会が創設された事だろう。この新しい機関は、国の重要な権力機関として機能していた国防委員会の代わりに作られた。そして国務委員長に、万場一致で金正恩(キム・ジョンウン)氏が選出された。代議員達は、国憲法にしかるべき修正を加えた。
スプートニク日本のリュドミラ・サーキャン記者は、ロシア極東研究所コリア調査センターのコンスタンチン・アスモロフ研究員に、話を聞いた。彼は「今回のことは北朝鮮当局の方針の非軍事化を意味するものではない」と指摘し次のように続けた —
「国務委員会という名前自体、中国の機関を思わせる。しかし原則的に、権力機構内には、本質的ないかなる変化も生じなかった。委員長の任期は5年間だが、金正恩氏の今後の再選を決して妨げないだろう。実際のところ起きたのは、名前の変更だけで、これは若い金正恩氏が、自身のもとで機構再編した事と関係がある。国防委員会は、大祖国戦争の時期、スターリン時代のソ連にあったような戦時の国の指導機関だ。この名称には、戦時指導部のための非常機関といった印象がある。名称から『非常』という言葉が取られたのは、北朝鮮国内の状況が、比較的安定したからで、制裁は課せられているものの、大したものではない。北朝鮮指導部に大きな注意を払うよう求められているのは、経済的向上という目標である。」
国務委員会のメンバーには、副委員長として、労働党政治局常務委員の黄炳瑞(ファン・ビョンソ)副元帥、朝鮮労働党常務委員で党副委員長の崔竜海(チェ・ヨンヘ)氏及び同じく常務委員で首相を務める朴奉珠(パク・ボンジュ)氏の3人が任命された。
会議で、国の経済路線に関する報告演説をした朴首相は、自分達の力に立脚する「チュチェ」の思想を基盤に、経済発展と核抑止力強化を平行して進めるという方針に忠実であることを確認した。
報告の中では、国民生活のレベル向上のため、農業や軽工業により多くの注意を割き、世界市場で競争できる質の高い製品の製造を確立する必要があるとの立場が示された。
アスモロフ研究員は「この事は、北朝鮮を5か年計画の実践に完全に戻すことを意味している」と分析している —
「これは、工業と農業における注意深い改革に向けた朝鮮労働党の路線を強化することだ。また、最新ハイテク軍事兵器で韓国を追い抜くために予算を意味なく浪費する代わりに、現実的でもっと安価な核ミサイル分野に重きを置いた非対称的な対応である。これは、決して攻撃のためではなく、防衛というよりむしろ抑止のために必要だ。核弾頭とその運搬手段が北朝鮮に存在することは『せっかちな若干の人達』にとって、思いもかけないこととなった。北朝鮮を殲滅させるには、90分あればよいなどと言われていたが、そんなものはハリウッド映画的結末を持った戦争映画の話であって、本来戦争は長くうんざり続くものであり、ほかの国の領土にも飛び火し、多くの人々が悲惨な最期を遂げる。世論は、そうしたものを良しとはしない。北朝鮮でも、その事はよく理解されている。」
今回の北朝鮮での最高人民会議は、金正恩氏を党委員長に選んだ5月の朝鮮労働党大会の後に行われ、金正恩氏のもと権力機関が今後も一つにまとまってゆくこと、「唯一指導体系」強化を裏付けるものになっている。金正恩氏は、以前も党を率いてはいたが、第一書記の肩書だった。現在は朝鮮労働党委員長である。なお朝鮮人民に対する父金正日氏の功績を考慮して、総書記という肩書は永久に彼の父のものになっている。そして今回、党の最高ポスト以外に、金正恩氏は、北朝鮮に長い間存在しなかった、そしてどこか中国の国家主席に似た国務委員長という肩書を得た。なお金正恩氏は、さらにもう一つ、朝鮮人民軍を率いる、元帥の称号も持っている。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160701/2408163.html
バングラデシュの首都ダッカで1日夜、外国人が集まる地区の飲食店に武装グループが押し入り、客などを人質に取って立てこもっていた事件で、治安部隊が店内に突入し、日本人1人を含む13人を救出し、武装グループ6人を殺害しました。現場でおよそ20人の遺体が見つかり、身元の確認が進められています。
バングラデシュの首都ダッカのグルシャン地区で、1日夜、武装グループが飲食店に押し入り、客や店員などを人質に取って立てこもりました。この際、武装グループとの銃撃戦で警察官2人が死亡し、およそ30人がけがをしたということです。
そして、立てこもりの開始から10時間余りたったあとの日本時間午前11時前、治安部隊や軍の兵士などが店内に突入し、現場では激しい銃撃音や爆発音が聞かれました。
バングラデシュ政府によりますと、この作戦によって、日本人1人を含む13人が救出されたということです。また、武装グループの6人を射殺したほか、1人を拘束し、作戦は終了したということです。
また、日本時間の午後4時半ごろから記者会見したバングラデシュ陸軍の高官は、現場でおよそ20人の遺体を発見したことを明らかにしました。遺体の身元については、現在、調査中だとしています。
JICA=国際協力機構のバングラデシュ事務所によりますと、バングラデシュに派遣されている専門家などの安否の確認を進めていますが、8人と連絡が取れていないということです。
事件が起きた地区は、大使館や外国企業が集まりふだんから多くの外国人が訪れるところで、事件が起きたとき、イスラム教の断食の月=ラマダン中の最後の金曜日の夜で、店は多くの人でにぎわっていたとみられています。
過激派組織IS=イスラミックステートにつながりがある「アマーク通信」は「ISがダッカにある外国人が好むレストランを襲撃した」と伝えましたが、警察は犯行グループについて言及しておらず、詳しいことは分かっていません。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160702/k10010581071000.html?utm_int=news_contents_news-main_002
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不明の日本人7人「厳しい」 救出の1人は被弾 ダッカ
朝日新聞デジタル 7月2日(土)15時5分配信
萩生田光一官房副長官は2日の記者会見で、バングラデシュの首都ダッカのレストランで起きた人質事件で、日本人の男性1人が救出されたことを明らかにした。この男性は被弾して負傷しているが、命に別条はないという。男性は同じレストランで日本人の仕事仲間8人で食事をしていたが、ほかの7人の安否は確認できていないという。
萩生田氏によると、救出された男性を含む8人は、いずれも国際協力機構(JICA)の円借款のインフラ事業に参画していた日本企業の社員だという。
政府高官は、安否が分からない7人には女性も含まれ、安否は「かなり厳しい」との見方を示した。
事件発生を受け、安倍晋三首相は2日、バングラデシュのハシナ首相と電話で会談した。安倍首相は「このような非道な行為はいかなる理由でも許されず、断固非難する。貴国への連帯を表明し、国際社会と連携し、最大限支援する」などと語った。
ハシナ首相は救出作戦で日本人1人を含む13人を救出したことを明らかにし、「人命最優先の努力をしたが、残念ながら犠牲者が生じている。バングラに在留する邦人、外交団、施設の安全確保に万全を期す」と報告した。これに対し、安倍首相は「犠牲者が発生したことは極めて残念だ」と述べ、残る日本人の安否確認や安全確保について「万全を尽くして頂きたい」と申し入れた。
朝日新聞社
最終更新:7月2日(土)16時32分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160702-00000025-asahi-int
「“旧電力”9社で発電総量の96.5%シェア:その自由化が電力会社に対する“勝手気まま優遇政策”になると理解されぬ日本」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/816.html
「「電力自由化」と電力供給活動の特殊性:「電力自由化」は電力会社の勝手気ままな利益追求を許しかねない政策」
http://www.asyura2.com/12/senkyo142/msg/113.html
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東京電力 自由化システム不具合 復旧めど立たず[NHK]
7月1日 19時52分
東京電力は、家庭向けの電力小売り自由化に合わせて導入した電気の使用量などを管理するシステムの不具合について、3か月が過ぎた現在も解消しておらず、復旧のめども立っていないことを明らかにしました。
この問題は、ことし4月に始まった家庭向けの電力小売り自由化に合わせて、東京電力の子会社が導入した各家庭の電気の使用量を新規の事業者に提供するシステムに不具合が生じ、新規事業者が電気料金を請求できないケースが相次いでいるものです。
この問題について、東京電力の子会社の幹部が、1日、電力自由化に関する経済産業省の委員会に出席し、不具合は、発生から3か月が過ぎた現在も解消しておらず、復旧のめども立っていないことを明らかにしました。
また、新規事業者へのデータの提供が遅れているケースは2万件余りと減っていないということで、当面は、東京電力の担当者が各家庭を訪れ、電気メーターを確認するなどして対応を進めていくと説明しました。
出席した委員からは「この状態が続けば新規事業者が電気料金を請求できず、資金繰りに困りかねない」などの厳しい意見が相次ぎました。
この問題で東京電力の子会社は国の委員会から業務改善勧告を受けていて、システムの復旧や再発防止の取り組みを急ぎたいとしています。
万引きで検挙される高齢者が増えていることを受けて東京都は、社会学などの専門家による研究会を設けて、対策を検討することになりました。
東京都内で去年、万引きで検挙されたり補導されたりした成人や少年は9921人でしたが、5年前と比較すると、このうち少年が9ポイント減って21%だったのに対し、65歳以上の高齢者は8ポイント増えて28%に上りました。
こうした状況を受けて、都は、社会学や犯罪学などの専門家による研究会を設けて対策を検討することになり、1日に初会合が開かれました。はじめに、都の廣田耕一青少年・治安対策本部長が「高齢化の進展により、万引きの問題が顕在化している。少しでも有効な対策を検討して頂きたい」と述べました。
そして、万引きの防止に取り組むNPO法人、全国万引犯罪防止機構の稲本義範事務局次長が「家族や近所との絆が薄れ孤立化した高齢者が善悪の判断があいまいになり、万引きがエスカレートすることがある」として行政のサポート態勢とともに常習者に対する講習会などの必要性を訴えました。
研究会では、高齢者が万引きをする社会的背景などを分析し、来年2月をめどに対策をまとめることにしています。
大阪府警の全65署のうち61署で公訴時効を迎えたまま多数の事件が放置されていた問題で、府警は30日、時効の放置は計2270事件だったと発表した。関係証拠は8345点に及んだ。殺人などの重大事件も含まれていたが、いずれも容疑者が特定できなかった事件だった。府警は問題が見つかった61署を業務指導し、樋口真人本部長名で適正な捜査管理の徹底を求める通達を出した。
1997年に起きた傷害事件で、羽曳野署が容疑者を特定しながら事件を放置していた問題が一昨年に発覚し、調査していた。府警は今年2月、約4300事件で時効の放置があったと一度明らかにしたが、重複して数えた分などを整理した結果、2270事件となった。
問題の事件は75〜2012年に起きたもので、約96%を各署の刑事課が捜査していた。いずれも容疑者が特定できないまま、引き継がれずに歴代放置されていた。今回の調査で、事件関係者の調書や現場の遺留物などの証拠品計8345点が署の倉庫などで見つかった。覚醒剤や日本刀などもあったという。
大阪・ミナミの繁華街を管轄する南署が473件と突出。岸和田署(186件)や西成署(178件)も多かった。年代別では00〜07年で年間100件を上回り、05年が268件と最多だった。罪種別にみると、窃盗(632件)が最も多く、詐欺(267件)や器物損壊(157件)も目立ったが、殺人(10件)や強盗(187件)、強姦(ごうかん)(120件)などの重大事件でも確認された。
府警は放置された2270事件のうち、証拠品がない軽微な事件などを除く計1216件について、時効が成立した事件として書類送検。356事件の遺族や被害者に謝罪した。
府警は14年以降、捜査書類や証拠品を庁内ネットワーク上で一元管理し、時効が半年前になると警告が表示される総合捜査支援システムを運用するなどして再発防止に努めている。
一方、府警監察室は異動時の引き継ぎ漏れが各署で確認され、組織的な問題があったと判断した。だが、「今となっては、いつ誰が事件を放置したか分からない」として、指導は個人ではなく各署を対象とした。
宮田雅博・刑事総務課長は「組織を挙げて再発防止に努め、府民の期待と信頼に応えられるよう捜査活動を進める」とコメントした。【堀江拓哉】
「問題発覚なら面倒」の風潮…幹部
これまで証拠品の捏造(ねつぞう)などが相次いだ大阪府警で、また膨大な数の事件放置が明らかになり、府警の捜査管理態勢のずさんさが改めて浮かび上がった。再発防止策を進めるが、「目の前の事件を処理するのがやっとだ」と明かす捜査員も多く、問題解決はまだ道半ばだ。
南署の管内では、酔客同士がけんかする傷害事件などが毎日のように起きる。こうした事件の当事者は互いに示談した後は、出頭要請に応じなくなることも多いという。
署で捜査経験がある府警幹部は「次々に起きる事件に迫られ、古い事件の証拠をチェックする余裕はなかった」と明かす。手狭になったため、古い事件の証拠品を保管していた倉庫が執務室に変わり、証拠の保管場所が変わったことも。「引き継ぎがなく、自分が知らされなかった事件もあると思った」とも話す。
また別の幹部は「古い証拠を確認して、もし問題が見つかれば面倒なことになるという風潮もあった。あえてチェックしなかった面もある」と語った。
府警は相次ぐ証拠品管理の問題を受け、2012年にDNA型鑑定に使う重要証拠などを一括管理する証拠品管理センター(大阪市浪速区)を設置。14年には全署の総務課に証拠品管理係を置き、証拠品を庁内ネットワーク上で一元管理し、時効半年前に警告が表示される総合捜査支援システムを導入している。
ただ、殺人事件などの凶悪事件で時効が撤廃され、管理する証拠品は増える一方だ。渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)は「証拠物の収集と管理が捜査で重視される時代にある中で、あまりにお粗末だ。ただ、証拠品管理が警察任せになっている面もあるので、検察も一緒に点検・管理する必要もある」と指摘した。
◆放置されていた事件の主な罪名と件数
殺人 10
殺人未遂 20
強盗 187
強姦 120
放火 45
強制わいせつ138
窃盗 632
傷害 135
詐欺 267
器物損壊 157
◆放置件数が100件以上だった警察署
南 473
岸和田 186
西 成 178
枚 方 169
四條畷 120
曽根崎 117
淀 川 105
西 102
http://mainichi.jp/articles/20160701/k00/00m/040/142000c
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大阪府内の警察署で証拠品8300点余を放置[NHK]
7月1日 5時15分
大阪府内の警察署で保管されていた事件の証拠品や捜査書類のうち、8300点余りが検察に送られずに放置されていたことが、大阪府警の調査で分かりました。大阪府警は、いずれもすでに時効になった事件のもので、捜査に影響はなかったとしていますが、それぞれの警察署に適正な管理を徹底するよう通達を出しました。
大阪府内では、4年前、羽曳野警察署で傷害事件の捜査書類が機械室に放置されていたことが分かり、大阪府警は、府内の65の警察署のうち61の警察署で証拠品の管理に問題があったとして、調査を進めていました。
その結果、2270の事件で8300点余りの証拠品や捜査書類が検察に送られずに放置されていたことが分かったということです。内訳は、窃盗事件のものが632件と最も多く、次いで、詐欺事件が267件、強盗事件が187件で、殺人事件のものも10件ありました。この中には事件現場に残されていた遺留品や被害者の所持品なども含まれていたということです。
大阪府警は、いずれもすでに時効になった事件のもので、捜査に影響はなかったとしていますが、それぞれの警察署に適正な管理を徹底するよう通達を出しました。大阪府警の宮田雅博刑事総務課長は「組織を挙げて再発防止に努め、信頼に応えていきたい」としています。
バングラデシュの首都ダッカで1日の夜、外国人が集まる地区の飲食店に武装グループが押し入り、客などを人質に取って立てこもっていた事件で、現場から20人の遺体が見つかり、日本政府は、日本人7人の死亡が確認されたと発表しました。このほか、イタリア人など合わせて10人の外国人の死亡が確認されました。
バングラデシュの首都ダッカのグルシャン地区で、1日の夜、武装グループが飲食店に押し入り、客や店員などを人質に取って立てこもりました。立てこもりの開始から10時間余りたった日本時間2日午前11時前、治安部隊や軍の兵士などが店内に突入し、現場では、激しい銃撃音や爆発音が聞かれました。
バングラデシュ政府によりますとこの作戦によって人質となっていた日本人1人を含む、13人を救出しましたが、作戦のあと、現場から20人の遺体が見つかりました。多くは鋭い刃物で殺害されたとみられるということです。
菅官房長官は2日午後11時半すぎ臨時に記者会見し、連絡が取れなくなっていた日本人7人全員の死亡が確認されたと明らかにしました。
また、イタリア外務省はイタリア人9人が死亡したと発表したほか、インドのスワラジ外相は、インド人の19歳の女子大学生が死亡したことを明らかにしました。
武装グループは6人が治安部隊に射殺され、1人が拘束されたということです。事件が起きた地区は、大使館や外国企業が集まりふだんから多くの外国人が訪れるところで、事件が起きたときは、イスラム教の断食の月=ラマダン中の最後の金曜日の夜で店は多くの人でにぎわっていたとみられています。
過激派組織IS=イスラミックステートにつながりがある「アマーク通信」は、「ISが、ダッカにある外国人が好むレストランを襲撃した」と伝えましたが、警察は犯行グループについて言及しておらず、詳しいことは分かっていません。
昨日朝NHKBS1で放送された独公共放送ZDFはニュースで、オーストリアの不正な開票に前代未聞の恥ずべき出来事と非難していた。
確かに、現代民主政の基礎である選挙制度を瓦解させる不正行為は大問題である。
しかし、不正を明らかにせず蓋をした米国(2000年の大統領選が代表)や英国(昨年の総選挙)と違い、司法が選挙に不正があったことを明らかにし再選挙を命じたオーストリアのほうがずっと健全な国家と言えるだろう。
英国については、先週のEU離脱をめぐる国民投票でもなんらかの不正があったと思っている。
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大統領選挙のやり直しを オーストリア憲法裁判所[NHK]
7月2日 6時20分
オーストリアの大統領選挙を巡り、敗北した極右政党は開票作業に不正があり、選挙は無効だとして異議を申し立てていましたが、憲法裁判所は1日に申し立てを認め、選挙のやり直しを命じました。
オーストリアではことし5月、大統領選挙の決選投票が行われ、リベラル政党「緑の党」出身のファン・デア・ベレン氏が、極右政党「自由党」のホーファー氏を3万票余りの僅差で破ったのに対し、自由党は先月、憲法裁判所に対して、郵便で投じられた票の開票作業などで数多くの不正があり、選挙は無効だとして異議を申し立てていました。
これを受けて審理を進めていた憲法裁判所は1日、郵便投票のおよそ7万8000票について、決められた時間より前に開票作業が始められるなど、手続きに沿った開票が行われていなかったとして、申し立てを認め、決選投票のやり直しを命じました。
地元メディアによりますと、国全体で選挙がやり直しになるのは初めてだということで、新しい大統領は当初予定されていた今月8日に就任できず、議会の議長が代行する異例の事態となります。
やり直しの選挙は、秋ごろに行われるとの見方が出ており、ホーファー氏が勝利すれば、EU=ヨーロッパ連合の中で初めて極右政党出身の国家元首が誕生することになります。
ホーファー氏は、EU離脱の賛否を問う国民投票を行う可能性も示唆しており、やり直しの選挙はヨーロッパ各国からも注目されそうです。
早く良い仕事を見つけるため、女性にとって必要なのは、履歴書にネックライン(襟ぐり)の深いワンピースあるいはジャンパーを着た写真をつけることだ。そうすれば、仕事を得られるチャンスが約19倍も増える。新聞Daily Telegraphが報じた。
パリ・ソルボンヌ大学の研究グループは、外見がよく似ており、仕事の経験も同じぐらいの2人の女性の参加を得て、実験を行った。一人は保守的な服を、もう一人には、かなりオープンな服装をしてもらった。そして、仕事探しをお願いした。
3年間、学者達は女性を追った。その結果わかったことは、200の求人のうち、大きな切込みのあるワンピースといったオープンな服を着た写真のついた履歴書は、保守的な服を着た写真で応募した場合より62%も多く、面接を受けることができた。おまけにこの傾向は、仕事の種類とも関係がないことも明らかになった。
日米韓が朝鮮民主主義人民共和国のミサイル迎撃のための初の3カ国演習を行なった。米海軍太平洋艦隊は演習に関して出した声明には「この間、ミサイル発射は行なわれなかったものの、演習参加者らは連携行動を策定し、連絡チャンネル、データー収集、脅威への反応の可能性の評価を強化したことを明らかにしている。これはつまり、仮想敵国の発射した弾道ミサイルのシュミレーション飛行が追跡され、情報の交換が行われたことを意味する。
6月22日、北朝鮮は中距離弾道ミサイル「ムスダン」を発射。ミサイル発射にあたって金正恩氏はこれは太平洋上の米軍施設を攻撃出来るものという声明を表した。その理由は、理論上は北朝鮮のミサイルは米国のこの地域における国境の警備拠点であるグアムまで到達できるものだからというのだ。このため公式的な発表では日米韓の3国演習はこの諸国を多大に脅かしている北朝鮮の核ミサイル発射実験に関連して組織されたものとされている。
だがロシア科学アカデミー、経済研究所で朝鮮プログラムを率いるゲオルギー・トロラヤ氏は、今回の演習はかなりの部分、中国に対抗する性格を持ったものとの見方を示し、次のように語っている。
「今回の演習は米国が北朝鮮の核ミサイルの野心に対してとった、かなり迅速な報復の手だ。だが北の野心は演習が行なわれる原因というよりも言い訳に近い。つい最近、ワシントンとサンフランシスコのロビーで米国人と話した際に、彼らは、米国は本当のところは北朝鮮が自分のほうから米国へ核ミサイル攻撃を行う能力があるとは誰も真剣にとらえていないと語っていた。だがそのかわり米国にとってはこれは韓国にMDを配備し、日米韓の3国軍事ブロックを強化する上での格好のいいわけだ。
もちろん、これはかなりの部分、反中的な方向性を持っている。それは米国の対中関係はパートナー関係、ライバル関係の段階から対立の段階へとますます移行しているからだ。北朝鮮というファクターはこの上でこうした米国の行為には一種のフリップフロップの役割を演じている。しかも忘れてはならないのは北朝鮮が黙って何もしなかったとしても米国は他のきっかけを探し出しただろうということだ。もちろん北朝鮮は挑発的な行為を行なっているが、これは北東アジアの緊張増大の本当の原因ではない。」
北朝鮮はイージスシステム搭載の軍艦が加わるこの演習を煽動と呼んだ。こうした厳しい反応を見せるだろうことは予想の範囲だった。北朝鮮指導部は米国が「核の脅威と制裁」を振りかざして北朝鮮への圧力を止めない限り「対抗措置をとり」続けると約束している。
国際政治学者 イアン・ブレマー氏
――欧州問題を今年のトップリスクのひとつに予想し、的中しました。
「欧州連合(EU)からの離脱を問う英国の国民投票は事前予想が拮抗しており、大きなリスクだった。さらに、テロやギリシャ危機、難民問題、ポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭など問題が山積みで、明らかに不安定だとみていた」
「英国民が離脱を選んだ背景には移民や主権の問題もあるが、それ以上に国から大切に扱われず『社会契約』が途絶えたと感じる人々の抗議という側面が大きい。投票結果はEUへの拒絶と同時に、支配階級層に対する拒絶も意味している」
――英国のEU離脱が世界の金融市場に与える影響をどうみますか。
「離脱決定直後の動揺は比較的早く収束したが、2008年の金融危機と違うのは、今後何年にもわたって市場が荒れたり、落ち着いたりという時期を繰り返す問題だということだ。英国とEUの新たな関係は不透明であり、最終的な影響は現時点では見通せない。先々の市場混乱の引き金となり得るのは、周辺国の国債金利にEU崩壊の兆候が表れた時や、為替変動や成長鈍化のショックがアジア、特に中国を襲った場合だろう」
――EUに対する懐疑的な見方は、他のEU加盟国にも広がりますか。
「欧州大陸全体に広がっていくとみている。難民問題や(格差拡大による)中間層の空洞化の問題を解決する力は、今の欧州のリーダーには乏しい。国境検査なしで域内を移動できる『シェンゲン協定』や単一通貨ユーロをより強固にしていく国と、それ以外の国との分断が広がっていくだろう。共通の価値観を持ち、超国家的なアイデンティティーを持つというEUの野心的な実験は失敗に終わった」
――秋に大統領選を控えた米国でもポピュリズムの台頭がみられます。
「(英国のEU離脱による)米大統領選への影響は小さい。米国はロンドンを除く英の大部分よりも多文化・多民族な国家だ。そして米国の有権者が直面しているのは共和党のドナルド・トランプ氏と民主党のヒラリー・クリントン氏という著名な2人の人物の選択であり、EUのような顔を持たない組織との抽象的な関係の行方ではない」
「とはいえ米国でも支配階級層とそれ以外との対立は強まっている。クリントン氏が支持を固めきれない理由はそこにある。同氏が大統領に選ばれたら、トランプ氏が選挙戦の間にかき立てたポピュリズムの問題を解決していく必要がある」
――欧米以外の大国にも政治的、経済的な影響が広がりますか。
「英国のEU離脱における明らかな勝者はロシアだ。ロシアには貿易分野での影響は小さい。EU弱体化で(ウクライナ問題で欧米に科された)制裁の緩和を実現しやすくなるうえ、個別の国々とエネルギーや防衛の関係を築きやすくなる」
「中国は貿易や安全保障で悪影響を被る。世界の秩序が乱れるため、英国のEU離脱を歓迎していないだろう。中国が目指す持続的な経済成長のためには、強い米国と強い欧州が必要不可欠だ」
――世界のパワーバランスは変わりますか。
「同時テロや金融危機を経て米国が世界を引っ張る構図が弱まり、世界はリーダー役を欠く『Gゼロ』の状態にある。グローバリゼーションの影響に対する人々の怒りをおさめる指導者の不在で、一段と不安定な状況になるだろう」
(聞き手はニューヨーク=平野麻理子)
Ian Bremmer 国際政治学者。米調査会社ユーラシア・グループ社長として、企業に政治リスクの分析を提供する。著書に地政学リスクと米外交のあり方を提言した「スーパーパワー」など。46歳。
[日経新聞7月2日朝刊P.1]
2016年7月4日(月)
北朝鮮は、6月29日に行われた最高人民会議(日本の国会に当たる)で憲法を改正して国防委員会を廃止。代わりに国務委員会を設置する「体制転換」を決定した。軍部が主導するこれまでの政治をやめ、金正恩をトップに戴く朝鮮労働党が指導する政治へ変える。金正恩による「親政クーデター」とも言うことができる歴史的な変化である。
利権と権限を奪われる軍部の不満が高まるだろう。背景には、経済制裁による資金不足がある。在日朝鮮人とともに運用してきた合弁企業を国有化するなどして資金源を確保しようとしているのが現状だ。この状況を打開するには日本から資金を導入するしかない。年末から来春に向け、北朝鮮が日本への接触を試みる可能性が高い。
国防委員会を廃止――軍部が主導する政治の終わり
北朝鮮の報道機関は29日夜に、「国防委員会廃止」ではなく、「国防委員会を国務委員会に改める」と淡々と報じた。金正恩国防委員会第一委員長が、国務委員会委員長に就任したとだけ伝えた。体制の歴史的な大転換であるにもかかわらず、国内の動揺を抑えるために、まったく問題がないかのように報道した。
その意図が、発表文の行間から伝わってくる。
金正恩国務委員長の父である金正日総書記が、軍人と軍部に多くの権限と利権を与える先軍政治を進めた。金正日総書記がトップに立った時、党には金日成時代からの幹部が残っており、思うように機能しないことに同総書記は不満を持っていた。先軍体制の中心機関が、国防委員会だった。だから、国防委員会の廃止は軍部優先政治の終わりを意味する。同時に、軍部優先政治の終了は、父親の業績を否定することを意味する。そうなると、金正恩委員長の指導者としての正統性が失われてしまう。
北朝鮮の政治は、指導者の条件として(1)正統性(2)大義名分(3)偉大な業績――を求める。儒教思想と文化の影響が背景にある。祖父の金日成、父親の金正日と続く血統が(1)正統性の源である。また、この二人が残した革命の偉業と思想を継承することが(2)大義名分になる。このため、最高人民会議の発表文は、金正日総書記の「偉業」を強調し、息子の金正恩委員長が革命偉業と思想を継承している、とあえて強調した。
しかし、父親が推進した「先軍政治」という表現は一切使わず、「軍事優先」との表現を使った。「先軍」と「軍事優先」では何が違うのか。「先軍」は、「軍部と軍人優先」で、彼らに権限を与えるとの意味である。具体的には、軍部と軍人による利権独占を意味する。一方、「軍事優先」の「軍事」は軍の作戦や兵器の調達などを指す。これは、金正恩委員長が進める「並進政策」――「核兵器開発」と「経済政策」推進の二兎を追う――に合致する表現だ。こうした違いがあるにもかかわらず、それでも金正恩委員長は、「軍事優先」を自身の政策としては言及しなかった。
北朝鮮は、5月に開いた労働党大会と今回の最高人民会議を通じて「先軍」と「軍事優先」政策を封印した。金正日時代には頻繁に使われた「先軍政治」の言葉を無視し、金正日総書記が推進したのは「軍事優先政治」であった、と強調した。事実とは異なることをわざわざ強調するところに、金正恩政権が軍部優先体制を変更しようと苦心している様子がうかがえた。「先軍」でなく「軍事優先だった」と、懸命に表現を変更したのだ。
さらに、金正日時代に「軍事優先」は歴史的な成果を上げた、と強調した。これは、成果を上げたので「これで終わりにする」との意味だ。「軍事優先」政治を「発展的解消」すると強調した。ここにも、なかなか苦労していることが見て取れる。
金正恩の新たな側近たち
国防委員会の国務委員会への変更は、当然、人事の変更を伴う。軍の長老であった呉克烈(オ・グンリョル)と李勇武(リ・ヨンム)の二人の国防副委員長が更迭された。国務委員会の副委員長には、崔竜海(チェ・リョンヘ)と朴奉珠(パク・ホンジュ)の党政治局常務委員が任命された。明らかな軍人排除で、党人材の登用である。
呉克烈氏は、軍の元老で金正日総書記の片腕であった。党作戦部の特殊部隊、約6000人を握るとともに、良質の金を算出する金山を資金源として与えられた。この部隊は、最新鋭の武器を揃えた精鋭の親衛隊。最近は3000人に削減されたが、それでも強大な兵力を有していた。金正恩委員長は、この部隊と金山を呉克烈氏から奪ったのだろう。
北朝鮮の軍隊は、抗日戦闘と朝鮮戦争に参加した軍人を英雄視する。解任された呉克烈氏と李勇武氏はそうした軍人で、軍部の反乱を抑える「重石」の働きをしてきた。二人の解任により、軍を絶対的に抑えうる元老がいなくなる。
軍元老の退場と同時に表舞台に登場したのは、金英哲(キム・ヨンチョル)軍事委員(党政治局員、副委員長)である。同氏はもともとは軍人で、特殊部隊を担当する偵察総局長の要職にあった。南北共同事業の開城工業団地を管轄する板門店司令官を務めた経験も持つ。板門店司令官時代の金英哲氏に何度も会談した韓国側の要人は、「ものすごく頭が切れ、人を魅了する話術がある」とその能力を高く評価した。金英哲氏は、偵察総局長に就任してから数年のうちに五段跳びの出世を実現しており、金正恩委員長の側近中の側近と言っていいだろう。
ちなみに金英哲氏と呉克烈・国防副委員長は犬猿の仲と言われている。金英哲氏が偵察総局長時代に、呉克烈氏が握る作戦部の部隊と兵器を奪い取ろうと試みたからだ。これは失敗に終わり、半分しか渡されなかった。
新たに国務委員に任命された李秀勇(リ・スヨン)元外相(党政治局員)と李容浩(リ・ヨンホ)外相(政治局員候補)も新たな側近だ。李秀勇委員は、金正恩委員長がスイスに留学していた時のスイス大使で、留学中の面倒をみた。また、金正日総書記の海外隠し口座の管理人としても知られている。
軍部の反発は必至
李容浩・外相も異例の出世だ。父親のリ・ヨンチョル氏は軍人で、かつて党組織指導部副部長として金正日総書記に使えた。金正恩委員長を後継者に決定する過程では、反対勢力との戦いで重要な役割を果たした。このため、金正恩委員長は李容浩外相の父親について、党大会の場で「党功労者」として言及した。
金正恩委員長は、党大会と最高人民会議を利用して、軍人を権力の中枢から巧みに退け、「党優先」「文民優先」の体制に移行する「親政クーデター」に成功した。社会主義の基本である「党が全てを指導し、軍も政府も従う」という、金日成主席時代の体制に「先祖返り」したわけだ。だが、世界的に失敗した社会主義システムの下で、経済発展や体制維持がうまくいくはずはない。
日朝交渉再開へ
北朝鮮は、なぜ「先軍政治」をやめたのか。それは資金不足に直面しているからだ。最近では、在日朝鮮人との合弁企業を突然国有化した。これは大小合わせて1000社ある。事実上の没収である。北朝鮮の利権は、陸上は陸軍が開発権を握り、海上は海軍が握っていた。石炭はもとより鉄鉱石、希金属、金鉱山などの収入を、指導者と分け合った。この利権が、軍の資金源であり兵器の購入や兵站、ミサイル開発、核開発に使ってきた。
軍部は、金正日時代にその利権を拡大した。このため経済開発には資金が回らない。特に外貨は、軍と金正日総書記が握り、政府や金融機関には回らなかった。朴奉珠・国務副委員長(首相)はかつて、軍の資金を政府に回すよう直訴し、軍幹部から反発を受け更迭された。金正恩委員長はそれを知った上で、朴奉珠氏を国務副委員長(首相)に復帰させたのだから、軍部の反発は強い。
北朝鮮は、外貨不足に悩んでいる。韓国政府が最近実施した調査では、国連が経済制裁を始めて以後、北朝鮮から中国への輸出は40%、海外への武器輸出も80%減少した。北朝鮮の総貿易高の80%以上が中国向けだから大変だ。さらに、毎年100億円もの外貨収入を上げていた開城の工業団地は、韓国政府が閉鎖してしまった。
この金額がいかに大きいかは、次の数字からあきらかだ。韓国の金融機関の推計では、北朝鮮の国内総生産はわずか3兆円、日本の中小県の水準だ。この数字でも大きすぎるとの分析もある。実際には、2兆円以下とも指摘される。
貿易赤字は、毎年約10億ドルだった。中朝貿易が、毎年10億ドル水準の赤字だった。国家予算額は明らかにされないが、韓国金融機関の推計によると、日本円にして7000億円程度と推測されている。一方、北朝鮮の公式為替レートを適用すると70億円程度となる。原油輸入量はわずか毎年50万トンだったが、経済制裁により減少している。
米国は北朝鮮のドル送金を制裁対象にしている。さらに、海外への労働輸出も国連経済制裁の対象にしようとしている。
数字は、北朝鮮経済が大きな資金難に直面している事実を示す。経済発展は、軍部が保有する利権と外貨資金を政府が回収しないことには実現が難しい。ただし、強行すれば、クーデターが起こる危険がある。
北朝鮮のシステムでは、軍部から利権を引き剥がし資金を回収しても、金正恩委員長の財布に入るだけだ。先軍政治を廃止する大手術をしても、普通の国家のように政府が金融、経済システムを管理するのは容易でない。米朝の関係正常化や南北対話の再開が不可能な現在の外交事情では、日朝対話に向かわざるを得なくなる。横田めぐみさんのご両親が孫娘(めぐみさんの娘)と面会した写真が最近公開されたのも日朝対話への環境作り工作とみていいだろう。孫娘との写真が公開されれば、日本国民の雰囲気がなごみ拉致問題への関心が弱まると計算した。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/230558/070100008/
英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めたことは、世界に衝撃を与えた。グローバル化を逆流させかねない「英ショック」を受けて、世界の政治、経済、社会はどこへ向かうのか。エマニュエル・トッド仏国立人口学研究所研究員に聞いた。
――英国がEUからの離脱を決めました。
「転換点だ。歴史的な循環の始まりだと思う。前回の循環は1980年代、サッチャー英首相やレーガン米大統領とともに新自由主義が現れたころだ。グローバル化であり、国家や社会の境がなくなるという夢があった。英国と歴史的・文化的なつながりの深いアングロアメリカの世界ではこの循環が終わった。米国では大統領選候補のトランプ氏らが保護主義を前面に出し、移民問題を普遍化している」
――離脱を選んだ背景をどう分析しますか。
「英国で見られたのは、民主主義の力強さそのものだ。英離脱への賛成票は民主的であるのは疑いない。だが解釈するのは難しい。1つ目の解釈は権力をEUから取り戻そうということ。2つ目は移民だ。移民は長年にわたる問題だが、最近になって次元が変わった。『ワシントン・コンセンサス』(米政府や国際通貨基金=IMF=、世界銀行など先進国主導の国際機関による新興国への政策勧告)、新自由主義といった前時代のイデオロギーは移民流入を増やし、自国を不安定にすると判断した」
「フランスで大きな問題にならないのは、移民だって失業率が10%に達している国には来たがらないからだ。だがドイツは違う。失業率は低く経済に活力があり、移民が押し寄せる。英国が殺到する移民を食い止め、管理しようとするのは当然だ。私は地域の安全をある程度守る権利は必要なものだと思う」
「沈みそうなEUから英国が出ていくのは普通のことだ。離脱に投票した社会階層はブルーカラーより上で、中間層の下位グループだった。社会経済学的な意味で自然なことだ。英国は米国同様、格差が最も広がり、新自由主義が最もまん延している国だからだ。一方でエリート層に反乱を起こすのは英国の伝統ではない。グローバル化が進み、社会の苦しみが耐えがたい水準になったのだろう」
「投票で奇妙に感じたこともある。社会階層別の結果は理解しやすいが、年齢別はそうでもなかった。(離脱という今回の結果は)年齢層の高い人々、少なくとも45歳以上によってもたらされた。だが私はとりわけ英国やフランスでグローバル化の痛みを受けているのは若者だと言っている。彼らは優しすぎ、お人よしすぎる」
――英離脱後のEUはどうなりますか。
「EU崩壊のプロセスが始まったと思う。英国は反民主主義となり、破綻に向かいつつあるEUのシステムから離脱するのだ。欧州はかつて自由で平等な国々の共同体だったが、今はドイツを筆頭とするひとつのシステムになってしまった。世界経済を不況に陥れるだけでなく、ドイツがフランスとともに周縁国にダメージを与えかねない政策を進めている」
「欧州の選択は、ロンドンをリーダーとする国家からなる欧州に緩やかに戻るか、ドイツを頂点とするシステムに所属するかだ。英国に続いて、今後はイタリアの動向を注視すべきだろう」
「欧州について懸念するのは深刻な権威主義だ。英国は大きなバランス役で、ドイツの権威主義の防波堤になってきた。EUから離脱することで、英国はその役割を担えなくなる。そして欧州は最終的に大惨事に陥る。問題は政治エリートが歴史に無関心で、短期的に何かを決めようとすることだ。それは経済主義の影響であり、エリート層は金融市場のリズムの中にいる」
――強すぎるドイツの危うさは何でしょうか。
「リスクはドイツ人の精神的な不安定さにある。ドイツ人は歴史的に合理的なバランスを重視するビスマルク的な態度と、ヴィルヘルム2世のような傲慢な態度の間で揺れ動いている。問題は現在の大国ドイツの感情だ。メルケル首相はビスマルクのような態度でドイツの経済政策を進めてきたが、最近になって冒険主義の兆候を出してきたようにみえる。とりわけ難民危機の際、ドイツは大陸欧州の不安定の要因になった」
――英国は今後、どうなるでしょうか。
「英国が孤立しているという考え方はおかしい。英国の影響が及ぶ米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは、人口では欧州よりも大きい。私は英国が非常に早く本当のリーダーとして頭角を現すのではないかと思う。それはオランド仏大統領やレンツィ伊首相を不安にさせる」
「私は皆とは違って、英国についてはまったく心配していない。スコットランドが英国を離れるといわれている。スコットランドから自治論者や独立主義者が生まれたのは、英国がEUへ参加したからだ。スコットランドを独立に駆り立てるのは、欧州であり、連合王国内での権力の低下だ。英国がEUから離れる意志を示した今、スコットランド人はロンドンか(欧州を支配する)ベルリンの選択を迫られる。私は彼らがベルリンを選ぶとは想像できない」
――EUと英国の関係をどう展望しますか。
「欧州は関税をなくし、自由貿易圏になった。大陸欧州と英国の貿易の問題がやっかいなのは事実だ。(EU側から)英国の銀行に対する報復措置を予測する声もあるが、ロンドンは欧州の金融の首都であり、その破壊はお互いにとって脅威だ」
――米大統領選では排他的な発言が目立つ不動産王のドナルド・トランプ氏が支持を集めています。
「グローバル化は米国の中間層に強い痛みをもたらした。白人の中間層の下位グループは米国の民主主義の柱といえるが、平均寿命が短くなるなど、痛みが広がっている。私が驚いたのはトランプ現象ではなく、米支配層が状況を把握できていないことだ。米国ではここ数年、平均収入が低下し、若者は学業のために借金を余儀なくされている。自由貿易など支配層が合理的とした考え方は、米社会の中心となる層の不満を爆発させた。トランプ氏は大衆層の怒りの道具でしかない。トランプ氏が問題なのは外国人嫌いという点だ」
「仏米の支配層の本を読むとき、大衆の現実を考えていない言葉が多く並ぶ。私が買ったトランプ氏の本のタイトルは『クリップルド・アメリカ』(不自由なアメリカ)だ」
「本当の謎はなぜ支配層の目に現実が映らなくなったかだ。おそらくそれはエリートの孤立によるものだろう。米国ではマイノリティー人口の増加で問題が複雑になっている。民主党にマイノリティーの支持が集まり、白人は徐々に共和党に投票するようになる。私はどちらが良いかという立場は取らない。だがその流れは当然といえる。有権者がトランプ氏を選ぶのは合理的だと思う。クリントン氏を知的で経験のある女性として選ぶ方が非合理的だ」
――欧州では反EUを掲げる政党が勢いを増しています。2017年の仏大統領選で、極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン氏は当選しそうですか。
「次の選挙では難しいだろう。仏中間層はグローバル化の影響をそれほど受けていないからだ。収入の水準は変わっておらず、富の分配は最も裕福な1%を除いてほぼ平等だ」
「フランスで重要なのは教育の分野で国家を利用できることだ。中間層に属していれば、2歳から大学までの子どもの教育費用は国によって支払われる。米英の中間層と違うのは、仏中間層は子どもをつくることによる経済的な不安を感じないことだ。全体的に人生は心地よい。だからFNを普通の政治の外部にとどめ置くことが可能なのだ」
――ロシアや中国などが世界を不安定にしているように見えます。
「私は中国とロシアを同じカテゴリーに分類しない。最近の西側諸国のロシアへの敵対は、ロシアを中国に接近させ、同盟をつくらせた。しかしこの2つの国のモデルはかなり違う。まずロシアは権威主義的な民主国家だ。プーチン大統領が権威主義だからではなく、権威主義がロシアの伝統だ。ロシアはすでに国土に対して十分な人口を持たない。だからロシアの最も重要な計画は国として生き残り、国土や天然資源を守ることだ。ロシアがウクライナを管理下に置くのは、安全保障上の安定を求めるためだ」
「中国は民主国家ではない。安定もしていない。ロシアは防御的な姿勢で中国は攻撃的な姿勢と感じる。世界の安定に寄与するのはロシアであり、アングロアメリカであり、日本だ。不安定にするのはドイツと中国だ」
――英のEU離脱から日本は何を学べますか。
「日本は今起きていることを評価するための時間をとり、視界が開けるまで待つのがいい。大陸欧州は常に危機にあり、この危機は悪化し続けている。英国によって危機が深刻化したとは考えるべきではない」
「地政学的な動きを先取りすることを始めなければならない。EUの断裂は西側世界の断裂だ。米国が英国に欧州にとどまってほしかったのは、英国が文化的にも政治的にも米国に近いからで、米国が大陸欧州を掌握するための手段だったからだ。英国のEU離脱は米国が欧州、つまりドイツをコントロールするすべを完全に失うことを意味する」
「大胆な言い方だが、ブレグジットは冷戦の本当の終わりだと思う。我々は西側世界の内部で対立が激しくなるのを目の当たりにしている。そしてロシアとの対立は徐々に二次的なものになるからだ」
(聞き手はパリ=竹内康雄)
Emmanuel Todd 歴史人口学者。1976年に出版した「最後の転落」でソ連の崩壊を予言。米国が衰退期に入ったと指摘した「帝国以後」(2002年)は世界的なベストセラーになった。65歳。
「ソロス氏「ブレグジットは金融市場に危機解き放った」:2週間前に「鉄火場」に戻り“管理”された国民投票劇で荒稼ぎ」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/448.html
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「史上最大の金買い」が意味するもの
編集委員 志田富雄
2016/7/3 3:30
英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めた6月24日。ニューヨーク市場の金先物相場は一時、1トロイオンス1362ドル台(中心限月の8月物)まで上昇し、2年3カ月ぶりの高値を付けました。この日の安値は1252ドル台で、1日の値動きは100ドルを超えています。為替市場でも一時1ドル=99円台まで円高・ドル安が進みましたが、金の勢いは円も圧倒しました。貴金属販売の国内最大手、田中貴金属工業は週明けの27日、金の小売価格を1グラム4775円(消費税込み)と前週末比で107円も引き上げたのです。
英国のEU離脱という「有事」に対する強さは、金>円>ドルという順番になったわけです。
■買越残高、3週連続で最大更新
英国のブックメーカー(賭け業者)も残留を優勢とするオッズ(掛け率)を示し、国民投票の直前には「結局はEU残留を選ぶのではないか」との楽観論が株式・金融市場に流れました。その中で、終始警戒を解かなかったのが金市場です。その証拠に、米商品先物取引委員会(CFTC)が1日に公表した6月28日時点の売買動向では、ヘッジファンドなど非商業部門の買越残高が約939トン(オプション含まず)まで増え、3週連続で史上最大を更新しています。
昨年まで、金の買い越しは2009年11月の815トン台が最高でした。国際相場が1900ドルを上回る史上最高値を記録した11年9月でも買い越しは400〜500トンほどです。昨年12月には米国が利上げに着手したことで02年8月以来の「売り越し」に転じるかと思われたのです。ところが、そこから急速に切り返し、5月には800トンを突破しておよそ7年ぶりに過去最大を塗り替えたのです。
金上場投資信託(ETF)の最大銘柄、「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の投資残高も気がつけば900トンを超えています。過去最大だった12年12月の1350トン台から残高を減らし続け、一時は600トン近くまで減少していたのが嘘のようです。
金の国際機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の調べでは、世界の金投資需要(ETFを含む)はすでに今年1〜3月で約618トンと前年同期の2.2倍に膨らみ、7年ぶりの高水準を記録しました。金融危機のまっただ中にあった09年1〜3月(626トン)に迫る勢いです。
渦中の英国では目下、「現物売買のオンラインサービスで英国人の金買いが急増している」(ICBCスタンダードバンクの池水雄一東京支店長)といいます。自ら招いた結果とはいえ、英ポンドが31年ぶりの安値に急落し、英国経済がどうなるか分からない不安感にかられれば金にすがるしか道はないのでしょう。
アジア地域での現物買いは総じて静かなのですが、先物やETFを中心に史上最大規模の金買いが進行中なのです。ニューヨーク金先物が900トンを超す買い越しを記録したことで、短期的には過熱感も否めません。当然、調整局面はあるでしょう。それでも世界の先行きが混沌としているかぎり、金を欲しがる投資家は多いと思います。
英国のEU離脱が決まったことで、安全資産とされる主要国の国債も一段と買い進まれました。ただ、主要国の国債利回りは物価上昇率を引いた実質ベースで全体の51%(3月21日時点のWGC調べ)が「0%未満」なのです。WGCは、非伝統的な政策への移行を意味するマイナス金利政策の導入も世界に「著しい不透明感」をもたらしている、と指摘します。
■資産価値を安定させる効果期待
当然、機関投資家は運用に苦慮し、国内でも資産運用に金ETFを組み込む年金や投資信託が増えてきました。もちろん金に利息は付きませんが、資産の一部に金を組み込むことで資産全体の価値を安定する効果は期待できます。冒頭で触れたように、有事の際、金は株式など伝統的な運用資産とまったく違う値動きをする傾向が強いからです。予期せぬショックで保有株式が急落しても、金が値上がりすれば、資産価値の目減りを和らげてくれます。
英国の国民投票が迫った6月、米国の著名投資家、ジョージ・ソロス氏が投資活動の第一線に復帰したことが市場の話題を集めました。同氏が今回、1992年のようにポンド売りを仕掛けたかどうかは不明です。年明けから中国での債務膨張に警鐘を鳴らし、今度はEUに警告を発するソロス氏の言動を踏まえれば、次々と表面化する危機が8月で86歳になる同氏を第一線に駆り立てたのではないでしょうか。長い経験から世界が直面する歴史的な危機を感じ、じっとはしていられないのでしょう。
同氏のソロス・ファンド・マネジメントの資産公表では、米国株の下落を読むプットオプション(売る権利)を増やすと同時に、金ETFや金鉱株が買い増されています。いつ何が起きてもおかしくない差し迫った危機に備える運用資産の見直しといえます。
米国経済の復調→9年半ぶりの利上げ→ドルの信認回復→金の役割後退というシナリオに乗った売却局面は終わり、急速な金の買い戻し局面が始まったのです。足元では中国や欧州経済の先行き不透明感が米国にも波及し、「米国は当面、追加利上げに動けない」との観測も強まっています。
チャート分析を専門とする三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮田直彦チーフ・テクニカルアナリストは、ニューヨーク金先物は11年9月の高値(1921ドル)からの下げが昨年12月の安値(1046ドル)で終わり、反発局面にあると指摘します。当面は13年8月の高値(1433ドル)をめざし、昨年までの下げ幅に対する5〜6割の戻り(1484〜1587ドルまでの上昇)があってもおかしくない、と予測します。
4月の当欄で解説した「金とプラチナの相場逆転」も両者の価格差が再び300ドルを超え、過去最大を更新しました。世界経済が抱える不安を映し、国際商品も金だけが突出して高いのです。
■金は経済不安のバロメーター
かつてソロス氏の盟友だった有力投資家、ジム・ロジャース氏も日本経済新聞の取材に対し「向こう数年間、世界経済に楽観できる要素はなにもない」と悲観的な見方を示しています。史上最大の金買いは、ロジャース氏が危惧する「世界的な債務の拡大」とも裏腹なのです。
熟練の投資家から一般庶民、プロの機関投資家まで幅広い層が史上最大の金買いを巻き起こしています。読者の中には、史上最大の買いが起きているのに金相場は11年9月の最高値から600ドルも安い、と思う人も多いでしょう。私は逆に、米国経済が復調し、ドルの信認が回復したにもかかわらず金相場はまだ1300ドル台で高止まりしている、と考えます。
米インターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数(米ドルの価値を対主要6通貨で指数化したもの)は昨年一時100台を回復し、70台で推移していた11年から大きく水準を切り上げました。それでも金という不安のバロメーターから見れば世界経済は正常化しておらず、状況は再び悪い方向へ向かっていると読めるのです。
東京都知事選(14日告示―31日投開票)を巡り、自民党都議団は3日、増田寛也元総務相の擁立をめざすことを決めた。この後、増田氏は日本テレビ番組に出演し「実務能力を評価してくれたなら大変光栄だ」と述べ、出馬に意欲を示した。党内では小池百合子元防衛相が推薦を得られなくても出馬する意向を表明しており、分裂含みの展開となる見通しだ。
自民党東京都連会長の石原伸晃経済財政・再生相は3日夜、党本部で谷垣禎一幹事長と会談した。石原氏は会談後、記者団に「選挙戦が終わるまで参院選に集中したい」と述べ、都知事選の候補擁立の結論は参院選後にずれこむ可能性を示唆した。こうした方針を小池氏と5日に会談して伝える見通しだ。小池氏との話し合い後、谷垣氏とも再び会談する予定だ。
小池氏は3日、都内で都知事選用のポスターの撮影に臨んだ。終了後、記者団に「自民党の議員なので推薦を頂くことが第一だ」とした。同時に「時間もないのでお話を伺った上で、6日までには結論を出していきたい」と述べ、都連側の候補擁立作業の遅れに不快感をにじませた。
党内では都連の意向に反して出馬表明した小池氏への反発がなお根強い。小池氏は3日午後、都内で都連の内田茂幹事長ら幹部に出馬表明にあたっての「手続き不足」を謝罪した。ただ小池氏の対応にかかわらず、都議団はその後の会合で増田氏の擁立方針を決めた。
一方、民進党の都議会会派から出馬を求める要請を受けた長島昭久衆院議員は党本部で記者団に「重く受け止める」と語った。同党は3日、都連会合を開き、対応を会長の松原仁衆院議員に一任する方針を申し合わせた。松原氏は自民党が擁立を検討している増田氏について「自民党の候補者だとは考えていない」との認識を示している。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H1H_T00C16A7PE8000/?dg=1&nf=1
マグニチュード6.1の地震が月曜日、サンクリストバル島(ソロモン諸島)の東278kmの太平洋で発生した。ロシア科学アカデミー地球物理学部シベリア支部が伝えた。
データによると、震源は南緯10.54、東経164.79の座標で発生した。震源の深さは66.8kmだ。
震源の震度から、地震は「壊滅的」と評価された。
トルコは、テロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国、ロシアで活動が禁止されている組織)」に対する作戦のために、同国のインジルリク空軍基地の使用をロシアに許可することができる。
トルコのチャヴシュオール外相が、テレビTRTのインタビューで述べた。YeniSafakが伝えた。
外相は、「『ダーイシュ』と戦うためにトルコはあらゆる国と協力する用意がある。皆さんもご存知のように、インジルリク空軍基地は、我々全員の敵である『ダーイシュ』との積極的な戦いに参加する意向を持つ国々に開かれている。(ロシアの)セルゲイ・ラヴロフ外相が言及したように、我々はこの問題について合意に達した」と語った。
またチャヴシュオール外相はTRTのインタビューで、ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領の会談は7月下旬から8月上旬に行われる可能性があると改めて述べた。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160704/2420968.html
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フィナンシャル・タイムズ:ロシアへの謝罪後トルコはシリア戦略を変える[スプートニク日本語]
2016年07月03日 10:33
トルコはシリア戦略を変え、アサド大統領政府と戦う武装グループへの直接支援を停止する計画だ。以後シリアでのトルコの目標はクルド運動の抑制とダーイシュ(IS)との戦いとなる。フィナンシャル・タイムズ紙が報じた。
ロシアへの接近と戦略変更のきっかけはイスタンブール空港でのテロである可能性がある。トルコ政府はテロはダーイシュによるものと見ている。外交官らは急激な路線変更に慎重であるが、政府系の新聞は早くも論調を変更した。
トルコの方針転換で最も打撃を受けるのはこれまでトルコ政府を支援していた過激イスラム主義者のグループだと見られるという。
イラク戦争へのイギリスの参戦の状況の調査の一環で、イギリスの元首相トニー・ブレア氏を英国の国会議員が起訴した。英紙ガーディアンが報じた。
イラク戦争へのイギリスの参戦の状況の調査の一環で、イギリスの元首相トニー・ブレア氏を英国の国会議員が起訴した。英紙ガーディアンが報じた。
2003年にあったイラク戦争への英国参加についてと、米国、同盟国によるイラクへの侵略のためブレア元首相が演じた役割に関する調査委員会の報告書は、水曜日、7月6日に公開される。その時、労働党員、スコットランド国民党派を含むイギリス国会議員は、ブレア元首相の「責任を問う」意向だ。
「179の英国軍人が死亡し、15万人がイラクでの紛争の結果亡くなり、世界は現実のテロの脅威に直面した」とアレックス・サモンド議員は述べた。
サモンド氏によると、ブレア元首相は「恐ろしい結果つきの無法の戦争」にイギリスを引きずりいれたことを清算すべきだという。
以前ブレア元首相は、イラク介入はテロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」出現の原因となったと告白している。
ムアンマル・カダフィ政権の打倒後ほぼ5年、リビアの状況は乱れ続けている。
リビアは多重権力状態だ。トリポリでは国際社会の後押しのもと、3月にサラジ首相率いる国民政府が発足したが、トブルクにはこの新政府を認めない議会がある。リビアの領土の一部は依然としてダーイシュ(IS)系の過激派組織に占拠されている。
駐リビア大使イワン・モロトコフ氏によれば、ロシアは国内の「健全な勢力」に働きかけ、危機からの脱出のため力を合わせるよう努めている。スプートニク特派員マリア・キセリョワへのインタビューで語った。
Q:リビアは今日、多重権力状態になっている。ロシアは今、誰と対話を行っているのか?
A:全員と。具体的には、サラジ氏の国民政府およびトブルクにおける議会と。なぜ全員と対話をしているのかといえば、我々はリビアの統一と団結に関心があるからだ。我々はリビアの健全な勢力に働きかけている。それはもちろんテロリストのことではない。そして、リビアを5年以上もの危機から脱出させるために力を結集させ、コンセンサスをとりつけさせようとしている。
大使によれば、リビア軍のハリフ・ハフタル総司令官は月・火曜モスクワを訪問。ニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記やセルゲイ・ショイグ国防相と会談し、火曜には外務省で会談を行ったという。
大使によれば、モスクワからの武器供給その他の援助についてなどが話し合われた。
米連邦捜査局(FBI)は2日、前国務長官で米大統領選挙に向けて民主党の指名獲得を確実にしているヒラリー・クリントン氏の所謂「電子メール問題」で、クリントン氏の事情聴取を行った。
クリントン氏は、在任中の2009年から2013年に私的なサーバーを公務で使っていた。そのためクリントン氏は、機密情報が外国のハッカーの手に渡る恐れがあったなどとして非難された。
ワシントンにあるFBI本部で行われた事情聴取は、約3時間半にわたった。
FBIは、クリントン氏が追訴された場合に民主党が別の候補者を指名するために、民主党と共和党の党大会までに予備調査を終了する方針。
マレーシアで先月28日、バーに手投げ弾が投げ入れられ、8人がけがをした事件について、現地の警察は、過激派組織IS=イスラミックステートの指示を受けたマレーシア人の男2人を逮捕したと発表しました。
マレーシアでは、首都クアラルンプール近郊のセランゴール州にあるバーに先月28日未明、何者かが手投げ弾を投げ入れ、店の客など8人がけがをしました。警察は当初、イスラム過激派組織などによるテロの可能性は低いという見方を示していましたが、マレーシアのハリド警察長官は4日、国営通信を通じて、実行犯のマレーシア人の男2人を逮捕し、男らがシリアで活動するISの戦闘員の指示を受けて犯行に及んだことを明らかにしました。
また、関係先を捜索した結果、ISの旗などが押収されたということで、事件に関わったとみられる別の男2人についても警察が行方を追っているとしています。マレーシアでISが関与したテロ事件が起きるのは今回が初めてです。
マレーシアには首都クアラルンプールを中心に2万人余りの日本人が住んでいて、現地の日本大使館は人が大勢集まる場所などには近づかないよう警戒を呼びかけています。
イギリスのEU=ヨーロッパ連合からの離脱を訴えてきた少数政党、イギリス独立党を率い、国民投票でも離脱運動を主導したファラージュ党首が4日、「自分のできることはやった」と述べて、党首を辞任することを明らかにしました。
イギリス独立党は、イギリスのEUからの離脱を党の主要政策に掲げてきた少数政党で、党を率いるファラージュ党首は、先月の国民投票でも離脱派の主要人物の1人として運動しました。
ファラージュ党首は4日、ロンドンで記者会見し、「自分のできることはやった。国民投票で成し遂げた成果以上のものを出すことはできないだろう」と述べ、党首を辞任することを明らかにしました。ただ、ヨーロッパ議会の議員は続け、EUに懐疑的なほかのヨーロッパ議会の議員と連携していくとしています。
イギリス独立党は、イギリス議会下院での議席は1議席しかありませんが、急増するEU加盟国からの移民問題など、国民の不満を背景に、与党・保守党の支持層を切り崩すかたちで支持を広げてきました。去年のイギリスの総選挙では得票数では3位につけたほか、ヨーロッパ議会ではイギリスの政党の中で第1党となっています。
一方で、党員や支持者の言動が移民に対し差別的だとする指摘をたびたび受けてきたほか、EUから離脱後は、イギリスが支払ってきた拠出金を国民医療制度の充実にあてるとする公約を「保障できない」として国民投票後に撤回したことなども批判されています。
サウジアラビア西部のジッダにあるアメリカ総領事館の近くで自爆テロがあり、警備に当たっていた警察官2人がけがをしました。治安当局が実行犯の身元などを調べています。
サウジアラビア西部の商業都市ジッダにあるアメリカ総領事館の近くで4日未明、爆発がありました。
サウジアラビア内務省の発表によりますと、警備に当たっていた警察官が不審な男に気付いて止めようとしたところ、男が身に着けていた爆発物を爆発させたということで、警察官2人がけがをしました。
ジッダにあるアメリカ総領事館は2004年に武装グループに襲撃されて現地職員5人を含む合わせて9人が死亡し、当時、国際テロ組織「アルカイダ」の関連組織が犯行を認める声明を出しました。
現地の治安当局は自爆テロの実行犯の身元の確認を急ぐとともに、当時の状況を調べています。
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サウジアラビア西部メディナのモスク近くで爆発[スプートニク日本語]
2016年07月05日 02:57
サウジアラビア西部メディナにある「預言者のモスク」周辺で4日、強い爆発があった。テレビ局「アル=アラビーヤ」が伝えた。
「アル=アラビーヤ」によると、自爆テロ犯が施設に入るチェックポイントの近くで爆発物を爆発させた。
モスク近くの爆発現場には、遺体の一部があるという。
今のところ、犠牲者や負傷者に関する情報は伝えられていない。
沖縄で20歳の女性を殺害したなどとして逮捕・起訴されたアメリカ軍の軍属の弁護士が、事件についての報道が先行し裁判員として選ばれる対象の沖縄県民すべてが予断を持っているなどとして、今後、那覇地方裁判所で行われるこの事件の裁判員裁判を、東京地方裁判所に移して審理するよう最高裁判所に求めました。
アメリカ海兵隊の元隊員で、沖縄の嘉手納基地で働く軍属のケネフ・シンザト被告は(32)ことし4月、うるま市の路上で、20歳の会社員の女性に暴行を加えて乱暴しようとしたうえ、殺害したとして、逮捕・起訴されました。
シンザト被告の弁護を務める高江洲歳満弁護士は4日会見を開き、今後、那覇地方裁判所で行われる裁判員裁判について、東京地方裁判所に移して審理するよう最高裁判所に求めたことを明らかにしました。理由として高江洲弁護士は、沖縄では事件についての報道が先行し裁判員として選ばれる対象の沖縄県民すべてが予断を持っていて、さらに、こうした傍聴人が多数いることが、裁判員にとって精神的な圧力になり、誤った判断が下されるおそれがあるとしています。
高江洲弁護士は、「被告が裁判を移すことを望んでいる。沖縄県民が反米感情を持つなか、被告が公平な裁判を受けられない可能性があり、最高裁判所の判断を待ちたい」と主張しています。
5日、日米両政府は、公務中に罪を犯した場合、米側に一次的裁判権が認められている「米軍属」について、範囲を縮小する合意に達したことを共同発表する予定だ。4月に沖縄県うるま市で、20歳の女性が元海兵隊員の米軍属の男、シンザト・ケネス・フランクリン容疑者に殺害されたことを受けたものだ。米軍属は今後、「米政府予算で雇用され、在日米軍のために勤務する文民」等の定義によって明確化されることになる。
しかし今回の合意と、米軍関係者による事件の再発防止には関連性が全く見られない。例えば冒頭のシンザト容疑者(6月30日に殺人と強姦致死の罪で追起訴)は、米軍基地外に住んでおり、沖縄県警の捜査によって犯罪が明らかになった。犯罪は公務外で起こったもので、当然ながら日本に裁判権がある。
沖縄1区選出の赤嶺政賢(あかみね・せいけん)衆議院議員は、今回の米軍属の範囲縮小について「いたずらに軍属の範囲を広げすぎたものを狭めようという米軍の都合であって、米軍犯罪の再発防止にとっては無意味な作業」だと指摘している。
赤嶺議員「これは茶番です。米軍人も、米軍属も犯罪を起こしています。米軍属の範囲を明確化したとしても、日米地位協定の運用改善にもなりませんし、犯罪防止にもなりません。軍事優先という日米地位協定本体には何のメスも入っていません。小手先の細工をほどこしたつもりでしょうが、細工にもなっていませんね。」
スプートニク:この件の詳細について日米両政府は協議を続け、数ヶ月後を目処に文書で発表する予定です。
赤嶺議員「それは参議院選挙を目当てに、国民を騙すものではないでしょうか。日米地位協定(の運用改善)に着手し、『政府も努力しているのだ』というポーズを見せているにすぎません。事件をきっかけに日米地位協定を見直すと言うのなら、軍事優先の部分を見直すべきです。」
犯罪を犯した米軍人や米軍属が米軍基地の中に逃げ込めば、基地の中には日本の警察の捜査権が及ばないという点は何ら改善されない。日米地位協定は「日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行なうものとする」と定めている。容疑者が基地内に逃げ込んだ場合に米軍が身柄を拘束してしまうと、日本側は基本的に起訴するまで身柄の引渡しを受けることができない。
さらに沖縄では4日、嘉手納基地に所属する2等軍曹のクリストファー・アーロン・プラット容疑者が酒気帯び運転の現行犯で逮捕された。米軍当局は6月28日に飲酒制限を解除したばかりだった。参院選沖縄選挙区で現職の沖縄・北方担当大臣の落選が噂されるのは、積もり積もった有権者の怒りの表れだろう。
先月、岐阜県海津市で、集団で登校していた小学生の列に乗用車が突っ込み、8人がけがをした事件で、警察は、車を運転していた68歳の男が、故意に小学生をはねた疑いがあるなどとして、殺人未遂などの疑いで逮捕しました。
先月30日、岐阜県海津市海津町の市道で、集団で登校していた小学生の列に乗用車がうしろから突っ込み8人が軽いけがをしました。車は現場から走り去り、警察は近くの市役所の駐車場に止めた車の中にいた男を確保して捜査していました。
その結果、現場に目立ったブレーキの痕はなく、また、事故を目撃した人が事故直前、車は、ブレーキランプが点灯していなかったほか、減速をせず、アクセルを踏み込んだ時に出るような音も聞こえたなどと話していることが分かったということです。
このため、警察は、車の中で自分の腹を刃物で刺し、入院していた男が退院したのに合わせ、故意に小学生をはね、現場から逃げたとして、殺人未遂とひき逃げの疑いで逮捕しました。
逮捕されたのは、海津市海津町の職業不詳、鷲見晴美容疑者(68)で、調べに対し、「弁護士と相談してから話をしたいと」と供述し、認否を留保しているということです。警察は、事故の詳しいいきさつや犯行の動機などについて調べることにしています。
医師が処方する医薬品の公定価格(薬価)の高騰が問題視されている。画期的な効果を見せる半面、投与に年間1千万円以上かかる薬も登場。高齢化で医療費が膨らみ、財政へのしわ寄せが看過できなくなっている。一方、製薬会社は「適正な価格」が認められなければ先進的な新薬開発は難しいとの立場だ。薬価はどうあるべきなのだろうか。
「『密室』で価格が決められ、年間売上高が1千億円を超える医薬品が出てくる。国民的な理解は到底得られないのではないか」。4月13日、厚生労働省で開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)。中川俊男・日本医師会副会長はこう指摘し、「抜本的に制度を見直すべきだ」と迫った。
超高額の医薬品が相次いでいる。代表例は2014年9月発売の抗がん剤「オプジーボ」。がん細胞には免疫細胞の攻撃を防ぐ仕組みがあるが、これを解除する新しいタイプの薬だ。
まず皮膚がんの一種「悪性黒色腫(メラノーマ)」向けに承認され、肺がんにも保険適用が拡大された。ヒトの免疫力を使ってがんを死滅に追い込む機能が注目される一方、標準的な投与方法で薬代は年間3500万円に及ぶ。他にもC型肝炎治療薬「ハーボニー」は昨年9月の発売時、服用終了までの3カ月分で670万円の薬価がついた。
高額療養費制度などで患者の自己負担は一定の枠内に抑えられる。しかし国の財政負担は大きい。ある試算によれば、オプジーボの投与対象は5万人ほど。仮に全員に使われると、薬剤費は年間1兆7500億円に膨らむ計算だ。
なぜ薬価が高騰するのか。大規模な臨床試験などで研究開発費が膨らむ。微生物や細胞を培養して造り、コストが高い「生物製剤」が増えている側面もある。ただそれだけではない。
薬価の決め方は2パターンに大別される。製造コストや研究開発費、営業利益などを積み上げる「原価計算方式」と、効能が似た既存の薬と比較して導く「類似薬効比較方式」だ。
厚労省で薬事行政に関わった東京大学大学院の小野俊介准教授(薬学系研究科)は「原価方式は企業の言い値で薬価が決まる部分がある」と指摘する。例えば製造効率などが実際より低く申告された場合、「妥当かどうかを行政が検証するのは難しい」。影響は比較方式にも及ぶ。原価方式で高くなった薬が基準では、製造コストが大幅に低くなっても薬価は高止まりしやすい。
中医協の下部組織で薬価を事実上決める「薬価算定組織」の会議は非公開だ。厚労省は「企業秘密が絡むため」とするが、客観的に議論されたのかどうか、第三者にはうかがえない。
対象患者が増えても、すぐに薬価を見直す仕組みはない。オプジーボでは最初に承認されたメラノーマの対象患者を470人と見込んでいた。少人数の利用でも開発費を回収できるよう、薬価は高く設定された。
しかし昨年12月に「非小細胞肺がん」にも適用が拡大され、対象は数万人に膨らんだ。販売する小野薬品工業の16年度の売り上げ予想は1260億円。メラノーマで承認申請した際の売り上げ予想の実に40倍だ。
厚労省は対策に乗り出している。今年4月に「特例拡大再算定」と呼ぶ制度を導入。年間1千億円以上売れたら薬価を最大で25%、1500億円以上なら同50%下げる仕組みだ。4種類が対象となり、「ハーボニー」は32%下げられた。
製薬会社は反発。多田正世・前日本製薬工業協会会長は制度決定の際、「市場規模拡大だけで薬価を引き下げるルールは、イノベーションの適切な評価に反しており容認できない」と表明。米国研究製薬工業協会のジョージ・A・スキャンゴス会長も「薬価が突然下がるような仕組みがあると、日本に投資しづらくなる」と批判した。
医療費の4分の1を占める薬剤費。財政に限りがある中、下押し圧力は今後も高まるだろう。下げすぎれば企業の競争力をそぐ。海外勢が日本での承認を後回しにして「ドラッグ・ラグ」も生まれかねない。難しいかじ取りが続く。
(野村和博、辻征弥)
[日経新聞6月26日朝刊P.17]
「EU、英離脱後に包括協定検討 通商や規制にルール:最終的に離脱はないが、英国後任首相が誰で離脱通告をいつ行うかが焦点」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/384.html
「英離脱が招く破壊ドミノ:僅差で離脱派が多数になっても離脱に動くことはない英国:EUとの関係性を調整するネタとして利用」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/167.html
「揺れる英国:EUはユーロ圏と非ユーロ圏の二重構造に移行するほかない:ユーロ圏の財政的政治的統合の進展が鍵」
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/563.html
「誰が、EU残留派ジョー・コックス下院議員を殺したのか?:国民投票の結果が残留多数ならヒロインになっていたコックス議員」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/375.html
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[FT]英離脱、最善策は何もしないこと[日経新聞]
2016/6/30 6:30
ボリス・ジョンソンという人が英国の国民投票後の未来を5月22日に予想してみせた。「支配権を取り戻すか、あるいは連邦超国家にさらに深くのみ込まれるかを提示され、英国民は6月23日に独立に賛成票を投じた。誰もさして驚くことなく、恐怖プロジェクト(残留派キャンペーンに付けられた呼び名)が壮大な作り話だったことが判明した。市場は静かだった。ポンドは暴落しなかった」
残念ながら違った。史上最大の下げとなった2日間の相場急落の後、ポンドは対ドルで30年ぶりの安値をつけた。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とフィッチは英国の公的債務(国債)を格下げした。投資家は銀行株を酷評した。これまでのところ、(離脱運動を率いた一人の)マイケル・ゴーブ司法相が一蹴した「専門家」が正しかったことが証明されている。
経済予測の点で、ジョンソン氏の存在は、サッカー界におけるイングランドの存在に等しい(注:イングランドのチームが高い期待をされつつ予期せぬ敗北を喫することのたとえ)。情報に通じた人は皆、国民投票でのブレグジット(欧州連合=EU=から英国が離脱すること)決定が経済に中期的な痛みを負わせることを知っていた。英財務省はショックを過小評価していた可能性さえある。
■景気後退は避けられず
この先景気後退が起きなかったとしたら驚きだ。自ら招いた愚行は罪なき何百万人に害を及ぼす。高い買い物をしてしまった後悔に襲われる可能性が高い。有権者は、離脱キャンペーンの指導者らは愚か者か嘘つきだったと結論付けるかもしれない。
ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、今回ほど重大な問題を巡る国民投票では、現状維持を改めるためのハードルは50%の票よりはるかに高くなければならないという。その見解に共鳴するのは簡単だ。実際には「適切なチェック・アンド・バランスが一切ないまま」登録有権者の36%が現状変更を決めることを許された。
このような状況は、極めて重要な一連の過程のなかでデービッド・キャメロン首相が見せてきた無責任さの一側面でしかない。例えば、EUをけなすことに5年以上費やした後で、信頼できる形で残留を訴えるのが難しいのは当然だ。キャメロン氏は悲惨なまでに近視眼的だったことが判明した。
この離脱プロセス全体の中止は可能だろうか。法的には可能だ。離脱派が的確にも指摘したように、英国は国民投票ではなく議会制に基づく民主主義国だ。英国がEUから離脱するのであれば、議会がリスボン条約の50条に基づき脱退プロセスの始動を宣言する措置を取らなければならない。法律上は、国民投票はもっぱら諮問でしかない。離脱の手続きができるのは議会だけだ。有効な法律を制定するのが議会だけだからだ。
保守党の新党首が選ばれ、場合によっては総選挙が実施された後「ジョンソン首相」が、状況は「必ずしも好転せず、英国の有利とは言えない」と宣言するかもしれない――第2次世界大戦の終わりの裕仁天皇の言葉を言い換えるなら――「思いも寄らなかった」経済的被害と英国分裂のリスクを考えたうえでのことだ。
ジョンソン氏はすべてをなかったことにするかもしれないし、逆に、ただ単に国民が決意を変えないことを確実にするためだけに、再度国民投票を実施するかもしれない。50条を発動したくない離脱派と、英国が発動するまでは交渉しないというEU首脳が、考えを変えるために必要な時間を与えてくれるかもしれない。
■いいとこ取りはできない
だが政治的には、この選択肢はジョンソン氏にとってさえ、間違いなく危なっかしすぎるだろう。だとすれば、2つ目の選択肢は、残るEU諸国に対し、無制限の移動の原則を再検討できないか提案することだ。英国はその場合、保護策を設けてはどうかと問うかもしれない。結局のところ、英国のEU加盟と英国労働市場に対する(多少制限されるにせよ)継続的なアクセスは、ブレグジットと厳しい入国制限よりはましだ。
さらに言えば、移動に対する保護策があって初めて、トルコやウクライナのEU加盟の見込みが出てくるかもしれない。米国はそっと、どれほど利害が大きいかEUに示してみせることもできる。そうなったら、新たな加盟条件に関する国民投票が実施され、英国がEUにとどまるかもしれない。
一方、EUが移動に対する制限を認めないことも十分考えられる。だとすれば、離脱派は認めたくないことを認めざるを得ない。それは「いいとこ取りはできない」ということだ。
ジョンソン氏は「移民政策の民主的な統制」が敷かれると断言している。「自由貿易と単一市場へのアクセス」もあると述べている。だが、EUが現在の政策を貫けば、英国が今日持っている単一市場へのアクセスはなくなる。EUからの移民統制と相いれないからだ。ジョンソン氏は選択する必要がある。
「単一市場へのアクセス」とは、曖昧な言葉だ。英国が現在享受しているアクセスだと考えられている。だが、例えば米国が持っているような、より限定的なアクセスを意味する可能性もある。英国が求めているのがそれだけなのであれば、そうと言わなければならない。
だが、EUから離脱して単一市場への現在のアクセスを維持することを目指しながら、労働者の移動の自由を受け入れることは、正気の沙汰ではない。もし英国がこれらすべてを受け入れる気があるのなら、EU内にとどまるべきだ。とどまれば、自国に影響を及ぼす単一市場の規制に対して発言権を持ち続けることになるからだ。
移民の規制が核心である。もし国民投票後の英国にとって移民規制が避けられず、EUがこの問題について考えを変えないのであれば、そのときは英国は単一市場へのアクセスを失わなければならない。代わりに、そのような規制を許す最善の貿易協定について協議を始めるべきだ。
現時点で最善の策は何もしないことだ。英国は、自らが望むものを考え抜いて決めなければならない。EUは移動の自由が果たして不可侵なのかどうか考えなければならない。英国は50条を発動するのを避けるべきだ。発動したら英国は影響力を失い、恐らくさらなる貿易協定がないまま2年以内にEUから追い出される。
このような膠着状態は永遠には続かない。だが、過度に性急で乱暴な幕引きを避けることには、双方にとって利益があろう。
こんな物語がある。死刑を宣告された男が王に「私は1年以内に王様の馬に歌を仕込めます」と言った。王は「よかろう。だが、今から1年後に馬が歌っていなければ、おまえを処刑する」と返した。
犯罪者が戻ってくると、同房者が「あの馬に歌を教えられないことは分かっているだろう」といさめた。すると男は答えた。「これで俺には、前はなかった1年がある。1年のうちには、多くのことが起こり得る。王が死ぬかもしれない。馬が死ぬかもしれない。俺が死ぬかもしれない。それに分からないぞ、もしかしたら馬が歌うかもな」
1年くらい、これを試してみることを筆者は提案する。
By Martin Wolf
(2016年6月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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「またも「ヘリコプター・マネー」論 日本、危ういタブー接近:ヘリマネは表立って必要ない一方、その実施は銀行に破滅的打撃」
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/400.html
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[やさしい経済学]ヘリコプターマネーとは何か
(1)先進国の景気停滞で議論復活
早稲田大学教授 若田部昌澄
最近、欧米の経済学者やエコノミスト、投資家の間でヘリコプターマネー(ヘリマネ)という言葉が飛び交っています。この言葉はミルトン・フリードマンが最初に使ったものですが、2000年代に米連邦準備理事会(FRB)理事だったベン・バーナンキやジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授が論じて注目されました。当時、彼らの念頭にあったのは日本のデフレ不況でした。
その後いったん下火になりましたが、08年のリーマン・ショック以降の先進国の景気停滞を受けて復活します。現在ではリカルド・カバレロ、ジョルディ・ガリ、マイケル・ウッドフォードといった経済学者、英フィナンシャル・タイムズ紙のマーティン・ウルフらが賛同しています。
米著名投資家のレイ・ダリオは金利政策、量的緩和に続く第三の政策として、また債券王と呼ばれたビル・グロスは人工知能(AI)時代の金融政策としてヘリマネの到来を予想しています。ヘリマネの伝道師として注目を集めているのが英金融サービス機構(FSA)元長官のアデア・ターナーです。彼がヘリマネを本格的に検討した著書「債務と悪魔の間で」は大きな反響を呼びました。
一方でヘリマネには疑問や懸念、反対の声も寄せられています。「財政ファイナンス」だから財政規律が失われる、中央銀行の独立性が失われてひどいインフレになる、といった批判が聞こえてきます。インド準備銀行のラグラム・ラジャン総裁は最近の講演で、人々がお金をため込んでしまうから有効性に乏しいと批判しています。
論争はにぎやかですが、ヘリマネの議論は論者によって定義が一致していないために混乱している節があります。またタブー視されることが多く、きちんとした議論がなされていないうらみがあります。この連載では、ヘリマネの定義から始めて、そのメカニズム、今注目を浴びている背景、歴史的に成功した事例と失敗した事例、課題と問題点、そして将来の展望について論じていきます。
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わかたべ・まさずみ 加トロント大博士課程単位取得退学。専門は経済学史
[日経新聞6月16日朝刊P.29]
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(2) 増やした貨幣が恒久的に残る
早稲田大学教授 若田部昌澄
ヘリコプターマネーを巡る議論には定義が曖昧という問題があります。そこで定義を明確にしましょう。
ヘリマネの比喩を最初に用いたのはM・フリードマンです。1969年の論文「貨幣の最適量」で次のように述べています。「ある日、ヘリコプターが飛んできて空から1000ドルの紙幣を落としたとしよう。もちろんこのお金は人々がすばやく拾うだろう。さらに人々はこのことが1回限りのものであると知っていたとしよう」
フリードマンはここから貨幣が経済に追加され、それが回収されないなら、物価は確実に上がるだろうと分析しています。
中央銀行は金融機関から国債などの資産を買い入れる対価として貨幣を供給します。しかし、金融機関への貨幣供給をどれだけ増やしても、金融機関の融資が伸びないと、世の中に出回るマネーの量は増えません。これに対し、世の中のお金の量を確実に増やす手段として、ヘリコプターからのばらまきという比喩が使われているのです。
ヘリマネの核心にあるのは貨幣発行益の利用です。貨幣発行益とは貨幣の額面と製造費用との差額です。例えば、日本の一万円紙幣の製造費用は20円程度と言われていますから、一万円札を発行すると9980円が利益として生み出されることになります。貨幣発行益は、独自の通貨を発行している経済が持つ、税金とは別の財源です。※そうかちょっとまじめに考える!
通常の財政政策では、税収が足りない分を国債発行収入によって補い、財政支出を拡大します。発行した国債は将来の増税で償還することになります。ここで国債発行の代わりに貨幣を発行して支出に充てたらどうなるでしょうか。国債発行の場合と違って債務残高は増えず、家計は将来の増税を心配することなく消費することができます。
貨幣を増やし、増えた貨幣が恒久的に残る。ヘリマネの定義はこれにつきるでしょう。実行する方法は、政府が直接貨幣を発行する政府貨幣、政府債務を貨幣発行によって償還する債務マネタイゼーション、財政支出の金融政策によるファイナンス、中央銀行が家計に直接貨幣を渡すなど様々な形態が考えられます。
[日経新聞6月17日朝刊P.27]
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(3) 名目GDPを増やす効果
早稲田大学教授 若田部昌澄
ヘリコプターマネーは財政政策でしょうか、それとも金融政策でしょうか。フリードマンは金融政策の一つとして考えていました。ただ、財政支出を伴うとなると、中央銀行が財政政策の領分に踏み込むことになるという意見もあります。
貨幣発行益を考える際には、政府と中央銀行を一つのものとして考える視点が重要です。この二つを合わせて統合政府と呼びます。実際に日本銀行は政府が株式の55%を保有する認可法人であり、貨幣発行益などの収入から経費を差し引いた剰余金を政府に納付しています。貨幣発行益を利用するヘリマネは、統合政府の政策と考えるのが最も妥当です。
中央銀行の発行する貨幣は負債なのかという議論があります。兌換(だかん)貨幣は不完全ながら貨幣の価値は貴金属の価値と結びついていました。一方、不換貨幣は、利子もつかず、期限もなく返済の必要もない国債のような存在です。したがって貨幣は負債にならないと考えられます。
ヘリマネには名目国内総生産(GDP)を必ず増やす効果があります。家計に十分な額の貨幣を渡せば必ず支出額が増え、名目GDPは増えます。経済学では未解決の問題は多いのですが、どうすれば名目GDPを増やせるかという問題にはヘリマネという解決策があるのです。
貨幣発行によって、どの程度インフレになるかは状況によります。そこで生じるインフレは国民の購買力を低下させるため、一種の税金とみなすことができます。これをインフレ税といいます。けれども、デフレのときにインフレを目指すと、需要がなく使われていなかった遊休資源が活用されるようになり、経済全体を刺激します。その結果として生産と雇用を増やすので、経済全体に大きな利益が生まれます。デフレ時に有効な増税がインフレ税といえるでしょう。
ヘリマネは量的緩和政策とはどう違うのでしょうか。量的緩和の場合、貨幣を出している限りでは発行益が生じますが、インフレ目標を達成すれば、貨幣を回収することを想定しています。この将来の回収の有無が量的緩和政策とヘリマネの違いになります。
[日経新聞6月20日朝刊P.18]
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(4) デフレ不況の解決手段
早稲田大学教授 若田部昌澄
デフレ不況のときに提唱されるのがヘリコプターマネーです。ヘリマネが復活するきっかけは日本の停滞でした。1990年代の日本は経済成長率が下がり、失業率が上昇し、デフレが始まりました。
2003年に米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ理事(当時)は日本で講演し、デフレ脱却のために金融・財政当局が協力することを訴えました。具体的には政府は家計・企業に対する減税を行い、その財源を日銀による国債の買い入れで賄うことを提唱しました。
またジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授は03年に財務省の審議会に招かれて政府紙幣の発行を提案しています。彼は「経済学者としては大罪かもしれないが」と前置きしたうえで、デフレ経済の場合は政府紙幣の発行が検討に値すること、政府紙幣は償還の必要性がないこと、発行額が適切ならばハイパーインフレの危険もないことなどを述べました。
米シティグループの現チーフエコノミスト、ウィレム・ブイターもこの頃からヘリマネをデフレの解決手段として唱え始めました。
その後いったん下火になったヘリマネの議論は、08年の世界金融危機後の経済停滞を受けて、再び活発になっています。リカルド・カバレロ、ジョルディ・ガリといった著名なマクロ経済学者が、これまでタブーとみなされてきたヘリマネを政策の一つとして真剣に検討し始めています。
中でも話題はアデア・ターナー元英金融サービス機構長官の著書「債務と悪魔の間で」です。彼は現代の金融経済システムには問題があるといいます。景気対策として金融緩和を行うと経済規模に対して債務の割合が大きくなり、金融システムの安定性が損なわれる恐れがあります。かといって単純な財政政策では名目国内総生産(GDP)を増やす効果は限られます。
そこでターナーは、家計に直接お金を配るヘリマネを提唱します。ヘリマネは名目GDPを拡大しながら、債務を過度に増やさない一石二鳥の政策というわけです。デフレ不況への懸念が現地味を帯びるほど、ヘリマネを求める声は強まるでしょう。
[日経新聞6月21日朝刊P.24]
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(5) 貨幣発行、適度なら物価安定
早稲田大学教授 若田部昌澄
ヘリコプターマネーには歴史的前例はないのでしょうか。財政政策と金融政策を組み合わせるマクロ経済政策の例は無数にあり、政府による貨幣発行の事例もまた多数あります。
成功例としてよく挙げられるのは、米国の独立前、18世紀のペンシルベニア植民地の政府紙幣です。かのアダム・スミスも「国富論」で評価しています。成功の理由は発行額が大きくなく、運用が「ひかえめ」だったからとしています。
米国の事例には南北戦争期の政府紙幣もあります。北部も南部も金との兌換(だかん)を停止して政府紙幣を発行しました。結果的にどちらもインフレになりましたが、北部の場合は戦争中に80%程度と、高インフレではあるものの、ハイパーインフレは避けています。他方、南部のインフレ率は激しく、一時は月率700%に達したこともあります。その南部も貨幣供給量を減らした時期にインフレ率は急落しています。
日本でも江戸時代に遡れば藩札の例があります。また明治政府が最初に発行した太政官札は高いインフレをもたらしました。
ハイパーインフレに陥ったのは第1次世界大戦後のドイツをはじめとする中欧諸国です。財政赤字を貨幣発行で埋め合わせたドイツでは急激にインフレが進みました。こうした経験からヘリマネはタブーとして忌避されてきました。ただ、ドイツがハイパーインフレになったのは、敗戦で生産力を失ったうえ、戦勝国から多額の賠償金を請求されたからです。さらにフランスに工業地帯を占領され、供給が極端に落ちたことでインフレが高進しました。
ハイパーインフレは中央銀行に独立性があっても起きます。当時のドイツの中央銀行には独立性がありましたが、総裁ルドルフ・ハーフェンシュタインはいくら貨幣を発行してもインフレにはならないという誤った考え方だったため、方針転換が遅れました。最終的にハイパーインフレが鎮まったのは政府が断固とした意志を示したからでした。
貨幣の発行は行き過ぎるとインフレに、少なすぎるとデフレになり、適度なら物価安定をもたらします。歴史が教えるのはこの当たり前の教訓です。
[日経新聞6月22日朝刊P.26]
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(6) デフレ不況を克服した高橋財政
早稲田大学教授 若田部昌澄
最近のヘリコプターマネー論議がデフレ不況からの脱出という文脈で語られることから、最も興味深いのは戦前の高橋財政の評価です。1931年に4度目の蔵相に就任した高橋是清は、金本位制から離脱して政策の自律性を取り戻すと同時に、日銀が国債を直接引き受ける金融緩和策と財政拡張策を実施しました。
この高橋財政によって日本は大恐慌からいち早く離脱できたとして、大恐慌研究の権威、C・キンドルバーガーやB・バーナンキが高く評価し、A・ターナーもヘリマネの成功例とみなしています。
高橋財政には毀誉褒貶(ほうへん)が伴うのも事実です。政府の財政支出増加のかなりの部分が軍事費だったこと、36年の二・二六事件で高橋蔵相が暗殺された後、インフレ率が上昇し戦後には高インフレに至ったこと、42年制定の日本銀行法のもとで日銀が従属的な位置に置かれたことなどへの批判があります。
しかし、財政支出が増えたのは33年くらいまでで、その後、高橋蔵相の暗殺までは増えていません。重要なのは政府支出が増えることで、それが軍事費だったことを批判するのは公平ではありません。さらに、日銀は国債の直接引き受けを行いましたが、その一方で適宜国債を売却し、貨幣の量を適切に管理しました。
敗戦後に高進したインフレの責任を高橋蔵相に問うのも筋が通りません。戦争中、軍部は軍票を発行して事実上の貨幣として流通させていました。かつて小宮隆太郎東大名誉教授が「国家権力を掌握した軍国主義は、日銀引き受けによる国債発行の前例があろうがなかろうが、自分たちの望む軍事費を調達したであろう」と述べたのは正しい評価といえます。
高橋財政は重要な教訓を教えてくれます。第一に、ヘリマネは大恐慌のような大デフレ不況も克服できるほど有効な政策です。第二に、当然ながら貨幣の発行量が行き過ぎるとインフレをもたらしてしまいます。第三に、結局のところヘリマネは統合政府の政策ですから、政策運営のカギは中央銀行の独立性よりも統合政府の規律付け、ガバナンスがうまくいくかどうかにかかっています。
[日経新聞6月23日朝刊P.19]
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(7) 統合政府の規律付けが課題
早稲田大学教授 若田部昌澄
ヘリコプターマネーには批判や懸念もあります。第一に、金融緩和政策に否定的な論者がヘリマネの有効性に疑問を投げかけています。インド準備銀行のR・ラジャン総裁は中央銀行が「貨幣を窓から投げ捨てる」ような政策を採ると、かえって人々は貨幣を退蔵して支出しないのではないかと否定的です。しかし、貨幣を家計に渡しても支出がまったく増えないとは考えにくいでしょう。
第二に、法律上の問題を指摘する意見があります。日本は財政法の第5条で、日銀による国債の直接引き受けを原則として禁止しています。ただ、財政法第5条にはただし書きがあり、「国会の議決」がある場合は可能としています。毎年このただし書きに基づき、日銀の保有国債が満期を迎えると、「日銀乗り換え」として新発国債を直接引き受けています。2016年度は8兆円の予定です。したがって法律上の障害はないと考えられます。
第三に、中央銀行の独立性を損なうと懸念する声もあります。歴史的に見て、ヘリマネはデフレへの特効薬ですが、処方量が多すぎるとインフレが進みすぎます。政治家はこの便利な道具を何度も使う誘惑にかられるかもしれません。政策の主体は結局のところ政府であり、中央銀行の独立性もまた政府の理解がなければ成立しません。デフレやインフレ、ハイパーインフレの鎮圧に必要なのは統合政府の意志と決断です。
ヘリマネの成否は統合政府の規律付けとガバナンス次第です。ガバナンスについては、インフレ期には中央銀行の独立性が強まり、デフレ期には独立性が弱まる仕組みを提案する研究者もいます。A・ターナーは政府から独立した機関がヘリマネを実行する構想を明らかにしています。またB・バーナンキは、中央銀行に財務省の口座を設けて、そこに中央銀行が金額を決めて振り込み、使い道は議会が決めるという案を披露しています。
現時点ではインフレ目標があります。改善は必要ですがインフレを抑制する点ではうまくいっています。統合政府の規律付けとガバナンスは、インフレ目標を軸に確保するのが妥当なところでしょう。
[日経新聞6月24日朝刊P.29]
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(8) ベーシック・インカムと親和性
早稲田大学教授 若田部昌澄
20XX年。人工知能(AI)の発達でロボットが大部分の仕事を担い、人間はもはや生活のための仕事はしていません。人々の生活を支えるため、政府は全国民にベーシック・インカム(毎月一定額の生活費を支給)を提供しています。
持続的に生産性が向上する世界で潜在成長率は高く維持されています。けれども需要は作り出さなければなりません。中央銀行は潜在成長率の上昇に足りない分の需要を作るためにも、ベーシック・インカムで個人にマネーを配ります。ただ、現金は存在せず、一人一人に割り当てられた電子マネーアカウントに一定額が振り込まれます。
荒唐無稽に聞こえるでしょうか? 債券王と呼ばれたビル・グロスは今年5月のリポートで似たような未来予想をしています。
AIの台頭も少し前までは絵空事でした。しかし、今や自動運転車も現実的な課題です。ベーシック・インカムも現実味を帯びてきました。6月5日のスイスの国民投票では否決されましたが、急速な技術革新と雇用喪失への不安は、ベーシック・インカムをますます現実的な選択肢にするでしょう。将来、中央銀行が家計に直接マネーを配る形のヘリコプターマネーが実現しないとは限りません。
もっとも、中央銀行が金融を緩和し、政府が支出を恒久的に増やすのもヘリマネです。B・バーナンキはブログで、現在の米国経済はデフレの危険は遠ざかっており、ヘリマネは現実的政策としては考えにくいと述べています。しかし、デフレ懸念を抱える国やデフレからの脱却に苦しむ国では真剣な検討に値します。日本ではアベノミクスにもかかわらず、消費者物価指数は2カ月連続でマイナスに転じ、消費増税以降、消費低迷が続いています。
中央銀行が家計に直接貨幣を配りはしないにせよ、インフレ目標のもとで中央銀行が国債を買い入れ、それを財源として政府が財政支出を拡大する政策は現実に可能であり、実行されていると見ることもできます。その意味でヘリマネはすでに離陸の準備ができているともいえるのです。
[日経新聞6月27日朝刊P.16]
そして、これまでも何度か投稿して“不評”・“不興”を買ってきたが懲りずに書くと、明恵夫人に限らず安倍晋三氏自身が、半分くらい(本音の部分)は「アベ政治を許さない」と考えている。
安倍首相夫人の「アベ政治を許さない」とのコラボは、そうは決して解釈されないだろうが、安倍晋三氏の“代役”や“代弁”でもある。
安倍首相は、今でも脱原発依存であり(米国支配層の意向と使用済み核燃料など高濃度放射性物質の最終処分問題でズルズル)、辺野古に限らず新たな米軍基地を作らせたくなく(そうは言えないから普天間停止先行をめざし翁長知事と“共闘”で先延ばし)、米国の国際政策に引きずられ自衛隊を派兵したくもない(歴代法制局長官を動員してまで新安保法制への反対運動に助力)と考えている。
鳩山由紀夫氏や小沢一郎氏のように日米関係の問題をストレートに口にすることで、親米勢力によって政治生命を絶たれたり弱体化されたりすることを避けるため、従米(親米)の姿勢に徹しているのが安倍首相である。
まさに今なお被占領状態にある日本で、「面従腹背」の政治を行っている(行わざるを得ないと思っている)のが安倍政権でなのある。
安倍首相のためにも、「アベ政治を許さない」声をさらに大きくし、原発もそう遠くない時期に廃絶し、米軍には一人でも多く日本から出て行ってもらい基地も減らし、米国の軍事活動に日本は参加できない雰囲気を醸成していく必要がある。
※関連参照投稿
「日米の新防衛指針、反対47・9% 共同通信世論調査 賛成上回る:反対の声拡大が重要だが、安倍首相も真意は“反対”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo184/msg/227.html
「翁長さん、安倍さん、猿芝居をぎりぎりまで続けてください」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/401.html
「日米首脳会談で「沖縄県知事は辺野古移転に反対」と「普天間基地の5年以内の運用停止」の二つを明確に語った安倍首相に“敬意”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo184/msg/146.html
「名護市長“計画断念を” 防衛相“変更せず”:日米安保破棄が多数派にならない限りこのような芝居で時間を稼ぐしかない日本」
http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/550.html
「左派(共産党・社民党)と親米派が共有する「戦術的護憲論」:共産党・社民党も安倍政権と同類:米国改憲要求説は捏造か錯覚」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/714.html
「首相「占領時代の仕組み変える」 改憲へ意欲:志は良だが、従米政治家たちに米国支配層が厭う改憲をやれるはずもなく」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/653.html
「「護憲」で本当に勝てるのか:現憲法の核心部分を変える「改憲」はできない(しない)と理解している安倍首相」
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/568.html
「天木氏の“浅読み”:「愛国保守」こそ仮面、13年暮れ靖国参拝も日中合意で実施、今でも“媚中”の安倍政権」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/676.html
「[衆議院解散劇の裏を読む]米国も絡む日中関係に規定され動いてきた日本の12年後半政局」(http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/769.html)
「安倍首相の“右翼愛国的言動”は、朝鮮半島統一を支えるため、韓国がスムーズに中国にすり寄っていけるにする猿芝居」
http://www.asyura2.com/14/asia15/msg/802.html
「脱原発派の安倍首相が脱原発を宣言できないワケ:細川氏への期待は安倍首相の“脱原発依存”意識サポート」
http://www.asyura2.com/14/senkyo161/msg/191.html
「首相「簡単に原発やめると言えない」:内実は菅政権と基本的に同じ政策:原発依存度を可能な限り低減:新設増設もしない」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/141.html
「脱原発依存派の安倍首相が脱原発を政策化できないワケの一つは宗主国米国の原発継続要求」
http://www.asyura2.com/14/senkyo168/msg/616.html
「原発の安全、立場の違い浮き彫り 高浜再稼働差し止め:司法を使って脱原発の動きを見せた安倍政権」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/249.html
「whbtT2sQqQさんへ:“戦後レジーム”と「対米従属」」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/221.html
「津川さん、あなたが嫌いな左翼以上に日本を貶める考えを表明したのが8月の「安倍首相70年談話」」
http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/781.html
東京都知事選(14日告示―31日投開票)に出馬表明した自民党の小池百合子氏は5日、自民党都連会長の石原伸晃氏と党本部で約20分間会談した。会談後、石原氏は小池氏から推薦願を受け取ったとしたうえで「しっかり組織のルールにのっとり扱いを検討したい」と述べた。推薦するかどうかの判断は「参院選の後になる」と語った。前回の都知事選に反原発を掲げて出馬した細川護熙元首相と、細川氏を支持した小泉純一郎元首相は記者会見し、今回はかかわらないとの考えを示した。
自民党都議団は増田寛也元総務相の擁立を目指しており、一本化への調整が進むかが焦点。小池氏は推薦を得られなくても出馬する姿勢を崩していない。
2005年の郵政選挙で、民営化反対組への「刺客」として東京の選挙区にくら替えした経緯のある小池氏について小泉氏は「選挙には一切、かかわらない。相談もないし、会っていないのでわからない」と述べた。同時に「度胸があるなと思っている。やるからにはしっかりやってほしい」とエールを送った。
自らが立ち上げた日本新党で小池氏が結党メンバーだった縁のある細川氏も「選挙にはかかわらないが、なかなかいい政治勘をしている」と評した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK05H48_V00C16A7000000/?dg=1
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小泉元首相、「小池氏は度胸ある」 都知事選出馬意向に[日経新聞]
2016/7/5 20:25
小泉純一郎元首相と細川護熙元首相は5日、都内でそろって記者会見した。東京都知事選に出馬するとの見方が一部に出ていることについて小泉氏は「選挙には一切関わらない」と否定した。
小泉内閣で環境相を務めた小池百合子元防衛相が出馬に意欲を見せていることについて「小池さんから相談も話もない」としつつ「自民が推薦しなくても立候補するという。愛嬌(あいきょう)だけでなく度胸もある。精いっぱい頑張ってほしい」とエールを送った。
細川氏も「(小池氏の)あのタイミングでの出馬には、いい勝負の勘をしているなと感じた」と評した。ただ前回の出馬の経緯を踏まえ、細川氏も「選挙に関わるつもりはない。距離を置いて眺めていたい」と語った。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE05H02_V00C16A7PP8000/?n_cid=SPTMG002
欧州連合(EU)離脱を巡る英国の国民投票の後、しばらく非常に暗い気持ちになっていたが、遅まきながらこの「映画」は前にも見たことがあると気づいた。結末は知っている。英国がEUを離脱することはない。
EUの歴史の中で、このような国民投票の結果は目新しくもない。デンマークは1992年、(EU創設を定めた)マーストリヒト条約を国民投票で否決した。アイルランドも2001年、08年にマーストリヒト条約など基本条約の修正条約を否決している。
それでもEUは前進を続けた。デンマークとアイルランドはEUから譲歩を引き出し、2度目の国民投票で条約を可決した。今回も離脱が最終的な結末とは限らない。確かにこれまでと違い、英国は離脱を選んだ。キャメロン首相は辞意を表明し、英国から選ばれたヒル欧州委員は辞任した。
しかし、英国が2度目の国民投票に向かうかもしれない兆しは既に表れている。有力な次期首相候補と目される離脱派のジョンソン前ロンドン市長は2月、本音を漏らしている。「改革を勝ち取るためには、離脱に投票するしかない。『NO』を示さなければEUは耳を傾けてくれないことは歴史が示している」
ジョンソン氏はデンマークが国民投票をした当時のブリュッセル駐在記者で、やり直し国民投票の歴史に詳しい。がちがちの離脱派でもない。一番の目的は首相の座に就くことで、離脱運動は手段にすぎない。政権さえ取ればEU政策を転換することはあり得る。
ほかのEU諸国がこの芝居に付き合ってくれる可能性は十分ある。ドイツのショイブレ財務相は英国の「準加盟国化」に言及したが、実は英国は既に準加盟国といってもよい。単一通貨ユーロを用いず、パスポートなしに移動できるシェンゲン条約にも非加盟だ。単一市場に残った上で、EUの中核からさらに距離をおくやり方は既存モデルの延長ともいえる。
国民投票やり直しのために必要なのは、移民が一定数以上、英国に流入したときに発動できる、人の移動の自由を制限する非常ブレーキ条項だ。振り返れば今年初め、キャメロン氏がこの要求をしたときにEU側が拒否したのが大きな誤りだった。交渉の失敗で離脱派を勝利させてしまった。
それでも48%は残留を支持し意見は拮抗した。もし移民問題に道筋を付けて2度目の国民投票を実現すれば、残留派が勝つのはそう難しくない。
欧州側が譲歩すると考えられるのは、英国はやはりEUにとり価値ある加盟国だからだ。予算への貢献度は高く、軍事・外交力もある。英国にとって欧州市場を失うのが痛いように、欧州も300万人超のEU市民が働く英国の労働市場を失いたくない。非常ブレーキは将来、一定の移民制限になるかもしれないが、完全な離脱よりましだ。
英国の強硬な離脱派は裏切りだと叫び、欧州議会の中央集権主義者も抵抗するだろう。しかし、そんな極端な人々に筋書きを任せることはない。英・欧州大陸双方の中道派は英国をEUの中にとどめるために話をまとめることができるはずだ。ドラマチックな映画のような国民投票だが、結末が描かれるのはこれからだ。
[日経新聞6月29日朝刊P.7]
日本経済新聞社は10日投開票の参院選を前に世論調査を実施し、取材情報を加味して終盤情勢を探った。自民党は序盤の勢いを維持して50議席台後半に届き、非改選と合わせて単独過半数となる57議席をうかがう。与党で改選過半数の61を上回り70議席程度の状況。安倍政権下での憲法改正に前向きな「改憲勢力」は非改選と合わせ国会発議に必要な3分の2に迫る情勢だ。民進党は巻き返しに苦戦している。
調査は3〜5日に日経リサーチが電話で実施した。公示直後の6月22〜23日の序盤情勢に続き2回目。
序盤情勢の調査後、英国が欧州連合(EU)離脱を決めて円高・株安に振れ、バングラデシュでは日本人7人が死亡する襲撃事件が発生。選挙戦への影響が注目されたが、自民党が選挙区、比例代表ともに優位な状況に変わりはない。
改憲の発議は参院では定数(242)の3分の2の162議席が必要。自公と、改憲に前向きなおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の非改選は合計で84。今回の4党の獲得見込み議席を合わせると3分の2に必要な78に迫る情勢だ。日本経済新聞の取材では非改選の無所属のうち、井上義行、松沢成文、渡辺美知太郎の各氏ら3〜4人は改憲に賛成で、これを加えると3分の2を超える。
自民党は、選挙戦を左右する32の1人区(改選定数1)の7割、20以上の選挙区で優位に戦いを進める。民進、共産、社民、生活の野党4党は全1人区で統一候補をたてたが、効果は限定的だ。
序盤に野党がリードしていた1人区のうち、三重、大分では自民党候補が逆転した。秋田、岐阜、岡山では野党候補をさらに引き離した。
自民党は、改選定数2〜6の複数区は2人擁立した北海道、千葉、東京でいずれも1人が先行し、2議席目を狙う。比例代表は2013年の前回参院選の18に達する可能性があり、27年ぶりの単独過半数が視野に入る。公明党は改選9から大幅に上乗せし、新進党分裂から再結成後、過去最多だった01年の13議席を上回る可能性が出ている。
野党は1人区で全国的に押されている。複数区では、野党同士が当落線上で争う構図が目立つ。定数4の神奈川では自公がともに先行し、民進党の2人と共産党、与党系無所属の4人で残り2を争う。大阪、兵庫も自民党が引き離す一方、民進党、共産党は公明党やおおさか維新と競う。
民進党は、民主党として戦った前回の17は上回るが、改選45の3分の2程度に減らす状況だ。共産党は改選3から大幅に増え、現行の選挙制度になった01年以降で最多だった前回の8を上回る可能性がある。
おおさか維新は、地盤の関西の選挙区で強みを見せる。大阪で2議席をうかがい、兵庫でも議席を争う。社民党は比例代表で1議席を得る可能性があり、生活の党、こころ、新党改革は議席獲得を目指す。
調査は全国の有権者5万9516人を対象に、3万3312人から回答を得た。回答率は56%。有権者のうち選挙区で3割、比例代表で2割が投票先を決めておらず、流動的な要素もある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE05H05_V00C16A7MM8000/?dg=1
英保守党党首選、レッドソム氏追い上げ 1回目投票開始[日経新聞]
2016/7/5 20:44
【ロンドン=小滝麻理子】辞意を表明したキャメロン英首相の後継を決める与党保守党の党首選の1回目の投票が5日、始まった。5日夜(日本時間6日朝)に結果が判明する。国民投票で残留の立場だったメイ内相が幅広い支持を受けリードするが、ジョンソン前ロンドン市長が支援する離脱派のレッドソム・エネルギー担当閣外相が追い上げている。
女性候補2人の対決の構図が強まってきた党首選には、5人が立候補している。まず5日に保守党下院議員による投票を行い、最も得票が少ない候補が脱落。12日までに最終候補を2人に絞り、9月に全国の党員約15万人の投票で勝者を決める。
離脱派では、ゴーブ氏がこれまで支持してきたジョンソン氏とたもとを分かち自ら立候補したことへの反発から失速。ジョンソン氏が4日支持を表明したレッドソム氏に票が集まる可能性がある。もっとも、党全体では問題発言の多いジョンソン氏に対する反感も強く、同氏のお墨付きがもろ刃の剣となる可能性もある。
一方、国防相など多くの閣僚が後押しするメイ氏は依然他候補を大差でリードしている。メイ氏は残留の立場だったが、移民抑制への強硬姿勢から党内融和も図れると期待される。同氏は国民投票の結果を受け止め、離脱交渉は来年以降にすべきだと訴える。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H5N_V00C16A7FF2000/?dg=1
裁判所の令状なしで全地球測位システム(GPS)を使った捜査の違法性が問われた窃盗事件の控訴審判決が29日、名古屋高裁であった。村山浩昭裁判長は一審に続き、GPS捜査を「違法」と判断。その上で窃盗罪などで懲役6年とした一審判決を支持し、愛知県小牧市の被告の男(44)側の控訴を棄却した。
被告の弁護人によると高裁でGPS捜査の違法性を認めたのは初めてという。これまでGPS捜査を巡っては、一審で大阪、名古屋地裁が違法と判断。3月の大阪高裁判決は「重大な違法とまではいえない」としており、司法判断が分かれた。
この日の判決は愛知県警が2013年6月から約3カ月間、被告が使用する車にGPS端末を取り付けるなどし、行動確認したと認定。計約1600回、GPSで位置情報を検索したことなどは強制捜査に当たるとの判断を示し、「プライバシー侵害の危険性が現実化したものであり、令状の発付を受けなかったGPS捜査は違法」とした。
その上で証拠排除すべきかどうかを検討。▽捜査目的は正当で、GPS捜査も必要だった▽警察官は、警察庁が任意捜査として規定していたGPS捜査の運用要領を念頭に置いていた――などの点を指摘。「証拠収集に重大な違法があるとはいえない」とし、証拠能力を認めた。
判決はGPS捜査全般について「過度の情報収集やGPSの位置検索精度の高度化などで、プライバシー侵害の危険性も一層高まる」と指摘。「新たな立法的措置も検討されるべきだ」と言及した。
昨年12月の一審・名古屋地裁判決は同様に「プライバシー侵害の恐れがあり違法」と判断。「捜査の目的自体は正当だった」として捜査で得た証拠を採用した。一、二審判決によると、被告は13〜14年、愛知県のマンションなどに侵入し、現金を盗むなどした。
[日経新聞6月30日朝刊P.39]
欧州議会はロボットを「電子人格」として認め、社会税を課する予定だ。このようなステップは、仕事場で人をロボットに置き換えることで起きる否定的な結果を軽減すると見られている。CNNが報じた。
欧州議会のロボット技術についての報告書のプロジェクトによると、人工知性の広がりつつある可能性と、製造業での自動化そしてロボット化の段階の上昇は、ある法的、論理的問題を生み出し始めている。その問題は、この10年間で深刻な結果を招く可能性がある。
報告書にはまた、将来の製造革命についていくつかのコメントがなされていた。たとえば、ロボットは連邦移民局に登録しなければならず、また、人が職を失ったことへの損害に対する機械の責任について法律によって考慮されている必要がある。また、ロボットの持ち主は特別税を払うか、社会保障システムに金を納付しなければならなくなる。
今年の台風1号「ニパルタック」が日本の南部に近づいている。日本の気象庁が伝えた。
専門家の観測によると台風1号は非常に強く、沖縄県の先島諸島に近づいている。現在、台風はフィリピンの東の海上に位置しているが、木曜日7日にはすでに先島諸島に接近すると見られている。台風の影響で水曜日6日には宮古島と石垣島地方では波の高さが4メートルに達すると見られている。
漁師は台風の接近を危惧して、漁船を陸地と結びつけており、危険な日には海に出ないよう予定している。
普通、その年初めての台風が発生するシーズンは春となっている。1951年から統計が取られている観測史上、7月に台風1号が現れたのは1973年度と1998年度のみだ。
米マサチューセッツ工科大学の学者グループは、どのような伝染病に対しても一週間で開発できる新しいタイプのワクチンを製造した。
研究者らは、エボラ出血熱や豚インフルエンザ、トキソプラズマに対する抗原体を得ることに成功した。その効果は100%だという。このワクチンに関する論文は、雑誌Proceedings of the National Academy of Sciencesの中で発表された。
ワクチンは、RNA(リボ核酸)として知られる遺伝物質の分子の鎖で構成されている。
専門家の説明によれば、このワクチン開発の際用いられたアプローチは、感染症防止ばかりではなく、ガンのような腫瘍を見分け殲滅する働きを助けるワクチン製造のためにも適用できるという事だ。
「史上最大の金買い」が意味するもの
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/461.html
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英国のEU離脱後の金融緩和策を期待し金価格高騰
2016年07月05日 16:17(アップデート 2016年07月05日 16:27)
火曜日、金の価格が、各国の中央銀行が英国のEU離脱決定を受け金融政策を緩和するのではないかとの投資家達の期待を背景に上がっている。取引所でのデータが、それを証明している。
モスクワ時間08時18分の段階で、ニューヨーク商品取引所(Comex)8月の金の先物取引の価格は、6,50ドル(0,49%)値上がりしてトロイオンス当たり1345,7となった。また銀の9月の先物取引では、2,21%値上がりし1オンス=20,02ドルとなった。
英国のEU離脱を背景に、世界各国の中央銀行は、金融政策を緩和する可能性を検討中だ。例えば前の木曜日、イングランド銀行のカーニー総裁は「EUからの離脱選択の影響に対処するため、金融政策を緩和する可能性がある」と述べた。なお火曜日、カーニー総裁は、経済支援のために利用され得る金融政策の手段について述べることになっている。
「日本、イスラム教徒への監視は「合法」:公安組織の“非公然活動”として放置すればいいのに合法のお墨付きを与えた愚かな最高裁」
http://www.asyura2.com/16/senkyo208/msg/678.html
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日本はイスラム恐怖症にかかっている?
オピニオン
2016年07月05日 09:25(アップデート 2016年07月05日 22:38)
リュドミラ サーキャン
日本の最高裁が国内に住むイスラム教徒に対するスパイ活動を容認した。アルジャジーラが報じた。イスラム教徒たちは信教の自由の侵害であるとして違憲を訴えている。
日本にいるムスリムへの当局の監視については、2010年の警察情報の大量漏洩で知られるようになった。そこには彼らの通うモスクや、名前、住所、風貌、交友関係など、あらゆる個人情報が含まれていた。情報共有サイトには数週間で20カ国から1000万人以上のユーザーのダウンロードがあった。宮坂直史防衛大学教授は、これは日本の対テロ史上最大の失敗である。警察と情報提供者との間の信頼と協力を通じて潜在的な脅威に関する情報を収集する治安機関の評判が傷ついたためだ。
その後まもなく、日本のイスラム教徒のグループが(中には日本人もいた)、東京都と政府を提訴した。このような措置は違法であり、信教の自由を侵害するものである、とのことだった。アルジャジーラによると、裁判所は、補償として原告に88万ドルを支払うことを命じた。しかし裁判所は、テロ防止の必要性を考慮し、監視の停止については決定を取らなかった。モハメッド・フジタさんは日本人。20年以上前にイスラム教に改宗した。氏は、これではすべてのイスラム教徒が自動的にテロの容疑者になってしまう、と言う。 「彼らは私たちをテロ容疑者にしてしまった。我々は違法なことなど何もやっていない」とフジタ氏。
日本の裁判所の判決に対し、スプートニクの取材に応じたイスラム研究センター・マルジャニ基金のイルシャト・サエトフ学術代表が見解を示した。
「私は、このやりかたは人権を侵害している、と思う。連帯責任の原則が特定の人種、国籍、社会集団や宗派に課されてはならない。イスラム教徒の99.9%は平和な人々であり、誰にも害を及ぼさない。一方、治安機関と警察は、犯罪やテロリストとの関連を疑われている人を追跡する必要がある。裁判で、原告の弁護士は、日本のイスラム教徒人口の98%以上が監視下にあった、と述べた。しかし、私は日本ですべてのイスラム教徒が追跡されていたとは思わない。おそらく追跡は特定の個人に対して行われており、インターネットに流出した114件の警察ファイルから判断すると、おそらくその人々こそ最も強い疑いがかけられていた。この人々にはもしかしたらインターポールや外国の特務機関も追跡を行っていたかもしれない。しかし、日本の当局がイスラム教徒へのスパイ行為を容認する最高裁判決に関する情報を「ミュート」するために最善を尽くしたことは注目に値する。どうやら彼ら自身、特定の宗教グループを追跡することは正しいことではない、ということを理解しているらしい。ここには矛盾が見られる。一方で、裁判所は、原告に有利な判決を下し、補償を与えている。一方で、監視は必要であると認定された。私は追跡の性質についてはデータを持っていないが、おそらく、最高裁は国家安全保障の観点から問題を検討しており、下級裁判所は単に法律の条文に従ったのだろう」
元NSA職員エドワード・スノーデン氏も意見を述べている。 「まず第一に、何の犯罪にも関わっていないイスラム教徒が苦しむ。日本でテロが最後に行なわれたのは20年前の 「オウム真理教」事件で、東京地下鉄へのガス散布により13人が死亡、6000人以上が負傷した。それはイスラム教徒のグループではなかった。単に教祖を日本の皇帝にしようとした狂信者の犯行に過ぎなかった」とスノーデン氏。イスラム・トゥデイが報じた。
日本の国外では、日本人はしばしばイスラム過激派のテロの犠牲者になっている。7月1日に発生したダッカの人実事件では、報道によると、日本人7人を含め、20人が殺害された。
トルコのチャヴシオール外相が、同国の空軍基地をロシアが使用することを認める可能性を示唆し、その後、それを否定したというマスコミ報道について、専門家たちは、トルコの軍事基地インジルリクをロシアが使用できるというのが本当であれば、それはものすごくいいことだとの見方を示した。
チャヴシオール外相は、4日にロシアのソチで行われたロシアのラヴロフ外相との会談を総括し、次のように語った-
「『ダーイシュ』と戦うためにトルコはあらゆる国と協力する用意がある。皆さんもご存知のように、インジルリク空軍基地は、我々全員の敵である『ダーイシュ』との積極的な戦いに参加する意向を持つ国々に開かれている。(ロシアの)セルゲイ・ラヴロフ外相が言及したように、我々はこの問題について合意に達した。」
ロシアのマスコミは外相のこの発言を、トルコのインジルリク空軍基地をロシアの航空宇宙軍が使用できる可能性があるということだと解釈した。しかしその後、チャヴシオール外相の説明として、次のような発言が報じられた‐
「我々は、『ダーイシュ』との戦いでロシアと協力することができるが、私はロシア機のインジルリク基地の使用については何も話していない。トルコのメディアはこれを正しく理解せず、それがロシアのメディアにも影響した。」
バングラデシュで武装グループが飲食店を襲撃し、人質を取って立てこもり、22人が死亡した事件で、人質になった女性がNHKの取材に応じ、外国人などが間近で殺されたときの様子をはじめ、解放されるまでの恐怖の10時間について語りました。
取材に応じたのは、当時、家族4人で店を訪れていたシャルミナ・パルビーンさん(32)です。
シャルミナさんは13歳の娘の誕生日を祝おうと夫と息子とともに店に入り、メニューを見ていたときに、武装した男たちが店内に押し入りました。男たちはシャルミナさんたちに「バングラデシュ人か。イスラム教徒か」と尋ね、「バングラデシュ人でイスラム教徒なら心配するな。傷つけない」と話したということです。
男たちの指示どおりテーブルに伏せていましたが、近くで外国人が「助けてくれ」と叫ぶなか、男たちは銃や刃物で次々に殺害していったということです。男たちが押し入ってから30分ほどで外国人の人質は殺されたということで、男たちは最初から外国人や異教徒を標的にし、当局と交渉する意図はなかったことがうかがえます。
シャルミナさんの夫や店員の男性たちはガラスドアの近くに立たされたりしたということで、武装グループが治安部隊の突入に備えて人質を盾として利用しようとしていたと感じたということです。シャルミナさんは、夫が武装グループに呼ばれ、姿が消えるたびに無事に戻るよう祈っていました。
シャルミナさんや娘はずっと涙が止まらず、自分たちも殺されるかもしれないと恐怖におびえていたということです。シャルミナさんたちは、およそ10時後に解放されましたが、今も夜中にうなされるなど恐怖心が消えないといいます。
日本人7人を含む22人が犠牲になったことについて、シャルミナさんは「あのとき運命が尽きてしまった人たちのことを思うと本当に悲しい」と話していました。
射殺した容疑者の人数を訂正
バングラデシュ内務省は、治安部隊などが突入したときに射殺された容疑者は、これまで6人としていましたが、カーン内相は5日夜、5人に訂正しました。
容疑者とされていた残る1人について、カーン内相は身元を明らかにしませんでしたが、地元メディアは、店の料理人の男性で、治安部隊などによって武装グループの一員と間違われ、撃たれたのではないかと伝えています。
地元警察は、事件現場で容疑者1人を拘束したほか、実行犯を支援していたとみられる1人を拘束して調べを進めています。
カーン内相は、また、容疑者の中に裕福な環境で育った若者が含まれていることについて、国内の過激派組織が教育を受けた若者を勧誘していると指摘し、若者が過激な思想に染まらないよう社会全体で取り組む必要があると強調しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160706/k10010584821000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
バングラデシュで起きた武装グループによる襲撃事件で、警察が日本人7人の遺体を司法解剖した結果、亡くなった人の一部は刃物や銃による傷で死亡したとみられることが捜査関係者への取材で分かりました。警察は今後、けがをして現場から救出された男性からも話を聴くなどして、当時の詳しい状況を調べることにしています。
バングラデシュの首都ダッカで今月1日に武装グループが飲食店を襲撃し、人質を取って立てこもった事件では、日本人の男女7人を含む22人が死亡しました。
日本人7人の遺体は5日、政府専用機で帰国し、警察は刑法の国外犯の規定を適用し、神奈川県内の6か所の病院で殺人の疑いで司法解剖を行い、7人が死亡するに至った経緯や原因を調べました。
その結果、亡くなった人の一部は刃物で切られたことで大量の血液が失われて死亡したとみられることが捜査関係者への取材で分かりました。また、銃で撃たれて脳に激しい損傷を受けていた人もいたということです。
警察は今後、けがをして現場から救出された渡邊玉興さんからも話を聴いて、当時の詳しい状況を調べるとともに、外交ルートを通じてバングラデシュの捜査機関に協力を求め、事件の解明を進めることにしています。
岐阜県海津市で集団で登校していた小学生の列に乗用車が突っ込み8人がけがをした事件で、殺人未遂などの疑いで逮捕された男の自宅から、児童らへの殺意をほのめかす手書きのメモが見つかっていたことが捜査関係者への取材で分かり、警察が事件の詳しいいきさつを調べています。
先月30日、岐阜県海津市海津町の市道で、集団で登校していた小学生の列に乗用車が後ろから突っ込み8人が軽いけがをしました。
警察は、4日、近くに住む職業不詳の鷲見晴美容疑者(68)が故意に児童らを車ではねて逃げたとして殺人未遂とひき逃げの疑いで逮捕し、5日、岐阜地方検察庁に送りました。
これまでの調べで、車は減速しないまま児童らの列に突っ込んだとみられ、鷲見容疑者の自宅から児童らへの殺意をほのめかす手書きのメモが見つかっていたことが捜査関係者への取材で分かりました。
警察や住民によりますと、現場周辺では以前から、鷲見容疑者が運転していたとみられる車が小学校の登校時間に児童の列に近づいてくるのが目撃されていたということです。
警察は鷲見容疑者の自宅からパソコンなどを押収し、事件の詳しいいきさつを調べています。
福井県にある高浜原子力発電所3号機と4号機の運転停止を命じた仮処分の決定に対し、関西電力が取り消すよう異議を申し立てたことについて、大津地方裁判所は、今月12日に改めて判断を示すことになりました。
福井県にある高浜原発3号機と4号機について、大津地方裁判所はことし3月、「福島の原発事故を踏まえた事故対策や緊急時の対応方法に、危惧すべき点があるのに、関西電力は十分に説明していない」として、稼働中の原発では初めて、運転の停止を命じる仮処分の決定を出しました。
関西電力は、原子炉の運転を止めた一方で、決定の取り消しを求めて大津地裁に異議を申し立て、3月に決定を出したのと同じ裁判長の下で、電力会社と住民側の双方の意見を聞く手続きが行われました。意見を聞く手続きは、ことし5月の1回で終わり、今月12日に、改めて裁判所の判断が示されることになりました。
高浜原発3号機と4号機を巡る仮処分では、大津地裁の同じ裁判長が先月17日、3月の決定の効力を停止するよう求める関西電力の申し立てを退けています。高浜原発3号機と4号機は、仮処分の決定が取り消されないかぎり、再稼働できない状態が続いていて、裁判所の判断が注目されます。
ブレア氏は「すべての過ちについて責任を負う」と述べ、キャメロン首相も、「最も重要なのは将来のために教訓を学ぶことだ」と語ったそうだが、そんな一見もっともらしく聞こえる言葉だけで済むなら、裁判所や刑務所はいらないということになる。
大量破壊兵器がないことを証明できなかったフセイン元大統領が悪いと居直った(「悪魔の証明」であることを知りながら要求した)安倍首相など日本の政治家に比べれると救いはあるが、現在なお続く英国の軍事介入や政治介入を考えれば、国内向け国際向けにきちんと総括ができるまっとうな国=英国と思わせる老獪で狡猾なイベントとみたほうがいいだろう。
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イラク戦争参加「平和的手段尽くさず」 英調査委[日経新聞]
ブレア政権を批判
2016/7/6 23:14
【ロンドン=岐部秀光】英軍による2003年のイラク戦争への参加の判断や戦後の統治過程に問題がなかったかどうかを検証するイラク戦争独立調査委員会が6日、09年の設置から7年にわたる作業をしていた最終報告を公表した。「イラクの武装解除のために平和的な手段を尽くしたとはいえない」と、当時のブレア政権を批判した。
ブレア元首相は6日、参戦の決断は善意にもとづくものだったと強調し、「すべての過ちについて責任を負う」と述べた。キャメロン首相は同日、「最も重要なのは将来のために教訓を学ぶことだ」と語った。
ブレア氏は参戦の際に「フセイン政権は生物化学兵器を45分で使用できる態勢にある」などと説明。米国とともに、国連による明確な承認なしに開戦に突き進んだ。だが、フセイン政権崩壊後、大量破壊兵器は見つからず、「大義なき戦争」として国際世論の批判を受けた。
報告はイラクの脅威について政府が「正当化できないほど確かなものとして説明した」と批判。そのうえで「イラクをめぐる政策が誤った情報と評価のうえで進められたことは明らかだ」と結論づけた。ブレア氏は米国の政策決定に関する自身の影響力を過信していたと分析した。
また「軍事介入の失敗によってイラクの人々が大きな苦痛を味わった」とも指摘した。ただ、軍事介入が合法だったかどうかについては明確な判断を避けた。
ブレア氏から当時のブッシュ米大統領にあてたメモなど、長期間機密扱いとする慣例を破って公開された文書も報告の中に含まれている。02年7月の文書では冒頭に「何があろうとあなたに協力する」と記されている。
ブレア氏は「これ(イラク戦争)はコソボではなくアフガンではなく、湾岸戦争ですらない」と書き、作戦の困難さを訴えた。この文書は送られる前に外相も国防相も目にすることができなかったとされている。
委員会はブレア政権を引き継いだブラウン政権下で設置され、当初は2、3年で報告をまとめる方向だった。政権交代で中断があったほか、機密文書の取り扱いで委員会と政府の溝が埋まらず、調査が長期化した。
ブラウン前首相はイラク戦争への参戦経緯を徹底的に分析し公表することで、国内の政治対立を解消しようと考えていた。だが、最終報告の公開は自身の任期をはるかに超えて遅れ、いまも中東への関与をめぐっては世論が二分されている。
ロンドンでは6日、市民団体らによる大規模な反戦デモが開かれた。デモ参加者はブレア氏の法的責任を追及する声をあげた。戦死した兵士の遺族の一部も参加した。英国の現在の政治不信の遠因にもなっているイラク問題は、幕引きとはほど遠いのが現実だ。
欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国は外交や安全保障政策のあり方を改めて問われている。「国内問題を優先すべきだ」という主張の一方、孤立への懸念もあり、国際問題への介入をめぐって世論は揺れている。
キャメロン氏は6日、「すべての軍事介入が間違っているわけではない」と指摘し、国際紛争の解決などで軍事オプションを排除しない立場を強調した。しかし、当時、国際社会で介入主義の旗を振ったブレア氏の失敗を報告が辛辣に批判したことは、英国の今後の対外政策に影響する可能性もある。
▼イラク戦争独立調査委員会 2003年に英国が米国とともにイラク戦争への参加を決めた判断やその後の政策に問題がなかったかを検証するため、09年に設置された英国の専門家組織。委員長である内務省元高官のチルコット氏の名から通称「チルコット委員会」と呼ばれる。元外交官や学者ら5人で構成した。
調査対象となったのは米同時テロが発生した01年から09年までの期間。参戦を決めたブレア元首相のほか、閣僚、軍の幹部、さらには死亡した兵士の遺族らにも聞き取り調査した。6日に公開した報告は260万語の分量がある。全文がウェブサイトで公開された。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM06H7G_W6A700C1FF2000/?dg=1&nf=1
英国による欧州連合(EU)離脱決定の余波が金融市場を揺らし始めた。イタリアの銀行の経営不安が再燃したのに続き英不動産ファンドの相次ぐ解約停止で混乱が広がり、6日の金融市場で日本円や日米欧の国債へのマネー逃避が鮮明になった。不動産価格下落や信用不安の連鎖が続けば欧州の実体経済にも影響が及びかねない。
「不確実性と重大な経済調整の局面だ」。英中央銀行イングランド銀行のカーニー総裁は5日、英離脱決定の衝撃波が欧州の金融システムに飛び火するリスクに警鐘を鳴らした。
日米欧の長期金利は過去最低の水準に低下し、日本では6日、20年債利回りが初めてマイナスに沈んだ。円相場が6月24日以来の1ドル=100円台前半まで上昇したほか、日経平均株価は一時、前日終値に比べ500円以上値下がりした。
6日の欧州市場でもロンドンのFTSE100指数をはじめドイツ、イタリアの株価も軒並み下落するなど波乱含みだ。
離脱ショックの「第2波」は英不動産市場が震源だ。6日はヘンダーソン・グローバル・インベスターズが英第2位の公募不動産ファンドの解約を停止。停止は5件目で、英不動産ファンド市場の5割強が凍結された計算だ。
金融機関などが英国外に拠点を移せばロンドンの不動産価値が低下しかねず、一部投資家らが解約を求めファンドに殺到しているようだ。
ファンド側はすぐに資産を現金化するのが困難で、解約の一時停止に動いている。異例の取引制限を巡り市場では「2007年8月のBNPパリバによるファンド解約凍結を連想させる」(外資系銀行)との声もある。
くすぶっていたイタリアの不良債権問題もクローズアップされた。欧州中央銀行(ECB)が不良債権の大幅削減を求め、イタリア政府による公的資金注入が不可避だとの見方が浮上している。
英離脱で欧州経済の先行き不透明感が強まり、不良債権処理が遅れる欧州銀行への視線は一段と厳しくなっている。英離脱決定後、イタリアのウニクレディトや英バークレイズ、ドイツ銀行などの銀行株は2割以上値下がりした。
英ファンドの支払い停止などを発端に市場の疑心暗鬼が広がれば、英国だけでなく、欧州市場全体でみて問題の大きい銀行が信用不安に見舞われる可能性が高まる。
英離脱ショックは金融システムの中枢が直撃されたリーマン危機とはやや性質が異なる。米調査会社クレジットサイツのアナリスト、ハースト氏は「不動産業の債務依存度や銀行の与信残高は低く不動産市場から金融システムへ危機が伝染する可能性は低い」とみる。
銀行同士が資金をやり取りするロンドン銀行間取引金利(LIBOR)3カ月物金利は1%を大きく下回っており、4%まで上がった08年9月のリーマン・ショック時のような切迫感はない。
とはいえ、住宅など広範な資産価格下落などに見舞われれば信用の目詰まりは避けられず、金融セクター全体の安定性が揺らぐ恐れもある。
欧州金融当局が沈静化に有効な手を打てなければ「リーマン型の金融システム危機の性格を帯びてくる」(中央銀行関係者)との警戒感もある。
(石川潤、ロンドン=黄田和宏)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF06H1H_W6A700C1MM8000/?dg=1&nf=1
バルセロナのFWリオネル・メッシ(29)が6日、脱税容疑の裁判で禁錮21カ月の有罪判決を受けた。父ホルヘ氏も同じ禁錮21カ月。ただし、スペインの法律では2年以下の禁錮刑は執行猶予が付くため、メッシ親子の収監は避けられる見通し。また裁判所はメッシに約200万ユーロ(約2億2200万円)、父ホルヘ氏に約150万ユーロ(約1億6650万円)を支払うよう命じた。
メッシはホルヘ氏とともに06〜09年に400万ユーロ(約4億4400万円)を超える税金を免れていた疑いで、13年6月にスペイン税務当局から告発され、昨年10月にはスペイン司法当局から禁錮1年10月を求刑されていた。6月にバルセロナの裁判所にメッシ本人が出廷し、関与を否定していた。
最終更新:7月6日(水)20時44分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160706-00000152-spnannex-socc
【ロンドン=小滝麻理子】辞任を表明したキャメロン首相の後継を選ぶ英保守党党首選は、5日に実施した1回目の投票の結果、メイ内相が党内の幅広い支持を受け、トップに躍り出た。2位のレッドソム・エネルギー担当閣外相が追う。保守党は7日の2回目の投票で最終決戦に進む2候補者を絞り込む。英国の次期首相レースは女性2人の対決となる構図が濃厚になってきた。
党首選には5人が立候補した。メイ氏は閣僚など多数の支持を受け、党下院議員329人のうち半数の165票を獲得し、独走する。2位のレッドソム氏は66票。ゴーブ司法相(48票)、クラブ雇用・年金相(34票)、フォックス元国防相(16票)と続く。
このうち最下位のフォックス氏は規定により脱落、クラブ氏も撤退を表明した。両者ともにメイ氏を支持したため、メイ氏が最終決戦に進むのはほぼ確実な情勢だ。最終候補者2人を選ぶ7日の投票はメイ氏とレッドソム氏が軸になるとの見方が強まっている。
EU離脱が持論のレッドソム氏は当初有力視されていなかったが、ここ数日で首相候補に急浮上した。党の実力者だったゴーブ氏はこれまで支持してきたジョンソン前ロンドン市長とたもとを分かち自ら立候補したことから、「裏切り」と反感を買い失速。ジョンソン氏がレッドソム氏を支持したことから、離脱を支持してきた議員の票がレッドソム氏に集まっている構図だ。
レッドソム氏は英銀行出身。南欧の経済低迷や債務危機を目の当たりにし、欧州連合(EU)に懐疑的な姿勢をとり続けてきた。キャンペーン中も、ジョンソン氏と並んでテレビ討論に出演するなど離脱を強く訴えてきた。立候補にあたっては「不透明な状況を長引かせず、EUとの離脱交渉は速やかに始めるべきだ」と強調。離脱後は、中国やインドなど新興国との自由貿易協定交渉や、税制改革を進め、英経済を活性化すると主張する。
アキレスけんは政治経験の乏しさだ。レッドソム氏は2010年に初当選したばかりで、閣僚経験もない。英政府筋からは「EUとの厳しい交渉を乗り切れるとは思えない」との声も漏れる。
さらに、ジョンソン氏によるお墨付きがレッドソム氏の追い風になるかは微妙なところもある。党全体で見れば問題発言の多いジョンソン氏への反感は根強いからだ。
対照的にメイ氏は保守党の“本流”を歩んできた。党内の要職を歴任し、キャメロン政権下で6年にわたり内相を務める。国民投票では残留の立場だったものの、テロ対策や移民抑制では強硬な姿勢で知られており、国民投票時に残留派と離脱派で亀裂が入った党内融和を図れる人物と期待が集まる。
メイ氏はEUとの離脱交渉についても急がず、英国に有利な条件を引き出すまで時間をかけるべきだとの立場だ。メイ氏は「国民が求めているのは離脱派の首相ではない。党や国を一つにできるリーダーは私しかいない」と訴える。
最終決戦にメイ氏とレッドソム氏の両氏が勝ち進んだ場合、故サッチャー氏以来の女性首相の誕生が固まることになる。
もっとも、メイ氏の周辺ではこうした「女性対決」色が強まれば、清新さがあるレッドソム氏に有利になると危惧する声もある。そのためメイ氏の陣営は意図的にゴーブ氏に票を投じることで、ゴーブ氏との対決に持ち込もうとする動きもくすぶる。
3位と出遅れたゴーブ氏は5日夜、「戦い続ける」と話し、撤退しない考えを強調した。ジョンソン氏の支持者の一部には、ゴーブ氏とレッドソム氏のどちらを支持するかなお迷っている向きもあり、7日の投票の行方は不確定要素も残る。
保守党党首選は7日に2人の最終候補者を決定したのち、両者がキャンペーンを本格化。約15万人の党員による最終投票を経て、9月9日までに勝者を決める。新首相はEUとの離脱交渉という重い責務を負う。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM06H69_W6A700C1EA2000/?dg=1&nf=1
世界の見え方や政治的判断について国民を一定方向に誘導する重要な「支配装置」がNHKをはじめとする主要メディアである。
発信される内容を是認しようが否定しようが、否応なくそれなりの影響を与えている。
収入が激減してしまう民放放送局は猛烈な反対運動を展開するだろうが、NHKは、番組制作で影響を受けないようスポット広告だけ受け容れ、その資金レベルで事業を継続すればいい。
教育チャンネルは別として、総合やBSの番組で公共放送に適合していると言えるのは、政見放送がある選挙運動期間中を除けば1割程度で、残りは民放やケーブルTV局と競合するものである。
(オリンピック中継も含め)NHKがそれを放送しないのなら放送する有料チャンネルに加入するというケースが多く考えられるので、NHKは、受信料支払者の幅広い欲求に応えて放送番組を拡大することで民間事業を阻害しているのである。
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テレビなくても受信料? 総務省、NHK巡り議論[日経新聞]
2016/7/7 0:04
総務省がNHKの受信料を見直す議論に乗り出した。番組のインターネット配信が進むなか、テレビの無い世帯にも受信料を負担してもらうことを検討する。テレビを持たない若者が増えるなかで、公共放送を支える仕組みを見直す。ただテレビが無い世帯は新たな負担を求められるため、反発も予想される。
新たな受信料負担のしくみはスマートフォンやタブレット、パソコンなど番組を視聴できるネット端末を持つ世帯を対象に加える案を軸に検討する。NHK番組を見る世帯だけに対象を狭める案や、テレビやネット端末の有無に関係なく全世帯に対象を広げる「税金化案」も浮上している。
総務省が「税金化案」のモデルとするのはドイツ。同国ではテレビやネット端末の有無に関係なく、原則として全ての世帯が公共放送の受信料を払う義務がある。
すでに受信料を納めている世帯の負担は変えない見通しだ。
五輪の一部競技の中継などNHKがネットに配信する番組は誰でも見られるが、費用はテレビを持つ世帯の受信料でまかなっている。総務省はテレビの無い世帯から受信料を受け取れば負担の公平性が高まるとみている。省内の検討会で年内にも議論をまとめ、来年の通常国会に放送法の改正案を出したい考えだ。
ただテレビのある世帯でさえ、受信料を払っているのは2015年度で77%どまり。対象を広げても受信料収入がどれだけ増えるかは不透明だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04542380W6A700C1EE8000/?dg=1&nf=1
日刊ゲンダイは見出しで「小池百合子氏“先出しジャンケン”」と書いているが、確かに自民党のなかではそうかもしれないが、都知事選という枠組みで見れば小池百合子さんも「後出しジャンケン」と言える。
舛添氏が辞めて東京都知事選が行われることが決まったとき、小池百合子さんも虎視眈々とその座を狙っているだろうと考えたが、彼女が手を上げるのは、民進党の蓮舫さんの動き次第だろうと考えた。
小池さんには、参議院東京地方区で大量得票する蓮舫さんと戦って勝てる見通しがないからである。
そう、小池百合子さんも、蓮舫さんが立候補しないことを確認して動いた「後出しジャンケン」派なのでる。
http://www.asyura2.com/16/senkyo208/msg/926.html
【ウランバートル=原島大介】モンゴルの国会にあたる国民大会議(定数76)の総選挙で圧勝した最大野党モンゴル人民党は30日、首相ら閣僚人事に着手した。新政権の課題は経済と財政の再建だ。外貨建て債務が返済不能に陥るリスクがくすぶり、国際通貨基金(IMF)に支援を求めることも視野に入れる。
経済減速で工事がストップしたビルが目立つ(ウランバートル)
「国民の期待の表れだ。重い責任が待っている」。30日未明、次期首相の有力候補である人民党のエンフボルド党首はこう語った。同党は今回選挙の暫定結果で改選前の30から65に議席を一気に増やした。モンゴルにアジアと欧州の首脳が集まる15日開幕のアジア欧州会議(ASEM)までに組閣する見通しだ。
モンゴルは大統領制を採用するが、行政は首相が担う。大統領は首相を指名する権限があるものの、実際は国会が指名した人を追認する形となる。現職のエルベグドルジ大統領は今回の選挙で大敗した民主党出身。人民党の圧勝で現職大統領の影響力が弱まるのは確実。来年に控える大統領選では人民党系の候補者が優位に立つ見込みだ。
もっとも、外交関係者の間では、政権が代わっても、モンゴルの対日関係重視の姿勢は引き続き変わらないとの見方が多い。6月には日本との経済連携協定(EPA)を発効した。
今回の選挙の投票率は約72%。有権者に共通するのは「とにかく景気を良くしてほしい」(38歳の会社経営男性)との思いだ。モンゴルの経済成長率は2015年が2.3%と、11〜13年に2桁だった伸びが大幅に鈍った。きっかけの一つは、12年に施行した外国企業の投資規制法。銅や石炭などの資源を買いあさる中国企業を抑え込むことが当初の狙いだった。
だが結果として日本や欧米の外資企業からも「モンゴルは投資に不向きな国」とみられた。15年の海外からの直接投資は約2億ドル(約206億円)と、11年の20分の1に落ちこんだ。さらに世界的な資源安と中国経済の減速が追い打ちをかけ、経済不振に陥った。
財政の悪化も深刻だ。17〜18年に計21億ドル相当の償還を迎える外貨建て債務について、金融市場では債務不履行(デフォルト)のリスクがささやかれている。これまで人民党はIMFの支援下で財政の健全化をめざす方針を示しており、新政権によるIMFへの支援要請が現実味を帯びる。
経済活性化策では、中国への警戒心がなお強いなか、外資規制法を改正・撤廃できるかどうかが焦点だ。経済の立て直しには、海外からの投資を呼び戻すことが欠かせない。
[日経新聞7月1日朝刊P.7]
人工知能(AI)が私たちの仕事を奪うのかどうか、多くの人が関心を持っているだろう。資本主義の歴史の中で技術の進歩とともに多くの労働者が仕事を失ってきたが、新しい仕事に移る「労働移動」によって失業を解消してきた。だがAIはいずれ、これまでと質・量ともにまったく異なる規模で人の仕事を代替していくだろう。
米グーグルが開発した囲碁AI「アルファ碁」や自動運転技術が注目を浴びているが、これらは「特化型AI」と呼ばれ、実はそれほど多くの仕事は奪わない。本当の脅威は何でもできる「汎用AI」で、2030年ごろに実現するといわれている。普及すると、もはや労働移動で吸収できなくなる。クリエイティビティ、マネジメント、ホスピタリティを伴わない仕事は汎用AIに置き換わり、働けるのは人口の1割という未来が来てもおかしくない。
私は大学でAIを研究し、IT(情報技術)企業に勤めた後、今はマクロ経済学の観点からAIを研究している。「汎用AI」が普及したとき経済はどうなるのだろうか。
日本の潜在成長率はAIによる経済成長への影響を考慮しないと、人口減少などで30年代後半にはゼロ近傍に下がる。一方、汎用AIが普及する前提で数理モデルに基づいてシミュレーションすると60年ごろに5%程度まで上がり、その後はぐんぐん高まる。
その時の世界はこんな様子だ。一部の資本家は汎用AIが働く無人工場で効率的にどんどん商品をつくり出すことができる。ただ多くの人は失業していて商品を買うことができない。つまり潜在成長率は伸びても個人需要が全く追いつかないという状態だ。
これをどう解決するか。1つは生産手段を国有化し、国民に平等に商品を配ることだが、社会主義の歴史を顧みると現実的ではない。となると税を通じて所得を再分配する方法が浮かび上がる。今の制度では生活保護だが、9割の国民を被保護者にするとなると、それは最低生活保障として毎月一定額を国民に配るベーシック・インカム(BI)の考え方に近くなる。
BIは6月上旬にスイスで国民投票され否決されたが、オランダやフィンランドでも議論が進んでいる。今は生存権を巡る議論だが、かつてないほどのスピードで雇用が失われていくなかで、経済循環を維持する観点からもBI導入はいずれ避けて通れない問題となるだろう。
[日経新聞7月1日朝刊P.29]
※関連参照投稿
「“従米政治家”安倍晋三氏自身、「アベ政治を許さない」と“半分ほど”思っている奇妙な政治構造の日本」
http://www.asyura2.com/16/senkyo208/msg/851.html
「イラク戦争参加「平和的手段尽くさず」 英調査委 ブレア政権を批判:反省ができる国家と見せ軍事介入を続ける狡猾な英国」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/497.html
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イラク戦争支持「対米追随外交だった」 山崎拓さん語る[朝日新聞]
聞き手・伊東和貴
2016年7月5日23時40分
日本はなぜ、2003年のイラク戦争を支持したのか。米国からはどんな働きかけがあったのか。当時、自民党幹事長だった山崎拓氏(79)に聞いた。
――03年3月20日、米国はイラクに侵攻しました。日本はなぜ開戦支持に至ったのでしょうか。
在日米国大使館は、日本がイラク戦争に協力するよう前年から動いていました。当時は外交政策に対する自民党の発言権が強かったので、自民党本部に米政府の高官がよくやってきて、イラク戦争についての日米防衛協力を求められました。
03年2月23日、来日したパウエル米国務長官と、公明党の冬柴鉄三、当時の保守新党の二階俊博両幹事長とともに米大使公邸で会いました。
「武力行使を行う時は国連決議が必要だ」と私が言ったところ、パウエル氏に「イラクが大量破壊兵器を保有していることはもはや疑いようもない。新しい国連決議が取れない場合は、(湾岸戦争の武力行使を認めた90年の)国連決議678号、(イラクに無条件・無制限の査察などを求めた)1441号の併用で行く」「イラクの大量破壊兵器は、この地域の最大脅威となる」と説得されました。
それで2月26日、私は小泉首相に「パウエル国務長官は、国連決議あるなしにかかわらずイラク攻撃に踏み切るつもりだ」と報告しました。首相は「日本の支持は(国連監視検証査察委員会がイラクの大量破壊兵器について国連安保理で委員長報告を行う)3月7日以降に決断したい」と話しました。
その後は、米側の通告▽国家安全保障会議▽政府・与党連絡会議▽閣議――の順で合議し、支持を決めることにしました。
――いま振り返って、日本のイラク戦争支持と自衛隊のイラク派遣をどう思いますか。
要するに対米追随外交でした。米国が同盟国である日本に同調を求めてきたことについて、日本は断る術(すべ)がなかったのです。問題なのは、日本の外交は国連中心主義よりも日米同盟堅持の方が優位にあることです。
――オランダや英国は独立調査委員会がイラク戦争を検証しました。日本は外務省が省内の意思決定過程の検証結果4ページを公表しただけです。きちんと検証すべきではないでしょうか。
もちろんです。イスラム国(IS)をつくった「製造責任」は、イラク開戦に賛成した日本にもあります。その意味では、検証は必要です。ただ、日本は人道復興支援という小さな役割を演じたに過ぎなかった。検証しても今後の米国の意思決定に影響を与えない限り意味はないとも思います。
――安全保障関連法の成立で、日本が米国の戦争に後方支援を求められる可能性が高くなったと指摘されています。
たとえば、ISが暴れ、米国がシリアなどに地上軍を派遣することになれば、日本にも支援要請が来るかもしれません。後方支援しますと言っているのですから。安倍晋三首相は「米国の戦争に巻き込まれることは絶対にあり得ない」と国内では言っていますが、米大統領に直接求められたら、「はい」と言わざるを得ない状況をつくりました。
日本は小さな島国だから、今後よほどうまい外交スタンスをとっていかないと、身の置きどころがなくなってくる可能性があります。安全保障はそんなに生やさしいものではない。あと10年ぐらいは対米依存でいいかもしれないが、将来的にはちょっと危ないと思います。(聞き手・伊東和貴)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ6X6HWRJ6XUTIL061.html?rm=476
「小池百合子さんもしたたかな「後出しジャンケン」派」
http://www.asyura2.com/16/senkyo208/msg/926.html
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【都知事選】「議会解散」と「任期3年半」小池百合子氏の公約に二つの矛盾
BuzzFeed Japan 7月7日(木)5時51分配信
自民党の小池百合子・元防衛相が7月6日、都内で会見し、都知事選への立候補を正式に表明した。3つの公約の一つとして、「都民目線の信頼を回復するために、都議会を冒頭解散したいと思います」と述べた。
大きな疑問は、この公約が実現できるのかどうかだ。
首相は、いつでも衆議院を解散できる。しかし、都知事が都議会を解散できるタイミングは、都議会が知事の不信任を議決したときだけ(地方自治法178条)だ。
裏返せば、都議会が不信任議決をしてくれないと、公約を実現できない。小池氏も会見で「冒頭解散は不信任が出ない限りは解散できない」と述べている。
だが、都議会議員の立場からすれば、都民に選ばれたばかりの知事に、不信任決議をつきつけるのは、ハードルが高い。
小池氏は、解散を公約とする理由を、次のように述べた。
「分裂選挙といわれますけれども、分裂は都議会自民党と、都民との間の分裂ではないかと思います」
「民心が離れては都民に寄り添った暖かい政策は遂行されません。都民の声を聞いてみましょう」
小池氏が自分の公約を実現するために、都議会に不信任決議を出すように求めたとして、与党である都議会自民党は、自分たちを批判する小池氏の要望を、素直に受け入れるだろうか。
音喜多駿・都議もすぐにブログで「極めて実現可能性の低いもの」と指摘した上で、こう分析している。
「これは要するに、彼女の師匠の一人である小泉純一郎氏が、『自民党をぶっこわす!!』と言って一世を風靡したことと同じなのではないでしょうか。
彼自身は実際に、自民党を壊したわけではありません。ですが、『自民党を壊すくらいの勢いで』改革を進め、このキャッチフレーズは大きな反響を呼びました。
同様に小池百合子氏も、『議会を解散させるくらいの勢いで』都政の改革、都政の闇に切り込むという意気込みを示した、と見るのが現時点では妥当な分析であると思います」
実現が危ぶまれる小池氏の「公約」はこれだけではない
小池氏は6月29日の記者会見で、このまま行けば4年後の都知事選が、東京オリンピックの開催時期と重なってしまう問題をふまえて、「任期を3年半とすることによって、混乱を避ける方法もある」と、口にした。
どうやるのか。小池氏は記者からの質問に答えて、次のように話した。
「自治体の長の任期が、決められていることはいうまでもございませんが、これは意思として3年半と区切り、それを公にして、実行していく。それによって、混乱を避けるという知恵でございます」
「発想力という点では、私は自信を持っているつもりでございます」
ところが、このアイデアの実現も、一筋縄ではいかない。
まず、知事の任期は、地方自治法で「4年」と決まっているので、知事が勝手に変えることはできない。
そして、任期途中で自ら辞任した知事が、続く出直し選挙で再選された場合、その任期は選挙がなかったのと同じままになるという特例ルール(公職選挙法259条の2)がある。
今回のケースにあてはめると、仮に小池氏が3年半で自ら辞め、都知事選に出て、再選された場合、結局のところオリンピックと任期切れが重なってしまう。
つまり、出直し選挙は、任期をリセットするためには、使えない。
かといって、出直し選挙に小池氏が参加せず、半年前に知事交代、というのも良いアイデアではないだろう。
「発想力に自信がある」小池氏でも、法律的なハードルや自民党との対立を乗り越えて、これらの公約を達成するのは、難しいのではないだろうか。
最終更新:7月7日(木)14時4分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160707-00010000-bfj-soci
◇「アベノミクス」でも「1億総活躍」でもなく……
安倍晋三首相の参院選の遊説を各地で聞いた。聴衆の反応を探ると、必ずウケるポイントがある。アベノミクスでも「1億総活躍」でもない。「野党批判」だ。
6月30日午後1時すぎ、三重県伊勢市の伊勢神宮前。安倍首相が声のトーンを変えた。「皆さん。『気をつけよう、甘い言葉と民進党』ですよ!」
聴衆数百人から笑いと拍手が起きた。得意のこのフレーズは、待機児童問題で民進党の政策を批判する際に出た。反応は、直前の「アベノミクスのギアを2段も3段も上げていく」より格段にいい。
拍手を送った男性会社員(64)に声をかけた。「とてもいい演説だったよ」と笑顔だ。「やっぱり野党には任せられないよね」。アベノミクスの恩恵を尋ねると「それはまあ、これからでしょう」と話した。
29日午後1時、新潟市内の演説でも同様の反応だった。男性会社員(50)は「感動した」と言うが、アベノミクスへの共感や期待は語らない。首相の演説の一部を引き「野党共闘は野合。やっぱり良くない」と言った。
30日午後4時半、三重県四日市市ではこのフレーズを封印した。民進党の岡田克也代表の牙城であることを意識したのか。それでも最後に、民主党政権時代を「暗い停滞した時代」と表現し、「前進か後退かを決める選挙だ」と言った。
「ご当地ネタ」もウケている。29日午後2時半、新潟県村上市内で外国人観光客の増加に関連付け、「温泉に入って地酒を飲み、村上牛を食べる。素晴らしいではありませんか」。70代の女性は「村上のことに触れてくれた。気さくな人だわ」と喜んだ。遊説先に合わせてご当地名産品に変えるだけで、基本パターンは変わらない。
都市部の遊説では野党支持者との「接近遭遇」も起きる。
28日午後4時過ぎ、さいたま市の大宮駅前。丸めた紙をメガホン代わりにした男性が、首相にやじを飛ばしていたが、声援にかき消され内容は聞き取れない。「訴えたいことはこちらでお聞きします」。駆けつけたスタッフ数人が取り囲んで後方へ「誘導」した。
7月3日午後5時半ごろ、東京・渋谷駅前に数千人が集まっていた。「自由民主党は約束したことを必ず実行します」。首相は力を込めたが反応は薄い。多くはスマートフォンで写真を撮るだけだ。
少し離れて、改憲隠しを批判するプラカードを持つ十数人のグループがいたが、誰も足を止めない。別の一団が首相に「帰れ、帰れ」と叫ぶが、その声も広がらなかった。
首相の声も抗議の声も、ハチ公前のスクランブル交差点の騒々しさにかき消されていた。無関心を背景に、野党不信の裏返しとしての消極的支持が政権を押し上げる−−そんな構図が垣間見えた。【川崎桂吾】
最終更新:7月7日(木)14時42分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160707-00010000-bfj-soci&p=2
価値観で相容れないが期待もしたい愛国右派の限界が見え隠れしている内容(とりわけ敗戦国日本の戦後世界での立ち位置認識)だが、批評は、後日改めてということにさせていただく。
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『月刊Hanada』8月完勝号
P.32〜41
「緊急寄稿 「日本会議」批判に大反論:日本会議への誹謗・曲解を正す
田久保 忠衛杏林大学客員教授
問違いだらけの関連書籍
先日、外国人記者クラブのライブラリで調べ物をしていたら、見ず知らずのフランス人記者が話しかけてきた。
「あなたがタクボか」と訊くので「そうだ」と答えると、「今日のThe Japan Timesを見たか。あなたが出ていたぞ」と言われて驚き、すぐにThe Japan Timesを買い求めた。
記事は、朝日新聞政治部の園田耕司さんという記者が書いたもので、内容は日本会議について。記事では私をずいぶんと“高く”評価してくれている。
要約すれば、日本会議は憲法改正を企んでいる連中の集まりである、田久保が日本会議を作ってアイデアを出し、組織を牛耳っているのだ……。
ずいぶんと買い被られたものだ。
むろん、事実は全く違う。私が日本会議の会長になったのは昨年で、それまでは代表委員として事実上、名前をお貸ししていたに過ぎない。
日本会議は、一九九七年に「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」が簡合する形で発足した。「国民会議」には私も講師として入っていたが、そこでもたいしたことはしていなかった。だから、私が影響力を持っているというのは事実無根である。
The Japan Timesの記事はこう続く。
憲法改正について、安倍首相は熟慮して、これまでと違ったトーンになりつつある。ところが、日本会議はいまだに突出した考えを持って行動している。このままでは、日本会議はいずれ二つに分かれるだろう。
一つは安倍首相に忠実なもの、もう一つは憲法改正すべきだと突き進むもの。二つに空中分解して次第に勢いを失っていくのではないか……。しかし、自民党が参議院選で大勝すれば話は別だが、と。
ここ一年前くらいから日本会議が注目され出し、特にこの四月に出た菅野完『日本会議の研究』(扶桑社新書)を皮切りに、関連書籍や記事が続々出ている。
ざっとあげるだけで、上杉聴『日本会議とは何か』(合同出版)、『Journalism』「特集 存在感増す『日本会議』、組織、人脈、行動…右派運動ってなんだろう?」(二〇一六年五月号)、『週刊金曜日』「特集 『戦後憲法』を敵視する保守運動 日本会議」(五月二十七日号)…。
どれもが日本会議を批判する内容で、今後も続々と出版されるようである。
国外でも、昨年六月にイギリスのThe Economistが日本会議について報じた。実はこの時、女性の記者が櫻井よしこさんのところに取材に行き、一時間半くらい話を聞いたという。
櫻井さんは真っ当なことをお話しになったようだが、それは紙面では全く取り上げられなかった。つまり、初めから日本会議を叩くのが目的で、櫻井さんから何か裏付け材料になるものを得ようという魂胆だったのだろう。
これらの記事が読まれて、下敷きとなって各国で新たな記事がどんどん出ている。たとえばオーストラリア、フランス、ドイツの新聞が大同小異の記事を書いている。
日本会議としては、批判されるのは構わない。それが妥当なものであれば、反省すべき点は反省しょうと思っている。ただし読んでみると、あまりにも的外れの批判が多すぎる。放っておくわけにもいかないので、会長として日本会議への誹誘・曲解に答えたい。
新たな批判対象として
そもそもなぜ、日本会議が叩かれるのか。
我々日本会議は、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の参加団体として、一千万人賛同者拡大運動を行っている。七月に実施される参議院選挙後に、憲法改正の国民投票が行われることを目指したもので、時期的に見ても参院選で憲法改正が大きなイシューになると考えていたからスタートしたのである。
ところがここにきて、The Japan Timesも書いているように、安倍首相のトーンが変わってきている。おそらく安倍首相としては、安保法制の際にエネルギーを使いすぎて、いまは大きなことをしたくない。憲法改正への手続きは大変だから、まずは参議院選挙で三分の二を確保することに集中しようという政治的判断をされたのだろう。それは安倍首相の判断だから、こちらからとやかく言うことは控える。
しかし我々は政治家ではないので、直線的に手がけた仕事を最後までやるぞ、と参院選を前にして盛り上がっている。そうなれば憲法改正という点において、当然、我々の存在は突出したものになる。
突出するために運動しているのだから当たり前だが、しかしそれが目障りだと感じる人も出てくる。よし、ここで叩いておこう、というのが日本会議批判派の最大の狙いではないかと思う。
特にThe Economistではそれがよくわかる。書かれていることを箇条書きで抜き出すと
・日本会議は歴史修正主義者を集めている。
・第二次世界大戦で東アジアを解放した、と戦前を賛美している。
・軍隊を再建しょうとしている。
・愛国主義だ。
・「左翼の教師たちが子供たちを洗脳しょうとしている」と騒いでいる。
・戦前の天皇絶対主義を再現しようとしている。
どこかで聞いたことがあるような批判である。
すなわち、この雑誌は時代錯誤的リベラルなのだ。実はいま、アメリカではリベラルは孤立主義と同じような蔑称になりつつあり、リベラルであることを隠すアメリカ人が圧倒的に増えていて、自分たちを「progressive」(進歩的)と自称するようになつている。そういった人たちが、この記事を書いたのだろうか。
彼らはニューヨーク・タイムズ(NYT)を中心に、ずっと安倍首相を叩いてきた。それでも支持率は高いままだ。ナショナリストだと繰り返したが、そうではなかった。アメリカでも評判がいい。G7も安倍首相の独り舞台だった。オバマ大統領も広島に来た……となると、安倍首相を叩くことができなくなってきた。そこで、批判する対象として日本会議が登場するという構図だろう。
改憲の何が悪いのか
そもそも、改憲論看で第九条の二項を変えようという者はいるが、一項を変えようという者はいない。念のため引用すると―。
一、日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
二、前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
読めばわかるように、一項は「侵略戦争をしない」で、これに反対する人はいまい。しかし、二項のままでは自衛隊は軍隊ではない。国外で軍隊ではないと言えばゲリラに襲われるので、国会では「国際的には軍隊とみなされます」と答弁され続けてきた。二項がどれだけ現実とそぐわないかは、見てのとおりだ。
ところが、The Economistは「紛争解決の手段として」武力の威嚇や行使はしないとの第一項を廃止しようとしている、と書いている。
九〇〜九一年にかけて、サダム・フセインがクウェートを占領したのを、ブッシュシニアが多国籍軍を使って追い出した。クウェートはワシントン・ポストの一面を使って感謝広告を出したが、そこに日本の名前はなかった。
他ならぬThe Economistが「重大事に昼寝をしていたのか」と日本を批判し、私は「そのとおり、さすがThe Economistだ」と著書に引用したことがある。しかし、今回の記事では正反対のことを言っている。
これまで日本は憲法九条があるために、経済以外での国外での活動はしてこなかった。そんな状態を改めなければならない。だから日本会議は憲法改正を目標にしているのに、なぜThe Economistがそれを批判するのか。
かつて中国は、憲法改正することで日本は軍国主義に戻ろうとしている、と言っていたが、誰が信じるか。中国でさえこの恥ずかしさに気づいて、十年ほど前から言わなくなっている。それを、The Economistが臆面もなく使っている。
他にも愛国心を子供に強制しようとしているというが、これまで国旗・国歌が軽んじられ、愛国心があまりにもなさ過ぎた。ために、愛国心くらいは教育基本法の精神として入れることを考えて実現したことが悪いのか。イギリスは愛国心を危険視し、国旗・国歌を軽んじている国なのか?
靖国参拝もけしからんと言うが、招魂社であり、A級戦犯もB級戦犯もない。「靖国で会おう」と言って戦争で亡くなった人たちの思いを、尊重したいだけである。日本の神道とは何かを全くわかっていない。
もし中国や韓国の言うようにA級戦犯を除外すれば、次はB、C、最後には靖国神社自体をなくしてしまおう……となるのは目に見えている。外交の道具に使われていることも見抜けないのか。
The Economistのオピニオンには呆れてしまい、以後、この雑誌を読むことはやめた。
三つの批判への反論
日本会議批判は、大きく分けると三つになる。
一つは、様々な宗教団体が入っていること。宗教団体は教祖の一存で右向け右となる団体で、それは危険ではないか、と。
様々な宗教団体が参加しているのはたしかだが、日本会議の綱領と運動方針(日本の伝統・歴史を尊重する、皇室を尊重する、憲法を改正する)に賛同する向きは個人、団体、宗教団体などに限らず入っていただいている。基本のところではコンセンサスがとれている宗教団体だけだ。むしろ、違う考えだったら参加しないだろう。
二つ目は戦前への親和性、すなわち天皇崇拝や軍国主義など、戦前の価値観へ戻ろうとしているという。
これまで、日本の国体という問題を考えたことのない人たちなのだろう。少なくともThe Economist、NYTなどはそうだ。たとえば、私は産経新聞の「国民の憲法」を作る起草委貞会の委員長だったが、一室にこもって日本の国体とはなんぞやを長時間、侃々諾々議論してきた。
要するに日本の歴史のなかで、天皇は権威であり、権力は別にあった。幼少あるいは老齢の天皇をお助けする役目として、摂政、関白の補佐役ができ、それが権力になっていった。権力は藤原氏、平氏、源氏、足利氏、北条氏、次いで織豊時代を経て江戸時代、そして明治維新になる。その間、後白河上皇、後醍醐天皇の一時期を例外として、天皇の権威を侵す者はいなかった。万世一系の皇室を尊重するのはいけないのか。
憲法についても、日本会議は「新憲法の大綱」を過去に発表し、百地幸先生と大原康男先生に解説を書いていただき、『新憲法のすすめ−日本再生のために』という本を出し、皇室尊重ではあるが、しかし立憲君主制なので、元首としての天皇の下に、実権は内閣総理大臣が握る構造を提起している。
西欧の王は征服王であり、また中国は易姓革命のだ。天皇が祭祀王(プリースト・キング)、世界で類を見ない国民のために祈る王であることを理解していない。だから、皇室尊重を危険視しているのであろう。
たしかに、戦前に行き過ぎた時期はあった。しかし、戦争が近づいて社会が異常になつた瞬間だけを捉えて「戦前=悪」とするのは、デマゴーグの一種ではないかと思う。
三つ目の批判は、元号法制定や国旗国歌法制定、教育基本法改正など、日本会議がこれまでやってきたことが実現しており、日本会議は大きな力がある運動団体で政府をコントロールしている、というもの。
考えていただきたいのだが、中国やロシア、北朝鮮ならともかく、日本は民主主義国家である。特定の運動団体が、国会や政治の動きを自在にコントロールできるわけがない。いくら日本会議に力があったとしても、国民を説得し、国民が納得しなければ何事も決まるわけがない。常に過半数を動かすような力などありえない。こんな当たり前のABCがわからないのだろうか。
日本会議がやってきたことが実現したというのは、わが国民の声なき声を土台に、各人が長年かけて一所懸命、無私の心でやってきた結果でしかない。もう少し違う角度からご覧になったほうがいいのではないか、とアドバイスをしたい。
問題個所が百五十カ所
先に挙げた多くの日本会議批判本や記事のなかで、現在、際立って売れているのが、菅野完氏の『日本会議の研究』で、すでに十万部を超えているという。
ざっと内容を見てみよう。
「日本会議の淵源は谷口雅春の生長の家」
「日本会議をつくったのは村上正邦元参院議員」
「安倍首相のプレーンとも言われる日本政策研究センター代表の伊藤哲夫は生長の家の元幹部」
「百地章(憲法学者)、高橋史朗(明星大教授)ら日本会議に近い学者たちも生長の家から出た人々」
「『日本会議国会議員懇談会』に所属する国会議員が第三次安倍内閣の全閣僚十九名に占める割合は八割を超えていた」
「もはや安倍内閣は『日本会議のお仲間内閣』」
「政治家では首相補佐官の衛藤晟一などが活発に活動」
「日本会議を支えているのは佛所護念会、念法眞教、崇教真光、神社本庁、霊友会などの各種宗教団体……彼らが運動の主力」
こういう背景のもとに安倍政権が進める憲法改正を目標に活発に運動しているのが日本会議だということを、古い資料なども引用して一見、実証的(?)にレポートしている。
事務局で『日本会議の研究』を調べた結果、虚実、装飾、誹誘中傷、事実誤認、印象操作、著作権侵害、肖像権侵害、プライバシー侵害など、数えると百五十カ所以上あった。
椛島有三氏(日本会議事務総長・日本協議会会長)は直ちに扶桑社に出版停止を求め、申し入れを行った。概要を引用すると―。
《1、『日本会議の研究』は、過去の一部学生運動・国民運動体験者等の裏付けの取れない証言や、断片的な事象を繋ぎ合わせ、日本会議の活動を貶める目的をもって編集された極めて悪質な宣伝本であり、掲載されている団体・個人の名誉を著しく傷つけるものである。
2、ことに、日本会議の運営が、宗教的背景を持つ特定の人物によって壟断されていると結論付けていることは、全く事実に反している。日本会議の意思決定は政策委員会、常任理事会、全国理事会など各種役員会を通じて機関決定されており、長年にわたり本会運営に携わった役員・関係者各位への冒涜である》
政策実現を目指すのは当然
申し入れ書の2について触れておくと、そんな人間はどこにも見当たらない。会長、副会長、常任理事、理事と、普通の組織と同じだ。会議にしても、地方から中央に上がってきて、積みあがってきたものを常任理事会で決定する仕組みである。だから、特定の人物が壟断できる組織ではない。
日本会議の具体的活動の例として、魚住昭『証言 村上正邦』を基にしながら、「戦後五十年決議」の文案をめぐる攻防が書かれている。
最終的な決議案文面変更に怒った椛島氏らが、村上氏のネクタイを掴んで怒鳴り散らしたとあるが、これは事実に反する。椛島氏ら終戦五十周年国民委員会の役員は村上氏に呼ばれて部屋に入ったのであって、怒鳴りこんだわけでもないし、ましてやネクタイを掴んでもいない。
さらに、「戦後七十年談話」作成時に、座長代理の北岡伸一氏が「安倍首相に『日本が侵略した』と言ってほしい」と言っていたが、「『植民地支配と侵略』や『おわび』の踏襲にこだわる必要はない」と正反対のことを言い出したのは、《彼が相当の圧力「参院の法王」(注・村上正邦) にさえ「ネクタイを掴んで」「怒鳴り散らす」ほどの圧力を受けたであろうことは想像に難くない》と書いている。
断定こそしていないが、「日本会議が圧力をかけた」としたいのだろう。
しかし、そんな事実は全くない。だいたい、日本会議のメンバーは北岡氏が苦手で、率先して接触したい人ではない。
他にも、昨年十一月十日に日本会議が主導した「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が開催した「今こそ憲法改正を! 武道館一万人大会」で「九条改正は語られなかった」としているのだが、櫻井共同代表は、いまの憲法では日本を守れない、と九条改正の必要性について言及している。
批判派が一番気にしているのは、多くの政治家が名を連ねていることのようだ。
しかし、我々は運動体である。国民運動を通じて政策実現を目指しているのだから、法律法令を作る地方・中央の政治家にアプローチするのは当然で、共通の目的を持った政治家
が参加するのも当たり前ではないか。それは右左関係なく、全ての民間運動に言えることである。国民運動団体が政治に密着していることを批仙刊されても、困る。
また、椛島有三氏が昭和五十二年(一九七七)に元号法制定運動の際に、《「国会や政府をゆり動かす」ため「各地に自分たちの問題として取り上げるグループを作り」「県議会や町村議会などに法制化を求める議決をしてもらひ」「この力をもって政府・国会に法制化実現をせま」る》という戦略をもち、これが現在の「日本会議の運動戦略」そのものだと言う。
これはそのとおりだ。しかし、それの何が悪いのか?
同じように、最高裁の天下り機関のような言い方もされているが、そんなわけがない。石田和外元最高裁長官が日本会議の前身ともいうべき組織の議長を務め、現在、たまたま会長に元最高裁長官の三好達氏がなられているにすぎない。
国際情勢の変化を見ろ
日本会議を批判する人たちは、憲法改正で力を発揮されては困る、という焦りから批判しているのだろう。特に昨年十一月十日の一万人大会で人が集まったので、ますますまずいと思ったのではないか。
では、憲法改正がまずいことなのか?
一万人大会に、米国のジョン・マケイン上院議員がメッセージを送ってくれた。彼の口から憲法改正を言えば内政干渉になってしまうのでそうは言わなかったが、「しつかりした日本を作ることを心から望む」というものだった。
中国の異常な膨張主義と米国の「内向き」の姿勢のなかで、「日本の憲法改正に反対するアメリカ人はいまは少ない」との話を、米国の然るべき人から聞いたばかりだ。
いまのアメリカは、猫の手も借りたいほどいっぱいいっぱいの状態である。そのため、自分の国も守ろうとしない国のために自分の子供たちの血を流してたまるか、という気持ちが高まっている。日本会議批判をする前に、日本を取り巻く国際情勢を少しは考えてみたらどうか。
アメリカはこの三十年来、自殺率が上がり、所得格差も凄まじいことになっている、アメリカンドリームはもはや「風と共に去りぬ」、そんな状態になっている。だからこそ、トランプが出てきたのである。
そんなアメリカを前にして、日本はどうするのか。仮に、トランプではなくヒラリーが大統領になったとしても結局はオバマの踏襲だから、アメリカが内向きであることは変わらない。
かつてペリー、敗戟と、日本は二度にわたる大改革を体験したが、三度目の衝撃波も太平洋の向こうからやってくるかもしれない。出目分たちで考え、行動するしかない。なぜ、国際情勢に明るいはずの外国人記者の一部の人たちが憲法改正を危険な行動だと言うのか、理解できない。
昨年六月、日本外国特派員協会での記者会見でこんなやり取りがあったという。質問者はThe Economistのマタニール記者。答えたのは小林節氏(『Journalism』魚住昭記事より)。
マク二−ル「集団的自衛権行使を合憲としている憲法学者が三人おり、彼らは全員、日本会議に属している。それは何を意味しているのか?」
小林「私は日本会議にはたくさん知人がいる。彼らに共通する思いは第二次世界大戦での敗戦を受け入れがたい、だからその前の日本に戻したい。日本が明治憲法下で軍事五大国だったときのように、米国とともに世界に進軍したいという思いの人が集まっている。よく見ると、明治憲法の下でエスタブリッシュメントだった人の子孫が多い。そう考えるとメイクセンス(理解)でしょ」
これはもう、アナクロニズムでしかない。現在の日米関係、アメリカの現状を全く見ていない。
小さなグループの集まり
ただし、小林氏の「軍事五大国だったときのように、米国とともに世界に進軍したいという思いの人が集まっている」というのは、日本は自分の国の運命を自分で決めるプレイヤーであるべきだ、という点で当たっている。
ところが、いまは全てアメリカ頼み。防衛を放棄し、経済だけで繁栄していった。それはそれで一つの成功だとは思うが、憲法の枠内で「孤立主義」を唱えてきた「一国中心主義」ではないか。米国と一緒に、世界に「進軍」することを本気で考えている日本人はいるのか。
戦前の軍隊と違ってシビリアン・コントロールをはっきりさせ、統帥権の独立などの解釈は絶対に生まれない体制にする。単に「戦前の日本に戻したい」などと考えている会員は一人もいないと思う。第一、そのようなことは運動の目標たり得ないのである。
以上述べたように、日本会議への批判は過大評価か的外れ。我々は「安倍政権の黒幕」などではなく、一所懸命活動している一国民連動団体でしかない。いま成果があがっているの
は、長年の地道な活動の結果なのだ。
奇しくも、『週刊金曜日』で魚住昭氏がこう書いている。
《日本会議の実態は小さなグループの寄り集まり》
《日本会議は戦術が巧みで、実態以上に自分たちを大きく見せるやり方がうまい。その結果、彼らがあたかも現在の日本を覆い、政治を動かしているかのような誇大イメージが現在、あちらこちらに広まっている》
そのとおり。よくわかっていらっしゃるではないか。
たくぼ ただえ
―九三三年生まれ。五六年、早稲田大学法学部卒業、時事通信社に入社。ハンブルク特派員、ワシントン支局長、外信部長を経て、八三年、編集局次長。八四年、杏林大学社会科学部教授、同学部長を経て、同大学客員教授。国際政治学・国際関係論。法学博士。九六年、第十二回正論大賞受賞。著作に『ニクソンと対中国外交』(筑摩書房)、『新しい日米同盟−親米ナショナリズムヘの戦略』(PHP新書)、『戦略家ニクソン―政治家の人間的考察』(中公親書)など。」
「イラク戦争参加「平和的手段尽くさず」 英調査委 ブレア政権を批判:反省ができる国家と見せ軍事介入を続ける狡猾な英国」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/497.html
「イラク戦争支持「対米追随外交だった」 山崎拓さん語る:IS「製造責任」は日本にも:対米依存の賞味期限はあと十年」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/505.html
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米国務省 イラク戦争に関する英委員会の報告書検討を拒否[スプートニク日本語]
2016年07月07日 20:53(アップデート 2016年07月07日 21:07)
米国務省のカービー報道官は、英国の委員会が作成したイラク戦争の報告書について、同省は検討する意向はないと発表した。
カービー報道官はブリーフィングで、「英国の役人たちは、そこからどのような教訓を得るつもりなのかを語ればいい。我々は、検討したり、調査したり、分析したり、あるいは報告書のこれらの結論について判断するつもりはない。我々は、今イラクとシリアに存在する挑戦に集中している」と述べた。
報告書では、「英国は、紛争を平和的に解決する全てのチャンスがなくなる前にイラクでの作戦に加わる決定を承認した。当時、軍事行動は最終手段ではなかった」と指摘されている。
先に伝えられたところによると、米国務省の職員たちは、同省の指導部宛ての書簡で、シリア政府軍を「ユーゴスラビアのシナリオ」で攻撃するよう提案した。
東京都渋谷区のバレエ教室で2016年7月6日、女性講師(24)の親指を工具で切断したとして、警視庁は生徒の男(41)を現行犯逮捕した。
事件は他のバレエ教室にも衝撃を与えている。東京都内のバレエ・ヨガ教室の講師の1人は6日午後、「おぞましい事件が起きてしまいました」とブログを更新した。J-CASTニュースは、ブログを書いた本人にバレエ教室の実態を取材したところ、バレエ教室をめぐる恐ろしい実態が浮かび上がった。
バレエ教室をめぐるトラブルとは
金づちとノミで親指を切断
事件は、6日午前8時40分頃、渋谷区の雑居ビル地下1階の教室内で、自称整体師の男が、女性講師の首を絞めて気絶させ、右手親指の第1関節から先を金づちとノミで切断した疑いがある。
警視庁の調べによると、男は「昨年8月から練習の時間を教えてもらえないなど、嫌がらせをされた」と供述している。2014年11月に教室に入会し、トラブルを続けたため教室側に参加を拒否されたという。まだ、はっきりした動機は分からないが、なんらかの恨みを持っていた可能性がある。
そもそも、41歳の男性とバレエ教室を結びつけたのは何だったのだろうか。
実は、男性がバレエ教室に通ってトラブルになるケースは少なくないようだ。
「レオタードを着て見てもらいたい」と来る男性
この事件を受けて、都内のバレエ・ヨガ教室の女性講師は6日午後、
「実際に教室を始めてみて問い合わせ、見学、体験等の男性のうち7割は危険な予感がする方でした」
と、ブログでつづった。ブログによれば、「結果として、男性の入会を禁止せざるを得ないバレエ教室は多くあります」と語った。バレエを学ぶために来る「普通の方」も3割いる一方、「不純な動機で来校する男性」が後を絶たないという。
この講師は、続けて
「このような事件はバレエのトレーニングに真摯に取り組んでいる男性にとっては迷惑極まりない話です」
「バレエを好きな人が不自由なく思う存分バレエをできる環境をつくりたいだけなのに なぜシンプルにいかないんでしょうね。きっと私だけでなくバレエを愛する多くの人が葛藤していることでしょう」
と書き込んだ。
この女性講師に、J-CASTニュースはあらためて話を聞いた。ブログにある「不純な動機」とは何なのかについては、「男性はレオタードを着ないのが普通だが、『自分もレオタードを着て見てもらいたい』と来る人も多い」と話した。
また、この講師の教室でも以前、男性生徒を歓迎するためにホームページの目立つ場所に「男性もOK!」と書いていたが、不純な動機の男性が多くなり、消したのだという。その代わり、「Q&A」欄に「男性でも受講可能ですか?」「常識的な判断のできる方であれば、もちろんどなたでもご入会いただけます」と明記すると、「不純な動機で来校する男性はほとんどいなくなりました」という。
茨城県龍ケ崎市でアイスピックのようなもので刺された女性の遺体が見つかった事件で、逮捕された高校生は、ふだんからサイクリングなどで現場付近を訪れていたことが警察への取材で分かりました。警察は、現場付近で女性を見かけて事件を起こしたとみて、詳しいいきさつや動機を調べることにしています。
5日、茨城県龍ケ崎市の川で、牛久市の進士康子さん(42)が死亡しているのが見つかり、警察は、両親とともに警察署に自首したつくば市の県立高校2年の16歳の男子生徒を、6日、死体遺棄の疑いで逮捕しました。
進士さんの背中などにはアイスピックのようなもので刺されたような傷が多数あったということです。
警察によりますと、これまでの調べに対して男子生徒は先月30日に現場付近を自転車で走っているときに突然、進士さんを後ろから刺したという内容の供述をしているということです。
その後の調べで、男子生徒は、ふだんからサイクリングなどで現場付近を訪れていたことが警察への取材で分かりました。
警察によりますと、男子生徒は進士さんについて「知らない人だ」と供述しているということです。
警察は、男子生徒が現場付近で進士さんを見かけて事件を起こしたとみて、詳しいいきさつや動機を調べるとともに、今後、殺人の疑いでも捜査を進めることにしています。
寡黙でおとなしい性格 成績は優秀
逮捕された茨城県つくば市の県立高校2年の16歳の男子生徒は、寡黙でおとなしい性格で成績は優秀だったということです。
高校の校長によりますと、過去にトラブルを起こしたり、友人関係などの悩みを担任に相談したりすることもなかったということです。
学校のクラブ活動はしていませんでしたが、成績は優秀で、校長によりますと、「模範的な生徒」だったということです。
学校によりますと、男子生徒は、遺体を川に遺棄したとされる先月30日から両親とともに警察署に自首した5日までの間、休まずに通学し、特に変わった様子もなかったということです。
男子生徒が逮捕された6日は、両親から学校に「体調不良のために休みます」と連絡があったということです。
亡くなった進士さん 父親と2人暮らし
亡くなった進士康子さん(42)は、先月29日の朝、父親が仕事のために自宅を出る際に見かけたのが最後だったということです。
警察によりますと、その翌日の30日の夜、茨城県龍ケ崎市佐貫町の西谷田川付近で、事件に巻き込まれたということです。
そして、5日の午後4時ごろ、西谷田川で、遺体で見つかりました。
地元の自治会長などによりますと、進士さんは、18歳ごろまで自宅で過ごしたあと、いったん親元を離れたということです。
その後、2年ほど前に自宅に戻り、父親と2人で暮らしていました。
自宅に戻ってきてからは家にいることが多く、時折、自転車で外出する程度で、近所づきあいもなかったということです。
進士さんの父親は、「気が動転していてことばがありません。人づきあいが苦手な子でした。警察には真相を解明してほしいです」とことば少なに話していました。
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茨城 女性遺体遺棄事件 数十か所の刺し傷[NHK]
7月7日 21時06分
茨城県龍ケ崎市の川で背中などを刺された女性の遺体が見つかった事件で、警察が司法解剖を行った結果、遺体には先のとがった凶器で刺されたような傷が数十か所あったことが分かりました。警察は遺体を遺棄したとして逮捕された高校生が強い殺意を持っていた可能性があるとみて調べています。
5日茨城県龍ケ崎市の川で、牛久市の進士康子さん(42)が死亡しているのが見つかり、警察は両親とともに警察に自首したつくば市の県立高校2年の16歳の男子生徒を6日死体遺棄の疑いで逮捕しました。
進士さんの背中などには刺されたような傷が多数あったことから、警察は7日千葉大学で司法解剖を行い、詳しく調べました。
その結果、先のとがった凶器で刺されたような傷は上半身に集中し、数十か所あったことが分かりました。刺し傷は1種類の凶器でつけられたものだということです。
これまでの調べに対し、男子生徒は先月30日に現場付近を自転車で走っている時に突然、進士さんを後ろから刺したという内容の供述をしているということです。
警察は男子生徒が強い殺意を持っていた可能性があるとみて、詳しいいきさつや動機を調べるとともに、今後殺人の疑いでも捜査を進めることにしています。
EU=ヨーロッパ連合からの離脱を決めたイギリスでは、キャメロン首相の後任を選ぶ与党・保守党の党首選挙の2回目の投票が行われ、党員による最終的な投票に進む候補者がメイ内相と、レッドサムエネルギー担当相の女性2人に決まりました。
国民投票の結果を受けて辞意を表明したキャメロン首相の後任を選ぶ保守党の党首選挙は7日、329人の下院議員が2回目の投票を行いました。この結果、国民投票で残留を支持したテリーザ・メイ内相が全体の60%余りにあたる199票を獲得し、これに続いて、離脱を支持したアンドレア・レッドサムエネルギー担当相が84票を獲得しました。
一方、離脱支持のマイケル・ゴーブ司法相は、46票を獲得しましたが、得票がもっとも少なかったことから、ルールに従って脱落しました。
これによって最終的な投票に進む候補者は、メイ内相とレッドサムエネルギー担当相の女性2人に決まりました。
2人の候補者は、このあと全国を遊説するなどして選挙戦に臨み、およそ15万人とされる党員による投票を経て9月初めまでに新しい党首が選出されます。
そして、エリザベス女王から、新しい首相として任命される予定で、党首選挙の候補者が女性2人に絞り込まれたことで、イギリスでは、サッチャー元首相以来、2人目の女性首相が誕生する見通しとなりました。
アメリカ南部ルイジアナ州で、黒人の男性が白人の警察官2人に取り押さえられたうえ、銃で撃たれて死亡し、当時の様子を撮影したとされる映像には、警察官が身動きができない男性に対して発砲している様子が記録されていることから、今後、警察に対する抗議の動きが広がることも予想されます。
ルイジアナ州の州都バトンルージュで5日未明、「コンビニエンスストアの前で男性に銃で脅された」という通報が警察にありました。駆けつけた白人の警察官2人は、現場にいた37歳の黒人の男性を取り押さえたうえで銃を発砲し、男性は死亡しました。
事件のあと、当時の様子を車の中から撮影したとされる映像がインターネット上に公開され、映像からは警察官2人が男性を地面に倒し、頭を抑えるなどして動けなくしている様子が分かります。続いて、「銃を持っているぞ」という声がしたあと、警察官の1人が拳銃を取り出して男性に向かって発砲する様子が確認できます。
死亡した男性は当時、銃は手にしておらず、発砲のあと警察官が男性の衣類のポケットから銃を回収したという目撃証言もあることなどから、アメリカの司法省は警察の対応に問題がなかったか捜査を開始しました。アメリカではここ数年、白人の警察官による黒人の容疑者への過剰な取締りが社会問題となっていて、今後、警察に対する抗議の動きが広がることも予想されます。
アメリカ政府は、北朝鮮の人権侵害に関わっているとして、初めてキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長を対象に制裁を科すと発表しました。
アメリカ政府は、6日、北朝鮮の人権侵害に関わっているとして、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長や警察のトップに当たるチェ・ブイル人民保安相など、政権の幹部10人を新たに制裁の対象に加えたと発表しました。アメリカ政府がキム・ジョンウン委員長を対象に制裁を科すのは初めてです。
アメリカ国務省のカービー報道官は6日の記者会見で、「北朝鮮の人権状況は世界でも最悪だ。政府によって法に基づかない処刑や強制的な失跡、それに拷問などが続いている」と述べ、キム・ジョンウン政権での人権状況を非難しました。そのうえで、「何もしなければ北朝鮮の政権に誤ったメッセージを送ることになる」と述べ、今後も北朝鮮の人権侵害に関わっている人物を特定し制裁の対象に加えていく方針を示しました。
今回の制裁は、アメリカ国内の資産を凍結しアメリカ人との経済的な取り引きを禁じる内容ですが、北朝鮮の幹部がアメリカ国内に資産を持っている可能性は低く、制裁は象徴的な意味合いが強いとみられています。アメリカ政府としては、キム・ジョンウン委員長への制裁に踏み切ることで核開発やミサイルの発射などを続ける北朝鮮に対する圧力を一段と強化するねらいですが、キム・ジョンウン委員長を名指しで制裁の対象にされたことに北朝鮮が反発を強めることも予想されます。
交際相手がいる20代の独身は男性で2割、女性で3割ほどで、8年前の結果を大幅に下回ったという調査結果を民間の研究所がまとめました。「将来結婚したい」という20代も減っていて、専門家は「若い世代に恋愛への憧れがなくなってきている」と指摘しています。
この調査はことし3月、明治安田生活福祉研究所がインターネットを通じて行い、全国の20代の独身の男女合わせて600人が回答しました。
それによりますと、20代で「交際相手がいる」と答えたのは、8年前は男女とも半数近くに上りましたが(男性45.8%、女性で47.9%)、今回は男性が5人に1人(22.3%)、女性が3人に1人(33.7%)ほどで、いずれも8年前の結果を大きく下回りました。交際経験がないと答えたのも今回男性の半数(53.3%)女性の3人に1人(34%)になりました。
また、結婚に対する考えを聞いたところ、「早く結婚したい」または「いずれ結婚したい」と答えたのは、3年前、20代の独身の男性で7割近く(67.1%)だったのが、今回は4割ほどに(38.7%)、20代の独身の女性でも8割を超えていたのが(82.2%)、今回は6割ほど(59%)といずれも前回を大きく下回りました。
若い世代の恋愛や結婚の動向に詳しい中央大学の山田昌弘教授は「上の世代の経済的な問題や苦労などを見聞きして、恋愛や結婚への憧れがなくなってきている。若い人たちに恋愛や結婚の楽しさを伝えていかなければならない時代かもしれない」と指摘しています。
1人が楽などと語る若者
今回の結果について東京・渋谷で聞いたところ、男子大学生は「身の回りにあふれるやりたいことをやっているだけで時間がなくなってしまう。今は収入も安定しづらく、恋愛や結婚は考えにくい」と話していました。
20代の会社員の女性は「1人のほうが楽という人が増えている気がします。特に結婚は、他人と一緒に暮らすので、面倒だと思います」と話していました。また、さらに若い10代の女子高校生は「片思いは楽しいですが、両思いになるとけんかするなど嫌なことが出てくるので、面倒です」と話していました。
一方、3人の息子がいる50代の女性は「息子たちは相手への責任も出てくるなどと言って恋愛や結婚を避けています。支え合える相手を見つけてほしいので、家庭があることの幸せを伝えていきたい」と心配そうに話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160707/k10010585791000.html?utm_int=all_side_ranking-access_001
「イラク戦争参加「平和的手段尽くさず」 英調査委 ブレア政権を批判:反省ができる国家と見せ軍事介入を続ける狡猾な英国」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/497.html
「“従米政治家”安倍晋三氏自身、「アベ政治を許さない」と“半分ほど”思っている奇妙な政治構造の日本」
http://www.asyura2.com/16/senkyo208/msg/851.html
「イラク戦争支持「対米追随外交だった」 山崎拓さん語る:IS「製造責任」は日本にも:対米依存の賞味期限はあと十年」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/505.html
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英のイラク戦争調査報告、戦後統治の無策鮮明[日経新聞]
中東危機の呼び水に
2016/7/8 0:09
【ロンドン=岐部秀光】英国のイラク戦争独立調査委員会は7年間にわたる調査を経て、6日に最終報告を公開した。浮き彫りになったのはイラクにおける戦後統治の無策ぶりだ。復興計画が迷走したうえ、資金や装備の不足が情勢を悪化させ、兵士の犠牲を広げた。過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭につながる現在の中東危機の呼び水となった。その教訓はいまも生かされていない。
今回の報告をめぐる最大の関心は2003年のイラク戦争開戦にいたる経緯にあった。だが、現在の中東危機を考えるうえで重要な点は、むしろ復興プロセスの失敗にある。報告は戦後の状況について多くの紙幅を割き、状況判断や政策決定の誤りについて厳しく批判している。
03年3月の開戦から1カ月もかからずにフセイン政権を打倒したことは、冷戦終結後の国際社会における米国の軍事力の突出した優位性を印象づけた。しかし、やがて政権崩壊後の戦略の不在が露呈する。
報告は「(英政府には)戦後の戦略についての明確な視点が欠けていた。情勢の分析やリスクの管理ができなかった」と批判した。開戦時に財務相だったブラウン元首相は「悔やまれるのは、戦争計画と同じように復興計画が重要であるという点について米国を説得できなかったことだ」と振り返っている。
復興計画の迷走の背景について、報告は米政府の省庁間の連携がなかったことを指摘する。
ブレア元首相は「米国との協力は米国内部の問題で満足できない部分があった」と述べた。ストロー元外相はさらに踏み込んで「国務省と国防総省の協力が壊れたことが根本的な問題」と米の内部対立を指摘した。
イラクの戦後の混乱は想定を超えていた。報告は「十分な計画と準備があったとしても03年からの出来事を防げたとは限らないが、リスクを制御することはできた」と指摘する。
計画の不在がもたらした深刻な問題のひとつは、資金不足である。
英国のイラク軍事介入に伴う費用は92億ポンド(2016年の物価で118.3億ポンド=約1兆5500億円に相当)。しかし、英財務相が02年9月時点で試算した費用は25億ポンドにすぎなかった。
資金の手当ては遅れ、兵士らは不十分な装備のまま駐留を強いられた。「ISTAR(情報、監視、目標捕捉、偵察)機材やヘリコプターの不足は受け入れがたいものだった」。報告は軍が撤退を急ぎすぎたことの失敗も指摘した。
報告が対象としたのは英政府の動きと英軍が駐留したイラク南部の状況。だが、計画の迷走や資金不足の問題はイラク全土に共通する。教訓は現在の中東で生かされているとはいえない。
ブッシュ政権を引き継いだオバマ政権は、イラクへの軍事介入そのものが誤りであったと結論づけ、幕引きを急いだ。地元の治安部隊の訓練が中途半端なままで軍が撤退し、過激派の台頭を招いた。イラク第2の都市モスルを襲撃したIS戦闘員を前にイラクの兵士はほとんど無力だった。
シリアでもオバマ政権は軍事介入をためらい、反体制派への武器供与や訓練が遅れた。アフガニスタンも駐留米軍の削減が経済に打撃を与え治安を悪化させた。
中東への関与継続を求められてきたオバマ政権は6日、アフガン駐留軍の削減方針を撤回した。米国の次期大統領がイラク戦争の教訓をどう読み取るかで中東情勢は大きく左右される。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H6L_X00C16A7FF2000/?dg=1&nf=1
※関連投稿
「「交際相手いない 結婚願望ない」若者が増加:20年代独身交際相手アリ男性22.3%女性33.7%」
http://www.asyura2.com/14/idletalk41/msg/392.html
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国勢調査から(中)生涯未婚率が最高
「おひとり様」用商品が増加
カウンターの席に1つずつ小型コンロを置く焼肉店や洗濯、掃除といった家事代行サービスの単身者プランなど、「おひとり様」向けの商品・サービスを目にする機会が増えてきた。背景には未婚率の上昇がある。
国立社会保障・人口問題研究所などは、50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合を「生涯未婚率」と定義。45〜49歳、50〜54歳の未婚率を平均して計算する。
2015年国勢調査の結果をみてみると、男性は22.8%、女性は13.4%で、10年の前回調査から2.7ポイント、2.8ポイントそれぞれ上昇した。いずれも過去最高だ。男性の約4人に1人、女性の約7人に1人にあたる。
生涯未婚率は1990年代以降、男女とも急上昇している。女性の社会進出が進んだことや、非正規労働で結婚生活を送るのに十分な賃金を得られていない人が増えたことなどが影響していそうだ。
一人暮らしの世帯は1684万世帯で、全世帯の32.5%。夫婦などの「2人世帯」(28.0%)や夫婦、子どもなどの「3人世帯」(18.3%)を上回り、今や“標準世帯”となりつつある。
未婚率の上昇と深く関わるのが子どもの減少だ。15歳未満の子どもの数は65歳以上の高齢者の半分以下で、人口に占める割合は12.7%と過去最低を更新した。主要7カ国の子どもの比率をみると、米国が19.0%、フランスが18.5%、ドイツが12.9%で、日本が最低となっている。
経済成長には労働力の確保が欠かせない。女性や高齢者の活用など働く人の裾野を広げなければ成長は難しくなる。
[日経新聞7月2日朝刊P.5]
【ニューヨーク時事】米南部テキサス州ダラスの繁華街で7日夜(日本時間8日午前)、警察への抗議デモの最中、銃撃があり、警官5人が死亡、警官7人と民間人2人が負傷した。
警察は容疑者3人を拘束し、狙撃犯とみられる1人を銃撃戦の末、殺害した。南部ルイジアナ州と中西部ミネソタ州では今週、黒人男性が警官に相次いで射殺されている。ダラス警察は8日の記者会見で、容疑者が殺される前、これらの事件に怒りを抱き、「白人、特に白人警官を殺したかった」と話していたことを明らかにした。
米国の警察に対する1度の攻撃でこれほど多くの死者が出たのは、2001年の同時テロ後では初めて。警察は狙撃犯とみられる容疑者を発砲現場近くの駐車場ビルで包囲。銃撃戦の末、ロボットを使った爆発物で殺害した。ダラス警察のブラウン本部長は「警官が危険にさらされ、他に選択肢はなかった」と説明した。
米メディアは、殺害されたのはダラス郊外在住のマイカ・ジョンソン容疑者(25)と伝えた。警察によると、ジョンソン容疑者は殺害される前、今回の犯行について「単独行動だ」と主張したという。一方、ロイター通信は、米政府筋の話として、ジョンソン容疑者は陸軍予備役の兵士だったと報じた。
黒人男性の射殺はいずれのケースも、警官に撃たれた様子を通行人や友人の女性がビデオで撮影し、インターネット上に公開。それらの映像を見た人々の間で反発が強まっていた。7日にはルイジアナ、ミネソタ両州やダラス、ニューヨーク、シカゴなどでデモが行われていた。
最終更新:7月9日(土)1時1分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160708-00000191-jij-n_ame
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平和デモ一転、銃声響く=市街戦の様相−米ダラス
【ニューヨーク時事】平和裏に行われていた抗議デモの現場に突如、銃声が鳴り響いた。7日夜、米南部の大都市ダラスで警官が次々と狙い撃ちにされ、群衆は悲鳴を上げて逃げ惑った。犯人と警察との銃撃戦、にらみ合いは長時間に及び、連続する発砲音は市街戦を思わせた。
銃撃が起きた時、黒人差別に抗議するグループ「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ)」のメンバーら約1000人が「手を上げたら撃つな」などと連呼し、ホテルや商業ビルなどが立ち並ぶダラスの中心部を練り歩いていた。
銃撃犯はデモの終点近くの建物で警官を待ち伏せていたもようで、「高所」(警察高官)を含む異なる地点から、激しい銃撃を浴びせた。使用された武器はライフル銃とみられ、発表では、この時点で警官10人が撃たれた。何人かは背中から撃たれていた。
テレビ映像からは30〜40発の銃声が断続的に聞かれた。目撃者はCNNテレビに対し、銃撃犯の1人は戦闘服のような上下の着衣で、大きな弾倉の付いた銃を持っていたと語った。
連邦捜査局(FBI)のスティーブ・ムーア元特別捜査官はCNNに、銃撃犯が大量の弾薬を所持していたとみられることなどから、「犯行はかなり以前から計画されていた可能性がある」との見方を示した。(2016/07/08-19:42)
東京都目黒区の公園の池で、近くの無職、阿部祝子さん(88)の切断遺体が見つかった事件で、警視庁碑文谷署捜査本部は9日、死体遺棄容疑で世田谷区野沢、自称無職、池田徳信容疑者(28)を逮捕した。「やっていません」と容疑を否認している。
捜査本部によると、阿部さんの姿が最後に確認された6月19日夜から遺体が見つかる23日午前までに、池田容疑者とみられる男が阿部さん宅マンションに出入りする姿が防犯カメラに写っていた。阿部さん宅の室内に池田容疑者が入った痕跡も残っていたという。
池田容疑者のマンションは阿部さん宅から約500メートルと近く、捜査本部は2人の間に面識があったか調べるとともに、池田容疑者宅を9日に検証。阿部さんが死亡し、遺体が切断された経緯についても捜査する。
逮捕容疑は6月19日午後8時ごろから23日午前10時半ごろまでの間、阿部さんの遺体を公園の池に投棄した疑い。
事件は23日午前、池に遺体の右脚が浮いているのを清掃作業員の男性が発見して発覚。その後の捜索で、頭部や胴体など十数の部位に分かれた、ほぼ全身が見つかった。
阿部さんは公園から約600メートル離れた世田谷区野沢3丁目の自宅マンションで1人暮らし。6月19日夜から20日朝の間に、同マンションで事件に巻き込まれたとみられ、捜査本部はマンションに出入りした不審な人物がいないか捜査していた。
http://www.sankei.com/affairs/news/160709/afr1607090010-n1.html
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公園の池の女性遺体遺棄事件 近所の28歳の男を逮捕[NHK]
7月9日 12時01分
東京・目黒区の公園の池で、88歳の女性が切断された遺体で見つかった事件で、警視庁は、女性の自宅マンション近くに住む28歳の男を死体遺棄の疑いで逮捕しました。男は容疑を否認しているということです。
逮捕されたのは、東京・世田谷区野沢の自称、無職、池田徳信容疑者(28)です。
この事件は先月23日、東京・目黒区の碑文谷公園の弁天池で、近くに住む阿部祝子さん(88)の遺体が切断された状態で見つかったものです。
警視庁は遺体が先月19日の夜以降に遺棄されたとみて、阿部さんが住む自宅マンションの部屋の現場検証をしたり、マンションの防犯カメラの映像を解析したりするなど捜査を進めていました。
その結果、部屋の中に池田容疑者が侵入したとみられる痕跡が残されていたほか、マンションや公園周辺の防犯カメラの映像などから、マンション近くに住む池田容疑者が先月19日から23日までの間に阿部さんの遺体を遺棄したとして、9日朝、死体遺棄の疑いで逮捕しました。
警視庁は詳しい経緯を調べるとともに、阿部さんが亡くなったいきさつについても捜査することにしています。
警視庁によりますと、調べに対し、池田容疑者は「やっていません」と供述し、容疑を否認しているということです。
事件の経緯
今回の事件の経緯です。事件が発覚したのは、先月23日。東京・目黒区にある「碑文谷公園」の弁天池で、人の足のようなものが浮いているのを清掃員が見つけました。
警視庁が池を捜索したところ、人の手足や頭、それに腰など遺体の一部が相次いで見つかりました。遺体は女性で、刃物で切断されていて、死後1週間から3週間ほどたっていました。
警視庁が身元の確認を進めた結果、死亡したのは世田谷区野沢の阿部祝子さん(88)と分かりました。
阿部さんは、公園からおよそ700メートル離れたマンションで1人暮らしをしていました。
警視庁によりますと、先月19日、遊びに来ていた長男夫婦と自宅マンション近くの飲食店で一緒に食事をしたあと、午後8時ごろ阿部さんが家族を見送る姿がマンション内の防犯カメラに映っていました。
翌日の午前9時すぎには、事前に訪問することを約束していた清掃用具のレンタル業者がマンションを訪れましたが、部屋のインターホンを押しても返答がなく、電話も出ませんでした。
その後も、業者はマンションを数回訪れましたが、連絡を取ることができなかったため、先月26日、世田谷警察署に届け出ました。
この日、世田谷警察署の警察官が、長男とともに部屋に入りましたが、阿部さんの姿はありませんでした。
この時、玄関の鍵は掛かっていなかったということです。
警視庁は、阿部さんが先月19日の夜以降、事件に巻き込まれたとみて、マンションで現場検証をしたり防犯カメラの映像を解析したりするなど捜査を進めていました。
阿部さん 明るく社交的
阿部祝子さん(88)は、同じマンションの住人などによりますと、フラダンスや英会話のサークルに参加し、地域の人たちとともに趣味の活動をしていました。また、明るく社交的で周りとトラブルなどを起こすような人ではなかったということです。数年前に夫が亡くなってからは、マンションで1人で暮らしていましたが、別の住宅に暮らす息子2人がいて、頻繁に遊びに来ていたということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160709/k10010588681000.html
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2016.6.30 21:50更新
【衝撃事件の核心】なぜバラバラ遺体を1カ所に? なぜ人目につく池に? 謎多い碑文谷切断遺体事件 犯人の真意とは[産経新聞]
都内屈指の高級住宅街にたたずむ“憩いの池”に浮かんでいたのは、バラバラになった人の身体だった。東京・目黒の碑文谷公園内の「弁天池」で、切断された女性の遺体が見つかった事件。過去の同種事件では、各部位を複数の場所に分けて遺棄するケースが多いが、今回はほぼ1体分が池から回収された。司法解剖で身長や年代が絞り込まれており、捜査関係者は「犯人にとって、あまり有効な手口とは思えない」と首をかしげる。ちぐはぐさが目立つ行動の真意は何なのか。犯人はどんな人物なのか。
死後1〜3週間、鋭利な刃物でバラバラに?
「人の脚のようなものが浮いている」
23日午前10時半ごろ、碑文谷公園内のベンチで休憩していた公園清掃員の男性(80)は、慌てて公園関係者に連絡した。
公園関係者は近くの交番に駆け込み、警察官がボートに乗って捜索を開始。人の右脚が見つかったのに続き、左脚、両腕、頭部、腰部も相次いで発見された。脚など一部の部位にはカメがかみついていた。
警視庁捜査1課は死体遺棄事件と断定。同日、碑文谷署に捜査本部を設置した。翌24日朝から約40人態勢で公園や池の現場検証を実施。池の中にダイバーを潜らせて捜索したところ、人のあばら骨や腕の骨など新たに4つの部位を発見した。23日の発見分と同一人物のものとみられる。
司法解剖の結果、死因は不詳だったが、腰などの形状から、遺体が女性とみられることが判明。DNA型鑑定で女性であることが確定した。脚の骨の長さなどから身長は148〜155センチと推定され、死後1〜3週間が経過。鋭利な刃物で四肢や首を切断されたような痕があったことも確認された。
右の太ももに骨折の痕があり、金属製のボルト2本が埋め込まれていたほか、複数の銀歯もあった。いずれも繊維片が付着していないことなどから、全裸の状態で遺棄された可能性が高いという。
捜査本部は、これらの情報をもとに身元の特定を進めているが、今のところ合致する人物は見つかっていない。
なぜ切断したうえで1カ所に遺棄したのか?
今回の事件では、遺体のほぼすべての部位が弁天池内で発見された。捜査関係者は「1カ所に遺棄するのであれば、わざわざバラバラにする必要はなく、そのまま遺棄すればいい」と疑問を呈する。
さらに、指紋を採取できる手も、左右いずれも見つかったうえ、頭部も見つかった。指紋は身元特定の重要なカギとなるほか、頭があれば骨格などから生前の人相を復元することも可能だ。いわば警察が身元を判断するためのヒントを残している格好で、過去の同種事案と比較しても異質な点といえる。
平成18年12月、外資系金融会社社員の夫を殺害、遺体を切断して遺棄したとして妻が逮捕された事件では、妻はタクシーで移動するなどして都内各所に捨てていた。頭部は町田市内の公園に埋め、手は渋谷区内の自宅マンションからゴミとして出していた。
6年4月に三鷹市の井の頭公園内のゴミ箱から切断遺体が見つかった事件(21年に時効成立)では、手足の指紋が削られていた。
元東京都監察医務院長の上野正彦氏は、「遺体をバラバラにする目的の多くは、身元の特定を免れるためだが、今回は、犯人が非力など、単に遺体を運び出しやすくするための手段だった可能性がある」と指摘。「とにかくできる限り早急に遺体を捨てようと考えた、行き当たりばったりの犯行だったのではないか」との見方を示す。
遺棄現場が指し示す犯人像 犯人は近くに住む?
もう1つの謎は、なぜ人目につきやすい公園内の池を遺棄場所にしたのかということだ。
関係者によると、現場の碑文谷公園は、ラジオ体操をする人などで早朝から人の出入りがある。公園を管理する目黒区みどりと公園課によると、広さは約4万3千平方メートル。公園の近くに住む主婦(71)は「子供たちが池の周辺でよく遊んでいる姿をよく見かける」と話す。
20年4月に江東区のマンションに住む男が同階の女性を自室に監禁、殺害した事件では、男は遺体を細かく切り刻み、トイレから流すなどして隠蔽を図っていた。“バラバラ事件”の多くは、港や川、山林が遺棄場所になる。
こころぎふ臨床心理センター代表で臨床心理士の長谷川博一氏は「犯人は、池の近くに住んでいる人物の可能性がある」との見方を示す。今回の遺棄現場となった弁天池の水深は約1メートル30センチと比較的浅く、遺体が早い段階で見つかってしまう可能性もはらむが、長谷川氏は「車を持っていないなど、そもそも遠方に向かう手段がなかった可能性がある」と指摘する。
公園内に血痕は確認されておらず、女性は別の場所で切断された後、袋などに入れられて池に遺棄された可能性が高い。また、遺体の各部位の多くが池の北東部で発見されていることから、捜査本部はこの付近の岸から遺棄された可能性があるとみて、防犯カメラの解析などを進めている。
要人や著名人なども多く住む都内屈指の高級住宅街を急襲した異様な犯罪。住民の不安が解消される日は、いつ訪れるか。
http://www.sankei.com/affairs/news/160627/afr1606270001-n1.html
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2016.6.23 19:17更新
東京・目黒のバラバラ遺体、下腹部や胸部見つからず 性別など不明 警視庁が死体遺棄容疑で捜査本部設置[産経新聞]
23日午前10時35分ごろ、東京都目黒区碑文谷の区立碑文谷公園内の池で、公園の清掃員の男性(80)が、人間の脚のようなものが浮いているのを見つけ、公園関係者を通じ近くの交番に届け出た。警察官がボートで池を捜索し、人の右脚が浮いているのを発見。その後、池から左脚や両腕、頭部、腰部が見つかった。警視庁捜査1課は、複数の部位がバラバラで見つかっていることなどから死体遺棄事件と断定、碑文谷署に捜査本部を設置した。
衣服や靴は着用していなかった。遺体は成人とみられるが、下腹部や胸部が見つかっていないことや、腐敗が進んでいることから性別や年齢、死亡時期などは不明という。24日に司法解剖して身元や死因の特定などを進める。
捜査本部によると、現場は「弁天池」と呼ばれる池で、水深は約1メートル30センチ。遺体は発見時、池に生息するカメが複数かみついていた。刺し傷など目立った外傷は確認されていない。
碑文谷公園では毎週土、日曜日にボートを貸し出しているが、先週の土日は利用者から不審物の発見を知らせる連絡や通報はなかったという。池周辺には、一般道に面した公園への出入り口が6カ所あり、24時間開放されている。
現場は、東急東横線学芸大学駅から南西に約500メートルの住宅街の一角。
http://www.sankei.com/affairs/news/160623/afr1606230016-n1.html
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2016.6.23 19:35更新
【目黒バラバラ遺体】東京屈指の高級住宅街でなぜ…憩いの場から次々とバラバラ遺体 5月下旬には公園の木「無断伐採」通報も[産経新聞]
東京でも指折りの高級住宅街に位置し、ボート遊びを楽しむ親子連れらでにぎわう碑文谷公園。バラバラになった人体が次々と見つかったことで、いつもの和やかな雰囲気は一変した。「一体何が起きたのか」。“憩いの池”に集まるパトカーを住民は不安げな表情で見つめた。
「朝11時前には公園に人だかりができていて、『池から遺体が出た』と聞いた。警察官がたくさんいて、見慣れない場所のようで恐ろしかった」
毎朝、公園に通うのが日課という女性(76)は、続々と到着するパトカーを呆然(ぼうぜん)と眺めた。
碑文谷公園を管理する目黒区みどりと公園課によると、公園の広さは約4万3千平方メートル。野球場やテニスコートなどがある区画と、弁天池がある区画に大別される。公園の近く住む主婦(71)は「子供たちも池の周辺でよく遊んでいる。普段は静かな場所なのにこんなことが起きるなんて」と話した。
弁天池が最後に水を完全に抜いたのは平成3年〜4年にかけてで、それ以降は恒常的に水が張っていた。池では水を循環させ、浄化槽のフィルターに引っかかったごみを定期的に取り除いているが、区担当者は「水流は弱く、遺体が池の中にあっても動かすほどの力はない」と説明する。
公園に常駐の管理人はいない。週1回、担当者が目視で異常がないか確認するが、20日に担当者が点検したときは特に異常は見つからなかったという。
多くの子供連れや高齢者でにぎわう一方、防犯カメラがなく、街灯も少ない。「夜は近付きたくない」と話すのは、子供を連れてよく公園を訪れるという主婦(41)。「1カ月くらい前に夜中、公園で女性が男に追いかけられる事件があった」と声をひそめる。
東急東横線学芸大学駅付近には区の防犯カメラが61台設置されているが、公園内部や周辺には設置されていない。
また、区生活安全課によると、5月下旬に公園の木が2〜3本、無断で伐採されたという通報があった。
別の主婦(62)は「普段は静かな場所なのに、最近は変な雰囲気があった。不審者も伐採も、遺体発見に関係があったら本当に怖い」と顔を引きつらせた。
http://www.sankei.com/affairs/news/160623/afr1606230018-n1.html
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2016.6.25 06:50更新
【目黒バラバラ遺体】遺体は50〜70代女性か 池の北東側から遺棄?[産経新聞]
東京都目黒区の区立碑文谷公園内の池で人の頭や脚などが見つかった事件で、警視庁碑文谷署捜査本部は24日、遺体は50〜70代の女性とみられると発表した。死後1〜3週間程度が経過していることも判明。捜査本部は、この時期に行方が分からなくなった人物がいなかったかなど身元の特定を急ぐとともに、公園内の防犯カメラの画像を解析するなどし、遺棄した人物の行方を追っている。
捜査本部は24日朝から約40人態勢で、公園や池の現場検証を実施。池の中にダイバーを潜らせて捜索したところ、人のあばら骨や腕の骨など4つの部位を発見した。いずれも池の北東側に沈んでおり、捜査本部は何者かが北東側から遺体を遺棄した可能性があるとみている。衣服や靴などは見つかっていない。
23日に見つかった頭や腰など6部位を司法解剖した結果、腰の形状から、遺体が女性とみられることが判明。DNA型鑑定をしてさらに詳細に調べる。脚の骨の長さなどから、身長は148〜155センチ程度とみられることも分かった。
遺体は鋭利な刃物で四肢や首を切断されたとみられ、ほかに目立った外傷はなかった。死因は分かっていない。
捜査本部は、指紋などから身元の特定を進めているが、今のところ合致する人物は見つかっていない。公園内には池の方向を向いた防犯カメラが複数あり、解析を進める。
http://www.sankei.com/affairs/news/160625/afr1606250008-n1.html
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2016.6.27 20:12更新
【目黒バラバラ遺体】世田谷区在住の88歳無職女性と判明[産経新聞]
東京都目黒区の区立碑文谷公園内の池で切断された女性の遺体が見つかった事件で、警視庁碑文谷署捜査本部は27日、遺体が世田谷区野沢の無職、阿部祝子(ときこ)さん(88)と判明したと発表した。阿部さんは1人暮らしで、家族と19日夜に自宅マンションで会って以降、連絡がつかなくなっていたといい、捜査本部が当時の詳しい経緯を調べる。
捜査本部によると、26日昼に阿部さん宅を訪れた清掃用具レンタル業者が、阿部さんと連絡がつかないと警視庁に連絡。阿部さん宅を管轄する世田谷署員が別の場所に住む阿部さんの家族とともに室内に入り、不在を確認した。
阿部さんには歯の治療歴があるなど、今回見つかった切断遺体の特徴と一致する点があった。捜査本部がマンション室内から採取した阿部さんの微物をDNA型鑑定したところ、遺体のものと合致したという。
レンタル業者は、20日午前にも阿部さん宅を訪れていたが、このときも阿部さんと連絡がつかなかった。阿部さんと事前に約束をして設定した日だったといい、捜査本部はこの時点で阿部さんが事件に巻き込まれていた可能性が高いとみている。
http://www.sankei.com/affairs/news/160627/afr1606270027-n1.html
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2016.6.28 21:10更新
【目黒バラバラ遺体】女性宅から現金入り財布 19日夜以降、出入り確認されず[産経新聞]
東京都目黒区の区立碑文谷公園内の池で、無職の阿部祝子(ときこ)さん(88)=世田谷区野沢=の切断遺体が見つかった事件で、阿部さんの自宅マンションに、現金が入った財布が残されていたことが28日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁碑文谷署捜査本部は、何者かが金銭以外の目的で犯行に及んだ可能性もあるとみて、阿部さんの周辺のトラブルの有無などを調べている。
捜査本部によると、阿部さんは19日午後8時ごろ、当時マンションを訪れていた長男夫婦を1階のエントランス周辺まで見送る様子が、防犯カメラに写っていた。その後、3階の自室に戻ったとみられるが、以降、外出した様子はカメラなどでは確認されていないという。翌20日午前9時過ぎごろ、清掃用具レンタル業者が阿部さん宅のインターホンを押したが、反応がなかった。
26日に長男らの立ち会いで世田谷署員が室内に入った際、玄関ドアは施錠されていなかった。室内から血痕などは見つからず、荒らされたような形跡もないといい、捜査本部は何者かが別の場所に連れ出すなどし、切断などに及んだ疑いがあるとみている。
http://www.sankei.com/affairs/news/160628/afr1606280017-n1.html
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2016.6.30 06:55更新
【目黒バラバラ遺体】防犯カメラ画像と似た着衣を室内から発見 帰宅後、何者かが訪問し犯行?[産経新聞]
東京都目黒区の区立碑文谷公園内の池で、無職の阿部祝子(ときこ)さん(88)=世田谷区野沢=の切断遺体が見つかった事件で、阿部さんが19日夜に長男夫婦を自宅マンションから見送った際に着用していたとみられる上着が、自室内に残されていたことが29日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁碑文谷署捜査本部は、阿部さんが自室に戻った後に何者かが訪問した可能性があるとみて、経緯を調べる。
捜査関係者によると、阿部さんは19日夕ごろに長男夫婦と外食し、マンション3階にある自室に一緒に戻った。午後8時ごろ、長男夫婦を同階のエレベーター付近まで見送り、自室の方向へ戻る様子がエレベーター内の防犯カメラに写っていた。この際、白っぽい上着を着ていたが、似たものが自室の椅子にかけられた状態で見つかったという。
マンションには全部で十数台のカメラが設置され、すべて稼働しているが、午後8時ごろ以降、阿部さんが外出する様子などは確認されていない。ただ、非常階段を使うとカメラに写らずにマンションを出入りできるといい、捜査本部は近くの道路や住宅に設置されたカメラも調べている。
http://www.sankei.com/affairs/news/160630/afr1606300006-n1.html
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2016.7.2 06:00更新
【目黒バラバラ遺体】切断にのこぎりなど複数の刃物使用か[産経新聞]
東京都目黒区の区立碑文谷公園内の池で、無職の阿部祝子(ときこ)さん(88)の切断遺体が見つかった事件で、切断にのこぎりなど複数の刃物が使われたとみられることが1日、捜査関係者への取材で分かった。阿部さんは6月20日朝までには事件に巻き込まれていた可能性が高く、警視庁碑文谷署捜査本部は、この時期の前後にのこぎりを購入した人物がいなかったかなど、不審者情報の収集を進めている。
捜査本部はこれまでに池から阿部さんの頭部、胴部、両腕、両脚など、ほぼ1体分を発見。大半が関節に沿って切断されており、両腕は上腕部、肘下、手首に分かれていた。皮膚などがなく、ほぼ骨だけの状態の部位もあった。捜査関係者によると、切断面の形状などから、のこぎりを含む数種類が使われたとみられることが分かった。捜査本部は3日に警察官を50人規模で投入して池を捜索する予定で、残りの部位などの発見を急ぐ。
http://www.sankei.com/affairs/news/160702/afr1607020005-n1.html
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2016.7.2 06:00更新
【目黒バラバラ遺体】防犯カメラの死角突く? マンション内のトラブルの可能性浮上も不審者確認されず[産経新聞]
東京都目黒区の区立碑文谷公園内の池で無職の阿部祝子(ときこ)さん(88)の切断遺体が見つかった事件では、阿部さんが自宅マンション内で何らかのトラブルに巻き込まれた疑いが強まっている。警視庁碑文谷署捜査本部はマンション内の防犯カメラの解析を進めているが、不審人物はこれまで確認されていない。カメラの死角を突いた犯行との見方もあり、マンションの内部構造に詳しい者が犯行に及んだ可能性もでてきている。
事件は6月23日午前10時半ごろ、碑文谷公園の清掃員の男性が関係者を通じて近くの交番に届け出たことで発覚した。
阿部さんは19日夕ごろに長男夫婦と外食し、マンション3階の自室に一緒に帰宅。午後8時ごろ、長男夫婦を同階のエレベーター付近まで見送り、自室方向へ戻る様子がエレベーター内の防犯カメラに写っていた。これが最後の生存確認だった。
マンションには10台以上のカメラが設置され、全て稼働しているが、阿部さんがこのとき以降、外出する様子は確認されていない。見送りの当時、阿部さんは白色のエプロンを着ていたが、同じものが自室の椅子にかけられた状態で見つかった。阿部さんが自室に入った後、何者かが訪問してきた可能性が高い。
翌20日午前9時ごろに清掃用具レンタル業者がインターホンを押した際には反応がなく、捜査本部はこの間の約13時間に事件に巻き込まれたとみている。
また、阿部さんの部屋のベランダ周辺からは阿部さん以外の足跡が検出された。ただ、マンションでは1月から5月末まで外壁の塗装工事が行われていて、足跡は作業員らのものの可能性があり、捜査本部は関連を慎重に調べている。
動機も見えてこない。室内からは現金入りの財布が見つかっており、金銭目的の線は薄いとみられるが、阿部さんの周辺にほかに目立ったトラブルは確認されていない。血痕も発見されず、遺体の切断は別の場所で行われた可能性がある。
非常階段を使うなどすれば防犯カメラに写らずに出入りも可能とみられ、捜査本部は周辺のカメラの解析なども進めている。
http://www.sankei.com/affairs/news/160702/afr1607020004-n1.html
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2016.7.3 17:43更新
【目黒バラバラ遺体】未発見の腕など捜索 警察官50人投入、池の水位下げ[産経新聞]
東京都目黒区の区立碑文谷公園内の池で無職の阿部祝子(ときこ)さん(88)の切断遺体が見つかった事件で、警視庁碑文谷署捜査本部は3日、ポンプで池の水を抜いて水位を下げ、約50人態勢でまだ見つかっていない部位や遺留品を捜索した。
捜査本部によると、遺体の一部は見つからなかったが、キッチンばさみなどを回収、事件に関連があるか慎重に調べる。1・3〜1・4メートルあった水位を約50センチまで下げ、捜査員が池に入って棒を使って捜索した。
6月23日午後、遺体の右脚が浮いているのを清掃作業員の男性が発見。その後の捜索で、頭部や胴体など十数の部位に分かれたほぼ全身が見つかったが、腕の一部などが未発見のまま。
阿部さんは19日夜から20日朝の間に自宅マンションで事件に巻き込まれたとみられ、捜査本部はマンションに出入りした不審な人物がいないか捜査している。
http://www.sankei.com/affairs/news/160703/afr1607030031-n1.html
遺体切断事件だから、当然のこととして、被害者の身元が判明した6月27日には、浴室を含め被害者宅の全域で血液反応検査を行ったはずである。(「室内から血痕などは見つからず、荒らされたような形跡もない」という記事は6月28日付け)
ところが、今回の記事では、DNAや血液型で誰のものと判断したかは明らかではないが、「浴室から人のものとみられる組織の一部が見つかったほか、微量の血液反応が検出された」とある。(「警視庁が阿部さんの自宅マンションの部屋を詳しく調べたところ」っていつの時点だ?)
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女性遺体遺棄 逮捕の男が殺害ほのめかす供述[NHK]
7月10日 4時45分
東京・目黒区の公園の池で、近くに住む88歳の女性が切断された遺体で見つかった事件で、死体遺棄の疑いで逮捕された男が、女性を殺害したことをほのめかす供述をしていることが、警視庁への取材で新たに分かりました。
この事件は、先月23日、東京・目黒区の碑文谷公園の弁天池で、近くに住む阿部祝子さん(88)が切断された遺体で見つかったもので、警視庁は、阿部さんの遺体を遺棄したとして、9日に近くに住む池田徳信容疑者(28)を死体遺棄の疑いで逮捕しました。
これまでの調べに対し、池田容疑者は容疑を認めているということですが、その後の調べで、阿部さんを殺害したことをほのめかす供述をしていることが、警視庁への取材で新たに分かりました。
また、警視庁が阿部さんの自宅マンションの部屋を詳しく調べたところ、浴室から人のものとみられる組織の一部が見つかったほか、微量の血液反応が検出されたということです。
この部屋からは池田容疑者が侵入したとみられる痕跡も見つかっているということで、警視庁は池田容疑者が、阿部さんの部屋で殺害したあと、浴室で遺体を切断したとみて、詳しいいきさつや動機について、さらに調べを進めることにしています。
※ダラスのデモ警備警官殺害事件のおかしさをはるかに上回るレベルが低すぎる“冤罪”の創作である。
盗みに入って顔を見られたので殺したというところまでは、たとえ愚かな行為でも一定レベルの合理性はある。
しかし、顔を見られたので殺してしまったという経緯であれば、いち早く現場から立ち去るはずである。
わざわざ、現場に残り時間をかけて遺体を切断したり、さらにわざわざ、翌日再び現場に戻り遺体を運び出し公園の池に遺棄するといった意味のない行動はしない、という以前にそういうことをしよう(しなければ)と思うことすらないだろう。
「金銭を盗む目的」で侵入し計画外の殺人を犯せば、犯人は、できるだけ早く現場から立ち去ろうする。
あれほど細かく遺体を切断し終わるためには数時間を要する。
年寄りの家であり、合い鍵を持った近親者が突然訪れてもおかしくない。なんのために、犯行現場に残り時間をかけて遺体を切断しなければならなかったか?遺体を切断しなければならない理由は皆無である。
供述内容の犯行で、犯人が翌日現場に戻るようなこともあり得ない。
現場に戻る前に、事件がすでに発覚している可能性もある。発覚後テレビや新聞が報道するのには短くても数十分のタイムラグがあることくらいわかるから、事件が報道されていないから現場に戻っても“大丈夫”とは考えない。
なにより、わざわざ犯行現場に戻って前日に切断した遺体を運び出さなければならない理由がない。飛んで火に入る夏の虫ではないか。
「金銭を盗む目的」で侵入し、財布は盗まずそのままにしているのに、殺害後わざわざ遺体を切断し、翌日犯行現場に戻って切断した遺体を持ち出し遺棄したという供述内容を警察関係者から聴かされて、垂れ流し的に記事を書く主要メディアの記者とそのような記事を発信する責任者の顔が見たい。
こんな記事を真顔で報道していることも、冤罪が減らない理由の一つである。
他にも、「2回ともベランダをよじ登って侵入したということで、マンションの防犯カメラには池田容疑者が入る様子は写っていなかったものの、先月20日の早朝と翌日の未明に出ていく様子が写っていた」という話も、入るときにはわざわざベランダをよじ登って侵入した者が、出て行くときは“正規の通路”から堂々というおかしな話もある。
記事には、「部屋にあった包丁で遺体を切断した。包丁は池ではなく、別の場所に捨てた」とあるが、「2016.7.2 06:00更新 【目黒バラバラ遺体】切断にのこぎりなど複数の刃物使用か[産経新聞]」には、「東京都目黒区の区立碑文谷公園内の池で、無職の阿部祝子(ときこ)さん(88)の切断遺体が見つかった事件で、切断にのこぎりなど複数の刃物が使われたとみられることが1日、捜査関係者への取材で分かった」とある。
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女性遺体遺棄 逮捕の男「殺害した翌日に再び部屋に」[NHK]
7月10日 19時17分
東京・目黒区の公園の池で、88歳の女性が切断された遺体で見つかった事件で、逮捕された男が「女性の部屋で殺害し遺体を切断した。翌日に遺体を捨てるため再び部屋に行った」と供述していることが、警視庁への取材で新たに分かりました。
この事件は先月23日、東京・目黒区の碑文谷公園の池で、近くのマンションに住む阿部祝子さん(88)が切断された遺体で見つかったもので、警視庁は、死体遺棄の疑いで逮捕した世田谷区の池田徳信容疑者(28)を10日午後送検しました。
警視庁によりますと、調べに対し池田容疑者は「金銭を盗む目的だった」などと供述し、容疑のほか、阿部さんの殺害や遺体の切断についても認めているということです。その後の調べで、「阿部さんの部屋で殺害し遺体を切断した。翌日、遺体を捨てるために再び部屋に行った」などと供述していることが警視庁への取材で新たに分かりました。2回ともベランダをよじ登って侵入したということで、マンションの防犯カメラには池田容疑者が入る様子は写っていなかったものの、先月20日の早朝と翌日の未明に出ていく様子が写っていたということです。
一方、池田容疑者は「部屋にあった包丁で遺体を切断した。包丁は池ではなく、別の場所に捨てた」などと供述しているということです。警視庁は事件の詳しい状況についてさらに調べを進めています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160710/k10010589771000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_003
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/800.html
EU=ヨーロッパ連合からの離脱を決めたイギリスで、キャメロン首相の後任を選ぶ与党・保守党の党首選挙に立候補していたレッドサムエネルギー担当相が党首選からの撤退を表明し、残る候補者のメイ内相が党首に選ばれ、首相に就任する見通しとなりました。
先月行われたイギリスの国民投票の結果を受け辞意を表明したキャメロン首相の後任を選ぶ、与党・保守党の党首選挙は、これまでの下院議員による投票で、テリーザ・メイ内相とアンドレア・レッドサムエネルギー担当相の2人に候補者が絞り込まれていました。
このうちレッドサム担当相は11日、「強く安定した政府を率いるのに十分な支持が得られるとは思えない」と述べて、党首選挙から撤退すると発表しました。
レッドサム担当相は有力紙のインタビューに「母であることが、この国の未来に真の責任を負う」などと答え、メイ内相をはじめ、子どものいない人たちへの配慮が欠けると批判を受けていました。
レッドサム担当相の撤退を受け、党首選挙を管理する保守党の委員会は、選挙のやり直しは行わないとしたうえで、「委員会と保守党の幹事会で、メイ氏が保守党の党首であることを公式に承認することになる」としました。
党の委員会は11日中に承認の手続きを行うとしており、メイ内相が党首に選ばれ、首相に就任する見通しとなりました。
離脱派・残留派双方から幅広い支持
イギリスの与党・保守党の新しい党首に選ばれ、次の首相に就任する見通しになったテリーザ・メイ内相は59歳。イギリスの中央銀行に当たるイングランド銀行での勤務などを経て、1997年に下院議員に初当選しました。保守党で初めての女性幹事長に就任するなど党内の要職を歴任し、2010年からはキャメロン政権で6年にわたり内相を務め、テロ対策や移民問題などに取り組んできました。
クールで敏腕というイメージから「氷の女王」と呼ばれる一方で有名ブランドのスーツや靴などを着こなすことから政界のファッションリーダーとしても知られています。
国民投票ではEU=ヨーロッパ連合への残留を支持しましたが、急増するEU加盟国からの移民の問題に懸念を示し、積極的な運動を控えてきたこともあって、離脱派、残留派の双方から幅広い支持を得ていて、今月7日に行われた党首選挙の2回目の投票では全体の60%余りの票を獲得しました。
離脱を巡るEUとの協議については、イギリスにとってよりよい条件を検討する時間が必要だとして、交渉の開始は年明け以降になるとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160711/k10010591661000.html?utm_int=news_contents_news-main_003
政府は今年1月に実質で1.7%と見込んでいた2016年度の経済成長率の見通しを、0.9%に下方修正する方針だ。17年4月に予定していた消費税率の10%への引き上げを再延期し、消費の駆け込み需要を見込めなくなったためだ。英国の欧州連合(EU)離脱決定などで世界経済の先行きが不透明になり、輸出や設備投資が伸び悩むことも想定する。
13日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で示した後、閣議決定する。政府は16年度予算案を国会に提出した1月に、16年度の経済見通しを公表した。今回は足元の情勢を踏まえて16年度分を改定し、新たに17年度分を参考値として示す。8月上旬にもまとめる経済対策の効果は織り込んでいない。
16年度の名目成長率は2.2%と、1月時点の3.1%から下げた。
下方修正の背景にあるのは消費増税の再延期だ。増税先送りで駆け込み需要が見込めなくなったため、消費を下振れさせる。1月に2.0%とみていた実質個人消費は1%前後に引き下げる。
英国のEU離脱決定などを受けた世界経済の不透明感の強まりも考慮した。想定を上回る円高進行や中国など新興国経済の減速で輸出が振るわず、設備投資を抑える動きが広がると見込む。
17年度の成長率見通しは実質で1.2%、名目で2.2%とする方針だ。世界経済の緩やかな回復をうけ、日本の実質成長率もやや加速する姿を描いた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS11H56_R10C16A7MM8000/?dg=1&nf=1
補償問題がこじれ、過大な“コスト”がかかることを承知で甘利事務所にすがった建設会社が、見返りの確証がないまま、90万円もかけてURの職員を接待するということは考えられない。
記事には、「甘利氏や元秘書からの要望によって建設会社への補償金が増額した事実はなく、接待による交渉への影響も認められなかった」とあるが、子どものウソより低劣なウソというしかない。
勝手な邪推だが、建設会社によるUR職員接待も、甘利事務所に“奨められて”行ったものだろう。
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UR職員2人 約90万円分の接待受け停職処分[NHK]
7月11日 21時29分
甘利前経済再生担当大臣の事務所の問題に絡んで、UR=都市再生機構は、職員2人が補償交渉をしていた建設会社側から飲食などおよそ90万円分の接待を受けていたとして、停職の懲戒処分にしました。
甘利氏の事務所が、URと補償交渉をしていた建設会社の元総務担当者から現金を受け取っていた問題を巡っては、URの職員も同じ担当者から飲食などの接待を受けていたことが分かり、URは外部の弁護士による調査を進めていました。
11日にURが公表した調査結果によりますと、52歳と43歳の職員2人は、おととし7月から去年12月にかけて、建設会社の元総務担当者から飲食やタクシー代など総額およそ90万円分の接待を受けていたということです。
URはコンプライアンスの規程に違反したとして、11日、2人をいずれも停職の懲戒処分にし、53歳の職員は退職しました。
一方、調査では、補償交渉などに関わった30人余りの職員から話を聴くなどした結果、甘利氏や元秘書からの要望によって建設会社への補償金が増額した事実はなく、接待による交渉への影響も認められなかったとしています。
URを所管する国土交通省の石井大臣は「二度とこうした事態が起きないよう、URに対しコンプライアンスの徹底を指導してまいります」というコメントを出しました。
8年前、京都府舞鶴市で女子高校生が殺害された事件で、殺人などの罪で起訴されたあと無罪が確定し、その後、別の事件で実刑判決を受けた中勝美受刑者(67)が、11日朝、病気のため医療刑務所で死亡しました。
中勝美受刑者は、平成20年、京都府舞鶴市で当時高校1年生だった女子生徒が殺害された事件で、殺人などの罪で起訴されましたが、おととし、最高裁判所で無罪が確定しました。
その後、大阪・北区の雑居ビルで当時38歳の女性を殺害しようとしたとして、殺人未遂などの罪に問われ、懲役16年の実刑判決を受け、大阪刑務所に服役していました。
関係者によりますと、中受刑者はことし4月ごろから体調を崩していましたが、11日朝、治療を受けていた大阪医療刑務所で死亡しました。
東京・目黒区の公園の池で88歳の女性が切断された遺体で見つかった事件で、逮捕された男が、女性の自宅マンションの部屋に侵入したときの状況について「女性に騒がれそうになったので、手で首を絞めて殺害した」と供述していることが、警視庁への取材で分かりました。
この事件で、警視庁に逮捕された東京・世田谷区の池田徳信容疑者(28)は、先月、目黒区の碑文谷公園の池に近くのマンションに住む阿部祝子さんの切断された遺体を遺棄したとして、死体遺棄の疑いが持たれています。
警視庁によりますと、池田容疑者は容疑を認めたうえで、阿部さんが住むマンションの3階の部屋に侵入した動機について「金銭を盗む目的で、ベランダから侵入した」と供述していますが、その後の調べに対し「騒がれそうになったので、手で首を絞めて殺害した」などと供述していることが、警視庁への取材で分かりました。
また、「殺害したあと、部屋の中にあった包丁で、浴室で遺体を切断し、洗い流した」などと供述していて、浴室から人のものとみられる組織の一部などが見つかったほか、下水の配管からも血液の反応が検出されたということです。
警視庁は、池田容疑者が金を盗むために部屋に侵入し、気付かれたため事件を起こしたとみて、殺人や死体損壊の疑いでも調べを進めることにしています。
「司法が止めた原発:「原発メルトダウン危機の88時間」のようなインチキ総括しかできないデタラメ状況で再稼働停止は当然」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/345.html
「原発差し止め今度は認めず 司法が揺らすエネ政策:大都市圏周辺は不稼働、人口疎の地方で一部再稼働というのが政府方針らしい」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/127.html
「川内原発 差し止め認めず:安倍政権の原発再稼働方針が透けて見える:大都市圏周辺は不可・人口疎の地方は一部容認」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/437.html
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高浜原発、引き続き運転できず 大津地裁が関電の異議却下
福井新聞ONLINE 7月12日(火)15時36分配信
大津地裁(山本善彦裁判長)は12日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止め仮処分を取り消すよう関電が申し立てていた異議を却下した。仮処分の効力は続き、高浜2基は運転できない状態が続く。関電は大阪高裁に抗告する方針。
同地裁は3月9日、住民が求めた仮処分の申し立てを認め、運転差し止めを命じる決定を出した。関電は「科学的、技術的検討を行っていない」として、決定の取り消しを求める異議と仮処分の執行停止を申し立てていた。執行停止の申し立ては6月17日、同地裁が却下している。
関電は6月の却下決定後、2基に装荷された核燃料の取り出しを表明している。4号機は8月上旬、3号機は同月下旬に燃料の取り出し作業を開始する。
最終更新:7月12日(火)16時6分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160712-00010002-fukui-l18
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[2016参院選]原発の将来「明確にして」
再稼働→停止 高浜町民の声 店の客激減/事故が心配
東京電力福島第1原子力発電所の事故が起きて以降、各地の「原発城下町」は景気の停滞が続く。関西電力高浜原子力発電所(福井県高浜町)は1月にいったん再稼働したが、1カ月余りで裁判所が運転差し止めを命令。参院選で原発をめぐる活発な論戦は見られず、原発に不安を感じる地元住民もいる中で「将来像を明確にして」との声が上がる。
高浜原発の停止は地元経済に影を落とす(6月、福井県高浜町)
「ここにお客さんが座ることなんて、ほとんどなくなった」。6月下旬の週末、高浜町で20年以上、居酒屋を営む男性(68)は照明が消えたままの座敷を寂しそうに見つめた。大人数で予約してくれた原発作業員の来店は激減した。
同町の人口は約1万1千人。高浜原発の運転時には約2千人の作業員が働き、13カ月ごとの定期検査時には約3千人に膨らんだ。宿泊や飲食への波及効果が高い「最大の地場産業」だ。
原発関連の交付金や固定資産税は町歳入の3〜5割に上る。町財政担当者は「石炭から石油へのエネルギー転換を受け、北海道夕張市は破綻した。原発がなくなれば高浜がそうならないとは言い切れない」と懸念する。
高浜原発は1月下旬、3号機が原子力規制委員会の審査を経て3年11カ月ぶりに再稼働。地元は経済活性化に期待した。しかし3月に大津地裁は「安全性が確保されているとはいえない」として差し止めを命じ、運転を停止した。
町商工会会長の田中康隆さん(60)は「専門家の審査で再稼働が決まったはず。司法判断が各地の裁判所によって異なり、何を信じたらいいのか」と憤る。
一方で福島原発事故後、不安を感じる町民は増えた。東山幸弘さん(69)は京都大原子炉実験所(大阪府熊取町)の元職員。原発の安全性を信じてきたが、高浜町にUターン後、福島事故で考えは揺らぎ原発の危険性を訴える団体をつくった。
「福島の教訓を生かすべきだ」。2014年末の住民アンケートでは再稼働に慎重な意見も寄せられた。東山さんは「かつては原発の是非を話題にすることすら難しかった。事故後は反対の意見もようやく言えるようになった」と話す。
高浜原発がある内浦半島の先端に位置する音海地区。家族4人で暮らす主婦(56)は「原発はあって当たり前だし、必要だと思う」と話す。ただ事故が起きて原発周辺が通行できなくなれば、地区は孤立する。「万一の時、家族一緒に逃げられるだろうか」と案じる。
参院選の公約には「原子力は重要なベースロード電源と位置づけて活用」(自民)、「2030年代の原発ゼロに向けあらゆる政策資源を投入」(民進)などの主張が並ぶ。
10年前まで原発関連会社で安全管理業務に従事したタクシー運転手の男性(69)は政党や政治家にこう注文する。「活用するなら安全性をもっと詳しく説明してほしい。廃止するなら、代替エネルギーを明確にしてもらいたい」
[日経新聞7月2日朝刊P.43]
びっくりもしたし不可思議だった猪瀬氏の獲得投票400万はともかく、当選ラインは250万票を超え、250万票からどこまで上乗せできるかで当選が決まると思われる。
(投票総数は700万を超える可能性もある)
その攻防を担うのは鳥越氏と小池氏で、他の候補者たちははるか及ばないだろう。
投票権が18歳からになり、若者たちに広がる保守的気分がささやかれるなかで、戦後リベラリズムを全面に打ち出した鳥越氏がどれだけ票を獲得するのか注目したい。
自民党と公明党の推薦を受ける増田氏は、百万票レベルの獲得でとどまり、宇都宮氏がこのまま立つとしても、(仮に共産党の推薦や支持を受けたとしても)20万から30万票で終わるだろう。宇都宮氏は政党の推薦・支持がなければ10万票前後に終わるかもしれない。
宇都宮氏が立候補を辞退すれば、氏が獲得するはずの票のほとんどは鳥越氏に向かうだろう。その意味は小さくはないが、鳥越氏が勝つなら、それで勝つというレベルではないはずだ。
鳥越氏の出馬記者会見を見たが、東京都の出生率の数字を間違えそれを訂正するなど相変わらずのゆるゆるだったが、それも“いいひとリベラル”鳥越氏の持ち味だろう。
(税金を納めているから投票の権利があるという“きわどい”表現もあった。納税が選挙権とリンクしているのは戦前ある時期まであった制限選挙)
鳥越氏が立候補せず、小池さん、増田氏、宇都宮氏の有力3候補の選挙戦なら、“いい男っぷりを見せてきた女性”小池さんが圧倒的な勝利を達成すると思っていたが、鳥越氏の立候補で俄然面白くなってきた。
リベラリズムは嫌いだが、大橋巨泉氏や鳥越氏は人間的に好きなので期待している。
[参考データ]
1991年選挙
磯村尚徳氏 自民、公明、民社 推薦1,437,233票
鈴木俊一氏(80歳現職)2,292,846票
畑田重夫氏 共産 推薦421,775票
大原光憲氏 社会 推薦290,435票
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1995年選挙
青島幸男氏 1,700,993票
石原信雄氏 自民、社会、自由連合、公明推薦 さきがけ支持 1,235,498票
岩国哲人 824,385票
大前研一 422,609票
黒木三郎 共産推薦 284,387票
上田哲(元社会党代議士) 162,710票
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1999年選挙
石原慎太郎 1,664,558票
明石康自民・公明 推薦 690,308票
鳩山邦夫民主党推薦 851,130票
柿沢弘治 632,054票
舛添要一 836,104票
三上満共産 推薦 661,881票
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2003年選挙
石原慎太郎自民 実質支援 3,087,190票
樋口恵子民主、社民支持 817,146票
若林義春(日本共産党公認)364,007
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2007年選挙
石原慎太郎 自民、公明実質支援 2,811,486票
浅野史郎 民主、社民、国民実質支援 1,693,323票
吉田万三 共産推薦 629,549票
黒川紀章 159,126票
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2011年選挙
石原慎太郎 都議会自民、公明 推薦 2,615,120票
東国原英夫 1,690,669票
渡邉美樹 1,013,132票
小池晃 623,913票
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2012年選挙
猪瀬直樹公明、維新支持・自民支援 4,338,936票
宇都宮健児 日本未来の党、共産、社民他支持 968,960票
松沢成文 621,278票
笹川堯 179,180票
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2014年選挙
舛添要一 公明、自民東京都連推薦 2,112,979票
宇都宮健児 共産、社民他推薦 982,594票
細川護熙 民主、生活の党、結いの党支援 956,063票
田母神俊雄 610,865票
過去に罰金刑を受けた男性が、当時の記事をグーグルに表示させないよう求めたことについて、東京高等裁判所は削除を命じた地裁の決定を取り消し、男性の申し立てを退けました。地裁の決定は過去の出来事を知られたくない「忘れられる権利」を初めて認めたものとして注目されていましたが、高裁で判断が覆されました。
およそ5年前に児童買春の罪で罰金の略式命令を受けた男性は、その後もグーグルに自分の名前などを入力すると当時の記事が表示されたことから、検索結果の削除を求める仮処分を申し立てました。
去年12月、さいたま地方裁判所は「犯罪の性質にもよるが、ある程度期間が経過したあとは、社会から『忘れられる権利』を有する」として削除を命じ、グーグルが抗告していました。
12日の決定で、東京高等裁判所の杉原則彦裁判長は「社会的な関心が高い児童買春は、5年程度が経過していても公共の利害に関わるもので、検索結果の削除は多くの人たちの表現の自由や知る権利を侵害することになる」として、地裁の決定を取り消し、男性の申し立てを退けました。
一方、「忘れられる権利」については、「法律で定められたものではなく要件や効果が明確でないうえ、実体はプライバシー権などに基づく申し立てと変わらず、独立して判断する必要はない」と指摘しました。
過去の出来事を知られたくない「忘れられる権利」を巡っては、ヨーロッパやアメリカなどで議論が活発になり、権利を認める司法判断が示される一方、表現の自由や知る権利への影響を懸念する声もあります。
去年のさいたま地裁の決定は、「忘れられる権利」を日本で初めて認めたものとして注目されていましたが、高裁で覆されました。
東京高等裁判所の決定について、グーグルは「人々の知る権利と情報へのアクセスを尊重した判断だと考えている」というコメントを出しました。
一方、男性の弁護士は「依頼者に関することはコメントできない」と話しています。
忘れられる権利とは
「忘れられる権利」は、インターネットの普及に伴って、ヨーロッパやアメリカなどを中心に議論が活発になっています。
パソコンやスマートフォンで、誰もが手軽に情報の検索や発信ができるようになるなか、過去の不名誉な出来事がいつまでもインターネット上に残っていると、平穏な生活が脅かされるという声が上がっています。
EU=ヨーロッパ連合の最高裁判所に当たるヨーロッパ司法裁判所は、おととし、グーグルに検索結果の削除を求めていた男性の訴えを認める判決を言い渡し、「忘れられる権利」を認めた司法判断として注目されました。
一方、「表現の自由」や「知る権利」を重視する立場からは、情報の安易な削除は事実上の検閲になるという指摘も出ていて、ヨーロッパ司法裁判所も「公共の知る権利が優先されるような場合は例外に当たる」という判断を示しています。
日本でもここ数年、検索結果の削除を求める仮処分や裁判が相次いで起こされていて、裁判所の判断は分かれています。こうしたなか、情報の削除に応じる際の基準を設ける動きもあり、検索大手ヤフーは、公職者か未成年者かなど、削除を求めている人の属性やプライバシー保護の必要性などを検討するという判断の基準を公表しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160712/k10010592591000.html?utm_int=news_contents_news-main_007
群馬大附属病院 手術後死亡の13人に治療上の問題[NHK]
7月12日 19時33分
群馬大学附属病院で、肝臓やすい臓の手術を受けたあと、退院できないまま死亡するなどした患者50人を調べたところ、少なくとも13人に治療上の問題が見つかり、死亡原因になった可能性があるとする内容の報告書を、日本外科学会がまとめました。専門家は「医療過誤ではないのか、病院は詳しく調べて遺族にきちんと説明する責任がある」と話しています。
この報告書は、群馬大学附属病院で腹くう鏡の手術を受けた患者8人が相次いで死亡し、大きな問題になったことを受け、日本外科学会が大学の調査委員会の依頼を受けてまとめたものです。
学会では、腹くう鏡のケースも含め、去年3月までの8年間に病院の2つの外科で肝臓がんやすい臓がんなどの手術を受け、退院できないまま死亡したり、術後30日以内に死亡したりした患者50人について詳しく調べました。その結果、少なくとも13人について、治療上の問題があり、死亡原因になった可能性があるとする内容の報告書をまとめました。
このうち、肝臓がんの60代の男性のケースでは、手術中に大量出血したほか、手術直後から出血が起きていたのに、血を止めるための再手術の判断が遅れたと考えられると指摘しています。男性の死因は大量出血による肝不全でしたが、最初の手術中、何らかのトラブルがあって大量出血が起きたと思われるものの、手術記録には記載がなく、検証もできなかったとしています。
また、すい臓がんの50代の女性のケースでは、がんが広がりすぎてリスクが極めて高いと考えられたのに手術が行われ、多臓器不全を起こして死亡したと指摘したうえで、手術時間が28時間を超え、出血量も17リットル以上という明らかに異常な事態であったにもかかわらず、何が起きたのか詳しい記録は残っていなかったとしています。
さらに、70代の女性のケースでは、手術後の対応が不十分なまま退院させた可能性があり、容体が悪化して救急外来を訪れたときも、入院が必要と考えられたのに、治療後帰宅させていると指摘しています。女性は翌朝、意識不明のまま救急搬送されましたが、およそ1時間後に死亡していて、こうした対応が死亡につながったとみられるとしました。
一方、今回問題が指摘された13人の患者以外にも、詳しい記録がないなどのために、問題があるかどうか分からなかったケースも複数あったということです。
群馬大学附属病院には、医療安全上の課題があるとみられるケースが起きた場合に、医師らが報告し改善策を検討するシステムがありますが、13例のうち報告が行われたのは2例でした。病院による詳しい事故調査が行われたのは1例だけで、今回学会がまとめた死亡までの詳しい経過について、遺族はいまだに知らないままです。
東京医科歯科大学の名誉教授で、肝臓やすい臓の手術に詳しい有井滋樹浜松労災病院院長は「出血量が標準に比べ非常に多いとか、手術時間が非常に長いというケースがあるだけでなく、手術後の対応も問題視されうるようなケースもある。医療過誤ではないのか、病院は詳しく調べて遺族にきちんと説明する責任があると思う」と話しています。
遺族「真実を知りたい」
埼玉県内に住む会社員の男性の父親は、7年前、65歳だったときに群馬大学附属病院で肝臓がんの手術を受けました。
手術前には、3週間ほどで退院できると言われていましたが、術後、容体が悪化。退院できないまま、手術後45日で亡くなりました。
今回の報告書の中で、父親は抗生物質が効きにくいMRSAという細菌に感染したことなどが死亡につながったとみられるとされ、不適切な抗菌薬の使用があったと指摘されていましたが、病院からまだ説明はありません。
男性は「孫の成長を見たいので、健康な体になって少しでも長生きしようということもあって、受けた手術でした。遺族の思いは、ほかの人にしてほしくない。こうなった経緯も含めて、本当の真実を知りたい」と話していました。
群馬大附属病院「報告書受け取りしだい説明したい」
群馬大学附属病院は「大学の調査委員会も調査を進めており、その報告書を受け取りしだい、日本外科学会の調査についても、それぞれの遺族にきちんと説明したい」とコメントしています。
すぐ下に転載する産経新聞の記事には、「容疑者は20日午前5時ごろ、黒っぽいリュックサックを持って阿部さんのマンションから歩いて出ていく様子が、マンションのエントランスの防犯カメラに写っていた。翌21日午前2時ごろには、黒っぽいスポーツバッグを肩に掛けてマンションを出て、自転車で走り去る姿がカメラで確認された」とある。
また、日テレ系everyでも、20日午前5時頃Dバッグ風リュックサックを背負ってマンションから出て行く容疑者の姿をイラストで表現していた。同じ日の日テレ系everyは、21日未明に黒っぽいスポーツバッグを肩に掛けて出て行く容疑者の姿もイラストで見せていたが、殺害時に背負っていたDバッグ風リュックサックと容量がそれほど変わるものではなかった。
容疑者は、19日から20日早朝にかけて阿部さんを殺害しその遺体を切断したのなら、NHKの記事の見出しになっているように別のバッグを準備せずとも、そのまま切断した遺体を詰めて持ち出せる“バッグ”を持っていたのである。
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池に遺体遺棄 男はバッグ準備のため一度マンション出たか[NHK]
7月12日 4時39分
東京・目黒区の公園の池で88歳の女性が切断された遺体で見つかった事件で、死体遺棄の疑いで逮捕された男が一度、女性のマンションを出たあと、遺棄に使われたとみられるスポーツバッグを購入したと供述していることが警視庁への取材で分かりました。警視庁は、バッグを準備するために、一度、マンションを出た可能性があるとみて、調べています。
この事件で逮捕された東京・世田谷区の池田徳信容疑者(28)は、先月、目黒区の「碑文谷公園」の池に、近くに住む阿部祝子さん(88)の切断された遺体を遺棄したとして、死体遺棄の疑いが持たれています。
警視庁のこれまでの調べで、阿部さんの自宅マンションの防犯カメラの映像などから、池田容疑者は、先月21日の未明に、マンションからスポーツバッグに遺体を入れて運び出し池に遺棄したとみられていますが、このバッグについて、池田容疑者が「先月20日に店で購入した」などと供述していることが警視庁への取材で分かりました。
警視庁によりますと、池田容疑者は、先月20日に阿部さんを部屋で殺害し、遺体を切断したとみられ、その後、一度、マンションを出て、自宅方向に向かう姿が防犯カメラの映像で確認されているということです。
警視庁は、遺体を運ぶバッグを準備するために一度、マンションを出た可能性があるとみて、詳しいいきさつを調べています。
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2016.7.10 15:35更新
【目黒バラバラ遺体】
逮捕の男「金銭目的で入った」「切断は包丁使った」 ベランダ侵入、殺害から運搬経緯も供述
東京都目黒区の区立碑文谷公園内の池で、無職の阿部祝子(ときこ)さん(88)=世田谷区野沢=の切断遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された世田谷区野沢、無職、池田徳信(やすのぶ)容疑者(28)が「金銭目的で阿部さんの部屋に入った」と供述していることが10日、捜査関係者への取材で分かった。「ベランダから侵入した。6月20日と21日の2回入った」と供述していることも判明。阿部さんと面識はなかったとみられ、警視庁碑文谷署捜査本部が詳しい経緯を調べる。
「ベランダよじ登り」
捜査本部によると、池田容疑者は侵入経路について、「2階のベランダによじ登ったが、その部屋の窓が閉まっていた。3階の阿部さんの部屋までさらに登り、窓が開いていたので入った」などと供述。2階ベランダと阿部さんの部屋のベランダ、阿部さんの部屋の中から、池田容疑者のものとみられる靴の足跡が見つかった。捜査本部は、池田容疑者が盗み目的で侵入可能な部屋を無差別に探していたとみている。
池田容疑者は20日午前5時ごろ、黒っぽいリュックサックを持って阿部さんのマンションから歩いて出ていく様子が、マンションのエントランスの防犯カメラに写っていた。翌21日午前2時ごろには、黒っぽいスポーツバッグを肩に掛けてマンションを出て、自転車で走り去る姿がカメラで確認された。
いずれの日も池田容疑者がマンションに入る様子は防犯カメラに写っておらず、池田容疑者は「阿部さんの部屋には2回侵入し、どちらもベランダから入った」と供述している。
就寝中に侵入
捜査本部によると、池田容疑者は20日の侵入で阿部さんを殺害し、浴室で切断。いったん帰宅したあと、21日に切断遺体をスポーツバッグに入れ、碑文谷公園の池に捨てたとみられる。池田容疑者は侵入時の状況について「阿部さんは就寝中だった」と供述。「切断には阿部さんの部屋にあった包丁を使った。池とは別の場所に捨てた」としている。
捜査本部は池田容疑者が住むマンションの捜索で、包丁など刃物類9点、リュックサック、自転車などを押収した。自転車は、池田容疑者が21日に使用したものと同一とみられる。
阿部さんの部屋には現金入りの財布や預金通帳が残されていたが、捜査本部によると、阿部さんがタンスに現金を保管していたという情報がある。だがタンス内から金銭などは見つかっておらず、捜査本部は室内からなくなったものがないか調べている。
捜査本部は10日、死体遺棄容疑で池田容疑者を送検した。今後、詳しい殺害方法や遺体を切断した目的などについても調べを進める方針。
http://www.sankei.com/affairs/news/160710/afr1607100008-n1.html
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女性遺体遺棄事件 防犯カメラにスポーツバッグ持つ姿[NHK]
7月11日 4時16分
東京・目黒区の公園の池で、88歳の女性が切断された遺体で見つかった事件で、女性の自宅マンションの防犯カメラに逮捕された男がスポーツバッグを持って出て行く姿が写っていたことが警視庁への取材で分かりました。男は「バッグをゴミとして捨てた」と供述しているということで、警視庁は切断した遺体をバッグに入れて運び出したあと、それを処分したとみて調べています。
この事件は先月23日、東京・目黒区の碑文谷公園の池で、近くのマンションに住む阿部祝子さん(88)が切断された遺体で見つかったもので、警視庁は世田谷区の池田徳信容疑者(28)を死体遺棄の疑いで逮捕しました。
警視庁によりますと、池田容疑者は阿部さんを部屋で殺害し、遺体を切断したあと、遺棄するために先月21日に再び部屋に戻ったということです。
その後の調べで、この日、池田容疑者が黒っぽいスポーツバッグを肩にかけて出て行く姿がマンションの防犯カメラに写っていたことが、警視庁への取材で分かりました。その直後、マンションのカメラには自転車に乗って公園の方向に向かう姿が写っていたほか、池周辺のカメラでも姿が確認されたということです。
池田容疑者は「バッグをゴミとして捨てた」と供述しているということで、警視庁は切断した遺体をバッグに入れて運び出したあと、それを処分したとみて調べています。
(1)異変が止まらない
6月13日、米アップル最高経営責任者(CEO)のティム・クック(55)はサンフランシスコで開いた開発者向けイベントに登壇すると、5000人の参加者を前に話し始めた。「アップルのアプリ開発者は累計で500億ドルを稼いでいる」
アップルは音楽の楽しみ方を変え、スマートフォン(スマホ)で人間の生活そのものを変えた。部品やソフトのメーカーを潤し、世界経済を支えてもいる。ただこの日の説明は基本ソフト刷新など既存プラットフォームの小幅改善に終始。「過去の話が多くなり、かつての大胆さが消えた」と出席者に印象づけた。
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スティーブ・ジョブズが2011年に死去する前にCEOを引き継いだクックは5年で売上高を5割増やし、株価を2倍に引き上げた。ジョブズが嫌った「iPhone」の大画面化に踏み出して需要を再び呼び戻し、「アップルウオッチ」も世に問うた。
魔法をまとうジョブズにはなれないが、後継者として業績を安定的に伸ばしてきた経営能力は内外で高く評価される。そのクックをしても抑えきれない異変が今、アップルを襲っている。
「昨夏お願いした設備増強を今すぐ止めてください。早急にキャンセル費用の見積もりを出してください」。1月中旬、アップルに部品を供給する日本メーカーの本社会議室。シリコンバレーを結ぶビデオ会議でアップル担当者が発した言葉にその場は凍り付いた。
1月に始まった「iPhone6s」の減産は前年比3割に及んだ。前作「6」とパネルサイズが同じで機能差も大きいといえず消費者に違いを打ち出せていないのだ。
07年に登場したiPhoneの草創期は生産台数が少なく、世界で集めた最先端の部品を惜しげもなく採用できた。それが今、新作は1億台以上に必要な量の部品を用意しなければならない。ビジネスが大きくなって品質管理の担当者が増え、新技術の採用に保守的な態度も目立ってきた。
消費者が抱く「飽き」も避けられない。アップルは新しいライフスタイルを提案する製品を幾度も生み出してきた。だが、iPhoneを超えるような製品は久しく生まれていない。日常品化したスマホという土俵で戦い続ければ、どんなに完成度が高くても感激は薄れる。そういう盛者必衰のサイクルをアップルは緩やかに迎えつつある。
4月下旬、先端部品をアップルに供給してきた日本電産の会長兼社長、永守重信(71)は決算説明会で嘆いた。「まさかここまで下振れするとは」。iPhoneの減産は同社の業績を下押しする。アップルを支えるプレーヤーは忍び寄る異変を感じていたが、深刻さは予想を超えた。
3月末発売の小型iPhone「SE」は衰退を象徴するモデルと電子部品メーカーは見る。部品の在庫を消化する役割を果たし、「6s」減産によるダメージを最小限に抑える切り札となる。ただ単価が低い。ブランドビジネスという側面を持つアップルの経営に相反し、攻めよりも守りの製品と受け止められる。
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「それなしで生きていけないと思うほどの機能が新モデルに加わる」。5月2日、テレビ番組に出演したクックは今秋発売の次期iPhoneについて語った。だが部品メーカーに伝えている生産計画の数量は現行モデル並み。驚きを求める消費者の期待に新製品で応える「アップルモデル」は行き詰まっている。
足元のアップルは、デザインの自由度が高まる有機ELパネルに着目する。その調達を巡り、今春から韓国サムスン電子と交渉が続く。「資金を出すので当社向け専用ラインを造ってほしい」。アップルの要請にサムスンは拒絶する姿勢を見せた。「専用ラインをつくるより、適正価格で買い取ってほしい」
有機ELパネルの世界市場をほぼ独占するサムスンの交渉力は強い。圧倒的な購買力を背景に「イエスかノーか」と迫ったアップルの部品調達も変わりつつある。
6月13日の開発者会議の終盤、クックは「我々の目標は世界を変える製品を作ること」と訴えた。消費者の飽き、スマホの陳腐化、そして今後は大企業病とも戦わなければならない。クックの言葉は自らに語りかけているように聞こえた。
◇
1〜3月期、13年ぶりの減収に転じたアップル。ジョブズが逝って5年。クックが率いる巨艦の針路を探る。(敬称略)
[日経新聞7月5日朝刊P.2]
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(2)最良の日々は過ぎ去った
アフリカ系初の米環境保護局(EPA)長官だったアップル副社長、リサ・ジャクソン(54)は6月2日、サンフランシスコで開いた主要国閣僚会合に参加していた。「企業の再生エネルギー調達を促す政策がもっと必要だ」。アップルは太陽光発電に自ら投資し、再生エネに使途を限定した社債も発行。環境配慮のイメージづくりを進める。
クックCEOがスカウトしたジャクソン元米環境保護局長官(6月2日、サンフランシスコ市)
女性幹部が環境保護を訴えるような場面は、スティーブ・ジョブズが指揮したころには見られなかった。かつてのアップルは人々のライフスタイルを変える製品の開発だけに心血を注いだベンチャーのような社風。今は社員が12万人の巨大企業となり、企業の社会的責任やガバナンスと、あらゆる面で果たさなければならない役割がある。権威を否定するジョブズが反逆者なら、今の最高経営責任者(CEO)、ティム・クック(55)は優等生に映る。
5月21日、米サンフランシスコの中心、ユニオンスクエア横にアップルが巨大な旗艦店を開いた。英バーバリーのトップからアップルに転じた上級副社長、アンジェラ・アーレンツ(56)が訪れると、店員や招待客が彼女を囲み、華やいだ空気に包まれた。店舗は巨大なガラス張りの吹き抜け構造。2階と建物の周囲に樹木や椅子が置かれ、公共空間が広がっている。商品の展示場というより、市民のサロンのようだ。
アップルが売るのは機能よりもイメージという印象は年を追うごとに強まる。クックが自らが同性愛者であることを公表しているのも、マイノリティーへの配慮を強調するためだ。
「コーラは私を幸せにしてくれる素晴らしい商品」。4月30日。「投資の神様」ウォーレン・バフェット(85)は自身が率いるバークシャー・ハザウェイの株主総会でコカ・コーラへの投資理由を聞かれ、コーラを飲みながらけむに巻いた。ハイテク銘柄を避け、日常生活に関わりの深い長期安定銘柄しか選ばない投資姿勢を改めて印象づけた。2週間後の5月16日、バークシャーが初めてアップル株に約10億ドル(約1千億円)を投資したことが開示された。
4月28日には成長銘柄を狙うことで知られる物言う株主カール・アイカーン(80)が保有するアップル株を売却したと認めた。米運用会社サンフォード・バーンスタインのアナリストは「アップルの最良の日々は過ぎ去った」と言う。株式市場は既にアップルを成長企業ではなく成熟した老舗のブランド企業だとみて動いている。
(敬称略)
[日経新聞7月6日朝刊P.2]
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(3)「FBIより中国配慮」
5月15日、訪中した米アップル最高経営責任者(CEO)のティム・クック(55)は北京で中国配車アプリ最大手、滴滴出行の車に試乗し、笑顔で写真に納まった。訪中の土産代わりと言わんばかりに滴滴に10億ドル(約1千億円)を出資した。
中国はアップルの売上高の4分の1を占める(北京の店舗)
太陽光発電所や直営店の立ち上げ、そしてベンチャーへの接近。中国で着実に投資実績を積み上げるのは、純粋なビジネスとしての目的に加え、当局との関係づくりを進めたいからと受け止められている。
アップルの売上高のうち今や4分の1が中国。現地には製造委託工場も多くある。情報流通に関わる産業を統制対象とみなす中国で米国企業として空前の成功を収めた。中国政府との距離の取り方は死活問題となる。
「利用者のためにプライバシーを守るアップルの姿勢は素晴らしい」。2月26日、アップルは本社で株主総会を開き、真っ先に指名された弁護士、シンディ・コーン(52)が賛辞を贈った。この10日前、アップルは米連邦捜査局(FBI)と戦うとの声明を出した。iPhoneのセキュリティー緩和を求められ、個人情報保護を理由に拒否したのだ。株主総会は満場の拍手となったが、クックは反応せず、淡々と次の質問を受けた。
「クックの化けの皮をはがす」。株主総会の前日、元米国家安全保障局(NSA)法律顧問、スチュアート・ベーカー(68)はクック宛ての書簡を公開し、怒りをぶちまけていた。2014年、アップルが中国の顧客情報を現地のデータセンターに移した直後、iPhone6の販売認可が下りたと見ているためだ。ベーカーは「中国政府はiPhoneに様々な情報の抜け道を仕掛けている。アップルはそれを黙認し、中国政府に対しFBIとは違う対応をしている」と指摘する。
「中国寄り」と批判されるほどに寄り添っても、中国でのビジネスは難しい。6月には北京市内でのiPhone6の販売停止を市当局が命じた。アップルの異議申し立てで保留されたものの、外観が中国メーカーのモデルと酷似していると言われた。4月末にはアップルの中国サイトで映画と書籍の購入がサービス開始から半年でできなくなった。思いもかけないけん制球が次々に飛んでくる。
うまく付き合ってきたつもりの中国だが、成長を過度に依存する事態は避けたい。クックは5月17日、北京を訪れたその足でインドへ飛んだ。
(敬称略)
[日経新聞7月7日朝刊P.2]
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(4)迫る成熟にあらがう
「次回の訪印が待ち遠しい」。5月中旬、インドを訪れた米アップルの最高経営責任者(CEO)、ティム・クック(55)はインド首相ナレンドラ・モディ(65)と会談後、モディにツイートした。4日間の滞在中、インドを飛び回り、開発拠点設立も発表した。だが財務相のアルン・ジャイトリー(63)は「インドに出店する外資はインドで調達と雇用を」とつれない。
クックCEOは自動車事業に乗り出す意向が強いとみられている
クックの言う「世界を変える」ような製品が出ないアップルにとって米中に次ぐスマートフォン市場のインドは魅力的だ。しかし一定の現地調達率をクリアしないと直営店を置けないなど規制に阻まれる。中韓印メーカーが次々に繰り出す安価なアンドロイド機に劣勢を強いられ現地シェアは2%にとどまる。
新興国開拓が思うに任せない中、クックは法人向け分野に目を向ける。昨秋には独ソフトウエア大手SAPのCEO、ビル・マクダーモット(54)と会いサービスの共同開発を決めた。システム事業は自社のハードを活用できるうえ価格を下げずに続けられるビジネスと読んだ。
「特別な有料コンテンツサービスをつくる」。6月13日、米サンフランシスコで開いたアップルの開発者向けイベント会場に著名音楽プロデューサー、ジミー・アイオビン(63)が姿を見せた。アップルの音楽サービスの実質的な責任者として定額配信サービス「タイダル」の買収に動く。人脈を駆使して芸術家を巻き込み、アップル限定のコンテンツを増やす狙い。アップルは米映画大手タイムワーナーの買収も検討、巨大メディア企業への脱皮も視野に入れる。
この間のクックは意気軒高だ。平日は午前5時前に独BMWの黒いセダンに乗り込み、スポーツクラブに立ち寄る。以前の愛車はポルシェだったが乗り換えた。自動車開発で協力したいBMWとの交渉は不調だったが、秋波は送っている。
米IBMなどIT(情報技術)産業の巨人はハードで市場を席巻し、やがてコモディティー(日用品)化を迎え、情報システム構築などサービスに事業のカジを切った。ただアップルにはiPhoneのようにサービスと端末を統合させる他社に無い強みがある。法人向けシステム、メディア、自動車、健康管理――。巨大企業の宿病である成熟化にあらがい、端末の力を生かしたサービスで再成長する道をクックは探る。
(敬称略)
兼松雄一郎、堀田隆文、細川幸太郎が担当しました。
[日経新聞7月8日朝刊P.2]
中国の領有権を認めるにたる国際法的な権原や歴史的な実効支配の積み重ねがない。歴史的な漁業権については、フィリピンともども中国にも認めることができるというものである。
領有権ないし管轄権とは関係なく、島ではなく岩については、埋め立て造成が行われたとしても、領海は認められても排他的経済水域はが設定できない。低潮高地の場合、埋め立て造成をしても領海すら認められないというのは国際海洋法条約に従えば当然の判断である。
仲裁裁判所の判断や中国政府の受け容れ拒否を受け、中国の覇権主義的海洋進出などと対中非難が喧しいが、仲裁裁判所は、南シナ海海域にある島々(岩や低潮高地)の領有権がどの国(複数の場合も)に属するかについて何も言っていない。
フィリピンの訴え自体が、フィリピンの領有権を認めてもらう目的ではなく、中国が主張する領有権は根拠がないというものである。
日本政府も中国に仲裁に従うよう声明を出しているが、日本が国際法的に根拠が薄い国後島・択捉島の領有権を主張しているように、中国も国際法的に根拠が薄い南シナ海全域に対する主権を主張し続けるだろう。
(歯舞・色丹は日本領だが、サンフランシスコ講和条約で千島列島を放棄しており、南千島と呼ぶ国後島・択捉島も千島列島に属すると考えられる)
南シナ海で起きている領有権をめぐる対立は、日本で、覇権主義に走る中国の剥き出しの利益追求と横暴ぶりが原因であるかのように思われているフシがある。
しかし、尖閣諸島とは違い、中国(台湾)の南シナ海の島々に対する領有権の主張は、日本が領有し台湾の一部とした歴史的経緯もあり、台湾も中国の一部と考えるのなら、大国になった中国の覇権主義の現れとは一概に言えない。
さらに言えば、南沙諸島と西沙諸島を中心とする南シナ海海域の島々をめぐる領有権問題に日本が無関係というわけではない。
というより、1938年から1945年のあいだ大日本帝国が実効支配していた領域が、戦後70年以上経過した今なお国際法的には領有権の帰属が不確定のままというのが問題の淵源なのである。
朝鮮半島の分断など、戦後アジアにはいくつかの大きなトゲが育てられている。南シナ海領有権問題もその一つと言えるだろう。
日本は、サンフランシスコ条約第二条で「(f)日本国は、新南群島及び西沙群島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄」した。
サ条約第二条(f)に書かれている新南群島が南沙諸島(スプラトリー諸島)である。日本が1938年に領有を宣言し、新南群島と名付けた。行政区分上は、閣議決定で植民地であった台湾の高雄市の一部となった。
このような経緯から、日本の敗戦後、新南群島及び西沙群島に対する領有権は中華民国に移ったと理解することもできる。
サ条約は、北方領土についても言えるが、日本が放棄することは規定されていても、その後どこの国が領有権を引き継ぐかについては規定されていない。(沖縄県の国連信託統治に関しては米国と明記されているが)
UN(連合国)での代表権を維持しながらサンフランシスコ対日講和会議には招待されなかった台湾とのあいだで締結された日華条約(日中国交正常化で破棄)では、
第二条
日本国は、千九百五十一年九月八日にアメリカ合衆国のサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約(以下「サン・フランシスコ条約」という。)第二条に基き、台湾及び澎湖諸島並びに新南群島及び西沙群島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄したことが承認される。
と明記されているが、新南群島及び西沙群島が中華民国の領有になったという明確な記述があるわけではない。
(領有権を放棄した日本が放棄した領域の新たな帰属先を云々することはできないが、日華条約にわざわざ関連条文を加えたのは、米国の了解を得た上での“暗黙の引き渡し”があったと推測することもできる)
連合国での代表権を認められずサンフランシスコ講和会議にも招かれなかった中華人民共和国の周恩来外相は、サンフランシスコ講和条約の草案における南シナ海領域の扱いについて、次のようにクレームを付け、宣言も発している。
「対日講和問題に関する周恩来中国外相の声明」 1951年8月15日
「草案は、故意に日本が西鳥島と西沙群島にたいする一切の権利を放棄すると規定し、その主権返還の問題について言及するところがない。実は、西沙群島と西鳥島とは、南沙群島、中沙群島及び東沙群島と全く同じように、これまでずっと中国領土であったし、日本帝国主義が侵略戦争をおこした際、一時手放されたが、日本が降伏してからは当時の中国政府により全部接収されたのである。中華人民共和国中央人民政府はここにつぎのとおり宣言する。すなわち中華人民共和国の西鳥島と西沙群島にたいする犯すことのできない主権は、対日平和条約アメリカ、イギリス案で規定の有無にかかわらず、またどのように規定されていようが、なんら影響を受けるものではない。 」
※ 周恩来中国外相の声明でいう「西鳥島」が、現在、ベトナムが実効支配している南沙諸島の一つ南威島である。
中沙諸島は、スカボロー礁(黄岩島)が存在するところで、昨年4月、スカボロー礁周囲で中国の漁船が拿捕され、大きな係争になったところである。
日本政府は、米国の尻馬に乗って中国横暴論を振りまくなのではなく、戦後70年経ってなお領有権の帰属が未確定の南シナ海領域について、二国間及び関連多国間での交渉で領有ないしは管轄の境界を定めようという気運の醸成に努力を傾けるべきであろう。
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南シナ海、中国の主権認めず 国際司法が初判断[日経新聞]
習主席「判決の影響受けない」
2016/7/12 20:29 (2016/7/12 22:26更新)
【ブリュッセル=森本学】国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、南シナ海での中国の海洋進出を巡り、中国が主権を主張する独自の境界線「九段線」に国際法上の根拠がないと認定した。中国が人工島造成など実効支配を強める南シナ海問題に対し、初めて国際的な司法判断が下された。中国は判決を受け入れないとしており、国際社会との緊張が高まるのは必至だ。
裁判はフィリピンが提訴した。判決文は九段線の海域内で中国が主張する主権や管轄権、歴史的権利に関して根拠がないと指摘。国連海洋法条約を超えて主権などを主張することはできないとした。中国は1996年に同条約を批准している。
中国が造成する人工島も「島」と認めなかった。フィリピンが訴えた「中国が人工島を造成したミスチーフ礁などは満潮時に水没する『低潮高地』(暗礁)であり、領海を設定できない」との指摘を認めた。
スカボロー礁やジョンソン礁などは「岩」であると認定し、沿岸国が漁業や資源開発などの権利を持つ排他的経済水域(EEZ)は設けられないと判断した。スカボロー礁周辺の海域は中国、フィリピン、ベトナムの伝統的な漁場で、中国がフィリピン漁船にたびたび妨害を加えていたことも国際法違反だとした。
フィリピンのヤサイ外相は判決を歓迎するとした上で「フィリピンは画期的な判決を尊重し、強く支持する。紛争の平和的解決のため、引き続き努力する」と述べた。一方、中国の習近平国家主席は北京訪問中のトゥスク欧州連合(EU)大統領との会談で「南シナ海の島々は昔から中国の領土であり、領土、主権、海洋権益はいかなる状況でも仲裁判決の影響を受けない。判決に基づくいかなる主張や行動も受け入れない」と強調した。
国連海洋法条約に基づく仲裁裁判は、相手国の同意がなくても一方の国の意思だけで始められる。中国の海洋進出を脅威に感じたフィリピンは2013年1月に裁判の開始を申し立てた。中国は拒否したが、同条約の規定に従い裁判官に当たる5人の仲裁人が審理した。
米海軍が昨年5月に公表した南沙諸島のファイアリークロス礁の画像=米海軍提供・ロイター
中国は1950年前後に九段線を示し、海域のほぼ全域での主権と管轄権を主張してきたものの、国際法上の根拠を明確には説明してこなかった。今回の判決で「国際法違反」と明確に結論づけられ、中国の主張が根底から覆された。中国とフィリピンは判決に従う義務を負うが、罰則や強制する仕組みはない。
南シナ海は国際航路の大動脈である上、天然ガスや漁業などの資源が豊富。中国とフィリピンのほか、台湾、ベトナム、マレーシアなどが領有権を争っている。中国はここ数年で南沙(英語名スプラトリー)諸島で埋め立てを進めて人工島を造成したほか、西沙(英語名パラセル)諸島にミサイルを配備し、国際的な懸念が強まっていた。
主要7カ国(G7)は5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、「法に基づく主張」「力や威力を用いない」「平和的な紛争解決」の三原則を確認した。
「司法が止めた原発:「原発メルトダウン危機の88時間」のようなインチキ総括しかできないデタラメ状況で再稼働停止は当然」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/345.html
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高浜原発 運転延長差し止め裁判始まる
CBCテレビ 7月13日(水)12時5分配信
運転開始から40年を超えた福井県の関西電力「高浜原発1、2号機」について、運転を延長する認可の差し止めを住民が国に求めた裁判で、第1回口頭弁論が行われ、国側は全面的に争う姿勢を見せました。
この裁判は、運転開始から40年以上経過した関西電力の「高浜原発1、2号機」について、原子力規制委員会が、ことし2月に新規制基準に適合しているとして、運転延長を認める判断をしたことに対し、愛知や岐阜・福井などの住民合わせて76人が、「新規制基準や審査には問題があり、深刻な災害を引き起こす危険性がある」などとして、規制委員会の認可の差し止めを求めたものです。
13日、名古屋地裁で行われた第1回口頭弁論で、原告側は、「原発の運転期間は、40年ルールを厳格に適用すべき」と訴えました。
一方、被告の国側は、「既に運転期間延長を許可している」と、請求の棄却を求める答弁書を提出しました。
老朽化した原発の安全性を問う裁判は、全国で初めてです。
最終更新:7月13日(水)12時42分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160713-00000063-cbcv-soci
首都ソウルは38度線に近く、低空を飛んでくる北朝鮮の長距離砲や短距離ミサイルの射程内にあるので、高高度ミサイル迎撃システムで防御するのに不向きな地理的条件にある。
(韓国領域へのTHAADシステムはその機能から、近接する北朝鮮より、中国やロシアに対してより有効的なものである)
それでも配備すると決めたのなら、首都ソウルまでカバーする場所にTHAADシステムを配備するほうが、象徴的な意味でも“理に適っている”と思うのだが、そうしなかった意図はなんだろうか?
(立地場所選択の理由は電磁波問題や既存基地活用などと説明している)
どちらが先に仕掛けるとしても、南北の戦争突入は、膨大な人的犠牲を招くだけでなく、朝鮮戦争後営々と築いてきた経済的繁栄を一夜にして失うことを意味する。
韓国も北朝鮮も自分からは戦端を開くつもりはないのだから、“日本政府の支援”(=日朝国交正常化)を受けながら、恒久的な平和状態を早急に目指すべきである。
また、防衛的兵器の配備だから、北朝鮮そして中国やロシアがクレームを付けるのはおかしいという考えもあるが、米軍及び韓国は防御兵器だけでなく攻撃兵器も有しているから、強力な防御兵器の配備は“敵対的”関係にある諸国に対する脅威となり、より強力な攻撃兵器の開発配備や防御能力の無力化計画を誘発することで軍事的緊張を高めることになる。
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THAADシステムが守るのは韓国領のどの部分か、韓国で発表[スプートニク日本語]
2016年07月13日 16:36(アップデート 2016年07月13日 16:44)
アメリカのミサイル防衛システ厶THAADシステムは、韓国の半分もしくは3分の2の領土を、北朝鮮のミサイルから防衛する。韓国国防省の報道官が水曜日、そう発言した。
聯合ニュースは報道官の次の発言を報じた。「星州郡へのTHAADシステムの配置は、半分から3分の2の韓国領の安全を保証する。」
報道官が指摘したところ、THAADシステムの配置は原発、石油貯蔵庫、米韓軍事施設の守りに向けられたものだ。
先に伝えられたところによると、北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃するTHAAD(終末高高度)防衛ミサイルの配備場所は、韓国東部・慶尚北道(キョンサンブクド)の星州(ソンジュ)郡星州邑(ソンジュウプ)となるもようだ。
http://jp.sputniknews.com/asia/20160713/2476122.html
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THAADミサイルに対し「相応の対応を取る」と約束、中国[スプートニク日本語]
2016年07月11日 19:55(アップデート 2016年07月11日 20:02)
中国は、ミサイル防衛システムのTHAADミサイルの韓国領内の配置に関する方針を変えるよう、米国と韓国に呼びかけた。月曜日11日、ルカン中国外交部報道官がブリーフィングで伝えた。
ミサイル防衛システムは北朝鮮のミサイル以外の他の標的を持たないと、最初は述べられていた。しかし、THAADミサイルの展開は中国とロシアの不安をかきたてる。
「我々は方針を変えるよう、米国と韓国に断固として呼びかける。THAADミサイルの配置は地域の戦略的バランスを乱す」とルカン報道官は述べた。また、THAADミサイル配置の際には「中国は相応の対応を取る」と強調した。
中国の意見では、THAADミサイル配置は、依然として「非常に複雑で敏感な」朝鮮半島の状況解決の助けにはならないとも、ルカン報道官は述べた。
先に伝えられたところによると、韓国は、北朝鮮が米国のミサイル防衛システムTHAADを韓国に配備する計画に対して「物理的措置」で脅し続けるならば、「強力な報復」を行うと発表した。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160711/2462067.html
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ロシア、韓国THAAD配備に報復、極東にミサイル支隊配置か[スプートニク日本語]
2016年07月08日 18:40(アップデート 2016年07月08日 20:13)
ロシアは東部領域に韓国配備のMDゾーンを網羅するミサイルを配備する可能性がある。8日、露上院国防委員会のセヴゲーニー・セレブニンコフ第1副委員長がスプートニクに明らかにした。
「我々は米国が自国の軍事計画にそって韓国へのMD配備を決めたことを考慮し、国防省とともにこの方面での影響力強化について、ミサイルや地上軍の支隊の配備という方法も含め、具体策を策定する。」
セレブレンニコフ第1副院長はこうした支隊は「韓国のMDの展開のゾーンに達するようミサイルの半径を考慮し」いかなる場所にも配置が可能だと強調。
セレブレンニコフ議員は従来のクリル諸島での軍事基地復興計画はMD配備を考慮したものであり、「ごく近いうちにも推進されうる」とその可能性を否定しなかった。
ロシア極東発展省のアレクサンドル・ガルシュカ大臣は日本企業に対し、極東の水産加工施設への投資を呼びかけ、その引き換えとして水産生物資源の漁獲割り当てを提案。
「漁業分野でロシアは、『漁業割当と引き換えの投資』というフォーマットでの日本との協力に開かれた態度をとっている。」ガルシュカ極東発展相は一般社団法人ロシアNIS貿易会(ROTOBO)の会長をつとめる川崎重工の村山滋社長との会談でこう発言した。
先週プーチン大統領は漁業分野の発達のための投資割当の導入に関する法に署名した。ガルシュカ極東発展相は「法律は、投資と引き換えに割当を得ることを想定したもの。もし投資家、企業などの経済主体が漁獲割当を得た場合、その割当と引き換えにその主体は極東ロシアに水産加工工場を建てるか、ロシアで造船された漁船の取得に投資する義務を負う」と説明している。
9月2日、3日に予定されている第2回東方経済フォーラムではセッションの1つのテーマに極東での水産加工問題が挙げられている。村山氏が述べたように、この分野への投資可能性には日本企業数社がすぐさま興味を示した。ガルシュカ極東発展相も「われわれとしても日本のビジネスを呼び込むことに興味がある。そして、投資の新たなメカニズム実現について、フォーラムで提案することを予定している」と語っている。
日本の企業は東方経済フォーラムに高い関心を表している。この関心の高さは多くは安倍首相のフォーラム参加が確定したことと関連している。また、安倍首相は、今年5月に行われたプーチン大統領との会談で、ロシアとの経済協力を今後数年先まで見通すプランを提案した。
ガルシュカ極東発展相は、ウラジオストック自由港では、日本の投資会社により、すでに専用の積み替え施設建設プロジェクトが実現されているほか、先進発展領域(TOR)「ハバロフスク」と、サハ(ヤクーチヤ)共和国の「カンガラッシ」では日本の2社がすでに温室栽培と農業の分野での仕事で成功していると指摘した。
ガルシュカ極東発展相は露日間の相互活動の枠で将来性の高い方向性のひとつとして農業をあげている。「日本は農産物の輸入国だ。日本の輸入物がロシアの輸出物となるのは論理的だ。われわれは質が高く、環境的にクリーンでお得な値段の食品を日本のために提供する用意がある。それは極東にとっては生産量増加、新たな雇用、全レベルでの予算の増加につながる。」
ガルシュカ極東発展相によれば、東方経済フォーラムでは露日合同農業ファンド創設の可能性を検討する予定だという。
ガルシュカ極東発展相はスプートニクからのインタビューに答えたなかで、極東ロシアは日本からの投資を待っているとして、次のように語った。
「我々が考えているのは中国や韓国との協力と同様な形の日本との協力だ。その根底にあるのは互恵的関係だ。ロシア政府としては極東での投資とビジネスにとって最大限の好条件をつくることを自らの課題と見ている。どこで投資を行う場合でも投資家が何よりも心配するのはリスクと収益性だ。バランスは、リスクと収益の合理的な組み合わせだ。われわれは日本企業が極東ロシアでのビジネスを成功させるために招いているのであって、ロシアとしては投資プロジェクトのリスクを下げ、収益性を増やすために必要なことは全て行う。日本からの投資が今よりも2倍から3倍に伸びることを想定して行動している。われわれはすでに到達したところで立ち止まるわけにはいかない。投資家と常に対話を保つことが重要だ。」
東方経済フォーラムでは日本の実際の投資家また潜在的な投資家との直接対話のために露日円卓会議が組織される。村山氏によると、氏のテーマは中小企業の発達と関連したものになるという。村山氏は日本からの参加者は去年より増えることは間違いないと断言している。
12日、米国のサンダース上院議員は、民主党の大統領候補としてヒラリー・クリントン前国務長官を支持すると公式に明らかにした。
サンダース上院議員は「クリントン氏は、民主党の大統領候補者となるための戦いに勝利した」と述べ「私は、この事で彼女におめでとうを言う。私も、彼女が米国大統領となるようできる限りのことをするつもりだ」と強調した。
サンダース上院議員は、長い期間にわたり、民主党の大統領候補者を選ぶ予備選で、クリントン前国務長官の唯一のライバルとして、戦い続けた。
先に、米国議会はクリントン氏に対し新たな調査を要求した、と報じられた。
ときに英国王室をみていて思うのは、チャールズ皇太子とエリザベスU女王のどちらが先に亡くなられるのだろうという余計な心配である。
「生前譲位」という報道に接したとき、皇太子家に男子がなく、秋篠宮家には悠仁という男子がいるという現実が思い浮かんだ。
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<皇室>天皇陛下「生前退位」意向 数年内に譲位
毎日新聞 7月13日(水)21時31分配信
天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁関係者に示されていることが、政府関係者への取材で分かった。数年以内の譲位を望まれているといい、宮内庁は陛下自らがお気持ちを表明する方向で調整を進めている。皇室制度を定めた「皇室典範」に天皇の退位に関する規定はなく、皇室典範の改正を含めた議論につながる可能性がある。
陛下は現在82歳。2012年2月に心臓の冠動脈バイパス手術を受けた後は宮中祭祀(さいし)を減らす一方、憲法に規定された国事行為や震災などの被災地のお見舞い、外国元首との会見など多くの公務を続けている。
関係者によると、陛下には現在健康上の問題はないが、公務を大幅に削減したり摂政などの代役を立てたりする形で天皇の位にとどまることは望まれていない。「憲法に定められた象徴としての務めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべきだ」との考えを持ち、ご意向は、皇后さまや皇太子さま、秋篠宮さまに示されているという。
宮内庁はこれまで、生前退位に否定的な考えを示している。01年11月の参議院の調査会では、当時の宮内庁次長が、現行法が天皇の地位を安定させる観点などから退位を認めていないと説明し「現在の段階で退位制度を設けることは考えていない」と答弁している。
陛下は、天皇が象徴と位置づけられた現憲法下で初めて1989年に125代天皇として55歳で即位。皇后さまと臨んだ即位の会見で「憲法に定められた天皇の在り方を念頭に置き、天皇の務めを果たしていきたい」と述べた。「象徴天皇」の在り方を探り、皇太子時代からの障害者施設への訪問のほか、震災などの被災地訪問も続け、即位10年の会見で「障害者や高齢者、災害を受けた人々、あるいは社会や人々のために尽くしている人々に心を寄せていくことは、私どもの大切な務めである」と述べ、平成時代の天皇像を築いてきた。
一方、宮内庁は陛下の負担軽減策を探ってきた。08年12月に心労が原因とみられる不整脈などで体調を崩したことを受け、09年1月には式典での「おことば」の多くを取りやめるなどの軽減方針を発表。11年11月には秋篠宮さまが会見で「定年制は、やはり必要になってくると思う。ある一定の年齢を過ぎれば、人間はだんだんいろんなことをすることが難しくなっていく」と述べたこともあった。
陛下は12年2月に心臓の冠動脈バイパス手術を受けたが、直後の東日本大震災の追悼式に出席。同年の79歳の誕生日を前にした会見で「今のところしばらくはこのままでいきたい」と述べていたが、両陛下が始めた「こどもの日」や「敬老の日」にちなんだ施設訪問は14年を最後にし、皇太子さまらに引き継がれた。宮内庁は今年5月、国や地方の行政機関などの長との面会を減らすことを発表したばかりだった。
宮内庁によると、昭和天皇まで124代の天皇のうち、生前に皇位を譲った例は何度もあるが、明治以降にはない。欧州の王室では生前退位は珍しくなく、13年には日本の皇室とも親交が深いオランダのベアトリックス女王やローマ法王ベネディクト16世が退位し、注目を集めた。
【高島博之、長谷川豊】
【ことば】皇位の継承
明治時代に皇室制度が整えられた時に、天皇になると生涯務める「終身制」となり、退位に関する制度は定められていない。二重権力が生まれることや退位が強制される可能性が踏まえられたとされる。戦後の1947年に制定された皇室典範は、皇位は男系の男子が継承すると規定。小泉純一郎政権時代の2005年には首相の私的諮問機関が女性天皇を容認する提言を打ち出したが、秋篠宮ご夫妻の長男悠仁さまの誕生で議論は立ち消えになった。現在の継承順位は(1)皇太子さま(2)秋篠宮さま(3)悠仁さま(4)常陸宮さま(5)三笠宮さま。
最終更新:7月14日(木)0時53分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160713-00000090-mai-soci
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「そうした事実一切ない」=宮内庁幹部は報道否定―生前退位
時事通信 7月13日(水)23時0分配信
天皇陛下が天皇の地位を生前に皇太子さまに譲る意向を宮内庁関係者に伝えられたとの報道を受け、同庁の山本信一郎次長は13日夜、報道各社の取材に応じ、「そうした事実は一切ない。陛下は憲法上のお立場から、皇室典範や皇室の制度に関する発言は差し控えてこられた」と否定した。
午後8時半ごろ庁内で各社の取材に応じた山本次長は、「陛下が生前退位の意向を宮内庁関係者に示されたという報道があったが、そうした事実は一切ない」と繰り返し強調。「長官や侍従長を含め、宮内庁全体でそのようなお話はこれまでなかった」と話した。
記者からは皇室典範改正の可能性についても質問が飛んだが、「皇室典範や制度にわたる問題については内閣や国会で対応するものだ」とコメントを避けた。静養のため葉山御用邸(神奈川県葉山町)に滞在中の陛下の体調については「お変わりなくお過ごしだ」と説明した。
深夜に取材に応じた同庁の風岡典之長官も、同様に報道内容を否定。「(皇室の)制度については国会の判断にゆだねられている。陛下がどうすべきだとおっしゃったことは一度もなく、あり得ない話だ」と述べた。
最終更新:7月14日(木)1時11分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160713-00000184-jij-soci
この事象について、政府・東電は3.11の1週間後には把握していたはずである。それから5年経ってようやく、それもおそるおそる、メルトスルーした核燃料が取り出せない可能性に言及したわけである。
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福島第一 廃炉計画で初めて「石棺」に言及[NHK]
7月13日 16時44分
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、国の専門機関は、事故で溶け落ちた核燃料を取り出すことがあくまで大前提としたうえで、核燃料を建屋内で閉じ込める「石棺(せっかん)」と呼ばれる方法に初めて触れ、この方法に選択の余地を残した技術的な計画を示しました。
福島第一原発の廃炉に向けた「戦略プラン」と呼ばれる技術的な計画について、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」は、現場の調査状況などに応じて毎年見直しを行っていて、ことしの改訂版が13日公表されました。
この中で、事故で溶け落ちた核燃料をどう取り出すかについては、1号機から3号機までで状況が大きく異なる可能性があることから、核燃料の上まで水を張って放射線を遮る「冠水工法」という方法や、水を張らない「気中工法」という方法を状況に応じて組み合わせるとしています。
そのうえで、旧ソビエトのチェルノブイリ原発で採用された核燃料を取り出さずに建屋の中に閉じ込める「石棺」と呼ばれる方法に初めて触れ、石棺では長期にわたる安全管理は困難で核燃料を取り出すことが大前提としたうえで、「今後明らかになる内部状況に応じて、柔軟に見直しを図ることが適切である」と選択の余地を残しています。そして「長期的な責任継承に関する不確実性や世代間での安易な先送り等に対する懸念を十分に踏まえることが求められる」としています。
国や東京電力は、核燃料をどう取り出すかについて来年の夏頃までに方針を決め、平成33年までに1号機から3号機までのいずれかで取り出しを始めるとしています。
「石棺は念頭にない」
東京電力福島第一原発がある福島県大熊町の渡辺利綱町長は「初めて聞くことで内容は精査したいが、国や電気事業者の責任で最終処分場を県外に確保するというのが約束なので、しっかり守ってもらいたい」と話しました。
双葉町の伊澤史朗町長は「われわれとすれば当然燃料を取り出しての収束を期待しているし、石棺にするのは全然念頭にない。燃料を取り出して収束する取り組みをもっと進めてほしい」と話しました。
浪江町の馬場有町長は「今、取り出しをするためにいろいろな研究をやっているのだろうから、石棺などということはあってはならず、そんな結論では理解できない。30年かけても40年かけてもやるんだということだったのでわれわれは信じるしかないし、初志貫徹でやってもらうしかない」と話しました。
南相馬市の桜井勝延市長は「廃炉がこれから続いて行くなかで、当初から言われていた県外処分が守られるよう国や東電に約束させなければいけない。そうでなければ安心して帰還なんてできるはずがない。石棺ということばが出てくること自体、技術が確立されていないことの証しだと思うし、そんなことばを軽々しく出すべきでない」と話しました。
放射性廃棄物「県外で処分を」
福島県と福島第一原発周辺の13市町村長による会議は、13日の会合で、溶け落ちた核燃料を含む放射性廃棄物について、県外で適切に処分することを国に要望することを決めました。
要望は、大熊町の渡辺利綱町長が提案し、福島の復興再生や住民の帰還が進む中、将来に向けて更なる負担を強いることがないよう国の責任で確実に議論を進めることを求めています。
渡辺町長は「国や電気事業者の責任で、最終処分場を県外に確保するというのが約束なので、しっかり守ってもらいたい」と話しました。
天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示されていることが分かりました。担当記者が解説します。
Q
天皇陛下が生前に退位する意向を示されたということですが、どういうことなのか、もう一度詳しく説明してください。
A
宮内庁の関係者によりますと、天皇陛下は、数年内に、天皇の位を皇太子さまに譲りたいと考えられているということです。去年、82歳の誕生日を前に、記者会見で、「年齢というものを感じることも多くなっている」と述べられた天皇陛下。「天皇の務めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべきだ」と考えられ、「務めが果たせなくなれば、譲位すべきだ」というお気持ちだということです。今後、年を重ね、ご自身の考える天皇としてのあるべき姿が体現できなくなる前に天皇の位を次の世代に譲られたいということだと思います。天皇陛下がこうした考えを示されたのは、5年ほど前のことで、以来、この考えを一貫して示されてきたということです。
Q
お気持ちを表明される方向だということですが、どのような形での表明が検討されているのでしょうか?
A
天皇陛下が、記者会見に近い形で、国内外にお気持ちを表明されることも検討されています。天皇陛下は、これまで誕生日などにあたって、記者団の質問に答える形で会見に臨んできましたが、みずから、会見形式でお気持ちを表明されたことは一度もありません。実現すれば、初めてのことになります。
Q
天皇陛下が生前に退位することは可能なのでしょうか?。
A
今の皇室制度では、天皇の「生前退位」は認められていません。
天皇が崩御した時に限って、皇位継承順位に従って自動的に次の天皇が即位する仕組みになっていて、天皇は、生涯引退できない立場にあります。
Q
退位が可能になる道もあるのでしょうか?
A
いちばん分かりやすいのは、皇室典範を改正して、天皇の生前退位を制度化することです。一方で、制度化までしなくても、とりあえず天皇陛下が意向を実現できるよう特別に法律を制定するなどの措置も考えられるかも知れません。
Q
仮に、天皇陛下が退位されると「平成」という元号はどうなるのでしょうか?
A
「元号法」で、元号は、皇位の継承があった時に改めるとされています。天皇陛下が退位されて、皇太子さまが新たな天皇として即位されると、「元号」は「平成」から新たな元号に変わることになります。宮内庁の関係者によりますと、天皇陛下は、数年内の退位を望まれているということです。仮に、4年後に東京で開かれるオリンピックとパラリンピックの前に退位されると、東京オリンピック・パラリンピックは、皇太子さまを天皇とする新たな時代を迎えた日本で開かれることになります。
Q
天皇陛下の退位の意向、宮内庁や政府はどう対応していくことになるのでしょうか?
A
皇位継承資格の拡大や「女性宮家」の創設など、皇室制度の見直しを巡るここ最近の議論では、政府の有識者会議が設けられるなどしてきましたが、同じような手続きを経ることも考えられます。日本は、4人に1人が65歳以上という時代です。天皇陛下の意向にも配慮しつつ、高齢化社会での天皇の在り方という観点で時代に即した検討が行われていくことになるものと思われます。
天皇陛下が生前退位の意向を示されたことを受け、政府内では今後、皇室制度を定めた皇室典範改正の是非が焦点となりそうだ。現行制度には、天皇の退位に関する規定がないためだが、改正には慎重論も多いという。政府は、国民的な議論の高まりなどを見極めつつ、丁寧に対応する考えだ。
皇室典範は、皇位継承について「天皇が崩じたときは、皇嗣(こうし)が、直ちに即位する」などと規定しているが、退位に関する規定はない。政府関係者は13日、「生前退位というのは現行制度に規定されていない。皇室典範の改正が必要になる」と指摘した。
実際に皇室典範を改正する場合は、通常の法改正と同様に、政府が改正案を作成し、国会で審議することになる。陛下の意向を踏まえ、政府は既に、内閣官房を中心に水面下で検討に着手。同時に、公務の負担軽減の在り方についても研究し、安倍晋三首相に報告されているという。
制度改正をめぐっては、他にも検討すべき課題が多い。内閣法制局OBは「退位後の役割や尊称、時期などを議論する必要がある。元号も変わることになる」などと説明。「国民世論がどう動いていくかが重要だろう」とも語った。
一方、別の政府関係者は「皇位の安定性という観点から、改正の是非は慎重に検討しないといけない」と指摘している。皇室典範には、天皇が「身体の重患」などで公務を続けられない場合、「摂政を置く」としており、この仕組みを活用すれば改正は不要との見方を示した。(2016/07/14-00:29)
「福島第一 廃炉計画で初めて「石棺」に言及:5年経ってようやく核燃料が格納容器を突き抜けている現実に立脚した対策を示唆」
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/171.html
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第一原発「石棺」に言及 「固定化」の恐れ地元反発
福島民報 7月14日(木)9時48分配信
原子力損害賠償・廃炉等支援機構は13日、東京電力福島第一原発事故の廃炉作業での技術的な裏付けとなる新たな「戦略プラン」を公表し、核燃料を建屋内に閉じ込める「石棺」方式について初めて言及した。溶融燃料(燃料デブリ)を取り出すことが大前提としながらも「今後明らかになる内部状況に応じて、柔軟に見直しを図ることが適切」として選択の余地を残した。
福島県は取り出した溶融燃料など放射性廃棄物の県外処分を求めている。石棺は廃炉に伴う高レベル放射性廃棄物の県内固定化につながりかねず、県や地元町村は反発している。
石棺は溶融燃料を残した原子炉をコンクリートで覆う方式。「長期間の安全管理が困難」と慎重な姿勢を示した上で、将来的な計画見直しを踏まえて選択する可能性は残した。その際、「長期的な責任継承に関する不確実性や世代間での安易な先送りに対する懸念を十分に踏まえるべきだ」と注文した。石棺は旧ソ連のチェルノブイリ原発で採用されたが、老朽化が問題となっている。
プランではこのほか、溶融燃料の取り出しで燃料のある場所に応じて複数の工法を組み合わせる可能性が高まった。これまでは一つに絞り込む方針だったが、原子炉内の調査・分析が進んだ結果、溶けた燃料が複数箇所に散在し、一つの工法で取り出すのが難しいと判断した。各号機の状況を踏まえ、具体的な工法を検討する。
昨年の戦略プランは(1)原子炉格納容器に水を満たして上部から取り出す「冠水工法」(2)水を張らない「気中工法」で上部から取り出す(3)気中工法で側面から取り出す−の3通りを挙げ、燃料の状況に応じて絞り込む方針だった。
■県外処分近く国に要求へ 県と原発周辺市町村
県と東京電力福島第一原発周辺の13市町村は13日、福島市で開いた会合で、溶融燃料を含む放射性廃棄物や取り出した使用済み燃料を県外で適切に処分するよう国に対して求めることを改めて申し合わせた。これまでも原子力政策を進めてきた国の責任で県外処分を進めるよう要望している。
福島民報社
最終更新:7月14日(木)12時21分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160714-00000021-fminpo-l07
橋下徹前代表が去ったおおさか維新だが、参院選・大阪選挙区では浅田均氏と高木佳保里氏が2議席を確保するなど関西で強さを見せつけた。
だが、この2人は犬猿の仲で、選挙中、緊迫した状況が続いていたという。
おおさか維新は公示ギリギリのタイミングで自民党を離党したばかりの高木氏を擁立。だが、高木氏は維新の会の「看板」である、大阪都構想に反対した経緯があることから、選挙戦に入ってもギクシャクした状況が続いたという。
政調会長でもある浅田氏は今回、トップ当選を狙っていたが、そこに高木氏が割り込んだため、浅田氏に近い市議らが猛反発。
決定的となったのが、浅田氏がテレビ局で言い放ったセリフだ。
「都構想に反対しやがって、橋下代表を辞めさせた張本人、加害者や」
松井一郎代表がなだめようとしたが、こじれるばかり。
「浅田氏から謝罪もなく、高木氏側からは公認候補に対し、ここまでこきおろすのかと、ケンカ腰のような話も出て、ずっと緊張した状態でした。今後も火種になるでしょう」(おおさか維新の市議)
さらに火種になりそうなのは、同党の全国比例で当選し、政界に復帰した渡辺喜美氏だ。
「古巣、自民党から出たかったのが、ありありでした。選挙中、喜美さんは『まだまわるの、暑いし、ほどほどにしようか』などというテンションの低さ。仲良しの安倍首相と組んでスタンドプレーをし、同じ比例で当選した自民党の先輩、片山虎之助氏と主導権争いをするのではないか」
同党の馬場伸幸幹事長は「橋下氏のすごさを思い知った」と復帰論を唱えているという。(本誌・吉ア洋夫、牧野めぐみ、永井貴子、上田耕司、太田サトル、小泉耕平、松岡かすみ、秦 正理、鳴澤 大/今西憲之、松元千枝)
※週刊朝日 2016年7月22日号
最終更新:7月14日(木)12時4分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160712-00000176-sasahi-pol
天皇が「生前退位」の意向を漏らしたという報道に対し、宮内庁次長が「そうした事実は一切ない。陛下は憲法上のお立場から、皇室典範や皇室の制度に関する発言は差し控えてこられた」、「長官や侍従長を含め、宮内庁全体でそのようなお話はこれまでなかった」と否定したにも関わらず、天皇の「生前退位」が既成事実になったかのような報道状況になっている。
今朝の日経新聞紙面を見て驚いた。
一面はまるで崩御されたかと思わせるようなぶち抜きで「天皇陛下、生前退位の意向」という見出しになっており、二面・三面もほぼ関連記事で埋め尽くされていたからである。
「生前退位」の意向という話は昨夜7時頃NHKが速報したのが嚆矢だとすれば、朝刊向けの記事締め切りまで5時間半ほどしかないから、あれだけのボリュームの記事をきちんと検証し纏めあげることはとうていできない。日経新聞は、当該テーマの予定稿を以前から長い時間をかけて準備していたことになる。
いうことは、「生前退位の意向」流布が、政府の意向を無視したかたちで誰かが仕組んだものではなく、政府中枢の意向に従って行われたことを示唆する。
(むろん、メディアによっては、埒外に置かれたところもあっただろうが、日テレ解説委員などが「突然の話に驚いた」と反応しているのは演技と推測できる)
現状で、天皇退位(生死に関わらず)後の皇位継承順位について考えてみる。
次の天皇には、現皇太子(浩宮徳仁)が即位する。
現皇太子が天皇に即位した後の皇位継承順位は、秋篠宮が第一位、秋篠宮の男長子である悠仁が第二位となる。(以下、第三位常陸宮・第四位三笠宮だが、年齢順に亡くなっていくと想定し、以降考慮から除外する)
ただし、この皇位継承順位は大きく変わる可能性がある。
石田純一さんや歌舞伎役者中村富十郎さんの例もあるように、皇太子さらには天皇になった徳仁が再婚(雅子との死別生別は問わず)し新たに男子を得ることもないとは言えないからである。
仮にだがこのような事態が発生すると、その男子が“突然”皇位継承順位の第一位になる。
秋篠宮家父子の皇位継承順位は第二位と第三位になるだけでなく、半永久的に天皇位に就くことはないかもしれない。
(天皇の男子に優先順位があるので、仮の話として設定した徳仁の子(男)がさらに男子を得た場合、その子の継承順位が秋篠宮家の二人より常に上になるからでる)
秋篠宮家の皇位継承は、それほど“不安定”なものなのである。
現皇太子が今後も自身の種で男子を得ることがないとしても、彼が天皇に即位したあと、皇太子は不在になる。
なぜなら、皇室典範第八条で「皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは皇嗣たる皇孫を皇太孫という」と規定されているので、秋篠宮は、皇位継承順位第一位でもあっても、「皇嗣たる皇弟」(皇太弟でもない)であり皇太子とはならない。むろん、皇弟の男長子である悠仁も皇太子ではない。
現皇太子が即位し男子を得ないまま天皇である限り、皇太子の不在が続く。
次の皇太子が出現する契機は、天皇徳仁が亡くなられ、秋篠宮が天皇位を継承したときである。
秋篠宮が天皇になると、悠仁は「皇嗣たる皇子」なので皇太子となる。
そのような経緯でも問題はないと思われる方も多いだろうが、次のようなケースを考えてみよう。
超長寿命の時代、天皇より先に皇太子や秋篠宮が亡くなっても異様とは言えない。よりリアリティがある想定は、皇太子が天皇位を継いだ後、6歳年下の秋篠宮のほうが先に亡くなってしまうケースだろう。
この場合、皇太子が不在であることは変わらないが、天皇(現皇太子)が亡くなったとき、皇太子ではない悠仁が“唐突に”天皇位を継ぐことになる。
皇太子不在が長く続いたあげく天皇の血を直接には受け継がない甥が天皇になる事態に、“据わりの悪さ”を感じるひともいるのではないだろうか。
あまりリアルには考えられてはいないと思うが、天皇(現皇太子)の在位中は前述のように皇位継承順位の根底的変動があり得るから、悠仁の立場は微妙なものになる。
結論を言えば、今上天皇の「生前退位」意向が大々的に報じられている背景には、これから数代にわたる天皇位継承に関わる問題をクリアにしたいという政府筋の意向があると思われる。
今上天皇も55歳で天皇を継いだが、皇太子はすでに56歳になっており、天皇が、皇太子に早く引き継いでもらいたいと思うのは自然だろう。天皇がエリザベスU女王のように90歳で在位なら、皇太子は64歳にもなっている。
皇太子も、自分に男子がないことから、弟の秋篠宮が自分のあとを継ぎ、そのあとを悠仁が継ぐ可能性が高いとわかっている。
それなら、秋篠宮の子である悠仁が皇太子として遇される時代がそれなりの期間あることを望んでいるかもしれない。
自分が天皇にとどまっている限り、悠仁は、皇位継承順位第二位(世代的に見れば継承順位第一位)でありながら皇太子にはなれない。
「生前退位」の意向を踏まえた皇室典範の改正は、今上天皇の生前退位を実現するためというより、皇太子→秋篠宮→悠仁という経緯継承を落ち着きと風格があるかたちで実現するためのものにように思える。
(できれば、今上天皇の世に「生前退位」を実現したいと思っているだろう。現皇太子が天皇に即位したあと、弟秋篠宮に“譲位”するのが近代天皇制で初のケースというのでは少し“いやらしさ”(あとのために天皇をやめさせた)を感じ取られてしまう)
※[参考資料]
「皇室典範」より抜粋
第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
第二条 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。
一 皇長子
二 皇長孫
三 その他の皇長子の子孫
四 皇次子及びその子孫
五 その他の皇子孫
六 皇兄弟及びその子孫
七 皇伯叔父及びその子孫
○2 前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系統の皇族に、これを伝える。
○3 前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先にする。
※関連参考投稿
「<皇室>天皇陛下「生前退位」意向 数年内に譲位:「そうした事実一切ない」=宮内庁幹部は報道否定:秋篠宮→悠仁絡み?」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/467.html
ロシアの戦略ロケット部隊軍事アカデミー分校の教師アレクセイ・ソロドヴニコフ中佐は、ロシアでは宇宙から核兵器を攻撃することのできる極超音速戦略爆撃機が開発されていると発表した。
ソロドヴニコフ氏は、「命令に従って宇宙へ出て、攻撃課題を遂行する。そこには核兵器も含まれている。そして自分の空港へ戻る。これは戦略的航空機だ」と述べ、航空機は普通の空港から発進できると説明した。
航空機は、幅広い可能性を持ち、宇宙経由で世界のあらゆる場所へ1時間から2時間で到着できるという。
ジョン・ケリー米国務長官はモスクワ訪問で、ロシアに対し、シリアにおけるテロ組織との戦いについて、ロシアとのより深い連携を提案する。ワシントンポストが報じた。
米国は空爆を調整するために、米軍とロシア軍の諜報将校や関連専門家の参加する新たな作戦司令部を創設することをロシアに提案する。両国の軍および諜報機関のより深い協力に道を開くものだ。
米国防総省は当初計画に反対していたが、国務長官はモスクワの高官らとこの問題を議論する予定だという。
新司令部は「共同国際グループ」と呼ばれるもので、アンマンに近いヨルダンに置かれる計画という。ロシアが計画に応じるかどうかは明らかではない。
先に報じられたところによると、ロシア軍機「ダーイシュ」の大型施設を爆撃。
「THAADシステムが守るのは韓国領のどの部分か、韓国で発表:首都ソウルをカバーしない場所に配備という摩訶不思議」
http://www.asyura2.com/16/warb18/msg/223.html
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ロシアに選択を迫る韓国のMD配備[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年07月14日 09:48
タチヤナ フロニ
韓国政府は自国領内に配備される米国のミサイル防衛システム(MD)は、露中に向けたものではないと断言している。韓国の尹 炳世(ユン・ビョンセ)外相はTHAADミサイル防衛システム配備について、北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルの増強とのみ関係したものと説明している。
一方、ロシア科学アカデミー極東研究所、朝鮮調査センターのアレクサンドル・ジェビン所長は、MD配備と北朝鮮の核実験は一切関係ないとの見方を示し、次のように述べている。
「韓国領内でのMD配備計画は米国によるもので、ロシアと中国の核抑止手段を弱めるという米国のグローバルな構想に立脚している。北朝鮮はMD配備を正当化する都合のいい口実になったにすぎない。もし北朝鮮がなければ、欧州での例がまざまざと証明しているように米国は何かほかに考え出していただろう。欧州では長い間、イランの核問題がMD配備の口実として使われてきた。しかし、ついにイランの核合意が発効しても米国はそれとは関係なく自らのプランの実現を続けてきた。このためアジアでも北朝鮮の行動にかかわらず米国は同じことをするだろう。」
米韓が北朝鮮との建設的対話に入る準備ができていないため、地域の情勢は悪化の一途をたどっている。そして今日の現状がこうであるため、北朝鮮は事実上核保有国となり、この地位を捨てるつもりはない。ジェビン所長は、ロシアも中国もこの状況を考慮すべきと指摘し、さらに次のように語っている。
「今日のロシアの選択肢は次の2つだ:この地域での米国の地政学的野心に対して明らかに緩衝材となる核保有国、北朝鮮を自らの国境を接して持つか、それとも核兵器とMDを保有の米軍を東、極東の国境、中韓の国境、そして露韓の国境部に持つか。好むと好まざるとにかかわらずこうした選択肢しかない。このためどちらがロシアにとって好ましいかを考えないといけない。
私の意見では第1の選択肢、つまりロシアの国境近くにある北朝鮮の豆満江駅の方向に米国のMDがあるよりは、核保有国の北朝鮮を有するほうがロシアの安全保障にとっては好ましい。しかし、米韓相互防衛条約に韓国が統一されると、国境に接する米国のミサイル防衛システムという状況は必ず起きる。欧州でNATOは陣営の軍事機構としてすでに、ロシアの国境に隣接している。もし米国が北朝鮮の崩壊にこぎつけたら、同じことがアジアでも起こる。米国は望めば北朝鮮と話をつけることも可能だろうが合意しようとはしていない。それは北は米国にとっては脅威ではなく、地域における自国の計画実現化のための口実だからだ。そして米国はその口実を利用している。」
韓国への米MD THAAD配備という米韓の決定は専門家レベルでの論争にとどまらず、韓国南部の一連の地域でも不満の嵐も引き起こした。それらの地域はTHAAD配備の候補地として選ばれたものの、その受け入れには断固反対し、抗議活動を始めた。軍事衝突となった場合、THAAD配備により地域住民がどんな危険にさらされるか、これを韓国指導部は理解できないのだろうか?
これについてジェビン韓国研究センター長は次のように答えた。
「韓国政府は全て良く理解しているが、この国は完全な主権を有してはいない。韓国軍を指揮しているのは米国の将軍だ。そして戦時、韓国軍は韓国大統領ではなく、在韓米軍の指揮下に自動的に移される。韓国の全てのエリート、特に軍のエリートは親米派だ。だから、彼らは政治的意思も、独自に活動する意欲もない。また韓国は、制裁と米国の力によって最終的には北朝鮮を押しつぶせると考えている。北朝鮮が崩壊して、韓国は2つの朝鮮を自らの条件で統合する。この夢はすでに25年間韓国人の頭の中で生き続けているが、結局は実現されていない。」
ジェビン所長はこの夢が近い将来に実現することはないとの見方を示している。なぜなら米国の行動は地域情勢を刺激するばかりで平和的な対話には向けられていないからだ。
韓国の韓民求(ハン・ミング)国防部長官は、米MDシステムTHAAD探知レーダーの前に立ち、レーダーの電磁波が危険であるかどうかを身を持って経験すると約束した。聯合ニュースが報じた。
韓国政府は、韓国南部の星州郡にTHAADを配備する計画を発表した。しかし、地元住民は街頭に出て抗議活動をした。抗議は特に、レーダーが健康に害を及ぼす可能性があるという危惧からくるものだった。
「THAADシステムが配備されるとき、まず私自身がレーダーの前に立ち、電磁波があるかどうか身をもって確かめる」との韓民求国防部長官の発言を聯合ニュースが報じた。
米国防総省は7日、米韓は朝鮮民主主義人民共和国からの脅威に対抗するために韓国領内への米ミサイル防衛システムTHAADの配備に合意したことを明らかにした。
2017年に韓国に配置予定のTHAADは現在の性能ではロシアの安全保障の脅威にはならないが、将来的に近代化され、米国のグローバルミサイル防衛システムに組み込まれるだろう。
地政学問題アカデミー所長をつとめるレオニード・イワショフ陸軍大将は水曜日、スプートニクに次のように述べた。
「韓国に展開されているTHAADシステムは、アジア地域に作られたアメリカの防空、ミサイル防衛システムの一要素に過ぎないということを、覚えておく必要がある。さらに、THAADはイージス艦のように発展段階にあり、THAADの性能はこの10年間で向上するだろう。」
また、イワショフ所長は「また現在、東南アジアにはおよそ10艦のイージス艦があり、それらは日本で展開されている指示のもと1つになって動いている。そしてそのシステムにTHAADも組み込まれる可能性がある」と強調した。
イワショフ所長によると、ロシアはこの傾向から目を放すべきではないという。
イワショフ所長は「モスクワは政治的外交的チャンネルを通じて、ロシアの国境全てを米国のミサイル防衛システムが囲んでいることに対する不満を強調しなければならない。実際は、アメリカが目的として設定したことは、将来的に、アジア地域に配置されているロシアの潜水艦にある弾道ミサイルを迎撃することだ。」と述べた。
今回のTOBは6月16日から今月15日までで、美的は1株あたり115ユーロ(約1万2800円)、最大で総額40億ユーロを提示していた。最低でも30%超の株式取得を目指したが、8日の発表によると、すでに発行済み株式数の43.74%を確保。美的はTOB前に13.5%を保有しており、TOBが成立すれば合計で57%超となる。
クーカ買収の最大の狙いは自社工場に最新のロボット技術を持ち込み、自動化を進めることにある。中国の工場で働く従業員の賃金はこの5年間で2倍に跳ね上がった。美的が主力とする家電製品の生産現場は労働集約型。人件費を抑えなければ、メーカーとして生き残るのは難しくなる。
だが、肝心の最新の自動化技術は今の中国にはない。「無い物はよそから買う」。中国企業なら当たり前の発想が美的を有力ロボットメーカーの買収に走らせた。最新のロボット技術を手に入れれば、自社だけでなく、人件費上昇に悩む他の中国企業に対しても売り込めるのも利点だ。
今回のクーカ買収には伏線があった。産業用ロボット分野で美的が最初に目を付けたのは実は日本の安川電機だった。同社は世界でもファナック、クーカ、スイスのABBと並ぶ四大メーカーの一角を占める。
美的は昨夏、その安川と合弁会社を設立し、ロボット事業に参入すると発表。だが目に見える成果は出ていない。ある業界関係者は「安川との話がうまく進まないことにいら立った美的が、クーカ買収にターゲットを替えた」と話す。
ロボット技術はロボットメーカーが長年、巨額資金を投じながらユーザーと二人三脚で育んできたもの。“素人”の美的がやすやすと吸収できるほど簡単なものではない。
だからこそ、今回のクーカ買収の成否も技術吸収を巡る美的の「態度」がカギを握る。ロボット技術に関しては買収後もあくまでクーカが“親”で、美的は“子”だ。美的が技術の吸収を急ごうとすればするほど、買収で得るべき果実は遠のきかねない。
中国の家電大手、美的集団が独産業用ロボット大手クーカの経営権を取得する見通しになった。8日、クーカへのTOB(株式公開買い付け)を通じて50%超の株式を保有することが確実になったと発表した。高度な技術を取得して事業の高度化を進める第一歩となる。一方のクーカは中国企業傘下になることで、世界最大のロボット市場の中国での事業拡大を狙う。ただ、新たな中独連合の成功には課題も残る。
[日経新聞7月9日朝刊P.9]
ティル・ロイター社長のもと業績が拡大するクーカ。単独でも生き残れるが、経営陣は買収提案を歓迎してきた。中国企業の傘下という「虎穴」に入り、世界最大のロボット市場の中国攻略で先行する狙いだ。
クーカのロボットはドイツの製造業を代表する(6月、ミュンヘン)
ドイツの自動車工場では必ずと言っていいほどクーカの企業カラー、オレンジ色の多関節ロボットが並ぶ。近年はロボットに知能を持たせたり、通信機能で工場の内外とつないだりとロボット単体から事業領域を拡張。2015年12月期の純利益は前の期から27%増えて業績も好調だ。
攻めの背景にはドイツが官民で取り組む「インダストリー4.0」がある。ロイター社長は「クーカこそが4.0の先端を行く企業だ」と強調する。
今回の買収は、中国企業による独上場企業への買収としては過去最大。ドイツの政界や産業界の一部では「4.0の代表企業の技術が中国に流出してしまう」と警戒感も広がる。5月にはガブリエル副首相兼経済相が「欧州から対抗の提案を」と異例の発言をした。ただ、買い手候補として期待された独シーメンスやABBは静観した。
ロイター氏は「成長にはプラス」との姿勢を貫く。15年の売上高に占める中国比率は14%と5年で9ポイント上昇した。成長には美的の傘下入りが最適と判断した。6月末には美的との間で、独国内の雇用・拠点の維持や顧客情報が入ったデータの独立しての保護などで合意。社外の警戒感を解きほぐそうとしている。
今後のハードルは当局の判断だ。焦点は米国。クーカの有力取引先には米防衛大手ノースロップ・グラマンが含まれる。米国の対米外国投資委員会(CFIUS)が自国の安全保障などを脅かすと判断し、買収に待ったをかける可能性はある。
広州=中村裕、フランクフルト=加藤貴行
[日経新聞7月9日朝刊P.9]
イオン社長「アジア物流、極力1社と」 日本郵政と連携で
イオンと日本郵政は8日、アジアの国際物流で連携すると正式発表した。同日の会見でイオンの岡田元也社長は「アジアでの国際物流を極力1社にお願いしていきたい」と言及。オーストラリア産牛肉の日本への輸出を手始めに、イオンが扱う幅広い品目の国際輸送で協業を検討する。
第1弾としてタスマニア島でイオンが生産する牛肉を、郵政が昨年傘下に収めた豪トール・ホールディングスが大阪港まで届ける。複数の物流事業者に委託していた輸送を1社に集約することで、イオンの物流費は25%削減できる見通し。輸送時間も2日ほど短縮できるという。
豪州から香港やマレーシア、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)間の輸送などでも協力する考えだ。両社は宅配サービスなど日本国内での協業も推進する方針も改めて示した。日本郵政の長門正貢社長はトール社の収益が悪化していることを受け「イオン以外の日系企業の需要も開拓する」と述べた。
[日経新聞7月9日朝刊P.11]
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/820.html
男性学が専門の武蔵大学助教・田中俊之さんから、著作『男が働かない、いいじゃないか!』をいただいた。8歳の息子に「このタイトル、どう思う?」とたずねると、「男が働かなかったら、子どももご飯が食べられないし、家庭が崩壊するんじゃないかな」とのこと。「でも、大きくなってとにかく働かなきゃ駄目! それ以外に人生の選択肢はないって言われるの、つらくない?」と聞くと、「つらくないよ! 男が働くのなんか、当たり前だろ」と言う。なるほど、女児は幼い頃からときに抑圧的ともいえるような女性らしさ規範を内面化し行動やライフコース選択にも影響を及ぼすが、男児もまたこのように、男性役割規範を早くから内面化するらしい……。
この国で、男性の「就労第一主義」は根強く、男女とも「結婚後の家計は夫が担うべきだ」との意見に賛成する割合は7割超との調査結果もある。もちろん、働きたい人が働けるだけ働くことには、異論の余地はない。ただこの国の「ケアワークを妻に丸投げして仕事にまい進する」男性標準労働者モデルからは、今後とりわけ男性に顕著な生涯未婚率上昇と高齢化の進行により、「規格外」となる人の増加が予期される。介護離職も深刻だ。明治安田生活福祉研究所・ダイヤ高齢社会研究財団調査(2014年)によれば、正社員から介護理由で離職した40歳以上男女のうち、転職後も正社員で働き続けている男性は3人に1人、女性は5人に1人。年収も男性4割減、女性は半減となっている。介護などケアワークを抱えれば誰でも「二流労働者」となる脆弱な社会の根幹には、旧来の男性ジェンダー規範が横たわっていないだろうか。
現在、参院選を目前に各政党の政策を比較検証している。大枠で長時間労働是正やインターバル規制、女性の就労と育児の両立支援を訴える文言は多いが、現行の男性の就労第一主義のもたらす弊害について、真正面から取り組む姿勢を示す政党が見られないのは残念だ。たとえあっても、女性の社会参加促進の「ついで」のような印象である。この国の巨大すぎてかえって見えない「男性問題」は、実は社会問題の「本丸」かもしれない。
[日経新聞7月9日朝刊P.33]
遺伝子操作と生命倫理 どうバランス
人の受精卵に遺伝子操作を加える研究はどこまで認められるのか。遺伝子の改変が容易な「ゲノム編集」技術の進展を受け、世界で議論を呼んでいる。進む生命科学と、生命倫理の問題にどう折り合いをつけるべきか。政府の総合科学技術・イノベーション会議議員の原山優子・生命倫理専門調査会会長と、日本遺伝子細胞治療学会理事長の金田安史・大阪大学教授に聞いた。
■議論続け認識共有を 総合科学技術・イノベーション会議議員 原山優子氏
――ヒトの卵子や受精卵など生殖細胞の遺伝子操作について、世界で議論されています。日本では原山さんが加わる会議が、基礎研究は認めるが、(実際の治療などに使う)臨床応用はすべきでないとする報告書をまとめました。
「政府の総合科学技術・イノベーション会議の生命倫理専門調査会で、昨年夏ごろから話し合ってきた。中国の研究者が昨年、ヒト受精卵に新しいゲノム編集技術を施した実験の論文を出したのがきっかけだ。ゲノム編集のポテンシャルは非常に大きく、遺伝子治療への応用でも脚光を浴びるのは間違いない」
「一方で、受精卵などのゲノムを操作すれば、影響は子や孫の世代以降に及ぶ可能性があり、大きな倫理的課題をはらむ。研究が進むのを待って、議論が周回遅れになってはいけないとの意見が多かった。内閣府が事務局を務め、政府横断的に物事を見られる会議で議論し、方向性を出せたのは意味がある」
「米国ではまず大統領府が、臨床応用を目的としたヒト生殖細胞のゲノム編集は越えてはならない一線だという基本的考え方を示した。そのうえで昨年12月、米科学アカデミーなどが研究者の国際会議を開いた。新技術がどんどん進む時にどう対応すべきか、参考になった」
――報告書を具体的な研究指針にどう反映させますか。
「すでに日本遺伝子細胞治療学会や日本産科婦人科学会など関連する4学会が声明を出し、ゲノム編集の臨床応用の禁止措置や基礎研究の指針を設けるよう求めた。報告書を受けて、実際に指針を作るのは厚生労働省や文部科学省、経済産業省であり、我々からこうしろと言うわけにはいかない。各省の担当者は専門調査会のオブザーバーとして引き続き参加して、いずれ方向性を示してほしい」
「各省の担当者が異動すると物事が進みにくくなる場合もあるが、ゲノム編集の議論はそんな軽いものではない。こうした新技術や知見は研究の自由、社会とのせめぎ合いなど人々が科学にどう向き合うかという問題を含む。継続的に取り組む必要がある」
――国際的なルール統一の動きはありますか。
「米国では研究の進め方について、産業界や一般の人も含めて議論が進んでいる。経済協力開発機構(OECD)の作業部会もゲノム編集をテーマに取り上げている。いまのところ基礎研究には少し間口を開きつつも、臨床応用は時期尚早という立場で各国・機関が大体一致している。ただ、いずれ臨床応用を認める条件なども話し合われるだろう。日本の法体系にも影響する可能性があり、国際的な議論の外にいてはだめだ」
――科学技術が進むなかで検討課題は増える一方です。
「生命倫理専門調査会はもともと、ヒトのクローンを作る技術の規制に関する指針などを設けるために設置された。目の前の出来事をどうさばくかで精いっぱいだ。外部の調査機関を使ってもよいので、もう少し調査機能をもって新たな分野にも手を付けていかなければならない」
「生命と倫理が交差する分野にはほかにもある。例えば脳科学だ。医療行為として、あるいはビジネスにつなげようと、ほかの人の脳の神経細胞をどこまで操作してよいのかなどが問題となる。また、安価にDNA解析が可能になり、健康や病気との関係を判定するサービスもあるが、意図せざることがわかってしまったらどうするのか。サービスを受けたい人は勝手にどうぞ、でよいのか、ある程度基礎となるルールを議論する必要があるかもしれない」
――生命倫理上のルールが厳しいと産業の発展を妨げるとの指摘もあります。
「産業競争力を高めるにしても競争の土俵は決めておかなければならない。政府にはそれを作る責任がある。トップダウンで決めるのではなく、倫理的、社会的に、我々が共有できる価値観を担保するものでなければならない。つかみどころがないかもしれないが、これが日本の考え方だという一線を探り出すのが専門調査会の役割でもある」
「日本政府の優先課題は経済活性化であり、そのためにイノベーションや科学技術を活用するという位置づけだ。政府の助成の恩恵は一部の人だけが受けるのではなく、社会全体に行き渡るようにしなければならない。そうした観点からもの申すのも、生命倫理専門調査会の役割ではないかと考えている」
はらやま・ゆうこ フランスのブザンソン大学理学部数学科卒、スイスのジュネーブ大学で教育学と経済学の博士課程修了。65歳。
◇ ◇
■改変の影響、後世まで 日本遺伝子細胞治療学会理事長 金田安史氏
――ゲノム編集の技術を使うと生殖細胞の遺伝子操作も容易になるといわれますが、どんな問題が起きますか。
「ゲノム編集をした生殖細胞から子が生まれれば、影響は後の世代にまで及ぶ。通常の遺伝子治療のように患者を数年間フォローするだけでは済まず、どこまで調べればよいのかわからない。人々の移動が激しいなかで、影響は一つの国にとどまらない。人類全体の遺伝資源が改変されることになりかねないという、重要な問題をはらむ。科学だけの問題ではなく、社会的なコンセンサスがいる。生殖細胞のゲノム編集は相当な覚悟がないとできない」
――生命倫理専門調査会が当面の対応を報告書にまとめました。
「報告書の書かれ方に問題があり、一般の人たちに誤解を与えたのではないかと懸念している。報道では(生殖細胞のゲノム編集によって病気のメカニズム解明などをめざすが、胎内に戻して育てるところまではしない)基礎研究を『容認する』という点が強調された。米国の学会でも日本は英国などと並ぶ容認国で、今にも基礎研究が始まりそうだと受け止められた。実際には運用指針、審査体制が整備されておらず、すぐに始まるわけではない」
――報告書に関し4学会が共同で提言を出した理由は。
「学会も貢献するので、国が主導して指針作りをしてほしいと求めたかった。ゲノム編集そのものを法で禁止するのではなく、研究に必要な手続きや条件、研究の適否を判断するための審査体制などを整備する必要がある。手順をきちんと踏まなければ罰せられるようにしてほしい」
「生命倫理専門調査会では基礎研究を認めるための条件を話し合うと思っていたが、そこまで踏み込まず、指針をだれがどう作るのか、報告書に明記されなかった。次回からミトコンドリア病の治療を話し合うと聞いて失望した。その都度トピックを見つけ、うわべの議論をするだけでよいのだろうか。日本学術会議にもゲノム編集について話し合う分科会ができたが、生命倫理専門調査会と同じような議論で終わっては困る」
――具体策を決められないのは省庁の縦割りのせいなのでしょうか。
「それはあるだろう。厚生労働省に指針作りのお願いに行こうとしたら研究者仲間から、基礎研究なら文部科学省の所管ではないかと言われたのでやめた。昨年、医療研究の司令塔として日本医療研究開発機構(AMED)が発足したが、各省からあがってくる予算を束ねてはいても権限が限られる。要請先として考えなかった。内閣府に動いてもらうしかないだろう」
――研究現場では生殖細胞のゲノム編集をしたいという声は多いのですか。
「日米では生殖細胞のゲノム編集がすぐに必要になるとは認識されていない。新しいゲノム編集技術が開発されて使いやすくなったが、狙ったのとは異なる遺伝子を変えてしまう場合もある。治療に応用できる段階ではなく、なお技術革新が必要だ。欧州を中心に、既存の遺伝子治療が難病や遺伝性疾患の治療でよい成績をあげているケースも多い。基礎研究でも、ヒトの受精卵を使わずに動物実験で確かめられることもある」
「ただ、ゲノム編集の技術を使って、不妊症にどんな遺伝子の働きがかかわっているかなどを特定できる可能性はある。そうした成果は発見者によって、知的財産権として押さえられるだろう。産業界からは、重要な知財を海外勢に持って行かれるのを懸念する声も出ている。だからこそ指針作りを急ぎ、それに沿った条件の下で基礎研究を進める必要がある」
――技術の進歩に、生命倫理などの議論が追いつかない印象です。
「医学研究者に対しては、難病患者などから過度の期待が寄せられる。過去にはその期待感に乗じて研究を前へ進め、結果として裏切ってしまったこともある。研究者と社会の仲立ちをしたり、研究者に倫理面からアドバイスをしたりできる人が足りない」
「日本では生命倫理問題には、他の専門を持つ研究者がボランティア的に取り組む場合が多い。研究費も見返りも少ないのに責任は重い。日本遺伝子細胞治療学会でも生命倫理に特化した委員はいない。生命倫理に詳しい人材がおり、新技術が登場すると素早く議論が始まる米国などとはかなり異なる」
かねだ・やすふみ 98年から大阪大学教授、遺伝子治療学が専門。米欧の関係学会に所属し海外の動向にも詳しい。62歳。
◇ ◇
〈聞き手から〉技術の光と影、冷静に判断
人間のゲノム(全遺伝情報)が短時間で安価に読み取れるようになり、様々な病気と遺伝子の異常とのかかわりが明らかになってきた。そこへ、遺伝子改変を手軽にできるゲノム編集のツールが登場した。病気治療への応用に期待が高まっても不思議はない。
金田氏の指摘通り、生殖細胞の遺伝子を改変すれば影響は子孫に受け継がれ、人類全体に及ぶ恐れがある。しかし遺伝性疾患を持つ人が、健康な子を産みたいという切実な願いから新技術の利用を求めたら反対しにくい。かつて生命倫理上、問題ありとされた体外受精もいまや世界に普及している。
日本には新技術の光と影を冷静に判断し、生命の尊厳の問題などにも向き合って応用の是非や範囲を話し合う土壌がない。騒ぎが起きるたびに付け焼き刃的に専門家の会議で議論し報告書を出してきたが、限界がある。見識と発言力を兼ね備えた生命倫理委員会を常設すべきだろう。
(編集委員 安藤淳)
[日経新聞7月10日朝刊P.9]
山森亮・同志社大学教授
ベーシックインカム(BI)を巡る動きが欧州を中心に相次ぎ、注目を集めている。
BIとは(1)すべての個人に(世帯主ではなく)(2)無条件で(稼働能力の活用などを求めず)(3)普遍的に(所得や資産の多寡を問わず)――生活に足ると考えられる所得を権利として給付しようというものだ。この考え方には200年以上の歴史があるが、現在に至るまで前述の定義通りの形で実現したことはない。
最近の欧州でのBIを巡る動きをいくつか紹介しよう。
第1に、フィンランドで昨年春の選挙で成立したシピラ政権が、公約に掲げていたBIの給付実験を実施に移すべく担当省庁に委員会を設置した。今秋にも委員会は答申を出す見込みで、2018年ごろに給付実験が実施される可能性がある。第2に、オランダのユトレヒトなど4都市が福祉制度の受給者を対象にBI的制度の給付実験を実施する意向を表明し、財務省と協議を進めている。第3に、スイスで今年6月5日にBI導入に関する国民投票が実施され、反対多数で否決された。
これらの背景には何があるのだろうか。フィンランドの政府主導の動きは、税と社会保障制度の合理化という側面が強い。北欧は最低限度の文化的な生活を構成員に保障すべきだと考える社会だ。
BIもしくは、課税最低限に満たない割合に応じて政府が給付する「負の所得税」といった類似の制度(BI的制度)が望ましいとする経済学者は1930年代からいた。古くはジェームズ・ミード、ミルトン・フリードマン、ジェームズ・トービンなどで、近年ではジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授やアンガス・ディートン米プリンストン大教授らも支持を表明している。
彼らの多くに共通する支持の理由は、所得や資産の多寡を問う形の福祉給付は労働インセンティブ(誘因)をゆがめかねないという点だ。また近年の支持者は、人工知能(AI)などの技術革新の結果、生活賃金を得られる雇用の数は今後劇的に減少し、賃金とは別の再分配政策としてBIが必要となると論じる。
オランダの福祉給付に携わる地方自治体主導の動きにはまた別の側面がある。金融危機後の失業と貧困の増大に、完全雇用を前提とした既存の福祉国家制度が対応し切れていないことへの、現場からの異議申し立てという側面だ。財務省と交渉中の実験案は「信頼実験」と呼ばれる。既存の制度が貧困を防げないだけでなく、福祉給付申請者を疑ってかかるところから始めねばならないという制度の非人間性が問題にされている。
60年代後半から70年代にかけて、欧米諸国の福祉権運動などが同様の問題提起をして以来、連綿とそうした声が挙げられてきた。
一方、スイスの市民主導の動きは、ジョン・メイナード・ケインズが30年に発表した「孫の世代の経済的可能性」で予想した新しい人間の生き方につながっている。経済成長と技術革新により人びとが労働から相対的に解放され、貪欲な金銭欲などの「人びとを苦しめて来た偽りの道徳原則を棄(す)てることができる」日が到来するだろうとケインズは予想した。
12万を超える署名を集めスイスの国民投票を実現させた市民たちは、当初から投票の可決を目指さないというユニークな運動を進めた。主導者の一人エノ・シュミット氏は「賛否は市民一人一人が決めることであり、運動の側から誘導するものではない。私たちが望むのは、生活費を稼ぐために日々追われることから自由になったとき、私たちが何ができるかを皆で考えることだ」と語る(14年1月筆者によるインタビュー)。
こうした動きは新しいものではない。賃金が支払われる労働と、社会のために必要な仕事は必ずしも一致しないことは、60年代末以降の女性解放運動の中心的な問いかけの一つだった。実際、英国の女性解放運動はBIを要求項目の一つとしていた。
つまるところ最近の急速なBIを巡る動きの背景には、進歩と危機の両面がある。一方には技術革新による労働からの相対的解放があり、もう一方には進歩そのものが引き起こす雇用の危機がある。また金融危機は既存の福祉制度への疑義と、ケインズが「偽りの道徳原則」と呼んだこれまで支配的だった考え方への疑義を呼び覚ましつつある。
とはいえ短期的な展望として、完全な形でのBIが導入される可能性は高くない。BIを導入するには、少なくとも財政か金融どちらかの大幅な変更が必要となるからだ。
財政の変更によるBI導入案としては、所得税の累進度強化、40〜50%の定率所得税の導入、消費税への税の一本化、環境税や金融取引税の導入など多様な提案がある。
金融の変更によるBI導入案としては、ヘリコプターマネーによるBI的制度の部分的導入という議論から、米経済学者アービング・フィッシャーの「100%準備銀行制度」(部分準備制度の下で可能になっている信用創造の廃止)や、英社会改良家クリフォード・ヒュー・ダグラスによる「金融の社会化論」などに示唆を得た貨幣・金融制度の全面的な改革という議論まである。ファイナンスに関しては、短期的には問題が残されているが、長期的・理論的には解決は可能だといえる。
では、長期的にBI導入は可能とした場合、どのような問題が想定されるのか。まずは人びとの労働インセンティブの問題がある。
報酬を得られる労働については、税や社会保障が就労に与える影響に関する理論的研究によれば、BIは現行の福祉制度より労働インセンティブを低下させないとされる。理論的にはそうでも、実際に導入してもそうなのか。社会にとって必要なアンペイドワーク(無報酬労働)へのインセンティブについてはどうか。給付実験がこれらの点を明らかにすることが期待される。
最後に待ち構える課題は、心理的問題だろう。私たちは「働かざるもの食うべからず」と教えられ、「働く」ことを市場で報酬を得ることと同一視してきた。ケインズが夢想したように、私たちは将来「労せず紡がざる野の百合を尊敬するようになる」のだろうか。
短・中期的な政策論議への示唆としては、BI的制度の部分的、漸進的導入がある。これは可能であるし現に進行しつつあるともいえる。英国や米国で導入されている給付付き税額控除、欧州のいくつかの国で導入されている普遍的な児童給付は部分的なBI的制度と考えられる。日本で2010年から2年だけ普遍的に給付された子ども手当もこれに当てはまる。また、日本でもよく議論の対象となる税財源による普遍的な基礎年金も同様の考え方といえる。
日本の社会保障制度は経済協力開発機構(OECD)諸国の中で逆進性が強く、再分配機能を十分に果たせていないことや、相対的貧困率が比較的高いことが指摘される。また長時間労働による疲弊や労働生産性の相対的低さ、地域や社会のための活動に従事する時間を見つけることの困難なども指摘されている。
性別役割分業の解体や働くことの意味を問う理念的なBI論の持つ長期的展望、児童手当の普遍化や給付付き税額控除などBI的制度の漸進的な導入についての短・中期的な政策論議の双方が、日本に与える示唆は少なくない。
ポイント
○新たな福祉給付として欧州で構想相次ぐ
○技術革新に伴う労働からの解放も背景に
○逆進性強い日本の社会保障制度にも一石
やまもり・とおる 70年生まれ。京都大博士(経済学)。専門は社会政策
[日経新聞7月8日朝刊P.25]
緊急寄稿 「日本会議」批判に大反論 日本会議会長:安倍首相は憲法改正から後退と分析
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/128.html
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憲法改正はあるのか?安倍政権に圧力をかける謎多き市民団体「日本会議」のベールを剥がす[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年07月13日 22:27(アップデート 2016年07月14日 00:03)
徳山 あすか
10日の参院選で与党が勝利し、憲法改正にリアリティが出てきた今、急にメディアを賑わすようになり、海外からも注目を集めている組織「日本会議」。スプートニクは、今年4月に発売されたベストセラー「日本会議の研究」の著者、菅野完(すがの・たもつ)氏に話を伺った。本稿では、インタビューの抜粋をお届けする。
スプートニク:ひとことで言えば日本会議とは何なのでしょうか。
菅野氏「メディアではよく、会員数約3万8千人の日本最大の右派系市民団体という風に表現されます。私も基本的には、その見方で間違いないと思っています。」
スプートニク:海外メディアではナショナリスト団体、安倍政権を操る極右団体とも表現されています。右派系市民団体、という表現と温度差がありますね。
菅野氏「日本会議の主張(皇室崇敬、再軍備、憲法改正、外国人参政権の反対など)はとてもナショナリスティックです。一方、『安倍政権を操る』というのは、正確に言えば、そうとも言い切れない側面があります。確かに安倍政権の閣僚の多くは日本会議国会懇談会という議員連盟に所属しています。その意味では日本会議が安倍政権に対し、強力な圧力をかけているのは事実です。安倍晋三氏個人に対する影響力、これまでの付き合いの長さ・深さを考えると、日本会議は無視できない存在です。
しかし日本会議が自民党の強力な支持母体なのかどうか、という点で考えると日本会議の票数は大したことはありません。国内外の圧力団体に比べると、組織としての力はきわめて限定的だと思います。日本会議の運動だけが安倍政権を誕生させたのではありません。」
12日、日本会議は参院選の結果を受け、オピニオンを公式サイトに掲載した。それによれば「憲法改正に前向きな政党が3分の2の勢力を確保したことは、国民の間の憲法改正への理解が表れた結果であると受け止めている。各党はこの民意を厳粛に受け止め、速やかに国会の憲法審査会の審議を再開し、改正を前提とした具体的な論議を加速させるべき」とある。
同サイトのトップページには、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」という団体のバナーがある。菅野氏によれば、「日本会議」と「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、名称も所在地も異なるが、ほぼ同じ団体だ。田久保忠衛氏や三好達氏、椛島有三氏といったメンバーがどちらの団体でも主要ポストを占めている。美しい日本の憲法をつくる国民の会は、日本会議が憲法改正運動を行うときに使う団体名称であると言える。菅野氏は「憲法改正の内容について言えば『あまり具体的ではない』というのが日本会議の特徴。それが日本会議を理解するための鍵になる」と指摘している。
スプートニク:あまり具体的ではない、ということで言えば、日本会議地方議員連盟のメンバーと話していると、日本会議の公式見解とギャップがあると感じています。個人的に話す限り、彼らは本当に日本のことを憂いているように思うのですが。
菅野氏「憲法改正において、憲法何条をこういう風に書き換えるといった具体案は、両団体とも明確に出したことはありません。美しい日本の憲法をつくる国民の会は1000万の署名を獲得する運動をしていますが、署名の際に配られる紙にも『憲法改正を求めます』としか書いていません。あまりにも多種多様な人々が日本会議の中に集まっているため、どの条文をどう変えるかを書くことができないのです。憲法九条を変えるのが先だという人もいれば、緊急事態条項を入れるのが先だという人もいて、会の総体としての意見を集約しきれていないのです。憲法改正をするのだ、という一致点だけがある。そのような具体性のなさが、ギャップという形であらわれてくるのだと思います。」
様々な思想をもつ人々が集まり、具体性のない改憲活動をしている日本会議。それにもかかわらず一万人規模の動員力があったり、一致団結することができるのは、彼らに共通するポイントがあるからだ。
菅野氏「有象無象の人々の集まりである日本会議の会員が最大公約数的に一致できるポイントは『左翼が嫌い』『女・子どもは黙っていろ』という点です。ポジティブな運動をするよりも、ネガティブな運動をする方が人は団結します。とりわけ日本社会の場合はそうです。日本会議は公式サイトで、設立以前から2007年まで展開してきた運動を年表形式で公開しています。それを注意深く読んでみると、彼らが運動と称するものは8割方、夫婦別姓や男女共同参画事業等、何かに対する反対運動なのです。これが日本会議の運動の歴史です。憲法改正もその延長線上にあると捉えれば、日本会議の意図や目標が透けて見えてくると思います。」
スプートニク:日本会議は宗教団体であるという指摘もあります。しかし役員名簿によれば、色々な宗教の代表者が会員になっており、系統がバラバラです。日本会議と宗教の関係はどうなっているのでしょうか。
菅野氏「日本会議は『日本を守る会』『日本を守る国民会議』という2つの団体が前身となっています。このうち前者の日本を守る会は、宗教団体の集まりでした。彼らは、反創価学会・反共産主義という2つの意図があって集まったのです。1970年代当時、各種宗教団体にとって、ライバルであり脅威であったのは、創価学会です。当時の公明党はきわめてリベラルな政党で、それに対抗する必要がありました。なおかつ日本の宗教界が警戒していたのは共産主義でした。
創価学会以外の日本の宗教団体は、単独では集票力がありません。集まらないと、候補者の一人も立てられないというのが実態です。日本会議を宗教団体だと見るのは誤りで、『宗教団体の連合体』だと見るべきです。もともと反創価学会と反共産主義という意図で集まったので、日本会議の中に仏教もキリスト教も神道も入っているのです。」
もとは反創価学会を軸にして集まったはずが、自民党が公明党と連立を組んでいるというのは日本会議にとって皮肉な話だ。しかし菅野氏は「それこそが自民党のきわめて冷静なマキャベリズム」だとみている。
菅野氏「おそらく日本会議は、歴史的な経緯から、自公連立政権の存在を快く思っていないはずです。しかし公明党は自分たちと創価学会を守るためにも、与党側にいる必要があるので、石にかじりついてでも自民党についていく、という方針を固めているでしょう。今、日本は高齢化という大きな問題を抱えています。高齢化が政治の世界に影響を及ぼし、農協や労組といった圧力団体が弱体化し機能できなくなってきています。みな高齢化と長引く不況で元気がないのです。そんな中、かろうじて組織立った運動ができるのは宗教団体のみです。大きな集票力をもった公明党・創価学会と、宗教団体の連合体である日本会議の両方に足を置いている今の自民党は、『日本社会の中に残った数少ない圧力団体を自分の集票力に変えている』と言えなくもありません。これが今の自民党の強さを呼んでいるのだと思います。」
労働組合に基盤をおいている民進党も、労組の弱体化が激しく、思うような選挙展開ができなかった。野党を支持する圧力団体の機能低下を考慮すれば、参院選で与党が勝利したことは非常に納得がいく。
菅野完氏のフル・インタビューはスプートニク・ポッドキャスト「話題のテーマ・インタビュー」コーナーの「ベストセラー『日本会議の研究』の著者、菅野完氏に聞く!安倍政権に影響を及ぼす市民団体、日本会議の正体とは?」をお聴きください。
(菅野完氏プロフィール)1974年、奈良県生まれ。一般企業のサラリーマンとして勤務するかたわら執筆活動を開始。退職後の2015年より主に政治経済分野での執筆を本格化させる。2016年4月、扶桑社系ニュースサイト『ハーバービジネスオンライン』での連載をまとめた『日本会議の研究』(扶桑社新書)を上梓。発売後またたく間に12万部越えのベストセラーとなった。他に『保守の本文』(扶桑社新書)、『踊ってはいけない国で、踊り続けるために』(共著・河出書房新書)など。
トルコは、シリアの移行期中にアサド大統領が大統領職を続ける可能性を承認することについて考えている。トルコのマスコミが、同国外務省筋の話として伝えた。
消息筋によると、トルコは移行期後のアサド氏の行く末については自国の立場を変えておらず、アサド氏は大統領を辞任するべきだと考えている。だがトルコは、ロシアや米国をはじめとした国際部隊と合意した場合、6ヶ月以内の移行期中はアサド氏が大統領職を続けることを承認する可能性があるという。通信社「スプートニク」が、アル=シャルク・アル=アウサット紙の記事を引用して伝えた。
消息筋は、トルコのこのような状況の見直しについて、まず「クルドの脅威」と、トルコの対アサド政策の結果、トルコが最近5年間で被った損失に関係している可能性があるとの見方を示している。
先に伝えられたところによると、シリア大統領バシャール・アサド氏は新政府の任命に関する命令を出した。
「本物のヒトラーは影武者の死体を残して愛人エヴァ・ブラウンとともに地下通路から空港へ脱出し、スペインに、次にはカナリア諸島へ飛んだ。そこから潜水艦でアルゼンチンのコモドロリバダビアに向ったのだ。
「ヒトラーが逃げ延び、ソ連の手に落ちないということについては、米国との合意があった。それはまた、その後対ソ戦に参加した多くの科学者、軍人、スパイにも関わることだ」」
[コメント]
脱出方法と経路は、次に示すヒストリーチャンネルの番組と同じである。
ベルリン陥落直前にベルリンから飛行機でスペインに向かったのなら、米国(及び英国)との合意は必須である。
米軍が占領ないし支配している地域を長時間飛行(ドイツ西部及びフランスを斜めに横断)することになるからである。合意がなければ、ヒトラー搭乗機は撃墜される可能性が高い。
※関連参照投稿
「「自殺したとされるヒトラーの逃亡説」が米国メディアで真正面から追究される時代」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/683.html
※別の説
「Re: ヒトラーは1985年秋、アルゼンチンの町でひっそり亡くなった。 」
投稿者 座頭市 日時 2002 年 2 月 24 日 21:57:16:
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/176.html
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新説:ヒトラーは死んだ。しかし、1945年にではなく、ベルリンでもない[スプートニク日本語]
2016年07月09日 19:45(アップデート 2016年07月09日 20:06)
ナチスの独裁者アドルフ・ヒトラーが1945年4月にベルリンの防空壕で自殺せず、南米に逃げたと仮定した場合は?ここで、疑問が生ずる。彼の遺体はどこに眠っているのか?
アルゼンチンで最近出版された新著「亡命中のヒトラー」で歴史家アベル・バスティ氏は、ナチスの指導者の第二次世界大戦後の生活について、独自の説を展開している。
1945年、アドルフ・ヒトラーは、10年間住んでいアルゼンチンに避難を求めた可能性がある。しかし、1955年、フアン・ドミンゴ・ペロン政権の打倒後、新しい住み家を模索しなければならなくなった。他の多くのナチスと同じように、ヒトラーはパラグアイに渡り、ドイツに出自を持っていた独裁者アルフレド・ストロエスネルの後援の下に暮らした。バスティ氏がスプートニクの独占インタビューで語った。
バスティ氏は著書の中で、ヒトラーや他のナチス高官がパラグアイで暮らしていたことを裏付ける諸々の証言を参照している。バスティ氏によると、ヒトラーは1971年2月3日に死亡した。
「長年にわたって彼を助けた裕福な家族は、葬儀の執り行いを引き受けた。ヒトラーはパラグアイ首都アスンシオンの地下壕に埋葬された。 1973年に地下壕への入り口は密閉され、最後の別れには40人が駆けつけた。その後、出席者の一人、ブラジルの軍人フェルナンド・ノゲイラ・デ・アラウージョが、式典について新聞に語っている」
それはソ連軍によってベルリンの地下壕が制圧される数日前に始まった長い旅のフィナーレであったかもしれない。本物のヒトラーは影武者の死体を残して愛人エヴァ・ブラウンとともに地下通路から空港へ脱出し、スペインに、次にはカナリア諸島へ飛んだ。そこから潜水艦でアルゼンチンのコモドロリバダビアに向ったのだ。
「ヒトラーが逃げ延び、ソ連の手に落ちないということについては、米国との合意があった。それはまた、その後対ソ戦に参加した多くの科学者、軍人、スパイにも関わることだ」と歴史家。
アルゼンチンから逃れた後、1955年にヒトラーはパラグアイのイパカライ湖のほとりにあるホテルに住んでいた。その後、パラグアイ独裁者の最初の妻ストロエスネルに属する家に住んだ。アルゼンチンの歴史家によると、ナチス指導者はまた、ブラジルとコロンビアを訪問した。
いずれにせよナチス・ドイツの独裁者の人生の物語は、まだ謎と曖昧さに満ちている。
先に報じられたところによると英国で「ミス・ヒトラー2016」コンテスト が開催された。これは英国のユダヤ人団体の不満を引き起こさないわけがなかった。
「南シナ海、中国の主権認めず 国際司法が初判断:日本領であった南シナ海海域の管轄権が今なお未確定というのが根源的問題」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/548.html
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2016年07月12日 (火)[NHK総合]
「南シナ海紛争 中国の主張認めず」(時論公論)
二村 伸 解説委員 / 加藤 青延 解説委員
南シナ海の領有権をめぐって中国とフィリピンが対立している問題で、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は、12日、中国が南シナ海のほぼ全域の領有権を主張する根拠としているいわゆる「九段線」は法的根拠がないなどとして、南シナ海の中国の海洋権益を認めない判断を示しました。
仲裁裁判所の裁定の意味と、敗訴したかたちの中国はどう出るのか、そして地域や国際社会への影響を考えます。
判決の要旨です。
▼中国が南シナ海のほぼ全域の領有権を主張する根拠としているいわゆる「九段線」は、法的根拠がないこと、
▼中国が南沙諸島で埋め立てて滑走路などを建設した7つの人工の島は、もともと人の住めない「岩」や満潮時に水没する「低潮高地」であり、EEZ・排他的経済水域を設けることはできないこと、
▼中国は南沙諸島のサンゴ礁に著しい損傷を与えるなど、海洋環境保護の義務に違反していること
▼そして、中国がフィリピンの漁業などの権利を侵害したり、人工島を建設したりして対立を悪化させていることなど、15項目に上るフィリピン政府の訴えをほぼ認める判断を示しました。
(二村)
フィリピン政府は「画期的な判断だと」歓迎していますが、中国にとっては厳しい内容ですね。
(加藤)
判断が示された後、中国は即座に「判断は無効で、拘束力はない。中国は受け入れない」とする声明を発表しました。実は、中国は当初から分が悪いと見ていたようで、判断が出る前から「紙屑同然だ」などとして認めない姿勢を強調していました。
(二村)
南シナ海は世界の貿易商品の4分の1が通過する重要な海上交通路で、安全保障上も極めて重要な場所です。豊かな漁場に加えて石油や天然ガスなどの資源が発見されてから各国が領有権を主張し、たびたび衝突が起きてきました。
南沙諸島・スプラトリー諸島をめぐっては、フィリピンとベトナム、ブルネイ、マレーシアなど東南アジアの国々と、中国、台湾が領有権を争っています。また、西沙諸島・パラセル諸島では、中国とベトナム、台湾が争っています。
仲裁手続きは、2012年にフィリピン・ルソン島に近いスカボロー礁に中国の艦船が居座り、フィリピンの船と1か月以上も睨みあいを続けたことを受けて、フィリピン政府の申し立てによって始まりました。
中国は2国間で話し合うべきだとして仲裁手続きを認めず、裁判所には管轄権がないと主張しました。しかし、去年10月、裁判所は審理する権限があるとして中国欠席のまま審理が行われました。
その間も中国は、南沙諸島で7つの岩礁を埋め立て、滑走路や5〜6階建てのビルを建設するなど軍事拠点化を進めてきました。さらに裁定を前に機先を制するかのように南シナ海で軍事演習を行いました。なぜここまで中国は強硬な姿勢を取り続けるのでしょうか。
(加藤)
▼現政権の正統性の問題、▼安全保障上の理由、▼経済的利益という三つの側面があると思います。まず、政権の正統性ですが、これは中国が主権を主張する9段線と呼ばれるラインが、実は、70年近く前、当時中国大陸を支配していた中華民国政府が決めたライン、11段線をベースにしたものなのです。
今の共産党政権は、自分たちはかつて中華民国が有していた主権や権益を踏襲したと言い張ってきましたから、もし9段線を放棄すれば、中国国内では、国民から主権の一部を手放したと厳しく批判されかねないという危機感があるのです。
二つ目の安全保障の理由。つまりその9段線を守るために軍事的な裏付けが必要というものです。当初中国は南シナ海の島取り競争には出遅れましたが、近年、軍事力の増強を背景に岩礁を埋め立て、人工島にして軍事基地をつくるという荒業に出てきたのです。
実は、かなり前から占領している西沙諸島の拠点と、今回滑走路を完成させた南沙の人工島、さらに近く埋め立てると香港メディアが予想するスカボロー礁の3か所に高性能レーダーを置くと、南シナ海のほぼ全域の空や海を監視できるようになり、防空識別圏を設定する可能性も現実味を増すことになります。
(二村)
中国は仲裁裁判所の裁定に拘束力がないと主張していますが、国際法の専門家は、不服申し立てはできず拘束力はあると話しています。判決を無視しても罰則がなく、強制的に従わせることができませんが、中国も国際海洋法条約の締約国であり、判決に従う義務はあります。国際社会の批判や圧力にさらさせても中国は裁定を無視するのでしょうか。
(加藤)
無視し続けるでしょう。実は、中国政府は今回の裁定に合わせるかのように同じ日に南沙諸島に建設した飛行場で民間機のテスト飛行を行ったことを明らかにしました。これからも自分たちの計画を着々と進めるぞという強い意思表示だとも受け止められます。
(二村)
アメリカは軍事拠点化を「万里の長城を作って孤立するようなもの」と批判しています。
中国は国際社会での孤立も恐れないのでしょうか。
(加藤)
実は、中国は、孤立することに強い危機感を持っていると思います。
そこで、ここ一年ほど、中国はアジアやアフリカなど第三世界を中心に、中国の立場を支持してくれる「お友達の国の輪」を作ろうと懸命に外交攻勢をかけてきました。
中国は「お友達の国」が60国カ国近くにも上っていると宣伝していますが、その中には仲裁裁定無視という中国の立場をどこまで積極的に支持しているのかはっきりしていない国も少なくありません。
(二村)
フィリピンが仲裁裁判所に申し立てたことを中国は「話し合いによる解決という合意に反する」と批判しましたが、南シナ海問題の解決に向けたASEANとの協議を避けてきたのは中国であり、まったく筋違いの主張です。
国際社会への影響についてですが、まず、フィリピンは、日本やアメリカの後押しを受け中国に強硬な姿勢だったアキノ氏に代わって先月末ドゥテルテ氏が大統領に就任しました。ドゥテルテ大統領は中国との関係改善を模索しており、天然ガスの共同開発の可能性を示唆するなど柔軟な姿勢を示しています。今回の裁定を受けて中国との対話を有利に進めようとするものと見られます。また、同じように南シナ海で中国と衝突や小競り合いを続けてきたベトナムは、今回の裁定を受けて今後の対応を慎重に検討することにしています。中国は南シナ海の実効支配をさらに強化し新しい秩序を作ろうとしているように見えますが、そうなると緊張がさらに高まりかねませんね。
(加藤)
その通りだと思います。中国は力で現状を変えようとする姿勢がはっきりしてきました。アメリカ国防総省によりますと、中国は埋め立てた人工島に船や飛行機を攻撃するミサイルを配備したということです。また、現在、アメリカ本土をミサイル攻撃できる原子力潜水艦や空母の建造を急ピッチで進め、南シナ海に展開させることをもくろんでいます。このままではやがて南シナ海が中国の内海のようになる恐れも十分あるでしょう。
(二村)
中国が仲裁裁判所の判断を無視して居座り続けるようなことがあれば、悪しき前例となり、法の支配の原則は形骸化しかねません。中国には大国としての責任ある行動を強く求めると同時に、国際法に従わない身勝手な行動は断固見過ごすことができないという強い姿勢を示すことが必要です。一方で地域の緊張を高めないよう慎重な対応も求められます。それには東南アジアの国々と日米豪の結束を図るとともに、ヨーロッパの国々も巻き込み国際社会が一体となって粘り強く圧力をかけ続けることが重要だと思います。
(二村 伸 解説委員 / 加藤 青延 解説委員)
フランス南部のニースで祝日の花火を見物するため集まっていた人たちの中にトラックが突っ込み、これまでに84人が死亡したテロ事件で、地元のメディアはトラックを運転していた人物が以前から暴力行為などで警察の捜査の対象となっていたチュニジア系の男だったと伝えており、捜査当局は動機や背後関係の解明を進めています。
フランス南部のニースで14日午後10時半ごろ(日本時間15日午前5時半ごろ)、フランス革命を記念する祝日の花火を見物する家族連れなどが集まっていた遊歩道に大型トラックが突っ込み、およそ2キロにわたって暴走しました。カズヌーブ内相によりますと、これまでに多くの子どもを含む84人が死亡したほか、多数のけが人がでておりこのうち18人は重体だということです。
地元のメディアによりますと、トラックは遊歩道を時速50キロくらいの速度でジグザグに走ったあと、高級ホテルが建ち並ぶ地区で止まり、運転していた男は警察との銃撃戦の末、射殺されたということです。
運転していた男について地元のメディアは、トラックの車内から地元に住むフランスとチュニジアの二重国籍の31歳の男の証明書が見つかり、この男が以前から暴力行為や武器の使用で警察の捜査の対象となっていたものの、テロにつながる情報はなかったと、伝えています。
事件現場を訪れたカズヌーブ内相は報道陣に対し、「共犯者がいたかどうかなど、捜査を進めている」と述べ、男の動機や背後関係の解明に全力をあげる考えを示しました。オランド大統領は、15日午前、内務相や国防相など関係閣僚を招集して緊急の国防会議を開き、このあとみずから事件現場を訪れることにしています。
マルセイユにある日本総領事館によりますと、これまでのところ事件に日本人が巻き込まれたという情報は入っていないということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160715/k10010597321000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
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「トラックは約2キロにわたって走行」地元紙伝える[NHK]
7月15日 14時23分
フランス南部のニースで14日、花火を見物するため集まっていた人たちの中にトラックが突っ込んだ事件で、地元紙は「トラックは多くの人を巻き込みながらおよそ2キロにわたって走行した」などと伝えています。
フランスの地元紙などによりますと、暴走した白いトラックは、14日午後10時半ごろ(日本時間15日午前5時半ごろ)、ニースの海岸に近い病院の付近から「プロムナード・デ・ザングレ」と呼ばれる海岸沿いの遊歩道に向かって走っていったということです。
当時は海岸で祝日の花火が終わったばかりで、遊歩道には花火を見終えたあとの子どもを含む多くの人が集まっていたということです。トラックは、この遊歩道を東に向かって時速50キロくらいの速さでジグザグに走り、多くの人を巻き込みながらおよそ2キロにわたって走行したあと、高級ホテルが建ち並ぶ地区で止まったということです。
この間、トラックを運転していた男が銃を乱射していたという目撃証言もありますが、詳しい状況は分かっていません。また、警察との銃撃戦となったとき、男がトラックの中にいたのか、路上に出ていたのかも明らかになっていません。
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仏 トラック突っ込み84人死亡 テロ事件で捜査[NHK]
7月15日 14時42分
フランス南部のニースで14日夜、フランス革命を記念する祝日の花火を見物するため集まっていた人たちの中にトラックが突っ込み、これまでに84人が死亡しました。フランス政府はテロ事件とみて、背後関係など捜査に全力をあげる方針を示しました。
フランス南部のニースで14日午後10時半ごろ(日本時間午前5時半ごろ)、フランス革命を記念する祝日の花火を見物するために集まっていた人たちの中にトラックが突っ込みました。フランスのカズヌーブ内相は、これまでに84人が死亡したほか、多数がけがをしていてさらに犠牲者が増える恐れも出ています。
地元メディアは、当局者の話として、「トラックはおよそ2キロにわたり人混みのなかを暴走した」としているほか、トラックを運転していた男が人混みに向かって銃を乱射した末に、警察と銃撃戦となり、射殺されたと伝えています。また、トラックの車内からはチュニジア系の男を示す書類が見つかったほか、手投げ弾などの武器が積まれていたということです。
マルセイユにある日本総領事館によりますと、これまでのところ、日本人が被害にあったという情報は入っていないということです。
フランスのオランド大統領は日本時間の午前11時すぎ、声明を発表し、「テロの可能性は否定できない」と述べたほか、モンゴルを訪れているフランスのエロー外相は今回の攻撃はテロという認識を示していて、フランス政府は背後関係など捜査に全力をあげる方針です。
フランスでは、14日は、フランス革命を記念する祝日で、パリ中心部のシャンゼリゼ大通りで軍事パレードが行われたほか、エッフェル塔で花火が打ち上げられるなど、フランス各地で大規模なイベントが行われていて、新たなテロへの警戒が続くなか、厳重な警備体制が敷かれていました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160715/k10010596691000.html?utm_int=all_side_ranking-access_005
参議院選挙は、自民・公明の与党が、目標としていた改選議席の過半数を大きく超え、憲法改正に前向きな、いわゆる改憲勢力で、憲法改正案の発議に必要な参議院の3分の2を確保しました。今回の選挙結果を踏まえ、今後の憲法改正をめぐる議論と政治の行方を考えます。
今回の参議院選挙は、政権復帰後、およそ3年半にわたる、安倍政権の評価が問われました。
自民党は、党単独での過半数獲得はできなかったものの、改選議席から6議席増やし、公明党とあわせて、目標としていた61議席を大きく上回りました。
さらに、憲法改正に前向きな、おおさか維新の会や日本のこころを大切にする党の非改選の議員などを合わせ、いわゆる改憲勢力で、改正案を発議するのに必要な、参議院全体の3分の2の議席を確保しました。一方、民進党など野党4党は、統一候補を擁立して選挙戦に臨み、全国に32にある1人区のうち、11選挙区で議席を獲得しました。しかし、憲法問題をあえて争点にしないという与党側の戦術もあり、大きな流れにはなりませんでした。
安倍総理大臣としては、政権を奪還した選挙から、これで国政選挙4連勝となり、『1強』といわれる政権基盤をさらに強化した形です。同時に、この間、国民投票法の改正を行うなど、憲法改正実現に向けた環境整備も着々と進めてきました。今回の結果を受けて、安倍総理は、踏み込んだ発言は控えつつも、「いよいよ憲法審査会に議論の場が移り、どの条文をどのように変えていくのか、ということに集約されていくだろう」と述べ、今後、国会の場で憲法改正の議論が進むことに期待を示しました。
憲法改正に前向きな勢力が、衆議院に続き、参議院でも3分の2を確保したことで、国会の憲法改正をめぐる議論は、新たな局面を迎えることになります。しかし、これで憲法改正の議論が一気に加速するかというと、必ずしもそうとは言えません。
今回、与党が憲法問題をあえて争点としなかった背景の一つには、与党内の温度差があります。公明党の山口代表は、記者会見で、「各党の間で、憲法に対する考えは、なんの集約にも至っていない」とした上で、「国会だけが独走するのでは、国民投票には到底結びつかない」と指摘し、自民党内にある積極論に釘をさしました。実際、投票日に行われた、NHKの出口調査でも、憲法改正の必要性について、有権者の賛否も分かれています。
憲法の全面的な見直しを主張する自民党と、いまの憲法をベースに、「必要な条項を加えれば良い」という公明党には、そもそもの考えに大きな違いがあります。おおさか維新の会も、改憲を主張しているのは、道州制の導入といった統治機構の改革が中心で、一口に「改憲勢力」といっても意見集約は容易ではありません。
今回の結果を受けて、自民党は、国会で早期に議論を再開するよう各党に呼び掛けることにしています。ただ、衆参両院の憲法審査会は、去年、安全保障法制をめぐって与野党が厳しく対立したこともあり、先の通常国会でも、ほとんど開かれていません。民進党などは、「安倍政権の真の狙いは9条であり、安倍政権のもとでの憲法改正は認められない」としており、現状では、与野党がテーブルにつく場面を作れるかどうかも見通せない状況です。
しかし、与野党が堂々めぐりを続けるだけでは、今回の選挙戦同様、議論は一向に深まりません。各党、立場は違っても、論戦を通じて国民の理解を促す、あるいは、憲法のあるべき姿について幅広い合意形成を目指すというのが、政治本来の役割ではないでしょうか。
一方、当面の政治は、どう進んでいくのでしょうか。
まずは、今回の選挙を受け、参議院の構成などを決める臨時国会を開かなければなりません。ただ、今月14日には東京都知事選挙が告示されますし、いまの参議院議員の任期は今月25日まで残っており、政府与党は、来月1日から短期の臨時国会を開く方向で調整しています。さらに、安倍総理は、新たな経済対策を盛り込んだ、今年度の第2次補正予算案の編成を指示する方針です。予算案の提出は9月の中旬以降になると見られており、政府与党は、改めて9月中旬以降に、補正予算案や消費増税先送りのための法案を審議する本格的な臨時国会を開く方向で調整を進めることにしています。
そうした中、注目は、来月3日にも行われる見通しの内閣改造と自民党の役員人事です。
安倍総理は、「強力な経済政策を進めて行く上で、力強い新たな布陣を組んでいきたい」と述べ、今後、内閣改造の規模などについて調整を進めることにしています。
いまの第3次安倍改造内閣は、去年10月に発足しましたが、この際、安倍総理は、内閣では、麻生副総理兼財務大臣や菅官房長官、党役員では、谷垣幹事長や二階総務会長ら政権中枢の人事には触れませんでした。それが、いまの政権の安定につながっていますが、人事の滞留を招く要因ともなっており、自民党内には不満も燻っています。
今回の選挙で、多くの有権者が、経済政策の更なる充実と、それを実行する政権の安定に期待したのは間違いなく、政権の安定性と党の結束との折り合いをどう図り、より強力な体制を築くことができるかが問われることになります。
一方、今回の選挙を受けて、野党側も、体制作りや戦術の見直しを迫られています。改選議席を確保できなかった民進党の岡田代表は、今年9月の任期までは代表を続投するとした上で、次の代表選挙に立候補するかどうかは、「白紙だ」としています。党執行部は、共産党などとの連携について、「一定の成果はあった」としていますが、党内には、基本政策の違いを理由に連携に否定的な意見もあり、今後、対立が表面化することも予想されます。これに対し、共産党などは、「与党に対抗するには、さらに野党連携を強化すべきだ」という主張です。一方、おおさか維新の会の松井代表は、党勢拡大のため、今後、党名を変更することもあり得るという考えを示しています。
巨大与党に対抗するため、対立軸をより明確にし、近い将来、政権を担うことができる勢力を作る。それが、今回の選挙で突き付けられた野党の課題です。
今回の参議院選挙は、戦後70年振りに選挙権が拡大されたもとで行われ、注目されましたが、投票率は、50%台前半に止まり、政治離れに歯止めをかけることはできませんでした。また、基地問題を抱える沖縄や、東日本大震災からの復興の遅れが指摘されている東北3県などで、現職閣僚などが落選したことは、問題の深刻さと、それを受け止められない政治の現状を改めて浮き彫りにしています。
今回の選挙で、有権者は、何を求めたのか。若者の政治参加をきっかけに、政治と国民との距離がクローズアップされている中、政治が、今回の選挙で示された民意を正確にくみ取り、きちんと国政に反映できるかどうかが問われています。
(太田真嗣 解説委員)
"同一労働・同一賃金"という考えは、なにげに聴けば平等主義的でよさげに思えるものだが、Aを梱包をする仕事はいくら、Bの機械を操作する仕事はいくらと働く人を機能で待遇する制度でしかない。
Aの梱包が自動化されればその仕事をしているひとは不要になり、Bの機械が他のものに置き換えられればその機械を扱っているひとは不要になる。
毀誉褒貶はあるが、日本の経済成長を支えてきた一つの源泉は、特定の仕事をする人として採用されるのではなく、従業員として様々な仕事をする可能性がある人として採用され、そのような観点から従業員のトレーニングが行われてきたことで培われた活動力の強さである。
ケースは少ないが、工場の作業員として採用された人が経営幹部になることもあるが、欧米的"同一労働・同一賃金"で採用されると、スピンアウトして起業に動かない限りそういうことはありえない。
民進党のみならず共産党までが"同一労働・同一賃金"を良きものとして歓迎しているが、今の日本で必要なのは、正規従業員の労働条件が切り下げられることで実現される可能性もある"同一労働・同一賃金"ではなく、利益を上げ続けているグローバル企業を先頭に、非正規の正規化・賃金アップなど労働条件を改善することである。
そして、消費税(付加価値税)は、直接雇用労働者の賃金に充当する荒利には税が課される一方、派遣でやってくる労働者の賃金相当部分(派遣会社への支払い)に充当する荒利は経費と見なされ逆に消費税が控除されるという“いびつな”制度であり、非正規の中でも大きな問題となっている派遣労働者の増大に拍車をかけている。
派遣労働者の問題は、消費税制度をやめることで改善に向かう基礎的条件が整う。
※参照投稿
「首相、「同一労働同一賃金」実現へ法改正検討:「同一労働同一賃金」は労働者の“歯車化”、非正規の縮小や待遇改善を」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/326.html
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2016年07月07日 (木) [NHK総合]
「"同一労働・同一賃金"が問うもの」(時論公論)
竹田 忠 解説委員
参議院選挙の争点を考えるシリーズ、今回は、雇用や働き方改革の中心的なテーマとしてほとんどの政党が公約で取り上げている、「同一労働・同一賃金」を考えます。
この、同一労働・同一賃金。
文字通り、正社員であろうと、非正社員であろうと、「同一労働」〜同じ仕事をしているのなら、「同一賃金」〜賃金も同じであるべき、という大変わかりやすい、賃金決定のルールです。
特にヨーロッパなどでは、このルールが原則ですが、日本では、雇用のありかたが大きく異なるために、なじまない、とされてきました。
【 解説のポイント 】
それをなぜ、今、多くの政党が、横並びのように公約にあげるのか?
その背景は何なのでしょうか?
そして、同一賃金を日本で実現しようとすれば、結局、問われることになるのは、正社員の働き方や雇用慣行、とりわけ“年功賃金”のありかたが問われることになります。
つまり、同一労働・同一賃金は、単に賃金の問題ではなく、日本の雇用社会のありかた全体に関わってくる問題です。
必要なのは、働き方の将来像やビジョンです。
今回の選挙戦で、どれだけ議論が深められているでしょうか?
【 各党の公約 】
まず、各党の公約を見てみます。
御覧のように、8つの政党が、同一労働・同一賃金やそれと同じような考え方の実現を目指すとうたっています。
生活の党は、非正規労働省の正規労働者化を進めるとしています。
【 日本の賃金格差は大きい 】
なぜ、今、これほど多くの政党が同一労働・同一賃金を取り上げるんでしょうか?
それは、正規と非正規の格差是正が、待ったなしの所に来ているからです。
まず、働く人全体に占める、非正規労働者の割合です。
パートや契約社員、派遣などの非正規労働者は、年々増え続けて、今や、37点5%。働く人の4割は、非正規労働者です。
そして、その最大の問題は、賃金格差です。厚生労働省などの調査では、非正規労働者の賃金は、正規の人の56点8%、6割弱にとどまっています。
これに対し、同一労働・同一賃金が基本であるヨーロッパ諸国を見てみます。
フランスは、89点1%でおよそ9割、つまり、ほとんど差はありません。
またドイツやスウェーデンなど、多くの国では、およそ8割です。
こうして比べると、6割弱という日本の低さが目立ちます。
【 賃金の決め方が違う! 】
なぜ、日本では、こんなに賃金格差が大きいのでしょうか?
それは、賃金の決め方が、欧米とは違っているためです。
どういうことかと言いますと、よく、こういう言い方がされます。
欧米では、賃金は仕事に対して払われるが、日本では、ヒトに対して払われる。
どういうことかと言いますと、欧米では、その人の仕事はハッキリ決まっています。
仕事の内容も、範囲も、具体的なことが、あらかじめ雇用契約や職務記述書と呼ばれる文書で決められています。
会社の都合で、突然、別の仕事をまかされる、というようなことは基本的にありません。
しかし、日本では、その人の仕事の範囲は、曖昧で、職場の都合で臨機応変に変わります。
そもそも仕事の内容そのものが、決まっていません。
転勤や配置転換によって、ある日突然、仕事がガラリと変わる、などということはよくあることです。
つまり、今、やっている仕事よりも、これまでのキャリアや将来期待で、総合的に評価して賃金が決まります。
こうして決まる賃金の姿が、象徴的にあらわれるのが、このグラフです。
年功序列型賃金、いわゆる年功賃金のグラフです。
在職年数や年齢に応じて、給料がしだいにあがっていきます。
なぜ、年と共に給料が増えるのか?
それは会社に長くいるほど、経験も能力も増えているはずだから、給料も高くする、という理屈です。
一番高くなるのは、大体50代なかばで、新卒入社当時の2倍から3倍ぐらいになります。
そして、定年後の雇用延長や再雇用になると、また下がるという仕組みです。
しかし、これはあくまで正社員の場合であって、非正規の人の賃金は、欧米と同じように、仕事で決まります。
その結果、どうなるかというと、非正規の人の賃金は、このようにほとんど上がりません。
いくら長く働いても、同じ仕事をしている限り、ほとんど給料は上がりません。
つまり、年をとるにつれて、格差は一層広がっていくわけです。
こうした中で、同一賃金の考えに沿って、格差を是正しようとすると、どうなるでしょうか?
まず、非正規の人の賃金を今より底上げする、ということは当然、必要なことです。
イメージ的にいうと、このオレンジの点線のような感じでしょうか?
と同時に、やはり見直すことが避けらない、と見られているのは正社員の年功賃金です。
この賃金のカーブが、もっとゆるやかなものにならないと、いくら非正規の人の賃金が底上げされても、年と共に、格差が広がる、という深刻な問題は解決されません。
こちらもイメージ的にいうと、緑の点線のような、なだらかなカーブになる、という感じでしょうか?
ただ、この場合、注意が必要なのは、賃金の総額が仮に一定だとしますと、非正規の人の賃金が上がる分、正規の人の賃金は、全体としてもっと下がる、ということもありえます。
【 再雇用でも同一賃金? 】
さらに、この同一賃金を巡っては、最近、大きな動きがありました。
それは、同一賃金の考えが、正規と非正規だけでなく、現役と、定年後再雇用された人。
この両者の間でも、同一賃金のような考えが適用される場合がある、という驚きの判決です。
どういうことかと言います、これは、横浜市の運送会社で、定年後に再雇用されたトラック運転手3人が訴えたものです。
定年前と同じ仕事をしているのに、年収が2〜3割下がったとして、その賃金格差を是正するよう会社側に求めたものです。
これに対し、東京地裁は、業務の内容や責任は同じなのに、賃金を下げるのは、不合理な格差を禁じた労働契約法に違反する、として、賃金の差額分を支払うよう、会社側に命じました。
その後、会社側は控訴しましたので、今後、上級審の判断を待つ必要がありますが、もし、この判決通りだとしますと、このグラフにあるような、定年後の大幅な賃下げは許されない、ということになる可能性が出てきます。
そうなると、企業としては、定年前の高い賃金を、そのまま出し続ける、ということを避けるために、あらかじめ、緩やかなカーブにしておく、ということになるかもしれません。
つまり、この意味でも、年功賃金の見直しにつながる可能性があるとして大きな議論になっているわけです。
【 今後のビジョンは? 】
正規と非正規の賃金格差の是正は、まさに緊急の課題です。
しかし、そのために、同一賃金を目指そうとすれば、どうしても、正社員の年功賃金の在り方を見直すことにつながります。
年功賃金は、長期雇用と共に、日本型雇用システムの中核をなすものです。
正社員はこれによって、安定的な立場を保障され、それと引き換えに、転勤や長時間労働を受け入れてきたわけです。
つまり、同一労働・同一賃金というのは、単に賃金の問題ではなく、日本の雇用社会のありかた全体を問い直すことにつながります。
もう、そうなってきますと、今後、雇用の流動化はどうなるのか?
そして、もともと、中高年層に重い負担となっている、子供の教育費や社会保障の負担は一体どうするのか?
社会保障や税制にも話しがおよびます。
必要なのは、働き方の将来像や、ビジョンです。
各党には、そこを語ってほしいと思います。
(竹田 忠 解説委員)
消費税の課税ベースである荒利(付加価値)の60%ほどは人件費に充当される。
それゆえ、ある額の賃金を支払うということは、その金額に+消費税を上乗せしなければならないことを意味する。
このことから、正規従業員を含めてもまったく問題ないが、最低賃金を引き上げるためには、パート従業員の賃金に充当した付加価値に対して消費税を免除する政策が近道だ。
(宇都宮氏は、最低賃金1500円を公約として掲げていたが、強権的な賃金引き上げ政策は、強者(賃金支払い余力のある事業者)への集中を招き、全体として雇用者の数を減らしてしまう)
たとえば時給900円のケースなら、その金額に加え消費税72円(概略値)を負担しなければならないから、パートへの賃金支払い分について消費税が免除されることになれば、時給を972円にしても事業者の負担は変わらない。
政府部門に税として支払うのか、従業員に賃金として支払うのかの違いである。
税収的にも、より多く稼いだ人の所得税・住民税が増えたり、より多く消費に回ることで法人税・消費税の増収要因にもなるから、それほど打撃にはならない。(ほんとうはまったく打撃ではないが)
財務省は、私のアイデアをパクって、給与を引き上げたら法人税を減税するという“毛針”政策を導入したのだから、今回のアイデアだってパクって実施すればいい。
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2016年07月06日 (水)[NHK総合]
「実現できるのか?"最低賃金1000円"」(時論公論)
村田 英明 解説委員
今回の参議院選挙では、最低賃金を時給1000円か、それ以上に引き上げると明確な数値目標を公約に掲げる政党が増えました。最低賃金の引き上げは、非正規労働者の賃金の底上げや景気を上向かせるために必要ですが、実現するには多くの課題があります。そこで、最低賃金とはどういうもので、なぜ今、時給1000円への引き上げが必要なのか。実現に向けた課題は何か。この2点について話をしたいと思います。
まず、最低賃金というのは、企業が従業員に最低限支払わなければならない賃金のことです。法律で義務付けられていて違反した企業には罰則があります。働く人すべてに適用され、とくに、時給で働くパートやアルバイトなどの非正規労働者の賃上げに大きく影響します。
労働者が不当に安い賃金で働かされるのを防ぐため多くの国で導入されていますが、日本は欧米に比べて賃金の低さが際立っています。全国平均で時給798円。1日8時間、週40時間フルタイムで働いても年収は160万円ほどにしかなりません。
これに対し、ヨーロッパは時給1000円前後で、フランスとの差は300円近くあります。また、アメリカは連邦政府が決めた最低賃金は日本より低くなっていますが、これは最低ラインです。実際には、州の法律や自治体の条例で1000円前後にしているところが多く、さらに、景気が回復する中、段階的に15ドル、日本円にして、およそ1500円に引き上げる動きが広がっています。
このように、日本の最低賃金の水準は主要な先進国に比べて低く、労働者の生活を安定させる本来の目的を果たしているとは言えないという指摘が、労働の専門家から出ています。
日本で、最低賃金に近い時給で働く人は、かつては、家計を助けるために働いていたパートの主婦やアルバイトの学生が多く、賃金の低さは、さほど問題になりませんでしたが、いまや非正規労働者は、およそ2000万人、働く人の4割近くを占めています。しかも、家族を養わなければならない世帯主と自らの収入で生活を維持しなければならない単身世帯が大幅に増えました。このため、真面目に働いても貧困から抜け出せない「ワーキングプア」、働く貧困層の問題が深刻化し、最低賃金の引き上げが政治の重要課題になっているのです。
こうした中で迎えた今回の参議院選挙で最低賃金を欧米並みにすると公約する政党が増えたのは当然といえるでしょう。公約に明確に記載した政党について見て行きますと、与党では、自民党と公明党は「全国加重平均で1000円をめざす」としています。一方、野党では、民進党は「誰もが時給1000円以上を実現」。共産党と社民党は「全国一律1000円にし、さらに1500円をめざす」。新党改革は「1000円に近づける」としています。公約通りの引き上げを期待したいところですが、いざ実行するとなると課題は山ほどあります。
ここでは、3つの課題を考えたいと思います。「企業の合意」、「中小企業への支援」、そして、「地域格差の是正」です。
まず、企業の合意ですが、最低賃金は毎年夏に厚生労働省の審議会が前の年度よりいくら上げるべきか引き上げ額の目安を定めます。これをもとに都道府県の審議会が、地域の実情を踏まえて都道府県ごとに最低賃金を決定しています。この国と都道府県の審議会には労使の代表が参加していて、労働組合側は最低限の生活が保障されていないとして大幅な引き上げを要求しますが、経営側は企業の支払い能力を考慮すべきだとして協議は難航して要求はなかなか通りません。最低賃金の引き上げは企業の合意を得ることが大前提で、政府の一存では決められないのです。
それでも、2000年代後半からは着実に引き上げられてきました。棒グラフで示したのは前の年度からの引き上げ額です。2007年以降、年に2%程度、ほぼ10円を超える引き上げが続いています。実は、2007年には、ワーキングプアが問題化する中で、政労使の3者が最低賃金を引き上げていくことで合意。また、最低賃金が生活保護の受給水準を下回るいわゆる「逆転現象」が起きている地域の解消を目指して最低賃金を決めるように法律が見直されました。その結果、賃金が持続的に引き上げられ、逆転現象も、おととしまでに解消されたのです。
ところが、政府は、これをさらに上回る年に3%程度の引き上げを今年度から行う方針を打ち出しています。25円前後の大幅な引き上げを7年連続で実現できれば全国平均で時給1000円に到達することになります。そのためには、改めて政労使の3者で時給1000円をめざすことで合意する必要があります。しかし、企業側は、経団連が「中小零細企業の支払い能力を考慮する必要がある」という見解を示すなど慎重な姿勢を崩していません。
そうした中で、どうやって企業の合意を取り付けるのか。鍵を握るのは2つ目の課題、中小企業への支援です。具体的には、いわゆる「下請けいじめ」をなくさなければなりません。日本では、大企業が下請けの中小企業と取り引きする際に、不当に安い価格で商品を買う「買いたたき」や「値引きの強要」が後を絶ちません。下請けいじめを行ったとして公正取引委員会から企業が指導を受けた件数だけをみても、昨年度は過去最多の5980件に上っています。
企業に対する指導や罰則を強化するなどして、まずは、賃上げの妨げとなっている不当な取引慣行をなくす対策を徹底する必要があります。
また、欧米の取り組みも参考にすべきです。アメリカでは10年ほど前に連邦政府が最低賃金を大幅に引き上げた際に中小企業向けの減税を行いました。
一方、フランスでは中小企業の社会保険料の負担を軽減しています。税や保険料の負担を減らして賃上げしやすい環境を整えることも検討してみるべきです。
3つ目の課題は、地域格差の是正です。最低賃金は、最も高い東京が907円なのに対し、最も低い鳥取、高知、宮崎、沖縄は693円で200円以上差があります。その原因は、最低賃金の決め方にあります。
厚生労働省は、住民の所得水準や消費の実態などを調べて、都道府県をAからDの4つのランクに分けて、ランクごとに引き上げ額の目安を示しています。
昨年度の目安は、Aランクが19円、Bランクが18円、CとDランクが16円でした。最低賃金が高い東京や大阪などの大都市はAランク。一方、Dランクには、最低賃金が低い鳥取や沖縄など時給600円台の16の県が含まれています。このため、Aランクの引き上げ額を他のランクよりも大きくしている今の方法では、差は広がる一方。このままでは、大都市に働きに出る人がさらに増えて、地方の人口減少を加速化させるおそれがあります。
また、同じAランクでも千葉は817円で東京と90円も差があるなど、今の都道府県ごとの最低賃金の水準が妥当かどうか疑問視する声も出ています。
働く人全体の賃金の底上げを図るには、最低賃金の決め方を見直すことも考えなければなりません。
このように、山積する課題にどう取り組んで“最低賃金1000円”を実現するのか。公約した政党は、その具体的な道筋を示すとともに、選挙が終わった後も責任を持って国会でさらに議論を深めて行ってほしいと思います。
(村田 英明 解説委員)
※関連参照投稿
「実現できるのか?"最低賃金1000円":パートの賃金に充当した付加価値への消費税免除を実施すれば実現可能」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/570.html
「"同一労働・同一賃金"が問うもの:働く人を工具や歯車として見る愚劣な考え、労働条件の底上げこそが重要なテーマ」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/569.html
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日本に外国人労働力を入れるのは可能か?[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年07月08日 21:50(アップデート 2016年07月09日 00:45)
タチヤナ フロニ
日本は、深刻な労働力不足に直面している。国連は「将来日本は、その厳しい移民政策を見直さざるを得なくなるだろう」と見ている。
今後数十年間で、日本が必要とする移民は1700万人と言われている。そうした新たな労働力の流入がなければ、高齢化が進むこの国では、誰も働き手がいなくなってしまうからだ。移民を、労働の場に引き入れる問題は、日本において最も焦眉のテーマである。ロシア極東研究所日本センターのワレーリイ・キスタノフ所長は「近い将来、日本は、そうすることが自分達のメンタリティーにとって簡単なことではないとしても、やはり自国の厳しい移民政策を見直さざるを得なくなるだろう」と考えている。
キスタノフ所長は、次のように指摘した-
「日本人は、言ってみれば、均質な国民だ。これは、長い間、事実上、外の世界から孤立していた歴史の中に、深い根を持っている。心理的、メンタリティ−的に、隔離された日本人の気持ちは、現在に至るまで保たれている。しかし、時は移り、世界の状況は変化している.グローバリゼーションの巨大な波が押し寄せ、日本も、その影響を受けざるを得なくなっている。人的資源の交流の点でもそうだ。日本人には、強い抵抗感が残ってはいるが、日本の前には、資本や技術の流入ばかりでなく、人的資源の流入に門戸を開く必要性が提起されている。働き手の減少や、国民の高齢化が、それを促している。近代的な技術や生産は、ますます若くエネルg-に溢れ、しっかりと教育を受けた人々を必要としている。もちろん、そうした人々は日本にいるが、出生率の低下により、明らかに数が不足している。」
日本において、移民としてすぐに思い浮かべられるのは、唯一コリアの人々だ。これについてキスタノフ所長は、次のように続けた-
「在日コリア人は、数え方によって様々だが、50万人を超えている。他に日本には、中国人や欧米人も住んでいるが、それでも外国人の数は、日本人全体に比べれば、微々たるものだ。でも私は、日本は、外国人が働き口を得られるよう、必然的に用意を整えなくてはならなくなるだろうと思う。彼らは、日本人のメンタリティーあるいは心理から言って働き手のいない仕事を担うだろう、例えば、中程度の専門性が必要な仕事だ。日本では、こうした仕事は、重労働で評価が高くない。そうした職場には、すでに、フィリピンやインドネシアの若い女性達が採用されている。彼らは、日本語や医学的技術を学んでいる。またこの他にも例がある。
以前日本の工場は、昔、南米に移民した日本人の子孫を積極的に採用した。私自身、名古屋にあるトヨタの工場で、そうした労働者を目にした。しかしこの事は、日本がこうした問題に、大変選択的に接していることを裏付けている。つまり日本と過去につながりのある人達を、まず優先するという態度だ。日本政府の観点から見て、彼らは、日本社会の均質性や基盤を損なうことがないという事なのだろう。生活レベルの低い中国、そして東南アジア諸国から多くの人達が、働きに来る用意があるにもかかわらず、やはり日系人が優先されるのだ。」
では、受け入れ数を加盟国別に決めたEUのように、誰かが日本を、移民受け入れに向かわせることができるのだろうか? この問いについては、駐日ロシア大使を務めた経験を持つ、アレクサンドル・パノフ氏が答えてくれた-
「この問題においては、誰も、日本に圧力を加えることはできない。日本では以前、イラン人の入国ビザを事実上なくしたことがあった。東京を含めて日本国内に、多くのイラン人が現れた。しかしイラン出身者が、日本の文化環境になじめず、問題のみ起こすことが、非常に早く明らかとなり、この実験は終了となった。 とはいえ、ある数の外国人労働者を、日本は受け入れている。例えばフィリピンだ。フィリピン人女性が、日本の高齢者の世話をしたりしている。しかし彼女達が、専門性の必要な他の医療業務につくことは許されていない。それゆえ私は、日本が近日中に、外国人労働者に広く門戸を開くという予想には、ひどく懐疑的だ。日本には、生産プロセスのオートメーション化やロボット化を推し進めるという代替え策もあるのだからなおさらである。」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160708/2447735.html
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/852.html
鳩山氏と安倍首相のあいだでは、価値観観や政策で根底的とも言えるほど大きな違いがあるように見える。
内実の違いはどうであれ、現実的には、安倍首相と鳩山氏は政治的に価値観的に対立していると見られるほうが、お互いにことをなしやすいはずだ。
しかし、両者は、政治を家業とする家系の出身者であり、祖父の代では、反吉田の「鳩山−岸」としてある時期の日本政治を動かした。
鳩山氏と安倍首相のあいだに密接なつながりがあるかどうかわからないが、15年8月に韓国の抗日独立運動家らを追悼するモニュメントの前で「クンジョル」(“土下座”)したあと、12月に安倍政権と朴政権のあいだで従軍慰安婦問題について合意に達し、今年も、鳩山氏はクリミアを訪問し住民の意思でロシアに併合されたと露によるクリミア併合を正答したあと、ソチで安倍−プーチン会談が実現したといった経緯を考えれば、実に見事な連係プレイと言える。
中国でも、南京の虐殺記念館を訪れ日本の過去を謝罪し、中国サイドから高い評価を得ている。
鳩山氏が果たしている外交的役割は大きく、“閣外外交協力者”と言っても過言ではないだろう。対中外交では、安倍首相を補完する“閣外協力者”として福田元首相もいる。
実際のところはわからないが、鳩山氏は、安倍首相であれば、外見的思想や政治的立場から絶対にできない行為を、国内で評価されないどころか罵倒を浴びせられることを承知(覚悟)で行っていると言える。
今回のAIIBの国際諮問委員会の委員就任は、象徴的役職とは言え、安倍政権“閣外外交協力者”として日中をつなぐ役割を担うことができる好ましい動きと評価する。
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AIIB委員に鳩山元首相就任へ[NHK]
7月16日 15時30分
AIIB=アジアインフラ投資銀行の、顧問としての役割を担う国際諮問委員会の委員に鳩山元総理大臣が就任し、ことし10月に初会合が開かれることになり、鳩山氏の言動が注目されます。
AIIBは、中国が主導し57の国が参加して去年設立された、アジアのインフラ建設を支援する国際的な金融機関で、総裁などに助言を行う顧問としての役割を担う国際諮問委員会を設立する予定です。
鳩山元総理大臣は16日、訪問先の北京で記者団に対し、「AIIBの国際諮問委員会のメンバーとして協力していただきたく、返事がほしいという内容で、私の所にメールが来るという話をいただいている」と述べ、AIIBから正式に委員就任の要請を受けたことを明らかにしました。
そのうえで鳩山氏は「何らかのお手伝いができればと思っている」と述べ要請を受け入れる意向を示し、鳩山氏が委員に就任することになりました。
関係者によりますと委員会は10人程度の委員で構成され、委員の任期は2年で、ことし10月19日に、北京で、初会合を開く予定だということです。
AIIBは増資などの重要な案件で中国が事実上の拒否権を握るなど中国の影響力が大きく、日本やアメリカは、銀行の運営を注視する立場から参加していないだけに、鳩山氏の言動が注目を集めそうです。
詳細はともかく、それは、トルコの最高権力者であるエルドアン大統領がイスタンブールにいてアンカラには不在というタイミングでアンカラでクーデタが始動されたことだけでその茶番性を窺い知ることができる。
最高権力者がアンカラにいないタイミングでアンカラでクーデタを企てるという人物がクーデタ指導者なら、報じられている内容の動きどころか、一部とは言えそれなりの軍部隊を動かすことさできないだろう。
クーデタを起こすのなら、手駒が限られていたとしても、最高権力者をまず第一に拘束(確保)し、ほぼ同時に軍・警察の最高幹部を拘束する。それと併行して、国民向けの情報を管理するため、テレビ・ラジオ・新聞といったマスメディアを支配下に置くものだ。
(二二六事件は、首相など大勢の“君側の奸”を襲撃しながら、尊皇思想が邪魔して、肝心要の天皇の身柄を確保しなかったため、数日であえなく鎮圧された)
今回の「クーデタ未遂事件」は、ここ1.2年続発している「爆破テロ」などと同じく、より統治権限を強化したいエルドアン大統領サイドが仕組んだ自作自演である可能性が高い。
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トルコでクーデターの試み 市民など60人死亡[NHK]
7月16日 14時55分
トルコで、軍の一部が主要都市で部隊を展開させるなどクーデターを試みる動きがあり、各地で爆発や銃撃が相次ぎ地元当局によりますと市民を含む少なくとも60人が死亡しました。これに対しエルドアン大統領は反乱を鎮圧したとしていますが、散発的な戦闘も伝えられ、緊迫した状況が続いています。
トルコの首都アンカラや最大都市イスタンブールでは現地時間の15日夜、戦車やヘリコプターが展開したのに続いて一部の兵士がアンカラにある国営テレビ局を一時、占拠し、アナウンサーに「全権を掌握した」として市民に外出を禁じる声明を読ませました。
ユルドゥルム首相も「軍の一部が反乱を企てている」と述べ、クーデターの試みの動きがあることを明らかにしました。アンカラではヘリコプターが地上に向けて銃撃したほか、議会の建物の近くなどで爆発がありました。
また、イスタンブールでも国際空港の近くや市の中心部で断続的に爆発が相次ぎました。
地元メディアは当局者の話として市民を含む少なくとも60人が死亡したと伝えています。
これに対してエルドアン大統領は軍の一部によるこうした動きを批判するとともに「反乱を鎮圧した」と述べました。
地元メディアは日本時間の16日昼すぎボスポラス海峡にかかる橋を戦車などで封鎖していた兵士たちが手を上げて投降する様子を伝えました。
地元当局者は反乱に関わったなどとしてこれまでに兵士ら1563人を拘束したとしています。
アンカラでは今も散発的な戦闘が続いていると伝えられ、クーデターを試みる軍の一部と政権側との間で緊迫した状況が続いています。
アンカラの日本大使館 「銃声や爆発など聞こえず」
トルコの首都アンカラにある日本大使館の職員によりますと、日本時間の16日正午前の状況として、大使館の周辺では過去数時間、銃声や爆発の音、それに、軍用機が飛ぶ音などは聞こえず、静かだということです。また、これまでのところ、一連の混乱に、日本人が巻き込まれたという情報は入っていないということです。ただ、情勢は、依然として流動的だとみているということで、引き続き情報収集にあたっているということです。
国連事務総長 「軍の行動は受け入れられない」
国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長は15日夜、声明を発表し、軍の行動は受け入れられないとして冷静な対応を呼びかけました。この中で、パン事務総長は、トルコ情勢は不確実だとしたうえで「いかなる状況でも軍の行動は受け入れられない。トルコ政府が文民統制と憲法秩序を平和的に、速やかに確保することが、きわめて重要だ」としています。そして、関係方面に向けて暴力に訴えず、冷静で自制的に対応するよう呼びかけています。
米高官 「状況を注視」
アメリカ国防総省の高官はNHKの取材に対し、「状況を注視しており、トルコ国内のアメリカ軍の要員や関係者、家族の安全を確保するため適切な処置をとっている」としています。
またアメリカ軍が過激派組織IS=イスラミックステートに対する軍事作戦のため、航空機部隊を展開させているトルコ南部のインジルリク空軍基地では、これまでのところ影響は出ていないとしています。
イラン外相 「この危機を非常に懸念」
トルコの隣国、イランのザリーフ外相はツイッターで「この危機を非常に懸念している。安定と民主主義、そしてトルコ国民の安全が最優先だ」と述べました。また、最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長は、「事態を注視している」と述べるとともに、トルコとの国境はきちんと管理されており、問題は起きていないという認識を示しました。
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トルコでクーデターの試み 大統領「反乱鎮圧した」[NHK]
7月16日 10時08分
トルコで、軍の一部が主要都市で部隊を展開させるなどクーデターを試みる動きを見せたのに対し、エルドアン大統領は「反乱を鎮圧した」と述べました。しかし各地で爆発が相次いでおり、緊迫した状況が続いています。
トルコのユルドゥルム首相は、現地時間の15日夜、トルコのテレビ局を通じて「軍の一部が反乱を企てている」と述べ、軍の一部によるクーデターの試みが起きていることを明らかにしました。
首都アンカラや最大都市イスタンブールでは戦車やヘリコプターが展開するとともに、軍の一部はアンカラにある国営テレビ、TRTを占拠し、アナウンサーに「全権を掌握した」と声明を読ませて、市民に対し外出を禁じました。
これに対し、エルドアン大統領は民放テレビを通じて国民に対し外に出て抗議するよう呼びかけ、その後、イスタンブールの空港で記者団に対し、「反乱を鎮圧した」と述べました。
しかし各地で爆発や衝突が相次いでいます。
地元メディアによりますと、アンカラにある議会の近くで日本時間の午前9時前、爆発があり、議会の建物の窓が大きく壊れてけが人が出ているもようです。
アンカラにある通信施設も攻撃を受け、施設を警備していた警察官17人が死亡したということです。
イスタンブールでも国際空港や市の中心部で断続的に爆発が起きていると伝えられています。
トルコ軍のトップアカル参謀総長が反乱を企てた兵士に拘束されたという情報が一時出されましたが、その後、ユルドゥルム首相は、「参謀総長は任務についている」と述べました。
このほか民間のテレビ局によりますと政府側につく軍の特別部隊の司令官が「状況は掌握している」と述べ、クーデターの試みを阻止しつつあるという認識を示しました。
また軍の幹部がテレビを通じて、兵士に対し、兵舎に戻れと呼びかけていますが、国内各地ではクーデターを試みる軍の一部と政権側との間で緊迫した状況が続いています。
現地の日本語ガイドが状況語る
トルコの最大都市イスタンブールに住む日本語ガイドのオズギュル・オクスズレルさんは、16日午前2時すぎ(日本時間の午前8時すぎ)、NHKの電話取材に応じました。この中でオズギゥルさんは「モスクから皆、外に出るようにとの呼びかけが、5分おきくらいに聞こえています。私の家の周りでは、何度か大きな銃声が聞こえた一方、エルドアン大統領の支持者が通りに出て歓声を上げています」と話していました。
一方で「エルドアン大統領を支持しているテレビ局の放送は続いていますし、インターネットも使えています」と話していました。
また、「今後の生活がどうなるか不安なので、近所の人たちはATMに行ってお金を下ろしに行ったり、商店に買い出しに行くなどしています」と話していました。
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※以下、NHKオンラインから時系列に記事を転載
トルコ 軍の一部が声明「新憲法できるだけ早く準備」[NHK]
7月16日 6時24分
ロイター通信は、トルコでクーデターを起こしたとみられる軍の一部が、トルコの国営放送局を通じて声明を発表し、「新たな憲法をできるだけ早く準備する」と述べたと伝えました。
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トルコ在住の日本人に聞いた現地の状況[NHK]
7月16日 8時17分
トルコのユルドゥルム首相は、現地時間の15日夜、地元テレビ局を通じて「軍の一部が反乱を企てている」と述べ、クーデターの試みが起きていることを明らかにしました。トルコの最大都市イスタンブールの中心部に住む日本人ジャーナリストの仁田原康子さんは、日本時間の午前7時すぎにNHKの電話取材に応じました。
この中で仁田原さんは、市内の様子について「1時間ほど前の16日午前0時ごろにはイスタンブールでも連続した発砲音が聞こえましたが、今は収まっています。ただ、上空でヘリコプターが飛んでいる音が聞こえ、家の周りの道路には警察のバイクや車が走っています」と話していました。
また、「インターネットがつながりにくくなったり、電話がつながらなくなったりしていましたが、今はつながるようになってきました」と話していました。
さらに、「現地のテレビ局は、イスタンブールの空港にトルコの国旗を手にした人たちが集まり始めている様子を放送しています。現地の日本人の間では、それぞれ連絡を取り合っていますが、食料や水を買い込むべきか心配する声もあります。ただ、情報も少なく混乱が続いているので、簡単に外に出られる状況ではありません」と話していました。
また、イスタンブールに住む日本人の男性によりますと、反乱を企てた軍の一部は外出を禁じていますが、イスタンブールの日本人が多く住む地区では、エルドアン政権を支持する人が大勢通りに出て、軍への抗議の意思を示しているということです。
また、イスタンブールの中心にあるタクシム広場の近くに住む知人から「発砲音が何度も聞こえるなど、各地で散発的に発砲音が響いている」と聞いたということです。
フェイスブックなどインターネットのソーシャルネットワークは、接続しにくくなっているということです。
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トルコ首相「軍の一部が反乱企てている」[NHK]
7月16日 8時26分
トルコで、軍の一部がクーデターを試み、国営テレビを占拠して、外出禁止令を出しましたが、エルドアン大統領は民間のテレビ局を通じて、国民に対し、外に出て抗議するよう呼びかけ、クーデターの試みを必ず失敗に終わらせると強調しました。
トルコのユルドゥルム首相は、現地時間の15日夜、トルコのテレビ局を通じて「軍の一部が反乱を企てている。警察がこうした動きに加わったものを取り締まる」と述べ、軍の一部によるクーデターの試みが起きていることを明らかにしました。
軍の一部は国営テレビを占拠し、アナウンサーに声明を読ませ、市民に対し外出を禁じるとともに「全権を掌握した」と発表したと伝えています。
トルコの通信社によりますと、トルコ軍のアカル参謀総長が反乱を企てた兵士に拘束されたということです。
また各地で散発的に発砲音が響いていると伝えられています。
これに対して、イスタンブールに滞在しているエルドアン大統領は、民間のテレビ局に対し、映像つきの携帯電話を通じて「このような状況は許されない」と述べ、国民に対し、外に出て抗議するよう呼びかけました。そのうえで、クーデターの試みを必ず失敗に終わらせると強調しました。
呼びかけを受けて、今の政府を支持する市民は続々と広場や通りに出て、クーデターの試みに対し抗議の意思を示しています。
また民間のテレビ局によりますと、政府側につく軍の特別部隊の司令官が「状況は掌握している」と述べ、クーデターの試みを阻止しつつあるという認識を示しました。
最大都市のイスタンブールの国際空港は周囲を戦車に取り囲まれ、一時閉鎖状態になりましたが、トルコの民放は、日本時間の午前7時すぎ、政府を支持する市民が集まるなか、軍が撤退を始めたと伝えています。
外務省 日本人の安否確認など進める
外務省は、イスタンブールにある総領事館などを通じて、現地の状況などについて、情報収集を急いでいます。外務省によりますと、トルコには、2000人余りの日本人が住んでいるということで、安否の確認などを進めることにしています。
また、アンカラにある日本大使館では、職員が情報収集に当たるとともに、トルコ国内に滞在する日本人に対して、日本人会の連絡網を使って安否を確認し、自宅で待機するよう呼びかけているということです。
大使館の職員は「アンカラでは上空を軍用機が飛んでいる音が聞こえるほか、数回にわたって大きな爆発音が聞こえた」と話しています。
米 情報収集急ぐ考え
アメリカのホワイトハウスは声明を出し、「オバマ大統領は、国家安全保障チームからトルコで起きている状況について知らせを受けており、引き続き報告を受ける」と述べて、情報収集を急ぐ考えを示しました。
また、アメリカのケリー国務長官は、日本時間の午前6時前、ロシアのラブロフ外相との会談のため訪れていたモスクワで記者団に対し、「トルコの状況については、詳しいことは分かってない。トルコの安定と平和を願っている」と述べました。
またロシアのラブロフ外相は、ケリー国務長官との共同会見で、トルコ情勢について「どのような流血の衝突も避け、すべての問題は、憲法にしたがって解決する必要がある」と述べました。またトルコに滞在しているロシア人に対して、滞在している建物から離れないよう呼びかけました。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は16日、プーチン大統領がトルコ情勢について外務省や治安機関から報告を受けていることを明らかにしたうえで、「周辺地域に直接影響を及ぼすため、トルコでの状況が法にのっとって速やかに解決されることに関心がある」と述べ、トルコの隣国で内戦が続くシリアなどにも影響が広がることに強い懸念を示しました。
トルコには旅行者などおよそ5000人のロシア国民が滞在しているとみられ、プーチン大統領はロシアの関係省庁に対して国民の安全を図るよう指示したということです。
各国 現地の自国民に注意呼びかけ
アンカラのアメリカ大使館は、アンカラ市内で銃声が聞こえたことや、最大都市イスタンブールでボスポラス海峡に架かる橋が閉鎖されたことを確認したとしたうえで、現地に滞在するアメリカ国民に対して屋内にとどまるように呼びかけています。
また、ロイター通信は「フランス政府は、アンカラとイスタンブールで深刻な事態が起きている」として、トルコ国内にいるフランス人に対して外出を控えるよう呼びかけていると伝えています。
イギリスの外務省は、トルコ国内にいるイギリス国民に対し、状況がはっきりするまでは外出を控えるよう呼びかけています。
イギリスのジョンソン外相は、みずからのツイッターで「トルコで起きている事態を非常に懸念している。大使館を通じ状況を注視している」と述べ、イギリス政府として情報の収集を急ぐ考えを示しました。
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トルコメディア「クーデター企てた軍のヘリ撃墜」[NHK]
7月16日 9時00分
トルコのメディアは、大統領府関係者の話として、首都アンカラの上空で、政府側の軍の戦闘機が、クーデターを企てた軍のヘリコプターを打ち落としたとの情報を伝えています。一方、アンカラ市内では、警察官17人がクーデターを企てた軍の部隊とみられる空爆で殺害されたとしています。
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トルコ アンカラで爆発 イスタンブールでも爆発音[NHK]
7月16日 9時15分
トルコメディアによりますと、首都アンカラにあるトルコ議会の付近で、16日未明、爆発があったということです。この爆発で議会の建物の窓ガラスが割れ、けが人も出ているもようだということです。また、最大の都市イスタンブールでも、現地時間の午前3時ごろ(日本時間午前9時ごろ)、大きな爆発の音がしました。イスタンブールに住む日本人はNHKの取材に対し「上空を戦闘機が飛んでいると思ったら、大きな爆発音がした。衝撃でよろめいた。次の爆発が怖いので、窓とカーテンを閉めて備えています」と話しています。
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トルコ国営テレビ 軍に一時占拠も通常放送に戻る[NHK]
7月16日 9時50分
トルコの国営テレビ、TRTは、軍に一時占拠されたとみられ、放送でアナウンサーが軍の声明を読み上げたあと、放送を中断していましたが、およそ2時間後の日本時間午前9時前、スタジオに国旗を持った大勢の人が詰めかけた様子を伝え、放送を再開しました。
再開された放送の中では、「市民」の代表を名乗る男性が「TRTも国会議事堂も国民のものである。国民全体で取り戻そう」と、軍のクーデターに反対するよう声を張り上げて呼びかけました。
軍の声明を読み上げた女性アナウンサーも登場し、大勢の人が放送局のスタジオに入ってきたことについて「彼らは損害を与えないと言ってスタジオに入ってきた」と話しました。また、軍の声明を読み上げたことについては「武器を持った軍に脅されて声明を読まされた」などと話し、すでに軍がTRTから退去したことをうかがわせています。
TRTでは、スタジオに大勢の人が入ったことを伝えた放送から、およそ30分後に通常の放送に戻っています。
加えて、「イスタンブールで起きた過激派組織IS=イスラミックステートによるとみられる自爆テロ事件の際にも、数日前にドイツ政府が大使館などを休館とする措置を取っていました」という記述を読めば、フランス政府がトルコで起きるテロやクーデタの黒幕とまでは言わないが、それを実行する勢力とつながるがある(スパイも含め)と思うのが自然だろう。
今回のクーデタ未遂事件も、一定の情報を得ているのなら、NATO加盟の同盟国トルコのために伝達する(匂わせる)のがスジで、そうすればクーデタは動く前に摘発できていただろう。
今回の「トルコクーデタ未遂」事件は、トルコの最高権力者であるエルドアン大統領がイスタンブールにいて首都アンカラには不在というタイミングで首都クーデタが始動されたことだけからも政権の自作自演と評価できる。
フランス政府は、トルコ政権から“クーデタ騒動”の情報をそれとなく受け取り、自作自演クーデタ劇のトダタバに巻き込まれて被害を受けることがないよう大使館や領事館を一時的に閉鎖したと考えたほうがすっきりする。
戦争・革命・テロ・クーデタなど大きな事件には見えない“策謀”が渦巻いている。
日本でも、英米と通じている軍最高幹部が日本を対米戦に引きずり込み、最終的に300万人を超える同胞の犠牲をもたらしている。
1941年(昭和16年)秋の時点で対英蘭戦は必要だとしても、対米戦を仕掛けることはまったく不要(対英蘭戦後、米国から仕掛けられたら受けるしかないが)だったのに海軍上層部のそのような動きを止められなかった陸軍幹部や政治家さらには昭和天皇の無能さを考えると、悔しいし哀しい。
対米開戦のタイミングがあと1週間でも遅ければ、対米戦は始動されなかった可能性が高い。
なぜなら、真珠湾攻撃の前日ナチスドイツがモスクワ近郊から撤退を始め、対米英戦遂行と和平交渉で日本があてにしていたドイツの勝利が見通せなくなったからである。
(だからこそ、海軍首脳部は対米開戦を急がせたのだろうが)
※関連投稿
「トルコでクーデターの試み 市民など60人死亡:最高権力者が不在のアンカラでクーデタ?政権による自作自演の可能性大」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/588.html
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「治安上の脅威」仏が直前にトルコで大使館など閉鎖[NHK]
7月16日 11時34分
フランス政府は、トルコで軍の一部がクーデターを試みる2日前の今月13日、首都アンカラにある大使館と最大都市イスタンブールにある総領事館を当面休館にすると発表していました。
フランス政府は理由について「治安上の脅威があるため」としていましたが、具体的にどのような情報に基づいて判断したのかは明らかにしていません。
同じような動きは以前にもあり、ことし3月、アンカラで38人が犠牲となったクルド系過激派組織による爆弾テロ事件の直前にはアメリカ大使館がテロの情報があるとして警戒を呼びかけていました。
また、そのすぐあとにイスタンブールで起きた過激派組織IS=イスラミックステートによるとみられる自爆テロ事件の際にも、数日前にドイツ政府が大使館などを休館とする措置を取っていました。
ただし、事前に次のことだけは確認しておいたほうがいい。
今回の「生前退位」の話は今後の皇位継承に絡むものであり、現皇太子も、天皇に即位したあと、秋篠宮家のために「譲位」を求められる状況(皇太子もそれを望んでいる可能性も高い)に置かれることは考慮したほうがいい。
※参照投稿
「用意周到に仕組まれた天皇の「生前退位」意向説流布の背景と意味を読み解く」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/505.html
トルコで発生したクーデターの試みと暴動弾圧で約200人が死亡している。ロイター通信が報じた。
一部データによると、少なくとも1150人が負傷した。
参謀本部の発表によれば、死亡した104人の反乱勢力のうち、41人が警察、2人が軍人、47人が市民だった。
トルコで16日未明、軍事クーデターの試みがあった。当局は「状況は制御下にある」と主張している。しかし、目撃者によると、反乱軍は攻撃を続けている。
※関連参照投稿
「トルコでクーデターの試み 市民など60人死亡:最高権力者が不在のアンカラでクーデタ?政権による自作自演の可能性大」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/588.html
「治安上の脅威」仏が直前にトルコで大使館など閉鎖:自作自演トルコクーデタ未遂に関して陰謀論を匂わせたNHKの報道
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/585.html
トルコで起きたクーデターの動きについて軍の参謀総長代行は日本時間の午後5時ごろ記者会見し「クーデターの試みは阻止され失敗に終わった」と述べました。反乱軍と正規軍との戦闘で市民47人を含む合わせて194人が死亡しました。
トルコの首都アンカラや最大都市イスタンブールでは現地時間の15日夜、戦車やヘリコプターが展開したのに続いて一部の兵士が国営テレビ局を通じて「全権を掌握した」と発表しました。
アンカラではヘリコプターが地上に向けて銃撃したほか、議会の建物の近くなどで爆発があり、イスタンブールでも国際空港の近くや市の中心部で断続的に爆発が相次ぎました。
トルコ軍のウミット・ドゥンダール参謀総長代行は日本時間の午後5時ごろ記者会見し、「クーデターの試みは阻止され失敗に終わった」と述べ、クーデターの動きは未遂に終わったと強調しました。
またドゥンダール参謀総長代行は今回の反乱軍と正規軍との戦闘で市民47人と、警察官や正規軍の兵士43人、それに反乱軍の兵士104人の、合わせて194人が死亡したことを明らかにしました。
また、反乱に関わったとして兵士1563人を拘束したとしています。
エルドアン大統領はイスタンブールで大勢の支持者を前に演説し、「どういう背景で誰が動いているのか、明らかにしてみせる。トルコはどんな恐怖にも負けずどんな脅しにも屈することはない」と述べ、今回のクーデター未遂の責任を徹底的に追及する考えを強調しました。
大統領府 新たなクーデター阻止呼びかけ
トルコの大統領府は現地時間の16日午前11時ごろ(日本時間の午後5時ごろ)、ツイッターで、国民に対して「新たなクーデターがいつでも起こる可能性があるので、通りにとどまってクーデターを阻止しよう」と発信し、国民に対してクーデターの企てには断固として対抗するよう呼びかけました。
投降を呼びかけ
現地からの報道ではトルコでクーデターを起こして拘束された軍のリーダーだとされる男性が、警察の指示を受けながらクーデターの試みに加わった兵士たちに投降を呼びかける様子が伝えられています。
報道された映像は、男性が銃を持った警察に監視されながら携帯電話を持ち「私は治安部隊に拘束された。ほかの兵士たちはみずからの意志で投降するように」と述べ、兵士たちに投降を促す様子が映っています。
ギュレン教団が関与か
トルコ軍の統合参謀本部のホームページには、クーデターを試みた軍の一部のグループが出したとみられる声明が掲載されています。
声明は国営テレビを通じて発表したものと同じ内容で、グループは、「国内平和委員会」と名乗ったうえで、「現在、国の憲法や法律が無視され続け、国家全体が取り返しのつかない状態になろうとしているなか、大統領をはじめとした権力者たちは賄賂におぼれ、基本的人権や自由を無視して国家を牛耳ろうとしている」と述べ、エルドアン大統領などを厳しく非難しています。
そのうえで、「すべての国民のために法治国家と国益の障害になるものを取り除く。そして正当性を失った現政権を引きずりおろして裁きにかけるため、この運動を起こした」と主張しました。
そして、「基本的人権、表現の自由、私有財産の保障、それに人種や宗教の違いを乗り越え国民をまとめ上げる新しい憲法を作り上げる」とエルドアン政権を倒して、新しい国家体制を作り上げると宣言しています。
今回クーデターを試みたグループについて、エルドアン大統領はイスラム教の指導者ギュレン師が率いる「ギュレン教団」が関わったとの見方を示しています。
トゥスク大統領 クーデターを非難
EU=ヨーロッパ連合のトゥスク大統領は、訪問先のモンゴルで16日、トルコで軍の一部がクーデターを試みる動きを見せたことについて、「クーデターは民主主義や法に基づくルールに対する重大な挑戦だ」と非難しました。
その一方で、「武力によって問題が解決することはない」と述べ、双方の衝突がエスカレートすることに懸念を示しました。
さらにトゥスク大統領は、「トルコはEUにとって重要なパートナーだが、今回の危機を経てトルコがどのように変化するかが問題だ」と述べ、今後の状況を慎重に見守る必要がある、という考えを示しました。
様々な臓器の異常にかかわる難病「ミトコンドリア病」の治療をめざす研究が活発になっている。国が指定難病として登録する患者は1400人程度だが、実際には10倍以上はいるとの見方もある。これまでは対症療法が中心だったが、治療薬の開発も進む。英国では、母親の遺伝子異常が子どもに伝わるのを防ごうと卵子核移植が合法化されて議論を呼んでいる。
ミトコンドリア病は、細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアという微小な器官の働きが弱って起こる。ミトコンドリアは各臓器の細胞にある。どこの臓器でどれだけの異常が起きるかによって様々な症状が出てくる。このため、患者によって脳卒中や心筋症、白内障、肝不全のほか、難聴やけいれん、知能の発達障害などがみられる。
最も起こりやすいタイプが、2009年に指定難病になった。難病には指定されていないが、糖尿病の1%はミトコンドリアの異常が関係しているといわれている。
最近の研究ではミトコンドリア病の患者は5000〜7500人に1人と推定されている。日本には約1万6900〜2万5400人の患者がいる計算になるという。
千葉県こども病院の村山圭医師は「現在把握している患者数は明らかに少なすぎる。新生児で発症した場合、すぐに亡くなることも多く、患者として報告されないからではないか」と指摘する。
□ □
ミトコンドリアでは、酸素を使ってブドウ糖からATPと呼ぶエネルギーを生み出している。反応過程で使う酵素などに異常があると、エネルギーをうまく作れない。
ATPの生産に関わる酵素の働きが弱いかどうかや細胞が消費する酸素の量が低いかどうかで患者を診断する。
細胞にある核の遺伝子の異常とミトコンドリアにある固有の遺伝子の異常のいずれかが原因になる。両親の核にある遺伝子の異常が遺伝して発症したり、母親のミトコンドリアの遺伝子の異常が伝わったりする。
エネルギー産生に関係する核遺伝子の異常は1500種類程度あるとされるが、まだ2割も見つかっていないという。ミトコンドリアには37種類の遺伝子があり、それぞれで異常が特定されている。
新生児や小児での発症は、ほとんどが両親から受け継いだ核遺伝子が原因とされる。大人になって発症する例では、ミトコンドリアの遺伝子異常で起きるケースが多いといわれる。ミトコンドリアの遺伝子は父親からは伝わらず母親から受け継ぐが、母親がミトコンドリア病でも子どもは発症しない例もある。
治療法は、発熱やけいれんを抑える薬を投与するなど対症療法が中心だった。だが、「最近では、ミトコンドリア病に対する治療薬候補の企業による臨床試験(治験)や医師主導治験が進んでいる」(村山医師)という。
久留米大学の古賀靖敏教授らは、ミトコンドリア病でも脳卒中を中心とした「MELAS」というタイプの患者に対して、脳卒中発作の急性期症状の治療と予防を目的に血管の細胞を強化するとされるアルギニンを投与する多施設の医師主導治験を実施した。治療薬として承認申請を準備している。
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古賀教授らの疫学調査ではMELASの患者は通常、6年ほどで亡くなることが多かった。予防のためにアルギニンを患者14人に服用してもらった試験では、8年経過しても13人が支障なく日常生活を送っているという。
大日本住友製薬は、けいれんや筋力低下など症状が重いリー脳症というタイプを対象に、抗酸化作用がある「EPI743」を開発中だ。
埼玉医科大学などは、リー脳症の患者で低下したミトコンドリアの働きを改善するため、アミノレブリン酸と鉄剤を投与する医師主導治験を進めている。
核遺伝子の異常で起きる心筋症やリー脳症のように重篤なケースは、妊娠中に胎児の状態を検査する出生前診断ができる。だが、ミトコンドリア遺伝子の方は異常があっても生まれた子どもが発症するとは限らず、出生前診断に取り組む施設は実質ゼロだ。
将来はミトコンドリア遺伝子の異常に対して、健康な他人のミトコンドリアと入れ替える核移植も検討されるかもしれない。
(西山彰彦)
[日経新聞7月10日朝刊P.14]
英国の国民投票は衝撃だった。内容を理解した離脱派の一部が後悔しているとも報じられている。ロンドンの金融街=シティーに並ぶ世界の有力金融機関も、対応を迫られているという。英国の銀行免許を得てシティーに拠点をもてば、欧州連合(EU)の全加盟国での支店展開と金融サービス提供が認められてきた。Brexit(英国のEU離脱)となれば、英国の銀行免許では国境を越え難い。
諸金融機関は、欧州大陸向けの新法人設立を検討するだろう。パリやフランクフルトだけでなく、税金の低いルクセンブルクやダブリンも候補になろう。しかし、本隊はロンドンに留まりたいはずだ。シティーは自由な市場である。金融危機で欧州金融システムは大きく傷み、回復は緩慢であった。安定性を高めるためにユーロ圏では金融規制・監視を強化・共通化し、銀行同盟に向かいつつあり、自由度低下が見込まれる。少しバランス調整が必要かもしれない。
旧植民地などとともにシティー=中核の大英帝国系タックスヘイブン群を構成する王室属領の島々も欧州の諸規制の枠外に留まるだろう。スイスやルクセンブルクのような欧州中小国がタックスヘイブン批判への対応を迫られつつある中、有利な展開かもしれない。
●3つに分かれる
R・パランらの『タックスヘイブン』(青柳伸子訳、作品社・13年)によると、これら2つとその他グループ(パナマや移行経済およびアフリカの小国群)に、世界のタックスヘイブンは3分される。
19世紀末に米国で法人設立が容易となり、戦間期にスイスで銀行の秘密保護が立法され、英国で非居住者の設立したオフショア企業が非課税となって、タックスヘイブンの3要素が揃(そろ)った。連邦制の下では州間競争が生じて、デラウェアやツークという「周辺」州が、「中心」であるニューヨークやチューリヒの需要に応える立法を進めたという。第2次世界大戦後にスイスが総合タックスヘイブンとして興隆し、大英帝国系が金融ビッグバン以後に追随した。今や、太平洋の島々やアフリカの小国も開発戦略として採りつつあるが、犯罪との関連も指弾されている。
3要素のうち、最も厄介なものは主権国家による守秘であろう。スイスが代表だが、「ナチスに迫害されたユダヤ人の財産を守るためだった」という「神話」は否定されている。G・ズックマンの『失われた国家の富』(林昌宏訳、NTT出版・15年)はスイスの資産管理業の発展を詳述し、戦間期における最大の顧客はフランス人だったこと、現在でも顧客の過半は欧州諸国民であることを示している。
スイスの銀行の秘密業務は後退しつつあるかに見えるが、実は新たな分業体制を築いており、非居住者からの預り残高は1兆8千億ユーロに増大しているという。資産を運用する投資ファンドの登記は、ルクセンブルクやアイルランドおよびケイマン諸島に移されて、配当の無税化に寄与している。スイスの銀行口座の保有者は個人ではなくなり、「パナマ籍のペーパーカンパニーやヴァージン諸島の信託およびリヒテンシュタイン籍の財団」になって、本当の所有者を隠すようになった。ここが国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)のパナマ文書公開によって暴かれたのである。シンガポールや香港などに支店を作る動きもある。
●各国の協力が鍵
タックスヘイブンの存在は悪なのだろうか? パラン等は、税率の競争的引き下げが政府規模を抑制して効率を高めるという「小さな政府」派の意見も紹介しつつ、国際的な所得移転を正当化できないと論じている。開発戦略としても、英米など主要国の動向次第なので、頼りにならないと批判する。
公的なタックスヘイブン対策は芳しい成果をあげてこなかった。他方で、多国籍企業の納税額を公開させる市民団体「PWYP」や、パナマ文書以前にもヴァージン諸島やシンガポールなどの暴露を行ってきたICIJなど、民間の活動は効果的であった。とはいえ、様々な国家への圧力としては力不足である。ズックマンは、自動的な情報交換に基づく国際的な資産台帳の作成と、非協力国への厳しい経済制裁を推奨している。主要国の協調が必要だが、シティーを擁する英国と、デラウェア州を抱える米国の動きが鍵となるだろう。
日本は脇役の観があるが、旧大蔵省などでタックスヘイブン対策に携わった志賀櫻が一連の著作を発表してきた。遺作となった『タックス・オブザーバー』(エヌピー新書・15年)では、日本の国際課税に携わる人的資源の貧しさを嘆じ、税制全般についても縦横に論じている。
[日経新聞7月10日朝刊P.19]
株価が低迷するなか、メガバンクは保有株式を減らそうとしている。株価変動に伴うリスクを抑え、財務の健全性を高めるためだ。株価の下落を加速する恐れがある。
3メガバンクは2015年度下期に保有株売却加速を決定。3月末時点の株式保有額は約12兆円に上る。売却額は15年度の6500億円から、今後2〜3年は1兆円前後に増える可能性がある。
欧米では価格変動リスクが高い株式は銀行保有に適さないとの見方が多い。大手邦銀の株式リスク量は現行基準では時価の約1.5倍だが、銀行監督当局で構成するバーゼル委員会は2.5倍に上げる検討をしている。銀行が保有し続ければ、健全性を示す自己資本比率が下がることになる。
金融庁は15年、メガバンクに株式リスク削減が課題と指摘。さらに同庁などがまとめた企業統治指針は、株式保有について目的や経済合理性の明示を求めた。銀行に企業統治の観点からも保有株売却圧力が強まった。
問題はメガバンクが保有株売却に取り組もうとしている今、欧州銀行不安などで株式相場の不透明感が強まっていることだ。持ち合い株売却では相手方企業も銀行株を売るため、市場への影響は銀行による売却額以上に大きい。
また一部銀行は株式売却益を当期や中期経営計画の利益予想に織り込んでいる。株価が下がれば売却益が減り、利益予想の達成が難しくなる。
一方、銀行が株式売却を遅らすと、自己資本比率を上げにくくなる。今上期に邦銀大手の株価下落率は3割程度と、欧州の銀行と同水準。収益力の低さが背景で、財務改善の後退は避けたいところだ。
バーゼル委は10年以上前から銀行の株保有に厳しい姿勢を示しており、本来は株価の安定局面で持ち合い解消が期待された。しかし持ち合いは日本の企業文化だとする邦銀と、国際資本規制強化に批判的な金融庁の、解消促進への対応は緩慢だった。追い込まれてからの取り組みが、市場への負担を重くしている。
(編集委員 太田康夫)
[日経新聞7月11日朝刊P.12]
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まず、皇室なかんずく天皇の意向(考え)について、政治家・官僚・メディアなどが事実に基づかないまま忖度して勝手にあれこれ言うことは、身に災難が降りかかることでもあり控える。
池上彰氏などにも見られるが、フライングで天皇の考えを勝手に忖度して書いたとしても、政治的であったり間違ったりしていれば訂正や謝罪を余儀なくされる。
戦前の政治とりわけ軍部が勝手に“大御心”を振り回すなかで異様な方向に進んだことを考えると、天皇の考えを勝手にあれこれ言わないという定めは皇統よりも重要である。
(天皇が憲法順守の気持ちを強く持っていることは当然だが、天皇が憲法に規定されている改憲に反対しているという主張は、天皇が憲法を尊重していないことを意味し、天皇を貶めるとんでもない言論行為である)
宮内庁が否定するなか、主要メディアがめげることなくよってたかって「生前退位」意向説を報じ合っている現実は、それが政権の意向でもあることを強く示唆している。
「用意周到に仕組まれた天皇の「生前退位」意向説流布の背景と意味を読み解く」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/505.html
でも書いが、突然の速報でありながら、主要メディアがほどなく膨大な関連記事を配信したことからも、「生前退位」意向説(譲位論)がある程度前から準備されてきたテーマであることがわかる。
天木氏が持ち出した宮内庁長官による天皇の「生前退位」意向事実の否定会見は、単純な話で、天皇が憲法を尊重し強い遵法精神を持っていることを明確に示すための“ポーズ”である。
宮内庁は、譲位(「生前退位」という用語も皇統を意識させず曖昧にする意図)意向の速報後もすぐに、天皇はそのようなことを言っていないと否定している。
憲法や皇室典範で認められていない「譲位」について天皇が語ったとすれば、現行の法規定ではできないことを求めた(法の改正を求めた)政治的な発言をしたことを意味し、世間の受け止めはともかく、法理論的には天皇の政治的発言という謗りを免れない。
また、立法権がない宮内庁が、皇室会議も経ぬまま、「生前退位を前提に宮内庁が官邸と相談や検討を行っている事実」があれば政治的大問題になるから、否定するのは自己保身として当然である。
天皇及び皇室を守らなければならない宮内庁としては、仮に天皇が本当に譲位を望んでいるとしても、それを理由に皇室典範などが改正されるというかたちにはできない。
日本の支配層は、今回の「生前退位」意向騒動を利用し、天皇に批判が及ぶことなく、宮内庁や官邸も皇室問題を勝手に決めたと非難されないかたちで、譲位ができるよう皇室典範を改正したいのである。
天木氏は、「もし風岡宮内庁長官の否定発言が安倍政権と通じてなされたものなら、マッチポンプだ。しかし、私にはそうは思えない。
風間宮内庁長官は、官邸筋から突如として意図的に流された「生前退位」御意向について、天皇陛下の御心を代弁して不快感を持って抗議したのではないか」と書いているが、官邸が、天皇の意向を無視して譲位説を流布させることはない。
勝手な推測だが、皇太子に男子がないことから、天皇も、皇太子後の皇位継承がスムーズに行われるよう譲位(とりわけ現皇太子から現秋篠宮ないしその男子への継承)ができる条件を整えることを望んでいるように思える。
天木氏の論考を読んで、この方がほんとうに日本国の特命全権大使であったのかといぶかしく思った。
天木氏のような読解力(思考力)ではまともな外交交渉ができないと思うからである。
※補足参照投稿
「今上天皇の後を継ぐ現皇太子にも天皇即位後「譲位」の流れができることを事前に理解する必要」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/588.html
内閣府が近く公表する2016年度の経済財政報告(経済財政白書)の原案が明らかになった。消費がさえない理由として、子育て期の世帯が節約志向を強めていることを挙げた。社会保険料の負担増で将来不安が募るなか、食品など必需品の値上げに直面しているためだ。消費の下支えには、給付金などでこうした世帯の負担を軽くする必要があると強調した。
石原伸晃経済財政・再生相が月内にも閣議に提出する。
政府は8月上旬にも経済対策をまとめる。プレミアム付き商品券などの消費喚起策を盛り込む方針だ。白書をその理論的な根拠と位置づける。
白書は消費停滞の要因を世代別や財別に分析。まず財別で目立つ耐久財の不振は、消費増税前の駆け込み需要の反動減が響いているとみる。テレビやエアコン、冷蔵庫の平均使用年数が10年前後に及んでおり、家電エコポイントなどリーマン危機後の刺激策で需要を先食いした影響も残るとの見方を示した。
世代別では、世帯主が39歳以下の「若年子育て期世帯」や世帯主が60〜64歳で年金など安定収入がない無職世帯で消費活動が鈍いと強調した。
特に「若年子育て期世帯」は教育資金や社会保険料など負担がかさみ、将来への不安を強めていると指摘する。円安に伴う食品など必需品の値上げもあって「可処分所得が緩やかに増加しても消費支出がほとんど伸びず、節約志向が強まっている」と分析した。
政府は14年の消費増税時に子育て世帯の負担を和らげるため、子ども1人あたり1万円を配った。白書は、臨時給付金の対象世帯が対象外の世帯より、消費を少なくとも1万円ほど増やしたと分析。若年子育て期世帯には「増税などによる必需品の価格高騰の影響を、給付措置で和らげることも重要だ」と訴えた。
白書は景気のリスクとして、英国の欧州連合(EU)離脱決定に触れた。円高・株安など金融市場に動揺が広がり「世界経済の先行き不透明感が高まっている」との見解を示した。円高が日本の輸出企業の収益を圧迫するだけでなく、英国やEUの実体経済の下振れで輸出数量が落ち込む可能性もあると指摘した。
潜在成長力の底上げ策として働き方改革や企業統治改革も取り上げた。働き方改革では高齢者や女性の労働意欲をそがないように、いわゆる「130万円の壁」など税制や社会保障制度の見直しを提起。「成長分野への労働力の円滑なシフトを促す必要がある」としたが、解雇の金銭解決など雇用の流動化を促す抜本的な労働規制改革には踏み込まなかった。
独立社外取締役の数を増やすなど企業統治改革に前向きな企業は自己資本利益率(ROE)のほか、設備投資や研究開発費が増える傾向があると分析した。企業統治改革への取り組みが積極的な投資行動を促し、企業の収益力の向上に寄与するとの見方を示した。
[日経新聞7月12日朝刊P.5]
【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領が新たな核政策を検討していることがわかった。米紙ワシントン・ポスト(電子版)が10日報じた。核の先制不使用宣言や核実験を禁止する国連安全保障理事会決議を採択する構想だ。歴代米政権は核の先制不使用を受け入れておらず、オバマ氏が決断すれば米国の核政策の大きな転換となる。(関連記事国際面に)
核の先制不使用は相手の核攻撃への反撃を除き、核兵器を使わないという政策だ。通常戦力や化学・生物兵器による攻撃に対して核兵器で応酬せず、核兵器の役割を核対核に限るものだ。
オバマ氏が新たな核政策を検討するのは2017年1月までの任期を見据え、自らの看板政策である「核兵器なき世界」に道筋をつける狙いがある。
オバマ政権は核政策をめぐって安全保障の関係閣僚会議をこれまで2回開いた。新たな核政策には21年までのロシアとの新戦略兵器削減条約の有効期限を5年延長する案もある。
[日経新聞7月12日朝刊P.2]
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オバマ氏構想 、「核なき世界」へ具体案 中ロ見据え慎重論も
【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領が新たな核政策として核の先制不使用宣言の検討に入った。自らが提唱する「核兵器なき世界」への具体案となるものだが、これまでの米国の核政策の大きな転換になる。核の先制不使用を採らないロシアや核開発を進める中国や北朝鮮を見据え米国内には先制不使用宣言への慎重論が根強い。実現にはハードルがある。(総合1面参照)
「オバマ氏の広島での演説はよく練られていた。核兵器の怖さ、それを使った時の恐ろしい結果を思い起こさせた」。ハムレ米戦略国際問題研究所(CSIS)所長は5月のオバマ氏の広島演説について日本経済新聞の取材にこう評価した。そのうえで「国際政治を変える政策の方向性に関する概略は示さなかった」と述べた。
これはオバマ氏の広島演説を巡る米国内の一般的な受け止めで、このような声は当然、オバマ氏や側近の耳にも入っている。オバマ氏の任期は2017年1月まで。広島での演説であまり現実味のないことを言って大風呂敷を広げても、かえって批判を招きかねない。核軍縮への具体案がなかったのは、こんな深謀遠慮があったからだと推測された。
この時期に先制不使用宣言構想が出てきたところをみると、5月下旬の広島訪問までに政権内で議論が収れんせずに間に合わなかった可能性がある。オバマ氏には任期のギリギリまで自身の政策の1丁目1番地である「核兵器なき世界」を追求する姿勢がみてとれる。
ただし核の先制不使用宣言は被爆地、広島への訪問と同様、歴代米大統領が踏み出せなかった難題だ。オバマ氏がその歴史的な政策転換をできるかは予断を許さない。
第2次世界大戦末期の8月、米国は広島と長崎に核を先制使用した。冷戦下もアイゼンハワー米大統領は対ソ連の抑止政策の骨格として核の先制使用を打ち出し、北大西洋条約機構(NATO)諸国への防衛力を強化した。
核の先制不使用宣言をめぐる議論は冷戦終結後にソ連が崩壊し、欧州の軍事的な力関係が変化した頃から再び注目されるようになった。その後、オバマ氏が大統領に就き、09年にチェコ・プラハでの演説で「核兵器なき世界」を打ち出し、10年にはロシアと新戦略兵器削減条約を結んだ。
核弾頭数9割を保有する米国とロシアが核軍縮での協力を継続していれば、米国の核の先制不使用宣言も、その延長線上で理解されたかもしれない。しかし現在、米ロはウクライナ危機をめぐって対立し、世界的に核軍縮の機運はむしろ遠のいている。
ロシアはクリミア編入にみられるように米国に対抗した旧ソ連時代に先祖返りした印象がある。核大国で唯一、先制不使用を宣言している中国も核開発を続けているうえ、南シナ海などで海洋進出を進める。国際社会から孤立を深める北朝鮮は核実験を繰り返し、過激派組織「イスラム国」(IS)は核テロを狙っているといわれる。
世界の安全保障環境が不安定になっている。現実的には核を先制使用するケースは想定できないとしても、核の不使用を前もって宣言するのが良いのか悪いのか判断は分かれるところだ。
オバマ氏の心境に立つと、米国が率先して核の先制不使用を宣言し、核開発競争に一石を投じるという思惑に映る。オバマ氏のレガシー(政治的な遺産)への執念が改めて浮かび上がっている。
[日経新聞7月12日朝刊P.9]
インド鉄鋼大手タタ製鉄は英国事業の完全売却の検討を中止し、英国を含む欧州事業をまとめて事業統合することで独同業ティッセン・クルップと交渉に入る。英国の欧州連合(EU)からの離脱決定で、事業環境の不透明感が強まったことが背景にある。交渉開始後も英国での合理化が浮上すれば政治的圧力を受けるのは確実。政治動向に左右される状況は続く。
赤字操業が続くタタ製鉄の英国のポート・タルボット製鉄所=ロイター
「英国のEU離脱による不確実性などを勘案し、事業の継続可能性が高い代案を検討する」。タタ製鉄は8日夜、10時間に及ぶ役員会を経て、ティッセンとの事業統合案を軸に欧州事業の継続を模索すると発表した。
英政府とは事前に入念な調整があった。英のジャビド民間企業・技術革新・技能相は8日朝、印ムンバイでタタ製鉄幹部らと会談。同社が新方針を発表すると「戦略的代替策を検討していることは心強い」と述べた。6月23日の国民投票前後にはタタ製鉄幹部が強行軍で渡英していた。
同社は3月に採算が悪化した英事業の完全売却を検討すると公表。7社が買収に名乗りをあげた。だが、英のEU離脱決定で、欧州大陸への輸出関税や英国の景気など今後の事業環境が一気に不透明になった。事業を丸ごと引き受ける交渉からはすでに大半の候補が手を引いたもようだ。
こうした状況を受け、タタ製鉄はティッセンとの交渉に軸足を移した。同社とは収益が安定しているオランダの製鉄所だけを対象に事業統合する案を検討していた。
タタ製鉄は国民投票以前から、英政府との協議に追われてきた。同社のポート・タルボット製鉄所は英国で最大規模。その行方は英鉄鋼産業の今後を占うとされ、事業と雇用の存続を願う英政府は、年金債務の削減など様々な支援策を検討すると明らかにしてきた。
タタ・グループは地域との共生や従業員の雇用を重視する社風で知られる。歴史的に英国とのつながりも深い。英政府による支援表明を受け、事業を継続する可能性も探ってきたとされる。
だが、英事業が追い込まれているのは明らかだ。ポート・タルボット製鉄所は老朽化が著しく、高付加価値の製品をつくるには巨額投資が必要とされる。英政府が資金注入や年金債務削減で経営の負担を軽くしても、生産現場の競争力そのものは生み出せない。
インド格付け大手インディア・レーティングス・アンド・リサーチのアナリスト、スダルシャン・シュリニバス氏は「タタの当初の目的は英事業の完全売却だったはず。状況が許せば決断していただろう」と話す。
EU離脱決定後に進んだ英ポンド安が一時的に輸出の追い風になるが、今後は欧州大陸への輸出関税復活などで厳しい環境に継続的にさらされる恐れがある。
英政府の支援方針は新首相への政権移行などで揺らぎかねない。事業が政治リスクにさらされる状況に変わりはない。
英の鉄鋼組合は8日、タタ製鉄の新方針に対して「数千人の鉄鋼労働者やその家族の不透明感が続くことを意味する。タタは労働者のいらだちや怒りを認識すべきだ」という声明を発表した。
統合交渉の過程で英製鉄所のリストラ案が表面化すれば、政治圧力に直面する可能性が高い。タタ製鉄は8日の声明で、新たな交渉について「協議の成功を保証するには時期尚早だ」と述べた。
EUを巡る欧州の政治の混乱は続く見通しだ。タタ製鉄以外の企業もその動向の影響を受けるのは避けられない。
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欧州鉄鋼、再編加速も
英国の欧州連合(EU)離脱は欧州の鉄鋼業界再編の引き金になりそうだ。タタ製鉄とティッセン・クルップが欧州の鉄鋼事業を統合すれば、アルセロール・ミタルとの「欧州2強」時代が来る。安価な中国産鋼材の流入で各社の業績は低迷しており、集約が一気に進む可能性が高まる。
「域内の再編は避けられない」(ティッセンのハインリッヒ・ヒージンガー社長)。「欧州の競合は多すぎる」(ミタルのラクシュミ・ミタル最高経営責任者)。近年、欧州鉄鋼大手の首脳はこう訴えてきた。
欧州での粗鋼生産能力は、タタ製鉄が主力製鉄所の合計で年1200万トン、ティッセンが同1500万トン。統合すればミタルの欧州域内の4500万トンに近づく。タタ製鉄のオランダの工場とティッセンは「自動車用鋼板を中心に競争力が高い」(日系商社)。ともに欧州大陸にあり、相乗効果は見込みやすい。
一方、ミタルも6月30日、イタリア同業と共同で、同国最大手イルバの買収に乗り出すと発表している。ミタルは設備が老朽化したイルバを傘下に収め、最新の環境設備を導入して生産量も増やす構えだ。今年はミタル・スチールがアルセロールを買収し、今の会社が生まれて10年の節目。欧州での縮小均衡を転換し、拡大方針に転じる。
EU発足以降の業界では、1990年代後半に欧州勢の集約、00年代半ばにミタルとタタ製鉄というインド人経営者の企業による欧州名門企業の大型買収が起きた。
今回は再編の「第3波」。鉄鋼メーカーは「中国産鋼材への関税が低すぎる」(欧州鉄鋼協会)と主張し、欧州当局が米国に比べ中国に弱腰だと不満を強める。
しびれを切らしたミタル、タタ製鉄、ティッセンの大手3社主導で統合に動く欧州鉄鋼業界。統合への懐疑派が勢いづく政治の流れとは逆の方向に走り出した。
ムンバイ=堀田隆文、フランクフルト=加藤貴行、ロンドン=黄田和宏
[日経新聞7月12日朝刊P.10]
トルコで軍の一部が起こそうとしたクーデターの試みを阻止したエルドアン政権は、政権と対立するイスラム組織がクーデター未遂に関与したとみて、兵士など3000人近くを拘束するなど、背景を徹底的に調べる姿勢を示しました。
トルコでは15日、軍の一部が首都アンカラや最大都市イスタンブールで戦車やヘリコプターを展開してクーデターを試みましたが、およそ12時間後に鎮圧され、未遂に終わりました。
16日、会見を開いたユルドゥルム首相は、一連の戦闘などで市民や警察官など161人が犠牲になったと発表しました。このほか、トルコ軍は、反乱勢力の兵士104人を殺害したとしています。
このクーデター未遂について、支持者を前に演説したエルドアン大統領は「軍の指揮命令系統がどこで腐り始めたのか明らかにしてみせる」と述べ、背景を徹底的に調べる姿勢を示しました。
捜査当局は、これまでにクーデターに関わった疑いで軍の一部の幹部を含め2800人余りを拘束したほか、裁判官や検察官およそ200人を拘束することを決めるなど、捜査対象を軍以外にも広げる構えを見せています。
また、トルコ政府は、国内の政財界で強い影響力を持ち、軍内部にも多くの支持者を持つ「ギュレン教団」が関わっているという見方を示していますが、これに対し、教団の指導者でアメリカに住むギュレン師は声明を出して、「クーデターを非難する」と述べ、関与を否定しました。
この教団は、かつてはエルドアン政権と協力関係にありましたが、反政府デモへの対応を強権的だと批判したことなどから対立が深まり、政権側がその後、教団をテロ組織に指定して締めつけを強めたのに対し、教団側が反発していました。
ギュレン師「事実無根だ」
エルドアン政権と対立するイスラム組織「ギュレン教団」の指導者、ギュレン師は、病気の療養のため滞在しているアメリカ東部ペンシルベニア州で16日、記者団の取材に応じました。この中で、ギュレン師は、エルドアン政権がクーデターの試みにギュレン教団が関与したとの見方を示していることについて、「事実無根だ。国際社会はこの言いがかりを真剣に受け止めるとは思わない」と述べ、改めて関与を否定しました。
米国防総省 対IS空爆作戦に支障
アメリカ国防総省の当局者は、16日、トルコ政府が国内での軍用機の飛行を禁じたため、アメリカ軍がトルコ南部の空軍基地を拠点に続けてきた過激派組織IS=イスラミックステートに対する空爆作戦を実行できず、支障が出ていることを明らかにしました。そのうえで、空爆作戦を速やかに再開できるようトルコ側に働きかけているとする一方、影響を最小限に抑えるため、作戦の見直しを行っているとしています。
「トルコでクーデターの試み 市民など60人死亡:最高権力者が不在のアンカラでクーデタ?政権による自作自演の可能性大」
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/588.html
「治安上の脅威」仏が直前にトルコで大使館など閉鎖:自作自演トルコクーデタ未遂に関して陰謀論を匂わせたNHKの報道
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/585.html
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トルコ・クーデター未遂 関与の疑いで6000人拘束[ANNニュース]
(2016/07/18 01:18)
トルコ政府はクーデター鎮圧後、不満分子の一掃を進めています。これまでに約6000人が拘束されました。
トルコ政府は、今回のクーデター未遂は政権に批判的なイスラム団体「ギュレン運動」が主導したと主張しています。地元メディアによりますと、これまでにクーデターに関与したとしてトルコ当局が6000人を拘束したということです。
一方で、国民の間では、エルドアン大統領が権力基盤の強化のためにクーデターを仕組んだという政府陰謀論もくすぶっています。
市民:「(Q.エルドアン大統領がクーデターを仕組んだ?)彼の野望には限りがないからね。どんなことでもやり得るよ」
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000079391.html
トルコでのクーデター未遂を受けて、ロシア大統領府は、17日、プーチン大統領がエルドアン大統領に電話をかけ、「憲法に反する行為と暴力は全く許し難い」として、クーデターを非難するロシアの立場を伝えたことを明らかにしました。
さらに、プーチン大統領は、クーデター未遂で犠牲になった市民や警察官に哀悼の意を示すとともに、トルコに滞在するロシア人旅行者の安全を確保するよう協力を求めたとしています。また、両首脳は、すでに合意している直接会談を近く行うことも確認したとしています。
ロシアとトルコは、去年11月のロシア軍機の撃墜を巡って対立を深めましたが、トルコ側の謝罪を受けて、両首脳は、先月、電話会談で関係を修復することで一致していて、クーデター未遂が起きても両国の立場に変わりがないことを確認したとみられます。
(上)改憲論議、時機探る
絡む任期延長論 経済政策、「個人」を重視
参院選で与党が勝利し、安倍晋三首相(自民党総裁)は長期政権への礎をさらに固めた。「安倍1強」体制が強まる気配で、与野党の戦略や構図はどうなるのか。
首相は経済最優先の姿勢をアピールする
参院選の投票日から一夜明けた11日。東京株式市場は参院選結果を受けて買い安心感が広がり、日経平均株価は1週間ぶりに反発した。「上がっているね」。首相は周囲に語った。参院選後も経済最優先のメッセージを市場に送ることで、株高につなげるのはシナリオ通りだった。
政権の命綱は引き続き安倍首相の経済政策「アベノミクス」だ。だが重点は微妙に変わっている。
無年金者対策の早期導入、給付型の奨学金の検討開始……。11日の記者会見で首相は「未来への投資」をキーワードに据え、具体策を羅列した。
この会見で、首相は国内総生産(GDP)には触れていない。首相はGDPを600兆円にする目標を掲げているが、実は参院選の遊説でも意識してGDPには触れなかった。国民一人ひとりの視点に立てば、マクロの数字は実感が湧きにくい。雇用や年金、教育のような身近な課題で成長の「果実」を示す。首相の視点はより「個人」に向く。
11日の記者会見では記者団から憲法改正への姿勢を問う質問が相次いだ。側近が「憲法ばかりで、社会保障の優先順位をなぜ聞かないんだ」と憤ったのも、首相が市場へのメッセージを大切にしていたからだろう。
世論の賛否が割れた安全保障関連法を2015年9月に成立させてから、首相は保守色を抑えてきた。参院選で憲法改正に前向きな勢力が国会発議に必要な3分の2を超え、宿願の憲法改正は射程に入る。再びどこまで保守色を強めていくのか。
「第1次政権では国民の一歩先を行こうとして急ぎ過ぎた。今回は半歩先を歩く気持ちで取り組むつもりだ」。首相が周囲にこう語るのは、改憲が簡単ではないことを痛感しているからでもある。
改憲は国会で発議した後、国民投票での過半数の賛成というハードルが待ち受ける。国民投票で否決される前例を作れば、その後は改憲を発議しづらくなる。国民投票で賛成を得るためにも、国会で幅広い勢力の賛成を引き出したい。
首相が期待するのは民進党の保守派議員だ。「マスコミは『改憲勢力が3分の2』と言うけれど、議員個々人でみると、改憲勢力はとっくに3分の2を超えてるんだよね」。首相は参院選後、周囲に語った。
参院選では民進党と共産党などが共闘し、改選定数1の1人区で一定の成果を出した。改憲論議は民進党を揺さぶり、野党共闘を分断する策にもなる。
3月には改憲を「私の在任中に成し遂げたい」と述べていた首相だが、最近は実現時期への言及を避けている。周囲に「憲法は熱狂のなかで改正すべきではない」と話し、議論を進めるなかで機が熟すのを待つ考えを示している。
いまの党則に基づくと、首相の党総裁としての任期は2018年9月まで。首相を支持する議員は「それまでに改憲が実現できなければ、任期延長を求める声が出るだろう」と語る。改憲をレガシー(遺産)に定めるなら、改憲に向けた動きは安倍政権の「出口戦略」と絡む展開になる。
[日経新聞7月13日朝刊P.4]
(中)「共闘」の是非 民進に摩擦
執行部、継続を模索 保守系「共産とやれぬ」
12日午後、東京・永田町の民進党本部。「安倍さんが重点区として回った10の1人区は自民党の1勝9敗だった。安倍さんが入ったことが我々にとっては良かったんじゃないか」。岡田克也代表は常任幹事会でこう強がりを漏らし、出席者の笑いを誘った。
今回の参院選で民進党は改選45を割り込み、32議席にとどまった。大勢判明後の11日未明、硬い表情を崩さなかった岡田氏が、周辺から「野党系無所属の3議席を加えれば3年前(17)から倍増に達しますよ」と言われると、相好を崩した。周辺は岡田氏の胸中をこう察する。「本人は負けたとは思っていない」
阻止するとした改憲勢力3分の2は許した。ただ、共産、社民、生活と候補を一本化した全32の1人区では野党陣営の11勝21敗と前回2013年の2勝29敗からやや持ち直した。常任幹事会では「政権奪取の反転攻勢に向けて弾みになった。東京都知事選で勝てば、さらに弾みがつく」と肯定的な意見があがった。
12日夜、国会近くのホテルにある中華料理屋。細野豪志元幹事長とその側近議員らが集まり、参院選の慰労会を開いた。「競ったところで勝てたのは大きい」「でも共産党とやっていくのは難しいね」。約3時間半続いた宴席で、野党共闘への評価は割れた。「衆院選は民進党が主導して政策を打ち出し、共産党がそれについて来られないなら一緒にやることはない」との声も上がる。
保守系議員は「共産党と組んだことで、保守・中道票が逃げる」と懸念していた。だが共闘した1人区では、8割超で野党統一候補が前回の野党合計より得票を増やした。別の保守系グループに属する衆院議員は執行部の一人にこう探りを入れた。「次の選挙で共産党に候補を取り下げてもらえるだろうか」
共闘への評価は次の衆院選をどう戦うかという議論に直結し、9月に予定する代表選の争点の一つとなる。
共闘継続を模索する岡田氏は代表選への出馬について「白紙」と述べるにとどめている。「あんた、進退についてあれこれ言う必要はねえからな」。参院選後、党重鎮の輿石東参院副議長からの電話に岡田氏は「私もそのつもりです」と応じた。当面は党内情勢を見極める構えだ。
代表選には、共産党との連携に否定的なグループからは細野氏や前原誠司元外相、長島昭久元首相補佐官らの名が挙がる。細野氏は側近から「出てくださいよ」と水を向けられているが、態度を明らかにしていない。松野頼久氏ら旧維新の党のグループも前原氏らとの連携を視野に入れ、キャスチングボートを握ろうとしている。
保守系には、憲法改正や安倍政権の安全保障政策に理解を示す議員も少なくない。共闘路線の是非に政策論争が加われば、党内対立が抜き差しならない段階に入る懸念がある。
1人区32のうち27選挙区、共闘で得票上積み
参院選1人区での野党共闘の効果を前回2013年の参院選と比べると、8割強の選挙区で一定の効果が出ている。今回共闘した4党などの前回得票の合計と今回の野党統一候補の得票を比べると、32ある1人区のうち、27選挙区で得票数が増えた。得票率も26選挙区で上昇している。
特に東北で票の上積み効果が大きく、宮城選挙区では野党の統一候補が前回よりも20万票以上も多くの票を集めた。得票率で見ても20ポイント以上も上回った。
各選挙区で野党4党が獲得した比例代表の得票数と比べても、28選挙区で統一候補が獲得した票数が上回っている。とくに山形選挙区では比例得票の7割増まで統一候補が集めた。逆に振るわなかったのは富山選挙区で、比例得票の7割程度にとどまった。
[日経新聞7月14日朝刊P.4]
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菅氏「自公関係は不変」 自民、参院単独過半数に 国政選挙の協力重視
自民党は参院で122議席に達し、1989年以来27年ぶりに単独過半数を回復する。無所属の平野達男参院議員(岩手選挙区)が自民党に入党する見通しとなったためだ。自民党は参院で過半数を確保するため、99年から公明党と連立を組んでいるが、菅義偉官房長官は13日の記者会見で「自公関係は全く変わらない」と強調した。
自民党の谷垣禎一幹事長は12日、党本部で平野氏と会い、入党を要請した。平野氏は受け入れ、その場で入党届を書いて提出した。自民党は月内にも受理する見通しだ。自民党は参院選で56議席を得たが単独過半数には1議席足りなかった。
自民党は消費税導入やリクルート事件、宇野宗佑首相の女性問題などが重なった89年の参院選で過半数割れに転落。98年参院選も惨敗し、参院の過半数を確保するため、99年に公明党と連立を組んだ。
最近は連立の目的が、国政選挙での協力に重点が移りつつある。衆院小選挙区では公明党の支持母体・創価学会の関連票が1選挙区当たり2万〜3万票あると言われ、次点と3万票以内の差で小選挙区を勝ち上がった100人近くの自民党衆院議員にとって公明党の支援は欠かせない。
先の参院選では公明党候補を自民党が推薦、安倍晋三首相が各地の公明党候補の応援に入るなど、国政選挙での自公の相互依存関係が一段と深まった。「自民党は強い組織力を持つ公明党なしに国政選挙に臨めない」というのが自公両党の共通認識で、公明党幹部は13日「何も変わらない。変わったら国民の理解が得られない」と述べた。
一方、改憲勢力は、改憲派の無所属議員を入れなくても、与党と憲法改正に前向きなおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の4党だけで162議席となり、参院で改憲発議に必要な3分の2に達する。
菅氏は記者会見で、憲法改正に関して「従来と同じように『自然体で』ということに尽きる」と語った。自民党幹部は「単独過半数をとったからこそ、改憲に向けて丁寧な議論が必要になる」と述べた。
野党は共産党の小池晃書記局長が「平野氏はもともと自民党と国会活動をしてきた」と指摘。民進党議員の一人は平野氏がかつて民主党に所属していたことを念頭に「一緒に仕事をした人が単独過半数への最後の1議席を埋めるとは皮肉な話だ」と語った。
[日経新聞7月14日朝刊P.4]
(下)与野党「第2党」ジレンマ
公明が改憲前のめり懸念 共産は主張抑え連携維持
参院選で改選議席を上回る結果を残した公明、共産両党。公明党は自民党を支える与党第2党、共産党は民進党に続く野党第2党で、ともに選挙協力で第1党を支えた。参院選後は連携維持と独自色発揮のはざまでジレンマを抱える。
13日午前、公明党の支持母体、創価学会の幹部らが都内の総本部内で憲法改正を巡り協議した。自民党など改憲に前向きな勢力と公明党の議席を合わせると参院の3分の2を占め、衆参両院で発議ができる環境が整ったためだ。「支援者からの問い合わせが多い。どう答えればいいか」との声が上がり、「9条改正をしないと明確に主張する」との結論を出した。
公明党は憲法の3原則を堅持し、時代に応じて条文を加える「加憲」の立場。創価学会に改憲反対論は根強い。「安倍1強」態勢で安倍晋三首相が悲願の改憲に踏み込む事態を懸念。山口那津男代表は11日、首相に「国会で落ち着いて議論していくべきだ」とクギを刺した。さらに政権が強くなれば改憲論議が進みかねないとの声もある。
今回議席を伸ばしたおおさか維新の会と、首相官邸との協調が深まることも警戒。改憲勢力のおおさか維新と秋の臨時国会までに改憲論議を進める案がささやかれる。公明党幹部は「おおさか維新が近づけば自公の距離は遠くなる」と話す。
自民党が27年ぶりに参院で122議席に達して単独過半数になるのも不安要素になりかねない。両党の選挙協力が定着し「自公関係は変わることはない」(菅義偉官房長官)とみるのが一般的だが、ある学会幹部は「我々がいなければ安倍1強にはなりえない」と自民党幹部に念押しした。
山口氏は14日の会合で「生活者の幅広い支持があるからこそ役割が重要だ」と強調。消費増税の2年半延期に伴う社会保障制度の充実策などで存在感を確保する構えだ。
「党員や支持者は奮闘したが、党の力がいまの情勢に追いついていない」。11日、共産党の志位和夫委員長らは選挙結果をこう総括した。比例票が伸びたのに対し選挙区の当選は2013年の前回選挙を下回ったためだ。
32ある改選定数1の1人区すべてで野党共闘にカジを切った。大半で候補を取り下げ「初めて1人区で本気で勝利を目指した」(中堅議員)。民進党内の抵抗感に配慮し「日米安保の廃棄」「自衛隊の解消」といった主張を抑制。次の衆院選を見据え、志位氏は「共闘を第2、第3の段階に発展させたい」と語る。
独自色の抑制に課題もある。神奈川や埼玉では公認候補が無党派層の取り込みも意識した戦いを展開したが落選。陣営から「共産党の価値をもっと示せれば」との声が消えない。理論と継続性を重視する同党にとり、変化は党のアイデンティティーの問題でもある。
[日経新聞7月15日朝刊P.4]
参院選で安倍晋三首相に国政選挙4連勝を許し、「安倍1強」体制を強めた野党。政権が遠くかすむ民進党は、万年野党と呼ばれたかつての社会党に似てきたともいわれる。野党再生に何が必要か。旧民主党、霞が関、経済界のOBが説く処方箋とは。
■10年かけて政権交代目指せ 元民主党最高顧問 藤井裕久氏
今回の参院選は、比例代表で民進、共産、生活、社民の4党と「国民怒りの声」をあわせると、自民、公明両党の8割近くの得票だ。怒っている人は相当いる。野党はもっと自信を持つべきだ。
熱狂は必ず崩壊する。僕は今回の選挙を熱狂の最後だとみている。自民党にも安倍晋三首相に批判的なマグマはたまっている。それが政権交代につながる可能性はある。
野党は奇をてらうのではなく、地道に政策提言をすることが大事だ。いい気になっている政権は必ず間違える。少子高齢化が進んで低成長の時代に必要なのは、社会保障と雇用政策で経済の基礎を支え、海外と交流を強めることだ。社会保障を充実するには目的税化した消費税率の引き上げをやらなければいけない。
民主党政権がダメだったのは、野党体質が抜け切れていなかったからだ。党内で議論ばかりしていた。2番目に、役人は敵だとの考えの人がいた。今はそれが失敗だとわかっている。3年3カ月の民主党政権時代に閣僚や党幹部だった人が、これを若手に教えることが重要だ。
民進党は共産党が呼びかける連立政権構想の「国民連合政府」を目指すべきではない。天皇制や自衛隊で相いれないからだ。しかし安倍政権が崩壊するまで、選挙で協力するのは当たり前だ。民進党には共産党に拒否感を持つ人もいるが、それは違う。首相がどれだけ悪いかと、共産党とどれだけ仲良くするかは比例関係にある。
共産党が変われば二大政党に近づくという考えに同意する。共産党は党名変更も乗り越えてほしい。昔のイメージと違い、今は暴力革命をやるような党ではない。民進党も共産党に変わるよう働きかけるべきだし、現に僕はそうしている。
憲法改正は野党第1党も「今の大原則は正しいが、加えるものがある」と掲げたらいい。公明党の「加憲」はうまい言い方だ。国際協調主義を入れる改正は賛成だ。共産党も今は「絶対護憲」だが今後はわからない。
民進党は10年かけて政権交代を目指せばいい。自民党の一党支配でなくなった平成の初めから、民主党政権ができるまで十数年かかっている。今から「政権準備政党」として臨むべきだ。ただそれでも何年もかかる。世論はそう単純には動かない。今の世論はムードで動いている。時間はかかるという認識で基礎を固める作業が大事だ。
1党だけ強いのでは、必ず独裁政治になる。やろうと思えば何でもできるとすれば、暴力革命が起きてしまうことだってあり得る。国民生活が安定しない限り、平和は保てない。
(聞き手は宮坂正太郎)
ふじい・ひろひさ 東大法卒、旧大蔵省へ。参院2期を経て衆院7期。1993年自民党を離党し新生党に参加。細川、羽田両内閣で蔵相、民主党政権で財務相を務めた。84歳。
■官僚組織生かし政策提言磨け 元官房副長官 石原信雄氏
民主主義の健全な発展には、政権担当能力のある野党が常に存在することが大切だ。野党の存在感があまりに小さくなると、一党独裁の危険が生じる。政権に緊張感をもたらす上でも健全な野党の存在は必要だ。
いつの時代も政策で勝負するのが政治の原点だ。今、経済政策「アベノミクス」が具体策で苦しんでいるのだから、今回の参院選で単に「アベノミクス反対」と唱えるのではなく、民進党の対案を示してほしかった。
経済政策では分配重視を訴えるが、その前に分配を可能とする経済強化策がない。野党ボケせず、もっと地に足を着けた政策提言が必要だ。
かつて自民党の長期政権時代は派閥によって政策が異なった。自民党の政策に幅があり、国民の意見を幅広く吸い上げられた。今は派閥が実質的に解消され、批判勢力が自民党内から生まれにくい状況になった。そういう時代に、対案を示すべき野党第1党の責任は重いと自覚すべきだ。
今回の民共共闘で民進党は「政権交代可能な二大政党」という構図から遠のいた。このままでは新しい「55年体制」の始まりという印象を与えかねない。共産党との共闘で失ったものは大きい。目先の選挙戦術を優先し、政策で相いれない共産党と組んだのは不安を与えた。国民の目にどう映ったか検証すべきだ。
経済政策で共産党は大企業への法人税強化を掲げるが、日本企業の国際競争力はどうなるのか。消費税廃止を訴えるが、社会保障を守るには消費税率の一定の引き上げは必要だというのが、少なくとも野田政権の結論だったはずだ。民進党が共産党との共闘を優先し、自分たちの政策をあいまいにするなら危険だ。
野党の政策提言能力は一時に比べ、明らかに低下した。旧民主党政権時に政策決定過程から官僚組織を完全に排除し、霞が関と健全な関係を築けなかった後遺症だろう。
私が官房副長官として仕えた細川内閣は非自民の連立政権だったが、政権の政策実現に当時の官僚組織は全面的に協力したし、政権側も官僚組織をうまく生かした。ところが鳩山政権はいきなり次官会議を廃止して官僚を排除した。旧民主党政権が短期間で行き詰まった原因はこれだ。
民進党が政権交代を目指すなら官僚組織をうまく活用することも国民を安心させる一つの要素だ。当時の失敗を検証し、次のチャンスに備えるべきだ。民進党は自信を失いすぎていないか。
将来、自民党におごりが出たとき、代わり得る政党は民進党だけだ。「将来この国を預かる」という自負は崩してほしくない。
(聞き手は島田学)
いしはら・のぶお 東大法卒。自治(現総務)次官などを経て、1987〜95年に官房副長官。仕えた首相は竹下内閣から村山内閣まで7人。現在は地方自治研究機構会長。89歳。
■耳の痛い話こそ信頼回復に 元伊藤忠商事会長 丹羽宇一郎氏
参院選は争点がぼやけ、選挙になっていなかった。野党は国民に訴えるべき的を射た政策を持っていなかった。
政府・自民党がアベノミクスの継続を主張するなら、民進党は「オカダノミクス」で対抗すべきだった。国民にどちらがいいか訴え、選択肢を示すだけでも意義は大きかったはずだ。
アベノミクスは日銀の金融緩和で国民の痛みを先送りする政策だ。一時的には心地いいかもしれないが、いよいよインフレになったらどうするのか。利上げすれば、今度は国債が暴落しかねない。非常にリスクの高い政策を取っているのに、野党は問題提起ができていない。
野党は財政再建も、もっと主張すべきだ。日本の国家予算のうち、6割近くが社会保障費と国債利払い費で消える。少子高齢化でますますこうした傾向に拍車がかかる。現実と向き合い国民にとって耳の痛い話をしていくことが野党の信頼回復につながるはずだ。
野党は魅力的な政策立案をするためにもっと学者などから意見を聞き、理論的な数字にもとづいた財政、金融など経済政策を提言できるようにする必要がある。「日本経済再生研究所」のような政策集団を立ち上げて一から出直すのがよい。
政権与党には色のついた学者が多くなり、次第に政策論争が起きにくくなる。若手の学者らを掘りおこし、ブレーンとして味方につける努力が必要だ。政権を取ったときに備えて政策を磨いていくことが大事である。
民主党政権は約3年の短命に終わってしまった。実現性の乏しい政策をマニフェスト(政権公約)として掲げ、政権交代だと国民を熱狂させて政権を取った。
しかし、政策が実現不可能とわかると支持率はどんどん下がっていった。抽象的に夢を語るだけではだめだ。地に足の着いた政策提言が大事になる。
財界から見て野党とパイプを築く利点は、残念ながら今の状況では非常に乏しいと言わざるを得ない。野党はもっと人材育成に力を注ぐべきだ。政権与党は責任を問われるので緊張感から自然と人が育ちやすいが、野党には難しい面がある。
たとえば国会議員になりうる人材を発掘して、米国や中国、インド、ドイツなどに留学させるしくみを考えてはどうか。米国と中国では外交で激しくやり合っても若者同士はしっかり交流している。日本の政界も見習う余地がある。
野党の立て直しには10年かかるかもしれない。だが強すぎる権力は必ず腐る。野党は将来を見据え、腰を落ち着けて取り組むべきだ。
(聞き手は羽田野主)
にわ・ういちろう 名大法卒。伊藤忠商事の社長、会長。第1次安倍政権で経済財政諮問会議の民間議員。民主党政権の2010〜12年に中国大使。15年から日中友好協会会長。77歳。
腰据えた再建へ政策論議覚悟を
国政選挙で自民党に4連敗を喫したにもかかわらず、いまの民進党には奇妙な静けさが漂う。大惨敗した3年前よりは議席を増やし、党の退潮に歯止めをかけた。とはいえ、改選議席を大きく割り込み自民党にさらに水をあけられた。この評価が定まらない。
岡田克也代表は共産党などとの野党共闘にカジを切り、一定の効果はあった。では政権選択選挙の衆院選にどう臨むのか。連携するなら、政策の擦り合わせは欠かせない。
野党転落からすでに3年半余り、有権者にはなお旧民主党政権時代の混乱の記憶が残る。信頼を取り戻し、二大政党の一翼たり得る政党になるには、5年、10年先を見据え、腰を据えて再建すべきだ。そのためには憲法改正や安全保障など、党が割れがちな政策論議から逃れられない。その覚悟が問われている。
(永沢毅)
[日経新聞7月14日朝刊P.11]
フランスのエロー外相は、トルコがシリアでのテロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」との戦いにおける完全なるパートナーであることへの疑いが存在すると発表した。ロイター通信が報じた。
エロー外相は、「尋ねるべき質問が存在する。我々はそれを質問する。トルコは部分的にパートナーである可能性があるが、そうではないという疑いもある。この点において正直になろうではないか」と述べた。
先にエロー外相は、外国のパートナーたちに対して激しい内容の意見を表明している。
5月に墜落したエジプト航空A320型機の事故調査委員会は、ボイスレコーダーの解析作業で専門家らが「火災」という言葉を耳にしたと発表した。BBCが報じた。
委員会の声明では、次のように述べられている−
「委員会はボイスレコーダーのデータを受け取り、事故直前のコックピットでの会話を聞いた。記録の中では『火災』という言葉が述べられていた。」
先に伝えられたところによると、民間航空安全調査・分析ビューローの専門家らは、墜落したエジプト航空機А320型機の機内に煙が発生していたことを確認した
蒸し暑い日本の夏での街頭演説は、支援者などの士気を高めたり維持したりするには効果的かもしれないが、しゃべる候補者などだけでなく聴取者の身体にも“毒”である。
候補者それぞれの政策は、家で見聞きできる政見放送やブログで確認すればいい。
どう考えても、鈴木宗男氏は、鳥越氏に都知事の仕事をまっとうできる体力がないと有権者に思わせたいのであり、悪意で解釈すれば、自分の挑発に乗って鳥越氏が街頭演説を増やして倒れてでもしてくれればもっけの幸いと考えているのかもしれない。
(小池百合子候補も、鳥越氏を思い浮かべることを狙って、「病み上がりの人」というさもしい表現で演説した。 いずれにしろ、鳥越氏を標的にした“口撃”が増えているのは、“生の調査”で鳥越氏の人気が高いからであろう)
家のテレビで選挙運動を見ている限り、街頭演説を何回やっているかに関わらず、主力三候補の扱いはほぼ同じ量である。
鈴木宗男氏の理屈を進めると、TVなどが頑張っている候補者と「省エネ」(手抜き)している候補者を同じ量で扱うのは不公平という話にもなりかねない。
とはいっても、マスメディアではスルーされる鈴木宗男氏の言動、ほとんど意味のない鈴木宗男氏の“異論”をわざわざ紙面を割いて載せた「日刊スポーツ」の姿勢の問題であろう。
1995年の都知事選に立候補した故青島幸男氏は、政策も都市博中止1本の「省エネ公約」であり、ポスターを作成することもなく街頭演説をすることもなく宣伝カーを走らせることもなく都知事に当選している。史上もっとも効率的な「省エネ選挙」を実施した。
対立候補には、副官房長官を長く務めた“官邸の大番頭” 石原信雄氏や岩国哲人氏や大前研一氏もいたが、ものともせずである。
青島氏は参議院議員も長く務めていたが、参議院選挙でもポスターは貼らず街頭演説及び選挙カーは走らせていない。
“ドブ板選挙”ではなく「省エネ選挙」での当選こそ“理想”である。
鳥越氏には、街頭演説はTV(マスメディア)のネタ用イベントと割り切って数は抑え、「省エネ選挙」(ムダに体を消耗しない選挙運動)で当選してもらいたい。
※関連参照投稿
「250万票超をめざし戦後リベラル派鳥越氏と自由主義保守派小池さんの一騎打ち:政党の推薦や支持は決め手にあらず」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/397.html
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鈴木宗男氏バッサリ、鳥越氏の「省エネ選挙」に異論[日刊スポーツ]
[2016年7月17日0時23分]
新党大地の鈴木宗男代表は16日、自身のブログで、東京都知事選(31日投開票)に出馬している鳥越俊太郎氏(76)の「省エネ選挙」に異論を唱えた。
鳥越氏の街頭演説の回数が、ほかの主要候補、増田寛也元総務相(64)や小池百合子元防衛相(64)と比べて少ないことに対し、「知名度頼みの選挙と受け止める」「何とも理解できないやり方」などと指摘している。
鳥越氏は14日の告示日と15日、街頭演説は1回で、合間に政見放送の収録をこなした。16日は初めて、2回街頭に立った。これに対し、増田氏は告示日以降、1日3〜4カ所の遊説を行い、小池氏は15日に八丈島視察から戻った後で、JR八王子駅前など3カ所で街頭演説している。
宗男氏はブログで、「候補者として1人でも多くの都民に直接訴えるべきだと思うが、その手続きを行わないのは候補者としていかがなものだろうか」と、指摘。「76歳という体力的なことを考慮しているのか」「『口は達者だが身体はついていかないのでは』といった声が寄せられている」とも述べ、鳥越氏が高齢であることとの関係にも踏み込んでいる。
鳥越氏が、政策を街頭演説ではなく、ホームページ上で初めて発表したことにも触れ、「本来ならば自分の肉声で話すのが、候補者たる者の使命ではないか」と、厳しく指摘している。
鳥越氏は告示前日の13日に出馬を正式表明し、準備不足は否めない。蒸し暑い7月の選挙になったことや、高齢であることも考慮し、街頭活動が少ないのではないかという見方は、与党関係者の間でも出ている。
金目的で侵入して顔を見られたから殺害したというところまでは理解の範囲だが、その後さっさと逃げればいいものを、わざわざ数時間かけて遺体を切断し、さらに、わざわざ15時間後に切断した遺体を遺棄するために犯行現場に戻ってきたという“ストーリー”は不可解を超えて噴飯物である。
しかも、侵入した目的や殺害に至った理由は語っているが、遺体を切断し、翌日公園の池に遺棄した“動機”や“意味”は何も語っていない。
マンション出入り口の監視カメラ映像以外、容疑者と犯行を結びつける“証拠”はない。マンションの出入り口で姿が映っていたから犯人というのだったら、彼以外にも容疑者になりえる人が何人もいるはずだ。
浴室で組織片が発見されても、容疑者がそこで遺体を切断したという証拠にはならない。それ以上に、それが遺体を切断した証拠とも言えない。
靴跡や遺棄に使ったバッグも、未発見なので、容疑者が履いていたものかどうかも検証できず、そのバッグで遺体を運んだかどうかも検証できない。
※関連参照投稿
「女性遺体遺棄 逮捕の男「殺害した翌日に再び部屋に」:金銭目的なのに、遺体を切断しさらに翌日戻り遺棄したという噴飯物供述」
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/800.html
※事件報道経緯
「[目黒バラバラ遺体]女性宅の近所の28歳男を逮捕 容疑を否認 防犯カメラに映像:どこで遺体切断?そこにどうやって運搬?」
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/798.html
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2016.7.18 10:00更新
【衝撃事件の核心】碑文谷池バラバラ事件で捜査員も首をひねる28歳無職男の不可解行動 カネ目当てなのに財布などには手をつけず…
梅雨時の東京を不安に陥れた“バラバラ事件”の犯人は、被害者宅のすぐ近くで息を潜めていた。死体遺棄容疑で逮捕された無職の池田徳信(やすのぶ)容疑者(28)は地域でも特に印象に残らない男だったという。小学校から不登校で高校も中退、職を転々としながら生活していた池田容疑者。マンションの壁をよじ登って部屋に侵入するという大胆さの一方、不可解でちぐはぐな行動も目立ち、犯行の真意はいまだ見えない。挫折が続いた人生は、なぜ「バラバラ殺人」という選択肢を選んでしまったのか。
■小学校から不登校も…「将来美男になりそうな人3位」
《今まで以上に楽しい思い出などを作れるといいと思う。そのためには、友達をたくさん作ったりしないとダメだと思う》
池田容疑者は小学校の卒業文集に、中学校生活への目標をそうつづっていた。
小学校時代の知人男性は、池田容疑者を「目立たないタイプ。いじめられていたようで、卒業式にも出なかった」と振り返る。ほとんど不登校のような状態だったという。中学校は学区外の私立校に進学。ここでも人間関係がうまくいかず、高校は中退していた。
関係者によると、その後はビル清掃や土木工事などのアルバイトをしていた時期もあったが、今年の春ごろにはすべて辞めていた。現在のマンションには10年以上前から住んでおり、60代の母親と2人暮らしをしていたという。
父親はがんで死亡しており、池田家の家計は母親の生活保護と、離れて暮らす姉からの援助で成り立っていた。
■「目黒に住みたい」 母親の意向が家計を圧迫
捜査関係者によると、その生活を圧迫していたのは住居費だ。
母親は高級住宅地として知られる目黒区での居住にこだわりがあり、マンションの家賃が家計を圧迫していたという。近所とはほとんど交流がなく、近くに住む無職男性(77)は「たまに母親らしい女性と歩いているのを見かけた程度。昼間から普段着でぶらついていた」と話す。
卒業文集に記載されたクラスメートによる「将来美男になりそうな人」の投票では、池田容疑者は3位に入選していた。
知人男性は「あの少年と今回の残虐な犯行は結びつかない」と嘆息し、続けた。「昔から高いところに登るのが好きだとは言っていた。まさか将来、他人のマンションのベランダに登って事件を起こすなんて」。
■“入り”の画像の記録なし…防犯カメラが追い詰めた犯人
警視庁碑文谷署捜査本部によると、池田容疑者は6月20日と翌21日の2回、無職の阿部祝子さん(88)方に侵入したとみられる。
20日の侵入は日付が変わってすぐの未明の時間帯とみられ、「2階のベランダよじ登ったが、その部屋の窓が閉まっていた。懸垂するようにして3階にある阿部さんの部屋までさらに登り、窓が開いていたので入った」と供述。2階には、マンションの外に置かれている物置から移ったとみられる。手すりなどから指紋は検出されず、手袋を使っていた疑いがあるという。
物置と2階ベランダ、阿部さんの部屋のベランダ、阿部さんの部屋の中からはそれぞれ、池田容疑者のものとみられる運動靴の足跡が見つかった。捜査本部は、池田容疑者が盗み目的で侵入可能な部屋を無差別に探していたとみている。
池田容疑者は20日午前5時ごろ、黒っぽいリュックサックを持って阿部さんのマンションから歩いて出ていく様子が、マンションのエントランスの防犯カメラに写っていた。翌21日午前2時ごろには、黒っぽいスポーツバッグを肩に掛けてマンションを出て、自転車で走り去る姿がカメラで確認された。
実はいずれの日時も、池田容疑者がマンションに入る様子は防犯カメラに写っていなかった。捜査本部はマンションを出たあとの池田容疑者の行方を別のカメラなどで追い、20日〜21日にかけて池田容疑者が複数回、遺棄現場の池にも姿を見せていたことを確認。事件に関与したとの疑いを強めていった。
■金銭目的なのに財布はそのまま…そしてなぜバラバラに?
池田容疑者は犯行動機を「金が欲しかった。仕事を辞めて金に困っていた」と供述している。一方で、実際には「何も盗んでいない」とも供述。阿部さんの部屋に荒らされた形跡はなく、財布などには現金約20万円が残っていた。
さらに、捜査関係者が「最も不可解」と指摘するのは、なぜ遺体を切断したのかということだ。「単なる金銭目的の強盗なら、殺害して遺体を切断するなんて手間はかけない」と首をかしげる。
池田容疑者は20日の侵入時の状況について、「阿部さんはベッドで寝ていた。ゆすって起こしたところ騒がれそうになり、手で首を絞めて殺した」と供述。その日のうちに阿部さんの遺体を室内にあった包丁を使って浴室で切断したことも認めている。
この包丁や、遺体の運び出しに使ったスポーツバッグは「池とは別の場所にゴミとして捨てた」。バッグは殺害後に購入したものだったという。
浴室には人体の一部とみられる組織片が残されていたほか、配水管からは血液反応も出た。捜査本部は、池田容疑者が証拠隠滅のために水などで血を洗い流したとみている。
捜査本部は池の捜索を今月14日から再開した。腕の一部などまだ見つかっていない部位があるためだ。捜査関係者は「お盆までに、何とか完全な状態で遺族のもとに返したい」と話す。
取り調べには淡々と応じているという池田容疑者。単なる行き当たりばったりの犯行だったのか、それとも…。本人の口からすべてが語られる日が待たれる。
http://www.sankei.com/affairs/news/160718/afr1607180001-n1.html
ロシアで30キロ以内の標的を攻撃可能な所謂「スマート弾丸」の実験が始まった。複数のマスコミが、ロシア将来展望研究基金のヴィタリイ・ダヴィドフ副事務局長の発言を引用して伝えた。
「スマート弾丸」とは、弾が発射されるとセンサーが標的を関知し追尾して命中させるというものだ。
副事務局長によれば、現在、設計段階及び非誘導モードでの実験の仕上げが終わり、誘導モードでの発射テストが開始された。
先に伝えられたところでは「スマート弾丸」は、8キロから⒑キロ離れた敵を攻撃できる。ただ開発にあたっている専門家らは「スマート弾丸」という名称は、条件付きのものであり、弾丸を使用するためには、ひとまとまりとなった総合的なものが作られなくてはならず、通常の火器に用いることはできない」と強調している。
先に伝えられたところによると、第五世代の戦闘機Т-50(PAK FA)は、来年2017年ロシア空軍に供給され始める。
北朝鮮当局は、弾道ミサイル3発の発射について、韓国領内の目的への核攻撃を想定した爆発装置の実験が目的だったと伝えた。
ロイター通信が朝鮮中央通信の情報をとして伝えたところによると、発射時に「弾道ミサイルの核弾頭の爆発装置の特性と、目的上空の一定の高さにおけるその動作が確認された」という。
先に、北朝鮮が東岸から日本海に向けて弾道ミサイル3発を発射したと伝えられた。
http://jp.sputniknews.com/asia/20160720/2524775.html
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北朝鮮が核実験を実施する可能性がある[スプートニク日本語]
2016年07月18日 15:21(アップデート 2016年07月18日 17:17)
韓国統一部の報道官は18日、北朝鮮が5回目の核実験を実施する可能性があると発表した。韓国は米国と動向を注視しているという。
アジア欧州会合(ASEM)では、北朝鮮の核・ミサイル実験が非難され、北朝鮮に対する国連の制裁が支持されて、朝鮮半島情勢と北朝鮮の人権問題の解決に向けて協力することで合意した。
なお北朝鮮は非難について「ナンセンス」だとし、北朝鮮の外務省報道官は、朝鮮半島での核戦争、地域と世界の平和や安全が崩壊する脅威をつくりだしている張本人は、現在のところ米国だと発表した。
北朝鮮は「核抑止力」の強化について、核の脅威とコリアに対する米国の異常な敵対政策に対する自己防衛の当然の措置であると考えている。
北朝鮮外務省の報道官は、「誰が言ったにせよ、強い独立国、核大国である我々の力によって、我々は真の国際正義を求めて戦い続けるだろう」と発表した。
先に、米軍ミサイル防衛システム配備は韓国外交の破綻を意味すると伝えられた。
アルジャジーラが報じたユルドゥルム首相の対米非難演説の内容:
「我々の友、アメリカ人に訊きたい。WTCビルが崩壊したとき、テロの容疑者を捕まるのに証拠を求めたか?(議場で大きな拍手と歓声)容疑者たちをグアンタナモに拘束したとき、あなたたちの手元に証拠があったか?ギュレン師の組織の犯罪に関してのみ、なぜ証拠の提出に固執するのか?彼が関与しているのは明らかである。あなたたちはオサマ・ビンラディンの事件について証拠を探すことをしなかったではないか?」
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※ 米国の外交・情報当局も、今回のトルコ軍クーデタ未遂事件がエルドアン政権の自作自演であることがわかっているし、自作自演を知られていることをわかっているエルドアン政権も、ギュレン師の引き渡しが行われないことを承知で、米国政権に要求を突きつけている。
ギュレン師引き渡しを米国に求めることで、自作自演のクーデタ未遂劇もギュレン派によるクーデタ未遂であるとの真実味が増し、同じく自作自演である911を持ち出すことで、トルコ内のイスラム価値観やくすぶる反米意識を抱く人々の心を揺さぶることが狙いであろう。
お互いが了承した上でのキツネとタヌキのお芝居だから、ギュレン師問題がどうなろうと、表面的な見え方は別として、実質的な米国とトルコの関係が変化することはない。
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トルコ大統領、ギュレン師送還を要求 米は慎重[日経新聞]
2016/7/20 23:32
【イスタンブール=佐野彰洋】トルコのエルドアン大統領が軍の一部によるクーデター未遂事件捜査を口実に5万人規模の公務員らを解任した。大統領の政敵で米国に住むイスラム教指導者ギュレン師の支持者を公的機関から一掃する狙いだ。エルドアン氏は19日、オバマ米大統領にギュレン師の引き渡しを要請。米国が応じるかが焦点となる。
エルドアン政権はギュレン師が事件の背後にいると見ている。4日間で軍人から教員までギュレン支持者とみられる約5万人を拘束や解任処分とした。各大学の学長に対してはギュレン支持者の教員をあぶり出し、早期に報告するよう求めた。
エルドアン氏はオバマ氏との電話協議でギュレン師の引き渡しを求めた。同師は事件への関与を否定し、19日、米政府に送還に応じないよう求める声明を発表した。AFP通信によると、アーネスト米大統領報道官は「2国間の送還条約に従い司法省と国務省が審査する」と慎重に対応する構えだ。
「ギュレンをかくまう米国はテロの黒幕だ」(イスタンブールのデモ参加者)。エルドアン支持者の間では反米感情が高まっており、米国との関係が悪化する可能性もある。
1999年から米国で事実上の亡命生活を送りながら、ギュレン師はトルコ国内でエルドアン氏に次ぐ影響力を維持し続けてきた。トルコ全土でエリートを養成するための私塾を展開し、国家機関の中枢に支持者を送り込んできた。傘下の有力企業も多く、支持者の数は国内で100万人以上とみられている。
エルドアン氏が創設した公正発展党(AKP)は2002年に政権を獲得した当時、イスラム教の重視などで重なるギュレン系に政権運営の人材を頼った。テロ容疑のでっち上げなどを通じ共通の敵である古参軍幹部や有力ジャーナリストらの追放に成功。ギュレン系メディアはエルドアン氏の強権路線への批判を控えるなどの蜜月が続いた。
転機は13年末。捜査当局内部のギュレン系が政権中枢の汚職疑惑の捜査に乗り出したことで決裂が決定的となった。激怒したエルドアン氏は以後、ギュレン師に近い企業の接収など弾圧を強めていた。
エルドアン氏は「ウイルスを駆逐する」と表明。国家機関からギュレン師の影響下にある対立勢力の一掃を図る構えだ。現地メディアによると、20日招集した国家安全保障会議では、大統領権限の強化や軍改革などが議論になったもようで、エルドアン体制がさらに強権化する恐れがある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM20H86_Q6A720C1EA1000/?dg=1&nf=1
「移民受け入れは、経済発展に不可欠な人口増加を可能にした。我が国は戦後、欧州で最も人口が増えた国のひとつだ」というのは、戦後先進諸国が“人口ボーナス論”の通用する歴史的経済条件にあったからであって、歴史段階を超えて普遍的に人口増加が経済発展に貢献するわけではない。
輸出の増加が低迷し生産性を押し上げる投資も停滞するという経済条件で人口が増加し続ければ、成長期に実現された人々の生活条件(ナショナルミニマム)を維持するだけでも過大な負担となってのしかかってくる。
(EU離脱?につながった英国の反移民感情もその反映だと言えるし、日本でも見られる社会保障制度における“給付見直し”といった動きもその反映である)
そうは言っても、自国民は3K分野になかなか就業してくれないため、過酷で低賃金の働き手として移民を“受け容れなければならない”状況は続くが、経済論理的には、移民を入れて経済発展という世界史は終焉を迎えている。
だからこそ、今さら欧米を後追いするかたちで「移民受け入れ政策」を導入してはならない。それは、米英を後追いするかたちで旗を振ってしまった新自由主義経済政策の無残な結末を考えればわかる。
必要な働き手はできるだけ自国民でまかなうようにしながら、労働条件をより改善するかたちで現在のような「海外からの労働力補充政策」を継続していくのがベターである。
大使は、移民問題を20世紀以降の話として語っているが、近代国家フランスが生成される契機となったフランス革命もユダヤ系を中心とした移民(子孫を含む)が領導したもので、現在では、サルコジ→オランドの両大統領も移民系、オランド政権で首相を務めるバルス首相も移民系という政治状況になっている。
ことの善し悪しは別として、このような意味で、近代フランスは「階層化移民(高等移民と下層移民)国家」として歴史を歩んできたと言える。
先進諸国の多くが産業主義的成長を達成できず、新興国及び未発展国の産業的成長に依存するようになった(金融主義の)世界史段階において、日本のような先進国が、移民を受け容れることで経済成長を実現するという考えは倒錯でしかない。
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[私見卓見]移民は経済成長に有益 駐日フランス大使 ティエリー・ダナ
フランスは欧州の中心という地理的条件から常に移民受け入れに寛容だった。移民人口は最新の統計で約560万人と全体の約9%を占める。移民が仏社会に与えてきた影響について述べたい。
移民は20世紀に入ってから急増した。第2次世界大戦後、経済成長に伴う労働力確保のためスペイン、アルジェリア、モロッコなどから受け入れた。ベトナム戦争時にはアジアからの難民も多く来た。
好ましい影響のひとつは、移民系から優秀な人材が多く現れたことだ。サルコジ前大統領はハンガリー系、バルス首相はスペイン系、バロベルカセム教育相はモロッコ系だ。政治家だけでなく学界や医学界にも多数存在する。
移民受け入れは、経済発展に不可欠な人口増加を可能にした。我が国は戦後、欧州で最も人口が増えた国のひとつだ。ではどうやって移民を社会的に同化させたのか。その方法は米英とは異なる。
米英は宗教や人種の違いを残したまま共存するコミュノタリズム(共同体主義)の考え方をとる。フランスは違いよりもまず仏共和国の一員であることを重視し、等しく権利と義務を与える。教育現場などでの宗教色の排除もその思想から生まれている。
米英式を論評するつもりはないが、多くの移民が仏国籍を取ってきた事実は、仏方式がそれなりにうまく機能したことを示していると思う。
改善が必要な点も挙げておきたい。失業率は約10%だが、移民に限ると約18%だ。一般には人種差別が理由ではない。職業訓練を受けていない貧困層が多く、景気悪化で最初に影響を受ける。教育現場は時に同化政策の難しさが表出する。宗教色排除を受け入れない移民系学生もいる。
対策として、例えばエリート養成校のパリ政治学院は移民系など経済的に苦しい若者の入学枠を設けた。移民系にも道が開かれていることを示す取り組みが必要だ。
昨年のパリ同時テロなどを機に、移民排斥の声が我が国を含む欧米の一部で高まっているのは憂慮すべきだ。冷戦終結で西側諸国の団結が緩んだうえ、経済低成長で既存の民主主義に懐疑の目を向ける人が出ている。人々の不安を取り除く政治が求められる。
移民政策の功罪を述べてきたが、全体的にみると有益な効果を生んでいると強調したい。フランスが経済、文化、社会のあらゆる面で成長してきた背景には間違いなく移民系の人たちの貢献がある。
[日経新聞7月15日朝刊P.33]
政府はマグニチュード(M)8級の東海地震を想定した大規模地震対策特別措置法(大震法)を抜本的に見直す。今から40年近く前、1978年にできた大震法は「東海地震は予知が可能」との前提に立ち、危険が迫ったら首相が警戒宣言を出して対策を取り、被害を減らすとしている。だがその後、別の地域で大きな震災が繰り返し起き、前提は崩れた。大震法の問題点と見直しのポイントを探った。
「東海地震を予測できるとして法律をつくったのだろうが、予知の精度は上がっていないという現実がある」。防災相の河野太郎さんは6月末、記者会見でこう述べた。
この発言からもわかるが、大震法の見直しは、予知を前提にした防災からの転換が柱となる。内閣府は専門家による会合を8月にも開き、今年度中に見直し案をまとめる。
大震法制定の発端は76年、東京大学の助手だった石橋克彦さん(現神戸大名誉教授)が唱えた「駿河湾地震説」だった。
東海沖から四国沖に延びる南海トラフでは、プレート(巨大な岩板)が沈み込み、そのひずみがたまって、M8級の地震が繰り返し起きてきた。紀伊半島沖を境に東で起きると東南海地震、西だと南海地震と呼ばれ、過去には両者が連動した例も多い。
石橋さんは過去の東南海地震を調べ、震源域が駿河湾に及ぶことを突き止めた。1944年にはこの地域で昭和東南海地震が起きたが、駿河湾は「割れ残り」になったと指摘。「駿河湾(東海)地震が単独で、明日起きてもおかしくない」と警告した。
有力学者が集まる地震予知連絡会も石橋説を追認した。これを受け気象庁は駿河湾周辺で地殻のひずみなどを測る観測網を整備。予知を前提とした大震法が定められた。
大震法では、地殻に異常が見つかると、気象庁に専門家による「判定会」が招集される。地震が近いと判断すれば首相が警戒宣言を出し、新幹線や鉄道を止め、百貨店や学校も休んで事前に避難する。
想定外の震災発生
同法の制定後、地震研究は東海地震予知に重点が置かれ、ほかの地域の観測は手薄になっていった。その死角を突いたのが95年、死者6千人以上を出した阪神大震災だ。2011年の東日本大震災も想定外の連動地震となり、予知の難しさを見せつけた。
大震法の最大の問題点は、それでも「予知」の看板を下ろさなかったことだ。内閣府の有識者会議は13年、東海を含めた南海トラフの地震について「起こり方が多様で確かな予測は困難」と結論づけた。座長を務めた名古屋大教授の山岡耕春さんは「予知が困難なことは地震学者の共通認識で、今後の見直しで出発点にするのは当然」と話す。
2つ目の問題点は、警戒宣言の出し方だ。不確実な予知情報をもとに交通を止め店を閉めれば、経済活動への影響は甚大だ。東海地震説を唱えた石橋さんも「戒厳令を出すようなもので、制定当初から疑問だった」と警戒宣言方式の廃止を求めている。
3つ目の問題は対象地域だ。仮に前兆が観測されれば東海地震だけでなく、東南海・南海地震も同時に起きる恐れがある。だが大震法の対象は三重県以東の8都県に限られ、和歌山県以西で起きる地震には言及していない。
以上3点は見直される可能性が高いが、議論が分かれそうなのは「注意情報」の扱いだ。大震法では前兆が不確実な場合に出し、住民に避難準備を呼び掛けるとしている。名大の山岡さんは「異常をとらえたら黄色信号として自治体や住民に伝える仕組みは必要」と話す。
法律廃止求める声
一方、法律自体の廃止を求める声も根強い。静岡大客員教授の安藤雅孝さんは「どんな異常が観測されたら注意すべきなのか。いまの地震学は科学的根拠のある基準をつくるほどの実力がない」と話す。東京大教授のロバート・ゲラーさんも「大震法は日本の地震研究をゆがませ、国民に予知への過大な期待を抱かせた。予知ができない以上、存続の理由はない」と訴える。
自治体からは「異常があれば国が情報を発信する仕組みや自治体の防災対策を途切れさせない手立てが要る」(静岡県)との声が上がる。制定以来、地震研究や防災のあり方に大きな影響を及ぼしてきた大震法。その功罪を改めて検証し、自治体や住民の声も踏まえた見直しが必要だ。
(編集委員 久保田啓介)
[日経新聞7月15日朝刊P.35]
政府が新たにまとめる経済対策の事業規模を20兆円超で調整していることが20日、分かった。当初は10兆円超の見込みだったが、倍増させる。追加の財政支出は3兆円超(国・地方の合計)として、残りは財政投融資や民間事業を積み増してかさ上げする。事業規模を膨らませ、景気下支えに本腰を入れる姿勢を示す狙いがあるとみられる。
政府は今後、与党と調整を進め、来月上旬にも経済対策を閣議決定して、裏付けとなる2016年度第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する方針。与党内には一層の上積みを求める声もあり、規模がさらに膨らむ可能性もある。
事業規模20兆円超の内訳は、国・地方の追加の財政支出が3兆円超▽国が低利で民間事業に長期融資などを行う財政投融資が最大6兆円程度▽国の補助を受けて民間企業が行う事業が6兆円程度▽財政投融資とは別に政府系金融機関が手がける融資が5兆円程度−−となる見込み。
複数年度にまたがる民間事業を含めることで見かけ上の規模を大きくする。追加の財政支出の財源は、建設国債(使途を公共事業などに限る国債)を1兆円超発行するほか、低金利に伴う国債の利払い費の減少分などで賄う方針だ。
追加の財政支出はインフラ整備が主体となり、訪日客拡大に向けた地方の港湾整備や、農産物の輸出拠点設置などを行う。財政投融資はリニア中央新幹線の大阪延伸前倒しに約3兆円、整備新幹線の建設に約8000億円を充てる。英国の欧州連合(EU)離脱に伴う金融市場の混乱を防ぐため、政府系金融機関を通じた民間企業へのドル資金融資も行う。【小倉祥徳】
最終更新:7月21日(木)3時2分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160721-00000008-mai-bus_all
「司法が止めた原発:「原発メルトダウン危機の88時間」のようなインチキ総括しかできないデタラメ状況で再稼働停止は当然」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/345.html
「米、日中の核再処理政策に懸念:再処理事業からの撤退を要望、「もんじゅ」や六ヶ所村施設が消え去る話」
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/354.html
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「部品換えれば問題ない」老朽原発巡り規制委員長
原子力規制委員会の田中俊一委員長は15日、日本経済新聞のインタビュー=写真=で、東京電力福島第1原子力発電所事故後の法改正で40年に制限された原発の運転期間の延長について「新規制基準できちんと合格すればよい。古い部品を取り換えれば問題ない」と述べた。今後も延長認可が相次ぐとの見通しを示した。
規制委は6月、運転開始から40年超たつ老朽原発である関西電力高浜原子力発電所1、2号機(福井県)で、初めて運転延長を認可した。延長は規制委が認めれば最大20年間可能だが、2012年の法改正時の民主党政権は「極めて例外」とした。これに対し田中氏は「例外というのは政治的な発言だ」と否定的な姿勢を明らかにした。
ただ、老朽原発の安全対策には多額の費用がかかる。「新規制基準は甘くしない。申請しても(運転延長が)難しい炉は今後もいくつか出てくる」と話し、原発の淘汰も進むとの見方を示した。
13年7月の新基準施行後、再稼働に向けた安全審査に合格したのは九州電力川内1、2号機(鹿児島県)など3原発7基だ。「今後は合格する原発が増えてくる。(九電)玄海3、4号機(佐賀県)などは問題ないのではないか」と話した。
[日経新聞7月16日朝刊P.4]
週刊誌については、“戦後民主主義(左翼)嫌い”の「週刊文春」や「週刊新潮」は端から反鳥越だと思っていたが、「週刊文春」は、ネタをどこで拾ってきたかはわからないが、10数年前のネタをほじくってなんとかかたちにし下品な形容を付けた見出しで頑張っている。
わざわざ買って記事を読んだ感想では、“被害者女性”の現夫も、あの出来事についていまさら話したいとそれほどは思っていないのに、いきさつを知った文春の取材者から取材をしつこく迫られ(じゃあ奥さんに訊くとも言われ)、こうだったんじゃないの、ああだったんじゃないの、こうなったらいやでしょなどと誘導質問されて、“それはその通りです”、“そうだったと思いますよ”などと答えていったものがあのような文章になったように思えた。
あの記事内容であれば、私なら、「週刊文春」は公職選挙法違反と判断する。
(公職選挙法148条1項但書で禁止されている「虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害する行為」だからである。虚偽の事項ではなく、“事実を歪曲して記載”に相当する。最後に書くが、鳥越氏は“被害女性”にキスをしたと思っている。それに関する表現や説明が“歪曲”にあたるという判断)
「週刊文春」は第2弾を用意しているというから、鳥越氏の得票をたとえ1万票でも減らしたいと思っているのだろう。
来週のほうが投票日に近いということもあり、第2弾のネタは、香具師の口上レベルで粉飾した第1弾“淫行記事”より破壊力が大きいと思っている内容だろう。(暴力沙汰らしいが)
「女性自身」は、今回転載するものとは別の記事もあることから、鳥越氏支援で動いているとみることができる。
「週刊文春」は女性の読者も多いが、「女性自身」は、家か待合室などに転がってない限り男は読まない女性“専門”週刊誌だろう。
「週刊文春」で鳥越氏にまつわる“淫行記事”が出たことから、この「女性自身」の記事との兼ね合いで、東京都知事選の女性有権者の受け取り方について(バカバカしいことだが)考えてみた。
男性有権者は、「週刊文春」の記事を読んでどうこうという話は少なく、それ以前の段階ですでに、鳥越氏について好きか嫌いかが決まっているだろう。
(好きな人は文春のフレームアップだとかこんなことは鳥越支持に影響しないと思い、嫌いな人はほら見たことかとますます鳥越氏が嫌いになるという構図)
「週刊文春」しか読まなかった女性有権者のなかには、それまで好意的だった鳥越氏に“嫌悪感”を抱くようになり投票対象を変える人もいるだろう。
今回転載する「女性自身」の記事しか読まなかった女性有権者のなかからは、それまで鳥越氏に投票しようとは思わなかったが、良き家庭人という好印象を抱いた鳥越氏に投票しようと思う人も出てくるだろう。
全体でいずれの“変動”が多いかが問題だが、どっちの記事だけを読んだ女性の数がどれほどなのかで決まると思うので今のところなんとも言えない。
厄介なのは両方の記事を読んだ人だが、「女性自身」が鳥越夫人を持ち上げる記事なので、「週刊文春」の記事と合わせて読むと、“あんなにいい奥さんなのに、若い子に手を出すなんて、鳥越さんは??奥さんがかわいそう”と思う人がけっこういるかもしれない。
そういう人のために、鳥越氏は、「奥さんに、あなたが先に旅立ってしまったときは、20代の嫁をもらう」と語ったエピソードがあることを伝えておきたい。
鳥越氏は、戦後民主主義のなかでのびのびと育った“明るい女好き”で、それを隠さないひとなのである。
(女性だって、同年代のじいさんより、「ムリかもしれないけど相手は若い子のほうがいいわ」と思う人が少なくないだろう)
鳥越氏には、「週刊文春」に法的対抗措置をとるとともに、笑顔で“世に溢れているすてきで魅力的な女性につい惹かれてしまうのは事実です”といった切り返しをして欲しかった。
(その行為をどう表現する(“淫行”など)かは別として、鳥越氏が記事の“被害女性”にキスをしたのは事実だろうと思っている。私なら、20歳にもなった女性が私と二人きりの空間にいることを受け容れた段階で“セックスもたぶんOKだな”と思い、息子がむずむず元気になる(笑)だから、鳥越氏がキスの先を求めたとしても不思議ではない。一方、記事中の女性にそんな気はまったくなかった可能性もけっこう高いと思っている)
※「女性自身」の別記事
「鳥越俊太郎 盟友・菅原文太さんの妻が語る「天国からの応援」(女性自身)」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/811.html
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鳥越俊太郎 周囲がベタ褒めする「結婚47年目箱入り妻」の度量[女性自身]
投稿日: 2016年07月21日 06:00 JST
「奥さんは立派な人。今回、夫の体を心配した奥さんは『出馬はやめて』と大反対したそうです。でも鳥越さんが出馬を決意すると、奥さんは『あなたが決めたのなら、全面的に応援します』と。鳥越さんの選挙戦は、奧さんとの“共同作業”なんですよ」
そう語るのは、東京都知事選に出馬した鳥越俊太郎(76)と30年来の親交がある、元参院議員の平野貞夫さん(80)。ノンフィクション作家の澤地久枝さん(85)も、博子夫人をベタ褒めする。
「奥さんは目立たず、自己主張をあまりせず、夫を陰で支える美しい人。昔、内助の功のある良妻のことを“家庭夫人”と呼んだものですが、まさにそのとおりの女性です」
これまで鳥越氏は、博子夫人をほとんどメディアに出したことがない。とっておきの“箱入り妻”なのだ。
では、博子夫人の“鳥越評”は?澤地さんが博子夫人に「鳥越さんの世話は大変でしょう」と聞くと、こんな答えが返ってきたという。
「いえ、主人は孫の世話で手一杯ですから(笑)」
澤地さんが続ける。
「鳥越さんの孫への耽溺ぶりはすごいんです。いつも自分から孫の話をしてきますよ」
博子夫人には、孫に夢中な“ラクな夫”であるようだ。
http://jisin.jp/serial/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84/POL/24746
[ミュンヘン 22日 ロイター] - ドイツ南部のミュンヘンで22日、ショッピングセンターで銃乱射事件が発生し、地元メディアは少なくとも15人が死亡したと報じている。
事件が発生したショッピングセンターは1972年のミュンヘンオリンピックの会場となったスタジアムに隣接。同オリンピックではパレスチナ武装組織「黒い九月」が人質事件を起こしている。
ミュンヘン警察の報道官は複数の死傷者が出ていることを確認。銃を乱射した人物は複数との見方を示しているが、まだ犯人と見られる人物の身柄は拘束されていない。
事件を受け外国為替市場ではユーロが対ドルで下落、ドルが対円で上げ幅を縮小するなどの動きが出ている。
最終更新:7月23日(土)2時55分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160723-00000004-reut-eurp
MH370便には、乗客の各シートで見られるフライト現況表示装置のみならず、地上と通話できる電話やWI-FI機能も装備されていた。
このような条件下、マレー半島を横切るなど長い時間をかけて“異常な飛行”を行えば、仮にコックピットクルーが“犯人”だったとしても、異常を知らせる情報がいくつか地上に届いているはずである。
今なお失踪中のMH370便は、マレーシアからベトナムの管制空域に入ってまもなくトランスポンダーが切断され、その後すぐに150度旋回してマレー半島を横断したとされているが、トランスポンダーや交信機能が切断されたことは事実だとしても、方向転換については、機体が沈んでいる可能性が高い南シナ海から目をそらすための“偽情報”だと考えている。
MH370便がほんとうにオーストラリア西方のインド洋南部(南極海近く)まで飛行していたのなら、豪西海岸パースにある米軍のレーダー他強力な探知網に引っかかっていたはずである。
これも不思議なことだが、MH370便の飛行情報に関しては、英国発の情報ばかりで、米国から出された情報はまったくないばかりか、パースに米国の強力な情報収集基地があることさえほとんど語られていない。
このような事実も、MH370便がインド洋南部まで飛行を続けたという話が“偽情報”であることを示唆している。
インド洋にあるレユニオン島の海岸で航空機のフラップの一部が発見され、MH370のものという情報も流れたが、明確な確認情報は今もって流れていない。
MH370便は、“遠隔操縦”(これも主要メディアは語らないが、777にはハイジャックに対抗する目的で地上から操縦できる機能が装備されている)で乗っ取られ、トランスポンダーや交信機能を切断されたあと、“滑らかに”(破壊的な墜落で残骸が見つからないよう)海中に突入したと考えている。
失踪直後は南シナ海海域で残骸探査を空から行ったが、失踪から2日後にはインド洋方面に飛行を続けたという情報が飛び交い、海中にあるはずのブラックボックスから発信される信号を探査するところまでさえ至らなかった。
(信号が発信されるのはおよそ1ヶ月だと言われているので、インド洋に目を向けさせたのは、機体が見つかりやすい最低でも1ヶ月間は南シナ海から目をそらすためだと思っている)
遺族の方々のためにも、遺体と機体をきちんと回収するのが、マレーシア政府と中国政府の責務である。
※ 関連参照投稿
「不明マレーシア機とみられる「残骸」、豪南西沖で捜索続く:衛星画像は後付け:駐豪米国機関がレーダーと聴音装置で探知」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/310.html
「MH370便問題:交信途絶後も数時間飛行を続けたというのなら携帯電話や機内電話による通話やメールがあったはず」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/263.html
「マレーシア機事件の経緯:「交信途絶」から、「墜落」までの17日間」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/353.html
「OZ214・MH370・MH17のパイロットたちは“乗っ取り”をどう感受したのか?:MH17操縦士は“異常感なし”」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/503.html
「OZ214便SFO着陸失敗事故→MH370便南シナ海失踪事件→MH17便ウクライナ撃墜事件という“系譜”」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/488.html
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不明のマレーシア機の捜索 年内にも打ち切りへ[NHK]
7月22日 20時36分
おととし3月、乗客乗員200人以上を乗せて消息を絶ったマレーシア航空の旅客機について、マレーシア政府などは、このまま手がかりが見つからなければ年内にも事実上、捜索を打ち切る方針を明らかにしました。
乗客乗員239人を乗せたマレーシア航空370便はおととしの3月8日、マレーシアの首都クアラルンプールから中国の北京に向かう途中に消息を絶ち、原因の特定に必要なフライトレコーダーなどは現在も発見されていません。
機体の捜索は、墜落したとみられるオーストラリア沖のインド洋、12万平方キロメートルの範囲で行われてきましたが年内には作業が終わる予定です。これについてマレーシアとオーストラリア、中国の3か国は、22日、マレーシアで記者会見を開き、現在の捜索の終了とともにすべての捜索活動を停止すると発表しました。その後、新たな手がかりが見つかれば捜索を再開するとしていますが、捜索は年内にも事実上、打ち切られる見通しとなりました。
マレーシアのリャオ運輸相は、記者会見で「最善の努力を重ねたが機体が見つかる可能性は低くなってきている」と述べて、今後の機体の発見について厳しい見通しを示しました。
夫が乗員として機体に乗っていた女性は、NHKの取材に対して「捜索をなぜ停止しないといけないのか理解できない。見つかるまで続けてもらいたい」と話していました。
「これまで報じられていなかった6月16日と7月12日の空爆は、ロシアが米国に対しシリア領空内でより緊密に協力するよう圧力をかけるために実施したものだった」
「米国がロシアからの圧力を拒否した結果、同じ基地に2回目の空爆が行われた」
「一連の攻撃により米国防総省とCIA内ではロシアとの協力に反対する声が強まった。だが軍事的緊張のさらなる高まりを避けたい米ホワイトハウス(White House)と米国務省が妥協を求めた」
このような経緯では、小学校か中学校の不良グループの抗争もしくはいじめっ子といじめられ子のやり取りとしか言いようがない。
書かれているロシアへの対応が戦後世界の覇権国家米国のものであれば、米国の威信は間違いなく地に墜ちるであろう。
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ロシア軍戦闘機、シリアの米英軍基地を爆撃か、米WSJ報道
AFP=時事 7月22日(金)22時19分配信
【AFP=時事】米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は22日、ロシア軍機が先月、シリアにある米軍と英軍の精鋭部隊が使用する基地と、米中央情報局(CIA)の関連施設を爆撃したと伝えた。
WSJが米当局高官の話として伝えたところによると、これまで報じられていなかった6月16日と7月12日の空爆は、ロシアが米国に対しシリア領空内でより緊密に協力するよう圧力をかけるために実施したものだったという。
20人規模の英軍特殊部隊は6月16日の爆撃の前日、ヨルダンとの国境沿いのアトタンフ(At-Tanf)から約16キロにあるこの駐屯地を退去していた。米当局高官と反体制派勢力の司令官らによると、爆撃にはクラスター爆弾が使用された。米国がロシアからの圧力を拒否した結果、同じ基地に2回目の空爆が行われたという。
またその約3週間後の7月12日、ロシア軍機は、アトタンフの西約80キロにある、CIAが支援する戦闘員らの家族が利用する反体制派の拠点を爆撃した。
米軍や情報機関の高官らによると、一連の攻撃により米国防総省とCIA内ではロシアとの協力に反対する声が強まった。だが軍事的緊張のさらなる高まりを避けたい米ホワイトハウス(White House)と米国務省が妥協を求めたという。【翻訳編集】 AFPBB News
最終更新:7月23日(土)2時26分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160722-00000042-jij_afp-int
※ネタ元
「【速報】高須クリニックの高須院長が鳥越俊太郎を認知症と判断」
腹BLACK 2016年7月19日
http://netgeek.biz/archives/78809
高須院長は「新安保法制」いいぞいけいけというヒトだから、たぶん鳥越氏のような考え方は嫌いだろう。
それはそれで思想の自由だからいいのだが、選挙期間中に、医者でありながら、診断さえしないで、特定の候補者が認知症を患っているかのように思わせるツイートを発するのは、公職選挙法148条1項但書で禁止されている「虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害する行為」に相当する可能性が高い。
今回の都知事選が完全にイメージ選挙の様相を呈しているから言うわけではないが、仮に鳥越氏が実際“軽い”認知症を患っているとしても、診断さえ行わずに、都知事はムリだというイメージを醸成する言動は法的にアウトである。
また、「自分がボケてる」という鳥越氏の発言をもって「認知症」(本当のボケ)と結びつけるような話も流布しているようだが、それは、公職選挙違反ではないが、錯誤もしくは“ためにする言いがかり”である。
「鳥越俊太郎さんが6年前に「自分がボケてる」と認めていた!? テレビ朝日の公式動画が話題に」(ガジェット通信)
DATE:2016.07.19 12:30 BY:Taka
http://getnews.jp/archives/1492867
[引用]
「鳥越俊太郎のひと言 「老人力」に思う(10/05/25)
https://www.youtube.com/watch?v=khjafWmgWY0[リンク]
という動画では、赤瀬川源平さんの著書「老人力」について話しており、当時70歳。DVDを買って帰宅するとすでに棚にあるということが何回もあり、せっかく買ったから観るかと観たところ全然覚えていないから楽しめる、と前向きに語る。
これは完全にボケだ。ボケたな俺も。やっぱり記憶力落ちたなあと思うんだよ
などと話す内容が文章に書き起こされ、動画と一緒に拡散されている最中のようである。」
これは、若い人にもある物忘れであって、認知症的な意味でのボケではない。
確かに、加齢とともに記憶を引き出す力が衰えるから、年齢とともに鳥越氏が語っているような出来事が増えてくる。
私は昔から同じ映画を二度は見ないと言ってきたが、付き合いでやむなく二度目で見たとき、「えっ、大まかな話は覚えているけど、細かいところはあんまり覚えていない」ということに気づき、二度目もけっこう楽しめた経験がある。
[引用]
「記者会見では
私は昭和15年の生まれです。終戦の時20歳でした。
と語ったり、街頭演説を早めに切り上げたりと、話の内容の整合性や健康面など何かと不安視されている鳥越さん。6年前の時点で「ボケた」「記憶力落ちた」と自ら認めている動画は、今後波紋を呼びそうである。」
私も会見を聴いていて、「あれ変なことを言っているな。鳥越も年だな」と思ったが、そのあとすぐ「翌昭和21年に小学校に入学した」と続けたので、まだ大丈夫と思った。
鳥越氏はBSの“癌番組”には出演しているようだが、政治家経験がないまま都知事に立候補するのだから、立候補にあたり話そうと思っていることがいっぱいあり、頭の中で錯綜することもあるだろう。
勝手な推測だが、20歳のときに岸政権の安保条約改定騒動があったから、頭の中にそのことを話そうと思っていたので、“20歳”という言葉が出たのかもしれない。(実際にそのあと安保闘争の話をしている)
確かに、話すテンポや話の切れは悪くなっているが、鳥越氏が、安倍政権は良い政権とか(私のように安倍首相はリベラルだとか)言わない限り、都知事職に支障があるような認知症は患っていないと言える。
しかし、民進党及び野党系候補は、山尾政調会長が応援演説に行くのなら得票アップにつながると思うが、あの岡田代表が行っても、プラマイの結果、得票増減どっちになるか微妙だと思う。
投開票に不正があったかどうかはわからないが、今回の参議院選挙は出来レースの匂いが漂う。
まず、岡田民進党が消費税増税の延期を先に言い出すことで、選挙の争点からは消えてしまった。そのうえ、消費税増税延期で不足する社会保障財源として赤字国債を発行するという“愚かな”政策まで打ち出した。
そのとき私は、「民進 岡田代表 自民参院選公約は財源が不明確:書生レベルの岡田民進党では自民党に立ち向かうのは困難」( http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/233.html )
という投稿で、
「中学校の学級委員がふさわしいヒトのように思える民進党岡田代表は、野党なのに、財源論で自民党の公約を批判している。その一方で、民進党は、消費税の税率引き上げを実施するまで赤字国債を発行し先行的に社会保障の充実を図るという政策を打ち出している。
岡田代表の思いは、赤字国債を発行しなければ社会保障の充実策の財源はないはずなのだから、赤字国債依存を語らないまま社会保障の充実を公約に掲げる自民党は卑怯だということだろう。
しかし、日本の財政は、97年4月消費税増税で景気と“税収”が落ち込んだ98年以降、リーマンショック直前(米欧がバブル)の2年間(06年・07年)を除き、30兆円を超える額で国債を発行し続けている。
財政における国債依存度も、98年以降、06年33.7%と07年31.0%を除き、35%を超えている。
それだけの“放漫財政”を続けても、悪性インフレになるどころか、デフレ基調からさえ完全に脱却できていないのである。
言いたいのは、2兆円程度の社会保障充実策を実施するという政治課題で、財源はどうする、赤字国債を発行するのかしないのかという議論自体が、“虚しい”というかバカバカしい状況にあるということだ。
北海道や九州そして北陸などの新幹線全通を前倒しにするとか、リニア新幹線も大阪まで急ぐといった議論が出ていることを考えれば、社会保障制度の充実が、財源で阻害されているわけでなく、消費税増税を進めるための“人質”というか道具になっていることは明白であろう。
岡田代表は、消費税増税を経済政策として活用したいがそうは言えず社会保障制度に結びつけている政治的デマに沿って説明を行っているのである。
自民党の“やり口”は、消費税の税率を10%に上げることを条件に打ち出している社会保障の充実には赤字国債は発行しないが、公共事業など他の費目の歳出額を減じて緊急の社会保障政策に回し、減らした費目は、景気対策(アベノミクスのフル稼働)を名目に赤字国債を発行してでも補正予算を組んで対応するというものである。
口先だけのゴマカシだが、そういうインチキな手法で、財政健全を考慮していると思わせている汚い政治勢力なのである」
そして、勝利した参議院選挙後に、安倍政権は、事業規模で20兆円の補正予算を打ち出し、不足する財源1兆円については「建設国債」でまかなうという考え方を示している。
※参照記事
「イオン社長「アジア物流、極力1社と」 日本郵政と連携で:三重選挙区に限らず岡田民進党をボロ負けにはできなかった?」
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/820.html
「同日選やれば良かった?:大平元首相の墓参で古賀誠元幹事長:震災もあるが消費税増税延期を切り出した民進党岡田代表に塩」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/667.html
「日本はもっと活力のない国になる、子どもに割くお金はない:それはウソ、社会保障財源を消費税増税の人質にしているだけ」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/234.html
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[風見鶏]自民「足止め作戦」始末記
民進党の岡田克也代表が自身のお膝元で現職の議席を死守できるか。先週の参院選でメディアの注目を最も集めたのが三重選挙区だ。取材に行くたびに、他社の政治記者とあちこちで出くわした。
それらの報道のほとんどは「本丸攻防戦」という筋立てになっていた。自民の候補は女性。2009年の衆院選で、森喜朗元首相ら自民党の大物に若い女性新人をぶつけ、“GIANT KILLING”を狙った民主党の戦略と同一視したのだろう。
今回の参院選はもともと与党優勢だった。三重でも勝っていれば完膚なきまでにたたきのめした印象になっていたに違いない。
だが、自民党のそもそもの戦略はそうではなかった。選挙対策委員長の茂木敏充氏は若い頃、ハーバード大の行政大学院(ケネディ・スクール)で学んだ。周囲の米国人はいずれ政界に打って出ようという連中。選挙のノウハウを巡り、よく意見交換した。
そのころ知った戦略のひとつが“BINDING & HOLDING”である。敵党の中心人物の選挙区に集中攻勢をかけ、防戦一方にさせることで、他の選挙区の応援に遠出するいとまを与えない。いわば「足止め作戦」である。
岡田氏は選挙中、三重に5回戻った。最後の木金土は3日間連続だ。民進党の数少ない看板議員のひとりである山尾志桜里政調会長も三重入りした。安倍晋三首相はいちばん多く行った選挙区でも3回止まり。自民党は三重で勝てなかったが、所期の目的は十分果たしたといってよい。
もちろん三重は捨て石と思っていたわけではない。「途中から勝てるかもというところまでいった」(茂木氏)。その結果、戦い方が難しくなった。
ここ何回かの国政選挙では自公支持が多かった無党派層がいまはむしろ民共に向いている。低投票率ほど与党に有利である。勝ちたいが、選挙戦を盛り上げ過ぎてもいけない。
「だから終盤戦は安倍首相を三重に入れなかった」(同)。首相が最終日、すでに勝敗が決していた感があった東京で遊説したのは、比例票の底上げに重点があったのだろう。
それにしても、与党の序盤から中盤にかけての三重への肩入れは壮観だった。写真に登場した以外にも麻生太郎副総理・財務相や岸田文雄外相、公明党の山口那津男代表らが参戦。地方行脚慣れしている石破茂地方創生相が「小泉進次郎(自民党農林部会長)と同じ日に同じ選挙区を回ったのは初めて」と驚いた集中投下だった。小泉氏は候補者と、石破氏は候補者の弟と一緒に遊説した。
岡田氏はどう反撃したのか。「三重で負けたら次の代表選には出ない」発言は大きく報じられた。どこで言ったのかまでご存じか。写真の岡田氏が指さしている先にあるのは、木村俊夫元外相の記念館である。
岡田氏は26年前、山本幸雄元自治相の地盤を継承して初当選した。その足元を切り崩そうと、自民党は今回、山本氏の孫を擁立した。そこで中選挙区時代に山本氏のライバルだった木村氏の支持者に逆切り込みをかけたのだ。「外相の先輩である木村先生……」と。
選挙戦の最終日、自民党の応援弁士は茂木氏自身だった。雨にぬれながら必死に叫ぶが、通りがかりの人の足は止まらない。
自民党の女性候補は山本氏の孫といっても滋賀県の出身である。思わずこんな言葉が出た。「出馬表明からの半年、本当にお世話になりました。初めての土地、初めて会う人……」。ああ、それは禁句。
(編集委員 大石格)
[日経新聞7月17日朝刊P.2]
第一声の大半を構成している鳥越氏の「納税者論」は好きではありませんが、現状の日本では、戦後民主主義的雰囲気で楽しく歳を重ね、それを大事なものと考えるヒトが地方自体の長に据わるのが望ましいと思うので鳥越氏を支持しています。
奇妙な言い方ですが、政策レベルで鳥越氏を支持しているわけではありません。さらに言えば、リベラリズムは好きではないので、価値観的にも支持してはいません。
地方自体の政策(歳出レベル)は、短中期で言えば、9割超が固定化(国策にも規定)されており、1割弱について首長及び議会の意向が反映されるものです。
オリンピックやパラリンピックもこの期に及んではやるほかないので、都としては“過剰支出”に目を光らせ(中央政府が出す分はいいが)、なかなかよかったと評価して貰えるイベントにしなければならない。
むろん、ディーゼル燃料トラックの乗り入れ規制や分煙規制強化など予算措置がほとんど必要ない政策も実施できます。
鳥越氏は、1億円の余裕財源があり、それを建設会社と低所得者のどちらに向けるのがいいか判断しなければならないとき、「低所得者だ!」というヒトだと思い支持しています。
念のため、中央政府は、「建設会社だ!」というヒトがトップであるほうがいい場合がけっこうあります。
そのような地方政府と中央政府の立ち位置の違い、二つの統治主体が違う方向性を持ちながらうまく調和することで、多数派国民にとってよりましな日本になると思っています。
※関連参照投稿
「250万票超をめざし戦後リベラル派鳥越氏と自由主義保守派小池さんの一騎打ち:政党の推薦や支持は決め手にあらず」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/397.html
「鳥越俊太郎 周囲がベタ褒めする「結婚47年目箱入り妻」の度量:「女性自身」と「週刊文春」、どちらを読む女性が多いのかな?」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/852.html
「高須クリニック院長が鳥越氏を認知症とツイートしたのは公職選挙法違反:安倍政権支持と言わない限り大丈夫(笑)
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/899.html
◎勝手に主要と判断した3候補の第一声全文は、NHKオンラインの「東京都知事選 6候補第一声全文」より転載させていただきました。
NHKオンライン「東京都知事選 6候補第一声全文」
http://www3.nhk.or.jp/news/special/tochiji-senkyo/ichiran.html?utm_int=news_contents_news-closeup_003
※三人の他に、山口 敏夫氏・上杉 隆氏・中川 暢三氏の第一声全文が読めます。
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ニュース特設 東京都知事選 第一声全文
鳥越俊太郎 候補(無・新)
皆さん、この暑いなか、お集まりいただきましてありがとうございます。今回、都知事選に立候補させていただきました鳥越俊太郎です。鳥越俊太郎です。2度言いました。お分かりいただいていると思いますが、今回はさまざまな支援団体や、都民の皆さんからのご支援を受けて、出ることを決断いたしました。
まあ少し、出馬決断に至る経緯をこの際ですから申し上げておきますと、私はかねがねいちばん大事に思っているのは、日本の社会は、近代市民社会というのは、私たちの自由なこの近代市民社会というのは、いちばん何が大事か、国民都民一人一人が汗水流して垂らして働いて、そして得た報酬の中から給料の中から、税金というかたちで都の運営、都議会の運営のために、お金を税金というかたちで出しております。で、この税金が果たしてちゃんと使われているかどうかということを、実はあまり出したほうも、それから受け取ったほうもあんまり意識していない。これは日本全体の、そして東京都もそうですけど、そういうちょっと納税者意識という点でいうと希薄なところがあります。その典型的な例が舛添さんの問題ではなかったんでしょうか。舛添さんはもし私たち、皆さん方一人一人がちょっと痛い思い、つらい思いをしながら財布の中から税金を納めた。その税金を、その税金1つ1つと、税金を全体としては何十億、何千億というお金ですけど、その1つ1つはみんな都民一人一人の汗と努力の結晶じゃないですか。それを舛添さんは使うときに、海外出張のときに軽々と何も考慮することもなく、ファーストクラスで行きました、これいいですか? こんなことでは税金を払ってる側で許せますか? 許せない。ホテルでは何万円もするスイートルームに何日も泊まって、税金をどんどんむだ遣いしている。
つまりここには舛添さんの問題というのは、実は、私たちの税金をどれだけちゃんと正しく受け止めて使っているかという、こういう問題が横たわっている。そのことが今回の選挙の大前提ですよ。いいですか、この大前提を皆さん、忘れないでください。私たちが選挙の投票に行く。参議院選挙、この間ありました。参議院選挙のときに、残念ながら投票率はいまひとつでしたけど、ああいうときに皆さんが投票に行く、投票所に行くときのモチベーションは何ですか? 動機は何ですか?
政治参加という言葉があります。政治参加というのはね、きれい事ではないんです。実は自分たちが税金を出して、みんな東京を、参議院の場合は参議院、東京都知事の場合は都知事、東京都議会の場合は東京議員に対していろんな仕事を委託しているわけですよね。この税金を使って東京都をちゃんとやってくださいよ、というふうにお願いをしている。ところがそれを受け取ったほうが全くそういう皆さんの気持ちを受け取っていなくて、かなりいい加減に使っている。この問題が、今日、都知事選をやらなければならなくなった出発点です。この出発点を皆さん忘れないでいてください、いつまでも。
納税者意識というのは、私たちも必要なんです。それから、それを受け取って、仕事をする都知事や都議会の皆さんや、議会と行政の皆さん方がちゃんと考えなきゃいけない。だけどそれが希薄になっている。その問題は私はずっと考えていまして、このままではダメだろうということで、私もそんなに簡単に、私は1965年、昭和40年から、新聞記者となり報道の現場をずっと歩いてきた人間です。したがって、こういう選挙という、いわば当事者ですね、インサイダーと言いますけど、インサイダーになる気はなかったんです。私はずっと常にアウトサイダーとして、事実は何なのか、真実は何なのかを見極めて、それを皆さんにお知らせしたいということで仕事をしてまいりました。けれど今回はもうアウトサイダーを気取っているだけでお前いいのか、という気持ちが私のなかに芽生えました。そして、このままではやはり、自分が人生の最期を迎えるときに後悔をするんではないか。悔いのないように生きたいということで、都知事選への出馬を決意しました。
したがってこれは、どっかの団体、政党からぜひ出てくれという、打診を受けて出たわけではありません。私は自分の意志で決めたんです。そのことを皆さん、ぜひ分かっていただきたい。それくらい、私のなかに東京都政の、もっと東京都政を一部の人のものではなくて、東京都民みんなに都政を取り戻す。ここにいる皆さんが手に掲げているプラカード持ってらっしゃる。もう一回上げてください。「みんなに都政を取り戻す」、その気持ちを私は強く思って、なんとかしてこれは、都知事選挙に出てみようという決断して、いろんな団体、政党等の支援を受けるというかたちに結果的にはなりました。皆さん方の熱いお心遣い、そしてご支援の気持ちということには、深く深く感謝をしております。
そして、ここにいらっしゃる方、皆さん方のようにおそらく、おそらくですよ、おそらく私を……支援してくれますよね?支援してくれる皆さん方、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。できるだけ皆さんの期待に応えるように頑張っていきたいと思いますが、私は先ほど申し上げましたように、報道現場をずっと51年間、歩いてまいりました。その間、管理職というような人の上に立つような仕事はしていません。常に地面をはって、事実は何か、真実は何かということを、掴み取り嗅ぎ分けて、そしてそれを皆さんにお伝えする仕事をしてきました。したがって、今回もですね、都知事に立候補するにあたって、やはり東京都で今何が問題になっているのかということをきっちりと自分なりに見極めて、そしてそれを変えていく。みんなに都政を取り戻すような、新しい都政を作っていく。そういう仕事をしたいなと思っております。それは私の報道現場一筋という仕事からしても、いちばん私は、私にふさわしい仕事であろう、私に課せられた仕事であろうというふうに思っております。
ここで私は、3つの大きな枠組みで、3つの話をしたいと思います。私はスローガンとして、「住んでよし、働いてよし、環境によし」という、この3つの「よし」という東京都を実現していきたいなと思っております。
「住んでよし」というのは、東京都というのは大変可能性を秘めた、そして、さまざまないろんな方が住んでらっしゃる。いろんな能力を持ち、そして同時にいろんな問題も抱えて、困窮のなかにある方、差別のなかにある方、さまざまな方がいらっしゃいます。こういう人たちにとって、東京都は実はちゃんと、行政が、ちゃんと手を加えていけば、本当はいちばん、全国でもいちばん住みやすい街である、というその希望の街である。そういうふうに思っております。
昨日、実は、立候補を表明しておられました宇都宮さんと話をしました。1時間弱でしたけれども話をしました。そして、お互いに率直に心の内、胸の内を打ち明けて話をしました。最後に雑談のなかでね、宇都宮さんがチラシに使ってあるキャッチコピーというのがあるんですが、それをお互いに見てまして、宇都宮さんの側近の方が「このキャッチコピーいいでしょう?」みたいな話があって。僕がそれを見て、これいいな、ということで、もしそういう事態、というのは、宇都宮さんがもし出馬を取りやめるようなことがあったら、という前提ですけども、そういうことがあったときには、このコピーはちょっと使わせてもらっていいですかと。どういうコピーかといいますと「困ったを希望に変える東京へ」。これはね、なかなかいいキャッチコピーなんですね。困った、つまり住んでても困ったってことがいっぱいある。その困ったを希望に変えていく。そういう東京でありたいという、これはなかなか僕もこれは名文句である、名キャッチコピーであると思いまして、使わせてもらえれば、使わせていただいていいですかと。そしたら、宇都宮さんサイドも、ああいいですよと、いうことで、これから出てくるチラシなどには、そのキャッチコピーが出ていると思います。
まさにそれなんです。「住んでよし」と言いましたけど、実は住んでていろんな問題を私たち東京都民は抱えているんです。先ほど言いましたように、第一の問題としては、格差の問題があります。必ずしもみんなが豊かではない。貧困率は、一定程度東京都も貧困の中にあります。みんながお金持ちであるわけではない。ほどほどの生活をして苦しいなかで生活をやりくりしている。でも、生きているんです。人間ですから。やっぱり、住んでいい、というようになりたいじゃないですか。そういう「住んでよし」という街に、なんとかして私がもし、都知事に選ばれることがあれば、東京に住んでよかったなぁ、というふうな街に絶対に変えてみせます。いかがですか。はい、これが「住んでよし」。
それから2番目。「働いてよし」。これは皆さん東京都民の皆さんはいろんなかたちで働きながら、仕事をしながら生活をしてらっしゃいます。しかし仕事の中で、先ほど申し上げましたように、必ずしも給料が十分ではない。最近は本当にどんどん、安倍政権の下で格差が生まれています。非正規の仕事をしている人たちは、今全国平均で4割になっていますよね。東京だって変わりない。非正規の人たちがどんどん増えている。非正規が多くなったということは、一人一人の収入がそれだけ下がっているということなんです。それをですね、やっぱり考えて、変えていかなきゃいけない。そういうさまざまな、働いてもちゃんと「働いてよし」というふうに思える東京都。そういうものをぜひ、皆さんと一緒に、僕は皆さんの声を聞きながら、1つ1つ、だから皆さん、全部、もし私が東京都知事になったら、黙ってないで、こういう問題あるよ、これ聞いてくれ、っていうね、そういう声を聞かせてください。私の最大の長所は聞く耳を持っているということなんです。皆さんの声に傾ける。おそらく舛添さんは持っていなかった。猪瀬さんも持ってなかった。石原慎太郎さんはもっと持ってなかった。ここでもし、皆さんのご期待に添えて当選することができれば、初めて東京都民に耳を傾ける知事が出てくると思ってください。
そして3番目。「環境によし」。環境によしというのは、東京都がですね、非常に住んで環境にもやさしい東京である。緑が多くて、できたら緑の中で非常にゆったりと暮らしていける。すばらしい環境に、それから環境にもいいということですから、東京都が環境を傷めつけて、環境をいろいろ悪化させていくような状況では困る。そういうことも考えたいと思います。
いずれにしろ、私はきょう、第一声をここで上げたわけですから、これから30日間の、30日じゃない2週間の選挙戦に入ります。ぜひこれからは皆さんと共に、私は皆さんの側に立って戦います。ぜひ、皆さんのご協力を必要とします。どうですか、皆さん。一緒に新しい東京を作っていこうではありませんか。新しい東京をみんなで取り戻しましょう。皆さん、また、どこかでお会いすると思いますけど、ちょっと暑いんでね、熱中症も心配されますので、全部身体のケアを忘れなくやってください。それでは私の第一声はこれにて終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
http://www3.nhk.or.jp/news/special/tochiji-senkyo/article04.html
ニュース特設 東京都知事選 第一声全文
増田寛也 候補(無・新)
都知事選挙に立候補いたしました、増田寛也であります。都政の混乱に終止符を打たなければなりません。今、都政には課題が山積をしている。私は、まず都が抱える3つの不安の解消に努めます。
1つ目の不安。子育てに対する不安であります。待機児童8000人。実際にはもっと多い。大変お困りの親御さんたちがいっぱいいらっしゃる。私は、知事就任して1か月以内に待機児童解消の地域別のプログラムを作ります。国や地元、区市町村と連携をして、このプログラムを確実に実行していく。必要なら、おそらく予算も足りないでしょう。補正予算をつぎ込んでも、この待機児童の解消に努めてまいります。
2つ目、高齢化に対する不安の解消。10年以内に50万人の75歳以上の方が増えます。大変皆さん、不安に思っておられます。こうした高齢化に対しての対応をきちんと進めてまいります。
3つ目、災害に対する不安の解消。首都直下地震、いつ起こるかも分からない。最悪の場合には61万戸の家屋が焼失、倒壊すると言われております。政府の首都直下地震対策検討ワーキングの、私は責任者として、この対策の樹立に努めてまいりました。災害に強い東京にする。ハード面でもソフト面でも、こうしたビルのロビーを帰宅困難者に開放させる。こうしたソフト面の対策も強力に進めてまいります。
3つの大きな不安の解消とともに、一方で、2020年のオリンピック・パラリンピック、この準備が今遅れています。世界に確実に喜びや感動をお届けしなければなりません。チャレンジドの方、ボランティアの方、皆さん方に参加をして、喜びを全世界にお届けしたい。このオリンピック・パラリンピックの準備を急ぎます。都民の負担を最小限に、そして大変すばらしい夢のあるオリンピック・パラリンピックの実現に努めます。
東京には世界中から大勢の観光客の人たちが来る。今、年間1200万人、日本に立ち寄られる外国人観光客の60%はここの東京に来るんです。おもてなしをもっとよくしていく。カードの利便性を高める。そうすればまだまだ増えます。東京だけじゃなくて、そうした人たちが地方に向くような、そういうやり方をすれば、東京も地方も、そして海外から来た人たちも大変満足度が高まります。産業、中小企業、99%の中小企業の人たちのお話に丁寧に耳を傾けて、こうした皆さん方の力をもっともっと伸ばしていかなければなりません。
働き方の改革も大事です。働く現場で汗を流している皆さん方、そうした一人一人の皆様方にしっかりと耳を傾ける。女性の活躍も大変重要です。子育ての不安から解消する。女性が社会でもっともっと活躍できるようにしていく。都庁の中でも私はすぐに、幹部職員にどんどん女性を登用して、女性の意見を都庁の政策の中にしっかりと反映をさせていきたいと思います。
そして最後に、2020年以降の東京のしっかりとしたグランドデザインを描くこと。オリンピックは1つの通過点。その後の東京にオリンピック・パラリンピックのエネルギーをどのように伝えていくのか。自然エネルギーをもっと活用して循環型社会、環境都市に東京を切り替えていく。交通体系を整備をする。まだまだ、やるべきことがいっぱいあります。
私は知事になるのが、知事になることが目的ではありません。知事になって何をするのか、知事になって都民の皆様方に何をお返しできるのか。これを本当に真剣に考えてまいりました。人口問題しかり、東京の抱えている問題を外から見ることによって、東京の処方箋をしっかりと描いてまいります。
東京生まれ、東京育ち、私はふるさとが東京であります。外から見て、東京のいいところ、そしてこれから変えなければいけないことを、そうしたことをずっと見てまいりました。今度は、そういったことを実行する、その責任者として私の使命感として、確実にこれを実行してまいります。そして、都民の皆様方に、お約束したことをお返しをすることによって、世界一の東京を築いていきたい。どうぞ皆様方、17日間という短い選挙期間でありますが、この私に、ご支援をたまわりますように、心からお願い申し上げまして、第一声のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
http://www3.nhk.or.jp/news/special/tochiji-senkyo/article05.html
ニュース特設 東京都知事選 第一声全文
小池百合子 候補(無・新)
皆さん、おはようございます。出陣のときがやってまいりました。本日、東京都知事選挙の候補者として立候補しております、小池百合子でございます。よろしくお願いを申し上げます。立候補にともないまして、これまで参議院、衆議院、24年間働いてまいりました、国政を離れることになり、まさしく一人の人間として、組織、そして何らかのしがらみ、それを超えて、この都知事選にこれからまい進をしていくところでございます。よろしくお願いを申し上げます。
4年間に3人の知事が変わり、さまざまな問題が起こりました。こういった都政で、そのまま続いて、2020年東京オリンピック・パラリンピックを迎えるわけでございますが、ここは今だからこそ、この東京を大改革し、そして未来の東京を都民の手で、都民による、都民のための都政へと取り戻していきたい、そういう思いで立候補いたしました。
きょう、この出陣式には、ただいまの高野豊島区長、そして、衆議院議員の若狭勝さんも駆けつけてくださいました。私を応援すると、一族郎党罰するということでございますけれども、しかしそれを乗り越えて、ここは東京を変えねばならぬ、クリーンでクリアにしなければならない、そんな思いで私を応援しようと駆けつけてくださった、その覚悟と信念には心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。
また、東京10区において、私をお支えいただいた皆さま方にも、きょうこの場に多数お越しいただいております。やっぱり小池、この都政で立て、そういう思いで暑いなかご参加いただいていること、改めて感謝を申し上げます。組織のバックアップがございませんと、さまざまな課題がございます。目の前の現実的な問題、たとえば卑近な例で言うとポスターを貼るなどということもなかなか容易ではございません。東京都内に1万2000か所以上あります。これまでは区議団の皆さん、都議の皆さんが一斉にわっとやってくださいましたが、今回は私と共にこの東京を変えねばという思いで、豊島区議団の覚悟を決めた仲間が、私をサポートしてくれている。それに加えて「拾う神」も出てくるんですね。ありがたいことに、東京のあちこちから、区議さん、都議さんが、ここは東京を変えていこう、一緒に頑張りましょうという方々が、毎日どんどんあふれてくるように出てきていただいているわけでございます。
改革の同志が、いま各所でポスター貼りをやっていただいているというような状況、私はそれだけにこの戦い、厳しいです。これまで9回選挙をしましたが、これまでの選挙の中でいちばん厳しいです。1350万人のこの大東京、そして年間予算は13兆円。一国の予算に匹敵をいたします。都庁の職員は17万人でございます。こういった大きな東京で、たった一人で立ち向かう。しかし、しかし、きょうはこの場にお集まりいただいた皆さん、いえいえ、きょうから始まるこの都知事選で小池を応援してやろうじゃないかという、そんな皆さま方が、あちこちから声を出していただいているわけでございます。私はたった一人ではございません。
私、かつて、幼いころ、バイオリンを習っておりました。下手くそでした。でも私は、第一バイオリンとなって、皆さまのお力を得て、オーケストラにしていきたいんです。そして、東京を大改革してまいります。都政をもっと「見える化」します。透明性を高めます。ガバナンスを明確にします。たった一握りの人がいつどこで何を決めているか分からないような都政を、これをもうやめてまいります。皆さんからのお預かりしている税金、これもどのように使われているのか明確にしなければなりません。そして行政改革、これもむだなところはないのか、チェックをしてまいります。
そして、東京オリンピック・パラリンピックの関連予算もしっかりと見ていこうではありませんか。いつ、誰が、どこで何を決めているか分からないうちに、2兆円だ、3兆円だ、お豆腐屋さんじゃないんですよ。もっと明確にし、都民の皆さん一人一人が納得し、よしやろうというからこそ、真の東京オリンピック・パラリンピックの成功があると思うんですが、皆さんいかがでしょうか?
東京の長期ビジョン、さまざまな課題がございます。ひと言で言うと、この東京、これを特区全体と考えますと、女性の問題、介護の問題、教育、そして私が考えております「スマート・シティ」、金融ですね、経済ですね、これらをもっと活性化できる。東京を特区として考えますと、このアベノミクスのまだもたついている部分を、東京でそれを先に実現することによって日本全体を引っ張っていきたい。私はそう思っておるんです。
東京大改革を進めるにあたって、私は3つの新しい東京づくり、これを提唱いたしております。最初が「ダイバー・シティ」です。英語だとちょっとスペルは違いますけれども、ひと言で言うと、女性も、男性も、子どもさんも、お年寄りも、障害を持った方も、誰にとっても住みやすい、いきいきと暮らせる、そんな街、東京を実現したい。これがダイバーシティでございます。
子育てなのか、仕事なのか、思い悩んでどっちかを選ばなければならない?そんなことをやっているのはこの日本だけですよ。そして、子どもさんを預かるところがなかなかなくて、「日本死ね」なんてことばが言われております。そんな育児に関する課題、私は女性の観点から、ぜひ働く女性も子育てをしっかりやりたい女性も、そして子育てで頑張りたい保育士さんも、みんなが納得し、安心できるような、そんな東京にしていきたいと思っております。
また介護の問題もございます。私も母を自宅で看取りました。そのときに活用したのが、地域包括ケアシステム。もっともっと、さまざまな観点から磨きをかける必要があると思っております。そして予防医療も進める、さらには東京オリンピック・パラリンピックを前に、受動喫煙問題だって出てるではありませんか。人々の、皆さんの健康を守る、それを後押しする、そんな東京都である。さらにはそれをもっと頼れる東京都にしていきたいと思っております。
介護、育児、そのためには場所が必要です。それは、都が有しているさまざまな遊休地を活用する。先日も市ヶ谷の学校、これが韓国人の学校に変わるという話を聞き、現場を見てまいりました。いい場所です。そこにはむしろ、育児、子どもの子育ての分野と、高齢者向けの施設と、両方ハイブリッドにしていくというように、地域のニーズに応えることを優先させていただきたいと思っております。
ついでに申し上げますと、私は、地方参政権の外国人への地方参政権には反対をいたしております。地方だからいいと思っているのは、これは大間違いです。与那国島、国境の島、あそこは1700名ほどの人口です。たった100票くらいで当選するんです、町会議員さんが。何らかの意図を持った人たちがどーっと押しかけてきたら、一体どうなりますか。地方自治だからといって、外国人参政権をむやみに与えるのは私は反対でございます。また、秩序なき移民、これは私は反対をいたしております。高度な人材には、日本にぜひ来ていただきたい。しかしながら、ただただウヤムヤのなかでどんどんと外国の労働者が増えていくということは、これは治安の関係からも、大いに問題だとこのように思っております。「ダイバー・シティ」、一人一人が持つ、その力を活かせる東京にしてまいりたい、この思いでいっぱいでございます。
2つ目、これは「セーフ・シティ」。セーフ、安全ということですね。テロの問題もございます、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのときも、安心・安全でなければなりません。そして何よりも、首都直下型地震、いつ起こってもおかしくない、こんな状況でございます。「木密地域」を、これをより安全な街に変えていきます。かねてから申し上げている無電柱化、これは景観の問題だけではありません。無電柱化によって、歩ける場所、通行する場所、安全な通行を、これを確保していく。そして、いざとなったときにバタンと倒れてしまう電柱。これは救助の手を妨げてしまうわけでございますので、だからこそ、私は無電柱、無電柱とずっと言って参った次第でございます。さらには、あの災害のときにはですね、水が出ない、お湯が出ない、思いもかけないことがいっぱい起こるんです。子どものため、乳児のための液体ミルクなどについても、日本で製造できるようにしたい。そんな細やかな心遣いが、都民の皆さまがたの心をつかんで、ああ東京でよかった、そして東京でもっと元気で働きたい、子育てをしたいという方がもっと増えてくる。私はこのように思うわけでございます。
そしてまた、高齢者の方、元気です。障害を持った方々にも、もっと働き場を考えましょう。ソーシャルファームを作ってまいります。私はこのように、一人一人に目配りをした、大胆かつ細やかな、そんな都政を進めてまいりたいと考えております。
最後に、これからの東京、ますます日本経済の成長のエンジンとして、そして、国際的な地位を考えますと、ずーっとこのところ低下してきた。それをもう一度引っ張りあげたいと、このように思っています。そのためにも、中小企業、中堅企業に対しての事業承継、そしてそれを支援する。そんな対応もしていきたいと思っております。
山程あります。こんな暑いなかで私が最後まで政策を申し上げると、大切な有権者がバテてしまいます。どうぞ私のホームページなどで、ぜひ皆さん……ありがとうございます、大塚音楽祭、頑張りましょう。地域の皆さんが頑張ってこそ、東京盛り上がります。それぞれの地域、いろんなカラーがあります。町会、そして商店街、地域を支える動脈であり静脈であります。もっと活性化してまいりましょう。私が先頭に立てば、皆さんがよし一緒にやるぞと、そんな気持ちになるような政策とそして実行、それをこの選挙戦中に皆さま方にお示しをし、たった1人で始める、第一バイオリンから、皆さま方がいろんな楽器を持ち寄って、ぜひ大きなオーケストラにしてまいりましょう。皆さま方のお支えが頼りでございます。どうぞ、どうぞ、よろしく申し上げまして、第一声とさせていただきます。ありがとうございます。
http://www3.nhk.or.jp/news/special/tochiji-senkyo/article11.html
ドイツ南部の都市、ミュンヘンで22日に起きた発砲事件では、これまでに9人が死亡し、警察は現場近くで自殺しているのが見つかった18歳のイラン系の男による犯行とみて、動機や背後関係の捜査を進めています。
ミュンヘンで22日夜(日本時間の23日未明)、市の北西部にある商業施設の周辺で男が銃を発砲し、警察によりますと、これまでに9人が死亡し、16人がけがをしました。警察は当初、けが人は21人と発表していましたが、その後、16人と訂正しました。
ミュンヘンの警察は23日、記者会見し、現場近くで自殺しているのが見つかった地元に住む18歳のイラン系の男が事件に関わっていたとみて、捜査していることを明らかにしました。男は治安当局の監視対象にはなっていない人物だったといういことで、警察は男がイスラム過激派組織と関係があったのかどうかなど、犯行の動機や背後関係について慎重に捜査を進める方針です。
現場の商業施設はミュンヘンの住宅地にある市内で最大級のショッピングモールで、事件当時は週末の買い物客などが大勢訪れていたということです。
ミュンヘンの日本総領事館によりますと、事件に日本人が巻き込まれたという情報はないということです。
ドイツ南部では、今月18日にも、アフガニスタン出身の17歳の難民の少年が走行中の列車の中で乗客などを襲撃する事件が起き、治安当局が警戒を強めていただけに、新たな事件は衝撃を広げています。
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ドイツの発砲事件 死亡の9人のうち8人が若者[NHK]
7月23日 19時10分
ドイツ南部の都市、ミュンヘンで22日、9人が死亡した発砲事件で、地元の公共放送は亡くなった9人のうち8人が若者だったと伝えていて、警察は、現場近くで自殺したとみられる18歳のイラン系の男の犯行の動機などについて捜査を進めています。
ドイツのミュンヘンで22日夜、日本時間の23日未明、市の北西部にある商業施設の周辺で男が銃を発砲し、これまでに9人が死亡、16人がけがをしました。
ミュンヘンの警察は23日、記者会見し、現場近くで自殺したとみられる地元に住む18歳のイラン系の男による単独の犯行とみて捜査していることを明らかにしました。男は、治安当局の監視対象にはなっておらず、ドイツの大衆紙「ビルト」は、警察が男の住んでいた家を捜索したと伝えています。男は、この家で両親と暮らし、近くの学校に通っていたということで、ビルトは「もの静かな人物だった」などという隣人の話を伝えています。
一方、現場の商業施設はミュンヘンの住宅地にある市内で最大級のショッピングモールで、事件当時、週末の買い物客などが大勢訪れていたということです。
ドイツの公共放送は、犠牲になった9人のうち、8人が14歳から21歳の若者で、12歳の男の子も重体になっていると伝えていて、男が若者を狙った可能性を指摘しています。
これまでの警察の捜査で、イスラム過激派との関連や政治的な背景は見られないということで、警察は犯行の動機などについて捜査を進めています。
男との緊迫のやり取り記録した動画
ツイッターに投稿された動画には、容疑者とみられる男と、近くにいた人との緊迫したやり取りが記録されています。
地元メディアによりますと、この動画は現場となった商業施設の屋上を撮影したものとみられ、屋上を歩いている男の姿が映っています。その直後、近くにいた人が「男は銃を持っている。銃に弾を込めたぞ。警察を呼べ」と大きな声を上げています。そして「いったい何をしているのか」という問いかけに対し、男は「私はドイツ人だ。ここで生まれた」とか、「この近くの地域で生活保護を受けながら育ってきた」などと叫ぶやり取りが記録されています。
その後、近くにいた人が「男は銃を持っているぞ。逃げろ」と大きな声を上げると、銃声のような音が数発聞こえ、近くにいた人たちは「なんということだ、誰か男を撃て」などと叫んでいて緊迫した状況がうかがえます。
イラン外務省 事件を強く非難
ドイツ南部のミュンヘンで起きた発砲事件では18歳のイラン系の男の関与が疑われていて、イラン外務省は23日、この事件について声明を発表し、「何の罪もない、無防備な人々が殺害され、人類の歴史の汚点となった」などと述べ、強く非難するとともに、哀悼の意を示しました。
また、現地のメディアは、容疑者について、ドイツの警察がすでに明らかにしたこと以外に詳しい情報は伝えていません。
首相 弔意のメッセージ送る
今回の発砲事件を受けて、安倍総理大臣は、ドイツのメルケル首相に宛てて、「日本国政府及び日本国民を代表し、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、負傷された方々と、ご家族の皆様に心からお見舞い申し上げます。この困難なときに、日本はドイツと共にあります。ドイツ政府及びドイツ国民の皆様に、強い連帯の意を表明します」とする弔意のメッセージを送りました。
【ウランバートル=永井央紀】中国の李克強首相は15日、モンゴルでのアジア欧州会議(ASEM)首脳会合に合わせてロシアのメドベージェフ首相と会談した。李氏は南シナ海問題をめぐる仲裁裁判の判決について中国政府の立場を説明。メドベージェフ氏は「ロシアは中国の立場を尊重し、直接の当事国が友好的な2国間協議によって問題を解決することを支持する」と伝えた。
中国国営新華社が伝えた。メドベージェフ氏は「域外勢力が干渉し、南シナ海を国際問題にすることに反対する」とも強調。米国や日本の関与をけん制した。両首相は今年後半にロシアで首相会談を開くことでも合意した。李氏は「各分野で協力を深め、国際問題や地域の課題の意思疎通を密にしたい」と連携強化に期待を示した。
[日経新聞7月16日朝刊P.6]
ドイツ南部の都市ミュンヘンで9人が死亡した発砲事件で、地元の警察は発砲後に自殺した18歳のイラン系の男とイスラム過激派組織との関連は見られないとする一方、男が犯行時に300発を超える銃弾を所持していたことを明らかにし、動機や背景をさらに調べています。
ドイツのミュンヘンで22日夜(日本時間23日未明)、市の北西部にある商業施設の周辺で男が銃を発砲し、9人が死亡しました。23日に記者会見したミュンヘンの警察によりますと、犠牲になった9人のうち8人が14歳から20歳までの若者だったということです。
警察は現場近くで自殺した地元出身の18歳のイラン系の男による単独の犯行とみて、捜査しています。男はミュンヘン市内で生まれ、男の自宅を捜索したところ過激派組織IS=イスラミックステートとの関連を示すものは見つからなかったということです。
一方、男の部屋からは過去に市民を無差別に狙って起きた事件に関する記事や本が見つかり、男は犯行時に300発を超える銃弾を所持していたということです。
また、警察は男が何らかの精神的な病気を抱えていたとみられるとしており、犯行の動機や背景について、さらに調べることにしています。
地元警察 男は難民とは無関係
ミュンヘンの発砲事件について、地元の警察などは23日の記者会見で、現場近くで自殺した18歳のイラン系の男は、生まれも育ちもミュンヘンで地元の学校に通っており、去年、ドイツが100万人以上を受け入れた中東などからの難民とは無関係だという見方を示しました。
また、男が警察などの警戒の対象には含まれていなかったことも明らかにしました。
北方領土問題を巡って、政府は来月下旬にロシア側と外務省高官による平和条約締結交渉を行うことにしていて、問題の解決に向けて前進を図ることで9月に予定されている安倍総理大臣とプーチン大統領との首脳会談の環境整備を進めたい考えです。
安倍総理大臣とロシアのプーチン大統領は、ことし5月の首脳会談で北方領土問題を巡って、双方に受け入れ可能な解決策の作成に向けて新たな発想に基づいて交渉を加速していくことで一致しました。
これを受けて、政府は先月、ロシア側と外務省高官による平和条約の締結交渉を行ったのに続き、来月下旬にモスクワで2回目の交渉を行うことになりました。
関係者によりますと、先月の交渉では、日本側が首脳会談での合意を踏まえて、北方領土の将来像を両国が共同で検討していくことを提案したのに対し、ロシア側が「返還が前提の議論であれば、応じられない」などと難色を示したということです。
9月にはロシア極東のウラジオストクで、安倍総理大臣とプーチン大統領の首脳会談が予定されており、政府は来月の交渉で、北方領土問題の解決に向けて前進を図ることで、首脳会談の環境整備を進めたい考えです。
アフガニスタンの首都カブールで、デモに参加する市民を狙った爆弾テロがあり、これまでに61人が死亡し、過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのあるメディアはISによる犯行だと伝えました。
アフガニスタンの首都カブールで23日、市民がデモを行っていたところ、大きな爆発があり、保健省によりますと、これまでに61人が死亡し、207人がけがをしました。
デモの参加者には、アフガニスタンでは少数派でイスラム教シーア派のハザラ人が多く、地元を通る大規模な送電線を建設するよう政府に求めていました。
事件のあと、ISとつながりのある「アマーク通信」は「ISの戦士2人がカブールでシーア派の集まりを狙って、身に付けた爆発物を爆発させた」と伝えました。
アフガニスタンでは、この1年ほどISの地域組織が隣国パキスタンとの国境に近い東部を中心に勢力を広げ、服従しない住民を殺害したり、家を焼き払ったりしていて、アメリカ軍が組織の幹部たちを狙った無人機による攻撃を繰り返してきました。
今回の事件は、ISによるアフガニスタンでは初めての大規模なテロとみられ、反政府武装勢力タリバンによるテロや襲撃が相次ぐなか、新たにISもアフガニスタンで脅威になることが懸念されます。
「李総理の新たな経済理念 上半期の経済成長率に反映:理念だけで具体的な高度化が見えない成長鈍化では李首相の前途は暗い」
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/316.html
投稿者 あっしら 日時 2013 年 7 月 24 日 19:00:29: Mo7ApAlflbQ6s
「中国経済減速で共産党が分裂?:中国共産党にとって核心の核心は政治権力の正当性を支える高度経済成長」
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/582.html
投稿者 あっしら 日時 2013 年 7 月 28 日 05:12:48: Mo7ApAlflbQ6s
※対立に関する最近の参照投稿
「中国指導部、経済巡り溝 李首相ら、景気の安定重視/習氏周辺、構造改革を優先 金融・財政政策で食い違い」
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/199.html
「李首相演説の大訂正 習主席との隠された確執」
http://www.asyura2.com/15/china6/msg/212.html
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習主席と李首相の対立鮮明に 経済で不協和音[WSJ]
By
LINGLING WEI and JEREMY PAGE
2016 年 7 月 22 日 14:41 JST
【北京】今月初め、中国の習近平国家主席と李克強首相はいずれも中国の国営部門をどう改革するか力強い指示を出した。しかし、彼ら2人のメッセージは互いに矛盾するものだった。
7月4日、中国国務院(内閣に相当)当局者たちは、習氏が「より強く、より良く、より大きな」国営大企業の必要性を呼びかけたことを文書で知らされた。それら企業の管理で共産党が中心的な役割を演じるという。これに対し李氏は準備草稿で、国営企業を「スリムダウン」し、その再編には「市場のルールに従う」必要性を強調した。
党のインサイダーや中国の専門家は、このように相反するメッセージや、その他最近のエピソード(習陣営からの李氏の政策に対するベールに包んだ批判を含む)は、中国指導部のトップ2人の間の不協和音が公の場にどんどん聞こえ出していることを示しているとみている。中国指導者たちが伝統的に提示しようと努めている統一戦線からの顕著な逸脱といえる。
この分裂状態は短期的には、中国経済を再編するとの指導部の約束をめぐって不透明感を強める。中国経済は最近数カ月間、停滞しているようにみえる。
国営企業部門を監督している当局者らは最近数日間、会合を開き、7月4日のトップ2人の相反する指示の「精神を研究」しようとしてきた。一部には依然として困惑している向きもいた。会合に出席した国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)の当局者は「トップからの明確な方向性が欠けている」と述べ、「他の人たちが何をするのか見極めようと誰もが様子見状態だ」と語った。
SASACと国務院の報道担当官は、問い合わせに応じなかった。
より長期的な懸念は、分裂の政治的な影響があるかどうかだ。指導部内部の対立は、文化大革命から1989年の天安門事件に至るまで、現代中国の最も激動した期間の特徴だった。党の正統性は、最高指導部で均一で分別ある政策決定のイメージを打ち出せるかどうかにおおむね左右されてきた。
習氏は、直近の2人の指導者(江沢民と胡錦濤)と同じように、国家主席であり、党総書記であり、軍のトップでもある。一方、歴代の首相は国務院を主宰し、最近40年間の大半にわたって経済を運営してきた。他の任務はその他の党上級幹部の間で分担されてきた。
習氏はそれまでの集団指導モデルを転換し、政策決定を習氏自身が主宰する幾つかの小委員会内部に集中させた。それには経済問題も含まれている。習氏の支持者たちは、党指導部は前政権下で弱体化し腐敗しており、経済を改革する一方で一般の支持を得る強い中心人物がいまや必要だと述べている。
これに対し、習氏に批判的な人々は、習氏が効率的な支配のためあまりにも多くの権限を掌握する一方、李氏やその他のもっと有能な経済専門家から権限を剝奪したと述べている。これら李氏支持派は、李氏が過去2、3年間こうした処遇を甘受してきたが、最近数カ月間で同氏の立場はどんどん切り崩されていると述べている。
現在、党内部では、来年の主要党ポスト交代の際に李氏が解任されるのではないかとのうわさが広がっている。党の最高機関である政治局常務委員会(7人の常務委員で構成)の中で、来年退職年齢に達しない委員は習氏と李氏の2人だけだ。
不協和音の最初のエピソードは、今年5月だった。共産党機関紙「人民日報」は「ある権威ある人物(氏名は不詳)」との長々とした1面のインタビュー記事を掲載し、第1四半期の成長促進のため信用(融資)の果たした役割が過度だったと批判した。事情に詳しい関係者によれば、習氏の最高経済顧問たちは習氏の指示の下にこの記事の草案を作成したという。この関係者によれば、習氏は中国が1月から3月までに4兆6000億人民元(約6970億ドル)もの銀行融資が行われたことに当惑した。それは2009年に金融危機が深刻だったころの刺激策の規模をも上回っていたからだ。
関係者の1人によると、そこで習氏は債務と過剰生産能力を削減するという自らの計画の実現が「危うくなる」ことを懸念した。記事は李氏を名指ししてはいなかったが、李氏の刺激策を公に非難する意図があったという。
加えて、その記事は李氏が3月に鳴り物入りで宣伝していた「債務の株式化(DES)」プログラムに冷や水を浴びせた。そうしたプログラムは「ゾンビ」企業を存続させるために使うべきでないと指摘したのだ。ゾンビ企業は生産能力が過剰な業界で赤字を出している企業だ。
李首相を支持する人々は、李氏が単に指導部が設定した成長目標を達成し、経済改革成功のために必要な成長率を確保しようとしているだけだと述べる。一方、習主席は改革を推奨しながら、目標通りの成長率を維持することを求めているが、市場の力を奨励するという、自ら立てた2012年の誓約は撤回している。例えば、習氏が過去1年間で出した国営企業に関する法令は、(市場の力ではなく)党の管理を強化することに主眼が置かれている。
中国経済に詳しいカリフォルニア大学サンディエゴ校のバリー・ノートン氏は今週発表した論文で、「李氏は難しい立場に置かれている」と述べ、「経済政策は、李氏の手元から習氏の手元へと場所をかなり移してしまった。李氏がこれに不満を持たないはずはない。こういった状況で習氏と李氏の関係がそのまま維持されるかは分からない」と付け加えた。
中国を専門とする調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの共同創設者であるアーサー・クローバー氏は、政策の不透明さから生じる大きなリスクについて、赤字工場の閉鎖など、必要とされている変革がストップすることだと述べる。同氏は「中国の経済計画があまり首尾一貫していないことがますます明確になってきている」と話した。
先週発表された2016年第2四半期の経済成長率は6.7%と、第1四半期と同じで、数多くの「逆風」があったにもかかわらず横ばいを維持した。これは指導部が、非効率への対応ではなく、信用と財政支出の拡大という古い刺激策を使い続けていることを示す兆候だとみられている。
困惑している国営企業幹部もいる。上海にある国営船会社の幹部は、「われわれは大手の国営企業であると同時に黒字の企業でいることができるのか。実世界でそれをやるのは非常に困難だ」と話す。
http://jp.wsj.com/articles/SB12334390200972253966304582204244233125380
共和党の指名受諾演説で、「われわれの政策はグローバル主義ではなくアメリカ主義だ」と述べたトランプ氏。演説の全文を日本語で掲載しました。
友人の皆さん、代議員の皆さん、そして、同胞であるアメリカ国民の皆さん。私は、謹んで感謝の念とともに、アメリカ大統領への指名を受諾致します。
私たちが、去年の6月16日にこの旅を始めたとき、私が、私たちと申し上げているのは、私たちがチームだからですが、私たちが、共和党の歴史において、最も多くの得票数となったおよそ1400万票を獲得するとは、誰が信じていたでしょうか?
そして、共和党は8年前よりも60%も多い票を獲得したのです。誰がそれを信じていたでしょうか?
その一方で、民主党の得票数は4年前を20%下回っていました。これはよいことではありません。
私たちは、一緒になって私たちの党を再びホワイトハウスに導き、安全や繁栄、そして、平和をわが国に取り戻します。私たちの国は寛大で温かい国になるでしょう。しかし、私たちは、法と秩序の国にもなるでしょう。
私たちの党大会は、わが国にとって危機のときに開催されています。私たちの警察が攻撃され、都市ではテロが発生して、私たちの生活そのものを脅かしています。この危険を把握できない政治家は、どのような人であっても、わが国を導くのにふさわしくありません。
今夜、この演説を聞いているアメリカ人は、私たちの身近で起きた最近の暴力や、地域社会での混乱を目にしています。多くの人は、こうした暴力を個人的に目撃しています。中には、その犠牲となった人達さえもいます。
私は、皆さんにメッセージを送ります。現在、わが国を苦しめている犯罪や暴力はすぐに―、本当にすぐに終わりになるでしょう。2017年1月20日からは、安全が回復されるでしょう。
政府の最も基本的な義務は、市民の生命を守ることです。それができない政府は、どのような政府であれ、率いるに値しない政府です。
ついに、私たちが、国の現状を率直に評価するときがきたのです。私は、明白に、そして、正直に事実をお伝えします。私たちには、もはや政治的な正しさだけを言っている余裕はありません。
ですから、もしも皆さんが、企業の片寄った見解や念入りに仕組まれたウソ、そして、メディアの神話を聞きたいと思うのであれば―、民主党が来週党大会を開催しますから、そこへ行きなさい。
しかし、私たちの党大会ではウソはありません。私たちは、真実を伝えて、アメリカ国民に敬意を表します。それ以外のものは何もありません。
これらが事実です。
何十年もかけて犯罪を減らしてきましたが、現政権が警察を減らしたため、状況が逆戻りしています。
アメリカの50の大都市における去年の殺人件数は17%増加しました。この25年で最大の増加です。わが国の首都では殺人が50%増加しています。首都近郊のボルチモアでは60%近くも増えています。
大統領の出身地であるシカゴでは、ことしだけでも2000人以上が銃の発砲によって犠牲になっています。そして、シカゴ地区では、オバマ大統領が就任して以来、およそ4000人以上が殺害されています。
職務中に殺害された警察官の数は、去年の同じ時期に比べておよそ50%も増加しています。犯罪歴があり、わが国から追放を命じられた18万人近くの不法移民が、今夜も自由にうろついて、平和な市民たちを脅かしています。
ことしに入ってこれまでに国境を越えた新たな不法移民の数は、すでに2015年の年間の人数を超えています。公共の安全や資源に与える影響などお構いなしに、何万人もの不法移民が私たちの地域社会に放たれているのです。
このようにして国境を越えて入ってきた1人の男が自由の身となって、ネブラスカに行きました。そこで、彼は、サラ・ルートさんという名前の無実の若い女性の命を奪ったのです。彼女は21歳で、優秀な成績で大学を卒業した翌日に殺害されました。クラスでいちばんの成績をおさめていたのです。彼女を殺害した男は、当時、2度も釈放されており、現在は法の網の目をくぐり抜けて逃亡者になっています。
私は、サラさんの美しい家族にお会いしました。しかし、今の政権にとっては、彼らの美しい娘は、保護する価値のない、1人のアメリカ人の命に過ぎませんでした。これ以上、子どもが、開かれた国境の犠牲になるようなことがあってはなりません。
私たちの経済はどうでしょうか?
皆さんが目にする夜のニュースや朝刊に載っている明白な事実をお伝えしましょう。アフリカ系アメリカ人の子どもたちの10人に4人近くが貧困生活を送っており、アフリカ系アメリカ人の若者の58%が雇用されていません。オバマ大統領が8年前に大統領に就任したときに比べて、現在、ヒスパニック系アメリカ人で貧困に苦しんでいる人たちは200万人も増えています。更に1400万人が労働人口から完全に外れています。
世帯収入は、16年前の2000年以降、4000ドル以上も下がっています。私たちのモノの貿易赤字は去年だけでおよそ8000億円に達しました。私たちは、それを直します。
予算もよくありません。オバマ大統領は、国家の債務をおよそ19兆ドル以上に倍増させ、今も増え続けています。しかし、それにもかかわらず、私たちの道路や橋はばらばらに壊れ、空港は第三世界の様相を呈し、4300万人のアメリカ人が食糧切符で暮らしています。
海外での状況について考えてみましょう。
私たちは、国内の災難に耐えてきただけでなく、相次ぐ国際的な屈辱にも耐えてきました。私たちは、アメリカ人の水兵たちがイラン人に捕らえられ、銃口を突きつけられて跪かされていた映像を覚えています。
これは、イランに1500億ドルも払い、私たちには全く何も与えられなかったイランとの核合意に署名する直前のことでした。このことは、これまで交渉されたなかで、最悪の取引きの1つとして歴史に刻まれることでしょう。もう1つの屈辱は、オバマ大統領が、シリアで超えてはならない一線を引いたときです。世界中が、それが全く意味のないものであることを知っていました。
リビアでは、アメリカの威信の象徴である領事館が炎に包まれて燃え落ちました。オバマ大統領がヒラリー・クリントン氏をアメリカの外交政策の責任者にすることを決定したときよりも、アメリカははるかに安全ではなく、世界もはるかに不安定なものになっています。
11月にはクリントン氏を打ち負かしましょう。
クリントン氏の国務長官就任は、オバマ大統領が心から後悔している決定だと私は思います。クリントン氏のお粗末な本能とまずい判断が―それは、バーニー・サンダース氏も指摘していたことですが―現在も続いている惨事の多くを引き起こしたのです。
過去を振り返ってみましょう。
クリントン氏がアメリカ外交の責任者に就任する前の2009年、過激派組織IS=イスラミック・ステートは地図にさえ載っていませんでした。リビアは安定していました。エジプトは平和でした。イラクでは暴力が大幅に減っていました。イランは制裁で窒息させられていました。シリアはなんとか統制が取れていました。
ヒラリー・クリントン時代から4年後、私たちには何があるのでしょうか?
ISは地域全体、そして、全世界へと拡散しています。リビアは破壊され、アメリカ大使とその職員は、野蛮な殺人者の手によって助けもないまま死亡しました。エジプトは過激なムスリム同胞団に引き渡され、軍による権力の掌握を余儀なくさせています。
イラクは混乱の中にあります。イランは核兵器開発の途上にあります。シリアは内戦に巻き込まれ、難民危機が西側諸国を脅かしています。中東での15年間の戦争で何兆ドルもの資金が投じられ、何千という命が失われたあと、状況はかつてないほど悪化しています。
これは、ヒラリー・クリントン氏が残した遺産です。死、破壊、テロリズム、そして弱さです。
しかし、ヒラリー・クリントン氏の遺産はアメリカの遺産である必要はありません。私たちが直面している問題、つまり、国内では貧困や暴力、海外では戦争や破壊は、そもそも最初にこうした事態を生み出したのと同じ政治家に私たちが依存し続けるかぎり、続いていくことでしょう。結果に変化を生み出すためには、リーダーシップの変化が必要とされているのです。
今夜、私は、アメリカのための行動計画を皆さんと共有します。
私たちの計画と私たちの対立候補との最も重要な違いは、私たちの計画がアメリカ第一であるということです。グローバリズムではなく、アメリカニズムが私たちの信条になるでしょう。私たちがアメリカを第一に据えない政治家によって導かれるかぎり、ほかの国々が私たちが当然値する尊敬の念を持ってアメリカに対応しないことは確かです。
アメリカ国民が、再び最優先されるでしょう。私の計画は、国内の安全から始まります。それは、安全な地域社会、安全な国境、そして、テロからの保護です。法と秩序なくしては、繁栄はありえません。
経済に関して、私は、アメリカの再建のため、何百万という新規の雇用と数兆ドルもの新たな富を生み出す改革の概略を述べます。
今夜、私が示すこれらの改革の多くは、わが国の最も強力な特別利益団体のいくつかによって反対されることでしょう。なぜなら、彼らは自分たちの利益のために、私たちの政治的、経済的なシステムを不正に操作しているからです。私を信じて下さい。それは彼らの利益のためなのです。
大企業や大手メディア、大口の献金者は、私の対立候補の選挙運動を支援しています。なぜなら、彼女なら私たちの不正に操作されたシステムをそのままにしておくことを、彼らは知っているからです。彼らは、彼女が行うすべてのことをコントロールできるので、彼女にお金を投じているのです。彼女は彼らのあやつり人形で、彼らが糸を操っているのです。
このため、ヒラリー・クリントン氏のメッセージは決して変わらないのです。私のメッセージは、物事は変わらなければならないというものです。そして、物事は今すぐに変わらなければなりません。私は毎日、この国の至る所で出会った、ないがしろにされ、無視され、見捨てられた人々のために、変化をもたらそうとの決意で目を覚まします。
私は、一時解雇された工場労働者や、私たちのひどく不公平な貿易取引によって壊滅に至った地域社会を訪れています。こうした地域にいるのは、忘れ去られた、わが国の男性や女性たちです。懸命に働いているものの、もはや声を持たない人たちなのです。
私はあなた方の代弁者です。
私は、わが国の政治家たちが国家の利益よりも自分たちの課題を優先させたために、子どもを失って泣いている母親を擁護しています。私は、不正を我慢したり、政府の無能を容認したりはしませんし、自分たちの市民を見捨てる指導者に共感したりもしません。
私たちの政治制度が、意志や勇気、あるいは、法律を施行しようという基本的な品位に欠けているために、罪のない人々が苦しむとき―、あるいは、なお悪いことに、現金と引き換えに企業のロビイストにそれらを売り渡しているとき、私は、反対の方向を見ることはできません。私は見て見ぬふりはしないでしょう。
前国務長官が、私用サーバーにメールを違法に蓄積し、当局に犯罪を見抜かれないように33000件のメールを削除して、わが国を危険にさらし、あれこれウソを並べ立てても責任をとらない。私は、こうした腐敗がわが国でかつてないレベルにまで進んでいることを知っています。
FBI長官は、前国務長官の機密の取り扱いについて、“極度に不注意”で“怠慢”だったと述べていますが、彼女が実際にしたことに比べ、これらのことばが軽いことも私には分かっています。彼らは、酷い犯罪に対して裁きが下されることから彼女を救うことが常なのです。
実際のところ、彼女のただ1つの最大の業績は、言語道断な罪を犯して、それから逃れていることかもしれません。特に、はるかに軽い罪を犯したほかの人たちが大きな代償を支払っていることを考えれば―。その国務長官が、通商へのアクセスで特別な利益団体や海外の有力者に便宜を図るのと引き換えに何百万ドルもの金をかき集めているとき、私には行動のときが来たことが分かりました。
私は、力のある人たちが、自分たちを守ることができない人々を叩きのめしたりできないようにするために政界の仲間入りをしました。私よりこのシステムをよく知っている人は誰もいません。だからこそ、私は1人で、それを正すことができるのです。私は、いかにシステムが私たちの市民に対して不正操作されているかをじかに目にしていますし、それは、バーニー・サンダース氏に対する不正操作にも言えます。サンダース氏には決してチャンスはありませんでした。
しかし、彼の支援者たちは私たちの運動に加わることでしょう。なぜなら、私たちが、彼の最大かつ唯一の課題、つまり、わが国から雇用や富を奪っている貿易の取り決めについて正すからです。何百万という民主党員が私たちの活動に加わることでしょう。なぜなら、すべてのアメリカ人にとって公平に正しく機能するように、私たちがこのシステムを正すからです。
この運動において、私は、次期副大統領としてインディアナ州のマイク・ペンス知事を伴走者として迎えることを誇りに思います。私たちは、ペンス氏がインディアナ州にもたらした驚くべき経済的成功と同じものをアメリカにももたらすでしょう。彼は人格者であり、業績を打ち立てた人物です。彼は仕事に取り組める人です。私たちの新政権の初仕事は、地域社会を脅かしている犯罪やテロ、そして、無法状態から私たちの市民を解放することです。
ダラスの警察官が極めて残忍な手口で処刑されたとき、アメリカは心の底から衝撃を受けました。ダラス事件の直後に、警察官への脅迫や暴力が続くのを私たちは見ました。ここ最近だけで、ジョージア、ミズーリ、ウィスコンシン、カンザス、ミシガン、テネシーで警察官が銃撃されたり殺害されたりしています。
日曜日には、ルイジアナ州バトンルージュで新たに複数の警察官が銃撃されました。3人が死亡し、3人がひどい重傷を負いました。警察官への攻撃はすべてのアメリカ人への攻撃です。私は、街の平穏や警察官の安全を脅かすようなことを決してしない、すべての人に伝えたい。来年、就任の宣誓をしたら、私は法と秩序をこの国に取り戻します。私を信じてください。信じてください。
私は全米で最も優れた検察官および警察官を任命し、適切に職務が実行されるよう彼らと協力します。ホワイトハウスを目指すこのレースにおいて、私は法と秩序の候補です。大統領職の演壇を利用して私たちを人種や肌の色で分断した大統領は、その無責任な発言により、率直に言って、私をはじめこの部屋にいる誰もがこれまで見たこともないほど危険な環境にアメリカを陥れました。
この政権はアメリカのインナーシティー(貧困層の多い都心部)を裏切りました。忘れないでください。彼らはアメリカのインナーシティーを裏切ったのです。教育や雇用において裏切り、犯罪に関して失望させ、あらゆる方法、あらゆるレベルで彼らを裏切ったのです。
私が大統領になったら、間違いなくすべての子どもたちが平等に扱われ、平等に守られるようにします。
行動を起こすたびに私は自分に問いかけます。これはボルチモア、シカゴ、デトロイト、ファーガソンの若者たちの生活をよくするだろうかと。彼らにはあらゆる点で、ほかのアメリカのどの子どもと変わらずに夢をかなえる権利があります。ほかのどの子供とも変わらずに。
アメリカのすべての市民の暮らしを安全にするために、私たちは、アメリカが直面し、増大する国外の脅威にも取り組まなくてはなりません。私たちはISの野蛮人を打倒します。しかも、迅速に打倒します。フランスは再び野蛮なイスラム過激主義の被害者になりました。
男性、女性、子供たちが凶暴な手段で無差別に殺害されました。人生を台無しにされ、家族が引き裂かれました。国民は嘆き悲しんでいます。
イスラム過激派が損害や破壊を生じさせえることは何度となく実証されています。世界貿易センターで、サンバーナーディーノの職場のパーティーで、ボストンマラソンで、テネシー州チャタヌーガの軍の新兵募集所で、その他、多くの場所で。
ほんの数週間前にも、フロリダ州オーランドで49人のすばらしいアメリカ人がイスラム主義のテロリストにより無残にも殺害されました。このとき、テロリストの標的になったのはLGBTQ(性的マイノリティー)のコミュニティーでした。
ひどい話であり、私たちはこういうことをやめさせます。
皆さんの大統領として、私は、憎しみに満ちた外国のイデオロギーの暴力や抑圧から、アメリカのLGBTQの市民を守るために全力を尽くします。私を信じてください。共和党員として言わせてもらえば、今の私の発言に対する皆さんの歓声を聞いて本当に嬉しいです。ありがとう。アメリカをテロから守るために、私たちは3つのことに焦点を当てなくてはなりません。
私たちは世界のあらゆる所で絶対的に優れた情報収集力を持たなくてはなりません。最も優れた力をです。ヒラリー・クリントンが、イラクやリビア、エジプト、シリアで推し進めて失敗に終わった国家建設や体制変革の政策を捨てなくてはなりません。
代わりに、ISの殲滅とイスラム過激主義の根絶という私たちの目標を共有する同盟国と力を合わせて行動しなくてはなりません。そして、それを今すぐに、迅速に行うことにより、私たちは勝利し、しかも、速やかに勝利するのです。それには、あの地域における私たちの最大の同盟国であるイスラエル国との協力が含まれます。
先日、私は、NATO=北大西洋条約機構はテロに適切に対応しておらず、加盟国の多くが相応の負担を支払っていないため、時代遅れだと言いました。いつものように、アメリカがその「つけ」を支払っています。私の発言のすぐあとに、NATOはテロと戦う新しいプログラムを策定すると発表しました。正しい方向への真の一歩です。
最後に、そして、これは非常に重要なことですが、確かな審査方法が実施されるまで、私たちはテロに屈したあらゆる国からの移民受け入れを即刻、一時停止しなくてはなりません。私たちは彼らを国に入れたくないのです。
私の対立候補は、シリア人(の受け入れ)をなんと550%増やそうと呼びかけています。考えてみてください。信じられませんが、実際に起きていることです。オバマ大統領の指揮のもとですでに行われている既存の大量移民流入に加えて、シリアからの難民を550%も増やそうとしているのです。これらの難民がどういう人で、どこの出身かを知るための審査方法がないにもかかわらず、彼女はこれを提案しているのです。私は、アメリカの価値観を支持し、アメリカ国民を愛する人にしかこの国に入ってほしくありません。
暴力や憎しみ、あるいは抑圧を是認するような人間はこの国には歓迎されません。未来永劫です。
記録的な入国者が数十年続いた結果、私たちの市民、とりわけアフリカ系アメリカ人とヒスパニック系アメリカ人は賃金の低下と失業率の上昇にさらされました。私たちは機能する移民制度、ただし、アメリカ国民のために機能する移民制度を打ち出します。
月曜日に、私たちは不法移民に子どもを殺された3人の親、メアリーアン・メンドーザ、サビーン・ダーデン、そして、私の友人、ジャミール・ショウから話を聞きました。彼らは深い苦しみを背負った何千、何万という人たちを代表する勇気ある3人です。これまで全米を旅していて、私の心を何よりも深く、はっきり言ってほかに比べるものがないほど深く動かしたのは、国境を超えて入ってくる暴力によって子どもを失った母親や父親と過ごした時間でした。私たちはこの問題を解決できるし、解決しなくてはなりません。
こうした家族には、代弁してくれる特別な利益団体もありません。彼らに代わって抗議デモをしてくれる人たちはもとより、彼らを守ってくれる人たちもいません。私の対立候補は彼らに会うことも、彼らと痛みを分かち合うことも決してありません。本当です。代わりに、私の対立候補は「聖域都市(移民に優しい街)」を望んでいます。
しかし、ケイト・スタインリー(不法移民に射殺されたとされる若い白人女性)の聖域はどこにあったのでしょう? メアリーアン、サビーン、そして、ジャミールの子どもたちの聖域はどこにあったのでしょうか?残忍な方法で殺害されたり、ひどい苦しみを被ったりした、ほかのすべてのアメリカ人の聖域はどこだったのでしょうか?
これらの傷ついたアメリカ人家族は孤独でした。しかし、彼らはもう孤独ではありません。今夜、この候補者とアメリカ国民は彼らに寄り添い、支え、彼らに愛を送り、そして、さらに多くの家族が同じような恐ろしい運命の苦しみを味わうことのないよう助けることを彼らに敬意を払って誓います。
私たちは不法入国を阻止するため、ギャングや暴力を食止めるため、そして、私たちのコミュニティーに麻薬が流れ込むのを防ぐために巨大な国境の壁を築きます。私は光栄なことにアメリカの国境警備隊員の支持を受けています。法的な入国管理システムの完全な状態を守るために彼らと直接、協力していきます。
国境でのキャッチ・アンド・リリースを終わらせることにより、密入国斡旋と暴力の連鎖に終止符を打ちます。私たちは終わらせます。こうしたことはもう二度と起きません。私を信じてください。平穏が取り戻されます。ビザが切れて不法滞在している数百万人に対して規則を施行することにより、私たちの法律に相応の敬意がついに払われることになるのです。
今夜、私は国境のセキュリティーの要求を否定されてきたすべてのアメリカ人、そして、これらを否定したすべての政治家に、私がこれから言うことばをよく聞いてほしいと思います。
2017年1月20日、私が就任の宣誓を行う日に、アメリカ人は、合衆国の法律が施行される国で、ついに朝を迎えることになります。私たちはすべての人に対して思いやりと温情を持ちます。しかし、私の最大の思いやりは苦境にあるアメリカに向けられます。
私の計画はヒラリー・クリントンの急進的かつ危険な移民政策とは真逆です。アメリカ人は現状のような制御されていない入国管理からの解放を望んでいます。社会は安心感を求めているのです。
しかし、ヒラリー・クリントンは大量の恩赦、大量の移民、そして、大々的な無法状態を提案しています。彼女の計画はわが国の学校や病院を混乱させ、皆さんの雇用や賃金をさらに減らし、近年の移民たちが、今起きている貧困の恐ろしい連鎖から脱出するのをさらに難しくし、そして、中産階級に入るのをほぼ不可能にするものです。
わが国の労働者のために、私には異なるビジョンがあります。その手始めは、私たちの雇用を守り、不正なことをする国に立ち向かう新しい公正な通商政策です。それは私の選挙運動の1日目からの代表的なメッセージでした。正式に就任したその瞬間から私の大統領職の象徴的な特徴となるでしょう。
私はビジネスで巨額の儲けをあげてきました。これからはこの国を再び裕福にします。私たちの国に大勢いる世界で最も偉大な実業家たちを活用して、私は悪い通商協定を良い通商協定に変えます。アメリカは1997年以降、ビル・クリントンとヒラリー・クリントンが支持した破壊的な貿易協定の執行に伴って、3分の1近い製造業の雇用を失ってきました。
思い出してください。NAFTAに署名したのはビル・クリントンです。あれはわが国、あるいは率直に言ってあらゆる国がこれまでに締結した最も悪しき経済協定の1つです。
二度とあってはなりません。
私はオハイオやペンシルベニア、ニューヨーク、ミシガン、そして、アメリカ全土に雇用を取り戻します。そして、企業が従業員を解雇し、何の代償も払わされることなくほかの国へ移るのを許しません。そういうことは二度とさせません。
一方、私の対立候補は、わが国の中産階級を破壊してきたほぼすべての通商協定を支持してきました。彼女はNAFTAを支持し、中国のWTO=世界貿易機関への加入―、 これも彼女の夫が引き起こした大間違い、大惨事の1つですが―、これを支持しました。
彼女は雇用を失わせる韓国との通商協定を支持しました。彼女が支持したTPP=環太平洋パートナーシップ協定は、わが国の製造業を破壊するだけでなく、アメリカを外国政府の決定に従わせるものです。こういうことは二度と起こさせません。私はいかなるものであれ、我が国の労働者に害を及ぼす、あるいは我々の自由や独立を損なう悪い貿易協定には決して署名しないことを誓います。私たちは悪い通商協定には決して署名しません。再びアメリカ第一です。アメリカが第一です。その代わりに、私は個々の国と個々の協定を結びます。
私は膨大な数の国との何千ページにもおよぶこれらの大々的な協定―、わが国の人間が誰1人読みもしなければ、理解もしない協定はもう締結しません。不正なことをする国に対しては、私たちは税や関税の適用を含む手段によって、通商のあらゆる違反措置(trade violation)を行います。
これには、中国の不法な製品ダンピングや破壊的な為替操作に加え、中国による知的財産のあきれた窃盗行為が含まれます。彼らは史上最も巧みな為替操作者です。中国をはじめ多くの国々との恐ろしい通商協定については全面的に再交渉を行います。それには、アメリカにとって今よりはるかに有利な取り決めを行うためのNAFTAの再交渉も含まれます。もし、そのような取り決めが得られなければ、私たちは脱退します。わが国は再び、物を作り、建設するようになるのです。
次に起きるのは、税の法律、規制、そしてエネルギーの改革です。ヒラリー・クリントンは大幅な、本当に大幅な増税を計画していますが、私はことし、大統領選挙に名乗りをあげた民主・共和両党のどの候補者の案よりも大規模な減税策を提案しました。中間所得層のアメリカ人および企業は大規模な負担減を実感します。すべての人にとって税制は簡素化されます。すべての人にとってです。
アメリカは世界で最も税金の高い国の1つです。減税により、わが国で新しい企業や新しい雇用が勢いよく戻ってきます。私を信じてください。これはすぐに起きます。そして、私たちは雇用を奪う最大の原因の1つである規制の問題に取り組みます。過剰な規制はわが国に年間2兆ドルの損失を与えており、私たちはこれを極めて迅速に終わらせます。
私たちはアメリカのエネルギー生産に課されている規制を取り払います。これにより、向こう40年間にわたり、雇用を創出する経済活動において200兆ドル以上を生み出します。
これに対して、私の対立候補は、わが国の偉大な鉱山労働者や鉄鋼産業労働者から職を奪い、失業させたいと思っています。ドナルド・トランプが大統領になったら、そのようなことは決して起きません。わが国の鉄鋼産業労働者や鉱山労働者は再びあの職場で働くのです。
これらの新しい経済政策により、莫大な資金がわが国に流れ込み始めます。この新しい富はすべてのアメリカ人の生活の質を向上させます。私たちは道路、ハイウェイ、橋、トンネル、空港、そして、未来の鉄道を建設します。これにより、膨大な数の雇用が創出されます。私たちは、親がみずから選択する安全な学校へ子どもを通わせるのを支援することにより、学校での落ちこぼれから子どもを救います。
私の対立候補は、アメリカの子どもたちのために働くよりも、むしろ、教育官僚を守ります。彼女はそうするつもりですし、これまでそうしてきました。私たちは破滅的なオバマケアを撤廃し、別の制度に替えます。皆さんは再び医師を自分で選ぶことができるようになります。そして、最悪の状態にある空港の運輸安全局を私たちは正常な状態に戻します。
私たちは借金に押しつぶされそうなすべての学生たちと力を合わせ、これら若者が(借金の)プレッシャーから解放されて社会人生活を始めることができるように努めます。これは途方もなく重大な問題です。私たちは衰退した軍を完全に立て直します。私たちが大きな犠牲を払いながら守っている国々は各自の相応な負担を支払うよう求められるでしょう。
私たちは偉大な退役軍人をかつてないほど手厚く世話します。つい最近発表した私の10項目の計画は退役軍人から大変な支持を受けました。私たちはこの国に奉仕した人たちが自分の選ぶ医師や病院にかかることができるよう保証し、受診を5日も待たされて死んでしまうなどということは絶対に起こさせません。
私の対立候補は、退役軍人局のスキャンダルを蔓延した問題ではないとして無視しました。彼女が実態をいかに把握していないか示すもう1つの証拠です。私たちはすべての省庁のトップに対し、廃止可能なプロジェクトへの無駄な支出のリストを、私の就任から最初の100日以内に提出するよう命じます。政治家たちはこれについて長年論じてきましたが、私は実行に移します。
私たちはまた、わが国の法律と憲法を守る連邦最高裁の判事を選任します。私たちが愛したスカリア判事の後任者は、彼と同じような考えおよび原則、そして、司法哲学を持つ人物になるでしょう。これはこの選挙により決まる最も重要な問題の1つです。私の対立候補は基本的に憲法修正第2条(個人の銃器保有・保持の権利を保障する条項)を廃棄しようとしています。これに対して、私は、早々と全米ライフル協会から強力な支持を得ており、家族の安全を守るすべてのアメリカ人の権利を保護します。
この場で、私はキリスト教福音主義のコミュニティーに感謝を表明したいと思います。と言うのも、彼らは私を熱心に支持してくれています。私にその資格が十分にあるかどうか自信ないのですが。彼らの支持は信じられないほどすばらしく、今夜、私がここにいる大きな理由の1つでもあります。彼らはわが国の政治に極めて大きな貢献をしているにもかかわらず、わが国の法律は、皆さんが自分たちの説教壇から自分の考えを述べるのを阻止しています。
何十年も前にリンドン・ジョンソンが推し進めた憲法修正は、宗教法人が公に政治的な考えを唱えると非課税の立場を剥奪すると脅しています。彼らは発言権を奪われたのです。私はその文言を削除し、すべてのアメリカ人の言論の自由を守ります。
私たちはこれらのすばらしいことを達成できます。そして、何よりも、私たちが手始めにやらなくてはいけないのは、自分自身と自分の国を再び信じることです。信じることを始めましょう。今こそ、世界中に向けて、アメリカがこれまでに増して大きく、よりよく、そして、より強くなって復活することを示すときです。
この旅で、私はそばに妻のメラニアとすばらしい子どもたち、ドン、イヴァンカ、エリック、ティファニー、バロンがいてくれることをとても幸運に思っています。あなた方は常に私の誇りと喜びのいちばんの源泉です。ところで、メラニアとイヴァンカはそれぞれの役割を果たしましたよね?私の父のフレッド・トランプは私が知るかぎりで最も賢く、最も勤勉な人間でした。父が今ここにいて、これを、そして、今夜の私を見ていたら何と言うだろうかと考えます。
というのも、私が労働の尊さや働く人々の尊厳を尊重することを幼い頃から学んだのは父のお陰だからです。父はレンガ職人や大工、電気技師などと一緒にいるといちばんホッとするという人でした。私にもそういうところが大いにあります。私はそういう人たちが大好きです。
そして、私の母のメアリーですが、彼女は強く、しかし、温かく公平な人でした。本当に偉大な母でした。彼女はまた、私の知るかぎりで最も正直で寛容な人の1人であり、人を見る目に非常に長けていました。どこにいても見つけ出すのです。
私の女兄弟、メアリーアンとエリザベス、男の兄弟のロバートと今は亡きフレッド。いつもあなた方を愛している。あなた方は私にとって本当に特別です。私は実業家としてすばらしい人生を送ってきました。
しかし、これからは私の唯一の使命は国のために働くこと、皆さんすべてのために働くことです。今こそ、アメリカ国民に勝利を届けるときです。私たちは単に勝利するのではなく、勝利し続けるのです。
しかし、それをするためには、次元の低い過去の政治と決別しなくてはなりません。アメリカは信じる者、夢を持つ人たち、そして、検閲者や批評家、皮肉屋の集団に導かれた努力家たちの国です。
忘れないでください。自分の望むとおりの国などありえないと言う人たちは、トランプが今夜、ここに立つことなどありえないと言ってきた人たちです。勝ち目はないと言っていた人たちです。そう言っていた人たちを打ち負かしたいではありませんか?
不正に操作された制度を維持するためなら何でも言うメディアや政界のエリートたちを私たちはもはや信じることはできません。代わりに、私たちはアメリカを信じる道を選ばなくてはなりません。歴史は今、私たちを見ています。
もう時間はあまりありません。私たちがここ一番で力を発揮するかどうか、そして、私たちが世界中に、アメリカは今も自由で自立し、強力だと証明してみせるかどうかを歴史は見ています。
私がホワイトハウスで皆さんの擁護者になることができるよう、今夜、私は皆さんの支援をお願いします。私は皆さんの擁護者になります。皆さんの擁護者です。
私の対立候補は自身の支持者に3つの単語からなる忠誠の誓いを唱えるよう求めています。「私は彼女と共にある」と。
私が選ぶ誓いのことばは異なります。私の誓いのことばは「私はアメリカ国民と共にある」です。
私は皆さんの声です。
子どもの将来を夢見るすべての親、自分の将来を夢見るすべての子供たちに向かって、私は今夜、このことばを言います。私は皆さんと共にいます。そして、皆さんのために戦い、皆さんのために勝利します。
今夜、すべての都市、すべての町のすべてのアメリカ国民に私はこう約束します。
私たちはアメリカを再び強くします。
アメリカの誇りを取り戻します。
アメリカを再び安全にします。
そして、アメリカを再び偉大にします。
皆さんに神のご加護を。おやすみなさい。皆さんを愛しています。
中国で改革派として知られる雑誌社の社長をはじめ上層部の総入れ替えが当局側によって行われたことに対し、この社長などが「基本的な編集や出版の条件が失われた」として雑誌を休刊にすると発表し、習近平指導部が言論統制をさらに強めていると受け止められています。
休刊が発表されたのは、1991年に創刊され、中国の政治問題を論じてきた雑誌「炎黄春秋」です。
今月12日、この雑誌を管轄する政府系機関が杜導正社長のほか、副社長や編集長らを総入れ替えすると通告しました。
杜氏ら上層部は、これを一方的な人事介入だと反発して声明を発表し、「憲法で認められている出版の自由を著しく侵したもので、基本的な編集や出版の条件が失われた」として雑誌を休刊にすると発表しました。
さらに声明では、「今後、いかなる人物が、『炎黄春秋』という名で発行する出版物も、自分たちとは関係ない」としています。
現在20万部が発行されているこの雑誌は、「体制側にありながらも唯一ものを言う雑誌だ」と評されるなど、改革派の雑誌として知られていました。
こうした動きについて、香港メディアは、「共産党による言論に対するさらなる引き締めを反映したものだ」と伝えるなど習近平指導部が言論統制をさらに強めていると受け止められています。
権力の座に就いて11年、ドイツのメルケル首相にとって英国が6月23日に国民投票によって欧州連合(EU)から離脱を決めたことで、自身がEUで築き上げてきた成果が台無しになるかもしれない。しかし、独政府の閣僚やEU本部の幹部、他のEU加盟国首脳が英国への怒りをあらわにする一方、あまり感情を出さないメルケル氏の心の内を最も示したのは「非常に残念だ」とのコメントだ。
もっと怒りを見せても不思議はないが、複雑な心境なのだろう。慎重な姿勢で長年EUに関わってきた同氏は今、自らの政治生命を懸けた戦いに備えている。「残念だ」には様々な懸念が含まれている。EU内で自由経済を重視する同志を失うこと、さらなるEU離脱を招くリスク、EU内での自らの立場が危うくなる危険といった懸念だ。
難民危機影響 かげる支持率
メルケル氏が掲げる目標は欧州の結束だが、その実現は英離脱決定で難しくなった。今後は高まるポピュリズム(大衆迎合主義)を撃退し、英国と残るEU加盟27カ国との関係、中でもドイツとの緊密さを維持する必要がある。かねての高い支持率は昨年の欧州難民危機以降、落ちている。それだけに来年の総選挙に備えつつ、これらの課題を克服する必要がある。
メルケル氏は英国とEUの利害を調整する一方、ユンケル欧州委員長を筆頭に、フランスのオランド大統領、イタリアのレンツィ首相など、今後のEUについて異なる将来像を掲げる彼らの対立も調整しなければならない。「メルケル氏の(EUでの)統率力は弱まるし、英離脱はEUのさらなる分裂と論争を招くだろう」と、欧州外交評議会ベルリン事務所のヤニングス代表は言う。
金融危機からギリシャ債務危機、ウクライナ紛争、難民危機に至るまで、危機対応には慣れているメルケル氏にとっても、英離脱は次元の異なる難題だ。
これにはメルケル氏のレガシー(政治的遺産)がかかっている。旧東独出身者として欧州大陸の新たな分裂は見たくない。冷戦後、欧州再統合を主導したコール元首相の後継者として、首相在任中にEU解体を目にするわけにはいかない。
メルケル氏は昨年、ドイツに100万人超の難民を受け入れたが、その政策がEU内で支持を得ることはほぼなかった。その後、難民受け入れの分担案を作ったが、他の加盟国から支持を得られず、後退させざるを得なかった。難民流入を減らすため、自尊心を捨ててトルコと取引することも余儀なくされた。
移民政策に反発 EU本部が攻勢
メルケル氏は、移民政策を巡り政治論争を巻き起こしたと非難されている。英離脱決定もこの難民政策が一因だとする見方もある。
保守派のルクセンブルク人、ユンケル氏も変化を感じ取っている。英国民投票直後に、英離脱の決定はEU本部の失策が招いたとして出された辞任要求をはねつけて以来、メルケル氏の弱みに乗じてEU本部の権限を強めようと攻勢に出ている。
メルケル氏とは対照的に、ユンケル氏は英国に離脱交渉の早期開始を迫り、不透明な期間を短くしようとしている。来年3月に議会選を控えるオランダでは極右・自由党のウィルダース党首が、また来年5月に大統領選があるフランスでも同じく極右・国民戦線のルペン党首がEU離脱を巡る国民投票の実施を訴えており、英国との交渉の遅れは他の加盟国の離脱を促しかねないからだ。
ユンケル氏はシュルツ欧州議会議長と共に、英離脱後のEU再建にはEUの各機関が中心的役割を果たすべきだと主張する。
メルケル氏にとってさらなる懸念は、ユンケル氏がユーロ圏の緊縮策を骨抜きにしようとしている点だ。ユンケル氏は5月、今年の財政目標達成が困難とみられるフランスについて、「フランスだから」特例扱いされるべきだとの姿勢を示した。同氏はさらに、メルケル氏の怒りを買いそうな発言をした。「我々は経済、財政、社会の危機に対し、緊縮一本やりの対応を求めるドイツ一国主義に終止符を打つべきだ」
ユンケル氏は特に論争を呼んでいるEUとカナダの貿易協定は各国議会に諮らずに、EU機関のみで承認すべきだと提案してドイツをいら立たせた。これは加盟国からの権力の争奪だとドイツ議員から強い不満の声が上がり、同氏は提案を取り下げた。
メルケル氏は時間が味方してくれるかもしれないと考えている。英離脱決定が欧州の多くの人にショックを与え、政治的には現状維持派が増えたからだ。国民投票後の調査会社ユーガブの世論調査では、ドイツのほか、EUに懐疑的だったフィンランド、スウェーデン、デンマークの3カ国でも加盟継続への支持が拡大した。
連邦主義を掲げるユンケル、シュルツ両氏とは異なり、メルケル氏は個々の加盟国の役割を重視する。
緊縮策については、メルケル氏は多少譲歩するかもしれない。ユンケル氏はオランド氏、レンツィ氏ら中道左派の指導者から支持されている。メルケル氏は英離脱が決まって以降、若者の失業問題に対処すると語っている。若年失業率が25%近い南欧やフランスでは重要な問題だ。
英離脱決定はドイツの経済的影響力を弱める恐れがある。フランスやイタリアなどが大きな政府を訴えてきた中、英国は長年、ドイツと共に政府の干渉を最小限にする自由市場主義を推進してきた。ドイツ議会のある議員は「英離脱後は、経済面でフランス、イタリアと妥協する場面が増えるだろう」と話す。
英国の離脱協議についてメルケル氏は早期開始も望んでいないし、英国に対し「特に厳しくする」理由もないと話す。圧力のかけ方を誤れば、英国や他の欧州諸国、特にドイツに対する経済的コストが膨らむだけだと心配している。
来年の総選挙を控え、メルケル氏はドイツ企業の利益を大事にしている。だが企業は英国の混乱を不安視している。「英EU離脱は今後ずっとドイツ経済に打撃を与える」とドイツ商工会議所連合会のシュバイツァー会長は話す。
英の影響力喪失 対ロ政策に打撃
英国はドイツにとって米国、フランスに次ぐ第3の市場であり、ドイツの輸出額の7.5%を占める。
ドイツはEUで英国が果たしてきた重要な役割が失われることも恐れている。英国はフランス同様、世界で諜報(ちょうほう)活動を展開し、軍事的な影響力を誇り、国連安全保障理事会の常任理事国でもある。
だが、EUの世界における戦略的な役割が損なわれるかもしれない。とりわけウクライナ問題を巡る経済制裁で、英国がメルケル氏の強硬路線を支持した対ロシアにおいてはそうだ。
長期的には、英離脱でドイツの欧州での影響力が強まる可能性がある。とはいえ、短期的な問題はドイツの強さではなく、EUとしての弱さだ。英国が実際に離脱するまでは各国の政治とEUの官僚機構は膨大なエネルギーを奪われ、難民や多額の不良債権を抱えるイタリアの銀行、ギリシャなど他の危機に対応する余力がほとんどなくなる。
欧州が抱える問題がいかに困難でも、メルケル氏は国内の課題や来年の選挙に一段と精力を注ぐだろう。
ドイツのある有力議員は「何が起きても、英離脱で我々の来年の選挙運動が影響を受けることがあってはならない。メルケル首相は欧州の危機管理の実績を訴え、運動したがっている」と言う。前回選挙ではその実績は明白だった。英離脱の影響がまだはっきりとは表れていない今、もはやそれは自明とはいえない。
(13日付)
[日経新聞7月17日朝刊P.13]
評者の「今日の日本人には、太平洋戦争期とは比較にならないほど「自由」が与えられている。ゆえに、われわれ一人ひとりに指導層にたいする「責任」がある」という論も原理的には同意するが、民主政であっても、支配層によって巧妙に仕組まれたウソと秘匿される肝心な情報という状況で生活している“一般国民”に“責任”があるというのは錯誤でありご無体な話である。
対米開戦に至った理由(+投下された原爆の内実)を明らかにすることが、戦後の対米従属構造から抜け出す第一歩になると考えている。
日本が愚かにも対米開戦に至った理由については、
「「治安上の脅威」仏が直前にトルコで大使館など閉鎖:自作自演トルコクーデタ未遂に関して陰謀論を匂わせたNHKの報道」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/585.html
で、
「戦争・革命・テロ・クーデタなど大きな事件には見えない“策謀”が渦巻いている。
日本でも、英米と通じている軍最高幹部が日本を対米戦に引きずり込み、最終的に300万人を超える同胞の犠牲をもたらしている。
1941年(昭和16年)秋の時点で対英蘭戦は必要だとしても、対米戦を仕掛けることはまったく不要(対英蘭戦後、米国から仕掛けられたら受けるしかないが)だったのに海軍上層部のそのような動きを止められなかった陸軍幹部や政治家さらには昭和天皇の無能さを考えると、悔しいし哀しい。
対米開戦のタイミングがあと1週間でも遅ければ、対米戦は始動されなかった可能性が高い。
なぜなら、真珠湾攻撃の前日ナチスドイツがモスクワ近郊から撤退を始め、対米英戦遂行と和平交渉で日本があてにしていたドイツの勝利が見通せなくなったからである。
(だからこそ、海軍首脳部は対米開戦を急がせたのだろうが)」
と書いたように、生々しい陰謀があることを踏まえて考察しなければ、1941年に「決意なき開戦」に至った理由はわからないと考えている。
※ 東南アジアの戦略的重要資源を抑えていたオランダ・英国との戦争は、米国との戦争も覚悟はしなければならないが、“合理的な判断”の範囲である。むろん、その手前で落とし前を付けるのがずっと利巧な国家である。
※ 対中戦争の責任論では陸軍悪玉論がはびこっているが(それはそれで正しいのだが)、北部中国の戦いをシナ事変として全土に拡大した最大の責任は海軍にある。
第二次上海事変当時海軍大臣であった米内光政氏は、閣議で断固膺懲(徹底的に中国を懲らしめる)論を唱えて陸軍の派兵を主張、不拡大主義は消え北支事変は支那事変になったとする全面戦争論を展開した。
そして、海軍航空隊による「渡洋作戦」で、南京・上海・揚州・蘇州・句容・浦口・南昌・九江を連日爆撃した。
これが、支那事変が中国各地に拡大した最大の要因なのである。
第二次上海事変から4ヶ月後の12月に南京を陥落させ“南京虐殺”が起きた。
米内光政氏を中心とする海軍首脳は、中国大陸でも戦争の泥沼化を画策したのである。
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1941決意なき開戦 堀田江理著
真珠湾攻撃までの道のり描く
欧州では、第1次世界大戦から100年ということもあり、20世紀の2つの世界大戦への関心は高い。近年のテロリズムや虐殺行為の「起源」として、一人ひとりに何ができるのか歴史に学ぼうとしている。
では、日本ではどうか。昨年の「戦後70周年」にくらべて、出版物もドキュメンタリーも低調だ。そもそも、「あの戦争」は、日本人にとって、長いあいだ「反省」し「悔悟」すべき歴史事件だった。とはいえ「あの戦争」はいったいいつ始まったのか――満州事変からなのか、日中戦争からか、あるいは近代日本の歴史そのものが「悔悟」すべき対象なのか――この問題は、政治的外交的にむしろ曖昧にされてきたといえよう。
この曖昧さは、1941年に日本が米英に挑んだ戦争について、とくに「ポイント・オブ・ノーリターン」「避戦」をめぐる議論にも影響を与えてきた。
本書の分析によれば、41年に米英に対して「日本の始めた戦争は、ほぼ勝ち目のない戦争」だった。日本の指導者もそれを「概(おおむ)ね正しく認識していた」。ひるがえって、開戦決意に至るまで、幾度となく「避戦」のチャンスは、政治的外交的にも、また軍事的にも存在したと、著者は明晰(めいせき)に指摘する。「開戦決意は、熟考された軍部の侵略的構想に沿って描かれた直線道路ではなかった」。むしろ、きわめて曖昧なものであった。
著者は米プリンストン大で歴史学を、英オックスフォード大で国際関係学を学び教える、気鋭の研究者だ。史料批判はもとより、歴史叙述の巧みさは圧倒的である。本書は、米国民向けに「日本はなぜ真珠湾を攻撃したのか」を説明する目的で、まず英語で刊行された。ニューヨーク・タイムズをはじめ各紙が本書を称賛した。それを著者自身が日本語訳した作品である。
対米開戦から75周年。著者の思いは、「現代日本の起源」という副題に込められている。今日の日本人には、太平洋戦争期とは比較にならないほど「自由」が与えられている。ゆえに、われわれ一人ひとりに指導層にたいする「責任」がある。
たとえば、著者は、「福島原発事故や新国立競技場建設問題までに至る道のり、及びその事後処理における一連の経緯」について、指導層に「当事者意識や責任意識が著しく欠如」していると指摘する。
たしかに、41年とは異なり、今日の日本人が自ら選択肢を狭めたり、曖昧さと無責任に逃げ込んだりしてはならない。本書は「自由」を享受しうる現代の日本人への指南書である。
(人文書院・3500円)
ほった・えり 東京出身。03年英オックスフォード大で博士号取得。専門は国際関係学など。
《評》山梨学院大学教授
小菅 信子
[日経新聞7月17日朝刊P.21]
フジサンケイグループの「サンケイスポーツ」の見出しは、「鳥越氏、保育園問題で女性と懇談「さまざまな側面があることが分かった」というもので、記事中に、「両坂薫さん(32)は「誠実に聞いてくれる姿勢は正直で信用できる人だと思った」と話した」という記述がある。
一方、読売グループの「スポーツ報知」は、「【都知事選】鳥越氏、母親ら前に勉強不足を露呈」で、記事には、「都の保育施設という意味では、すでに認証保育所というものがある。新たに作らなくても、それを見直すことができるのでは」との意見も出て、“勉強不足”を露呈する場面も見られた」とまとめている。
フジ産経グループは、主要メディアの中でもとりわけ右派色・反左翼色が強いと思われている。そういうメディアが、唾棄すべき対象であるはずの戦後民主主義の寵児鳥越氏に敵意を示さず融和的であるところが面白い。
鳥越氏を許容するフジ産経グループの動きは、「一億総活躍」政策を打ち出し、所得再分配や育児・介護支援といったリベラルな政策に舵を取った安倍官邸の“意向”を反映しているのかもしれない。
※「スポーツ報知」は、「“勉強不足”を露呈する場面も見られた」と評価した理由にあたるものとして、「鳥越氏の方から参加者に「私は都立の保育園を作りたいという気持ちがあるんですが、それについてどう思いますか」と質問したが、母親らは「正直、それは話題性でしかないと思う。それを実現するために都で人材を育てていく暇があったら、今あるものを拡充して、まともに機能できるようにしてほしい」。さらに「都の保育施設という意味では、すでに認証保育所というものがある。」」と書いている。
しかし、“認証保育所”は、児童福祉法で規定された設置基準を満たしている“認可保育所”よりも緩い設置基準や参入条件を認めた都独自のもので、「都立」(その是非はともかく)の保育所とはまったくつながらないものである。
鳥越氏よりも「スポーツ報知」のほうが“勉強不足”を露呈したと言える記事である。
※ リベラリズム嫌いの私が鳥越氏を支持するワケを簡単に書いたもの
「(参考)東京都知事選主要3候補第一声全文:鳥越 俊太郎氏・増田 寛也氏・小池 百合子氏」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/931.html
※関連参照投稿
「250万票超をめざし戦後リベラル派鳥越氏と自由主義保守派小池さんの一騎打ち:政党の推薦や支持は決め手にあらず」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/397.html
「鳥越俊太郎 周囲がベタ褒めする「結婚47年目箱入り妻」の度量:「女性自身」と「週刊文春」、どちらを読む女性が多いのかな?」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/852.html
「高須クリニック院長が鳥越氏を認知症とツイートしたのは公職選挙法違反:安倍政権支持と言わない限り大丈夫(笑)
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/899.html
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鳥越氏、保育園問題で女性と懇談「さまざまな側面があることが分かった」
サンケイスポーツ 7月23日(土)18時42分配信
東京都知事選(31日投開票)に立候補しているジャーナリスト、鳥越俊太郎氏(76)は23日、東京都千代田区内で開かれた待機児童問題など保育の現状を話し合う懇談会に出席した。
懇談会には認可保育園に入れなかった子供を持つ母親ら約20人が参加。鳥越氏は、認可外保育園に入れたものの環境が劣悪で料金も割高なこと、生後6カ月の娘が死亡事故に遭った経験をもつ女性の話などを聞いた。
懇談後、鳥越氏は「保育園問題といっても、さまざまな側面があることが分かった。量だけではなく質が伴わないといけない。道路建設などに使っている資金を充てれば、相当解決すると思う」と述べた。
足立区のパート、両坂薫さん(32)は「誠実に聞いてくれる姿勢は正直で信用できる人だと思った」と話した。
その後はJR立川駅前(立川市)で演説し、「多摩モノレール」を使って多摩ニュータウンに移動。選挙戦中では初めて公共交通機関を使用した。多摩ニュータウンでは老朽化した団地を再生し、新たな町作りをしている様子などを視察した。
鳥越氏は「手応えは感じている。最後の1週間なので、ペースを上げていく。演説回数だけでなく、場所も多摩地区や島しょ地区などに広げていく」と意気込んだ。
最終更新:7月23日(土)18時42分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160723-00000542-sanspo-soci&pos=2
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【都知事選】鳥越氏、母親ら前に勉強不足を露呈
スポーツ報知 7月23日(土)19時1分配信
東京都知事選(31日投開票)に野党統一候補として出馬したジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)が23日、都内で待機児童問題に悩む母親や、保育事故で子供を亡くした両親らとの懇談会を行った。
「当事者から直接話を聞きたい」と鳥越氏が要望し、実現した懇談会。認可保育園に子供を預けることができずに仕事に復帰することを諦めた母親や、親族の力を借りて何とか日々の生活を送っている母親などの切実な訴えを聞き、「量(保育所の数)も重要だが、質が伴った保育でないとダメだということがよく分かりました」と大きくうなずいた。
その後、鳥越氏の方から参加者に「私は都立の保育園を作りたいという気持ちがあるんですが、それについてどう思いますか」と質問したが、母親らは「正直、それは話題性でしかないと思う。それを実現するために都で人材を育てていく暇があったら、今あるものを拡充して、まともに機能できるようにしてほしい」。さらに「都の保育施設という意味では、すでに認証保育所というものがある。新たに作らなくても、それを見直すことができるのでは」との意見も出て、“勉強不足”を露呈する場面も見られた。
それでも、鳥越氏は「一つのアイデアを出したんですが、皆さんはあまり歓迎してくれなくて…。ただ、これは聞いてみないと分からないことですから。様々な問題があることが分かって、良かったと思います」とあくまで前向き。その後、この日はJR立川駅など3か所で街頭演説を行った。
最終更新:7月23日(土)19時1分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160723-00000164-sph-soci
のコメント欄1.のコメントに対するレスポンスです。
【引用】
「1. 2016年7月24日 08:29:16 : 48gVEZrLWM : k8A4ogJVNqw[2]
誰が書いたか知らないが、最初のコメントがバカすぎて話にならない。
軍幹部が対米戦に引きずり込んだ事実はない、むしろ逆で反対していた。
開戦を煽ったのはマスコミだ。
昭和天皇が無能?
バカもここまでくると犯罪だ。
立憲君主が政治に口出しできないことも知らないのか。
小学校から入り直せ!」
【コメント】
最初に、「昭和天皇が無能?バカもここまでくると犯罪だ。立憲君主が政治に口出しできないことも知らないのか。小学校から入り直せ!」について:
まず、立憲主義とは、統治機関の権限及び行為の大枠が憲法で規定されているという考え方及び統治形態であり、元首ないし政府が、具体的にどのような(どこまでの)統治権限を保有しているかということに直接は関わっていません。
ですから、貴殿の「立憲君主が政治に口出しできないことも知らないのか。」という指摘は、まったくデタラメな批判ということになります。
立憲君主は、政治に口出しするとき、できる範囲や方法が憲法で規定されているというだけのことです。
それを示しているのが、大日本帝国憲法であり、「第1条大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」としながら、「第4条天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ」と立憲主義をうたっています。
戦前日本の天皇を立憲主義的に規定する大日本帝国憲法は、協賛や輔弼を受けながらも、立法権・行政権・軍事権が基本的に天皇にあるとしています。
今回のテーマである軍事及び戦争についても、
「第11条天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス
第12条天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム
第13条天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス」
と、大日本帝国憲法は天皇が絶対的な権限を有していることを明らかにしています。
次に、「軍幹部が対米戦に引きずり込んだ事実はない、むしろ逆で反対していた。
開戦を煽ったのはマスコミだ。」について:
東條英機氏も対米戦には消極的だったように、米英と通じていない軍幹部は勝ち目のない対米戦には消極的(反対というより消極的というのがあたっている)だったと言えます。
とりわけ、陸軍は、対米戦は海軍の役割と考えていたので、軍機構としては中心的存在ありながら、海軍が決する問題という愚かな気分をもっていました。
マスコミが、中国での戦争を煽り、対日移民規制から醸成されていた反米意識と思うように進まない日米交渉のため、アメリカ憎しという感情を煽っていたこともまちがいありません。
しかし、マスコミには国策を決定する権限はないのです。
もしも、天皇・参謀本部・軍令部・内閣が、マスコミやマスコミに煽られた国民感情に左右されて対米開戦を決めたとしたら、それこそ、無能・無責任の極みではありませんか?
超高齢社会の健康問題の核心である「老化」は、一生涯にわたる対策で取り組まなければならないことに気づき始めた方も多いと思う。老化に対する耐性を身につけるために、若い頃の筋肉量を増やす運動(スポーツ)の経験が大きな役割を果たすのはその好例である。
しかし、若い頃にいかに運動に打ち込んだとしても、悲しいことに私たちの体の筋肉量は30歳から70歳までの40年間で10年ごとに3〜8パーセントずつ減少することがわかっている。そして70歳以降はさらに減少率が指数関数的に上昇する。この減少は老化によるものであるが、個人差が極めて大きいのが特徴である。
そこで、筆者らはこの差を生む原因を特定するため地域の元気なシニアの方々の協力を得て、老化の進む速度を決めているライフスタイルをはじめとするさまざまな要因を明らかにする研究をこれまで続けてきた。
病気の発症リスクを高める原因をみつけだす研究では、調査開始時に体の医学的プロフィールやライフスタイルなどを一斉に調べ上げ、その特徴であらかじめグループ分けしておく。そして、標的にした病気の自然史に合わせた追跡期間を設け、どの特徴のグループから発症するかチェックすれば原因を特定できる。
これに対し、老化研究は身長であればその縮み具合が問題になるため、調査の参加者全員に対して定期的に同じ計測器を使って測定し続けなければならない。研究の参加者への負担が大きく膨大な研究費がかかる大変さがある。
しかしながら、30歳頃を起点に進み始める老化は、病気と違い普遍的な変化のため、病気の原因をみつけだす研究ではまずはみえてくることのない、生涯私達が実践しなければならない良好な生活習慣や人間としての生き方の本質を垣間みることができる。
●老化の速度と体のたんぱく質栄養レベルに密接な関係
本連載で、「老化とは栄養失調になってゆく変化」と表現したが、研究が進むに従い、漸次進行する老化の速度と体のたんぱく質栄養のレベルが予想以上に密接に関係し合っていることがわかってきた。
そこで、老化のレベルが鋭敏に反映される最大歩行速度とたんぱく質栄養の相関関係を示すデータを紹介しよう。体のたんぱく質栄養を評価する指標にはさまざまなものがあるが、精緻な量反応性(dose-response)を備えた指標として血清アルブミンが最良である。
量反応性とは、わずかな数値の差でも、表出する変化に違いがみられることをいう。なお、血清アルブミンの詳細については次稿で解説する。
地域の元気なシニア約350名の協力のもと行った8年間の縦断研究である。初回調査で採血し血清アルブミンを測定して、値の高くたんぱく質栄養の良いグループ(4.3g/dL以上)、中位グループ(4.2〜4.1g/dL)、低いグループ(4.0〜3.8g/dL)に分け、その後8年間の各グループの最大歩行速度が低下する程度を比較した。
その結果、たんぱく質栄養の良いグループに比べ、低いグループは約40%最大歩行速度の低下量が大きいことが明らかになり、中位グループはその中間の20%程度の低下量であった。血清アルブミンと最大歩行速度の低下の関係は直線的なこともはっきりした。たんぱく質栄養の良いシニアほど老化の速度が遅く抑えられ、足腰の衰えがわずかで済んでいることを示している。
この関係は、運動習慣があるかないか、年齢は何歳か、あるいは太っているか否かなど他にも関係している項目の影響を加味酌量しても、変わらない明瞭なものだった。たんぱく質栄養が良好なシニアほど、体の虚弱化が予防され要介護リスクが低いのである。
この縦断研究で示された老化とたんぱく質栄養の関係は、その後アムステルダム在住のシニア集団の研究でも確認され、現在では国際的な共通認識となっている。最近、健康食品の広告で「たんぱく質」という栄養用語を目にすることが多くなった。筆者にとっては遅ればせながらの感は否めないが、よい潮流である。
(文=熊谷修/人間総合科学大学教授)
最終更新:7月21日(木)6時2分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160721-00010004-bjournal-soci&pos=1
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ドイツ南部アンスバッハで強力な爆発(動画)[スプートニク日本語]
2016年07月25日 13:07(アップデート 2016年07月25日 14:37)
地元警察当局によると1人が死亡、少なくとも12人が負傷した。約2000人が避難した。爆弾犯と思われる男は爆発で死亡した。
爆発現場付近で開催中だった3日間の音楽祭は当局判断で中止に。客らはすみやかに避難した。
ポータルNordbayern.deによると、近隣のホテルおよび家屋の住民も避難した。
バイエルン内務当局のヨハン・ヘルマン代表によれば、犯人は2年前にドイツに到着し、難民認定を申請していたシリア出身の27歳だった。1年前に難民認定を拒否されていた。
先に伝えられたところによると、ドイツの新聞ビルトは、自社のツイッターのマイクロブログの中で、22日にミュンヘンのショッピングセンターで10人を殺害した犯人と思われる男性の写真を公表した。
プランカーのウラジーミル・クズネツォフ(ヴォヴァンの名で知られる)とアレクセイ・ストリャロフ(レクサス)の両氏は世界アンチ・ドーピング機構(WADA)のクレイグ・リーディ代表と米国反ドーピング機関(USADA)のトラヴィス・タイガート代表と会談した。内容は22日、NTVサイトに掲載された。
会話は5月に行われたが、ロシア選手に対する国際オリンピック委員会(IOC)とスポーツ仲裁裁判所(CAS)の決定に影響を与える可能性があったので、発表されなかった。
プランカーはイーゴリ・ジダノフ・ウクライナスポーツ大臣を名乗った。
クレイグ・リーディ氏は、元モスクワアンチ・ドーピング検査室のグリゴリイ・ロドチェンコ代表の言葉以外ロシアの違反の証拠はない、と語っている。
トラヴィス・タイガート氏は、証拠の不足にもかかわらず、ロシアチームはリオ五輪から失格するべきだと述べた。 「我々の立場は、ロシアの参加は認められない、とうもの。私が決定するなら12ヶ月陸上ロシア代表チームを退ける。これは政治だ」。
21日、CASはロシア選手のリオ五輪への参加を禁止した。
国際オリンピック委員会(IOC)は世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の情報提供者でロシア人ランナーのユリア・ステパノワのリオ五輪参加を認めない。2013年にドーピングのため失格したため。IOCプレスリリースより。
ユリアと夫のヴィターリーはWADAの調査につながったロシア選手のドーピングについてのドイツのテレビチャンネルARDの番組における主要な情報提供者だった。
これがもとになり、国際陸上競技連盟(IAAF)はリオ五輪を含め、連盟の下で行われる競技会へのロシア選手の参加を停止した。
先にIOCのプレスリリースで発表されたところによると、国際オリンピック委員会(IOC)は、ロシア代表をリオ五輪から排除しないことを確認した。
国際オリンピック委員会(IOC)は、ロシア代表をリオ五輪から排除しないことを確認した。IOCのプレスリリースで発表された。
同時にIOCはロシア選手の出場の是非に関する決定権を諸国際スポーツ連盟に移譲した。従って、ロシアの陸上選手はリオ五輪には出場できない。既に国際陸上競技連盟(IAAF)が決定を下しているためだ。先にIAAFは、申請のあった136選手のうち、リオ五輪には走り幅跳びのダリヤ・クリシナ氏のみに出場を認めた。この決定は有効のまま。
また、トーマス・バッハIOC会長は、ロシアスポーツ省の役人は五輪の通行証を取得できない、と述べた。
「ロシアスポーツ省の当局者は五輪の通行証を取得できない」「IOCは倫理委員会を創設した。それが申し立ての審査を継続する」と会長。
なお、IOCのプレスリリースには、以前ドーピング問題を抱えたロシア選手はリオ五輪には参加を許されない、と記されている。
http://jp.sputniknews.com/sport/20160724/2551299.html
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日本のオリンピック委員会長、ロシアの五輪参加に関するIOCの決定を歓迎[スプートニク日本語]
2016年07月25日 16:00(アップデート 2016年07月25日 16:18)
日本の国内オリンピック委員会の竹田恆和会長は、ロシアの各選手のリオ五輪参加について各国際スポーツ連盟に決定権を委ねることを歓迎した。
国際オリンピック委員会(IOC)執行委員会は昨晩、五輪からのロシア代表の完全排除をせず、判断は各国際スポーツ連盟に委ねることを決めた。以前にドーピング問題を抱えていたロシア選手は参加が許可されない。
「これは国際連盟がすべてを解決することを意味するものではない。しかし国際連盟に(選手の違反がないことの)明確な証拠が存在すれば(五輪)出場への道が残ることは良いことだ」と竹田氏。
日本体操協会の渡辺守成専務理事は、リオ五輪にロシア選手がいないと最高レベルの競争にならず、メダルの重みも十分なものとならない、との考えを示した。 「選手にとってそれは悲劇だろう。クリーンな選手が参加を禁じられることには反対だ」と渡辺氏。
中国の王毅外相と北朝鮮のリ・ヨンホ外相は25日、訪問先のラオスで会談し、およそ2年ぶりとなる外相会談を通じて関係改善に向けた姿勢をアピールしました。
ASEAN=東南アジア諸国連合の一連の外相会議のためラオスを訪れている中国の王毅外相と、ことし5月に就任した北朝鮮のリ・ヨンホ外相は25日、首都ビエンチャンで会談しました。
中朝両国の外相会談は、おととし8月以来およそ2年ぶりで、初めて顔を合わせた両外相は、会談に先だって報道陣を前に握手を交わしました。このあと、およそ50分間行われた会談の詳しいやり取りは明らかにされていませんが、北朝鮮代表団に加わっている当局者によりますと、「中朝関係の発展に向けた問題を話し合った」ということで、北朝鮮の核問題を含めて幅広く意見が交わされたものとみられます。
中朝両国は、北朝鮮によることし1月の核実験や、2月の事実上の長距離弾道ミサイルの発射などを巡って関係がぎくしゃくしていましたが、先月、中国の習近平国家主席と、北朝鮮の前の外相のリ・スヨン朝鮮労働党副委員長が北京で会談したのに続いて、今回、双方の友好国であるラオスで久しぶりに実現した外相会談を通じて、関係改善に向けた姿勢をアピールしました。
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北朝鮮外相 ARF出席でラオスに到着[NHK]
7月24日 19時54分
北朝鮮のリ・ヨンホ外相は、ARF=ASEAN地域フォーラムに出席するため、24日、会場のラオスに到着し、リ外相は、会議の場で、核・ミサイル開発を正当化するとみられるほか、北朝鮮が関係改善を模索する中国など、各国との接触があるか注目されます。
北朝鮮のリ・ヨンホ外相は、ラオスの首都ビエンチャンで26日開かれるアジア・太平洋地域の安全保障問題などを話し会うARF=ASEAN地域フォーラムに出席することになっていて、24日、中国経由の便でラオスの空港に到着しました。
リ外相は、中国の王毅外相と同じ便に乗っていて、王外相に続いてタラップを降りると、大勢の外国メディアに取り囲まれましたが、問いかけには答えず、出迎えの車で空港を後にしました。
北朝鮮はこのところ韓国とアメリカによる最新の迎撃ミサイルシステム「THAAD」の韓国国内への配備決定などに反発を強めていて、リ外相は、会議の場で、「核・ミサイル開発は、アメリカの核の脅威に対抗するためだ」などと正当化して、開発を推し進める姿勢を強調するとみられます。
また、国際的な圧力が強まるなか、北朝鮮が関係改善を模索する中国の王外相など、会議に合わせて各国との接触があるか注目されます。
ドイツ南部のアンスバッハで現地時間の24日夜(日本時間の25日朝早く)に起きた爆発について、地元の州政府は、ドイツへの難民申請を退けられた27歳のシリア人の男が隠し持っていた爆発物を爆発させたもので、男が死亡し、近くにいた12人が重軽傷を負ったと発表しました。
ドイツ南部バイエルン州のアンスバッハで24日午後10時すぎ(日本時間の25日午前5時すぎ)、爆発がありました。
地元の州政府は記者会見を行い、この爆発が27歳のシリア人の男が隠し持っていた爆発物を爆発させたものだったとして、男が死亡し、近くにいた12人がけがをしてこのうち3人が重傷だと発表しました。
これまでの調べで、男は2年前にドイツへの難民申請を行ったものの、去年、申請を退けられ、その後は人道上の理由から保護施設に滞在していたということです。目撃者によりますと、男は当時、近くで開かれていた屋外コンサートの会場に入ろうとしたものの、入場を拒否されたことから、会場の入り口付近で爆発物を爆発させたものとみられています。
男は、過去に何回か自殺を試みたこともあるということで、州政府の関係者は「動機が自殺目的だったのか、他人を殺害することだったのか現時点ではっきりしない」としています。
ドイツ南部では、今月22日に中心都市のミュンヘンで男が銃を発砲し、9人が犠牲になる事件が起きたばかりで、相次ぐ凶悪事件に不安が広がっています。
ドイツ 飲食店近くで爆発 1人死亡 多数けが[NHK]
7月25日 9時48分
ドイツ南部のバイエルン州のアンスバッハで、24日夜、日本時間の25日朝早く、飲食店の近くで爆発があり、1人が死亡、少なくとも10人がけがをしていて、ドイツのメディアは地元の当局者の話として爆発物による爆発の可能性があると伝えています。
ドイツ南部バイエルン州のアンスバッハで24日午後10時すぎ、日本時間の25日午前5時すぎ、飲食店の近くで爆発があり、1人が死亡し、少なくとも10人がけがをしました。
爆発の原因について、警察は明らかにしていませんが、ドイツのメディアは地元の複数の当局者の話として、爆発物による爆発の可能性があると伝えています。
当時、現場の近くでは、2500人ほどが参加して野外コンサートが開かれていましたが、爆発を受けてコンサートは打ち切られ、警察が付近一帯を封鎖しているということです。
アンスバッハのあるバイエルン州のミュンヘンでは、今月22日にも商業施設の近くで男が銃を発砲し9人が犠牲になる事件が起きたばかりで、緊張が続いています。
東南アジアのラオスを訪れている中国の王毅外相は現地で韓国のユン・ビョンセ(尹炳世)外相と会談し、アメリカの最新のミサイル迎撃システム「THAAD」の韓国国内への配備をやめるよう要求しました。
中国の王毅外相と韓国のユン・ビョンセ外相は共に、ASEAN=東南アジア諸国連合の一連の外相会談に出席するためラオスを訪れていて24日夜、個別の会談を行いました。
会談の冒頭、王外相は、韓国がアメリカの最新の迎撃ミサイルシステム「THAAD」を国内に配備すると決定したことを取り上げ、「最近、韓国が中国との信頼の礎を損ねたことは遺憾だ。両国関係を守るためにどのよう行動を取るのか聞いてみたい」と述べました。
韓国政府の関係者によりますと、これに対しユン外相は、北朝鮮の核とミサイルの脅威を強調したうえで、「THAADは自衛のために配備するもので、第三国を対象にしていない」と繰り返し理解を求めました。
しかし、中国は、THAADの高性能レーダーが韓国防衛のためだけでなく中国軍の監視にも利用されるとみて配備に強く反対していて、王外相はユン外相に配備をやめるよう要求したということで、両国の隔たりは埋まりませんでした。
IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長は、リオデジャネイロオリンピックへのロシア選手の出場の可否について「最終的にはIOCが判断する」と述べ、それぞれの国際競技団体に判断を委ねたわけではないと強調しました。
IOCは24日の緊急理事会で、組織的なドーピングが認定されたロシアについて対応を協議し、陸上以外の選手は国際競技団体が認めた場合などの条件付きで、リオデジャネイロオリンピック出場を認めることを決めました。
この決定に対して、ロシア選手の全面的な出場禁止を求めていた欧米を中心に批判が相次ぐなか、IOCは緊急理事会のあとに撮影したバッハ会長のインタビュー映像を公開しました。
この中でバッハ会長は「すべての人間には個人の正義を主張する権利がある」として、ドーピングをしていない選手の出場機会を尊重する考えを示しました。その一方で、「ロシア選手にはいわゆる『推定無罪の原則』は適用できず、非常に厳しい基準を満たさなければオリンピックに参加できない。ロシア国外で行われた信用できるドーピング検査を基に、国際競技団体が個々の選手について分析したうえで、最終的にはIOCが、CAS=スポーツ仲裁裁判所の仲裁人の助言を基に出場の可否を判断する」と述べ、それぞれの国際競技団体に判断を委ねたわけではないと強調しました。
また、ロシア陸上界の組織的ドーピングを内部告発したユリア・ステパノワ選手の、ロシア代表ではない中立の立場でのオリンピック出場を認めなかったことに関連しては、「オリンピック憲章は中立の立場の選手というものを見越していない」と説明し、さらに「ほかの国や地域の選手と違い、過去にドーピングで処分を受けたロシア選手は、その処分期間を終えても今回のオリンピックには出場できない」と、緊急理事会の決定内容を繰り返すのにとどまりました。
アメリカ大統領選挙に向けた民主党の候補者選びで、党全国委員会の委員長らが、クリントン前国務長官に肩入れし、サンダース上院議員の躍進を阻もうとしていた疑いが浮上して、委員長が辞任することになり、党大会を前に亀裂が露呈したかたちです。
この疑惑は、内部告発サイト、ウィキリークスが、民主党全国委員会のワッサーマンシュルツ委員長ら幹部のものだとする、メールを公開したのをきっかけに浮上したものです。
それによりますと、委員長ら幹部は、候補者選びで中立な立場であるべきにもかかわらず、サンダース上院議員について、「民主党を理解しておらず、大統領にはなれない」などと批判し、記者会見などの場でサンダース氏に都合の悪い質問をするよう提案したということで、クリントン前国務長官に肩入れし、サンダース氏の躍進を阻もうとしていた疑いが持たれています。
サンダース氏は24日、アメリカメディアのインタビューに対し「全国委員会は最初からクリントン氏の味方だった」と批判し、委員長に辞任するよう求めました。
ワッサーマンシュルツ委員長は疑惑についてコメントしていませんが、25日から始まる党大会が閉会したあとに辞任する考えを表明しました。
党大会ではクリントン氏を大統領候補に指名し、11月の本選挙に向けてサンダース氏の支持層との結束を図る必要がありますが、それを前に亀裂が露呈したかたちです。
トランプ氏「民主党大会はもうバラバラ」
アメリカ大統領選挙に向けた民主党の党大会を前に、民主党全国委員会のワッサーマンシュルツ委員長が辞任することになったことを受けて、共和党のトランプ氏は24日、みずからのツイッターで、「共和党のプリーバス委員長は、タフで賢明な人物だが、民主党のワッサーマンシュルツ委員長はそうではないということが、きょう証明された。民主党の党大会は、もうバラバラだ」として、民主党の党大会は失敗すると攻撃しました。
また、トランプ氏の陣営も声明を発表し、「ワッサーマンシュルツ委員長のメールによって、民主党は危機にさらされたが、クリントン前国務長官のメール問題は、アメリカ全体を危機にさらしている」として、クリントン氏が、国務長官在任中に、私用のメールアドレスを公務で使っていた問題を引き合いに出して、民主党側を批判しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160725/k10010607531000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_014
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/682.html
サウジアラビアはロシアに対し、かつてソ連が中東で演じていたような大きな役割を保障する用意がある。ただしこれを得るにはロシアはシリアのアサド大統領への支援を断念せねばならない。サウジアラビアのジュベイル外相は米ニュースメディアのポリティコからのインタビューに対し、こう語った。
ジュベイル外相はプーチン大統領が中東でロシアの役割強化を狙っている事は承知の上としたうえで、アサド氏に残された日数はわずかと警告し、早急な合意締結を提案した。
ジュベイル外相は、サウジアラビアはロシアに対し湾岸協力会議の商品市場および中国を上回る規模の投資市場への進出権を与えると語っている。
シリアでは2011年からアサド政権と武装した反体制派との間で内紛状態が続いている。ロシアの航空部隊はシリア軍への支援を行っている。
「シリアは対話がシリア人自身によって決定される最終的な解決につながることを期待して、前提条件なしにシリア諸勢力間交渉を行う用意がある。外部からの介入なしで。国連と国際社会の支援のもとで」リア・ノーヴォスチが伝えた。
交渉のひとつ前のラウンドは、4月にジュネーブで開催された。国連特使スタファン・デ・ミストゥレ氏は2週間のうちにダマスカスと反対派を直接交渉に引き出すことができなかった。協議は5月も継続することが予想されたが、そうはならなかった。
先に伝えられたところによると、6機のロシアの爆撃機が、シリア領内で諜報により発見された「ダーイシュ」の拠点を空爆した。
オーストラリア選手団の代表は、自らの選手団をリオ五輪の選手村にある家に住まわせることを拒否した。建物が人の居住に準備されていないからだ。BBCが報じた。
選手団の代表キティ・チラー氏は、選手村の住居で見つけた問題として、使えないトイレ、水道管からの水漏れ、むき出しの電線、照明の欠如や汚れをあげている。
チラー氏は選手村の隣にあるホテルに泊まり、月曜日リオに到着した選手団には、代わりの居住地が用意された。
なおリオデジャネイロ夏季オリンピックは、今年8月5日から21日にかけて行われる。
先に伝えられたところによると、ブラジルのリオデジャネイロで、2016年リオ五輪の選手村が開村した。
米韓は、韓国に配備されるTHAADシステムの探知レーダーによって得られたデータを日本と共有しない。月曜日、政府筋が韓国の聯合ニュースに伝え、次のように述べている。
「情報共有に関する日米韓3カ国協力に則り、この3国は北朝鮮の核・ミサイル計画に関するあらゆる情報は共有する義務がある。しかし、THAADシステムの探知レーダーによって得られた情報は、日本にいくことはない」政府筋によると、飛行最終段階にあるミサイルに関する情報を共有することは、「無意味だ」という。
THAADユニットを韓国に常設配備する口実は、北朝鮮による核ミサイルの脅威への対抗というものだった。THAADシステム配備実現に強く反対しているのは、ロシアと中国だ。
先に伝えられたところによると、退役軍人らは韓国へのTHAAD展開はワシントンとモスクワ、北京、平壌との関係の緊張をエスカレートさせるとしてこれに反対した。
米国の非政府組織「平和のための退役軍人」は韓国へのTHAAD展開はワシントンとモスクワ、北京、平壌との関係の緊張をエスカレートさせるとしてこれに反対した。メディアが報じた。
「米国と韓国は北朝鮮ミサイルの脅威でTHAAD展開の決定を正当化するが、 THAADは韓国を保護するためのものではない。その任務は中国ミサイルの使用可能性を中和し、地域内の米軍部隊を守ることだ」。
「同時に、韓国の人々は、自国保護の観点から最終的に役に立たないシステムのために高すぎる価格を支払うことになる」。
米国は「中国とロシアを取り囲むようにミサイル防衛システムを設置しようとしている」。これは両国の防衛力を破壊し、「世界に危険な軍拡競争を促進する」ものだ。
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ダーイシュ(IS)リーダーの補佐役、死亡[スプートニク日本語]
2016年07月24日 23:53(アップデート 2016年07月25日 04:34)
イラク治安部隊はディヤラ州北部でテロ組織ダーイシュ(IS)リーダーの補佐役アブ・バクル・アル・バグダディーを殺害した。イラク国防省が土曜発表した。
「ディヤラ州北部のアル・ムヒサオクルグ・アブ・サイド地区で犯罪者ナシフ・ジャシム・アル・ハヤリとテロリストの補佐役アブ・バクル・アル・バグダディーが殲滅され、その支持者数人が負傷した」という。
6月ロシアのシリア大使が述べたところでは、アル・バグダディーは負傷しており、近く殲滅される、とのことだった。
イラクではダーイシュが広範な地域を支配しており情勢が緊張している。
米コロラド州ヒューゴー市当局は、市の水道水の中から向精神物質テトラヒドロカンナビノールを発見した。CNNテレビが伝えた。
水道にそうした物質が混入されたのが、故意によるものだったのかどうかは、今のところ明らかではないが、市内に水を供給している主要な5つの水源のうちの一つで、何者かが入りこんだ跡が見つかった。現在、水源への出入りは禁止されているが、おそらく供給されている水のすべてが汚染されたと見られている。地元TVが警察の情報をもとに伝えた。
市民に対しては、水道用の水を飲んだり、料理をするために使用しないよう呼びかけがなされた。マスコミ報道によれば、テトラヒドロカンナビノールに含まれるカンナビノイドは、協調運動失調を引き起こす可能性があり、幻覚や妄想といった心理的障害や不安を高めるため、車の運転などに影響を与える。
なお地元警察によれば、水の汚染は近く解消されるとのことだ。
先に伝えられたところによると、米国で警官が自閉症患者を介助していたアフリカ系米国人を負傷させた。
米大統領選挙のドナルド・トランプ共和党候補は、新聞The New York Timesの取材で、ロシアとNATOに関する質問に率直に答えたが、その後、欧米のマスコミは、ヒステリックなまでの反応を示した。質問の内容は「ロシアが侵略してきた場合、米国はNATO諸国をすぐに支援するかどうか」というものだった。
質問に対し、トランプ候補は「NATO加盟国は、借金の支払いを許してもらうことなどできない。彼らには、支払わなければならない義務がある。NATOの多くの国々は、すべきことをしていない。これは重大なことだ」と述べた。
こうした発言は、西側の多くのマスコミに「トランプ候補はクレムリンのエージェントだ」と報道するきっかけを与えた。新聞The Washington Postは「トランプ候補は、プーチン大統領の『飾り犬』だ」と評し、新聞Slateなどは「プーチン氏こそ、大統領候補にトランプ氏を押し出した『真の勝利者』である」と書いている。また新聞The Atlanticは「米大統領選でのヒラリー氏のライバルは、プーチン氏となった」と指摘した。
こうした報道に対し、国家利益センターのエグゼクティブ・ディレクター、ポール・サンダース氏はトランプ候補を支持し「彼への批判は、残念であり攻撃的だ」と述べている。
他はわからないが、ミュンヘンのショッピングモール銃撃は、報じられている映像で確認した限り発砲者が最低でも二人はいる(Macの前の一人と駐車場屋上の一人でともに拳銃を使用)から、イラン系少年の単独犯行という当局の説明はウソである。
笑えたのは、バス停で言い合いになって鉈で殺した事件について、当局がテロではないと説明したことだ。殺される(実際に死人がいたかは不明)方にとってみれば、テロだろうがキレたうえの行為だろうが同じ不幸な結末だし、イスラム圏の人々は“恐ろしい”・「難民が増えると治安がますます悪化する」といった“イスラム恐怖心”が醸成されるのも同じだろう。
大騒ぎになった「ケルン大晦日大量婦女暴行事件」も、“大山鳴動鼠一匹”(キスの強要で執行猶予付き有罪者が2名のみ)で捜査は終結したようだ。
国民が愚かな策動をしている政府に気づき大きな声を上げるまで、“イスラム恐怖心”を煽る様々な事件が各地で続発するだろう。
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難民らによる殺傷、独南部で相次ぐ メルケル政権に打撃
2016/7/25 21:12 (2016/7/25 23:54更新)
【フランクフルト=加藤貴行】ドイツ南部で難民などによる殺傷事件が相次ぎ、治安悪化の不安が広がっている。24日にはシリア人による爆発事件で起き、自爆テロとの見方が強まっている。南部では1週間で難民らによる殺傷事件が4件も発生。治安の不安が現実のものになりつつあり、難民に寛容な政策をとり続けた独メルケル政権には打撃となりそうだ。
24日夜に独南部アンスバッハで起きた事件では、難民申請者のシリア人の男(27)が野外コンサート会場の入り口近くで爆発物を爆発させた。男は死亡し、15人が負傷した。殺傷能力を高める金属片があり、観衆らを巻き込む狙いだった可能性が高まっている。
地元バイエルン州政府のヘルマン内相は25日、独DPA通信に対し、「典型的なイスラム系の自爆テロとみなすのが自然だ」と述べた。
容疑者の男は2年前にドイツに入国。1年前に難民申請を却下されたが、市内の施設に住んでいた。過去に2回自殺未遂を図り、精神科の通院歴もあったという。
同州では州都ミュンヘンで22日、イラン系ドイツ人の少年(18)が銃を乱射する事件が起きたばかり。18日には州北西部ビュルツブルクで、アフガニスタン人の難民の少年(17)による負傷事件もあった。
一連の事件で政権運営にも影響が出る可能性がある。バイエルン州は独南東部に位置し、中東からの難民受け入れの玄関口で、治安悪化や財政負担の増加への不安はあった。ゼーホーファー州首相は連立政権に加わるキリスト教社会同盟の党首。難民の流入を制限して監視を強めるよう求め、これまでもメルケル氏と対立してきた。
一方、連邦政府のデメジエール内相は25日、独メディアに対し、「難民一般への疑念を抱いてはならない」と強調した。
メルケル首相はミュンヘンの事件を受け23日、「ドイツの全ての人々の安全と自由を守るために全力を尽くす」と述べている。それでも事件は起きた。有効な対策を打ち出せなければ、ゼーホーファー氏との亀裂が深まり、世論からも首相への風当たりが強まるのは避けられない。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H6L_V20C16A7FFB000/?dg=1&nf=1
【ワシントン=河浪武史】米大統領選で環太平洋経済連携協定(TPP)への逆風が強まり、米国議会での年内承認が険しくなっている。交渉をまとめた米通商代表部(USTR)のフロマン代表は日本経済新聞などのインタビューで、「(参加12カ国の)再交渉は困難」と指摘。年内決着をめざす考えを強調したが、来年発足する次期政権での一定の仕切り直しは避けられないとの見方が強まっている。
フロマン氏はワシントン市内で、一部メディアのインタビューに答えた。TPPを巡っては、大統領候補への指名が確定した民主党のヒラリー・クリントン氏が再交渉を明言し、共和党のドナルド・トランプ氏は撤退を表明した。フロマン氏は「TPPを批准できなければ米国の損失は大きい」と強調。オバマ政権下で大統領選後の「レームダック国会」に関連法案を提出するのが望ましいとの見方を示した。
TPP法案は提出後90日以内に採決する必要があるが、与野党の賛否は拮抗している。フロマン氏は「反対派議員の支持母体を一つ一つ説得している」と述べた。日本などの市場開放が小幅だと反発していた畜産業界や、データセンターの現地化規制に異論を唱えていた金融界は「米政権が対策を講じることで賛成に転じた」と明かした。
ただ、バイオ新薬のデータ保護期間を巡る医薬品業界との調整は「協議を重ねている」と述べるにとどめた。共和党重鎮のハッチ上院財政委員長は、データ保護期間を12年に延ばすよう協定の修正を求めており、一定の打開策の合意ができなければ審議入りは難しい。
フロマン氏は議会承認が年内に得られなければ「実現時期は極めて不透明になる」と懸念。クリントン氏が主張する再交渉は「12カ国が参加するTPPは極めて複雑だ」と非現実的との見方を改めて表明した。批准が遅れれば「牛肉であればオーストラリアは2国間協定で日本の関税引き下げを実現しており、米国勢は不利な立場におかれる」とした。
国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国とは、2国間の貿易協定も視野に予備協議を始めたと明かしたうえで「TPPに英国が加わるのも一案だと思う」と述べた。
世界的に強まる保護貿易主義については「景気回復の恩恵が平等に行き渡らず、自由貿易協定がスケープゴートになっている」と懸念した。戦後の自由貿易体制で各国の輸入関税は下がったが「知的財産権の侵害など関税以外の貿易障壁が大きくなっている」と指摘。「知財や環境対策、デジタル経済にも対応したTPPの実現が重要だ」と強調した。
フロマン氏がTPPの議会承認を目指す「レームダック国会」は、大統領選がある11月8日からオバマ氏が退任する来年1月20日までの間に開く。実質的な審議時間が極めて短く、連邦政府予算などの審議が優先される可能性も高い。年内の批准は、今後の議会指導部との水面下の調整にかかっている。
[日経新聞7月21日朝刊P.5]
厚生労働省は抗がん剤などの高額な画期的新薬の適正使用に乗り出す。病院に一定の経験がある専門医を置き、緊急対応ができることなどを要件とする使用ガイドライン(指針)を作る。新薬は思わぬ副作用が出るほか、医療費も高騰しがちなため、医師や医療機関に対し投与の適正化を促す。指針の第1弾はがん免疫治療薬「オプジーボ」とし、指針を満たさない場合は公的医療保険(3面きょうのことば)を適用しない方針だ。(解説5面に)
厚労省は近く開く中央社会保険医療協議会(中医協)で議論を始める。指針は各学会と共同で検討し、2016年度末までにまとめる。早ければ17年度中に適用する。
画期的な新薬の中には1回あたりの価格が数万円以上になり、医薬品メーカーの年間売上高が1000億円規模になるようなものがある。こうした薬を使う場合、患者に対しては税金や保険料で賄う公的医療保険の適用などにより、実際の負担を抑えている。
厚労省は今後、税金と保険料で患者負担を賄う部分が大きくなるとみており、医師や患者向けの指針を作って適正な投与を促す。病院と医師、患者向けに要件を設け、病院には入院設備があり24時間の診療が可能であること、医師には一定のがん化学療法の経験をそれぞれ求める方向だ。
患者にも使用に一定の条件をつけるが、年齢で差別しないようにする。ただ投薬しても効き目がない場合もあり、どの患者に効果があるか調べ、一定の効果が期待できる患者に限ることも検討する。また地方などで治療が受けにくくならないよう目配りする方針だ。
指針対象とする最初の新薬はオプジーボ。1人あたり年3500万円の超高額薬だが、手術のできない末期がん患者にも劇的な効果があると期待される。
ただ患者5万人にオプジーボを1年間使うと薬代だけで1兆7500億円かかる。これは薬剤費全体の2割に相当する。日本医師会も「皆保険制度が維持できなくなる」との危機感を持ち、何らかの対策が必要とみる。
厚労省は高コレステロール血症治療薬「レパーサ」の指針づくりも進める。今年4月に発売し、1キットあたりの価格は2万2948円。ただ繰り返し投与するため、患者負担は高くなりがち。厚労省は適正使用を促し、薬剤費の増加を抑えたい考えだ。
12年度の薬剤費は8.5兆円と、この10年で2兆円増えた。近年はC型肝炎治療薬「ソバルディ」など、高額薬が相次ぎ登場。中小企業の社員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)では高額薬剤の使用が増え、15年度の保険給付費が6.3%増えるなど保険財政にも影響が出つつある。
厚労省は保険適用の対象とする病気を拡大する際に、価格も引き下げる案も検討する方針だ。医療費が膨張する中で、適用範囲が広くなりすぎているとの指摘もある。薬を使いたいという患者の希望に歯止めをかけるわけにはいかないため、医療費抑制とどう両立するかが課題になる。
[日経新聞7月21日朝刊P.1]
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公的医療保険 給付額は年々増加、効率化急務
▽…国が財政運営や給付の対象に関与している健康保険制度。日本ではすべての国民が会社員や公務員、自営業者などの属性ごとに健康保険への加入が義務付けられている。サラリーマンなどの「被保険者」から集めた保険料や税金から医療機関や薬局などに医療給付費が支払われる。医療費の患者負担割合は年齢などによって異なる。義務教育への就学前は2割、就学後から69歳までは3割、70歳から74歳は2割、75歳以上は1割負担となっている。70歳以上に関しては現役並みの所得がある場合は3割負担となる。
▽…がん治療などで最新の医療技術や薬を使うと医療費が高額になる場合がある。自己負担が過重にならないように、月ごとの自己負担限度額を上回った場合に超過分を支給する制度がある。高額療養費制度と呼ばれ、例えば年収370万〜770万円で70歳未満の人が月100万円のがん治療を受けると実際の負担は月額8.7万円となる。自己負担の限度額は所得に応じて異なる。
▽…日本の国民医療費はほぼ一貫して増加を続けている。2013年度の医療費は約40兆円と前の年度と比べて2%超増えた。人口1人当たりの国民医療費は31万4700円に上り、効率化が急務となっている。
[日経新聞7月21日朝刊P.3]
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効果の予測が課題に 高額薬投与に指針、開発費どう確保
高額な新薬は患者への効き目を高める一方で、価格を適正水準に抑える取り組みが求められる。(1面参照)
小野薬品工業の「オプジーボ」はこれまで救えなかった一部の重症がん患者にも高い効果を発揮するが、今後は薬が効きやすい患者を判別する技術の開発が急がれる。高価な薬だけに、患者を絞り効き目のない投薬を防ぐ必要もある。京都大学などが研究中だ。
最近のがん治療薬には、特定の遺伝子を持つ患者によく効くものがある。遺伝子を調べれば、事前に効き目が分かる。オプジーボはがん細胞が体内の免疫細胞の攻撃を避ける仕組みを邪魔するが、投薬時の効き目を予測する技術は未確立。効き目が分かるまでに半年はかかるとされる。
一方、薬の価格だけに焦点を当てる議論を問題とする向きもある。新薬開発の成功率は3万分の1とされ、長い研究期間を経て効果の高い物質が選ばれる。創薬研究には研究者の高い意欲と多額の研究費が必要だ。開発の対価次第では製薬企業は積極投資に慎重にならざるを得ない。
日本発の画期的ながん治療薬が広く社会に受け入れられるためにも、研究者の意欲を保ち、薬を必要とする患者に適切に届ける体制づくりが欠かせない。
(草塩拓郎)
[日経新聞7月21日朝刊P.5]
http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/223.html
【シンガポール=吉田渉】米司法省は20日、マレーシアの国営投資会社「1MDB」の関係者が同社の資金を横領したと断定し、不正に得た資金で購入した資産10億ドル(約1060億円)超の差し押さえを求めて連邦地裁に提訴した。首謀者にはナジブ首相の親族が含まれ、同首相が資金を受け取ったとも示唆した。不正への関与を否定してきたナジブ政権への打撃となるのは必至だ。
司法省が公開した訴状によると、横領は1MDB設立直後の2009年に始まった。社債などを通じて調達した資金を実態のないペーパーカンパニーなどに支払い、複雑な経路を使って資金を洗浄し関係者の口座に流し込んだ。不正は少なくとも13年まで続き、横領額は合計で35億ドルを超す。
差し押さえ対象は米国内の資産や米金融機関に預けた資金が中心だ。司法省は国家が絡む腐敗を取り締まっている。
訴状は「複数の関係者が首謀した」と断定した。中心人物としてマレーシア人実業家のジョー・ロー氏と、その友人のリザ・アジズ氏らの実名を公表した。アジズ氏はナジブ首相の妻ロスマ氏と前夫の間に生まれ、首相の義理の息子にあたる。
首謀者らは横領した資金を使って高級不動産や美術品などを買いあさっった。アジズ氏は著名俳優レオナルド・ディカプリオ氏主演の映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の制作に資金を充てた。この映画は投資詐欺を働いた株式仲買人が題材だ。
訴状には「マレーシア当局者1」と称する人物が複数回登場した。この人物の口座に資金の一部が何度も振り込まれたという。「当局者1」はアジズ氏の親族で1MDBに強い影響力を持つなどと表現した。ナジブ首相は全条件に当てはまる。
シンガポール金融通貨庁(MAS、中央銀行に相当)は21日、不正に関与した疑惑のある人物の銀行口座を凍結したと発表した。1MDBの疑惑を巡ってはスイス当局も調査を進めている。
ナジブ首相の報道官は「マレーシア当局の捜査で犯罪はないと結論が出ている」と反論した。ナジブ首相は昨年夏に「1MDBから7億ドル近い資金を受け取った」との疑惑が浮上したが、同国当局は「中東の王族からの献金」として捜査を終結している。
マレーシア国内では首相への批判の声が出ている。ナジブ首相と対立するマハティール元首相は同日、「マレーシア人はナジブ首相を退陣に追い込むべきだ」と話した。野党の有力議員は「世界の笑いの種となった」と批判した。
もっともナジブ首相がすぐに窮地に陥るとは考えにくい。同氏の地盤は昨年の疑惑を経てむしろ強まっている。疑惑の報道を封じ込め、自身に批判的な有力者を更迭し、強権的な手法で与党内の支持を固めた結果だ。直近の国会議員補選や州議会選挙は、ナジブ氏を前面に押し出した与党が地滑り的な勝利を収めた。
今後の焦点は海外の捜査の動向だ。ナジブ首相の不正関与を示す証拠があがれば、首相の座に居座るのは難しいとの見方がある。政権の弱体化をにらんで資金流出が進めば、景気の減速を通じて国民の不満が高まる可能性もぬぐえない。
[日経新聞7月22日朝刊P.7]
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マレーシアが反発 ファンド不正流用疑惑で米が提訴に
7月21日 23時41分
マレーシア政府の関係者などが、自国の政府系ファンドの資金を個人の利益のために不正に流用していた疑いがあるとして、アメリカ司法省が、国内にある資産などの凍結を求めて裁判所に提訴したことについて、マレーシア政府は、不正の証拠は見つかっていないなどとして反発しています。
マレーシアの政府系ファンド「1MDB」を巡っては、ファンドを設立したナジブ首相への多額の送金など、資金が不正に流用された疑惑が持たれていましたが、マレーシア政府は、捜査の結果、不正はなかったと結論づけていました。
アメリカ司法省は20日、このファンドの資金の一部がマレーシア政府の関係者やその家族によって不正に流用され、不動産の取得や絵画などの購入に充てられていた疑いがあるとして、アメリカの金融機関を通じて購入された日本円で1000億円余りの資産の差し押さえを求めて、裁判所に提訴したことを明らかにしました。
これに対して、ナジブ首相は21日、捜査に協力する姿勢を示す一方で、「結論を急ぐべきではない」として、手続きの行方を見守る考えを示しました。
一方、アパンディ司法長官は「捜査の結果、不正が行われた証拠は見つかっていない」と強調し、アメリカ司法省の対応に反発しました。
このファンドを巡っては、シンガポールの金融当局も21日、関連する資産を差し押さえたことを明らかにし、各国で追及の動きが出ています。
【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の欧州委員会は20日、中国を世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」と認定しない基本方針を決めた。認定すれば、不当な安値競争の歯止めがきかなくなる恐れがあると判断した。ただ中国にも一定の配慮をみせ、経済的なつながりの強い同国との対立を回避したい意向を示した。
約5000人がEU本部前で中国のダンピング阻止を求めてデモを繰り広げた(2月、ブリュッセル)=ロイター
中国は2001年にWTOに加盟した。この際、当初15年間は他国からのダンピング(不当廉売)認定などで不利な条件を課される「非市場経済国」として扱われることを受け入れた。その規定条項が12月11日に失効する。
中国はこの条項が失効した後は自動的に市場経済国に移行すると主張するが、日米欧は個別に判断する構えを示してきた。
一部の新興国などでは、政府が企業の生産や輸出に実質的な補助金を出すケースがあり、適正な製品価格が分かりにくい。WTO協定では、このような国を非市場経済国として、ダンピング対抗措置をとりやすくしている。具体的には別の国の製品価格などを基準に対抗措置をとることができる。
中国側からすれば、反ダンピング関税などをかけられやすいとの不満があり、市場経済国として認定を強く求めている。
EUによると、中国側はWTO協定の条項の失効後も非市場経済国としての扱いを変えなければ、WTO協定違反で賠償請求する構えもみせている。
ただ中国の求めに応じて、市場経済国と認定すれば反ダンピング措置が難しくなり、安い中国製品が欧州市場に大量流入する懸念がある。EUは域内で最大21万人の雇用が失われると試算する。
「(EUは)中国を市場経済国として認定しないだろうが、法的な責任は尊重する」。20日の記者会見で欧州委のカタイネン副委員長は強調した。欧州委は認定しなくても中国からWTO協定違反で提訴されずに済むようにEUの反ダンピング制度を抜本的に見直す方針だ。
具体的にはEU法を改正し、市場経済国かどうかの判断で反ダンピング措置の扱いが変わる仕組みをやめる。すべてのWTO加盟国を対象に、ダンピングが疑われるケースならば国際価格を考慮して判定するという。
欧州委は今後具体策を詰めて、秋に加盟国と欧州議会にダンピング対抗措置の新制度を提案する。ただ新たなダンピング対抗措置が中国などの安値品の流入に対抗できる制度として機能するかはなお不透明だ。
EUはWTO協定上の中国を市場経済国として認定しない一方、EU法上で非市場経済国と名指しするのをやめ、中国との摩擦を減らしたい考えをにじませた。
EUがひとまず方向性を出したことで、日米がどう動くかも今後の焦点となりそうだ。
[日経新聞7月22日朝刊P.6]
(上)見えない消費 データ乱立、精度は低く
政府統計のあらが目に付く。消費の現場で起きる変化に即応できず、速報重視の国際的な流れにも乗り遅れている。足元の経済情勢を的確につかみ、先行きを見通せなければ、政府の政策判断や企業経営のかじ取りを誤らせる。経済の実力を測る物差しを点検する。
実態を追求
「インターネットの台頭で家計の動向が過小評価されている」。経済同友会が14日に開いた夏季セミナー。個人消費の動向がつかめない現状に、経営者がいら立ちを見せた。ネットを通じたモノのやりとりが浸透し、個人はもっとお金を使っているのに、政府統計ではその姿がとらえきれていないとの批判だ。
消費の統計は数多いが、精度の低さに批判が集中する。家計調査は需要側の各世帯に直接支出額を聞く長所を持つが、高齢者の回答が多いうえ、サンプルの少なさから月ごとに振れが出やすい。経済産業省は売り手の販売データをもとに商業動態統計や第3次産業活動指数を作るが、これらも対象業種を限るため、消費の全体像を表せない。
日銀はこうした不備を補おうと、自前の統計で消費の実態を追う。5月に公表を始めた「消費活動指数」。供給側である売り手の販売データを幅広く集め、百貨店売り上げや自動車販売、外食や医療などサービスの売り上げも含めた。毎月の公表で速報性も持たせた。日銀は「消費を素早く的確につかめ、振れも小さい」とし、消費の実勢に近いと強調する。
指数は2014年4月の消費税率引き上げ後、やや上向きの横ばい圏内で推移する。既存統計が補足しないデータを幅広く盛り込んだためか、水準は他統計より高めだ。
エコノミストは「消費の判断材料が増えた」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏)、「複数の統計を組み合わせ、消費分析の精度を上げる」(みずほ証券の上野泰也氏)とする。しばらくは結果に目を凝らす構えだ。
家計調査を手掛ける総務省も補強策を練る。6月の検討会に参加した有識者は、350万人が登録する無料家計簿アプリ「マネーフォワード」の活用を提言した。事前登録した銀行口座やクレジットカード決済を通じ、お金の出し入れを自動的に記録する仕組み。若い世代の利用も多い。迅速に、幅広くデータを集めるうえで、デジタル技術の活用は一考に値する。
果断に見直し
消費の現場では目まぐるしく新商品が投入され、ネットなど販売手法の革新も進む。新たな財やサービスの売れ行きを素早く統計に取り込むのは至難だ。日銀の指数もスマホゲームや音楽配信を含むが、基礎統計がない電子書籍は対象外。日銀は「様々な意見を聞き、改良を重ねる」と話す。
取りこぼす消費活動をどう取り込むか。変化に応じ、統計手法を果断に見直す姿勢が問われる。
[日経新聞7月21日朝刊P.]
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(中)見えない現状 速報、世界に見劣り
中国は四半期(3カ月)末から2週間後、米国や欧州連合(EU)、韓国は1カ月後、日本は1カ月半後――。四半期の国内総生産(GDP)速報値の公表時期は国や地域で異なる。カナダのように月次データを公表する国もある。日本の速報値公表時期は主要国の中で遅い方に入る。
縦割りの弊害
野村証券は毎週火曜日、世界中のエコノミストが集まる電話会議を開く。同証券の木下智夫氏は「速報値をもとに議論が進むなか、日本は予測値で話さざるを得ない」とこぼす。欧米の速報値がそろっても、日本が出るのはさらに先。世界経済の現状分析を投資家らに素早く伝えられないもどかしさがつきまとう。
一国の経済規模を示すGDPは、政府の政策や企業の経営計画に生かすうえで最も重視される政府統計だ。とりわけ速報値の注目度は高い。
日本では、内閣府が約200の統計と聞き取り調査をもとに作るが、もとになる統計は役所ごとにばらばらだ。鉱工業生産指数や家計調査など各月の数値が固まるのは1カ月後。内閣府はそこから2週間でGDP速報値を作る。各省庁の統計作成にかかる時間と手間がGDPの公表を後ずれさせる面がある。
2月、速報を巡る官民の認識の違いが表面化した。経済産業省が鉱工業生産指数の公表を午前8時50分から午後3時30分に変えると発表したのだ。経産省は「より詳細な分析を示す」としたが、民間はむしろ公表を前倒しすべきで、先進国の流れに逆行するなどと反発。経産省は撤回した。
速報値に磨きをかける取り組みも後れを取る。今年はGDPの作成基準を見直す5年に1度の改定年。見直しの柱は研究開発費の設備投資への計上だが、欧米主要国は2012〜14年に対応済み。米国やドイツなどはGDPの水準が上振れする影響が出ている。
先行きを読みにくい世界経済で、GDPの迅速な公表は国際標準だ。EU統計局は4月、ユーロ圏のGDP速報の公表時期を繰り上げ、「四半期終了の約45日後」から「約30日後」に早めた。これで欧米の様子はほぼ同時につかめる。
市場ニーズ強く
米国では「さらに早く知りたい」というニーズがある。ニューヨーク連銀は4月、実質GDP伸び率の独自推計の公表を始めた。4〜6月期の予測は2.2%増。類似のGDP予測はアトランタ連銀が先行するが、経済の先行きを考える材料が増えるのは悪いことではない。
米国のGDPが素早く公表されるのは、大部分を占める個人消費の統計が早めにそろうのが大きい。消費者の調査を使う日本と異なり、販売側のデータに一本化。確報段階で大きく修正するケースもあるが、民間も速報値を予測しやすい。
第一生命経済研究所の新家義貴氏は「発表が遅ければ、たとえ精度があがっても、政策判断などに利用されない」と警鐘を鳴らす。速報を軽んじれば、経済浮揚も見えなくなる。
[日経新聞7月21日朝刊P.5]
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(下)見えない新経済 繁栄の測定が急務
福岡市を代表する商業施設のキャナルシティ博多。免税店大手のラオックスやマツモトキヨシではツアーガイドに連れられて入店する観光客が薬や炊飯器を大量に買い込む。キャナルシティの2015年度の売上高は17年ぶりの高水準だった。
けん引したのはクルーズ船から博多港に降り立った外国人観光客。バスで観光地や商業施設を回る。訪日客は日本経済の風景を一変させた。爆買いといわれる消費動向はエコノミストの注目の的だ。だが、観光客を捕捉する統計は十分とは言えない。
観光庁が3カ月に1度発表する訪日外国人消費動向調査。空港や港など全国18カ所で出国しようとする外国人をつかまえて交通費や買い物代を細かく聞き取る。サンプルは約9700。観光庁は「統計的には十分な数を確保している」というが、クルーズ船客は対象外だ。寄港日時がバラバラで、調査員を手配しにくいためだ。
個人間でシェア
博多港のクルーズ船入港数は、15年に過去最高の259回を記録した。今年は350回を超す見込み。統計に表れない消費行動が急速に広がる。SMBC日興証券の宮前耕也氏は「ホテルの設備投資にも正確な訪日客の統計が不可欠」と話す。
民泊やカーシェアなど、自動車や空き部屋から洋服まで、個人が遊休資産を別の人に活用してもらい、対価を得るシェアビジネスが人気だ。個人対個人のやりとりが形作る経済圏が急速に広がるが、どの国もその全容を捉えきれないでいる。
別の価値生む
今年2月、経済協力開発機構(OECD)の統計担当者らが、国内総生産(GDP)を扱う内閣府国民経済計算部を訪れた。テーマは「シェアリングエコノミーをどう測るか」。
OECDは電子商取引やインターネットでのコンテンツ配信など、デジタル経済をどう把握するか検討中だ。シェアビジネスもその一つだが、計測方法に解を見いだしているわけではない。「恐らくサービスの分類はできる。だが、どうやって個人間のお金のやりとりを把握するのか」。OECDと内閣府の担当者は悩みを共有しあう。
英エコノミスト誌は4月、「繁栄の測り方」という特集を組んだ。例えば、配車アプリのウーバーが普及すれば、市民の車保有率が下がってGDPにマイナスの影響が出る。だが、利用者は利便性や幸福感を手にできる。マイナス成長の一方にプラスの要素もあるのでは。記事は問いかける。
東工大の出口弘教授は「みんなが協力しあうシェアリングエコノミーが進むと、幸福の価値などが重要になる。だが、それはGDPでは捕捉できない」と指摘する。
新たな経済の風景や目に見えない価値をどう測るか。さびつく統計は日本が直面するニュー・エコノミーに迫りきれずにいる。
藤川衛、中西誠、大島有美子、木原雄士が担当しました。
[日経新聞7月22日朝刊P.5]
金融庁はデリバティブ(金融派生商品)取引時に清算機関が顧客から預かる証拠金を日銀に直接預けられるように法令を改正した。これまでは証拠金を銀行に預金して分別管理してきたが、日銀のマイナス金利政策で銀行が多額の預金を抱えると、銀行が日銀に金利を払う必要が出てきたからだ。マイナス金利の副作用に対して「助け舟」が必要だと判断した。
清算機関はデリバティブ取引に伴う投資家の資金決済を一元的に担う。決済の不履行に備えて顧客から一定の証拠金を預かっている。金融商品取引所に関する内閣府令は証拠金を銀行か協同組織金融機関、商工中金に預貯金して分別管理するように定めている。
金融庁は預け先に日銀を追加するように法令を改正。清算機関が日銀に証拠金を直接預けられるようになった。銀行が顧客からお金を預かるのは本業中の本業だが、お金に色はない。マイナス金利政策の導入でこうした証拠金でも預金すれば、銀行が日銀に金利を払う可能性が出てきた。
このため金融庁は苦肉の策として、清算機関が証拠金を日銀に直接預けられる措置を取った。銀行に滞留するお金を減らし、証券投資や企業融資に資金を振り向けさせるというのがマイナス金利政策本来の趣旨。だが効果がなかなか表れないなかで、様々な「副作用」が噴出している。
[日経新聞7月22日朝刊P.5]
企業の資金が預金にシフトしている。日銀によると、法人預金は4月末に225兆円と前年同月比11%増えた。金融危機だった1999年を抜き、統計開始以来で最大の伸び。トヨタ自動車が定期預金を1兆円超に増やすなど、業界大手の積み増しが目立つ。日銀のマイナス金利政策で手元資金での国債運用が難しくなったとみられ、預金が集まった銀行も対応に苦慮している。
日銀によると、一般法人の預金は5月末も220兆円と前年同月を7%上回った。4〜5月の個人預金が435兆円程度と、1%増にとどまっているのとは対照的だ。企業はこれまで、先行きの不透明感からリスク回避の姿勢を強め、比較的安全とされる国債に資金を回してきた。マイナス金利で国債から預金へのシフトを進めたもようだ。
2015年度末の全上場企業の財務諸表を集計したところ、業種別では自動車産業の預金増が突出。10.7兆円と1年で3割も増えた。とりわけトヨタの預金は1年前の2.4兆円から今年3月末は3.9兆円に急増。内訳をみると、近年1千億〜2千億円で推移していた定期預金が一気に1兆円を突破した。
トヨタは「国債の金利がマイナスになったため、手持ちの国債が償還時期を迎えても再投資せず、預金に置いている」という。4月の熊本地震で工場が停止するなどしたため、災害など緊急時に備え、一定の資金を保有することにしているもようだ。
ほかには小売業(前年度末比14%増)、不動産(23%増)、石油(49%増)、ガス(57%増)で預金増が顕著だった。
セブン&アイ・ホールディングスは0.9兆円から1.1兆円に、三菱地所も0.2兆円から0.4兆円に増やした。東京ガスは864億円から1702億円となった。いずれもこの1年での伸びが突出し、代わりに有価証券の保有残高が減っている。
「企業は先行きに不安を抱えており、金融緩和をしても成長投資に資金を振り向けていない」(メガバンク首脳)。日銀はマイナス金利で貯蓄から投資へのシフトを期待したが、低金利が長く続いたこともあって、金利面で投資意欲を刺激する効果が薄まっている。
預金が集中する銀行も急激な資金流入に警戒感を募らせている。企業向けを含め、預金にマイナス金利を適用できずにいるため、企業はマイナス金利の国債投資よりも預金を選ぶ。その結果、銀行は日銀当座預金が増え、日銀への利払い負担が増えかねない状況に追い込まれている。
[日経新聞7月22日朝刊P.5]
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/317.html
【シリコンバレー=兼松雄一郎】米電気自動車(EV)メーカー、テスラモーターズは20日(米国時間)、今後10年間の事業計画を発表した。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は乗用車に続いてバスやトラックにも参入し「主要分野すべてでEVをそろえる」方針を明らかにした。量産効果を高めて電池のコストを3割以上減らし、自動運転も進化させる。次のエコカーの主流が定まらないなか、事業の拡大ペースを速めてEVで主導権を握る考えだ。
テスラはEVの相乗り事業にも参入し、使いやすさで普及を主導する狙いだ(独フランクフルト)=AP
生産やアフターサービス体制の構築といったハードルはまだ残るが、久々となる「フルラインメーカー」が誕生すれば、日本を含む世界の自動車市場に大きな影響を及ぼす可能性がある。
バスとトラックについては来年に詳細を発表し、予約を始める見込み。ピックアップトラック、小型多目的スポーツ車(SUV)も開発する。
例えばバスは中央の通路をなくし、その部分にも座席をうまく配置することで、小さくても従来並みの人数を乗せられるようにする。ドアの位置や開け方を工夫して奥の座席でも乗り降りできるようにするとみられる。
テスラが車種数を短期間で拡充できるのは、エンジン車より部品点数が大幅に少なく構造がシンプルなEVだからという理由も大きい。複数の車種間で設計を共通にし、蓄電池など主要部品は内製する。量産効果や自動化で「2年ごとに生産効率を5〜10倍高める」(マスクCEO)。
昨年、乗用車を約5万台生産した。2020年には100万台に増やす計画だ。今は米カリフォルニア州とオランダに工場を持つ。中国でも販売状況をみながら生産を始める。
今回、自動運転EVを複数の利用者が共有するライドシェア(相乗り)事業への参入も表明した。車両価格がまだ高いEVを安く使える仕組みを作り普及を加速させる。
課題はある。使用頻度が高くなりがちな商用車は、乗用車以上に緻密なアフターサービスが必要だ。テスラは大手と比べると対応できる拠点は圧倒的に少ない。さらに、生産増に伴いサプライチェーンも拡充していかなければならない。
自動車の新興企業はテスラだけではない。米グーグルや米アップルといったIT(情報技術)企業が、自動運転技術などを強みに参入計画を進めている。大手同士で争うだけの競争環境は大きく変わり、新興企業が今後も相次ぐ可能性がある。
[日経新聞7月22日朝刊P.11]
欧米の教育情報誌が発表した「世界大学ランキング」が波紋を広げている。今回軒並み順位を下げた日本の大学は、評価が一面的で実態を正確に表していない、順位が独り歩きしかねないとして一斉に反発した。一方で、大学の国際的な位置づけを数値で知りたいという社会の要望は強く、政策目標としても使われている。批判も強いが、無視はできない大学ランキング。その実像を探った。
大学ランキングの老舗、英誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)がこの6月に発表した「アジア大学ランキング」は、日本の大学にとって衝撃的な結果だった。2015年に1位だった東京大学が7位に転落したのをはじめ、総じて順位を下げたからだ。
代わって躍進したのは海外勢だ。昨年2位のシンガポール国立大がトップに立ったほか、中国や韓国の大学が上位に入った。
産学連携、より重視
順位が大きく動いたのは、THEが評価方法を変えたという事情が大きい。評価項目は同じだが、点数配分を変更した。昨年33%を占めていた教育と研究の「研究者による評価」は25%に減り、海外の研究者らに評判がよい東大や京都大学にとってはマイナスとなった。一方「教員当たりの産学連携収入」は3倍の7.5%に引き上げられ、政府が企業と一体化させて強化している中国の大学の順位を押し上げた。
材料研究で活躍する東京工業大学教授の細野秀雄さんは、「競争力のある特許などを評価しておらず、研究力を正しく反映してない」と憤る。国内の主要11大学で組織する「学術研究懇談会(RU11)」は今月、「ランキングを政策方針や成果達成指標として安易に利用すべきではない」との声明を出した。
RU11のほか、大学と研究機関でつくる「大学研究力強化ネットワーク」も、ランキングで日本の大学の順位が急激に下がると、異議をとなえる声明を出してきた。
大学が神経をとがらせるのは、ランキングが留学生の人気や国の予算を左右するとの事情があるからだ。細野さんは「ランキングを見て、アジアの優秀な学生が日本の大学を選ばなくなったら大変だ」と危機感を募らせる。
ランキングはもともと、留学先選びの指標として作られた。2000年代に途上国が成長し、国境を越えた経済が拡大。よりよい職を求めて外国で高等教育を受ける人が増えた。THEは2004年から教育サービス会社のQSカッカレッリ・シモンズと共同でランキングを発表し、世界的に注目を集めてきた。
一方、中国政府は自国の大学の競争力を分析するため、上海交通大学にランキングの作成を依頼した。やがてTHEとQSがそれぞれ独自のランキングを発表するようになった。この3つが大学の「3大ランキング」と呼ばれる。
QSは評価項目に「大学職員の評判」を、上海交通大は「ノーベル賞とフィールズ賞を受賞した卒業生数」を加えている。米英の総合研究大学がランキングの上位に並ぶのは共通している。
THEやQSは大学を顧客に、ランキングで上位に入るためのコンサルティング事業を積極的に進めている。そのことも研究者らの反発を買っている。
政府目標に明記
政府は13年に策定した「日本再興戦略」に、国立大学法人の改革の目標として「今後10年以内に少なくとも10校を世界の大学ランキング100以内にする」と明記した。そのための具体的な戦略を大学に求めている。
ランキング事情に詳しい大阪大学教授の石川真由美さんは「大学が何をしているのか、社会への説明を求める圧力が強い時代になった」と、ランキングが注目される理由を分析する。日本の主な大学は毎年のランキングに一喜一憂しているわけではないが、無視もできない。
ランキングに指摘されるまでもなく、日本の大学には様々な課題がある。国際化が立ち遅れて世界の中での存在感は薄い。財政基盤が弱く、独自の運営ができない。博士課程に進む学生は減り、研究力もじりじりと低下している。
ランキングを上げるためでなく、直面する課題を解決するための方策を真剣に考えるべきときに来ている。
(編集委員 永田好生、草塩拓郎)
[日経新聞7月22日朝刊P.31]
貴殿は、コメント欄1.に対するレスポンス投稿のコメント欄で、
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【引用】
「当方のコメント>>7 に対するレスポンスがありません。
当方のコメントの文章を理解できなかったのですか?
もし、理解できなかったのならば、「小学校から入り直せ!」と云わせて頂きます。」
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と書かれていますが、私自身も、ルーズベルト政権が、日本を対米戦争に引きずり込もうとし、それに成功したと考えているので、貴殿のコメントにことさらレスポンスをする必要はないと考えていました。
今から13年ほど前この阿修羅で、戦後の対米従属構造から抜け出すためには、「敗戦責任」について国民的議論を行う必要があるという趣旨の投稿をいくつか行いました。
そのなかで、米英政権が日本に対して行った戦争謀略についても書き、その問題は、「極東軍事裁判」の茶番性や欺瞞性を明らかにするネタにはなっても、日本の「敗戦責任」をめぐる議論においては主要な問題にならないという考えを示しました。
そう考える最も大きな理由は、米国民も先の日米戦争で多大な犠牲と費消を強いられており、日米戦争を意図的に引き起こしたというルーズベルト大統領の戦争謀略は、米国民自身が議論し裁く問題だからです。
もしも、ルーズベルト政権が米日戦争を開始したいがため、日本軍に偽装した艦船や航空機を使って米軍部隊ないし米国領を攻撃し、それを理由に対日宣戦布告を行っていたのなら、同じようにボロボロになって敗戦したとしても、ルーズベルト政権の謀略は米国国民の問題といって見過ごすようなことはしません。
しかし、歴史的現実の日米戦争は、背後にどういう謀略があったにしろ、日本が米国に戦争を仕掛けるかたちで始まり、300万人を超える同胞の犠牲を出しながら敗戦に至ったのです。
ですから、ルーズベルト政権の対日戦争謀略問題は、日本において「敗戦責任」を論じるさいに扱うのなら、国際政治や外交においてはダマシや引っかけといった謀略は日常茶飯事の出来事であるのに、まんまとそれに乗せられ、あれほど回避しようとしていた対米戦争に踏み切ってしまった日本の政治的軍事的最高指導部の“不様な問題”として扱うべきなのです。
日本政府が茶番で欺瞞の「極東軍事裁判」をサンフランシスコ講和条約で受け容れることを誓約させられたのも、米英政権と通じた一部軍及び政治の指導層の“誘導”に日本支配層全体が嵌まってしまった結果なのです。
謀略に嵌められてあのような戦争に踏み切ったことこそが大日本帝国の未熟さであり低劣さの証しだと考えています。
他の国が行った謀略をもって自己の正当化を図るようなことしか行わなければ、これから先も、謀略に嵌まって国の進路を過つ事態が起きると考えています。
※追記
【引用】
「> もしも、天皇・参謀本部・軍令部・内閣が、マスコミやマスコミに煽られた国民感情に左右されて対米開戦を決めたとしたら、それこそ、無能・無責任の極みではありませんか?
天皇・参謀本部・軍令部・内閣が、マスコミやマスコミに煽られた国民感情に左右されて対米開戦を決めたとの主張は聞いたことがありません。」
【コメント】
天皇・参謀本部・軍令部・内閣が、マスコミやマスコミに煽られた国民感情に左右されて対米開戦を決めたとは思っていなし、そのようにも説明してもいません。
レスポンスの相手がそのような主張をされたので、仮にそうであっても、国家の最高指導層は責任から逃れられないと説明しただけの話です。
今回のレスポンスは、Aのコメント欄に対するもので、AはBに対するレスポンスという流れになっています。
よろしくお願いします
A:「戦前日本(大日本帝国)の立憲主義と天皇大権:「小学校から入り直せ!」とのコメントを書かれた48gVEZrLWMさんへ」
http://www.asyura2.com/16/senkyo210/msg/124.html
B:「1941決意なき開戦 堀田江理著 真珠湾攻撃までの道のり描く:正統的な政治学や歴史学では解けない対米開戦の理由」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/954.html
http://www.asyura2.com/16/senkyo210/msg/225.html#c1
※本文投稿先
「1941決意なき開戦 堀田江理著 真珠湾攻撃までの道のり描く:正統的な政治学や歴史学では解けない対米開戦の理由」
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/954.html
「戦前日本(大日本帝国)の立憲主義と天皇大権:「小学校から入り直せ!」とのコメントを書かれた48gVEZrLWMさんへ」
http://www.asyura2.com/16/senkyo210/msg/124.html
「「ルーズベルトが日本を戦争に追い込んだ」謀略は米国の重大問題であって日本の重大問題ではない:ko7D6voqkEさんへ 」
http://www.asyura2.com/16/senkyo210/msg/225.html
どんな複雑な問題にも、その解決策として出されるものには必ず、明快で単純だが、間違ったものがある。この言葉を残した米ジャーナリストのヘンリー・ルイス・メンケン(1880〜1956)が、現在の政治情勢を目にすれば、やはりこう語ったかもしれない。西側世界は今、間違いなく複雑な問題に直面している。中でも顕著なのが、多くの市民が不満を抱いているという現実だ。
米大統領選の共和党指名候補を勝ち取ったトランプ氏やフランスの極右政党「国民戦線」のルペン党首など権力の座に就くことを熱望している人たちも、同じように明快で単純だが、間違った解決策を提示している。彼らの掲げる政策で特に間違っているのが、国粋主義と排外主義と保護主義だ。
これらの政策はまがい物だ。だが、多くの人が問題を抱えているのは事実だ。国を統治するエリートたちが市民が納得するような問題解決策を今後も打ち出すことができなければ、彼らは早晩、その座から一掃されるだろう。そして、市民が築いてきた民主的な政府と、互いが協調し合う開かれた世界秩序とを結びつけようと重ねてきた努力も、彼らと一緒に吹き飛ばされてしまうかもしれない。
なぜ大衆によるこのような反発が生じてしまったのか。最大の要因は経済にある。繁栄すること自体は有益だ。繁栄するということは「ポジティブサム」の政治を生み出すことにもつながる。つまり、誰かが潤えばその分誰かが損を被るゼロサムではなく、総和がプラスになるような政治だ。こうした考え方が民主主義を支えているといっていい。
この考え方では、全員が同時に豊かになることが可能だからだ。経済成長を遂げていれば、経済的な問題や社会的不満を和らげることができる。だが経済成長がないと、怒りが増幅されていく。
先進国の世帯所得「停滞・低下」7割
米マッキンゼー・グローバル・インスティチュート(MGI)は「両親より貧しくなるのか」というまさにタイトル通りの内容の報告書を発表し、どれだけ多くの世帯が実質所得の停滞や低下に直面しているかを明らかにした。報告書によると、2005〜14年に、高所得国25カ国で平均65〜70%の世帯が収入の停滞もしくは低下を経験したという。
だが、1993〜2005年では、実質所得の停滞ないし低下に苦しんだ世帯は全体の2%だけだった。税負担と社会給付などを相殺した後の実質可処分所得で見ても、2005〜14年は20〜25%の世帯が所得の低迷に苦しんだことが明らかになった。
MGIはフランス、英国、米国の国民6000人の調査を通して個人的な満足度も調べた。その結果、人々は自分たちよりも裕福な人たちと比べて暮らし向きが向上しているかどうかより、自分たちと境遇が近い何年か前の人と比べ向上しているかどうかで満足度が大きく変わることがわかった。つまり、たとえ自分より豊かな同世代の人間に追いつかなくても、自分の暮らし向きが上向いていればいいことが判明した。そして格差の拡大よりも自分の収入の停滞を気にすることがわかった。
実質所得が長期間停滞している最大の原因は、08年の金融危機の発生に加え、その後の景気回復力が弱いことだ。収入の停滞を経験した一般市民は、産業界や行政、政治を担うエリートたちの能力と誠実さを信じなくなった。他にもマイナスに働いた要因がある。その一つが高齢化だ(イタリアで特にそうだ)。また国民所得に占める賃金の割合が低下しているという要因もある(これは米国、英国、オランダで特に重要だ)。
株主だけではなく社員の利益重視を
第2次世界大戦以降のどの時期よりもはるかに長い期間、実質賃金の伸びが停滞しているのは、政治にかかわる根本的な問題である。だが、これだけが不満を生む唯一の原因なわけではない。所得分布の中間に位置する多くの人は、文化的な変化にも脅威を感じている。移民やグローバル化の進展も不満の一因だ。自国の市民権は、豊かな国で大半の人が持っている最も貴重な資産だ。彼らはこれを外部の人間と分かち合うのを嫌う。英国が6月の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めたのは一つの警告だ。
では、何をすべきか。
まず初めに、我々は繁栄するために互いに依存していることを理解することだ。従って、主権の行使と国際協調との折り合いをつけることが問われる。国際的な統治体制は重要で、特に各国が自国だけではなし得ないことを実現する際、必要になる。欠かせない地球公共財の提供が一例だ。今や気候変動の方が国際貿易や資本移動のさらなる自由化より優先度が高いといえる。
次に、資本主義を改革する。金融の存在が大き過ぎる。金融システムの安定性は以前より高まったが、安定には逆効果となるようなインセンティブがまだ残っている。企業では株主の利益が、社員や取引先、地元住民といった他の利害関係者の利益に比べ重視され過ぎている。
第3に、各国政府は国内の意味のある政策目標を実現するのに役立つような国際協調を進めるべきだ。最も重要なのは課税制度だ。西側諸国の富裕層は、民主主義の法の下で財産が守られているのだから、課税逃れをしてはいけない。
最低賃金を上げ、投資と革新促せ
第4に、経済成長を加速させ、機会の平等を改善することだ。そのためには、特にユーロ圏では総需要を下支えすることが必要だ。投資と技術革新を促すことも肝要だ。経済見通しを大きく変えるのは不可能かもしれない。だが、最低賃金を引き上げ労働者の税控除を厚くすれば、低所得層の生活水準を高められる。
第5に、各国で目立ってきた扇動政治家と戦うことだ。未熟練労働者が自国へ流入するのを抑えろという圧力に抵抗することは難しい。だが、流入を制限できても国内労働者の賃金低下に歯止めをかけられるわけではない。
同様に、安価な輸入品から国産品を保護しても結局は高くつくうえ、全雇用者に占める製造業従事者の割合を大幅に増やすことはできない。確かに製造業従事者の比率はドイツでは米英よりかなり高い。だが、ドイツは巨額の貿易黒字を計上しており、製造業の競争力は高く、これをそのまま他国に当てはめることはできない。
何にも増して、こうした難題を認識する必要がある。経済停滞の長期化や異文化の衝突、政策の失敗とが相まって、国家としての民主主義の追求と、国内事情を時にある程度犠牲にしなければならない国際協調の推進とのバランスを取ることが難しくなっている。
トランプ氏が米大統領候補になったことがその一つの表れだ。熱狂的な国粋主義の台頭を抑えるには、創意に富む野心的なアイデアを生かし、民主主義と国際協調のバランスを保たなければならない。これは容易ではない。しかし、失敗は許されない。我々の文明そのものが危険にさらされているからだ。
(20日付)
[日経新聞7月24日朝刊P.13]
免疫の働きを利用してがん細胞をたたく抗がん剤として注目される「オプジーボ」。日本臨床腫瘍学会はこのほど、「海外から個人的に輸入し、添付文書とは異なる用法・用量で投与する事例が散見される」とする声明を出した。
同学会によると、急激に高血糖状態に陥るといった副作用に対処できないなどの問題が発生。条件を満たした医療機関で投与するよう呼び掛けている。厚生労働省も「リスクを正しく知ってもらいたい」と患者への注意喚起を始めた。
オプジーボは、免疫細胞の攻撃を防ぐがん細胞の仕組みを解除する新しいタイプの抗がん剤。2014年に悪性黒色腫(メラノーマ)向けに承認され、昨年末には肺がんにも適用が広がった。
劇的に効く患者がいる一方、重篤な副作用が出る恐れもある。(1)急激に高血糖になる「劇症1型糖尿病」(2)全身の筋力低下といった「重症筋無力症」――などが約10%で起きている。
添付文書は「緊急時に十分対応できる医療施設」や「がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師」が投与できると記載する。がん診療連携拠点病院や5年以上の化学療法の経験がある医師などが具体的な要件だ。
同学会によると、これを満たさない医療機関や医師が海外から輸入し、大腸がんなど保険適用外の疾患で使用するケースもあるという。ホームページで「オプジーボの自費診療を始めました」などとPRする施設もある。同学会は適用外での投与は原則、治験や臨床研究として行われるべきだと主張している。
医師は適用外の疾患でも自分の判断で薬剤を投与できる。厚労省の担当者は「他に打つ手がない患者への投与がダメとは言えない」と話す。規制は難しく、危険性を正しく認識してもらうため周知の徹底を進める。
厚労省は22日、別の肺がん治療薬と併用した患者が副作用とみられる間質性肺疾患を発症し、死亡例が出ていると発表。同省によると、今月1日時点で影響が否定できない症例が8例あり、うち3例が死亡したとしている。
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[日経新聞7月24日朝刊P.15]
6月23日の国民投票で英国民は欧州連合(EU)からの離脱を選択した。
EUに譲り渡した主権を取り戻そう(Take back Control)という離脱派の主張は、離脱による経済面への打撃を強調する残留派の警鐘よりも、より多くの有権者の心に響いた。離脱派は、立法権限や財源とともに移民のコントロール権もEUからの離脱によって取り戻そうと訴えた。
パニコス・パナイー著『近現代イギリス移民の歴史』(浜井祐三子・溝上宏美訳、人文書院・2016年)は、英国への移民の流入と社会への統合について長期的な視点から詳細に分析した良書だ。英国は、そもそも民族的にマジョリティーであると考えている人々も欧州大陸やさらにその向こうからやってきた人々に起源を持つ移民の国。多文化社会であると同時に人種主義と外国人嫌悪も脈々と存在し続けたと分析する。
●移民急増が影響
本書が主な分析対象とした過去200年間も、欧州、英連邦などから約900万人の移民が流入し、発展の中心的な役割を担ってきた。移民とその子孫は、最下層から最上層まであらゆる職を得て、階層の移動も見られる。食やスポーツなど生活の様々な側面にも影響を与えた。他方で、もっとも新しい集団には敵意が向く傾向があるという。国民投票は、近年、中東欧のEU加盟国からの移民が急増、テロや難民危機もあり、EU域内の人の移動の自由への懸念が高まっていた時期に実施され、EU離脱という結果に終わった。多文化社会に深刻な亀裂が残った。
アンソニー・ギデンズ著『揺れる大欧州』(脇阪紀行訳、岩波書店・15年)とロジャー・ブートル著『欧州解体』(町田敦夫訳、東洋経済新報社・15年)。ともに英国人の著者が欧州の停滞の打開のためのEU改革について論じた書だが、結論は大きく異なり、英国のEU離脱の捉え方も対照的だ。
ギデンズが示すのは、国家主権をさらにEUに譲り渡すという連邦主義的な解決策だ。グローバル世界で個々の国が持つパワーは小さく、相互連携によってこそ積極的な役割を果たすことができると見る。英連邦の威光が消えた今、英国がEU離脱を選択すれば、「広大で不安に満ち溢(あふ)れた世界に孤独な一歩を進めることになる」という。
逆に、ブートルは、EUは過剰な規制と競争の抑制を招く機能不全の構造体であり、権限を加盟国に返還し、ダウンサイズを図るべきだという。EU離脱は、EUの根本的な改革がなされなかった場合には取るに値するリスクであり、国内の経済運営や世界各国との貿易をEUがもたらす様々な重荷抜きでできるようになるベネフィットもあると主張する。
EU離脱を決めた英国が歩むのは、ギデンズがいう孤独な道か、ブートルがいうより開かれた道なのか。メイ首相率いる新体制によるEUとの協議、さらにEU域外との連携強化の手腕に依拠する部分が大きく、今の段階では確かなことは言えない。ただ、EUにとって英国の離脱は、EU改革への強い問題意識を持つ加盟国を失う意味で大きな損失になると感じる。
●主導権は握れず
英国は、EUの単一市場が生み出す経済的な利益を重視し、ユーロ導入の見送り、人の移動の自由を保障するシェンゲン協定への未参加が象徴するように統合の深化には距離を置いてきた。それ故、大国でありながら、統合の主導権を握ることはできず、徐々に周辺化されていたことも、離脱への力として働いた。遠藤乾編『原典 ヨーロッパ統合史』(名古屋大学出版会・08年)は欧州統合の前史から21世紀までの流れを通史的にまとめた一冊。英国の統合との関わりの変遷とともに、これまで何度も危機を乗り越えてきたEUが、政策領域を拡大したことによって市民の間で懐疑が広がるという新たな危機に直面するようになった経緯を理解する上でも役立つ。
今回の国民投票の結果は、EUの分裂ばかりでなく、残留を支持したスコットランドの独立による英国の分裂も引き起こしかねない。改めて英国の成り立ちを振り返りたいという思いを抱いた読者には、紀元前5000年から20世紀までのイングランドの歴史を、地図や年表も含めて200ページ余りにまとめたクリストファー・ヒバート著『図説 イギリス物語』(小池滋監訳、植松靖夫訳、東洋書林・1998年)をお薦めしたい。登場人物の描写に重きを置き、各時代の建造物の写真や人々の暮らしを描写した絵画などの図版が豊富に盛り込まれており、具体的なイメージを描きながら、時代の変遷をたどることができる。
[日経新聞7月24日朝刊P.19]
相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が死亡するなどし、植松聖容疑者(26)が殺人未遂容疑などで逮捕された事件で、植松容疑者とみられる男が大島理森衆院議長に渡そうとしていた手紙の詳報は次の通り(原文のまま)。
衆議院議長大島理森様
この手紙を手にとって頂き本当にありがとうございます。
私は障害者総勢470名を抹殺することができます。
常軌を逸する発言であることは重々理解しております。しかし、保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、日本国と世界の為(ため)と思い、居ても立っても居られずに本日行動に移した次第であります。
理由は世界経済の活性化、本格的な第三次世界大戦を未然に防ぐことができるかもしれないと考えたからです。
私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です。
重複障害者に対する命のあり方は未(いま)だに答えが見つかっていない所だと考えました。障害者は不幸を作ることしかできません。
今こそ革命を行い、全人類の為に必要不可欠である辛(つら)い決断をする時だと考えます。日本国が大きな第一歩を踏み出すのです。
世界を担う大島理森様のお力で世界をより良い方向に進めて頂けないでしょうか。是非、安倍晋三様のお耳に伝えて頂ければと思います。
私が人類の為にできることを真剣に考えた答えでございます。
衆議院議長大島理森様、どうか愛する日本国、全人類の為にお力添え頂けないでしょうか。何卒よろしくお願い致します。
文責 植松 聖
作戦内容
職員の少ない夜勤に決行致します。
重複障害者が多く在籍している2つの園を標的とします。
見守り職員は結束バンドで見動き、外部との連絡をとれなくします。
職員は絶体に傷つけず、速やかに作戦を実行します。
2つの園260名を抹殺した後は自首します。
作戦を実行するに私からはいくつかのご要望がございます。
逮捕後の監禁は最長で2年までとし、その後は自由な人生を送らせて下さい。心神喪失による無罪。
新しい名前(伊黒崇)本籍、運転免許証等の生活に必要な書類。
美容整形による一般社会への擬態。
金銭的支援5億円。
これらを確約して頂ければと考えております。
ご決断頂ければ、いつでも作戦を実行致します。
日本国と世界平和の為に、何卒(なにとぞ)よろしくお願い致します。
想像を絶する激務の中大変恐縮ではございますが、安倍晋三様にご相談頂けることを切に願っております。
植松聖
(住所、電話番号=略)
かながわ共同会職員
(共同)
■2016/7/26 15:52 最終更新■
神奈川県相模原市緑区千木良の障害者施設「津久井やまゆり園」で45人を殺傷した連続殺人・殺人未遂事件で、逮捕された元職員の植松聖容疑者(26)が、衆議院議長公邸に「障害者が安楽死できる世界を」とする手紙を渡していたことがわかりました。
発表によると植松容疑者は今年2月14日、東京都千代田区永田町にある衆議院議長公邸を訪れ、手紙を渡そうとしたということです。
しかし受付で手紙を受け取ってもらうことはできず、翌2月15日になって再度訪れたとのこと。そこで座り込みを行ったことなどもあり、警備にあたっていた警察官が衆議院事務局に確認したうえで、しかたなく手紙を受け取っていました。
渡した手紙はA4サイズのリポート用紙複数枚(合計で10枚にもわたるという情報もあり)で、手書きで書かれていたといいます。
そのなかには犯行予告ともとれる内容が含まれていたことなどから、管轄する警視庁麹町署はその日のうちに、神奈川県警津久井署に情報提供していました。
以下、植松容疑者が衆議院議長公邸に渡した手紙のうち3枚の全文です。
植松容疑者が書いた手紙(全文)
以下は1枚目の内容。
衆議院議長大島理森様(1枚目)
この手紙を手にとって頂き本当にありがとうございます。
私は障害者総勢470名を抹殺することができます。
常軌を逸する発言であることは重々理解しております。しかし、保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、日本国と世界の為と思い居ても立っても居られずに本日行動に移した次第であります。
理由は世界経済の活性化、本格的な第三次世界大戦を未然に防ぐことができるかもしれないと考えたからです。
障害者は人間としてではなく、動物として生活を過しております。車イスに一生縛られている気の毒な利用者も多く存在し、保護者が絶縁状態にあることも珍しくありません。
私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です。
重複障害者に対する命のあり方は未だに答えが見つかっていない所だと考えました。障害者は不幸を作ることしかできません。
フリーメイソンからなる●●●●が作られた●●●●●●●●を勉強させて頂きました。戦争で未来ある人間が殺されるのはとても悲しく、多くの憎しみを生みますが、障害者を殺すことは不幸を最大まで抑えることができます。
今こそ革命を行い、全人類の為に必要不可欠である辛い決断をする時だと考えます。日本国が大きな第一歩を踏み出すのです。
世界を担う大島理森様のお力で世界をより良い方向に進めて頂けないでしょうか。是非、安倍晋三様のお耳に伝えて頂ければと思います。
私が人類の為にできることを真剣に考えた答えでございます。
衆議院議長大島理森様、どうか愛する日本国、全人類の為にお力添え頂けないでしょうか。何卒よろしくお願い致します。
以下は2枚目。
植松聖の実態
私は大量殺人をしたいという狂気に満ちた発想で今回の作戦を、提案を上げる訳ではありません。全人類が心の隅に隠した想いを声に出し、実行する決意を持って行動しました。
今までの人生設計では、大学で取得した小学校教諭免許と現在勤務している障害者施設での経験を生かし、特別支援学校の教員を目指していました。それまでは運送業で働きながら●●●●●●が叔父である立派な先生の元で3年間修行させて頂きました。
9月車で事故に遭い目に後遺障害が残り、300万円程頂ける予定です。そのお金で●●●●の株を購入する予定でした。●●●●はフリーメイソンだと考え(●●●●にも記載)今後も更なる発展を信じております。
外見はとても大切なことに気づき、容姿に自信が無い為、美容整形を行います。進化の先にある大きい瞳、小さい顔、宇宙人が代表するイメージ
それらを実現しております。私はUFOを2回見たことがあります。未来人なのかも知れません。
本当は後2つお願いがございます。今回の話とは別件ですが、耳を傾けて頂ければ幸いです。何卒宜しくお願い致します。
医療大麻の導入
精神薬を服用する人は確実に頭がマイナス思考になり、人生に絶望しております。心を壊す毒に頼らずに、地球の奇跡が生んだ大麻の力は必要不可欠だと考えます。何卒宜しくお願い致します。私は信頼できる仲間とカジノの建設、過すことを目的として歩いています。
日本には既に多くの賭事が存在しています。パチンコは人生を蝕みます。街を歩けば違法な賭事も数多くあります。裏の事情が有り、脅されているのかも知れません。それらは皆様の熱意で決行することができます。恐い人達には国が新しいシノギの模索、提供することで協調できればと考えました。日本軍の設立。刺青を認め、簡単な筆記試験にする。
出過ぎた発言をしてしまし、本当に申し訳ありません。今回の革命で日本国が生まれ変わればと考えております。
以下は3枚目。
作戦内容
職員の少ない夜勤に決行致します。
重複障害者が多く在籍している2つの園【津久井やまゆり、●●●●)を標的とします。
見守り職員は結束バンドで身動き、外部との連絡をとれなくします。職員は絶対に傷つけず、速やかに作戦を実行します。
2つの園260名を抹殺した後は自首します。
作戦を実行するに私からはいくつかのご要望がございます。
逮捕後の監禁は最長で2年までとし、その後は自由な人生を送らせて下さい。心神喪失による無罪。
新しい名前(●●●●)、本籍、運転免許証等の生活に必要な書類、美容整形による一般社会への擬態。
金銭的支援5億円。
これらを確約して頂ければと考えております。
ご決断頂ければ、いつでも作戦を実行致します。
日本国と世界平和の為に何卒よろしくお願い致します。
想像を絶する激務の中大変恐縮ではございますが、安倍晋三様にご相談頂けることを切に願っております。
植松聖(うえまつ さとし)
内容に一貫性がなく支離滅裂な内容になっているものの、標的を名指ししたうえで具体的な犯行計画が記載されていることなどから、国民からは「どうにかして防ぐことはできなかったのか」といった悔やむ声が多数みられました。
また、手紙には植松聖容疑者の名前や住所などの連絡先も記載されていたということです。
http://breaking-news.jp/2016/07/26/026100
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/815.html
地方自治体が少子高齢化や消費の低迷を前に立ちすくんでいる。社会保障対策に四苦八苦し、先を見据えた地域活性化は後回し。財政破綻が相次ぐ状況にはないが、地方分権の看板はかすみ、財源調達も相変わらず国頼みだ。危機が忍び寄る自治体財政を点検する。
都市部で支出増
都心のベッドタウン、東京都府中市は多摩地域で最多の待機児童を抱える。子育て世帯の要望にこたえようと苦慮している最中。私立保育所の運営補助などに充てる一般財源は24億円と3年で5億円増えた。子ども医療費の無料化もニーズは強い。既存の福祉メニューは削りにくい中でのやりくりとなり、市の担当者「健全財政を維持しながらの運営は大変だ」とため息をつく。
小池百合子都知事は待機児童対策を急ぐ構えだが、都に救いを求める市区町村が殺到しそうな情勢だ。都内自治体は人口の多さから豊かな税収を誇ったが、高齢者も急増している。総務省は「社会保障の支出は都市部で伸びている」とみる。
2010年に政令市に移行した相模原市。高齢者や子育て支援などに充てる民生費は16年度、一般歳出の46.7%を占める。3年前から6ポイント超上昇した。人件費など固定費は容易に削れず、市は「インフラ拡充を求める声は多いが、建設投資に回せる予算は年々縮小している」とこぼす。
毎日1万歩運動
待機児童解消など若年向けサービスに力を入れないと将来人口が増えない。増える高齢者への目配りも欠かせない。地方の14年度決算をみると、民生費が歳出全体の25%を占めて最大となった。教育費(17%)や借金を返す公債費(14%)を上回る。市町村に限ると、歳出の3分の1が民生費で、年々その比率は高まっている。
埼玉県東松山市は7月、市民約120人と「毎日1万歩運動」を始めた。健康な体づくりで少しでも社会保障にかかるお金を減らす取り組みだ。過去の参加者の年間医療費は1人約2.4万円減った。旗を振る県は「住民の健康寿命が延びれば病院に行かずに済み、医療費も減る」とみる。
18年度から国民健康保険の運営主体が市町村から都道府県に切り替わる。全国の市町村で年約3500億円の赤字を埋めるが、移行後は県が財政の責任を負う。国も財政支援する方針だが、自治体間のつけ回しでは根本的な解決にはならない。
老朽インフラの手直しにごみ処理能力の拡大、教育の充実。自治体には多くの需要があるが、この先は社会保障に優先的にお金が回る恐れがある。自治体ごとにメリハリをつけ、いかに効率化するか。地方の自主性が問われている。
[日経新聞8月16日朝刊P.5]
企業の業績次第
「企業からの税収が増えた」。栃木県上三川町と愛知県田原市は2016年度、国から地方交付税を受け取らない「不交付団体」に転じた。いずれも自動車メーカーの城下町。上三川町には日産自動車、田原市にはトヨタ自動車の工場がある。両社の業績が伸び、所得金額に応じて納める法人住民税が増えた。
不交付団体は地方財政の豊かさの目安だ。16年度は全国に77。トヨタのお膝元の愛知県には、都道府県別では最多となる17の不交付団体が集まる。大企業があれば労せずして富裕自治体の仲間入りができるが、景気変動の影響を受けやすく、大企業の業績が振るわないと一気に実入りは減る。
ダイハツ工業の工場がある滋賀県竜王町の財政は、文字通り「同社の業績に大きく左右される」。13〜14年度は不交付団体だったが、15〜16年度は交付団体に転落。交付と不交付の間を行ったり来たりする。町は安定した税収を求めて町内に工業団地を造成中。立地社数を増やそうと企業誘致に本腰を入れる。
財政が豊かなら行政サービスも充実できる。ただ企業の所得にかかる法人関連税や、個人の所得にかかる住民税など、地方税収は景気の変動でぶれやすい。「うちは日産におんぶにだっこ。税収の増加は単発で終わるかも」。上三川町の担当者は声を潜める。
景気頼み、企業頼みから抜け出すには、着実に人を呼び込む努力が欠かせない。時間はかかるが、住民を呼び入れて、企業や商業施設も誘い込み、さらに人を呼び寄せる好循環を生むしかない。
「税収を増やす取り組みが実を結んできた」。16年度に不交付団体になった神奈川県海老名市の財政担当者は胸を張る。市では海老名駅西側地区の再開発に取り組んできた。13年に造成が始まり、15年10月には大型商業施設「ららぽーと海老名」がオープン。ホテルや銀行の開業も相次ぐ。
再開発で好循環
15年国勢調査によると、市の人口は約13万人。5年前から2%増えた。16年度の税収は3.5%増の221億円。このうち固定資産税収が前年度比7%増の98億円となったのが目を引く。
川崎市も今年度、6年ぶりに不交付団体に転じた。効いたのは、都心まで電車で約20分の武蔵小杉地区での再開発だ。高層マンションの建設ラッシュで人口が急増。「住みたい街」として20〜40歳代の人気を集める。
再開発は失敗すれば借金だけが残るが、域内の働き手や交流人口を増やせなければ、まちの長期的な展望も開けない。限りある財源を重点投入し、風頼みに陥らない安定した財政基盤を築く必要がある。
[日経新聞8月17日朝刊P.5]
大津地裁が運転差し止めの仮処分を出した関西電力高浜原子力発電所3、4号機。2基がある福井県高浜町の財政は潤沢だ。2016年度税収は前の年度から11%増える見通し。関電が原発再稼働に向けて防潮堤や消火設備の設置などの安全対策を進めたことで、固定資産税収が増えた。
国策前提の自立
高浜町では原発関連収入が全体の4割程度を占める。税収増を受け、町は16年度、国から地方交付税を受け取らない不交付団体に転じた。北海道泊村に新潟県刈羽村、佐賀県玄海町。これらの原発立地自治体は総じて不交付団体だ。財政面の自立は国策の原発があればこそ。国依存のねじれた関係が浮かぶ。
「地方創生の交付金の内容や規模を地方の意見などを十分に踏まえて拡充すべき。地方により使い勝手のよいものにすべきだ」。全国知事会は7月、地方税財源の確保でこんな提言を作った。「国策だから国がしっかり支援すべきだ」(自治体関係者)。自由に使える財源を少しでも国から引き出したい地方に屈託はない。
国は16年度当初予算で、地方創生事業に充てる交付金を1千億円計上した。国が事業費の半分を賄い、残り半分は地方が負担する。地方はスタート当初から交付金の上積みを求めてきた。国は8月にまとめた経済対策で上積みに応じた。分権は影を潜め、そこにあるのは圧力団体の姿だ。
知恵絞る努力を
ある経済官庁の幹部は「自治体は自分たちで何とかしなければいけないという危機感が薄い」と苦い表情をみせる。独自課税で自前の財源を増やしたり、自由な起債で市場から資金調達したり、自分たちで地域にお金を呼び込む努力はもう一歩足りない。
北海道上士幌町や宮崎県綾町のように、国が作った「ふるさと納税」を活用し年間税収を超える寄付を集めだした町もある。長崎県平戸市はふるさと納税と連動し、地元業者にネット通販の経験を積ませた。9月には市産品を売る電子商取引(EC)を始める。地域の経済力を高め、外からお金を呼び込む。
国家戦略特区で農業の門戸を広げる兵庫県養父市、地方空港活性化の一環で仙台空港の民営化を後押しした宮城県。これらは全国一律の国策に風穴をあけ、地域の独自色を高める取り組みだ。国に頼り切るのでなく、国の協力を得ながら、地域に活力を与えつつある。
地方の財源不足は6兆円近くに達する。職員数削減など歳出を見直すだけでは限界だ。必要な歳入をいかに自力で増やすか。少子高齢化や景気の変調といった危機を前に思考停止しているヒマはない。自立へ向け、忘れかけた地方分権への熱意を呼び覚ますときだ。
杉本耕太郎が担当しました。
[日経新聞8月18日朝刊P.5]
総務省は2017年、都市部の学生や若手社員が長期休暇を利用して地方で働く「ふるさとワーキングホリデー」を立ち上げる。制度の利用を希望する都道府県ごとに数百人程度受け入れ、1週間から1カ月ほど、地方で主に製造業や観光業、農業に従事してもらう。滞在者を増やして地方の消費を押し上げ、人手不足の解消も見込む。人口減の加速する地方への移住を促す狙いもある。
通常のワーキングホリデーは若者が海外で働きながら観光・就学する制度で、導入国が専用ビザを発給する。総務省はこの考えを生かし、国内で若者の行き来を活発にする。初年度の事業費は国費を充てたい考えだ。
東京や大阪など大都市圏の大学生に加え、企業が人材育成の一環で派遣する若手社員も対象とする。自治体や企業、大学と連携し、利用者を掘り起こす。
休日には域内観光や地域おこし活動に参加してもらう。長期移住より気軽に参加でき、観光旅行ではうかがえない地域の実情にも触れられる。都道府県は市町村との連携で、参加者の住まいや勤務先をあっせんし、交流イベントで若者を迎え入れる。自治体によっては安い公営住宅の貸し出しや交通費の補助なども検討するとみられる。
[日経新聞8月17日朝刊P.1]
【ロンドン=小滝麻理子】欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国で、その準備を担う省庁間に不協和音が生じている。国民投票で離脱派を率いたジョンソン外相と、新設ポストに就いたデービスEU離脱担当相、フォックス国際貿易相が外交権限などを巡って縄張り争いを繰り広げている。メイ首相は2017年以降にEUと交渉入りする構えだが、主要3閣僚の争いが長期化すれば外交に悪影響が出かねない。
「外務省の抜本的なリストラが必要だ」――。8月中旬、英紙テレグラフは、フォックス氏がこうした趣旨のメールをジョンソン氏に送付したと報じた。フォックス氏はメールの宛先にメイ氏も加え、外務省の経済外交担当チームを自分の傘下に引き渡すよう要求したとされる。
外務省に対しては、デービス氏も新設の離脱担当省を強化するために欧州外交に強い人材の提供を求めたが、ジョンソン氏は少人数しか応じなかったという。ある主要官庁の職員は「3閣僚に振り回されて、離脱に向けた仕事にちっとも着手できない」とぼやく。
7月13日に発足したメイ政権で最大のサプライズとなったのが「離脱3人組」と呼ばれるジョンソン氏、フォックス氏、デービス氏の起用だ。交渉のカギを握るポストに離脱派を並べることで、国民投票後の世論や与党・保守党内の融和を図る狙いがあった。ところが現時点では、3者の綱引きばかりが目立つ。
背景には3閣僚の役割分担が明確ではない事情がある。ジョンソン氏がEU各国を含む2国間の外交、デービス氏が離脱戦略作り、フォックス氏が新興国などとの外交という大まかなくくりはあるものの、離脱交渉や外交全体の主導権が誰にあるのかはあいまいだ。
政府は7月下旬、英南部にある迎賓館を今後は共用にすると3閣僚に通告。従来は外相の専用施設だった。これも英外交の「顔」が誰なのかを巡る論争に拍車をかけた。
もっとも今の事態はメイ首相の想定の範囲内との見方もある。メイ氏は3人の争いを「感心できない」と周囲に語ったとされるが、目立つ発言は控えている。実は3閣僚の閣内の序列は、メイ氏の信頼が厚いハモンド財務相やラッド内相よりも下だ。離脱交渉の最終決定権限もメイ氏が主催する閣僚級会合にある。離脱派を重用する姿勢をアピールしつつ、3閣僚の権限を巧みに分散・制限していることがわかる。
それでも3者の権限争いが長期化すれば、離脱交渉や英国の国際的評判に悪影響を及ぼすリスクがある。英サンデー・タイムズ紙は、当初は17年前半とみられた離脱交渉入りが、準備の遅れにより来年秋ごろにずれ込む可能性があると報じた。米通商代表部のフロマン代表は「EUとの関係がはっきりしない限り、英国との貿易や投資交渉を進めることは難しい」とクギを刺しており、内輪もめに費やせる時間は限られる。
政権支持、国内融和姿勢で高く
【ロンドン=小滝麻理子】欧州連合(EU)離脱を決めた6月の英国民投票の結果を受けてキャメロン前首相が辞任し、メイ政権が発足してから1カ月余りが過ぎた。メイ首相は直近の世論調査で5割近い高支持率を得た。国民投票で分断された国内の融和を訴える姿勢が好感されている。
調査会社ユーガブによると、国民の48%がメイ氏を支持。国民投票で離脱派を率いたジョンソン外相(41%)、残留を主張していた野党・労働党のコービン党首(29%)を上回った。別の調査会社コムレスでもメイ氏への支持率は42%にのぼり、内相だった1年前よりも13ポイント上昇した。
ユーガブの調査では国民投票で離脱に投じた人の支持率は63%と、残留を支持した人の支持(40%)を上回った。メイ氏自身は残留派だったが、首相就任後は「離脱は離脱だ」と国民投票の結果を尊重する姿勢が受け入れられている。公教育の立て直しなど、中間層の生活改善に向けた施策も評価が高いようだ。
もっとも真価を試されるのはこれからだ。スイスで夏季休暇をとったメイ氏は、9月以降はEU離脱に向けた準備に本格的に着手する必要がある。離脱通知時期を「2017年以降」とするメイ氏に対し、EU諸国は早急な交渉入りへ圧力を強める構え。英経済の不透明感が強まるなか、離脱交渉への道筋が見えなければ、国内の離脱派と残留派の双方から不満が高まる可能性がある。
[日経新聞8月21日朝刊P.4]
11月8日投票の米大統領選の共和党候補、不動産王ドナルド・トランプ氏(70)は17日、世論調査の支持率低迷を受け、陣営を刷新した。刷新は過去2カ月で2回目。過激で戦闘的な路線を強化する人事だ。その人事にも影響したとみられる「トランプ支持者」の思いはどんなものなのか。その素顔に迫った。
11日、首都ワシントンから北西に77マイル(124キロメートル)、車で2時間ほどの距離にあるウェストバージニア州マーチンスバーグを訪れた。同州の名前は1970年代の米国を代表するヒット曲「カントリー・ロード」の歌詞に繰り返し登場する。周辺は車や人もまばらな田園地帯が広がる。
人種構成は白人が90%を超える。黒人は3%余り、中南米系(ヒスパニック系)は1%強、アジア系は1%に満たない。失業率は全米平均を1ポイント近く上回り、4年制大学を卒業した人の割合は全米で最低だ。
不動産業を営むジョージ・ジョンソンさん(60)は予備選でトランプ氏を支持し、「本選でも投票する」と明言した。共和党予備選に出馬したジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事やマルコ・ルビオ上院議員ではなく、なぜトランプ氏なのか。「職業政治家は駄目だ。この国を変えられなかった」と説明。「ビジネスで成功したトランプ氏はこの国を変革できる」と強調した。
世論調査でトランプ氏の旗色が悪いと尋ねると「世論調査は信じない」ときっぱり。「米メディアはそもそも『反トランプ』だろ。何を言ってもねじ曲げて伝えているじゃないか。メディアは民主党の宣伝部門だ」とメディア不信を口にした。
支持率低下のきっかけになったトランプ氏の米兵遺族への誹謗(ひぼう)中傷や民主党候補、ヒラリー・クリントン前国務長官(68)への「暗殺」示唆との報道も「メディアがねじ曲げて伝えている」と反論した。クリントン氏の長官時代の大口献金者への口利き疑惑を「なぜもっと報じないのか」と訴えた。
父親の事業を手伝う息子のアンドリュー・ジョンソンさん(37)は高校卒業後、米海軍に所属し、神奈川県の横須賀基地に4年間勤めた。トランプ氏を支持するが、その経緯は父親と異なる。「必ずしもトランプ支持者でなかった。バーニー・サンダース上院議員(74)が民主党候補だったらサンダース氏を支持していた」と打ち明けた。
無党派を名乗り、2004年の大統領選は共和党候補で現職大統領だったブッシュ氏に投じ、08年は民主党候補、オバマ氏に投票した。「従来型の職業政治家には魅力を感じない」と語った。
「トランプ氏が狙う支持層は白人男性の中間層と富裕層だ」と指摘。ヤマ場は「候補者同士の討論会だ」と述べ、9月下旬から始まる3回のテレビ討論会が勝敗を左右するとの見通しを示した。
(マーチンスバーグで、吉野直也)
[日経新聞8月19日朝刊P.6]
米共和党の大統領候補、不動産王ドナルド・トランプ氏(70)を支持する黒人は0%――。こんな衝撃的な結果が出たのは、米NBCニュースなどが7月に激戦州オハイオ州などで実施した世論調査だ。トランプ氏の人種差別発言などが原因とされるが、本当に黒人のトランプ支持者はいないのだろうか。
マルコ・グチレスさんは中南米系のトランプ支持者
7月、オハイオ州クリーブランドで開いた共和党全国大会で、黒人参加者を探した。会場を行き交う人はほぼ白人で、黒人の姿はほとんど見えない。ようやくすれ違ったミシェル・アーマーさん(59)に話を聞くと「すべての黒人が同じ意見を持つという考え方は人種差別だ」との指摘を受けた。「多くの黒人が民主党を支持しているのは確かだが、0%ではない」
「トランプ氏が持つ外部の視点が政治に求められている」と話すアーマーさんはクリーブランド在住の電力会社社員。もともと民主党員だったが「ビル・クリントン元大統領の後、民主党候補には投票していなかった」。「政治家に落胆し失望している」との思いが、共和党へのくら替えの原動力になったという。
ジェーソン・ベアーズリーさん(44)も同州の黒人トランプ支持者の一人だ。同氏は22年間軍役に就いていた退役軍人。「我々を戦争へいざなう誤った政策を監視している」と話す。
ベアーズリーさんは「トランプ氏に共鳴したのは既存の政治家に強い不満を持っているためだ」と指摘する。「ヒラリー・クリントン氏は現政権の一員であり、現状を変えることはできない」と強調。「米国は不法移民問題をごまかしている唯一の国だ」と、トランプ氏が主張するメキシコ国境の壁建設を支持した。
メキシコ国境の壁建設では、ヒスパニック(中南米系)の不興を買っているとされる。しかしカリフォルニア州から来たマルコ・グチレスさん(42)は「ヒスパニックの仲間には多くの隠れトランプ支持者がいる」と打ち明ける。
「ヒスパニックが真に抱える問題は、米国社会の一員として平等な機会を得ることだ」とグチレスさん。「トランプ氏は自分の会社に労働者から多くの幹部を登用している」と評価する。
一方、本当はトランプ氏を支持したくないという本音をのぞかせる支持者もいた。テキサス州のジャニス・ホルトさん(56)は「トランプ氏は共和党の17人の候補者の中で、最後の17番目の選択肢だった」と明かす。女性蔑視発言を繰り返したトランプ氏に対し、冷ややかな目を向ける女性は多い。
それでもトランプ氏に投票するのは、クリントン氏は「うそつきだ」と強く反感を持っているからだ。「私が女性だからクリントン氏を支持すべきだと言う人もいるが、彼女は女性の味方ではない」と訴える。
トランプ氏は超保守派で知られるインディアナ州のマイク・ペンス知事を副大統領候補に選んだ。「私は彼が非常に好きだ。トランプ氏に必要な安定感をもたらすだろう」とホルトさんは期待する。
(ワシントン=川合智之)
[日経新聞8月20日朝刊P.6]
フィリピンのドゥテルテ大統領はその言動から「ダーティーハリー」「アジアのトランプ氏」などと呼ばれてきた。だが事態は面白がっている場合ではない。
5月の大統領選以来、ドゥテルテ氏は同盟国である米国の大使を口汚く罵ったり、薬物中毒者を殺害するよう促したりなどしてきた。米大統領選共和党候補、ドナルド・トランプ氏の放言がかすむほどだ。
呼びかけに応じて警察や自警団が約800人を殺害し、薬物使用者など60万人以上が自首したともいわれる。殺害されたほとんどは末端の貧困層とみられる。
最も憂慮すべきは選挙期間中に約束した残虐な政策をその通り実行しているという事実だ。
ドゥテルテ氏の人気は、犯罪発生率の抑制などに失敗した歴代大統領への批判の裏返しともいえる。ただこうした方針が問題の解決につながるとは考えにくく、民主主義を後退させるだけだ。
ドゥテルテ氏は裁判官、市長、警察官、軍人、政府官僚など約150人が薬物取引に関わったとも指摘し、自首するか逮捕されるかだと迫った。ただリストは既に死亡した人物を含むなど、誤りだらけとの指摘もある。
もう一つの公約は、独裁者だった故マルコス元大統領をマニラの英雄墓地に埋葬するというものだ。故マルコス氏は圧政で数千人を殺害したとされ、反発を呼んでいる。ドゥテルテ氏の独裁者としての気質を表すエピソードともいえる。
今月15日には「粛清すべきだ」とする公務員のリストを追加で公開すると表明したし、先週は戒厳令を敷く可能性にも言及している。フィリピンにとって大きな脅威だ。
独裁者として張り切るよりも、南部の反政府活動や、中国との南シナ海問題など、より差し迫った問題に取り組むべきだ。米国をはじめ国際社会は人権の軽視は許さないとはっきり示さなければならない。
米国は3200万ドル(約32億円)の支援をフィリピンに実施したが、目的は人権擁護の促進などだ。ドゥテルテ氏がその意味を理解するまで、追加の支援はすべきでない。
(17日付、社説)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
[日経新聞8月18日朝刊P.6]
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フィリピン大統領、国連脱退を示唆
日本テレビ系(NNN) 8月21日(日)22時25分配信
今年6月にドゥテルテ大統領が就任したフィリピンでは、犯罪撲滅作戦で、多数の容疑者が殺害されている。これについて国連の機関が、「法で認められていない処刑だ」などと非難したことを受け、ドゥテルテ大統領は21日、国連からの脱退を示唆した。
フィリピンでは6月のドゥテルテ大統領の就任以降、治安改善に向け大規模な犯罪撲滅作戦が行われていて、麻薬事件の容疑者ら600人以上が警察などにより殺害されている。
これに対し国連人権高等弁務官事務所は、「法で認められていない処刑だ」などと非難していたが、ドゥテルテ大統領は21日、「内政干渉だ」と反論した上で、国連からの脱退を示唆した。
ドゥテルテ大統領「国連がそんなに無礼なら我々は脱退するだろう」
ドゥテルテ大統領は、大胆な言動で国内で高い支持を得ているが、行き過ぎた手法などに対しては批判の声もあがっている。
終更新:8月21日(日)22時46分
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160821-00000060-nnn-int
生まれながらにして幸運な指導者がいる。自ら幸運を作り出す指導者もいる。そしてロシアのプーチン大統領のように、幸運が転がり込んでくる指導者もいる。最近の対外的な出来事が同氏にどれほど有利に働いているか考えてみたい。
米国には、国家の支援を受けたロシアのハッカーが米民主党全国委員会や民主党の大統領候補、ヒラリー・クリントン前国務長官の陣営から電子メールを盗んだと非難する向きがある。その確認や反論は専門家に任せるが、ロシア政府が米国の機密情報を入手し、それを利用して米大統領選を不正に操作するかもしれないという不安の広がりにプーチン氏はほくそ笑んでいるに違いない。
米共和党の大統領候補、不動産王ドナルド・トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)への関与を縮小するとしている。同陣営の選挙対策本部長はかつて、親ロシア派のウクライナのヤヌコビッチ前大統領の下で働いていた。
プーチン氏は2011年にモスクワで発生した自分に反対する抗議デモを扇動したのは当時のクリントン国務長官だと考えている。米国が旧ソ連やロシアで政治的混乱をあおってきたと長年疑念を抱いてきたプーチン氏は、今年の米大統領選挙に自分が一役買っているという疑惑が引き起こす不安を心ゆくまで楽しむだろう。
英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めたことは、欧米の対ロシア制裁とウクライナにおけるプーチン氏の工作を巡る緊張緩和の一助となるとみられる。
ロシア、ベラルーシ、カザフスタンで構成する、プーチン氏主導の「ユーラシア関税同盟」が、やがて崩壊の危険が高まるEUの代替になり得るというロシアの主張が説得力を持つようになるだろう。ロシア国内で、将来欧州の一部になるという目標を持つ価値はないというプーチン氏の主張を後押しすることにもなる。
トルコのクーデター未遂を受けたエルドアン大統領による国内の敵(実際の敵も、想像上の敵も)の弾圧も、プーチン氏に有利に働く。トルコ国内では数千人が逮捕され、ジャーナリストが拘束された。エルドアン氏は死刑の復活にも言及している。
欧州の首脳は、こうした弾圧はトルコのEU加盟にマイナスと警告するが、エルドアン氏はひるまない。欧米の批判とトルコ政府に対する欧米の意図に不信感を抱くエルドアン氏は、すでにプーチン氏に傾いている。プーチン氏は戦略的に重要なNATO加盟国であるトルコに喜んで政治・経済的支援をするだろう。
中国もロシアに手を差し伸べる理由がある。仲裁裁判所に南シナ海を巡る主張を退けられたことに激怒している中国はロシアを合同軍事演習に招待した。トルコと同様、ロシアと中国の協力には限界がある。両政府は協力より競合関係にある場合の方が多い。しかし両国は、米国や欧州との関係が悪化した際にはお互いを援護できるし、今後もそうするだろう。
ロシアは依然として多くの問題を抱えている。原油価格が近く回復する見込みは薄く、ロシアにとって長期的懸念の源泉となる。経済の近代化は遅々として進まず、信頼できる友好国は少ない。しかし今のところ、さまざまなことがプーチン氏の思い通りに動いており、同氏は可能な限り、降って湧いたこの幸運を利用しようとするだろう。
Ian Bremmer 世界の政治リスク分析に定評。ユーラシア・グループは米調査会社。著書に「スーパーパワー――Gゼロ時代のアメリカの選択」など。46歳。
[日経新聞8月15日朝刊P.7]
俳優の高畑裕太(22)が23日、女性に強姦致傷の疑いで群馬県警に逮捕された。
23日未明に前橋市内のビジネスホテルで40歳代の女性従業員に手足を押さえ付けるなどして性的暴行をし、右の指にけがをさせた疑い。女性から警察に被害届が出されていた。
女優・高畑淳子(61)の長男で、NHK連続テレビ小説「まれ」に出演した若手注目株の俳優。今クールのTBS日曜劇場「仰げば尊し」(日曜後9・00)にも出演していた。明るいキャラクターが人気で、クイズ番組で珍解答を連発するなどバラエティー番組でも存在感を発揮している。
27、28日に放送する日本テレビ「24時間テレビ39」では番組パーソナリティーを務め、NEWSの加藤シゲアキ(29)が主演を務めるスペシャルドラマ「盲目のヨシノリ先生〜光を失って心が見えた〜」にも出演する予定だった。
最終更新:8月23日(火)15時49分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160823-00000090-spnannex-ent
中尾央氏
縄文時代の人骨には、殺されたとみられる痕跡は極めて少ない
なぜ人間は戦争をするようになったのか。欧米では、戦争は人間の本能との見方が強い。科学哲学者の中尾央・山口大学助教らは先ごろ、縄文人の人骨を1000体以上調べて暴力は極めて少なかったとの論文を発表し、「戦争は本能」説に一石を投じた。
――戦争の起源について、どのような議論があるのですか。
かつて、野生動物を狩り植物を集めて暮らしていた狩猟採集民には戦争はなかったとみられていました。農耕が始まり、土地を巡る争いから戦争が起きたと考えられたからです。しかし近年、欧米のグループが石器時代の人骨を調べ、狩猟採集民の間で集団的な虐殺があったとの報告が相次いだため、戦争は人間の本能に根ざしたものだとの見方が強まりました。
――それに反論する調査結果を英科学誌に発表されたそうですが。
はい。日本の縄文時代は1万5000年前から2800年前ごろまで続きましたが、この間に戦争があったという証拠がまったく出てきません。今回、考古学や人類学の専門家と共同で、全国の大学や自治体に保存されている縄文時代の大人の人骨1275体のデータを調べました。頭蓋に穴が開いているなど、他人の暴力で死亡したと思われるのは23体で、わずか1.8%でした。これまで欧米の調査で報告されている12〜15%より、ずっと少ない数字です。
――なぜ暴力が少なかったのでしょうか。
今回の調査からはわかりません。ただ、戦争が人間の本能によって自然に起きるのではなく、その集団の文化や生活環境など、地域によって異なる理由で起きるものだということを示唆する結果だと思います。
――なぜこの調査をしようと思ったのですか。
戦争はどうして起きるのかを知りたいからです。もし戦争が人間の本能ではなく、食糧など何かの欠乏に陥ったときに起きるのだとしたら、貧困を減らせば戦争がなくなるかもしれません。戦争が人間の進化にどのように影響したかも興味のある問題です。戦争は個人でなく集団間の争いなので、自分が損になっても他人のために行動する利他行動を進化させたと考える人もいますが、私は疑問に思っています。
――哲学者の論文としては異色ですね。
学問の細分化が進み、学問と学問の間には多くの隙間が空いています。どの分野にも属さないけど皆が知りたい重要な問題が膨大に積み残されています。科学と哲学の間にもそうした重要な問題がたくさんあり、少しずつ取り組んでいきたいと思っています。
(古田彩)
[日経新聞8月14日朝刊P.15]
RIT Capital Partners基金の総裁を務めるジェイコブ・ロスチャイルド卿は、クライアントに向けた定例書簡の中で「すでにここ数年、人類は、世界の中央銀行が行っているグローバルな金融上の実験という条件下で暮らしている。中央銀行は『空中から』記録的な量の紙幣を印刷し、歴史上最低レベルまで金利を下げた」と指摘している。
またロスチャイルド卿は「中央銀行のトップ達は、世界の歴史上、文字通り最大のマネタリー実験を続けている。それがどんな結果をもたらすかは、予見不可能だ」と述べた。
米国のバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(投資銀行)は、この8年間、世界の中央銀行は600回以上、金利を下げたと計算している。
2008年の経済危機後、中央銀行の側から行われた資金注入の総額は、10兆ドルを超えている。
なおロスチャイルド卿は、定例書簡の中で「ほとんどあらゆるタイプの投資は、資金の注入により増えたが、経済成長は微々たるもので需要も弱い、また多くの先進諸国では、相変わらずデフレがみられる」と分析している。
先に、安倍首相は世界第3の経済大国の需要をなんとか覚醒させようと再三の試みを展開と報じられた。
米オハイオ州での演説中に米大統領選共和党候補のトランプ氏は、リビアとイラクへの侵略は外交政策の分野での米国の「致命的ミス」だったと述べた。
トランプ氏はまた、もし氏が大統領に選ばれたら現政権が関与している中東での政権交代と国家建設という政策を取りやめると述べた。
「私が大統領になれば、(中東での)国家建設政策には迅速かつ決定的な終わりが待っている」
トランプ氏はまたオバマ現大統領とクリントン元国務長官を、中東の不安定化とテロ組織ダーイシュ(イスラム国、IS)形成に導いた政策実現で非難した。
観光客でにぎわうハワイのワイキキビーチから少し内陸に入った静かな住宅地にその学校はある。同州で最も優秀な生徒が通う幼小中高一貫の名門プナホウ校は今年、創立175年を迎えた。校門に記念の飾り付けがなされていた。
キャンパスの真ん中に建つのが、1852年から使われているオールド・スクール・ホールだ。小5で編入学したバラク・オバマ少年はこの部屋でENGLISH、つまり国語の授業を毎日受けていたそうだ。
自分のほかに黒人の生徒がひとりしかいなかった学校に「なじめないという感覚がどんどん膨らんだ」とオバマ氏は自伝『マイ・ドリーム』に書いている。心の救いを求め、白人支配に立ち向かったアジアの指導者たちに傾倒した。
「チェンジ」。8年前の米大統領選で掲げたこのスローガンは、インドのガンジーの「世界に変化をもたらしたければ、自らがその変化になれ」との呼びかけからの引用だ。なぜアジアなのか。幼いころインドネシアで育ったからか。ヒントになる碑をホールの入り口で見つけた。
「西洋に学び、永遠の真理を追い求めたい」
刻まれていたのは、この学校で学んだもうひとりの著名人、孫文の言葉だ。碑はオバマ氏の在学中すでにあり、革命の父としての偉業は生徒たちに代々、語り継がれてきた。
日本で亡命生活を送ったこともある孫文だが、それは後半生の話。広東省の農村で育った孫文が“文明”に初めて出会ったのは13歳から17歳までをすごしたハワイにおいてだ。オバマ氏と似ていなくもない。
今年は孫文の生誕150年にあたる。間もなく訪中をするオバマ氏が滞在中に何らかの形で先輩に言及すれば、学校にとってこのうえない名誉になる。OB会は期待しているそうだ。
『マイ・ドリーム』に孫文は登場しないが、オバマ氏が親近感を抱いている証拠ならばある。孫文の最初の妻である盧慕貞の孫モナ・リーさんの夫を政権で2人目の中国大使に任命したのだ(孫文とリーさんに血のつながりはない)。
オバマ氏は習近平国家主席の強硬姿勢に手を焼きつつ、大筋では米中が足並みをそろえる協調路線を採ってきた。次女には小学校から中国語を習わせた。プナホウ校での日々がこうした中国観を育んだのだろう。
そのせいか、嫌中派が多い安倍政権はオバマ氏と馬が合わない。
「出ばなでガツンとやっておかなかったから、なめられた」「ツー・リトル、ツー・レイト」。こんな悪口をよく聞く。中国が南シナ海に軍事拠点を構築中という報告を受けながら、なかなか軍艦を派遣しなかった。先手必勝のパワーポリティクスがわからない外交下手ということらしい。
何となくもっともらしいが、早い段階で米軍が出張っていれば中国はあきらめておとなしくしたのか。2001年には中国の戦闘機が米偵察機と空中衝突する海南島事件があった。この手の小競り合いが起きていたに違いない。
そんな危うい選択肢をオバマ氏が選ぶわけがない。自著『合衆国再生』で外交政策について「孤立主義に回帰する」と書き、就任後は「米国は世界の警察ではない」と断言したのだ。
「オバマ氏が臆病で優柔不断だから」。日米のずれを人柄のせいにできる間はまだましである。「米国は日本の島の面倒まで見切れない」。軍略家エドワード・ルトワック氏はこう予言する。次の大統領もオバマ路線だったとき、日米同盟の動揺は避けがたい。安倍政権はどう対応するだろうか。(編集委員 大石格)
[日経新聞8月21日朝刊P.2]
ウクライナ情勢を巡り、冷え込む米国とロシア。南シナ海で攻勢を強める中国。英国の欧州連合(EU)離脱や米大統領選の混迷もあり、世界には不穏な空気が漂う。米大統領選の民主党候補、ヒラリー・クリントン氏の有力な外交参謀の一人、ジェームズ・スタヴリディス米タフツ大学フレッチャー法律外交大学院長に国際情勢や米新政権の行方を聞いた。
ロシア・中国の圧力強まる
――米国とロシアは冷戦終結後、最悪の状態です。
「米ロの関係は確かに高度な緊張状態にある。ではこの先、どうすべきか。第1に、クリミア併合に関して、プーチン大統領への経済制裁を強化する。第2に、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する東欧諸国による米国への支援を確かなものにする。最後に、ロシアに国際的な行動規範にのっとって行動すべきであると悟らせるため、地球規模での圧力を継続すべきだ」
――世界は新たな冷戦構造に入るのでしょうか。
「我々は冷戦状態にあるわけではない。冷戦に戻るわけでもない。現代流の外交戦術と国際的な経済の枠組みを使って、ロシアに是々非々で対処する。ロシアとは協力できるところでは協力し、争わなければならない部分では争う。『争う部分』とはクリミアであり、シリアだ。では、どこで協力できるのか。アフガニスタン、北極海、麻薬撲滅、対テロなどだろう」
――今年12月、安倍晋三首相はロシアのプーチン大統領を招へいする考えを示しています。プーチン大統領の訪日も「是々非々」と見なされますか。
「『対話』はいつの世でも良いものだ。技術的に(国際法上)、まだ戦争状態にあるともいえる日本とロシアの関係について、議論を続けることも良い。北方領土問題について話し合いを持つことも意味がある。この問題で米国は100%、日本の側にいる」
「安倍首相はとても洗練された政治家であり、彼とプーチン氏の対話が我々を間違った方向に導くものではないと思う。他方、プーチン氏が抱えている数々の問題に鑑みれば、(訪日によって)多くの進展があるという見方には懐疑的にならざるを得ない」
――「プーチン劇場」の目指すものは何でしょう?
「第1、彼は国内の聴衆(国民)の目を気にしている。高い支持率を維持できるか、懸念しているのだ。第2の聴衆は、バルト3国、かつてワルシャワ条約機構のメンバーだった東欧諸国。各国に一定の力を誇示することによって、経済・貿易政策を強気で押し通せるからだ。第3の聴衆はNATOだろう。彼はNATOを分断したがっている。最後の聴衆は米国だ。彼は(米国から)敬意を表されたいと思っている。敬意とは力によってもたらされると信じているのだ」
――プーチン氏による「NATO分断工作」は奏功しつつあるのですか。
「(NATO加盟国は)西に行けば行くほど、(他国防衛には)熱心ではない。だからこそ、欧州の統一は不可欠なのだ。それにより、一定の力を得て、それがロシアを抑止し、安定をもたらすことができる」
――欧州の団結という観点から、ドイツの動向に不安はないですか。
「メルケル首相はクリミア問題に関する対ロ政策については厳しい姿勢を貫くと思う。元NATO最高司令官として、何度もメルケル首相とは話し合っているが、彼女こそ、この制裁において欧州連合を団結させている要だ」
――独ロによる電撃的な「握手」はあり得ないと?
「あり得ない。ドイツの友人たちはこの問題について、自らの立場を堅持する術にたけている」
――英国のEU離脱、いわゆる「BREXIT」は欧州安保にも痛手です。
「あえて議論のための議論をすれば、BREXITによって欧州は弱体化する。それは米国の弱体化を意味し、日本の弱体化にもつながる。今日、民主政治における資産は大まかにいって3人の強いアクターたち、欧州連合と米国、そして日本の双肩にかかっている。そのいずれかでも弱まると、残る2人の力も弱めてしまう。過去70年間にわたって、欧州連合とNATOは平和を醸成してきた。当然、BREXITには懸念すべきだ」
――第2次世界大戦以降に構築された世界秩序が崩壊する危険性もあると?
「その通り。私は英国にはEUに残留してほしかったが、彼らは離脱の道を選んだ。それは英国の友人たちによる、主権に基づいた選択だ。もちろん、米国はこれ以降も英国と良好な関係を維持していく」
――21世紀の世界は結局、英国のハルフォード・マッキンダー卿が唱えた大陸国家(ハートランド=ロシア、中国)と、海洋国家である米国、英国、日本との二大陣営による競争の図式になるのでしょうか。
「この競争に我々が勝つという点でとても楽観的だ。軍事的にもそうだが、外交的にも経済的にも我々は優位だ。それらすべてを動員するのが大陸国家と海洋国家の争いだ。今世紀において、我々の(勝利の)オッズは良好だ。これは世紀をまたぐ争いになる。アジアの大陸国家(ロシア・中国)と周辺国(日米など)が共に歩むという考え方は世界史上、最も壮大な地政学的ゲームとなるだろう」
新秩序を多国間連携で
――日本の安倍政権の中枢では昨今の米英両国が置かれた状況に鑑みて、あなたの言う「三本柱」の一角を占める日本が「踏ん張らないといけない」という問題意識があるようです。
「全く同感だ。今日の世界では米国の力が衰退しているのではなく、他の国々が勃興している。米国は世界随一の軍事力を持ち、強い経済力があり、強固な政治システムを持つ。人口動態においても若者人口は伸びている。エネルギーでも自立は間近だ。高度な教育、技術革新の分野でも中心に位置している。それらはすべて我々の『手持ちのカード』として使える」
「ただ、そのことをもって我々が『唯一の超大国』として行動してはいけない。それでは世界の秩序は取り戻せない。我々は日本、そして欧州連合と共に行動する必要がある。コロンビア、ブラジルなどの南米諸国、南アフリカ、ナイジェリアなどのアフリカの新興国とも協調しなければならない。これらは皆、民主主義国家でもある」
「鍵となるのは日本や欧州諸国、そして米国も大切にしている民主主義、言論・表現の自由といったものをベースにして、世界に新しい秩序をもたらす努力を続けることだ。ロシアや中国などと新しい冷戦構造に入り込むようなことは避けねばならない。同盟各国と協調していけば、それは決して不可能ではない」
――クリントン氏の陣営も日本など同盟諸国との関係を重視しています。
「日本との関係強化、そして地球規模での日本による積極的な行動は、日本のみならず、米国にとっても利益となる。そこには当然、安全保障面の要素も含まれるべきだ。そういう意味で、日本が前進していることに多くの米国人は大変、勇気づけられている」
――米国の次期大統領もそうした観点に基づいて、米国の指導力再生に尽力するでしょうか。
「政治というものは大きな出来事に対し、どうしても過剰に反応してしまう。ブッシュ政権の場合、2001年9月11日の米同時テロに反応してしまった。この結果、振り子はユニラテラリズム(単独行動主義)に基づく軍事行動に極端に振れてしまった。その後、我々はイラクなど多くの困難な局面に遭遇した。そこでオバマ政権が誕生し、その振り子を再度、逆の方向へと戻そうとした」
――その理屈で行けば、次期政権は再び振り子の先を中間に戻すと?
「その通りだ。次期政権にはぜひ、このバランス感覚を取り戻してほしい。米国は独善的なパワーでいたいと思っているわけではない。世界から離れ、孤立主義に乗るわけにもいかない。そうではなく、中庸の度合いに立ち位置を取る必要がある。それは適度に強力な軍事力と同盟国との関係強化を意味する」
――共和党のドナルド・トランプ候補は少なくとも、そうした考えには同調しそうもありません。
「米大統領選の結果、二つの異なる方向性が示されるだろう。トランプ氏が口にしているのは全て孤立主義への回帰だ。『世界に巻き込まれるのは止めよう』『すべての国境に壁をつくろうではないか』といった具合だ」
――伝統的な孤立主義と近代の単独行動主義の混合体のようなものですね。
「その通りだ。クリントン氏の場合、全く違うビジョンがある。彼女の選挙運動のモットーは『共に強くあろう(Stronger Together)』だ。我々の眼前には今、全く異なる二つの米国の未来が提示されているのだ」
James Stavridis 外交における世界のリーダーを養成する米タフツ大学フレッチャー法律外交大学院長。米海軍のキャリアが長く、元海軍大将。2009年から13年まで北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍の第16代最高司令官として、欧州安全保障の最前線で指揮を執った。
今年7月には、制服組からの副大統領候補として、民主党の大統領候補となったヒラリー・クリントン氏に水面下で打診され、米ニューヨーク・タイムズなど米主要メディアが一斉に報じた。軍事力を使わずに海外で米国の影響力を高める「ソフトパワー」を使ったアプローチを支持する。1955年生まれ、61歳。
〈聞き手から〉同盟国との協力強化カギに
米国の元政府高官や外交専門家と議論すると、彼らの懸念の中心が中国ではなく、ロシアにあることがわかる。ロシアには米国を一瞬で壊滅させる核戦力があり、君臨するのはプーチン氏という異色の指導者だ。米国が冷戦以来、最大級の警戒心を募らせる理由もそこにある。
米大統領選の民主党候補、クリントン氏に副大統領候補を打診されたスタヴリディス氏は北大西洋条約機構の最高司令官を務め、「米海軍切っての天才」との呼び声も高い戦略家だ。
その戦略家が対ロ政策で唱えたキーワードは同盟国・友好国による協力と連携である。対中国でも米国が「日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、ベトナムと共に行動することが必要だ」と力説し、新政権が多国間ネットワーク構築に動くと予言した。
結局、クリントン氏は「伝統的な副大統領候補(=政治家)」を選択したが、スタヴリディス氏は今も緊密な関係を保つ。「ヒラリー政権」誕生の暁には政権幹部に登用される可能性も高く、その言葉にも重みを感じさせた。
(編集委員 春原剛)
[日経新聞8月21日朝刊P.7]
最近まで世界の大部分は米国にもっと普通の国になってほしいと切望してきた。世界はブッシュ前大統領の「世界に自由をもたらす」という外交方針にうんざりし、「米国は特別な国」などという考え方は永遠に葬り去ってほしいと思ってきた。「米国は特別」という考え方を否定するリーダーを求め、確かにそうした候補が登場した。だが、それがトランプ氏だった。
クリントン氏(右)がオバマ氏の後任の米大統領になった場合、外交方針は変わることになりそうだ=ロイター
トランプ氏は歴史上最も失言が多く、攻撃的な大統領候補かもしれない。だが、米国の使命は普遍的な価値観を守ることだとの考え方を軽蔑する初の候補者でもある。そもそもそんな価値観が存在すると考えているかどうかも定かでない。
一方、もう一人の大統領候補のクリントン氏は、こうした価値観の積極的推進者だ。「私は心から米国が並外れた国だと思っている」と同氏は6月に述べた。「リンカーンの言葉を借りれば、我々はまだ最後にして最大の地球の希望だ」と。
現実主義者たちは、米国は自国の国益だけを追求すればいいと考えてきたが、その望みは長年、かなえられることはなかった。確かにトランプ氏は「米国のことを最優先する」と豪語するが、彼らは自分たちが一体何をしたからこんな候補者を抱える羽目になったのかと思っているに違いない。
トランプ氏は、イラクで先制攻撃をするような外国の紛争に巻き込まれる事態を避けると誓っている。これこそ現実主義者たちが聞きたがってきたことだ。米国の同盟国は防衛費をもっと負担すべきだとか、中国には自国にちなんで名付けられた海(南シナ海)で環礁を占拠する権利があるといったトランプ氏の見解も同様だ。なぜ米国が常に審判を務めなければならないのか、というわけだ。
トランプ氏言動 現実主義者葛藤
ところが、トランプ氏は現実主義者たちを喜ばせるどころか、過激派組織「イスラム国」(IS)に核攻撃すると約束したり、オバマ大統領がISをつくったと主張したりして、常に墓穴を掘っている。現実主義を成功させるカギは、戦術的なずる賢さと、世界に関し深い知識を持つことだ。だが、トランプ氏は正反対のものを体現している。こんな人物が友人だと、その友人の対応で手いっぱいになり、現実主義者は敵をつくっている暇もない。
そもそも11月の本選挙でトランプ氏はクリントン氏に勝てない可能性がある。トランプ氏は米国人が聞きたがってきた外交政策を掲げているが、それにもかかわらず負けるかもしれない。米国民は長年、軍事的冒険にはうんざりだ、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国はもっと軍事的負担をすべきで、米国の世界的な役割はもっと控えめであるべきだと言ってきた。世界に民主主義国家を築いていくと主張しても、もはや選挙で勝つことにはつながらない。
トランプ氏が掲げる「米国第一」というスローガンは、1940年代初頭に米国のファシストのシンパが掲げた言葉だったことを考えると、不名誉な前例があったといえるかもしれないが、多くの米国人はこの言葉の現在の意味に満足している。もしトランプ氏が負けたら、それは明らかに大統領らしからぬ気質と、米国のほぼすべてのグループを侮辱する傾向が敗因だ。
現実主義者にとっては残念なことに、彼らの船はトランプ氏とともに沈むかもしれない。これは「エクセプショナリスト(『米国は特別』号)」という名の艦船が来年1月にクリントン氏の指揮下で再び出航することを意味する。
この艦船はオバマ時代はどこにいたのか。オバマ氏の外交政策は「米国は特別」というものでもなければ現実主義でもなく、この2つの複合型だった。同氏が大統領に就任した数週間後、筆者は会見で「米国は特別」との見解を持つ一派に賛同するかと聞いたことがある。オバマ氏は「英国人が英国を特別と信じ、ギリシャ人がギリシャは特別と信じる」のと同じように、自分は米国を特別だと信じていると答えた。つまり、同氏の信条は本人も言っている通り主観的なものでしかなかった。
批判的な向きがオバマ氏の愛国心を厳しく疑問視してきたことを考えると、今なら彼の答えはそれほど曖昧でないかもしれない。また、クリントン氏が同じことを言うとは考えにくい。「米国は特別」と心底考えている者に疑問の余地はないからだ。彼らはかつてオルブライト元国務長官が言ったように、米国は他国より高くそびえ立ち、遠くまで見渡せると信じている。
クリントン政権が誕生した場合、これは何を意味するだろうか。世の常でクリントン大統領も予想外の出来事への対応に追われることになるだろう。ソ連を「悪の帝国」と名指しするレーガン大統領(当時)の闘争は、ゴルバチョフ氏の台頭により意味を失った。2001年にそれより謙虚な外交政策を約束して大統領に就いたブッシュ氏は「9.11」の米同時テロの後、即座に傲慢な姿勢に転じた。オバマ氏はアフガニスタンとイラクでの戦争を段階的に終わらせると宣言したが、両国にそれぞれ数千人の米兵を残して退任することになる。
一方、ビル・クリントン氏は人権を守り、人権軽視の中国と対峙すると誓った。だが、1994年のルワンダの大虐殺を見て見ぬふりをして後々まで後悔することになった。大虐殺に目をつぶったのは、その前にソマリアの内戦を終結させようと米軍を派兵したものの、戦闘ヘリが撃墜された惨事から学んだ教訓が大きかった。同氏は中国の世界貿易機関(WTO)加盟も受け入れた。いずれの場合も、各大統領の哲学がさまざまな出来事への対応方法を形作った。
オバマ大統領と 異なる外交姿勢
多くの人は、ヒラリー・クリントン氏がオバマ政権の最初の国務長官だったから、単にオバマ氏からバトンを引き継ぐと思っている。だが、大統領に仕えることと大統領になることには大きな違いがある。オバマ大統領の1期目に生じた軍事問題で、クリントン氏は常にタカ派的な見方をした。リビア介入など、議論に勝つ側に立っていたこともあれば、シリアの反政府勢力に武器を提供するか否かという問題など、助言が却下されたこともある。イラン核協議の初期段階に関与していたにもかかわらず、クリントン氏がオバマ氏の合意に署名したかどうかは疑わしい。
クリントン氏の選挙運動の発言内容も、オバマ氏のそれとは著しく異なる。オバマ氏は2008年、ブッシュ氏が仕掛けた戦争に大きく揺らぐ世界で、米国の道義的な権威を復活させると宣言した。クリントン氏は使える手段をすべて使って危険な世界と戦うと誓っている。彼女のその姿勢は、オバマ氏のとは異なる。
オバマ氏はかつて、自らの外交政策の方針を「バカなまねはするな」という言葉で要約した。クリントン氏がオバマ氏を正面から批判することはなかったが、オバマ氏のこの方針は行動原則にならないと指摘した。もちろん、クリントン氏は正しかった。だが、危険に満ちたこの時代に、害を及ぼさないという考え方は、我々が思っている以上に大きな価値があるのかもしれない。
(15日付)
[日経新聞8月21日朝刊P.11]
中国の鉄鋼業は半分がゾンビ企業――。中国の研究機関が最近、こんな衝撃的な調査結果を発表した。利益が出ないのに生き残っているゾンビ企業は中国経済の「病根」で、鉄鋼は過剰設備が最も深刻な分野。問題の先送りはいよいよ許されなくなってきた。
調査は、中国人民大学国家発展戦略研究院が7月下旬に公表した。製造業に占めるゾンビ企業の比率は2000年に30%あったがその後低下し、05〜13年は7.5%程度で推移した。報告書は「ゾンビ企業の問題は徐々に和らいでいる」と説明している。
2000年に経営内容が悪かったのは、1997年のアジア通貨危機の後遺症とみられる。01年の世界貿易機関(WTO)加盟を機に事態は好転したが、足元は出口のみえない経済成長の鈍化が続き、「問題は和らいでいる」との説明はいかにも楽観的にみえる。
もっとも、中国の公式文書が「全体として良好」などと肯定的な内容から説き起こし、続いて核心部分へと切り込むことはよくある。肝心なのはこの先だ。
「13年の上場企業のデータを利用し、我々は発見した」。そう前置きしたうえで明らかにした業種別のゾンビ企業の比率は鉄鋼が51.4%で、不動産が44.5%。いずれも中国の苦境を象徴する業種だ。およそ2社に1社が存続に無理があるというデータを前に「問題は和らいでいる」という先の表現はむなしく響く。
ゾンビ企業は経済発展が遅れた西南や西北、東北地域に多い。民間企業より国有企業がはるかに多く、古い企業に目立つ。
「病状」が分かれば、処方箋もみえてくる。問題の本質はゾンビ企業の効率が低く、先行きの展望がないにもかかわらず、淘汰されない点にある。報告書が真っ先に挙げたのが、政府の干渉を減らすことだ。地方政府の圧力で、銀行がゾンビ企業に融資することを問題視した。
国有企業はただ大きくしても意味がなく、質を高める必要があることも訴えた。関連して、政治・社会的な役割を担う国有企業を限定することも求めた。
穏当な書き出しで始まる報告には、非効率な国有企業が幅をきかす現状への批判が込められているのは明らかだ。過剰生産能力の解消とゾンビ企業の淘汰は、習近平国家主席が掲げる重要課題。つまり政権の意向に沿っているわけだが、病根をえぐった意義はある。
習氏は反腐敗を掲げ政敵を排除してきた。改革の旗を振り、主導権を握るのは権力闘争の常とう手段。「ゾンビ退治」は習氏の手法に合致するようにみえるが、一気に進めれば雇用不安などで社会を動揺させる。
中国経済は不透明で不公平かつ非効率な仕組みを解消できないまま、あまりにも巨大になった。その真ん中にゾンビ企業がある。「鉄鋼企業の半分はゾンビ」という目のくらむような現実に、政権はどう対処するのか。社会不安になるのを防ぎながら経済の構造を立て直すという難題が、重くのしかかっている。
(編集委員 吉田忠則)
[日経新聞8月21日朝刊P.11]
世耕弘成経済産業相は19日、福島県庁で内堀雅雄知事と会い、県側が求める東京電力福島第2原子力発電所の廃炉について「県民の心情を察すると(再稼働をめざす)他の原発と同列に扱うことは難しい」と述べた。同時に「一義的には東電が地元の声に真摯に向き合って判断すべきもの」と改めて政府側の姿勢を伝えた。
世耕氏は同日、福島第1原発事故の被災自治体のうち浪江、楢葉、富岡3町を視察し、町長らと面会した。福島市内では被災事業者とも意見交換。記者会見では「地元の声をしっかり受け止めて復興を確実に前進させたい」と重ねて強調した。
[日経新聞8月20日朝刊P.4]
金子祥三氏
太陽電池市場で、日本は競争に負けた。二の舞いは避けるべきだ
太陽電池など再生可能エネルギーの導入拡大には、天然ガス火力発電、または石炭ガス化発電を燃料電池と組み合わせた新しい発電システムが必要だと、東京大学生産技術研究所の金子祥三シニア協力員は指摘する。
――新しい発電システムとは。
「天然ガスを燃やしガスタービンで発電、さらに蒸気をつくって蒸気タービンでも発電する2段階の発電方式を天然ガスコンバインドサイクル(複合発電)という。発電効率が52%程度と高い。これに燃料電池を組み合わせたのが、トリプル複合発電だ」
「蒸気で天然ガスを水素と一酸化炭素に分解、これを固体酸化物型燃料電池(SOFC)に燃料として供給し発電する。発電効率は63%程度まで上げられる。天然ガスの代わりに石炭をガス化してもいい。トリプル複合は世界でもまだ実証されていない。カギを握るのがSOFCの量産による低コスト化だ」
――再生エネ拡大に火力が要るのは矛盾にも聞こえます。
「太陽電池も風力発電も出力が変動するためバックアップが必要だ。火力発電か、電力貯蔵システムが要る。二酸化炭素(CO2)排出を抑えるには、バックアップ用の火力はできるだけ高効率でなければならない」
「またSOFCは燃料電池としてだけでなく水の電気分解にも使える利点がある。再生エネの余剰電力を使って水を分解し水素をつくって貯蔵、必要なときにその水素を使って燃料電池で電気をつくれる」
「再生エネの比率が30%を超えたドイツでも、余剰電力で水素やメタンをつくって貯蔵したりパイプラインで運んだりする構想がある」
――開発は具体化しているのですか。
「経済産業省がつくった次世代火力発電のロードマップではトリプル複合発電の実用化時期を2025年ころとしている。しかし自由化で発電事業の競争が厳しくなると、リスクが大きい新技術を民間の力だけで実現するのは容易ではない」
――難しいのはSOFCですか。
「電池1本で200ワット程度が出る製品があるが、50万キロワットの発電所には250万本が要る計算だ。工場を建てて量産化する態勢を整えないといけない。太陽電池は日本が技術で先行したが、量産化で中国などに負けた。燃料電池で同じことを繰り返すべきではない」
「SOFCだけが課題ではないが、温暖化対策税などを財源とした支援策を政府が講じないと、美しいロードマップをつくっても実現しない」
(編集委員 滝順一)
[日経新聞8月21日朝刊P.15]
現在、第2次世界大戦後の国際秩序は危機に瀕(ひん)しているのかもしれない。ロシアは2014年に力づくでクリミアをウクライナから奪取し、中国は領有権争いのある南シナ海において一方的な埋め立て、建設、軍事基地化を進めるとともに、東シナ海で日本の領海への侵犯を繰り返している。
本書はまさに戦後国際秩序の現状について、強い危機感を滲(にじ)ませながら分析している。
現代において世界秩序として通用しているものは、17世紀半ばに成立したウェストファリア(本書ではヴェストファーレン)・システムと呼ばれるものである。それは主権国家の対等性、内政不干渉、力の均衡などを特徴としていた。ただし、それは本質的には欧米的秩序であり、とくにその宗教的・思想的基盤という点で、普遍性を欠いていた。たとえば儒教の世界では中国文化との近さで序列が決められ、朝貢が周辺各国に要求された。イスラム教は、領域内の平和な世界と、不信心者が住む戦争の世界に世界秩序を二分した。
著者が重視しているのが、アメリカの役割である。アメリカがソ連の前に立ちはだかることを決意した1948年から20世紀末までは、利他的なアメリカの理想主義と、伝統的な力の均衡の概念が融合したものから成るグローバルな世界秩序の萌芽(ほうが)とでもいえるものが、たとえ短い間とはいえ成立した人類史上まれな時代だったのではないかと著者は問いかける。しかし、その構造は現在、重要な欠陥を露呈している。主権国家は内外から挑戦を受け、経済はグローバル化したにもかかわらず、政治は国民国家単位で運営されている。しかも重大問題で大国が意見交換し、場合によっては協力し合う有効な仕組みが存在しない。
このような状況で、アメリカの役割はますます重要である。著者は、アメリカが明確な目的意識を持ち、ウェストファリア・システムを現代化していく役割を担い続けることを強く期待しながら本書を結んでいる。
しかし、戦後民主党より一貫して国際秩序を支える傾向を示してきた共和党が、本年NATOや日米同盟に懐疑的なドナルド・トランプを大統領候補に指名したことは、選挙結果のいかんにかかわらず、国際秩序を支えようとするアメリカの意欲の喪失を示唆している可能性がある。著者が14年に本書を執筆したとき以上に、今日の状況は深刻である。アメリカは今後も国際秩序を支えていくのであろうか。なお、やや訳文が読みにくいのが残念である。
原題=World Order
(伏見威蕃訳、日本経済新聞出版社・3700円)
▼著者は23年ドイツ生まれ。元米国家安全保障問題担当補佐官。元国務長官。国際政治学者。73年ノーベル平和賞。著書に『外交』など。
《評》東京大学教授 久保 文明
[日経新聞8月21日朝刊P.19]
(上)ITで変貌 豊かな大陸へカエル跳び
ルワンダの首都キガリにあるビルの一室で数十人の若者が熱心にパソコンに向かう。情報技術(IT)を学び、起業アイデアを現実にする政府肝煎りの施設「kLab」だ。日本の国際協力機構(JICA)が協力した。金融とITを融合した「フィンテック」などの分野で続々と新興企業が巣立っている。
ITを学び起業を目指すルワンダの若者(キガリのkLab)
その1社、マージムズは国外で働く人が国内の家族らの電気代や学費をオンラインで払えるアプリを開発した。携帯電話で瞬時に支払え、送金と異なり他の使途に回る心配がないのが売りだ。
携帯普及率80%
民族対立で約100万人の犠牲者を出したルワンダ虐殺から22年。毎年7%前後の経済成長を続け「アフリカの奇跡」と呼ばれるまでになった。
「我々は自分たちで虐殺を終わらせ、同じ信念で国を再建している。ITはその土台だ」とヌセンギマナ青年・情報通信技術相(42)は語る。
小学生全員にノートパソコンを1台ずつ与える計画を進める。携帯電話の普及率は10年で5%から80%に達した。固定電話を飛び越して光ファイバー網を張り巡らせ、IT立国に向けひた走る。
後発の国が最新技術の恩恵を受けて先進国のたどった発展段階を省くことを意味する「リープフロッグ(カエル跳び)現象」。19世紀、ガス灯の整備が世界で最も進んでいた英ロンドンを尻目に、米ニューヨークなど主要都市は急速に電気を普及させた。
現在のアフリカでは多様なカエルが飛躍する。
南アフリカ共和国発のある商品に世界の金融関係者の注目が集まる。保険会社オールライフが開発したエイズウイルス(HIV)感染者向けの生命保険商品だ。医療に加え、統計分析、ITを活用して発症を抑える方法を提案する。契約者の健康支援サービスと組み合わせることで、これまで自動的に契約対象から除外されてきた感染者に希望をもたらすユニークな金融商品となった。
同社に出資したのは途上国の未公開株投資を得意とするファンドで、その名も「リープ・フロッグ」。クリントン元米大統領らも支援する社会的責任投資(SRI)企業だ。「投資は驚くべき成功をおさめている」とアンドリュー・クーパー最高経営責任者(CEO)は満足げだ。
17億人に急拡大
国連推計では、現在12億人のアフリカの人口は2030年には42%増の17億人に膨らむ。世界平均の16%増に比べ格段に速く、60年代に中国とインドの合計を抜き去るとみられる。市場拡大をテコに内戦と貧困の「古いアフリカ」から、豊かさと安定の「新しいアフリカ」への変貌を目指す。
ただ、足元では逆風も吹く。巨額の投資で成長を後押ししてきた中国の経済が減速、資源国の財政には原油安が暗い影を落とす。だが、日本貿易振興機構(ジェトロ)の平野克己理事は「環境が厳しくなったことで各国の改革に向けた本気度が上がっている」という。
ケニアのナイロビで27〜28日、日本とアフリカ諸国の首脳や企業関係者が一堂に集まり「第6回アフリカ開発会議(TICAD6)」を開く。アフリカの長期的な発展に向けた協力を打ち出せるのか。日本がアフリカを拓(ひら)く力を現地の人々はじっと見つめている。
[日経新聞8月21日朝刊P.1]
(下)打って出る日本企業 逆風下でも成長の種まき
エチオピア首都アディスアベバからデコボコ道を車で1時間。ハウス農園内でバラの花びらや葉に目を凝らす1人の日本人の姿があった。東京に本社を置く包装資材メーカー、インパックの守重知量社長だ。「小ぶりの花は若者に受け入れられそうだ」。欧州では定評がある切り花の品質を確かめ、日本への輸出事業の成功に自信を深めた。
エチオピアで切り花を包装する作業スタッフ
試験的に日本のスーパーで販売し感触をつかんだ。2017年に駐在員事務所を開く計画で、包装袋の生産工場の建設も検討している。日本との直行便就航で可能になったビジネスだ。
栄養改善と両立
ナイジェリアやコートジボワールにうま味調味料の包装工場を持つ味の素。東アフリカのマラウイでは6カ月〜5歳の重篤な急性低栄養の子どもたちを対象とした栄養治療食品を開発、国連児童基金(ユニセフ)などの国際機関に販売する。
低所得者層の栄養改善を進めることでブランド力を高め、市場開拓の足がかりにする思惑がある。低所得者向けの「ベース・オブ・ピラミッド(BOP)」市場は途上国でのビジネス機会として広く注目を集める。
ただ、アジアの途上国などと比べて超低所得者が多いアフリカでは企業の活動環境に厳しさが募る。先駆者とみられてきたネスレが15年6月にアフリカ事業の縮小を発表するなど市場攻略は容易でない。味の素の西井孝明社長は「栄養バランスの解決と事業成長を同時に果たしたい」と語る。
「ドル不足は深刻で材料や製品輸入に支障が出かねない」。仏商社CFAOナイジェリアのステファン・ファデリン社長は取引先を忙しく巡る日々だ。産油国のナイジェリアは原油価格下落で通貨ナイラが暴落し、当局がドルの供給を絞った。現地に進出する外資系企業からは「製品や原料の輸出入に関する銀行の信用状(LC)を開けない」との悲鳴が漏れる。
国際通貨基金(IMF)は7月、アフリカの成長率を大幅に引き下げた。サハラ砂漠以南(サブサハラ)の今年の実質成長率は1.6%の見通しで、これまでの高成長にブレーキがかかった。
だが、逆風下に打って出る企業もある。
「決して高くない。適切な額だと考えている」。日本たばこ産業(JT)は7月、エチオピアのたばこ専売会社、ナショナル・タバコ・エンタープライズの株式40%を5億1千万ドル(約510億円)で取得した。
市場拡大は確実
入札で2番札だったライバル企業の2倍超の巨費を投じたが、新貝康司副社長は強気だ。同国の15年の紙巻きたばこ市場は日本市場の3%強ながら、1億近い人口と約10%の経済成長率を考えれば市場拡大は確実と見込む。
米コカ・コーラは1月、ナイジェリアの飲料大手CHIの株式40%を2億4千万ドルで取得。仏ダノンは14年末にモロッコの乳業大手サントラル・ラティエールを傘下に収め同国内の7万5千の販売所を手中にした。
非効率と官僚主義、汚職、政治混乱などアフリカ市場の現状はリスクも数多い。成長鈍化や通貨の下落で市場攻略の難易度はさらに上がった。だが、長期的な成長シナリオに目を向ければ動き出すべき時は今だ。
岐部秀光、久門武史、竹内康雄、宇都宮想、黒瀬泰斗が担当しました。
[日経新聞8月22日朝刊P.1]
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アフリカ進出、中国・欧米に後れ 開発支援し官民一体で攻略
政府が地熱開発をはじめアフリカへの支援を打ち出すのは、最後のフロンティアとされるアフリカ市場攻略の足がかりとするためだ。現在の投資規模は歴史的に関係が深い英国、フランスなど欧州や、米国、中国に水をあけられており、官民による協力で成長余地の大きい経済圏での浸透を目指す。(1面参照)
先進国だけでなく、アジアの新興国でも人口増のペースが鈍る中で、アフリカは21世紀後半も人口が増え、所得増と合わせ高い経済成長が見込まれている。豊富な鉱物やエネルギー資源もあり、日本が関係を強化する経済的な利点は大きい。
ただ地理的な遠さやテロや感染症のリスクもあり、サハラ以南地域への日本企業の進出数は300社未満にとどまっていた。
日本からの直接投資残高も約1兆円と、フランスや米国の5分の1、中国の半分程度にとどまっている。特に技術協力や人材育成などで支援姿勢を強める中国に後れをとれば、大型案件の受注でますます不利になりかねなかった。
政府による電力などのインフラ支援は日本企業の受注につながるほか、電気料金の引き下げや道路や港湾の改善を通じて企業が進出しやすくなる環境整備にもなる。インフラ整備を初期段階から丸ごと請け負うことになれば、企業の収益に与える効果も大きい。
日本は今回のアフリカ開発会議(TICAD)に際して、100社を超える大手企業の首脳・幹部が現地を訪問するなどして、官民一体で市場の取り込みをはかる。
[日経新聞8月20日朝刊P.5]
アフリカ大陸はいまも「略奪」されている――。400ページ近い本書は初めから終わりまで、この強烈なメッセージで貫かれる。この土地から石油を含む資源を奪うのは欧米の巨大企業。さらに国内需要が急拡大する中国の国有企業や“政商”が割って入ろうとする。資源価格は2000年代以降、国際市場で大きく上昇したのに、アフリカの多くの住民はなお貧しい。なぜなら一握りの権力者が欧米や中国の略奪者と組み、私腹を肥やしているからだという。
こうした資源を巡る「ウラの構図」を白日の下にさらすことが本書の狙いだ。欧州の新聞の記者が丁寧な取材を通じ、倫理を著しく欠いた不正な取引を暴いていく過程は迫力があり、引き込まれる。企業や個人の実名がちりばめられ、事実だけが持つ説得力を強く感じる。だが、アフリカは何も変わっていないと言い切ってよいのだろうか。
現在のアフリカで成長の基盤は資源だけでない。以前とは比べものにならないくらい多くの企業が活動する。奨学金を得て欧米で学んだ若者が起業したIT(情報技術)関連の会社も目立つ。選挙で政権が交代するシステムの定着した国が増え、指導者は国民への責任を意識し始めた。
こうした「新しいアフリカ」を知ったうえで読めば、現状の理解が深まる。山田美明訳。(集英社・1900円)
[日経新聞8月21日朝刊P.21]
トランプ現象とアメリカ保守思想 会田弘継著
著者はジャーナリストとして米国の政治を長く取材してきた。特に保守主義の系譜に詳しい。今年の米大統領選の話題を席巻する不動産王ドナルド・トランプ氏のとっぴな言動は突然変異ではなく、1950年代の保守主義への憧憬が背景にあるという。オバマ大統領はトランプ氏を批判しているが、孤立志向という点では相通じるものがあるとの指摘は今後の米国の針路を読むうえで重要である。(左右社・1800円)
[日経新聞8月21日朝刊P.21]
40歳前後の働く独身女性のうち非正規雇用は4割に達する。新卒時に企業が採用を抑えた就職氷河期に当たる世代だが、同世代の男性労働者の非正規比率の1割を大きく上回る。なぜなのか。
「独身の非正規アラフォー」はここにきて増加傾向にある。総務省の労働力調査によると、35〜44歳の独身女性で、雇用されて働く労働者は2015年に190万人。そのうち非正規で働く人は79万人で、41%が非正規で働いていることになる。05年時点では27%だった。
なぜこれほど急増したのか。まず、結婚しない人が増えた。15年の国勢調査(抽出速報)によると、女性の35〜39歳と40〜44歳の未婚率はそれぞれ23%と19%。05年の調査より、それぞれ5ポイントと7ポイント上昇した。男性の雇用も不安定になるなかで、結婚して専業主婦になる道も狭くなった。独身のまま働き続けるアラフォーが増えた。
この世代独自の影響もある。バブル崩壊後、企業が新卒採用を急速に絞った就職氷河期世代にあたる。特に採用環境が厳しかった1993〜2005年ごろに社会に出た。
女性はそのあおりを強く受けた。35〜44歳の男性で雇用されて働く労働者は15年で728万人いる。そのうち非正規は71万人で、9%にすぎない。労働政策研究・研修機構の高橋康二研究員は「主に女性が就いていた事務職などが、バブル崩壊後どんどん非正規に置き換わっていった。急な時代変化のなかでキャリア形成がうまくできなかった女性が多い」と指摘する。
独身非正規アラフォーの生活は厳しい。横浜市男女共同参画推進協会がインターネットを通じて35〜54歳の約260人を対象に昨年調査したところ、35〜44歳の独身非正規の女性の7割近くが年収250万円以下だった。非正規で働く理由は「正社員として働ける仕事がなかったから」が約6割でトップ。特に35〜39歳では回答者の約6割が大卒以上にもかかわらず、約7割が初めて就いた仕事が非正規で当時の採用環境の厳しさが浮き彫りになった。
アンケートでは今後の生活への不安が吐露された。「20代は正社員だったがリストラ。ずっと非正規で貯金もない」「資格を取りたいが正社員と同じ仕事内容で手いっぱい」「両親に介護が必要になったり自分が病気になったら破綻する」などだ。
調査をした同協会の担当者は「非正規だと経済的な余裕が少ない。短期の契約を繰り返し、社会的に孤立している人も多い。キャリア形成や仲間との交流を支援していけるようにしていきたい」と話している。
(福山絵里子)
まずは自分の強み見つめて
パートや派遣社員など非正規労働者に対する雇用情勢は、足元では極めて良い。求職者1人当たりにどれだけの求人があるかを示す有効求人倍率は2015年度平均はパートで1.57倍と、1992年度以来の高水準。派遣会社のビースタイル(東京・新宿)も「仕事を選ばなければいくらでもある状況」と話す。
生産人口の減少が背景にあり、パートなどの時給もじわじわと上がっている。派遣の場合、35歳になると仕事が紹介してもらえなくなる「35歳限界説」があったが「人手不足から企業は40代でも派遣を受け入れるようになっている」(ビースタイル)という。
ただ、これがいつまでも続くかは不透明だ。キャリアカウンセラーの錦戸かおりさんは「人工知能(AI)で事務職がなくなる可能性もある。まずは自分の強みは何かを見つめるところから始めて、社会のニーズに合わせてキャリアをシフトしていってほしい」と話している。
〈記者の目〉
「お父さんは会社で働いて、お母さんは家で子育て」。日本の社会保障は、男性を稼ぎ手とした「モデル世帯」を前提に設計されているものが多い。女性にそうした生き方を期待する社会の圧力もあった。
しかし、女性を取り巻く環境が急速に変化したのに社会保障制度は変わらなかった。近年増えてきた女性支援も、主婦の再就職や女性管理職の登用などに集中する。独身の非正規女性への支援は手薄だ。時代と制度のはざまに死角はないか見直したい。
〈トピック〉
非正規の女性は結婚を望んでいるのだろうか。年齢がアラフォーより少し下がるが、25〜39歳の未婚男女1万人に内閣府経済社会総合研究所が実施した意識調査(2015年)によると、正社員よりも非正規社員のほうが結婚意欲が低かった。
職場にいる独身男性が少ないうえ、周りに正社員男性も少ないことが結婚意欲の低下に影響しているという。交際相手がいる人も正社員より非正規社員のほうが少なかった。
[日経新聞8月20日朝刊P.29]
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