憲法学者の小林節氏が設立宣言した「国民怒りの声」は参議院選挙にどんな影響を及ぼすのか?
否定的な論者たちからは「野党票を食い合うだけ」「分裂は与党を利するのみ」とする指摘がある。
つまり、小林氏が言うような「野党票の裾野を広げる」効果は期待できず、むしろ分裂するだけマイナスだという意見である。
果たしてそうだろうか?
仮に、野党の総得票数が同一だったと仮定してみて、全国比例区で新党が立つ場合と立たない場合で、野党獲得議席数にどれほどの差が出るのか考えてみる。
比例区は選挙区に比べると、いわゆる「死に票」が少ない。
だが少ないとはいえ、一つの党につき最大で110万票程度の「死に票」はどうしても出てしまう。
民進、共産、社民、生活がそれぞれ単独で比例区を戦った場合、最大で440万票の「死に票」が出るということだ。
これに「国民怒りの声」が参戦したら「死に票」の最大値は550万票ほどになる。
その差110万票だが、この比較であれば、野党の総獲得議席数にはまったく変動がない。
4党のみが独立で闘って、「死に票」が最小である場合と、新党が加わった5党の独立戦で、やはり「死に票」が最小であった場合を比較してみても、総得票数が同じであれば、獲得議席数にも変動はない。
その中間のケースで細かな計算は割愛するが、野党の総得票数が同じである場合、新党なしと新党ありで比較すれば、野党の総獲得議席数の変動は「ー4から+3の間」になる。平均を求めると「−1」というのが最も確率の高い数字だ。
つまり野党の総得票数が同じであったら、「国民怒りの声」は野党の獲得総議席数を「ひとつ減らす」と考えて概ね正しい。
野党票を食い合いして出る影響は、比例区の特性ゆえ「概ね一議席減」に留まるのである。
これが選挙区であれば、その影響は全体で数十議席に及ぶことも想定されるが、比例区の場合、この程度の影響しかないのだ。
しかし、新党の参戦があっても野党の総得票数が全く変動なしというのはありえない。
多少なりとも上積みが期待されるだろう。
もし「国民怒りの声」が120万票を獲得し、それが野党の総獲得票数の上積み分であるとしたら、野党の獲得議席は比例区でプラス1になるが、選挙区にはもっと大きな影響を与える。
野党の総得票数が120万増えるということは、各都道府県選挙区で野党票が平均3万票弱増えるということだ。
選挙区での戦いは、野党が候補を一本化したからといって「楽勝」ではない。
各社マスコミが試算するように、一本化の効果のみで逆転できる選挙区は一人区32のうち半分もない。
これは過去の得票数を合算するだけの簡単な試算なので、実際は「相乗効果」も期待できる分、もう少しは善戦できるだろう。
とはいえ「相乗効果」がある一方で、多少なりとも「減割効果(民進失望・共産アレルギー)」はあるので、まだまだ心もとない。
だがそこに、野党上積み票が、各選挙区で3万弱加わればどうだろう?
俄然「勝機」が見えてくるのである。
「国民怒りの声」の獲得票数が240万ならその倍!
比例でプラス2に加え、選挙区で野党統一候補が5〜6万の上積み票を得ることで、与野党逆転するところが続発し、場合によっては与党過半数割れ、つまり「ねじれの実現」すら夢でなくなるのだ。
失敗してもマイナス1(最悪はマイナス4)、成功すれば与野党逆転…。
これは「やるしかない!」と思うのだが、どうだろう?
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/902.html