22. 蒲田の富士山[1738] ipeTY4LMlXiObY5S 2023年6月14日 19:36:15 : gsXslDKzr2 : ZllnNUxmaVljTC4=[1]
2023年6月14日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/255920
<連載>後遺症は今も コロナ後を考えるB
4月中旬の深夜零時前。東京・渋谷駅近くのビルにあるヒラハタクリニックの診察室では、平畑光一院長(45)が新型コロナウイルスの後遺症患者へのオンライン診療に当たっていた。
◆「死にたい」と訴える人も珍しくない
連日、後遺症患者が押し寄せ、この日の対面診療は朝10時前から、ほぼ休みなく夜10時まで続いた。その後のオンライン診療は、症状が重くて通院できない人たちが多い。結局、診察が全て終わったのは午前3時半近くだった。
後遺症専門外来を設ける医療機関は少ない。ヒラハタクリニックは多い日で約120人、計6000人超の患者を診察してきた。「寝たきりで動けない」という関東地方の男子学生、「だるくて腕も動かせない」という四国地方の女性…。平畑院長は「『死にたい』とこぼす方も珍しくありません」と疲れた様子で話す。
今年5月、感染症法上「5類」の扱いに引き下げられた新型コロナ。だが、平畑院長は「季節性インフルエンザと決定的に異なるのが、後遺症の発生率の高さだ」と警鐘を鳴らす。
「感染者の約1割が、治療が必要なレベルの後遺症患者になっている」と推測。「一部の医療機関が診ていれば済む状況ではない。かかりつけ医が診察できるようにする必要がある」として、自らの診療実績や知見をデータベース化し、ウェブで公開している。症状は200種類を超えるとも言われ、現れたり消えたりする特徴がある。
◆確立された治療法がない…「診療経験の共有が不可欠」
厚生労働省は今月から、後遺症患者を診療する医療機関を対象に診療報酬を加算。対応できる医療機関の情報を公表するよう、各都道府県に求めてきた。
ただ、後遺症に確立された治療法はなく、医療機関によって対応に差がある。「医師から『気の持ちようだ』と言われ続けた患者が命を絶ったケースもあった」と平畑院長。厚労省が医療従事者向けに示す診療の手引をこまめに改訂したり、研修会を開いたりして「診療経験を共有することが不可欠だ」と訴える。
5類移行で新型コロナを軽んじ、検査を受けない人が増えると「体調不良が続いても後遺症と診断できず、原因が分からないままになってしまう」と危ぶむ。感染回数が増えると後遺症のリスクが高まるとの米国での研究結果もあり、「一度かかったから次も大丈夫だと考えるのは大間違い」と注意を呼びかける。
英国の国家統計局は、3月時点で人口の3%近くが後遺症を抱えていると推計。米シンクタンクは昨年8月、米国内で最大400万人が後遺症で働けなくなっていると分析した。だが、「日本ではこうした実態を把握しようとする動きは鈍い」と平畑院長。「多くの人が苦しみ、働けなくなり、計り知れない損失が生じている。国は医療現場に任せきりにせず、後遺症と向き合い続ける必要がある」
新型コロナウイルス感染症の後遺症(罹患=りかん=後症状) 世界保健機関(WHO)は「少なくとも2カ月以上持続し、また他の疾患による症状として説明がつかないもの」と定義。国の患者数の統計はなく、確立された治療法もない。メカニズムも不明な点が多く、自己免疫の異常▽ウイルスやそのかけらの残存▽ウイルスが引き起こす微小血栓(血の塊)の影響—といった原因が指摘されている。
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今も新型コロナの後遺症に苦しむ患者がいる。感染症法上の位置付けが5類に引き下げられ、進む「脱コロナ」。自分も後遺症になった記者が当事者、医師の声を伝え、今後のあり方を考える。(この連載は神谷慶、出田阿生が担当しました)
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