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[近代史5] 「ママ、死にたい」自慰行為強要、わいせつ画像拡散…氷点下の旭川で凍死した14歳女子中学生への“壮絶イジメ” 中川隆
446. 中川隆[-12905] koaQ7Jey 2022年9月06日 23:09:09 : lgYRj7FhLw : ZEU4YzYzbktkVXc=[1]
《旭川14歳少女凍死》「死んだ本人に話を聞けてないから推測の域を出ない」第三者委員会のイジメ調査“最終報告書”その驚きの詳細「イジメと自殺の因果関係は…」
旭川14歳少女イジメ凍死事件 ♯33
「文春オンライン」特集班2022/09/05
https://bunshun.jp/articles/-/57132


 昨年3月に当時14歳だった廣瀬爽彩(さあや)さんの遺体が見つかって1年半、イジメを受けてから3年半。世間を震撼させた“凄惨な事件”は大詰めを迎えようとしている。

 2022年8月31日、イジメについての事実確認や爽彩さんが亡くなったこととの因果関係の再調査を進めてきた第三者委員会は、最終報告書案の一部を遺族側に提出した。文春オンラインの取材で、その最終報告書案には爽彩さんの死とイジメとの因果関係について、検証すらされていなかったことがわかった――。


◆◆◆


第三者委員会が「8月末までに提出する」はずだった最終報告書は
 昨年2月13日に自宅から失踪し、3月に旭川市内の公園で雪の中で亡くなっているのが見つかった爽彩さん。文春オンラインでは2021年4月から記事を公開し、爽彩さんが中学入学直後から凄惨なイジメを受けていたこと、失踪直前までそのイジメによるPTSDに悩まされていた事実などを報じてきた。

 再調査を行ってきた第三者委員会は今年4月に公表した中間報告で「イジメとして取り上げる事実があった」として性的なイジメ、深夜の呼び出し、おごらせる行為など中学の先輩7人が関与した6項目をイジメと認定した。それまで「イジメと認知するまでには至らない」としていた旭川市教育委員会もイジメを認め、遺族に謝罪。その席で第三者委員会は最終報告書について、「8月末までに提出する」と遺族側に伝えていた。全国紙社会部記者が打ち明ける。

「期日(8月31日)の6日前の8月25日になって突然、第三者委員会から『報告が間に合わない』と遺族側に通達があったそうです。もともと昨年5月に第三者委員会が発足した当初は、11月までに調査結果をまとめるとの説明でした。しかし、『1000ページ以上の資料の読み込みに時間がかかっている』などの理由で11月の期限は白紙に。その後、昨年9月に今津寛介旭川市長が就任して『年内にまとめてほしい』と要望し、遺族側も『せめて失踪から1年となる2月13日までに』と求めていましたが、第三者委員会が報告時期の見通しやスケジュールなどを示すことはありませんでした。

 調査期間が長引くほど関係生徒たちの記憶も薄れ、被害者の同級生たちは今年の春に中学校を卒業してしまいました。高校は道教委の管轄となり、市教委では聞き取り調査を行うことが困難となります」


 文部科学省の定める「いじめ重大事態の調査に関するガイドライン」では、調査時期・期間(スケジュール、定期報告)について、「被害児童生徒・保護者に対して、調査を開始する時期や調査結果が出るまでにどのくらいの時期が必要となるのかについて、目途を示すこと」と、明記されている。第三者委員会が最終報告の日程について「8月末」と期限を示したのは今年4月の中間報告後。調査開始から10カ月以上経過してからのスケジュール開示、自ら設定した8月末の期日を反故にするなど、ガイドラインを遵守しない第三者委員会の姿勢に、遺族側は不信感を募らせている。


「迷走」を繰り返した第三者委員会の調査活動
 今回の調査の関係者によると、第三者委員会がまとめた最終報告書案は全7章で構成され、遺族側に提出されたのは「廣瀬さんが死亡に至った過程の検証」「いじめの検証及び考察」「認定した事実関係と経緯についての調査結果」の3章分(計120ページ以上)のみ。「当時の学校と市教委の対応」「再発防止策」など残る4章分はさらに時間が必要と説明し、9月5日時点で遺族側には渡っていない。

 第三者委員会は小児科医、臨床心理士、大学教授、弁護士ら9名の調査委員で構成されているが、これまで、同委員会の調査活動は文字通り「迷走」を繰り返した。


「イジメ問題に精通した専門家、特にイジメPTSDの治療に当たった臨床経験の豊富な医師や、イジメ被害者のケアに従事した心理士が旭川市内では見つからず、重大事態の調査に必要とされる、遺族の希望していた高度な専門的知見を持った委員は選ばれませんでした。遺族との協議も噛み合わないことが多く、時には激しい怒号が飛び交い“大荒れ”になることもあったそうです」(遺族側の支援者)


イジメによるPTSDと“自殺との因果関係”は「疑問」だと判断
 さらに遺族側が憤りを感じているのが、予定から大幅に遅れて提出された最終報告書案に爽彩さんの死とイジメの因果関係が全く検証されていないことだった。前出の調査関係者が語る。

「最終報告書案では中間報告通り中学の先輩7人が関与した6項目をイジメと認定しています。また、被害者の死亡についても失踪直前に『きめた』『今日死のうと思う』『ごめんね』とSNSに書き込みを残していたことから、自殺とする見解を示しています。イジメの被害にあってから、天真爛漫だった彼女の表情から笑顔はなくなり、部屋に引きこもるようになった。5月には母親に『ママ、死にたい』と洩らし、ウッペツ川への自殺未遂後はイジメのフラッシュバックに苦しみ、医者からはPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断を受けていました。しかし、16カ月もの期間調査を行ってきた“自殺との因果関係”については医学的な観点から説明が示されていません。調査の放棄とも言えます」

失踪直前に爽彩さんが友人に送ったLINEメッセージ
https://bunshun.jp/articles/photo/57132?pn=4


 第三者委員会は最終報告書案の中で爽彩さんが自殺に至った背景について、遺族の主張していた「イジメによるPTSD」という診断に不可解な判断を下しているという。

亡くなった爽彩さんから「直接話が聞けていない」ことを理由に
「最終報告書では『転校後に前の学校の悪夢を見る』『しばらくの期間、イジメにあった事実を語ろうとしなかった』などの爽彩さんの症状から当時、『PTSDを罹患していた可能性は否定できない』との見解を示している一方、イジメによるPTSDと診断を受けていた爽彩さんに対して、『直接話が聞けていない』ことを理由に、『PTSDと診断された経緯が明らかでないことから、推測の域を出ない』としています。つまりPTSDだったかもしれないけど、本人に話を聞けないし、診断の経緯もよくわからないから、PTSDだったと断定はできないということです」(同前)


 当時爽彩さんを診断したのはベテランの主治医。第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てているという。

「第三者委員会は『何らかの契機や心境の急激な変化があった可能性がある』として、自殺の背景に爽彩さんがうつ病に罹患していた可能性を示唆しています。しかし、爽彩さんは医師にうつ病と診断されたこともないし、当然、その診断書も存在しないわけで、それこそ“実際に話を聞いていないため、推測の域を出ない”話です。


「法律の矛盾するところを直してあげたい」と言っていた爽彩さん
 16カ月もの期間、調査をしてきたものの、被害者が受けたイジメがどの程度、自殺に影響したのか具体的な説明の記載は一切なく、因果関係についても何も触れられていません。第三者委員会はイジメと自殺の因果関係の検証から逃げたのです」(同前)

 最終報告書案は遺族側の確認を経て、第三者委員会が市教委へ最終報告するという。時期は流動的だが、市教委は9月中旬頃までに会見を行う予定だ。


 爽彩さんが生きていれば、今日9月5日で16歳となるはずだった。生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた。天国の爽彩さんはいまのこの状況に何を思うだろうか。残る最終報告書案も遺族にとって辛いものとなってしまうのか。

http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/591.html#c446

[近代史4] アメリカの富裕層の税負担が貧困層より低い理由 中川隆
9. 中川隆[-12904] koaQ7Jey 2022年9月07日 02:10:49 : lgYRj7FhLw : ZEU4YzYzbktkVXc=[2]
『ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち』 ピーター・S・グッドマン著
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%80%E3%83%9C%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%B3-%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%82%92%E3%81%B6%E3%81%A1%E5%A3%8A%E3%81%97%E3%81%9F%E5%84%84%E4%B8%87%E9%95%B7%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%EF%BC%B3-%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3-ebook/dp/B0B3ZQ2NWV


2022年9月6日
 パンデミックによって世界で650万人以上の人命が失われ、何億という人々が貧困と飢餓に苦しんでいる。直接手を下したのはコロナウイルスだが、深刻な影響を拡大したのはダボスマンと呼ばれる者たちの行動だ。ダボスマンたちは、パンデミックから遠く離れた海岸沿いの豪邸や山間の隠れ家リゾート、高級ヨットのなかにとどまって災厄を逃れつつ、株や不動産で莫大な利益を上げ、かつてない繁栄を謳歌している。

 ダボスマンとは、例年スイスのリゾート地で開かれる世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に集まる億万長者たちのことだ。会議は表向き、気候変動、ジェンダー間の不平等、デジタル化の未来などを討議する場だが、その舞台裏ではダボスマンたちが各国の国家元首や政府高官たちとビジネスの契約を結び、世界経済のルールをつくる。そこは地球上で最大のロビー活動の場といわれる。

 本書はアメリカ人ジャーナリストが、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスをはじめ5人のダボスマンに焦点を当ててその生態を描き、なぜ貧富の格差はなくならないのかに迫った。

 レーガン政権が新自由主義に舵を切って以降の40年間で、アメリカ人のうちわずか1%の最富裕層が総計21兆jの富を手にし、同時に下半分の層の資産は9000億j減少した。世界的に見れば、もっとも豊かな10人の超大富豪の財産を合計するだけで、もっとも貧しい85カ国の経済規模を上回る。ダボスマンは世界各地のタックスヘイブン(租税回避地)に約7兆6000億jを秘蔵しており、その大半が未申告で各国税務当局の手が及ばない。

 こうした事実を見るだけで、ダボスマンによる世界経済の改造が歴史的な窃盗行為に等しいことがわかる。そのうえ、こうした経済的苦境や格差を道具に憎しみを煽り立て、他民族への恐怖をたきつける政党が支持を拡大し、各地の紛争は武器商人にビジネスチャンスをもたらす。

 ダボスマンの行動はウソと偽善で塗り固められている。シリコンバレーの巨大ソフトウェア企業セールスフォースの創業者であるマーク・ベニオフは2018年、自社のあるサンフランシスコでホームレス問題解決の新税を後押しし、みずからも年間1000万jを払うとのべた。ところがこの年、セールスフォースの純利益は130億jをこえていたが、連邦税の納付額はゼロだった。

 というのも、クリントン政権の時代に財務省が開けた抜け穴によって租税回避の仕組みをつくっていたからだ。彼らはタックスヘイブンに子会社を設置して、そこに自社の知的財産権を移し、この新しい海外拠点から国内のグループ内法人に法外な額の知的財産権使用料を請求して赤字にするわけだ。この抜け穴ができてから15年間で、企業への実質的な課税水準は35%から26%に急落し、米財務省は年間600億jの税収を失ったといわれる。その分、低所得者層への福祉は切り捨てられる。

 考えてみれば、彼らが利益を上げることができるのは、インターネットをはじめとする社会インフラがあってこそで、それは税金によってつくられたものだ。しかしダボスマンは、納税義務は逃れつつ各国政府からむさぼりとる。

 ダボスマンは医療や公衆衛生をぶち壊し、パンデミックを深刻化させた。世界有数の投資ファンド・ブラックストーンの創業者スティーブ・シュワルツマンは、金のなる木を医療に見出した。彼は全米規模で救急外来に医師やスタッフを派遣する二大企業の一つ、チームヘルスを支配下に収めた。投資ファンドは実質的に相手の医療業務全体を買収する。ただ、法的には医師たちが監督権限を持ち続けているよう体裁だけ整え、国による規制を回避した。投資ファンドは「利益を出せ」の一点張りで、病院を統合して病床を減らし、診療費を上げた。十分な収益を生まない医療機関は閉鎖した。コスト削減のため、防護マスクや人工呼吸器の購入を控えた。救急医療の現場では、医師たちが下すさまざまな医療的処置と、治療をできるだけ早く終わらせることにのみ利益を見出す経営側の指示とが、しばしば正面からぶつかっていたという。

 こうしてパンデミックが到来した時点で、全米の総病床数は92万4000で、40年前から150万床近くが削られていた。災厄に対する備えなどないに等しかった。そのうえ連邦政府はコロナ患者を優先し、緊急性のない手術を控えるよう指示したが、投資ファンドは大口の収入減を失うのを恐れてそれも無視した。世界最大の100万人以上の死者は、そうした状況を背景にして生まれたのに違いない。一方、2020年のシュワルツマンの報酬総額は6億jをこえ、前年の2割増しとなった。

 ダボスマンが無制限に富をむさぼることを保障するのは、連邦政府との癒着である。そのためにお抱えのロビイストや会計士、シンクタンク、広報コンサルタントを最大限に活用し、彼らに有利な法律をつくらせる。

 ダボスマンがトランプを支持したのは、トランプが法人税を35%から21%に引き下げる「減税パッケージ」を成立させたのが一因だった。だから2020年の大統領選で、ブラックストーンのシュワルツマンはトランプに4000万j以上を献金した。減税政策を止めさせないこと、成功報酬の税優遇を廃止したり規制を強化したりさせないためだ。同時に同社の最高執行責任者ジョン・グレイは、バイデンに多額の献金をした。リスクを分散させて保険をかけたわけだ。

 バイデンは当初、大規模な財政出動や法人税の引き上げを語った。だが、政権が発足すると、経済問題担当の大統領補佐官には世界最大の資産運用会社ブラックロックのブライアン・ディーズが就いた。財務長官に就任したジャネット・イエレンは、過去2年間、ヘッジファンドを含む大手企業向けの講演謝礼で700万jを稼いでいる。

 こうしてホワイトハウスの主が誰になろうと、ダボスマンの地位は不動のように見える。しかし、表題にもあるように、彼らの行為があまりにも反社会的であるために、いまや世界経済の構造的欠陥について多くの人が気づき始め、1%に対する99%のたたかいが始まり、それが各国政府を揺るがしている。現在の資本主義社会は次の制度への過渡期にあることが明らかになる。
https://www.chosyu-journal.jp/review/24361
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1093.html#c9

[近代史3] 国家を亡ぼす「狂った税制」 中川隆
12. 中川隆[-12903] koaQ7Jey 2022年9月07日 02:11:11 : lgYRj7FhLw : ZEU4YzYzbktkVXc=[3]
『ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち』 ピーター・S・グッドマン著
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%80%E3%83%9C%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%B3-%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%82%92%E3%81%B6%E3%81%A1%E5%A3%8A%E3%81%97%E3%81%9F%E5%84%84%E4%B8%87%E9%95%B7%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%EF%BC%B3-%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3-ebook/dp/B0B3ZQ2NWV


2022年9月6日
 パンデミックによって世界で650万人以上の人命が失われ、何億という人々が貧困と飢餓に苦しんでいる。直接手を下したのはコロナウイルスだが、深刻な影響を拡大したのはダボスマンと呼ばれる者たちの行動だ。ダボスマンたちは、パンデミックから遠く離れた海岸沿いの豪邸や山間の隠れ家リゾート、高級ヨットのなかにとどまって災厄を逃れつつ、株や不動産で莫大な利益を上げ、かつてない繁栄を謳歌している。

 ダボスマンとは、例年スイスのリゾート地で開かれる世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に集まる億万長者たちのことだ。会議は表向き、気候変動、ジェンダー間の不平等、デジタル化の未来などを討議する場だが、その舞台裏ではダボスマンたちが各国の国家元首や政府高官たちとビジネスの契約を結び、世界経済のルールをつくる。そこは地球上で最大のロビー活動の場といわれる。

 本書はアメリカ人ジャーナリストが、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスをはじめ5人のダボスマンに焦点を当ててその生態を描き、なぜ貧富の格差はなくならないのかに迫った。

 レーガン政権が新自由主義に舵を切って以降の40年間で、アメリカ人のうちわずか1%の最富裕層が総計21兆jの富を手にし、同時に下半分の層の資産は9000億j減少した。世界的に見れば、もっとも豊かな10人の超大富豪の財産を合計するだけで、もっとも貧しい85カ国の経済規模を上回る。ダボスマンは世界各地のタックスヘイブン(租税回避地)に約7兆6000億jを秘蔵しており、その大半が未申告で各国税務当局の手が及ばない。

 こうした事実を見るだけで、ダボスマンによる世界経済の改造が歴史的な窃盗行為に等しいことがわかる。そのうえ、こうした経済的苦境や格差を道具に憎しみを煽り立て、他民族への恐怖をたきつける政党が支持を拡大し、各地の紛争は武器商人にビジネスチャンスをもたらす。

 ダボスマンの行動はウソと偽善で塗り固められている。シリコンバレーの巨大ソフトウェア企業セールスフォースの創業者であるマーク・ベニオフは2018年、自社のあるサンフランシスコでホームレス問題解決の新税を後押しし、みずからも年間1000万jを払うとのべた。ところがこの年、セールスフォースの純利益は130億jをこえていたが、連邦税の納付額はゼロだった。

 というのも、クリントン政権の時代に財務省が開けた抜け穴によって租税回避の仕組みをつくっていたからだ。彼らはタックスヘイブンに子会社を設置して、そこに自社の知的財産権を移し、この新しい海外拠点から国内のグループ内法人に法外な額の知的財産権使用料を請求して赤字にするわけだ。この抜け穴ができてから15年間で、企業への実質的な課税水準は35%から26%に急落し、米財務省は年間600億jの税収を失ったといわれる。その分、低所得者層への福祉は切り捨てられる。

 考えてみれば、彼らが利益を上げることができるのは、インターネットをはじめとする社会インフラがあってこそで、それは税金によってつくられたものだ。しかしダボスマンは、納税義務は逃れつつ各国政府からむさぼりとる。

 ダボスマンは医療や公衆衛生をぶち壊し、パンデミックを深刻化させた。世界有数の投資ファンド・ブラックストーンの創業者スティーブ・シュワルツマンは、金のなる木を医療に見出した。彼は全米規模で救急外来に医師やスタッフを派遣する二大企業の一つ、チームヘルスを支配下に収めた。投資ファンドは実質的に相手の医療業務全体を買収する。ただ、法的には医師たちが監督権限を持ち続けているよう体裁だけ整え、国による規制を回避した。投資ファンドは「利益を出せ」の一点張りで、病院を統合して病床を減らし、診療費を上げた。十分な収益を生まない医療機関は閉鎖した。コスト削減のため、防護マスクや人工呼吸器の購入を控えた。救急医療の現場では、医師たちが下すさまざまな医療的処置と、治療をできるだけ早く終わらせることにのみ利益を見出す経営側の指示とが、しばしば正面からぶつかっていたという。

 こうしてパンデミックが到来した時点で、全米の総病床数は92万4000で、40年前から150万床近くが削られていた。災厄に対する備えなどないに等しかった。そのうえ連邦政府はコロナ患者を優先し、緊急性のない手術を控えるよう指示したが、投資ファンドは大口の収入減を失うのを恐れてそれも無視した。世界最大の100万人以上の死者は、そうした状況を背景にして生まれたのに違いない。一方、2020年のシュワルツマンの報酬総額は6億jをこえ、前年の2割増しとなった。

 ダボスマンが無制限に富をむさぼることを保障するのは、連邦政府との癒着である。そのためにお抱えのロビイストや会計士、シンクタンク、広報コンサルタントを最大限に活用し、彼らに有利な法律をつくらせる。

 ダボスマンがトランプを支持したのは、トランプが法人税を35%から21%に引き下げる「減税パッケージ」を成立させたのが一因だった。だから2020年の大統領選で、ブラックストーンのシュワルツマンはトランプに4000万j以上を献金した。減税政策を止めさせないこと、成功報酬の税優遇を廃止したり規制を強化したりさせないためだ。同時に同社の最高執行責任者ジョン・グレイは、バイデンに多額の献金をした。リスクを分散させて保険をかけたわけだ。

 バイデンは当初、大規模な財政出動や法人税の引き上げを語った。だが、政権が発足すると、経済問題担当の大統領補佐官には世界最大の資産運用会社ブラックロックのブライアン・ディーズが就いた。財務長官に就任したジャネット・イエレンは、過去2年間、ヘッジファンドを含む大手企業向けの講演謝礼で700万jを稼いでいる。

 こうしてホワイトハウスの主が誰になろうと、ダボスマンの地位は不動のように見える。しかし、表題にもあるように、彼らの行為があまりにも反社会的であるために、いまや世界経済の構造的欠陥について多くの人が気づき始め、1%に対する99%のたたかいが始まり、それが各国政府を揺るがしている。現在の資本主義社会は次の制度への過渡期にあることが明らかになる。
https://www.chosyu-journal.jp/review/24361
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/730.html#c12

[近代史4] アメリカの闇 政治を金で買う超富裕層 中川隆
4. 中川隆[-12902] koaQ7Jey 2022年9月07日 02:11:50 : lgYRj7FhLw : ZEU4YzYzbktkVXc=[4]
『ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち』 ピーター・S・グッドマン著
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%80%E3%83%9C%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%B3-%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%82%92%E3%81%B6%E3%81%A1%E5%A3%8A%E3%81%97%E3%81%9F%E5%84%84%E4%B8%87%E9%95%B7%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%EF%BC%B3-%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3-ebook/dp/B0B3ZQ2NWV


2022年9月6日
 パンデミックによって世界で650万人以上の人命が失われ、何億という人々が貧困と飢餓に苦しんでいる。直接手を下したのはコロナウイルスだが、深刻な影響を拡大したのはダボスマンと呼ばれる者たちの行動だ。ダボスマンたちは、パンデミックから遠く離れた海岸沿いの豪邸や山間の隠れ家リゾート、高級ヨットのなかにとどまって災厄を逃れつつ、株や不動産で莫大な利益を上げ、かつてない繁栄を謳歌している。

 ダボスマンとは、例年スイスのリゾート地で開かれる世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に集まる億万長者たちのことだ。会議は表向き、気候変動、ジェンダー間の不平等、デジタル化の未来などを討議する場だが、その舞台裏ではダボスマンたちが各国の国家元首や政府高官たちとビジネスの契約を結び、世界経済のルールをつくる。そこは地球上で最大のロビー活動の場といわれる。

 本書はアメリカ人ジャーナリストが、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスをはじめ5人のダボスマンに焦点を当ててその生態を描き、なぜ貧富の格差はなくならないのかに迫った。

 レーガン政権が新自由主義に舵を切って以降の40年間で、アメリカ人のうちわずか1%の最富裕層が総計21兆jの富を手にし、同時に下半分の層の資産は9000億j減少した。世界的に見れば、もっとも豊かな10人の超大富豪の財産を合計するだけで、もっとも貧しい85カ国の経済規模を上回る。ダボスマンは世界各地のタックスヘイブン(租税回避地)に約7兆6000億jを秘蔵しており、その大半が未申告で各国税務当局の手が及ばない。

 こうした事実を見るだけで、ダボスマンによる世界経済の改造が歴史的な窃盗行為に等しいことがわかる。そのうえ、こうした経済的苦境や格差を道具に憎しみを煽り立て、他民族への恐怖をたきつける政党が支持を拡大し、各地の紛争は武器商人にビジネスチャンスをもたらす。

 ダボスマンの行動はウソと偽善で塗り固められている。シリコンバレーの巨大ソフトウェア企業セールスフォースの創業者であるマーク・ベニオフは2018年、自社のあるサンフランシスコでホームレス問題解決の新税を後押しし、みずからも年間1000万jを払うとのべた。ところがこの年、セールスフォースの純利益は130億jをこえていたが、連邦税の納付額はゼロだった。

 というのも、クリントン政権の時代に財務省が開けた抜け穴によって租税回避の仕組みをつくっていたからだ。彼らはタックスヘイブンに子会社を設置して、そこに自社の知的財産権を移し、この新しい海外拠点から国内のグループ内法人に法外な額の知的財産権使用料を請求して赤字にするわけだ。この抜け穴ができてから15年間で、企業への実質的な課税水準は35%から26%に急落し、米財務省は年間600億jの税収を失ったといわれる。その分、低所得者層への福祉は切り捨てられる。

 考えてみれば、彼らが利益を上げることができるのは、インターネットをはじめとする社会インフラがあってこそで、それは税金によってつくられたものだ。しかしダボスマンは、納税義務は逃れつつ各国政府からむさぼりとる。

 ダボスマンは医療や公衆衛生をぶち壊し、パンデミックを深刻化させた。世界有数の投資ファンド・ブラックストーンの創業者スティーブ・シュワルツマンは、金のなる木を医療に見出した。彼は全米規模で救急外来に医師やスタッフを派遣する二大企業の一つ、チームヘルスを支配下に収めた。投資ファンドは実質的に相手の医療業務全体を買収する。ただ、法的には医師たちが監督権限を持ち続けているよう体裁だけ整え、国による規制を回避した。投資ファンドは「利益を出せ」の一点張りで、病院を統合して病床を減らし、診療費を上げた。十分な収益を生まない医療機関は閉鎖した。コスト削減のため、防護マスクや人工呼吸器の購入を控えた。救急医療の現場では、医師たちが下すさまざまな医療的処置と、治療をできるだけ早く終わらせることにのみ利益を見出す経営側の指示とが、しばしば正面からぶつかっていたという。

 こうしてパンデミックが到来した時点で、全米の総病床数は92万4000で、40年前から150万床近くが削られていた。災厄に対する備えなどないに等しかった。そのうえ連邦政府はコロナ患者を優先し、緊急性のない手術を控えるよう指示したが、投資ファンドは大口の収入減を失うのを恐れてそれも無視した。世界最大の100万人以上の死者は、そうした状況を背景にして生まれたのに違いない。一方、2020年のシュワルツマンの報酬総額は6億jをこえ、前年の2割増しとなった。

 ダボスマンが無制限に富をむさぼることを保障するのは、連邦政府との癒着である。そのためにお抱えのロビイストや会計士、シンクタンク、広報コンサルタントを最大限に活用し、彼らに有利な法律をつくらせる。

 ダボスマンがトランプを支持したのは、トランプが法人税を35%から21%に引き下げる「減税パッケージ」を成立させたのが一因だった。だから2020年の大統領選で、ブラックストーンのシュワルツマンはトランプに4000万j以上を献金した。減税政策を止めさせないこと、成功報酬の税優遇を廃止したり規制を強化したりさせないためだ。同時に同社の最高執行責任者ジョン・グレイは、バイデンに多額の献金をした。リスクを分散させて保険をかけたわけだ。

 バイデンは当初、大規模な財政出動や法人税の引き上げを語った。だが、政権が発足すると、経済問題担当の大統領補佐官には世界最大の資産運用会社ブラックロックのブライアン・ディーズが就いた。財務長官に就任したジャネット・イエレンは、過去2年間、ヘッジファンドを含む大手企業向けの講演謝礼で700万jを稼いでいる。

 こうしてホワイトハウスの主が誰になろうと、ダボスマンの地位は不動のように見える。しかし、表題にもあるように、彼らの行為があまりにも反社会的であるために、いまや世界経済の構造的欠陥について多くの人が気づき始め、1%に対する99%のたたかいが始まり、それが各国政府を揺るがしている。現在の資本主義社会は次の制度への過渡期にあることが明らかになる。
https://www.chosyu-journal.jp/review/24361
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/634.html#c4

[近代史3] アメリカのロビイストは政治家に「この法案を成立させたら何億ドル差し上げますよ」と働きかける 中川隆
4. 中川隆[-12901] koaQ7Jey 2022年9月07日 02:12:10 : lgYRj7FhLw : ZEU4YzYzbktkVXc=[5]
『ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち』 ピーター・S・グッドマン著
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%80%E3%83%9C%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%B3-%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%82%92%E3%81%B6%E3%81%A1%E5%A3%8A%E3%81%97%E3%81%9F%E5%84%84%E4%B8%87%E9%95%B7%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%EF%BC%B3-%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3-ebook/dp/B0B3ZQ2NWV


2022年9月6日
 パンデミックによって世界で650万人以上の人命が失われ、何億という人々が貧困と飢餓に苦しんでいる。直接手を下したのはコロナウイルスだが、深刻な影響を拡大したのはダボスマンと呼ばれる者たちの行動だ。ダボスマンたちは、パンデミックから遠く離れた海岸沿いの豪邸や山間の隠れ家リゾート、高級ヨットのなかにとどまって災厄を逃れつつ、株や不動産で莫大な利益を上げ、かつてない繁栄を謳歌している。

 ダボスマンとは、例年スイスのリゾート地で開かれる世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に集まる億万長者たちのことだ。会議は表向き、気候変動、ジェンダー間の不平等、デジタル化の未来などを討議する場だが、その舞台裏ではダボスマンたちが各国の国家元首や政府高官たちとビジネスの契約を結び、世界経済のルールをつくる。そこは地球上で最大のロビー活動の場といわれる。

 本書はアメリカ人ジャーナリストが、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスをはじめ5人のダボスマンに焦点を当ててその生態を描き、なぜ貧富の格差はなくならないのかに迫った。

 レーガン政権が新自由主義に舵を切って以降の40年間で、アメリカ人のうちわずか1%の最富裕層が総計21兆jの富を手にし、同時に下半分の層の資産は9000億j減少した。世界的に見れば、もっとも豊かな10人の超大富豪の財産を合計するだけで、もっとも貧しい85カ国の経済規模を上回る。ダボスマンは世界各地のタックスヘイブン(租税回避地)に約7兆6000億jを秘蔵しており、その大半が未申告で各国税務当局の手が及ばない。

 こうした事実を見るだけで、ダボスマンによる世界経済の改造が歴史的な窃盗行為に等しいことがわかる。そのうえ、こうした経済的苦境や格差を道具に憎しみを煽り立て、他民族への恐怖をたきつける政党が支持を拡大し、各地の紛争は武器商人にビジネスチャンスをもたらす。

 ダボスマンの行動はウソと偽善で塗り固められている。シリコンバレーの巨大ソフトウェア企業セールスフォースの創業者であるマーク・ベニオフは2018年、自社のあるサンフランシスコでホームレス問題解決の新税を後押しし、みずからも年間1000万jを払うとのべた。ところがこの年、セールスフォースの純利益は130億jをこえていたが、連邦税の納付額はゼロだった。

 というのも、クリントン政権の時代に財務省が開けた抜け穴によって租税回避の仕組みをつくっていたからだ。彼らはタックスヘイブンに子会社を設置して、そこに自社の知的財産権を移し、この新しい海外拠点から国内のグループ内法人に法外な額の知的財産権使用料を請求して赤字にするわけだ。この抜け穴ができてから15年間で、企業への実質的な課税水準は35%から26%に急落し、米財務省は年間600億jの税収を失ったといわれる。その分、低所得者層への福祉は切り捨てられる。

 考えてみれば、彼らが利益を上げることができるのは、インターネットをはじめとする社会インフラがあってこそで、それは税金によってつくられたものだ。しかしダボスマンは、納税義務は逃れつつ各国政府からむさぼりとる。

 ダボスマンは医療や公衆衛生をぶち壊し、パンデミックを深刻化させた。世界有数の投資ファンド・ブラックストーンの創業者スティーブ・シュワルツマンは、金のなる木を医療に見出した。彼は全米規模で救急外来に医師やスタッフを派遣する二大企業の一つ、チームヘルスを支配下に収めた。投資ファンドは実質的に相手の医療業務全体を買収する。ただ、法的には医師たちが監督権限を持ち続けているよう体裁だけ整え、国による規制を回避した。投資ファンドは「利益を出せ」の一点張りで、病院を統合して病床を減らし、診療費を上げた。十分な収益を生まない医療機関は閉鎖した。コスト削減のため、防護マスクや人工呼吸器の購入を控えた。救急医療の現場では、医師たちが下すさまざまな医療的処置と、治療をできるだけ早く終わらせることにのみ利益を見出す経営側の指示とが、しばしば正面からぶつかっていたという。

 こうしてパンデミックが到来した時点で、全米の総病床数は92万4000で、40年前から150万床近くが削られていた。災厄に対する備えなどないに等しかった。そのうえ連邦政府はコロナ患者を優先し、緊急性のない手術を控えるよう指示したが、投資ファンドは大口の収入減を失うのを恐れてそれも無視した。世界最大の100万人以上の死者は、そうした状況を背景にして生まれたのに違いない。一方、2020年のシュワルツマンの報酬総額は6億jをこえ、前年の2割増しとなった。

 ダボスマンが無制限に富をむさぼることを保障するのは、連邦政府との癒着である。そのためにお抱えのロビイストや会計士、シンクタンク、広報コンサルタントを最大限に活用し、彼らに有利な法律をつくらせる。

 ダボスマンがトランプを支持したのは、トランプが法人税を35%から21%に引き下げる「減税パッケージ」を成立させたのが一因だった。だから2020年の大統領選で、ブラックストーンのシュワルツマンはトランプに4000万j以上を献金した。減税政策を止めさせないこと、成功報酬の税優遇を廃止したり規制を強化したりさせないためだ。同時に同社の最高執行責任者ジョン・グレイは、バイデンに多額の献金をした。リスクを分散させて保険をかけたわけだ。

 バイデンは当初、大規模な財政出動や法人税の引き上げを語った。だが、政権が発足すると、経済問題担当の大統領補佐官には世界最大の資産運用会社ブラックロックのブライアン・ディーズが就いた。財務長官に就任したジャネット・イエレンは、過去2年間、ヘッジファンドを含む大手企業向けの講演謝礼で700万jを稼いでいる。

 こうしてホワイトハウスの主が誰になろうと、ダボスマンの地位は不動のように見える。しかし、表題にもあるように、彼らの行為があまりにも反社会的であるために、いまや世界経済の構造的欠陥について多くの人が気づき始め、1%に対する99%のたたかいが始まり、それが各国政府を揺るがしている。現在の資本主義社会は次の制度への過渡期にあることが明らかになる。
https://www.chosyu-journal.jp/review/24361
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