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[政治・選挙・NHK296] 「減税反対」を鮮明にした立憲民主党・野田佳彦代表、党内からの批判を執行部は黙殺 好機ととらえた財務官僚は「どう自分たち… 達人が世直し
7. 秘密のアッコちゃん[1324] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月07日 20:35:54 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[762]
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選択的夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を考えた場合、マイナス面が圧倒的に大きいので、選択的夫婦別姓制度の導入には断固反対だ。

最大の問題は「子の姓」、旧姓の通称使用拡大へ結論を 国士舘大・百地名誉教授
2025/2/7 19:38
https://www.sankei.com/article/20250207-27NPT5X3KZJTHEUXDATVONIM4Q/
自民党は来週、選択的夫婦別姓制度を巡る党内議論を本格化させる。
同制度の問題点や旧姓の通称使用拡大について、国士舘大の百地章名誉教授(憲法学)に聞いた。

選択的夫婦別姓制度の最大の問題は子の姓の扱いだ。
生まれたばかりの子には姓の選択権がない。
それどころか、別姓家庭に生まれた子は、父か母いずれかの名字とは異なる
「親子別姓」
を強制させられる。
現在、一部の野党が示す案では、子が生まれる度に夫婦が姓を決めるとあるが、現行の戸籍法では出生後14日以内に氏名を届け出なければならないため、夫婦間の協議が整わなければ無戸籍児になる。
別姓夫婦が結婚時に生まれてくる子の姓を事前に決めておく案もある。
だが、決められなかった場合は婚姻届が出せず、
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」
と定めた憲法24条に違反する恐れがある。
野党案はこうした問題の解決に
「家庭裁判所に判断を求める」
とするが、正当な判断基準は見当たらない。
別姓導入賛成派の論拠は、平成27年と令和3年の最高裁判例が
「この種の制度の在り方は国会で論ぜられ、判断されるべきだ」
と判示したことだ。
しかし、判決は同姓制を合憲としており、別姓導入を求めたわけではない。
各種調査では5割近くが通称使用拡大を必要とする一方、別姓導入賛成は2割程度にとどまる。
これは便宜上の不具合を改善してほしいということに他ならない。
旧姓の通称使用拡大を別姓制度の
「妥協案」
と捉えてはいけない。
別姓導入の議論が浮上したことで通称使用の拡大の議論が熟した側面もあるが、考え方は全く違うものだ。
これまで懸案になっていた姓を巡る問題を解決するためにも、通称使用拡大の法整備に向けて結論を出すべき時期に来ている。

夫婦別姓議論、旧姓の通称使用拡大巡り自民保守派に複数案…一本化できなければ党分断も
2025/2/7 18:39
https://www.sankei.com/article/20250207-5X76YPN3GNMSVGNGL6VGUKS67E/
今国会の焦点である選択的夫婦別姓制度を巡り、自民党は来週、党内議論を本格化させる。
家族の在り方を変える懸念から、制度導入に慎重な保守系議員らは旧姓の通称使用を拡大する方向で意見集約を目指す。
ただ、慎重派の間でも通称使用拡大に関して複数の案が存在しており、一本化を巡っては党の分断に繋がる恐れもある。
2025年2月4日午後、党本部で開かれた有志グループ
「保守団結の会」
の会合。
顧問を務める高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は多くの方に、旧氏を通称使用する機会をもっともっと拡大する約束を何度もしている」
「これを早期に実現することが一番だ」
と強調し、通称使用拡大に向けた私案を示した。
高市氏の私案は、戸籍上は同姓を維持しつつ、旧姓の通称使用拡大を法律で位置づける。
現状、住民票やパスポート(旅券)などの公的証明書は希望すれば、現在の姓と旧姓の併記が可能だ。
この仕組みを幅広い分野に広げて不便を解消するため、国や地方公共団体、事業者に必要な措置を取るよう求める。
高市氏は以前、戸籍法の改正を視野に入れていたが、住民基本台帳法施行令の一部改正によって住民票などに旧姓併記が可能となったため、戸籍法は改正しない形とした。
別姓制度導入の是非が改めて注目されるきっかけとなった経団連の昨年2024年の提言は
「通称は法律上の姓ではないため、旧姓併記を拡大するだけでは解決できない課題も多い」
と指摘していた。
一方、衛藤晟一元沖縄北方担当相らの案は、公的証明書への旧姓の併記と単独使用のいずれも可能とする。
旧姓の使用を法制化し
「法定旧姓」
とすることで別姓制度を導入しなくても、経団連が指摘するような課題の解決に繋がるとしている。
稲田朋美元防衛相は、
「婚前氏続称制度」
の創設を主張する。
旧姓を通称ではなく
「呼称上の氏」
として法的に認め、公的な場面では旧姓を使用することを想定している。
慎重派は複数案を一本化し、導入推進派に対して党内議論の主導権を握りたい考えだ。
党内には、拙速な議論は避けるべきだとの意見もあるが、立憲民主党は今国会で導入に向けた民法改正案の提出を予定している。
自民の森山裕幹事長は2025年2月4日の記者会見で、関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張した。

「強制的親子別姓」「子供に選択の機会ない」選択的夫婦別姓を日本女性の会が危惧 横浜で
2025/2/7 10:50
https://www.sankei.com/article/20250207-XGELSVKT5FGOVOVXV2OLGIPJ3A/
日本女性の会神奈川は2025年2月6日、JR横浜駅前で今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓の導入に反対し旧姓の通称使用の法制度化を求める街宣活動を行った。
選択的夫婦別姓について、
「強制的親子別姓、強制的家族別姓です」
「家族がバラバラになります」
などと懸念を訴えた。
日本女性の会は日本会議の女性組織。
約20人の女性らがビラを配ったり、マイクで訴えたりした。
導入を求める側の人々が唱える
「選択制だから誰も困らない」
という訴えについては
「正しくありません」
「一番大きな影響を受けるのは子供です」
「選択制とはいえ、子供に選択の機会はありません」
などと危惧した。
同会は、4歳から高校2年まで10家族20人の子供に対し、それぞれの親から
「お父さんとお母さんが別々の名前になったらどう思う」
と尋ねてもらったところ、ほとんどが拒否感を示したという。
「家族がバラバラは絶対いや」
「うちは何家になるの」
との回答があったという。
同会神奈川の事務局長を務める横浜市の主婦、北島ゆり子さん(66)は
「子供は自分のことじゃなくて、親や家族全体のことを考えている」
「たかが名字、されど名字で、子供にとって大きな拠り所だと感じた」
と話した上で、
「子供の声は社会に反映されにくい」
と語り、丁寧な議論を訴えた。
北島さんは、10家族20人の調査について
「親にとっては、子供の考えを改めて感じ、絆が強まった機会になったといってくれた」
と述べ、選択的夫婦別姓の導入の是非が社会の話題になりつつある状況について
「反対派も賛成派も、改めて家族で『家族とは何か』『親子とは何か』を考える機会になれば一番いいと思う」
と語った。

夫婦別姓反対や通称使用法制化の推進を訴え 日本女性の会神奈川
2024/12/26 19:30
https://www.sankei.com/article/20241226-52IAT4YH4BMI3LSVHODYVHHQ5M/
日本女性の会神奈川は2024年12月26日、神奈川県藤沢市のJR藤沢駅前で
「夫婦別姓反対・通称使用法制化推進」
の街宣活動を行い、
「国民は選択的別姓制度を求めていません」
などと書かれたビラを配った。
参加したのは、同会や日本会議神奈川などの約10人。
メディアなどの調査をもとに、
「国民の7割が『別姓』に反対」
「中高生の9割以上が『別姓』に反対」
などと書かれたのぼりを掲げ、通行する人に
「姓の選び直しで社会は混乱する」
と語りかけ、通称使用の法制化を訴えた。

自民「創生日本」再始動、通称使用拡大案を提示「国の根幹めぐり党が割れるようでは…」
2025/2/5 18:55
https://www.sankei.com/article/20250205-5XCFEWLYMFOEZAAPSUVO5LP2FY/
安倍晋三元首相が会長を務めた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
は2025年2月5日、国会内で総会を開き、選択的夫婦別姓制度を巡り議論した。
総会の開催は約2年ぶりで、旧姓の通称使用を拡大する党内の複数の案が示された。
同制度の導入を巡っては党内で賛否が割れているが、同議連は通称使用拡大での意見集約を目指す方針だ。
「夫婦別姓は国民の間でも実際にどういうものか、実施したらどうなのかなど理解されていない点もある」
「議員も同様ではないか」
同議連会長代行の中曽根弘文元外相はこう強調した。
総会には、萩生田光一元政調会長や高市早苗前経済安全保障担当相、小林鷹之元経済安保担当相ら約40人が参加した。
この日は産経新聞の皆川豪志編集局コンテンツ統括を講師に招き、
「ごまかしの選択的夫婦別姓議論」
と題した講演も行われた。
皆川氏は、産経新聞が同制度について小中学生約2000人を対象に行ったアンケートの結果を説明し、
「国の根幹に関わる家族の在り方を巡り、党内の意見が割れるようでは有権者に見放されるのではないか」
と苦言を呈した。
同制度の導入には、立憲民主党などの野党に加え、連立を組む公明党も前向きな姿勢を示しており、今国会での焦点となる見通しだ。
自民では今月2025年2月中旬にも
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
での議論が本格化するが、推進派、慎重派が混在している状況で、党内議論は難航が予想される。
■「自民離れ加速」選択的夫婦別姓への懸念
一方、保守系議員を中心とした慎重派は、今月2025年2月に入って発信を強めている。
2025年2月4日には有志グループ
「保守団結の会」
が会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
慎重派の念頭には、家族の在り方を変えうる制度を導入すれば
「保守層の更なる自民離れが加速する」(中堅)
との懸念があるためだ。
ただ、安倍氏の死去後、党内の保守系議員の結集軸は失われたままだ。
慎重派が党内議論を主導できるかどうかの予測は難しい状況だ。

自民・高市早苗氏講演の「保守団結の会」に20人 出席議員一覧 旧姓通称使用の拡大を
2025/2/4 18:50
https://www.sankei.com/article/20250204-PWUCMPUC5JB4NIWYXAD7NLGAXY/
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が2025年2月4日、選択的夫婦別姓の導入の是非を巡り旧姓の通称使用の拡大を講演で訴えた保守系有志議員グループ
「保守団結の会」
には20人超の現職議員が出席した。
確認できた20人は以下の通り(敬称略)

≪衆院当選10回≫
高市早苗
≪当選6回≫
関芳弘
≪当選5回≫
黄川田仁志、中村裕之、簗和生
≪当選4回≫
三谷英弘
≪当選2回≫
石橋林太郎、尾崎正直、鈴木英敬、平沼正二郎、松本尚
≪当選1回≫
山本大地
≪参院当選3回≫
上野通子、北村経夫、西田昌司
≪当選2回≫
赤池誠章、佐藤啓
≪当選1回≫
白坂亜紀、田中昌史、若林洋平

選択的夫婦別姓巡り自民保守系活性化 5日に「創生『日本』」会合 党内意見集約は難航も
2025/2/4 18:42
https://www.sankei.com/article/20250204-UHSO75LGNNK2ZO6HRYKGPFVVIY/
自民党の保守系議員が、選択的夫婦別姓制度の導入に否定的な発信を強めている。
有志グループ
「保守団結の会」
は2025年2月4日、党本部で会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
立憲民主党が制度導入法案の提出を予定するなど、夫婦別姓を巡る議論が今国会の焦点の1つに浮上する中、石破茂首相(自民総裁)は、早期に党見解を取りまとめたい考えを示す。
ただ、党内は慎重派と推進派で割れており、意見集約は容易ではない。
「今、自民がやらなければいけないことは、公約を守り、多くの方の不便を更に解消できる法案を出すことだ」
高市早苗前経済安全保障担当相は2025年2月4日の保守団結の会の会合で、同制度の導入ではなく、自民が選挙公約に掲げた旧姓の通称使用の拡大を推進するべきだとの考えを重ねて強調した。
2025年2月5日には、安倍晋三元首相が会長を務めた自民内の保守系議連
「創生『日本』」
が夫婦別姓をテーマに会合を開く。
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
も近く会合を予定しており、保守派による発信が活発化している。
衆院で与党が過半数割れする中、立民が今国会に同制度導入の法案を提出すれば、可決される可能性がある。
自民の保守系議員は慎重論で党内をまとめたい考えだが、旧姓の通称使用の拡大についても、党内に複数の案があり、意見の集約には至っていない。
■慎重派に危機感
自民の森山裕幹事長は今国会で関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張する。
推進派を中心に
「党議拘束をかけない方がいい」
という意見が燻っていることが念頭にある。
自民の
「氏制度の在り方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部は2025年2月4日、国会内で今後の議論の進め方などについて協議した。
出席者の1人は、今月2025年2月中旬にも党内で議論の場を設ける考えを示した。
慎重派のベテラン議員は
「通称使用の案を早く取りまとめて、党内の導入賛成派の人も含めて合意を得なければならない」
と危機感を示す。

「選択的」別姓論の大いなる逆説 何が「個」を失わせるか
正論2025年3月号 早稲田大学非常勤講師 大場一央
「早稲田なんか入りたくなかった」
「自分は東大に行くはずだった」。
こう思った学生が、いつまでも早大生と名乗ることを嫌がって学内で孤立する。
「私は栄光ある巨人軍で長年プレーしてきた」
「今度北海道日本ハムファイターズに移籍するが、
『いつまでも自分は巨人の何某である』
と宣言する」。
こんな新入団選手を、ファイターズファンは複雑な気持ちで見つめる。
結婚して別姓を
「選択」
するということは、そういうことだ。
結婚したての頃は、相手方の親族とどういう距離感で付き合うべきかも分からず、一方で夫婦の考えや感性の擦り合わせも行わなければならないから、実は最も苦しく孤独な時期である。
そんな時期に、男性側の姓にせよ女性側の姓にせよ、結婚したにもかかわらず別姓を
「選択」
するということは、相手方の親族に対して、あなたがたのチームに入る気はありませんと、出会い頭に拒絶していることになる。
別姓が強制されるならまだしも、
「選択」
は当人の意思が際立つ。
最悪の一手を打ってしまったと言うしかない。
子供を授かったら更に深刻だ。
とかく子供は親の喧嘩に敏感である。
黙っていられるならまだしも、どちらに味方するか迫られたら、どちらも悪く言うのは嫌だから、困った挙げ句に泣きたくなる。
白紙のような頭と心に刷り込まれた親の考え方や感性は、良くも悪くもかなり長い間、子供を支配する。
その親が2つに分かれ、子供にいずれかの姓を
「選択」
させる。
これはチームが分かれるどころか、子供の人格を作るモデルの分裂であり、アイデンティティーもへったくれもない。
ここで争おうものなら、離婚した両親が親権を争う姿を見て、自分の存在そのものを否定してしまうような、不幸な自意識が生まれても不思議ではない。

選択的「夫婦」別姓は強制的「親子」別姓だ こんなにある致命的欠陥
正論2025年3月号 元東京新聞編集委員 椎谷哲夫
数年前、元文科事務次官の前川喜平氏がSNSでこんな発言を醸した。
「同性婚も選択的夫婦別姓も、それで幸せになる人がいて、不幸になる人はいないのだから、誰にも反対する理由はない」
「反対する人は、自分の好き嫌いを人に押し付けて、人を不幸にしているのだ」
自由な議論を行うことが民主主義の根幹であるはずだが、前川氏は自分と意見の違う人たちを黙らせようとした。
「選択的夫婦別姓」
は、こんなにも人を攻撃的にしてしまうのか。
公明党とも連携して別姓法案を国会で通そうとする立憲民主党の野田佳彦代表は採決で
「(自民党の賛成議員を)炙り出す」
と言い放った。
理はこちらにあるから決着をつけようということらしい。
だが、選択的夫婦別姓には、解決しようのない問題がいくつもある。
30年ほど前、別姓導入を打ち出した法制審議会は、子供の姓を
「いつ決めるか」
で揉めた。
制度導入の最大の弱点だから、今も決着はついていない。
別姓派の理論的支柱である民法学者は
「戸籍」
をばらばらにして
「個籍」
にするべきだと言っている。
「戸籍の解体」
だ。
まだある。
仮に選択的夫婦別姓が導入されても
「夫婦同姓を維持して旧姓の通称使用を法制化してほしい」
という多数派のニーズは満たされず放置されるのだ。
■「子供の姓いつ決めるか」で対立
選択的夫婦別姓は、片方の親と子が必ず別姓になる
「親子別姓」
である。
家族の中に異なる2つの姓があるということで言えば
「家族別姓」
である。
更に、子供の意思と無関係に親の都合で子供が別姓を強いられるという意味では
「強制的親子別姓」
と言ってもよい。
選択的夫婦別姓の法案要綱を答申した法制審議会に法務省参事官として関わった小池信行氏も講演録『夫婦別姓を考える(『法の苑』2009年春)』の中で
「夫婦別姓の問題は最終的には子の氏の問題に帰すると思っている」
と語っている。
選択的夫婦別姓にした場合、
「いつ子供の姓を決めて届けるか」
が問題になる。
最大の要点であり、難点でもある。
平成8(1996)年2月に法務省の法制審議会が答申した
「民法の一部を改正する法律案要綱」

「婚姻の際に届ける」
としている。
これに対し、立憲民主党・共産党など野党が令和4(2022)年6月に共同で国会に提出した
「民法の一部を改正する法律案」

「出生時に届ける」
としている。
立憲民主党など野党は与党の公明党も引き入れ、この法案を再提出して閉会中の通常国会(2025年6月中旬会期末)で成立させようとしている。
実は30年近く前の法制審議会で、子の姓の決め方について意見が真っ二つに分かれて揉めた経緯がある。
■「婚姻時の届け出」は憲法違反
当時、民法部会員として審議に加わった元都立大法学部長の唄孝一氏(故人)は『家族ージェンダーと自由と法』(水野紀子編)で
「子供の氏について意見が違ったわけである」
「これは最終的に案を決める上でネックになったものであった」
と振り返っている。
唄孝一氏によると、原案(法制審議会の法律案要綱)については、前述のように
「婚姻の際に届ける」
ことになっているため
「婚姻の要件を加重する」
との批判があった。
婚姻するために新たな条件が負担として加わると考えれば分かり易い。
これについては、前述の講演録
『夫婦別姓を考える』
で小池信行氏も言及している。
「婚姻というのは憲法に夫婦の間の合意さえあれば成立すると書いてあるではないか、それなのに子供の氏を決めなければ婚姻ができないのは憲法違反である」
との強い批判があろと指摘。
更に
「結婚しても子供を作らないという夫婦や、あるいは年齢的にもう子供ができないという夫婦についても、生まれてくる子供の氏を決めなさいというのは、心理的な抵抗があることを挙げる人もいる」
「つまり子供は自分たちには不要だと考えている人たちにも、子供の氏を決めないと婚姻届を受理しないのは酷ではないか、そういう反対論がある」
というのだ。
■「出生時の届け出」で「姓の取り合い」も
これに対し、立憲民主党などの
「出生時に届ける」
という考え方も致命傷になりかねない問題を抱えている。
この案は法制審議会の
「婚姻の際に届ける」
の対案として出たものだ。
出生届は生後14日以内だが、その間に決まらなかったら、どうするかという問題が出てくる。
立憲民主党はHPに
「(夫婦間の)協議不調・協議不能の場合は家庭裁判所の審判に委ねる」
と記している。
だが、家裁が何を基準に子供の姓を決めるというのか。
前述の小池信行氏は
「家庭裁判所が多分頭を抱えることになる」
と指摘する。
離婚の判決で未成年の子の親権を決める際は、夫婦と子供には、それまでの生活があるから判断材料がある。
子供から意見を聴くことも可能だ。
だから、父母のどちらが適任かを判断できる。
しかし、子供を授かったばかりなのに、どちらが人格的に優れ、経済力があるかで決められる性格のものではない。
赤ちゃんは意思表示などできない。
双方の実家が
「うちの姓にして欲しい」
と介入し、子の姓の取り合いになる可能性だってある。
夫婦が一緒に暮らすわけだから、双方が完全に納得しないと、その後の家庭生活にも影響する。
審判が長引けば
「戸籍のない子」
になったり、訴訟に発展する恐れもある。
夫婦同姓の子であれば、生まれた瞬間に姓が決まり、摘出でない子も母の姓に決まるのに、別姓夫婦の赤ちゃんは、出生直後から
「不利益」
を被ることになる。
平成6年に批准した
「児童の権利に関する条約」
の第7条には
「児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし・・・」
とある。
そんな欠陥を抱えたまま別姓法案を通そうとしても、国民感情が許さないだろう。
■経団連も「子の不利益」を素通り
経団連は夫婦別姓について
「先送りできない最重要課題」
だと主張し、政府を揺さぶっている。
企業の経営者だって家族の一員なのだが、ビジネス上の利益確保という視点だけで問題の可否を論じようとしている。
筆者は令和6(2024)年6月、日本記者クラブで行われた経団連のダイバーシティ推進委員長である魚谷正彦氏(当時資生堂会長)の講演で、親子の姓の分離の問題についての見解を求めた。
魚谷正彦氏は
「私は非常に大変重要なことだろうと思っているが、経団連としてどうすべきだ、こうすべきだというスタンスは取っていない」
と答えた。
「組織として関知しない」
ということなのか。
余りにも無責任だ。
■3択の世論調査こそ民意反映
東京地検特捜部出身で元法相の山下貴司氏は、令和6年12月の衆院予算委員会の質疑で石破茂首相を前に、選択的夫婦別姓制度は
「硬直的制度」
であり
「家族別姓か、旧姓を法律上の姓として使用することを諦めるかという究極的な選択を迫るものだ」
と述べた。
選択的夫婦別姓が導入されても、
「夫婦同姓を前提に通称使用を法制化する」
という国民のニーズは満たされない。
だから、選択的夫婦別姓制にしない限り、法的根拠をもって旧姓を使うことはできない。
山下氏の言う通りである。
国会でのこれまでの質疑を聴いていると、立憲民主党や公明党などの国会議員は、選択的夫婦別姓の正当性を訴えるのに、
「賛成」
「反対」
の2択の調査結果しか使わない。
その方が都合の良い結果が出るからだ。
朝日新聞の令和6年7月の2択の世論調査は
「賛成」73%
「反対」21%
NHKの令和6年7月の世論調査は
「賛成」59%
「反対」24%
だった。
共同通信や日本経済新聞・毎日新聞も同様だ。
これに対し、内閣府の世論調査は3択だ。
令和3年12月の調査(翌年令和4年3月公表)は
「夫婦同姓を維持した上で旧姓の通称使用の法制度を設けた方がよい(42.2%)」
「現在の夫婦同姓の制度を維持した方がよい(27%)」
「選択的夫婦別姓の制度を導入した方がよい(28.9%)」
だった。
令和6年7月の「JNN」(TBS系列のニュースネットワーク)の調査も、
「同性を維持しつつ旧姓を通称としてどこでも使えるように法制化すべき」
が最も多い47%になり、
読売新聞の令和6年9月の調査も
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称使用として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
が最多の47%を占めた。
ちなみに、産経新聞・FNNは、短期間に2択と3択を分けて訊いている。
令和6年7月の調査は、朝日新聞やNHKと同じ2択で、
賛成66.6%
反対25.5%
だった。
令和6年9月の調査は
「夫婦同姓を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる法整備をする」
との選択肢を加えた回答を求めた。
その結果、追加した選択肢が最大多数の46.5%となり、賛成は38.9%、反対派12%に減った。
数字だけ見ると、賛成と反対で減った分の合計41.2%に、2択で賛否を明らかにしなかった5%が加わったことになる。
この結果をどう捉えればよいのか。
2択で「YES」か「NO」を迫られたら、割り切れなくてもどちらかを選ぶしかない。
「選択的だから」
という程度の判断で決めた人が多かったと想像できる。
これに対し3択は、選択肢が多くなった分、回答者の隠れていた意思が表に現れたと言える。
どちらが民意を反映しているかは、考えるまでもないだろう。
それでも、別姓推進派はそうした
「不都合な真実」
を無いことにしてしまう。
朝日新聞やNHK、共同通信など選択的夫婦別姓導入に熱心なマスコミは、国民世論の意思を2択でしか探っていない。
一体何を恐れているのか。
■個人籍への移行は「戸籍の解体」
選択的夫婦別姓制度を導入した場合に
「戸籍」
がどうなるかも心配だ。
福島瑞穂・社民党党首は平成5(1993)年に当時の日本社会党機関誌局が出した
『夫婦別姓 家族をここからかえる』

「Q&A」
に、
「個人の尊厳という観点からはこの際思い切って個人登録にすべきだ」
とした上で、
「(個人登録は)個人単位になるわけですから『戸籍制度』という言葉自体もなくなるべきです」
と書いている。
「個人単位の登録」
については、選択的夫婦別姓制度導入運動の後ろ盾である立命館大学名誉教授の二宮周平氏も同じ主張を繰り返している。
『中央公論』(2022年6月号)では
「現実の家庭生活は(中略)多様な家庭生活・私生活が共存している」
「それにもかかわらず、夫婦と子という特定の家族像を基本にすることは、最早現状に合わない」
「戸籍制度も、多様な家族の在り方を保障し、支える制度にする必要がある」
と述べ、その編製を
「個人単位にすべき」
と主張している。
そして、
「各自が言わば筆頭者となり、自分を中心に、自分との関係で父母・配偶者・子を記載する形式こそ、自分が『人生の主人公』であることを明瞭に示すものであり、憲法の理念に忠実なものである」
と説いている。
■「戸籍維持」とは言わぬ井田氏
二宮氏は、編製上の問題であって戸籍の廃止ではないと言うが、一般国民の感覚からすれば
「戸籍の解体」
である。
選択的夫婦別姓制度が導入されると、社会制度上の統一性がないから、最終的には圧倒的少数派の
「個籍」
に収斂されていくであろう。
その時、戸籍という言葉は消える。
彼らの主張の背景には、現行の
「戸籍の筆頭者」
が、戦前までの家制度の名残りだという考え方がある。
筆頭者とそうでない家族との間に
「主従関係」
を持ち込むというのだ。
選択的夫婦別姓運動を主導してきた人々の
「共通の認識」
にもなっている。
井田奈穂氏が事務局長を務める
「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」
は、HPの
「選択的夫婦別姓Q&A」
にわざわざ
「戸籍の問題も戸籍を維持しているのも日本だけですので、戸籍を維持していくかどうかは別途議論の余地はある」
と記している。
「戸籍は維持する」
とは言っていないのだ。
■「家名存続なんて幻想の産物」
「改姓するとアイデンティティが失われる」
という意見がある。
自分が生きて来た家庭の
「アイデンティティ」
を、結婚後の新しい
「絆」
よりも優先するということだ。
法学・社会哲学者の青木孝平氏は
「夫婦の別姓がもたらすものは、夫と妻という他人同士の紐帯よりも、結婚後もそれぞれが生家の親との関係を重視する血縁的紐帯への過剰な依存である」
と自著で説く。
「一人っ子の男女がそれぞれの実家の家名を守るには別姓しかない」
と言う人もいる。
その場合、双方の実家(祖父母)は、孫にも家名を継いで欲しいだろう。
だが、子供が生まれるとは限らないし、生まれたら姓を振り分ける必要がある。
一人っ子なら、両家に
「姓の取り合い」
の感情も生まれる。
社民党党首の福島瑞穂氏が『楽しくやろう夫婦別姓』(1989年)に書いている。
「家名存続なんていうのは、元々幻想の産物である」
「娘夫婦が別姓になったとしても、孫が生まれないかもしれない」
「そしたら、そこで終わり」。
姓の決定は
「自己決定権(人格権)」
に属し、親から受け継いだ姓に縛られる必要はないというのが夫婦別姓派の主流だ。
■「別姓」に庶民が反発した歴史
選択的夫婦別姓導入を求める人たちが
「日本は元々、夫婦別姓だった」
というのは明らかな間違いだ。
彼らがその根拠の1つにしているのが、NHKの大河ドラマにも登場した北条政子だ。
源頼朝の正妻なのに、父親の北条時政の
「名字」
を名乗っているから
「別姓」
だというわけだ。
頼朝の
「源」
は天皇から与えられた血統を示す
「氏(うじ)」
であり、出自の異なる妻がこれを名乗ることはあり得ない。
そもそも、
「北条政子」
という呼称自体が、後世になって、人物を特定するために書物などで便宜的に使われるようになったものだ。
研究者によると、名字(苗字)は室町時代から江戸時代にかけ庶民にも広がった。
江戸末期の1801(享和元年)に幕府は
「苗字帯刀の禁令」
で武士や名主以外は使うことを禁じた。
それでも庶民は非公式に名字を使った。
明治政府は
「平民苗字必称令(明治8年)」
で全国民が名字を名乗ることを義務化し、翌年明治9年の太政官指令で
「妻は別苗字」
にするよう求めた。
古来の公家や武家の血統を示す
「氏(うじ)」
の概念を庶民に押し付けたもので、夫婦同姓を慣習としていた庶民は強く反発した。
その声を吸い上げた東京府は明治22(1889)年、政府にこんな上申書を上げた。
「凡ソ民間普通ノ慣例ニ依レバ、婦ハ夫ノ氏ヲ称シ、其生家ノ氏ヲ称スル者ハ、極メテ僅々ー」
(民間の慣例では妻は夫の氏姓・苗字を称しており、実家の氏を称する者は極々少ない)。
庶民は同姓を続けたが建前としての夫婦別姓が続いた。
明治31(1898)年には、日本初の民法に
「戸主及ヒ家族ハ其ノ氏ヲ称ス」
とする
「夫婦同姓」
が規定された。
■間違った通称使用の弊害を喧伝
経団連が喧伝する
「通称使用の弊害」
についても述べておきたい。
「DEI社会の実現を目指して」
と題する資料には
「海外に渡航する際の弊害」
の一例として
「空港ではパスポートのICチップのデータを読み込むがそこに旧姓は併記されていない」
「よってゲートでトラブルになる」
との事例がある。
意味不明な
「弊害」
だ。
旅券面に
「旧姓」
併記があっても、確かに入国審査官がチップを読み取るモニターには本名(戸籍名)が表示される。
しかし、航空券と照合する場合でも、チケットは
「本名記載」
だからトラブルになりようがない。
外務省が在外公館に問い合わせても、モニター表示が原因でトラブルになった事例は確認できないという。
入国審査のやり方は国によって千差万別だ。
普通はあり得ないが、旅券面の
「Former surname(旧姓)」
をたまたま見た入国審査官が
「これは何だ」
と訊いて、これにうまく説明できなかったということなのか。
外務省は、そのためにも渡航者に併記した英語のリーフレット配布しているのだ。
経団連の十倉雅和会長は昨年2024年、記者会見で
「改姓後に旧姓時代の研究論文の実績が認識されないといった弊害も耳にする」
と語った。
十倉会長は、世界中で100万人の研究者や権威ある研究機関が使っている
「ORCID(オーキッド)」
という登録システムを知らないようだ。
世界には同姓同名もあるし、結婚で改名した人、ペンネームを使う研究者も多い。
割り振られた16桁のID番号(数字)が、例えば結婚前の旧姓と戸籍を紐付けて人物の識別・特定ができるのだ。
日本でも登録を推奨する大学や団体が増えている。
■「経過措置」で既婚者も混乱か
この問題では
「これから結婚する人が対象だから私には関係ない」
という考えは禁物だ。
実は立憲民主党などの別姓法案には2年間の
「経過措置」
がある。
要は、既婚者に
「2人が合意すれば、今なら旧姓に戻せますよ」
と煽るような内容だ。
妻が
「我が家も別姓にしたい」
と反対する夫と揉めるケースも出てくるだろう。
全国の同性夫婦を対象にした
「姓の選び直し」
だから、他人事ではないのだ。

選択的夫婦別姓、子供の姓の扱い「議論されてない」 国民・榛葉氏、期限区切る動きに慎重
動画
2025/1/30 19:15
https://www.sankei.com/article/20250130-J5UGWSPWNVFTLLFPFDGAZ462VU/
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2025年1月30日、産経新聞の単独インタビューに応じ、選択的夫婦別姓制度の導入について、子供の姓の扱いなどに
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
と指摘。
一定の期限を区切って議論することに慎重な考えを示した。
榛葉氏は、制度の導入自体は
「成人の男女が(姓を)選択できるようにすることは、党がかねてマニフェスト(政権公約)で賛成している」
として、改めて賛意を示した。
ただ、
「問題は子供で、親子別姓という問題はあまり議論されていない」
と指摘した。
「兄弟で名字が変わったり、子供が(姓を)強制されたりするようになると、子供の目線からどうなのか」
「家族の問題もある」
とも語り、子供の扱いに関する制度設計が不十分なことに強い懸念を示した。
一部野党には、夫婦で子供の姓に関する意見が対立した場合、最終的に家庭裁判所で決める案もあるが、榛葉氏は
「家裁が決める話でない」
とも語った。
立憲民主党は、意見が割れる自民党の状況も見据え、今国会中の関連法案成立に意欲を見せるが、榛葉氏は
「政局や選挙の道具にすべきでない」
とも言及。
性急に結論を出すのではなく、制度設計の議論を徹底するよう求めた。
「大人の論理だけでなく、子供の学びや育みを考え、慎重に議論すべきだ」
とも強調した。

自民は旧姓使用拡大で一致を
阿比留瑠比の極言御免
2025/1/30 1:00
https://www.sankei.com/article/20250130-DGDTNV3NRZKT7MW5M4KSDHKE3U/
米国でトランプ大統領が復権を果たし、世界が目まぐるしく動いている一方、国会では十年一日の如く選択的夫婦別姓がどうの同性婚がどうのと内向きな議論が続いている。
そうした中で自民党の森山裕幹事長が夫婦別姓制度の導入を巡り、国会採決に当たっては
「党議拘束をかけないで結論を見い出すことは出来るだけ避けるべきだ」
と発言して注目を集めている。
これに関しては、選択的夫婦別姓に賛成の立場で党所属議員を縛ろうとしたとの見方も出たが、複数の自民党閣僚経験者は
「それは逆だ」
と説明する。
反対に、片方の親と子供が必然的に別姓となり、兄弟、姉妹同士が別姓となる可能性もある立憲民主党の民法改正案を成立させないことが目的だというのである。
「党議拘束をかけないと、党内にいる数十人の別姓賛成派・推進派が協力して立民の改正案が成立してしまう」
森山氏は別姓推進論者の中には、戸籍そのものをなくして
「個籍」
にすることを目指す人がいることを危惧しているのだという。
確かに、別姓推進論者には社民党の福島瑞穂党首のように著書にこう記した人もいる。
《私は、子供が18歳になったら家族解散式≠ニいうのをやろうと思っていて、それ以降は、パートナーと子供ともスープのさめない距離に住んで、名実共に個人単位で暮らしていきたいなと思っている》
《家族だって、ひとつの定義にすぎない》
《家族も個人のネットワークなんだ》
家族という社会の基本単位をなぜなくしたいのか、どうしてそこまで孤独に陥りがちな
「個」
に拘るのか理解に苦しむが、ともあれそういった指向性の議員は一定数いるのだろう。
それでは、自民党は党議拘束をかけて採決に臨むために、どんな法案を出そうというのか。
現在、広がっているのが
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」(萩生田光一元政調会長)
という考え方である。
実際、今月2025年1月の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査でも、選択的夫婦別姓制度導入に
「賛成」
の自民党支持者の割合は24・7%にとどまる。
一方で、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は49・8%に上り、納得が得られやすい。
石破茂首相(党総裁)も、2025年1月26日配信のインターネット番組で、選択的夫婦別姓について党内の賛否が割れている現状を踏まえて
「どちらの考え方にも偏れないとするならば、折衷案もありうべし」
と述べた。明言はしなかったが、旧姓使用の拡大・制度化を指すとみられる。
首相は元々別姓賛成派だったが、
「党をまとめる立場になると『俺の考え方についてこい』とならない」
とも語った。
自民党には、高市早苗元政調会長のように既に2度も党法務部会にこの法案を提出している議員もいる他、複数の議員がそれぞれの旧姓使用の拡大案を唱えている。
戸籍法改正と特別立法が必要なものや特別立法のみのもの、民法と戸籍法の双方の改正が必要なもの…と数種類あるが、これらを党内で議論してまとめていけばいい。
以前は選択的夫婦別姓に
「賛成」

「反対」
の2択だった各種報道機関の世論調査の設問も、最近は
「同姓を維持して旧姓使用を拡大」
という第3の選択肢を加えて聞く例が増えた。
その結果、別姓賛成派が多数派ではないことは最早明らかである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「旧姓の通称使用拡充が現実的」自民・小林鷹之氏、選択的夫婦別姓に疑問呈す
2025/1/28 18:02
https://www.sankei.com/article/20250128-VTTJDJNV5BOV7K7EFKBAAKEHD4/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相(衆院千葉2区)が、どちらかの親と子供が別姓になる選択的夫婦別姓に関し性急に結論を出すことに疑問を呈し、発信を強めている。
2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べた。
2025年1月25日にはこの発言を補う形で、X(旧ツイッター)に
「婚姻による改姓で不便を感じる方がいるのは事実で、そのニーズを解消するアプローチとして旧姓の通称使用の拡充や周知徹底による対応が現実的な解と考えます」
と投稿し、夫婦別姓の導入を
「慎重に臨むべきと考える」
と強調した。
理由として
「『子供の視点』を大切にすべき」
とも指摘。
「子供の選択権の有無、有るとした時にいつ、どういう状況で行使できるのか」
「夫婦間で揉めた場合、家庭裁判所が判断するのか」
といった論点を挙げた。
その上で、
「年限を区切り、拙速に結論を決める性質の話ではない」
「姓の在り方に関する議論は、時間をかけてでもしっかりと議論することが重要」
「合意形成に時間と労力はかかるが、粘り強くやることが大切だ」
と結んだ。

「いつまでも結論を先延ばしてよい問題ではない」 選択的夫婦別姓巡り石破茂首相が答弁
2025/1/27 14:33
https://www.sankei.com/article/20250127-HSONVJOP4BICTGPW2UTPQMJSGM/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月27日の衆院代表質問で、選択的夫婦別姓制度導入の可否について
「国民の関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしてよい問題とは考えていない」
と答弁した。
党としての意見集約に関しては
「議論の頻度を上げ、熟度を高めて参りたい」
と述べるにとどめた。
選択的夫婦別姓制度に対し、立憲民主党や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。

自民の小林鷹之氏、夫婦別姓論議に疑問「優先順位付けると、もっとやるべきことある」
2025/1/24 23:45
https://www.sankei.com/article/20250124-R63I26QYBRPL7EEK2FBUAULT3M/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相は2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で、選択的夫婦別姓を巡る論議に疑問を呈した。
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べ、経済や防衛力の強化に取り組むべきだと強調した。

「首相が賛成打ち出せば党割れる」自民、夫婦別姓で2月中旬に議論本格化も意見集約難しく
2025/1/24 19:39
https://www.sankei.com/article/20250124-AHRH2TP2RZL6LDBS2REEZVPTTA/
通常国会が召集された2025年1月24日、選択的夫婦別姓制度に関する自民党の
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部らが協議し、2025年2月中旬にも議論の場を設けて党内議論を本格化させる見通しとなった。
党内で賛否が割れており、意見集約は難航しそうだ。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を提出する方針で、今国会の大きなテーマとなる。
WT座長の逢沢一郎衆院議員や小野寺五典政調会長らが2025年1月24日、国会内で協議した。
出席者の1人は
「先の衆院選で新たに当選した議員もいる」
「WTで党としての議論を整理した方がいい」
と語った。
立民が民法改正案を提出すれば、令和7年度予算成立後の今春にも国会審議が始まる可能性がある。
自民は2025年2月中旬から党内議論を加速させる。
とはいえ意見集約は簡単ではない。
自民党内に推進派と慎重派が混在しているからだ。
保守系議員を中心に、家族の在り方を変える可能性がある選択的夫婦別姓制度への慎重論が根強い。
一方、
「夫婦同姓で不自由を感じている人がいるのは事実だ」(中堅議員)
と制度導入を求める声も多い。
菅義偉政権下の令和3年にWTを設置した際も議論が紛糾し、論点整理をまとめたが、制度導入の是非には踏み込まずに結論を先送りにした。
慎重派の一部は今回、自民が賛成に傾かないよう党内議論を主導すべく、水面下で話し合いを重ねている。
ある保守系議員は
「もし石破茂総裁(首相)が賛成を打ち出せば党が割れる」
と語る。
推進派には、法案が国会に提出された際には
「党議拘束をかけない方がいい」(若手)
との意見がある。
これに対し、森山裕幹事長は2025年1月24日、記者団に
「1つの意見にまとめて国会に臨むことが大事だ」
と党議拘束の必要性を主張した。
立民の野田佳彦代表は2025年1月24日の記者会見で
「大事なことはなるべく多くの野党が連携すること」
と野党各党による民法改正案の共同提出を目指す考えを示した。
同時に
「与党からも賛同を得たい」
「特に公明党はぜひ実現したいという意向をお持ちだ」
と述べ、与党の公明との連携にも期待を寄せた。

石破首相、選択的夫婦別姓巡り「早期に自民案まとめ与党協議に」 公明の斉藤代表と会談で
2025/1/22 16:01
https://www.sankei.com/article/20250122-K4EH2ATLRJLMBPNKFQIRESITUE/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月22日、公明党の斉藤鉄夫代表と官邸で会談し、斉藤氏が求める選択的夫婦別姓制度の実現に向けた自公両党の実務者協議について
「できるだけ早い時期に自民の案をまとめ、与党案の協議に入りたい」
と応じた。
会談後、斉藤氏が記者団に明らかにした。
斉藤氏は
「自民の中にも様々な意見があり、まとまっていない」
「まとめる努力をして頂くことが大事なので待ちたいが、できるだけ早い時期に始めなければいけない」
と述べた。

選択的夫婦別姓、石破首相「わが党としてどうなのか明らかに」自民役員会で指示も党内異論
2025/1/21 20:20
https://www.sankei.com/article/20250121-H4QO74K43VJPFFBOLKDFGU4CSM/
選択的夫婦別姓制度を巡り、石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の党役員会で、通常国会で党としての考え方を取りまとめるよう指示した。
自民、公明両党の幹事長は同日、両党間で同制度の協議を進める方針を確認した。
自民は2025年1月24日の国会召集後の来月2025年2月にも党内議論を再開する見通しだが、家族の在り方を変える可能性がある同制度には慎重論や異論も根強く、党内議論の行方は見通せない。
■議論するほど課題
首相は2025年1月21日の党役員会で、選択的夫婦別姓制度に関し
「色々な考え方が党にもある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と呼び掛けた。
役員会に先立ち、自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長が会談し、両党間で共通認識を持ち、国会論戦に臨む方針を確認。
同席した自民の坂本哲志国対委員長は記者団に、子供の姓の選択など様々な論点があると指摘し
「論議すればするほど課題があるということを(自公が)お互いに認識した」
と述べた。
通常国会では、立憲民主党が選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案の提出を予定しており、令和7年度予算成立後の今春にも国会での議論が本格化する可能性がある。
一部の野党だけでなく、公明も推進派だ。
■紛糾避けられず
一方、自民では党内の賛否が割れている。
保守系議員を中心とする慎重派は保守支持層の
「自民離れ」
の更なる加速を懸念し、2025年1月21日の党総務会では出席者の1人が
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
と求めた。
鈴木俊一総務会長は記者会見で
「党の中でも色々な意見があるが、スケジュールありきで拙速に決めるのではなく、十分な議論をした上で納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
との考えを示した。
萩生田光一元政調会長は2025年1月10日のインターネット番組で同制度導入に反対し、
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓を奨励するのは如何なものか」
と述べた。
今後の党内議論の舞台は
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」(座長・逢沢一郎衆院議員)
となるが、紛糾は避けられない。
慎重派は近く会合を開く予定。
一方、
「制度の導入は社会に求められている」
「必要だ」
(中堅)
との声もあり、賛否が混在する状況に自民ベテランは
「党が割れかねない」
と語った。

選択的夫婦別姓「大事な案件。丁寧に取り扱ってほしい」 自民総務会で出席者から意見
2025/1/21 12:27
https://www.sankei.com/article/20250121-ZXOETUYMP5NLVDMHGQ434L2BLQ/
自民党の鈴木俊一総務会長は2025年1月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓制度を巡り、同日の総務会で出席者から
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
との意見があったことを明らかにした。
選択的夫婦別姓制度は2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる見通しだが、自民内では同制度の導入に関して賛否が割れている。
鈴木氏は
「発言は(議論を)拙速に進めるなということであったと思う」
との見方を示し、
「国民の中でも意見が割れている」
「スケジュールありきで決めるのではなく、十分な議論をした上で、納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
と語った。

石破茂首相「わが党としてどうなのだと明らかにしていく必要ある」 選択的夫婦別姓巡り発言
2025/1/21 11:45
https://www.sankei.com/article/20250121-N7BG5NCPERML7BCW34HOE5NMUY/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の自民役員会で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度について
「色んな考え方が党にある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と述べた。
森山裕幹事長が役員会後の記者会見で明らかにした。
首相は、通常国会に臨む姿勢に関しては
「臨時国会と基本的に変わるものではないが、臨時国会で不十分だった所を指摘頂きながら臨みたい」
と強調。
召集日に行われる施政方針演説については
「今年2025年は戦後80年となる」
「国造りの基本軸や、令和の列島改造などなるべく具体的に示したい」
と説明した。

選択的別姓 自民支持層「賛成」24%、立民51% 「通称使用」は立民でも39%
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 18:10
https://www.sankei.com/article/20250120-4XRHISQ6DVJK3KHMD5J4OOCYGA/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、選択的夫婦別姓制度導入の可否を巡る自民、立憲民主両党支持層の見解の差が鮮明になった。
自民の「賛成」の割合は24・7%にとどまったのに対し、立民は51・5%に達した。
一方、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は自民では49・8%、立民でも39・9%を占め、支持政党を問わず希望が根強い傾向が浮かんだ。
選択的夫婦別姓制度に対し、立民や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。
別姓制度導入の法整備に
「反対」
と答えた人は、自民支持層に限ると21・5%となり、全体の14・7%や立民支持層の7・3%を上回った。
「通称使用を広げる」
との回答は、自民、立民以外の政党の支持層でも一定の割合を占め、公明と日本維新の会、国民民主党がそれぞれ4割強、共産党が3割強だった。
「賛成」
は共産で約半数に達し、公明が半数弱、維新と国民民主がそれぞれ3割強となった。
男女・年代別でみると、
男性の場合、「賛成」は18歳〜20代の47・5%が最も高く、「通称使用を広げる」は50代の52・0%、「反対」は70歳以上の24・1%が最高だった。
女性は「賛成」が30代(63・6%)、「通称使用」が60代(59・6%)、「反対」が70歳以上(24・0%)でそれぞれ最も高かった。
「通称使用」
と答えた割合は、男性全体で43・0%、女性全体で47・4%となり、年代別で最も低かった30代女性でも31・4%を占めた。
2025年1月24日召集の通常国会では選択的夫婦別姓制度の法整備が焦点の1つとなるが、導入推進派の政党には通称使用拡大の余地を検討する雰囲気は乏しい。
立民支持層ですら約4割に達する意見を軽視するなら、幅広い民意を踏まえた議論とは言えなくなりそうだ。

「選択的夫婦別姓」6割が導入否定的 世論調査の質問と回答(1月18〜19日)
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 13:03
https://www.sankei.com/article/20250120-HM6MG2V7XFOOPHBBNZJM4G3UNQ/
【問】希望すれば、夫婦それぞれが結婚前の名字を名乗ることができる「選択的夫婦別姓」について、立憲民主党や公明党は今年の通常国会で実現させるための法案の成立を目指している。「選択的夫婦別姓」導入の法整備についてどう思うか
夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる45.2
賛成37.5
反対14.7
他2.6

【問】石破茂内閣を支持するか
支持しない48.7(47.7)
支持する43.5(45.9)
他7.8(6.4)

【問】どの政党を支持するか
支持政党はない37.0(36.9)
自民党29.4(28.1)
立憲民主党10.1(9.0)
国民民主党7.2(11.3)
れいわ新選組3.5(2.9)
日本維新の会2.5(3.2)
公明党2.8(2.4)
他2.6(1.8)
共産党2.2(2.7)
日本保守党1.1(0.5)
参政党0.8(0.7)
その他の政党0.4(0.2)
社民党0.3(0.6)

【問】去年末の臨時国会では、衆院で過半数を割り込む与党が野党の修正要求を受け入れて補正予算が成立した。与党が野党の要求を受け入れる国会対応について評価するか
ある程度評価する57.1
あまり評価しない23.5
非常に評価する7.9
全く評価しない6.5
他5.0

【問】政治資金を巡る問題について、政策活動費の廃止など、政治資金規正法が与党と野党の賛成多数で改正された。政治とカネを巡る問題で自民党の信頼が回復したと思うか
信頼は全く回復していない44.4
信頼はあまり回復していない43.1
信頼がある程度回復した10.4
他1.5
信頼が大きく回復した0.5

【問】政治資金規正法の改正を巡り、「企業・団体献金」の扱いについて、与野党の間で結論が積み残しとなっている。「企業・団体献金」についてどうするべきだと思うか
維持してもよいが、透明性を高めるべき67.9
禁止すべきだ22.9
今のままでよい6.7
他2.5

【問】首相は、今年最初の会見で地方創生を柱に「楽しい日本を目指す」「令和の日本列島改造」などを政権の方針に掲げた。この方針を評価するか
評価しない47.0
評価する45.6
他7.4

【問】「年収103万円の壁」を引き上げる協議で、自民、公明両党は所得税の非課税枠を「123万円」まで引き上げる方針だ。一方で、国民民主党は「178万円」までの引き上げを求めている。どの程度まで引き上げるのがよいと思うか
140万円〜150万円程度まで引き上げるべきだ32.5
178万円まで引き上げるべきだ32.0
123万円まで引き上げるべきだ18.5
103万円のままでよい10.1
他7.0

【問】20日に米国でトランプ政権が発足する。トランプ次期大統領と石破首相の間で日米関係は良くなると思うか
変わらない58.1(59.6)
悪くなる32.5(32.3)
良くなる5.2(5.0)
他4.2(3.1)

【問】24日から始まる通常国会で、石破内閣に取り組んでほしい政策は(2つ選択可)
物価高・賃上げ対策56.0
年金・医療・介護33.6
子供・子育て支援28.4
防災・災害対策19.0
外交・安全保障15.6
地方活性化15.3
行政改革・財政再建9.7
原発・エネルギー政策8.8
憲法改正4.6
他1.8
それ以外0.7

【問】石破政権が今月上旬で発足から100日を超えた。今後、石破政権がいつまで続くのが良いと思うか
夏の参院選まで31.4
夏以降も石破政権が継続29.7
今年春頃の来年度予算が成立した後まで20.7
6月予定の通常国会終了まで13.1
他5.1
(注)数字は%。カッコ内の数字は12月14、15両日の前回調査結果。「他」は「わからない」「言えない」など。

■世論調査の方法
調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。
電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。
内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかと言えば」と再度質問して回答を得た。
調査対象は全国の18歳以上の男女1005人。
小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならない

選択的夫婦別姓は「通称使用の拡大」45・2% 「反対」含め6割が別姓導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 11:43
https://www.sankei.com/article/20250120-ZVXXRT3MH5JVTCTCT4SGG7AVNM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年1月18、19両日に実施した合同世論調査で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」が45・2%
で最多となった。
「賛成」は37・5%、
「反対」が14・7%
だった。
「通称使用の拡大」

「反対」
を合わせると59・9%となり、約6割が選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的なことになる。
同様の質問をした昨年2024年9月の合同世論調査との比較では、
「通称使用の拡大」が1・3ポイント減、
「賛成」が1・4ポイント減、
「反対」が2・7ポイント増
だった。
昨年2024年7月の合同世論調査で、「賛成」か「反対」かの二択で質問した際は、「賛成」が66・6%、「反対」が25・5%だった。

萩生田氏が配信番組で見せた覚悟 岩盤保守層を蔑ろにする「選択的夫婦別姓」導入、石破首相が野党に「同調」なら阻止へ動く考え示す
2025.1/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20250117-YNSCJQHHIVLS3GWIP7FNJBY75Y/
NHKは政治家が他のテレビ局で発言しても民放テレビとしか言及しなかったが、最近は方針を変えたのか、自民党の萩生田光一元政調会長が2025年1月10日夜、櫻井よしこ氏が主宰する動画配信サイトの番組「櫻LIVE」に出演したと報じた。
正確には、「言論テレビ」の番組「櫻LIVE 君の一歩が朝(あした)を変える!」だが、私も一緒に番組に出演して、萩生田氏の「変化」を感じた。
まず、萩生田氏は旧安倍派の会計処理を巡って
「政治不信を招いてしまった」
と反省した。
その上で、昨年2024年10月の衆院選での演説や、その後の衆院政治倫理審査会への出席を通じて説明を果たしてきたとして、
「この問題は去年2024年をもって一区切りにして、今年2025年は乙巳(きのとみ)の年なので脱皮をして、新しいことに挑戦する再生と復活の年にしたい」
との抱負を語ったのだった。
萩生田氏は、岩屋毅外相が中国人の観光客向けビザの発給要件などを緩和する方針を示したことについて、
「ビザの拡大は大きな問題だ」
「党の外交部会などに全くかけず、約束をしてしまったのは問題で、政府のやり方は少し乱暴だ」
と批判した。
NHKもその部分を中心に報じた。
番組に同席した産経新聞の同僚だった石橋文登・千葉工大特別教授も
「自民党支持者を相手に話すことが多いが、外交も内政も全部、安倍(晋三)さんがやっていたことをひっくり返そうとしているとの声が大半です」
と述べたように、石破茂政権は自民党を強く支持してきた岩盤保守層の神経を逆撫でしている。
石破首相らは
「少数与党なので、連立を組む公明党や野党の意見を聞かなければ政権運営ができない」
と言うのかもしれない。
だが、肝心の自民党支持層の声を蔑ろにしていいのかということになる。
その象徴が、通常国会の焦点となる選択的夫婦別姓の導入だ。
萩生田氏は番組で、
「旧姓使用の拡大で対応すべきだ」
と強調した。
石破政権が野党に同調して、法案を賛成しようとした場合については、
「どうやってやるのかをここで言うと、手の内を全部知らしめることになります」
「ただ、しっかり志を同じくする仲間と行動したいと思います」
と述べ、反対する考えを示した。
石破首相は党総裁になる前は、選択的夫婦別姓について
「導入賛成」
の考えを示し、
「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」
と述べていた。
首相になると、2024年10月の衆院本会議での答弁で、
「国民各層の意見や国会における議論の動向などを踏まえ、更なる検討をする必要がある」
と述べるなど、慎重に転じた。
もっとも、立憲民主党の野田佳彦代表は
「自民党の中にも『本当は賛成』という人が結構います」
「党議拘束を外したら一挙に委員会可決する可能性が出てくるでしょう」
(昨年2024年11月の講演)
と攻勢をかける構えを示している。
石破首相が立憲民主党や公明党に同調し、可決の方向に自民党の議論を集約しようとした時、萩生田氏は阻止に動く。
その覚悟を感じた。 
(産経新聞特別記者・有元隆志)

石破首相、夫婦別姓や衆院選挙制度の対応明言せず「予断持って申し上げることしない」
2025/1/11 19:11
https://www.sankei.com/article/20250111-NJSGSKYYFJOD5BUMM5LMKJFNJM/
石破茂首相は2025年1月11日、選択的夫婦別姓制度導入や企業・団体献金の禁止、衆院選挙制度改革など通常国会で与野党の議論が予想されるテーマへの対応について明言を避けた。
「各党、各会派で真摯に議論されることが重要だ」
「政府として今、予断を持って申し上げることはしない」
と述べるにとどめた。
訪問先のインドネシア・ジャカルタで記者団の質問に答えた。
一方で
「結論が得られたら、政府としても必要な対応を取る」
と指摘。
2025年1月24日召集の通常国会での野党との向き合い方に関して、少数与党であることを踏まえ
「多くの賛成を得られるよう誠心誠意説明して参りたい」
とも語った。
選択的夫婦別姓導入には公明党も意欲を示しており、自民党の対応に注目が集まっている。
政治改革を巡る企業・団体献金の扱いは昨年2024年の臨時国会で積み残しとなった。
立憲民主党などが共同提出した禁止法案について、与野党は2025年3月末までに結論を得る合意を交わした。(共同)

「子の名字、もめる原因に」「選択だから、という発想が間違い」 池谷和子・長崎大准教授
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/11 10:00
https://www.sankei.com/article/20250111-JMV3J4X3UJF3TIGJLQGO33UCFU/
選択的夫婦別姓制度をめぐり、産経新聞社が昨年2024年11〜12月に、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
別姓によって生じる家庭内の不和を心配する声もあり、成人した子供が、親の選んだ姓を変えるかどうか選択を迫られる事態も起こり得る。
家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授に、子供を中心とした問題点を尋ねた。

■家族はチームとして同じ呼称に
ーーアンケートでは、約半数の子供が、家族が別々の名字になることに「反対」だった。
親子別姓になり、兄弟別姓にもなるかもしれないと考えた子供が反対するのは自然なことだ。
姓は単なる個人の呼び名ではなく、共同体としてのチーム名。
子供が育つ環境として、家族が『個人の集団』になってはいけない。
全員が助け合う1つのチームとして同じ呼称になるべきではないか。
個人の集団でも問題はないと言う人がいるが、家族には損得勘定というものがない。
個人は損得で物事を判断しがちになる。
法的な権利義務においても、力の強い大人が子供を好きなようにできてしまう危険性も考えられる。
また、これまで引き継いできた名字の繋がりが消えると、世代間にある特有の時間軸も失いかねない。
こうしたことを子供は直感的に分かっているのではないか。

■家庭内の揉め事は子供に悪影響
ーー家庭内の不和を招きかねない
そもそも夫婦別姓にしたい人は自分の名字への拘りが強い傾向がある。
生まれた子供にどちらの名字を付けるかは、当然揉める原因になる。
夫婦間だけでなく、互いの両親も巻き込むだろうし、嫁姑の確執も酷くなる。
家庭内の揉め事は子供にとって悪影響だ。

ーー法律上で懸念されることは
別姓にしたけれど、やはり一緒の名字にするということも想定しないといけない。
子供の姓を変更する時の問題もある。
最初はお父さんの名字で生活していても、物心がついてやはりお母さんの方にしたいとなれば、本人と両親の間で揉めるかもしれない。
成人したら本人の意思で変更できるようにする必要も出てくる。
『嫌だったら後で変更しなさい』と子供に全ての責任を負わせるような制度でもよいのだろうか。

■子供の気持ち、どうにもならない
ーー立憲民主党が野党と共同で国会に提出した民法改正案では、子供の姓は出生時に父母の協議で決定するとされている
話し合って決めるとなれば恐らく1人目はどちらかで、2人目はもう片方の名字で、のような決め方しかできないのではないか。
そうすると、きょうだい別姓になる。
きょうだいは同じ名字でいたいと子供が願っても、その気持ちはどうにもならない。

ーー子供や家族を巻き込むことになる
何でもできる限り好きなように自由にするのがいい、あるいは、困っている人がいるのなら、改善したほうがいという考え方はあってもよいが、それだけで済まないケースも世の中にはある。
推進派には、
「選択だから嫌な人はしなくていい」
「他人には迷惑をかけていない」
という発想があるのだろうが、そこがそもそも間違えている。

<産経抄>夫婦別姓野党案は、親子・兄弟別姓法案
2025/1/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250111-QBCM2G6ENFKTNDNMVUC4YUABNM/
5人家族の鈴木君のお父さんは佐藤姓でお母さんは鈴木姓、弟は佐藤姓で妹は鈴木姓です―。
近い将来、こんな家庭が日本でごく当たり前になるかもしれない。
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党など野党が令和4年6月、国会に提出した民法改正案が成立していれば、既にそうなっていただろう。
▼立民の野田佳彦代表はじめ別姓推進派は法相の諮問機関である法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓制度の導入を答申したことを錦の御旗に掲げる。
とはいえ、法制審案では、子供の姓は結婚時に父母の姓のどちらかに決めるため、兄弟でバラバラになることはない。
▼野党案では子供の姓は出生時に父母の協議で定める。
双方が子供に自身の姓を名乗らせたいなどの理由で意見が一致しない場合、家庭裁判所が
「協議に代わる審判」
を行うことになる。
だが、子供の姓はどちらが相応しいかを国に委ねていいのか。
任された家裁も頭を抱えるのではないか。
▼生まれた子供の姓がなかなか決定できない事態も想定できるが、国連総会で採択され、日本も批准した児童の権利条約は
「出生の時から氏名を有する権利」
を宣言している。
野党案は
「『確信的な条約違反』に該当する恐れがある」(小坂実・日本政策研究センター研究部長)
という。
▼「大人では7割が(選択的夫婦別姓に)賛成」。
野田氏は2025年1月7日掲載の小紙インタビューで述べていたが、これも疑問である。
内閣府が令和3年12月に実施した世論調査では、現在の夫婦同姓維持派と同姓維持の上での旧姓の通称使用法制度化を求める意見を合わせて約7割で、別姓導入派は3割に満たない。
▼「なぜ反対か分からない」。
こう語る野田氏がなぜ分からないか分からない。

自民・萩生田光一氏「旧姓使用拡大で対応。慎重であるべき」 選択的夫婦別姓巡り
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/10 23:41
https://www.sankei.com/article/20250110-NVYV4SHNWNKSFNUBPZUP6ECM5U/
自民党の萩生田光一元政調会長は2025年1月10日夜のインターネット番組「言論テレビ」に出演し、選択的夫婦別姓制度に関し
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓というものを奨励するというのは如何なものか」
「慎重であるべきだ」
と述べた。
今月2025年1月召集予定の通常国会で、立憲民主党は選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だが、萩生田氏は
「どういう分野が(選択的夫婦別姓制度がなくて)一体困っているのかということをきちんと聞き、穴を埋めていけば、別に法律を作る必要はないのではないか」
と指摘した。
その上で
「本当に困っている人ではなく、イデオロギーの意義的にこの制度を変えたい人たちが、困っている人たちの声を代弁しているフリをし、法案を前に進めようとしているのではないか」
と語り、
「この問題は同じ価値観を共にする仲間と行動していこうと思っている」
と強調した。

阿部俊子文科相、選択的夫婦別姓「文科省の所掌超える。議論が深まる中で検討」
2025/1/10 12:25
https://www.sankei.com/article/20250110-GH2XDXDG2JNSHEGVYFMKXKXS2Y/
阿部俊子文部科学相は2025年1月10日の閣議後会見で、選択的夫婦別姓(氏)をめぐり、産経新聞社が小中学生を対象に行ったアンケートで、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えたことについて、
「夫婦別姓に関しては、文科省の所掌を超える」
「アンケート結果に関する見解も含めて述べることを差し控えたい」
とした。
夫婦別姓になると必然的に親子別姓となり、兄弟別姓となる可能性もある。
小中学校での児童生徒への影響も懸念されるが、
「教育現場における対応については、具体的にどのような制度が導入されるかという議論が深まる中において検討していく」
と述べるにとどめた。

参政・吉川氏「子供の視点が見過ごされている」 選択的夫婦別姓は「必然的な親子別姓」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20250108-CJFBYCOJXBGQVCOFABHQSQTRUY/
選択的夫婦別姓の導入に向けた動きが進められる中、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに
「反対」は49・4%
だったのに対し、
「賛成」は16・4%
にとどまった。
昨年2024年10月の衆院選で初当選した参政党の吉川里奈氏は2024年12月の衆院法務委員会で、導入に反対を唱えた。
吉川氏はインタビューに
「日本には家族の名字は一緒という価値観がある」
「家族の一体感が失われる可能性はないのか」
と述べ、
「夫婦は別姓で良くても、子供に選択権はない」
「必然的な親子別姓制度だ」
と指摘した。
吉川氏の発言要旨は以下の通り。
■子供の権利を守るために
選択的夫婦別姓の議論は、子供の視点が見過ごされているように感じる。
夫婦は別姓を望んだとしても、生まれてくる子供は、両親のどちらの姓になるかを選べない。
片方の親とは必然的に別姓になる。
子供への影響や家族の一体感が損なわれる可能性がある。
令和3年に実施された内閣府の世論調査で、夫婦の姓が異なることでの子供への影響について、
「好ましくない影響がある」
と答えた割合は69・0%に上った。
その理由で最も多かったのが
「親と姓が異なると指摘されるなど、対人関係で心理的負担が生じる」
で78・6%だ。
参政党は家族の繋がりや先人から受け継がれていることを大切にする政党だ。
加えて私は子供の権利を守るため、政治に参加した部分が大きい。
議論の進め方もどうか。
まずは、戸籍の姓を変更することなく、職場や社会生活で旧姓の通称使用拡充を進めるべきではないか。
総務省のように各省庁があらゆる場面で旧姓の通称使用ができるようにして、それでも限界があるならば、通称使用拡充の法制度化と、段階を踏むべきだろう。
■国会では様相異なる
世論調査は、メディアの尋ね方も疑問だ。
選択的夫婦別姓について
「賛成」「反対」
の2択で尋ねると、
「賛成」
が多い傾向にある。
ただ、
「賛成」「反対」
に加え、
「同姓維持+旧姓通称使用の法制度化」
の3択にすると、導入を求めない人の割合が多くなる。
聞き方によって民意が誘導されるのはフェアではない。
昨年2024年の衆院選で初当選したが、それまで私の周囲は通称を使っている人ばかりだった。
姓が変わることで結婚して新しい家族を築いたという喜びや親になる自覚を抱いたという人はいても、戸籍は旧姓のままがいいと主張する人には出会わなかった。
ただ、国会では様相が異なっている。
■日本の価値観、失っていいのか
選択的夫婦別姓が議論される衆院法務委は、賛成派が多数を占めている。
明確に反対を表明したのは日本保守党の島田洋一衆院議員と私だけだ。
導入ありきの議論にならないよう、子供の意見表明の機会を確保し、選択的夫婦別姓のデメリットもしっかりと検証、主張して議論を深めたい。
日本は文化的に家族の名字は同じにする、という価値観がある。
「世界では日本だけが同姓制度だ」
との指摘もあるが、世界は多様性に富んでおり、日本もその多様性の1つだ。
日本らしさを失ってまで、他国に倣う必要があるのだろうか。

自民・高市氏 選択的夫婦別姓「最大数は通称使用を求める声だ」「親族間の争い、懸念」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20250107-W5RW4UL5FJEUVNSZEFQAEOYCVQ/
立憲民主党が民法改正案の国会提出に意欲を示すなど、選択的夫婦別姓(氏)の導入が現実味を帯びている。
一方で産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
導入に慎重な自民党の高市早苗前経済安全保障担当相に考えを聞いた。

■家裁の決定で納得できるか
ーー慎重な理由は
最大の理由は、選択式であっても子の氏の安定性を損なう可能性があるからだ。
現在は、婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏のため、出生した子は両親と同氏になるが、戸籍上も別氏の夫婦を認めた場合、子の氏の決め方について、全ての別氏夫婦が納得できるルールが必要だ。
夫婦別氏を求める理由として、一人っ子同士の結婚により片方の実家の氏が途絶えるという事情が挙げられることを考えれば、夫婦双方の実家が子の氏を決める協議に介入する可能性もある。
本来幸せな出産直後に、子の氏を巡って親族間に争いが生じることを懸念する。
戸籍上の夫婦親子同氏、つまりファミリーネームは残した方がよい。

ーー通常国会で立憲民主党が法案を提出する構えだ。立民案の問題点は
過去に国会に提出された立民案では、子の氏について、出生の際に父母の協議で定めるが、協議が調わない時は家庭裁判所が子の氏を定める旨を規定している。
家裁はどのような基準で判断するのだろうか。
離婚時に子の親権を争った過去の裁判例は
『子を養う経済力』
『子との関わりや愛情』
などの要素を総合的に考慮して判断している。
しかし、出生直後の子の氏を争う場合、家裁が如何なる決定をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示せるとは考え難い。

■自民党内でも放置
ーー高市氏は通称使用の拡大を推進してきた
総務相在任中に
『住民基本台帳法』
『国勢調査令』
など総務省が所管する全法令をチェックした。
そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。
合計1142件で旧氏記載が可能になった。
今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている。
免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。
国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。
国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える。

ーー法案も作成し提出している
平成14年と令和2年の2回、自民党政調会の法務部会に提出した。
1回目は反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は審査もされずに放置されている。

■子の視点は貴重
ーー今後の議論はどう進めるべきか。議論の中で果たしたい役割は
令和4年3月に公表された直近の政府世論調査では、戸籍上の同氏維持を支持する回答が69・2%であり、最大数は旧氏の通称使用を求める声だ。
選択的夫婦別氏制度の法制化により戸籍が同氏か別氏かの二択になってしまうと、
『戸籍上は夫婦親子同氏を希望するが、社会生活では旧氏を通称使用したい』
と希望する方々の利便性を高めるための取り組みが遅れることを懸念する。
これまでの旧氏併記の取り組みも水泡に帰す。
この点をしっかり伝えていきたい。

ーー小中学生を対象に産経新聞が実施したアンケートによると、家族で名字が別になることに「反対」が約50%で「賛成」を上回った
子の視点からのアンケートは、珍しく貴重だと思った。
18歳以上を対象にした政府の世論調査でも、夫婦の姓が違うことによって子供に
『好ましくない影響があると思う』
と回答した方が約7割だった。
やはり、夫婦別氏制度の導入については、慎重な検討が必要だと思う。

夫婦別姓導入「前進する年」と意欲 公明・斉藤代表「社会の多様性、国際的視点から必要」
2025/1/6 12:53
https://www.sankei.com/article/20250106-EWBT22YCPVHSHO4Q4ML6764BUY/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年1月6日、東京都内で開いた党の新年仕事始め式で、選択的夫婦別姓の早期導入に向けて議論をリードしていく考えを示した。
「社会の多様性や国際的な視点から必要な制度だ」
「前進する年にしていきたい」
と述べた。
斉藤氏は昨年2024年12月18日に石破茂首相(自民党総裁)に対し選択的夫婦別姓に関する実務者協議を打診している。
斉藤氏は
「きょうだいが複数いる時の姓をどうするのか細部を提示する案はまだどの党からも出ていない」
「与党として実務者協議を始めようと申し入れている」
「首相は
『一旦引き取らせてほしい』
という答えで、2024年年末に会った時も
『もう少し検討させてほしい』
だった」
と語った。

立民・野田代表「賛成が16%いるのでしょう?」「なぜ反対か分からない」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/6 10:00
政治
https://www.sankei.com/article/20250106-2TX7ILQS7NMOVFPPJ23JNZ7TDI/
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党の野田佳彦代表に狙いを聞いた。

ーー選択的夫婦別姓の意義は
選べるという点ではないか。
同姓で不都合を感じる人がいるならば選択できるようにする、改善するのは合理的な考え方ではないか。
それだけのことだ。

ーー小中学生約2千人を対象に行った本紙調査で、「別々の名字にしたい」は13・6%だった
結婚や社会人になって働くことに対するリアリティーがなく、分からないというのが率直なところだろう。
大人では7割が賛成となる。
大人になると、家族の問題で色々な不都合を感じることがあるのかなという受け止めだ。

ーー両親が別姓を選択した場合、同じ家族で名字が別になることに「反対」が49・4%、「賛成」が16・4%だった
賛成が16・4%いるのでしょう?
だから選択的が必要になる。
一緒がいいなら一緒を選べばいい。
基本的には国ではなく、家族が決めればいい。

ーー家族の一体感が損なわれるとの懸念がある
同姓でも家庭不和は生まれる。
あまり合理的な話ではない。

ーー通称使用の拡大でも対応できるのでは
通称使用を拡大しても不都合を感じている人たちが実に多い。
不動産登記などでビジネスを阻害している側面があり、経団連も選択的夫婦別姓の実現に向け動いている。
海外に行くと、尚更不便だ。
通称使用では限界という事例がたくさんある。
強烈な不都合を感じる人たちが何人もいるならば、対応を考えることは当然だ。

ーー衆院は少数与党だ。どう議論を進めるか
できるだけ多くの野党に声をかけて議員立法で出していく。
政府が法案を提出するとの話も聞く。
政府案が提出されなければ野党案をベースに議論してもらいたい。
野党としてまとまった方が与党との交渉で迫力が出てくる。
公明党も基本的には賛成の立場なので、よく連携していきたい。

ーー野田氏は衆院法務委員長ポストの獲得を指示し、立民議員が就いた
法務委では長い間、放置されてきたテーマが多い。
選択的夫婦別姓も平成8年に法制審議会の答申が出たが、政府は腰を上げず国会でもまともに議論されなかった。
放置されてきたテーマを議論する意味で、意義のあるポストの獲得だった。

ーー参院では与党過半数のままだ
衆院通過した法案を参院が潰すことは大変勇気がいる。
2025年夏の参院選前に反対した人たちは追い込まれるのではないか。
参院法務委員長は公明だ。
衆院通過した場合の参院の対応は見ものだ。
昨年2024年12月の講演で
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上に上らされないことは、もう通用しない」
と述べた
世論も7割、経団連も『早く決着を付けろ』という中で、なぜそこまで強く反対する人たちがいるのか。
選べるわけだから。
なぜ選んではいけないのか、よく分からない。

ーー自民などの反対で法案が成立しなければ、内閣不信任決議案を提出するか
理不尽な形で妨げられたならば、そういうことになるかもしれない。
議論を見ながらの判断だ。簡単に不信任案を振り回そうと思っていない。

夫婦別姓間の子供の名字は家庭裁判所が決める 新たな家族不和の火種「いっそくじ引きで」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/5 10:00
https://www.sankei.com/article/20250105-2O4UALZDWVL47IYBPVXR6AKEKM/
選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では
「旧姓使用拡大」
が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。
中には
「保守派に配慮した」
などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。
同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について
「あると思う」は69%、
「ないと思う」30・3%
という結果もあり、
「ある」
と答えた人の理由(複数回答)は
「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、
「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%
が多かった。
では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。
子供の姓については
「出生の際に父母の協議で定める」
としており、一致しない場合は
「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」
とした。
この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。
仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。
■くじ引きが合理的
弁護士の北村晴男氏は
「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる」
「裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」
と指摘する。
夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、
「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」
と判断した。
更に
「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を1つにするのは合理的」
と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。
この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など平成27年以降の状況を踏まえた上で尚
「判断を変更すべきものとは認められない」
と結論付けている。
■新たな人生が始まる
この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層
「改姓の喪失感」
「精神的な負担」
が強調されるようになった。
昨年2024年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの
「過酷な二者択一」
を迫っていると指摘。
「家族の在り方や国民意識の多様化」
が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。
もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば
「強制的親子別姓」
となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。
家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は
「夫婦間だけでは済まない話だ」
「嫁姑の確執も酷くなるだろう」
と危惧する。
孫の名字を巡って双方の祖父母が争いになる可能性もある。
また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。
国士舘大学の百地章名誉教授は
「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す」
「我が国が長年維持してきた戸籍制度の解体に繋がる」
と警鐘を鳴らす。
先の内閣府の世論調査には、
「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)
との問いもある。
最も多かったのが
「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、
次が
「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)
だった。

選択的夫婦別姓制度の導入、小中学生も半数が「反対」 産経新聞調査、子供たちの考え方が統計的に明らかになるのは初
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-RVHIXOJPMBIBHLI3S5IP4HO6GI/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが産経新聞の調査で分かった(2025年1月1日報道)。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割に上った。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
調査は、全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗した。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親や兄弟姉妹と違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49.4%、
「賛成」16.4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18.8%、
「よくわからない」15.4%
で、反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13.6%
だった。
男女別で大きな違いはなかったが、自身が
「別姓にしない」
は男子(56.7%)より女子(63.4%)
のほうが上回った。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)
2025/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20250104-CWCQ5CGQ5BPMFIJ5XAZLSMQCCM/
■立民の印象操作に乗せられるな!
「選択肢が増える」
という物言いに対して、大半の人は
「いいじゃない」
と反応するだろう。
ただ、そこに巧妙なワナが仕掛けられていることもある。
ある結婚情報サイトが、選択的夫婦別姓制度について、そのメリット、デメリットについて解説し、こうまとめている。
「以前よりも、多様性を認め合う社会へと進むなかで、個人の権利や選択肢を尊重する傾向はますます強まっていくと考えられます」
「夫婦間の姓をどう選ぶかもそのひとつです」
「夫婦別姓が導入されても、すべての夫婦が別姓になるわけではなく、あくまで選択肢が増えるということ」
メディアに流れているのはこんな物言いばかりだ。
こうした情報環境のなかで暮らす人々が、アンケートで
「この制度を導入すべきだと思いますか」
と問われれば、多くが
「導入すべきだ」
と答えるに違いない。
法務省のサイトに、令和3年に実施した
「家族の法制に関する世論調査」
の結果が掲載されている。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27・0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42・2%、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28・9%
だった。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は昨年2024年10月末、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告をした。
女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多く、それが差別的だというのだ。
そうした流れの中で、立憲民主党は先の総選挙で与党が過半数割れとなったのに乗じて、衆院法務委員会の委員長ポストを要求して確保した。
委員長は同制度の導入にとりわけ熱心な西村智奈美議員である。
立民はCEDAWの勧告や、
「結婚後に夫婦のいずれかの氏(うじ)を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」
という法務省の調査を利用して、日本がさも女性に差別的で後進的な国であるかのような印象操作を行っているようにみえる。
安倍晋三元首相の暗殺後、リベラル派に乗っ取られた感のある自民党の中にも
「導入すべきだ」
と考える者が少なくなく、うかうかしていたら、すぐにでも民法改正が実現してしまいそうな勢いだ。
■憲法改正に匹敵する案件
12月5日の衆院予算委員会において、自民党の山下貴司議員は、同制度を巡り
「旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういうニーズに応えられていない」
「女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要がある」
と、石破茂首相の考えを問いただした。
これに対して石破首相は
「前の姓を変えなければならないということに対して物凄く辛くて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います」
「それは女性が95%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう」
と、情緒的な答弁をし、同制度の導入に前向きな姿勢を示した。
石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《世の中はなかなか直りにくいものである》
《人々は自分を圧迫するものに対して余りにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかり焦り、それにはどんな代償がいるかを考えない》
《我々はたくさんの実例によって、社会は普通、直されて却って悪くなることを知っている》
(第3巻第9章「全て空なること」関根秀雄訳)
同制度の導入がどんな副作用をもたらすか、十分に議論されているとは到底思えない。
導入に伴う民法改正は、憲法改正に匹敵するほどの最重要案件であると私は考えている。
国民投票に付してもいいほどだ。
しかし、国民投票が実施されるのは国会が憲法改正を発議した時だけだ。
ならば、今年2025年実施される国勢調査に合わせて、同制度導入の可否を問うアンケートを実施したらどうだろう。
■家族制度こそが社会を規定する
私が家族制度に拘るのは、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』(藤原書店、石崎晴己訳)の影響だ。
下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、トッドは家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てた。
家族制度が人間の心性に大きな影響を与え、ひいては人間が形成する社会を特徴付けてゆくというのだ。
トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か、きょうだいの関係が平等か否かによって分類する。
そこから導き出されるのが、
@親子関係が自由主義的できょうだい関係が不平等(長子優先)=絶対核家族、
A親子関係が自由主義的できょうだい関係が平等=平等主義核家族、
B親子関係が権威主義的できょうだい関係が不平等=直系家族、
C親子関係が権威主義的できょうだい関係が平等=共同体家族
の4つである。
例えばパリ盆地を中心とするフランス北部はAの平等主義核家族であり、それゆえにこの地が
「自由・平等・友愛」
を唱えるフランス革命の担い手となった。
@の絶対核家族が優勢なのはイングランドと、その移民の子孫であるアメリカだ。
この家族型が、個人の自由を絶対視し平等に無関心な強欲資本主義の母体となった。
Cの共同体家族は、西ヨーロッパにはまれで、ロシア、中国、ベトナム、東ヨーロッパに多いという。
この家族型がもたらしたのは言うまでもなく社会主義革命である。
ちなみに戦前の日本は間違いなくBの直系家族だろう。
この中で育まれた心性が、明治以降であれば天皇に対する態度、日本軍のありように投影されていたように思う。
現在の日本がどの家族型に当てはまるかは判然としないが、権威主義的でなくなったことだけは確かだろう。
そこに付け入ったのが選択的夫婦別姓制度推進派だ。
私は邪推する。
女性差別撤廃を掲げる彼らの本当の狙いは、家族を精神的に解体し、更には戸籍制度も廃止して、日本人をバラバラにすることではないかと。
その上でバラバラになって寄る辺なく浮遊する日本人をCの共同体家族としてまとめあげようとしているのではないかと。

韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/4 10:00
https://www.sankei.com/article/20250104-GNUKUJWJCZNKHJTBSELPBB5IWA/
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」
韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。
いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での
「別姓」
という印象を抱いている。
韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。
その姓氏制度は、東アジアで最も
「男性中心的」
とされる家族制度に起因するものと言える。
例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。
一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。
子供の姓については、
「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」
と民法で規定。
例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に
「尹」
の名字を引き継ぐ形となる。
例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。
■実家を説得する余力
2024年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。
だが、半年以上経った現在も尚苦悩している。
陳さんは
「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」
というが、
「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。
夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。
ただ、日本の
「夫婦別姓推進派」
は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、
「海外では別姓が主流」
「日本は遅れている」
との主張も少なくない。
米国では1970年代に全ての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。
基本的には婚姻時に
@夫の姓を選ぶ
A妻の姓を選ぶ
B別々の姓を維持する
C両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する
というパターンがある。
ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。
■姓を後世に残す動き
中国では中華人民共和国建国翌年の1950年に施行された婚姻法で夫婦別姓が明記された。
現在、子供の姓は両親のどちらかの姓を選択するが、韓国同様、一族を重視する価値観から、父親の姓を名乗るケースが多かった。
一人っ子政策が廃止された2016年以降は、兄弟姉妹で父母それぞれの姓を名乗る現象が一部で起きている。
両親それぞれの姓を後世に残そうとする動きと言える。
ただ、兄弟姉妹で別姓を名乗ることが、学校でからかいの対象になる、といったケースも報告されている。
各国の家族の枠組みについて詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は
「夫婦の姓に関する制度は国の慣習によって異なる」
「時代や価値観の変化に合わせて利便性や公平性などの観点から米国やドイツでは夫婦別姓が選択できるようになった」
と言及。
一方で、両国では夫婦同姓を選ぶ人が多数派を占めている現状について、
「子供も同じ姓になったほうが親としての証明が容易となるメリットがある」
と指摘した。

選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20250103-33B4YHNURFNUXFSJKAGPJITCPQ/
「個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクだ」。
経団連は昨年2024年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表。
十倉雅和会長は記者会見で理由をそう説明した上で、
「改正法案を一刻も早く国会に提出していただきたい」
とも踏み込んだ。
トヨタ自動車など日本を代表する企業1500社以上で構成する経団連は、経済界が直面する課題の意見を取りまとめ改善策などを発信する役割がある。
だが、今のタイミングで提言するほど、選択的夫婦別姓は経済界の喫緊の課題なのか。
産経新聞社は昨年2024年11月中旬から2024年12月上旬にかけて主要111社にアンケートを実施。
社内で旧姓呼称を認めているかを尋ねたところ、
「認めていない」
とする企業はゼロだった。
「慣例として認めている」が58・6%、「就業規則などで認めている」が29・7%。
「無回答」が11・7%あったとはいえ、9割弱の企業が何らかの形で旧姓呼称を当たり前に認めているのだ。
■国家資格はほぼ旧姓OK
さらに経団連が求める法制化の是非も聞いたところ、
「実現すべき」は25・2%で、
「現状で不都合がないので慎重に議論すべき」も10・8%あった。
もっとも「無回答」が最も多い63・1%あり、判断に迷っているのか、経団連の方針に異議を唱えにくい雰囲気があるのかはわからない。
夫婦別姓をめぐる議論は働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証、銀行口座などの名称変更の煩わしさから旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
職場での呼称が解決に近づいているのであれば、残る課題はどうか。
内閣府によると、昨年2024年5月末現在で320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格も条件に若干の違いがあるだけだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも旧姓併記ができる。
金融機関も既存口座の旧姓名義による取引を認めており、一部認めていない場合もシステム改修が進めば対応可能になるという。
もっとも、こうした事実が広く周知されているとは言い難いのも事実だ。
■不便さは残るが
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。
ある大手企業の役員は
「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」
と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。
パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。
だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年2024年末、
「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」
と述べた。
「困っている人」
とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は
「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている」
「選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」
と指摘している。

公明、立ち位置に苦慮 政策実現も手柄は野党 来夏の都議選、参院選へアピール模索
2025/1/2 16:26
https://www.sankei.com/article/20250102-7MRII3PF6JOHXDIQCRV7IFLMXE/
公明党が自民党との連立政権で立ち位置に苦慮している。
石破茂政権が少数与党になったことで、法案成立に向け野党の国民民主党や日本維新の会に配慮せざるを得なくなり、
「政権の政策に党の主張を反映させる」
という存在意義が揺らいでいるためだ。
「年収103万円の壁」
の引き上げなどは公明も主張してきた政策だったが、自民から譲歩を引き出した野党側の成果として扱われ公明は埋没している。
公明の斉藤鉄夫代表は2025年1月2日、東京・池袋駅前で新春の街頭演説を行い、今夏2025年夏の参院選、東京都議選に向けて
「新しい公明の最初の戦いとして、何としても押し上げてほしい」
と支持を訴えた。
だが、世論や支持者へのアピールは、いまいち広がりを欠いている。
昨年2024年12月26日、斉藤氏は記者団にこう強調した。
「予算案の取りまとめに当たっては、野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきたという自負がある」
党の政策実現ではなく、合意形成への貢献をアピールせざるを得ないところに、今の立ち位置の難しさが伺える。
年収103万円の壁引き上げは自民、公明、国民民主の3党協議で実現し、これを看板政策とする国民民主の手柄とされた。
公明も以前から103万円を含む年収の壁解消を訴えており、令和7年度税制改正には高校生世代の扶養控除の維持など公明の主張も反映されたが、存在感は乏しい。
それでも斉藤氏は2025年1月2日の街頭演説で3党協議に言及し
「予算審議の途中に、色々な修正があり得るのかもしれない」
「協議に真摯に対応していきたい」
と国民民主への歩み寄りを示唆した。
石破政権は維新とも連携を図り、自公維3党による教育無償化の実務者協議を昨2024年末に始めた。
教育無償化もまた、公明が力を入れてきた政策だ。
公明幹部は
「公明だけでは引き出せず、野党と一緒なら引き出せると言われる」
「忸怩たる思いだ」
と漏らす。
先の衆院選で、公明は自民派閥のパーティー収入不記載事件の呷りを受けて議席を大幅に減らした。
2025年夏の参院選と都議選を睨んだ反転攻勢に向け、自民と同一視されることを避け、独自色を打ち出したい考えだ。
自民内で賛否が分かれる選択的夫婦別姓制度でも、党内議論を深めるよう強く自民に要求している。
とはいえ、自民との連立関係を崩すこともできない。
公明関係者は
「支持者からはいつまで自民とやっているんだという声もある」
「だが、もう4半世紀続いている」
「野党になったら何もできない」
とぼやいた。

年内にも現実味帯びる選択的夫婦別姓 立民、通常国会に法案提出へ 公明も賛同
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20250102-T64AG4MHX5I5HJD4BQLW36T3LA/
立憲民主党は今月召集の通常国会で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だ。
党内でも賛否がある自民が立民案に乗るとは考えにくいが、導入を求める公明が立民案に賛成すれば、連立与党内で対応が分かれる異例の事態となる。
自民に一定数いる推進派が賛成すれば衆院で可決され、家族の在り方を大きく変えうる制度の導入が2025年年内にも現実味を帯びている。
衆院選の公約では、選択的夫婦別姓には立民と公明の他、国民民主、共産両党やれいわ新選組なども賛成。
自民と日本維新の会は
「旧姓使用の拡大」
を主張しており、衆院法務委員会の構成を見れば、賛成派は過半数に届かない。
ただ、衆院選後に就任した維新の前原誠司共同代表は
「個人として賛成」
と表明。
公明の斉藤鉄夫代表も
「決断する時だ」
との考えで、石破茂首相(自民総裁)に与党協議を進めるよう直接要請している。
これに対して自民では旧姓使用の拡大を軸にした対案を出す可能性があるが、他党の賛成がなければ数の上で可決はおぼつかない。
何よりも自民内の推進派が造反する可能性がある。
自民では党の方針に反した場合は処分の対象になり得るが、党内の分裂を避けるため党議拘束をかけないとの見方もある。

選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:05
https://www.sankei.com/article/20250102-CV4VLTYCYRL4LHL3FHZJHRA3OA/
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。
先月2024年12月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。
令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では
「ノイジーマイノリティー」
が逆転しているようだ。
「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。
局面が変わったのは昨年2024年10月の衆院選だった。
与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。
衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。
しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を
「返上」
した代わりに
「敢えて法務委員長を取りにいった」(野田氏)
からだ。
賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。
■早く決めてほしい
自民内でも以前から議論はあった。
令和3年3月に推進派の
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)
が立ち上がると、翌月令和3年4月には慎重派が
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
を設立。
同年令和3年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。
別姓推進派の中堅議員は
「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう」
「残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。
慎重派のベテラン議員は
「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」
と明かす。
■修正を加える形で
慎重派の念頭にあるのは
「家族の一体感」
を大切にする本来の保守層の
「自民離れ」
が加速することだ。
ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。
立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば2025年3月の来年2025年度予算成立後の2025年4月以降となる見通しだ。
昨年2024年の臨時国会では、政治改革関連で与野党が9法案を提出。
国会審議や各党協議の末に3つの法案が成立した。
このうち政策活動費廃止の法案は野党案に自民が賛成した。
推進派若手は
「少数与党のうちに野党案に修正を加える形で決着をつけた方がいい」
「そうでないと、自民を分断しかねない爆弾をずっと抱えることになる」
と本音を漏らした。
仮に自民が党議拘束をかけず、立民案が衆院で可決された後は参院に舞台が移る。
参院は現在も自公で過半数を占めるが、衆院の段階で立民案に公明が賛成していることを前提とすれば、自民は日本維新の会などを巻き込まない限り
「少数派」
に転落し、立民案が成立する可能性がある。

新聞各紙、元日1面トップは中国の拡張、能登の思い、民主主義企画…産経は夫婦別姓と子供
2025/1/1 19:29
https://www.sankei.com/article/20250101-FILLPV42SBDGLNW3Y2ENVFSW44/
元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。
令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
■夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年〜中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が
「家族で名前が変わるのは反対」
と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が49・4%で
「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
■中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
■デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて
「デモクラシーズ これまで これから」
と題した連載企画の掲載を始めた。
最新のデジタル技術を生かして民主主義を
「アップデート」
させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
■強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、
「逆転の世界 備えよ日本」
と題した。
多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。
局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
■つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。
延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる
「関係人口」
の拡大について考察した。
■招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。
地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。
式の中身はまだ決まっていない。
ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250101-QGCTY3PY4JEHLHHXAFDFEVX2LQ/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが、産経新聞社の調査で分かった。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割にのぼった。
立憲民主党が夫婦別姓の民法改正案の国会提出に意欲を示しており、石破茂首相も昨年2024年末
「議論の頻度を高める」
と述べた。
自公与党も前向きな議員が多いことから、次期通常国会での法案成立が現実味を帯びている。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題に配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
年齢層の低い小学生は対象数を絞った。
小中学生共に学校を通じた場合は、教員が調査の趣旨を説明した上で、立ち会う形式を取った。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「全く知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よく分からない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49・4%、
「賛成」16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18・8%、
「よく分からない」15・4%
で反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%だった。
小学生だけに絞ると、
別姓に「反対」は46・2%、
自身が「別姓にしない」は55・8%
で全体よりやや低かったが、各質問共に
「分からない」を選ぶ傾向が強かった。
男女別で大きな違いはなかったが、
自身が「別姓にしない」
は男子(56・7%)より女子(63・4%)のほうが上回った。
別姓の是非で
「親が決めたのなら仕方がない」
と消極的な賛成を選んだ女子(22・6%)も男子(15%)より多かった。
学校や学年別、民間調査会社による調査でも、結果の割合に大きな差はなかった。

選択的夫婦別姓、法律に「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-L3VK2UL4H5EMJPW6X5DVUGNXJQ/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査の質問項目と詳しい結果、調査の方法は以下の通り。
質問項目と回答
選択的夫婦別姓調査 質問項目と回答
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)について、みなさんの意見を聞かせてください。答えたくない人は、答えなくてかまいません。
【質問】
1.いま、社会で問題となっていることに「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)」があります。
日本では結婚(けっこん)するときに
「男性(お父さん)か女性(お母さん)のどちらかの名字と同じにしなければならない」
ことが法律(ほうりつ、国のルール)で決まっています。
この法律を
「それぞれ別々の名字のままでも結婚できる」
ように変えようというものです。
こうしたことについて、知っていましたか。
回答者1971人 男子 女子 全体(%)
○よく知っていた 16 17.9 16
○少し知っていた 34.3 43.3 37.1
○まったく知らなかった 28.7 23.9 26.2
○ほとんど知らなかった 21 15 20.7
2.いまは結婚してからも、結婚するまえの名字を会社で使ったり、手続きをすれば、免許証(めんきょしょう)やパスポートに結婚する前の名字をならべて書けるようになったり、これまでできなかったことができるようになっています。
それでも、あなたは
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ように法律を変えたほうがよいと思いますか。
回答者1966人 男子 女子 全体(%)
○変えたほうがよい 32.9 37.4 34.9
○変えないほうがよい 31.6 30.7 30
○よくわからない 35.6 31.9 35.1
3.もし、法律で
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ことが決まり、お父さんとお母さんが別の名字になったら、子供もお父さんかお母さんのどちらかとはちがう名字になったり、兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかでちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子 全体(%)
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9 16.4
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15 22.6 18.8
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51 49.2 49.4
○よくわからない 18 11.4 15.4
4.みなさんが結婚するころには
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
と法律が変わっているかもしれません。
そのとき、あなたはどうしますか。
回答者1955人 男子 女子 全体(%)
○自分の名字を大切にしたいので別々の名字にしたい 14.3 11.8 13.6
○家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない 56.7 63.4 59.9
○よくわからない 29 24.9 26.5
5.この問題についてあなたの思ったことを自由に書いてください
■調査の方法
協力を得た首都圏、関西圏の中学校6校約1600人(中1〜中3)、首都圏の小学校1校の53人(6年生)にホームルームや社会科の時間などを使って教員立会いの元で無記名で行った。
回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けに説明文を用意したが、使用については各学校に任せた。
答えたくない場合は設問によっても答えなくてよいことを徹底したため、回答数にはばらつきがでた。
中学生では男女を回答していない生徒も若干名いた。
休みや早退の生徒数が把握できていない学校もあり回答率は一概に出せないが、中学生は約93%、小学生は84%。
民間調査会社の調査は、会員登録している全国の小学4年〜中学3年を対象に、説明文を含め同内容のアンケートで実施、自ら回答した小学生が100人、中学生が300人を超えた時点で終了し、学校分に加えた。
最終的な回答数は合計で1954人〜1971人。
男女比は男子48%、女子52%。
調査はいずれも昨年2024年11月下旬から12月中旬に実施した。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 教員向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-JDZ6FZ2FUVFDLGGPQDWRNLBKIM/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
教員向けの説明文は以下の通り。
教員向けの説明文
選択的夫婦別姓は年明けの国会で議論され、可決される可能性も高くなっています。
現状、夫婦別姓を望む人には、職場などでの旧姓使用やクレジットカードなどの名義変更などが煩わしいという理由と、自身のアイデンティティのためという2つの理由があります。
ただし前者についてはほぼ解決済みであり、旧姓使用を認めない職場もほとんどありません。
後者については
「心の問題」
です。
「選択制なので選びたい人だけだからいいのでは」
「自分の意思だからいいのでは」
という意見もありますが、婚姻制度の自由度が高まることで、逆に家族、親族内の争いの種になりかねないという見方もあります。
また、生まれてくる子供にとって選択肢はなく、
「強制的親子別姓」
「強制的きょうだい別姓」
になりかねません。
今、マスコミではここの議論をあまりしていません。
世論調査などは
「選択的夫婦別姓」
か、
「現状の夫婦同姓」
か、の2択しかなく、
「旧姓使用の拡大」
は選択肢に加えられていません。
影響を受ける人の中には子供も含まれるにもかかわらず、その意見も全く取り上げられていないのが現状です。
本来であれば、文科省や法務省など国の機関が綿密に子供向けアンケートなどをすべき内容ですが、そうした国の動きを後押しする意味でも、今回産経新聞社として子供たちの声を聞いてみようと考えました。
ただし、このようなアンケートは各家庭のご事情もあり、ハードルが高いことは承知しております。
また、産経新聞社の考え方に偏らないよう、質問内容は客観性を保つように致しました。
ご検討何卒よろしくお願いします。
○アンケートについて
・答えたくない子供は答えなくて構いません。
・学校名は匿名希望の場合は匿名で構いません。
・対象は小4以上の小学生と中学生とします。
・できればクラス単位、学年単位がよいですが、無理な場合は個別でも構いません。
・自由記述の欄に書ける子供はぜひ書いていただければと思います。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 子供向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-HE4Y72OPLZF2JPXUIFFXDB7J7Y/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
子供向けの説明文は以下の通り。
子供向けの説明文
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)についての質問
みなさんに、いくつか質問をしたいと思います。答えたくない人は、答えなくてもよいです。
さいきん、よくテレビのニュースなどで、選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)ということばを聞きます。
これは結婚(けっこん)するときに男の人と女の人の名字(上の名前)を別々にしたい人はしてもよい法律(ほうりつ、国のルール)にしようという意味です。
もし、結婚したあとに子供が生まれて、お父さんとお母さんの名字が別々だったら、子供の名字はどちらかに合わせなければなりません。
生まれてきた子供はお父さんかお母さんの名字とちがったり、お兄さん、お姉さん、弟、妹とも名字がちがったりすることが出てきます。
たとえば、お父さんは田中さん、お母さんは佐藤さん、最初の子供は佐藤さんで、弟は田中さんになるかもしれません。
どうして、こうしたことが問題になっているかというと、はたらく女性がふえたことに関係があります。
これまで結婚する相手の名字に合わせるのは女性のほうが多く、結婚して名字が変わると会社などで呼び名が変わったり、免許証(めんきょしょう)やパスポートなどの名字を変えなければならなくなるなど、大変なことがありました。
しかし、いまでは会社で結婚する前の名字を使ったり、免許証なども結婚前の名字をならべて書けるようになったりしています。
ただ、免許証やパスポートに結婚前の名字を載せるには、役所の書類を出さなければならないなどの手続きが必要です。
それでも、結婚したからといって、ずっと使ってきた名字を相手の名字に変えるのは、納得(なっとく)できない、いやだ、という人もいます。
名字を一緒(いっしょ)にしたい人はすればいいし、一緒にしたくない人はしなければいいという考える人もいます。
質問は、このことについてみなさんの考えること、思うことを聞くものです。
くりかえしますが、答えたくない人は答える必要はありません。

ファミリーネーム喪失、選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」 政府は子供の意見を聞け
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:30
選択的夫婦別姓の法制化を望む人たちに
「国民の70%が賛成」
声があるが、その根拠は2択のアンケートだ。
朝日新聞もNHKも
「法を改正して夫婦が希望すれば別々の名字でもよいか」
を賛成、反対で問い、その結果を
「選択的別姓『賛成』7割」
などと伝えている。
現在、企業や公的機関などで進んでいる
「旧姓使用の拡大」
を法的に整備するという選択肢は最初からないのだ。
産経・FNN合同世論調査も以前は2択で賛成66・6%、反対25・5%だったが、昨年2024年9月に3択目を加えたところ、賛成38・9%、反対12%、旧姓使用拡大46・5%と大きく変わった。
令和3年12月の内閣府の世論調査でも
「同姓維持」27%、
「別姓導入」28・9%、
「旧姓使用拡大」42・2%、
が出ているが、こうした結果はほとんど生かされていない。
「選択的」
だからよいという意見もあるが、選択できるのは誰か。
生まれてくる子供にとっては親の意向で強制的に
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
ファミリーネームが喪失するという事態を
「選択者」
である親は一体どこまで想定しているのか。
今回、小中学生に行ったアンケートではどちらかの親や、きょうだいと別の名字になることについて半数が反対と答えた。
これが多いか、少ないか判断は分かれるだろう。
夫婦別姓
「賛成派」
からすれば、
「未熟な子供に聞く」
という調査自体に不快感を持った人もいるかもしれない。
ただ、法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである。
仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えるならば、ぜひ他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい。
文科省も、子ども家庭庁も出番ではないか。

「家族感が減る」「同姓は時代遅れ」小中生、正面から回答 選択的夫婦別姓2000人調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250101-F35HRVOR7FHZRH24ROBSXF5VBU/
「家族内で違う名字だと家族感が減りそう」
「強制的に同じにさせるのは時代遅れ」―。
産経新聞が小中学生を対象に行った選択的夫婦別姓の導入を巡るアンケート。
自由記述欄を見ると、賛否を超えて子供たちが正面から問いかけに向き合ったことが分かる。
立ち会った教員は
「想像していたより真剣に取り組む姿が印象的だった」
と話す。
■きょうだいなのに
自由記述で目立ったのは、選択的夫婦別姓制度で、結果的に家族の姓がばらばらになりかねないことを心配する声だった。
大阪府の中学男子は
「名字を別々にするような人なら、子供の名字をどうするかでけんかになるかもしれない。名字が違うと他人感がある」。
千葉県の小学男子は
「家族で名字が変わってしまうと、まるで別人みたいで家族感が減りそう」
と書いた。
夫婦が別姓を選ぶことには賛成しつつ、
「子供が生まれた家庭で兄弟姉妹の姓がバラバラなのは違和感を抱く」
と記した京都府の中学女子も。
大阪府の中学女子は
「選択できた方がよいが、兄弟が違う名字というのはよいものではない」
とした。
■万一離婚したときに
夫婦別姓に賛成する声も少なくなかった。
東京都の中学女子は
「名字が変わることで、もう一度覚え直してもらう必要があったり、万一離婚した際に、職場や学校の人に名字が変わったことを伝えなければならず、精神的な負担も小さくない」
と説明。
茨城県の中学男子は
「名字を強制的に同じにさせるのは、少し時代遅れだとも感じている」
と書いた。
アンケートは各家庭の個別の事情に踏み込んでしまう恐れもあったが、
「私の両親は夫婦別姓。私はハーフなので賛成します」(中2女子)、
「現状のままでは離婚後に名字が変わると、『あ、この人離婚したんだ』」と好奇の目で見られてしまう。自分もそうだったので、そのようなことは避けたいから、夫婦別姓には賛成」(中3男子)
という意見もあった。
千葉県の中学女子は
「海外でも夫婦別姓の国や自分と相手の名字を続けて登録できる国があり、日本もこだわる必要はない。事実婚は相続などで不利になるので、平等になるようにしてほしい」
と、より深い考えを述べた。
「日本の伝統なので絶対に法律を変えない方がよいと思う。いまこの問題よりも台湾有事に向けて動いた方がよい」(中3男子)
という意見もあった。
■自然発生的に議論も
大阪府の私立中の教員は、アンケートに取り組む生徒の様子について、
「最初は静かに取り組んでいたが、しばらくすると自然発生的に生徒同士で意見を交わす姿もみられた」
と話す。
議論になるうち
「『兄弟で姓が変わるというのはいやだね』とか、『そもそも結婚ってどういうことなのだろう』などの声も聞かれた」
という。
千葉県の中学女子は
「個人の考えもあると思うため、別々の名字でもよいと最初は思いましたが、家族の中で名字が分かれてしまうと、同じ家族であることの証明が難しくなるなど欠点もあると思ったので、最終的には法律を変える必要はないと思いました」
と考えの変遷を記した。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/590.html#c7
[政治・選挙・NHK296] 26億円投入のお台場巨大噴水事業が「フジ日枝案件」と露見…小池都知事による激怒と錯乱と珍答弁(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
19. 秘密のアッコちゃん[1325] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月08日 13:29:49 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[763]
<■83行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
台湾報道官、日米首脳声明に「心から感謝」 台湾海峡の平和強調や国際機関への参加支持で
2025/2/8 12:40
https://www.sankei.com/article/20250208-HXPDLMTNZVKF3AHLCEQVBVKY6Q/
台湾の総統府報道官は2025年2月8日、日米首脳が発表した共同声明で台湾海峡の平和と安定を維持する重要性を強調し、国際機関への台湾の参加を支持したことについて
「心からの感謝」
を表明した。
報道官は声明で
「台湾は自身の防衛力を引き続き強化し、台米日三者の安全保障パートナーシップを深化していく」
と言及。
「理念が近い国と協力し、ルールに基づく国際秩序を守り、自由で開かれた台湾海峡とインド太平洋地域を確保する」
と述べた。
日米首脳の共同声明は
「国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定」
を維持することの重要性を強調。
両岸(中台)問題の平和的解決を促し、
「力または威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試み」
に反対した。
国際機関への台湾の
「意味ある参加」
に対する支持も表明した。

尖閣諸島への安保条約5条適用を確認、日米首脳会談 領海侵入繰り返す中国の抑止狙い
2025/2/8 5:40
https://www.sankei.com/article/20250208-63IHXWY3QFLT3OADRYABIIMIYU/
石破茂首相とトランプ米大統領は2025年2月7日昼(日本時間2025年2月8日未明)の首脳会談で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)に米国の対日防衛義務を定める日米安保条約5条が適用されることを改めて確認した。
首脳会談後に発表した共同声明で
「尖閣諸島に対する日本の長きに渡る平穏な施政を損なおうとするあらゆる行為への強い反対」
を表明した。
尖閣諸島の領有権を主張し、周辺で公船による領海侵入を繰り返す中国を抑止する狙いがある。
尖閣諸島が安保条約5条の適用対象であると初めて明言したのは、2014(平成26)年の日米首脳会談の際のオバマ大統領だった。
日本政府はその後の第一次トランプ政権やバイデン政権にも適用を明言するよう求め、両政権とも日米首脳会談などの機会に明言してきた。

トランプ氏「私は日本を愛している」 日米両首脳、会談と共同記者会見で対中国結束を演出
2025/2/8 6:59
https://www.sankei.com/article/20250208-B6XGL6BDTVOS3CBMUXCHKN67RA/
トランプ米大統領と石破茂首相は2025年2月7日の首脳会談で日米同盟の強化を発信し、中国の脅威に安全保障と経済の両面で対抗していく姿勢を打ち出した。
石破首相は、トランプ氏から対日貿易赤字の解消を求められた一方、首脳会談後に発表した共同声明に日本側が重視する尖閣諸島(沖縄県石垣市)や台湾などを巡る文言も盛り込み、一定の成果を出した格好だ。
両首脳による共同記者会見では、トランプ氏が石破首相を持ち上げたり、共に記者の質問をかわしたりするなど友好的な雰囲気も演出した。
■加墨とは異なる対応
トランプ氏は石破首相に対し、貿易赤字や不法移民を解決するため関税圧力をかけるカナダやメキシコとは異なる融和的な姿勢を示した。
共同記者会見では日本の自動車メーカーなどによる対米投資を歓迎した。
米国の液化天然ガス(LNG)の日本への輸出拡大にも強い支持を示した。
対日貿易赤字を問題視する姿勢こそ示したが、その解決に向けて日本とともに取り組む考えを強調した。
共同声明では、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約の第5条が尖閣諸島(沖縄県石垣市)に
「適用される」
と明記。
「日米同盟の抑止力・対処力を更に強化」
していく方針が盛り込まれた。
中国の高圧的な海洋進出を牽制するため、
「東シナ海における力や威圧による現状変更の試みへの強い反対」
を表明し、
「台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性」
も明記するなど、これまでの基本的な対中政策が維持された。
日本政府内には、トランプ氏が防衛費の大幅な増額を求める事態を警戒する声もあった。
トランプ氏が北大西洋条約機構(NATO)加盟国に国内総生産(GDP)比5%の国防費を求めており、トランプ政権で国防次官に指名されたコルビー元国防副次官補は日本の防衛費を3%に引き上げるべきだと主張していたからだ。
■「とてもいい答えだ!」
共同声明では、米国側の立場として、2027年度までの5年間で防衛費と関連経費をGDP2%とする日本の防衛力整備計画を評価した。
その上で
「2027年度よりも後も抜本的に防衛力を強化していくことに対する日本のコミットメントを歓迎した」
とした。
これは、日本に更なる防衛力強化を求める一方、少なくとも2027年までの計画には異を唱えない姿勢を示した形だ。
トランプ氏は共同記者会見で
「私の1期目でも、安倍晋三首相が懸命に努力した」
「今後も協力関係を一層強化することを望む」
と述べ、日本のこれまでの取り組みを評価した。
米国にとって、中国に対抗する上で日本との連携は不可欠だ。
トランプ氏の言動からは、日米連携を世界に向けてアピールする意図も滲んだ。
石破氏をホワイトハウスで出迎えた際は
「私は日本を愛している」
と語り、共同記者会見で記者から石破首相の印象を聞かれると、こう持ち上げた。
「偉大な首相になるでしょう。とても強い人だ」
米国が日本に関税を課した場合に報復関税で対抗するか、記者から問われた石破首相が
「仮定の質問にはお答えしかねますというのが日本の定番の国会答弁です」
と述べると、
トランプ氏は
「とてもいい答えだ!」
と反応し、会場は笑い声に包まれた。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/592.html#c19

[政治・選挙・NHK296] 野田佳彦代表に不信任決議を(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
34. 秘密のアッコちゃん[1326] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月09日 01:20:37 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[764]
<■195行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
LNG輸入拡大、首相「大きな国益」  対米投資1兆ドルに
日米関係
2025年2月8日 20:30
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA082L90Y5A200C2000000/
トランプ米大統領は2025年2月7日(日本時間8日)の石破茂首相との首脳会談後の共同記者会見で、日本への液化天然ガス(LNG)の輸出を増やすと表明した。
首相は
「大きな国益だ」
と評価した。
日本の対米投資を1兆ドル(およそ150兆円)まで引き上げると明かした。
首脳会談はおよそ30分間で、その後の昼食会も含めて2時間弱に渡り協議した。
会談には岩屋毅外相やバンス副大統領らも同席した。
両首脳は米国からのエネルギー調達を拡大すると合意した。
共同声明には
「米国の低廉で信頼できるエネルギーと天然資源を解き放ち、米国から日本へのLNG輸出を増加する」
と盛り込んだ。
トランプ氏は
「日本は間もなく歴史に残る記録的な量の米国産天然ガスの輸入を始める」
と語った。
「アラスカ州の石油・天然ガス事業に関する日米合弁事業について話し合っている」
と紹介した。
首相は
「トランプ氏の決断を非常に感謝する」
と謝意を示した。
「日本としてLNGのみならず、バイオエタノールやアンモニアという資源を安定的にリーズナブルな価格で提供される」
と話した。
日本の対米投資額の残高は2023年時点で7833億ドル(およそ120兆円)ほどあり、2019年以降、5年連続で世界トップを維持する。
首相は首脳会談でいすゞ自動車が
「近く米国に工場を建設し、多くの雇用を作ると決定した」
と発言した。
トヨタ自動車の投資にも触れた。
いすゞは2027年に米国でトラックの組み立て工場を建設する。
投資額は3億ドル程度(およそ450億円)で、年産能力は5万台程度を見込む。
米国では物流の増加によりトラックの需要が伸びている。
両首脳は経済と安全保障で協力を深めると確認した。
人工知能(AI)や先端半導体の開発でも協力を進める。

日米首脳会談、石破首相が対米151兆円の投資表明…「日本の投資は5年連続で世界1位だ」
2025/2/8 11:18
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20250208-OYT1T50063/
石破首相は2025年2月7日午前(日本時間8日未明)、ワシントンのホワイトハウスでトランプ米大統領と初めて対面で会談した。
首相は日本の対米投資額を1兆ドル(約151兆円)に引き上げると表明し、米国産液化天然ガス(LNG)の輸入を増やす考えも伝えた。
懸案の日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画を巡っては、対米投資との認識を共有し、事態打開を目指す方針で一致した。
会談は昼食会を含め約1時間50分行われた。
両首脳は、米国による日本防衛への
「揺るぎない関与」

「自由で開かれたインド太平洋」
に向けた日米連携を明記した共同声明を発表した。
日本の対米投資額の残高は2023年に7833億ドル(約120兆円)で、5年連続トップだ。
今後、1兆ドルに引き上げ、トランプ氏の
「米国第一主義」
への貢献をアピールする狙いだ。
首相は
「日本の対米投資は5年連続で世界1位だ」
と訴え、トヨタ自動車やいすゞ自動車が米国で進める最新の工場建設計画を説明。
両首脳は、日米間の投資・雇用拡大に向けた協力を確認し、日本の米国産LNG輸入増を含むエネルギー安全保障の強化で一致した。
トランプ氏は会談後の共同記者会見で、USスチールについて、
「彼ら(日鉄)は買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した」
「投資は大好きだ」
「OKだ」
と語った。
現行の買収計画を何らかの形で修正すべきだとの認識を示したものとみられる。
来週中に日鉄幹部と面会し、対応を協議することも明らかにした。
買収計画は、バイデン前大統領が国家安全保障上の懸念を理由に禁止命令を出し、破綻の危機に瀕している。
今回の会談を機に局面が転換する可能性もあるが、先行きは予断を許さない。
トランプ氏は会談の冒頭、米国の対日貿易赤字が
「1000億ドル(約15兆円)規模」
に達すると主張し、日本側に解消を迫った。
解消しない場合に関税引き上げを検討するか記者団に問われ、
「する」
と明言した。
両首脳は会談で、中国による東・南シナ海での一方的な現状変更に反対し、台湾海峡の平和と安定の重要性を確認。
北朝鮮の完全な非核化や、日本人拉致問題を巡る協力を申し合わせた。
首相は、2027年度までの5年間で安全保障関連費を対国内総生産(GDP)比2%に引き上げる計画に着実に取り組んでいることを説明し、理解を求めた。
共同声明では、次期防衛力整備計画での更なる増額も念頭に、
「2027年度より後も抜本的に防衛力を強化していく」
方針を明記した。
日米首脳共同声明の要旨
日米同盟
日米関係の新たな黄金時代を追求する。
同盟はインド太平洋及びそれを超えた地域の平和、安全、繁栄の礎であり続ける。
日本は防衛力抜本的強化への約束を改めて表明し、米国は歓迎した。
米国は核を含むあらゆる能力を用いた、日本防衛への揺るぎない関与を強調。
日米安全保障条約5条の沖縄県・尖閣諸島への適用を改めて確認。
自衛隊と米軍の指揮・統制枠組み向上やサイバー・宇宙分野での連携強化、沖縄の基地負担軽減を実施するため、外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を早期に開催。
経済
2国間の経済協力が同盟協力の不可欠な一部を成すことを確認。
米国から日本への液化天然ガス(LNG)輸出を増加する。
多国間連携
自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、日米豪印、日米韓、日米豪、日米比といった協力を推進。
地域情勢
中国による東シナ海での現状変更の試みに強い反対を表明。台湾海峡の平和と安定を維持する重要性を強調。北朝鮮の完全な非核化を改めて確認し、拉致問題の即時解決を米国が支持。

対米投資1兆ドル、トランプ大統領の信頼勝ち取り日本企業にメリット 石破首相は入念準備
2025/2/8 19:20
https://www.sankei.com/article/20250208-C73OVXDPCBMWJDH4PFWFPYEGLY/
石破茂首相は2025年2月7日の日米首脳会談で、トランプ米大統領に対米投資を1兆ドル(約151兆円)規模に引き上げる意向を伝えた。
米経済の活性化や雇用の創出に繋がるため、トランプ氏は歓迎。
日本にも成長市場である米市場の需要を取り込めるメリットがある。
日本製鉄によるUSスチールの買収計画も、本質は米国への投資ということで理解を得た形だ。
日本は米国への最大の投資国だ。
日本の対米直接投資残高は右肩上がりで増え、2023年時点では7832億ドル(約118兆円)。
2019年からは5年連続で世界トップを維持している。
石破氏はこれを1兆ドルの大台に乗せるとぶち上げ、トランプ氏を動かした。
両首脳は最終的に日米間の投資・雇用拡大に向けた協力を確認した。
第1次トランプ政権時代には、当時の安倍晋三首相が多大な対米投資の実績を訴えてトランプ氏の信頼を勝ち取った経緯がある。
石破氏は今回、安倍氏の手法を踏襲して成功にこぎつけた。
日本の対米投資が進めば、米国の経済や雇用に貢献すると同時に、日本企業も米国の旺盛な需要を取り込める。
トランプ氏の信頼を得つつ日本企業も潤う妙手だけに、石破氏は訪米前にトヨタ自動車の豊田章男会長と水面下で会ったとされるなど、入念に対米投資拡大の根回しをしていた。
石破氏は実際、トランプ氏に対し、対米投資の上積みとして、トヨタといすゞ自動車の案件を明らかにした。
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長や米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)らは、既に5000億ドルを投資する計画を表明している。

台湾報道官、日米首脳声明に「心から感謝」 台湾海峡の平和強調や国際機関への参加支持で
2025/2/8 12:40
https://www.sankei.com/article/20250208-HXPDLMTNZVKF3AHLCEQVBVKY6Q/
台湾の総統府報道官は2025年2月8日、日米首脳が発表した共同声明で台湾海峡の平和と安定を維持する重要性を強調し、国際機関への台湾の参加を支持したことについて
「心からの感謝」
を表明した。
報道官は声明で
「台湾は自身の防衛力を引き続き強化し、台米日三者の安全保障パートナーシップを深化していく」
と言及。
「理念が近い国と協力し、ルールに基づく国際秩序を守り、自由で開かれた台湾海峡とインド太平洋地域を確保する」
と述べた。
日米首脳の共同声明は
「国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定」
を維持することの重要性を強調。
両岸(中台)問題の平和的解決を促し、
「力または威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試み」
に反対した。
国際機関への台湾の
「意味ある参加」
に対する支持も表明した。

尖閣諸島への安保条約5条適用を確認、日米首脳会談 領海侵入繰り返す中国の抑止狙い
2025/2/8 5:40
https://www.sankei.com/article/20250208-63IHXWY3QFLT3OADRYABIIMIYU/
石破茂首相とトランプ米大統領は2025年2月7日昼(日本時間2025年2月8日未明)の首脳会談で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)に米国の対日防衛義務を定める日米安保条約5条が適用されることを改めて確認した。
首脳会談後に発表した共同声明で
「尖閣諸島に対する日本の長きに渡る平穏な施政を損なおうとするあらゆる行為への強い反対」
を表明した。
尖閣諸島の領有権を主張し、周辺で公船による領海侵入を繰り返す中国を抑止する狙いがある。
尖閣諸島が安保条約5条の適用対象であると初めて明言したのは、2014(平成26)年の日米首脳会談の際のオバマ大統領だった。
日本政府はその後の第一次トランプ政権やバイデン政権にも適用を明言するよう求め、両政権とも日米首脳会談などの機会に明言してきた。

トランプ氏「私は日本を愛している」 日米両首脳、会談と共同記者会見で対中国結束を演出
2025/2/8 6:59
https://www.sankei.com/article/20250208-B6XGL6BDTVOS3CBMUXCHKN67RA/
トランプ米大統領と石破茂首相は2025年2月7日の首脳会談で日米同盟の強化を発信し、中国の脅威に安全保障と経済の両面で対抗していく姿勢を打ち出した。
石破首相は、トランプ氏から対日貿易赤字の解消を求められた一方、首脳会談後に発表した共同声明に日本側が重視する尖閣諸島(沖縄県石垣市)や台湾などを巡る文言も盛り込み、一定の成果を出した格好だ。
両首脳による共同記者会見では、トランプ氏が石破首相を持ち上げたり、共に記者の質問をかわしたりするなど友好的な雰囲気も演出した。
■加墨とは異なる対応
トランプ氏は石破首相に対し、貿易赤字や不法移民を解決するため関税圧力をかけるカナダやメキシコとは異なる融和的な姿勢を示した。
共同記者会見では日本の自動車メーカーなどによる対米投資を歓迎した。
米国の液化天然ガス(LNG)の日本への輸出拡大にも強い支持を示した。
対日貿易赤字を問題視する姿勢こそ示したが、その解決に向けて日本とともに取り組む考えを強調した。
共同声明では、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約の第5条が尖閣諸島(沖縄県石垣市)に
「適用される」
と明記。
「日米同盟の抑止力・対処力を更に強化」
していく方針が盛り込まれた。
中国の高圧的な海洋進出を牽制するため、
「東シナ海における力や威圧による現状変更の試みへの強い反対」
を表明し、
「台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性」
も明記するなど、これまでの基本的な対中政策が維持された。
日本政府内には、トランプ氏が防衛費の大幅な増額を求める事態を警戒する声もあった。
トランプ氏が北大西洋条約機構(NATO)加盟国に国内総生産(GDP)比5%の国防費を求めており、トランプ政権で国防次官に指名されたコルビー元国防副次官補は日本の防衛費を3%に引き上げるべきだと主張していたからだ。
■「とてもいい答えだ!」
共同声明では、米国側の立場として、2027年度までの5年間で防衛費と関連経費をGDP2%とする日本の防衛力整備計画を評価した。
その上で
「2027年度よりも後も抜本的に防衛力を強化していくことに対する日本のコミットメントを歓迎した」
とした。
これは、日本に更なる防衛力強化を求める一方、少なくとも2027年までの計画には異を唱えない姿勢を示した形だ。
トランプ氏は共同記者会見で
「私の1期目でも、安倍晋三首相が懸命に努力した」
「今後も協力関係を一層強化することを望む」
と述べ、日本のこれまでの取り組みを評価した。
米国にとって、中国に対抗する上で日本との連携は不可欠だ。
トランプ氏の言動からは、日米連携を世界に向けてアピールする意図も滲んだ。
石破氏をホワイトハウスで出迎えた際は
「私は日本を愛している」
と語り、共同記者会見で記者から石破首相の印象を聞かれると、こう持ち上げた。
「偉大な首相になるでしょう。とても強い人だ」
米国が日本に関税を課した場合に報復関税で対抗するか、記者から問われた石破首相が
「仮定の質問にはお答えしかねますというのが日本の定番の国会答弁です」
と述べると、
トランプ氏は
「とてもいい答えだ!」
と反応し、会場は笑い声に包まれた。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/595.html#c34

[政治・選挙・NHK296] 立花孝志、国民会見で大ゲロ(チダイズム) 赤かぶ
20. 秘密のアッコちゃん[1327] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月09日 15:47:50 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[765]
<■383行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
時代錯誤のトンチンカン 自衛隊演奏会を中止に追い込んだ沖縄県教組のあきれた言い分
日曜に書く 論説委員・川瀬弘至 
2025/2/9 15:00
https://www.sankei.com/article/20250209-M2VKE3IAQJIP3M7M5E7GCUJQCM/
産経新聞に入社し、今年2025年でちょうど30年になる。
その大半を社会部で過ごし、主に教育担当記者として教科書問題、歴史認識問題、沖縄問題など、イデオロギーがぶつかる現場で取材を重ねてきた。
事件記者のようなスクープの打ち合いは少ないが、いい加減な事を書くとすぐに訴えられるので、取材はいつも緊張感を伴う。
相手が保守であれ革新であれ、その言い分をじっくり聴くのが基本の「き」だ。
だが、如何に経験を積んでも、一部の左翼勢力のトンチンカンな言い分には戸惑うことが少なくない。
明らかな間違いや矛盾したことを、自信満々で押し付けてくるからである。
■テストの解答なら0点
那覇市の小学校で予定されていた航空自衛隊の音楽隊によるコンサートを中止に追い込んだ沖縄県教職員組合(沖教組)の言い分は、そんなトンチンカンの典型だろう。
コンサートは学校側が空自に依頼したもので、2025年1月31日に開催する予定で準備が進められていた。
ところが2025年1月21日、沖教組那覇支部が学校側に、取りやめるよう圧力を掛けてきた。
この時、沖教組が校長らに出した文章が酷い。
中止を求める理由を6つ挙げているが、いずれも矛盾に満ちている。
1つ目はこうだ。
「自衛隊は国防や安全保障に関わる組織であり、国家政策に深く結びついています」
「そのため、自衛隊の活動を学校に持ち込むことは、特定の政治的立場を暗黙的に支持するものと受け取られる可能性があり、学校が本来求められる政治的中立性を損なう恐れがあります」
これがテストの解答なら0点だ。
学校教育が国家政策に基づくのは、当たり前ではないか。
現状でも国が検定した教科書を使い、国が定める学習指導要領に沿って行われる。
逆に国家政策に基づかない、もしくは反する要求を学校に持ち込めば
「特定の政治的立場」
を支持することになる。
「政治的中立性を損なう恐れ」
があるのは、沖教組の方である。
■多様性が排除の論理に
沖教組は、
「多様性の尊重」
も中止の理由に挙げた。
「自衛隊に対して否定的な意見を持つ家庭や生徒もいることを考慮」
する必要があるとし、沖縄戦の歴史にも触れつつ、自衛隊を受け入れれば
「学校が多様性を尊重する場としての役割を果たしていないとの印象を与えかねません」
と。
暴論だ。
「多様性」
の言葉を排除の論理に使うとは、開いた口が塞がらない。
言うまでもなく多様性の尊重とは、それぞれの立場や考え方などの違いを認め、受け入れることだ。
もしも自衛隊ではなくLGBTなどの団体だったら、沖教組は、今回とは真逆の理屈で学校での活動許可を求めただろう。
左翼勢力は近年、ごく少数の偏った要求でも
「多様性」
の理屈でごり押しする傾向が強い。
ダブルスタンダードなら、もう使わないでほしい。
この他、沖教組は文書で、
▽軍事的象徴への不安感
▽教育内容との整合性への疑問
▽平和教育の理念との矛盾
▽教育の公平性を損なう可能性
を挙げた。
自衛隊への不安を煽り、職業差別や偏見に繋がりかねない要求である。
何より問題なのは、教育上の配慮が欠如していることだ。
学校には、隊員の子がいるかもしれない。
その子の気持ちを、考えたことがあるのか。
■元自衛官が元記者に圧勝
教職員組合の教員らが
「平和教育」
の名を借り、自衛隊バッシングに走るのは、以前は本土でも頻繁に見られた。しかし却って世間の反感を買い、近年はすっかり影を潜めた。
沖縄でなぜ、時代錯誤のトンチンカンがまかり通っているのかと言えば、地元紙が自衛隊に批判的な論調を続けるなど、特有の言論空間が影響しているのだろう。
昨2024年年11月には、石垣市で自衛隊員が迷彩服姿で祭りに参加しただけでも、地元紙は社会面トップで
「戦前のよう」
などと問題視した。
だが、沖教組や地元紙がいくら反自衛隊を搔き立てようと、大多数の県民はなびいていないようだ。
2025年1月26日に行われた沖縄市長選で、元県議で陸上自衛隊出身の保守系候補が、元県議で記者出身の革新系候補を大差で破り、初当選を果たした。
陸自出身の肩書が勝因ではないが、偏見を持たれることも、なかったのである。

<主張>空自の演奏会中止 沖縄教組の圧力許されぬ
社説
2025/2/2 5:00
https://www.sankei.com/article/20250202-GJSPVXA72NJAFDMQ2CACK73RJQ/
那覇市の市立小学校で予定されていた航空自衛隊の音楽隊によるコンサートが、開催直前で中止された。
沖縄県教職員組合(沖教組)が
「軍事的象徴が教育現場に持ち込まれる」
などとし、学校側に取りやめるよう要求していた。
子供たちが音楽を学び、楽しむ機会を奪うものだ。
教職員の組合が学校に圧力をかけ、教育活動を妨げることなどあってはならない。
那覇市と市教育委員会は、コンサートが中止になった経緯を調査して明らかにし、厳正に対処すべきである。
コンサートは、学校側が空自に開催を依頼したもので、2025年1月31日に行う予定で空自那覇基地所在の南西航空音楽隊が準備を進めていた。
だが、沖教組那覇支部が2025年1月21日、同校の校長とPTA会長宛てに中止を求める文書を出し、それを地元紙が報じたところ、校長から空自に、取りやめの連絡があった。
沖教組の文書は呆れる内容だ。
中止を求める理由として
「自衛隊の活動を学校に持ち込むことは、特定の政治的立場を暗黙的に支持するものと受け取られ、政治的中立性を損なう恐れがある」
としている。
しかし自衛隊は合憲で、国会が議決した自衛隊法などに基づき存在している。
沖教組こそ政治的中立性を損ない、偏向したイデオロギーを押し付けているではないか。
沖教組は、自衛隊のイベントは
「平和教育の理念と矛盾する可能性がある」
とも批判した。
学校には隊員の子供たちもいる。
教員が自衛隊に、このような偏見を持っていると知ったらどう思うか、考えるべきだ。
沖縄で自衛隊は、県民を含む国民や領土、領海、領空を守っている。
昭和47年の沖縄の本土復帰後、4万件以上の不発弾処理に当たり、緊急患者空輸で約1万1千人もの命を救った。
にもかかわらず沖縄では、一部の左翼勢力が過激な抗議活動を繰り返している。
2025年1月17日には沖縄県名護市で陸上自衛隊が災害救助の訓練中、反対派の妨害により輸送ヘリコプターが予定地への着陸を断念する事態になった。
今回のコンサート中止で、那覇市と市教委は判断を学校側に任せ、対応しなかった。
子供たちの学びの場を守れず、何のための市教委か。
市議会には厳しく追及してもらいたい。

訓練を妨害する場合は、強制排除すべきだ。

沖縄の陸自ヘリ着陸妨害、根拠法なく反対派を排除できず 災害対応に不安と課題残す
2025/1/26 19:25
https://www.sankei.com/article/20250126-Z5OQYZPPJBJP3F3JHOFIXE2EPI/
大規模地震を想定した陸上自衛隊の防災訓練で反対派の妨害行為によって輸送ヘリコプターが着陸を断念していたことが判明した。
災害派遣で出動した自衛隊のヘリが、被災地周辺の公園などに着陸することは珍しくない。
今回の着陸断念の事例は、大規模地震などの災害対応に不安と課題を残す形となった。
離着陸訓練を想定していたのは、沖縄県名護市の名護城公園。関係者によると、着陸時刻が近づくと、訓練に抗議する3人が現れ、芝生の広がる広場の真ん中にレジャーシートを敷き、ピクニックを始めた。
着陸予定時刻を過ぎて集まった市民も含めると、最終的に8人になったという。
その一人である軍事環境研究者の宮城秋乃さん(46)=同県東村=は
「戦闘服で(自衛隊員が)行進すると発表され、戦闘の風景に慣れさせようとする効果を狙った防災訓練だと思った」
とし、
「自衛隊の災害派遣に反対ではないが、警戒心はあった」
と語る。
被災地での救助、救援活動は一刻を争う。
緊急車両が速やかに救援に向かえるように、平成26年の災害対策基本法改正では、大規模災害時に公道をふさぐ放置車両の強制撤去が可能になった。
だが、日本大の福田充教授(危機管理学)は
「自衛隊の災害派遣時に、その活動を妨害する人を排除する根拠は災害対策基本法にも自衛隊法にもない」
と指摘。
「政治的な意図とは分けて理解してもらい、議論することが重要だ」
と訴える。
妨害者の強制排除といった私権制限を伴う措置については慎重な議論が必要だが、実際の災害派遣で妨害があってからでは遅い。
人命に関わる問題だけに対応を早急に検討すべきだ。

防災訓練で沖縄の反対派が陸自の輸送ヘリ着陸を妨害 レジャーシート広げ「ピクニック」
2025/1/26 17:32
https://www.sankei.com/article/20250126-QP5WAU6F4FN7PGU6UDW76LEK2E/
大規模地震の発生を想定した陸上自衛隊第15旅団(那覇市)の防災訓練で、反対派の妨害行為で輸送ヘリコプターが着陸を断念していたことが2025年1月26日、分かった。
こうした妨害行為を強制排除する法的根拠はなく、実際の災害派遣に際する人命救助や支援物資の輸送への影響も懸念される。
陸自は今後の対応の検討に入った。
旅団によると、防災訓練は今月2025年1月17日、沖縄県名護市内で実施された。
当初は午前10時半頃、名護城公園のガンジュー広場に輸送ヘリCH47JAを着陸させ、行進部隊の隊員22人を降ろす予定だった。
しかし、訓練に反対する市民ら数人が広場に集まり、レジャーシートを敷いて
「ピクニック」
をして妨害。
着陸を中止せざるを得なくなったとする。
広場にいた自衛隊員が
「安全確保のためこの場から出てください」
などと移動を促したが、市民らは
「今日は阪神・淡路大震災が発生した日であり、訓練をする日ではない」
「我々はここで食事をするので、立ち退くつもりはない」
などと拒否した。
CH47JAは、別の陸自ヘリの発着予定地だった同市内の中学校グラウンドに着陸地点を変更した。
広場には、一般の通行などを止める規制線を張っておらず、旅団は
「抗議する人が来ることを想定した態勢の構築など不十分な点があった」
「この教訓を踏まえ、今後の対応を検討していく」
としている。

空自音楽隊コンサートが突然中止に 反対派の圧力か、県教組が直前に中止要請
2025/1/29 21:00
https://www.sankei.com/article/20250129-QXLTBG2WB5MFVARAQTYFXTQUXE/
那覇市内の小学校で開催予定だった航空自衛隊の音楽隊のコンサートが一部の批判を招き、急遽取りやめになったことが2025年1月29日、関係者への取材で分かった。
沖縄県教職員組合那覇支部が
「軍事的象徴が教育現場に持ち込まれ、生徒や保護者に不安感を与える」
などと中止を要請したという。
空自によると、昨年2024年11月、那覇市内にある小学校のPTA会長からコンサートの開催依頼の連絡があった。
その後、同2024年12月に校長とPTA会長の連名で正式に開催依頼があり、今月2025年1月31日の開催が決定。
空自那覇基地に所在する南西航空音楽隊が準備を進めていた。
しかし、開催直前の2025年1月23日になって、校長から突然、取りやめの要請があったという。
2025年1月22日付の地元紙には、県教組那覇支部が2025年1月21日、実際の学校名を挙げた上で、校長とPTA会長宛てに音楽隊のコンサート中止を要請する文書を提出したと、報じられていた。
要請文書では
「自衛隊の活動を学校に持ち込むことは、特定の政治的立場を暗黙的に支持するものと受け取られ、政治的中立性を損なう恐れがある」
との理由を並べ
「生徒や保護者に不安感を与える場合がある」
と記している。
また、先の大戦末期の沖縄戦の歴史的背景にも言及。
「軍事組織に対して否定的な感情を抱く家庭が少なくない」
として
「学校が多様性を尊重する場としての役割を果たしていないとの印象を与えかねない」
「教育の公平性を損なう可能性がある」
と反発した。
空自によると、南西航空音楽隊はこれまで、県内の複数の小中学校で音楽指導に当たってきたという。
昨年2024年、那覇市に隣接する豊見城市内の小学校でコンサートを開いた際は、特に問題視されなかったとしている。
小学校側の突然の中止決定は、過剰とも取れる一部の反発などが背景にあるとみられる。
産経新聞の取材に対し、小学校側は
「一方的に(報道で小学校の)名前が出た」
としながらも
「ノーコメントで通している」
として回答を避けた。

自衛隊コンサートは自衛官募集が目的だとは思わないが、結果的に自衛官を志望する人が現れても何の問題もない。
共産党の軍事忌避の姿勢こそが、それこそが大問題だ。

学校優先の自衛隊コンサート、「募集活動」と追及する共産市議と否定する後援自治体の溝
2024/12/16 8:00
https://www.sankei.com/article/20241216-ELIBQW6RJVMGNOPPRNW7BOOZV4/
広島県福山市で2024年11月に行われた自衛隊ファミリーコンサートに、共産党と共闘する団体が批判の矛先を向けた。
市と市教育委員会が
「後援」
するなどしたのは、自衛官の募集に対する協力になりかねないとし、議会でも共産市議が市などの姿勢を追及したのだ。
コンサートは、学校単位の申し込みで優先的に予約されたが、生徒らの個人情報が自衛隊に渡ってしまうとする主張に、主催者は
「あり得ない話。レッテル貼りだ」
と一蹴する。
■傍聴席に支持者の姿も
「コンサートの目的が(自衛官の)募集活動の一環だったということは明らかではないか」
2024年12月10日、一般質問に立った共産党の三好剛史市議がこう指摘した。
傍聴席には、支持者とみられる高齢者らの姿が目立った。
海上自衛隊呉音楽隊(広島県呉市)によるコンサートは2024年11月30日、約2000人を収容できる中四国最大級のホールで開かれ、事前予約の来場者で8割方が埋まった。
主催者によると、市内では初の試みとあって、その盛況ぶりが窺えた。
主催者は福山市の民間企業などで作る自衛隊福山地区募集協力会。
これに、世界バラ会議福山大会実行委員会(事務局=市世界バラ会議推進室)が
「共催」
し、市と市教委が
「後援」
した。
市側が名義使用を許可した経緯は明快だ。
実行委としては、令和7年に迫ったバラ会議の機運醸成を図るため。市と市教委も含め、共催・後援の取り扱い要綱に照らし、コンサートが
「市民の教育、学術、文化等の振興に資する」
との判断に過ぎず、主催者が公序良俗に反するわけでもない。
■「提供の事実一切ない」
コンサート開催を9日後に控えた2024年11月21日、憲法9条改悪ストップ福山実行委員会と第69回福山市母親大会実行委員会、福山民主商工会が市長と教育長宛てに、共催と後援の取り消しを求める要望書を提出した。
その場を仲介したのは三好氏ら共産市議2人だという。
《中高大学生は学校からの申込で優先予約可》。
要望書はコンサートの案内チラシに記載された文言に目を付けた。
その上で
「募集対象年齢に達していない中学生まで対象にして『学校からの申込み』で個人情報が提供される」
と懸念を示した。
自衛隊ファミリーコンサートの案内チラシ。
世界バラ会議福山大会記念事業の冠も付いた
実際はどうか。
自衛隊福山地区募集協力会の事務局長を務める会社経営、今井博明さん(66)によれば、名称こそ募集協力会だが、コンサート開催と自衛官募集は無関係という。
優先予約としたのも
「多くの子供たちに、純粋にレベルの高い音楽に触れてほしかったから」。
学校単位では、市内の2中学校から計約40人が参加したが、会場でも募集行為は一切していないことを市の担当者も現場で確認している。
今井さんは個人情報に関しても、参加人数と学校名、代表者(教諭)氏名しか求めていないとし、
「自衛隊に生徒の個人情報を提供した事実は一切ない」
と反論。
3団体の認識について、
「『自衛隊憎し』かもしれないが、無茶苦茶な言い掛かり」
と憤る。
確かに要望書では、《今の自衛隊は、海外で戦争する軍隊へと変容》との表現も躍る。
もっとも、コンサートで音楽隊は粋な演出をした。
ばらのまち福山との親和性から歌手、布施明さんのシングル
「君は薔薇(ばら)より美しい」
を演奏したのだ。
市の担当者は産経新聞の取材に、
「音楽を通じて福山を盛り上げて頂き、有り難かった」
と話した。
三好氏は取材に対し、
「自衛官や音楽会自体を批判しているわけではない」
と説明しつつ、
「自衛隊組織としては音楽隊を自衛官募集のための広報政策として利用していると認識している」
と持論を展開した。

<主張>自衛隊演奏会 不当な抗議は容認できぬ
社説
2024/11/6 5:00
https://www.sankei.com/article/20241106-Y2R5LLUCM5KR5NSO3MWNFDPW4Y/
未だにこんな時代錯誤の
「抗議」
を行っているのかと、啞然とする他ない。
広島県廿日市(はつかいち)市と同市教育委員会などが後援し、同市で開かれた陸上自衛隊音楽隊のコンサートに地元中学校の生徒が参加したのは問題であるとして、革新系の
「教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま」

「九条の会・はつかいち」
など3団体が市などに抗議した。
自衛隊によるコンサートへの参加は
「中学生にとって非常に危険」
と主張している。
自衛隊は合憲で、国会が議決した自衛隊法などに基づいて存在している。
隊員は命懸けで、国と国民を守る崇高な任務に当たっている。
今回のような抗議は自衛隊を貶めるのに加え、明白な職業差別でもある。
断じて容認できない。
市と市教委が抗議に応じなかったのは当然だ。
子供たちのためにも、自衛隊員のためにも今後も毅然と対応してほしい。
コンサートは広島県自衛隊家族会の主催で2024年9月に開かれ、同県駐屯の第13音楽隊と市立中の吹奏楽部が合同で演奏した。
団体側は抗議文で、自衛隊が音楽という手段を利用して
「教育現場に侵入し、将来の自衛隊員へのリクルートに繫げようとする側面がある」
とした。
市と市教委に、後援中止や中学生を自衛隊に積極的に近付けないことを要求した。
市などによると、コンサートは今年2024年で5回目で、音楽隊の高い演奏技術に触れる機会であるため生徒にも好評だという。
だが2回目の開催以降、団体側が激しく批判してきた。
昨年2023年の市議会では共産党の市議が
「平和教育や平和行政と相容れない」
などと後援を批判した。
市教委はコンサートの利点を挙げ、
「後援することに問題ない」
と答弁した。
昭和60年代頃までは日本各地で、革新団体などによる自衛隊へのバッシングが相次ぎ、隊員の子供が学校で日教組系の教師らから名指しで批判されるという人権侵害もあった。
今回の抗議は、当時の差別、攻撃を想起させるものだ。
日本は厳しい安全保障環境下にあり、平和を守る抑止力や対処力として自衛隊の役割は高まっている。
災害救援でも自衛隊は汗を流している。
自衛隊への誤解や偏見を広める
「抗議」
は決して許されない。

自衛隊コンサートに中学生参加の是非 市民団体「不適切」と後援自治体に猛烈抗議の波紋
2024/10/14 8:00
https://www.sankei.com/article/20241014-4467ZMWRVNKR7FGL2ZAWFMIX2I/
コンサートを「無防備な中学生を実力組織へ取り込む」機会と考えるべきと主張する抗議文
https://www.sankei.com/article/20241014-4467ZMWRVNKR7FGL2ZAWFMIX2I/photo/TVWG4DAQHBNOVMID4VXJ2HC5V4/
世界遺産の厳島神社で名高い宮島を有する広島県廿日市(はつかいち)市で9月に開かれた
「自衛隊ふれあいコンサート」
がやり玉にあがっている。
市内の中学校の吹奏楽部が参加し盛会のうちに終わったが、複数の市民団体が
「無防備な中学生を実力組織に取り込む」
機会になっていると指摘し、市と市教育委員会による
「後援」
に抗議したのだ。
コンサートの何が問題なのか。
■生徒の評判上々
「腸が煮えくり返っている。本当に子供たちのためになるのか」
10月7日、廿日市市役所に市民団体
「教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま」
の石原顕(あきら)共同代表らが訪れ、市と市教委の担当者に、自衛隊のコンサートへの中学生の参加は公教育にとって不適切などと訴える抗議文を手渡した。
コンサートは9月14日に市内の文化ホールで開かれた。
自衛隊員の家族らで構成する公益社団法人
「自衛隊家族会」
広島県自衛隊家族会が主催し、同県海田町の海田市駐屯地に所属する陸上自衛隊第13音楽隊と、廿日市市立野坂中学校の吹奏楽部がコラボした。
これに、市と市教委が後援で名を連ねた。
市教委によると、事前の合同練習を含め、プロにも引けを取らない音楽隊の演奏に触れられる機会とあって生徒からの評判は上々で、
「感動した」
との声も聞かれたという。
■「軍」への忌避
一方の抗議文はトーンがまるで違う。
「軍」
としての自衛隊に対して強い忌避反応を示し、若者が近付けば戦場に送り込まれかねない、との危機感が文面から滲む。
市民団体側からすれば実力組織である自衛隊が
「成長途上で保護を必要としている中学生の教育活動に『侵入』してくることは非常に警戒すべきこと」
で、
「単なる親睦と音楽教育を超えて『無防備な中学生を実力組織へ取り込む』機会になっている」
という主張だ。
市側にとってはコンサートはあくまで
「音楽を通した市民との交流」
を目的としたもの。
主催者から後援の申請依頼があり、イベントの内容から市民の文化向上に寄与すると判断している。
地元の中学生も参加するため後援するのは
「ある意味で自然」(市教委の担当者)
とのスタンスだ。
■生徒の意向尊重
コンサートは平成30年から始まり、新型コロナウイルスの感染拡大期を除き、今回を含めて5回開かれた。
広島県自衛隊家族会によると、2回目まではホール玄関に自衛隊の制服や活動写真が展示され、入隊勧誘と受け取られる余地があるにはあった。
ただ、開催趣旨を踏まえて
「それからは控えてもらった」(同)
といい、市側が神経を尖らせるような場面はもうない。
コンサートへの参加も、生徒や保護者の意向を尊重した上で行っており、生徒の個人情報なども提供していないという。
広島県自衛隊家族会の山崎修治事務局長も産経新聞の取材に対し、
「コンサートの目的は市民と自衛隊との交流、中学校吹奏楽部のレベル向上であり、リクルートの意図はない」
と言い切る。
■埋まらぬ隔たり
内閣府が2023年3月に発表した自衛隊・防衛問題に関する世論調査(令和4年実施)では、自衛隊に好印象を抱く人は90・8%に達した。
市民団体も自衛隊の災害派遣活動などを一定評価していないわけではないが、音楽を組織的に利用する自衛隊と捉える限り、双方の隔たりは埋まらない。
市側は
「質の高い自衛隊の音楽隊と一緒に演奏することは、専門性の向上や今後の演奏に対する意欲向上に繋がる」
と評価しており、2025年度以降も後援の依頼があれば粛々と応じる考えだ。
今回の抗議を野坂中吹奏楽部員の保護者はどう考えているのか。
3年の長男を持つ母親(47)は
「後援が付くからこそ、コンサート前にも音楽隊に指導してもらえるのだと思う」
「『武器を持つ自衛隊』『戦争』のイメージと結び付ける意味がよく分からない」
とした上で、
「子供は上達した所を見せたい、と自宅でも進んで練習に励んでいた」
「本物の音楽に触れ、成長させてもらった」
「今後も音楽隊と中学生との触れ合いが続いてほしい」
と話した。

神風特攻隊
日本は中国大陸での戦いでは常に優勢でしたが、昭和19年(1944)秋の時点で、アメリカを相手にした太平洋での戦いは最早絶望的でした。
聯合艦隊はほとんどの空母を失っており、強大な空母部隊を擁するアメリカ艦隊に対抗できる力などあるはずもなかったのですが、それでも降伏しない限りは戦い続けなくてはなりませんでした。
同年昭和19年(1944)10月、日本はフィリピンでアメリカ軍を迎え撃ちます。
追い詰められた日本海軍は、人類史上初めて航空機による自爆攻撃を作戦として行いました。
神風特攻隊です。
神風特攻隊は最初はフィリピンでの戦いの限定的作戦でしたが、予想外の戦果を挙げたことから、なし崩し的に通常作戦の中に組み入れられました。
しかし陸海軍の必死の攻撃の甲斐も無く、フィリピンはアメリカに奪われ、日本陸軍兵士51万8000人が戦病死します。
フィリピンを奪われたことで、南方と日本を繋ぐシーレーンは完全に途絶え、遂に石油は1滴も入って来ない状態となりました。
もっともその前から護衛の無い日本の油槽船はアメリカの潜水艦の餌食となっていて、昭和19年(1944)には、インドネシアから国内へ送られた原油は僅か79万リットルでした(戦前、アメリカから輸入していた原油は年間500万リットル)。
最早戦争どころか国民生活さえ維持できない状況となっていたのです。
翌昭和20年(1945)、アメリカ軍は遂に沖縄にやってきました。
日本軍は沖縄を守るために、沖縄本島を中心とした南西諸島に7万以上の兵士を配置しました。
更に陸軍と海軍合わせて約2000機の特攻機が出撃しました。
また聯合艦隊で唯一残った戦力と言える戦艦大和も出撃しましたが、延べ400機近いアメリカ空母艦載機の攻撃により、坊ノ岬沖であえなく沈められました。
戦後の今日、
「日本は沖縄を捨て石にした」
と言う人がいますが、これは完全な誤りです。
日本は、沖縄を守るために最後の力を振り絞って戦ったのです。
もし捨て石にするつもりだったなら、飛行機も大和もガソリンも重油も本土防空及び本土決戦のために温存したでしょう。
沖縄は不幸なことに地上戦となり、約9万4000人もの民間人が亡くなりました。
沖縄出身の兵士は2万8000人以上がなくなっていますが、沖縄以外の出身の兵士も約6万6000人が亡くなっています。
決して沖縄を捨て石になどしていなかったのです。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/599.html#c20

[政治・選挙・NHK296] 最悪タイミングの石破渡米 トランプには「力による現状変更」を認めるのか(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
25. 秘密のアッコちゃん[1328] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月09日 20:52:42 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[766]
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「台湾有事は日本有事」 安倍元首相の発言を否定 石破・岩屋コンビ 有元隆志
2025/2/9 15:00
https://www.sankei.com/article/20250209-4HEO7SJ7UNMOHGQSZUTNYWPJ5U/
前産経新聞台北支局長で、
「インド太平洋戦略シンクタンク」
を立ち上げた矢板明夫氏は
「台湾で最も有名な日本人」
と言われる。
矢板氏が先日、シンクタンク
「国家基本問題研究所」
で語ったところによると、中国の習近平国家主席は今年2025年、旧正月に当たる
「春節」
を近年では一番機嫌よく迎えられたはずだという。
習氏は、日本と米国、韓国、台湾による
「中国包囲網」
を警戒していた。
ところが、台湾では頼清徳総統率いる民進党が少数与党で、全ての法案が野党ペースで進んでいる。
韓国では尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が内乱を首謀した罪で逮捕・起訴された。
日本では、石破茂政権の岩屋毅外相が昨年2024年末に訪中するなど
「親中」
ぶりを見せている。
「習主席としては何の努力もせずに、思うような展開となっている」(矢板氏)
というのだ。
矢板氏によると、台湾で石破政権への不信感が高まっている要因として、岩屋氏が昨年2024年末、香港フェニックステレビのインタビューに対し、
「私は『台湾有事』という言葉があまり好きではなく、台湾は『無事』でないといけない」
と述べたことが挙げられる。
「台湾有事は日本有事」
と発言したのは安倍晋三元首相だった。
筆者は矢板氏の協力で2023年3月と7月、台北市と台南市で、産経新聞カメラマンが写した安倍氏のベストショットを集めた
「安倍晋三写真展」
を開催し、多くの方々が観に来てくれた。
来場者がメッセージボードに書き込んだメモを見ると、
「台湾が中国から圧力を受けている時、安倍さんが立ち上がって
『台湾有事は日本有事』
と言ってくれました」
「本当に有難うございます」
などと感謝の言葉が寄せられていた。
安倍氏は2021年12月に台湾で開かれたシンポジウムにオンラインで参加した中で、
「台湾有事は日本有事」
と語った。
台湾の人々にとっては
「日台の連携」
を端的に示した印象に残る言葉だったようだ。
台湾の人々の心情を踏みにじるかのように、岩屋氏が
「台湾有事は好きでない」
と発言したから反発も広がった。
しかも、
「台湾有事は日本有事」
という言葉が嫌いなのは岩屋氏だけでない。
石破首相も就任前、著書『保守政治家』(講談社)で、
「『台湾有事は日本有事である』と、殊更取り上げられることもあります」
「(中略)仮に中国が台湾に軍事的な攻撃をする状況となったとします」
「その際に、文字通り日本本土も同時に攻撃する、という状況は、冷静に考えればほぼあり得ないでしょう」
と否定的に書いている。
岩屋氏や石破首相は意図的に言及しないが、安倍氏は
「台湾有事は日本有事」
に続けて、
「すなわち日米同盟の有事」
と言っている。
中国が台湾に対する武力攻撃を行い、米軍が反撃する状況になれば、
「アジア有数の戦略拠点である在日米軍基地はフル稼働」
することになり、
「日本が(基地使用に)応じないという選択肢はほぼありません」
「そうなれば、日本は中国から直接の脅迫、あるいは武力行使を受けることになる可能性が高まります」
と石破首相も本の中で認めている。
石破首相は昨年2024年8月、自民党総裁選(同9月)の出馬前に台湾を訪問するなど、親中べったりというわけではない。
だが、石破首相と岩屋氏の言動によって台湾で、日台関係の蜜月にこれ以上、水を差すようなことは慎んでほしい。
(産経新聞特別記者)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/598.html#c25
[政治・選挙・NHK296] 異例「クソ野郎」裁判、れいわ大石晃子氏「完全勝利」「しゃあああああ」最高裁、山口敬之氏の上告棄却(よろず〜ニュース) 赤かぶ
64. 秘密のアッコちゃん[1329] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月11日 05:42:32 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[767]
<■2057行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
難民ではなかった川口クルド人 「報道しない自由にもほどがある」
正論2025年3月号 産経新聞編集局コンテンツ統括 皆川豪志
クリスマスイヴの昨年2024年12月24日午後、さいたま地裁404号法廷。
埼玉県川口市内で女子中学生に性的暴行をして、執行猶予中に別の少女に再び性的暴行をしたとして不同意性交の罪に問われたトルコ国籍のクルド人21歳無職男の公判が開かれた。
取材した産経新聞記者によると、傍聴席に12ある記者席は記者たちで埋まっていた。
腕章の社名を確認すると、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、埼玉新聞の各紙と時事通信、NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日。
これに産経新聞を加えた11社だったという。
起訴状によると、男は昨年2024年9月13日夜、川口市内のコンビニ駐車場などに止めた乗用車で、12歳の少女に性的暴行をしたとしている。
昨年2024年1月、別のコンビニ駐車場に止めた車で10代の女子中学生に性的暴行をしたとして不同意性交の容疑で逮捕。
埼玉県少年健全育成条例違反で起訴され、懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けていた。
男はトルコ生まれ日本育ちの在留クルド人。
難民認定申請中で、出入国在留管理庁(入管庁)の施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だったとみられる。
2024年9月の事件は2度目の性犯罪事件だったことになるが、埼玉県警は2度目の事件について発表しておらず、産経新聞の独自報道で2024年12月6日に明るみになった。
この日2024年12月24日が報道後に初めて行われた公判でもあり、私たちは各社の対応に注目していた。
なぜなら、報道が出た翌日2024年12月7日もその翌々日2024年12月8日も、この日2024年12月24日の公判まで産経新聞以外のメディアは1社たりともこの事実を報道していなかったからだ。
■川口市民に知らされず
ところが、各社の
「報道しない自由」
はそんな甘いものではなかった。
産経新聞を除いて10社もの記者が記者席を占領して傍聴しておきながら、再び
「完全無視」
を貫いたのだ。
公判後、記者たちはほぼ全員が一緒に談笑しながらさいたま地裁庁舎内にある記者クラブに立ち寄り、再び連れ立ってさいたま地裁を後にした。
裁判取材の場合、公判後の弁護人への取材は必須と言えるが、弁護士が出てくるまで
「出待ち」
する記者も産経新聞以外は1人もいなかったという。
仮に今回の事件が沖縄などに駐留する米兵だったら、彼らは国際問題にしかねないぐらいの大騒ぎをしてみせるだろう。
いや、それ以前に被告が日本人だろうが外国人だろうが、現に年端も行かない少女2人が一生の心の傷が残るような被害に遭っているのだ。
埼玉県警は
「被害者のプライバシーに配慮して発表しなかった」
などと述べているが、同じ市内で、同じ男によるこのような事件が立て続けに起きて、
「発表しなかった」
「報道しなかった」
で済むのか。
「知っていたら気を付けることも出来た」
という防犯としての広報や報道という観点はないのだろうか。
しかも男は
「難民」
を名乗るも認められず、入管の施設にも収容されずに、市中で自由に車を乗り回して、幼い女子を物色していたのだ。
通常の犯罪以上に我が国の法律や行政の在り方や背景が問われる事件だろう。
そもそも、多くの川口市民はこの事件を未だに知らないまま、我が子に夜道を歩かせている可能性もあるのだ。
昨年2024年話題になったドラマ
「不適切にもほどがある!」
になぞらえれば、
「報道しないにもほどがある!」
特に、このクルド人問題は報道したら何かまずい事でもあるのか。
■「封印」された報告書
川口市などに集住するクルド人と地元住民との軋轢が表面化している問題については本誌読者なら既にご存じだと思う。
国内最多の約2000人以上が住んでおり、多くは祖国での差別や迫害などを理由に難民申請している。
ただ、認定された人はほとんどおらず、先の男がそうだったように仮放免中の立場であることが多い。
近年では、彼らが運転する住宅密集地での過積載トラックや改造車の暴走行為が問題化。
解体業の資材置場を巡る騒音や周辺に配慮しないゴミ出しなどのトラブルの他、一昨年2023年には病院・川口市立医療センター前で100人を超えるクルド人が暴動騒ぎを起こし、公務執行妨害などで逮捕される事件もあった。
こうした問題について、大手メディアが報じることはほとんどなく、産経新聞に加え、一部ネット系メディアや個人のSNSだけが伝える状況が続いている。
そうした中で、産経新聞が昨年2024年11月24日に1面トップで報じた
<川口クルド人「出稼ぎ」と断定 入管が20年前現地調査 日弁連問題視で「封印」>
の記事は
「クルド人問題を決着させる記事」
として大きな反響を呼んだ。
簡単に説明すると、川口市のクルド人を巡り、法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)の職員らが20年前の平成16年、訴訟対策もあって、難民認定申請者の多いトルコ南部の村を現地調査し、彼らが
「出稼ぎである」
と断定する報告書をまとめていたという内容だ。
ところが、当時の日本弁護士連合会が
「調査方法に問題がある」
「人権侵害だ」
などと問題視したことから、調査結果は
「封印」
されて表に出なくなった。
これらの村などがある3県の出身者は現在もトルコの難民申請者の8割を占めており、当時の調査が全く生かされていなかったことが明るみに出たのである。
■「難民」という”設定”崩壊
多少の裏話をすると、産経新聞の取材班はこの報告書の内容を早い段階で掴んでいた。
しかし、一部の
「クルド人擁護派」
のメディアや法曹関係者からすれば、この報道をしたところで
「入管の言うことが真実とは限らない」
「20年前と今では状況が違う」
などの声が上がることが当然予想された。
そこで、改めて報告書の内容を裏付けるため、彼らのトルコの故郷に記者を派遣、彼らが本当に
「難民」
かどうか取材したのである。
結果は20年前と全く同じ、というより彼らは隠す様子もなく、
「迫害なんてされていない」
「航空機代さえ払えれば日本で稼げる」
と取材に答えた。
ある現地男性など、川口のクルド人に触れると、
「我々が難民だなんてウソ」
「皆上手にウソをつく」
「入管で
『国へ帰ったら殺される』
『刑務所へ入れられる』
と言うでしょ?」
「全部ウソ」
「本当にウソ」
「皆日本で仕事したいだけ」
「お金が貯まったら、村へ帰る」
「私の国で迫害なんて絶対ない」
とまで証言した。
他にも、現地で成功したクルド人の話や、一部メディアが
「今も弾圧が続く」
と紹介した街のルポ、首都アンカラのトルコ人ジャーナリストらの取材を進め、最終的には、駐日トルコ大使からも
「日本に滞在する手段として難民認定申請が選ばれている」
という言葉を引き出した。
法務省の報告書と今回の取材で、
「トルコのクルド人は政府に迫害されており、助けを求めて日本で難民申請している」
という”設定”は完全に崩壊したのだ。
■国会質問も無視
さて、他のメディアである。
勿論、このニュースを報じた社は1社もない。
「産経新聞の独自報道だから報道しようがない」
との見方もあるだろう。
だが、事態は大きく動き出してしまったのである。
産経新聞報道から約半月後の2024年12月10日の衆議院予算委員会で、自民党の新藤義孝・前経済再生担当相が、川口市でクルド人の迷惑行為が相次いでいるとして
「地域では本当に怒りが頂点に達している」
と質問、政府に対応を求めたのだ。
クルド人による性犯罪の再犯報道にも触れ
「一番問題なのは仮放免制度だ」
「法務省とも連携して取り組みたい」
とも述べた。
新藤義孝氏は川口市を地盤とする埼玉2区の選出議員。
SNS上などでは
「地元国会議員は何をしているのか」
などと批判を浴びてきた経緯もあったが、この日2024年12月10日の踏み込んだ質問には川口市民からも一定の評価の声が上がっていた。
ところが、このNHKのテレビ中継も入った予算委での質問を取り上げた新聞は、またしても産経新聞だけ・・・と思ったら実はもう1社あった。
共同通信の配信を受けた東京新聞だ。
新藤義孝氏の
「本当に怒りが頂点に達している」
との発言を取り上げて、こう断じている。
「迷惑行為の原因や責任を個人でなく、民族性に求めているとも受け取れる内容」
「交流サイト(SNS)などで問題化している在日クルド人差別を助長する恐れがある」
各社、様々な見方はあってよい(笑)のだが、クルド人による性犯罪の再犯については、またしても報道しないのだ。
仮に産経新聞報道や公判でタイミングを逸したとしても、国会で取り上げられたこの時点で触れないというのなら、もう未来永劫、幼い被害者2人のことはなかったことにするのだろう。
■意地でも報道しない
新藤義孝氏は
「観光ビザの免除措置や難民認定制度を悪用して、出稼ぎ目的で在留しており、地域の取り組みでは解決できない」
とも質問した。
これは産経新聞が報道した
「出稼ぎ報告書」
を受けての質問とみられる。
更に国会では衆院法務委員会で日本保守党の島田洋一氏が出稼ぎ問題に言及し、日本で難民認定を認められなかったクルド人が、トルコへ帰国後に迫害されるケースがあるかどうか質問。
入管幹部から
「法務省としては把握していない」
との答弁を引き出すなど、この問題は広がりを見せ始めた。
極め付きは、浜田聡参院議員(無所属)だ。
「出稼ぎ報告書」
を法務省から独自に入手した上で、自身のX(旧ツイッター)で数十ページに及ぶ全文を公開したのだ。
そこには、
<(現地のクルド人)男性に
「なぜみんな日本に行くのか。日本が好きなのか」
と尋ねると、笑いながら、日本語で
「好きも嫌いもない。お金稼ぐだけ」
と答えた>
別の村の男性は
<「あなたはなぜ日本に行ったのか」
と尋ねると
「金を稼ぐ。他に何がある。俺は1万6000ドルも借金して行った。もっと稼ぎたかったから『難民』と言った。でもダメだった」
と述べた>
などの生々しい証言が並んでいた。
勿論インターネットで誰でも見られる状態になっていたが、報道したメディアは1つもない。
性犯罪については、仮に警察が隠していたとしても実際に公判が開かれることで、
「ウラ」
は取れたと言えるだろう。
報告書も、Xをそのまま報道しなくとも、法務省なり、浜田聡議員なりに確認を取れば
「ウラ」
は取れるだろう。
それでも彼らは
「報道しない自由」
を謳歌している。
いや、
「自由」
というよりも、
「意地でも報道しない強い意志」
すら感じる。
どういうスタンスの新聞なのかよく知らないが、埼玉新聞も性犯罪を含め、これらの問題を一切報道していない。
この数カ月で報じたのは、ネットで検索する限り
「クルド人排斥デモ禁止命令 さいたま地裁仮処分決定」(令和6年11月21日)
くらいである。
一部の保守系議員などが県議会や市議会でクルド人問題を取り上げても決して記事は書かない。
埼玉県民に密着した地元紙としての矜持はないのか、埼玉新聞は不思議な新聞である。
■テレビが弱腰な訳
ここからは、そうしたメディアの背景について考えてみたい。
リベラル系、保守系を問わず、恐らく彼らは
「ヘイトスピーチだ」
「外国人差別だ」
などの批判を受けるのが怖いのだろう。
もちろん私たちにもクルド人差別、外国人差別の意図は全くない。
むしろ、川口市内などで
「クルド人は出ていけ」
などと街宣する団体に嫌悪感を覚えることは強く言っておきたい。
ただ、批判を恐れて、事実を無かったことにすることは出来ないのは当然であり、
「批判」
に耐え得るだけの取材と理論武装は必要だろう。
この部分が、特にテレビメディアには欠けているのではないか。
大手スポンサーなどにも配慮しなければならないテレビは、批判や抗議には特に弱いと聞く。
1人の視聴者の苦情程度なら彼らは平気で無視するが、これが
「抗議団体」
などによる申し入れとなると、途端に腰が引けてしまう。
いや、抗議団体に目を付けられた時点で既にテレビマンとしては
「危機管理がなっていない」
として失格であり、理論武装した上での覚悟も取材もないので、弱腰になるしかないのだ。
「いやいや、『モーニングショー』の玉川徹さんなんて歯に衣着せぬ物言いだし、『報道特集』や『サンデーモーニング』なんて政権批判をバンバンやっている」
と言う人もいるかもしれない(「正論」読者にはいないと思う)が、余程の誤報でもない限り、時の政府から抗議が来ることなどまずないのだ。
しかも、政権批判は各社横並びで日常的にやっていることであり、殊更に1つの社が抗議されることはない。
政府、つまり自民党などより、むしろ野党やその背後にいる支持団体の方が、なかなか一筋縄ではいかないことはメディア関係者では常識であり、あるワイドナショーで、日本共産党を
「暴力的な革命」
と絡めて批判した弁護士のコメンテーターが番組内で何度も謝罪させられたのは記憶に新しいところだ。
では、クルド人問題で、そのような抗議はあるのか。
少なくとも産経新聞に直接、申し入れなどがあったことはない。
ただ、令和5年6月の入管難民法改正に伴う国会の混乱や、それに伴って、名古屋入管でスリランカ国籍の女性が死亡した
「ウィシュマさん事件」
が怒涛のように取り上げられ、
「支援者」
を名乗る多数の弁護士らが登場したことを考えると、
「外国人」
「入管」
「不法滞在」
などのキーワードには迂闊に触れない方がいいと考えるメディアが増えても何ら不思議ではない。
仮に触れるとしても、
「可哀相な外国人を苛める日本人」
というシナリオを作ってから報道するのが常道。
そのシナリオは朝日新聞や共同通信などのリベラル系メディアがお手本として示してくれるので、それを映像化すればどこからも抗議は来ないからだ。
リベラル系メディアは、そもそも
「思想」
として
「可哀相な外国人」
と考えているのでクルド人と地元民の軋轢などに触れるはずがない。
そうでない記者でも、敢えて
「社論」
と対立することはない。
ただ、うっかり批判的に触れてしまったら、それこそ、抗議は大変なことになるだろう。
「支援団体」
の方々は、リベラル系メディアを味方と考えているため、
「裏切られた」
という思いは、産経新聞が如きが書いた場合とは比較にならないほど強く、より攻撃的になりかねないのだ。
■無言の圧力
では、
「左派」
ではないメディアも取り上げない理由は何か。
「ヘイト批判」
が怖いという側面もあるだろうが、経済的な側面を気にしている部分もあるのではないか。
近年は
「人手不足」
解消のため、外国人労働者の受け入れを加速させるべきという意向が経団連などの経済界から強く、
「外国人に選ばれる国に」
などと声高に主張する新聞もある。
それならば、労働力を受け入れる前に、まずはトラブルを防ぐためのルール作りを考えるのが先だと思うが、そうした提言すらない。
ただ、労働力不足に対しては執拗に
「現実派」
を気取る彼らが、何故海外の現実には目を向けないのか。
労働力不足を理由に、安易とも言える
「移民推進論」
を進めた欧米は、国柄が変わるほどの治安悪化に苦しみ、ようやく移民政策の大転換を始めた。
今、我が国こそが、その失敗から学ぶべきだが、欧米が歩んだ道をひたすら進んでいることに何の疑問も挟まない。
ないとは思いたいが、日本のメディアが取り上げない理由には、広告出稿などに絡んだ
「経済界からのクレーム」
というものもあるのだろうか。
更に大きいのは世論である。
もちろん、既にSNSなどの一部世論は、この問題に関してかなり敏感になっている。
それでも大きなうねりと言えないのは、やはりメディアの報じない姿勢がここまで徹底されたことで、国民の間にも外国人問題そのものについて表立って言い出しにくい、言ってはいけないという無言の圧力が醸成されているのではないか。
それをメディアが逆手に取って、
「視聴者や読者の関心がない話題なので取り上げない」
というエクスキューズ(言い訳、弁明)にしているような気さえする。
■国会議員は優先順位を考えよ
外国人との
「共生」
は決して簡単ではない。
言葉や宗教、文化、習慣が違うからだ。
この単純明快な理由があるにもかかわらず、我が国は
「国際化」
「多様性」
を金科玉条のように打ち出し、
「共生」

「強制」
している。
このまま
「共生の強制」
が続けば、逆に、普通の暮らしを望んでいるだけの人たちの心の中に、ルールを守らない外国人に対する憎悪のようなものを生み出す恐れすらある。
その不満がいつか爆発し、社会の分断を増幅させるかもしれない。
それこそが最も危惧すべき事態ではないだろうか。
産経新聞取材班では今年2025年1月、これまでの取材結果を書籍にまとめた。
タイトルは
『国会議員に読ませたい「移民」と日本人』(産経新聞出版)。
一昨年2023年7月の病院・川口市立医療センター前での暴動騒ぎ以降、昨年2024年12月までの川口市で起きたクルド人と地元住民のトラブルや事件の背景を丹念に追った他、動かない行政、と言うよりも
「共生」
押し付ける余り目的と手段が逆転したかのような県や市の実態を明らかにした。
先に触れた入管の
「出稼ぎ報告書」
問題や、トルコの現地取材なども収録した。
無論、川口市のクルド人問題だけでなく、各地で相次ぐ外国人の不法滞在やその歴史や背景にも迫った。
敢えて、タイトルに
「国会議員に読ませたい」
と付けたのは、メディアは勿論のこと、一連の問題を無視し続けてきた700人もの衆参両議院にも、そろそろ仕事をしてほしいからである。
国会議員の仕事とは経済と外交・防衛、つまり国民の生活と安全を守るための行動と、そのための法律を作ることだろう。
ましてや入国管理という国の根底に関わる問題である。
これらは地方議員では限界があり、政府を動かす仕事は国会議員にしか出来ない。
「出稼ぎ報告書」
の問題で多少の動きはあったにせよ、残りの多くの国会議員がほとんど関心を示していないことは、先の衆院選の争点を見ても明らかだ。
彼らは移民政策を転換した世界の趨勢が耳に入っていないのだろうか。
知っていて、敢えて聞こえないふりをしているのか。
「再エネ」
も、
「LGBT」
も、
「選択的夫婦別姓」
も、取り組んでいる議員にしてみれば大事な問題かもしれないが、物事には優先順位というものがあるのだ。
だが、組織票を当てにする国会議員にとって、
「移民問題」
の負の部分に目を向けても、良い事は1つもないのだろう。
リベラル団体からも経済界からも喜ばれず、産経新聞以外の全マスコミが沈黙しているような火中の栗を敢えて拾ってまで、票田を失いたくないからだ。
言葉尻を捉えられて、
「ヘイト」
「問題発言」
などとメディアに追い掛け回され、
「モーニングショー」
の玉川氏あたりに
「許されないですねえ」
などと、したり顔で批判されることすらあるのだから。
■さすがにまずいと感じたか
事実を認識し、今起きている問題から出発することはそれほど難しいことだろうか。
日本に在留する外国人全てが
「弱者」
なのだろうか。
少なくとも
「政治難民」
「不法滞在者」
「正規の外国人就労者」
をきちんと区別して考えるべきで、情緒的な見方だけで彼ら全体を括るのはもう終わりにすべきではないか。
本のタイトル
『国会議員に読ませたい「移民」と日本人』
も、そこに収録された文章が新聞に掲載されていた時の見出し
「『移民』と日本人」
もそうだが、移民に
「」
が付いている。
これは日本に移民はいないことになっているからだ。
ただ、
「移民」
と言わないだけで、
「定住外国人労働者」
はこれまでも積極的に受け入れている。
この明らかな矛盾についても、物事の本質を見失わせている原因ではないだろうか。
産経新聞は昭和55年1月、北朝鮮による日本人拉致疑惑を初めて報じ、平成9年には横田めぐみさんの拉致事件もスクープした。
朝日新聞の
「従軍慰安婦報道」
の不自然さを早くから追及してきたのも産経新聞だった。
ただ、いずれも他のメディアは関心を示さず、拉致疑惑については
「産経新聞のデマ」
という扱いすら受けた。
これだけインターネットが進んだ時代になっても大手メディアはまだ、知らぬ存ぜぬを決め込み、当時と同じ事を繰り返そうとしているのだ。
ただ、ほんのここ最近、少しだけ変化も出て来た。
産経新聞が昨年2024年11月24日に1面トップで報じた、例の
「出稼ぎ報告書」
を報じてからだ。
リベラル系メディアが、クルド人が政治的難民であることを前提にしたような情緒的な記事を書かなくなったように思えるのだ。
「なぜ、送還・・・悩むクルド人、家族バラバラに」
のような見出しの記事だ。
無視はしたものの、
「出稼ぎ報告書」
の存在は彼らも気にはしているはずである。
さすがにまずいと感じ始めているのだろうか。
もっとも、その分、
「クルド人ヘイト許さない」
のような記事は相変わらず量産されている。
出稼ぎであれ、何であれ、彼らに
「弱者」
のままでいてもらうことこそが、メディアにとっては都合が良いのかもしれない。

「日本は移民を増やせ」 亀田製菓に言われたくない! 日本国民は”準備なき”外国人の大量流入に直面している
WiLL2025年3月号 ジャーナリスト 石井孝明
■亀田製菓「炎上」
外国人を巡り、これまで日本にはなかった事件が続いている。
亀田製菓の会長で、インド出身のジュネジャ・レカ・ラジュ氏のインタビュー記事
「日本は更なる移民受け入れを」
が、2024年12月15日にフランスの通信社「AFP」によって配信された。
すると
「ネット炎上」
した。
実際に売り上げの減少があったかは不明だが、SNS上には
「不買運動」
などの過激な言葉が並んだ。
同社の株は2024年9月の直近高値(終値)4695円からインタビュー後の2025年1月17日には3770円まで約20%も下落した。
同会長は日本に帰化している。
この記事で
「世界に挑戦するハングリー精神が少しずつなくなり始めた」
と日本を評し、移民を受け入れる以外に
「選択肢はない」
と述べた。
それに一部の人が怒った。
SNSを見ると
「内政干渉だ」
「日本への感謝が何故ないのか」
などの批判があった。
亀田製菓はこの問題で取材を断っている。
この発言は経営者として配慮が足りなかったかもしれないが、私は1つの意見として受け止めた。
過剰な批判は行き過ぎに思う。
しかし、その反響は外国人を巡る日本人の感情の1つが現れたのかもしれない。
皆苛立っているのだ。
2024年4月、朝日新聞社が実施した
「人手不足社会」
に関連する世論調査で、外国人の受け入れを拡大する政府方針への賛否を尋ねたところ、「賛成」62%が「反対」28%を大きく上回った。
2018年には賛成44%、反対46%と拮抗していた。
同紙は国民感情が変わったと解説したが、本当だろうか。
人手不足という点ではなく、
「外国人の大量流入による治安の悪化、社会混乱を懸念するか」
と聞いたら、全く違う答えが出て来ただろう。
■外国人への政策に不満
普通に国内で生活する日本人は、ここ数年、外国人に出会うことが多くなった。
体感は統計で裏付けられる。
外国人の居住者数は、2024年6月末時点では約358万人と過去最多になった。
同様に旅行者、就労者も増えている。
そうした外国人の大半は善良な人だ。
しかし、その外国人の一部による迷惑行為、犯罪行為が増えている。
そして、政府はその問題の対応をせず、
「共生社会」
とか
「ヘイトスピーチ、許さない」
などの広報活動を行う。
政府の奇妙な主張と違い、外国人への憎悪を抱く日本人はほとんどいない。
実害を受けていることに困り、また未来を心配しているのだ。
日本国民は、”準備なき”外国人の大量流入に直面している。
政府、政治家は
「共生社会」
と繰り返す。
しかし
「共生」
という一語では表現しきれない数々の問題がある。
治安、交通、街造り、ゴミと景観、司法制度、オーバーツーリズム、言葉の壁とコミュニケーションなど、様々な問題が放置されたままだ。
そして
「移民政策はとらない」(岸田前首相)
と日本政府は詭弁を続ける。
こうした態度に日本国民は苛立っている。
そして、政府は国民の不安を無視し続ける。
岩谷毅外務大臣は2024年12月、訪問した中国の北京で、日本が発給するビザの要件緩和策を発表した。
中国人富裕層向けに10年有効の観光ビザを新設するという。
これまで観光目的の個人客向けのビザは5年有効が最長だった。
また、65歳以上の中国人は、個人向けビザで在職証明書の提出が不要になるという。
中国人の日本国内での経済、社会の存在感の増加に、多くの日本人が懸念している。
一部中国人による犯罪の増加も伝えられている。
更に中国はアジアで、日本を含めた他国と軍事衝突を起こす懸念がある。
そうした国からの人の流入を促す外相と政府の判断は異常だ。
これは自民党内で議論されず、岩屋外相がほぼ独断で決めたようだ。
岩屋氏は、リベラルの政治的立場に立つ石破茂首相の自民党総裁への選出を支えた。
首相と同じ考えを持つのだろう。
外国人に甘い対応を政治が行う。
政権与党の自民党は保守政党と自称しながら、日本の安定や安全を脅かしている。
政府・与党自民党は2023年6月、家族帯同で無期限就労が可能な
「特定技能2号」
の対象分野の大幅な拡大を決定し、外国人労働者に対して永住に繋がる道を開いた。
2024年度から5年間の受け入れ枠を82万人としている。
政府は2024年に技能実習制度に代わる育成就労制度の創設も決めた。
2027年までの開始を予定する。
更に日本政府は起業家向けのビザの要件も緩和し、2025年からその適用を拡充する予定だ。
いずれの制度でもこれまで規制のあった外国人労働者の家族の呼び寄せも可能になる。
それによって日本に居住する外国人は、数百万人規模で増えるだろう。
そこで起こり得る混乱について、国会も政府も深く議論をしていない。
■国民の望む「共生」なのか
こうした外国人の大量流入は、国民が望むものとは思えない。
外国人を差別する日本人などほとんどいない。
これまで、民族的にはほぼ同一で、同質の教育を受け、共通の言語、価値観を持つ日本人で日本社会は構成されてきた。
そこに異質な人が大量に入り込んできたら、社会が動揺するのは当然だ。
「家の周りで外国人の姿が増え過ぎ、自分の住む場所が日本でなくなっていくようで怖いです」
「何人かは分かりませんが奇声が聞こえますし、ゴミ捨て場はいつも散らかっています」
「かつてあった、周囲の人との交流も無く、地域の一体感が消えました」
これは埼玉県蕨市を取材した時に聞いた60歳代日本人女性の声だ。
蕨市は2023年度末で人口約7万6000人だが、外国人比率は約11%になる。
特にこの地域は、埼玉県南部で、住民との間で問題を起こしているクルド人が集住している。
言葉も分からず、容姿も違い、日本人へ配慮をせずに迷惑をかける外国人に囲まれて生活することに、不安を抱くのは日本人として当然だ。
「理解不足だ」
「差別だ」
との単純な批判で終わらせるべき問題ではない。
国家の基本は国民の安心と安全だ。
一部の外国人の行為によって、日本でそれが歪められているなら、当然、政府は批判され、政策を改めなければならない。
私は2024年12月、『埼玉クルド人問題ーメディアが報道しない多文化共生、移民推進の真実』(ハート出版)を上梓した。
手前味噌だが売れ行きは好調だ。
トルコ国籍のクルド人による、埼玉での問題行為を告発し、法の適切な適用、そして日本の制度の準備不足を指摘した。
そして、この問題をきっかけに日本の移民問題の熟議が必要という内容だ。
この内容に賛同して頂く声は大変多かった。
外国人を巡る不安が日本全国に広がり、埼玉クルド人問題が先例になっているからこそ、読者に関心を頂いたのだろう。
■移民政策で世界が変わる
欧州では難民・移民に厳しい目が向けられるようになった。
「反移民」
の動きは欧州各国での右派勢力の伸長に繋がり、米国でも2024年、不法移民対策を強調するトランプ前大統領が返り咲きを決めた。
西欧、北欧、北米では各国政府のこれまでの30年間の受け入れ政策で流入した大量の外国人によって社会混乱が発生し、それが現在も進行している。
ようやく各国政府は、移民流入を止める政策を打ち出している。
ところが日本だけが移民受け入れを促進する。
欧州を混乱させた途上国の移民や難民が、今度は日本を目指さないだろうか。
不安になってしまう。
国際移住機関の報告書によると、2020年の段階で移民の人口に占める割合は米国13%、フランス12%になる。
一方、日本は2%と割合は低い。
しかし、その状況は変わるだろう。
国立社会保障・人口問題研究所は2023年4月、2070年には日本の人口に占める外国人の割合が10%に達するとの予測を発表している。
既にクルド人、中国人などによるトラブルが起きている埼玉県川口市の外国人比率は7.3%。
そしてこの地域は、外国人による地域の混乱が始まっている。
英国のロンドンは外国人比率が2023年時点で約40%になり、街の雰囲気が変わった。
ロンドンに30年間住む日本人に取材した。
英国社会を変えたのは、これから日本で始まろうとしている単純労働者の大量流入だったという。
「今の日本は英国の30年前に似ている」
「外国人管理政策がおかしいと主張する石井さん(筆者)のような人が『ヘイト』と人権派や外国人から嫌がらせを受け、メディアから無視される」
「しかし、後戻りできない状況になってしまったと、元から居た英国人は嘆いている」
という。
私は英国では外国人だが、かつての英国ではなくなった未来の英国を心配している。
同じように、日本も今動かなければ、後戻りができなくなってしまうかもしれない。
しかし、賢明な日本国民は外国人を巡り自主的に動き始めている。
私は本誌『WiLL』(2025年1月号)
「事実を報じないメディアのウソと傲慢・無礼」
で、埼玉県民を中心にしたインターネット上のネットワークができ、クルド人・外国人問題について情報交換を始めたことを紹介した。
それが現実の政治に影響を与え始めている。
■ネット世論が政治を牽制
埼玉県越谷市議会議員で自民党所属の立澤貴明氏が、2024年12月に本会議でクルド人問題に言及したところ、立憲民主党や共産党などが
「ヘイトスピーチではないか」
と問題視。
会派の代表者会議で
「査問」
した上に、懲罰動議を出そうとした。
同市議会は保守系が過半数を占め、否決は予想されたが、威嚇のために懲罰動議を出そうとしたのだろう。
ところが、ネットを中心に
「立澤市議を守れ」
という意見が広がり、立憲民主党や共産党に批判や抗議が広がった。
懲罰動議は見送られ、立憲民主党の議員らは
「ヘイトスピーチの研修会」
を開くことを求める奇妙な解決策で、この問題を終わらせた。
外国人問題を巡る厳しい見方が、人権派の横暴を止めた。
越谷市内では近年、川口周辺に在留するクルド人らの解体事業者の資材置き場(ヤード)で騒音や不法投棄の疑いなど住民とのトラブルが起きていること、おじいさんの家に行こうとした女子中学生が中東系の男に追い回されてショックを受けたことも伝えた。
立澤市議は
「支援を頂いた皆様に感謝する」
「市議会での無意味な争いではなく、越谷市民のためにクルド人・外国人問題の解決に取り組む」
と述べた。
クルド人を支援していた埼玉の革新系政党のある政治家がいる。
彼らの問題行為が世の中に知られた2024年、ある会合で支援者に
「困った」
「クルド人たちが、あんなにとんでもないとは思わなかった」
と呟いた。
ネットの世論を気にしたのだろう。
取り締まり策を提案すればという支持者からの提案に
「そんな事をしたら、私がどうなるか分かるでしょう」
と述べ、その後、沈黙したそうだ。
ごく普通の感覚を持った人であれば、今の日本の準備なき外国人労働者への開国が危険であることは分かるだろう。
これまで外国人問題を巡る正論が歪められてきたが、それをネットで示される世論が止め始めた。
■住民による治安維持
埼玉のある地域は、住民の自主活動が地域の治安の維持で効果を上げている。
この基盤になったのは、ある公立学校のPTAだ。
そのPTAの会長は会社の経営者で、頭の切れそうな人だ。
就任してしばらくすると、この仕事の可能性に気付いた。
「子供の安全のため」
という目的なら関係者は1つにまとまる。
保護者だけではなく、行政、学校が積極的に支援する。
いわゆる
「人権派」
の人も妨害はしない。
そこで
「その力を最大限に使おうと思った」
という。
この人は保守的な政治的立場の人だが、そうした自分の意見は出さないように配慮をしている。
成果は上がった。
地域の治安、安全を巡る情報を保護者から集め、通学路の交通の危険な場所、危険な構造物を直すように行政に訴え実現した。
また、危険情報を親から集め、更にそれを共有した。
子供たちは安全に過ごせるようになった。
この会長への評判が高まり長く続けることになった。
この地域で子供への性犯罪があった。
このPTA会長の呼び掛けで、保護者たちが情報を収集し犯人を特定し、警察に通報。
犯人は逮捕された。
地域の革新系政党の政治家や人権重視の政治活動家も何も言わなかった。
逮捕後の経緯は不明で、保護者たちも調べることができなかった。
「法律の限界を感じた」
と言う。
この会長は今、保護者らと地域の外国人の情報を集めている。
外国人は、閑静な住宅地であるこの地域にも着実に増えている。
同じ埼玉県内で起こっているクルド人問題や、海外の移民犯罪についても学んでいる。
もちろん、この会長は外国人差別の発想など全くない。
しかし、外国人の増加は治安に悪影響を与えるため警戒しているという。
「学校教育の中では『外国人と仲良く』としか教えない」
「地域を守る仕組みは私が退任すれば消えてしまう」
「外国人との向き合い方を教える仕組みがほしい」
と心配する。
■国民的議論を今こそ
外国人と適切に交流するために、地域社会の取り組みは有効だ。
こうしたPTAを軸に
「子供を守る」
取り組みを全国に広げられないだろうか。
俗人的な取り組みではなく、制度として広がってほしい。
ただし、この会長のように自制をしながら、効果のある取り組みをするのは難しいだろう。
クルド人問題で治安が混乱する埼玉県川口市、蕨市では、クルド人を批判する団体が集まりデモをするようになった。
また、市外からユーチューバー、自警団と称する人が埼玉南部をうろつき、クルド人とトラブルが発生する例も出ている。
それを批判する極左、人権派も市外からやって来て、彼らと衝突している。
こうした争いには、地元住民はほとんど参加していないし、地域の安寧を妨げる迷惑になっている。
外部から来る活動家は批判されるべきだが、これには日本人の苛立ちが現れているように思う。
政府、また県や市の自治体が外国人問題で積極的に動かないことで、こうした無意味な争いが広がっている。
「日本人、そして子供の安全を守る」。
こうした目標を明確にした上で、外国人対策の議論や取り組みをすれば、多くの国民が合意する仕組みができるだろう。
そうした議論さえ、政府、そして各地域社会で行われていないのが現状だ。
私はそれまで知識のなかった外国人問題、クルド人問題の取材を2023年5月に始めた。
そこから3カ月で移民容認の考えから、外国人労働者の受け入れを慎重にし、管理を徹底するべきだと、考えが変わった。
それよ以前には、少子高齢化の特効薬なのに、なぜ日本は移民を受け入れないのかと考えていた。
当時の自分の不明を恥じている。
賢明な日本国民なら、正確な情報さえあれば
「準備なき開国は止めよう」
という意見になるはずだ。
西欧、北欧、北米の諸国は、大量に流入した難民・移民によって、治安の悪化、社会の変化に苦しんでいる。
日本では準備も議論も、ほとんどないまま、外国人への開国が行われようとしている。
混乱が深刻になる前に、どのような開国をするべきか、議論と準備を始めなければならない。
「住む場所が日本でなくなっていく」ー。
私たち、そして次の世代が、こうした悲しい言葉を呟かない、聞かない状況を作りたい。

事実を報じないメディアのウソと傲慢・無礼
埼玉県民が自らクルド人問題を解決するために声をあげている
WiLL2025年1月号 ジャーナリスト 石井孝明
■「クルド人対策」が選挙テーマに
「外国人による治安問題を一緒に解決しましょう」ー。
2024年10月に行われた衆議院選挙で、日本維新の会の候補である高橋英明氏は繰り返した。
高橋氏は埼玉県川口市の大半を含む埼玉2区で立候補。
高橋氏はこの地域に集住するトルコ国籍のクルド人と地域住民とのトラブル解決のために動いてきた。
彼は小選挙区で自民党の新藤義孝氏に敗れたが、比例北関東ブロックで復活当選した。
当選は2回目だ。
対立候補は当選9回のベテラン議員。
総務大臣、直近の岸田政権では経済再生担当大臣を務めた。
今回の選挙では川口市に張り付き、不法滞在者の強制送還などクルド人問題の対策を行うと明言した。
新藤氏は2023年からこの問題が注目される中で、
「解決に動かない」
と地元で批判されてきた。
遅れながらも、彼が問題解決に動くことを宣言したのは評価したい。
川口市北部と越谷市で構成される埼玉3区でも、外国人問題の治安対策を訴え当た自民党の黄川田仁志議員が当選した。
埼玉県南部に集住するトルコ国籍のクルド人による、住民への迷惑行為、車の暴走などの不法行為が問題になっている。
私はその数を約4000人と推定している。
その大半はトルコ政府に迫害されると主張し、難民申請を繰り返して日本に居座っている。
トルコ政府はクルド人の迫害政策を行っていないので、それは虚偽の主張である可能性が高い。
彼らの大半は出稼ぎで来日したと思われる。
クルド人問題は2023年5月、私がメディア関係者として初めて報道を始めた。
埼玉県民も声を上げ、それに応じて政治家がようやく動き始めた。
完全解決までは時間がかかりそうだが、対策に政治家が動き出したのは大変良いことだ。
■鈍いメディアに市民が不満
このようにクルド人問題の状況が変わりつつあるのに、既存メディアの動きは未だに鈍い。
彼らは外国人・クルド人問題について、埼玉県民の不安や困っているという声は無視してきた。
問題が悪化した理由の1つに報道しなかったメディアの責任がある。
埼玉県民、川口市民がクルド人、その他の外国人とのトラブルに苦しんでいるのに、この
「報道しない自由」
はおかしい。
「クルド人、外国人を巡る情報を、県も警察もメディアも伝えません」
「皆仲良くやっていると嘘ばかり」
「性犯罪の報道、広報がないのは不安です」
「娘も幼いので引っ越そうと考えています」
(埼玉県在住、30代女性)
「ヘイトなんて川口にはありません」
「それなのにメディアは、ヘイトがあったと繰り返す」
「クルド人や外国人から迷惑を受けている私たち埼玉県民の声を、報道してほしいです」
「自粛なのか、変な力が加わるのか」
(埼玉県在住、20代男性)
「書店員です」
「石井さんが寄稿した『WiLL』などの雑誌は埼玉で売れています」
「クルド人問題を取り上げる産経新聞の話をする人が多いです」
「商売にもならないクルド人擁護を何でするのか」
「日本のメディアが不思議です」
(埼玉県在住、30代男性)
埼玉県では、メディアについてこんな県民の批判ばかりが聞こえる。
■重要事件を報道しないメディア
私は埼玉県新聞と、東京にある5大紙、通信社2つ、テレビ番組(東京キー局)の
「クルド」
「トルコ」
という単語の出る記事を集めている。
私の調べた限り、報道の状況は次のようなものだ。

▼埼玉クルド人問題を筆者は2023年5月から伝え始めた。
それまで
「クルド人」
の問題行為の記事はなし。
それどころか当時、クルド人は
「日本政府に人権を侵害された被害者」
という扱いをされていた。
▼2023年6月、川口市議会が、クルド人を念頭に置いた
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」
を可決。
事後的に大きく取り上げたのは産経新聞のみ。
▼2023年7月にクルド人が殺し合った。
怪我人が運ばれた川口市立医療センター前に、被害者と加害者の親族、クルド人約100人が集まり、双方が揉み合い、騒乱を起こした。
直後に
「クルド人によるもの」
と報じたのは筆者のみ。
一応、各メディアは事件を短く
「トルコ国籍」
と報じた。
▼2023年9月、クルド人解体工が、筆者を殺害予告して逮捕。
2023年11月に不起訴になった。
報じたのは産経新聞のみ。
▼2023年11月、トルコ政府が、日本にあるクルド人団体2つ、在日クルド人6人をテロ組織関係者として資産凍結措置をした。
報じたのは筆者と産経新聞とテレビ2局のみ。
▼2024年3月、クルド人による女子中学生性的暴行事件が起きた。
産経新聞以外では2紙しか報じなかった。
逮捕されたのは
「クルド人2世」
であることなど詳しい背景を報じたのは筆者と産経新聞のみ。
▼クルド人ら10人が2024年3月、筆者を名誉棄損で訴えた訴訟は全メディアが詳細に伝える。
クルド人側の
「差別された」
「子供が虐められた」
というコメントをそのまま掲載し、さも、筆者が悪い事をしているかのように報じた。
▼在日クルド人の大半は虚偽の難民申請をしている可能性が高い。
ところがメディアは未だに
「トルコから迫害を受けて難民申請している」
という表現を続けている。
▼大手メディアはヘイトスピーチ(人種憎悪)、ヘイトデモがあったと繰り返す。
しかし、数人の極右勢力のデモしかない。
また埼玉県民はそんな事をしていない。
現実を歪めて伝えている。

このように埼玉クルド人問題では、産経新聞以外のメディアの報道がおかしい。
2024年11月、左派団体が埼玉で
「在日クルド人をめぐる報道と市民」
をテーマにシンポジウムを行った。
地元紙の埼玉新聞の記者が出席したが、
「ヘイトが行われている」
と繰り返していた。
私は
「県民の苦しみを何故伝えないのか」
「産経新聞や個人である私がクルド人問題で独自記事を大量に出しているのに、何故報道しないのか」
と質問した。
記者は、
「人手不足でクルド問題の担当者が置けず、現場を回りきれていない」
「住民の批判は受け止めるが、私はクルド人による被害は聞かなかった」
「会社の方針として、クルド人問題を取り上げていないわけではない」
と弁明した。
これは明らかにおかしい弁解だろう。
クルド人による多くの迷惑行為への批判を、県民がしている。
これを伝えないのは」、メディアとして異様な感覚だ。
■朝日新聞のウソ
奇妙な報道の例を取り上げてみよう。
朝日新聞は2024年4月30日、
「越境した憎悪、拡散瞬く間、在日クルド人を装い1人で180件投稿」
という記事を掲載。
次のような内容だった。

▼クルド人へのネット上の差別やヘイトが拡散している。
2023年9月、Xにて、クルド人と称するアカウントが
「私たちはゲストではなくホスト」
「公用語はクルド語であるべきだ」
と投稿。
日本人はその言葉に怒っている。
▼それを書き込んだのは、トルコ在住のトルコ人だ。
朝日新聞の取材に
「日本人は無邪気だから何でも信じる」
と答えた。
▼石井孝明が最初にクルド人問題を取り上げたと自分で言っている。
この人物はクルド人団体に訴えられた。
▼川口市の食品店の女性による(クルド人問題は)
「空想の世界の話みたい」
との発言で、記事は終わる。

全体を読み終えると、
「クルド人問題は一部の人の煽動で作られた妄想だ」
「愚かな埼玉県民がトルコ人のイタズラに踊らされた」
という印象が残る内容になっている。
当然、この記事はクルド人問題に苦しむ埼玉県民の批判を集めた。
実は、私はこの記事に登場するクルド人が実際はトルコ人であることを投稿直後に見破り、彼の投稿をやめさせた。
日本人が騒いだと喜んでいたので
「問題を混乱させることをやめろ」
と、叱り付けるような抗議をした。
抗議後、この人は
「トルコ人です。ごめんなさい」
と日本語で返事を送って来た。
この事実を私はXで公表し、日本人側に反応することをやめるよう呼び掛けた。
この騒動は1日で収まり、大した影響はなかった。
反応した日本人も少ない。
それなのに朝日新聞は、大事件であるかのような報道をした。
そもそも、埼玉県のクルド人問題はトルコ人の1回のイタズラで動く問題ではない。
私はその後、これら情報を削除した。
私は在日クルド人と取り巻きの日本人に、Xでまとわりつかれ、中傷されている。
そのクルド人らが、
「トルコ人がクルド人のふりをして騒いだ」
と喚いた。
利用されるのを避けるためだ。
この記事を執筆した朝日新聞の記者は、私に取材を申し込んできた。
「クルド人ヘイト問題を取り上げます」
と連絡してきたので、
「埼玉県民も私もヘイトなどしていません」
「お断りします」
と返事をした。
すると
「断ったメールを記事にする」
と通告してきた。
これは無礼で異様な行動だ。
強い抗議を、朝日新聞にしたところ、私のコメントの掲載は中止された。
その朝日新聞記者は、埼玉クルド人問題について、ほとんど知識がなかった。
それなのに、前述のクルド人に成り済ましたトルコ人に辿り着いたのは不思議だ。
それを知っているのは、在日クルド人のみだから、朝日新聞の記者はそこから情報を貰った可能性が高い。
この仮説が正しければ“スキャンダル”だろう。
紛争の当事者の一方に取材し、その利益になるよう報道しているからだ。
であれば、朝日新聞記者の取材能力と倫理観の低さに驚く。
私がこうした事情を明らかにすると、この朝日新聞の記事は批判を集めてネット炎上を起こした。
「クルド人から情報を貰ったのか」
と逆取材をした。
すると朝日新聞広報部から
「取材の経緯に関わることなので、お答えを差し控えます」
と、予想通りダンマリを決め込む返事が返って来た。
■物言えぬ状況作る
毎日新聞は
「ヘイト解消法8年」
というタイトルの在日クルド人へのインタビュー記事を2024年8月9日に掲載した。
そのクルド人は、自分たちはこれまで問題を起こさなかったのに、クルド人差別をする一部フリーライターが
「ビジネスのため」
ヘイトスピーチをしていると述べていた。
このクルド人と毎日新聞記者の認識は異様だ。
クルド人の迷惑行為、違法行為は現実に存在する問題だ。
このクルド人は、2024年2月、川口市で日本人のクルド人問題についてのデモがあった時、そのデモ隊の日本人に
「日本人死ね、日本人死ね、精神病院に行け」
と喚く映像が撮影、拡散され、日本人から大変な批判を受けた。
ビジネスのため報道しているというのは、私のことを言っている。
これはウソと中傷である。
毎日新聞の広報室に説明を求めた。
しかし、同社からは
「記事で中傷は行っていません」
という、短い、非礼な返事のみが返って来た。
別のおかしな報道もある。
現在、埼玉県越谷市では、クルド人による不法投棄、ヤード(資材置場)でのトラブルが発生している。
立澤貴明越谷市議会議員が2023年11月、
「クルド系解体業が農地からヤードへの転用を依頼してきたが断った」
「外国人に安易に土地を貸すことはやめよう」
という趣旨の呼び掛けをXで行った。
彼は行政書士でもある。
ところが
「クルド人を巡る越谷市議のXの投稿に埼玉県行政書士会が『ヘイト』だと指摘」
と、朝日新聞に報道され、埼玉県の行政書士会から1年間の会員資格の停止処分を受けた。
その際、行政書士会に大量の抗議電話とメールがあり、それと同時に、朝日新聞が報道したという。
私は立澤議員の呼び掛け内容は当たり前だと思う。
抗議がクルド人によるものか、日本人によるものか。
そして、朝日新聞が政治活動家と協力して動いているかどうかは不明だという。
一方で、越谷市民による、立澤議員への抗議はほぼなかった。
立澤議員は
「言葉足らずな面があり、その点は反省します」
と述べた。
そして、このように残念がる。
「考えるべきは、外国人の行動によって困っている日本人、越谷市民を助けることです」
「もちろん外国人の人権は大切ですが、それを第1に行うべきです」
「批判が強くなると、外国人問題でものを言うことができなくなり、人々が発言に委縮してしまう」
「すると、その問題が社会的に取り上げられず放置され、悪化する場合もあるでしょう」
「越谷市の外国人問題でそうしたことが起きるのを懸念しています」
日本のメディアは、埼玉クルド人問題で、日本人が苦しんでいるのに、クルド人・外国人を擁護する記事を報道し続ける。
知ろうとする人の要求や、当事者の埼玉県民の声を無視する。
そうした行為は理解できない。
この理由は推察でしかないが、人権問題をタブー視する各メディアの組織の論理に捉われてしまっているのだろう。
■「ツイデモ」で伝わる住民の本音
クルド人問題について政治家、行政、メディアなどの責任ある立場の人が、問題を直視せずに逃げている。
しかし多くの日本国民が声を上げ、ネットを中心に情報が伝わり、問題が知られるようになった。
1つの例がある。
2024年2月頃から川口市民20名ほどが、機会ある毎に
「ツイデモ」
を行っている。
これは、大人数で同時に投稿してXのトレンドに表示させて、他の人に興味を持ってもらう行為だ。
「ツイデモ」
は特定の政治集団が組織だって行うことが多い。
しかし、何の政治的背景もない人々が中心となることは珍しく、私もこの企画に参加した。
Xでは#(ハッシュタグ)を付けた単語は検索されやすくなるので、言葉にこれを付けた。
以下のものがあった。
参加者は事前に、特定民族の言及や差別、攻撃的な内容にしないことを申し合わせた。
#JapaneseLivesMatter:「日本人の命の問題」(2020年、黒人への人権侵害の際にXやネットで溢れた「Black Lives Matter」運動にちなんで作られた)
#NativeLivesMatter:「住民の命の問題」
#川口に平和を #蕨に平和を #埼玉に平和を #住民の声を聞いてください
次の文章を付けたイラストも流された。
「私たちの存在を、消さないで。NATIVE LIVES MATTER差別やヘイトはダメ! でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?」(写真@)
私もトルコ人が送ってくれたAI画像を掲載した。
幸せそうな日本の子供の画像(街並みは1970年代のようだが)と、未来の日本の子供の画像だ。
後者は、クルド系の凶悪なテロ組織PKK(クルド労働者党)の旗を掲げた外国人に、汚れた町で怯えている(写真A)。
反響は大きかった。
私はこのツイデモで何十も投稿したが、その中には閲覧が数十万件以上に達するものが、いくともあった。
これを取り上げたメディアの報道は、筆者と産経新聞のみで、他のメディアは無視。
市民感情と日本のメディアは明らかにかけ離れている。
■ネットで繋がり情報を交換
そして埼玉県民と、その協力者の間に緩やかなネットワークが幾つも出来つつある。
常時多数の人が、ネットの様々な場で、クルド人・外国人問題で、情報を交換し、どのようにすればよいかを話し合っている。
私もその緩やかな繋がりに、幾つも参加している。
前回の『WiLL』の寄稿2024年9月号
「埼玉クルド人問題 岸田政権のフラつき移民政策が原因」
で人々がネットで繋がり始めていることを伝えた。
今、その関係が深まっているのだ。
その意見は次の通りまとまりつつあるように思える。
@問題行動をする一部クルド人との「共生」はこれまで埼玉県民が試みて失敗した。
我慢に我慢を重ねて現在の状況があるので、もう無理だ。
クルド人は問題行動が多く、歓迎されていない。
A出入国在留管理庁は、犯罪や不法行為をした外国人、クルド人を即座に強制送還させるべきだ。
B埼玉県警、さいたま地検は、不法行為をする外国人に法を適正に適用、執行してほしい。
C人種差別は許されない。
現行法の枠内で不法行為をする外国人を取り締まるべきである。
一方で「共生」という綺麗事を述べる段階は終わった。
Dメディアや政治家、市民団体の異様な外国人擁護については「おかしい」と批判する。
■外国人問題解決、意見を形にする
そして今、こうした意見を形にすることも議論しており、私は、次のようなことを呼び掛けている。
<私たちは仕事を持っており、クルド人問題ばかりに向き合えない>
<政治家に動いてもらい、行政の実行を求めるべきだ>
<そのために、政治的に中立性を保ちつつ、外国人・クルド人問題に限って、真面目に取り組む地方と国政の政治家を支援する>
<そして消極的な議員への落選運動は有権者として当然の権利だ>
<そして署名や陳情、通報で行政を動かしていく>
この意見に賛同する人は多い。
またクルド人を雇うことで問題を起こす日系、クルド系の会社の名前を交換し、土地や住居を貸さないことなどを呼び掛けることを埼玉県民は行っている。
これは特定民族への嫌がらせではなく、問題行為を事前に抑制し、街と地域社会を守るための当然の行動だ。
インターネット上に
「#埼玉に平和を」
という目的で人々が集う。
そして社会防衛を自ら行う。
こうした新しい社会運動の兆しがクルド人による治安悪化で生まれつつある。
頼りない行政だけには任せられず、各住民が独立して動いている。
日本の一般国民は見識があり健全だ。
そうした人々の行動をまとめる社会運動の方法がこれまでなかった。
災いの結果とはいえ、こうした前向きな集まりが生まれているのは、励まさられるし、希望が抱ける動きだ。
今、日本では移民の流入を、政府が準備もなく、また国民的議論もなく、進めている。
外国人の大量居住の失敗例となってしまった埼玉クルド人問題の情報を国民に届け、議論を深め、問題解決の動きを進めていきたい。
そしてクルド人問題による埼玉の混乱を知れば、賢明な日本国民は今行われている準備なしの外国人受け入れ政策を必ず拒否するはずだ。

クルド人男の性犯罪再犯事件、県議の照会にも県警答えず「なぜ隠すのか」 男は難民申請中
「移民」と日本人
2024/12/6 11:47
https://www.sankei.com/article/20241206-7MQ2Z5GBKVKDZNSJGV5POBW6GE/
埼玉県川口市内で女子中学生に性的暴行をして執行猶予中だった在留クルド人の男が、再び性暴行の容疑で逮捕、起訴された事件で、県警は性犯罪の再犯にもかかわらず2度目の事件を発表していなかった。
県議会議員が県警に説明を求めた際も応じず、この県議は
「幼い少女が被害にあった重大事案」
「なぜ隠すのか非常に問題であり、議会でも事実確認したい」
と話した。
不同意性交罪に問われているのは、さいたま市南区大谷口の無職、ハスギュル・アッバス被告(21)。
今年2024年1月に川口市内で女子中学生に性的暴行をして懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けながら、執行猶予中に再び12歳の少女に性的暴行をしたとして不同意性交の容疑で逮捕、起訴され公判中。
難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
事件の情報は警察が発表していないにもかかわらず、SNS(交流サイト)などを通じて拡散、一部サイトでは
「県警はクルド人だから発表しないのか」
「外国人にやさしい埼玉県警」
などの批判が殺到していた。
こうした動きを受けて埼玉県の諸井真英県議(無所属)が県警本部に説明を求めたところ、約2週間後に県警の議会担当者が
「県警として広報していないため、警察としてはお話しできない」
と回答。
「被害者のプライバシーに配慮した上で、事実関係だけでも確認させてほしい」
と再度求めたが、県警の対応は変わらなかったという。
諸井県議は
「幼い少女が埼玉県内で立て続けに事件に遭っている」
「こんな重大事案をなぜ発表しないのか」
「県議会議員にさえ説明できないのか」
「非常に問題であり議会でもしっかり事実確認したい」
と話している。
事件を扱った武南署幹部は取材に対し、
「被害者の意向を強く尊重して発表しなかった」
と話している。
県警はハスギュル被告の1度目の逮捕の際は、逮捕当日に発表していた。
容疑も同じ不同意性交だった。

<独自>女子中生に性暴行のクルド人男、執行猶予中に別少女にも性暴行 埼玉県警発表せず
「移民」と日本人
2024/12/6 11:26
https://www.sankei.com/article/20241206-3OVSSHWOXJOIFFCYCBYWHA4C2A/
埼玉県川口市内で女子中学生に性的暴行をしたとして今年3月に逮捕されたトルコ国籍の無職男が有罪判決を受け、執行猶予中の2024年9月に12歳の少女に再び性的暴行をしたとして逮捕、起訴されていたことが2024年12月6日、分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在留クルド人で、事実上の
「移民2世」。
難民認定申請中で仮放免中だった。
埼玉県警は2度目の事件について発表していなかった。
情報を知った埼玉県議が問い合わせても県警は答えなかったという。
起訴されたのは、さいたま市南区大谷口の無職、ハスギュル・アッバス被告(21)。
起訴状によると、ハスギュル被告は2024年9月13日午後8時頃から同11時15分頃までの間、川口市内のコンビニ駐車場などに止めた乗用車内で、12歳の少女に性的暴行をしたとして不同意性交の罪で起訴された。
現在公判中という。
ハスギュル被告は今年2024年1月、川口市内の別のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子中学生に性的暴行をしたとして2024年3月、不同意性交の容疑で逮捕、県青少年健全育成条例違反罪で起訴された。
さいたま地裁で2024年5月27日、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が確定、釈放されていた。
ハスギュル被告は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたという。
父親と共に難民申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
事件を扱った武南署幹部は取材に対し、
「被害者の意向を強く尊重して発表しなかった」
と話した。
法務省の調査によると、性犯罪の有罪確定から5年以内の再犯率は13・9%。

中学生に性的暴行したクルド人は難民申請中だった 地元市議は「実態を正しく直視するべき」
2024年4月5日
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/04050558/?all=1
埼玉・川口市でクルド人男性が不同意性交容疑で逮捕された。
女子中学生に性的暴行をした疑いである。
実はこの男性、難民申請中だった。
悲劇の主人公のはずの
「難民」
が他人を悲劇に追いやる、その実態とは。
 ***
報道等によると、2024年3月7日に逮捕されたのはさいたま市に住むハスギュル・アッバス容疑者。
トルコ国籍の20歳、解体工だという。
事件があったのは2024年1月13日のことだ。
アッバスは都内の女子中学生とSNSで知り合い、複数人でドライブ。
2人きりになった後、川口市内のコンビニの駐車場に停車し、車内で犯行に及んだ。
行為の時間は約6分。
粗暴極まりない事件である。
川口市とその周辺でクルド系の住民と地元住民との間に軋轢が生じているのは周知の通り。
■市議も「不安に思う市民が増えている」
2023年7月4日は男女の揉め事で怪我をしたクルド人男性が川口市立医療センターに運び込まれ、それを巡ってクルド人が100人ほど病院に集結。
一時、救急搬送の受け入れが停止されるという大騒動が起きた。
「不安に思う市民が増えていると感じます」
とは、川口市議の奥富精一氏。
「これまでも一部のクルド人が改造車で危険運転や違法駐車をしたり、あるいは喧嘩をしたりという事例が見られてきました」
2023年6月には市議会で
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」
が採択されている。
「そこにきて今回の事件ですから、市民の不安が益々増したとしても不思議ではありません」
■クルド人増加の背景事情
クルド人とは、中東のトルコやイラン、イラク、シリアなどの国境地帯に住む「国を持たない民族」。
川口は彼らが集住する地域として知られ、現在、2000人以上が暮らしている。
「彼らは難民申請をしているケースが少なくない」
と言うのは、入管のさる関係者だ。
「トルコと日本は現在、短期滞在ならビザは必要ではありません」
「で、ノービザで入国し、滞在期限が切れるまでの間に難民申請を行うんです」
「すると、その審査期間中は強制送還が止められる」
「川口に来るクルド人の多くは、ある特定の地域の出身です」
「こうした仕組みで入った人たちが地元の親類縁者を呼び寄せ、数が増えていったんです」
今回の事件を起こしたアッバスも、先に日本に来た父を頼って幼少期に来日し、難民申請をした“移民2世”だという。
「実際、彼らが難民認定されることはほとんどありません」
「クルド人が母国で差別されているのは事実でしょう」
「が、難民条約が規定するように、自由が奪われたり、生活が著しく損なわれ、生命の危機が生じているかと言えば、そこまでとは認められないことが多い」
「申請期間中に日本で稼いで帰国するか、或いは子供が小中学校に長期間通うなどすれば、在留特別許可を貰えるかもしれない」
「クルド人増加にはこうした背景事情があります」
しかし、そうした入国経緯の者の中から凶悪犯が出れば、住民との摩擦が生じるのは当然の事だろう。
■グレる2世
この地域で長年、クルド人支援に携わってきた「在日クルド人と共に」理事の松澤秀延氏は、
「彼らも日本の社会に順応したいと思っていますが、日本側の拒否反応が強く、そこで絶望を感じてしまうことも多い」
と分析するが、
「今回の事件もそうですが、2世の中には学校に行かず、いわゆる“グレて”しまうケースも少なくない」
「この問題を指摘するとすぐ差別と言われますが、まずは実態を正しく直視することが重要だと思います」
(奥富市議)
多様性尊重――そんな建前だけでは語れない現実が、この川口には横たわっているのである。
週刊新潮 2024年4月4日号掲載

川口クルド問題で市民の声続々「事実報道しない」「過度に配慮」 大半がメディアに苦言
「移民」と日本人
2024/3/4 15:05
https://www.sankei.com/article/20240304-PWXWSDPU4RLCBF7W7ODSN76LJQ/
埼玉県川口市に住む女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像やメールによる訴えなどを産経ニュースで紹介したところ、多くの読者の声が届いた。
近年SNS(交流サイト)などで、個人の意見が
「拡散」
されることが増えているが、比較的短い感想や攻撃的な内容になることも多い。
今回、メールで募集したところ、いずれも長文で、自身の体験や意見を淡々と述べたものがほとんどだった。
「テレビは事実を報道しない」
「ヘイトと言われる日本は本当におかしい」
などと綴られ、全体の4分の1は埼玉県内からだった。
■「正直怯えて子育てしている」
川口市で子供を育てているという40代女性は
《テレビのマスコミは何らかの恩恵や力が働くのかわかりませんが、ほとんど事実を報道しません。記事を読んで、勇気を出して文章にする方もいるんだなと感銘をうけました》。
女性は、以前は横浜市内に住んでおり、
《外国人が多い地域でいろいろな国の友人もいました。外国人に対する差別意識はありません》
とした上で、川口市について
《実際に子育てして住んでみると、治安の悪さに驚きました》。
これまでの自身の経験を綴り、
《正直おびえて子育てしている》
《日本の子供たちに与える影響が怖い》
としつつ、
《何かを発言すればヘイトだとか人種差別だと、圧力や嫌がらせがありそうで、怖くて発言できません》
《安心して子供を公園で遊ばせられる、安全な子育てができる埼玉県に戻ってほしいです》
と結んだ。
■「どこがヘイトや差別なのか」
埼玉県内の33歳女性は
《迷惑行為を繰り返すクルド人の取り締まりを強化して、もともと住んでいた方が平穏に暮らせる生活を取り戻すことの、どこがヘイトや差別なのでしょうか? クルド人問題を提起しただけで「ヘイトだ!」と言われてしまう日本、本当におかしいです》
と訴えた。
こうした声が寄せられた背景には、2024年2月18日にJR蕨駅周辺で行われたデモの際、クルド人団体
「日本クルド文化協会」
の関係者が
「日本人死ね」
とも聞こえかねない発言をしたことや、2024年2月22日のインターネット番組でフリーアナウンサーの女性が
「外国人との共生が不可だとなると、日本人は引っ越しできるので人口が流出するだけ」
などと発言し、物議を呼んだことなどがあるとみられる。
■「オープンな議論できない状況」
埼玉県外からも多くの声が寄せられ、
神奈川県の50代女性は
《この問題に対する貴社以外の一部メディアによる偏向報道や政治・行政の無為無策に憤り、悲しみを感じておりました。川口に無縁であっても、想像力さえあれば、苦しむ川口市民の気持ちは十分理解できます》。
茨城県の38歳男性は
《川口の状況を知らない日本人はたくさんいますし、メディアも政治家もスルーする状況の中、問題解決に向かう大きな一歩だと思いました》
と綴った。
初めて意見を投稿するという東京都の58歳女性は
《大きな問題であるにもかかわらず、大手メディアで取り上げられることがほとんどなく、取り上げられたとしても過度に配慮した扱いに大きな不安を感じていた。川口市の問題は他人事ではなく明日はわが身の問題です》
とし、こう続けた。
《国の形を変えるような問題が差別や目先の労働力確保といった問題に摩り替えられ、オープンな議論ができない状況で、影響力のある大手メディアが問題提起しない姿勢に疑問を感じていた。今回の地元女性の訴えはそのような状況に一石を投じるものと感じる》
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

「行き場ない怒り、悲しみに光」川口クルド問題でメディアの役割とは 地元女性メール全文
「移民」と日本人
2024/3/1 12:28
https://www.sankei.com/article/20240301-H3IBW3M6KBPBRGDWTSL7MCQTLI/
埼玉県川口市に住む30代の女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像を産経ニュースで紹介したところ、女性から
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみに光を当てていただいた」
とするメールが届いた。
画像は、同市内などに在留するトルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢の中、
「苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?」
と訴える内容。
女性は
「市民の意見を聞こうともしないメディア」
に疑問を投げかけている。
移民受け入れに対する報道を巡っては、過去の欧州の経験でもその役割が問い直されている。
■欧米メディアも「報道しない自由」
欧米では現在、不法移民を含む移民の増加による社会の混乱が、国家的な課題となっている。
その背景として、メディアが
「ヘイト」
「差別」
と批判されることを恐れるあまり、必要な報道をしてこなかったとの指摘が出ている。
2017年に英国で出版され、ベストセラーになった
「西洋の自死」(ダグラス・マレー著)
によると、英国の世論調査で国民の過半数は移民の受け入れに否定的だったのに対し、メディアの多くは賛成の論調を張った。
その後、英国をはじめ欧州が大量の移民を受け入れるにつれ、移民による犯罪が頻発するようになったが、欧州のメディアは
「人種差別主義者」
と呼ばれるのを恐れて、そうした事実を極力覆い隠そうとしたという。
英国で2004〜2012年、パキスタン人らの集団が11〜15歳の少女らを性的に暴行し人身売買した事件では、国名や宗教名などはほとんど報じられず
「アジア系」
とだけ伝えられた。
ドイツの都市ケルンで2015年の大みそか、約1000人の外国人らが数百人の女性を集団で性的暴行し、金品を奪った事件は当初、大手メディアが報道せず、事件が明らかになったのは数日後のインターネットのブログを通じてだったという。
■国会質問が「ヘイトスピーチ」
現在の我が国のクルド人を巡る報道はどうか。
その多くは、難民認定申請を繰り返す彼らが法的に不安定な立場に置かれているとして、同情的に扱っている。
クルド人そのものの報道も少なく、取り上げられる際は、好意的な報じ方が一般的となっている。
2023年6月から2024年3月にかけて本紙や産経ニュースが報じた川口市のクルド人を巡るニュース20件について朝日、毎日、読売の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の5媒体を対象に商用データベースなどで報道状況を検証した。
2024年2月26日の衆院予算委で、川口市が地元の議員が外国人の治安問題について、民族名の名指しを避けながら質問した際も、
「ヘイトスピーチだ」
などとするジャーナリストの談話を掲載した通信社の批判記事が配信された。
今回、メッセージ画像を制作した女性は子育て中で、一部のクルド人による危険行為に脅かされながら生活しているという。
画像には
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《私たちの存在を、消さないで。》
《差別やヘイトは絶対ダメ!でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
と訴えている。
女性は産経新聞に寄せたメールで、我が国のほとんどのメディアについて
「もはや信用ができない状態」
などと綴った。
全文をほぼそのまま紹介する。
■「ペンのチカラ信じたい」
自分のような市民の小さな声を拾い上げてくださり、本当に感謝しております。
川口の外国人問題については、貴社以外のメディアは、ほとんど市民の声を聞こうともせず、外国人が起こした事件・事故・迷惑行為を極小化し、
「体感治安が悪化しているのは、川口市民が外国人に対して偏見を持っているからだ」
「もっと川口市民が歩み寄り外国人を理解するべき」
といった、角度がつきすぎた論調に無理やり導こうとしているので、もはや信用ができない状態で、行き場のない怒りを抱いておりました。
この問題に悩んでいる多数の川口市民も同様の気持ちを抱いている状況です。
そのため、記事によって、この
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみ」
に光を当てていただき、本当に感謝しております。
私は貴社の報道とそのあり方を拝見し
「ペンのチカラ」
を、改めて信じたいと思っているところです。
お忙しい中かと思いますが、どうぞご自愛くださいませ。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

「地域住民の人権は無視ですか?」報道されない川口クルド問題、地元女性制作の画像急拡散
「移民」と日本人
2024/2/28 16:00
https://www.sankei.com/article/20240228-LGU5ZQA3YJFU5IXW6BNCV75DPQ/
「私たちの存在を、消さないで。」―。
シルエットの女性がこう訴える画像がSNS(交流サイト)で拡散されている。
作成したのは、トルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢が表面化している埼玉県川口市に住む30代の女性。
「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」。
女性は
「ヘイトスピーチだ」
などと批判されることを極度に恐れつつ、勇気を振り絞ってこの画像を作成したという。
■まるで私たちは存在しないかのように
画像は、
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《差別やヘイトは絶対ダメ! でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
とのメッセージが添えられている。
米国で黒人差別解消を訴える
「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」
運動に倣ったという。
川口市内では、解体資材置き場周辺や住宅密集地での過積載のトラックや改造車の暴走行為が問題化。
女性の自宅近くにも資材置き場があると言い、
「中学生くらいの外国人が携帯をいじりながらトラックを運転していたり、改造車が昼間から走り回り、タイヤを急回転させて白煙が上がっていたりするのを何度も目撃した」
という。
女性は
「暴走行為や迷惑行為などで怖い思いをしても、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「地域住民は存在しないかのように扱われていると感じていた」
「その思いを画像に込めた」。
ここは私たちの地元です
女性には小さな子供がおり、通学路が心配で仕方ないという。
ただ、この問題をSNSなどで敢えて訴えると、
「ヘイトだ」
などとすぐに批判される。
女性の知り合いにも
「反ヘイト団体」
などからSNS上で罵られた人もおり、地元でも声を上げにくい雰囲気があるという。
デザインアプリで画像を作成、2024年2月26日に自身のX(旧ツイッター)に投稿したところ、多くの人が拡散した。
ネット上では
「川口にもとから住んでいる日本人に我慢を強いた上での外国人との共生に何の意味があるのでしょうか」
などのコメントがある一方、
「分断は不幸しか生みません」
「差別の扇動やめなさい」
といった投稿もあり、拡散を続けている。
女性は
「政治家や行政もなかなか動いてくれない」
「ふつうに生活しているだけなのに、安心して暮らせない」
「ネット上では『引っ越せばいい』などと言われるが、ここは私たちの地元です」
「やむにやまれない気持ちを知ってほしい」
と話している。

自民・若林洋平氏、クルド人批判に投稿 「日本の文化・しきたり理解できない人はお帰りを」
2024/2/22 20:44
https://www.sankei.com/article/20240222-PEUMAQOSUBBT3E5OAVNXL33R2M/
自民党の若林洋平参院議員(静岡選挙区)がX(旧ツイッター)で、在日クルド人についてのコメントや外国人らの参加するデモ動画についてのコメントを引用しながら
「日本人の国なので、日本の文化・しきたりを理解できない外国の方は母国にお帰りください」
などと書き込んだ。
この動画には、JR蕨駅前の路上に集団が集まり、
「日本人死ね」
と発言したような声が収録されている。
集団の周囲は多くの警察官が囲み、騒然とした様子も伝わってくる。
若林氏は2024年2月19日付の書き込みで
「我が物顔で日本人に迷惑をかけ、挙げ句日本人死ねというならどうぞお帰りください」
などと記した。
「外国人に対する生活保護などあり得ません」
「それでも日本にいたいなら日本のルールくらい守れ!」
とも書いた。

在日クルド人に訴えられた!
Hanada2024年6月号 ジャーナリスト 石井孝明
■不法移民がやりたい放題
埼玉県南部、特に川口市に集住するトルコ国籍のクルド人の一部が犯罪や迷惑行為を行い、地域住民とのトラブルが深刻になっている。
既存メディアが取り上げない中で、フリー記者の私は、この問題を2023年春から報道してきた。
すると、在日クルド人10人と日本人妻1人が2024年3月19日、SNSへの投稿で名誉を傷付けられたとして、私に500万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
原告側は、
「事実に基づかない誹謗中傷により、在日クルド人の社会的評価が一方的に低下させられている」
としている。
原稿を執筆中の2024年4月14日に、訴状が届き、内容の検証を始めたが、私は訴えられるような不法行為をしたという認識はない。
私は取材に基づいて、
「日本人がクルド人による迷惑に苦しんでいる」
という情報を報道しただけだ。
月刊『Hanada』には2023年10月号に、
「『裏口移民』クルド 埼玉で大暴れ」
という寄稿をした。
在日クルド人の大半は、トルコのパスポートで来日する。
トルコと日本は相互に90日間の滞在に限り、ビザ免除で入国できる。
観光を想定したものだ。
その滞在期間中に、クルド人は親族の会社で働く。
滞在期限が切れると帰国して再来日、または不法滞在の形で残り続ける。
在日クルド人の多くは、トルコ政府に迫害を受ける
「難民」
と自称している。
しかし、彼らの大半は
「出稼ぎ」
だ。
トルコは特定民族の迫害政策などしていないので、難民という主張は虚偽である可能性が高い。
難民審査中の間は、日本政府は強制送還できない。
そのために、彼らは認められなくても、難民申請を繰り返して日本に居着く。
正確な統計はないが、推定4000〜5000人が集まってしまった。
彼らは主に解体業を行い、経済力を持ち始めた。
安い値段で解体を請け負うが、そのために建設業界は混乱している。
また、廃材の不法投棄、違法就労をしている可能性も高い。
更にクルド系テロ組織
「PKK」(クルド労働者党)
の影が、在日クルド人の間でも見え隠れする。
そして、一部のクルド人の生活態度は悪い。
騒音、ゴミの散らかし、女性へのナンパ、車の暴走行為などを行う。
近くに住む埼玉県民は、恐怖を抱くほど迷惑している。
こうした事実を、私は忖度なく伝えた。
その報道は多くの人の関心を集め、被害に遭っている埼玉県の人々からは、苦難を代弁してくれたと評価を頂いた。
現在、米国や西欧で不法移民の流入とそれによる治安の悪化が進行している。
日本でも同じことが起きていると初めて伝えたことも、注目の一因になったようだ。
一方でクルド人、そして日本人の人権活動家は、私を憎しみの対象にした。
私は国内外のクルド人から100通ほどメッセージを受け取った。
その中で、
「クルド人は態度を改めなければならない」
と自省する人は僅か数名。
大半は批判で、私を罵倒、脅迫、原爆の写真を送り付けるなどの嫌がらせをした。
クルド人は批判を受けると、まず相手を激しく反撃する習性がある。
これは世界では普通の反応かもしれない。
だが、外国人と仲良くしようと考える日本社会とは相容れないものだ。
その表れの1つが、今回の私への訴訟なのだろう。
■原告側にテロ組織の関係者
私への訴訟で、特におかしな点を2つ指摘しよう。
第1の問題は、原告側の立場の正当性についてだ。
報道によると、私を訴えたクルド人の中には
「仮放免」
という法的立場の人がいるという。
日本での居住が認められず、強制送還前に一時的に入管施設の外に住む人だ。
日本で裁判に訴えることは誰にでも認められる権利ではあるが、そうした立場の人が日本人である私を攻撃するために、日本の司法制度を使う。
これには違和感を覚える。
そして彼らは、
「難民」
の立場であると自称して日本に居着いた人たちだ。
難民と言うと弱い立場に聞こえる。
しかし今回、私を提訴した人々は、数百万円の訴訟費用を支払い、日本で訴訟を起こす。
奇妙な光景だが、立場は強く、財力もあるのだ。
またトルコ政府は2023年11月に、6人の在日クルド人と、川口市にある日本クルド文化協会など2団体を、PKK(クルド労働者党)関係者として資産凍結措置を行った。
「特定民族への差別だ」
と私を訴え、記者会見に出席した在日クルド人男性3人もその中に含まれている。
つまり、トルコ政府が言うテロ組織の関係者が、日本で取材者である日本人の私を訴えているわけだ。
こんなアベコベな話があるだろうか。
日本クルド文化協会は
「PKK(クルド労働者党)と関係ない」
と言い張るが、彼らの事務所が行うイベントではPKK(クルド労働者党)の旗が飾られていた。
テロ組織との関係が疑われるのは当然だろう。
また、この団体は2023年2月のトルコ地震の時に日本に居るクルド人や日本人から、日本円で4000万円以上の寄付を集めた。
トルコでの報道によると、その寄付の行方をトルコ政府は問題視しているという。
PKK(クルド労働者党)はトルコからのクルド人国家の分離独立を主張する共産主義団体で、1980年代からテロを行っている。
これまでの累計犠牲者数は、クルド人も含め約4万人とされ、トルコ政府は現在、その鎮圧活動を続けている。
日本クルド文化協会事務局長の在日クルド人V・C氏は、私への裁判の原告の1人だ。
この人は東京外国語大学で、クルド語の講師などをしている。
本人によると、トルコ政府に訴追されているという。
埼玉県川口市では2024年2月に、日本人右派のクルド人への抗議デモがあった。
参加者は僅か7人ほどだが、日本人やクルド人のグループ数十人が取り囲んで罵倒し、埼玉県警が間に入って大変な騒ぎになった。
このデモの動画が、SNSで私に送られてきた。
その中で、このV・C氏は
「日本人死ね、日本人死ね、精神病院に行け」
と叫んでいた。
私がこの事実を拡散すると、日本人を侮辱していると批判が広がった。
V・C氏本人は、
「日本人死ね」
ではなく
「病院に行け」
と言ったと弁解しているが、それでも人権を侵害するおかしな発言だ。
また、同協会幹部の在日クルド人W・C氏は、このデモの日本人に向けて中指を立てるという侮辱行為をしていた。
その写真も拡散され、批判を受けた。
この人もPKK(クルド労働者党)関係者として、トルコ政府に資産凍結措置を受けている。
M・S氏は、朝日新聞がかつて難民として取り上げた人物で、出入国管理法の改正に際して
「助けて下さい」
と記者会見をした。
しかし2023年5月のトルコ大統領選挙では、東京のトルコ大使館まで在外投票に出かけていた。
彼の仲間が写真をSNSに公開。
それを見つけた私が、
「難民なのに投票に行けるのはおかしい」
と指摘してSNSで拡散すると、これも騒ぎになった。
このように、日本を尊重せず、テロ組織と関係があると疑われる3人の在日クルド人が私を訴えているのだ。
日本には外国のテロ組織を規制する法律は、資金面以外にないので、活動は自由である。
こんなおかしな話があるだろうか。
■訴訟で記者を黙らせる
第2の問題は、これは典型的な
「スラップ訴訟」(嫌がらせ訴訟)
であることだ。
在日クルド人の問題を報道するメディア・記者は、私と産経新聞以外、ほとんどない。
その私が、この訴訟のため行動が抑制されてしまう。
これによって在日クルド人を巡る情報の拡散が制限されることになり、
「自分も訴えられるかもしれない」
という恐怖を一般の日本人に与え、この問題を巡る議論を封じるーこれが在日クルド人とその支援勢力の狙いなのだろう。
在日クルド人が日本人との共生を望むなら、私の報道を検証し、彼らの行いに問題があれば改めるように同胞に呼び掛けるべきだろう。
また、私の報道に間違いや疑問があるならば、その根拠を示してもらいたい。
私はかつて日本クルド文化協会に取材を申し込んだが、反応はなかった。
クルド人らは話し合いの道筋を自ら断ち、いきなり訴訟を起こした。
彼らは司法制度を利用し、他人を攻撃する武器にしているのだ。
異様なのは、日本のメディアも同じである。
この提訴に合わせて、私は司法記者クラブの求めに応じて、短いコメントを送った。
「原告には異様な行動の撤回を求めます」
「そして日本社会との共生を願うならば、争いではなく、記者を攻撃するのではなく、日本の法律やルールに従うことを求めます」
しかし、このコメントをそのまま報道したメディアは少数だった。
朝日新聞は
「在日クルド人に関する投稿『特定の民族への差別』(2024年3月19日記事)
という見出しで分かるように、クルド人側の言い分をそのまま掲載した。
日本のメディアは日本人の利益のために動かないことが、これで証明されたのではないだろうか。
■迷惑行為は続いている
在日クルド人は訴訟には熱心だが、自らの同胞が日本で引き起こすトラブルを止めることには熱心ではない。
埼玉県でクルド人による迷惑行為は続いている。
もちろん、在日クルド人全てが悪い事をしているわけではない。
しかし、難民であることを理由にして日本に居残り、問題を起こし続けている以上、クルド人がまとまりとして注目され、居住集団全体が批判されるのは仕方がないことだろう。
川口市議会は2023年6月に、
「一部外国人による犯罪取り締まりの強化を求める意見書」
を決議した。
このような要請が市議会から出るのは異例だが、そこから警察のパトロールが強化された。
だが2024年1月、在日クルド人2世の20歳の解体工が埼玉県川口市内に止めた車内で、SNSを通じて知り合った女子中学生に性的暴行を行った。
2024年3月に逮捕されたが、この男性は幼少期に来日し、中学校時代から非行に走っていた。
このようなクルド人2世の不良化を私は指摘してきたが、その懸念通りの犯罪が起きてしまったのだ。
ちなみに、この男性は父親と共に難民申請中の仮放免者である。
コロナ自粛の反動で全国的に犯罪は増加しているが、2023年の埼玉県川口市の刑法犯認知件数は、前年比16%増の4437件と急増した。
更に2024年2月末時点の刑法犯認知件数は656件で、前年同期比より16%も増えている。
人種別の犯罪件数は公開されてないが、クルド人を含めた外国人の犯罪が増えていることは否定できない。
警察の動きが少し早くなったとの評価があるが、事件になると、
「警察は逮捕などの強制的な手段をなかなか取らない」(埼玉県川口市民)
という。
外国人絡みの犯罪では、逮捕しない、不起訴などの結末も多いと、埼玉県川口市民の不満は広がっている。
私個人も、クルド人による被害に遭っている。
クルド人問題を報道後、住所を晒される、携帯電話に悪戯、そして直接電話があるなど、クルド人や仲間の日本人からの脅迫や嫌がらせが相次いだ。
私は合計4回、警察に相談した。
2023年11月には、クルド人の解体工が埼玉県警川口警察署で、
「石井孝明の報道をやめさせろ、さもなければここに死体を持ってくるぞ」
と言い、男は脅迫の現行犯で逮捕された。
しかし、さいたま地検は不起訴にしている。
理由の明確な説明はない。
こうした被害に加えて、クルド人は民事訴訟という更なる嫌がらせをしてきたのだ。
■不法滞在者に県が感謝状
埼玉県の対応もおかしい。
2024年1月22日、埼玉県の大野元裕知事は、クルド人の30代男性が実質経営する解体工事会社が埼玉県の社会福祉団体に100万円を寄付したとして、男性に感謝状を手渡した。
男性は、その授与式の写真を自らのPRに使っている。
この男性もまた難民認定申請中(何と5回目!)の仮放免者だ。
多額の寄付をした人に県が感謝状を贈る決まりのようだし、その善行は褒められるべきではあるものの、これでは県がこの男性の不法滞在を容認したようなものではないか。
埼玉県はそれ以外にも、不法滞在の外国人を支援するかのような活動をしている。
続けて
「公園を貸すな」
といった苦情が寄せられる中、2024年3月20日、在日クルド人は春の祭り
「ネウロズ」
を埼玉県内の公園で開催した。
この祭りはこれまで、PKKとの関係が疑われていた。
かつてほどではなかったが、2024年もPKKの旗を掲げ、PKKの歌が歌われたという。
ベルギーでは2024年3月24日にネウロズが開催されたが、それに参加したPKK関係者がトルコ人を挑発し、暴動に発展している・・・。
埼玉県の外郭団体である埼玉県公園緑地協会は、日本ではこのようなことは起きないと考えているのだろうか。
条件付きとはいえ祭りの開催を認めることは、テロ組織の活動を容認することであり、地域の安全を脅かす。
トルコとの外交問題を埼玉県が引き起こしかねない。
■日本人ファーストで方針を
日本政府もおかしい。
新たに、外国人材の確保を目的とした
「育成就労」
制度を創設する出入国管理・難民認定法などの改正案を2024年3月に閣議決定した。
3年間で一定の技能水準に外国人労働者を育成し、家族の呼び寄せを認め、長期的な就労に繋げるという。
政府資料などによると、この制度によって最大82万人の外国人が就労する可能性があるという。
家族を入れたらもっと増えるだろう。
事実上の移民推進政策だ。
一方で、日本政府は少しずつだが動き始めてもいる。
出入国管理法を2023年6月に改正。
法律の施行時期が明確でなかったが、2024年4月5日の閣議で2024年6月10日に施行することをようやく決めた。
難民申請は原則2回まで、3回目以降は特別の事情がない限り強制送還の対象になる。
何度も難民申請を繰り返して、日本に滞在することはできなくなる。
この方法で日本に居着いていたクルド人も減ることになるだろう。
私は自分の受けた被害、そしてクルド人問題の取材から、次の3つが政策の基本にあるべきだと考える。
第1に、日本人ファースト(最優先)で外国人対応の基本方針を定めること、
第2に、外国人に法適用を適切に行うよう司法・警察の制度を整えること、
第3に、法に基づいて外国人を管理して外国人への差別や憎しみが入り込まない状況を作ることだ。
差別や憎しみは日本社会を腐らせてしまう。
これら3つは
「当たり前」
のことだが、日本では全くできていない。
埼玉県で起きていることは、日本のどの場所でも今後起きかねない。
その対応が必要だ。
その上で、外国人との未来を考えなければならない。
クルド人による私への訴訟は小さな出来事だ。
しかし、そこには今の外国人政策や日本社会のおかしさが表れている。
それを正しい方向に戻すため、外国人を巡る正しい情報の発信やこの訴訟の勝利に、私は全力を尽くす。

記者「殺す」と脅迫のクルド人、さいたま地検が不起訴に-「被害者」として思う
2023年12月07日 06:30
石井孝明
https://withenergy.jp/3746
外国人問題を報道する記者の私、石井孝明の報道に腹を立てて、殺害すると脅迫して逮捕されたクルド人解体工を、さいたま地検が不起訴にしたことが2023年12月7日までに分かった。
私は被害者の立場として犯罪者が処罰を受けないこと、そして検察が外国人犯罪者を野放しにして日本国民である私を守らないことはおかしいと思うし、大変遺憾で不快である。
私の経験を紹介し、どのように行政が動くかを示すことは、同じように外国人の犯罪に巻き込まれた人、これから巻き込まれる人に、少し参考になるだろう。
そして実態を知れば、誰もが国民の安全を守らない日本の司法機関の頼りなさに唖然とするはずだ。
目次
・「殺す」と30歳代解体工が警察で騒ぐ
・検察の言い分「外国人だから不起訴にしたのではない」
・日本は外国人犯罪の準備ができているのか
・適正に法執行をすれば、不法外国人は日本にいられない
・「安全に暮らしたい」国民の願いを聞き届けない政府
■「殺す」と30歳代解体工が警察で騒ぐ
事件の概要は、この記事に書いた。
私は今年5月から在日クルド人のトラブルについて報道してきた。
するとクルド人が異様な行動をした。(「クルド人の男、記者石井孝明への「殺すぞ」との脅迫で逮捕、2日後釈放」)
30代のクルド人男性が埼玉県警川口署を2023年9月26日午後に訪れ、応対した署員に
「石井孝明がクルド人の悪口を言っている」
「警察は発言をやめさせろ」
「さもなければ石井を殺す」
「2週間後に死体を持って来る」
などと興奮状態で話した。
つまり私と川口署の双方を脅迫した。
この男を同日川口署は現行犯で逮捕した。
この男は難民認定申請中で、
「仮放免」
だった。
仮放免とは、難民と申請した状態の外国人は原則入管施設に入らなければならないが、送還までの間に一定の条件の下で施設外にいることを認める措置だ。
これを乱用して、多くのクルド人が日本に滞在している。
ところが裁判所が勾留延長を却下し、川口警察署は、このクルド人を2023年10月2日に釈放。
更に、2023年10月24日に、さいたま地検はこのクルド人を不起訴処分にした。
■検察の言い分「外国人だから不起訴にしたのではない」
私は1ヶ月以上経過しても、連絡がなかったので警察、検察に確認した。
不起訴であることを知り、検察官に処分内容の通知書の書面の送付を求めた。
その通知書を受け止めて、処分を行った検察官に面談を求め、知らなかった事実を聞いた。
記者ではなく被害者として話を聞いたために、内容は明かせないことがある。
ただ
「人を殺す」
というクルド人のおかしな男が、川口市に今もいる。
これは私だけではなく、川口市民にも、埼玉県民にも危険な状況だ。
犯罪者は、まだ日本にいるようだ。
検察官は
「(私石井の)安全に配慮した」
「外国人だから不起訴にしたのではなく、事件内容に基づき判断をした」
と述べた。
最後に検察の決定に不満を述べると検事は
「承りました」
とだけ答えた。
私は今後、この内容を巡り、犯罪者の早期の送還などの法的措置をするように、関係当局に働きかける予定である。
外国人の犯罪被害に遭われた人は、私の行動は参考になるかもしれない。
ただし私も自分の望む結果はまだ得られていない。
その途中である。
以下がポイントだ。
1・相手は行政機関であり文書で動く。
その対応の節目ごとに公文書を出してもらう。
2・それに基づいて質問し、行政機関の対応を確認する。
3・できれば弁護士、司法書士、行政書士などに相談し、望む結末になるように、行政に要請を続ける。
私の相談した弁護士は優秀な方で、私が怒りで動くのではなく、望む「目的」(後述)達成のために動くことに誘導してくれている。
■日本は外国人犯罪の準備ができているのか
そして不起訴という結末のこの事件を振り返ると、私は被害者として、3つの重要な問題が示されていると考えている。
第1に、日本の行政は、外国人犯罪に対応する準備ができているのかという問題だ。
自分が被害者の立場になって分かったが、司法制度では被害者救済の仕組みが全くできていない。
更に外国人犯罪に全く準備ができていない。
埼玉県では、クルド人や外国人がらみの犯罪を、県警は積極的に逮捕しない。
逮捕後も検察は積極的に起訴をしない。
つまり法による処罰をしない。
そして、その不起訴の理由も被害者が積極的に働き掛けない限り、明らかにされない。
埼玉県では多くの住民が、外国人犯罪で、このようなことしかできない司法制度に不満を抱き、法秩序が住民の不信によって揺らいでいる。
また法が適切に適用されないために、外国人も日本の警察を軽視している印象がある。
私も被害者なのに犯罪者を野放しにされ、検察・警察への不信を抱いている。
第2に、犯罪をしかねない異様な発想をする外国人が日本に存在しており、日本人の危険が高まっているという問題だ。
私の犯罪では警察に出向いて、
「人を殺す」
と喚いたクルド人が逮捕されている。
発想と行動が日本人と全く異なる人が日本に住んでいる。
犯罪やトラブルが増加するのも当然だ。
これだけではなく、多くの在日クルド人には日本人と共生する意思は見られないと私は取材を通して認識している。
彼らは自分勝手で、日本のルールを尊重しない。
これは他の外国人集団でも、同じ傾向が見られる。
日本人は
「外国人と仲良く」
「話せばわかる」
「共生」
などと善意で外国人に向き合う。
しかし外国人の中には、そうした日本人の発想とは異質で、そして日本人に隙があれば違法行為をしようと悪意を持っている人たちがいる。
■適正に法執行をすれば、不法外国人は日本にいられない
第3に、日本の外国人の管理制度に不備があるという問題だ。
私を脅迫したクルド人は、
「仮放免」
という法的立場だった。
これは強制送還を待つという、曖昧な法的立場にある。
出入国在留管理庁によると、仮放免者は2021年末時点で5910人と、新型コロナ感染拡大前の感染拡大前の2019年末と比べて約8割増えた。
日本政府は今、仮放免者の帰国を促しているが、クルド人の多くは難民申請をして、日本に居残り続ける。
その場合、強制送還をなかなか行わない。
法務大臣は権限の上では、裁量で外国人を速やかに本国へ送還できる。
しかしその強権をなかなか発動しない。
日本政府と法務省、出入国在留管理庁が速やかに強制送還を行えば、日本にいられなかった仮放免のクルド人に、私は脅迫をされた。
クルド人に迷惑を受けている埼玉県民も同じだ。
日本政府の作った制度の不備、法執行をしない怠慢で、私を含めて多くの日本人が犯罪の被害を受けている。
この事態に、私は日本国民として怒りを感じる。
また記者を暴力で威嚇する集団や人を検察・警察が放置すれば、言論の自由、表現の自由が脅かされ、日本の社会と民主主義が壊れていくだろう。
それに日本の司法機関が加担しているのだ。
■「安全に暮らしたい」国民の願いを聞き届けない政府
違法行為を行う外国人には法を厳格に適用し、日本に馴染まない不法滞在者を、速やかに帰国させる。
日本に滞在する外国人は、選抜して、ルールを守る質の高い人だけにしてほしい。
これが外国人犯罪の被害者になった私の思いだ。
そしてクルド人の迷惑行為に苦しむ埼玉県民の間からは同じ意見を聞く。
「クルド人は日本から出ていってほしい」
との意見を数多く聞いている。
政府は外国人を巡る制度作りの不備を放置し、検察・警察などが適正に法執行をしない。
外国人差別は許されない。
しかし私たち一般の日本人は、流入し続ける外国人による犯罪の危険に直面している。
外国人対策への無策が続けば、また行政の外国人への適正な法適用への萎縮が続けば、外国人犯罪の被害は広がり続けるだろう。
これはクルド人によるだけのものではない。
政府が現在の政策のように準備もなく外国人の居住を広げ続ける限り、どの国民も外国人犯罪のリスクに直面していく。

「裏口移民」クルド 埼玉で大暴れ
Hanada2023年10月号 ジャーナリスト 石井孝明
■異邦人の横暴で埼玉大混乱
埼玉県南部に集住するトルコ国籍のクルド人による住民への犯罪や迷惑行為が問題になっている。
苦しむ日本人の姿に憤りを感じ、私は2023年5月から取材・報道をしてきた。
現実は酷かった。
異邦人の横暴が放置され、治安が悪化している。
日本人を守るべき行政・警察の動きが鈍く、それを阻止できない。
メディアが人権配慮のために沈黙し、他地域の人はほとんど知らない。
埼玉県の蕨(わらび)市、川口市西部を2023年5月から何度も歩いた。
すれ違う中東系の人の割合が、日本の他地域に比べて異様に多い。
馴染みのない風景に、普通の日本人は戸惑うだろう。
2023年5月に、川口市内のクルド人経営の人気ケバブ店を訪ねた。
店員は不愛想で日本語は喋れないが、料理は美味しかった。
クルド人の溜まり場になっている。
アマルという20歳の解体工と話をした。
会話は弾んだが、
「どのような立場で日本に居るのか」
と訊くと、
「政治難民です」
と言って顔がこわばった。
「本当か」
と重ねて訊くと、
「トルコに帰ると迫害されます」
と下を向いた。
会話は終わった。
街を歩くクルド人に声を掛けた。
最初はにこやかに挨拶しても、記者の立場を明らかにして取材を申し込むと、
「日本語、分かりません」
と言って去っていった。
話せない事情がありそうだ。
実は、彼らの多くは
「政治難民」
という
「嘘」
で日本に滞在している。
会話だけなら、気の良さそうな男たちだ。
しかし、生活の中で向き合う川口市民からは、
「彼らは迷惑だ。共生?とんでもない」
という感想ばかり聞こえる。
具体的には、クルド人は夜のたむろ、住居での騒音、ゴミの放置、女性へのナンパなどの迷惑行為をしている。
彼らの車の運転が荒く、住民は交通事故による命の危険に直面している。
交通ルールを守らず、改造車で騒音を撒き散らし、スピード違反を行う。
猛スピードで狭い道を走る車を、私は何度も目撃した。
そもそも、クルド人が運転免許を持っているかも怪しく、無保険、そして他人名義の車で運転している例も多い。
事故を起こした場合に警察は積極的に動かず捜査が有耶無耶になり、被害者の日本人が泣き寝入りすることもあるという。
2021年10月には、川口市内で日本人の69歳男性のひき逃げ死亡事故が起きた。
クルド人の19歳の少年が逃走、出国しようとしたところを空港で逮捕された。
■埼玉県警ようやく動く
川口市西部にある公園を2023年7月に訪ねた。
静かな日本の住宅街の中にあるが、ゴミが散らかり、地域住民が掃除をしていた。
近くにはクルド人の集住するアパートがいくつもある。
その住民は、
「ゴミ捨てルールを守るように何度言っても聞かない」
と話していた。
近くの小売店店主に話を聞いた。
店の無料駐車スペースは、夜にクルド人の溜まり場になる。
異国の男たちが夜に集まっていたら怖い。
そのため、周辺地域で夜に日本人が出歩かなくなり、売り上げも落ちた。
「長時間停車しているので出て行ってくれと言っても、なかなか立ち去らない」
クルド人の集住するアパートは外から見ると、ゴミが散らかり、汚れている建物ばかりだ。
1Kほどの部屋に男が5〜6人とか複数世帯が住み、住環境はかなり悪い。
埼玉県では、クルド人が関係するらしい交通事故や窃盗が増えている。
ところが、警察発表は
「トルコ人」
で、メディアもそのように伝える。
「情報を正確に伝えない」
「事件が解決せず犯人が捕まらない」
と、住民は不安と不満を募らせていた。
2023年7月4日には女性を巡るトラブルで、クルド人同士のナイフによる乱闘事件が発生し、重傷者が2人出た。
殺人未遂などで、5人のクルド人が逮捕された。
その夜、被害者、加害者が搬送された川口市立医療センターに双方の親族が合計で100人程度押しかけて揉み合いになり、また病院内に押し入ろうとして騒ぎになった。
そのため埼玉県警の機動隊が出動し、地域の救急救命を担うこの病院の機能が約5時間半止まった。
住民の生活が脅かされている。
市民からの不安と怒りの声を受け、2023年6月、川口市議会は自民党の提案による
「一部外国人による犯罪取り締まりの強化を求める意見書」
を採択して、警察力の行使を埼玉県知事、埼玉県警、内閣総理大臣、国家公安委員長に正式に要請した。
このような意見書は日本で類例はない。
意見書では、
「住民の生活は恐怖のレベルに達している」
との深刻な認識が示されている。
2023年7月から現地を歩くと、埼玉県警のパトロールが増え、住民から
「警察の姿が見えて安心した」
との声を聞いた。
ようやく状況が少し改善した。
■懸念される子供たちの非行
「クルド人の子供が怖い」
川口市の住民からそんな感想を聞いた。
私は2023年6月の平日の昼間に、川口市西部を歩いた。
クルド人らしい子供が、学校に行かないのかうろうろしていた。
クルド人の大人が子供を見ている気配がなかった。
ある住民は、騒いでいる10歳ぐらいの子供を注意すると、仲間を呼ばれて取り囲まれ、唾を吐かれた。
商店での万引きもあるという。
別の人が、商業施設で騒いでいる5〜6歳の男の子とその弟らしい子供に注意した。
すると、
「僕たちは可哀相なクルド人です」
「弟は小さいので許して下さい」
と、準備をしていたように流暢な日本語で返事をされた。
誰かが教えているのではないか、と気味が悪くなったという。
2023年8月1日には、クルド人の14歳の男子が埼玉県警に逮捕された。
2023年7月に川口市内の商業施設で、複数でたむろして喫煙していたのを警備員が注意した。
すると、
「外国人を差別するのか」
「爆破してやる」
と脅し、その商業施設に煙幕花火を放り込んだ。
脅迫と威力業務妨害の容疑だ。
かなり異様な行動と発想だ。
在日クルド人の子供は、高い確率で不登校になる。
親が無学で教育熱心でないことに加えて、言葉の壁があるために学校の勉強に付いていけない。
男の子は親族の解体業で働き始める。
女の子が親族の子供の面倒や子守をするが、高校まで行く子は少ない。
2世には「半グレ」の非行グループが出来ているようだ。
クルド人社会は女性の地位が低く、家父長的な家庭が多い。
女の子は父親の権威に服従し、家に縛り付けられる。
在日クルド人を調査した人によると、ある少女は異文化の日本に連れてこられて、友人も出来ず、将来への不安から心を病んでしまい、太ももにナイフを突き立てる自傷行為をしていたという。
子供たちの将来が心配だ。
■「政治難民」という嘘
クルド人たちは、何故日本にいられるのか。
日本は外国人の単純労働者を受け入れていない。
外国人の就労は手続きが大変で、日本語も習得しなければならない。
実は、在日クルド人の大半は正規の手続きを経ず、制度の隙をついて日本に滞在している。
言わば
「裏口」
から勝手に入ってきているのだ。
彼らは、トルコのパスポートで来日する。
トルコと日本は相互に90日間の滞在に限り、ビザ免除で入国できる。
観光を想定したものだ。
クルド人は、その滞在期間中に親族の会社で働く。
滞在期間が切れると帰国して再来日、または違法滞在の形で残り続ける。
または、トルコ政府に迫害を受けるクルド人の政治難民だと申請する。
その難民申請中は、日本に居ることができる。
2023年6月に、難民の申請回数を原則2回にする入管法改正が行われ、2024年度に施行される。
これまでは何度も難民申請ができた。
1回の申請の判断に3年ほど掛かるために、認められなくても何度も申請して日本に居続けられる。
強制送還まで入管施設の外で暮らす
「仮放免」
という曖昧な法的立場で過ごしている人も多い。
仮放免者は原則働けないはずだが、彼らは親族の会社で稼いでいる。
彼らの
「政治難民」
という主張は、恐らく嘘だ。
トルコ政府は、クルド人の迫害政策を採っていない。
クルド人はトルコの2割弱、約1500万人もいて平和に暮らしている。
ただし、トルコ政府は分離独立運動を行うクルド労働者党(PKK)をテロ組織と認定し、その鎮圧のための軍事行動を行っている。
クルド人が暮らしにくい面はあるだろうが、迫害を受けている状況ではない。
そもそも、トルコはEU加盟を目指して司法制度をEU諸国式に作り直し、死刑制度もない。
クルド人は日本に1990年代から来ていたが、近年流入が増え、更に態度が悪くなっているという。
現在、在日クルド人の数は2000人と彼らは主張するが、実際はもっと多いだろう。
日本側には正確な統計さえない。
解体業、産廃業、中古車輸出業、飲食業などで、合法的に滞在するクルド人の経営する企業がある。
彼らは同族を頼って来日してそこで働き、仕事の目処が着くと家族を呼び寄せる。
日本に来るクルド人は、トルコ南東部の特定地域の出身が7割ほどを占める。
ここの主要産業は羊飼いなどの牧畜、農業で貧しい地域だ。
そして無学な人が多いという。
出稼ぎが目的であるために、日本のことを知らず、日本社会や日本人との交流に余り関心がない。
解体業で働くと、報酬は1日1〜2万円ほどだ。
日本では肉体労働で、家族でこの収入で生活するのはきつい。
しかし、彼らは日雇い扱いで税金が曖昧になり、無保険が多く、手取り額は高くなる。
また、彼らの多くは無学で、トルコでは高い報酬の仕事に就けず、農業や羊飼いで月5万円程度しか稼げない。
日本での報酬は魅力的で、嘘をついてまで来日する。
経営者層には、この安い労働力を使い、儲けている人もいるようだ。
■自己顕示欲の強い人たち
それでは、在日クルド人はどのような人たちなのか。
私は
「自分勝手で変わった人たち」
という印象を受けている。
何人かのクルド人に、日本人への迷惑行為について聞いた。
「小さなこと」
と平然と言う人ばかりで、謝罪の言葉はなかった。
暴走車を走らせている刺青だらけの若者は、
「日本人もやっているじゃないか」
と言い返してきた。
そして、自己顕示欲が異様に強い人が多い。
自慢をSNSに頻繁に投稿する。
あるクルド人はテレビに出演し、
「自分は難民」
と主張した。
しかし、妻名義で会社を経営し、会員制クラブの所有するフェラーリやクルーザーに乗っている姿をSNSに残していた。
それをトルコ人が探し出して日本語で紹介し、ネットで炎上してしまった。
迷惑行為を同胞にやめるように呼び掛けているクルド人はいる。
日本人に感謝を伝えたいと、公園の清掃活動をボランティアで行う人もいる。
ただし、そういう人は少数だ。
一方で、一族の絆は強い。
何かトラブルがあると集まり、抗議をする。
警察に対してさえもそうだ。
他の家族とは仲が悪い。
頻繁に乱闘騒ぎを起こす。
かなりギスギスした雰囲気のコミュニティだ。
在日クルド人社会を調査したトルコ人が、次のように語っていた。
「トルコでは、南東部の都市化の遅れた地域のクルド人の『頑迷さ』『自分勝手さ』『閉鎖性』が指摘されている」
「ゴミ捨てなどのルール違反や車の暴走行為も批判されている」
「その地域出身の在日クルド人も同じ特徴がある」
クルド人はトルコ、そしてドイツなどの西欧諸国で、一族で固めた犯罪組織を作っている。
彼らは派手な生活を誇示しており、日本のクルド人に似ているという。
在日クルド人社会に犯罪組織はまだないようだが、
「危険は考えなければならない」
と指摘する。
クルド人の祭り、団体などで、テロ組織PKKの旗がはためいており、トルコでは日本で稼いだ資金を持ち込もうとしたPKK関係者が逮捕されている。
PKKの日本での活動実態は不明だが、警戒すべきであろう。
あるクルド人の解体業経営者に話を聞いた。
「悪い人がいることは確かだし、迷惑行為はやめさせようとしている」
「しかし、全てのクルド人を悪いとは思わないでほしい」
この人は日本に感謝し、寄付やボランティアの社会貢献も行っている。
ただ、日本にいる姪が、日本人男性に
「クルド人め」
と投げ飛ばされる事件があった。
「日本人と協力しようとしている私の努力が虚しく感じる」
「そして、川口市には中国人、ベトナム人など様々なグループがいて悪いことをしているのに、クルド人だけが狙い撃ちされるのは悲しい」
一部のクルド人の異様な行為は、日本と協調しようというクルド人も苦しめている。
■「差別だ!」で誰もが委縮
ただし、クルド人問題を大きくしたのは日本側にも責任がある。
奥ノ木信夫・川口市長は2023年6月の市議会で、
「国が一貫しない政策の問題を地方自治体に押し付けている」
「今回の問題もその1つの表れ」
と不満を述べた。
私も、そう思う。
国は外国人労働者を増やす方針だ。
しかし、どこまで、どのような形で外国人を受け入れるのか、明確ではない。
国民的合意も議論もなく、なし崩し的で受け入れる方向に状況が動いている。
国は実際の措置を自治体に押し付ける一方、予算支援は限定的だ。
クルド人問題では、帰国が前提である仮放免者を放置し続け、埼玉県南部への集住に無策だった。
また、川口市選出の自民党の新藤義孝衆議院議員、川口市出身の大野元裕埼玉県知事は、クルド人問題に沈黙を続けている。
政治的に人権派から批判を受けかねないためだろう。
政治家は動かず、国と県は何も対策をしてこなかった。
更に、国は不法滞在を認めるかのような奇妙な方針を発表した。
斎藤健法相は2023年8月、日本で生まれ育ったものの、在留資格がなく強制送還の対象となる18歳未満の外国籍の子供に、親に国内での犯罪歴がないなど一定の条件を満たせば、法相の裁量で例外的に在留を認める
「在留特別許可」
を与え、家族と共に滞在を認める考えを示したのだ。
連立与党でリベラル色の強い公明党の申し入れを認めたようだが、国会で審議もされないまま重要な決定が行われてしまった。
斎藤法相は、人道的配慮から決定し
「今回限り」
と述べた。
ただし、私はこの特例が
「前例」
に変化し、
「不法滞在者が子供を理由に在留を主張する」
「日本での出産を増やす」
などの問題が起きることを懸念する。
在日クルド人たちは、今回の決定を
「子供を理由に日本に残れるかもしれない」
と喜び、期待している。
元々彼らは
「子供がいると強制送還されない」
と思い込んでおり、日本での子作り、子供の呼び寄せに熱心だ。
日本の行政は甘いので正式に公表していないが、実際に子供のいる家族はなかなか強制送還をされない。
更に出産を巡る日本の行政の支援金を、何故かクルド人が使える。
彼らはそれを最大限利用している。
ある川口市民は、
「斎藤法相と法務省・出入国在留管理庁の幹部は、川口での外国人トラブルの現実を見て欲しい」
と、今回の決定を不快そうに語った。
その上、クルド人の不法滞在を支える日本の人権活動家、メディア、左派政党がいる。
彼らは外国人の問題行為を批判する人を
「差別だ」
と攻撃し、発言する人々を委縮させてきた。
それなのに、クルド人の不法行為、迷惑行為については何もしない。
無責任な人たちだ。
彼らの中には、クルド人から利益を得る人々がいる。
支援する弁護士、司法書士、行政書士にとってクルド人は顧客で、彼らに問題があった方が儲かる。
日本人の建設業者や政治団体には、クルド人を利用して働かせる人たちがいる。
政治勢力、メディアもクルド人を助けて、利益を得てきた。
彼らはクルド人を
「日本政府の政策の犠牲者」
として、入管法改正や外国人政策への批判で登場させ、日本を批判させた。
それなのに、クルド人の違法・迷惑行為がここ数カ月、世の中に知られると、沈黙してしまった。
■向き合う川口市民の不満
それでは、クルド人と今後どのように向き合うべきか。
まず大前提として、現在の彼らの違法・迷惑行為には、厳正に法を適用する必要がある。
そして、
「埼玉県民の危険を減らし、地域に安全を取り戻すこと」
が本筋だ。
生活トラブルでの法的適用だけではなく、クルド人の企業活動でも違法行為を捜査するべきだ。
クルド人の解体業、産廃業は
「安さ」
でここ数年大きく成長した。
その安さが怪しい。
もちろん、全ての企業がそうであるとは言わないが、児童労働や難民の違法就労、税金の支払いで、違法の疑いがある、クルド人が産廃を不法投棄する事例が、関東各地で摘発されている。
政治難民として嘘の申告をして日本に滞在しているクルド人には、原則として帰国してもらうしかない。
また、日本とトルコのこれまでの友好関係からすると難しいであろうが、両国のビザなし渡航は取り止めるべきであろう。
クルド人がこれを使って入国し続けているからだ。
そして頼りないにしても、埼玉県警、埼玉県、川口市などの行政に対して、違法外国人・クルド人を取り締まることを要請し、その活動を支援することも必要だ。
法の執行では、法律の範囲内で問題を解決することを求めるべきだ。
過剰な公権力の行使は、人権侵害を誘発する。
また、一般の日本人によるクルド人や外国人への攻撃、人権侵害は許してはいけない。
問題を混乱させ、解決を遠ざけるだけだ。
人種差別や外国人排撃の感情は日本社会を腐らせる。
更に、クルド人の行動をおかしいと批判する人を
「差別だ」
と批判を向ける人権派の人たちがいる。
声を上げる川口市民、政治家を、こうした批判から日本社会全体で守ることが必要だ。
そうでなければ、問題解決のための議論や活動が委縮する。
日本人と共生する意欲があり、合法的に滞在するクルド人とは協力していく必要がある。
人権配慮を常に考える甘い日本政府は、違法滞在のクルド人をいきなりトルコに帰国させることはしないだろう。
長い時間をかけて、ゆっくり問題を解決するしかない。
しかし、共生を模索しようという私のこのような意見は楽観的かもしれない。
実際に、クルド人の迷惑行為に直面している川口市民からは、
「クルド人とは暮らせない」
との不満が多く、追い返す形での即座の解決を求める声が多い。
■外国人労働者、再考が必要
クルド人問題は、埼玉県だけの問題ではない。
日本に暮らす外国人は全国で約296万人(2022年6月末)いる。
日本人と共生する意思のない外国人とのトラブルは、全国各地で今後広がっていくだろう。
埼玉県南部、特に川口市、蕨市は移民国家日本の先駆けになってしまった。
岸田政権は、外国人労働者の受け入れと移民に積極的だ。
「外国人と共生する社会を作る」
と、岸田文雄首相は発言の度に繰り返す。
経済界を中心に、移民拡大の意見は強まっている。
なし崩し的に、外国人の流入は増え続けている。
私も、人口減や少子高齢化に対応するために移民は必要と考えていた。
しかしその考えを、クルド人を巡る取材で変えた。
日本の行政と社会は、外国人、特に日本人と共生する意思のない悪意の外国人に対応する準備が全く出来ていない。
外国人と住民のトラブルは今後、日本中に広がる。
問題が深刻になる前に、どの立場の人も埼玉県南部のクルド人問題の現状を知り、自分の問題、そして自分の住む地域の問題として対応を考えるべきだ。

埼玉のクルド人を甘やかすな
移民国家への第一歩? 川口市でのクルド人騒動は日本中で起こり得る!
WiLL2023年10月号 
ジャーナリスト 石井孝明
川口市議会議員 奥富精一
■川口市の現状
★石井
埼玉県川口市で2023年7月4日、トルコ人国籍のクルド人同士の殺人未遂事件があり、重傷を負った男らが運ばれた
「川口市立医療センター」
周辺に双方の親族ら約100人が集まって暴力沙汰になる騒動へと発展しました。
周辺の交通が混乱し、2023年7月4日午後11時半から翌2023年7月5日午前5時までの間、救急車の受け入れができなくなりました。
このようなことが起きた背景には何があるのでしょうか。
★奥富
川口市でのクルド人問題を取り上げて下さり有難うございます。
私の住む川口市の外国人住民は、約3万9000人(2021年12月末)と、市人口約60万9000人のうち、約6.4%を占め、その数は全国自治体で1位。
クルド人は川口市近郊に2000人以上います。
大前提としてクルド人のほとんどが川口市周辺に集住しています。
★石井
私は奥富市議と川口市民の皆さんが、クルド人問題に困っていることをインターネットなどで発信しているのに、メディアも政治家も無視し続けることに憤りを感じて、2023年5月から自分のサイトやSNSで問題を取り上げてきました。
奥富市議はクルド人問題に対して警察・行政による取り締まりを訴えていますが、川口市で何が起こっているのでしょうか。
★奥富
触法行為には厳正に対処するべきですが、法に触れるほどでもない騒音や不法投棄などの迷惑行為といったグレーゾーンが多く、そこが悩みの種です。
また違法行為であったとしても、何故か警察が取り扱わない。
クルド人が運転する車に突っ込まれて、家や物が壊されるといった物損事故があっても、ほぼ100%警察は取り扱ってくれない。
★石井
クルド人が運転する自動車の多くは他人名義、無免許、無保険なので、警察の対処も煩雑になり、取り締まりに消極的なのでしょう。
★奥富
改造車による騒音や危険運転も酷い有り様です。
改造車の問題には地域住民も積極的に取り組み、ようやく警察も動き出して改造車の騒音に関しては若干減ったように感じます。
しかし、音が小さくなっただけで悪質運転(スピード違反やドリフト走行など)はそのままです。
★石井
日本人女性に対するナンパや放尿、個人による不法投棄も多い。
洗濯機や掃除機、冷蔵庫といった、それまで使っていた大型家電が不法投棄されていたりもします。
川口市民からよく聞くのは、クルド人の子供たちが怖いという証言です。
昼間に街やゲームセンターをウロウロし、万引きが増えているそうです。
★奥富
1990年代に政治難民と称して日本にやってきたクルド人の子供(2世)が、ここ2〜3年でギャング的な暴力事件を起こしている。
夜中に住宅街での大喧嘩、騒音や迷惑行為、コンビニでのたむろは日常茶飯事です。
★石井
深夜に外国人男性が集団でたむろしていたら、誰だって怖いはずですし、女性は尚更です。
私が思うに彼らの印象は、1980年代の「ヤンキー漫画」の登場人物といった感じです。
喧嘩がかっこいいと思ったり、違法な改造車や薬物に手を染めたりする・・・それをSNSで自慢する奇妙な行動をしているのです。
■日本に同化しないクルド人
★石井
不思議なのは、何故日本にやってきたクルド人が、川口を選んだのかという点です。
過去の記録や資料がなく、口コミや噂レベルでの話はたくさんあるのですが、どれも眉唾物で、断定できません。
★奥富
客観的に言えるのは、川口には産業廃棄物の集積場や解体業者が多くあったことです。
1990年代から、クルド人が仕事を求めてやってきて、働くようになりました。
彼らは解体業を中心に設計を立て、家族を持つようになりました。
日本で本国(トルコ)以上に豊かな生活ができるようになったクルド人が、トルコにいる親族を日本に呼び寄せ、どんどん増えていったのです。
★石井
川口にいるクルド人は、同族で共同体を作っています。
また集住者の7割は南東部クルド人と呼ばれる、トルコの特定地域からやってきた人たちです。
彼らは家族や親戚といった血族で団結するのですが、別の血族とは喧嘩をするほど仲が悪い。
彼らはクルド人同士でも対立しています。
2023年7月に起こったクルド人100人による騒動も、敵対し合う一族の揉め事が始まりのようです。
仲間を助けるつもりで集まった結果、機動隊が駆け付けるほど大規模な事件に発展してしまった。
興味深いのですが、あるクルド人が、別のグループに所属するクルド人が起こした問題行動の写真や動画を、私のSNSやメールに報告してくるのです。
クルド人がクルド人の問題行為を、告げ口し合っているという状況です。
★奥富
川口に住むクルド人は、血族的な団結力は強いのですが、クルド人という民族単位で見た時にはまるで団結力がない。
彼ら自身で非常に閉鎖的な社会を形成していますが、解体業などで儲けてはいるので、彼らだけで社会が成り立ってしまうのです。
しかも彼らは日本社会と一切交わろうとしません。
日本語を覚えようとしないし、日本文化にも興味がない。
★石井
在日クルド人の多くはトルコにおいて教育を全く受けず、日本に来た人が多い。
そういった人たちがトルコで就職するとなると農業を営むか、羊飼いになるしかなく、手取りで日本円換算5万円ほどと聞きます。
となると日本にリスクを負っても来るのは納得できます。
★奥富
更に親がまともに教育を受けていない場合が多いので、子供にも向学心がありません。
小中学校の先生に聞くと、クルド人は特に読み書きに熱心ではないとのことです。
親も教育を重視しません。
向学心がないため、次第に学校での授業についていけなくなった子供のドロップアウト率が非常に高い。
学校に行かなくなったクルド人の子供たちが、非行や犯罪に走るのです。
★石井
クルド人アパート問題も深刻です。
審査基準が緩く、クルド人を受け入れる不動産会社が存在します。
川口市に、生活保護受給者などが多く住むアパートがありますが、そのアパートで空き室が出ると、すぐにクルド人が借ります。
★奥富
昼間から学校に行っていない子供の騒ぎ声など、案の定、騒音やゴミといったトラブルが発生し、警察沙汰になっています。
警察官やアパートの管理会社が来て対処しようとするのですが、改善は難しく、多くの日本人住人がそのアパートを去る。
そこに、更にクルド人たちが入居するといったことが繰り返され、結果的にクルド人アパートが完成します。
そういったアパートが川口市に10何軒とあります。
■日本の危ない支援者
★石井
そもそも彼らは何故日本に居られるのでしょうか。
日本は単純労働の外国人労働者を制度の上で受け入れていません。
★奥富
日本とトルコの間には最大90日間の観光ビザがあります。
90日、日本で不法に働き、その後は不法滞在や1度帰国してからまた日本に来るパターンもありますが、往復の交通費もバカになりませんから、それを嫌がり難民申請をする。
審査に3年ほどかかるため、その間、日本に滞在できる。
川口市のクルド人全てが貰っているかどうかは分かりませんが、一定期間なら難民申請することで、難民手当として生活費や家賃を得ています。
5回、6回と申請を重ねていくうちに日本に居着いてしまうパターンが多い。
★石井
そもそも、
「難民」
という主張も怪しいですね。
トルコ政府はクルド人を迫害していません。
またEU加盟を目指して1990年代に司法制度を作り変えて、死刑も廃止しています。
クルド人のテロ組織を取り締まってはいますが、クルド人であることを理由に投獄や暴力などは、行っていません。
日本に来たクルド人がこうした手段を初めから知っているとは思えません。
いわゆる
「人権屋」
と言われる、一部の左翼が日本に来たクルド人に、こうした手続きを教えている可能性もあります。
★奥富
日本語がほとんど分からないクルド人が会社設立の手続きや、登記など出来るわけがありません。
クルド人を利用して金儲けを企む行政書士と弁護士が恐らく背後に存在しているでしょう。
彼らは1回20万〜30万円ほどで不動産の登記や仮放免、難民申請を行います。
また、クルド人を利用して利益を得ようとする日本人ブローカーが存在しているのだと思います。
★石井
もう1つのパターンが、善意がズレた人たちの存在です。
ある活動家は子供を守ると称して、クルド人の子供をクリスマスパーティーに招いたとのことです。
クリスマスは、イエス・キリストの生誕を祝い、
「神の子」
との認識を示す祭りです。
異教を禁じるイスラム教徒が参加したら、大変な問題になる。
日本に来たクルド人は、イスラム教に熱心ではありませんが、熱心なイスラム教徒だったら、この活動家を攻撃する可能性もありました。
この活動家はクルド人やイスラム教を学ぶことなく、一方的な善意で
「クルド人の子供を救うこと」
だけを考え、クルド人に押し付ける。
異様な支援活動です。
★奥富
東京新聞の望月衣塑子氏が入管法改正案に反対の立場で
「外国労働者、その子供のために正義を貫いてほしい」
とSNSに投稿し、クルド人の子供が国会前でデモを行っている動画を拡散しましたが、私は
「川口の子供の悲痛な叫びも聞け」
と反論しましたよ。
善意と思っていることが、悪意に取られるケースはたくさんあることを左派には知ってもらいたい。
■多少の改善
★石井
川口市でのクルド人問題を見てきた奥富市議は、どういった対策を考えているのですか。
★奥富
私は2023年4月の川口市議会選挙で、
「外国人問題に向き合う」
「地域住民と善良な外国人を守る」
といった公約を掲げ、選挙に挑みました。
そうすると、地域住民や同僚議員から、クルド人問題の相談がたくさん来ました。
★石井
これまで世間に認知されてきませんでしたが、川口市民の間では、クルド人に対して不満や恐怖心を抱いていたのですね。
★奥富
川口市議会の2023年6月定例会で、
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」
の採決に尽力、警察官の増員、パトロールや取り締まりの強化を要望しました。
★石井
この意見書は衆議院・参議院・内閣総理大臣・国家公安委員会・埼玉県知事・埼玉県警に提出された極めて重い意見書です。
★奥富
ええ。
それだけでなく、
「ストックヤード条例(川口市資材置場の設置等の規制に関する条例)」
が2022年7月1日に施行されました。
この条例では、
「新規のストックヤードについては、中の様子が見えるような視認性の高い塀を設置すること」
「騒音・振動・粉塵の発生軽減措置を講じること」
といった規制を制定しました。
施行後、新規のストックヤードは2件しか登録されていません。
また、この条例ができたことで、新たなストックヤードを作りたいクルド人が、条例のない越谷市などに移るようになったとも言われています。
ストックヤード条例の施行以前から建てられていたストックヤードについても、きちんと調査ができるよう、条例改正を目指しています。
★石井
奥富市議のご尽力があってか、川口市内の警察車両によるパトロールが増えた印象を受けます。
路上駐車などの違法行為も少し減少したようです。
2023年度になってから、税務署、入管、労基署がクルド人の営む解体業者に対して、見回りや監視をしています。
クルド人経営者が儲かっているのは税金をきちんと払っていないためでしょうから、国税局も目を光らせている。
クルド人側もSNSで情報共有をしていますから、警戒をしているようです。
★奥富
川口市民が一番気の毒です。
川口市民は非常に良い人が多く、むしろ、クルド人を心配したりしています。
クルド人たちに悪意はないのでしょうが、マナーのない行為に罪悪感を抱かないことが許せない。
★石井
市議会がこの問題に前向きに取り組んでいるのは嬉しい。
今まで、トルコ大使館は、クルド人は難民であるからとして黙認していましたが、さすがに暴動まで発生したので調査を実施しています。
産経新聞(2023年8月13日付)によると、コルクット・ギュンゲン駐日トルコ大使は
「日本の法令、しきたりに則って滞在することが重要だ」
と言っています。
正論です。
川口市の場合は、市議会議員の皆さんのおかげで少しずつ改善していることを実感します。
心配なのはクルド人テロ組織の旗が、クルド人の集会や祭りで掲げられていることです。
その関係者が日本に居る可能性があります。
日本が国際紛争に巻き込まれなければ良いのですが。
■国が具体策を示せ!
★石井
ここまでクルド人の悪事や問題行動が悪化、増大すれば、日本人とクルド人の共生は極めて困難だと思います。
クルド人の入国拒否も、日本への流入が止まらなければ検討すべきです。
★奥富
中には良いクルド人もいるでしょう。
しかし宗教や民族的価値観の違いで日本人と交わることのできない壁は必ずあります。
私は行政の考える”多文化共生”というのは成り立たないと思っていますから。
★石井
これからも川口市におけるクルド人問題は続いていくと思います。
すぐに解決する問題ではない。
奥富市議は今後どのような対策を考えていますか。
★奥富
法の適用を粛々とやっていくだけです。
我々日本人はは小さな問題を1つ1つ潰していくことしかできません。
私がクルド人問題に関して主張し続けているのは、2つだけ。
「犯罪・不法行為をしない」
「ルールと地域の慣習を守る」。
入管の話やテロリストの話を持ち出してしまうと、私だけでは対処しきれない問題が多く含まれてしまう。
国会議員との連携も重要になるでしょう。
とにかく、真面目な外国人は守るべきだし、犯罪行為を繰り返す外国人はすぐにでも本国にお帰り頂きたい。
難民と認定された場合、当然ですが入管や警察など、川口市はありとあらゆる情報を関係部署に提供すると議会で答弁しています。
実際に強化を目指します。
クルド人との向き合い方は、国が考えなければならない問題です。
ところが、国から何の対策や指針も出せされない。
完全に知らんぷりですよ。
★石井
政府は外国人と共生することに対して非常にぼんやりとした考えしか示さず、具体策がありません。
国が外国人との共生を目指そうと言ったものの、どのようにして共生を図るのか、そもそもクルド人を何人受け入れるのか、大前提としてどの国の人をどれだけ迎え入れるのか、それに伴う費用をどこがどれだけ負担するのか、そういったことが全く議論されていない。
★奥富
まるで何も決まっていません。
それで一番困っているのは川口市民ですからね。
■大喜びするクルド人
★石井
斎藤健法相が2023年8月4日に、日本生まれで、在留資格がなく強制送還の対象となる18歳未満の外国籍の子供に対し、一定条件を満たせば、法相の裁量で例外的に在留を認める
「在留特別許可」
を付与すると発表しました。
今回の判断で、18歳未満の子供約140人と、その家族にも在留が認められる見込みです。
★奥富
受け入れを認めるのは結構ですが、受け入れた地域の住民との軋轢があることを斎藤法相に見えているのか、そこを聞きたい。
★石井
全く見えていないはずです。
地域に負担を押し付けたまま集住だけを認めている。
これは完全に国の過ちです。
★奥富
「在留特別許可」
が正しいのか、国民全体で考え直すべきです。
★石井
クルド人はこの斎藤法相の決定を大喜びしています。
彼らの子供が認定される可能性があるからです。
元々日本の行政は甘く、子供がいる家庭は確かに送還されにくい傾向があります。
そのために、クルド人は日本で一生懸命子供を作るそうです。
どうも、生まれてくる子供の幸せを考えず、在留の道具に考えている気配がある。
「蟻の一穴天下の破れ」
と言いますが、特例が必ず前例となるでしょう。
今後はどうしてクルドで生まれた子供は助けないのか、という話も出てくるでしょう。
★奥富
もう既に、何で日本で生まれた子供だけ許されるのだという声が出ています。
そのようにクルド人を受け入れることで、例えば川口市にかかるコストを計算した人は誰かいるのでしょうか。
★石井
クルド人を受け入れることで、彼らに使われている税金の方が、彼らが日本にもたらす利益より多いでしょうね。
また日本の価値観、人々の安全といった金銭に変えられないものを壊しかねないリスクも生じています。
★奥富
市、県、国がそれぞれ対策を打ち出すべきです。
クルド人問題が川口市で起こったのは単なる偶然かもしれません。
しかし、今後、日本全国どこでもあり得る話であり、これから皆さんの街で起こり得る話です。
是非、関心を持ってもらいたい。
★石井
国際的なベストセラーになった、英国のジャーナリストであるダグラス・マレーの『西洋の自死』(東洋経済新聞社)は、移民や難民を受け入れて大混乱した西洋社会の問題を紹介しています。
そこでは、移民に問題があると声を上げた者はメディアや社会、リベラルから潰されると書かれています。
日本でも同じ問題が起きています。
実際に声を上げる川口市民やクルド人問題の改善に向けて努力を続けている奥富市議、自民党の川口市議団に対して、左翼連中はレイシストや差別主義者だとレッテルを貼り、潰そうとします。
我々日本社会全体で、協力して奥富市議をはじめとする声を上げる人たちの活動を守り、助けていかなければなりません。
そして日本人ではなく、クルド人の方が自らの行動を改め、日本のルールに従わない限り、共生は難しいでしょう。

「移民」と日本人
<独自>川口のクルド団体「テロ支援」トルコが資産凍結 地震で「4千万円」、団体側「冤罪だ」
2023/12/5 13:54
https://www.sankei.com/article/20231205-W3N7I2CLMNFQVPSWX6M47KAFO4/
埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人の団体
「日本クルド文化協会」
と同協会の代表者らについて、トルコ政府が
「テロ組織支援者」
に認定、トルコ国内の資産凍結を決定したことが2023年12月5日、分かった。
同国の非合法武装組織
「クルド労働者党(PKK)」
への資金提供が理由。
同協会は2023年2月のトルコ地震の際、日本国内で募金活動を行い、約4000万円を集めたという。
トルコ政府が2023年11月29日、公式サイトに掲載した官報によると、欧州や豪州、日本に拠点を置く62人の個人と20の組織についてPKKへ資金提供するなどしたテロ組織支援者と認定。
2023年11月27日付で同国内の資産を凍結する決定をした。
このうち日本国内で対象となったのは同協会などと、同協会事務局長で東京外国語大講師のワッカス・チョーラク氏(42)や代表理事(32)らクルド人数人。
同協会は2015(平成27)年から活動している一般社団法人で、
「クルド人、日本人、その他の国民との友好関係の構築」
などを設立目的に掲げている。
文化交流活動の他、地域の清掃やパトロールなどを実施。
2023年11月4日には埼玉県警や川口市役所などとの合同パトロールにも参加していた。
2023年2月に起きたトルコ地震では、川口市内やクルド人経営の飲食店などで募金活動を実施。
その際、協会事務所の壁にPKK創設者と見られる男性が描かれた旗が飾られていると指摘された。
取材に対し、チョーラク事務局長は
「私達はテロ支援もテロ活動もしていない」
「在外選挙で私達が支持した政党が、真偽は不明だが、その後PKKを支援したと政府は言う」
「投票と駐日トルコ大使館内で選挙立会人を務めた以外の接点はない」
「以前も米閣僚の資産凍結をしたように現在のトルコは政権に批判的な者へ報復行動を取る」
「冤罪であり恣意的な資産凍結だと考えている」
とメールで回答。
募金については
「日本の皆様にもご支援いただき約4000万円が集まった」
「トルコの国会議員を通じて被災地で赤十字のような活動をしている団体に渡されてテント村が作られた」
「その国会議員から贈られた感謝の動画を当協会のホームページに掲載している」
「議員と政党からの感謝状が日本政府にも届けられた」
「日本の皆様に再度感謝申し上げたい」
と回答した。
【クルド労働者党(PKK)】
トルコの少数民族クルド人の非合法武装組織。
「国際テロリズム要覧」
2022年版によると、
「クルド人国家の樹立」
を掲げて1984年に武装闘争を開始、1990年以降、国内各地でテロを引き起こしてきた。
2023年10月にも首都アンカラの内務省前で自爆テロを起こし、警察官2人が負傷した。

「移民」と日本人
クルド人の病院騒動発端の事件、7人全員を不起訴 埼玉・川口
2023/9/25 20:14
https://www.sankei.com/article/20230925-ZN3YGYA5DFKPDGJZUD7RJZXUQY/
埼玉県川口市で2023年7月、トルコの少数民族クルド人ら約100人が病院周辺に殺到し、救急の受け入れが一時停止した騒ぎの直前に発生した事件で、さいたま地検は2023年9月25日、トルコ国籍の男性=当時(26)=を刃物で切り付け殺害しようとしたとして、殺人未遂の疑いで逮捕された同国籍の男性(45)ら計7人全員を不起訴処分とした。
理由は明らかにしていない。
事件は2023年7月4日夜に発生。
トルコ国籍の男性が市内の路上で複数のトルコ国籍の男性らに刃物で襲われ、市内の総合病院「川口市立医療センター」へ搬送された。
双方の親族や仲間らが病院周辺に集まる騒ぎとなり、県警機動隊が出動。病院側は約5時間半に渡り救急搬送の受け入れを停止した。
事件ではトルコ国籍の男性計7人が殺人未遂などの容疑で逮捕後、2人が処分保留で釈放された他、3人が凶器準備集合などの容疑で再逮捕されるなどしていた。

「移民」と日本人
病院でクルド人「100人」騒ぎ、救急受け入れ5時間半停止 埼玉・川口
2023/7/30 13:30
https://www.sankei.com/article/20230730-HM3RDJDY3ZIL7JBAUVPHGX7YSY/
埼玉県川口市で2023年7月初め、トルコの少数民族クルド人ら約100人が病院周辺に殺到、県警機動隊が出動する騒ぎとなり、救急の受け入れが約5時間半に渡ってストップしていたことが2023年7月30日分かった。
同市は全国で最も外国人住民の多い自治体で、クルド人の国内最大の集住地。
現在国内には300万を超える外国人が住んでおり、うち24万人は不法滞在とされる。
埼玉県川口市では近年、クルド人と地域住民との軋轢が表面化している。
関係者によると、2023年7月4日午後9時頃から、埼玉県川口市内の総合病院「川口市立医療センター」周辺に約100人と見られる外国人が集まり始めた。
いずれもトルコ国籍のクルド人とみられ、翌2023年7月5日午前1時頃まで騒ぎが続いたという。
きっかけは、女性を巡るトラブルと見られ、2023年7月4日午後8時半頃、トルコ国籍の20代男性が市内の路上で複数のトルコ国籍の男らに襲われ刃物で切り付けられた。
その後、男性の救急搬送を聞きつけた双方の親族や仲間らが病院へ集まり、救急外来の入り口扉を開けようとしたり、大声を出したりしたという。
病院側は騒ぎを受けて警察に通報。
その後、救急搬送の受け入れを停止した。
県警からは多数のパトカーや機動隊が出動。
その際、男2人が暴行や警察官に対する公務執行妨害の現行犯で逮捕された他、別の男4人が男性に対する殺人未遂容疑で逮捕された。
同病院は埼玉南部の川口、戸田、蕨(わらび)の3市で唯一、命に関わる重症患者を受け入れる
「3次救急」
に指定されている。
地元消防によると、受け入れ停止となった時間は2023年7月4日午後11時半頃から翌2023年7月5日午前5時頃の約53間半。
この間、3市内での救急搬送は計21件あった。
このうち搬送先が30分以上決まらないなどの
「救急搬送困難事案」
は1件だが、幸いにも命にかかわる事案には至らなかったという。
同病院は
「騒ぎが救急搬送に影響したかどうかは分からない」(病院総務課)
と原因を明らかにしていないが、関係者は
「病院周辺は騒然としており、とても救急車が入れるような状況ではなかった」
という。
騒ぎを目撃した飲食店の女性は
「男たちが僅かな時間に次々と集まってきた」
「サイレンが鳴り響き、外国語の叫び声が聞こえた」
「とんでもないことが起きたと思い、怖かった」
「こんな騒ぎは初めて」
「入院している方も休むどころではなかったのではないか」。
別の住民男性(48)は
「背丈が2メートルくらいのクルド人の若者が、片言の日本語で『親戚が刺された』と叫んでいた」
「病院前の道路にどんどん車が集まってきた」
と話した。
川口市は人口約60万人のうち外国人住民数が約3万9000人と人口の6.5%を占め、2020年からは東京都新宿区を抜いて全国で最も外国人住民の多い自治体になった。
トルコ国籍者も国内最多の約1200人が住んでおり、その大半がクルド人とみられるが、内訳や実態は行政も把握できていない。
トルコ国籍のクルド人の多くは祖国での差別や迫害などを理由に日本で難民申請しているが、認定された人はほとんどおらず、不法滞在の状態が続いている人も少なくないという。
■国を持たない最大民族の「国」ワラビスタン
クルド人は、トルコやシリアなどを中心に3000万人いるとされ、それぞれの国では少数民族のため
「国を持たない最大の民族」
と呼ばれる。
川口市に隣接するJR蕨駅周辺は、在日クルド人の一大コミュニティーとなり、中東料理や食料品の店が点在。
一帯は
「ワラビスタン」
と称される。
スタンはペルシャ語で
「土地、国」
を意味する。
トルコと日本の間には短期滞在査証(ビザ)免除の取り決めがあり、渡航の容易さから1990年代以降、多くのクルド人が来日するようになった。
彼らは、国内での
「差別や迫害」
を理由にビザの期限切れ後に難民申請するケースが多いが、トルコ国内にはクルド系の国会議員や実業家などもおり、一概に
「差別されている」
かどうかの判断は難しい。
政府発行のパスポートを持ち、高額な飛行機代を支払えていることなども議論の対象になることもある。
川口市一帯は鋳物産業などで栄え、在日韓国・朝鮮人も多く住むなど、従来から多民族が暮らす土壌があった。
また東京に近く、家賃など生活費が比較的安いことから、中国人やベトナム人らが多くやって来た。
クルド人も、先に来日した親族などが川口市周辺に住んでいることが多く、彼らを頼って来日、ここ20年ほどの間に国内最大の集住地となったという。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/606.html#c64

[政治・選挙・NHK296] 報道特集の予告でN信発狂(チダイズム) 赤かぶ
37. 秘密のアッコちゃん[1330] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月11日 06:02:52 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[768]
<■1061行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>建国記念の日 政府主催の式典を求める
社説
2025/2/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250211-65IWX64UJVIILIJYEIGWU27XPY/
建国記念の日を迎えた。
祝日法は、
「建国をしのび、国を愛する心を養う
日と定めている。
今年2025年は戦後80年に当たる。
祖国日本の建国を祝うと共に、歴史を顧み、国の行く末にも思いを巡らす日としたい。
先の大戦後、日本を再び強国にさせないという連合国軍総司令部(GHQ)の方針の下、国民の愛国心や団結心を養う制度やしきたりが次々に廃止されていった。
占領が終わってからの日本は、大切な幾つかの制度やしきたりを取り戻してきた。
建国記念の日はその1つと言える。
元々は
「紀元節」
と言い、建国を祝う式典が各地で開かれていたが、昭和23年、GHQの圧力で廃止された。
国民の多くは存続を望んだ。
昭和27年に日本が主権を回復すると祝日法改正の動きが起こり、昭和41年に国民の祝日として復活したのである。
建国の由来を語り継ぐ意義は大きい。
日本書紀によれば、新暦の紀元前660年2月11日に初代の神武天皇が橿原宮(奈良県)で即位し、国づくりが始まった。
以来、第126代の今上天皇に至るまで、一系の天皇を戴(いただ)く国として歩んできた。
日本は、世界で最も古くから続く国だが、その出発点がこの日であると言い伝えられてきたわけだ。
欧米列強がアジアに進出して独立が脅かされるようになると、日本人は明治維新を成し遂げ、明治天皇を中心に国民が団結して国難を乗り越えた。
その一環として、明治6年、政府は2月11日を
「紀元節」
と定め、国民こぞって国の肇(はじ)まりを祝うようになった。
ただ、
「建国記念の日」
になってからは、祝日としての意義が国民の間に十分浸透しているとは言い難い。
政府主催の式典も開かれておらず、学校教育でもきちんと教えられていないのは残念である。
占領期に紀元節が廃止されたことを理由に、建国記念の日を敵視したり、蔑ろにする声が未だに存在しているのは信じ難いことだ。
日本はれっきとした独立国であり、占領政策を批判してもはじまらない。
政府は、盛大な式典を主催し、国民が建国を祝い、力を合わせよりよき日本を作る契機にしてほしい。

満州事変
世界恐慌の少し前の昭和3年(1928)、満州を実効支配していた張作霖が列車ごと爆殺されるという事件が起きたのです。
元は馬賊だった張作霖は権謀術数に長けた人物で、日露戦争後に日本陸軍の関東軍と手を結び、軍閥を組織して満州を実効支配し、徴収した金を全て自分の物としていました。
当初、張作霖と関東軍の関係は良好でしたが、大正の終わり頃から、物資の買い占め、紙幣の乱発、増税などを行い、関東軍と利害が対立するようになっていきます。
更に欧米の資本を入れて、日本の南満州鉄道(満鉄)と並行する鉄道を敷設したことで、両者の衝突は避けられなくなりました。
満鉄は鉄道事業が中心として満州全域に広範な事業を展開する会社で、日本軍による満州経営の中核たる存在であっただけに、関東軍としても見過ごすわけにはいかなかったのです。
張作霖爆殺事件はそんな状況下で起こりました。
事件の首謀者は関東軍参謀と言われてきましたが、ソ連の関与があったとする説もあり、現在も論争が続いています。
ただ、この時、
「張作霖爆殺」
に関しての陸軍の調査と、彼らを庇うかのように二転三転する内閣の報告に関して、昭和天皇は不快感を顕にし、田中義一首相(元陸軍大臣)の内閣は総辞職しました。
天皇は自分の言葉(それを首相に伝えたのは鈴木貫太郎侍従長)が内閣に影響を与えてしまったことを反省し、以後は内閣の決定には拒否権を発動するなどの
「親裁」
は行わないようになりました。
それをやれば日本は専制君主国家になってしまうという思いからです。
張作霖の跡を継いだ息子の張学良はこの後、満州に入植してきた日本人と朝鮮人の権利を侵害する様々な法律を作ります。
また父の張作霖が満鉄に並行して敷いた鉄道の運賃を異常に安くすることで満鉄を経営難に陥れました。
そのため満鉄は昭和5年(1930)後半から深刻な赤字が続き、社員2000人の解雇を余儀なくされたのです。
日露戦争でロシア軍を追い出して以降、日本は満鉄をはじめとする投資により、満州のインフラを整え、産業を興してきました。
そのお陰で満州は大発展したのです。
この頃、清では戦乱が相次ぎ、日本は満州の治安を守るためにを置いていました。
そのため清から大量の難民が押し寄せることとなります。
そうしたこともあって日露戦争が始まった明治37年(1904)頃には約1000万人だった満州の人口は、20数年の間に3000万人にも増えていました。
同じ頃、蒋介石率いる中国国民党政権と中国共産党による反日宣伝工作が進められ、排日運動や日本人への脅迫やイジメが日常的に行われるようになりました。
日本人に対する暴力事件も多数発生しました。
代表的な事件は
「南京事件」
と呼ばれるもので、これは昭和2年(1927)3月に、蒋介石率いる中国国民党が南京を占領した際、中華民国の軍人と民衆の一部が、日本を含む外国領事館と居留民に対して行った襲撃事件です。
暴徒は外国人に対して、暴行・略奪・破壊などを行い、日本人、イギリス人、アメリカ人、イタリア人、デンマーク人、フランス人が殺害されました(この時、多くの女性が凌辱された)。
この暴挙に対して、列強は怒り、イギリスとアメリカの艦艇は直ちに南京を砲撃しましたが、中華民国への協調路線(及び内政不干渉政策)を取る幣原喜重郎外務大臣(「日英同盟」を破棄して「4カ国条約」を結んだ全権大使)は、中華民国への報復措置を取らないばかりか、逆に列強への説得に努めました。
更に日本政府は国内の世論を刺激しないように、
「我が在留婦女にして凌辱を受けたる者1名もなし」
と嘘の発表をしたため、現状を知る南京の日本人居留民を憤慨させたのです(政府は居留民たちが事実を知らせようとする集会さえも禁じている)。
この時、報復攻撃をしなかった日本に対し、中国民衆は感謝するどころか、逆に
「日本の軍艦は弾丸がない」
「張子の虎だ」
と嘲笑したと言われています。
事実、これ以降、中国全域で、日本人に対するテロ事件や殺人事件が急増します。
満州でも、中国共産党に通じたテロ組織が、日本人居留民や入植者を標的にしたテロ事件を起こすようにもなりました。
しかし被害を受けた日本人居留民が領事館に訴えても、前述の通り、時の日本政府は、第2次幣原喜重郎外交の
「善隣の誼(よしみ)を淳(あつ)くするは刻下の一大急務に属す」(中国人と仲良くするのが何より大事)
という対支外交方針を取っていたため、訴えを黙殺しました。
それどころか幣原喜重郎外務大臣は、
「日本警官増強は日支対立を深め、ひいては日本の満蒙権益を損なう」
という理由で、応援警官引き揚げを決定します。
そのため入植者たちは、満州の治安維持をしている関東軍を頼り、直接、被害を訴えるようになっていきます。
それでもテロ事件は収まらず、昭和5年(1930)後半だけで、81件、死者44人を数える事態となりました(負傷者は数えきれない)。
この時、中国人による嫌がらせの一番の標的になっていたのが朝鮮人入植者でした。
これは多分に両者の長年の確執と性格による所もあったと考えられます。
韓国併合により当時は
「日本人」
だった朝鮮人は、何かにつけて中国人を見下す横柄な態度を取っていたと言われ、中国人にしてみれば、長い間、自分たちの属国の民のような存在と思っていた朝鮮人にそのように扱われのが我慢ならなかったものと考えられます。
中国人から執拗な嫌がらせを受けた朝鮮人入植者は、日本政府に対して
「日本名を名乗らせてほしい」
と訴えます。
最初は日本名を名乗ることを許さなかった統監府も、やがて黙認する形で認めることとなります。
日本政府の無為無策では南満州鉄道や入植者を守れないという意見が強まる中、関東軍は昭和6年(1931)9月、奉天(現在の瀋陽)郊外の柳条湖で、南満州鉄道の線路を爆破し、これを中国軍の仕業であるとして、満州の治安を守るという名目で軍事行動を起こしました。
政府は不拡大方針を取りましたが、関東軍は昭和7年(1932)7月までに満州をほぼ制圧し、張学良を追放しました。
いわゆる
「満州事変」
です。
「事変」
とは、大規模な騒乱状態ではあるが、宣戦布告がなされていない国家間の軍事的衝突を意味します。
以後、日本は中国大陸での泥沼の戦いに突入していくこととなります。

盧溝橋事件から支那事変
昭和12年(1937)7月7日夜、北京郊外の盧溝橋で演習していた日本軍が、中華民国軍が占領している後方の陣地から射撃を受けたことがきっかけで、日本軍と中華民国軍が戦闘状態となります。
ただこれは小競り合いで、4日後の昭和12年(1937)7月11日には現地で停戦協定が結ばれました。
しかし東京の陸軍本部は派兵を望んでいて、最初は不拡大方針だった近衛文麿首相はそれに押し切られるように、昭和12年(1937)7月11日の臨時閣議で派兵を決めます。
盧溝橋の発砲事件に関しては、中国共産党が引き起こしたという説もありますが、真相は不明です。
異常な緊張状態の中、その月昭和12年(1937)7月の29日、北京東方で、
「通州事件」
通州事件(2) Sさんの体験談
https://nezu3344.com/blog-entry-6033.html
が起きます。
この事件は、
「冀東防共自治政府(きとうぼうきょうじちせいふ)」(昭和10年【1935】から昭和13年【1938】まで河北省に存在した自治政府であるが、その実体は日本の傀儡政権であるとされる)
の中国人部隊が反乱を起こし(中国国民党や中国共産党が使嗾【しそう:そそのかすこと】したとも言われる)、通州にある日本人居留地を襲い、女性や子供、老人や乳児を含む民間人233人を虐殺した事件です。
その殺害方法は猟奇的とも言うべき残虐なもので、遺体のほとんどが生前に激しく傷付けられた跡があり、女性は子供から老人までほぼ全員強姦された上、性器を著しく損壊されていました。
これらの記録や写真は大量に残っていますが、まともな人間なら正視に耐えないものです。
この事件を知らされた日本国民と軍部は激しく怒り、日本国内に反中感情が高まりました。
また昭和12年(1937)8月に上海の租界で2人の日本の軍人が射殺された(大山事件)こともあり、日本人居留地を守っていた日本軍と中華民国軍が戦闘状態に入りました(第2次上海事変)。
この時、ドイツの指導と武器援助を受けていた中華民国軍は屈強で、日本軍は思わぬ苦戦を強いられます。
当時、上海の租界には約2万8000人の日本人が住んでいましたが、実は大山事件前にも、日本人を標的にした中国人によるテロ事件や挑発的行為が頻発していました。
昭和6年(1931)、商社や商店、個人が受けた暴行や略奪は200件以上。
通学児童に対する暴行や嫌がらせは約700件。
殺害事件だけでも、昭和7年(1932)から昭和12年(1937)までの間に何件も起きています。
犠牲者も軍人だけでなく、托鉢僧や商社員、新聞社の記者など民間人が多数含まれていました。
第2次上海事変は中華民国の各地に飛び火し、やがて全国的な戦闘となりました。
ただ、日本がこの戦闘を行ったのは、そもそもは自国民に対する暴挙への対抗のためでした。
「暴支膺懲」(ぼうしようちょう)
というスローガンが示すように
「暴れる支那を懲らしめる(膺懲)」
という形で行った戦闘がいつの間にか全面戦争に発展したというのが実情です。
当時、日本は中華民国との戦闘状態を総称して
「支那事変」(あるいは「日華事変」)
と呼んでいました。
支那事変は大東亜戦争が始まるまでの4年間、両国とも宣戦布告を行わずに戦い続けた奇妙な戦争でした。
その理由は、
「戦争」
となれば、第3国に中立義務が生じ、交戦国との交易が中立義務に反する敵対行為となるからです。
従って両国が共に
「事変」
扱いとして戦い続けたため、国際的にも
「戦争」
とは見做されませんでした(実質は戦争)。
装備に優る日本軍は僅か3カ月で上海戦線を突破し、その年昭和12年(1937)の12月には首都南京を占領しました。
日本軍は、首都さえ落とせば、中華民国は講和に応じるだろうと見ていたのですが、蒋介石は首都を奥地の重慶に移して抵抗します。
中華民国には、ソ連とアメリカが積極的な軍事援助を行っていて、最早戦争の早期終結は望めないこととなっていました。

全面戦争へ
「支那事変」
は確固たる目的がないままに行われた戦争でした。
乱暴な言い方をすれば、中国人の度重なるテロ行為に、お灸をすえてやるという世論に押される形で戦闘行為に入ったものの、気が付けば全面的な戦いになっていたという計画性も戦略もない愚かなものでした。
名称だけは
「事変」
となっていましたが、最早完全な戦争でした。
しかもこの戦いは現地の軍の主導で行われ、政府がそれを止めることが出来ないでいるという異常なものでもありました。
そこには5・15事件や2・26事件の影響があるのは明らかです。
支那事変が始まった翌年の昭和13年(1938)には、
「国家総動員法」(昭和13年(1938)4月1日に公布、5月5日に施行)
が成立しました。
これは
「戦時に際して、労働力や物資割り当てなどの統制・運用を、議会の審議を経ずに勅令で行うことが出来るようにした法律」
です。
具体的には、国家は国民を自由に徴用でき、あらゆる物資や価格を統制し、言論を制限し得るといった恐るべき法律でした。
ちなみにこの法案の審議中、趣旨説明をした佐藤賢了陸軍中佐の余りに長い答弁に、衆議院議員たちから抗議の声が上がったところで、佐藤が
「黙れ!」
と一喝したことがありました。
この時、議員たちの脳裏に2年前1936年の2・26事件が浮かんだことは容易に想像できます。
佐藤の恫喝後、誰も異議を挟まなくなり、狂気の法案は僅か1カ月で成立しました。
国力の全てを中国との戦争に注ぎ込もうと考えていた日本は、この年昭和13年(1938)、2年後に東京で開催予定であった
「オリンピック」

「万国博覧会」(万博)
を返上します。
これは、最早世界の国々と仲良く手を結んでいこうという意思がないことを内外に宣言したに等しい決断でした。
このオリンピックと万博の返上は陸軍の強い希望であったと言われています。

第二次世界大戦
第二次世界大戦の始まりは奇妙なものでした。
イギリスとフランスはドイツに対して宣戦布告したものの、実際にドイツに攻め込むことはしなかったからです。
大西洋でのドイツ潜水艦による通商破壊戦の攻防はありましたが、8カ月間、陸上での戦いはほとんどありませんでした。
そのためイギリスでは
「まやかし戦争」(Phoney War)、
フランスでは
「奇妙な戦争」(Drole de guerre)
と呼ばれました。
つまりイギリスもフランスも、建前上、ドイツに宣戦布告したものの、本心は戦争をする気などなかったのです。
イギリス国民の多くは、その年昭和15年(1940)暮れには戦争が終るだろうと考えていました。
当時、ドイツ軍は主力を東部戦線に移しており、イギリス軍とフランス軍が一挙に攻め込めば、ドイツ軍は総崩れになったであろうと言われています。
ドイツ軍首脳は、フランスとの国境線に大軍を配備しおくべきと主張しましたが、英仏のそれまでの宥和的態度から、戦う意思がないと見抜いていたヒトラーは、西部戦線をがら空きにして主力をポーランドに集中させます。
ドイツはポーランドを完全に制圧すると、今度は主力を西武戦線に移し、昭和15年(1940)5月、英仏軍に一気に襲い掛かりました。
両国軍はあっという間に撃破され、イギリス軍はヨーロッパ大陸から駆逐され、フランスは首都パリと国土の5分の3を占領されました。
ドイツ軍の破竹の進撃を見たイタリアもイギリス、フランスに宣戦布告しました。
驚異的な軍事力によってあっという間に西ヨーロッパを席巻したドイツの勢いを目の当たりにした日本陸軍内に、
「バスに乗り遅れるな」
という声が生まれ、一種の流行語となりました。
このことを深く憂慮した昭和天皇は、親英米派で日独伊三国同盟には反対の立場を取っていた海軍大将米内光政を内閣総理大臣に推挙しました(形式上は湯浅倉平内大臣の推挙)。
昭和天皇が個人名を挙げて首相に推挙するのは例のないことです。
如何に昭和天皇がドイツやイタリアとの同盟に反対していたかの証左です。
しかし昭和15年(1940)6月にドイツがフランスを降伏させると、陸軍は倒閣運動を行い、同年昭和15年(1940)7月に米内内閣を総辞職に追い込みました。
新たに誕生した第2次近衛内閣は同年昭和15年(1940)9月に
「日独伊三国同盟」
を締結します。
朝日新聞は、これを一大慶事のように報じました。
しかしこの同盟は、実質的には日本に特段のメリットはなく、アメリカとの関係を決定的に悪くしただけの、実に愚かな選択だったと言わざるを得ません。
もっともアメリカのルーズベルト民主党政権はこれ以前から、日本を敵視し、様々な圧力を掛けていました。
前年の昭和14年(1939)には、日米通商航海条約破棄を通告し、航空機用ガソリン製造設備と技術の輸出を禁止していました。
また、アメリカやイギリスは、日本と戦闘状態にあった中華民国を支援しており、
「援蒋ルート」
を使って軍需物資などを送り続けていました。
「援蒋ルート」
は主に4つありましたが、最大は
「仏印(フランス領インドシナ)ルート」
と呼ばれたもので、ハノイと昆明を結んでいました。
日本は仏印ルートの遮断を目的として、昭和15年(1940)、北部仏印(現在のベトナム北部)に軍を進出させました。
これはフランスのヴィシー政権(昭和15年【1940】)にドイツに降伏した後、中部フランスの町ヴィシーに成立させた政府)と条約を結んで行ったものでしたが、アメリカとイギリスは、ヴィシー政権はドイツの傀儡であり日本との条約は無効だと抗議しました。
しかし日本はそれを無視して駐留を続けたのです。
「援蒋ルート」
を潰されたアメリカは、日本への敵意を露わにし、同年昭和15年(1940)、特殊工作機械と石油製品の輸出を制限、更に航空機用ガソリンと屑鉄の輸出を全面禁止しました。
アメリカから
「対日経済制裁」
の宣告を受けた日本は、石油が禁輸された場合を考え、オランダ領インドシナの油田権益の獲得を目論みます。
当時、オランダ本国は既にドイツに占領されていましたが、植民地のインドシナはロンドンのオランダ亡命政府の統治下にありました。
翌昭和16年(1941)、日本軍は更に南部仏印(現在のベトナム南部)へと進出しました。
アメリカのルーズベルト政権はこれを対米戦争の準備行動と見做し、在米日本資産凍結令を発布します。
イギリスとオランダもこれに倣いました。
そして同年昭和16年(1941)8月、アメリカは遂に日本への石油輸出を全面的に禁止したのです。
当時、日本は石油消費量の約8割をアメリカから輸入していました。
それを止められるということは、息の根を止められるのに等しいことでした。
日本はオランダ領のインドネシアから石油を輸入しようとしましたが、オランダ亡命政府(当時はイギリスからカナダに拠点を移していた)は、アメリカとイギリスの意向を汲んで日本には石油を売りませんでした。
この時、日本の石油備蓄は約半年分だったと言われています。
つまり半年後に日本は軍艦も飛行機も満足に動かせない状況に陥るということでした。
もちろん国民生活も成り立たなくなります。
まさに国家と国民の死活問題でした。
日本は必死で戦争回避の道を探りますが、ルーズベルト政権には妥協するつもりはありませんでした。
それどころかルーズベルト政権は日本を戦争に引きずり込みたいと考えていたと指摘する歴史家もいます。
アメリカがいつから日本を仮想敵国としたのかは、判然としませんが、大正10〜11年(1921〜1922)のワシントン会議の席で、強引に日英同盟を破棄させた頃には、いずれ日本と戦うことを想定していたと考えられます。
その底意を見抜けず、日英同盟を破棄して、お飾りの平和を謳った
「四カ国条約」
を締結して良しとした日本政府の行動は、国際感覚が致命的に欠如していたとしか言いようがありません。
それから約20年後の昭和14年(1939)には、アメリカははっきりと日米開戦を想定していたと言えます。
ただルーズベルト大統領は、第二次世界大戦が始まっていた昭和15年(1940)の大統領選(慣例を破っての3期目の選挙)で、
「自分が選ばれれば、外国との戦争はしない」
という公約を掲げて当選していただけに、自分から戦争を始めるわけにはいかなかったのです。
彼は
「日本から戦争を仕掛けさせる方法」
を探っていたはずで、日本への石油の全面禁輸はそのための策の1つだったのでしょう。

開戦前夜
日本はそれでもアメリカとの戦争を何とか回避しようと画策しました。
アメリカと戦って勝てないことは政府も軍も分かっていたからです。
しかし日本の新聞各紙は政府の弱腰を激しく非難しました。
満州事変【1931年(昭和6年、民国20年)9月18日〜1933年(昭和8年)5月31日】以来、新聞では戦争を煽る記事や社説、あるいは兵士の勇ましい戦いぶりを報じる記事が紙面を賑わすことが常となっていました。
中には荒唐無稽な創作記事も数多くありました。
東京日日新聞(現在の毎日新聞)の
「百人斬り」
の記事などはその典型です。
これは支那事変【1937年(昭和12年)7月7日の盧溝橋事件を発端とする日本と中華民国の間で起こった武力衝突】で陸軍の2人の少尉が、
「どちらが先に敵を100人斬るかという競争をした」
という事実誤認に満ちた根拠薄弱な内容でした。
しかし戦後、この記事が原因で、2人の少尉は南京軍事法廷で死刑判決を受け、銃殺刑に処されています(毎日新聞は現在も記事の内容は真実であったと主張している)。
ちなみに
「日独伊三国同盟」
を積極的に推したのも新聞社でした。
そんな中、昭和16年(1941)11月27日、アメリカのルーズベルト政権はそれまでの交渉を無視するかのように、日本に対して強硬な文書を突き付けてきました。
この文書は当時の国務長官コーデル・ハルの名前をとって
「ハル・ノート」
と呼ばれていますが、最も重要な部分は、
「日本が仏印と中国から全面撤退する」
という項目でした。
これは日本としては絶対に呑めない条件でした。
この時点で、日米開戦は不可避になったと言えます。
実はこのハル・ノートを見た日本軍首脳部の開戦派は、
「天祐」(天の加護。天の助け。天助。)
と言ったとされています。
つまり
「戦争をするしかない」
状況になったからです。
それまで戦争を回避したいと考えていた閣僚らも開戦に強く反対しなくなり、アメリカとの戦争には消極的な立場を取っていた海軍もここで開戦の決意を固めたと言われています。
とは言っても、ハル・ノート受領の前日には、択捉島の単冠湾(ひとかっぷわん)から聯合艦隊の空母部隊がハワイに向けて出撃しています(攻撃決定は【昭和16年(1941)12月2日】。
艦隊が単冠湾に集結したのが【昭和16年(1941)11月22日】、真珠湾攻撃のための猛訓練を始めたのが【昭和16年(1941)5月】であったことを見れば、日本政府が戦争回避を試みる一方、軍は戦争開始の準備を着々と進めていたことが分かります。
ただし、ハル・ノートの解釈については後年議論の的になっている点があります。
「日本が中国から撤退」
という要求の文章の
「中国」
についてです。
原文は
「China」
となっていますが、この
「China」
が中華民国を指すのか、それとも満州まで含めた地域を指すのかが明確にされていなかったのです。
日本側は
「満州」
を含めた地域と解釈しましたが、実はアメリカ側は、満州は考慮に入れていなかったとも言われています。
戦後、この経緯を調べたピューリッツァー賞受賞作家のジョン・トーランドは、当時の日本の閣僚らに、もし満州を含まないと知っていたら開戦していたかと訊ねています。
すると多くの人は、
「それならハル・ノートを受諾した」
「開戦を急がなかったであろう」
と答えています。
もっとも、何としても日本を戦争に引きずり込みたいと考えていたルーズベルトは、別の手段で日本を追い込んだに違いありません。
とまれ賽は投げられました。

真珠湾攻撃
昭和16年(1941)12月8日未明、聯合艦隊の空母から飛び立った日本海軍の航空隊はハワイの真珠湾に停泊するアメリカ艦隊を攻撃しました。
日本軍は戦艦4隻を撃沈し、基地航空部隊をほぼ全滅させます。
ただ、この時、在アメリカ日本大使館員の不手際で宣戦布告が攻撃後になってしまいました。
同日、台湾から海軍の航空隊が出撃し、フィリピンのクラーク基地のアメリカ航空部隊を全滅させています。
更に同日、日本陸軍はマレー半島に上陸し、イギリス軍をも打ち破っています。
日本がアメリカとイギリスに対して同時に開戦したのは、オランダ領インドネシアの石油を奪うためでした。
そのためにはシンガポールのイギリス軍を撃破しなければならず、また手に入れた石油を日本に送るのに東シナ海を通るため、その航路を遮る位置にあるアメリカのクラーク基地を無力化する必要がありました。
真珠湾のアメリカ艦隊を叩いたのも同じ理由からです。
同日、日本はアメリカとイギリスに対して宣戦布告を行いました。
同時に支那事変も正式に戦争となりました。
ここに至りインドシナ半島や太平洋を含めた史上最大規模の大戦争の火蓋が切られたのです。
日本軍は緒戦だけは用意周到に作戦を練っていましたが、大局的な見通しは全くありませんでした。
そもそも工業力が10倍以上も違うアメリカとの長期戦では100%勝ち目はありません。
しかしハル・ノートを受け入れれば、日本は座して死を待つことになりかねません。
そうなれば、70年前の幕末の悪夢が再びやって来る恐れがありました。
欧米の植民地にされてしまうという恐怖です。
当時の世界は、現代とは比べ物にならないほど、露骨な弱肉強食の原理で動いていました。
アジア、アフリカ、南米に有色人種の独立国はほとんどなく、多くの有色人種たちがひたすら搾取され、奴隷のような扱いを受けていました。
ヨーロッパの白人種の国でも弱小国はソ連やドイツに次々に解体されていきました。
何しろ国際連盟で
「人種差別撤廃」
の規約が否決された時代です。
国力を失った有色人種の極東の島国の運命は暗澹たるものになると、日本の政府や軍人たちが危惧したのも無理はありません。
後の話になりますが、戦後、アメリカ軍の南西太平洋司令長官であり、日本占領軍の最高司令官でもあったダグラス・マッカーサーは、昭和26年(1951)、アメリカ上院軍事外交合同委員会の場において、
「日本が戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのものだった」
と述べています。
つまり敵将さえもが、先の大戦は日本の侵略ではなく自衛のための戦争であったと明言したのです。
日本の真珠湾攻撃はルーズベルト大統領にとっては願ったり叶ったりでした。
彼は
「日本軍は宣戦布告なしの卑怯な攻撃を行った」
と、アメリカ国民に強く訴えます。
ここで戦争反対だったアメリカの世論が一夜にして
「リメンバー・パール・ハーバー」
の合言葉と共に変じ、一気に戦争へと向かっていったのです。
ところで、現代のアメリカ人の中にも、広島・長崎への原爆投下と東京大空襲は日本の汚い攻撃に対する報復だと言う人は少なくありませんし、日本人の中にも真珠湾攻撃は騙し討ちだったと言う人がいます。
しかし有史以来、宣戦布告をしてから戦争を行ったケースは実はほとんどないのです。
第一次世界大戦と第二次世界大戦がむしろ例外的と言っていいでしょう。
当のアメリカも幾度も戦争をしていますが、そのほとんどの場合、宣戦布告なしに攻撃を行っています。
つまり真珠湾攻撃を卑怯なやり口と言い募ったのは、完全なプロパガンダなのです。
ちなみに戦争終結間際にソ連は
「日ソ中立条約」
を一方的に破棄して、日本に対して戦闘を開始しましたが、モスクワの駐ソ大使に宣戦布告文を手渡したのは攻撃の1時間前でした。
しかも駐ソ大使から日本本国への電報はソ連の電信局が送信しなかったため、実質的には奇襲攻撃となっています。
ただ残念なのは、そうした事態になることを恐れた聯合艦隊司令長官の山本五十六が、くれぐれも真珠湾攻撃の前に宣戦布告文書をアメリカに手渡すようにと言っていたにもかかわらず、ワシントンの日本大使館員らがそのことを重く受け止めていなかったことです。
日本の攻撃を喜んだ人物がもう1人いました。
イギリス首相のウィンストン・チャーチルです。
日米開戦の報告を受けたチャーチルは大喜びし、すぐにルーズベルトに電話しました。
ルーズベルトの
「今や我々は同じ船に乗ったわけです」
という言葉を聞いたチャーチルは、これで戦争に勝てると確信しました。
彼はこの時の興奮と喜びを後に回顧録『第二次大戦』で次のように書いています。
「感激と興奮とに満たされ、満足して私は床に就き、救われた気持ちで感謝しながら眠りに就いた」
更にこうも書いています。
「ヒトラーの運命は決まった」
「ムッソリーニの運命も決まったのだ」
「日本人について言うなら、彼らは粉々に打ち砕かれるだろう」
ドイツとイタリアに関しては個人の滅亡にのみ言及していますが、日本に対しては民族全体の運命に言及しています。
たまたまの表現なのかもしれませんが、私はチャーチルの白人種以外への差別意識が表われたと見ています。
ちなみに彼は昭和28年(1953)にこの回顧録でノーベル文学賞を受賞しています。

マッカーサー「自衛戦争」証言
http://tadashiirekishi.web.fc2.com/1951-60/1951_makasa_shogen.html
昭和26(1951)年5月、アメリカ上院の軍事外交合同委員会で、ダグラス・マッカーサーは以下の2つの重大な発言を行なった。
1.日本の戦争は自衛戦争であった
2.アメリカが過去100年に太平洋で犯した最大の政治的過ちは、共産主義者が支那において勢力を増大して行くのを黙過してしまったことである
1.「日本の戦争は自衛戦争であった」
原文と和訳は以下の通り
"There is practically nothing indigenous to Japan except the silkworm.
They lack cotton, they lack wool, they lack petroleum products, they lack tin, they lack rubber, they lack great many other things, all of which was in the Asiatic basin.
They feared that if those supplies were cut off, there would be 10 to 12 million people unoccupied in Japan.
Their purpose, therefore in going to war was karagely dictated by security."
和訳:
日本は絹産業以外には、固有の天然資源はほとんど何もないのです。
彼らは綿が無い、羊毛が無い、石油の産出が無い、錫(すず)が無い、ゴムが無い、それら一切のものがアジアの海域には存在していたのです。
もし、これらの原料の供給を断ち切られたら、1000万から1200万の失業者が発生するであろうことを日本人は恐れていた。
したがって、彼らは戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてだったのことだったのです。

マッカーサーは実際に朝鮮戦争を戦って、ロシア(ソ連)、共産主義の脅威(明治維新以来ずっと日本が恐れていたもの)をやっと悟った。
マッカーサーは日本が戦争をせざるを得なかった理由をやっと理解できたのである。
しかし、呆れたことにこれほど重大な証言を報じた日本の大新聞は当時も今も皆無である。
NHK、民放などのテレビ局も完璧に無視している。
何を恐れているのだろうか。
報道するとまずいことになると考えていることだけは事実だろう。
アメリカに対する気兼ねか、それとも支那に対する気兼ねか?
東條英機は宣誓供述書で
「断じて日本は侵略戦争をしたのではない」
「自衛戦争をしたのである」
「国家自衛のために起つという事がただ1つ残された途であった」
と語ったが、それはこのマッカーサーの米議会証言録と重なるもので、最終的に東條とマッカーサーは同じ見解を披露したことになる。
2.「アメリカが過去100年に太平洋で犯した最大の政治的過ちは、共産主義者が支那において勢力を増大して行くのを黙過してしまったことである」
アメリカは日本の勢力を支那大陸、満州、朝鮮から駆逐したことで自分たちの目標を達成したかに見える。
しかしその結果アメリカは過去半世紀にこの地域で日本が直面し、対処してきた問題と責任を日本に代わって引き受けなくてはならなくなっただけだ、と述べたアメリカ外交官ジョージ・ケナンと同じ後悔を述べたわけである。
フィリピンで日本に完敗したダグラス・マッカーサーは、日本に恨みを持ち、復讐心に燃えていた。
後に日本が原爆を落とされて負けて、マッカーサーがやって来た時、彼はその恨みを晴らすべく、
「日本は悪いものだ」
と信じきって東京裁判をやらせ、自分たちの意向を反映させた日本国憲法を作らせて日本を骨抜きにした。
ところが朝鮮戦争が起こって事態は一変する。
その時、彼は初めて東京裁判で弁護側が言った事が全て本当だったのだと気付く。
そして満州にも支那に対しても、日本がやったようにやらなければならないという結論に達する。
しかし当時の大統領・トルーマンは、ソ連と戦争になることを恐れて、マッカーサーを解任してアメリカに戻した。
その後、アメリカはマッカーサーが予言したように朝鮮半島で負け始め、何とか38度線まで押し返したところで戦争は終結する。
そしてアメリカに帰国したマッカーサーは上院の軍事外交合同委員会という最も公式の場で、日本が間違っていたのではなく、自分たちが間違っていたことを語ったのである。
マッカーサーは前年に東京裁判が誤りだったと発言している。

戦争目的を失った日本
開戦4日後の昭和16年(1941)12月12日、日本はこの戦争を
「大東亜戦争」
と名付けると閣議決定しました。
従って、この戦争の正式名称は
「大東亜戦争」
です。
現代、一般に使われている
「太平洋戦争」
という名称は、実は戦後に占領軍が強制したものです。
「大東亜戦争」
は前述したように緒戦は日本軍の連戦連勝でした。
開戦と同時にアメリカの真珠湾とフィリピンのクラーク基地を叩き、3日目にはイギリスの東洋艦隊のプリンス・オブ・ウェールズとレパルスという2隻の戦艦を航空攻撃で沈めました。
更に難攻不落と言われていたイギリスのシンガポール要塞を陥落させました。
そしてこの戦争の主目的であったオランダ領インドネシアの石油施設を奪うことに成功します。
日本軍がパレンバンの油田を占領したと聞いた東条英機首相は、
「これで石油問題は解決した」
と言いましたが、彼も政府(そして軍)も、油田を占領することと石油を手に入れることは同じではないということに気付いていませんでした。
結論を言えば、日本はせっかく奪った油田から、多くの石油を日本国内に輸送することができなかったのです。
開戦前、日本政府はインドネシアの石油やボーキサイト(アルミニウムの原料)を日本に送り届けるための輸送船を民間から徴用することに決めていました。
しかし軍が必要とするだけの数を徴用すると、日本国内の流通に支障を来すため、軍は
「半年だけ」
という条件で無理矢理に民間船を徴用したのです。
ところが、インドネシアからの石油などの物資を運ぶ輸送船や油槽船が、アメリカの潜水艦によって次々と沈められる事態となります。
それでも海軍は、輸送船の護衛など一顧だにせず、聯合艦隊の誇る優秀な駆逐艦が護衛に付くことは一切ありませんでした。
「聯合艦隊はアメリカの太平洋艦隊を撃破するためのもので、鈍足の輸送船を護衛するためのものではない」
というのが上層部の考えだったからです。
海軍は、かつて日本海海戦でバルチック艦隊を壊滅させて日露戦争に勝利したように、大東亜戦争もアメリカの太平洋艦隊を壊滅させれば終結すると考えていました。
そのため艦隊決戦こそが何よりも優先されるという思い込みを持っており、輸送船の護衛などは考えもしなかったのです。
海軍では船舶の護衛任務を
「くされ士官の捨て所」
と呼んで軽侮していましたし、陸軍にも
「輜重輸卒(しちょうゆそつ:物資の輸送をする兵)が兵隊ならば蝶々トンボも鳥のうち」
と輜重兵を馬鹿にしたざれ歌がありました。
戦争が、輸送や生産も含めた総力戦であるという理解が欠如していたのです。
身を守る手段のない輸送船は大量に撃沈されました。
それで
「半年だけ」
という約束は反故にされ、軍は更に民間船を徴用することになります。
そのため戦場では勝利を収めながらも、国内経済は行き詰まっていくという矛盾した状況に陥りました。
石油を含む物資の不足が、工業生産力の低下を招き、戦争継続が困難な状況になったにもかかわらず、軍はその辺りを全く把握・理解出来ていませんでした。
驚くべきデータがあります。
公益財団法人「日本殉職者船員顕彰会」の調べによれば大東亜戦争で失われた徴用船は、商船3575隻、機帆船2070隻、魚船1595隻、戦没した船員と漁民は6万人以上に上ります。
その損耗率は何と約43%です。
これは陸軍兵士の損耗率約20%、海軍兵士の損耗率約16%を遥かに超えています。
彼ら民間の船員たちは、海外から石油を含む貴重な物資を命懸けで運んだにもかかわらず、石油は軍に優先的に回され、国民には満足に行き渡りませんでした。
それでも軍需物資の不足に悩む政府は、昭和17年(1942)5月に、金属類回収令を発動し、寺の梵鐘、橋の欄干、銅像、更に一般家庭にある余った鍋釜や鉄瓶、火箸に至るまで強制的に供出させたのです。
これにより国民生活は一層逼迫しました。
この時点で、戦争継続は不可能な状況と言えました。

ミッドウェー海戦と言霊主義
昭和17年(1942)6月、聯合艦隊はミッドウェー海戦で、主力空母4隻を失うという致命的な大敗を喫しました。
この戦いは運に見放された面もありましたが、日本海軍の驕りと油断が多分にあったことも確かです。
例えば開戦前のシミュレーションの際、日本の空母に爆弾が命中して攻撃能力を失う事態に陥った時、参謀の1人が空母の被害を低めに修正させて図上演習を続けています。
また作戦前に
「もし敵空母がやってきたら」
と問われた航空参謀は、
「鎧袖一触(がいしゅういっしょく)です」
とこともなげに答えていたという話もあります。
「鎧袖一触」
とは
「刀を抜くまでもなく、鎧の袖を当てただけで相手を倒してしまう」
という意味の言葉です。
ここには具体的な対策案はありません。
単なる思い込みです。
その発言が事実であったかどうかは不明ですが、ミッドウェー海戦全体を改めて眺めると、そこには上層部の油断や傲慢が随所に見られます。
そして私はここに
「言霊主義」
の悪しき面を見ます。
つまり
「悪い結果は口にしないし、想定もしない」
で、
「良い事だけを言う」
という日本人に特有の精神です。
この後も、日本軍は
「言霊主義」
に囚われ、太平洋の各戦場で独りよがりの作戦を立てて敗北を重ねていきます。
もう1つ日本軍の大きな欠点は情報を軽視したことです。
その典型が昭和17年(1942)8月に始まったガダルカナル島攻防戦でした。
この島をアメリカ軍に奪われたと聞いた大本営は直ちに奪回を試みますが、アメリカ軍の兵力を2000人くらいと根拠もなく見積もり、それなら900人ほどで勝てるだろうと一木支隊を送り込みました。
敵の半分の兵力で勝てると考えるのも大いに問題ですが、実際にはアメリカ軍は1万3000人もいたのです。
また日本軍が持っていない重砲などを装備していました。
アメリカ軍陣地に突撃した800人の兵士のうち777人が一夜にして死亡しました。
その報を受けた大本営は、それではと今度は5000人を送り込みます。
しかしアメリカ軍は更に1万8000人まで増強していました。
結局、ガダルカナル島を巡る攻防戦は半年近くに渡って行われ、日本軍は夥しい人的被害を出し、大量の航空機と艦艇を失って敗退します。
しかもガダルカナル島で亡くなった陸軍兵の多くは餓死でした。
この戦いでは、日本の誇る世界最強の戦艦である大和と武蔵は1度も出撃していません。
兵力を温存したかったという理由もありますが、石油不足のために動かせなかった(大和型戦艦は大量に重油を消費する)という面もありました。
輸送船を護衛しなかったツケが開戦後1年も経たないうちに回ってきたのです。

無意味な戦い
昭和18年(1943)の時点で、日本の国内経済は既にガタガタになっており、生産力は著しく低下していました。
アメリカとの戦争継続の見通しはかなり厳しくなっていましたが、アメリカの本格的な反攻がなかったためか、講和の画策をした形跡がありません。
一方、中国大陸に限っては戦いを有利に進めていました。
ただアメリカはその1年を間休んでいたわけでは決してありませんでした。
ヨーロッパ戦線を戦いながら、日本への反攻準備を着々と整えていたのです。
一番の武器は大型空母でした。
真珠湾攻撃を見て空母の有効性を確認したアメリカは、大型空母(エセックス級と呼ばれるもので、第二次世界大戦中の最強の空母)の建造を大幅に増やしたのです。
その結果、アメリカが終戦までの間に18隻ものエセックス級空母を就役させたのに対し、日本が戦争中に就役させて実戦に投入できた正規空母は1隻のみでした。
ちなみに開戦時、アメリカが保有していた中型以上の空母は7隻、日本は6隻でしたが、アメリカは大西洋にも空母を展開していたので、太平洋側では日本が優勢でした。
しかし僅か3年で大逆転しました。
昭和19年(1944)6月に行われたマリアナ沖海戦で、新型空母をずらりと揃えたアメリカの機動部隊の前に、日本の聯合艦隊は完敗を喫します。
その戦力差は最早圧倒的と言えるほど開いていました。
この戦いで大本営が掲げていた絶対国防圏が破られ、サイパン島が奪われました。
これは日本の命運を握られたとも言える事態でした。
というのも、サイパンからは大型爆撃機B-29が直接日本を空襲することが可能だったからです。
この時、国務大臣でもあった岸信介(戦後、首相になる)らは
「本土爆撃が繰り返されれば必要な軍需を生産出来ず、軍需次官としての責任を全う出来ないから講和すべし」
と首相の東條英機に進言しました。
東條は
「ならば辞職せよ」
と言いましたが、岸は断固拒絶しました。
東條の腹心だった東京憲兵隊長が岸の私邸を訪れ、軍刀をがちゃつかせて恫喝しても岸は動じませんでした。
結果、閣内不一致となり、同年昭和19年(1944)7月、東條内閣はサイパン失陥の責任を取る形で総辞職となります。
現代でもメディアや文化人などが、東條英機をヒトラーやムッソリーニなどの独裁者と同列に並べることがありますが、この一事を見てもそうではないことが分かります。
日本は戦争中であっても議院内閣制を堅持していたのです。
後の評論家の多くは、この時に不利な条件でも講和すべきだったと言いますが、既にこの時点ではアメリカは無条件降伏に近いものしか認めなかったでしょうし、大本営と陸軍がそれを呑んだとは考えられません。
つまるところ、行き着く所まで行く運命にあったと言えるのです。

神風特攻隊
日本は中国大陸での戦いでは常に優勢でしたが、昭和19年(1944)秋の時点で、アメリカを相手にした太平洋での戦いは最早絶望的でした。
聯合艦隊はほとんどの空母を失っており、強大な空母部隊を擁するアメリカ艦隊に対抗できる力などあるはずもなかったのですが、それでも降伏しない限りは戦い続けなくてはなりませんでした。
同年昭和19年(1944)10月、日本はフィリピンでアメリカ軍を迎え撃ちます。
追い詰められた日本海軍は、人類史上初めて航空機による自爆攻撃を作戦として行いました。
神風特攻隊です。
神風特攻隊は最初はフィリピンでの戦いの限定的作戦でしたが、予想外の戦果を挙げたことから、なし崩し的に通常作戦の中に組み入れられました。
しかし陸海軍の必死の攻撃の甲斐も無く、フィリピンはアメリカに奪われ、日本陸軍兵士51万8000人が戦病死します。
フィリピンを奪われたことで、南方と日本を繋ぐシーレーンは完全に途絶え、遂に石油は1滴も入って来ない状態となりました。
もっともその前から護衛の無い日本の油槽船はアメリカの潜水艦の餌食となっていて、昭和19年(1944)には、インドネシアから国内へ送られた原油は僅か79万リットルでした(戦前、アメリカから輸入していた原油は年間500万リットル)。
最早戦争どころか国民生活さえ維持できない状況となっていたのです。
翌昭和20年(1945)、アメリカ軍は遂に沖縄にやってきました。
日本軍は沖縄を守るために、沖縄本島を中心とした南西諸島に7万以上の兵士を配置しました。
更に陸軍と海軍合わせて約2000機の特攻機が出撃しました。
また聯合艦隊で唯一残った戦力と言える戦艦大和も出撃しましたが、延べ400機近いアメリカ空母艦載機の攻撃により、坊ノ岬沖であえなく沈められました。
戦後の今日、
「日本は沖縄を捨て石にした」
と言う人がいますが、これは完全な誤りです。
日本は、沖縄を守るために最後の力を振り絞って戦ったのです。
もし捨て石にするつもりだったなら、飛行機も大和もガソリンも重油も本土防空及び本土決戦のために温存したでしょう。
沖縄は不幸なことに地上戦となり、約9万4000人もの民間人が亡くなりました。
沖縄出身の兵士は2万8000人以上がなくなっていますが、沖縄以外の出身の兵士も約6万6000人が亡くなっています。
決して沖縄を捨て石になどしていなかったのです。

悪魔の如きアメリカ軍
アメリカ軍は沖縄を攻略する前に、昭和20年(1945)3月に東京大空襲を行っています。
これはアメリカが日本の戦意を挫くために、一般市民の大量虐殺を狙って行われたものでした。
この作戦を成功させるために、アメリカ軍は関東大震災や江戸時代の明暦の大火についてまで調べ、どこを燃やせば日本人を効果的に焼き殺せるかを事前に研究し尽くして、空襲場所を浅草区、深川区、本所区などを中心とする民家密集地帯に決めました。
またどのような焼夷弾が有効かを確かめるために、ユタ州の砂漠に日本の民家を建てて作り、実験まで行っています。
その家の中には、ハワイから呼び寄せた日系人の職人に、布団、畳、障子、卓袱台までしつらえさせるという徹底ぶりでした。
そしてサイパン基地から300機のB-29に爆弾を積めるだけ積んで出撃し(そのため機銃まで降ろしていた)、昭和20年(1945)3月9日の深夜から10日の未明にかけて、2000メートルという低空から東京都民に爆弾の雨を降らせたのです。
その結果、一夜にして老人、女性、子供などの非戦闘員が10万人以上殺されました。
これはハーグ陸戦条約に違反した明白な戦争犯罪行為です。
昭和20年(1945)5月にドイツが無条件降伏し、世界を相手に戦っているのは日本のみとなりました。
東京はその後も何度か大空襲に遭い、全土が焼け野原となりました。
アメリカ軍は昭和20年(1945)5月に東京を爆撃目標リストから外したほどです。
被害に遭ったのは東京だけではありません。
大阪、名古屋、福岡など、日本の主要都市は軒並み焦土にされ、全国の道府県、430の市町村が空襲に遭いました。
アメリカ軍の戦闘機は逃げ惑う市民を、動物をハンティングするように銃撃しました。
空襲による死者数は、調査によってバラツキがありますが、数十万人と言われています。
アメリカ軍による最も残虐な空襲は、昭和20年(1945)8月に、広島と長崎に落とした2発の原子爆弾(原爆)でした。
これも無辜の一般市民の大量虐殺を意図したもので、明白な戦争犯罪です。
この時点では日本の降伏は目前だったにもかかわらず、人類史上最悪の非道な行為に及んだことは許し難いものがあります。
しかし今もアメリカ人の多くは
「原爆投下は正しかった」
と考えています。
その理由は原爆のお陰で戦争が早期に集結し、多くのアメリカ兵の命が救われたからというものです。
実に利己的な考え方ですが、広島と長崎に原爆を投下した本当の目的はそれではありません。
もし原爆の威力を見せつけることで日本に戦争終結を迫りたいなら、人口密集地に投下しなくてもよかったはずですし、仮に都市に投下するなら事前に告知して住民が退避する時間を与えるということも出来たはずです。
これは何も私の考えではありません。
実際に、アメリカ国内で原爆の関係者(原爆に関する諮問機関である暫定委員会のメンバー)が政府に提言していた内容です。
しかし残念なことに、それらの提言は取り上げられることはなく、広島と長崎に原爆は投下されました(長崎は当初の目的地である小倉上空が雲で覆われていたため、第2候補地であった長崎に投下された)。
原爆投下の目的の第1は、原爆の効果を知るためであったと言っていいでしょう。
その根拠は、原爆投下候補地には通常の空爆を行っていなかったことが挙げられます。
ちなみに京都がほとんど空襲されなかったのも候補地の1つであったからです。
アメリカ軍が文化財を守るため、京都、奈良などの古都を空爆しなかったという話がありますが、これは完全な誤りです。
この誤解に便乗し、中国人の建築家がアメリカに対して
「京都、奈良を空爆しないように進言した」
という話がありますが、これは悪質な捏造です。
何より忘れてはならないのは、原爆投下には有色人種に対する差別が根底に見えるということです。
仮にドイツが徹底抗戦していたとしても、アメリカはドイツには落とさなかったでしょう。
大東亜戦争が始まった途端、アメリカは約8割の日系アメリカ人(アメリカ市民)の財産を剥奪し、強制キャンプに送りましたが、第二次世界大戦中もドイツ系アメリカ人に対しては特に制約をしていません(ナチスへの協力者は除く)。
昭和19年(1944)9月にニューヨークのハイドパークで行われたルーズベルト米大統領とチャーチル英首相の
「核に関する秘密協定」
において、原爆はドイツではなく、日本へ投下することを確認し合っています。
原爆投下のもう1つの目的は、ソ連に対しての示威行為です。
アメリカは戦後の対ソ外交を有利に運ぶために原爆投下を昭和20年(1945)の5月には決定していました。
原爆はソ連に対して何よりの軍事的威圧になると見ていたからです。
2発目の原爆が落とされた昭和20年(1945)8月9日、ソ連が
「日ソ中立条約」
を破って参戦しました。
最早日本が戦争を継続するのは不可能でした。
5日後の昭和20年(1945)8月14日、日本は
「ポツダム宣言」
を受諾すると連合軍に通達します。
ここに日本が3年9カ月戦った大東亜戦争の終わりが決定しました(同時に8年続いた支那事変も終結)。
古代以来、1度も敗れることがなかった日本にとって初めての敗北でした。
同時に、16世紀より続いていた欧米列強による植民地支配を跳ね返し、唯一独立を保った最後の有色人種が、遂に白人種に屈した瞬間でもありました。

「大東亜戦争は東南アジア諸国への侵略戦争だった」
と言う人がいますが、この見方は誤りです。
というより、正確な意味での侵略ではありません。
日本は中国以外のアジア諸国とは戦争をしていないからです。
日本が戦った相手は、フィリピンを植民地としていたアメリカであり、ベトナムとカンボジアとラオスを植民地としていたフランスであり、インドネシアを植民地としていたオランダであり、マレーシアとシンガポールとビルマを植民地としていたイギリスでした。
日本が
「大東亜共栄圏」
という理想を抱いていたのは確かです。
「大東亜共栄圏」
とは、日本を指導者として、欧米諸国をアジアから排斥し、中華民国、満州、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ビルマ、インドを含む広域の政治的・経済的な共存共栄を図る政策でした。
昭和18年(1943)には東京で、中華民国、満州国、インド、フィリピン、タイ、ビルマの国家的有力者を招いて
「大東亜会議」
を開催しています。
また同年昭和18年(1943)8月1日にビルマを、昭和18年(1943)10月14日にフィリピンの独立を承認しています(ただし、アメリカとイギリスは認めなかった)。
残念ながら日本の敗戦により、
「大東亜共栄圏」
が実現されることはありませんでしたが、戦後、アメリカやイギリスなど旧宗主国は再びアジアの国々を支配することはできず、アジア諸国の多くが独立を果たしました。
この世界史上における画期的な事実を踏まえることなく、短絡的に
「日本はアジアを侵略した」
と言うのは典型的な自虐史観による見方です。

ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム
GHQが行った対日占領政策の中で問題にしたいのが、日本国民に
「戦争責任」
を徹底的に伝える
「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(英語:War Guilt Information Program)
でした。
分かり易く言えば、
「戦争についての罪悪感を、日本人の心に植え付けるための宣伝計画」
です。
これは日本人の精神を粉々にし、2度とアメリカに戦いを挑んでこないようにするためのものでした。
「極東軍事裁判」(東京裁判)
もその1つと言えます。
そして、これらの施策は結果的に日本人の精神を見事に破壊しました。
「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」
という言葉は、文芸評論家の江藤淳が昭和58年(1983)から月刊誌「諸君!」に連載した『閉ざされた空間』で使った呼称ですが、彼はGHQの内部文書から、占領軍がそうした意図を持っていたことを明らかにしました。
同連載は平成元年(1989)に書籍化されましたが、言論史を塗り替える画期的な本となりました。
その後、教育学者の高橋史郎や翻訳家の関野通夫らが多くの1次資料を発掘し、江藤の説を裏付けています。
同書が明らかにした事は紛れもない事実で、実際、昭和20年(1945)10月2日に発せられたGHQの一般命令書の中に、
「各層の日本人に、彼らの敗北と戦争に関する罪、現在及び将来の日本の苦難と窮乏に対する軍国主義者の責任、連合国の軍事占領の理由と目的を、周知徹底せしめること」
と明記されています。
GHQはその方針に従って、自分たちの意に添わぬ新聞や書物を発行した新聞社や出版社を厳しく処罰しました。
江藤がアメリカ国立公文書館分室で見付けた前述の文書には、禁止項目は全部で30もありました。
禁止事項の第1は
「GHQ/SCAP(連合国軍最高司令官総司令部及び最高司令官)に対する批判」
です。
2番目は
「東京裁判に対する批判」、
3番目は
「GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判」
でした。
アメリカ、イギリス、ソ連、フランス、中華民国、その他の連合国に対する批判も禁じられていました。
更に何故か朝鮮人に対する批判も禁止事項に含まれていました。
占領軍兵士による犯罪の報道も禁じられ、またナショナリズムや大東亜共栄圏を評価すること、日本の戦争や戦犯を擁護することも禁じられました。
新聞や雑誌にこうした記事が載れば、全面的に書き換えを命じられました。
GHQの検閲は個人の手紙や電話にまで及びました。
進駐軍の残虐行為を手紙に書いたことで、逮捕された者もいます。
スターリン時代のソ連ほどではありませんでしたが、戦後の日本に言論の自由は全くありませんでした。
こうした厳しい検閲を、日本語が堪能でないGHQのメンバーだけで行えたはずがありません。
多くの日本人協力者がいたことは公然の秘密でした。
一説には4000人の日本人が関わったと言われています。
更にGHQは戦前に出版されていた書物を7000点以上も焚書しました。
焚書とは、支配者や政府が自分たちの意に添わぬ、あるいは都合の悪い書物を焼却することで、最悪の文化破壊の1つです。
歴史上では秦の始皇帝とナチスが行った焚書が知られていますが、GHQの焚書も悪質さにおいてそれに勝るとも劣らないものでした。
驚くべきは、これに抵抗する者には警察力の行使が認められており、違反者には10年以下の懲役もしくは罰金という重罰が科せられていたことです。
もちろん、この焚書にも多くの日本人協力者がいました。
特に大きく関与したのは、日本政府から協力要請を受けた東京大学の文学部だと言われています。
東京大学の文学部内には戦犯調査のための委員会もあったとされていますが、この問題を占領の終了後もマスメディアが全く取り上げようとしないのは実に不可解です。
検閲や焚書を含むこれらの言論弾圧は
「ポツダム宣言」
に違反する行為でした。
「ポツダム宣言」
の第10項には
「言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権は確立されるべきである」
と記されています。
つまりGHQは明白な
「ポツダム宣言」
違反を犯しているにもかかわらず、当時の日本人は一言の抵抗すらできなかったのです。
「大東亜戦争」
という言葉も使用を禁止されました。
GHQは
「太平洋戦争」
という名称を使うよう命じ、出版物に
「大東亜戦争」
という言葉を使えば処罰されたのです。
これは事実認識の点で非常に問題のある措置でした。
というのも、日本政府が閣議決定した
「大東亜戦争」
という呼称は、日中戦争から対米戦、ポツダム宣言受諾までの一連の戦争の総称ですが、
「太平洋戦争」
と言うと、中国大陸や東南アジアでの戦いが含まれないことになります。
しかも、
「太平洋戦争」
という呼称は、世界史で言えば、19世紀終盤に南米で起きたボリビア、ペルー、チリの戦争を指すのが一般的です。
GHQが
「大東亜戦争」
という呼称を禁じたのは、日本が欧米諸国に支配されていたアジアの解放を謳う意味で使った
「大東亜共栄圏」
を構築するための戦争であったというイメージを払拭させるためです。
GHQはたとえ大義名分であったとしても
「アジアの解放」
のための戦争であったと言われるのを嫌ったのです。
この検閲は7年間続きましたが、この時の国民の恐怖が国民の心の中に深く残ったためか、現在でも、マスメディアは決して
「大東亜戦争」
とは表記せず、国民の多くにも
「大東亜戦争」
と言うのを躊躇する空気があります。
如何にGHQの検閲と処罰が恐ろしかったかが想像できます。

『眞相はかうだ』による洗脳
GHQの
「WGIP:ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(英語:War Guilt Information Program)
は新聞とラジオ放送によっても行われました。
昭和20年(1945)12月8日(この日は真珠湾攻撃からちょうど4年目の日)より、全国の新聞に
「太平洋戦争史」
というタイトルでGHQによる宣伝工作記事が連載され、その翌日からNHKラジオで
『眞相はかうだ』
という番組の放送が始まりました。
いずれも大東亜戦争中の政府や軍の腐敗・非道を暴くドキュメンタリーをドラマ風に描いたもので、国民は初めて知らされる
「真相」
に驚きました。
新聞連載もラジオ放送も、その目的は日本国民に
「太平洋戦争は中国をはじめとするアジアに対する侵略戦争であった」
ということを徹底的に刷り込むためのものでした。
『眞相はかうだ』
はGHQが全て台本を書いており(そのことは国民に知らされていなかった)、放送される内容も占領政策に都合のいいものでした。
GHQは翌年昭和21年(1946)も
『眞相箱』
『質問箱』
というタイトルで、約1年に渡り洗脳番組を放送し続けました(依然、GHQが制作していることは伏せられていた)。
GHQが巧妙だったのは、番組の中に時折、日本人の良い面を織り交ぜたことでした。
そうすることで内容に真実味を持たせたのです。
しかし戦前の政府や軍を批判する内容には、多くの虚偽が含まれていました。
当時も、これらの番組内容は真実ではないのではないかと疑義を抱く人はいました。
ところが、彼らが声を上げても、そうした記事は
「占領政策全般に対する破壊的批判」
と見做され、全文削除されていたのです。
かくの如く言論を完全に統制され、ラジオ放送によって(当時はインターネットもテレビもない)洗脳プログラムを流され続ければ、国民が
「戦前の日本」
を徹底的に否定し嫌悪するようになるのも無理からぬことです。
ただ、何より恐ろしいのは、この洗脳の深さです。
GHQの占領は7年間でしたが、それが終わって70年以上経った現在でも、
「歴史教科書」
などの影響もあり、多くの日本人が
「戦前の政府と軍部は最悪」
な存在で、
「大東亜戦争は悪辣非道な侵略戦争であった」
と無条件に思い込んでいます。
もちろん戦前の政府や軍部に過ちはありました。
しかし連合国にも過ちはあり、また大東亜戦争は決していわゆる
「侵略戦争」
ではありませんでした。
繰り返しますが、日本には中国を占領する意思はなく(人口と領土を考えても不可能であるし、またそうした作戦は取っていない)、またそれ以外のアジアの人々と戦争をしたわけではありません。
戦後、日本は僅か数年占領下においたアジア諸国に賠償金を支払いましたが、その国々を数十年から300年に渡って支配していたオランダ、イギリス、フランス、アメリカは、賠償金など一切払っていないばかりか、植民地支配を責められることも、少数の例を除いてはほとんどありません。
それは何故かー日本だけが誠意をもって謝罪したからです。
日本人には、自らの非を認めるにやぶさかでない、むしろ非を進んで認めることを潔しとする特有の性格があります。
他の国の人々と違って、謝罪を厭わないのです。
こうした民族性があるところへ、GHQの
「WGIP:ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(英語:War Guilt Information Program)
によって贖罪意識を強く植え付けられたことで、当然のようにアジア諸国に深い謝罪の意を表したのです(もちろん連合国が謝罪させた面もある)。

現代においても歴史学者や評論家の中には
「WGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(英語:War Guilt Information Program)など存在しない」
「WGIPは妄想の産物」
と断定する人が少なくありません。
しかしWGIPは陰謀論ではなく、厳然と存在するものです。
なぜならGHQの公式文書には、
「日本人にWGIPを植え付ける」
という文言が入った書類が多数残されているからです。
例えば、GHQの民間情報教育局(CIE)が昭和23年(1948)3月3日に出した文書のタイトルは、そのものずばり
「WGIPについて」
です。
そこには次のような文章があります。
「その任務を果たすためにCIEは1945年10月から1946年6月までの期間に第1段階のWGIPを開始した」
「このプログラムは日本の全ての公衆情報メディア、即ち新聞、書籍、雑誌、ラジオ、映画を通じて実施された」
(有馬哲夫著『日本人はなぜ自虐的になったのか』より)
ここにはGHQ自身がはっきりとWGIPを開始したと書いています。
これほど明白な証拠はありません。
これはあくまで一例で、GHQが日本人にWGIPを植え付けようとしていたことが書かれている文書はいくらでも残っています。
WGIPを否定する人たちは、こうした1次資料を無視します。
あるいは
「ウォー・ギルトとは『戦争の有罪性』を説くもの」
という風に論理の摩り替えを行います。
ところで、このGHQの文書で注目すべきは、
「日本の全ての公衆情報メディア、即ち新聞、書籍、雑誌、ラジオ、映画を通じて実施された」
というくだりです。
実はWGIPを試みたのはGHQですが、その後、それを積極的に推し進めたのは、他ならぬ私たちの国のメディアだったのです。
更にそれを後押しした組織に
「教育界」
があります。
教職追放の後、大学やその他の教育機関にGHQに阿る教授や教諭が大量に入り、若者や子供たちに自虐思想を植え付けていきました。
メディアと教育による
「洗脳工作」
は、連合軍の占領期間中に弛まず行われました。
その結果、日本の若年層の間に、過剰に自己を否定する、いわゆる自虐史観が蔓延していきました。
そして後に彼らの中から、
「君が代」

「日の丸」
を否定する人々が大量に生まれました。
実に悔しいながら、日本人をマインドコントロールするGHQの占領政策は見事に成功したと言わざるを得ません。
ちなみに戦後、GHQに最も忠実な報道機関となったのが朝日新聞と毎日新聞です。
特に朝日新聞は自ら進んでGHQの政策を肯定し、マッカーサーを称賛しました。
昭和26年(1951)に彼が連合国軍最高司令官を解任され、アメリカに帰国する際にはこう書きました。
「我々に民主主義、平和主義の良さを教え、日本国民をこの明るい道へ親切に導いてくれたのはマ元帥であった」(昭和26年【1951】4月12日)
まるで毛沢東か金日成を礼賛する共産主義国の機関紙のようです。
呆れたことに、この時、マッカーサーを顕彰する
「マッカーサー記念館」
を作ろうという提案がなされ、その発起人に当時の朝日新聞社長の長谷部忠が名を連ねています(毎日新聞社社長、本田親男の名前もある)。
朝日新聞社や毎日新聞社にとって、ダグラス・マッカーサーはそれほど偉大な人物であったということでしょう。

昭和天皇
「ポツダム宣言受諾」
は、昭和20年(1945)8月9日の御前会議で決定されました。
場所は宮中御文庫附属庫の地下10メートルの防空壕内の15坪ほどの一室でした。
時刻は午後11時50分。
列席者は鈴木貫太郎首相、外務大臣、陸軍大臣、海軍大臣、陸軍参謀総長、海軍軍令部総長、枢密院議長の7人でした(他に陪席4人)。
司会の首相を除く6人は、
「ポツダム宣言受諾派」(外務大臣・海軍大臣・枢密院議長)

「徹底抗戦派」(陸軍大臣・陸軍参謀総長・海軍軍令部総長)
の真っ二つに分かれました。
日本政府が
「ポツダム宣言」
を受諾すれば、昭和天皇は戦犯として処刑される可能性もありましたが、会議中、昭和天皇は一切発言しませんでした。
時に昭和天皇は44歳でした。
昭和天皇は、その生涯に渡って、
「君臨すれども親裁(君主自らが政治的な採決を下すこと)せず」
という姿勢を貫いていました。
「親裁」
とは、君主自らが政治的な採決を下すことです。
従って国民が選んだ内閣の決定には口を挟まないという原則を自らに課していたのです。
それを行えば専制君主となり、日本は立憲国ではなくなるという考えを持っていたからです。
昭和3年(1928)の
「張作霖爆殺」
に関する田中義一首相の報告に対して不満を述べたことで内閣が総辞職したことを反省し、以後は
「拒否権」
も含めて、
「親裁」(君主自らが政治的な採決を下すこと)
は行いませんでした。
唯一の例外が、軍事クーデターである
「2・26事件」
の際に制圧せよと命じた時です。
大東亜戦争の開戦には反対だったにもかかわらず(開戦回避のため、水面下で努力していた)、開戦が決まった御前会議においては、内閣の決定に対して一言も異議を唱えませんでした。
「ポツダム宣言」
を巡っての会議は、
「徹底抗戦派」

「ポツダム宣言受諾派」
が共に譲らず、完全に膠着状態になりました。
日付が変わって昭和20年(1945)8月10日の午前2時を過ぎた頃、司会の鈴木貫太郎首相が、
「事態は一刻の遷延も許されません」
「誠に畏れ多いことながら、陛下の思し召しをお伺いして、意見をまとめたいと思います」
と言いました。
ずっと沈黙を守っていた昭和天皇は、
「それならば、自分の意見を言おう」
と、初めて口を開きました。
一同が緊張して見守る中、昭和天皇は言いました。
「自分は外務大臣の意見に賛成できる」
日本の敗戦が決まった瞬間でした。
恐ろしいまでの静寂の後、部屋にいた全員がすすり泣き、やがてそれは号泣に変わりました。
薄暗い地下壕で、11人の男たちが号泣する中、昭和天皇は絞り出すような声で言いました。
「大東亜戦争が始まってから陸海軍のしてきた事を見ると、予定と結果が大いに違う」
「今も陸軍大臣、陸軍参謀長と海軍軍令部総長は本土決戦で勝つ自信があると言っているが、自分は心配している」
「本土決戦を行えば、日本民族は滅びてしまうのではないか」
「そうなれば、どうしてこの日本という国を子孫に伝えることが出来ようか」
「自分の任務は祖先から受け継いだこの日本を子孫に伝えることである」
「今日となっては、1人でも多くの日本人に生き残ってもらい、その人たちが将来再び起ち上がってもらう以外に、この日本を子孫に伝える方法はないと思う」
「そのためなら、自分はどうなっても構わない」
この時の御前会議の様子は、陪席した迫水久常書記官長(現在の内閣官房長官)が戦後に詳細を語ったテープが残っています(国立国会図書館所蔵)。
この録音を文字起こしした文章を読めば、当夜の異様な緊迫感がこれ以上はないくらいの臨場感をもって迫ってきます。
日本政府はその日昭和20年(1945)8月10日の朝、連合国軍に
「ポツダム宣言受諾」
を伝えますが、この時、
「国体護持」(天皇を中心とした秩序【政体】の護持)
を条件に付けました。
連合国軍からの回答は昭和20年(1945)8月13日に来ましたが、その中に
「国体護持」
を保証する文言がなかったため(昭和天皇の処刑の可能性もあった)、政府は昭和20年(1945)8月14日正午に再び御前会議を開きます。
この時の列席者は、昭和20年(1945)8月9日の時の7人に加え、全閣僚を含む計23人でした。
この席上で
「(陛下を守れないなら)本土決戦やむなし」
という声が上がりますが、昭和天皇は静かに立ち上がって言いました。
「私の意見は変わらない」
「私自身は如何になろうとも、国民の生命を助けたいと思う」
最早列席者一同は慟哭するのみでした。
そして昭和天皇は最後にこう言いました。
「これから日本は再建しなくてはならない」
「それは難しい事であり、時間も長くかかるだろうが、国民が皆一つの家の者の心持になって努力すれば必ず出来るであろう」
「自分も国民と共に努力する」
(迫水久常内閣書記官長の証言録より)
同日昭和20年(1945)8月14日、
「ポツダム宣言受諾」
は閣議決定され、午後11時、連合国側へ通達されました。
こうして大東亜戦争は終結しました。
この歴史的な出来事の経緯と昭和天皇のお言葉が、今日、文科省が選定したどの歴史教科書にも書かれていないのは不可解としか言いようがありません。
従ってこの事を知っている日本人はほとんどいないのが実情です。
しかし、日本人であるならば、この事は永久に忘れてはならない事だと思います。

戦後、昭和天皇の戦争責任について様々な意見が出されてきました。
もちろん法的には責任は発生しませんが、この問題を語る前に、昭和天皇の政治に対するモットーについて述べたいと思います。
大日本帝国憲法の基本原則は、統治権は天皇が総覧( 全体に渡って目を通すこと)するが、実際の政治は政府が行うというものでした。
よって昭和天皇は、
「君臨すれども親裁(君主自らが政治的な採決を下すこと)せず」
という政治姿勢を貫いていました。
つまり昭和天皇は立憲君主であって、専制君主ではなかったのです。
昭和天皇は御前会議の場でも基本的に閣僚たちの意見を聞いているだけで、自らの意見を口にすることはありませんでした。
戦争中も、軍部が天皇大権である
「統帥権」【大日本帝国憲法下の日本における軍隊を指揮監督する最高の権限(最高指揮権)】
を盾に、全ては天皇陛下の命令であるという体で国民を動かして戦争に突き進んだというのが実態でした。
昭和天皇がその生涯において、政治的な決断(親裁)を下したのは、2・26事件と終戦の時だけでした。
厳密に言えば、昭和3年(1928)の
「張作霖爆殺事件」
に対して不快感を露わにしたケースがありましたが、そのことで内閣が総辞職した結果を見て、昭和天皇は内閣の決定には拒否権を発動しない旨を自らに課していました(その後の昭和11年【1936】の「2・26事件」は軍の統帥権者として反乱軍の鎮圧を命じたもの)。
昭和20年(1945)9月27日、昭和天皇がアメリカ大使館でマッカーサーと初めて会談した時、マッカーサーは昭和天皇が命乞いをしに来たと思っていました。
ところが、そうではありませんでした。
昭和天皇はマッカーサーにこう言ったのです。
「私は、国民が戦争遂行に当たって政治、軍事両面で行った全ての決定と行動に対する全責任を負う者として、私自身をあなたの代表する諸国の採決に委ねるためお訪ねした」
(『マッカーサー大戦回顧録』より)
この時、同行していた通訳がまとめた昭和天皇の発言のメモに、後日、藤田尚徳侍従長が目を通し、回想録に次のように記しています。
「陛下は次の意味のことを元帥に伝えられている。
『敗戦に至った戦争の、色々の責任が追及されているが、責任は全て私にある』
『文武百官は、私の任命する所だから、彼等には責任はない』
『私の一身は、どうなろうと構わない』
『私はあなたにお任せする』
『この上は、どうか国民が生活に困らぬよう、連合国の援助をお願いしたい』」
(『侍従長の回想』)
マッカーサーは昭和天皇のこの言葉に深い感銘を受けます。
「死を伴うほどの責任、それも私の知り尽くしている諸事実に照らして、明らかに天皇に帰すべきではない責任を引き受けようとする、この勇気に満ちた態度は、私の骨の髄までも揺り動かした」
「私はその瞬間、私の前にいる天皇が、個人の資格においても日本の最上の紳士であることを感じ取ったのである」
(『マッカーサー大戦回顧録』より)
この時の会談の際、車で訪問した昭和天皇をマッカーサーは出迎えませんでした。
昭和天皇は戦犯候補に挙げられていたので、これは当然でした。
しかし帰る時にはマッカーサーは昭和天皇を玄関まで見送りに出ています。
恐らく会談中に昭和天皇の人柄に感服したためだと思われます。
「君臨すれども親裁(君主自らが政治的な採決を下すこと)せず」
という存在でありながら、同時に日本の
「統治権の総攬者」
であった昭和天皇の戦争責任というテーマは、イデオロギーや政治的な立ち位置によって見方が変わり、また永久に結論が出ない問題ではあります。
「ご聖断」
が遅過ぎたという声もあります。
しかし、仮に半年前に天皇が終戦を決断したとしても、連合国、特にアメリカ政府がそれに同意する保証はなく、日本の陸軍がそれを呑むこともなかったと思われます。
昭和20年(1945)8月14日の時点でさえ、陸軍の中には、更なる犠牲を出しても本土決戦をすべきと主張する者が何人もいたのです。
余談ですが、戦争中、昭和天皇は1度も皇居から離れませんでした。
東京は何度もアメリカ軍の大空襲を受けており、周囲の者は疎開を勧めましたが、昭和天皇は
「目の前で君臣が次々と死んでいくのに、なぜ朕だけが疎開などできようか」
と言い、頑として拒否しました。
昭和天皇は死を覚悟していたのです。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/602.html#c37

[政治・選挙・NHK296] 進む無法者集団化…2022年の参院選に出馬した9人中4人が逮捕の異常事態 立花孝志はなぜ選挙モンスターになったのか(日刊ゲン… 赤かぶ
33. 秘密のアッコちゃん[1331] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月12日 13:23:19 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[769]
<■256行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>給付金詐欺摘発 中国料理店の背景解明を
社説
2025/2/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20250212-FEQIY4EVLNLKPMU3M2P64FPM3A/
警視庁公安部は、国の新型コロナウイルス対策の給付金騙し取ったとして、東京・六本木の中国料理店などを経営する中国籍の会社社長と元社員の両容疑者を、詐欺容疑で逮捕した。
通常、給付金詐欺などの経済事件は刑事部の捜査2課が担当するが、この事件では公安部が捜査に当たった。
公安部には外事課があり、外国機関の諜報活動や国際テロリズム、戦略物資の不正輸出、不法滞在などを担当とする。
2人の逮捕容疑は、元社員が実際には勤務しているのに休業したと偽り、給付金を13回に渡って申請し、約375万円を詐取した疑い。
他にも複数の従業員について虚偽申請させていたとみられ、不正受給額は3億円に上る可能性がある。
この社長は在日中国大使館で3等書記官として勤務していたこともあるとされる。
店のホームページには、
「歴代首相を始めとする日本政財界、中国大使館などによくご利用されています」
との一文もあった。
公安部は令和5年にも、中国出身者と日本企業の交流促進に取り組むとする一般社団法人のビルを捜索し、翌年令和6年、同法人の元幹部とされる中国人2人を詐欺容疑で書類送検=不起訴=した。
このビルは、スペインのNGO
「セーフガード・ディフェンダーズ」
が、中国が世界各地に設置した
「海外警察拠点」
の1つに名指ししていた。
同NGOによると
「海外警察拠点」
は世界50カ国、100カ所以上にあり、国外の中国人の政治活動の監視や帰国の強制などの非公然活動を行っているとされる。
米国やドイツ、オランダなどで摘発され、閉鎖命令も受けている。
日本には、こうした諜報活動を直接取り締まる法律がなく、現行刑法の捜査対象である詐欺事件の摘発などから、その背景や活動実態を解明せざるを得ないのが実情である。
令和6年に送検した人物は、自民党の参院議員事務所に一時期、
「外交顧問兼外交秘書」
として出入りしていたことなどが判明した。
今回の事件でも背景を徹底的に解明してほしい。
同時に
「スパイ防止法」
の創設も急ぐべきである。
同法案は昭和60年に議員立法で提出されたが、同年に廃案となった。
いつまでも日本が
「スパイ天国」
でいいはずがない。

元中国外交官の経営者、経理担当「パイプ役」として組織的に虚偽申請指示か
2025/2/6 19:14
https://www.sankei.com/article/20250206-BBFGIJ4YCVNKDHFWJXLEI3I3HY/
国の新型コロナウイルス対策の給付金を巡る不正受給事件で、詐欺容疑で逮捕された元外交官で中国籍の徐耀華容疑者(62)が、経営する会社で経理担当だった元社員の男=同容疑で逮捕=を通じて従業員に広く虚偽申請を指示していたとみられることが2025年2月6日、捜査関係者への取材で分かった。
警視庁公安部は組織的な不正受給とみて、事件の背景や、中国大使館関係者が出入りしていたとみられる店の実態についても解明を進める。
公安部は同日、徐容疑者を送検した。
徐容疑者とともに詐欺容疑で逮捕された小島敬太容疑者(28)は、令和2年5月〜6年5月ごろまで、東京・六本木の中国料理店「御膳房」などを経営する「東湖」に勤務。
捜査関係者によると、会社全体の経理を担当する立場にあり、徐容疑者が小島容疑者を「パイプ役」として虚偽申請や勤務記録の改竄を広範囲に指示していた可能性がある。
2025年2月5日は午前10時頃から店の捜索が行われ、約12時間後の午後10時すぎ、捜査員が押収物を入れたとみられる段ボール箱を運び出していた。

逮捕の中国籍元外交官、日本の政財界との関係示唆 公安部は資金の流れ解明進める
2025/2/5 20:44
https://www.sankei.com/article/20250205-X3XAVCH5YNLX5IXLHPOAIGXYDE/
国の新型コロナウイルス対策の給付金を巡り、警視庁公安部は2025年2月5日、詐欺容疑で中国籍の元外交官、徐耀華容疑者(62)らを逮捕した。
公安部は過去にも、コロナ給付金を巡る詐欺容疑で、都内の中国人の関係先を捜索していた。
令和5年5月、中国出身者と日本企業の交流促進に取り組むとする一般社団法人のビルを捜索。
令和6年2月、同法人の元幹部とされる中国人2人を詐欺容疑で書類送検=不起訴=した。
このビルは、スペインのNGO
「セーフガード・ディフェンダーズ」
が、中国が世界各地に設置した
「海外警察拠点」
の1つに挙げていた。
国外の中国人の政治活動の監視などを任務としている。
公安部の摘発により、ビル内で在日中国人への中国での運転免許更新支援が行われていたことや、元幹部が一時、国会議員の事務所に出入りしていたことも明らかになった。
日本には諜報活動を直接、防止する法律がなく、秘匿性の高い情報の流出を防ぐ特定秘密保護法(平成25年12月成立)も十分に機能しているとは言えない。
こうした日本の現状を
「スパイ天国」
になっているとして、防止法や防諜機関の整備を求める意見がある。
《歴代首相を始めとする日本政財界、中国大使館などによくご利用されています》
詐欺容疑で逮捕された徐耀華容疑者の店のホームページはこんな一文を掲載。
大使館関係者の出入りもあったとみられ、日本の政財界との接点も匂わせる。
背後関係は不明だが、公安部は詐欺事件の資金の流れの解明を進める。

中国元外交官を逮捕 新型コロナ給付金詐取容疑 経営の中国料理店に大使館員出入り
2025/2/5 19:40
https://www.sankei.com/article/20250205-CGUSGFWJBJKM5A6SABRFLA257Q/
国の新型コロナウイルス対策の給付金をだまし取ったとして、警視庁公安部は2025年2月5日、詐欺容疑で、東京・六本木の中国料理店「御膳房」など8店舗を経営する「東湖」社長で、中国籍の徐耀華容疑者(62)と、元社員で経理担当だった小島敬太容疑者(28)を逮捕した。
公安部は同日、関係先計約20カ所を捜索。
徐容疑者が経営する店には中国大使館関係者らが多く出入りしていたとみられ、背後関係を調べている。
関係者によると、徐容疑者は中国出身で、中国教育省直属で最も権威のある大学とされる
「国家重点大学」
に指定されている
「武漢大学」
を卒業。
同大の在日同窓会組織の幹部も務めていたという。
大学卒業後には、日本の文部科学省に当たる
「文化省」
に入省。
1980年代には在日中国大使館で3等書記官として勤務していた。
2人の逮捕容疑は、令和2年11月〜4年8月、小島容疑者が実際には勤務しているのに休業したと偽り、給付金を13回に渡り申請し、約375万円を騙し取ったとしている。
公安部は2人の認否を明らかにしていない。
徐容疑者は、小島容疑者を含む従業員の勤務記録を改竄させるなどして申請させ、給与の支払いを免れていた可能性がある。
複数の従業員について虚偽申請をさせていたとみられ、不正受給額は3億円に上る可能性がある。


スパイ防止法に反対した村上誠一郎氏 昭和61年初当選当時「現行法の手直しで十分」
2024/10/4 10:59
https://www.sankei.com/article/20241004-OROBZLT4CFDYLBBW7LV4RHDNEU/
石破茂内閣で再入閣した村上誠一郎総務相は、衆院議員に初当選した昭和61年当時、自民党が制定を目指していたスパイ防止法について
「現時点においては不必要」
と党内で反対していた。
スパイ防止法を巡る動きを振り返ってみた。
■「スパイ天国」返上目指した自民
戦後、日本はソ連や北朝鮮によるスパイ活動を厳しく取り締まる法律がなく、
「スパイ天国」
と呼ばれてきた。
昭和53年10月の参院予算委員会で福田赳夫首相は
「スパイ天国と言われる状態を放置しておいていいのかどうか」
と述べ、将来はスパイ防止法が必要との認識を示した。
翌54年には保守系の学者や文化人が発起人となって
「スパイ防止法制定促進国民会議」
が発足した。
昭和55年に陸上自衛隊の陸将補がソ連に情報を流したとして逮捕されたが、自衛隊法の守秘義務違反で懲役1年に問われただけだったことから、制定の機運が高まり、地方議会での推進意見書可決が相次いだ。
昭和57年に就任した中曽根康弘首相も積極的な姿勢を見せ、昭和59年には
「スパイ防止のための法律制定促進議員・有識者懇談会」
が発足し、政界を引退した岸信介元首相が会長に就任した。
現在文化庁長官を務める作曲家、都倉俊一氏も発起人に名を連ねた。
■谷垣、鳩山氏らと意見書提出
自民党は昭和60年、
「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」
を議員立法で提出した。
外交・防衛上の国家秘密を外国に漏らした場合、最高刑を死刑とした。
この動きに対し、社会党や共産党などは
「国民の権利を制限する」
などと反対した。
スパイ防止法制定促進国民会議の事務局が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)系の政治団体
「国際勝共連合」
だったこともあり、社共を中心とした勢力の反対運動は激しく、実質審議に入らないまま廃案となった。
昭和61年、中曽根首相は法案の再提出に意欲を示し、党内の特別委員会が最高刑を無期懲役に引き下げるなどした修正案をまとめた。
村上氏はこの年昭和61年の7月、衆院旧愛媛2区で初当選。
昭和61年11月に、法案に反対する自民党の中堅・若手議員12人の意見書に名を連ねた。
他の11人は次の通り(敬称略、カッコ内は後の役職)。
大島理森(衆院議長)、太田誠一(農林水産相)、熊谷弘(通商産業相)、熊川次男、白川勝彦(自治相)、杉浦正健(法相)、谷垣禎一(自民総裁)、鳩山由紀夫(首相)、谷津義男(農水相)、石井一二、佐藤栄佐久(福島県知事)
村上氏は「中央公論」昭和62年4月号の
「われら自民党議員『スパイ防止法案』に反対する」
と題した特集で、
「自衛隊法、国家公務員法、刑法等の手直しで十分対処することができよう」
などと論じた。
その後、法案は再提出されず、岸氏の死去や中曽根内閣の退陣で制定の機運はしぼんだ。
共産などにとっては、村上氏ら自民内の反対論は心強かったに違いない。(渡辺浩、肩書は当時)

<主張>中国の海外闇警察 「スパイ天国」でいいのか
社説
2024/3/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20240316-H4BDHEZJSJMAJPA4WOC6PFTEAA/
左右の過激派や外国勢力を捜査対象として治安を守る警視庁公安部が、なぜ詐欺事件を摘発したのか。
それは日本に、直接スパイ活動を摘発する法律がないからである。
公安部は2024年2月、風俗店を整体院と称して新型コロナウイルス対策の持続化給付金100万円を詐取した疑いで、中国籍の女を書類送検した。
2023年5月には、女が一時幹部を務めた東京・秋葉原の一般社団法人を、同容疑で家宅捜索していた。
一般社団法人が入居するビルは、スペインのNGO「セーフガード・ディフェンダーズ」が2022年、中国の非公然警察署の拠点であると指摘していた。
当時の林芳正外相は
「(日本の主権を侵害しているなら)断じて認められない旨の申し入れを行っている」
と述べた。
同NGOによれば、海外闇警察とも言われる中国の非公然警察署は世界50カ国、100カ所以上にあり、
「国外の中国人の政治活動の監視」

「帰国の説得」
などを任務としている。
2023年4月には米ニューヨークで、非公然警察署の開設や運営に関与したとして中国系米国人2人が逮捕された。
警視庁による摘発は、非公然警察署の実態把握の過程で犯罪容疑が浮かんだとみられる。
平成24年にはスパイ活動を行った疑惑のある在日中国大使館の元1等書記官を、外国人登録法違反容疑で送検した。
2023年は研究データを中国企業に漏洩したとして、不正競争防止法違反容疑で国立研究開発法人
「産業技術総合研究所」
の中国籍の研究員を逮捕した。
その容疑名に捜査当局の苦心が窺える。
日本が
「スパイ天国」
と称されるのは、諸外国にはあるスパイ活動を防止する法律がなく、同法を根拠とする本格的な防諜機関もないためである。
加えて給付金詐欺容疑で送検された女は、自民党の松下新平参院議員の事務所に一時期
「外交顧問兼外交秘書」
として出入りしていた。
外国工作員はあの手この手で政権中枢への接触を図る。
受け入れる側の無自覚ぶりには目を覆いたくなる。
「スパイ防止法案」
は昭和60年に議員立法で提出されたが、昭和60年に廃案となった。
その後、特定秘密保護法などが成立したが、まだ不完全だ。
スパイ天国を解消すべく、防止法と防諜機関の創設を急ぐべきである。

スパイ防止法 諜報活動野放し、摘発へ法整備を 立命館大教授・上久保誠人
明解説
2024/3/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20240302-B2AHWG5YAVPIBCAUVHT7EUPR6E/
日本では諸外国のスパイが暗躍しているとされる。
法整備を進める政府は2024年2月27日、経済安全保障上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る
「セキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)」
制度を創設する
「重要経済安保情報保護・活用法案」
を閣議決定し、衆院に提出した。
それで機密情報の漏洩を防げるのか。
中国人留学生を指導する立命館大の上久保誠人教授は、スパイ防止法の制定を訴えている。

■日本だけ制度なく
SC制度は、日本の企業、役所、またそのスタッフ、職員について、漏洩すると国の安全保障に支障を与える恐れがある情報を扱うに足る組織や人物、身分かを確認し、海外に情報を流す違反をした場合に罰則を設けるということだが、現行法を含め肝心の外国からのスパイ自体をきちんと取り締まる部分がない。
それは、先進7カ国(G7)の中で日本だけで、まるでスパイ天国だとされる。
諜報活動をする外国人は基本的には犯罪行為を起こさないよう注意を払っており、法の網にかかりにくい。
公安関連組織がスパイらしい人物を捕まえる時は、スパイ摘発と直接関係のない現行法を何とか運用しているのが現実だ。
例えば、東京・池袋のパスポートセンターで中国人職員が個人情報を入手して逮捕された事件が2023年あったが、窃盗罪が適用された。
私が勤務するような学校は、最前線の1つかもしれない。
学校に映画に出てくるようなスパイがいるわけではない。
しかし、留学生が本国にスパイ活動をさせられていると言われており、緊張感があることは否めないからだ。
■中国人は協力義務
中国には国家情報法があり、国家安全部(省)の指示で海外の留学生や在住者は中国共産党の情報活動に協力しなければならない。
同法は、最先端技術などの情報を政府や企業、大学から取り、政府に渡すことを義務付けている。
拒めば、実家が脅されかねない。
大学教育は、そんな中で行われている。
理系はもちろん最前線だが、私のような文系でも民主主義や民主政治を語っていると、それ自体が中国人を教育している行為に当たる。
普通に日本に政治を学びにきた留学生でも、中国当局からの指示で教官がどんな思想信条で家族構成はどうなっているか、朝から夜までどんな日常生活を送っているかといった情報を取っているとの不安は拭えない。
外国から情報を盗みに来る、あるいはそれに加担させられる人を摘発することができる法律として、スパイ防止法が必要である。
それは、逆説的に感じる人もいるだろうが、言論や思想信条、学問の自由を守ることにもなる。
大学で、私は目の前の留学生に民主主義を説く。
それを不安なくやるには、スパイを摘発する制度がきっちりと整っていなければならない。
そのため、ある日突然、私の学生が拘束されて消えることがあっても構わない。
安心して活動できるために法律を整備してほしい。
■留学生や人材守る
日本は少子高齢化で若者が少ない。
政府は対策を取っているとはいえ、政策効果が出るのは30年後だ。
だから、ある意味で移民と言える優秀な人材を受け入れざるを得ない。
外国人を受け入れつつ国家の安全を守るために、厳しいチェックと管理ができる法律が必要なのはG7の国であれば常識ではないか。
そう思う理由の1つに、私の英国での留学経験がある。
空港でもロンドン市内でも自動小銃を持っているような人はおらず、オープンな雰囲気に見えたが実は英国は強力な監視国家で、私を含む留学生が完全に情報機関に生活を把握されていた。
当時、当局の要注意リストに外国人3000人が掲載され300人が監視下にあったと聞いていた。
ある大学で、留学生が集会をしようとした瞬間に当局が全員検挙したという事例があった。
それほど普段から留学生や外国人の動向を把握しているということだ。
テロやスパイ活動を防止するため、事前に全てを把握する体制があり、スパイ防止の法律が存在していた。
一方で、市民は当局の監視の息苦しさを日常的に感じることはなかった。
いわゆるリベラル、左翼の考え方とは真逆の考え方だろうが、同様の制度が日本にほしい。
それが、良い留学生や優秀な人材を守ることにも繋がるはずだ。

【用語解説】スパイ防止法
昭和55年1月の宮永幸久元陸将補らによる防衛庁スパイ事件をきっかけに昭和60年6月、通常国会に自民党から議員提案された。
野党側が
▽「国家の秘密」の範囲が曖昧
▷国民の知る権利、言論と報道の自由など基本的人権を侵害する
▷最高刑を死刑とするなど重罰化が目立つ
などと反対。
1度も審議に入らないまま、昭和60年末の臨時国会で廃案となった。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/611.html#c33

[政治・選挙・NHK296] 知事選秘密文書と岸口実議員(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
42. 秘密のアッコちゃん[1332] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月12日 13:55:24 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[770]
<■162行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<正論>「自衛官職務執行法」の制定を
麗澤大学特別教授、元空将・織田邦男
2025/2/12 8:00
https://www.sankei.com/article/20250212-ARRJJQVALRNYLAW4ECWQ5ZOGVE/
誤解を恐れずに敢えて単純化すれば、自衛隊は平時は警察であり、有事に軍隊となる。
武力攻撃事態が認定されて防衛出動命令が下令された時に初めて自衛隊は自衛権行使が可能になる。
だが、それまでは警察官職務執行法(以下「警職法」)を準用する警察権しか行使できない。
■平時と有事の境界崩れ
現代は
「防衛と治安」
「侵略と犯罪」
「有事と平時」
の伝統的な境界が曖昧になっており、
「グレーゾーン」
の用語が市民権を得て久しい。
尖閣諸島では、中国の海警船が領海侵犯を繰り返しているが、平時における明らかな主権侵害行為である。
現代戦はハイブリッド戦争だと言われる。
「高度に統合された設計の下で用いられる公然・非公然の軍事・非軍事・民間の手段を使った戦争」
である。
宣戦布告もなく正規戦、非正規戦、サイバー戦、情報戦などを組み合わせた非正規戦を主とする戦いである。
「超限戦」
という用語もある。
2人の中国軍人が唱えた戦い方で、物理的な戦闘に留まらず、外交、テロ、諜報、金融、サイバー、心理、メディアなどあらゆる手段で制約なしに戦うというものだ。
最早平時、有事の概念すらない。
「認知戦」
も脚光を浴びる。
相手の心や認知に訴えるもので、威嚇、恫喝、偽情報などで恐怖、不安を与え、敗北主義を引き起こさせる。
平時が主戦場であり戦意を喪失した時、敗北が決まる。
今、台湾周辺では認知戦が始まっている。
中国は周辺で軍事演習、海上封鎖の模擬行動を繰り返す。
多数の戦闘機が中間線を越え、対応する台湾軍を疲弊させる。
2023年には戦闘機、無人機の飛行が9200回、空母、駆逐艦の航行が7万回に及んだという(ロイター通信2024年8月27日)。
軍人、非軍人の区分も曖昧である。
近年、台湾周辺やバルト海で海底ケーブル切断が頻発している。
いずれも台湾有事とウクライナ戦争との関連が指摘される。
海底ケーブルは日常生活のみならず、軍事作戦に欠かせない。
切断の当事者は民間船と言われ、非軍人が軍事作戦を遂行している。
サイバー戦もまさにそうだ。
■シームレスな対応難しく
こういう現代戦には、自衛隊、警察、海保、そして民間企業を含めた力を有機的に連携させ、シームレスに対応しなければ有事を抑止できない。
我が国はそれが可能だろうか。
紙幅の関係上、ここでは自衛隊に焦点を絞る。
冷戦時に制定された自衛隊法は平時、有事が明確に区分され、しかも平時から有事への移行手続きが煩雑であり、シームレスな対応は難しい。
自衛隊は先述の通り平時には最小限の自衛権行使さえできない。
火種は小さいうちに消すのが鉄則である。
だが事態認定に時間が費やされ、タイミングを失する可能性大である。
また事態認定の行為そのものが
「日本は宣戦布告した」
「日本が事態を拡大させた」
との口実を敵に与えかねない。
従って政治家は事態認定を躊躇する。
その結果、自衛隊は身動きが取れず事態は悪化する。
この傾向は台湾有事のシミュレーションでも現出した。
また警職法準用の武器使用権限は
「自衛官は〜ができる」
と主語が
「自衛官」
と規定される。
他方、自衛権行使の主語は
「自衛隊」
である。
平時の武器使用の責任は基本的には
「自衛隊」
ではなく
「自衛官」
個人に帰する。
武器使用責任が個人に帰する軍隊など他にない。
(「治安出動」だけは特別で、主語が
「自衛官」
で同じだが
「当該部隊指揮官の命令によらなければならない」
とある)。
■現代戦への抑止力強化を
自衛権行使の場合、
「必要な武力を行使することができる」
が、警職法準用の場合、
「合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる」
ものの正当防衛、緊急避難の場合を除き
「人に危害を与えてはならない」。
この非合理性は、いわゆる
「米艦防護」
を例に取れば明らかだ。
我が国の防衛に資する活動に従事している米艦艇等を防護するのに、必要と判断される限度で武器を使用することができるが、正当防衛、緊急避難に該当する場合の他、
「人に危害を与えてはならない」
のは同じだ。
しかもその主語は
「自衛官」
である。
米艦艇の防護任務を
「人に危害を与えてはならない」
条件で果たして遂行できるのか。
しかもその責任は自衛官個人に帰する。
そもそも正当防衛、緊急避難といった個人の行為を
「米艦防護」
といった防衛作用に適用すること自体に無理がある。
台湾有事における重要影響事態下の武器使用権限も警職法準用であり同様の問題を抱える。
今の自衛隊法は平時、有事が曖昧な現代戦に適合していない。
警職法準用ではなく、平時から有事へシームレスに対応できる
「自衛官職務執行法」
を新たに制定し、現代戦への抑止力を強化すべきである。
防衛費を増額しても、自衛隊が合理的に職務を遂行できる法体系を整えなければ画餅に帰することになる。

美しき勁き国へ 櫻井よしこ
自衛隊強化 法整備急げ
2022/10/3 8:00
https://www.sankei.com/article/20221003-GEFX64ICEJPFZMNQ4U6Q3QFSHE/
安倍晋三元首相の国葬(国葬儀)における岸田文雄首相の追悼の辞が胸に響いた。
「戦後置き去りにされた国家の根幹的な課題に次々とチャレンジ」
し、
「戦後レジームからの脱却」
を目指し、
「国民投票法を制定して憲法改正に向けた大きな橋を架けた」
として、安倍氏を讃えた。
首相の想いは憲法改正に繋げてこそ、本物になる。
プーチン露大統領はウクライナ4州の併合を宣言し、核による反撃も厭わないと恫喝した。
中国は台湾への軍事的恫喝を継続し、我が国の排他的経済水域(EEZ)にミサイル5発を撃ち込んだ。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺では、人民解放軍(PLA)の軍機が領空に接近し、海警局の船が領海に侵入する。
習近平国家主席もプーチン氏も徹底した力の信奉者だ。
そして、台湾有事が迫る。
安倍氏が指摘した日本有事だ。
岸田政権が日本を守り通せるかは日本国の根本的欠陥を明確に認識できるか否かによる。
我が国国防の根本的問題は自衛隊が軍隊ではないという一点に尽きる。
自衛隊は憲法と自衛隊法により警察権の枠内に封じ込められ、実力を発揮できない組織なのだ。
憲法を改正して戦後レジームから脱却しない限り、岸田政権が検討中の自衛隊強化策は基礎工事のなされていない砂地に建物を建てるようなもので、真の危機対応にはなりにくい。
逆に、憲法改正で自衛隊を通常の軍隊にすれば、自衛隊はとってはいけない行動を定める
「ネガティブリスト」
に基づいて持てる力を真っ当な形で行使できるようになる。
その時自衛隊の力は、予算を1円も増やすことなしに比類なく強化される。
そこに行きつくのが困難ならば、首相には次の一手がある。
日本の危機対応の法の穴を埋めるのだ。
例えばシンクタンク
「国家基本問題研究所」
における織田邦男元空将の以下のような提言だ。
我が国には有事法制はあるがグレーゾーンの法整備はない。
現代戦は平時か有事かを区別できないグレーゾーンでの戦いから始まるが、そのような事態を想定していないため自衛隊は対応できない。
台湾・日本有事となっても、沖縄県の与那国島などの住民保護は武力攻撃事態などが認定されない限りできない。
防衛出動の下令なしには自衛隊は
「警察官職務執行法」
に縛られ武器使用が大幅に制限される。
武力攻撃事態、存立危機事態の認定があって初めて自衛隊は国民・国土防衛の活動に乗り出せる。
ただ、これらの事態認定は中国などの周辺諸国に
「宣戦布告」
と取られかねない。
住民保護のための事態認定が逆に戦端を開きかねない。
この欠陥を埋めるにはグレーゾーンにおいて、自衛隊を通常の軍として活動させる法整備を急げというのだ。
ちなみにこのような軍の扱いは世界では当然のことだ。
有事に大戦略を決めるのは政治である。
その指示で動くのが自衛隊である。
政治と軍、政軍関係を健全に保ち、堅固に日本国民と日本国を守れるか否かは政治家の力量による。
政治家の力量は現場を知らずしては決して成り立たない。
岸田文雄首相の下で新国防戦略の策定と、予算面からの軍事力強化の検討が行われている。
一連の議論の中で思い違いが目につく。
まず、
「防衛費の国内総生産(GDP)比2%以上」
に向けての増額と防衛力強化の混同である。
先述の沖縄県の与那国島などで有事の際の住民避難に必須の港湾・空港の整備・拡張、地下施設建設などインフラ整備費を防衛予算に算入すべしとの意見がある。
種々の科学技術研究開発予算、海上保安庁予算も防衛費に算入してGDP比2%以上という国際公約を果たそうとの考え方もある。
港湾や飛行場、滑走路などの整備費は、日本の安全保障全般に関わる国防関係予算であり、防衛予算ではない。
自衛隊の軍事力強化に繋がらない。
防衛費の見かけ上の増額を図るのは水増しである。
防衛費増額と防衛力強化を混同してはならない。
海保は他国の沿岸警備隊(コーストガード)とは異なり、海上保安庁法25条によって軍との関係が全否定されている。
有事に軍の指揮下で軍事展開する他国のコーストガードとは全く異なる。
従って海保の予算を防衛予算に組み入れることなど許されないだろう。
岸田政権下で国防の新戦略が策定され、戦闘機やミサイルなど新たな調達が決まるだろう。
しかし、実際に自衛隊の手元に武器装備が届くのは早く5〜10年後だ。
大事なことはそれまでの間、我が国の安全をどう担保するのか、である。
ここでも重要なのは政治家が現場の自衛官の声に耳を傾けることだ。
安倍晋三元首相が自衛隊には継戦能力がないと明言したように、ミサイル、砲弾、部品、修理費など、現場は
「不足」
が山積みだ。
まず、いますぐにそれらの補充に取り掛かるべきだ。
防衛力の現場の穴は最優先で埋めなければならない。
中露北朝鮮。
核とミサイルを持った専制独裁国家に取り囲まれている我が国は世界で最も脆弱な国だ。
戦後、国防を米国に頼りきったツケである。
自衛隊が軍隊であり得ていない理由である。
ここから抜けることが戦後レジームからの脱却なのである。
ウクライナは必死に戦って国家の滅亡を辛うじて回避している。
国は国自体で生き残るのではない。
一人一人の国民の国を大事に想う気持ち、愛国心によって初めて守られる存在だと痛感する。
また、国なくして国民も国民ではいられないのである。
ウクライナは日本の私たちに多くのことを教えてくれているはずだ。
日本の前方に立ちはだかる中国の習近平国家主席はプーチン露大統領同様、冷酷な力の信奉者だ。
そしてプーチン氏より遥かに手強い。
中国の脅威に直面する我が国が覚醒し、発奮せずしてどうするのか。
憲法改正の実現に向けて全力で走る。
足元の自衛力・国防力強化に全力を注ぐ。
この2つをやり抜くことが首相の歴史的使命である。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/614.html#c42

[政治・選挙・NHK296] ちだい氏「もうほぼNHK党は本当に統一教会党です」「立花孝志も『統一教会は悪い宗教じゃないんだ』と一生懸命PRしてる」  赤かぶ
40. 秘密のアッコちゃん[1333] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月13日 10:56:16 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[771]
<■315行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>国民民主党 働く人の政策を追求せよ
社説
2025/2/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20250213-FZVMDN6WMNKEHG27WZQUHJE3IM/
国民民主党が党大会を開き、
「手取りを増やす」
ことを最重要の政治課題とする活動方針を採択した。
古川元久代表代行は記者会見で、夏の参院選では改選複数区はもちろん1人区でも候補者を積極的に擁立する考えを示した。
報道各社の世論調査の政党支持率で、国民民主は立憲民主党と互角だったり、上回ったりするようになった。
昨年2024年の衆院選で議席は4倍の28議席になった。
これらの背景には
「手取り」
という暮らしに直結する課題を掲げたことが大きい。
20歳代など若者の支持では1位を占めることもある。
所得税が発生する
「年収103万円の壁」
の引き上げは、看板政策となった。
「103万円」
が約30年間も据え置かれてきた点を踏まえれば、引き上げは妥当だ。
ただし、国民民主が求める178万円にする場合、政府の試算では年7兆〜8兆円の減収となる。
財源についても提案してもらいたい。
国民民主には、日本の国の根幹を守りつつ、働く人たちのための政策を追求する役割が期待される。
今後、連立で政権を担ってもおかしくない。
一方、国民民主と共に連合の支援を受ける立民は、政権担当能力に欠けている。
日米同盟の不可欠の要素である集団的自衛権の限定行使を立民は違憲としている。
憲法改正に後ろ向きで、家族や社会を毀損する
「選択的夫婦別姓」
の導入を目指している。
安定的な皇位継承策では、野田佳彦立民代表が皇統断絶を意味する
「女系天皇」
に繋がりかねない
「女性宮家」
に拘っている。
国民民主は歴史と伝統を踏まえ、皇位の男系継承を尊重している。
憲法改正にも前向きで、与野党間の論議をリードしてもらいたい。
「選択的夫婦別姓」
については、昨年2024年10月の衆院選の公約で
「導入」
を掲げたが、玉木雄一郎代表は今年2025年1月の産経新聞のインタビューで
「子供の姓をどうするのかについては慎重な議論が必要だ」
と語った。
選択的と言いながら、子供が父か母のいずれかと
「強制的親子別姓」
になってしまう問題に気付いたことは評価できる。
玉木氏は女性問題で役職停止中で、党大会では壇上での挨拶はなかった。
反省し、襟を正さなければならない。

「石破おろし」はまだか 目前の夫婦別姓と大増税 なぜ財務省は減税を嫌がるのか 政府は嘘のPBを使用しているが、財源は十分である
WiLL2025年3月号 数量政策学者 高橋洋一
■123万止まり
2024年12月20日、
「令和7年度与党税制改正大綱」
が発表された。
給与所得者の課税最低限は、基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円を合わせた
「103万円」
に設定されていたが、今回の税制改正で
「123万円」
に引き上げられる。
【2025年1月24日、政府・与党は、150万円を上限に引き上げる方向で調整に入った。】
自民党は少数与党のため、野党側の予算案の審議への協力が必要である。
そこで、自民党と総選挙で躍進した国民民主党で、経済対策や税制について政策協議が開始された。
国民民主党の玉木雄一郎代表は
「103万円の引き上げができなければ我が党は予算にも法案にも賛成できません」
とXに投稿。
国民民主党の協力を仰ぐためには、与党側はこの
「年収103万円の壁」
の撤廃をある程度、呑む必要があった。
自民・公明・国民民主3党の幹事長は、2024年12月11日の幹事長会談で
「年収178万円への引き上げ」
「ガソリン税の暫定税率撤廃」
の合意文書を交わした。
しかし、これに対して自民党の宮沢洋一税調会長は
「釈然としない」
と不満を示し、自民党の森山裕幹事長は会談後に
「1年で178万円への引き上げは困難」
と記者団に語った。
そして、2024年12月13日には自民・公明両党が123万円に引き上げる案を協議で提示。
2024年12月17日に行われた6度目の協議では、与党側がこの案以外には一切提示せず、冒頭僅か10分で
「これ以上の議論はできない」
と古川元久代表代理が退出。
宮沢氏は
「(123万円は)かなり誠意を見せたつもり」
と発言し、SNSで
「国民の敵」
と呼ばれ、大炎上した。
そして、2024年12月20日、
「年収103万円の壁」
引き上げについて、与党税制改正大綱で
「123万円」
と明記された。
一応協議した形を取りながら、
「123万円」
で打ち止めしたのである。
森山氏は国民民主党に配慮するため、
「178万円を目指して、2025年から引き上げる」
などと発言した。
私は、森山氏の今迄の発言から、2025年は半分引き上げ、残りは2026年にするといった方法を予想したが、現時点で的中している。
「年収103万円の壁」

「178万円」
に引き上げることに対する反対論は次のようなもの。
政府からは、所得税と住民税を合わせて7兆〜8兆円の減収になるとの懸念の声が上がり、地方首長からも、財源が足りないから自治体財政が破綻すると不満の声が巻き起こった。
■いま、減税すれば・・・
そもそも地方首長、総務省、財務省は、いずれも減税による形式的な減収のみを前提として議論しており、経済状況の好転による税収増を見込んでいない。
その理由は
「不確かであるため」
だという。
減税は、民間企業で言えば値下げに相当する。
値下げは減収効果があるのと同時に、需要増になれば増収効果もある。
同様に、減税すれば景気は良くなり、それによる増収もあるはずだが、あくまで予算の中でこうした増収は考慮されない。
今、減税を行えば、7兆円程度の増収が見込まれるが、政府の試算ではこれを無視しているので、議論が噛み合わないのだ。
財源については、名目成長4〜5%が達成できれば、自然増収で賄える。
減税による効果がすぐに出ない場合にも、外国為替資金特別会計(以下、外為特会)や国債費などでも捻出できるので、財源を心配する必要はない。
外為特会は、元々昨今の円安による含み益(まだ確定していない利益)が数十兆円もあるのが基本事実だ。
中期債のドル債を資産としており、含み益は、ドル債の償還・ロールオーバー(乗り換え)などの際に出てくるので、含み益を無理に実現させなくても、毎年2兆円程度は絞り出せる。
自然増収については、今の経済状況を考えると、かなり期待できる。
2025年4〜6月期でGDPギャップ(潜在的な供給力と実際の需要の差)は、私の試算では1.7%程度、10兆円程度ある。
7兆〜8兆円程度の減税策を行えば、ほぼGDPギャップはゼロになるので、インフレ率は2〜3%程度、名目経済成長は5%程度が安定的に見込まれる。
これは理想的な経済状況だ。
また、政府からは減税による税収減を景気拡大ではカバーできないという試算が出ている。
しかし
「103万円の壁」
撤廃で働かない人も働けるようにするという趣旨で議論しているように、減税は労働時間を増やし、労働需給を増加させる。
にもかかわらず、試算ではその点が抜けている。
試算では
「消費に回らない分が貯蓄に回った」
としているが、金利を下げ投資増に繋がるという観点も欠落している。
更に、インフレ率が少しでも高くなると中央銀行による金融引き締めが組み込まれており、そこが問題でもある。
財務省が、過去の借金の返済と利息であると定義している
「国債費」
については、2024年度予算で国債費のうち、債務償還費が16.9兆円あるが、これがなくても債務償還には困らない。
借換債の発行で凌げるからだ。
かつて、債務償還費無しで予算を組んだことも数多くある。
何より、先進国では債務償還費を計上しておらず、あるのは先進国では日本だけだ。
また、国債費のうち利払費は9.7兆円あるが、国債費を計算する際に仮置きする
「予算積算金利」
を1%程度高めに見積もっており、1兆円程度は不要になるため、これも財源になる。
これらは、補正予算を組めば財源化できる。
■立憲民主党との大連立・大連携
石破茂首相は2025年1月1日に放送された文化放送のラジオ番組で、立憲民主党との大連立について
「選択肢としてある」
と発言した。
更に、立憲民主党の野田佳彦代表と日本維新の会(以下、維新)も前原誠司共同代表との関係について触れ
「中道政治を目指し、相通じるものがある」
「長い友人で信頼でき、裏切られたことが1度も無い」
と語った。
ところが、2025年1月6日の年頭記者会見では、石破茂首相は大連立を問われると
「今の時点で考えているわけではない」
と一転して発言を撤回した。
石破茂首相は、2024年の臨時国会でも、補正予算成立のために国民民主党と維新の協力が必要という少数与党の悲哀を味わった。
ただし、国民民主党が主張する基礎控除などの
「178万円」
への引き上げを
「123万円」
で打ち止め、維新を
「教育無償化」
の口約束で引き込んだ。
実は、こうした芸当ができたのは、相手に国民民主党だけでなく、維新もいたからだ。
しかし、裏では立憲民主党との大連立・大増税連携構想もあったはずだ。
そうでなければ、仮に国民民主党と維新が結託すれば、補正予算でも自民党は大幅な譲歩が必要になったからだ。
今、石破茂政権は、立憲民主党・維新・国民民主党を天秤にかけ、それぞれ分断する形で交渉し、2025年度予算を成立させようとしている。
衆院選の獲得票数は立憲民主党・維新・国民民主党の順番なので、立憲民主党との大連立・大連携があれば、維新と国民民主党は用済みになる。
私は、こうした話の裏の仕掛人は財務省だと睨んでいる。
2025年度予算を無傷で通したいので、財務省幹部が各党幹部に接触しているという情報も実際にある。
交渉相手が2党でも難しいが、3党では結託できる可能性は更に少ない。
補正予算の成立過程や2025年度予算の会合の過程で、
「3党結託」
の可能性が少なく、立憲民主党との大連立・大連携(または維新との中連立)の可能性ならあるため、石破茂首相が
「立憲民主党との大連立・大連携」
の可能性を挙げたのだろう。
野田佳彦代表の立憲民主党との大連立・大連携では
「社会保障の見直し」
を大義名分にしているとも言われている。
かつて野田佳彦氏が民主党政権で首相を務めた際、自民党の谷垣禎一総裁らを巻き込み、5%だった消費税を8%、そして10%へと2度の増税を決めたことを彷彿させる。
■夫婦別姓・社会保障改革
予想されるのは、立憲民主党が実現を目指す
「選択的夫婦別姓制度」
を導入することである。
これを立憲民主党から提起させて自民党が賛成し、公明党・維新・国民民主党にも追随させる。
2025年度予算案については、玉城雄一郎氏が一生懸命取り組むが、前原氏によって止められ、予算案も自民党と、選択的夫婦別姓の借りがある立憲民主党によって進められるだろう。
そうすれば維新・国民民主党は不必要になるため、そこで2党は捨てられる可能性がある。
財務省から見れば
「使い勝手がいい」
野田佳彦氏と、完全な“増税論者”の石破茂首相は実に有難い存在だろう。
前原氏も同様に増税論者だ。
この3人が揃えば、間違いなく財務省はやり易くなる。
立憲民主党は更に、協力条件として
「社会保障改革」
を持ち出すに違いない。
社会保障改革のためには財源が必要だとして大増税が行われ、会期が終了を迎えるのが目に見える。
つまり、ホップで
「選択的夫婦別姓」、
ステップで
「消費税率12%への引き上げ」、
ジャンプで
「15%への引き上げ」
という流れである。
2025年7月の頭に実施される参議院選挙までは
「社会保障改革」
を進め、消費税の話は出さず、参院選が終われば本格的に消費増税の段取りを進めるだろう。
■社会保障についての理解の誤り
大増税の流れについて、現在の10%から、2段階上げて15%まで進めるのは財務省が常に企んでいることである。
国の税収見込みは78.4兆円と6年連続過去最高だと公表しているが、これも財務省による企てがあってのことだ。
石破茂首相は2025年1月6日、記者会見で社会保障について
「医療・介護・年金など責任を持って次の世代に引き継いでいかなければならない」
と述べ
「手取り増を求める声に応え、制度の持続可能性を維持・強化することが重要だ」
と言及した。
財務省のホームページなどにある政策には、
「持続的な経済成長を実現するために」
「持続可能な社会制度の構築に向けて」
「持続可能性を維持強化」
と耳が痛くなるほど
「持続可能な」
という旨の言葉が使われている。
これは財務省の常套文句であり、増税を目論んでいる何よりの証拠だ。
消費税を更に上積みしなければ、
「持続可能な」
社会保障の財源が苦しいということを言いたいのである。
そして、税収が増えたと公表し、社会保障改革を進めるという政府・財務省の意向の裏には、社会保障の財源として税金から補わせようとする考えがある。
しかし根本的に、社会保障の財源に消費税を使うのは良くない。
年金は年金保険、医療も医療保険、介護も介護保険といったように、社会保障のほとんどは保険である。
社会保障論から見れば、消費税は一般財源であり、社会保障目的としてはいけない。
社会保障はそもそも保険原理に基づく保険で、助け合いの精神による所得の再分配であり、国民の理解と納得が必要になる。
世界各国においては、保険料を払えなければ所得税の累進課税で充てるというのが基本にある。
しかし、1999年の自民党・自由党・公明党の連立時に、大蔵省(当時)が小沢一郎・自由党党首に話を持ち掛け、
「消費税を社会保障に使う」
と予算総則に書いてしまった。
ついでに言えば、そもそも、消費税は地方税とすべきであり、消費税は安定財源であるため、分権が進んだ国では地方の財源であることが多い。
対して、保険料は究極の社会保障目的税とも言える。
保険料は英語で
「Social Security Tax」
と、
「Tax」
が入るように、世界では徴収においては税金と同じ扱いである。
その法的性格も税と同じで強制徴収であり、滞納すれば財産没収などの滞納処分を受けるのは世界各国で共通している。
しかし日本では、保険料は税務署ではなく日本年金機構に収められる。
税金を払わなければ
「脱税」
となって税務調査を受けるが、年金保険料を支払わなかった場合には
「未納」
となり、調査が入ることはない。
■歳入庁設置で困る人たち
今の日本は、世界の常識である歳入庁がないという先進国の中では珍しい国である。
税・保険料の徴収インフラが出来ていないので、徴収漏れも多く想定されており、これが社会保障の財源不足や不公平感にも繋がっている。
企業は法人税調査と一緒に社会保険料の調査をすれば簡単に取ることが出来る。
こうして社会保障財源を確保すると私の計算では数兆円になるため、これを行うのが先決である。
しかし、歳入庁の設立を提言すると厚労省と財務省が猛反対する。
歳入庁を作るためには国税庁と年金機構を合体して内閣府に移さなければならない。
だが、国税庁は財務省の天下り先であるため、そんなことは財務省からしたら許されないことだ。
第1次安倍政権時に歳入庁を作ろうとしたが、
「消えた年金記録問題」
という形で反撃を食らい、政権を倒されてしまった。
あれ以来、政治家は歳入庁構想に手を出しにくくなったのである。
このように、社会保障財源の確保については、歳入庁創設による保険料を財源とする、という正道ではなく、消費税を社会保障目的税にするという、悪辣な財務省の深慮遠謀があり、それによって全てが動いている。
私が財務官僚の時に
「やり方がおかしい」
と猛反対したが、財務省(当時は大蔵省)の幹部が
「社会保障を人質に取って消費税をあげるんだから、変な事を言うな」
とハッキリ言われたことを覚えている。
実は、経済団体が消費増税に賛成している理由についても、鍵はここにある。
保険料は労働者と使用者が折半するので企業負担もあるが、消費税であれば企業負担が少ないと考え、消費増税に前向きなのだろう。
まず、国民が社会保障について理解しなければならない。
しかし、保険の仕組みや数学的な知識が必要となるため難しい仕組みであることを財務省は分かっているので、税収が増えても
「消費税増税は社会保障改革のためだ」
と言って国民を誤魔化すのである。
更に、2025年度の財政状況については、34年ぶりに国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が計8000億円程度、黒字の試算になると報じられた。
そもそも、私が様々な所で指摘しているが、今のPBは正しくない。
以前からとっくに黒字化しているのだ。
■余った税金で何をする
日本政府の負債は確かに1400兆円以上あり、世界最大級なのは間違いない。
しかし、日本政府の(政府の子会社と日銀を足した)資産は負債を上回り、世界一クラスである。
つまり、国債の暴落が起こることはあり得ない。
国が財政難だと言い張るならば、まずはムダな資産を処分すればよい話である。
しかし、その処分は、財務官僚にとって天下り先を処分することになるため、実際の資産総額を隠し続け、正しいPBが決して使用されることはないのだ。
税収の黒字化を財務省は公表しているが、一体何を狙っているのか。
まず、企業の配偶者手当と、専業主婦ら
「第3号被保険者制度」
の見直しに言及している。
企業に対応を求め、第3号被保険者を廃止し、そこから保険料を取ろうという意図が窺える。
また、
「金利のある世界」
になっているので、財政に対する信任が欠かせないとして、PB黒字化という財政健全化の旗は降ろさないのだ。
よって、2025年は減税しなければ大幅に税収が余るはずだ。
余った税は、一般会計の中で使うのが普通だが、財務省の使い方はこれまた悪辣で、半分以上は国債の債務償還費として使う。
国債の償還とは、国が発行した国債を期限までに元本を返済することである。
その債務償還費を
「国債償還60年ルール」
に則り、
「国債整理基金特別会計」
という国のポケットに積んでおく。
しかし、こんな非合理な事を行っているのは日本だけだ。
そもそも、償還しなければならない期日が来たら、税金で余ったものをそこに充てるという形にはせず、借換債を出したり、他からお金を借りてきたりするのが基本である。
余った税はこういったよく分からない所に使われているのだ。
更に、政府は
「子ども・子育て政策」

「防衛力強化」
にかかる恒常的な支出増について、歳出改革、在外収入、税制措置などの財源を計画的に確保していくべきだとしている。
「子ども・子育て拠出金」
は税ではないが、今後も取り続けるつもりである。
子ども・子育て予算の中身は、NPO団体への丸投げが多いが、そうしたものにメスは入れないのだろうか。
■おかしい防衛増税
「防衛力強化」
については、法人税、所得税、たばこ税を2026年4月から順次増税し、防衛財源に充てるとしている。
しかし、実際、防衛増税は不要だ。
先の、使われ方のよく分からない税収である
「国債整理基金特別会計」
を防衛力強化資金に繰り入れればよい。
他にも、
「建設国債」
「外為特会」
も十分な財源になる。
これまで海上保安庁の船舶は建設国債で造られていたが、安倍晋三元首相は
「防衛予算にも建設国債が充てられないのはおかしい」
と問題提起し、2023年度から防衛予算のうち海上自衛隊の船舶は建設国債が充てられるようになった。
現状、海上自衛隊のみが対象となっているため、陸上自衛隊と航空自衛隊にも拡大するべきである。
防衛増税を中止するためには、国会に提出される予算総額の一部を書き換え、同時に提出される各税法案の中で、当該増税部分を全文削除するだけでいい。
少数与党というせっかくのチャンスなので、財務省内で作成され、国会が”判を推す”だけの予算ではなく、国会で正々堂々と議論し、熟議の末での予算を是非作ってもらいたい。
そうすれば、どの政党が防衛増税に反対なのか、国民の目にも明らかになり、来る参院選への参考資料にもなる。
■大増税を避けるために
「大増税」
を避ける策は2つある。
1つ目は、次の参院選で国民が目覚め、自民党・立憲民主党を潰す勢いで投票を行うことだ。
なかなか難しい話であるが、そこまでしないと取り返しのつかない所まで来てしまっている。
最近では兵庫県知事選の斎藤元彦知事当選により、オールドメディアvsSNSで国民が目覚めた兆しがあった。
しかし、それでもまだ多くの国民はオールドメディアばかりを見ている。
もう1つは、自民党内で
「石破おろし」
を起こすこと。
可能性として、予算案を通過させるために
「社会保障改革」
と称して立憲民主党と共に協議を行えば、自民党内での石破氏への批判は大きくなるはずだ。
更に石破政権を攻める大義名分として
「外交」
も有効だろう。
トランプ政権と交渉がまともに出来ないことは、石破政権への不信感を作る理由になる。
2024年12月16日、安倍元首相の妻、昭恵さんがトランプ大統領夫妻と面会した。
その翌日、トランプ氏は大手ソフトバンクグループ・孫正義社長とも会食を行った。
昭恵さんと孫氏が、トランプ氏の日本への関心を繋ぎ止めてくれたのである。
会見でトランプ氏は、石破茂首相との会談の可能性について質問されると
「首相と会うだろう」
と述べた。
更に
「(2025年1月20日の)大統領就任式の前に会うこともあるのか」
という質問には
「彼らが望むなら、そうする」
と述べた。
前日に面会した昭恵さんを通じて、石破茂首相に本などを贈ったことも明らかにした。
ところが、石破氏は孫氏とだけ会食したのである。
孫氏はご存じの通り、左派であり、頼ったところで全くロクな結果にならないのは分かるだろう。
しかも、孫氏から自然エネルギーの話に誘導され、巻き込まれる可能性も十分に考えられる。
昭恵さんがお膳立てしてくれたトランプ氏との早期会談のチャンスも生かせなかった石破政権は、国益を損ねていると言わざるを得ない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/616.html#c40

[政治・選挙・NHK296] <泉房穂氏が怒りの声>「エンゲル係数」43年ぶり高水準の衝撃…故・安倍元首相は「生活スタイルの変化」と持論を展開していた… 赤かぶ
44. 秘密のアッコちゃん[1334] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月13日 21:17:29 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[772]
<▽32行くらい>
中国、豪軍機にまた照明弾 南シナ海上空、国防相「危険で、軍としてふさわしくない行動」
2025/2/13 18:22
https://www.sankei.com/article/20250213-6AHEMGNV5NMB7MDCJ3FARBRV6E/
オーストラリア国防省は2025年2月13日、南シナ海をパトロール中の空軍の哨戒機P8Aポセイドンの近くに、中国軍の戦闘機、殲16が照明弾を投下する危険行為があったと発表した。
昨年2024年5月にも中国軍機がオーストラリア海軍ヘリコプターに照明弾を落とす事案があったばかり。
マールズ国防相は
「危険で、軍として相応しくない行動だ」
と批判し、中国側に懸念を伝えたことを明らかにした。
今月2025年2月11日、P8Aが通常の監視活動をしていたところ、殲16がP8Aの機体の上部や前方の30メートル以内に照明弾を投下したという。
怪我人や機体の損傷はなかった。
国防省は2025年2月13日の別の発表で、オーストラリア北東部沖で中国軍のフリゲート艦など軍艦計3隻が航行しているのを確認したことを明らかにし、写真も公表した。監視を続けるとしている。(共同)

護衛艦「かが」など日米仏の「空母」そろい踏み フィリピンでの共同訓練、海自が写真公開
2025/2/13 16:50
https://www.sankei.com/article/20250213-2CKHQA2GDRLVBGPJIFBVIBAVHI/
海上自衛隊は2025年2月13日、海自、米海軍、フランス海軍の「空母」が参加する初の共同訓練「パシフィック・ステラー」の写真を公開した。
海自は事実上の空母として運用する護衛艦「かが」、米海軍は原子力空母「カール・ビンソン」、フランス海軍は原子力空母「シャルル・ドゴール」をそれぞれ派遣した。
訓練は2025年2月10〜18日の日程で、中国の挑発的な活動が続くフィリピンの東方で行われている。
米国第一主義を掲げるトランプ政権でも、米国が多国間連携を続ける姿勢を確認した形だ。
中谷元・防衛相は2025年2月7日の記者会見で
「自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、各国との連携を深化させる」
と述べた。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/619.html#c44

[政治・選挙・NHK296] トランプ詣でが無事に終わって大ハシャギ 舞い上がる石破首相の大いなる勘違い(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
17. 秘密のアッコちゃん[1335] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月13日 21:31:18 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[773]
<▽36行くらい>
<主張>鉄鋼への関税 米の独善に毅然と対処を
社説
2025/2/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20250213-B5RUT6VBNZJBPBNSXZ7MNFQJOI/
同盟・同志国との関係も顧みず、自国第一の保護主義に突き進むトランプ米政権の乱暴な動きを懸念する。
トランプ大統領が鉄鋼・アルミニウム製品の全ての輸入に25%の追加関税を課す布告に署名した。
日本製品にも適用され、2025年3月12日に発効する。
低迷する国内産業を守り、雇用を拡大したいのだろう。
軍事にも使われる鉄鋼を米国内で安定的に生産すべきだとの安全保障上の必要性もあるだろう。
そうだとしても問題の大きい判断である。
自由貿易を推進する国際秩序を蔑ろにするかのように一方的な追加関税を課すのは余りに独善的だ。
欧州連合(EU)は対抗措置を辞さない構えである。
報復関税の応酬となれば米国を含む世界経済を下押ししよう。
何よりも中国などと対峙すべき西側諸国の結束の乱れは避けたい。
日本政府が2025年2月12日、米政府に適用除外を申し入れたのは当然である。
日本の国益を損なうような米側の理不尽な措置には毅然と対処すべきである。
鉄・アルミへの追加関税は第1次トランプ政権でも実施したが、米国はその後、カナダなどを対象外にしたり、日本製品に無関税枠を設けたりした。
こうした例外は撤廃される。
日本経済への影響は限定的との見方もある。
鉄鋼製品の対米輸出はカナダなどが上位で、日本はさほど多くないからだ。
だが、米国内に生産拠点を置く自動車メーカーなどにとって、関税で割高となる部材の調達コストがかさむ懸念は大きい。
米国が鉄鋼などをターゲットにする背景には、政府補助を受けて過剰生産能力を持つ中国企業の安価な製品が世界に溢れる構造問題がある。
中国の対米輸出自体は僅かだが、米政権は第三国経由で中国製品が米国に流入していると見る。
だからといって全ての国に一律の関税を課すのは無理があろう。
トランプ氏は既に、米国にとって貿易黒字国であるオーストラリアには免除を検討しているようだ。
対日適用もディール次第の可能性があるだろう。
日本製鉄のUSスチール買収計画を巡り、トランプ氏は日鉄に過半数の株式を握らせない意向を示した。
ただ、鉄鋼分野での日米協力の深化には異論があるまい。
その流れを踏まえて対日関税の見直しを迫りたい。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/621.html#c17
[政治・選挙・NHK296] <泉房穂氏が怒りの声>「エンゲル係数」43年ぶり高水準の衝撃…故・安倍元首相は「生活スタイルの変化」と持論を展開していた… 赤かぶ
50. 秘密のアッコちゃん[1336] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月14日 09:35:55 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[774]
<■4292行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を考えた場合、マイナス面が圧倒的に大きいので、選択的夫婦別姓制度の導入には断固反対だ。

<主張>選択的夫婦別姓 「親子別姓」を強制するな
社説
2025/2/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250214-LMH5A675K5OQ5DMKI5JPAB2FOQ/
親子別姓を強制するおかしな制度だ。
選択的夫婦別姓のことである。
自民党は導入の是非を巡り、党内議論を始めた。
夫婦が同じ姓であるのは現代日本人の家族観と結び付いている。
結婚時の姓の変更に伴う不便を解消するための議論はあって然るべきだ。
だが、子供の立場を蔑ろにし、家族の一体感を損なう選択的夫婦別姓制度の導入は弊害が多過ぎる。
賛成することはできない。
自民の夫婦別姓に関するワーキングチームの会合で、高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は政権を奪還した平成24年衆院選で旧民主党の夫婦別姓案に反対した」
「その後も(旧姓の)通称使用拡大を約束してきた」
と主張した。
座長の逢沢一郎衆院議員が、意見集約の期限を設けないとしたのは妥当だ。
石破茂首相(自民総裁)2025年2月12日の国会で、選択的夫婦別姓制度について
「いつまでも結論を先延ばしにしてよい問題とは考えていない」
と述べたのは理解に苦しむ。
立憲民主党は選択的別姓の実現に向けた推進本部を立ち上げた。
だが、安易な導入は取り返しがつかない。
立民などは子供たちが受けるであろう悪影響を軽く見ている。
夫婦別姓では、父か母のどちらかが必ず子供と別の姓になってしまう。
疎外感を持つ子が出てくるだろう。
どちらの姓を子供に付与するかを巡って祖父母らも絡み、争いが生じかねない。
最も喜ばしい子供の誕生時に起きていい話ではない。
導入論者は、夫や妻の事ばかりに拘り、親よりも弱い立場にある子供の存在を軽んじている。
極めて残念だ。
子供を優先するのが親や社会の務めだと気付いてもらいたい。
選択的夫婦別姓が導入されれば戸籍制度も変質する。
姓は砂粒のような個人の呼称へ変貌する。
先祖から子孫へと、世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、そもそも姓を名乗る必要があるのだろうか。
選択的とはいえ別姓は個人の問題ではない。
家族や社会の在り様に関わる大問題だ。
令和3年の内閣府世論調査では、選択的夫婦別姓を求めたのは3割に届かず、同姓維持と同姓のまま通称使用の制度化を望む声は7割弱に上った。
政党は社会に分断を招いてはならない。

最大の問題は「子の姓」、旧姓の通称使用拡大へ結論を 国士舘大・百地名誉教授
2025/2/7 19:38
https://www.sankei.com/article/20250207-27NPT5X3KZJTHEUXDATVONIM4Q/
自民党は来週、選択的夫婦別姓制度を巡る党内議論を本格化させる。
同制度の問題点や旧姓の通称使用拡大について、国士舘大の百地章名誉教授(憲法学)に聞いた。

選択的夫婦別姓制度の最大の問題は子の姓の扱いだ。
生まれたばかりの子には姓の選択権がない。
それどころか、別姓家庭に生まれた子は、父か母いずれかの名字とは異なる
「親子別姓」
を強制させられる。
現在、一部の野党が示す案では、子が生まれる度に夫婦が姓を決めるとあるが、現行の戸籍法では出生後14日以内に氏名を届け出なければならないため、夫婦間の協議が整わなければ無戸籍児になる。
別姓夫婦が結婚時に生まれてくる子の姓を事前に決めておく案もある。
だが、決められなかった場合は婚姻届が出せず、
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」
と定めた憲法24条に違反する恐れがある。
野党案はこうした問題の解決に
「家庭裁判所に判断を求める」
とするが、正当な判断基準は見当たらない。
別姓導入賛成派の論拠は、平成27年と令和3年の最高裁判例が
「この種の制度の在り方は国会で論ぜられ、判断されるべきだ」
と判示したことだ。
しかし、判決は同姓制を合憲としており、別姓導入を求めたわけではない。
各種調査では5割近くが通称使用拡大を必要とする一方、別姓導入賛成は2割程度にとどまる。
これは便宜上の不具合を改善してほしいということに他ならない。
旧姓の通称使用拡大を別姓制度の
「妥協案」
と捉えてはいけない。
別姓導入の議論が浮上したことで通称使用の拡大の議論が熟した側面もあるが、考え方は全く違うものだ。
これまで懸案になっていた姓を巡る問題を解決するためにも、通称使用拡大の法整備に向けて結論を出すべき時期に来ている。

夫婦別姓議論、旧姓の通称使用拡大巡り自民保守派に複数案…一本化できなければ党分断も
2025/2/7 18:39
https://www.sankei.com/article/20250207-5X76YPN3GNMSVGNGL6VGUKS67E/
今国会の焦点である選択的夫婦別姓制度を巡り、自民党は来週、党内議論を本格化させる。
家族の在り方を変える懸念から、制度導入に慎重な保守系議員らは旧姓の通称使用を拡大する方向で意見集約を目指す。
ただ、慎重派の間でも通称使用拡大に関して複数の案が存在しており、一本化を巡っては党の分断に繋がる恐れもある。
2025年2月4日午後、党本部で開かれた有志グループ
「保守団結の会」
の会合。
顧問を務める高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は多くの方に、旧氏を通称使用する機会をもっともっと拡大する約束を何度もしている」
「これを早期に実現することが一番だ」
と強調し、通称使用拡大に向けた私案を示した。
高市氏の私案は、戸籍上は同姓を維持しつつ、旧姓の通称使用拡大を法律で位置づける。
現状、住民票やパスポート(旅券)などの公的証明書は希望すれば、現在の姓と旧姓の併記が可能だ。
この仕組みを幅広い分野に広げて不便を解消するため、国や地方公共団体、事業者に必要な措置を取るよう求める。
高市氏は以前、戸籍法の改正を視野に入れていたが、住民基本台帳法施行令の一部改正によって住民票などに旧姓併記が可能となったため、戸籍法は改正しない形とした。
別姓制度導入の是非が改めて注目されるきっかけとなった経団連の昨年2024年の提言は
「通称は法律上の姓ではないため、旧姓併記を拡大するだけでは解決できない課題も多い」
と指摘していた。
一方、衛藤晟一元沖縄北方担当相らの案は、公的証明書への旧姓の併記と単独使用のいずれも可能とする。
旧姓の使用を法制化し
「法定旧姓」
とすることで別姓制度を導入しなくても、経団連が指摘するような課題の解決に繋がるとしている。
稲田朋美元防衛相は、
「婚前氏続称制度」
の創設を主張する。
旧姓を通称ではなく
「呼称上の氏」
として法的に認め、公的な場面では旧姓を使用することを想定している。
慎重派は複数案を一本化し、導入推進派に対して党内議論の主導権を握りたい考えだ。
党内には、拙速な議論は避けるべきだとの意見もあるが、立憲民主党は今国会で導入に向けた民法改正案の提出を予定している。
自民の森山裕幹事長は2025年2月4日の記者会見で、関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張した。

「強制的親子別姓」「子供に選択の機会ない」選択的夫婦別姓を日本女性の会が危惧 横浜で
2025/2/7 10:50
https://www.sankei.com/article/20250207-XGELSVKT5FGOVOVXV2OLGIPJ3A/
日本女性の会神奈川は2025年2月6日、JR横浜駅前で今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓の導入に反対し旧姓の通称使用の法制度化を求める街宣活動を行った。
選択的夫婦別姓について、
「強制的親子別姓、強制的家族別姓です」
「家族がバラバラになります」
などと懸念を訴えた。
日本女性の会は日本会議の女性組織。
約20人の女性らがビラを配ったり、マイクで訴えたりした。
導入を求める側の人々が唱える
「選択制だから誰も困らない」
という訴えについては
「正しくありません」
「一番大きな影響を受けるのは子供です」
「選択制とはいえ、子供に選択の機会はありません」
などと危惧した。
同会は、4歳から高校2年まで10家族20人の子供に対し、それぞれの親から
「お父さんとお母さんが別々の名前になったらどう思う」
と尋ねてもらったところ、ほとんどが拒否感を示したという。
「家族がバラバラは絶対いや」
「うちは何家になるの」
との回答があったという。
同会神奈川の事務局長を務める横浜市の主婦、北島ゆり子さん(66)は
「子供は自分のことじゃなくて、親や家族全体のことを考えている」
「たかが名字、されど名字で、子供にとって大きな拠り所だと感じた」
と話した上で、
「子供の声は社会に反映されにくい」
と語り、丁寧な議論を訴えた。
北島さんは、10家族20人の調査について
「親にとっては、子供の考えを改めて感じ、絆が強まった機会になったといってくれた」
と述べ、選択的夫婦別姓の導入の是非が社会の話題になりつつある状況について
「反対派も賛成派も、改めて家族で『家族とは何か』『親子とは何か』を考える機会になれば一番いいと思う」
と語った。

夫婦別姓反対や通称使用法制化の推進を訴え 日本女性の会神奈川
2024/12/26 19:30
https://www.sankei.com/article/20241226-52IAT4YH4BMI3LSVHODYVHHQ5M/
日本女性の会神奈川は2024年12月26日、神奈川県藤沢市のJR藤沢駅前で
「夫婦別姓反対・通称使用法制化推進」
の街宣活動を行い、
「国民は選択的別姓制度を求めていません」
などと書かれたビラを配った。
参加したのは、同会や日本会議神奈川などの約10人。
メディアなどの調査をもとに、
「国民の7割が『別姓』に反対」
「中高生の9割以上が『別姓』に反対」
などと書かれたのぼりを掲げ、通行する人に
「姓の選び直しで社会は混乱する」
と語りかけ、通称使用の法制化を訴えた。

自民「創生日本」再始動、通称使用拡大案を提示「国の根幹めぐり党が割れるようでは…」
2025/2/5 18:55
https://www.sankei.com/article/20250205-5XCFEWLYMFOEZAAPSUVO5LP2FY/
安倍晋三元首相が会長を務めた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
は2025年2月5日、国会内で総会を開き、選択的夫婦別姓制度を巡り議論した。
総会の開催は約2年ぶりで、旧姓の通称使用を拡大する党内の複数の案が示された。
同制度の導入を巡っては党内で賛否が割れているが、同議連は通称使用拡大での意見集約を目指す方針だ。
「夫婦別姓は国民の間でも実際にどういうものか、実施したらどうなのかなど理解されていない点もある」
「議員も同様ではないか」
同議連会長代行の中曽根弘文元外相はこう強調した。
総会には、萩生田光一元政調会長や高市早苗前経済安全保障担当相、小林鷹之元経済安保担当相ら約40人が参加した。
この日は産経新聞の皆川豪志編集局コンテンツ統括を講師に招き、
「ごまかしの選択的夫婦別姓議論」
と題した講演も行われた。
皆川氏は、産経新聞が同制度について小中学生約2000人を対象に行ったアンケートの結果を説明し、
「国の根幹に関わる家族の在り方を巡り、党内の意見が割れるようでは有権者に見放されるのではないか」
と苦言を呈した。
同制度の導入には、立憲民主党などの野党に加え、連立を組む公明党も前向きな姿勢を示しており、今国会での焦点となる見通しだ。
自民では今月2025年2月中旬にも
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
での議論が本格化するが、推進派、慎重派が混在している状況で、党内議論は難航が予想される。
■「自民離れ加速」選択的夫婦別姓への懸念
一方、保守系議員を中心とした慎重派は、今月2025年2月に入って発信を強めている。
2025年2月4日には有志グループ
「保守団結の会」
が会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
慎重派の念頭には、家族の在り方を変えうる制度を導入すれば
「保守層の更なる自民離れが加速する」(中堅)
との懸念があるためだ。
ただ、安倍氏の死去後、党内の保守系議員の結集軸は失われたままだ。
慎重派が党内議論を主導できるかどうかの予測は難しい状況だ。

自民・高市早苗氏講演の「保守団結の会」に20人 出席議員一覧 旧姓通称使用の拡大を
2025/2/4 18:50
https://www.sankei.com/article/20250204-PWUCMPUC5JB4NIWYXAD7NLGAXY/
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が2025年2月4日、選択的夫婦別姓の導入の是非を巡り旧姓の通称使用の拡大を講演で訴えた保守系有志議員グループ
「保守団結の会」
には20人超の現職議員が出席した。
確認できた20人は以下の通り(敬称略)

≪衆院当選10回≫
高市早苗
≪当選6回≫
関芳弘
≪当選5回≫
黄川田仁志、中村裕之、簗和生
≪当選4回≫
三谷英弘
≪当選2回≫
石橋林太郎、尾崎正直、鈴木英敬、平沼正二郎、松本尚
≪当選1回≫
山本大地
≪参院当選3回≫
上野通子、北村経夫、西田昌司
≪当選2回≫
赤池誠章、佐藤啓
≪当選1回≫
白坂亜紀、田中昌史、若林洋平

選択的夫婦別姓巡り自民保守系活性化 5日に「創生『日本』」会合 党内意見集約は難航も
2025/2/4 18:42
https://www.sankei.com/article/20250204-UHSO75LGNNK2ZO6HRYKGPFVVIY/
自民党の保守系議員が、選択的夫婦別姓制度の導入に否定的な発信を強めている。
有志グループ
「保守団結の会」
は2025年2月4日、党本部で会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
立憲民主党が制度導入法案の提出を予定するなど、夫婦別姓を巡る議論が今国会の焦点の1つに浮上する中、石破茂首相(自民総裁)は、早期に党見解を取りまとめたい考えを示す。
ただ、党内は慎重派と推進派で割れており、意見集約は容易ではない。
「今、自民がやらなければいけないことは、公約を守り、多くの方の不便を更に解消できる法案を出すことだ」
高市早苗前経済安全保障担当相は2025年2月4日の保守団結の会の会合で、同制度の導入ではなく、自民が選挙公約に掲げた旧姓の通称使用の拡大を推進するべきだとの考えを重ねて強調した。
2025年2月5日には、安倍晋三元首相が会長を務めた自民内の保守系議連
「創生『日本』」
が夫婦別姓をテーマに会合を開く。
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
も近く会合を予定しており、保守派による発信が活発化している。
衆院で与党が過半数割れする中、立民が今国会に同制度導入の法案を提出すれば、可決される可能性がある。
自民の保守系議員は慎重論で党内をまとめたい考えだが、旧姓の通称使用の拡大についても、党内に複数の案があり、意見の集約には至っていない。
■慎重派に危機感
自民の森山裕幹事長は今国会で関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張する。
推進派を中心に
「党議拘束をかけない方がいい」
という意見が燻っていることが念頭にある。
自民の
「氏制度の在り方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部は2025年2月4日、国会内で今後の議論の進め方などについて協議した。
出席者の1人は、今月2025年2月中旬にも党内で議論の場を設ける考えを示した。
慎重派のベテラン議員は
「通称使用の案を早く取りまとめて、党内の導入賛成派の人も含めて合意を得なければならない」
と危機感を示す。

「選択的」別姓論の大いなる逆説 何が「個」を失わせるか
正論2025年3月号 早稲田大学非常勤講師 大場一央
「早稲田なんか入りたくなかった」
「自分は東大に行くはずだった」。
こう思った学生が、いつまでも早大生と名乗ることを嫌がって学内で孤立する。
「私は栄光ある巨人軍で長年プレーしてきた」
「今度北海道日本ハムファイターズに移籍するが、
『いつまでも自分は巨人の何某である』
と宣言する」。
こんな新入団選手を、ファイターズファンは複雑な気持ちで見つめる。
結婚して別姓を
「選択」
するということは、そういうことだ。
結婚したての頃は、相手方の親族とどういう距離感で付き合うべきかも分からず、一方で夫婦の考えや感性の擦り合わせも行わなければならないから、実は最も苦しく孤独な時期である。
そんな時期に、男性側の姓にせよ女性側の姓にせよ、結婚したにもかかわらず別姓を
「選択」
するということは、相手方の親族に対して、あなたがたのチームに入る気はありませんと、出会い頭に拒絶していることになる。
別姓が強制されるならまだしも、
「選択」
は当人の意思が際立つ。
最悪の一手を打ってしまったと言うしかない。
子供を授かったら更に深刻だ。
とかく子供は親の喧嘩に敏感である。
黙っていられるならまだしも、どちらに味方するか迫られたら、どちらも悪く言うのは嫌だから、困った挙げ句に泣きたくなる。
白紙のような頭と心に刷り込まれた親の考え方や感性は、良くも悪くもかなり長い間、子供を支配する。
その親が2つに分かれ、子供にいずれかの姓を
「選択」
させる。
これはチームが分かれるどころか、子供の人格を作るモデルの分裂であり、アイデンティティーもへったくれもない。
ここで争おうものなら、離婚した両親が親権を争う姿を見て、自分の存在そのものを否定してしまうような、不幸な自意識が生まれても不思議ではない。

選択的「夫婦」別姓は強制的「親子」別姓だ こんなにある致命的欠陥
正論2025年3月号 元東京新聞編集委員 椎谷哲夫
数年前、元文科事務次官の前川喜平氏がSNSでこんな発言を醸した。
「同性婚も選択的夫婦別姓も、それで幸せになる人がいて、不幸になる人はいないのだから、誰にも反対する理由はない」
「反対する人は、自分の好き嫌いを人に押し付けて、人を不幸にしているのだ」
自由な議論を行うことが民主主義の根幹であるはずだが、前川氏は自分と意見の違う人たちを黙らせようとした。
「選択的夫婦別姓」
は、こんなにも人を攻撃的にしてしまうのか。
公明党とも連携して別姓法案を国会で通そうとする立憲民主党の野田佳彦代表は採決で
「(自民党の賛成議員を)炙り出す」
と言い放った。
理はこちらにあるから決着をつけようということらしい。
だが、選択的夫婦別姓には、解決しようのない問題がいくつもある。
30年ほど前、別姓導入を打ち出した法制審議会は、子供の姓を
「いつ決めるか」
で揉めた。
制度導入の最大の弱点だから、今も決着はついていない。
別姓派の理論的支柱である民法学者は
「戸籍」
をばらばらにして
「個籍」
にするべきだと言っている。
「戸籍の解体」
だ。
まだある。
仮に選択的夫婦別姓が導入されても
「夫婦同姓を維持して旧姓の通称使用を法制化してほしい」
という多数派のニーズは満たされず放置されるのだ。
■「子供の姓いつ決めるか」で対立
選択的夫婦別姓は、片方の親と子が必ず別姓になる
「親子別姓」
である。
家族の中に異なる2つの姓があるということで言えば
「家族別姓」
である。
更に、子供の意思と無関係に親の都合で子供が別姓を強いられるという意味では
「強制的親子別姓」
と言ってもよい。
選択的夫婦別姓の法案要綱を答申した法制審議会に法務省参事官として関わった小池信行氏も講演録『夫婦別姓を考える(『法の苑』2009年春)』の中で
「夫婦別姓の問題は最終的には子の氏の問題に帰すると思っている」
と語っている。
選択的夫婦別姓にした場合、
「いつ子供の姓を決めて届けるか」
が問題になる。
最大の要点であり、難点でもある。
平成8(1996)年2月に法務省の法制審議会が答申した
「民法の一部を改正する法律案要綱」

「婚姻の際に届ける」
としている。
これに対し、立憲民主党・共産党など野党が令和4(2022)年6月に共同で国会に提出した
「民法の一部を改正する法律案」

「出生時に届ける」
としている。
立憲民主党など野党は与党の公明党も引き入れ、この法案を再提出して閉会中の通常国会(2025年6月中旬会期末)で成立させようとしている。
実は30年近く前の法制審議会で、子の姓の決め方について意見が真っ二つに分かれて揉めた経緯がある。
■「婚姻時の届け出」は憲法違反
当時、民法部会員として審議に加わった元都立大法学部長の唄孝一氏(故人)は『家族ージェンダーと自由と法』(水野紀子編)で
「子供の氏について意見が違ったわけである」
「これは最終的に案を決める上でネックになったものであった」
と振り返っている。
唄孝一氏によると、原案(法制審議会の法律案要綱)については、前述のように
「婚姻の際に届ける」
ことになっているため
「婚姻の要件を加重する」
との批判があった。
婚姻するために新たな条件が負担として加わると考えれば分かり易い。
これについては、前述の講演録
『夫婦別姓を考える』
で小池信行氏も言及している。
「婚姻というのは憲法に夫婦の間の合意さえあれば成立すると書いてあるではないか、それなのに子供の氏を決めなければ婚姻ができないのは憲法違反である」
との強い批判があろと指摘。
更に
「結婚しても子供を作らないという夫婦や、あるいは年齢的にもう子供ができないという夫婦についても、生まれてくる子供の氏を決めなさいというのは、心理的な抵抗があることを挙げる人もいる」
「つまり子供は自分たちには不要だと考えている人たちにも、子供の氏を決めないと婚姻届を受理しないのは酷ではないか、そういう反対論がある」
というのだ。
■「出生時の届け出」で「姓の取り合い」も
これに対し、立憲民主党などの
「出生時に届ける」
という考え方も致命傷になりかねない問題を抱えている。
この案は法制審議会の
「婚姻の際に届ける」
の対案として出たものだ。
出生届は生後14日以内だが、その間に決まらなかったら、どうするかという問題が出てくる。
立憲民主党はHPに
「(夫婦間の)協議不調・協議不能の場合は家庭裁判所の審判に委ねる」
と記している。
だが、家裁が何を基準に子供の姓を決めるというのか。
前述の小池信行氏は
「家庭裁判所が多分頭を抱えることになる」
と指摘する。
離婚の判決で未成年の子の親権を決める際は、夫婦と子供には、それまでの生活があるから判断材料がある。
子供から意見を聴くことも可能だ。
だから、父母のどちらが適任かを判断できる。
しかし、子供を授かったばかりなのに、どちらが人格的に優れ、経済力があるかで決められる性格のものではない。
赤ちゃんは意思表示などできない。
双方の実家が
「うちの姓にして欲しい」
と介入し、子の姓の取り合いになる可能性だってある。
夫婦が一緒に暮らすわけだから、双方が完全に納得しないと、その後の家庭生活にも影響する。
審判が長引けば
「戸籍のない子」
になったり、訴訟に発展する恐れもある。
夫婦同姓の子であれば、生まれた瞬間に姓が決まり、摘出でない子も母の姓に決まるのに、別姓夫婦の赤ちゃんは、出生直後から
「不利益」
を被ることになる。
平成6年に批准した
「児童の権利に関する条約」
の第7条には
「児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし・・・」
とある。
そんな欠陥を抱えたまま別姓法案を通そうとしても、国民感情が許さないだろう。
■経団連も「子の不利益」を素通り
経団連は夫婦別姓について
「先送りできない最重要課題」
だと主張し、政府を揺さぶっている。
企業の経営者だって家族の一員なのだが、ビジネス上の利益確保という視点だけで問題の可否を論じようとしている。
筆者は令和6(2024)年6月、日本記者クラブで行われた経団連のダイバーシティ推進委員長である魚谷正彦氏(当時資生堂会長)の講演で、親子の姓の分離の問題についての見解を求めた。
魚谷正彦氏は
「私は非常に大変重要なことだろうと思っているが、経団連としてどうすべきだ、こうすべきだというスタンスは取っていない」
と答えた。
「組織として関知しない」
ということなのか。
余りにも無責任だ。
■3択の世論調査こそ民意反映
東京地検特捜部出身で元法相の山下貴司氏は、令和6年12月の衆院予算委員会の質疑で石破茂首相を前に、選択的夫婦別姓制度は
「硬直的制度」
であり
「家族別姓か、旧姓を法律上の姓として使用することを諦めるかという究極的な選択を迫るものだ」
と述べた。
選択的夫婦別姓が導入されても、
「夫婦同姓を前提に通称使用を法制化する」
という国民のニーズは満たされない。
だから、選択的夫婦別姓制にしない限り、法的根拠をもって旧姓を使うことはできない。
山下氏の言う通りである。
国会でのこれまでの質疑を聴いていると、立憲民主党や公明党などの国会議員は、選択的夫婦別姓の正当性を訴えるのに、
「賛成」
「反対」
の2択の調査結果しか使わない。
その方が都合の良い結果が出るからだ。
朝日新聞の令和6年7月の2択の世論調査は
「賛成」73%
「反対」21%
NHKの令和6年7月の世論調査は
「賛成」59%
「反対」24%
だった。
共同通信や日本経済新聞・毎日新聞も同様だ。
これに対し、内閣府の世論調査は3択だ。
令和3年12月の調査(翌年令和4年3月公表)は
「夫婦同姓を維持した上で旧姓の通称使用の法制度を設けた方がよい(42.2%)」
「現在の夫婦同姓の制度を維持した方がよい(27%)」
「選択的夫婦別姓の制度を導入した方がよい(28.9%)」
だった。
令和6年7月の「JNN」(TBS系列のニュースネットワーク)の調査も、
「同性を維持しつつ旧姓を通称としてどこでも使えるように法制化すべき」
が最も多い47%になり、
読売新聞の令和6年9月の調査も
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称使用として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
が最多の47%を占めた。
ちなみに、産経新聞・FNNは、短期間に2択と3択を分けて訊いている。
令和6年7月の調査は、朝日新聞やNHKと同じ2択で、
賛成66.6%
反対25.5%
だった。
令和6年9月の調査は
「夫婦同姓を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる法整備をする」
との選択肢を加えた回答を求めた。
その結果、追加した選択肢が最大多数の46.5%となり、賛成は38.9%、反対派12%に減った。
数字だけ見ると、賛成と反対で減った分の合計41.2%に、2択で賛否を明らかにしなかった5%が加わったことになる。
この結果をどう捉えればよいのか。
2択で「YES」か「NO」を迫られたら、割り切れなくてもどちらかを選ぶしかない。
「選択的だから」
という程度の判断で決めた人が多かったと想像できる。
これに対し3択は、選択肢が多くなった分、回答者の隠れていた意思が表に現れたと言える。
どちらが民意を反映しているかは、考えるまでもないだろう。
それでも、別姓推進派はそうした
「不都合な真実」
を無いことにしてしまう。
朝日新聞やNHK、共同通信など選択的夫婦別姓導入に熱心なマスコミは、国民世論の意思を2択でしか探っていない。
一体何を恐れているのか。
■個人籍への移行は「戸籍の解体」
選択的夫婦別姓制度を導入した場合に
「戸籍」
がどうなるかも心配だ。
福島瑞穂・社民党党首は平成5(1993)年に当時の日本社会党機関誌局が出した
『夫婦別姓 家族をここからかえる』

「Q&A」
に、
「個人の尊厳という観点からはこの際思い切って個人登録にすべきだ」
とした上で、
「(個人登録は)個人単位になるわけですから『戸籍制度』という言葉自体もなくなるべきです」
と書いている。
「個人単位の登録」
については、選択的夫婦別姓制度導入運動の後ろ盾である立命館大学名誉教授の二宮周平氏も同じ主張を繰り返している。
『中央公論』(2022年6月号)では
「現実の家庭生活は(中略)多様な家庭生活・私生活が共存している」
「それにもかかわらず、夫婦と子という特定の家族像を基本にすることは、最早現状に合わない」
「戸籍制度も、多様な家族の在り方を保障し、支える制度にする必要がある」
と述べ、その編製を
「個人単位にすべき」
と主張している。
そして、
「各自が言わば筆頭者となり、自分を中心に、自分との関係で父母・配偶者・子を記載する形式こそ、自分が『人生の主人公』であることを明瞭に示すものであり、憲法の理念に忠実なものである」
と説いている。
■「戸籍維持」とは言わぬ井田氏
二宮氏は、編製上の問題であって戸籍の廃止ではないと言うが、一般国民の感覚からすれば
「戸籍の解体」
である。
選択的夫婦別姓制度が導入されると、社会制度上の統一性がないから、最終的には圧倒的少数派の
「個籍」
に収斂されていくであろう。
その時、戸籍という言葉は消える。
彼らの主張の背景には、現行の
「戸籍の筆頭者」
が、戦前までの家制度の名残りだという考え方がある。
筆頭者とそうでない家族との間に
「主従関係」
を持ち込むというのだ。
選択的夫婦別姓運動を主導してきた人々の
「共通の認識」
にもなっている。
井田奈穂氏が事務局長を務める
「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」
は、HPの
「選択的夫婦別姓Q&A」
にわざわざ
「戸籍の問題も戸籍を維持しているのも日本だけですので、戸籍を維持していくかどうかは別途議論の余地はある」
と記している。
「戸籍は維持する」
とは言っていないのだ。
■「家名存続なんて幻想の産物」
「改姓するとアイデンティティが失われる」
という意見がある。
自分が生きて来た家庭の
「アイデンティティ」
を、結婚後の新しい
「絆」
よりも優先するということだ。
法学・社会哲学者の青木孝平氏は
「夫婦の別姓がもたらすものは、夫と妻という他人同士の紐帯よりも、結婚後もそれぞれが生家の親との関係を重視する血縁的紐帯への過剰な依存である」
と自著で説く。
「一人っ子の男女がそれぞれの実家の家名を守るには別姓しかない」
と言う人もいる。
その場合、双方の実家(祖父母)は、孫にも家名を継いで欲しいだろう。
だが、子供が生まれるとは限らないし、生まれたら姓を振り分ける必要がある。
一人っ子なら、両家に
「姓の取り合い」
の感情も生まれる。
社民党党首の福島瑞穂氏が『楽しくやろう夫婦別姓』(1989年)に書いている。
「家名存続なんていうのは、元々幻想の産物である」
「娘夫婦が別姓になったとしても、孫が生まれないかもしれない」
「そしたら、そこで終わり」。
姓の決定は
「自己決定権(人格権)」
に属し、親から受け継いだ姓に縛られる必要はないというのが夫婦別姓派の主流だ。
■「別姓」に庶民が反発した歴史
選択的夫婦別姓導入を求める人たちが
「日本は元々、夫婦別姓だった」
というのは明らかな間違いだ。
彼らがその根拠の1つにしているのが、NHKの大河ドラマにも登場した北条政子だ。
源頼朝の正妻なのに、父親の北条時政の
「名字」
を名乗っているから
「別姓」
だというわけだ。
頼朝の
「源」
は天皇から与えられた血統を示す
「氏(うじ)」
であり、出自の異なる妻がこれを名乗ることはあり得ない。
そもそも、
「北条政子」
という呼称自体が、後世になって、人物を特定するために書物などで便宜的に使われるようになったものだ。
研究者によると、名字(苗字)は室町時代から江戸時代にかけ庶民にも広がった。
江戸末期の1801(享和元年)に幕府は
「苗字帯刀の禁令」
で武士や名主以外は使うことを禁じた。
それでも庶民は非公式に名字を使った。
明治政府は
「平民苗字必称令(明治8年)」
で全国民が名字を名乗ることを義務化し、翌年明治9年の太政官指令で
「妻は別苗字」
にするよう求めた。
古来の公家や武家の血統を示す
「氏(うじ)」
の概念を庶民に押し付けたもので、夫婦同姓を慣習としていた庶民は強く反発した。
その声を吸い上げた東京府は明治22(1889)年、政府にこんな上申書を上げた。
「凡ソ民間普通ノ慣例ニ依レバ、婦ハ夫ノ氏ヲ称シ、其生家ノ氏ヲ称スル者ハ、極メテ僅々ー」
(民間の慣例では妻は夫の氏姓・苗字を称しており、実家の氏を称する者は極々少ない)。
庶民は同姓を続けたが建前としての夫婦別姓が続いた。
明治31(1898)年には、日本初の民法に
「戸主及ヒ家族ハ其ノ氏ヲ称ス」
とする
「夫婦同姓」
が規定された。
■間違った通称使用の弊害を喧伝
経団連が喧伝する
「通称使用の弊害」
についても述べておきたい。
「DEI社会の実現を目指して」
と題する資料には
「海外に渡航する際の弊害」
の一例として
「空港ではパスポートのICチップのデータを読み込むがそこに旧姓は併記されていない」
「よってゲートでトラブルになる」
との事例がある。
意味不明な
「弊害」
だ。
旅券面に
「旧姓」
併記があっても、確かに入国審査官がチップを読み取るモニターには本名(戸籍名)が表示される。
しかし、航空券と照合する場合でも、チケットは
「本名記載」
だからトラブルになりようがない。
外務省が在外公館に問い合わせても、モニター表示が原因でトラブルになった事例は確認できないという。
入国審査のやり方は国によって千差万別だ。
普通はあり得ないが、旅券面の
「Former surname(旧姓)」
をたまたま見た入国審査官が
「これは何だ」
と訊いて、これにうまく説明できなかったということなのか。
外務省は、そのためにも渡航者に併記した英語のリーフレット配布しているのだ。
経団連の十倉雅和会長は昨年2024年、記者会見で
「改姓後に旧姓時代の研究論文の実績が認識されないといった弊害も耳にする」
と語った。
十倉会長は、世界中で100万人の研究者や権威ある研究機関が使っている
「ORCID(オーキッド)」
という登録システムを知らないようだ。
世界には同姓同名もあるし、結婚で改名した人、ペンネームを使う研究者も多い。
割り振られた16桁のID番号(数字)が、例えば結婚前の旧姓と戸籍を紐付けて人物の識別・特定ができるのだ。
日本でも登録を推奨する大学や団体が増えている。
■「経過措置」で既婚者も混乱か
この問題では
「これから結婚する人が対象だから私には関係ない」
という考えは禁物だ。
実は立憲民主党などの別姓法案には2年間の
「経過措置」
がある。
要は、既婚者に
「2人が合意すれば、今なら旧姓に戻せますよ」
と煽るような内容だ。
妻が
「我が家も別姓にしたい」
と反対する夫と揉めるケースも出てくるだろう。
全国の同性夫婦を対象にした
「姓の選び直し」
だから、他人事ではないのだ。

選択的夫婦別姓、子供の姓の扱い「議論されてない」 国民・榛葉氏、期限区切る動きに慎重
動画
2025/1/30 19:15
https://www.sankei.com/article/20250130-J5UGWSPWNVFTLLFPFDGAZ462VU/
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2025年1月30日、産経新聞の単独インタビューに応じ、選択的夫婦別姓制度の導入について、子供の姓の扱いなどに
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
と指摘。
一定の期限を区切って議論することに慎重な考えを示した。
榛葉氏は、制度の導入自体は
「成人の男女が(姓を)選択できるようにすることは、党がかねてマニフェスト(政権公約)で賛成している」
として、改めて賛意を示した。
ただ、
「問題は子供で、親子別姓という問題はあまり議論されていない」
と指摘した。
「兄弟で名字が変わったり、子供が(姓を)強制されたりするようになると、子供の目線からどうなのか」
「家族の問題もある」
とも語り、子供の扱いに関する制度設計が不十分なことに強い懸念を示した。
一部野党には、夫婦で子供の姓に関する意見が対立した場合、最終的に家庭裁判所で決める案もあるが、榛葉氏は
「家裁が決める話でない」
とも語った。
立憲民主党は、意見が割れる自民党の状況も見据え、今国会中の関連法案成立に意欲を見せるが、榛葉氏は
「政局や選挙の道具にすべきでない」
とも言及。
性急に結論を出すのではなく、制度設計の議論を徹底するよう求めた。
「大人の論理だけでなく、子供の学びや育みを考え、慎重に議論すべきだ」
とも強調した。

自民は旧姓使用拡大で一致を
阿比留瑠比の極言御免
2025/1/30 1:00
https://www.sankei.com/article/20250130-DGDTNV3NRZKT7MW5M4KSDHKE3U/
米国でトランプ大統領が復権を果たし、世界が目まぐるしく動いている一方、国会では十年一日の如く選択的夫婦別姓がどうの同性婚がどうのと内向きな議論が続いている。
そうした中で自民党の森山裕幹事長が夫婦別姓制度の導入を巡り、国会採決に当たっては
「党議拘束をかけないで結論を見い出すことは出来るだけ避けるべきだ」
と発言して注目を集めている。
これに関しては、選択的夫婦別姓に賛成の立場で党所属議員を縛ろうとしたとの見方も出たが、複数の自民党閣僚経験者は
「それは逆だ」
と説明する。
反対に、片方の親と子供が必然的に別姓となり、兄弟、姉妹同士が別姓となる可能性もある立憲民主党の民法改正案を成立させないことが目的だというのである。
「党議拘束をかけないと、党内にいる数十人の別姓賛成派・推進派が協力して立民の改正案が成立してしまう」
森山氏は別姓推進論者の中には、戸籍そのものをなくして
「個籍」
にすることを目指す人がいることを危惧しているのだという。
確かに、別姓推進論者には社民党の福島瑞穂党首のように著書にこう記した人もいる。
《私は、子供が18歳になったら家族解散式≠ニいうのをやろうと思っていて、それ以降は、パートナーと子供ともスープのさめない距離に住んで、名実共に個人単位で暮らしていきたいなと思っている》
《家族だって、ひとつの定義にすぎない》
《家族も個人のネットワークなんだ》
家族という社会の基本単位をなぜなくしたいのか、どうしてそこまで孤独に陥りがちな
「個」
に拘るのか理解に苦しむが、ともあれそういった指向性の議員は一定数いるのだろう。
それでは、自民党は党議拘束をかけて採決に臨むために、どんな法案を出そうというのか。
現在、広がっているのが
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」(萩生田光一元政調会長)
という考え方である。
実際、今月2025年1月の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査でも、選択的夫婦別姓制度導入に
「賛成」
の自民党支持者の割合は24・7%にとどまる。
一方で、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は49・8%に上り、納得が得られやすい。
石破茂首相(党総裁)も、2025年1月26日配信のインターネット番組で、選択的夫婦別姓について党内の賛否が割れている現状を踏まえて
「どちらの考え方にも偏れないとするならば、折衷案もありうべし」
と述べた。明言はしなかったが、旧姓使用の拡大・制度化を指すとみられる。
首相は元々別姓賛成派だったが、
「党をまとめる立場になると『俺の考え方についてこい』とならない」
とも語った。
自民党には、高市早苗元政調会長のように既に2度も党法務部会にこの法案を提出している議員もいる他、複数の議員がそれぞれの旧姓使用の拡大案を唱えている。
戸籍法改正と特別立法が必要なものや特別立法のみのもの、民法と戸籍法の双方の改正が必要なもの…と数種類あるが、これらを党内で議論してまとめていけばいい。
以前は選択的夫婦別姓に
「賛成」

「反対」
の2択だった各種報道機関の世論調査の設問も、最近は
「同姓を維持して旧姓使用を拡大」
という第3の選択肢を加えて聞く例が増えた。
その結果、別姓賛成派が多数派ではないことは最早明らかである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「旧姓の通称使用拡充が現実的」自民・小林鷹之氏、選択的夫婦別姓に疑問呈す
2025/1/28 18:02
https://www.sankei.com/article/20250128-VTTJDJNV5BOV7K7EFKBAAKEHD4/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相(衆院千葉2区)が、どちらかの親と子供が別姓になる選択的夫婦別姓に関し性急に結論を出すことに疑問を呈し、発信を強めている。
2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べた。
2025年1月25日にはこの発言を補う形で、X(旧ツイッター)に
「婚姻による改姓で不便を感じる方がいるのは事実で、そのニーズを解消するアプローチとして旧姓の通称使用の拡充や周知徹底による対応が現実的な解と考えます」
と投稿し、夫婦別姓の導入を
「慎重に臨むべきと考える」
と強調した。
理由として
「『子供の視点』を大切にすべき」
とも指摘。
「子供の選択権の有無、有るとした時にいつ、どういう状況で行使できるのか」
「夫婦間で揉めた場合、家庭裁判所が判断するのか」
といった論点を挙げた。
その上で、
「年限を区切り、拙速に結論を決める性質の話ではない」
「姓の在り方に関する議論は、時間をかけてでもしっかりと議論することが重要」
「合意形成に時間と労力はかかるが、粘り強くやることが大切だ」
と結んだ。

「いつまでも結論を先延ばしてよい問題ではない」 選択的夫婦別姓巡り石破茂首相が答弁
2025/1/27 14:33
https://www.sankei.com/article/20250127-HSONVJOP4BICTGPW2UTPQMJSGM/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月27日の衆院代表質問で、選択的夫婦別姓制度導入の可否について
「国民の関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしてよい問題とは考えていない」
と答弁した。
党としての意見集約に関しては
「議論の頻度を上げ、熟度を高めて参りたい」
と述べるにとどめた。
選択的夫婦別姓制度に対し、立憲民主党や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。

自民の小林鷹之氏、夫婦別姓論議に疑問「優先順位付けると、もっとやるべきことある」
2025/1/24 23:45
https://www.sankei.com/article/20250124-R63I26QYBRPL7EEK2FBUAULT3M/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相は2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で、選択的夫婦別姓を巡る論議に疑問を呈した。
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べ、経済や防衛力の強化に取り組むべきだと強調した。

「首相が賛成打ち出せば党割れる」自民、夫婦別姓で2月中旬に議論本格化も意見集約難しく
2025/1/24 19:39
https://www.sankei.com/article/20250124-AHRH2TP2RZL6LDBS2REEZVPTTA/
通常国会が召集された2025年1月24日、選択的夫婦別姓制度に関する自民党の
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部らが協議し、2025年2月中旬にも議論の場を設けて党内議論を本格化させる見通しとなった。
党内で賛否が割れており、意見集約は難航しそうだ。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を提出する方針で、今国会の大きなテーマとなる。
WT座長の逢沢一郎衆院議員や小野寺五典政調会長らが2025年1月24日、国会内で協議した。
出席者の1人は
「先の衆院選で新たに当選した議員もいる」
「WTで党としての議論を整理した方がいい」
と語った。
立民が民法改正案を提出すれば、令和7年度予算成立後の今春にも国会審議が始まる可能性がある。
自民は2025年2月中旬から党内議論を加速させる。
とはいえ意見集約は簡単ではない。
自民党内に推進派と慎重派が混在しているからだ。
保守系議員を中心に、家族の在り方を変える可能性がある選択的夫婦別姓制度への慎重論が根強い。
一方、
「夫婦同姓で不自由を感じている人がいるのは事実だ」(中堅議員)
と制度導入を求める声も多い。
菅義偉政権下の令和3年にWTを設置した際も議論が紛糾し、論点整理をまとめたが、制度導入の是非には踏み込まずに結論を先送りにした。
慎重派の一部は今回、自民が賛成に傾かないよう党内議論を主導すべく、水面下で話し合いを重ねている。
ある保守系議員は
「もし石破茂総裁(首相)が賛成を打ち出せば党が割れる」
と語る。
推進派には、法案が国会に提出された際には
「党議拘束をかけない方がいい」(若手)
との意見がある。
これに対し、森山裕幹事長は2025年1月24日、記者団に
「1つの意見にまとめて国会に臨むことが大事だ」
と党議拘束の必要性を主張した。
立民の野田佳彦代表は2025年1月24日の記者会見で
「大事なことはなるべく多くの野党が連携すること」
と野党各党による民法改正案の共同提出を目指す考えを示した。
同時に
「与党からも賛同を得たい」
「特に公明党はぜひ実現したいという意向をお持ちだ」
と述べ、与党の公明との連携にも期待を寄せた。

石破首相、選択的夫婦別姓巡り「早期に自民案まとめ与党協議に」 公明の斉藤代表と会談で
2025/1/22 16:01
https://www.sankei.com/article/20250122-K4EH2ATLRJLMBPNKFQIRESITUE/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月22日、公明党の斉藤鉄夫代表と官邸で会談し、斉藤氏が求める選択的夫婦別姓制度の実現に向けた自公両党の実務者協議について
「できるだけ早い時期に自民の案をまとめ、与党案の協議に入りたい」
と応じた。
会談後、斉藤氏が記者団に明らかにした。
斉藤氏は
「自民の中にも様々な意見があり、まとまっていない」
「まとめる努力をして頂くことが大事なので待ちたいが、できるだけ早い時期に始めなければいけない」
と述べた。

選択的夫婦別姓、石破首相「わが党としてどうなのか明らかに」自民役員会で指示も党内異論
2025/1/21 20:20
https://www.sankei.com/article/20250121-H4QO74K43VJPFFBOLKDFGU4CSM/
選択的夫婦別姓制度を巡り、石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の党役員会で、通常国会で党としての考え方を取りまとめるよう指示した。
自民、公明両党の幹事長は同日、両党間で同制度の協議を進める方針を確認した。
自民は2025年1月24日の国会召集後の来月2025年2月にも党内議論を再開する見通しだが、家族の在り方を変える可能性がある同制度には慎重論や異論も根強く、党内議論の行方は見通せない。
■議論するほど課題
首相は2025年1月21日の党役員会で、選択的夫婦別姓制度に関し
「色々な考え方が党にもある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と呼び掛けた。
役員会に先立ち、自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長が会談し、両党間で共通認識を持ち、国会論戦に臨む方針を確認。
同席した自民の坂本哲志国対委員長は記者団に、子供の姓の選択など様々な論点があると指摘し
「論議すればするほど課題があるということを(自公が)お互いに認識した」
と述べた。
通常国会では、立憲民主党が選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案の提出を予定しており、令和7年度予算成立後の今春にも国会での議論が本格化する可能性がある。
一部の野党だけでなく、公明も推進派だ。
■紛糾避けられず
一方、自民では党内の賛否が割れている。
保守系議員を中心とする慎重派は保守支持層の
「自民離れ」
の更なる加速を懸念し、2025年1月21日の党総務会では出席者の1人が
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
と求めた。
鈴木俊一総務会長は記者会見で
「党の中でも色々な意見があるが、スケジュールありきで拙速に決めるのではなく、十分な議論をした上で納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
との考えを示した。
萩生田光一元政調会長は2025年1月10日のインターネット番組で同制度導入に反対し、
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓を奨励するのは如何なものか」
と述べた。
今後の党内議論の舞台は
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」(座長・逢沢一郎衆院議員)
となるが、紛糾は避けられない。
慎重派は近く会合を開く予定。
一方、
「制度の導入は社会に求められている」
「必要だ」
(中堅)
との声もあり、賛否が混在する状況に自民ベテランは
「党が割れかねない」
と語った。

選択的夫婦別姓「大事な案件。丁寧に取り扱ってほしい」 自民総務会で出席者から意見
2025/1/21 12:27
https://www.sankei.com/article/20250121-ZXOETUYMP5NLVDMHGQ434L2BLQ/
自民党の鈴木俊一総務会長は2025年1月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓制度を巡り、同日の総務会で出席者から
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
との意見があったことを明らかにした。
選択的夫婦別姓制度は2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる見通しだが、自民内では同制度の導入に関して賛否が割れている。
鈴木氏は
「発言は(議論を)拙速に進めるなということであったと思う」
との見方を示し、
「国民の中でも意見が割れている」
「スケジュールありきで決めるのではなく、十分な議論をした上で、納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
と語った。

石破茂首相「わが党としてどうなのだと明らかにしていく必要ある」 選択的夫婦別姓巡り発言
2025/1/21 11:45
https://www.sankei.com/article/20250121-N7BG5NCPERML7BCW34HOE5NMUY/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の自民役員会で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度について
「色んな考え方が党にある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と述べた。
森山裕幹事長が役員会後の記者会見で明らかにした。
首相は、通常国会に臨む姿勢に関しては
「臨時国会と基本的に変わるものではないが、臨時国会で不十分だった所を指摘頂きながら臨みたい」
と強調。
召集日に行われる施政方針演説については
「今年2025年は戦後80年となる」
「国造りの基本軸や、令和の列島改造などなるべく具体的に示したい」
と説明した。

選択的別姓 自民支持層「賛成」24%、立民51% 「通称使用」は立民でも39%
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 18:10
https://www.sankei.com/article/20250120-4XRHISQ6DVJK3KHMD5J4OOCYGA/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、選択的夫婦別姓制度導入の可否を巡る自民、立憲民主両党支持層の見解の差が鮮明になった。
自民の「賛成」の割合は24・7%にとどまったのに対し、立民は51・5%に達した。
一方、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は自民では49・8%、立民でも39・9%を占め、支持政党を問わず希望が根強い傾向が浮かんだ。
選択的夫婦別姓制度に対し、立民や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。
別姓制度導入の法整備に
「反対」
と答えた人は、自民支持層に限ると21・5%となり、全体の14・7%や立民支持層の7・3%を上回った。
「通称使用を広げる」
との回答は、自民、立民以外の政党の支持層でも一定の割合を占め、公明と日本維新の会、国民民主党がそれぞれ4割強、共産党が3割強だった。
「賛成」
は共産で約半数に達し、公明が半数弱、維新と国民民主がそれぞれ3割強となった。
男女・年代別でみると、
男性の場合、「賛成」は18歳〜20代の47・5%が最も高く、「通称使用を広げる」は50代の52・0%、「反対」は70歳以上の24・1%が最高だった。
女性は「賛成」が30代(63・6%)、「通称使用」が60代(59・6%)、「反対」が70歳以上(24・0%)でそれぞれ最も高かった。
「通称使用」
と答えた割合は、男性全体で43・0%、女性全体で47・4%となり、年代別で最も低かった30代女性でも31・4%を占めた。
2025年1月24日召集の通常国会では選択的夫婦別姓制度の法整備が焦点の1つとなるが、導入推進派の政党には通称使用拡大の余地を検討する雰囲気は乏しい。
立民支持層ですら約4割に達する意見を軽視するなら、幅広い民意を踏まえた議論とは言えなくなりそうだ。

「選択的夫婦別姓」6割が導入否定的 世論調査の質問と回答(1月18〜19日)
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 13:03
https://www.sankei.com/article/20250120-HM6MG2V7XFOOPHBBNZJM4G3UNQ/
【問】希望すれば、夫婦それぞれが結婚前の名字を名乗ることができる「選択的夫婦別姓」について、立憲民主党や公明党は今年の通常国会で実現させるための法案の成立を目指している。「選択的夫婦別姓」導入の法整備についてどう思うか
夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる45.2
賛成37.5
反対14.7
他2.6

【問】石破茂内閣を支持するか
支持しない48.7(47.7)
支持する43.5(45.9)
他7.8(6.4)

【問】どの政党を支持するか
支持政党はない37.0(36.9)
自民党29.4(28.1)
立憲民主党10.1(9.0)
国民民主党7.2(11.3)
れいわ新選組3.5(2.9)
日本維新の会2.5(3.2)
公明党2.8(2.4)
他2.6(1.8)
共産党2.2(2.7)
日本保守党1.1(0.5)
参政党0.8(0.7)
その他の政党0.4(0.2)
社民党0.3(0.6)

【問】去年末の臨時国会では、衆院で過半数を割り込む与党が野党の修正要求を受け入れて補正予算が成立した。与党が野党の要求を受け入れる国会対応について評価するか
ある程度評価する57.1
あまり評価しない23.5
非常に評価する7.9
全く評価しない6.5
他5.0

【問】政治資金を巡る問題について、政策活動費の廃止など、政治資金規正法が与党と野党の賛成多数で改正された。政治とカネを巡る問題で自民党の信頼が回復したと思うか
信頼は全く回復していない44.4
信頼はあまり回復していない43.1
信頼がある程度回復した10.4
他1.5
信頼が大きく回復した0.5

【問】政治資金規正法の改正を巡り、「企業・団体献金」の扱いについて、与野党の間で結論が積み残しとなっている。「企業・団体献金」についてどうするべきだと思うか
維持してもよいが、透明性を高めるべき67.9
禁止すべきだ22.9
今のままでよい6.7
他2.5

【問】首相は、今年最初の会見で地方創生を柱に「楽しい日本を目指す」「令和の日本列島改造」などを政権の方針に掲げた。この方針を評価するか
評価しない47.0
評価する45.6
他7.4

【問】「年収103万円の壁」を引き上げる協議で、自民、公明両党は所得税の非課税枠を「123万円」まで引き上げる方針だ。一方で、国民民主党は「178万円」までの引き上げを求めている。どの程度まで引き上げるのがよいと思うか
140万円〜150万円程度まで引き上げるべきだ32.5
178万円まで引き上げるべきだ32.0
123万円まで引き上げるべきだ18.5
103万円のままでよい10.1
他7.0

【問】20日に米国でトランプ政権が発足する。トランプ次期大統領と石破首相の間で日米関係は良くなると思うか
変わらない58.1(59.6)
悪くなる32.5(32.3)
良くなる5.2(5.0)
他4.2(3.1)

【問】24日から始まる通常国会で、石破内閣に取り組んでほしい政策は(2つ選択可)
物価高・賃上げ対策56.0
年金・医療・介護33.6
子供・子育て支援28.4
防災・災害対策19.0
外交・安全保障15.6
地方活性化15.3
行政改革・財政再建9.7
原発・エネルギー政策8.8
憲法改正4.6
他1.8
それ以外0.7

【問】石破政権が今月上旬で発足から100日を超えた。今後、石破政権がいつまで続くのが良いと思うか
夏の参院選まで31.4
夏以降も石破政権が継続29.7
今年春頃の来年度予算が成立した後まで20.7
6月予定の通常国会終了まで13.1
他5.1
(注)数字は%。カッコ内の数字は12月14、15両日の前回調査結果。「他」は「わからない」「言えない」など。

■世論調査の方法
調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。
電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。
内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかと言えば」と再度質問して回答を得た。
調査対象は全国の18歳以上の男女1005人。
小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならない

選択的夫婦別姓は「通称使用の拡大」45・2% 「反対」含め6割が別姓導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 11:43
https://www.sankei.com/article/20250120-ZVXXRT3MH5JVTCTCT4SGG7AVNM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年1月18、19両日に実施した合同世論調査で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」が45・2%
で最多となった。
「賛成」は37・5%、
「反対」が14・7%
だった。
「通称使用の拡大」

「反対」
を合わせると59・9%となり、約6割が選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的なことになる。
同様の質問をした昨年2024年9月の合同世論調査との比較では、
「通称使用の拡大」が1・3ポイント減、
「賛成」が1・4ポイント減、
「反対」が2・7ポイント増
だった。
昨年2024年7月の合同世論調査で、「賛成」か「反対」かの二択で質問した際は、「賛成」が66・6%、「反対」が25・5%だった。

萩生田氏が配信番組で見せた覚悟 岩盤保守層を蔑ろにする「選択的夫婦別姓」導入、石破首相が野党に「同調」なら阻止へ動く考え示す
2025.1/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20250117-YNSCJQHHIVLS3GWIP7FNJBY75Y/
NHKは政治家が他のテレビ局で発言しても民放テレビとしか言及しなかったが、最近は方針を変えたのか、自民党の萩生田光一元政調会長が2025年1月10日夜、櫻井よしこ氏が主宰する動画配信サイトの番組「櫻LIVE」に出演したと報じた。
正確には、「言論テレビ」の番組「櫻LIVE 君の一歩が朝(あした)を変える!」だが、私も一緒に番組に出演して、萩生田氏の「変化」を感じた。
まず、萩生田氏は旧安倍派の会計処理を巡って
「政治不信を招いてしまった」
と反省した。
その上で、昨年2024年10月の衆院選での演説や、その後の衆院政治倫理審査会への出席を通じて説明を果たしてきたとして、
「この問題は去年2024年をもって一区切りにして、今年2025年は乙巳(きのとみ)の年なので脱皮をして、新しいことに挑戦する再生と復活の年にしたい」
との抱負を語ったのだった。
萩生田氏は、岩屋毅外相が中国人の観光客向けビザの発給要件などを緩和する方針を示したことについて、
「ビザの拡大は大きな問題だ」
「党の外交部会などに全くかけず、約束をしてしまったのは問題で、政府のやり方は少し乱暴だ」
と批判した。
NHKもその部分を中心に報じた。
番組に同席した産経新聞の同僚だった石橋文登・千葉工大特別教授も
「自民党支持者を相手に話すことが多いが、外交も内政も全部、安倍(晋三)さんがやっていたことをひっくり返そうとしているとの声が大半です」
と述べたように、石破茂政権は自民党を強く支持してきた岩盤保守層の神経を逆撫でしている。
石破首相らは
「少数与党なので、連立を組む公明党や野党の意見を聞かなければ政権運営ができない」
と言うのかもしれない。
だが、肝心の自民党支持層の声を蔑ろにしていいのかということになる。
その象徴が、通常国会の焦点となる選択的夫婦別姓の導入だ。
萩生田氏は番組で、
「旧姓使用の拡大で対応すべきだ」
と強調した。
石破政権が野党に同調して、法案を賛成しようとした場合については、
「どうやってやるのかをここで言うと、手の内を全部知らしめることになります」
「ただ、しっかり志を同じくする仲間と行動したいと思います」
と述べ、反対する考えを示した。
石破首相は党総裁になる前は、選択的夫婦別姓について
「導入賛成」
の考えを示し、
「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」
と述べていた。
首相になると、2024年10月の衆院本会議での答弁で、
「国民各層の意見や国会における議論の動向などを踏まえ、更なる検討をする必要がある」
と述べるなど、慎重に転じた。
もっとも、立憲民主党の野田佳彦代表は
「自民党の中にも『本当は賛成』という人が結構います」
「党議拘束を外したら一挙に委員会可決する可能性が出てくるでしょう」
(昨年2024年11月の講演)
と攻勢をかける構えを示している。
石破首相が立憲民主党や公明党に同調し、可決の方向に自民党の議論を集約しようとした時、萩生田氏は阻止に動く。
その覚悟を感じた。 
(産経新聞特別記者・有元隆志)

石破首相、夫婦別姓や衆院選挙制度の対応明言せず「予断持って申し上げることしない」
2025/1/11 19:11
https://www.sankei.com/article/20250111-NJSGSKYYFJOD5BUMM5LMKJFNJM/
石破茂首相は2025年1月11日、選択的夫婦別姓制度導入や企業・団体献金の禁止、衆院選挙制度改革など通常国会で与野党の議論が予想されるテーマへの対応について明言を避けた。
「各党、各会派で真摯に議論されることが重要だ」
「政府として今、予断を持って申し上げることはしない」
と述べるにとどめた。
訪問先のインドネシア・ジャカルタで記者団の質問に答えた。
一方で
「結論が得られたら、政府としても必要な対応を取る」
と指摘。
2025年1月24日召集の通常国会での野党との向き合い方に関して、少数与党であることを踏まえ
「多くの賛成を得られるよう誠心誠意説明して参りたい」
とも語った。
選択的夫婦別姓導入には公明党も意欲を示しており、自民党の対応に注目が集まっている。
政治改革を巡る企業・団体献金の扱いは昨年2024年の臨時国会で積み残しとなった。
立憲民主党などが共同提出した禁止法案について、与野党は2025年3月末までに結論を得る合意を交わした。(共同)

「子の名字、もめる原因に」「選択だから、という発想が間違い」 池谷和子・長崎大准教授
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/11 10:00
https://www.sankei.com/article/20250111-JMV3J4X3UJF3TIGJLQGO33UCFU/
選択的夫婦別姓制度をめぐり、産経新聞社が昨年2024年11〜12月に、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
別姓によって生じる家庭内の不和を心配する声もあり、成人した子供が、親の選んだ姓を変えるかどうか選択を迫られる事態も起こり得る。
家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授に、子供を中心とした問題点を尋ねた。

■家族はチームとして同じ呼称に
ーーアンケートでは、約半数の子供が、家族が別々の名字になることに「反対」だった。
親子別姓になり、兄弟別姓にもなるかもしれないと考えた子供が反対するのは自然なことだ。
姓は単なる個人の呼び名ではなく、共同体としてのチーム名。
子供が育つ環境として、家族が『個人の集団』になってはいけない。
全員が助け合う1つのチームとして同じ呼称になるべきではないか。
個人の集団でも問題はないと言う人がいるが、家族には損得勘定というものがない。
個人は損得で物事を判断しがちになる。
法的な権利義務においても、力の強い大人が子供を好きなようにできてしまう危険性も考えられる。
また、これまで引き継いできた名字の繋がりが消えると、世代間にある特有の時間軸も失いかねない。
こうしたことを子供は直感的に分かっているのではないか。

■家庭内の揉め事は子供に悪影響
ーー家庭内の不和を招きかねない
そもそも夫婦別姓にしたい人は自分の名字への拘りが強い傾向がある。
生まれた子供にどちらの名字を付けるかは、当然揉める原因になる。
夫婦間だけでなく、互いの両親も巻き込むだろうし、嫁姑の確執も酷くなる。
家庭内の揉め事は子供にとって悪影響だ。

ーー法律上で懸念されることは
別姓にしたけれど、やはり一緒の名字にするということも想定しないといけない。
子供の姓を変更する時の問題もある。
最初はお父さんの名字で生活していても、物心がついてやはりお母さんの方にしたいとなれば、本人と両親の間で揉めるかもしれない。
成人したら本人の意思で変更できるようにする必要も出てくる。
『嫌だったら後で変更しなさい』と子供に全ての責任を負わせるような制度でもよいのだろうか。

■子供の気持ち、どうにもならない
ーー立憲民主党が野党と共同で国会に提出した民法改正案では、子供の姓は出生時に父母の協議で決定するとされている
話し合って決めるとなれば恐らく1人目はどちらかで、2人目はもう片方の名字で、のような決め方しかできないのではないか。
そうすると、きょうだい別姓になる。
きょうだいは同じ名字でいたいと子供が願っても、その気持ちはどうにもならない。

ーー子供や家族を巻き込むことになる
何でもできる限り好きなように自由にするのがいい、あるいは、困っている人がいるのなら、改善したほうがいという考え方はあってもよいが、それだけで済まないケースも世の中にはある。
推進派には、
「選択だから嫌な人はしなくていい」
「他人には迷惑をかけていない」
という発想があるのだろうが、そこがそもそも間違えている。

<産経抄>夫婦別姓野党案は、親子・兄弟別姓法案
2025/1/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250111-QBCM2G6ENFKTNDNMVUC4YUABNM/
5人家族の鈴木君のお父さんは佐藤姓でお母さんは鈴木姓、弟は佐藤姓で妹は鈴木姓です―。
近い将来、こんな家庭が日本でごく当たり前になるかもしれない。
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党など野党が令和4年6月、国会に提出した民法改正案が成立していれば、既にそうなっていただろう。
▼立民の野田佳彦代表はじめ別姓推進派は法相の諮問機関である法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓制度の導入を答申したことを錦の御旗に掲げる。
とはいえ、法制審案では、子供の姓は結婚時に父母の姓のどちらかに決めるため、兄弟でバラバラになることはない。
▼野党案では子供の姓は出生時に父母の協議で定める。
双方が子供に自身の姓を名乗らせたいなどの理由で意見が一致しない場合、家庭裁判所が
「協議に代わる審判」
を行うことになる。
だが、子供の姓はどちらが相応しいかを国に委ねていいのか。
任された家裁も頭を抱えるのではないか。
▼生まれた子供の姓がなかなか決定できない事態も想定できるが、国連総会で採択され、日本も批准した児童の権利条約は
「出生の時から氏名を有する権利」
を宣言している。
野党案は
「『確信的な条約違反』に該当する恐れがある」(小坂実・日本政策研究センター研究部長)
という。
▼「大人では7割が(選択的夫婦別姓に)賛成」。
野田氏は2025年1月7日掲載の小紙インタビューで述べていたが、これも疑問である。
内閣府が令和3年12月に実施した世論調査では、現在の夫婦同姓維持派と同姓維持の上での旧姓の通称使用法制度化を求める意見を合わせて約7割で、別姓導入派は3割に満たない。
▼「なぜ反対か分からない」。
こう語る野田氏がなぜ分からないか分からない。

自民・萩生田光一氏「旧姓使用拡大で対応。慎重であるべき」 選択的夫婦別姓巡り
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/10 23:41
https://www.sankei.com/article/20250110-NVYV4SHNWNKSFNUBPZUP6ECM5U/
自民党の萩生田光一元政調会長は2025年1月10日夜のインターネット番組「言論テレビ」に出演し、選択的夫婦別姓制度に関し
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓というものを奨励するというのは如何なものか」
「慎重であるべきだ」
と述べた。
今月2025年1月召集予定の通常国会で、立憲民主党は選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だが、萩生田氏は
「どういう分野が(選択的夫婦別姓制度がなくて)一体困っているのかということをきちんと聞き、穴を埋めていけば、別に法律を作る必要はないのではないか」
と指摘した。
その上で
「本当に困っている人ではなく、イデオロギーの意義的にこの制度を変えたい人たちが、困っている人たちの声を代弁しているフリをし、法案を前に進めようとしているのではないか」
と語り、
「この問題は同じ価値観を共にする仲間と行動していこうと思っている」
と強調した。

阿部俊子文科相、選択的夫婦別姓「文科省の所掌超える。議論が深まる中で検討」
2025/1/10 12:25
https://www.sankei.com/article/20250110-GH2XDXDG2JNSHEGVYFMKXKXS2Y/
阿部俊子文部科学相は2025年1月10日の閣議後会見で、選択的夫婦別姓(氏)をめぐり、産経新聞社が小中学生を対象に行ったアンケートで、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えたことについて、
「夫婦別姓に関しては、文科省の所掌を超える」
「アンケート結果に関する見解も含めて述べることを差し控えたい」
とした。
夫婦別姓になると必然的に親子別姓となり、兄弟別姓となる可能性もある。
小中学校での児童生徒への影響も懸念されるが、
「教育現場における対応については、具体的にどのような制度が導入されるかという議論が深まる中において検討していく」
と述べるにとどめた。

参政・吉川氏「子供の視点が見過ごされている」 選択的夫婦別姓は「必然的な親子別姓」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20250108-CJFBYCOJXBGQVCOFABHQSQTRUY/
選択的夫婦別姓の導入に向けた動きが進められる中、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに
「反対」は49・4%
だったのに対し、
「賛成」は16・4%
にとどまった。
昨年2024年10月の衆院選で初当選した参政党の吉川里奈氏は2024年12月の衆院法務委員会で、導入に反対を唱えた。
吉川氏はインタビューに
「日本には家族の名字は一緒という価値観がある」
「家族の一体感が失われる可能性はないのか」
と述べ、
「夫婦は別姓で良くても、子供に選択権はない」
「必然的な親子別姓制度だ」
と指摘した。
吉川氏の発言要旨は以下の通り。
■子供の権利を守るために
選択的夫婦別姓の議論は、子供の視点が見過ごされているように感じる。
夫婦は別姓を望んだとしても、生まれてくる子供は、両親のどちらの姓になるかを選べない。
片方の親とは必然的に別姓になる。
子供への影響や家族の一体感が損なわれる可能性がある。
令和3年に実施された内閣府の世論調査で、夫婦の姓が異なることでの子供への影響について、
「好ましくない影響がある」
と答えた割合は69・0%に上った。
その理由で最も多かったのが
「親と姓が異なると指摘されるなど、対人関係で心理的負担が生じる」
で78・6%だ。
参政党は家族の繋がりや先人から受け継がれていることを大切にする政党だ。
加えて私は子供の権利を守るため、政治に参加した部分が大きい。
議論の進め方もどうか。
まずは、戸籍の姓を変更することなく、職場や社会生活で旧姓の通称使用拡充を進めるべきではないか。
総務省のように各省庁があらゆる場面で旧姓の通称使用ができるようにして、それでも限界があるならば、通称使用拡充の法制度化と、段階を踏むべきだろう。
■国会では様相異なる
世論調査は、メディアの尋ね方も疑問だ。
選択的夫婦別姓について
「賛成」「反対」
の2択で尋ねると、
「賛成」
が多い傾向にある。
ただ、
「賛成」「反対」
に加え、
「同姓維持+旧姓通称使用の法制度化」
の3択にすると、導入を求めない人の割合が多くなる。
聞き方によって民意が誘導されるのはフェアではない。
昨年2024年の衆院選で初当選したが、それまで私の周囲は通称を使っている人ばかりだった。
姓が変わることで結婚して新しい家族を築いたという喜びや親になる自覚を抱いたという人はいても、戸籍は旧姓のままがいいと主張する人には出会わなかった。
ただ、国会では様相が異なっている。
■日本の価値観、失っていいのか
選択的夫婦別姓が議論される衆院法務委は、賛成派が多数を占めている。
明確に反対を表明したのは日本保守党の島田洋一衆院議員と私だけだ。
導入ありきの議論にならないよう、子供の意見表明の機会を確保し、選択的夫婦別姓のデメリットもしっかりと検証、主張して議論を深めたい。
日本は文化的に家族の名字は同じにする、という価値観がある。
「世界では日本だけが同姓制度だ」
との指摘もあるが、世界は多様性に富んでおり、日本もその多様性の1つだ。
日本らしさを失ってまで、他国に倣う必要があるのだろうか。

自民・高市氏 選択的夫婦別姓「最大数は通称使用を求める声だ」「親族間の争い、懸念」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20250107-W5RW4UL5FJEUVNSZEFQAEOYCVQ/
立憲民主党が民法改正案の国会提出に意欲を示すなど、選択的夫婦別姓(氏)の導入が現実味を帯びている。
一方で産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
導入に慎重な自民党の高市早苗前経済安全保障担当相に考えを聞いた。

■家裁の決定で納得できるか
ーー慎重な理由は
最大の理由は、選択式であっても子の氏の安定性を損なう可能性があるからだ。
現在は、婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏のため、出生した子は両親と同氏になるが、戸籍上も別氏の夫婦を認めた場合、子の氏の決め方について、全ての別氏夫婦が納得できるルールが必要だ。
夫婦別氏を求める理由として、一人っ子同士の結婚により片方の実家の氏が途絶えるという事情が挙げられることを考えれば、夫婦双方の実家が子の氏を決める協議に介入する可能性もある。
本来幸せな出産直後に、子の氏を巡って親族間に争いが生じることを懸念する。
戸籍上の夫婦親子同氏、つまりファミリーネームは残した方がよい。

ーー通常国会で立憲民主党が法案を提出する構えだ。立民案の問題点は
過去に国会に提出された立民案では、子の氏について、出生の際に父母の協議で定めるが、協議が調わない時は家庭裁判所が子の氏を定める旨を規定している。
家裁はどのような基準で判断するのだろうか。
離婚時に子の親権を争った過去の裁判例は
『子を養う経済力』
『子との関わりや愛情』
などの要素を総合的に考慮して判断している。
しかし、出生直後の子の氏を争う場合、家裁が如何なる決定をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示せるとは考え難い。

■自民党内でも放置
ーー高市氏は通称使用の拡大を推進してきた
総務相在任中に
『住民基本台帳法』
『国勢調査令』
など総務省が所管する全法令をチェックした。
そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。
合計1142件で旧氏記載が可能になった。
今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている。
免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。
国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。
国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える。

ーー法案も作成し提出している
平成14年と令和2年の2回、自民党政調会の法務部会に提出した。
1回目は反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は審査もされずに放置されている。

■子の視点は貴重
ーー今後の議論はどう進めるべきか。議論の中で果たしたい役割は
令和4年3月に公表された直近の政府世論調査では、戸籍上の同氏維持を支持する回答が69・2%であり、最大数は旧氏の通称使用を求める声だ。
選択的夫婦別氏制度の法制化により戸籍が同氏か別氏かの二択になってしまうと、
『戸籍上は夫婦親子同氏を希望するが、社会生活では旧氏を通称使用したい』
と希望する方々の利便性を高めるための取り組みが遅れることを懸念する。
これまでの旧氏併記の取り組みも水泡に帰す。
この点をしっかり伝えていきたい。

ーー小中学生を対象に産経新聞が実施したアンケートによると、家族で名字が別になることに「反対」が約50%で「賛成」を上回った
子の視点からのアンケートは、珍しく貴重だと思った。
18歳以上を対象にした政府の世論調査でも、夫婦の姓が違うことによって子供に
『好ましくない影響があると思う』
と回答した方が約7割だった。
やはり、夫婦別氏制度の導入については、慎重な検討が必要だと思う。

夫婦別姓導入「前進する年」と意欲 公明・斉藤代表「社会の多様性、国際的視点から必要」
2025/1/6 12:53
https://www.sankei.com/article/20250106-EWBT22YCPVHSHO4Q4ML6764BUY/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年1月6日、東京都内で開いた党の新年仕事始め式で、選択的夫婦別姓の早期導入に向けて議論をリードしていく考えを示した。
「社会の多様性や国際的な視点から必要な制度だ」
「前進する年にしていきたい」
と述べた。
斉藤氏は昨年2024年12月18日に石破茂首相(自民党総裁)に対し選択的夫婦別姓に関する実務者協議を打診している。
斉藤氏は
「きょうだいが複数いる時の姓をどうするのか細部を提示する案はまだどの党からも出ていない」
「与党として実務者協議を始めようと申し入れている」
「首相は
『一旦引き取らせてほしい』
という答えで、2024年年末に会った時も
『もう少し検討させてほしい』
だった」
と語った。

立民・野田代表「賛成が16%いるのでしょう?」「なぜ反対か分からない」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/6 10:00
政治
https://www.sankei.com/article/20250106-2TX7ILQS7NMOVFPPJ23JNZ7TDI/
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党の野田佳彦代表に狙いを聞いた。

ーー選択的夫婦別姓の意義は
選べるという点ではないか。
同姓で不都合を感じる人がいるならば選択できるようにする、改善するのは合理的な考え方ではないか。
それだけのことだ。

ーー小中学生約2千人を対象に行った本紙調査で、「別々の名字にしたい」は13・6%だった
結婚や社会人になって働くことに対するリアリティーがなく、分からないというのが率直なところだろう。
大人では7割が賛成となる。
大人になると、家族の問題で色々な不都合を感じることがあるのかなという受け止めだ。

ーー両親が別姓を選択した場合、同じ家族で名字が別になることに「反対」が49・4%、「賛成」が16・4%だった
賛成が16・4%いるのでしょう?
だから選択的が必要になる。
一緒がいいなら一緒を選べばいい。
基本的には国ではなく、家族が決めればいい。

ーー家族の一体感が損なわれるとの懸念がある
同姓でも家庭不和は生まれる。
あまり合理的な話ではない。

ーー通称使用の拡大でも対応できるのでは
通称使用を拡大しても不都合を感じている人たちが実に多い。
不動産登記などでビジネスを阻害している側面があり、経団連も選択的夫婦別姓の実現に向け動いている。
海外に行くと、尚更不便だ。
通称使用では限界という事例がたくさんある。
強烈な不都合を感じる人たちが何人もいるならば、対応を考えることは当然だ。

ーー衆院は少数与党だ。どう議論を進めるか
できるだけ多くの野党に声をかけて議員立法で出していく。
政府が法案を提出するとの話も聞く。
政府案が提出されなければ野党案をベースに議論してもらいたい。
野党としてまとまった方が与党との交渉で迫力が出てくる。
公明党も基本的には賛成の立場なので、よく連携していきたい。

ーー野田氏は衆院法務委員長ポストの獲得を指示し、立民議員が就いた
法務委では長い間、放置されてきたテーマが多い。
選択的夫婦別姓も平成8年に法制審議会の答申が出たが、政府は腰を上げず国会でもまともに議論されなかった。
放置されてきたテーマを議論する意味で、意義のあるポストの獲得だった。

ーー参院では与党過半数のままだ
衆院通過した法案を参院が潰すことは大変勇気がいる。
2025年夏の参院選前に反対した人たちは追い込まれるのではないか。
参院法務委員長は公明だ。
衆院通過した場合の参院の対応は見ものだ。
昨年2024年12月の講演で
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上に上らされないことは、もう通用しない」
と述べた
世論も7割、経団連も『早く決着を付けろ』という中で、なぜそこまで強く反対する人たちがいるのか。
選べるわけだから。
なぜ選んではいけないのか、よく分からない。

ーー自民などの反対で法案が成立しなければ、内閣不信任決議案を提出するか
理不尽な形で妨げられたならば、そういうことになるかもしれない。
議論を見ながらの判断だ。簡単に不信任案を振り回そうと思っていない。

夫婦別姓間の子供の名字は家庭裁判所が決める 新たな家族不和の火種「いっそくじ引きで」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/5 10:00
https://www.sankei.com/article/20250105-2O4UALZDWVL47IYBPVXR6AKEKM/
選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では
「旧姓使用拡大」
が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。
中には
「保守派に配慮した」
などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。
同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について
「あると思う」は69%、
「ないと思う」30・3%
という結果もあり、
「ある」
と答えた人の理由(複数回答)は
「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、
「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%
が多かった。
では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。
子供の姓については
「出生の際に父母の協議で定める」
としており、一致しない場合は
「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」
とした。
この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。
仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。
■くじ引きが合理的
弁護士の北村晴男氏は
「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる」
「裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」
と指摘する。
夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、
「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」
と判断した。
更に
「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を1つにするのは合理的」
と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。
この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など平成27年以降の状況を踏まえた上で尚
「判断を変更すべきものとは認められない」
と結論付けている。
■新たな人生が始まる
この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層
「改姓の喪失感」
「精神的な負担」
が強調されるようになった。
昨年2024年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの
「過酷な二者択一」
を迫っていると指摘。
「家族の在り方や国民意識の多様化」
が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。
もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば
「強制的親子別姓」
となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。
家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は
「夫婦間だけでは済まない話だ」
「嫁姑の確執も酷くなるだろう」
と危惧する。
孫の名字を巡って双方の祖父母が争いになる可能性もある。
また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。
国士舘大学の百地章名誉教授は
「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す」
「我が国が長年維持してきた戸籍制度の解体に繋がる」
と警鐘を鳴らす。
先の内閣府の世論調査には、
「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)
との問いもある。
最も多かったのが
「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、
次が
「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)
だった。

選択的夫婦別姓制度の導入、小中学生も半数が「反対」 産経新聞調査、子供たちの考え方が統計的に明らかになるのは初
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-RVHIXOJPMBIBHLI3S5IP4HO6GI/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが産経新聞の調査で分かった(2025年1月1日報道)。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割に上った。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
調査は、全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗した。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親や兄弟姉妹と違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49.4%、
「賛成」16.4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18.8%、
「よくわからない」15.4%
で、反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13.6%
だった。
男女別で大きな違いはなかったが、自身が
「別姓にしない」
は男子(56.7%)より女子(63.4%)
のほうが上回った。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)
2025/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20250104-CWCQ5CGQ5BPMFIJ5XAZLSMQCCM/
■立民の印象操作に乗せられるな!
「選択肢が増える」
という物言いに対して、大半の人は
「いいじゃない」
と反応するだろう。
ただ、そこに巧妙なワナが仕掛けられていることもある。
ある結婚情報サイトが、選択的夫婦別姓制度について、そのメリット、デメリットについて解説し、こうまとめている。
「以前よりも、多様性を認め合う社会へと進むなかで、個人の権利や選択肢を尊重する傾向はますます強まっていくと考えられます」
「夫婦間の姓をどう選ぶかもそのひとつです」
「夫婦別姓が導入されても、すべての夫婦が別姓になるわけではなく、あくまで選択肢が増えるということ」
メディアに流れているのはこんな物言いばかりだ。
こうした情報環境のなかで暮らす人々が、アンケートで
「この制度を導入すべきだと思いますか」
と問われれば、多くが
「導入すべきだ」
と答えるに違いない。
法務省のサイトに、令和3年に実施した
「家族の法制に関する世論調査」
の結果が掲載されている。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27・0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42・2%、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28・9%
だった。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は昨年2024年10月末、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告をした。
女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多く、それが差別的だというのだ。
そうした流れの中で、立憲民主党は先の総選挙で与党が過半数割れとなったのに乗じて、衆院法務委員会の委員長ポストを要求して確保した。
委員長は同制度の導入にとりわけ熱心な西村智奈美議員である。
立民はCEDAWの勧告や、
「結婚後に夫婦のいずれかの氏(うじ)を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」
という法務省の調査を利用して、日本がさも女性に差別的で後進的な国であるかのような印象操作を行っているようにみえる。
安倍晋三元首相の暗殺後、リベラル派に乗っ取られた感のある自民党の中にも
「導入すべきだ」
と考える者が少なくなく、うかうかしていたら、すぐにでも民法改正が実現してしまいそうな勢いだ。
■憲法改正に匹敵する案件
12月5日の衆院予算委員会において、自民党の山下貴司議員は、同制度を巡り
「旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういうニーズに応えられていない」
「女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要がある」
と、石破茂首相の考えを問いただした。
これに対して石破首相は
「前の姓を変えなければならないということに対して物凄く辛くて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います」
「それは女性が95%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう」
と、情緒的な答弁をし、同制度の導入に前向きな姿勢を示した。
石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《世の中はなかなか直りにくいものである》
《人々は自分を圧迫するものに対して余りにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかり焦り、それにはどんな代償がいるかを考えない》
《我々はたくさんの実例によって、社会は普通、直されて却って悪くなることを知っている》
(第3巻第9章「全て空なること」関根秀雄訳)
同制度の導入がどんな副作用をもたらすか、十分に議論されているとは到底思えない。
導入に伴う民法改正は、憲法改正に匹敵するほどの最重要案件であると私は考えている。
国民投票に付してもいいほどだ。
しかし、国民投票が実施されるのは国会が憲法改正を発議した時だけだ。
ならば、今年2025年実施される国勢調査に合わせて、同制度導入の可否を問うアンケートを実施したらどうだろう。
■家族制度こそが社会を規定する
私が家族制度に拘るのは、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』(藤原書店、石崎晴己訳)の影響だ。
下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、トッドは家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てた。
家族制度が人間の心性に大きな影響を与え、ひいては人間が形成する社会を特徴付けてゆくというのだ。
トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か、きょうだいの関係が平等か否かによって分類する。
そこから導き出されるのが、
@親子関係が自由主義的できょうだい関係が不平等(長子優先)=絶対核家族、
A親子関係が自由主義的できょうだい関係が平等=平等主義核家族、
B親子関係が権威主義的できょうだい関係が不平等=直系家族、
C親子関係が権威主義的できょうだい関係が平等=共同体家族
の4つである。
例えばパリ盆地を中心とするフランス北部はAの平等主義核家族であり、それゆえにこの地が
「自由・平等・友愛」
を唱えるフランス革命の担い手となった。
@の絶対核家族が優勢なのはイングランドと、その移民の子孫であるアメリカだ。
この家族型が、個人の自由を絶対視し平等に無関心な強欲資本主義の母体となった。
Cの共同体家族は、西ヨーロッパにはまれで、ロシア、中国、ベトナム、東ヨーロッパに多いという。
この家族型がもたらしたのは言うまでもなく社会主義革命である。
ちなみに戦前の日本は間違いなくBの直系家族だろう。
この中で育まれた心性が、明治以降であれば天皇に対する態度、日本軍のありように投影されていたように思う。
現在の日本がどの家族型に当てはまるかは判然としないが、権威主義的でなくなったことだけは確かだろう。
そこに付け入ったのが選択的夫婦別姓制度推進派だ。
私は邪推する。
女性差別撤廃を掲げる彼らの本当の狙いは、家族を精神的に解体し、更には戸籍制度も廃止して、日本人をバラバラにすることではないかと。
その上でバラバラになって寄る辺なく浮遊する日本人をCの共同体家族としてまとめあげようとしているのではないかと。

韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/4 10:00
https://www.sankei.com/article/20250104-GNUKUJWJCZNKHJTBSELPBB5IWA/
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」
韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。
いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での
「別姓」
という印象を抱いている。
韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。
その姓氏制度は、東アジアで最も
「男性中心的」
とされる家族制度に起因するものと言える。
例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。
一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。
子供の姓については、
「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」
と民法で規定。
例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に
「尹」
の名字を引き継ぐ形となる。
例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。
■実家を説得する余力
2024年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。
だが、半年以上経った現在も尚苦悩している。
陳さんは
「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」
というが、
「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。
夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。
ただ、日本の
「夫婦別姓推進派」
は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、
「海外では別姓が主流」
「日本は遅れている」
との主張も少なくない。
米国では1970年代に全ての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。
基本的には婚姻時に
@夫の姓を選ぶ
A妻の姓を選ぶ
B別々の姓を維持する
C両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する
というパターンがある。
ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。
■姓を後世に残す動き
中国では中華人民共和国建国翌年の1950年に施行された婚姻法で夫婦別姓が明記された。
現在、子供の姓は両親のどちらかの姓を選択するが、韓国同様、一族を重視する価値観から、父親の姓を名乗るケースが多かった。
一人っ子政策が廃止された2016年以降は、兄弟姉妹で父母それぞれの姓を名乗る現象が一部で起きている。
両親それぞれの姓を後世に残そうとする動きと言える。
ただ、兄弟姉妹で別姓を名乗ることが、学校でからかいの対象になる、といったケースも報告されている。
各国の家族の枠組みについて詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は
「夫婦の姓に関する制度は国の慣習によって異なる」
「時代や価値観の変化に合わせて利便性や公平性などの観点から米国やドイツでは夫婦別姓が選択できるようになった」
と言及。
一方で、両国では夫婦同姓を選ぶ人が多数派を占めている現状について、
「子供も同じ姓になったほうが親としての証明が容易となるメリットがある」
と指摘した。

選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20250103-33B4YHNURFNUXFSJKAGPJITCPQ/
「個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクだ」。
経団連は昨年2024年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表。
十倉雅和会長は記者会見で理由をそう説明した上で、
「改正法案を一刻も早く国会に提出していただきたい」
とも踏み込んだ。
トヨタ自動車など日本を代表する企業1500社以上で構成する経団連は、経済界が直面する課題の意見を取りまとめ改善策などを発信する役割がある。
だが、今のタイミングで提言するほど、選択的夫婦別姓は経済界の喫緊の課題なのか。
産経新聞社は昨年2024年11月中旬から2024年12月上旬にかけて主要111社にアンケートを実施。
社内で旧姓呼称を認めているかを尋ねたところ、
「認めていない」
とする企業はゼロだった。
「慣例として認めている」が58・6%、「就業規則などで認めている」が29・7%。
「無回答」が11・7%あったとはいえ、9割弱の企業が何らかの形で旧姓呼称を当たり前に認めているのだ。
■国家資格はほぼ旧姓OK
さらに経団連が求める法制化の是非も聞いたところ、
「実現すべき」は25・2%で、
「現状で不都合がないので慎重に議論すべき」も10・8%あった。
もっとも「無回答」が最も多い63・1%あり、判断に迷っているのか、経団連の方針に異議を唱えにくい雰囲気があるのかはわからない。
夫婦別姓をめぐる議論は働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証、銀行口座などの名称変更の煩わしさから旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
職場での呼称が解決に近づいているのであれば、残る課題はどうか。
内閣府によると、昨年2024年5月末現在で320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格も条件に若干の違いがあるだけだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも旧姓併記ができる。
金融機関も既存口座の旧姓名義による取引を認めており、一部認めていない場合もシステム改修が進めば対応可能になるという。
もっとも、こうした事実が広く周知されているとは言い難いのも事実だ。
■不便さは残るが
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。
ある大手企業の役員は
「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」
と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。
パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。
だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年2024年末、
「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」
と述べた。
「困っている人」
とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は
「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている」
「選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」
と指摘している。

公明、立ち位置に苦慮 政策実現も手柄は野党 来夏の都議選、参院選へアピール模索
2025/1/2 16:26
https://www.sankei.com/article/20250102-7MRII3PF6JOHXDIQCRV7IFLMXE/
公明党が自民党との連立政権で立ち位置に苦慮している。
石破茂政権が少数与党になったことで、法案成立に向け野党の国民民主党や日本維新の会に配慮せざるを得なくなり、
「政権の政策に党の主張を反映させる」
という存在意義が揺らいでいるためだ。
「年収103万円の壁」
の引き上げなどは公明も主張してきた政策だったが、自民から譲歩を引き出した野党側の成果として扱われ公明は埋没している。
公明の斉藤鉄夫代表は2025年1月2日、東京・池袋駅前で新春の街頭演説を行い、今夏2025年夏の参院選、東京都議選に向けて
「新しい公明の最初の戦いとして、何としても押し上げてほしい」
と支持を訴えた。
だが、世論や支持者へのアピールは、いまいち広がりを欠いている。
昨年2024年12月26日、斉藤氏は記者団にこう強調した。
「予算案の取りまとめに当たっては、野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきたという自負がある」
党の政策実現ではなく、合意形成への貢献をアピールせざるを得ないところに、今の立ち位置の難しさが伺える。
年収103万円の壁引き上げは自民、公明、国民民主の3党協議で実現し、これを看板政策とする国民民主の手柄とされた。
公明も以前から103万円を含む年収の壁解消を訴えており、令和7年度税制改正には高校生世代の扶養控除の維持など公明の主張も反映されたが、存在感は乏しい。
それでも斉藤氏は2025年1月2日の街頭演説で3党協議に言及し
「予算審議の途中に、色々な修正があり得るのかもしれない」
「協議に真摯に対応していきたい」
と国民民主への歩み寄りを示唆した。
石破政権は維新とも連携を図り、自公維3党による教育無償化の実務者協議を昨2024年末に始めた。
教育無償化もまた、公明が力を入れてきた政策だ。
公明幹部は
「公明だけでは引き出せず、野党と一緒なら引き出せると言われる」
「忸怩たる思いだ」
と漏らす。
先の衆院選で、公明は自民派閥のパーティー収入不記載事件の呷りを受けて議席を大幅に減らした。
2025年夏の参院選と都議選を睨んだ反転攻勢に向け、自民と同一視されることを避け、独自色を打ち出したい考えだ。
自民内で賛否が分かれる選択的夫婦別姓制度でも、党内議論を深めるよう強く自民に要求している。
とはいえ、自民との連立関係を崩すこともできない。
公明関係者は
「支持者からはいつまで自民とやっているんだという声もある」
「だが、もう4半世紀続いている」
「野党になったら何もできない」
とぼやいた。

年内にも現実味帯びる選択的夫婦別姓 立民、通常国会に法案提出へ 公明も賛同
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20250102-T64AG4MHX5I5HJD4BQLW36T3LA/
立憲民主党は今月召集の通常国会で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だ。
党内でも賛否がある自民が立民案に乗るとは考えにくいが、導入を求める公明が立民案に賛成すれば、連立与党内で対応が分かれる異例の事態となる。
自民に一定数いる推進派が賛成すれば衆院で可決され、家族の在り方を大きく変えうる制度の導入が2025年年内にも現実味を帯びている。
衆院選の公約では、選択的夫婦別姓には立民と公明の他、国民民主、共産両党やれいわ新選組なども賛成。
自民と日本維新の会は
「旧姓使用の拡大」
を主張しており、衆院法務委員会の構成を見れば、賛成派は過半数に届かない。
ただ、衆院選後に就任した維新の前原誠司共同代表は
「個人として賛成」
と表明。
公明の斉藤鉄夫代表も
「決断する時だ」
との考えで、石破茂首相(自民総裁)に与党協議を進めるよう直接要請している。
これに対して自民では旧姓使用の拡大を軸にした対案を出す可能性があるが、他党の賛成がなければ数の上で可決はおぼつかない。
何よりも自民内の推進派が造反する可能性がある。
自民では党の方針に反した場合は処分の対象になり得るが、党内の分裂を避けるため党議拘束をかけないとの見方もある。

選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:05
https://www.sankei.com/article/20250102-CV4VLTYCYRL4LHL3FHZJHRA3OA/
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。
先月2024年12月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。
令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では
「ノイジーマイノリティー」
が逆転しているようだ。
「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。
局面が変わったのは昨年2024年10月の衆院選だった。
与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。
衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。
しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を
「返上」
した代わりに
「敢えて法務委員長を取りにいった」(野田氏)
からだ。
賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。
■早く決めてほしい
自民内でも以前から議論はあった。
令和3年3月に推進派の
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)
が立ち上がると、翌月令和3年4月には慎重派が
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
を設立。
同年令和3年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。
別姓推進派の中堅議員は
「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう」
「残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。
慎重派のベテラン議員は
「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」
と明かす。
■修正を加える形で
慎重派の念頭にあるのは
「家族の一体感」
を大切にする本来の保守層の
「自民離れ」
が加速することだ。
ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。
立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば2025年3月の来年2025年度予算成立後の2025年4月以降となる見通しだ。
昨年2024年の臨時国会では、政治改革関連で与野党が9法案を提出。
国会審議や各党協議の末に3つの法案が成立した。
このうち政策活動費廃止の法案は野党案に自民が賛成した。
推進派若手は
「少数与党のうちに野党案に修正を加える形で決着をつけた方がいい」
「そうでないと、自民を分断しかねない爆弾をずっと抱えることになる」
と本音を漏らした。
仮に自民が党議拘束をかけず、立民案が衆院で可決された後は参院に舞台が移る。
参院は現在も自公で過半数を占めるが、衆院の段階で立民案に公明が賛成していることを前提とすれば、自民は日本維新の会などを巻き込まない限り
「少数派」
に転落し、立民案が成立する可能性がある。

新聞各紙、元日1面トップは中国の拡張、能登の思い、民主主義企画…産経は夫婦別姓と子供
2025/1/1 19:29
https://www.sankei.com/article/20250101-FILLPV42SBDGLNW3Y2ENVFSW44/
元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。
令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
■夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年〜中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が
「家族で名前が変わるのは反対」
と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が49・4%で
「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
■中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
■デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて
「デモクラシーズ これまで これから」
と題した連載企画の掲載を始めた。
最新のデジタル技術を生かして民主主義を
「アップデート」
させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
■強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、
「逆転の世界 備えよ日本」
と題した。
多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。
局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
■つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。
延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる
「関係人口」
の拡大について考察した。
■招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。
地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。
式の中身はまだ決まっていない。
ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250101-QGCTY3PY4JEHLHHXAFDFEVX2LQ/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが、産経新聞社の調査で分かった。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割にのぼった。
立憲民主党が夫婦別姓の民法改正案の国会提出に意欲を示しており、石破茂首相も昨年2024年末
「議論の頻度を高める」
と述べた。
自公与党も前向きな議員が多いことから、次期通常国会での法案成立が現実味を帯びている。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題に配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
年齢層の低い小学生は対象数を絞った。
小中学生共に学校を通じた場合は、教員が調査の趣旨を説明した上で、立ち会う形式を取った。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「全く知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よく分からない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49・4%、
「賛成」16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18・8%、
「よく分からない」15・4%
で反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%だった。
小学生だけに絞ると、
別姓に「反対」は46・2%、
自身が「別姓にしない」は55・8%
で全体よりやや低かったが、各質問共に
「分からない」を選ぶ傾向が強かった。
男女別で大きな違いはなかったが、
自身が「別姓にしない」
は男子(56・7%)より女子(63・4%)のほうが上回った。
別姓の是非で
「親が決めたのなら仕方がない」
と消極的な賛成を選んだ女子(22・6%)も男子(15%)より多かった。
学校や学年別、民間調査会社による調査でも、結果の割合に大きな差はなかった。

選択的夫婦別姓、法律に「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-L3VK2UL4H5EMJPW6X5DVUGNXJQ/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査の質問項目と詳しい結果、調査の方法は以下の通り。
質問項目と回答
選択的夫婦別姓調査 質問項目と回答
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)について、みなさんの意見を聞かせてください。答えたくない人は、答えなくてかまいません。
【質問】
1.いま、社会で問題となっていることに「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)」があります。
日本では結婚(けっこん)するときに
「男性(お父さん)か女性(お母さん)のどちらかの名字と同じにしなければならない」
ことが法律(ほうりつ、国のルール)で決まっています。
この法律を
「それぞれ別々の名字のままでも結婚できる」
ように変えようというものです。
こうしたことについて、知っていましたか。
回答者1971人 男子 女子 全体(%)
○よく知っていた 16 17.9 16
○少し知っていた 34.3 43.3 37.1
○まったく知らなかった 28.7 23.9 26.2
○ほとんど知らなかった 21 15 20.7
2.いまは結婚してからも、結婚するまえの名字を会社で使ったり、手続きをすれば、免許証(めんきょしょう)やパスポートに結婚する前の名字をならべて書けるようになったり、これまでできなかったことができるようになっています。
それでも、あなたは
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ように法律を変えたほうがよいと思いますか。
回答者1966人 男子 女子 全体(%)
○変えたほうがよい 32.9 37.4 34.9
○変えないほうがよい 31.6 30.7 30
○よくわからない 35.6 31.9 35.1
3.もし、法律で
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ことが決まり、お父さんとお母さんが別の名字になったら、子供もお父さんかお母さんのどちらかとはちがう名字になったり、兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかでちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子 全体(%)
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9 16.4
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15 22.6 18.8
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51 49.2 49.4
○よくわからない 18 11.4 15.4
4.みなさんが結婚するころには
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
と法律が変わっているかもしれません。
そのとき、あなたはどうしますか。
回答者1955人 男子 女子 全体(%)
○自分の名字を大切にしたいので別々の名字にしたい 14.3 11.8 13.6
○家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない 56.7 63.4 59.9
○よくわからない 29 24.9 26.5
5.この問題についてあなたの思ったことを自由に書いてください
■調査の方法
協力を得た首都圏、関西圏の中学校6校約1600人(中1〜中3)、首都圏の小学校1校の53人(6年生)にホームルームや社会科の時間などを使って教員立会いの元で無記名で行った。
回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けに説明文を用意したが、使用については各学校に任せた。
答えたくない場合は設問によっても答えなくてよいことを徹底したため、回答数にはばらつきがでた。
中学生では男女を回答していない生徒も若干名いた。
休みや早退の生徒数が把握できていない学校もあり回答率は一概に出せないが、中学生は約93%、小学生は84%。
民間調査会社の調査は、会員登録している全国の小学4年〜中学3年を対象に、説明文を含め同内容のアンケートで実施、自ら回答した小学生が100人、中学生が300人を超えた時点で終了し、学校分に加えた。
最終的な回答数は合計で1954人〜1971人。
男女比は男子48%、女子52%。
調査はいずれも昨年2024年11月下旬から12月中旬に実施した。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 教員向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-JDZ6FZ2FUVFDLGGPQDWRNLBKIM/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
教員向けの説明文は以下の通り。
教員向けの説明文
選択的夫婦別姓は年明けの国会で議論され、可決される可能性も高くなっています。
現状、夫婦別姓を望む人には、職場などでの旧姓使用やクレジットカードなどの名義変更などが煩わしいという理由と、自身のアイデンティティのためという2つの理由があります。
ただし前者についてはほぼ解決済みであり、旧姓使用を認めない職場もほとんどありません。
後者については
「心の問題」
です。
「選択制なので選びたい人だけだからいいのでは」
「自分の意思だからいいのでは」
という意見もありますが、婚姻制度の自由度が高まることで、逆に家族、親族内の争いの種になりかねないという見方もあります。
また、生まれてくる子供にとって選択肢はなく、
「強制的親子別姓」
「強制的きょうだい別姓」
になりかねません。
今、マスコミではここの議論をあまりしていません。
世論調査などは
「選択的夫婦別姓」
か、
「現状の夫婦同姓」
か、の2択しかなく、
「旧姓使用の拡大」
は選択肢に加えられていません。
影響を受ける人の中には子供も含まれるにもかかわらず、その意見も全く取り上げられていないのが現状です。
本来であれば、文科省や法務省など国の機関が綿密に子供向けアンケートなどをすべき内容ですが、そうした国の動きを後押しする意味でも、今回産経新聞社として子供たちの声を聞いてみようと考えました。
ただし、このようなアンケートは各家庭のご事情もあり、ハードルが高いことは承知しております。
また、産経新聞社の考え方に偏らないよう、質問内容は客観性を保つように致しました。
ご検討何卒よろしくお願いします。
○アンケートについて
・答えたくない子供は答えなくて構いません。
・学校名は匿名希望の場合は匿名で構いません。
・対象は小4以上の小学生と中学生とします。
・できればクラス単位、学年単位がよいですが、無理な場合は個別でも構いません。
・自由記述の欄に書ける子供はぜひ書いていただければと思います。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 子供向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-HE4Y72OPLZF2JPXUIFFXDB7J7Y/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
子供向けの説明文は以下の通り。
子供向けの説明文
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)についての質問
みなさんに、いくつか質問をしたいと思います。答えたくない人は、答えなくてもよいです。
さいきん、よくテレビのニュースなどで、選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)ということばを聞きます。
これは結婚(けっこん)するときに男の人と女の人の名字(上の名前)を別々にしたい人はしてもよい法律(ほうりつ、国のルール)にしようという意味です。
もし、結婚したあとに子供が生まれて、お父さんとお母さんの名字が別々だったら、子供の名字はどちらかに合わせなければなりません。
生まれてきた子供はお父さんかお母さんの名字とちがったり、お兄さん、お姉さん、弟、妹とも名字がちがったりすることが出てきます。
たとえば、お父さんは田中さん、お母さんは佐藤さん、最初の子供は佐藤さんで、弟は田中さんになるかもしれません。
どうして、こうしたことが問題になっているかというと、はたらく女性がふえたことに関係があります。
これまで結婚する相手の名字に合わせるのは女性のほうが多く、結婚して名字が変わると会社などで呼び名が変わったり、免許証(めんきょしょう)やパスポートなどの名字を変えなければならなくなるなど、大変なことがありました。
しかし、いまでは会社で結婚する前の名字を使ったり、免許証なども結婚前の名字をならべて書けるようになったりしています。
ただ、免許証やパスポートに結婚前の名字を載せるには、役所の書類を出さなければならないなどの手続きが必要です。
それでも、結婚したからといって、ずっと使ってきた名字を相手の名字に変えるのは、納得(なっとく)できない、いやだ、という人もいます。
名字を一緒(いっしょ)にしたい人はすればいいし、一緒にしたくない人はしなければいいという考える人もいます。
質問は、このことについてみなさんの考えること、思うことを聞くものです。
くりかえしますが、答えたくない人は答える必要はありません。

ファミリーネーム喪失、選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」 政府は子供の意見を聞け
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:30
選択的夫婦別姓の法制化を望む人たちに
「国民の70%が賛成」
声があるが、その根拠は2択のアンケートだ。
朝日新聞もNHKも
「法を改正して夫婦が希望すれば別々の名字でもよいか」
を賛成、反対で問い、その結果を
「選択的別姓『賛成』7割」
などと伝えている。
現在、企業や公的機関などで進んでいる
「旧姓使用の拡大」
を法的に整備するという選択肢は最初からないのだ。
産経・FNN合同世論調査も以前は2択で賛成66・6%、反対25・5%だったが、昨年2024年9月に3択目を加えたところ、賛成38・9%、反対12%、旧姓使用拡大46・5%と大きく変わった。
令和3年12月の内閣府の世論調査でも
「同姓維持」27%、
「別姓導入」28・9%、
「旧姓使用拡大」42・2%、
が出ているが、こうした結果はほとんど生かされていない。
「選択的」
だからよいという意見もあるが、選択できるのは誰か。
生まれてくる子供にとっては親の意向で強制的に
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
ファミリーネームが喪失するという事態を
「選択者」
である親は一体どこまで想定しているのか。
今回、小中学生に行ったアンケートではどちらかの親や、きょうだいと別の名字になることについて半数が反対と答えた。
これが多いか、少ないか判断は分かれるだろう。
夫婦別姓
「賛成派」
からすれば、
「未熟な子供に聞く」
という調査自体に不快感を持った人もいるかもしれない。
ただ、法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである。
仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えるならば、ぜひ他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい。
文科省も、子ども家庭庁も出番ではないか。

「家族感が減る」「同姓は時代遅れ」小中生、正面から回答 選択的夫婦別姓2000人調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250101-F35HRVOR7FHZRH24ROBSXF5VBU/
「家族内で違う名字だと家族感が減りそう」
「強制的に同じにさせるのは時代遅れ」―。
産経新聞が小中学生を対象に行った選択的夫婦別姓の導入を巡るアンケート。
自由記述欄を見ると、賛否を超えて子供たちが正面から問いかけに向き合ったことが分かる。
立ち会った教員は
「想像していたより真剣に取り組む姿が印象的だった」
と話す。
■きょうだいなのに
自由記述で目立ったのは、選択的夫婦別姓制度で、結果的に家族の姓がばらばらになりかねないことを心配する声だった。
大阪府の中学男子は
「名字を別々にするような人なら、子供の名字をどうするかでけんかになるかもしれない。名字が違うと他人感がある」。
千葉県の小学男子は
「家族で名字が変わってしまうと、まるで別人みたいで家族感が減りそう」
と書いた。
夫婦が別姓を選ぶことには賛成しつつ、
「子供が生まれた家庭で兄弟姉妹の姓がバラバラなのは違和感を抱く」
と記した京都府の中学女子も。
大阪府の中学女子は
「選択できた方がよいが、兄弟が違う名字というのはよいものではない」
とした。
■万一離婚したときに
夫婦別姓に賛成する声も少なくなかった。
東京都の中学女子は
「名字が変わることで、もう一度覚え直してもらう必要があったり、万一離婚した際に、職場や学校の人に名字が変わったことを伝えなければならず、精神的な負担も小さくない」
と説明。
茨城県の中学男子は
「名字を強制的に同じにさせるのは、少し時代遅れだとも感じている」
と書いた。
アンケートは各家庭の個別の事情に踏み込んでしまう恐れもあったが、
「私の両親は夫婦別姓。私はハーフなので賛成します」(中2女子)、
「現状のままでは離婚後に名字が変わると、『あ、この人離婚したんだ』」と好奇の目で見られてしまう。自分もそうだったので、そのようなことは避けたいから、夫婦別姓には賛成」(中3男子)
という意見もあった。
千葉県の中学女子は
「海外でも夫婦別姓の国や自分と相手の名字を続けて登録できる国があり、日本もこだわる必要はない。事実婚は相続などで不利になるので、平等になるようにしてほしい」
と、より深い考えを述べた。
「日本の伝統なので絶対に法律を変えない方がよいと思う。いまこの問題よりも台湾有事に向けて動いた方がよい」(中3男子)
という意見もあった。
■自然発生的に議論も
大阪府の私立中の教員は、アンケートに取り組む生徒の様子について、
「最初は静かに取り組んでいたが、しばらくすると自然発生的に生徒同士で意見を交わす姿もみられた」
と話す。
議論になるうち
「『兄弟で姓が変わるというのはいやだね』とか、『そもそも結婚ってどういうことなのだろう』などの声も聞かれた」
という。
千葉県の中学女子は
「個人の考えもあると思うため、別々の名字でもよいと最初は思いましたが、家族の中で名字が分かれてしまうと、同じ家族であることの証明が難しくなるなど欠点もあると思ったので、最終的には法律を変える必要はないと思いました」
と考えの変遷を記した。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/619.html#c50
[政治・選挙・NHK296] 米国にノーと言えるフランスの記者から見た日米首脳会談 西村カリン ニッポン見聞考(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
7. 秘密のアッコちゃん[1337] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月14日 14:08:36 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[775]
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仏のフリゲート艦と補給艦が沖縄寄港「自由な海守る」 3カ国連携強化、中国牽制を意識
2025/2/14 5:48
https://www.sankei.com/article/20250214-UBXEP5GZRVJ6DKWIPCNKNXKQB4/
フランス海軍のフリゲート艦と補給艦が2025年2月13日、沖縄県うるま市の米軍ホワイトビーチに寄港し、内部が報道関係者に公開された。
海上自衛隊と米仏海軍はフィリピン海で共同訓練
「パシフィック・ステラー」
を実施。
日本からは事実上の空母化に向け改修が進む海自の護衛艦「かが」などが参加している。
3カ国の相互運用性を高めるのが狙いだが、軍事的プレゼンスを示すことは覇権的な海洋進出を強める中国への牽制にも繋がる。
■全長194メートル、同時に2隻に補給
寄港した補給艦は「ジャック・シュバリエ」。
洋上で燃料や弾薬などを補給する新鋭で、全長194メートル。
艦内は10の階層に分かれている。
大型エレベーターで最上階の艦橋に移動すると、大開口の窓からは、水平線を見渡せる。
甲板には、仏海軍の全ヘリコプターが発着できるヘリパッドを備え、同時に2隻に補給できる性能を有する。
仏海軍によると、今回の共同訓練では2025年2月10日、フィリピン海で「ジャック・シュバリエ」から海自の「かが」に燃料の補給を行ったという。
艦長のクリストフ・ゴーメ大佐は
「太平洋地域は港から遠く、補給の難しい地域だ」
と指摘。
原子力空母「シャルル・ドゴール」を中心に編成された空母打撃群は太平洋まで展開しており、任務は
「安全航行を確保し、国益を守る目的がある」
と説明する。
■「海洋地域の優位性を保つ」
作戦上の理由から仏海軍は艦名を公表していないものの、ホワイトビーチに同時に寄港したフリゲート艦も報道関係者に公開された。
対空ミサイルの垂直発射装置や76ミリ機関砲などを装備。船尾のヘリパッドには吊
り下げ式ソナーで海中の潜水艦を察知できるという対潜ヘリも搭載している。「空母打撃群の防衛の要」(仏海軍)だ。
中国は東・南シナ海で海洋進出を強め、日本の尖閣諸島周辺でも海警局の船の航行を常態化させるなどしている。
同艦長のジェオーム・アンリ大佐は
「インド太平洋地域の自由な航行を目的に演習している」
と語り、
「海洋地域の優位性を保ち、運用能力を保持するため展開している」
と強調した。

仏フリゲート艦が京都・舞鶴に寄港 北朝鮮の「瀬取り」を監視
2024/11/5 19:27
https://www.sankei.com/article/20241105-V7XMRMYXXNP27I32W7B4A4QKYY/
フランス海軍のフリゲート艦プレリアルが2024年11月5日、京都府舞鶴市に寄港し、地元自治体関係者らを艦上に招いた視察イベントが開かれた。
プレリアルは、海上で積み荷を移し替える
「瀬取り」
など北朝鮮による違法な海上活動を監視する多国間取り組みに加わっている。
イベントでは、母親が日本人というアレクシ・ゴルニッシュ艦長が
「個人的に日本と繋がりがあるので、(寄港は)うれしく思う」
と挨拶した。
仏海軍によると、プレリアルの舞鶴寄港は平成12年以来という。
視察に先立ち艦長と懇談した鴨田秋津市長は
「舞鶴は港を活用した国際交流拠点として発展を続けている」
「この機会に文化や風情の一端に触れていただければ」
と話した。
その後、鴨田市長や自衛隊幹部らは艦内を見学。
日仏で交流を重ねてきたフェンシングの試合も披露された。

仏フリゲート艦が台湾海峡を航行  中国を牽制
2024/10/29 21:16
https://www.sankei.com/article/20241029-QDH3XMVG4BPPRPD66SGP7DXKDQ/
台湾国防部(国防省)は2024年10月29日、フランスの軍艦が2024年10月28日夜から2024年10月29日午前にかけ台湾海峡を南から北へ向けて航行したと発表した。
台湾軍が全過程を把握したとしている。
仏軍艦の航行には、台湾海峡への主権を主張し
「内海化」
を図る中国を牽制する狙いがあるとみられる。
台湾のインターネットメディアによると、航行したのはフランス海軍のフリゲート艦「プレリアル」。
台湾海峡の暗黙の
「休戦ライン」
である中間線よりも中国側を航行したという。
米国などは、台湾海峡は国際水域との立場を取っている。
中国の主張に対抗する目的で、米国とカナダの海軍艦も今月2024年10月20日に台湾海峡を航行した。(共同)

護衛艦「かが」など日米仏の「空母」そろい踏み フィリピンでの共同訓練、海自が写真公開
2025/2/13 16:50
https://www.sankei.com/article/20250213-2CKHQA2GDRLVBGPJIFBVIBAVHI/
海上自衛隊は2025年2月13日、海自、米海軍、フランス海軍の「空母」が参加する初の共同訓練「パシフィック・ステラー」の写真を公開した。
海自は事実上の空母として運用する護衛艦「かが」、米海軍は原子力空母「カール・ビンソン」、フランス海軍は原子力空母「シャルル・ドゴール」をそれぞれ派遣した。
訓練は2025年2月10〜18日の日程で、中国の挑発的な活動が続くフィリピンの東方で行われている。
米国第一主義を掲げるトランプ政権でも、米国が多国間連携を続ける姿勢を確認した形だ。
中谷元・防衛相は2025年2月7日の記者会見で
「自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、各国との連携を深化させる」
と述べた。

中国、豪軍機にまた照明弾 南シナ海上空、国防相「危険で、軍としてふさわしくない行動」
2025/2/13 18:22
https://www.sankei.com/article/20250213-6AHEMGNV5NMB7MDCJ3FARBRV6E/
オーストラリア国防省は2025年2月13日、南シナ海をパトロール中の空軍の哨戒機P8Aポセイドンの近くに、中国軍の戦闘機、殲16が照明弾を投下する危険行為があったと発表した。
昨年2024年5月にも中国軍機がオーストラリア海軍ヘリコプターに照明弾を落とす事案があったばかり。
マールズ国防相は
「危険で、軍として相応しくない行動だ」
と批判し、中国側に懸念を伝えたことを明らかにした。
今月2025年2月11日、P8Aが通常の監視活動をしていたところ、殲16がP8Aの機体の上部や前方の30メートル以内に照明弾を投下したという。
怪我人や機体の損傷はなかった。
国防省は2025年2月13日の別の発表で、オーストラリア北東部沖で中国軍のフリゲート艦など軍艦計3隻が航行しているのを確認したことを明らかにし、写真も公表した。監視を続けるとしている。(共同)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/626.html#c7

[戦争b25] トランプ政権もバイデン政権と同様、正確な状況判断ができず、苦境に陥る可能性(櫻井ジャーナル) 赤かぶ
30. 秘密のアッコちゃん[1338] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月14日 14:30:38 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[776]
<■299行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
停戦条件「100%以上の安全の保障」が必要、日本の支援継続望む 駐日ウクライナ大使
2025/2/13 16:22
https://www.sankei.com/article/20250213-HTW4MCBH2NMEZDFNGVXXBFKASI/
ロシアの侵略を受けるウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使が東京都内で産経新聞とのインタビューに応じ、停戦条件について
「二度とロシアから侵略されないため、確実な安全の保障が必要だ」
と強調した。
詳細は以下の通り。

ーーウクライナ戦争の現状を変え得るトランプ米政権が始動した
プーチン(露大統領)は、米国が露経済を崩壊させる能力を持っていることを十分認識している。
トランプ氏が就任演説で述べた言葉
『我々は(化石燃料を)掘って、掘って、掘りまくる』
との言葉は、プーチンにとって死刑をも意味する。
米国が大量に採掘した石油を市場に出せば、露経済は瓦礫と化す。

ーートランプ氏は、プーチン氏が「ばかげた戦争」をやめなければ高関税を課すと迫った
トランプ政権1期目の時もそうだったが、政治的な目標を達成するためにまず経済的な手段を優先的に使うということだろう。

■プーチン氏は妥協しない
ーープーチン氏はトランプ氏と対話を進める方針だ
トランプ氏はプーチンが普通じゃないとすぐ分かるはずだ。
トランプ氏は4年前、プーチンとコミュニケーションを取れただろうが、今は違う人物だ。
1つ例を挙げよう。
ゼレンスキー大統領は、2019年のウクライナ大統領選に出馬した際、
『プーチンと会い、2014年からの戦争(ロシアによる南部クリミア半島併合)を終結させる』
というスローガンを掲げた。
当選後、プーチンと実際に会って分かったことは、プーチンが交渉や妥協を一切しない人間だということだ。

ーーゼレンスキー氏は昨年2024年、トランプ氏と直接会談した
ウクライナ側の停戦条件は、2度とロシアから侵略されないよう、100%ではなく200%の安全の保障を得るということだ。
理想は北大西洋条約機構(NATO)加盟だ。
しかし、
▽停戦
▽安全保障の確保
▽被占領地域の長期的な解決
からなる総括的な形で話し合う用意はある。

■「私たちは諦めない」
ーーロシアはウクライナ側の疲弊や、西側諸国の支援疲れを待っているようにみえる
プーチンは全面戦争の3年間、危険の度合いを上げてきた。
彼はロシア兵が何人殺されようが全く、平気だ。
しかし私たちは諦めない。
西側諸国も彼の期待とは逆に、対決姿勢を強めている。
英国は2025年1月、ウクライナとの新安保協定に署名した。
フィンランド、イスラエル、ドイツからも新しい軍事支援の話が来ている。

ーー日本の石破茂政権に何を期待する
「これまでに外相、防衛相、経済産業相、国土交通相、農林水産相、法相、会レベルでも多くの政治家と会ってきた。
彼らはウクライナ支持を明言している。
今後も日本政府が支援を継続してくれることを望む。

頼れるのは自力と同盟だけ ウクライナ侵略戦争3年の教訓 巻き返すゼレンスキー政権
緯度経度 遠藤良介
2025/2/14 9:00
https://www.sankei.com/article/20250214-A5IQ6PCOC5MELDNG6ZT7GUNPGI/
今月2025年2月24日で丸3年を迎えるウクライナ侵略戦争の教訓は何か。
口にするのが憚られるようなことを敢えて記せば、頼れるのは自らの国力・武力と軍事同盟だけだということではないか。
ウクライナには3年前、ロシアの侵略を抑止し、撃退するだけの武力も同盟もなかった。
米欧日が懸命にウクライナを支え、ウクライナも世界を驚かせる抗戦を見せてきたが、十分な結果は出せていない。
ウクライナは国土の約2割をロシアに占領され、ゼレンスキー大統領によれば、ウクライナ軍の死者は約4万5100人、負傷者は約39万人に上る。
ロシアが拒否権を持つ国連の安全保障理事会は、侵略を止める術を何ら持たない。
そうした中で
「米国第一」
を掲げるトランプ氏が米大統領に就任した。
口にするのが憚られることをまた記せば、ウクライナが見捨てられるとの悪い予感が少なからぬ人にあろう。
トランプ氏はバイデン前政権によるウクライナ支援の在り方を批判し、
「戦争を24時間以内に終わらせる」
と豪語していた。
プーチン露大統領とディール(取引)を結び、ロシアに有利な停戦を急ぐとの観測が出たのは無理もない。
しかし、ここにきて事はそう単純でないとトランプ氏自身が認識した。
停戦には24時間でなく
「半年くらいほしい」
と発言を後退させた。
今月2025年2月3日には、支援の見返りとして、ウクライナが希少地下資源を供給するよう望むと語った。
地下資源に関する発言は唐突に出てきたものではない。
ゼレンスキー政権が昨年2024年秋、米欧に提示した5項目の文書
「勝利計画」
に含まれていたことであり、ウクライナによる必死の訴えをトランプ政権が聞き始めたということなのだ。
「勝利計画」
はウクライナの戦争出口戦略と言えるものだ。
北大西洋条約機構(NATO)加盟交渉への招待や軍事支援継続といった要請事項が柱なのだが、注目されるのは支援の見返りを記した第4〜5項だ。
第4項には
「ウクライナの戦略地下資源を共同開発・利用」、
第5項には
「欧州各国に駐留する米軍の一部をウクライナ軍が代替」
との提案が入っている。
ロシアを自力で撃退できず、同盟も持たないウクライナは今、
「自らは欧米にとって替えのきかない存在だ」(外交筋)
ということを強くアピールしているのだ。
ウクライナには航空機製造や防衛産業に欠かせないチタン、スマートフォンや電気自動車(EV)のバッテリー製造に使われるリチウムといった希少金属(レアメタル)が豊富にあり、特にリチウムは欧州屈指の埋蔵量とされる。
レアメタルなど重要鉱物の分野では中国が高いシェアを握り、中国が輸出規制をかければ影響は世界に及ぶ。
民主主義諸国がウクライナの鉱物開発に参入すればサプライチェーン(供給網)を強靱にできるというのがウクライナの提案だ。
第5項はやや突飛にも聞こえるが、ウクライナ外交筋は
「露軍との戦いを熟知し、米欧製兵器の扱いにも慣れている80万人の部隊がウクライナにはある」
「ウクライナは是非ともNATOに必要だ」
と話す。
これも、欧州への米軍関与を減らしたいトランプ政権には響くかもしれない。
ウクライナはこれまでも、露黒海艦隊をドローンとミサイルだけで主要海域から撃退し、穀物輸出を回復させるなど数々の暗い予測を覆してきた。
国と民族の存続をかけた彼らの戦いは決して終わっていない。
(外信部長兼論説委員)

トランプ停戦案は実現困難 ロシアがウクライナ完全征服ならジェノサイドが起きる
国際政治学者 グレンコ・アンドリー
2025/1/27 8:00
https://www.sankei.com/article/20250127-U6M56ZTV7ZM45KQJ6ATXGZHWYQ/
トランプ米政権はロシアによるウクライナ侵略戦争の早期終結を目指し、双方に交渉するよう促すとみられている。
これまでに出てきた情報をまとめると、トランプ政権の停戦案は、
▽現状の占領ラインで戦争を凍結する
▽ロシアに譲歩し、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を認めない▽ロシアの再侵攻を防ぐためにウクライナへの武器支援を続ける
との内容だ。
筆者はこの停戦案を、屈辱的で理不尽、国際法に反していると考える。
ただ、ウクライナにとって最も重要なのは、仮に一部領土でロシアの実効支配を当分容認しても、国の主権と独立が維持されることだ。
トランプ氏から圧力を掛けられた場合、ウクライナはこの停戦案を呑まざるを得まい。
他方、ロシアの目的はウクライナの完全支配である。
現状のトランプ氏の停戦案では、ウクライナの独立が維持され、ロシアが再侵攻して征服することは難しくなる。
従い、ロシアはトランプ案をまず受け入れないだろう。
ロシアは、次こそ確実にウクライナを征服できる形での停戦を要求する。
具体的には、ウクライナの大幅な軍縮や、西側からの武器支援停止といったことだ。
トランプ氏は、軍事支援の増減という形でウクライナには圧力をかけられるものの、ロシアに圧力をかける手段はさほど持っていない。
そこで、トランプ氏はロシアの要求をウクライナにのませようとする可能性があるが、ウクライナはそれを受け入れられない。
西側から安全保障を得られず、武器支援も止まれば、ロシアの再侵攻と国家壊滅は時間の問題だからだ。
トランプ氏がロシアに激怒し、ウクライナへの武器支援を継続するというのが良いシナリオだ。
その逆に、停戦実現という手柄を得られないと判断し、トランプ氏がこの問題への関心を失うというシナリオはもっと可能性が高い。
もしトランプ氏が交渉不調の責任をウクライナに負わせ、武器支援を停止するようなことになれば、ウクライナは欧州や日本の支援で踏ん張るしかなくなる。
ウクライナを支援すべき理由は多くあるが、その1つは人道問題だ。
プーチン氏はロシア人とウクライナ人を
「同じ民族」
だと考えているため、仮にウクライナを完全支配すれば、ウクライナ民族を消し去る政策をとる。
抵抗する者は殺害、投獄、追放されるし、そうでない者は意識をロシア人に改造される。
これは特定の民族を抹殺するジェノサイドである。
ウクライナはそうしたことが起きないようトランプ政権に懸命の訴えをしている。
日欧にも、共に米国に働きかけ、ウクライナ支援を継続・拡大することをお願いしたい。

グレンコ・アンドリー 1987年、ウクライナ生まれ。
キーウ国立大卒。
京大院指導認定退学。

ゼレンスキー氏、条件付きで北朝鮮兵の返還可能性を表明 ウクライナに残留希望の捕虜も
2025/1/13 7:06
https://www.sankei.com/article/20250113-LIKFBQ2PHBJWTIHDITZCVDQLK4/
ウクライナのゼレンスキー大統領は2025年1月12日、ウクライナ侵略にロシア軍側で参戦し、ウクライナ軍の捕虜となった北朝鮮兵について、北朝鮮に身柄を返還する用意があるとSNS(交流サイト)で表明した。
条件として、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記がロシアに働きかけ、北朝鮮兵とウクライナ兵の捕虜交換を組織することを提示した。
ゼレンスキー氏は捕虜を活用して北朝鮮に圧力をかけた形。
また、捕虜とした北朝鮮兵2人に関し、1人は北朝鮮への帰還を望み、もう1人はウクライナに残ることを望んでいるとし、
「帰還を望まない北朝鮮兵は、朝鮮語でこの戦争の真実を広めて平和を近づける願望を示すのであれば、そうした(ウクライナ残留という)可能性を与えられる」
とも説明した。
前線の戦況を巡り、露国防省は2025年1月12日、ウクライナ東部ドネツク州の集落ヤンタルノエとハリコフ州の集落カリノボを制圧したと主張した。
ウクライナメディアによると、露軍は現在、ドネツク州の要衝ポクロフスクの包囲を目指し、攻勢を続けている。

「戦闘でなく訓練のつもりだった」 ウクライナが確保の北捕虜 露軍との連携訓練は1週間
2025/1/12 16:18
https://www.sankei.com/article/20250112-Z5JOPDHINFJCLGRJSDTMPO24CY/
ウクライナ軍がロシア西部クルスク州での戦闘で北朝鮮兵2人を捕虜とし、うち1人が
「ウクライナ軍との戦闘ではなく訓練に行くつもりだった」
と供述していることが明らかになった。
ウクライナ保安局(SBU)が2025年1月11日、捕虜2人だとする映像を公開して発表した。
北朝鮮兵らは、ウクライナ軍との戦闘に従事するとは聞かされずに前線に投入されている可能性が出てきた。
公開された映像には、2段ベッドの下段に横たわる兵士がストローで飲み物を供され、頭部からあごにかけて包帯を付けた別の兵士が筆談するもようが映されている。
SBUによると、捕虜の1人は2005年生まれの狙撃兵で2021年に入隊。
南シベリア・トゥワ共和国の住民だとする偽名の身分証を持っていた。
「訓練に行くつもりだった」
と述べた他、露軍との連携訓練を1週間しかせずに投入されている部隊もあると供述した。
もう1人は1999年生まれで2016年から偵察狙撃兵。
顎を負傷しており、同僚兵士の供述内容を筆談で事実だと確認した。
2人はウクライナ語、ロシア語、英語を話さず、韓国情報機関の協力を得て朝鮮語で聴取を行っているという。
北朝鮮は昨年10月、ウクライナ侵略を続けるロシアを支援するため推定約1万2千人を派兵。12月には、ウクライナ軍が越境作戦を続ける露クルスク州の戦闘に北朝鮮兵が大規模投入されていることが確認された。ウクライナのゼレンスキー大統領は今月、北朝鮮兵の死傷者が4千人に上ると語っていた。
露軍が2022年2月、ウクライナに全面侵攻してから間もない時期にも、捕虜となった露軍兵士らがしばしば「戦闘ではなく演習だと聞いていた」との趣旨をウクライナ当局に供述していた。

<主張>戦時経済のロシア 偽の成長にだまされるな
社説
2025/1/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20250109-P2PFHZGT4NMJZHZ4U5DRG4EB2Q/
ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領が昨年2024年末の記者会見で、2024年の国内総生産(GDP)は前年比4%増になりそうだと述べて経済運営に自信を見せた。
プーチン氏は、国民の実質賃金は年9%の伸びで、失業率は2・3%の歴史的低水準にあるとも語った。
購買力平価でみたロシアの経済規模は日本を抜いて世界4位だとも豪語した。
騙されてはいけない。
露経済は軍需生産に引っ張られて数字上は伸びているが、民業が圧迫され、成長の持続可能性は失われつつある。
戦時経済とはそのようなものだ。
米欧日の対露制裁は効いている。
制裁強化を続け、プーチン政権を追い詰めねばならない。
露中銀はインフレを抑えようと大幅な利上げを続け、昨年2024年10月には政策金利を21%に引き上げた。
高金利が企業活動の支障になっていると産業界から強い不満が上がっている。
昨年2024年のインフレ率は9%超だったとみられ、一般庶民の懐を直撃している。
露通貨ルーブルは2024年11月に対ドルで15%下落し、侵略後最安値の水準にある。
経済の弱体化を招く大きな要因は、侵略戦争による労働力の不足である。
元々人口動態の面で若年労働力が足りていなかったが、侵略戦争で75万人とされる死傷者が出ている。
戦争を忌避して国外に脱出したロシア人も、高学歴の若年層を中心に65万人と推計されている。
露軍事費は過去最多を更新し続け、今年2025年の予算では歳出の3分の1を占める。
労働力は軍需産業に取られ、他分野は賃金上昇と人手不足に悩む。
公共交通機関の運行に支障が出ている地方もある。
軍需投資の大半は兵器や砲弾として戦場で消える。
表面的な好況を演出できる戦時経済は独裁者に好都合だろうが、侵略を続ける限り、真っ当な発展の展望がないことは明白だ。
ロシアは石油・天然ガスを高値で売れず、軍需物資の調達に苦労している。
ただ、抜け穴が多く、それを塞ぐ努力が不可欠だ。
ロシアが石油輸出に使っている闇タンカーや、露軍需産業と関わりを持つ第三国企業にも制裁の網を広げることが急務だ。
トランプ次期米大統領が唱える石油増産は国際価格を押し下げ、露の石油収入を減らす手段として有効であろう。

死傷者3000人超 自国民を外貨稼ぎの消耗品に 冷酷な北朝鮮の派兵ビジネス
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/26 1:00
https://www.sankei.com/article/20241226-GZK2FRX5GNI4XFU4DRQKAPTOWA/?889486
遠い異国のロシア西部クルスク州に派兵され、ウクライナ軍と戦っている北朝鮮の兵士たちは今、何を考え、どんな心境にあるのだろうか。
北朝鮮は自国民を外貨を稼ぐための単なる替えが利く消耗品として扱い、ロシアは北朝鮮兵らを弾除けや囮として利用する。
人命を尊重しない独裁専制国家の恐ろしさに、改めて恐怖を覚える。
ウクライナのゼレンスキー大統領は2024年12月23日、同国軍の越境攻撃下にあるクルスク州にロシアが投入した北朝鮮兵の死傷者数について
「暫定データによると、3000人を超えている」
と交流サイト(SNS)に投稿した。
この件について、西岡力・麗澤大特任教授が2024年12月24日、インターネット番組「文化人放送局」で独自入手した最新情報を披露していたので、ここで紹介したい。
それによると、北朝鮮兵士らの死傷者数は、ゼレンスキー氏が述べた3000人超どころか、2024年12月上旬までに5000人近くに及んでいるという。
また、死傷者が出る度にそれを埋める追加派兵が行われており、北朝鮮は全体で10万人程度を送る準備をしているという。
なぜ北朝鮮は自国兵士の大きな犠牲を払ってまで、ロシアの戦争に協力するのか。
それはずばりカネになるからである。
ロシアは月給として派兵された兵士に1500ドル、下士官と下級将校に2000ドル、上級将校に4000ドルを払っているとされる。
1ドル=157円で計算すると兵士1人の月給は23万5500円となり、1万人なら23億5500万円という計算になる。
また、死亡時にはロシア軍と同じく15万〜20万ドル(2355万〜3140万円)が補償されるが、給与も補償金も本人や家族には一切渡らず、すべて金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の統治資金となるという。
これは経済制裁で資金不足に悩む金王朝にとって、干天の慈雨とも言える貴重な収入だろう。
兵士らがどんどん戦死してくれた方が、むしろ助かるぐらいに考えているかもしれない。
また、ロシアのプーチン大統領は2024年11月に訪露した北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外相と会談した際、偵察衛星や平壌の防空網、原子力潜水艦、最新鋭戦闘機の提供などを約束したとされるが、北朝鮮側では本当に実行されるか疑う者が多いという。
守られないだろう
「口約束」
を目当てに大規模の派兵を行うわけもなく、やはりカネ目当てなのだろう。
一方、派兵された北朝鮮兵士は
「捕虜になることは恥であり、指導者と共和国(北朝鮮)の名誉のために少しも躊躇せず犠牲になることが兵士の道だ」
と教育されるが、それを本当に受け入れる兵士はほとんどいないとみられる。
若い兵士らが生まれた頃には既に朝鮮労働党による配給は止まっており、金王朝に強い忠誠心を持つ理由がない。
皆隠れて韓国ドラマなどを見ており、自国民が他国民に比べ如何に過酷な暮らしを強いられているかを実は知っている。
その上、ロシア軍から連絡用に1人1台のスマートフォンが支給されており、暇があれば日本のアダルトビデオを含む外部映像を見ている。
ロシア軍の弾除け、囮にされて仲間がどんどん死んでいく彼らの不満は当然、大きい。
逃亡者の射殺も毎日発生している。
北朝鮮による派兵は一時的には金王朝に外貨をもたらすが、彼らの不満の集積が、政権崩壊の引き金を引くことに繋がらないだろうか。
(論説委員兼政治部編集委員)

ゼレンスキー氏「北朝鮮兵の死傷者3000人超」「増派の恐れ」と指摘
2024/12/24 6:28
https://www.sankei.com/article/20241224-PIFOTZIGPVNGTE7RND6LNGY3NM/
ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は2024年12月23日、同国軍の越境攻撃下にある露西部クルスク州に露軍が投入した北朝鮮兵の死傷者数について
「暫定データによると、3000人を超えている」
と交流サイト(SNS)に投稿した。
「北朝鮮がロシアに兵士や兵器を増派する恐れがある」
とも伝えた。
韓国の聯合ニュースによると、韓国軍当局は同日2024年12月23日、ロシアに派遣された北朝鮮兵に約1100人の死傷者が出ているとの推計を発表。
「諜報データからは、北朝鮮が兵士の交代か、増派を準備していることが示されている」
と指摘した。
韓国軍当局はまた、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が自国製の自爆ドローン(無人機)を視察したなど、北朝鮮がロシアに自爆ドローンを提供する兆候もみられると指摘。
北朝鮮の狙いはドローンの実戦投入データを集め、通常戦力を近代化させることだとした。
一方、米紙ニューヨーク・タイムズは2024年12月23日、米当局者が
「北朝鮮兵の派遣は、ロシアではなく北朝鮮側の発案だった」
との見方を示していると伝えた。
北朝鮮は将来的な技術供与や外交的支援などを期待し、ロシアに恩を売るために派兵を決めたとみられるという。
1万1000人規模とされる北朝鮮兵は2024年11月にクルスク州に配置され、最近は突撃作戦にも参加していると伝えられている。

http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/884.html#c30

[国際35] NHKはアメリカ大統領発言をフェイクニュースと報道 USAIDめぐりトランプ大統領 マスク氏の投稿で “誤情報“ 拡散 てんさい(い)
16. 秘密のアッコちゃん[1339] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月14日 14:51:34 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[777]
<■71行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<産経抄>AI盲信の愚、尖閣めぐるNHKの字幕
2025/2/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250214-3EAB3M4JYFLSTOGFTVUVIHYBEI/
バーのマスターが女性型ロボットを作り、客の相手をさせた。
受け答えの難を除けば人と見分けがつかない。客が年齢を聞くと
「まだ若いのよ」
と返した。
「いくつなんだい」「まだ若いのよ」「だからさ…」「まだ若いのよ」 
▼星新一の掌編『ボッコちゃん』である。
作家は書いている。
<人間と同じに働くロボットを作るのは、ばかな話だ>。
その費用があれば、特定の作業に秀でた機械ができる。
働きたい人も多い―。
作品が発表された昭和30年代はそうかもしれない。
▼急激に進化する生成AI(人工知能)は、既に多くの分野で人の仕事を上回る。
開発資金は兆円単位、世界の株式市場も動かす。
「新たな産業革命」
という掛け声にはうなずくものの、未来は本当に明るいか。
生成AIの示す成果物には、眉に唾を塗る疑い深さも必要だろう。
▼NHKが公式サイトなどの配信で、尖閣諸島を中国側呼称の
「釣魚島」
と字幕表示した。
グーグルのAI翻訳機能を使い、そのまま表示したという。
妄信したとみえる。
チェックが働いた節はなく、報道機関としての姿勢が疑われる不始末である。
▼昨夏2024年夏の国際放送でも、中国籍の外部スタッフが尖閣諸島を
「中国の領土」
と発言した問題があった。
今回もAIという不確かな相手、それが示す成果物に全体重を預けたツケだろう。
人類は誤りを積み重ね進歩してきた。
それらの知見を取り込んだAIにも、むろん誤りはある。
▼<ひとの気持の分かるロボット造るといふロボットの迷惑二の次として>中野昭子。
ロボットをAIに置き換え思案する。
人の迷惑を顧みるコードはAIにあるのだろうか。
中国発の最新AIは、自国政府の意を汲んだ受け答えをするという。
迷惑この上ない。

NHK、AI自動翻訳の多言語字幕サービスを終了 中国語の字幕で「釣魚島」表示が見つかり
2025/2/12 21:06
https://www.sankei.com/article/20250212-WANDXVRFUNM6TMIGXLLBFDKNJU/
NHKは2025年2月12日、AI自動翻訳機能による多言語字幕サービスの終了を発表した。
中国語の字幕で
「釣魚島」
などと表示するケースが2025年2月10日に見つかり、同日付けで終了した。
同局は
「NHKの国際放送では、英語による24時間のテレビ放送を、インターネットでもライブストリーミング配信し、同時に、公式のウェブサイトやアプリ上で、AIの自動翻訳機能を使った多言語字幕がリアルタイムで表示されるサービスを提供してきました」
と説明。
グーグルのAI翻訳機能(グーグル翻訳API)を活用し、
▼自動翻訳であること、
▼翻訳は完全でない場合があること、
を表示して提供していた。

尖閣諸島を「釣魚島」と表示 NHK国際放送の中国語字幕 AI使用サービスとりやめ
2025/2/12 18:02
https://www.sankei.com/article/20250212-4SXHQPONZRNRTKZT4WBULFM5NY/
NHKは2025年2月12日、公式ウェブサイトなどで24時間ライブ配信している国際放送の中国語字幕に、尖閣諸島の中国側呼称である
「釣魚島」
と表示されていたと発表した。
英語のテレビ放送の音声を基に、グーグルのAI翻訳機能を使用して9言語10種類の多言語字幕を表示していたが、NHKは翻訳の精度が不安定だとして、全ての字幕を取り止めた。
NHKによると、2025年2月10日午後4時に配信を開始したニュースの中で、日米首脳会談を受けた中国側の反応を伝えた際に、
「沖縄県の尖閣諸島」
「日本が実効支配する尖閣諸島」
と英語で放送した。
その内容を中国語字幕にしたところ、中国側の呼称である
「釣魚島」
と表示されていた。
ライブ配信をチェックしていた職員が気付いた。
NHKは同日中に全ての言語の字幕サービスを終了した。
国際放送を担当する原聖樹理事は
「正確な情報発信が重要であり、不正確なものが出た以上、NHKのサービスとしては適さず、速やかに止めるべきだと考えた」
と述べた。
NHKは記録が残っている過去1週間分の字幕を調査する方針だが、既に同様の誤りが確認されているという。
NHKの国際放送を巡っては昨年2024年8月、ラジオ放送で中国籍の外部スタッフが尖閣諸島を
「中国の領土」
と主張し、
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
などと発言した。
この問題を受け、NHKは再発防止策として令和7年度から、ラジオ中国語ニュースでAI音声による読み上げの本格導入を目指している。
今回の問題とは異なるシステムを使用しており、影響はないという。

http://www.asyura2.com/24/kokusai35/msg/315.html#c16

[政治・選挙・NHK296] 日本だけがエンゲル係数約3割 政府無策 コメ高騰に国民的な一揆が必要(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
31. 秘密のアッコちゃん[1340] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月15日 04:21:26 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[778]
<△25行くらい>
対中投資が9割減 昨年は33年ぶり低水準 経済鈍化で外資投資縮小 今年は米中摩擦が重荷
2025/2/14 21:48
https://www.sankei.com/article/20250214-ZLJYFXJ7XJKBTPCM2NTPISG6MY/
中国国家外貨管理局が2025年2月14日発表した2024年の国際収支によると、対中直接投資は45億ドル(約6900億円)だった。
前年比で9割減と大幅に落ち込んだ。
ピークの2021年(3440億ドル)から急激な落ち込みが続いており、1991年以来となる低水準を記録した。
中国経済の成長鈍化などが影響している。
外資企業による新規投資が弱含んだ他、中国企業による海外での新規株式上場(IPO)が減少したことも影響したとの見方もある。
四半期ベースでは、2024年10〜12月期は175億ドルだった。
2024年4〜6月期と7〜9月期は2期連続で流出超過だった。
外資企業の対中投資を巡っては、不動産不況を背景とした中国経済の減速や、人件費など生産コストの上昇、安全に関する懸念、現地企業の競争力向上などが逆風となっている。
中国に進出する日本企業で作る「中国日本商会」が昨年2024年11月に発表した会員企業アンケートでは、2024年の投資額について「前年より減らす」か「しない」と回答したのは計44%で、増加させるとの回答は16%にとどまっていた。
中国政府は景気改善に向けて外資企業の対中投資を呼び込もうと躍起だ。
国務院(政府)は今月2025年2月10日、李強首相が主宰する常務会議を開き、外資企業の中国国内での再投資支援の強化などを指示した。
ただ、トランプ米政権との貿易摩擦が激化しつつあり、今年2025年の対中直接投資の重荷になりそうだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/627.html#c31
[政治・選挙・NHK296] 歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み 立花孝志はなぜ選挙モンスターになった… 赤かぶ
25. 秘密のアッコちゃん[1341] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月15日 14:00:05 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[779]
<■127行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<産経抄>石破内閣は日朝交渉記録欠落を認め、姿勢を正せ
2025/2/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20250215-7PAJ6H7WF5NQPOCQBQ42YMY6JY/
かつて政府が公式に認めたことを有耶無耶にするのが、石破茂内閣のやり方か。
岩屋毅外相は2025年2月12日の記者会見で、小泉純一郎内閣当時の北朝鮮との交渉記録の欠落の事実関係を問う質問への回答を避けた答弁書について、前例に従ったと述べた。
▼外務省の田中均アジア大洋州局長(当時)が北朝鮮側と行った最後の2回分の交渉記録が外務省に残っていないことは、既に平成20年(2008)に小紙が報じた話である。
これについて岩屋氏は、平成19年(2007)と平成20年(2008)に
「お答えは差し控えたい」
との政府答弁書を出したため、それに倣ったという。
▼だが、記録欠落に関してはその後の平成28年(2016)と平成30年(2018)にそれぞれ当時の岸田文雄外相と安倍晋三首相が国会答弁で認めている。
同じく菅義偉官房長官も記者会見で追認しており、3代の首相の公式の答弁をなかったことにするのでは、何か意図でもあるのかと勘繰りたくなる。
▼「閣議決定は非常に重たい手続きだ」
と岩屋氏は指摘しつつ、同時に
「首相や外相の国会答弁は責任の重たいものだ」
とも説いた。
そして
「そういうものが並立している時にどう判断すべきかは今後、しっかり検討しなければならない」
と述べたが、検討するとは思えない。
▼欠けているのは詰めの交渉の部分であり、国交正常化後の経済支援や拉致問題の扱いが協議された可能性もある。
岩屋氏がやるべきは欠落を改めて認め、当時の関係者に事情を聴きその内容を記録することだろう。
密約があるかも分からない方が、今後の日朝協議の妨げとなる。
▼岩屋氏の会見で、哲学者ニーチェの言葉を連想した。
「沈黙はもっと悪い」
「話さずに置かれた諸真理は、全て有毒になる」。
石破内閣の拉致問題への姿勢もまた問われている。

「過去の答弁書に沿って作成」 岩屋毅外相 日朝交渉記録の欠落巡る矛盾に
2025/2/12 19:28
https://www.sankei.com/article/20250212-WYRM2UK66FOCLGRG73IGRSZPWI/
岩屋毅外相は2025年2月12日の記者会見で、北朝鮮との交渉記録の欠落の有無に関する質問への回答を避けた政府答弁書について
「過去に閣議決定を経て回答した答弁書が存在しており、今般もそれに沿った形で答弁書を作成した」
と説明した。
日本保守党の島田洋一衆院議員が質問主意書で、平成14年(2002)9月の小泉純一郎首相の訪朝直前に、外務省の田中均アジア大洋州局長(いずれも当時)が北朝鮮側と行った2回分の交渉記録が省内に存在するのかを確認したのに対し、政府は2025年2月4日閣議決定の答弁書で
「外務省としてお答えすることは差し控えたい」
とした。
しかし、交渉記録が存在しないことは平成28年(2016)と平成30年(2018)にいずれも当時の岸田文雄外相と安倍晋三首相が国会答弁で認めており、今回の答弁書は、従来の政府の姿勢と矛盾する内容となっていた。
外務省によると、岩屋氏が会見で言及した過去の政府答弁書は、北朝鮮との交渉記録の作成の有無を尋ねる鈴木宗男衆院議員(当時)の質問主意書に
「今後の日朝間の協議に支障を来す恐れがあることから、外務省としてお答えすることは差し控えたい」
とした平成19(2007)年3月の答弁書や、鈴木氏に同様の回答をした平成20年(2008)2月の答弁書だという。
岩屋氏は会見で
「閣議決定は非常に重たい手続きだ」
と指摘しつつ
「時の首相や外相の国会における答弁は責任の重たいものだ」
とも語り、
「そういうものが並立している時にどう判断すべきは今後しっかり、検討しなければいけない」
と述べた。

不誠実で矛盾する石破首相の答弁書 日朝交渉記録の欠落の事実関係「答え控える」
阿比留瑠比の極言御免
2025/2/6 1:00
https://www.sankei.com/article/20250206-XGPTJ73ZN5IVTHOZLLQOVZ3LCU/
石破茂内閣が2025年2月4日に閣議決定した政府答弁書は、極めて不誠実で矛盾した内容ではないか。
平成14年(2002)9月の小泉純一郎首相(当時)の初の北朝鮮訪問を前に、日朝間で行われた交渉記録が2回分、欠落している問題の事実関係を問うた日本保守党の島田洋一衆院議員の質問主意書に対する回答についてである。
これに関して本紙は平成20(2008)年2月、
「当時の外務省の田中均アジア大洋州局長らが北朝鮮側と行った2回分の日朝交渉の記録文書が欠落し、省内に保管されていないことがは平成20(2008)年2月8日、複数の政府高官の証言で明らかになった」
と報じた。
一方、石破内閣の答弁書は
「今後の日朝間の協議に支障を来す恐れがあることから、外務省としてお答えすることは差し控えたい」
と誤魔化している。
■欠落事実を熟知していた安倍元首相
だが、安倍晋三元首相は在任中の平成25年(2013)6月、自身のフェイスブックで田中氏に触れて明言している。
「そもそも彼は交渉記録を一部残していません」
安倍氏は官房長官当時と首相再登板後、この交渉記録の件を徹底的に調査させており、欠落が事実であることを熟知していた。
この安倍氏の投稿後には当時の菅義偉官房長官も記者会見で
「記録の一部は残っていないのか」
と問われ、
「そういう見解だ」
と認めている。
この年平成25年(2013)7月の参院選に際して日本記者クラブで党首討論会が開かれた際にも、安倍氏はこう指摘した。
「小泉氏が訪朝する前の田中氏の記録が2回分残っていない」
「本人に確かめたら『知らない』と言われた」
「外交官として間違っている」
「外交官の基本を踏み外していて、おかしいじゃないかというのが私の正義感だ」
更に平成30年(2018)6月には国会でも、立憲民主党に所属していた風間直樹参院議員(当時)と安倍氏との間でこんなやり取りがあった。
風間氏
「公電が欠落している2回の交渉で、当時の担当者が北朝鮮と何を約束したか知っているか」
安倍氏
「ご指摘の部分は記録が存在しないため、田中氏が北朝鮮とどのような交渉を行い、何を約束したかについては、残念ながら承知していない」
風間氏は
「国交正常化の際に、日本から1兆円規模の経済協力資金を提供するとの合意が図られ、文書も交わされたと耳にしている」
「抜け落ちた公電にはこの部分が記載されていたと思う」
とも述べていた。
だとすれば、政権が代わってもきちんと引き継ぐべき重要事項である。
■欠けた「詰めの交渉部分」
欠落した部分は、田中氏が北京などで北朝鮮の
「ミスターX」
らと30回近く非公式折衝を実施したうち、平成14年(2002)8月30日に政府が小泉初訪朝を発表し、平成14年(2002)9月17日に日朝首脳会談が行われるまでの2回分だとされる。
まさに詰めの交渉部分であり、あるいは拉致問題の扱いなども協議されていたかもしれない。
通例、外交上の重要な会談・交渉内容は全て記録に残して幹部や担当者で情報を共有し、一定期間を経て国民に情報公開される。
そうでないと、外交の継続性や成果は無に帰し、どんな密約が交わされているか分からない。
それほど大切な文書であり、時の首相と官房長官が公式な場で認め、何度も明言していることを、石破内閣はなぜ今になって
「回答は差し控えたい」
と後退させたのか。政府見解をいつ、どんな根拠で改めたというのか。
拉致被害者やその家族のことを思うと、だらしない政府の対応に怒りを覚える。(論説委員兼政治部編集委員)

小泉訪朝直前 交渉記録の欠落 「お答え差し控えたい」 政府答弁書
2025/2/4 11:22
https://www.sankei.com/article/20250204-QZTKFEMKCRI7FEOI6KNHIA7SFM/
政府は2025年2月4日の閣議で、日朝間の交渉記録の欠落の有無について
「今後の日朝間の協議に支障を来す恐れがあることから、外務省としてお答えすることは差し控えたい」
とする答弁書を決定した。
日本保守党の島田洋一衆院議員の質問主意書に答えた。
島田氏は、平成14年(2002)9月の小泉純一郎首相(当時)の初の北朝鮮訪問直前に、外務省の田中均アジア大洋州局長(当時)らが行った2回分の日朝交渉の記録文書が省内に保管されていないことを伝えた産経新聞報道「平成20年(2008)2月9日」と、安倍晋三元首相が首相在任中の平成25年(2013)6月、交流サイト(SNS)上で田中氏に関し
「そもそも彼は交渉記録を一部残していません」
と指摘したことを引用。
「外務省が管理する日朝交渉記録文書に、事実そうした欠落があるのか」
と質問していた。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/628.html#c25

[政治・選挙・NHK296] ウヤムヤな兵庫県知事が抱える闇…熊谷俊人・千葉県知事は対照的に、立花孝志氏の2馬力選挙を「迷惑」と断じる(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
42. 秘密のアッコちゃん[1342] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月15日 14:32:49 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[780]
<■1000行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>尖閣を「釣魚島」 NHKは国益を損ねるな
社説
2025/2/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20250215-X4ID5DZS2BOVZMLBNRK7C3OGPY/
NHKの国際放送を巡り、また問題が起きた。
ニュースの中国語字幕で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を中国側の呼称である
「釣魚島」
と表示した。
人工知能(AI)による自動翻訳の
「精度が不安定」
だったとの言い訳は通らない。
公共放送の使命を損なう問題であり、究明と再発防止を徹底すべきだ。
同局によると、国際放送の英語のテレビ放送を公式サイトなどで24時間ライブ配信している。
問題の字幕は2025年2月10日午後4時に配信を開始したニュースの中で表示された。
日米首脳会談を受けた中国側の反応を伝えた際、
「日本が実効支配する尖閣諸島」
などと英語で放送したが、中国語字幕では
「釣魚島」
と表示された。
釣魚島は中国側が領有を主張する時の呼称だ。
ライブ配信をチェックしていた職員が気付いたという。
字幕はIT大手グーグルのAI翻訳機能を使い、9言語10種類の多言語字幕を表示していた。
この問題が起き、全ての言語の字幕サービスを取りやめた。
記録が残る1週間分の字幕を調査する方針だが、既に同様の誤りが確認されている。
稲葉延雄会長は2025年2月12日の定例会見で
「翻訳が不安定な場合があることが顕在化した」
「NHKのサービスには適さないので、止めるべきだと考えた」
と述べた。「不安定」の一言でAIに責任転嫁してはならない。
AI自動翻訳の技術は進歩しているが、正確に翻訳できないケースがあることは今に分かったことではない。
日本と外国の文化や慣習の違いなどを踏まえず、誤って翻訳される可能性も指摘されてきた。
中国の新興企業ディープシークが開発した生成AIを巡っては情報抜き取りの他、尖閣諸島を
「中国固有の領土」
と事実と違う答えが出る懸念が指摘されてもいる。
外部のAI任せでは問題が起きないほうがおかしい。
同局国際放送を巡っては昨年2024年8月、ラジオで中国籍の外部スタッフが尖閣諸島を
「中国の領土」
などと主張する放送乗っ取り問題が起きた。
稲葉会長はこの時、一般企業なら
「会社存続に直結する」
リスクとし、再発防止と公共放送の使命を果たすことを約束した。
教訓が全く生かされていない。

<産経抄>AI盲信の愚、尖閣めぐるNHKの字幕
2025/2/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250214-3EAB3M4JYFLSTOGFTVUVIHYBEI/
バーのマスターが女性型ロボットを作り、客の相手をさせた。
受け答えの難を除けば人と見分けがつかない。客が年齢を聞くと
「まだ若いのよ」
と返した。
「いくつなんだい」「まだ若いのよ」「だからさ…」「まだ若いのよ」 
▼星新一の掌編『ボッコちゃん』である。
作家は書いている。
<人間と同じに働くロボットを作るのは、ばかな話だ>。
その費用があれば、特定の作業に秀でた機械ができる。
働きたい人も多い―。
作品が発表された昭和30年代はそうかもしれない。
▼急激に進化する生成AI(人工知能)は、既に多くの分野で人の仕事を上回る。
開発資金は兆円単位、世界の株式市場も動かす。
「新たな産業革命」
という掛け声にはうなずくものの、未来は本当に明るいか。
生成AIの示す成果物には、眉に唾を塗る疑い深さも必要だろう。
▼NHKが公式サイトなどの配信で、尖閣諸島を中国側呼称の
「釣魚島」
と字幕表示した。
グーグルのAI翻訳機能を使い、そのまま表示したという。
妄信したとみえる。
チェックが働いた節はなく、報道機関としての姿勢が疑われる不始末である。
▼昨夏2024年夏の国際放送でも、中国籍の外部スタッフが尖閣諸島を
「中国の領土」
と発言した問題があった。
今回もAIという不確かな相手、それが示す成果物に全体重を預けたツケだろう。
人類は誤りを積み重ね進歩してきた。
それらの知見を取り込んだAIにも、むろん誤りはある。
▼<ひとの気持の分かるロボット造るといふロボットの迷惑二の次として>中野昭子。
ロボットをAIに置き換え思案する。
人の迷惑を顧みるコードはAIにあるのだろうか。
中国発の最新AIは、自国政府の意を汲んだ受け答えをするという。
迷惑この上ない。

NHK、AI自動翻訳の多言語字幕サービスを終了 中国語の字幕で「釣魚島」表示が見つかり
2025/2/12 21:06
https://www.sankei.com/article/20250212-WANDXVRFUNM6TMIGXLLBFDKNJU/
NHKは2025年2月12日、AI自動翻訳機能による多言語字幕サービスの終了を発表した。
中国語の字幕で
「釣魚島」
などと表示するケースが2025年2月10日に見つかり、同日付けで終了した。
同局は
「NHKの国際放送では、英語による24時間のテレビ放送を、インターネットでもライブストリーミング配信し、同時に、公式のウェブサイトやアプリ上で、AIの自動翻訳機能を使った多言語字幕がリアルタイムで表示されるサービスを提供してきました」
と説明。
グーグルのAI翻訳機能(グーグル翻訳API)を活用し、
▼自動翻訳であること、
▼翻訳は完全でない場合があること、
を表示して提供していた。

尖閣諸島を「釣魚島」と表示 NHK国際放送の中国語字幕 AI使用サービスとりやめ
2025/2/12 18:02
https://www.sankei.com/article/20250212-4SXHQPONZRNRTKZT4WBULFM5NY/
NHKは2025年2月12日、公式ウェブサイトなどで24時間ライブ配信している国際放送の中国語字幕に、尖閣諸島の中国側呼称である
「釣魚島」
と表示されていたと発表した。
英語のテレビ放送の音声を基に、グーグルのAI翻訳機能を使用して9言語10種類の多言語字幕を表示していたが、NHKは翻訳の精度が不安定だとして、全ての字幕を取り止めた。
NHKによると、2025年2月10日午後4時に配信を開始したニュースの中で、日米首脳会談を受けた中国側の反応を伝えた際に、
「沖縄県の尖閣諸島」
「日本が実効支配する尖閣諸島」
と英語で放送した。
その内容を中国語字幕にしたところ、中国側の呼称である
「釣魚島」
と表示されていた。
ライブ配信をチェックしていた職員が気付いた。
NHKは同日中に全ての言語の字幕サービスを終了した。
国際放送を担当する原聖樹理事は
「正確な情報発信が重要であり、不正確なものが出た以上、NHKのサービスとしては適さず、速やかに止めるべきだと考えた」
と述べた。
NHKは記録が残っている過去1週間分の字幕を調査する方針だが、既に同様の誤りが確認されているという。
NHKの国際放送を巡っては昨年2024年8月、ラジオ放送で中国籍の外部スタッフが尖閣諸島を
「中国の領土」
と主張し、
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
などと発言した。
この問題を受け、NHKは再発防止策として令和7年度から、ラジオ中国語ニュースでAI音声による読み上げの本格導入を目指している。
今回の問題とは異なるシステムを使用しており、影響はないという。

NHK「尖閣発言」で引責辞任の前理事を再雇用 エグゼクティブ・プロデューサーで
2024/9/26 12:15
https://www.sankei.com/article/20240926-MBT7NQUR2BOLNCUFDWYZCDY46I/
NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで中国籍の外部スタッフが、沖縄県・尖閣諸島を
「中国の領土」
などと原稿にない発言をした問題を巡り、10日に引責辞任した傍田賢治前理事がメディア総局のエグゼクティブ・プロデューサーとして再雇用されていたことが26日分かった。
契約職員としての再雇用で、辞任から1週間後の17日付。
傍田前理事はモスクワ支局長やアメリカ総局長などを歴任しており、NHK関係者は理由を
「海外での取材経験など、これまでの知見を生かしてもらうため」
と説明している。
問題を巡っては、国際放送を担当していた傍田前理事が辞任した他、稲葉延雄会長ら役員4人が月額報酬50%を1カ月、自主返納。
役員の辞任は、記者らによるインサイダー取引問題で当時の橋本元一会長らが辞任した平成20年以来だった。

NHKの国際放送での尖閣発言問題 中国人元スタッフ「日本の侵略否定許せず」 現地報道
2024/9/25 18:32
https://www.sankei.com/article/20240925-GMURCBIBLZJ5VCQDUKD4TP7SMM/
中国紙、北京日報(電子版)は25日までに、NHKラジオ国際放送などの中国語ニュースで原稿にはない発言をした中国人の元外部スタッフがインタビューで
「日本政府とメディアが侵略の歴史を否定し、軍国主義を美化していることが許せなかった」
ことを理由として主張したと報じた。
元スタッフは8月19日、靖国神社で落書きが見つかったニュースを読み上げた際、沖縄県・尖閣諸島を
「中国の領土」
などと発言した。
同紙のインタビューで、ニュースの原稿が
「軍国主義に死を」
という落書きの文言に触れていなかったと指摘。
「NHKは意図的に避けた]
「国民を欺き、客観報道に反している」
と持論を展開した。
ニュースで使用できる文言に制限があり、日本社会の歴史修正主義を表しているとの見方を示した。
元スタッフは問題発覚後に業務委託契約を解除された。
待遇面で不満を抱いていたとの話も出ている。(共同)

NHKラジオ・中国人スタッフの反日発言「南京大虐殺を忘れるな」に反論できない病理
2024/9/25 7:00
https://www.sankei.com/article/20240925-OEWXGOQPRVMTHC5OEACZY6DIRU/
NHKのラジオ国際放送で先月、中国籍の男性スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
などと発言した問題は、国際放送担当理事の引責辞任や会長らの役員報酬の自主返納なども発表された。
動機や背景が未解明であるなど、このままの幕引きは許されないのは当然だが、NHKのみならずわが国全体が抱える病理を浮き彫りにしたように思える。
この問題は、8月19日放送の中国語ニュースで、中国人スタッフが靖国神社の落書き事件について報じた後、尖閣諸島について
「古来から(ママ)中国の領土です」
と主張、
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」
と反日的発言を行ったもの。
■「731部隊を忘れていません」という報道
NHKはこの問題を報じる関連ニュースで、スタッフ発言の不適切な点を
「沖縄県の尖閣諸島の帰属などをめぐって、原稿にはない日本政府の公式見解とは異なる発言を行った」
ことだと繰り返し報じている。
なるほど尖閣諸島が日本固有の領土であることは政府見解を待つまでもない。
「慰安婦=性奴隷」論や731部隊が細菌戦を行ったことを否定する答弁書を政府は決定してもいる(平成19年3月16日付安倍晋三内閣答弁書、同15年10月10日付小泉純一郎内閣答弁書など)。
だが、NHKは例えば昨年11月4日放送のニュースで、 
≪「731部隊」など細菌戦の研究を行ったとされる部隊に所属した軍医将校の…人事記録が残されていることが分かりました…研究者は「旧日本軍による細菌戦研究の全体像を洗い出す上で意義のある資料だ」としています≫
と報じている。
細菌戦の
「研究」
とはしているが、
「731部隊を忘れるな」
という暴言に呼応するかのような報道だ。
■「南京」は「その通り」なのか
最大の問題は「南京」だ。
いわゆる
「南京事件」
についての政府見解は、
「日本軍の南京入城(1937年)後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えています」
というものだ(外務省ホームページ=HP、平成19年4月24日付安倍内閣答弁書など)。
外務省HPや安倍内閣答弁書は続けて、
「被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難であると考えています」
としているが、
「30万人が虐殺された」
とする中国側の主張を毅然と否定できないということだ。
情けない。
「南京大虐殺を忘れるな」
と言われ、政府は
「その通りかもしれません」
とでも言うつもりか。
「大虐殺」
が明白な事実だったら仕方もあるまい。
だが、日本側の学術研究では、中国の主張する
「30万人虐殺」
は否定され、日本軍が軍命で非戦闘員を組織的に殺害したことはなかったことが明らかになっている。
■反日世論を助長したのは日本の姿勢
何とも痛ましく、腹立たしい事件が起きた。
中国広東省深圳における日本人学校の男子児童(10)刺殺事件だ。
その場で中国当局に身柄を拘束された男と事件について、中国政府は
「前科者による個別の案件」
と日本側に説明しているが、日本人を標的にした
「反日テロ」
だったとの見方は根強い。
事件が起きた9月18日が、日本の侵略だとされる満州事変(1931年)の発端となった柳条湖事件の記念日だからだ。
中国の反日世論の土壌である「歴史」教育に中国が本格的に着手したのは、1994(平成6)年に当時の江沢民国家主席が
「愛国主義教育実施要項」
を定めてからである。
戦前の日本軍を残虐極まりない
「悪」
とし、それに中国共産党政権が打ち勝ったという
「歴史」
による愛国主義教育を徹底し、全国に反日記念館を建設した。
日本軍を
「悪」
としたのも、中国共産党が日本軍に打ち勝ったというのも、捏造である。
東西冷戦に東側陣営が敗北して共産主義の正統性が揺らぐ中、中国共産党は新たな統治の正統性を捏造の歴史に求めたのだ。
ところが日本政府はそれを放置し、中国への政府開発援助(ODA)も続けた。
NHKを含む多くのメディアや学術界、政治家も
「南京大虐殺」
などの中国側の反日プロパガンダに阿り続けた。
「南京」
を巡る先の外務省HPの記述や答弁書はその一例だ。
中国人スタッフの暴言に反論もできない日本側の在り方が、中国の反日世論を助長し、刺殺事件の遠因となったのではないか。
この間の日本の姿勢は改めて厳しく問われなければならない。

NHK国際放送の尖閣めぐる「放送テロ」 根拠なき歴史認識を検証する千載一遇の好機
2024/9/16 6:00
https://www.sankei.com/article/20240916-PN7R6Y6JWZKPNFXEEIKUBKDVMI/
先月19日、NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュース番組で
「放送テロ」
が発生した。
靖国神社入り口の石柱に便所を意味する
「厠所」

「軍国主義」
などと読める文字が落書きされたニュースを伝えた際、中国籍の放送担当者が放送原稿を読む中で、尖閣諸島は古来、
「中国の領土だ」
と発言したのだという。
■民主党政権の失策
これに激高したのが与野党の国会議員たちである。
「放送法違反の案件で非常に深刻に受け止めている」
「速やかに実態調査を行って国会や国民に報告を求めたい」
「トップが責任を取るべきレベル」…。
だが市井の凡人から見れば、彼らの発言は噴飯ものである。
中国海警局の艦艇が尖閣諸島周辺で領海侵犯を繰り返すことになったのは2010年9月からだ。
この非常に深刻な案件の引き金になったのは、当時の民主党政権の失策である。
2010年9月7日、海上保安庁の巡視船に故意に追突した中国漁船の処置を誤り、中国政府が南沙諸島などに触手を伸ばすきっかけを作ったからだ。
それが2013年、習近平氏が国家主席に就き、台湾統一に意欲を示したことが
「台湾有事」
と騒がれる端緒となったのである。
しかしそれは、中国にとって既定の路線であった。
中国政府が尖閣諸島の領有権を問題にしたのは1971年12月。
その際、中国政府は尖閣諸島を、中国領土である台湾の一部だとしていた。
以来、尖閣諸島と台湾問題は、中国にとって喫緊の外交課題となった。
そのため1992年には
「領海法」
を定めて尖閣諸島を中国領とし、虎視眈々とその時を待ったのである。
それが2005年3月、島根県議会が
「竹島の日」
条例を制定しようとし、小泉純一郎政権がその成立を阻止しようとした翌月2005年4月、北京では大規模な反日デモが起きた。
条例成立を受け、外務省が
「竹島は日本固有の領土」

「韓国が不法占拠している」
としたのに伴い、文部科学省が2006年度版の
「地理」

「公民」
の教科書の一部で竹島問題を記載したのが原因だった。
韓国内ではそれを
「歴史歪曲教科書」
と糾弾して反日デモが起こり、中国がそれに同調したのである。
■戦略的対応が急務
更にそれを利用したのがロシアである。
同国のガルージン公使(現外務次官)は2005年6月、
「ソ連軍による北方領土占領」

「日本軍国主義の侵略行為の帰結」
と述べて、北方領土問題を領土問題から歴史問題に転換していた。
翌年2006年には中国国家海洋局の局長が、竹島問題に対する韓国政府の対応を評価する中で、尖閣侵奪の意志を明確にしたのである。
竹島条例には、竹島の領土権を確立することで1954年以来、不法占拠が続く竹島問題を契機に醸成されていた韓国内の歴史認識を解消する目的もあった。
その島根県の動きを封印しようとした小泉政権を見て、中露は共に対日攻勢を強めたのである。
それが外交経験の乏しい民主党政権時代の2010年9月、海上保安庁の巡視船に中国漁船が故意に衝突する事件に繋がった。
以来、今日に至るまで尖閣諸島周辺では中国海警局の艦艇による挑発行為が続いている。
その間、政権与党である自民党の面々はパーティー券に端を発した裏金問題や派閥解消問題で保身を謀っても、尖閣諸島の現実には関心がなかった。
日本の国会議員たちはなぜ今回のような事案には憤慨しても、戦略的な対応ができないのだろうか。
今回の放送テロで、件の放送担当者は
「南京大虐殺を忘れるな」
「慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった」
「731部隊を忘れるな」
とも発言していた。
■批判より歴史検証
だがそれは、実態調査もろくに行わずに発表した「河野談話」(1993年)と歴史を曲解した「村山談話」(95年)に責任がある。
その根拠のない談話が基になって韓国内では根拠のない歴史認識が醸成され、それが近隣諸国に利用されているからだ。
しかし今回の放送テロは、その歴史認識を検証する千載一遇のチャンスでもあったのである。
それには件の放送担当者を責める前に、尖閣諸島がなぜ中国領なのか説明を求めることから始めたらよい。
彼が論拠としたのは、恐らく中国の国家海洋情報センター編の小冊子『釣魚島−中国固有の領土』だからだ。
その小冊子については、日本国際問題研究所の公開ウェビナー『尖閣諸島領有の歴史的根拠について−中国の主張の誤り−』でも明らかにしたように、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も中国領ではないからである。
その事実を件の放送担当者に学んでもらえばよいのである。
あとはその学んだ経緯と尖閣諸島が中国領ではない歴史的事実を、NHKのラジオ国際放送の各国語版で放送すればよいのである。
件の放送担当者の雇用契約を解除し、NHK批判だけでは問題は解決しない。
千載一遇のチャンスを生かすには知恵がいる。

<主張>NHK「反日放送」 乗っ取りの対応甘すぎる
社説
2024/9/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20240916-SWSR3ICSCBPMHFP3QXTMHQZPGA/
NHKは、ラジオ国際放送の中国人スタッフの問題発言をめぐり調査報告書をまとめ、国際放送担当の理事が引責辞任するなど処分を発表した。
放送中に沖縄県の尖閣諸島を
「中国の領土」
などと暴言を吐いた問題である。
稲葉延雄会長は記者会見で
「放送乗っ取りとも言える」
「極めて深刻な事態だ」
と謝罪した。
それにしては自身を含め処分や対応は甘くないか。
動機など未解明のまま幕引きは困る。
2024年8月19日放送の中国語ニュースで、中国籍の男性スタッフが靖国神社の落書きについて報じた後、約20秒間、原稿にない発言をした。
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
など反日的発言もあった。
男性スタッフは48歳で、NHKの関係団体が委託契約していた。
看過できないのは調査報告書が指摘するように
「事前に兆候」
がありながら対処できなかったことだ。
直前に放送原稿をめぐり不満を訴え怒鳴るトラブルを起こしていた。
中国当局の反応への不安も漏らしていたという。
今回の事案は真相究明が必要だが、専制主義国の国民をめぐっては当該政府からの圧力や犯罪の使嗾(しそう)、強要も警戒すべきだ。
発生時の危機管理もなっていない。
問題発言の際、マイクの音量を下げるなどのシステムがあるが対応できなかった。
放送の訂正や視聴者・国民への説明も即座にできず
「十全でなかった」
とした。
これでは公共放送の名に値しない。
過去3カ月の放送で男性による原稿にない発言はなかったというが、それ以前は記録がなく不明だ。
他のスタッフや他言語番組の検証を進めるというが、徹底すべきだ。
日本の正しい情報を発信し、国益を守る国際放送の役割は大きい。
稲葉会長は
「危機意識が高まって然るべきだったが、ラジオ国際放送の現場では緊張感が欠けていた」
と述べた。
自身の報酬の半分を1カ月、自主返納するが、担当理事に詰め腹を切らせ済む話ではない。
関連団体を含めた組織の肥大化や組織統治不全はNHK全体が問われてきたことである。
NHKは男性スタッフに対し信用毀損などで賠償を求める訴訟を起こした。
解明に向け
「乗っ取り」
への刑事告訴も欠かせない。

<産経抄>NHKわき甘く、中国人の「放送ジャック」     
2024/9/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20240912-RRTNLOFEMNO7DPT3PCFG72SGPA/
世界で初めてのハイジャック事件は1931年2月、南米のペルーで起きた。
狙われたのは、パンアメリカン航空の郵便機である。
空港に着陸した機体を革命組織が乗っ取り、上空からビラをまくようパイロットに命じたという。
▼ハイジャックは本来、飛行機を含む輸送機関の自由を暴力や詐術などで奪うことを指す。
バスジャックのように「ジャック=乗っ取る」の意味で使うのは、日本独特の用法らしい。
その伝でいけば、この事案は紛れもなく「放送ジャック」だろう。
▼NHKのラジオ国際放送で、中国籍の男性スタッフが尖閣諸島について
「中国の領土」
と発言した。
22秒もの間、原稿には書かれていない勝手な主張を中国語と英語で続け、慰安婦などに関する内容も含まれていた。
「放送乗っ取り」
とはNHKの稲葉延雄会長の言葉である。
▼男性は香港メディアでも情報発信を担い、東京電力福島第1原発の処理水を
「核汚染水」
との表現で報じたことがあったという。
中国政府の代弁という刃物≠、スタジオに持ち込んだに等しい。
身体検査におけるNHKの不手際が、目に余る。
▼台湾や尖閣諸島周辺で中国が示威的に振る舞う中、我が国の毅然とした姿勢と正しい認識を海外に伝える国際放送は国益にも関わる。
なぜ外部の人材に放送を任せ切りにしたのか。
なぜ音声を切るなどのトラブル対応ができなかったのか。
危機意識を欠くNHKの罪は軽くない。
▼生放送から収録への切り替えや、AIによる原稿の代読などいくつかの方策が打ち出された。
テレビもラジオも、番組の1つ1つが外国のプロパガンダに悪用される恐れはこの先も消えることがない。
小欄も同じメディアに携わる身として、警戒を緩めまい。

「処分甘すぎる」自民議員からNHK会長辞任求める声 調査会に出席の稲葉延雄氏に
2024/9/11 18:10
https://www.sankei.com/article/20240911-QPUU2F57BRKMTGZYE4BGH22NAE/
NHKのラジオ国際放送で、中国籍の男性スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
と主張し
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
などと発言していた問題で、NHKの稲葉延雄会長は11日、自民党の情報通信戦略調査会に出席し、調査結果などを報告した。
稲葉氏は
「NHK始まって以来の重大事」
との認識を示したという。
出席議員からは会長の辞任を求める声も上がった。
この問題について稲葉氏が同調査会で報告するのは、8月22日以来2回目。
発言の経緯やその後の対応、担当理事の引責辞任と稲葉氏ら役員4人の報酬自主返納などについて説明した。
稲葉氏は重く受け止めているとの認識を何度も示した上で、民間企業に比べNHKのリスク対応力が低いことを認め、見直していく方針を示したという。
終了後、稲葉氏は報道陣の取材に応じなかった。
出席した議員からは、処分が甘過ぎるとして会長の辞任を求める意見が出た他、
「中国人が日本政府の立場を読み上げるのにリスクがあることは理解できる」
「日本人を育成するなど改善してほしい」
とNHKに対応を求める声も上がった。
大岡敏孝事務局長は調査会終了後、報道陣に
「今回の報告で了とするものではなく、改善策や再発防止策などについて引き続きNHKの対応を注視していく」
と述べた。

NHK行政指導で「放送法で定められた責務果たせず」とお詫び 尖閣発言問題
2024/9/11 12:03
https://www.sankei.com/article/20240911-U4Z4ELQHYFPUVGGSI7VGZV5GRQ/
NHKは11日、ラジオ国際放送で中国籍の男性スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
などと主張した問題で総務省から行政指導を受けことに対し、以下のコメントを発表した。
「今回の事案は、自ら定めたNHK国際番組基準に抵触するなど、NHKが、放送法で定められた担うべき責務を果たせなかったという極めて深刻な事態であり、重く受け止めています」
「改めて、深くお詫び申し上げます」
「再発防止策を確実に行い、国際放送に関するガバナンスを強化すると共に、NHK全体において、放送の自主自律の堅持とリスク意識の向上を図り、説明責任を果たしながら、視聴者・国民の皆様から負託された公共放送の使命を果たしてまいります」

「尖閣発言」で総務省がNHKを行政指導 「公共放送としての使命に反する」と指摘
2024/9/11 11:53
https://www.sankei.com/article/20240911-IRQ2SKLSWVOXTLX7UZI33DI2OA/
総務省は11日、NHKのラジオ国際放送などで中国籍の外部スタッフが沖縄県・尖閣諸島を
「中国の領土」
などと発言した問題で、NHKに注意の行政指導をした。
「国際放送を担う公共放送としての使命に反するもの」
だとして放送法に抵触すると判断した。
再発防止策の徹底を求めた。
NHKは10日、稲葉延雄会長らが記者会見し、担当理事の引責辞任と会長らの報酬の一部返納を発表した。
再発防止策として、中国語ニュースを事前収録に切り替えている。
NHKによると、外部スタッフが2024年8月19日の生放送で、靖国神社で落書きが見つかったニュースなどを読み上げた後、尖閣諸島を
「中国の領土」
と発言した。
英語で
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
などとも述べた。
総務省によるNHKへの行政指導では、BS番組
「河瀬直美が見つめた東京五輪」
で誤った字幕を付けた問題を巡って令和4年にも実施している。

NHK「緊張感欠いた」と稲葉延雄会長 中国スタッフの尖閣発言問題で担当理事が引責辞任
2024/9/10 22:51
https://www.sankei.com/article/20240910-QFI2YSQ5XNNQRDXXDBU6SMMXMI/
NHKのラジオ国際放送で男性スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
と主張し
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
などと発言していた問題で、NHKの稲葉延雄会長らが10日記者会見し、国際放送担当の傍田賢治理事が責任を取って同日付で辞任すると発表した。
稲葉氏や井上樹彦副会長ら役員4人は月額報酬50%を1カ月、自主返納する。
役員の引責辞任は、記者らによるインサイダー取引問題で当時の橋本元一会長らが辞任した平成20年以来。
この他、国際放送局長ら5人を減給などの懲戒処分とした。
稲葉氏は
「放送法で定められた責務を果たせず、極めて深刻な事態であり深くお詫び申し上げる」
と謝罪。
激変する世界情勢の安全保障上の観点から
「危機意識が高まって然るべきだったが、ラジオ国際放送の現場では緊張感が欠けていた」
と述べた。
NHKによると、男性は48歳の中国籍。
2024年8月19日の放送で、靖国神社で落書きが見つかったニュースを報じた後、約20秒間原稿にない発言をした。
調査結果によると、男性は
「日本の国家宣伝のためにこれ以上個人がリスクを負えない」
と述べた。
また、以前から報酬や働き方など待遇の不満をNHKの職員に伝えていた。
過去3カ月分の放送では、男性による原稿にない発言はなかったが、それ以前は記録がなく不明だという。
問題発言の際、マイクの音量を下げるなどの対応が取れなかったことも問題視。
職員への緊急対応訓練や放送の事前収録などの再発防止策をまとめた。

中国籍スタッフ、読み直しを拒否 NHK「尖閣発言」調査結果 当日何があったのか
2024/9/10 22:20
https://www.sankei.com/article/20240910-VUKAVCUSMNIQHFQCNMLJ2GB2ZM/
公共放送のNHKラジオ国際放送で
「釣魚島(尖閣諸島)は中国の領土」
「南京大虐殺を忘れるな」
などとした放送が流れた問題で、10日にNHK放送センター(東京都渋谷区)で記者会見した稲葉延雄会長は
「今回のことは、放送乗っ取りとも言える」
「極めて深刻な事態だ」
と苦渋の表情で語った。
前代未聞の放送事故は、どのように起きたのか。
再発防止は可能なのか。
■リスク負えない
NHKは先月26日に井上樹彦副会長をトップとした検討体制を設置。
調査結果には当日の経緯が詳しく記されている。
先月19日午前、NHKグローバルメディアサービスの中国籍男性スタッフは、放送センターで
「靖国神社の石の柱に落書き」
というニュースを翻訳していた際、日本語原稿の中の
「(石の柱には)トイレを意味する中国語に似た字の他アルファベットなどが書かれていた」
という部分について疑問を抱いた。
男性は外部ディレクターとニュース画像などを確認したが、アルファベットは見当たらなかった。
男性は
「NHKの原稿は曖昧で、そのまま翻訳して中国語で放送したら、個人に危険が及ぶ」
「NHKはその責任をどう考えるのか」
と激高。
デスクの判断で、その一文は削除された。
午後1時1分の生放送開始後、男性が靖国神社のニュースを読み上げる中で、原稿から削除したはずの部分で、
「『軍国主義』『死ね』などの抗議の言葉が書かれていた」
と原稿にない発言を行った。
その後、22秒間に渡って
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
などと発言したが、その場にいた外部ディレクターとデスクは驚きのあまり、音声を下げるなどの対応ができなかった。
放送後に2人は
「読み直して」
と詰め寄った。
しかし、男性は拒否して
「僕は辞めますから」
と立ち去ろうとした。
男性が読み上げた原稿には、手書きで問題の発言内容が記されていたという
集まってきた別の上司らが説明を求めると、
「日本の国家宣伝のために、これ以上個人がリスクを負うことができない」
「あとは代理人を通して」
と繰り返し、午後2時50分頃に放送センターを立ち去った。
NHKによると、緊急時にマイクをオフにして音楽を流す緊急ボタンなどがあったが、今回のような事態については想定外だったという。
問題のニュースを担当していた多言語メディア部長は
「出演者のフリートークがないニュースで、放送中に不規則発言が出ることを想定しておらず、リスクとして認識していなかった」
と説明した。
稲葉会長は会見で
「(国際情勢が)刻々と変化する中で、リスクの変化も敏感に感知する必要があった」
と述べた。
■兆候見逃す
「この仕事をしていることは、俺にとってはリスクなんだ」。
ラジオ国際放送で不適切な発言を放送した中国籍の男性スタッフを知る関係者は、男性が周囲にそう漏らしていたと明かす。
NHKでは、外国人スタッフが匿名などでの業務を希望する場合は個別の事情に応じて認めている。
男性も本名ではない名前でアナウンス業務に当たっていた。
NHKは男性と平成14年に契約したが、その際に面接で
「自分の主張と違うことを伝える時も、業務に対応できるか」
などと質問し、適性を確認していた。
採用に関わった職員は
「人柄は温厚そうで、勉強熱心」
との印象を抱いていた。
職場での男性は口数が少なく、同僚の職員やスタッフはプライベートをほとんど把握していなかった一方、翻訳の方針や待遇への不満を訴えることがあった。
尖閣諸島を例に挙げて
「翻訳業務を拒否できるか」
などの質問をしていたという。
今回の調査結果では、男性が別の名前を使って、香港系の中国メディアで記事や音声リポートなどを発信していたことが確認された。
中には、東京電力福島第1原子力発電所の処理水について、日本政府が使っていない
「核汚染水」
という表現を使って報道していたこともあった。
もっと男性の発言や主張に注意を払っていれば、放送テロ≠防げたのではないか。
公安関係者は今回の件について、中国メディアの大半が初報のみという小さな扱いだったこともあり、
「あくまで個人の行為であって、政府の指示を受けた発言ではないだろう」
と指摘する。

中国事情に詳しいジャーナリストの奥窪優木氏は
「日本で長く暮らしていたのに反日感情を抱き続けていたことに不気味さを感じる」
と述べた上で、
「習近平政権下では反日教育が激化しており、同様の事案が今後も起きないかが心配だ」
と話す。
NHKとその関連団体では、特定の国籍を理由とした不採用は禁じられている。
NHKは今回の件を受け、契約を結んでいる外国人スタッフに、不安や不満などを抱いていないか個別の面談を実施。
勉強会などを通じて、国際放送で業務を担う上でのルールや方針を守ることについて周知徹底するとしている。

NHK「緊張感欠いた」と稲葉延雄会長 中国スタッフの尖閣発言問題で担当理事が引責辞任
2024/9/10 22:51
https://www.sankei.com/article/20240910-QFI2YSQ5XNNQRDXXDBU6SMMXMI/
NHKのラジオ国際放送で男性スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
と主張し
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
などと発言していた問題で、NHKの稲葉延雄会長らが10日記者会見し、国際放送担当の傍田賢治理事が責任を取って同日付で辞任すると発表した。
稲葉氏や井上樹彦副会長ら役員4人は月額報酬50%を1カ月、自主返納する。
役員の引責辞任は、記者らによるインサイダー取引問題で当時の橋本元一会長らが辞任した平成20年以来。
この他、国際放送局長ら5人を減給などの懲戒処分とした。
稲葉氏は
「放送法で定められた責務を果たせず、極めて深刻な事態であり深くお詫び申し上げる」
と謝罪。
激変する世界情勢の安全保障上の観点から
「危機意識が高まってしかるべきだったが、ラジオ国際放送の現場では緊張感が欠けていた」
と述べた。
NHKによると、男性は48歳の中国籍。
2024年8月19日の放送で、靖国神社で落書きが見つかったニュースを報じた後、約20秒間原稿にない発言をした。
調査結果によると、男性は
「日本の国家宣伝のためにこれ以上個人がリスクを負えない」
と述べた。
また、以前から報酬や働き方など待遇の不満をNHKの職員に伝えていた。
過去3カ月分の放送では、男性による原稿にない発言はなかったが、それ以前は記録がなく不明だという。
問題発言の際、マイクの音量を下げるなどの対応が取れなかったことも問題視。
職員への緊急対応訓練や放送の事前収録などの再発防止策をまとめた。

尖閣発言問題「NHKの存在意義を揺るがす」稲葉会長ら役員報酬自主返納、理事1人辞任
2024/9/10 18:08
https://www.sankei.com/article/20240910-IVF63NULLFIQHPTI4XHUCG2BGM/
NHKのラジオ国際放送で中国籍の男性スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
などと主張した問題で、NHKは10日、
「NHKの存在意義を揺るがす極めて深刻な事態である」
として、稲葉延雄会長以下役員4人が役員報酬月額50%(1カ月)を自主返納し、男性と契約していたNHKグローバルメディアサービスの元社長の傍田賢治理事が同日付で辞任すると発表した。
NHKグローバルメディアサービスでは、神田真介代表と馬場広大専務が役員報酬月額30%(1カ月)を自主返納。
NHK国際放送局の天川恵美子局長を減給、同局の職員4人を懲戒処分とした。
NHKの調査によると、2024年8月19日昼のラジオニュースで男性スタッフは約20秒に渡って
「釣魚島(尖閣諸島の中国側呼称)と付属の島は古来、中国の領土だ」
と中国語で発言。
更に英語で
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった」
などと主張した。
NHKグローバルメディアサービスは2024年8月21日に男性スタッフとの契約を解除。
NHKは2024年9月9日、男性スタッフに対し
「法的措置により厳正に対処する」
として、東京地裁に損害賠償請求訴訟を提起した。

国民・玉木雄一郎代表、NHK「尖閣は中国」放送に「閉会中審査で事実関係明確にすべき」
2024/9/4 11:08
https://www.sankei.com/article/20240904-P4P5C6CQUVEFJPZP2H4HHZUTCQ/
国民民主党の玉木雄一郎代表は3日の記者会見で、NHKラジオ国際放送で中国籍の男性スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
と主張し
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
などと発言した問題について、国会の閉会中審査を開くよう求めていく考えを示した。
「委員会を開いて事実関係を明確にすべきだ」
「与党も野党も求めないのは極めて違和感を覚える」
と強調した。
一連の問題に関し、NHKの稲葉延雄会長は8月28、29日の衆参総務委員会理事懇談会で経緯を説明し、陳謝している。
玉木氏は会見で
「稲葉氏の説明ではスタッフと連絡が取れないという」
「代理店を通じて連絡を取っているということだが、その代理店にも連絡が付かないと聞いている」
と明かした。
その上で、
「NHKとして、どうやって経緯を確認して、再発防止するのか」
「中国政府と関係があったのかなど、まずは本人を聴取する必要がある」
「それができない状況では対策も取りようがない」
「本当に問題解決する気がNHKにあるのか極めて疑問だ」
と指摘した。
男性スタッフは8月19日の生放送で、尖閣諸島を
「古来、中国の領土」
「慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった」
などと原稿にない発言をした。
NHKの関連団体「NHKグローバルメディアサービス」と業務委託契約を結んでおり、NHKは21日付で契約を解除した。
その後、一部海外メディアは男性スタッフは中国に帰国したと報じている。

NHK尖閣発言の中国籍スタッフ 「バイトテロ」単独犯の見方、在日中国人は非難「最低」
2024/8/29 17:24
https://www.sankei.com/article/20240829-KJEG7B4QNVH6RCEHLF2NLQUAKI/
NHKのラジオ国際放送で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
と主張し
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
などと発言した中国籍の男性スタッフを巡っては、NHKの待遇面に不満を漏らしていたとされる一方、仕事ぶりは
「真面目」
と評されている。
アナウンス業務で中国の主張に沿った持論を展開するという極めて異例の事態だが、周囲の関係者は
「単独犯」
との見方を示している。
「愛国心を募らせていったか」
「仕事現場での評判は悪くなかった。腰は低く、言葉遣いも丁寧。だから仕事の指名も多かった」
男性スタッフを15年近く知る在日中国人の男性はこう語る。
派遣ホームページ(HP)や関係者によると、男性スタッフは49歳。
中国・天津の大学で英語を専攻し、20代で来日し、東京大大学院を修了した。
NHKの中国語ニュースで翻訳やアナウンス業務に関わるほか、企業や官公庁の中国向けビデオで中国語ナレーションも担当した。
香港の衛星放送フェニックステレビの東京支局でリポーターも務めたこともあり、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出が始まった2023年8月は現地でリポートを行っている。
在日中国人の男性は男性スタッフについて
「反日教育が強い時代に中国で育った世代で、元々愛国心は強かったのだろう」
「近年中国政府も(対外的に)横柄になったが、一般の中国人にとっては、日本政府も米国などに中国の脅威を『告げ口』するように映り、愛国心を募らせていったのではないか」
と述べ、NHKで給与など待遇が長年変わらないことなどへの不満も蓄積した結果、突発的に行動に出たとみている。
「在日中国人は日本で世話になっているのに…」
男性スタッフは23日に出国し、東京都内の団地の住居の荷物はそのままだという。
この問題を取材する在日外国人事情に詳しいライターの奥窪優木氏も
「バイトテロの可能性が高い」
と指摘した。
一方、NHKで中国語放送を一緒に担当していた在日中国人女性は、男性スタッフについて、
「『尖閣諸島は日本の領土だ』と日本政府の見解をアナウンスすることに身の危険を感じていた可能性はある」
「彼はおとなしいので余計に恐怖を感じていたかもしれない」
と振り返る。
中国人スタッフの多くはアナウンス業務に就く際、
「芸名」
を使うという。
本名を明かすと中国で実名が特定され、SNSなどで個人情報が公開される恐れがあるためだ。
実際、男性スタッフも芸名を使って仕事を募集していたケースもあった。
中国のSNS『微博(ウェイボ)』には今回の男性スタッフの行為について、職務違反を問題視する声に加え、
「中国民族の英雄だ」
「彼こそが本物の中国人」
などと賛美するコメントも寄せられている。
男性スタッフを知る在日中国人の男性は
「ウェイボで英雄視されるのかもしれないが、あの手法は知識人ではない」
「人としてどうなのか」
「ビジネス上は最低だ」
「経営者だったら雇わない」
と述べ、
「我々在日中国人にとって迷惑だ」
「(在外中国人に有事に中国政府の支持に従うよう義務付けた)国防動員法に絡み不安を煽る声もあるが、心外だ」
「在日中国人の多くは日本で家族と暮らし、中国より日本に世話になっている」
「人間として(発動されても)やるわけがない」
と語った。

NHK尖閣発言の中国籍スタッフ「待遇が不満」と漏らす すでに中国に帰国か
2024/8/28 17:46
https://www.sankei.com/article/20240828-OHNWZBAMJBLC5IT3IAZGXM73CE/
NHKのラジオ国際放送で、中国籍の男性スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
と主張し
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
などと発言していた問題で、この男性が周囲に待遇面での不満を漏らしていたことが28日、関係者への取材で分かった。
こうした不満が発言の一因になった可能性がある。
一方、男性のものとみられる交流サイト(SNS)には、中国に帰国したとの書き込みがあり、NHKが検討する損害賠償請求や刑事告訴が困難になる恐れもある。
男性を知る複数の関係者によると、このスタッフは40代後半で中国・山西省の出身。
日本に留学し、東京大大学院を修了したと話していた。
平成14年からNHKの中国語ニュースで翻訳やアナウンスなどの業務を担当し、30年以降はNHKグローバルメディアサービスと業務委託契約を結んで同様の業務を継続。
官公庁の中国語ナレーションや、香港の衛星放送フェニックステレビの東京支局でリポーターなども務めた。
NHKのニュース現場で同僚だった関係者によると、男性はNHKでの待遇が変わらないことに度々不満を漏らし、日中間の懸案について日本の立場のニュースを読むことに恐怖を感じていた様子もあったという。
中国のインターネットで個人情報が晒されるなどのリスクがあるためで、男性は待遇やリスクなどについてNHKの担当者に相談したこともあったが、返事をもらえずに余計に不満を募らせたという。
関係者は
「本来、日本の文学や古典が好きな温厚な人なのに、積もり積もった不満が引き金を引いたのではないか」
と語った。
一方、中国のSNS「微博(ウェイボ)」には男性のものとみられるアカウントがあり、26日に
「ゼロになり帰ってきた」
「平安で思うことはない」
「全ては22秒の中に凝縮された」
などと、帰国したことをほのめかす書き込みがあった。
中国メディアはこれを報じており、日本の公安関係者は
「現時点で中国メディアは事実だけを淡々と伝えているが、ネット上の書き込みには英雄視するものもあり、今後どう転ぶか予断を許さない」
と分析する。
NHKは28日、男性がフェニックステレビに出演していたことについて
「今回の事案発覚までに把握できていなかった」
と明らかにした。
一方、フェニックステレビ東京支局は
「男性は社員ではなく臨時で仕事を依頼していたが、現在は業務委託の関係はない」
「NHKでの出来事は一切、関わりがない」
とコメントした。
NHKは男性に対して損害賠償請求のほか、刑事告訴も検討している。
この問題についてNHKから説明を受ける自民党情報通信戦略調査会に所属する議員は
「帰国してしまえば実質的に請求は難しいし、刑事告訴などは、かえって男性を英雄に祭り上げてしまう恐れもある」
「対応が極めて難しい」
と漏らした。

NHK国際放送「尖閣は中国領土」、発言の中国籍40代男性は帰国か 海外メディア報じる
2024/8/28 13:52
https://www.sankei.com/article/20240828-CDR6MYFICBDOTDGSMZF2HYZCGA/
NHKラジオ国際放送で外部スタッフの中国籍の40代男性が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
と主張し
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
などと発言した問題を巡り、一部中国メディアが契約を解除された外部スタッフが中国に帰国したとの見方を報じている。
シンガポールの新民日報は
「『釣魚島は中国領土』と台本を外れた元NHK中国放送キャスターが中国に帰国」
と報道。
中国の短文投稿サイト
「微博(ウェイボ)」
で外部スタッフとみられるアカウントが26日午後1時過ぎに投稿した
「過去も現在も未来も、すべての真実が22秒に凝縮されている」
「自分が前に出ることを選んだ以上、冷静に向き合わなければいけない」
などとするメッセージを紹介した。
投稿には中国に帰国する直前とみられる航空機内からの写真も添えられている。
NHKによると、外部スタッフは平成14年から日本語でニュース原稿を中国語に翻訳してラジオで読み上げる業務を担当。
今月19日午後の生放送で尖閣諸島を
「古来、中国の領土」
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった」
などと約20秒間、原稿にない発言をした。
NHKの関連団体「NHKグローバルメディアサービス」と業務委託契約を結んでおり、NHKは21日付で契約を解除。
損害賠償や刑事告訴を検討していた。

松本総務相「公共放送としての使命に反する」 NHK中国語ニュース不適切発言を受けて
2024/8/27 11:27
https://www.sankei.com/article/20240827-5EBER5TVVJIVXLJO2QXLNQ7424/
NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国人スタッフが不適切な発言をした問題を巡り、松本剛明総務相は27日の閣議後記者会見で、
「公共放送としての使命に反する」
と批判した。
NHKによると、19日午後の生放送で、中国籍の外部スタッフが尖閣諸島を
「古来から中国の領土」
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
など日本政府の見解とは異なる不適切な発言をした。
これを受けて、外部スタッフと業務委託契約を結ぶ関連団体を通じて本人に厳重に抗議し、21日付で契約を解除した。
刑事告訴の検討や損害賠償請求についても明らかにしている。
中国語を含む17言語で生放送から事前収録への切り替えを進めており、今後は人工知能(AI)音声の導入も検討するという。
松本氏は
「事実関係を正確に把握するとともに、原因究明、再発防止策を着実に行うよう求めたい」
と述べた。

NHK、中国籍外部スタッフの尖閣発言問題で5分間の謝罪放送 「極めて深刻な事態」
2024/8/26 18:26
https://www.sankei.com/article/20240826-NZA3VVOCQNFX5HJPFRF3FL2264/
NHKのラジオ国際放送で中国籍の外部スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)について
「中国の領土」
と主張し、
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」
と発言していた問題で、NHKは26日、午後5時50分から5分間の謝罪番組を放送した。
番組では女性アナウンサーがラジオで放送した内容は日本政府などと異なる見解であったと説明し、放送法の定めるNHKの国際番組基準に抵触するとして
「極めて深刻な事態であり、深くおわび申し上げます」
と陳謝した。
また、今後は録音して放送したりAI(人工知能)を活用したりするなど事前チェックを強化する対応策も伝えた。
問題の放送は19日に行われた。
NHK短波ラジオと衛星ラジオの国際放送、ラジオ第2放送で午後1時過ぎから放送した中国語ニュース番組で、40代の男性スタッフが東京都千代田区の靖国神社で中国語とみられる落書きが見つかったニュースを伝えた後、原稿にない発言を約20秒行った。
スタッフはNHK関連団体と業務委託契約を結んでおり、NHKは21日付で契約を解除している。

「軍国主義」「死ね」と原稿を改変 NHK中国籍外部スタッフの尖閣発言問題
2024/8/25 23:10
https://www.sankei.com/article/20240825-5BZKO4SDEZL6ZLXDDZ4FGU5CMM/
NHKのラジオ国際放送で中国籍の外部スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)について
「中国の領土」
と主張し
「南京大虐殺を忘れるな」
「慰安婦を忘れるな」
と発言していた問題で、NHKは25日、このスタッフが靖国神社で中国語とみられる落書きが見つかったニュースを伝えた際、原稿にはない
「『軍国主義』『死ね』などの抗議の言葉が書かれていた」
との文言を一方的に付け加えていたと明らかにした。
問題の放送はNHK短波ラジオと衛星ラジオの国際放送、ラジオ第2放送で19日午後1時過ぎから放送した中国語ニュースの番組。
靖国神社で落書きが見つかり警視庁が器物損壊事件として捜査しているというニュースを伝えた際、原稿は
「落書きにはトイレを意味する言葉が書かれていた」
だったが、外部スタッフは
「落書きにはトイレ、軍国主義、死ねなどの抗議の言葉が書かれていた」
と発言していた。
また、NHKは22日に明らかにした外部スタッフの発言内容に漏れがあったことも公表した。
発言内容として
「NHKの歴史修正主義とプロフェッショナルでない業務に抗議します」
と発表していたが、実際には
「NHKの歴史修正主義宣伝」
と述べていた。
視聴者から指摘があり改めて発言内容を精査したところ、原稿を付け加えていたことを含めて判明したという。
NHK広報局の担当者は
「確認が徹底されていなかった」
と説明した。

NHK「取り返しの付かない失態」と識者 チェック体制に疑問、発言詳細は当初明言せず
2024/8/22 20:44
https://www.sankei.com/article/20240822-FGAH4NOQBJIKLHBXXOG3Y2ARAE/
NHKのラジオ国際放送で中国籍スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
と述べ、さらに
「南京大虐殺を忘れるな」
などの主張が日本の公共放送で流れたことが22日、明らかになった。
識者は
「取り返しの付かないNHKの失態だ」
と事態の深刻さを指摘する。
「国民から受信料を徴収し、政治的中立をうたっているNHKが、なぜ中国の偏った政治的主張をやすやすと放送させてしまったのか」。
麗澤大の川上和久教授(政治心理学)は疑問を呈す。
NHKの国際番組基準は
「わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解(中略)を正しく伝える」
と規定。
尖閣諸島は日本固有の領土であり、領有権の問題は存在しないというのが日本政府の立場だ。
また、
「性奴隷」
という表現も政府は事実に反するので使用すべきでないとの公式見解を示している。
NHKは問題発覚当初、スタッフの尖閣諸島を巡る発言以外の部分について明言を避けていた。
また、平成14年から務めていたスタッフにこれまで問題発言はなかったのか、政治的背景の有無なども不明のままだ。
NHKは番組を事前収録にするといった再発防止策を打ち出したが、川上教授は
「国際放送のチェック体制はどうなっていたのか」
「今回の放送の責任は国会の場で追及すべきだ」
と話している。

NHKラジオ国際放送で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」中国籍スタッフが発言
2024/8/22 17:23
https://www.sankei.com/article/20240822-HOCBMBNMAFNV7OAPYBOTITGU3Q/
NHKのラジオ国際放送で中国籍の40代男性外部スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)について
「中国の領土」
などと述べていた問題で、スタッフが
「南京大虐殺を忘れるな」
「慰安婦を忘れるな」
などと英語で発言していたことが22日、分かった。
NHKの稲葉延雄会長が同日開かれた自民党情報通信戦略調査会で明らかにした。
稲葉会長は調査会終了後、報道陣に
「国際番組基準に抵触する極めて深刻な事態だと受け止めている」
と謝罪。
今後については
「副会長をトップとする検討体制を設けて原因究明を行い、関係した役職員の責任を問うとともに、再発防止策の確定を急ぎたい」
と述べた。
調査会の大岡敏孝事務局長は
「NHKの調査状況が不十分なので、改めて調査会を開いて説明の場を作りたい」
と述べた。
問題の放送は19日に行われ、NHKの短波ラジオと衛星ラジオの国際放送、ラジオ第2放送で午後1時1分から15分まで伝えた中国語のニュース番組の中で、男性スタッフが
「靖国神社で落書きが見つかり、警視庁が器物損壊事件として捜査している」
というニュースを伝えた後、原稿にない発言を約20秒行った。
スタッフはNHKの関連団体と業務委託契約を結び、ニュース原稿の中国語への翻訳と読み上げを平成14年から担当していた。
問題発覚後、スタッフは
「代理人を通じて対応する」
としており、動機や背景についてNHKは現時点で不明としている。
NHKが明らかにしたスタッフの発言全文は以下の通り。
(中国語)
「釣魚島と付属の島は古来から中国の領土です。NHKの歴史修正主義とプロフェッショナルではない業務に抗議します」
(英語)
「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」

「極めて深刻に受け止めている」NHK会長、国際放送で尖閣「中国の領土」発言を陳謝
2024/8/22 17:23
https://www.sankei.com/article/20240822-HOCBMBNMAFNV7OAPYBOTITGU3Q/
NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフが沖縄県・尖閣諸島について
「中国の領土」
などと原稿にない不適切な発言をした問題に関し、NHKの稲葉延雄会長は22日、自民党の情報通信戦略調査会(野田聖子会長)で陳謝した。
稲葉会長は調査会終了後、取材に対し
「極めて深刻に受け止めている」
「国民の皆さまに改めておわびする」
と述べた。
発言があったのは19日午後1時過ぎからの放送。
日本語の原稿を翻訳し、ニュースを読み上げる業務を担当する40代の男性外部スタッフが靖国神社で落書きが見つかったニュースを報じた後、約20秒間にわたり原稿にはない発言を行った。

国民・榛葉氏「情報戦ではないか」「おわびで済まない」 NHKの「尖閣は中国」放送 
2024/8/22 15:51
https://www.sankei.com/article/20240822-AXPLMTTHGZCPREK5F3I4DBJ3EI/
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は21日の記者会見で、NHKが国際放送で尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
と伝えた問題について、
「わが国の公共放送がこういうことを世界に発信したというのは、決しておわびで済む問題ではない」
と述べ、過去に同様の事例があったのかどうか説明するよう求めた。
NHKは問題の放送の後、
「ニュースと無関係の発言が放送された」
などと謝罪したが、榛葉氏は
「ニュースと無関係な発言が放送されたという次元ではない」
と述べ、
「中国の三戦『世論戦、心理戦、法律戦』が始まっているのではないか」
「意図的にやったと思われても仕方がない」
と語った。
「三戦」
は中国が2003年に政治工作条例で採用した心理的側面に政治工作からアプローチする情報戦。
NHKによると、NHKの関連団体が業務委託契約を結んでいる中国籍の40代男性スタッフがニュース原稿を読み上げる際に、原稿にない発言を行ったという。
男性スタッフは平成14年から日本語のニュース原稿を中国語に翻訳してラジオで読み上げる業務を担当していたという。
この問題を受けて、NHK側は21日、同党の玉木雄一郎代表に対し国際放送全体のあり方を見直すなどと再発防止策を説明している。

NHK幹部「国際放送全体見直す」「関係者処分」国民・玉木氏に釈明 「尖閣は中国」放送
2024/8/22 11:34
https://www.sankei.com/article/20240822-RDJFNMYJYVF6FP25THMA253VHQ/
NHK幹部は21日、ラジオの国際放送で尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
と伝えた問題を受けた対応として、
@関係役職者の処分
A録音放送やAI(人工知能)アナウンサーの導入など事前チェックの強化
B38億円の国費が投じられる国際放送全体の在り方の見直し
の方針を国民民主党の玉木雄一郎代表に説明した。
玉木氏が22日、X(旧ツイッター)で経緯を明らかにした。
NHKは19日、ラジオの国際放送で中国籍の外部スタッフが尖閣諸島について
「中国の領土である」
などとニュース原稿にない発言を約20秒にわたって行い、NHKは同日夜、
「ニュースとは無関係の発言が放送されたことは不適切であり、深くおわび申し上げます」
と謝罪していた。
玉木氏はNHK幹部に対し
「二度と同じことが起きないよう厳正な対処を要請」
した上で、
「『尖閣が中国の領土』であるとの放送は、『不適切な放送』ではなく、わが国の主張に反する『間違った放送』だ」
と指摘し、NHK幹部は
「今後『不適切な放送』という言い方はしない」
と約束したという。
玉木氏は20日の記者会見でNHKの今回の放送について
「厳正に対処すべき案件」
と問題視し、国会の場でNHK側に経緯説明を求める考えを示していた。

石垣市の中山義隆市長、NHKに「再発防止策の徹底を」 国際放送「尖閣は中国領土」で
2024/8/21 11:20
https://www.sankei.com/article/20240821-JA4OOWOHMJE6LBHBPVN4UDESOA/
沖縄県石垣市の中山義隆市長は20日、NHKの稲葉延雄会長に対し、NHKが19日の国際放送で尖閣諸島(同市)について
「中国の領土」
と伝えた問題を巡って、
「誠に遺憾であり、再発防止策の徹底を強く求める」
とする要請文を送った。
NHKは19日、同日午後1時過ぎ、短波ラジオなどの国際放送とラジオ第2放送で伝えた中国語のニュースで、NHKの関連団体が業務委託契約を結んでいる中国籍の40代の男性スタッフが、尖閣諸島について
「中国の領土である」
と原稿にない不適切な発言を約20秒間にわたって行ったと発表した。

<主張>尖閣を「中国領」 NHKは問題放送猛省を
社説
2024/8/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20240821-XSL426HCA5LQZNPMIMA7BOMHPM/
NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュース番組で尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国領」
と述べるなど虚偽の不適切な発言が放送された。
ニュースを読む中国人の外部スタッフが原稿にない無関係な発言をしたという。
公共放送がジャック(乗っ取り)されるという、あってはならない犯罪である。
経緯などの究明と再発防止の徹底が必要だ。
NHKによると、問題の発言は19日午後1時ごろから放送されたラジオ国際放送とラジオ第2放送の中国語ニュースの中であった。
男性スタッフが、靖国神社に落書きがあったというニュースを読んだ後、尖閣諸島は
「中国の領土である」
などと、原稿にない発言を約20秒にわたって行ったという。
尖閣は日本固有の領土であり、中国側が宣伝する虚偽が発信されたことは看過できない。
石垣市がNHKに再発防止を要請したのはもっともだ。
このスタッフはNHKの関連団体が業務委託契約を結んでいる中国籍の40代男性で、平成14年から日本語のニュースを中国語に翻訳して読み上げる業務を担当していた。
番組制作スタッフが気づき問題が発覚した。
同局は関連団体を通じて男性に厳重抗議し、関連団体は男性との契約を解除する方針というが、それだけで十分なのか。
NHKは19日夜、
「ニュースとは無関係の発言が放送されたことは不適切であり、深くおわびする」
と謝罪した。
再発防止のため事前収録を検討するというが、おわびや小手先の防止策で済まさず、不適切発言が放送された責任を重く受け止めるべきだ。
過去に同種事案がなかったかを含め調査も必要だ。
約20秒という時間は放送では決して短時間とはいえない。
仮に災害など有事の際に、虚偽情報がまき散らされたら、どうなるか。
今回の問題を軽く見てはならない。
放送ジャックは、公正な放送を行う放送法違反のほか、業務妨害などの犯罪行為であると厳しく認識し、対処すべきだ。
不適切発言が流れた国際放送は、国際化の中で政府の見解や日本の文化などについて海外に正しく情報発信するため重視され、国の交付金も出されている。
国会でも原因究明や再発防止を審議する必要がある。

NHK ラジオ国際放送などで不適切発言 尖閣諸島などで
2024年8月19日 21時51分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240819/k10014553331000.html
19日午後、NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースの中で、原稿を読んでいた中国籍の外部スタッフが、沖縄県の尖閣諸島などについて、原稿にはない不適切な発言を行いました。
NHKは、このスタッフと業務委託契約を結んでいる関連団体を通じて本人に厳重に抗議しました。
また関連団体は、本人との契約を解除する方針です。
19日午後1時すぎから、NHKの短波ラジオなどの国際放送とラジオ第2放送で伝えた中国語のニュースの中で、日本語の原稿を翻訳して読んでいた外部スタッフが、ニュースを伝えたあとに、沖縄県の尖閣諸島について、中国の領土であると述べるなど、原稿にはない不適切な発言を行いました。
このスタッフは、NHKの関連団体が業務委託契約を結んでいる中国籍の40代の男性で、日本語の原稿を中国語に翻訳してラジオで読み上げる業務を担当しています。
NHKは関連団体を通じて本人に厳重に抗議しました。
また関連団体は本人との契約を解除する方針です。
NHKは
「ニュースとは無関係の発言が放送されたことは不適切であり、深くお詫び申し上げます。再発防止策を徹底します」
とコメントしています。

国民・玉木代表、NHKに「実態調査を行い国会で報告を」 国際放送で「尖閣は中国領土」
2024/8/20 17:59
https://www.sankei.com/article/20240820-LP3EC5AEVVEFDP6EE6TNBEKVIY/
国民民主党の玉木雄一郎代表は20日の記者会見で、NHKが19日の国際放送で尖閣諸島(沖縄県石垣市)を
「中国の領土」
と伝えた問題について、
「わが国の立場と全く相いれない主張を、日本の公共放送であるNHKが行ったことは重大な問題だ」
「速やかに実態調査を行って国会や国民に報告を求めていきたい」
と述べ、国会の場でNHK側に経緯説明を求める考えを示した。
玉木氏は
「(NHKは)過去に同じようなことがなかったのかを含めて徹底調査をして、厳正に対処すべき案件だ」
と強調した。
NHKの発表によれば、NHKと業務契約を結ぶ関連団体が業務契約を結ぶ中国籍の40代の男性スタッフが19日午後1時過ぎに短波ラジオなどの国際放送などで、ニュース原稿を中国語で読む中、尖閣諸島について
「中国の領土である」
と原稿にない発言を行ったという。
NHKは関連団体を通じ男性スタッフに抗議し、関連団体は男性との契約を解除するという。

NHKラジオ国際放送で“不適切な発言” 中国籍の外部スタッフが尖閣諸島を「中国の領土」→契約解除へ
2024/8/19 22:30
https://www.sankei.com/article/20240819-6XYHICNFWJNI5N6UTCTS4LKJS4/
19日放送のNHK『ニュースウオッチ9』(後9:00)では、ラジオ国際放送などの中国語ニュースにおいて、中国籍の外部スタッフが不適切な発言を行ったと伝えた。
番組では
「ラジオ国際放送などの中国語ニュースの中で、原稿を読んでいた中国籍の外部スタッフが、沖縄県の尖閣諸島などについて、原稿にはない不適切な発言を行いました」
と紹介。
「NHKは、このスタッフと業務委託契約を結んでいる関連団体を通じて、本人に厳重に抗議しました。また、関連団体は本人との契約を解除する方針です」
と明かした。
具体的な事例にも触れ
「きょう午後1時過ぎから、NHKの短波ラジオなどの国際放送と、ラジオ第2放送で伝えた中国語のニュースの中で、日本語の原稿を翻訳して読んでいた外部スタッフが、ニュースを伝えた後に、沖縄県の尖閣諸島について中国の領土であると述べるなど、原稿にはない不適切な発言を行いました。このスタッフはNHKの関連団体が業務委託契約を結んでいる中国籍の40代の男性で、日本語の原稿を中国語に翻訳してラジオで読み上げる業務を担当しています」
と続けた。
その上で
「NHKは関連団体を通じて本人に厳重に抗議しました。また関連団体は本人との契約を解除する方針です。NHKは『ニュースとは無関係の発言が放送されたことは不適切であり深くお詫び申し上げます再発防止策を徹底します』とコメントしています」
と締めくくった。

NHK国際放送で「尖閣諸島は中国の領土」 中国人外部スタッフが不適切発言、NHK抗議
2024/8/19 21:58
https://www.sankei.com/article/20240819-IPZBULX4OFJ4LD3AGUEZB72P4M/
NHKは19日、同日午後1時過ぎから短波ラジオなどの国際放送とラジオ第2放送で伝えた中国語のニュースの中で、外部スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)について
「中国の領土である」
と述べるなど、ニュース原稿にはない不適切な発言を約20秒間にわたって行ったと発表した。
NHKによると、このスタッフはNHKの関連団体が業務委託契約を結んでいる中国籍の40代男性で、平成14年から日本語のニュース原稿を中国語に翻訳してラジオで読み上げる業務を担当していた。
NHKは関連団体を通じて男性に厳重に抗議し、関連団体は男性との契約を解除する方針。
ニュースは午後1時1分から15分まで放送され、9項目のうち8つ目で、東京都千代田区の靖国神社に中国語とみられる落書きがあったことを報道。
男性はニュースを読んだ後、原稿にない発言を行ったという。
番組制作スタッフが気づき問題が発覚。NHKは尖閣諸島以外の発言内容を明らかにしていない。
動機は不明だが、NHKは男性についてこれまで不規則発言は確認されていないとしている。
NHKは同日夜、
「ニュースとは無関係の発言が放送されたことは不適切であり、深くおわび申し上げます」
と謝罪。
番組を制作する国際放送局は今後、生放送のニュースを事前収録にすることを検討しているという。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/630.html#c42

[戦争b25] トランプ政権もバイデン政権と同様、正確な状況判断ができず、苦境に陥る可能性(櫻井ジャーナル) 赤かぶ
33. 秘密のアッコちゃん[1343] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月15日 16:11:09 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[781]
<■330行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>米露停戦交渉 ウクライナの立場尊重を
社説
2025/2/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20250215-NK6COJEWMFMK7I34A4VFJ3TKKI/
今月2025年2月24日で3年を迎えるロシアのウクライナ侵略を巡り、トランプ米大統領とプーチン露大統領が停戦交渉の開始で合意した。
両首脳は遠からずサウジアラビアでの直接会談に臨むという。
第二次大戦以来最大規模の欧州での戦争終結に向けて外交が動き出したが、トランプ氏の仲介には危うさがある。
ウクライナの頭越しにロシアと協議を進め、多大な譲歩を強いる恐れがあることだ。
国連憲章に反し、自らの野望と力によって隣国の領土を蹂躙しているのは、プーチン氏である。
まずは占領地からの露軍撤退を強く迫ることが、交渉の出発点でなければならない。
だがトランプ氏は、ロシアが一方的に併合した南部クリミア半島を含む2014年以前の領土をウクライナが回復する可能性は低いとの認識を示した。
侵略の起点は
「2014年」
だという意識でウクライナ国民は祖国防衛に結束してきた。
その立場を軽んじる発言だ。
トランプ氏は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟は非現実的とも語った。
プーチン氏の罪は問わず、その利を汲む宥和的な態度が露骨だ。
プーチン氏はトランプ氏に、戦争の根本的な
「原因の除去」
が不可欠ともクギを刺した。
ウクライナに民主主義陣営の一員として平和と繁栄を希求する意思を放棄させ、露の属国とすることが、真意だ。
事実上の降伏を狙うプーチン氏との拙速な停戦合意は、次の侵略のゴーサインになりかねない。
トランプ氏が駆使すべきディール(取引)とは、ウクライナに軍事支援停止をちらつかせ、領土割譲を呑ませることではない。
プーチン氏の不当な要求をかわし、ウクライナの主権と領土の一体性を尊重することにある。
露軍が占領を続ける一部領土の主権まで放棄させるような妥協は許されない。
プーチン氏の再侵略を抑止する意味でも、ウクライナへの安全の保証は最重要の課題だ。
カギとなる平和維持部隊を派遣するのは欧州の責任である。
ロシアを支える中国や北朝鮮も交渉の帰趨を注視する。
力による現状変更を追認すれば、法の支配に基づく国際秩序は崩れ、中国は台湾併吞の野心を募らせるだろう。
日本は自国の安全保障と直結する課題として、停戦問題に関わるべきだ。

ウクライナ和平でトランプ政権の振り付け不発、バンス氏はゼレンスキー氏と会談 安保会議
2025/2/15 9:18
https://www.sankei.com/article/20250215-QBMX5WGNC5JY3KAXFJFFD3HWPY/
米国のバンス副大統領は14日、ドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議にあわせ、ウクライナのゼレンスキー大統領と会場近くで会談した。
トランプ米大統領は米露首脳会談に続き、今回の会議をウクライナ終戦への足がかりにしようとしたが、振り付け通りに事は進まなかった。欧州との溝の深さも露呈した。
■「3者協議」実現せず
ゼレンスキー氏との会談には米国からバンス氏のほか、ルビオ国務長官、ウクライナ・ロシア担当特使のケロッグ氏も参加。ゼレンスキー氏は会談後、
「よい会合だった」
と述べた。
「これが最後ではない」
として、協議継続の意欲を示した。
トランプ氏は安保会議を前に2025年2月13日、ミュンヘンで米国とロシアの代表団が2025年2月14日に会談し、ウクライナを招いて3者協議を行う構想を記者団に語っていた。だが、ロシア、ウクライナ双方が難色を示し、不発に終わった。
ロシアは、米露2国間の話し合いに持ち込みたい構え。
外務省報道官は、会議にロシアが招待されていないことを理由に、ミュンヘン行きの予定はないとした。
ゼレンスキー氏は2025年2月14日の安保会議で
「まず米国や欧州と共通の計画を固めるべきだ」
「ロシアと話すのは、それからだ」
と発言した。
「私はロシア側ではプーチン露大統領としか会わない」
とも述べた。
■平和部隊も欧州沈黙
ウクライナの停戦後、同国の安全を保証する平和維持部隊構想についても、論議は不発だった。
平和維持部隊について、ヘグセス米国防長官は2025年2月12日、ブリュッセルでの会合で欧州を中心に組織すべきだと主張していた。
構想はマクロン仏大統領が昨年2024年提唱したものだが、フランスは反応しなかった。
マクロン氏は会議に合わせて英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューに応じ、部隊派遣は
「適切で現実的な計画を交渉すべきだ」
と発言するにとどめた。
欧州では停戦後のウクライナの安全確保、部隊派遣やロシア占領地の扱いを、交渉のカギと位置付けている。
トランプ政権が、交渉開始前にロシア寄りの立場を示したことに不満は強い。
ピストリウス独国防相は会議で、ヘグセス氏がウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を排除したことに対し、
「本来は和平交渉で話し合うべきだ」
と怒りを示した。
■異なるシグナル
米国側の発言も一貫性を欠く。
ヘグセス氏は2025年2月12日、ウクライナへの米軍派遣を正面から否定した。
だが、バンス氏はロシアが和平に応じない場合、軍事的圧力を加える可能性を示した。
米紙ウォールストリート・ジャーナルで、ウクライナへの米軍派遣という選択肢を
「検討中」
とし、
「経済面だけでなく、軍事的な手段もある」
と強調した。
こうした動きを睨み、リトアニアのナウセーダ大統領は、欧州は長期戦で臨むべきだとの構えを示した。
最初のトランプ政権時代にもNATOで米欧は対立したと振り返り、
「結局、我々は共に重要な決断をするに至った」
「反応は焦るべきでない」
と述べた。

バンス米副大統領、欧州に防衛負担増求める ゼレンスキー氏と会談へ ミュンヘン安保会議
2025/2/15 0:08
https://www.sankei.com/article/20250215-5SXY3L5YA5IMNHGNHJDZQFHMAY/
米欧や日中韓など各国の首脳や閣僚が集うミュンヘン安全保障会議が2025年2月14日、ドイツで開幕した。
2025年2月14日に登壇した米国のバンス副大統領は北大西洋条約機構(NATO)の欧州諸国に向け、
「米国によらずに防衛を担うことが大事だ」
と訴えた。
バンス氏はミュンヘンで、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談する予定。
ゼレンスキー氏は2025年2月14日、バンス氏との会談を前に記者会見を開き、交渉は欧州と連携して取り組む構えを示した。
トランプ氏はロシアを交えた3者協議構想を示していたが、
「まず米国や同盟国と話し、共通の立場を固めるべきだ」
「ロシアと話すのはそれからだ」
と発言。
米露による頭越しの妥結を牽制した。
ウクライナや欧州では、トランプ政権が停戦交渉前からロシアに歩み寄ったことに対して動揺が広がる。
ヘグセス米国防長官が2025年2月12日、
@ウクライナはNATOに加盟させない
Aロシアが併合したウクライナ領クリミア返還は求めない
などの米国の立場を明示したためだ。
ゼレンスキー氏は記者会見で、ウクライナが越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州の情勢にも言及。
最大3000人の北朝鮮兵がロシア側に追加投入される可能性があるとの見方を示した。
会議は3日間の日程で、日本から岩屋毅外相が出席する。
会議にあわせて2025年2月15日、先進7カ国(G7)外相会合が行われる。
日米韓3国の外相会合も予定されている。

トランプ大統領がロシア寄りの発言を連発 「G8」復活主張、ウクライナは交渉の「一部」
2025/2/14 11:35
https://www.sankei.com/article/20250214-PWCPDI4IQ5JAHJHPABGPLSP3WY/
トランプ米大統領が、自身が仲介に乗り出したロシアとウクライナの停戦交渉を巡り、ロシア側に肩入れしているとも受け取れる発言を連発している。
2025年2月13日には先進7カ国(G7)にロシアを加えた主要8カ国(G8)の枠組みを復活させるべきだと主張。
侵略した側のプーチン露大統領を
「平和を求めていると信じている」
とも称賛してみせた。
今後の交渉では、米露がウクライナのゼレンスキー政権の頭越しにディール(取引)を結ぶとの懸念が取り沙汰される。
この点についてトランプ氏は同日、ホワイトハウスで記者団に、ウクライナは交渉の
「一部」
だとし、一応は同国の関与を認める姿勢を強調した。
■NATO加盟は初めから否定的
その一方で、有力な交渉材料ともなり得るウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟の可能性については初めから否定的だ。
「ロシアの立場にある国が(ウクライナの)NATO入りを容認できるはずがない」
と指摘。
ヘグセス国防長官が2025年2月12〜13日、ウクライナのNATO加盟や、ロシアがウクライナ南部クリミア半島の併合を一方的に宣言した2014年以前の領土を同国が回復するのは
「非現実的だ」
などと述べたのは
「とても正確だった」
とした。
またトランプ氏は
「G8(の枠組み)が残っていればウクライナの問題は起きなかっただろう」
「ロシアに(G8に)戻ってきてほしい」
とも主張した。
■ロシアの政治宣伝に利用される恐れ
だが、実際にはロシアが2014年3月にG8から除外されたのは、現在に続く同国によるウクライナの主権と領土への侵害の起点となったクリミア併合が理由だ。
西側諸国の盟主である米国の大統領がこうした経緯を無視することは、ロシアのプロパガンダ(政治宣伝)に利用されるなどの隙≠ニなる恐れがある。
更にトランプ氏は、2022年2月のロシアによる全面侵攻は
「バイデン(前大統領)がウクライナはNATOに加盟できると言ったからだ」
として前政権を批判した。
しかし、バイデン政権は2021年の発足当初からNATOの門戸開放政策を維持する一方、加盟を熱望するウクライナには言質を与えない方針を貫いた。
トランプ氏の主張は根拠がなく、侵略の正当化にも繋がりかねない。
■ゼレンスキー氏よりプーチン氏優先
他にもトランプ氏は2025年2月12日のプーチン氏との電話会談について、周囲から
「プーチン氏の前にゼレンスキー大統領と話すべきだと助言された」
とした上で、
「私はそうは思わない」
とプーチン氏を優先したことを明らかにした。
2025年2月12日の交流サイト(SNS)への投稿でも
「ロシアとウクライナの人々に神の祝福を!」
と、ロシアを上位に置く配慮が際立つ。
交渉では、トランプ氏が掲げる
「力による平和」
が試されることになる。

ウクライナ、ミュンヘン安全保障会議で「ロシアと交渉しない」 米欧と合意形成を優先
2025/2/14 11:05
https://www.sankei.com/article/20250214-OTV4IN7PVZLT5PLRZ74F42Z5PM/
ウクライナのリトビン大統領広報顧問は2025年2月13日、ドイツ南部で2025年2月14日開幕するミュンヘン安全保障会議に合わせてウクライナとロシアの代表がウクライナ戦争の停戦に向けた協議を行う可能性を否定した。
地元メディアが伝えた。ロイター通信によると、これに先立ちトランプ米大統領は2025年2月13日、
「米露代表が2025年2月14日にミュンヘンで会談する」
「ウクライナも会談に招待されている」
と述べていた。
リトビン氏はウクライナの立場として
「まず米国や欧州各国と協議し、共通の合意を形成してからでなければロシアとの交渉には臨めない」
と説明。
現在はそうした合意がなく、
「ミュンヘンでロシアと交渉する見通しはない」
と述べた。
報道によると、トランプ氏は2025年2月13日、
「来週にはサウジアラビアでも米露が高官協議を開き、ウクライナも参加する」
と発言した。
ただ、実現するかは不透明だ。

米シンクタンク「プーチン氏に妥協の意思なし」 米露首脳会談巡り分析・評価相次ぐ
2025/2/14 9:32
https://www.sankei.com/article/20250214-R6PHRL2VJNOF5FFWVIIEEFXAWA/
2025年2月12日に行われたトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領の電話会談について、欧米諸国のシンクタンクやメディアは、ウクライナ戦争を巡ってプーチン氏に譲歩や妥協の意思がないことが改めて示されたと評価した。
トランプ氏が提唱する早期停戦の実現可能性を疑問視したり、欧米の結束の乱れを危惧したりする声も上がった。
一方、露国内では、会談は米国がロシアの立場を尊重し始めた証だとして歓迎された。
■ロシア「自国の意思と利益を強要」
米シンクタンク「戦争研究所」は2025年2月12日、プーチン氏が会談で、和平には
「紛争の根本原因」
の除去が不可欠だと述べたことに着目。
これは北大西洋条約機構(NATO)へのウクライナの加盟問題などを指すとした上で、プーチン氏の発言は
「ロシアが米国と欧州に自国の意思と安全保障上の利益(の尊重)を強要しようとしており、そのために妥協する気がないことを示している」
と指摘した。
戦争研究所はまた、ウクライナのゼレンスキー大統領が最近、将来的な停戦交渉でウクライナ軍が占領している露西部クルスク州の一部とウクライナ国内の露占領地域を交換する構想に言及したことに対し、複数の露高官が占領地の交換を完全否定したと説明。
この事実も
「プーチン氏は如何なる妥協にも関心がなく、ロシアの全ての要求が満たされる和平合意にのみ応じる」
とする観測の正しさを裏付けているとした。
■ロシアは高評価「高尚で礼儀正しい」
ウクライナメディアによると、英紙タイムズは2025年2月13日、プーチン氏はウクライナに和平の条件として南部クリミア半島と東・南部4州のロシアへの割譲やNATO加盟断念による
「中立化」
を求めていると指摘。
ロシアの要求は高く、
「トランプ氏がロシアの要求に完全に屈服することを避けつつ停戦を実現できるかは疑わしい」
と論じた。
他の欧米主要メディアも
「トランプ氏はプーチン氏に降伏した」
「米国はロシア孤立政策を放棄した」
「米露主導の交渉はウクライナや欧州にとって悪夢になる」
との見方を伝えた。
一方、ロシア側は会談を評価した。
タス通信によると、ラブロフ外相は会談が
「高尚で礼儀正しい2人」
により行われたと主張。
欧州の指導者らは見習うべきだとの考えを示した。
露下院外交問題委員会のニコノフ第1副委員長も
「会談は米国が現代世界でのロシアの重要性を理解していることを物語った」
と述べた。

トランプ政権のウクライナ和平交渉に「対露融和」「譲歩」と批判噴出 NATO国防相会合
2025/2/14 9:06
https://www.sankei.com/article/20250214-4GZL54HEPZLSTPAEST66C2SQRU/
ブリュッセルで13日開かれた北大西洋条約機構(NATO)国防相会合は、米露首脳がウクライナ戦争の和平交渉の早期実施で合意したことに関し、欧州の加盟国からトランプ米政権の取り組みが拙速な和平に堕することを懸念する意見が相次いだ。
対ウクライナ軍事支援で積極的な役割を果たしてきた欧州の頭越しに交渉の流れが作られたことへの不満も強く、今後も禍根を残しそうだ。
ロシアに欲しいものを全て与えている
会合に出席した欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表はNATO本部で記者団に
「交渉開始の前から(米国が)ロシアに欲しいものを全て与えているのはなぜか」
と疑問を呈し、トランプ米政権の取り組みは
「(対露)宥和政策だ」と
強い調子で批判した。
「その場しのぎの行動は不正な取引に繋がる」
とも指摘した。
ドイツのピストリウス国防相は、ヘグセス米国防長官がウクライナの領土を2014年の状態に回復することを和平合意に盛り込むのは
「非現実的だ」
と述べたことに対し、
「今の段階で米国がロシアに譲歩する必要はなかった」
と批判し、
「和平合意ではプーチン露政権の挑発行動を止められない」
と懸念を示した。
ウクライナや欧州が交渉当事者から外されることへの懸念も強い。
欧州とカナダは昨年、対ウクライナ軍事支援の約60%を負担しており、スウェーデンのヨンソン国防相は
「欧州が交渉に関与するのは当然だ」
と指摘した。
■NATO加盟「約束していない」
NATOのルッテ事務総長は閉幕後の記者会見で
「ウクライナは必ず和平交渉に参加する」
と強調しつつ、ウクライナが停戦後の安全を保証する策として切望するNATO加盟について
「和平合意の中にNATO加盟が盛り込まれるとは約束していない」
と述べ、同国のNATO加盟を否定したヘグセス氏に同調する立場を示した。
NATO高官は
「ヘグセス氏の発言は和平合意の内容に盛り込むかどうかを述べたもので、NATO加盟自体を否定するものではない」
との解釈を示した。
■ヘグセス氏「NATOを再び偉大に」
一方、ヘグセス氏は国際舞台で初の記者会見となる閉幕後会見で、ウクライナが領土を2014年以前の状態に回復できないのは
「戦況からも明らかな現実だ」
などと反論。
「トランプ大統領は地球上で最高の交渉者だ」
と主張して交渉の行方に自信を示した。
ヘグセス氏はまた、トランプ氏のスローガン
「米国を再び偉大に」
になぞらえて
「NATOを再び偉大にしなくてはならない」
と語り、欧州の加盟国が国防費を最大で国内総生産(GDP)比5%まで引き上げるなど、欧州の防衛強化に向けて応分の負担を担うことを改めて要求した。

ヘグセス米国防長官、ウクライナNATO加盟「非現実的」 平和維持へ米軍を派遣しない
2025/2/13 21:42

https://www.sankei.com/article/20250213-7ACPHSDGF5LWBL6VDIXLBEQZAM/
北大西洋条約機構(NATO)は2025年2月13日、ブリュッセルで国防相会合を開いた。
今回が初参加のヘグセス米国防長官は、ロシアに侵略されたウクライナのNATO加盟を否定する一方、ウクライナ支援でNATOの負担増を要求。
米国の戦略的資源を対中国に全面投入したい思惑からウクライナ戦争の幕引きと欧州安保からの離脱を急ぐトランプ米政権の下で、NATOの結束は早くも揺さぶられた。
NATOのルッテ事務総長は2025年2月13日、米露首脳がウクライナ戦争の終結交渉の早期開始で合意したことに関し
「交渉は恒久的な和平を実現させるものでなければならない」
とした上で、ウクライナがより
「強い立場」
で交渉に臨めるようNATOによる支援継続の重要性を強調した。
また、交渉の過程では
「ウクライナの密接な関与が不可欠だ」
と指摘した。
一方、ヘグセス氏は同日、
「ロシアの戦争機構に立ち向かうのは欧州の責任だ」
と述べ、欧州の加盟国に国防費の大幅な増額を求めた。
ヘグセス氏は2025年2月12日、ウクライナで停戦が実現した場合は同国への安全の保証が必要だと認めつつ、同国のNATO加盟は
「非現実的だ」
と一蹴。
ウクライナの平和維持活動をNATO任務とせず、欧州を中心とする有志国が軍を展開すべきだとし、米軍を派遣しないとも明言した。
ルッテ氏によると、NATO加盟国によるウクライナに対する2024年の軍事支援の総額が500億ユーロ(約7兆8千億円)を超えた。
支援額の半分以上は
「欧州の加盟国とカナダからの拠出だ」
としている。
ルッテ氏は
「ウクライナへの軍事支援を平等化すべきだとするトランプ米大統領の主張に同意する」
と強調しつつ、欧州の加盟国がウクライナ支援を既に実質的に牽引していることを訴えた。
NATOは昨年2024年7月の首脳会議で、2024年に400億ユーロ規模の軍事支援を供与すると表明。
ルッテ氏は支援の規模を維持したい考えだが、ヘグセス氏は
「米国の最優先課題は中国をインド太平洋地域で抑止することだ」
とし、米国が欧州の安全保障への関与を減らす立場を明確に打ち出した。

トランプ氏「まず停戦」 プーチン氏「降伏」による戦勝 ウクライナ和平、行方は不透明
2025/2/13 19:54
https://www.sankei.com/article/20250213-2FJAOA56DZNVNFT2XSN2IABW2Q/
2025年2月12日に行われたトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領の電話会談は、ウクライナ戦争の早期停戦を訴えたトランプ氏と、停戦よりロシアの安全確保が先決だとするプーチン氏の立場の隔たりを鮮明にした。
ウクライナに割く資源を中国抑止や国内政策に振り分けるためにも和平プロセスを急ぎたいトランプ氏の仲介が今後、どう進展するかはなお見通せない。
会談でプーチン氏は、早期停戦を訴えたトランプ氏に
「紛争の根本原因を除去することが不可欠だ」
とクギを刺した。
■譲歩否定のプーチン氏
プーチン氏が強調した
「紛争の根本原因」
の除去とは、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)への加盟を断念して
「中立化」
することや、最低限の防衛力しか保持せずに
「非軍事化」
すること、親欧米路線を放棄して
「非ナチス化」
することを指す。
プーチン氏はこれまでも
「単なる停戦では不十分で、永続的な平和を確立する必要がある」
「ロシアは目標の達成後にのみ停戦する」
とし、あくまでもウクライナの
「降伏」
による戦勝を達成する考えを示してきた。
今回のトランプ氏との会談は、安易な譲歩を否定するプーチン氏の姿勢を改めて浮かび上がらせた。
■米政権は停戦へ「圧力」
ただ、トランプ米政権は、ウクライナでの大統領選の実施などロシアの主張に一定の理解を示しつつ、追加対露制裁の発動やウクライナ支援の強化などの
「圧力カード」
もちらつかせてロシアを停戦交渉の席に着かせようとしていくとの観測が強い。
ロシアも戦闘の更なる長期化が死傷者の増加や国民不満の増大、経済への悪影響に繋がることを懸念しており、そうした弱みにトランプ氏が付け込んでロシアの譲歩を引き出せるかが今後の焦点となる。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領にとって最大の懸念は、米露両国がウクライナの頭越しに和平プロセスを進め、米国の支援が削減・停止されることだ。
このためゼレンスキー氏は
「ウクライナ支援は米国の利益にもなる」
と訴え、ロシアの主張を安易に聞き入れないようトランプ政権の説得を続ける構えだ。
■国際規範揺らぐ懸念も
トランプ氏が停戦実現を急ぐ背景には、ウクライナ支援に伴う米国の負担を軽減しつつ、覇権的行動を続ける中国の抑制や不法移民対策など国内問題に財政的・人的資源を振り分けたい思惑がある。
「ディール(取引)の天才」
とのイメージが政権の求心力にも直結するだけに交渉失敗は何としても避けたい考えだ。
ただ、ウクライナの利益を度外視した合意を結べば、武力や威嚇による一方的な現状変更を認めないとしてきた国際規範を更に揺るがす。
ウクライナや欧州諸国がトランプ氏の意思決定にどの程度関与できるかが交渉の行方を左右しそうだ。

http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/884.html#c33

[戦争b25] トランプ政権もバイデン政権と同様、正確な状況判断ができず、苦境に陥る可能性(櫻井ジャーナル) 赤かぶ
35. 秘密のアッコちゃん[1344] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月15日 22:18:50 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[782]
<△20行くらい>
ゼレンスキー氏、米露会談「危険だ」と警戒 バンス氏と会談でレアアース合意は見送り
2025/2/15 20:48
https://www.sankei.com/article/20250215-54QACF5SRFPEBKS35LS2KQSBFM/
ウクライナのゼレンスキー大統領は2025年2月15日、ドイツで開幕中のミュンヘン安全保障会議で、トランプ米大統領が進めるロシアとの停戦案を巡って演説した。
トランプ氏がプーチン露大統領との会談意欲を示したことについて
「危険だ」
と警戒感を示した。
米国はまず、ウクライナと共通の立場を固めるべきだと訴えた。
ゼレンスキー氏はまた、トランプ政権がウクライナ支援の見返りに同国産レアアース(希土類)の供給を求める考えを示していることにも言及し、
「話し合いを続けている」
と認めた。
ゼレンスキー氏は会議にあわせて2025年2月14日、バンス米副大統領が率いる米代表団と会談した。
会談では、レアアース問題が取り上げられたとみられる。
米紙ワシントン・ポストの記者は2025年2月14日、X(旧ツイッター)への投稿で、複数の米代表団関係者の話として
「米国は、将来的なウクライナの鉱物資源権益の50%を米国に与えるとする文書への署名を求めたが、ゼレンスキー氏は丁重に拒否した」
と伝えた。

http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/884.html#c35
[政治・選挙・NHK296] スラップ訴訟で見えたのは統一教会・N国党・産経新聞の“連動”だった 鈴木エイト カルトな金曜日(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
28. 秘密のアッコちゃん[1345] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月16日 12:58:42 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[783]
<■836行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
中国ブイは明らかに違法だ。
中国側が撤去しなければ、日本側が強制的に撤去すべきだ。

<主張>与那国の中国ブイ 日本政府は直ちに撤去を
社説
2025/2/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20250216-C2IN4T425VMAZLTNWQVLESNQ5Y/
中国政府が対日宥和のつもりで行ったのであれば、いかにも下手な策である。日本政府はいささかも評価してはならない。
中国が尖閣諸島(沖縄県)沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置していたブイを撤去したことが分かった。
尖閣沖のブイは海流や気象などを観測するものとみられ、令和5年7月に中国の海洋調査船が設置したが、日本政府は容認していない。
他国のEEZ内で無断で海洋調査を行うのは国連海洋法条約違反である。
日本政府は中国に繰り返し抗議し撤去を求めていた。
中国外務省の報道官はブイを移動させたことを認め、
「関係部門が自主的に技術的な調整を実施した」
と語った。
国際法に違反しているのに反省も日本への謝罪の言葉もない。
到底容認できない。
その上、中国の国際法違反のブイはまだある。
昨年12月に見つかった与那国島(同県)沖の日本のEEZ内の中国ブイは今もそのままだ。
日本の海を脅かし、台湾有事や南西諸島有事でも悪用される恐れがある。
同月に訪中した岩屋毅外相は撤去を求めたが、中国政府は無視している。
林芳正官房長官は2月12日の会見で、与那国島沖の中国ブイについて
「即時撤去を強く求める」
と述べた。
外交ルートで抗議を続けるのは当然だが、それだけではいけない。
国際法違反のブイは日本の手でできるだけ速やかに撤去すべきだ。
費用は中国に請求すればよかろう。
同様の問題ではフィリピン政府が一昨年、中国が南シナ海に設置した浮遊式障害物を撤去した。
フィリピンができたのになぜ日本はできないのか。
中国が今回、尖閣諸島沖のブイを撤去した背景には、トランプ米政権の発足により米中対立が強まる中、日本との関係改善を図る狙いがあるのかもしれない。
だが、不当なブイを
「技術的な調整」
を名目に撤去しても日本国民の対中不信は好転するはずもない。
尖閣周辺には中国海警局の武装船が連日出没し、領海侵入を繰り返している。
中国が非を認めない以上、今後も状況次第で国際法違反のブイを設置する恐れがある。
それを防ぐためにも、日本政府は与那国島沖のブイを撤去すべきだ。

林官房長官、尖閣沖の中国ブイ撤去について評価避ける EEZ外に新設を確認
2025/2/12 12:33
https://www.sankei.com/article/20250212-RNFKEUEERJNTRIBQ5B4R43FLJI/
林芳正官房長官は2025年2月12日の記者会見で、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置したブイを撤去したことへの評価を避けた。
「背景や経緯について予断を持って答えることは差し控える」
と述べた。
東シナ海の日中中間線の中国側海域で新たなブイの設置を確認したとも明らかにした。
与那国島(沖縄県与那国町)南方の日本のEEZで、昨年12月に確認された中国ブイの状況に変化はないと説明。
「あらゆる機会を捉えて即時撤去を強く求める」
と強調した。
中谷元・防衛相は会見で
「引き続き警戒監視に万全を期し、毅然かつ冷静に対処する」
と述べた。

沖縄・波照間の中国設置の海上ブイは依然撤去されず
2025/2/11 21:31
https://www.sankei.com/article/20250211-ETWN45CI4RN4ZBSTZO6NYASMV4/
沖縄県・波照間島の南西約140キロの排他的経済水域(EEZ)で昨年2024年12月に設置が確認された中国の海上ブイについて、依然として撤去されていないことが分かった。
政府関係者が11日、明らかにした。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺のEEZに一昨年7月、中国が設置したブイについては、中国外務省の郭嘉昆(かく・かこん)報道官が2025年2月11日の記者会見で移動させたことを認めている。
政府は外交ルートを通じて中国に対して再三に渡り撤去要請を行ってきた。

沖縄・尖閣周辺のブイなくなる 海上保安庁が確認 中国が設置、政府は再三撤去要請
2025/2/11 19:29
https://www.sankei.com/article/20250211-NAF77Y6QQBK4FPYSJSA6E33374/
海上保安庁は2025年2月11日、ホームページ上の航行警報で
「台湾北東にあるブイがなくなった」
と公表した。
海保によると、中国が2023年7月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の、日本の排他的経済水域(EEZ)に設置した海上ブイだという。
このブイを巡っては、海保が中国の海洋調査船によって設置されたことを確認。
尖閣周辺海域で管轄権を既成事実化する狙いがあったとみられている。
昨年2024年12月には、同県・波照間島の南西約140キロの日本のEEZでもブイが設置されていたことが判明した。
他国のEEZで無断で海洋調査を行うことは国連海洋法条約に違反する。
政府は外交ルートを通じて中国に対して再三に渡り撤去要請を行ってきた。

中国外務省が尖閣諸島周辺のブイ移動認める 「関係部門が自主的、技術的な調整」と説明
2025/2/11 19:14
https://www.sankei.com/article/20250211-WAB5XLXSERMKVDKVP76D4A2MY4/
中国外務省の郭嘉昆(かく・かこん)報道官は2025年2月11日の記者会見で、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に設置していたブイを移動させたことを認めた。
「科学観測の具体的な必要に基づき、中国の関係部門が自主的、技術的な調整を実施した」
と述べたが、詳細については明らかにしなかった。
郭氏は、ブイを移動させたことについて
「現在、関係するブイは元の場所での作業任務を既に終えた」
と説明した。

動画説明,フィリピン沿岸警備隊、中国の浮遊式障害物のロープを切断
2023年9月26日
https://www.bbc.com/japanese/video-66920844
フィリピン政府は2023年9月26日、中国と領有権を争う南シナ海の海域に設置していた浮遊式の障害物を撤去したと発表した。
この障害物によって、フィリピンの漁船が海域に入れなくなっていた。
フィリピンの沿岸警備隊は、フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領の命令で撤去したと説明。
また、スカボロー礁に置かれた全長300メートルの障害物で漁業権が侵害されたとした。
中国は南シナ海の9割以上について、領有を主張している。
スカボロー礁は2012年に占有した。
中国政府はこの海域における海警局(沿岸警備隊)の動きについて、
「必要な措置」
だと擁護している。
これに対しフィリピンの沿岸警備隊は、
「障害物は航行に危険をもたらし、明らかに国際法違反だ」
「また、フィリピンの漁業従事者の漁業や生計を立てる活動の妨げにもなっている」
と声明を発表。
スカボロー礁は
「フィリピンの国家領土の不可欠な一部」
だと説明した。

ブイは「気象観測目的」 中国外務省報道官が設置認める 「合理的で合法的」
2024/12/27 18:59
https://www.sankei.com/article/20241227-QSPF6UG2URP25PFWG574E67LWU/
中国外務省の毛寧報道官は2024年12月27日の記者会見で、沖縄県・与那国島南方の日本の排他的経済水域(EEZ)内で新たに確認されたブイについて、
「中国側が中国の管轄海域に設置したブイは気象観測の目的で使うものだ」
と述べた。
中国側が設置したものであると認めた形だ。
毛氏は、ブイの設置について
「合理的であり合法的だ」
と主張した。
岩屋毅外相は2024年12月25日、訪問先の北京で中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談した際にブイの即時撤去を求めた。
岩屋氏によると、会談で
「こうした行為は受け入れられず、日中関係にマイナスな影響しかない」
と抗議した。
岩屋氏によると、ブイは外観から見ると設置から一定期間が経過している可能性があるという。

沖縄・玉城知事、波照間島沖の中国語ブイ設置問題に言及「政府間で平和的解決を」
2024/12/27 15:28
https://www.sankei.com/article/20241227-FBC7TRDTRVLFXD3OX4ZRQUOCVQ/
沖縄県の玉城デニー知事は2024年12月27日の記者会見で、沖縄県・波照間島の南西約140キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国語の記載のある海上ブイの設置が確認されたことに関し、
「詳細な情報を持ち合わせていないが、ぜひ政府間で平和的、合理的に問題が解決されるよう取り組んでもらいたい」
と述べた。
海上保安庁関係者によると、ブイは日本のEEZの内側約14キロに設置されているのが今月2024年12月に入って確認された。
ブイは黄色で、
「中国気象局」
「福建海洋気象浮標」
と記載されていたという。
ブイが確認された海域は台湾の東海岸に面しており、台湾有事を視野に軍事目的で設置された可能性が指摘されている。
岩屋外相、日中外相会談で中国のブイ設置に抗議 「日中関係にマイナスな影響」
2024/12/25 18:47
https://www.sankei.com/article/20241225-5VZHV4XZ4NLJTBBWKLICP4FU5A/
中国を訪問した岩屋毅外相は2024年12月25日、北京で記者団に対し、沖縄県・与那国島南方の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国が設置したとみられるブイを新たに確認したことを明らかにした。
岩屋氏は同日2024年12月25日、王毅共産党政治局員兼外相と会談し、ブイの即時撤去を求めた。
岩屋氏によると、ブイは外観から見ると設置から一定期間が経過している可能性があるという。
岩屋氏は会談で
「こうした行為は受け入れられず、日中関係にマイナスな影響しかない」
と抗議した。
岩屋氏は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海情勢や、中国軍の活動活発化にも深刻な懸念を伝えた。
会談では、王氏の早期来日を実現し、
「日中ハイレベル経済対話」
を開催する方針で一致した。
東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、中国が全面停止した日本産水産物輸入再開の合意を実施していく方針も確認した。
岩屋氏は同日2024年12月25日、2019年以来となる閣僚級の
「日中ハイレベル人的・文化交流対話」
に出席。
中国人が観光目的で日本を訪れる際に必要な査証(ビザ)の発給要件を緩和すると明らかにした。
岩屋氏は同日2024年12月25日、李強首相とも会談した。
岩屋氏は、日中双方で
「戦略的互恵関係」
を推進することを呼び掛けた。
李氏は
「当面、中日関係は改善と発展の肝心な時期にある」
と指摘。
今後の日中関係に関して、協力や対話が進むことに期待を示した。
岩屋氏の訪中は2024年12月10月の就任後初めて。
日本の外相の訪中は2023年4月の林芳正氏以来となった。

<独自>沖縄・波照間島沖の日本EEZ内に中国語ブイ 台湾有事視野の軍事目的か
2024/12/25 16:51
https://www.sankei.com/article/20241225-AM4CYBQB75PKRELCM6SQZNNACQ/
波照間島沖に設置された中国のブイ
https://www.sankei.com/article/20241225-AM4CYBQB75PKRELCM6SQZNNACQ/photo/OFRMHHIXAVG7NLBTH72D6JK5WY/
沖縄県・波照間島の南西約140キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国語の記載のある海上ブイが設置されていたことが2024年12月25日、海上保安庁関係者への取材で分かった。
昨年2023年7月に尖閣諸島(同県石垣市)周辺のEEZ内で中国の海洋調査船による設置が確認されたブイは、尖閣周辺海域で管轄権を既成事実化する狙いがあるとみられる。
一方、今回新たに確認されたブイは台湾の東海岸に面しており、台湾有事を視野に軍事目的で設置された可能性が指摘されている。
海保関係者によると、ブイは黄色で、気象観測機器のようなものがあった。
日本のEEZの内側約14キロに設置されているのが今月2024年12月に入って確認されたという。
これまで確認されたブイには
「中華人民共和国国家海洋局」
などと記されていたが、新たに確認されたブイには
「中国気象局」
「福建海洋気象浮標」
と記載されていた。
他国のEEZで無断で海洋調査を行うのは国連海洋法条約に違反する。
昨年2023年7月に設置されたブイを巡っては、政府が外交ルートを通じて中国に撤去要請を行っているが、中国側に応じる気配はない。
今回は台湾本島の東の海域で確認された点がこれまでと異なっている。
日本最西端の与那国島から南に約170キロ、台湾南東部の台東県からは約175キロしか離れていない。
海上安全保障に詳しい東海大学の山田吉彦教授は
「台湾有事を視野に入れ、中国が海洋情報を収集する目的で設置された可能性がある」
と指摘。
「潜水艦を識別する固有のスクリュー音などを収集、分析しているのではないか」
と見ている。

中国「ブイ」の撤去 国際法は禁じているのか 日本政府の事なかれ主義
正論2024年12月号 東海大学教授 山田吉彦
中国の海洋放出は、留まるところを知らない。
南シナ海では、フィリピンが管理していたサビナ礁から警備船を駆逐し、実効支配体制に入った。
ベトナムでは、中国公船がベトナム魚船を攻撃した。
台湾海峡の施政下にある金門島を中国海警局の警備船(海警船)が包囲している。
日本には、長崎県五島市の男女群島沖上空への領空侵犯。
鹿児島県トカラ海峡での海軍艦艇による領海侵犯。
尖閣諸島海域では、武装した海警船が毎日のように出没している。
そして、尖閣諸島海域や沖ノ鳥島近海に、無断で海洋観測ブイを設置したのだ。
中国は、南シナ海及び東シナ海に渡る広い海域を同時に侵攻できる体制を築き始めている。
日本は、早急に中国に対抗する戦略を打ち立てなければならない。
中国の脅威は目前に迫っているのだ。
■中国は通常の国ではない
日本の政治家や外交関係者は、国際関係、特に平和維持において
「法の支配」
を原則としている。
しかし、この法の支配の確立には、各国が条約や国際的に認知されている慣習法・国際法規を遵守することが前提となる。
そのために各国は、その国の憲法等において条約や国際法規を守ることを義務付けるのが通常だ。
それは、国際社会に参加しようとする国の必要条件である。
例えば、日本国憲法では、98条の2項において、日本が締結した条約及び国際慣習法などの国際法規を誠実に遵守することを規定している。
しかし、中国憲法には、国際法との関係性に言及する条文は無く、国内法を優先する姿勢で、条約や国際法規により自国の行動を制約することはない。
中国は、通常の国ではない。
中国の立法機関は、毎年1回開催される国会に当たる全国人民代表大会(全人代)である。
全人代閉会中は、全国人民代表大会常務委員会が代行し、立法を含む国家権力を代行している。
そして、憲法及び法の解釈は、実質、共産党指揮下にある全人代常務委員会により行われる。
全人代及び全人代常務委員会による国内法の制定は、共産党の意思によるもので国際法の影響を受けることはない。
本来、中国も批准している
「条約法に関するウィーン条約」
では、条約を結んだ当事国は、その条約に拘束され、条約を誠実に履行しなければならないことを規定している。
また、国連では、国内法の規定が条約規定に優先しないことが確認されているのだ。
■ブイを利用する中国
国際社会において海洋における治安維持、海洋の利活用などは、国連海洋法条約の規定に基づき、それぞれの国が行動している。
しかし、中国は、国連海洋法条約を蔑ろにし、自国の国益重視の一方的な解釈による所が多い。
その顕著な例は他国の軍艦が領海内を航行する際の対応である。
中国の国内法では、
「外国の軍用船舶は、中華人民共和国の領海に入る場合には、中華人民共和国政府の許可を得なければならない」
と規定している。
しかし、国連海洋法条約では、軍艦を含む全ての船舶の領海における無害通航権を認めている。
沿岸国の平和・秩序・安全を害さなければ、沿岸国に通告することなしに、領海内であっても通行することが出来るのだ。
当然、日本は、中国をはじめとした外国軍艦の無害通航権を認めている。
中国政府は、昨年2023年7月初旬、東シナ海の尖閣諸島沖の日中中間線付近の日本の排他的経済水域内に海洋観測と思われる大型ブイを設置した。
このブイは、大きな重りを付け投下する係留型ブイである。
2013年、2018年にも、この海域にブイが係留されたことを海上保安庁は確認していた。
そのブイが2018年に漂流し、海保が回収し性能等が確認されている。
気象や波のデータをはじめとした海洋観測の基礎データを人工衛星を経由して中国本土に送信していたと考えられる。
中国の推進している地球環境のビッグデータ構築計画の一環であるとの見方もあるが、ブイが投下された位置は、尖閣諸島沖であり、かつ日中中間線から500メートルしか離れていない日本の排他的経済水域内である。
尖閣諸島周辺における存在感を示し、東シナ海における海洋権益拡大のために既成事実を積み重ねる意図があると考える方が適切だろう。
海洋データの取得だけが目的であれば、敢えて国境問題の火種となりかねない位置に設置する必要はないのだ。
最初にブイが設置された2013年は、尖閣諸島国有化の翌年である。
中国は、東シナ海の支配のために、長い時間をかけて海域の支配に向けた動きを続けてきたのである。
今迄対処せずに黙認してきた日本政府の罪は重い。
このブイが設置されている海域には、日本の魚船は、ほとんど出漁していない。
むしろ中国魚船が東シナ海で展開するために必要な気象、海象を提供するための情報収集のためのブイであると考えられる。
このブイは、そこから送られた情報に基づき、数千隻の中国魚船団が海上民兵として展開するためには重要な意味を持つ。
また、2013年は、日台漁業取り決めが結ばれ、台湾魚船が東シナ海に出漁を始めた年でもある。
日台漁業取り決め締結後、台湾は公に尖閣諸島の領有権を主張することは控えているようだ。
東シナ海で行われている台湾魚船の創業は、日本と台湾の協力の象徴である。
台湾を牽制すると共に、魚船の動きを監視するためにもブイは機能しているようだ。
また、中国の研究者は、この海域に設置したブイのデータを使い、2018年から2020年の間だけでも4本以上の学術論文を公表し、この論文は他の学術論文にも引用され、更に広まっている。
中国は、学術の世界において、ブイの設置を正当化し、尖閣諸島周辺海域の管理を中国が行っているという虚偽の情報を広めようとしているのだ。
日本にとっては、排除すべきブイなのである。
■中国のキャベツ作戦
中国の東シナ海でのサラミ戦術は、1つのブイの設置から始められていた。
日本政府や海保が公に問題とせず、国民が気付かない間に、中国は侵攻を進め、尖閣諸島奪取に向け動き続けていた。
サラミ戦術とは、敵対する戦力に対し、まるで1本のサラミを薄くスライスし少量ずつ食べながら、いずれは全部を胃袋に収めてしまうように、少しずつ侵攻しながら全てを殲滅させてしまう戦術である。
相手が気付かない程度に、少しずつ、領土を侵略し、権限を強めていき、時間を掛けて全てを奪う手法を中国は得意としている。
南シナ海では、効果的に機能し、スプラトリー諸島(南沙諸島)の実効支配に結び付けた。
この戦術は、じわりじわりと領土、領海を侵略していく。
その尖兵となるのは、南シナ海においても東シナ海においても漁民である。
漁民は、当局の指示により船団を組み、指定された海域、あるいは許可された海域に向かう。
そのため、漁民は海上民兵とも呼ばれる。
このサラミ戦術に合わせて、キャベツ戦略を展開している。
キャベツ戦略では、他国の領海、あるいは紛争状態にある海域に、まず数隻の魚船を送り込む。
そして、その魚船、人民の保護を名目に、魚船の前方に海軍艦船や武装警察である海警船を配備する。
更に、軍艦や海警船の前方に魚船を送り込み、再び、魚船の前方に軍艦や海警船を配備する。
このような行為を繰り返し、海域支配を拡大してきた。
幾重にも薄い葉が1枚ずつ重なり大きくなる様子がキャベツに似ていることから名付けられた戦略である。
■撤去すると言わない政府
ブイの設置は、まさにサラミ戦術の一環である。
そして、魚船を使い尖閣諸島に忍び寄るキャベツ戦略の布石であろう。
ブイは、昨年2023年に海上保安庁が発見し、外交ルートを通じ抗議した上で撤去を求めて来たと言うが、ブイが設置されていることは、昨年2023年9月19日に松野博一官房長官(当時)の記者会見において公表された。
政府は中国の意図を読み切れず、手をこまねいていたようだ。
2023年10月には、参議院において参政党の神谷宗幣氏が質問をしたところ、ブイが設置されている事実は認めたものの、政府による撤去に関しては、明確な答弁がなかった。
また、2023年11月1日の参院予算委員会では、日本維新の会の東徹氏が、上川陽子外務大臣(当時)に対し、日本の撤去要求を
「中国に求めても撤去しないならば、日本独自で撤去すべき」
と質した。
しかし、上川大臣の答弁は、
「国連海洋法条約には明文規定がない」
「個別具体的な状況に応じた検討が必要で、可否を一概に答えるのは困難だ」
と述べ、対応を先送りにしている印象を受けた。
また、一連の国会での質問に対し、中国への具体的対応について、外交交渉に支障を来す恐れがあるとして公表していない。
ブイの撤去が全く進んでいない状況を考えると、効果的な交渉が出来ていないと考えられる。
この参議院での質疑応答から4カ月が経過した今年2024年3月、衆議院外務委員会で無所属の松原仁氏が
「ブイを撤去するかどうか明確にしないと国益は守れない」
「事実上放置する判断をしているとしか見えない」
と指摘し、政府がブイを発見してから8カ月も実質的に放置していることを指摘した。
上川大臣は
「回収に関する国際基準が不明確で、その中で政策的な判断となる」
と答え、更に、
「有効な対応を適切に実施していく」
「具体的な時期は明示できない」
と再び問題を先送りする答弁を行った。
松原氏と上川大臣の答弁の様子は、インターネット等で多くの国民の知るところとなった。
回収出来ない理由について上川氏は、7回にも渡る松原氏の追及に対し、何度も同じ紙に書かれた答えを読み上げたため、ネットでは
「大臣は、外務省の言いなりなのか」
といった声が上がっていた。
石垣市議会では、2024年3月18日に
「尖閣諸島周辺の我が国排他的経済水域内に中国により設置されたブイの即時撤去を求める意見書」
が可決されている。
地元の人々は、政府が抗議し、撤去を求めるだけで具体的な対応を採っていないことに危機感を募らせると共に、中には、怒りの感情を抱いている人もいる。
■上川外相を直撃すると・・・
政府の見解に反し、海洋法や海洋管理の専門家の多くは、
「中国により尖閣諸島沖に設置されたブイを日本が撤去することは可能である」
と見解を述べている。
国連海洋法条約に明文規定がない、国際基準が不明確と言うならば、国家の主権により判断を下す必要がある。
主権を守り、国益を考えるならば、当然、日本政府が撤去するべきである。
国連海洋法条約には、自国の主張する管轄海域内に、他国が勝手に設置したブイを撤去することを否定する規定も無いのだ。
また、2013年に中国が同じ海域にブイを設置した際、海上保安庁は、2013年2月19日に付近を通航する船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行っている。
通航する船舶に危険が及ぶ可能性を危惧していたのである。
当然、今回も危険であり、航行の妨げになる可能性がある。
日本のみならず、台湾を含む付近を通航する船舶や操業する魚船の安全を守るためにも、日本国政府は速やかに当該ブイを撤去する必要がある。
上川大臣本人に対し、当時、筆者はブイの撤去の方針について直接聞いてみた。
すると、
「国際法的に難しい所が、色々あるのよ」
と言葉を濁していた。
上川氏は、法務大臣の経験もあり、また、国連海洋法条約に関する知見も持っている。
本人は、ブイの撤去が可能なことは分かっているのだろう。
しかし、大臣を務める外務省の立場を考慮し、このような答弁になったと考える。
独立国家として主権と尖閣諸島の領土を守り、地元住民の安全と安心を考えるならば、ブイは速やかに撤去しなければならない。
しかし、現在の外務省は、国家の主権を守ることより、中国による恫喝外交への恐怖心の方が上回っているようだ。
かつて上川氏は、総理大臣の座に最も近い女性と言われていたが、松原氏との問答の後、急速に人気に陰りが見え始めた。
その結果が、自民党総裁選で、9人中7番目に甘んじることに繋がったとも考えられる。
■尖閣以外にもブイが・・・
日本政府の事なかれ主義的な対応は、中国政府の傲慢さに拍車をかけることになった。
尖閣諸島沖に設置されたブイを撤去できない日本政府に対し、更に挑発的な行動に出た。
四国と日本の最南端である沖ノ鳥島とを結んだ海域に海洋観測用ブイを設置したのである。
この海域は、四国海盆と呼ばれる。
日本は島国であり、日本で市販されている地図には、およそ12万もの島が記載されている。
この島々が基点となり、日本が主権的権利を行使できる
「領海」
及び、経済的な権益が認められる
「排他的経済水域」
が設置されている。
この管轄海域とも言える領海及び排他的経済水域を合わせた面積は、約447万㎢と広大である。
領海の幅は、沿岸から12海里(約22.2km)の範囲であり、排他的経済水域の幅は、最大で200海里(約370km)である。
この管轄海域の範囲を地図に落とすと、太平洋上に管轄海域に入らない海域が、出現している。
その一部が四国海盆付近の海域である。
2024年6月、中国は、日本が管轄権を持たないこの海域に、日本を試すように日本政府に無断でブイを設置したのである(地図参照)。
国連海洋法条約には、
「大陸棚」
という規定がある。
領土から一定の条件を満たす地殻が続いている場合、領海の基線から350海里までで、水深2500メートルの等深線から100海里沖合の線までの間であれば、国連機関である大陸棚限界委員会に科学的根拠を示し了承を得れば、海底とその地下資源の探査・開発について主権的権利が認められることになる。 
日本は2012年、この四国海盆や沖ノ鳥島を基点とした海域など、合わせて約31万㎢を自国の大陸棚として認定されたのである。
■海底は「日本」なのに・・・
日本政府は、四国海盆に向け動いている中国の調査船を把握し、公海上であっても日本が持つ大陸棚に関わる権益を侵害することがないように警告すると共に、目的の説明を求めていた。
しかし、中国は、説明もないままにブイを設置したのである。
中国が無断でブイを設置したことに対し、林芳正官房長官は、今年2024年7月5日に行った記者会見において、
「目的や計画などの詳細を示さないまま設置したことは遺憾だ」
「様々な懸念や疑念があることも踏まえ、直ちに透明性ある説明や活動を行うように申し入れを行った」
と述べている。
中国側からは、ブイは津波観測用で、日本が大陸棚に有する主権的権利を侵害するものではないとし、公海上における中国の科学調査に日本が干渉する権利はないとしている。
中国がブイを設置した四国海盆の海域では、日本は漁業などの海洋権益は持たないが、海底管理の権限は持っている。
つまり、海は日本でなくても、海底は日本なのである。
中国が設置したブイは、重りを海底面に置き、チェーンなどで洋上のブイ係留している。
本来、このような海底を利用する係留型のブイを設置する場合は、海底の開発権を持つ国の了承を得なければならない。
中国は、日本に無断で、日本の海底を利用しながら、日本の権利を阻害していないとするならば、日本政府は、観測ブイの機能の確認を行うべきである。
もし、中国政府が、確認することを拒むのであれば、無人海底探査機を使いブイの重りの着地している海底面を確認し、状況によっては海底の無断利用を中止させる必要があるだろう。
つまり、ブイを係留している重りを撤去するか、海底と繋いでいるワイヤーを切断するのだ。
強硬策を取り得る可能性を示さない限り、中国は次々と増長した海洋進出を続けるだろう。
日本は、国際法に照らした厳格な対応が必要なのである。
また、中国は、南海トラフなどの日本の東方の太平洋における海底調査を行っている。
中国の海洋調査船が頻繁に姿を現しているのだ。
中国の海洋研究者は、東南海地震の可能性、津波に関する情報収集、中国本土への影響の予測などに興味を示している。
そのための調査である可能性が高い。
もし、東南海地震などが発生し、日本の国土が甚大な被害を受け、国内が大混乱に陥った場合、中国は台湾進攻や尖閣諸島奪取に動き出す準備とも考えられる。
もしもに備え、中国の動きは注視しておく必要があるだろう。
■国連海洋法条約の現実
上川大臣が拘り、中国が独自の解釈で利用する国連海洋法条約とはどのようなものであるのだろうか。
国連海洋法条約は、
「海の憲法」
と呼ばれ、地球の表面積の71%を占める
「海」
の管理、活用に関わり各国が遵守すべき様々なルールが定められている。
2024年9月末現在、169カ国とEUが締約している普遍的な条約である。
国連海洋法条約は、海洋の秩序を形成するために、国際的な慣習として認知されてきた
「海の掟」
を法的に条文化したものである。
1982年に採択され、1994年に発効している。
日本は1996年に批准している。
第二次世界大戦後、国際連合において海洋法の法制化を求める動きがあった。
近代戦争を経て、船舶航行、海洋資源開発など海洋利用の分野に関わる技術が急速に高度化し、先進国を中心に無秩序な海洋利用が始まっていた。
そこで、1958年、第一次国連海洋法会議が開催され、海洋法の草案に関する審議が始められた。
しかし、各国の領海をはじめとした管轄海域の思惑が対立し、審議は遅々として進まなかった。
最終的に国際条約として合意するまでに24年、更に発効するまでに12年の歳月を要した。
また、米国は、国連海洋法条約の内容を国際慣習に合致したものと認識は持っているようだが、未だ、この条約を批准していない。
圧倒的な海洋開発力を持つ米国にとって、この条約に縛られることは産業界などの反対もあり、国益にそぐわないと考えているようだ。
多くの日本人、特に外務省をはじめとした政府関係者は、条約や国際法は、その条約を批准した各国が厳守する絶対なものであると考えている。
しかし、条約、国際法の解釈は、それぞれの国のイデオロギーや民族性で、異なることもしばしばある。
特に、中国のような国は、自国の国内法や国民感情を優先し、それに合致した解釈をしている。
中国は、南シナ海を核心的利益とし、海洋領土として歴史的に支配してきた海域だと主張している。
そして、南シナ海に人工島を建設し、既に軍事拠点として活用している。
このような中国の動きに対し、南シナ海の一部の管轄権を主張するフィリピンは、中国の不当な海域支配を常設仲裁裁判所に訴えた。
その判断が2016年に下され、中国の南シナ海支配は根拠のないものであるとされた。
しかし、中国は、この国際法廷による判断を、手続き的に不備があり
「紙屑だ」
として受け入れない。
中国は、国際法廷の判断など意にも介していないのである。
1度手に入れた権益は、国際的に違法と認定されても、手放すことを中国政府も中国国民も許さないのである。
本来であれば、国際法廷の判断に従わない中国は、国連安全保障理事会で非難され、制裁対象とされてもおかしくはない。
しかし、中国は国連安保理の常任理事国であり、理事会の議決に対する拒否権(5大国の拒否権)を持つ。
中国が国際ルールを無視しても、国連は従わせる術を持たないのだ。
同様にロシアも安保理常任理事国であり、ウクライナ侵攻においても国連は対応する術を持たない。
条約や国際機関には限界があり、領土、国民、主権を守るためには、安全保障に係る国内法を整備し、自国で対応する必要があるのだ。
更に、故安倍晋三氏は、総理大臣当時、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が国際社会の安定と繁栄の礎となると考えていた。
「海洋における法の支配原則」
として、国家は国際法に基づき主張すべきであり、主張を通すために力や威圧を用いない。
そして、紛争解決には平和的収拾を徹底すべきであるとし、米国、オーストラリア、インドの3国と共に
「自由で開かれたインド太平洋戦略」
を提唱した。
それは、国際法を守らず自国の利益を追求する国に対し、各国が連携し対処する戦略である。
我が国は、自国の体制を再構築すると共に、アジアの平和のために各国と連携し、法と秩序を維持する行動が必要であるのだ。

<独自>中国ブイ撤去へ関係閣僚会議立ち上げ 林官房長官単独インタビュー、首相就任の場合
2024/9/6 16:10
https://www.sankei.com/article/20240906-7EQTFU3ALRPJ7O2JREBSBRPBOM/
自民党総裁選(2024年9月12日告示、2024年9月27日投開票)に出馬を表明している林芳正官房長官は2024年9月6日までに産経新聞の単独インタビューに応じ、総裁選に勝利して首相に就任した場合、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置した海上ブイの対応策を検討する関係閣僚会議を立ち上げると明らかにした。
林氏は
「ブイの撤去を含めて検討する」
と強調した。
ブイは昨年2023年7月にEEZの基準となる地理的中間線の東側で確認された。
気象観測の他、軍事目的で海中のデータを収集している可能性が指摘されている。
岸田文雄首相が同年2023年11月の日中首脳会談で習近平国家主席に即時撤去を求めたが、中国側は応じていない。
外務省や海上保安庁などが参加する会議を想定。
林氏は
「(ブイの設置からは)だいぶ時間が経過している」
「これから1年かけて議論するという類のものではない」
と述べ、早期の立ち上げを目指す意向を示した。
その上で
「外交努力をやっていくのは当然だ」
とも語り、引き続き中国側の対応も求めるとした。

<主張>海の日 恵みに感謝し守る決意を
社説
2024/7/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20240715-G2U6AF63MJNIPMWD7FW2IXGG3Q/
1万4000余の島々で構成される我が国は、領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた海洋面積は国土面積の11倍以上、約447万平方キロメートルに及ぶ世界第6位の海洋大国だ。
その海がもたらす豊かな資源と美しい自然は、後世に引き継ぐべき大切な財産だ。
その恩恵に感謝すると共に、海洋国日本の一層の繁栄を願う日が、今日の
「海の日」
である。
明治9年、東北・北海道巡幸を終えた明治天皇が巡視船「明治丸」で横浜港に帰着された
「7月20日」
に由来する。
平成7年に制定され、その後の法改正で現在の7月第3月曜日となった。
だが、その広大な海域の安全は近年、脅かされ続けている。
四国南方の海底にある大陸棚
「四国海盆」
の海域では2024年6月、中国の海洋調査船が無断でブイを設置した。
この船は、2023年7月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖のEEZ内に無断でブイを設置したのと同じ海洋調査船だった。
中国は尖閣諸島周辺の日本領海への侵入も繰り返している。
一方的に海域開発を進めて権益を主張しようとする行為を、許してはならない。
我が国固有の領土にもかかわらず、韓国による不法占拠が続く竹島(島根県隠岐の島町)周辺の海域では2024年6月、韓国政府が海洋調査を3度も実施した。
本来、韓国には日本に事前に通報し、同意を得る義務がある。
日本政府は中止を求め、韓国外務省に抗議したが、韓国は独自の立場に基づき応答した。
政府は繰り返し
「遺憾の意」
を表明しているが、それだけでは海域の安全は守れない。
海洋権益拡大を狙い、敢えて無法を繰り返す蛮行に毅然と対応すべきだ。
海域を守るとは、国家主権と安全を守ることである。
宮城・気仙沼の歌人、熊谷龍子さんは
「森は海を海は森を恋いながら悠久よりの愛紡ぎゆく」
と詠んだ。
海と森の恵みは相互作用の上にあり、我が国の豊穣な海と自然豊かな国土は、それらを大切に守り、育ててきた先人たちが積み重ねてきた営みの上にある。
その美しい国を守る責務は政府と国民にある。
海の恩恵に感謝し、
「海を守る」
決意を改めて、国民1人1人が新たにする。
それが
「海の日」
だ。

<正論>未来を考え「海守る」体制強化を 
東海大学教授・山田吉彦
2024/7/15 8:00
https://www.sankei.com/article/20240715-YWZGXQOE6BO55M72KCEWSEMXTE/
「海の日」
に考える
「海の日」

「海の恩恵に感謝すると共に、海洋国日本の繁栄を願う日」
とされている。
我が国は
「海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)」
により広大な海を持つことを認められている。
国連海洋法条約は人類共通の財産と言われる海を分割し、沿岸国に対し12カイリ(約22.2キロ)までを領海として主権の行使を認め、200カイリ(約370キロ)までを排他的経済水域(EEZ)として、海洋から生まれる経済的な権益を独占することを認めたのだ。
我が国が管轄する領海とEEZの面積は合わせて約447万平方キロ。
世界で6番目の海の広さである。
更に管轄海域内の海水の体積は推定1580万立方キロで、世界4位の大きな海を持つ。
日本は広大な海洋国家なのである。
しかし、我が国は海の恩恵に感謝し、広大な海を守り活用することが出来ているのだろうか。
我が国の管轄海域の海底には、全国民が使うガスエネルギーの約100年分に相当するメタンハイドレート、金、銀、銅等の金属を埋蔵する海底熱水鉱床、コバルトやニッケルを含むマンガン団塊などが眠る。
しかし、海という神秘の世界の壁は高く厚く、国費を投入し研究開発を進めてきたが、実用化は遅々として進んでいない。
現在の日本社会は、目先の都合や利益にばかり捉われている。
政権は、海洋国家である日本の未来を想像し、国民に対し指針を示すと共に、海洋開発に向けた行動を起こすべきである。
そのような状況の中で、日本の海洋社会に対し具体的な提案を続けてきた日本財団は日本の海洋資源の実用化に向け一石を投じた。
日本の最東端である南鳥島近海で、商業開発を前提とした海底資源調査を行い、レアメタルを豊富に含むマンガン団塊の存在を確認したのだ。
調査報告によると、この海域で国内消費量の75年分以上のコバルトと、11年分以上のニッケルの存在が確認された。
日本財団は、揚鉱実証実験に向けた準備を進めると共に、早ければ2024年年内にも国内企業で共同事業体を発足させる計画だ。
■対応遅れは中国を増長させ
海洋開発を進めるに当たり、海洋安全保障は重要な課題である。
国連海洋法条約は約170の国と地域が承認し、この条約に基づき各国は海洋権益の拡大に向けた動きを進めている。
特に中国の動きは激しい。
中国の目指す海洋権益は海底資源のみならず水産資源、世界の海を繋ぐシーレーンの掌握―とその欲望は果てしない。
海洋権益の獲得に向け、その基点となる離島や沿岸部の侵略を進めている。
南シナ海の掌握を進め、東シナ海、尖閣諸島への侵食も強化している。
2023年、尖閣諸島沖の我が国のEEZ内に、あたかも中国の管轄海域であるかのように海洋観測ブイを設置した。
このブイ設置は、日本の主権を脅かしている。
政府は中国に撤去を求めているが、黙殺され、放置したままである。
衆院外務委員会で無所属の松原仁議員が、上川陽子外相に政府の方針の説明を求めたが、
「回収する国際法上の基準が不明確で、その中で政策的な判断となる」
と無策を露呈してしまった。
ブイは放置されたまま、中国本国に海洋情報を送り続けている。
このような尖閣周辺における政府の遅々とした対応は、中国を増長させている。
更に2024年6月には四国の南、沖ノ鳥島周辺海域にも海洋観測ブイを設置した。
「津波の観測用」
と説明しているが、本来の目的は日本近海の海洋情報の常時取得であり、軍事的な意味合いも大きいと推察される。
しかし、このブイはEEZ外に置かれ、国際法では撤去することもできないのだ。
■侵略許さぬ防衛・外交力を
上川外相は時折、海の国際法である国連海洋法条約に言及する。
2024年1月にハンブルクにある国際海洋法裁判所を訪れた際には、
「日本は、海における『法の支配』を一貫して重視しており、国家間の海洋紛争は、力や威圧ではなく、国連海洋法条約に基づき平和的に解決することが必要である」
と述べるなど、同条約を重視している。
しかし、国連海洋法条約は未完の条約である。
関係国の利害の調整のため、抽象的な表現が多く、解釈が多様化しているのだ。
また、条約に違反しても強制する力が弱い。
国連海洋法条約では、日本の領海内で違法行為を行う外国公船に対し、海上保安庁は退去を求める以上の行為はできない。
国際法に依存せず、侵略者に対処しなければならないのだ。
まず国際法の盲点を埋め、警備力、防衛力をもって外国公船の侵入を未然に防ぐ国内法整備と緊急時に対処できる国境離島の管理体制の強化が必要である。
日本は、これからも海の恩恵により発展する。
そのためには、海を守る体制強化と国民意識の高揚を実践しなければならない。
「海を守る日本」
を創設するためには、防衛力と合わせ外交力の強化も不可欠である。

自民「護る会」、上川陽子外相に「中国抑止には対抗措置不可欠」と提言
2024/7/10 16:54
https://www.sankei.com/article/20240710-BPJZ7KIBGFILLPDDWVJWY5HP64/
自民党の保守系グループ
「日本の尊厳と国益を護る会」
の青山繁晴代表は2024年7月10日、外務省で上川陽子外相に中国への外交姿勢に関する提言書を手渡した。
提言は、中国船の領海侵入やブイ設置などについて
「中国の暴挙に真の抑止効果を持つ対抗措置を戦略的に取ることが不可欠だ」
と強調。
「遺憾の意」
の表明や
「厳重な抗議」
で済ませてはならないとも指摘した。

小池都知事は石原慎太郎氏の遺志を継ぎ沖ノ鳥島を守れ 中国ブイ設置で異変、かつてメディアは「小さな岩に固執」と印象操作
2024.7/9 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20240709-OESJ7L7AFVJ6THPAOSMVHHUBIU/
また、7月8日が巡り来た。
2022年、参院選の応援演説中の暗殺という、許しがたい暴挙によって急逝した安倍晋三元首相の命日、仏式では三回忌となる。
日が経つごとに安倍氏の不在に慣れるどころか、むしろ喪失感は大きくなるばかり。
我が国にとって氏が如何に大きな存在であったかを日々、思い知らされている。
2022年には、東京都知事を2013年務めた石原慎太郎氏も他界した。
その石原氏の
「お別れの会」
で、安倍氏は
「石原慎太郎のいない日本は面白くなくなる」
という名スピーチをし、その翌月にこの世を去ったのだった。
折しも昨日2024年7月7日、都知事選が投開票された。
安倍氏がこの世を去った日と同じ、うだるような暑さの中での選挙戦だった。
結果はすでにご承知の通りだが、現職の小池百合子知事が圧勝した。
同日投開票の東京都議補選(9選挙区)で、自民党は擁立した8選挙区のうち、勝利は僅か2選挙区だった。
安倍政権時代、国政選挙では負け知らずだった自民党が、首都東京では、自民党を飛び出た小池氏に苦杯をなめさせられ続け、都議会も大幅に議席を減らしてきた。
今回はその恩讐を超え、自民党が小池氏にすり寄るかたちで戦ったが、都議補選も無残な結果となった。
「七夕決戦」
の結果をあえて単純化するなら、印象に残ったのは
「蓮舫氏の惨敗と、自民党の凋落」
である。
これが今後の日本政治への良き影響とならんことを望むばかりである。
前代未聞の騒がしい選挙戦が行われている間、東京都の一部である島の周辺で異変が起きていた。
日本最南端にあたる沖ノ鳥島、東京港から1800キロも離れている絶海の孤島だ。
面積こそ僅かだが、ここはれっきとした東京都に属する島である。
その北方に位置する日本の大陸棚
「四国海盆(しこくかいぼん)」
付近の海域に先月、中国の海洋調査船がブイを設置したことが分かったのである。
中国はこれまで沖縄県・尖閣諸島周辺などの東シナ海でブイを置いたことはあったが、太平洋の日本管轄海域では極めて異例だ。
沖ノ鳥島の周辺海域にブイ設置をしたのは、2023年7月、尖閣周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)にブイを無断設置した中国の海洋調査船
「向陽紅22」
である。
この船が、先月2024年6月5日に上海を出港し、東シナ海から大隅海峡(鹿児島県)を通過して太平洋に出た後、先月2024年6月中旬、四国海盆海域内でブイを設置した。
2023年7月のブイよりも小型で、近くを航行する船から夜間も見える発光器が付いていると報じられている。
沖ノ鳥島といえば、思い出されるのは石原氏である。
沖ノ鳥島について、中国はかねてから
「島ではなく岩であり、日本の大陸棚やEEZの基点にできない」
という主張を掲げてきた。
石原氏はその暴論を一刀両断し、2005年には自ら沖ノ鳥島を視察、72歳の身で島から海に飛び込み泳いで見せたりもした。
その時、
「沖ノ鳥島は島か」
と問う記者に向かって放った言葉が次の通りである。
「君はどっちの人間だ。あれは島だ。ちっちゃな島だ。文句あるか」
石原氏が沖ノ鳥島に殊更熱心だった理由を、残念ながら多くの日本国民が知らない。
メディアの悪質な印象操作に乗せられ、
「小さな岩に固執する石原慎太郎」
という誤解をした人も少なくないだろう。
だが、沖ノ鳥島が島ではないということになれば、周辺のEEZ約40万平方メートルが日本のものでなくなる。
日本の国土全体(約38万平方キロ)以上の海が日本のものではなくなるのだ。
沖ノ鳥島周辺は、魚の産卵場や回遊経路に当たると言われ、海底には貴重な鉱物資源が存在するとも言われている。
つくづく、石原氏が懐かしい。
圧勝で3期目を迎えた小池氏には、国の不甲斐なさを一喝して、
「東京の島を自ら守る」
気概を見せてほしいものである。

中国 沖ノ鳥島周辺の公海上にブイ設置 政府 情報収集など継続
2024年7月5日 18時33分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240705/k10014502551000.html
中国の海洋調査船が6月、沖ノ鳥島周辺の日本の大陸棚に位置する公海上の海域にブイを設置したことが確認されました。
政府は、目的や計画などを示さないまま設置され、遺憾だとしていて、情報収集や分析を続ける方針です。
これは林官房長官が2024年7月5日の記者会見で明らかにしました。
それによりますと、2024年6月、四国の南側、沖ノ鳥島周辺の日本の大陸棚に位置する公海上の海域に、中国の海洋調査船がブイを設置したことが確認されました。
日本側は事前の段階で調査船の動きを把握し、公海上であっても大陸棚に関わる日本の海洋権益を侵害しないよう働きかけると共に、目的などを示すよう求めていましたが、説明がないままブイが設置されたとしています。
林官房長官は
「目的や計画などの詳細を示さないまま設置したことは遺憾だ」
「中国側には海洋活動全般で、様々な懸念や疑念があることも踏まえ、直ちに透明性のある説明や活動を行うよう申し入れを行った」
と述べました。
そして
「中国側からは
『ブイは津波観測用で、日本が大陸棚に有する主権的権利を侵害するものではない』
との説明があった」
「政府として情報の収集や分析などを継続する」
と述べました。
■林官房長官「直ちに問題行為と言えずも情報収集など継続」
林官房長官は、午後の記者会見で
「設置された海域は、いずれの国の管轄権も及ばない公海で、全ての国に航行や科学的調査を行う自由などが認められている」
「仮に、我が国の大陸棚に対する科学的調査であれば、国連海洋法条約により事前の通報が必要だが、中国側は
『海底ではなく、津波観測用だ』
としており、条約上の通報の義務はない」
と述べました。
その上で
「設置された海域での船舶交通の安全や、我が国の主権的権利に影響を及ぼさないのであれば、国際法上、直ちに問題のある行為とまでは言えず、政府としては、引き続き情報の収集や分析などを継続する」
と述べました。
■中国外務省報道官「日本側に干渉する権利はない」
中国の海洋調査船が沖ノ鳥島周辺の日本の大陸棚に位置する公海上の海域に設置したブイについて中国外務省の毛寧報道官は2024年7月5日の記者会見で
「津波用のブイの設置は科学研究で公益性のある目的であり、国際的にも通用するやり方だ」
と述べました。
その上で
「各国は公海で科学研究に従事する自由があり、日本側に干渉する権利はない」
と述べ、
「遺憾だ」
とする日本側を牽制しました。
中国のブイは去年2023年7月にも沖縄県の尖閣諸島周辺の日本のEEZ=排他的経済水域内で確認され、日本側が撤去を要求していますが中国は応じていません。

中国が四国南方のブイ設置を正当化 「日本側に干渉する権利はない」と主張
2024/7/5 18:50
https://www.sankei.com/article/20240705-K2EAKTMNEJP6PNRK7OLQHTX5FY/?dicbo=v2-KjR4LrS
中国外務省の毛寧(もう・ねい)報道官は2024年7月5日の記者会見で、中国の海洋調査船が四国南方の太平洋にブイを設置したことに日本政府が遺憾の意を表明したことに対し、
「日本側に干渉する権利はない」
と反発した。
「科学研究と公益目的に基づく国際的に通用したやり方だ」
と主張している。
毛氏は、中国船が
「西太平洋の公海」
にブイを置いたと説明した。
「国連海洋法条約に基づいて公海は全ての国に開放されている」
「各国は公海において科学研究に従事する自由を有している」
との見解を示した。
2023年7月には中国の海洋調査船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の魚釣島北西約80キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内にブイを設置したことが確認されている。
日本政府は中国側に即時撤去を求めた。
毛氏は、2023年7月にブイの設置が確認されたことに関し
「合理的で合法だ」
と正当化した。

中国、日本大陸棚にブイ 政府、海洋権益巡り申し入れ
2024/7/5 12:07
https://www.sankei.com/article/20240705-5B53P34K2NKEFPIZQJTAPVIMUQ/
林芳正官房長官は2024年7月5日の記者会見で、中国の海洋調査船が四国南方の公海上にブイを設置したことを確認したと明らかにした。
日本の大陸棚に当たり、政府は日本の海洋権益を侵害することがないよう申し入れた。
中国側からは、ブイは津波観測用で、日本の大陸棚に対する主権的権利を侵害するものではないと説明を受けた。
政府関係者によると、中国の海洋調査船「向陽紅22」がブイを設置したのを2024年6月中旬に確認した。
同船が東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)を航行している段階から動向を注視していたという。

中国、日本EEZ内の尖閣沖観測ブイ使い複数の論文発表 活動を既成事実化、軍事利用も
2024/3/11 12:00
https://www.sankei.com/article/20240311-KIPO7RFEZNF3XJPMKNCM6GMHAI/
中国の研究者による尖閣沖の観測ブイ「QF209」のデータを使った論文の図
https://www.sankei.com/article/20240311-KIPO7RFEZNF3XJPMKNCM6GMHAI/photo/Z6GVY7TSG5GQPJBKVW2XD47A6Q/
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が大型の観測ブイを設置している問題で、中国の研究者が、ブイの観測データを基に少なくとも4本の学術論文を発表していることが2024年3月11日、分かった。
ブイのデータを活用することで、尖閣周辺海域の管轄権の既成事実化も狙っているとみられる。
また、ブイのデータは軍事利用されている可能性がある。
■識別番号「QF209」
海上保安庁などによると、観測ブイは2013年に尖閣諸島の魚釣島の北西約80キロ、EEZの境界線である日中中間線付近で初めて確認された。
その後、ブイが流される度に新しいブイが設置されたとみられ、2016年以降は日中中間線より日本側に入った位置で確認されている。
政府は外交ルートを通じて中国側に抗議しており、岸田文雄首相は昨年2023年11月の日中首脳会談で即時撤去を求めていた。
産経新聞が論文検索サイトを使って調べたところ、尖閣諸島沖に設置されたブイに関連する英語の学術論文が2018年から2020年にかけて4本発表されていた。
ブイは識別番号
「QF209」
とされ、中国の研究者がブイの観測データを使って気象予測などを論じている。
ブイが日本のEEZ内にある時期に収集されたデータも含まれているとみられる。
2019年に中国国家海洋環境予報センターの研究者が発表した論文では、QF209は24基のブイで構成された中国の観測ネットワークの一部として登場。
QF209の観測期間は2013年2月以降としている。
またQF209を巡る4本の論文は、他の論文に引用されており、中には26本の論文に引用されたケースもあった。
東京大学大気海洋研究所の柳本大吾助教(海洋物理学)は
「日本の研究者も掲載を目指す米国の科学雑誌も含まれている」
「東シナ海は台風や線状降水帯の予測において重要な海域で、貴重なデータが取れている」
「係留型のブイは、気象庁の漂流型のものと違い、時間変化するデータを同じ場所で細かく取得することができるという利点がある」
と指摘する。
■天気予報で領有権アピール
中国国家海洋局の2014年の文書によれば、QF209は直径約10メートルで、風速、風向き、気圧、気温、水温、波浪のデータを収集し、送信する能力がある。
中国の軍事ニュースサイト
「新浪軍事」
の2013年の記事では、高精度な地図の軍事転用を引き合いに出し、観測ブイも軍事と民生の両面で大きな意義があるとしている。
また香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの2021年1月の記事は、国家海洋局当局者の発言として、係争海域にある新型のブイが装備しているカメラやセンサーを使い、他国による侵入とみなされる行為を察知した場合、中国海軍と法執行機関に通報すると伝えている。
この記事では、潜水艦の安全な航行にブイのデータが役立つとも書かれている。
2021年には海上自衛隊が奄美大島沖で中国の潜水艦を確認しており、こうした活動にブイの観測データが活用されている可能性がある。
元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は
「海中のデータは重要だ」
「水温が変わると、海中での音の伸びも変化する」
「地球温暖化で海水温が1度上がるだけでも、潜水艦の探知のために蓄積した過去のデータが無駄になることさえ懸念されている」
と話す。
中国は、日本が2012年9月に尖閣諸島を国有化すると同時に、中国国営中央テレビ(CCTV)で尖閣諸島の天気予報を始めており、気象を巡る情報が領有権を示す道具として使われている。
■新型ブイは大型化、能力向上か
QF209と同じ場所へ2023年に設置されたブイは、識別番号
「QF212」
とされ、更なる能力向上が図られているとみられる。
中国メディアの報道や、衛星画像を使った分析を総合すると、新しいブイは直径が約15mと大型化している可能性がある。
昨年2023年、中央軍事委員会の指揮下にある海警局の船舶は過去最多の352日に渡って尖閣諸島周辺の接続水域に入域し、うち42日は日本の領海に侵入した。
ブイは海警局の船が出航する浙江省台州市と尖閣諸島周辺の接続水域を結ぶ航路上に位置している。
中国のブイを巡っては、フィリピンやベトナムも同様の問題を抱えている。
フィリピンは同じ海域にブイを設置して応酬したり、漁師や沿岸警備隊が浮遊障壁を撤去するなどして対抗してきた。
米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)の報告によると、ベトナムも1988年に中国のブイの設置を阻止するなど長年、中国と沿岸の領有権を争ってきた。
■「政府は初動を誤った」
ブイが海洋警備や軍事に用いられる例は、中国以外でもみられる。
米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は
「Oceans of Things」
と称し、数千の小型フロートからなるセンサーネットワークを自国の沿岸に展開しており、搭載された高感度のマイクで水中の様子を監視している。
国連海洋法条約はEEZを管轄する国にしか構造物設置を認めておらず、科学調査には事前の許可が必要としている。
同条約は、EEZの境界が未画定の海域についても、最終的な合意に向けて当事国同士があらゆる努力を講じることとしており、中国の一連の行動はこれと相容れない。
一方、撤去に関して明文化された規定がないこともあり、日本政府は10年以上に渡って対応出来ずにいる。
香田氏は
「政府は明らかに初動を誤った」
「論文は米国の雑誌にも掲載され、国際法上の既成事実を与えてしまっている」
と指摘。
「(侵攻に)徹底抗戦するウクライナと違い、国際社会から我が国の国際法上の権利であるEEZにおける管轄権を諦めているとみなされる」
「今頃撤去すれば中国は、対応策として自国の管轄権を守るためと称して軍艦を派遣する可能性もある」
と厳しい認識を示した。

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