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[政治・選挙・NHK296] 補正予算「お笑い」決着 この国の野党は昔から自民党と通じている(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
44. 秘密のアッコちゃん[1171] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月15日 08:35:03 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[609]
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中国「ブイ」の撤去 国際法は禁じているのか 日本政府の事なかれ主義
正論2024年12月号 東海大学教授 山田吉彦
中国の海洋放出は、留まるところを知らない。
南シナ海では、フィリピンが管理していたサビナ礁から警備船を駆逐し、実効支配体制に入った。
ベトナムでは、中国公船がベトナム魚船を攻撃した。
台湾海峡の施政下にある金門島を中国海警局の警備船(海警船)が包囲している。
日本には、長崎県五島市の男女群島沖上空への領空侵犯。
鹿児島県トカラ海峡での海軍艦艇による領海侵犯。
尖閣諸島海域では、武装した海警船が毎日のように出没している。
そして、尖閣諸島海域や沖ノ鳥島近海に、無断で海洋観測ブイを設置したのだ。
中国は、南シナ海及び東シナ海に渡る広い海域を同時に侵攻できる体制を築き始めている。
日本は、早急に中国に対抗する戦略を打ち立てなければならない。
中国の脅威は目前に迫っているのだ。
■中国は通常の国ではない
日本の政治家や外交関係者は、国際関係、特に平和維持において
「法の支配」
を原則としている。
しかし、この法の支配の確立には、各国が条約や国際的に認知されている慣習法・国際法規を遵守することが前提となる。
そのために各国は、その国の憲法等において条約や国際法規を守ることを義務付けるのが通常だ。
それは、国際社会に参加しようとする国の必要条件である。
例えば、日本国憲法では、98条の2項において、日本が締結した条約及び国際慣習法などの国際法規を誠実に遵守することを規定している。
しかし、中国憲法には、国際法との関係性に言及する条文は無く、国内法を優先する姿勢で、条約や国際法規により自国の行動を制約することはない。
中国は、通常の国ではない。
中国の立法機関は、毎年1回開催される国会に当たる全国人民代表大会(全人代)である。
全人代閉会中は、全国人民代表大会常務委員会が代行し、立法を含む国家権力を代行している。
そして、憲法及び法の解釈は、実質、共産党指揮下にある全人代常務委員会により行われる。
全人代及び全人代常務委員会による国内法の制定は、共産党の意思によるもので国際法の影響を受けることはない。
本来、中国も批准している
「条約法に関するウィーン条約」
では、条約を結んだ当事国は、その条約に拘束され、条約を誠実に履行しなければならないことを規定している。
また、国連では、国内法の規定が条約規定に優先しないことが確認されているのだ。
■ブイを利用する中国
国際社会において海洋における治安維持、海洋の利活用などは、国連海洋法条約の規定に基づき、それぞれの国が行動している。
しかし、中国は、国連海洋法条約を蔑ろにし、自国の国益重視の一方的な解釈による所が多い。
その顕著な例は他国の軍艦が領海内を航行する際の対応である。
中国の国内法では、
「外国の軍用船舶は、中華人民共和国の領海に入る場合には、中華人民共和国政府の許可を得なければならない」
と規定している。
しかし、国連海洋法条約では、軍艦を含む全ての船舶の領海における無害通航権を認めている。
沿岸国の平和・秩序・安全を害さなければ、沿岸国に通告することなしに、領海内であっても通行することが出来るのだ。
当然、日本は、中国をはじめとした外国軍艦の無害通航権を認めている。
中国政府は、昨年2023年7月初旬、東シナ海の尖閣諸島沖の日中中間線付近の日本の排他的経済水域内に海洋観測と思われる大型ブイを設置した。
このブイは、大きな重りを付け投下する係留型ブイである。
2013年、2018年にも、この海域にブイが係留されたことを海上保安庁は確認していた。
そのブイが2018年に漂流し、海保が回収し性能等が確認されている。
気象や波のデータをはじめとした海洋観測の基礎データを人工衛星を経由して中国本土に送信していたと考えられる。
中国の推進している地球環境のビッグデータ構築計画の一環であるとの見方もあるが、ブイが投下された位置は、尖閣諸島沖であり、かつ日中中間線から500メートルしか離れていない日本の排他的経済水域内である。
尖閣諸島周辺における存在感を示し、東シナ海における海洋権益拡大のために既成事実を積み重ねる意図があると考える方が適切だろう。
海洋データの取得だけが目的であれば、敢えて国境問題の火種となりかねない位置に設置する必要はないのだ。
最初にブイが設置された2013年は、尖閣諸島国有化の翌年である。
中国は、東シナ海の支配のために、長い時間をかけて海域の支配に向けた動きを続けてきたのである。
今迄対処せずに黙認してきた日本政府の罪は重い。
このブイが設置されている海域には、日本の魚船は、ほとんど出漁していない。
むしろ中国魚船が東シナ海で展開するために必要な気象、海象を提供するための情報収集のためのブイであると考えられる。
このブイは、そこから送られた情報に基づき、数千隻の中国魚船団が海上民兵として展開するためには重要な意味を持つ。
また、2013年は、日台漁業取り決めが結ばれ、台湾魚船が東シナ海に出漁を始めた年でもある。
日台漁業取り決め締結後、台湾は公に尖閣諸島の領有権を主張することは控えているようだ。
東シナ海で行われている台湾魚船の創業は、日本と台湾の協力の象徴である。
台湾を牽制すると共に、魚船の動きを監視するためにもブイは機能しているようだ。
また、中国の研究者は、この海域に設置したブイのデータを使い、2018年から2020年の間だけでも4本以上の学術論文を公表し、この論文は他の学術論文にも引用され、更に広まっている。
中国は、学術の世界において、ブイの設置を正当化し、尖閣諸島周辺海域の管理を中国が行っているという虚偽の情報を広めようとしているのだ。
日本にとっては、排除すべきブイなのである。
■中国のキャベツ作戦
中国の東シナ海でのサラミ戦術は、1つのブイの設置から始められていた。
日本政府や海保が公に問題とせず、国民が気付かない間に、中国は侵攻を進め、尖閣諸島奪取に向け動き続けていた。
サラミ戦術とは、敵対する戦力に対し、まるで1本のサラミを薄くスライスし少量ずつ食べながら、いずれは全部を胃袋に収めてしまうように、少しずつ侵攻しながら全てを殲滅させてしまう戦術である。
相手が気付かない程度に、少しずつ、領土を侵略し、権限を強めていき、時間を掛けて全てを奪う手法を中国は得意としている。
南シナ海では、効果的に機能し、スプラトリー諸島(南沙諸島)の実効支配に結び付けた。
この戦術は、じわりじわりと領土、領海を侵略していく。
その尖兵となるのは、南シナ海においても東シナ海においても漁民である。
漁民は、当局の指示により船団を組み、指定された海域、あるいは許可された海域に向かう。
そのため、漁民は海上民兵とも呼ばれる。
このサラミ戦術に合わせて、キャベツ戦略を展開している。
キャベツ戦略では、他国の領海、あるいは紛争状態にある海域に、まず数隻の魚船を送り込む。
そして、その魚船、人民の保護を名目に、魚船の前方に海軍艦船や武装警察である海警船を配備する。
更に、軍艦や海警船の前方に魚船を送り込み、再び、魚船の前方に軍艦や海警船を配備する。
このような行為を繰り返し、海域支配を拡大してきた。
幾重にも薄い葉が1枚ずつ重なり大きくなる様子がキャベツに似ていることから名付けられた戦略である。
■撤去すると言わない政府
ブイの設置は、まさにサラミ戦術の一環である。
そして、魚船を使い尖閣諸島に忍び寄るキャベツ戦略の布石であろう。
ブイは、昨年2023年に海上保安庁が発見し、外交ルートを通じ抗議した上で撤去を求めて来たと言うが、ブイが設置されていることは、昨年2023年9月19日に松野博一官房長官(当時)の記者会見において公表された。
政府は中国の意図を読み切れず、手をこまねいていたようだ。
2023年10月には、参議院において参政党の神谷宗幣氏が質問をしたところ、ブイが設置されている事実は認めたものの、政府による撤去に関しては、明確な答弁がなかった。
また、2023年11月1日の参院予算委員会では、日本維新の会の東徹氏が、上川陽子外務大臣(当時)に対し、日本の撤去要求を
「中国に求めても撤去しないならば、日本独自で撤去すべき」
と質した。
しかし、上川大臣の答弁は、
「国連海洋法条約には明文規定がない」
「個別具体的な状況に応じた検討が必要で、可否を一概に答えるのは困難だ」
と述べ、対応を先送りにしている印象を受けた。
また、一連の国会での質問に対し、中国への具体的対応について、外交交渉に支障を来す恐れがあるとして公表していない。
ブイの撤去が全く進んでいない状況を考えると、効果的な交渉が出来ていないと考えられる。
この参議院での質疑応答から4カ月が経過した今年2024年3月、衆議院外務委員会で無所属の松原仁氏が
「ブイを撤去するかどうか明確にしないと国益は守れない」
「事実上放置する判断をしているとしか見えない」
と指摘し、政府がブイを発見してから8カ月も実質的に放置していることを指摘した。
上川大臣は
「回収に関する国際基準が不明確で、その中で政策的な判断となる」
と答え、更に、
「有効な対応を適切に実施していく」
「具体的な時期は明示できない」
と再び問題を先送りする答弁を行った。
松原氏と上川大臣の答弁の様子は、インターネット等で多くの国民の知るところとなった。
回収出来ない理由について上川氏は、7回にも渡る松原氏の追及に対し、何度も同じ紙に書かれた答えを読み上げたため、ネットでは
「大臣は、外務省の言いなりなのか」
といった声が上がっていた。
石垣市議会では、2024年3月18日に
「尖閣諸島周辺の我が国排他的経済水域内に中国により設置されたブイの即時撤去を求める意見書」
が可決されている。
地元の人々は、政府が抗議し、撤去を求めるだけで具体的な対応を採っていないことに危機感を募らせると共に、中には、怒りの感情を抱いている人もいる。
■上川外相を直撃すると・・・
政府の見解に反し、海洋法や海洋管理の専門家の多くは、
「中国により尖閣諸島沖に設置されたブイを日本が撤去することは可能である」
と見解を述べている。
国連海洋法条約に明文規定がない、国際基準が不明確と言うならば、国家の主権により判断を下す必要がある。
主権を守り、国益を考えるならば、当然、日本政府が撤去するべきである。
国連海洋法条約には、自国の主張する管轄海域内に、他国が勝手に設置したブイを撤去することを否定する規定も無いのだ。
また、2013年に中国が同じ海域にブイを設置した際、海上保安庁は、2013年2月19日に付近を通航する船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行っている。
通航する船舶に危険が及ぶ可能性を危惧していたのである。
当然、今回も危険であり、航行の妨げになる可能性がある。
日本のみならず、台湾を含む付近を通航する船舶や操業する魚船の安全を守るためにも、日本国政府は速やかに当該ブイを撤去する必要がある。
上川大臣本人に対し、当時、筆者はブイの撤去の方針について直接聞いてみた。
すると、
「国際法的に難しい所が、色々あるのよ」
と言葉を濁していた。
上川氏は、法務大臣の経験もあり、また、国連海洋法条約に関する知見も持っている。
本人は、ブイの撤去が可能なことは分かっているのだろう。
しかし、大臣を務める外務省の立場を考慮し、このような答弁になったと考える。
独立国家として主権と尖閣諸島の領土を守り、地元住民の安全と安心を考えるならば、ブイは速やかに撤去しなければならない。
しかし、現在の外務省は、国家の主権を守ることより、中国による恫喝外交への恐怖心の方が上回っているようだ。
かつて上川氏は、総理大臣の座に最も近い女性と言われていたが、松原氏との問答の後、急速に人気に陰りが見え始めた。
その結果が、自民党総裁選で、9人中7番目に甘んじることに繋がったとも考えられる。
■尖閣以外にもブイが・・・
日本政府の事なかれ主義的な対応は、中国政府の傲慢さに拍車をかけることになった。
尖閣諸島沖に設置されたブイを撤去できない日本政府に対し、更に挑発的な行動に出た。
四国と日本の最南端である沖ノ鳥島とを結んだ海域に海洋観測用ブイを設置したのである。
この海域は、四国海盆と呼ばれる。
日本は島国であり、日本で市販されている地図には、およそ12万もの島が記載されている。
この島々が基点となり、日本が主権的権利を行使できる
「領海」
及び、経済的な権益が認められる
「排他的経済水域」
が設置されている。
この管轄海域とも言える領海及び排他的経済水域を合わせた面積は、約447万㎢と広大である。
領海の幅は、沿岸から12海里(約22.2km)の範囲であり、排他的経済水域の幅は、最大で200海里(約370km)である。
この管轄海域の範囲を地図に落とすと、太平洋上に管轄海域に入らない海域が、出現している。
その一部が四国海盆付近の海域である。
2024年6月、中国は、日本が管轄権を持たないこの海域に、日本を試すように日本政府に無断でブイを設置したのである(地図参照)。
国連海洋法条約には、
「大陸棚」
という規定がある。
領土から一定の条件を満たす地殻が続いている場合、領海の基線から350海里までで、水深2500メートルの等深線から100海里沖合の線までの間であれば、国連機関である大陸棚限界委員会に科学的根拠を示し了承を得れば、海底とその地下資源の探査・開発について主権的権利が認められることになる。 
日本は2012年、この四国海盆や沖ノ鳥島を基点とした海域など、合わせて約31万㎢を自国の大陸棚として認定されたのである。
■海底は「日本」なのに・・・
日本政府は、四国海盆に向け動いている中国の調査船を把握し、公海上であっても日本が持つ大陸棚に関わる権益を侵害することがないように警告すると共に、目的の説明を求めていた。
しかし、中国は、説明もないままにブイを設置したのである。
中国が無断でブイを設置したことに対し、林芳正官房長官は、今年2024年7月5日に行った記者会見において、
「目的や計画などの詳細を示さないまま設置したことは遺憾だ」
「様々な懸念や疑念があることも踏まえ、直ちに透明性ある説明や活動を行うように申し入れを行った」
と述べている。
中国側からは、ブイは津波観測用で、日本が大陸棚に有する主権的権利を侵害するものではないとし、公海上における中国の科学調査に日本が干渉する権利はないとしている。
中国がブイを設置した四国海盆の海域では、日本は漁業などの海洋権益は持たないが、海底管理の権限は持っている。
つまり、海は日本でなくても、海底は日本なのである。
中国が設置したブイは、重りを海底面に置き、チェーンなどで洋上のブイ係留している。
本来、このような海底を利用する係留型のブイを設置する場合は、海底の開発権を持つ国の了承を得なければならない。
中国は、日本に無断で、日本の海底を利用しながら、日本の権利を阻害していないとするならば、日本政府は、観測ブイの機能の確認を行うべきである。
もし、中国政府が、確認することを拒むのであれば、無人海底探査機を使いブイの重りの着地している海底面を確認し、状況によっては海底の無断利用を中止させる必要があるだろう。
つまり、ブイを係留している重りを撤去するか、海底と繋いでいるワイヤーを切断するのだ。
強硬策を取り得る可能性を示さない限り、中国は次々と増長した海洋進出を続けるだろう。
日本は、国際法に照らした厳格な対応が必要なのである。
また、中国は、南海トラフなどの日本の東方の太平洋における海底調査を行っている。
中国の海洋調査船が頻繁に姿を現しているのだ。
中国の海洋研究者は、東南海地震の可能性、津波に関する情報収集、中国本土への影響の予測などに興味を示している。
そのための調査である可能性が高い。
もし、東南海地震などが発生し、日本の国土が甚大な被害を受け、国内が大混乱に陥った場合、中国は台湾進攻や尖閣諸島奪取に動き出す準備とも考えられる。
もしもに備え、中国の動きは注視しておく必要があるだろう。
■国連海洋法条約の現実
上川大臣が拘り、中国が独自の解釈で利用する国連海洋法条約とはどのようなものであるのだろうか。
国連海洋法条約は、
「海の憲法」
と呼ばれ、地球の表面積の71%を占める
「海」
の管理、活用に関わり各国が遵守すべき様々なルールが定められている。
2024年9月末現在、169カ国とEUが締約している普遍的な条約である。
国連海洋法条約は、海洋の秩序を形成するために、国際的な慣習として認知されてきた
「海の掟」
を法的に条文化したものである。
1982年に採択され、1994年に発効している。
日本は1996年に批准している。
第二次世界大戦後、国際連合において海洋法の法制化を求める動きがあった。
近代戦争を経て、船舶航行、海洋資源開発など海洋利用の分野に関わる技術が急速に高度化し、先進国を中心に無秩序な海洋利用が始まっていた。
そこで、1958年、第一次国連海洋法会議が開催され、海洋法の草案に関する審議が始められた。
しかし、各国の領海をはじめとした管轄海域の思惑が対立し、審議は遅々として進まなかった。
最終的に国際条約として合意するまでに24年、更に発効するまでに12年の歳月を要した。
また、米国は、国連海洋法条約の内容を国際慣習に合致したものと認識は持っているようだが、未だ、この条約を批准していない。
圧倒的な海洋開発力を持つ米国にとって、この条約に縛られることは産業界などの反対もあり、国益にそぐわないと考えているようだ。
多くの日本人、特に外務省をはじめとした政府関係者は、条約や国際法は、その条約を批准した各国が厳守する絶対なものであると考えている。
しかし、条約、国際法の解釈は、それぞれの国のイデオロギーや民族性で、異なることもしばしばある。
特に、中国のような国は、自国の国内法や国民感情を優先し、それに合致した解釈をしている。
中国は、南シナ海を核心的利益とし、海洋領土として歴史的に支配してきた海域だと主張している。
そして、南シナ海に人工島を建設し、既に軍事拠点として活用している。
このような中国の動きに対し、南シナ海の一部の管轄権を主張するフィリピンは、中国の不当な海域支配を常設仲裁裁判所に訴えた。
その判断が2016年に下され、中国の南シナ海支配は根拠のないものであるとされた。
しかし、中国は、この国際法廷による判断を、手続き的に不備があり
「紙屑だ」
として受け入れない。
中国は、国際法廷の判断など意にも介していないのである。
1度手に入れた権益は、国際的に違法と認定されても、手放すことを中国政府も中国国民も許さないのである。
本来であれば、国際法廷の判断に従わない中国は、国連安全保障理事会で非難され、制裁対象とされてもおかしくはない。
しかし、中国は国連安保理の常任理事国であり、理事会の議決に対する拒否権(5大国の拒否権)を持つ。
中国が国際ルールを無視しても、国連は従わせる術を持たないのだ。
同様にロシアも安保理常任理事国であり、ウクライナ侵攻においても国連は対応する術を持たない。
条約や国際機関には限界があり、領土、国民、主権を守るためには、安全保障に係る国内法を整備し、自国で対応する必要があるのだ。
更に、故安倍晋三氏は、総理大臣当時、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が国際社会の安定と繁栄の礎となると考えていた。
「海洋における法の支配原則」
として、国家は国際法に基づき主張すべきであり、主張を通すために力や威圧を用いない。
そして、紛争解決には平和的収拾を徹底すべきであるとし、米国、オーストラリア、インドの3国と共に
「自由で開かれたインド太平洋戦略」
を提唱した。
それは、国際法を守らず自国の利益を追求する国に対し、各国が連携し対処する戦略である。
我が国は、自国の体制を再構築すると共に、アジアの平和のために各国と連携し、法と秩序を維持する行動が必要であるのだ。

<独自>中国ブイ撤去へ関係閣僚会議立ち上げ 林官房長官単独インタビュー、首相就任の場合
2024/9/6 16:10
https://www.sankei.com/article/20240906-7EQTFU3ALRPJ7O2JREBSBRPBOM/
自民党総裁選(2024年9月12日告示、2024年9月27日投開票)に出馬を表明している林芳正官房長官は2024年9月6日までに産経新聞の単独インタビューに応じ、総裁選に勝利して首相に就任した場合、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置した海上ブイの対応策を検討する関係閣僚会議を立ち上げると明らかにした。
林氏は
「ブイの撤去を含めて検討する」
と強調した。
ブイは昨年2023年7月にEEZの基準となる地理的中間線の東側で確認された。
気象観測の他、軍事目的で海中のデータを収集している可能性が指摘されている。
岸田文雄首相が同年2023年11月の日中首脳会談で習近平国家主席に即時撤去を求めたが、中国側は応じていない。
外務省や海上保安庁などが参加する会議を想定。
林氏は
「(ブイの設置からは)だいぶ時間が経過している」
「これから1年かけて議論するという類のものではない」
と述べ、早期の立ち上げを目指す意向を示した。
その上で
「外交努力をやっていくのは当然だ」
とも語り、引き続き中国側の対応も求めるとした。

<主張>海の日 恵みに感謝し守る決意を
社説
2024/7/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20240715-G2U6AF63MJNIPMWD7FW2IXGG3Q/
1万4000余の島々で構成される我が国は、領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた海洋面積は国土面積の11倍以上、約447万平方キロメートルに及ぶ世界第6位の海洋大国だ。
その海がもたらす豊かな資源と美しい自然は、後世に引き継ぐべき大切な財産だ。
その恩恵に感謝すると共に、海洋国日本の一層の繁栄を願う日が、今日の
「海の日」
である。
明治9年、東北・北海道巡幸を終えた明治天皇が巡視船「明治丸」で横浜港に帰着された
「7月20日」
に由来する。
平成7年に制定され、その後の法改正で現在の7月第3月曜日となった。
だが、その広大な海域の安全は近年、脅かされ続けている。
四国南方の海底にある大陸棚
「四国海盆」
の海域では2024年6月、中国の海洋調査船が無断でブイを設置した。
この船は、2023年7月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖のEEZ内に無断でブイを設置したのと同じ海洋調査船だった。
中国は尖閣諸島周辺の日本領海への侵入も繰り返している。
一方的に海域開発を進めて権益を主張しようとする行為を、許してはならない。
我が国固有の領土にもかかわらず、韓国による不法占拠が続く竹島(島根県隠岐の島町)周辺の海域では2024年6月、韓国政府が海洋調査を3度も実施した。
本来、韓国には日本に事前に通報し、同意を得る義務がある。
日本政府は中止を求め、韓国外務省に抗議したが、韓国は独自の立場に基づき応答した。
政府は繰り返し
「遺憾の意」
を表明しているが、それだけでは海域の安全は守れない。
海洋権益拡大を狙い、敢えて無法を繰り返す蛮行に毅然と対応すべきだ。
海域を守るとは、国家主権と安全を守ることである。
宮城・気仙沼の歌人、熊谷龍子さんは
「森は海を海は森を恋いながら悠久よりの愛紡ぎゆく」
と詠んだ。
海と森の恵みは相互作用の上にあり、我が国の豊穣な海と自然豊かな国土は、それらを大切に守り、育ててきた先人たちが積み重ねてきた営みの上にある。
その美しい国を守る責務は政府と国民にある。
海の恩恵に感謝し、
「海を守る」
決意を改めて、国民1人1人が新たにする。
それが
「海の日」
だ。

<正論>未来を考え「海守る」体制強化を 
東海大学教授・山田吉彦
2024/7/15 8:00
https://www.sankei.com/article/20240715-YWZGXQOE6BO55M72KCEWSEMXTE/
「海の日」
に考える
「海の日」

「海の恩恵に感謝すると共に、海洋国日本の繁栄を願う日」
とされている。
我が国は
「海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)」
により広大な海を持つことを認められている。
国連海洋法条約は人類共通の財産と言われる海を分割し、沿岸国に対し12カイリ(約22.2キロ)までを領海として主権の行使を認め、200カイリ(約370キロ)までを排他的経済水域(EEZ)として、海洋から生まれる経済的な権益を独占することを認めたのだ。
我が国が管轄する領海とEEZの面積は合わせて約447万平方キロ。
世界で6番目の海の広さである。
更に管轄海域内の海水の体積は推定1580万立方キロで、世界4位の大きな海を持つ。
日本は広大な海洋国家なのである。
しかし、我が国は海の恩恵に感謝し、広大な海を守り活用することが出来ているのだろうか。
我が国の管轄海域の海底には、全国民が使うガスエネルギーの約100年分に相当するメタンハイドレート、金、銀、銅等の金属を埋蔵する海底熱水鉱床、コバルトやニッケルを含むマンガン団塊などが眠る。
しかし、海という神秘の世界の壁は高く厚く、国費を投入し研究開発を進めてきたが、実用化は遅々として進んでいない。
現在の日本社会は、目先の都合や利益にばかり捉われている。
政権は、海洋国家である日本の未来を想像し、国民に対し指針を示すと共に、海洋開発に向けた行動を起こすべきである。
そのような状況の中で、日本の海洋社会に対し具体的な提案を続けてきた日本財団は日本の海洋資源の実用化に向け一石を投じた。
日本の最東端である南鳥島近海で、商業開発を前提とした海底資源調査を行い、レアメタルを豊富に含むマンガン団塊の存在を確認したのだ。
調査報告によると、この海域で国内消費量の75年分以上のコバルトと、11年分以上のニッケルの存在が確認された。
日本財団は、揚鉱実証実験に向けた準備を進めると共に、早ければ2024年年内にも国内企業で共同事業体を発足させる計画だ。
■対応遅れは中国を増長させ
海洋開発を進めるに当たり、海洋安全保障は重要な課題である。
国連海洋法条約は約170の国と地域が承認し、この条約に基づき各国は海洋権益の拡大に向けた動きを進めている。
特に中国の動きは激しい。
中国の目指す海洋権益は海底資源のみならず水産資源、世界の海を繋ぐシーレーンの掌握―とその欲望は果てしない。
海洋権益の獲得に向け、その基点となる離島や沿岸部の侵略を進めている。
南シナ海の掌握を進め、東シナ海、尖閣諸島への侵食も強化している。
2023年、尖閣諸島沖の我が国のEEZ内に、あたかも中国の管轄海域であるかのように海洋観測ブイを設置した。
このブイ設置は、日本の主権を脅かしている。
政府は中国に撤去を求めているが、黙殺され、放置したままである。
衆院外務委員会で無所属の松原仁議員が、上川陽子外相に政府の方針の説明を求めたが、
「回収する国際法上の基準が不明確で、その中で政策的な判断となる」
と無策を露呈してしまった。
ブイは放置されたまま、中国本国に海洋情報を送り続けている。
このような尖閣周辺における政府の遅々とした対応は、中国を増長させている。
更に2024年6月には四国の南、沖ノ鳥島周辺海域にも海洋観測ブイを設置した。
「津波の観測用」
と説明しているが、本来の目的は日本近海の海洋情報の常時取得であり、軍事的な意味合いも大きいと推察される。
しかし、このブイはEEZ外に置かれ、国際法では撤去することもできないのだ。
■侵略許さぬ防衛・外交力を
上川外相は時折、海の国際法である国連海洋法条約に言及する。
2024年1月にハンブルクにある国際海洋法裁判所を訪れた際には、
「日本は、海における『法の支配』を一貫して重視しており、国家間の海洋紛争は、力や威圧ではなく、国連海洋法条約に基づき平和的に解決することが必要である」
と述べるなど、同条約を重視している。
しかし、国連海洋法条約は未完の条約である。
関係国の利害の調整のため、抽象的な表現が多く、解釈が多様化しているのだ。
また、条約に違反しても強制する力が弱い。
国連海洋法条約では、日本の領海内で違法行為を行う外国公船に対し、海上保安庁は退去を求める以上の行為はできない。
国際法に依存せず、侵略者に対処しなければならないのだ。
まず国際法の盲点を埋め、警備力、防衛力をもって外国公船の侵入を未然に防ぐ国内法整備と緊急時に対処できる国境離島の管理体制の強化が必要である。
日本は、これからも海の恩恵により発展する。
そのためには、海を守る体制強化と国民意識の高揚を実践しなければならない。
「海を守る日本」
を創設するためには、防衛力と合わせ外交力の強化も不可欠である。

自民「護る会」、上川陽子外相に「中国抑止には対抗措置不可欠」と提言
2024/7/10 16:54
https://www.sankei.com/article/20240710-BPJZ7KIBGFILLPDDWVJWY5HP64/
自民党の保守系グループ
「日本の尊厳と国益を護る会」
の青山繁晴代表は2024年7月10日、外務省で上川陽子外相に中国への外交姿勢に関する提言書を手渡した。
提言は、中国船の領海侵入やブイ設置などについて
「中国の暴挙に真の抑止効果を持つ対抗措置を戦略的に取ることが不可欠だ」
と強調。
「遺憾の意」
の表明や
「厳重な抗議」
で済ませてはならないとも指摘した。

小池都知事は石原慎太郎氏の遺志を継ぎ沖ノ鳥島を守れ 中国ブイ設置で異変、かつてメディアは「小さな岩に固執」と印象操作
2024.7/9 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20240709-OESJ7L7AFVJ6THPAOSMVHHUBIU/
また、7月8日が巡り来た。
2022年、参院選の応援演説中の暗殺という、許しがたい暴挙によって急逝した安倍晋三元首相の命日、仏式では三回忌となる。
日が経つごとに安倍氏の不在に慣れるどころか、むしろ喪失感は大きくなるばかり。
我が国にとって氏が如何に大きな存在であったかを日々、思い知らされている。
2022年には、東京都知事を2013年務めた石原慎太郎氏も他界した。
その石原氏の
「お別れの会」
で、安倍氏は
「石原慎太郎のいない日本は面白くなくなる」
という名スピーチをし、その翌月にこの世を去ったのだった。
折しも昨日2024年7月7日、都知事選が投開票された。
安倍氏がこの世を去った日と同じ、うだるような暑さの中での選挙戦だった。
結果はすでにご承知の通りだが、現職の小池百合子知事が圧勝した。
同日投開票の東京都議補選(9選挙区)で、自民党は擁立した8選挙区のうち、勝利は僅か2選挙区だった。
安倍政権時代、国政選挙では負け知らずだった自民党が、首都東京では、自民党を飛び出た小池氏に苦杯をなめさせられ続け、都議会も大幅に議席を減らしてきた。
今回はその恩讐を超え、自民党が小池氏にすり寄るかたちで戦ったが、都議補選も無残な結果となった。
「七夕決戦」
の結果をあえて単純化するなら、印象に残ったのは
「蓮舫氏の惨敗と、自民党の凋落」
である。
これが今後の日本政治への良き影響とならんことを望むばかりである。
前代未聞の騒がしい選挙戦が行われている間、東京都の一部である島の周辺で異変が起きていた。
日本最南端にあたる沖ノ鳥島、東京港から1800キロも離れている絶海の孤島だ。
面積こそ僅かだが、ここはれっきとした東京都に属する島である。
その北方に位置する日本の大陸棚
「四国海盆(しこくかいぼん)」
付近の海域に先月、中国の海洋調査船がブイを設置したことが分かったのである。
中国はこれまで沖縄県・尖閣諸島周辺などの東シナ海でブイを置いたことはあったが、太平洋の日本管轄海域では極めて異例だ。
沖ノ鳥島の周辺海域にブイ設置をしたのは、2023年7月、尖閣周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)にブイを無断設置した中国の海洋調査船
「向陽紅22」
である。
この船が、先月2024年6月5日に上海を出港し、東シナ海から大隅海峡(鹿児島県)を通過して太平洋に出た後、先月2024年6月中旬、四国海盆海域内でブイを設置した。
2023年7月のブイよりも小型で、近くを航行する船から夜間も見える発光器が付いていると報じられている。
沖ノ鳥島といえば、思い出されるのは石原氏である。
沖ノ鳥島について、中国はかねてから
「島ではなく岩であり、日本の大陸棚やEEZの基点にできない」
という主張を掲げてきた。
石原氏はその暴論を一刀両断し、2005年には自ら沖ノ鳥島を視察、72歳の身で島から海に飛び込み泳いで見せたりもした。
その時、
「沖ノ鳥島は島か」
と問う記者に向かって放った言葉が次の通りである。
「君はどっちの人間だ。あれは島だ。ちっちゃな島だ。文句あるか」
石原氏が沖ノ鳥島に殊更熱心だった理由を、残念ながら多くの日本国民が知らない。
メディアの悪質な印象操作に乗せられ、
「小さな岩に固執する石原慎太郎」
という誤解をした人も少なくないだろう。
だが、沖ノ鳥島が島ではないということになれば、周辺のEEZ約40万平方メートルが日本のものでなくなる。
日本の国土全体(約38万平方キロ)以上の海が日本のものではなくなるのだ。
沖ノ鳥島周辺は、魚の産卵場や回遊経路に当たると言われ、海底には貴重な鉱物資源が存在するとも言われている。
つくづく、石原氏が懐かしい。
圧勝で3期目を迎えた小池氏には、国の不甲斐なさを一喝して、
「東京の島を自ら守る」
気概を見せてほしいものである。

中国 沖ノ鳥島周辺の公海上にブイ設置 政府 情報収集など継続
2024年7月5日 18時33分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240705/k10014502551000.html
中国の海洋調査船が6月、沖ノ鳥島周辺の日本の大陸棚に位置する公海上の海域にブイを設置したことが確認されました。
政府は、目的や計画などを示さないまま設置され、遺憾だとしていて、情報収集や分析を続ける方針です。
これは林官房長官が2024年7月5日の記者会見で明らかにしました。
それによりますと、2024年6月、四国の南側、沖ノ鳥島周辺の日本の大陸棚に位置する公海上の海域に、中国の海洋調査船がブイを設置したことが確認されました。
日本側は事前の段階で調査船の動きを把握し、公海上であっても大陸棚に関わる日本の海洋権益を侵害しないよう働きかけると共に、目的などを示すよう求めていましたが、説明がないままブイが設置されたとしています。
林官房長官は
「目的や計画などの詳細を示さないまま設置したことは遺憾だ」
「中国側には海洋活動全般で、様々な懸念や疑念があることも踏まえ、直ちに透明性のある説明や活動を行うよう申し入れを行った」
と述べました。
そして
「中国側からは
『ブイは津波観測用で、日本が大陸棚に有する主権的権利を侵害するものではない』
との説明があった」
「政府として情報の収集や分析などを継続する」
と述べました。
■林官房長官「直ちに問題行為と言えずも情報収集など継続」
林官房長官は、午後の記者会見で
「設置された海域は、いずれの国の管轄権も及ばない公海で、全ての国に航行や科学的調査を行う自由などが認められている」
「仮に、我が国の大陸棚に対する科学的調査であれば、国連海洋法条約により事前の通報が必要だが、中国側は
『海底ではなく、津波観測用だ』
としており、条約上の通報の義務はない」
と述べました。
その上で
「設置された海域での船舶交通の安全や、我が国の主権的権利に影響を及ぼさないのであれば、国際法上、直ちに問題のある行為とまでは言えず、政府としては、引き続き情報の収集や分析などを継続する」
と述べました。
■中国外務省報道官「日本側に干渉する権利はない」
中国の海洋調査船が沖ノ鳥島周辺の日本の大陸棚に位置する公海上の海域に設置したブイについて中国外務省の毛寧報道官は2024年7月5日の記者会見で
「津波用のブイの設置は科学研究で公益性のある目的であり、国際的にも通用するやり方だ」
と述べました。
その上で
「各国は公海で科学研究に従事する自由があり、日本側に干渉する権利はない」
と述べ、
「遺憾だ」
とする日本側を牽制しました。
中国のブイは去年2023年7月にも沖縄県の尖閣諸島周辺の日本のEEZ=排他的経済水域内で確認され、日本側が撤去を要求していますが中国は応じていません。

中国が四国南方のブイ設置を正当化 「日本側に干渉する権利はない」と主張
2024/7/5 18:50
https://www.sankei.com/article/20240705-K2EAKTMNEJP6PNRK7OLQHTX5FY/?dicbo=v2-KjR4LrS
中国外務省の毛寧(もう・ねい)報道官は2024年7月5日の記者会見で、中国の海洋調査船が四国南方の太平洋にブイを設置したことに日本政府が遺憾の意を表明したことに対し、
「日本側に干渉する権利はない」
と反発した。
「科学研究と公益目的に基づく国際的に通用したやり方だ」
と主張している。
毛氏は、中国船が
「西太平洋の公海」
にブイを置いたと説明した。
「国連海洋法条約に基づいて公海は全ての国に開放されている」
「各国は公海において科学研究に従事する自由を有している」
との見解を示した。
2023年7月には中国の海洋調査船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の魚釣島北西約80キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内にブイを設置したことが確認されている。
日本政府は中国側に即時撤去を求めた。
毛氏は、2023年7月にブイの設置が確認されたことに関し
「合理的で合法だ」
と正当化した。

中国、日本大陸棚にブイ 政府、海洋権益巡り申し入れ
2024/7/5 12:07
https://www.sankei.com/article/20240705-5B53P34K2NKEFPIZQJTAPVIMUQ/
林芳正官房長官は2024年7月5日の記者会見で、中国の海洋調査船が四国南方の公海上にブイを設置したことを確認したと明らかにした。
日本の大陸棚に当たり、政府は日本の海洋権益を侵害することがないよう申し入れた。
中国側からは、ブイは津波観測用で、日本の大陸棚に対する主権的権利を侵害するものではないと説明を受けた。
政府関係者によると、中国の海洋調査船「向陽紅22」がブイを設置したのを2024年6月中旬に確認した。
同船が東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)を航行している段階から動向を注視していたという。

中国、日本EEZ内の尖閣沖観測ブイ使い複数の論文発表 活動を既成事実化、軍事利用も
2024/3/11 12:00
https://www.sankei.com/article/20240311-KIPO7RFEZNF3XJPMKNCM6GMHAI/
中国の研究者による尖閣沖の観測ブイ「QF209」のデータを使った論文の図
https://www.sankei.com/article/20240311-KIPO7RFEZNF3XJPMKNCM6GMHAI/photo/Z6GVY7TSG5GQPJBKVW2XD47A6Q/
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が大型の観測ブイを設置している問題で、中国の研究者が、ブイの観測データを基に少なくとも4本の学術論文を発表していることが2024年3月11日、分かった。
ブイのデータを活用することで、尖閣周辺海域の管轄権の既成事実化も狙っているとみられる。
また、ブイのデータは軍事利用されている可能性がある。
■識別番号「QF209」
海上保安庁などによると、観測ブイは2013年に尖閣諸島の魚釣島の北西約80キロ、EEZの境界線である日中中間線付近で初めて確認された。
その後、ブイが流される度に新しいブイが設置されたとみられ、2016年以降は日中中間線より日本側に入った位置で確認されている。
政府は外交ルートを通じて中国側に抗議しており、岸田文雄首相は昨年2023年11月の日中首脳会談で即時撤去を求めていた。
産経新聞が論文検索サイトを使って調べたところ、尖閣諸島沖に設置されたブイに関連する英語の学術論文が2018年から2020年にかけて4本発表されていた。
ブイは識別番号
「QF209」
とされ、中国の研究者がブイの観測データを使って気象予測などを論じている。
ブイが日本のEEZ内にある時期に収集されたデータも含まれているとみられる。
2019年に中国国家海洋環境予報センターの研究者が発表した論文では、QF209は24基のブイで構成された中国の観測ネットワークの一部として登場。
QF209の観測期間は2013年2月以降としている。
またQF209を巡る4本の論文は、他の論文に引用されており、中には26本の論文に引用されたケースもあった。
東京大学大気海洋研究所の柳本大吾助教(海洋物理学)は
「日本の研究者も掲載を目指す米国の科学雑誌も含まれている」
「東シナ海は台風や線状降水帯の予測において重要な海域で、貴重なデータが取れている」
「係留型のブイは、気象庁の漂流型のものと違い、時間変化するデータを同じ場所で細かく取得することができるという利点がある」
と指摘する。
■天気予報で領有権アピール
中国国家海洋局の2014年の文書によれば、QF209は直径約10メートルで、風速、風向き、気圧、気温、水温、波浪のデータを収集し、送信する能力がある。
中国の軍事ニュースサイト
「新浪軍事」
の2013年の記事では、高精度な地図の軍事転用を引き合いに出し、観測ブイも軍事と民生の両面で大きな意義があるとしている。
また香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの2021年1月の記事は、国家海洋局当局者の発言として、係争海域にある新型のブイが装備しているカメラやセンサーを使い、他国による侵入とみなされる行為を察知した場合、中国海軍と法執行機関に通報すると伝えている。
この記事では、潜水艦の安全な航行にブイのデータが役立つとも書かれている。
2021年には海上自衛隊が奄美大島沖で中国の潜水艦を確認しており、こうした活動にブイの観測データが活用されている可能性がある。
元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は
「海中のデータは重要だ」
「水温が変わると、海中での音の伸びも変化する」
「地球温暖化で海水温が1度上がるだけでも、潜水艦の探知のために蓄積した過去のデータが無駄になることさえ懸念されている」
と話す。
中国は、日本が2012年9月に尖閣諸島を国有化すると同時に、中国国営中央テレビ(CCTV)で尖閣諸島の天気予報を始めており、気象を巡る情報が領有権を示す道具として使われている。
■新型ブイは大型化、能力向上か
QF209と同じ場所へ2023年に設置されたブイは、識別番号
「QF212」
とされ、更なる能力向上が図られているとみられる。
中国メディアの報道や、衛星画像を使った分析を総合すると、新しいブイは直径が約15mと大型化している可能性がある。
昨年2023年、中央軍事委員会の指揮下にある海警局の船舶は過去最多の352日に渡って尖閣諸島周辺の接続水域に入域し、うち42日は日本の領海に侵入した。
ブイは海警局の船が出航する浙江省台州市と尖閣諸島周辺の接続水域を結ぶ航路上に位置している。
中国のブイを巡っては、フィリピンやベトナムも同様の問題を抱えている。
フィリピンは同じ海域にブイを設置して応酬したり、漁師や沿岸警備隊が浮遊障壁を撤去するなどして対抗してきた。
米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)の報告によると、ベトナムも1988年に中国のブイの設置を阻止するなど長年、中国と沿岸の領有権を争ってきた。
■「政府は初動を誤った」
ブイが海洋警備や軍事に用いられる例は、中国以外でもみられる。
米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は
「Oceans of Things」
と称し、数千の小型フロートからなるセンサーネットワークを自国の沿岸に展開しており、搭載された高感度のマイクで水中の様子を監視している。
国連海洋法条約はEEZを管轄する国にしか構造物設置を認めておらず、科学調査には事前の許可が必要としている。
同条約は、EEZの境界が未画定の海域についても、最終的な合意に向けて当事国同士があらゆる努力を講じることとしており、中国の一連の行動はこれと相容れない。
一方、撤去に関して明文化された規定がないこともあり、日本政府は10年以上に渡って対応出来ずにいる。
香田氏は
「政府は明らかに初動を誤った」
「論文は米国の雑誌にも掲載され、国際法上の既成事実を与えてしまっている」
と指摘。
「(侵攻に)徹底抗戦するウクライナと違い、国際社会から我が国の国際法上の権利であるEEZにおける管轄権を諦めているとみなされる」
「今頃撤去すれば中国は、対応策として自国の管轄権を守るためと称して軍艦を派遣する可能性もある」
と厳しい認識を示した。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/308.html#c44

[政治・選挙・NHK296] 毎年恒例「2024年のバカ」トップ10(前編) 適菜収「それでもバカとは戦え」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
43. 秘密のアッコちゃん[1172] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月15日 18:51:25 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[610]
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外国人パー券購入禁止、自民党は罰則導入に弱腰 欧米では身柄拘束も「都合悪い人がいる」と疑われかねず…保守派議員はあきれ顔
2024.12/15 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241215-CJGGDNE3TBPQXBEQGII7IXY4BM/
今国会の焦点である
「政治とカネ」
の問題で、政治資金規正法再改正に向けた各党案の議論が本格化してきた。
「企業団体献金の是非」
と共に改革への本丸≠ニ言えるのが、
「外国人や外国法人によるパーティー券購入禁止」
の問題だ。
外国勢力による国政への介入を阻止するため、与野党は2024年12月13日の衆院政治改革特別委員会で
「禁止すべきだ」
との認識で一致した。
ただ、立憲民主党が
「罰則の導入」
を提起する一方、自民党は及び腰という。
日本を取り巻く経済安全保障情勢が悪化するなか、石破茂政権はリスクを払拭できるのか。

■欧米では政治家の身柄拘束も
「パーティー券購入の実態は寄付だ」
「外国人からの寄付禁止と同様に禁止すべきだ」
衆院政治改革特別委員会で2024年12月13日、
「外国人による政治資金パーティー券購入」
について、各党案の内容や見解などについて質疑が交わされた。
各党の説明者は、異口同音に禁止への賛意を表明した。
政治資金規正法では
「外国人献金の受け取り禁止」
を明記している(第22条の5)。
外国勢力が、我が国の政治や選挙結果に影響を与えて、国益を害するのを防ぐためで、外国人や外国法人から寄付の受け取りはできない。
この抜け穴となっていたのが、
「外国人や外国法人などによるパーティー券購入」
である。
自民党のある派閥のパーティーに、多数の中国人が参加していたことが疑問視されたこともある。
冒頭の衆院政治改革特別委で、自民、立憲民主、日本維新の会、国民民主、公明、共産各党は、外国人による政治資金パーティー券購入を禁止すべきだとの認識で一致した。
経済安全保障アナリストの平井宏治氏は
「国際情勢が激化する中、
『国益第一の政治』
が歪められかねない兆候はいくつもある」
「政治資金規正法では外国人献金を禁止しながら、パーティー収入に形を変えて外国由来の資金が流入する異常事態が放置されてきた」
「各党が一致して禁止の意向を表明するのは、ある意味当然だ」
と語る。
こうした中、肝心の
「抑止策(罰則)」
で温度差が浮き彫りになっている。
立憲民主党は、違反行為に
「罰則」
を設けることを検討している。
自民党も当初、罰則規定導入を検討していたが、党内から異論が出たことを受け、
「実効性を確保する方策を検討する」
に後退≠オたという。
立憲民主党の議員は
「外国人や外国法人によるパーティー券購入を禁止すれば、付随した
『罰則』
を検討するのは当然だ」
「逆に、罰則規定もないまま、どのように禁止の実効性を持たせるのか、全く理解できない」
と語る。
自民党の保守系議員も
「欧米などの自由主義諸国では、外国や外国勢力による浸透や介入を防ぐため、厳しい規制がある」
「政治家らが身柄拘束された事例もある」
「あらゆる形態の
『外国資金流入』
が禁止されるのは当然なのに、
『罰則を付けると都合が悪い人がいる』
と疑われかねない」
と呆れ顔で語る。
■平井氏「ハニートラップにも警戒を」
外国人や外国法人によるパー券購入禁止は、政治資金規正法再改正の改革の本丸≠フはずだった。
自民党のベテラン議員は
「LGBT法の拙速な法制化や、中国や韓国への前のめりな融和姿勢で、自民党から岩盤保守層は離反したとされる」
「こうした中、
『外国勢力の介入阻止』
に繋がる政策は、信頼を取り戻す格好の取り組みだ」
と力を込める。
我が国の経済安全保障に直結しうる法改正の罰則導入で野党に後れを取るようでは、岩盤保守層の信頼回復は簡単ではない。
平井氏は
「今年2024年は、高市早苗前経済安保相が主導した、機微情報などへの接触を厳格化する
『セキュリティ・クリアランス』
制度が確立し、経済安全保障への意識が高まった」
「ただ、適用できる罰条は比較的軽く、抑止力が弱いという課題がある」
「今後は、スパイ防止法の検討を含め、外国由来の資金が入ってくることを規制する局面になる」
「金銭だけでなく、ハニートラップなどへの警戒も強めなければならない」
「政治資金パーティー券を巡る対応は、今後を占う意味でも要注目だ」
と指摘した。

<主張>資金パーティー券 「外国人購入」には罰則を
社説
2024/11/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20241124-PD3YUBW2G5OLDCWOFTXGA2VHL4/
自民党は政治改革本部の総会で、政治資金規正法の再改正に向けた基本方針案を事実上了承した。
使途の公開が不要な政策活動費の廃止や、政治資金を監査する第三者機関の設置、外国人や外国法人による政治資金パーティー券の購入禁止などを明記した。
自民は与野党協議を呼び掛けている。
基本方針案を踏まえた政治資金規正法改正案を、年内の臨時国会で必ず成立させてもらいたい。
規正法は今年2024年の通常国会でも改正したが、政策活動費の10年後の領収書公開などが検討事項として盛り込まれるにとどまった。
「政治とカネ」
の問題が争点になった衆院選で大敗した自民は、再改正によって国民の理解を得たい考えだ。
重要なのは改革の実効性確保と早期の実施である。
自民案は、政策活動費を廃止することで支出の透明化を進める一方で、外交上の秘密や企業の営業秘密などの支出については
「公表方法を工夫する」
とした。
恣意的な運用を避けるために、公開基準を明確にすべきなのは言うまでもない。
第三者機関については、政治資金収支報告書に不記載や虚偽記入があった場合、立ち入り調査を認めるのかなど調査権限の範囲を決める必要がある。
外国人や外国法人によるパーティー券購入の禁止では、当初、罰則規定の導入を検討したが、党内から異論が出たため、
「実効性を確保する方策を検討する」
との表現になった。
規正法は外国人と外国法人による政治献金を禁じ、違反した場合の罰則もある。
パーティー券の購入禁止も国政が外国勢力の影響を受けるのを防ぐには必要な措置であり、罰則は必ず設けなければならない。
企業・団体献金の扱いを巡っては、立憲民主党や日本維新の会、共産党などが禁止を訴えている。
だが、これには賛成できない。
社会の構成員である以上、政治活動の自由は引き続き認めるべきだ。
透明性を高めて公正性を担保したい。
他にも課題はある。
公開の義務がない
「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)
の在り方だ。
与野党が国会で使途公開や残金返納に向け協議している。
歳費法などの改正が必要で、これも2024年年内に成立させることが欠かせない。

石破首相、外国人のパーティー券購入規制「適切に対応」 外遊終え帰国の途
2024/11/20 7:46
https://www.sankei.com/article/20241120-223TEMB5TFJ55E7BOI6JPUTTZY/
石破茂首相は2024年11月19日午後(日本時間20日午前)、訪問先のブラジルで記者会見した。
政治改革を巡り、外国人による政治資金パーティー券の購入を規制する案が公明党から出ていることについて
「我が党も率先して議論を進めてきた課題だ」
「規制の実効性を担保するための方策を含め、現在、検討が進められている」
「適切に対応していくことが必要だ」
と述べた。
政治資金を監督する第三者機関の設置に関しては
「プライバシーや秘密保護のため公開することが困難な支出があった場合、その妥当性を中立的な立場から厳格に判断することが求められる」
「役割や権限について議論を進めたい」
と述べた。
政策活動費の存廃については
「廃止を含めた白紙的な議論を行うよう自民党に指示した」
「早急に結論を得たい」
と語った。
与党と国民民主党との政策協議で焦点となっている
「103万円の壁」
見直しについては
「労働供給や税収に如何なる影響を与えるかなど、様々な指摘がある」
「各党の政調会長、税調会長間で丁寧に協議を進めたい」
と述べた。
米国のトランプ次期大統領との向き合い方については
「次期政権がどのような政策を打ち出していくか、よく分析しながら、共に協力できる関係構築のため努力したい」
と述べた。
「協力が両国の国益になり、インド太平洋地域の平和と安定にも貢献するということをよく説明し、理解してもらう」
と語った。
首相はペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、ブラジルでの20カ国・地域首脳会議(G20サミット)など、一連の外交日程を終えた。
2024年11月21日に帰国する。

<独自>自民、外国人のパーティー券購入禁止へ 国民民主も主張、臨時国会で再改正目指す
2024/11/4 17:28
https://www.sankei.com/article/20241104-GWJHQAKX3ZNRJIRMWRJWIFKRAE/
自民党は、政治資金規正法を再改正し、外国人や外国法人による政治資金パーティー券の購入を禁止する方向で調整に入った。
2024年12月初旬にも召集見込みの臨時国会での再改正を目指す。
複数の与党関係者が2024年11月4日、明らかにした。
国政が外国勢力の影響を受けるのを防ぐため、外国人らからの政治献金は現行法でも禁止されている。
だが、パーティー券の購入は認められており、
「抜け道」
との指摘があった。
2024年6月に成立した改正規正法では、付則に
「外国人によるパーティー券購入規制の検討」
を盛り込んでおり、再改正で禁止に踏み込む。
国民民主党は先の通常国会での改正規正法審議で、外国人による政治資金パーティー券購入の禁止を
「肝煎り」(党幹部)
として主張した。
石破茂首相(自民総裁)が目指す国民民主との
「部分連合」
の実現に向け、前提条件の1つになる可能性もある。
この他、自民は政治資金を監視する第3者機関の設置について、再改正の際、どこに設置するかや権限の範囲といった論点の結論を出したい考えだ。
自民は、党が党幹部らに支給する政策活動費の廃止や、国会議員に月額100万円が支給される
「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の使途公開・残金返納に関しても「速やかに実現を図っていく」(首相)
としている。
一方、立憲民主党などが禁止を訴えている企業・団体献金やパーティーの開催は、再改正でも禁止規定は盛り込まない方向だ。
自民はこれらの論点について、新設した総裁直轄機関
「政治改革本部」(渡海紀三朗本部長)
で詳細を詰める。

外国人の「パー券」購入を許して良いの?
正論2024年8月号 フィフィ
自民党の派閥政治資金パーティー収入不記載事件をきっかけにした政治資金規正法の改正案が成立しました。
今回の不記載事件については野党やメディアが
「裏金」
などと強く批判し、そうした行為を許した制度の穴を塞ぐための法改正を訴えていました。
成立した法案にはパーティー券購入者の公開基準引き下げなどが盛り込まれました。
もちろん、繰り返される政治とカネの問題に対し、メスは入れるべきでしょうが、与野党共により大きな問題に目を瞑っているように感じられてなりません。
それは、現行法で規制されず、今回の改正議論でもほぼ触れられることがなかった外国人や外国法人によるパーティー券購入です。
外国人や外国法人による政治献金は禁じられています。
しかし、パーティー券については認められています。
実際、私もかつて政治資金パーティーに招待され、会場にお邪魔した際、明らかに日本語ではない言葉で談笑する集団を目にしたことがあります。
実際に国籍を含め、どのような背景をお持ちかは分かりませんが、献金を許されていない属性の方々である可能性は高いと言って良いでしょう。
自民党の有村治子参議院議員は2024年3月の予算委員会で
「日本の政治が外国勢力から支配や干渉を受ける制度的な脆弱性を持ち続けることになる」
と指摘していましたがその通りです。
実質的には同じ政治家、派閥への経済的な支援でしょう。
この時、岸田文雄首相は
「問題意識は共有する」
などと答弁していましたが、自民党が提案した政治資金規正法の改正案にはパーティー券規制は盛り込まれていません。
国民民主党や日本維新の会は規制論を唱えていますが、野党第1党の立憲民主党はこの問題について不思議といつもの厳しい追及をしていないように映ります。
率直に言って、日本の政治家は本当に日本のために働こうとしているのかと疑わざるを得ません。
パーティー券を外国人が買っているから、その国に支配されている、などと安易に決め付けるつもりはありません。
そもそも本当に勝っているのかや、影響を受けているのかなどの証明は不可能に近いでしょう。
しかし、問題はそこではありません。
現実がどうか以前に、影響を与えられかねない可能性がある制度が問題なのです。
日本は現在、自由や民主主義といった価値観を共有するアメリカや台湾、西欧諸国などと共に、中国やロシアをはじめ、既存の国際秩序に挑戦しようとしている国々と対峙しています。
台湾海峡をはじめ有事のリスクは日々高まっているとされています。
そして安倍晋三政権以降、日本政府は防衛力の強化、つまり、
「敵国」
への備えを着々と進めています、
そうした中、外国から影響を受けるかもしれない制度の改正に手が付けられていないのならば、一連の姿勢の本気度が問われます。
尖閣諸島の周辺を連日中国の海警局の船にウロウロされていても、日本政府の対応はいわゆる
「遺憾砲」
だけです。
また、韓国船による日本の排他的経済水域内での事前同意がない海底調査にも在日韓国大使館に抗議するのみです。
”大人の対応”のつもりでしょうが、外国人にパーティー券の購入を許していることで日本の政治家が弱腰になるのだ、という種の余計な推測をされてしまいます。
もちろん、外国人や外国企業が日本人や国内企業を使って迂回的にパーティー券を購入することも出来るでしょうし、永住外国人の扱いなど、どのように実質的な規制に落とし込むのかという法制上の問題はあります。
しかし、外国人による事実上の
「献金」
が可能な制度がこのままで良いはずがありません。
今からでも遅くはありません。
改めて規制方法を考え、加筆するべきです。

<主張>通常国会の閉幕 「国の根幹」進まなかった
社説
2024/6/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20240623-U3XRSIZPX5NJ7OXR3P2VP5ZH5A/
岸田文雄首相は記者会見で、多くの法律が成立したことを強調した。
ただ
「政治とカネ」
を巡る問題では、国民の信頼を取り戻せたとは言えない。
改正政治資金規正法を成立させたとはいえ、外国人・外国法人のパーティー券購入規制や「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の改革は先送りされた。
自民党の派閥パーティー収入不記載事件についても不明な点が残った。

<主張>改正規正法が成立 さらなる改革に取り組め
2024/6/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20240620-7NRDG53ICNKE3I6FEQNXJ33L5Y/
自民党が提出した改正政治資金規正法が参院本会議で自民、公明両党の賛成多数により可決、成立した。
自民派閥パーティー収入不記載事件の再発防止と政治資金の透明性向上への対策が盛り込まれている。
一部を除き令和8年に施行される。
ただし今回の内容では十分とは言えない。
更なる取り組みを求めたい。
改正法は、政治資金収支報告書が適法だと証明する
「確認書」
の作成を国会議員に義務付けた。
確認が不十分だった場合、公民権停止となる。
不正を抑止する効果が期待される。
透明性の向上を図るため、パーティー券購入者の公開基準額を
「20万円超」
から
「5万円超」
に引き下げた。
一方で積み残した課題がある。
最たるものは、外国人・外国法人のパーティー券購入規制を検討にとどめた点だ。
国政が外国勢力からの影響を受けるのを防ぐため、外国人・外国法人による政治献金は禁止されている。
パーティー券の代金はパーティー参加の対価とされるが、政治活動への事実上の経済支援である。
献金と意味合いがほとんど変わらない以上、外国人・外国法人による購入を禁止すべきだ。
立憲民主党提出のパーティー禁止法案は衆院で否決された。
立民は一部幹部にのみ当面の自粛を決めたが、パーティーが政治を悪くすると考えるのなら、党所属の全議員が自粛するのが道理ではないか。
不記載事件を巡っては、いつ誰が何の目的で行ったかが依然不明だ。
首相や安倍派は説明を尽くさねば、国民の不信は尚残るだろう。

<産経抄>首相の腐心、政治資金規正法の「貝合わせ」   
2024/6/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240607-IPEPRQ5ZHJKWHBFUHUWQ4BGG34/
「貝合わせ」
という遊びが生まれたのは平安時代の末だった。
たくさんの貝殻を左と右に分け、正しい一対を多く選んだ人が勝ちとなる。
日本国語大辞典によれば、1度に360個のハマグリが使われる壮大な娯楽だったらしい。
▼貝の内側には左右同じ趣向の絵や和歌の上の句と下の句を分けて書き、目印にしたとか。
左右が合わない状態を「ぐりはま」と呼んだ。
さて現代、永田町の人々にとっては耳が痛い言葉だろう。
与野党間は疎か、与党内でも続いた政治資金規正法改正案の「ぐりはま」である。
▼「10万円超」とする自民党内の声を制し、公明党の「5万円超」に合わせたパーティー券購入者の公開基準額。
日本維新の会に迫られて、領収書などを10年後に公開する案を呑んだ政策活動費の扱い。
衆院特別委員会が流れる異例の混乱もあった。
▼岸田文雄首相が収拾のために自ら奔走せざるを得なかったことが、自民党の厳しい内情を物語っている。
国際情勢が緊迫の度を高める中、政治不信を拭うための議論でもたついたのは、何とも嘆かわしい。
さりとて今国会での法案成立は不可欠だ。
▼改正案はきのう、衆院を通過した。
自ら率先して行うつもりもない
「政治資金パーティーの禁止」
を掲げた立憲民主党は笑止だが、外国人や外国法人によるパーティー券購入の禁止は検討事項にとどまっている。
国益に関わり、対処は急を要する。
参院で議論を尽くしてほしい。
▼誰が何のために始め、何に金が使われたか。
根本的な疑問に政治が答えたとは言い難い。
ともあれ抜け道を許す規正法の運用は困る。
制度を正すも歪めるも政治家にかかっている。
「歪み」と書いた。
「不」と「正」の貝合わせはこれで最後にしてもらわねば。

<主張>規正法衆院通過へ 信頼回復急ぎ成立確実に
社説
2024/6/6 5:00
https://www.sankei.com/article/20240606-E35EY6RHWNORTLKXFHRIEJBYEQ/
衆院の特別委員会は自民党提出の政治資金規正法改正案を、自民、公明党、日本維新の会の賛成多数で可決した。
2024年6月6日の衆院本会議で可決し、参院に送付される見通しだ。
自民派閥パーティー収入不記載事件に端を発した政治とカネを巡る改革は、今国会で結論を出さねばならない。
参院で議論を尽くし、成立を期したい。
信頼回復を急ぐことが求められる。
改正案の最大の眼目は、同事件の再発防止である。
会計責任者が作成した政治資金収支報告書が適法であることを議員が証明する
「確認書」
の作成を義務付けた。
会計責任者が処罰され、議員の確認が不十分だった場合、公民権停止になる。
議員の責任を明確にした点で前進と言える。
実効性を確保し違法行為を抑止しなければならない。
改正の狙いには政治資金の透明性向上もある。
パーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げる。
公明の要求を踏まえたものだ。
政党から国会議員に支出される政策活動費については、10年後に領収書などを公開する仕組みを設ける。
維新が求め、自民が受け入れた。
外国人・外国法人のパーティー券購入の規制が検討事項にとどまったのは残念だ。
現行の規正法は外国人・外国法人による政治献金を禁じている。
国政が外国勢力から影響を受けることを防ぐためだ。
これに対しパーティー券購入に国籍制限はない。
外国人への参政権付与などの政治的思惑が購入者側にあっても不思議ではない。
外国人・外国法人による購入は禁止すべきである。
衆院審議の過程で、立憲民主党がパーティーを全面的に禁止する法案を出す一方、党幹部がパーティーを開催したり予定したりしていたことが分かった。
批判されて取りやめたが、未だに一部の幹部を除く大多数の所属議員に開催を禁じていない。
言行不一致は国会審議の形骸化に繋がることを自覚し、反省する必要がある。

岸田首相、外国人パーティー券規制「実効性担保考える」 規正法改正へ審議入り
2024/5/22 19:30
https://www.sankei.com/article/20240522-XNX6OA3TORMZTPSJK3VG2QJJHM/
自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受け与野党が提出した政治資金規正法改正案の審議が2024年5月22日、衆院政治改革特別委員会で始まった。
各党案の隔たりは大きく、法案修正協議は難航しそうだ。
岸田文雄首相は同日の参院予算委員会で、外国人や外国法人によるパーティー券購入について
「規制の実効性をどう担保するかの検討を含め、対応を考えたい」
と述べた。
衆院特別委では自民案、立憲民主と国民民主両党の共同案、同日に提出された日本維新の会案の趣旨説明の他、立民が単独で提出したパーティー開催禁止法案などの趣旨説明も行われた。
各党案はパーティー券購入者の公開基準額で隔たりがあり、パーティーの在り方などが焦点となる。
自民は当初、公明党と与党案の共同提出を目指したが、公開基準額などで折り合えず、単独での提出となった。
首相は参院予算委で
「政治の信頼回復に向け、多くの国民の声を聴き、法改正で結果を出す」
と強調した。
維新の柳ケ瀬裕文氏から
「安全保障環境が厳しい」
として外国人らによるパーティー券購入禁止を求められ、首相は
「問題意識は共有する」
「パーティー券は譲渡されるので、実態把握や規制の実効性の確保を検討しなければならない」
と述べた。
政党から議員に支出され使途公開の必要がない政策活動費について、立民などは廃止を求めているが、首相は改めて否定した。
企業・団体献金の禁止も拒否した。
維新案は、政策活動費の在り方を見直し「特定支出」制度を新設。
政党が支出できる総額の上限や使途を制限し、10年後に領収書などを公表することなどを盛り込んだ。

<主張>政治パーティー券 外国人の購入を禁止せよ
社説
2024/4/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240407-DPWLC4DYDROLZJ42HOTVIEOT7U/
自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受けて、後半国会の焦点になっている政治資金規正法の改正論議で重要な論点が見落とされている。
外国人・外国法人による政治献金が禁じられている一方で、政治資金パーティー券の購入は認められている点だ。
外国人などの政治献金が禁止されているのは国政が外国勢力から影響を受けることを防ぐためだ。
それは日本の主権を守ることに他ならない。
現行の規正法では、パーティー券の購入費はパーティーへの参加の対価という位置付けになっているため、国籍の制限はない。
だが、実際は政治活動への事実上の経済支援である。
献金と意味合いがほとんど変わらない以上、外国人・外国法人による購入を禁じるべきだ。
参院予算委員会で質問に立った自民党の有村治子氏は、このままでは
「日本の政治が外国勢力から支配や干渉を受ける制度的な脆弱性を持ち続けることになる」
と懸念を示した。
その通りである。
リクルート事件などを受け、平成6年の規正法改正で企業・団体の政治家個人への献金は禁止された。
これにより、政治家に資金が渡る手段は、献金からパーティー券購入へと変わっていった。
こうした経緯を踏まえれば、寄付と同様にパーティー券の購入にも政治的動機があってもおかしくない。
その動機の1つに、外国人への参政権の付与もあろう。
選挙権・被選挙権などは国民にのみ与えられた権利であり、外国人が持てば憲法に抵触する。
有村氏の質問に対し岸田文雄首相は
「様々な分野で外国の機関による工作が行われているとの認識に立って情報収集・分析に努めている」
「問題意識は共有する」
「自民として何ができるかを考えたい」
と語った。
外国機関の工作が行われていると認識している割には、悠長に構えていると言わざるを得ない。
党政治刷新本部がまとめた政治改革の中間取りまとめにも、外国人などのパーティー券購入に関し言及がなかった。
政治改革を議論する特別委員会は2024年4月月内に衆参両院に設置される見通しだ。
規正法改正の自民案を早急にまとめ、外国人・外国法人のパーティー券購入禁止を盛り込んでもらいたい。

「外国勢力の干渉を受ける脆弱性」自民・有村治子氏、外国人のパーティー券購入制限を訴え
2024/3/6 11:44
https://www.sankei.com/article/20240306-KBNQ5HLXDRFYPCCFT7RT726R6M/
自民党の有村治子参院議員は2024年3月6日の参院予算委員会で、岸田文雄首相に対し、外国人による政治献金が禁じられる一方、政治資金パーティー券の購入は認められている現状について
「事実上どちらも政治活動への経済的支援に変わりはない」
「外国人によるパーティー券の購入を正していかなければ、日本の政治が外国勢力から支配や干渉を受ける制度的な脆弱性を持ち続ける」
と述べ、法改正を訴えた。
首相は
「政府として様々な分野で外国の機関による工作が行われているとの認識で情報収集・分析に努めている」
とした上で、
「問題意識は共有する」
「自民党として何ができるかを考えたい」
と述べた。
有村氏は
「特定の外国の人が日本の政治家からパーティー券を買い続け、参政権がないにもかかわらず少なからず経済的支援を続けているとすれば、相当の(政治的)動機があるはずだ」
とも語った。
外国人によるパーティー券購入の是非を巡っては、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けて党内で議論されたが、2024年1月に了承された政治改革案の中間取りまとめには盛り込まれなかった。

裏金!? 岸田首相の宏池会 中国人パーティ券は”無罪”なのか チャイナマネー汚染によって腐っていく政権の実態を暴く
WiLL2024年5月号 ジャーナリスト 佐々木類
■中国に乗っ取られた岸田派
手元に東亜信息網(ドンヤーシンシーワン:東アジア情報ネットワーク)という電子版(2023年5月18日付)の記事と動画がある。
動画の画面左上には
「香港日報」、
右下には
「東亜信息網」
という文字と共に、日中両国の国旗が見える。
約7分間の動画は2023年5月17日夜、港区にあるホテルで開催された
「宏池会と語る会」
の受付の様子から終了まで、在日中国人らが大勢出席している様子を鮮明に映し出している。
パーティー開始前、入口付近にある金屏風の前に立ち参加者を出迎えた自民党の林芳正外相(当時)が、在日中国人の1人1人と親し気に挨拶を交わし、名刺交換をしている姿が映っている。
パーティーに出席した在日中国人らが仲間内で記念撮影したシーンも流され、美女らと共に呉江浩(ごこうこう)・駐日中国大使が笑顔で映っていたのはご愛敬だ。
その前年(2022年)5月19日付同電子版にも、
「宏池会と語る会」
の現場レポートが載っている。
注目したいのは、以下のくだりだ。

<岸田首相の就任後、初めて開催されたパーティー会場はほぼ満席で、例年より明らかに多くの在日中国人が集まり、初めてパーティーに参加したグループも見られた>
<中でも、名古屋市在住の中国人グループがわざわざ会場に来てとても美しい光景となった>
<名古屋在住グループの主催者の女性は、
「今年(2022年)は中日国交正常化50周年であるからパーティーに参加することで、【中国を宣伝したいという希望】を示すものであり、日中関係はより良い方向に発展している>
*【】は筆者注
<中には在日中国人なら誰でも知っている中国人も来ており、豪華絢爛な顔ぶれとなった>
<壇上で挨拶した林外相も気勢を上げ、岸田首相にはっぱをかけていた>
<今年(2022年)の宏池会のパーティーが例年と違うのは、なぜか学校教育推進コーナーがあって、中国人関係者が登壇した点だ>
<参加者の誰かが
「宏池会のスポンサーに違いない」
と冗談を飛ばしていたが、取材したら本当の話だった>
<首相や重要閣僚が集まるパーティーである>
<相当高額のパーティー券(パー券)を購入したに違いない>

次いで、2019年5月16日付電子版の東亜信息網の記事だ。
見出しは、
<2万円出して宏池会のパーティーに参加すれば、何を見ることができるのか>。
2019年5月15日夜、東亜信息網の記者が
「宏池会と語る会」
に出席した模様を写真と動画付きで報じている。
記事の内容は次の通りだ。
少々長いが引用する。

<パーティー券は1枚2万円かかる>
<記者のパー券は日本の企業経営者から贈られた>
<島国にある自民党の宏池会のパーティーでは、中国人にとって想像もつかないような事が普通に行われていた>
<パーティーは有料で、中国人団体も喜んでパーティーに参加していた>
<なぜこの時期に宏池会がパーティーを開いたのか>
<今春(2019年春)から統一地方選挙が本格化してこの日パーティーが開かれた頃には選挙が最高潮に達し、各派閥が自分の派閥候補を全力で応援しているのだ>
<記者が出席した宏池会は、1957年に池田勇人首相によって設立され、
「軽武装と経済重視」
路線を掲げ、自らを保守の主流とみなしている>
<元々は、吉田(茂)派と呼ばれ、池田元首相、前尾繁三郎衆院議長、大平正芳元首相、鈴木善幸元首相らが会長を歴任した>
<1991年(*年号編集部編成)に宮澤喜一氏が総裁に選出された後、名称を宮沢派に変え、日本の歴史の中で長期に渡って政権を握り、重要な地位を占めて来た>
<派閥のメンバーは何人も首相を務めたが、1998年と2000年(*年号編集部編成)の大きな分裂で勢力が急落した>
<2017年、宏池会が創立60周年を迎え、岸田外相を安倍首相のライバルとして会長に据えた・・・>
<記者は多くの中国人を発見したが、日本の過去と現在の政治家に会うために2万円を使うのはかなり高額だ>
<ただ、地位がどれほど高くても、低くても、経歴や職業を尋ねられることはないし、提出する書類も必要ない>
<【セキュリティー・チェックもないから、】その気になって2万円さえ出せば、誰だって宏池会のパーティーに参加できるのだ>
(*【】は筆者注)

■岸田派の逃げ切りを許すな
政界と大手メディアは示し合わせたように、中国に乗っ取られたかのような派閥パーティーの実態を見て見ぬ振りをし、連日、
「裏金、裏金」
の大合唱だ。
それも問題だが、中国人によるパー券購入の方がもっと問題だろうに・・・。
派閥の政治資金パーティー収入の不記載(裏金)事件で、自民党は党規約などの改正案を整えた。
政治団体の会計責任者が政治資金規正法違反で逮捕もしくは起訴されれば、議員本人に対して最も重い場合で離党勧告を行える内容を盛り込んだものだ。
不記載となった金は裏金と化し、場合によっては、所得税法違反の疑いすら生じているのだから、議員本人の責任を問うのは当然である。
だが、如何にもお手盛りの甘い決定と言わざるを得ない。
議員の進退は選挙民の負託を受けた議員本人が決めることではあるが、
「離党勧告」
などと甘っちょろいことを言っていないで、
「辞職勧告」
にすべきであろう。
それ以上に問題なのは、岸田政権の中枢を蝕み、真っ先に除去しなければならない深刻な問題が置き去りにされたままであることだ。
何回でも言おう。
中国人らによるパー券購入問題である。
彼ら個人や団体が、中国共産党の意を汲んだ対日工作の実働部隊として、政権与党の自民党が中国に有利な政治決定をするよう、政治的な意図を持って購入しているのは明らかである。
岸田首相が、彼らが
「金は出すけど、口は出さない」
という奇特な集団だと思っていたとしたら、余りに能天気だ。
習近平政権は、友好の仮面を被りながらも本音では、日本を華夷(かい)秩序(中華思想に基づく世界観を現実に投影しようとする国際秩序)に取り込むべく、日本の政財界中枢だけでなく、地方自治体への浸透を目論んでいる。
戦前、八路軍(日中戦争時に華北で活動していた中国共産党軍の通称)を率いた毛沢東以来、プロパガンダに長けた中国共産党である。
政治的な狙いがあると見るのが当然だ。
もっとも、パーティー収入の不記載と違って、外国人によるパー券購入は政治資金規正法違反ではない。
ならば、直ちに違法とするべく、国会の責任で政治資金規正法を改正すべきである。
現行の政治資金規正法では、パー券の購入は20万円以下であれば購入者を明らかにする必要がない。
匿名での購入が罷り通っているのである。
これが外国勢力による資金提供の温床になっているのだ。
■腐り始めた政権中枢
企業・団体による【献金】は【政党】に対して【だけ】認められている。
だが、【パー券の購入】であれば、【政党以外の政治団体】からも可能である。
国の補助金を受けた法人や赤字法人、外国人・外国法人の寄付は禁じられているにもかかわらず、パー券購入には何の制約もなく抜け穴になっているのである。
こうした事実を国民の多くは知らないでいる。
知らなければ問題意識を持ちようがなく、政治に対する批判の目を向けることもない。
悪しき慣行が罷り通る所以である。
それが政治家個人の政治活動に対する責任に帰するものであるならまだしも、政治の中枢、言うなれば、国の舵取りを担う政権の屋台骨に影響が及ぶものである。
宏池会のパーティーは、日本の政権中枢が根っこから腐り始めていることを如実に示しているのである。
東京地検特捜部の捜査も掛け声倒れに終わった。
大野泰正参院議員と安倍派・二会派の会計責任者らを東京地裁に在宅起訴し、谷川弥一衆院議員と岸田派の元会計責任者、二会派の二階俊博元幹事長の秘書らを東京簡裁に略式起訴して捜査の幕を引いてしまった。
1992年の
「金丸事件」
でも似たような光景を思い出す。
政治資金規正法違反の罪に問われた金丸信元自民党副総裁の略式起訴に怒った国民感情に焦った特捜部は、脱税の事実を突き止めてようやくの思いで金丸逮捕にこぎ着けた。
その頃と違って捜査能力が落ちたのか。
強制捜査に乗り出したところまでは良かったが、大山鳴動して鼠一匹(前触れの騒ぎばかり大きく、実際の結果は極めて小さい事の例え)。
安倍派潰しだなんだと言われっ放しの状況に悔しさを感じないのか。
日本は法治国家だから犯罪事実がなければ特捜部も動きようがないのだろう。
だが、捜査を継続すべきなのは、【政治資金規正法違反】などという生温い違法行為ではなく、【脱税という所得税法違反】である。
これは国会と二人三脚の仕事であるのだが、ゆくゆくは法改正して外国人によるパー券購入を禁止し、違反した議員を摘発していかねばならない。
岸田文雄首相も自ら政治倫理審査会に出席して
「事足れり」
で済ませるのなら無責任の極みだ。
法改正を主導すべきである。
2024年2月29日の衆院政倫審で、質問に立った立憲民主党の野田佳彦元首相が指摘したのは、もっともだ。
野田氏は、
「刑事事件にもならない、責任も問われない、説明責任も果たさない、税金も払わない、処分もない」
「何もないんだったら、また同じ事が起こりますよ」
「そろそろ党として、総裁としてのリーダーシップを奮って、処分を考えるべき時期だ」
と岸田首相の政治姿勢を問うた。
岸田首相が、
「法律上の責任以外にも、政治家としての説明責任、そして政治責任、道義的責任もあると思っています」
と述べたものの、党総裁としての指導力を発揮する決意は感じられなかった。
話が拡散するから、野田氏も敢えて問わなかったのか。
それとも、違法ではないから問題ではないと考えていたのか。
いずれにせよ、外国人によるパー券購入問題には触れなかった。
政治資金収支報告書は、要旨を公表して3年を経過すれば削除できる。
つまり、3年経てば、中国の個人・団体によるパー券購入は
「無かった」
ことにできるのだ。
岸田氏は、中国のパー券購入問題がこのまま闇から闇に消え、国民の目に晒されないで済むのであれば、御の字とでも思っているのではないか。
だから、麻生太郎副総裁に相談もせずに派閥などいくらでも解散するし、政倫審にだって出席する。
「党則だって党規約だって何だって改正するさ」
と、ほくそ笑んでいるのではないだろうか。
岸田首相の逃げ切りを許してはならない。
岸田派だけではない。
この問題を放置すれば、岸田派のパー券購入に勤しんでいた中国人や団体の存在も国民に気付かれないままとなる。
国の主権に関わる問題が放置されるのと同じことである。
派閥の解散はむしろ、襟を正して再発防止を図るためではなく、中国から大量のパー券を購入してもらっていた実態を国民の目から逸らす効果をもたらしている。
■チャイマネ汚染の隠れ蓑
こうした中、中国の個人・団体によるパー券購入問題を国会で厳しく追及しているのが、自民党の有村治子参院議員である。
2024年3月6日の参院予算委員会で、岸田首相に対し、外国人による政治献金が禁じられる一方、政治資金パーティー券の購入は認められている現状について、
「事実上どちらも政治活動への経済的支援に変わりはない」
「外国人によるパーティー券の購入を正していかなければ、日本の政治が外国勢力から支配や干渉を受ける制度的な脆弱性を持ち続ける」
と述べ、法改正を訴えた。
有村氏は
「特定の外国の人が日本の政治家からパーティー券を買い続け、参政権がないにもかかわらず少なからず経済的支援を続けているとすれば、相当の(政治的)動機があるはずだ」
とも語った。
首相は
「政府として様々な分野で外国の機関による工作が行われているとの認識で情報収集・分析に努めている」
と当然のことを述べた上で、
「外国による政治、その他の分野に関する情報収集や各界への影響工作など、我が国に対する有害活動に的確に対応することは重要なことだ」
と他人事のように語っている。
気を付けねばならないのは、当たり前過ぎて聞き流してしまいそうなこの答弁が、巧妙に細工されていることだ。
「有害活動に」
と条件を付けている点に注目したい。
岸田氏は、宏池会のパー券を中国人らが大量に購入していることへの政治的意図について触れず、
「有害ではないから的確に対応する必要はない」
と抗弁しているようにも聞こえる。
外国人によるパー券購入の是非を巡っては、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けて党内で議論されたが、2024年1月に了承された政治改革案の中間取りまとめには盛り込まれなかった。
一体、岸田首相(自民党総裁)はじめ、自民党は何をやっているのか。
いくらでも修正可能な
「中間取りまとめ」
にすら盛り込めず、党規約などを見直したところで、腐った根は取り除けない。
こんな体たらくでは、保守的な自民党のコアな支持層が離れ、次の総選挙で惨敗することを全自民党議員は知るべきだ。
国民の目は節穴ではない。
支持率低迷で、ダッチロール(飛行機が左右に大きく揺れたりスライドしたりしながら飛ぶ)状態にある岸田首相。
巷間取り沙汰されている北朝鮮訪問で、拉致被害者の帰国を実現すれば巻き返しも図ることができるだろうが、そこまで岸田首相に胆力はあるか。
憲法改正に向けた発議に具体的に動くという正攻法もあるが、これとて、やる気の欠片も見えてこないのが現状だ。
政権浮揚に向けて
「次の一手」
を考えているのなら、岸田氏の腹1つで、すぐにでもできることを進言したい。
「中国マネーから手を引くべきである」
と。

<独自>政策活動費使途公開、外国人のパー券購入禁止を 自民有志の要請文判明
2024/2/15 18:14
https://www.sankei.com/article/20240215-XBJQZJXFEBKPNKY7TAMTKHSFAA/
自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受け、派閥全廃を目指す同党中堅・若手有志の議員連盟
「政治(まつりごと)変革会議」(代表・青山繁晴参院議員)
が取りまとめた要請文の全容が2024年2月15日、分かった。
派閥全廃に向けて、政策集団による政治団体登録の禁止を主張。
政策活動費の原資・使途の公開や、外国人によるパーティー券の購入禁止も盛り込んだ。
要請文は
「派閥全廃は党改革の前提であり、まっさらな状態から新たな自民を構築すべき」
と明記。
派閥が残れば
「国民の信頼は生まれない」
とも指摘した。
政治改革を進めるため、
▽新たな「政治改革大綱」の策定
▽政党法もしくは公党法の制定
▽党内に強力な監査機関の新設
なども必要と記載した。
議連は2024年2月16日、自民の渡海紀三朗政調会長に要請文を提出する方針だ。

阿比留瑠比の極言御免
外国人パー券の禁止が本丸
2024/1/25 1:00
https://www.sankei.com/article/20240125-2IJIOJAG3FK4VHMGESRQGIU4VE/
政治資金収支報告書への不記載で始まった政治とカネの問題が、派閥解消の問題へと論点ずらしされたようで得心がいかない。
自民党の政治刷新本部は2024年1月23日、政治改革の中間取りまとめ案を提示した。
派閥による政治資金パーティーの禁止を盛り込んだが、政治家個人が開く場合の
「外国人」
によるパーティー券購入の禁止は入らなかった。
■献金ならクビが飛ぶ
この問題ではかねて、政治資金規正法が
「外国人」
からの献金を禁じているのに、事実上の寄付に近いと言えるパーティー券購入は自由であるのは抜け穴になっていると指摘されていた。
自民党の有村治子元女性活躍担当相が2024年1月23日、SNSでこう問題提起していた。
「外国人による【寄付】は禁じられる一方、【パーティ券の購入】には制限がない」
「事実上どちらも、政治活動への経済的支援であることには変わりなく、(中略)日本の政治が、外国勢力から支配や干渉を受ける制度的脆弱性を持ち続けることになります」
有村氏は2016年10月6日でもこの問題を質しており、当時の高市早苗総務相はこう答弁している。
「(政治資金規正法の)規定が設けられた趣旨は、日本の政治や選挙が外国の勢力から影響を受けるということを未然に防止する趣旨であると承知を致しております」
ある政治家のパーティー券を中国や北朝鮮が大量かつ継続的に買い続け、政治家がそれに依存するようになればどうなるか。
いずれ取り込まれて身動き出来なくなることは、小学生にだって分かる。
実際、2011年3月6日には、当時の菅直人内閣の前原誠司外相が在日韓国人から25万円の違法献金を受けていたことで外相を引責辞任している。
この時は、菅直人首相自身の資金管理団体がやはり在日韓国人から約4倍の104万円の違法献金を貰っていたことも発覚した。
ところが2011年3月11日、まさにその問題を菅直人首相が国会で追及されていた絶体絶命のタイミングで東日本大震災が発生し、問題は有耶無耶のまま延命したのだった。
外国人からの寄付は閣僚のクビが飛ぶほどの重大事であるのに、外国人のパーティー券購入は度外視するのは筋が通らない。
■議論あったのに
それも自民党の政治刷新本部ではたまたここまで話題が及ばなかったというのであればともかく、2024年1月16日の本部会合では小野田紀美元防衛政務官が発言しているのに、中間取りまとめでは跡形もないというのは不自然ではないか。
X(旧ツイッター)投稿によると、小野田氏は以下のように論じたという。
「派閥の是非がメイン議題になっているのはおかしい」
「そもそもこれは派閥の問題ではない」
「個人の政治資金パーティーでの過少記載問題もあった」
「『自民党』だけの問題ではない」
「個人の政治資金パーティーにかかる疑惑は他党でもあった」
「派閥の問題云々ではなく『政治資金パーティー』の在り方が問題なのである」
「パーティー券を某外国人が沢山買っていた事が問題になった事例も自民党議員にあった」
「この抜け穴は絶対防がなきゃいけない」
詳しくは直接、小野田氏の投稿を読んでもらいたいが、重要な論点である。
2024年1月22日の政治刷新本部では有村氏も小野田氏の言葉を引いて発言し、2024年1月23日の同本部では事務局から有村発言への言及があったというが、中間取りまとめにこの本丸は反映されていない。
やはり納得できない。

自民党パーティー券疑獄の「真の巨悪」
Hanada2024年2月号  門田隆将
自民党のパーティー券問題の
「本質」
は何なのか。
東京地検特捜部は、その
「核心」
に切り込めるのか。
2023年の年末、政界は激震だ。
安倍派ばかりに話題が集中する中、
「核心は岸田派(宏池会)にある」
という声が消えない。
しかし、同時に
「特捜部はそこまでは踏み込めない」
との悲観的な見通しも流れてくる。
その理由を解説したい。
2023年12月7日、岸田首相は突然、岸田派会長を下りることを表明した。
「党内には無派閥の人間も大勢いるので、総理総裁の任にあるうちは派閥を離れるというのが適切と考えた」
「私が先頭に立ち、党の信頼回復に努力したい」
岸田首相のその言葉を聞いて
「今更何?」
とシラけた向きも少なくあるまい。
「あれだけ批判されても派閥の長をやめなかった岸田氏の”豹変”でした」
「それだけ追い詰められたということです」
とは、大手紙社会部デスク。
「パーティー券問題は、いち早く各派が政治資金収支報告書を修正し、体裁を整えています」
「しかし、単に政治資金規正法違反だけなら、検察も検事をかき集めて50名体制に増強したりしません」
「つまり”先”を見据えている、ということです」
「しかし、その壁、つまりタブーの大きさから、”恐らく無理”という見通しの方が現時点では優勢なのです」
先を狙っている、タブーの大きさ、恐らくは無理・・・これらの言葉は何を意味するのだろうか。
ポイントは
「岸田派」
にある。
例えば2022年5月18日に開かれた岸田派の政治資金パーティーを見てみよう。
この日午後6時から東京・芝公園の東京プリンスホテルで開かれたパーティーは一種、独特の空気に包まれていた。
出席者の1人が振り返る。
「岸田派のパーティーは独特なんです」
「他の派閥の雰囲気とは違います」
「理由は”中国人の多さ”です」
「他派閥も中国人はいますが、人数が違うので飛び交う中国語が凄いんです」
「つまり、岸田派のパーティー券は、中国人が数多く購入しているということです」
「まだコロナ禍の2022年は間隔を空けた椅子席で始まったんですが、明らかに中国人と分かる人たちがずらりと座っていて、その様子がネットに流れて話題になりました」
パーティー券を購入するということは、当然、
「見返りを求めて」
のことである。
では、岸田派が突出して”中国人が多い”のは何故なのか。
「岸田派、つまり宏池会は3代目会長の大平正芳が田中角栄と共に1972年に日中国交正常化を成し遂げた」
「そのため中国は、田中派と大平派を特別扱いしてきました」
「ODAなど中国への援助は主に両派を通して行われ、中国から多額のキックバックがもたらされていた話は有名です」
(自民党関係者)
井戸を掘った人を大切にする中国:言い換えれば、
「食らい付いたら離れない」
中国は、今の岸田派もずっと”手中に収めたまま”なのである。
しかし、政治家は政治資金規正法第22条により、外国人から献金を受けてはならない。
かつてこれに違反して民主党政権時代の前原誠司外相のように大臣ポストを追われた政治家もいる。
献金を受けてはならないなら、ではパーティー券購入はどうか。
そこに規定はなく、しかも20万円以下なら氏名も出てこない。
更に中国人と言っても、これを日本法人にし、代表者も中国名でなく日本の名前になっていれば、完全に”姿を隠す”ことが出来るのである。
だが、いざパーティーが開かれれば、真の購入者である中国の関係者が一斉に
「現れる」
というわけだ。
それが岸田派のパーティーなのである。
何故中国は、日本でビジネスのあらゆる場面に顔を出し、競争入札でもこれを落とし、行政にも食い込んでいるのか。
それこそ、政治資金パーティーをはじめ、あらゆる機会に政治家や派閥に恩を売り、気脈を通じているからに他ならない。
もし、特捜部が安倍派の裏金問題だけで捜査を終えるなら、
「中途半端」
との謗りは免れまい。
中国が何故ここまで日本の政治家を壟断しているのか:今回の問題をきっかけに外国勢力との異常な関係に踏み込み、弊害を正すことが出来るのは、東京地検特捜部だけである。
ターゲットが最高権力者の岸田文雄氏であることに怯むことなく、真の問題点を炙り出して欲しい。

【驚愕】岸田派の政治資金パーティーに大量の中国人!!宏池会はいつも在日中国人団体の主要メンバー達が参加!!寄付よりパーティー収入が増
https://www.youtube.com/watch?v=2P3C_PO7UL8

パーティー券ザル法≠フ実態 外国人献金はNGなのに…購入は制限なし 会計上「事業収入」に「寄付と同じ扱いにする手も」
2023.12/14 14:50
https://www.zakzak.co.jp/article/20231214-CODLVHYJJBIPBBYMXS6UCPBKAA/
自民党派閥のパーティー券疑惑を巡っては、政治資金規正法の
「抜け穴」
が露呈した。
キックバック(還流)分を記載せず、裏金化していたことが焦点となっているが、他にも深刻な問題がある。
政治資金規正法では、外国人献金を禁じているのに対し、パーティー券購入の場合は制限がない。
ザル法≠フ実態を永田町関係者が語った。
政治資金規正法では、外国人や外国人が過半数の株式を保有する会社(上場5年未満)からの政治献金を禁じており、違反すれば3年以下の禁錮か50万円以下の罰金、罪が確定すれば公民権停止の対象となる。
政治や選挙への外国の関与や影響を防ぐための措置だ。
2011年3月、前原誠司外相(当時)の政治団体が京都市の在日韓国人女性から計25万円の献金を受けていたことが発覚し、前原氏は外相を辞任。
その後、別の外国人からの献金も明らかになった。
菅直人首相(当時)についても、資金管理団体への韓国籍男性からの献金疑惑が国会で追及された。
外国人献金は、閣僚が辞任に追い込まれるほどの重大問題となるが、パーティー券の購入については、外国人や外国法人を含めて購入者の制限はない。
パーティー券収入は会計上、
「事業収入」
となっているためだ。
政治資金収支報告書には、5万円以上の寄付に関し、寄付者の氏名や住所、金額など記載する義務があるが、パーティー券は20万円を超える収入でなければ記載は不要だ。
相場は
「1枚2万円程度」
とされるが、企業や個人側はパーティー券の購入記録を残す義務はなく、誰が買っているのか外部から確認するのは極めて難しい。
国会議員秘書の経験がある永田町関係者はこんな実情を明かす。
「パーティー券収入は、献金の別の窓口を作っているに等しい」
「議員側も企業に献金をお願いする際、『うちは外国人の社長だから』と断られても、『パー券がありますよ』と誘うこともできる」
「実際に、ある外国への影響力が強い議員のパーティーに、その国の関係者が多数参加することもよくある」
自民党の森山裕総務会長は2023年12月5日の記者会見で、政治資金規正法の改正も視野に、議論が不可欠との考えを示した。
政治資金に詳しい日本大学の岩井奉信名誉教授は
「政治資金規正法については企業献金の抜け穴になっているのが大きい問題だが、外国人によるパーティー券購入についてもザルだ」
「パーティー券は献金の枠の外側にある事業収入だが、目的は政治資金を得るためで、献金と見做してもおかしくない」
「一般的に議員がパーティー券を多く買う人に有利に動くこともあり得る」
「チェックはなかなか難しいが、まずはパーティー券も寄付と同じ扱いにするのも一手だ」
と指摘した。

「政治とカネ」本当の問題
正論2024年1月号 政策シンクタンク 原英史
■外国勢力の影響防止の観点も
同時に、政治にカネがかからなくすることも課題だ。
先に述べた
「カネを配る」
問題の解決はその1つだが、それだけではない。
例えば議員秘書の給与も、多くの国会議員にとって大きな負担だ。
制度上、公費で負担されるのは3人まで(政策担当秘書、公設第1秘書、公設第2秘書)だが、実際には、議員会館と地元選挙区で遥かに多くの私設秘書を抱えているケースが少なくない。
例えば10人の秘書を雇う国会議員には、10人分の給与を公費で出したらどうか。
国会議員は、公設秘書の数だけでなく、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の額などでも平等に扱われる。
確かに大ベテランも1年生議員も対等の
「国民の代表」
との建前はその通りだが、実際上、膨大な役割を果たす有力議員とそうではない議員の差は大きい。
前者の議員は多くのスタッフを使い、様々な経費をかけ、そのためにカネを集めなければならない。
果たす役割に応じて公設秘書数などは差があってよいのではないかと思う。
もちろん、その際、悪用防止の仕組み導入(勤務実績を開示し、有権者がチェックできるようにするなど)は不可欠だ。
最後に、
「カネを貰う」
制度の改善は、
「外国勢力の影響防止」
の観点でも早急な対処を要することを指摘しておきたい。
日本ではまだ危機感が乏しいが、米国や豪州ではこうしたルール整備が先行している。
日本では
「外国人・外国法人の献金禁止」
ルールはあるが、5年以上日本で上場すれば適用されないなど、ここにも
「抜け道」
がある。
加えて複雑な献金ルールを悪用されれば、巨額の献金で外国勢力の影響を受ける可能性も否めないから、要注意だ。
本稿執筆に際し、筆者が理事を務めるNPO法人万年野党と台湾の公民監督国会連名で共催する
「日本・台湾議会監視フォーラム第3回」(2023年11月15日)
での
「政治とカネ」
の討論を参考にした。
台湾では日本以上に
「外国からのカネ」
に対する危機感が強く、今後も情報交換が必要だ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/309.html#c43

[政治・選挙・NHK296] 前代未聞のグロテスク…石破自民は政権維持だけが目的化、何でも口約束の危うさ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
25. 秘密のアッコちゃん[1173] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月16日 09:22:37 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[611]
<■164行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
自衛隊コンサートは自衛官募集が目的だとは思わないが、結果的に自衛官を志望する人が現れても何の問題もない。
共産党の軍事忌避の姿勢こそが、それこそが大問題だ。

学校優先の自衛隊コンサート、「募集活動」と追及する共産市議と否定する後援自治体の溝
2024/12/16 8:00
https://www.sankei.com/article/20241216-ELIBQW6RJVMGNOPPRNW7BOOZV4/
広島県福山市で2024年11月に行われた自衛隊ファミリーコンサートに、共産党と共闘する団体が批判の矛先を向けた。
市と市教育委員会が
「後援」
するなどしたのは、自衛官の募集に対する協力になりかねないとし、議会でも共産市議が市などの姿勢を追及したのだ。
コンサートは、学校単位の申し込みで優先的に予約されたが、生徒らの個人情報が自衛隊に渡ってしまうとする主張に、主催者は
「あり得ない話。レッテル貼りだ」
と一蹴する。
■傍聴席に支持者の姿も
「コンサートの目的が(自衛官の)募集活動の一環だったということは明らかではないか」
2024年12月10日、一般質問に立った共産党の三好剛史市議がこう指摘した。
傍聴席には、支持者とみられる高齢者らの姿が目立った。
海上自衛隊呉音楽隊(広島県呉市)によるコンサートは2024年11月30日、約2000人を収容できる中四国最大級のホールで開かれ、事前予約の来場者で8割方が埋まった。
主催者によると、市内では初の試みとあって、その盛況ぶりが窺えた。
主催者は福山市の民間企業などで作る自衛隊福山地区募集協力会。
これに、世界バラ会議福山大会実行委員会(事務局=市世界バラ会議推進室)が
「共催」
し、市と市教委が
「後援」
した。
市側が名義使用を許可した経緯は明快だ。
実行委としては、令和7年に迫ったバラ会議の機運醸成を図るため。市と市教委も含め、共催・後援の取り扱い要綱に照らし、コンサートが
「市民の教育、学術、文化等の振興に資する」
との判断に過ぎず、主催者が公序良俗に反するわけでもない。
■「提供の事実一切ない」
コンサート開催を9日後に控えた2024年11月21日、憲法9条改悪ストップ福山実行委員会と第69回福山市母親大会実行委員会、福山民主商工会が市長と教育長宛てに、共催と後援の取り消しを求める要望書を提出した。
その場を仲介したのは三好氏ら共産市議2人だという。
《中高大学生は学校からの申込で優先予約可》。
要望書はコンサートの案内チラシに記載された文言に目を付けた。
その上で
「募集対象年齢に達していない中学生まで対象にして『学校からの申込み』で個人情報が提供される」
と懸念を示した。
自衛隊ファミリーコンサートの案内チラシ。
世界バラ会議福山大会記念事業の冠も付いた
実際はどうか。
自衛隊福山地区募集協力会の事務局長を務める会社経営、今井博明さん(66)によれば、名称こそ募集協力会だが、コンサート開催と自衛官募集は無関係という。
優先予約としたのも
「多くの子供たちに、純粋にレベルの高い音楽に触れてほしかったから」。
学校単位では、市内の2中学校から計約40人が参加したが、会場でも募集行為は一切していないことを市の担当者も現場で確認している。
今井さんは個人情報に関しても、参加人数と学校名、代表者(教諭)氏名しか求めていないとし、
「自衛隊に生徒の個人情報を提供した事実は一切ない」
と反論。
3団体の認識について、
「『自衛隊憎し』かもしれないが、無茶苦茶な言い掛かり」
と憤る。
確かに要望書では、《今の自衛隊は、海外で戦争する軍隊へと変容》との表現も躍る。
もっとも、コンサートで音楽隊は粋な演出をした。
ばらのまち福山との親和性から歌手、布施明さんのシングル
「君は薔薇(ばら)より美しい」
を演奏したのだ。
市の担当者は産経新聞の取材に、
「音楽を通じて福山を盛り上げて頂き、有り難かった」
と話した。
三好氏は取材に対し、
「自衛官や音楽会自体を批判しているわけではない」
と説明しつつ、
「自衛隊組織としては音楽隊を自衛官募集のための広報政策として利用していると認識している」
と持論を展開した。

<主張>自衛隊演奏会 不当な抗議は容認できぬ
社説
2024/11/6 5:00
https://www.sankei.com/article/20241106-Y2R5LLUCM5KR5NSO3MWNFDPW4Y/
未だにこんな時代錯誤の
「抗議」
を行っているのかと、啞然とする他ない。
広島県廿日市(はつかいち)市と同市教育委員会などが後援し、同市で開かれた陸上自衛隊音楽隊のコンサートに地元中学校の生徒が参加したのは問題であるとして、革新系の
「教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま」

「九条の会・はつかいち」
など3団体が市などに抗議した。
自衛隊によるコンサートへの参加は
「中学生にとって非常に危険」
と主張している。
自衛隊は合憲で、国会が議決した自衛隊法などに基づいて存在している。
隊員は命懸けで、国と国民を守る崇高な任務に当たっている。
今回のような抗議は自衛隊を貶めるのに加え、明白な職業差別でもある。
断じて容認できない。
市と市教委が抗議に応じなかったのは当然だ。
子供たちのためにも、自衛隊員のためにも今後も毅然と対応してほしい。
コンサートは広島県自衛隊家族会の主催で2024年9月に開かれ、同県駐屯の第13音楽隊と市立中の吹奏楽部が合同で演奏した。
団体側は抗議文で、自衛隊が音楽という手段を利用して
「教育現場に侵入し、将来の自衛隊員へのリクルートに繫げようとする側面がある」
とした。
市と市教委に、後援中止や中学生を自衛隊に積極的に近付けないことを要求した。
市などによると、コンサートは今年2024年で5回目で、音楽隊の高い演奏技術に触れる機会であるため生徒にも好評だという。
だが2回目の開催以降、団体側が激しく批判してきた。
昨年2023年の市議会では共産党の市議が
「平和教育や平和行政と相容れない」
などと後援を批判した。
市教委はコンサートの利点を挙げ、
「後援することに問題ない」
と答弁した。
昭和60年代頃までは日本各地で、革新団体などによる自衛隊へのバッシングが相次ぎ、隊員の子供が学校で日教組系の教師らから名指しで批判されるという人権侵害もあった。
今回の抗議は、当時の差別、攻撃を想起させるものだ。
日本は厳しい安全保障環境下にあり、平和を守る抑止力や対処力として自衛隊の役割は高まっている。
災害救援でも自衛隊は汗を流している。
自衛隊への誤解や偏見を広める
「抗議」
は決して許されない。

自衛隊コンサートに中学生参加の是非 市民団体「不適切」と後援自治体に猛烈抗議の波紋
2024/10/14 8:00
https://www.sankei.com/article/20241014-4467ZMWRVNKR7FGL2ZAWFMIX2I/
コンサートを「無防備な中学生を実力組織へ取り込む」機会と考えるべきと主張する抗議文
https://www.sankei.com/article/20241014-4467ZMWRVNKR7FGL2ZAWFMIX2I/photo/TVWG4DAQHBNOVMID4VXJ2HC5V4/
世界遺産の厳島神社で名高い宮島を有する広島県廿日市(はつかいち)市で9月に開かれた
「自衛隊ふれあいコンサート」
がやり玉にあがっている。
市内の中学校の吹奏楽部が参加し盛会のうちに終わったが、複数の市民団体が
「無防備な中学生を実力組織に取り込む」
機会になっていると指摘し、市と市教育委員会による
「後援」
に抗議したのだ。
コンサートの何が問題なのか。
■生徒の評判上々
「腸が煮えくり返っている。本当に子供たちのためになるのか」
10月7日、廿日市市役所に市民団体
「教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま」
の石原顕(あきら)共同代表らが訪れ、市と市教委の担当者に、自衛隊のコンサートへの中学生の参加は公教育にとって不適切などと訴える抗議文を手渡した。
コンサートは9月14日に市内の文化ホールで開かれた。
自衛隊員の家族らで構成する公益社団法人
「自衛隊家族会」
広島県自衛隊家族会が主催し、同県海田町の海田市駐屯地に所属する陸上自衛隊第13音楽隊と、廿日市市立野坂中学校の吹奏楽部がコラボした。
これに、市と市教委が後援で名を連ねた。
市教委によると、事前の合同練習を含め、プロにも引けを取らない音楽隊の演奏に触れられる機会とあって生徒からの評判は上々で、
「感動した」
との声も聞かれたという。
■「軍」への忌避
一方の抗議文はトーンがまるで違う。
「軍」
としての自衛隊に対して強い忌避反応を示し、若者が近付けば戦場に送り込まれかねない、との危機感が文面から滲む。
市民団体側からすれば実力組織である自衛隊が
「成長途上で保護を必要としている中学生の教育活動に『侵入』してくることは非常に警戒すべきこと」
で、
「単なる親睦と音楽教育を超えて『無防備な中学生を実力組織へ取り込む』機会になっている」
という主張だ。
市側にとってはコンサートはあくまで
「音楽を通した市民との交流」
を目的としたもの。
主催者から後援の申請依頼があり、イベントの内容から市民の文化向上に寄与すると判断している。
地元の中学生も参加するため後援するのは
「ある意味で自然」(市教委の担当者)
とのスタンスだ。
■生徒の意向尊重
コンサートは平成30年から始まり、新型コロナウイルスの感染拡大期を除き、今回を含めて5回開かれた。
広島県自衛隊家族会によると、2回目まではホール玄関に自衛隊の制服や活動写真が展示され、入隊勧誘と受け取られる余地があるにはあった。
ただ、開催趣旨を踏まえて
「それからは控えてもらった」(同)
といい、市側が神経を尖らせるような場面はもうない。
コンサートへの参加も、生徒や保護者の意向を尊重した上で行っており、生徒の個人情報なども提供していないという。
広島県自衛隊家族会の山崎修治事務局長も産経新聞の取材に対し、
「コンサートの目的は市民と自衛隊との交流、中学校吹奏楽部のレベル向上であり、リクルートの意図はない」
と言い切る。
■埋まらぬ隔たり
内閣府が2023年3月に発表した自衛隊・防衛問題に関する世論調査(令和4年実施)では、自衛隊に好印象を抱く人は90・8%に達した。
市民団体も自衛隊の災害派遣活動などを一定評価していないわけではないが、音楽を組織的に利用する自衛隊と捉える限り、双方の隔たりは埋まらない。
市側は
「質の高い自衛隊の音楽隊と一緒に演奏することは、専門性の向上や今後の演奏に対する意欲向上に繋がる」
と評価しており、2025年度以降も後援の依頼があれば粛々と応じる考えだ。
今回の抗議を野坂中吹奏楽部員の保護者はどう考えているのか。
3年の長男を持つ母親(47)は
「後援が付くからこそ、コンサート前にも音楽隊に指導してもらえるのだと思う」
「『武器を持つ自衛隊』『戦争』のイメージと結び付ける意味がよく分からない」
とした上で、
「子供は上達した所を見せたい、と自宅でも進んで練習に励んでいた」
「本物の音楽に触れ、成長させてもらった」
「今後も音楽隊と中学生との触れ合いが続いてほしい」
と話した。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/311.html#c25

[政治・選挙・NHK296] また維新系の問題知事が…奈良県が2.7億円投入、無料K-POPイベントに注がれる疑惑の目(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
40. 秘密のアッコちゃん[1174] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月16日 09:39:16 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[612]
<■491行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
法律、バカじゃない? 「194キロ暴走」事件、危険運転論争への疑問
さだまさし シンガー・ソングライター 
2024/12/16 9:00
https://www.sankei.com/article/20241216-MRANDYZN2ROKNJIBFRFOHWPWII/
僕自身がドライバーで、交通違反の切符を貰ったことがあるから偉そうに申し上げる資格など無いけれども、一般道を時速194キロという尋常ならざる速度で暴走し、衝突事故を起こして相手を死亡させてしまったら当然
「危険運転致死罪」
が適用されると思う。
弁護側の
「真っ直ぐの道路を走ることが出来たのだから自動車を『制御』出来ていて、危険運転ではない」
という主張は誰が聞いてもおかしい。
制御出来ないから事故を起こしたのだろうに。
このニュースを聞いた僕のスタッフが思わず溜息ついた。
「法律、バカじゃない?」。
誠に同感。
裁判官、弁護人、検事、被告を乗せてその道路を時速194キロで走って見てから裁判を始めると良い。
当初この事故は
「過失運転致死罪」
として裁かれ、後に
「危険運転致死罪」
とされたが量刑は危険運転致死罪としては短い部類の懲役刑だった。
一方この2024年9月、埼玉県川口市では時速100キロ超の速度で一方通行を逆走した車が衝突事故で相手を死なせたのに、その道路の法規上の扱いからか
「過失運転」
で決着している。
誠に法律とはややこしいもののようだ。
元裁判官だった方が呟いたことがある。
「この人は絶対に善人だが法律上この件ではアウト、ということもあれば、こいつは絶対に悪人だがこの件では無念にもセーフってことがあるのですよ」
と。
法律は人間が作るものだから過ちもあれば抜け穴もある。
強かに抜け道を潜る悪人もあり、うっかり犯罪の穴に落ちる善人もある。
ふと頭をよぎるのが
「未必の故意」
という言葉。
広辞苑第七版には
《〔法〕行為者が、罪となる事実の発生を積極的に意図・希望したわけではないが、自己の行為から、発生するかもしれないと思い、発生しても仕方がないと認めて、行為する心理状態。故意の一種》
とある。
これを交通事故に当てはめることは難しいのかも知れないが、常軌を逸した速度での運転や、信号無視、飲酒運転などは皆
「未必の故意」
に当たるのではないかと思うのだ。
また信号無視、逆走などの無法自転車の動きを見ると
「死んでも構わない」
としか見えないし、歩きスマホで信号を無視し、大きく
「わたるな」
と書いてある道路を平然と横切る歩行者が事故に遭うのも悲しいけれど同じ。
飲酒運転は、一滴でも酒を吞んで事故を起こしたら全て
「危険運転」
とすべきだろう。
にもかかわらず飲酒事故を起こした人の
『呼気中のアルコール濃度』
によって罪を軽くしようという動きがあると聞いて呆れた。
「法律、バカじゃない?」。
開いた口が渇く。

地裁判決で認められた「194キロは危険」…だが遺族は問う「懲役8年で抑止できるか」
2024/11/28 22:20
https://www.sankei.com/article/20241128-X2LTWLLPIZIHNDAPAYOL47EYSQ/
大分市の一般道で令和3年、時速194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、会社員の小柳憲さん=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた当時19歳だった被告の男(23)の裁判員裁判の判決公判が2024年11月28日、大分地裁で開かれた。
辛島靖崇裁判長は、危険運転致死罪の成立を認め、懲役8年(求刑懲役12年)を言い渡した。
遺族は
「194キロは『危険』だと当たり前のことを認めてもらい、無念を晴らしたい」
と活動を続けてきた。
思いは一定届いた形だが、懲役8年という量刑には
「事故抑止になるのか」
と疑問視した。
「危険運転致死罪と認められたのはとても大きなこと」。
事故で死亡した小柳憲さんの姉、長(おさ)文恵さん(58)は閉廷後に大分市内で記者会見し、目を伏せながら静かに思いを語った。
「弟があんな目に遭わされて、このまま終われない」。
事故発生以来、その一心だった。
時に法律の壁に直面した。
大分地検は被告の男(23)を一旦過失致死罪で起訴。
「『過失』になれば弟の尊厳が守られない」
と3万人分近くの署名を集めて地検に提出し、訴因変更に繋げた。
しかし、裁判を傍聴していても、複数の専門家が証言しなければ
「194キロは危険」
と立証できない現状に違和感を禁じえなかった。
地裁はこの日、法定速度の3倍以上を出した男の運転を
「常軌を逸した高速度」
と批判したが、同種事案と比べ
「中程度からやや重い部類」
とも言及。
反省の態度を示し、事故時は19歳と若年であることなども考慮し、求刑の懲役12年に対して懲役8年を言い渡した。
主文を聞き、頭が真っ白になった。
「事故抑止にならないといけないのに、これだけ(の刑)でいいのか…。良い判決か悩ましい」
と複雑な心境を覗かせた。
地裁が認定した危険運転致死罪の
「進行制御困難な高速度」
の立証には、カーブや勾配、凹凸といった道路状況が重視される傾向にある。
今回の事故現場のように比較的ハンドル操作が容易な直線道路は適用のハードルが高いとされてきた。
長さんが共同代表を務める
「高速暴走・危険運転被害者の会」
の高橋正人弁護士はこの日の判断を
「非常に画期的」
「大きなリーディングケース(先例)になる」
と評価する。
宇都宮市の国道で令和5年2月、時速160キロ超の車がバイクに追突した事故で佐々木一匡(かずただ)さん=当時(63)=を亡くした妻、多恵子さん(60)は会見に同席。
「大分地裁が思い切った判決を出してくれて、感謝している」
「(自身の)裁判でも検察官が立証を尽くしてくれると信じている」
と語った。

一般道で加速楽しみ194キロ出した男 起こした死亡事故は過失でなく危険 懲役8年判決
2024/11/28 22:08
https://www.sankei.com/article/20241128-G473KKW2DNMTLOJAAW7RLAFDIA/
大分市の一般道で令和3年、時速194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、会社員の小柳憲さん=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた当時19歳だった被告の男(23)の裁判員裁判の判決公判が2024年11月28日、大分地裁で開かれた。
辛島靖崇裁判長は、危険運転致死罪の成立を認め、懲役8年(求刑懲役12年)を言い渡した。
弁護側は過失致死罪の適用を訴えており、危険運転致死罪が成立するか否かが争点だった。
地裁は同罪の要件である
「進行制御困難な高速度」
に該当すると判断した。
同罪を巡っては、時速100キロを超える事故でも
「過失」
と判断された事例もあり、大分地検も当初、過失致死罪で起訴。
遺族の署名活動などを受け、危険運転致死罪に訴因変更を請求し、認められていた。
判決理由で、辛島裁判長は現場道路には補修が必要ない程度ではあるが凹凸があり、車体に対する道路幅にも余裕がなかったと指摘。
こうした道路状況に加え、高速度になるほど車体の揺れが大きくなり、事故時のような夜間は視野が狭くなることも考慮し、たとえ現場が直線道路でも
「194キロで走行中に僅かな操作ミスがあれば、事故が発生する事態が容易に想定できる」
とした。
弁護側は過去にも同程度の速度で一般道を複数回走行したものの支障はなかったと主張したが、
「僅かなミスで事故を発生させる実質的危険性がある速度での走行との評価を左右しない」
と重んじなかった。
検察側は別の要件である
「妨害目的」
も訴えたが、
「妨害の積極的な意図は認められない」
と退けた。
量刑理由では
「常軌を逸した高速度で、危険極まりない」
と指弾。
被告がマフラー音といった加速の高まりを楽しむために猛スピードを出していたことに対し
「身勝手、自己中心的な意思決定は厳しい非難に値する」
と述べた。

<主張>危険運転致死傷罪 遺族感情に応える改正を
社説
2024/11/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20241118-4UPVNVBPQFJYXLR3R5DIIXNA7A/
法務省の検討会が、悪質事故に適用される危険運転致死傷罪の要件見直しを提案する報告書案をまとめた。
曖昧と批判があった高速度と飲酒について、一定の数値基準を設定するよう求めている。
妥当な提案だ。
法改正は悪質運転で大切な人を奪われた遺族が強く求めていた。
遺族の怒りは国民の思いでもある。
国民感情との乖離を埋めるべく、法務省は同罪の適用要件を明確化してほしい。
同罪は、東名高速道で飲酒運転のトラックが女児2人を死亡させた事故をきっかけに平成13年に創設された。
法定刑の上限は20年で、過失運転罪の上限7年とは大きな開きがある。
現行法は高速度の対象を「進行の制御が困難」、飲酒を「正常な運転が困難な状態」とし、具体的な速度や数値を定めていない。
報告書案は一定の速度以上を高速度の対象とし、「法定速度の2倍や1.5倍」とする意見もあった。
令和3年2月、大分市内の県道交差点を右折する会社員の車に、当時19歳の少年が運転する直進車が衝突し、会社員は死亡した。
直進車は法定速度の3倍を超える194キロで走行していたが、大分地検は
「直線道路で走行を制御できていた」
として過失運転致死罪を選択した。
そもそも制御できなかったから、事故は起きたのだ。
納得できない遺族は署名を集めて訴因変更を求めた。
補充捜査を経て訴因は危険運転致死罪に変更されたが、尚争われている。
遺族の声による訴因変更こそが要件の曖昧さを象徴する。
一定の数値設定は必要である。
ただし、要件に定めた速度や数値が厳罰逃れの指標となってはならない。
例えば法定速度の2倍を高速度と定め、60キロ道路で120キロ以上のスピードで事故を起こせば
「危険運転」
となるが、これ以下の速度であっても
「ながら運転」
や飲酒などの複合要因で悪質な運転と判断されるケースはあり得る。
数値を唯一の基準とすべきではない。
遺族らの強い処罰感情は、ただ怒りに任せたものではない。
同じ不幸を経験する人がなくなるよう、事故そのものを恨み、撲滅を目指すものだ。
厳罰化や処罰対象の明確化が悲惨な事故の減少に寄与することは、飲酒運転の取り締まりが証明している。

時速194キロ死亡事故で懲役12年を求刑、危険運転致死罪 大分地裁
2024/11/15 15:48
https://www.sankei.com/article/20241115-3DYFNCAVQVKBZOBOMO5UN6AK44/
大分市の一般道で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性会社員=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)の裁判員裁判が2024年11月15日、大分地裁(辛島靖崇裁判長)であり、検察側は懲役12年を求刑した。
予備的訴因とした同法違反の過失致死罪については懲役5年を求刑した。
弁護側は最終弁論で、同法違反の過失致死罪を適用するよう訴え、結審した。
判決は2024年11月28日。
検察側は論告で、時速194キロで走行した場合、道路の凹凸などによってハンドルやブレーキ操作のミスから進路を逸脱する可能性があり、制御困難だったと指摘した。
起訴状によると、令和3年2月9日午後11時頃、上限が法定速度の時速60キロと定められた県道交差点を、対向から右折する車を妨害する目的で、制御困難な時速約194キロで進入。
右折車に衝突して、会社員の小柳憲さんを死亡させたとしている。

時速194キロで死亡事故 “思いくみ取った判決を”姉が意見陳述
2024年11月15日 14時07分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241115/k10014639291000.html
3年前2021年、大分市の県道で、時速194キロで車を運転して死亡事故を起こしたとして、危険運転致死の罪に問われている当時19歳の被告の裁判で、亡くなった男性の姉が意見陳述を行い
「遺族の思いを汲み取った判決を心からお願いします」
と訴えました。
3年前の2021年2月、大分市の当時19歳の被告は法定速度が時速60キロの市内の県道で、車を時速194キロで運転し、交差点を右折してきた車と衝突して、運転していた小柳憲さん(当時50)を死亡させたとして、危険運転致死の罪に問われています。
これまでの裁判で弁護側は
「車線から逸脱することなく直進できていて、危険運転致死罪は適用できず、成立するのは過失運転致死罪だ」
と主張しています。
2024年11月15日に大分地方裁判所で開かれた裁判で、午前中、亡くなった小柳さんの姉が
「被害者参加制度」
を利用して意見陳述を行いました。
この中で姉は
「弟は突然、人生を終わりにさせられました」
「交差点を右折しただけです」
「これほど理不尽なことがあっていいのでしょうか」
「本人の無念さを思うと胸が苦しくなります」
と述べました。
そして、裁判官や裁判員に向けて
「もう何も言えない弟の無念さや私たち遺族の思いを汲み取った判決を心からお願いします」
と訴えました。
午後には検察の求刑や弁護側の弁論が行われて全ての審理が終わる見通しで、判決は今月2024年11月28日に言い渡される予定です。

[社説]危険運転を根絶する法律に
社説
2024年11月14日 19:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD144HR0U4A111C2000000/
飲酒や猛スピードの走行など悪質な運転による事故の刑事責任を問う危険運転致死傷罪について、見直しを議論してきた法務省の検討会が報告書案をまとめた。
現行法は要件が曖昧で立証のハードルが高いとの批判があり、適用基準を明確にするなどの方針を示した。
更に議論を深め、悲惨な事故の撲滅に繋げなければならない。
危険運転致死傷罪は2001年に新設された。
東名高速道路で飲酒運転の大型トラックが乗用車に追突し、女児2人が死亡した事故がきっかけだ。
飲酒や高速走行、信号無視、煽り運転などによる事故が対象で、法定刑の上限は懲役20年と過失運転致死傷罪(同7年)より重い。
だが同罪に問うには
「進行を制御することが困難な高速度」

「アルコールの影響で正常な運転が困難」
だったことを立証しなくてはならない。
「事故を起こす前まで正常に運転していた」
などの反論が認められる可能性があった。
2024年5月に群馬県伊勢崎市で家族3人が死亡した事故では、飲酒運転で事故を起こしたトラック運転手が過失致死傷罪で起訴された後、遺族らが要望して危険運転致死傷罪に訴因変更された。
飲酒を
「過失」
とするのは市民感覚からかけ離れ、立法趣旨にも反しよう。
遺族らが納得できなかったのは当然だ。
報告書案では、速度や呼気中のアルコール濃度などの数値基準を定め、超えた場合に一律で同罪を適用することとした。
具体的数値はこれからの検討課題になる。
数値だけが適用の物差しになれば、
「基準以下だから危険運転には当たらない」
という発想を誘発しかねない。
法体系全体のバランスを踏まえつつ、適切な刑事罰を科せられるような制度にしなければならない。
厳罰化だけで事故を根絶することはできない。
ドライバー1人1人の安全意識を高めるため、交通教育や啓発を充実させる必要がある。

194キロ死亡事故「加速感楽しんでいた」 裁判員裁判で男性被告
2024/11/12 17:07
https://www.sankei.com/article/20241112-2UE5FVEWWVKTBHMWZG47XXHZHI/
大分市の一般道で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性会社員=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)は2024年11月12日、大分地裁の裁判員裁判の被告人質問で、スピードを出す理由を
「エンジンやマフラー音、加速する感覚を楽しんでいた」
と述べた。
被告は死亡事故を起こすまで、高速道路で時速200〜210キロ、事故現場の県道で170〜180キロ出した経験があると説明。
弁護側からの質問に、事故時は
「150キロくらい出ている感覚だった」
と供述した。
一方、供述調書には、事故直前に感覚では200キロ近く出ていたと述べていたことを検察側から問われると
「覚えていない」
と答えた。

時速194キロ事故「過失のわけがない」 危険運転罪認めず、遺族が批判
2024/11/6 0:01
https://www.sankei.com/article/20241106-RV6O2PJRMRJ7FILIB3YCGVK3WU/
大分市で令和3年、時速約194キロの乗用車で死亡事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)の裁判員裁判初公判で、検察側は2024年11月5日、事故時の様子が写った映像や損傷した被害車両の写真などを示した。
遺族は記者会見で
「一体どんな高速度だったのか」
「過失のわけがない」
と憤った。
弁護側は危険運転罪は成立せず、同法違反(過失致死)罪にとどまると主張している。
死亡した会社員、小柳憲さん=当時(50)=の姉、長(おさ)文恵さん(58)は閉廷後、ドライブレコーダーの映像や小柳さんの着衣の写真を法廷で見て、弟の痛みを想像して涙が溢れたと明かし、
「うっかり起きた過失と一緒にされたら困る」
と語気を強めた。
被告は罪状認否で危険運転罪に関して
「よく分かりません」
と述べる一方、
「小柳憲さんとご遺族に心より謝罪します」
とも口にした。
長さんは、謝罪時に遺族を見ようとしなかったとし、
「誰に向けて謝っているのだろうと感じた」
と非難した。

194キロ危険運転争う姿勢 50歳男性死亡事故で弁護側 大分地裁
2024/11/5 10:58
https://www.sankei.com/article/20241105-ETIDIULAWVIZFCIPXIZSFYQJZE/
大分市で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)は2024年11月5日、大分地裁の裁判員裁判初公判で起訴内容について
「よく分かりません」
と述べ、弁護側は
「危険運転致死は成立しない」
と主張した。
令和4年12月に、同法違反(過失致死)罪から訴因変更されていた。
判決は2024年11月28日。
起訴状によると、令和3年2月9日午後11時頃、上限が法定速度の時速60キロと定められた県道交差点を、対向から右折する車を妨害する目的で、制御困難な時速約194キロで進入。
会社員、小柳憲さんの車に衝突して死亡させたとしている。
大分県警は危険運転致死容疑で書類送検したが、大分地検は令和4年7月、一旦同法違反の過失致死罪で在宅起訴。
より法定刑の重い危険運転罪適用を求める署名提出を遺族から受けた後、地裁に訴因変更を請求し認められた。

時速194キロで走行、危険運転致死に問われた元少年は初公判で「そのようなこと分かりません」
2024/11/5 13:07
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241105-OYT1T50067/
大分市で2021年、法定速度の60キロを大幅に上回る時速194キロで乗用車を走行して事故を起こし、男性を死亡させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)に問われた元少年(23)の裁判員裁判の初公判が2024年11月5日午前、大分地裁(辛島靖崇裁判長)で始まった。
元少年は罪状認否で
「そのようなことは分かりません」
と述べた。
事故で大破した小柳さんの車(遺族提供)
起訴状では、元少年は2021年2月9日深夜、大分市の県道交差点で、制御困難な時速194キロで走行。
右折中だった同市の会社員小柳憲さん(当時50歳)の車の通行を妨害する目的で交差点に進入して事故を起こし、小柳さんを死亡させたとしている。
公判では、元少年の運転が、危険運転の適用要件である
〈1〉制御が困難な高速度
〈2〉妨害する目的で通行中の車に接近
に該当するかどうかが主な争点となる。
弁護側はこの日、危険運転致死について否認し、検察側が予備的な訴因として加えている同法の過失運転致死については争わない姿勢を示した。
検察側は冒頭陳述で、小柳さんは事故で締めていたシートベルトがちぎれて路上に飛び出し、骨盤を骨折するなどして死亡したと主張。
〈1〉については、路面の状況から車体に揺れが生じ、ハンドルやブレーキの操作を誤る恐れや、夜間に194キロで運転することで視野や視力に大きな影響を与え、操作を誤る恐れがあったなどとした。
また、右折車が来ることが想定されたとして、
〈2〉の要件も満たすと主張。
「常軌を逸した高速度で、動機は極めて身勝手」
と指摘した。
事故を巡っては、大分地検は2022年7月、法定刑の上限が懲役7年の過失運転致死で在宅起訴。
遺族らは法定刑の上限が懲役20年の危険運転致死への訴因変更を求めて約2万8000筆の署名を地検に提出。
地検は補充捜査の上、変更を地裁に請求し、認められた。

<主張>危険運転致死傷罪 国民常識との乖離埋めよ
2024/2/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240207-V6KMS75HSZNLZB4I5Z5XJLQDXU/
法務省は、危険運転致死傷罪の要件を見直す検討を始めた。
現行要件の基準が分かりにくく、事故遺族らが
「危険で悪質な事案を取りこぼさないようにしてほしい」
と要望していた。
令和3年2月、大分市内の県道交差点を右折する会社員の乗用車に、当時19歳の少年が運転する直進車が衝突した。
会社員は死亡した。
直進車は法定速度60キロの3倍を超える時速194キロで走行し、少年は
「何キロ出るか試したかった」
と供述したのだという。
大分県警は危険運転致死罪の要件である
「制御困難な高速度」
に当たるとして同容疑で送検したが、大分地検は
「直線道路で走行を制御できていた」
などとして過失運転致死罪で在宅起訴した。
危険運転の法定刑の上限は懲役20年、過失運転の上限は7年で、大きな開きがある。
遺族は納得いかない。
そもそも制御できないから衝突したのではないのか。
遺族は署名を集めて訴因変更を求める上申書を提出し、これを受けた補充捜査を経て危険運転致死罪に訴因は変更された。
遺族の声を受けての訴因変更は、要件のあいまいさを物語る。
平成30年12月、法定速度60キロの一般道を146キロで走行してタクシーに突っ込み、乗客ら4人が死亡した事故でも、危険運転致死傷罪で起訴された被告に津地裁、名古屋高裁は
「制御困難な高速度が証明されていない」
として過失運転と判断し、懲役7年の判決が確定した。
現行法では、無免許であっても一定の運転技能ありと判断されれば、危険運転の要件を満たさない。
信号無視による事故は
「殊更に」
無視した場合に限られ、
「殊更」
の証明、解釈に振り回される。
法曹界には他罪種や過去事件の刑罰とのバランスを重視するあまり、危険運転の適用を躊躇する傾向があり、要件の曖昧さがこれを助長しているとの指摘もある。
被害者や家族は、この構図に憤っている。
危険運転致死傷罪は、東名高速道で飲酒運転のトラックが女児2人を死亡させた事故をきっかけに平成13年に創設された。
強い被害感情に応えるための法律が、その運用をめぐって被害者の怒りを倍加させている。
要件の整理と明確化で国民常識との乖離を埋めてほしい。

再考・犯罪被害者
<特報>時速194キロ、危険運転ではないのか 遺族が動かした異例の訴因変更
2023/1/23 8:50
https://www.sankei.com/article/20230123-NBCPUZLDCVJIJAQRRGGPI2ZWXM/
憲ちゃんが亡くなった−。
訃報は突然やってきた。
令和3年2月9日午後11時頃、大分市内の県道交差点。
右折する車に、対向車線を直進してきた1台の乗用車が衝突した。
いわゆる「右直事故」。
右折車を運転していた会社員、小柳憲さん=当時(50)=がこの事故で死亡した。
衝突直前の直進車の走行速度は時速194キロ。
法定速度(60キロ)の3倍を超えていた。
「なんで弟が…」。
事故から半日後、小柳さんの姉は、棺に横たわる弟と対面した。
顔にはほとんど傷がなく、
「事故に遭ったとは思えないほど、いつもの穏やかな表情だった」。
ただ頭部以外は全て包帯でくるまれていた。
「辛い思い出が残るから見ない方がいい」。
受傷の程度が書かれた死亡診断書でさえ、見るのを制された。
大分県警から受けた説明によると、小柳さんは事故当時、シートベルトをしていたが、衝撃でベルトが切れて車外にほうり出され、後続車の近くに倒れているところを発見された。
肋骨や骨盤など全身に多数の骨折があった。
死亡確認は約2時間半後。
「最期を迎えるまで、どれほど苦しかったことか…」。
想像を絶したであろう弟の痛みや苦しみを思い、姉はただ涙を流すことしかできなかった。
直進車を運転していた当時19歳の元少年は調べに
「何キロ出るか試したかった」
と供述したという。
大分県警はこうした事情も踏まえ、元少年の運転が、自動車運転処罰法が定める危険運転致死罪の適用要件である
「制御困難な高速度」
に当たると判断。
事故から2カ月後に元少年を同容疑で書類送検した。
姉も当然、同罪で起訴されるものと期待した。
だが大分地検は翌年令和4年7月、過失運転致死罪で元少年を在宅起訴した。
遺族には
「直線道路で走行を制御できていた」
などと説明し、
「制御困難」
に当たらないとの見解を示した。
《高速度走行(自動車運転処罰法2条2号)その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為》
「一般道を時速194キロで走るのが危険運転でないのなら、一体どんな運転が危険運転になるのか」。
姉は思わず本音をぶつけた。
だが、担当検事は
「捜査の結果、危険運転の立証には至らなかった」
と答えるのみだった。
「前代未聞の高速度」
「家族にも見せることができない身体の損傷」
「原形をとどめないほど大破した車」
「危険運転致死傷罪は生命の尊厳を守るために創設されたはずなのに、こんな理不尽なことがあってもいいのでしょうか」
姉はそれ以降、地検に翻意を促そうと奔走した。
令和4年8月には記者会見を開いて危険運転致死罪の適用が見送られた理不尽さを訴え、同罪への訴因変更を求める上申書を地検に提出。
翌月令和4年9月には犯罪被害者の自助グループ「ピアサポート大分絆の会」(大分県国東市)の支援も受けながら、地検に補充捜査を求める署名活動を行い、全国の賛同者から集まった約2万8000筆を令和4年10月に提出した。
「弟の無念を晴らしたい」。
その一心で続けた地道な訴えは令和4年11月、ようやく実を結ぶ。
地検と県警が当時の事故状況を再現する補充捜査を実施。
僅か2週間後の令和4年12月1日には地検が危険運転致死罪への訴因変更を大分地裁に請求し、同月令和4年12月20日に認められた。
「声を上げなければ過失運転で終わっていた」
「ほっとしました」。
姉は訴因変更の知らせに安堵の言葉を口にした。
事故は今後、裁判員裁判で審理される。
「裁判をしたからといって弟の命は決して戻りません」。
それでもようやく、スタートラインに立てた気がする。
「真っ当な判決が言い渡されてほしい」
「望むことはそれだけです」。
初公判の日を静かに待っている。
■「常識」と乖離する司法
「被告人の運転が常識的にみて『危険な運転』であることは言うまでもない」
小柳さんの事故から間もない令和3年2月中旬。
名古屋高裁は、三重県津市の国道で時速146キロの自動車がタクシーに衝突し、乗客ら4人が死亡、1人が負傷した事故で、被告に判決を言い渡した。
制限速度の2.5倍近い異常なスピードで高級車を駆り、車の間隙を縫うように車線変更を繰り返していた被告。
「あたかも自分1人のための道路であるかのごとき感覚」。
高裁判決はこんな非難の言葉を並べながら、それでも1審津地裁と同様、危険運転致死傷罪の成立を否定した。
市民感覚と司法判断がここまで乖離するのは何故か。
それは同罪が不注意を罰する過失犯ではなく、故意犯であるところに大きな要因がある。
同罪の故意とは、自分の運転行為が法の定める
「危険運転」
の類型に当たることを認識しながら、敢えてそのような運転をしたということ。
条文の文言を知っている必要はないが、
「制御困難」
の要件の場合は、高速度走行の一般的な危険性の認識では足りない。
津市のケースでは、僅かなミスで自分の車を進路から逸脱させるような状況を
「具体的な可能性として現実に頭に思い浮かべていたことが最低限必要」(津地裁判決)
と判示され、被告にこの認識がなかったとして故意が否定された。
事故前に百数十キロで走行しながら複数台の車両を追い抜いたことを
「特段の支障なく進行した」
と被告に有利な事情とみた。
大分の事故現場は、その幅員から
「40メートル道路」
と呼ばれる直線道路。
スピードを出しても比較的コントロールしやすい場所といえ、大分地検が当初、危険運転致死罪の適用を見送る一因になったとみられる。
もっとも同罪の適用を巡っては、司法判断も揺れている。
大分地検が補充捜査で訴因を切り替えたことも、要件解釈が定まっていないことの表れとみることもできる。

過失では済まされないような危険な運転を厳しく罰するため、世論の後押しを受けて制定された危険運転致死傷罪。
しかし厳罰ゆえに検察や司法が適用に慎重になるケースが相次ぎ、被害者遺族の無念は宙をさまよう。
同罪を取り巻く課題を検証する。

再考・犯罪被害者
危険運転致死傷罪、揺れる司法の判断 被害者・遺族の思いをすくい上げるには
2023/1/31 7:00
https://www.sankei.com/article/20230131-UNNJ7SBNRVLLTDM7ARQI5K6YSI/
■危険運転、問われる意義
危険運転致死傷罪の創設から20年以上が経過したが、適用のハードルは高く検察や司法の判断も揺れている。拡大解釈による厳罰化の危険を避けつつ、被害者・遺族の思いをすくい上げるにはどうすればいいのか。有識者2人に聞いた。
時速194キロ、危険運転ではないのか 
■高い起訴のハードル 大嶋実弦弁護士
危険運転致死傷罪は
「悪質な運転による死傷事故を重く処罰してほしい」
「『過失』で済まされるのはおかしい」
という事故の被害者や遺族の思いから出発し、創設された法律だ。
その一方で、実際に同罪が規定する危険運転行為と、一般の人が罪名から想像する行為との間には乖離があり、そのギャップが
「市民感覚を反映していない」
と指摘される要因にもなっている。
率直に
「危険運転ではないのか」
と思えるような行為も、同罪が厳格に定める要件や類型に当てはまらない限り処罰の対象とはならず、それゆえ遺族が不満の声を上げるケースが少なくない。
特に警察が危険運転致死罪で送検するような死亡事故は、遺族にしてみれば理不尽に家族を殺されたという思いが強い。
同罪はそんな遺族の拠り所でもあるはずだが、
「公判が維持できないから」
と検察に門前払いされると、
「なぜ」
というわだかまりと、やり場のない無念さだけが募ることになる。
遺族が声を上げる背景には、同じような境遇に遭う人をなくしたいという強い気持ちがある。
こうした声に世間が共感し、課題が社会に認知され、法改正で是正されてきた経緯がある。
厳罰ゆえに慎重になるのも十分理解できるが、公判の舞台に乗せないと、解釈や適用範囲を巡る司法判断が積み重ならない。
起訴のハードルを下げつつ、市民感覚との懸隔を埋めていくことが求められる。

おおしま・みつる
大阪弁護士会所属。
長年に渡り交通事故遺族らで作る自助団体「TAV交通死被害者の会」(大阪市)の活動を支援している。
処罰範囲の拡大はアンフェア 井田良・中大大学院教授
死傷者を伴う交通事故が起きた時、過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪のどちらが適用されるか、その判断が注目を集めることがある。
そして危険運転の適用が見送られた時、報道で批判的に取り上げられることも少なくない。
危険運転致死傷罪について規定された刑は相当に重いものとなっている。
特に危険な運転を故意に行い、人を死傷させた場合に、傷害罪(上限懲役15年)や傷害致死罪(同20年)と同じように重く処罰するよう制定された経緯がある。
その際、誰もが犯しうるような不注意で重い処罰の対象とするのは適当ではないとして、危険運転に該当する行為を類型化し、その要件を限定した。
いくら危険な暴走行為であっても、この類型化された危険行為に当たらない限り、同罪を適用できないと考えるのが、法律で犯罪と刑罰を規定する
「罪刑法定主義」
の原則だ。
確かに同罪の条文を素直に読むと、問題とされる行為が危険運転に該当しそうに思える事例もあり、被害者側もそこに批判の根拠を持っていることは理解できる。
しかし、規定の解釈に当たっては、元々の立法趣旨や、これまでの判例が積み重ねてきた解釈を無視することはできないし、何より、軽い類型である過失運転致死傷罪との区別が曖昧にされてはならない。
立法趣旨や従来の裁判所による解釈を無視して処罰範囲を拡大することは、不意打ちでアンフェアな処罰である。
解釈による対応が難しければ再び立法が求められることになるが、過失運転致死傷罪との合理的な区別を可能とする新たな危険運転行為の要件を定立することは、相当に難しいことも事実であろう。

いだ・まこと
専門は刑法。
平成13年に危険運転致死傷罪が創設される際の法制審議会の議論に幹事として加わった。
平成28年から現職。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/312.html#c40

[政治・選挙・NHK296] 文春砲!<折田楓氏「私はシロだから」>斎藤元彦知事(47)「異様な権力者」《女性PR社長が洩らした本音、“2500万円パーティ… 赤かぶ
28. 秘密のアッコちゃん[1175] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月17日 06:59:24 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[613]
<■172行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>沖縄県の米事務所 閉鎖し二重外交をやめよ
社説
2024/12/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20241216-EJVWY3VWO5KE5H7IL37YUCMJHY/
米軍基地問題を巡る沖縄県の
「外交」
が、出鱈目であったということだ。
県が
「基地問題を解決するため」
として米ワシントンに設置した事務所が、実態と異なる株式会社として事業登録されていたことが発覚し、県議会が昨年度の県一般会計決算を不認定とした。
県は、ワシントン事務所の駐在員のビザ取得の際、県職員の身分であるのに
「社長」
などとし、米移民局に
「沖縄県から直接雇用されることはない」
と記載した虚偽の書類を提出していたという。
法律上必要な県議会への報告も怠っていた。
自治体のやることかと、呆れる他ない。
県議会が決算を認めなかったのは当然だ。
県は直ちに、違法な事務所を閉鎖すべきである。
事務所は平成27年、当時の翁長雄志知事が、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対などを訴えるために設置された。
非営利事業者として登録するつもりだったが、米国務省から
「政治的だ」
などと指摘され、現地の弁護士らの助言で県が100%出資する株式会社を設立した。
だが、そうした実態は明らかにされず、設立にあたって取得した株式も県の公有財産として登録されていなかった。
玉城デニー知事になってからも引き継がれ、県は人件費や活動費として、毎年度の予算に約1億円を計上していた。
問題発覚後、玉城氏は会見で
「深く反省している」
と述べたが、陳謝で済む話ではない。
なぜ長年に渡り違法な対応を続けたのか、調査して県民に説明する必要がある。
関係者の処分も欠かせない。
玉城氏が事務所を継続する意向であるのは論外だ。
事務所は基地問題における
「独自外交」
の拠点とされ、知事訪米時の対応などを行ってきた。
だが、外交と安保は国の専管事項であり県に権限はない。
国の方針を真っ向から否定する県の二重外交は、国益を著しく損なう。
沖縄の島である尖閣諸島周辺では、中国海警局の武装船が挑発をエスカレートさせている。
台湾有事が日本有事に直結することも懸念される。
沖縄の自衛隊と米軍が抑止力となり、県民を含む国民の生命、財産を守っている現実を、玉城氏は理解しているのか。

沖縄・玉城知事「深く反省」と謝罪 ワシントン事務所「虚偽申請」問題、不認定は「残念」
2024/11/28 12:08
https://www.sankei.com/article/20241128-QNRBWFYDPZMA5CHPUPHLZXI7CI/
米軍基地問題を解決するため沖縄県が米国に設立した
「ワシントン事務所」
が株式会社として事業登録され、駐在職員の就労ビザ(査証)取得の際に事実と異なる書類が米政府に提出されていた問題を受け、沖縄県の玉城デニー知事は2024年11月28日の定例記者会見で
「深く反省している」
と謝罪し、
「しっかりと説明責任を果たしていく」
と釈明した。
沖縄県議会は2024年11月26日、ワシントン事務所の関連経費を盛り込んだ令和5年度一般会計決算を賛成少数で不認定としていた。
また自民、公明、維新の3会派は、事務所や駐在職員の適法性などについて県監査委員に監査請求する動議を提出し、可決された。
玉城知事は不認定を踏まえ、
「残念に思うと共に、大変重く受け止めなければならない」
と述べた。
また、日本の法令との適合について
「改善を要する事が見つかった」
とし、
「必要な措置を取るよう指示した」
と明らかにした。
県によると、事務所は2015年、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する県の主張などを米国内で発信するため、県が100%出資する株式会社として設立された。
現地に常駐する県職員は、ビザ取得の際、肩書を
「社長」
などとして申請。
米移民局に提出した資料には
「株式会社が雇用を管理している」
などと記載していたが、実際は県職員の身分を有した公務員のままだった。
運営経費は人件費を含め年間約1億円で、費用対効果を疑問視する保守系県議から
「虚偽申請だ」
と批判されていた。

「今後、丁寧に説明責任」と沖縄・玉城知事 米ワシントン事務所問題で県議会が不認定
2024/11/26 12:30
https://www.sankei.com/article/20241126-GON4UDW4E5MFFDGBZUC22MJQTY/
沖縄県の玉城デニー知事は2024年11月26日、米軍基地問題を解決するため沖縄県が米国に設立した
「ワシントン事務所」
を巡る問題で、県議会が事務所の関連経費を盛り込んだ令和5年度一般会計決算を不認定としたことを踏まえ、
「財産の管理について関係文書として報告できるよう、今後丁寧に説明責任(を果たせるよう)に努めていく」
と述べた。
県庁内で記者団の取材に答えた。

本土復帰後初の不認定、「金返せ!」ヤジも 沖縄県ワシントン事務所「虚偽申請」問題
2024/11/26 11:41
https://www.sankei.com/article/20241126-PMFVQ2C5WFNU7PBMQH2VDKOMIQ/
米軍基地問題を解決するため沖縄県が米国に設立した
「ワシントン事務所」
が株式会社として事業登録され、駐在職員の就労ビザ(査証)取得の際に事実と異なる書類が米政府に提出されていた問題で、県議会は2024年11月26日、事務所の関連経費を盛り込んだ令和5年度一般会計決算を賛成少数で不認定とした。
議会事務局によると、沖縄の本土復帰(昭和47年)以降、県議会本会議で決算が不認定となるのは初めて。
玉城デニー知事を支持する
「オール沖縄」
側の県議は事務所について、
「沖縄が抱える米軍基地問題の解決に向け、重要な役割を担っている」
と意義を強調したが、自民会派の座波一県議は
「国内外の法を無視した悪質といえる手法であり、断じて容認することはできない」
と強く非難。
採決では自民、公明、維新の3会派が反対した。
3会派はワシントン事務所や駐在職員の適法性などについて、地方自治法に基づき県監査委員に監査請求する動議を提出し、可決された。
この日の議会では
「金返せ」
といったヤジも飛んだ。
事務所は2015年、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する県の主張などを米国内で発信するために設置された。
県によると、米国務省から
「非営利目的の事業者設立は不適当だ」
との見解が示されたため、米国の弁護士の助言を得て、県が100%出資する株式会社として設立。
現地に常駐する県職員は、ビザ取得の際、県側が肩書を
「社長」
などとして申請していた。

「玉城県政の闇」指摘 沖縄のワシントン事務所「虚偽申請」問題で3会派が究明チーム設立
2024/11/25 13:44
https://www.sankei.com/article/20241125-4XDAWIX4DJMJBJD63KMFZKSZAI/
米軍基地問題を解決するため沖縄県が米国に設立した
「ワシントン事務所」
が株式会社として事業登録され、駐在職員の就労ビザ(査証)取得の際に事実と異なる書類が米政府に提出されていた問題で、沖縄県議会の自民、公明、維新の3会派は2024年11月25日、一連の問題を究明するプロジェクトチーム(PT)を立ち上げると発表した。
2024年11月26日に開会する2024年11月議会では、3会派共同で監査請求の動議を提出し、玉城デニー県政を追及する方針。
「虚偽申請だ」
として問題視する自民党会派の花城大輔県議は会見で、
「これは玉城県政の闇と言っても過言ではない」
「徹底的にこの闇を調べていきたい」
と強調した。
ワシントン事務所は2015(平成27)年4月、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対していた翁長雄志前知事の肝煎りで設置された。
県によると、米国務省から
「非営利目的の事業者設立は不適当だ」
との見解が示されたため、米国の弁護士の助言を得て、県が100%出資する
「株式会社沖縄県ワシントン事務所」
として設立。
現地に常駐する県職員のビザを取得する際、県側が肩書を
「社長」
などとして申請した。
米移民局に提出した資料には
《沖縄県から直接雇用されることはない》
《株式会社が雇用を管理している》
などと記載していたが、実際は県職員の身分を有した公務員のままだった。
事務所は玉城知事の訪米時に案内役を担う他、米国政府関係者との意見交換を通じ、県の主張を米側に直接伝える役割を負うが、運営経費は人件費も含めると年間約1億円で、保守系県議から費用対効果を疑問視する声が上がっていた。
PT立ち上げを発表した3会派は監査請求の事項として、株式会社設立の適法性や駐在職員の身分の取り扱い、資金の流れなど6項目を挙げている。
自民党会派の大浜一郎県議は
「多くの事実が隠蔽されてきた」
「もういい加減にワシントン駐在事業を継続することはやめるべきだ」
と話した。

米の沖縄県ワシントン事務所に暗雲=@「虚偽ビザ」自民会派が問題視、玉城県政を追及へ
2024/11/20 21:21
https://www.sankei.com/article/20241120-LXTDF4BYGNL7ZATSLOWXOTNRUI/
米軍基地問題を解決するため沖縄県が米国に設立した
「ワシントン事務所」
の先行きに暗雲が垂れ込め始めた。
営業実態のない株式会社として事業登録され、駐在職員の就労ビザ(査証)を取得する際に事実と異なる書類を米政府に提出していたことが判明したためだ。
県議会多数派の自民党会派は
「虚偽申請だ」
と問題視しており、2024年11月26日に開会する2024年11月議会で玉城デニー県政を追及する方針だ。
■前知事肝入りで設置
ワシントン事務所は約10年前の2015(平成27)年4月、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対していた翁長雄志前知事の肝煎りで設置された。
県によると、米国務省から
「非営利目的の事業者設立は不適当だ」
との見解が示されたため、米国の弁護士の助言を得て、県が100%出資する
「株式会社沖縄県ワシントン事務所」
として設立されたという。
現地に常駐する県職員のビザを取得する際、県側が肩書を
「社長」
などとして申請。
米移民局に提出した資料には
«沖縄県から直接雇用されることはない»
«株式会社が雇用を管理している»
などと記載していたが、実際は県職員の身分を有した公務員のままだった。
県幹部は
「株式会社として登録するために必要な記載だったが、米国法に基づいて申請しており、行政組織として堂々と虚偽の申請をするとは考えにくい」
と強調するが、
「どういった認識で申請したのか」
「経緯を確認しているところだ」
とする。
■費用対効果を疑問視する声も
事務所は、玉城知事の訪米時に案内役を担う他、米国政府関係者との意見交換を通じ、県の主張を米側に直接伝える役割を負う。
ただ、運営経費は人件費も含めると年間約1億円で、保守系県議からは費用対効果を疑問視する声も上がる。
2024年6月の県議選で、玉城知事を支持する
「オール沖縄」
勢力が大敗し、保守系勢力が16年ぶりに過半数を奪還。
自民党県連幹部は
「以前は我々が指摘しても県は『問題ない』と言うのみだった」
と振り返り、
「県議選で潮目は変わった」
「(県には)資料を洗いざらい出してもらう」
と息巻く。
自民党会派は事務所閉鎖も視野に攻勢を強める構えだ。
玉城知事は2024年10月31日の定例記者会見で
「きちんと説明できるように調査しているので時間を頂きたい」
と述べたが、2024年11月26日に開会する議会では事務所の存廃問題も議論されそうだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/315.html#c28

[政治・選挙・NHK296] 危機感のないネット・SNS利用には陰謀論やデマが介入する 古谷経衡 猫と保守と憂国(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
95. 秘密のアッコちゃん[1176] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月17日 07:16:16 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[614]
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「日本の家ちっちゃい」「すごい稼げる」クルド人出稼ぎ報告書、トルコ現地の証言生々しく
「移民」と日本人
2024/12/16 20:08
https://www.sankei.com/article/20241216-QG77CVZIFVKKVBWQZHPR5ZZBWE/
公表された法務省入国管理局(当時)の「トルコ出張調査報告書(地方視察編)」。黒塗りされた部分もある
https://www.sankei.com/article/20241216-QG77CVZIFVKKVBWQZHPR5ZZBWE/photo/UQYL3AUT6ZHMFLFZPFEMFSR47Q/
埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人について、法務省が
「出稼ぎ」
と断定する報告書を出していた問題で、浜田聡参院議員が2024年12月16日、法務省からこの文書を入手し、公表した。
固有名詞などは黒塗りされているが、現地のクルド人らが平然と
「出稼ぎ」
と述べるなど生々しいやり取りが記されている。
■「御殿」指差し「大きくて立派」
報告書は平成16年6〜7月、当時の法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)職員が訴訟対応のため行った現地調査の内容。
産経新聞社が確認した文書と全く同一のものだった。
現地調査は、日本に在留するクルド人の出身地などで聞き取りしたものだが、現地の村人らは日本語を話し、親しげに近寄ってきたという。
特に難民申請者の多い村のうち、ある村では
《複数の壮年男性たちが、当方に対し笑顔で、口々に日本語で「こんにちは」と声をかけてきた。
男性は
「日本行ったことある。川口にいた。日本の家はちっちゃい。僕の家、大きくて立派。中もきれい」
などと得意げに述べ、一軒の家を指さした》。
《男性に
「なぜみんな日本に行くのか。日本が好きなのか」
と尋ねると、笑いながら、日本語で
「好きも嫌いもない。お金稼ぐだけ」
と答えた》
日本弁護士連合会は調査にトルコの憲兵隊(ジャンダルマ)を同行させたことなども問題視していたが、
《ジャンダルマは特に当方に注意を払うこともなく、他の村人と雑談している様子であった》
《小声で
「ジャンダルマは怖い?」
と尋ねると、にっこりと笑いながら右手を顔の前で左右に振りつつ
「怖くない」
と答えた》
との記述もあった。
■「難民」と言ったがだめだった
また、別の村の男性は
《「あなたはなぜ日本に行ったのか」
と尋ねると
「金を稼ぐ。他に何がある。俺は1万6千ドルも借金して行った。もっと稼ぎたかったから『難民』と言った。でもだめだった」
と述べた》
という。
《「トルコに帰ったら危なかったのではないのか」
と尋ねると、男性は相好を崩して笑い、右手を顔の前で大きく左右に振りながら
「ない、ない。危なくない」
「また日本に行きたい。だめか?」
と述べた。
…傍らにいた憲兵隊署長に対し
「署長、あなただってきっと日本に行きたくなりますよ。すごい稼げるんですから」と述べた》
これらの村は、川口での難民申請者の8割が集中するトルコ南部3県にあり、3県のうちの地方自治体幹部は入管職員に対し、こう問いかけた。
《「それにしても、あなたがたは日本での裁判の立証のために証拠を収集する目的で来たとのことだが、わざわざここまで来なければならないような状況なのか。出稼ぎ者が噓をついて難民認定を受けようとするなどという話は、欧州では既に分かりきった話だ。日本ではまだそんな噓が通用しているのか」》

川口クルド人「出稼ぎ」報告書、浜田議員が法務省から入手し公表 産経確認文書と同一
「移民」と日本人
2024/12/16 19:16
https://www.sankei.com/article/20241216-WW4KOSDPGFKEZLSUM742P6RYJA/
公表された法務省入国管理局(当時)の「トルコ出張調査報告書(地方視察編)」。黒塗りされた部分もある
https://www.sankei.com/article/20241216-WW4KOSDPGFKEZLSUM742P6RYJA/photo/MA4IJ2C3LVCHVCQQO523K67DHE/
埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人について法務省が
「出稼ぎ」
と断定する報告書を出していた問題で、浜田聡参院議員が法務省からこの文書を入手し2024年12月16日、自身のX(旧ツイッター)で公表した。
産経新聞社が確認した文書と全く同一のもので、固有名詞などは黒塗りされている。
公表された文書は
「トルコ出張調査報告書(地方視察編)」。
A4判約40ページの他、写真など添付資料が約160ページあった。
当時の法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)が20年前の平成16年、難民認定申請者の多いトルコ南部の複数の村を現地調査し
「出稼ぎ」
と断定していた内容。
しかし、日本弁護士連合会が
「人権侵害」
と問題視したことから、調査結果は事実上
「封印」
されていた。
産経新聞は2024年11月24日の産経ニュースと翌2024年12月25日付紙面で報告書の内容について初めて報じていた。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/314.html#c95

[政治・選挙・NHK296] 立花孝志氏が大阪・泉大津市長選で惨敗…有権者の投票行動を後押しした「お笑いみたいな噂」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
24. 秘密のアッコちゃん[1177] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月17日 12:06:35 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[615]
<■2144行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度には断固反対だ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/316.html#c24

[政治・選挙・NHK296] <菅野完氏「この記事なかなか秀逸」>斎藤知事らへの告発状、県警と地検が受理 PR会社の報酬巡り捜査へ(毎日新聞) 赤かぶ
37. 秘密のアッコちゃん[1178] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月17日 12:56:56 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[616]
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「恒久減税」のときが来た 消費が刺激され、働き手も活気づく
田村秀男の経済正解
2024/12/17 12:00
https://www.sankei.com/article/20241217-FS2GLBD2HNPTLETY7E7CXBFIKI/
自民、公明両党は国民民主党の要求に応じて、所得税非課税枠
「年収103万円」
の壁について178万円を目指して来年2025年から引き上げると同時に、ガソリン税に上乗せされる旧暫定税率の廃止も受け入れた。
これまでの
「デフレ30年」
に埋没した恒久減税がようやく日の目を見る。
「増税メガネ」
で曇らせては台無しになりかねない。
増税メガネとは、社会保障や防衛費の財源を増税に求める財務省に従順な印象が強かった岸田文雄前首相につけられた渾名(あだな)だが、増税メガネ的発想は、平成バブル崩壊後の日本経済
「失われた30年」
を覆ってきた。
岸田氏に限らない。
石破茂首相だって
「財源はどうしますか」
という財務官僚の問いに極めて弱く、増税論に屈しやすい。
国民民主の非課税枠178万円への引き上げ案について、林芳正官房長官は真っ先に7兆〜8兆円の税収減になると言い、財源を問題視したが、財政の差し引き計算だけのトンデモ議論である。
7兆〜8兆円は家計の手取り増になるので消費が刺激される。
働き手も活気づき、景気拡大と共に税収が増えていく。
米国ではトランプ次期大統領が大型減税を打ち出すが、財源を問題視する向きはいない。
■徹底抗戦する財務官僚
所得の恒久減税は非課税枠の引き上げや税額控除、定率減税制度などが含まれる。
財務官僚は毎年度の財政を左右する恒久減税には徹底抗戦するが、1回きりで済む減税などバラマキ型財政支出には強くは抗わないので、政治家はそれに乗じる。
バラマキ型減税は期間限定の定額減税や定額給付金がある。
第2次安倍晋三政権当時の新型コロナウイルス不況対策の国民1人当たり一律10万円の特別給付金、岸田前政権が実施した今年2024年度限りの定額減税である。
ウイルス感染の爆発的拡大や、物価高騰で国民生活がおしなべて直撃される。
このため、経済活動の急激な落ち込みを防ぐ効果はある。
だが、デフレから脱し、経済を持続的に拡大させるためには、恒久減税こそが相応しい。
気付いた政治リーダーもいたのだが、試みは挫折を繰り返した。
1997年当時、橋本龍太郎政権は財務省に先導されて、財政健全化に向け、消費税増税と緊縮財政に踏み切ったのが運の尽きで、デフレ不況を招いた。
橋本氏は増税による大失敗を悔い、99年からの所得税と住民税の恒久減税を打ち出したが、98年の参院選で敗退し、橋本氏は失意のまま辞職した。
次の小渕恵三政権は恒久的減税として所得税・住民税の定率減税を導入したが、小泉純一郎政権は2006年に減額税率を半減、翌年には全廃した。
以来、恒久減税論議は政策選択の俎上から消えた。
2008年9月のリーマン・ショックに直面した麻生太郎政権はバラマキ型の定額給付金支給に踏み切った。
■増税でデフレ圧力高まる悪循環
消費者も企業の行動も足元の状況よりも、将来の予見に強く左右される。
景気が停滞する中での一時的な減税であれば、家計は将来に備えて貯蓄し、消費を抑制する。
デフレ圧力に押される経済は冷えたままなので税収は増えず、政府債務だけが膨らんでいく。
財務省はそこに付け込んで消費税増税を仕掛け、与党多数派を抱き込み、政権を包囲する。
増税で益々デフレ圧力が高まる。
慌てた政権と与党はバラマキ主体の大型補正予算を組むが、カンフル剤効果に終わり、政府債務増の悪循環が続く。
財源不足を理由に、増税に走ってしまう。
グラフは慢性デフレが始まった1997年から最近までの消費者物価、実質賃金と一般政府(中央・地方政府と社会保障基金)の純債務の国内総生産(GDP)比率の推移である。
注目すべきは、消費税増税である。
その名目は財源確保と財政の健全化だが、政府債務GDP比は1997年4月の消費税増税後、上昇を続け、2014年4月、19年10月からの追加増税でも高水準にとどまったままだった。
消費者物価は2021年までは消費税増税時に押し上げられるが、実質賃金は多少の凸凹はあるものの下落トレンドが続いている。
消費税増税という恒久増税がもたらしてきたのはまさに、死屍(しし)累々なのだ。
グラフでは、2022年以降の物価高騰以降、政府債務のGDP比が急速に下がっていることが読み取れる。
消費者物価上昇率は2023年初めに4・3%に達した後、徐々に下がりこの2024年10月は2・3%である。
コスト高に押されたインフレであり、消費税などの税収を大幅に増やし、名目GDPを拡大させるが、需要は依然として弱い。
この機を捉える恒久減税はまさに理にかなうのだ。
(編集委員)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/320.html#c37
[政治・選挙・NHK296] 文春砲!<折田楓氏「私はシロだから」>斎藤元彦知事(47)「異様な権力者」《女性PR社長が洩らした本音、“2500万円パーティ… 赤かぶ
31. 秘密のアッコちゃん[1179] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月17日 13:26:33 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[617]
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「前総務部長から聞いた」 告発者私的情報の漏洩疑惑 兵庫百条委に複数県議が説明
2024/12/17 12:18
https://www.sankei.com/article/20241217-RFSTKZVHAZLXNALAFLJSOBUUII/
兵庫県の斎藤元彦知事ら県幹部を内部告発した元県西播磨県民局長の男性の私的情報について、複数の県議が、県議会調査特別委員会(百条委員会)の聞き取り調査に前総務部長から聞いたと説明していることが2024年12月17日、関係者への取材で分かった。
前総務部長は、懲戒処分に関する中心的な役割を担っていた。
県は地方公務員法(守秘義務)に抵触する可能性があるとして調査している。
男性の懲戒処分を巡り、県は2024年3月25日に、男性の私的情報が保存されていたとされる公用パソコンを回収。
その後の県の内部調査で告発文書の核心的な部分が事実ではないなどとして、2024年5月、男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は、2024年7月初め、代理人を通じて百条委に
「プライバシーに配慮してほしい」
と要望。
百条委は告発とは無関係な文書の開示はしないと決めていた。
関係者によると、百条委は今月2024年12月16日に非公開で複数の県議に聞き取り調査を実施。
2024年4月中旬頃に前総務部長から、男性の私的情報の記録を見せられたり、口頭で内容を聞かされたりしたとの証言があったという。
前総務部長は2024年10月25日に開かれた百条委の証人尋問で男性の私的な個人情報を印刷し、所持していたことを認めた。
一方で、漏洩については
「守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性が生じる」
などとして証言を拒否していた。
男性の私的情報とされる内容は、知事選(2024年11月17日投開票)期間の前後から交流サイト(SNS)で拡散されており、県は第三者機関を設置して慎重に調査するとしていた。

<独自>告発した元局長の私的情報漏洩か 兵庫知事側近の前総務部長ら 県が調査検討
2024/8/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20240829-I7672IG3YZOJ3NY6WKUDVAY2UM/
兵庫県の斎藤元彦知事らのパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)の私的な情報を漏洩した疑いがあるとして、県が前総務部長の井ノ本知明氏らの調査を検討していることが2024年8月28日、関係者への取材で分かった。
男性は2024年7月に死亡し、直前にプライバシーへの配慮を周囲に訴えていた。
内部調査ではなく、弁護士に調査を依頼する方針。
県は元副知事の片山安孝氏や前理事の小橋浩一氏、産業労働部長の原田剛治氏の調査も検討。
井ノ本氏を含め、いずれも文書で名前が出た知事の側近で、男性の懲戒処分にも関与したとされる。
男性が2024年3月に匿名で文書を報道機関などに配布した後、斎藤氏の指示で作成者を調べていた片山氏らが男性の公用パソコンを調査。
告発文書のデータを確認したことがこれまでに判明している。
関係者によると、井ノ本氏らは2024年4月頃から、パソコンに保存されていた告発内容とは無関係な男性の私的情報を県議らに開示していた疑いがあるという。
県の懲戒処分の指針では、職務上知り得た秘密を故意に漏らした職員を処分の対象としている。
県は井ノ本氏らがこれに抵触する可能性があると判断。
外部の弁護士に調査を委託する方向で調整を進めているという。
男性は2024年7月19日の県議会調査特別委員会(百条委員会)に証人として出頭を予定。
しかし、一部の委員が告発とは無関係な情報も提出するよう求めているとして、代理人を通じプライバシーを保護するよう百条委に要請するなど、私的情報が流布されていることに不安を抱えていたという。
男性は同月2024年7月7日に死亡。
自殺とみられ、証言はしなかったが、陳述書などを準備していた。
2024年8月23日に非公開で行われた百条委の証人尋問では、職員が私的情報の持ち出しについて
「調査の必要があると認識しており、弁護士会に相談している」
と証言した。

「人事畑歩んだエリート」告発の兵庫県庁の元県民局長、「兄貴分的な人だった」と惜しむ声
2024/7/19 13:12
https://www.sankei.com/article/20240719-PL47CVH3BFMYZHAWCVQTUVGHU4/
「一死をもって抗議する」。
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑を告発した元県西播磨県民局長の男性(60)は亡くなる前、こんなメッセージを残していた。
人事畑などを歩む
「エリート」
と評され、
「兄貴分的な人」
「愛すべき先輩だった」
と県庁内から死を惜しむ声が上がる。
「なぜ、告発文書を作成したのか」
「現在の知事や県幹部の状況に許せない思いを抱えていたのだろう」。
男性を知る県関係者は、心中を推し量った。
男性は京都大を卒業し、昭和62年4月に兵庫県に入庁。
人事課長や教育次長、人事課を所管する管理局長(現職員局長)などを務めてきた。
元上司は
「仕事熱心で、誰とでも気さくに話をして、後輩にも優しかった」
「課内、課外関係なく、面倒見のいい人」
と評価。
後輩は
「仕事以外でも仲間と連れ立って行動することが好きな兄貴分的な存在」
「非常に尊敬しており、愛すべき先輩だった」
と振り返る。
西播磨県民局長に就いたのは、斎藤氏の知事就任前の令和3年4月。
県内各地域を管轄する地方機関である県民局のトップは部長級で、中でも西播磨は格が上の方だとされる。
今年2024年3月末に退職予定だったが、同月中旬、斎藤氏のパワハラ疑惑や県幹部らの違法行為を告発する文書を作成し、一部の報道機関や県議らに配布した。
文書は匿名だったが、県は早々に男性が作成したと特定。
斎藤氏は記者会見で、
「業務時間中に噓八百含めて文書を作って流す行為は公務員として失格」
と強い口調で非難した。
更に、
「ありもしないことを縷々並べた内容を本人も認めている」
とと説明したが、これに対して男性は反論文書を公表。
「私自身が認めている事実は一切ない」
「今の県政運営に対する不信感、将来に対する不安感、頑張って働いている職員の皆さんの将来を思っての行動だ」
と記した。
2024年5月には、告発文書は誹謗中傷に当たるとして、県が男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は、人事委員会への不服申し立てをしなかったが、県議会の調査特別委員会(百条委員会)に宛てたメッセージで理由をこう説明していた。
「私の願いは兵庫県という組織がより良くなるため、真実が明らかになることである」。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/315.html#c31

[政治・選挙・NHK296] 安倍昭恵さん×トランプ夫妻「夕食会」の舞台裏…永田町で飛び交う臆測と“パイプ役”の名前(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
31. 秘密のアッコちゃん[1180] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月17日 14:01:15 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[618]
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原発「最大限活用」、既存原発大半再稼働へ 2040年度電源構成「2割」維持
2024/12/17 13:18
https://www.sankei.com/article/20241217-73IPZN7V2ROCVMBKR3H5HUFXHY/
経済産業省は2024年12月17日、中長期的なエネルギー政策の指針を示すエネルギー基本計画(エネ基)の原案を有識者会議に示した。
原発について2040年度の電源構成見通しを
「2割程度」
と従来計画と同水準とし、再生可能エネルギーと共に
「最大限活用する」と
明記した。
既存原発の大半に当たる30基程度を再稼働させる想定とした。
再生可能エネルギーは
「4〜5割程度」
と最大の電源構成に引き上げ、火力発電は
「3〜4割程度」
とした。
2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロに減らす目標達成に向け、2040年度に電源の6〜7割を脱炭素電源で賄う計画になった。
武藤容治経産相は2024年12月17日の閣議後会見で
「脱炭素電源を安定的に確保できるかが国力を大きく左右する」
と述べた。
原案では
「特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指す」
として、2011年の東京電力福島第1原発事故以降に記してきた
「可能な限り原発依存度を低減する」
や従来計画にある
「再エネに最優先で取り組む」
との文言を見直した。
原発の建て替えの要件緩和も盛り込んだ。
2023年2月に閣議決定した
「グリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた基本方針」
では、廃炉を決めた原発の敷地内に限って建て替えを認めていたが、同じ電力会社であれば、他の原発の敷地でも廃炉した分だけ原発を建て替えることを新たに認めた。
再エネの電源構成を巡っては、2040年度の内訳として太陽光22〜29%、風力4〜8%、水力8〜10%、地熱1〜2%、バイオマス5〜6%と示した。
一方、火力は従来計画で比率を示していた石炭火力や液化天然ガス(LNG)などの個別の比率を示さなかった。
原案は2024年12月17日の議論を踏まえ、来週の有識者会議に諮り、意見公募を経て2025年2月頃閣議決定を目指す。
2021年に閣議決定した計画では、2030年度の電源構成について、原発を20〜22%、再エネを36〜38%、火力を41%とする見通しだった。

原子力の発電コスト、LNG火力を下回る 2040年度時点 前回から逆転、政府試算
2024/12/16 19:20
https://www.sankei.com/article/20241216-KTKG3NA2F5IQTG3PRUR7AKX3LI/
経済産業省は2024年12月16日、2040年度時点の発電コストの試算結果を有識者会議で示した。
この中で、原子力のコストが、現在主力の液化天然ガス(LNG)火力のコストを下回るとした。
2021年の前回試算では、2030年度の時点でLNG火力が原発よりも安い電源としていたが、LNGの価格高騰などを受けコストが上昇した。
同省は2024年12月17日にエネルギー基本計画の改定案を公表し、2040年度の電源構成を示す。
2040年度時点の1キロワット時当たりの発電コストについて、原発が16・4〜18・9円(2030年度は11・7円以上)、LNGは20・2〜22・2円(同10・7〜14・3円)、太陽光(事業用)が15・3〜36・9円(同8・2〜11・8円)と試算した。
太陽光や風力など天候などによって発電量が変わる再生エネの導入が進むと、火力発電の出力を抑制したり揚水発電を利用したりするコストが発生する。
試算は再生エネが発電設備に占める割合を4、5、6割の3ケースで実施。
導入量が増えるとコストも上昇するため、6割のケースが最も高くなる。

政府、原発活用の姿勢鮮明に 次期エネルギー基本計画で「依存度低減」の表現見直しへ
2024/12/12 16:55
https://www.sankei.com/article/20241212-COBON2OMWNKFRJLAU3GIZQQHAQ/
政府が2024年年度内に見直す中長期のエネルギー政策の指針
「エネルギー基本計画」
で、東日本大震災後から明記してきた
「可能な限り原発依存度を低減する」
との表記を見直すことが2024年12月12日、分かった。
電力の安定供給と脱炭素の両立へ原発を活用する姿勢を鮮明にする。
当初は原発に依存しない社会の実現を
「党是」
とする公明党が表記維持を求めたが、原発活用を進めたい国民民主党や経済界の訴えもあり見直しに踏み切った。
政府は来週にも開く有識者会議で次期計画の素案を示す。
原発と再生可能エネルギーを
「最大限活用する」
と明記。
「原発依存度を低減する」
という表記は削除し、
「特定の電源や燃料源に過度に依存しない」
といった表現を盛り込む。
政府は2011年の福島第1原発事故後に依存度の低減を掲げる一方で、岸田文雄政権下の2022年に決定した
「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」
では最大限活用する方針を明示していた。
2つの表現は矛盾するとの指摘が上がり、次期計画では依存度低減の表記の扱いが焦点となった。
次期計画の議論では当初、表記を残す案が浮上。
公明が表記見直しに対して強硬に反対し、自民党にも
「無理に削る必要はない」(関係者)
との意見があったためだ。
だが先の衆院選で自公は少数与党となり、躍進した国民民主と政策協力を模索。
電力総連の支援を受ける国民民主の玉木雄一郎代表(現在は役職停止中)は石破茂首相に原発推進を直談判し、政府内で表記削除の方針が強まった。
大量の電力を消費する人工知能(AI)時代には、二酸化炭素(CO2)を排出せず出力が安定した原発が不可欠だとして自民の推進派や経済界も表記削除を求め、公明は現実路線を受け入れざるを得なかった。
公明幹部は
「党の依存度低減の方針は変わらない」
「遠い将来には核融合などの新技術も期待できる」
と話した。
また、次期計画では原発の建て替えに関し、同じ電力会社なら廃炉が決まった原発の敷地外でも建設できるようにする。
GX基本方針では敷地内に限定し、公明は制限緩和に慎重だったが、
「原発の総数が変わらなければ党の考えと齟齬はない」
として受け入れたようだ。

原発含む複数の電源をうまく使うことが重要 東京科学大の奈良林直特任教授
2024/12/7 19:33
https://www.sankei.com/article/20241207-4RXYGX773NPC3MN6IOCDSCBYWA/
2024年12月7日に再稼働した中国電力島根原発2号機(松江市)。
意義や役割などについて東京科学大の奈良林直(ただし)特任教授(原子炉工学)に聞いた。
中国地方初の再稼働で、地元経済の活性化に繋がるのではないか。
再生可能エネルギーでは安定電源として不安があり、原発が稼働する意義は大きい。
安全対策も最新鋭の原発と比較して遜色のないものになっている。
中でもフィルター付きベント設備は重要だ。
万一、事故が起きて原子炉格納容器の圧力を下げるために排気を行っても、放射性物質の周辺への拡散を最小限にとどめられる。
福島第1原発事故は、地震や津波がいずれ起きることが分かっていながら十分な対策が取られていなかった。
一方で、電力需給が逼迫し停電が起きてしまうことでも人命が失われてしまうリスクがある。
再エネは気象状況などによって発電量が安定しない。
需給の調整役として蓄電所を設置する動きもあるが、バッテリーのコストが高く、火力発電の代わりとするのは現実的ではない。
安定電源としての原発を含め、複数の電源をうまく使っていくことが重要だ。

原発再稼働は電気料金にも影響 東西格差広がる懸念
2024/12/7 19:30
https://www.sankei.com/article/20241207-CAB5NVD74FPJ3HKVDSQ5EMROQI/
原発の稼働は安定電源の確保だけでなく、電気料金という形でも市民生活に影響を与える。
東京電力福島第1原発事故以降、全国で原発が停止し、火力発電に依存している地域では電気料金が高くなる傾向がある。
各電力会社の2024年12月の標準的な家庭の電気料金モデルを見ると、原発を稼働していない東電は8868円なのに対し、7基稼働している関西電力は7664円と千円以上安い。
関電は平成29年8月、高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働を受けて大手電力では福島原発事故以来初めて電気料金を値下げしている。
島根原発の再稼働については、すぐさま電気料金値下げに繋がるわけではない。
中国電力は令和5年6月に、主に一般家庭向けとなる
「低圧」
の電気料金について再稼働を織り込んで既に値下げしているからだ。
ただ、発電量全体に占める火力発電の割合が下がり、燃料費が下がることで通年で稼働した場合400億円の増益効果がある。
このため、今後料金が下がる要因になる可能性はあり、中国電から電力融通を受けられる関電の料金にもプラスの影響が期待される。
一方、東電は柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を目指しているものの、地元同意が得られず見通しは立っていない。
東西の電気料金格差の解消にはまだ少し時間がかかるとみられる。

「敬遠された原子力」は今や「希望の星」 NYタイムズの原発「再評価」報道に注目を
新聞に喝! 経済ジャーナリスト・石井孝明
2024/11/24 10:00
https://www.sankei.com/article/20241124-JECZQ6WAFRKEXJ7SXI2LZH2NKA/
「かつて敬遠された原子力は今や気候変動の新たな星」。
米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は2024年11月15日、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)を取材した記者の記事を伝えた。
気候変動交渉での原子力への期待が以前より強まっているという。
同紙は米国で影響力がありリベラル色が強い。
再エネ推しだが、この1年は論調が変化している。
これは世界各国で原子力への評価がこの数年高まっていることを反映したものだろう。
ウクライナ戦争以降、国際エネルギー情勢の不透明感が続く。
人工知能(AI)の利用拡大、情報通信技術(ICT)の深まりで、全世界で電力需要の拡大が見込まれる。
新興国は経済成長のために電力を欲しがる。
一方で気候変動も深刻だ。
脱炭素の電源であり、巨大な量の電力を生む手段として、原子力発電が期待されている。
産経新聞は2024年10月20日に
「衆院選とエネ政策 原発で日本回復を目指せ 国民生活とAI立国のために」
と、世界の流れに沿った社説を出した。
ところが、
「原発は悪」
という一種の思想に捉われ続ける新聞・メディアもある。
COP29を伝えた朝日新聞の社説
「気候変動会議 世界の結束に力尽くせ」(2024年11月13日)
では、NYタイムズと同じ会議を論評したのに、原子力は他電源と並べ
「議論も注視する必要」
との言及のみだ。
「再エネへの期待が大き過ぎる」(電力会社幹部)
と批判される日本経済新聞も
「再エネ投資で地方活性化 石破政権初のGX会議」(2024年11月1日)
という記事で、岸田政権のグリーントランスフォーメーション(GX)政策が継承されることを歓迎した。
それどころか原子力への敵意を示す記事は消えない。
原子力規制委員会は、日本原子力発電の敦賀原発2号機の下に活断層がある可能性があるとして、2024年11月13日に新規制基準に基づき不合格とした。
同日の東京新聞は
「敦賀原発2号機『不適合』が覆る可能性は? 日本原電に『反省』求めた山中伸介・原子力規制委員長」
と、その判断に批判的な見方もある規制委の言い分をそのまま掲載した。
東京電力福島第1原発事故の後で、日本の新聞は反原発を主張し過ぎた。
そのために原子力を巡る世界の変化を知っても、論調を変えられないのかもしれない。
原子力問題に
「思想」
を持ち込まず、公平な視点で見てほしい。
このままでは、日本の経済記事も、それに影響を受けるエネルギー政策、供給体制作りも、世界の流れから益々ずれてしまう。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/319.html#c31

[政治・選挙・NHK296] 自民政調会長の「年収103万円の壁」めぐる「根本おかしい」発言に怒りの声が続出する必然(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
19. 秘密のアッコちゃん[1181] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月18日 01:22:50 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[619]
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「103万円の壁」で袋小路 手の内見せぬ国民民主、自民ゴルフに例え「グリーンどこ?」
2024/12/17 21:24
https://www.sankei.com/article/20241217-YPCWLIWYORPZ5LSCXFNNOKIPRY/
国民民主党の古川元久税調会長は2024年12月17日の自民、公明両党との
「年収103万円の壁」
を巡る交渉で、自公側が国民民主の求める178万円まで引き上げるための具体案を示さなかったとして協議を打ち切った。
自公側は継続意思を示すが、国民民主側は直近の支持率上昇を受けて
「妥協はしない」(幹部)
と強気を崩していない。
3党協議は再び袋小路に陥った。
■協議は10分で打ち切り
「話にならない。協議は打ち切りだ」
2024年12月17日午前11時半に国会内の会議室で始まった自公国の協議。
古川氏は開始から僅か10分程度で部屋を出ると、周囲にこう漏らしながら憤懣やるかたない表情を浮かべた。
国民民主が強硬姿勢に出たのは、3党の幹事長が2024年12月11日に
「103万円の壁」

「178万円を目指して来年2025年から引き上げる」
と合意したにもかかわらず、2024年12月13日に自公側が引き上げ額として123万円を提示したためだ。
この数字は国民民主の要求とは程遠く、古川氏や玉木雄一郎代表(役職停止中)ら幹部は、自公側から新たな提案がなければ2024年12月17日の協議は打ち切る方針を予め決めていた。
結局、この日の協議では自民の宮沢洋一税調会長が国民民主側との落としどころをゴルフに例えながら、
「グリーンがどこにあるのか分からない」
「交渉できるようにグリーンを教えてほしい」
と探った。
だが、国民民主側は手の内を明かさず、古川氏は
「新たな提案がないのであれば協議はできない」
と席を立った。
■強気の背景に世論の支持
「178万円」
以外の数字を国民民主側から示せば、その金額が上限になるとの警戒感が強く、国民民主幹部は
「財務省のいつものやり方だ」
と怒る。
一方、自民税調幹部も
「178万円まで一気に引き上げれば税収は7兆〜8兆円減る」
「それは受け入れられない」
と不満を漏らす。
国民民主の強気の背景には世論の強い支持がある。
報道各社の世論調査では国民民主の支持率が軒並み急騰している。
「103万円の壁」
を巡る与党との攻防や国会論戦が好感されたと見られており、榛葉賀津也幹事長は2024年12月17日、国会内で記者団に
「国民が一番怒っている」
と威嚇した。
更に、国民民主側には看板政策での実績を引っ提げて2025年来夏の参院選に臨みたいとの思惑があり、簡単に妥協できない事情もある。
別の国民民主幹部は
「来年2025年の参院選で有権者に問えばいい」
「『ここまでやったが、少数政党では限界があった。力を与えてほしい』と訴えるだけだ」
と突き放した。
こうした袋小路の3党協議を踏まえ、石破茂首相は2024年12月17日、首相官邸で記者団に国民民主との交渉決裂の可能性を問われ、
「それは分からない」
「引き続き協議をお願いしたい」
「対応には誠意を持って臨みたい」
と述べるにとどめた。

「103万円の壁」3党幹事長合意の裏事情 少数与党に転落、自民党税調会長の意向無視 焦った財務省が画策「123万円提示」
2024.12/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241217-IJTR2E32CBIGDLLCXWNJ5IQNXM/
「いわゆる『年収103万円の壁』の問題を巡る3党協議で、完全に蚊帳の外に置かれた格好となった宮沢洋一自民党税制調査会会長が、たいそうご立腹だと聞くが、はっきり言ってこれも時代の流れだ」
「先の衆院選で、自公が少数与党に転落した結果、自民党税調会長の思惑だけで税制が決められた時代は完全に終わりとなった」
「宮沢会長はまずそのことを理解しなくてはダメだ」
大臣経験のある自民党有力議員がこう言う。
「私自身はこれで良かったと思う」
「国民生活に直結する税制が、自民党税調という密室で極僅かの幹部だけで決められているというのは、どう考えてもおかしい」
「やはりこれは、オープンな場で議論すべきことだ」
(前述同)
先週2024年12月11日、自民・公明の与党と国民民主党の幹事長が2回に渡って会談を開き、国民民主党が求めてきた
「103万円の壁」
の見直しについて、来年2025年から実施することで合意した。
この
「合意」
によって、国民民主党は衆院で2024年今年度補正予算案に賛成した。
ただしその引き上げ幅については、今後の協議に委ねられることとなったのである。
「結局のところ、この問題は政治決着が図られることとなったのです」
「それというのも補正予算案の審議日程が極めてタイトになっていたからです」
「財務省がバックに控える自民党税調としては、何とかこの問題を先送りさせたかった」
「具体的には実施時期については、2026年まで先送りさせたかったのです」
「もっと言えば、それが財務省の意向だったのです」
(別の自民党有力議員)
しかしそれでは、補正予算案成立のメドが立たなかった。
なぜなら国民民主党が、絶対に首を縦に振らなかったからだ。
「このまま3党税調による協議に委ねていたならば、補正予算は絶対に成立しなかっただろう」
「そこで自民党の森山裕幹事長がギリギリのタイミングで動いたのです」
「森山幹事長だって、自民党税調の『コアインナー』に名前を連ねる税調中枢幹部」
「それだけに森山幹事長は、税調の考えは手に取るように分かる」
「宮沢会長に任せていたのでは、国民民主党は絶対に納得しない、と」
「だから宮沢会長の意向を無視したのです」
(前述同)
いずれにしても、今回の3党合意に一番焦ったのは、他ならぬ財務省だろう。
「財務省は宮沢会長を使って、引き上げ幅をなるべく小さくしようと画策してくるでしょう」
「国民民主党の要求である178万円に対して123万円を提示したのは、間違いなく財務省の意向です」
(自民党税調メンバー)
与党が過半数割れして少数与党に転落してしまったことで、そうした裏の動き全て可視化されてしまった。
「123万円では到底国民民主党は納得しないでしょう」
「最終的には、これも政治決着が図られるのではないか」
(前述同)
 (ジャーナリスト・須田慎一郎)

7年度予算への賛成「とても無理」 国民民主・榛葉幹事長、103万協議打ち切り巡り
2024/12/17 18:39
https://www.sankei.com/article/20241217-XZAONAD53JM6JKDHMMCTL7VN5Q/
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年12月17日、所得税が生じる
「年収103万円の壁」
の引き上げを巡る自民、公明両党との協議打ち切りを巡り、年明けの通常国会で審議する令和7年度予算への賛成は
「とても無理だ」
と述べた。
国会内で記者団の取材に答えた。
協議は、担当者の古川元久税調会長が自民の宮沢洋一税調会長から引き上げに向けた具体的な提案がなかったとして打ち切った。
榛葉氏は宮沢氏について
「あれだけ温厚な古川さんが怒るというのは(宮沢氏は)火に油を注ぐ天才だ」
と評した上で
「国民が一番怒っている」
と牽制した。

国民民主・玉木氏「123万円では話にならない」 自公国の「103万円」協議打ち切り
2024/12/17 14:02
https://www.sankei.com/article/20241217-NV7NUDI56ZPMNJVJMO7EDRDFBQ/
国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止)は2024年12月17日、所得税が生じる
「年収103万円の壁」
の引き上げを巡る同日の自民、公明両党との協議を国民民主側が打ち切ったことについて、
「3党の幹事長間で『178万円を目指す』と合意したのに、(自民側が提示した)123万円では話になりません」
とX(旧ツイッター)に投稿した。
自民の宮沢洋一税調会長から
「(ゴルフに例えると)グリーンはどこですか」
と古川元久税調会長に質問があったことも明かし、
「178万円に決まっています」
と強調した。

「これ以上協議できない」自公国税調、国民民主が10分で退出 自公側は協議継続姿勢
2024/12/17 13:20
https://www.sankei.com/article/20241217-ZJK5Q2UDABLVFDVLGQOGW3PI3Y/
自民・公明・国民民主の3党は2024年12月17日午前、税制調査会長らによる協議を行った。
年収103万円を超えると所得税が課される
「103万円の壁」
の引き上げについて話し合われる予定だったが、自公側から国民民主の求める178万円まで引き上げるための具体策が示されなかったことから、国民民主の古川元久税調会長は10分程度で退出した。
自公側は引き続き協議を続ける姿勢を示したが、税制改正大綱や予算案編成の2024年年内の終了に黄信号がともった。
3党の税調による協議はこの日が6回目。
2024年12月13日に行われた前回の協議では、自公側が所得税の基礎控除と給与所得控除の最低保証額を10万円ずつ引き上げ、令和7年分から非課税枠を123万円にするという案を提案したが、国民民主は応じなかった。
終了後、記者団の取材に応じた自民税調の宮沢洋一会長によると、この日の協議では冒頭、自公側が古川氏に
「交渉余地のある領域がどの辺にあるのか」
と尋ねた。
これに対し古川氏は
「新たな提案がないのであれば、これ以上協議はできない」
と応じ、そのまま退出したという。
宮沢氏は
「何とか協議を続けたい」
と話し、今後国民民主に呼び掛けるとした。
令和7年度税制改正大綱の最終決定を今週中に行う方針も示したが、国民民主が再び協議に応じるかは不透明だ。

自公国協議、合意できず「打ち切りだ。話にならない」 103万円の壁引き上げ
2024/12/17 12:44
https://www.sankei.com/article/20241217-X247PHJBHNOJ3MJE2T4SVPCQKY/
自民、公明、国民民主3党の税制調査会幹部は2024年12月17日、所得税が生じる
「年収103万円の壁」
の引き上げ幅を巡り、国会内で協議した。
自民の宮沢洋一税調会長は終了後、記者団に対し、国民民主と合意できなかったことを明らかにした。
宮沢氏が
「何とか協議を続けたい」
と引き続き一致点を模索するよう努める意向を示したのに対し、国民民主の税調幹部は
「協議は打ち切りだ。話にならない」
と強調した。
与党は2024年12月13日の前回協議で20万円引き上げて123万円とし、2025年分所得から適用する案を提示した。
178万円を求める国民民主側は上積みが必要だとしていた。
関係者によると、2024年12月17日の協議で自公側から国民民主に新たな提案はなかったという。
2024年12月13日の3党協議で与党が示した案は、103万円の非課税枠のうち基礎控除48万円を58万円に、給与所得控除55万円を65万円に、それぞれ引き上げる内容。
食料品や光熱費といった生活に欠かせない品目の1995年以降の物価動向などを踏まえた。
国民民主は引き上げ幅が不十分だとして再考を求めていた。
3党幹事長は11日、103万円の壁に関し
「178万円を目指して、来年2025年から引き上げる」
ことで合意している。

高橋洋一「日本の解き方」
「年収の壁」撤廃に地方の不満 減収穴埋め≠燻長が嫌がる「気持ちの悪い債務」 減税による増収効果を無視した議論
2024.11/30 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241130-HD6QXGU4CZNIZDT7R7ER3KSXII/
「年収103万円の壁」
について、国民民主党の主張通りに
「178万円」
に引き上げた場合、住民税が約4兆円の減少になるとの試算もある。
地方自治体の首長らからは
「住民サービスが低下する」
などとして恒久的な財源の穴埋めを求める声も出ている。
「住民税が減収になる」
との地方からの意見に対し、国民民主党の玉木雄一郎代表は
「減収分は地方交付税で補塡される」
と反論している。
これらのやり取りに対し、財政学者、総務省、財務省からは
「各都道府県・市町村の収支が合うよう減収分が補填される仕組みがあるのはその通りであるが、減収分がそのまま地方交付税で補填されるという形にはならず、地方の首長の懸念はもっともである」
という見解が出ている。
その前提として、所得税と住民税の基礎控除が国民民主党の言うように引き上げられると、大雑把に言えば所得税と住民税が共に4兆円ずつ減収になるとしている。
地方交付税で補填されるのであれば心配はないはずだが、所得税の3分の1は地方交付税の原資になっているものの、その所得税も減少するので、地方の一般財源(地方税、地方交付税など)を実質的に確保するのが大変だというのだ。
所得税、法人税の3分の1、消費税の2割などが地方交付税の原資であるが、それらが減収になるので、補填すべき地方交付税が足りなくなるというわけだ。
これまで地方の収支が足りない分は、国と地方が
「折半」
で埋めてきた。
国は地方交付税を加算し、地方は臨時財政対策債を発行して、穴埋めを行うという流れだ。
臨時財政対策債は形式的には地方の債務であるが、その元利償還に要する費用は全額が後年度の地方交付税によって措置されることとなっている。
もっとも、具体的にいつ地方交付税で手当てされるかは分からないので、地方の首長にとっては
「気持ちの悪い債務」
である。
地方の首長としては、玉木氏の言うように、自動的に地方交付税で補填されるものではないことから、住民税の減収も痛いが、臨時財政対策債もイヤなのだ。
また、地方の首長のバックにいる総務省は、これまで
「折半」
でやってきた不足分について、改めて財務省と交渉しなければならなくなる。
こうして見ても、地方の首長、総務省、財務省はいずれも減税による形式的な減収のみを前提として議論している。
減税するのだから景気は良くなるだろうし、それによる増収もあるはずだが、あくまで予算の中でこうした増収は考慮されない。
今の段階で減税を行えば7兆円程度の増収が見込まれるが、これを無視しているので、議論が嚙み合わない。
玉木氏も増収分をある程度考慮しているので、地方交付税での補填は難しくないと言っているのだろう。
実際に増収までに時間がかかるのであれば、先日の本コラムで指摘したような外国為替資金特別会計や国債費などの財源もある。
税制改正の中で議論すべきだ。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

高橋洋一「日本の解き方」
「年収103万円の壁」撤廃、7〜8兆円減収の試算も財源はある=@自然増収、外為特会や国債費も使えるが補正予算に盛り込まれず
2024.11/28 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241128-PRZAKWZXTJKIXHSBHFJ2JI7JZE/
「年収103万円の壁」
の撤廃を巡っては、
「178万円」
まで引き上げた場合、7兆〜8兆円の減収になるとの試算もあり、地方自治体からも不満の声が相次いでいる。
財源問題について、本コラムでは
「名目成長4〜5%が達成できれば自然増収で賄える」
「それまで増収がなくても外国為替資金特別会計(外為特会)や国債費などでも捻出できるので、財源問題はない」
としているが、より詳しく解説しよう。
まず自然増収の部分であるが、今の経済状況を考えると、かなり期待できる。
政府の公表するGDPギャップ(潜在的な供給力と実際の需要の差)は、今年2024年4〜6月期でマイナス0.6%である。
これは、供給の天井を低く見積もっているためで、筆者の試算では1.7%程度、10兆円程度ある。
ここで7兆〜8兆円程度の減税策を行えば、ほぼGDPギャップはゼロになるので、インフレ率は2〜3%程度、名目経済成長は5%程度が安定的に見込まれる。
これは理想的な経済状況だ。
名目国内総生産(GDP)が1%変化した時に税収が何%変化するかを示す
「税収弾性値」

「2」
程度としても、税収増は7兆円程度になり、ほぼ減収額に見合う。
政府の試算では、経済状況の好転による税収増を見込んでいない。
その理由は
「不確かであるため」
だという。
減税は、民間企業で言えば値下げに相当する。
値下げは減収効果があるのと同時に、需要増になれば増収効果もある。
上手いタイミングで行えば、増収が減収を上回ることも多いが、政府の試算では後者を無視する。
逆に、増税では単純に税収増になると計算するので、増税はしばしば行われるが減税は滅多に行われない。
減税による効果がすぐに出ない場合に備えて、筆者は外為特会や国債費での対応を挙げている。
外為特会は、元々は昨今の円安による含み益が数十兆円もあるのが基本事実だ。
中期債のドル債を資産としており、含み益は、ドル債の償還・ロールオーバー(乗り換え)などの際に出てくるので、含み益を無理に実現させなくても、毎年2兆円程度は絞り出せる。
国債費については、2024年度予算で国債費のうち債務償還費が16.9兆円あるが、これがなくても債務償還には困らない。
借換債の発行で凌げるからだ。
かつて債務償還費なしで予算を組んだことも数多くある。
また、国債費のうち利払費は9.6兆円あるが、国債費を計算する際に仮置きする
「予算積算金利」
を1%程度高めに見積もっており、1兆円程度は不要になる。
これも財源になる。
これらの財源は、補正予算を組めば、財源化できる。
今回、景気対策が行われ、その裏付けとなる補正予算案が2024年11月28日召集の臨時国会で出される。
国民に関心の高い基礎控除等を現行の103万円から178万円に引き上げる減税案は盛り込まれず、来年2025年度税制改正の中で協議されることとなった。
今回の景気対策に盛り込まれていれば、補正予算と税法改正が今度の臨時国会で手当てされていたはずだ。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

高橋洋一「日本の解き方」
財務省暴走&置の石破政権 安倍政権下で開店休業状態も…やりたい放題の政府や自民税調 国民負担率は「五公五民」と比較も
2024.11/27 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241127-K23RSCAO3NLH7NRDUDYWEBQ3QI/
衆院選で
「年収103万円の壁」
撤廃を掲げた国民民主党が躍進し、名古屋市長選では
「市民税減税」
を公約した日本保守党推薦の広沢一郎氏(60)が当選した。
国民所得に占める税金や社会保険料の割合を示す
「国民負担率」
は2022年度で48・1%に達し、江戸時代の年貢の割合
「五公五民」
と比較されるほど高く、有権者は投票という形で一揆≠起こしているとの見方もある。
だが、中長期的な税の方向性を提言する政府税制調査会や、毎年の税制改正を議論する自民党税制調査会は、減税に消極的な財務省の影響力が強い。
元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏は、安倍晋三政権で抑え込まれていた政府や党の税調が岸田文雄政権で息を吹き返し、石破茂政権では自由自在に振る舞っていると指摘する。

首相の諮問機関である政府税制調査会は、各省の審議会と同様に財務省の別働隊、隠れ蓑だと筆者は考える。
事務局を事実上、財務省が仕切り、委員の人選その他も財務省の意向通りで、報告書も実質的に財務省が書いているといっていい。
つまり、政府税調の答申に書かれる内容は、財務省がやりたいことだ。
国会に提出される毎年税法には自民党税制調査会での議論の内容が反映される。
役割分担は、政府税調は中長期、自民党税調は各年・短期だ。
もっとも、自民党税調も実質的には財務省が関与するので、両方とも財務省の手のひらの上≠ニ言えなくもないが、自民党税調の方が、経済団体らの陳情を受けることもあり、政府税調よりも民意にやや近い。
毎年の税制改正は自民党税調が仕切るので、この意味では、自民党税調の方が上だ。
第2次安倍晋三政権や菅義偉政権では、政府税調は開店休業状態だったが、岸田文雄政権で息を吹き返した。
今年2024年1月には、政府税調の会長に日本総合研究所理事長の翁百合氏を女性で初めて就任させた。
翁氏は、経歴を見れば明らかだが、
「財政の健全性」
を主張しており、財務省にとっては好都合な人物だ。
正直に言えば、翁氏を財務省にリクルートしたのは官僚当時の筆者だ。
日銀に入って間もなく、役職にも就いていなかった翁氏に接触し、軽めの勉強会の委員に就任するよう要請した。
その後、翁氏は日銀から日本総研に移り、順調に出世した。
財務省はこうした審議会委員の
「青田買い」
をよく行っていた。
その時の基準は、
「女性」
「自己主張しない」
だった。
その後の経歴を見ると、財務省が大事に育てたのが分かる。
岸田政権で復権した政府税調の答申が実際に税法に反映される確率は、安倍・菅政権に比べると格段に高くなっている。
自民党税調は宮沢洋一氏が会長で、森山裕幹事長、後藤茂之元経済再生相、石田真敏元総務相、福田達夫幹事長代行が幹部を務める。
一方、顧問だった甘利明元幹事長が2024年10月の衆院選で落選し、小委員長だった林芳正氏が官房長官に、小委員長代理だった加藤勝信氏が財務相に就任、塩谷立氏は引退したためそれぞれ幹部から外れた。
この4人に代わり小渕優子党組織運動本部長、斎藤健前経産相、上野賢一郎元財務副大臣、小林鷹之元経済安保相が幹部入りした。
自民党税調の幹部は
「インナー」
と呼ばれる上記9人だが、このうち、財務省の官僚出身が3人、総務省の官僚出身が1人、経産省の官僚出身が1人、その他4人という構成だ。
ここでも、財務省の影響力は否定できない。
財務省は増税を仕掛けてくるので、安倍政権ではその影響力を削ぐために、政府税調を開店休業状態とし、自民党税調に対しては衆院選を使って牽制していた。
岸田政権ではその縛りがなくなったので、石破茂政権でも財務省は自由自在だろう。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

「103万円の壁」動かす財源は存在する 過去最高の税収とムダな基金を還元せよ
2024/11/30 12:00
https://www.sankei.com/article/20241130-KBSNX5VYVFLP3FXYFE3GSCCZKI/
政府の経済対策に、国民民主党が衆院選で訴えていた
「年収103万円の壁」
の引き上げが盛り込まれた。
パート労働者の働き控えなどをなくし、消費や経済の活性化に繋げる狙いがある。
これに対して、
「税収が7兆円以上減る」
とする反発が政府内で根強い。
だが、国や地方の税収全体は増え続けている上、毎年度のように予算の使い残しがあり、基金のムダな運用も指摘される。
政府は労を惜しまずムダ遣いを炙り出し、壁の十分な引き上げの財源に回して国民へ還元すべきだ。
■所得税を払い始める分岐点
「ついに『壁』が動きました」
「皆さんの1票が30年動かなかった壁を動かしました」
「でもまだ数センチ」
「勝負はこれから」
国民民主の玉木雄一郎代表は2024年11月20日のX(旧ツイッター)にこう書き込んだ。
この日、自民党、公明党、国民民主の3党は壁の引き上げを経済対策に盛り込むことで合意。
2025年度税制改正で対応する。
引き上げの狙いは
「『減税』『社会保険料の軽減』『生活費の引き下げ』で、皆の手取りを増やす」(国民民主の衆院選公約)
ことだ。
同党は103万円から178万円への引き上げを求めているが、実際の額はこれから調整する。
年収103万円は、企業などで働く人が、所得税を払わなくていいか払わなければならないかの
「分岐点」
だ。
所得税には、収入や所得から一定の額を引いて税負担を軽くする
「控除」
の制度がある。
給料を貰っている人は
「給与所得控除」
を最低55万円から受けられる。
加えて、年間の所得が2400万円以下なら、原則全ての納税者が対象の
「基礎控除」
を一律48万円受けられる。
つまり、年収が
「55万円+48万円=103万円」
を超えると所得税を払わなければならなくなる。
103万円を超えて税負担が増え、手取り収入が減らないよう、年末に働くのをやめるパート主婦なども少なくない。
これが、いわゆる
「103万円の壁」
の問題だ。
企業からも
「人手不足の中、12月の一番忙しい時パートが来ないと厳しい」(和食チェーン経営者)
などとし、引き上げを期待する声が上がっている。
■法人税伸び、消費税も堅調
ただ、政府内では178万円への引き上げに反対が出ている。
試算では、引き上げによって国と地方の税収が合計7兆〜8兆円減るからだ。
自治体の反発も強く、全国知事会で地方税財政を担当する河野俊嗣宮崎県知事は2024年11月6日、自民党の森山裕幹事長へ税収減に対する懸念を伝え、記者団にも
「物価高や賃上げへの対応が必要な中で、大きな減収だ」
と訴えた。
ただ、
「この程度の税収減なら、賄えるだけの財政の体力は国にある」
との指摘は多い。
まず、近年、新型コロナウイルス禍などがあったにもかかわらず、国の税収全体が増え続けているからだ。
2023年度の国の一般会計の税収は72兆761億円と4年連続で過去最高に。
企業の業績が良く法人税収が伸びたことに加え、消費税収が堅調だったことも後押しした。
4年前の2019年度(約58兆4千億円)からは、13兆円以上も膨らんでいる。
経済ジャーナリストの荻原博子さんは
「景気に左右されない消費税の存在が大きい」
「今後、景気が悪くなることがあっても税収を支えるだろう」
と語る。
地方の税収も伸びており、2023年度の都道府県と市町村の税収は、国からの譲与分も含め合計45兆7千億円で、やはり過去最高を更新する見通しとなっている。
また、国は税収増と並行し、支出に当たる一般会計予算の規模を毎年度広げてきた。
しかし、使われなかった予算もあり、2023年度の場合、盛り込まれたが
「不用」
になった額は6兆8910億円に達した。
「税収はバブルのような状況」
「しかしそれを無駄な支出に回すのでなく、年収の壁の引き上げなどに使って私たち国民の暮らしへ回すべきだ」。
荻原さんはこう強調する。
一方、荻原さんが指摘するのは、政府が作り続けている基金の存在だ。
■「利権の温床」改革が必須
基金は、独立行政法人などが国からの補助金を原資として、特定の使い道のため、他の財産と区別して持っているお金。
「一旦作られると省庁や独立行政法人などの裁量で動かせ、ムダな運用がある」
「実態が不透明」
「族議員などの利権の温床になる」
と批判されてきた。
2019年度に2兆円台だった国の基金の残高は2022年度末に16兆6千億円まで膨張。
さすがに政府は改革に乗り出し、今年2024年4月、152基金の200事業を点検して、使う見込みがない5466億円を国庫に返納することを決めた。
原則、設置10年以内に基金を終了するとのルールも設けた。
しかし荻原さんは
「これからも無駄な基金がないかを検証して、あれば廃止すると同時に、必要でない基金を作ることをやめ、税金のムダ遣いを防ぐべきだ」
と語る。
浮いたお金は、年収の壁引き上げの財源に使うことができる。
ちなみに都道府県や市町村などの自治体もそれぞれ基金を持っており、2022年度末に合計27兆6千億円と年々増加している。
7兆円以上の税金がふところに入ってこなくなれば行政サービスの悪化に繋がる可能性もあるので、政府や自治体の反発も理解できなくはない。
しかし、政府の最大の使命は国民の暮らしを豊かにすることだ。
無駄に使っていたお金を、暮らしを豊かにする政策の財源に回すため、最大限に知恵を絞らなければならない。

<主張>103万円の壁 効果見極め制度の設計を
社説
2024/11/22 5:00
https://www.sankei.com/article/20241122-EHGADLG5HVKOTDLRJZI4T3YZUE/
自民、公明両党と国民民主党が、年収103万円を超えると所得税が課される
「103万円の壁」
の引き上げなどを経済対策に盛り込むことで合意した。
政府は2024年11月22日に経済対策を閣議決定する。
少数与党に転じた自公が、経済対策を裏付ける令和6年度補正予算案を成立させるため、手取り増を公約した国民民主の求めに応じた。
具体的な制度設計は2024年年末の税制改正に向け3党で協議する。
103万円の壁は約30年間据え置かれてきた。
物価や賃金の上昇を踏まえれば、これを引き上げること自体は理に適う。
人手不足が深刻化する中、壁を意識した働き控えをなくすためにも見直すことは妥当だろう。
ただ具体化する際には、巨額の減収を伴う措置でどれほどの政策効果が得られるのかなどを十分に吟味してもらいたい。
今後の焦点は壁の引き上げ幅だ。
国民民主は103万円を178万円まで引き上げるべきだと主張するが、その場合、国と地方の税収が7兆〜8兆円も減るという政府の試算がある。
このため全国知事会などは地方の財政運営への影響などを踏まえた議論を求めている。
国民民主が178万円に引き上げる根拠とするのは最低賃金の伸びだが、物価上昇率に基づけばそこまで引き上げる必要はないはずだ。
国民民主があくまでも178万円に拘るのなら、財源論を含む具体策を明確にする責務があろう。
手取り増による消費刺激効果も問われる。
103万円の壁が引き上げられれば、親の扶養の下で働く大学生らが恩恵を受けるが、アルバイト学生の手取り増による個人消費の伸びは103万円を178万円にした時で約3190億円になるという民間試算がある。
こうした数値を踏まえた上で制度の詳細を詰めなくてはならない。
「年収の壁」
問題には、税だけでなく、社会保険料負担が生じる
「106万円の壁」
などもある。
これらは働き方や扶養の在り方に関わる問題だ。
その根本から議論を深めてほしい。
自公と国民民主は、ガソリン減税を検討することでも合意した。
国民民主との協力が必要だとしても、国民民主が求める要望を3党の税調による協議のみに委ねる必要はない。
まずは石破茂首相が政策の方向性を明確に示すべきである。

「103万円の壁」
に対するネガティブキャンペーンとして
「高所得者に恩恵」
との批判があり、
「金額ベース」
では、年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。
加藤勝信財務相は
「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」
と述べた。
しかし、
「手取りの増加率」
で見ると年収210万円で4.3%、500万円で2.6%、2300万円で1.7%となっている。
上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は
「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率で見れば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」
「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」
「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので飲まざるを得ないだろう」
との見方を示す。

林官房長官、「103万円の壁」で減収を考慮 年内にも規正法改正に向け議論を推進へ
2024/11/17 14:47
https://www.sankei.com/article/20241117-HAHJAOIZW5IWLIEVDXFIDB77TI/
林芳正官房長官は2024年11月17日のNHK番組で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
見直しについて
「国と地方の減収が見込まれ、高所得者ほど減税の恩恵が大きい」
「この辺りを総合的に考慮して決めていく」
と述べた上で、与党と国民民主党の協議に協力するとした。
政治資金規正法は、2024年年内にも必要な法制上の措置が取れるように議論を推進する考えを示した。
少数与党となった国会運営に関し
「各党と着地点をしっかり探りたい」
「国民に分かりやすく説明することに意を用いる」
と強調。
各党から様々な主張が出て政策の決定過程が
「見える化されている」
とも指摘した。

減税ド正論「財源論の前に国民の生存権だ」村上総務相に榛葉節≒y裂 「103万円の壁」撤廃で税収減主張に「取り過ぎた税金を国民へ返す」
2024.11/16 15:01
https://www.zakzak.co.jp/article/20241116-ZUZS6G6XKNM3JBG52I5RDTCXXY/
国民負担の軽減策として浮上した
「年収103万円の壁」
の撤廃を巡り、地方自治体側が
「地方税が減収となる」
と訴えて相次いで反対を表明している。
これに対し国民民主党の榛葉(しんば)賀津也幹事長(57)は2024年11月15日の記者会見で、
「地方財政に悪影響を与えることは絶対させない」
「財源論の前に国民の生存権だ」
と強調した。
国民民主党は基礎控除などの非課税枠を178万円に引き上げることにより
「手取りを増やす」
と主張している。
だが、全国知事会の会長を務める宮城県の村井嘉浩知事は、住民税や地方交付税が減収になるとし
「大きく住民サービスが下がる」
と反対した。
石川県の馳浩知事も2024年11月15日、
「財源についてお示し頂くことが責任政党の姿ではないか」
と注文を付けた。
こうした批判に対して榛葉氏はこの日の会見で
「私も地方の議会出身」
「地方財政に悪影響を与えることは絶対させません」
「是非安心してほしい」
と呼び掛けた。
国民民主党はガソリン税を軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除も主張している。
榛葉氏は
「取り過ぎている税金を国民へ返す」
「地方はガソリンを入れないと生きていけない」
「これは憲法25条の生存権の問題」
だと述べ、地方にとってもメリットが大きいとした。
政府はガソリン代や電気料金について補助金の支給を行ってきたが、榛葉氏は
「補助金行政ではなく減税をすべきだ」
「後から補助金で返すなら最初から取らなければいい」
「何度も言いますけど財源論の前に国民の生存権です」
と熱弁を振るった。
知事らの反対論を巡っては、同党の玉木雄一郎代表(55)がテレビ番組の中で、総務省が地方自治体側に反対の表明を要請するなど
「工作を行っている」
と言及した。
村上誠一郎総務相が知事サイドに連絡し、撤廃の問題点を指摘する
「発言要領」
を作っているとも指摘した。
村上総務相は2024年11月15日の会見で、
「依頼を行った事実はない」
とし、村井知事も否定した。
榛葉氏は
「我々は今週の初めに、
『大臣から全国知事会に連絡を入れていた』
と複数の筋から確認をしている」
「私はあったんだろうと思う」
と再反論した。
2024年11月11日に玉木氏が不倫報道を巡って都内の街頭で行った謝罪について、台などに乗らず後方からは見えづらかったとして、記者から
「アリバイ作りみたいな謝罪」
と批判を受けたが、榛葉氏は
「隠れないために出てきて、皆さんと同じ地べたに足を付けて訴えた」
とフォローした。

<主張>年収の壁 首相は議論整理し説明を
社説
2024/11/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20241116-DOPGVECZCVKUHNAOUPQ3XWSA6I/
手取りを増やすのか増やさないのか。
議論を整理し、はっきりさせねばならない。
その上で石破茂首相が説明すべきだ。
「103万円の壁」

「106万円の壁」
などの見直しのことである。
自民、公明両党の与党と国民民主党が、年収103万円を超えると所得税が発生する103万円の壁の解消を巡り協議を始めた。
国民民主は非課税枠を178万円に引き上げることを要求している。
一方、厚生労働省は社会保険料の負担が生じる106万円の壁を撤廃する方向で調整している。
パートら短時間労働者が厚生年金に加入する要件のうち、106万円以上としている賃金要件を撤廃する内容だ。
いずれの壁も働く時間を抑制する要因とされる点では同じであり、人手不足解消や働き方改革を進める上で制度の見直しは必要だろう。
ただし103万円の壁見直しは手取り増のための減税だ。
逆に106万円の壁撤廃は老後の年金給付を手厚くするため、まず保険料を払ってもらう措置である。
長い目で見れば給付増となる。
だが、当面の手取りは減る方向に働く。
これらの制度は全く別の話だが、議論のタイミングが重なり、悩ましいことになっている。
政府や国会は問題を整理する必要がある。
国民の財布は1つだ。
制度の見直しで手取りが増えるのか増えないのか、石破首相は国民に丁寧かつ分かりやすく説明せねばならない。
実質賃金の低迷が消費や経済成長の隘路となっており、国民民主が手取り増を目指すのは頷ける。
ただ、103万円を178万円まで一気に引き上げることが妥当なのか。
政府試算では、国と地方の税収が年7兆〜8兆円減るとされる。
「178万円」
は最低賃金の伸びを根拠にした数字だが、物価上昇率に基づけば、それほど大きな引き上げ幅とはならないと自民側は指摘している。
看過できないのは、国民民主が減収財源について
「基本的には与党の責任」
としていることだ。
主張を反映させたいなら財源確保策についても説得力ある提案をする責務がある。
低所得者よりも中高所得者の方が減税額も大きい。
その点も踏まえて、政策の費用対効果を見極めるべきだ。

石破政権「103万円の壁」撤廃も増税画策≠ノ警戒 手取り増と逆行、厚生年金106万円の壁撤廃へ 浮上財源論≠フ裏に財務省の影
2024.11/10 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241110-C7CIUVCNGBOYNMCXZGWC3VE6SI/
石破茂首相(自民党総裁)と、国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月11日に党首会談を開く予定だ。
自民、公明与党と、国民民主党の政策協議で最大の焦点となるのが
「年収103万円の壁」
の撤廃だ。
幅広い層に
「減税の恩恵」
があり、労働人口を増やす効果も期待できるが、冷や水を浴びせるように
「7兆6000億円の税収減となる」
といった財源論≠ェ指摘され始めた。
財務省や財政緊縮派らが減収分を取り戻そうと
「増税・負担増」
を画策することが懸念される。
現に、厚労省はパートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件
「106万円の壁」
を撤廃する方向で最終調整に入ったが、新たに保険料負担が生じる人もいる。
衆院選で大惨敗しながら
「政権居座り」
を決め込む石破首相の
「増税・負担増」
路線に要警戒だ。

自民党の小野寺五典、国民民主党の浜口誠両政調会長は2024年11月8日、国会内で政策協議の初会合を開き、
「年収の壁」
の見直しへ向け、来週に両党の税調会長を交えて協議することを確認した。
現行制度では年収が基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計である103万円を超えると所得税が発生する。
このためパート労働者らが103万円を超えないように労働時間を抑制する現象が問題視されてきた。
1995年から最低賃金が1.73倍上昇したのを踏まえ、国民民主党は178万円への引き上げを要求している。
玉木氏は
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べ、自民党が応じない場合は、政権運営にも協力しない考えを示した。
産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、年収の壁について
「引き上げるべきだ」
とする回答が77・2%に上った。
物価高対策で最優先で取り組むべきことでも
「減税」
が32・7%と最も多かった。
一方でネガティブキャンペーンまがいの論調もある。
その1つが、基礎控除を75万円引き上げた場合、国と地方を合わせて7兆6000億円の税収減になるという
「政府試算」
だ。
上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は
「財源論が浮上したのは、財務省側の焦りの表れだろう」
「だが、財務省の省益よりも国民のために実施すべきだ」
「恒久的な減税になるように今年2024年の補正予算の1回に留めずに来年2025年以降の本予算に組み込んで効果を持続する方が望ましい」
と語る。
■「手取り増」と逆行
もう1つのネガキャンが、
「高所得者に恩恵」
というものだ。
年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。
加藤勝信財務相は
「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」
と述べた。
しかし、
「手取りの増加率」
で見ると年収210万円で4.3%、500万円で2.6%、2300万円で1.7%となっている。
田中氏は
「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率で見れば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」
「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」
「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので飲まざるを得ないだろう」
との見方を示す。
国民民主党はガソリン税の
「トリガー条項」
の凍結解除や消費税率の時限的な5%引き下げなども掲げている。
加藤財務相は前出の会見で、トリガー条項の凍結解除で国と地方の減収が生じるとして、
「脱炭素に向けた潮流なども勘案しながら対応していく必要がある」
と言及した。
財務省側がクギを刺した形にも見える。
田中氏は
「財務省は1度得た財源を失いたくない」
「財務省や自民党内の緊縮派は、論点を『年収の壁』に持っていき、消費税やトリガー条項の議論から目を逸らそうとする思惑もあるのかもしれない」
と推測する。
こうした中、厚労省は、会社員に扶養されるパートら短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件(106万円以上)を撤廃する方向で最終調整に入った。
年収要件をなくせば保険料負担が新たに生じ、手取り収入が減る人も出てくる。
「手取りを増やす」
政策とは逆行する動きだ。
また、税制を巡っては、石破首相も防衛力強化の財源を確保する所得、法人、たばこの3税の増税の開始時期について、2024年年末の税制改正の議論で決着させる考えを示した。
石破首相は金融所得課税の強化に言及し、その後撤回する一幕もあった。
来年2025年夏には参院選も控えるが、前出の田中氏は
「現在は増税を言い出すのは難しいだろうが、7兆6000億円を取り戻しに動くため、将来的に『増税・負担増』路線になるだろう」
「防衛増税の開始はもちろん、石破政権が続けば、首相が掲げる防災省設置構想に関連して、インフラ整備のための『防災増税』を掲げるかもしれない」
と警鐘を鳴らした。

「103万円の壁」引き上げで消費喚起も…「供給力強化が必要」と専門家 7〜9月GDP
2024/11/15 18:45
https://www.sankei.com/article/20241115-2E7YJECHCJLDFG3CA547UWVIII/
内閣府が2024年11月15日発表した2024年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)で、個人消費の伸びが加速した。
ただ、定額減税の実施など一時的な要因が大きく、今後は再び低調になる恐れがある。
個人消費が力強さを取り戻すには、賃上げの定着が最も重要だが、それまでの間は家計支援策で凌ぐ必要がある。
与党と国民民主党による
「年収103万円の壁」
の見直しに向けた協議の行方も注目される。
2024年7〜9月は所得環境改善の動きが目立った。
賃上げの広がりやボーナス支給に加え、2024年6月から始まった1人当たり4万円の定額減税、2024年8月に再開した電気・ガス料金の抑制など政策による押し上げが効いた。
それでも物価変動を考慮した実質賃金は2024年8〜9月とマイナスで、家計はまだ厳しい状況が続く。
2024年10月の景気ウオッチャー調査でも、街角の景気実感を示す現状判断指数は2カ月連続で悪化。
「コメや様々な食品が値上がりする中、客が購入数や来店回数を減らし生活防衛している」(九州のスーパー)
などの声が上がる。
定額減税の効果も既に消えつつある。
円相場が2024年11月15日に一時、1ドル=156円台後半に下落するなど、円安の進行も物価の先高観に拍車をかける。
「我が国経済は成長型経済に移行する重大な局面にある」。
赤沢亮正経済再生担当相は2024年11月15日の閣議後記者会見で強調した。
近く策定する総合経済対策で、政府は
「物価高の克服」
を柱の1つに据える。
住民税非課税世帯向けの給付や電気・ガス料金の補助の延長を盛り込む方向だ。
だが今、世間がそれ以上に関心を寄せるのは、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の引き上げだ。
国民民主の主張通り、非課税枠を恒久的に178万円に引き上げた場合、政府は国・地方の税収が毎年約7兆〜8兆円減ると試算する。
ただ、空前の人手不足に直面する日本がこれだけの規模の減税を行って消費を喚起しても、輸入が増えるだけでGDPに反映されない可能性がある。
みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは
「減税の恩恵を満額で受け取るには、供給能力の強化との両輪で取り組む必要がある」
と話している。

高橋洋一「日本の解き方」
財務省の思うつぼ「年収の壁」議論 本筋は29年放置の「ステルス増税」停止だ 代表の不倫報道も国民民主党に公約実行の責務
2024.11/14 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241114-3GMN53KK3ZOH5O6YREWTRWILAA/
自民党と国民民主党は所得税が発生する
「年収103万円の壁」
を引き上げる政策協議を始めた。
マスコミでは
「年収の壁」
と説明されているが、筆者から見ると、問題を複雑化させ過ぎている。
103万円だけでなく、
「106万円」
など社会保険料を含めれば色々な
「壁」
があり、ある意味で財務省の思う壺になる。
問題の本質は、所得税における
「基礎控除48万円」

「給与所得控除55万円」
で合計103万円という額の大きさである。
筆者は、財務省がいつもやるように主要各国の国際比較の資料を出した。
正直に言えば、色々な条件を合わせないと国際比較は出来ないのだが、各国の最低所得に近い所で見てみる。
直近の為替レートで米国の基礎控除が61万円、給与所得控除が219万円で合計280万円。
英国は基礎控除214万円、給与所得控除はなしで合計214万円。
ドイツは基礎控除143万円、給与所得控除は20万円で合計163万円。
フランスは基礎控除160万円、給与所得控除8万円で合計168万円だ。
欧米に比べて日本の控除額が少ないことが分かるが、日本は税率を上げているわけではないので、
「ステルス増税」
だったということだ。
日本の控除額は1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きされている。
ステルス増税を29年も放置していいはずがない。
「ステルス増税をやめろ」
というスタンスでいい。
減収になるとの反論があるが、今の時点で減税政策をすれば、名目成長4〜5%が達成でき自然増収で賄える。
それまで増収がなくても外国為替資金特別会計(外為特会)や国債費などでも捻出できるので、財源問題はない。
減税してうまくいったら、財務省が30年間ついていたウソがバレるのが怖いのかもしれない。
案の定、
「106万円の壁」
が出てきて、厚労省が所得なしでも原則として社会保険料を負担させると言い出した。
問題を複雑化させるだけなので、基礎控除などの引き上げが終わってから検討すべき問題だ。
筆者の穿った見方だが、このように控除引き上げの足を引っ張る動きがあるのは、石破茂政権と野田佳彦代表の立憲民主党との間で
「大連立」
の匂いがある。
正式な大連立にはいかないまでも、東日本大震災後の自民党と民主党のように、財政政策で協調関係が作られるのはまずい。
国民民主党の提案にも自民党がなぜか強気であることにも一抹の不安がある。
立民が衆院の予算委員長を取ったことも筆者の懸念を助長させる。
この人事で石破政権は来年2025年度予算成立まで延命が保証されているという噂も出ている。

高橋洋一「日本の解き方」
なぜか「減税」を嫌がる財務省 「歳出権の拡大」で各省に恩売り…天下りへ 官僚主導の財政支出、民間に任せた方がうまくいく
2024.11/7 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241107-RILEXQW3RZIV5EFHHP3WBES5WE/
国民民主党が掲げている
「年収103万円の壁」
撤廃について、基礎控除を75万円引き上げた場合、
「7.6兆円の減税になる」
「高所得者の減税額が大きい」
などと報じられた。
筆者は先日の本コラムでは
「仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる」
「もっとも、この程度であれば、名目5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える」
と書いた。
少し財政をかじったことがある人であれば、この程度の減収の試算をするのは簡単だが、マスコミが記事にする際には財務省に聞くことが多いのだろう。
2023年度の税収は72兆761億円だった。
名目国内総生産(GDP)が1%変化した時に税収が何%変化するかを示す
「税収弾性値」
は一般的には
「2〜3」
なので、名目成長率が5%だと、税収は10〜15%、つまり7兆〜10兆円程度増加することになる。
また、名目5%成長を実現するには、インフレ率を2〜4%にすればいい。
このためには2%のインフレ目標について、日銀が利上げを遅らせる
「ビハインド・ザ・カーブ」
の運営を行う。
その上で、GDPギャップ(潜在的な供給力と実際の需要の差)をなくすような積極財政をするだけだ。
それにしても、財務省がなぜ減税を嫌がるのか、一般の人には理解できないだろう。
その一方で財政支出はそれほど抵抗なく行う。
減税も
「租税歳出」
と言われ、財政の理論では財政支出と同じことなのに、この態度の差は何か。
実はここに理由がある。
財務省は増税を好むが、増税すると歳出を膨らますことができる。
これを財政用語では
「歳出権の拡大」
という。
これこそが、財務省の権限の源であり、各省に対して売れる恩でもある。
歳出権を各省にばらまいて、そのご褒美として、各省の団体に天下りできるというのが望ましい。
一例を挙げれば、経団連が
「コンテンツ省」
設置を提言し、予算2000億円を増やすように提言したという。
これは、財務省的には受け入れ可能なものだ。
しかし、役人がコンテンツ業界をリードできるはずなく、こうした省庁は間違いなく失敗する。
新しい省庁ができれば、その関連団体もできて、天下りの巣窟になりやすいが、そこで新産業が生まれるはずはない。
これまで官僚主導でうまくいった試しはほとんどないからだ。
筆者は、役人が財政支出するくらいなら、減税して民間に任せた方が遥かにマシだと思っている。
財政の理論では、財政支出と減税は同じであっても、経済効果では政府が主体になるか民間が主体になるかで異なっており、減税の方が経済効果が大きいと思っている。
国民民主党はガソリン税の減税も主張している。
補助金支出でガソリン価格を抑えるより、減税で抑える方がまともな経済政策だと言える。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

高橋洋一「日本の解き方」
国民民主「103万円の壁撤廃」は実現可能か 控除拡大は減税と同じ効果、財務省へのアンチテーゼに 賃金上昇率目標も検討すべき
2024.11/2 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-4CKOQXQOUFMPPFLNUW5T4DIG6M/
石破茂首相は国民民主党との
「部分連合」
を視野に入れている。
国民民主党は基礎控除の103万円から178万円への拡大、消費税5%などを掲げているが実現可能だろうか。
国民民主党の政策のうち、他党にない
「基礎控除等を103万円から178万円への引き上げ」
について取り上げたい。
まず、178万円という
「中途半端」
な数字に驚く。
これは、1995年からの最低賃金上昇率1.73倍から、103万円を1.73倍して得られる。
103万円は基礎控除と給与所得控除の合計だが、1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きである。
そこで、最低賃金の上昇と合わせて引き上げるべきだというのが国民民主の主張である。
ここまで厳密に拘らくてももいいが、国民民主党らしいとも言える。
控除の拡大は減税と同じだ。
控除額が増えれば、少なくとも所得税として
「75万円×税率(年収に応じて5〜45%)」
の額が手元に残るようになって、手取りが増える。
この政策が面白いのは、財務省は増税しないと言いながら、控除額の縮小を狙う
「ステルス増税」
をしばしば企むが、そのアンチテーゼになるからだ。
例えば、給与所得控除について
「海外と比較すると日本は大き過ぎるので縮小しよう」
と躍起になっている。
一方、基礎控除は日本だけが国際的に低いのは知らんぷりという具合だ。
この
「減税」(控除の拡大)
でも、財源はどうするのかという反論があるだろう。
仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる。
もっとも、この程度であれば、名目で5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える。
また、この政策との関連で、最低賃金について、
「全国どこでも時給1150円以上を早期に実現する」
としている。
自民党の「2020年代に1500円」、立憲民主党も「1500円」を掲げているのと比べると控えめな数字である。
1500円の方がいい加減な数字であるので、国民民主党に逆に信頼感が出るのではないか。
気になるのは、金融政策に関する公約がないことだ。
立民の
「0%超の物価目標」
は論外であるが、労働者の党である国民民主党が公約に掲げていないのは不自然だ。
かつて筆者が玉木雄一郎代表と話した時、インフレ目標ではなく
「賃金上昇率目標」
を主張した。
元々インフレ目標のベースになっているのがインフレ率と失業率の関係を示した
「フィリップス曲線」
であるが、同曲線は賃金上昇率と失業率の関係が元になっているので、玉木代表の意見には一理ある。
大胆に言えば、インフレ目標2%より、賃金上昇率3〜5%のほうが日本経済のためになるので、検討してはどうか。
それを消費税5%、社会保険料の軽減、トリガー条項の凍結解除と共に自公政権にぶつけたら面白い。
今の自公なら受け入れ余地はあるが、石破政権を退けた後からの方がより有望だろう。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

国民・玉木氏「総務省が自治体工作」、村上総務相は「してない」103万円壁見直しで攻防
2024/11/15 16:06
https://www.sankei.com/article/20241115-A6SPP4N2PNGQFLOQDMEDSBJVXQ/
村上誠一郎総務相は2024年11月15日の記者会見で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の見直し論を巡って、総務省が自治体に反対を呼び掛けているとの一部の見方について、
「そういうことはしていないと思う」
と否定した。
年収の壁の見直しを巡っては、国民民主党が推進を掲げる一方、全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)らは地方の税収減に繋がるとして反対を表明している。
国民民主の玉木雄一郎代表は2024年11月13日、東京MXテレビの番組で、
「今一生懸命、総務省が全国知事会や自治体の首長に工作を行っている」
と述べた上で、
「『こういう発言をしてくれ』
『こういう減収があるからやめてくれ』
と、村上総務相が村井知事会会長らに連絡して、発言要領まで作って(いる)」
「如何なものか」
と語っていた。
村上氏は2024年11月15日の会見で
「村井会長に発言の依頼をした事実は全くない」
と否定し、
「発言要領について見たこともない」
「依頼したことも全然ない」
「なぜ玉木氏がこういう事を言ったのか、理解できない」
と強調した。
「全国知事会とは税制などについて日頃から意見交換している」
「事務方から基礎控除の制度概要などについて説明を行った」
とも語った。

「103万円の壁」解消は財源確保が最大の焦点 国民民主、主張崩さず自民と平行線か
2024/11/14 20:27
https://www.sankei.com/article/20241114-PQHUVBMCXVMSBBLERXARLNK3QQ/
2024年11月14日に本格的にスタートした自民、公明両党と国民民主党の税制協議の最大の焦点は、国民民主が主張している年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万円の壁」
の解消のための財源の確保だ。
国民民主は所得税が発生する基準を現行の103万円から178万円に引き上げる主張を崩していない。
税収減を懸念する自民との議論は平行線が続く可能性がある。
■財源は「与党の責任」
「我々としてはちゃんと試算をした上で根拠があって出している」
国民民主の古川元久税調会長は国会内での自民との協議後、非課税枠の178万円への引き上げを譲らない考えを改めて強調した。
政府は国民民主の主張通りに非課税枠を拡大した場合、国と地方で7兆〜8兆円の税収減になると試算。
全国知事会も影響が大きいとして政府や与党に慎重な検討を求めている。
非課税枠の引き上げを実施する場合は代わりの財源が必要となるが、国民民主側はあくまで税収減への手当ては
「基本的には与党の責任」(古川氏)
との立場だ。
■赤字国債で税収減カバーか
国民民主の姿勢に自民は頭を抱える。
小野寺五典政調会長は2024年11月12日夜のBSフジ番組で
「『出る』と『入る』があって初めて政策になる」
「セットで提示して頂くことが大事だ」
と述べた。
もっとも、自民、公明両党は衆院で過半数の議席に届いておらず、令和6年度補正予算案や7年度予算案の成立に国民民主の協力が欠かせない。
国民民主幹部は
「うちが賛成しなければ何も通らない」
と強気だ。
国民民主にとって103万円の壁の解消は看板政策であり、実現の可否は来夏2025年夏の参院選を含めた今後の党勢も左右するため、容易に妥協できない事情もある。
2024年11月14日の税制協議に出席した自民の宮沢洋一税調会長は、記者団に非課税枠を178万円に引き上げる可能性を問われ、
「それは今後の議論次第だろう」
と含みを持たせた。
石破茂政権に影響力を持つ自民重鎮は、こう話す。
「国民民主も譲らないだろう」
「最終的には赤字国債で税収減を補うことになるのではないか」

村井嘉浩・全国知事会長が国民民主の年収の壁見直しに苦言 「夢ごとでなく具体策を」
2024/11/13 16:45
https://www.sankei.com/article/20241113-SZLBZWQ3R5PFBOFCOQXZPU4J3U/
全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事は2024年11月13日の記者会見で、国民民主党が主張する
「年収の壁」
見直しを巡り
「(個人の)収入が増えれば消費が喚起され、税収も増えるといった夢ごとではなく、地に足がついた具体的な方策を示して議論してほしい」
「少なくとも私が首相なら首を縦に振らない」
と苦言を呈した。
総務省は、
「年収の壁」
見直しに伴う個人住民税の減収が4兆円程度に上ると試算。
村井氏は、宮城県と県内市町村の減収額が、地方交付税分も含め計約800億円に上ると明らかにし
「たちどころに財政破綻するだろう」
と述べた。
自治体が減収となることで住民サービスの低下を招くとの懸念も表明。
減収分を国債で充てれば
「恒常的に大きなつけを後世に回すことになる」
「賛成とは到底言えない」
と批判した。

年収の壁、ゼロ回答認めず 国民玉木雄一郎代表、自民に要求
2024/11/3 12:52
https://www.sankei.com/article/20241103-SN3SD5CPUVM5DP5JCK3ASPLKLE/
国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月3日放送のBSテレビ東京番組で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の引き上げに自民党が応じない場合、政権運営に協力しない考えを示した。
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べた。
立憲民主党など他の野党と連携する課題として政治改革を例示。
「案件ごとに協力する」
「対象は自民、公明両党に限定されない」
と語った。
玉木氏は、石破茂首相(自民総裁)との党首会談が実現した場合、年収の壁の引き上げは
「国民が求めている」
として、協力を要請する意向を記者団に表明。
立民の野田佳彦代表との会談では、政治資金規正法の再改正に加え、安全保障やエネルギー政策といった基本政策の一致に向けた協議の本格化を求める考えを示した。

国民民主と政策協議も…自民に裏切り≠フ過去 維新と文通費見直し合意も反故、馬場代表「自民は狡猾、聞いてる振りはする」
2024.11/1 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H5TBRZVN3VLIBK52CGPVQGX2LQ/
自民党と国民民主党が
「部分連合」
に向けた動きを加速させている。
少数与党の石破茂政権は、国民民主党を取り込むことで、首相指名選挙やその後の国会運営を有利に運ぶ思惑だ。
国民民主党は衆院選で公約に掲げた
「年収103万円の壁」
撤廃などの実現に前進するが、要求通りの成果を得られるかは不透明だ。
過去には日本維新の会が自民党との合意を反故にされた経緯もあり、警戒感は強い。
自民党の森山裕幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日の会談で、政策協議を開始する方針で一致した。
公明党を加えた3党は今後、税制や補正予算を巡って合意を模索する。
国民民主党は、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
を撤廃するため、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計を最低103万円から178万円に引き上げることを最優先事項としている。
だが、実現機運に冷や水を浴びせるように、
「税収が計約7兆6000億円減る」
「高所得者ほど恩恵が大きい」
などネガティブな論調が広がった。
玉木代表
「『103万円』引き上げなければ予算、法案に協力できない」
玉木雄一郎代表は2024年10月31日、X(旧ツイッター)で
«財務省がマスコミを含めて
「ご説明」
に回っている効果はさすがです»
と皮肉った。
«引き上げができなければ、我が党は予算にも法案にも協力できない»
と強調する。
与野党の合意が実現しなかった前例もある。
日本維新の会は岸田文雄政権当時の今年2024年5月、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しについて自民と合意文書を交わしたが、反故にされた。
馬場伸幸代表は2024年10月31日放送のMBSの番組で
「自民党さんは狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではない」
「聞いてる振りはするが」
と話した。
国民民主党も、ガソリン税を軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除について岸田政権下で3党協議し、予算案にも賛成したが、議論は頓挫した。
石破政権は国民民主党の案を丸吞みもしたくないが、議論を決裂させて、立憲民主党などが今後、不信任決議案を提出した場合、賛成に回られることも避けたい。
「部分連合」
という名の微妙な関係が続きそうだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/323.html#c19

[政治・選挙・NHK296] 「103万円の壁」引き上げ交渉決裂の案の定…自民は「公党間の約束でも平気で反故にする」嘘つき集団(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
38. 秘密のアッコちゃん[1182] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月18日 16:54:47 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[620]
<■207行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>新たなエネ計画 原発積極活用を歓迎する
社説
2024/12/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20241218-XRQBOH2FXFNQNFQYB4SGX4SWHU/
経済産業省は、国の中長期的なエネルギー政策の指針となる新たな
「エネルギー基本計画」(エネ基)
の原案を有識者会議に示し、原発を最大限活用すると明記した。
エネ基は概ね3年ごとに改定される。原発については東京電力福島第1原発事故後の平成26年に策定した計画で
「依存度を可能な限り低減する」
とし、その後も維持されてきた。原発活用にとって前進となる。
電力は日々の暮らしや産業活動に欠かせないエネルギーだ。
脱炭素と共に、低廉で安定した電力供給を両立できなければ国力にも影響する。
ロシアによるウクライナ侵略でエネルギー情勢は一変し、エネルギー安全保障の重要性は一段と高まっている。
生成AI(人工知能)の普及などによって、電力需要は今後増大することも見込まれている。
大量の電力を二酸化炭素を排出することなく、安定的に供給できる原発の活用方針を明確に示したことを歓迎したい。
新計画では、令和22年度の発電量全体に占める原発の割合を2割程度とし、令和12年度に20〜22%とした現行計画の水準を維持した。
原発のリプレース(建て替え)の要件も緩和する。
廃炉後の建て替え場所について、同じ電力会社が保有する別の原発の敷地でも認めるという。
日本では福島第1原発事故後に原発の新増設やリプレースの動きが止まり、関連企業の間で事業からの撤退や廃業の動きが顕在化していた。
原発の活用方針が新計画に盛り込まれることで、原発技術の維持につながる効果も期待されよう。
一方、令和22年度の再生可能エネルギーの割合は4〜5割程度と初めて最大電源に位置づけ、令和5年度実績の22・9%から約2倍に増やす。
令和5年度に68・6%だった火力発電は3〜4割程度とする。
脱炭素が求められる中で、妥当な水準と考える。
問題はこうした電源構成をどうやって実現するかだ。
原発は使用済み燃料の最終処分場整備の問題を抱え、天候に左右される再エネを増やせば、電力供給の不安定化は避けられない。
火力では脱炭素化も急務だ。
日本のエネルギー供給体制を強固にするには、課題解決の手段も並行して実行する必要がある。
新計画を単なる数字合わせに終わらせてはならない。

原発「最大限活用」、既存原発大半再稼働へ 2040年度電源構成「2割」維持
2024/12/17 13:18
https://www.sankei.com/article/20241217-73IPZN7V2ROCVMBKR3H5HUFXHY/
経済産業省は2024年12月17日、中長期的なエネルギー政策の指針を示すエネルギー基本計画(エネ基)の原案を有識者会議に示した。
原発について2040年度の電源構成見通しを
「2割程度」
と従来計画と同水準とし、再生可能エネルギーと共に
「最大限活用する」と
明記した。
既存原発の大半に当たる30基程度を再稼働させる想定とした。
再生可能エネルギーは
「4〜5割程度」
と最大の電源構成に引き上げ、火力発電は
「3〜4割程度」
とした。
2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロに減らす目標達成に向け、2040年度に電源の6〜7割を脱炭素電源で賄う計画になった。
武藤容治経産相は2024年12月17日の閣議後会見で
「脱炭素電源を安定的に確保できるかが国力を大きく左右する」
と述べた。
原案では
「特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指す」
として、2011年の東京電力福島第1原発事故以降に記してきた
「可能な限り原発依存度を低減する」
や従来計画にある
「再エネに最優先で取り組む」
との文言を見直した。
原発の建て替えの要件緩和も盛り込んだ。
2023年2月に閣議決定した
「グリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた基本方針」
では、廃炉を決めた原発の敷地内に限って建て替えを認めていたが、同じ電力会社であれば、他の原発の敷地でも廃炉した分だけ原発を建て替えることを新たに認めた。
再エネの電源構成を巡っては、2040年度の内訳として太陽光22〜29%、風力4〜8%、水力8〜10%、地熱1〜2%、バイオマス5〜6%と示した。
一方、火力は従来計画で比率を示していた石炭火力や液化天然ガス(LNG)などの個別の比率を示さなかった。
原案は2024年12月17日の議論を踏まえ、来週の有識者会議に諮り、意見公募を経て2025年2月頃閣議決定を目指す。
2021年に閣議決定した計画では、2030年度の電源構成について、原発を20〜22%、再エネを36〜38%、火力を41%とする見通しだった。

原子力の発電コスト、LNG火力を下回る 2040年度時点 前回から逆転、政府試算
2024/12/16 19:20
https://www.sankei.com/article/20241216-KTKG3NA2F5IQTG3PRUR7AKX3LI/
経済産業省は2024年12月16日、2040年度時点の発電コストの試算結果を有識者会議で示した。
この中で、原子力のコストが、現在主力の液化天然ガス(LNG)火力のコストを下回るとした。
2021年の前回試算では、2030年度の時点でLNG火力が原発よりも安い電源としていたが、LNGの価格高騰などを受けコストが上昇した。
同省は2024年12月17日にエネルギー基本計画の改定案を公表し、2040年度の電源構成を示す。
2040年度時点の1キロワット時当たりの発電コストについて、原発が16・4〜18・9円(2030年度は11・7円以上)、LNGは20・2〜22・2円(同10・7〜14・3円)、太陽光(事業用)が15・3〜36・9円(同8・2〜11・8円)と試算した。
太陽光や風力など天候などによって発電量が変わる再生エネの導入が進むと、火力発電の出力を抑制したり揚水発電を利用したりするコストが発生する。
試算は再生エネが発電設備に占める割合を4、5、6割の3ケースで実施。
導入量が増えるとコストも上昇するため、6割のケースが最も高くなる。

政府、原発活用の姿勢鮮明に 次期エネルギー基本計画で「依存度低減」の表現見直しへ
2024/12/12 16:55
https://www.sankei.com/article/20241212-COBON2OMWNKFRJLAU3GIZQQHAQ/
政府が2024年年度内に見直す中長期のエネルギー政策の指針
「エネルギー基本計画」
で、東日本大震災後から明記してきた
「可能な限り原発依存度を低減する」
との表記を見直すことが2024年12月12日、分かった。
電力の安定供給と脱炭素の両立へ原発を活用する姿勢を鮮明にする。
当初は原発に依存しない社会の実現を
「党是」
とする公明党が表記維持を求めたが、原発活用を進めたい国民民主党や経済界の訴えもあり見直しに踏み切った。
政府は来週にも開く有識者会議で次期計画の素案を示す。
原発と再生可能エネルギーを
「最大限活用する」
と明記。
「原発依存度を低減する」
という表記は削除し、
「特定の電源や燃料源に過度に依存しない」
といった表現を盛り込む。
政府は2011年の福島第1原発事故後に依存度の低減を掲げる一方で、岸田文雄政権下の2022年に決定した
「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」
では最大限活用する方針を明示していた。
2つの表現は矛盾するとの指摘が上がり、次期計画では依存度低減の表記の扱いが焦点となった。
次期計画の議論では当初、表記を残す案が浮上。
公明が表記見直しに対して強硬に反対し、自民党にも
「無理に削る必要はない」(関係者)
との意見があったためだ。
だが先の衆院選で自公は少数与党となり、躍進した国民民主と政策協力を模索。
電力総連の支援を受ける国民民主の玉木雄一郎代表(現在は役職停止中)は石破茂首相に原発推進を直談判し、政府内で表記削除の方針が強まった。
大量の電力を消費する人工知能(AI)時代には、二酸化炭素(CO2)を排出せず出力が安定した原発が不可欠だとして自民の推進派や経済界も表記削除を求め、公明は現実路線を受け入れざるを得なかった。
公明幹部は
「党の依存度低減の方針は変わらない」
「遠い将来には核融合などの新技術も期待できる」
と話した。
また、次期計画では原発の建て替えに関し、同じ電力会社なら廃炉が決まった原発の敷地外でも建設できるようにする。
GX基本方針では敷地内に限定し、公明は制限緩和に慎重だったが、
「原発の総数が変わらなければ党の考えと齟齬はない」
として受け入れたようだ。

原発含む複数の電源をうまく使うことが重要 東京科学大の奈良林直特任教授
2024/12/7 19:33
https://www.sankei.com/article/20241207-4RXYGX773NPC3MN6IOCDSCBYWA/
2024年12月7日に再稼働した中国電力島根原発2号機(松江市)。
意義や役割などについて東京科学大の奈良林直(ただし)特任教授(原子炉工学)に聞いた。
中国地方初の再稼働で、地元経済の活性化に繋がるのではないか。
再生可能エネルギーでは安定電源として不安があり、原発が稼働する意義は大きい。
安全対策も最新鋭の原発と比較して遜色のないものになっている。
中でもフィルター付きベント設備は重要だ。
万一、事故が起きて原子炉格納容器の圧力を下げるために排気を行っても、放射性物質の周辺への拡散を最小限にとどめられる。
福島第1原発事故は、地震や津波がいずれ起きることが分かっていながら十分な対策が取られていなかった。
一方で、電力需給が逼迫し停電が起きてしまうことでも人命が失われてしまうリスクがある。
再エネは気象状況などによって発電量が安定しない。
需給の調整役として蓄電所を設置する動きもあるが、バッテリーのコストが高く、火力発電の代わりとするのは現実的ではない。
安定電源としての原発を含め、複数の電源をうまく使っていくことが重要だ。

原発再稼働は電気料金にも影響 東西格差広がる懸念
2024/12/7 19:30
https://www.sankei.com/article/20241207-CAB5NVD74FPJ3HKVDSQ5EMROQI/
原発の稼働は安定電源の確保だけでなく、電気料金という形でも市民生活に影響を与える。
東京電力福島第1原発事故以降、全国で原発が停止し、火力発電に依存している地域では電気料金が高くなる傾向がある。
各電力会社の2024年12月の標準的な家庭の電気料金モデルを見ると、原発を稼働していない東電は8868円なのに対し、7基稼働している関西電力は7664円と千円以上安い。
関電は平成29年8月、高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働を受けて大手電力では福島原発事故以来初めて電気料金を値下げしている。
島根原発の再稼働については、すぐさま電気料金値下げに繋がるわけではない。
中国電力は令和5年6月に、主に一般家庭向けとなる
「低圧」
の電気料金について再稼働を織り込んで既に値下げしているからだ。
ただ、発電量全体に占める火力発電の割合が下がり、燃料費が下がることで通年で稼働した場合400億円の増益効果がある。
このため、今後料金が下がる要因になる可能性はあり、中国電から電力融通を受けられる関電の料金にもプラスの影響が期待される。
一方、東電は柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を目指しているものの、地元同意が得られず見通しは立っていない。
東西の電気料金格差の解消にはまだ少し時間がかかるとみられる。

「敬遠された原子力」は今や「希望の星」 NYタイムズの原発「再評価」報道に注目を
新聞に喝! 経済ジャーナリスト・石井孝明
2024/11/24 10:00
https://www.sankei.com/article/20241124-JECZQ6WAFRKEXJ7SXI2LZH2NKA/
「かつて敬遠された原子力は今や気候変動の新たな星」。
米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は2024年11月15日、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)を取材した記者の記事を伝えた。
気候変動交渉での原子力への期待が以前より強まっているという。
同紙は米国で影響力がありリベラル色が強い。
再エネ推しだが、この1年は論調が変化している。
これは世界各国で原子力への評価がこの数年高まっていることを反映したものだろう。
ウクライナ戦争以降、国際エネルギー情勢の不透明感が続く。
人工知能(AI)の利用拡大、情報通信技術(ICT)の深まりで、全世界で電力需要の拡大が見込まれる。
新興国は経済成長のために電力を欲しがる。
一方で気候変動も深刻だ。
脱炭素の電源であり、巨大な量の電力を生む手段として、原子力発電が期待されている。
産経新聞は2024年10月20日に
「衆院選とエネ政策 原発で日本回復を目指せ 国民生活とAI立国のために」
と、世界の流れに沿った社説を出した。
ところが、
「原発は悪」
という一種の思想に捉われ続ける新聞・メディアもある。
COP29を伝えた朝日新聞の社説
「気候変動会議 世界の結束に力尽くせ」(2024年11月13日)
では、NYタイムズと同じ会議を論評したのに、原子力は他電源と並べ
「議論も注視する必要」
との言及のみだ。
「再エネへの期待が大き過ぎる」(電力会社幹部)
と批判される日本経済新聞も
「再エネ投資で地方活性化 石破政権初のGX会議」(2024年11月1日)
という記事で、岸田政権のグリーントランスフォーメーション(GX)政策が継承されることを歓迎した。
それどころか原子力への敵意を示す記事は消えない。
原子力規制委員会は、日本原子力発電の敦賀原発2号機の下に活断層がある可能性があるとして、2024年11月13日に新規制基準に基づき不合格とした。
同日の東京新聞は
「敦賀原発2号機『不適合』が覆る可能性は? 日本原電に『反省』求めた山中伸介・原子力規制委員長」
と、その判断に批判的な見方もある規制委の言い分をそのまま掲載した。
東京電力福島第1原発事故の後で、日本の新聞は反原発を主張し過ぎた。
そのために原子力を巡る世界の変化を知っても、論調を変えられないのかもしれない。
原子力問題に
「思想」
を持ち込まず、公平な視点で見てほしい。
このままでは、日本の経済記事も、それに影響を受けるエネルギー政策、供給体制作りも、世界の流れから益々ずれてしまう。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/324.html#c38

[政治・選挙・NHK296] トランプ次期大統領が急転直下、石破首相との早期会談に意欲…狙いと昭恵氏「懇談」を巡るナゾ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
22. 秘密のアッコちゃん[1183] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月19日 12:06:40 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[621]
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石破首相は安倍昭恵さんがトランプ氏につないでくれた縁に感謝を
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/19 1:00
https://www.sankei.com/article/20241219-NRYFYQNQ7JOE3PZL2KXQY7UN5U/
安倍晋三元首相の妻、昭恵さんが2024年12月15日(日本時間16日)、米国のトランプ次期大統領と会い、夕食をともにしたことで、日米関係の懸案が1つ解消された。
それまで石破茂首相の会談要請について理由を付けて断っていたトランプ氏が、首相との来年2025年1月20日の就任前の会談に関し、
「彼らが望めばあり得る」
と態度を軟化させたのである。
昭恵さんとトランプ氏との面会については批判する向きもあったが、昭恵さんが日米首脳を何らかの形で取り持ったのは確かだろう。
首相は長年、安倍氏の政敵とも言える立ち位置にいたが、昭恵さんは2024年11月20日に配信されたネット番組でも
「日本のために頑張って頂きたい」
「皆で選んだ首相なので、決まったからには、皆で応援していかないといけないんだろうと思う」
とエールを送っている。
元々昭恵さんは物おじしない天真爛漫で人好きのする性格で、計約8年9カ月に渡って日本のファーストレディーとして積み重ねた経験もある。
安倍氏から聞いた話によると、第1次安倍政権の2007年4月の訪米時には、夕食会で当時のブッシュ大統領を涙させたこともある。
こんな会話の中でのことだった。
昭恵さん「大統領になられて、一番おつらかったときはいつですか」
ブッシュ氏「(イラクなどで)亡くなった兵士の家族と会うときは本当に辛い。だけど、出来るだけ多くの兵士の家族に会いたいと思っている。指導者は時に辛い決断をしなければならない」
ブッシュ氏の言葉に昭恵さんが涙ぐむと、それを見たブッシュ氏も目に涙を浮かべて昭恵さんの手を握り、
「あなたは心の優しい人だ」
と話したという。
この後の日米共同記者会見では、ブッシュ氏は
「昭恵さんの思いやり、知性に深い印象を受けた」
とわざわざ言及した。
安倍氏と同様、昭恵さんも他者の懐に飛び込むのにたけている。
今回のトランプ氏との夕食会に同席した夫人のメラニアさんも、以前から昭恵さんと親しい関係にある。
トランプ氏が退任した後も度々昭恵さんはメラニアさんに電話をかけており、今年2024年7月にトランプ氏が銃撃された際も
「助かって良かったですね」
と電話したと聞く。
安倍氏が昭恵さんと共に2018年4月、米フロリダ州のトランプ氏の私邸「マールアラーゴ」を訪ねた時には、当時、森友学園問題で苦しんでいた昭恵さんをメラニアさんがこう励ます場面もあった。
「色んな困難があっても、たじろがずに乗り越えて」
「あなたなら必ずできるわよ」
「私も随分と色んなことで批判されてきたけれど」
安倍氏によると、スロベニア出身の元モデルで、年の離れたトランプ氏との結婚はカネ目当てだなどと批判されてきた自身と重ねたメラニアさんの言葉に、
「昭恵は元気づけられていた」
という。
首相はかつてトランプ氏と頻繁にゴルフをする安倍氏に対して
「友情は大切です」
「しかしそれと外交は別だ」
と批判していたが、友情と外交は簡単に
「別だ」
と切り離せるものではないだろう。
首脳同士の敬意や信頼が両国関係の土台、基礎となることだってある。
首相は今回、せっかく昭恵さんが繋げてくれたトランプ氏との縁と、安倍夫妻とトランプ夫妻の友情に感謝し、それをうまく活用していくべきだろう。
(論説委員兼政治部編集委員)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/328.html#c22
[政治・選挙・NHK296] 「103万円の壁」引き上げ交渉決裂の案の定…自民は「公党間の約束でも平気で反故にする」嘘つき集団(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
44. 秘密のアッコちゃん[1184] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月19日 12:22:12 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[622]
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自公は国民の敵=H 「年収の壁」減税効果ほぼゼロ、たった123万円で税制大綱に明記か 立ちはだかるラスボス°{沢氏
2024.12/19 11:43
https://www.zakzak.co.jp/article/20241219-RJ5377DO7NKWZJZJ362KXQ5BL4/
所得税が生じる
「年収103万円の壁」
を巡り、自民、公明与党の抵抗が激化している。
近く決定する来年度の与党税制改正大綱で、非課税枠を
「123万円への引き上げ」
にとどめる方向で最終調整に入った。
国民民主党も含めた3党幹事長は
「178万円を目指す」
と合意したが大きく乖離した。
国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止)は
「減税効果が極めて乏しい」
と猛反発している。
石破茂政権は、国民の
「減税」
への願いを軽視するのか。
「壁の引き上げ」
では、自公与党と国民民主党が激しい駆け引きを繰り広げてきた。
石破首相率いる自民党と公明党は、衆院選で惨敗して少数与党に転落してから野党に秋波≠送った。
国民民主党には
「壁の引き上げ」
を交換条件に、補正予算賛成を取り付けた。
自公国3党の幹事長は2024年11日、
「壁は178万円を目指し来年2025年から引き上げる」
と合意していた。
ところが、これに
「待った」
をかけたのが、大蔵官僚出身で
「緊縮財政派のラスボス」
と呼ばれる自民党の宮沢洋一税制調査会長だ。
3党税調会長協議で2024年12月13日、自公は引き上げ額を
「123万円」
にとどめ上積みの提示にも頑として応じなかった。
2024年12月17日の協議でも自公が123万円からの上積みを示さなかったため、国民民主党の古川元久税調会長は
「話にならない」
と10分ほどで席を立った。
国民民主党が激怒するのは当然だ。
衆院選で国民民主党が躍進した背景には、有権者の
「減税」
への期待があった。
自公案はそれを踏みにじるものだからだ。
玉木氏2024年12月18日のX(旧ツイッター)で、国民民主党の
「178万円への引き上げ」
と、宮沢案とされる
「123万円への引き上げ」
がもたらす減税効果を試算・比較した。
これによると、178万円に引き上げた場合、年収300万円で11万3000円、年収500万円で、13万2000円となる。
ところが、宮沢案の123万円の場合、年収300万でたった1万円(サラリーマン以外5000円)、年収500万で2万円(サラリーマン以外1万円)にしかならないという。
自民党議員は
「宮沢氏は元大蔵官僚の『税のスペシャリスト』で、自民党幹部による非公式会合の『インナー』の中枢にいる」
「財務省からの影響が極めて強く、減税・負担軽減路線からは遠い存在とされる」
「国民民主党の主張は相容れないのだろう」
と語る。
負担増に苦しむ庶民の声は聞こえない存在なのか。
玉木氏は2024年12月18日、都内での講演で、
「3党の幹事長間の合意が無視される形で大綱が決定されるのは残念というか驚きだ」
「(来年2025年度)予算の成立をどうするのか算段が見えない」
と語った上で、自民党と日本維新の会の接近≠ノも警戒感を示し、
「ある程度、維新とも組める算段がついたということかもしれない」
と指摘した。
自公の対応をどう見るか。
政治評論家の有馬晴海氏は
「石破政権は『税収減の恐怖』に心を奪われる財務省に影響を受け過ぎだ」
「世論は推移を厳しく見守っており、対応次第では来夏2025年夏の参院選の大敗北にも繋がる」
「自公が、国民感情を無視して政局に走れば取り返しのつかない事態を招くだろう」
と語った。

「103万円の壁」で袋小路 手の内見せぬ国民民主、自民ゴルフに例え「グリーンどこ?」
2024/12/17 21:24
https://www.sankei.com/article/20241217-YPCWLIWYORPZ5LSCXFNNOKIPRY/
国民民主党の古川元久税調会長は2024年12月17日の自民、公明両党との
「年収103万円の壁」
を巡る交渉で、自公側が国民民主の求める178万円まで引き上げるための具体案を示さなかったとして協議を打ち切った。
自公側は継続意思を示すが、国民民主側は直近の支持率上昇を受けて
「妥協はしない」(幹部)
と強気を崩していない。
3党協議は再び袋小路に陥った。
■協議は10分で打ち切り
「話にならない。協議は打ち切りだ」
2024年12月17日午前11時半に国会内の会議室で始まった自公国の協議。
古川氏は開始から僅か10分程度で部屋を出ると、周囲にこう漏らしながら憤懣やるかたない表情を浮かべた。
国民民主が強硬姿勢に出たのは、3党の幹事長が2024年12月11日に
「103万円の壁」

「178万円を目指して来年2025年から引き上げる」
と合意したにもかかわらず、2024年12月13日に自公側が引き上げ額として123万円を提示したためだ。
この数字は国民民主の要求とは程遠く、古川氏や玉木雄一郎代表(役職停止中)ら幹部は、自公側から新たな提案がなければ2024年12月17日の協議は打ち切る方針を予め決めていた。
結局、この日の協議では自民の宮沢洋一税調会長が国民民主側との落としどころをゴルフに例えながら、
「グリーンがどこにあるのか分からない」
「交渉できるようにグリーンを教えてほしい」
と探った。
だが、国民民主側は手の内を明かさず、古川氏は
「新たな提案がないのであれば協議はできない」
と席を立った。
■強気の背景に世論の支持
「178万円」
以外の数字を国民民主側から示せば、その金額が上限になるとの警戒感が強く、国民民主幹部は
「財務省のいつものやり方だ」
と怒る。
一方、自民税調幹部も
「178万円まで一気に引き上げれば税収は7兆〜8兆円減る」
「それは受け入れられない」
と不満を漏らす。
国民民主の強気の背景には世論の強い支持がある。
報道各社の世論調査では国民民主の支持率が軒並み急騰している。
「103万円の壁」
を巡る与党との攻防や国会論戦が好感されたと見られており、榛葉賀津也幹事長は2024年12月17日、国会内で記者団に
「国民が一番怒っている」
と威嚇した。
更に、国民民主側には看板政策での実績を引っ提げて2025年来夏の参院選に臨みたいとの思惑があり、簡単に妥協できない事情もある。
別の国民民主幹部は
「来年2025年の参院選で有権者に問えばいい」
「『ここまでやったが、少数政党では限界があった。力を与えてほしい』と訴えるだけだ」
と突き放した。
こうした袋小路の3党協議を踏まえ、石破茂首相は2024年12月17日、首相官邸で記者団に国民民主との交渉決裂の可能性を問われ、
「それは分からない」
「引き続き協議をお願いしたい」
「対応には誠意を持って臨みたい」
と述べるにとどめた。

「103万円の壁」3党幹事長合意の裏事情 少数与党に転落、自民党税調会長の意向無視 焦った財務省が画策「123万円提示」
2024.12/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241217-IJTR2E32CBIGDLLCXWNJ5IQNXM/
「いわゆる『年収103万円の壁』の問題を巡る3党協議で、完全に蚊帳の外に置かれた格好となった宮沢洋一自民党税制調査会会長が、たいそうご立腹だと聞くが、はっきり言ってこれも時代の流れだ」
「先の衆院選で、自公が少数与党に転落した結果、自民党税調会長の思惑だけで税制が決められた時代は完全に終わりとなった」
「宮沢会長はまずそのことを理解しなくてはダメだ」
大臣経験のある自民党有力議員がこう言う。
「私自身はこれで良かったと思う」
「国民生活に直結する税制が、自民党税調という密室で極僅かの幹部だけで決められているというのは、どう考えてもおかしい」
「やはりこれは、オープンな場で議論すべきことだ」
(前述同)
先週2024年12月11日、自民・公明の与党と国民民主党の幹事長が2回に渡って会談を開き、国民民主党が求めてきた
「103万円の壁」
の見直しについて、来年2025年から実施することで合意した。
この
「合意」
によって、国民民主党は衆院で2024年今年度補正予算案に賛成した。
ただしその引き上げ幅については、今後の協議に委ねられることとなったのである。
「結局のところ、この問題は政治決着が図られることとなったのです」
「それというのも補正予算案の審議日程が極めてタイトになっていたからです」
「財務省がバックに控える自民党税調としては、何とかこの問題を先送りさせたかった」
「具体的には実施時期については、2026年まで先送りさせたかったのです」
「もっと言えば、それが財務省の意向だったのです」
(別の自民党有力議員)
しかしそれでは、補正予算案成立のメドが立たなかった。
なぜなら国民民主党が、絶対に首を縦に振らなかったからだ。
「このまま3党税調による協議に委ねていたならば、補正予算は絶対に成立しなかっただろう」
「そこで自民党の森山裕幹事長がギリギリのタイミングで動いたのです」
「森山幹事長だって、自民党税調の『コアインナー』に名前を連ねる税調中枢幹部」
「それだけに森山幹事長は、税調の考えは手に取るように分かる」
「宮沢会長に任せていたのでは、国民民主党は絶対に納得しない、と」
「だから宮沢会長の意向を無視したのです」
(前述同)
いずれにしても、今回の3党合意に一番焦ったのは、他ならぬ財務省だろう。
「財務省は宮沢会長を使って、引き上げ幅をなるべく小さくしようと画策してくるでしょう」
「国民民主党の要求である178万円に対して123万円を提示したのは、間違いなく財務省の意向です」
(自民党税調メンバー)
与党が過半数割れして少数与党に転落してしまったことで、そうした裏の動き全て可視化されてしまった。
「123万円では到底国民民主党は納得しないでしょう」
「最終的には、これも政治決着が図られるのではないか」
(前述同)
 (ジャーナリスト・須田慎一郎)

7年度予算への賛成「とても無理」 国民民主・榛葉幹事長、103万協議打ち切り巡り
2024/12/17 18:39
https://www.sankei.com/article/20241217-XZAONAD53JM6JKDHMMCTL7VN5Q/
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年12月17日、所得税が生じる
「年収103万円の壁」
の引き上げを巡る自民、公明両党との協議打ち切りを巡り、年明けの通常国会で審議する令和7年度予算への賛成は
「とても無理だ」
と述べた。
国会内で記者団の取材に答えた。
協議は、担当者の古川元久税調会長が自民の宮沢洋一税調会長から引き上げに向けた具体的な提案がなかったとして打ち切った。
榛葉氏は宮沢氏について
「あれだけ温厚な古川さんが怒るというのは(宮沢氏は)火に油を注ぐ天才だ」
と評した上で
「国民が一番怒っている」
と牽制した。

国民民主・玉木氏「123万円では話にならない」 自公国の「103万円」協議打ち切り
2024/12/17 14:02
https://www.sankei.com/article/20241217-NV7NUDI56ZPMNJVJMO7EDRDFBQ/
国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止)は2024年12月17日、所得税が生じる
「年収103万円の壁」
の引き上げを巡る同日の自民、公明両党との協議を国民民主側が打ち切ったことについて、
「3党の幹事長間で『178万円を目指す』と合意したのに、(自民側が提示した)123万円では話になりません」
とX(旧ツイッター)に投稿した。
自民の宮沢洋一税調会長から
「(ゴルフに例えると)グリーンはどこですか」
と古川元久税調会長に質問があったことも明かし、
「178万円に決まっています」
と強調した。

「これ以上協議できない」自公国税調、国民民主が10分で退出 自公側は協議継続姿勢
2024/12/17 13:20
https://www.sankei.com/article/20241217-ZJK5Q2UDABLVFDVLGQOGW3PI3Y/
自民・公明・国民民主の3党は2024年12月17日午前、税制調査会長らによる協議を行った。
年収103万円を超えると所得税が課される
「103万円の壁」
の引き上げについて話し合われる予定だったが、自公側から国民民主の求める178万円まで引き上げるための具体策が示されなかったことから、国民民主の古川元久税調会長は10分程度で退出した。
自公側は引き続き協議を続ける姿勢を示したが、税制改正大綱や予算案編成の2024年年内の終了に黄信号がともった。
3党の税調による協議はこの日が6回目。
2024年12月13日に行われた前回の協議では、自公側が所得税の基礎控除と給与所得控除の最低保証額を10万円ずつ引き上げ、令和7年分から非課税枠を123万円にするという案を提案したが、国民民主は応じなかった。
終了後、記者団の取材に応じた自民税調の宮沢洋一会長によると、この日の協議では冒頭、自公側が古川氏に
「交渉余地のある領域がどの辺にあるのか」
と尋ねた。
これに対し古川氏は
「新たな提案がないのであれば、これ以上協議はできない」
と応じ、そのまま退出したという。
宮沢氏は
「何とか協議を続けたい」
と話し、今後国民民主に呼び掛けるとした。
令和7年度税制改正大綱の最終決定を今週中に行う方針も示したが、国民民主が再び協議に応じるかは不透明だ。

自公国協議、合意できず「打ち切りだ。話にならない」 103万円の壁引き上げ
2024/12/17 12:44
https://www.sankei.com/article/20241217-X247PHJBHNOJ3MJE2T4SVPCQKY/
自民、公明、国民民主3党の税制調査会幹部は2024年12月17日、所得税が生じる
「年収103万円の壁」
の引き上げ幅を巡り、国会内で協議した。
自民の宮沢洋一税調会長は終了後、記者団に対し、国民民主と合意できなかったことを明らかにした。
宮沢氏が
「何とか協議を続けたい」
と引き続き一致点を模索するよう努める意向を示したのに対し、国民民主の税調幹部は
「協議は打ち切りだ。話にならない」
と強調した。
与党は2024年12月13日の前回協議で20万円引き上げて123万円とし、2025年分所得から適用する案を提示した。
178万円を求める国民民主側は上積みが必要だとしていた。
関係者によると、2024年12月17日の協議で自公側から国民民主に新たな提案はなかったという。
2024年12月13日の3党協議で与党が示した案は、103万円の非課税枠のうち基礎控除48万円を58万円に、給与所得控除55万円を65万円に、それぞれ引き上げる内容。
食料品や光熱費といった生活に欠かせない品目の1995年以降の物価動向などを踏まえた。
国民民主は引き上げ幅が不十分だとして再考を求めていた。
3党幹事長は11日、103万円の壁に関し
「178万円を目指して、来年2025年から引き上げる」
ことで合意している。

高橋洋一「日本の解き方」
「年収の壁」撤廃に地方の不満 減収穴埋め≠燻長が嫌がる「気持ちの悪い債務」 減税による増収効果を無視した議論
2024.11/30 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241130-HD6QXGU4CZNIZDT7R7ER3KSXII/
「年収103万円の壁」
について、国民民主党の主張通りに
「178万円」
に引き上げた場合、住民税が約4兆円の減少になるとの試算もある。
地方自治体の首長らからは
「住民サービスが低下する」
などとして恒久的な財源の穴埋めを求める声も出ている。
「住民税が減収になる」
との地方からの意見に対し、国民民主党の玉木雄一郎代表は
「減収分は地方交付税で補塡される」
と反論している。
これらのやり取りに対し、財政学者、総務省、財務省からは
「各都道府県・市町村の収支が合うよう減収分が補填される仕組みがあるのはその通りであるが、減収分がそのまま地方交付税で補填されるという形にはならず、地方の首長の懸念はもっともである」
という見解が出ている。
その前提として、所得税と住民税の基礎控除が国民民主党の言うように引き上げられると、大雑把に言えば所得税と住民税が共に4兆円ずつ減収になるとしている。
地方交付税で補填されるのであれば心配はないはずだが、所得税の3分の1は地方交付税の原資になっているものの、その所得税も減少するので、地方の一般財源(地方税、地方交付税など)を実質的に確保するのが大変だというのだ。
所得税、法人税の3分の1、消費税の2割などが地方交付税の原資であるが、それらが減収になるので、補填すべき地方交付税が足りなくなるというわけだ。
これまで地方の収支が足りない分は、国と地方が
「折半」
で埋めてきた。
国は地方交付税を加算し、地方は臨時財政対策債を発行して、穴埋めを行うという流れだ。
臨時財政対策債は形式的には地方の債務であるが、その元利償還に要する費用は全額が後年度の地方交付税によって措置されることとなっている。
もっとも、具体的にいつ地方交付税で手当てされるかは分からないので、地方の首長にとっては
「気持ちの悪い債務」
である。
地方の首長としては、玉木氏の言うように、自動的に地方交付税で補填されるものではないことから、住民税の減収も痛いが、臨時財政対策債もイヤなのだ。
また、地方の首長のバックにいる総務省は、これまで
「折半」
でやってきた不足分について、改めて財務省と交渉しなければならなくなる。
こうして見ても、地方の首長、総務省、財務省はいずれも減税による形式的な減収のみを前提として議論している。
減税するのだから景気は良くなるだろうし、それによる増収もあるはずだが、あくまで予算の中でこうした増収は考慮されない。
今の段階で減税を行えば7兆円程度の増収が見込まれるが、これを無視しているので、議論が嚙み合わない。
玉木氏も増収分をある程度考慮しているので、地方交付税での補填は難しくないと言っているのだろう。
実際に増収までに時間がかかるのであれば、先日の本コラムで指摘したような外国為替資金特別会計や国債費などの財源もある。
税制改正の中で議論すべきだ。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

高橋洋一「日本の解き方」
「年収103万円の壁」撤廃、7〜8兆円減収の試算も財源はある=@自然増収、外為特会や国債費も使えるが補正予算に盛り込まれず
2024.11/28 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241128-PRZAKWZXTJKIXHSBHFJ2JI7JZE/
「年収103万円の壁」
の撤廃を巡っては、
「178万円」
まで引き上げた場合、7兆〜8兆円の減収になるとの試算もあり、地方自治体からも不満の声が相次いでいる。
財源問題について、本コラムでは
「名目成長4〜5%が達成できれば自然増収で賄える」
「それまで増収がなくても外国為替資金特別会計(外為特会)や国債費などでも捻出できるので、財源問題はない」
としているが、より詳しく解説しよう。
まず自然増収の部分であるが、今の経済状況を考えると、かなり期待できる。
政府の公表するGDPギャップ(潜在的な供給力と実際の需要の差)は、今年2024年4〜6月期でマイナス0.6%である。
これは、供給の天井を低く見積もっているためで、筆者の試算では1.7%程度、10兆円程度ある。
ここで7兆〜8兆円程度の減税策を行えば、ほぼGDPギャップはゼロになるので、インフレ率は2〜3%程度、名目経済成長は5%程度が安定的に見込まれる。
これは理想的な経済状況だ。
名目国内総生産(GDP)が1%変化した時に税収が何%変化するかを示す
「税収弾性値」

「2」
程度としても、税収増は7兆円程度になり、ほぼ減収額に見合う。
政府の試算では、経済状況の好転による税収増を見込んでいない。
その理由は
「不確かであるため」
だという。
減税は、民間企業で言えば値下げに相当する。
値下げは減収効果があるのと同時に、需要増になれば増収効果もある。
上手いタイミングで行えば、増収が減収を上回ることも多いが、政府の試算では後者を無視する。
逆に、増税では単純に税収増になると計算するので、増税はしばしば行われるが減税は滅多に行われない。
減税による効果がすぐに出ない場合に備えて、筆者は外為特会や国債費での対応を挙げている。
外為特会は、元々は昨今の円安による含み益が数十兆円もあるのが基本事実だ。
中期債のドル債を資産としており、含み益は、ドル債の償還・ロールオーバー(乗り換え)などの際に出てくるので、含み益を無理に実現させなくても、毎年2兆円程度は絞り出せる。
国債費については、2024年度予算で国債費のうち債務償還費が16.9兆円あるが、これがなくても債務償還には困らない。
借換債の発行で凌げるからだ。
かつて債務償還費なしで予算を組んだことも数多くある。
また、国債費のうち利払費は9.6兆円あるが、国債費を計算する際に仮置きする
「予算積算金利」
を1%程度高めに見積もっており、1兆円程度は不要になる。
これも財源になる。
これらの財源は、補正予算を組めば、財源化できる。
今回、景気対策が行われ、その裏付けとなる補正予算案が2024年11月28日召集の臨時国会で出される。
国民に関心の高い基礎控除等を現行の103万円から178万円に引き上げる減税案は盛り込まれず、来年2025年度税制改正の中で協議されることとなった。
今回の景気対策に盛り込まれていれば、補正予算と税法改正が今度の臨時国会で手当てされていたはずだ。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

高橋洋一「日本の解き方」
財務省暴走&置の石破政権 安倍政権下で開店休業状態も…やりたい放題の政府や自民税調 国民負担率は「五公五民」と比較も
2024.11/27 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241127-K23RSCAO3NLH7NRDUDYWEBQ3QI/
衆院選で
「年収103万円の壁」
撤廃を掲げた国民民主党が躍進し、名古屋市長選では
「市民税減税」
を公約した日本保守党推薦の広沢一郎氏(60)が当選した。
国民所得に占める税金や社会保険料の割合を示す
「国民負担率」
は2022年度で48・1%に達し、江戸時代の年貢の割合
「五公五民」
と比較されるほど高く、有権者は投票という形で一揆≠起こしているとの見方もある。
だが、中長期的な税の方向性を提言する政府税制調査会や、毎年の税制改正を議論する自民党税制調査会は、減税に消極的な財務省の影響力が強い。
元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏は、安倍晋三政権で抑え込まれていた政府や党の税調が岸田文雄政権で息を吹き返し、石破茂政権では自由自在に振る舞っていると指摘する。

首相の諮問機関である政府税制調査会は、各省の審議会と同様に財務省の別働隊、隠れ蓑だと筆者は考える。
事務局を事実上、財務省が仕切り、委員の人選その他も財務省の意向通りで、報告書も実質的に財務省が書いているといっていい。
つまり、政府税調の答申に書かれる内容は、財務省がやりたいことだ。
国会に提出される毎年税法には自民党税制調査会での議論の内容が反映される。
役割分担は、政府税調は中長期、自民党税調は各年・短期だ。
もっとも、自民党税調も実質的には財務省が関与するので、両方とも財務省の手のひらの上≠ニ言えなくもないが、自民党税調の方が、経済団体らの陳情を受けることもあり、政府税調よりも民意にやや近い。
毎年の税制改正は自民党税調が仕切るので、この意味では、自民党税調の方が上だ。
第2次安倍晋三政権や菅義偉政権では、政府税調は開店休業状態だったが、岸田文雄政権で息を吹き返した。
今年2024年1月には、政府税調の会長に日本総合研究所理事長の翁百合氏を女性で初めて就任させた。
翁氏は、経歴を見れば明らかだが、
「財政の健全性」
を主張しており、財務省にとっては好都合な人物だ。
正直に言えば、翁氏を財務省にリクルートしたのは官僚当時の筆者だ。
日銀に入って間もなく、役職にも就いていなかった翁氏に接触し、軽めの勉強会の委員に就任するよう要請した。
その後、翁氏は日銀から日本総研に移り、順調に出世した。
財務省はこうした審議会委員の
「青田買い」
をよく行っていた。
その時の基準は、
「女性」
「自己主張しない」
だった。
その後の経歴を見ると、財務省が大事に育てたのが分かる。
岸田政権で復権した政府税調の答申が実際に税法に反映される確率は、安倍・菅政権に比べると格段に高くなっている。
自民党税調は宮沢洋一氏が会長で、森山裕幹事長、後藤茂之元経済再生相、石田真敏元総務相、福田達夫幹事長代行が幹部を務める。
一方、顧問だった甘利明元幹事長が2024年10月の衆院選で落選し、小委員長だった林芳正氏が官房長官に、小委員長代理だった加藤勝信氏が財務相に就任、塩谷立氏は引退したためそれぞれ幹部から外れた。
この4人に代わり小渕優子党組織運動本部長、斎藤健前経産相、上野賢一郎元財務副大臣、小林鷹之元経済安保相が幹部入りした。
自民党税調の幹部は
「インナー」
と呼ばれる上記9人だが、このうち、財務省の官僚出身が3人、総務省の官僚出身が1人、経産省の官僚出身が1人、その他4人という構成だ。
ここでも、財務省の影響力は否定できない。
財務省は増税を仕掛けてくるので、安倍政権ではその影響力を削ぐために、政府税調を開店休業状態とし、自民党税調に対しては衆院選を使って牽制していた。
岸田政権ではその縛りがなくなったので、石破茂政権でも財務省は自由自在だろう。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

「103万円の壁」動かす財源は存在する 過去最高の税収とムダな基金を還元せよ
2024/11/30 12:00
https://www.sankei.com/article/20241130-KBSNX5VYVFLP3FXYFE3GSCCZKI/
政府の経済対策に、国民民主党が衆院選で訴えていた
「年収103万円の壁」
の引き上げが盛り込まれた。
パート労働者の働き控えなどをなくし、消費や経済の活性化に繋げる狙いがある。
これに対して、
「税収が7兆円以上減る」
とする反発が政府内で根強い。
だが、国や地方の税収全体は増え続けている上、毎年度のように予算の使い残しがあり、基金のムダな運用も指摘される。
政府は労を惜しまずムダ遣いを炙り出し、壁の十分な引き上げの財源に回して国民へ還元すべきだ。
■所得税を払い始める分岐点
「ついに『壁』が動きました」
「皆さんの1票が30年動かなかった壁を動かしました」
「でもまだ数センチ」
「勝負はこれから」
国民民主の玉木雄一郎代表は2024年11月20日のX(旧ツイッター)にこう書き込んだ。
この日、自民党、公明党、国民民主の3党は壁の引き上げを経済対策に盛り込むことで合意。
2025年度税制改正で対応する。
引き上げの狙いは
「『減税』『社会保険料の軽減』『生活費の引き下げ』で、皆の手取りを増やす」(国民民主の衆院選公約)
ことだ。
同党は103万円から178万円への引き上げを求めているが、実際の額はこれから調整する。
年収103万円は、企業などで働く人が、所得税を払わなくていいか払わなければならないかの
「分岐点」
だ。
所得税には、収入や所得から一定の額を引いて税負担を軽くする
「控除」
の制度がある。
給料を貰っている人は
「給与所得控除」
を最低55万円から受けられる。
加えて、年間の所得が2400万円以下なら、原則全ての納税者が対象の
「基礎控除」
を一律48万円受けられる。
つまり、年収が
「55万円+48万円=103万円」
を超えると所得税を払わなければならなくなる。
103万円を超えて税負担が増え、手取り収入が減らないよう、年末に働くのをやめるパート主婦なども少なくない。
これが、いわゆる
「103万円の壁」
の問題だ。
企業からも
「人手不足の中、12月の一番忙しい時パートが来ないと厳しい」(和食チェーン経営者)
などとし、引き上げを期待する声が上がっている。
■法人税伸び、消費税も堅調
ただ、政府内では178万円への引き上げに反対が出ている。
試算では、引き上げによって国と地方の税収が合計7兆〜8兆円減るからだ。
自治体の反発も強く、全国知事会で地方税財政を担当する河野俊嗣宮崎県知事は2024年11月6日、自民党の森山裕幹事長へ税収減に対する懸念を伝え、記者団にも
「物価高や賃上げへの対応が必要な中で、大きな減収だ」
と訴えた。
ただ、
「この程度の税収減なら、賄えるだけの財政の体力は国にある」
との指摘は多い。
まず、近年、新型コロナウイルス禍などがあったにもかかわらず、国の税収全体が増え続けているからだ。
2023年度の国の一般会計の税収は72兆761億円と4年連続で過去最高に。
企業の業績が良く法人税収が伸びたことに加え、消費税収が堅調だったことも後押しした。
4年前の2019年度(約58兆4千億円)からは、13兆円以上も膨らんでいる。
経済ジャーナリストの荻原博子さんは
「景気に左右されない消費税の存在が大きい」
「今後、景気が悪くなることがあっても税収を支えるだろう」
と語る。
地方の税収も伸びており、2023年度の都道府県と市町村の税収は、国からの譲与分も含め合計45兆7千億円で、やはり過去最高を更新する見通しとなっている。
また、国は税収増と並行し、支出に当たる一般会計予算の規模を毎年度広げてきた。
しかし、使われなかった予算もあり、2023年度の場合、盛り込まれたが
「不用」
になった額は6兆8910億円に達した。
「税収はバブルのような状況」
「しかしそれを無駄な支出に回すのでなく、年収の壁の引き上げなどに使って私たち国民の暮らしへ回すべきだ」。
荻原さんはこう強調する。
一方、荻原さんが指摘するのは、政府が作り続けている基金の存在だ。
■「利権の温床」改革が必須
基金は、独立行政法人などが国からの補助金を原資として、特定の使い道のため、他の財産と区別して持っているお金。
「一旦作られると省庁や独立行政法人などの裁量で動かせ、ムダな運用がある」
「実態が不透明」
「族議員などの利権の温床になる」
と批判されてきた。
2019年度に2兆円台だった国の基金の残高は2022年度末に16兆6千億円まで膨張。
さすがに政府は改革に乗り出し、今年2024年4月、152基金の200事業を点検して、使う見込みがない5466億円を国庫に返納することを決めた。
原則、設置10年以内に基金を終了するとのルールも設けた。
しかし荻原さんは
「これからも無駄な基金がないかを検証して、あれば廃止すると同時に、必要でない基金を作ることをやめ、税金のムダ遣いを防ぐべきだ」
と語る。
浮いたお金は、年収の壁引き上げの財源に使うことができる。
ちなみに都道府県や市町村などの自治体もそれぞれ基金を持っており、2022年度末に合計27兆6千億円と年々増加している。
7兆円以上の税金がふところに入ってこなくなれば行政サービスの悪化に繋がる可能性もあるので、政府や自治体の反発も理解できなくはない。
しかし、政府の最大の使命は国民の暮らしを豊かにすることだ。
無駄に使っていたお金を、暮らしを豊かにする政策の財源に回すため、最大限に知恵を絞らなければならない。

<主張>103万円の壁 効果見極め制度の設計を
社説
2024/11/22 5:00
https://www.sankei.com/article/20241122-EHGADLG5HVKOTDLRJZI4T3YZUE/
自民、公明両党と国民民主党が、年収103万円を超えると所得税が課される
「103万円の壁」
の引き上げなどを経済対策に盛り込むことで合意した。
政府は2024年11月22日に経済対策を閣議決定する。
少数与党に転じた自公が、経済対策を裏付ける令和6年度補正予算案を成立させるため、手取り増を公約した国民民主の求めに応じた。
具体的な制度設計は2024年年末の税制改正に向け3党で協議する。
103万円の壁は約30年間据え置かれてきた。
物価や賃金の上昇を踏まえれば、これを引き上げること自体は理に適う。
人手不足が深刻化する中、壁を意識した働き控えをなくすためにも見直すことは妥当だろう。
ただ具体化する際には、巨額の減収を伴う措置でどれほどの政策効果が得られるのかなどを十分に吟味してもらいたい。
今後の焦点は壁の引き上げ幅だ。
国民民主は103万円を178万円まで引き上げるべきだと主張するが、その場合、国と地方の税収が7兆〜8兆円も減るという政府の試算がある。
このため全国知事会などは地方の財政運営への影響などを踏まえた議論を求めている。
国民民主が178万円に引き上げる根拠とするのは最低賃金の伸びだが、物価上昇率に基づけばそこまで引き上げる必要はないはずだ。
国民民主があくまでも178万円に拘るのなら、財源論を含む具体策を明確にする責務があろう。
手取り増による消費刺激効果も問われる。
103万円の壁が引き上げられれば、親の扶養の下で働く大学生らが恩恵を受けるが、アルバイト学生の手取り増による個人消費の伸びは103万円を178万円にした時で約3190億円になるという民間試算がある。
こうした数値を踏まえた上で制度の詳細を詰めなくてはならない。
「年収の壁」
問題には、税だけでなく、社会保険料負担が生じる
「106万円の壁」
などもある。
これらは働き方や扶養の在り方に関わる問題だ。
その根本から議論を深めてほしい。
自公と国民民主は、ガソリン減税を検討することでも合意した。
国民民主との協力が必要だとしても、国民民主が求める要望を3党の税調による協議のみに委ねる必要はない。
まずは石破茂首相が政策の方向性を明確に示すべきである。

「103万円の壁」
に対するネガティブキャンペーンとして
「高所得者に恩恵」
との批判があり、
「金額ベース」
では、年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。
加藤勝信財務相は
「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」
と述べた。
しかし、
「手取りの増加率」
で見ると年収210万円で4.3%、500万円で2.6%、2300万円で1.7%となっている。
上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は
「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率で見れば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」
「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」
「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので飲まざるを得ないだろう」
との見方を示す。

林官房長官、「103万円の壁」で減収を考慮 年内にも規正法改正に向け議論を推進へ
2024/11/17 14:47
https://www.sankei.com/article/20241117-HAHJAOIZW5IWLIEVDXFIDB77TI/
林芳正官房長官は2024年11月17日のNHK番組で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
見直しについて
「国と地方の減収が見込まれ、高所得者ほど減税の恩恵が大きい」
「この辺りを総合的に考慮して決めていく」
と述べた上で、与党と国民民主党の協議に協力するとした。
政治資金規正法は、2024年年内にも必要な法制上の措置が取れるように議論を推進する考えを示した。
少数与党となった国会運営に関し
「各党と着地点をしっかり探りたい」
「国民に分かりやすく説明することに意を用いる」
と強調。
各党から様々な主張が出て政策の決定過程が
「見える化されている」
とも指摘した。

減税ド正論「財源論の前に国民の生存権だ」村上総務相に榛葉節≒y裂 「103万円の壁」撤廃で税収減主張に「取り過ぎた税金を国民へ返す」
2024.11/16 15:01
https://www.zakzak.co.jp/article/20241116-ZUZS6G6XKNM3JBG52I5RDTCXXY/
国民負担の軽減策として浮上した
「年収103万円の壁」
の撤廃を巡り、地方自治体側が
「地方税が減収となる」
と訴えて相次いで反対を表明している。
これに対し国民民主党の榛葉(しんば)賀津也幹事長(57)は2024年11月15日の記者会見で、
「地方財政に悪影響を与えることは絶対させない」
「財源論の前に国民の生存権だ」
と強調した。
国民民主党は基礎控除などの非課税枠を178万円に引き上げることにより
「手取りを増やす」
と主張している。
だが、全国知事会の会長を務める宮城県の村井嘉浩知事は、住民税や地方交付税が減収になるとし
「大きく住民サービスが下がる」
と反対した。
石川県の馳浩知事も2024年11月15日、
「財源についてお示し頂くことが責任政党の姿ではないか」
と注文を付けた。
こうした批判に対して榛葉氏はこの日の会見で
「私も地方の議会出身」
「地方財政に悪影響を与えることは絶対させません」
「是非安心してほしい」
と呼び掛けた。
国民民主党はガソリン税を軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除も主張している。
榛葉氏は
「取り過ぎている税金を国民へ返す」
「地方はガソリンを入れないと生きていけない」
「これは憲法25条の生存権の問題」
だと述べ、地方にとってもメリットが大きいとした。
政府はガソリン代や電気料金について補助金の支給を行ってきたが、榛葉氏は
「補助金行政ではなく減税をすべきだ」
「後から補助金で返すなら最初から取らなければいい」
「何度も言いますけど財源論の前に国民の生存権です」
と熱弁を振るった。
知事らの反対論を巡っては、同党の玉木雄一郎代表(55)がテレビ番組の中で、総務省が地方自治体側に反対の表明を要請するなど
「工作を行っている」
と言及した。
村上誠一郎総務相が知事サイドに連絡し、撤廃の問題点を指摘する
「発言要領」
を作っているとも指摘した。
村上総務相は2024年11月15日の会見で、
「依頼を行った事実はない」
とし、村井知事も否定した。
榛葉氏は
「我々は今週の初めに、
『大臣から全国知事会に連絡を入れていた』
と複数の筋から確認をしている」
「私はあったんだろうと思う」
と再反論した。
2024年11月11日に玉木氏が不倫報道を巡って都内の街頭で行った謝罪について、台などに乗らず後方からは見えづらかったとして、記者から
「アリバイ作りみたいな謝罪」
と批判を受けたが、榛葉氏は
「隠れないために出てきて、皆さんと同じ地べたに足を付けて訴えた」
とフォローした。

<主張>年収の壁 首相は議論整理し説明を
社説
2024/11/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20241116-DOPGVECZCVKUHNAOUPQ3XWSA6I/
手取りを増やすのか増やさないのか。
議論を整理し、はっきりさせねばならない。
その上で石破茂首相が説明すべきだ。
「103万円の壁」

「106万円の壁」
などの見直しのことである。
自民、公明両党の与党と国民民主党が、年収103万円を超えると所得税が発生する103万円の壁の解消を巡り協議を始めた。
国民民主は非課税枠を178万円に引き上げることを要求している。
一方、厚生労働省は社会保険料の負担が生じる106万円の壁を撤廃する方向で調整している。
パートら短時間労働者が厚生年金に加入する要件のうち、106万円以上としている賃金要件を撤廃する内容だ。
いずれの壁も働く時間を抑制する要因とされる点では同じであり、人手不足解消や働き方改革を進める上で制度の見直しは必要だろう。
ただし103万円の壁見直しは手取り増のための減税だ。
逆に106万円の壁撤廃は老後の年金給付を手厚くするため、まず保険料を払ってもらう措置である。
長い目で見れば給付増となる。
だが、当面の手取りは減る方向に働く。
これらの制度は全く別の話だが、議論のタイミングが重なり、悩ましいことになっている。
政府や国会は問題を整理する必要がある。
国民の財布は1つだ。
制度の見直しで手取りが増えるのか増えないのか、石破首相は国民に丁寧かつ分かりやすく説明せねばならない。
実質賃金の低迷が消費や経済成長の隘路となっており、国民民主が手取り増を目指すのは頷ける。
ただ、103万円を178万円まで一気に引き上げることが妥当なのか。
政府試算では、国と地方の税収が年7兆〜8兆円減るとされる。
「178万円」
は最低賃金の伸びを根拠にした数字だが、物価上昇率に基づけば、それほど大きな引き上げ幅とはならないと自民側は指摘している。
看過できないのは、国民民主が減収財源について
「基本的には与党の責任」
としていることだ。
主張を反映させたいなら財源確保策についても説得力ある提案をする責務がある。
低所得者よりも中高所得者の方が減税額も大きい。
その点も踏まえて、政策の費用対効果を見極めるべきだ。

石破政権「103万円の壁」撤廃も増税画策≠ノ警戒 手取り増と逆行、厚生年金106万円の壁撤廃へ 浮上財源論≠フ裏に財務省の影
2024.11/10 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241110-C7CIUVCNGBOYNMCXZGWC3VE6SI/
石破茂首相(自民党総裁)と、国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月11日に党首会談を開く予定だ。
自民、公明与党と、国民民主党の政策協議で最大の焦点となるのが
「年収103万円の壁」
の撤廃だ。
幅広い層に
「減税の恩恵」
があり、労働人口を増やす効果も期待できるが、冷や水を浴びせるように
「7兆6000億円の税収減となる」
といった財源論≠ェ指摘され始めた。
財務省や財政緊縮派らが減収分を取り戻そうと
「増税・負担増」
を画策することが懸念される。
現に、厚労省はパートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件
「106万円の壁」
を撤廃する方向で最終調整に入ったが、新たに保険料負担が生じる人もいる。
衆院選で大惨敗しながら
「政権居座り」
を決め込む石破首相の
「増税・負担増」
路線に要警戒だ。

自民党の小野寺五典、国民民主党の浜口誠両政調会長は2024年11月8日、国会内で政策協議の初会合を開き、
「年収の壁」
の見直しへ向け、来週に両党の税調会長を交えて協議することを確認した。
現行制度では年収が基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計である103万円を超えると所得税が発生する。
このためパート労働者らが103万円を超えないように労働時間を抑制する現象が問題視されてきた。
1995年から最低賃金が1.73倍上昇したのを踏まえ、国民民主党は178万円への引き上げを要求している。
玉木氏は
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べ、自民党が応じない場合は、政権運営にも協力しない考えを示した。
産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、年収の壁について
「引き上げるべきだ」
とする回答が77・2%に上った。
物価高対策で最優先で取り組むべきことでも
「減税」
が32・7%と最も多かった。
一方でネガティブキャンペーンまがいの論調もある。
その1つが、基礎控除を75万円引き上げた場合、国と地方を合わせて7兆6000億円の税収減になるという
「政府試算」
だ。
上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は
「財源論が浮上したのは、財務省側の焦りの表れだろう」
「だが、財務省の省益よりも国民のために実施すべきだ」
「恒久的な減税になるように今年2024年の補正予算の1回に留めずに来年2025年以降の本予算に組み込んで効果を持続する方が望ましい」
と語る。
■「手取り増」と逆行
もう1つのネガキャンが、
「高所得者に恩恵」
というものだ。
年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。
加藤勝信財務相は
「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」
と述べた。
しかし、
「手取りの増加率」
で見ると年収210万円で4.3%、500万円で2.6%、2300万円で1.7%となっている。
田中氏は
「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率で見れば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」
「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」
「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので飲まざるを得ないだろう」
との見方を示す。
国民民主党はガソリン税の
「トリガー条項」
の凍結解除や消費税率の時限的な5%引き下げなども掲げている。
加藤財務相は前出の会見で、トリガー条項の凍結解除で国と地方の減収が生じるとして、
「脱炭素に向けた潮流なども勘案しながら対応していく必要がある」
と言及した。
財務省側がクギを刺した形にも見える。
田中氏は
「財務省は1度得た財源を失いたくない」
「財務省や自民党内の緊縮派は、論点を『年収の壁』に持っていき、消費税やトリガー条項の議論から目を逸らそうとする思惑もあるのかもしれない」
と推測する。
こうした中、厚労省は、会社員に扶養されるパートら短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件(106万円以上)を撤廃する方向で最終調整に入った。
年収要件をなくせば保険料負担が新たに生じ、手取り収入が減る人も出てくる。
「手取りを増やす」
政策とは逆行する動きだ。
また、税制を巡っては、石破首相も防衛力強化の財源を確保する所得、法人、たばこの3税の増税の開始時期について、2024年年末の税制改正の議論で決着させる考えを示した。
石破首相は金融所得課税の強化に言及し、その後撤回する一幕もあった。
来年2025年夏には参院選も控えるが、前出の田中氏は
「現在は増税を言い出すのは難しいだろうが、7兆6000億円を取り戻しに動くため、将来的に『増税・負担増』路線になるだろう」
「防衛増税の開始はもちろん、石破政権が続けば、首相が掲げる防災省設置構想に関連して、インフラ整備のための『防災増税』を掲げるかもしれない」
と警鐘を鳴らした。

「103万円の壁」引き上げで消費喚起も…「供給力強化が必要」と専門家 7〜9月GDP
2024/11/15 18:45
https://www.sankei.com/article/20241115-2E7YJECHCJLDFG3CA547UWVIII/
内閣府が2024年11月15日発表した2024年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)で、個人消費の伸びが加速した。
ただ、定額減税の実施など一時的な要因が大きく、今後は再び低調になる恐れがある。
個人消費が力強さを取り戻すには、賃上げの定着が最も重要だが、それまでの間は家計支援策で凌ぐ必要がある。
与党と国民民主党による
「年収103万円の壁」
の見直しに向けた協議の行方も注目される。
2024年7〜9月は所得環境改善の動きが目立った。
賃上げの広がりやボーナス支給に加え、2024年6月から始まった1人当たり4万円の定額減税、2024年8月に再開した電気・ガス料金の抑制など政策による押し上げが効いた。
それでも物価変動を考慮した実質賃金は2024年8〜9月とマイナスで、家計はまだ厳しい状況が続く。
2024年10月の景気ウオッチャー調査でも、街角の景気実感を示す現状判断指数は2カ月連続で悪化。
「コメや様々な食品が値上がりする中、客が購入数や来店回数を減らし生活防衛している」(九州のスーパー)
などの声が上がる。
定額減税の効果も既に消えつつある。
円相場が2024年11月15日に一時、1ドル=156円台後半に下落するなど、円安の進行も物価の先高観に拍車をかける。
「我が国経済は成長型経済に移行する重大な局面にある」。
赤沢亮正経済再生担当相は2024年11月15日の閣議後記者会見で強調した。
近く策定する総合経済対策で、政府は
「物価高の克服」
を柱の1つに据える。
住民税非課税世帯向けの給付や電気・ガス料金の補助の延長を盛り込む方向だ。
だが今、世間がそれ以上に関心を寄せるのは、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の引き上げだ。
国民民主の主張通り、非課税枠を恒久的に178万円に引き上げた場合、政府は国・地方の税収が毎年約7兆〜8兆円減ると試算する。
ただ、空前の人手不足に直面する日本がこれだけの規模の減税を行って消費を喚起しても、輸入が増えるだけでGDPに反映されない可能性がある。
みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは
「減税の恩恵を満額で受け取るには、供給能力の強化との両輪で取り組む必要がある」
と話している。

高橋洋一「日本の解き方」
財務省の思うつぼ「年収の壁」議論 本筋は29年放置の「ステルス増税」停止だ 代表の不倫報道も国民民主党に公約実行の責務
2024.11/14 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241114-3GMN53KK3ZOH5O6YREWTRWILAA/
自民党と国民民主党は所得税が発生する
「年収103万円の壁」
を引き上げる政策協議を始めた。
マスコミでは
「年収の壁」
と説明されているが、筆者から見ると、問題を複雑化させ過ぎている。
103万円だけでなく、
「106万円」
など社会保険料を含めれば色々な
「壁」
があり、ある意味で財務省の思う壺になる。
問題の本質は、所得税における
「基礎控除48万円」

「給与所得控除55万円」
で合計103万円という額の大きさである。
筆者は、財務省がいつもやるように主要各国の国際比較の資料を出した。
正直に言えば、色々な条件を合わせないと国際比較は出来ないのだが、各国の最低所得に近い所で見てみる。
直近の為替レートで米国の基礎控除が61万円、給与所得控除が219万円で合計280万円。
英国は基礎控除214万円、給与所得控除はなしで合計214万円。
ドイツは基礎控除143万円、給与所得控除は20万円で合計163万円。
フランスは基礎控除160万円、給与所得控除8万円で合計168万円だ。
欧米に比べて日本の控除額が少ないことが分かるが、日本は税率を上げているわけではないので、
「ステルス増税」
だったということだ。
日本の控除額は1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きされている。
ステルス増税を29年も放置していいはずがない。
「ステルス増税をやめろ」
というスタンスでいい。
減収になるとの反論があるが、今の時点で減税政策をすれば、名目成長4〜5%が達成でき自然増収で賄える。
それまで増収がなくても外国為替資金特別会計(外為特会)や国債費などでも捻出できるので、財源問題はない。
減税してうまくいったら、財務省が30年間ついていたウソがバレるのが怖いのかもしれない。
案の定、
「106万円の壁」
が出てきて、厚労省が所得なしでも原則として社会保険料を負担させると言い出した。
問題を複雑化させるだけなので、基礎控除などの引き上げが終わってから検討すべき問題だ。
筆者の穿った見方だが、このように控除引き上げの足を引っ張る動きがあるのは、石破茂政権と野田佳彦代表の立憲民主党との間で
「大連立」
の匂いがある。
正式な大連立にはいかないまでも、東日本大震災後の自民党と民主党のように、財政政策で協調関係が作られるのはまずい。
国民民主党の提案にも自民党がなぜか強気であることにも一抹の不安がある。
立民が衆院の予算委員長を取ったことも筆者の懸念を助長させる。
この人事で石破政権は来年2025年度予算成立まで延命が保証されているという噂も出ている。

高橋洋一「日本の解き方」
なぜか「減税」を嫌がる財務省 「歳出権の拡大」で各省に恩売り…天下りへ 官僚主導の財政支出、民間に任せた方がうまくいく
2024.11/7 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241107-RILEXQW3RZIV5EFHHP3WBES5WE/
国民民主党が掲げている
「年収103万円の壁」
撤廃について、基礎控除を75万円引き上げた場合、
「7.6兆円の減税になる」
「高所得者の減税額が大きい」
などと報じられた。
筆者は先日の本コラムでは
「仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる」
「もっとも、この程度であれば、名目5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える」
と書いた。
少し財政をかじったことがある人であれば、この程度の減収の試算をするのは簡単だが、マスコミが記事にする際には財務省に聞くことが多いのだろう。
2023年度の税収は72兆761億円だった。
名目国内総生産(GDP)が1%変化した時に税収が何%変化するかを示す
「税収弾性値」
は一般的には
「2〜3」
なので、名目成長率が5%だと、税収は10〜15%、つまり7兆〜10兆円程度増加することになる。
また、名目5%成長を実現するには、インフレ率を2〜4%にすればいい。
このためには2%のインフレ目標について、日銀が利上げを遅らせる
「ビハインド・ザ・カーブ」
の運営を行う。
その上で、GDPギャップ(潜在的な供給力と実際の需要の差)をなくすような積極財政をするだけだ。
それにしても、財務省がなぜ減税を嫌がるのか、一般の人には理解できないだろう。
その一方で財政支出はそれほど抵抗なく行う。
減税も
「租税歳出」
と言われ、財政の理論では財政支出と同じことなのに、この態度の差は何か。
実はここに理由がある。
財務省は増税を好むが、増税すると歳出を膨らますことができる。
これを財政用語では
「歳出権の拡大」
という。
これこそが、財務省の権限の源であり、各省に対して売れる恩でもある。
歳出権を各省にばらまいて、そのご褒美として、各省の団体に天下りできるというのが望ましい。
一例を挙げれば、経団連が
「コンテンツ省」
設置を提言し、予算2000億円を増やすように提言したという。
これは、財務省的には受け入れ可能なものだ。
しかし、役人がコンテンツ業界をリードできるはずなく、こうした省庁は間違いなく失敗する。
新しい省庁ができれば、その関連団体もできて、天下りの巣窟になりやすいが、そこで新産業が生まれるはずはない。
これまで官僚主導でうまくいった試しはほとんどないからだ。
筆者は、役人が財政支出するくらいなら、減税して民間に任せた方が遥かにマシだと思っている。
財政の理論では、財政支出と減税は同じであっても、経済効果では政府が主体になるか民間が主体になるかで異なっており、減税の方が経済効果が大きいと思っている。
国民民主党はガソリン税の減税も主張している。
補助金支出でガソリン価格を抑えるより、減税で抑える方がまともな経済政策だと言える。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

高橋洋一「日本の解き方」
国民民主「103万円の壁撤廃」は実現可能か 控除拡大は減税と同じ効果、財務省へのアンチテーゼに 賃金上昇率目標も検討すべき
2024.11/2 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-4CKOQXQOUFMPPFLNUW5T4DIG6M/
石破茂首相は国民民主党との
「部分連合」
を視野に入れている。
国民民主党は基礎控除の103万円から178万円への拡大、消費税5%などを掲げているが実現可能だろうか。
国民民主党の政策のうち、他党にない
「基礎控除等を103万円から178万円への引き上げ」
について取り上げたい。
まず、178万円という
「中途半端」
な数字に驚く。
これは、1995年からの最低賃金上昇率1.73倍から、103万円を1.73倍して得られる。
103万円は基礎控除と給与所得控除の合計だが、1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きである。
そこで、最低賃金の上昇と合わせて引き上げるべきだというのが国民民主の主張である。
ここまで厳密に拘らくてももいいが、国民民主党らしいとも言える。
控除の拡大は減税と同じだ。
控除額が増えれば、少なくとも所得税として
「75万円×税率(年収に応じて5〜45%)」
の額が手元に残るようになって、手取りが増える。
この政策が面白いのは、財務省は増税しないと言いながら、控除額の縮小を狙う
「ステルス増税」
をしばしば企むが、そのアンチテーゼになるからだ。
例えば、給与所得控除について
「海外と比較すると日本は大き過ぎるので縮小しよう」
と躍起になっている。
一方、基礎控除は日本だけが国際的に低いのは知らんぷりという具合だ。
この
「減税」(控除の拡大)
でも、財源はどうするのかという反論があるだろう。
仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる。
もっとも、この程度であれば、名目で5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える。
また、この政策との関連で、最低賃金について、
「全国どこでも時給1150円以上を早期に実現する」
としている。
自民党の「2020年代に1500円」、立憲民主党も「1500円」を掲げているのと比べると控えめな数字である。
1500円の方がいい加減な数字であるので、国民民主党に逆に信頼感が出るのではないか。
気になるのは、金融政策に関する公約がないことだ。
立民の
「0%超の物価目標」
は論外であるが、労働者の党である国民民主党が公約に掲げていないのは不自然だ。
かつて筆者が玉木雄一郎代表と話した時、インフレ目標ではなく
「賃金上昇率目標」
を主張した。
元々インフレ目標のベースになっているのがインフレ率と失業率の関係を示した
「フィリップス曲線」
であるが、同曲線は賃金上昇率と失業率の関係が元になっているので、玉木代表の意見には一理ある。
大胆に言えば、インフレ目標2%より、賃金上昇率3〜5%のほうが日本経済のためになるので、検討してはどうか。
それを消費税5%、社会保険料の軽減、トリガー条項の凍結解除と共に自公政権にぶつけたら面白い。
今の自公なら受け入れ余地はあるが、石破政権を退けた後からの方がより有望だろう。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

国民・玉木氏「総務省が自治体工作」、村上総務相は「してない」103万円壁見直しで攻防
2024/11/15 16:06
https://www.sankei.com/article/20241115-A6SPP4N2PNGQFLOQDMEDSBJVXQ/
村上誠一郎総務相は2024年11月15日の記者会見で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の見直し論を巡って、総務省が自治体に反対を呼び掛けているとの一部の見方について、
「そういうことはしていないと思う」
と否定した。
年収の壁の見直しを巡っては、国民民主党が推進を掲げる一方、全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)らは地方の税収減に繋がるとして反対を表明している。
国民民主の玉木雄一郎代表は2024年11月13日、東京MXテレビの番組で、
「今一生懸命、総務省が全国知事会や自治体の首長に工作を行っている」
と述べた上で、
「『こういう発言をしてくれ』
『こういう減収があるからやめてくれ』
と、村上総務相が村井知事会会長らに連絡して、発言要領まで作って(いる)」
「如何なものか」
と語っていた。
村上氏は2024年11月15日の会見で
「村井会長に発言の依頼をした事実は全くない」
と否定し、
「発言要領について見たこともない」
「依頼したことも全然ない」
「なぜ玉木氏がこういう事を言ったのか、理解できない」
と強調した。
「全国知事会とは税制などについて日頃から意見交換している」
「事務方から基礎控除の制度概要などについて説明を行った」
とも語った。

「103万円の壁」解消は財源確保が最大の焦点 国民民主、主張崩さず自民と平行線か
2024/11/14 20:27
https://www.sankei.com/article/20241114-PQHUVBMCXVMSBBLERXARLNK3QQ/
2024年11月14日に本格的にスタートした自民、公明両党と国民民主党の税制協議の最大の焦点は、国民民主が主張している年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万円の壁」
の解消のための財源の確保だ。
国民民主は所得税が発生する基準を現行の103万円から178万円に引き上げる主張を崩していない。
税収減を懸念する自民との議論は平行線が続く可能性がある。
■財源は「与党の責任」
「我々としてはちゃんと試算をした上で根拠があって出している」
国民民主の古川元久税調会長は国会内での自民との協議後、非課税枠の178万円への引き上げを譲らない考えを改めて強調した。
政府は国民民主の主張通りに非課税枠を拡大した場合、国と地方で7兆〜8兆円の税収減になると試算。
全国知事会も影響が大きいとして政府や与党に慎重な検討を求めている。
非課税枠の引き上げを実施する場合は代わりの財源が必要となるが、国民民主側はあくまで税収減への手当ては
「基本的には与党の責任」(古川氏)
との立場だ。
■赤字国債で税収減カバーか
国民民主の姿勢に自民は頭を抱える。
小野寺五典政調会長は2024年11月12日夜のBSフジ番組で
「『出る』と『入る』があって初めて政策になる」
「セットで提示して頂くことが大事だ」
と述べた。
もっとも、自民、公明両党は衆院で過半数の議席に届いておらず、令和6年度補正予算案や7年度予算案の成立に国民民主の協力が欠かせない。
国民民主幹部は
「うちが賛成しなければ何も通らない」
と強気だ。
国民民主にとって103万円の壁の解消は看板政策であり、実現の可否は来夏2025年夏の参院選を含めた今後の党勢も左右するため、容易に妥協できない事情もある。
2024年11月14日の税制協議に出席した自民の宮沢洋一税調会長は、記者団に非課税枠を178万円に引き上げる可能性を問われ、
「それは今後の議論次第だろう」
と含みを持たせた。
石破茂政権に影響力を持つ自民重鎮は、こう話す。
「国民民主も譲らないだろう」
「最終的には赤字国債で税収減を補うことになるのではないか」

村井嘉浩・全国知事会長が国民民主の年収の壁見直しに苦言 「夢ごとでなく具体策を」
2024/11/13 16:45
https://www.sankei.com/article/20241113-SZLBZWQ3R5PFBOFCOQXZPU4J3U/
全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事は2024年11月13日の記者会見で、国民民主党が主張する
「年収の壁」
見直しを巡り
「(個人の)収入が増えれば消費が喚起され、税収も増えるといった夢ごとではなく、地に足がついた具体的な方策を示して議論してほしい」
「少なくとも私が首相なら首を縦に振らない」
と苦言を呈した。
総務省は、
「年収の壁」
見直しに伴う個人住民税の減収が4兆円程度に上ると試算。
村井氏は、宮城県と県内市町村の減収額が、地方交付税分も含め計約800億円に上ると明らかにし
「たちどころに財政破綻するだろう」
と述べた。
自治体が減収となることで住民サービスの低下を招くとの懸念も表明。
減収分を国債で充てれば
「恒常的に大きなつけを後世に回すことになる」
「賛成とは到底言えない」
と批判した。

年収の壁、ゼロ回答認めず 国民玉木雄一郎代表、自民に要求
2024/11/3 12:52
https://www.sankei.com/article/20241103-SN3SD5CPUVM5DP5JCK3ASPLKLE/
国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月3日放送のBSテレビ東京番組で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の引き上げに自民党が応じない場合、政権運営に協力しない考えを示した。
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べた。
立憲民主党など他の野党と連携する課題として政治改革を例示。
「案件ごとに協力する」
「対象は自民、公明両党に限定されない」
と語った。
玉木氏は、石破茂首相(自民総裁)との党首会談が実現した場合、年収の壁の引き上げは
「国民が求めている」
として、協力を要請する意向を記者団に表明。
立民の野田佳彦代表との会談では、政治資金規正法の再改正に加え、安全保障やエネルギー政策といった基本政策の一致に向けた協議の本格化を求める考えを示した。

国民民主と政策協議も…自民に裏切り≠フ過去 維新と文通費見直し合意も反故、馬場代表「自民は狡猾、聞いてる振りはする」
2024.11/1 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H5TBRZVN3VLIBK52CGPVQGX2LQ/
自民党と国民民主党が
「部分連合」
に向けた動きを加速させている。
少数与党の石破茂政権は、国民民主党を取り込むことで、首相指名選挙やその後の国会運営を有利に運ぶ思惑だ。
国民民主党は衆院選で公約に掲げた
「年収103万円の壁」
撤廃などの実現に前進するが、要求通りの成果を得られるかは不透明だ。
過去には日本維新の会が自民党との合意を反故にされた経緯もあり、警戒感は強い。
自民党の森山裕幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日の会談で、政策協議を開始する方針で一致した。
公明党を加えた3党は今後、税制や補正予算を巡って合意を模索する。
国民民主党は、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
を撤廃するため、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計を最低103万円から178万円に引き上げることを最優先事項としている。
だが、実現機運に冷や水を浴びせるように、
「税収が計約7兆6000億円減る」
「高所得者ほど恩恵が大きい」
などネガティブな論調が広がった。
玉木代表
「『103万円』引き上げなければ予算、法案に協力できない」
玉木雄一郎代表は2024年10月31日、X(旧ツイッター)で
«財務省がマスコミを含めて
「ご説明」
に回っている効果はさすがです»
と皮肉った。
«引き上げができなければ、我が党は予算にも法案にも協力できない»
と強調する。
与野党の合意が実現しなかった前例もある。
日本維新の会は岸田文雄政権当時の今年2024年5月、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しについて自民と合意文書を交わしたが、反故にされた。
馬場伸幸代表は2024年10月31日放送のMBSの番組で
「自民党さんは狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではない」
「聞いてる振りはするが」
と話した。
国民民主党も、ガソリン税を軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除について岸田政権下で3党協議し、予算案にも賛成したが、議論は頓挫した。
石破政権は国民民主党の案を丸吞みもしたくないが、議論を決裂させて、立憲民主党などが今後、不信任決議案を提出した場合、賛成に回られることも避けたい。
「部分連合」
という名の微妙な関係が続きそうだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/324.html#c44

[政治・選挙・NHK296] ロケットに血税注ぐ余裕なし(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
36. 秘密のアッコちゃん[1185] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月19日 22:39:04 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[623]
<■881行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「女性スペースの安全・安心確保法案」自民・女性守る議連が了承 来年通常国会提出目指す
2024/12/19 19:01
https://www.sankei.com/article/20241219-ZG6DQX52LBDC3IQL3WD32VRU6Y/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
は2024年12月19日、国会内で会合を開き、公共施設管理者に女性トイレなどでの安心・安全の確保策を求める
「女性専用スペースで女性の安全と安心を確保する法案」
を了承した。
党内審査を経て、来年2025年1月召集の通常国会への提出を目指す。
公共施設のトイレや更衣室、浴室など衣服を脱いで利用する女性専用スペースについて、施設管理者に対し、女性の安全・安心を確保するため、施設の構造や設備に関わる対策、巡回、利用者の範囲に関する周知など必要な措置を講じるよう求めた。
行政機関には管理者向け指針の策定や情報提供などを要請した。
公衆浴場や旅館の共同浴室については、男女別の利用に関する措置を講じるよう求めた。
この場合の男女は身体的な特徴により区別されるものとした。
議連共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は、
「同じように女性の安心安全(確保の必要性)を考える人が各党にいる」
「大きな希望をもって当事者らと歩んでいく」
と語った。
昨年2023年6月に施行されたLGBTなど性的少数者への理解増進法を巡ってはトランスジェンダー女性に女性専用スペースの利用に道を開きかねないといった懸念が出ており、片山氏は懸念解消のため同議連を設立。
今回で10回目の会合となる。

「女性スペースは身体的特徴で」法案の要綱全文 自民・女性を守る議連
2024/9/5 11:51
https://www.sankei.com/article/20240905-RVPMLVTZMNHXDIZF26NHZ66S64/
公衆浴場や旅館の共同浴室の利用について男女は身体的な特徴で区別すると定めた自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
がまとめた議員立法の法案要綱は以下の通り。
議連は法案要綱を党総裁選(2024年9月12日告示、2024年9月27日投開票)の候補者に提示し、政策への反映を求めていく。

男女別で利用が区別される施設における女性の安全・安心の確保の促進に関する法律案 (仮称) 要綱
第一 趣旨
この法律は、性的な被害の多くが、身体的な面において相対的に弱い立場にある女性に生じていることを踏まえ、男女別で利用が区別される施設を女性が安全にかつ安心して利用することができる環境の確保(以下「女性の安全・安心の確保」)を図ることの必要性にかんがみ、公衆浴場および旅館業の共同浴室に係る男女別の利用に関する措置その他女性の安全・安心の確保の促進に関する措置について定めるものとすること
※「男女別で利用が区別される施設」とは、公衆浴場、旅館業の共同浴室その他第三の1の「特定施設」をいう
第二 公衆浴場および旅館業の共同浴室に係る男女別の利用に関する措置
1 公衆浴場法第1条第1項に規定する公衆浴場(第三の2(1)において同じ) については、同法第3条第1項の措置として、公衆浴場の利用の態様などに応じ、 男女別の利用に関する措置が講ぜられるものとすること
2 旅館業法第2条第1項に規定する旅館業の施設に設けられる共同浴室については、同法第4条第1項の措置として、当該共同浴室の利用の態様などに応じ、 男女別の利用に関する措置が講ぜられるものとすること
3 1および2の措置における男女は、身体的な特徴により区別されるものとすること
第三 その他の女性の安全・安心の確保の促進に関する措置
1 施設の管理者による措置
男女別で利用が区別されている場合における女性用の施設(便所その他通常衣服を着けないで利用される個室状の施設にあっては、男女共用とされているものを含む)で、不特定又は多数の者により利用されるもの(以下「特定施設」)の管理者は、当該施設において女性の安全・安心の確保が図られることとなるよう、構造又は設備に係る対策、巡回、利用者の範囲に関する周知その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと
2 指針の策定など
(1) 特定施設のうち、通常衣服を着けないで共同して利用される施設で、公衆浴場、事業者がその使用する者のために設置する更衣室その他法令上に定めがあるものについては、関係各大臣は、事業者が1により講ずる措置に関する指針を定めるものとすること
(2) (1)に定めるもののほか、国の関係機関は、事業者が1により講ずる措置の円滑な実施を促進するため、事業者に対し、情報の提供、相談、助言その他の必要な措置を講ずるものとすること
第四 施行期日
この法律は、・・・から施行すること(原文ママ)
【参考】公衆浴場法
第3条
1 営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保湿および清潔その他入浴者の衛生および風紀に必要な措置を講じなければならない
2 前項の措置の基準については、都道府県が条例で、これを定める
【参考】旅館業法
第4条
1 営業者は、旅館業の施設について、換気、採光、照明、防湿および清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならない
2 前項の措置の基準については、都道府県が条例で、これを定める。(以下略)

公衆浴場の利用は身体的特徴で男女区別を 自民「女性守る議連」が法案まとめる
2024/9/3 18:06
https://www.sankei.com/article/20240903-X4VKI6C3ZVMTBBJ2KTCMS2GG74/
自民党の保守系議員らで作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
は、公衆浴場の利用について、男女を身体的特徴で区別すると定めた法案をまとめた。
関係者が2024年9月3日明らかにした。
2024年9月4日の議連会合に諮る。
党総裁選の候補に配布し、論点としたい考えだ。
2023年6月のLGBTなど性的少数者への理解増進法成立を受け、悪意を持って女性を自認していると称し女性用トイレや公衆浴場を使うケースが出かねないとの懸念が背景にある。
ただ政府は既に同趣旨の通知を自治体に出しており、法制化の必要性に疑問の声も上がりそうだ。
法案は、性的被害の多くが弱い立場の女性に生じているとして、男女別で利用が区分される施設に関し
「女性が安心して利用できる環境の確保」
が必要だと説明。
公衆浴場や旅館、ホテルの共同浴室は
「男女は、身体的な特徴により区別されるものとする」
と定めた。

自民・松山政司参院幹事長「より良い結論得るよう努力」 性別変更で「外観要件」違憲疑い
2024/7/10 18:03
https://www.sankei.com/article/20240710-KMM7VCCE5VKW3FUXOGGS4YQSWM/
自民党の松山政司参院幹事長は2024年7月10日、戸籍上の性別変更に当たり性同一性障害特例法の外観要件を憲法違反の疑いがあるとした広島高裁決定を受け、法改正に関し
「より良い結論が得られるよう真摯に努力していきたい」
と述べた。
福岡市で記者団の取材に応じた。
保守系議員からは、要件削除に慎重な意見が出た。
保守系有志で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
のメンバーである柴山昌彦政調会長代理は取材に
「外観要件は違憲の疑いが濃いと言っているだけなので、立法府を拘束するものではない」
と指摘。
「生殖能力要件や外観要件を削除という乱暴な議論はすべきではない」
と慎重な対応を求めた。
公明党の谷合正明参院幹事長は取材に、生殖能力要件を違憲とした2023年10月の最高裁判決を踏まえ
「今回の判断は想定されたことだ」
と受け止めた。
秋の臨時国会での法改正に向けて
「自民に更に促していく」
と語った。

女性スペースの利用は「身体的特徴で判断」 自民議連、女性の安全・安心確保法整備へ
2024/6/14 10:39
https://www.sankei.com/article/20240614-S3OEC6PK5BFE3GI7WIDMLRHU3I/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
が、公衆浴場や旅館・ホテルの共同浴室など女性スペースを利用する際は男女の取り扱いを
「心の性」
ではなく
「身体的な特徴」
で区別する議員立法の法案骨子を策定した。
性別適合手術などを経ずに男性器を備えた
「法的女性」
が誕生した場合に備え、性自認は女性だと主張する性犯罪目的の元男性が女性スペースで性加害行為を働く余地を狭める狙いがある。
■各党の賛同を求めて立法化
骨子では公衆トイレを含め、不特定多数の利用者が性別で区別される施設(特定施設)について、管理者に女性の安全・安心を確保するために必要な施設構造の変更や照明設備・警報装置の設置、警備の実施などハード・ソフト両面で努力義務を課した。
議連は各党の賛同を求めつつ条文化し、2024年秋の臨時国会で提出を目指す。
施設側は身体的な特徴の性をもって男女を判断し、性別適合手術などを経ずに男性器を備えた
「法的女性」
らの利用を断ることができる根拠となる。
これまでも公衆浴場での男女の取り扱いに関して、厚生労働省は
「身体的な特徴をもって判断する」
と通知を出している。
その方針を改めて法律に明記する形となる。
女性スペースの安全確保の徹底を図る背景には、性別適合手術を経ないで戸籍上の性別を変更できる可能性が高まっていることがある。
性同一性障害特例法が求めている生殖機能の喪失を要件とした規定は、2023年10月の最高裁で憲法違反と判断された。
変更後の性別の性器に似た外観を備えている外観要件についても憲法適合性の審理が2審に差し戻されている。
■「被害比率の高い方を守る」
一方、性別適合手術を経ないトランスジェンダー女性(生まれた時の性別は男性、性自認は女性)は女性スペースを利用する権利を侵害されることになる。
骨子をまとめた2024年6月13日の会合後、議連の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は記者団に
「(施設管理者の)注意義務が上がるから(女性や女児の)安心・安全性は高まると思う」
と語った上で、
「(手術要件が撤廃され)社会問題化した場合に備えて、我々は身体的要件で判断するという答えを出した」
「平等に競争している社会の中では一定のルールが必要で、やはり弱い方、被害比率の高い方を守るというのが鉄則だ」
と強調した。
海外でトランスジェンダー女性が女性スペース内で女性に性的暴行を加えた事例が確認されていることから、
「女性のスペースをきちんと管理して守るというのが必要な時代になっている」
と指摘した。

性別変更「10年以上の治療と他性別の生活」手術要件撤廃に備え、自民女性守る議連が提言
2024/4/15 14:26
https://www.sankei.com/article/20240415-IPIQTUL4ZJA3DAF25FI7652XZI/
自民党有志の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
が性同一性障害特例法が定める性別変更する上での要件厳格化を求める提言をまとめ、党政務調査会の特命委員会に2024年4月9日、提出した。
提言は10年以上継続して性同一性障害の治療を受け、他の性別で社会生活を営んでいるという要件の追加を求めた。
女性の生殖機能を持った
「法的男性」
が出産する場合などに備え、民法上の親子関係を整理する必要性にも言及した。
■法的男性が妊娠した場合、戸籍は女性に
特例法は性別変更する上で生殖機能の喪失を求める要件があるが、最高裁大法廷は2023年10月、これを憲法違反と判断した。
法改正が迫られているが、要件を撤廃すれば、性同一性障害を抱える人々と女性へのなりすましなどの見極めが困難になるとも指摘されている。
提言は
「一定期間(10年以上)継続して一定の治療を受け、かつ、一定期間(10年以上)継続して他の性別で社会生活を営んでいると認められること」
を新たに要件に盛り込んだ。
カナダや英国では、刑務所や留置場などで、女性に性別変更した元男性による女性への性犯罪が発生している。
これを踏まえ、提言では
「収容施設などにおいては、生物学上の性別に基づき区別して収容される」
ことを求めた。
性別変更する上で、子供と接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する
「日本版DBS」
創設法案に盛り込まれた、就業を制限する
「特定性犯罪」
の前科がないという要件も追加した。
女性の生殖機能を持ったままの
「法的男性」
が妊娠・出産した場合は、戸籍を女性に戻すとの条文の追加についても、検討を求めた。
提言は
「『なりすましによって生じた性的被害への国家賠償』
『女性生殖機能が残っているので妊娠・出産してしまった戸籍上男性が母親になることの社会的混乱』
という、現在までには、ほぼあり得なかったケースがあり得ることになる」
と指摘。
「女性たちの安心と安全を1ミリたりとも危うくしない」
と強調し、リスクの排除を訴えた。
■「診断の判断があやふやに」
平成15年に成立した特例法は、性別を変更するために複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で
@18歳以上
A未婚
B未成年の子がいない
C生殖不能
D変更後の性別の性器に似た外観を備えている
の要件を定めている。
2023年10月、最高裁大法廷は生殖不能要件を違憲と判断し、Dの
「外観要件」
について憲法適合性の審理を広島高裁に差し戻した。
CとDを合わせて
「手術要件」
と言われる。
特例法は性同一性障害者について
「他の性別であるとの持続的な確信を持ち、身体的および社会的に他の性別に適合させる意思を有する者」
と定義する。
ただ、手術要件が撤廃された場合、客観的な基準がなくなり、衝動的に元の性別による性行動に出る場合も含め、
「なりすまし」
が排除しきれないとの懸念もある。
性同一性障害を訴える患者を数多く診断してきた精神科医の針間克己氏は2024年4月9日、特命委の会合に出席後、
「手術要件がなくなると(性同一性障害者の)定義に一致するかどうかの判断が非常にあやふやになってしまう」
「診断が難しくなるので何らかの基準を設けたほうがいい」
と産経新聞などの取材に語った。

最高裁が嵌った「性自認至上主義」
正論2024年1月号 弁護士 滝本太郎
2023年10月25日の最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)の決定には驚かされた。
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下特例法)
に定められた性別変更の要件についての憲法判断で最高裁は、申立人(男性から女性への変更)の訴えにあった特例法3条4号
「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること(生殖機能喪失要件)」
について
「違憲」
と判断してしまった。
更に同法3条5号
「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること(外観要件)」
について、高裁段階で審理が尽くされていないとして、自らの判断を示さぬまま広島高裁に差し戻したのだ。
4号の生殖機能喪失要件が、憲法13条に定めた幸福追求権に反し違憲としたのは、15人全員だった。
三浦守、草野耕一、宇賀克也の3人の裁判官は、5号の外観要件についても差し戻しをせずに違憲だと判断すべきだとしてその意味での反対意見を示した。
残る12人は5号要件の憲法判断を回避した。
最高裁は憲法判断から逃げたのである。
最高裁によるとんでもない暴走である。
女性の権利を劣後させ、余りに矮小化している。
女性が差別され、不利益を被るのは、性別(SEX)を根拠としているという歴史的事実を無視して、つまりは男性の身勝手、女性の侮蔑、差別主義である
「性自認至上主義」
に侵された最高裁になってしまったということである。
「性自認至上主義」
をひた走った先進国では相次いで、女性の安心・安全が害され、脅かされている。
深刻な事態を招いた結果、その反省に立って正常化に舵を切ろうとしながらも、苦労しているイギリスの実態などについて、決定文では何の言及もなかった。
男性として思春期を幾分でも経験した者は女子スポーツ選手権への参加資格はないとした国際水泳連盟や世界陸連の判断なども決定文では一顧だにされていない。
15人の裁判官は何も知らないのだろうか。
不勉強極まると言う外ない。
決定文から読み取れることは、
「性自認は他者の権利法益より優先すべきである」
とする
「性自認至上主義」
に基づく論理展開ばかりなのだ。
私は本誌2023年12月号で、本決定について4つの可能性があると予測した。
第1は
「違憲であり性別変更を認める」
第2は
「違憲状態だ、国会は法を改正せよ」
第3は
「永続的に生殖腺の機能を欠いているなどとして変更を認め、違憲かどうかの判断は回避する」
第4は
「2019年1月の判例と同様、法的性別の変更を認めない、いわゆる手術要件は合憲である」
である。
まさか、4号と5号を分け、4号だけを違憲とし、5号については差し戻しをするとは思わなかった。
仮に広島高裁で5号を違憲として性別変更を認めたならば、最高裁への上訴はなく、高裁決定で確定し、実に不安定なままとなる。
高裁で5号を違憲とせずに
「ホルモン療法で陰茎が小さくなる、などしていれば陰茎ではない」
などと無理に評価し、法的性別の変更を認めてしまう手法を取れば、それが独り歩きしてしまうだろう。
そもそも最高裁は、法律の違憲判断をするかどうかという重大局面なのだから、国(法務省)に家事事件手続法と法務大臣権限法に基づき、利害関係人として参加してもらうべきだった。
最高裁にとって影響が大き過ぎて責任を負えないのならば、法務省に参加を打診すれば良かったのである。
法務省は決定後の2023年11月9日、自民党の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(女性を守る議連)

「通例は裁判所から要請があって参加する」
と説明するなどこれまた逃げを打っていた。
議連も私どもも法務省(国)宛てに参加を要請し続けたのに、法務省も参加申し出をしないままだった。
挙げ句の4号違憲判決であり、5号は高等裁判所に差し戻して違憲となってしまう可能性がある。
行政の長である首相らに政治責任があると思われる。
差し戻し審があるのだから今からでも参加すべきだろう。
■性別変えず支障なき社会を
決定文には、生殖能力喪失要件について
「2014年に世界保健機関等が反対する共同声明を発し、また2017年には欧州人権裁判所が欧州人権条約に違反する旨の判決をした」
などとあった。
申立人側の主張そのままであろう。
死刑制度について国際的に批判を浴びても世論動向などを踏まえながら決して違憲判決を下さないのが日本ではなかったのか。
性別変更は死刑問題よりも格段に国民生活に影響を与える問題であるにもかかわらず、最高裁が暴走してしまった。
決定文には
「性同一性障害者がその性自認にしたがって法令上の性別の取り扱いを受けることは・・・個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益である」
とあったが、だからと言って制度である
「法的性別」
を歪ませて良い理由になどならないではないか。
「本件規定がなかったとしても、生殖腺除去手術を受けずに性別変更を受けた者が子をもうけることにより親子関係等に関わる問題が生ずることは、極めてまれであると考えられる」
ともあった。
従前から女性という性自認を持ちながら父となった方も相応に居るのだから、生殖腺を失わずに性別変更ができるのであれば
「父である女」
が続々と出現するだろう。
メディアでも報道されているが、乳房切除までしたが、パートナーとの間に子を設けた例もある。
性別変更が認められれば
「母である男」
となる。
決して稀なことではなかろう。
「そもそも平成20年改正により、成年の子がいる性同一性障害者が性別変更審判を受けた場合には、『女である父』や『男である母』の存在が肯認されることとなった」
ともある。
しかし、平成20年の改正では未成年の子がいる場合は、法的性別は変更できないままだった。
子の出生時点で
「出産した母だが男だ」
「父だが生物学的な女だ」
という事態を招くこととは局面も意味合いも全く異なる。
「強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受するか、又は性自認に従った法令上の取扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を受けることを断念するかという過酷な二者択一」
という記述も変だ。
手術は身体違和がきついから、自分の意思でするのであり、決して断種手術ではない。
むしろそれまで手術を受けて性別変更してきた人たちにとっては戸籍や身分証明上の性別と身体とが一致しているからこそ信頼が得られていたのだ。
それが失われるデメリットを考えなかったのだろうか。
まして精巣の除去は卵巣や子宮の除去に比較して実に容易である。
身体違和がさほどきつくなく、精巣の除去を含めて性別適合手術を必要としない方は、法的性別を変更しなければよいのである。
精巣と陰嚢を持ったままに、書類上である法的性別を女性に変更することが、どうして
「人格的存在と結びついた重要な法的利益」
と言えるのか。
生殖腺機能喪失要件が
「過酷な二者択一」
と言えるのか。
法的性別など変更でずとも、生活に差し支えない社会を作ることこそが重要ではないのか。
女性だと認識し、いわゆる女性装を日々する人も、排泄は認識からではなく、身体からするのだから男子トイレに入ることも相応にある。
その際に時に男性から揶揄され、時に暴力を受けることがある。
それこそが排除であり、差別であろう。
法的性別を変更して女性トイレを利用する権限があるなどとする前に、男子トイレで男性からの揶揄・暴力のない状態にすること、就職差別などないようにすることが重要な人権ではないのか。
4号の生殖腺機能喪失要件、そして5号の外観要件が外れれば、文字通り
「男性器ある女性」
が続々と登場する、その先には
「性同一性障害」
ではなく、ジェンダーアイデンティティ(性同一性・性自認)に基づく法的性別の変更は決定文中1人の裁判官が何度も言及した。
ドイツにおける性自認至上主義の如く、裁判所の関与さえないままに法的性別が変更できる方向となっていくだろう。
性犯罪目的の男や、女性を侮蔑・差別したく、その専用スペースを侵害することで喜びを得ようとする一部の男は、何としても診断書を取り、法的性別を女性に変更するよう努力するだろう。
週刊新潮2023年11月9日号には、診断が取りやすいことで有名な医師が登場し、
「そもそも性自認は当人がどう感じるかだけ」
「医者が決めることがおかしい」
「医師はウソ発見器じゃないですから、本人の言っていることをそのまま聞く。それが基本」
などと述べている。
法律を違憲とすることは法の形成過程の1つで、今回の最高裁決定は、まさに性自認至上主義を大きく伸展させる法律の登場に繋がるものだ。
先行する国々では混乱が多々あるのに、日本に周回遅れでこれに従えとするもので全く異常である。
岡正晶裁判官は補足意見で、立法府の対応について
「(4号要件の)目的を達成するために、より制限的でない新たな要件を設けることや(中略)社会一般の受け止め方との調整を図りつつ、特例法のその他の要件も含めた法改正」
「立法府に与えられた立法政策上の裁量権に全面的に委ねられている」
と述べている。
確かにこれは立法府が定めるべきことである。
3人の裁判官は、5号外観要件も違憲だからこの際、決断すべきとしたが本来、4号、5号とも立法府の広い裁量に委ねられていると言うべきだろう。
見解を異にする方もいると思うが、婚姻時の選択的夫婦別姓を導入していないことについては、憲法には両性の合意のみで婚姻できるとしているのに、最高裁は未だ立法裁量の問題としている。
多くの女性らが不便を被っている案件でその状況なのである。
「手術をしたくないならば法的性別を変えなければ良い」
だけの話なのに、どうして
「日々、トイレや風呂で見る身体違和には耐えられるが、書類上の性別の食い違いには耐えられない」
といった、率直に言って不可思議な権利主張を、そこまで保障しなければならないのか。
先程、最高裁は逃げたと述べた。
これは言い換えれば、最高裁は
「陰茎のある法的女性を出現させて良いか」
について判断するという、負わされた責任から逃げたという意味である。
最高裁から責任を押し付けられた広島高裁は国会の動向を待って判断すべきであろう。
決して2023年中とか2023年年度内に結論を出そうなどと、司法の傲慢に陥ってはならない。
■要件の再構築を求める
左派野党と公明党は、この最高裁決定を受けて早速に法改正を言い出し、立憲民主党は4号、5号要件の削除、また3号にある
「未成年の子が居る場合は変更を認めない」
という要件も削除するという案を言い出している。
一体、
「陰茎がある法的女性」
が出現することや
「他の性別に変わったものと見做す」
ことの重さをどう考えているのだろう。
「どこでも女性として遇せよ」
という法規範が成立した場合の女性スペースの混乱をどう考えているのだろうか。
私が世話人をしている
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」(以下連絡会)
では、議論を重ね、
「女性スペースに関する法律案」

「女子スポーツに関する法律案」
を2023年11月14日に公表し各党に送付した。
2023年の
「LGBT理解増進法」
の制定論議の際、合わせて作ってほしいと作ったものを更新し、特例法の改正案を加えた。
特例法3条の4号と5号の要件は削除するが、新たな4号として
「男性から女性への性別の取り扱いの変更を請求する場合は、陰茎を残していないこと」
と入れるものである。
「女性から男性へ」
と性別変更する場合には要件がないので、比較すると一見不平等に見えるかもしれない。
だがこれは合理的で差別にはならない。
圧倒的多数の性犯罪は陰茎のある者による。
単に要件を削除するだけでは、性犯罪目的の者まで次々と法的女性になろうとする蓋然性がある。
また陰茎という外観上からして明白に男性である者が法的女性となって女性らに不安感・恐怖感を持たせるのは避けるべき強い必要があるからである。
その恐怖は合理的なものであり、決して
「研修」
により消し去れる類のものではない。
女性スペースに関する法律案は、
「女性」
の定義を
「生物学的女性のうち、特例法に基づいて性別を男性と見做されていない者、そして女性と見做された者のうち陰茎を残していない者」
とする。
仮に5号外観要件が削除された特例法により
「陰茎がある法的女性」
となっても、この法律の上では
「法的女性」
とはしない。
特例法4条では
「法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす」
としており、他の法律による異なった対応を許容しているのである。
今の浴場を男女別にすることについては、理解増進法が成立後の2023年6月23日に通達が出ており、それは
「身体的な特徴による」
とある。
これは主に陰茎の有無の趣旨であろう。
法律案は通達を法律に格上げし、かつ女子トイレ、更衣室等の女性スペースの全体を対象とするものだ。
性自認に重きを置いて考える性自認至上主義の立場であれば、
「トランス女性は女性」
となって
「女子トイレの利用公認を」
となるだろう。
ここが最初から最後まで闘いの焦点である。
ただ
「トランス女性は女性である」
と主張する論者らにも、
「女湯については入れないものとする」
と主張する者は多く、事実上
「法的女性」
を一律に扱わないとする合意形成は可能であろう。
だから、理を尽くして女子トイレの安心安全の確保のためには、陰茎がある限り利用を公認できないことを説得していくこととなる。
また、2023年7月11日の経産省トイレ裁判の最高裁判決も考慮しない訳にはいかない。
そこでは
「特定の女子トイレにつき、管理者が当該女子トイレを通例利用する女性の意向を尊重かつ十分聴取した上で、特定人の入場を別途許容し、その趣旨を女性スペースに明示する場合はこの限りではない」
と対応する外ない。
女子スポーツに関する法律では、2022年6月の世界水泳連盟、2023年3月の世界陸連の方針を踏襲する。
男としての思春期を経験した者は、その後、陰茎があってもなくても、女子スポーツ選手権への参加資格がないとするものである。
ただ、ルールは各団体の自治で定められるものである。
公的資金の援助や後援などに限ったルールとなる。
連絡会は、社会全般に対して10項目に及ぶ要望を2023年10月30日の声明と共に示した。
今後、どうすべきかという点で重要なのでこれを最後に紹介したい。
第1に、政府各省庁が、様々な調査をすることだ。
性自認や性別変更を巡って先行した国々のここ数年間の状況と動向、トイレ、共同浴場などにおけるトラブル・刑事事件の調査、性同一性障害の診断の実態と信頼性に関する調査、法的性別を変更した人のその後の調査などである。
第2にメディアには、性同一性障害はトランスジェンダーのうち15.8%に過ぎないのだから、混同して議論することを厳に慎み、国民に様々な見解・情報を伝えるよう求めたい。
第3に、国民は先入観に捉われることなく、自らの意見形成に努めてほしいと願う。論者による議論を拒否する姿勢のまやかしを知ってほしいし、自由な言論空間を確保し合いたい。
第4に、各政党に求めたいことは、当連絡会を含め多くの国民の様々な意見を聴取し、党内で自由に議論して方針を定めてほしい。
第5に、それらの議論にあっては、女性が性別(SEX)によって未だに経済的・社会的に様々な不利益を被っていることを直視されたい。
第6に、国会に求めるのは5号要件が決して違憲判断が下されたものではないからそれも削除すれば良いというものではないことを確認すると共に、様々な調査や国民的に議論した上で新たな要件等を定めてほしい。
第7に、この裁判を差し戻しされた広島高裁は、早期に本件の判断をすべきではなく、様々な調査結果と国民的な議論の行方をよく見極め、国から参加申出があった時は直ちに認めるべきである。
第8に、国はこれからでも法務大臣権限法と家事事件手続法に基づきこの裁判に利害関係人として参加すべきである。
第9に、国民は次の衆議院議員選挙における国民審査において、対象裁判官に罷免の意思を示すべきである。その対象は憲法の規定で10年以内に審査された裁判官を含まないこととなっているが、私は国民からの民主的統制を強めるために、毎回15人を審査できるように憲法を改正すべきと考える。
第10に、内閣は最高裁判官に定年等で欠員が出たならば、このような「性自認至上主義」に嵌っていない方をこそ指名すべきである。私はまた、任命の前に、国会で予定者への質問をする機会を作るべきと考える。
最高裁は今、
「性別」
を蔑ろにして法的性別の概念を弄び、
「性自認至上主義」
により、安易に
「女性」
「男性」
の定義を変更する道を歩み始めてしまった。
司法が暴走した時、それを止めるのは国権の最高機関、国会であり主権者国民である。
「性自認至上主義」
は欧米で猛威を振るい、女性の権利が剥奪されるなど、様々な混乱がもたらされてきた。
その反省から方針を転換、正常化させるべく悪戦苦闘しているイギリスのような例もあるのに、日本は周回遅れでこれから
「性自認至上主義」
に嵌ろうとしている。
何とか止めなければならない。

現実化した「心は女」事件を受け、自民・稲田朋美氏が回答「LGBT理解増進法とは関係ない」 慎重・反対派の対応策は
2023.11/17 11:48
https://www.zakzak.co.jp/article/20231117-P57FMCHY35LKPGG4CZ5ZUCXQYA/
三重県桑名市の温泉施設の女性風呂に
「心は女」
と主張する男が侵入した事件が波紋を呼んでいる。
多数の慎重・反対論を押し切り2023年6月に施行したLGBT理解増進法については、
「性自認は女性」
と主張する男性が女性スペースに入り込み、女性や女児に危険が及ぶリスクが指摘されている。
推進派だった議員は、懸念された事態が現実化したことにどう答えるのか。
慎重・反対派は如何なる対応策を進めるのか。
それぞれに聞いた。
「事案の詳細を承知しませんが、(LGBT)理解増進法とは関係ないようです」
夕刊フジが2023年11月16日、同法制定に積極的だった自民党の稲田朋美衆院議員に事件への受け止めを聞いたところ、稲田氏側は書面でこう回答した。
稲田氏は2023年4月2日、X(旧ツイッター)上で
「心が女性で身体が男性の人が女湯に入るということは起きない」
などと書き込んでいた。
三重県の事件では、男は女装で侵入し、
「心が女なので、なぜ女子風呂に入ってはいけないのか全く理解できない」
と供述しているという。
事件を受け、インターネット上では稲田氏の発信や姿勢に批判が集まっている。
夕刊フジは質問状で
「説明機会を設けるか」
や、
「法整備など今後取り組むべき課題」
についても聞いた。
稲田氏は従来の主張を崩さなかった=回答全文は別稿。
■滝本弁護士『トランス女性』が女性風呂に入りやすい雰囲気になった
女性の安心安全を目指す
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」
の世話役を務める滝本太郎弁護士は
「理解増進法により、性自認が女性で体が男性の『トランス女性』が女性風呂に入りやすい雰囲気になったことは認めざるを得ないのではないか」
「司直も逮捕や起訴に及び腰になったり、身体検査や収監の際に厄介な問題も生じかねない」
「厚労省の管理要領は公衆浴場についてのものだが、今後は女子トイレも課題となる」
「女性スペースを守る法整備が急務になる」
と語った。
■片山氏「女性の不安を取り除く明確な対応策が必要だ」
事件を受け、夕刊フジのインタビューに応じた自民党の片山さつき元地方創生担当相は
「今回のような事例の発生は当然、想定された」
「弱者である女性のスペースを確保する法律、ガイドラインを早急に整備せねばならない」
と強調した。
片山氏は同法成立前、今回のようなリスクに警鐘を鳴らしてきた。
施行後は、自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
を立ち上げ、トイレや更衣室などでの「女性専用スペース」の確保や、女性競技への参加を生来の女性に限るための取り組みを進めている。
最高裁は2023年10月、性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術を受ける必要があるとする法律の要件について、違憲と判断した。
三重の事件のようなケースで警察が難しい判断を迫られる恐れがある。
片山氏は
「LGBT理解増進法の成立後、三重県のような件が増えたとの指摘がある」
「最高裁の判断も社会の認識に影響を与える可能性がある」
「女性の不安を取り除く明確なメッセージ、対応策が必要だ」
と語った。
■稲田朋美衆院議員の回答全文は次の通り。

事案の詳細を承知しませんが、理解増進法とは関係ないようです。
公衆浴場や温泉施設の利用に関して厚労省が管理要領を定めており、男女の判断基準は身体的特徴によるものとすることになっています。
これは理解増進法が制定される前後で全く変更はありませんし、法制定前も後も犯罪であるということをX上などで繰り返し申し上げてきました。
いずれにせよ犯罪行為に対して、引き続き厳正に対応していくことは当然です。

性自認に基づく性別変更制度導入を否定 自民有志の議員連盟が声明「日本にはそぐわない」
2023/11/9 18:53
https://www.sankei.com/article/20231109-YDU7VYTRKZPFLFEKCKNOW64O2A/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
は2023年11月9日、国会内で総会を開き、海外の一部で導入されている、性自認に基づく性別変更を可能とする制度に否定的な声明を取りまとめた。
「心理的な性別だけで性別変更を認める制度は、日本にはそぐわない」
と指摘した。
戸籍上の性別変更の際に生殖能力の喪失を要件にした性同一性障害特例法の規定を憲法違反と判断した最高裁の2023年10月の決定については
「何らかの法改正を行う必要がある」
と明記した。
ただ、生殖不能要件が撤廃されれば、妊娠や出産が可能な戸籍上の男性が登場しかねず、声明は
「現行の多くの法令との整合性が取れない事態に陥らないか」
として関連省庁を挙げた対応を求めた。
法改正の議論では、生殖不能要件撤廃の妥当性や、新たな要件の可否などを検討する方針も示した。
議連の片山さつき共同代表は総会の冒頭、最高裁決定について
「性別の取り扱いの変更と社会一般の受け止めの調整を図り、立法府の責任を発揮していく」
と述べ、議連として対応に力を入れる考えを強調した。

自民・女性守る議連「心理的性別だけで性別変更そぐわない」手術不能要件違憲決定に
2023/11/9 14:50
https://www.sankei.com/article/20231109-FUOKJUBEJJGNPPYJG5PPOVV3C4/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
は2023年11月9日、性自認に基づく性別変更を可能とする
「ジェンダー・セルフ・ID制」
の導入に否定的な声明をまとめた。
「心理的な性別だけで法律上の性別変更を認める制度は、LGBT理解増進法が成立したばかりで理解増進の流れを醸成していく段階にある日本にはそぐわない」
と指摘した。
議連は、最高裁が2023年10月25日に性同一性障害者が性別変更する上で生殖能力の喪失を要件とする性同一性障害特例法の規定を憲法違反と判断したことを受け、国会内で会合を開き、声明をまとめた。
約20人が参加した。
最高裁の決定に伴い、与党内では特例法の改正など対応に当たる必要性が共有されている。
一方、
「生殖不能要件」
が完全に撤廃されれば、妊娠や出産が可能な法的な男性が登場しかねない。
声明も、
「何らかの法改正を行う必要がある」
とした上で、
「現行の多くの法令との整合性が取れない事態に陥ることとならないか、危惧される」
と指摘し、内閣の責任で関連省庁を挙げた法令の調査の必要性を訴えた。
議連の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は会合の冒頭、
「性別の取り扱いの変更と、社会一般の受け止めの調整を図りつつ、立法府に身を置く者の責任をフルに発揮しないといけない」
と強調した。
共同代表の山谷えり子元拉致問題担当相は、
「先行する欧米が修正する混乱に周回遅れで敢えて突っ込み、社会的分断や対立を起こすことにならないかを考えねばならない」
と訴えた。

自民議連幹部「困った判決」 性別変更を巡る最高裁決定で
2023/10/25 20:28
https://www.sankei.com/article/20231025-6UTCMWTJ7JMITKHNCEUDOKGO6Y/
性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術が必要だとする性同一性障害特例法の規定について、最高裁が2023年10月25日、
「違憲」
と判断したことを巡り、自民党内から今後の影響を懸念する声が上がった。
安易な性別変更などに繋がれば、社会が混乱しかねないためだ。
「手術要件」
の堅持を訴えてきた自民有志の議員連盟などは慎重に対応を検討する構えだ。
「困った判決だ」
「戸籍そのものが壊される恐れがある」。
自民党の議員グループ
「日本の尊厳と国益を護る会」
の代表を務める青山繁晴参院議員は2023年10月25日、産経新聞の取材にこう述べ、危機感を隠さなかった。
自民有志で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は2023年10月25日、記者団に対し、
「他の共同代表と相談した上で今後の対応を考えたい」
と述べるにとどめた。
議連は2023年9月、斎藤健法相(当時)に対し、
「手術要件が違憲になれば、(戸籍上)男性になった後に生物学的な母であり得たりと、大きな混乱が生じる」
とする声明を提出した。
議連のヒアリングでは、母親団体の代表者が
「手術することなく戸籍を変更すると、体が男性のままの母親≠ェ生まれてしまう」
として、授乳室を元男性と共有する事態などを懸念。
性別適合手術を経て戸籍上の女性になった性同一性障害の人たちも
「手術要件」
の維持を訴えていた。
そもそも、同法は2003(平成15)年に自民議員が立法化を主導した。
党内の慎重論を抑えるため、手術要件などを盛り込んだ経緯がある。
自民若手は最高裁の決定について
「社会の理解が追い付いていない」
「女性や子供の安全を確保するための対応を考える」
と強調した。
2023年6月に施行されたLGBTなど性的少数者への理解増進法の法案作成に自民特命委員会のアドバイザーなどとして携わった一般社団法人
「LGBT理解増進会」
の繁内幸治代表理事は、産経新聞の取材に
「増進法はゆっくり、じっくりとLGBTへの理解を広げるためだ」
「国民的な議論が不十分なまま、性別という社会倫理を覆すような判決は増進法の理念に合わない」
と指摘した。

美しき勁き国へ
櫻井よしこ 性別訴訟 最高裁を危惧  
2023/10/2 8:00
櫻井 よしこ
https://www.sankei.com/article/20231002-XRBBA2EEWFJD3J2IWP52FF4BBE/
自分は男性として生まれたが本当は女性だと考える性同一性障害の人が戸籍上の性別変更をするのに、生殖能力をなくす手術を要件とした現行法は憲法違反か否かが争われた家事審判の弁論が2023年9月27日、最高裁大法廷で開かれた。
最高裁が性別変更の申し立てで弁論を開いたのも、弁論前日に家事審判で申立人の意見を直接聞く審問を非公開で開いたのも初めてだ。
大法廷は2023年年内にも憲法判断を示すとみられる。
2004(平成16)年施行の性同一性障害特例法(以下特例法)は、戸籍上の性別を変更する前提として、元の性別での生殖機能を永続的に欠く状態であることを含む5つの条件を定めた。
一般的には卵巣や精巣などの摘出手術が必要だとされている。
今回、最高裁が特例法の規定を憲法違反と判断したら、手術なしで本人の性自認で法的性別の変更が可能になる。
男性の生殖機能を持ったままの
「法的女性」
や、
女性の生殖機能を持ったままの
「法的男性」
が出現する。
社会への影響は計り知れず、女性の安心安全は危機に瀕する。
男女の定義変更で親子関係も混乱しかねず、戸籍法も含め国会には法改正の義務が生じてくる。
極めて大きな問題を扱っているにもかかわらず、大法廷の裁判には2つの重大な欠陥がある。
弁護士の滝本太郎氏の指摘だ。
「第1にこの裁判には相手方、被告がいません」
「様々な問題点を示す訴訟当事者がいない状況で果たして裁判所は全体像を把握し適正に判断できるのか」
「第2にこの件で先行した国々は多くの問題や犯罪に直面し、今、揺り戻しが来ています」
「最高裁は海外の失敗事例を十分に把握しているのか、懸念されます」
第1の点について、自民党の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
の片山さつき共同代表らが2023年9月8日、斎藤健法相(当時)と面会し、
「手術要件が違憲となれば、元の生殖能力を維持したままの性別変更が可能になり、大混乱が生ずる」
として、法務省が審理に参加して意見を述べるよう求めた。
斎藤氏の反応は慎重で、法務省は同裁判に関わろうとしない。
この姿勢は大いなる間違いだ。
国として申立人であるトランス女性の権利や自由を守るべきなのは当然だが、社会の圧倒的多数を占めるトランスではない男女の権利や自由も同様に守ることも重要だ。
これら圧倒的多数の国民の立場や権利を代表して意見を言うのが法務省の責任である。
今からでも遅くはない。
最高裁の審理参加を申し入れるべきだ。
性同一性障害の人々の中に、今回の申立人とは異なる意見を持つ人は少なくない。
最高裁はこれら異なる意見にも耳を傾けるべきだ。
例えば2023年7月10日、最高裁による判断の帰趨に懸念を抱き、
「性同一性障害特例法を守る会」
を設立し、代表となった美山みどり氏らの主張だ。
美山氏は性同一性障害で性転換手術を受け、戸籍上も男性から女性になった。
美山氏らは
「性同一性障害」
という自らのアイデンティティーと、手術というエビデンスによって社会との協調を図っていく立場から、特例法の廃止にも手術要件の廃止にも強く反対する。
性別適合手術と特例法の手術要件は自分たちが望んで戦い取った権利であり、決して人権侵害や過酷な断種手術ではないと断言する。
また、約20年間で1万人以上が特例法を使って戸籍の性別変更をした現実を指摘し、制度として既に定着していると主張する。
「社会の様々な場面に性別による区別」
が存在するからこそ、社会的に見て
「性別を安定させ、社会に適合しようとする人」
に法的な保護を与えているのが特例法の趣旨であり、これは差別ではないとの見解も示している。
美山氏らは7団体、数千人とその他有志と協力して
「手術要件が違憲となれば、男性器のある女性が女性スペースに入ることが可能になったり、出産する男性が出てきたりして社会が混乱する」
として、違憲判断をしないよう求める約1万5000人の署名を最高裁に提出した。
このように申立人と反対の立場に立つ性同一性障害の人々は少なくない。
しかし、美山氏らの反対意見を報じた全国紙は私の見た限り、産経新聞と読売新聞だけだった。
他の全国紙はおよそ全て手術要件は違憲だとの見方しか伝えていない。
偏った報道は最高裁の全体像把握を妨げかねず、メディアの責任は重大である。
先に滝本氏が指摘した第2の点、海外では行き過ぎた対応の結果、多くの犯罪が起きたことなどで揺り戻しが起きていることもメディアは十分に報じていない。
そのため最高裁がそうした事情を十分把握しているのかも疑問だ。
欧米諸国では生殖機能を維持した
「法的女性」
による性犯罪の事例に事欠かない。
性自認の概念に基づいて性別で区分されたスペースを変えてきた英国は、その結果としての混乱に堪えかねて2022年春から明確に方針を切り替えた。
まず女子トイレを復活させ、法的女性は女子刑務所には入れないと決定した。
「手術要件があるからこそ、自分たちは一定の信頼を勝ち得ている」
との美山氏らの指摘を軽視してはならないということだ。
司法、とりわけ最高裁についても疑問を抱く。
司法は公正中立の立場で日本社会の良き価値観を守らなければならない。
幾世紀にも渡って育み受け継いできた文化、価値観を大事にするということだ。
滝本氏は、欧州諸国は同性愛に罰を科したソドミー法への反省から同性愛のみならず性自認に傾きがちだと指摘する。
こうした考えが日本に伝わり、メディア、司法関係者、学者らの間で共感を得ているのではないか。
しかし我が国の文化や価値観にソドミー法的な影はおよそない。
欧米の潮流に過度に影響される必要はなく、日本の文化や価値観にもっと自信を持って良いのである。
最高裁判事15人の考え方で日本社会の根幹や価値観を根底から変えようとするのは許されない。
最高裁に暴走させないために、法務省は国民を代表して最高裁の審理に参加し、堂々と意見表明すべきである。

自民女性守る議連、性別変更に手術要件維持を 法相に声明提出
2023/9/8 14:13
https://www.sankei.com/article/20230908-MXZYO3Q7UZLVFA7ILC7PY7EQJ4/
自民党の有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
のメンバーは2023年9月8日、法務省内で斎藤健法相と面会した。
戸籍上の性別を変える上で性別適合手術を求める現行法の規定の合憲性が争われている家事審判について
「手術要件が違憲になれば、(戸籍上)男性になった後に生物学的な母であり得たりと、大きな混乱が生じる」
と指摘する声明を提出した。
斎藤氏は
「重く受け止める」
と応じたという。
会談後、議連共同代表の山谷えり子元拉致問題担当相は記者団に
「欧米では自分が思えば男性でも女性でもなれるということで、社会の混乱、分断、対立が起きている」
「先行する国々の実態調査をしてもらいたい」
と述べた。
また、医師である松本尚衆院議員は
「解剖学的に、外形的に性別を決めていくことは国民全体で認識しないと、社会秩序に大きな影響を及ぼす」
と語った。
家事審判は2023年9月27日に最高裁大法廷で弁論が行われる。

自民議連 性別変更の手術要件「違憲は混乱」声明へ
2023/9/7 19:12
https://www.sankei.com/article/20230907-SOW3MC73CNIW5KNNTISARGPEXA/
自民党の有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
が、性別変更する場合は性別適合手術を要件とする現行法の規定の合憲性が争われている家事審判を巡り、
「手術要件が違憲になれば、(戸籍上)男性になった後に生物学的な母であり得たり、大きな混乱が生じる」
と懸念する声明をまとめたことが2023年9月7日、分かった。
2023年9月8日に斎藤健法相に声明を提出する。
現行の性同一性障害特例法は、性別変更の審判を申し立てる要件に生殖能力がないことなどを挙げており、規定を満たす場合は性別適合手術を受ける必要がある。
家事審判は男性から女性への性別変更が申し立てられ、2023年9月27日に最高裁の弁論が予定されている。
議連の声明は、性別適合手術を受けていないトランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)に更衣室などの女性用スペースの利用を認めた欧米諸国で生じた問題や事件について、法務省に調査・公表を求めた。
また、議連によると、家事審判に国は参加しておらず、違憲になれば各種法制度に大きな影響を与えかねない。
そのため、利害関係人として戸籍制度を所管する法務省などの参加も要請した。
議連はLGBTなど性的少数者への理解増進法の成立に伴い、2023年6月下旬に設立された。
国会議員102人、地方議員98人で構成する。

自民議連、性別変更で適合手術要件維持訴え 安易な変更防ぐ
2023/8/30 19:20
https://www.sankei.com/article/20230830-BWA5UJSYRJNF7NXEWI4ODIOKKU/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
は2023年8月30日、党本部で会合を開き、性別を変更する場合は性別適合手術を要件とする現行制度を維持する必要性を確認した。
安易な性別変更が横行することで社会の混乱を防ぐ狙いがある。
性別変更を巡っては性別適合手術を求める現行法の規定の合憲性が裁判で争われており、議連は近く声明をまとめる。
「自分さえ思えば性別変更ができかねない」
「大きな社会の混乱になる」
議連の共同代表を務める山谷えり子元拉致問題担当相は会合でこう語り、現行制度の維持を訴えた。
性同一性障害特例法は性変更の審判を申し立てる要件に、
▽18歳以上
▽結婚していない
▽未成年の子供がいない
▽生殖の機能がない
▽身体的特徴が似ている
の5項目を挙げており、規定を満たすには、性別適合手術を受ける必要がある。
ただ、一部のLGBT団体や日本学術会議は手術要件の撤廃を求めている。
性的少数者に関する法整備を提言する
「LGBT法連合会」
は同法の要件について、
「人権侵害の懸念が極めて強い手術要件を中心に撤廃すべきだ」
と主張する。
手術を必要とする法律の規定が合憲かどうかは家事審判でも争われており、2023年9月27日には最高裁大法廷で弁論が行われる。
自民議連の会合ではLGBTの当事者らにヒアリングを行い、手術要件撤廃に否定的な意見が相次いだ。
性別適合手術を経て、戸籍上の女性となった
「性同一性障害特例法を守る会」
の美山みどり代表は、
「自身の性的機能に嫌悪感を持ち、医学的な救いとして手術した」
「手術要件は(女性として)社会に信頼されるためだ」
「要件の撤廃は認められない」
と主張した。
バイセクシャルを公言する作家の森奈津子氏は
「LGBT活動家は性別適合手術を断種(強制不妊手術)で人権侵害と主張するが、LGBT当事者は賛同していない」
「活動家は当事者の代表ではない」
と強調。
過剰な性教育に否定的な立場を取る
「子どもたちの未来を繋ぐお母さん連合会」
の山崎恵共同代表は
「手術することなく戸籍を変更すると、体が男性のままの母親が生まれてしまう」
として、授乳室などを共有することを懸念した。
議連共同代表の片山さつき元地方創生担当相は記者団に、手術要件に関し、
「身体的特徴が分からなくなれば(女性更衣室などの)女性スペースの立ち入りについても判断ができなくなる」
と語った。
会合では、自身の性に違和感を覚える子供に対し、性転換を図るホルモン治療や外科手術を受けさせてしまうことを問題視する意見も出た。

自民議連、性別変更で適合手術要件維持訴え 安易な変更防ぐ
2023/8/30 19:20
https://www.sankei.com/article/20230830-BWA5UJSYRJNF7NXEWI4ODIOKKU/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
は30日、党本部で会合を開き、性別を変更する場合は性別適合手術を要件とする現行制度を維持する必要性を確認した。
安易な性別変更が横行することで社会の混乱を防ぐ狙いがある。
性別変更を巡っては性別適合手術を求める現行法の規定の合憲性が裁判で争われており、議連は近く声明をまとめる。
「自分さえ思えば性別変更ができかねない。大きな社会の混乱になる」
議連の共同代表を務める山谷えり子元拉致問題担当相は会合でこう語り、現行制度の維持を訴えた。
性同一性障害特例法は性変更の審判を申し立てる要件に、
▽18歳以上
▽結婚していない
▽未成年の子供がいない
▽生殖の機能がない
▽身体的特徴が似ている
の5項目を挙げており、規定を満たすには、性別適合手術を受ける必要がある。
ただ、一部のLGBT団体や日本学術会議は手術要件の撤廃を求めている。
性的少数者に関する法整備を提言する
「LGBT法連合会」
は同法の要件について、
「人権侵害の懸念が極めて強い手術要件を中心に撤廃すべきだ」
と主張する。
手術を必要とする法律の規定が合憲かどうかは家事審判でも争われており、2023年9月27日には最高裁大法廷で弁論が行われる。
自民議連の会合ではLGBTの当事者らにヒアリングを行い、手術要件撤廃に否定的な意見が相次いだ。
性別適合手術を経て、戸籍上の女性となった
「性同一性障害特例法を守る会」
の美山みどり代表は、
「自身の性的機能に嫌悪感を持ち、医学的な救いとして手術した」
「手術要件は(女性として)社会に信頼されるためだ」
「要件の撤廃は認められない」
と主張した。
バイセクシャルを公言する作家の森奈津子氏は
「LGBT活動家は性別適合手術を断種(強制不妊手術)で人権侵害と主張するが、LGBT当事者は賛同していない」
「活動家は当事者の代表ではない」
と強調。
過剰な性教育に否定的な立場をとる
「子どもたちの未来を繋(つな)ぐお母さん連合会」
の山崎恵共同代表は
「手術することなく戸籍を変更すると、体が男性のままの母親が生まれてしまう」
として、授乳室などを共有することを懸念した。
議連共同代表の片山さつき元地方創生担当相は記者団に、手術要件に関し、
「身体的特徴が分からなくなれば(女性更衣室などの)女性スペースの立ち入りについても判断ができなくなる」
と語った。
会合では、自身の性に違和感を覚える子供に対し、性転換を図るホルモン治療や外科手術を受けさせてしまうことを問題視する意見も出た。

LGBT法で岩盤支持層離反か 自民党支持率下落
2023/7/25 19:56
https://www.sankei.com/article/20230725-OVLJTPTN2BOH7FONWO4NJ3MGYA/
報道各社の世論調査で自民党の政党支持率が落ち込んでいる。
マイナンバーカードを巡る混乱などだけでなく、先の国会で成立したLGBTなど性的少数者への理解増進法の影響で
「岩盤保守層」
の離反を招いたとの見方が根強い。
日本維新の会が保守色をアピールして勢力を伸ばす中、自民内で保守層の支持離れへの警戒感が高まっている。
「自民党の支持率が下がっているというより、『支持政党なし』が増えているのが全体の結果ではないか」。
自民の茂木敏充幹事長は2023年7月25日の記者会見で、世論調査について聞かれ、こう述べるにとどめた。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2023年7月15、16両日に実施した合同世論調査で、自民の支持率は31.4%と前月から2.8ポイント下落。
岸田文雄政権としては2023年1月の31.4%に並ぶ最も低い水準となった。
朝日新聞や毎日新聞が2023年7月行った調査でも30%を割り込んでいる。
こうした状況に党内から
「LGBT法によって岩盤保守層が剥がれた」(党3役経験者)
と危惧する声が挙がる。
野党・国民民主党の玉城雄一郎代表も2023年7月18日の記者会見で、自民の支持率低下の理由について、
「LGBT法の影響も岩盤支持層に対してはあったのではないか」
と指摘した。
同法を巡っては、保守層を中心に、急進的なLGBT教育が導入されたり、トランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)による女性用トイレや更衣室などの利用に道を開いたとの懸念が広がった。
自民内には、LGBTへの法的な権利保障を求める声が国内外で高まる中、性的少数者との共生を法律で強調することで、急進的な法整備を求める立憲民主党などの野党を抑制する狙いもあった。
だが成立を急いだ結果、保守層に不信感を生んだと見られる。
2023年7月25日には推進派で作る超党派の
「LGBTに関する課題を考える議員連盟」
の総会が開かれ、会長を務める自民の岩谷毅元防衛相は同法成立を
「大きな一歩だった」
と評価した。
だが、出席した自民議員は10人に満たなかった。
一方、保守層の懸念の払拭に努める形で2023年6月下旬に設立された自民の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
の加入者は中堅・若手を中心に100人に達している。
議連幹部は
「地方では自民の得票が減り、維新に流れている」
「中堅の保守系議員が首相を支えないといけない」
と危機感を滲ませる。

「自民女性を守る議連」100人突破、全メンバー 専用スペース「生来の女性に」
2023/7/20 18:31
https://www.sankei.com/article/20230720-XRFN6XUMKBOUDDUOTX3UTMKOUM/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
は2023年7月20日までに所属人数が100人となったことを明らかにした。
議連はLGBTなど性的少数者への理解増進法の成立に伴い2023年6月下旬に設立された。
トイレや更衣室など「女性専用スペース」の利用や女性競技スポーツへの参加は生来の女性に限るための措置に取り組む。
メンバーは以下の通り

■共同代表
橋本聖子、山谷えり子、片山さつき
■顧問
塩谷立、下村博文、西村康稔、世耕弘成、山東昭子
■副代表
桜田義孝、渡辺博道、柴山昌彦、堀内詔子、山下貴司、衛藤晟一、有村治子、松山政司、野上浩太郎、猪口邦子
■幹事長及び代行今後選任予定
・幹事長代理
木原誠二、木原稔、赤間二郎、城内実、関芳弘、高鳥修一、牧原秀樹、山本朋広、高階恵美子、中西健治、西田昌司、牧野京夫、赤池誠章、上野通子、三原じゅん子、中田宏
・副幹事長
井上貴博、石川昭政、今枝宗一郎、小田原潔、神田憲次、黄川田仁志、工藤彰三、国場幸之助、武村展英、中村裕之、根本幸典、藤井比早之、藤丸敏、細田健一、三ツ林裕巳、宮沢博行、務台俊介、簗和生、山田賢司、山田美樹、青山周平、谷川とむ、杉田水脈、高木宏寿、中川郁子、高木啓、西田昭二、畦元将吾、深沢陽一、石橋林太郎、石原正敬、尾崎正直、勝目康、小森卓郎、鈴木英敬、中野英幸、長谷川淳二、平沼正二郎、松本尚、山本左近、吉田真次、山田宏、石井正弘、大野泰正、太田房江、北村経夫、滝波宏文、馬場成志、堀井厳、吉川有美、和田政宗、今井絵理子、小野田紀美、小鑓隆史、船橋利実、松川るい、加田裕之、高橋はるみ、生稲晃子、臼井正一、小林一大、田中昌史、広瀬めぐみ、山本佐知子、吉井章、若林洋平(敬称略)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/330.html#c36

[政治・選挙・NHK296] 自民・進次郎氏が政策活動費「公開方法工夫支出」で悪あがき…グダグダ居直り答弁で野党からフルボッコ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
24. 秘密のアッコちゃん[1186] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月19日 22:53:20 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[624]
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浴場利用は男女を「身体的特徴」で区別 自民保守系議連が法案策定 来年の国会提出目指す
2024/12/19 20:07
https://www.sankei.com/article/20241219-PFPWRTYKWZJNPN6XNCXOJEWKVY/
自民党の保守系議員らで作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
は2024年12月19日、国会内で総会を開き、公衆浴場などの利用について男女を
「身体的特徴」
で区別すると定める法律の条文案を了承した。
来年2025年の通常国会での提出を目指す。
戸籍上の性別変更に関する性同一性障害特例法の生殖能力要件を違憲とした昨年2023年10月の最高裁決定を受け、議連は、悪意を持って性別変更を装う成り済ましへの対応策の検討を進めていた。
条文案は、衣服を着けない状態で不特定多数が利用する施設で、女性が安全かつ安心して利用できる環境を確保すると明記。
公衆浴場や旅館、ホテルの共同浴室では
「男女は身体的特徴により区別される」
と定めた。
不特定多数の人が利用し、性別で区分する施設に関して、女性が安心して使えるよう構造、設備上の対策や巡回などを管理者の努力義務として規定した。

「女性スペースの安全・安心確保法案」自民・女性守る議連が了承 来年通常国会提出目指す
2024/12/19 19:01
https://www.sankei.com/article/20241219-ZG6DQX52LBDC3IQL3WD32VRU6Y/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
は2024年12月19日、国会内で会合を開き、公共施設管理者に女性トイレなどでの安心・安全の確保策を求める
「女性専用スペースで女性の安全と安心を確保する法案」
を了承した。
党内審査を経て、来年2025年1月召集の通常国会への提出を目指す。
公共施設のトイレや更衣室、浴室など衣服を脱いで利用する女性専用スペースについて、施設管理者に対し、女性の安全・安心を確保するため、施設の構造や設備に関わる対策、巡回、利用者の範囲に関する周知など必要な措置を講じるよう求めた。
行政機関には管理者向け指針の策定や情報提供などを要請した。
公衆浴場や旅館の共同浴室については、男女別の利用に関する措置を講じるよう求めた。
この場合の男女は身体的な特徴により区別されるものとした。
議連共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は、
「同じように女性の安心安全(確保の必要性)を考える人が各党にいる」
「大きな希望をもって当事者らと歩んでいく」
と語った。
昨年2023年6月に施行されたLGBTなど性的少数者への理解増進法を巡ってはトランスジェンダー女性に女性専用スペースの利用に道を開きかねないといった懸念が出ており、片山氏は懸念解消のため同議連を設立。
今回で10回目の会合となる。

「女性スペースは身体的特徴で」法案の要綱全文 自民・女性を守る議連
2024/9/5 11:51
https://www.sankei.com/article/20240905-RVPMLVTZMNHXDIZF26NHZ66S64/
公衆浴場や旅館の共同浴室の利用について男女は身体的な特徴で区別すると定めた自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
がまとめた議員立法の法案要綱は以下の通り。
議連は法案要綱を党総裁選(2024年9月12日告示、2024年9月27日投開票)の候補者に提示し、政策への反映を求めていく。

男女別で利用が区別される施設における女性の安全・安心の確保の促進に関する法律案 (仮称) 要綱
第一 趣旨
この法律は、性的な被害の多くが、身体的な面において相対的に弱い立場にある女性に生じていることを踏まえ、男女別で利用が区別される施設を女性が安全にかつ安心して利用することができる環境の確保(以下「女性の安全・安心の確保」)を図ることの必要性にかんがみ、公衆浴場および旅館業の共同浴室に係る男女別の利用に関する措置その他女性の安全・安心の確保の促進に関する措置について定めるものとすること
※「男女別で利用が区別される施設」とは、公衆浴場、旅館業の共同浴室その他第三の1の「特定施設」をいう
第二 公衆浴場および旅館業の共同浴室に係る男女別の利用に関する措置
1 公衆浴場法第1条第1項に規定する公衆浴場(第三の2(1)において同じ) については、同法第3条第1項の措置として、公衆浴場の利用の態様などに応じ、 男女別の利用に関する措置が講ぜられるものとすること
2 旅館業法第2条第1項に規定する旅館業の施設に設けられる共同浴室については、同法第4条第1項の措置として、当該共同浴室の利用の態様などに応じ、 男女別の利用に関する措置が講ぜられるものとすること
3 1および2の措置における男女は、身体的な特徴により区別されるものとすること
第三 その他の女性の安全・安心の確保の促進に関する措置
1 施設の管理者による措置
男女別で利用が区別されている場合における女性用の施設(便所その他通常衣服を着けないで利用される個室状の施設にあっては、男女共用とされているものを含む)で、不特定又は多数の者により利用されるもの(以下「特定施設」)の管理者は、当該施設において女性の安全・安心の確保が図られることとなるよう、構造又は設備に係る対策、巡回、利用者の範囲に関する周知その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと
2 指針の策定など
(1) 特定施設のうち、通常衣服を着けないで共同して利用される施設で、公衆浴場、事業者がその使用する者のために設置する更衣室その他法令上に定めがあるものについては、関係各大臣は、事業者が1により講ずる措置に関する指針を定めるものとすること
(2) (1)に定めるもののほか、国の関係機関は、事業者が1により講ずる措置の円滑な実施を促進するため、事業者に対し、情報の提供、相談、助言その他の必要な措置を講ずるものとすること
第四 施行期日
この法律は、・・・から施行すること(原文ママ)
【参考】公衆浴場法
第3条
1 営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保湿および清潔その他入浴者の衛生および風紀に必要な措置を講じなければならない
2 前項の措置の基準については、都道府県が条例で、これを定める
【参考】旅館業法
第4条
1 営業者は、旅館業の施設について、換気、採光、照明、防湿および清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならない
2 前項の措置の基準については、都道府県が条例で、これを定める。(以下略)

公衆浴場の利用は身体的特徴で男女区別を 自民「女性守る議連」が法案まとめる
2024/9/3 18:06
https://www.sankei.com/article/20240903-X4VKI6C3ZVMTBBJ2KTCMS2GG74/
自民党の保守系議員らで作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
は、公衆浴場の利用について、男女を身体的特徴で区別すると定めた法案をまとめた。
関係者が2024年9月3日明らかにした。
2024年9月4日の議連会合に諮る。
党総裁選の候補に配布し、論点としたい考えだ。
2023年6月のLGBTなど性的少数者への理解増進法成立を受け、悪意を持って女性を自認していると称し女性用トイレや公衆浴場を使うケースが出かねないとの懸念が背景にある。
ただ政府は既に同趣旨の通知を自治体に出しており、法制化の必要性に疑問の声も上がりそうだ。
法案は、性的被害の多くが弱い立場の女性に生じているとして、男女別で利用が区分される施設に関し
「女性が安心して利用できる環境の確保」
が必要だと説明。
公衆浴場や旅館、ホテルの共同浴室は
「男女は、身体的な特徴により区別されるものとする」
と定めた。

自民・松山政司参院幹事長「より良い結論得るよう努力」 性別変更で「外観要件」違憲疑い
2024/7/10 18:03
https://www.sankei.com/article/20240710-KMM7VCCE5VKW3FUXOGGS4YQSWM/
自民党の松山政司参院幹事長は2024年7月10日、戸籍上の性別変更に当たり性同一性障害特例法の外観要件を憲法違反の疑いがあるとした広島高裁決定を受け、法改正に関し
「より良い結論が得られるよう真摯に努力していきたい」
と述べた。
福岡市で記者団の取材に応じた。
保守系議員からは、要件削除に慎重な意見が出た。
保守系有志で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
のメンバーである柴山昌彦政調会長代理は取材に
「外観要件は違憲の疑いが濃いと言っているだけなので、立法府を拘束するものではない」
と指摘。
「生殖能力要件や外観要件を削除という乱暴な議論はすべきではない」
と慎重な対応を求めた。
公明党の谷合正明参院幹事長は取材に、生殖能力要件を違憲とした2023年10月の最高裁判決を踏まえ
「今回の判断は想定されたことだ」
と受け止めた。
秋の臨時国会での法改正に向けて
「自民に更に促していく」
と語った。

女性スペースの利用は「身体的特徴で判断」 自民議連、女性の安全・安心確保法整備へ
2024/6/14 10:39
https://www.sankei.com/article/20240614-S3OEC6PK5BFE3GI7WIDMLRHU3I/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
が、公衆浴場や旅館・ホテルの共同浴室など女性スペースを利用する際は男女の取り扱いを
「心の性」
ではなく
「身体的な特徴」
で区別する議員立法の法案骨子を策定した。
性別適合手術などを経ずに男性器を備えた
「法的女性」
が誕生した場合に備え、性自認は女性だと主張する性犯罪目的の元男性が女性スペースで性加害行為を働く余地を狭める狙いがある。
■各党の賛同を求めて立法化
骨子では公衆トイレを含め、不特定多数の利用者が性別で区別される施設(特定施設)について、管理者に女性の安全・安心を確保するために必要な施設構造の変更や照明設備・警報装置の設置、警備の実施などハード・ソフト両面で努力義務を課した。
議連は各党の賛同を求めつつ条文化し、2024年秋の臨時国会で提出を目指す。
施設側は身体的な特徴の性をもって男女を判断し、性別適合手術などを経ずに男性器を備えた
「法的女性」
らの利用を断ることができる根拠となる。
これまでも公衆浴場での男女の取り扱いに関して、厚生労働省は
「身体的な特徴をもって判断する」
と通知を出している。
その方針を改めて法律に明記する形となる。
女性スペースの安全確保の徹底を図る背景には、性別適合手術を経ないで戸籍上の性別を変更できる可能性が高まっていることがある。
性同一性障害特例法が求めている生殖機能の喪失を要件とした規定は、2023年10月の最高裁で憲法違反と判断された。
変更後の性別の性器に似た外観を備えている外観要件についても憲法適合性の審理が2審に差し戻されている。
■「被害比率の高い方を守る」
一方、性別適合手術を経ないトランスジェンダー女性(生まれた時の性別は男性、性自認は女性)は女性スペースを利用する権利を侵害されることになる。
骨子をまとめた2024年6月13日の会合後、議連の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は記者団に
「(施設管理者の)注意義務が上がるから(女性や女児の)安心・安全性は高まると思う」
と語った上で、
「(手術要件が撤廃され)社会問題化した場合に備えて、我々は身体的要件で判断するという答えを出した」
「平等に競争している社会の中では一定のルールが必要で、やはり弱い方、被害比率の高い方を守るというのが鉄則だ」
と強調した。
海外でトランスジェンダー女性が女性スペース内で女性に性的暴行を加えた事例が確認されていることから、
「女性のスペースをきちんと管理して守るというのが必要な時代になっている」
と指摘した。

性別変更「10年以上の治療と他性別の生活」手術要件撤廃に備え、自民女性守る議連が提言
2024/4/15 14:26
https://www.sankei.com/article/20240415-IPIQTUL4ZJA3DAF25FI7652XZI/
自民党有志の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
が性同一性障害特例法が定める性別変更する上での要件厳格化を求める提言をまとめ、党政務調査会の特命委員会に2024年4月9日、提出した。
提言は10年以上継続して性同一性障害の治療を受け、他の性別で社会生活を営んでいるという要件の追加を求めた。
女性の生殖機能を持った
「法的男性」
が出産する場合などに備え、民法上の親子関係を整理する必要性にも言及した。
■法的男性が妊娠した場合、戸籍は女性に
特例法は性別変更する上で生殖機能の喪失を求める要件があるが、最高裁大法廷は2023年10月、これを憲法違反と判断した。
法改正が迫られているが、要件を撤廃すれば、性同一性障害を抱える人々と女性へのなりすましなどの見極めが困難になるとも指摘されている。
提言は
「一定期間(10年以上)継続して一定の治療を受け、かつ、一定期間(10年以上)継続して他の性別で社会生活を営んでいると認められること」
を新たに要件に盛り込んだ。
カナダや英国では、刑務所や留置場などで、女性に性別変更した元男性による女性への性犯罪が発生している。
これを踏まえ、提言では
「収容施設などにおいては、生物学上の性別に基づき区別して収容される」
ことを求めた。
性別変更する上で、子供と接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する
「日本版DBS」
創設法案に盛り込まれた、就業を制限する
「特定性犯罪」
の前科がないという要件も追加した。
女性の生殖機能を持ったままの
「法的男性」
が妊娠・出産した場合は、戸籍を女性に戻すとの条文の追加についても、検討を求めた。
提言は
「『なりすましによって生じた性的被害への国家賠償』
『女性生殖機能が残っているので妊娠・出産してしまった戸籍上男性が母親になることの社会的混乱』
という、現在までには、ほぼあり得なかったケースがあり得ることになる」
と指摘。
「女性たちの安心と安全を1ミリたりとも危うくしない」
と強調し、リスクの排除を訴えた。
■「診断の判断があやふやに」
平成15年に成立した特例法は、性別を変更するために複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で
@18歳以上
A未婚
B未成年の子がいない
C生殖不能
D変更後の性別の性器に似た外観を備えている
の要件を定めている。
2023年10月、最高裁大法廷は生殖不能要件を違憲と判断し、Dの
「外観要件」
について憲法適合性の審理を広島高裁に差し戻した。
CとDを合わせて
「手術要件」
と言われる。
特例法は性同一性障害者について
「他の性別であるとの持続的な確信を持ち、身体的および社会的に他の性別に適合させる意思を有する者」
と定義する。
ただ、手術要件が撤廃された場合、客観的な基準がなくなり、衝動的に元の性別による性行動に出る場合も含め、
「なりすまし」
が排除しきれないとの懸念もある。
性同一性障害を訴える患者を数多く診断してきた精神科医の針間克己氏は2024年4月9日、特命委の会合に出席後、
「手術要件がなくなると(性同一性障害者の)定義に一致するかどうかの判断が非常にあやふやになってしまう」
「診断が難しくなるので何らかの基準を設けたほうがいい」
と産経新聞などの取材に語った。

最高裁が嵌った「性自認至上主義」
正論2024年1月号 弁護士 滝本太郎
2023年10月25日の最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)の決定には驚かされた。
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下特例法)
に定められた性別変更の要件についての憲法判断で最高裁は、申立人(男性から女性への変更)の訴えにあった特例法3条4号
「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること(生殖機能喪失要件)」
について
「違憲」
と判断してしまった。
更に同法3条5号
「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること(外観要件)」
について、高裁段階で審理が尽くされていないとして、自らの判断を示さぬまま広島高裁に差し戻したのだ。
4号の生殖機能喪失要件が、憲法13条に定めた幸福追求権に反し違憲としたのは、15人全員だった。
三浦守、草野耕一、宇賀克也の3人の裁判官は、5号の外観要件についても差し戻しをせずに違憲だと判断すべきだとしてその意味での反対意見を示した。
残る12人は5号要件の憲法判断を回避した。
最高裁は憲法判断から逃げたのである。
最高裁によるとんでもない暴走である。
女性の権利を劣後させ、余りに矮小化している。
女性が差別され、不利益を被るのは、性別(SEX)を根拠としているという歴史的事実を無視して、つまりは男性の身勝手、女性の侮蔑、差別主義である
「性自認至上主義」
に侵された最高裁になってしまったということである。
「性自認至上主義」
をひた走った先進国では相次いで、女性の安心・安全が害され、脅かされている。
深刻な事態を招いた結果、その反省に立って正常化に舵を切ろうとしながらも、苦労しているイギリスの実態などについて、決定文では何の言及もなかった。
男性として思春期を幾分でも経験した者は女子スポーツ選手権への参加資格はないとした国際水泳連盟や世界陸連の判断なども決定文では一顧だにされていない。
15人の裁判官は何も知らないのだろうか。
不勉強極まると言う外ない。
決定文から読み取れることは、
「性自認は他者の権利法益より優先すべきである」
とする
「性自認至上主義」
に基づく論理展開ばかりなのだ。
私は本誌2023年12月号で、本決定について4つの可能性があると予測した。
第1は
「違憲であり性別変更を認める」
第2は
「違憲状態だ、国会は法を改正せよ」
第3は
「永続的に生殖腺の機能を欠いているなどとして変更を認め、違憲かどうかの判断は回避する」
第4は
「2019年1月の判例と同様、法的性別の変更を認めない、いわゆる手術要件は合憲である」
である。
まさか、4号と5号を分け、4号だけを違憲とし、5号については差し戻しをするとは思わなかった。
仮に広島高裁で5号を違憲として性別変更を認めたならば、最高裁への上訴はなく、高裁決定で確定し、実に不安定なままとなる。
高裁で5号を違憲とせずに
「ホルモン療法で陰茎が小さくなる、などしていれば陰茎ではない」
などと無理に評価し、法的性別の変更を認めてしまう手法を取れば、それが独り歩きしてしまうだろう。
そもそも最高裁は、法律の違憲判断をするかどうかという重大局面なのだから、国(法務省)に家事事件手続法と法務大臣権限法に基づき、利害関係人として参加してもらうべきだった。
最高裁にとって影響が大き過ぎて責任を負えないのならば、法務省に参加を打診すれば良かったのである。
法務省は決定後の2023年11月9日、自民党の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(女性を守る議連)

「通例は裁判所から要請があって参加する」
と説明するなどこれまた逃げを打っていた。
議連も私どもも法務省(国)宛てに参加を要請し続けたのに、法務省も参加申し出をしないままだった。
挙げ句の4号違憲判決であり、5号は高等裁判所に差し戻して違憲となってしまう可能性がある。
行政の長である首相らに政治責任があると思われる。
差し戻し審があるのだから今からでも参加すべきだろう。
■性別変えず支障なき社会を
決定文には、生殖能力喪失要件について
「2014年に世界保健機関等が反対する共同声明を発し、また2017年には欧州人権裁判所が欧州人権条約に違反する旨の判決をした」
などとあった。
申立人側の主張そのままであろう。
死刑制度について国際的に批判を浴びても世論動向などを踏まえながら決して違憲判決を下さないのが日本ではなかったのか。
性別変更は死刑問題よりも格段に国民生活に影響を与える問題であるにもかかわらず、最高裁が暴走してしまった。
決定文には
「性同一性障害者がその性自認にしたがって法令上の性別の取り扱いを受けることは・・・個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益である」
とあったが、だからと言って制度である
「法的性別」
を歪ませて良い理由になどならないではないか。
「本件規定がなかったとしても、生殖腺除去手術を受けずに性別変更を受けた者が子をもうけることにより親子関係等に関わる問題が生ずることは、極めてまれであると考えられる」
ともあった。
従前から女性という性自認を持ちながら父となった方も相応に居るのだから、生殖腺を失わずに性別変更ができるのであれば
「父である女」
が続々と出現するだろう。
メディアでも報道されているが、乳房切除までしたが、パートナーとの間に子を設けた例もある。
性別変更が認められれば
「母である男」
となる。
決して稀なことではなかろう。
「そもそも平成20年改正により、成年の子がいる性同一性障害者が性別変更審判を受けた場合には、『女である父』や『男である母』の存在が肯認されることとなった」
ともある。
しかし、平成20年の改正では未成年の子がいる場合は、法的性別は変更できないままだった。
子の出生時点で
「出産した母だが男だ」
「父だが生物学的な女だ」
という事態を招くこととは局面も意味合いも全く異なる。
「強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受するか、又は性自認に従った法令上の取扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を受けることを断念するかという過酷な二者択一」
という記述も変だ。
手術は身体違和がきついから、自分の意思でするのであり、決して断種手術ではない。
むしろそれまで手術を受けて性別変更してきた人たちにとっては戸籍や身分証明上の性別と身体とが一致しているからこそ信頼が得られていたのだ。
それが失われるデメリットを考えなかったのだろうか。
まして精巣の除去は卵巣や子宮の除去に比較して実に容易である。
身体違和がさほどきつくなく、精巣の除去を含めて性別適合手術を必要としない方は、法的性別を変更しなければよいのである。
精巣と陰嚢を持ったままに、書類上である法的性別を女性に変更することが、どうして
「人格的存在と結びついた重要な法的利益」
と言えるのか。
生殖腺機能喪失要件が
「過酷な二者択一」
と言えるのか。
法的性別など変更でずとも、生活に差し支えない社会を作ることこそが重要ではないのか。
女性だと認識し、いわゆる女性装を日々する人も、排泄は認識からではなく、身体からするのだから男子トイレに入ることも相応にある。
その際に時に男性から揶揄され、時に暴力を受けることがある。
それこそが排除であり、差別であろう。
法的性別を変更して女性トイレを利用する権限があるなどとする前に、男子トイレで男性からの揶揄・暴力のない状態にすること、就職差別などないようにすることが重要な人権ではないのか。
4号の生殖腺機能喪失要件、そして5号の外観要件が外れれば、文字通り
「男性器ある女性」
が続々と登場する、その先には
「性同一性障害」
ではなく、ジェンダーアイデンティティ(性同一性・性自認)に基づく法的性別の変更は決定文中1人の裁判官が何度も言及した。
ドイツにおける性自認至上主義の如く、裁判所の関与さえないままに法的性別が変更できる方向となっていくだろう。
性犯罪目的の男や、女性を侮蔑・差別したく、その専用スペースを侵害することで喜びを得ようとする一部の男は、何としても診断書を取り、法的性別を女性に変更するよう努力するだろう。
週刊新潮2023年11月9日号には、診断が取りやすいことで有名な医師が登場し、
「そもそも性自認は当人がどう感じるかだけ」
「医者が決めることがおかしい」
「医師はウソ発見器じゃないですから、本人の言っていることをそのまま聞く。それが基本」
などと述べている。
法律を違憲とすることは法の形成過程の1つで、今回の最高裁決定は、まさに性自認至上主義を大きく伸展させる法律の登場に繋がるものだ。
先行する国々では混乱が多々あるのに、日本に周回遅れでこれに従えとするもので全く異常である。
岡正晶裁判官は補足意見で、立法府の対応について
「(4号要件の)目的を達成するために、より制限的でない新たな要件を設けることや(中略)社会一般の受け止め方との調整を図りつつ、特例法のその他の要件も含めた法改正」
「立法府に与えられた立法政策上の裁量権に全面的に委ねられている」
と述べている。
確かにこれは立法府が定めるべきことである。
3人の裁判官は、5号外観要件も違憲だからこの際、決断すべきとしたが本来、4号、5号とも立法府の広い裁量に委ねられていると言うべきだろう。
見解を異にする方もいると思うが、婚姻時の選択的夫婦別姓を導入していないことについては、憲法には両性の合意のみで婚姻できるとしているのに、最高裁は未だ立法裁量の問題としている。
多くの女性らが不便を被っている案件でその状況なのである。
「手術をしたくないならば法的性別を変えなければ良い」
だけの話なのに、どうして
「日々、トイレや風呂で見る身体違和には耐えられるが、書類上の性別の食い違いには耐えられない」
といった、率直に言って不可思議な権利主張を、そこまで保障しなければならないのか。
先程、最高裁は逃げたと述べた。
これは言い換えれば、最高裁は
「陰茎のある法的女性を出現させて良いか」
について判断するという、負わされた責任から逃げたという意味である。
最高裁から責任を押し付けられた広島高裁は国会の動向を待って判断すべきであろう。
決して2023年中とか2023年年度内に結論を出そうなどと、司法の傲慢に陥ってはならない。
■要件の再構築を求める
左派野党と公明党は、この最高裁決定を受けて早速に法改正を言い出し、立憲民主党は4号、5号要件の削除、また3号にある
「未成年の子が居る場合は変更を認めない」
という要件も削除するという案を言い出している。
一体、
「陰茎がある法的女性」
が出現することや
「他の性別に変わったものと見做す」
ことの重さをどう考えているのだろう。
「どこでも女性として遇せよ」
という法規範が成立した場合の女性スペースの混乱をどう考えているのだろうか。
私が世話人をしている
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」(以下連絡会)
では、議論を重ね、
「女性スペースに関する法律案」

「女子スポーツに関する法律案」
を2023年11月14日に公表し各党に送付した。
2023年の
「LGBT理解増進法」
の制定論議の際、合わせて作ってほしいと作ったものを更新し、特例法の改正案を加えた。
特例法3条の4号と5号の要件は削除するが、新たな4号として
「男性から女性への性別の取り扱いの変更を請求する場合は、陰茎を残していないこと」
と入れるものである。
「女性から男性へ」
と性別変更する場合には要件がないので、比較すると一見不平等に見えるかもしれない。
だがこれは合理的で差別にはならない。
圧倒的多数の性犯罪は陰茎のある者による。
単に要件を削除するだけでは、性犯罪目的の者まで次々と法的女性になろうとする蓋然性がある。
また陰茎という外観上からして明白に男性である者が法的女性となって女性らに不安感・恐怖感を持たせるのは避けるべき強い必要があるからである。
その恐怖は合理的なものであり、決して
「研修」
により消し去れる類のものではない。
女性スペースに関する法律案は、
「女性」
の定義を
「生物学的女性のうち、特例法に基づいて性別を男性と見做されていない者、そして女性と見做された者のうち陰茎を残していない者」
とする。
仮に5号外観要件が削除された特例法により
「陰茎がある法的女性」
となっても、この法律の上では
「法的女性」
とはしない。
特例法4条では
「法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす」
としており、他の法律による異なった対応を許容しているのである。
今の浴場を男女別にすることについては、理解増進法が成立後の2023年6月23日に通達が出ており、それは
「身体的な特徴による」
とある。
これは主に陰茎の有無の趣旨であろう。
法律案は通達を法律に格上げし、かつ女子トイレ、更衣室等の女性スペースの全体を対象とするものだ。
性自認に重きを置いて考える性自認至上主義の立場であれば、
「トランス女性は女性」
となって
「女子トイレの利用公認を」
となるだろう。
ここが最初から最後まで闘いの焦点である。
ただ
「トランス女性は女性である」
と主張する論者らにも、
「女湯については入れないものとする」
と主張する者は多く、事実上
「法的女性」
を一律に扱わないとする合意形成は可能であろう。
だから、理を尽くして女子トイレの安心安全の確保のためには、陰茎がある限り利用を公認できないことを説得していくこととなる。
また、2023年7月11日の経産省トイレ裁判の最高裁判決も考慮しない訳にはいかない。
そこでは
「特定の女子トイレにつき、管理者が当該女子トイレを通例利用する女性の意向を尊重かつ十分聴取した上で、特定人の入場を別途許容し、その趣旨を女性スペースに明示する場合はこの限りではない」
と対応する外ない。
女子スポーツに関する法律では、2022年6月の世界水泳連盟、2023年3月の世界陸連の方針を踏襲する。
男としての思春期を経験した者は、その後、陰茎があってもなくても、女子スポーツ選手権への参加資格がないとするものである。
ただ、ルールは各団体の自治で定められるものである。
公的資金の援助や後援などに限ったルールとなる。
連絡会は、社会全般に対して10項目に及ぶ要望を2023年10月30日の声明と共に示した。
今後、どうすべきかという点で重要なのでこれを最後に紹介したい。
第1に、政府各省庁が、様々な調査をすることだ。
性自認や性別変更を巡って先行した国々のここ数年間の状況と動向、トイレ、共同浴場などにおけるトラブル・刑事事件の調査、性同一性障害の診断の実態と信頼性に関する調査、法的性別を変更した人のその後の調査などである。
第2にメディアには、性同一性障害はトランスジェンダーのうち15.8%に過ぎないのだから、混同して議論することを厳に慎み、国民に様々な見解・情報を伝えるよう求めたい。
第3に、国民は先入観に捉われることなく、自らの意見形成に努めてほしいと願う。論者による議論を拒否する姿勢のまやかしを知ってほしいし、自由な言論空間を確保し合いたい。
第4に、各政党に求めたいことは、当連絡会を含め多くの国民の様々な意見を聴取し、党内で自由に議論して方針を定めてほしい。
第5に、それらの議論にあっては、女性が性別(SEX)によって未だに経済的・社会的に様々な不利益を被っていることを直視されたい。
第6に、国会に求めるのは5号要件が決して違憲判断が下されたものではないからそれも削除すれば良いというものではないことを確認すると共に、様々な調査や国民的に議論した上で新たな要件等を定めてほしい。
第7に、この裁判を差し戻しされた広島高裁は、早期に本件の判断をすべきではなく、様々な調査結果と国民的な議論の行方をよく見極め、国から参加申出があった時は直ちに認めるべきである。
第8に、国はこれからでも法務大臣権限法と家事事件手続法に基づきこの裁判に利害関係人として参加すべきである。
第9に、国民は次の衆議院議員選挙における国民審査において、対象裁判官に罷免の意思を示すべきである。その対象は憲法の規定で10年以内に審査された裁判官を含まないこととなっているが、私は国民からの民主的統制を強めるために、毎回15人を審査できるように憲法を改正すべきと考える。
第10に、内閣は最高裁判官に定年等で欠員が出たならば、このような「性自認至上主義」に嵌っていない方をこそ指名すべきである。私はまた、任命の前に、国会で予定者への質問をする機会を作るべきと考える。
最高裁は今、
「性別」
を蔑ろにして法的性別の概念を弄び、
「性自認至上主義」
により、安易に
「女性」
「男性」
の定義を変更する道を歩み始めてしまった。
司法が暴走した時、それを止めるのは国権の最高機関、国会であり主権者国民である。
「性自認至上主義」
は欧米で猛威を振るい、女性の権利が剥奪されるなど、様々な混乱がもたらされてきた。
その反省から方針を転換、正常化させるべく悪戦苦闘しているイギリスのような例もあるのに、日本は周回遅れでこれから
「性自認至上主義」
に嵌ろうとしている。
何とか止めなければならない。

現実化した「心は女」事件を受け、自民・稲田朋美氏が回答「LGBT理解増進法とは関係ない」 慎重・反対派の対応策は
2023.11/17 11:48
https://www.zakzak.co.jp/article/20231117-P57FMCHY35LKPGG4CZ5ZUCXQYA/
三重県桑名市の温泉施設の女性風呂に
「心は女」
と主張する男が侵入した事件が波紋を呼んでいる。
多数の慎重・反対論を押し切り2023年6月に施行したLGBT理解増進法については、
「性自認は女性」
と主張する男性が女性スペースに入り込み、女性や女児に危険が及ぶリスクが指摘されている。
推進派だった議員は、懸念された事態が現実化したことにどう答えるのか。
慎重・反対派は如何なる対応策を進めるのか。
それぞれに聞いた。
「事案の詳細を承知しませんが、(LGBT)理解増進法とは関係ないようです」
夕刊フジが2023年11月16日、同法制定に積極的だった自民党の稲田朋美衆院議員に事件への受け止めを聞いたところ、稲田氏側は書面でこう回答した。
稲田氏は2023年4月2日、X(旧ツイッター)上で
「心が女性で身体が男性の人が女湯に入るということは起きない」
などと書き込んでいた。
三重県の事件では、男は女装で侵入し、
「心が女なので、なぜ女子風呂に入ってはいけないのか全く理解できない」
と供述しているという。
事件を受け、インターネット上では稲田氏の発信や姿勢に批判が集まっている。
夕刊フジは質問状で
「説明機会を設けるか」
や、
「法整備など今後取り組むべき課題」
についても聞いた。
稲田氏は従来の主張を崩さなかった=回答全文は別稿。
■滝本弁護士『トランス女性』が女性風呂に入りやすい雰囲気になった
女性の安心安全を目指す
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」
の世話役を務める滝本太郎弁護士は
「理解増進法により、性自認が女性で体が男性の『トランス女性』が女性風呂に入りやすい雰囲気になったことは認めざるを得ないのではないか」
「司直も逮捕や起訴に及び腰になったり、身体検査や収監の際に厄介な問題も生じかねない」
「厚労省の管理要領は公衆浴場についてのものだが、今後は女子トイレも課題となる」
「女性スペースを守る法整備が急務になる」
と語った。
■片山氏「女性の不安を取り除く明確な対応策が必要だ」
事件を受け、夕刊フジのインタビューに応じた自民党の片山さつき元地方創生担当相は
「今回のような事例の発生は当然、想定された」
「弱者である女性のスペースを確保する法律、ガイドラインを早急に整備せねばならない」
と強調した。
片山氏は同法成立前、今回のようなリスクに警鐘を鳴らしてきた。
施行後は、自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
を立ち上げ、トイレや更衣室などでの「女性専用スペース」の確保や、女性競技への参加を生来の女性に限るための取り組みを進めている。
最高裁は2023年10月、性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術を受ける必要があるとする法律の要件について、違憲と判断した。
三重の事件のようなケースで警察が難しい判断を迫られる恐れがある。
片山氏は
「LGBT理解増進法の成立後、三重県のような件が増えたとの指摘がある」
「最高裁の判断も社会の認識に影響を与える可能性がある」
「女性の不安を取り除く明確なメッセージ、対応策が必要だ」
と語った。
■稲田朋美衆院議員の回答全文は次の通り。

事案の詳細を承知しませんが、理解増進法とは関係ないようです。
公衆浴場や温泉施設の利用に関して厚労省が管理要領を定めており、男女の判断基準は身体的特徴によるものとすることになっています。
これは理解増進法が制定される前後で全く変更はありませんし、法制定前も後も犯罪であるということをX上などで繰り返し申し上げてきました。
いずれにせよ犯罪行為に対して、引き続き厳正に対応していくことは当然です。

性自認に基づく性別変更制度導入を否定 自民有志の議員連盟が声明「日本にはそぐわない」
2023/11/9 18:53
https://www.sankei.com/article/20231109-YDU7VYTRKZPFLFEKCKNOW64O2A/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
は2023年11月9日、国会内で総会を開き、海外の一部で導入されている、性自認に基づく性別変更を可能とする制度に否定的な声明を取りまとめた。
「心理的な性別だけで性別変更を認める制度は、日本にはそぐわない」
と指摘した。
戸籍上の性別変更の際に生殖能力の喪失を要件にした性同一性障害特例法の規定を憲法違反と判断した最高裁の2023年10月の決定については
「何らかの法改正を行う必要がある」
と明記した。
ただ、生殖不能要件が撤廃されれば、妊娠や出産が可能な戸籍上の男性が登場しかねず、声明は
「現行の多くの法令との整合性が取れない事態に陥らないか」
として関連省庁を挙げた対応を求めた。
法改正の議論では、生殖不能要件撤廃の妥当性や、新たな要件の可否などを検討する方針も示した。
議連の片山さつき共同代表は総会の冒頭、最高裁決定について
「性別の取り扱いの変更と社会一般の受け止めの調整を図り、立法府の責任を発揮していく」
と述べ、議連として対応に力を入れる考えを強調した。

自民・女性守る議連「心理的性別だけで性別変更そぐわない」手術不能要件違憲決定に
2023/11/9 14:50
https://www.sankei.com/article/20231109-FUOKJUBEJJGNPPYJG5PPOVV3C4/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
は2023年11月9日、性自認に基づく性別変更を可能とする
「ジェンダー・セルフ・ID制」
の導入に否定的な声明をまとめた。
「心理的な性別だけで法律上の性別変更を認める制度は、LGBT理解増進法が成立したばかりで理解増進の流れを醸成していく段階にある日本にはそぐわない」
と指摘した。
議連は、最高裁が2023年10月25日に性同一性障害者が性別変更する上で生殖能力の喪失を要件とする性同一性障害特例法の規定を憲法違反と判断したことを受け、国会内で会合を開き、声明をまとめた。
約20人が参加した。
最高裁の決定に伴い、与党内では特例法の改正など対応に当たる必要性が共有されている。
一方、
「生殖不能要件」
が完全に撤廃されれば、妊娠や出産が可能な法的な男性が登場しかねない。
声明も、
「何らかの法改正を行う必要がある」
とした上で、
「現行の多くの法令との整合性が取れない事態に陥ることとならないか、危惧される」
と指摘し、内閣の責任で関連省庁を挙げた法令の調査の必要性を訴えた。
議連の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は会合の冒頭、
「性別の取り扱いの変更と、社会一般の受け止めの調整を図りつつ、立法府に身を置く者の責任をフルに発揮しないといけない」
と強調した。
共同代表の山谷えり子元拉致問題担当相は、
「先行する欧米が修正する混乱に周回遅れで敢えて突っ込み、社会的分断や対立を起こすことにならないかを考えねばならない」
と訴えた。

自民議連幹部「困った判決」 性別変更を巡る最高裁決定で
2023/10/25 20:28
https://www.sankei.com/article/20231025-6UTCMWTJ7JMITKHNCEUDOKGO6Y/
性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術が必要だとする性同一性障害特例法の規定について、最高裁が2023年10月25日、
「違憲」
と判断したことを巡り、自民党内から今後の影響を懸念する声が上がった。
安易な性別変更などに繋がれば、社会が混乱しかねないためだ。
「手術要件」
の堅持を訴えてきた自民有志の議員連盟などは慎重に対応を検討する構えだ。
「困った判決だ」
「戸籍そのものが壊される恐れがある」。
自民党の議員グループ
「日本の尊厳と国益を護る会」
の代表を務める青山繁晴参院議員は2023年10月25日、産経新聞の取材にこう述べ、危機感を隠さなかった。
自民有志で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は2023年10月25日、記者団に対し、
「他の共同代表と相談した上で今後の対応を考えたい」
と述べるにとどめた。
議連は2023年9月、斎藤健法相(当時)に対し、
「手術要件が違憲になれば、(戸籍上)男性になった後に生物学的な母であり得たりと、大きな混乱が生じる」
とする声明を提出した。
議連のヒアリングでは、母親団体の代表者が
「手術することなく戸籍を変更すると、体が男性のままの母親≠ェ生まれてしまう」
として、授乳室を元男性と共有する事態などを懸念。
性別適合手術を経て戸籍上の女性になった性同一性障害の人たちも
「手術要件」
の維持を訴えていた。
そもそも、同法は2003(平成15)年に自民議員が立法化を主導した。
党内の慎重論を抑えるため、手術要件などを盛り込んだ経緯がある。
自民若手は最高裁の決定について
「社会の理解が追い付いていない」
「女性や子供の安全を確保するための対応を考える」
と強調した。
2023年6月に施行されたLGBTなど性的少数者への理解増進法の法案作成に自民特命委員会のアドバイザーなどとして携わった一般社団法人
「LGBT理解増進会」
の繁内幸治代表理事は、産経新聞の取材に
「増進法はゆっくり、じっくりとLGBTへの理解を広げるためだ」
「国民的な議論が不十分なまま、性別という社会倫理を覆すような判決は増進法の理念に合わない」
と指摘した。

美しき勁き国へ
櫻井よしこ 性別訴訟 最高裁を危惧  
2023/10/2 8:00
櫻井 よしこ
https://www.sankei.com/article/20231002-XRBBA2EEWFJD3J2IWP52FF4BBE/
自分は男性として生まれたが本当は女性だと考える性同一性障害の人が戸籍上の性別変更をするのに、生殖能力をなくす手術を要件とした現行法は憲法違反か否かが争われた家事審判の弁論が2023年9月27日、最高裁大法廷で開かれた。
最高裁が性別変更の申し立てで弁論を開いたのも、弁論前日に家事審判で申立人の意見を直接聞く審問を非公開で開いたのも初めてだ。
大法廷は2023年年内にも憲法判断を示すとみられる。
2004(平成16)年施行の性同一性障害特例法(以下特例法)は、戸籍上の性別を変更する前提として、元の性別での生殖機能を永続的に欠く状態であることを含む5つの条件を定めた。
一般的には卵巣や精巣などの摘出手術が必要だとされている。
今回、最高裁が特例法の規定を憲法違反と判断したら、手術なしで本人の性自認で法的性別の変更が可能になる。
男性の生殖機能を持ったままの
「法的女性」
や、
女性の生殖機能を持ったままの
「法的男性」
が出現する。
社会への影響は計り知れず、女性の安心安全は危機に瀕する。
男女の定義変更で親子関係も混乱しかねず、戸籍法も含め国会には法改正の義務が生じてくる。
極めて大きな問題を扱っているにもかかわらず、大法廷の裁判には2つの重大な欠陥がある。
弁護士の滝本太郎氏の指摘だ。
「第1にこの裁判には相手方、被告がいません」
「様々な問題点を示す訴訟当事者がいない状況で果たして裁判所は全体像を把握し適正に判断できるのか」
「第2にこの件で先行した国々は多くの問題や犯罪に直面し、今、揺り戻しが来ています」
「最高裁は海外の失敗事例を十分に把握しているのか、懸念されます」
第1の点について、自民党の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
の片山さつき共同代表らが2023年9月8日、斎藤健法相(当時)と面会し、
「手術要件が違憲となれば、元の生殖能力を維持したままの性別変更が可能になり、大混乱が生ずる」
として、法務省が審理に参加して意見を述べるよう求めた。
斎藤氏の反応は慎重で、法務省は同裁判に関わろうとしない。
この姿勢は大いなる間違いだ。
国として申立人であるトランス女性の権利や自由を守るべきなのは当然だが、社会の圧倒的多数を占めるトランスではない男女の権利や自由も同様に守ることも重要だ。
これら圧倒的多数の国民の立場や権利を代表して意見を言うのが法務省の責任である。
今からでも遅くはない。
最高裁の審理参加を申し入れるべきだ。
性同一性障害の人々の中に、今回の申立人とは異なる意見を持つ人は少なくない。
最高裁はこれら異なる意見にも耳を傾けるべきだ。
例えば2023年7月10日、最高裁による判断の帰趨に懸念を抱き、
「性同一性障害特例法を守る会」
を設立し、代表となった美山みどり氏らの主張だ。
美山氏は性同一性障害で性転換手術を受け、戸籍上も男性から女性になった。
美山氏らは
「性同一性障害」
という自らのアイデンティティーと、手術というエビデンスによって社会との協調を図っていく立場から、特例法の廃止にも手術要件の廃止にも強く反対する。
性別適合手術と特例法の手術要件は自分たちが望んで戦い取った権利であり、決して人権侵害や過酷な断種手術ではないと断言する。
また、約20年間で1万人以上が特例法を使って戸籍の性別変更をした現実を指摘し、制度として既に定着していると主張する。
「社会の様々な場面に性別による区別」
が存在するからこそ、社会的に見て
「性別を安定させ、社会に適合しようとする人」
に法的な保護を与えているのが特例法の趣旨であり、これは差別ではないとの見解も示している。
美山氏らは7団体、数千人とその他有志と協力して
「手術要件が違憲となれば、男性器のある女性が女性スペースに入ることが可能になったり、出産する男性が出てきたりして社会が混乱する」
として、違憲判断をしないよう求める約1万5000人の署名を最高裁に提出した。
このように申立人と反対の立場に立つ性同一性障害の人々は少なくない。
しかし、美山氏らの反対意見を報じた全国紙は私の見た限り、産経新聞と読売新聞だけだった。
他の全国紙はおよそ全て手術要件は違憲だとの見方しか伝えていない。
偏った報道は最高裁の全体像把握を妨げかねず、メディアの責任は重大である。
先に滝本氏が指摘した第2の点、海外では行き過ぎた対応の結果、多くの犯罪が起きたことなどで揺り戻しが起きていることもメディアは十分に報じていない。
そのため最高裁がそうした事情を十分把握しているのかも疑問だ。
欧米諸国では生殖機能を維持した
「法的女性」
による性犯罪の事例に事欠かない。
性自認の概念に基づいて性別で区分されたスペースを変えてきた英国は、その結果としての混乱に堪えかねて2022年春から明確に方針を切り替えた。
まず女子トイレを復活させ、法的女性は女子刑務所には入れないと決定した。
「手術要件があるからこそ、自分たちは一定の信頼を勝ち得ている」
との美山氏らの指摘を軽視してはならないということだ。
司法、とりわけ最高裁についても疑問を抱く。
司法は公正中立の立場で日本社会の良き価値観を守らなければならない。
幾世紀にも渡って育み受け継いできた文化、価値観を大事にするということだ。
滝本氏は、欧州諸国は同性愛に罰を科したソドミー法への反省から同性愛のみならず性自認に傾きがちだと指摘する。
こうした考えが日本に伝わり、メディア、司法関係者、学者らの間で共感を得ているのではないか。
しかし我が国の文化や価値観にソドミー法的な影はおよそない。
欧米の潮流に過度に影響される必要はなく、日本の文化や価値観にもっと自信を持って良いのである。
最高裁判事15人の考え方で日本社会の根幹や価値観を根底から変えようとするのは許されない。
最高裁に暴走させないために、法務省は国民を代表して最高裁の審理に参加し、堂々と意見表明すべきである。

自民女性守る議連、性別変更に手術要件維持を 法相に声明提出
2023/9/8 14:13
https://www.sankei.com/article/20230908-MXZYO3Q7UZLVFA7ILC7PY7EQJ4/
自民党の有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
のメンバーは2023年9月8日、法務省内で斎藤健法相と面会した。
戸籍上の性別を変える上で性別適合手術を求める現行法の規定の合憲性が争われている家事審判について
「手術要件が違憲になれば、(戸籍上)男性になった後に生物学的な母であり得たりと、大きな混乱が生じる」
と指摘する声明を提出した。
斎藤氏は
「重く受け止める」
と応じたという。
会談後、議連共同代表の山谷えり子元拉致問題担当相は記者団に
「欧米では自分が思えば男性でも女性でもなれるということで、社会の混乱、分断、対立が起きている」
「先行する国々の実態調査をしてもらいたい」
と述べた。
また、医師である松本尚衆院議員は
「解剖学的に、外形的に性別を決めていくことは国民全体で認識しないと、社会秩序に大きな影響を及ぼす」
と語った。
家事審判は2023年9月27日に最高裁大法廷で弁論が行われる。

自民議連 性別変更の手術要件「違憲は混乱」声明へ
2023/9/7 19:12
https://www.sankei.com/article/20230907-SOW3MC73CNIW5KNNTISARGPEXA/
自民党の有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
が、性別変更する場合は性別適合手術を要件とする現行法の規定の合憲性が争われている家事審判を巡り、
「手術要件が違憲になれば、(戸籍上)男性になった後に生物学的な母であり得たり、大きな混乱が生じる」
と懸念する声明をまとめたことが2023年9月7日、分かった。
2023年9月8日に斎藤健法相に声明を提出する。
現行の性同一性障害特例法は、性別変更の審判を申し立てる要件に生殖能力がないことなどを挙げており、規定を満たす場合は性別適合手術を受ける必要がある。
家事審判は男性から女性への性別変更が申し立てられ、2023年9月27日に最高裁の弁論が予定されている。
議連の声明は、性別適合手術を受けていないトランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)に更衣室などの女性用スペースの利用を認めた欧米諸国で生じた問題や事件について、法務省に調査・公表を求めた。
また、議連によると、家事審判に国は参加しておらず、違憲になれば各種法制度に大きな影響を与えかねない。
そのため、利害関係人として戸籍制度を所管する法務省などの参加も要請した。
議連はLGBTなど性的少数者への理解増進法の成立に伴い、2023年6月下旬に設立された。
国会議員102人、地方議員98人で構成する。

自民議連、性別変更で適合手術要件維持訴え 安易な変更防ぐ
2023/8/30 19:20
https://www.sankei.com/article/20230830-BWA5UJSYRJNF7NXEWI4ODIOKKU/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
は2023年8月30日、党本部で会合を開き、性別を変更する場合は性別適合手術を要件とする現行制度を維持する必要性を確認した。
安易な性別変更が横行することで社会の混乱を防ぐ狙いがある。
性別変更を巡っては性別適合手術を求める現行法の規定の合憲性が裁判で争われており、議連は近く声明をまとめる。
「自分さえ思えば性別変更ができかねない」
「大きな社会の混乱になる」
議連の共同代表を務める山谷えり子元拉致問題担当相は会合でこう語り、現行制度の維持を訴えた。
性同一性障害特例法は性変更の審判を申し立てる要件に、
▽18歳以上
▽結婚していない
▽未成年の子供がいない
▽生殖の機能がない
▽身体的特徴が似ている
の5項目を挙げており、規定を満たすには、性別適合手術を受ける必要がある。
ただ、一部のLGBT団体や日本学術会議は手術要件の撤廃を求めている。
性的少数者に関する法整備を提言する
「LGBT法連合会」
は同法の要件について、
「人権侵害の懸念が極めて強い手術要件を中心に撤廃すべきだ」
と主張する。
手術を必要とする法律の規定が合憲かどうかは家事審判でも争われており、2023年9月27日には最高裁大法廷で弁論が行われる。
自民議連の会合ではLGBTの当事者らにヒアリングを行い、手術要件撤廃に否定的な意見が相次いだ。
性別適合手術を経て、戸籍上の女性となった
「性同一性障害特例法を守る会」
の美山みどり代表は、
「自身の性的機能に嫌悪感を持ち、医学的な救いとして手術した」
「手術要件は(女性として)社会に信頼されるためだ」
「要件の撤廃は認められない」
と主張した。
バイセクシャルを公言する作家の森奈津子氏は
「LGBT活動家は性別適合手術を断種(強制不妊手術)で人権侵害と主張するが、LGBT当事者は賛同していない」
「活動家は当事者の代表ではない」
と強調。
過剰な性教育に否定的な立場を取る
「子どもたちの未来を繋ぐお母さん連合会」
の山崎恵共同代表は
「手術することなく戸籍を変更すると、体が男性のままの母親が生まれてしまう」
として、授乳室などを共有することを懸念した。
議連共同代表の片山さつき元地方創生担当相は記者団に、手術要件に関し、
「身体的特徴が分からなくなれば(女性更衣室などの)女性スペースの立ち入りについても判断ができなくなる」
と語った。
会合では、自身の性に違和感を覚える子供に対し、性転換を図るホルモン治療や外科手術を受けさせてしまうことを問題視する意見も出た。

自民議連、性別変更で適合手術要件維持訴え 安易な変更防ぐ
2023/8/30 19:20
https://www.sankei.com/article/20230830-BWA5UJSYRJNF7NXEWI4ODIOKKU/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
は30日、党本部で会合を開き、性別を変更する場合は性別適合手術を要件とする現行制度を維持する必要性を確認した。
安易な性別変更が横行することで社会の混乱を防ぐ狙いがある。
性別変更を巡っては性別適合手術を求める現行法の規定の合憲性が裁判で争われており、議連は近く声明をまとめる。
「自分さえ思えば性別変更ができかねない。大きな社会の混乱になる」
議連の共同代表を務める山谷えり子元拉致問題担当相は会合でこう語り、現行制度の維持を訴えた。
性同一性障害特例法は性変更の審判を申し立てる要件に、
▽18歳以上
▽結婚していない
▽未成年の子供がいない
▽生殖の機能がない
▽身体的特徴が似ている
の5項目を挙げており、規定を満たすには、性別適合手術を受ける必要がある。
ただ、一部のLGBT団体や日本学術会議は手術要件の撤廃を求めている。
性的少数者に関する法整備を提言する
「LGBT法連合会」
は同法の要件について、
「人権侵害の懸念が極めて強い手術要件を中心に撤廃すべきだ」
と主張する。
手術を必要とする法律の規定が合憲かどうかは家事審判でも争われており、2023年9月27日には最高裁大法廷で弁論が行われる。
自民議連の会合ではLGBTの当事者らにヒアリングを行い、手術要件撤廃に否定的な意見が相次いだ。
性別適合手術を経て、戸籍上の女性となった
「性同一性障害特例法を守る会」
の美山みどり代表は、
「自身の性的機能に嫌悪感を持ち、医学的な救いとして手術した」
「手術要件は(女性として)社会に信頼されるためだ」
「要件の撤廃は認められない」
と主張した。
バイセクシャルを公言する作家の森奈津子氏は
「LGBT活動家は性別適合手術を断種(強制不妊手術)で人権侵害と主張するが、LGBT当事者は賛同していない」
「活動家は当事者の代表ではない」
と強調。
過剰な性教育に否定的な立場をとる
「子どもたちの未来を繋(つな)ぐお母さん連合会」
の山崎恵共同代表は
「手術することなく戸籍を変更すると、体が男性のままの母親が生まれてしまう」
として、授乳室などを共有することを懸念した。
議連共同代表の片山さつき元地方創生担当相は記者団に、手術要件に関し、
「身体的特徴が分からなくなれば(女性更衣室などの)女性スペースの立ち入りについても判断ができなくなる」
と語った。
会合では、自身の性に違和感を覚える子供に対し、性転換を図るホルモン治療や外科手術を受けさせてしまうことを問題視する意見も出た。

LGBT法で岩盤支持層離反か 自民党支持率下落
2023/7/25 19:56
https://www.sankei.com/article/20230725-OVLJTPTN2BOH7FONWO4NJ3MGYA/
報道各社の世論調査で自民党の政党支持率が落ち込んでいる。
マイナンバーカードを巡る混乱などだけでなく、先の国会で成立したLGBTなど性的少数者への理解増進法の影響で
「岩盤保守層」
の離反を招いたとの見方が根強い。
日本維新の会が保守色をアピールして勢力を伸ばす中、自民内で保守層の支持離れへの警戒感が高まっている。
「自民党の支持率が下がっているというより、『支持政党なし』が増えているのが全体の結果ではないか」。
自民の茂木敏充幹事長は2023年7月25日の記者会見で、世論調査について聞かれ、こう述べるにとどめた。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2023年7月15、16両日に実施した合同世論調査で、自民の支持率は31.4%と前月から2.8ポイント下落。
岸田文雄政権としては2023年1月の31.4%に並ぶ最も低い水準となった。
朝日新聞や毎日新聞が2023年7月行った調査でも30%を割り込んでいる。
こうした状況に党内から
「LGBT法によって岩盤保守層が剥がれた」(党3役経験者)
と危惧する声が挙がる。
野党・国民民主党の玉城雄一郎代表も2023年7月18日の記者会見で、自民の支持率低下の理由について、
「LGBT法の影響も岩盤支持層に対してはあったのではないか」
と指摘した。
同法を巡っては、保守層を中心に、急進的なLGBT教育が導入されたり、トランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)による女性用トイレや更衣室などの利用に道を開いたとの懸念が広がった。
自民内には、LGBTへの法的な権利保障を求める声が国内外で高まる中、性的少数者との共生を法律で強調することで、急進的な法整備を求める立憲民主党などの野党を抑制する狙いもあった。
だが成立を急いだ結果、保守層に不信感を生んだと見られる。
2023年7月25日には推進派で作る超党派の
「LGBTに関する課題を考える議員連盟」
の総会が開かれ、会長を務める自民の岩谷毅元防衛相は同法成立を
「大きな一歩だった」
と評価した。
だが、出席した自民議員は10人に満たなかった。
一方、保守層の懸念の払拭に努める形で2023年6月下旬に設立された自民の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
の加入者は中堅・若手を中心に100人に達している。
議連幹部は
「地方では自民の得票が減り、維新に流れている」
「中堅の保守系議員が首相を支えないといけない」
と危機感を滲ませる。

「自民女性を守る議連」100人突破、全メンバー 専用スペース「生来の女性に」
2023/7/20 18:31
https://www.sankei.com/article/20230720-XRFN6XUMKBOUDDUOTX3UTMKOUM/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
は2023年7月20日までに所属人数が100人となったことを明らかにした。
議連はLGBTなど性的少数者への理解増進法の成立に伴い2023年6月下旬に設立された。
トイレや更衣室など「女性専用スペース」の利用や女性競技スポーツへの参加は生来の女性に限るための措置に取り組む。
メンバーは以下の通り

■共同代表
橋本聖子、山谷えり子、片山さつき
■顧問
塩谷立、下村博文、西村康稔、世耕弘成、山東昭子
■副代表
桜田義孝、渡辺博道、柴山昌彦、堀内詔子、山下貴司、衛藤晟一、有村治子、松山政司、野上浩太郎、猪口邦子
■幹事長及び代行今後選任予定
・幹事長代理
木原誠二、木原稔、赤間二郎、城内実、関芳弘、高鳥修一、牧原秀樹、山本朋広、高階恵美子、中西健治、西田昌司、牧野京夫、赤池誠章、上野通子、三原じゅん子、中田宏
・副幹事長
井上貴博、石川昭政、今枝宗一郎、小田原潔、神田憲次、黄川田仁志、工藤彰三、国場幸之助、武村展英、中村裕之、根本幸典、藤井比早之、藤丸敏、細田健一、三ツ林裕巳、宮沢博行、務台俊介、簗和生、山田賢司、山田美樹、青山周平、谷川とむ、杉田水脈、高木宏寿、中川郁子、高木啓、西田昭二、畦元将吾、深沢陽一、石橋林太郎、石原正敬、尾崎正直、勝目康、小森卓郎、鈴木英敬、中野英幸、長谷川淳二、平沼正二郎、松本尚、山本左近、吉田真次、山田宏、石井正弘、大野泰正、太田房江、北村経夫、滝波宏文、馬場成志、堀井厳、吉川有美、和田政宗、今井絵理子、小野田紀美、小鑓隆史、船橋利実、松川るい、加田裕之、高橋はるみ、生稲晃子、臼井正一、小林一大、田中昌史、広瀬めぐみ、山本佐知子、吉井章、若林洋平(敬称略)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/329.html#c24

[政治・選挙・NHK296] 自民・稲田朋美氏「安倍派5人衆」をヤリ玉に痛烈批判!裏金政倫審で意趣返し、“犬猿の仲”に矛先(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
21. 秘密のアッコちゃん[1187] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月20日 10:56:53 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[625]
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<主張>衆参政倫審 還流の真相解明を尽くせ
社説
2024/12/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20241220-PPGCQNE5J5KJVKVRKOYUAKQYAM/
衆参の政治倫理審査会が開かれ、自民党の派閥パーティー収入不記載事件に関係した旧安倍派と旧二階派の議員が弁明に立った。
多くの議員が資金管理を秘書らに任せていたと説明した。
パーティー券の販売ノルマ超過分の還流をめぐる真相の解明は進まなかった。
旧安倍派の萩生田光一氏は衆院政倫審で、平成15年の衆院初当選時に派閥事務総長から、ノルマ超過分を返すとの説明を受けたと発言した。
当時の派閥会長は森喜朗元首相だった。
平成16年には、ノルマ超過分を政治資金収支報告書に記載しないことになっていると、派閥事務局長から事務所担当者に説明があったとも証言した。
少なくとも約20年前から還流と不記載が行われていたことを裏付けるものだ。
長期に渡り自浄作用が働かなかったことを、旧安倍派と自民は改めて深刻に受け止めねばならない。
関芳弘氏は令和4年春頃、派閥会長だった安倍晋三元首相に
「法的に問題はないのか」
「あるなら運用を改めるべきではないか」
と相談したと明かした。
安倍氏は賛同したという。
還流を巡っては令和4年4月の同派幹部会合で、安倍元首相の意向を踏まえ、一旦停止が決まった。
だが、安倍氏の死去後に再開された。
派内の反発があったためだが、具体的な経緯は不明なままだ。
有罪が確定した旧安倍派事務局長の松本淳一郎会計責任者は公判で、還流再開は令和4年8月の幹部会合で決まったと証言した。
同派元幹部は今年2024年3月の衆院政倫審で
「結論は出なかった」
と語るなど食い違いがある。
松本氏は
「ある幹部から還流再開の要望があった」
ため会合が開催されたとも述べたが、幹部の名を明かさなかった。
萩生田氏は政倫審で
「過去に遡って、分かる人がもう少し説明する必要がある」
と語った。
事情を知りながら、口を噤んでいる関係者はいるだろう。
東京地検特捜部が強制捜査を開始した昨年2023年12月19日から1年が経った。
いつ誰が、何の目的で還流と不記載を常態化させ、何故やめられなかったのか。
通常国会と臨時国会で、政倫審を何度繰り返しても、一向に実態が分からないようでは国民の不信は拭えまい。
事実を明らかにする責任が旧安倍派と自民にはあるはずだ。

「裏金議員」呼ばわりはレッテル貼りの「報道冤罪」
正論2024年12月号 政策シンクタンク 原英史
(前略)
今回2024年10月の衆院選では
「裏金議員」
という一部報道機関によるレッテル貼りが、深刻な影響をもたらしたのではないか。
派閥の指示で記載しなかったに過ぎない議員たちが、あたかも私的流用や不正蓄財など不正を働いたかのようなレッテルを貼られ、非公認や比例名簿不掲載などの扱いを受け、不利な状況で選挙を戦うことになった。
中には出馬を断念した人もいた。
何故こんな報道がなされたのか。
どう間違っているのかを説明していこう。
■「裏金議員」か「不記載議員」か
新聞報道には
「裏金議員」
という用語を用いるものと、
「不記載議員」
を用いるものがある。
朝日新聞は、1面トップで
「裏金議員」
を繰り返し見出しに掲げ、
「裏金議員」
と題する一覧表を掲載するなど
「裏金議員」
表記で徹底している。
毎日新聞も同様で、社説の見出しなどにも用いる。
一方、日本経済新聞は
「不記載議員」
と表記する。
読売新聞や産経新聞も一部混在があるが、基本的に
「不記載議員」
を用いているうようだ。
読者の中には、福島第1原発の処理水放出を巡る報道を思い起こす人もいるのではないか。
日経・読売・産経各紙が
「処理水」
を用いる一方、
朝日・毎日・東京各紙は
「汚染水」
「処理汚染水」
などを用い、あたかも汚染しているような印象を広げた。
本誌にしばしば寄稿する林智裕氏はこれを
「報道加害」
と呼んでいる(著書『「正しさ」の商人』など)。
今回の
「裏金議員」
も似通った図式だった。
「裏金」

「不記載」
かについて、2024年10月の党首討論でも議論があった。
野田佳彦・立憲民主党代表が政治資金問題を追及した際、石破茂首相はこう切り返した。
「『裏金』は決め付けだ」
「不記載だ」
「誰からいくら貰い、出入りがきちんと示されることが重要で、その記載をしなかったということだ」
ここまで明快な答弁だが、その後が分かりづらい。
野田氏は更に旧石破派(水月会)の政治資金問題を追及した。
キックバックとは関係ないが同じく
「不記載」
の事案だ。
石破首相はこう答弁、旧安倍派(清和政策研究会)などと異なり、これは単なる
「事務ミス」
だと強調した。
「構造的に不正が為されたものではない」
「裏金化し、誰かが利益を得たことは一切ない」
同じ
「不記載」
でも、旧安倍派と旧二階派(志帥会)の不記載は
「悪い不記載」、
旧石破派や旧岸田派(宏池政策研究会)の不記載は
「単なる事務ミス」
ということらしいが、前者でも私的流用などが判明したわけではない。
これでは、朝日新聞などは
「ともかく『悪い不記載』だと首相も言うのだから、『裏金議員』と呼んでも差し支えないはず」
と受け止めたのではないか。
更に、立憲民主党などの野党は、所属議員の不記載は
「単なる事務ミス」、
自民党旧安倍派などは
「裏金議員」、
と堂々と区別出来ることになった。
■「裏金」とは何か
何故こんなおかしな事になったのか。
出発点に遡るとそもそも
「裏金」
という言葉は、広辞苑によれば
「公式の帳簿に記載しない、自由に使えるように不正に蓄えた金銭」
を意味する。
この問題を最初にスクープして新聞協会賞を受賞した(しんぶん赤旗から異議があるが)2023年12月1日の朝日新聞では、こう書かれていた。
「最大派閥の清和政策研究会(安倍派)が、所属議員が販売ノルマを超えて集めた分の収入を裏金として議員側にキックバックする運用を組織的に続けてきた疑いがある」
確かに、帳簿に記載されていない可能性があり、私的流用や不正蓄財など勝手気ままに使われていた可能性もあった。
この時点で
「裏金の疑い」
があるのはその通りだった。
しかし、その後どうなったかと言えば、東京地検特捜部の捜査が2024年1月に終結した。
自民党の内部調査(外部弁護士も参加)の報告書が2024年2月に提出された。
判明したのは、結局
「不記載」
だけだ。
私的流用などは見つかっていない。
多くの議員は、派閥から
「収支報告書に記載しないように」
と言われ従っていただけだと説明した。
記載や返金を申し入れたが派閥側から拒まれ、やむなく不記載にしたケースもあった。
「不明朗な金銭だったから」
などの理由で、使用せずにいた人も相当数いた(旧安倍派・旧二階派の不記載85人中31人)。
別の収入名目(自身からの寄附など)にして、収入・支出を記載していた人もいた(85人中10人強)。
ここから分かるのは、少なくとも相当数の人たちは、広辞苑の言う
「自由に使えるように」

「公式の帳簿に記載しない」
といった定義から明白に外れ、
「裏金」
とは無縁だったことだ。
その一方、自民党の調査は、実に不十分な内容だった。
こうした還流システム、つまり
「裏金を作る目的」
と受け取られても仕方のない仕組みを、誰が何のために作ったのか。
これは全く明らかにならず、
「古くからの慣習だった」
と言うに留まった。
また、本当に不正支出や不正蓄財などがなかったのかも疑わしい調査だった。
現にその後、堀井学・前議員による不正支出(違法な香典などの支出)が判明した。
肝心な真相究明は出来ていなかったのだ。
■自民党執行部が招いた報道冤罪
事態を決定的におかしくしたのは、真相究明が出来ていないまま、2024年4月に関係議員への処分を下したことだ。
自民党党紀委員会で、離党勧告、党員資格停止、役職停止、戒告などの処分を決定した。
旧安倍派・旧二階派で不記載のあった議員につき(引退表明した二階俊博氏を除き84名)、不記載額500万円以上だった39人は正式な処分の対象とし、500万円未満の45人は幹事長による注意の対象とした。
39人の軽重は、不記載額1000万円・2000万円などの基準で線引きした。
根拠が不明だ。
まず、旧安倍派・旧二階派の不記載はなぜ一律に処分(注意を含め)の対象になるのか。
これまでの調査で、
「裏金」
とは無縁で、派閥に言われてやむなく
「不記載」
にした議員が相当数いることは明らかだった。
もちろん政治資金規正法違反は重大な問題だが、これは他の派閥での
「不記載」
も同じだ。
「500万円」
などの金額による線引きも意味不明だ。
派閥では当選回数や役職に応じたノルマが設定されていたという。
コロナの時期にパーティーが中止されたため、ノルマを達成すべくパーティー券を売っていた議員らにたまたま多額の還付金等が払われるケースが生じた。
「金額が多いから悪質」
というわけではなく、そんな事は自民党の議員たちは百も承知だったはずだ。
それにもかかわらず、こうした決着に至ったのは、本当に責任を負うべき人たちの特定を自民党執行部が放棄したためだ。
本来ならば、
@「裏金」の温床となる仕組みを創設・維持した責任者と、
A「裏金」として利用した議員を特定して処分対象とし、他は不問にすべきだった。
あるいは逆に、
「不記載」
を処分対象にするなら、旧岸田派なども同様に扱うべきだった。
ところが実際には、
「裏金の疑い」
が騒がれていた不記載は全て
「悪い不記載」
ということにし、無意味な金額基準で線引きした。
例えて言えば、教室で盗みを働いていた子供を特定できない時に、指導能力を欠く小学校の先生が
「クラス全員の連帯責任」
と称して全員に居残りを命じ、更に前列の生徒たちは特段の理由なく体罰を科したようなものだった。
2024年10月に誕生した石破政権は、仕切り直しの好機だった。
石破首相は総裁選で、公認するかどうかは
「1人1人と向き合い」
「徹底的に議論する」
と言っていた。
一定の時間をかけて改めて真相究明し、本当に責任を負うべき人を特定し、それ以外の人は堂々と公認する(比例重複も認める)として十分に説明すれば
「国民の納得と共感」
は得られたのではないか。
ところが、党内の議論に引きずられて早期解散に踏み切り、従来の
「全員の連帯責任」
路線を踏襲せざるを得なくなった。
旧安倍派などの不記載は引き続き全て
「悪い不記載」
と整理され、
「それなら全員を非公認にすべきだ」
との批判を招いた。
一方、朝日新聞など一部報道機関や野党は、安心して
「裏金議員」
とのレッテル貼りを続けることになった。
以上が、多くの議員たちがいわれなく
「裏金議員」
と呼ばれ続けた経緯だ。
実際は、多くの人たちは
「裏金」
と無縁だった。
強いて言えば、
「裏金の温床となる還流システムを不正に運用していた派閥に所属していた議員」
ではあろうが、それを
「裏金議員」
と呼ぶのは無茶苦茶だ。
これは、
「報道冤罪」
に他ならない。
そして、
「報道冤罪」
を招いた根源は、岸田政権と石破政権の対応だ。
自民党執行部が何故、わざわざこんな拙い対応をし、選挙で議席を減らす要因を作ったのか、私には理解不能だ。
このままでは、来年2025年の参議院選挙でも再び同じ事が繰り返され、
「裏金議員」
という
「報道冤罪」
が続くのではないか。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/332.html#c21

[政治・選挙・NHK296] 1年で1万円手取りが増える(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
16. 秘密のアッコちゃん[1188] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月21日 09:38:19 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[626]
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姑息な減税潰し$ホ破自民のドケチ戦略、国民民主と維新を両天秤 年収の壁「123万円」で政権維持へ「より安上がりな連携」図る
2024.12/20 11:35
https://www.zakzak.co.jp/article/20241220-BNQE4NLIMFIFFBFDWGYWUE4AMA/
国民の手取りを増やす
「年収103万円の壁」
の引き上げで、石破茂首相率いる自民党のドケチ戦略≠ェ波紋を呼んでいる。
補正予算案に賛成してもらうため、国民民主党と
「178万円を目指す」
と合意したはずだが、補正予算が成立すると
「123万円への引き上げ」
に後退したのだ。
自民党は、日本維新の会との連携もチラつかせる。
国民民主党の
「178万円案」
は7兆〜8兆円程度の税収減が見込まれるが、日本維新の会の
「教育無償化政策」
は6000億円程度とされる。
来年2025年度予算案を見据えて、両党を天秤にかけながら
「より安上がりな連携」
で政権維持を図るのか。
「減税」
に期待する国民の視線は厳しさを増すと見られ、来夏2025年夏の参院選惨敗が囁かれ始めた。
「自民党の対応は火に油」
「納税者や国民の立場に立った判断をしてもらえないのか」
「(来年2025年度予算案は)見切り発車なら賛成できない」
国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止)の姿勢は、自民党の
「壁の撤廃」
の後退が如実になる中、日に日に厳しくなっている。
怒りの原因は与党の変心≠セ。
自民、公明両党は2024年12月20日午後、2025年度の与党税制改正大綱を決定する。
所得税が生じる
「年収103万円の壁」
に関し、非課税枠を
「123万円」
まで引き上げる。
ただ、2024年12月11日の自民党と公明党、国民民主党の幹事長協議で
は「178万円を目指し来年2025年から引き上げる」
と合意していただけに、国民民主党からすれば裏切り≠セ。
玉木氏も
「(123万円では)減税効果が極めて乏しい」
と猛反発している。
世論の
「減税潰し」
との批判を浴びてか、自公国3党幹事長は2024年120日午前、会談。
「103万円の壁」
引き上げを巡る3党合意に基づく協議の継続を確認する見通し。
大綱でも、
「178万円」
の自公国幹事長合意や協議継続の立場を示す。
大学生年代の子のアルバイトなどの年収制限を150万円に引き上げる新たな控除を創設することを盛り込む。
一方、自民党は並行して、日本維新の会に接近≠キる動きも見せる。
2024年12月19日には、教育分野に関する自公与党と日本維新の会の初会合が行われ、日本維新の会が看板政策に掲げる
「教育無償化」
などの議論を始めた。
自民党と国民民主党の連携にも緊張感が走る。
石破首相は2024年12月18日、補正予算成立の挨拶回りを行ったが、国民民主党との面会では、笑みのない無表情の記念撮影となった。
一連の動きについて玉木氏は、自身のX(旧ツイッター)で、
「財務省の戦略は、国民民主、維新、立民で予算に対する影響が最も『安上がり』の政党と握るということだったようなので、最近の維新幹部の発言を聞いていると、維新と握る算段が着いたということなのでしょうか」
と訝しんだ。
「安上がり」とは何か。
年収の壁を巡る国民民主党の
「178万円案」
で、政府は国と地方を合わせ、7兆〜8兆円程度の税収減を見込んでいる。
一方、日本維新の会が推す
「高校無償化」
では、コストは6000億円程度ともされ、自民党内でも
「維新との連携の方が安く上がる」
との声が上がっているのだ。
実際、大蔵官僚出身で
「緊縮財政派のラスボス」
と呼ばれる自民党の宮沢洋一税制調査会長を筆頭に
「178万円案」
に根強い抵抗があり、自公国の交渉の膠着を招いた。
■荻原博子氏「野党使い捨てにされるだけ」
こうした中、玉木氏の
「握った」
との発信に、日本維新の会の代表の吉村洋文大阪府知事が嚙み付いた。
吉村氏は自身のXに、
「我々は何も握っていません」
「103万円の壁突破には賛成の立場です」
「憶測は控えて頂いた方がよいかと」
「地獄の底まで、本気で腹括ってやる、一緒に178万円目指してやろう、というなら、協議しましょう」
「但し、パフォーマンスはなしです」
「僕らも実現したい公約がありますので」
と反論している。
与野党の大乱戦をどう見るか。
政治評論家の有馬晴海氏は
「自民党の伝統的な『揺さぶり戦法』だが、少数与党に転落した現状では悪手だ」
「『政策コスト』に心を奪われて、国民の負担軽減は二の次と受け止められれば、来年2025年の参院選も大惨敗必死だ」
「日本維新の会、国民民主党も、自民党の天秤にかけられたと見做されればマイナスにしかならない」
「自民党はチキンレースを展開しつつも、結局は国民民主党に歩み寄るしか道はないだろう」
と分析する。
日本維新の会の前原誠司共同代表は2024年12月19日の定例記者会見で
「『天秤』にかけられるつもりは全くない」
「国民民主党の年収の壁引き上げについて大賛成で、邪魔するつもりは毛頭ない」
と強調した。
だが、有馬氏は
「事実上、天秤にかけられている現実は否定できないし、世論もそう見ている」
と切り捨てる。
野党各党からは、
「与党は政策を政局の道具≠ノしている」
との批判と共に、
「過去の政局で悉く失敗した前原氏の存在≠ェ、共闘を邪魔する一要因だ」
との声まで上がっている。
経済ジャーナリストの荻原博子氏は、こう指弾する。
「野党は余りにも政権から遠ざかっていたためか、バラバラ過ぎる」
「だらしない」
「『年収の壁』にしても一致して戦うべき局面なのに、来年2025年の参院選を意識してか、手柄を狙った動きばかり目立つ」
「年収の壁の議論は『国民の生活』に直結するのに真剣さを感じない」
「自民党は、ガソリン減税で国民民主党を裏切り、旧文通費の問題では日本維新の会との約束を破っている」
「このままでは野党各党はいいように使い捨てされるだけだ」

「話にならない」年収103万円に自民が壁…国民無視ラスボス°{沢洋一税調会長が抵抗 財務省の意向優先「減税・負担軽減」やる気なし?
2024.12/18 11:17
https://www.zakzak.co.jp/article/20241218-6CFP4WIJQFI4TFDXIRVWHGNJQA/
所得税が生じる
「年収103万円の壁」
の引き上げを巡り、暗雲≠ェ立ち込めてきた。
自民、公明、国民民主3党は
「178万円を目指して来年2025年から引き上げる」
ことで合意していたが、自公与党が2024年12月17日も、僅か20万円だけ引き上げた
「123万円」
案から上積みする提案をせず、合意に至らなかったのだ。
自公与党は結局、財務省の意向を優先し、国民が求める
「減税・負担軽減路線」
に舵を切れないのか。
「話にならない。協議は打ち切りだ」
国民民主党の古川元久税調会長は2024年12月17日午前、国会内の会議室で始まった自公国の協議開始から10分程度で部屋を出て、周囲にこう語った。
協議には
「緊縮派のラスボス」
と呼ばれる自民党の宮沢洋一税調会長と、公明党の赤羽一嘉税調会長が出席していた。
宮沢氏は新たな案を提示せず、国民民主党に具体的な制度設計を示すよう要求した。
古川氏は
「新提案がないなら協議を打ち切りたい」
と席を立った。
そもそも、
「103万円の壁」
は1995年の最低賃金611円を考慮して決まった。
30年経ち、最低賃金は70%超上昇しており、国民民主党はこれを考慮して
「178万円」
を打ち出した。
「123万円」
は論外なのだ。
衆院選で惨敗し、少数与党に転落した自公は今国会で野党各党に秋波≠送り、政権運営を繋いでいる。
国民民主党にも
「壁の引き上げ」
の交換条件≠ニして、補正予算案への賛成などを取り付けてきた。
ある野党幹部は
「自民党は過去にも国民民主党の主張する『ガソリン減税』での協議をチラつかせて連携に誘いこみ、結局あやふやにした前科≠ェある」
と訝しむ。
今回の自民党の対応をどう見るのか。
政治評論家の有馬晴海氏は
「宮沢氏に柔軟性がなさ過ぎる」
「減税に抵抗する財務省の影響を最も受ける政治家で『壁の引き上げ』による税収減、制度改革の面倒な手続きを避けたいとの思惑があからさまだ」
「補正予算は能登復興が焦点で反対しにくかったが、来年2025年度の本予算では国民民主党も容赦しない」
「石破首相の辞任を交換条件にしないと国会運営が停滞するような局面もあり得る」
と語った。 

財務省と自民税調の悪だくみ′ク税圧縮・穴埋め増税 野党分断で予算修正阻止 足並み乱れた間隙狙い…特定野党に便宜も
2024.12/18 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241218-SXLEUTP5NRKIJEDOPJUXEUY2SE/
自民、公明、国民民主3党の税制調査会幹部は2024年12月17日、所得税が生じる
「年収103万円の壁」
の引き上げ幅を巡り、国会内で協議する。
与党は2024年12月13日の前回協議で
「123万円」
とする案を提示したが、
「178万円」
を求める国民民主党の案と開きが大きく、同党の古川元久税調会長は
「協議の打ち切りも含め考えなければいけないという思いで協議に臨む」
と述べた。
自民党の宮沢洋一税調会長が
「誠意を見せたつもりだ」
と発言したこともSNSで批判を浴びた。
元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏は、これまで税制を取り仕切ってきた財務省や自民党税調が巻き返しに出ているとみる。
野党を分断し、予算の修正を最小限にとどめることで、減税幅を圧縮し、他の項目で増税を図ろうとしているというのだ。
「年収103万円の壁」
の来年2025年からの引き上げとガソリン税の暫定税率撤廃を巡り、自民、公明、国民民主の3党幹事長が合意文書を交わした。
3党幹事長合意は
«いわゆる「103万円の壁」について、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年2025年から引き上げる»
«いわゆる「ガソリンの暫定税率」は、廃止する»
«上記の各項目の具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める»
と書かれた。
補正予算の成立と引き換えに、政治判断が優先された。
ただし、当事者である自民党の森山裕幹事長は
「1年で178万円への引き上げは困難」
と言い、自民党の宮沢税調会長は、幹事長合意書について
「釈然としない」
と不快感を表している。
また、公明党の赤羽一嘉税調会長は
「合意の内容はかなり漠然としており、税制協議で冷静な議論をして知恵を捻り出さなければいけない」
と言う。
一方、現時点で国民にとってベストである今国会での補正予算組み替えであれば、所得税減税の実施時期は今年2024年度だ」
「税を納めるのはサラリーマンであれば年末調整、サラリーマンでなければ3月の確定申告なので、来年2025年3月の確定申告に減税ができただろう。
いずれにしても、財務省にとって最悪な補正予算組み替えによる今年2024年度からの所得税減税は避けられた。
また来年2025年度の税制改正で議論するわけで、次に財務省が考えるのは、実施時期をできるだけ遅らせ、引き上げ幅は75万円からできるだけ圧縮することだろう。
森山氏の発言から予想されることは、例えば来年2025年は半分引き上げ、残りは再来年2026年にするといった方法だ。
これなら3党幹事長合意の範囲内だ。
ガソリン税減税についても、段階的に廃止していくことがあり得る。
その一方、他の税目で増税を目論んででいる。
防衛増税では、来年2025年度税制改正で順次行うことが政府内では決まっている。
社会保険料増についても、来年2025年度法改正で来年2025年に行うことは厚労省内の既定路線だ。
ただし、これらの増税は、各種税法や社会保険法改正が必要であり、改正案は来年2025年1月から開かれる通常国会に提出されるはずだ。
衆院で野党多数の現状なら、それらを否決することができる。
問題はここからだ。
そうした税法や社会保険法の改正は、予算関連法案であるので予算の修正が伴う。
予算の修正の際、野党各党はできるだけ自分の政党の政策を実現させようとする。
来年2025年夏には参院選があるので、各党が差別化しようと足並みは乱れるだろう。
とりわけ衆院選で国民民主党だけが脚光を浴びたので、他の野党は苦々しく思っている。
実はそこが財務省の狙い目だ。
各野党の間隙を縫って予算修正させずに予算成立を図ったり、特定の野党に便宜を図り、予算修正を最小限にとどめ、各種増税を行ったりするだろう。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

「103万円の壁」3党幹事長合意の裏事情 少数与党に転落、自民党税調会長の意向無視 焦った財務省が画策「123万円提示」
2024.12/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241217-IJTR2E32CBIGDLLCXWNJ5IQNXM/
「いわゆる『年収103万円の壁』の問題を巡る3党協議で、完全に蚊帳の外に置かれた格好となった宮沢洋一自民党税制調査会会長が、たいそうご立腹だと聞くが、はっきり言ってこれも時代の流れだ」
「先の衆院選で、自公が少数与党に転落した結果、自民党税調会長の思惑だけで税制が決められた時代は完全に終わりとなった」
「宮沢会長はまずそのことを理解しなくてはダメだ」
大臣経験のある自民党有力議員がこう言う。
「私自身はこれで良かったと思う」
「国民生活に直結する税制が、自民党税調という密室で極僅かの幹部だけで決められているというのは、どう考えてもおかしい」
「やはりこれは、オープンな場で議論すべきことだ」
(前述同)
先週2024年12月11日、自民・公明の与党と国民民主党の幹事長が2回に渡って会談を開き、国民民主党が求めてきた
「103万円の壁」
の見直しについて、来年2025年から実施することで合意した。
この
「合意」
によって、国民民主党は衆院で2024年今年度補正予算案に賛成した。
ただしその引き上げ幅については、今後の協議に委ねられることとなったのである。
「結局のところ、この問題は政治決着が図られることとなったのです」
「それというのも補正予算案の審議日程が極めてタイトになっていたからです」
「財務省がバックに控える自民党税調としては、何とかこの問題を先送りさせたかった」
「具体的には実施時期については、2026年まで先送りさせたかったのです」
「もっと言えば、それが財務省の意向だったのです」
(別の自民党有力議員)
しかしそれでは、補正予算案成立のメドが立たなかった。
なぜなら国民民主党が、絶対に首を縦に振らなかったからだ。
「このまま3党税調による協議に委ねていたならば、補正予算は絶対に成立しなかっただろう」
「そこで自民党の森山裕幹事長がギリギリのタイミングで動いたのです」
「森山幹事長だって、自民党税調の『コアインナー』に名前を連ねる税調中枢幹部」
「それだけに森山幹事長は、税調の考えは手に取るように分かる」
「宮沢会長に任せていたのでは、国民民主党は絶対に納得しない、と」
「だから宮沢会長の意向を無視したのです」
(前述同)
いずれにしても、今回の3党合意に一番焦ったのは、他ならぬ財務省だろう。
「財務省は宮沢会長を使って、引き上げ幅をなるべく小さくしようと画策してくるでしょう」
「国民民主党の要求である178万円に対して123万円を提示したのは、間違いなく財務省の意向です」
(自民党税調メンバー)
与党が過半数割れして少数与党に転落してしまったことで、そうした裏の動き全て可視化されてしまった。
「123万円では到底国民民主党は納得しないでしょう」
「最終的には、これも政治決着が図られるのではないか」
(前述同)
 (ジャーナリスト・須田慎一郎)

「国民の敵」緊縮主義の権化、自民税調や財務省の幹部たちにぴったりな言葉「減税を増税で取り返す懲りない面々」
2024.12/17 06:30
田中 秀臣
https://www.zakzak.co.jp/article/20241217-RMCI62NRKBMHDIDAEWNREAOP2Q/
日本経済に何が今必要だろうか。
答えは明瞭で、
「減税」

「利上げの停止」
だ。
新聞やテレビなどオールドメディアの報道では、2024年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)改定値が前期比0・3%増、年率換算で1・2%増と速報値から上方修正されたことや、2024年10〜12月期の成長率も消費の拡大などを織り込んでプラス成長を予測するなど
「楽観的」
なムードがある。
ただし自動車の認証不正問題や能登半島の震災などで通年での経済成長率がプラスになるかどうかは微妙だ。
プラスになったとしても僅かだろう。
要するに
「賃上げ」
ムードを政府や財界、連合などがしきりに煽ったが、力強い経済の再生にはほど遠いのが実情だ。
その原因は何か。
現在から将来にかけての税金や社会保険料の負担増だろう。
将来の負担増が、国民の生活を押し潰している。
「年収103万円の壁の見直し」

「ガソリンの暫定税率廃止」
といった国民民主党の主導による自民、公明両党との合意は、確かに画期的な減税政策だ。
だが、財務省や自民党の税制調査会の反対行動がこれから出てくるだろう。
自民党の宮沢洋一税調会長は3党合意に対して
「釈然としない」
と記者団に述べるなど不快感を隠していない。
自民党税調の幹部らは
「インナー」
と呼ばれ、特権的な立場のように思われてきた。
国会での民主的な議論とは無縁で、狭い身内だけの理屈で動く人たちである。
もちろん財務省が手厚くサポートしてもいる。
最近のSNSの進歩により、自民党税調の独善的な姿勢や緊縮主義の弊害が強く指摘されているのはいいことだ。
日本経済を長く低迷させてきた要因の1つは、財政政策の緊縮スタンスだ。
不況から完全に立ち直るのを待たずに、増税や負担増をしてしまう。
挙げ句には不況に苦しむ中小企業などを
「ゾンビ企業」
呼ばわりして、その淘汰を進めてしまう。
緊縮主義者たちは、中小企業が淘汰されれば、日本の国際競争力が増すと言っているが、それは単にトンデモだ。
不況が長期化するだけで、いいことは一切起こらない。
ネットでは
「国民の敵」
というハッシュタグ(検索目印)が話題だが、個人的には緊縮主義の権化である自民税調や財務省の幹部たちにこの言葉はぴったりだと思う。
自民党税調の動きは今後も要注意だ。
「防衛特別法人税」
「防衛特別所得税」
という増税案が出てきている。
せっかく
「年収の壁」
などで減税してもまた増税である。
この減税したら同じだけ(あるいはそれ以上に)増税というのは、財務省の典型的な発想だ。
本当に懲りない連中だ。
一方、年金に関わる
「年収の壁」
撤廃も現時点での負担増になるが、厚労省は今回の年金制度改革では撤廃を先送りにするという。
本当ならば朗報である。
 (上武大学教授・田中秀臣)

国民民主・玉木氏が自公に激怒、年収の壁「123万円」案の提示に 「178万円」と言ったのに…宮沢税調会長の発言が炎上
2024.12/14 12:24
https://www.zakzak.co.jp/article/20241214-CDTGGKRJ55MK7NJ4WC6WBET7P4/
■「178万円」って言ったのに…
「年収103万円の壁」
を巡って自民、公明の与党と国民民主党との間にバトルが勃発した。
3党の幹事長が2024年12月11日に
「178万円を目指して、来年2025年から引き上げる」
ことで合意したばかりなのに、与党の税制調査会幹部が2024年12月13日、僅か20万円だけ引き上げる
「123万円」
とする案を提示したからだ。
国民民主党は激怒し、上積みを要求している。
SNSでも自民党の宮沢洋一税制調査会長の
「誠意を見せたつもりだ」
という発言が炎上している。
国民民主党側は、1995年以降の最低賃金の上昇率に従って178万円を提示したが、3党の税調幹部による協議で与党側が提示したのは、食料品や光熱費などの物価動向などを踏まえた
「123万円」
にとどまった。
国民民主党に補正予算案に賛成させ、衆院を通過すると、早速引き上げを渋り始めた形だ。
国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止中)は2024年12月13日、X(旧ツイッター)に
「先日の3党の幹事長間の合意を余りにも軽んじているのではないか」
「幹事長間の合意を尊重できないのなら、税調会長間ではなく、直接、幹事長間で協議したらいい」
「話にならない」
と投稿した。
与党案に世論の批判も強い。
123万円について自民党の宮沢税調会長が記者団に
「誠意を見せたつもりだ」
と述べたことについて、SNSで
「自民党が国民をどう見ているかよく分かる」
と批判が殺到している。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/339.html#c16

[政治・選挙・NHK296] 「103万円の壁」撤廃を素直に喜ぶのは単純すぎる 二極化・格差社会の真相(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
25. 秘密のアッコちゃん[1189] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月21日 19:41:53 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[627]
<■353行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
年収の壁ドケチ査定=u123万円」ではむしろ負担増?減税効果わずか1万円…国民民主党・榛葉氏「来年以降、ヒリヒリする交渉が続く」
2024.12/21 15:10
https://www.zakzak.co.jp/article/20241221-NCDCSU5RVNJYHOOKJZLFCHEL3Y/
「年収103万円の壁」
を巡り、自民・公明両党が2024年12月20日決定した2025年度与党税制改正大綱で、非課税枠を
「123万円」
と明記した。
「178万円への引き上げを目指す」
とした与党と国民民主党の幹事長合意と大きな開きがあり、減税効果も年収600万円の世帯で年間1万円程度にとどまるドケチ査定≠セ。
政府が検討する
「防衛増税」

「控除縮小」
を踏まえれば、負担軽減どころか、負担増に繋がる恐れさえある。
■減税効果わずか
「自公両党として引き続き真摯に協議を行っていく」
2024年12月20日の参院本会議で
「壁の引き上げ」
議論について問われた石破茂首相はこう答えた。
大綱では基礎控除と給与所得控除を各10万円拡大し、非課税枠を123万円とした。
19〜22歳の大学生年代の子を扶養する親の税負担を軽減する特定扶養控除は子の年収制限を103万円から150万円へ引き上げる。
大蔵官僚出身で
「緊縮財政派のラスボス」
と呼ばれる自民党の宮沢洋一税制調査会長は、記者会見で
「それなりの成果を得た税制改正だった」
と胸を張ったが、自民党内からは
「国民世論があまりにも分かっていない」(ベテラン議員)
との声が上がる。
減税効果は年収400万円の世帯で年5000円、600万円の世帯で1万円にとどまり、家計を潤わせて消費喚起するにはほど遠い水準だ。
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年12月20日の定例記者会見で、3党協議の継続について
「123万円ではお話にならないということを申し伝えている」
「(与党側から)新たな提案が出てくるだろう」
「来年以降、ヒリヒリする交渉が続くんじゃないですか」
と、厳しい姿勢を崩さなかった。
上武大学の田中秀臣教授は
「『減税した分だけ増税する』というのが財務省の発想だ」
「防衛増税だけでなく、将来的には金融所得課税の強化なども進めるのではないか」と指摘する。
負担増に直結する兆しもある。前出の大綱では、16〜18歳の高校生年代の子を持つ親
世帯の扶養控除の縮小を見送ったが、児童手当拡充の代償≠ニして縮小を視野に入れている。
防衛力強化による
「増税」
も、所得税の増税時期は先送りされたが、法人・たばこ税は2026年4月から増税が決まっている。
社会保険料の負担なども増えていくことが予想される。
■渡瀬裕哉氏「防衛増税や控除縮小と比較すると…」
早稲田大学公共政策研究所招聘研究員の渡瀬裕哉氏は
「1万円程度の減税効果しか見込めない引き上げでは、防衛増税や控除縮小と比較すると行って来い≠ゥ、むしろ負担の方が大きくなるかもしれない」
「『有権者が支持する減税政策をやってみたが効果はなかった』と説明したいがために、減税効果が大きくなる政策を避けたかった思惑すら見える」
と話す。
与野党の議論はどうなるのか。
政治評論家の有馬晴海氏は
「宮沢氏の『123万円』は論外で、自公は国民民主党に歩み寄らざるを得ない」
「越年の可能性はあるが、140万〜150万円程度への引き上げをベースに決着を図るのではないか」
「『手取り増』をアピールしたい国民民主党と税収減を抑えたい与党と財務省で希望額に開きがあるのは当然だが、このままでは来年2025年の参院選、都議選で大敗北しかねない」
「財源がないなら、ムダの多い予算を徹底的に見直し、アイデアを出すのが政治家の仕事だ」
と指摘した。

姑息な減税潰し$ホ破自民のドケチ戦略、国民民主と維新を両天秤 年収の壁「123万円」で政権維持へ「より安上がりな連携」図る
2024.12/20 11:35
https://www.zakzak.co.jp/article/20241220-BNQE4NLIMFIFFBFDWGYWUE4AMA/
国民の手取りを増やす
「年収103万円の壁」
の引き上げで、石破茂首相率いる自民党のドケチ戦略≠ェ波紋を呼んでいる。
補正予算案に賛成してもらうため、国民民主党と
「178万円を目指す」
と合意したはずだが、補正予算が成立すると
「123万円への引き上げ」
に後退したのだ。
自民党は、日本維新の会との連携もチラつかせる。
国民民主党の
「178万円案」
は7兆〜8兆円程度の税収減が見込まれるが、日本維新の会の
「教育無償化政策」
は6000億円程度とされる。
来年2025年度予算案を見据えて、両党を天秤にかけながら
「より安上がりな連携」
で政権維持を図るのか。
「減税」
に期待する国民の視線は厳しさを増すと見られ、来夏2025年夏の参院選惨敗が囁かれ始めた。
「自民党の対応は火に油」
「納税者や国民の立場に立った判断をしてもらえないのか」
「(来年2025年度予算案は)見切り発車なら賛成できない」
国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止)の姿勢は、自民党の
「壁の撤廃」
の後退が如実になる中、日に日に厳しくなっている。
怒りの原因は与党の変心≠セ。
自民、公明両党は2024年12月20日午後、2025年度の与党税制改正大綱を決定する。
所得税が生じる
「年収103万円の壁」
に関し、非課税枠を
「123万円」
まで引き上げる。
ただ、2024年12月11日の自民党と公明党、国民民主党の幹事長協議で
は「178万円を目指し来年2025年から引き上げる」
と合意していただけに、国民民主党からすれば裏切り≠セ。
玉木氏も
「(123万円では)減税効果が極めて乏しい」
と猛反発している。
世論の
「減税潰し」
との批判を浴びてか、自公国3党幹事長は2024年120日午前、会談。
「103万円の壁」
引き上げを巡る3党合意に基づく協議の継続を確認する見通し。
大綱でも、
「178万円」
の自公国幹事長合意や協議継続の立場を示す。
大学生年代の子のアルバイトなどの年収制限を150万円に引き上げる新たな控除を創設することを盛り込む。
一方、自民党は並行して、日本維新の会に接近≠キる動きも見せる。
2024年12月19日には、教育分野に関する自公与党と日本維新の会の初会合が行われ、日本維新の会が看板政策に掲げる
「教育無償化」
などの議論を始めた。
自民党と国民民主党の連携にも緊張感が走る。
石破首相は2024年12月18日、補正予算成立の挨拶回りを行ったが、国民民主党との面会では、笑みのない無表情の記念撮影となった。
一連の動きについて玉木氏は、自身のX(旧ツイッター)で、
「財務省の戦略は、国民民主、維新、立民で予算に対する影響が最も『安上がり』の政党と握るということだったようなので、最近の維新幹部の発言を聞いていると、維新と握る算段が着いたということなのでしょうか」
と訝しんだ。
「安上がり」とは何か。
年収の壁を巡る国民民主党の
「178万円案」
で、政府は国と地方を合わせ、7兆〜8兆円程度の税収減を見込んでいる。
一方、日本維新の会が推す
「高校無償化」
では、コストは6000億円程度ともされ、自民党内でも
「維新との連携の方が安く上がる」
との声が上がっているのだ。
実際、大蔵官僚出身で
「緊縮財政派のラスボス」
と呼ばれる自民党の宮沢洋一税制調査会長を筆頭に
「178万円案」
に根強い抵抗があり、自公国の交渉の膠着を招いた。
■荻原博子氏「野党使い捨てにされるだけ」
こうした中、玉木氏の
「握った」
との発信に、日本維新の会の代表の吉村洋文大阪府知事が嚙み付いた。
吉村氏は自身のXに、
「我々は何も握っていません」
「103万円の壁突破には賛成の立場です」
「憶測は控えて頂いた方がよいかと」
「地獄の底まで、本気で腹括ってやる、一緒に178万円目指してやろう、というなら、協議しましょう」
「但し、パフォーマンスはなしです」
「僕らも実現したい公約がありますので」
と反論している。
与野党の大乱戦をどう見るか。
政治評論家の有馬晴海氏は
「自民党の伝統的な『揺さぶり戦法』だが、少数与党に転落した現状では悪手だ」
「『政策コスト』に心を奪われて、国民の負担軽減は二の次と受け止められれば、来年2025年の参院選も大惨敗必死だ」
「日本維新の会、国民民主党も、自民党の天秤にかけられたと見做されればマイナスにしかならない」
「自民党はチキンレースを展開しつつも、結局は国民民主党に歩み寄るしか道はないだろう」
と分析する。
日本維新の会の前原誠司共同代表は2024年12月19日の定例記者会見で
「『天秤』にかけられるつもりは全くない」
「国民民主党の年収の壁引き上げについて大賛成で、邪魔するつもりは毛頭ない」
と強調した。
だが、有馬氏は
「事実上、天秤にかけられている現実は否定できないし、世論もそう見ている」
と切り捨てる。
野党各党からは、
「与党は政策を政局の道具≠ノしている」
との批判と共に、
「過去の政局で悉く失敗した前原氏の存在≠ェ、共闘を邪魔する一要因だ」
との声まで上がっている。
経済ジャーナリストの荻原博子氏は、こう指弾する。
「野党は余りにも政権から遠ざかっていたためか、バラバラ過ぎる」
「だらしない」
「『年収の壁』にしても一致して戦うべき局面なのに、来年2025年の参院選を意識してか、手柄を狙った動きばかり目立つ」
「年収の壁の議論は『国民の生活』に直結するのに真剣さを感じない」
「自民党は、ガソリン減税で国民民主党を裏切り、旧文通費の問題では日本維新の会との約束を破っている」
「このままでは野党各党はいいように使い捨てされるだけだ」

「話にならない」年収103万円に自民が壁…国民無視ラスボス°{沢洋一税調会長が抵抗 財務省の意向優先「減税・負担軽減」やる気なし?
2024.12/18 11:17
https://www.zakzak.co.jp/article/20241218-6CFP4WIJQFI4TFDXIRVWHGNJQA/
所得税が生じる
「年収103万円の壁」
の引き上げを巡り、暗雲≠ェ立ち込めてきた。
自民、公明、国民民主3党は
「178万円を目指して来年2025年から引き上げる」
ことで合意していたが、自公与党が2024年12月17日も、僅か20万円だけ引き上げた
「123万円」
案から上積みする提案をせず、合意に至らなかったのだ。
自公与党は結局、財務省の意向を優先し、国民が求める
「減税・負担軽減路線」
に舵を切れないのか。
「話にならない。協議は打ち切りだ」
国民民主党の古川元久税調会長は2024年12月17日午前、国会内の会議室で始まった自公国の協議開始から10分程度で部屋を出て、周囲にこう語った。
協議には
「緊縮派のラスボス」
と呼ばれる自民党の宮沢洋一税調会長と、公明党の赤羽一嘉税調会長が出席していた。
宮沢氏は新たな案を提示せず、国民民主党に具体的な制度設計を示すよう要求した。
古川氏は
「新提案がないなら協議を打ち切りたい」
と席を立った。
そもそも、
「103万円の壁」
は1995年の最低賃金611円を考慮して決まった。
30年経ち、最低賃金は70%超上昇しており、国民民主党はこれを考慮して
「178万円」
を打ち出した。
「123万円」
は論外なのだ。
衆院選で惨敗し、少数与党に転落した自公は今国会で野党各党に秋波≠送り、政権運営を繋いでいる。
国民民主党にも
「壁の引き上げ」
の交換条件≠ニして、補正予算案への賛成などを取り付けてきた。
ある野党幹部は
「自民党は過去にも国民民主党の主張する『ガソリン減税』での協議をチラつかせて連携に誘いこみ、結局あやふやにした前科≠ェある」
と訝しむ。
今回の自民党の対応をどう見るのか。
政治評論家の有馬晴海氏は
「宮沢氏に柔軟性がなさ過ぎる」
「減税に抵抗する財務省の影響を最も受ける政治家で『壁の引き上げ』による税収減、制度改革の面倒な手続きを避けたいとの思惑があからさまだ」
「補正予算は能登復興が焦点で反対しにくかったが、来年2025年度の本予算では国民民主党も容赦しない」
「石破首相の辞任を交換条件にしないと国会運営が停滞するような局面もあり得る」
と語った。 

財務省と自民税調の悪だくみ′ク税圧縮・穴埋め増税 野党分断で予算修正阻止 足並み乱れた間隙狙い…特定野党に便宜も
2024.12/18 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241218-SXLEUTP5NRKIJEDOPJUXEUY2SE/
自民、公明、国民民主3党の税制調査会幹部は2024年12月17日、所得税が生じる
「年収103万円の壁」
の引き上げ幅を巡り、国会内で協議する。
与党は2024年12月13日の前回協議で
「123万円」
とする案を提示したが、
「178万円」
を求める国民民主党の案と開きが大きく、同党の古川元久税調会長は
「協議の打ち切りも含め考えなければいけないという思いで協議に臨む」
と述べた。
自民党の宮沢洋一税調会長が
「誠意を見せたつもりだ」
と発言したこともSNSで批判を浴びた。
元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏は、これまで税制を取り仕切ってきた財務省や自民党税調が巻き返しに出ているとみる。
野党を分断し、予算の修正を最小限にとどめることで、減税幅を圧縮し、他の項目で増税を図ろうとしているというのだ。
「年収103万円の壁」
の来年2025年からの引き上げとガソリン税の暫定税率撤廃を巡り、自民、公明、国民民主の3党幹事長が合意文書を交わした。
3党幹事長合意は
«いわゆる「103万円の壁」について、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年2025年から引き上げる»
«いわゆる「ガソリンの暫定税率」は、廃止する»
«上記の各項目の具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める»
と書かれた。
補正予算の成立と引き換えに、政治判断が優先された。
ただし、当事者である自民党の森山裕幹事長は
「1年で178万円への引き上げは困難」
と言い、自民党の宮沢税調会長は、幹事長合意書について
「釈然としない」
と不快感を表している。
また、公明党の赤羽一嘉税調会長は
「合意の内容はかなり漠然としており、税制協議で冷静な議論をして知恵を捻り出さなければいけない」
と言う。
一方、現時点で国民にとってベストである今国会での補正予算組み替えであれば、所得税減税の実施時期は今年2024年度だ」
「税を納めるのはサラリーマンであれば年末調整、サラリーマンでなければ3月の確定申告なので、来年2025年3月の確定申告に減税ができただろう。
いずれにしても、財務省にとって最悪な補正予算組み替えによる今年2024年度からの所得税減税は避けられた。
また来年2025年度の税制改正で議論するわけで、次に財務省が考えるのは、実施時期をできるだけ遅らせ、引き上げ幅は75万円からできるだけ圧縮することだろう。
森山氏の発言から予想されることは、例えば来年2025年は半分引き上げ、残りは再来年2026年にするといった方法だ。
これなら3党幹事長合意の範囲内だ。
ガソリン税減税についても、段階的に廃止していくことがあり得る。
その一方、他の税目で増税を目論んででいる。
防衛増税では、来年2025年度税制改正で順次行うことが政府内では決まっている。
社会保険料増についても、来年2025年度法改正で来年2025年に行うことは厚労省内の既定路線だ。
ただし、これらの増税は、各種税法や社会保険法改正が必要であり、改正案は来年2025年1月から開かれる通常国会に提出されるはずだ。
衆院で野党多数の現状なら、それらを否決することができる。
問題はここからだ。
そうした税法や社会保険法の改正は、予算関連法案であるので予算の修正が伴う。
予算の修正の際、野党各党はできるだけ自分の政党の政策を実現させようとする。
来年2025年夏には参院選があるので、各党が差別化しようと足並みは乱れるだろう。
とりわけ衆院選で国民民主党だけが脚光を浴びたので、他の野党は苦々しく思っている。
実はそこが財務省の狙い目だ。
各野党の間隙を縫って予算修正させずに予算成立を図ったり、特定の野党に便宜を図り、予算修正を最小限にとどめ、各種増税を行ったりするだろう。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

「103万円の壁」3党幹事長合意の裏事情 少数与党に転落、自民党税調会長の意向無視 焦った財務省が画策「123万円提示」
2024.12/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241217-IJTR2E32CBIGDLLCXWNJ5IQNXM/
「いわゆる『年収103万円の壁』の問題を巡る3党協議で、完全に蚊帳の外に置かれた格好となった宮沢洋一自民党税制調査会会長が、たいそうご立腹だと聞くが、はっきり言ってこれも時代の流れだ」
「先の衆院選で、自公が少数与党に転落した結果、自民党税調会長の思惑だけで税制が決められた時代は完全に終わりとなった」
「宮沢会長はまずそのことを理解しなくてはダメだ」
大臣経験のある自民党有力議員がこう言う。
「私自身はこれで良かったと思う」
「国民生活に直結する税制が、自民党税調という密室で極僅かの幹部だけで決められているというのは、どう考えてもおかしい」
「やはりこれは、オープンな場で議論すべきことだ」
(前述同)
先週2024年12月11日、自民・公明の与党と国民民主党の幹事長が2回に渡って会談を開き、国民民主党が求めてきた
「103万円の壁」
の見直しについて、来年2025年から実施することで合意した。
この
「合意」
によって、国民民主党は衆院で2024年今年度補正予算案に賛成した。
ただしその引き上げ幅については、今後の協議に委ねられることとなったのである。
「結局のところ、この問題は政治決着が図られることとなったのです」
「それというのも補正予算案の審議日程が極めてタイトになっていたからです」
「財務省がバックに控える自民党税調としては、何とかこの問題を先送りさせたかった」
「具体的には実施時期については、2026年まで先送りさせたかったのです」
「もっと言えば、それが財務省の意向だったのです」
(別の自民党有力議員)
しかしそれでは、補正予算案成立のメドが立たなかった。
なぜなら国民民主党が、絶対に首を縦に振らなかったからだ。
「このまま3党税調による協議に委ねていたならば、補正予算は絶対に成立しなかっただろう」
「そこで自民党の森山裕幹事長がギリギリのタイミングで動いたのです」
「森山幹事長だって、自民党税調の『コアインナー』に名前を連ねる税調中枢幹部」
「それだけに森山幹事長は、税調の考えは手に取るように分かる」
「宮沢会長に任せていたのでは、国民民主党は絶対に納得しない、と」
「だから宮沢会長の意向を無視したのです」
(前述同)
いずれにしても、今回の3党合意に一番焦ったのは、他ならぬ財務省だろう。
「財務省は宮沢会長を使って、引き上げ幅をなるべく小さくしようと画策してくるでしょう」
「国民民主党の要求である178万円に対して123万円を提示したのは、間違いなく財務省の意向です」
(自民党税調メンバー)
与党が過半数割れして少数与党に転落してしまったことで、そうした裏の動き全て可視化されてしまった。
「123万円では到底国民民主党は納得しないでしょう」
「最終的には、これも政治決着が図られるのではないか」
(前述同)
 (ジャーナリスト・須田慎一郎)

「国民の敵」緊縮主義の権化、自民税調や財務省の幹部たちにぴったりな言葉「減税を増税で取り返す懲りない面々」
2024.12/17 06:30
田中 秀臣
https://www.zakzak.co.jp/article/20241217-RMCI62NRKBMHDIDAEWNREAOP2Q/
日本経済に何が今必要だろうか。
答えは明瞭で、
「減税」

「利上げの停止」
だ。
新聞やテレビなどオールドメディアの報道では、2024年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)改定値が前期比0・3%増、年率換算で1・2%増と速報値から上方修正されたことや、2024年10〜12月期の成長率も消費の拡大などを織り込んでプラス成長を予測するなど
「楽観的」
なムードがある。
ただし自動車の認証不正問題や能登半島の震災などで通年での経済成長率がプラスになるかどうかは微妙だ。
プラスになったとしても僅かだろう。
要するに
「賃上げ」
ムードを政府や財界、連合などがしきりに煽ったが、力強い経済の再生にはほど遠いのが実情だ。
その原因は何か。
現在から将来にかけての税金や社会保険料の負担増だろう。
将来の負担増が、国民の生活を押し潰している。
「年収103万円の壁の見直し」

「ガソリンの暫定税率廃止」
といった国民民主党の主導による自民、公明両党との合意は、確かに画期的な減税政策だ。
だが、財務省や自民党の税制調査会の反対行動がこれから出てくるだろう。
自民党の宮沢洋一税調会長は3党合意に対して
「釈然としない」
と記者団に述べるなど不快感を隠していない。
自民党税調の幹部らは
「インナー」
と呼ばれ、特権的な立場のように思われてきた。
国会での民主的な議論とは無縁で、狭い身内だけの理屈で動く人たちである。
もちろん財務省が手厚くサポートしてもいる。
最近のSNSの進歩により、自民党税調の独善的な姿勢や緊縮主義の弊害が強く指摘されているのはいいことだ。
日本経済を長く低迷させてきた要因の1つは、財政政策の緊縮スタンスだ。
不況から完全に立ち直るのを待たずに、増税や負担増をしてしまう。
挙げ句には不況に苦しむ中小企業などを
「ゾンビ企業」
呼ばわりして、その淘汰を進めてしまう。
緊縮主義者たちは、中小企業が淘汰されれば、日本の国際競争力が増すと言っているが、それは単にトンデモだ。
不況が長期化するだけで、いいことは一切起こらない。
ネットでは
「国民の敵」
というハッシュタグ(検索目印)が話題だが、個人的には緊縮主義の権化である自民税調や財務省の幹部たちにこの言葉はぴったりだと思う。
自民党税調の動きは今後も要注意だ。
「防衛特別法人税」
「防衛特別所得税」
という増税案が出てきている。
せっかく
「年収の壁」
などで減税してもまた増税である。
この減税したら同じだけ(あるいはそれ以上に)増税というのは、財務省の典型的な発想だ。
本当に懲りない連中だ。
一方、年金に関わる
「年収の壁」
撤廃も現時点での負担増になるが、厚労省は今回の年金制度改革では撤廃を先送りにするという。
本当ならば朗報である。
 (上武大学教授・田中秀臣)

国民民主・玉木氏が自公に激怒、年収の壁「123万円」案の提示に 「178万円」と言ったのに…宮沢税調会長の発言が炎上
2024.12/14 12:24
https://www.zakzak.co.jp/article/20241214-CDTGGKRJ55MK7NJ4WC6WBET7P4/
■「178万円」って言ったのに…
「年収103万円の壁」
を巡って自民、公明の与党と国民民主党との間にバトルが勃発した。
3党の幹事長が2024年12月11日に
「178万円を目指して、来年2025年から引き上げる」
ことで合意したばかりなのに、与党の税制調査会幹部が2024年12月13日、僅か20万円だけ引き上げる
「123万円」
とする案を提示したからだ。
国民民主党は激怒し、上積みを要求している。
SNSでも自民党の宮沢洋一税制調査会長の
「誠意を見せたつもりだ」
という発言が炎上している。
国民民主党側は、1995年以降の最低賃金の上昇率に従って178万円を提示したが、3党の税調幹部による協議で与党側が提示したのは、食料品や光熱費などの物価動向などを踏まえた
「123万円」
にとどまった。
国民民主党に補正予算案に賛成させ、衆院を通過すると、早速引き上げを渋り始めた形だ。
国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止中)は2024年12月13日、X(旧ツイッター)に
「先日の3党の幹事長間の合意を余りにも軽んじているのではないか」
「幹事長間の合意を尊重できないのなら、税調会長間ではなく、直接、幹事長間で協議したらいい」
「話にならない」
と投稿した。
与党案に世論の批判も強い。
123万円について自民党の宮沢税調会長が記者団に
「誠意を見せたつもりだ」
と述べたことについて、SNSで
「自民党が国民をどう見ているかよく分かる」
と批判が殺到している。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/341.html#c25

[政治・選挙・NHK296] 「反省ゼロ」の自公にスリ寄り 有権者に透けて見える維新と国民の浅ましさ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
45. 秘密のアッコちゃん[1190] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月22日 07:51:51 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[628]
<■1366行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>「同性婚」判決 男女間の前提崩し不当だ
社説
2024/12/22 5:00
https://www.sankei.com/article/20241222-OVEHLTAQCJMLHOOUWYTO3UPOVQ/
同性婚を認めない民法などの規定について福岡高裁は
「違憲」
判決を出した。
男女という異性間を前提とする婚姻制度を崩す不当な判断である。
同性カップル3組が提訴していた。
全国5地裁に6件起こされた同種訴訟のうち、高裁では札幌、東京に続き違憲とされたが、受け入れられない。
一連の違憲判断は、個人の権利擁護に偏り、行き過ぎた解釈で同性婚を認めるよう導き出したと言わざるを得ない。
福岡高裁は法の下の平等を定めた憲法14条などの他、幸福追求権を保障した13条にも違反するとの初判断を示した。
「新たな家族を創設したいという願望は、男女と同性で何ら変わりがない」
などとし、同性カップルを婚姻制度の対象外としている法規定は、幸福追求権の侵害に当たると言う。
しかし婚姻制度は、国側が主張してきたように、男女の夫婦が子供を産み育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与える目的がある。
婚姻の自由を定めた憲法24条1項で、婚姻は
「両性の合意のみに基づいて成立」
すると規定している。
「両性」
が男女を指すのは明らかだ。
今回の判決の中でも
「同性婚を認めないことが24条1項違反とまでは解しにくい」
と述べている。
一方で13条などに反し
「違憲」
と言うのでは、憲法の条文相互に齟齬や矛盾があることにならないか。
憲法は同性婚を想定しておらず、民法や戸籍法が同性婚を認めていないとしても、
「違憲」
の問題が生じる余地がないのは明らかだ。
同性婚を認めよ―と言うなら、憲法改正を唱えるのが筋だろう。
憲法は同性婚を禁じていないなどとして違憲と断じるのは、牽強付会で無理がある。
林芳正官房長官は判決を受け、同性婚を法的に認めるべきかについては
「国民生活の基本に関わる問題で、国民1人1人の家族観とも密接に関わる」
と慎重な考えを示した。
同性愛など性的少数者への差別や偏見をなくす取り組みが必要なのは言うまでもない。
一方で社会の根幹を成す婚姻や家族制度について、幅広い議論と理解を欠いたまま拙速に進めれば、社会の分断を招くばかりである。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

同性婚訴訟、規定は「違憲」判断 福岡高裁、賠償請求は棄却 2審では3例目
2024/12/13 11:29
https://www.sankei.com/article/20241213-RY6LYMXNWVNKTJTYKHNZ6PHHCY/
同性同士の結婚を認めない民法などの規定は憲法違反だとして、福岡市と熊本市の同性カップル3組が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(岡田健裁判長)は2024年12月13日、規定を
「違憲」
と判断した。
賠償請求は1審に続き退けた。
全国5地裁に起こされた計6件の同種訴訟のうち、高裁判決はいずれも違憲と断じた2024年3月の札幌、2024年10月の東京に続き3例目。
主な争点は
@法の下の平等を定めた憲法14条
A両性の合意のみに基づいて婚姻が成立するとした24条1項
B個人の尊厳と両性の本質的平等を掲げた24条2項
に違反するかどうか。
昨年2023年6月の一審福岡地裁判決は、同性カップルは法的に家族と承認されず重大な不利益を被っているとして、24条2項に反する
「違憲状態」
と判断した。
賠償請求は退けた。
一方、解消には多様な選択肢があり、立法措置を講ずべき義務が直ちに生じるとは認められないと結論付けた。
14条には違反せず、婚姻とは別制度を設けることにも議論の余地があるとした。
原告側が不服として控訴していた。

<主張>同性婚判決 社会の根幹を壊しかねぬ
社説
2024/11/5 5:00
https://www.sankei.com/article/20241105-GZUIQKFCLRIFTHVKT7J4Z2G7NA/
同性婚を認めない民法などの規定について東京高裁は、違憲との判断を下した。
男女間を前提とし、社会の根幹を成す婚姻制度を壊しかねない不当な判決だと言わざるを得ない。
訴訟は同性カップルの当事者7人が国に計700万円の損害賠償を求めていた。
全国5地裁に6件起こされた同種訴訟で、高裁判決は札幌に続き
「違憲」
とされた。
最高裁の統一的判断が示されていないことなどから、国への賠償請求は退けられた。
判決では、同性婚を認めない規定について法の下の平等を定めた憲法14条1項と、結婚や家族に関し個人の尊厳や平等に立脚した立法を求めた24条2項に違反すると断じた。
男女間にしか結婚を認めないことは
「合理的な根拠に基づかない差別的取り扱いに当たる」
とまで踏み込んだ。
だが、国側が主張してきたように婚姻制度は、男女の夫婦が子供を産み育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与える目的がある。
歴史的に形成された社会の自然な考え方であり、これに根拠がないと断じる方が乱暴ではないか。
憲法24条2項を挙げ、
「違憲」
とする解釈には無理がある。
同条1項で婚姻は
「両性の合意のみに基づいて成立」
すると規定し、
「両性」
が男女を指すのは明らかだ。
これを受けた2項も男女の結婚などに関するものだ。
国側が言うように、憲法は同性婚を想定しておらず、違憲の問題を生じる余地はない―と考えるのが妥当だ。
判決では各種の世論調査で同性婚を支持する人が増えているとしている。
同性同士にも結婚に相当するような法的保護を与えることへの社会的な受容度が
「相当高まっている」
とも言う。
それなら同性婚を想定していない憲法の改正を論議するのが筋ではないのか。
判決では、異性間の婚姻とは別の規定を含め
「複数の選択肢」
があるとし、立法を求めている。
同性愛など性的少数者への偏見や差別をなくす取り組みが必要なのはもちろんだが、そうした権利擁護と、結婚や家族の在り方の議論は分けて考えるべきだ。
民法などの結婚や家族に関する規定は、伝統や慣習を立法化したものであり、国民の合意を得た慎重な議論が必要だ。

同性婚訴訟 理解に苦しむ高裁の違憲判決
2024/11/2 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241102-OYT1T50001/
同性カップルの結婚を認めるかどうかは、家族制度の根幹に関わる問題で、社会の幅広い議論が必要だ。
憲法解釈のような法律論争によって結論を導くべきものではない。
同性婚を認めていない民法や戸籍法の規定は憲法違反だとして、東京都の同性カップルらが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が東京高裁であった。
判決は、賠償を認めなかったものの、現行の民法などについて
「性的指向により法的な差別的取り扱いをするものだ」
と述べた。
その上で、法の下の平等を定めた憲法14条などに反するとした。
男女が結婚すると、配偶者としての相続権や税制上の優遇措置などの法的利益が得られる。
同性カップルがこうした利益を得られないことは不当だという判断だ。
性的指向は、本人の意思によって変えることができない。
同性カップルだという理由で差別を受けることがあってはならないし、一緒に暮らすことも自由である。
しかし、そうであっても今回の高裁判決には違和感を禁じ得ない。
憲法24条は
「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」
すると定めている。
この文言が男女の異性婚を指していることは明白だ。
婚姻制度は、男女が共に生活し、子供を育てる営みを基礎として作られた。
憲法制定時、同性婚の可否など全く議論されていない。
従って、民法や戸籍法に規定がないのは当然のことだと言えよう。
世界人権宣言も、婚姻は
「男女」
の権利だと明記している。
ところが高裁判決は、憲法が同性婚を想定していないことを認めながら、民法などに規定がないのは違憲だと結論付けた。
憲法が想定しない事態が、なぜ憲法違反になるのか。
理屈に合わない。
同性婚訴訟は、全国の地裁や高裁で
「合憲」「違憲状態」「違憲」
と判断が分かれている。
同性婚の問題を憲法が想定していないことをおかしいと言うのなら、同性婚を認めるよう憲法改正を主張するのが筋だろう。
判決は、同性婚に賛成する人が大半だという近年の世論調査結果に基づいて、
「社会的受容度は高まっている」
と指摘している。
同性カップルを公に認めるパートナーシップ制度の導入や、夫婦同様の休暇や手当を認める自治体や企業が増えていることは事実だ。
ただ、家族制度の考え方は多様で、世代によっても異なる。
同性婚の制度化は立法の問題である。
国会などで、様々な観点から熟議することが必要だ。

【社説】「同性婚」容認判決 司法への不信感を高める
2024年11月2日
https://www.worldtimes.co.jp/opinion/editorial/20241102-186423/
司法は
「同性婚」
の容認に突き進んでいる――そんな危惧を抱いてしまう判決が出た。
同性カップルの結婚を認めない民法などの規定は
「憲法違反」
とする訴訟の控訴審で東京高裁は
「違憲」
判断を下した。
男女の関係と同性の関係を区別するのは
「差別」
になるとの判断は納得できない。
結婚を相対化し、ひいては家族を解体しようという左翼的な思想が司法に広がり、それが今回の判断にも影響を与えているのだろう。
■憲法に「両性」「夫婦」
同様の訴訟は東京、大阪など5地裁に6件起こされた。
婚姻の目的は子供を生み育てる関係を保護するものとした大阪地裁のみが婚姻を男女に限定することは
「合憲」
とし、後は
「違憲」

「違憲状態」
だった。
訴訟の争点は、同性婚を認めないのは憲法24条1項(婚姻の自由)、2項(個人の尊厳)、14条1項(法の下の平等)に反するかだ。
控訴審の最初となった札幌高裁はこの3つの項全てで違憲だとした。
東京高裁は24条1項については判断を示さず、後の2つの項で違憲とした。
自らが決めた相手と婚姻関係になることは
「安定的で充実した社会生活を送る基盤を成す重要な法的利益」
とする一方、男女の婚姻と同性カップルの関係を区別するのは
「合理的な根拠がない」
というのである。
これは
「法の番人」
らしからぬ憲法解釈ではないか。
婚姻とは何かを明確に示した憲法の条文はない。
ただ、24条1項に
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有する」
とある。
「両性」
「夫婦」
の文言があることから、婚姻は男女の関係であると解釈できる。
大阪地裁が合憲判断を示したのは、この点が大きい。
東京高裁が24条1項について判断を示さなかったことには作為を感じる。
また、事実認識の間違いもある。
性的指向は自ら変えられないとの前提で判断を下したが、同性愛者から異性愛者に変わるケースは少なくない。
同性婚の是非を巡る訴訟は、最終的には最高裁で統一見解が示される。
最高裁には家族の
「多様化」
を後押しするマスコミやそれに影響された世論に流されることなく、事実を見極め、憲法に忠実な判断を示してほしい。
それでこそ法の番人である。
衆院選と同時に行われた最高裁裁判官の国民審査では、審査対象となった6人のうち4人が
「不信任」
率10%を超えた。
全員が信任されたとはいえ、1人でも不信任率が10%を超えるのは2000年以来のこと。
しかも4人も超えたのだから異常事態である。
■性別の通念を軽んじるな
最も不信任率が高かったのは長官の今崎幸彦氏(11・46%)、次いで尾島明氏(11・00%)。
両氏は昨年2023年10月、性同一性障害の人が戸籍上の
「性別」
を変更する場合の要件の1つとして、生殖能力をなくす手術を受けることを盛り込んだ特例法を
「違憲」
とした裁判に関わった。
今回の審査結果は、婚姻の目的についての伝統的な考え方や男女の性別についての社会通念を軽んじる法の番人に対する国民の不信感が高まっていることを示した、と捉えるべきだ。

【判決要旨全文】東京高裁はなぜ「法の下の平等」などに違反と判断したのか (結婚の平等裁判)
「同性婚訴訟」とも呼ばれる性的マイノリティの当事者が、結婚の平等を求めて国を訴えている裁判。東京1次訴訟・高裁判決の要旨全文を掲載します。
ハフポスト日本版編集部
2024年10月30日 11時54分 JST
|法律上同性カップルの結婚を認めない法律は違憲だとして、性的マイノリティの当事者が国を訴えている裁判で、東京高裁(谷口園恵裁判長)は2024年10月30日、
「法の下の平等」
を定めた憲法14条1項と、
「婚姻や家族の法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定すべき」
と定めた憲法24条2項に違反するという判断を示した。
この裁判は
「結婚の自由を全ての人に」
訴訟と呼ばれ、30人を超えるLGBTQ当事者が国を相手取り、全国5カ所で計6件の訴訟を起こしている。
2024年10月30日に高裁で判決が言い渡された東京1次訴訟は8つ目の判決で、二審は2024年3月の札幌高裁判決に続いて2例目。
これで8件中7件で違憲・違憲状態の判決が言い渡されたことになった。
東京高裁はなぜ違憲と判断したのか。
判決要旨全文を掲載する。
【東京高裁・判決要旨全文】
判決要旨
令和6年10月30日午前10時 判決言渡(101号法廷)
令和5年(ネ)第292号 国家賠償請求控訴事件
【担当部】東京高等裁判所第2民事部
【裁判官】谷口園恵(裁判長)、柴田義明、山口和宏
【当事者】控訴人:7名 被控訴人:国
【主文】控訴棄却
【判断の骨子】
1 現行の法令が、民法及び戸籍法において男女間の婚姻について規律するにとどまり、同性間の人的結合関係については、配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定(=婚姻の届出に関する民法739条に相当する規定)を設けていないことは、個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益について、合理的な根拠に基づかずに、性的指向により法的な差別的取扱いをするものであって、憲法14条1項、24条2項に違反する。
2 そのことが、現時点(当審口頭弁論終結日=令和6年4月26日時点)までに国会にとって明白になっていたとは言えないから、国会が、現時点までに同性間の人的結合関係について配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設けるに至っていないという立法不作為をもって、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとは言えない。
【理由の要旨】
1 控訴人らの請求
本件は、同性の者との婚姻を希望する控訴人らが、被控訴人に対し、現行の法令が同性婚を認めていないことは憲法14条1項、24条1項、2項に違反すると主張して、国会が同性婚を可能とする立法措置をとらないという立法不作為の違法を理由に、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償(慰謝料各100万円)を請求する事案である。
2 現行の法令が同性婚を認めていないことの憲法適合性(争点(1))
(1) 婚姻の目的・意義
婚姻は、当事者間の親密な人的結合関係を一定の要件の下に社会的に正当なものと認め、これに一定の効果を与える制度であり、時代、社会によってその制度内容は一様ではない。
民法は、男女が婚姻をして共に生活すると、夫婦間に子が生まれ、夫婦と親子から成る家族が形成されることを一般的に想定して、婚姻と親子を密接に結び付けた規律をしているが、この一般的な想定の全体に当てはまるものだけを社会的に正当な家族の在り方と認めて規律の適用対象としているわけではない。
我が国では、法律婚としての婚姻制度が整備された当初から、婚姻当事者の自由意思による合意が要件とされる一方、子の生殖の能力や意思があることは要件とされず、婚姻の目的について、子の生殖よりも、婚姻当事者間の永続的な人的結合を重視する見解が大勢を占めてきたことに鑑みると、我が国の婚姻制度は、婚姻当事者間の人的結合関係自体に社会共同体の基礎を成す構成単位としての意義を認め、これを法的な身分関係として制度化し、法的保護を与えてきたものであると言える。
国民の意識としても、一般に、性愛の対象とする相手を人生の伴侶と定めてその関係に社会的公認を受け、安定的に生活を共にすることに婚姻の意義の多くを見出しているのが実情であり、国民の中にはなお法律婚を尊重する意識が幅広く浸透しているとみられるから、婚姻には、互いに配偶者としての法的身分関係を形成して、それにより民法その他諸法令に定められた法的効果を享受することができることのみならず、居住、就労、療養その他の社会生活上の様々な場面において、配偶者として公認された者と扱われること自体により、共同生活の安定と人生の充実を得ることができるという意義があると考えられる。
そうすると、婚姻をすることで、自らの自由意思により人生の伴侶と定めた相手との永続的な人的結合関係について配偶者としての法的身分関係の形成ができることは、安定的で充実した社会生活を送る基盤を成すものであり、個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益として十分に尊重されるべきものである。
(2) 憲法24条の意義
憲法24条は、婚姻及び家族に関する従前の規律が、個人の尊重に欠け、男女間の不平等が顕著なものであったことから、婚姻に関する戸主の同意権のような封建的な規律を撤廃して、個人の尊重(憲法13条)と法の下の平等(憲法14条)という基本原則に立脚した制度が制定されなければならないことを明らかにする趣旨で設けられたものである。
憲法24条の制定時には、当時の社会通念に従い、婚姻とは男女間の人的結合関係をいうものであることを当然の前提として議論がされたにとどまり、同性婚の可否等については議論に上ることがなかったことからすると、「両性」、「夫婦」という文言を用いる憲法24条の規定をもって、性愛の対象とする相手を人生の伴侶と定めて共同生活を営むという永続的な人的結合関係が性的指向によっては同性間でも成立し得ることを想定した上で、男女間の人的結合関係のみを法的な保護の対象とし、同性間の人的結合関係には同様の法的保護を与えないことを憲法自体が予定し許容する趣旨であると解することはできず、憲法24条の規定があることを根拠として、男女間の婚姻のみを認め、同性婚は認めないことにつき、憲法14条1項違反の問題が生じ得ないということはできない。
(3) 性的指向による区別取扱いの存在
我が国では、かつては、異性愛が自然で、同性愛は病理であるとの認識が広く社会に浸透していたが、現在では、同性愛は疾病障害ではなく、性的指向は本人の意思で選択や変更をすることができないものであることが明らかになっている。
そして、性的指向による差別が許されないものであることは、国際的に広く共有される認識となり、我が国でも国の施策に係る基本理念として明確にされている。
自らの性的指向に基づき、同性間でお互いを人生の伴侶と定めて共同生活を営むという永続的な人的結合関係を形成し、その関係に社会的公認を受けることを望む者は、社会全体でみれば少数に属するものの、現に存在する。
このような同性間の関係においても、配偶者としての法的身分関係の形成ができることは、安定的で充実した社会生活を送る基盤を成すものであり、個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益であることに変わりがなく、男女間の関係におけるのと同様に十分に尊重されるべきものである。
しかし、民法及び戸籍法において、婚姻は男女間のものとして規定されており、同性間の人的結合関係については、婚姻の届出に関する民法739条に相当する配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定は設けられていないため、性的指向が異性に向く者は、自らの自由意思により人生の伴侶と定めた相手との永続的な人的結合関係について、婚姻により配偶者としての法的身分関係の形成ができるのに対し、性的指向が同性に向く者は、これができないという区別が生じており、これによって性的指向が同性に向く者に生ずる不利益は重大なものである。
(4) 上記区別の憲法適合性の判断枠組み
憲法24条2項は、婚姻及び家族に関する事項について、具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な裁量に委ねつつ、その立法に当たっては、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請、指針を示すことにより、その裁量の限界を画しており、その裁量権を考慮しても、上記区別をすることに合理的な根拠が認められない場合には、上記区別は憲法14条1項に違反し、その場合には、憲法24条2項にも違反する。
(5) 上記区別の合理的根拠の有無
ア 婚姻制度は、歴史的にみれば、男女が共に生活し、子をもうけて育てるという人の自然な営みの存在を基礎として設けられたものであり、婚姻と親子を密接に結び付けた規律をする現行法体系の下で、婚姻した夫婦による子の生殖と養育が社会の次世代の構成員の確保につながる重要な社会的機能を果たしてきた。
これに対し、同性間では、共に生活しても、その間に自然生殖により子が生まれることはない。
しかし、我が国の婚姻制度においては、子の生殖は婚姻の不可欠の目的ではないと位置付けられてきたし、同性間の人的結合関係にも婚姻と同様の保護を与えても、男女間の婚姻に与えられてきた法的保護は何ら減ずるものではなく、婚姻制度が上記の社会的機能を引き続き果たしていくことに支障を来たすことはない。
また、同性同士の共同生活においても、一方のみと血縁関係のある子、養子又は里親として養育の委託を受けた児童を共に養育している例が実際に存在しており、上記の社会的機能を果たすことが同性間の人的結合関係では実現不能というわけではない。
そうすると、婚姻制度の目的や社会的機能との関係において、上記区別をすることに合理的根拠があるとは言えない。
イ 我が国において、これまで婚姻は男女間でのみ認められてきたものであり、国民の中には、同性婚を認めることに否定的な考えを持つ者が、近年相当減少しつつも一定数存在する。
しかし、性的指向に関する社会における認識の変遷、我が国も批准する自由権規約の内容とこれに関する自由権規約委員会による履行の勧告、諸外国における同性婚を認める立法等の状況、我が国の地方公共団体におけるパートナーシップ制度の導入の広がりなどの国内外の動きが近年急速に進んでいる。
同制度は、婚姻制度のような法的効果を伴うものではなく、当事者間の関係に社会的公認を与えるものとして一定の効果があるにとどまるが、その導入の急速な広がりは、同性間の人的結合関係に社会的公認を受けたいという要請の存在と、地方公共団体等においてそれを受け止めるべきであるという認識が広がっていることを示すものである。
このような国内外の動きに伴い、国民の意識の変化も進み、近年の同性婚に関する意識調査の結果をみると、年を追うごとに同性婚を認めることに賛成する者が増え、反対する者が減る傾向が顕著であり、現在では、我が国において、同性間の人的結合関係に男女間の婚姻と同様の保護を与えることについて、否定的な考え方が国民一般に広く共有されている状況にあるとは言えず、むしろ社会的受容度は相当程度高まっていると言える。
そうすると、婚姻及び家族に関する事項は国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえて定めるべきであることを考慮しても、性的指向という本人の意思で選択や変更をすることができない属性により、個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益の享受の可否につき区別が生じている状態を現在も維持することに合理的根拠があるとは言えない。
ウ 同性間の人的結合関係について、配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設ける方法としては、婚姻を男女間のものとしている民法及び戸籍法の規定を改正して、婚姻を同性間でも認める立法をする方法だけではなく、婚姻とは別の制度として、同性間の人的結合関係について婚姻の届出に関する民法739条に相当する規定を新設する立法をする方法もある。
また、いずれの方法を取る場合でも、民法における婚姻の規律及びこれと関連付けられた親子、親権、相続の規律、その他諸法令において婚姻に関連付けて定められている種々の法的効果に関する規律のそれぞれについて、同性間の人的結合関係についても同様の規律とするのかどうかを定める必要がある。
これらの事項についてどのような選択をするかは、現代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断を行うことによって定められるべき事柄であり、それによる具体的な制度の構築は国会の合理的な立法裁量に委ねられている。
もっとも、その立法裁量は、個人の尊重(憲法13条)と法の下の平等(憲法14条)という基本原則に立脚した制度とすべきであるという憲法上の要請が、その裁量の限界を画するものである。
例えば、配偶者の相続権(民法890条)のように、婚姻当事者の性別や子の生殖可能性の有無にかかわらず、配偶者の地位にあることにより当然に生ずるものとされている財産的権利について、男女間の婚姻とは異なる規律とすることは、直ちにその合理的根拠を見出し難く、憲法14条1項違反の問題が生じ得ると解される。
もとより、上記区別を解消するために取るべき立法措置として複数の選択肢が存在することや、その立法措置に伴い構築されるべき具体的な制度の在り方は国会の合理的な立法裁量に委ねられることは、上記区別を解消する立法措置を取らないことの合理的根拠とならない。
(6) 憲法適合性についての結論
以上によれば、現行の法令が、民法及び戸籍法において男女間の婚姻について規律するにとどまり、同性間の人的結合関係については、婚姻の届出に関する民法739条に相当する配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設けていないことは、個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益について、合理的な根拠に基づかずに、性的指向により法的な差別的取扱いをするものであって、憲法14条1項、24条2項に違反する。
3 上記立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法と評価されるか(争点(2))
同性間の人的結合関係についても配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設けるべきとの要請は、憲法の規定自体から一義的に明白であったとは言えず、憲法上の要請としてこのような帰結が導かれることが認識されるようになったのは比較的最近のことであり、概ね同旨の司法判断が積み重ねられつつあるものの、最高裁による統一的判断は未了であることに照らすと、そのことが現時点までに国会にとって明白になっていたとは言えない。
従って、国会が、現時点(当審口頭弁論終結日=令和6年4月26日時点)までに同性間の人的結合関係について配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設けるに至っていないという立法不作為をもって、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとは言えない。
以上

「生きていてよかった」「うれしい」同性婚訴訟、違憲判決に原告ら喜び 支援者も拍手
2024/10/30 21:11
https://www.sankei.com/article/20241030-WLMWOABJXBKBJJIIXWDTXZOBQA/
同性同士の結婚を認めない民法と戸籍法の規定は憲法違反と判断した東京高裁判決に2024年10月30日、原告からは喜びの声が上がった。
判決後、高裁前で原告らが
「婚姻の平等へさらに前進!」
と書かれた横断幕を広げると、支援者らが拍手で祝福した。
「裁判長の口からはっきり『違憲』と聞けて、生きていてよかったなと思えた瞬間だった」。
判決後の会見で、原告の小川葉子さん=60代=は、安堵の表情を見せた。
提訴から5年が経ち、亡くなった原告もいる。
小川さんは
「私たちも時間がない」
「立法に向けて一歩でも早く進んでほしい」
と法整備を求めた。
判決は、婚姻の意義として
「配偶者としての法的身分関係の形成」
に言及。
小川さんのパートナー、大江千束(ちづか)さん=同=は
「配偶者という言葉を言ってくれたのが凄く嬉しかった」
と話した。
原告の小野春さん=仮名、50代=は、女性パートナーと子供3人を育てる。
「法律の後ろ盾がない中、手探りで子育てをやることも多かった」
と言い、
「色々な家族がいるということを(判決で)言ってもらえた」
と笑顔を見せた。

同性婚認めない現行法は「差別的取り扱い」 立法府に対応求める 東京高裁判決
2024/10/30 21:06
https://www.sankei.com/article/20241030-2ML2XLEURJOYDNKZAQ6TYT5IVY/
同性婚を巡る訴訟で、再び
「違憲」
判断が示された。
同種訴訟でこれまでに地高裁で出された計8件の判決のうち、
「合憲」
は僅か1件。
2024年10月30日の東京高裁判決は、同性婚を認めない現行法の規定を
「差別的取り扱い」
と指摘し、立法府に対応を求めた。
主な争点は、民法などの規定が
「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」
とした憲法24条1項▽「婚姻や家族に関する法律は個人の尊厳に立脚して制定する」とした24条2項▽「法の下の平等」を定めた14条1項−に違反するかだった。
高裁判決はまず、婚姻制度の目的を検討した。
憲法制定時は同性婚を想定していなかったとした上で、婚姻の目的として、子を持つことより相手との人間関係が重視されてきたと指摘。
配偶者という法的身分は
「安定的で充実した社会生活を送る基盤」
として
「重要な法的利益」
で、性的指向にかかわらず尊重されるべきだとした。
また、複数の世論調査で同性婚に反対する人が3割未満だったこと、同性カップルを公的に認める
「パートナーシップ制度」
が400超の自治体で導入されていることなど、社会的容認が進む国内外の変化に言及。
現在も同性婚を認めないのは14条1項と24条2項に違反すると結論づけた。
1審東京地裁判決ではパートナーシップ制度などの存在を念頭に
「違憲状態」
とするにとどめたが、控訴審判決は同制度について
「一定の効果にとどまる」
と捉えた上で、具体的な制度構築は国会に委ねた。
控訴審判決は同性パートナーの親の死亡時に忌引休暇が使えなかったといった、原告それぞれの具体的な生活状況も検討。
同性婚ができないことで重大な不利益が原告にあったと認めた。
今年2024年3月の札幌高裁判決は24条1項が
「同性婚も保障する」
と踏み込んだが、東京高裁判決は判断を示さなかった。
■「司法と立法の役割、峻別」
棚村政行・早稲田大名誉教授(家族法)
東京高裁判決は、同性婚に関する規定がないことを違憲と判断することで、国会での立法による解決を強く促すと共に、社会的混乱の回避も狙うものだ。
司法判断を示す裁判所と、立法機関である国会が出来ることを峻別した点で、穏当なアプローチを取ったと言える。
判決は、今年2024年3月の札幌高裁判決と違って憲法24条1項が同性婚を保障するとの立場はとらず、同性カップルの婚姻に関する規定がないことが差別的だと指摘する形を取った。
その上で、制度設計は国会に委ねられるとの見解も示した。
同性カップルの社会保障や税法など、司法判断では解決出来ない問題がある。
東京高裁判決は、司法の立場を弁えつつ、人権を守る最後の砦の役割を果たそうとしたものとも言える。
同性婚訴訟を巡る2つの高裁判決でいずれも違憲の判断が出たことで、司法の流れは固まりつつある。
政府は今回の判決を重く受け止め、同性婚に関する問題の検討や議論を開始すべき立場に置かれている。

同性婚認めぬ規定、東京高裁も「違憲」 国の賠償責任は認めず
2024/10/30 10:14
https://www.sankei.com/article/20241030-QMURUNW7NFPXPJGQCE43QNFBPI/
同性同士の結婚を認めない民法と戸籍法の規定は憲法違反だとして、同性カップルの当事者7人が国に計700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が2024年10月30日、東京高裁であった。
谷口園恵裁判長は、規定は
「個人の尊厳」
を定める憲法24条2項などに反して
「違憲」
と判断した。
賠償請求は退けた。
全国5地裁に6件起こされた同種訴訟で、2審判決は2件目。
今回の判決で、違憲は4件、違憲状態は3件、合憲は1件となった。
国の賠償責任が認められた例はない。
谷口裁判長は、婚姻によって法的身分関係を形成することは
「重要な法的利益」
で、
「同性間においても十分尊重されるべきもの」
と指摘した。
その上で、男女間にしか法律婚を認めないことは
「合理的な根拠に基づかない差別的取り扱い」
で、憲法24条2項の他、
「法の下の平等」
を定めた14条1項にも反するとした。
一方、同性婚に関する最高裁の統一判断がまだ示されていないことなどから、国の賠償責任までは認めなかった。
訴訟の主な争点は、異性間の婚姻を前提とした民法や戸籍法の規定が、
▽「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」とした憲法24条1項
▽「婚姻や家族に関する法律は個人の尊厳に立脚して制定する」とした24条2項
▽「法の下の平等」を定めた14条1項
に違反するかだった。
今年2024年3月の札幌高裁判決は、規定が憲法24条1項に反するとして、違憲と判断していた。

卑怯なパーティー禁止案
産経新聞 2024年6月16日 弁護士 北村晴男
立憲民主党は政治資金パーティー禁止法案を提出する一方で、岡田克也幹事長ら複数幹部がパーティー開催を予定していた。
彼らの心の内は
「政治には金が掛かる」
「政治資金パーティーは、政治家が支持を訴え、これに賛同する有権者から政治資金を集めるという民主主義の根幹を成すもので、これを禁止するのは間違いだ」
「しかし、禁止法案はきっと国民に受ける」
「これは絶対に成立しないから出そう」
というもの。
その証拠に批判を受けてパーティー中止に追い込まれた岡田氏は思わず、記者の前で漏らした。
「政治改革の議論が決着するまで控えた方がいい」。
パーティーを開くつもり満々である。
その心根は実に卑怯で、国民を愚弄するにも程がある。
それにしても立憲民主党の党利党略は目に余る。
国益を図る党なら、政治資金パーティーの必要性、有益性を説明すべきなのに、立憲民主党はむしろ禁止法案を出して政権批判の具に利用する。
戦前、ロンドン海軍軍縮条約に調印した内閣を、野党・立憲政友会の鳩山一郎(鳩山由紀夫元首相の祖父)や犬養毅が
「天皇の統帥権の侵略だ」
と猛烈に批判したのとよく似ている。
統帥権は軍の最高指揮官で、軍政に関わる軍縮条約とは無関係だが、鳩山らはそれを百も承知で軍部の暴論に乗り、批判。
その結果、軍部は限りなく増長を続け、政党政治は死滅し、日本は破滅の淵に追いやられた。
立憲民主党の行動原理もこれと寸分違わない。
彼らには国益のため立法府の義務を果たそうという使命感がない。
国会議員の究極の務めは、国民のため
「憲法を適切な改正により磨き続けること」
だが、その議論さえも避ける。
立憲民主党が提出した同性婚法制化の婚姻平等法もその例だ。
憲法24条は
「婚姻は、両性の合意のみに基いて・・・」
と定め、文言上、明らかに同性婚を想定していないから、法制化を目指すなら国会で憲法改正を発議し、国民投票に問うべきなのだが、それをしない。
先日の札幌高裁判決は憲法24条の文言を無理に解釈して同性婚を認めたが、国民の議論が大きく分かれる問題を、国会議員と国民ではなく裁判官個々の価値判断に丸投げするのは間違いだ。
自衛隊についても全く同じ。
最高裁は自衛権を認め、国民は自衛隊に信頼を寄せるが、多くの憲法学者は憲法9条を根拠に自衛隊を違憲とする。
この条文が放置されることで、憲法の権威は著しく傷付いている。
常に必要な改正をし、条文を磨き上げてこそ、憲法への信頼が保たれる。
だが、立憲民主党は衆参の憲法審査会でもサボタージュを続ける。
「立憲」
と名乗りながら、憲法の権威を傷付け続けるとは、何をか言わんやである。

林官房長官が同性婚制度について「国民の家族観にかかわる」 立民提出の法案巡り
2024/5/14 17:29
https://www.sankei.com/article/20240514-2JPHJ7Q7EBKZXDIFGM4Y7BMNXM/
林芳正官房長官は2024年5月14日の記者会見で、立憲民主党が国会提出した同性婚を法制化するための民法改正案(婚姻平等法案)について
「(同性婚制度は)国民生活の基本に関わる問題だ」
「国民1人1人の家族観とも密接に関わるものと認識している」
と述べた。
同法案は、異性間の婚姻のみを前提としている文言を修正すると共に、従来の「父母」や「父」「母」を性中立的な「親」などの表記に改めることが柱。
保守層からは
「家族の在り方が崩壊し、バラバラの個人の集合体のような国になりかねない」(ジャーナリストの櫻井よしこ氏)
と慎重な意見が上がっている。
林氏は同性婚に関し
「まずは国民各層の意見、国会における議論の状況、同性婚に関する訴訟の動向、地方自治体におけるパートナーシップ制度の導入や運用の状況などを注視していく必要がある」
と語った。

実はあの本のパクリだった!札幌高裁「同性婚」判決、驚きの真実 八木秀次
2024/5/10 7:00
https://www.sankei.com/article/20240510-UIS26P7MTRJGDCXHHGS6Y3H2EQ/
マスコミ報道は分かり易さを追求するためか、しばしば法律論が大雑把になりがちだが、いわゆる同性婚問題についてはちょっと粗雑に過ぎる。
2023年までに全国5カ所の地裁で、同性同士の
「婚姻」
を認めない現行の民法や戸籍法の規定などについて判決が出されたが、多くのマスコミが、このうち4地裁で同性婚を認めていないことを
「違憲」
「違憲状態」
とする判決が出た、と報道していた。
例えば朝日新聞は
「同性どうしで結婚できないのは違憲とした(2023年)5月の名古屋地裁判決」(2023年6月21日付)
と書いた。
しかし、これは明らかに誤報だ。
判決をよく読めば分かるが、実はこれらの中に、単純に同性婚を認めないこと自体を
「違憲」

「違憲状態」
とした判決は1つもない。
これらの判決は、同性愛者に対し結婚そのものを認めなければならないと言っているのではなく、結婚で得られるメリットの一部(例えば社会的承認など)を得られるようにすべきだと言っているに過ぎない。
逆に言えば、
「同性婚」
そのものの導入を命じることは慎重に避けられている。
例えば、札幌地裁の判決は
「同性愛者に対しては、婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは…合理的根拠を欠く差別取扱いに当たると解さざるを得ない」
と述べるにとどめ、
「婚姻を認めないこと」
自体で違憲と断定されていない。
言い換えれば、せいぜい同性パートナーシップ制の法制化を示唆している程度で、同性婚法制化には躊躇していると言っていい。
少なからざる裁判官が、結婚を男女間に限定した現行制度を改めさせたいと思っているのは事実だろう。
しかし、結婚を男女間に限定することを
「違憲」
とすることには躊躇しているのである。
躊躇せざるを得ない理由の1つに憲法24条の文言がある。
同条は1項で
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」
と定めている。
つまり結婚は男性と女性の
「両性」
の合意によるものだと明言する24条の文言が、同性婚推進派の裁判官に対するストッパーになり、ストレートな違憲判決が出せないのが現実なのだ。
それなのにマスコミはこれを
「同性どうしで結婚できないのは違憲とした」
などと騒ぎ、多くの国民に
「憲法が同性婚導入を命じている」
と誤解させている。
これでは、きちんとした同性婚を巡る憲法論議はできない。
■札幌高裁”摩り替え”判決
だが、ここに来て、ストッパーになってきた文言の
「壁」
を乗り越える判決が出された。
2024年3月14日の札幌高裁の判決だ。
これは同性婚を認めていない民法などの規定は憲法24条に違反すると明言し、更に同条が同性婚を保障しているとまで主張した驚くべき判決だ。
「同性」
という言葉があるのに、どうして違憲判決を出せるのか?
常識ある読者はこう疑問に思うだろうが、そこには頭のいい裁判官らしい巧妙な論理、言い換えれば
「屁理屈」
がある。
単純に言うと、判決は憲法の
「両性」
という言葉を、
勝手に
「当事者」
と読み替えているのである。
「両性」

「当事者」
と変えると、24条はこうなる。
「婚姻は、当事者の合意のみに基づいて成立し・・・」
なるほど、これなら同性婚も認め得る。
しかし、裁判官が勝手に憲法の文言を書き換えるような真似をしていいのか。
判決はその疑問にこう答える。
憲法の解釈は
「文言や表現のみでなく、その目的とするところを踏まえ」
て行われ、
「社会の状況の変化に伴い、やはり立法の目的とするところに合わせ、改めて社会生活に適する解釈をすることも行われている」
その上で、判決はこう結論付ける。
「憲法24条1項は、人と人との間の自由な結び付きとしての婚姻をも定める趣旨を含み、両性つまり異性間の婚姻のみならず、同性間の婚姻についても、異性間の場合と同じ程度に保障していると考えることが相当である」
■実は「ネタ本」があった・・・
要するに、憲法の言葉を同性婚推進派の都合のいいように摩り替えたのだ。
「法の番人」
として、法の文言を重んじる裁判官にしては大胆な手法だが、実はこの論理には元ネタがある。
裁判官出身で元最高裁判事の千葉勝美氏の『同性婚と司法』(岩波新書、2024年2月刊)と、千葉勝美氏が2年前の2022年に発表した論文である。
同書は初めから同性婚を認めるべきだとの結論ありきで、そのためにどうやってこれまでの憲法解釈を曲げるかを示した憲法解釈のマニュアル本のような著作だ。
札幌高裁の判決は千葉勝美氏の論理も言葉遣いもそのまま借用しているように見える。
「パクリ判決」
と言ってもいいだろう。
千葉勝美氏は憲法24条の
「両性」
の用語について論文で次のように述べている。
「男女の属性を持ったものと言う意味から、その本来の意図を踏まえると、・・・明確な異性婚を想定させない『当事者』、『双方』の用語でも足り、・・・そのような趣旨で、あるいは限度での『憲法の変遷』が生じているのではないか」
「『憲法の変遷』の考え方を取り込み、・・・同性同士の婚姻も排除しない、すなわち許容していると解することの出来る別の用語として捉えることが許されるような状態に変遷していると考えることができよう」
(『判例時報』2506・2507号、2022年3月)。
難解な文章だが、要するに憲法条文の意味は時代によって
「変遷」
しているのだから、
「両性」
「夫婦」
の文言は
「当事者」
「双方」
と読み替えていいのだというのである。
札幌高裁判決とそっくりの内容だ。
ポイントになるのは
「憲法の変遷」
という考え方だろう。
これは19世紀ドイツの公法学者、ゲオルグ・イェリネックが提唱した理論で、日本国憲法のように改正が、難しい
「硬性憲法」
は、簡単に改正できないから、社会との間に齟齬が生じる場合は、同じ文言でもその意味が変遷していくと考えるべきだ・・・というものだ。
同性婚推進派の千葉勝美氏は憲法24条の
「壁」
を乗り越えるためには
「憲法の変遷」
論に基づく文理解釈、即ち
「両性」
から
「当事者」
への読み替えが
「同性婚を憲法上の権利として法制化するための唯一の憲法解釈」
であるとし、司法(裁判所)が毅然としてこれを主張すべきだと煽っている(『同性婚と司法』)。
札幌高裁はこれに乗った形だ。
しかし、である。
「憲法の変遷」
論は学説として存在するのは事実だとしても、裁判所の憲法解釈として妥当なのだろうか。
憲法を文言の原意に関係なく、裁判官の主観的判断で再解釈することは、司法がその権限を越えて文言を改正すること、つまり事実上の立法行為をするに等しい。
立憲主義や憲法の規範性に反する。
私自身は、そもそも
「同性婚」
は子供を産み育てるための制度である婚姻制度の趣旨に相容れないことから、その法制化に反対だが、今、司法で行われていることは、こうした議論とは次元が異なる。
憲法改正は国会の発議で国民投票によって決めるべきものだと憲法が定めているのに、それを司法が勝手に行っていいのかという問題だ。
仮に同性婚を法制化したいのであれば、正面から憲法24条の改正を唱えるのが筋だろう。
裁判所による
「裏口からの憲法改正」
の是非が問われている。

それは裁判官が決めることですか?「同性婚」判決に潜む高慢 米弁護士S・ギブンズ
「正しさ」に潜む高慢
2024/4/11 7:00
https://www.sankei.com/article/20240411-AYWGXSRU3VOOVIMFXC2CZA4YAA/
裁判官は国民の価値観を決められるほど、賢い存在なのだろうか。
先日の札幌高裁の判決は、実質的に、同性婚を認めるように民法および戸籍法の改正を国会に命じるものであった。
結婚は歴史的に男女間のみに限定されてきたが、現在では、そういう価値観は非合理的になったというのである。
「同性婚に対する否定的な意見や価値観を有する国民も少なからずいる」
「もっとも、これらは、感情的な理由にとどまるものであったり、異性婚との区別について合理的に説明がされていなかったりするものである」
つまり、結婚は男女のものだという考えは、理性的な人間ならば否定すべき迷信に過ぎない、というのだ。
同性が結婚するのは不自然だという価値観を心の中に抱くだけでも、天動説を信じる者であるかのように扱われるのだ。
その根拠は何か。
判決では、憲法13条(個人の尊重、幸福追求の権利)、24条1項(両性の合意に基づく婚姻)と2項(個人の尊厳、両性の本質的平等)、14条1項(平等権)という観点から、
「合理性」
に基づいて結論を導いた。
同性婚を認めない法律は
「合理的な根拠を欠く」
もので、違憲であり無効であると。
「合理」「合理」…裁判官はすべてをこの言葉で説明するが、しかし、人間とはそんなに合理的な存在だろうか。
何が正しくて、何が正しくないか、道徳や倫理上の問題を突き詰めていくと
「合理的な」
論理では説明がつかないということを裁判官たちは知らないようだ。
例えば、日本でも有名な1912年の客船タイタニック号沈没事故。
男性よりも子供や女性を優先して救うことに誰も疑問を抱かなかったが、その順位付けは
「合理的」
だったのだろうか?
なぜ例えば、一番強くて賢い者が優先ではなかったのか?
ただの合理から答えは導けない。
タイタニック号の乗組員や乗客は、論理ではなく、何世紀にも渡って培われてきた倫理的本能に基づいて行動したのだ。
同性婚に否定的な意見や感情も同じである。
家族、男女の役割と関係、親と子の関係など、日常生活の中核にある価値観、道徳的感情は、古くからある伝統的で複雑な要素に基づいているもので、
「合理的」
な論理では説明できない。
■不合理の一言で切り捨て
あるいは、過去半世紀に渡ってアメリカの法廷を悩ませてきた人工妊娠中絶の問題を考えてみよう。
アメリカでは、連邦最高裁が1973年の
「ロー対ウェード」
判決で、中絶手術を他の手術と区別するのは不合理であると結論付けて以来、合衆国憲法に一言も明示されていない女性の中絶権が認められてきた。
しかし、中絶手術を受ける女性のほとんどが、他の手術後には起こり得ない本能的な自責の念や、胎児に対する罪悪感を経験する。
その感情を
「不合理」
の一言で片付けることができるだろうか?
また、やがて生まれる命が人工的に奪われることに憤りを覚えることを、
「不合理」
の一言で切り捨てられるだろうか。
恐らく出来ないだろう。
中絶の是非は別としても、これらは純粋な論調だけでは答えの出ない複雑な問題である。
少なくとも、黒い法服をまとった賢い裁判官が正しい答えを出すべきではない。
生物学や歴史に根差した道徳的本能を
「非合理的」
「不合理」
なものとして排除するために、
「合理」
を前面に押し出すのは早計ではないか。
連邦最高裁は50年かけて、ようやくそれに気付き、2022年、憲法解釈を改めたのだが、50年前のアメリカの後を追ったのが札幌高裁の裁判官たちだった。
同性婚を巡る憲法24条について
「いつ誰と婚姻するかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解され・・・十分尊重に値するものと解することができる」
として、性別に関係なくお互い同意している2人の結婚を禁止することは客観的に見て不合理であると結論付けた。
しかし、誰と結婚するかを制限することが
「不合理」
だと言うなら、それはなぜ同性婚にとどまるのか?
兄弟姉妹の結婚や、3人以上での結婚はどうなるのか?
同意のある成人同士であれば、近親婚や一夫多妻制を法的に禁止することは、同性婚を禁止すること以上に合理的なのだろうか?
同性婚支持者の多くは、近親婚や一夫多妻制に対するタブーは明確に区別できると訴えているようだ。
しかし、それはなぜだろうか?
同性愛、近親相姦、一夫多妻制に対する古来のタブーは、ある意味で全て等しく
「不合理」
なはずである。
■賢き者、それは裁判官か?
アメリカやヨーロッパの同性婚を求める政治運動では、同性愛者は異性愛者と同じように安定した家族関係や子供を望む普通の人々であると主張されている。
彼らは他の人と同じように父性本能や母性本能を持っている。
たまたま同性を好むだけなのだと。
スローガンは
「愛は愛」。
このような人々に結婚の恩恵を与えないのは残酷だとされる。
確かに、伝統的な家庭生活を営み、配偶者に忠実で、良き親である同性カップルがいることは事実だろう。
しかし、同時に全ての同性愛者が1人のパートナーと静かな家庭生活を送ることに関心があるとも思えない。
最近辞任を発表したアイルランド前首相のレオ・バラッカー氏が典型的だろう。
彼は既同性婚者であるにもかかわらず、ゲイクラブで他の男性と性行為に及んでいるところをスクープされた。
彼のパートナーはそのことを気にしていないようだった。
もちろん男女の結婚にも不倫はあるし、同性愛者そのものは自由であるという他にないが、だからといって、同性婚を男女の結婚と同じように認めるのは安直に過ぎないだろうか。
札幌高裁の判決は、近年同性婚を合法化した欧米諸国の例を列記した。
要するに、日本は後進国で時代遅れだから他の国々のように同性婚を受け入れるべきだと言いたいのだろう。
しかし日本は慌てて追随する前に、欧米で同性婚導入に続いて定着したジェンダー・イデオロギーがどのような結果をもたらしたかに目を向け、日本にとってそれが望ましいのか考えるべきではないか。
欧米では、同性愛者に結婚する権利を与えてくれ、という要求が、より過激な要求に拡大していった。
かつては
「倒錯」
的な趣味と見做されていたSM愛好者などもLGBT文化を賛美する
「ブライド・パレード」
などで堂々と闊歩するようになった。
公衆トイレを男女別にしたり、男の子にはロボットのオモチャ、女の子には人形を買ってやったりする行為も、今や差別と見做されている。
アイデンティティーが女性だと主張する男性は、陸上競技で女性と競争することを許可されなければならない。
生まれつきの性差を基本的に不自然かつ不正と見做す国となっているのだ。
その根底にあるのは、社会的性差(ジェンダー)のみならず、生物としての性別すら、社会の偏見であって、根拠のないものだという極端な思想、性別とは個人が自由に選択できる
「アイデンティティー」
の1要素であるという考えだ。
果たして、日本国民の大多数は、このような
「合理的」
な社会で幸せに暮らせるだろうか。
札幌高裁の判決は、同性婚への反対は不合理であるから、
「立法府の裁量を超えるものである」
として同性婚導入を命じる。
しかし、結婚の在り方は日本国民の価値観に関わる重要な問題である。
それは裁判官ではなく、日本国民自身が民主的に選出された立法府の民主的な議論によって決めるべき問題のはずだ。
札幌高裁の判決は余りに反民主的で高慢だ。

同性婚訴訟 札幌高裁判決の要旨
2024年3月15日産経新聞
▽性的指向
同性愛者は婚姻が許されていないため、社会生活上の不利益を受け、アイデンティティーの喪失感を抱いたり、社会的な信用、評価、名誉感情などを維持するのが困難になったりするなど、人格が損なわれる事態となっている。
性的指向は生来備わる人としてのアイデンティティーで、個人の尊重に関わる法の保護は同性愛者も同様に享受されるべきだ。
同性愛のみならず、愛する対象が異性と同性の双方の場合、性を自認できない場合なども同じように考えらえる。
▽憲法14条1項
憲法14条1項は法の下の平等を定め、差別的な取り扱いを禁止する趣旨だ。
立法府の裁量権を考慮しても、取り扱いの区別に合理的な根拠が認められない場合は同項違反と判断すべきだ。
性的指向と婚姻の自由は重要な法的利益だが、同性婚は許されていない。
それにより同性愛者は制度的な保障を享受できず、著しい不利益を受けている。
性的指向の区別は合理的根拠を欠いており、憲法14条1項に違反する。
▽憲法24条
憲法24条1項は、人と人の自由な結び付きとしての婚姻をも定める趣旨だ。
同性間の婚姻も異性間と同じ程度に保障していると理解できる。
憲法制定当時は同性婚が想定されておらず、両性間の婚姻を定めているが、文言のみに捉われる理由はなく、個人の尊重がより明確に認識されるようになったとの背景の下で解釈するのが相当だ。
憲法24条2項は、婚姻や家族に関する立法に当たっては、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきだと定めている。
憲法上の権利に至らない国民の人格的利益をも尊重し、婚姻が事実上不当に制約されないことにも十分に配慮した法制定を要請している。
同性婚を許さず、これに代わる措置を一切規定していないのは、憲法24条の規定に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量の範囲を超える状態に至っていると認めるのが相当で、憲法24条に違反している。
▽国民世論
国民に対する調査でも同性婚を容認する割合はほぼ半数を超えている。
否定的な意見を持つ国民もいるが感情的な理由にとどまっている。
啓蒙活動によって解消していく可能性がある。
同性婚について法制度を定めた場合、社会的な影響も含め、不利益・弊害が生じることは窺えない。
▽付言
同性婚を許さない規定は、国会の議論や司法手続きで違憲だと明白になっていたとは言えず、制度設計についても議論が必要だ。
だが違憲性を指摘する意見があり、国民の多くも同性婚を容認している。
社会の変化を受け止めることが重要だ。
同性婚を定めることは国民に意見の統一を求めることを意味しない。
個人の尊厳を尊重することであり、同性愛者は日々の社会生活で不利益を受け、喪失感に直面しており、対策を急いで講じる必要がある。
喫緊の課題として、異性婚と同じ制度の適用を含め、早急に真摯な議論と対応が望まれる。

日本国憲法
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
A 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

同性婚めぐる札幌高裁判決 産経「家族制度壊しかねず不当」 朝毎東、政府・国会に立法求める
社説検証
2024/4/3 9:00
https://www.sankei.com/article/20240403-47HTMEGF7NMOLBFX5FBU6OYZL4/
同性同士の結婚を認めない民法などの規定は憲法違反だとして、北海道の同性カップル3組が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、札幌高裁は
「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立する」
とした憲法24条1項は
「同性婚も保障している」
とする初判断を示した。
同性婚を認める判断を
「不当な判決」
と批判した産経と対照的に、朝日、毎日、東京は判決を評価、政府や国会に同性婚の法整備を求めた。
同種の訴訟は全国の5地裁で計6件起こされており、今回は初の控訴審判決となった。
札幌高裁は、現行の民法などの規定は、個人の尊厳に立脚した婚姻や家族に関する立法を求めた24条2項や、「法の下の平等」を定めた14条1項にも違反するとした。
産経は
「国民の常識と隔たり受け入れられない」
「社会の根幹を成す伝統的な家族制度を壊しかねない不当な判決である」
と訴えた。
その上で24条1項について
「男女、異性間の婚姻について定めているのは明らかだ」
「同性婚は想定していない」
と指摘した。
今回の判決も文言上は異性間の婚姻を定めた規定だと認めているが、
「人と人の結び付きとしての婚姻」
についても規定する趣旨があるとしている。
これについて産経は
「無理がある」
「憲法の条文を蔑ろにする、ご都合主義だと言う他ない」
と批判した。
一方、
朝日は
「当事者は日々、喪失感に直面しており、急いで対策を講じる必要がある」
と強調し、様々な制度は異性間の結婚を前提に作られているとして、
「整合性のある法制化に1日も早く着手する時だ」
と訴え
た。
毎日は
「同性愛者と異性愛者が社会的に区別される謂れはない」
「共に個人として尊重されるべきだと、明確に示した画期的判断だ」
と高く評価した。
併せて
「性的指向は個人のアイデンティティーに関わり、法的に保護される必要があるという当然の認識から、導かれた結論だ」
と理解を示した。
東京も
「性的指向・性自認に即して、不自由なく暮らすことは大事な権利だ」
「立法を急がねばならない」
と提起した。
これら3紙は政府や国会の責任も追及している。
朝日は
「同性カップルの存在を自然に受け止めている社会の変化に、法制化に向けた議論すら始めようとしない自民党は気付いていないのだろうか」
と難じた。
岸田文雄首相が参院予算委員会で
「引き続き、判断に注視していく」
と述べたことにも触れ、
「政府・国会がただ見ているだけでは、遠からず不作為を問われることになりかねない」
と論じた。
毎日は
「政府や国会は重く受け止め、直ちに同性婚の法制化に動かなければならない」
「個人の尊厳を守るには、制度で権利を保障することが不可欠である」
と訴えた。
東京は
「政府の腰が重いのなら、立法府主導で法整備を進めることが国民代表の責任だ」
と国会にも対応を促した。
日経は
判決の直接的な評価には踏み込まず、
「同性カップルが家族として尊厳を持って暮らすためには、どのような法整備が必要なのか」
「度重なる司法からのメッセージを重く受け止め、国会や政府の場で議論を急ぐべきだ」
と提言した。
産経は、
性的少数者への差別解消と結婚や家族のあり方の議論は分けて考えるべきだとの立場だ。
「拙速な議論は社会の分断を招き、却って差別解消から遠のきかねない」
と懸念を示し、自治体や企業なども
「同性カップルを巡る法的・経済的不利益について考慮し、きめ細かな施策を進める現実的な議論が必要だ」
と説いた。
同性婚を巡る問題は家族観と密接に関わってくる。
婚姻制度には、男女の夫婦が子供を産み育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与える目的があることを、改めて認識したい。

同性婚の札幌高裁判決を巡る主な社説
【産経】
・国民常識と隔たり不当だ(2024年3月16日付)
【朝日】
・「違憲の法」いつ正す(2024年3月16日付)
【毎日】
・尊厳を守る画期的判決だ(2024年3月16日付)
【日経】
・早急な議論を迫る同性婚判決(2024年3月21日付)
【東京】
・「結婚の自由」立法急げ(2024年3月16日付)

<主張>同性婚で高裁判決 国民常識と隔たり不当だ
社説
2024/3/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20240316-GOG5YLYCPNJFTO7XI7MWBQBP6Y/
同性同士の結婚を認めない民法などの規定について札幌高裁は、
「婚姻の自由」
を定めた憲法24条などに反し違憲だとする判断を示した。
同性婚を認めるもので、国民の常識と隔たり受け入れられない。
社会の根幹を成す伝統的な家族制度を壊しかねない不当な判決である。
北海道の同性カップル3組が国に計約600万円の損害賠償を求めていた。
これを含め全国5地裁で起こされた計6件の同種訴訟で初の控訴審判決だ。
「違憲」
とした札幌高裁判決で、とりわけ首を捻るのは、憲法24条1項について
「同性婚も保障している」
と踏み込んだことだ。
「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」
としたこの規定は男女、異性間の婚姻について定めているのは明らかだ。
同性婚は想定していない。
一連の地裁判決もそう解釈し、今回の判決も文言上は異性間の婚姻を定めた規定だと認めている。
にもかかわらず、規定の目的を考慮する必要があるとし、
「人と人の結び付きとしての婚姻」
について定めた趣旨があるとしたのは無理がある。
憲法の条文を蔑ろにする、ご都合主義だと言う他ない。
判決は、同性愛者に婚姻を許していないのは差別的取り扱いで、法の下の平等を定めた憲法14条1項に反するともした。
国民世論にも触れ、同性婚に否定的な意見を持つ国民もいるが感情的な理由にとどまっているとも言っている。
だが決してそうではない。
一連の訴訟で国側が主張してきたように婚姻制度は、男女の夫婦が子供を産み育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与える目的がある。
同性愛者など性的少数者への差別解消や権利擁護と、結婚や家族の在り方の議論は分けて考えるべきだ。
札幌高裁判決に林芳正官房長官が
「同性婚制度の導入は国民生活の基本に関わる問題で、国民1人1人の家族観とも密接に関わるものだ」
と慎重な立場を示したのはもっともだ。
拙速な議論は社会の分断を招き、却って差別解消から遠のきかねない。
自治体や企業などを含め、同性カップルを巡る法的・経済的不利益について考慮し、きめ細かな施策を進める現実的な議論が必要だ。

<産経抄>同性婚、米民主党政権の価値観に引きずられるな
2024/3/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20240316-U53UOYSVZBMM5HFUF2WRX2AMFY/
「婚姻の自由、そして法の下の平等を実現するために、日本がまた一歩前進しました」。
エマニュエル米駐日大使は2024年3月14日、X(旧ツイッター)で憲法は同性婚も保障しているとの札幌高裁の初判断について記した。
2023年のLGBT理解増進法審議の際もそうだったが、日本を12歳の少年扱いした占領軍のマッカーサー最高司令官まがいの上から目線が鼻につく。
▼憲法24条1項は
「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」
と定める。
この部分は、連合国軍総司令部(GHQ)が1946(昭和21)年2月13日に日本側に交付した憲法改正案では
「男女両性」
と明記されており、両性が男女のことであるのは自明だろう。
▼そもそも当時、米国は同性婚はおろか同性愛行為すら法律で禁止していた。
そうした前提に立ち改正が難しい硬性憲法を日本に押し付けておいて、今更一歩前進などとよく言う。
同性婚の是非は日本自身が決める。
内政干渉は慎んでもらいたい。
▼自民党の小野田紀美参院議員は2024年3月12日、Xで令和5年の党員数が前年比で約3万4000人減少した問題について指摘した。
「LGBT法通した後ですよ、うちで激減したのは」。
エマニュエル氏が
「我々の価値観」
と述べて日本の政界に熱心に働きかけた同法は、政権に小さくないダメージを残している。
▼岸田文雄首相は2024年3月15日の国会で答弁した。
「双方の性別が同一である婚姻の成立を認めることは、憲法上想定されていないということが従来の政府見解だ」。
エマニュエル氏に代表される米民主党政権の価値観に、これ以上引きずられてはなるまい。
▼2024年11月の米大統領選では、トランプ前大統領率いる共和党の復権もあり得る。
政府が慌てて宗旨変えする醜態は見たくない。

【主張】同性婚否定「違憲」 婚姻制度理解せず不当だ
2021.3.18 05:00
https://www.sankei.com/column/news/210318/clm2103180003-n1.html
婚姻届が受理されなかった同性カップルが、国に損害賠償を求めた訴訟の判決があった。
札幌地裁は賠償請求を棄却しながらも、同性婚を認めないのは法の下の平等を定めた憲法14条に反すると
「違憲」
判断を示した。
耳を疑う。
婚姻制度は男女を前提とし、社会の根幹を成す。
それを覆す不当な判断だと言わざるを得ない。
同性婚を巡る訴訟は、この札幌を含め東京、大阪など全国5地裁で起こされ、初の判決として注目されていた。
札幌地裁の訴訟の原告は、男性カップル2組と女性カップル1組で、婚姻届が受理されなかったため、国に計600万円の損害賠償を求めていた。
札幌地裁は、国は当時、違憲性を認識できなかったとして、損害賠償は認めなかった。
判決は、民法などの婚姻に関する規定が同性婚を認めないのは憲法14条に反するとした。
同性カップルに婚姻によって生じる法的効果の一部すら与えないことは立法府の裁量権の範囲を超え差別に当たるなどとも判じた。
一方で、札幌地裁は、憲法24条の
「婚姻は両性の合意のみに基づく」
との条文について、
「異性婚について定めたものであり、同性婚について定めるものではないと解するのが相当である」
として、原告側の主張を退けた。
それでは憲法24条は、14条違反ということになる。
24条について判決は
「同性愛者が営む共同生活に対する一切の法的保護を否定する趣旨まで有するとは解されない」
と述べたが、
「両性の合意のみ」
の両性を異性間と規定する以上、この解釈には無理がある。
この矛盾を解消するためには、憲法改正を議論しなければならないはずだ。
国側が主張してきたように、婚姻制度は、男女の夫婦が子供を産み育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与える目的がある。
社会の自然な考え方だ。
同性愛など性的少数者への偏見や差別をなくす取り組みが必要なのはもちろんだが、そうした権利擁護と、結婚や家族のあり方の議論は分けて考えるべきだ。
同性カップルを公認するパートナー証明などを設け、権利を擁護する自治体もある。
企業などを含め、法的・経済的不利益について事情を十分考慮し、きめ細かな施策を進める方が現実的である。

岸田文雄首相「引き続き判断を注視」同性婚巡る札幌高裁判決受け 参院予算委
2024/3/15 12:13
https://www.sankei.com/article/20240315-U4ZMTBD3WNLUFAVIRSV477M7A4/
岸田文雄首相は2024年3月15日の参院予算委員会で、同性婚を認めない法律の規定を憲法違反と判断した札幌高裁判決について
「現段階では確定前の判決であり、他の裁判所で同種訴訟が継続している」
「引き続き判断を注視していきたい」
と述べた。
立憲民主党の石川大我氏への答弁。

米エマニュエル大使、同性婚巡り「日本がまた一歩前進」 「違憲状態」判決を歓迎
2024/3/15 11:44
https://www.sankei.com/article/20240315-P7H5OIZ4RRGM5HSYLTPJDSQ3EY/
米国のエマニュエル駐日大使は自身のX(旧ツイッター)を更新し、同性同士の結婚を認めていない法律の規定を
「違憲状態」
と判断した2024年3月14日の東京地裁判決について、
「千里の道も一歩から」
「婚姻の自由、そして法の下の平等を実現するために、日本がまた1歩前進しました」
と歓迎した。
2024年3月14日午前の東京地裁判決は、婚姻は異性間のものとする前提に立つ民法や戸籍法の規定は、
「婚姻や家族に関する法律は個人の尊厳に立脚して制定する」
とした憲法24条2項に
「違反する状態にある」
と判断。エマニュエル氏は
「本当に嬉しく思います」
「東京地裁は、日本がより包括的になることを支持しているのです」
とも投稿した。
全国で提起された同様の訴訟6件のうち
「合憲」
としたのは大阪地裁判決のみで、2024年3月14日午後には札幌訴訟の2審判決で札幌高裁が
「違憲」
判断を示した。
エマニュエル氏は2023年6月に施行されたLGBTなど性的少数者への理解増進法についても制定を強く促す発信を重ねており、
「外圧世論誘導だ」(自民党の有村治子参院議員)
などと問題視する声も出ていた。

同性婚には「国民的コンセンサスと理解が必要」札幌高裁判決受け 小泉龍司法相が見解
2024/3/15 11:09
https://www.sankei.com/article/20240315-IDUUUZWAHBP5ZBSS64SIW562UI/
小泉龍司法相は2024年3月15日の閣議後記者会見で、同性婚を認めない法律の規定を憲法違反と判断した札幌高裁判決について
「様々な判決で判断が分かれたところもあり、中身を注視していく」
「この問題は1人1人の家族観に関わり、広く影響が及ぶ」
「国民的なコンセンサスと理解が求められる」
とし、従来と同様の見解を示した。
同性婚訴訟は各地で起こされ、2024年3月14日の札幌高裁判決は、関連規定が、婚姻の自由を保障した憲法24条1項に違反するとの初判断を示した。
法整備は進まず、当事者らは国に対応を求めている。
小泉氏は
「国会での議論や、自治体のパートナーシップ制度の導入・運用状況などを幅広く見て、国民に議論してもらいたい」
と述べた。

同性同士の結婚を認めない民法などの規定が「違憲」と判断した裁判所の判断は、屁理屈であり、司法による越権行為の横暴であり、司法が自ら憲法を捻じ曲げて解釈し正当化しようとしているもので、到底許されない。
憲法14条、24条を素直に読めば、同性同士の結婚を認めない民法などの規定は「合憲」である。
同性婚を認めるためには、その前に憲法改正が必要なことは自明の理である。
仮に国がパートナーシップ制度などの公的な家族として認める制度を用意しても、憲法を改正しない限り、同性同士の結婚を認めない民法などの規定は「合憲」である。

日本国憲法
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
A 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

学習院大の山下純司教授(民法)「議論深め、納得できる制度を」 札幌高裁の違憲判断
2024/3/14 21:34
https://www.sankei.com/article/20240314-RTBG74TTF5LSTJ2FKK4FXXVIDQ/
同性同士の結婚を認めない民法などの規定が憲法違反になるかが争われた訴訟で、初の控訴審判決となった2024年3月14日の札幌高裁判決は、規定を
「違憲」
と判断した。
その背景などについて学習院大の山下純司(やました・よしかず)教授に聞いた。

同性婚を認めない民法などの規定を
「違憲」
と判断した札幌高裁判決は、これまでの地裁判決に比べてかなり踏み込んだ印象だ。
他の地裁判決は、同性カップルについて、国がパートナーシップ制度などの公的な家族として認める制度を全く用意していないことを不合理と判断していた。
これに対して札幌高裁判決は、婚姻制度を同性カップルにも開放することを強く意識していると感じた。
札幌高裁の言う
「婚姻」
が具体的にどんな制度かは分からないが、同性間と異性間では法律制度の適用が変わるため、同じ
「婚姻」
と言っても実際には別の制度が念頭にあるのかもしれない。
札幌地裁、高裁を除いては
「同性カップルにも最低限、家族を持つ権利を保障しよう」
という立場が共通している。
今後、上告審まで争われることが予想されるが、最高裁には、明快な判断を期待したい。
最高裁の判断をきっかけに国民の議論が盛り上がり、最終的には皆が納得する形で法制度を作る必要がある。
いきなり同性婚を導入しても、抵抗を感じる人がいたり、社会での理解が深まらなかったりすることが予想される。
まずは国がパートナーシップ制度を導入するなどして、明らかになった課題に対応しながら、徐々に議論を深めていく必要がある。(談)

同性婚訴訟判決、札幌高裁の原告ら喜び「正面から答えてくれた」
2024/3/14 21:31
https://www.sankei.com/article/20240314-JTVHJ4JHVRPE7ODRLJBAKK3VKI/
同性同士の結婚を認めない民法などの規定が憲法違反になるかが争われた訴訟で、初の控訴審判決となった2024年3月14日の札幌高裁判決は、規定を
「違憲」
と判断した。
「私たちの思いに正面から応えてくれた」。
札幌高裁が同性婚を認めない民法の規定を違憲とする判決を言い渡した2024年3月14日午後、札幌高裁前では原告や弁護団が旗を振って喜んだ。
弁護団の加藤丈晴弁護士は、同性間の婚姻の自由が異性間と同程度に認められるとした高裁判決について
「ここまではっきりと判決を出したのは初めて」
と指摘。
「非常に意義のある判決だった」
と振り返った。
「私は私のままで、胸を張って生きていいんだと思わせてくれた」。
判決後に行われた会見で原告の中谷衣里さん(32)は涙を浮かべた。
これまで各地裁の判決は「違憲」や「違憲状態」、「合憲」と判断が分かれてきた。
「私や他の同性カップルが、社会でいないものにされている」
と感じてきたが、札幌高裁判決が憲法の規定は
「同性婚をも保障する」
と判断したことに触れ、
「同性カップルもこの国で生きていい、と励まされた」
と語った。
弁護団の綱森史泰弁護士は会見で、高裁判決を
「画期的」
とする一方で
「請求は棄却なので、最高裁に上告したい」
と述べた。
また、会見では
「同性間にも婚姻を認める方向で法改正を速やかに実現すべきだ」
などとする声明も弁護団が読み上げた。

同性婚で定まらぬ司法、東京地裁判決は「違憲状態」 今後の上級審判断に注目
2024/3/14 21:29
https://www.sankei.com/article/20240314-D2PEJ3CBO5MJHOMVOSP3YWOICI/
同性同士の結婚を認めない民法などの規定が憲法違反になるかが争われた訴訟で、初の控訴審判決となった2024年3月14日の札幌高裁判決は、規定を
「違憲」
と判断した。
同日の東京地裁判決で出そろった1審判決は「合憲」1件、「違憲状態」3件、「違憲」2件と結論が分かれている。
いずれも賠償請求は退けているが、同性カップルの家族の在り方を巡り、司法は難しい判断を迫られている。
一連の訴訟は、同性カップルなどが全国の5地裁に計6件起こした。
主に争われたのは、異性間の婚姻を前提とした民法や戸籍法の規定が、
▽「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」とした憲法24条1項
▽「婚姻や家族に関する法律は個人の尊厳に立脚して制定する」とした24条2項
▽「法の下の平等」を定めた14条1項
に違反するかだ。
■「重要な人格的利益を剝奪する」
2024年3月14日午前に言い渡された東京地裁判決は、同性カップルが婚姻と同様の利益を享受するための制度も設けられていないことは
「自己の性自認や性的指向に即した生活を送るという重要な人格的利益を剝奪するものだ」
と指摘し、24条2項に
「違反する状態にある」
と判断。
一方、24条1項と14条1項に違反するとの主張は認めなかった。
これに対し同日午後の札幌高裁判決は、現行制度が3つの条文全てに違反するとし、一連の訴訟では初めて24条1項についても違反を認定。
踏み込んだ判断を示した。
■「両性」との文言のみにとらわれず
高裁は、24条1項にある
「両性」
との文言のみに捉われるのではなく
「個人の尊重がより明確に認識されるようになった背景のもとで解釈することが相当」
と指摘。
24条2項の趣旨や諸外国での同性婚の広がり、国民の意識調査なども検討。
異性間にしか婚姻を認めず、同性カップルに代替措置も用意していない現行制度は
「合理性を欠く」
とした。
その上で、日々、不利益を受ける同性愛者らへの対策を急ぐ必要があり、異性間と同様の婚姻制度を適用することも含めて
「早急に真摯な議論と対応をすることが望まれる」
とした。
一連の訴訟は今後も上級審の判断が続くことになり、司法判断が注目される。

同性婚認めないのは「違憲」 札幌高裁が初の2審判断
2024/3/14 18:22
https://www.sankei.com/article/20240314-HDWJRTGURJMPHL6DVD73TEBXRI/
同性同士の結婚を認めない民法などの規定は憲法違反だとして、同性カップルが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、札幌高裁(斎藤清文裁判長)は2024年3月14日、同性婚を認めない法律の規定は憲法14条1項、24条の1項と2項に違反すると判断した。
請求を退けた1審札幌地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。
全国で起こされた同種訴訟で、初の2審判決。
一連の訴訟で、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立すると定めた憲法24条1項について違憲とする判断は初めて。
これまで出された6件の地裁判決では札幌と名古屋が「違憲」、東京の1次と2次、福岡が「違憲状態」とした上で結論を合憲、大阪が「合憲」としていた。

同性婚認めず「違憲状態」賠償請求は棄却 東京地裁
2024/3/14 11:43
https://www.sankei.com/article/20240314-H7KLQ33PYRKCHMHP5NNJN3CD3A/
同性同士の結婚を認めない民法などの規定は憲法違反だとして、同性カップルら8人が国に1人当たり100万円の損害賠償を求めた東京2次訴訟の判決で、東京地裁(飛沢知行裁判長)は2024年3月14日、個人の尊厳に立脚して婚姻や家族に関する立法を求める憲法24条2項に
「違反する状態」
と判断した。
賠償請求は棄却した。
全国で起こされた同種訴訟で最後の1審判決。
これまで出された5件の判決では札幌と名古屋が「違憲」、東京1次と福岡が「違憲状態」とした上で結論を合憲、大阪が「合憲」とした。
2024年3月14日同日午後には札幌高裁で初の2審判決が言い渡される。
判決理由で飛沢裁判長は、同性カップルが婚姻と同様の利益を享受するための制度が設けられていないことは
「自己の性自認や性的指向に即した生活を送るという重要な人格的利益を剝奪するものだ」
とし、憲法24条2項に違反する状態だと判断した。
一方、こうした制度設計は国会の立法裁量に委ねられており、直ちに憲法違反とまでは言えないと結論付けた。
原告側は
「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」
とした憲法24条1項や、法の下の平等を定めた14条にも違反していると主張していたが、いずれも認めなかった。

同性婚認めないのは憲法違反 札幌高裁 2審での違憲判断は初
2024年3月14日 19時46分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240314/k10014390391000.html
同性どうしの結婚が認められていないのは憲法に違反するとして、北海道に住む同性のカップルが国を訴えた裁判で、2審の札幌高等裁判所は、憲法では同性どうしも異性間と同程度に婚姻の自由を保障しているという踏み込んだ判断を示した上で、今の民法などの規定は憲法に違反すると判断しました。
同様の集団訴訟で2審で憲法違反と判断されたのは初めてです。
札幌市など北海道に住む3組の同性のカップルは、同性どうしの結婚を認めていない民法などの規定は、婚姻の自由や法の下の平等を定めた憲法に違反すると主張し、国に賠償を求める訴えを起こしました。
3年前の2021年、1審の札幌地方裁判所は、法の下の平等を定めた憲法に違反するという初めての判断を示した一方で、国に賠償を求める訴えは退け、原告側が控訴していました。
2024年3月14日の判決で、札幌高等裁判所の齋藤清文裁判長は婚姻の自由を保障した憲法の条文について
「人と人との間の自由な結び付きとしての婚姻についても定める趣旨を含むものだ」
「同性間の婚姻についても異性間の場合と同じ程度に保障していると考えるのが相当だ」
という踏み込んだ判断を示しました。
その上で、
「同性愛者は婚姻による社会生活上の制度の保障を受けられておらず著しい不利益を受けアイデンティティーの喪失感を抱くなど個人の尊厳を成す人格が損なわれる事態になっている」
「同性愛者に対して婚姻を許していないことは合理的な根拠を欠く差別的な扱いだ」
として、憲法に違反すると判断しました。
婚姻の自由を保障した憲法の条文に違反するという判断を示したのは初めてです。
また、同性婚を制度として定めた場合、不利益や弊害の発生は窺えないと指摘し、最後に国に対し、
「同性婚について異性婚と同じ婚姻制度を適用することを含め早急に議論し対応することが望まれる」
と強く促しました。
一方、国に賠償を求める訴えは退けました。
同様の集団訴訟は全国5か所で起こされていて、2審で憲法違反と判断されたのは初めてです。
■原告 「望んでいた違憲判決が出てすごくうれしい」
閉廷後、原告や支援者たちは裁判所の外に集まり、
「早く立法すればいいしょ」
などと書かれた横断幕を掲げました。
原告の1人の中谷衣里さんは
「望んでいた違憲判決が出て凄く嬉しいです」
「もしかすると裁判は続くかもしれないので引き続き応援してほしい」
と話していました。
また、原告の国見亮佑さん(仮名)は
「思った以上の判決が出て、泣いてしまいました」
「司法が同性どうしの婚姻を積極的に進めようという意思をすごく感じました」
「この判決を国会議員の皆さんにも見てもらい賢明な判断をしてほしいです」
と話していました。
別の原告の1人も「夢の中にいるようで、本当によかったです。ありがとうございました」と涙ながらに話していました。
■原告側会見「国が変わる1つの節目に」
判決のあと、原告側が会見を開きました。
この中で原告の中谷衣里さんは、
「国が変わる1つの節目になったのではないか」
「同性カップルにも異性カップルと変わらない権利が与えられて、家族として“ふうふ”として生きていっていいという本当に前向きな励まされる判決でした」
「今回の判決の中で裁判長は国会でこの議論を進めるよう言及していました」
「議論の遡上にも上げない国会に対して、きちんと議論して法律を整えるようプレッシャーを与える内容だった」
「若い世代の性的少数者にとっても希望となる判決だったのではないか」
と涙ながらに話していました。
中谷さんのパートナーで原告の女性は、
「思っている以上にいい判決がでていまだに信じられない」
「変わらないのは国会だけ」
「私たちは結婚する覚悟はできているので、明日にでも結婚できるようになってくれたら」
と話していました。
原告の国見亮佑さん(仮名)は
「司法の役割は大きいと改めて感じた」
「年を取り、婚姻制度の利益を享受できる期間が物理的に短くなっていることをひしひしと感じ、早く制度を作ってほしいと強く願っている」
と話していました。
国見さんのパートナー(仮名)は、
「提訴から5年間という期間の長さに辛い気持ちになり、絶望的な感覚があったが、今回の判決を受けてむしろ、希望を感じた」
「自分の土台を取り戻せた感じがしました」
と話していました。
■同性婚めぐる集団訴訟 全国5か所で6件
同性のカップルなどが結婚が認められないのは憲法に違反するとして国に賠償を求める集団訴訟は、全国5か所で6件、起こされています。
これまで賠償を認めた判決はありませんが、憲法判断は分かれていて、2024年3月14日の札幌高等裁判所と東京地方裁判所を含めて、
▽「違憲」が3件、
▽「違憲状態」が3件、
▽憲法に違反しない「合憲」が1件となっています。
★同性婚認められていないのは「違憲状態」と指摘 東京地裁
■林官房長官「他の訴訟の判断も注視していきたい」
林官房長官は2024年3月14日午後の記者会見で
「いずれも現段階では確定前の判決であり、他の裁判所で同種の訴訟が係属しているので、その判断も注視していきたい」
と述べました。
その上で
「同性婚制度の導入は国民生活の基本に関わる問題であり、国民1人1人の家族観とも密接に関わる」
「各層の意見や国会での議論の状況、地方自治体のパートナーシップ制度の導入や運用状況などを引き続き注視していく必要がある」
と述べました。
■専門家「婚姻の平等に限りなく近づいた判断だ」
性的マイノリティーの問題に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は札幌高等裁判所の判決について、
「婚姻制度の中心にあるのは同性か異性かということではなく、人と人との支え合いを保障するものだということを明らかにした点で非常に大きな意義がある」
「同性間で婚姻が許されないことで当事者が被る不利益の程度もかなり重いと強く言っており、印象的だ」
「パートナーシップなどの制度ではなく婚姻制度の枠に入れないと性的マイノリティーの人たちの不利益は解消されないということも指摘しており、婚姻の平等に限りなく近付いた判断だ」
と評価しました。
その上で、2024年3月14日にあった東京地方裁判所の判決も含め、
「2つの判決は重大な不利益を被っている人たちに対して法制化に向けた議論をするべきだと言っている」
「国会は、こうした司法の場での大きな流れを受け止めて早期に議論を開始すべきだ」
と話していました。
■判決のポイント
各地で起こされた同性婚訴訟で3年前の2021年、初めて違憲判断が示された札幌の訴訟。
2審の札幌高等裁判所は、異性と同様に同性どうしのカップルも尊重されるべきだとする更に踏み込んだ考え方を示しました。
判決のポイントです。
●婚姻の自由保障した憲法に違反すると初判断
最大の特徴は婚姻の自由を保障した憲法24条に違反すると初めて認めたことです。
憲法24条1項は
「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」
として婚姻の自由を保障しています。
これについて札幌高裁はまず、法律の文言上は男性と女性の間の婚姻について定めていて、制定当時は同性婚は想定されていなかったと述べました。
しかし、社会の変化に伴って改めて解釈することもできるとして
「人と人との間の自由な結び付きとしての婚姻を定める趣旨も含む」
「異性間のみならず同性間の婚姻についても同じ程度に保障していると考えることが相当だ」
という考え方を示しました。
その上で、結婚ができないことで同性カップルは、社会生活上の制度の保障を受けられず、アイデンティティーの喪失など、個人の尊厳が損なわれる事態になってると指摘。
更に同性婚を認めても
「不利益や弊害の発生は窺えない」
として、今の法律の規定は憲法24条に違反するとしました。
●法の下の平等も「違憲」
また、法の下の平等を定めた憲法14条1項についても、
「憲法に違反する」
と判断しました。
これは1審と同じ判断です。
異性間では認められている結婚が同性間では認められないことについて、
「合理的な根拠を欠く差別的な扱いだ」
と指摘しました。
●喫緊の課題として議論・対応を望む
判決は規定が憲法に違反するとした一方で、
「国会が正当な理由なく長期に渡って立法措置を怠ったとは言えない」
として、賠償については訴えを退けました。
導かれた結論は1審と同じでしたが、判決は最後に同性カップルのために議論を加速すべきだとする強いメッセージを打ち出しています。
同性婚を巡る現在の状況について
「対象が少数者のため、簡単に多数意見を形成できないという事情もあったと思う」
「それでも国会や司法など様々な場面で議論が続けられ、違憲性を指摘する意見があり、国民の多くも同性婚を容認している」
「こうした社会の変化を受け止めることも重要だ」
と指摘しました。
その上で
「同性間の婚姻を定めることは国民に意見や評価の統一を求めることを意味しない」
「根源的には個人の尊厳に関わる事柄だ」
と強調し、
「喫緊の課題として早急に真摯な議論と対応することが望まれる」
と結んでいます。

「婚姻の形」言及避ける 同性婚、札幌地裁判決
2021.3.18 00:29
https://www.sankei.com/affairs/news/210318/afr2103180001-n1.html
同性婚を国が認めないのは違憲との初判断を示した17日の札幌地裁判決。
婚姻を
「両性の合意」
に基づくとした憲法24条への違反は認めなかったが、法の下の平等を定めた憲法14条違反を根拠に、同性カップルに婚姻の利益を与えないのは差別に当たるとした。
国側は訴訟で、24条の
「両性」
が男女を指すことなどから
「憲法は同性婚を想定していない」
ことを軸に主張。
これに対し、今回の判決では24条について
「異性婚について定めたもので、同性婚に関して定めたものではない」
と指摘したものの、憲法改正への必要性に言及せず、国側の主張に正面から言及することは避けた。
また、個人の尊重を定めた憲法13条も、同性婚制度を求める権利は保障していないとした。
一方で、判決の根拠としたのが、性的指向の違いを踏まえた憲法14条の
「法の下の平等」
だ。
性的指向は
「自らの意思にかかわらず決まる個人の性質で、性別、人種などと同様」
と指摘。
性的指向の違いで法的利益に差を設ける理由はないとし、同性愛者に婚姻に関する法的効果の一部すら提供しないのは
「差別的な扱いだ」
とした。
また、海外で同性婚制度が広がったのはここ20年で、国内の自治体で同性カップルの関係を公的に認める制度が導入されたのも平成27年以降と説明。
「国会が違憲性を認識するのは容易でなかった」
として賠償責任は否定した。
同性カップルの権利をめぐっては、これまでの裁判でも判断が割れている。
女性同士の事実婚が不貞行為で破綻し、女性が元交際相手に損害賠償を求めた訴訟では、1、2審とも同性カップルも法的保護の対象になると判断し、元交際相手に賠償を命令。
2審東京高裁は
「婚姻に準じる関係」
とも言及した。
一方、同性パートナーを殺害された男性が、犯罪被害者の遺族として給付金の支払いを求めた訴訟で、昨年の名古屋地裁判決は
「同性間の共同生活が婚姻と同視できるという社会通念は形成されていない」
と指摘し、請求を退けている。

同性婚否定は「違憲」 札幌地裁、初判断 北海道在住3カップル
2021.3.17 11:34
https://www.sankei.com/affairs/news/210317/afr2103170010-n1.html
国が同性婚を認めていないのは、法の下の平等や
「婚姻の自由」
を定めた憲法に違反するとして、北海道に住む同性カップル3組が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁(武部知子裁判長)は17日、
「違憲」
との初判断を示した。
原告は男性カップル2組と女性カップル1組で、いずれも平成31年1月に婚姻届を提出したが受理されず、同2月に提訴した。
同種訴訟はほか4地裁でも争っており、判決は初めて。
憲法24条は
「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」
するとし、結婚に関する民法の規定では
「夫婦」
という用語が使われている。
このため国側は当事者が
「男女」
であることが前提との法解釈をしている。
原告側は
「同性と結婚できず、婚姻の自由を不当に侵害している」
と主張。
同性婚を可能とする立法を怠ったとして計600万円の賠償を求めていた。

■日本国憲法
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
A 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
B 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
A 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/342.html#c45

[政治・選挙・NHK296] 「103万円の壁」撤廃を素直に喜ぶのは単純すぎる 二極化・格差社会の真相(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
27. 秘密のアッコちゃん[1191] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月22日 08:03:47 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[629]
「与党案なら減税幅5000〜2万円」玉木雄一郎氏、年収の壁で分析「支出増補えない」
2024/12/21 22:40
https://www.sankei.com/article/20241221-A7ZTQPZRXJAVFKQU5EAN52GEMY/
国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止中)は2024年12月21日夜、所得税が生じる
「年収103万円の壁」
の引き上げ幅を巡り、与党案の123万円と国民民主案の178万円について、それぞれの減税額の試算をX(旧ツイッター)に投稿した。
与党案では、年収によって年間5000〜2万円(概算)の減税にとどまるケースがほとんどと分析した。
これでは
「物価高騰に伴う支出増を補うことはできない」
として、あくまで国民民主案の実現を目指す考えを示した。
玉木氏はXで、与党案のままでは
「手取りが十分増えたと実感できる方はどれだけいるだろうか」
と疑問を投げた。
物価変動を考慮した実質賃金も再びマイナスになっているとして、
「このままでは消費支出の減退が心配だ」
とも指摘した。
一方、国民民主案では、減税額が年収によって年間8万6000〜22万8000円(同)に広がるとも強調した。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/341.html#c27
[政治・選挙・NHK296] 大阪万博チケットさっぱり売れず…1100万枚完売しないと赤字に、損益分岐点1840万枚なのに販売済み約744万枚(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
36. 秘密のアッコちゃん[1192] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月23日 07:03:18 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[630]
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N国・立花孝志氏を兵庫県警が任意聴取 県議への名誉毀損などの容疑
2024/12/22 20:30朝日新聞
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASSDQ3JM3SDQPIHB011M.html
先月2024年11月投開票の兵庫県知事選で落選した
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏に対し、県警は2024年12月22日、県議への名誉毀損容疑で任意で事情を聴いた。
虚偽の内容をSNSに投稿されたと県議から刑事告訴があり、違法性がなかったかどうか慎重に捜査を進める。
捜査関係者への取材で分かった。
立花氏は2024年12月22日、県警本部前で報道陣らに
「(投稿には)真実相当性がある」
と話し、名誉毀損には当たらないとの認識を示した。
告訴したのは、奥谷(おくたに)謙一県議。
斎藤元彦知事らを内部告発した文書を調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)で委員長を務める。
奥谷県議は告訴状で、立花氏は2024年10月末〜11月初めにX(旧ツイッター)で、内部告発した元西播磨県民局長の死亡原因を奥谷県議が隠蔽したなどとする虚偽の内容を投稿し、名誉を毀損されたと主張している。
投稿には、奥谷県議が嘘を付いたり、マスコミに圧力を掛けたりしたといった趣旨のものも含まれ、これらも虚偽だと訴えている。
奥谷県議は他に、2024年11月上旬に自宅兼事務所前で
「出てこい奥谷」
「あまり脅しても自死されたら困るので、これくらいにしておく」
などと立花氏に拡声機を使って街頭演説されたとして、
威力業務妨害と脅迫の容疑で県警に被害届を提出し、受理されている。
捜査関係者によると、県警はこの日、両容疑でも立花氏を任意聴取したという。

知事告発文書巡る名誉毀損疑い、立花孝志氏を任意聴取 兵庫県警
2024/12/22 19:46
https://www.sankei.com/article/20241222-SVOFUW2URJKQNBH2SPUGZJ535E/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑告発文書を巡る県議会調査特別委員会(百条委員会)で委員長を務める奥谷謙一県議が、
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏に交流サイト(SNS)上で虚偽の内容を投稿されたとして、名誉毀損の罪で刑事告訴した問題で、県警は2024年12月22日、立花氏から任意で事情聴取した。
県警は同日までに告訴状を受理していた。
立花氏は聴取後、記者団や支援者らに対し、名誉毀損について自らの正当性を主張する陳述書を県警に提出すると明らかにした。
聴取では立花氏が知事選に出馬表明した2024年10月24日以降の経緯を時系列で説明したという。
次回の聴取は
「来年やりましょうというところで終わっている」
と述べた。
捜査関係者によると、立花氏は知事選期間中の2024年11月3日、奥谷氏の自宅兼事務所前で街頭演説し、
「出てこい奥谷」
「あまり脅しても、奥谷さんが自死されても困るからこれくらいにしておく」
などと発言。
奥谷氏は脅迫を受けたなどとする被害届も出しており、立花氏はこれらに関しても聴取を受けたという。
奥谷氏の告訴状によると、2024年10〜11月、立花氏にX(旧ツイッター)などを通じ、
「マスコミに圧力を掛けるなどして、告発文書を作成した県の元幹部が死亡した原因を隠蔽した」
といった趣旨の虚偽情報を投稿されたなどとしている。

「反社会的カルト集団」N党への名誉毀損認めず 投稿したネット記者勝訴 東京地裁
2024/11/27 21:40
https://www.sankei.com/article/20241127-KONMAB23CFLBNHSIC3RWBIAMNM/
政治団体
「NHKから国民を守る党」
が、X(旧ツイッター)で
「反社会的カルト集団」
などと投稿され名誉を傷付けられたとして、インターネット記者の男性に160万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は2024年11月27日、名誉毀損を認めず、請求を棄却した。
訴えられたのは
「選挙ウォッチャーちだい」
の名で活動する石渡智大氏。
判決によると、石渡氏は今年2024年6月、Xで
「反社会的カルト集団が野放しになっている」
と投稿した他、動画配信サイトで
「サリンをまかないオウムみたいなもん」
などと発言した。
阿部雅彦裁判長は判決で、同党の立花孝志党首が
「犯罪行為や不法行為を繰り返してきたのみならず、自らに批判的な言論活動を行う第三者への迷惑行為を支持者に促し、テロや民族虐殺をも辞さないかのような発言をしていた」
と指摘。
石渡氏の投稿や発言は公益を図る目的で
「前提事実の重要部分は真実と認められる」
とした。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/345.html#c36

[政治・選挙・NHK296] こんな政権・与党が存続でいいのか 驚くべき政倫審の鉄面皮(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
40. 秘密のアッコちゃん[1193] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月23日 07:29:02 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[631]
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<主張>中国の核戦力増強 先制使用の脅威に備えよ
社説
2024/12/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241223-3VR37D75NBMN7DWAU3J7E6MPT4/
米国防総省が中国の軍事力に関する年次報告書を発表し、中国が保有する運用可能な核弾頭数が600発を超えたとの見積もりを示した。
1年で100発程度増えた計算だ。
2020年の報告書では保有数を200発前半とし、2030年までに倍増すると見ていた。
従来の想定を上回る核戦力の増強が浮き彫りとなった形だ。
中国は従来の
「核の先制不使用」
政策から
「先制使用」
への転換を検討しているという。
ロシアはウクライナで核の威嚇を続け、ロシアを支援する北朝鮮も核ミサイル開発を加速させる。
トランプ次期政権は、核保有する専制国家が連携を強める現実も踏まえ、核戦力で日本など同盟国を防衛する
「拡大抑止」
の信頼性が十分かどうか、点検と強化を急いでほしい。
報告書は2030年までに核弾頭が1000発を超えると予測した。
中国は核戦力の現状や目標に関し秘密主義を保つが、増加のペースは一段と加速すると見るべきだ。
「核弾頭の量だけでなく質も向上させた」
との指摘も注意を要する。
精密打撃ミサイルから大陸間弾道ミサイル(ICBM)まで運搬手段を多様化し、戦略原子力潜水艦や戦略爆撃機の攻撃手段も強化している。
中国は従来、自国が核攻撃を受けない限り核兵器を使用しない
「核の先制不使用」
政策を取ってきた。
だが、報告書は、習近平政権が紛争の過程で最初に核兵器を使用する
「先制使用」
を検討していると指摘した。
事実なら台湾侵攻を念頭に置いた重大な戦略転換だ。
報告書は
「中国政府は台湾での軍事的敗北が中国共産党の政権維持を深刻に脅かす事態に核の先制使用を考慮する」
とのシナリオを示す。
米軍の介入で台湾の戦況が悪化すれば、周辺の米軍拠点を低出力核で攻撃する危険を示唆したものと言える。
日本も標的になり得る。
ストックホルム国際平和研究所によると、米国は2024年1月時点で5044発の核弾頭を保有し、ロシアは5580発を有する。
米国はロシアの核戦力に加え、質的向上が著しい中国への同時対処が迫られている。
トランプ次期政権は対中強硬派の閣僚や高官を据えるが、核戦略の方向性は定かでない。
石破茂首相は来年2025年1月に見込まれるトランプ氏との会談で中国の核への備えを議論すべきだ。

「強烈な不満と断固反対」中国国防省が米の年次報告書に反発
2024/12/21 21:25
https://www.sankei.com/article/20241221-IN2V4UFV6RPNDFBUCA2GA5ITHE/
中国国防省は2024年12月21日、米国防総省が2024年12月18日発表した中国の軍事動向に関する年次報告書に反発する報道官談話を発表した。
中国に対する
「粗暴な内政干渉で、軍事脅威論を拡散させている」
と批判し
「強烈な不満と断固とした反対」
を表明した。
報告書は中国が核戦力増強を加速させていると指摘。
談話では
「中国は自衛のための核戦略を堅持している」
と主張し、中国の核戦力は安全保障に
「必要な最低水準だ」
と持論を展開した。(共同)

米高官、中国核戦力増強で先制不使用政策と「矛盾」と批判 警戒感を示す
2024/12/20 7:55
https://www.sankei.com/article/20241220-ACEYIH5HE5KMVNATY34EHMPPSI/
ファイナー米大統領副補佐官は2024年12月19日、中国が核戦力を急速に増強させており
「中国が主張する核の先制不使用政策と矛盾している」
と批判した。
「既に戦略環境を根本的に変えるレベルに達している」
と警戒感を露わにした。
ワシントンで開かれた軍備管理協会のイベントで語った。
ファイナー氏は軍備管理措置を通じた核リスクの低減が米中双方の
「共通の利益だ」
と語った。
一方、中国やロシア、北朝鮮が核戦力の増強を続ければ、米国が核兵器を追加配備するのは
「合理的だ」
とも語り、判断はトランプ次期政権に委ねられると話した。
核保有国のパキスタンが米本土を射程に収める長距離弾道ミサイルの開発を加速させていると明らかにした。
「パキスタンの行動は米国に対する新たな脅威以外の何ものでもない」
と指摘した。(共同)

中国の核弾頭600発超に 新型ICBMなど脅威強調 米国防総省報告書
2024/12/19 0:00
https://www.sankei.com/article/20241219-G7D6O55UC5MWVNMEX3KHUOVVCQ/
米国防総省は2024年12月18日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表した。
中国が保有する運用可能な核弾頭数が600発を超えたとの推計を示し、昨年2023年の報告書から100発引き上げた。
報告書は、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を明記するなど、米国への脅威が高まっていることを強調した。
報告書では、中国の核弾頭数について、2022年に400発超、2023年に500発超と推計していたが、2024年半ば時点で600発超に拡大したとした。
2030年までに1000発超に達するとの見通しを維持しつつ、
「少なくとも2035年まで増強を続けるだろう」
と明記した。
習近平政権は2035年までに軍の近代化を図る目標を掲げている。
中国軍は核弾頭を搭載可能な
「ミサイル戦力を大幅に向上させる新型のICBMを開発している」
と指摘。
通常弾頭で大陸間の攻撃を可能にするミサイルシステムを導入する可能性に触れ、
「配備されればハワイやアラスカ、米本土に通常攻撃による威嚇を可能にする」
と警鐘を鳴らした。
また、中国軍が演習や訓練で
「米軍の艦艇やグアムの滑走路などの模擬標的」
を使っているとした。
習政権が統一を掲げる台湾に関し、周辺での大規模な軍事演習など
「外交的、政治的、軍事的な圧力を強化」
したと説明。
台湾有事で米国の介入を阻止できない場合は
「短期間の限定的な戦争で介入を遅延させ、打破する」
と予想した。
また、中国共産党が中国軍の統制を進めていることを強調。
2023年に起きた軍内部の汚職調査や幹部交代が軍近代化を遅らせた可能性を指摘した。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/348.html#c40

[政治・選挙・NHK296] 安倍昭恵氏とトランプ夫妻の面会写真に抱いた違和感 鈴木エイト カルトな金曜日(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
26. 秘密のアッコちゃん[1194] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月24日 03:08:24 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[632]
「重要土地」の外国人・法人による取得は中国が最多 初の調査、防衛省周辺は特に多く
2024/12/23 19:39
https://www.sankei.com/article/20241223-KNTTI6PN3NKJZP3DEI2HOFCBGQ/
政府は2024年12月23日、安全保障上の重要施設周辺や国境離島を対象とする土地利用規制法に基づく審議会を開き、
「特別注視区域」

「注視区域」
に指定した399カ所での土地・建物の取得状況を報告した。
2023年度に外国人や外国法人による取得が確認されたのは、20都道府県の土地174筆、建物197個の計371に上った。
国・地域別では中国が最多の203で、韓国49、台湾46と続いた。
2022年の同法施行後、取得状況の調査は初めて。
内閣府によると、外国人らが取得した土地・建物の多くはアパートやマンションで、首都圏では中国人の投資目的での取得が多いとみられる。
都道府県別では東京都が171と最も多く、防衛省市ケ谷庁舎周辺が104に上り、陸上自衛隊の補給統制本部39、練馬駐屯地20などだった。
利用中止の勧告や命令を出した事例はなかった。
城内実経済安全保障担当相は審議会で
「規制法を着実に運用し、重要施設への阻害行為に対し万全を期す」
と強調した。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/349.html#c26
[政治・選挙・NHK296] 高市早苗氏が自民党執行部を猛批判もSNSは冷ややか…大臣時代から威勢がイイのは「口」だけ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
15. 秘密のアッコちゃん[1195] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月24日 03:23:20 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[633]
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自民大敗の衆院選「党本部の責任大きい」「独裁、それをやった」 自民・高市早苗氏が苦言
2024/12/23 9:45
https://www.sankei.com/article/20241223-LGLYO2OG2RD2JHBADNHS4HN3GU/
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相は2024年12月20日発売の月刊誌「Hanada」のインタビューで、2024年10月の衆院選直前に派閥パーティー収入不記載事件に関係した候補を非公認とするなどした党本部の対応に苦言を呈した。
「とんでもなく酷い話だ」
「自民党が自ら不記載問題を選挙の主要争点にしてしまった」
と指摘し、大敗した結果について
「候補者だけの責任では決してない」
「党本部の責任も間違いなく大きい」
と述べた。
■公示6日前に報道が不記載一色に
不記載事件を巡っては、岸田文雄前首相(前総裁)の下、今年2024年4月に党員資格停止を含む処分が39人に下された。
一方、2024年9月に新総裁に就いた石破茂首相率いる新執行部は2024年10月15日の告示を控えた2024年10月9日、党則に規定する選挙非公認処分より軽い処分だった萩生田光一元政調会長らについて、衆院政治倫理審査会(政倫審)で弁明がなかったことなどを理由に非公認とした。
高市氏は
「新たな処分を下したわけだ」
「最もやってはならない」
と述べ、自身も出馬した2024年9月の総裁選を挙げて
「私は
『岸田総裁の下で党内議論を重ねて決着した処分を新総裁がひっくり返すのであれば、それは独裁だ』
と言った」
「それをやってしまった」
と語った。
「公示の6日前から報道が不記載問題一色になった」
「突然、非公認通知を受けた候補者が困惑する様子などが繰り返し報じられるなど、不記載の問題を選挙の争点にしてしまった」
と述べ、選挙戦略上の観点からも疑問視した。
■石破首相にエール≠
落選した候補を次期衆院選の公認候補予定者となる支部長に早期に選任すべきだとも強調。
「一生懸命頑張っていて、
『次こそは』
と高い志を持った方々を早く支部長に選任してもらいたい」
と語った。
来年2025年夏の参院選の応援演説の日程は2025年2月まで埋まっていると明かし、
「歯を食いしばって、回ろうと思う」
「1人でも多く勝ってもらわないといけない」
と強調した。
首相の政権運営については、
「総裁選で訴えたことを封印しているように見える」
「非常にもったいない」
「所信表明演説を聞いても、新たに何をしたいのかが見えてこない」
「防災庁の創設だけは分かったが…」
と指摘した上で、
「総裁選で訴えた政策を堂々と打ち出し、やりたいことを存分にやればいい」
とエール≠熨翌チた。

<主張>衆参政倫審 還流の真相解明を尽くせ
社説
2024/12/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20241220-PPGCQNE5J5KJVKVRKOYUAKQYAM/
衆参の政治倫理審査会が開かれ、自民党の派閥パーティー収入不記載事件に関係した旧安倍派と旧二階派の議員が弁明に立った。
多くの議員が資金管理を秘書らに任せていたと説明した。
パーティー券の販売ノルマ超過分の還流をめぐる真相の解明は進まなかった。
旧安倍派の萩生田光一氏は衆院政倫審で、平成15年の衆院初当選時に派閥事務総長から、ノルマ超過分を返すとの説明を受けたと発言した。
当時の派閥会長は森喜朗元首相だった。
平成16年には、ノルマ超過分を政治資金収支報告書に記載しないことになっていると、派閥事務局長から事務所担当者に説明があったとも証言した。
少なくとも約20年前から還流と不記載が行われていたことを裏付けるものだ。
長期に渡り自浄作用が働かなかったことを、旧安倍派と自民は改めて深刻に受け止めねばならない。
関芳弘氏は令和4年春頃、派閥会長だった安倍晋三元首相に
「法的に問題はないのか」
「あるなら運用を改めるべきではないか」
と相談したと明かした。
安倍氏は賛同したという。
還流を巡っては令和4年4月の同派幹部会合で、安倍元首相の意向を踏まえ、一旦停止が決まった。
だが、安倍氏の死去後に再開された。
派内の反発があったためだが、具体的な経緯は不明なままだ。
有罪が確定した旧安倍派事務局長の松本淳一郎会計責任者は公判で、還流再開は令和4年8月の幹部会合で決まったと証言した。
同派元幹部は今年2024年3月の衆院政倫審で
「結論は出なかった」
と語るなど食い違いがある。
松本氏は
「ある幹部から還流再開の要望があった」
ため会合が開催されたとも述べたが、幹部の名を明かさなかった。
萩生田氏は政倫審で
「過去に遡って、分かる人がもう少し説明する必要がある」
と語った。
事情を知りながら、口を噤んでいる関係者はいるだろう。
東京地検特捜部が強制捜査を開始した昨年2023年12月19日から1年が経った。
いつ誰が、何の目的で還流と不記載を常態化させ、何故やめられなかったのか。
通常国会と臨時国会で、政倫審を何度繰り返しても、一向に実態が分からないようでは国民の不信は拭えまい。
事実を明らかにする責任が旧安倍派と自民にはあるはずだ。

「裏金議員」呼ばわりはレッテル貼りの「報道冤罪」
正論2024年12月号 政策シンクタンク 原英史
(前略)
今回2024年10月の衆院選では
「裏金議員」
という一部報道機関によるレッテル貼りが、深刻な影響をもたらしたのではないか。
派閥の指示で記載しなかったに過ぎない議員たちが、あたかも私的流用や不正蓄財など不正を働いたかのようなレッテルを貼られ、非公認や比例名簿不掲載などの扱いを受け、不利な状況で選挙を戦うことになった。
中には出馬を断念した人もいた。
何故こんな報道がなされたのか。
どう間違っているのかを説明していこう。
■「裏金議員」か「不記載議員」か
新聞報道には
「裏金議員」
という用語を用いるものと、
「不記載議員」
を用いるものがある。
朝日新聞は、1面トップで
「裏金議員」
を繰り返し見出しに掲げ、
「裏金議員」
と題する一覧表を掲載するなど
「裏金議員」
表記で徹底している。
毎日新聞も同様で、社説の見出しなどにも用いる。
一方、日本経済新聞は
「不記載議員」
と表記する。
読売新聞や産経新聞も一部混在があるが、基本的に
「不記載議員」
を用いているうようだ。
読者の中には、福島第1原発の処理水放出を巡る報道を思い起こす人もいるのではないか。
日経・読売・産経各紙が
「処理水」
を用いる一方、
朝日・毎日・東京各紙は
「汚染水」
「処理汚染水」
などを用い、あたかも汚染しているような印象を広げた。
本誌にしばしば寄稿する林智裕氏はこれを
「報道加害」
と呼んでいる(著書『「正しさ」の商人』など)。
今回の
「裏金議員」
も似通った図式だった。
「裏金」

「不記載」
かについて、2024年10月の党首討論でも議論があった。
野田佳彦・立憲民主党代表が政治資金問題を追及した際、石破茂首相はこう切り返した。
「『裏金』は決め付けだ」
「不記載だ」
「誰からいくら貰い、出入りがきちんと示されることが重要で、その記載をしなかったということだ」
ここまで明快な答弁だが、その後が分かりづらい。
野田氏は更に旧石破派(水月会)の政治資金問題を追及した。
キックバックとは関係ないが同じく
「不記載」
の事案だ。
石破首相はこう答弁、旧安倍派(清和政策研究会)などと異なり、これは単なる
「事務ミス」
だと強調した。
「構造的に不正が為されたものではない」
「裏金化し、誰かが利益を得たことは一切ない」
同じ
「不記載」
でも、旧安倍派と旧二階派(志帥会)の不記載は
「悪い不記載」、
旧石破派や旧岸田派(宏池政策研究会)の不記載は
「単なる事務ミス」
ということらしいが、前者でも私的流用などが判明したわけではない。
これでは、朝日新聞などは
「ともかく『悪い不記載』だと首相も言うのだから、『裏金議員』と呼んでも差し支えないはず」
と受け止めたのではないか。
更に、立憲民主党などの野党は、所属議員の不記載は
「単なる事務ミス」、
自民党旧安倍派などは
「裏金議員」、
と堂々と区別出来ることになった。
■「裏金」とは何か
何故こんなおかしな事になったのか。
出発点に遡るとそもそも
「裏金」
という言葉は、広辞苑によれば
「公式の帳簿に記載しない、自由に使えるように不正に蓄えた金銭」
を意味する。
この問題を最初にスクープして新聞協会賞を受賞した(しんぶん赤旗から異議があるが)2023年12月1日の朝日新聞では、こう書かれていた。
「最大派閥の清和政策研究会(安倍派)が、所属議員が販売ノルマを超えて集めた分の収入を裏金として議員側にキックバックする運用を組織的に続けてきた疑いがある」
確かに、帳簿に記載されていない可能性があり、私的流用や不正蓄財など勝手気ままに使われていた可能性もあった。
この時点で
「裏金の疑い」
があるのはその通りだった。
しかし、その後どうなったかと言えば、東京地検特捜部の捜査が2024年1月に終結した。
自民党の内部調査(外部弁護士も参加)の報告書が2024年2月に提出された。
判明したのは、結局
「不記載」
だけだ。
私的流用などは見つかっていない。
多くの議員は、派閥から
「収支報告書に記載しないように」
と言われ従っていただけだと説明した。
記載や返金を申し入れたが派閥側から拒まれ、やむなく不記載にしたケースもあった。
「不明朗な金銭だったから」
などの理由で、使用せずにいた人も相当数いた(旧安倍派・旧二階派の不記載85人中31人)。
別の収入名目(自身からの寄附など)にして、収入・支出を記載していた人もいた(85人中10人強)。
ここから分かるのは、少なくとも相当数の人たちは、広辞苑の言う
「自由に使えるように」

「公式の帳簿に記載しない」
といった定義から明白に外れ、
「裏金」
とは無縁だったことだ。
その一方、自民党の調査は、実に不十分な内容だった。
こうした還流システム、つまり
「裏金を作る目的」
と受け取られても仕方のない仕組みを、誰が何のために作ったのか。
これは全く明らかにならず、
「古くからの慣習だった」
と言うに留まった。
また、本当に不正支出や不正蓄財などがなかったのかも疑わしい調査だった。
現にその後、堀井学・前議員による不正支出(違法な香典などの支出)が判明した。
肝心な真相究明は出来ていなかったのだ。
■自民党執行部が招いた報道冤罪
事態を決定的におかしくしたのは、真相究明が出来ていないまま、2024年4月に関係議員への処分を下したことだ。
自民党党紀委員会で、離党勧告、党員資格停止、役職停止、戒告などの処分を決定した。
旧安倍派・旧二階派で不記載のあった議員につき(引退表明した二階俊博氏を除き84名)、不記載額500万円以上だった39人は正式な処分の対象とし、500万円未満の45人は幹事長による注意の対象とした。
39人の軽重は、不記載額1000万円・2000万円などの基準で線引きした。
根拠が不明だ。
まず、旧安倍派・旧二階派の不記載はなぜ一律に処分(注意を含め)の対象になるのか。
これまでの調査で、
「裏金」
とは無縁で、派閥に言われてやむなく
「不記載」
にした議員が相当数いることは明らかだった。
もちろん政治資金規正法違反は重大な問題だが、これは他の派閥での
「不記載」
も同じだ。
「500万円」
などの金額による線引きも意味不明だ。
派閥では当選回数や役職に応じたノルマが設定されていたという。
コロナの時期にパーティーが中止されたため、ノルマを達成すべくパーティー券を売っていた議員らにたまたま多額の還付金等が払われるケースが生じた。
「金額が多いから悪質」
というわけではなく、そんな事は自民党の議員たちは百も承知だったはずだ。
それにもかかわらず、こうした決着に至ったのは、本当に責任を負うべき人たちの特定を自民党執行部が放棄したためだ。
本来ならば、
@「裏金」の温床となる仕組みを創設・維持した責任者と、
A「裏金」として利用した議員を特定して処分対象とし、他は不問にすべきだった。
あるいは逆に、
「不記載」
を処分対象にするなら、旧岸田派なども同様に扱うべきだった。
ところが実際には、
「裏金の疑い」
が騒がれていた不記載は全て
「悪い不記載」
ということにし、無意味な金額基準で線引きした。
例えて言えば、教室で盗みを働いていた子供を特定できない時に、指導能力を欠く小学校の先生が
「クラス全員の連帯責任」
と称して全員に居残りを命じ、更に前列の生徒たちは特段の理由なく体罰を科したようなものだった。
2024年10月に誕生した石破政権は、仕切り直しの好機だった。
石破首相は総裁選で、公認するかどうかは
「1人1人と向き合い」
「徹底的に議論する」
と言っていた。
一定の時間をかけて改めて真相究明し、本当に責任を負うべき人を特定し、それ以外の人は堂々と公認する(比例重複も認める)として十分に説明すれば
「国民の納得と共感」
は得られたのではないか。
ところが、党内の議論に引きずられて早期解散に踏み切り、従来の
「全員の連帯責任」
路線を踏襲せざるを得なくなった。
旧安倍派などの不記載は引き続き全て
「悪い不記載」
と整理され、
「それなら全員を非公認にすべきだ」
との批判を招いた。
一方、朝日新聞など一部報道機関や野党は、安心して
「裏金議員」
とのレッテル貼りを続けることになった。
以上が、多くの議員たちがいわれなく
「裏金議員」
と呼ばれ続けた経緯だ。
実際は、多くの人たちは
「裏金」
と無縁だった。
強いて言えば、
「裏金の温床となる還流システムを不正に運用していた派閥に所属していた議員」
ではあろうが、それを
「裏金議員」
と呼ぶのは無茶苦茶だ。
これは、
「報道冤罪」
に他ならない。
そして、
「報道冤罪」
を招いた根源は、岸田政権と石破政権の対応だ。
自民党執行部が何故、わざわざこんな拙い対応をし、選挙で議席を減らす要因を作ったのか、私には理解不能だ。
このままでは、来年2025年の参議院選挙でも再び同じ事が繰り返され、
「裏金議員」
という
「報道冤罪」
が続くのではないか。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/354.html#c15

[政治・選挙・NHK296] <菅野完氏「刑罰を受けることになっていく」>立花孝志氏を任意聴取、兵庫県警 百条委員長名誉毀損疑い(共同通信) 赤かぶ
44. 秘密のアッコちゃん[1196] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月24日 13:19:48 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[634]
<■85行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>日本学術会議 抜本改革になっていない
社説
2024/12/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20241224-UXJ6HYNTTRKVJBKXCLUIDU54DI/
日本学術会議の改革を検討してきた政府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。
学術会議は現在、法律に基づく
「国の特別機関」
という位置付けで、運営は税金で賄われている。
令和2年に菅義偉首相(当時)が、学術会議が推薦した会員候補のうち6人を任命しなかったことで会議側が反発した。
これを契機に、政府は会員選考の方法などの見直しを検討してきた。
だが、報告書の内容で国民の役に立ち、国益にかなう組織に生まれ変わるとは思えない。
報告書は、学術会議を国から切り離して法人化するとした。
一方で
「ナショナルアカデミー」
としての役割を踏まえ、政府が財政支援を行うという。
これまで通りの税金投入が見込まれている。
政府は会員選考に関わらず、任命権を首相から法人側に移す。
外部有識者による
「選考助言委員会」
を新設し、選考方針などに意見を述べさせるが個別の選考には介入しないとした。
意見に法的拘束力はない。
しかも委員は学術会議の会長に任命させるという。
活動状況に関する
「評価委員会」
を設ける。
業務執行の適正さを監事が監査する。
この委員や監事は首相が任命するが、予算付けのための役割しか果たさないだろう。
学術会議がおかしな行動を取った、成果を上げなかったりしても、是正させることは期待できない。
これらを改革というのは噴飯ものだ。
学術会議が好き勝手に税金を費消するだけに終わるのではないか。
学術会議の最大の弊害は、日本と国民を守るための軍事研究を強く忌避し、研究を停滞させてきたことだ。
昭和25年と42年に軍事目的の科学研究を拒否する声明を出し、その継承を平成29年の
「軍事的安全保障研究に関する声明」
で宣言した。
学術会議はこのような反国民的な言動を反省し、一連の声明を撤回しなければならない。
令和4年7月に軍事、民生の両方で使える
「デュアルユース(軍民両用)」
の研究を事実上容認した。
だが、国家と国民を守るためには、純然たる軍事研究も推進すべきだ。
新型コロナ禍でも学術会議がろくな役割を果たさなかったのは記憶に新しい。
小手先の組織いじりは無意味である。

「速やかに法制化進める」学術会議の在り方巡る報告書受領 坂井学国家公安委員長
2024/12/20 15:26
政治
https://www.sankei.com/article/20241220-ZWAVEVC4PBIH3ELACJ4UXUG5YA/
日本学術会議の組織見直しを担当する坂井学国家公安委員長は2024年12月20日の記者会見で、学術会議の在り方を巡り、現在の
「国の特別機関」
から新たな法人への移行を検討した政府有識者懇談会(座長・岸輝雄東大名誉教授)の報告書を同日受領したと明らかにした。
坂井氏は
「速やかに法制化の作業を進めたい」
と述べた。
報告書には国からの財政支援を保障する一方、活動について国民に説明する仕組みの必要性を指摘し、首相が任命する
「評価委員会」
や監事を置いて活動を確認することなどが盛り込まれている。
坂井氏は
「学術会議が世界でもトップのアカデミーの集まりになってもらいたいという強い熱意、希望を感じた」
と語った。
学術会議を巡っては、令和2年に菅義偉元首相が学術会議側が推薦した会員候補6人の任命を拒否。
現職会員による推薦者を首相が形式的に任命していた選考過程の不透明さにメスを入れた。
政府は昨年2023年4月、透明性向上のため選考に第三者を関与させる学術会議法改正案の提出を試みたが、学術会議側が反発し、断念。
法人化に向け、有識者懇を設置して議論を続けてきた。

学術会議の法人化、投票制導入で会員選考に透明性確保へ 政府有識者懇が報告書とりまとめ
2024/12/18 20:01
https://www.sankei.com/article/20241218-BMA7LBVOYZJLHJYCX66VSIXRG4/
日本学術会議の在り方を検討する政府有識者懇談会(座長・岸輝雄東大名誉教授)は2024年12月18日、学術会議の法人化に向けた具体的な制度設計に関する最終報告書を大筋で取りまとめた。
会員選考の透明性を高める投票制の導入や、国が任命する監事などを通じた活動内容の把握などが柱。
政府は報告書を踏まえ、来年2025年の通常国会に関連法案の提出を目指す。
報告書は、会員選考で外部有識者の意見を聞く
「選考助言委員会」
の新設や、海外の例を踏まえた投票制の導入といった客観性や透明性を高める必要性を示した。
一方、法人化後も国を代表する学術団体
「ナショナルアカデミー」
としての活動を担保するため、政府が必要な財政支援を行うことを明記した。
学術会議にはこれまでも年間約10億円の予算が計上されている。
政府内では法人化後の活動活性化を期待し、予算の上積みも検討されている。
また、財政支援を行うことから、業務や財務を監査する
「監事」
を政府が任命して運営状況を確認することも盛り込んだが、学術会議側は反発している。
岸氏は2024年12月18日の有識者懇後、記者団に
「政府は懇談会の報告書を最大限踏まえて(法制化に)取り組んでほしい」
と述べた。
学術会議を巡っては、令和2年に菅義偉元首相が学術会議側が推薦した会員候補6人の任命を拒否。
現職会員による推薦者を首相が形式的に任命していた選考過程の不透明さにメスを入れた。
政府は昨年2023年4月、透明性向上のため選考に第三者を関与させる学術会議法改正案の提出を試みたが、学術会議側が反発し、断念。
法人化に向け、有識者懇を設置して議論を続けてきた。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/351.html#c44

[政治・選挙・NHK296] <菅野完氏「やばいなこれ」>「緊急!兵庫県知事選挙に異議あり!真相究明県民集会」会場に入りきれない人たちが長蛇の列  赤かぶ
23. 秘密のアッコちゃん[1197] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月24日 14:23:20 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[635]
<■234行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
今回ワトソン容疑者が行った事を、デンマークの住民に対して行った時に、デンマークは今回と同じ対応したのだろうか。
「シー・シェパード(SS)」
は、各国の捕鯨船に小型船で体当たりしたり、火炎瓶を投げ付けたりと、危険な活動を繰り返してきた無法者の集団だ。
平成22年にはメンバーが日本の捕鯨船団を攻撃し、船員を負傷させる事件を起こした。
反捕鯨のためなら犯罪行為でも見逃す今回のデンマークとフランスの対応は完全に間違っている。

<主張>シー・シェパード 釈放は日本外交の敗北だ
社説
2024/12/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20241224-WEKHGEL2OJNTFITS4WXWJG7OXI/
日本の調査捕鯨への妨害活動を指示したとして、海上保安庁が国際手配していた反捕鯨団体
「シー・シェパード(SS)」
創設者、ポール・ワトソン容疑者が、勾留先のデンマークで釈放された。
日本側が身柄の引き渡しを求めていたが、デンマーク司法省は認めなかった。
ワトソン容疑者は釈放後にフランスへ行き、反捕鯨活動を継続すると表明した。
SSは各国の捕鯨船に小型船で体当たりしたり、火炎瓶を投げ付けたりと、危険な活動を繰り返してきた無法者の集団だ。
平成22年にはメンバーが日本の捕鯨船団を攻撃し、船員を負傷させる事件を起こした。
その首謀者を釈放したデンマーク政府は法に基づく正義を否定したことになる。
日本との友好を望まない異常な行動でもある。
到底容認できない。
林芳正官房長官は会見で、デンマークに遺憾である旨を申し入れたと語ったが、それで済む話なのか。
石破茂政権は、日本の怒りをもっと明確に伝える外交措置を講じるべきだ。
ワトソン容疑者は今年2024年7月、日本の捕鯨船団を妨害するためデンマーク自治領グリーンランドに立ち寄ったところ、海保の国際手配に基づき現地の警察に身柄を拘束された。
日本側は引き渡しを求めたが、反捕鯨を標榜するフランスのマクロン大統領らが反対してデンマーク政府に働きかけ、勾留は5カ月間に及んだ。
海保による国際手配は国際刑事警察機構(ICPO)を通じた正当なものだ。
法の裁きを受けさせずにデンマークが釈放したことは、SSの暴力を伴う無法の容認を意味する。
パニエルナシェ仏エコロジー移行相が
「本当に安心した」
と、釈放を歓迎する声明を出したのも言語道断である。
石破首相や岩屋毅外相、外務省は一体何をしていたのか。
身柄の引き渡しが叶わなかったのは外交上の敗北である。
猛省が必要だ。
ワトソン容疑者はパリで会見し、
「(日本の捕鯨船が)南極海のサンクチュアリ(保護区)に入ってきたら介入する」
と述べた。
だが、日本の捕鯨は合法であり、ワトソン容疑者が無法を繰り返すのを許してはならない。
政府はフランスに強く働き掛け、容疑者の拘束と引き渡しを実現してもらいたい。

釈放のワトソン容疑者、反捕鯨活動の継続を宣言 「日本船に介入も」パリで会見
2024/12/22 8:10
https://www.sankei.com/article/20241222-7YESBOFKUJIFXFFACZ44U6VSGY/
デンマークが日本への身柄の引き渡しを拒否し、釈放された反捕鯨活動家ポール・ワトソン容疑者(74)が2024年12月21日、パリで記者会見した。
日本の捕鯨船が
「南極海サンクチュアリ(保護区)
に入ってきたら、介入する」と述べ、活動を続ける意向を示した。
ワトソン容疑者は2024年12月20日、政治亡命を求めているフランスに到着。
支援者集会にあわせて記者会見を開き、日本政府へのメッセージとして
「国際法を守れ」
と発言した。
国際司法裁判所(ICJ)の2014年の判断に言及し、日本の捕鯨は国際法違反だという従来の主張を繰り返した。
「なぜ日本の法廷で持論を主張しないのか」
という質問に対しては、
「日本の制度では『罪』を認めるまで、長期勾留が続く」
「私は決して認めないから、戻れなくなる」
と主張。
その上で、2015年にオーストラリア連邦裁判所が日本の捕鯨会社に罰金支払いを命じた裁判に言及し、
「この時、日本側は出廷せず、罰金も払わなかった」
「誰が罪人なのか」
と反論した。
南極海サンクチュアリは、国際捕鯨委員会(IWC)が定めた鯨の広域保護区。
ワトソン容疑者は反捕鯨団体
「シー・シェパード」
の創設者で、今年2024年7月、デンマーク領グリーンランドで日本の国際手配に基づいて身柄拘束された。
デンマーク政府は日本への身柄引き渡しに応じないことを決め、今月2024年12月17日に釈放した。

「看過できない」反捕鯨ワトソン容疑者の引き渡し拒否に自民・小野寺氏 外務省の動き検証
2024/12/20 14:36
https://www.sankei.com/article/20241220-LT2ENO6GZJCRRLF34BMR3LTT34/
自民党の小野寺五典政調会長は2024年12月20日、デンマーク政府が同国の自治領グリーンランドで勾留中の反捕鯨団体
「シー・シェパード」
創設者、ポール・ワトソン容疑者の身柄を日本に引き渡さないと決めたことについて、党本部で党捕鯨対策特別委員会の幹部らと対応を協議した。
小野寺氏は
「看過できない」
「訳の分からない理由で釈放するのはどういうことか」
「日本を法治国家として認めていないのではないか」
と憤りを述べた。
会合後、同委員長の鶴保庸介元沖縄北方担当相が記者団に明らかにした。
ワトソン容疑者は、2010年に日本の調査捕鯨を妨害したとして、日本当局が傷害容疑などで逮捕状を取得し、今年2024年7月に活動船の給油に立ち寄ったグリーンランドで拘束された。
一方、デンマーク司法省は今月2024年12月17日、14年前の容疑であることなどを
「総合的に判断した結果」
と声明を出した上で、ワトソン容疑者を釈放した。
特別委は2024年12月19日、外務省のデンマーク政府に対する働きかけの在り方が適切だったのかどうか検証し再発防止策を講じることや、法と証拠に基づく日本の立場の正当性について対外発信を強化することを求める決議文を採択した。
2024年12月24日の党政調審議会で決議文を審議し、速やかに首相官邸に提出する。
鶴保氏は
「外務省はデンマーク政府と捕鯨問題について真摯な対応をしてほしい」
と記者団に語った。
特別委の山下雄平事務局長は、デンマークについて
「グリーンランドでの先住民の捕鯨枠を認める一方、他国の捕鯨には非常に否定的という矛盾を抱えている」
と指摘し、
「今回ワトソン容疑者が行った事を、デンマークの住民に対して行った時に、デンマークは今回と同じ対応したのだろうか」
と疑問視した。

ワトソン容疑者保釈に野口健氏「妨害を正当化」 山田吉彦氏「日本で裁かれるべき」
2024/12/18 21:02
https://www.sankei.com/article/20241218-ES3HXKK5EFOXVCSDU4YKPOZD24/
ポール・ワトソン容疑者の身柄を日本に引き渡さないとしたデンマーク政府の決定に対し、有識者らからは批判が相次いだ。
アルピニストで環境活動家の野口健氏は、日本の調査捕鯨船員に酪酸入りの瓶を投げるなどのシー・シェパードの行為を
「環境テロ同然だ」
と指摘。
捕鯨は海洋資源や生態系を守る上でも重要だとした上で、
「今回の決定を容認することは、捕鯨活動の妨害を正当化することにも繋がる」
「日本政府には再度引き渡しを強く要望するなど、毅然とした態度を取ってもらいたい」
と訴えた。
また、東海大海洋学部の山田吉彦教授(海上安全保障)は
「クジラを食す習慣がある日本に対し、欧米ではクジラが自然保護の象徴となっており、捕鯨が殺戮と捉えられている」
と文化の違いに言及し、欧米に広がる反捕鯨思想の影響がデンマーク政府の決定に影を落とした可能性を指摘する。
山田氏は
「過激な環境論者の行為を容認することで、妨害行為がエスカレートする恐れもある」
と懸念し、
「ワトソン容疑者の行為は犯罪なので、日本の法律で裁かれるべきだ」
「日本政府には適切な法的措置を望む」
と話した。

反捕鯨ワトソン容疑者保釈、「残念」と海保長官 引き続き関係国に引き渡し要求の考え
2024/12/18 15:28
https://www.sankei.com/article/20241218-F46VR2TBBFMZNJOSI5WMD5OF7U/
日本の調査捕鯨船の妨害活動に関与したとして、デンマーク自治領グリーンランドで身柄を拘束された反捕鯨団体
「シー・シェパード」
創設者、ポール・ワトソン容疑者(74)が保釈されたことついて、海上保安庁の瀬口良夫長官は2024年12月18日の定例記者会見で
「このような結果となり残念」
と述べ、引き続き関係国や関係機関に引き渡しを求める考えを示した。
デンマーク司法省は2024年12月17日、ワトソン容疑者保釈の決定理由について、容疑が14年前の行為で時間が経過したことや、勾留期間を刑期から差し引くことに日本側が応じなかったことなどを考慮し、
「総合的に判断した」
としている。
シー・シェパードは2005年から日本の調査捕鯨船への妨害活動を実施。
海保は2010年、シー・シェパードのメンバーが南極海で日本の調査捕鯨船団の監視船の航行を妨害した事件の共犯として、傷害と威力業務妨害の疑いでワトソン容疑者の逮捕状を取り、日本側の要請を受け国際刑事警察機構(ICPO)が国際手配した。
ワトソン容疑者は今年2024年7月、日本の捕鯨船「関鯨丸」の操業を妨害するため、グリーンランドの中心都市、ヌークへ船の給油などで立ち寄った際に地元警察が身柄を拘束。
約5カ月間勾留されたが、今月2024年12月17日に保釈された。

シー・シェパード創設者の身柄引き渡し拒否 「遺憾」と林芳正官房長官
2024/12/18 11:49
https://www.sankei.com/article/20241218-4EO2DEJ7VFOLBCCGNTOGWEOTKA/
林芳正官房長官は2024年12月18日の記者会見で、デンマーク政府が反捕鯨団体
「シー・シェパード」
の創設者、ポール・ワトソン容疑者の日本への身柄引き渡しを拒否したことに関し
「遺憾であり、デンマーク側にその旨を申し入れた」
と明らかにした。
その上で
「引き続き、法と証拠に基づいて適切に対応していく」
と強調した。
ワトソン容疑者を巡っては、東京海上保安部が2010年、シー・シェパードのメンバーが調査捕鯨船団に酪酸入りの瓶を投げ、船員に怪我をさせた事件の共犯として、傷害などの容疑で逮捕状を取得。
要請を受けた国際刑事警察機構(ICPO)が国際手配していたが、デンマーク政府は日本側の要請を拒否し、釈放した。

ワトソン容疑者釈放、仏閣僚が歓迎「安心した」 支援者の「勝利」称える
2024/12/17 21:51
https://www.sankei.com/article/20241217-LX34VRDP4NPKNEOECF6GCXQTTM/
フランスのパニエルナシェ・エコロジー移行相は2024年12月17日、デンマークが反捕鯨団体
「シー・シェパード」
の創設者、ポール・ワトソン容疑者釈放を決めたことについて
「本当に安心した」
と歓迎する声明を出した。
パニエルナシェ氏は交流サイト(SNS)で、
「149日間の勾留後、ワトソン氏が釈放されたことを称える」
「仲間の元にお帰りなさい」
と書き込んだ。
また、釈放を求めてきた支援者たちに
「皆の勝利だ」
と呼び掛けた。
フランスは反捕鯨国で、マクロン大統領はワトソン容疑者の日本への引き渡しに反対していた。
ワトソン容疑者はフランスに長く滞在しており、デンマークでの勾留中に仏国籍の取得を申請した。

ワトソン容疑者なぜ保釈 デンマークの「超法規的対応」要求、「原則曲げぬ」と日本が拒否
2024/12/18 20:30
https://www.sankei.com/article/20241218-G766UBTX2BNBRLSZ7PTBO5K6FM/
日本の調査捕鯨船の妨害活動に関与したとして海上保安庁が国際手配した反捕鯨団体
「シー・シェパード」
創設者、ポール・ワトソン容疑者(74)が、勾留先のデンマークで保釈された。
「このような結果となり残念だ」。
海保の瀬口良夫長官は2024年12月18日の会見でこう述べた。
日本側が求めた身柄引き渡しは、なぜ実現しなかったのか。
■異例の勾留5カ月、延長6回
ワトソン容疑者保釈の一報が海保に入ったのは2024年12月17日午後。
海保側は今年2024年7月にデンマーク自治領グリーンランドで容疑者が拘束されて以降、日本への具体的な移送計画を作り、受け入れ準備を進めてきた。
「勾留期間の長さを考えれば、7対3の割合で身柄が引き渡される」。
海保関係者はこう踏んでいたという。
ワトソン容疑者の勾留は約5カ月に及び、6回の延長手続きを繰り返す異例の対応だった。
海保側は外務省を窓口に、引き渡しの可否を決めかねるデンマーク司法省に揺さ振りを掛けた。
この間、フランスなど反捕鯨国を中心にワトソン容疑者の早期釈放を求める動きが広がった。
マクロン仏大統領は日本への引き渡しに反対の考えを示し、
「デンマーク側に働き掛ける」
との声明を発表。
ワトソン容疑者も仏国籍取得や政治亡命を申請し日本への移送回避を画策した。
反捕鯨国の圧力が強まる中、海保は2024年9月下旬、事態打開に捜査部門トップをデンマークに派遣。
「捕鯨の是非」
という立場の違いを超え、法と証拠に基づく、引き渡しの正当性を主張した。
■「超法規的対応」を拒否
デンマーク側からは容疑者が高齢であることや容疑の対象行為が14年前と古いことなどを理由に色よい返事はなかったが、その後、外交ルートを通じ、1つの
「妥協案」
が示された。
判決確定までに刑事施設で身柄を拘束する
「未決勾留」
の期間を刑期から差し引くよう日本側に求めた。
ただ、日本の刑法は、海外での未決勾留日数を刑期に算入することを認めていない。
言わば
「超法規な対応」
を日本側に求めたことになるが、政府関係者によれば、法務省と協議した結果、法の原則を曲げることはできないとの結論に至り、デンマーク側の要請には応じなかったという。
ワトソン容疑者の勾留先だったグリーンランドは先住民による捕鯨が認められている。
ただ、本土のデンマーク政府は反捕鯨の立場を取る。
こうした立場の違いが、保釈を決定した背景にあった可能性もある。
「政治的動機による冤罪だった」。
ワトソン容疑者は保釈後、SNSでメッセージを発信した。
海外メディアなどによれば、保釈後は家族が暮らすフランスに移住するとみられ、同国で滞在を続ける限り、引き渡しが実現する可能性は低い。
一方、海保側にすれば千載一遇のチャンスを逃したに等しい。
「無念と言う他ない」。
海保幹部は言葉少なだった。

反捕鯨ワトソン容疑者釈放 デンマーク、日本への引き渡し拒否 関連団体「彼は自由の身」
2024/12/17 21:32
https://www.sankei.com/article/20241217-5OWVY4GFLROVPKFI3HHJD6JPWM/
デンマーク政府は2024年12月17日、同国の自治領グリーンランドで勾留中の反捕鯨団体
「シー・シェパード」
の創設者ポール・ワトソン容疑者(74)の身柄を日本に引き渡さないと決め、地元当局は釈放したと明らかにした。
日本の要請を拒否した。
地元メディアが報じた。
ワトソン容疑者の関連団体は
「彼は自由の身だ」
とX(旧ツイッター)に投稿した。
反捕鯨国が多い欧米では、引き渡しに批判的な声が高まっていた。
東京海上保安部は2010年、シー・シェパードのメンバーが調査捕鯨船団に酪酸入りの瓶を投げ、船員に怪我をさせた事件の共犯として、傷害などの疑いでワトソン容疑者の逮捕状を取得。
要請を受けた国際刑事警察機構(ICPO)が国際手配した。
今年2024年7月にグリーンランド中心都市ヌークへ給油などで立ち寄った際、地元の警察に拘束された。
その後、裁判所が勾留延長の決定を繰り返し、勾留が長期化していた。(共同)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/357.html#c23

[政治・選挙・NHK296] まずポンコツミサイルの爆買いを止めること これを言えない国民民主(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
39. 秘密のアッコちゃん[1198] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月24日 19:13:53 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[636]
<■2172行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度には断固反対だ。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/358.html#c39

[政治・選挙・NHK296] <れいわ新選組>やはた愛がNHK『日曜討論』に初出演!威風堂々たる姿勢、周囲を圧倒!  赤かぶ
35. 秘密のアッコちゃん[1199] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月25日 03:12:12 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[637]
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北朝鮮関与のビットコイン流出事件 林芳正官房長官「対応強化に取り組む」
2024/12/24 11:03
https://www.sankei.com/article/20241224-JZPWRE3YQFLSHIAV4OSDUGFKAI/
林芳正官房長官は2024年12月24日の記者会見で、警察庁がIT大手DMM.comのグループ会社のビットコイン不正流出事件は北朝鮮傘下のサイバー攻撃グループによる犯行と特定したことに関し、
「関係省庁が連携し、同種事案への対応を含むサイバーセキュリティーの強化に取り組んでいく」
と述べた。
被害や調査の状況については
「情報収集、分析能力を攻撃主体側に察知されることになる」
として回答を控えた。
DMM.comのグループで暗号資産(仮想通貨)交換業を手がけるDMMビットコイン(東京)では2024年5月、約482億円相当のビットコインが不正流出。
警察庁は今月2024年12月24日、北朝鮮傘下のサイバー攻撃グループ
「トレイダートレイター」
による攻撃が原因だと特定したと発表した。

サイバー空間で外貨獲得活発化させる北朝鮮 大量破壊兵器の開発資金に流用か ビットコイン流出事件
2024/12/24 8:00
https://www.sankei.com/article/20241224-AO6KK6FO3NLGZB666AEAPORN64/
北朝鮮を背景とするサイバー攻撃グループが
「DMMビットコイン」
から約482億円相当もの暗号資産(仮想通貨)を盗んでいたことが、日本や米国の捜査で判明した。
国連の経済制裁を科されている北朝鮮は外国の民間企業などにサイバー攻撃をしかけたり、身分を隠しIT技術者として国外で働かせたりして外貨を獲得しているとされる。
大量破壊兵器開発の原資になっているとの指摘もあり、国際社会の脅威となっている。
■「北」特有
「あなたからプログラミングを学びたい」
今回の事案ではリンクトインを通じ、DMMビットコインがシステム管理を委託する企業の従業員に、こうしたメッセージが届いたという。
やり取りを通じて得た情報で従業員になりすまし、ビットコインを盗み出す−。
管理者としてシステムに侵入するこの
「ソーシャルエンジニアリング」
と呼ばれるやり方は、北朝鮮が関わる攻撃の特徴とされる。
FBIによると、今回の攻撃を担った北朝鮮のサイバー攻撃グループ
「トレイダートレイター」
は昨年2023年6月、3社から計2億ドル相当の暗号資産を盗んだという。
トレイダートレイターは北朝鮮の工作機関
「偵察総局」
傘下のサイバー攻撃集団
「ラザルス」
の一部とされる。
警察庁などは2022年、ラザルスについても、組織名と北朝鮮を名指しして
「パブリック・アトリビューション」
を実施していた。
■フリーの技術者偽装
北朝鮮は国連安保理決議に反して核ミサイル開発を続けていることから、経済制裁を受けている。
サイバー攻撃を新たな外貨獲得手段としていることが指摘されている。
暗号資産は資金洗浄がしやすく、送金取引を重ねることで追跡を困難にする
「ミキシング」
という手法を使っているともされている。
今回のようなソーシャルエンジニアリングの手口に加え、安保理の専門家パネルは北朝鮮が1000人以上を各国に送り込み、身分を偽ってIT関連業務を請け負った上、報酬を北朝鮮に送金させていると指摘。
また、2023年までの7年間で約30億ドル相当の仮想通貨を盗んだ疑いがあり、北朝鮮が取得した外貨の約半分、大量破壊兵器開発資金の約4割をサイバー攻撃で稼ぎ出したとも記している。
IT業界では、請け負った仕事の一部をフリーランスの技術者に委託し、契約がオンラインで完結する例もあるという。
警察幹部は
「工作員が入り込めば、北朝鮮の資金源になるだけでなく、知らないうちにバックドア(不正アクセスするための裏口)を仕込まれる可能性もある」
「最大限の注意を払ってほしい」
と警鐘を鳴らしている。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/359.html#c35

[政治・選挙・NHK296] 兵庫県・斎藤元彦知事側が「“SNS監修”依頼報道」で、専門家が指摘する「違法」の可能性(FRIDAY) 赤かぶ
23. 秘密のアッコちゃん[1200] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年12月25日 13:02:08 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[638]
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「通報者の探索、許されない」百条委で参考人弁護士 午後に斎藤知事が最後の証人尋問
2024/12/25 11:17
https://www.sankei.com/article/20241225-YRDZH64KO5K7ZEC5JQSRJOUZKE/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発した文書を巡り、告発内容の真偽や告発者を処分した県の対応を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が2024年12月25日、始まった。
午前中は、公益通報制度に詳しい結城大輔弁護士が参考人として招致され、公益通報制度では「外部通報であっても通報者の探索行為は禁じられている」と説明した。
午後からは11月の知事選で再選後初めて斎藤氏が証人尋問に臨む他、片山安孝元副知事も証人として出頭予定。
告発文書を作成した県幹部の男性を公益通報者保護法の対象としなかったことや、斎藤氏のパワハラ疑惑などについて総括的に審議する。
斎藤氏はこれまで匿名の告発者を特定し処分した対応については、問題ないとの説明を繰り返しており、最後となる証人尋問でどのような答弁をするのか注目される。
この日、結城弁護士は、公益通報者保護法の法定指針では、通報者の保護に関し
「調査結果が出る前に不利益な扱いをすることは許されない」
と指摘。
「噂話や憶測を基にしているからといって、それだけで不正目的があるとは認定されない」
とした。
男性が事実無根の文書を作成したと認めていると、斎藤氏が言及した記者会見での発言について
「事実上の不利益扱いに当たるような行為」
と述べた。
百条委は、この日で証人尋問を終える見通し。
来年2025年の県議会2025年2月定例会への提出を目指し、報告書をまとめる。
告発文書は2024年3月に県西播磨県民局長だった男性が作成し、関係者に配布した。
県の公益通報窓口にも通報したが、県は内部調査を進めた結果、文書を
「誹謗中傷」
と認定。
男性は停職処分を受け、2024年7月に死亡した。

「前総務部長から聞いた」 告発者私的情報の漏洩疑惑 兵庫百条委に複数県議が説明
2024/12/17 12:18
https://www.sankei.com/article/20241217-RFSTKZVHAZLXNALAFLJSOBUUII/
兵庫県の斎藤元彦知事ら県幹部を内部告発した元県西播磨県民局長の男性の私的情報について、複数の県議が、県議会調査特別委員会(百条委員会)の聞き取り調査に前総務部長から聞いたと説明していることが2024年12月17日、関係者への取材で分かった。
前総務部長は、懲戒処分に関する中心的な役割を担っていた。
県は地方公務員法(守秘義務)に抵触する可能性があるとして調査している。
男性の懲戒処分を巡り、県は2024年3月25日に、男性の私的情報が保存されていたとされる公用パソコンを回収。
その後の県の内部調査で告発文書の核心的な部分が事実ではないなどとして、2024年5月、男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は、2024年7月初め、代理人を通じて百条委に
「プライバシーに配慮してほしい」
と要望。
百条委は告発とは無関係な文書の開示はしないと決めていた。
関係者によると、百条委は今月2024年12月16日に非公開で複数の県議に聞き取り調査を実施。
2024年4月中旬頃に前総務部長から、男性の私的情報の記録を見せられたり、口頭で内容を聞かされたりしたとの証言があったという。
前総務部長は2024年10月25日に開かれた百条委の証人尋問で男性の私的な個人情報を印刷し、所持していたことを認めた。
一方で、漏洩については
「守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性が生じる」
などとして証言を拒否していた。
男性の私的情報とされる内容は、知事選(2024年11月17日投開票)期間の前後から交流サイト(SNS)で拡散されており、県は第三者機関を設置して慎重に調査するとしていた。

<独自>告発した元局長の私的情報漏洩か 兵庫知事側近の前総務部長ら 県が調査検討
2024/8/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20240829-I7672IG3YZOJ3NY6WKUDVAY2UM/
兵庫県の斎藤元彦知事らのパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)の私的な情報を漏洩した疑いがあるとして、県が前総務部長の井ノ本知明氏らの調査を検討していることが2024年8月28日、関係者への取材で分かった。
男性は2024年7月に死亡し、直前にプライバシーへの配慮を周囲に訴えていた。
内部調査ではなく、弁護士に調査を依頼する方針。
県は元副知事の片山安孝氏や前理事の小橋浩一氏、産業労働部長の原田剛治氏の調査も検討。
井ノ本氏を含め、いずれも文書で名前が出た知事の側近で、男性の懲戒処分にも関与したとされる。
男性が2024年3月に匿名で文書を報道機関などに配布した後、斎藤氏の指示で作成者を調べていた片山氏らが男性の公用パソコンを調査。
告発文書のデータを確認したことがこれまでに判明している。
関係者によると、井ノ本氏らは2024年4月頃から、パソコンに保存されていた告発内容とは無関係な男性の私的情報を県議らに開示していた疑いがあるという。
県の懲戒処分の指針では、職務上知り得た秘密を故意に漏らした職員を処分の対象としている。
県は井ノ本氏らがこれに抵触する可能性があると判断。
外部の弁護士に調査を委託する方向で調整を進めているという。
男性は2024年7月19日の県議会調査特別委員会(百条委員会)に証人として出頭を予定。
しかし、一部の委員が告発とは無関係な情報も提出するよう求めているとして、代理人を通じプライバシーを保護するよう百条委に要請するなど、私的情報が流布されていることに不安を抱えていたという。
男性は同月2024年7月7日に死亡。
自殺とみられ、証言はしなかったが、陳述書などを準備していた。
2024年8月23日に非公開で行われた百条委の証人尋問では、職員が私的情報の持ち出しについて
「調査の必要があると認識しており、弁護士会に相談している」
と証言した。

「人事畑歩んだエリート」告発の兵庫県庁の元県民局長、「兄貴分的な人だった」と惜しむ声
2024/7/19 13:12
https://www.sankei.com/article/20240719-PL47CVH3BFMYZHAWCVQTUVGHU4/
「一死をもって抗議する」。
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑を告発した元県西播磨県民局長の男性(60)は亡くなる前、こんなメッセージを残していた。
人事畑などを歩む
「エリート」
と評され、
「兄貴分的な人」
「愛すべき先輩だった」
と県庁内から死を惜しむ声が上がる。
「なぜ、告発文書を作成したのか」
「現在の知事や県幹部の状況に許せない思いを抱えていたのだろう」。
男性を知る県関係者は、心中を推し量った。
男性は京都大を卒業し、昭和62年4月に兵庫県に入庁。
人事課長や教育次長、人事課を所管する管理局長(現職員局長)などを務めてきた。
元上司は
「仕事熱心で、誰とでも気さくに話をして、後輩にも優しかった」
「課内、課外関係なく、面倒見のいい人」
と評価。
後輩は
「仕事以外でも仲間と連れ立って行動することが好きな兄貴分的な存在」
「非常に尊敬しており、愛すべき先輩だった」
と振り返る。
西播磨県民局長に就いたのは、斎藤氏の知事就任前の令和3年4月。
県内各地域を管轄する地方機関である県民局のトップは部長級で、中でも西播磨は格が上の方だとされる。
今年2024年3月末に退職予定だったが、同月中旬、斎藤氏のパワハラ疑惑や県幹部らの違法行為を告発する文書を作成し、一部の報道機関や県議らに配布した。
文書は匿名だったが、県は早々に男性が作成したと特定。
斎藤氏は記者会見で、
「業務時間中に噓八百含めて文書を作って流す行為は公務員として失格」
と強い口調で非難した。
更に、
「ありもしないことを縷々並べた内容を本人も認めている」
とと説明したが、これに対して男性は反論文書を公表。
「私自身が認めている事実は一切ない」
「今の県政運営に対する不信感、将来に対する不安感、頑張って働いている職員の皆さんの将来を思っての行動だ」
と記した。
2024年5月には、告発文書は誹謗中傷に当たるとして、県が男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は、人事委員会への不服申し立てをしなかったが、県議会の調査特別委員会(百条委員会)に宛てたメッセージで理由をこう説明していた。
「私の願いは兵庫県という組織がより良くなるため、真実が明らかになることである」。

「違和感ある結論だ」斎藤知事のパワハラ「確証なし」との兵庫県内部調査受け、専門家指摘
2024/12/12 7:00
https://www.sankei.com/article/20241212-BQURIRUIKZJGDA2ODDM3OSIVBM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑や贈答品受領疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県は2024年12月11日、文書を作成した元県幹部の男性=2024年7月に死亡=による内部通報を受けた調査結果を発表した。
斎藤氏による職員へのパワハラ疑惑については、強く叱責されたと認識する職員がいたものの
「確証までは得られなかった」
とした。
また、贈答品受領についても斎藤氏の対応に問題があったとの指摘はなかった。
専門家は
「中立の立場にある今後の第三者機関の調査結果に注目したい」
と述べた。
男性の告発文書を巡っては、県議会調査特別委員会(百条委員会)が真偽を解明するために調査しており、来年2025年2月に最終報告書を発表する見込み。
この他、県が設置した第三者委員会も今年2024年度中を目途に報告書をまとめる予定だ。
百条委が実施した県職員アンケートでは、斎藤氏のパワハラを見聞きしたことがあるとの回答が職員全体の約42%に上っている。
2024年12月11日に県が公表した
「パワハラの確証が得られなかった」
とする調査結果について、公益通報制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授は
「(百条委の)県職員アンケートの結果を踏まえると違和感のある結論」
「兵庫県は公益通報者保護法の法定指針の違反状態が続いていると認識している」
と述べた。
男性は今年2024年3月、一部の報道機関や県議らに告発文書を配布し、2024年4月には文書の内容の一部を県の内部に設けられていた公益通報窓口に送付。
県は通報を受けた内部調査の結果を待たずに2024年5月、
「(文書の)核心部分が事実ではない」
として男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
日野教授は
「懲戒処分が先んじて行われたのは公益通報案件ではなく、人事案件として取り扱い、人事課の調査を優先させてしまったため」
「やはり内部通報の調査結果を待った上で処分を判断すべきだった」
とし、
「今回、男性の通報内容が虚偽や単なる臆測ではないことが明らかになった」
「この調査結果を踏まえれば、通報に対する不利益処分は出来なかったのではないか」
と話した。

「ネットリンチだ」斎藤知事を追及してきた兵庫県議がYouTubeに15件の削除要請
2024/12/9 20:26
https://www.sankei.com/article/20241209-NMYTBF5HM5J33PKCRMTMQIZ2NM/
兵庫県議会の百条委員会委員を務める丸尾牧県議は2024年12月9日、動画投稿サイト「ユーチューブ」に対し、15件の投稿内容が明白な虚偽や名誉毀損に当たるとして削除要請を行ったことを明らかにした。
丸尾氏は産経新聞の取材に
「ネットリンチの状態だ」
と述べ、投稿者特定のための開示請求手続きも行い、対応によっては民事・刑事両面から名誉毀損の責任や罪を追及する方針という。
削除を要請したのは、兵庫県知事選期間中に、丸尾氏を名指しし、
「騒動の主犯格が判明しました」
「知事反対派?の県議によるデマ問題!?」
などの表題で投稿された動画15件。
丸尾氏は
「証拠も示さない虚偽の内容で名誉を不当に毀損するもの」
などとしている。
丸尾氏は
「明らかに事実と異なる内容」
「視聴した人が交流サイト(SNS)上で扇動し、SNSや電話でクレーム、抗議が殺到する」
「業務に支障をきたすだけでなく命にかかわる恐怖も覚える」
と非難。
「著名人もこの内容を基にして動画をアップしており迷惑極まりない」
と憤った。

「調査やめろ」兵庫県議会百条委、委員宅や事務所に今も抗議続く…「萎縮せず調査」と強調
2024/11/25 21:17
https://www.sankei.com/article/20241125-ZQTSI3I7INIJJE7X5XCU4XYZ34/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)が2024年11月25日開かれ、知事選後初の証人尋問が行われた。
県幹部ら3人が証人として出頭したが、斎藤氏は欠席。
斎藤氏の尋問日程は今後調整するが、現段階で目途は立っていない。
知事選では県議会や百条委への批判が強まり、インターネット上では委員への誹謗中傷などが相次いだ。
委員の一人は議員辞職に追い込まれたが、他の委員らは
「調査が萎縮してはならない」
との思いを強めている。
■優勝パレード疑惑で尋問
この日の百条委では、昨年2023年11月のプロ野球阪神・オリックス優勝パレードの企業協賛金を信用金庫に出してもらう見返りに、補助金を増額して還流したとされる疑惑などについて尋問。
証人3人のうち尋問が公開されたのは当時の財務部長のみで、インターネット中継はなかった。
終了後、委員長の奥谷謙一県議が記者会見し、斎藤氏への証人尋問など次回の開催日程は未定だと説明。
調査結果は2024年年内にまとめる予定だったが、知事選の影響などにより来年2025年にずれ込む見通しを示した。
会見後、産経新聞の取材に
「誹謗中傷はあったが、疑惑の真相解明に努めるという姿勢を崩さずに進めていきたい」
と強調した。
斎藤氏が返り咲きを果たした今回の選挙戦。
奥谷氏は立候補者の1人だった政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏から、斎藤氏を告発した男性の死亡原因を隠蔽したなどとする内容を交流サイト(SNS)に投稿された他、自宅兼事務所前で激しい口調で演説され、危険を感じて家族を避難させるなどしたという。
今年2024年6月に設置された百条委では、文書に記載された斎藤氏らに関する7項目の疑惑などを調査。
斎藤氏への2度の証人尋問も行われ、その際の斎藤氏の対応を問題視した議会が斎藤氏に対する不信任案を全会一致で可決した。
斎藤氏は失職し、今回の出直し選挙となったが、こうした経緯もSNSでは批判の対象となった。
ある委員はSNSだけでなく、自宅や事務所に電話やメールで知らない人からの抗議が多く届いた。
「斎藤氏は文書問題について真正面から説明しようとしなかった」
「来年2025年度予算の編成を託すわけにはいかないと考えた」
と辞職を求めた理由を述べ、
「萎縮してしまう委員がいるかもしれないが、信念を持って調査を最後までやり切るのが私たちの務めだ」
と語る。
■中間報告出していれば…
一方、別の委員は、調査が終了していない段階で不信任決議に至った判断について、
「『百条委員会は噓ばかり』などという事実と異なる情報が飛び交った」
「中間報告を出すなどしていれば、そうはならなかったかもしれない」
と反省を口にする。
この委員は
「今でも1日10件程度、
『百条委員会の調査は止めろ』
『議員辞職しろ』
などというメールやSNSの書き込みがある」
と明かしつつ、
「信頼される結論を百条委で出していくだけだ」
と話した。

正義と信じ「敵」攻撃、投稿が過激化し分断生む…「エコーチェンバー」と確証バイアスで先鋭化
2024/11/25(月) 5:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/69da6b550695ba571c30e31e9df9c17645576876
[SNSと選挙]<中>兵庫県知事選から
 「辞めろ」「ウソつき」「出てこい」――。
商店街を練り歩く斎藤氏。
行く先々で批判するメッセージを掲げる人がいた(10日、神戸市中央区で)
兵庫県知事選の選挙期間中、奥谷謙一県議(39)の自宅兼事務所には、そんな電話が相次いでかかってきた。
奥谷氏は、斎藤元彦知事(47)のパワハラなどの疑惑を調査する県議会百条委員会の委員長。
斎藤氏の失職後、SNSで斎藤氏への支持が広がるのに比例し、
「知事の失脚を裏で主導した」
として、奥谷氏を誹謗中傷する投稿が拡散した。
知事選が始まると、立候補した政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏(57)が奥谷氏の自宅前で街頭演説し、
「出てこい」
などとチャイムを押す動画を配信。
奥谷氏は母と共に避難していたが、立花氏がX(旧ツイッター)で奥谷氏の目撃情報の提供を呼び掛けると、Xには
「有馬温泉に隠れているようだ」
などの書き込みもあった。
今も見知らぬ男が自宅前に立っていたり、チャイムを鳴らされたりすることもあり、警察に相談している。
奥谷氏は
「自分についてSNSに書かれていることはデマばかり」
「こんなに身の危険を感じたことは初めてだ」
と疲労感を滲ませる。

百条委が兵庫県幹部の尋問映像公開、片山前副知事の「告発者の私的情報発言」は音声を消して対応
2024/11/23 21:33読売新聞
https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20241123-567-OYT1T50151.html
■SNSでは「都合の悪い部分を隠蔽」と批判
兵庫県の斎藤元彦知事の内部告発問題を調査する県議会の百条委員会は2024年11月22日、2024年11月10月24、25両日に非公開で行われた県幹部らへの証人尋問の録画映像をユーチューブで公開した。
知事選への影響を避けるため、選挙後に公開する予定で録画されていた。
2日間の証人尋問には、計11人が出頭。
このうち、片山安孝前副知事や県幹部ら計6人分、計7時間以上の映像が公開された。
2024年10月25日の証人尋問では、告発者の男性職員(2024年7月に死亡)が公用パソコンに保管していたとされる私的情報について、片山氏が発言を続けようとし、奥谷謙一委員長が制して一時中断する場面があった。
録画映像では、片山氏のこの時の証言は音声が一部消されていた。
百条委は調査と直接関係のない内容は扱わないことを決めている。
証人尋問の再開後、奥谷氏は
「片山氏から不規則発言があり、尋問を行うことが不可能と判断した」
と発言。
他の委員から異議は出なかった。
知事選の期間中、この消された部分とされる音声が流出。
立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏は、告発者は私的情報が漏れることを恐れて自殺した可能性が高いのに、百条委がそれを隠したと主張した。
SNS上では
「(百条委は)都合の悪い部分を隠している」
などの投稿が相次いだ。
告発者は自殺したとみられるが、その理由は分かっていない。
奥谷氏は今月2024年11月18日の記者会見で、
「(片山氏が)調査に関係ないプライバシー情報を話し始めたので、プライバシーに最大限配慮する県の情報公開条例に基づき、制止した」
と説明。
「隠蔽しているというのは、明らかなデマだ」
と述べた。
また、斎藤氏の側近だった小橋浩一前理事は2024年10月25日の証人尋問で、斎藤氏が告発内容を
「嘘八百」
などと指摘した2024年3月27日の記者会見の直後に、第三者委員会による調査を進言したと証言。
「(斎藤氏は)渋い顔をされ、『どうかな』と。受け入れられなかった」
と述べた。
斎藤氏は2024年9月の証人尋問で、小橋氏の進言について
「記憶にない」
と話していた。
片山氏や県幹部の証人尋問は通常、公開で行われるが、百条委は2日間の証人尋問について、知事選に影響が出ないよう非公開で実施し、選挙後に録画映像を公開する方針を予め決めていた。

告発者処分先行、斎藤知事から「風向き変えたい」 非公開の百条委録画で側近が証言
2024/11/23 7:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QGC7SL3R3RO6VF64OZG66XQHXA/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などについて調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)は2024年11月22日、県知事選前に行った2024年10月24、25日の証人尋問のうち、部長級以上の職員や元副知事、片山安孝氏の尋問の録画映像を公開した。
知事選に影響が出ないよう非公開としていた。
告発文書を作成した県の西播磨県民局長だった男性=2024年7月に死亡=を特定し、懲戒処分とした県の対応を巡り、斎藤氏の指示を受けて処分の中心的役割を担った前総務部長の井ノ本知明氏は、男性が県の公益通報窓口に通報したため、処分はその調査結果を待ってからにした方がよいと斎藤氏に進言したと証言。
しかし、
「知事から風向きを変えたいという話があった」
と処分を先行した経緯を説明し、
「この騒がしい状況を早くしずめたいという思いが(斎藤氏に)あったと推察している」
と述べた。
プロ野球阪神・オリックス優勝パレードの協賛金を金融機関に出してもらう見返りに、県側が補助金増額を約束したとされる疑惑を巡っては、片山氏が
「信用金庫に対する協賛金の協力依頼と補助金を増額する予算措置のタイミングがたまたま一致した」
とキックバックの意図を否定。
「この2つが一緒に動いているという気持ちはなかった」
などと説明した。
一方、尋問では、片山氏が男性のプライバシー情報に関して発言を始め、制止される場面があったが、この部分については公開されなかった。 
百条委は今月2024年11月25日に文書の疑惑などを総括した証人尋問を実施。
斎藤氏の証人尋問も予定されていたが、欠席となる見通し。

齋藤元彦「再選」に浮かれていていいのか…いまだ晴れていない告発者処罰で「職権濫用」の疑義
2024/11/23(土) 6:04配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/04ac1f5ee81b137c6557fafe6224848b6b1c1415
「パワハラ疑惑」
で辞任に追い込まれた齋藤元彦氏が、この度の兵庫県知事選挙で再選されました。
現下の民主主義制度を採用している我が国では、この結果は重く受け止めねばなりません。
少なくともこれで齋藤氏は
「知事」
の要職に就くことが決定しました。
そしてその事実を受け止め、これからメディア上の論調や有識者達の発言内容が変わってくるものと予期されます。(例えば、コチラ、日刊スポーツ、2024年11月17日「斎藤元彦氏に泉房穂氏が生番組で謝罪『おわびです。かなり厳しいトーンで…』兵庫県知事再選受け」)
ただし、この結果は、あくまでも
「知事を誰にするか」
を決定するもの。
言うまでも無く、
「当選者に関わる真実」
に関わる諸判断がこの決定によって影響を受けるべきものではありません。
ここでは、その1点について検討をしてみたいと思います。
この度の選挙の構図は
「既存マスメディアvsSNS」
と言われていますが、その件の
「事実的経緯」
は以下の様なものです。
(1)兵庫県の一職員から、齋藤知事のパワハラを告発する文書が、兵庫県警、報道機関4社、国会議員1名、県議4名、ならびに県庁内の通報窓口に提出された(2024年3月12日付け)。
(2)齋藤知事サイドは、その告発には
「事実無根の内容が多々含まれ」
ており、かつ、
「嘘八百」
を含むものであり、その外部告発行為は公務員として不適切な行為だと断罪し、当該告発者を
「告訴」
する準備を進めている旨を記者会見で発表(2024年3月27日)。
その上で当該職員を特定するための徹底調査を庁内で行い、告発者を特定。
それと同時に、当該告発者の処分を検討するために
「弁護士を入れた内部調査」
を開始した事を公表(2024年4月2日)。
(3)その後、同職員から今度は、兵庫県内の公益通報制度を利用し、庁内の窓口に疑惑を通報(2024年4月4日)。
(4)更にその後、
「弁護士を入れた内部調査」
を通して、
「告発は核心部分において虚偽であり、告発文書は知事や職員に対する誹謗中傷であり、不正行為」
と判断し、告発した職員について
「停職3カ月の懲戒処分」
を決定(2024年5月7日)
(5)県が実施した調査で、
「7人が知事や幹部のパワハラ、6人が知事や幹部への物品供与」
を回答で指摘したという結果が公表される。(2024年5月9日)
(6)齋藤氏は、当該告発内容について、
「第三者委員会」
の設置を表明(2024年5月14日)。
またその後、議会が告発内容の真偽を確認する
「百条委員会」
設置が決定(2024年6月13日)
(7)記者会見で初めて、齋藤氏は告発内容を
「全て否定」
(2024年6月20日)
(8)告発者が
「一死をもって抗議する」
「百条委員会は最後までやり通してほしい」
という一文が入った陳述書を残し、自殺(2024年7月7日)
(9)齋藤知事は告発内容の1つであった
「おねだり」
に関連してワインを受け取っていたこと認める(2024年7月19日)。
ただしその後、それが
「社交辞令の範囲」
と釈明(2024年7月24日)
(10)兵庫県議会は、全会一致で、齋藤氏を不信任を決議し、齋藤氏辞職。
その後実施された知事選挙で齋藤氏再選(今に至る)。
以上の出典は、こちらの情報を基本にとりまとめたもの。
このサイトには、各情報の出典も明記されているのでそちらも併せて参照してください。
■告発者への知事の態度は不適切ではなかったのか
この一連の経緯で、法的に重要なポイントは、かの告発が
「公益通報」
に該当するか否か、という点です。
もし
「公益通報」
であるなら、
「告発者捜し」

「告発者の処分」
を行った齋藤知事が
「公益通報者保護法の違反者」
ということになるのです。
これは刑事罰の対象ではありませんが、
「知事」
としての振る舞いとしては著しく不適切な振る舞いだということになります。
ただし齋藤知事は
「告発された側」
ですが、その
「告発された側」
である齋藤知事は、これを
「公益通報」
ではなく、
「斎藤政権にダメージを与え、転覆させるような計画で、選挙で選ばれた知事を地方公務員が排除するのは不正な目的」
の文書であると認識する、という立場を取っているようです。
そしてその根拠として、片山元副知事は、内部調査の段階で、当該職員のメールに
『クーデターを起こす、革命、逃げ切る』
というくだりがあったことを挙げています。
しかも、齋藤批判を拡大させた
「告発者の自殺」
は、告発者の
「不倫」
の証拠が彼のパソコンに大量に残されており、それが原因なのであって、別に齋藤知事のパワハラが原因なんかじゃ無い、という言説も、選挙期間中、SNSで大いに共有されました。
これに加えてこうした情報がSNSでは共有されているのに、既存メディアでは全く報道されていないという点が
「炎上」
的にネット上で共有され、齋藤知事は
『告発者を自殺に追い込んだ悪い為政者だ』
という認識から
『既存メディアに不当に虐められる被害者だ』
という認識へと、ネット世論は変わっていったのでした。
今回の齋藤氏の勝利は、こうした世論の変化に基づくものでした。
■告発された権力者が自分の権限で断罪することの意味
しかし、ネット上での上記の言説が真実であろうと無かろうと、それとは無関係に齋藤氏の振る舞いはやはり、
「為政者」(Govener:知事)
として許されざる振る舞いであったと筆者は考えます(注1)。
なぜなら、今回告発されているのが
「齋藤知事」
の本人であるにも関わらず、その当の本人の齋藤知事自身が、
「第三者」
の意見を取り入れず、自分自身の知事としての権限を使って、本人の権限で
「当該の告発はフェイクである」
と断罪し、懲戒処分にしてしまっているからです。
この問題の本質はここにあります。
即ち、この告発が仮に
「齋藤政権を潰すための意図」
に基づくものであったとしても、また、メディアが偏向報道を行い、かつ、その告発に
「嘘」
が含まれていたのだとしても、その告発の中に何らかの
「真実」
が含まれている
「可能性」
がある限りにおいて、その告発を、知事という強大な自らの権限でもって
「握り潰す」
かのような振る舞いは
「公益通報者保護法」
の精神の下、許されないものなのです。
そして、内部告発がなされた時点(上記の(3)の時点)で、その告発の中に何らかの
「真実」
が含まれている
「可能性」
があったことは否定し難い事実なのです。
従ってその齋藤氏の振る舞いは、自らの知事という強大な権力についての
「職権濫用」
以外の何ものでもない疑義が極めて濃厚なのです。
仮にこの齋藤氏の振る舞い(注2)を正当化するとするなら、断罪する時点で
「この告発内容は“全て”虚偽である」
「従って、如何なる調査を受けようとも、私は無実であり、この告発内容には一片の真実もないことが、その調査が適正である限りにおいて必ず証明できるのだ」
と言わねばなりませんでした。
ですが彼は、最初の記者会見の席(上記の(2)の時点)で
「虚偽が多い」
と言ったものの
「一片の真実も無い」
とは断定しなかったのです(注3)。
この1点において、彼の態度は、為政者として許されざるものと判断せざるを得ないのです。
■「全てが虚偽ではない」と自覚していた
しかも、こうした筆者と同様の認識は、上記の段階(2)の
「前」
の時点で
「詳細については調査が必要なので申し上げられない」
と発言すべきだと進言していた兵庫県内の人事当局も、そして上記(4)の段階で
『公益通報の結果が出るまでは、処分しないほうがいい』
と進言した県職員も共有していたことは、その発言内容から明白です。
これらはいずれも、県庁内には
「告発に真実が含まれる可能性を完全に排除できない」
という認識が存在していたことを示しています。
(ABCニュース、8月27日「『嘘八百』『事実無根』メモ自作し“パワハラ疑惑”告発文を批判 県人事当局は『調査が必要』との想定問答を事前準備も 斎藤知事『処分の過程は適切という認識』」参照)
更に言うなら、齋藤氏は、上記の(9)でもってその告発の内容の
「一部」
が真実であることを認めているわけですから、調査や処分の
「前」
の段階で、
「この告発内容は“全て”虚偽である」
とは決して言えないということを齋藤氏自身が自覚していたとすら考えざるを得ないのです。
従って、今回の件は、齋藤氏は、知事の権限で以て、自らの不適切行為を訴える告発を
「完全なる事実無根の嘘の代物」
と断罪することは、公益通報制度の理念からして許されざるモノだったのです。
分かり易く言うなら、以上の経緯を冷静に読み解けば、齋藤知事には、
「自分にとって都合が悪いものの一部は真実も含まれていた告発を、自らの知事権限でもって
『全て虚偽だ』
という
『嘘』
をついて、握り潰した」
という濃密な嫌疑があるわけです。
これこそ、彼が
「公益通報者保護法違反」
を犯したと疑われるポイントなのです。
ちなみにこの法律違反は一般の公務員にも該当しますが、齋藤氏が
「知事」
であることを考えると、その道義的責任はより思いものという事になります。
彼は行政官であるというのみならず(国民の信頼がとりわけ必要な)
「政治家」
だからです。
この齋藤知事の
「違反行為」
は、その告発の動機の如何によらず、メディアの報道姿勢の偏向性の有無によらず、明確に存在するものです。
■政治家は「李下に冠を正さず」だろう
ちなみに、こうした齋藤氏の違反行為があったのか否かが
「行政手続き的」
に確定するのは、
「百条委員会」
の結果が出た後、という事になると考えられます。
何故なら、百条委員会は告発の内容の真偽に加えて、
「この告発が公益通報に該当するか否か」
を審査する委員会だからです。
これは言い換えるなら、今、齋藤氏は、
「公益通報者保護法違反の被疑者」
の立場にあるのです。
それにも関わらず、齋藤氏は出直し選挙に出馬し、そして兵庫県民は
「公益通報者保護法違反」
を犯した齋藤氏を当選させてしまったのです。
そうなると、かの告発が
「全て虚偽」
であると認定され、齋藤氏が公益通報者保護法違反で
「行政的にはシロ」
となる可能性が拡大すると危惧されます。
とりわけ、県議会は彼らの
「保身」
のために、恐らくは
「グレーな所は多分にあるが、黒とは断定できない」
という結論を導く公算が高いでしょう。
そうしなければ、齋藤氏を勝たせた世論に
「喧嘩」
を売ることになるからです。
議会にはそれだけの
「根性」
はない疑義が濃厚です。
しかし、仮にそうであったとしても、齋藤氏に知事の資格はないと、判断すべきである、というのが当方の(控え目に言うところの)個人的見解です。
何故なら、
「李下に冠を正さず」
「信なくばたたず」
とまで言われる政治家としては、仮に司法的に、行政府的に
「シロ」
であったとしても、それとは別に、
「政治家として許されるか否か」
という判断は下されねばならないからです。
その視点から考えれば、当方は齋藤氏には知事の資格があると判断することが著しく困難なものとなります。
しかし…今回の兵庫県においては、如何なる思考プロセスを経てそういう結論に辿り着いたのかについてはここでは不問に付しますが兎に角、齋藤氏には知事の資格ありと考える有権者が投票者の内の最多を占めたというのが、今回の現実です。
法治国家の人間として当方も無論、この事実は事実として受け止めますが、それでも尚、自らの保身のために公益通報者の保護義務を、知事の権限を使って握り潰した嫌疑が掛けられている齋藤氏の知事再任には大きな疑問を感じている方は未だに多数おられるものと思います。
ついては是非皆様もこの問題を、今1度、正確な事実を辿り、法的精神をご理解いただきながら、じっくりとお考え頂きたいと、心から祈念いたしたいと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(注1)無論だからといって、メディアの偏向報道が許容されるべきでは有りません。
とはいえそもそもそれとこれとは別次元の問題なのです。
例えばある罪Aを犯した人物がまた別の犯罪Bの被害者であったとしても、その被害を受けたという事実は罪Aを免罪することの根拠にはならないというのと同じ話です。
メディアの偏向報道には当方も辟易しており、それはそれでまた別の糾弾論が必要となると考えますが、その件はまた別の機会に論じたいと思います。
(注2)ここに言う齋藤知事の振る舞いとは,本文(1)の外部通報に対する(2)の振る舞い,ならびに,(3)の内部通報に対する(4)の振る舞いの2つです.外部通報と内部通報では法的位置付けが異なるため,この両者の振るまいについてはそれぞれ個別に判断する必要がありますが,ここでとりわけ重大な法的・道義的責任が問われるのが後者の内部通報に対する(4)の振る舞いです.
(注3)彼が言ったのは、
「嘘八百を含む」
だの
「事実無根の内容が多々含まれ(る)」
だのといった
「一部に嘘がある」
という話しであり、
「全て嘘だ」
とは言っていないません。
藤井 聡(京都大学大学院工学研究科教授)

斎藤氏の疑惑調査の百条委・奥谷委員長がN党立花氏を告訴 立花氏は民事提訴の方針
2024/11/22 19:51
https://www.sankei.com/article/20241122-G63TGCJ5GBP6VD6A4H5HLRV3YU/
兵庫県知事選に立候補していた
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏から、交流サイト(SNS)上で虚偽の内容を投稿され名誉を傷付けられたとして、県議会調査特別委員会(百条委員会)委員長を務める奥谷謙一県議が2024年11月22日、名誉毀損の罪で立花氏を刑事告訴した。
一方、立花氏は、奥谷氏を相手取って民事訴訟を起こす考えを示した。
告訴状によると、2024年10月31日〜11月19日、X(旧ツイッター)などで、奥谷氏は悪人で噓を付いたり、マスコミに圧力を掛けたりして、告発文書を作成した県の元幹部が死亡した原因を隠蔽したという趣旨の虚偽の内容を投稿され、名誉を毀損されたなどとしている。
捜査関係者によると、奥谷氏は、自身の自宅兼事務所前で立花氏が演説した内容についても、脅迫に当たるとして県警に被害届を提出した。
一方、立花氏は2024年11月22日に東京都内で記者会見を開き、
「(奥谷氏は)私がデマを吹聴していると言っているので、遅くとも来週水曜日までに東京地裁に提訴する」
と述べた。

兵庫県知事選 稲村氏後援会X凍結で告訴「選挙制度の議論期待」
2024/11/22 19:34
https://www.sankei.com/article/20241122-S4VIAFO365N4NM4G4IDKWSEAW4/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で敗れた元尼崎市長の稲村和美氏の後援会は2024年11月22日、選挙期間中に公式X(旧ツイッター)アカウントが何者かによる一斉の虚偽通報で2回凍結されたとして、容疑者不詳で偽計業務妨害容疑などの告訴・告発状を兵庫県警に提出した。
共同世話人の津久井進弁護士は神戸市内で記者会見し、
「民主主義の機能を検証するために告訴した」
「選挙制度の在り方が議論されることを期待する」
と話した。
Xは暴力的な発言などを禁じており、違反した場合は運営管理者によってアカウントが凍結されることがある。
告訴状などによると、氏名不詳者らは選挙期間中、稲村氏の後援会がXで違反行為をしていると虚偽の通報をして業務を妨害したなどとしている。
今後も投稿に関する事実確認を精査し、必要に応じて告訴内容を補充する方針という。

兵庫知事選の結果受け民放連会長、SNSの影響を指摘 「選挙報道のあり方も議論が必要」
2024/11/22 16:59
https://www.sankei.com/article/20241122-AVA5RU3R7RNBTKSDROVPW5ZHAY/
日本民間放送連盟の遠藤龍之介会長(フジテレビ副会長)は2024年11月22日の定例記者会見で、兵庫県知事選で斎藤元彦知事がSNSなどを追い風に再選された結果について、
「必要に応じ、民放連の行動委員会の場などでも議論することが必要」
と述べた。
最近のインターネットの問題について、
「SNS上の偽広告や投資詐欺など、大きな問題も発生している」
と指摘。
今回の知事選においては、
「どの情報で投票行動をされたかデータがないので分からないが、私の解釈としてはSNSの影響は一定程度、あったんだろうと考えている」
とした。
その上で、テレビや新聞の選挙報道に制約がある中、
「選挙報道の在り方ということも、旧態依然の形では着いていけなくなるかもしれない」
「そういうことを議論して頂く可能性がある」
と問題提起した。

2024.11.22 07:00
NEWSポストセブン
《県職員は冷ややかにお出迎え》SNS効果で斎藤元彦兵庫県知事が再選 流布された「真実」は「事実」だったのか、求められる検証
https://www.news-postseven.com/archives/20241122_2006401.html?DETAIL
何かの物事を判断する時、なるべく自分で考えようとしても
「皆が言っている」
ことに人は影響を受けやすい。
SNSが発達した今、
「皆」
はネットで頻繁に目にするユーザーによる発信も含むだろうが、その
「皆」
は、果たして本当に事実を反映した
「皆」
なのだろうか。
臨床心理士の岡村美奈さんが、兵庫県知事選挙を巡るSNSと、人々が考える
「真実」
の関係について考察する。
 * * *
斎藤元彦知事が再選後、初めて県庁に登庁した。
硬い表情で就任式に臨み
「これから自分自身も生まれ変わる」
と語ったが、集まった県職員らの表情は一様に冴えなかった。
当選1回目の初登頂時は、県職員に大きな拍手で迎えられ、挨拶が終わりその場を去るまで拍手が続いていたが、今回、場の雰囲気は冷ややかだった。
「皆で一緒に、もう1度頑張っていきましょう」
と語り掛けたが、職員らの反応は薄い。
斎藤氏は当選当日、選挙事務所で
「県民の皆さん1人1人が県政を見て、何が正しく、何が真実か、そしてどうあるべきかを判断して頂きました」
「これは県民の皆さん1人1人の勝利だと思っています」
と述べた。
斎藤氏の言う真実とは何だったのか。
職員らの反応を見る限り、彼らの真実と斎藤氏の真実には、大きな開きがあるようだ。
2024年11月17日に行われた兵庫県知事選で、斎藤氏は110万票余りを獲得して再選を果たした。
勝利の誘因は、2024年11月18日に選挙事務所で開いた記者会見で自身が述べた
「SNSが1つの大きなポイントだった」
だと言われている。
SNSを通じて支持が拡大、Xのフォロワーも急増、某メディアの出口調査では30代までの有権者の6割以上が斎藤氏に投票したという。
だが選挙中から、SNSによる効果を危ぶむ声が聞こえていた。
いくつかのメディアで分析された
「エコーチェンバー」

「フィルターバブル」
だ。
エコーチェンバーとは、SNS上で自分と似たような意見や考え方のユーザーをフォローすることで、同じような情報や記事ばかりがこだまのように繰り返される状況のこと。
フィルターバブルは、ネットの検索履歴やクリック履歴によって、自分が見たい情報やニュースが優先的に画面に上がってくるというもの。
アルゴリズムによる2つの現象から目にするSNSの情報は、知らぬ間に自分好みに偏り、予想に沿う情報ばかりを重視する
「確証バイアス」
を強化させる。
パワハラ疑惑やおねだり体質などを巡る文書問題から、アンケート調査が行われ百条委員会が立ち上がり、県議会で不信任案が可決し自動失職した斎藤氏。
だが選挙が始まると疑惑はデマ、斎藤氏は陰謀に巻き込まれたという情報がSNSで飛び交った。
何がデマで、どんな陰謀なのか。
SNSの情報を検証したメディアはなく、確証バイアスによって斎藤氏への支持は日増しに拡大。
陥れられた?という斎藤氏には同情が集まり、それでも戦う”不屈の精神”に共感が寄せられた。
背景には県庁や県議会への不満、偏ったマスコミ報道への批判、メディアへの不信感があったと言われている。
“メディアを始めとする大方の予想に反し圧勝、SNSを駆使した選挙活動を展開、掛けられた疑惑に捏造や陰謀論が巻き起こり、それを信じる人たちの間で支持が拡大”。
斎藤氏の勝利は、先日行われた米国の大統領選挙で勝利したトランプ氏のケースとよく似ている。
その背景にも社会や現状への不満、メディアへの不信感があると言われていた。
“社会への不満が強い人ほど陰謀論を信じやすい傾向にある”。
これは鹿児島大学の大園博記准教授らの研究で明らかになった、陰謀論を信じやすい人の心理的特徴だ。
更に論理的思考が苦手な人も陰謀論に傾倒しやすいという。
社会やメディアに不信感や不満を持っていた人々は、ネット上に表れる情報を信じ、街頭演説で支持者たちの高まる熱量に触れ、”そうだったのか!”と真実を知った気になっていく。
人気漫画が原作のドラマで菅田将暉さんが主演した『ミステリと言う勿れ』の中に、主人公の久能整が刑事に対してこう述べるシーンがある。
「真実は人の数だけあるんですよ。でも、事実は1つです」。
斎藤氏が考える真実もあれば、パワハラを受けたという県庁職員にも真実がある。
百条委員会は人によって変わる真実ではなく、事実を調査する。
今回の選挙は百条委員会による調査結果が出る前に行われ、兵庫県民には疑惑が事実か真実か見極めるだけの情報も時間もなかった。
既存メディアはSNSで流される情報を検証せず、斎藤氏は陰謀論を完全否定しなかった。
「法的に問題はなかった」
と繰り返す斎藤氏に、県議員や県職員がどこまで着いていけるのか。
「あってはならんことになった」、
兵庫県議員が述べた言葉が、これ以上現実にならないことを願うばかりだ。

立花孝志氏への批判が強まるほど「立花の思うツボ。ヒール役のヒーローです」N党議員が持論
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2024年11月21日(木)21時8分 スポーツニッポン
https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/1121/spn_241121_7929294405.html
参議院議員・斎藤健一郎氏が2024年11月21日までに公式X(旧ツイッター)を更新し
「NHKから国民を守る党」
の立花孝志党首に言及した。
立花氏は兵庫県知事選に出馬しながらも、再選を目指す斎藤元彦氏を応援するスタンスを表明。
「当選は考えていない」
「斎藤氏に対してプラスになるような選挙運動をしたい」
と、異例の形での援護射撃を行っていたが、斎藤氏は再選を果たした。
こういった活動に批判の声も寄せられているが、斎藤氏は
「今後しばらく、全ての批判が立花孝志に集まり、斎藤知事の文書問題責任が時間と共にフェードアウトします」
とポスト。
「結果的に県政に知事が集中できる状態になるので 立花孝志への批判が強まれば強まるほど 立花孝志の思うツボ ヒール役のヒーローです」
と持論を展開した。

「Xの2度凍結は選挙妨害」兵庫知事選で稲村氏後援会、虚偽通報アカウントを刑事告訴へ
2024/11/21 19:47
https://www.sankei.com/article/20241121-PAV6XVHFXFKA3M3DFBM6NSVE5E/
兵庫県知事選の期間中、立候補していた元尼崎市長の稲村和美氏(52)の後援会が運営するX(旧ツイッター)が虚偽の通報で凍結され、選挙活動を妨害されたなどとして、稲村氏の後援会が通報した不特定多数のアカウントについて、偽計業務妨害の罪で県警に刑事告訴することが2024年11月21日、後援会関係者への取材で分かった。
公職選挙法違反罪でも刑事告発する方針という。
2024年11月22日にも県警に告訴状などを提出する。
関係者によると、後援会運営のXは2024年11月6日と12日の2度にわたり凍結された。
「SNS上の禁止行為をした」
という虚偽の通報が多数行われた可能性があるという。
後援会は
「ルールに反する行為はなく、不当な選挙妨害」
「凍結され情報を伝えることができず、選挙結果にも大きな影響があった可能性もあり残念だ」
としている。

稲村和美さんのSNSが兵庫県知事選挙期間中「2回凍結」“うそ”の通報による「不当な選挙妨害」不特定多数のアカウントを刑事告訴へ
関西テレビ
2024年11月21日 木曜 午後4:00
https://www.fnn.jp/articles/-/790661
兵庫県知事選挙に立候補していた稲村和美さんのSNSが、選挙期間中、2回に渡って凍結された。
後援会は、嘘の通報によって凍結され、選挙活動が妨害されたとして、2024年11月22日にも刑事告訴する方針だ。
2024年11月17日に投開票された兵庫県知事選では、前職の斎藤元彦知事(47)が、稲村和美さん(52)に約13万票の差をつけて勝利した。
稲村和美さん:
正直何が争点になったのかなと。
斎藤候補と争ったというより、何と向かい合ってるのかなという違和感があったのは事実です。
この選挙期間中、稲村さんの後援会が運営するSNSが、2024年11月6日と12日、2回に渡り凍結された。
関係者は、
「SNSで禁止行為をした」
という、嘘の通報を多数されたことで凍結されたと見ている。
■「不当な選挙妨害」不特定多数のアカウントに対し刑事告訴する方針固める
後援会は
「ルールに反する行為はなく、不当な選挙妨害だ」
と主張していて、通報した不特定多数のアカウントに対し、偽計業務妨害の疑いで刑事告訴する方針を固めた。
後援会は2024年11月22日午後に兵庫県警に告訴するとしていて、公職選挙法違反の疑いでも告訴するか検討しているということだ。
(関西テレビ 2024年11月21日)

<浪速風>SNSに頼る投票先判断に女子中学生が「将来的にいいことなのか?」
2024/11/21 13:00
https://www.sankei.com/article/20241121-ITVNR3R5XVJFDLPX5QWMIX6WZA/
斎藤元彦氏が再選した兵庫県知事選。
選挙で交流サイト(SNS)が勝敗のカギを握るようになったと評した2024年11月18日付小紙の産経抄を題材にした授業が同県内の私立中学校で行われ、生徒が書いた感想を見せてもらった。
▶ある女子生徒はSNSのおかげで当選し、既存メディアを投票の参考にしなくなったとして
「将来的にいいこと?」
と疑問を抱いたようだ。
父親が特定候補の応援とみられる演説動画を再生し、深夜に拍手する姿を見て異様と感じ
「結局人の意見はどういう環境にいたか何を見たかの差なんだなと思いました」
と綴った。
▶中学生の親世代がSNSで拡散された斎藤氏を巡る疑惑を捏造とする見方を信じ、十分なファクトチェック(事実確認)なく投票先を判断することには危機感を抱く。
だが、若い世代が
「それでいいのか」
と考えているのは、せめてもの救いかもしれない。

兵庫・斎藤元彦知事、第2章 対話重視を強調 20代女性職員「同じようなことが起きないでほしい」
2024.11/20 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241120-LNWFHFAM2VNYTEW2TUAJ6CWG4U/
疑惑告発文書問題で失職後、兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事が2024年11月19日の就任記者会見で対話重視を強調する一方、県庁内には
「変わると言うが本当なのか」
と戸惑いが広がっている。
初登庁した斎藤知事は、記者会見に先立つ県庁内の政策会議で、約40人の幹部らを前に
「積極的にコミュニケーションを取っていきたい」
「指摘があれば遠慮なく情報を上げてほしい」
と呼び掛けた。
一方、20代女性職員は
「当選したからには変わってくれることを期待したい」
とした上で、
「もう1度同じような事が起きないでほしい」
と願った。
一方、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が2024年11月25日実施する方針の斎藤氏への証人尋問について、出頭要請に応じるのは困難との考えも示した。
当日に東京都内で開かれる政府主催の全国知事会議が重なるのが理由。

「民意を得たから、全部チャラではない」斎藤知事再選に橋下徹氏 政治家もマスコミも「覚悟を持て!」
関西テレビ
2024年11月20日 水曜 午後6:31
https://www.fnn.jp/articles/-/790164
斎藤元彦兵庫県知事が再選を果たし、2024年11月20日、議員への挨拶回りをした。
不信任決議や告発者問題など、様々な課題がある中、関西テレビの「旬感LIVEとれたてっ!」に出演した橋下徹氏が、今後の兵庫県政について見解を述べた。
■告発者に対する対応は「権力者としてあってはならないもの」
橋下徹氏:
県議会とか、市長会、メディアも含めて、『覚悟を持て』ということです。
この結果を受けて斎藤さんの告発者に対する対応に関しては、権力者としてはあってはならない。
今の色んな態度を見てると、基本的に立派にやってるなと思います。
僕がもし斎藤さんの立場だったら、返り咲いた議会にぼろくそに言ってますからね。
橋下徹氏:
今回の争点は県庁内部に対しての斎藤さんの態度、振る舞いなんですよ。
斎藤さんは有権者に対してはあのような態度だと思うんですね。
だから有権者はしっかり支持した。
でも県庁内部の話になると、有権者が見えていない斎藤さんの姿があるのかも分からない。
橋下徹氏:
まだ事実は確定していないが、斎藤さんも考え直さなければいけない行動があったと思う。
職員とのコミュニケーションをしっかり取っていかなきゃいけないって言ってましたし。
対応に違いがあるんだったら、しっかり正してもらわなきゃいけないと思うし、告発者に対する対応もこれから第三者委員会で結論出ますから、一番重要なポイントだと思ってます。
■「民意で決めていいことと、民意で決めちゃいけないことっていうのはある」
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
「とれたてっ!」青木源太キャスター:
県議会は解散してないので、議会の構成自体は変わっていないですよね。
今回民意を受けて、斎藤知事が再選してやってきた。
ここからどういう関係を構築していくのでしょうか。
橋下徹氏:
不信任決議が出た時の知事の対抗策として、王道は議会解散です。
1回議会を解散して、選挙を通じて議会のメンバーを入れ替えて。過半数を取ればいいわけですよ。
でも斎藤さんは知事選を選んだんです。
僕は王道ではないと思っていて、本来だと知事選の民意と、それから議会選挙での民意、2つ民意を考えなきゃいけないのが、地方の政治行政の二元代表制という考え方で、議会は、知事選挙の民意とは別に言うべきことはしっかり言わなきゃいけないですよ。
橋下徹氏:
民意で吹き飛ばすことができないような問題点を斎藤さんに突き付けていたんだから、特に告発者に対する対応は百条委員会でしっかりやってほしい。
これは民意を得たからといって、全部チャラになる問題ではない。
どうも雰囲気見てたら、グダグダになりそうですね。
民意で決めていいことと、民意で決めちゃいけないことっていうのはあるんだよってことを、やっぱり兵庫県の有権者の方にも分かってもらいたいし、そこは伝えていきたいなと思います。
■伊丹市長らの行動は「政治不信の根元になる」
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
投開票の3日前、2024年11月14日に兵庫県内の市長会有志22人が、斎藤知事と争っていた稲村氏の支持を表明した。
ここに宝塚市長と伊丹市長の名も連ねていたが、投開票当日には2人の姿は斎藤陣営にあった。
橋下徹氏:
兵庫県議会議員も市長も、こういう態度が政治不信の根元になると思いますよ。
知事と上手くやっていきたい気持ちがあるんだったら、政治決戦に乗り出しちゃいけない。
政治生命がなくなる覚悟で、民意を背負って斎藤さんに対して意思表明をしなきゃいけない。
橋下徹氏:
伊丹市民は斎藤さんと上手くやらなきゃいけない。
そしたら伊丹市長は辞職すべきですよ。
自分が決戦に乗り出して稲村さんを支持したんだから、伊丹市と兵庫県の関係を取り戻すっていうんだったら、全員辞職すべき。
そのまま自分が残るなら、斎藤さんに自分たちの主張を続けなきゃいけない。
■「大手メディアが情報を取捨選択するから、SNSが補充した」
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
橋下徹氏:
地上波テレビの放送を見ると、報道の量としてバランスを欠いたなと思います。
告示期間に入ると物凄い公平性を気にするじゃないですか。
でも斎藤さんの報道の時にはかなり偏ってたなと思います。
番組側がウラも取らずに報道していたとは思わないし、違う意見も出していたけど、量的にはアンバランスだったんじゃないのか。
橋下徹氏:
一番は県民局長に服務規律違反があったと。
内容は放送局が色んな理由で報じないと。
ただ今の時代、大手マスメディアに情報を取捨選択させていたら、自分たちに情報が入ってこないと思ったのが有権者ですね。
だからSNSがそこを補充してきたわけですよ。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2024年11月20日放送)

橋下徹氏「斎藤元彦氏は立派にやってる」兵庫県議会と融和姿勢を評価「僕ならボロクソ言ってる」一方「権力者として資格なし」指摘も
2024/11/20 16:52デイリースポーツ
https://news.goo.ne.jp/article/dailysports/politics/20241120092.html
橋下徹元大阪府知事が2024年11月20日、カンテレ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演。
兵庫県知事選で出直し当選した斎藤元彦氏について、言及した。
斎藤氏は2024年11月19日に初登庁し、2024年11月20日には県議会の各会派に挨拶回りをした。
全会一致で不信任したアンチ斎藤にも融和姿勢を見せた。
橋下氏は映像を見て、
「告発者に対する対応としては、権力としてあってはならない」
「権力者としての資格なしと思います」
と前置き。
「今の色んな態度、振る舞いを見て、立派にやってるなと思います」
「僕が斎藤さんの立場だったら、議会に返り咲いたら議会をボロクソ言ってます」
と斎藤氏の穏やかな対応を評価した。
その上で、争点は
「県庁内部に対しての斎藤さんの態度、振る舞い」
と指摘し、対外的な有権者に対しては一貫して、温和な振る舞いをしており、そこへの評価で、支持が集まった。
しかし、
「県庁内部の話となると、有権者には見えていない、姿があるのかも分からない」
「事実は確定していないが」
と述べた。
橋下氏は更に、県議会に対しても注文が。
ウエルカムムードが漂ったが、橋下氏は
「民意で吹き飛ばすことはできない問題を斎藤さんに突きつけていた」
「民意とは関係ない部分では百条委員会などで、斎藤さんにしっかり、解明していかなければならないが、どうもグダグダになりそう」
と呆れた。

斎藤元彦知事を「支える、支えないとかいうレベルの認識やめて…」前鳥取知事が兵庫県議会に提言
2024/11/20 14:38日刊スポーツ
https://news.goo.ne.jp/article/nikkangeinou/entertainment/f-et-tp0-241120-202411200000590.html
前鳥取県知事の片山善博氏が2024年11月20日、TBS系「ひるおび」(月〜金曜午前10時25分)に出演。
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦氏(47)について言及した。
この日は斎藤知事の初登庁の様子や今後について特集。県議からは
「斎藤知事の得票率は50%を超えていない」
「斎藤知事に反対する民意もあったので両方を考えていく必要がある」
との声も上がった。
片山氏は議会の対応について
「私は兵庫県議会に限らず、日本の地方議会はちょっと失礼ですけど、ピントがずれている」
と指摘。
「そもそも議院内閣制ではない」
「だから国政と違って与党、野党という考え方はないんです」
と説明した。
その上で
「斎藤知事を支える、支えないとかいうレベルの認識はやめて、1つ1つの議案ごとに対応するのが本来の地方議会」
「いいものがあれば通せば良いし、問題があれば修正案を出す、否決するとかすればよい」
と主張した。
「知事を支えるから、何が出てきても賛成するというのがよくあるんですけどそれは間違い」
「是非良い機会ですから、与党会派だとか野党会派だとかはなしに、真剣に審議してもらいたい」
と私見を述べた。
また、百条委員会の在り方について
「再任されましたけど、百条委の最大の狙いは公益通報に対してどういう対応をしたのかという問いかけ」
「これは議会として結論は出さなければならないと思う」
と指摘した。
「また斎藤知事の下で告発が出た時に、同じ事をやるのかと」
「一方的に、犯人捜しのようなことをして結果的に死に追いやった」
「これが正しかったのかはちゃんとよく吟味しないと、兵庫県政の品位に関わる問題なんですよ」
「やっぱり私は間違っていたと思う」
「これから職員も不安ですよね」
「何か批判をしたら死を覚悟しなければとなるなら、モノを言えないですよね」
「だから遠慮しないで調査して結論を出してもらいたい」
と主張した。

兵庫県知事選で“議員辞職”も…SNSなどで真偽不明の情報や“誹謗中傷”相次ぐ【#みんなのギモン】
2024/11/19 21:21日テレNEWS NNN
https://news.goo.ne.jp/article/ntv_news24/nation/ntv_news24-2024111905782424.html
2024年11月19日、斎藤元彦前知事が再び兵庫県知事に就任しました。
「気持ちを新たに頑張っていきます」
午前10時頃、歩いて姿を見せた斎藤知事は、待ち構えていた大勢の支援者らと握手を交わしながら今年2024年9月以来、約2か月ぶりに登庁しました。
「改めまして本日から兵庫県知事に就任をさせて頂きました」
「是非、皆で1つのチームとなってやっていきたい」
「そのためにも、自分自身もこれから生まれ変わる」
「1からスタートしていくという気持ち」
「何よりもやはり謙虚な気持ちを持ってやっていきたい」
「どうぞよろしくお願いします」
   ◇
今回の選挙戦では、SNSなどで真偽不明の情報が飛び交い、そのうねりによって兵庫県議会の議員1人が辞めようとするまでに至るなど、私たちもよく考えなくてはいけない事態が起きていました。
そこで今回の#みんなのギモンでは、
「知事選で“議員辞職”も… 何が?」
をテーマに解説します。
■SNSなどで“誹謗中傷”相次ぐ “議員辞職”も
★近野解説委員
「斎藤知事に対する百条委員会の調査は今回の知事選挙期間中も続いていたのですが、SNSなどで真偽不明の情報が飛び交い、百条委員会は2024年11月18日に会見を開き『様々な憶測によって、SNSなどで委員への誹謗中傷が相次いだ』と訴えました」
★百条委員会 奥谷謙一委員長(2024年11月18日)
「ご批判の中には、誤解・思い込みによるものも少なくありませんでした」
★近野解説委員
「その中で百条委員会の委員の1人である竹内英明県議が誹謗中傷から家族を守るために議員辞職願を提出したことを明らかにしました」
「委員の1人は、
『言葉の暴力、ネットの暴力が拡散して家族が錯乱状態にまでなった』
『政治の道から退いてほしいと家族から話があった』
と竹内県議から相談を受けたといいます」
■様々な真偽不明情報が拡散された
★近野解説委員
「今回の選挙は真実なのかどうか確認しづらいSNSでの情報が飛び交っていました」
「そのうねりによって議員が辞めようとするまでに至っています」
「SNSではもちろん斎藤知事への誹謗中傷もあったんですが、例えば
『斎藤知事のパワハラは捏造』
『斎藤知事の騒動は既得権益を守りたい人々によるクーデター』
といった投稿もありまして、それから対立候補の稲村氏に対しても
『外国人参政権を与えようとしている』
という情報も拡散されました」
★斎藤佑樹キャスター
「何が正しいのか、どれを信じていいのか、分からなくなりますね」
★近野解説委員
「なかなか、見極めが難しいですね」
「斎藤知事のパワハラ疑惑を巡っては、県職員へのアンケートで約4割が
『見聞きした』
と回答していますし、斎藤知事自身も
『机を叩く行為』
があったことなどは認めています」
「しかし
『捏造』
というのは根拠不明です」
「そしてクーデターというのも根拠不明」
「そしてまた稲村氏も自身のHPで
『外国人参政権を進めません』
『デマに気を付けて』
とSNSでの情報を明確に否定しています」
「こうした不確かな情報が拡散して大きなうねりになって、それが結果に影響したとすれば事態は深刻です」
★近野解説委員
「ネットメディアに詳しい国際大学の山口真一准教授は、
『今回の選挙で様々な真偽不明情報が拡散されたのは間違いない』
とした上で、そうした情報は
『政治に興味のない層、普段投票に行かない層に特に刺さりやすい』
と分析しています」
「更に
『法律の定めもあって、公平性を保つために選挙が近くなるほどに特定の候補や陣営を大きく扱う報道はテレビや新聞はできなくなってくるが、SNSは自由に言いたい放題』
『SNSでの情報量が増えることによって、有権者がそれらに触れて今回の選挙に関心を持って、それらの情報の中で斎藤さんが正しいと思って投票した人もいただろう』
ということです」
「今回に限らず、選挙が近付いた時にどんな風に報道していくかについては、私たちも重い課題を突き付けられた形です」
★森圭介キャスター
「情報源が増えたので、自分が信じたいものが事実だと思うという人が増えているということですね」
「だからこそ、その情報が本当に真実なのかという判断は、自分自身で鍛えていかなければならない時代になってきましたね」
■実績評価して投票した人もいた一方で課題も…
★近野解説委員
「今回は真偽不明の情報が色々ある中で、選挙戦では例えば、県立大学の無償化など
『若者を応援する政策に期待して投票した』
と話す人もいますし、
『知事報酬のカット』
『県職員OBの天下り廃止』
など、これまでの知事の実績を評価して投票したという方も多かったと思います」
「一方で課題が残っていることも事実です」
「兵庫県の元・幹部職員が文書で告発したパワハラなどの疑惑について百条委員会の調査は続いています」
「来週2024年11月25日に行われる証人尋問では、それらの疑惑や公益通報者保護などについて尋問を行うために斎藤知事に出頭を求めることを決めました」
「ただ、2024年11月19日の知事の会見によると、この日は全国知事会が東京であるため、出席が難しいことを議会事務局に伝えたといいます」
「別の機会でもしっかり対応したいと話していました」
★鈴江奈々キャスター
「今回の知事選挙でも、1人1人が発するSNSでの言葉の力が良い面でも悪い面でも明らかになった選挙だったと思うので、私たちも考え直すきっかけにしたいですね」
★近野解説委員
「本当なのか虚偽なのか、見極められない情報を世の中から全部なくすことはできません」
「だからこそ、選挙のような対立・敵対の構図では特によく吟味していく必要があります」
(2024年11月19日午後4時半頃放送 news every.「#みんなのギモン」より)

別の百条委メンバーも兵庫県知事選中に「脅迫された」…自宅前に県外ナンバーの車、不審人物が何度も行き来、クレーム電話ひっきりなし
公開日:2024/11/19 16:50 更新日:2024/11/19 16:50
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/363690
まだまだ一波乱も二波乱も起きそうだ。
兵庫県知事選で再選した斎藤元彦氏(47)が2024年11月19日に県庁を訪れ、当選証書が手渡された。
自身のパワハラ疑惑を含む文書告発問題で県議会から不信任決議を突き付けられて失職した斎藤氏。
出直し選で勝利し、再び県政の舵取り役に戻ったとはいえ、これにて一件落着とはいかない。
告発文書問題はまだ終わっていないからだ。
県議会の調査特別委員会(百条委)は2024年11月18日、証人尋問を2024年11月25日に開き、斎藤氏に3回目となる出頭を求めることを決めたのだが、この日、報道陣を驚かせたのは百条委メンバーの一人、竹内英明県議(50)が議員辞職願を提出し、許可されたと発表したことだ。
所属していた
「ひょうご県民連合」
などによると、知事選期間中、竹内氏に対する誹謗中傷がネット上で過熱したのが理由。
斎藤氏を応援する目的で立候補した政治団体
「NHKから国民を守る党」
の立花孝志党首(57)が、SNS上で竹内氏の自宅に行くと予告したり、デマ情報を流したりして生活が脅かされ、家族を守るために辞職を決断したという。
■百条委委員長は自宅を“襲撃”されたと明かす
百条委の奥谷謙一委員長(39)も会見で、立花氏が自宅兼事務所で街頭演説し、
「ひきこもってないで出て来いよ」
「これ以上脅して奥谷が自死しても困るので、これくらいにしておく」
などと脅迫されたと明かしていたが、事実であればとんでもない話。
別の百条委議員もこう言う。
「奥谷氏の自宅前は怒声が飛び交い、玄関のチャイムが何度も鳴らされるなどの被害を受けました」
「私の自宅前にも県外ナンバーの車がずっと停車していたり、挙動不審な人が何度も行ったり来たり」
「事務所にはクレームの電話がひっきりなしで、メールも1日何件も誹謗中傷の書き込みがありました」
「何があるのか分からないので、仕方なく今も事務所のシャッターは閉めたまま」
「議員として何か不正行為をしていたのであればともかく、法に則って粛々と委員会運営をしてきただけ」
「それなのに何故、こんな事になっているのか」
「脅迫ですよ」
百条委のメンバーらは今後、こうした嫌がらせ行為について捜査機関などに相談し対応する考えという。

“返り咲き当選”兵庫・斎藤元彦知事の登庁に涙の人も…一方、「SNSなどで誹謗中傷受けた」“百条委員会”竹内英明県議が辞職
イット!
2024年11月19日 火曜 午後7:12
https://www.fnn.jp/articles/-/789422
前略
■“誹謗中傷”で百条委員会メンバーが辞職
斎藤知事が返り咲く原動力となった“SNSの力”は一方で、その負の側面も見え始めている。
知事に証人尋問への出頭を要請することを決めた2024年11月18日の百条委員会では、こんなシーンがあった。
百条委員会のメンバーでもあった竹内英明県議が委員会を欠席していたため、
「理由は聞いていませんか?」
という質問が出て、事務局が
「本日議長宛に辞職の申し出がありました」
と返答。
会議室からは、
「ええっ?」
という驚きの声も上がった。
その主な理由が、“SNSなどで誹謗中傷を受けたため”だという。
この問題を巡っては2024年11月19日、石破内閣の閣僚・平将明デジタル相(57)も、過激なSNSの投稿が選挙に影響を及ぼす側面に懸念を表した。
こうした問題について、2024年11月19日午後3時から行っていた会見で、斎藤知事にも記者から質問があった。
記者:
2023年10月に、斎藤知事はSNS条例について制定を考えていると言っていた。
その時は
「大変恐ろしく身の毛のよだつ思いをし、SNSで誤った拡散や誹謗中傷の問題に取り組む必要がある」
とおっしゃっていましたが…。
斎藤知事:
SNS条例の制定については どういった形でやっていくかというのは準備や検討を進めていきたいと思う。
(「イット!」 11月19日放送)

兵庫県知事選、斎藤前知事が当選「選挙の実相」メディアは伝える責務を 焦点が「告発文書で懲戒処分、元県民局長の素行」に変化
2024.11/20 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241120-TYRDZJVQLRJ73ABEZAPTS4QY7E/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選は、失職して臨んだ斎藤元彦前知事が111万3911票を獲得して再選を果たした。
2カ月前、兵庫県議会が斎藤氏の不信任案を全会一致で決議したことが今回の知事選に繋がったが、斎藤氏当選は
「民意の勝利」
なのだろうか。
当初の争点は、不信任決議を受けた
「斎藤氏の資質」
だった。
だが、焦点は徐々に
「知事を告発する文書を出し、懲戒処分を受けた元西播磨県民局長の素行」
に変化していった。
2024年7月に亡くなった元局長について、
「在職時、問題行為があった」
と指摘する候補者もおり、波紋を呼んだ。
ネット上では、斎藤氏を擁護する論調が目立ったようだ。
斎藤氏の
「パワハラ疑惑」
などを批判してきた新聞やテレビなどに対し、
「オールドメディアは『真実』を報じない」
と主張する候補者もいた。
また、
「斎藤氏の対抗馬である稲村和美前尼崎市長を利する報道ばかり」
との指摘もあったが、本当にそうか。
県内の22の市長が2024年11月14日、稲村氏を応援する
「異例の声明」
を出したが、多くのテレビは詳細を報じなかった。
市長らの応援が公職選挙法に抵触する可能性も指摘されたが、県選管はこれを否定した。
もし、オールドメディアが
「稲村推し一辺倒」
なら、このニュースを繰り返し詳報したはずだが、そうはならなかった。
オールドメディアは、報道側の基準による
「公正さ」
を重視する立場だ。
しかし、国民世論は、この姿勢を
「公正」
「慎重」
と評価せず、むしろ
「偏向」
「事実の無視」
と受け止めているのではないか。
選挙期間中、SNSでは各陣営への誹謗中傷が飛び交い、真偽不明の情報が溢れた。
我が国では、インターネットを利用した選挙運動が2013年に解禁され、選挙の様相は大きく変わった。
有権者が様々な
「情報」
に触れる機会が劇的に増えたのだ。
そして、情報が衝撃的なほど波及力は大きく、拡散のスピードは速くなる。
当然、悪用に厳しく目を光らせ、1つ1つの事実関係をより慎重に検証する必要があるだろう。
今月2024年11月の米大統領選では、候補間の過激な応酬≠ェ注目されたが、日本も潮流は似ている。
各選挙では相手陣営に乗りこみ、暴力で威迫し、警察当局が逮捕に動いたケースまで出ている。
大前提として、選挙の
「実相」
をどう判断するかは有権者の各個人に任せるべきで、メディアが決めることではない。
有権者に提供される事実は多い方がよい。
同時に、ウソや間違いは、積極的に排除すべきだ。
重大な人権侵害となるようなデマなどは、決して許してはならない。
選挙戦で、事実を度外視して
「声の大きい」
側が有利になれば、そのうち、国外からの干渉も甘受せざるを得なくなるのだろうか。
民主主義を弄ぶと、とんでもない結果を招きかねない。 
(政治ジャーナリスト・安積明子)

自宅前にN党立花氏「デマ広がることに恐怖」と百条委・奥谷委員長 斎藤知事は把握せず
2024/11/19 21:36
https://www.sankei.com/article/20241119-5OXXVEH6CBPENGU55D6YYWK3RM/
兵庫県知事選で再選された斎藤元彦氏が2024年11月19日、知事に就任。
2期目の就任会見で
「SNS(交流サイト)は大きなポイントだった」
と選挙戦を振り返った。
一方、知事選を巡っては、斎藤氏の疑惑を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員らに対し、SNSなどで誹謗中傷が横行。
斎藤氏は詳しく把握していないとしつつ、県として条例制定を含めた対応を検討中だと説明した。
インターネット上には、百条委の委員が斎藤氏の疑惑を捏造したなどとする説が流布され、
「斎藤知事をハメた兵庫県議の面々」
として委員らの顔写真を並べた画像なども出回った。
百条委の奥谷謙一委員長によると、斎藤氏を支援するとして知事選に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首、立花孝志氏が奥谷氏の自宅前で演説し
「出てこい」
などと発言。
その模様を動画で公開した。
SNSでは
「クズ」
「噓つき」
など奥谷氏を中傷するメッセージが飛び交った。
奥谷氏は母親を避難させたと明かし、
「デマが広がることに恐怖を覚える」
と述べた。
別の委員はSNSの投稿に身の危険を感じ、事務所を閉鎖。事務所周辺では他県ナンバーの車両やスマートフォンを手にうろつく若者をよく見かけるようになり、家族を含めて身の危険を感じているという。
斎藤氏は昨年2023年、自身がSNSで
「大変恐ろしく身の毛のよだつ思いをした」
として、SNSでの誹謗中傷を防止するための条例制定を進める方針を明言。
2024年11月19日の会見では
「誹謗中傷は控えていくことが大事」
「SNS条例の制定については(担当部局で)検討をしていると思うので、引き続き準備や検討を続けたい」
と述べた。

「正義のように戻ってくるのが不思議」「立花さんの演説を肯定も否定もしなかった」兵庫県職員 百条委委員への中傷も 斎藤知事の県政運営どうなる
関西テレビ
2024年11月19日 火曜 午後8:00
https://www.fnn.jp/articles/-/789668
再選を果たし、2024年11月19日、県庁に初めて登庁した斎藤知事。
支援者から拍手で出迎えられた。
一方で、再び共に働くことになった県職員が、斎藤知事再選へのそれぞれの思いを関西テレビの取材に明かした。
2024年11月19日、午前10時、兵庫県庁に集まった人々。
そこに現れたのは、斎藤元彦知事。 5秒間、深々おじきをして、県民らと会話した。
集まった人:兵庫県の職員のみなさん、こんなやつに負けんなよ。応援しとうからな。
集まった人:頑張ってくださいね、大変でしたね。
■「生まれ変わる」という言葉で再スタートの抱負を語った斎藤知事
そして、選挙管理委員会から当選証書を受け取り、その後の就任式では…
斎藤元彦知事:
自分自身もこれから生まれ変わる。
1からスタートしていくという気持ち。
多くの県民の皆さんと共に、この兵庫県をもっともっとよりよい兵庫にしていく。
前に進めていく。
県民の皆さんのための政治、県政をしていくということを心からお誓い申し上げたいと思います。
「生まれ変わる」
という言葉で再スタートの抱負を語った斎藤知事。
■「職員との信頼の再構築」と兵庫県職員
再び一緒に働くことになった兵庫県の職員に再選について聞くと…
県職員:
職員との信頼の再構築ですね。
ちょっとやっぱり2024年4月以降、その辺が崩れてしまっているところもありますので。
県職員:
SNSの流れは凄いものがあるなと感じてました。
色々言われることはあるんですけど、職員としてはやっぱり県民のためにというところはずらさないようにして、一生懸命やっていきたいなというところ。
■「正義のように戻ってくるのが不思議。これもネットで批判されるのか」
また、対面でのインタビューには応じられないとしながらも、関西テレビの取材に複雑な心境を明かす職員もいた。
職員:
斎藤さんが戻ってくるとは、県職員誰も考えてなかったと思うので、どう接していったらいいのか、多くの県職員が不安だと思います。
職員:
選挙がおかしい。
斎藤さんは、立花さんの演説を肯定も否定もしなかった。
間違っていたら発信すべきだと思うけど、それもしなかった。
職員:
パワハラは実際にあったって聞いてるだけに、正義のように戻ってくるのが不思議。
これも『噂やん』ってネットで批判されるんですかね。
民意で選ばれたんで淡々と仕事やるのみ。
■2024年11月25日の百条委員会 斎藤知事に出頭要請も「公務で出席が難しい」
事の発端は告発文書の問題で、県議会の全会一致の不信任を受け、2024年9月に失職した斎藤知事。
県知事選挙の序盤は厳しい選挙戦になると本人も認めていたが…。
斎藤知事を支持する
「デジタルボランティア」
が、SNSで知事の主張を拡散したことなどが追い風となり、再選。
こうなったことで注目を集めるのが斎藤知事のパワハラ疑惑などの真偽を調査する
「百条委員会」
だ。
百条委員会は2024年11月18日、今月2024年11月25日の証人尋問に、斎藤知事の出頭を要請することを決めたが、斎藤知事は2024年11月25日は公務で出席が難しく、今後、対応したいとしている。
■百条委員会の奥谷委員長は、選挙期間中に立花氏から脅迫を受けていたと明らかに
百条委員会・奥谷謙一委員長:
調査を最後までしっかりやり遂げるということで、粛々と調査を進めていくことが一番大事だと思います。
こう決意を語った奥谷委員長だが、選挙期間中には思わぬ事態に見舞われていたと明かした。
百条委員会・奥谷謙一委員長:
ある候補、立花(孝志)氏ですけども私の自宅(兼事務所)の前で街頭演説を行った。
ひきこもってないで家から出て来いよみたいなことを言ってたんですね。
これ以上脅して奥谷が自死しても困るので、これくらいにしておくと。
このように脅迫されたということだ。
また、百条委員会の竹内英明議員も
「一身上の都合」
で議員辞職。
斎藤知事を支援した人たちが、竹内議員や家族に誹謗中傷を行ったことが理由だということだ。
■混沌としたこの状況は今後どう進むのか
同志社大学新川達郎名誉教授:
(百条委員会では)既にハラスメント問題やあるいは文書問題については一定議論ができていますが、それ以外の優勝パレードの議論であるとか、寄付の問題であるとかについてはこれからと認識しております。
選挙結果の如何ではなくて、百条委員会は本来の役割を果たしていくというのが兵庫県政を健全に運営していく上での重要なカギになる。
選挙で再選したものの、疑惑の追及は続く異例の状況。
今後、県政はどうなっていくのか。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年11月19日放送)

ヒロミ「選挙と百条委員会は別」再選された斎藤元彦兵庫県知事に「本当にどうだったのか」
2024/11/19 11:57日刊スポーツ
https://news.goo.ne.jp/article/nikkansports/nation/f-so-tp0-241119-202411190000287.html
お笑いタレントのヒロミが2024年11月19日、日本テレビ系「DayDay.」(月〜金曜午前9時)に出演。
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で斎藤元彦前知事が再戦されたことについて、
「兵庫県の方々が選んだというのは紛れもない事実」
とした。
その上で、斎藤知事がパワハラなど7つの疑惑で百条委員会の証人尋問が2024年11月25日に開催されることにも触れ、
「百条委員会はまた別のこと」
「今まで通りやって、本当にどうだったのか検証してもらいたい」
と希望した。
斎藤知事は疑惑から県議会に不信任案を提出されて可決され、辞職。
今回は出直し選挙となった。
一連の流れについて、番組MCで元NHKアナウンサー武田真一アナは、
「百条委員会が調査の結論を出す前に、県議会が先に不信任を議決したのが要因になって、今回の出直し選挙」
「一体何が真実なのか分からないと戸惑った人も多かった」
「引き続き議会の責任として、百条委員会できっちり公正な調査をやって結論を出すということが責任」
と話した。
なお、百条委員会の委員に対して誤解や思い込みから誹謗中傷があり、中には
「家族を守るため」
と議員辞職願を提出した県議もいる。
「誹謗中傷はちょっと怖い」
「ダメ」
とヒロミも武田アナも声を揃えていた。
菊地氏は
「事実に関しては非常にあやふやで、イエスと言えばノーと言う人もいるということで、かなりアメリカの政治ではないですけど、分断的な現象が起きてしまったのか」
と懸念も示し、
「これからの選挙の在り方、民意というものはどう形成されていったらいいのか、非常に教訓を残した選挙になったと思う」
と見解を語った。
斎藤氏はこの日午前、記者団の取材に応じ、
「耳の痛い話は真摯に傾ける」
と約束した。
菊地氏は、告発文書を送った県幹部職員を懲戒処分した問題に触れ、
「まだ斎藤氏は“あれは適切だった”と言っているけど、私は到底そう思えない」
と断言。
「そういうことが選挙を経て、全部リセットになっちゃったのか、正当化されたのかというと、そうではないので、百条委員会を中心にしっかり検証してもらいたい」
と願いを口にしていた。

パワハラ疑惑を巡っては、県議会百条委員会のアンケートに職員の4割が見聞きしたと回答。
斎藤氏自身も、付箋を投げ付けたり、机を叩いたりといった行為を認めている。
ある県幹部は
「周りの職員からは斎藤氏からパワハラを受けたと聞いたことがある」
「民意を得た斎藤氏が、どういう行動を取るのか分からない」
と不安を漏らした。
SNSはチェック機能が働かず、疑わしい情報もそのまま流れてしまい、多くの有権者を惑わせる危険性も孕んでいる。
有権者1人1人が真偽不明の情報に惑わされないメディアリテラシーを身に付けることが重要だ。
調査特別委員会(百条委員会)は追及の手を緩めるべきではない。
当選したからといって潔白の証明にはならない。
SNSの内容が事実とは限らない。
斎藤元彦のパワハラなど7項目の疑惑が事実だと証明されれば、再度、県議会で不信任を決議すべきだ。

兵庫県知事選で再選の斎藤前知事「民意を得た」…失職から1か月半、県議・職員は戸惑いや不安
2024/11/19 7:43
https://www.yomiuri.co.jp/election/20241119-OYT1T50031/
兵庫県知事選で再選した前知事の斎藤元彦氏(47)は2024年11月18日の記者会見で、
「民意を得た」
と強調し、県議会や県職員との関係改善に自信を見せた。
失職から1か月半余りでの知事復帰に、県議らからは戸惑いや不安の声が聞かれた。
「県民は政策や公約の達成を期待している」
「県政運営を全力でやっていく」。
斎藤氏は神戸市内で開いた記者会見で、2024年11月19日から任期が始まる2期目に意欲を示した。
■内部告発問題を巡る経緯
斎藤氏はパワハラなどの疑惑を内部告発された問題を巡り、2024年9月19日に県議会から全会一致で不信任決議を受け、同2024年9月30日に失職した。
県議からは
「これ以上県政を担うのは不可能だ」
などと厳しい批判を浴びた。
斎藤氏は記者会見で、県議会との関係について
「新たな民意を受けた後で、これからどうなっていくのか見定める必要がある」
と指摘した上で、
「多くの県議は元々、私の政策や予算に凄く共感して頂いている」
「各会派とコミュニケーションを取れば大丈夫じゃないかと思う」
と説明した。
「職員とは日々の仕事で密に連携していく」
と語った斎藤氏。
「若手職員とのミーティングは早い段階に何かしらの形で実現したい」
と意欲を見せる一方、
「民意を得て再び知事として就任するので、職員の皆さんは一緒にやっていくことが地方公務員としての責務だ」
とも語った。
内部告発問題については、
「県としての対応は適切で、法的にも問題はなかった」
と述べ、従来の主張を繰り返した。

県議会では、斎藤氏との関係を再構築しようという動きが出ているが、戸惑いも隠せない。
最大会派・自民党県議団の北野実幹事長は取材に、
「民意は 真摯 に受け止め対応していく」
「県政の混乱を収め、安定させたいという思いは同じだ」
と述べた。
自民は知事選で独自候補を立てることができず、県議の一部は前同県尼崎市長の稲村和美氏を支援したが、斎藤氏についた県議もいた。
ある県議は
「まさか斎藤氏が当選するとは思わなかった」
「独自候補を擁立できなかったのが誤算だった」
と語った。
「知事選で不信任が否定された」
として、候補者を立てられなかった執行部の責任を求める声も出ているという。
ベテラン県議は
「(斎藤派と反斎藤派で)会派が分裂するのは避けなければいけない」
と警戒する。
一方、第2会派・維新の会の岸口実団長は
「県立大授業料の無償化など政策に賛同できるものが多く、協力していきたい」
と語り、斎藤氏と協調していく考えを示した。
パワハラ疑惑を巡っては、県議会百条委員会のアンケートに職員の4割が見聞きしたと回答。
斎藤氏自身も、付箋を投げ付けたり、机を叩いたりといった行為を認めている。
ある県幹部は
「周りの職員からは斎藤氏からパワハラを受けたと聞いたことがある」
「民意を得た斎藤氏が、どういう行動を取るのか分からない」
と不安を漏らした。

兵庫県知事選の結果受け「声の大きいものが勝つ社会」 紀藤弁護士が危惧「法治主義が試されている」
2024.11.18(Mon)
https://yorozoonews.jp/article/15513435
弁護士の紀藤正樹氏が2024年11月18日、X(旧ツイッター)を更新。
失職した斎藤元彦前知事が再選された2024年11月17日投開票の兵庫県知事選に対し、
「法治主義が試されている」
と自身の見解を綴った
紀藤氏は
「今回の兵庫県知事選挙の結果は、極論と極論の対決に法治主義が試されているのかもしれません」
「違法なものは違法、ダメなものはダメと言える社会でなければ声の大きいものが勝つ社会と堕してしまいます」
と懸念し、
「真実は多数決では決められません 民主主義と法治主義は車の両輪です。」
と訴えた。
また、紀藤氏は斎藤氏再選の速報を受けて2024年11月17日夜に更新したXで、
「ネット時代の選挙の難しさですね」
「問題はこの後に逮捕者が出ないか等、この動きへの反動がどう出るかですね」
と指摘した。
斎藤氏による文書問題に対して明確な結論が出ないまま突入した今回の県知事選。
同氏の再選を後押ししたと指摘されるSNSやネット動画において、中にはファクトチェックのない情報も含まれ、民意が左右されることを危惧する声もあった。
紀藤氏の投稿に対し、Xユーザーからは
「真実を大量のデマで覆い隠せば投票も左右できる」
「今後もこの手法が広がる予感に不安しかないです」
「SNSでの虚偽情報に対策が法的に出来るのでしょうか?」
「推定無罪の原則を守れば、法治主義の観点から、斉藤さん復職は当然だと思いませんか?」
など様々な意見が続いた。

「不信任、当選だけではひっくり返せない」橋下徹氏、斎藤知事の「権力行使、批判続ける」
2024/11/18 18:50
https://www.sankei.com/article/20241118-2XBZH7CNRZGZ3JVVK6FFA72SGQ/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で斎藤元彦氏が再選されたことを受け、元大阪府知事・大阪市長で日本維新の会創設者の橋下徹氏は2024年11月18日、X(旧ツイッター)を更新した。
出直し選挙の原因となった文書告発問題について触れ、改めて
「斎藤さんの権力行使のやり方を批判し続けていく」
と対決姿勢≠示した。
斎藤氏は令和3年、維新の推薦で知事選に出馬し、初当選した経緯がある。
■「こんな権力の使い方は」
告発文書問題を巡っては、今年2024年3月、県西播磨県民局長だった男性が、斎藤氏のパワハラ疑惑などを列挙した告発文書を関係者らに配布。
県は2024年5月に男性を停職3カ月としたが、内部調査の中立性を疑う声が噴出したため、県議会が調査特別委員会(百条委員会)を設置した。
橋下氏は自身の行政経験を踏まえ、こうしたケースで権力者側には、文書を公益通報窓口に渡して担当者を委縮させないためコメントを控えるか、自ら文書の作成者を探すという2つの選択肢があるとした。
その上で、斎藤氏は選ぶべき前者ではなく、
「公益通報に当たらないと自ら判断し、作成者を探しに行った」
「副知事、幹部が一体になり組織(を)あげて探しに行った」
と指摘。
「こんな権力の使い方ほど恐ろしいことはない」
と糾弾した。
■得票率は45%に留まり
公益通報の結果が出る前に告発した男性を先に処分したことも問題視し、
「完全にアウト」
と断じ、
「このような権力行使が行われないようにするため」
批判を続けるとした。
一方で選挙結果については、県議会で全会一致で不信任決議を受けて自動失職した事実を強調。
本来であれば県議会を解散すべきだったとし、
「知事選に当選しただけでは不信任決議をひっくり返すことはできない」
と主張した。
橋下氏が必要と考えるのは不信任決議が提出できる3分の2以上。
今選挙で斎藤氏が獲得したのは111万3911票で、投票総数の約45%に留まった。
再選された斎藤氏と向き合うことになる県議会については、議会をあげて対立候補を立てなかった責任を問い、
「今回の民意を受けて、県議はオロオロでしょう」
「根性を持って知事選の結果に対峙できる県議は皆無でしょう」
と懸念を表明。
今後のコメンテーターとしての自身について
「斎藤さんの権力の行使のやり方のおかしさ、権力者として資格なしという主張を続ける」
と断言した。

再選斎藤氏、25日に証人尋問 兵庫・百条委が検証再開
2024/11/18 18:00
https://www.sankei.com/article/20241118-5LLTO7AJCFMZHJJPEEIONOHQ3Q/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で再選した斎藤元彦氏の疑惑告発文書問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は2024年11月18日、斎藤氏への証人尋問を2024年11月25日に行う方針を決めた。
出頭要請し、文書に書かれたパワハラなど疑惑7項目を総括的に検証する。
斎藤氏への尋問は2024年9月6日以来。
民意を受け知事に復帰した後の証言内容が注目される。
斎藤氏は再選から一夜明けて報道陣の取材に応じ
「県議会や県職員との関係をもう1度前に進めることが大事だ」
と強調。
百条委などの調査に真摯に対応するとした上で
「文書問題も確かに(知事選の)1つの争点だが、大事なのは政策を進めていくことだ」
と語った。
2024年11月19日に知事に就任し、再選後初めて登庁する。
2024年11月25日の尋問は、職員へのパワハラや、告発文書を公益通報として扱わずに作成した元県幹部を処分した経緯などを改めて検証。
昨年2023年11月のプロ野球阪神とオリックスの優勝パレード経費を巡る不正疑惑について、初めて斎藤氏を追及する。

再選の斎藤氏巡り百条委再開 兵庫県議会、25日に総括尋問、疑惑検証の行方焦点
2024/11/18 12:53
https://www.sankei.com/article/20241118-7TPTITXYBVJG7KY2QHFQU7LGWA/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で再選された斎藤元彦氏の疑惑告発文書問題を巡り、県議会は2024年11月18日午後に調査特別委員会(百条委員会)を開く。
2024年11月25日に問題を巡る総括的な尋問を関係者に行う予定で、対象を誰にするかや今後の進行を協議。
斎藤氏への尋問も今後再開される見通しで、民意を受けて知事復帰が決まった斎藤氏の疑惑検証がどこまで進むかが注目される。
斎藤氏は2024年11月19日就任し、再選後として初めて登庁する。
斎藤氏は2024年11月17日夜に報道各社のインタビューに応じ
「文書問題にしっかり対応してという声もある一方、良い政策をもっと前に進めてほしいとの民意が示された」
と強調。
今後も百条委の検証に対応しながら、来年2025年度当初予算の議論などを県議会と進める考えを示した。

「今後も混乱続く」「事実解明を」兵庫県知事選から一夜明け、県職員や議会関係者の懸念
2024/11/18 12:29
https://www.sankei.com/article/20241118-DPVL3RQWF5LJXII2FQ2QUTXESY/
2024年11月17日に投開票された知事失職に伴う兵庫県知事選で、再選を果たした無所属前職の斎藤元彦氏(47)。
今回の選挙は斎藤氏を巡る告発文書問題に端を発した。
その疑惑は完全に晴れていない中、県職員や全会一致で不信任を決議した県議たちは、斎藤氏を押し上げた
「民意」
に向き合うことになる。
「今後も混乱が続くのではないか」
斎藤氏の再選にこう懸念を示した県の男性職員は、不信任決議案を可決した県議会との関係修復に不安が残るという。
「議案が否決されるような状況が続けば、県民へのサービスも滞ってしまう」。
文書の真偽を究明する県議会の調査特別委員会(百条委員会)ではこれまで、県職員が実名で証言してきただけに、
「事実を解明してほしい」
と言葉は少ない。
全会一致で不信任を決議した県議会。最大会派・自民党の県議は
「議会や職員とのコミュニケーションを改善するか、その姿勢があるかは見ていかないといけない」
と話した。
不信任を突きつけた県議会に対し、斎藤氏を支持した民意は厳しい視線を送った形となっただけに、
「今後の施策や議案については是々非々の対応をしていく」
と話すにとどまった。
県議の多くが、斎藤氏と競った同県尼崎市の元市長、稲村和美氏を水面下で支援した公明党県議団。
幹部の1人は斎藤氏の再選について
「民意が示された結果」
「しっかり受け止めたい」
と語る。
今後の斎藤県政に対しては、
「不信任は県政混乱の収束が大きな目的だった」
「この点について知事としてどういう努力をするのか見ていきたい」
と話した。
前参院議員、清水貴之氏に出馬を要請し、選挙戦でも支援した維新の会県議団の幹部も、
「民意を尊重したい」
と冷静に受け止める。
一方で、SNS(交流サイト)を駆使し、うねりのような支持を得た斎藤氏の戦い方と結果に、
「これまでになく誹謗中傷合戦が酷かった」
「褒められた形ではないが、今後の選挙でもこうした戦いが増えていくのだろうか」
と危惧した。

鈴木エイト氏 兵庫県知事選“オールドメディアの敗北”を疑問視「過大評価しないよう注意すべき」
2024/11/18 14:17東スポWEB
https://news.goo.ne.jp/article/tokyosports/entertainment/tokyosports-324195.html
ジャーナリストの鈴木エイト氏が2024年11月18日「X」(旧ツイッター)を更新。
“オールドメディアの敗北”
というフレーズの論評に警鐘を鳴らした。
兵庫県知事選で当選した斎藤元彦前知事の大きな勝因として、SNSの活用と言われ、斎藤氏を批判してきたメディアがSNSの波に飲み込まれたという意見が多数出ている。
しかし、鈴木氏は
「テレビや新聞といった
『オールドメディアの敗北』
との指摘をする人が多々見られるが、不信任決議後にそのオールドメディアを最大限利用したのが斎藤元彦氏であり、SNSやYouTuBeの“効能”によって斎藤氏の街頭演説に詰めかけた人々の“総熱量”を過大評価しないよう注意すべき」
と、斎藤氏への熱狂的な支持を、そのまま受け取るべきではない…と主張。
更に、斎藤氏を応援するため知事選に立候補し、SNSで斎藤氏を擁護する投稿をした立花孝志氏を評価する声が高まっていることに
「立花孝志氏を評価する言説についても、斎藤元彦氏サイドの元々の戦略を見極めた上で分析する必要あり」
と指摘。
こうした流れについて
「メディア側が想定済みのストーリーに乗って報じることはストーリーを拵えた側の思う壺になりかねない」
と警鐘を鳴らしている。

中村仁美、兵庫県知事選で熱狂的な支持者を生んだネットメディアのあり方に意見「規制を作った方がいい」
2024/11/18 15:40
https://www.sanspo.com/article/20241118-LF3G4435TFH5TKVATHUTPXHPBY/
元フジテレビのフリーアナウンサー、中村仁美(45)が2024年11月18日、、TBS系「ゴゴスマ−GO GO!Smile!−」(月〜金曜後1・55)に出演。
2024年11月17日に行われた、兵庫県知事選で無所属の前職斎藤元彦氏(47)が111万3911票を集め再選されたことについて、ネットメディアの在り方に意見した。
パワハラなどの疑惑告発文書問題で失職した斎藤氏は、出直しとなる選挙戦で行財政改革などを実績として挙げ
「改革」
の継続を訴えた。
文書問題を追及した議会の対応に疑問を投げかけ、交流サイト(SNS)も駆使した選挙戦略で10代〜30代の支持は6割を超えた。
今回はテレビや新聞のオールドメディアとSNSなどのニューメディアの二項対立となったとこともあり、中村は
「うちの息子たち見ててもそうなんですけど、テレビでセーブしている言葉とか、そういうものがSNSでは凄く全部当たり前のように聞けるんですよ」
「だから、凄く刺激的でうちの子たちもほとんどテレビ見ないでSNSばっかり見てるんですよ」
「1度そっち(ネットメディア)の方に流れてしまうと、刺激をどんどん求めていっちゃう」
とより若者がより刺激的なネットメディアに流れていると指摘。
ネットメディアを通じ、斎藤氏に熱狂的な支持者が集まりアイドルのような扱いになっている姿について、こういった現象を選挙で初めて見たと明かし
「SNSも情報発信する1つのメディアとして、規制とかそういうものを作った方がいいんじゃないかなって思う」
と意見した。

高田文夫氏 斎藤元彦氏の再選に驚き SNS駆使した逆転劇に「世の中本当に分からないことだらけ」
[ 2024年11月18日 15:06 ]
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/11/18/kiji/20241118s00041000201000c.html
放送作家の高田文夫氏(76)が2024年11月18日、ニッポン放送「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」(月〜金曜前11・30)に出演。
無所属の前職・斎藤元彦氏(47)が再選された兵庫県知事選について言及した。
斎藤氏は無所属6新人を破り再選を果たした。
選挙戦ではパワハラなどの疑惑告発文書問題で失職した斎藤氏への評価や、混乱した県政の立て直しなどが問われたが、斎藤氏はネット戦略を駆使して大きな流れを起こし、最終盤で形勢を逆転した。
番組内で高田氏は前日に行われた野球の国際大会「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」のキューバ戦について
「土砂降りの中やってたもんな、もう最後の最後まで分からなくて…」
と接戦の試合を振り返りつつ、
「その点なんだ兵庫は」
「あっさり決まって」
「どういうことだよ、大勝って」
と兵庫県知事選の結果に触れた。
続けて
「我々オールドメディアっていうの?」
「なんか、オールドメディアしか信じてないから」
「SNSなんか分からないから」
「情報、テレビ嘘ばっかりらしいな」
と笑いながらツッコんだ。
SNSは先日行われた米大統領選でも大きな影響を果たした。
今後のネットと選挙の関わり方が注目されるとした上で
「若い人がSNSでやったら凄いよ大逆転」
「トランプの時と一緒だよ」
「凄い、カムバックだもん」
「田中康夫以来じゃない?カムバックしたのな」
「世の中本当に分からないことだらけだな」
と終始驚いていた。

ラサール石井 斎藤元彦氏の再選に「兵庫県民の皆さん大丈夫ですか」
[ 2024年11月18日 13:04 ]
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/11/18/kiji/20241118s00041000157000c.html
タレントのラサール石井(69)が、2024年11月18日までに自身のX(旧ツイッター)を更新。
無所属の前職・斎藤元彦氏(47)が再選された兵庫県知事選について言及した。
斎藤氏は元尼崎市長の稲村和美氏、日本維新の会を離党した前参院議員清水貴之氏ら無所属6新人を破り再選を果たした。
選挙戦ではパワハラなどの疑惑告発文書問題で失職した斎藤氏への評価や、混乱した県政の立て直しなどが問われた中、斎藤氏はネット戦略を駆使して大きな流れを起こし、最終盤で形勢を逆転した。
ラサールは
「斎藤元彦・前知事の再選確実 兵庫県知事選、失職から返り咲き」
という見出しの毎日新聞の記事を引用。
「社会の底が抜けた」
「兵庫県民の皆さん大丈夫ですか」
「政治に無関心な人が、選挙に行かなかった人が、彼を当選させた」
と綴った。
なお、今回の兵庫県知事選の投票率は2021年の前回選の41.10%を大きく上回る55.65%だった。

斎藤元彦のパワハラなど7項目の疑惑は事実だと思うし、それを隠蔽しようともした斎藤元彦に投票した兵庫県民はバカか、という思いだ。
今後事実認定されれば誰がどう責任を取るのか。

<主張>兵庫知事に斎藤氏 疑惑対応と県政両立せよ
社説
2024/11/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20241118-CPPFSQYMVBOFTHBJLG2JVYH7D4/
兵庫県の出直し知事選で、パワハラ疑惑などを内部告発された問題で失職した斎藤元彦前知事が、再選を果たした。
混乱と停滞が続く県政の立て直しを、原因を作ったとされる斎藤氏が当たることになった。
斎藤氏は県議会で不信任を決議されるに至った問題の解明に真摯に対応してもらいたい。
選挙戦で訴えたように、反省すべき点は反省し、改めるべき点は改めて、県政を運営しなければならない。
斎藤氏が失職に至った問題の発端は今年2024年3月、当時の県幹部職員が斎藤氏のパワハラなど7項目の疑惑を告発する文書を報道機関や県議に送ったことだった。
職員は県の公益通報窓口にも通報した。
だが県は調査結果を待たずに処分し、職員は死亡した。
自殺と見られている。
斎藤氏は一連の疑惑を否定してきたが、県議会の調査特別委員会(百条委)と、弁護士で構成する県の第三者委員会による調査が継続中だ。
真相の究明は県政を前進させる上で欠かせないことだ。
過去最多の7人が立候補した知事選は、異例の展開を辿り、県民は斎藤氏を選んだ。
県議会から全会一致の不信任を突き付けられた斎藤氏への風当たりが強いとみられていたが、疑惑は捏造だとする見方がSNSなどで広がった。
斎藤氏を応援するとして無所属で出馬した「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が、
「斎藤氏は被害者」
などと訴える場面もあった。
斎藤氏を問題視する関係者への批判も相次いだ。
県内29市のうち22市の市長が選挙戦終盤、
「正しい情報が伝わっていない」
として、斎藤氏と競り合っていた無所属新人の元同県尼崎市長、稲村和美氏への支持を表明する事態にもなった。
斎藤氏を巡る様々な情報が飛び交う中、県の政策への議論が深まらなかったのは残念だった。
少子高齢化対策や産業振興など県が取り組むべき課題は多岐にわたっている。
来年2025年1月には6400人超が犠牲になった阪神淡路大震災から30年となり、防災対策の見直しも急がれる。
斎藤氏はぎくしゃくした県職員との信頼関係を取り戻し、県政を立て直す責任がある。
斎藤氏も県議会も、疑惑解明と政策遂行の双方に努めてほしい。

<産経抄>神戸の古老も驚いた「さいとう現象」 22市長連名の「反斎藤」表明も逆効果だった!?
2024/11/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20241118-INESV4B2KNOEJC3VKZPLZGIB2Q/
会社でも役所でも最も難しいのは人事だという。
特に採用は、慢性的な人手不足も手伝って至難の業だ。
学歴も申し分なく
「これはいい!」
と期待して採用しても鳴かず飛ばずだったり、補欠で入れた人材が大化けしたりと、実際に雇ってみなければ分からない。
▼投票で赤の他人をリーダーに選ぶ選挙は、もっと難しい。
少し前までは、よく知らない候補者たちを選挙公報と政見放送、それに新聞やテレビの報道を参考にして選ぶしかなかったのが、最近はSNS(交流サイト)が勝敗のカギを握るようになった。
▼今2024年夏の都知事選では、ほぼ無名の存在だった石丸伸二前安芸高田市長が、SNSを駆使した選挙戦を展開して約170万票を集め、
「石丸現象」
を巻き起こした。
4カ月後、今度は兵庫県で
「さいとう現象」
が起きた。
▼元県幹部の告発文書をきっかけに斎藤元彦知事(当時)のパワハラやおねだり疑惑が噴出し、県議会は全会一致で不信任決議案を可決、彼は石もて追われるように県庁を去った。
失職した1カ月半前、知事選がこれほど盛り上がるとは、正直想像もしなかった。
▼孤立無援で立候補した彼は、
「パワハラ疑惑は捏造」
といったSNSの言説に助けられ、
「既得権益にたった1人で立ち向かうヒーロー」
になった。
県内29市中22市長が連名で対抗馬支持を表明したのも県民の判官びいきに火をつけた。
▼何しろ弱かった頃の阪神タイガースを熱烈に応援し続けたのが兵庫県民だ。
投票日前夜、神戸・三宮で開かれた彼の街頭演説には、古老が
「選挙でこんな人混みは見たことがない」
と驚くほどの聴衆が殺到した。
SNSは、政治に大きな地殻変動を起こしている。
その先の未来が、バラ色ならいいのだが。

<主張>兵庫県知事選 資質と政策見極め判断を
社説
2024/11/3 5:00
https://www.sankei.com/article/20241103-NTOLEQV3TNLP3I7E2J42QDEWRY/
兵庫県の斎藤元彦前知事の失職に伴う知事選が告示され、再選を目指す前知事と新人6人の計7人による論戦が始まっている。
パワハラなどの疑惑が内部告発された前知事が県議会の不信任決議を受けて失職したことに伴う選挙の最大の争点は、政策と共に知事の重責を担う資質である。
県政を誰に託すべきか、有権者はしっかり見極め投票してほしい。
問題の発端は、当時の幹部職員が今春、前知事のパワハラなど7項目の疑惑を告発する文書を報道機関や県議に送ったことだった。
この職員は県の公益通報窓口にも通報したが、県側は調査結果を待たずに懲戒処分とし、職員は死亡した。
自殺とみられる。
県議会は51年ぶりに調査特別委員会(百条委)を設置し、弁護士で構成する県の第三者委員会も調査を進めている。
いずれも選挙結果にかかわらず真相究明を尽くし、再発防止に向けたルール作りにもしっかり取り組んでもらいたい。
前知事は疑惑を全て否定し一連の対応は
「適切だった」
と主張してきた。
だが百条委では告発者捜しや不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法に違反する疑いが重ねて指摘された。
法的責任については、百条委や第三者委の調査などで明らかにされるだろう。
だが、道義的責任はどうか。
前知事は2024年9月に開かれた百条委で
「(自身の)道義的責任が何か分からない」
と発言し、波紋を呼んだ。
今回の選挙は、この道義的責任に加え、政治的責任についても有権者が審判を下す場となる。
7人はいずれも無所属で立候補し、各党の対応は分かれている。
前回選で前知事を推した自民党は独自候補の擁立を断念し、公明党と共に自主投票を決めた。
立憲民主党と日本維新の会は県議らがそれぞれ新人を自主支援する方針で、共産党は新人を推薦している。
問題の発覚から約8カ月が経過したが、県政は混乱と停滞が続いている。
前知事の右腕だった副知事は辞職し、病欠の末に異動を申し出た幹部もいる。
百条委による全職員アンケートでは、約4割が前知事のパワハラを見聞きしたと回答した。
組織の立て直しは容易ではない。
舵取りを託せる人は誰か、有権者はよく見極めて判断してほしい。

失職知事の再選か、刷新望む新人か 他者への投票呼びかけまで飛び出した混沌の兵庫知事選
2024/10/31 19:50
https://www.sankei.com/article/20241031-MOOBVF74IBMJXN7S2GZ52B3B5E/
兵庫県の斎藤元彦前知事(47)の失職に伴い、2024年10月31日に告示された同県知事選。
過去最多となる7人の無所属候補は、いずれも大票田である神戸市から
「第一声」
を放った。
斎藤氏の再選を阻もうとする新人か、それとも斎藤氏か。
候補者の1人である政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)が斎藤氏への投票を呼びかけるなど、異例の選挙戦となっている。
前参院議員の清水貴之氏(50)は、先の衆院選で日本維新の会公認候補としてくら替え立候補し、兵庫8区で公明党との直接対決に臨む構えだったが、維新県議団の要請を受けるなどして知事選出馬を決意。
幅広い支持を得ようと離党して無所属で戦い、維新は支援の形を取る。
2024年10月31日、同市中央区の選挙事務所で第一声。
「大好きな兵庫が悪い形でニュースとして広まったことが残念」
「兵庫の混乱を何とかすることが今回の一番の争点だ」
と訴えた。
午後の出陣式には維新議員に加え、自民党の市議らも参加した。
同県尼崎市の元市長、稲村和美氏(52)は県議を務めた経験もあり、立憲民主党系の県議会会派や自民会派の一部が推す。
「県政の混乱と停滞をしっかり受け止め、新しい兵庫を作っていきたい」
として第一声の場所を県庁前(神戸市中央区)とした。
県職員らに向け、
「兵庫県はかつてない危機の中にある」
「風通しの良い県庁でしっかり県民のための仕事を進めていける兵庫県にしていきましょう」
と呼び掛けてアピール。
この後、神戸市内で開いた出発式には、立民系会派や自民の県議に加え、自民や国民民主党の国会議員らも顔を並べた。
一方、県議会から全会一致で不信任決議を受け、失職して出直し選に臨む前職の斎藤氏。
人通りの多い同市中央区の神戸元町商店街付近の広場で第一声を上げた。
失職・出直し選の発端となった告発文書問題については多くを語らず、
「反省すべきは反省し、改めるべきことは改めていく」
「自分を見つめ直して、良い県政を実現させていく」。
最も強調したのは知事に在任した3年間の実績で、天下り制度や海外事務所などの見直し、県庁舎建て替え計画の凍結などを挙げ
「進めてきた改革を止めるわけにはいかない」
と叫んだ。
立花氏は斎藤氏の演説終了から約30分後、斎藤氏と同じ広場で第一声。
「斎藤さんを助けないと、この国がえらいことになる」
とし、
「斎藤さんが圧勝しなければならない」
「圧倒的な得票差でもう1度戻さなければいけない」
と強調した。

政策か協調か、バラエティに富む候補者たちのリーダー論 選挙で問われる知事の資質
2024/10/31 18:46
https://www.sankei.com/article/20241031-JPHM2UJ2PZNGTDYDNVXLPZ55DQ/
2024年10月31日に告示された兵庫県知事選(2024年11月17日投開票)は、過去最多の7人による争いとなった。
今回の選挙の発端は、前知事の斎藤元彦氏(47)の疑惑が文書で告発された問題。
告発者を捜して処分した斎藤氏の対応などに、
「知事としての資質を欠いている」
との批判が上がり、県議会の全会一致で不信任が可決された。
17日間の選挙戦では、
「知事の資質」
が争点になる見通しで、候補者らは初日から目指すリーダー像などを訴えた。
「職員や県議会ともっと丁寧に、自分の言葉で対応していくことも必要だったかもしれない」
「反省すべきは反省する」
告示後の第一声。
斎藤氏は
「文書問題で多くのご心配をお掛けしたことは申し訳ない」
と謝罪しつつ、
「斎藤か斎藤以外か」
「私は絶対それに負けるわけにはいかない」
と声を張り上げた。
斎藤氏のパワハラ疑惑などを記した告発文書が一部の県議や報道機関に送付されたのは、今年2024年3月。
斎藤氏は側近幹部に調査を指示して告発者を特定し、2024年5月に停職3カ月の懲戒処分とした。
しかし、調査の経緯に批判が上がり、県議会は2024年6月に調査特別委員会(百条委員会)を設置。
百条委では有識者から、斎藤氏らの対応は公益通報者保護法に違反するとの指摘が相次いだ。
斎藤氏は
「対応は適切だった」
との主張を崩さず、告発者の死亡などを巡り
「道義的責任が何か分からない」
と発言。
不信任の流れが加速し、全会一致での可決から失職、出直し選へと繋がった。
前参院議員の清水貴之氏(50)は選挙戦初日の演説で
「『兵庫どうなっているの』と、そんなことを言われて残念でならなかった」
と県政の混乱ぶりを振り返った。
その上で、
「この状況を何とか立て直していきたい」
「兵庫の経済、県政を新しく作り直すためには、やはりコミュニケーション」
「県民の声を聞いていくことが大事だ」
と訴えた。
「文書問題への県の一連の対応をしっかりと検証していく」
同日朝、県庁前でそう訴えたのは、元同県尼崎市長の稲村和美氏(52)。
「告発された当事者が事実解明よりも告発者捜しや処分を急いだのはやはり問題だ」
と指摘し、
「どんな優れたリーダーも、たくさんの人と力を合わせてこそ、様々な施策を前に進めることができる」
とアピールした。
■政策推進力と対話力のバランスが重要
神奈川大学の大川千寿教授(政治過程論)
今回の兵庫県知事選では、県政に対する信頼を取り戻し県政をどう立て直すか、知事に相応しい資質の持ち主は誰なのか、ということが最大の争点となるだろう。
政策推進のために、如何に風通しの良い環境を築いていけるかという点がリーダーとして必要な資質の1つだ。
県職員や県民、県議会と対話をしながら政策を推し進めることが重要で、政策推進力と対話力のバランスが大事になってくる。
また、兵庫県民約530万人の暮らしと命を守り、職責の重みを踏まえて業務に当たれるかという点も重要だと考えられる。
今回の知事選は、これまでの斎藤県政の評価にも重きが置かれることになると思うが、地域ごとの様々な課題についてどう考えているのかなども含めて、幅広い視点で候補者を見ていく必要がある。
混乱した県政を建て直し、今後、重大な問題が発生した際にも県のリーダーとして適切に対応できる人、県民が自分たちの生活を託せる人は誰なのか。
候補者の資質を見極めて投票することが重要だ。

兵庫知事選、有権者はどう判断? 教育、災害対策、経済・雇用…課題は山積
2024/10/31 12:51
https://www.sankei.com/article/20241031-GP4NXYCDVVIJ7ECFH7Y5BXHXWM/
兵庫県知事選が2024年10月31日告示され、17日間の選挙戦が幕を開けた。
告発文書問題を巡って混迷を深めた県政の建て直しや、知事の資質といった争点だけでなく、教育・子育てや、経済、雇用、災害対策など、生活に直結する県政上の課題は山積している。
県民はどういった政策や課題を重視し、新しいリーダーを選ぶのか。
「衆院選は興味を持てず棄権したが、知事選は告発文書問題など、色々話題になったので関心があり、是非投票に行きたい」
こう話すのは高校生の子供を持つ兵庫県姫路市のNPO職員、生尾知子さん(45)。
知事選で候補者を選ぶ際に教育施策の内容を重視するといい、
「大学無償化や給付型の奨学金など、高等教育の修学支援に積極的な候補を応援したい」
「増加している不登校や引きこもりへの支援を考えているかどうかも見てみたい」
とする。
30年以上教育関係の仕事に携わったという神戸市中央区の自営業の男性(80)も
「住む地域に関係なく学校を選べるなど、子供の選択肢を増やせるような教育制度を実現してほしい」
と教育施策の充実を訴えた。
当の学生は知事選をどう見ているのか。
「とても関心がある」
「投票には必ず行く」
という同県豊岡市の県立芸術文化観光専門職大4年、前川友萌香さん(22)は、告発文書問題を巡る混乱を念頭に
「県政を立て直してほしい」
「新しい知事には、風通しのいい県政を期待したい」
と現状からの変化を望んだ。
県内の人口減少対策や農家の後継者不足も県政上の大きな課題だ。
淡路島に移住後に地元住民から引き継いでシイタケ栽培を営む同県洲本市の農業、谷口史朗さん(31)は、原木を使ったシイタケ栽培のようなニッチ市場にも目を向けてほしいといい、
「販路開拓支援や里山の景観保護に光を当て、地域活性化のため『攻める田舎』に変えるという視点を持ってほしい」
と訴える。
中小企業経営者にとっては、新たなリーダーの舵取り次第で経営環境が大きく変化するだけに視線は厳しい。
マンションリフォームなどを手掛ける中堅建設会社「大匠」(神戸市兵庫区)の西森正樹社長(53)は
「方針や政策が我が社の経営にも関連するので、県のトップを決める今回の知事選には関心がある」
とし、
「景気に大きく影響される建設業界は今、厳しい状況にあるので、選ばれた知事には経済が活性化する対策を是非実行してほしい」
と求める。
兵庫県では平成7年の阪神大震災から来年で30年となり、防災対策や災害に強いインフラへの関心も高い。
運送会社に勤める同県西宮市の男性(52)は震災当時を振り返り、
「あの時はインフラがズタズタになった」
「あれから時が経ち、水道などは更に老朽化が進んでいると聞くが、新しいものに交換するなど地震に強い街作りを急いでほしい」
と注文を付ける。
誰に1票を投じるかはまだ決めていないというが、
「パワハラとか人柄とかはこの際、二の次で、兵庫をよくしようと考え、しっかりと結果を出してくれる人に入れたい」
と話した。

次期知事選で「独自候補を検討」と兵庫維新、片山代表 斎藤知事の推薦は難しいとの見方も
2024/9/22 22:52
https://www.sankei.com/article/20240922-5F2W2I4EFJPT7LML7QEQXX63QI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会で斎藤氏への不信任決議が可決されたことを受け、日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」は22日、神戸市内で会合を開き、今後の選挙対応などを協議した。
終了後、兵庫維新代表の片山大介参院議員は、知事選では
「(維新として)独自候補を出すことを検討している」
と述べた。
会合では、国会議員や地方議員がオンラインも交え、知事選のほか、県議選や衆院選となった場合の選挙態勢などについて意見交換。
片山氏は冒頭で、知事選と県議選のダブル選に衆院選も加われば、
「前例のない選挙になる」
「それぞれの選挙を勝ち抜いていきたい」
と呼び掛けた。
斎藤氏は不信任を受けた後、テレビ番組に相次いで出演。告発文書の対応について従来の主張を繰り返す一方、自身の実績をアピールしている。
こうした対応に、片山氏は会合後の取材に
「もう少し自分の考えを話した方がいい」
とし、次期知事選では斎藤氏の推薦は難しいとの見方を示した。

兵庫県知事疑惑、贈答品のおねだり疑惑≠謔闌益通報と情報保全巡る問題点の総括を
新聞に喝! 国防ジャーナリスト・小笠原理恵
2024/9/22 10:00
https://www.sankei.com/article/20240922-5BSDMLARTJJMJKEPTSYSYTJP2A/
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題が大詰めを迎えている。
斎藤知事に対する不信任決議案が可決され、今後の去就が注目される事態となった。
これまでの疑惑報道の中で特産品など多数の贈答品に関するおねだり疑惑≠ェ新聞・メディアで一定の比重を占めてきたが、筆者が注目してきたのは、一連の問題の発端となった元県民局長の男性=7月に死亡=への告発者保護を巡る報道だ。
日経新聞は7月13日付の社説で
「公益通報が機能しないような自治体は、首長や組織そのものに問題があるとみるべきだ」
と断じた。
9月8日付の信濃毎日も社説で
「通報者の不利益になるような取り扱いをした組織側に刑事罰を科すといった法改正を含め、通報者を徹底して保護する体制が必要だ」
と指摘し、法改正の必要性に踏み込んだ。
令和4年の改正公益通報者保護法の施行で、新たに適切な公益通報者保護をするために必要な体制や措置を講じることが事業者に義務付けられた。
また、内閣府は
「やむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐ措置をとる」
義務があると指針を出した。
通報者の探索を防ぐ義務のある県自身が告発者を特定し、処分したことは法令違反だ。
こうした点について新聞・メディアが批判を強めるのは当然だ。
しかし、見過ごされている論点がある。
男性は3月12日にマスコミ、警察、議員などに厳正な調査を期待して告発文書を送った。
その告発文書はなぜ斎藤知事の目に触れたのか―という疑問だ。
斎藤知事の定例会見での説明によると、民間の方からの情報提供があったというが、この匿名の告発文書の取り扱いが杜撰だったと言わざるを得ない。
もちろん、匿名の告発には悪意や虚偽の情報もあれば、人の生死に関わる重大な情報もある。
告発文書が慎重に取り扱われていたのなら、結果は変わったはずだ。
3月下旬に解任された男性は4月に県の公益通報窓口に通報したが、県を優先しなかった理由として
「当局内部にある機関は信用できない」
ことを挙げた。
県知事や側近ら利害関係者による報復を恐れたのだろう。
県議会の調査特別委員会(百条委)の冒頭では
「痛恨の極みであります」
と男性への黙禱が捧げられた。
産経は8月31日付の社説(主張)で
「公益通報者を守れず死に至らしめた責任は重い」
と断じたが、新聞・メディアは今回の疑惑について斎藤知事の去就で幕引きとせず、公益通報と情報保全の問題点について今一度総括してほしい。
他の自治体でも繰り返される恐れがあるからだ。

[社説]自治体の公益通報は十分か
社説
2024年7月13日 19:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK127VA0S4A710C2000000/?msockid=03bbc426d8756d821927d643d90f6c0f
記者会見で頭を下げる斎藤知事。
自らの進退については
「全力で県政を前に進めるのが私なりの責任の取り方だ」
と辞職を否定した(12日、兵庫県庁)
兵庫県の元幹部職員が、斎藤元彦知事にパワハラなどの疑いがあるとする告発文書を報道機関などに配布し、懲戒処分を受けた後、亡くなった。
自殺とみられるという。
痛ましい限りだ。
告発内容の事実関係をはじめ、告発が保護すべき公益通報に当たらないのか、多くの疑問が残る。
自治体では首長が非常に強い権限を持つ。
だからこそ、公益通報の仕組みが十分に機能するようにしておくことは、公正な行政を担保する上で重要だ。
元幹部職員は3月に知事に関する告発文書を配布した。
内容は
@知事選での投票依頼
A事業者からの物品受け取り
B度を越したパワハラ
ーーなど7項目からなる。
県は内部調査で文書の核心部分が事実でないとして、元幹部職員を停職3カ月の懲戒処分とした。
疑問の1つは告発が公益通報に当たるのではないかという点だ。
公益通報者保護法は通報先として企業や行政機関の公益通報窓口だけでなく、報道機関など外部への通報も認めている。
公益通報に当たるなら通報者の不利益な取り扱いは禁じられる。
知事は4月の記者会見で
「県の公益内部通報制度では受理はしていないので、公益通報には該当しない」
と説明した。
その後、元幹部職員は県の公益通報窓口にも同様の内容を通報した。
県が懲戒処分に踏み切ったのはその後だ。
当初から公益通報として扱わず、通報者に不利益な処分を下した県の対応に違法性はないのか。
県議会は調査特別委員会(百条委員会)を設置した。
第三者機関による調査も行うという。
告発の事実関係と共に県の対応の当否も検証してほしい。
元幹部職員が亡くなったことを受け、県職員労働組合が知事に辞めるよう求め、副知事も自ら退く意向を示すと共に知事に辞職を促した。
異例の事態である。
知事の対応が問われている。
公益通報が機能しないような自治体は、首長や組織そのものに問題があると見るべきだ。

〈社説〉公益通報の壁 告発者守る仕組みさらに
2024/9/8 9:30
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024090700681
良心の告発が蔑ろにされていた。
兵庫県の元県幹部にパワハラ疑惑などを告発された斎藤元彦知事らの対応である。
県議会が設けた調査特別委員会の尋問で、客観的な調査もせずに告発を誹謗中傷と決めつけ、組織的に“犯人捜し”を行い、懲戒処分を急いだ経緯がはっきりしてきた。
公益通報者保護法は、告発者が不利益を被らないよう幾重もの保護を求めている。
その趣旨を損なっている可能性が高い。
参考人として出席した専門家は
「明らかな法令違反」
と批判、県会各派も辞職を求めて動き始めた。
組織トップの責任は極めて重い。
元県幹部は退職を控えた3月、知事らのパワハラや贈答品の受け取りなどの疑惑を、匿名の文書で報道機関や県議らに送った。
法に照らせば、県は内容の事実確認や公益通報に当たるかどうかを検討する必要があった。
それなのに知事の指示は、誰が、どんな意図で作ったのかを徹底的に調べることだった。
当時の副知事らは元県幹部に見当をつけ、直接聴取。
公用パソコンのデータなどにも探りを入れた。
法や運用指針が禁じる
「通報者の探索」
である。
元県幹部が告発を認めると、知事は記者会見でその役職を明示して
「嘘八百」
「公務員として失格」
と断じた。
人権侵害である上に、必要最小限の範囲を超えて通報者が特定されてはならないとする法の要請に反する。
知事は尋問で
「誹謗中傷性が高い内容」
だったので通報者を探すのは当然とした。
しかし、判断の根拠は明らかでない。
そもそも告発された当事者である知事や副知事らが対応に当たること自体、通報者には恫喝でしかない。
法も
「組織の長」
から独立した制度運用を求めている。
元県幹部は最初の告発後、4月に県の公益通報窓口にも通報している。
手続きに則った必要な調査を終えるまで処分ができないはずなのに、県はそれを待たずに停職処分を下した。
元県幹部は事実解明を求めつつ7月に亡くなった。
自死とみられる。
より内部通報がしやすいよう法は2020年に改正されていたが、それでも守れなかった。
これでは、組織や社会を良くしたいと思って不正を暴こうとしてもリスクが大き過ぎる。
通報者の不利益になるような取り扱いをした組織側に刑事罰を科すといった法改正を含め、通報者を徹底して保護する体制が必要だ。

<主張>初尋問の兵庫知事 事態収拾へ進退判断せよ
社説
2024/8/31 5:00
https://www.sankei.com/article/20240831-QXDP25EOWBPXXBJVDGR4RWILXI/
パワハラ疑惑などが文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事が30日、県議会の調査特別委員会(百条委)に証人として出席した。
パワハラ疑惑に関しては
「記憶にない」
と繰り返した。
「不快な思いをさせたなら反省し、謝りたい」
「パワハラかどうかは私ではなく百条委や第三者委が判断すること」
とも語った。
告発文書は、元県幹部の男性が報道機関などに配布した。
その後、県の公益通報窓口に通報したが、県は調査結果を待たずに男性を懲戒処分にした。
男性は
「死をもって抗議する」
とのメッセージを残して死亡しており、自殺とみられている。
百条委による職員アンケートでは、約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答した。
斎藤氏の百条委での答弁では疑惑が解消したとは言い難い。
公益通報に基づく調査の最中に県幹部の処分を行ったことについては
「誹謗中傷性の高い文書で、懲戒処分に該当する行為があった」
と述べ、適切だったとの考えを改めて示した。
公益通報者を守れず死に至らしめた責任は重い。
信頼を大きく失ったトップが県政を円滑に運営することは難しい。
事態を収拾させるためにも、斎藤氏は自ら進退を判断する時ではないのか。
斎藤氏の右腕だった副知事は辞職し、病欠の末に異動を申し出た幹部もいる。
県職員労働組合や県職員退職者で作る団体などは辞職要求もしている。
斎藤氏はこれまで、全ての疑惑を否定してきた。
アンケート結果については
「コミュニケーション不足で受け取りのずれが生じたことは残念」
などと述べ、業務上必要な範囲での適切な指導だと主張してきた。
だが、その認識は周囲の声から著しく乖離している。
県内の全29市で作る県市長会は、一連の対応を
「不適切」
だと断じ、早期の事態収拾を求める要望書を提出した。
斎藤氏への30日の尋問は、パワハラ問題を中心に行われた。
公益通報に関する尋問は9月6日に予定されている。
百条委は真相究明を尽くすと共に、ハラスメント防止のルール作りにも取り組む必要がある。
県と県議会は通報者を萎縮させない再発防止策を講じて初めて、県民のための県政運営が実現する。

「私の人生もそうだが、兵庫県政にとって大事な局面」 兵庫知事、テレビ番組はしご 出直し選への布石の見方
2024/9/21 17:02
https://www.sankei.com/article/20240921-4LVEI2LMMVPXJCDLGEFVE3JR3Y/
兵庫県の斎藤元彦知事は21日、民放の情報番組に出演し
「少しずつ自分の思いは固まりつつあるが、しっかり考えたい」
などと語った。
具体的な判断については明言を避けた。
斎藤氏は19日に県議会から全会一致で不信任を受けて以降、テレビ番組に相次いで出演。
告発文書を巡る対応の正当性を改めて主張すると共に、自身の実績を繰り返しアピールしており、
「出直し選に向けた布石ではないか」
との見方が出ている。
斎藤氏は21日の番組で
「今、色々考えている状況」
「私の人生もそうだが、兵庫県政にとっても大事な局面」
と強調。
29日までに辞職・失職、議会解散を判断する必要があるが、
「出来るだけ早く示せるようにしたい」
とし、判断については記者会見で発表する考えを明らかにした。
斎藤氏は20日も民放やNHK番組に出演。
告発文書は
「誹謗中傷性が高い文書だと今も思っている」
と主張。
自身の知事としての功績を一方的に述べ、質問に答えるよう促される場面もあった。
こうした動きについて、ある県議は
「自身が功績だと思っていることのアピールに躍起になっている」
「選挙運動のようだ」
と指摘。
辞職か失職かに関わらず、斎藤氏が出直し選に臨むのではないかとの見方を示した。
一方、議会解散の可能性もあり、県議選への準備も進む。
別の県議は神戸市内で街頭に立ち、不信任決議に至った経緯や考えなどを訴えた。
取材には
「議会解散には大義はない」
としつつも
「知事はどんな対応を取るか分からない」
と話した。

「自分の選択すべき道しっかり考える」斎藤兵庫知事、NHK番組に生出演、進退明言せず
2024/9/20 20:32
https://www.sankei.com/article/20240920-QCVVPBODQZOKLDDEBE3EF7OE7E/
パワハラなどの疑惑が内部告発された兵庫県の斎藤元彦知事は20日夜、NHKの解説番組「かんさい熱視線」に生出演し、
「自分がどういう道を選択すべきかをしっかり考える」
と語った。
兵庫県議会が19日に斎藤氏に対する不信任決議案を全会一致で可決し、斎藤氏は辞職・失職か議会解散かの決断を迫られている。
斎藤氏は20日の番組で、県議会の不信任決議を受けた現在の状況について
「結果として今の状況になっていることは大変申し訳ないし、心からお詫びしたい」
とした。
自身の進退については明言しなかった。
自身を内部告発した元県西播磨県民局長の男性(60)が作成した文書については
「誹謗中傷性が高い文書だと今も思っている」
と主張。
文書の作成者を徹底的に調べるよう部下に指示し、男性を懲戒処分とした対応についても
「誰が書いたかを把握して対応するのは、当時の判断としてはベストだった」
と強調した。
途中、自身の知事としての功績を一方的に述べ、アナウンサーから質問に答えるよう促される場面もあった。
問題をめぐっては3月、男性が斎藤氏のパワハラや贈答品受領の疑惑を記した告発文書を報道機関などに配布。
斎藤氏は文書について
「噓八百」
などと非難した。
男性は4月に県の公益通報窓口に通報したが、県は内部調査の結果、男性を懲戒3カ月の停職処分とした。

兵庫知事、週明けまで公務なく熟考か 不信任決議から一夜明け県庁には苦情電話400件
2024/9/20 19:39
https://www.sankei.com/article/20240920-6UKVTV6DOBIGNGKOR4I47C2OGE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、斎藤氏は不信任決議の可決から一夜明けた20日、県庁に登庁せず自身のX(旧ツイッター)に
「しっかりと考え、決めます」
などと投稿した。
週末の3連休も公務の予定はなく、今月29日までに辞職・失職か議会解散かの決断を迫られる中、今後の対応を熟考するとみられる。
斎藤氏がXの自身のアカウントを更新するのは、防災情報を除くと5月25日以来。投稿では
«県政が今の状況になっていること、県民の皆様にご心配やご不安を抱かせてしまっていること、まずは、心からお詫(わ)びします»
と不信任決議について謝罪し、
«大きな、重い判断になります。しっかりと考え、決めます»
と綴った。
一方、不信任決議を受け、県庁には20日、約400件の苦情電話などが寄せられた。
県広報広聴課によると、一連の問題が発覚した3月以降、県庁の電話や県のホームページなどに寄せられた苦情や意見は計1万5千件近くにのぼる。
最近は
「きっぱりと辞めた方が潔い」
「解散すれば多額の税金がかかる」
など、斎藤氏の進退に関する意見が目立つという。
斎藤氏は19日、県議会で不信任決議が全会一致で可決された後、記者団に
「これからしっかり考える」
などと述べ、進退や決断の時期を明言しなかった。
地方自治法の規定では、斎藤氏は29日までに議会を解散できるが、県議会事務局によると、20日夕時点で斎藤氏から解散の通知はない。

<主張>兵庫知事に不信任 身を引くべき重い可決だ
社説
2024/9/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20240920-6JCG5AAP45LCLK3S2Z3MTGCVVQ/
パワハラなどの疑惑が内部告発された兵庫県の斎藤元彦知事に対し、県議会が不信任決議案を全会一致で可決した。
決議には法的拘束力があり、斎藤氏は10日以内に議会を解散しなければ知事を失職する。
斎藤氏は
「結果責任は重い」
としつつも態度を保留した。
だが、全会一致の不信任は極めて重大だ。
潔く身を引くのが筋である。
決議案は県議会の全会派が共同提出した。
「これ以上の県政の停滞と混乱」
は許されないとし、令和7年度予算は
「新たに信任を得た知事の下で編成されるべきだ」
と辞職を求めた。
内部告発から約半年もの間、混乱が続いてきた県政の健全化に向けた妥当な判断である。
日本の地方自治は、首長と議会による二元代表制だ。
議会の不信任決議に首長は議会解散で対抗できるが、制度の目的は相互の牽制による健全な運営である。
これまで不信任案が可決されて議会を解散した知事はいなかった。
斎藤氏は議会解散の可能性を否定していないが、解散しても再び不信任を受けて失職する見通しである。
斎藤氏による解散権の行使は、自身の延命にしかならない。
厳に慎むべきだ。
一連の発端は、当時の幹部職員が3月、斎藤氏のパワハラなど7項目の疑惑を告発する文書を報道機関や県議に送ったことだった。
この職員は4月、県の公益通報窓口にも通報したが、県側は調査結果を待たずに懲戒処分とし、職員は7月に死亡した。
自殺とみられる。
斎藤氏は全ての疑惑を否定し、職員の処分も
「適切だった」
と主張している。
だが、疑惑を検証する県議会の調査特別委員会(百条委)では、県の対応は通報者に対する不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法に違反するとの指摘が相次いだ。
職員アンケートでは、約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答した。
昨年のプロ野球阪神・オリックス優勝パレードの資金集めのため補助金を増額し、企業協賛金としてキックバックさせたなど、告発された疑惑の解明はまだ途上である。
斎藤氏がどのような判断を下しても、県と県議会は真相解明に努めるとともに再発防止策を講じ、県政への信頼回復を図る必要がある。

全会一致の「三くだり半」に斎藤氏感情あらわさず 「噓八百」と断じて処分強行し問題拡大
2024/9/19 21:45
https://www.sankei.com/article/20240919-7TP3Z26EWJKDDNG77MIMZECJ24/
兵庫県の斎藤元彦知事に対する不信任決議案が19日、県議会で可決された。
半年前、自身のパワハラ疑惑などが記された文書の存在を把握して以降、作成者を特定して処分を強行し、その対応の正当性を訴え続けてきた斎藤氏。
しかし、待ち受けていたのは議会から知事への
「三くだり半」
となる不信任だった。
一連の経緯を振り返ると、問題拡大を招いた斎藤氏の言動が浮かび上がる。
次々と積み上がる賛成の白票。
19日、県議会議場の理事者席でただ一人、スーツにネクタイ姿の斎藤氏は、投票する議員らに淡々と会釈を繰り返した。
「白票86票、青票(反対)0票。」
「不信任決議案は可決しました」
午後5時38分、全会一致での可決を告げる浜田知昭議長の声が議場に響いた。
じっと前を見据える斎藤氏。
感情を消したかのような姿は、怒りを滲ませた半年前との落差を強く印象付けた。
3月27日の知事定例会見。
斎藤氏は自身や県幹部を誹謗中傷する文書を作成したとして、元県西播磨県民局長の男性(60)を強い口調で非難した。
「業務時間中に噓八百含めて文書を作って流す行為は公務員として失格だ」
この時点で、告発文書は一部の県議や報道機関などに送られただけだった。
だが、部長級幹部を解任し、目前に迫った退職を認めないという極めて異例の人事によって、県の対応に批判が集まるようになった。
内部調査の結果、県は文書の核心部分は事実ではないと結論付け、5月に男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
だが、調査を担ったのは知事の部下にあたる人事課職員。
斎藤氏は弁護士も調査に関わったことから
「調査は一定客観的」
と主張したが、
「中立性が担保されていない」
との批判が高まり、6月に県議会で調査特別委員会(百条委員会)が設置された。
7月7日、百条委での証言を控えていた男性が死亡した。
自殺とみられ、告発者を保護することなく、特定して人事措置を取った県の対応に、より厳しい視線が注がれることとなった。
百条委では、8月30日の証人尋問で
「(職員への対応で)行き過ぎた面があった」
と反省の言葉を述べる場面もあった。
ただ、公益通報者保護法違反を指摘される処分の経緯については
「法的に問題はない」
との見解を重ねて示し、今月6日には
「道義的責任が何かということが分からない」
と発言。
全議員による辞職要求から不信任へという流れを決定づけた。
「法的、内容も含めてきちっとやってきた面はある」。
不信任案の可決後、取材に応じた斎藤氏は自身の正当性への拘りを滲ませつつ、吹っ切るように語った。
「今の状況を招いているのは、私に責任がある」
「結果責任については負わなければいけない」

議会解散なら百条委再設置、報告書遅れも 兵庫知事不信任
2024/9/19 21:30
https://www.sankei.com/article/20240919-OJFYS7ENINPOLJTR4S4P4LU6SM/
兵庫県議会では、文書で告発された斎藤元彦知事などの疑惑を巡り、調査特別委員会(百条委員会)が年末の報告書提出に向けて調査を進めている。
議会解散となれば百条委もなくなり、改選後の県議会が設置を決めた後、引き続き調査することになる。
一方、弁護士による第三者調査委員会は斎藤氏の今後の判断に左右されず、疑惑の真偽の解明に当たる。
斎藤氏が議会解散を決めた場合の百条委の審議について、自民党県議は
「中断は避けられない」
と述べた。
県議選が実施されれば、現時点で予定している年末の報告書提出が、後ろにずれ込む可能性もある。
第三者調査委は、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)を懲戒処分とした県人事当局の内部調査の中立性を県議会が疑問視し、設置された。
18日に初会合があり、県弁護士会の弁護士6人を委員などとし、職員らへのヒアリングなどを通じ、来年3月ごろに報告書を取りまとめるとした。
関係者は、斎藤氏の不信任決議案可決の影響について
「調査委は独立しており、影響は不明」
としている。

苦肉の全会一致、兵庫知事不信任 維新、迷走の末に賛成
2024/9/19 21:20
https://www.sankei.com/article/20240919-MQTUEMXFAFKTZBN2KLI6RXEZHA/
兵庫県議会は19日、斎藤元彦知事に対する不信任決議案を全会一致で可決した。
内部告発文書に端を発した
「県政の混乱」
を理由に、辞職を頑なに拒む斎藤氏に、議会がなし得る最後の一手を繰り出した。
もっとも、ここに至るまで各党の思惑は入り乱れ、文書で指摘された斎藤氏の疑惑の解明を脇に置いて、結論だけを先取りした感が否めない。
議会の仮初めの大同団結は、停滞打破の一歩となるのか。
■「退く口実」
「知事が何を考えているか、全く分からない」
「おかげで候補者も定まらないまま知事選に突入しなければならない」
県議会最大会派の自民党のあるベテラン県議が嘆息する。
前回県議選からまだ1年半しか経っていないが、斎藤氏が議会解散に踏み切る可能性も否定できない。
選挙費用の負担を考えれば、不信任は取りたい手段ではなかった。
議会開会に先立ち、全議員86人による辞職申し入れというステップを挟んだのも斎藤氏に退く口実を与えたかったから。
だが法的拘束力のない示威行為でしかないことは明白。
粘る斎藤氏に、それだけ議会も追い詰められていたと言える。
前回知事選では、日本維新の会とともに斎藤氏を推薦した自民。
もっとも井戸敏三前知事の後継に当たる対立候補の支持を主張した議員も多数いた。
3月に浮上した文書問題への対応では、県議会の
「伝家の宝刀」
と言われる調査特別委員会(百条委員会)の設置に賛成するなど、斎藤氏の疑惑を追及する姿勢を早々に打ち出してはいた。
■遠のく真相解明
だが斎藤氏の辞職を求める世論が、調査のスピードをはるかに上回って燃え上がり、疑惑解明よりもクビ切り≠フタイミングを計らざるを得なくなった。
斎藤氏の2回目の証人尋問が予定されていた6日は、自民県議らの間で
「政局」
と位置付けられ、斎藤氏の答弁を受け、一気に
「不信任やむなし」
に傾いた。
一方、自民と相乗りで斎藤氏を推した維新は迷走した。
6月の百条委の設置には反対し、第三者機関の調査を優先すべきだと訴えた。
吉村洋文共同代表(大阪府知事)は7月下旬の時点で
「何が事実で、何が事実でないか、有耶無耶にしたまま終わりにするのは違う」
と調査優先の考えを強調していた。
潮目が変わったのは、8月25日の大阪府箕面市長選。
大阪維新の会公認の現職が敗北し、党内に衝撃が走った。
兵庫県政における斎藤氏擁護ともとれる姿勢が、拠点の大阪に影響したと深刻な受け止めが広がった。
吉村氏の当初の発言とは裏腹に、維新は百条委の調査を待つことなく不信任に舵を切る。
「結果が出てから判断すると申し上げてきたが方針転換する」
「批判は真正面から受けたい」。
維新の藤田文武幹事長はこう釈明したが、議会での真相解明は遠のいた。
■「ポスト斎藤氏」見えず
不信任を突き付けられた斎藤氏は、議会解散か身を引くか、19日の段階では態度を留保した。
もっとも議会解散を選んでも、改選後の再度の不信任決議は確実といえ、知事選は避けられない。
自民内部では次の候補者として
「県政の混乱を収束させるには、県庁内部の人材が適切」
との意見も上がる。
一方、県政改革を訴えてきた維新は外部人材の登用が大前提だが、候補者選びは難航しそうだ。
ポスト斎藤≠フ青写真は、いずれの党も明確とは言えない。
「どの事実が歪曲された事実なのかを整理してパネルにし、会見やSNS、ブログで発信したらいい」
「放っておいても誰もやってくれません」
大阪維新の横山英幸幹事長(大阪市長)は、斎藤氏の発信力について自身のブログでこう苦言を呈した。
そして元総務官僚の斎藤氏を担いだことを自戒するようにこう記した。
「首長は政治家です。役人じゃない」

10日以内に辞職か議会解散か 斎藤知事を全会一致で不信任、兵庫県議会
2024/9/19 21:01
https://www.sankei.com/article/20240919-E6ST7F7Y7NL6LMVESYU2NE46VU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会は19日、全会派が共同提出した斎藤氏の不信任決議案を全会一致で可決した。
10日以内に辞職・失職か議会解散を迫られる斎藤氏は記者団の取材に
「結果責任は重い」
「しっかり考えて決断する」
と述べた。
総務省によると、知事に対する不信任決議は記録が残る昭和41年以降、全国で5例目。
解散を選べば初となる。
3月の疑惑発覚から約半年に渡り物議を醸した告発文書問題は大きな節目を迎えた。
斎藤氏は19日、県議会議長から通知を受けた。
議会を解散するかの判断期限は29日となる。
今後の対応については記者団に
「兵庫県にとって何が大事か、自分に問いながら考えていきたい」
と述べ、態度を留保した。
最大会派自民党などは12日に辞職を要求。
斎藤氏が応じないため不信任案提出に踏み切った。
不信任案では、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月死亡=を公益通報後に懲戒処分とした対応などを問題視。
「告発文書への対応が不適切で、県政に長期に渡る深刻な停滞と混乱をもたらした政治的責任は免れない」
と指摘した。
19日の本会議で提案理由を説明した自民党は
「県民と県職員からの信頼回復は見込めず、これ以上県政を担い続けることは不可能」
とした。
問題を巡っては3月、男性が斎藤氏のパワハラや贈答品受領の疑惑を記した告発文書を報道機関などに配布。
斎藤氏は文書について
「噓八百」
などと非難した。
男性は4月に県の公益通報窓口に通報したが、県は内部調査の結果、男性を懲戒3カ月の停職処分とした。
疑惑を調査する県議会の調査特別委員会(百条委員会)では、県の一連の対応について、通報者への不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法に違反するとの指摘が有識者から出た。
斎藤氏は証人尋問で自身の責任を問われ
「道義的責任が何か分からない」
と発言し、批判が集まっていた。

斎藤兵庫知事が不信任の通知を受領、解散判断の期限は29日に
2024/9/19 19:30
https://www.sankei.com/article/20240919-BBLYPSWD3BI6PH6XTAYJDP3WIQ/
兵庫県の斎藤元彦知事は19日夜、この日の県議会で、全会一致で可決・成立した自身への不信任について、浜田知昭議長から通知を受けたと明らかにした。
斎藤氏による議会解散の判断の期限は29日となる。
解散や辞職を選択しなければ、30日午前0時で失職する。
地方自治法は、議長から知事への通知から10日以内に議会を解散できると定めている。
県庁からの退庁時、斎藤氏は記者団に
「重い判断なので、しっかり自分自身と向き合いながら考えていく」
と話した。

選挙経費30億円超とも、知事選と県議選両方実施なら 斎藤知事不信任案可決
2024/9/19 18:20
https://www.sankei.com/article/20240919-EJROKIFV3ZI3ZMG52QCCAGKF7I/
兵庫県議会で不信任決議を受けた斎藤元彦知事が今後、議会解散に踏み切った場合、県議選が行われる。
再選後の県議会で不信任案が改めて可決されれば、斎藤氏は失職。
その後、知事選も実施され、選挙にかかる事務的経費は、単純計算で30億円を超える。
議会解散権は地方自治法に基づく権限とはいえ、斎藤氏が掲げてきた行財政改革に逆行するとの批判も集まりそうだ。
県選挙管理委員会によると、これまでの選挙実績を踏まえ、知事選は約18億円、県議選には約16億円の費用がそれぞれかかると想定される。
両選挙が別の日に行われた場合、単純計算で30億円以上の費用が必要になる。
同日選であれば費用は圧縮されるという。
今回の不信任案可決を受け、斎藤氏は10日以内に県議会を解散するか判断する。
辞職することもでき、解散しなければ失職し、50日以内に知事選が行われる。
議会解散を選択すれば、40日以内に県議選があり、再構成された県議会で改めて不信任案が可決されれば、斎藤氏は失職する。
いずれにしても知事選は避けられない情勢だ。
斎藤氏が辞職し、出直し選で当選した場合、公選法の規定により、在任期間は辞職前の任期である来年7月末までで、改めて知事選を行う必要がある。
議会解散の場合、昨年4月の統一地方選からわずか1年半余り後に再び県議選を行うことになる。

不信任案可決で斎藤知事「状況招いたのは私に責任」 今後の判断「しっかり考える」
2024/9/19 18:06
https://www.sankei.com/article/20240919-HDPYHWDPAZIGBO367ZXP2S3EB4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、自民や維新など県議会(定数86)の全会派が共同で提出した斎藤氏の不信任決議案が19日午後に全会一致で可決されたことを受け、県議会終了後に記者団の取材に応じた斎藤氏は
「結果責任としては重い」
「今の状況を招いたのには私自身に責任がある」
と述べた。
斎藤氏は地方自治法に基づき、可決の通知から10日以内に議会を解散できる。
解散しなければ失職する。
今後の判断については、
「しっかり考えることが重要」
とした上で、表明のタイミングは
「予めお伝えしたい」
と説明した。
この日の県議会での採決では、出席した86人の議員全員が決議案に賛成した。
議会への思いについては
「コロナ対応で大変な時、予算や条例にもご協力、ご理解を頂いてきた」
「議員の皆さま86人全員に対して、今でも心から感謝の気持ちを持っている」
と述べた。

斎藤知事の不信任案を可決 兵庫県議会、出席の86人全員が賛成
2024/9/19 17:36
https://www.sankei.com/article/20240919-NNVQ34IJ45MG3NX3HPBJCCPCGA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会(定数86)は19日、自民や維新など県議会全会派が共同で提出した斎藤氏の不信任決議案を可決した。
出席した86人全員が決議案に賛成した。
斎藤氏は地方自治法に基づき、可決の通知から10日以内に議会を解散できる。
解散しなければ失職する。
斎藤氏は同日午前、記者団の取材に応じ、不信任決議案について
「大変重い議決」
「成立した場合、法律の規定に沿って様々な選択肢を考えていく」
と説明。
判断の時期を問われると
「私と県政にとって大事な判断になる」
「タイミングも含めて熟慮する」
と述べていた。

「嘘八百」「道義的責任分からない」不信任案提出の斎藤知事 発言で物議
2024/9/19 16:59
https://www.sankei.com/article/20240919-2WXS6IMRT5IIPG4RFDVE45UICA/
兵庫県議会で19日、不信任決議案が提出された斎藤元彦知事の発言は様々な場面で物議を醸してきた。
自身の疑惑を告発した文書について、調査前から
「噓八百」
と断じた。
文書を公益通報の対象としなかった一連の対応や、県職員アンケートでパワハラ疑惑が相次いで指摘される状況を県議会調査特別委員会(百条委員会)で追及された際は
「道義的責任が何か分からない」
と語った。
不信任案が可決されれば、今後は自身の進退を巡る発言に注目が集まる。
斎藤氏は3月27日の記者会見で、自身の疑惑を指摘する告発文書の内容を
「噓八百」
と断じ、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)を
「公務員として失格」
と批判した。
県は同月末の男性の退職を保留し、内部調査だけで5月に男性を停職3カ月の懲戒処分にした。
斎藤氏は8月7日の記者会見で、処分が公益通報者保護法に反するとの有識者の指摘に対し
「弁護士と相談しながら公益通報の保護対象でないという見解を得た」
と反論。
百条委事務局が実施した県職員アンケートで斎藤氏のパワハラ疑惑が続出したにもかかわらず、9月6日の百条委の証人尋問では、告発文書への対応について
「手続きに瑕疵はない」
との姿勢を貫き、委員から道義的責任を感じないかを問われると
「道義的責任というのが何かが分からない」
と答えた。
今月に入り、県議会側から辞職要求を受け、11日の会見では、3年前の前回知事選で自民党の一部県議から支援を受けたことに触れ
「こういう状況になったことは申し訳ないなという思い」
「自分自身に対して悔しい」
と涙ながらに述べた。
ただ不信任案可決が確実な情勢になっている18日には記者団に
「県政改革を前に進めていくことが、私の責任の果たし方」
と続投する意向を改めて示した。

「県政担うこと不可能」と理由説明、兵庫知事不信任案提出で
2024/9/19 16:52
https://www.sankei.com/article/20240919-3QDGLBBHFJKXXPZAPQOUAM3XSI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会の全会派が19日に共同で提出した斎藤元彦知事への不信任決議案について、自民の代表者は
「県民と県職員の信頼回復はかなわずこれ以上、県政を担い続けることは不可能」
などと提案の理由を述べた。

斎藤兵庫知事の不信任案を提出 県議会の全会派
2024/9/19 16:26
https://www.sankei.com/article/20240919-JLNQJP5FEFK6ZLVM4OGBDLYWGU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、自民や維新など県議会の全会派が19日、斎藤氏の不信任決議案を提出した。
提案理由の説明と各会派の討論の後、採決へと移る。
可決は確実で、斎藤氏は地方自治法に基づき、可決の通知から10日以内に議会を解散できる。
解散しなければ失職する。
斎藤元彦知事は同日午前、記者団の取材に応じ、県議会で午後に可決される見通しの不信任決議案について
「大変重い議決」
「成立した場合、法律の規定に沿って様々な選択肢を考えていく」
と説明。
判断の時期を問われると
「私と県政にとって大事な判断になる」
「タイミングも含めて熟慮する」
と述べるにとどめている。

「県政の停滞と混乱、県益の損失許されない」 兵庫知事への不信任決議案全文
2024/9/19 15:55
https://www.sankei.com/article/20240919-2RZ7B4YXVJKJHB2MFGY3GIVWNM/
兵庫県議会の全会派や無所属議員が共同で提出する斎藤元彦知事に対する不信任決議案は次の通り。
元県民局長が斎藤知事はじめ県幹部に向けた告発文書を巡る一連の問題が惹起されてから、約半年が経過した。
県政は混乱を極め、156年の歴史を誇る我が雄県兵庫は危機的状況に直面している。
まず、文書問題調査特別委員会の調査の中で、告発文書の内容に真実が存在し、文書が
「噓八百」
ではなく、告発者への対応が告発者探しや情報漏洩の疑いを指摘されるなど不適切と言わざるを得ないことが明らかになったにもかかわらず、知事は
「真実相当性がない」、
「誹謗中傷性が高い」
として県の対応が適切であったとしているが、専門家は公益通報者保護法の見地から
「兵庫県は今も違法状態」
と断じている。
現時点で詳細な要因は明らかでないが、元県民局長の命を守れなかったという厳然たる事実は大変重く、責任は大きい。
次に、日本国憲法に則り県民の生命と財産を守ることを使命とする行政の長たる知事の職責を果たすためには、県民・県職員の模範として、法令遵守は当然のことながら、人として守るべき倫理・道徳や人権感覚に基づく道義的責任がより強く求められるが、
「道義的責任が何かわからない」
との知事の発言から、その資質を欠いていると言わざるを得ない。
そして、告発文書への初動やその後において、対応が不適切、不十分であったことにより、県民の信頼を損ない、県職員を動揺させ、議会を巻き込み、県政に長期に渡る深刻な停滞と混乱をもたらしたことに対する政治的責任は免れない。
本県及び県民の誇りを失墜させてしまった今、県民及び県職員からの信頼回復は到底見込めず、県政改革を着実に進めなければならないこの大変重要な局面において、斎藤県政がそれに応えることは困難な状況である。
ここまで申し述べたとおり、斎藤知事の責任は重大である。
これ以上の県政の停滞と混乱、県益の損失は許されるものではなく、県民本位の健全な県政と職員が安心して働ける職場を一日も早く取り戻し、来年度予算は新たに県民の信任を得た知事の下で編成されるべきである。
よって、本県議会は、斎藤元彦兵庫県知事を信任しない。
以上、決議する。
令和6年9月19日
兵庫県議会

兵庫・斎藤知事の不信任案、夕方にも全会一致で可決へ 9月議会の議会運営委員会始まる
2024/9/19 10:06
https://www.sankei.com/article/20240919-5NJVDLPYNFOAZOSY5LUMTQC44U/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、斎藤氏に対する不信任決議案が提出される県議会9月議会に向けた議会運営委員会が19日午前、始まった。
同日夕にも全5会派と無所属議員4人が不信任決議案を共同提出し、全会一致で可決される可能性が高い。
斎藤氏は可決後10日以内に身を引くか、議会解散かを迫られることとなり、約半年に渡って物議を醸した文書問題は重大局面を迎えた。
同日午前の議会では、補正予算案などについて審議。斎藤氏が議案の提案説明を行い、各会派による質疑が行われる。
不信任案は、同日午後に各会派と無所属議員4人が共同提出し、最大会派の自民党が提案理由を説明後、各会派による賛成討論が行われる。
起立方式ではなく、記名による投票で即日採決されるとみられる。
関係者によると、不信任決議案では、告発文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月死亡=を公益通報後に懲戒処分した対応や、県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問での斎藤氏の発言を問題視。
「告発文書への対応が不適切で、県政に長期に渡る深刻な停滞と混乱をもたらした政治的責任は免れない」
と指摘している。
不信任案が可決されれば斎藤氏は10日以内に辞職または失職するか、県議会を解散するかを選択することになる。
議会を解散した場合でも、改選後の県議会で再び不信任案が提出され、出席議員の過半数の賛成で可決されれば、斎藤氏は失職する。

「臆せず情報提供を」兵庫・斎藤知事の文書問題で第三者委を設置 委員などに弁護士6人
2024/9/19 9:08
https://www.sankei.com/article/20240919-HRPSR4WBB5PA5JNS7KR2TBIB3Q/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、文書に記された7項目の疑惑の真偽を解明するための第三者調査委員会の初会合が18日、開かれた。県弁護士会の弁護士6人を委員などとし、報告書は来年3月をめどに取りまとめる。委員長に選任された藤本久俊氏は会合終了後、報道陣の取材に「責務の重大さは身の引き締まる思い。調査を尽くしてまいりたい」と述べた。
告発文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)の懲戒処分を決めた人事当局の内部調査の中立性を県議会が疑問視し、斎藤氏に第三者機関の設置を要請。斎藤氏が5月に設置を決定し、代表監査委員に準備を委任していた。
準備会では、委員や調査を補助する調査員として県弁護士会に推薦された弁護士6人を候補に決定。7項目の疑惑に加え、文書を公益通報の対象としなかった県の取り扱いについても対象とするよう、第三者機関へ要望するとしていた。監査委員事務局は今月12日付で6人と委託契約を締結した。
この日の初会合では、委員長に藤本氏を選任。今後の調査の流れや県へ請求する資料の確認などを行った。速やかに職員など関係者のヒアリングの実施や、ホットラインを立ち上げて情報提供を募る予定とした。公益通報も調査の対象とする可能性もあるとした。
藤本委員長は「調査が(県が)適切な組織づくりができる一助となれば。職員には非公開なので臆せずに情報提供していただきたい」と述べた。

瀬戸際の斎藤元彦兵庫知事 かつて上司の宮城・村井嘉浩知事は「一番重要なのは県民の声」
2024/9/18 15:57
https://www.sankei.com/article/20240918-U4ZX7AO6WRNTXKDJW5GS76KSBA/
兵庫県議会の不信任案提出の動きに対し辞職せず解散も辞さない構えを示している斎藤元彦知事について、斎藤氏のかつての上司である宮城県の村井嘉浩知事(全国知事会長)は18日の定例記者会見で
「自分で判断していただきたい」
「ただ、一番重要なのは県民の声がどこにあるかだ」
「それは私にはわからない」と述べた。
村井知事は直近の知事会以降、斎藤知事とは1度だけ事務的な連絡を取ったという。
「自分が同じ立場になったら、どう判断するのか」
の質問には、
「その時、考える」
と一言。
「自分自身は知事の椅子にしがみつくつもりはサラサラない」
としたうえで、一般論として
「自分が正しいと思ったことに議会が理解してくれない、『辞めろ』というならば、法律に則って判断することは当然あるだろう」
と話した。
斎藤知事は自身で
「応援する声も多くある」
と記者団に語っているが、村井知事は
「がんばれと応援する声もあれば、辞めろという声もあると思う」
「色々な意見を聞いたうえで、自身で判断すればいいと思う」
と語った。

斎藤知事、「県政改革を止めないのが私の責任の果たし方」 改めて辞職否定
2024/9/18 14:55
https://www.sankei.com/article/20240918-4I57NW2DPVIWVD2AZXUWR4YVOQ/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、19日開会の県議会に全会派一致で不信任決議案が提出されることについて、斎藤氏は18日午後、報道陣の取材に
「県政改革を止めないで前に進めていくということが私の責任の果たし方」
と述べ、辞職を改めて否定した。
不信任案は即日採決の上、可決されるのが確実な情勢。
斎藤氏は10日以内に議会解散か失職かを選択することになるが
「どのように対応していくかはこれから考えていく」
とし、解散の可能性も否定していない。
議会関係者によると、不信任案は他の議事が終了後、19日午後に自民が提出する予定で、各会派代表者が賛成討論を行う。
記名投票になるとみられ、採決は同日夕以降になる見通し。
不信任案が可決されれば斎藤氏は辞職か10日以内の県議会解散を選択することになる。
議会を解散した場合、県議選後の最初の県議会に不信任案が提出され、出席議員の過半数の賛成で可決されれば、斎藤氏は失職する。

知事による初の議会解散はあるか 兵庫知事問題は重大局面へ 市町では過去に解散事例も
2024/9/18 7:00
https://www.sankei.com/article/20240918-LELWLTSEL5IVNGSP4ARTDXOOSA/
知事に対する不信任決議案可決の事例
兵庫県の斎藤元彦知事に対する不信任決議案が19日に可決された際、斎藤氏が議会解散を選択するかが焦点となっている。
都道府県知事への不信任案が可決されたのは過去に4例。
いずれも失職か自ら辞職しており、斎藤氏が議会を解散すれば初となる。
斎藤氏は解散に含みを持たせるが、不信任に至る経緯や選挙費用の面から、専門家は
「議会解散は慎重に判断すべきだ」
と指摘する。
「法律に基づく決議なので、それに沿って自分としてどのように対応していくかをしっかり考えていきたい」
斎藤氏は17日、記者団の取材に、不信任決議を受けた場合の対応についてこう答えた。
「これからも改革を続けていきたい」
とも述べ、辞職や失職を選択しない考えをにじませた。
不信任決議は地方自治法で規定されており、不信任を受けた首長は議会を解散できる。
それぞれ住民から直接選ばれる首長と議会による二元代表制を採用する地方自治では、首長の失職につながる議会側からの不信任への対抗手段として、解散権が認められている。
■知事不信任決議後の主な流れ
都道府県知事に対する不信任案が可決されたのはこれまでに4件。
いずれも知事が辞職か失職を選び、議会が解散されたことはない。
このうち、昭和51年の岐阜県・平野三郎氏と平成18年の宮崎県・安藤忠恕(ただひろ)氏は、汚職や談合での刑事責任を問われる事態となっており、いずれも可決後に辞職。
その後の知事選へも出馬しなかった。
平成15年の徳島県・大田正氏は、大型公共事業の見直しなどに議会が反発し、不信任案が可決された。
大田氏は、失職して出直し選挙に臨んだが、落選した。
不信任を受けた後も知事を続けることができたのは、平成14年の長野県・田中康夫氏だけ。
「脱ダム宣言」
を打ち出した田中氏と対立した県議会が不信任案を可決。
田中氏は失職したが、出直し選挙で圧勝した。
一方、市町では不信任を受けた首長が議会解散を選択するケースも。
兵庫県加西市で平成19年、中川暢三氏への不信任案が可決。
中川氏は議会を解散したが、改選後の市議会でも不信任案が可決され失職。
出直し選で再選を果たした。
鹿児島県阿久根市では21年、市政運営が独善的などとして竹原信一氏の不信任案が可決。
竹原氏は市議会を解散し、再度不信任を受け失職したが、出直し選に勝利した。
斎藤氏は知事として初の議会解散に踏み切るのか。
今後、知事選には18億円程度の費用が見込まれるが、県議選も行われればさらに16億円程度が必要となる。
こうした点を踏まえ、近畿大の上ア哉教授(行政学)は
「議会解散を選択しても再び不信任を受け、失職する可能性は高く、知事の延命に過ぎなくなるのではないか」
と指摘。
「多額の税金をかけたり、さらに県政が停滞したりするだけの理由があるのかどうかを判断し、選択していくべきだ」
としている。

兵庫県議会、19日に不信任案提出へ 採決は夜か 知事は取材に「知事の判断は孤独」
2024/9/17 22:29
https://www.sankei.com/article/20240917-4R5IGAVL7VPGDAVQRQAGCASTU4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会各会派の代表者会議が17日開かれ、9月定例会初日の19日午後に、斎藤氏に対する不信任決議案を提出することを確認した。
採決は同日夕から夜になる見通しで、全会一致で可決されるとみられる。
斎藤氏は17日、県庁で記者団の取材に応じ、不信任案が可決された場合の対応について
「法律の規定に沿ってどうするか考える」
と従来の見解を繰り返した。
「知事の判断には孤独な面がある」
とし、
「自分でしっかり考え、政治家としての対応を決断していく」
とも語った。
非公開で行われた代表者会議では、19日の議事進行などを協議した。
関係者によると、午前に補正予算案などが提出され、斎藤氏の提案説明を受けて各会派が質問。
常任委員会などを挟んで午後に予算案を可決した後、不信任案の審議に移るという流れが想定されている。
最大会派の自民党が、全会派の代表者と無所属議員連名の不信任案動議を提出。
全会派と無所属議員による討論を経て、記名投票が行われる見通しで、正式なスケジュールは19日の議会運営委員会で決まる。
不信任案が可決されれば、斎藤氏は10日以内に県議会を解散することができる。
自ら辞職することもでき、解散しなければ自動的に失職。
50日以内に知事選が行われる。
議会解散を選択すれば、40日以内に県議選があり、再構成された県議会で改めて不信任案が可決されれば、斎藤氏は失職する。

<主張>兵庫県知事 身を引く決断するときだ
社説
2024/9/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20240914-NHX53YZBMBIEBFS5332JLVEWUE/
パワハラなどの疑惑が内部告発された兵庫県の斎藤元彦知事に対し、86人の全県議が辞職を求める事態となっている。
斎藤氏が応じなければ、19日開会の9月議会で不信任決議案が提出され、可決される可能性が濃厚だ。
知事の職責を果たすのが難しい状況となった以上、斎藤氏は潔く身を引く決断を下すべきだろう。
発端は幹部職員が3月、知事のパワハラなどを告発する文書を報道機関や県議に送付したことだった。
4月には県の公益通報窓口にも通報したが、県は調査結果を待たずにこの幹部を懲戒処分にした。
幹部は7月に死亡した。
自殺とみられる。
県議会調査特別委員会(百条委)による全職員アンケートでは、約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答した。
百条委が参考人として招いた公益通報保護法の専門家は県の対応について、通報を理由とした不利益な扱いを禁じた同法に違反すると指摘した。
斎藤氏は全ての疑惑を否定し、幹部の懲戒処分も
「適切だった」
と訴えてきた。
一方で百条委の証人尋問では、職員に対し大声を出したり、勤務時間外にチャットで職員を叱責したりしたことなどを認め、
「反省したい」
とも述べた。
一連の対応が不適切だったのは明白だ。
斎藤氏は辞職要求に対し
「選挙で負託を受けた」
として
「これからも県民のためにやっていきたい」
と応じない構えを見せた。
これまで行財政改革などを遂行したことへの自負や、今後更に手腕を発揮したいという思いもあるのだろうが、県議も選挙で負託を受けた県民の代表である。
全県議の辞職要求は県民の声と受け止めるべきだ。
不信任案が可決された場合、斎藤氏は10日以内に議会を解散しなければ失職する。
解散を選べば県議選が行われるが、改選後の議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任決議が成立し、議会から通知を受けた時点で失職する。
都道府県議会での不信任案可決は過去に4件あるが、知事が解散を選んだ例はない。
斎藤氏は
「自分がどういう道を進むべきかは自分が決める」
と述べたが、県政の混乱が長引けば、困るのは県民だということを自覚すべきだ。
失職に追い込まれる前に自ら辞職を申し出るのが政治家としての筋ではないか。

兵庫斎藤知事、迫られる失職か議会解散 県議会維新も不信任案共同提出、19日可決へ
2024/9/13 21:25
https://www.sankei.com/article/20240913-UH3PUOZBGRMPHOH5Y5552VPK6Q/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、日本維新の会の県議団は13日、9月議会開会日の19日に斎藤氏への不信任決議案を他会派と共同提出することを決めた。
維新県議団幹部が主要3会派に伝えた。
これで全県議が開会日の提出で一致し、即日採決・可決が確実な情勢となった。
斎藤氏は失職か議会解散かの選択を迫られることになる。
斎藤氏は13日午前、報道陣の取材に続投の意向を強調。
「(文書問題を)招いた責任はあるが、改革の歩みを止めるわけにはいかない」
「県民の未来を託されている」
と述べた。
最大会派の自民党をはじめ各会派などは12日に即時辞職を申し入れたが、拒否する姿勢を示されたことから不信任案提出を協議。
19日とする自民の案で多くの会派が合意し、維新も同調することになった。
13日は各会派が来年度当初予算に向けた県への重要政策提言を実施。
例年は知事に文書を手渡し議論の場を設けるが、各会派の要請で斎藤氏の出席が見送られ、副知事が対応した。
立憲民主党県議らでつくる「ひょうご県民連合」の迎山志保政調会長は
「不信任案が出て可決するのは確実」
「政策提言する相手は知事ではない」
と説明した。
不信任案の可決は議員3分の2以上が出席した上で、出席議員の4分の3以上の賛成が必要。
可決の場合、斎藤氏が10日以内に議会を解散しなければ失職する。
議会を解散した場合は、改選後の県議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任案が成立。
斎藤氏は議会から通知を受けた時点で失職する。

兵庫・斎藤元彦知事の進退「県民が一番迷惑。決断すべき時期」松沢成文前神奈川知事
2024/9/13 16:39
https://www.sankei.com/article/20240913-BQ5LIEIUR5HM7PFUSTFWVVE7YI/
前神奈川県知事で、日本維新の会の松沢成文参院議員は13日のフジテレビ番組で、兵庫県議会の全議員から辞職を求められている同県の斎藤元彦知事について、
「政治家の出処進退は最高の政治倫理だ」
「最後は倫理観を示し、自分の進路を決断すべき時期に来ている」
と指摘した。
斎藤氏を巡っては、9月の県議会開会日の19日に不信任決議案が提出され、可決される公算が高まっている。
松沢氏は
「不信任案が出た時点で決断して失職すべきだ」
「レッドカードに近い」
と指摘。
県庁職員のモチベーションについて、
「今回は知事が県職員にパワハラをして、公益通報制度があるのに職員を守らず自死に追い込んだ」
と断じた。
「相当知事に対する恨みはたまっているだろう」
「辞めていく職員も増える」
「県庁の活力が無くなり、結果、県民が一番迷惑する」
とも語った。
斎藤県政の展望については
「県議会との関係が冷却し、人事案件は通らなくなる」
「ほぼ機能不全だ」
と指摘し、
「兵庫県政が停滞したからには、知事に退場してもらい、次の知事を選び直すというプロセスは必要不可欠だ」
「早く次の知事を選んで、県政を立て直すべきだ」
と語った。
不信任案が可決された場合、知事は地方自治法に基づき、県議会の解散か失職を選ぶことになる。
斎藤氏は13日、可決された場合の対応について記者団に
「法律に則って、様々な選択肢があるので、それをしっかり考えていく」
と述べるにとどめている。
松沢氏は平成15〜23年に神奈川県知事を2期務めた。

「道義的責任が何かわからない」発言に看過できない 斎藤兵庫県知事に自民など4会派が辞職を申し入れ 
2024/9/13 12:55
https://www.sankei.com/article/20240913-QUQ6LZJXU5ITBFHJZSRDSEX7D4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民など4会派は12日、無所属議員4人と共同で斎藤氏の
「即時辞職」
を申し入れた。
申し入れ書の内容は次のとおり。
文書問題が惹起されてから約半年。
現在、県政への信頼は大きく損なわれ、県民のみならず全国から厳しい批判が寄せられている。
我々、兵庫県議会は51年ぶりに百条委員会を設置し、知事はじめ県幹部に向けられた7つの告発内容について真偽を明らかにすることを通じて県政の信頼回復に全力を傾注してきた。
一方、斎藤知事は、告発文書の内容に真実が存在し、文書が
「嘘八百」
ではないことが明らかになったにもかかわらず、
「文書に真実相当性がない」
という従来からの考え方を変えることなく頑なな姿勢を取り続けている。
加えて、
「道義的責任が何かわからない」
と看過できない発言が飛び出した。
参考人招致した専門家からも、公益通報者保護法からみて
「兵庫県は今も違法状態」
と断じている。
知事という職責を果たすためには、法令遵守は当然のことながら人として守るべき倫理や道徳といった道義的責任がより強く求められるが、知事の発言からは道義的責任を有している態度を見出すことはできない。
県民本位の健全な県政と職員が安心して働ける職場を1日でも早く取り戻し、新たに信任を得た知事のもとで来年度予算を編成するためには、斎藤知事の即時辞職が必要である。
よって、速やかに兵庫県知事の職を辞すことを求める。
なお、9月定例県議会までに自ら辞職を決断しない場合には、次に然るべき行動に移る覚悟である。

「感情高ぶり申し訳なかった」斎藤兵庫県知事、県議会からの辞職要求受け会見
2024/9/13 11:23
https://www.sankei.com/article/20240913-JE6UUUSSFNMHZD2JL7BH3RJVXU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民など4会派は12日、無所属議員4人と共同で斎藤氏の
「即時辞職」
を申し入れた。
自民などは不信任決議案について9月議会で提出する方向で調整している。
斎藤知事は申し入れを受け、記者団の取材に応じた。
ーー全議員からの辞職要求の申し入れを、どう受け止めたか
内容についても拝見したが私の政治姿勢に対する大変厳しい指摘を受けた。
しっかり真摯に受け止めなければならない。
今の思いとしては、文書問題の調査への対応、これから9月議会が始まるので県民生活を支えるために補正予算を出していく。
物価が大変上がっている。
具体的に家計応援キャンペーンということでプレミアム付きの商品券的なものをさせて頂く予定だ。
100億円の補正予算を提出させて頂く。
来年度予算についての議論も今本格化している。
議会からの指摘は大変重い。
私自身も、至らない点、良くない点もあるかと思うが、それでもなお県政を担をわせて頂きたい。
ーー不信任決議案の可決の動きが本格化する
不信任決議案が提出可決されれば私としては法律に則って様々な選択肢があるのでそれをしっかり考えていく。
ーー昨日、涙する場面もあったが、迷いや不安は
それは私も人間で一人の斎藤元彦という個人なので昨日は感情が高ぶりたいへん申し訳なかった。
やはり日々の文書問題に関して百条委への対応もそうだが、緊張したり不安になったりすることはある。
ーー全会派からの辞職要求は異例
こういった状況になっていることは私の努力が至らなかったからだ。
心から申し訳ないと思っている。

斎藤知事の不信任案巡り、自民と維新が主導権争いか 19日提出に前倒しの内幕
2024/9/13 7:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3Z7TY5WOVZNPLBE7WVHRH2HJLQ/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題は12日、県議会の全議員が斎藤氏に辞職を求める異例の事態に発展した。
斎藤氏はこの日も拒否する姿勢を変えず、県議会では不信任決議案の提出に向けた調整が本格化。
9月議会開会日の19日に提出、即日採決され、可決の公算が大きくなっている。
背景には斎藤氏への不信感の高まりとともに、一連の問題で主導権を握りたい主要会派の思惑も透ける。
■「しかるべき行動に」
「全会派、全議員が一致して辞職を求めることが一日も早く県政を正常化し、前に進めるための一歩となる」
即時辞職の文書を提出した後、県議会最大会派・自民党の北野実幹事長はこう強調した。
文書では、9月議会開会までに辞職しない場合は、不信任案を念頭に
「然るべき行動に移る覚悟」
と最後通告を突き付けた。
斎藤氏の進退を巡っては、6日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問における斎藤氏の答弁を踏まえ、自民が辞職を求める方針を決定。
他会派に呼びかけ、第3会派の公明党や立憲民主党議員らでつくる第4会派「ひょうご県民連合」、第5会派の共産党が共同での申し入れに合意していた。
■「抜け駆け」警戒
しかし、態度を保留していた第2会派の日本維新の会の県議団が9日、単独で辞職を要求。
他会派には、進退を巡る議会側の対応を維新が主導しているかのように映ることに警戒感も生まれた。
ある自民県議は
「維新は衆院選に向けての焦りから先に辞職要求した」
「不信任案も抜け駆け的に出すのではないか」
と神経を尖らせる。
令和6年度補正予算案など議案の審議が一区切りする9月30日などで検討されていた不信任案の提出時期は、自民を中心に前倒し論が強まった。
■予算成立は尊重
ただ、斎藤氏は
「県民の生活を守る」
などとして、補正予算案の重要性を繰り返し強調。
不信任案を優先させ、物価高対策などが盛り込まれた予算の成立がずれ込めば、議会側の責任が問われ、斎藤氏に議会解散の大義を与えかねないとの危惧もあった。
そこで自民、公明、県民連合の3会派は12日に協議。
補正予算案については必要性を理解できているとして、開会日の19日に採決することで一致し、同日の不信任案提出がほぼ固まった。

兵庫知事の不信任案、19日全会一致提出へ 各会派の調整加速 可決の公算
2024/9/12 22:47
https://www.sankei.com/article/20240912-WH6O6NC6TZJ4PPUWHA6LGRF4AY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党と公明党、立憲民主党議員らでつくる「ひょうご県民連合」は12日、9月議会開会日の19日に斎藤氏への不信任決議案を提出し、即日採決する方向で合意した。
これに先立ち自民などは斎藤氏の
「即時辞職」
を要求する文書を提出したが、斎藤氏は辞職拒否の意向を表明。
各会派は全会一致での不信任案提出に向けた調整に入った。
不信任案は可決される公算が大きく、斎藤氏は辞職か議会解散かの選択を迫られることになる。
自民、公明、県民連合、共産党の4会派は12日、無所属議員4人と共同で辞職要求の文書を副知事に提出。
日本維新の会の県議団も先行して9日に申し入れており、全議員86人が辞職を迫る異例の事態となった。
12日の申し入れ後、斎藤氏は報道陣の取材に
「厳しい指摘は真摯に受け止める」
「政策を県民のためにやっていくのが大事だ」
と改めて辞職を否定。
9月議会での不信任案提出について
「可決されれば法律に則って様々な選択肢がある」
「しっかり考えていく」
と述べた。
関係者によると、自民と公明、県民連合の3会派の幹部らは12日、不信任案の提出に向けて協議。自民と県民連合は19日に不信任案を提出し即日採決する方針を固めた。
公明は13日に合意形成するとしている。
維新も12日、9月議会で提出する方針を決定。
維新幹部によると、維新単独での提出は否定し、全会一致での提出を目指して他会派と調整を進めるとした。
地方自治法によると、不信任案の可決は議員3分の2以上が出席した上で、出席議員の4分の3以上の賛成が必要。
可決の場合、斎藤氏が10日以内に議会を解散しなければ失職する。
議会を解散した場合は、改選後の県議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任決議が成立。
斎藤氏は議会から通知を受けた時点で失職する。

兵庫知事の不信任案 自民が19日提出、即日採決へ 公明や立民会派と合意
2024/9/12 17:42
https://www.sankei.com/article/20240912-YAFOCBO3VFOH5LJFMDCLF3OIQM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党は12日、斎藤氏の不信任決議案を9月議会開会日の19日に他会派とともに提出し、即日採決を目指す方針を決めた。
関係者が明らかにした。
自民は第3会派の公明党、立憲民主党議員らでつくる第4会派の「ひょうご県民連合」と即日採決する日程で合意したという。

兵庫知事、自民などからの即時辞職要求を拒否「政策を県民のためにやる」
2024/9/12 16:47
https://www.sankei.com/article/20240912-IXGJLLRTFFMADDM4G5QUGK7BXQ/
パワハラ疑惑などを文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事は12日、県議会最大会派の自民党などからの即時辞職要求に応じない考えを改めて示した。
県庁で記者団に
「厳しい指摘で真摯に受け止めなければならない」
「政策を県民のためにしっかりやっていくのが大事だ」
と述べた。

自民など4会派、兵庫県知事に「即時辞職」申し入れ
2024/9/12 10:12
https://www.sankei.com/article/20240912-E33Y2LREANJ2HC4GG76GZL5EN4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党など4会派は12日、無所属議員4人と共同で斎藤氏の
「即時辞職」
を申し入れた。
日本維新の会の県議団も先行して9日に申し入れており、全議員86人が辞職を迫る事態となった。
応じない場合、県議会では9月議会での不信任決議案の提出を調整しており、開会初日の19日に提出する案も浮上している。
申し入れ書では、県議会調査特別委員会(百条委員会)などで告発文書に記載された疑惑が一部事実と認められたにもかかわらず、斎藤氏が一貫して
「真実相当性がない」
と主張する姿勢を問題視。
「道義的責任が何か分からない」
との発言について
「看過できない」
と指摘した。
さらに、健全な県政を取り戻すためには
「即時辞職が必要だ」
と断じ、9月議会までに辞職を決めない場合
「然るべき行動に移る覚悟だ」
と不信任案の提出を示唆した。
この日、自民と公明党、立憲民主党県議らでつくる「ひょうご県民連合」、共産党の4会派幹部らが申し入れ書を服部洋平副知事に提出。
提出後、報道陣の取材に応じた自民県議団の北野実幹事長は
「全会派全議員一致で辞職を求めることが県政を正常化し前に進める一歩」
「政治家の出処進退は自ら判断し、辞職を自ら申し出ることが筋だ」
と述べた。
斎藤氏は辞職要求に応じない可能性が高く、各会派はそれを見越して不信任案提出に向けて協議。
自民は早期退陣を求める必要があるとして、開会日の19日に提出することを視野に他会派と調整しており、可決の公算が大きい。
可決されれば斎藤氏は辞職するか、10日以内に県議会を解散するかを選ぶことになる。
議会解散となり、県議選後最初の県議会に不信任案が提出されれば、出席議員の過半数の賛成で可決される。
この場合、斎藤氏は失職となる。

「誰から聞いたんや、名前言え」「グルやったんちゃうんか」 兵庫県知事告発者捜しの全容
2024/9/12 7:00
https://www.sankei.com/article/20240912-V6OA52ENTBOYPDJ6RQADQIHFK4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、片山安孝副知事(当時)が3月、文書を作成した男性を事情聴取した際の詳細なやり取りが明らかになった。
人事権をちらつかせて情報源を探る片山氏に対し、
「噂が回っている」
とかわす男性。
片山氏が
「噂をまとめただけか。なるほど」
と語る場面もあった。
斎藤氏は
「噂話を集めた」
という男性の説明を、文書に真実相当性がないとする根拠に挙げるが、やり取りからは周囲を守ろうとする男性の意図が滲む。
「誰から聞いたんや。全部名前言え」。
2024年3月25日午前、同県上郡町にある県西播磨県民局の一室で、片山氏が当時局長だった男性を問い詰めた。
百条委の審議や関係者などによると、文書の存在を把握した斎藤氏は同21日、片山氏ら側近幹部を集めて徹底調査を指示。
22〜23日に、複数の県職員のメールを調査したところ、男性のメールから告発文書と酷似した内容が見つかった。
幹部らは男性を含め、文書の作成に関与しているとみた職員3人について、同じ時間帯にそれぞれ聴取する方針を決め、25日に着手。
男性については、片山氏が約45分間に渡って聴取した。
聴取で片山氏は
「1年間の全部の(メール)記録、今チェックさせとんねん」
と強調。
「色んな人の名前、出てきたわ。どういうこっちゃ」
「(告発文と男性のメールが)同じ内容やで」
などと質した。
自身や周囲の告発文書への関与を否定する男性。
すると、片山氏は
「(メールで)名前が出てきた者は一斉に嫌疑をかけて調べなしゃあない」
「名前出てきた者は、皆在職しとるということだけ忘れんとってくれよ」
と迫った。
「(職制上の等級を)10級に上げるっていいよったけど、どないしようかいな」。
男性と交流があった県幹部の名前を挙げて昇級見送りを示唆した他、
「警察に持ち込もうかと思ってる。一切知らんて最後まで言うの?」
といった発言もあった。
斎藤氏の側近幹部が県内企業から受領したコーヒーメーカーについて、
「こんなん皆知らんやろ。誰から聞いたんや」
と問い詰め、男性が
「みんな噂してますよ」
と否定すると、
「噂か、噂をまとめただけか。なるほど」
と引き取る場面も。
男性はこの場では文書への関与を否定し続け、片山氏は3月末の男性の退職を認めず、県民局長の職を解くことを告げた。
同じ頃、別の県幹部も小橋浩一総務部長(当時)の聴取を受けていた。
「グルやったんちゃうんか」
と詰問し、男性との通信アプリ「ライン」でのやり取りを見せるように求める小橋氏。
その最中、幹部に男性から電話がかかってきた。
「(通話を)スピーカーにせえ」。
小橋氏は小声で言い、メモ書きをみせて
「他にやったやつはいないのか」
などと聞くように指示したという。
この後、男性は人事当局の幹部に電話をかけ、
「さっき(片山氏の聴取時)はしらを切ったが、俺がやった」
と認めた。
この幹部は
「とても1人でやったとは思えない」
と疑問を呈したが、男性は
「自分1人で話をまとめた」
と譲らなかった。
斎藤氏は2024年9月11日の記者会見で、噂話との説明について
「(男性)本人がそう言っており、具体的な証拠や証言が追加されていない以上、今もそうだったと思っている」
と話した。

議会解散の判断、最短で29日までか 兵庫知事不信任案は19日提出、即日採決案が浮上 
2024/9/11 22:03
https://www.sankei.com/article/20240911-OAB46CWYOZLT5A6AWWPDBD3WD4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党(37人)が9月議会開会日の19日に、斎藤氏に対する不信任決議案を提出することを視野に他会派と調整していることが11日、関係者への取材で分かった。
全県議が斎藤氏に辞職を求める構図となっており、不信任案が提出されれば可決の公算が大きい。
可決の場合、斎藤氏は失職か議会解散かの選択を迫られるが、この日の記者会見では
「選択肢は様々ある」
と述べ、議会解散に含みを持たせた。
解散判断の期限は、最短で29日となる可能性がある。
自民と公明党、立憲民主党県議らでつくる「ひょうご県民連合」、共産党の4会派は12日、無所属議員4人と共同で辞職を申し入れる。
日本維新の会の県議団も先行して9日に申し入れたが、斎藤氏は拒否する姿勢を示している。
自民は斎藤氏が辞職要求に応じない場合、早期退陣を求める必要があると判断。
9月議会が開会する19日に不信任案を提出し、即日採決する案が浮上している。
可決し、議長から斎藤氏への通知が同日中にあった場合、斎藤氏は29日までに失職か議会解散かを判断することになる。
解散の場合は県議選が行われ、改選後の議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任決議が成立。
議会から通知を受けた時点で斎藤氏は失職する。
斎藤氏は11日の会見で、時折涙ぐみながら続投の意向を示し、不信任案に関しては
「法律の規定に基づいて判断していくことになる」
と述べた。
維新共同代表の吉村洋文大阪府知事は同日、記者団の取材に、出直し選挙となった場合の党推薦について
「今の状態であれば難しい」
と語った。

維新の吉村洋文共同代表、兵庫県知事出直し選なら斎藤氏を「推薦できない」
2024/9/11 17:45
https://www.sankei.com/article/20240911-5RL3M6CL3JPANL7ZQZ34GAJPSI/
職員へのパワハラ疑惑などを文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事について、令和3年の県知事選で推薦した日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)は11日、斎藤氏が辞職して出直し知事選に臨んだ場合の維新の対応について
「今の状態なら推薦できない」
と述べた。府庁で記者団の取材に応じた。
吉村氏は県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏らの証言を踏まえ、斎藤氏が告発文書を公益通報として扱わず、文書を作成した元県西播磨県民局長(60)=7月に死亡=を懲戒処分にしたことや、県職員に物を投げるなどのパワハラ行為を批判。
「背景や事実関係で納得できるものはない」
「百条委の証言を聞いても今の状態であれば(出直し選で)推薦できない」
と語った。
また、吉村氏は今月7日、斎藤氏に電話で連絡をとり、辞職して出直し選に出馬すべきだと進言したが、その後も斎藤氏が続投の意思を示していることについては
「残念に思う」
「間違っていることは認めて辞職すべきだ」
と述べた。

兵庫知事、定例会見で涙ぐみ「自分自身に対し悔しい」 12日予定の辞職申し入れ控え
2024/9/11 17:12
https://www.sankei.com/article/20240911-M6XLT7AAQ5LPLO53GO74NWRSVY/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る一連の疑惑が文書で告発された問題で、斎藤氏は11日午後に開かれた定例記者会見で、県議会の自民など4会派が12日に予定する辞職の申し入れに対し、
「こういう状況になったことは申し訳ないなという思い」
「自分自身に対して悔しい」
などと涙ぐみながら述べた。
斎藤氏は3年前の前回知事選で、自民の一部県議らが会派を割って支えてくれたことなどを問われ、
「重い決断の中で(自民の一部県議が)私に出馬要請をして頂いた」
などと述懐。
就任後も
「議会が終わる度に会派の控室に行った」
「そこで『頑張れよ』と言って頂いた」
などとし、自民県議らに対し
「今も感謝はしてます」
「申し訳ないという思いで私自身は今います」
などと語った。

兵庫知事、不信任案可決の場合「法律の規定に基づき対応」議会解散も否定せず
2024/9/11 12:01
https://www.sankei.com/article/20240911-KYTCGH76CZKYXKBYV2INVITW5E/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る一連の疑惑が文書で告発された問題で、斎藤氏は11日午前、報道陣の取材に応じ、県議会の全議員(86人)から辞職要求を受ける見通しとなったことについて
「まずは百条委員会や第三者機関の調査に対応すべきことが優先すべき課題だ」
と話し、
「県政を1つ1つ前に進めていくことが私の今の考え」と改めて辞職を否定した。
【一覧でみる】兵庫県の斎藤知事が受領を認めた贈答品
県議会最大会派の自民党などは9月議会が開会する19日に知事の不信任決議案を提出することも視野に入れている。
決議案が可決された場合の対応について、斎藤氏は
「法律の規定に基づいてどう対応するか考える」
と述べるにとどめた。
辞職するか、議会を解散する選択肢がある。

兵庫知事の不信任案、議会初日の19日提出を視野に 自民が各会派に呼びかけ
2024/9/11 11:35
https://www.sankei.com/article/20240911-X6XHQK3RR5LKPOMZZPOLW3NAMI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党(37人)が、9月議会開会日の19日に、斎藤氏に対する不信任決議案を提出することを視野に各会派と調整していることが11日、関係者への取材で分かった。
9日に辞職と出直し選挙を申し入れた維新に続き、自民など4会派と無所属議員4人が12日に斎藤氏に辞職を要求する予定だが、斎藤氏は応じない可能性が高く、自民の動きはそれを見越したものとみられる。
9月議会の会期は19日から10月23日までの約1カ月間の予定。
不信任案を巡っては、既に立憲民主党県議などでつくる第4会派「ひょうご県民連合」(9人)が一般質問終了後の9月30日か、補正予算案が採決される10月3日に提出する方針を示していた。
自民は、斎藤氏が12日の辞職要求に応じない場合でも、早期退陣を求める必要があると判断。
9月議会初日の19日に不信任案を提出することも視野に、公明や県民連合などと調整に入った。
各会派幹部らは11日、産経新聞の取材に
「辞職を求める知事に代表質問や一般質問をやる必要があるのか」
と述べ、自民の動きに同調する構え。
不信任案の可決には、出席議員の4分の3以上の賛成が必要で、県議会では65人が可決ライン。
12日の自民などの辞職要求で全議員86人が辞職を求める形になり、不信任案は可決される公算が大きい。
可決されれば斎藤氏は辞職するか、10日以内に県議会を解散するかを選ぶ。
解散しない場合は失職する。
議会解散となり、県議選後最初の県議会に不信任案が提出されれば、出席議員の過半数の賛成で可決できる。
この場合、斎藤氏は失職となる。

兵庫県議全86人が斎藤知事に辞職要求へ 不信任案も検討、可決か
2024/9/10 16:25
https://www.sankei.com/article/20240910-DDLB23NHTZIKVDFK2HIEA4OLCA/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会最大会派の自民党、公明党、ひょうご県民連合、共産党の4会派は10日、無所属議員4人と共同で12日午前に斎藤氏へ辞職を申し入れると発表した。
維新の会は9日に単独で申し入れており、86人いる県議会の全議員が辞職要求を突き付ける事態となった。
斎藤氏は要求に応じない考えを既に示しており、各会派は不信任決議案提出に向けた検討も本格化。
立憲民主党県議らでつくる県民連合は19日に開会する議会で提出する方針を決めており、提出された場合、可決される公算が大きい状況だ。

「県民からは激励の声の方が多い」斎藤知事 辞職は改めて否定
2024/9/10 11:54
https://www.sankei.com/article/20240910-P3KGTUPUPBJDNI26O2KFLH2D3I/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、斎藤氏は10日、県民らからの批判について
「投書などで拝見しているが、直接(批判を)受けることはあまりない」
とし、激励の声の方が多いと強調した。
同日午前、報道陣の質問に答えた。
9日には3年前の知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会が辞職などを求める申し入れを提出したが、斎藤氏は改めて辞職を否定した。
告発文書は県西播磨県民局長だった男性(60)が3月、一部の県議や報道機関などに配布。
県は同月27日に男性を解任し退職を保留した。
男性は4月ごろに文書内容を県の公益通報窓口に通報していたが、県は公益通報の調査結果を待たず5月に男性を懲戒処分とした。
男性は7月に死亡。
自殺とみられる。
男性が亡くなったことが明らかになって以降、県には斎藤氏への批判や問い合わせの電話が相次いでいる。
同月16日の定例会見で斎藤氏は、自身の身に危害を加えるという趣旨の電話が県庁に寄せられていると明かし、公務で予定していた視察を中止したと発表していた。
斎藤氏は10日、登庁時に報道陣の取材に応じ、改めて辞職を否定。
県議会からの辞職要求に応じない場合は、9月議会での不信任決議案提出が想定されるが、
「仮定の話には答えられない」
と述べた。
また、県民からの批判の声については
「『色々あるが、頑張ってくれ』という声が7月以来多いというのが私の受け止め」
と述べた。

「どういう道を進むかは自分で決める」斎藤兵庫県知事、県議会全会派からの辞職要求にも改めて辞職否定
2024/9/10 10:41
https://www.sankei.com/article/20240910-OHAY4LXAVRPXDEYR5TULM76UAY/
斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題をめぐり、県議会第2会派の「維新の会」が9日、斎藤知事に対して、辞職要求を申し入れた。
これで自民など全5会派が辞職を求める見通しだが、斎藤知事は
「予算を成立させ、県民の生活をしっかりと支える」
と改めて、取材陣に対して辞職を否定した。詳しい内容は次の通り。
ーー先ほど維新から辞職と出直し選挙を求める申し入れがあった
維新の皆さんには3年前の選挙から支援を頂いた。
改めてお礼申し上げたい。
申し入れがあったことは真摯に受け止めたい
ーー維新の申し入れに応じる考えは
私としては先日の百条委員会に出席して自分なりの考えや認識を伝えた。
県民に伝わったかというと不十分と指摘もあるだろうが自分なりの言葉で懸命に伝えた。
これから百条委、第三者機関に出席してこの問題に不安を持っている方に説明していくことが私の責務。
今月に始まる県議会。
物価高騰対策、お米が高騰するなど県民生活は苦しい。
現在、補正予算の最終調整をしているところであり、県民の暮らしをしっかり支えることが大事。
来年度予算も部局別に議論している。
県民の生活、安全安心な社会、元気な兵庫県を作るための予算施策をしっかりやっていくことが私の大きな役割だ。
ーー辞職に応じないとなると不信任決議案が可決されるのも確実な情勢、可決されると失職か議会の解散になる
県議会の判断はこれからの話。
今日の申し入れは本当に重く真摯に受け止めたい。
この後の状況については、現時点でのコメントは控えたい
ーー辞職要求を拒めば不信任決議案の公算が大きい。どんな選択肢を考えているのか
議会側がどう対応するかはまだ決まっていない段階。
仮定の状況についてのコメントは差し控える。
今は、やはり第三者機関による調査、百条委が開かれている。
知事として説明することが大事。
ハラスメントの問題も不適切なことがあったのは改めないといけない。
贈答品の問題についても社会通念上の範囲とはいえルール作りが大事。
県の公益通報も外部に窓口を設置するなど改善すべきことはしっかりやる。
ーー百条委は辞職してもやれる。県政を前に進めるなら辞職して民意を問うべきという意見もある
もちろん、色んなご指摘はあるが、私は3年前に付託を受けて選ばれた1人の政治家。
至らない所はあるが政治家としてどう対応するかは自分で判断したい。
3年しか知事はしていなくて政治家としては力が足りないところもあると思うが、県民から付託を受けた。
どういう道を進んでいくか自分が決めるのが大事だと思う。

「県政運営に支障」維新、党勢退潮で転換 斎藤知事に辞職要求 衆院選警戒も
2024/9/10 7:00
https://www.sankei.com/article/20240910-ROXN6MQQQFIJRPWCGICMO522WM/
兵庫県議会各会派が斎藤元彦知事への辞職要求で足並みを揃える中、唯一判断を保留していた第2会派の日本維新の会の県議団が9日、斎藤氏に辞職を申し入れた。
3年前の知事選で自民党と共に斎藤氏を推薦し、
「知事与党」
を自任してきた維新。
調査特別委員会(百条委員会)設置に当初反対するなどの対応は
「斎藤氏擁護」
と受け止められてきた。
だが、早期の衆院選が予想される中、党勢の退潮傾向が露わになり、方針転換を余儀なくされた格好だ。

斎藤知事への電話で「間違い認め、辞職すべきだ」 維新・吉村共同代表が進言
2024/9/10 6:30
https://www.sankei.com/article/20240910-I4DPW7OCQZN3HGDYF2PNK3RH4M/
職員へのパワハラ疑惑などを文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事について、令和3年の知事選で推薦した日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)は9日、府庁で記者団に
「権力志向で間違っていた部分がある」
と述べた。
7日に電話で辞職するよう進言したといい、やり取りを明らかにした。
吉村氏によると、斎藤氏と電話で連絡を取った際、告発文書を公益通報として扱わず、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性を懲戒処分にした斎藤氏の対応について
「初期で(判断を)方向付けるのは間違った対応だったのではないか」
と直言。
職員の前で物を投げたり、机を叩いたりした行為もパワハラに当たると指摘し
「間違いは認め、辞職すべきだ」
と伝えたという。
吉村氏は斎藤氏の疑惑について、これまでの兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏本人の証人尋問を踏まえ、
「一定の真実相当性がある」
と強調。
「権力志向で間違っていた部分があると思う」
とした上で、連絡をとった理由については
「(大阪府の財政課長時代は)優秀な職員で知事になってからも一緒に仕事をした」
「党として最終決定が出る前に直接伝えるべきだと思った」
と述べた。
斎藤氏の進退を巡っては、維新が9日に辞職を要求。
県議会最大会派の自民党など他の3会派も12日に辞職を求める方針だが、斎藤氏は応じない構えを示している。

維新の知事への辞職要望、各会派「国政選挙を見据えた焦りでは」と冷ややか
2024/9/9 21:52
https://www.sankei.com/article/20240909-6NEVXIUJQVOSXFKP3CC4SA2G3E/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、日本維新の会の県議団が9日、斎藤氏に辞職と出直し選挙を申し入れたことについて、既に辞職要求の方針を決めていた他会派からは
「(衆院の解散)総選挙を見据えて焦っているのでは」
などの声が上がった。
「党本部の意向で決めると聞いていた」
「政局を考えた維新らしい判断ではないか」。
最大会派・自民党の北野実幹事長は維新の動きをこう表した。
自民は6日の県議会調査特別委員会(百条委員会)の斎藤氏の証言内容などを踏まえ、辞職を申し入れる方針を同日中に決定。
全会派一致を目指して各会派にも呼びかけ、9日も、第3会派の公明党や立憲民主党系の第4会派「ひょうご県民連合」幹部と会合を開き、12日に申し入れ書を提出する方針を確認した。
北野氏は
「全会派で提出したかったが、維新が先に出すならそれで構わない」
と述べた。
「全会派一致であれば(斎藤氏の)受け取り方は違ったはず」
「なぜこのタイミングなのか」。
公明の会派幹部は首をかしげつつ、
「他会派と一緒では埋没すると考えたのかもしれない」
と推測した。
斎藤氏が辞任に応じなければ、9月議会で不信任決議案提出を提出する方針をいち早く決めた県民連合、上野英一幹事長は
「維新の支持率が低下しているので、国政選挙を見据えて中央(党本部)が焦って決めたことではないか」
と指摘。
他会派に先立つ提出については、
「注目を浴びるためではないか」
と冷ややかな見方を示した。

斎藤知事、「重く受け止める」維新が辞職要求も応じない意向
2024/9/9 21:36
https://www.sankei.com/article/20240909-4CSS4XS6JNIGNAHRWBYIEFZELE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、令和3年の前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会は9日、斎藤氏の辞職と出直し選挙を求める申し入れ書を服部洋平副知事に提出した。
斎藤氏は申し入れ書の提出を受け
「重く受け止めている」
「(疑惑の)調査に知事として説明することが大事だ」
と述べ、辞職要求に応じない意向を示した。
維新は県議会の第2会派。
最大会派の自民党は12日に辞職を要求する予定で、公明党と、立憲民主党議員らでつくる「ひょうご県民連合」も同調する見通し。
主要4会派が辞職を求める異例の構図だ。
申し入れ書は維新の馬場伸幸代表と県組織「兵庫維新の会」代表の片山大介参院議員、県議団の連名で、片山氏らが提出した。
県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏の説明について
「議会や県民が十分に納得できるものとは言い難い」
「県政運営に支障が生じ始めている」
と指摘。
辞職と出直し選挙を要請し、
「大局的に立った、斎藤知事の賢明な判断を強く望む」
と訴えた。
片山氏は申し入れ書の提出後、報道陣の取材に応じ
「他の党と我々のスタンスが違う」
として他会派との共同提出を否定。
維新はこれまで事実解明を優先すべきとの姿勢だったが、
「先に維新としてアクションを起こした方がいい」
「政治的思惑でなく民意を問うことが大切だ」
と強調した。
出直し選挙が実施され斎藤氏が出馬した場合、維新としての支援は
「考えていない」
と述べた。
斎藤氏が辞職要求に応じなかった場合、各会派は不信任決議案を提出する方針。

維新、吉村氏からの説得、斎藤氏「政治家同士のやりとりなので控える」と明らかにせず
2024/9/9 17:52
https://www.sankei.com/article/20240909-A36GAEDFP5KQHK3HVIKJ7DMVUE/
兵庫県議会の第2会派「維新の会」から辞職申し入れを受けた斎藤元彦知事は9日、日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)から、辞職して出直し知事選に臨むよう説得された際のやり取りについて、
「政治家同士の話なので、差し控えた方がいい」
として内容を明らかにしなかった。
県庁で記者団の取材に答えた。
維新の藤田文武幹事長が同日、国会内での記者会見で、吉村氏が同日までに、電話で斎藤氏を説得しようとしたことを明らかにしていた。
藤田氏によると、大阪府の財政課長を務めた斎藤氏と上司部下の関係だった吉村氏が、斎藤氏に出直し選で県民に信を問うように求めたところ、斎藤氏からは
「聞き置く」
との回答があったという。
斎藤氏は記者団の取材に、自身について
「政治家として3年ほどで、まだまだ経験は浅い」
としつつ、
「政治家同士の話の内容を自分からオープンにする、こういうやり取りがあったというのを言うのは控える」
などと述べた。

斎藤知事、記者団の取材に「県民の暮らし支える」 辞職申し入れに応じない考え改めて示す
2024/9/9 17:38
https://www.sankei.com/article/20240909-JPGNZFDMCJN7BHGPCDHBQTEU2M/
兵庫県の斎藤元彦知事は9日夕、県議会(定数86)第2会派「維新の会」(21)から辞職申し入れを受けた後、記者団の取材に応じ、
「申し入れがあったことは真摯に受け止める」
としつつ、予算編成などを進めることで
「県民の暮らしをしっかり支えるのが大事」
などと述べ、改めて申し入れには応じない考えを示した。
県議会調査特別委員会(百条委)での斎藤氏の対応を受け、日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」の片山大介代表が9日午後、県幹部と面会。斎藤氏に対する辞職要求と出直し選挙の実施を申し入れた。
最大会派の自民党(37人)など他会派も12日に辞職を申し入れる方針。
斎藤氏が辞職に応じなければ、県議会で不信任案が提出され、可決される公算が大きくなっている。
その場合、議会解散を選択するとの見立てもあるが、斎藤氏は
「議会側がどう対応するかはまだ決まっていない段階」
などとして、コメントは避けた。

維新共同代表の吉村大阪知事が説得「辞職し出直し選を」 斎藤知事「聞き置く」
2024/9/9 17:01
https://www.sankei.com/article/20240909-ZKHXBHYT4VKL5GUVGYEMYDWDPM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、令和3年の前回知事選で自民党とともに斎藤氏を推薦した日本維新の会の藤田文武幹事長は9日、国会内で記者会見し、維新として斎藤氏に辞職を要求する判断をした理由について、疑惑によって県政が停滞し
「推薦した党の責任として判断した」
と説明した。
また藤田氏は会見で、吉村洋文共同代表(大阪府知事)が同日までに、斎藤氏に電話で辞職を求め、出直し知事選に臨むよう説得を試みたことを明らかにした。
藤田氏によると、大阪府の財政課長を務めた斎藤氏と接点がある吉村氏が、斎藤氏に出直し選で県民に信を問うように求めたところ、斎藤氏からは
「聞き置く」
との回答があったという。
藤田氏は斎藤氏について
「冷静な判断をしてほしい」
と述べ、辞職に応じなかった場合は、県議会で維新単独での不信任決議案の提出も検討する考えを示した。
藤田氏は出直し選が実施された場合、維新として斎藤氏を支援するかについては現時点で
「判断できない」
とした。
維新は疑惑への対応について、県議会調査特別委員会(百条委員会)や第三者機関での事実解明を待つべきだとしていたが、藤田氏は
「方針転換と言わざるを得ない」
「もっと辞職を早く求めるべきだったとか、判断が遅いという批判は真正面から受け止めたい」
と語った。

維新が兵庫知事に辞職要求、党幹部「県政が停滞している」  斎藤氏は応じない構え
2024/9/9 15:47
https://www.sankei.com/article/20240909-JRD73UPWAVLMRDGRUKAVX3W7XU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、令和3年の前回知事選で自民党とともに斎藤氏を推薦した日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」の片山大介代表(参院議員)らは9日午後、県幹部と面会し、斎藤氏に対する辞職要求と出直し選挙の実施を申し入れた。
斎藤氏は応じない構え。
出直し選挙が行われ斎藤氏が出馬した場合も、維新は斎藤氏を支援しない予定としている。
県議会(定数86)で、維新会派(21人)は自民(37人)に次ぐ第2会派。
自民などは12日に辞職を要求する予定で、議会で代表質問ができる4会派全てが辞職を求める構図となった。
この日の申し入れには服部洋平副知事が応じた。
申し入れに先立ち、日本維新の会の藤田文武幹事長は9日午後に記者会見し、斎藤氏に辞職と出直し選挙を求める理由について
「(知事選で)推薦した責任がある」
「斎藤氏は潔白を主張しているが、県政の停滞を招いているのは事実だ」
とし、県議会で不信任決議案が提出された場合は
「賛同せざるを得ない」
と述べた。

「不信任ライン」超えた知事辞職要求勢力 狭まる包囲網、孤立深める斎藤氏
2024/9/9 12:28
https://www.sankei.com/article/20240909-J5KRQE2SBRP3XKYIIGKEYFCVUM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題では、最大会派の自民をはじめ、既に複数の会派が斎藤氏に辞職を要求する方向で調整を進めている。
今後の焦点は不信任決議案の提出へと移る見通しだが、維新が加わったことで辞職を求める勢力は、全議員が出席した場合の決議案可決に必要な65の
「不信任案可決ライン」
を超えた。
孤立を深める斎藤氏。
包囲網は更に狭まる展開となっている。
県議会(定数86)では最大会派の自民が12日にも斎藤氏に辞職を要求する予定を明らかにしており、第3会派の公明や、立憲民主党議員らで構成する第4会派「ひょうご県民連合」も、こうした流れに沿う方向で調整が進む。
9日午後に辞職と出直し選挙の実施を求めることを決めた第2会派の維新を合わせると、斎藤氏に対して県議会の4会派全てが辞職を求める形となった。
ただ、9日午前に県庁で報道陣の取材に応じた斎藤氏は
「真摯に受け止め反省すべきところは反省するが、進めるべき予算や事業などをしっかりやる」
と述べ、会派からの辞職要求には応じない構えを強調している。
議会が首長に進退の判断を迫る際には、辞職勧告決議案を提出して議会で採決するケースもあるが、会派からの辞職要求と同様、法的拘束力はない。
議会が知事を失職させるにはまず、不信任案を可決させることが必要となる。
これまで、斎藤氏に辞職を求めたり、求める方向で調整を進めていたりする主な勢力は自民(37人)、公明(13人)、県民連合(9人)の3会派の59人に、共産2人を加えた計61人だった。
これに第2会派の維新の21人を加えると、全議員が不信任案に票を投じたと仮定した場合の賛成票の数は単純計算で、可決に必要な65を大幅に上回ることになる。
県民連合は19日開会の9月議会の会期中に不信任案を提出する方針を示しており、一般質問終了後の30日か、補正予算案を採決する10月3日で日程を模索。
県民連合の他、自民も不信任案の提出を検討しており、これら2会派以外の勢力についても同調する可能性があるとみられる。

兵庫知事支援の維新が午後に辞職要求へ、全会派が一致 斎藤氏は応じない構え
2024/9/9 12:21
https://www.sankei.com/article/20240909-LZZEIR24FRL7TKU2ICAK3BNSOU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、令和3年の知事選で自民とともに斎藤氏を支援した県議会(定数86)第2会派「維新の会」(21人)の県議団は9日午後、斎藤氏に対し辞職と出直し選挙の実施を申し入れを行う。
維新関係者が明らかにした。
県議会の4会派が辞職を要求する構図となったが、斎藤氏は応じない構えを示している。
疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)は、告発文書を公益通報として扱わず、告発者を懲戒処分とした斎藤氏らの対応について審議した。公益通報制度に詳しい専門家2人が証言し、処分は違法だと指摘したが、斎藤氏は証人尋問の場でも
「対応に問題はなかった」
とする従来の主張を崩さなかった。
一連の斎藤氏の対応を踏まえ、維新は8日に会派や日本維新の会の幹部らが対応を協議し、
「県民の納得を得るものとは言い難い」
と判断。
維新県議団の岸口実団長は8日の協議終了後に取材に応じ
「(斎藤知事が)県民からの負託を受けたと主張するなら、辞職して民意を問う必要がある」
「(申し入れに応じなければ)不信任決議案提出しかない」
と述べた。
維新会派の県議らで構成する県組織「兵庫維新の会」代表の片山大介参院議員らが9日午後に県庁に出向き、斎藤氏に辞職と出直し選挙を求める予定で、日本維新の会も9日午後1時から藤田文武幹事長が記者会見を開き、国政政党としての考えを明らかにする。
出直し選挙が実施された場合でも、維新としては斎藤氏を支援しない予定。
斎藤氏への辞職要求を巡っては、最大会派の自民(37人)なども12日に申し入れを行う。
応じなければ各会派で不信任決議案提出の動きが強まるとみられ、斎藤氏の対応が注目される。

辞職要求に斎藤兵庫県知事は応じぬ姿勢、県議会全会派が申し入れへ
2024/9/9 10:53
https://www.sankei.com/article/20240909-MBZLJQUBUZPVZEOCSJLFWNCPPQ/
日本維新の会が斎藤元彦兵庫県知事に対し辞職を申し入れることを決め、県議会全会派から辞職要求が出る見通しとなった。
斎藤氏は9日の登庁時に取材に応じ、
「真摯に受け止め反省すべきところは反省するが、進めるべき予算や事業などをしっかりやる」
と述べ、辞職要求に応じない姿勢を示した。
自民党は6日の百条委終了後に総会を開き、辞職要求方針を決定。
不信任案には明確な理由が必要との意見があった第3会派公明党も辞職要求へと傾き、自民への同調を決めた。
立憲民主党県議らの第4会派「ひょうご県民連合」、共産党とも連携し12日に申し入れる。
告発文書は斎藤氏のパワハラなど疑惑7項目を指摘。
県幹部だった男性が報道機関などに配布後、県の公益通報窓口にも通報した。
県は公益通報者保護法の対象外と判断し、男性は懲戒処分を受けた後に死亡した。

出直し選でも斎藤氏支援せず 維新、9日に辞職要求 兵庫知事文書問題巡り
2024/9/9 0:35
https://www.sankei.com/article/20240909-3GA33AKT5FIDFPYEBEXSAD7A34/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、県議会(定数86)の第2会派の「維新の会」(21人)が斎藤氏に対し9日に辞職と出直し選挙の実施を求める方針を固めたことが8日、分かった。
維新は令和3年の知事選で自民と共に斎藤氏を推薦した経緯があり、動向が注目されていた。
斎藤氏は応じないとの見方が強いが、たとえ出直し選挙が実施されても、推薦や支援は予定しておらず、
「知事おろし」
の包囲網は一層狭まる展開となった。
県議会では、最大会派の自民(37人)が12日にも斎藤氏に辞職を要求する予定。
第3会派の公明(13人)や、立憲民主系の第4会派「ひょうご県民連合」(9人)も同調する方向で調整を進めており、全会派が辞職を求める構図となった。
疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)での2度に渡る斎藤氏の説明を踏まえ、維新では8日に会派幹部や日本維新の会幹部らが対応を協議した。
終了後、取材に応じた維新県議団の岸口実団長は
「(斎藤知事が)県民からの負託を受けたと主張するなら、辞職し民意を問う必要がある」
「(申し入れに応じなければ)不信任決議案提出しかない」
と述べた。
維新会派の県議が所属する県組織「兵庫維新の会」代表の片山大介参院議員が9日午後に県庁に出向き、斎藤氏の辞職と出直し選挙を求める。
5、6日の百条委では告発文書を公益通報として取り扱わず、告発者を懲戒処分とした決定について検証。
公益通報制度に詳しい専門家2人は処分が違法であると指摘した。
「対応に問題はなかった」
などと繰り返す斎藤氏の主張について、維新は
「県民の納得を得るものとは言い難い」
と判断した。
斎藤氏が辞職の申し入れに応じない場合、ひょうご県民連合が19日開会の9月議会の会期中に不信任決議案を提出する方針を固めている。
一般質問終了後の30日か、補正予算案を採決する10月3日の提出を模索している。
自民も不信任決議案の提出を検討しており、他の会派も追随する可能性がある。
地方自治法は、不信任案の可決には出席議員の4分の3以上の賛成が必要と規定。
不信任を受けた首長は辞職するか、10日以内に議会を解散することができ、解散しなければ失職する。
議会が解散された場合は議員選挙を実施。
選挙後初の議会で再び不信任案が提出されると、出席議員の過半数の賛成で成立し、首長は失職する。

維新が斎藤兵庫知事に対し辞職要求へ 告発文書問題で
2024/9/8 22:06
https://www.sankei.com/article/20240908-LTBZTC32AFMUFFXCOXKERQTACU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、県議会第2会派の「維新の会」が9日に斎藤氏に対し辞職と出直し選挙の実施を求める申し入れを行うことが8日、分かった。
疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏の説明では、県民が納得しがたいことなどを理由に、会派幹部や日本維新の会幹部らが8日に対応を決めた。

渦中の兵庫県知事が毎週続ける定例会見 貫くべき報道陣から逃げない姿勢
2024/9/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20240908-6SJLGQBNKJD77DUWVHBPEPKDVA/
兵庫県のホームぺージ(HP)で「知事室」をクリックすると(※スマホ版なら右上の「情報を探す」をクリックすると「知事室」が出ます)、「ようこそ知事室へ」のページに飛び、その中に「記者会見」の項目があります。
斎藤元彦知事の定例記者会見での発表内容や、記者との質疑応答が丁寧にテキスト化されています。
▼兵庫知事、夕食予約巡り「俺は知事だぞ」激怒は否定 多数のパワハラ言動指摘には「反省」
斎藤氏の定例会見は、現在世間を騒がせている斎藤氏と兵庫県の公益通報やパワハラ疑惑を巡る問題の発覚以前から、ほぼ毎週開催されています。
端緒となった元西播磨県民局長による斎藤氏らへの内部告発文書が表に出た後も、定例会見の開催頻度は変わっていません。
兵庫県のHPをたどれば、告発文書に関する質問が初めて出たのは、3月27日の知事会見でした。
この日の会見では斎藤氏側からまず「令和6年度組織改正・人事異動の概要」などの説明がありました(※会見前に人事当局も説明)。
その後の質疑応答で、内部告発者の西播磨県民局長を退職4日前に調査などのため残留させるという異例の人事変更を行ったことについて、記者が質問しています。
いくつかの関連質問の中で、内部告発文書について斎藤氏は
「当該内容の文書には、事実無根の内容が多々含まれていることなので(中略)法的な課題が凄くあると考えています」
と回答。
処分に関しては
「今後の調査結果次第ですが、本人も作成と一定の流布を認めているので、懲戒処分を行うことになると考えています」
と答えています。
さらに、退職4日前での異例の退職取り消しに至った理由などについては
「業務時間中に、嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格です」
と断罪しました。
▼「表現行き過ぎ、大変反省」兵庫知事が陳謝 死亡の元県幹部の告発文書をかつて「嘘八百」 斎藤知事の告発文書問題
一連の問題を巡っては、兵庫県議会が設置した調査特別委員会(百条委員会)で斎藤氏らの証人尋問も進んでいる上、問題発覚から半年近くが過ぎても騒動は落ち着いていません。
▼「俺は知事だぞ」発言を否定 個室用意は当然との認識示す 兵庫県議会百条委証人尋問詳報
ただ、この間、斎藤氏のパワハラ疑惑やおねだり°^惑が話題の中心になっているようですが、問題の本質は、先述した3月27日の記者会見での発言にあるように、内部告発を
「嘘八百」
とし、告発者に対して
「懲戒処分」
を予告したことではないでしょうか。
公益通報に関わる対応がどうだったのかが最大の焦点だと思います。
▼「まるで独裁者が粛清する構図」「公開ハラスメント」「組織の他山の石に」斎藤兵庫県知事の告発者処分 専門家が厳しい指摘
▼「コメント難しい」と兵庫知事 専門家の「公益通報保護法に違反する」批判に
さて、渦中の斎藤氏は、冒頭から紹介しているように問題発覚後も定例会見をほぼ毎週行っています。
知事の立場としては当然だと言えなくもないですが、毎週というのは他府県の知事と比べても少なくはありません。
一連の問題では、告発した元県民局長ら2人がすでに死亡していますし、軽々に評価することはできませんが、発言の内容は別にして、問題発覚後もペースを変えず記者の前に立ち続けていること自体は、評価に値するのではないでしょうか。
▼淡々と斎藤知事 死亡した元県民局長への懲戒処分は「適切。誹謗中傷性高かった」
自身への疑惑が浮上した際、報道陣を避ける政治家は枚挙にいとまがありません。
その点、斎藤氏は定例会見に加え、登庁時や視察先などでも記者による囲み取材に応じています。
百条委員会での証人尋問もライブで流れますし、記者やカメラから逃げることはないようです。
自身の言動への自信からでしょうか。
いずれにしても、その姿勢は今後も貫いてほしいと願っています。

「斎藤家の食卓をにぎわしただけ」おねだり°^惑に百条委員が指摘 兵庫知事は正当性主張
2024/9/8 8:00
https://www.sankei.com/article/20240908-6NAXQIZNWNJSHGW32PFHXQI5KY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、6日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)では、斎藤氏による贈答品受領についても委員から質問が相次いだ。
斎藤氏はカニやカキ、ワインなど多数の品を受け取ったことを認める一方、
「『知事に食べてほしい』という厚意で持ってきたもの」
「全てをもらわないという判断をするのは難しかった」
と正当性を強調した。
「姫路城のレゴブロックが欲しいと言ったのは事実か」。
6日の証人尋問で、委員からの質問に斎藤氏は
「欲しいというか、知事室で展示できればいいなと思ってお伝えした」
と淡々と答えた。
レゴブロックとは、世界的なブロック玩具メーカー「レゴグループ」が発売した姫路城をモチーフにしたもの。
斎藤氏は2023年6月、同社関係者らと共に武士装束で製品をPRし、自身の交流サイト(SNS)にも投稿していた。
告発文書には
「知事のおねだり体質は県庁内でも有名」
と記され、百条委が実施した職員アンケートでは、約2割が贈答品の受け取りを見聞きしたと回答。
この日の尋問では委員が贈答品を1つずつ挙げ、斎藤氏が受領の有無を答えていった。
斎藤氏が受領や提供を認めたのは、
▽播州織のネクタイ
▽スポーツチームのユニホーム
▽カキ
▽枝豆
▽ワイン
▽カニ
▽日本酒
▽岩津ネギ
▽タマネギ
▽バースデーケーキ
▽湯のみ
など。
斎藤氏はこれまで
「県産品のPRになる」
と受領の理由を説明しているが、SNSでPRしていないものもあり、証人尋問で委員は
「斎藤家の食卓を賑わしただけ」
と批判。
これに斎藤氏は
「こういったおいしいものが県内にあるんだと知ることも、大事な県知事としての仕事だ」
と反論した。
知事就任直後、秘書課に届く贈答品について
「どうなんだ」
と職員に尋ねたとも説明。
職員から
「前知事の頃からたくさん頂いている」
「届けた方のご厚意で、社交儀礼の範囲内だから食べていいですよ」
と説明を受けたと主張した。
別の委員は、前知事は贈答品を部下に分け、自身では持ち帰らなかったとする職員アンケートの回答を紹介。
1人で持ち帰ることが多いとされる斎藤氏を質した。
斎藤氏は、
「なぜ(秘書課など)特定の課の職員のみが頂けるのか」
という不公平感があるためと理由を述べた。
一方、斎藤氏は告発文書で受け取ったと指摘されたコーヒーメーカーについては返却を指示したとしている。
「なぜコーヒーメーカーだけは返却するのか」
との問いには、こう答えた。
「消費するようなものは社交儀礼の範囲で対応させていただくが、家電製品は少し違うかなというのが私の感覚ですね」

斎藤知事への辞職要求、他会派にも広がる 維新は近く判断
2024/9/7 21:23
https://www.sankei.com/article/20240907-R7HZLHPZY5KA5DZ626HP4IJVW4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会第2会派の日本維新の会の県議団(21人)は7日、会派幹部が党幹部と斎藤氏の進退に関する対応を検討。
近く斎藤氏に辞職を申し入れるか決める見通しとなった。
最大会派の自民党(37人)は、12日に辞職を申し入れることを既に決定。
斎藤氏が応じなければ、各会派で失職に繋がる不信任決議案提出の動きが強まるとみられ、斎藤氏の対応が注目される。
単独での辞職申し入れを決めていた第4会派の
「ひょうご県民連合」(9人)
の幹部は7日、自民などと共同での申し入れとする意向を明らかにした。
第3会派の公明党(13人)も足並みを揃える方向で、近く会派として正式に決める。
5、6日の県議会調査特別委員会(百条委員会)では、告発文書を公益通報として扱わず告発者を処分した斎藤氏らの対応について審議。
公益通報制度に詳しい専門家2人が対応を違法と指摘したが、斎藤氏は
「対応に問題はない」
とする従来の主張を繰り返した。
これを受け、自民は6日、臨時の県議団総会を開いて対応を協議。
全議員に呼びかけ、9月議会(19日開会)の議会運営委員会が開かれる12日に、斎藤氏に辞職を申し入れることを決めた。
自民の北野実幹事長は
「知事の判断をしっかりと促したい」
と述べた。
議会が首長に進退の判断を迫る際には、まず辞職勧告決議案を提出し、議会で採決するケースもある。
ただ、法的拘束力はなく、辞職しないことも少なくない。
今回の申し入れにも強制力はなく、かねて続投に意欲を表明している斎藤氏は応じないとの見方も強い。
その場合、ひょうご県民連合は9月議会で不信任案を提出する方針。
一般質問終了後の30日か、補正予算案を採決する10月3日の提出を模索する。
自民も不信任案の提出を視野に入れており、他の会派も追随する可能性がある。

兵庫知事、部下から進言「受けた記憶ない」 証人尋問、正当性強調も証言食い違い
2024/9/7 6:30
https://www.sankei.com/article/20240907-SC4GXCVTQFOZBKFYHA2546RABA/
「誹謗中傷性の高い文書」
「公益通報に該当するとは思っていない」。
6日の兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)で、斎藤元彦知事が2度目の証人尋問に臨んだ。
「問題はない」
「ちゃんとやってきた」。
正当性を訴える言葉からは、県トップとしての自負心がのぞいた。
ただ、告発文書を公益通報として扱わず、告発者を処分した経緯では部下の証言と食い違う点も多く、不透明感が残った。
「こういうものを入手した」。
この日の片山安孝・元副知事や、これまでの県職員による尋問での証言などによると、一連の問題で斎藤氏が最初に動いたのは3月21日。
片山氏や側近幹部計4人を知事室に呼び、告発文書を示して作成者の特定などの調査を指示した。
この際、公益通報者保護法で禁じられる告発者捜しに当たるかどうかは
「協議はしていない」
と、斎藤氏は尋問で証言。
文書の内容を否定し、
「告発というよりも誹謗中傷性の高い文書だと思った」
とも述べた。
ところが、原田剛治・産業労働部長は3月21日の協議の場で、告発文書に示されたコーヒーメーカーを受領していたと明かしたことを証言。
この点は片山氏の証言とも一致した。
文書の信憑性に関わる部分だが、斎藤氏は否定した。
文書の作成者は県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=と特定され、3月25日に片山氏が事情聴取。
最終的には5月7日に停職3カ月の懲戒処分とした。
この間、人事課は第三者委員会での調査を進言したとされるが、斎藤氏は
「進言を受けた記憶はない」
と断言。
斎藤氏の指示で公益通報の調査結果前の処分に至ったとの証言についても
「記憶上、指示をしていない」
と否定した。
尋問では告発者捜しや処分の妥当性が度々問われたが、斎藤氏は
「(文書には)真実相当性がなく、公益通報の保護要件には該当しない」
と繰り返した。
根拠の1つに挙げたのが、噂話を集めて作成したという男性の供述だ。
斎藤氏はこれまで
「噂話−」
供述だけを公表。
男性の詳しい聴取内容は開示してこなかったが、この日は片山氏による聴取の様子が明かされた。
「名前が出てきたものは一斉に嫌疑をかけて調べなしゃあないからな」。
男性の協力者とみる職員の名を挙げ、人事で不利な扱いをすると示唆する片山氏。
男性が文書作成を認めると、
「誰に聞いたんや」
と問い詰めた。
「それは言えない」
「皆噂している」
と男性が答えると、
「噂をまとめただけやということやな」
と引き取った。
情報源を守りたい男性の意図が窺えるが、斎藤氏はこの日も
「噂話を集めたと本人が言っている」
と強調。
一連の対応に道義的責任を感じないか問われると、
「道義的責任というのが何かが分からない」
と答えた。
■公益通報制度「基本的な理解ない」
斎藤元彦知事の内部告発への対応やこの日の証人尋問を踏まえ、専門家らは公益通報制度に対する基本的な理解が欠けていると口を揃える。
公益通報者保護法のガイドライン策定にも携わった明治大の高巖(たかいわお)特任教授(企業倫理)は
「告発文書は間違いなく公益通報に当たる」
「利害関係のない機関が調査して真実相当性などを判断すべきで、当事者が口を挟むことが異常だ」
と指摘する。
疑惑を指摘された斎藤氏が文書を見て誹謗中傷性が高いと判断し、告発者を捜せという指示を出すなど
「一連の流れは論外」
と評価。
「こんなにも簡単に公益通報に当たらないという結論を出す県庁に、まともな公益通報の体制などなかったのではないか」
と話す。
制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授も、公益通報に当たるかどうかの根拠を真実相当性のみに拘っているとし、
「基本的な理解がないことが明らかになった」
と指摘する。
同制度では、事業者側に通報への体制整備義務の指針を規定。
外部通報であっても、不正目的の通報を除き、通報者の特定や不利益扱いを禁じている。
兵庫県の一連の対応は
「最初の段階から間違えている」
と断じ、
「知事が文書を入手した瞬間から誹謗中傷と思い込み、知事を守ろうと周囲も忖度して拙速に動いた結果ではないか」
と指摘した。
■狭い保護対象、法改正求める声も
公益通報者保護法は、通報者を不利益な扱いから守って不正の是正を促す一方、全ての通報が保護されるわけではない点が問題視されてきた。
保護法は国民の生命、身体、財産の保護に関わる違法行為などへの通報を保護対象と規定。
食品偽装などが内部告発で相次ぎ発覚したのを機に平成18年に施行された。
ただ、今回の告発文書で指摘された地方公務員法や公選法違反の部分は規定外で保護対象とならない。
また、通報先により保護要件も異なる。
報道機関などの外部通報では、証拠資料や信用性の高い証言など疑惑が真実と信じる根拠(真実相当性)が必要とされる。
制度に詳しい三浦直樹弁護士は
「兵庫県の問題は制度の至らぬところを浮き彫りにした」
「地方公務員法などが保護対象でないのは狭すぎる」
と指摘する。
斎藤氏はこれまでの記者会見で、文書で告発された疑惑について
「大半は保護法で定められた法律違反ではない」
と強調。
更に
「信用性の高い供述などが存在せず、真実相当性が認められない」
として保護対象外と主張する。
保護法には、通報者が主張の根拠を示す資料などを外部に持ち出した場合の免責事項もない。
資料を持ち出せば、情報漏洩や守秘義務違反で逆に処分されるリスクを負う。
また、通報者捜しや通報による不利益扱いを禁じる一方、事業者側には罰則もない。
三浦弁護士は
「正義感で通報しても、現状ではハイリスク・ノーリターンだ」
と指摘。
通報者の中には自分の事例が保護対象ではないと苦しむ人もおり、
「対象を限定せず、不利益な扱いを生まないよう罰則規定を強化するといった法改正が望まれる」
と強調した。

兵庫知事、不信任案可否が焦点に 衆院選迫り各会派難しい判断迫られる
2024/9/7 6:00
https://www.sankei.com/article/20240907-527ZK4OPGFOJJHHEUEGJTLNYPU/
6日の兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)で、斎藤元彦知事は文書による疑惑告発を公益通報と扱わなかった対応について
「適切だった」
とする従来の主張を繰り返した。
今後、県議会が斎藤氏への不信任案を可決するかが焦点となる。
百条委を通じて斎藤氏への批判は高まり、不信任への流れは強まるが、議会側には斎藤氏が議会解散を選択するとの見立ても根強い。
衆院選も迫り、各会派は難しい判断を迫られている。
百条委での疑惑追及が続く中、最初に不信任案提出を決めたのは、立憲民主党議員らでつくる第4会派のひょうご県民連合(9人)。
会派幹部は
「県政が完全に停滞している」
「正常化には真相解明に加えて知事の辞職しかない」
と語る。
県民連合が単独で不信任案を提出することは可能だが、可決へのハードルは高い。
兵庫県議会(定数86)の場合、全員が出席すると65人の賛成が必要で、他会派との連携が不可欠となる。
まず、カギを握るのが最大会派の自民(37人)だ。
3年前の知事選では斎藤氏を推薦したが、今回の問題では県連会長の末松信介参院議員が事実上の辞職勧告を突きつけるなど、厳しい態度を見せている。
ある自民県議は
「百条委などの調査を待つべきだとの意見もあるが、(斎藤氏は)もう持たないのでは」
と話す。
第2会派の維新(21人)も知事選で斎藤氏を推薦した。
今回の問題では当初、百条委の設置に反対するなど斎藤氏寄りだったが、風向きは変わっている。
8月25日の大阪府箕面市長選で大阪維新の会公認の現職が敗北し、党内にショックが走った。
ある維新県議は地元で
「あの人(斎藤氏)をまだ応援しているのか」
と苦言を呈された。
早ければ今秋にも衆院解散・総選挙が想定される。
維新は兵庫で公明現職の選挙区にも候補を擁立する方針だが、激しい選挙戦が予想される。
党勢衰退は許されず、県議は
「もう(斎藤氏に)辞めてもらうしかない」
と吐露する。
第3会派の公明(13人)も難しい事情を抱える。
斎藤氏は今月4日の記者会見で、不信任を受けた場合の県議会解散を否定しなかった。
解散すれば県議選となるが、支持母体を挙げて選挙戦を展開する公明にとって、衆院選と時期が近接するのは避けたい。
会派幹部は
「他会派の動向を踏まえて判断したい」
「覚悟を決める時は決める」
と話した。

斎藤知事、告発者特定を幹部に「指示した」 自民会派、12日に辞職申し入れへ
2024/9/6 21:11
https://www.sankei.com/article/20240906-FHAFQ3CE6NKXZB35TWIDYC3OGE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏は証人尋問で、文書作成者の特定を幹部に直接指示したと認めた。
元副知事の片山安孝氏の初の尋問も行われ、斎藤氏から
「徹底的に調べてくれ」
と直接命じられたと証言した。
この日の尋問内容を受け、県議会の各会派は、斎藤氏への不信任決議案を巡る対応について協議する。
片山氏の証言などによると、斎藤氏は県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=が作成した文書を把握した翌日の3月21日、片山氏や側近の幹部を集め対応を協議。
その場で斎藤氏は
「誰がどういう目的で出したのか、徹底的に調べてくれ」
と命じたという。
斎藤氏は尋問で
「誹謗中傷性が高く、噂話を集め作成した文書」
とし
「公益通報に該当するとは今も思っていない」
と証言。
公益通報者保護法で禁じる告発者捜しに当たるとの指摘には
「内容の意図を含め、作成した人を聴取することは問題ない」
と正当性を主張した。
告発者の処分は公益通報の調査を待つべきだと人事当局が進言したとの職員の証言には
「記憶にない」
と強調。
結果を待たず処分できないか打診したとの証言にも
「処分しろと言ってない」
と否定した。
参考人として出頭した公益通報制度に詳しい山口利昭弁護士は、告発者を処分した県の対応を
「法令違反」
とし、処分が無効になる可能性に言及。
一方、斎藤氏は違法の認識は
「(今も)ありません」
と述べた。
斎藤氏への不信任案を検討している県議会最大会派の自民は、6日の百条委終了後に対応を協議。
12日に県議会の全議員に呼びかけ、斎藤氏に辞職を申し入れることを決めた。
会派幹部は
「受け入れられなければ不信任もあり得る」
と語った。

知事室に届いた食べ物の独占「ルール化した」と斎藤兵庫知事 「職員に分けると不公平」
2024/9/6 18:46
https://www.sankei.com/article/20240906-X5OQFSVOANJ7REWDI5E3AIVCXA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への2度目の証人尋問が行われた。
秘書室に届いた食べ物などを自宅に持ち帰り独占≠オていた理由について、斎藤氏は
「知事に食べてほしいと頂いたものなので、自分が食べる判断をした」
と説明。
職員と分け合わなかった理由については
「秘書課職員だけが差し入れられたものを頂くのはどうか」
とした。
委員は斎藤氏の質問で、前知事の井戸俊三氏が秘書室に届いた食べ物を
「食べや、と言って必ず皆の所に置いていた」
とする職員アンケートの記述を紹介。
斎藤氏が井戸県政の刷新を掲げていたことに触れ、差別化を図るなら
「受け取るべきではなかったのでは」
と質した。
斎藤氏は職員と分け合った場合、
「なぜ(秘書課など)特定の課の職員のみ食べられるのかという問題がある」
と不公平感について言及。
知事就任後、秘書課職員から
「届けた方の厚意で、社交辞令の範囲内だから食べていい」
と言われたといい、自身が全て消費する方針を秘書課に伝え
「ルールというか、明確化した」
と述べた。

告発者特定し処分は「ありえない話で法令違反」公益通報に詳しい弁護士、百条委で指摘
2024/9/6 18:29
https://www.sankei.com/article/20240906-4IBKDPDBYFOKBKYFGCKTMPPH6Y/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、公益通報に詳しい山口利昭弁護士(大阪弁護士会)を参考人として招いた。
文書の存在を把握した直後に告発者を特定し、公益通報の調査を待たずに告発者の元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=を停職3カ月の懲戒処分とした県当局の対応について、
「あり得ない話で法令違反」
と指弾した。
山口氏は、公益通報に当たらないとされるケースとして名誉棄損などの
「不正な目的」
がある場合があると説明した。
山口氏に先立って証言した元副知事の片山安孝氏は、メールの送受信記録の中に
「クーデター」
「革命」
といった文言が含まれていたことを理由に
「不正目的な行為であり(公益通報の)対象にならないと思っていた」
と説明。
一方、山口氏は
「事業者(県)側に立証責任があり、相当厳格な調査をしなければ『不正の目的』は認められない」
と強調し、告発者の男性による文書の配布は
「公益通報者保護法上の外部公益通報にあたる」
との認識を示した。
男性が5月に受けた停職3カ月の懲戒処分についても、
「無効となる可能性が高い」
とした。
山口氏は、消費者庁の公益通報者保護制度検討会の委員を務めており、公益通報に関連する著書もある。
一連の県の対応を踏まえ、同法の法定指針で義務付けられている公益通報への対応体制の整備ができていなかったとして、
「まだ兵庫県では違法状態が続いているという理解だ」
と批判した。

知事の不信任案可決、過去には「脱ダム」田中氏ら4例のみ 議会側の最終手段も高いハードル
2024/9/6 17:16
https://www.sankei.com/article/20240906-ZWZXSMLYMFMBNGBEFGTYU6DAHY/
住民に直接選ばれた首長と議会が相互に協力、監視、牽制する形の二元代表制を採る日本の地方自治で、首長の失職につながる不信任決議は議会側の最終手段だ。
それだけに可決へのハードルは高く、都道府県知事に対する不信任案が可決された例は4件しかない。
不信任決議は地方自治法で規定。可決には議員数の3分の2以上が出席し、その4分の3以上の賛成が必要となる。
不信任を受けた首長は辞職するか、10日以内に議会を解散することができ、解散しなければ失職する。
議会解散の場合は議員選挙を実施。選挙後初の議会で再び不信任案が提出されると、今度は出席議員の過半数の賛成で成立し、首長は失職する。
都道府県議会で実際に可決されたのは岐阜(昭和51年)、長野(平成14年)、徳島(15年)、宮崎(18年)の4回。
いずれも知事が辞職か失職を選び、議会が解散されたことはない。
長野県では、
「脱ダム宣言」
などで対立した田中康夫知事(当時)に県議会が不信任案を可決。
田中氏は失職を選んで知事選に再出馬し当選した。
ただ、不信任を受けた後も知事を続けられたのは田中氏のみ。
宮崎県では、官製談合事件の責任を問われた安藤忠恕知事(同)が辞職し、知事選で東国原英夫氏が初当選を果たした。
不信任案可決が確定的になった段階で自ら辞職するケースも。
東京都では28年、舛添要一知事(同)に対する不信任案を最大会派の自民などが提出。
可決される見通しだったが、舛添氏は採決直前に辞職した。
一方、世論の批判に晒された首長でも、一定数の議員が擁護に回って否決されることもある。
2023年7月、静岡県の川勝平太知事(同)が返納を表明した給与やボーナスを返していなかった問題で、県議会で知事に近いとされる会派が不信任案の採決で反対に回り、1票差で否決された。
青森県では平成15年、週刊誌などでセクハラ疑惑が報じられた木村守男知事(同)に不信任案が出された。
既に可決されていた辞職勧告決議案に賛成していた議員数人が不信任案では反対に回り、2票足りずに否決された。
■中央大名誉教授・佐々木信夫氏(行政学) 「政策対立のケースとは質が違う」
地方自治体は二元代表制を採用している。
首長は議会から指名されるわけではなく直接公選で選ばれ、議会は民意の代表機関として首長と競い合う関係にある。
大勢の職員を従える首長に対し、議会は監視や批判、修正といった機能を果たすことを期待されている。
不信任決議によって知事の失職か議会の解散となれば、選挙で再び民意を問うことになる。
不信任は、二元代表制における首長と議会の対立を住民の判断に委ねる制度といえる。
不信任が焦点となっている今回の兵庫県の場合は、知事の振る舞いや資質が問題視されており、政策的な問題で議会と知事が対立したケースとは質が異なる。
百条委で斎藤氏は自分に非はないと主張しており、すぐに辞職するとは考えにくい。
不信任を受けても議会が間違っているとして解散する可能性もあるが、全国レベルで報道が続いたこともあり、知事のイメージは著しく低下している。
不信任を受け入れ、自ら身を引くことを選択した方が県政刷新に貢献すると思われる。

「アイアンは1本もない」「カニはいただいた」贈答品疑惑に斎藤知事、企業との癒着は「ない」と否定
2024/9/6 17:15
https://www.sankei.com/article/20240906-O6BOQ33CCFNK5IQ5Y4F2GNPIJM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏に対する2度目の証人尋問が行われた。
告発文書に記載された贈答品疑惑について、実際にどんな贈答品があったのかの事実確認の後、委員から特定企業との癒着があったのかを問われた斎藤氏は
「癒着はない」
と否定した。
そしてゴルフクラブのアイアンを受け取った疑惑については
「一本ももらってない」
と強調したものの、出張先での視察の帰りに渡されたカニについては
「生もので、持ち帰っていただいた」
と述べた。
委員は
「知事の自宅には贈答品が山のように積まれているというのは事実か」
と質問。
斎藤氏は
「そういったことはない」
と否定した。
また、スポーツウエアメーカーとの癒着についても
「(癒着は)ない」
とし、
「スポーツ振興のため(の付き合いだった)」
と説明した。

告発者の処分は「手続きに問題ない」と斎藤知事、文書に「真実相当性はない」とも
2024/9/6 16:01
https://www.sankei.com/article/20240906-NPSOPE4BYRNW3EM33AAIGV5J3U/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への証人尋問が行われた。
斎藤氏は文書を作成した元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=を懲戒処分した県の手続きについて
「問題ない」
との認識を示した。
斎藤氏の証人尋問に先立って参考人として出頭した公益通報制度に詳しい専門家は、
「議員やマスコミに文書が送付された時点で、公益通報として扱わなければいけない」
と発言。
百条委の奥谷謙一委員長はこうした意見があったことを説明し、
「告発者を保護できていないということは、完全に県の手続きとして瑕疵がある、違法であると思うが、その認識はあるか」
と質問した。
これに対し斎藤氏は
「法的に問題はない」
「手続きとして問題はない」
と述べた。
続いて別の委員が
「公益通報保護法では扱わないといけない」
と指摘したものの、斎藤氏は
「真実相当性がないので公益通報の保護要件に該当しない」
と改めて強調した。

「道義的責任ない」「法的にも適切」と斎藤兵庫知事 告発文書問題で県政混乱との指摘に
2024/9/6 16:10
https://www.sankei.com/article/20240906-6V6DXYAQPRNOBDGBVDCKAUDLLE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への2度目の証人尋問が行われた。
委員から、元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=の告発文書を巡る一連の対応への道義的責任を問われた斎藤氏は
「ちゃんとやってきた」
と述べ、責任はないとの認識を示した。
委員は、これまでの証人尋問によって告発文書に一部事実が含まれていることが判明したとし、告発文書への対応によって県政に混乱を招いた点について
「道義的責任を感じないか」
と質問。
これに対し斎藤氏は
「1つ1つ対応を積み重ねている」
「法的にも適切にやっている」
「道義的責任を指摘されるが、私としてはちゃんとやってきた」
と強調した。

告発文書調査は「第三者委で」との提案は「なかった」と斎藤知事 元副知事と証言食い違い
2024/9/6 15:48
https://www.sankei.com/article/20240906-VEY5YDGPARIFVMOLEZLFG5Z6XI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への証人尋問が行われた。
斎藤氏は3月、元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が作成した告発文書の存在を知った後、県幹部に文書作成者の特定や動機などの調査を指示。
委員は、こうした調査を第三者委員会を設置して行うべきだと人事課や幹部らから提案を受けたのではないかと斎藤氏に尋ねたが、斎藤氏は
「進言された記憶はない」
と強調した。
斎藤氏に先立つこの日午前の証人尋問で、片山安孝元副知事は、3月に人事課などが第三者委による調査を斎藤氏に提案したと証言。
片山氏は、斎藤氏から
「(調査に)時間がかかる」
ことを理由に退けられたと述べており、斎藤氏と最側近との間で証言が食い違った。

告発文書作成者探し「誹謗中傷性が高く問題ない」と斎藤知事、2度目の百条委尋問始まる
2024/9/6 15:39
https://www.sankei.com/article/20240906-P34Y7U2BFJMCTIHOFHMRDZUQSM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)で6日午後、8月30日に続く斎藤氏に対する2度目の証人尋問が始まった。
告発文書を作成した元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=に対する処分が、公益通報者保護法に違反するとの指摘が専門家らから出ており、処分の経緯などについて委員が質問した。
同法では、告発者探しや通報による不利益扱いが禁じられている。
県幹部らは、斎藤氏が文書の存在を把握した後、作成者として疑われた元県民局長に対する事情聴取を3月25日に実施。
この対応の是非について斎藤氏は
「告発というより誹謗中傷性の高い文書と思っていたので、作成した人への聴取は問題ない」
との認識を示した。

辞職進言を斎藤知事拒絶「法的におかしくない」「辞める選択肢ない」 百条委で元副知事
2024/9/6 12:46
https://www.sankei.com/article/20240906-K2ACHTA7N5IXVK7VMDYZ3UZTMQ/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
4月に元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が公益通報窓口に告発文書を提出した後、斎藤氏に辞職を促したものの
「この件について自分は何ら法的におかしいことはしていない」
「そのことをきっちり主張していく」
として拒否されたことを明かした。
片山氏は7月の記者会見で
「知事の代わりに辞めるのではなく、副知事としての責任を取る」
と述べ、副知事を辞職。
この際、斎藤氏に対して計5回に渡り辞職を進言したが、受け入れられなかったと明かしていた。
片山氏はこの日の証人尋問で、計5回のうち3回の場では
「政治的に非常に大きな動きになっている」
「知事をお辞めになり、選挙に出て県民の信を問うべきだ」
と進言したと述べた。
元局長が死亡した後には
「誰かが責任を取らなければならない」
とも伝えたが、斎藤氏は
「辞めるという選択肢ない」
などと応じ、辞職を否定し続けたという。

告発者守るとの認識「ありませんでした」片山元副知事 百条委で証言
2024/9/6 11:53
https://www.sankei.com/article/20240906-ZYEEQJ2OUZKPRGWCNCSTEXPUYE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が公益通報の保護対象であるという認識について問われた片山氏は、
「文書の作成意図が不正な目的に基づくものと思っていた」
ことを理由に
「(当時は認識が)ありませんでした」
と証言した。
また、告発文書の内容を、第三者機関で調査するという案を示したものの
「(調査に)時間がかかる」
ことを理由に斎藤氏に退けられていたとも明かした。

生前の元局長を厳しく追及、片山副知事「反省している」 百条委で証言
2024/9/6 11:35
https://www.sankei.com/article/20240906-3PLBFHB2FFO2RLKRIF6TWMCIPM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
片山氏は告発文書について調査を進めていた3月25日に、元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=を事情聴取し、厳しく追及したことを認めた。
百条委の奥谷謙一委員長はこの日、事情聴取の内容を記録した音声データの反訳文を読み上げ、片山氏に発言内容について確認を求めた。
片山氏は、
「俺としては、(告発文書に)名前が出てきたものは一斉に嫌疑をかけて調べなしゃーない」
「名前が出てきたものはみな在職しとるということを忘れん取ってくれよな」
と詰問したことを認めつつ、
「斎藤政権に大きなダメージを与える」
「転覆させるような計画があり、不正な目的だと思った」
などと詰問の理由を述べた。
そして
「発言に厳しいところがあったことは反省している」
と語った。
片山氏は、告発文書で
「斎藤氏の政治資金パーティー券を商工会議所などに大量購入させた」
など3項目の疑惑を指摘されていた。
県産業労働部長の原田剛治氏のこれまでの証言によると、斎藤知事ら県幹部が出席し、告発者探しをすると決めた3月21日の幹部会議の場に同席していたとされる。
片山氏は県議会で百条委を設置する動きが出た際、設置しないよう自民議員らに打診。
「自分が責任を取って辞職する」
「百条委員会はやめてください」
などと持ちかけていたことが判明している。
7月に副知事の辞職を表明した際には、報道陣の前で
「知事を支えられなかった」
と号泣。
「知事の代わりに辞めるのではなく、副知事としての責任を取る」
とし、斎藤氏に対しては5回に渡って辞職するよう進言したが、拒否されたことを明らかにしていた。

告発文書を「徹底的に調べろ」と知事が指示 片山元副知事が百条委で証言
2024/9/6 10:59
https://www.sankei.com/article/20240906-73HKQ6MYUJIMLEB4AEKWHIKDQI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
片山氏は3月21日に斎藤氏に呼び出され、元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が作成した告発文書を示し、
「徹底的に調べろ」
と知事から直接命じられたと証言した。

兵庫知事、処分先行証言に「まさにそこは自分の考え述べる」 告発文書問題
2024/9/6 10:55
https://www.sankei.com/article/20240906-H7XLRTB44FMZLCN7K3MRYILC5U/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、斎藤氏が6日午前、報道陣の取材に応じた。
疑惑を検証する県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問で告発者による公益通報の調査よりも処分を先行したとの証言が出たことについて、斎藤氏は
「そこはまさに百条委の場で自分の考えを述べさせて頂きたい」
と話した。
同日午前に元副知事の片山安孝氏、午後に斎藤氏の尋問を予定しており、斎藤氏は
「公益通報に関することを含めて自分の認識、考えをしっかり述べさせて頂く」
とも話した。

告発文書のプライバシー情報「副知事から聞いた」県部長、前日証言を翻す 百条委で
2024/9/6 10:47
https://www.sankei.com/article/20240906-ZIIBIQCNBZNGZMSYQBX26OMQWA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が6日始まった。
5日に続き県産業労働部長の原田剛治氏が証人尋問に臨み、告発者のパソコンにあったプライバシーに関する情報について、人事課から聞いたとしていた5日の証言を訂正。
「(当時の)片山副知事から連絡を受けた」
と述べた。
5日の証言内容に誤りがあったとして、原田氏本人から訂正の申し出があった。
原田氏は、5日の尋問で告発者のプライバシーに関する情報に触れたことを認めた上で、情報を聞いた経緯を問う委員に対し
「あやふやですが、人事課長、副課長ぐらいだったと記憶している」
と回答していた。
告発文書は元西播磨県民局長の男性(60)=死亡=が作成し、3月に一部の報道機関や県議らに配布。
斎藤氏のパワハラや、企業から贈答品を受領した
「おねだり」
など7項目の疑惑が示されていた。
男性は告発文書を県の公益通報窓口にも届けたが、県は通報者への不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法の対象にならないと判断。
内部調査を進めた上で誹謗中傷と認定し、5月に停職3カ月とした。
これに対し調査の中立性を疑う声が噴出し、県議会が6月、百条委を設置。男性は7月に証言予定だったが、同月7日に死亡した。

「まるで独裁者が粛清する構図」「公開ハラスメント」「組織の他山の石に」斎藤兵庫県知事の告発者処分 専門家が厳しい指摘
2024/9/6 10:02
https://www.sankei.com/article/20240906-HO3JUC3YPJMZNHUJGDULOZA3JQ/
兵庫県の元西播磨県民局長(7月に死亡)が斎藤元彦知事らを告発した文書の内容を検証する県議会特別調査委員会(百条委員会)が5日開かれた。
告発者の県民局長を公益通報の保護対象とせずに懲戒処分した妥当性を調査するために時間が割かれ、公益通報制度に詳しい上智大学の奥山俊宏教授が参考人として意見を述べた。
主な内容は次の通り。
■攻撃の典型パターン
西播磨県民局長が解任されたことが新聞で報じられた3月28日から私はひとかたならぬ関心をこの件に抱き、事態の推移を注視してきました。
内部告発された側が、告発者に対して示す反応には1つの典型的なパターンがあります。
告発者、中でも、本質的で重要な不正について告発をした人は、大抵、ある事、ない事織り交ぜて誇張され、人格攻撃に晒される。
これは日本に限った話ではなく、古今東西に見られる共通の現象です。
内部告発が別の新たな内部告発を呼び起こすことが往々にしてあるが、そういうことがないように、告発者に悲惨な末路を押しつけ、見せしめにするのです。
8月30日のこの場での証人尋問で、斎藤知事は、その文書を作成したのが西播磨県民局長だと知った時には
「本当に悔しい辛い思いがあった」
と明かしています。
3月27日の記者会見で西播磨県民局長に浴びせた
「公務員失格」
との言葉について先週の証人尋問で斎藤知事は、
「その悲しい辛い思いから、やはりああいった表現ということをさせて頂いた」
とも認めています。
これらの知事の説明は、個人的な感情に突き動かされた末に、3月27日の記者会見での、あのような言動に及んだことを認めるも同然だと私には思えます。
しかし、そういう感情に駆られて、県の行政府のトップである権力者が公の場で部下のいち個人に対していわば
「公開ハラスメントに及ぶ」、
ということは許されません。
さらに証人尋問で、斎藤知事は
「誹謗中傷性の高い文書だという風に私、県としては認識しました」
という風に述べました。
「私として認識」
と言いかけて、
「県として認識」
と言い換えています。
しかしながら、この場合、
「私」
である斎藤元彦さん個人と、行政機関としての
「県」
を同視することはできません。
行政機関としての県ならば、悔しかったり悲しかったり辛かったりすることはなく、そういう感情を抜きにして、バイアスなく冷静にあの文書を見定めなければなりません。
兵庫県が誹謗中傷性が高い文書と認識してしまいそこから全てをスタートさせてしまった理由は、そのまさに
「認識」
の担い手が、文書の内容と無関係の第三者ではなく、斎藤知事や副知事、総務部長ら、あの文書で告発の矛先を向けられている当人たちだったからです。
本来ならば、そういう人たちは、あの告発文書に関する県行政としての判断への関与から自ら忌避、身を引くべきだったと私は思います。
なのに、真逆の行動を選んだ。
だから、冷静な対応ができなかった。
まるで独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図を描いてしまった、そう思われます。
■不利益扱いで違法
私の、見ます所、今回の告発文書には様々な内容が含まれています。
その真実性や真実相当性の程度は様々だと思われます。
噂話程度の内容も含まれているのかもしれませんが、直接それを見聞きした人から聞き取って裏付けられていると思われる内容もあります。
外形的な事実関係が大筋で概ね正しいと言える内容が多々含まれています。
意図的なウソ、虚偽は見当たらないように思われます。
軽々に全体的な印象、一部を切り取って
「真実相当性なし」
「公益通報に該当せず」
と判断するのではなく、丁寧な判断が必要だった。
あの段階、5月初旬、あの程度の状況で
「公益通報に当たらない」、
と判断したのは拙速に過ぎたという風に、私にはそう思われます。
結果的に、告発文書には、法的に保護されるべき
「公益通報」
が含まれていることが今や明らかになっていると思われますので、知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反し、告発者への不利益扱いは禁止されます。
パソコンの押収、圧迫的な事情聴取、県民局長の解職、退職の保留、懲戒処分は全て、公益通報者保護法に違反する不利益扱いで、違法ということになります。
■組織の「他山の石」に
この問題を巡って、今、世の中で多くの人が怒り、それはまるで沸騰しているようです。
声を上げた男性職員の、大変に不幸な結末が、他の職員を萎縮させるのではないか、兵庫県庁だけでなく、日本中のあちこちの職場で働く多くの人たちをして、内部告発の声を上げづらくさせるのではないか、と心配する声があります。
その結果、不正が放置されてしまいがちになってしまう恐れがあります。
その時立ち上がったのが、兵庫県議会であり、この特別委員会(百条委員会)であると思います。
この特別委員会が真摯に対応しておられること、そのプロセスが模範となって、今後の日本社会で正当な内部告発が真剣に取り扱われることが当たり前となることを私は強く願っています。
斎藤知事は公益通報に関する基本的な知識の欠如と思い込みで、前時代的な対応を取ってしまったが、斎藤知事に限らず全ての組織の上に立つ人間にとって他山の石にすべきだと思います。

「処分は適切だった」と繰り返す斎藤知事、県議会百条委にきょう午後出頭へ 何を語るのか
2024/9/6 9:00
https://www.sankei.com/article/20240906-A7VV23CXMROK7KWY7OIBLZH36E/
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれる。
5日に続き、告発者を公益通報として扱わなかった県の対応などが審議対象となり、斎藤氏や、元副知事の片山安孝氏の証人尋問が行われる。
5日の証人尋問では、公益通報制度の専門家が告発者処分を巡る斎藤氏らの対応について、公益通報者保護法に違反していると指摘。
文書に名前が挙がった側近幹部からは、斎藤氏が告発者の特定などを指示したとの証言もあった。
斎藤氏は処分は適切だったと繰り返し主張しており、証人尋問でどう説明するのか注目される。
告発文書は3月中旬、元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が作成し、一部の報道機関や県議らに配布した。
同20日には斎藤氏が文書の存在を把握し、その後、男性を告発者と特定。
27日には県民局長の職を解いた上で、会見で法的措置も示唆して
「噓八百」
「公務員として失格」
などと男性を一方的に非難した。
県は5月7日に男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
5日の証人尋問で証言した産業労働部長の原田剛治氏によると、斎藤氏は文書を把握した翌日の21日、知事室に、いずれも文書に記載のあった片山氏や、前理事の小橋浩一氏、前総務部長の井ノ本知明氏、原田氏を集めて、文書への対応を協議した。
原田氏はこの場で
「皆で(文書の作成者は)元局長じゃないかと話した」
と説明。
知事の指示で職員のメールなどを調べることになったと証言した。

訴えられてる本人が訴えの正当性を判断すること自体が不当だ。

急いだ処分、守らなかった通報者 百条委で見えた告発者処分強行の構図 知事は何を語るか
2024/9/6 7:00
https://www.sankei.com/article/20240906-VEUKH3L2YNLZRPAGSSK53TAZDE/
告発者の処分は正しかったのか−。
兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)で5日、元県西播磨県民局長の男性(60)を公益通報の保護対象とせず、処分した斎藤元彦知事らの対応が審議された。
「処分は適切だった」
と主張する斎藤氏。
だが、この日の百条委では、専門家が
「公益通報者保護法に違反している」
と指摘し、斎藤氏の主張を揺るがしかねない証言も出た。
6日には斎藤氏の他、片山安孝・元副知事の尋問が予定されており、何を語るのか注目される。
この日午前に始まった百条委。
初めに、公益通報制度に詳しい上智大の奥山俊宏教授が参考人として出頭し、男性を処分した斎藤氏らの対応について見解を述べた。
男性が匿名で告発文書を作成、配布したのは3月中旬。
斎藤氏は男性を告発者と特定し、同27日に県民局長を解任して内部調査を始めた。
男性は4月4日、県の公益通報窓口に文書とほぼ同じ内容を通報。
しかし、県は5月7日に
「文書の核心的な部分が事実ではない」
として停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は7月に死亡、自殺とみられる。
同法では通報者の保護が定められているが、斎藤氏は、男性が告発文書を
「噂話を集めて作成した」
と話したと説明。
告発文書には
「信ずるに足る相当な理由(真実相当性)がなく、公益通報には当たらない」
との主張を繰り返している。
だがこの日、奥山氏は告発文書には大筋で正しい内容も多々あり、公益通報が含まれていることは明らかだと評価。
その上で、男性を早期に処分した斎藤氏らの対応について、
「軽々に公益通報に該当しないと判断せず、公益通報に関する調査が終わるのを待つべきだった」
と指摘した。
また3月27日の記者会見で、斎藤氏が
「公務員失格」
などと男性を非難したことに触れ
「県の行政府のトップである権力者が、公の場で部下の一個人に対して、いわば公開パワーハラスメントに及ぶことは許されない」
と言及。
斎藤氏の主張を真っ向から否定した。
□□□ □□□
午後に証人として出頭したのは、県の内部調査に協力した藤原正広弁護士。
藤原氏は県の人事課から
「内部通報に関わらず、処分できるか」
と相談を受けた際、文書に真実相当性がなく
「処分は可能」
と回答したと証言した。
藤原氏のこうした回答や協力は、斎藤氏が内部調査について
「第三者性が保たれており、客観性がある」
と主張する根拠となっている。
藤原氏は尋問で
「(処分後に)裁判にも耐えられるだけの調査が行われたという意味で(調査には)客観性がある」
と強調した。
ただ一方で、自身が県から依頼された立場であることなどから、広く県民から納得されるという意味において
「客観性はない」
と認めた。
処分を巡っては、斎藤氏が
「噂話を集めて作成した」
との文言だけを男性の供述内容として公表していることに、
「恣意的だ」
などと批判が集まっている。
斎藤氏はこれまで、処分に至る詳しい経緯の開示を拒否。
百条委で求められれば証言するとしている。
6日の証人尋問の結果次第では、県議会が不信任決議に向かう可能性もあり、斎藤氏がどのように正当性を示せるのかが焦点となりそうだ。

兵庫県人事課「第三者機関設置しては」と上層部に進言するも内部調査だけで告発者を処分
2024/9/5 22:10
https://www.sankei.com/article/20240905-QNLMB6DERJPSHN2WXM3FZGJ5CI/
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑が文書で告発された問題で、斎藤氏が文書の存在を把握した直後の3月下旬、県人事課が第三者機関の設置を斎藤氏に提案していたことが5日、関係者などへの取材で分かった。
同日の県議会調査特別委員会(百条委員会)の非公開の証人尋問で、県の幹部が証言した。
この時は設置されず、斎藤氏は人事課による内部調査で告発者を処分。
その後、調査の中立性を疑問視する県議会の要請を受け、第三者機関の設置を決めた。
斎藤氏が文書の存在を把握したのは3月20日。
百条委終了後に報道陣の取材に応じた奥谷謙一委員長などによると、同23日に人事課の幹部と知事との協議の場で、調査の必要性が話題となり、24日頃、人事課が弁護士などを入れた第三者機関の設置案を当時総務部長だった小橋浩一・前理事に提出したという。
非公開の尋問では、この案について、県の特別弁護士の藤原正広氏に問い合わせたところ、
「経費もかかる」
といった意見が伝えられたとの証言もあった。
結果的にこのタイミングでの設置は見送られ、県は同27日に告発者の男性を解任し、懲戒処分に向けた内部調査を始めた。
設置されなかった理由は不明という。

視察中、斎藤知事が「コーヒー好き」と発言、「コーヒーメーカー贈る」と提案あったが断る
2024/9/5 17:46
https://www.sankei.com/article/20240905-M6AQO6ICVFJIZL4P7BXTOWAAUY/
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑が文書で告発された問題を巡る5日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、県産業労働部長の原田剛治氏が、県内企業から高級コーヒーメーカーを受領した経緯について証言した。
斎藤氏は企業を視察した際、
「僕もコーヒー好きなんですよ」
と発言。
企業側からコーヒーメーカーを贈ると提案があったが、その場には報道陣らが大勢いたため、
「『受け取るのは適切じゃないよね』とお断りになった」
などと明かした。
原田氏は、文書にも名前が記載されている知事の側近の1人。
証言などによると、2023年8月、斎藤氏と共に家電や調理器具を製造している県内企業を視察した。
その際、高級コーヒーメーカーなどの商品が陳列された場所で、斎藤氏が担当者に
「僕もコーヒー好きなんです」
と発言。
すると、担当者から
「ぜひ使ってください」
と提案があったが、斎藤氏はその場で断ったという。
原田氏は、
「(報道陣ら)人が多くいたので『個人として受け取るのは適切じゃないよね』という話になり、お断りになった」
と証言した。
原田氏はその後、企業の担当者から
「PRになる」
との申し出を受け、自身が商品を発送してもらい、県庁内に保管。
告発文書が出回った後の2024年4月、未開封のまま同社に返却したとした。

告発文書は誰が書いたか、知事から作成者特定の指示 協議同席の兵庫県部長が証人出頭 
2024/9/5 16:25
https://www.sankei.com/article/20240905-UCKJZUGCVFL7RLBWPUZQMKSUNA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡る5日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、県産業労働部長の原田剛治氏が証人として出頭した。
原田氏は文書の存在を把握した知事が、県幹部らと対応を協議した場に同席。
知事から作成者の特定などの指示があったと証言した。
原田氏は、文書にも名前が記載されている知事の側近の1人。
証言などによると、斎藤氏は、県西播磨県民局長だった男性(60)が文書を作成、配布した後の3月20日に文書の存在を把握。
翌21日夕に、文書に名前が挙がった元副知事の片山安孝氏、前理事の小橋浩一氏、前総務部長の井ノ本知明氏、原田氏の5人が知事室で文書について協議したという。
原田氏はその際、
「皆で元局長じゃないかと話したことを覚えている」
「我々の名前や人事の話もあって総合的に元局長ではないかと推測した」
と言及。
「文書の内容がほんまかなというのを抑えていこうという話になった」
「その時は(職員の)メールを調べることになった」
と述べ、誰からの指示かとの問いには
「知事からの」
などと証言した。

百条委、兵庫県の内部調査に協力した弁護士 県民に納得される「客観性はない」と認める
2024/9/5 15:56
https://www.sankei.com/article/20240905-U2QGMIH6ZJJVHKCFN5DN233ARM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、5日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)で、告発者の処分に向けた県の内部調査に協力した弁護士が証人として出頭した。
弁護士は
「(告発文書は)不利益取り扱いが禁止される外部通報ではない」
とし、処分は正当だったとの見解を示した。
一方で内部調査については、自身が県から依頼されている立場であることなどから、広く県民から納得されるような
「客観性はない」
と認めた。
証言したのは、県からの法律相談に乗る特別弁護士を務めている藤原正広氏(兵庫県弁護士会)。
百条委での証言などによると、県人事課が4月1日から、藤原氏に処分についての助言を求めるようになった。
告発文書を作成した県西播磨県民局長だった男性(60)は、同月4日に県の公益通報窓口に告発文書と同様の内容を通報。
その後、人事課から
「内部通報に関わらず、処分できるか」
と相談があり、藤原氏は、文書に真実だと信じる相当な理由がなく、告発者の利益を守る対象ではないため、
「処分は可能」
という趣旨の回答をしたという。
真実相当性がないと判断したのは、
「(告発文書が)居酒屋などで聞いた単なる噂話で作成された」
ためだと説明。
告発内容が噂話を基にしているかどうかは、人事課から提示された資料を基に判断したとし、文書の記載内容の真偽について自ら調査したことはないとした。
斎藤氏はこれまで、内部調査について、藤原氏に相談していることを根拠に
「第三者性が保たれており、客観性がある」
と主張。
男性の処分は問題ないとの認識を示している。
藤原氏は尋問で、調査について
「(処分後に)裁判にも耐えられるだけの調査が行われたという意味で客観性がある」
と強調した。
一方で委員から、弁護士は依頼者である県の利益を最優先するため、
「広く県民が納得するような客観性はないのではないか」
と指摘されると、
「客観性の意味の捉え方次第で、そういう意味で考えるのであれば客観性はないということになる」
と述べた。

「コメント難しい」と兵庫知事 専門家の「公益通報保護法に違反する」批判に
2024/9/5 11:59
https://www.sankei.com/article/20240905-46SBGL3HWFMXZGHHR3E3TGT7II/
兵庫県の斎藤元彦知事は5日午前、報道陣の取材に応じた。
斎藤氏は、男性の処分を巡る一連の対応について百条委で専門家から公益通報者保護法違反と指摘された点について
「内容を承知していないのでコメントは難しい」
とし、
「今回の処分は裁判になっても対応できるようにやってきたので、私としては問題ないと思っていた」
と述べた。

「公益通報保護法に違反する」斎藤知事らのふるまいを専門家が批判 百条委尋問
2024/9/5 11:44
https://www.sankei.com/article/20240905-2MGC56VF4VMG5MYJSLSHRQBD3U/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、5日に始まった県議会調査特別委員会(百条委員会)で、参考人として出頭した上智大の奥山俊宏教授は
「(告発文書を)公益通報に当たらないと判断したのは拙速過ぎ」
「知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると考える」
と指摘した。
公益通報制度に詳しい奥山氏は、県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=が作成、配布した告発文書について、直接見聞きした人から聞き取り、外形的な事実関係が大筋で正しい内容も多々あり、公益通報が含まれていることは明らかだと評価した。
その上で、男性を早期に処分した斎藤氏らの対応について、
「軽々に公益通報に該当しないと判断せず、公益通報に関する調査が終わるのを待つべきだった」
「知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると考えられる」
と断じた。

百条委尋問 通報者保護法違反と専門家、兵庫知事を批判「公開パワハラ」とも指摘
2024/9/5 11:30
https://www.sankei.com/article/20240905-NNLE3YPULZPHFMDRCYPHXM2DII/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が5日開かれ、参考人として出席した上智大の奥山俊宏教授は告発文書に公益通報が含まれていることは明らかだと指摘し、斎藤氏らの対応は
「公益通報者保護法に違反する」
との見方を示した。
文書を作成した元県幹部の男性について斎藤氏が
「公務員失格」
と記者会見で発言したことも
「いわば公開パワハラ。許されない」
と批判した。
午後には贈答品受領疑惑も含めた検証が始まり、側近幹部や県の特別弁護士らを尋問する。
6日は午前に副知事を辞職した片山安孝氏、午後に斎藤氏の尋問がある。
日本維新の会は証言内容を踏まえ斎藤氏への不信任決議案を出すかどうか判断すると表明しており、県議会最大会派の自民党も6日夜に総会を開き対応を協議する。

告発者処分のキーマン、前総務部長が百条委欠席 心身の不調や殺害予告理由に
2024/9/5 10:35
https://www.sankei.com/article/20240905-FK7RVWHXXVPNVKWSROESKGW2AQ/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が5日午前、始まった。
冒頭で、午後に証人として出頭予定だった前総務部長の井ノ本知明氏は、心身の不調や脅迫があったことなどを理由に欠席することが報告された。
井ノ本氏は県の人事当局トップとして、文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=の懲戒処分を主導したとされる。
証人尋問では、当時の経緯や斎藤氏とのやり取りなどについて、どのように証言するか注目されていた。
8月に病気療養を理由に総務部付(部長級)に異動。
告発内容とは関係がない男性の私的情報を漏洩した疑いがあるとして、県は井ノ本氏の調査を検討している。
井ノ本氏は、心身の不調が回復しないことや自身への殺害予告があったことなどを挙げ、4日付で欠席届を提出したという。
この日の百条委ではまず、公益通報制度に詳しい上智大の奥山俊宏教授が参考人として出頭。
男性が県の公益通報窓口に通報後、内部調査で男性を懲戒処分とした県の対応について意見を述べる。
午後には、県内企業から高級コーヒーメーカーを受領した産業労働部長の原田剛治氏が証言する。
受領が判明した直後、原田氏は斎藤氏からの指示について否定していた。
6日には、元副知事の片山安孝氏と、斎藤氏の証人尋問が予定されている。

百条委尋問、文書記載の幹部らが証言へ 贈答品受け取り疑惑など検証 6日には知事も
2024/9/5 9:35
https://www.sankei.com/article/20240905-4RG3TUPNY5KV3EBTAMJOVAJ6MI/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が5日午前9時45分から始まり、いずれも文書で名前の挙がった県幹部2人への証人尋問が初めて行われる。
会合では、斎藤氏の贈答品受領疑惑などについて検証。
参考人として出頭する専門家の意見を踏まえ、公益通報後、告発者を保護対象としなかった県の対応の妥当性についても追及する。
疑惑の事実関係や、斎藤氏の関与の有無について側近だった2人からどのような証言が出るか注目される。
午前は、公益通報制度に詳しい上智大の奥山俊宏教授が参考人として出頭。
文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が県の公益通報窓口に通報後、内部調査で男性を懲戒処分とした県の対応について意見を述べる。
午後には、いずれも文書に名前が出た県幹部2人が出頭を予定。
文書で斎藤氏に高級コーヒーメーカーが贈られたと記され、自分宛てに商品を送るよう依頼したと認めた産業労働部長の原田剛治氏が証言する。
商品の受け取り判明直後、原田氏は斎藤氏からの指示について否定していた。
また、前総務部長の井ノ本知明氏の尋問も予定。
井ノ本氏は、男性の処分を巡り内部調査した人事当局を管轄する総務部トップの立場にあった。
井ノ本氏は8月、病気療養を理由に総務部付(部長級)に異動。
告発内容とは関係がない男性の私的情報を漏洩した疑いがあるとして県が井ノ本氏の調査を検討していることが判明している。
6日には、元副知事の片山安孝氏と、斎藤氏の証人尋問を予定している。

兵庫知事、夕食予約巡り「俺は知事だぞ」激怒は否定 多数のパワハラ言動指摘には「反省」
2024/9/4 20:30
https://www.sankei.com/article/20240904-RMUNCHH4P5PE3PBPVQLSID5IYY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が県職員に実施したアンケートの未集計分で、斎藤氏のパワハラを見聞きしたとの回答が5割超を占めたことを受け、斎藤氏は4日の定例会見で
「言葉遣いや言動について反省している」
などと述べた。
百条委は近く、全ての集計結果を公表する予定。
アンケートは7月31日〜8月14日に実施。
関係者によると、このうち未集計だった8月5日以降の2096件をまとめた結果、斎藤氏のパワハラを見聞きしたとの回答は1052件だった。
自由記述欄では、施策や事業を斎藤氏に説明する際に叱責されたとの回答が目立ち、出張先のホテルで職員が事前予約制の夕食を断わられたと伝えると、
「俺は知事だぞ」
と激怒したとの記載もあった。
この日の会見で斎藤氏は、予約を巡る激怒について
「記憶はない」
と否定。
「(夕食の予約が)取れるか取れないか微妙だった」
「しっかり調整してもらうようお願いした」
と釈明した。
百条委では5、6両日、斎藤氏の贈答品受領疑惑や告発文書を公益通報と扱わなかった対応について証人尋問を実施。
斎藤氏や元副知事の片山安孝氏らが出頭する予定。
県議会最大会派の自民や、維新は証人尋問を踏まえ、斎藤氏への不信任決議案提出を含めた対応を協議する方針。
斎藤氏は会見で
「議会側の動きでコメントは難しいが、百条委や第三者機関の調査に対応していく」
と述べるにとどめた。

<独自>兵庫知事文書問題 アンケート未集計分が判明、5割超が「パワハラ見聞き」 近く結果公表へ
2024/9/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20240904-WD2YKTCBNFKBBINSOFR3P3GL7Y/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が全職員約9700人に実施したアンケートで、未集計となっていた約2千人分のうち、斎藤氏のパワハラを見聞きしたとする回答が5割超を占めたことが3日、関係者への取材で分かった。
中間報告を含めたアンケート全体では約42%となる。
百条委はアンケートや証人尋問の結果を踏まえ、斎藤氏の疑惑の真偽などについて判断し、年内にも報告書を取りまとめる方針。
アンケートは全職員を対象に7月31日〜8月14日まで実施した。
告発文書に記された7項目の疑惑について
「知事のパワハラを見聞きしたことはあるか」
「知事が贈答品を受け取っているのを見聞きしたことはあるか」
などと質問。
インターネット上で回答を求め、6664件集まった。
百条委はこれまで、8月5日午前9時までの回答4568件を中間報告として集計し、公表。斎藤氏のパワハラを見聞きしたとの回答は約4割の1750件に上った。
関係者によると、百条委は中間報告後、同月14日までに集まった2096件の回答を集計。
斎藤氏のパワハラについて、
「目撃などにより実際に知っている」が71件、
「目撃などにより実際に知っている人から聞いた」が316件、
「人づてに聞いた」が665件
だった。
中間報告と合わせると、パワハラを見聞きしたとの回答は2802件で、全体の約42%を占めた。
中間報告後のアンケート結果も近く公表される見通し。
具体的な事例を答える自由記述では、施策や事業について斎藤氏に説明する知事協議中に叱責されたとの回答が目立ち、斎藤氏が担当職員に対し
▽「腹立つわ」と5回程度繰り返した
▽「知事やぞ」と怒った
などの回答があったという。
斎藤氏が自身の写真の出来映えに不満を示し、準備不足と叱責したとの記述もあった。
また、斎藤氏の贈答品受領については、中間報告後の集計では見聞きしたとの回答が599件あり、中間報告と合わせ1545件と全体の約23%を占めた。

兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑は7項目 知事はいずれも否定、県議会の百条委員会で審議
2024/9/2 12:41
https://www.sankei.com/article/20240902-VXWYEL5GVROQPPJM7X7JFTFYU4/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、この告発文書には7項目の疑惑が記されていた。
作成したのは元県西播磨県民局長の男性(7月7日に死亡)で、斎藤氏はいずれも否定している。
県議会の調査特別委員会(百条委員会)が審議している。
審議の対象となる告発文書は4ページに渡り、
(1)法人副理事長解任、
(2)令和3年の知事選で知人に投票依頼、
(3)商工会議所に投票依頼、
(4)県内企業から高級コーヒーメーカー受領、
(5)政治資金パーティー券の購入を強要、
(6)補助金のキックバック、
(7)県職員へのパワハラ
という7項目の疑惑が列挙されていた(表参照)。
パワハラについては、出張先の施設のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で公用車を降りて歩かなければならなかった際、斎藤氏が
「出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らし、その後は一言も口を利かなかった」
と記載していた。
また、商品の受領について告発文書は
「斎藤知事のおねだり体質は県庁内でも有名」
と指摘。
斎藤氏が昨年8月、家電・調理器具メーカー「千石」(同県加西市)を訪問した際、同行した原田剛治・産業労働部長に対し、同社が贈与を申し出た高級コーヒーメーカーを秘書課に送らせるよう指示したとし、
「皆が見ている場所で受け取れるはずないやろ」
「ちゃんと秘書課に送るように言っておけ」
などと原田氏に発言した生々しいやりとりが記されていた。

公益通報って何? 通報者の解雇、降格、減給は禁止
2024/9/2 13:08
https://www.sankei.com/article/20240902-6GNIGDOTVJJGPFTORXXTD2YPDM/
公益通報を巡る兵庫県の対応の主な問題点
https://www.sankei.com/article/20240902-6GNIGDOTVJJGPFTORXXTD2YPDM/photo/RURWRVHQ3ZJHFKAPAA53URNNJA/
公益通報者保護法では、労働者らが所属する組織の不正行為について、不正の目的ではなく、内部通報したり、外部に通報したりすることを
「公益通報」
と定めている。
同法では、公益通報を理由に公益通報者が不利益な取り扱いを受けないよう保護している。
通報を理由に解雇した場合は無効となり、降格、減給することも禁止している。
同法では、通報体制の整備も求めている。
従業員が300人超の事業者は通報窓口の設置が義務で、300人以下の場合は努力義務となっている。
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題では、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(7月7日に死亡)を同法の保護対象となる公益通報者として扱わず、懲戒処分とした妥当性も問題となっている。

斎藤知事と部下たちの隔たりにみるパワハラ疑惑の現在地 「合理的な指導」と「理不尽な叱責」
2024/8/31 7:00
https://www.sankei.com/article/20240831-T7RL4BYYVNMNPGGWXLTI2KJW3U/
職務に関する疑惑を文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事が30日、県議会の調査特別委員会(百条委員会)で初めて証人尋問に臨み、職員に対する一連のパワハラ疑惑について、業務上の指導の範疇との認識を改めて示し、正当性を主張した。
一方、この日の百条委に斎藤氏に先立って出頭した部下らは
「理不尽な叱責を受けた」
と証言。
自身の言動を巡る知事の認識と職員の受け止めとの乖離を、強く印象づける結果となった。
「頭の中が真っ白になった」
「指導の範囲内とは思えないような言い方だった」
昨年11月、斎藤氏が出張先で公用車を降りてから建物入り口まで約20メートル歩かされ、職員を怒鳴ったとされる件。
告発文書に記載されたこのパワハラ疑惑について、現場で斎藤氏を案内した県幹部は30日の百条委でこう証言した。
一方の斎藤氏は
「歩かされたことで怒ったわけではない」
と説明。
重要な会議のスタートが迫っていたのに、職員が知事の動線を確保していなかったため、
「対応が不十分」
と感じ、
「大きな声でその旨を伝えた」。
そもそも現場は車の進入が禁止されたエリアだったが、その点も聞かされていなかったため、当時の指導としては
「合理的だった」
と、パワハラに当たらないとの認識を重ねて述べた。
斎藤氏は自らを
「厳しい上司」
と認め、部下への言葉遣いやコミュニケーション面で反省すべきところがあったと釈明しつつ、総務官僚だった自身の経験を踏まえ、行政マンに求めるレベルに言及。
知事への報告より前に新聞報道が出ると、度々担当者を呼びつけて叱責したとされる点について、自らの官僚時代は
「新聞の1面に出た時は、すぐに想定問答を作って大臣室に入れておく」
のが当たり前だったとし、県職員にも自分の現役当時と同じような対応を求めたところが
「正直ある」
と語った。
職員アンケートでは約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答しており、百条委の委員からは
「人望がなかったのではないか」
と率直な質問も飛んだ。
斎藤氏は
「職員に好かれたり、人望があるのは大事だ」
としつつ、
「必要な指導は県民のためにする」
と、職員ではなく
「県民ファースト」
の対応だったとの認識を強調した。
この日の尋問終了後、会見した百条委のメンバーの一人は
「証人の受け止めと知事の認識に差がある印象だ」
と感想を述べた。
百条委の奥谷謙一委員長は、これまでの県職員に対する尋問で、斎藤氏の言動について
「県庁生活で初めてこういった叱責を受けたという人もいた」
と明かし、この日も
「頭が真っ白になった」
との証言が出たことから
「パワハラに極めて近いと思う」
と指摘した。
■年内に報告書
告発文書には、斎藤元彦知事による職員へのパワハラ疑惑のほかに、県内企業からの贈答品受領や、信用金庫の補助金を増額しプロ野球の阪神・オリックス優勝パレードの募金としてキックバックさせた―など、斎藤氏や元副知事の片山安孝氏ら側近による7項目の疑惑が記されていた。
その真偽を調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)は、県の全職員約9700人を対象に7項目の疑惑についてアンケートを実施。
今月23日に公表した中間報告(4568件分)によると、パワハラ疑惑は38・3%(1750件)、贈答品疑惑は20・7%(946件)が見聞きした、と答えた。
百条委ではまずパワハラ疑惑を調査。
斎藤氏が初めて出頭した30日の証人尋問もパワハラ関連の質問に限定している。
次回9月5日と翌6日の期日では、贈答品受領疑惑と、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月7日に死亡=を保護の対象となる公益通報者として扱わず、懲戒処分とした妥当性を調べる。
公益通報を巡る県の対応は一連の問題の焦点ともいえ、6日には斎藤氏を再び尋問するほか、片山氏ら側近にも出頭の上で証言を求める。
10月下旬に優勝パレードやその他の疑惑に関する尋問を行い、11〜12月に百条委として事実を認定した上で報告書をまとめる方針。
■事実積み重ねて判断を
ハラスメント問題に詳しい東北大の増沢隆太特任教授に聞いた。
ハラスメントの中でもパワハラは、定義を厚生労働省が明確に定めており、
@優越的な関係を背景とした言動で
A業務上必要な範囲を超え
B労働者の就業環境が害されている
という3要件全てを満たす必要があるとされる。
知事という立場を考えれば、舌打ちやため息でも民間人とはインパクトが違うと捉えるべきで、日頃からそのような言動を繰り返していたとすれば、職員への威圧に当たるとも考えられる。
現代では
「本人のために怒鳴る」
は成立しない。
冷静で合理的な指摘であれば問題ないが、物を叩いたり、投げたりといった感情的な行為は悪質なコミュニケーションで不適切だ。
斎藤氏の証人尋問での受け答えはこれまでと同様だったが、偽証ができない中で、文具を投げたり、深夜にチャット連絡をしたりといった事実関係は認めた。
パワハラを
「指導」
と正当化するのは、よくあるパターンでもある。
今後の百条委員会では事実を積み重ねて、パワハラの有無の判断につなげてもらいたい。

兵庫県議会各派は百条委をどうみたのか「きちっと答えていた」「丁寧に説明」とする声も 
2024/8/30 21:57
https://www.sankei.com/article/20240830-LIBEKGLP5JLARAAAASQGFZCDBY/
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を告発された問題を巡り、斎藤氏への証人尋問が初めて行われた30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)。
斎藤氏はパワハラの認識を一貫して認めず、不信任案の提出が現実味を帯びてきた。
この日の説明について各会派の評価は分かれており、議会側の動きにも注目が集まる。
最大会派
「自民党議員団」
の北野実幹事長は
「きちっと答えていた」
と評価する一方、
「自分のことだけを考えているように感じられる発言もあった」
と振り返った。
会派として対応を協議する考えを示し
「県政を何とかしたい」
と語った。
前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会は共同代表の吉村洋文大阪府知事が、不信任案の可能性を示唆。
維新幹部が近く県議団との協議を予定する中、維新の会の門隆志幹事長は
「誤魔化すことなく話し、丁寧に説明していた」
「(不信任案の提出は)それなりの理由が必要になる」
と慎重な姿勢を示した。
「(斎藤氏の説明は)従来の主張を繰り返している」
「県民は納得しない」
と指摘するのは公明党議員団。
「今までの会見に比べれば個別事案に関しては説明していた」
と評価する部分もあったが、パワハラについて明確に肯定も否定もしない斎藤氏の姿勢に疑問を呈した。
一方、第4会派のひょうご県民連合は来月にも不信任案を提出する方針を固めた。
会派幹部は
「記者会見と発言が変わらず、県政の正常化には知事が辞職するしかない」
「議会として民意を突き付ける必要がある」
と話している。

<独自>兵庫県議会会派が9月議会で斎藤知事の不信任案提出方針 他会派と協議へ
2024/8/30 21:32
https://www.sankei.com/article/20240830-ZHVXEKVHMBNIHLFHZEPHRFJM2Q/
兵庫県議会第4会派の
「ひょうご県民連合」
が、斎藤元彦知事に対する不信任決議案を提出する方針を固めたことが30日、関係者への取材で分かった。
9月19日開会の県議会9月定例会での提出を想定し、他会派と協議していく。
不信任案可決には4分の3以上の賛成が必要で、各会派の対応が注目される。
不信任案を巡っては、前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会共同代表の吉村洋文大阪府知事が、百条委の内容次第で提出する可能性を示唆。
党幹部が31日に県議団と対応を協議する予定となっている。
不信任案は議長を含め全議員の3分の2以上が出席し、出席議員の4分の3以上の賛成で可決する。
可決した場合、首長は失職か議会の解散かを選択する。
同県議会(86議席)で全員が出席した場合、可決には65人の賛成が必要。
県議会の勢力は最大会派の自民が37人で、維新21人▽公明13人▽立憲民主党議員らでつくるひょうご県民連合が9人−などと続く。
同県議会で不信任案提出には8人が必要で、県民連合は単独で満たしている。

「パワハラ認めるべき」「言い訳が多い」「不誠実」斎藤知事の発言に傍聴者から批判の声
2024/8/30 20:06
https://www.sankei.com/article/20240830-SIHNLVRUIFODTJV5NVU43FMFX4/
部下へのパワハラなど兵庫県の斎藤元彦知事を巡る一連の疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏に対する初めての証人尋問が行われた。
パワハラだとされる自身の言動について
「記憶にない」
などと述べた斎藤氏に対し、傍聴した県民からは
「不誠実」
「言い訳が多い」
と批判の声が上がった。
「質問に正面から答えず、言い訳めいた回答が多かった」
「潔くパワハラを認めるべきだ」。
同県尼崎市の女性(51)は語気を強めてこう語った。
斎藤氏は就任間もない頃、机を叩いて県幹部を叱責した事案について
「就任直後だったので」
と釈明。
机を叩く行為をパワハラと認めるか否かを問われたが、回答を控えた。
この点について、女性は
「パワハラかどうかを聞かれているのに『就任直後だから』とか背景の話ばかり」
「ここまで答えないとは思わなかった」
と不満げな様子だった。
「『記憶にない』という答弁は不適切で不誠実」
と指摘したのは、同県川西市の男子高校生。
部下に対して
「空クル(空飛ぶクルマ)は知事直轄、勝手にやるな」
と叱責したとの疑惑について斎藤氏は
「記憶にない」
と述べたが、
「普通にパワハラだと感じた」
と呆れ気味に語った。

「斎藤知事、説明責任果たしてない」と百条委員会委員長
2024/8/30 19:41
https://www.sankei.com/article/20240830-KAJLTPG47VMCRDEF6OYTER4ZYY/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る疑惑が文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏本人への初めての証人尋問が終了後、奥谷謙一委員長らが会見を開いた。
奥谷氏は斎藤氏の尋問については
「印象としては記者会見の内容とあまり変わらない」
「説明責任が果たされたとは考えられない」
との認識を示した。
一方、斎藤氏の行為について
「パワハラに当たるかどうかは別として(告発文書に)記載している事実が浮かび上がったことが重要だ」
と述べた。
会見に出席した委員の一人は、証人として出頭した職員と、斎藤氏の証言を踏まえ、
「パワハラを受けた職員と、知事の認識に差があった」
「事実が明らかになったので議論を深めたい」
などと印象を語った。

百条委を終えた斎藤氏「私が知事として仕事する」と知事職に強いこだわり 改めて辞職否定
2024/8/30 19:12
https://www.sankei.com/article/20240830-OPSEGVWOAFMRXK4CNALXBHS4R4/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)終了後、斎藤氏は報道陣の取材に応じ、
「私が知事として仕事をさせていただく」
と述べ、改めて辞職を否定。
知事職に対する強いこだわりをのぞかせた。
この日は、斎藤氏のほか県幹部ら4人への証人尋問が行われた。
県幹部らは斎藤氏からの叱責を
「怒鳴られた。理不尽な叱責だと思った」
などと証言。
一方、斎藤氏は
「職員に不快な思いをさせたとしたら申し訳ない」
と反省の弁を述べる一方、パワハラの認定は自身がすべきではないとして明言を避けた。
終了後、報道陣から進退を問われた斎藤氏は
「知事としての仕事を果たすのが私の責任」
として続投の意思を改めて表明。
「職員からの人望や信頼感が1ミリもないということはないと思っている」
とし、
「信頼関係を再構築する」
という従来の主張を繰り返した。
辞職を否定し続ける斎藤氏。
だが、前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会共同代表の吉村洋文大阪府知事は27日、維新として不信任決議案を提出する可能性があると言及している。
このことについて報道陣に問われた斎藤氏は
「仮定の話には答えられない」
とだけ語った。

斎藤知事、初めての証人尋問でも正当性主張 議会では不信任決議案提出の動きあり
2024/8/30 18:57
https://www.sankei.com/article/20240830-EGNLL2PXVNO47NJHMY3FTP52LY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は30日、パワハラ疑惑に関して斎藤氏本人に初めて証人尋問を実施した。
斎藤氏は文書で職員を叱責したとされた事例について、
「合理的な指摘だった」
と正当性を強調。
告発者の処分も適切だったとの認識を改めて示した。
県議会では、斎藤氏の辞職につながる不信任決議案提出の動きがあり今後、各会派の対応が焦点となる。
県西播磨県民局長だった男性(60)が作成した文書には、
「出張先で公用車を降り、20メートルほど歩かされただけで職員を怒鳴り散らした」
などと記載。
この日の百条委では斎藤氏の尋問に先立ち、この場に居合わせた県幹部が
「理不尽な叱責を受けた」
と証言した。
これについて斎藤氏は
「大きな声で強い指摘をした」
としつつ、
「当時としては合理的な指摘だった」
と主張。
一方で、強い口調で職員を叱責したことに関し
「職員に不快な思いをさせたことは反省したい。謝りたい」
と述べる場面もあった。
斎藤氏を巡っては、前回知事選で推薦した日本維新の会共同代表の吉村洋文大阪府知事が、百条委の内容次第で不信任決議案を出す可能性を示唆。
他会派でも不信任案提出を検討する動きが出ている。
9月5、6日の百条委では企業からの贈答品受領疑惑と、文書を公益通報として扱わなかった対応について検証し、斎藤氏も証人出頭する予定。

「パワハラと認めるか」と問われた斎藤知事 明言避け「百条委が判断すると思う」
2024/8/30 18:08
https://www.sankei.com/article/20240830-22HPSH7BAZOKFKPVONSNJ7G3FM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、証人として出頭した斎藤氏は
「職員に不快な思いをさせたことは反省したい」
「謝りたい」
と述べた。
一方、パワハラの認識については
「百条委や第三者委員会が判断する」
と答え、明言を避けた。
この日の百条委では斎藤氏の尋問に先立ち、県幹部の尋問を公開で実施。
昨年11月、県立考古博物館(播磨町)で開かれた会合に斎藤氏が出席する際、車止めが置かれている車両進入禁止区間を歩かされた斎藤氏が、
「車止めをどけておくべきだった」
として県幹部らを叱責したことが明らかになった。
この県幹部は
「理不尽な叱責」
と証言した。
百条委の尋問で斎藤氏は
「理不尽な叱責」
という県幹部の証言に対する受け止めを問われ、
「言い方について、もしご本人が不快に思われているならお詫びしたい」
と釈明。
一方、委員から
「パワハラと認め、お詫びするのではないのか」
と重ねて問われると
「パワハラかどうかは私が判定するより、百条委や第三者委員会が判断すると思う」
と述べるにとどめた。

兵庫・斎藤知事「仕事のミスには短気」 百条委の委員から「人権感覚ずれている」と批判も
2024/8/30 17:35
https://www.sankei.com/article/20240830-NFMOZIRQFJK6PLQPWK2RXLYLFM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、証人として出頭した斎藤氏は自身の性格を問われ
「仕事については厳しいところが正直ある」
「ミスがあった場合、短気な面もある」
と述べた。
部下を怒鳴ったり机を叩いたりした行為について、委員からは
「人権感覚が相当ずれている」
と批判された。
百条委が実施した全職員(約9700人)を対象としたアンケートの中間報告では回答者の約4割がパワハラ行為を見聞きしたと回答。
職員から、斎藤氏の性格についてすぐに激高する
「瞬間湯沸かし器」
との指摘もあった。
委員を務める県議は説明済みの事業や自身が知らない事柄が報道された時などに斎藤氏が
「聞いていない」
と部下を叱責した点は短気な性格が原因と主張。
「パワハラ体質についていけない」
と苦言を呈した。
「(告発者で死亡した元)県民局長は行政経験も人生経験も豊かな人」
「普通の人権感覚があれば怒鳴りつけない」
「ここが一番知事の問題ではないか」
との指摘もあった。
斎藤氏は
「過去は取り戻せないので、直接お詫びし、申し訳ないと言いたい」
「これからはもっといい知事としてやっていきたい」
と述べた。

斎藤知事「職員に謝りたい」 説明済みの事業を「聞いていない」と強く叱責、百条委で証言
2024/8/30 16:51
https://www.sankei.com/article/20240830-QZUTVS7GWBJWTHZHPIIQACEJGM/
部下へのパワハラなど兵庫県の斎藤元彦知事をめぐる一連の疑惑を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、証人として出頭した斎藤氏は、自身が強い口調で職員を叱責したケースについて
「職員に不快な思いをさせたことは反省したい」
「謝りたい」
と述べた。
百条委が実施した全職員(約9700人)を対象としたアンケートの中間報告では、説明済みの事業について斎藤氏から
「聞いていない」
と叱責されたという声が複数寄せられた。
この日、こうした複数の事例について問われた斎藤氏は
「私も完璧な人間ではない」
「一回聞いたことをすべて覚えているかというと、そこまで全能ではない」
と釈明した。
これに対し百条委の委員は、斎藤氏の鋭い叱責で事業の説明ができなくなり、施策が進められず停滞した事例に言及し、
「『資料に書いているから知っていると思うな』という発言は適切か」
と指摘。
斎藤氏は
「言い方が厳しかったり、強くなったりしたことは謝りたい」
と陳謝した。

「記憶にない」と繰り返す百条委の斎藤知事「全て覚えているほど全能ではない」
2024/8/30 16:37
https://www.sankei.com/article/20240830-6OJXJ6MVGRJYNN4BUCOOTRSOVQ/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏本人への証人尋問が行われた。
県職員による斎藤氏への事業説明で、自身が把握していない事業が話題になった際、職員を叱責したとされる件について
「記憶にない」
との答弁を繰り返した。
百条委の委員は、空飛ぶクルマ関連の事業が新聞で報じられた後に知事室を訪れた担当者を
「何これ、聞いてない」
「空クル(空飛ぶクルマ)は知事直轄、勝手にやるな」
と叱責したとの疑惑を追及した。
叱責したかとの質問に斎藤氏は
「記憶にない」
と否定。
「いろんなレク(説明)を受けていて、一つ一つ覚えていない」
「『聞いていない』ということから、私は合理性があると思う」
と答えた。
一方で
「私も完璧な人間ではない」
「一回聞いたことを全て覚えているほど全能ではない」
「大量の資料の内容は失念することがあり、聞いていないと言ってしまうことはある」
「そこは注意しないといけない」
とも主張。
委員は
「知事に完璧な人間を求めているのではない」
と指摘し、やり取りが噛み合わない場面もみられた。
空飛ぶクルマ事業を巡る叱責については、斎藤氏の尋問に先立ち、30日午前に県職員の証人尋問が行われ、職員は当時を振り返り、
「これほどきつい言葉を上司からかけられたことは、県職員になってからなかった」
と証言している。

淡々と斎藤知事 死亡した元県民局長への懲戒処分は「適切。誹謗中傷性高かった」
2024/8/30 16:29
https://www.sankei.com/article/20240830-TJIV7MZW7NPRBFMKFSZETZGT4U/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを元西播磨県民局長の男性(60)=死亡=が文書で告発した問題で、30日開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)に斎藤氏が証人として出頭。
斎藤氏は告発者の男性を停職3カ月の懲戒処分とした対応について、淡々とした様子で改めて
「適切だった」
との認識を示した。
男性は3月、パワハラなど斎藤氏に関する7つの疑惑を記載した告発文書を報道機関などに送付。
斎藤氏は片山安孝副知事(当時)らに調査を指示し、5月に男性を懲戒処分とした。
男性は4月に告発文書と同様の内容を、県の公益通報窓口に通報していた。
百条委の委員は斎藤氏に対し、現在の認識として処分が不適切だったとの思いはないかと質問。
斎藤氏は
「今も思ってはいません」
「適切だったと思います」
「誹謗中傷性が高い文書と認識し、処分した」
と強調した。
男性の処分をめぐっては、公益通報窓口への通報を受け、人事当局の幹部らが斎藤氏の側近だった井ノ本知明総務部長(当時)らに
「公益通報の結果が出るまで処分は待った方がいい」
と進言したことが明らかになっている。
斎藤氏は一度は了承したが、その後、井ノ本氏を通じて
「調査結果を待たずに処分できないか」
と人事当局に打診。
人事当局が弁護士に相談したところ
「法的には可能」
との見解を得たため、井ノ本氏らが処分を優先するよう指示したとされる。

淡々と斎藤知事 死亡した元県民局長への懲戒処分は「適切。誹謗中傷性高かった」
2024/8/30 16:29
https://www.sankei.com/article/20240830-TJIV7MZW7NPRBFMKFSZETZGT4U/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを元西播磨県民局長の男性(60)=死亡=が文書で告発した問題で、30日開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)に斎藤氏が証人として出頭。
斎藤氏は告発者の男性を停職3カ月の懲戒処分とした対応について、淡々とした様子で改めて
「適切だった」
との認識を示した。
男性は3月、パワハラなど斎藤氏に関する7つの疑惑を記載した告発文書を報道機関などに送付。
斎藤氏は片山安孝副知事(当時)らに調査を指示し、5月に男性を懲戒処分とした。
男性は4月に告発文書と同様の内容を、県の公益通報窓口に通報していた。
百条委の委員は斎藤氏に対し、現在の認識として処分が不適切だったとの思いはないかと質問。
斎藤氏は
「今も思ってはいません」
「適切だったと思います」
「誹謗中傷性が高い文書と認識し、処分した」
と強調した。
男性の処分をめぐっては、公益通報窓口への通報を受け、人事当局の幹部らが斎藤氏の側近だった井ノ本知明総務部長(当時)らに
「公益通報の結果が出るまで処分は待った方がいい」
と進言したことが明らかになっている。
斎藤氏は一度は了承したが、その後、井ノ本氏を通じて
「調査結果を待たずに処分できないか」
と人事当局に打診。
人事当局が弁護士に相談したところ
「法的には可能」
との見解を得たため、井ノ本氏らが処分を優先するよう指示したとされる。

<独自>空飛ぶクルマの協定「聞いてない」「勝手にやるな」と斎藤知事が激しく叱責 県職員証言
2024/8/30 16:03
https://www.sankei.com/article/20240830-MND24RLPFNJFJIAH2H7J6NB7FU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)で30日、非公開形式の証人尋問に出頭した県職員が、昨年1月に斎藤氏から
「何これ」
「勝手にやるな」
などと激しく叱責され、説明を諦めて退室したことがあったと証言したことが分かった。
関係者への取材で判明した。県職員は
「これほどきつい言葉をかけられたことは、県職員になってからなかった」
と述べた。
県職員は昨年1月16日午前、翌週に予定されていた
「空飛ぶクルマ」
の開発メーカーとの協定締結式について斎藤氏に説明しようとした。
担当者とともに知事室に入ったところで、斎藤氏から大声で
「何これ」
と一喝されたという。
続けて斎藤氏は
「聞いてない」
「そらくる(空飛ぶクルマ)は知事直轄なんだから勝手にやるな」
と激しく叱責した。
その後、職員は締結式についての説明をしようと試みたが、説明の途中で斎藤氏に
「やり直し」
と遮られるなどしたため、説明は不可能と判断し、途中で退室したという。
さらに、百条委の委員から斎藤氏の対応が適切だったかなどと問われると、斎藤氏が
「聞いてない」
と述べた点について、事前に幹部から説明があったはずだとした上で
「理不尽だと感じた」
と述べた。
説明を諦めて退室せざるを得なかった点については、斎藤氏らに対し
「かなり腹が立った」
と明かした。

百条委証人尋問始まる 兵庫知事「強く指摘した」 大声での注意認めるも、パワハラ否定
2024/8/30 15:39
https://www.sankei.com/article/20240830-7RGDCB5IBBJ2LG7XSICQAKMITA/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏への証人尋問が始まった。
出張先で公用車を降りて20メートル歩かされ、職員を怒ったとされる問題について、斎藤氏は
「車の動線を確保できていなかったのではないかという強い思いがあった」
「それなりに強く指摘した」
と述べ、大きな声で注意したことは認めた。
一方、当時は進入禁止との認識がなく、自身の対応は適切だったとの認識を改めて示した。
元県西播磨県民局長が作成した告発文書では
「出張先のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で降りて歩かされただけで出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らした」
と指摘されていた。
斎藤氏の尋問に先立って行われた県幹部の公開尋問によると、斎藤氏は昨年11月、県立考古博物館(播磨町)で開かれる会合に出席。
その際、告発文書にあるように入り口付近は車止めが置かれた進入禁止区間のため、手前で公用車を降りて歩いたという。
その際
「なぜこれ(車止め)をどけておかないのか」
と叱責し、職員は車止めをどけざるをえなくなったという。
出頭した県幹部は斎藤氏の叱責が
「必要な範囲内」
と感じるかを問われ
「思いません」
と否定した。
一方、斎藤氏は
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な動線を確保していなかった」
ことについて叱責したとしている。

「理不尽な叱責を受けた」20メートル歩かされ激怒した斎藤兵庫知事 県幹部が百条委で証言
2024/8/30 14:55
https://www.sankei.com/article/20240830-LG7G2CQE2BMJJNY3VOGVUWJRQE/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、県幹部らへの証人尋問が始まった。
斎藤氏が出張先で入り口の手前20メートルで公用車から降りて歩かされたことに対し、職員を怒鳴り散らしたとされる問題について、県東播磨県民局長は
「怒鳴られた」
と証言し、
「理不尽な叱責を受けた」
と述べた。
元県西播磨県民局長が作成した告発文書には
「出張先のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で降りて歩かされただけで出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らした」
と記されていた。
この日、公開で行われた百条委での証人尋問によると、斎藤氏は昨年11月、県立考古博物館(播磨町)で開かれた会合に出席。
その際、告発文書に書かれていたように入り口付近には車止めが置かれ、進入禁止区間となっており、斎藤氏はその手前で公用車を降りて歩いたという。斎藤氏は
「なぜこれ(車止め)をどけておかないのか」
と東播磨県民局長を叱責したため、会合の間に車止めを別の場所に移動。
帰りは公用車が入り口付近で待機し、斎藤氏は歩かずに公用車に乗り込んだという。
斎藤氏は6月20日の会見で
「円滑な動線の確保を図るべきだったのではないかという趣旨だった」
「あくまで業務上必要な指導」
とし、パワハラではなかったとの認識を示した。
一方、百条委で証言した東播磨県民局長は、斎藤氏の叱責が
「必要な範囲内と感じるか」
と問われ、
「思いません」
「理不尽な叱責を受けた」
と述べた。
斎藤氏本人の証人尋問は午後3時から始まり、県議会のホームページでライブ中継される。

「エレベーター閉まり激高」…一連のパワハラ疑惑に兵庫知事は何語る 30日に初尋問
2024/8/29 19:58
https://www.sankei.com/article/20240829-QNTPAKC475PABCHCZLC2A7GYJY/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る疑惑が文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は30日、斎藤氏本人の出頭を求め、職員への一連のパワハラ疑惑について初めて尋問を実施する。
記者会見や取材対応ではパワハラを否定しつつ、これまで具体的な言及は避けてきた斎藤氏。
百条委では事実関係や本人の認識だけでなく、県政トップの説明責任の果たし方も問われることになる。
■「百条委でしっかり」
「この場で詳細を答えるのは控えたほうがいいかな、と思う」
兵庫県庁で27日に行われた知事定例会見。
斎藤氏は疑惑に関する度重なる質問をいずれもかわし
「百条委でしっかりやりたい」
と繰り返した。
全職員(約9700人)を対象としたアンケートのうち4568件を取りまとめた中間報告では、パワハラを見聞きしたとの回答が約4割にあたる1750件に上っていた。
■繰り返す「適切な指導」
アンケートの記述などによると、斎藤氏の地方視察時に目の前でエレベーターが閉まった際、そばにいた職員に
「お前はエレベーターのボタンも押せないのか」
と激高。
また告発文書では、斎藤氏が出張先で公用車を降りてから20メートル歩かされただけで怒ったとされ、職員に対する百条委の尋問でも、同様の証言が得られたことが明らかになっている。
こうした一連のパワハラ疑惑について、斎藤氏は
「指導の範囲内で適切」
と一貫して正当性を主張。一方で個別のエピソードの真偽や事実関係の説明は避けてきた。
職員アンケートの中間報告の結果についても、
「コミュニケーション不足」

「受け取り方のずれ」
を挙げつつ、
「私としては県政をより良くするために必要とされる指導や、こうしてほしいということを自分なりに伝えた」
と、パワハラには当たらないとの見解を示すにとどまっている。
30日の尋問では、パワハラ疑惑の個別の事実関係について委員から質問があるとみられ、斎藤氏の証言の具体性や信用性が注目される。
■元局長への対応も追及
問題の発端となった告発文書は3月中旬、元県西播磨県民局長の男性(60)が一部の報道機関などに配布。
県は同27日に男性を解任し、目前に迫った退職を保留。
同日の会見で斎藤氏は法的措置を示唆し
「噓八百」
「公務員として失格」
などと非難した。
県は5月、内部調査をもとに男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は百条委に出頭し証言する予定だったが
「死をもって抗議する」
とのメッセージを残し、7月7日に死亡、自殺とみられている。
斎藤氏の贈答品受領疑惑や、男性の告発を公益通報と扱わずに処分した県の対応については9月5、6日の百条委で証人尋問を行って調べる。
斎藤氏は6日に出頭する予定。

<独自>告発した元局長の私的情報漏洩か 兵庫知事側近の前総務部長ら 県が調査検討
2024/8/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20240829-I7672IG3YZOJ3NY6WKUDVAY2UM/
兵庫県の斎藤元彦知事らのパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)の私的な情報を漏洩した疑いがあるとして、県が前総務部長の井ノ本知明氏らの調査を検討していることが28日、関係者への取材で分かった。
男性は7月に死亡し、直前にプライバシーへの配慮を周囲に訴えていた。
内部調査ではなく、弁護士に調査を依頼する方針。
県は元副知事の片山安孝氏や前理事の小橋浩一氏、産業労働部長の原田剛治氏の調査も検討。
井ノ本氏を含め、いずれも文書で名前が出た知事の側近で、男性の懲戒処分にも関与したとされる。
男性が3月に匿名で文書を報道機関などに配布した後、斎藤氏の指示で作成者を調べていた片山氏らが男性の公用パソコンを調査。
告発文書のデータを確認したことがこれまでに判明している。
関係者によると、井ノ本氏らは4月頃から、パソコンに保存されていた告発内容とは無関係な男性の私的情報を県議らに開示していた疑いがあるという。
県の懲戒処分の指針では、職務上知り得た秘密を故意に漏らした職員を処分の対象としている。
県は井ノ本氏らがこれに抵触する可能性があると判断。
外部の弁護士に調査を委託する方向で調整を進めているという。
男性は7月19日の県議会調査特別委員会(百条委員会)に証人として出頭を予定。
しかし、一部の委員が告発とは無関係な情報も提出するよう求めているとして、代理人を通じプライバシーを保護するよう百条委に要請するなど、私的情報が流布されていることに不安を抱えていたという。
男性は同月7日に死亡。
自殺とみられ、証言はしなかったが、陳述書などを準備していた。
8月23日に非公開で行われた百条委の証人尋問では、職員が私的情報の持ち出しについて
「調査の必要があると認識しており、弁護士会に相談している」
と証言した。

「調査待たずにできないか」 告発者早期処分、斎藤知事の指示か 「批判風向き変わる」証言も
2024/8/28 7:00
https://www.sankei.com/article/20240828-RANCNENEK5OCBCCP3PZ6WVJ5BU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、告発者を停職3カ月とした県の懲戒処分の詳しい経緯が、県議会調査特別委員会(百条委員会)での県職員の証言などで明らかになってきている。
告発者が県の窓口に公益通報したことから、少なくとも4人の職員が早期処分に否定的な意見を表明。
しかし、斎藤氏や側近の県幹部らは受け入れずに処分に踏み切った。
背景には斎藤氏の意向が色濃く浮かび、今後の百条委では斎藤氏や側近らの説明が焦点となる。
「百条委なら調査権があるのでそこで説明する方が、しっかりと我々も説明できる」
27日の定例会見で斎藤氏は早期処分の指示に関しての明言を避け、百条委が出頭要請する方針の側近3人については
「それぞれの立場で調査に対して答えていただくといい」
とした。
これまでの百条委での証言や関係者への取材などで明らかになった処分に至る経緯はこうだ。
県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=が文書を作成し、一部の報道機関などに配布したのは3月中旬。
斎藤氏は同月20日に文書の存在を把握し、翌21日に片山安孝副知事(当時)らに調査を指示した。
同22日には、人事課が男性を含む複数の職員のメールの調査を始めた。
文書の作成者として男性が浮上し、25日に片山氏らが男性を聴取。
男性が使用していた公用パソコンも調べ、告発文書のデータを確認した。
同27日、県は男性を解任し、4日後に控えていた退職も保留すると発表。
斎藤氏は会見で文書を
「噓八百」
と評し、
「公務員失格」
と男性を非難した。
こうした対応に不信感を抱いた男性は4月4日、県の公益通報窓口に告発文書と同様の内容を通報した。
これを受け、人事当局の幹部が小橋浩一理事(当時)や井ノ本知明総務部長(同)に
「公益通報の調査結果が出るまで処分は待った方がいい」
と進言。
斎藤氏にも伝わり、一度は了承された。
ところが同月中旬、斎藤氏は井ノ本氏を通じ
「調査結果を待たずに処分できないか」
と人事当局に打診。当局が弁護士に相談したところ、
「法的には可能」
との見解を得たため、小橋氏や井ノ本氏は処分を優先するよう指示したという。
処分案を審議する県の綱紀委員会が開かれたのは、大型連休の谷間にあたる5月2日。
この場でも委員である別の県幹部3人が、
「公益通報の調査結果を待って処分すべきではないか」
などと懸念を示した。
文書で名前が挙がっている井ノ本氏が、同委員会の委員長を務めている点を疑問視する意見もあったが、これも受け入れられず、県は連休明けすぐの7日、懲戒処分に踏み切った。
斎藤氏が文書を把握してから1カ月半。
この間、告発された当事者である斎藤氏や側近幹部が告発者を特定し、異論を押し切って処分に突き進んだ形だ。
百条委では、斎藤氏が処分を急いだ理由について
「『懲戒処分をすれば(自身への批判の)風向きが変わるのでは』と知事が言っていると聞いた」
との証言もあった。
百条委委員からは
「一連の対応は処分ありきだ」
との指摘が上がっており、9月5、6日に予定されている斎藤氏や側近らの証人尋問で追及する構えだ。

兵庫知事パワハラ疑惑 維新代表発言に知事「自分なりにしっかり対応」 側近3人も尋問へ
2024/8/27 12:00
https://www.sankei.com/article/20240827-OCFST3CLMBNNBBI4BI7EQR2FZU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、日本維新の会の馬場伸幸代表が30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)の斎藤氏の証人尋問を踏まえ党の対応を協議すると発言したことを受け、斎藤氏は27日午前、報道陣の取材に
「30日の百条委では自分なりにしっかり対応していく」
と述べた。
斎藤氏は、馬場氏の発言について内容の詳細は承知していないとしたうえで
「維新の会にはこれまでしっかり支援していただいたことは感謝申し上げる」
と述べた。
30日の百条委では、斎藤氏のほか、4人の県職員らが証人として出頭する予定。
馬場氏は26日の党常任役員会後、斎藤氏の尋問を踏まえ幹部らで党の対応を協議すると明らかにしていた。
また、百条委は9月上旬に実施する証人尋問に向け、斎藤氏のほか、辞職した片山安孝元副知事を含む側近3人に出頭を要請する方針を固めた。
告発文書を公益通報として扱わなかった県の対応について追及する。
関係者によると、23日の理事会で、9月5日に井ノ本知明元総務部長と原田剛治産業労働部長、6日に斎藤氏と片山氏の出頭を求める案がまとまったという。

<産経抄>兵庫県庁の「すまじきものは宮仕え」
2024/8/27 5:00
https://www.sankei.com/article/20240827-O4YJD2A3WFLZVN6H53RREMHIFA/
歴史学者、磯田道史さんの『殿様の通信簿』により、元禄時代に書かれた『土芥寇讎記(どかいこうしゅうき)』という本の存在を知った。
当時幕府の隠密が諸大名の内情を探索しており、それをまとめたものらしい。
▼たとえば「忠臣蔵」で有名になった浅野内匠頭については「女色を好むこと切なり」とある。
政治は大石内蔵助ら家老に任せきりだったようだ。
「土芥寇讎」という言葉は『孟子』がその出典である。
「殿様が家来をゴミのように扱えば、家来は殿様を親の仇のようにみる」
という意味だという。
▼さて令和の時代に至っても、殿様気分の知事が少なくないとの指摘もある。
兵庫県の斎藤元彦知事は果たして県職員をゴミのように扱ったのか。
いわゆるパワハラがあったのか。
隠密ならぬ県議会調査特別委員会(百条委員会)による調査が続いている。
30日には斎藤氏に対する証人尋問も行われる予定だ。
▼斎藤氏のパワハラ疑惑を文書で告発した男性職員は証人として出席するはずだったが、先月死亡しているのが見つかった。
自殺とみられる。
23日に公開された県職員アンケートによれば、回答した4568人のうち38・3%の1750人がパワハラ疑惑を、20・7%の946人が、視察先で贈答品を受領したとの疑惑を見聞きしたと回答していた。
▼百条委員会では事実を確認した上で、年内にも報告書をまとめる方針である。
ただ既に県政の停滞は目に余るものがある。
県職員の士気は低下するばかりだろう。
2024年度の兵庫県の職員採用試験では、一般事務職(大卒程度)の筆記試験の辞退者が4割にものぼった。
むべなるかなである。
▼歌舞伎の名セリフのひとつが口をついて出てくる。
「せ(す)まじきものは宮仕えじゃなあ」

「逃げたな」「腹立たしい」 パワハラ否定、説明変遷の斎藤知事に職員から批判の声
2024/8/24 20:09
https://www.sankei.com/article/20240824-GWDMSU63TFPG5CCWXRQMVVK5TY/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、23日に行われた県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問では出席した県職員から、斎藤氏の対応について
「腹立たしい」
「看過できない」
といった批判の声が上がった。
百条委委員らによると、ある職員は、職員アンケートで新たなパワハラ疑惑が多数指摘されたことが判明した後の会見で、斎藤氏が
「仕事なので厳しく指導することもある」
などとパワハラを否定したことに
「正直、腹立たしい。『なんでそういうことを言うの』という思いだ」
と証言。
疑惑についての説明が変遷しているとして
「逃げたなと思った」
とも打ち明けたという。
6人が証言したが、明確にパワハラを受けたとの認識を示した職員はいなかった。
ただ、
「人生で初めてこういうことをされた」
「自分は精神的にタフなのでダメージは少なかったが、(同じことを)他の人にされているなら看過できない」
と訴える職員もいたという。

斎藤知事 “パワハラ疑いを見聞き”約4割 アンケート中間報告
2024年8月23日 17時02分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240823/k10014557221000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、すべての県庁職員を対象に行われたアンケートの中間報告が23日に公表されました。
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、事実関係の調査を進めている県議会の百条委員会は、先月末からすべての県庁職員を対象にアンケートを行いました。
今月5日までに全体の半数近くにあたる4500人余りの職員から回答が寄せられていて、23日、その集計結果が中間報告として百条委員会に示されたあと、公表されました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ4割にあたる1750人(38.3%)でした。
自由記述欄には
「公用車内で知事が激怒し、前部座席を蹴った」、
「机をたたいて怒り出す」、
「知事が出席するイベントや行事にマスコミが来ないと怒る」
などの内容がありました。
また、知事が贈答品を受け取っている疑いを見聞きしたことがあると回答した人は946人(20.7%)で、自由記述欄には
「40万円相当の革ジャンを試着し、『これはいい。もらえないか』と知事がおねだり」、
「両手で抱えきれない量のかきを全部1人で持って帰った」、
「受け取りを拒否した職員分のカニも知事が持ち帰ったと聞いた」、
「『その靴ほしいです。白い靴がほしいです』と発言した面談記録を読んだ」
などの内容がありました。
ただ、回答は人づてに聞いたことをもとに書かれているものも多いということで、百条委員会は知事や職員の証人尋問で事実関係を尋ねるなど、調査の参考資料として取り扱うことにしています。

「恣意的」「卑怯」 噂話°沛qだけを公表する斎藤兵庫県知事に識者から批判 告発問題
2024/8/21 7:00
https://www.sankei.com/article/20240821-TQWI6H3VTZKHNE3JXCJDXX4LQA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が告発された問題をめぐり、斎藤氏は20日の定例会見で、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)に対する聴取内容について、県の情報公開条例を理由に開示しないと説明した。
しかし、これまでに
「噂話を集めて作成した」
との文言だけは男性の供述内容として公表。
自身の判断の正当性を示す根拠としており、
「恣意的な運用だ」
「一部の発言を小出しにした卑怯なやり方」
との批判の声が上がっている。
「情報公開条例で人事管理に関する事務は非公開とされているので、公表することはできない」
会見で斎藤氏は、県側と男性とのやり取りを開示しない理由をこう説明。
自身が公表したくないわけではなく、あくまで条例に基づいた対応だと強調した。
同条例は、公にすることで事業などの適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報は非公開とすると規定。
懲戒処分に向けた聴取内容もこれに該当するという。
ただ、今月7日の会見で斎藤氏は、男性が告発文書について
「噂話を集めて1人で作成した」
と認めたと説明。
このため、告発文書には
「信ずるに足る相当な理由(真実相当性)」
がなく、公益通報の対象外として男性を処分した対応は適切だったと主張した。
なぜ、非公開であるはずの聴取内容のうち
「噂話」
供述だけは公表できるのか。
斎藤氏は
「(文書に)真実相当性がないことを示すため、必要最小限の説明をした」
と述べたが、男性はすでに死亡しており、反論ができない中、供述の信用性を担保することは重要だ。
どのようなやり取りで文言が出てきたのか。
聴取を記録した音声データや、男性が署名した供述調書のような客観的な資料はあるのか。
斎藤氏は
「裏付けとなる調査記録は存在する」
としたが具体的な説明は避け、
「噂話」
供述を事実として繰り返した。
内部告発に詳しい上智大の奥山俊宏教授は、こうした対応について、
「録音や調書などの証拠を何も開示せず、外部の検証が不可能な状況で一部のみを小出しにして文書の真実相当性を否定している」
と指摘。
「こうした方法で男性を貶めようとするのは卑怯で、『死人に口なし』を悪用しようとするものだ」
と批判する。
その上で、
「文書の内容が真実かどうかについては、客観的な調査を経なければ判定できず、告発された当事者が判断するのは適切ではない」
と強調した。

兵庫県知事が否定のパワハラ「見聞き」と回答1750件 職員アンケート中間報告、百条委
2024/8/19 21:27
https://www.sankei.com/article/20240819-LWQGSEQEVNJGLDTKIDNI7IN5WM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が実施した職員アンケートの中間報告がまとまり、斎藤氏のパワハラを目撃したり、人から聞いたりしたとの回答が合わせて4割近くに上ったことが19日、関係者への取材で分かった。
斎藤氏はこれまで、
「業務上必要な指導だった」
などとパワハラを否定しているが、改めて説明が求められそうだ。
アンケートは、職員約9700人を対象に7月31日〜今月14日まで実施。
告発文書に記された7項目の疑惑について
「知事のパワハラを見聞きしたことはあるか」
「知事が贈答品を受け取っていることを見聞きしたことがあるか」どと質問した。
百条委は5日までに集まった4568件の回答を中間報告として取りまとめた。
23日の委員会での協議後に具体的な内容を公表する予定。
関係者によると、斎藤氏のパワハラについて、
「目撃などで実際に知っている」との回答が59件、
「目撃などにより実際に知っている人から聞いた」との回答が466件、
「人づてに聞いた」が1225件だった。
「知らない」としたのは2818件だった。
問題を巡っては、斎藤氏が元県西播磨県民局長の男性(60)が作成した文書を
「噓八百」
などと非難し、5月に男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
調査の中立性を疑問視した県議会が6月、百条委を設置し、文書内容などについて調査を進めている。
百条委では今月23日から、斎藤氏のパワハラに関して職員らの証人尋問が始まり、30日には斎藤氏が証人として出頭する予定となっている。

<主張>兵庫県知事の疑惑 公益通報の対応検証せよ
社説
2024/8/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240817-6QDCCYD3HZJ6TMMK3PDOF4WR7M/
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題で、公益通報に対する県の対応への批判が強まっている。
平成18年に施行された公益通報者保護法は、不正の内部告発者を守るとともに、組織の不正を断ち切り、健全な発展につなげる狙いがある。
その趣旨を、県が歪めたとしたら容認できない。
2024年8月下旬から県議会の調査特別委員会(百条委)で、斎藤知事を含む職員らの証人尋問が始まる。
告発内容の真相解明だけでなく、県の一連の対応についても徹底的に検証すべきだ。
斎藤知事は2024年8月7日の定例会見で、時系列で対応を説明した。
元県西播磨県民局長の男性が2024年3月12日に報道機関などに送った告発文書を、斎藤知事が知人を通じて把握したのは同月20日だ。
翌日に副知事らと対応を協議し、作成者の特定などの内部調査を指示した。
副知事が男性から事情を聴くと、文書の作成、配布を認めたという。
公益通報者保護法は、報道機関に向けた通報も
「不正があると信ずるに足りる相当の理由」
などがあれば告発者を保護するよう定め、指針で告発者捜しを禁じている。
斎藤知事は文書に
「真実相当性はない」
とし、公益通報に当たらないと判断したと説明したが、告発された側が判断する事案ではあるまい。
男性は2024年4月、県の公益通報窓口にも通報した。
しかし県は2024年5月に男性を懲戒処分し、男性は
「死をもって抗議する」
とのメッセージを残して2024年7月に死亡した。
斎藤知事は、男性が県側の聞き取りに
「噂話を集めて作成した」
と話した―と主張している。
だが、生前に報道機関に配布された文書には、情報の入手経路などの聴取はなかったと記されていた。
男性は、斎藤知事による職員へのパワハラなど7項目の疑惑を告発していた。
斎藤知事は2024年3月の定例会見で
「噓八百」
などと切り捨てたが、その後、一部が事実と判明した。
批判を受けて斎藤知事は、職員とのコミュニケーションの改善に取り組むと表明した。
それは当然としても、告発者捜しを含む内部調査の指示などに問題はなかったのか。
疑惑解明にあたる百条委は対応を検証し、将来の通報者を萎縮させないような再発防止策につなげなければならない。

兵庫 斎藤知事 辞職要求“重く受け止め”も応じない考え
2024年9月9日 11時57分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240908/k10014576581000.html
兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり、日本維新の会は県政運営に支障が生じ始めているなどとして、斎藤知事に辞職を要求した上で、いわゆる
「出直し選挙」
で民意を問い直すべきとする内容の申し入れを9日に行うことになりました。
斎藤知事は
「重く受け止め、反省すべきところは反省する」
と述べる一方、辞職の要求には応じない考えを示しました。
この問題をめぐり、兵庫県議会では最大会派の自民党が行う方針の知事の辞職を求める申し入れにほかの3つの会派も加わる方向で、対応が未定の維新の会も方針を検討してきました。
3年前の知事選挙で斎藤知事を推薦した日本維新の会は、執行部と県議団などが協議した結果、斎藤知事に辞職を要求した上で、いわゆる
「出直し選挙」
で民意を問い直すべきとする内容の申し入れを9日に行うことになりました。
関係者によりますと、客観的な事実解明を行うべきだとの立場は維持しつつも、県政運営に支障が生じ始めていて、来年度予算案の編成作業を控え、県政を着実に進める必要があると判断したということです。
9日にも党本部の藤田幹事長が記者会見して、こうした内容を説明した上で速やかに知事側に文書を提出することにしています。
■兵庫県知事 辞職要求には応じない考え
兵庫県議会では最大会派の自民党なども、今週中に申し入れを行う方針で、県議会の全ての会派が斎藤知事に辞職を求める見通しです。
これについて斎藤知事は、今日午前、県庁で記者団に対し
「私に対する批判や指摘はしっかり重く受け止め、反省すべきところは反省しなければならない」
と述べました。
一方で、
「進めるべき予算や事業など必要なことはしっかりやらせてもらいたい」
「これからも百条委員会や第三者機関の調査にしっかり対応していく」
と述べ辞職の要求には応じない考えを示しました。

兵庫 斎藤知事への自民の辞職申し入れに3会派加わる方向で調整
2024年9月8日 5時09分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240908/k10014575961000.html
兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり、県議会の最大会派、自民党が行う方針の知事の辞職を求める申し入れに、他の3会派も加わる方向で調整していることがわかりました。
県議会の5つの会派のうち、対応が未定の維新の会も近く方針を決めることにしています。
この問題をめぐり、兵庫県議会の百条委員会は6日、斎藤知事に対する2回目の証人尋問を行い、知事はパワハラの疑いなどを告発する文書を作成した元局長を公益通報の保護対象とせず、懲戒処分にしたことは問題ないという認識を改めて示しました。
これに対し、県議会の最大会派、自民党は、県政を混乱させた責任を見過ごすことはできないとして、今週12日に、斎藤知事の辞職を求めて申し入れを行うことを決めました。
この申し入れに公明党の他、立憲民主党などで作る会派と共産党も加わる方向で調整していることが分かりました。
対応が未定の維新の会も、近く方針を決めることにしています。
知事が受け入れない場合は、複数の会派が今月19日から開かれる定例議会に不信任決議案を提出することも検討しています。
県議会の定員は86人で、4会派に加え無所属の議員も賛同した場合、維新の会を除いても不信任決議案が可決される4分の3の規模となります。

兵庫県議会 百条委「知事ら公益通報者保護法に違反」専門家
2024年9月5日 14時41分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240905/k10014572991000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐり、県議会の百条委員会で証人尋問が行われました。
文書を作成した元局長を公益通報の保護対象としなかった県の対応について、専門家は
「公益通報者を保護する法律に違反する」
などと指摘しました。
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐり、県議会の百条委員会は、5日午前10時ごろから証人尋問を行っています。
午前中は、公益通報制度に詳しい上智大学の奥山俊宏教授が参考人として出席し、県が告発文書を作成した元局長を公益通報の保護対象とせず、懲戒処分にした対応について質疑が行われました。
この中で、奥山氏は
「告発文書の一部を取って全体的な印象を『真実相当性なし』、『公益通報に該当せず』と判断するのではなく、丁寧な判断が必要だった」
「公益通報に当たらないと判断したのは拙速過ぎた」
と述べました。
その上で
「結果的に文書には、法的に保護されるべき公益通報が含まれていることが明らかになっていると思われ、知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると考える」
と指摘しました。
また、斎藤知事が記者会見で元局長を「公務員失格」と述べたことについて「感情にかられて、県の行政府のトップである権力者が公の場で部下個人に対して、いわば公開パワーハラスメントに及ぶことは許されない」と述べました。
午後からは、▽告発文書の内部調査に協力した弁護士や▽県の産業労働部長などが出席し、公益通報制度のほか、知事が贈答品を受け取っていた疑いなどについて証人尋問が行われます。
一方、5日は一連の問題の対応にあたり、体調不良を理由に業務を休んでいる元総務部長にも出席を求めていましたが、安全面への懸念や心身の不調などを理由に欠席しました。
■公益通報とは
公益通報とは、公務員を含む労働者などが組織の不正行為を、内部の通報窓口や、権限がある行政機関、それに報道機関などに通報することです。
不正による国民への被害を防止するための通報は、正当な行為として保護されるべきだとして、公益通報をした人の不利益な扱いは法律で禁止されています。
兵庫県では、これまで内部通報窓口しかありませんでしたが、新たに弁護士が受け付ける外部窓口を年内をめどに設置することになり、準備を進めています。

兵庫県知事 パワハラ疑惑で「ハラスメント研修受ける機会も」
2024年9月4日 21時05分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240904/k10014571611000.html
兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり、県庁職員を対象に行われたアンケートで新たにおよそ2000人分の集計がまとまりました。
この中の自由記述欄には知事がホテルでの夕食を断られた際に県職員に対し
「俺は知事だぞ」
と発言をしたという記載もありました。
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを調査する県議会の百条委員会は、すべての県庁職員を対象にアンケートを実施し、8月に公表された中間報告では、およそ4割が知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあるなどと回答していました。
こうした中、新たにおよそ2000人分の集計がまとまり、その内容が明らかになりました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ5割に当たる1052人でこのうち
「目撃などにより実際に知っている」
と回答したのは71人でした。
自由記述欄には
▽「会議が開かれたホテルで急きょ夕食をとりたいと言われ、断られたことを伝えると『俺は知事だぞ』と激怒した」
▽「職員があいさつしても、返すどころか目すら見ない」などという記載もありました。
また、知事が贈答品を受け取っている疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ3割に当たる599人で、自由記述では
▽「あらゆる出張先でお土産を求めていると聞いた」、
▽「かに、かき、イチゴ、ノリなどを持って帰っていると聞いた」などの記載がありました。
一方で、回答は人づてに聞いたことをもとに書かれているものも多く、百条委員会は調査の参考資料として取り扱うことにしています。
集計結果は、9月中にも公表される見通しです。
■知事「ハラスメント研修受ける機会も」
斎藤知事は4日、定例の記者会見で、自身がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり
「不適切だった行為があったことも事実だと思う」
「ハラスメントかどうかはこれから調査が進んでいくが、不快や負担に思った方に対しては、直接おわびもしたい」
と述べました。
その上で
「しっかり反省して自分の言動を省みていき、ハラスメント研修を改めて受ける機会もつくっていくことになると思う」
「そうしたことで自分の責任を果たしていきたい」
と述べました。
一方、県議会の会派の中に今月開会する定例議会で不信任決議案を提出する動きがあることについて
「不信任決議案は大変重い制度だ」
「議会側の動きなのでコメントは難しいが、文書問題の調査を進めていくことは議会側が決定したことなので、しっかり対応していく」
と述べました。
■知事「職員が不快に思ったことは反省 おわびしたい」
また斎藤知事は
「職員がいろいろな思いで回答したと思うので、しっかり受けとめたい」
「職員が不快に思ったことは反省しており、おわびしたい」
「自分のことばづかいや行動が思っている以上にプレッシャーになっている点などについては反省して改めていく」
と述べました。
アンケートの自由記述で
「会議が開かれたホテルで急きょ夕食をとりたいと言われ、断られたことを伝えると『俺は知事だぞ』と激怒した」
などと書かれていたことについて
「『俺は知事だぞ』と激怒した認識や記憶はなく、予約が取れないかお願いしたと思う」
「無理な調整をさせてしまったとすればおわびしたい」
と述べました。
■維新 藤田幹事長 来週中に党の対応を決める考え
日本維新の会の藤田幹事長は記者会見で
「われわれは一貫して、しっかりと事実究明するべきという問題意識に変わりはなく『斎藤知事を擁護している』と言われるのは心外だ」
「ただ『維新の会が推薦した知事が騒動を起こしているから維新の会がダメなのではないか』という指摘を受けるのは当然だ」
と述べました。
その上で、6日県議会の百条委員会で行われる知事の2回目の証人尋問などを踏まえ、来週中に党の対応を決める考えを示しました。

兵庫斎藤知事への対応 来週の百条委など踏まえ判断 維新幹事長
2024年8月31日 19時23分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240831/k10014567461000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐり、日本維新の会の藤田幹事長は31日党の県組織などと対応を協議し、来週、県議会の百条委員会で行われる知事の2回目の証人尋問などを踏まえ、不信任決議案を提出するかどうかなど対応を判断したいという考えを示しました。
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、30日県議会の百条委員会で証人尋問が行われ、斎藤知事はパワハラ疑惑を重ねて否定し、
「不快に思った人がいればおわびしたい」
などと述べました。
これを受けて、3年前の選挙で、自民党とともに斎藤知事を推薦した日本維新の会の藤田幹事長は31日、神戸市で党の県組織や県議団の幹部と今後の対応を協議しました。
このあと、藤田幹事長は記者会見で
「証人尋問で本人も認めていたが、机をたたいたり、大きな声で指導したりするようなマネージメントは、個人的には、これからのリーダーにはあまり似つかわしくないと思う」
と述べました。
そのうえで、9月6日に百条委員会で知事の2回目の証人尋問が予定されていることを踏まえ、
「答弁などを見たうえで、われわれも何らかのアクションを考えたい」
と述べ、不信任決議案を提出するかどうかなど来週にも対応を判断したいという考えを示しました。
兵庫県議会では、立憲民主党などでつくる会派が、9月開かれる県議会で、不信任決議案を提出する方針を決めています。

兵庫 斎藤知事 立民などでつくる会派が不信任決議案提出へ
2024年8月31日 7時14分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240831/k10014566661000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、県議会の百条委員会で証人尋問が行われ、斎藤知事はパワハラ疑惑を重ねて否定し
「不快に思った人がいればおわびしたい」
などと述べました。
一方、立憲民主党などでつくる県議会の会派は
「斎藤知事のもとで県政を前に進めるのは困難だ」
として、来月開かれる県議会で不信任決議案を提出する方針を決めました。
証人尋問で斎藤知事は、委員から
「出張先で玄関の20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされ、職員らをどなり散らした」
という記載が事実か問われたのに対し
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な車の進入経路を確保していなかったことを大きい声で注意した」
などと説明しました。
また、職員からの評価をどう考えるか問われ
「厳しい上司だと思われていると思う」
「必要な指導だと思っていたが不快に思った人がいれば、心からおわびしたい」
と述べました。
その上で
「パワハラかどうかは私が判定するというより、百条委員会などが判定するものだ」
と述べました。
一方、立憲民主党などでつくる県議会の会派は
「斎藤知事のもとで県政を前に進めるのは困難だ」
として、来月19日に開会する県議会で不信任決議案を提出する方針を決めました。
今後、自民党などにも賛同を求めることにしています。
また、3年前の県知事選挙で斎藤知事を推薦した日本維新の会の吉村共同代表は、辞職を求めるかどうかは1、2週間程度で判断したいという認識を示し
「これ以上県政が進められないと判断すれば、辞職勧告や不信任決議案も選択肢に入ってくる」
と述べました。

兵庫 斎藤知事 百条委で証人尋問 “必要な指導”繰り返す
2024年8月30日 21時16分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240830/k10014564601000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、30日、県議会の百条委員会で知事への証人尋問が行われ、斎藤知事は告発文書などで指摘された言動について、必要な指導だったという認識を重ねて示した上で、
「不快に思った人がいれば心からおわびしたい」
などと述べました。
目次
【斎藤知事の発言】
■「襟をただしていきたい」
尋問は、2時間半にわたって、告発文書や県庁職員へのアンケートなどに記載されていた知事のパワハラの疑いを中心に質疑が行われました。
この中で斎藤知事は、委員から
「出張先で玄関の20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされ、出迎えた職員らをどなり散らした」
という記載が事実か問われたのに対し、
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な車の進入経路を確保していなかったことを注意した」
などと説明しました。
また、
「夜間、休日など時間おかまいなしの指示が矢のようにやってくる」
という記載については
「案件によっては遅い時間や休日に連絡したことはある」
「知事として報告、連絡、相談をしっかりしてほしいという思いが強かった」
と述べました。
その上で、
「必要な指導だと思っていたが、不快に思った人がいれば、心からおわびしたい」
「パワハラかどうかは私が判定するというより、百条委員会などが判定するものだ」
と述べました。
さらに、告発文書を作成した元局長を懲戒処分としたことについては、
「事実ではないことが多く含まれ、ひぼう中傷性の高い文書だと県として認識したので、調査をして処分した」
として、適切だったという認識を重ねて示しました。
一方、30日は知事の尋問に先立って県職員ら4人の証人尋問も行われ、この中では、
「知事から非常に強い調子で叱責された」
「社会通念上必要な指導の範囲とは思わない」
などといった証言が出されました。
委員会では、来週6日にも知事に出席を求めて証人尋問を行い、出張先で贈答品を受け取った疑いになどについて質疑を行うことにしています。
【斎藤知事の発言】
■「襟をただしていきたい」
斎藤知事は県庁職員へのアンケートで指摘されたみずからの言動について
「想定以上に、ぽろっと言ったことがどんどん伝わっていくところがすごくあると思った」
「言いすぎたという面があったと思うので、ちゃんと反省して、これから襟をただしていきたい」
と述べました。
■「仕事は厳しくするのが私のスタイル」
斎藤知事は職員からどのような評価をされていると考えるか問われたのに対し、
「厳しい上司だと思われていると思う」
「仕事は厳しくするというのが私のこれまでのスタイルなので職員にどう思われているかは、いろいろあると思う」
と述べました。
■「元局長の処分は適切」
斎藤知事は告発文書を作成し、公益通報した元局長を懲戒処分としたことについて、
「処分は適切だったと思う」
「事実ではないことが多く含まれ、ひぼう中傷性の高い文書だと県として認識したので、調査をして処分した」
と述べました。
■「遅い時間や休日に連絡したことはある」
斎藤知事は
「夜間、休日など時間おかまいなしの指示が矢のようにやってくる」
などという告発文書の記載が事実か問われたのに対し、
「案件によっては遅い時間や休日に連絡したことはある。主に、私への報告漏れや相談がなかったものについての指摘が多かったと思う」
「知事として報告、連絡、相談をしっかりしてほしいという思いが強かった」
「ただ、休日や深夜に連絡をしたのは適切ではなかった面もあるかもしれない」
と述べました。
■「記憶にない 1つひとつ覚えていないこともある 」
斎藤知事は
「自分が知らないことがテレビで取り上げられ、評判になったら『聞いていない』と担当者を呼んで執ように責めたてる」
という告発文書の記載が事実か問われたのに対し、
「記憶にない。なんらかの指摘をしたとしても、いろいろなレクを受けているので、1つひとつ覚えていないこともある」
と述べました。
■「当時の判断は適切」
斎藤知事は
「出張先で玄関の20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされ、出迎えた職員らをどなり散らした」
という告発文書の記載が事実か問われたのに対し、
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な車の進入経路を確保していなかったことについて注意した」
「当時は車の進入禁止のエリアだと認識しておらず、当時の判断としては適切だったと思っている」
と答えました。

■証人尋問を終えて
証人尋問のあと、斎藤知事は記者団に対し
「自分なりに1つ1つの質問に懸命に答えた」
「自分の行為がハラスメントにあたるかどうかは、これから百条委員会や第三者機関で作業していく」
「改めて私の行為や言動を不快に思った職員には率直におわびし、県民にもおわびしたい」
と述べました。
また、進退については
「改めるべきところを受け止め、日々の仕事から変えていくことが大事で、県政を前に進めていきたい」
と述べ、辞職しない考えを重ねて示しました。
■維新の対応は
3年前の選挙で、斎藤知事を推薦した日本維新の会は、31日、藤田幹事長が神戸市で、党の兵庫県の地方組織や県議団の幹部と会談し、30日の斎藤知事の発言を受けた今後の対応を協議することにしています。
■維新の会 佐藤県議「断定するためにはもう少し調べたい」
百条委員会の委員を務める維新の会の佐藤良憲 県議会議員は、証人尋問のあとNHKの取材に対し、
「いろいろと事実は出てきていて核心に迫っている気はするが、断定するためにはもう少し調べたい」
「維新としては、もともと是々非々でやってきているので、まずは事実を解明していきたい」
「県議団としての対応はこれからの協議になると思う」
と話しました。
■百条委 奥谷委員長「説明責任が果たされたとは考えられない」
百条委員会の奥谷謙一委員長は証人尋問のあと記者会見で、
「尋問を聞いていて知事が記者会見で話している内容とそれほど変わらないという印象を受けた」
「説明責任が果たされたとは現時点では考えられない」
と述べました。
その上で、
「私の認識としては、告発文書に書かれていることはおおむね事実として認定できるのではないか」
「いろいろな意見があると思うが、極めてパワハラに近いと評価して差し支えないと思う」
「文書を作成した元局長に対する処分の手続きが適正だったのかどうかが非常に大きな論点だと思うので、来週の証人尋問は極めて重要になる」
「しっかり準備したい」
と述べました。

斎藤知事“パワハラ疑い”告発文書 百条委員会 証人尋問始まる
2024年8月23日 22時16分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240823/k10014557221000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、県議会の百条委員会では23日、初めての証人尋問が行われ、県の職員6人が出席しました。
目次
証人尋問 県職員6人が出席
職員アンケート 中間報告を公表
■証人尋問 県職員6人が出席
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、県議会は、地方自治法にもとづく百条委員会を設置して事実関係の調査を進めています。
23日は初めての証人尋問が行われ、県の職員6人が出席しました。
百条委員会は、原則、公開することになっていますが、23日の尋問は、証言する職員の心理的負担などを考慮し、非公開で行われました。
委員会のあと、奥谷謙一委員長らが記者会見し、証人尋問の内容を説明しました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いをめぐっては、出席者から
「パワハラを受けた」
という明確な証言はありませんでしたが、
「叱責や舌打ちがあった」
「最高幹部が文具を投げられた」
という証言があったということです。
また
「告発文書を作成した元県民局長がパソコンを押収されたときの音声データがある」
という証言もあり、百条委員会としてデータの提出を県に求めたということです。
さらに、来週30日の斎藤知事の証人尋問はインターネット中継を含めて全面公開で行うことや、来月5日と6日にも職員の証人尋問を行うことを明らかにしました。
■職員アンケート 中間報告を公表
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、事実関係の調査を進めている県議会の百条委員会は、先月末からすべての県庁職員を対象にアンケートを行いました。
今月5日までに全体の半数近くにあたる4500人余りの職員から回答が寄せられていて、23日、その集計結果が中間報告として百条委員会に示されたあと、公表されました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ4割にあたる1750人(38.3%)でした。
自由記述欄には
「公用車内で知事が激怒し、前部座席を蹴った」、
「机をたたいて怒り出す」、
「知事が出席するイベントや行事にマスコミが来ないと怒る」
などの内容がありました。
また、知事が贈答品を受け取っている疑いを見聞きしたことがあると回答した人は946人(20.7%)で、自由記述欄には
「40万円相当の革ジャンを試着し、『これはいい。もらえないか』と知事がおねだり」、
「両手で抱えきれない量のかきを全部1人で持って帰った」
などの内容がありました。
このほか
「受け取りを拒否した職員分のカニも知事が持ち帰ったと聞いた」、
「『その靴ほしいです。白い靴がほしいです』と発言した面談記録を読んだ」
などといった内容もありました。
ただ、回答は人づてに聞いたことをもとに書かれているものも多いということで、百条委員会は知事や職員の証人尋問で事実関係を尋ねるなど、調査の参考資料として取り扱うことにしています。
■斎藤知事「多くの職員が回答 大変残念な思い」
アンケートの中間報告が公表されたことを受けて、兵庫県の斎藤知事は記者団に対し
「個々の事案の内容は詳細に承知していないが、特にパワハラについては『人づてに聞いた』などの回答がおよそ4割にのぼっている」
「『県政をよりよくしていく』と3年間、必死でやり、必要な指示や指導をしたが、これだけ多くの職員が回答している事実に接し、大変残念な思いだ」
と述べました。
その上で
「職員の受け取り方とずれが生じたことで、不快な思いや負担をかけたことは重く受け止めなければならないし、真摯(しんし)に反省して改めていくことが大事だ。日々の業務の中では、職員への感謝の気持ちやねぎらいを積極的に伝えている」
と述べました。
■県市長会が要望書「県政が混乱し 大きく停滞」
兵庫県の元局長が作成した斎藤知事にパワハラの疑いがあるなどと告発する文書をめぐって県市長会は県庁を訪れ、斎藤知事に要望書を手渡しました。
要望書では一連の県の対応について
「県政が混乱し、大きく停滞していることは危機的とも評される」
としています。
その上で
「告発文書を公益通報者保護の対象とせず、十分な調査も尽くさず元局長を懲戒処分にしたことは多くの市長から不適切だと指摘があった」
として、県政の混乱を収束させるため最善の努力をするよう求めています。

斎藤知事は要望書を受け取り、
「心配をいただいていることに改めておわびを申し上げたい」
と述べました。
このあと、斎藤知事は記者団に対し
「指摘は真摯(しんし)に受け止めるが、県としては適切に対応してきたと考えている」
と述べました。
県市長会の会長を務める丹波篠山市の酒井隆明市長は記者会見で
「知事が自分の対応に追われて、県政を引っ張っていくリーダーシップを発揮できない状況にあることを大変、懸念している」
「百条委員会の調査ができるだけ早期に適切になされることを期待する」
と述べました。
■県民「事実をつまびらかにして」
斎藤知事に関する疑いを巡って県内では、事実関係を明らかにしてほしいという声が多く聞かれました。
このうち20代の大学生は
「疑惑になっているようなことをしていないなら、解明したほうがいいし、事実なら潔く認めたほうがいいと思う」
と話していました。
40代の会社員の男性は
「まわりがついてこないような状況では、政策を進めるにしても影響が大きいのではないか」
「まっとうな政治をしてほしい」
と話していました。
60代の女性は
「県政が止まっているように見えるので、県民が納得するような形で事実をつまびらかにしてほしい」
「人の命はすごく大事だし、公務員は一生懸命働いているので、みんなが幸せになれたらと思っている」
と話していました。

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