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[政治・選挙・NHK294] ステルスで圧勝など、そうは問屋がおろさない 百合子の失速 蓮舫の猛追「最終攻防」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
62. 秘密のアッコちゃん[422] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月04日 11:53:32 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[535]
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夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/783.html#c62

[政治・選挙・NHK294] 小池3選悪夢の創設者(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
27. 秘密のアッコちゃん[423] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月05日 17:07:15 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[536]
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「エコ」は財布に全く優しくない
正論2024年8月号
明治大学教授 飯田泰之
キャノングローバル戦略研究所研究主幹 杉山大志
★飯田
2024年6月から所得税の定額減税が始まりました。
その一方で政府による家庭向け電気料金の補助が2024年6月使用分から廃止されるため、電気料金は大幅に値上がりします。
なぜこの時期に補助を打ち切るのか、非常に疑問です。
今は世界的なインフレが収まってきて、春闘での賃上げがあり、ようやく家計が一息つけるところです。
本来ならここで1〜2年、その恩恵を享受してもらう期間を設けるべきなのに、間髪を入れず電気料金を上げてしまうことには
「民力を養う」
という意識の低さが感じられました。
★杉山
電気代に政府が補助金を出すというのは、一時的な激変緩和措置としての役割はあったかと思いますが、いつまでも続けるべきものではないでしょう。
とはいえ、電気料金が高止まりしている根本的な原因には手を打たねばなりません。
最優先事項は、止まっている原子力発電所を再稼働させることで、それで電気料金はグッと下がります。
ウランの燃料費は圧倒的に安いわけですから原発を造った以上、動かさない手はありません。
それが不合理な規制で止まってしまっている。
安全性に問題があると言われますが、原発を稼働させながら安全対策をすればいいだけの話で、実際に海外ではそうしています。
そして太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーについては、電気代に上乗せされる再エネ賦課金が2024年4月から上がったことが話題になっています。
国によれば1世帯当たり負担額は1万3000円程度とされていますが、2024年度国民が負担する再エネ賦課金の総額は2兆7000億円ほど、3人世帯なら6万円の負担となります。
★飯田
実は家庭用の電気料金に上乗せされている分に加えて、産業用の電気料金に上乗せされている分があり、それは回り回って結局、国民が幅広く負担しているのですが、そこが見えにくくなっているわけですね。
現在、電気料金が高止まりしているのは間違いなく、東日本大震災以降に原発再稼働の時期が政治的に先延ばしされてきたツケが回ってきているのだと言えます。
原油価格が高騰の折にこれだけ動かせる原発を止めていた国は日本くらいのものでしょう。
第2次安倍政権も、高い支持率があり党内基盤も強かったのですから、本来は原発再稼働を強行するべきだったと思います。
結局、私たちは現在、物凄くコストの高い発電方法を選んでしまっている。
この電気代高騰は実は人災なのだ、ということを認識する必要がありそうです。
■再エネは本当に安いのか
★飯田
台湾の半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)が典型的ですが、日本国内に生産拠点を持つ海外企業が九州を選ぶ例が多いのです、
それは電気料金の安さもさることながら、原発をきちんと再稼働しているという電力供給に対する安心感もあります。
一方で東北地方でも工業団地を造成して工場の誘致に成功している事例もありますが、やはり九州に比べると振るいません。
やはり九州に比べて、東北の電気料金は高く、電力供給にも不安があるというわけです。
今、西側諸国が中国との関係を見直し、日本への生産拠点の移転を始めています。
日本にとっては千載一遇のチャンスなのですが、電気料金が高く電力供給にも不安があるという問題があって、移転が一部地域でしか進んでいません。
これまた日本は、自分で成長の芽を摘んでしまっていると思うのです。
日本の産業界も、外国人労働者の受け入れに熱心になるよりも、電力の問題にきちんと取り組むべきではないでしょうか。
★杉山
原発の問題に加えて再エネの方も問題山積で、日本政府は菅義偉政権の時に小泉進次郎環境相や河野太郎行政改革担当相らが旗を振った
「再エネ最優先」
を今も言い続けています。
2023年5月には
「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」
なる法律が成立して今、第7次エネルギー基本計画の策定に向けた検討が始まっており、
2024年末ぐらいまでにまとまるとのことです。
そこでは、向こう10年間で150兆円の投資を官民で実施することになっていますが、お金の行き先の大半は再エネでしょう。
しかし再エネを導入し過ぎると電気が余る場合があるので、電池を用意する。
それでも余った分は送電線で他の地域に送るので、送電線も増強することになる見通しです。
そもそも太陽光発電自体が年間の設備利用率、即ち稼働率は17%程度しかありません。
雨の日や夜間でも電気は必要ですから、火力発電所をなくわけにはいきません。
太陽光発電は必然的に2重投資になるのです。
更に電池も必要、送電線も必要となれば3重投資、4重投資です。
国は毎年15兆円、つまりGDP(国内総生産)の3%をそうしたグリーン投資に回すとしているのです。
さすがに全ては実現しないと思っていますが、そういう方向になっている。
それで日本政府は
「グリーン経済成長が実現します」
と言っていますが、私は当然信じていません。
これまで太陽光発電を大量導入して経済成長したかと言えば、全くしていないわけですから。
★飯田
今後、グリーン投資の収益性は益々下がっていきます。
平成29(2017)〜平成30(2018)年くらいまでの日本では労働者が余っていたので、政府がお金を使うことで雇用の増加という結果を生み出すことができました。
当時であれば、とにかく国がお金を使うことに意義があったのです。
ただ現状、日本は人手不足状態です。
それに以前なら、日本国内で太陽光パネルの需要を増やすことによって研究開発投資が進んで、日本国内の企業を育成する支援になったかもしれません。
しかし今や太陽光パネルを導入することは、中国から買うことに他なりません。
再生可能エネルギーは火力発電や原子力発電に比べて安い、と主張する人が一部にいますが、本当に再エネが安いのであれば補助金など出さずとも、放っておいても普及するはずですから、国は何もする必要はないのです。
再エネ関係の人たちが
「再エネ賦課金が必要だ」
などと主張するのは
「実は採算が合わないのです」
と自分で言っているようなものです。
★杉山
最近でも再エネ推進論者の方は、再エネは安いと言いながら、再エネ賦課金は必要だという意味不明の主張をしています。
★飯田
まともな論理能力のある人間なら、そしておよそ真面目な人としての良心があれば言えない事を平気で言って、それを一部メディアが素晴らしいと取り上げているという地獄絵図のような状態になっています。
話を戻しますと、人手不足状態となっている今の日本では、衰退している産業から生産性の高い産業へと人材、資源、資金、土地を如何に移動させるかが重要になってきます。
それこそ生産性の低い太陽光発電に土地や人手や資金を投入してしまうと、その他の成長すべき分野の足を引っ張ることになってしまいます。
今の日本経済がそういう局面にあるのだ、ということを意識しなければいけません。
■世界の潮流は脱・脱炭素
★飯田
私は発電の技術については素人なので質問ですが、発電のコストを比較する場合には必ずと言っていいほど
「発電所を新設した場合の比較」
になっていますが、何か変なのでは。
★杉山
それには理由が2つあります。
まず、新設のコストと言っても発電電力量、例えば1キロワット時当たりの比較になっており、これは全く適切な比較ではありません。
太陽光発電は晴れた時に発電するだけです。
電気は何故価値があるかと言えば、スイッチを入れたら必ず使えるからこそ価値があるわけで、気まぐれにしか発電しない電気というのは実際のところほとんど無価値なのです。
本当に公平に比較するのであれば、太陽光発電+大量のバッテリーで必ず電気が使える状態にして比較すべきです。
となると、太陽光の電気は桁違いに高額になります。
もう1つ、既設の発電所が考慮されていないという問題があります。
特に原発は、発電コストがキロワット時当たり約10円とされていますが、うち燃料費は1円程度なのです。
ですから既設の原発の再稼働というのは断然、安上がりなのです。
それも寿命を延ばせば、更に安くなります。
現在、原発は発電開始から40年で一旦審査し60年までは使えるようになっていますが、実際のところ原発が古くなったと言っても内部の主な機器は取り替えられているし、保守点検もされていて、寿命など無いに等しいのです。
米国などは80年〜100年、更にそれ以上の運転も視野に入れており、日本もそうすればいい。
この断然、安い電源を失くす手はありません。
★飯田
なるほど、世間では
「老朽化原発」
とよく言われますが、原発が自動車みたいな物だとイメージされているようですね。
自動車であれば、50年動かすのは難しいかもしれません。
けれども原発の場合、メンテナンスをして入れ替えるべき物は入れ替えており
「行く川の流れは絶えずしてしかも元の水にあらず」
なわけですね。
★杉山
そうです。
ちなみに水力発電所であれば、100年以上稼働している例はいくつもあります。
ダム本体のコンクリートはそのままだとしても、原発と同じように発電機などの機器は必要に応じて更新されているのです。
★飯田
そうだとすると圧倒的に安い原発の発電コストのレベルに太陽光が追い付くのは、到底無理なのではありませんか。
★杉山
太陽光発電の本質的な限界は、日差しのある時しか発電できないということです。
そのため太陽光の電気は先の3重投資、4重投資を考えればどうにも安くならず、原発に代わることは到底無理でしょう。
★飯田
私が危機的だと思っているのは、非効率的な発電方式である太陽光を導入する理屈として、国際的・外交的な理由が挙げられているのです。
世界各国は現在、如何にして自国はCO2を削減せず、他国にCO2を削減させるのかに血眼を上げています。
その中で、何故か日本では
「どんどん頑張って日本の発電コストを高くしましょう」
とする政治家が評価されてしまう。
★杉山
いや、日本だけでもありません。
米国でもバイデン政権・民主党は
「2050年にCO2をゼロにする」
と公言しています。
欧州でもイギリスの保守党政権、ドイツの歴代政権、フランスのマクロン大統領なども同じ事を言って、それなりに政権が支持されてきたのです。
当初は皆、余り意味が分かっていなかった。
しかし実際にはとんでもない事だということが、次第に明らかになって来ています。
例えばガソリン車の禁止だとか、ガスボイラーでの暖房禁止といった話が出始めて、国民が怒り始めた。
それで最近の欧州での選挙結果では、右派勢力が勝つようになってきました。
その一番大きな要因は移民問題だとしても、次に大きいのは
「脱炭素は馬鹿げている」
ということになのです。
★飯田
ただその一方でウクライナ戦争以降
「CO2ゼロ」
の持つ意味合いが変わってきたのが感じられます。
特に欧州では、原発の重要度を上げていくことでCO2を減らすという方向に、徐々に舵を切っていく兆候があります。
今はドイツ以外には
「太陽光や風力で脱炭素する」
という国は、ほとんどないのでは。
★杉山
いや、再エネ重視勢力は結構しぶとくて、イギリスなどは今度の総選挙で労働党政権になったら、もっと無茶なグリーン政策を展開しかねません。
ドイツの環境重視勢力も、弱っているとはいえ、まだ太陽光・風力を推しています。
それでも私は、気候変動の話というのはそのうちに国際的な議題ですらなくなると思っています。
というのは、ウクライナ侵攻しているロシアが石油を掘ったり、天然ガスを輸出するのをやめることはあり得ないからです。
ロシアの経済はそもそも石油とガスでもっていて、軍事力もそれで維持している。
中国も口では脱炭素とか再エネ重視とか言っていますが、実際には石炭火力発電にどんどん投資しており、インドも同様です。
そうしたことがウクライナの戦争で明白になりました。
既に新しい冷戦状態になっており、各国とも
「身銭を切ってCO2ゼロを目指します」
などという局面ではないのです。
その中で日本では、GXの制度化が着々と進んでいて、ある意味、世界の流れに逆行しているとも言えるでしょう。
★飯田
日本では現在、一定以上の規模のある企業にとって最も儲かるのが再エネ関連ビジネスになっています。
なぜ儲かるかと言えば、補助金が出るからです。
今、皆で頑張って補助金を分捕ろう、ということに日本人の頭脳が費やされています。
これは非常に憂うべき状態で、だからこそ再エネ賦課金などというものは早く廃止すべきだと私は思います。
CO2の削減は否定しませんが、であれば原発の再稼働を急ぐのが筋でしょう。
■太陽光パネル義務化という愚策
★飯田
東京都では2025年4月から、新築住宅への太陽光パネル設置が義務化されますが、私はこれは
「愚の骨頂」
だと以前から指摘してきました。
何が馬鹿げているかと言えば、都内の小さな住宅に太陽光パネルを設置しても、エネルギー効率が良くないのです。
そもそも住宅密集地には
「北側斜線制限」
なるものがあり、簡単に言えば北向きの屋根が多くならざるを得ません。
★杉山
隣の家にきちんと日が当たるように配慮しないといけないわけですね。
★飯田
ですから太陽光発電に向いていない屋根が多く、更にパネルを設置すれば光の反射で近隣に迷惑が掛かりかねません。
これは日本でも訴訟になっている例もあります。
そのように、日本で一番、太陽光発電に適していない地域で義務化しようとしているわけです。
★杉山
付け加えれば、太陽光発電の設置には逆進性の問題もあります。
都内で南向きに大きな屋根のある家を建てられる人は、再エネ賦課金その他の補助金が付いて来るから太陽光パネルを設置して元が取れるのです。
一方で小さな北向きの屋根の家しか買えない人は単にお金を払うだけになる。
★飯田
まさに皆に税金(賦課金)を課してお金持ちに渡そうという構図になっているのです。
なぜ日本の左翼の皆さんは、これを批判しないのか不思議でなりません。
ーーところで小池百合子都知事は4年前(2020年)、「都内で新車販売される乗用車の2030年までの非ガソリン化を目指す」と宣言していました。
★飯田
さすがにそれは実現しない、あるいは延期になると思いますよ。
ここへ来て電気自動車の普及はペースダウンしてきていますから。
★杉山
イギリスでも結局、ガソリン車の販売禁止時期を2030年から2035年に延期しましたし、東京都も延期になるでしょう。
★飯田
仮に東京都がガソリン車の新車購入を禁止したとしても、欲しい人は所沢(埼玉県)で購入すればいいだけの話です。
★杉山
埼玉のガソリン車は東京に入って来るな、となるかも。
何だか映画「翔んで埼玉」みたいな話ですね。
いや笑い事ではありませんが。
■国民が広く薄く損をする
★飯田
今、再エネ導入は税や補助金によって、余りに儲かり過ぎるビジネスになっています。
これにブレーキを掛けるのは並大抵の事ではできません。
疑問を持っている官僚もいるかもしれませんが、抵抗したら失脚してしまいますし。
しかし、多くの国民は再エネで利益を受けません。
というよりも、これは国民から搾り取って一部の人にお金を回すというシステムですよね。
★杉山
ごく一部の人たちだけが儲かるシステムで、国民は広く薄く皆、損をするけれど、ボーッと生きていると気が付かない。
再エネ賦課金の事もよく知らない、電気料金の明細も確認しないという人も結構いますから。
元々、脱炭素については、昔は経済産業省は猛烈に抵抗していたのです。
しかし令和2(2020)年に菅義偉首相が所信表明演説で
「脱炭素社会の実現」
を宣言した辺りから、経産省も官邸から相当な圧力もあったのでしょう。
今はすっかり宗旨替えして脱炭素路線を突っ走っています。
現在は経産省が音頭を取って脱炭素利権をどんどん膨らませているのが実態だと言えそうです。
★飯田
そもそもの話ですが、日本がどんなに頑張ってCO2の排出を半減させたところで、中国がちょっと増やしたらすぐに帳消しになってしまうのです。
日本はお付き合いできる範囲での脱炭素でいいのではないでしょうか。
★杉山
今、日本の石炭火力発電の設備投資はおよそ5000万キロワットですが、中国はその20倍の石炭火力を持っており、今後数年で建てる石炭火力が日本全体の6倍もあるので、日本が石炭火力を全廃したところでまるで意味がないのです。
仮に日本が2050年までにCO2をゼロにしても、それで下がる地球の気温は0.006℃です。
★飯田
それはもう誤差の範囲で、計測は不可能です。
そのために日本の産業を壊滅させていいのでしょうか。
まともな計算ができる、そして目先の利権から少し距離を置ける政治家の登場が待たれるところです。

<正論>「グリーンエネ」で日本は滅びる 
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志
2024/5/30 8:00
https://www.sankei.com/article/20240530-ZTVU3EHV2FN5HP2OYPHCJ3IXOI/
日本のエネルギー政策の方向性を定めるエネルギー基本計画の政府による改定作業が始まった。
年度内を目途として、2050年CO2ゼロを達成するためのグリーントランスフォーメーション(GX)産業政策を立案するという。
だがそもそもの現状の認識を大きく間違えている。
■世界は脱炭素ではない
政府は
「世界はパリ気候協定のもと地球温暖化を1.5℃に抑制する」
「そのために日本も脱炭素を達成する責務がある」
「今脱炭素に向けて国際的な産業大競争が起きている」
としている。
だがこれは本当か。
確かに多くの国はCO2ゼロを宣言している。
だが実態を伴わず、本当に熱心に実施しているのは、日本と英独など幾つかの先進国だけだ。
米国はと言えば、バイデン政権は脱炭素に熱心だが、議会の半分を占める共和党は猛烈に反対してきた。
実際のところバイデン政権下ですら米産業は世界一の石油・ガス生産量を更に伸ばしてきた。
中国は表向きはいずれ脱炭素にすると言うが、実際は石炭火力発電に莫大な投資をしている。
グローバルサウスのCO2排出は増え続け、
「2050年脱炭素を宣言せよ」
というG7の呼び掛けを端から拒否している。
インドもベトナムも石炭火力発電に投資をしている。
つまり世界は脱炭素に向かってなどいない。
理由は簡単でエネルギー、就中安価な化石燃料は経済活動の基盤だからだ。
■戦争の枢軸との新冷戦
そもそも気候変動が国際的な
「問題」
に格上げされたのは、リオデジャネイロで1992年に開催された
「地球サミット」
からである。
これが1991年のソ連崩壊の翌年であることは偶然ではない。
冷戦期は米ソ協力は不可能だった。
冷戦が共産主義の敗北に終わり、民主主義が勝利し、世界平和が実現したという高揚感の中、国際協力を深め地球規模の問題を解決しようという機運が生まれた。
当初から幻想に過ぎなかったが、2022年にロシアがウクライナに侵攻したことで完全に崩壊した。
今ロシアはイラン製のドローンを輸入し、北朝鮮から弾薬を購入している。
中国へは石油を輸出して戦費を調達し、あらゆる工業製品を輸入している。
ロシア、イラン、北朝鮮、中国からなる
「戦争の枢軸」
が形成され、ANATOやG7は対峙することになった。
ウクライナと中東では戦争が勃発し、台湾有事のリスクが高まっている。
この状況に及んで、自国経済の身銭を切って、高くつく脱炭素のために全ての国が協力することなど、あり得ない。
戦費の必要なロシアやテロを支援するイラン、その軍事費が米国に匹敵するようになった中国が、敵であるG7の要求に応じて、豊富に有する石炭、石油、ガスの使用を止めるなど、あり得ない。
ごく近い将来、気候変動はもはや国際的な
「問題」
ですらなくなるだろう。
ところが日本政府は未だ世界平和の幻想から覚めやらず、脱炭素に邁進している。
■日本製造業が崩壊する
政府は日本のCO2排出はオントラックだと自慢している。
何の事かと言うと、2013年以降日本のCO2は減少を続けており、同じペースで直線的に減れば2050年にはゼロになる。
だがこの理由は何か。
8割方は産業空洞化で、省エネや再エネではない。
一体政府は何を自慢しているのか。
このままCO2が減りゼロになれば、産業も壊滅してゼロになる。
原子力を推進するならばよい。
だが政府は規制と補助金により、再エネと、その不安定を補うための送電線と蓄電池を大量に建設し、またCO2回収貯留やアンモニア発電、水素利用も進める。
これら高価な技術にGDPの3%も投じるというが、光熱費が高騰し経済は衰退する。
それでも政府はこのようなグリーン投資こそが世界の潮流だとして、欧州の例を盛んに引き合いに出す。
けれども欧州は、とても日本が真似をすべき対象ではない。
欧州では既に産業空洞化が進行している。
今世界の製造業の29%は中国が占める。
他は米国が16%、日本が7%だ。
欧州勢は、ドイツは5%だが、英仏伊は各2%に過ぎない。
ナンバー1と2である中国と米国は、どちらも化石燃料を大量に利用し、安い光熱費を享受している。
他方で日本以上に脱炭素に邁進しているドイツ等は極めて光熱費が高くなった。
今製造業は益々中国と米国に立地し、日本やドイツ等から逃げ出している。
次期米大統領は
「たぶんトランプ」
だと言われている。
すると脱炭素政策は180度変わる。
米共和党は、気候危機など存在せず、中国やロシアの方が遥かに重大な脅威だと正しく認識している。
バイデン政権が推進した脱炭素政策は悉く改廃される。
日本はどうするのか。
中国そして戦争の枢軸に負けるわけにはいかない。
愚かな脱炭素政策によってドイツ等と共に経済的に自滅するのを止めるべきだ。

<主張>エネ計画の改定 原発の積極活用を目指せ
社説
2024/5/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20240520-GQVVF5675ZMSVPAJIA2JGT6KRQ/
国のエネルギー政策の指針である
「エネルギー基本計画」
の見直しに向けた議論が始まった。
令和22(2040)年度の電源構成などを検討し、令和6(2024)年度中に改定する。
ロシアによるウクライナ侵略でエネルギー情勢は一変し、エネルギー安全保障の重要性は一段と高まっている。
次期計画では脱炭素と共に、低廉で安定したエネルギー供給を両立する戦略を描く必要がある。
そのために必要になるのは原発の活用拡大である。
岸田文雄政権は令和4(2022)年12月にまとめた
「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」
で原発を最大限活用する方針に転換した。
生成AI(人工知能)の普及などによって今後、増大が見込まれる電力需要に対し、原発は大量の電気を安定的に供給できる。
現行計画では令和12(2030)年度の電源構成のうち原発は20〜22%としているが、令和4(2022)年度の実績は5.6%にとどまっている。
活用拡大には、新規制基準に合格した原発を着実に再稼働すると共に、原発の建て替えや新増設が欠かせない。
政府は次期計画でそうした方針を明確に示し、実現に向け率先して取り組んでもらいたい。
脱炭素を進めるため、再生可能エネルギーの導入拡大も論点となる。
だが、天候に左右される再エネを増やせば、電力供給は不安定化が避けられない。
立地を巡り地元住民とのトラブルも増えている。
蓄電池や送配電網の整備といった課題解決の手段も並行して議論しなければならない。
大量のCO2を排出する石炭火力発電の是非も重要なテーマだ。
先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合でCO2の排出削減対策を講じていない石炭火力を令和17(2035)年までに廃止することで合意したが、日本は令和4(2022)年度で30%超の電気を石炭火力で賄っている。
日本は燃やしてもCO2を排出しないアンモニアを石炭に混ぜて燃やす技術開発を進めている。
軌道に乗れば、石炭火力の割合が高いアジアの脱炭素にも貢献できるはずだ。
政府は和4(2022)年に向けた脱炭素化と産業政策の方向性を盛り込んだ新戦略を和6(2024)年内に策定する。
次期エネルギー計画に沿う形で企業の投資を支援し、国内産業の競争力強化に繋げたい。

第7次エネルギー基本計画、原発の位置づけ踏み込めるか エネルギー経済社会研究所・松尾豪代表
2024/5/15 14:29
https://www.sankei.com/article/20240515-OKZDSY37RRNBJHNW3N2RTZK624/
現行のエネルギー基本計画は、2050(令和32)年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に向け、政府が令和12年度に温室効果ガスを平成25年度比で46%減らすと打ち出した目標を念頭に決まった。
今回の見直しで、どれだけ深堀りされた内容になるかが注目される。
電源構成では原発をどう位置付けるかだ。
この10年で原発再稼働は限定的だった。
原発の高経年化が指摘される中、
「リプレース(建て替え)」
の必要性など踏み込んだ議論ができるかだろう。
再生可能エネルギーに関しては、海外で導入拡大の動きが衰えず、化石燃料の依存度も下げないといけない中で、計画で野心的な数字(比率)が出てくる可能性もある。
再エネでは洋上風力発電と次世代太陽電池
「ペロブスカイト太陽電池」
の期待が大きい。
ペロブスカイトは国産技術で、サプライチェーン(供給網)の構築もテーマだ。
化石燃料は難しい課題だ。
先進7カ国(G7)は温室効果ガスの排出削減対策を取っていない石炭火力発電に関し、2035(令和17)年までの段階的廃止で合意した。
だが原発や再エネがうまく拡大しないと化石燃料に頼らざるを得ない。
人工知能(AI)の普及などで電力需要が急増すると、火力発電も必要だとの声が高まるかもしれず、情勢は不確実だ。

「原発新増設、次期エネ基に」 林欣吾・電事連会長 再エネ、負担のあり方議論
2024/5/3 2:00
https://www.sankei.com/article/20240503-RR7PTDAKSFK2FAM2XN5ZFJDZ3Y/
大手電力で作る電気事業連合会の会長に2025年4月1日付で就任した林欣吾氏(中部電力社長)が2024年5月2日、産経新聞のインタビューに応じた。
2024年度は政府が、国のエネルギー政策の指針となる
「エネルギー基本計画」
を見直す重要な年で、林氏は
「長期的に原発の役割は増していく」
との認識を示した上で、原発の建て替えや新増設が計画に盛り込まれるよう、働き掛ける意向を示した。
国内では人口減少が進む一方で、生成AI(人工知能)の普及に伴い電力消費の多いデータセンターの増設が見込まれることから、林氏は
「電力需要のボリュームは増えていく」
と指摘。
その上で脱炭素化を進める観点でも
「原発は最も現実的でコストの良い電源だ」
と述べた。
東京電力福島第1原発事故後、廃炉を決めた24基を除くと、原発36基のうち再稼働できたのは12基にとどまる。
林氏は
「遅れている再稼働を進めるだけでなく、新増設、リプレース(建て替え)、新型炉を含めた開発を総動員しないと、日本を支えるエネルギーを賄うボリュームを、達成できない」
と強調した。
今後エネルギー基本計画の策定を巡り、電事連として国への働き掛けを行う。
また再生可能エネルギーについても
「最大限の開発をしていかなくてはいけない」
とした。
ただ再エネは選択肢が増える一方で発電コストが高く、普及に向けて電気料金に上乗せされる賦課金などが家計を圧迫するとの不満は根強い。
林氏は
「公平に、国民の負担で(再エネを)増やしていくことが必要」
と話し、東日本大震災後に国が電力自由化などを決めた
「電力システム改革」
の検証作業の中で、発電コストの負担の在り方について議論を進めたい考えを示した。

太陽光パネルの放置防げ 10年後に大量廃棄時期到来 技術確立へ対策急ぐ
2024/5/3 16:56
https://www.sankei.com/article/20240503-7SROT5ML6ZJWHNFSYHA4XJW5OQ/
急斜面に設置された太陽光パネル。国は大量廃棄時期を迎える前の技術確立を目指している=平成30年7月、静岡県伊東市
https://www.sankei.com/article/20240503-7SROT5ML6ZJWHNFSYHA4XJW5OQ/photo/A5Q3UVPMQFJT5IL5U3HU4746JA/
全国に設置された太陽光パネルが2030年代(令和12〜21年)中盤に大量廃棄の時期を迎える見通しとなり、国が対策を急いでいる。
中国製の安価な輸入パネルはヒ素など有害物質が含まれる恐れがあり安全な処理が必要だが、費用がかさめば適切に廃棄されず放置や投棄が増えかねない。
太陽光パネルが全国で一斉に広がったのは平成24(2012)年からだ。
この年、政府が再生可能エネルギーの普及を目指し、発電した電気の全量を電力会社に買い取らせる固定価格買取制度(FIT)を導入したのを契機に、参入する事業者が続出した。
ただ、買い取り期間は10キロワット以上の設備で20年間。
令和14(2032)年には初期に参入した事業者の買い取りが終了し、売電価格が大幅に下落する見通し。
パネルの寿命は20〜30年で、およそ10年後には大量廃棄の時期を迎える。
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の試算ではパネル廃棄のピークは令和17(2035)〜令和19(2037)年頃になりそうで、年間17万〜28万トン程度の廃棄を見込む。
■積立金不足の懸念
パネルの廃棄は事業者の責任だが、多くが対策を講じてこなかった。
このため、令和4(2022)年4月施行の改正再生可能エネルギー特別措置法で、太陽光発電設備の廃棄費用の積み立てが義務化された。
稼働から10年が経過した出力10キロワット以上の設備などが対象で、売電収入から廃棄に充てる積立金が自動的に引かれる仕組み。
問題になるのは廃棄コストが積立額を上回るケースだ。
パネルには一般的に鉛やセレンなど有害な物質が含まれる上、安価な中国製パネルには透明度を上げるため猛毒のヒ素などが含まれている場合があり、安全に廃棄するには費用が膨らむ。
また、パネルや土台などの設備が放置された場合は、火災や土砂崩れなど災害を誘発しかねない。
■リサイクルを支援
リサイクルの技術的なハードルも高い。
ガラス技術研究所の織田健嗣所長によると、パネルに使うガラスには取り除くのが難しい化学物質が含まれているため、現状では断熱材に使うグラスウールなど取り除かなくても利用できる用途にリサイクルが限定されている。
環境省は産廃事業者の技術力向上に向け、高度な技術を活用するリサイクル事業を国が認定し、事業拡大を支援する法案を今国会に提出。
伊藤信太郎環境相は2024年4月の記者会見で
「(パネルの)安全な廃棄が重要だ」
「大量廃棄が起きる前に技術を確立したい」
と述べた。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/797.html#c27

[政治・選挙・NHK294] 石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
21. 秘密のアッコちゃん[424] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月05日 17:20:40 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[537]
<■1092行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「恫喝受けた」と投稿…石丸伸二氏言動で控訴棄却 市に賠償の1審支持、広島
2024/7/3 13:46
https://www.sankei.com/article/20240703-YFVEJOMLYJIAJKSPUG35JH2BJU/
広島県安芸高田市の石丸伸二前市長(41)の
「恫喝を受けた」
との嘘の主張で名誉を傷付けられたとして、山根温子市議(68)が市と石丸氏に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、広島高裁(倉地真寿美裁判長)は2024年6月3日、市に33万円の賠償を命じた1審広島地裁判決を支持し、市と市議双方の控訴を棄却した。
1審広島地裁判決によると、石丸氏は令和2年9月、本会議中に男性市議が居眠りしていたと交流サイト(SNS)に投稿。
更に令和2年10月、この投稿を巡って山根氏ら複数の市議から
「敵に回すなら政策に反対する」
などの
「恫喝を受けた」
と投稿するなどした。
1審判決では、市長だった石丸氏の言動は真実と認められず、名誉を損なったと認定。
公務員の職務中の行為だったとして、石丸氏個人への訴えは棄却した。
市側が控訴し、山根氏側も慰謝料の増額と、石丸氏に対する棄却を不服として控訴した。

現地匿名座談会 前安芸高田市長・石丸伸二とは何者か?
Hanada2024年8月号
安芸高田(あきたかた)市は、広島市から北東へ80kmほどの中山間部にある。
「平成の大合併」
で、2004年に高田郡吉田町、八千代町、美土里(みどり)町、高宮町、甲田町、向原町が新設合併して安芸高田市が発足した。
林業などが盛んだったが、地域は過疎化が進んでいる。
人口は約2万5000人。
中心部の吉田町には、戦国武将の毛利元就が本拠地とした郡山城の跡や墓がある。
その安芸高田市の石丸伸二市長(41)が、東京都知事選に出馬した。
1期にも満たなかった地元での評判はどうなのか。
安芸高田市の市議、元市議ら4人の男性に集まって頂いた。
■京大卒、三菱UFJ勤務
ーー4年前(2020年)、石丸さんはどういう経緯で市長に当選したのですか。
★A
2020年の7月、この辺りを地盤(広島3区)にしている衆院議員の河井克行さん(法務大臣)に絡む”収賄事件"で、現職だった児玉浩市長が引責辞任、2020年8月に選挙になりました。
児玉さんは後継として竹本峯昭副市長を立て、無投票かとばかり思われていた。
ところが、ここの出身で、京都大学(経済学部)を卒業して三菱UFJ銀行に勤め、ニューヨークに4年ほど赴任していたという石丸氏が突然、そんな
「エリート色」
を引っ提げて立候補したんです。
”贈収賄”事件で街の空気は沈滞ムードでした。
その上、過疎・高齢化が進む一方だったので、市民からは
「高収入を投げ捨てて故郷に戻って立候補した37歳の彼なら、街を活性化してくれるのではないか」
と期待する声が多かったですね。
結果、票数は石丸候補が8000ちょと、竹本候補が5300くらいで、大差で石丸氏が勝ちました。
★D
当時の石丸氏は、銀行で年収1000〜1300万円も稼いでいたんでしょう。
有権者は
「それをかなぐり捨てて故郷に尽くすのは立派だ」
と思った。
ここじゃ、市長をやっても1000万円あるかどうかだから。
★C
石丸氏にとって、逆の意味での
「河井風」
が吹いて、
「立候補した副市長なんて、どうせ前の収賄市長と変わらない」
と見られていた。
★B
石丸氏の親父さんは、地元の電鉄会社に勤めていました。
同じ会社の人が私の関係者にもいて、その伝で、立候補する時、本人が私にも挨拶に来ましたよ。
「立場上、応援はできなけれど、石丸さんは大都会にばかりいたんだろうから、しっかり中山間部の安芸高田市の事を勉強して下さいよ」
とは言っておきました。
■議会で議論が進まない
ーー石丸氏が辞めた現在、市議の熊高昌三さんが、その後継として市長選(2024年7月7日投開票)に出馬する。
★A
彼は石丸市政を評価していた男ですが、それでも議会などで意見が違うと、石丸市長は熊高議員を激しく罵倒していた。
私なら、とても付き合う気になりませんけど、熊高さんは忍耐強いんでしょうね。
★B
そういう人すら大事にしないんだから、2期目に出る気なんてさらさらなかったのでしょう。
ーー市長就任後、まず騒動になったのが、議員の居眠り問題でしたね。
★A
亡くなった武岡(隆文)市議のことですね。
2020年9月25日のことで、居眠りは事実です。
石丸氏がツイッター(現X)で、名前と共に
「恥を知れ!」
と投稿し、拍手喝采を浴びました。
武岡さんは翌日、すぐに
「居眠りしたことを会ってお詫びしたい」
と伝えましたが、石丸市長に
「会う気はない」
と断られました。
携帯メールでも謝意を伝え続け、それは市長も認めています。
それでも
「説明責任を果たせ」
と言われ続けたので、2021年6月10日に武岡さんは記者会見をし、
「医師から睡眠時無呼吸症候群の診断を受けて、居眠りではなく、軽い脳梗塞による意識の喪失だった」
と説明。
しかしその後、
「何で今更また謝罪しなくてはいけないのか」
と口にした発言が、またYouTubeで流されて叩かれてしまい、大変悩んでいました。
亡くなる直前に電話で話しましたが、憔悴しきっていました。
本当に気の毒です。
★B
武岡さんという人は神経質といってもよい性格で、医師の診断書も、市議長を通して正式に石丸市長に出されていました。
しかし、市長は
「個人情報だから受け取れない」
と言って、診断書をシュレッダーにかけたとか。
そもそも議会に出された診断書は公文書ではないのか。
■何でも「無駄だ」と潰す
ーー議会ではどんな事が。
★B
議員の質問に対して
「日本語が正しくない」
と噛み付いたり、
「おっしゃる意味がよく分かりませんが」
などと言葉に拘ってばかりで、内容が前に進まない。
まるで国語の試験のようでした。
正確な日本語でなくとも分かるはずなのに、議論の入り口で止まってしまっていた。
しかも切り取りで映像をYouTubeで発信する。
「あなた方は国語力がない」
といったつまらないやり取りばかりが流れて、議会でどんな事を議論しているのかがさっぱり伝わっていない。
★C
そりゃあ、私ら田舎の爺さんだから、正しい国語になっていないかもしれない。
しかし、石丸という男はハナから地方の年寄りを馬鹿にしているんです。
目上の人を敬うなんて気持ちはかけらもない。
学校の勉強はよくできたかもしれてないけど、人間としては失格だよ。
ーー石丸市長は、既存の事業の廃止を次々と打ち出してきましたね。
★B
2代前の浜田(一義)市長が
「田んぼアート」
という事業を提唱したのですが、石丸市長が
「鶴の一声」
で中止してしまった。
ーー田んぼに絵を描くことで、遠くや空から色んな図柄が楽しめるアート企画ですね。
★B
観光客誘致にも繋げたいとした
「田んぼアート」
は、特別委員会も作って
「さあやろう」
という時で、JAも含めて実行委員会を作り、先進県の青森まで視察に行って研究していました。
色んな企業から苦労して協賛金も集めていたのに、石丸市長は
「そんなものは金にならん」
といった感じで、一方的に中止を決めてしまった。
★A
他にも、八千代の森美術館を
「市外の人が利用するのに税金を使う必要がない」
「市の人は誰も利用してない」
と言って休館。
★B
安芸高田市には他に美術館がなく、八千代の森美術館は地域の文化を発信する重要な拠点でした。
今は赤字でも、長い目で見て施設を活かすやり方を模索することが政治ではないのでしょうか。
何でも
「無駄だ、無駄だ」
と潰す政治なら誰でもできるよ。
★A
市では従来からお見合いのような
「婚活事業」
もやっていましたが、これも潰してしまった。
多い時で年間5組くらい成立していて、他県から
「ノウハウを教えて下さい」
と安芸高田市に学びに来ていましたし、広島県庁からも
「県でやる」
と視察に来ていました。
高齢者ばかりになる中、若い人が増えてほしいという切実な思いで始めたのですが・・・。
★C
12年間やって、59組成立した。
★A
彼は中学の模擬議会にこの事業を持ち出して、生徒から
「続けるべきでは」
と言われ、
「結婚のようなプライバシーに行政が介入すべきではない」
と説明していたとか。
ーーそんなことを中学生に諮るのもちょっと妙ですね。
★C
高宮町に
「たかみや湯の森」
という温泉施設があります。
ここの温水プールは、高田町や高宮町のお年寄りが健康のために使っていたのですが、
「利用客が少なく、採算が悪い」
「1800万円は無駄な出費だ」
とプールをなくしてしまった。
★B
健康福祉という観点が全然ないんですよ。
全て今の採算性だけで物を考えている。
■評価された政策は?
★A
地元の総菜屋さんから給食を納入させることをやめさせ、廿日市(はつかいち)市から納入させるようにした。
地元の商売を潰しているんです。
廿日市の業者と個人的な繋がりでもあるのではないかと疑ってしまう。
また、
「土砂災害が起きると危険だ」
とある保育所の移転を言い出したのですが、代替地がなかなか見つからない。
市長は全く地元の人たちと協議もせず、机上で地図を見ているだけ。
★B
保育所の隣には小学校があるから、保育所が危険なら小学校だって危険だよ。
だけど、そっちはさっぱり言わない。
あれほど市民と直に接しない市長は今迄いなかった。
小中学校の入学式、卒業式や運動会、そういった地域の行事に、石丸市長はまず出なかった。
先日、中国地方の防災協会の表彰式がありました。
市で選ばれた人に市長が賞状を渡すのですが、
「この人はどういう事をしたのですか?」
と言ったことは何1つ訊かない。
地元の受賞者の業績など何の興味もなく、ただ賞状を渡せばいいと思っている。
最初からずっと、安芸高田市とは違う方を見ていたのでしょうね。
安芸高田市のために尽くす気はさらさらなかった。
■教育関連は評価、高かった
ーー逆に、石丸氏が評価された政策はないんですか。
★B
最も受けが良かったのは教育関連ですね。
学校の冷暖房などを充実させ、更に2つの高校(県立向原高校と県立吉田高校)に
「生徒が決める100万事業」
と言って
「自由に使って下さい」
と100万円ずつ渡した。
それも生徒会長に対してで、
「教員は使途に口を挟むな」
と。
そりゃあ、生徒は喜びますよ。
他にも、リクルート社の高い教材を高校生に無償提供して喜ばせている。
そういう若者への受け狙いは大変上手です。
学校も椅子や机を新調するなど手厚くしているので、当初、石丸市長を批判していた教育長は完全にシンパになり、
「石丸市長のお陰で」
と盛んに言うようになった。
ーー子育て政策も評価されているようですね。
★A
小中学校と保育所の給食費を無償化するのに1億円投じました。
廃止施設にかかっていた管理費などから捻出したのですが、毎年やるとなれば、今後どこから捻出するのか。
まあ、国が給食無償化をやるのが分かっているから、一足先にやって自分の業績のように見せたのでしょう。
そういう手法は上手い。
ーー自分から言い出して始めた政策はあるんですか。
★A
広島は大阪と違うお好み焼きで知られています。
そこに目を付けて、
「あきたかた焼き」
を名物にしようというプロジェクト。
他県にまで職員が行って研究して作ったのですが、その時点で市民は市長に着いて行けず、飲食店はほとんど手を上げませんでしたね。
売っているのは3軒くらいですよ。
★B
幟(のぼり)1つ立っていません。
よそから旅行で来ても、どこで食べられるのか分からない。
■人を見下す発言が多い
ーー石丸市長の公費の使い方が問題視されています。
★C
2024年5月に、2泊3日ほど上京して、橋下徹さんのYouTube番組に出演。
そして東京都江東区で行われたイベントで、都知事選に立候補することを宣言した。
安芸高田市のことで上京したわけでも何でもないのに、市の公費で出張したんですよ。
そのことを追及されると、
「市の窓口を通して依頼があったから、市長としての公務だ」
と抗弁しています。
それならどんな依頼だって、市の窓口を通させれば公費でどこにでも行けることになってしまう。
信じられない言い草ですよ。
さすがに趣味のトライアスロン大会は自費で行ったようですが、これも問題があった。
広島市では2018年に多くの人が亡くなった豪雨があったので、2年前(2016年)に台風が広島を直撃するという予報が出た際、市民は緊張して備えていました。
その
「台風直撃」
とされていた日、石丸氏は千葉県でトライアスロン大会に出場し、地元に居なかったのです。
台風はそれたのですが、自慢げにトライアスロンで何番になったという動画を配信していたのを山根温子市議が見付けて問題視した。
すると、
「(台風への)万全の準備を取らせている」
「遠くからでも指示はできる」
ーーそれなら、自治体首長はどんな時でも遠くに遊びに行けますね。市民は監査請求などをしないのですか。
★C
「安芸高田市政刷新ネットワーク」
という市民団体が監査請求をしたことがあります。
ところが、監察委員が調べたところ
「違法性はない」。
市の出張規定では市長、副市長、教育長の3役は
「出張の際、費用を支給する」
となっているだけで、
「公務で」
という条件が書かれていないのです。
市職員や市議会議員の場合は
「公務で」
という条件が付いています。
ーー議員との訴訟沙汰もあったとか。
★C
トライアスロン動画を追及したという山根温子議員とです。
石丸市長は4年前(2020年)、市議会全員協議会で、山根市議から
「議会を敵に回すなら政策が通らなくなる」
などと恫喝された、といった内容をツイッター(X)に複数回投稿した。
山根さんは
「嘘だ。名誉棄損だ」
と石丸市長に500万円、市に330万円の損害賠償を求めたんです。
広島地裁は録音記録を精査して、2023年12月に
「山根さんの恫喝発言はなかった」
と石丸市長による名誉棄損を認め、市に33万円の賠償を命じました。
更に、
「市長としての裁量を逸脱したもの」
「SNSで広報活動をする際に注意義務を尽くしておらず、違法な行為」
としました。
★A
議会では、山根議員が質問すると
「今の質問はウザイ」
とか
「きもい」
とか見下す。
人を蔑視するような発言が多かった。
控訴審判決(広島高裁)が2024年7月3日にありますが、石丸市長は
「控訴する」
という決定も議会に諮らず、
「控訴期限まで時間がない」
と専決処分しました。
ここまで訴訟費用は公費ですよ。
既に市長は退任していますが、2024年7月7日までの期間の市長代理を利用して、判決に不服で専決処分による最高裁への上告をするのかも見所ですね。
■売名のために市長に?
ーー石丸市長は自画自賛しているようですが、財政再建の実際の評価は。
★A
財政調整基金は残し、他の基金を切り崩し、数字のマジックのようなもので
「再建した」
と言っているだけです。
あれこれ事業をやめれば支出は減る。
新しい事をしないので償還金は減り、経常経理は下がり、立ち直っているように見えるだけ。
★C
基金を切り崩しただけですね。
ああいうことは、銀行出だから上手いのよ。
ーー石丸氏は、政治家になりたいという希望を早くから持っていたのでしょうか。
★B
持っていたでしょうけど、国会議員や県会議員では埋もれてしまう。
「お山の大将」、
即ち自分がトップの地位でなくては気が済まない。
だから議員にはならずに、首長という位置を狙ったのでしょうね。
★C
名を売るために1期市長になっただけ。
この市に尽くすなんていう気などさらさらない。
全国的に顔を売るチャンスを窺っていたところ、都知事選に目を付けたんでしょう。
★A
4年前(2020年)にここで立候補した時も、ある新聞社の記者が
「ここの市長を長くやろうなんて気は絶対ない」
「当選したら市は困るのでは」
と言っていたけど、その通りでしたね。
ーーネットを駆使されていましたが、既存メディアとはどういう関係でしたか。
★B
ある新聞記者をよく攻撃していました。
本来、自治体の首長なら地元紙とは良好な関係を持とうとするはずですが、そんな気は一切ない。
2期目以降は出ないつもりだったからでしょう。
★A
聞いた話ですが、ある社は彼を取材する時は事前に社内で会議を開いて打ち合わせて、質問は最低限にする。
やめることもあったそうです。
石丸市長は、自分の事が書かれた気に食わない記事、あるいは記者会見の質問が気に入らないと、会社宛てに公開質問状を送る。
新聞社はその対応に煩わされるから、記者に彼を刺激するような質問をやめさせ、当たり障りのない質問しかさせないんです。
この市出身の都民で、都知事選で彼を応援する人なんかいなんじないかな。
★B
彼の4年間は完全な売名行為ですよ。
1期で辞めるのも、早くから決めていたんじゃないですかね。
繰り返しになるけど、あれほど市民と接しない市長はいなかった。
2期目に出る気ならあり得ない。
★A
1年経って、騙されたと思う人が多くなってきましたからね。
★D
年寄りをあれほど馬鹿にした人はいませんね。
目上の人を敬うことなど全くない。
自分が世の中で一番賢い、頭がいいと思っていて、プライドばかり高い。
★A
市議会では、石丸氏の一番の攻撃対象になったのは私でしょうね。
SNSやYouTubeの影響は本当に怖い。
部分的に切り取られて世界中に発信され、それを真に受けた
「石丸応援団」
から色んな脅しが来ました。
最近は身の危険を感じて、一般質問しようと思っていた質問を封じてしまうことも・・・。
ああいうメディアに踊らされる人が多いのは、本当に怖い世の中ですね。
ーーでは、石丸市長の功績はゼロ?
★C
この騒動で、安芸高田市の名が全国版になったことくらいでしょうね(笑)。

「国籍の嘘」で蓮舫は政治家失格
Hanada2024年8月号 評論家 八幡和郎
■場当たり的な説明に終始
蓮舫参議院議員が東京都知事選挙に立候補を表明してい以来、二重国籍(多重国籍)への関心が再燃し、
「第1発見者」
である私は、様々な機会に意見を述べている。
二重国籍問題が激しく再燃するというのは、蓮舫陣営にとって想定外だったようだ。
「小池氏の抱える『学歴詐称疑惑』に対比させる形で、決着が着いたはずの蓮舫氏の『二重国籍問題』が蒸し返されている」
といった論調もあちこちに見受けられる。
しかし、蓮舫氏の二重国籍を能天気に擁護した記事を書いた人がヤフコメの世界で見事に炎上したのを見て、最初の指摘から8年間、私としても蓮舫氏の事件と二重国籍の弊害を地道に説いてきたことの成果が浸透しているのが感じられて嬉しい。
問題が発覚した2016年は
「何が悪い」
「政治家だからおかしいが、一般人なら問題ない」
と言う人が多かった。
メディアは人権侵害になるのではないかなどという見当外れの懸念を持っており、おっかなびっくりでほとんど取り上げなかった。
蓮舫二重国籍発覚事件とはどういう事件だったのか、顛末を改めて振り返り、その過程で見せた蓮舫氏の場当たり的な説明の酷さや、残ったままの疑惑、そして、なぜ二重国籍はいけないのかを、提起したい。
蓮舫氏は、台湾人(中華民国籍)の父親と日本人である資生堂の花形美容部員だった斎藤桂子さんの長女として、1967年に東京で生まれた。
祖母の陳杏村は台南地方の出身で、未亡人となった後、東京で洋裁を学び、軍関係者の知己を得て、日華事変後の上海で暗躍した政商だった。
戦後は、蓮舫氏の父で同志社大学出身の謝哲信と共に、台湾バナナ輸入の利権を握って日本政界で暗躍。
政治家にダミー会社を創らせて政治資金を渡す手法を使い、国会でも公明党の黒柳明参議院議員から追及されたことがある。
■「二重国籍」を自称
蓮舫氏は3人きょうだいで、幼稚園から大学まで青山学院で学んだ。
高校生時代からタレント活動をしてクラリオン・ガールとなったり、男性週刊誌のグラビアなどで人気を博し、テレビキャスターとなった。
子供の頃は、夏休みなど台湾に長期滞在していた。
1993年、田原総一郎氏のスタッフ的な存在だったジャーナリストの村田信之氏と結婚。
夫婦で北京に留学し、それ以降、中国政府の外交にも理解を示すようになる。
この留学のお世話をしたのは高野孟(はじめ)氏らしい。
タレント時代には、中国籍だとか二重国籍だとか自称していたが、2004年に参議院選挙東京都選挙区から出馬し当選した時には、選挙公報に
「1985年、台湾籍から帰化」
としていた。
誕生時の戸籍法では父親の国籍にされたから、台湾(中華民国)籍の謝蓮舫だった。
ところが17歳の時、国籍法の改正で、22歳までに両親どちらかの国籍を選択する条件の下で母親の日本国籍を取得出来るようになり、それを行使して合法的な二重国籍になった。
その時に、斎藤蓮舫という名も17歳にして獲得した。
「帰化」
と選挙公報に書いたが、法律用語としては間違いで、
「国籍取得」
である。
私が蓮舫氏をネットメディア「アゴラ」で追及し始めたのは、蓮舫氏の出馬が噂された2016年の東京都知事選の時だ。
私は「アゴラ」でこう書いた。
「帰化した人が政治家になっても構わないが、帰化した国の文化への愛着を示すとか、母国との関係で日本の国益を強く支持することが求められるのが世界の常識である」
「蓮舫氏はどちらでも失格だ」
こういった見方をしたのは、フランスでのアルジェリア系などの政治家や官僚に興味を持ち、彼らから話を聞いて研究していたからだ。
その後、蓮舫氏が野党第1党・民進党代表選に立候補したので、尖閣諸島についての問題発言とか、和服を着たこともなく日本文化への愛着がないといった視点から批判すると共に、蓮舫氏は日本国籍を選択した経緯と台湾籍離脱についても、日付も含めて説明すべきだと指摘した。
■言い訳の数々
ところが、蓮舫サイドは夕刊フジからの問い合わせにも答えず、慌てた様子だった。
私は、22歳までに国籍を選択はしたにしても、台湾籍からの離脱をしておらず法に反する形でそれなりの期間、あるいは、現在に至るまで二重国籍の可能性がある、と指摘した(2016年8月29日)。
それに対して、蓮舫氏は
「父親が台湾籍離脱手続きをしてくれたはず」
「(本人の名も載ったはずの)父親の台湾の戸籍は見たことがない(遺産相続しているので見なかったとは考えにくい)」
「私は18歳(実際は17歳)で日本国籍を選んだ」
「台湾籍をいつ抜いたかは台湾当局に問い合わせ中」
などと反論。
タレント時代の二重国籍発言については、深く考えずにしたとか、記事の原稿を確認しなかったとか、言を左右にした。
ただ、この段階では、
「日本国籍の選択」
をし、日本の戸籍法上の手続きは完了し、台湾の国籍を離脱するべきなのが遅滞しているだけだと、私も含めて思っていた。
離脱手続きを強い義務にしていないのは、ブラジルのように国籍離脱を許さなかったり、インドのように多大な時間や費用が生じたりするケースがあるからだ。
しかし、台湾では国籍離脱はそんなに難しくない。
ここで、更なる
「証拠」
が見つかる。
台湾籍を離脱したら台湾の官報に記載されるはずだが、
「謝蓮舫」
の国籍離脱の公示はされていないことを、ネット民が突き止めたのだ。
台湾の官報はネットで公開されていたので、過去の離脱記録を調べるのは何人かで手分けしたらさほど難しくなかった。
そこで、蓮舫氏は
「台湾籍を抜いたかどうかは確認中だが、抜いていない可能性があるので改めて離脱申請をした」
と言う(2016年9月6日)。
死んだ父親の責任にしたのである。
当時、民進党党首の党員・サポーター投票が続いていたから、それに影響すると困ると思ったのだろう。
締め切りの翌日になって、
「台湾当局から国籍が残っているという連絡を受けたので離脱手続きを進めたい」
とやっと公表した(2016年9月13日)。
■親兄弟も知らなかった?
ここに至って、蓮舫氏の説明全体が信用できる状態ではなくなり、蓮舫氏が国籍離脱手続きをしていないとの疑問も生じたので、アゴラ編集部から
「国籍選択をしたことを証明する書類」
「台湾旅券」
「台湾からの国籍離脱証明」
の3点セットを公開するようにという公開質問状を出した(2016年9月29日)。
そして2016年10月15日に、蓮舫氏は2016年9月23日に台湾の
「国籍離脱証明書を目黒区役所に提出」
して戸籍法に定める国籍選択をしようとしたが、台湾と国交がないことを理由に、もう1つの方法である
「国籍選択宣言」
の方法を選ぶように指導されて、その手続きをしたと語った(この時点ではいつか不明だったが、後に2016年10月7日だと判明)。
17歳から22歳までは合法的な二重国籍だった蓮舫氏は、その後は法に定められた
「日本国籍の選択」

「台湾籍からの離脱」
のどちらもしていない
「法的義務に反した」
二重国籍者だったことが判明したのである(ちなみに、この状況の法的説明としては、違法であるとか違法でないとかいう言葉に馴染まず、法的義務に反した状態と言うのだそうだ)。
つまり、2016年10月7日までは、台湾人謝蓮舫が日本国籍も併せ取って斎藤蓮舫、次いで村田蓮舫という名を獲得しただけだったのである。
これほど嘘が連鎖して、バレルと違う説明を繰り返せば、上記の説明すら信じてもらえないのは当然だ。
そこで、追い詰められた蓮舫氏は、翌年2017年の7月18日になって決断した。
つまり、日本国籍選択宣言日を
「平成28(2016)年10月7日」
と明記された戸籍謄本の複写の一部、2016年9月13日付発行の台湾籍の
「国籍喪失許可証書」、
離脱手続きのために提出した台湾の子供時代の旅券などを公開した。
しかし、今も多くの疑問がある。
最大のものは、二重国籍状態であることを知らなかったという発言を、まだ撤回していないことである。
如何にも不自然だし、本人の発言としても大々的に二重国籍とか報道されていた。
限りなく黒に近いが、身の潔白を説明しようとしないのは何故か。
蓮舫氏が余程物覚えが悪いとしても、親や兄弟が知らなかったはずがない。
公開した台湾の旅券は子供の時だけのものだが、台湾国籍を持っている以上は、日本の旅券で台湾に出入りすることは台湾において違法で、その疑問にも答えていない。
台湾の国籍離脱証明の様式が普通と違うとか、写真も真正面でないなど不自然で、偽物ではないにせよ、特別の便宜の結果ではないかと疑う人もいる(小池知事の卒業証明に似ている)。
戸籍謄本は国籍選択を記したページだけを公開したが、これが18〜19ページもある。
新しい夫婦と子供だけの戸籍が、これだけのページになることは普通ない。
何か複雑な状況でもあるように思える。
2021年になって、長男の琳(りん)さんが元自民党議員で資産家の糸山英太郎氏の養子になって、その後、解消したらしいが、例えば国籍についてのややこしい事情とか、本人か子供か知らないが、複雑な養子縁組でもしたかでないと説明できないと推察する人もいる。
保守派の中には、中国政府との繋がりを訝る人もいる。
ただ、蓮舫氏の人脈は台南地方出身であることもあって、民進党系の方が強いという指摘もあるし、陳水扁総統(当時)に会ったりもしている。
しかし、このような有力者の子弟で有名タレントが、日中交流の実力者の仲介で中国へ留学し、中国政府が繋がりを作らなかったなど不自然だ。
そもそも、台湾の有力者は大陸との繋がりを作っておき、保険を掛けているケースが多い。
中国との関係についても、蓮舫氏の過去の経緯、また、二重国籍を隠していたことを踏まえたら、証拠がないと開き直るべきではないのだ。
■なぜ二重国籍はいけないか
なぜ、二重国籍はいけないのか。
一言で言えば、1人分の義務で2人分の権利を有するという不公平な状態だからである。
国籍を持つと、その国のルールに沿って権利と義務とが生じ、外国にいても自国の政府に守ってもらえる。
だから、複数の国籍を持つと法的関係が複雑になるので、二重国籍を認めている米国政府も推奨はできないと明言している。
中国は禁止で、フランスはテロ組織に絡んだ場合は国籍剥奪するなど、規制が厳しくなっている。
一方、当事者にとっては、二重国籍はとても美味しい。
2人分の権利があるので、両国の選挙にも投票できるし、2枚の旅券も使い分けられる。
一方、二重課税されたり、両方の国で兵役を求められたりすることは皆無ではないが、少ないからだ。
両国の選挙で投票したり、候補者になれ、両方の国会議員になることもあり得るだろう。
また、就職にも有利だ。
両親がアメリカにいる時に生まれた米国との二重国籍者の場合、留学や勤務の際、ビザ取得や永住権の苦労がない。
企業にとっても余計な手間がなく、便利だから就職の時に有利に働き、ライバルたちに差を付けられる。
米国では前科などがあると入国拒否されるが、二重国籍ならそれもかいくぐることが出来る。
■安全保障上のリスク
二重国籍の容認は、不公平なだけでなく、安全保障上のリスクもある。
将来、韓国・北朝鮮・中国から反日的な行動を取るような義務を負ったまま帰化した大量の二重国籍者が、日本で参政権まで持つという危険性だってあるのだ。
いずれにせよ、日本では二重国籍を禁止している。
帰化するには前の国籍からの離脱を条件とし、よその国籍を取ったら日本国籍は剥奪が原則だ。
あるネットメディアで、政治ジャーナリストが
「決着が着いたはずの二重国籍問題」
とか書いていたが、国籍で嘘を付いた政治家は一生、政治家である資格はない。
少なくとも、蓮舫氏は一旦議員辞職するべきだった。
それに先述したように、
「疑惑」
はまだ残っているのだ。
法的義務に反する二重国籍であって、それを隠してい議員になった政治家を、そのまま党首として首相候補にしていた民進党はおかしかった。
「学歴について粉飾する」
のも問題だが、
「国籍について全くの嘘を付いて議員になった」
方が、政治家にとっては重大な
「欠格事由」
なのである。

東京都知事選 女の戦い カビ饅頭2つに割って誰が食う 小池百合子対蓮舫という究極の選択ー東京はどうなるのか
WiLL2024年8月号
元東京都選挙管理委員会事務局長・元東京都環境公社理事長 澤章
東京都議会議員 上田令子
■小池知事の作戦ミス
★澤
上田先生とお会いするのも久しぶりですね。
都庁の職員時代には、まさかこうして『WiLL』で対談をすることになるとは夢にも思いませんでした。
★上田
お互い”小池批判の急先鋒”ですから(笑)。
こうして対談できて嬉しいです。
★澤
2024年6月20日、東京都知事選挙が告示されました。
小池百合子知事は2024年6月20日、都議会定例会の最終日に都知事選挙への出馬を表明した。
当初、定例会の初日に表明をすると見られていましたが、大幅に遅れました。
これは先手を打った蓮舫氏の出馬表明が世間の耳目を集めたからでしょう。
★上田
”小池劇場”を格好よく幕開けしようと画策していたところ、自分よりも若く、しかもタレント出身の蓮舫氏が注目を集めたので、出鼻を挫かれたわけです。
さぞ、悔しがったに違いありません(笑)。
小池知事は蓮舫氏の出馬表明に焦り、自分をアピールするため、すぐさま都庁保育園の視察に行きました。
その時、小池知事が子供たちに
「おいで」
と手招きしたら、子供が嫌がって逃げたという”放送事故級”の映像がテレビで流れています(笑)。
★澤
お得意のパフォーマンスが失敗に終わったわけですね。
★上田
実は保育園視察のパフォーマンスは、2016年の最初の知事選の際も江戸川区の保育園で行っています。
これがマスコミにも大きく報道されたので、”成功体験再び”という狙いで、8年前と同じジャケットを着て都庁保育園へ視察に行ったのでしょう。
★澤
8年前と同じジャケットですか(笑)。
★上田
小池知事は物持ちが良いので、ゲンを担いで同じ物を着たのでしょう。
★澤
更に小池知事は自分のやってきた事をアピールするため、生成AIで自分の似姿を作り、
「AIゆりこ」
を使ってSNS上で自分の実績を流しました。
★上田
相変わらず自分をアピールすることには余念がない(笑)。
★澤
上田先生は小池知事が出馬表明した定例会最終日に、知事への不信任案を提出しています。
★上田
結局、不信任案に賛成したのは提出者の私1人でした。
2017年の都議選で、小池知事に一杯食わされた自民党も、ここ数年は小池知事に擦り寄っています。
今回の知事選でも小池知事支援を表明しており、不信任案には反対。
ここ数年の自民党を見ていると、本当に情けなく感じます。
しかし自民党以上に酷いのは、立憲民主党と共産党です。
この2党は都知事選で蓮舫氏を支援するのに、不信任案に反対しています。
もし不信任案が通った場合、知事は対抗手段として10日以内に議会を解散できます。
そうなると、都議会議員選挙になりますから、選挙準備の出来ていない彼らは自分の身が危うくなる。
つまり、自己保身のための反対です。
★澤
都議会も保身ですが、小池知事の出馬も同じです。
「カイロ大卒」
という”大嘘”を貫き通すためにも、小池知事は政治家という立場を続けている限りは、カイロ大側も日本の首都の知事が卒業しているというステータスとして利用価値があるので、口裏を合わせるはずですから。
★上田
アラブはギブアンドテイクの社会なので、旨味がなければ切り捨てられます。
小池知事がニュースキャスターのままなら、エジプト大使館も、わざわざフェイスブックで彼女の卒業証明なんてしなかったでしょう。
カイロ大卒の虚飾を続けるためにも、小池知事は都知事選で3選を目指すしかないのです。
■”アラブ人モドキ”
★澤
小池知事の動きを見ていると、小池知事側から自民党・公明党に擦り寄っているように見えます。
小池知事自身も、自民党の組織票がなければ、都知事選での勝利は厳しいと考えているのでしょう。
★上田
2016年の都知事選の時は、自民党東京都連を
「ブラックボックス」
と非難し、”反自民”を貫いて当選しましたが、今回は反自民の旗を蓮舫氏が掲げていますから、反自民票は蓮舫氏に流れやすい。
★澤
小池知事は”選挙の鬼”ですから、如何に票を得るかという策略には抜かりがありません。
各市町村の首長が応援してくれれば有権者が動いてくれると目論見、応援を要請しています。
ところが、その応援要請が何故か
「各首長から出馬を依頼された」
という
「出馬要請」
に掏り替わって報道されました。
★上田
これは小池知事による見事な”自作自演”です。
★澤
小池知事は
「応援要請はしていない」
と否定していますが、日野市の大坪冬彦市長が
「元々は小池知事からの応援要請だった」
と”暴露”しています。
どうしてこのような暴露が出るのかと言えば、東京都には三多摩格差(特別区と多摩地域の間に存在する社会基盤の格差)があり、多摩地域の首長が不満を持っているからです。
小池知事は臆病な性格なので、蓮舫氏の出馬で自分が不利なるのではないかと過剰に反応し、各自治体の首長に泣きつきました。
2020年の都知事選の際の学歴詐称疑惑を巡る騒動の時、沈静化のためにエジプト大使館に泣きついたのと同じ構図です。
★上田
小池知事は”アラブ人モドキ”なのです。
アラブ人は自ら脅す分、脅されることにも強い。
しかし、”モドキ”の小池知事は中途半端にエジプトにいたので、脅すことは出来ても、脅されるのには弱いのでしょう。
澤さんは都知事選の行方をどう見ますか?
★澤
小池都政の8年間、ピンポイントでの批判は多々ありますが、”政治とカネ”といった大きなスキャンダルはありません。
すると、多くの都民が
「小池さんでいいんじゃないの」
となるでしょう。
蓮舫氏の出馬会見も見ましたが、余りに小池知事に攻撃的でした。
国政と違い、都知事選では対立構図を鮮明にしても有権者には響きません。
「私ならこうする」
という具体的な政策で小池知事と戦わなければ、蓮舫氏が支持を広げることは難しいでしょう。
更に蓮舫氏は共産党との共闘を進めているので、共産党を嫌う
「連合東京」
も小池知事支援を決めています。
加えて、小池知事には現職の強みもあり、いくら知名度が高い蓮舫氏でも小池知事に勝利するのは至難の業です。
★上田
確かに蓮舫氏が小池知事に勝利するのは難しいでしょう。
しかし、私が地元を回っていると、映像に映る姿がふてぶてしいという理由で小池知事を嫌う声も多く耳にします。
私は当初、小池知事を圧勝させないことで力を削ぎたいと考えていました。
「辛くも勝利」
となれば、自公に頭が上がらなくなり、好き勝手な事が出来なくなるからです。
前回の選挙では366万票の支持を得て圧勝したので、その自信が
「私がいないと、政策実現が出来ないでしょ」
と言わんばかりに、”暴走”と”女帝化”に繋がりました。
いずれにしても小池知事、蓮舫氏。
カビた饅頭を2つに割って左右どちらかを食べろと言われても・・・という虚しい選択です。
(中略)
★上田
石原慎太郎都政下で積み上げた財政調整基金1兆円を使い果たした小池知事と都民ファーストの会(以下、都ファ)の議員。
★澤
都の財政調整基金がコロナの時に底をついてしまいましたが、小池知事が協力関係にあった公明党の要望を聞くために予算を膨張したのが原因で、都民を馬鹿にしています。
■女帝による陰湿なイジメ
★上田
お互い小池知事とは直に接してきていますが、澤さんは知事の人間性に対してどんな印象をお持ちですか?
★澤
ネチネチしたパワハラ気質だと感じました。
豊洲市場の追加対策工事がひと段落し、いよいよ1年後に豊洲移転が決まった直後、小池知事と市場当局の管理職との夕食会がセッティングされました。
私を含めた市場当局の管理職の面々はこれまで小池知事と移転について散々揉めてきましたから、遂に知事と和解できると手を叩いて喜びました。
ところが、職員が豊洲移転の詳細が書かれた資料を小池知事に見せる前にマスコミと議会に配ってしまったことで、知事は激怒。
小池知事に呼び出され、
「なぜ見せなかったのか」
とお説教が始まりました。
お説教が終わり、部屋を出ようとした際
「澤さん、今日は楽しい夕食会になるでしょう」
「でも、私は用事ができたので、野田(特別秘書を務めた小池知事の元側近・野田数(かずさ))を代わりに行かせます」
と言われました。
私は小池知事の静かなる怒りに背筋が凍るような感覚を覚えました。
★上田
小池知事が冷徹な口調で言い放った様が目に浮かびます。
澤さんが東京都環境公社の理事長を辞められたのも、事実上の”排除”でしたね。
★澤
私は理事長在任中に『築地と豊洲』(都政新報社)という本を出版し、小池都政を批判していましたから、目障りな存在だったのでしょう。
都庁人事の権限を握る副知事から呼び出され、クビを告げられた時に黙って従うのも嫌だったので、理由を聞きました。
すると、
「お前は常識がない」
「都知事選の前にマスコミに出て、雑誌・メディアで小池知事を批判している」
「これは都庁OBとしてあるまじき行為だ」
と言われました。
事実を主張しただけなので怒りで体が震えましたが、それ以上に呆れて何も言えませんでした。
★上田
まるでどこかの独裁国家みたいですね。
東京都に長年貢献し、知識もある澤さんをクビする一方、ただのイエスマンを要職に起用する。
小池知事は自分より目立たず、ほどよく利用できる人を重用します。
都ファの議員を見ていても、小池知事よりも目立って排除されないよう、服装も発言も地味に徹しています。
★澤
女帝に対し、皆、戦々恐々としている証拠です。
★上田
私は2016年の都知事選で小池知事を支援した際、仲間の無所属議員を集めて雨の中ポスター貼りなどの支援をしたにもかかわらず、”グリーン旋風”が吹き荒れた途端に街頭演説では、きっかけを作った私たちがマイクを持つことを許しませんでした。
これは手柄を全て小池知事自身と側近のものにしたいからで、私をはじめとした無所属議員は応援したのに”排除”されたのです。
私が媚びへつらうような態度を取らなかったので、面白くなかったのでしょう。
★澤
1度小池知事に疎まれると、”手を変え、品を変え”虐められます。
最近では、SNSで安易に都政関連の情報をアップすると都の職員がチェックしており、発信元の”犯人探し”が始まります。
私も1度、SNSで都庁の内部に関するコメントを書いたら、
「消して下さい」
と現役管理職から言われたことがあります。
このように今の都庁は、監視の目が常に光っている職場と化してしまった。
★上田
まるで言論統制ですね(笑)。
都庁に
「職員目安箱」
があり、小池知事は職員ファーストを掲げ、
「直接私に言って下さい」
と設置しましたが、そこに意見を投稿した職員が犯人探しされたという話も私の元に届いています。
都庁で何かあれば、秘書は必ず守るので、私のホームページにある問い合わせホームで相談してほしいと思います。
■小池知事最大の愚策
★上田
小池知事は人間性は疎か、都知事としての実務能力も欠いています。
安倍晋三元首相が『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)で、
「小池知事は実務が苦手」
と述べていましたが、当初の公約である
「7つのゼロ」
に関して、
「ペットの殺処分ゼロ」
しか達成出来ていないことがその象徴です。
しかし、ペット殺処分ゼロに関しても、譲渡可能なペットを殺すことを
「殺処分」、
病気の動物の処分を
「安楽死」
としているので、結果的に殺さてしまうペットがゼロになっているわけではありません。
★澤
私が小池知事の愚策としてまず思い浮かぶのが、多くの混乱を生じさせた築地市場の豊洲移転問題です。
また、直近のものでは2023年1月に突如宣言した0歳から18歳までの東京在住の子供に月5000円の支給を行う
「018サポート」
です。
018サポートは1200億円の予算がかかっていますが、議会で熟議されないまま政策が通ってしまった。
これでは議会制民主主義の体をなしていません。
しかも、マスコミから財源についての批判がないことも不自然です。
国の政策の場合、防衛費にしても少子化対策にしても財源が問題になり、マスコミから批判を浴びます。
マスコミは岸田政権と小池都政を対比させたいがために小池知事の財源問題に対しては”ダンマリ”を決め込む。
★上田
月額5000円を所得制限なしに子育て世帯に支給する018サポートは、2023年1月4日、都庁の仕事始めの午前中に突如発表されました。
これは所轄である福祉保健局の局長も知らなかった話です。
実は同日午後、岸田政権が異次元の少子化対策を発表することを受けて、小池知事は国より先に目立つ意図もあり、慌てて発表したのです。
018サポートが急に決まったこともあり、行政上の手続きが追い付かず、あろうことかこの支援を一番必要とする生活保護世帯が、恩恵を受けられないことが発覚しました。
小池知事が慌てて収入認定からの除外要請を依頼する手紙を、厚生労働大臣に送る事態に発展。
更に、案内チラシを17万件もの転居者に誤って送るミスまでありました。
この誤送付で、多額の血税が郵送費等で消えています。
それについて、私は情報開示請求をしています。
私が最も驚いたのは、小池知事の政策設計が悪かったにもかかわらず、あたかも政府に原因があるかのような報道をさせることで責任転嫁する始末です。
★澤
岸田首相と比較して自分がどれだけ目立つかということだけで018サポートを始めたので、まさに選挙を意識した”バラマキ”です。
小池知事はコロナ禍でも意味もなく国と対立構造を作りました。
また、忘れていけないのは、環境問題に関するパフォーマンスのため、新築住宅に太陽光パネルの設置を義務付ける条例改正をし、大混乱を引き起こしたことです。
都民の利益を考えずに、自分ファーストで突っ走っています。
★上田
本誌『WiLL』でも散々指摘してきましたが、太陽光パネルは8割が中国製です。
しかも、新疆ウイグル自治区での強制労働によって作られており、欧米では中国への制裁を発動しているにもかかわらず、小池知事は強硬に進めています。
最近新築戸建て住宅の価格がパネル設置で100万円上昇するということが報道され、それ見たことかという状況になりました。
更に、元日に発生した能登半島地震でも、経産省が、落下したパネルに触らないよう異例の注意喚起をするなど、危険性が明らかになりました。
万が一、東京都で首都直下型地震が起きてしまったら、目も当てられないような2次災害が起こりかねません。
★澤
自分のパフォーマンスのために都民に被害や犠牲が出かねない判断です。
都庁OBとして、都民のためにも職員のためにも小池知事には1秒でも早く都庁から去ってほしい。
皆が戦々恐々としながら、何も言えないという状況は異常です。
この状況を改善しなければ、都民のためにも東京の街のためにもなりません。
でも蓮舫氏はなあ・・・。
★上田
嘘つきは泥棒の始まりと言われているように、私たち日本人の美徳は正直であることです。
にもかかわらず、日本の首都・東京の顔である知事に学歴詐称疑惑が持ち上がっているのは如何なものか。
カイロ大学とエジプト政府に学歴を証明してもらって弱みを握られていることも外交上、”百害あって一利なし”です。
小池知事にはこの責任をきっちり取って頂きたいです。

「エコ」は財布に全く優しくない
正論2024年8月号
明治大学教授 飯田泰之
キャノングローバル戦略研究所研究主幹 杉山大志
★飯田
2024年6月から所得税の定額減税が始まりました。
その一方で政府による家庭向け電気料金の補助が2024年6月使用分から廃止されるため、電気料金は大幅に値上がりします。
なぜこの時期に補助を打ち切るのか、非常に疑問です。
今は世界的なインフレが収まってきて、春闘での賃上げがあり、ようやく家計が一息つけるところです。
本来ならここで1〜2年、その恩恵を享受してもらう期間を設けるべきなのに、間髪を入れず電気料金を上げてしまうことには
「民力を養う」
という意識の低さが感じられました。
★杉山
電気代に政府が補助金を出すというのは、一時的な激変緩和措置としての役割はあったかと思いますが、いつまでも続けるべきものではないでしょう。
とはいえ、電気料金が高止まりしている根本的な原因には手を打たねばなりません。
最優先事項は、止まっている原子力発電所を再稼働させることで、それで電気料金はグッと下がります。
ウランの燃料費は圧倒的に安いわけですから原発を造った以上、動かさない手はありません。
それが不合理な規制で止まってしまっている。
安全性に問題があると言われますが、原発を稼働させながら安全対策をすればいいだけの話で、実際に海外ではそうしています。
そして太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーについては、電気代に上乗せされる再エネ賦課金が2024年4月から上がったことが話題になっています。
国によれば1世帯当たり負担額は1万3000円程度とされていますが、2024年度国民が負担する再エネ賦課金の総額は2兆7000億円ほど、3人世帯なら6万円の負担となります。
★飯田
実は家庭用の電気料金に上乗せされている分に加えて、産業用の電気料金に上乗せされている分があり、それは回り回って結局、国民が幅広く負担しているのですが、そこが見えにくくなっているわけですね。
現在、電気料金が高止まりしているのは間違いなく、東日本大震災以降に原発再稼働の時期が政治的に先延ばしされてきたツケが回ってきているのだと言えます。
原油価格が高騰の折にこれだけ動かせる原発を止めていた国は日本くらいのものでしょう。
第2次安倍政権も、高い支持率があり党内基盤も強かったのですから、本来は原発再稼働を強行するべきだったと思います。
結局、私たちは現在、物凄くコストの高い発電方法を選んでしまっている。
この電気代高騰は実は人災なのだ、ということを認識する必要がありそうです。
■再エネは本当に安いのか
★飯田
台湾の半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)が典型的ですが、日本国内に生産拠点を持つ海外企業が九州を選ぶ例が多いのです、
それは電気料金の安さもさることながら、原発をきちんと再稼働しているという電力供給に対する安心感もあります。
一方で東北地方でも工業団地を造成して工場の誘致に成功している事例もありますが、やはり九州に比べると振るいません。
やはり九州に比べて、東北の電気料金は高く、電力供給にも不安があるというわけです。
今、西側諸国が中国との関係を見直し、日本への生産拠点の移転を始めています。
日本にとっては千載一遇のチャンスなのですが、電気料金が高く電力供給にも不安があるという問題があって、移転が一部地域でしか進んでいません。
これまた日本は、自分で成長の芽を摘んでしまっていると思うのです。
日本の産業界も、外国人労働者の受け入れに熱心になるよりも、電力の問題にきちんと取り組むべきではないでしょうか。
★杉山
原発の問題に加えて再エネの方も問題山積で、日本政府は菅義偉政権の時に小泉進次郎環境相や河野太郎行政改革担当相らが旗を振った
「再エネ最優先」
を今も言い続けています。
2023年5月には
「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」
なる法律が成立して今、第7次エネルギー基本計画の策定に向けた検討が始まっており、
2024年末ぐらいまでにまとまるとのことです。
そこでは、向こう10年間で150兆円の投資を官民で実施することになっていますが、お金の行き先の大半は再エネでしょう。
しかし再エネを導入し過ぎると電気が余る場合があるので、電池を用意する。
それでも余った分は送電線で他の地域に送るので、送電線も増強することになる見通しです。
そもそも太陽光発電自体が年間の設備利用率、即ち稼働率は17%程度しかありません。
雨の日や夜間でも電気は必要ですから、火力発電所をなくわけにはいきません。
太陽光発電は必然的に2重投資になるのです。
更に電池も必要、送電線も必要となれば3重投資、4重投資です。
国は毎年15兆円、つまりGDP(国内総生産)の3%をそうしたグリーン投資に回すとしているのです。
さすがに全ては実現しないと思っていますが、そういう方向になっている。
それで日本政府は
「グリーン経済成長が実現します」
と言っていますが、私は当然信じていません。
これまで太陽光発電を大量導入して経済成長したかと言えば、全くしていないわけですから。
★飯田
今後、グリーン投資の収益性は益々下がっていきます。
平成29(2017)〜平成30(2018)年くらいまでの日本では労働者が余っていたので、政府がお金を使うことで雇用の増加という結果を生み出すことができました。
当時であれば、とにかく国がお金を使うことに意義があったのです。
ただ現状、日本は人手不足状態です。
それに以前なら、日本国内で太陽光パネルの需要を増やすことによって研究開発投資が進んで、日本国内の企業を育成する支援になったかもしれません。
しかし今や太陽光パネルを導入することは、中国から買うことに他なりません。
再生可能エネルギーは火力発電や原子力発電に比べて安い、と主張する人が一部にいますが、本当に再エネが安いのであれば補助金など出さずとも、放っておいても普及するはずですから、国は何もする必要はないのです。
再エネ関係の人たちが
「再エネ賦課金が必要だ」
などと主張するのは
「実は採算が合わないのです」
と自分で言っているようなものです。
★杉山
最近でも再エネ推進論者の方は、再エネは安いと言いながら、再エネ賦課金は必要だという意味不明の主張をしています。
★飯田
まともな論理能力のある人間なら、そしておよそ真面目な人としての良心があれば言えない事を平気で言って、それを一部メディアが素晴らしいと取り上げているという地獄絵図のような状態になっています。
話を戻しますと、人手不足状態となっている今の日本では、衰退している産業から生産性の高い産業へと人材、資源、資金、土地を如何に移動させるかが重要になってきます。
それこそ生産性の低い太陽光発電に土地や人手や資金を投入してしまうと、その他の成長すべき分野の足を引っ張ることになってしまいます。
今の日本経済がそういう局面にあるのだ、ということを意識しなければいけません。
■世界の潮流は脱・脱炭素
★飯田
私は発電の技術については素人なので質問ですが、発電のコストを比較する場合には必ずと言っていいほど
「発電所を新設した場合の比較」
になっていますが、何か変なのでは。
★杉山
それには理由が2つあります。
まず、新設のコストと言っても発電電力量、例えば1キロワット時当たりの比較になっており、これは全く適切な比較ではありません。
太陽光発電は晴れた時に発電するだけです。
電気は何故価値があるかと言えば、スイッチを入れたら必ず使えるからこそ価値があるわけで、気まぐれにしか発電しない電気というのは実際のところほとんど無価値なのです。
本当に公平に比較するのであれば、太陽光発電+大量のバッテリーで必ず電気が使える状態にして比較すべきです。
となると、太陽光の電気は桁違いに高額になります。
もう1つ、既設の発電所が考慮されていないという問題があります。
特に原発は、発電コストがキロワット時当たり約10円とされていますが、うち燃料費は1円程度なのです。
ですから既設の原発の再稼働というのは断然、安上がりなのです。
それも寿命を延ばせば、更に安くなります。
現在、原発は発電開始から40年で一旦審査し60年までは使えるようになっていますが、実際のところ原発が古くなったと言っても内部の主な機器は取り替えられているし、保守点検もされていて、寿命など無いに等しいのです。
米国などは80年〜100年、更にそれ以上の運転も視野に入れており、日本もそうすればいい。
この断然、安い電源を失くす手はありません。
★飯田
なるほど、世間では
「老朽化原発」
とよく言われますが、原発が自動車みたいな物だとイメージされているようですね。
自動車であれば、50年動かすのは難しいかもしれません。
けれども原発の場合、メンテナンスをして入れ替えるべき物は入れ替えており
「行く川の流れは絶えずしてしかも元の水にあらず」
なわけですね。
★杉山
そうです。
ちなみに水力発電所であれば、100年以上稼働している例はいくつもあります。
ダム本体のコンクリートはそのままだとしても、原発と同じように発電機などの機器は必要に応じて更新されているのです。
★飯田
そうだとすると圧倒的に安い原発の発電コストのレベルに太陽光が追い付くのは、到底無理なのではありませんか。
★杉山
太陽光発電の本質的な限界は、日差しのある時しか発電できないということです。
そのため太陽光の電気は先の3重投資、4重投資を考えればどうにも安くならず、原発に代わることは到底無理でしょう。
★飯田
私が危機的だと思っているのは、非効率的な発電方式である太陽光を導入する理屈として、国際的・外交的な理由が挙げられているのです。
世界各国は現在、如何にして自国はCO2を削減せず、他国にCO2を削減させるのかに血眼を上げています。
その中で、何故か日本では
「どんどん頑張って日本の発電コストを高くしましょう」
とする政治家が評価されてしまう。
★杉山
いや、日本だけでもありません。
米国でもバイデン政権・民主党は
「2050年にCO2をゼロにする」
と公言しています。
欧州でもイギリスの保守党政権、ドイツの歴代政権、フランスのマクロン大統領なども同じ事を言って、それなりに政権が支持されてきたのです。
当初は皆、余り意味が分かっていなかった。
しかし実際にはとんでもない事だということが、次第に明らかになって来ています。
例えばガソリン車の禁止だとか、ガスボイラーでの暖房禁止といった話が出始めて、国民が怒り始めた。
それで最近の欧州での選挙結果では、右派勢力が勝つようになってきました。
その一番大きな要因は移民問題だとしても、次に大きいのは
「脱炭素は馬鹿げている」
ということになのです。
★飯田
ただその一方でウクライナ戦争以降
「CO2ゼロ」
の持つ意味合いが変わってきたのが感じられます。
特に欧州では、原発の重要度を上げていくことでCO2を減らすという方向に、徐々に舵を切っていく兆候があります。
今はドイツ以外には
「太陽光や風力で脱炭素する」
という国は、ほとんどないのでは。
★杉山
いや、再エネ重視勢力は結構しぶとくて、イギリスなどは今度の総選挙で労働党政権になったら、もっと無茶なグリーン政策を展開しかねません。
ドイツの環境重視勢力も、弱っているとはいえ、まだ太陽光・風力を推しています。
それでも私は、気候変動の話というのはそのうちに国際的な議題ですらなくなると思っています。
というのは、ウクライナ侵攻しているロシアが石油を掘ったり、天然ガスを輸出するのをやめることはあり得ないからです。
ロシアの経済はそもそも石油とガスでもっていて、軍事力もそれで維持している。
中国も口では脱炭素とか再エネ重視とか言っていますが、実際には石炭火力発電にどんどん投資しており、インドも同様です。
そうしたことがウクライナの戦争で明白になりました。
既に新しい冷戦状態になっており、各国とも
「身銭を切ってCO2ゼロを目指します」
などという局面ではないのです。
その中で日本では、GXの制度化が着々と進んでいて、ある意味、世界の流れに逆行しているとも言えるでしょう。
★飯田
日本では現在、一定以上の規模のある企業にとって最も儲かるのが再エネ関連ビジネスになっています。
なぜ儲かるかと言えば、補助金が出るからです。
今、皆で頑張って補助金を分捕ろう、ということに日本人の頭脳が費やされています。
これは非常に憂うべき状態で、だからこそ再エネ賦課金などというものは早く廃止すべきだと私は思います。
CO2の削減は否定しませんが、であれば原発の再稼働を急ぐのが筋でしょう。
■太陽光パネル義務化という愚策
★飯田
東京都では2025年4月から、新築住宅への太陽光パネル設置が義務化されますが、私はこれは
「愚の骨頂」
だと以前から指摘してきました。
何が馬鹿げているかと言えば、都内の小さな住宅に太陽光パネルを設置しても、エネルギー効率が良くないのです。
そもそも住宅密集地には
「北側斜線制限」
なるものがあり、簡単に言えば北向きの屋根が多くならざるを得ません。
★杉山
隣の家にきちんと日が当たるように配慮しないといけないわけですね。
★飯田
ですから太陽光発電に向いていない屋根が多く、更にパネルを設置すれば光の反射で近隣に迷惑が掛かりかねません。
これは日本でも訴訟になっている例もあります。
そのように、日本で一番、太陽光発電に適していない地域で義務化しようとしているわけです。
★杉山
付け加えれば、太陽光発電の設置には逆進性の問題もあります。
都内で南向きに大きな屋根のある家を建てられる人は、再エネ賦課金その他の補助金が付いて来るから太陽光パネルを設置して元が取れるのです。
一方で小さな北向きの屋根の家しか買えない人は単にお金を払うだけになる。
★飯田
まさに皆に税金(賦課金)を課してお金持ちに渡そうという構図になっているのです。
なぜ日本の左翼の皆さんは、これを批判しないのか不思議でなりません。
ーーところで小池百合子都知事は4年前(2020年)、「都内で新車販売される乗用車の2030年までの非ガソリン化を目指す」と宣言していました。
★飯田
さすがにそれは実現しない、あるいは延期になると思いますよ。
ここへ来て電気自動車の普及はペースダウンしてきていますから。
★杉山
イギリスでも結局、ガソリン車の販売禁止時期を2030年から2035年に延期しましたし、東京都も延期になるでしょう。
★飯田
仮に東京都がガソリン車の新車購入を禁止したとしても、欲しい人は所沢(埼玉県)で購入すればいいだけの話です。
★杉山
埼玉のガソリン車は東京に入って来るな、となるかも。
何だか映画「翔んで埼玉」みたいな話ですね。
いや笑い事ではありませんが。
■国民が広く薄く損をする
★飯田
今、再エネ導入は税や補助金によって、余りに儲かり過ぎるビジネスになっています。
これにブレーキを掛けるのは並大抵の事ではできません。
疑問を持っている官僚もいるかもしれませんが、抵抗したら失脚してしまいますし。
しかし、多くの国民は再エネで利益を受けません。
というよりも、これは国民から搾り取って一部の人にお金を回すというシステムですよね。
★杉山
ごく一部の人たちだけが儲かるシステムで、国民は広く薄く皆、損をするけれど、ボーッと生きていると気が付かない。
再エネ賦課金の事もよく知らない、電気料金の明細も確認しないという人も結構いますから。
元々、脱炭素については、昔は経済産業省は猛烈に抵抗していたのです。
しかし令和2(2020)年に菅義偉首相が所信表明演説で
「脱炭素社会の実現」
を宣言した辺りから、経産省も官邸から相当な圧力もあったのでしょう。
今はすっかり宗旨替えして脱炭素路線を突っ走っています。
現在は経産省が音頭を取って脱炭素利権をどんどん膨らませているのが実態だと言えそうです。
★飯田
そもそもの話ですが、日本がどんなに頑張ってCO2の排出を半減させたところで、中国がちょっと増やしたらすぐに帳消しになってしまうのです。
日本はお付き合いできる範囲での脱炭素でいいのではないでしょうか。
★杉山
今、日本の石炭火力発電の設備投資はおよそ5000万キロワットですが、中国はその20倍の石炭火力を持っており、今後数年で建てる石炭火力が日本全体の6倍もあるので、日本が石炭火力を全廃したところでまるで意味がないのです。
仮に日本が2050年までにCO2をゼロにしても、それで下がる地球の気温は0.006℃です。
★飯田
それはもう誤差の範囲で、計測は不可能です。
そのために日本の産業を壊滅させていいのでしょうか。
まともな計算ができる、そして目先の利権から少し距離を置ける政治家の登場が待たれるところです。

<正論>「グリーンエネ」で日本は滅びる 
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志
2024/5/30 8:00
https://www.sankei.com/article/20240530-ZTVU3EHV2FN5HP2OYPHCJ3IXOI/
日本のエネルギー政策の方向性を定めるエネルギー基本計画の政府による改定作業が始まった。
年度内を目途として、2050年CO2ゼロを達成するためのグリーントランスフォーメーション(GX)産業政策を立案するという。
だがそもそもの現状の認識を大きく間違えている。
■世界は脱炭素ではない
政府は
「世界はパリ気候協定のもと地球温暖化を1.5℃に抑制する」
「そのために日本も脱炭素を達成する責務がある」
「今脱炭素に向けて国際的な産業大競争が起きている」
としている。
だがこれは本当か。
確かに多くの国はCO2ゼロを宣言している。
だが実態を伴わず、本当に熱心に実施しているのは、日本と英独など幾つかの先進国だけだ。
米国はと言えば、バイデン政権は脱炭素に熱心だが、議会の半分を占める共和党は猛烈に反対してきた。
実際のところバイデン政権下ですら米産業は世界一の石油・ガス生産量を更に伸ばしてきた。
中国は表向きはいずれ脱炭素にすると言うが、実際は石炭火力発電に莫大な投資をしている。
グローバルサウスのCO2排出は増え続け、
「2050年脱炭素を宣言せよ」
というG7の呼び掛けを端から拒否している。
インドもベトナムも石炭火力発電に投資をしている。
つまり世界は脱炭素に向かってなどいない。
理由は簡単でエネルギー、就中安価な化石燃料は経済活動の基盤だからだ。
■戦争の枢軸との新冷戦
そもそも気候変動が国際的な
「問題」
に格上げされたのは、リオデジャネイロで1992年に開催された
「地球サミット」
からである。
これが1991年のソ連崩壊の翌年であることは偶然ではない。
冷戦期は米ソ協力は不可能だった。
冷戦が共産主義の敗北に終わり、民主主義が勝利し、世界平和が実現したという高揚感の中、国際協力を深め地球規模の問題を解決しようという機運が生まれた。
当初から幻想に過ぎなかったが、2022年にロシアがウクライナに侵攻したことで完全に崩壊した。
今ロシアはイラン製のドローンを輸入し、北朝鮮から弾薬を購入している。
中国へは石油を輸出して戦費を調達し、あらゆる工業製品を輸入している。
ロシア、イラン、北朝鮮、中国からなる
「戦争の枢軸」
が形成され、ANATOやG7は対峙することになった。
ウクライナと中東では戦争が勃発し、台湾有事のリスクが高まっている。
この状況に及んで、自国経済の身銭を切って、高くつく脱炭素のために全ての国が協力することなど、あり得ない。
戦費の必要なロシアやテロを支援するイラン、その軍事費が米国に匹敵するようになった中国が、敵であるG7の要求に応じて、豊富に有する石炭、石油、ガスの使用を止めるなど、あり得ない。
ごく近い将来、気候変動はもはや国際的な
「問題」
ですらなくなるだろう。
ところが日本政府は未だ世界平和の幻想から覚めやらず、脱炭素に邁進している。
■日本製造業が崩壊する
政府は日本のCO2排出はオントラックだと自慢している。
何の事かと言うと、2013年以降日本のCO2は減少を続けており、同じペースで直線的に減れば2050年にはゼロになる。
だがこの理由は何か。
8割方は産業空洞化で、省エネや再エネではない。
一体政府は何を自慢しているのか。
このままCO2が減りゼロになれば、産業も壊滅してゼロになる。
原子力を推進するならばよい。
だが政府は規制と補助金により、再エネと、その不安定を補うための送電線と蓄電池を大量に建設し、またCO2回収貯留やアンモニア発電、水素利用も進める。
これら高価な技術にGDPの3%も投じるというが、光熱費が高騰し経済は衰退する。
それでも政府はこのようなグリーン投資こそが世界の潮流だとして、欧州の例を盛んに引き合いに出す。
けれども欧州は、とても日本が真似をすべき対象ではない。
欧州では既に産業空洞化が進行している。
今世界の製造業の29%は中国が占める。
他は米国が16%、日本が7%だ。
欧州勢は、ドイツは5%だが、英仏伊は各2%に過ぎない。
ナンバー1と2である中国と米国は、どちらも化石燃料を大量に利用し、安い光熱費を享受している。
他方で日本以上に脱炭素に邁進しているドイツ等は極めて光熱費が高くなった。
今製造業は益々中国と米国に立地し、日本やドイツ等から逃げ出している。
次期米大統領は
「たぶんトランプ」
だと言われている。
すると脱炭素政策は180度変わる。
米共和党は、気候危機など存在せず、中国やロシアの方が遥かに重大な脅威だと正しく認識している。
バイデン政権が推進した脱炭素政策は悉く改廃される。
日本はどうするのか。
中国そして戦争の枢軸に負けるわけにはいかない。
愚かな脱炭素政策によってドイツ等と共に経済的に自滅するのを止めるべきだ。

<主張>エネ計画の改定 原発の積極活用を目指せ
社説
2024/5/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20240520-GQVVF5675ZMSVPAJIA2JGT6KRQ/
国のエネルギー政策の指針である
「エネルギー基本計画」
の見直しに向けた議論が始まった。
令和22(2040)年度の電源構成などを検討し、令和6(2024)年度中に改定する。
ロシアによるウクライナ侵略でエネルギー情勢は一変し、エネルギー安全保障の重要性は一段と高まっている。
次期計画では脱炭素と共に、低廉で安定したエネルギー供給を両立する戦略を描く必要がある。
そのために必要になるのは原発の活用拡大である。
岸田文雄政権は令和4(2022)年12月にまとめた
「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」
で原発を最大限活用する方針に転換した。
生成AI(人工知能)の普及などによって今後、増大が見込まれる電力需要に対し、原発は大量の電気を安定的に供給できる。
現行計画では令和12(2030)年度の電源構成のうち原発は20〜22%としているが、令和4(2022)年度の実績は5.6%にとどまっている。
活用拡大には、新規制基準に合格した原発を着実に再稼働すると共に、原発の建て替えや新増設が欠かせない。
政府は次期計画でそうした方針を明確に示し、実現に向け率先して取り組んでもらいたい。
脱炭素を進めるため、再生可能エネルギーの導入拡大も論点となる。
だが、天候に左右される再エネを増やせば、電力供給は不安定化が避けられない。
立地を巡り地元住民とのトラブルも増えている。
蓄電池や送配電網の整備といった課題解決の手段も並行して議論しなければならない。
大量のCO2を排出する石炭火力発電の是非も重要なテーマだ。
先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合でCO2の排出削減対策を講じていない石炭火力を令和17(2035)年までに廃止することで合意したが、日本は令和4(2022)年度で30%超の電気を石炭火力で賄っている。
日本は燃やしてもCO2を排出しないアンモニアを石炭に混ぜて燃やす技術開発を進めている。
軌道に乗れば、石炭火力の割合が高いアジアの脱炭素にも貢献できるはずだ。
政府は和4(2022)年に向けた脱炭素化と産業政策の方向性を盛り込んだ新戦略を和6(2024)年内に策定する。
次期エネルギー計画に沿う形で企業の投資を支援し、国内産業の競争力強化に繋げたい。

第7次エネルギー基本計画、原発の位置づけ踏み込めるか エネルギー経済社会研究所・松尾豪代表
2024/5/15 14:29
https://www.sankei.com/article/20240515-OKZDSY37RRNBJHNW3N2RTZK624/
現行のエネルギー基本計画は、2050(令和32)年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に向け、政府が令和12年度に温室効果ガスを平成25年度比で46%減らすと打ち出した目標を念頭に決まった。
今回の見直しで、どれだけ深堀りされた内容になるかが注目される。
電源構成では原発をどう位置付けるかだ。
この10年で原発再稼働は限定的だった。
原発の高経年化が指摘される中、
「リプレース(建て替え)」
の必要性など踏み込んだ議論ができるかだろう。
再生可能エネルギーに関しては、海外で導入拡大の動きが衰えず、化石燃料の依存度も下げないといけない中で、計画で野心的な数字(比率)が出てくる可能性もある。
再エネでは洋上風力発電と次世代太陽電池
「ペロブスカイト太陽電池」
の期待が大きい。
ペロブスカイトは国産技術で、サプライチェーン(供給網)の構築もテーマだ。
化石燃料は難しい課題だ。
先進7カ国(G7)は温室効果ガスの排出削減対策を取っていない石炭火力発電に関し、2035(令和17)年までの段階的廃止で合意した。
だが原発や再エネがうまく拡大しないと化石燃料に頼らざるを得ない。
人工知能(AI)の普及などで電力需要が急増すると、火力発電も必要だとの声が高まるかもしれず、情勢は不確実だ。

「原発新増設、次期エネ基に」 林欣吾・電事連会長 再エネ、負担のあり方議論
2024/5/3 2:00
https://www.sankei.com/article/20240503-RR7PTDAKSFK2FAM2XN5ZFJDZ3Y/
大手電力で作る電気事業連合会の会長に2025年4月1日付で就任した林欣吾氏(中部電力社長)が2024年5月2日、産経新聞のインタビューに応じた。
2024年度は政府が、国のエネルギー政策の指針となる
「エネルギー基本計画」
を見直す重要な年で、林氏は
「長期的に原発の役割は増していく」
との認識を示した上で、原発の建て替えや新増設が計画に盛り込まれるよう、働き掛ける意向を示した。
国内では人口減少が進む一方で、生成AI(人工知能)の普及に伴い電力消費の多いデータセンターの増設が見込まれることから、林氏は
「電力需要のボリュームは増えていく」
と指摘。
その上で脱炭素化を進める観点でも
「原発は最も現実的でコストの良い電源だ」
と述べた。
東京電力福島第1原発事故後、廃炉を決めた24基を除くと、原発36基のうち再稼働できたのは12基にとどまる。
林氏は
「遅れている再稼働を進めるだけでなく、新増設、リプレース(建て替え)、新型炉を含めた開発を総動員しないと、日本を支えるエネルギーを賄うボリュームを、達成できない」
と強調した。
今後エネルギー基本計画の策定を巡り、電事連として国への働き掛けを行う。
また再生可能エネルギーについても
「最大限の開発をしていかなくてはいけない」
とした。
ただ再エネは選択肢が増える一方で発電コストが高く、普及に向けて電気料金に上乗せされる賦課金などが家計を圧迫するとの不満は根強い。
林氏は
「公平に、国民の負担で(再エネを)増やしていくことが必要」
と話し、東日本大震災後に国が電力自由化などを決めた
「電力システム改革」
の検証作業の中で、発電コストの負担の在り方について議論を進めたい考えを示した。

太陽光パネルの放置防げ 10年後に大量廃棄時期到来 技術確立へ対策急ぐ
2024/5/3 16:56
https://www.sankei.com/article/20240503-7SROT5ML6ZJWHNFSYHA4XJW5OQ/
急斜面に設置された太陽光パネル。国は大量廃棄時期を迎える前の技術確立を目指している=平成30年7月、静岡県伊東市
https://www.sankei.com/article/20240503-7SROT5ML6ZJWHNFSYHA4XJW5OQ/photo/A5Q3UVPMQFJT5IL5U3HU4746JA/
全国に設置された太陽光パネルが2030年代(令和12〜21年)中盤に大量廃棄の時期を迎える見通しとなり、国が対策を急いでいる。
中国製の安価な輸入パネルはヒ素など有害物質が含まれる恐れがあり安全な処理が必要だが、費用がかさめば適切に廃棄されず放置や投棄が増えかねない。
太陽光パネルが全国で一斉に広がったのは平成24(2012)年からだ。
この年、政府が再生可能エネルギーの普及を目指し、発電した電気の全量を電力会社に買い取らせる固定価格買取制度(FIT)を導入したのを契機に、参入する事業者が続出した。
ただ、買い取り期間は10キロワット以上の設備で20年間。
令和14(2032)年には初期に参入した事業者の買い取りが終了し、売電価格が大幅に下落する見通し。
パネルの寿命は20〜30年で、およそ10年後には大量廃棄の時期を迎える。
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の試算ではパネル廃棄のピークは令和17(2035)〜令和19(2037)年頃になりそうで、年間17万〜28万トン程度の廃棄を見込む。
■積立金不足の懸念
パネルの廃棄は事業者の責任だが、多くが対策を講じてこなかった。
このため、令和4(2022)年4月施行の改正再生可能エネルギー特別措置法で、太陽光発電設備の廃棄費用の積み立てが義務化された。
稼働から10年が経過した出力10キロワット以上の設備などが対象で、売電収入から廃棄に充てる積立金が自動的に引かれる仕組み。
問題になるのは廃棄コストが積立額を上回るケースだ。
パネルには一般的に鉛やセレンなど有害な物質が含まれる上、安価な中国製パネルには透明度を上げるため猛毒のヒ素などが含まれている場合があり、安全に廃棄するには費用が膨らむ。
また、パネルや土台などの設備が放置された場合は、火災や土砂崩れなど災害を誘発しかねない。
■リサイクルを支援
リサイクルの技術的なハードルも高い。
ガラス技術研究所の織田健嗣所長によると、パネルに使うガラスには取り除くのが難しい化学物質が含まれているため、現状では断熱材に使うグラスウールなど取り除かなくても利用できる用途にリサイクルが限定されている。
環境省は産廃事業者の技術力向上に向け、高度な技術を活用するリサイクル事業を国が認定し、事業拡大を支援する法案を今国会に提出。
伊藤信太郎環境相は2024年4月の記者会見で
「(パネルの)安全な廃棄が重要だ」
「大量廃棄が起きる前に技術を確立したい」
と述べた。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/794.html#c21

[政治・選挙・NHK294] 蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
36. 秘密のアッコちゃん[425] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月06日 11:37:43 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[538]
<■1148行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
東京都知事選 進化するネット選挙 政策もプライベートもアップ 街頭告知にとどまらず
2024/7/5 21:10
https://www.sankei.com/article/20240705-WORJWPSJMFJ3LEVG7UCC2R7LMQ/
東京都知事選(2024年7月7日投開票)では、各陣営とも交流サイト(SNS)やユーチューブなどを中心としたインターネットによる発信に力を入れている。
これまではネットを通じた街頭活動の告知がメインとなってきたが、今回の都知事選では、様々な角度から有権者の関心を呼ぼうとする取り組みが目立つ。
公約発表やイメージ映像に加え、プライベートな様子を曝け出す者まで出ている。
■AI、ライブ
無所属現職の小池百合子氏(71)が自身のSNSで使い分けるのはリアルと人工知能(AI)。
自身が出演して話しかける
「リアルゆりこ」
の動画では、追加公約などを発表。
自身の音声を学習したCG(コンピューターグラフィックス)が登場する
「AIゆりこ」
では、これまでの政策を振り返る。
無所属新人の前参院議員、蓮舫氏(56)は
「東京には夢がある」
と呼び掛ける動画をSNSのトップに固定。
支援者が作成・投稿した動画や画像などを積極的に引用して、支持の広がりを目指す。
リアルタイムで視聴者とやり取りができるライブ配信にも取り組んでいる。
■大病や愛犬
ともすれば、強い女性¢纒\と目される両氏。
両陣営ともそんな世評を気にしているのか、いずれも柔らかさ≠演出する発信に力を入れている。
小池氏は、過去に患った大病や母の介護経験を振り返ったものから、自宅にカメラを招き入れるなどを日常生活を明かす発信も多い。
小池氏陣営によると
「若手スタッフが色々な面を引き出す質問を作り、本人も楽しんでいる」
という。
蓮舫氏のSNSでは、その日の予定を終えて帰宅し、愛犬に抱き着いて癒やされる姿や、自身の子育てを振り返る動画などがアップされている。
蓮舫氏のスタッフによると
「強いイメージを持たれがちなので、違う側面も知ってもらいたい」
との考えがあるという。
■拡散呼び掛け
無所属新人で前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)は、街頭演説に集まった聴衆に動画などを撮影してもらい、ネット上で拡散するよう呼び掛けている。
市長時代からSNSや動画を積極的に使って知名度を上げてきただけに、本人、陣営共にネットの活用方法は心得ているもようだ。
「石丸伸二」
で検索すると、公式以外にも多くの動画が上がっていることが分かる。
無所属新人で元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)は、昨今の日本の状況を憂う様子などを
「としおのぼやき」
としてシリーズ化し、短い動画に編集して配信している。

東京都知事選でも話題になっているインターネットによる選挙活動について明治大の湯浅墾道教授に話を聞いた。
要旨は以下の通り。
インターネットでの選挙活動は解禁当初、影響力に否定的な見方もあったが、選ぶ側も選ばれる側も当選者を出せると分かり、潮目が変わった。
特に東京都知事選のような浮動票の多い大型選挙では、現職知事さえ無視できない存在だ。
ただ、3つの点で問題がある。
1つは立候補していないのに立候補しているかのような
「フェイク候補者」
が現れたこと。
2つ目は有権者以外のネット上の支援者が大勢いること。
有権者ではない人たちの活動が有権者の判断に影響を与えてよいのかということだ。
3つ目は営利目的の選挙活動が定着していること。
これが最も問題で、動画サイトやSNSなどを運営する、いわゆるプラットフォーマーによる自主規制やチェックが必要だ。
大手メディアは厳格な基準を設けているが、プラットフォーマーは現状、チェック機能を果たしていない。
自主規制を強く求めるべきだし、それが出来ないなら規制を導入する公職選挙法改正を検討すべきだ。
海外企業であっても違法性を示す意味はある。

「恫喝受けた」と投稿…石丸伸二氏言動で控訴棄却 市に賠償の1審支持、広島
2024/7/3 13:46
https://www.sankei.com/article/20240703-YFVEJOMLYJIAJKSPUG35JH2BJU/
広島県安芸高田市の石丸伸二前市長(41)の
「恫喝を受けた」
との嘘の主張で名誉を傷付けられたとして、山根温子市議(68)が市と石丸氏に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、広島高裁(倉地真寿美裁判長)は2024年6月3日、市に33万円の賠償を命じた1審広島地裁判決を支持し、市と市議双方の控訴を棄却した。
1審広島地裁判決によると、石丸氏は令和2年9月、本会議中に男性市議が居眠りしていたと交流サイト(SNS)に投稿。
更に令和2年10月、この投稿を巡って山根氏ら複数の市議から
「敵に回すなら政策に反対する」
などの
「恫喝を受けた」
と投稿するなどした。
1審判決では、市長だった石丸氏の言動は真実と認められず、名誉を損なったと認定。
公務員の職務中の行為だったとして、石丸氏個人への訴えは棄却した。
市側が控訴し、山根氏側も慰謝料の増額と、石丸氏に対する棄却を不服として控訴した。

現地匿名座談会 前安芸高田市長・石丸伸二とは何者か?
Hanada2024年8月号
安芸高田(あきたかた)市は、広島市から北東へ80kmほどの中山間部にある。
「平成の大合併」
で、2004年に高田郡吉田町、八千代町、美土里(みどり)町、高宮町、甲田町、向原町が新設合併して安芸高田市が発足した。
林業などが盛んだったが、地域は過疎化が進んでいる。
人口は約2万5000人。
中心部の吉田町には、戦国武将の毛利元就が本拠地とした郡山城の跡や墓がある。
その安芸高田市の石丸伸二市長(41)が、東京都知事選に出馬した。
1期にも満たなかった地元での評判はどうなのか。
安芸高田市の市議、元市議ら4人の男性に集まって頂いた。
■京大卒、三菱UFJ勤務
ーー4年前(2020年)、石丸さんはどういう経緯で市長に当選したのですか。
★A
2020年の7月、この辺りを地盤(広島3区)にしている衆院議員の河井克行さん(法務大臣)に絡む”収賄事件"で、現職だった児玉浩市長が引責辞任、2020年8月に選挙になりました。
児玉さんは後継として竹本峯昭副市長を立て、無投票かとばかり思われていた。
ところが、ここの出身で、京都大学(経済学部)を卒業して三菱UFJ銀行に勤め、ニューヨークに4年ほど赴任していたという石丸氏が突然、そんな
「エリート色」
を引っ提げて立候補したんです。
”贈収賄”事件で街の空気は沈滞ムードでした。
その上、過疎・高齢化が進む一方だったので、市民からは
「高収入を投げ捨てて故郷に戻って立候補した37歳の彼なら、街を活性化してくれるのではないか」
と期待する声が多かったですね。
結果、票数は石丸候補が8000ちょと、竹本候補が5300くらいで、大差で石丸氏が勝ちました。
★D
当時の石丸氏は、銀行で年収1000〜1300万円も稼いでいたんでしょう。
有権者は
「それをかなぐり捨てて故郷に尽くすのは立派だ」
と思った。
ここじゃ、市長をやっても1000万円あるかどうかだから。
★C
石丸氏にとって、逆の意味での
「河井風」
が吹いて、
「立候補した副市長なんて、どうせ前の収賄市長と変わらない」
と見られていた。
★B
石丸氏の親父さんは、地元の電鉄会社に勤めていました。
同じ会社の人が私の関係者にもいて、その伝で、立候補する時、本人が私にも挨拶に来ましたよ。
「立場上、応援はできなけれど、石丸さんは大都会にばかりいたんだろうから、しっかり中山間部の安芸高田市の事を勉強して下さいよ」
とは言っておきました。
■議会で議論が進まない
ーー石丸氏が辞めた現在、市議の熊高昌三さんが、その後継として市長選(2024年7月7日投開票)に出馬する。
★A
彼は石丸市政を評価していた男ですが、それでも議会などで意見が違うと、石丸市長は熊高議員を激しく罵倒していた。
私なら、とても付き合う気になりませんけど、熊高さんは忍耐強いんでしょうね。
★B
そういう人すら大事にしないんだから、2期目に出る気なんてさらさらなかったのでしょう。
ーー市長就任後、まず騒動になったのが、議員の居眠り問題でしたね。
★A
亡くなった武岡(隆文)市議のことですね。
2020年9月25日のことで、居眠りは事実です。
石丸氏がツイッター(現X)で、名前と共に
「恥を知れ!」
と投稿し、拍手喝采を浴びました。
武岡さんは翌日、すぐに
「居眠りしたことを会ってお詫びしたい」
と伝えましたが、石丸市長に
「会う気はない」
と断られました。
携帯メールでも謝意を伝え続け、それは市長も認めています。
それでも
「説明責任を果たせ」
と言われ続けたので、2021年6月10日に武岡さんは記者会見をし、
「医師から睡眠時無呼吸症候群の診断を受けて、居眠りではなく、軽い脳梗塞による意識の喪失だった」
と説明。
しかしその後、
「何で今更また謝罪しなくてはいけないのか」
と口にした発言が、またYouTubeで流されて叩かれてしまい、大変悩んでいました。
亡くなる直前に電話で話しましたが、憔悴しきっていました。
本当に気の毒です。
★B
武岡さんという人は神経質といってもよい性格で、医師の診断書も、市議長を通して正式に石丸市長に出されていました。
しかし、市長は
「個人情報だから受け取れない」
と言って、診断書をシュレッダーにかけたとか。
そもそも議会に出された診断書は公文書ではないのか。
■何でも「無駄だ」と潰す
ーー議会ではどんな事が。
★B
議員の質問に対して
「日本語が正しくない」
と噛み付いたり、
「おっしゃる意味がよく分かりませんが」
などと言葉に拘ってばかりで、内容が前に進まない。
まるで国語の試験のようでした。
正確な日本語でなくとも分かるはずなのに、議論の入り口で止まってしまっていた。
しかも切り取りで映像をYouTubeで発信する。
「あなた方は国語力がない」
といったつまらないやり取りばかりが流れて、議会でどんな事を議論しているのかがさっぱり伝わっていない。
★C
そりゃあ、私ら田舎の爺さんだから、正しい国語になっていないかもしれない。
しかし、石丸という男はハナから地方の年寄りを馬鹿にしているんです。
目上の人を敬うなんて気持ちはかけらもない。
学校の勉強はよくできたかもしれてないけど、人間としては失格だよ。
ーー石丸市長は、既存の事業の廃止を次々と打ち出してきましたね。
★B
2代前の浜田(一義)市長が
「田んぼアート」
という事業を提唱したのですが、石丸市長が
「鶴の一声」
で中止してしまった。
ーー田んぼに絵を描くことで、遠くや空から色んな図柄が楽しめるアート企画ですね。
★B
観光客誘致にも繋げたいとした
「田んぼアート」
は、特別委員会も作って
「さあやろう」
という時で、JAも含めて実行委員会を作り、先進県の青森まで視察に行って研究していました。
色んな企業から苦労して協賛金も集めていたのに、石丸市長は
「そんなものは金にならん」
といった感じで、一方的に中止を決めてしまった。
★A
他にも、八千代の森美術館を
「市外の人が利用するのに税金を使う必要がない」
「市の人は誰も利用してない」
と言って休館。
★B
安芸高田市には他に美術館がなく、八千代の森美術館は地域の文化を発信する重要な拠点でした。
今は赤字でも、長い目で見て施設を活かすやり方を模索することが政治ではないのでしょうか。
何でも
「無駄だ、無駄だ」
と潰す政治なら誰でもできるよ。
★A
市では従来からお見合いのような
「婚活事業」
もやっていましたが、これも潰してしまった。
多い時で年間5組くらい成立していて、他県から
「ノウハウを教えて下さい」
と安芸高田市に学びに来ていましたし、広島県庁からも
「県でやる」
と視察に来ていました。
高齢者ばかりになる中、若い人が増えてほしいという切実な思いで始めたのですが・・・。
★C
12年間やって、59組成立した。
★A
彼は中学の模擬議会にこの事業を持ち出して、生徒から
「続けるべきでは」
と言われ、
「結婚のようなプライバシーに行政が介入すべきではない」
と説明していたとか。
ーーそんなことを中学生に諮るのもちょっと妙ですね。
★C
高宮町に
「たかみや湯の森」
という温泉施設があります。
ここの温水プールは、高田町や高宮町のお年寄りが健康のために使っていたのですが、
「利用客が少なく、採算が悪い」
「1800万円は無駄な出費だ」
とプールをなくしてしまった。
★B
健康福祉という観点が全然ないんですよ。
全て今の採算性だけで物を考えている。
■評価された政策は?
★A
地元の総菜屋さんから給食を納入させることをやめさせ、廿日市(はつかいち)市から納入させるようにした。
地元の商売を潰しているんです。
廿日市の業者と個人的な繋がりでもあるのではないかと疑ってしまう。
また、
「土砂災害が起きると危険だ」
とある保育所の移転を言い出したのですが、代替地がなかなか見つからない。
市長は全く地元の人たちと協議もせず、机上で地図を見ているだけ。
★B
保育所の隣には小学校があるから、保育所が危険なら小学校だって危険だよ。
だけど、そっちはさっぱり言わない。
あれほど市民と直に接しない市長は今迄いなかった。
小中学校の入学式、卒業式や運動会、そういった地域の行事に、石丸市長はまず出なかった。
先日、中国地方の防災協会の表彰式がありました。
市で選ばれた人に市長が賞状を渡すのですが、
「この人はどういう事をしたのですか?」
と言ったことは何1つ訊かない。
地元の受賞者の業績など何の興味もなく、ただ賞状を渡せばいいと思っている。
最初からずっと、安芸高田市とは違う方を見ていたのでしょうね。
安芸高田市のために尽くす気はさらさらなかった。
■教育関連は評価、高かった
ーー逆に、石丸氏が評価された政策はないんですか。
★B
最も受けが良かったのは教育関連ですね。
学校の冷暖房などを充実させ、更に2つの高校(県立向原高校と県立吉田高校)に
「生徒が決める100万事業」
と言って
「自由に使って下さい」
と100万円ずつ渡した。
それも生徒会長に対してで、
「教員は使途に口を挟むな」
と。
そりゃあ、生徒は喜びますよ。
他にも、リクルート社の高い教材を高校生に無償提供して喜ばせている。
そういう若者への受け狙いは大変上手です。
学校も椅子や机を新調するなど手厚くしているので、当初、石丸市長を批判していた教育長は完全にシンパになり、
「石丸市長のお陰で」
と盛んに言うようになった。
ーー子育て政策も評価されているようですね。
★A
小中学校と保育所の給食費を無償化するのに1億円投じました。
廃止施設にかかっていた管理費などから捻出したのですが、毎年やるとなれば、今後どこから捻出するのか。
まあ、国が給食無償化をやるのが分かっているから、一足先にやって自分の業績のように見せたのでしょう。
そういう手法は上手い。
ーー自分から言い出して始めた政策はあるんですか。
★A
広島は大阪と違うお好み焼きで知られています。
そこに目を付けて、
「あきたかた焼き」
を名物にしようというプロジェクト。
他県にまで職員が行って研究して作ったのですが、その時点で市民は市長に着いて行けず、飲食店はほとんど手を上げませんでしたね。
売っているのは3軒くらいですよ。
★B
幟(のぼり)1つ立っていません。
よそから旅行で来ても、どこで食べられるのか分からない。
■人を見下す発言が多い
ーー石丸市長の公費の使い方が問題視されています。
★C
2024年5月に、2泊3日ほど上京して、橋下徹さんのYouTube番組に出演。
そして東京都江東区で行われたイベントで、都知事選に立候補することを宣言した。
安芸高田市のことで上京したわけでも何でもないのに、市の公費で出張したんですよ。
そのことを追及されると、
「市の窓口を通して依頼があったから、市長としての公務だ」
と抗弁しています。
それならどんな依頼だって、市の窓口を通させれば公費でどこにでも行けることになってしまう。
信じられない言い草ですよ。
さすがに趣味のトライアスロン大会は自費で行ったようですが、これも問題があった。
広島市では2018年に多くの人が亡くなった豪雨があったので、2年前(2016年)に台風が広島を直撃するという予報が出た際、市民は緊張して備えていました。
その
「台風直撃」
とされていた日、石丸氏は千葉県でトライアスロン大会に出場し、地元に居なかったのです。
台風はそれたのですが、自慢げにトライアスロンで何番になったという動画を配信していたのを山根温子市議が見付けて問題視した。
すると、
「(台風への)万全の準備を取らせている」
「遠くからでも指示はできる」
ーーそれなら、自治体首長はどんな時でも遠くに遊びに行けますね。市民は監査請求などをしないのですか。
★C
「安芸高田市政刷新ネットワーク」
という市民団体が監査請求をしたことがあります。
ところが、監察委員が調べたところ
「違法性はない」。
市の出張規定では市長、副市長、教育長の3役は
「出張の際、費用を支給する」
となっているだけで、
「公務で」
という条件が書かれていないのです。
市職員や市議会議員の場合は
「公務で」
という条件が付いています。
ーー議員との訴訟沙汰もあったとか。
★C
トライアスロン動画を追及したという山根温子議員とです。
石丸市長は4年前(2020年)、市議会全員協議会で、山根市議から
「議会を敵に回すなら政策が通らなくなる」
などと恫喝された、といった内容をツイッター(X)に複数回投稿した。
山根さんは
「嘘だ。名誉棄損だ」
と石丸市長に500万円、市に330万円の損害賠償を求めたんです。
広島地裁は録音記録を精査して、2023年12月に
「山根さんの恫喝発言はなかった」
と石丸市長による名誉棄損を認め、市に33万円の賠償を命じました。
更に、
「市長としての裁量を逸脱したもの」
「SNSで広報活動をする際に注意義務を尽くしておらず、違法な行為」
としました。
★A
議会では、山根議員が質問すると
「今の質問はウザイ」
とか
「きもい」
とか見下す。
人を蔑視するような発言が多かった。
控訴審判決(広島高裁)が2024年7月3日にありますが、石丸市長は
「控訴する」
という決定も議会に諮らず、
「控訴期限まで時間がない」
と専決処分しました。
ここまで訴訟費用は公費ですよ。
既に市長は退任していますが、2024年7月7日までの期間の市長代理を利用して、判決に不服で専決処分による最高裁への上告をするのかも見所ですね。
■売名のために市長に?
ーー石丸市長は自画自賛しているようですが、財政再建の実際の評価は。
★A
財政調整基金は残し、他の基金を切り崩し、数字のマジックのようなもので
「再建した」
と言っているだけです。
あれこれ事業をやめれば支出は減る。
新しい事をしないので償還金は減り、経常経理は下がり、立ち直っているように見えるだけ。
★C
基金を切り崩しただけですね。
ああいうことは、銀行出だから上手いのよ。
ーー石丸氏は、政治家になりたいという希望を早くから持っていたのでしょうか。
★B
持っていたでしょうけど、国会議員や県会議員では埋もれてしまう。
「お山の大将」、
即ち自分がトップの地位でなくては気が済まない。
だから議員にはならずに、首長という位置を狙ったのでしょうね。
★C
名を売るために1期市長になっただけ。
この市に尽くすなんていう気などさらさらない。
全国的に顔を売るチャンスを窺っていたところ、都知事選に目を付けたんでしょう。
★A
4年前(2020年)にここで立候補した時も、ある新聞社の記者が
「ここの市長を長くやろうなんて気は絶対ない」
「当選したら市は困るのでは」
と言っていたけど、その通りでしたね。
ーーネットを駆使されていましたが、既存メディアとはどういう関係でしたか。
★B
ある新聞記者をよく攻撃していました。
本来、自治体の首長なら地元紙とは良好な関係を持とうとするはずですが、そんな気は一切ない。
2期目以降は出ないつもりだったからでしょう。
★A
聞いた話ですが、ある社は彼を取材する時は事前に社内で会議を開いて打ち合わせて、質問は最低限にする。
やめることもあったそうです。
石丸市長は、自分の事が書かれた気に食わない記事、あるいは記者会見の質問が気に入らないと、会社宛てに公開質問状を送る。
新聞社はその対応に煩わされるから、記者に彼を刺激するような質問をやめさせ、当たり障りのない質問しかさせないんです。
この市出身の都民で、都知事選で彼を応援する人なんかいなんじないかな。
★B
彼の4年間は完全な売名行為ですよ。
1期で辞めるのも、早くから決めていたんじゃないですかね。
繰り返しになるけど、あれほど市民と接しない市長はいなかった。
2期目に出る気ならあり得ない。
★A
1年経って、騙されたと思う人が多くなってきましたからね。
★D
年寄りをあれほど馬鹿にした人はいませんね。
目上の人を敬うことなど全くない。
自分が世の中で一番賢い、頭がいいと思っていて、プライドばかり高い。
★A
市議会では、石丸氏の一番の攻撃対象になったのは私でしょうね。
SNSやYouTubeの影響は本当に怖い。
部分的に切り取られて世界中に発信され、それを真に受けた
「石丸応援団」
から色んな脅しが来ました。
最近は身の危険を感じて、一般質問しようと思っていた質問を封じてしまうことも・・・。
ああいうメディアに踊らされる人が多いのは、本当に怖い世の中ですね。
ーーでは、石丸市長の功績はゼロ?
★C
この騒動で、安芸高田市の名が全国版になったことくらいでしょうね(笑)。

「国籍の嘘」で蓮舫は政治家失格
Hanada2024年8月号 評論家 八幡和郎
■場当たり的な説明に終始
蓮舫参議院議員が東京都知事選挙に立候補を表明してい以来、二重国籍(多重国籍)への関心が再燃し、
「第1発見者」
である私は、様々な機会に意見を述べている。
二重国籍問題が激しく再燃するというのは、蓮舫陣営にとって想定外だったようだ。
「小池氏の抱える『学歴詐称疑惑』に対比させる形で、決着が着いたはずの蓮舫氏の『二重国籍問題』が蒸し返されている」
といった論調もあちこちに見受けられる。
しかし、蓮舫氏の二重国籍を能天気に擁護した記事を書いた人がヤフコメの世界で見事に炎上したのを見て、最初の指摘から8年間、私としても蓮舫氏の事件と二重国籍の弊害を地道に説いてきたことの成果が浸透しているのが感じられて嬉しい。
問題が発覚した2016年は
「何が悪い」
「政治家だからおかしいが、一般人なら問題ない」
と言う人が多かった。
メディアは人権侵害になるのではないかなどという見当外れの懸念を持っており、おっかなびっくりでほとんど取り上げなかった。
蓮舫二重国籍発覚事件とはどういう事件だったのか、顛末を改めて振り返り、その過程で見せた蓮舫氏の場当たり的な説明の酷さや、残ったままの疑惑、そして、なぜ二重国籍はいけないのかを、提起したい。
蓮舫氏は、台湾人(中華民国籍)の父親と日本人である資生堂の花形美容部員だった斎藤桂子さんの長女として、1967年に東京で生まれた。
祖母の陳杏村は台南地方の出身で、未亡人となった後、東京で洋裁を学び、軍関係者の知己を得て、日華事変後の上海で暗躍した政商だった。
戦後は、蓮舫氏の父で同志社大学出身の謝哲信と共に、台湾バナナ輸入の利権を握って日本政界で暗躍。
政治家にダミー会社を創らせて政治資金を渡す手法を使い、国会でも公明党の黒柳明参議院議員から追及されたことがある。
■「二重国籍」を自称
蓮舫氏は3人きょうだいで、幼稚園から大学まで青山学院で学んだ。
高校生時代からタレント活動をしてクラリオン・ガールとなったり、男性週刊誌のグラビアなどで人気を博し、テレビキャスターとなった。
子供の頃は、夏休みなど台湾に長期滞在していた。
1993年、田原総一郎氏のスタッフ的な存在だったジャーナリストの村田信之氏と結婚。
夫婦で北京に留学し、それ以降、中国政府の外交にも理解を示すようになる。
この留学のお世話をしたのは高野孟(はじめ)氏らしい。
タレント時代には、中国籍だとか二重国籍だとか自称していたが、2004年に参議院選挙東京都選挙区から出馬し当選した時には、選挙公報に
「1985年、台湾籍から帰化」
としていた。
誕生時の戸籍法では父親の国籍にされたから、台湾(中華民国)籍の謝蓮舫だった。
ところが17歳の時、国籍法の改正で、22歳までに両親どちらかの国籍を選択する条件の下で母親の日本国籍を取得出来るようになり、それを行使して合法的な二重国籍になった。
その時に、斎藤蓮舫という名も17歳にして獲得した。
「帰化」
と選挙公報に書いたが、法律用語としては間違いで、
「国籍取得」
である。
私が蓮舫氏をネットメディア「アゴラ」で追及し始めたのは、蓮舫氏の出馬が噂された2016年の東京都知事選の時だ。
私は「アゴラ」でこう書いた。
「帰化した人が政治家になっても構わないが、帰化した国の文化への愛着を示すとか、母国との関係で日本の国益を強く支持することが求められるのが世界の常識である」
「蓮舫氏はどちらでも失格だ」
こういった見方をしたのは、フランスでのアルジェリア系などの政治家や官僚に興味を持ち、彼らから話を聞いて研究していたからだ。
その後、蓮舫氏が野党第1党・民進党代表選に立候補したので、尖閣諸島についての問題発言とか、和服を着たこともなく日本文化への愛着がないといった視点から批判すると共に、蓮舫氏は日本国籍を選択した経緯と台湾籍離脱についても、日付も含めて説明すべきだと指摘した。
■言い訳の数々
ところが、蓮舫サイドは夕刊フジからの問い合わせにも答えず、慌てた様子だった。
私は、22歳までに国籍を選択はしたにしても、台湾籍からの離脱をしておらず法に反する形でそれなりの期間、あるいは、現在に至るまで二重国籍の可能性がある、と指摘した(2016年8月29日)。
それに対して、蓮舫氏は
「父親が台湾籍離脱手続きをしてくれたはず」
「(本人の名も載ったはずの)父親の台湾の戸籍は見たことがない(遺産相続しているので見なかったとは考えにくい)」
「私は18歳(実際は17歳)で日本国籍を選んだ」
「台湾籍をいつ抜いたかは台湾当局に問い合わせ中」
などと反論。
タレント時代の二重国籍発言については、深く考えずにしたとか、記事の原稿を確認しなかったとか、言を左右にした。
ただ、この段階では、
「日本国籍の選択」
をし、日本の戸籍法上の手続きは完了し、台湾の国籍を離脱するべきなのが遅滞しているだけだと、私も含めて思っていた。
離脱手続きを強い義務にしていないのは、ブラジルのように国籍離脱を許さなかったり、インドのように多大な時間や費用が生じたりするケースがあるからだ。
しかし、台湾では国籍離脱はそんなに難しくない。
ここで、更なる
「証拠」
が見つかる。
台湾籍を離脱したら台湾の官報に記載されるはずだが、
「謝蓮舫」
の国籍離脱の公示はされていないことを、ネット民が突き止めたのだ。
台湾の官報はネットで公開されていたので、過去の離脱記録を調べるのは何人かで手分けしたらさほど難しくなかった。
そこで、蓮舫氏は
「台湾籍を抜いたかどうかは確認中だが、抜いていない可能性があるので改めて離脱申請をした」
と言う(2016年9月6日)。
死んだ父親の責任にしたのである。
当時、民進党党首の党員・サポーター投票が続いていたから、それに影響すると困ると思ったのだろう。
締め切りの翌日になって、
「台湾当局から国籍が残っているという連絡を受けたので離脱手続きを進めたい」
とやっと公表した(2016年9月13日)。
■親兄弟も知らなかった?
ここに至って、蓮舫氏の説明全体が信用できる状態ではなくなり、蓮舫氏が国籍離脱手続きをしていないとの疑問も生じたので、アゴラ編集部から
「国籍選択をしたことを証明する書類」
「台湾旅券」
「台湾からの国籍離脱証明」
の3点セットを公開するようにという公開質問状を出した(2016年9月29日)。
そして2016年10月15日に、蓮舫氏は2016年9月23日に台湾の
「国籍離脱証明書を目黒区役所に提出」
して戸籍法に定める国籍選択をしようとしたが、台湾と国交がないことを理由に、もう1つの方法である
「国籍選択宣言」
の方法を選ぶように指導されて、その手続きをしたと語った(この時点ではいつか不明だったが、後に2016年10月7日だと判明)。
17歳から22歳までは合法的な二重国籍だった蓮舫氏は、その後は法に定められた
「日本国籍の選択」

「台湾籍からの離脱」
のどちらもしていない
「法的義務に反した」
二重国籍者だったことが判明したのである(ちなみに、この状況の法的説明としては、違法であるとか違法でないとかいう言葉に馴染まず、法的義務に反した状態と言うのだそうだ)。
つまり、2016年10月7日までは、台湾人謝蓮舫が日本国籍も併せ取って斎藤蓮舫、次いで村田蓮舫という名を獲得しただけだったのである。
これほど嘘が連鎖して、バレルと違う説明を繰り返せば、上記の説明すら信じてもらえないのは当然だ。
そこで、追い詰められた蓮舫氏は、翌年2017年の7月18日になって決断した。
つまり、日本国籍選択宣言日を
「平成28(2016)年10月7日」
と明記された戸籍謄本の複写の一部、2016年9月13日付発行の台湾籍の
「国籍喪失許可証書」、
離脱手続きのために提出した台湾の子供時代の旅券などを公開した。
しかし、今も多くの疑問がある。
最大のものは、二重国籍状態であることを知らなかったという発言を、まだ撤回していないことである。
如何にも不自然だし、本人の発言としても大々的に二重国籍とか報道されていた。
限りなく黒に近いが、身の潔白を説明しようとしないのは何故か。
蓮舫氏が余程物覚えが悪いとしても、親や兄弟が知らなかったはずがない。
公開した台湾の旅券は子供の時だけのものだが、台湾国籍を持っている以上は、日本の旅券で台湾に出入りすることは台湾において違法で、その疑問にも答えていない。
台湾の国籍離脱証明の様式が普通と違うとか、写真も真正面でないなど不自然で、偽物ではないにせよ、特別の便宜の結果ではないかと疑う人もいる(小池知事の卒業証明に似ている)。
戸籍謄本は国籍選択を記したページだけを公開したが、これが18〜19ページもある。
新しい夫婦と子供だけの戸籍が、これだけのページになることは普通ない。
何か複雑な状況でもあるように思える。
2021年になって、長男の琳(りん)さんが元自民党議員で資産家の糸山英太郎氏の養子になって、その後、解消したらしいが、例えば国籍についてのややこしい事情とか、本人か子供か知らないが、複雑な養子縁組でもしたかでないと説明できないと推察する人もいる。
保守派の中には、中国政府との繋がりを訝る人もいる。
ただ、蓮舫氏の人脈は台南地方出身であることもあって、民進党系の方が強いという指摘もあるし、陳水扁総統(当時)に会ったりもしている。
しかし、このような有力者の子弟で有名タレントが、日中交流の実力者の仲介で中国へ留学し、中国政府が繋がりを作らなかったなど不自然だ。
そもそも、台湾の有力者は大陸との繋がりを作っておき、保険を掛けているケースが多い。
中国との関係についても、蓮舫氏の過去の経緯、また、二重国籍を隠していたことを踏まえたら、証拠がないと開き直るべきではないのだ。
■なぜ二重国籍はいけないか
なぜ、二重国籍はいけないのか。
一言で言えば、1人分の義務で2人分の権利を有するという不公平な状態だからである。
国籍を持つと、その国のルールに沿って権利と義務とが生じ、外国にいても自国の政府に守ってもらえる。
だから、複数の国籍を持つと法的関係が複雑になるので、二重国籍を認めている米国政府も推奨はできないと明言している。
中国は禁止で、フランスはテロ組織に絡んだ場合は国籍剥奪するなど、規制が厳しくなっている。
一方、当事者にとっては、二重国籍はとても美味しい。
2人分の権利があるので、両国の選挙にも投票できるし、2枚の旅券も使い分けられる。
一方、二重課税されたり、両方の国で兵役を求められたりすることは皆無ではないが、少ないからだ。
両国の選挙で投票したり、候補者になれ、両方の国会議員になることもあり得るだろう。
また、就職にも有利だ。
両親がアメリカにいる時に生まれた米国との二重国籍者の場合、留学や勤務の際、ビザ取得や永住権の苦労がない。
企業にとっても余計な手間がなく、便利だから就職の時に有利に働き、ライバルたちに差を付けられる。
米国では前科などがあると入国拒否されるが、二重国籍ならそれもかいくぐることが出来る。
■安全保障上のリスク
二重国籍の容認は、不公平なだけでなく、安全保障上のリスクもある。
将来、韓国・北朝鮮・中国から反日的な行動を取るような義務を負ったまま帰化した大量の二重国籍者が、日本で参政権まで持つという危険性だってあるのだ。
いずれにせよ、日本では二重国籍を禁止している。
帰化するには前の国籍からの離脱を条件とし、よその国籍を取ったら日本国籍は剥奪が原則だ。
あるネットメディアで、政治ジャーナリストが
「決着が着いたはずの二重国籍問題」
とか書いていたが、国籍で嘘を付いた政治家は一生、政治家である資格はない。
少なくとも、蓮舫氏は一旦議員辞職するべきだった。
それに先述したように、
「疑惑」
はまだ残っているのだ。
法的義務に反する二重国籍であって、それを隠してい議員になった政治家を、そのまま党首として首相候補にしていた民進党はおかしかった。
「学歴について粉飾する」
のも問題だが、
「国籍について全くの嘘を付いて議員になった」
方が、政治家にとっては重大な
「欠格事由」
なのである。

東京都知事選 女の戦い カビ饅頭2つに割って誰が食う 小池百合子対蓮舫という究極の選択ー東京はどうなるのか
WiLL2024年8月号
元東京都選挙管理委員会事務局長・元東京都環境公社理事長 澤章
東京都議会議員 上田令子
■小池知事の作戦ミス
★澤
上田先生とお会いするのも久しぶりですね。
都庁の職員時代には、まさかこうして『WiLL』で対談をすることになるとは夢にも思いませんでした。
★上田
お互い”小池批判の急先鋒”ですから(笑)。
こうして対談できて嬉しいです。
★澤
2024年6月20日、東京都知事選挙が告示されました。
小池百合子知事は2024年6月20日、都議会定例会の最終日に都知事選挙への出馬を表明した。
当初、定例会の初日に表明をすると見られていましたが、大幅に遅れました。
これは先手を打った蓮舫氏の出馬表明が世間の耳目を集めたからでしょう。
★上田
”小池劇場”を格好よく幕開けしようと画策していたところ、自分よりも若く、しかもタレント出身の蓮舫氏が注目を集めたので、出鼻を挫かれたわけです。
さぞ、悔しがったに違いありません(笑)。
小池知事は蓮舫氏の出馬表明に焦り、自分をアピールするため、すぐさま都庁保育園の視察に行きました。
その時、小池知事が子供たちに
「おいで」
と手招きしたら、子供が嫌がって逃げたという”放送事故級”の映像がテレビで流れています(笑)。
★澤
お得意のパフォーマンスが失敗に終わったわけですね。
★上田
実は保育園視察のパフォーマンスは、2016年の最初の知事選の際も江戸川区の保育園で行っています。
これがマスコミにも大きく報道されたので、”成功体験再び”という狙いで、8年前と同じジャケットを着て都庁保育園へ視察に行ったのでしょう。
★澤
8年前と同じジャケットですか(笑)。
★上田
小池知事は物持ちが良いので、ゲンを担いで同じ物を着たのでしょう。
★澤
更に小池知事は自分のやってきた事をアピールするため、生成AIで自分の似姿を作り、
「AIゆりこ」
を使ってSNS上で自分の実績を流しました。
★上田
相変わらず自分をアピールすることには余念がない(笑)。
★澤
上田先生は小池知事が出馬表明した定例会最終日に、知事への不信任案を提出しています。
★上田
結局、不信任案に賛成したのは提出者の私1人でした。
2017年の都議選で、小池知事に一杯食わされた自民党も、ここ数年は小池知事に擦り寄っています。
今回の知事選でも小池知事支援を表明しており、不信任案には反対。
ここ数年の自民党を見ていると、本当に情けなく感じます。
しかし自民党以上に酷いのは、立憲民主党と共産党です。
この2党は都知事選で蓮舫氏を支援するのに、不信任案に反対しています。
もし不信任案が通った場合、知事は対抗手段として10日以内に議会を解散できます。
そうなると、都議会議員選挙になりますから、選挙準備の出来ていない彼らは自分の身が危うくなる。
つまり、自己保身のための反対です。
★澤
都議会も保身ですが、小池知事の出馬も同じです。
「カイロ大卒」
という”大嘘”を貫き通すためにも、小池知事は政治家という立場を続けている限りは、カイロ大側も日本の首都の知事が卒業しているというステータスとして利用価値があるので、口裏を合わせるはずですから。
★上田
アラブはギブアンドテイクの社会なので、旨味がなければ切り捨てられます。
小池知事がニュースキャスターのままなら、エジプト大使館も、わざわざフェイスブックで彼女の卒業証明なんてしなかったでしょう。
カイロ大卒の虚飾を続けるためにも、小池知事は都知事選で3選を目指すしかないのです。
■”アラブ人モドキ”
★澤
小池知事の動きを見ていると、小池知事側から自民党・公明党に擦り寄っているように見えます。
小池知事自身も、自民党の組織票がなければ、都知事選での勝利は厳しいと考えているのでしょう。
★上田
2016年の都知事選の時は、自民党東京都連を
「ブラックボックス」
と非難し、”反自民”を貫いて当選しましたが、今回は反自民の旗を蓮舫氏が掲げていますから、反自民票は蓮舫氏に流れやすい。
★澤
小池知事は”選挙の鬼”ですから、如何に票を得るかという策略には抜かりがありません。
各市町村の首長が応援してくれれば有権者が動いてくれると目論見、応援を要請しています。
ところが、その応援要請が何故か
「各首長から出馬を依頼された」
という
「出馬要請」
に掏り替わって報道されました。
★上田
これは小池知事による見事な”自作自演”です。
★澤
小池知事は
「応援要請はしていない」
と否定していますが、日野市の大坪冬彦市長が
「元々は小池知事からの応援要請だった」
と”暴露”しています。
どうしてこのような暴露が出るのかと言えば、東京都には三多摩格差(特別区と多摩地域の間に存在する社会基盤の格差)があり、多摩地域の首長が不満を持っているからです。
小池知事は臆病な性格なので、蓮舫氏の出馬で自分が不利なるのではないかと過剰に反応し、各自治体の首長に泣きつきました。
2020年の都知事選の際の学歴詐称疑惑を巡る騒動の時、沈静化のためにエジプト大使館に泣きついたのと同じ構図です。
★上田
小池知事は”アラブ人モドキ”なのです。
アラブ人は自ら脅す分、脅されることにも強い。
しかし、”モドキ”の小池知事は中途半端にエジプトにいたので、脅すことは出来ても、脅されるのには弱いのでしょう。
澤さんは都知事選の行方をどう見ますか?
★澤
小池都政の8年間、ピンポイントでの批判は多々ありますが、”政治とカネ”といった大きなスキャンダルはありません。
すると、多くの都民が
「小池さんでいいんじゃないの」
となるでしょう。
蓮舫氏の出馬会見も見ましたが、余りに小池知事に攻撃的でした。
国政と違い、都知事選では対立構図を鮮明にしても有権者には響きません。
「私ならこうする」
という具体的な政策で小池知事と戦わなければ、蓮舫氏が支持を広げることは難しいでしょう。
更に蓮舫氏は共産党との共闘を進めているので、共産党を嫌う
「連合東京」
も小池知事支援を決めています。
加えて、小池知事には現職の強みもあり、いくら知名度が高い蓮舫氏でも小池知事に勝利するのは至難の業です。
★上田
確かに蓮舫氏が小池知事に勝利するのは難しいでしょう。
しかし、私が地元を回っていると、映像に映る姿がふてぶてしいという理由で小池知事を嫌う声も多く耳にします。
私は当初、小池知事を圧勝させないことで力を削ぎたいと考えていました。
「辛くも勝利」
となれば、自公に頭が上がらなくなり、好き勝手な事が出来なくなるからです。
前回の選挙では366万票の支持を得て圧勝したので、その自信が
「私がいないと、政策実現が出来ないでしょ」
と言わんばかりに、”暴走”と”女帝化”に繋がりました。
いずれにしても小池知事、蓮舫氏。
カビた饅頭を2つに割って左右どちらかを食べろと言われても・・・という虚しい選択です。
(中略)
★上田
石原慎太郎都政下で積み上げた財政調整基金1兆円を使い果たした小池知事と都民ファーストの会(以下、都ファ)の議員。
★澤
都の財政調整基金がコロナの時に底をついてしまいましたが、小池知事が協力関係にあった公明党の要望を聞くために予算を膨張したのが原因で、都民を馬鹿にしています。
■女帝による陰湿なイジメ
★上田
お互い小池知事とは直に接してきていますが、澤さんは知事の人間性に対してどんな印象をお持ちですか?
★澤
ネチネチしたパワハラ気質だと感じました。
豊洲市場の追加対策工事がひと段落し、いよいよ1年後に豊洲移転が決まった直後、小池知事と市場当局の管理職との夕食会がセッティングされました。
私を含めた市場当局の管理職の面々はこれまで小池知事と移転について散々揉めてきましたから、遂に知事と和解できると手を叩いて喜びました。
ところが、職員が豊洲移転の詳細が書かれた資料を小池知事に見せる前にマスコミと議会に配ってしまったことで、知事は激怒。
小池知事に呼び出され、
「なぜ見せなかったのか」
とお説教が始まりました。
お説教が終わり、部屋を出ようとした際
「澤さん、今日は楽しい夕食会になるでしょう」
「でも、私は用事ができたので、野田(特別秘書を務めた小池知事の元側近・野田数(かずさ))を代わりに行かせます」
と言われました。
私は小池知事の静かなる怒りに背筋が凍るような感覚を覚えました。
★上田
小池知事が冷徹な口調で言い放った様が目に浮かびます。
澤さんが東京都環境公社の理事長を辞められたのも、事実上の”排除”でしたね。
★澤
私は理事長在任中に『築地と豊洲』(都政新報社)という本を出版し、小池都政を批判していましたから、目障りな存在だったのでしょう。
都庁人事の権限を握る副知事から呼び出され、クビを告げられた時に黙って従うのも嫌だったので、理由を聞きました。
すると、
「お前は常識がない」
「都知事選の前にマスコミに出て、雑誌・メディアで小池知事を批判している」
「これは都庁OBとしてあるまじき行為だ」
と言われました。
事実を主張しただけなので怒りで体が震えましたが、それ以上に呆れて何も言えませんでした。
★上田
まるでどこかの独裁国家みたいですね。
東京都に長年貢献し、知識もある澤さんをクビする一方、ただのイエスマンを要職に起用する。
小池知事は自分より目立たず、ほどよく利用できる人を重用します。
都ファの議員を見ていても、小池知事よりも目立って排除されないよう、服装も発言も地味に徹しています。
★澤
女帝に対し、皆、戦々恐々としている証拠です。
★上田
私は2016年の都知事選で小池知事を支援した際、仲間の無所属議員を集めて雨の中ポスター貼りなどの支援をしたにもかかわらず、”グリーン旋風”が吹き荒れた途端に街頭演説では、きっかけを作った私たちがマイクを持つことを許しませんでした。
これは手柄を全て小池知事自身と側近のものにしたいからで、私をはじめとした無所属議員は応援したのに”排除”されたのです。
私が媚びへつらうような態度を取らなかったので、面白くなかったのでしょう。
★澤
1度小池知事に疎まれると、”手を変え、品を変え”虐められます。
最近では、SNSで安易に都政関連の情報をアップすると都の職員がチェックしており、発信元の”犯人探し”が始まります。
私も1度、SNSで都庁の内部に関するコメントを書いたら、
「消して下さい」
と現役管理職から言われたことがあります。
このように今の都庁は、監視の目が常に光っている職場と化してしまった。
★上田
まるで言論統制ですね(笑)。
都庁に
「職員目安箱」
があり、小池知事は職員ファーストを掲げ、
「直接私に言って下さい」
と設置しましたが、そこに意見を投稿した職員が犯人探しされたという話も私の元に届いています。
都庁で何かあれば、秘書は必ず守るので、私のホームページにある問い合わせホームで相談してほしいと思います。
■小池知事最大の愚策
★上田
小池知事は人間性は疎か、都知事としての実務能力も欠いています。
安倍晋三元首相が『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)で、
「小池知事は実務が苦手」
と述べていましたが、当初の公約である
「7つのゼロ」
に関して、
「ペットの殺処分ゼロ」
しか達成出来ていないことがその象徴です。
しかし、ペット殺処分ゼロに関しても、譲渡可能なペットを殺すことを
「殺処分」、
病気の動物の処分を
「安楽死」
としているので、結果的に殺さてしまうペットがゼロになっているわけではありません。
★澤
私が小池知事の愚策としてまず思い浮かぶのが、多くの混乱を生じさせた築地市場の豊洲移転問題です。
また、直近のものでは2023年1月に突如宣言した0歳から18歳までの東京在住の子供に月5000円の支給を行う
「018サポート」
です。
018サポートは1200億円の予算がかかっていますが、議会で熟議されないまま政策が通ってしまった。
これでは議会制民主主義の体をなしていません。
しかも、マスコミから財源についての批判がないことも不自然です。
国の政策の場合、防衛費にしても少子化対策にしても財源が問題になり、マスコミから批判を浴びます。
マスコミは岸田政権と小池都政を対比させたいがために小池知事の財源問題に対しては”ダンマリ”を決め込む。
★上田
月額5000円を所得制限なしに子育て世帯に支給する018サポートは、2023年1月4日、都庁の仕事始めの午前中に突如発表されました。
これは所轄である福祉保健局の局長も知らなかった話です。
実は同日午後、岸田政権が異次元の少子化対策を発表することを受けて、小池知事は国より先に目立つ意図もあり、慌てて発表したのです。
018サポートが急に決まったこともあり、行政上の手続きが追い付かず、あろうことかこの支援を一番必要とする生活保護世帯が、恩恵を受けられないことが発覚しました。
小池知事が慌てて収入認定からの除外要請を依頼する手紙を、厚生労働大臣に送る事態に発展。
更に、案内チラシを17万件もの転居者に誤って送るミスまでありました。
この誤送付で、多額の血税が郵送費等で消えています。
それについて、私は情報開示請求をしています。
私が最も驚いたのは、小池知事の政策設計が悪かったにもかかわらず、あたかも政府に原因があるかのような報道をさせることで責任転嫁する始末です。
★澤
岸田首相と比較して自分がどれだけ目立つかということだけで018サポートを始めたので、まさに選挙を意識した”バラマキ”です。
小池知事はコロナ禍でも意味もなく国と対立構造を作りました。
また、忘れていけないのは、環境問題に関するパフォーマンスのため、新築住宅に太陽光パネルの設置を義務付ける条例改正をし、大混乱を引き起こしたことです。
都民の利益を考えずに、自分ファーストで突っ走っています。
★上田
本誌『WiLL』でも散々指摘してきましたが、太陽光パネルは8割が中国製です。
しかも、新疆ウイグル自治区での強制労働によって作られており、欧米では中国への制裁を発動しているにもかかわらず、小池知事は強硬に進めています。
最近新築戸建て住宅の価格がパネル設置で100万円上昇するということが報道され、それ見たことかという状況になりました。
更に、元日に発生した能登半島地震でも、経産省が、落下したパネルに触らないよう異例の注意喚起をするなど、危険性が明らかになりました。
万が一、東京都で首都直下型地震が起きてしまったら、目も当てられないような2次災害が起こりかねません。
★澤
自分のパフォーマンスのために都民に被害や犠牲が出かねない判断です。
都庁OBとして、都民のためにも職員のためにも小池知事には1秒でも早く都庁から去ってほしい。
皆が戦々恐々としながら、何も言えないという状況は異常です。
この状況を改善しなければ、都民のためにも東京の街のためにもなりません。
でも蓮舫氏はなあ・・・。
★上田
嘘つきは泥棒の始まりと言われているように、私たち日本人の美徳は正直であることです。
にもかかわらず、日本の首都・東京の顔である知事に学歴詐称疑惑が持ち上がっているのは如何なものか。
カイロ大学とエジプト政府に学歴を証明してもらって弱みを握られていることも外交上、”百害あって一利なし”です。
小池知事にはこの責任をきっちり取って頂きたいです。

「エコ」は財布に全く優しくない
正論2024年8月号
明治大学教授 飯田泰之
キャノングローバル戦略研究所研究主幹 杉山大志
★飯田
2024年6月から所得税の定額減税が始まりました。
その一方で政府による家庭向け電気料金の補助が2024年6月使用分から廃止されるため、電気料金は大幅に値上がりします。
なぜこの時期に補助を打ち切るのか、非常に疑問です。
今は世界的なインフレが収まってきて、春闘での賃上げがあり、ようやく家計が一息つけるところです。
本来ならここで1〜2年、その恩恵を享受してもらう期間を設けるべきなのに、間髪を入れず電気料金を上げてしまうことには
「民力を養う」
という意識の低さが感じられました。
★杉山
電気代に政府が補助金を出すというのは、一時的な激変緩和措置としての役割はあったかと思いますが、いつまでも続けるべきものではないでしょう。
とはいえ、電気料金が高止まりしている根本的な原因には手を打たねばなりません。
最優先事項は、止まっている原子力発電所を再稼働させることで、それで電気料金はグッと下がります。
ウランの燃料費は圧倒的に安いわけですから原発を造った以上、動かさない手はありません。
それが不合理な規制で止まってしまっている。
安全性に問題があると言われますが、原発を稼働させながら安全対策をすればいいだけの話で、実際に海外ではそうしています。
そして太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーについては、電気代に上乗せされる再エネ賦課金が2024年4月から上がったことが話題になっています。
国によれば1世帯当たり負担額は1万3000円程度とされていますが、2024年度国民が負担する再エネ賦課金の総額は2兆7000億円ほど、3人世帯なら6万円の負担となります。
★飯田
実は家庭用の電気料金に上乗せされている分に加えて、産業用の電気料金に上乗せされている分があり、それは回り回って結局、国民が幅広く負担しているのですが、そこが見えにくくなっているわけですね。
現在、電気料金が高止まりしているのは間違いなく、東日本大震災以降に原発再稼働の時期が政治的に先延ばしされてきたツケが回ってきているのだと言えます。
原油価格が高騰の折にこれだけ動かせる原発を止めていた国は日本くらいのものでしょう。
第2次安倍政権も、高い支持率があり党内基盤も強かったのですから、本来は原発再稼働を強行するべきだったと思います。
結局、私たちは現在、物凄くコストの高い発電方法を選んでしまっている。
この電気代高騰は実は人災なのだ、ということを認識する必要がありそうです。
■再エネは本当に安いのか
★飯田
台湾の半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)が典型的ですが、日本国内に生産拠点を持つ海外企業が九州を選ぶ例が多いのです、
それは電気料金の安さもさることながら、原発をきちんと再稼働しているという電力供給に対する安心感もあります。
一方で東北地方でも工業団地を造成して工場の誘致に成功している事例もありますが、やはり九州に比べると振るいません。
やはり九州に比べて、東北の電気料金は高く、電力供給にも不安があるというわけです。
今、西側諸国が中国との関係を見直し、日本への生産拠点の移転を始めています。
日本にとっては千載一遇のチャンスなのですが、電気料金が高く電力供給にも不安があるという問題があって、移転が一部地域でしか進んでいません。
これまた日本は、自分で成長の芽を摘んでしまっていると思うのです。
日本の産業界も、外国人労働者の受け入れに熱心になるよりも、電力の問題にきちんと取り組むべきではないでしょうか。
★杉山
原発の問題に加えて再エネの方も問題山積で、日本政府は菅義偉政権の時に小泉進次郎環境相や河野太郎行政改革担当相らが旗を振った
「再エネ最優先」
を今も言い続けています。
2023年5月には
「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」
なる法律が成立して今、第7次エネルギー基本計画の策定に向けた検討が始まっており、
2024年末ぐらいまでにまとまるとのことです。
そこでは、向こう10年間で150兆円の投資を官民で実施することになっていますが、お金の行き先の大半は再エネでしょう。
しかし再エネを導入し過ぎると電気が余る場合があるので、電池を用意する。
それでも余った分は送電線で他の地域に送るので、送電線も増強することになる見通しです。
そもそも太陽光発電自体が年間の設備利用率、即ち稼働率は17%程度しかありません。
雨の日や夜間でも電気は必要ですから、火力発電所をなくわけにはいきません。
太陽光発電は必然的に2重投資になるのです。
更に電池も必要、送電線も必要となれば3重投資、4重投資です。
国は毎年15兆円、つまりGDP(国内総生産)の3%をそうしたグリーン投資に回すとしているのです。
さすがに全ては実現しないと思っていますが、そういう方向になっている。
それで日本政府は
「グリーン経済成長が実現します」
と言っていますが、私は当然信じていません。
これまで太陽光発電を大量導入して経済成長したかと言えば、全くしていないわけですから。
★飯田
今後、グリーン投資の収益性は益々下がっていきます。
平成29(2017)〜平成30(2018)年くらいまでの日本では労働者が余っていたので、政府がお金を使うことで雇用の増加という結果を生み出すことができました。
当時であれば、とにかく国がお金を使うことに意義があったのです。
ただ現状、日本は人手不足状態です。
それに以前なら、日本国内で太陽光パネルの需要を増やすことによって研究開発投資が進んで、日本国内の企業を育成する支援になったかもしれません。
しかし今や太陽光パネルを導入することは、中国から買うことに他なりません。
再生可能エネルギーは火力発電や原子力発電に比べて安い、と主張する人が一部にいますが、本当に再エネが安いのであれば補助金など出さずとも、放っておいても普及するはずですから、国は何もする必要はないのです。
再エネ関係の人たちが
「再エネ賦課金が必要だ」
などと主張するのは
「実は採算が合わないのです」
と自分で言っているようなものです。
★杉山
最近でも再エネ推進論者の方は、再エネは安いと言いながら、再エネ賦課金は必要だという意味不明の主張をしています。
★飯田
まともな論理能力のある人間なら、そしておよそ真面目な人としての良心があれば言えない事を平気で言って、それを一部メディアが素晴らしいと取り上げているという地獄絵図のような状態になっています。
話を戻しますと、人手不足状態となっている今の日本では、衰退している産業から生産性の高い産業へと人材、資源、資金、土地を如何に移動させるかが重要になってきます。
それこそ生産性の低い太陽光発電に土地や人手や資金を投入してしまうと、その他の成長すべき分野の足を引っ張ることになってしまいます。
今の日本経済がそういう局面にあるのだ、ということを意識しなければいけません。
■世界の潮流は脱・脱炭素
★飯田
私は発電の技術については素人なので質問ですが、発電のコストを比較する場合には必ずと言っていいほど
「発電所を新設した場合の比較」
になっていますが、何か変なのでは。
★杉山
それには理由が2つあります。
まず、新設のコストと言っても発電電力量、例えば1キロワット時当たりの比較になっており、これは全く適切な比較ではありません。
太陽光発電は晴れた時に発電するだけです。
電気は何故価値があるかと言えば、スイッチを入れたら必ず使えるからこそ価値があるわけで、気まぐれにしか発電しない電気というのは実際のところほとんど無価値なのです。
本当に公平に比較するのであれば、太陽光発電+大量のバッテリーで必ず電気が使える状態にして比較すべきです。
となると、太陽光の電気は桁違いに高額になります。
もう1つ、既設の発電所が考慮されていないという問題があります。
特に原発は、発電コストがキロワット時当たり約10円とされていますが、うち燃料費は1円程度なのです。
ですから既設の原発の再稼働というのは断然、安上がりなのです。
それも寿命を延ばせば、更に安くなります。
現在、原発は発電開始から40年で一旦審査し60年までは使えるようになっていますが、実際のところ原発が古くなったと言っても内部の主な機器は取り替えられているし、保守点検もされていて、寿命など無いに等しいのです。
米国などは80年〜100年、更にそれ以上の運転も視野に入れており、日本もそうすればいい。
この断然、安い電源を失くす手はありません。
★飯田
なるほど、世間では
「老朽化原発」
とよく言われますが、原発が自動車みたいな物だとイメージされているようですね。
自動車であれば、50年動かすのは難しいかもしれません。
けれども原発の場合、メンテナンスをして入れ替えるべき物は入れ替えており
「行く川の流れは絶えずしてしかも元の水にあらず」
なわけですね。
★杉山
そうです。
ちなみに水力発電所であれば、100年以上稼働している例はいくつもあります。
ダム本体のコンクリートはそのままだとしても、原発と同じように発電機などの機器は必要に応じて更新されているのです。
★飯田
そうだとすると圧倒的に安い原発の発電コストのレベルに太陽光が追い付くのは、到底無理なのではありませんか。
★杉山
太陽光発電の本質的な限界は、日差しのある時しか発電できないということです。
そのため太陽光の電気は先の3重投資、4重投資を考えればどうにも安くならず、原発に代わることは到底無理でしょう。
★飯田
私が危機的だと思っているのは、非効率的な発電方式である太陽光を導入する理屈として、国際的・外交的な理由が挙げられているのです。
世界各国は現在、如何にして自国はCO2を削減せず、他国にCO2を削減させるのかに血眼を上げています。
その中で、何故か日本では
「どんどん頑張って日本の発電コストを高くしましょう」
とする政治家が評価されてしまう。
★杉山
いや、日本だけでもありません。
米国でもバイデン政権・民主党は
「2050年にCO2をゼロにする」
と公言しています。
欧州でもイギリスの保守党政権、ドイツの歴代政権、フランスのマクロン大統領なども同じ事を言って、それなりに政権が支持されてきたのです。
当初は皆、余り意味が分かっていなかった。
しかし実際にはとんでもない事だということが、次第に明らかになって来ています。
例えばガソリン車の禁止だとか、ガスボイラーでの暖房禁止といった話が出始めて、国民が怒り始めた。
それで最近の欧州での選挙結果では、右派勢力が勝つようになってきました。
その一番大きな要因は移民問題だとしても、次に大きいのは
「脱炭素は馬鹿げている」
ということになのです。
★飯田
ただその一方でウクライナ戦争以降
「CO2ゼロ」
の持つ意味合いが変わってきたのが感じられます。
特に欧州では、原発の重要度を上げていくことでCO2を減らすという方向に、徐々に舵を切っていく兆候があります。
今はドイツ以外には
「太陽光や風力で脱炭素する」
という国は、ほとんどないのでは。
★杉山
いや、再エネ重視勢力は結構しぶとくて、イギリスなどは今度の総選挙で労働党政権になったら、もっと無茶なグリーン政策を展開しかねません。
ドイツの環境重視勢力も、弱っているとはいえ、まだ太陽光・風力を推しています。
それでも私は、気候変動の話というのはそのうちに国際的な議題ですらなくなると思っています。
というのは、ウクライナ侵攻しているロシアが石油を掘ったり、天然ガスを輸出するのをやめることはあり得ないからです。
ロシアの経済はそもそも石油とガスでもっていて、軍事力もそれで維持している。
中国も口では脱炭素とか再エネ重視とか言っていますが、実際には石炭火力発電にどんどん投資しており、インドも同様です。
そうしたことがウクライナの戦争で明白になりました。
既に新しい冷戦状態になっており、各国とも
「身銭を切ってCO2ゼロを目指します」
などという局面ではないのです。
その中で日本では、GXの制度化が着々と進んでいて、ある意味、世界の流れに逆行しているとも言えるでしょう。
★飯田
日本では現在、一定以上の規模のある企業にとって最も儲かるのが再エネ関連ビジネスになっています。
なぜ儲かるかと言えば、補助金が出るからです。
今、皆で頑張って補助金を分捕ろう、ということに日本人の頭脳が費やされています。
これは非常に憂うべき状態で、だからこそ再エネ賦課金などというものは早く廃止すべきだと私は思います。
CO2の削減は否定しませんが、であれば原発の再稼働を急ぐのが筋でしょう。
■太陽光パネル義務化という愚策
★飯田
東京都では2025年4月から、新築住宅への太陽光パネル設置が義務化されますが、私はこれは
「愚の骨頂」
だと以前から指摘してきました。
何が馬鹿げているかと言えば、都内の小さな住宅に太陽光パネルを設置しても、エネルギー効率が良くないのです。
そもそも住宅密集地には
「北側斜線制限」
なるものがあり、簡単に言えば北向きの屋根が多くならざるを得ません。
★杉山
隣の家にきちんと日が当たるように配慮しないといけないわけですね。
★飯田
ですから太陽光発電に向いていない屋根が多く、更にパネルを設置すれば光の反射で近隣に迷惑が掛かりかねません。
これは日本でも訴訟になっている例もあります。
そのように、日本で一番、太陽光発電に適していない地域で義務化しようとしているわけです。
★杉山
付け加えれば、太陽光発電の設置には逆進性の問題もあります。
都内で南向きに大きな屋根のある家を建てられる人は、再エネ賦課金その他の補助金が付いて来るから太陽光パネルを設置して元が取れるのです。
一方で小さな北向きの屋根の家しか買えない人は単にお金を払うだけになる。
★飯田
まさに皆に税金(賦課金)を課してお金持ちに渡そうという構図になっているのです。
なぜ日本の左翼の皆さんは、これを批判しないのか不思議でなりません。
ーーところで小池百合子都知事は4年前(2020年)、「都内で新車販売される乗用車の2030年までの非ガソリン化を目指す」と宣言していました。
★飯田
さすがにそれは実現しない、あるいは延期になると思いますよ。
ここへ来て電気自動車の普及はペースダウンしてきていますから。
★杉山
イギリスでも結局、ガソリン車の販売禁止時期を2030年から2035年に延期しましたし、東京都も延期になるでしょう。
★飯田
仮に東京都がガソリン車の新車購入を禁止したとしても、欲しい人は所沢(埼玉県)で購入すればいいだけの話です。
★杉山
埼玉のガソリン車は東京に入って来るな、となるかも。
何だか映画「翔んで埼玉」みたいな話ですね。
いや笑い事ではありませんが。
■国民が広く薄く損をする
★飯田
今、再エネ導入は税や補助金によって、余りに儲かり過ぎるビジネスになっています。
これにブレーキを掛けるのは並大抵の事ではできません。
疑問を持っている官僚もいるかもしれませんが、抵抗したら失脚してしまいますし。
しかし、多くの国民は再エネで利益を受けません。
というよりも、これは国民から搾り取って一部の人にお金を回すというシステムですよね。
★杉山
ごく一部の人たちだけが儲かるシステムで、国民は広く薄く皆、損をするけれど、ボーッと生きていると気が付かない。
再エネ賦課金の事もよく知らない、電気料金の明細も確認しないという人も結構いますから。
元々、脱炭素については、昔は経済産業省は猛烈に抵抗していたのです。
しかし令和2(2020)年に菅義偉首相が所信表明演説で
「脱炭素社会の実現」
を宣言した辺りから、経産省も官邸から相当な圧力もあったのでしょう。
今はすっかり宗旨替えして脱炭素路線を突っ走っています。
現在は経産省が音頭を取って脱炭素利権をどんどん膨らませているのが実態だと言えそうです。
★飯田
そもそもの話ですが、日本がどんなに頑張ってCO2の排出を半減させたところで、中国がちょっと増やしたらすぐに帳消しになってしまうのです。
日本はお付き合いできる範囲での脱炭素でいいのではないでしょうか。
★杉山
今、日本の石炭火力発電の設備投資はおよそ5000万キロワットですが、中国はその20倍の石炭火力を持っており、今後数年で建てる石炭火力が日本全体の6倍もあるので、日本が石炭火力を全廃したところでまるで意味がないのです。
仮に日本が2050年までにCO2をゼロにしても、それで下がる地球の気温は0.006℃です。
★飯田
それはもう誤差の範囲で、計測は不可能です。
そのために日本の産業を壊滅させていいのでしょうか。
まともな計算ができる、そして目先の利権から少し距離を置ける政治家の登場が待たれるところです。

<正論>「グリーンエネ」で日本は滅びる 
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志
2024/5/30 8:00
https://www.sankei.com/article/20240530-ZTVU3EHV2FN5HP2OYPHCJ3IXOI/
日本のエネルギー政策の方向性を定めるエネルギー基本計画の政府による改定作業が始まった。
年度内を目途として、2050年CO2ゼロを達成するためのグリーントランスフォーメーション(GX)産業政策を立案するという。
だがそもそもの現状の認識を大きく間違えている。
■世界は脱炭素ではない
政府は
「世界はパリ気候協定のもと地球温暖化を1.5℃に抑制する」
「そのために日本も脱炭素を達成する責務がある」
「今脱炭素に向けて国際的な産業大競争が起きている」
としている。
だがこれは本当か。
確かに多くの国はCO2ゼロを宣言している。
だが実態を伴わず、本当に熱心に実施しているのは、日本と英独など幾つかの先進国だけだ。
米国はと言えば、バイデン政権は脱炭素に熱心だが、議会の半分を占める共和党は猛烈に反対してきた。
実際のところバイデン政権下ですら米産業は世界一の石油・ガス生産量を更に伸ばしてきた。
中国は表向きはいずれ脱炭素にすると言うが、実際は石炭火力発電に莫大な投資をしている。
グローバルサウスのCO2排出は増え続け、
「2050年脱炭素を宣言せよ」
というG7の呼び掛けを端から拒否している。
インドもベトナムも石炭火力発電に投資をしている。
つまり世界は脱炭素に向かってなどいない。
理由は簡単でエネルギー、就中安価な化石燃料は経済活動の基盤だからだ。
■戦争の枢軸との新冷戦
そもそも気候変動が国際的な
「問題」
に格上げされたのは、リオデジャネイロで1992年に開催された
「地球サミット」
からである。
これが1991年のソ連崩壊の翌年であることは偶然ではない。
冷戦期は米ソ協力は不可能だった。
冷戦が共産主義の敗北に終わり、民主主義が勝利し、世界平和が実現したという高揚感の中、国際協力を深め地球規模の問題を解決しようという機運が生まれた。
当初から幻想に過ぎなかったが、2022年にロシアがウクライナに侵攻したことで完全に崩壊した。
今ロシアはイラン製のドローンを輸入し、北朝鮮から弾薬を購入している。
中国へは石油を輸出して戦費を調達し、あらゆる工業製品を輸入している。
ロシア、イラン、北朝鮮、中国からなる
「戦争の枢軸」
が形成され、ANATOやG7は対峙することになった。
ウクライナと中東では戦争が勃発し、台湾有事のリスクが高まっている。
この状況に及んで、自国経済の身銭を切って、高くつく脱炭素のために全ての国が協力することなど、あり得ない。
戦費の必要なロシアやテロを支援するイラン、その軍事費が米国に匹敵するようになった中国が、敵であるG7の要求に応じて、豊富に有する石炭、石油、ガスの使用を止めるなど、あり得ない。
ごく近い将来、気候変動はもはや国際的な
「問題」
ですらなくなるだろう。
ところが日本政府は未だ世界平和の幻想から覚めやらず、脱炭素に邁進している。
■日本製造業が崩壊する
政府は日本のCO2排出はオントラックだと自慢している。
何の事かと言うと、2013年以降日本のCO2は減少を続けており、同じペースで直線的に減れば2050年にはゼロになる。
だがこの理由は何か。
8割方は産業空洞化で、省エネや再エネではない。
一体政府は何を自慢しているのか。
このままCO2が減りゼロになれば、産業も壊滅してゼロになる。
原子力を推進するならばよい。
だが政府は規制と補助金により、再エネと、その不安定を補うための送電線と蓄電池を大量に建設し、またCO2回収貯留やアンモニア発電、水素利用も進める。
これら高価な技術にGDPの3%も投じるというが、光熱費が高騰し経済は衰退する。
それでも政府はこのようなグリーン投資こそが世界の潮流だとして、欧州の例を盛んに引き合いに出す。
けれども欧州は、とても日本が真似をすべき対象ではない。
欧州では既に産業空洞化が進行している。
今世界の製造業の29%は中国が占める。
他は米国が16%、日本が7%だ。
欧州勢は、ドイツは5%だが、英仏伊は各2%に過ぎない。
ナンバー1と2である中国と米国は、どちらも化石燃料を大量に利用し、安い光熱費を享受している。
他方で日本以上に脱炭素に邁進しているドイツ等は極めて光熱費が高くなった。
今製造業は益々中国と米国に立地し、日本やドイツ等から逃げ出している。
次期米大統領は
「たぶんトランプ」
だと言われている。
すると脱炭素政策は180度変わる。
米共和党は、気候危機など存在せず、中国やロシアの方が遥かに重大な脅威だと正しく認識している。
バイデン政権が推進した脱炭素政策は悉く改廃される。
日本はどうするのか。
中国そして戦争の枢軸に負けるわけにはいかない。
愚かな脱炭素政策によってドイツ等と共に経済的に自滅するのを止めるべきだ。

<主張>エネ計画の改定 原発の積極活用を目指せ
社説
2024/5/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20240520-GQVVF5675ZMSVPAJIA2JGT6KRQ/
国のエネルギー政策の指針である
「エネルギー基本計画」
の見直しに向けた議論が始まった。
令和22(2040)年度の電源構成などを検討し、令和6(2024)年度中に改定する。
ロシアによるウクライナ侵略でエネルギー情勢は一変し、エネルギー安全保障の重要性は一段と高まっている。
次期計画では脱炭素と共に、低廉で安定したエネルギー供給を両立する戦略を描く必要がある。
そのために必要になるのは原発の活用拡大である。
岸田文雄政権は令和4(2022)年12月にまとめた
「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」
で原発を最大限活用する方針に転換した。
生成AI(人工知能)の普及などによって今後、増大が見込まれる電力需要に対し、原発は大量の電気を安定的に供給できる。
現行計画では令和12(2030)年度の電源構成のうち原発は20〜22%としているが、令和4(2022)年度の実績は5.6%にとどまっている。
活用拡大には、新規制基準に合格した原発を着実に再稼働すると共に、原発の建て替えや新増設が欠かせない。
政府は次期計画でそうした方針を明確に示し、実現に向け率先して取り組んでもらいたい。
脱炭素を進めるため、再生可能エネルギーの導入拡大も論点となる。
だが、天候に左右される再エネを増やせば、電力供給は不安定化が避けられない。
立地を巡り地元住民とのトラブルも増えている。
蓄電池や送配電網の整備といった課題解決の手段も並行して議論しなければならない。
大量のCO2を排出する石炭火力発電の是非も重要なテーマだ。
先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合でCO2の排出削減対策を講じていない石炭火力を令和17(2035)年までに廃止することで合意したが、日本は令和4(2022)年度で30%超の電気を石炭火力で賄っている。
日本は燃やしてもCO2を排出しないアンモニアを石炭に混ぜて燃やす技術開発を進めている。
軌道に乗れば、石炭火力の割合が高いアジアの脱炭素にも貢献できるはずだ。
政府は和4(2022)年に向けた脱炭素化と産業政策の方向性を盛り込んだ新戦略を和6(2024)年内に策定する。
次期エネルギー計画に沿う形で企業の投資を支援し、国内産業の競争力強化に繋げたい。

第7次エネルギー基本計画、原発の位置づけ踏み込めるか エネルギー経済社会研究所・松尾豪代表
2024/5/15 14:29
https://www.sankei.com/article/20240515-OKZDSY37RRNBJHNW3N2RTZK624/
現行のエネルギー基本計画は、2050(令和32)年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に向け、政府が令和12年度に温室効果ガスを平成25年度比で46%減らすと打ち出した目標を念頭に決まった。
今回の見直しで、どれだけ深堀りされた内容になるかが注目される。
電源構成では原発をどう位置付けるかだ。
この10年で原発再稼働は限定的だった。
原発の高経年化が指摘される中、
「リプレース(建て替え)」
の必要性など踏み込んだ議論ができるかだろう。
再生可能エネルギーに関しては、海外で導入拡大の動きが衰えず、化石燃料の依存度も下げないといけない中で、計画で野心的な数字(比率)が出てくる可能性もある。
再エネでは洋上風力発電と次世代太陽電池
「ペロブスカイト太陽電池」
の期待が大きい。
ペロブスカイトは国産技術で、サプライチェーン(供給網)の構築もテーマだ。
化石燃料は難しい課題だ。
先進7カ国(G7)は温室効果ガスの排出削減対策を取っていない石炭火力発電に関し、2035(令和17)年までの段階的廃止で合意した。
だが原発や再エネがうまく拡大しないと化石燃料に頼らざるを得ない。
人工知能(AI)の普及などで電力需要が急増すると、火力発電も必要だとの声が高まるかもしれず、情勢は不確実だ。

「原発新増設、次期エネ基に」 林欣吾・電事連会長 再エネ、負担のあり方議論
2024/5/3 2:00
https://www.sankei.com/article/20240503-RR7PTDAKSFK2FAM2XN5ZFJDZ3Y/
大手電力で作る電気事業連合会の会長に2025年4月1日付で就任した林欣吾氏(中部電力社長)が2024年5月2日、産経新聞のインタビューに応じた。
2024年度は政府が、国のエネルギー政策の指針となる
「エネルギー基本計画」
を見直す重要な年で、林氏は
「長期的に原発の役割は増していく」
との認識を示した上で、原発の建て替えや新増設が計画に盛り込まれるよう、働き掛ける意向を示した。
国内では人口減少が進む一方で、生成AI(人工知能)の普及に伴い電力消費の多いデータセンターの増設が見込まれることから、林氏は
「電力需要のボリュームは増えていく」
と指摘。
その上で脱炭素化を進める観点でも
「原発は最も現実的でコストの良い電源だ」
と述べた。
東京電力福島第1原発事故後、廃炉を決めた24基を除くと、原発36基のうち再稼働できたのは12基にとどまる。
林氏は
「遅れている再稼働を進めるだけでなく、新増設、リプレース(建て替え)、新型炉を含めた開発を総動員しないと、日本を支えるエネルギーを賄うボリュームを、達成できない」
と強調した。
今後エネルギー基本計画の策定を巡り、電事連として国への働き掛けを行う。
また再生可能エネルギーについても
「最大限の開発をしていかなくてはいけない」
とした。
ただ再エネは選択肢が増える一方で発電コストが高く、普及に向けて電気料金に上乗せされる賦課金などが家計を圧迫するとの不満は根強い。
林氏は
「公平に、国民の負担で(再エネを)増やしていくことが必要」
と話し、東日本大震災後に国が電力自由化などを決めた
「電力システム改革」
の検証作業の中で、発電コストの負担の在り方について議論を進めたい考えを示した。

太陽光パネルの放置防げ 10年後に大量廃棄時期到来 技術確立へ対策急ぐ
2024/5/3 16:56
https://www.sankei.com/article/20240503-7SROT5ML6ZJWHNFSYHA4XJW5OQ/
急斜面に設置された太陽光パネル。国は大量廃棄時期を迎える前の技術確立を目指している=平成30年7月、静岡県伊東市
https://www.sankei.com/article/20240503-7SROT5ML6ZJWHNFSYHA4XJW5OQ/photo/A5Q3UVPMQFJT5IL5U3HU4746JA/
全国に設置された太陽光パネルが2030年代(令和12〜21年)中盤に大量廃棄の時期を迎える見通しとなり、国が対策を急いでいる。
中国製の安価な輸入パネルはヒ素など有害物質が含まれる恐れがあり安全な処理が必要だが、費用がかさめば適切に廃棄されず放置や投棄が増えかねない。
太陽光パネルが全国で一斉に広がったのは平成24(2012)年からだ。
この年、政府が再生可能エネルギーの普及を目指し、発電した電気の全量を電力会社に買い取らせる固定価格買取制度(FIT)を導入したのを契機に、参入する事業者が続出した。
ただ、買い取り期間は10キロワット以上の設備で20年間。
令和14(2032)年には初期に参入した事業者の買い取りが終了し、売電価格が大幅に下落する見通し。
パネルの寿命は20〜30年で、およそ10年後には大量廃棄の時期を迎える。
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の試算ではパネル廃棄のピークは令和17(2035)〜令和19(2037)年頃になりそうで、年間17万〜28万トン程度の廃棄を見込む。
■積立金不足の懸念
パネルの廃棄は事業者の責任だが、多くが対策を講じてこなかった。
このため、令和4(2022)年4月施行の改正再生可能エネルギー特別措置法で、太陽光発電設備の廃棄費用の積み立てが義務化された。
稼働から10年が経過した出力10キロワット以上の設備などが対象で、売電収入から廃棄に充てる積立金が自動的に引かれる仕組み。
問題になるのは廃棄コストが積立額を上回るケースだ。
パネルには一般的に鉛やセレンなど有害な物質が含まれる上、安価な中国製パネルには透明度を上げるため猛毒のヒ素などが含まれている場合があり、安全に廃棄するには費用が膨らむ。
また、パネルや土台などの設備が放置された場合は、火災や土砂崩れなど災害を誘発しかねない。
■リサイクルを支援
リサイクルの技術的なハードルも高い。
ガラス技術研究所の織田健嗣所長によると、パネルに使うガラスには取り除くのが難しい化学物質が含まれているため、現状では断熱材に使うグラスウールなど取り除かなくても利用できる用途にリサイクルが限定されている。
環境省は産廃事業者の技術力向上に向け、高度な技術を活用するリサイクル事業を国が認定し、事業拡大を支援する法案を今国会に提出。
伊藤信太郎環境相は2024年4月の記者会見で
「(パネルの)安全な廃棄が重要だ」
「大量廃棄が起きる前に技術を確立したい」
と述べた。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/798.html#c36

[政治・選挙・NHK294] 新札をボロ紙幣にした安倍、菅、岸田の重罪 ドッチラケの渋沢栄一バカ騒ぎ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
58. 秘密のアッコちゃん[426] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月06日 12:11:17 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[539]
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日本ウイグル協会「デモ参加者1万人が一晩で消えた」 ウルムチ暴動15年、中国を批判
2024/7/4 23:21
https://www.sankei.com/article/20240704-MTWECXJUJJKRBIZDN4HBE2FVT4/
中国新疆ウイグル自治区ウルムチで2009年に起きた大規模暴動から2024年7月5日で15年となるのを前に、日本ウイグル協会は2024年7月4日、東京都内で記者会見を開いた。
「ウイグル族による暴動」
との表現は中国の一方的な発表に基づくものだとし、
「中国は都合よく切り取った情報だけを公表し、事件の背景や不都合な事実を隠している」
と批判した。
事件は2009年7月5日、ウルムチ市内で発生。
広東省の工場でウイグル族の工員が漢族に襲われて死亡した事件への抗議デモがきっかけとなり、一部が暴徒化して漢族や治安部隊と衝突。
当局発表で197人が死亡、1700人以上が負傷した。
協会のレテプ・アフメット会長は
「ウイグル人が中国人との共存は無理だと考えるようになった事件だ」
と指摘。
警察の無差別発砲や漢族の暴行があったとの証言や動画もあり、1万人規模に膨らんだデモの参加者が
「『一晩で消えた』との証言も多い」
と主張し、
「実際の死者数は3000人超、行方不明者は1万人超とみられる」
と訴えた。
中国政府は2000年以降、自治区の学校でのウイグル語教育を順次廃止。
アフメット氏は、当時、毎年10万人程度のウイグル族の若者が強制労働に従事させられ、不満が高まっていたことが事件の背景にあると紹介し、
「事件の背景や当局の暴力を全く伝えず、悲惨な衝突に変えてしまった中国政府の責任は重い」
と非難した。
事件後に逮捕され行方不明となった青年の事例も挙げた。
「母親はメディアに問題提起後、国家機密を漏らした罪で逮捕された」
「国際社会は天安門事件には注目するが、この事件には無関心だ」
と批判。
中国当局によるウイグル族への強制収容や強制労働など、西側諸国が現在批判している問題に繋がる事件だったとして、
「国際社会は中国の一方的な情報を鵜呑みにせず、私たちの小さな訴えに耳を傾けてほしい」
と訴えた。

「ウルムチ暴動」から15年 ウイグル協会が抗議集会「非人道的扱い、激しさ増した」
2024/7/5 18:11
https://www.sankei.com/article/20240705-OCFV5XF77RHY7PM5ERARJEUZ7I/
2009年7月5日に発生した「ウルムチ虐殺」(通称・ウルムチ暴動)から2024年で15年。これを追悼し、在日中国大使館前で抗議集会が開催された=2024年7月5日午前、東京都港区
https://www.sankei.com/article/20240705-OCFV5XF77RHY7PM5ERARJEUZ7I/photo/N4YW4ZVDHNOQLCOVGPDQGMEE3Q/
中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで、2009年にウイグル人デモが漢人や治安部隊に弾圧された
「ウルムチ暴動」
から2024年7月5日で15年となった。
日本ウイグル協会は東京都内の中国大使館前で抗議集会を行い、犠牲者を追悼した。
中国当局は暴動の死者を漢人ら197人としているが、1万人近いウイグル人が行方不明になったとの指摘がある。
同協会は
「ジェノサイド」(民族大量虐殺)
と欧米諸国が非難するウイグル人弾圧の端緒となった出来事だと訴える。
■銃殺、無差別に拘束
「武装警察や軍隊が(ウイグル人の)学生らに発砲し、数千人のデモ参加者が銃殺され、無差別に拘束された人々が行方不明になった」
「その後もウイグル人に対する非人道的な扱いが激しさを増す一方だ」
ウイグル協会の田中サウト氏は集会でこう訴え、ウイグル人弾圧の停止と国際的な調査団の受け入れを求める抗議声明を大使館に投函した。
「ウルムチ暴動」
を巡っては、2009年6月に広東省の工場で起きた漢人によるウイグル人襲撃・殺害事件に抗議するため、ウイグル人の若者らが2009年7月5日にウルムチでデモ行進を行った。
一部が暴徒化すると漢人や治安部隊と衝突し、1700人以上が負傷。
2009年7月7日には漢人が襲撃する
「ウイグル人狩り」
も起きた。
一方、中国当局は、亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」(本部・ドイツ)が扇動したとして、鎮圧を正当化している。
田中氏は
「デモの始まりはウイグル人の権利を求める若者による平和的なデモだった」
「過激な暴力を使ったのは中国側だ」
と強調した上で、
「ウイグル人が暴力で漢民族を刺激したかのようなイメージが作られ、日本のメディアも『ウイグル人の暴動』という言葉がよく使われている」
「一方的に中国から流された情報を鵜呑みにしているのではないか」
と語った。
■平和的デモを衝突に変えた
田中氏は2023年10月に日本国籍を取得したが、暴動当時はウルムチ市内で働いていた。
「20代や30代のウイグル人の若者が町から消えて、高齢者や子供ばかりだった」
「約1万人が消えたのは現実に近いのではないか」
と語る。
田中氏は警察署で指紋や顔写真を撮られたが、その後釈放された。
当時について、同協会のレテプ・アフメット会長は2024年7月4日の記者会見で、
「一般の中国人が町の至る所で、ウイグル人を見つけたら殴り殺すということが散発的に起きた」
「木の上にまで逃げたウイグルの若者も追い掛けて殺そうとされた」
と説明した。
「平和的なデモを悲惨な衝突に変えた中国の責任は重い」
「その後ウイグル人に対して警察が当たり前のように発砲し、暴力を振るうようになった」
「これが色々な衝突を生み出し、その度に中国がテロだと主張するという流れになった」
とも語った。

中国、「テロ対策」名目に締め付け強化 ウルムチ暴動15年「息苦しい状態」とウイグル人
2024/7/5 21:12
https://www.sankei.com/article/20240705-5S3AL36HPJJEXF4YSMIYJODABQ/
中国西部の新疆ウイグル自治区ウルムチで発生した少数民族ウイグル族の大規模暴動から2024年7月5日で15年となった。
中国当局は
「テロ対策」
を名目にウイグル族への締め付けを強め、信仰するイスラム教への管理も厳しさを増している。
暴動は2009年7月5日に発生した。
南部、広東省の工場でウイグル族が漢族に襲われて死亡した事件への抗議デモがきっかけとなり、一部が暴徒化して漢族や治安部隊と衝突。
当局発表で197人が死亡、1700人以上が負傷した。
暴動は、中国当局がウイグル族への抑圧を強化する契機となった。
各地の街頭やモスク(イスラム教礼拝所)などに多数の監視カメラを設置し、ウイグル族の動向を徹底的に監視。
オーストラリア戦略政策研究所は2020年、ウイグル族らを拘束しているとみられる施設が自治区内に380カ所以上あると報告している。
中国政府は2024年1月に発表したテロ対策に関する白書で、
「テロ活動を計画した犯罪者を法に従って処罰し、テロの大部分を計画段階や行動前に粉砕した」
と主張。
自治区を
「反テロの主戦場」
と表現した。
同時に、習近平国家主席が2015年に提起した
「宗教の中国化」
政策の下、中国当局は宗教活動への統制も強めている。
自治区などでモスクなど宗教施設を取り壊し、少数民族の脱宗教化を事実上進めていると指摘される。
その一方で、中国政府がアピールするのが自治区の経済振興だ。
2024年3月には、政府が管轄する国有企業が2024年から3年間で、自治区の新興産業などに総額7000億元(約15兆5000億円)近くを投資すると表明した。
「アメとムチ」
でウイグル族の不満を逸らし、漢族社会への同化を図る狙いがある。

事件当時を知る在日ウイグル人は、中国政府が故郷を分断したとして悲痛な思いを語った。
当時、ウルムチの大学で学んでいた関東在住のサメットさん(30代、仮名)は
「事件を機に自治区内で相互不信が深まった」
「他人を信頼しきれない息苦しい状態だ」
と嘆く。
事件当日、警官が子供を手で掴みながら空に発砲するのを見た。
「当時は中国人として生きていたが、日本に来て中国の酷い仕打ちを知った」
「中国人との共生は無理だと気付かされた事件だ」
と振り返る。
自身も長年帰郷できていない。
「農家の父も土地を奪われ、『死んだ方がましだ』と言っていて胸が痛む」
「国際社会はウイグルを分断した中国に声を上げて」
と訴えた。

見逃されてきた女性の強制労働…ウルムチ事件の真相
日本ウイグル協会会長 レテプ・アフメット
2024/6/24 8:00
https://www.sankei.com/article/20240624-YJSSHGXJS5O65LSOFMFSYJDVS4/
米国で
「ウイグル強制労働防止法」
が2022年6月に施行されてから2年が経過した。
欧米ではウイグル人強制労働問題への対応が着々と進んでいる。
2024年2月にも欧州化学最大手のドイツBASFが、強制労働への関与の可能性が指摘された事業から撤退を発表したし、2024年3月には欧州連合(EU)の欧州議会などが、強制労働で生産された製品の流通や輸入を禁止する規制案で暫定合意した。
2024年5月には米政府が中国企業26社を新たにウイグル強制労働防止法のリストに追加、2024年6月にも3社を追加し、輸入禁止の対象としたことを発表した。
ただ、このように厳しい措置が取られるようになったのは、近年になってからである。
2001年12月、世界貿易機関(WTO)に正式加盟した中国は、安い製品を世界市場で自由に売って急成長する陰で、ウイグル人の強制労働を続けてきたが、国際社会がそれを気にすることはほぼなかった。
中国当局が新疆ウイグル自治区カシュガルなどウイグル人集住地から、ウイグル人女性を
「余剰な労働力」
と称して中国沿岸部の複数都市の工場へ集団移送する政策を始めたのは、WTO盟から4年後の2005年だった。
対象となったのは16歳から25歳の未婚女性で、第11次5カ年計画(2006〜2010年)の間に計40万人の移送が目標とされていた。
毎日のように政府支援を受けた大勢の漢人が入植し職を得ている一方で、地元のウイグル人女性が家族から引き離され、言葉も文化も異なる5000kmも離れた地へ集団で移送されることには強い反発が起きた。
しかし、中国は
「各戸最低1人を」
とのスローガンの下、女性たちを本人の意思と関係なく強制的に連行。
厳重な監視下の長時間労働、人種差別、性暴力などの事例も伝わり、移送先でウイグル人が無差別襲撃され死亡する事件まで発生した。
2009年7月5日、ウイグル人の町ウルムチで起きた
「ウルムチ事件」
は、実はこのウイグル人襲撃に対する大学生らの抗議デモから始まったのだ。
日本では
「ウイグル暴動」
などと報じられたが、実際には平和的なデモを警察が武力で無理に解散させようとしたため、悲惨な衝突に発展したものだ。
そのウルムチ事件から間もなく15年になる。
当時、国際社会は事件の背景にある強制連行、強制労働と向き合うことなく、その結果、問題は10年以上、放置された。
その間、数十万人ものウイグルの若者が苦しみ、数えきれない人々が犠牲になった。
そして、日本を含む世界中の企業が、強制労働による商品を供給するという形で強制労働に手を貸し続けた。
これ以上、この問題を放置せず、厳しい態度を示す日本であってほしい。

群馬「正論」 レテプ・アフメット氏招き講演「進行中のウイグルジェノサイドの実態」
2024/6/6 17:53
https://www.sankei.com/article/20240606-UCM4L5ODJNK6DJK4BQNH7CUEOE/
群馬「正論」懇話会(会長=田中善信・田中二階堂法律事務所長)は2024年6月28日、日本ウイグル協会会長、レテプ・アフメット氏(46)を招き、第66回講演会を開催します。
アフメット氏は中国・新疆ウイグル自治区出身。
平成14年に来日、東大大学院理学系研究科で修士号を取得し日本のIT企業に就職しました。
平成29年頃からウイグルの家族と連絡が取れなくなり、一般人まで強制収容所に送られているという情報が届き始め、父親や弟らも再教育施設即ち強制収容所に入ったことを知ります。
当局の脅迫めいた圧力を受けながらも同じ境遇の同胞と力を合わせ、圧政の告発を続けています。
演題は「進行中のウイグルジェノサイドの実態」。
欧州の人権団体は、中国がここ10年で海外在住のウイグル人やチベット人約1万2000人を強制帰国させたとの報告書を発表。
強制収容所に入れられ死亡した女性もいるとされます。
何のために迫害するのか。
ウイグル支配の歴史的経緯、中国政府による凄惨な実態を語っていただきます。

【日時】2024年6月28日(金)午後1時半開演
【会場】前橋商工会議所会館2階「ローズ」(前橋市日吉町1の8の1)
【申し込み方法】往復はがきに郵便番号、住所、氏名、電話番号を明記、〒371−0858 前橋市総社町桜が丘1037の136 産経新聞前橋支局「正論」係へ。同伴者がいる場合はその名前も。整理券をお送りします。
【一般入場料】1000円
【締切】2024年6月26日必着

秘密裏に消される文化人…中国のウイグル弾圧はあまりに卑劣だ
日本ウイグル協会会長 レテプ・アフメット
2024/3/31 8:00
https://www.sankei.com/article/20240331-MUC3TII5FNJ6FM57MLP4YGRXFQ/
2024年3月開かれた中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の期間中、中国共産党側はウイグルジェノサイド(集団殺害)を否定する主張を繰り返していた。
新疆ウイグル自治区の王明山党副書記は記者団に対し
「ウイグルで文化の大虐殺が行われているという報道は全くの噓だ」
「言葉の使用は保障されているし、文化も尊重されている」
と主張したが、その主張こそ噓八百だ。
例えば、2001年にウイグル自治区内の大学を卒業した私は、小学校から全ての学校教育をウイグル語で受け、中国語の授業は週に数時間の1科目に過ぎなかったが、現在、ウイグル語での学校教育は全て廃止になっている。
不満を抱く者は過激思想のレッテルを貼られ、容赦なく弾圧される。
2017年以降はウイグル文化人に対する大粛清が行われており、中国側から流出した内部資料などによると、400人以上の著名な知識人が強制収容され、行方不明になっている。
欧米メディアが確認しただけでも、新疆医科大の元学長で、現代ウイグル民族医学の父と言われるハリムラット・グブル教授ら3人が死刑宣告。
ウイグルの最高学府、新疆大教授でウイグルの伝統・文化研究の第1人者として知られる女性のラヒレ・ダウット氏ら7人が無期懲役の判決。
作家でカシュガルウイグル出版社の元編集者、ミリザヒド・ケリミ氏ら著名な知識人7人が強制収容され、死亡している。
皆、若者がウイグル文化を誇りに思い堂々と生きるよう希望を与えてきた人物ばかりだ。
粛清対象には、中国共産党を否定しない人々も含まれる。
ウイグル独自文化が継承されるルーツを断ち切りたい習近平政権は、彼らを
「両面人」(表向きは共産党支持者だが、心の中では民族を愛している者)
として粛清するのみならず、ばれると、誤魔化そうとする。
代表例が新疆大の学長を務めていたタシポラット・ティップ教授の失踪だ。
東京理科大で理学博士号を取得し、立正大や九州大の研究者と共同研究するなど日本と縁の深い人物だが、2017年に消息不明となり、その後、秘密裏に両面人として死刑宣告を受けていた。
これが国際社会で表面化し、2019年12月に国連人権高等弁務官事務所が学者への死刑宣告は国際法に反するとの声明を発表すると、中国はティップ氏については
「汚職の罪で調査中」
と発表し報道を否定した。
しかし2022年5月に流出した秘密文書
「新疆公安ファイル」
には、当局が彼を
「両面人」
として糾弾していたことが記載されていた。
国際社会は、中国の共犯者にならないためにも、習近平政権のこの大粛清に声を上げる時だ。

中国の人権侵害を無視する国連 日本ウイグル協会会長レテプ・アフメット
2024/2/4 8:00
https://www.sankei.com/article/20240204-OEDRAL43CVKF5LPWZMBOS6AFAY/
今から27年前の1997年2月5日、中国の弾圧政策に抗議するウイグルの若者たちがグルジャ(中国名・伊寧)で平和的なデモ行進を行った。
中国の武装警察はデモ隊に発砲し、これを鎮圧。
その後も広範囲の無差別拘束が続き、グルジャからは若者の姿が消えた。
後には拘束された人々の凍死、拷問死、釈放後に精神を病んだ人など多くの悲惨なケースが報告されたグルジャ事件である。
当時は通信手段が限られた上、厳しい情報統制のため世界は実情を知らず、中国が国際社会から厳しい制裁を受けることもなかった。
日本は事件の翌月1997年3月、中国の核実験を理由に原則凍結していた無償資金協力を再開すらしている。
中国はその後、日本を含む先進国の経済支援や技術支援によって飛躍的な経済成長を果たし、中国共産党の独裁政治を盤石にした。
もしあの時、国際社会が事件に注目し経済支援などをやめていれば、中国は今のような国際秩序を脅かす巨大モンスター国家になっていなかったかもしれない。
あれから4半世紀経った今、国連ではウイグル問題を巡り、人権の価値観を共有する民主主義国家と中国マネーに支配される国々の対立が続いている。
2022年8月、国連人権高等弁務官事務所が、中国のウイグル人に対する行為は
「人道に対する罪に相当する可能性がある」
と認める報告書を公表したが、国連人権理事会は2022年10月、この報告書基づいてウイグルの人権問題を討論するよう求める動議を否決した。
中国が加盟国に影響力を及ぼし続ける国連では、同じ国連機関が中国の人権侵害を指摘しているにもかかわらず、その報告を無視するという呆れた行為が罷り通っている。
最近、私たちが注目したのは、中国の人権状況を定期的に審査する国連人権理事会の普遍的・定期的審査(UPR)作業部会である。
2024年1月23日の会合では、
米国が
「ジェノサイド(民族大量虐殺)」
スイスが
「人道に対する罪」
と非難するなど、30以上の国々がウイグル問題に言及した。
その結果、
「ジェノサイド」
の非難は盛り込まれなかったが、作業部会は400以上の勧告をまとめた。
前回の作業部会ではウイグル問題に触れなかった日本も今回は言及してくれた。
ただ、この勧告も法的拘束力はない。
2024年1月23日の会合当日、ウイグルではマグニチュード(M)7.1の地震が発生したが、通信が遮断されているため、私たちはウイグルに住む家族の安否確認すらできなかった。
家族の生死を知る権利までも奪われているのだ。
国際社会は懸念を伝えるだけの不毛な芝居をやめ、経済制裁を含む具体的な行動を起こす時だ。

月曜コラム
父さんを人質にする中国 日本ウイグル協会会長 レテプ・アフメット
2023/11/20 9:45
https://www.sankei.com/article/20231120-HDKCFCZXANLALLB7SYY6R75NSI/
中国共産党政権によるウイグル迫害は近年に始まったことではない。
1949年の
「中華人民共和国」
建国後、70年に渡りウイグル人の
「中華民族」
への同化を図ってきたと言っていい。
ただ、2017年以降、迫害が異常なレベルで行われるようになったため国際問題として注目されるようになった。
習近平政権は、同化が思うように進まないことに焦りを募らせ、ウイグル人を力で滅ぼす方向へ大きく舵を切ったのだろう。
300万人超と指摘される大規模な強制収容、強制労働、不妊手術の強制、親子の強制的引き離し。
AI(人工知能)による監視システム、ウイグル人宅に100万人規模で政府職員を寝泊まりさせるなど想像を絶する監視も常態化した。
著名な知識人や経済人らが一斉に収容され、行方不明となる悪夢の事態も起こっている。
外国に暮らすウイグル人らは故郷に残る家族との通信が遮断され、生き別れを強いられている。
私自身も2017年夏に、父や弟を含む親族12人が強制収容されたことを知ったが、その後、消息が確認できていない。
翌年2018年3月、地元警察から、収容所で撮影された父のビデオが送られてきて、
「中国共産党への忠誠心を示し当局に協力すればお父さんを出してあげる」
と告げられたが、断った。
それ以降、一切の通信は断ち切られたままだ。
私は日本のパスポートを持っているので、世界中ほとんどの場所に安心して行けるが、唯一怖くて行けない場所が実家だ。
2019年には、強制収容された家族を捜すために留学先の日本から帰国した20代のウイグル人女性ミギライ・エリキンさんが直後に強制収容され、収容所で死亡した。
今、欧州連合(EU)や英仏など10カ国・地域の議会と米国政府が、ウイグル問題をジェノサイド(民族大量虐殺)か、その深刻なリスクがあるものと認定しているが、日本ではどうだろうか。
国会でも2022年、決議を採択したが、中国へ配慮し過ぎた内容だった。
日本企業は無意識にこの問題に関与している。
日本ウイグル協会の調査では、複数の企業の技術が
「ウイグルジェノサイド」
を支える監視システムに悪用されていることが確認されている。
日本は太陽光パネルのほとんどを中国からの輸入に頼っているが、その多くはウイグル人の強制労働と繋がっていると指摘されている。
強制労働でもたらされた製品の供給先になっている可能性が高いのだ。
欧米では、強制労働防止法や外国の人権侵害に対し資産凍結などの制裁を科すマグニツキー法などの整備も進み、制裁の流れも強まっているが、日本は後れを取る。
日本が制裁逃れの穴場として利用されるリスクが高まっている。

習氏指示に日本ウイグル協会長「非常に危機的」
2023/9/11 17:38
https://www.sankei.com/article/20230911-OMVE7ZOFUBLAJBILI7JA5EUGTU/
中国の習近平国家主席が2023年8月26日に新疆ウイグル自治区を視察し、
「イスラム教の中国化」
の推進や
「中華民族の共同体意識の増強」
を指示した。
国際社会が中国の民族迫害政策を非難する中、ウイグル人への同化政策を緩めない姿勢を改めて示した形だ。
日本ウイグル協会のレテプ・アフメット会長は2023年9月11日までに産経新聞の取材に応じ、
「『ジェノサイド』(集団殺害)の加速を謳い、非常に危機的なメッセージだ」
と懸念を示した。

《習氏のウイグル自治区入りは2014年以来8年ぶりだった2022年から2年連続となる》
《今回、習氏は区都ウルムチ市で開かれた会議に出席し、地元幹部に
「社会の安定維持」

「違法な宗教活動」
を押さえ込むよう指示した》
《標準中国語(漢語)教育の徹底、漢人の自治区移住の推奨なども表明した》
ーー習氏のウルムチでの発言をどう受け止めているか
★レテプ・アフメット会長
欧米諸国などからジェノサイドと批判されるウイグル政策の加速を明確に謳った形で、非常に危機的なメッセージだ。
言語も宗教も人口比もウイグルのアイデンティティーを薄めようとしている。
国際社会がどんなに声を上げても、ウイグル民族や文化を滅ぼす意志は固いと受け止めている。
《国際社会はウイグルの人権侵害状況への批判を強めている》
《国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は2022年8月、テロ対策の名目でウイグル人に
「深刻な人権侵害が行われている」
とする報告書を発表》
《米国は2022年6月、ウイグル自治区からの物品輸入を原則禁止するウイグル強制労働防止法を施行し、制裁対象の中国企業を追加するなど、運用も厳格化した》
ーー習氏はウイグル人の収容政策に言及しなかった
★レテプ・アフメット会長
中国共産党は2019年までに(ウイグル人を強制収容したとされる)『職業技能教育訓練センター』を閉鎖したと主張する。
だが、消息不明の人や施設から解放されていない人がいる。
2023年9月も新たな収容者の存在が相次いで報じられた。
私の親戚も12人が収容されたと確認された。
妻の兄弟は勤務先で警察に呼ばれたまま、消息が分からず、裁判も開かれていない状況だ。
ーー中国当局は自治区へのツアーを催し、平穏な暮らしぶりをアピールする
★レテプ・アフメット会長
習氏も今回、ウイグル自治区の良さを伝えるとして、外国人旅行者向けのツアーの拡大を指示した。
ツアーは中国政府がコントロールし、幸せに暮らしているウイグル人を装うプロパガンダ(政治宣伝)に過ぎない。
尾行や行動制限もない旅行は許可されていない。
隠したいことがあるからだ。
日本人がツアーに参加して統制された情報をそのまま発信することは中国の犯罪に加担することだ。
ーー自治区出身者に対する嫌がらせはあるか
★レテプ・アフメット会長
在日ウイグル人は中国当局から現地に残した家族を人質に取られ、ウイグル協会の活動情報などを求められている。
パスポート更新の申請も何カ月も放置され、現地で手続きを求められた人もいる。
ーー2023年10月に「国際ウイグルフォーラム」が開催される。日本で開く意義は
★レテプ・アフメット会長
中国がウイグル問題について欧米が作り上げたデマだと宣伝する中、アジアで唯一中国側の主張に反論している国が日本だ。
国際社会がこれまで以上に連携してウイグル問題に取り組まないと、民族迫害は改善しない。
中国の隣国の日本から
『国際社会は納得していない』
『責任を追及する声がここにある』
と発信してほしい。

嘘拡散の”共犯”になる官製新疆ツアー
正論2023年9月号 日本ウイグル協会会長 アフメット・レテプ
中国共産党中央直属の中国外交出版発行事業局が管理・運営するニュースサイト、中国網日本語版(チャイナネット)に2023年6月22日に掲載された
「新疆をきっかけに日本社会の対中感情を改善」
と題する記事に目が留まった。
記事の前後には日本の悪口や日本批判の記事が溢れていた。
「核汚染水海洋放出の強行、日本の道徳の赤字と知恵の苦境を露呈」
とあり
「南京大虐殺の生存者が逝去 存命中は残り39人のみに」

「海洋で中国けん制、苦杯を喫するのは日本」
と題している。
対日感情の憎悪を煽る記事が並ぶ中で
「新疆をきっかけに日本社会の対中感情を改善」
とは一体、どういうことなのだろう。
日本国民を馬鹿にしているのかと不思議に思って調べた。
すると、中国在大阪総領事館主催
「日本市民新疆ツアー第1陣」
について、中国網日本語版や中国共産党中央機関紙『人民日報』のWEB版、人民網日本語版が自画自賛の記事を必死で発信していることが分かった。
発信は主に
「薛剣(せつけん)駐大阪総領事」

「新疆ウイグル自治区政府文化顧問」
を名乗る日本人僧侶
「小島康誉」
氏による記事だった。
薛剣総領事と言えば、大阪総領事館の公式アカウントや個人アカウントで外交官とは思えぬ過激ツイートを暴走させることで知れらる人物だ。
最近の事例で言うと、2021年10月、国際人権団体、アムネスティ・インターナショナルが香港オフィスをやむなく閉鎖すると発表した際に、
ツイッターで
「害虫駆除!!!快適性が最高の出来事また1つ」
と投稿し、
「人間性が言葉に出る」
などと批判を浴びた。
また、その2カ月後の2021年12月には在大阪総領事館の公式ツイッターが、ウイグルの子供たちの動画を投稿して
「顔面偏差値が高すぎる新疆の小学生たち、・・・新疆ツアーにご意向のある方は、ぜひご登録を!」
投稿を見た人々から
「人を顔だけで格付けし評価するなんて気持ち悪い」
「子供たちは装飾品ではなく人間です」
「さすがに人権無視の差別主義国家の言うことは違う」
等の批判が殺到した。
小島氏は
「発展」

「幸せ」
に満ちたウイグルをアピールし、ウイグルの現状に関するメディア報道の多くが色眼鏡的と主張している。
薛剣総領事らが同行し、最初から最後まで全てのプロセスに中国当局による誘導が組み込まれた今回の
「プロパガンダツアー」
の意義の大きさを繰り返し強調し、レコードチャイナへの寄稿では
「ギネス級の価値がある」
とまで称賛している。
ツアーの参加者でもないのに、日本社会に与えた影響はほぼゼロと言っていい
「プロパガンダツアー」
をここまで称賛するとは、この方は正気なのかと疑ってしまう。
家族と生き別れを強いられる身として、あるいは留学先の日本から一時帰国したら強制収容され死亡した仲間がいる身として、人命や家族を奪う犯罪者を擁護する行為は仏教の教えにも反しているとの疑問を感じ、僧侶としての自覚すらないのかと憤りを感じる。
■新疆ツアー第1陣
薛剣総領事が、駐大阪総領事として着任したのは2021年6月だ。
着任から半年後の2021年12月には
「新疆は良いところーコロナ後の中国新疆ツアー大募集」
と題する団体旅行の告知を大阪総領事館の公式サイトに掲載した。
大阪総領事館の発表によると、2021年12月31日に締め切った募集には1カ月間で日本国内から1028人が応募した。
あれから1年半が経ち、去る2023年6月19日から27日に、中国当局に選ばれた小学5年生から83歳までの日本人男女20人のウイグル訪問が実現したそうだ。
中国当局としては日本国民を現地に案内し、ウイグル人らに対する非人道的犯罪で地に堕ちた中国への信用を回復したい思惑があったはずだ。
薛剣総領事らが発信したこのツアーの始まりから終わりまでのプロセスを見れば、決してこれは通常の団体旅行ではなく政治的意図が仕込まれた
「プロパガンダツアー」
であることは明白だ。
まず、1028人の申込者から20人を選別し(98%を審査の段階で落としている計算になる)、出発前夜の2023年6月18日に大阪総領事館で
「新疆ツアー第1陣壮行会」
と書かれた赤い横断幕を掲げた式典を開催し、薛剣総領事から中国ビザの押されたパスポートが参加者1人1人に手渡された。
通常のツアーで外国を旅行する際にこんな大袈裟な経験をすることなどないだろう。
ツアーには大阪総領事館の領事らが同行し、関西空港を飛び立つ直前に撮影された写真には
「中国駐大阪総領事館主催 日本市民新疆ツアー第1陣」
と書かれた赤い横断幕を持った参加者たちの姿があった。
後に人民網が発信した今回のツアーを特集した英語字幕付きの動画の最初にもこの写真は使われている。
ウルムチ到着時も、空港で
「日本市民新疆ツアー第1陣の皆様を熱烈歓迎」
と書かれた赤い横断幕を持った当局者たちが出迎える写真が撮られ、盛んに発信された。
だが、こうした写真撮影自体、日本国民が世界の他の場所を旅行する際には決して遭遇することはない不自然な光景だ。
一行の出発に合わせて、共産党機関紙、人民日報系の環球時報で薛剣総領事はこう述べている。
「今回の新疆ツアーは内容が豊富で充実している」
「一部の日程は想像を遥かに上回る」
「例えばトルファンではウイグル族の家庭を訪問し、現地人と共に昼食を取る」
「新疆少数民族の日常生活を近距離で体験する」
「更に現地のウイグル族の小学校を訪問する機会があり、子供たちの天真爛漫な笑顔を通じ現地の人民生活が幸福で満ち足りていることを直感的に感じる」
「アクスでは広々とした綿花畑を見ることができる」
「綿花紡績工場を見学することで、西側のいわゆる強制労働という根も葉もない話を一蹴する」
注目してほしいのは、薛剣総領事の自画自賛は、ツアーに参加した日本人らがどこで何を見るかだけではなく、そこで何を感じるのか、考えが変わって帰国するのか、といった細かい所まで初めから決まっていることだ。
ツアーがプロパガンダだと明白に物語る所以である。
前述の人民網が発信した英語字幕付きの動画と比べると、ツアー参加者が全てを薛剣総領事の”予言”通りに実感し、考えが一変したかのような内容になっている。
これが、この先どんな宣伝に使われるのか、ツアー参加者たちは注意深く見ておくべきだろう。
「今回の新疆ツアーの情報発表も異例で、新疆訪問団のメンバーが個人メディアで今回のイベント全過程を自由にライブ発信する」
などとわざわざ強調するのも首を傾げる話だ。
一体、そのどこが異例で凄いのか。
世の中の常識が通じるまともな国では、旅行者は旅先で写真や動画を撮り、ネットに自由に流している。
ごく普通で当たり前の話だ。
「自由にライブ発信」

「異例」
と強調すること自体が、自由が奪われた中国ならではの話でしかなく、果たして日本人参加者は本当に自由を感じたのか。
仕組まれたパフォーマンスによって自分たちの言動を全て中国当局が誘導し操ろうとしていると感じた参加者はいなかったのか。
聞いてみたいところである。
■自己弁護の末の新看板
大阪総領事館のツアーは突如告知されたものではない。
告知のタイミングと国際情勢を思い出して頂きたい。
継続的に明らかになる証拠を受け、国際社会は2021年以降、ウイグル問題で態度を大きく変化させた。
2021年1月には、アメリカ政府がジェノサイド(特定の民族などの集団を破壊する目的で行われる集団殺害、及びそれに準ずる行為)認定し、2021年12月までにカナダ議会、英国議会、リトアニア議会、チェコ議会、ベルギー議会等でジェノサイド認定が続いた。
2021年3月には、米国、英国、カナダ、そして欧州連合(EU)でウイグル人らへの重大な人権侵害が行われているとして、中国に対する制裁措置が一斉に発表された。
ツアーが告知された2021年12月には、更に大きな出来事があった。
アメリカでは
「ウイグル強制労働防止法案」
が下院と上院で相次いで可決、2021年12月23日にはバイデン大統領が、ウイグルからの輸入を全面的に禁止する
「ウイグル強制労働防止法」
に署名し成立した。
2021年12月9日には英国に設置された国際法や人権問題の専門家も加わった民間法廷
「ウイグル特別法廷」
が18カ月に及ぶ調査の末、ジェノサイドと人道に対する罪がウイグル人や他のチュルク系民族に対して行われているとの結論を下していた。
それだけではない。
2021年12月1日には、英BBC等の主要メディアが、ウイグル人らに対する大規模強制収容や強制労働等に、習近平国家主席など上層部の関与を示す極秘文書
「新疆文書」
が流出したと大々的に報道され、ツアーの告知はその翌日2021年12月2日だった。
相次いで明らかになる中国の人権侵害の証拠と国際社会の非難。
それを前に中国当局はあの手この手で自己弁護せざるを得ない状況に追い込まれていた時期だった。
日本国内でもウイグル問題で中国への非難の声は高まっていた。
地方議会が次々とウイグル問題で国に対策を求める意見を採択し、その自治体数は80を超えていた。
ちなみに、2021年12月以降も採択は続き、私たちが把握しているだけで102の地方議会で採択されている。
■日本国民がターゲットに
自己弁護に追い込まれた中国当局は、国連の調査チームや主要な外国メディアの自由な取材を徹底して断る一方で、都合の良い所だけを見せるパフォーマンスに納得してくれそうな外国人をピックアップしては
「やらせツアー」
を積極的に企画している。
この手のツアーは、2023年だけでも複数回確認されている。
例えば、2023年1月にシリアなど14のアラブ諸国から30名以上がツアーでウイグルを訪問した。
2023年4月にはベトナムやカンボジアなどの複数国の駐中国大使や領事らがツアーでウイグルを訪れている。
この時は
「新疆ウイグル自治区政府」
のトップ、馬興瑞が面会し、中国の友好国の大使・領事として、中国を擁護する発信を積極的に行うよう求めたと報道されている。
2023年6月になるとスーダンなどアラブ諸国から30名以上のツアーが実施され、ウイグル訪問が行われた。
2023年7月にはカザフスタンの市民らのツアー団が訪問した。
いずれも中国の影響力が強く、人権や価値観の面で中国とそう変わらない国々がターゲットとされている。
そう考えると、西側と同じ価値観を共有する日本の市民らをツアーのターゲットに選ぶのは異例と言っていいだろう。
ジェノサイドや人道に対する犯罪が今も進行中の東トルキスタンに比較的近い位置にありながら、国連などの国際舞台では中国の犯罪行為を非難する共同声明に毎年署名している唯一の国が日本であり、中国もそれを強く意識しているはずだからだ。
日本をターゲットに選んだものの、中国の意図や狙いが自分たちの思惑通りに日本人に果たして浸透するか否か。
アラブやアフリカ諸国の人々のツアーとは勝手が違って中国は決して自信満々ではなかったようである。
例えば、ツアーの対象者を日本人に限定すると初めから宣言したのもそのせいだろう。
これは日本に住むウイグル人が参加してしまうと中国人よりも遥かに現地に詳しい。
中国にとって都合の悪い所まで案内できる。
政府機関の主催ツアーだから、無事帰国を保証する義務もあるが、在日ウイグル人を除外したのは保証できる自信がないためでもあるだろう。
それだけではない。
日本のメディア関係者も除外されている。
薛剣総領事は、2023年6月13日のツイートで
「この度の新疆ツアーは基本的に参加者の皆様の自費で実施」
「日本メディアの同行取材について、問い合わせがあったが、新疆について余りにも酷い虚偽報道してきた為、敢えて断った」
「正直言って、現状では信頼置けない!」
と投稿している。
この投稿から分かることが2つある。
1つは、日本メディアを同行させる自信がないことだ。
これはメディア関係者を案内するとパフォーマンスに大人しく納得しない恐れがあるからだ。
もう1つは
「基本的に参加者の自費で実施」
という表現だ。
「基本的に自費」
とは穿った言い方をすれば一部に中国当局の負担があると言っているようなものだからだ。
■ウイグル人とメディアお断り
2023年7月12日に大阪総領事館は
「新疆ツアー『第2陣』大募集」
の告知を出している。
そこには、
「募集対象:日本人のみ、訪中歴のない方大歓迎」
「日本メディアの同行取材はお断り致します」
「旅費は基本的に自己負担となります」
等と明記している。
第1陣と同じやり方で実施するらしい。
実は第1陣のツアーとほぼ同時期にJNNの記者がウイグルを取材し、連載記事(TBS NEWS DIGサイトに掲載)を発信している。
ツアー参加者を希望する人は是非読んでほしいものだ。
2023年7月5日、ウルムチを取材したJNN記者は、初日から帰りの空港まで尾行が続いて、現地のウイグル人らが恐怖に怯えて胸の内を語ることができなかったことを詳しく報じている。
大阪総領事館のツアーで見る光景とは180度異なる全くの別世界だ。
どちらが信用できるか、読者も考えてほしい。
ウイグルジェノサイドを隠し、私たちの家族を奪った恐怖政治を正当化するためのプロパガンダツアーに参加し、その中身を鵜呑みにして
「ウイグル人は幸せに生きている」
などと発信することは、ジェノサイドに加担することに他ならない。
「時間と大きな出費を伴う旅行なのだから、中国当局の思惑で振り回すのではなく、尾行・監視・行動制限を断って自由にさせて欲しい」
と突き付けるくらいであってほしいものだ。
■薛剣総領事に申す
悪いことをしていないなら隠す必要などない。
メディア関係者を恐れる必要もない。
日本を見てほしい、国が日本を訪問する中国人を選別して、訪問先を全て国が設計し、国が手配した案内人が誘導する都合の良い場所だけ見せて大人しく帰国してもらったり
「中国メディア関係者は除外」
などと堂々と宣言したりするツアー等聞いたことがない。
いつ、誰と、どこへ行って何を見るか、見たこと感じたことをどう発信するかも本人が決める。
メディア関係者の友人と一緒に行くかどうかも本人が決める。
尾行や監視を気にすることなく好きな場所で好きな人に接触する・・・それが健全な社会における当たり前の旅行というものだ。
ウイグル人らに対して非人道的犯罪を犯していないと言える自信があるなら、家族と生き別れを強いられている在日ウイグル人の帰国を保証すると国際社会に約束し私たちを同行させてほしい。
「非人道的扱いを受けた」
と証言する強制収容所の生還者たちも同行させるべきで、国際法や人権の専門家、学者たち、そしてメディア関係者も欠かせない。
何よりも重要なことは、現地での行動制限や尾行、監視などがない自由な旅行であることだ。
悪いことをしておらず自信があれば、これらは全て簡単な話で、都合の良い所だけ見せて、それ以外は徹底的に隠すだけでは、中国と同じ価値観の国々の人たちは騙せても、国際社会の常識が通用する国々の人たちを騙せるはずがない。
全くもって説得力がなく、やればやるほど国際社会の疑念は深まるだけである。
私を同行させてくれれば、2017年以降、一切の通信ができずにいる家族をまず訪問したい。
それ以外にもどうしても会いたい人たちはたくさんいる。
例えば、ウイグル自治区教育出版社編集長のワヒットジャン・オスマン氏。
同じく教科書編集担当で著名な評論家、ヤリクン・ロズ氏や自治区教育庁の元庁長、サッタル・ダウット氏や自治区社会科学院副院長で新疆教育出版社長のアブドゥラザク・サイム氏らウイグルの教育を支えた人たちがそうだ。
新疆大学の学長、タシポラット・ティッブ教授や副学部長のアブドサラム・ジャリディン教授にも会いたいし、新疆医科大学の学長で現代ウイグル民族医学の父、ハリムラット・グブル教授や新疆師範大学教授で著名な作家、アブドゥカディリ・ジャラリディン教授、ウイグル文化研究の第一人者で新疆大学人類学研究所のラヒレ・ダウット教授、新疆人民出版社社長のアブドゥラヒマン・エベイ氏なども再会したい人たちだ。
新疆新聞社の社長、アリムジャン・メメットイミン氏、カシュガルウイグル出版社の編集者で著名な女流詩人、チメングリ・アウット氏、ウイグル人社会のIT化に最も貢献した人物として知られる著明なコンピュータープログラマー、アリム・エヘット氏等々・・・。
名前を挙げ始めると、際限がない。
この方々は、誰もがウイグル人に生きる希望を与え、ウイグルの文化が消滅しないよう先頭に立って尽力してきた人々だった。
2017年以降相次いで強制収容され行方不明となっている。

尾行・監視は当たり前、まさかの”手のひら返し”も…中国で最も“取材困難”新疆ウイグル自治区 超敏感エリアの中心都市「ウルムチ」の今
2023/7/7
https://uyghur-j.org/japan/2023/07/fnn-articles-552223/
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/799.html#c58

[政治・選挙・NHK294] 著名人、有名人も次々「NO」 最終盤で批判噴出「百合子優勢」は揺らいでいる(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
39. 秘密のアッコちゃん[427] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月06日 17:09:04 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[540]
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自衛隊の事故と隊員の死生観
正論2024年8月号 麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男
2024年5月30日、山梨県の陸上自衛隊北富士演習場で、手榴弾投擲(しゅりゅうだんとうてき)訓練において爆発した手榴弾の破片が男性隊員に当たり死亡した。
森下泰臣陸上幕僚長は
「このような事案は、武器を扱う組織としては、決してあってはならないものであり、陸上幕僚長として非常に重く受け止めております」
と述べ、安全が確認されるまで、陸上自衛隊の全ての実弾射撃訓練を中止するとした。
自衛隊の事故がある度に
「杜撰な訓練」
「たるんだ組織」
「これで有事、戦えるのか」
といった批判がメディアやSNSを賑わす。
トップが頭を下げ、訓練が中止されるのが、日本の
「定番」
の光景である。
そこには自衛隊員の
「死」
に対する尊崇の念は感じられない。
平時とはいえ、我が国防衛のための訓練中の事故である。
訓練で殉職者を出すことは、極めて残念なことである。
事故の絶無に向けて安全管理体制を見直し、訓練を実のあるものにする努力は欠かせない。
だが戦場で流す血の量は、訓練で流す汗の量に反比例すると言われる。
訓練は1日たりとも蔑ろにしてはならない。
1日訓練を中止すれば、1日精強化が遅れる。
安全対策を取れば直ちに訓練を再開させるべきである。
それが殉職者に報いることでもある。
筆者は防衛省、自衛隊に約40年間奉職した。
この間、何十件という隊員の殉職に遭遇した。
その度に
「定番」
の光景が繰り返され、違和感と憤りを覚えた。
現役時代、米アラスカで実施される多国籍の共同演習にオブザーバーとして参加したことがある。
演習の最中、英空軍戦闘機が山に激突して操縦者が殉職する事故に出くわした。
地元メディアは殉職者の栄誉を称え、英軍の同僚たちは、キャンプファイアーのような火を囲み、何やらセレモニーらしきものを夜通しやっていた。
翌日は何事もなかったかのように共同演習は続けられ、英空軍の将校たちもスケジュール通り訓練に参加していた。
これが軍隊かと感動したのを思い出す。
防衛省の事故対応やメディアの報道には、有事の視点が欠落し、自衛隊が戦う組織であることの認識が共有されていないように感ずる。
結果的に殉職隊員の
「死」
が蔑ろにされているように思えてならない。
■木原防衛大臣の言葉
筆者は戦闘機操縦者だったこともあり、どうしても航空事故に目が行く。
近年の航空事故だけでも、これだけ殉職事故が起きている。
▼平成31年4月、青森県沖で空自F-35戦闘機が墜落し、1人が死亡
▼令和4年1月、空自F-15戦闘機が石川県沖の日本海に墜落し、2人が死亡
▼令和5年4月、陸自ヘリが沖縄県の宮古島沖で墜落し、10人が死亡
▼令和6年4月、伊豆諸島沖で海自ヘリ2機が墜落し、1人が死亡、7人が行方不明(後に死亡と判断)
2024年4月の海自ヘリの事故は、夜間の太平洋上で海自対潜ヘリ3機が潜水艦を探知する対潜戦の訓練中、各機4人が乗る2機が空中で衝突したものである。
真っ暗な洋上低高度の訓練が如何に厳しいものか。
これは経験した者しか分からないだろう。
木原稔防衛相は
「このような事故が起こったことは、痛恨の極みだ」
と述べた上で、今後の対応について
「事故原因は確認中だが、航空機の安全管理は徹底しなければならない」
「自衛隊の全ての航空機に対して、飛行前後の点検を入念に実施することや、操縦者に対して安全管理や緊急時の手順の教育を改めて実施すること、更に部隊の長には、隊員を適切に指導することなどを改めて大臣指示の形で速やかに発出したい」
と述べた。
ここまでは
「定番」
だが、大臣は次のように続けた。
「訓練の頻度を下げて運用能力を向上させないまま有事があった場合には、尚一層危険性が増すことに繋がる」
「訓練をして十分に練度を上げた上で、有事に備えることが必要だ」
自衛隊の本質を突いた発言であり、事故直後の大臣発言としては珍しい。
「有事」
を念頭にした訓練の厳しさ、重要性を訴え、所要の安全措置を採った後は、速やかな訓練再開の必要性を強調したものである。
諸外国の常識に一歩近付いたとの印象を持った。
他方、メディアは次のような点を批判していた。
夜間訓練のリスク、訓練の安全管理体制、部隊技量を評価する「査閲」の実施方法、位置情報共有システムの未使用、防衛省の対応要領、訓練スケジュールの過密さ、隊員の疲労蓄積などである。
リスクがあるから訓練するのであり、コメントする気が失せる批判も多い。
また安全管理体制や防衛省の対応への批判は、お決まりのパターンで論評に値しない。
ただ、
「部隊技量を評価する査閲」

「位置情報共有システムの未使用」
の批判については、コメントしておきたい。
対潜戦について、筆者は素人であり論評できる立場にない。
だが、
「位置情報共有システムの未使用」
への批判については、大事な視点が欠けているように思えてならない。
「位置情報共有システム」
は近くで行動する友軍機との衝突防止のための装置という。
戦闘機でも安全確保をサポートする各種警報装置や安全装置が装備されている。
だが、これらは操縦者の判断を支援する装置に過ぎず、それが作動しなければ、直ちに任務中止という代物ではない。
有事任務遂行中に、各種支援装置が故障しても(今回が故障かどうかは不明)、必ずしも任務を即中止というわけにはいかない。
任務遂行が何より優先され、たとえ主な安全確保手段がなくても、代替手段で任務は継続しなければならない。
代替手段がない場合でも、最終的には操縦者の
「勘と経験」
で任務を継続することだってあり得る。
そういう不測事態も予期して、普段から訓練を実施しているはずだ。
次に
「部隊技量を評価する査閲」
としての訓練であった点である。
「査閲」
というのは、指揮官が部隊の練度を確認する行為である。
有事であれば
「査閲」
を受けて合格した部隊が戦地に派遣される。
言わば有事を想定した最も厳しい状態で実施される訓練である。
海自トップの酒井良幕僚長も
「通常よりも実戦に近い訓練」
と語っている。
このような事情を無視して無責任に批判するのは、有事の視点の欠落だけでなく、自衛隊を実力組織と見做していない証左でもある。
政治やメディアが掘り下げるべきは、近年の実任務増加による訓練量の不足、隊員の疲労蓄積状況、あるいは実員不足による荷重勤務の実態などであろう。
自衛隊員は与えられた条件が、たとえ劣悪であっても文句も言わず、黙々と努力することを美徳としている。
それは美徳であるが、ある意味弱点でもある。
これを指摘するのがメディアであり、改善するのが政治の役割であろう。
■矜持の源泉
戦闘機操縦者であった筆者の経験で言うと、特に飛行任務を専門にする自衛隊員は、全員
「有事」

「死」
は常に意識していると思う。
飛行物体は必ず落ちる。
事故は確率の問題である。
その確率を限りなくゼロに近付ける努力は徹底して実施すべきだ。
だが、事故はゼロにはなり得ない。
航空事故は死に直結する。
地上に生活することを宿命付けられた人間が、神の意に反して3次元空間を職場にするのだから、
「死」
が身近にあるのは当然だ。
自衛隊は法的には軍隊ではない。
だが、戦って国を守る実力組織であり、決して他の行政組織と同質の組織ではない。
それを端的に表しているのが自衛隊員の
「服務の宣誓」
である。
「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、【事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います】」
(【】は筆者)
【】のフレーズは自衛隊員の宣誓以外にはない。
ちなみに国家公務員の宣誓は以下の通りである。
「私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います」
自衛隊員と同様、危険と対峙する職業である消防職員、警察職員の宣誓にもないフレーズであり、その意味する所は重い。
筆者は自衛隊勤務約40年間、常にこのフレーズを意識してきた。
「死」
を意識せざるを得ない勤務であり、それが矜持の源泉でもあった。
政治家がこのフレーズを引用して、自衛隊の任務の重さを説くことがある。
自衛隊員を激励し、任務の厳しさを国民に伝えるためであり、自衛隊員にとっては感謝すべき事かもしれない。
だが政治家がこれを引用する度に、筆者は違和感を持っていた。
政治家が思うより、自衛隊員にとっては、
「死」
は身近であり、このフレーズは神聖なものだ。
「全力を挙げて」
とか
「全身全霊で」
と軽々しく言う政治家に、これが分かってたまるか。
軽々しく言ってもらいたくないという複雑な思いがあった。
クリスチャンでもない人が聖書を引用する時、敬虔なクリスチャンが抱く違和感と似た所があるのかもしれない。
同時に
「危険を顧みず、身をもつて責務の完遂」
を求める一方で、
「戦力」
としての自衛隊を認めない
「日本国憲法」
を遵守せよと言うのか、という割り切れない思いがあったのも事実である。
■部下の「死」
筆者は戦闘機操縦課程を卒業して、小松基地(石川県)の第6航空団に赴任した。
昭和52(1977)年4月1日に着隊し、第6航空団司令に赴任の申告を実施した。
その際、沖縄から転属してきたベテラン操縦者であるIさんと同席した。
その3日後である。
Iさんは日本海で殉職された。
筆者の小松での最初のフライトが、行方不明のIさんを捜索するフライトだったのを今でも鮮明に思い出す。
それから数年経った時である。
今度は同じ官舎に住むF-4操縦者のMさんが対艦攻撃訓練中、殉職された。
自衛隊在職中、戦闘機操縦者としての筆者の身近には、常に
「死」
があった。
食うか食われるかの実戦場裏で任務を全うするには、実戦状況下に近い厳しい訓練で戦技を磨かねばならない。
訓練で出来ない事は実戦で出来るわけがない。
かつてフォークランド紛争に出撃した英軍操縦者と話したことがある。
フォークランド紛争は1982年に起きたイギリスとアルゼンチンの間の紛争であり、近代化された軍同士による戦争だった。
結果的にはイギリスが勝利したが、英軍操縦者は実戦よりも訓練の方が厳しかったと述べていた。
それでも激しい戦闘と、職場での経験により、多くの英軍操縦者が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんだという。
厳しい実戦に備える訓練は自ずと厳しいものになる。
「死」
を意識するのは、決して戦場だけではない。
若い頃は、
「空」
への憧れが
「死」
の恐怖を超えていた。
「空」
には事故は付き物だ。
事故は確率の問題、だからその時は
「死」
もやむを得ないと無謀にも達観していた。
若気の至りである。
結婚して家庭を構え、子供を持つ頃になると、意識は変わって来た。
操縦技量も戦術判断もベテランの域に近付いて来るのだが、それに比例するように
「死」
に対する恐怖、臆病さ、慎重さが増していく。
「空」
の恐ろしさ、自然の冷徹さが経験を通じて理解出来るようになるからだ。
特に飛行隊長といった指揮官職になるとこれが顕著になる。
「死」
が家庭、自衛隊、そして社会や国家に与える影響を考えざるを得ない。
同時に、自分の
「死」
だけでなく、部下の
「死」
が関わってくる。
指揮官にとって部下の
「死」
は何よりも耐え難いものである。
何としてでも部下を死なせたくないという思いは、どの指揮官にとっても共通の願いである。
かといって厳しい訓練を避ければ部下は精強な操縦者として育たない。
そのツケは有事に戦死という結果で返って来る。
操縦者には、ある程度、身の丈を超える試練を課さなければ、進歩は期待できない。
さりとて限度を超えると必ず事故は起きる。
戦場では予測不可能な事が起きるのが常である。
どんな状況でも臨機応変に対応できる精強な飛行隊を育成するには、安全管理が徹底された訓練をこなすだけでは不十分である。
時にはある種の
「管理された冒険」
が必要となる。
事故を限りなくゼロに近付ける訓練は可能である。
だが実戦に役に立たない操縦者、飛行隊を育てるのは本意ではない。
飛行隊長の2年間は、このジレンマに悩み続けた。
■自己犠牲
子供が中学生になり、そろそろ子供の教育のために単身赴任をとも考えた。
だが、敢えて家族帯同で飛行隊長に就任した。
万が一、部下が殉職したような場合、直ちに部下家族の精神的ケアが必要となる。
国はここまで面倒を見てくれない。
これには、家内の助力が欠かせない。
飛行隊長に命ぜられた時、まさかの時を考えて単身赴任をやめ、帯同を決心した。
「あわや」
という際どい状況は何度もあった。
だが、幸い殉職事故はなく、家内の辛い出番もなかった。
殉職者を出すことなく、思う存分の訓練が出来たのは、まさに
「男の本懐」
だった。
2年間の飛行隊長勤務を終え、部下に見送られながらフェリーの甲板に立ち、岸壁の部下たちが飛行隊旗を振りながら見送ってくれる姿を見て、ようやく
「死」
の重みから解放された。
この時の安堵感、達成感、解放感は言葉に尽くせない。
胸に込み上げてきたのは、殉職者を出さなかったことの安堵感だった。
筆者は幸運に恵まれたに過ぎない。
激烈な職場で生き残るための厳しい訓練に事故は付き物だ。
幾重にも安全対策を講じるが、人間からミスを消し去ることは出来ないし、機械の故障をゼロにすることは出来ない。
そこに
「死」
と直面する必然がある。
これに対する国民の理解がなければ、士気も訓練レベルも下がり、自衛隊の精強化は難しい。
それはこれまでの殉職者への冒瀆でもある。
自衛隊発足以来、殉職者は既に2000名を超えている。
20数年前の事である。
空自T-33練習機が入間川(埼玉県)に墜落して2名のベテラン操縦者が殉職した。
前席操縦者のNさんは、当時、航空幕僚監部で勤務しており、技量維持のための操縦訓練中に出くわした事故である。
筆者も空幕勤務だったてめ、Nさんとは付き合いがあった。
非行技量もさることながら、人格、識見共に優れ、将来を嘱望された将校だった。
Nさんは、突如エンジンの止まったT-33を、民家を避けるためギリギリまで誘導しようとして脱出が遅れた。
2名ともパラシュートが開き切らない状態で地上に激突して殉職した。
脱出まで、絶妙の操縦で河川敷に機体を誘導し、民家への被害を避けることは出来た。
だが、脱出後の墜落機が不幸にも近くを通る高圧線を切断した。
首都圏の何万という世帯が停電になり、山手線も止まった。
この時のメディアの報道ぶりには、憤りを通り越して、無力感を覚えた。
我が身を犠牲にして民家への被害を避けたことには一切触れず、空自機が高圧線を切断して首都圏に停電をもたらしたことだけをクローズアップする。
尊い人命が失われたことには触れず、停電によって
「水槽の保温装置が働かず熱帯魚が死んだ」
という心無い報道がお茶の間を賑わした。
腸が煮えくり返り、呆れ返った。
後日、某高校の校長先生が、生徒の教育に一文を書き、Nさんの行為を紹介した。
最後にこうあった。
「母は我が子のた、父は家族のために命を投げ出して戦います」
「これが人間の本当の姿なのです」
「その愛の対象を家族から友人へ、友人から国家へと拡大していった人を我々は英雄と呼ぶのです」
同僚の殉職と心無いメディア報道に胸が潰れる思いだったが、この一文に救われた。
自衛隊員は英雄になる必要はない。
だが
「事に臨んでは危険を顧みる」
ことを許されない自衛隊員は、時として自己犠牲をも伴った責任の履行を強いられることは知っておいてもらいたい。
人間は誰しも
「死」
は怖いし、天寿を全うすることを至上の願望としている。
自衛官も生身の人間である。
にもかかわらず、国家、国民への思いを抱きながら、常に
「死」
を意識し、日夜、有事に備えて厳しい訓練をしている。
そういう自衛隊員がいることだけは忘れないでもらいたい。

おりた・くにお
麗澤大学特別教授・元空将。
昭和27年生まれ。
防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入り、F4パイロットなどを経て、米スタンフォード大学客員研究員、航空幕僚監部防衛部長、航空支援集団司令官などを歴任。

人間を矮小化してはならぬ 〜自衛隊員の犠牲に寄せて
2010/2/11 7:46
https://ameblo.jp/nippon-and-world/entry-10455948174.html

二人の自衛官の死とマスコミ: あの時何があったのか?
https://yamatogokorous.com/jieikantomedia/
『出典:藤棚 狭山ヶ丘高等学校 学校通信 1999/12/1』 
人間を矮小化してはならぬ
小川義男 校長
先日、狭山市の柏原地区に自衛隊の技習用ジェット機が墜落しました。
たまたま私は、寺田先生と共に、あの近くを走っていましたので、立ち寄ることとしました。
すでに付近は閉鎖されていて、近くまで行くことはできませんでしたが、それほど遠くないあたりに、白煙の立ち上るのが見えました。
見上けると、どのような状態であったものか、高圧線がかなり広範囲にわたって切断されています。
高圧線は、あの太くて丈夫な電線ですから、切れるときはぶつんと切れそうなものですが、多数の細い線の集まりからできているらしく、ぼさぼさに切れています。
何カ所にもわたって、長くぼさぼさになった高圧線が鉄塔からぶら下がっている様は、まさに鬼気迫るものがありました。
聞くと、操縦していた二人は助からなかったそうです。
二佐と三佐と言いますから、相当地位の高いパイロットだと言えます。
ニ人とも脱出を試みたのですが、高度が足りなく、パラシュート半開きの状態で地面に激突し命を失った模様です。
以前、現在防衛大学の学生である本校の卒業生が、防大合格後航空コースを選ぶというのを聞いて、私がとめたことがあります。
「あんな危ないものに乗るな」
と。
彼の答えはこうでした。
「先生、戦闘機は旅客機より安全なのです」
「万一の場合脱出装置が付いておリ、座席ごと空中に打ち出されるのですから」
と。
その安全な戦闘機に乗りながら、この二人の高級将校は、何故、死ななくてはならなかったのでしょうか。
それは、彼らが十分な高度での脱出を、自ら選ばなかったからです。
おそらく、もう百メートル上空で脱出装置を作動させていれば、彼らは確実に自らの命を救うことができたでしょう。
47歳と48歳と言いますから、家族に取りかけがえなく尊い父親であったでしょう。
それなのに、何故、彼らはあえて死をえらんだのでしょうか。
実は、あの墜落現場である入間川の河川敷きは、その近くに家屋や学校が密集している場所なのです。
柏原の高級住宅地は、手を伸ばせは届くような近距離ですし、柏原小、中学校、西武文理高等学校もすくそばです。
百メートル上空で脱出すれば、彼らは確実に助かったでしょうが、その場合残された機体が民家や学校に激突する危険がありました。
彼らは、助からないことを覚悟した上で、高圧線にぶつかるような超低空で河川敷に接近しました。
そうして、他人に被害が及ばないことが確実になった段階で、万一の可能去性に賭けて脱出装置を作動させたのです。
死の瞬間、彼らの脳裏をよぎったものは、家族の顔でしょうか。
それとも民家や学校を巻き添えにせずに済んだという安堵感でしょうか。             
他人の命と自分の命の二者択一を迫られたとき、迷わず他人を選ふ、この犠性的精神の何と崇高なことでしょう。
皆さんはどうですか。
このような英雄的死を選ぶことができますか。
おそらく皆さんも同じコ一スを選ぶと思います。
私も必ずそうするでしょう。
実は、人間は、神の手によって、そのように作られているのです。
人間はすべてエゴイストであるというふうに、人間を矮小化(ワイショウ)、つまり実存以上に小さく、卑しいものに貶(オトシメ)めようとする文化が今日専ら(モッパラ)です。
しかし、そうではありません。
人間は本来、気高く偉大なものなのです。
火災の際の消防士の動きを見てご覧なさい。
逃げ遅れている人があると知れば、彼らは自らの危険を忘れて猛火の中に飛び込んでいくではありませんか。
母は我が子のために、父は家族のために命を投げ出して戦います。
これが人間の本当の姿なのです。
その愛の対象を、家族から友人へ、友人から国家へと拡大していった人を我々は英雄と呼ぶのです。
あのジェット機は、西武文理高等学技の上を飛んで河川敷に飛び込んでいったと、佐藤校長はパイロットの犠牲的精神に感動しつつ語っておられました。
しかし、新聞は、この将校たちの崇高な精神に対しで、一言半句(イチゴンハンク)のほめ言葉をも発しておりません。
彼らは、たたもう自衛隊が、
「また、事故を起こした」
と騒ぎ立てるばかりなのです。
防衛庁長官の言動も我慢がなりません。
彼は、事故を陳謝することのみに終始していました。
その言葉には、死者に対するいたわりの心が少しもありません。                           
防衛庁の責任者が陳謝することは、それはもう当然です。
国民に対してばかりか、大切な隊員の命をも失ったのですから。
しかし、陳謝の折りに、大臣はせめて一言、
「以上の通り大変申し訳ないが、隊員が、国民の生命、財産を守るため、自らの命を犠牲にしたことは分かってやって頂きたい」
「自衛隊に反発を抱かれる方もあるかも知れないが、私に取り彼らは可愛い部下なので、このことを付け加えさせてもらいたい。」
くらいのことが言えなかったのでしょうか。
隊員は命を捨てて国民を守っているのに、自らの政治生命ばかり大切にする最近の政治家の精神的貧しさが、ここには集中的に表れています。
まことに残念なことであると思います。
このような政治家、マスメディアが、人間の矮小化をさらに加速し、英雄なき国家、エゴイストのひしめく国家を作り出しているのです。
人は、他人のために尽くすときに最大の生き甲斐を感ずる生き物です。
他人のために生きることは、各人にとり、自己実現にほかならないのです。
国家や社会に取り、有用な人物になるために皆さんは学んでいます。
そのような人材を育てたいと思うからこそ、私も全力を尽くしているのです。
受験勉強で、精神的に参ることもあるでしょうが、これは自分のためではなく、公(オオヤケ)のためである、そう思ったとき、また新しいエネルギーが湧いてくるのではないでしょうか。
受験勉強に燃える三年生に、連帯の握手を!                          

私はこの方の文章を涙なくして読むことが出来ない。
本当に人間の本質を直球で語っており、今の日本が直面する大きな闇を的確に指しておられる。
そしてこのような崇高な思いで自らの命と人生を二の次にされたお二人の自衛官に心から哀悼の意を捧げたい。
■死ぬ間際でも仲間を気遣った自衛官達
この話にはまだ続きがある。
二人の自衛官はどちらも助かる見込みがゼロの高度で脱出装置を起動させ、機体から脱出をした状態で亡くなっていた。
ゴミのようなマスコミはこのことを、
助からないのに悪あがきで脱出装置を作動させたのか。。
と半ば馬鹿にするような報道機関もあったらしい。
しかし、これに関しても仲間の自衛官が衝撃の証言をしている。
二人は死を覚悟したものの、脱出装置の不具合で脱出できなかったということになると機体の整備士の責任になってしまうことを懸念し、装置は正常であった事を仲間に伝えるために敢えて作動させて死ぬことを選んだのです。
自分達が死ぬことは避けられないと察したそのわずかな時間で、仲間の整備士への咄嗟の気遣いによる行動だった。
頭が真っ白になるようなプロ意識だ。
普段からこのような思いと覚悟で訓練を重ねられている自衛官の皆さまには、心から感謝の気持ちを毎日送りたいと改めて思った。
自衛隊の皆さんにおかれては、マスコミが何を言おうが、心ない人が何を思おうが気にしないで欲しいと願う。
大多数の日本人はあなた方に心から感謝しており、深い敬意を払っています。
日々、本当にありがとうございます。

2012年8月30日
墜落の直前、死を懸けてパイロットたちが取った選択とは?! 13年前の自衛機の事故について
http://kuri-ma.seesaa.net/article/289123197.html
調べてみると、この二人のパイロットはしっかり評価されたようです。
東京電力の27万5000ボルト高圧送電線に接触、これを切断して墜落したため、埼玉県南部及び東京都西部を中心とする約80万世帯を停電、道路信号機や鉄道網を麻痺させる重大事故を惹起した。
なお、送電線に接触しなかった場合、狭山大橋に激突し、死傷者が生じる可能性もあった[8]。
殉職した2名とも11月24日付で1階級特別昇任した。
自衛隊における教育内容・事故の目撃証言などから、中川二佐および門屋三佐は、近隣住民への被害を避けるべく限界まで脱出しなかったものと確実視されている
T-33 (航空機)- Wikipedia
以前紹介した航空ショーでの事故の際も、犠牲者は出てしまったのですが、パイロットは最後の2秒前で機首をあげ、それによって、数百人は助かっただろうという証言がありました。
下手をすれば、もっと悲惨な大惨事になっていたかもしれなかったのです。 こちら
最後の瞬間、たったの2秒、死んでいくと分かっているその最中にも、ベストを尽くそうとしたパイロット。
そういえばロンドン五輪、フェンシング団体の銀メダルを決めた試合も、最後の2秒で決めたものでした。
極限の瞬間にも、大きなことができるのが、極めた人たちということになりますね。
飛行機は着陸できるのが当たり前で、その当たり前のことを数え切れないほど、こなしているパイロットたちであり、アクシデントというのは、不運としか言いようがありません。
墜落するしかないという命のかかった時にも、民家、学校などの犠牲を避けるというのが、叩き込まれたプロ精神なのでしょうか。
アメリカでは軍用機が民家に墜落し、一家4人が死亡するという事故がありました。
パイロットたちは全員無事でした。
この場合は完全な判断ミスということでしたが、つまりアクシデントとなっても、パイロットの命だけなら救われるというのは確かなことだったわけです。
(下にニュース添付)
そういう中、ぶれない判断で、自分の命をかけ、多くの人々の命を未然に救ったパイロットの素晴らしさを改めてすごいと思うのです。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/811.html#c39

[政治・選挙・NHK294] <怒りが爆発>小池都知事に「辞めろ!」の大コール! 茫然として演説が中断! 新宿バスタ前  赤かぶ
59. 秘密のアッコちゃん[428] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月07日 18:47:01 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[541]
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自衛隊を行政組織に位置付ける危うさ
正論2024年8月号 三重中京大学名誉教授 浜谷英博
憲法改正論議は衆議院と参議院の憲法審査会で進められているが、所属委員の一部に憲法改正自体に同意しない勢力が存在するため、いくつかの論点が煮詰まりつつあるものの、未だ具体的条文案の作成には至っていない。
憲法調査会の後継機関である憲法審査会は、2007年8月に衆参両院に設置され、2024年で17年が経過する。
この間、紆余曲折を経ながら一進一退を繰り返し、現在も具体的成果を生み出せない姿には、議論自体が目的化している印象さえ受ける。
ただ、その中でも緊急事態条項と並んで議論が収斂されつつあるのが、憲法に自衛隊を明記する改正案である。
改憲に前向きな政党が公表した自衛隊の憲法明記に関する各党案を見てみる。
まず自民党は2018年3月に憲法9条の2項を
「前条(現行9条)の規定は、わが国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置を取ることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」
と加筆するという
「叩き台」
となる素案を示している。
日本維新の会は2022年6月に憲法9条の2項を
「前条(現行9条)の範囲内で、法律の定めるところにより、行政各部の一として、自衛のための実力組織としての自衛隊を保持する」
と加筆する
「憲法改正原案」
を公表した。
一方、公明党からは2023年5月に
「72条(内閣総理大臣の権限)もしくは73条(内閣の職権)に自衛隊を明記」
する北側一雄副代表案が、
また、国民民主党からは2023年4月に憲法第5章の
「内閣」
の中に
「必要な自衛の措置を取るための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」
とする玉木雄一郎代表の案が示された。
大きく分けて
「戦力」
との関係で自衛隊との関連条項である憲法9条に加筆する案と内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督者であることから、憲法第5章の内閣、とりわけ72条もしくは73条に加筆する案などが提示されている。
しかしながら、憲法9条に加筆する改正案でも
「行政各部の1つとして」
との条件を付していること、そしてとりわけ内閣の章内に自衛隊を明記する主張には、その根底に行政組織としての自衛隊の法的位置付けを変更しない意図が垣間見えている。
ここで問題は、憲法への自衛隊の書きぶりはともあれ、現在の自衛隊が国家行政組織法上の行政組織の1つとの従来の政府解釈から、一歩も踏み出そうとしない改憲姿勢である。
平時に活動する
「一般行政組織」
と非常時に武力行使を伴う
「軍事組織」
との根本的相違を放置したまま自衛隊を憲法に明記したとしても、任務の遂行に多くの制約が課され、目的の完遂に困難を極めることは明らかだ。
自衛隊を正規の軍隊もしくはそれに準ずる独立した組織とし、それに伴って自衛官に軍人としての国際法上の法的地位があることを確認し、その活動について最高指揮監督者の存在を明記するのでなければ、自衛隊の本来の創設目的に沿った任務と行動を担保することにはならないのではないか。
諸外国における自国防衛のための軍事組織(一般に軍隊もしくは国軍)は、一般の行政組織とは一線を画した組織として機能している。
理由は、その運用に関して、一般行政組織とは異なる原理を適用しなければ、求められる本来の任務を遂行できない場合が多々想定されるからである。
通常、軍隊は、自国の独立と安全を確保し、国民の生命と財産を保護することを目的とし、国家の存亡を賭けた非常時に最後の手段として出動を命じられる組織である。
従って、そのための行動に国内法的制約はない。
あるのは国際法(武力紛争法や国際人道法と称され、捕虜の扱いや非交戦の個人の保護など戦時における人間の保護を目的としている)上の制約のみである。
一般の行政組織とは明らかに異なる軍隊の行動や任務の目的が明確である以上、必然的な措置であろう。
本稿では、自衛隊を行政組織の1つとする解釈から派生する危険性や矛盾、同盟国との共同行動やPKO参加時における支援など、関連する諸点について考えてみたい。
■任務を完遂させない頸木( くびき:自由を束縛するもの)
まず、既に提起されている憲法改正案のいくつかを検討してみたい。
その内、72条への明記案は、72条が
「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する」
と規定していることから、行政組織としての自衛隊を新たに書き込むことによって、その法的地位の変更までを含まない意図が読み取れる。
この明記の結果、確かに自衛隊が憲法違反との主張はなくなるかもしれないが、行政各部と横並びに規定することによって、自衛隊が行政組織の一部であるとの意味合いも同時に強めかねない。
強いて72条に書き込むのであれば、新たな1項を追加し、一般行政組織とは一線を画した組織であることを明確にした書き方にしなければ改正の意味がない。
また、憲法73条は、内閣という合議体が一般行政事務と共に行う7項目の各事務を規定している。
ここに自衛隊を書き込む改正案は、自衛隊法7条にある
「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」
との規定を、憲法条項に引き上げようとする意図であろう。
しかし国家の存亡の危機に際して、合議体に決断を求めること自体が迅速性の要請に反し、合理的とは言えない。
憲法73条に自衛隊を明記することで、72条に明記するよりも内閣総理大臣の独断の可能性が弱まる、との主張もあるくらいだ。
その理由は、72条の主語が
「内閣総理大臣」
であるのに対し、73条は
「内閣」
であり、合議体の決定事項に
「自衛隊の行動」
を入れることで、少しでも内閣総理大臣個人の決断の歯止めにしたい思惑が窺える。
しかし、軍事組織の出動の決断は、国家の存亡を賭けた最後の手段の選択であり、その際には当然、決断の的確性と迅速性が求められる。
つまり合議体による長引く議論自体が決断を遅延させ、取り返しのつかない結果を導く恐れがあるからだ。
ちなみに制度的には、内閣の決定に反対の大臣を罷免し、内閣総理大臣自らが罷免した大臣の職務を兼務して閣議決定することも可能である以上、非常時の決断は迅速性を重視することがことのほか重要である。
一方、憲法9条に自衛隊を明記する案にも、自衛隊を
「行政各部の1つとして」
保持するなどの文言があり、行政組織の1つとの認識に変更のない改正案もある。
明記する場所、書き方はともかく、自衛隊を行政組織の1つと位置付ける発想から脱しない限り、危機に際しての自衛隊の任務の完遂は困難を極める。
■行政は逐一法的根拠を求める
改めて確認するが、現在の政府解釈によれば、自衛隊は国内法上、国の行政組織(防衛省)に属する1組織であり、少なくとも諸外国で言う
「軍隊」
ではない。
法制上も、自衛隊は防衛省設置法5条に規定され、
「自衛隊の任務、自衛隊の部隊及び機関の組織及び編成、自衛隊に関する指揮監督、自衛隊の行動及び権限等は、自衛隊法(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる」
とされている。
更に防衛省設置法第4条は防衛省の所掌事務に関し、
「防衛及び警備に関すること」(同条1号)
「自衛隊の行動に関すること」(同条2号)
「陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置に関すること」(同条3号)
「前三号の事務に必要な情報の収集整理に関すること」(同条4号)
などの規定が置かれている。
そして自衛隊が行政組織の1つであれば、その行動はあくまで
「行政作用」
であって、行政法学で言う
「法律による行政」
の原理が適用される。
つまり自衛隊の
「行動」
及び
「権限」
の両方に法律の根拠が必要とされることになり、自衛隊関連法がポジティブリスト方式で規定(出来る事のみを条文化する、条文にないことは行動出来ない)されていることとも相まって、緊急事態等などを含め国内法上の大きな制約になっている。
自衛隊に対するこの姿勢は、国内法上の制約を課さない諸外国の軍隊と大きく異なり、自衛隊の異質性を象徴する実態を示している。
一般に諸外国では、軍事組織の創設目的が国の独立と安全及び国民の生命と財産の保護にある以上、その規定の範囲内の正当な行動に国内法的制約を課す理由はない、と考えられている。
もちろん
「法律による行政」
の原理が、民主的な法治国家において、とりわけ重要な法原理であることは論を待たない。
即ち行政作用が法律を根拠に行われるべき理由は、国民の自由・権利を公権力の恣意的な介入から守り、公権力を民主的にコントロールするため、国民の代表者で構成される国会が制定する法律によって統制を徹底することが重要だからである。
しかし自衛隊の行動は平時の一般行政組織のそれとは性格と実態を大きく異にする。
国家の存亡を賭けた武力行使によって、国の独立と安全及び国民の生命と財産を保護する任務の遂行には、一般行政組織の活動にはない多くの特殊性が認められる。
諸外国で独立した組織として、任務を完遂する活動が認められているのはこのためである。
例えば一般行政組織では、通常の活動に
「透明性」
が重視され、関係書類や各種資料は
「情報公開」
の対象となる。
また折に触れ、実施された行政活動について
「説明責任」
を課され、度重なる記者会見や国会における関係大臣及び官僚の答弁が求められる。
これに対し通常の軍隊は、防衛政策上の機密事項を取り扱い、同盟軍との防衛機密の共有やその保全義務などの遵守を求められる。
これらが担保されない限り、国家間の信頼は醸成され得ず、同盟関係の根幹を揺るがしかねないし、そもそも軍事組織同士の相互の連携や強固な団結も生まれない。
つまり一般の行政組織の作用には馴染まない部分が多くあるのが普通である。
それでは何故自衛隊が現在まで、諸外国にはない発想で、一般行政組織として位置付けられてきたのだろうか。
それには歴史経緯の中でいくつかの理由があると同時に、その解釈を変更する複数回の機会があったことも事実である。
上記理由の1つは、自衛隊の出自の問題である。
周知のように、自衛隊の前身は、1952年に創設された保安隊であり、更にその前身は、朝鮮戦争を背景にして1950年に創設された警察予備隊である。
これら2組織は、あくまで警察力を補完し国内治安を維持する目的で創設され、ポジティブリスト方式で規定された根拠法と共に、国の防衛を任務とする組織ではなかった。
しかし、1954年に創設された自衛隊は、その主たる任務も
「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛すること」(自衛隊法第3条)
と明記されており、諸外国における軍隊の創設目的及び任務と同様になった。
本来は、この時点で行政組織の1つとの法的位置付けを脱し、民主的な独立国の軍事組織として、関係法の規定方式も抜本的な変更について十分検討した上で、ネガティブリスト方式(行ってはいけない事を条文化。禁止された事以外のあらゆる行動が可能)に変えなければならなかったはずである。
しかし国際情勢の推移や日本を取り巻く安全保障環境の激変を敏感に捉えず、戦後間もない国内政治状況などから、従来からの憲法解釈を自衛隊にもそのまま踏襲してきたのである。
この点はそのまま、自衛隊を一般行政組織と位置付けてきた今1つの理由にも重なっている。
つまり一般行政組織を脱して自衛隊を国際法上の軍事組織として解釈するには、憲法上の
「戦力」
規定との関係で、憲法9条の解釈変更もしくは改憲を伴うことが想定された。
従来から政府は、自衛隊が憲法で保持を禁ずる
「戦力」
には該当せず、
「自衛力」
を具現する行政組織として説明してきたからである。
従来の解釈の見直しは、当時の国内政治状況や国民意識等の社会情勢を幅広く考慮して回避され、その歪みを残したまま現在に至っている。
■有事に矛盾が噴出
自衛隊の法的位置付けを見直す機会は、日本が国連平和維持活動(PKO)への参加を決断した1992年にもあったと見るべきである。
つまり自衛隊は軍隊ではなく、従って自衛官は軍人ではなく特別職の国家公務員であるとの政府解釈は、自衛隊が任務として海外に派遣されることのなかった時代には、あまり切実な問題とは考えずに済まされてきた。
しかし、日本の国際貢献策として自衛隊のPKO参加が積極的に実施されるようになったPKO協力法の制定(1992年)以降、自衛官が海外で捕虜や人質になる可能性も現実に想定されるようになっている。
危険な場所には派遣されないとの前提や政府説明はあるにせよ、海外のPKO派遣地域は紛争後の安定化に向けた過渡期であることが多く、状況の一変は日常茶飯の出来事である。
その際、不幸にも捕虜になった自衛官が軍人ではなく、1公務員に過ぎないとなれば、国際法上の捕虜の待遇を求めることが事実上出来なくなる恐れはないか。
もちろん人道上の配慮や対応は想定されるにせよ、国際法上の権利として相手国に要求することの根拠は希薄になるだろう。
まして悪意のある相手国又は民度の低い武装集団が自衛官を捕虜として身柄を確保し、日本政府に対し、軍人ではない自衛官の地位を確認してきたとすれば、政府はどのように返答するのだろうか。
その時になって、自衛官は軍人であるから国際法上の捕虜の待遇を要求するとして、初めて従来の政府解釈を変更するのだろうか。
■既に軍隊と評価される自衛隊
ちなみに自衛隊及び自衛官の国際法上の地位は、一般にジュネーブ諸条約第1追加議定書第43条1項(1977年)の
「軍隊」
の定義に照らし理解され、評価される。
それによれば、軍隊とは
「部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装した全ての兵力、集団及び部隊」
を言うとされ、その構成員は
「戦闘員であり、即ち、敵対行為に直接参加する権利を有する」(同条2項)
と規定されている。
つまり戦闘員は、戦時において敵国戦闘員を殺傷し、軍事目標を破壊する権利を有し、その法的責任を負わないことに国際的合意が形成されている。
つまり自衛隊及び自衛官は、その名称にかかわらず、ジュネーブ諸条約第1項追加議定書第43条の軍隊の定義にも合致し、人員、組織、編成並びに装備及び規模や訓練状況などから、軍隊としての要件を十分に満たしていると言える。
この基準に従えば、国際法上自衛隊は軍隊であり、自衛艦は軍艦であり、自衛隊機は軍用航空機である。
また自衛官は軍隊構成員(戦闘員)であり、活動中に敵国の権力内に陥った場合には、捕虜の待遇を受ける国際法上の権利を有していると解釈される。
これはPKOに参加した自衛官が捕虜になった場合も、自衛官が軍隊構成員としての法的地位を有していれば、捕虜待遇を受けると解釈されよう。
肝心な問題は、現在の政府解釈である。
つまり
「自衛隊は国内法上軍隊ではないが、国内法上軍隊扱いされる」
との法的論理矛盾と曖昧さを解決することが、政府にとっての喫緊の課題であろう。
国際法上の法的根拠を国内法で受容することに、特段の支障があるとは思えない。
そして将来的に日本が、PKOをはじめとする国際貢献を積極的に展開する上でも法的矛盾を放置することなく、自衛隊及び自衛官が心置きなく国際貢献活動に専念できるよう、自衛隊及び自衛官の地位に関し、国際標準に沿った解釈に変更することが急がれる。
また自衛隊及び自衛官については、国内法的にも長年積み重ねてきたガラス細工のような法解釈ではなく、民主国家に必要かつ重要な機関として憲法上位置付けられることが必要である。
■安全確保に何が必要か
成熟した民主国家において、政治と軍事のバランスの取れた関係は、国家の積極果敢な活動を担保し、国民の安全を確保する上で極めて重要である。
そのためにはまず、軍事に対する正確な知識と見識を有し、的確かつ迅速な決断力を持った政治家が必要である。
その背景として、国はもちろん地域社会や個人の将来について関心を持つ民主的意識の高い国民の存在が不可欠で、かかる資質のある政治家を見極め、正当な選挙で選出しておくことが肝要である。
他方で、文民統制を正確に理解し、徹底した政治の優位の下で、知見や経験、多方面の情報やデータを駆使した軍事情勢の確かな分析を、政治的判断材料として提供するプロ集団としての軍事組織も欠かせない。
両者のいずれが欠けても、国際社会のあらゆる分野でリーダーシップを発揮できる強靭な国家とはなり得ない。
ロシアのウクライナ侵略、イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの出口の見えない紛争、台湾有事と言われる日本近隣での中台武力衝突の可能性など、国際安全保障環境は混沌として先行き不透明だ。
国は非常時における的確かつ迅速な決断を誤らないよう法的整備や防衛手段を万全とし、国民としても日頃からの関心と心構えを忘れるべきではない。

2013.12.7 12:00
【中高生のための国民の憲法講座】
第23講 なぜ憲法に軍隊明記が必要か 百地章先生
http://www.sankei.com/life/news/131207/lif1312070030-n1.html
なぜ自衛隊を
「軍隊」
としなければならないのか。
本質的な理由は次の点にあります。
つまり戦力の不保持を定めた憲法第9条の下では法制度上自衛隊は軍隊ではなく警察組織に過ぎないとされているからです。
◆軍隊と警察の違い
それでは軍隊と警察の違いは何でしょうか?
軍隊の権限は
「ネガティブ・リスト」
方式で規定されています。
つまり行ってはならない事柄、例えば、毒ガス等の非人道的兵器の使用禁止や捕虜の虐待禁止などを国際法に列挙し禁止されていない限り軍隊の権限行使は無制限とされます。
だからネガティブ・リスト方式と言います。
なぜなら国際社会ではもし武力紛争が発生した場合、国連安保理事会が対処することになっていますがそれが出来ない時は各国とも自分で主権と独立を守るしかないからです。
これに対し警察の権限行使は
「ポジティブ・リスト」
方式です。
つまり国家という統一秩序の中で国民に対して行使されるのが警察権ですから制限的なものでなければなりません。
だから行使して良い権限だけが法律に列挙されており、これをポジティブ・リスト方式といいます。
それ故、もし自衛隊が法制度上、軍隊であれば、領海を侵犯した軍艦や潜水艦に対しては、国際法に従って、まず
「領海からの退去」
を命じ、それに従わない時は
「警告射撃」
を行うことが出来ます。
更に、相手側船舶を
「撃沈」
することさえ可能です。
現に、冷戦時代、スウェーデン海軍は領海を侵犯したソ連の潜水艦を撃沈していますが、ソ連は何も言えませんでした。
◆尖閣諸島を守るために
ところが、自衛隊は
「軍隊」
ではありませんから、自衛隊法に定められた
「防衛出動」
の場合を除き、武力行使はできません。
また、自衛隊法には
「領域警備規定」
がありませんから、もし中国の武装漁民が尖閣諸島に強行上陸しても、防ぎようがないのです。
相手が発砲してくれば、
「正当防衛」
として
「武器使用」
が出来ますが、場合により
「過剰防衛」
で起訴されかねません。
従って速やかに憲法を改正して、自衛隊を
「軍隊」
とする必要があります。
そうしなければ尖閣諸島も守れませんし、中国の軍事的脅威を前に、我が国の主権と独立を保持することは難しくなります。

自衛隊の事故と隊員の死生観
正論2024年8月号 麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男
2024年5月30日、山梨県の陸上自衛隊北富士演習場で、手榴弾投擲(しゅりゅうだんとうてき)訓練において爆発した手榴弾の破片が男性隊員に当たり死亡した。
森下泰臣陸上幕僚長は
「このような事案は、武器を扱う組織としては、決してあってはならないものであり、陸上幕僚長として非常に重く受け止めております」
と述べ、安全が確認されるまで、陸上自衛隊の全ての実弾射撃訓練を中止するとした。
自衛隊の事故がある度に
「杜撰な訓練」
「たるんだ組織」
「これで有事、戦えるのか」
といった批判がメディアやSNSを賑わす。
トップが頭を下げ、訓練が中止されるのが、日本の
「定番」
の光景である。
そこには自衛隊員の
「死」
に対する尊崇の念は感じられない。
平時とはいえ、我が国防衛のための訓練中の事故である。
訓練で殉職者を出すことは、極めて残念なことである。
事故の絶無に向けて安全管理体制を見直し、訓練を実のあるものにする努力は欠かせない。
だが戦場で流す血の量は、訓練で流す汗の量に反比例すると言われる。
訓練は1日たりとも蔑ろにしてはならない。
1日訓練を中止すれば、1日精強化が遅れる。
安全対策を取れば直ちに訓練を再開させるべきである。
それが殉職者に報いることでもある。
筆者は防衛省、自衛隊に約40年間奉職した。
この間、何十件という隊員の殉職に遭遇した。
その度に
「定番」
の光景が繰り返され、違和感と憤りを覚えた。
現役時代、米アラスカで実施される多国籍の共同演習にオブザーバーとして参加したことがある。
演習の最中、英空軍戦闘機が山に激突して操縦者が殉職する事故に出くわした。
地元メディアは殉職者の栄誉を称え、英軍の同僚たちは、キャンプファイアーのような火を囲み、何やらセレモニーらしきものを夜通しやっていた。
翌日は何事もなかったかのように共同演習は続けられ、英空軍の将校たちもスケジュール通り訓練に参加していた。
これが軍隊かと感動したのを思い出す。
防衛省の事故対応やメディアの報道には、有事の視点が欠落し、自衛隊が戦う組織であることの認識が共有されていないように感ずる。
結果的に殉職隊員の
「死」
が蔑ろにされているように思えてならない。
■木原防衛大臣の言葉
筆者は戦闘機操縦者だったこともあり、どうしても航空事故に目が行く。
近年の航空事故だけでも、これだけ殉職事故が起きている。
▼平成31年4月、青森県沖で空自F-35戦闘機が墜落し、1人が死亡
▼令和4年1月、空自F-15戦闘機が石川県沖の日本海に墜落し、2人が死亡
▼令和5年4月、陸自ヘリが沖縄県の宮古島沖で墜落し、10人が死亡
▼令和6年4月、伊豆諸島沖で海自ヘリ2機が墜落し、1人が死亡、7人が行方不明(後に死亡と判断)
2024年4月の海自ヘリの事故は、夜間の太平洋上で海自対潜ヘリ3機が潜水艦を探知する対潜戦の訓練中、各機4人が乗る2機が空中で衝突したものである。
真っ暗な洋上低高度の訓練が如何に厳しいものか。
これは経験した者しか分からないだろう。
木原稔防衛相は
「このような事故が起こったことは、痛恨の極みだ」
と述べた上で、今後の対応について
「事故原因は確認中だが、航空機の安全管理は徹底しなければならない」
「自衛隊の全ての航空機に対して、飛行前後の点検を入念に実施することや、操縦者に対して安全管理や緊急時の手順の教育を改めて実施すること、更に部隊の長には、隊員を適切に指導することなどを改めて大臣指示の形で速やかに発出したい」
と述べた。
ここまでは
「定番」
だが、大臣は次のように続けた。
「訓練の頻度を下げて運用能力を向上させないまま有事があった場合には、尚一層危険性が増すことに繋がる」
「訓練をして十分に練度を上げた上で、有事に備えることが必要だ」
自衛隊の本質を突いた発言であり、事故直後の大臣発言としては珍しい。
「有事」
を念頭にした訓練の厳しさ、重要性を訴え、所要の安全措置を採った後は、速やかな訓練再開の必要性を強調したものである。
諸外国の常識に一歩近付いたとの印象を持った。
他方、メディアは次のような点を批判していた。
夜間訓練のリスク、訓練の安全管理体制、部隊技量を評価する「査閲」の実施方法、位置情報共有システムの未使用、防衛省の対応要領、訓練スケジュールの過密さ、隊員の疲労蓄積などである。
リスクがあるから訓練するのであり、コメントする気が失せる批判も多い。
また安全管理体制や防衛省の対応への批判は、お決まりのパターンで論評に値しない。
ただ、
「部隊技量を評価する査閲」

「位置情報共有システムの未使用」
の批判については、コメントしておきたい。
対潜戦について、筆者は素人であり論評できる立場にない。
だが、
「位置情報共有システムの未使用」
への批判については、大事な視点が欠けているように思えてならない。
「位置情報共有システム」
は近くで行動する友軍機との衝突防止のための装置という。
戦闘機でも安全確保をサポートする各種警報装置や安全装置が装備されている。
だが、これらは操縦者の判断を支援する装置に過ぎず、それが作動しなければ、直ちに任務中止という代物ではない。
有事任務遂行中に、各種支援装置が故障しても(今回が故障かどうかは不明)、必ずしも任務を即中止というわけにはいかない。
任務遂行が何より優先され、たとえ主な安全確保手段がなくても、代替手段で任務は継続しなければならない。
代替手段がない場合でも、最終的には操縦者の
「勘と経験」
で任務を継続することだってあり得る。
そういう不測事態も予期して、普段から訓練を実施しているはずだ。
次に
「部隊技量を評価する査閲」
としての訓練であった点である。
「査閲」
というのは、指揮官が部隊の練度を確認する行為である。
有事であれば
「査閲」
を受けて合格した部隊が戦地に派遣される。
言わば有事を想定した最も厳しい状態で実施される訓練である。
海自トップの酒井良幕僚長も
「通常よりも実戦に近い訓練」
と語っている。
このような事情を無視して無責任に批判するのは、有事の視点の欠落だけでなく、自衛隊を実力組織と見做していない証左でもある。
政治やメディアが掘り下げるべきは、近年の実任務増加による訓練量の不足、隊員の疲労蓄積状況、あるいは実員不足による荷重勤務の実態などであろう。
自衛隊員は与えられた条件が、たとえ劣悪であっても文句も言わず、黙々と努力することを美徳としている。
それは美徳であるが、ある意味弱点でもある。
これを指摘するのがメディアであり、改善するのが政治の役割であろう。
■矜持の源泉
戦闘機操縦者であった筆者の経験で言うと、特に飛行任務を専門にする自衛隊員は、全員
「有事」

「死」
は常に意識していると思う。
飛行物体は必ず落ちる。
事故は確率の問題である。
その確率を限りなくゼロに近付ける努力は徹底して実施すべきだ。
だが、事故はゼロにはなり得ない。
航空事故は死に直結する。
地上に生活することを宿命付けられた人間が、神の意に反して3次元空間を職場にするのだから、
「死」
が身近にあるのは当然だ。
自衛隊は法的には軍隊ではない。
だが、戦って国を守る実力組織であり、決して他の行政組織と同質の組織ではない。
それを端的に表しているのが自衛隊員の
「服務の宣誓」
である。
「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、【事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います】」
(【】は筆者)
【】のフレーズは自衛隊員の宣誓以外にはない。
ちなみに国家公務員の宣誓は以下の通りである。
「私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います」
自衛隊員と同様、危険と対峙する職業である消防職員、警察職員の宣誓にもないフレーズであり、その意味する所は重い。
筆者は自衛隊勤務約40年間、常にこのフレーズを意識してきた。
「死」
を意識せざるを得ない勤務であり、それが矜持の源泉でもあった。
政治家がこのフレーズを引用して、自衛隊の任務の重さを説くことがある。
自衛隊員を激励し、任務の厳しさを国民に伝えるためであり、自衛隊員にとっては感謝すべき事かもしれない。
だが政治家がこれを引用する度に、筆者は違和感を持っていた。
政治家が思うより、自衛隊員にとっては、
「死」
は身近であり、このフレーズは神聖なものだ。
「全力を挙げて」
とか
「全身全霊で」
と軽々しく言う政治家に、これが分かってたまるか。
軽々しく言ってもらいたくないという複雑な思いがあった。
クリスチャンでもない人が聖書を引用する時、敬虔なクリスチャンが抱く違和感と似た所があるのかもしれない。
同時に
「危険を顧みず、身をもつて責務の完遂」
を求める一方で、
「戦力」
としての自衛隊を認めない
「日本国憲法」
を遵守せよと言うのか、という割り切れない思いがあったのも事実である。
■部下の「死」
筆者は戦闘機操縦課程を卒業して、小松基地(石川県)の第6航空団に赴任した。
昭和52(1977)年4月1日に着隊し、第6航空団司令に赴任の申告を実施した。
その際、沖縄から転属してきたベテラン操縦者であるIさんと同席した。
その3日後である。
Iさんは日本海で殉職された。
筆者の小松での最初のフライトが、行方不明のIさんを捜索するフライトだったのを今でも鮮明に思い出す。
それから数年経った時である。
今度は同じ官舎に住むF-4操縦者のMさんが対艦攻撃訓練中、殉職された。
自衛隊在職中、戦闘機操縦者としての筆者の身近には、常に
「死」
があった。
食うか食われるかの実戦場裏で任務を全うするには、実戦状況下に近い厳しい訓練で戦技を磨かねばならない。
訓練で出来ない事は実戦で出来るわけがない。
かつてフォークランド紛争に出撃した英軍操縦者と話したことがある。
フォークランド紛争は1982年に起きたイギリスとアルゼンチンの間の紛争であり、近代化された軍同士による戦争だった。
結果的にはイギリスが勝利したが、英軍操縦者は実戦よりも訓練の方が厳しかったと述べていた。
それでも激しい戦闘と、職場での経験により、多くの英軍操縦者が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんだという。
厳しい実戦に備える訓練は自ずと厳しいものになる。
「死」
を意識するのは、決して戦場だけではない。
若い頃は、
「空」
への憧れが
「死」
の恐怖を超えていた。
「空」
には事故は付き物だ。
事故は確率の問題、だからその時は
「死」
もやむを得ないと無謀にも達観していた。
若気の至りである。
結婚して家庭を構え、子供を持つ頃になると、意識は変わって来た。
操縦技量も戦術判断もベテランの域に近付いて来るのだが、それに比例するように
「死」
に対する恐怖、臆病さ、慎重さが増していく。
「空」
の恐ろしさ、自然の冷徹さが経験を通じて理解出来るようになるからだ。
特に飛行隊長といった指揮官職になるとこれが顕著になる。
「死」
が家庭、自衛隊、そして社会や国家に与える影響を考えざるを得ない。
同時に、自分の
「死」
だけでなく、部下の
「死」
が関わってくる。
指揮官にとって部下の
「死」
は何よりも耐え難いものである。
何としてでも部下を死なせたくないという思いは、どの指揮官にとっても共通の願いである。
かといって厳しい訓練を避ければ部下は精強な操縦者として育たない。
そのツケは有事に戦死という結果で返って来る。
操縦者には、ある程度、身の丈を超える試練を課さなければ、進歩は期待できない。
さりとて限度を超えると必ず事故は起きる。
戦場では予測不可能な事が起きるのが常である。
どんな状況でも臨機応変に対応できる精強な飛行隊を育成するには、安全管理が徹底された訓練をこなすだけでは不十分である。
時にはある種の
「管理された冒険」
が必要となる。
事故を限りなくゼロに近付ける訓練は可能である。
だが実戦に役に立たない操縦者、飛行隊を育てるのは本意ではない。
飛行隊長の2年間は、このジレンマに悩み続けた。
■自己犠牲
子供が中学生になり、そろそろ子供の教育のために単身赴任をとも考えた。
だが、敢えて家族帯同で飛行隊長に就任した。
万が一、部下が殉職したような場合、直ちに部下家族の精神的ケアが必要となる。
国はここまで面倒を見てくれない。
これには、家内の助力が欠かせない。
飛行隊長に命ぜられた時、まさかの時を考えて単身赴任をやめ、帯同を決心した。
「あわや」
という際どい状況は何度もあった。
だが、幸い殉職事故はなく、家内の辛い出番もなかった。
殉職者を出すことなく、思う存分の訓練が出来たのは、まさに
「男の本懐」
だった。
2年間の飛行隊長勤務を終え、部下に見送られながらフェリーの甲板に立ち、岸壁の部下たちが飛行隊旗を振りながら見送ってくれる姿を見て、ようやく
「死」
の重みから解放された。
この時の安堵感、達成感、解放感は言葉に尽くせない。
胸に込み上げてきたのは、殉職者を出さなかったことの安堵感だった。
筆者は幸運に恵まれたに過ぎない。
激烈な職場で生き残るための厳しい訓練に事故は付き物だ。
幾重にも安全対策を講じるが、人間からミスを消し去ることは出来ないし、機械の故障をゼロにすることは出来ない。
そこに
「死」
と直面する必然がある。
これに対する国民の理解がなければ、士気も訓練レベルも下がり、自衛隊の精強化は難しい。
それはこれまでの殉職者への冒瀆でもある。
自衛隊発足以来、殉職者は既に2000名を超えている。
20数年前の事である。
空自T-33練習機が入間川(埼玉県)に墜落して2名のベテラン操縦者が殉職した。
前席操縦者のNさんは、当時、航空幕僚監部で勤務しており、技量維持のための操縦訓練中に出くわした事故である。
筆者も空幕勤務だったてめ、Nさんとは付き合いがあった。
非行技量もさることながら、人格、識見共に優れ、将来を嘱望された将校だった。
Nさんは、突如エンジンの止まったT-33を、民家を避けるためギリギリまで誘導しようとして脱出が遅れた。
2名ともパラシュートが開き切らない状態で地上に激突して殉職した。
脱出まで、絶妙の操縦で河川敷に機体を誘導し、民家への被害を避けることは出来た。
だが、脱出後の墜落機が不幸にも近くを通る高圧線を切断した。
首都圏の何万という世帯が停電になり、山手線も止まった。
この時のメディアの報道ぶりには、憤りを通り越して、無力感を覚えた。
我が身を犠牲にして民家への被害を避けたことには一切触れず、空自機が高圧線を切断して首都圏に停電をもたらしたことだけをクローズアップする。
尊い人命が失われたことには触れず、停電によって
「水槽の保温装置が働かず熱帯魚が死んだ」
という心無い報道がお茶の間を賑わした。
腸が煮えくり返り、呆れ返った。
後日、某高校の校長先生が、生徒の教育に一文を書き、Nさんの行為を紹介した。
最後にこうあった。
「母は我が子のた、父は家族のために命を投げ出して戦います」
「これが人間の本当の姿なのです」
「その愛の対象を家族から友人へ、友人から国家へと拡大していった人を我々は英雄と呼ぶのです」
同僚の殉職と心無いメディア報道に胸が潰れる思いだったが、この一文に救われた。
自衛隊員は英雄になる必要はない。
だが
「事に臨んでは危険を顧みる」
ことを許されない自衛隊員は、時として自己犠牲をも伴った責任の履行を強いられることは知っておいてもらいたい。
人間は誰しも
「死」
は怖いし、天寿を全うすることを至上の願望としている。
自衛官も生身の人間である。
にもかかわらず、国家、国民への思いを抱きながら、常に
「死」
を意識し、日夜、有事に備えて厳しい訓練をしている。
そういう自衛隊員がいることだけは忘れないでもらいたい。

おりた・くにお
麗澤大学特別教授・元空将。
昭和27年生まれ。
防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入り、F4パイロットなどを経て、米スタンフォード大学客員研究員、航空幕僚監部防衛部長、航空支援集団司令官などを歴任。

人間を矮小化してはならぬ 〜自衛隊員の犠牲に寄せて
2010/2/11 7:46
https://ameblo.jp/nippon-and-world/entry-10455948174.html

二人の自衛官の死とマスコミ: あの時何があったのか?
https://yamatogokorous.com/jieikantomedia/
『出典:藤棚 狭山ヶ丘高等学校 学校通信 1999/12/1』 
人間を矮小化してはならぬ
小川義男 校長
先日、狭山市の柏原地区に自衛隊の技習用ジェット機が墜落しました。
たまたま私は、寺田先生と共に、あの近くを走っていましたので、立ち寄ることとしました。
すでに付近は閉鎖されていて、近くまで行くことはできませんでしたが、それほど遠くないあたりに、白煙の立ち上るのが見えました。
見上けると、どのような状態であったものか、高圧線がかなり広範囲にわたって切断されています。
高圧線は、あの太くて丈夫な電線ですから、切れるときはぶつんと切れそうなものですが、多数の細い線の集まりからできているらしく、ぼさぼさに切れています。
何カ所にもわたって、長くぼさぼさになった高圧線が鉄塔からぶら下がっている様は、まさに鬼気迫るものがありました。
聞くと、操縦していた二人は助からなかったそうです。
二佐と三佐と言いますから、相当地位の高いパイロットだと言えます。
ニ人とも脱出を試みたのですが、高度が足りなく、パラシュート半開きの状態で地面に激突し命を失った模様です。
以前、現在防衛大学の学生である本校の卒業生が、防大合格後航空コースを選ぶというのを聞いて、私がとめたことがあります。
「あんな危ないものに乗るな」
と。
彼の答えはこうでした。
「先生、戦闘機は旅客機より安全なのです」
「万一の場合脱出装置が付いておリ、座席ごと空中に打ち出されるのですから」
と。
その安全な戦闘機に乗りながら、この二人の高級将校は、何故、死ななくてはならなかったのでしょうか。
それは、彼らが十分な高度での脱出を、自ら選ばなかったからです。
おそらく、もう百メートル上空で脱出装置を作動させていれば、彼らは確実に自らの命を救うことができたでしょう。
47歳と48歳と言いますから、家族に取りかけがえなく尊い父親であったでしょう。
それなのに、何故、彼らはあえて死をえらんだのでしょうか。
実は、あの墜落現場である入間川の河川敷きは、その近くに家屋や学校が密集している場所なのです。
柏原の高級住宅地は、手を伸ばせは届くような近距離ですし、柏原小、中学校、西武文理高等学校もすくそばです。
百メートル上空で脱出すれば、彼らは確実に助かったでしょうが、その場合残された機体が民家や学校に激突する危険がありました。
彼らは、助からないことを覚悟した上で、高圧線にぶつかるような超低空で河川敷に接近しました。
そうして、他人に被害が及ばないことが確実になった段階で、万一の可能去性に賭けて脱出装置を作動させたのです。
死の瞬間、彼らの脳裏をよぎったものは、家族の顔でしょうか。
それとも民家や学校を巻き添えにせずに済んだという安堵感でしょうか。             
他人の命と自分の命の二者択一を迫られたとき、迷わず他人を選ふ、この犠性的精神の何と崇高なことでしょう。
皆さんはどうですか。
このような英雄的死を選ぶことができますか。
おそらく皆さんも同じコ一スを選ぶと思います。
私も必ずそうするでしょう。
実は、人間は、神の手によって、そのように作られているのです。
人間はすべてエゴイストであるというふうに、人間を矮小化(ワイショウ)、つまり実存以上に小さく、卑しいものに貶(オトシメ)めようとする文化が今日専ら(モッパラ)です。
しかし、そうではありません。
人間は本来、気高く偉大なものなのです。
火災の際の消防士の動きを見てご覧なさい。
逃げ遅れている人があると知れば、彼らは自らの危険を忘れて猛火の中に飛び込んでいくではありませんか。
母は我が子のために、父は家族のために命を投げ出して戦います。
これが人間の本当の姿なのです。
その愛の対象を、家族から友人へ、友人から国家へと拡大していった人を我々は英雄と呼ぶのです。
あのジェット機は、西武文理高等学技の上を飛んで河川敷に飛び込んでいったと、佐藤校長はパイロットの犠牲的精神に感動しつつ語っておられました。
しかし、新聞は、この将校たちの崇高な精神に対しで、一言半句(イチゴンハンク)のほめ言葉をも発しておりません。
彼らは、たたもう自衛隊が、
「また、事故を起こした」
と騒ぎ立てるばかりなのです。
防衛庁長官の言動も我慢がなりません。
彼は、事故を陳謝することのみに終始していました。
その言葉には、死者に対するいたわりの心が少しもありません。                           
防衛庁の責任者が陳謝することは、それはもう当然です。
国民に対してばかりか、大切な隊員の命をも失ったのですから。
しかし、陳謝の折りに、大臣はせめて一言、
「以上の通り大変申し訳ないが、隊員が、国民の生命、財産を守るため、自らの命を犠牲にしたことは分かってやって頂きたい」
「自衛隊に反発を抱かれる方もあるかも知れないが、私に取り彼らは可愛い部下なので、このことを付け加えさせてもらいたい。」
くらいのことが言えなかったのでしょうか。
隊員は命を捨てて国民を守っているのに、自らの政治生命ばかり大切にする最近の政治家の精神的貧しさが、ここには集中的に表れています。
まことに残念なことであると思います。
このような政治家、マスメディアが、人間の矮小化をさらに加速し、英雄なき国家、エゴイストのひしめく国家を作り出しているのです。
人は、他人のために尽くすときに最大の生き甲斐を感ずる生き物です。
他人のために生きることは、各人にとり、自己実現にほかならないのです。
国家や社会に取り、有用な人物になるために皆さんは学んでいます。
そのような人材を育てたいと思うからこそ、私も全力を尽くしているのです。
受験勉強で、精神的に参ることもあるでしょうが、これは自分のためではなく、公(オオヤケ)のためである、そう思ったとき、また新しいエネルギーが湧いてくるのではないでしょうか。
受験勉強に燃える三年生に、連帯の握手を!                          

私はこの方の文章を涙なくして読むことが出来ない。
本当に人間の本質を直球で語っており、今の日本が直面する大きな闇を的確に指しておられる。
そしてこのような崇高な思いで自らの命と人生を二の次にされたお二人の自衛官に心から哀悼の意を捧げたい。
■死ぬ間際でも仲間を気遣った自衛官達
この話にはまだ続きがある。
二人の自衛官はどちらも助かる見込みがゼロの高度で脱出装置を起動させ、機体から脱出をした状態で亡くなっていた。
ゴミのようなマスコミはこのことを、
助からないのに悪あがきで脱出装置を作動させたのか。。
と半ば馬鹿にするような報道機関もあったらしい。
しかし、これに関しても仲間の自衛官が衝撃の証言をしている。
二人は死を覚悟したものの、脱出装置の不具合で脱出できなかったということになると機体の整備士の責任になってしまうことを懸念し、装置は正常であった事を仲間に伝えるために敢えて作動させて死ぬことを選んだのです。
自分達が死ぬことは避けられないと察したそのわずかな時間で、仲間の整備士への咄嗟の気遣いによる行動だった。
頭が真っ白になるようなプロ意識だ。
普段からこのような思いと覚悟で訓練を重ねられている自衛官の皆さまには、心から感謝の気持ちを毎日送りたいと改めて思った。
自衛隊の皆さんにおかれては、マスコミが何を言おうが、心ない人が何を思おうが気にしないで欲しいと願う。
大多数の日本人はあなた方に心から感謝しており、深い敬意を払っています。
日々、本当にありがとうございます。

2012年8月30日
墜落の直前、死を懸けてパイロットたちが取った選択とは?! 13年前の自衛機の事故について
http://kuri-ma.seesaa.net/article/289123197.html
調べてみると、この二人のパイロットはしっかり評価されたようです。
東京電力の27万5000ボルト高圧送電線に接触、これを切断して墜落したため、埼玉県南部及び東京都西部を中心とする約80万世帯を停電、道路信号機や鉄道網を麻痺させる重大事故を惹起した。
なお、送電線に接触しなかった場合、狭山大橋に激突し、死傷者が生じる可能性もあった[8]。
殉職した2名とも11月24日付で1階級特別昇任した。
自衛隊における教育内容・事故の目撃証言などから、中川二佐および門屋三佐は、近隣住民への被害を避けるべく限界まで脱出しなかったものと確実視されている
T-33 (航空機)- Wikipedia
以前紹介した航空ショーでの事故の際も、犠牲者は出てしまったのですが、パイロットは最後の2秒前で機首をあげ、それによって、数百人は助かっただろうという証言がありました。
下手をすれば、もっと悲惨な大惨事になっていたかもしれなかったのです。 こちら
最後の瞬間、たったの2秒、死んでいくと分かっているその最中にも、ベストを尽くそうとしたパイロット。
そういえばロンドン五輪、フェンシング団体の銀メダルを決めた試合も、最後の2秒で決めたものでした。
極限の瞬間にも、大きなことができるのが、極めた人たちということになりますね。
飛行機は着陸できるのが当たり前で、その当たり前のことを数え切れないほど、こなしているパイロットたちであり、アクシデントというのは、不運としか言いようがありません。
墜落するしかないという命のかかった時にも、民家、学校などの犠牲を避けるというのが、叩き込まれたプロ精神なのでしょうか。
アメリカでは軍用機が民家に墜落し、一家4人が死亡するという事故がありました。
パイロットたちは全員無事でした。
この場合は完全な判断ミスということでしたが、つまりアクシデントとなっても、パイロットの命だけなら救われるというのは確かなことだったわけです。
(下にニュース添付)
そういう中、ぶれない判断で、自分の命をかけ、多くの人々の命を未然に救ったパイロットの素晴らしさを改めてすごいと思うのです。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/812.html#c59

[政治・選挙・NHK294] なぜか都知事選の蓮舫氏と石丸氏のグラフはうり二つ<2週間以内に異議申し立て→再開票をせよ> 選挙研究所
10. 秘密のアッコちゃん[429] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月08日 13:13:20 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[542]
<■220行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<産経抄>街頭演説もできない国になるのか
2024/7/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20240708-J2UUSXQW4ZOA5I5QTM7KSO2GMU/
蒸気機関車(SL)をはじめ昭和の昔になくなったものは数あれど、民主主義を育てるという観点から見れば、立会演説会の廃止ほど惜しまれるものはない。
同一選挙区の候補者が一堂に会した演説会は、戦後間もない昭和24年1月の総選挙から導入され、翌年には国政選挙と都道府県知事選で義務化された。
▼古老記者によると、小学校や中学校の講堂に有権者が入りきれぬほど集まり、保守から共産党まで様々な候補者が熱弁を振るい、かなり盛り上がったという。
ところが、回数を経るにしたがって組織的なヤジや妨害が目立つようになり、参加者が激減。
昭和58年に廃止されてしまった。
▼以降は、ナマの候補者に接するには、決起集会に参加するほど熱心な支持者以外は、街頭で演説を聞くくらいしかなくなった。
その街頭演説さえ、今、危機的状況にある。
▼先週金曜に小池百合子都知事の街頭演説を聞きに行ったが、警官に携帯の金属探知機を全身に当てられるほどの物々しさだった。
知事が話し始めると、
「反小池」
のプラカードを掲げ、遠巻きにしていた一団が
「辞めろ」
コールを一斉に始めた。
強気でなる知事が1分ほど演説を中断したほどの酷さだった。
▼この30分前、有楽町では蓮舫候補の遊説中に他党の街宣車が乗り付け、スピーカーを使って邪魔しようとした。
あの日以来、何かがおかしくなっている。
▼そう。
2年前の8日、安倍晋三元首相が参院選の応援演説中に凶弾に倒れてからだ。
言論ではなく、暴力的な行動で
「敵」
を屠(ほふ)ろうとする人々が明らかに増えている。
SNSでは、元首相の暗殺犯を英雄視する言説さえ飛び交っている。
立会演説会どころか街頭演説もできない国にしてはならぬ。

<主張>選挙活動の混乱 対策講じ常識を取り戻せ
社説
2024/7/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20240708-776DITYXFNKDXBERXE5LEJOYXA/
池袋駅前に設置されている選挙ポスター
https://www.sankei.com/article/20240708-776DITYXFNKDXBERXE5LEJOYXA/photo/O7BP6PODRVKHJNO3ZRJFTF7AEM/
選挙活動の在り方が、根本から問われる事態になっている。
2024年4月の衆院東京15区補選の選挙妨害事件に続き、東京都知事選でも一部の候補者らによる振る舞いが混乱を招いた。
選挙は民主主義の根幹である。
その信頼を揺るがす行為は極めて望ましくない。
政府と国会は、公正で秩序ある選挙環境が保たれるよう、公職選挙法の改正を含め早急に対策を講じるべきだ。
都知事選には過去最多の56人が立候補した。
1人のリーダーを決める選挙であるのは言うまでもないが、政治団体
「NHKから国民を守る党」
は24人も擁立した。
党首の立花孝志氏は告示前の会見などで、NHKの政見放送を
「ジャック」
するのが目的だと語った。
だが、公選法は国政選や地方選が
「選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且(か)つ適正に行われることを確保」
すると規定している。
当選するためではなく別の目的で選挙を利用するのは、同法の趣旨に反するのではないか。
NHK党は寄付をした人に選挙ポスター掲示板の枠を譲り、事実上販売した。
その枠に風俗店の広告や動物の写真などが貼られたケースもある。
NHK党以外でも、全裸に近い画像を貼る候補が現れた。
警視庁が都迷惑防止条例違反などの疑いで警告する事態になった。
公選法が
「品位を損なう言動をしてはならない」
と定める政見放送でも、突然シャツを脱いで肌を露出する女性候補や、奇抜な格好で笑い転げる男性候補など、非常識な振る舞いが続出した。
ポスター掲示板や政見放送は、公費で設けられたものだ。
公選法の趣旨に反して利用するのは許されない。
都知事選では、実際には立候補していないのに
「出馬しました」
などとSNS上で表明する
「なりすまし」
も出た。
こうした行為も、有権者の判断を惑わす恐れがある。
都知事選や衆院補選の混迷を受けて、各政党からは公選法の見直しなどを求める意見が出ている。
インターネットやスマートフォンが普及する時代に、選挙掲示板などによる従来の選挙活動の方式が適切かどうかも、この機会に検討してもらいたい。

東京都知事選の異様な選挙運動、正常化へあらゆる検討を 社会部長・酒井潤
2024/7/7 22:24
https://www.sankei.com/article/20240707-RLHH7ZFA6NPAFMJO7RHYNPVXZ4/
池袋駅前に設置された選挙ポスター。同じポスターが多数を占めていた=5日午後、東京都豊島区(鴨志田拓海撮影)
https://www.sankei.com/article/20240707-RLHH7ZFA6NPAFMJO7RHYNPVXZ4/photo/O7BP6PODRVKHJNO3ZRJFTF7AEM/
«たぶてにも 投げ越しつべき 天の川 隔てればかも あまたすべなき»
石つぶてを投げても届きそうなのに、天の川があるから、どうすることもできない−。
天を仰ぎみて詠んだ山上憶良の慨嘆が万葉集にある。
56人の七夕決戦。
小池百合子氏の勝因の1つは、言わば敵失だろう。
例えば蓮舫氏は当初、彼岸と此岸(しがん)を分かつ川のような対決軸を鮮明にした。
「反自民政治、非小池都政」
「小池都政をリセット」−。
立憲民主党を離れて
「オール東京」
を掲げたが、
「反」
「非」
は分断を想起させた。
「リセット」

「良い政策は発展させる」
と後退し、支援を受けた共産党の政策と公約が仕分けしにくくなった。
国政の状況は当然、地方選挙に影響し、地方選挙の結果は政局に波及する。
しかし、敢えて絡めるのは失当だ。
「国政の代理戦争などと馬鹿げた真似はやめてもらいたい」
と語った石丸氏は支持を広げ、無党派層の大きな受け皿となった。
一方で政策論議は深まらなかった。
少子高齢化対策や災害への備えは各候補に等しく降りかかる課題だ。
だからこそ主張に明確な差異は見い出しづらく、結果的に有権者は2期8年の小池都政に及第点を与えた。
史上最多の立候補者が乱立した都知事選は、ポスター掲示板や政見放送を歪なものにした。
公選法をはじめとした従来の枠組みが想定しない盲点を突くような動きが顕在化し、警視庁が警告に乗り出すなど看過できない状況を生んだ。
表現の自由を踏まえた規制や供託金制度の在り方、また、都内約1万4000カ所の掲示板が必要かどうかなど、突き付けられた問題は多い。
あらゆる角度から検討を進める機会とすべきだろう。
民主主義を支えるのは公正な選挙だ。
それをどう正常化させていくか。
天を仰いで嘆いている暇はない。

ポスター破損や暴行など容疑で8人逮捕、掲示巡り警告も 都知事選
2024/7/7 22:04
https://www.sankei.com/article/20240707-65REH5Q2YJJNBLTVHRZBXUO5XA/
警視庁選挙違反取締本部は2024年7月7日、都知事選期間中の取り締まり状況を公表した。
掲示板に貼られた選挙ポスター損壊などによる逮捕者が8人に上り、1人だった前回選挙より大幅に増えた。
掲示方法について警告が出されるなど、ポスターを巡る事件が目立った。
違反警告は22件だった。
逮捕された8人のうち5人はポスターへの落書きや破損といった公選法違反(自由妨害)などの容疑で、3人は暴行容疑だった。
3人のうち1人はポスターを剥がしているところを撮影していた男性に対する暴行容疑で、ポスターが原因の事件がほとんどを占めた。
衆院選や統一地方選と同じ投開票日に行われた選挙を除いた直近の都知事選での逮捕者は、▽平成26年3人▽28年3人▽令和2年1人−で、今回の都知事選は大幅に増えた形になった。
警告もポスターに絡むものが目立った。
告示日の2024年6月20日には、男性候補が、ほぼ全裸の女性をモデルにしたポスターを複数箇所に掲示。
警視庁は同日中に候補を呼び出し、都迷惑防止条例違反の疑いで警告した。
また、NHKから国民を守る党が
「販売」
した掲示板の枠に風俗店の広告が貼られた際も、警視庁は警告を行った。

都知事選、想定外続き手に負えず 掲示板不足に奇抜な政見放送、ポスタージャック…
2024/7/7 20:15
https://www.sankei.com/article/20240707-6PAAPOMSU5JMZHWZHREEAJZN6M/
過去最多の56人が立候補した東京都知事選はポスター掲示板のスペース不足や、政見放送での奇抜な主張など
「想定外」
が相次いだ。
告示日までに48人分のポスター掲示板しか準備していなかった都選挙管理委員会。
49番目以降に届け出た候補者にはクリアファイルなどを配布し掲示板の枠外にテープなどでポスターを貼るよう依頼した。
しかし、選挙期間中に対象となった候補本人が都などを相手取り計約2000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。
複数の候補者から都選管の不備に不満が出た。
NHK総合テレビだけで計約11時間と
「長過ぎる政見放送」
も注目されたが、女性候補がシャツを脱ぐ姿が放映されるなど一部の
「奇抜な内容」
に批判が集まった。
また、2024年4月の衆院東京15区補選では、つばさの党による妨害事件があったばかりだが、今回の選挙戦でも、一部候補者の街頭演説の際に、集団で執拗なヤジを飛ばすことが繰り返された。
1人の知事を決める選挙にNHKから国民を守る党が関連団体を含めて計24人を擁立。
24人の枠を使って掲示板に同一のポスターを貼るポスタージャック≠竅Aその枠にポスターを貼る権利の販売を行った。
想定外の事態が頻発した知事選。
閣僚などからは、これらを問題視する発言も出ており、公選法改正に繋がる可能性が高まっている。

「恥ずかしい」「盛り上がった」候補者56人、前代未聞の都知事選 有権者はどう見たか
2024/7/7 19:12
https://www.sankei.com/article/20240707-566JMYIM3BPFDNIKRCUVUWX2NM/
過去最多の56人が立候補し、投開票日の2024年7月7日を迎えた東京都知事選。
3選を目指す無所属現職、小池百合子氏(71)の都政2期8年の評価や少子化対策、防災対策などが主な争点となったが、選挙ポスターや政見放送の内容を巡る問題も浮上した。
有権者は今回の選挙戦をどう捉え、新しい東京のリーダーに何を望むのか。
■法規制が必要では
「ポスターがふざけている人、売名目的の候補が多かった」
「海外でもニュースになるほどだったので、日本の恥晒しになるようなことはやめてほしかった」。
不動産開発会社に勤める新宿区の男性(23)は、苦々しげな様子で振り返る。
選挙ポスターを巡っては、全裸に近い女性の画像を載せて掲示板に貼った候補者に対し警視庁が警告を出したり、同一デザインのポスターが掲示板を
「ジャック」
したりする事態も起きた。
新宿区の会社役員、伊藤晴康さん(67)は
「ポスターに関しては、そんなに多くなくていい」
「投票所の前にだけ設置していれば十分だ」。
葛飾区の会社員、今村勉さん(57)も
「立候補は自由だが、最近はモラルの問題がある」
「法律で要件を引き上げるなど、立候補者の絞り込みも必要だと思う」
と話した。
渋谷区の会社員、中村祥眼さん(27)は
「自分たちの選挙権を弄ばれていると感じる」
「声を上げやすい環境の確保と、単なる売名行為への対策を両立することは難しいが、これから考えていかなければならない課題だと感じた」
と語った。
同区の不動産業、藤原邦子さん(77)は、立候補者が過去最多となったことについて
「現実的でない候補者が多過ぎる」
「投票率の低下を危惧しているので是非若者にも投票へ行ってほしいと思うが、この状況では声を掛けづらい」
と、寂しげに話した。
世田谷区在住の男性会社員(25)は
「情報収集しようにも、政策とは関係のない余計な情報が溢れており、政見放送も選挙公約も長過ぎてとても見る気になれなかった」
「全部目を通して投票に来る有権者は、ほとんどいなかったと思う」
と、溜息。
目黒区のエンジニアの男性(29)も
「候補者全員を追い切れなかった」
とこぼした。
■注目、悪くない
一方で、良くも悪くも注目を集めた選挙戦となったことを、前向きに捉える意見もあった。
SNSなどで候補者の情報収集をしていたという世田谷区の主婦(36)は
「立候補者の乱立自体が良いとは思えないが、子供同士でも話題になるなど、関心を高めたことは確か」
「今まで選挙に行かなかった層が行くなど、良い面もあった」
と振り返る。
葛飾区の女性会社員(50)も
「(乱立した立候補者が)変な人ばかりで、都民として恥ずかしいが、選挙が盛り上がることは悪くないと思った」
と述べた。
■税金、上手く使って
有権者に選ばれた新しい都知事に望むことについては、それぞれの立場から意見が相次いだ。
葛飾区の歯科衛生士、小島久美子さん(56)は
「都民税を有効活用してほしい」
「今は子供や老人に使っているが、中間層に事業支援などで使ってほしい」
と注文。
大学で防災について学んでいるという同区の小島苺(いちご)さん(19)は
「東京は川が多く、海抜も低い」
「ビルや人も多く、複合災害が起きやすい」
と、災害対策の充実を望んだ。
新宿区の会社役員、伊藤真理さん(62)は、主要な争点の1つとなった少子化対策について
「東京のマンションは1LDK以下ばかり」
「家族向けのマンションを増やしていかないと、根本的な解決には至らない」
と指摘。
保育士をしているという葛飾区の男性(27)も
「出生率を上げる政策を出してほしい」
と望んだ。
一方、足立区の男性会社員(35)は、都内で外国籍の居住者が増加していることを念頭に
「不法移民などの対策もしっかりしてほしい」
と、注文を付けた。

小池都知事演説中、ビラ投げつけ容疑で男逮捕 選挙妨害疑いで捜査
2024/7/6 20:42
https://www.sankei.com/article/20240706-CJQGZLSBAFLVZJTXXRWITNQCS4/
東京都知事選(2024年7月7日投開票)で都知事の小池百合子氏の演説中に選挙スタッフにビラを投げつ付けとして、警視庁選挙違反取締本部は2024年7月6日、暴行の疑いで、東京都足立区の無職の男(41)を現行犯逮捕した。
容疑を認めている。
精神障害の疑いがあり、責任能力の有無を慎重に調べる。
逮捕容疑は2024年7月6日午後1時40分頃、小池氏が演説していた東京都中央区銀座の路上で、選挙スタッフの30代男性から受け取った選挙ビラを男性に投げつけたとしている。
容疑を公選法違反(自由妨害)に切り替えて捜査を進める。
取締本部によると、ビラは男性の目に当たったという。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/828.html#c10

[政治・選挙・NHK294] 蓮舫氏大敗≠ノ立憲衝撃「信じられない」 共産との連携、裏目か(毎日新聞) 赤かぶ
42. 秘密のアッコちゃん[430] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月08日 16:54:23 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[543]
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能登の被災病院から憲法改正を訴える
正論2024年8月号 恵寿総合病院理事長 神野正博
2024年元日の地震で能登半島は大きな被害を受けましたが、私が理事長を務める石川県七尾市の恵寿総合病院では被害を最小限に抑えて、地域の医療機関として役割を果たしてきました。
その立場から、2024年5月3日の憲法記念日にはビデオメッセージで、また2024年5月30日に日本武道館で開かれた
「国民の命と生活を守る1万人大会」
では会場で、憲法改正の必要性について訴えさせて頂きました。
大地震に見舞われて実感したのは、事前の準備が如何に大切かということと、同時に事前には想定し切れなかった事に対処するための非常事態の態勢が必要だということでした。
以下、詳しく述べてみたいと思います。
能登半島は平成19(2007)年にも最大震度6強の地震がありました。
当時、この病院でも建物に亀裂が入ったり水道管が破裂したりと、被害も出ました。
それで今後の対策を考えねば、と思っていたところに平成23(2011)年、東日本大震災が発生したのです。
私たちの病院は海に面していますので、宮城や福島の海の近くの病院がどんな苦労をされたのか、随分お話を伺いました。
特に公立志津川病院(現在は南三陸病院)の先生に来て頂き、根掘り葉掘り被災の状況を聞きました。
志津川病院では建物の3階にまで津波が押し寄せ、患者を4階に避難させたけれど、屋上にヘリコプターが降りられなかった。
それで1週間、病院に立てこもることになり、その間に何人かの患者が亡くなられたという話でした。
ちょうどその頃、当病院では本館の建て替え計画中でしたが、東日本大震災の話を聞いて
「もう少し災害に強い病院にせねば」
と考え、色々設計を変更したのです。
結果としてこの本館は平成25(2013)年末に完成、平成26(2014)年にオープンしましたが、震災の教訓を盛り込んだものになりました。
ここ七尾湾は湾口が狭く奥が広いため、津波の高さはせいぜい2メートルと想定されていました。
そこで本館は床を2メートルかさ上げしてあります。
更に屋上にはヘリポートも設置。
ドクターヘリだけでなく、万が一の際にここから患者を避難させられよう、自衛隊の大型ヘリも着陸出来るようにしました。
更に本館の建物は免震構造で、大津波に備えて最上階に受変電設備や非常用発電機を設置しました。
また地盤は液状化対策を施してあります。
これらの対策が、2024年元日の地震で奏功したのです。
■平時からの備え
とはいえ、まさか再び能登でこんなに大きな地震が起きると予想していたわけではありません。
随分費用をかけて備えをしていましたが、この地震がなかったら
「神野先生、余計な事におカネを使って大変だったね」
と笑われて終わりだったでしょう。
地震が起きたのは不幸な事だった一方で、この大計画が日の目を見て、全国から注目を集めることにもなりました。
災害対策としては当病院では、水も水道と井戸水と二重化させていました。
そして井戸水も普段から水質検査をして、飲める水だと確認してありました。
この話を被災後、何回かしてきたので今、全国各地の病院で災害に備えての井戸掘りが始まっているそうです。
何故ここまで念入りに備えを進めていたのかと思われるかもしれません。
東日本大震災などの教訓を踏まえて対策を考えると、次から次へと新たな問題点が浮上してきたのです。
あれも足らない、これも足らないということが出て来て、準備せざるを得なかったというのが実際のところです。
例えば、井戸については以前からあったのですが、せっかく井戸があるのだからトイレ用の水とか冬場の融雪装置の水に使えるようにしておいたのです。
決してこの災害だけを想定して井戸の配管をしていたわけではなく、水道料金の節減の意味もあって井戸を使えるようにしておいたのが当たったわけです。
しかし今回、当病院の地区では地震発生から2カ月間、水道水が止まったままでした。
これは想定外でした。
東日本大震災でも、こんなに長い断水はなかったと思います。
ただ、病院という施設の性質上、想定外だからとばかりも言ってはいられません。
一般の工場やサービス業などの場合、災害が発生すれば業務量は当然、ガクンと落ちて、そこから徐々に復旧していくことになります。
しかし病院や消防や警察といった所は、災害が起きれば仕事量が急増します。
病院の場合、普段から入院患者さんがいます。
それに加えて災害医療をやらねばならず、更に被害からの復旧もしなければなりません。
つまり、災害となれば普段の3倍、頑張らねばならないのが病院の宿命で、平時から災害への備えをしておく必要があるわけです。
それだけに、災害が起きた時には約800人の職員については安否確認システムがあり、同時に出勤できる人は出勤してくれという招集システムがあります。
病院から徒歩圏内に独身寮や医師宿舎もあり、地震当日は80数人の職員がすぐに出勤してくれました。
免震構造の本館はほとんど無事でしたが、それ以外の病棟は耐震構造だったため、棚から物が落ちたり配管が破損したりと被害が出ました。
そこで、耐震の病棟に入院していた患者さんを、まずは免震の本館に移しました。
それでも水や電気が確保出来ていたため、震災当日も医療は継続出来たのです。
翌2024年1月2日未明には出産もあり、赤ちゃんが無事に生まれています。
■想定外の事態への対処
私自身は地震発生時、七尾市内の自宅に居ました。
自宅周辺の道路はあちこち裂けており、到底車が走れる状況ではなかったので、津波警報が出る中、病院に歩いて向かいました。
川沿いの道だったのですが、20〜30センチほどの津波が遡って行くのが見えました。
ちなみに当病院には地震当日、地域住民約200人が非難して来られました。
ですので医療活動の一方、避難してきた方たちのお世話も並行して進めたのです。
病院では腎臓透析の患者さんを計120人抱えていて、1日70人の患者さんに透析をする日があります。
その場合、1日に15トンの水が必要ですが、他にも飲料水やトイレなどで水を使いますから、果たして井戸水で足りるかどうかが不明でした。
そこで、東京・永田町の知り合いに電話をして給水支援をしつこく要請したのです。
感染症や自然災害に強い社会を目指して憲法改正を訴えている団体
「ニューレジリエンスフォーラム」
企画委員長の松本尚先生(日本医科歯科大学特任教授)は以前、この病院に勤めておられて同じ釜の飯を食った仲間でもありましたから、松本先生を通じてもお願いした。
そうして
「自衛隊」
からの給水が得られ、配管の修理などをして2024年1月6日からは透析を再開することが出来ました。
尚、能登半島で2番目に透析を再開出来た病院は2024年2月中旬からの実施だったそうです。
それだけ普段からの準備が奏功して、当病院は迅速に対応出来たわけです。
震災からの復旧では、特に病院ではスピード勝負です。
私たちは2024年元日の地震発生当日から、職員で手分けして院内あちこちの修繕に取り掛かりました。
一旦は患者さんを退避させた耐震の病棟も、水道管の破損や天井が落ちた所も修復して、2024年1月11日には患者さんを再び受け入れています。
このスピード感というのは、申し訳ないけれど他の公立病院には見られませんでした。
私たちは民間病院の身軽さもあって、競合見積もりなどせず、病院に来てくれた業者にすぐに修復を依頼していったのです。
そして、使える物は最大限利用するという臨機応変さも大事でしょう。
例えば耐震の病棟では、ボイラーが2つとも倒れていました。
新品のボイラーを注文したら通常、半年かかってしまいます、
しかし協力業者の方が工夫してくれて、倒れた2つのボイラーのうち1つを
「部品取り」
のしてくれたのです。
これで片肺状態ではあるけれど、病棟のシャワーなどお湯が使えるようになりました。
こういう非常時には指揮命令系統を一元化しないと混乱しますから、私が陣頭指揮しました。
とはいえ不眠不休とかというわけではなく、自宅には帰っていました。
もっとも自宅に戻っても、断水でトイレが使えません。
なので、夜はなるべく用を済ませるまで病院に居て、朝も早く病院に来てトイレに行っていました。
職員も皆、そんな感じで結構、病院に入り浸っていました。
少し落ち着いてきた段階で、まずは職員向けに本館のシャワーを開放して、途中からは職員の家族や協力企業の家族も含めて、病院の大浴場を開放しました。
職員も多くは自宅のシャワーもトイレも使えず、小さな子供のいる職員は大変だったと思います。
そこで、2024年1月9日には病院内に急遽、保育所や学童保育を作って、病院で面倒を見るから子供を連れて出勤するよう呼び掛けました。
そうしたら27人の職員が働けるようになったのです。
能登半島の珠洲や輪島の病院では、子供の世話のために看護師の退職が相次いだことが報じられていましたが、ここの病院では震災に伴う看護師の退職はありませんでした。
震災で大変な状況ではありましたが、職員が疲弊してしまっては病院が回せません、
そうならないよう、手を尽くしました。
もちろん、保育所を作ることまでは事前に想定しておらず、地震があってから臨機応変に取り組んだことです。
■緊急時には司令塔を1つに
この病院での経験や教訓を広く伝えたいと思って情報発信していますが、全国各地の病院では一部に熱心な方もいるものの、多くの病院経営者は
「自分が生きている間は大丈夫」
という変な確信を持っておられます。
でも、大きな地震などないと思われていた能登半島がこれだけの被害に見舞われました。
ましてや首都直下地震や南海トラフ巨大地震は、向こう30年間の間に7割以上の確率で起きるとされているのです。
能登半島は人口が少ないこともあって今回、全国の皆さんから手厚い支援が受けられました。
しかし首都直下地震が起きた時には被災地の人口が多過ぎて、助ける方はとても手が回らない状況が想定されます。
だからこそ憲法に緊急事態条項が必要だと、ニューレジリエンスフォーラムでは訴えています。
今回の能登半島の震災でも縦割り行政で、各省庁も県庁も市役所も皆、一生懸命対処してきたけれど、その整合性が全然取れていませんでした。
2024年の4月初めに台湾で大きな地震がありましたが、すぐに立派な避難所が設置されている映像が日本でも流れました。
一方で天皇、皇后両陛下が2度に渡り能登半島に慰問に来られましたが、東日本大震災の時と同様に、地震発生から2カ月以上経っても体育館が避難所になっていて、両陛下が床に膝をついておられる映像が流れていました。
避難所の状況は、東日本大震災から改善されていなかったのです。
これは震災復旧に当たっての司令塔がないということが、一番の問題でしょう。
皆、一生懸命やっているのだけれど船頭が多過ぎるのです。
私たちの病院の場合もそうでしたが、緊急事態には司令塔機能を持つ所をきちんと作ってそこに権限を集中させないと、事が進みません。
能登半島の被災地では壊れた建物の公費解体も進んでいません。
私有財産のため権利関係が複雑だったりすると、なかなか解体に着手出来ないのです。
しかし非常事態には私権をある程度制限してでも、建物を撤去して道路を確保するべきでしょう。
それが出来ないというのは法治国家として悲しいことです。
どこかで緊急事態状況へとスイッチを切り替える必要があると思うのです。
大正時代の関東大震災の後、内務相兼復興院総裁となった後藤新平が大ナタを振るって、昭和通りなどの広い道路を作りました。
もちろん反対の声も大きかったそうですが、それを跳ね除けて今の東京の基礎を作ったわけです。
そのように非常時には1人のリーダーに権限を集中させる仕組みにしないと、スピード感を持った復旧・復興は出来ないと思います。
国会では緊急事態条項の導入に向けた議論が行われていますが、専ら国会議員の任期延長といった話になっていると聞きます。
それも大事なのか知れませんが、関東大震災の時のように議員がそもそも国会に集まれない可能性もあるわけです。
そうした背景もあって、ニューレジリエンスフォーラムでは非常時に内閣が法律に代わる
「緊急政令」
を制定出来るよう提言しています。
能登半島辺りには、北朝鮮のミサイルも飛んで来ることがあります。
北朝鮮による拉致事件もこの周辺で多発しましたし、平成11(1999)年には能登半島沖不審船事件もありました。
ですから個人的には緊急事態の対象として自然災害や感染症に加えて、外国からの武力攻撃も入れてもらいたい。
残念ながらそこまで要求すると、まとまる話もまとまらなくなってしまうとのことで、フォーラムの提言には含まれませんでした。
それから、憲法9条に関しても一言、申し上げたい。
政治信条はともかくとして、
「自衛隊」
が既に存在している現実があるわけですから、きちんと
「軍隊」
として位置付けるべきでしょう。
実態に憲法を合わせる必要があるわけです。
恐らく外国人に言わせれば、陸上自衛隊はアーミーでしょうし、海自はネイビー、空自はエアフォースでしょう。
誰もセルフ・ディフェンス・フォースなんて言いません。
その国際的な常識に合わせて、
「自衛隊」
をきちんと
「憲法」
に明記するのが筋ではないでしょうか。
この病院への給水支援も、航空自衛隊の給水車が雨が降ろうが雪が降ろうが寒い中、毎日15トンの水を運んでくれて、本当に有り難かった。
能登半島の奥の方では、孤立集落に向けて自衛官が徒歩で支援に向かいました。
被災地では自衛隊による仮設の共同浴場がいくつも開設されましたが、これも
「軍事組織」
としての
「兵站力」
があるからこそ可能な話で、警察や消防には無理なのです。
これだけ自衛隊にお世話になっておきながら、存在を認めないなんてあり得ない話でしょう。
国会議員の皆様にはそうした現実を踏まえた上で、憲法改正の実現に向けて動いて頂きたいと思います。

兵站
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B5%E7%AB%99
兵站(へいたん、英語: Military Logistics)は、軍事学上、戦闘地帯から見て後方の軍の諸活動・機関・諸施設を総称したもの。
戦争において作戦を行う部隊の移動と支援を計画し、また、実施する活動を指す用語でもあり、例えば兵站には物資の配給や整備、兵員の展開や衛生、施設の構築や維持などが含まれる。
狭義としては、戦闘支援(戦闘実施時に部隊の作戦行動を支援すること、英: Combat Support(英語版))と後方支援(作戦行動を行う部隊の軍事的な機能を保持させる、英: Combat Service Support)に分けられるが、これらに比べて兵站はより広い範囲を指示する概念である。
本来、軍事学における用語だが、転じて経営学においても用いられる。
この場合の用語はロジスティクスを参照のこと。

自衛隊を行政組織に位置付ける危うさ
正論2024年8月号 三重中京大学名誉教授 浜谷英博
憲法改正論議は衆議院と参議院の憲法審査会で進められているが、所属委員の一部に憲法改正自体に同意しない勢力が存在するため、いくつかの論点が煮詰まりつつあるものの、未だ具体的条文案の作成には至っていない。
憲法調査会の後継機関である憲法審査会は、2007年8月に衆参両院に設置され、2024年で17年が経過する。
この間、紆余曲折を経ながら一進一退を繰り返し、現在も具体的成果を生み出せない姿には、議論自体が目的化している印象さえ受ける。
ただ、その中でも緊急事態条項と並んで議論が収斂されつつあるのが、憲法に自衛隊を明記する改正案である。
改憲に前向きな政党が公表した自衛隊の憲法明記に関する各党案を見てみる。
まず自民党は2018年3月に憲法9条の2項を
「前条(現行9条)の規定は、わが国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置を取ることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」
と加筆するという
「叩き台」
となる素案を示している。
日本維新の会は2022年6月に憲法9条の2項を
「前条(現行9条)の範囲内で、法律の定めるところにより、行政各部の一として、自衛のための実力組織としての自衛隊を保持する」
と加筆する
「憲法改正原案」
を公表した。
一方、公明党からは2023年5月に
「72条(内閣総理大臣の権限)もしくは73条(内閣の職権)に自衛隊を明記」
する北側一雄副代表案が、
また、国民民主党からは2023年4月に憲法第5章の
「内閣」
の中に
「必要な自衛の措置を取るための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」
とする玉木雄一郎代表の案が示された。
大きく分けて
「戦力」
との関係で自衛隊との関連条項である憲法9条に加筆する案と内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督者であることから、憲法第5章の内閣、とりわけ72条もしくは73条に加筆する案などが提示されている。
しかしながら、憲法9条に加筆する改正案でも
「行政各部の1つとして」
との条件を付していること、そしてとりわけ内閣の章内に自衛隊を明記する主張には、その根底に行政組織としての自衛隊の法的位置付けを変更しない意図が垣間見えている。
ここで問題は、憲法への自衛隊の書きぶりはともあれ、現在の自衛隊が国家行政組織法上の行政組織の1つとの従来の政府解釈から、一歩も踏み出そうとしない改憲姿勢である。
平時に活動する
「一般行政組織」
と非常時に武力行使を伴う
「軍事組織」
との根本的相違を放置したまま自衛隊を憲法に明記したとしても、任務の遂行に多くの制約が課され、目的の完遂に困難を極めることは明らかだ。
自衛隊を正規の軍隊もしくはそれに準ずる独立した組織とし、それに伴って自衛官に軍人としての国際法上の法的地位があることを確認し、その活動について最高指揮監督者の存在を明記するのでなければ、自衛隊の本来の創設目的に沿った任務と行動を担保することにはならないのではないか。
諸外国における自国防衛のための軍事組織(一般に軍隊もしくは国軍)は、一般の行政組織とは一線を画した組織として機能している。
理由は、その運用に関して、一般行政組織とは異なる原理を適用しなければ、求められる本来の任務を遂行できない場合が多々想定されるからである。
通常、軍隊は、自国の独立と安全を確保し、国民の生命と財産を保護することを目的とし、国家の存亡を賭けた非常時に最後の手段として出動を命じられる組織である。
従って、そのための行動に国内法的制約はない。
あるのは国際法(武力紛争法や国際人道法と称され、捕虜の扱いや非交戦の個人の保護など戦時における人間の保護を目的としている)上の制約のみである。
一般の行政組織とは明らかに異なる軍隊の行動や任務の目的が明確である以上、必然的な措置であろう。
本稿では、自衛隊を行政組織の1つとする解釈から派生する危険性や矛盾、同盟国との共同行動やPKO参加時における支援など、関連する諸点について考えてみたい。
■任務を完遂させない頸木( くびき:自由を束縛するもの)
まず、既に提起されている憲法改正案のいくつかを検討してみたい。
その内、72条への明記案は、72条が
「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する」
と規定していることから、行政組織としての自衛隊を新たに書き込むことによって、その法的地位の変更までを含まない意図が読み取れる。
この明記の結果、確かに自衛隊が憲法違反との主張はなくなるかもしれないが、行政各部と横並びに規定することによって、自衛隊が行政組織の一部であるとの意味合いも同時に強めかねない。
強いて72条に書き込むのであれば、新たな1項を追加し、一般行政組織とは一線を画した組織であることを明確にした書き方にしなければ改正の意味がない。
また、憲法73条は、内閣という合議体が一般行政事務と共に行う7項目の各事務を規定している。
ここに自衛隊を書き込む改正案は、自衛隊法7条にある
「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」
との規定を、憲法条項に引き上げようとする意図であろう。
しかし国家の存亡の危機に際して、合議体に決断を求めること自体が迅速性の要請に反し、合理的とは言えない。
憲法73条に自衛隊を明記することで、72条に明記するよりも内閣総理大臣の独断の可能性が弱まる、との主張もあるくらいだ。
その理由は、72条の主語が
「内閣総理大臣」
であるのに対し、73条は
「内閣」
であり、合議体の決定事項に
「自衛隊の行動」
を入れることで、少しでも内閣総理大臣個人の決断の歯止めにしたい思惑が窺える。
しかし、軍事組織の出動の決断は、国家の存亡を賭けた最後の手段の選択であり、その際には当然、決断の的確性と迅速性が求められる。
つまり合議体による長引く議論自体が決断を遅延させ、取り返しのつかない結果を導く恐れがあるからだ。
ちなみに制度的には、内閣の決定に反対の大臣を罷免し、内閣総理大臣自らが罷免した大臣の職務を兼務して閣議決定することも可能である以上、非常時の決断は迅速性を重視することがことのほか重要である。
一方、憲法9条に自衛隊を明記する案にも、自衛隊を
「行政各部の1つとして」
保持するなどの文言があり、行政組織の1つとの認識に変更のない改正案もある。
明記する場所、書き方はともかく、自衛隊を行政組織の1つと位置付ける発想から脱しない限り、危機に際しての自衛隊の任務の完遂は困難を極める。
■行政は逐一法的根拠を求める
改めて確認するが、現在の政府解釈によれば、自衛隊は国内法上、国の行政組織(防衛省)に属する1組織であり、少なくとも諸外国で言う
「軍隊」
ではない。
法制上も、自衛隊は防衛省設置法5条に規定され、
「自衛隊の任務、自衛隊の部隊及び機関の組織及び編成、自衛隊に関する指揮監督、自衛隊の行動及び権限等は、自衛隊法(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる」
とされている。
更に防衛省設置法第4条は防衛省の所掌事務に関し、
「防衛及び警備に関すること」(同条1号)
「自衛隊の行動に関すること」(同条2号)
「陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置に関すること」(同条3号)
「前三号の事務に必要な情報の収集整理に関すること」(同条4号)
などの規定が置かれている。
そして自衛隊が行政組織の1つであれば、その行動はあくまで
「行政作用」
であって、行政法学で言う
「法律による行政」
の原理が適用される。
つまり自衛隊の
「行動」
及び
「権限」
の両方に法律の根拠が必要とされることになり、自衛隊関連法がポジティブリスト方式で規定(出来る事のみを条文化する、条文にないことは行動出来ない)されていることとも相まって、緊急事態等などを含め国内法上の大きな制約になっている。
自衛隊に対するこの姿勢は、国内法上の制約を課さない諸外国の軍隊と大きく異なり、自衛隊の異質性を象徴する実態を示している。
一般に諸外国では、軍事組織の創設目的が国の独立と安全及び国民の生命と財産の保護にある以上、その規定の範囲内の正当な行動に国内法的制約を課す理由はない、と考えられている。
もちろん
「法律による行政」
の原理が、民主的な法治国家において、とりわけ重要な法原理であることは論を待たない。
即ち行政作用が法律を根拠に行われるべき理由は、国民の自由・権利を公権力の恣意的な介入から守り、公権力を民主的にコントロールするため、国民の代表者で構成される国会が制定する法律によって統制を徹底することが重要だからである。
しかし自衛隊の行動は平時の一般行政組織のそれとは性格と実態を大きく異にする。
国家の存亡を賭けた武力行使によって、国の独立と安全及び国民の生命と財産を保護する任務の遂行には、一般行政組織の活動にはない多くの特殊性が認められる。
諸外国で独立した組織として、任務を完遂する活動が認められているのはこのためである。
例えば一般行政組織では、通常の活動に
「透明性」
が重視され、関係書類や各種資料は
「情報公開」
の対象となる。
また折に触れ、実施された行政活動について
「説明責任」
を課され、度重なる記者会見や国会における関係大臣及び官僚の答弁が求められる。
これに対し通常の軍隊は、防衛政策上の機密事項を取り扱い、同盟軍との防衛機密の共有やその保全義務などの遵守を求められる。
これらが担保されない限り、国家間の信頼は醸成され得ず、同盟関係の根幹を揺るがしかねないし、そもそも軍事組織同士の相互の連携や強固な団結も生まれない。
つまり一般の行政組織の作用には馴染まない部分が多くあるのが普通である。
それでは何故自衛隊が現在まで、諸外国にはない発想で、一般行政組織として位置付けられてきたのだろうか。
それには歴史経緯の中でいくつかの理由があると同時に、その解釈を変更する複数回の機会があったことも事実である。
上記理由の1つは、自衛隊の出自の問題である。
周知のように、自衛隊の前身は、1952年に創設された保安隊であり、更にその前身は、朝鮮戦争を背景にして1950年に創設された警察予備隊である。
これら2組織は、あくまで警察力を補完し国内治安を維持する目的で創設され、ポジティブリスト方式で規定された根拠法と共に、国の防衛を任務とする組織ではなかった。
しかし、1954年に創設された自衛隊は、その主たる任務も
「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛すること」(自衛隊法第3条)
と明記されており、諸外国における軍隊の創設目的及び任務と同様になった。
本来は、この時点で行政組織の1つとの法的位置付けを脱し、民主的な独立国の軍事組織として、関係法の規定方式も抜本的な変更について十分検討した上で、ネガティブリスト方式(行ってはいけない事を条文化。禁止された事以外のあらゆる行動が可能)に変えなければならなかったはずである。
しかし国際情勢の推移や日本を取り巻く安全保障環境の激変を敏感に捉えず、戦後間もない国内政治状況などから、従来からの憲法解釈を自衛隊にもそのまま踏襲してきたのである。
この点はそのまま、自衛隊を一般行政組織と位置付けてきた今1つの理由にも重なっている。
つまり一般行政組織を脱して自衛隊を国際法上の軍事組織として解釈するには、憲法上の
「戦力」
規定との関係で、憲法9条の解釈変更もしくは改憲を伴うことが想定された。
従来から政府は、自衛隊が憲法で保持を禁ずる
「戦力」
には該当せず、
「自衛力」
を具現する行政組織として説明してきたからである。
従来の解釈の見直しは、当時の国内政治状況や国民意識等の社会情勢を幅広く考慮して回避され、その歪みを残したまま現在に至っている。
■有事に矛盾が噴出
自衛隊の法的位置付けを見直す機会は、日本が国連平和維持活動(PKO)への参加を決断した1992年にもあったと見るべきである。
つまり自衛隊は軍隊ではなく、従って自衛官は軍人ではなく特別職の国家公務員であるとの政府解釈は、自衛隊が任務として海外に派遣されることのなかった時代には、あまり切実な問題とは考えずに済まされてきた。
しかし、日本の国際貢献策として自衛隊のPKO参加が積極的に実施されるようになったPKO協力法の制定(1992年)以降、自衛官が海外で捕虜や人質になる可能性も現実に想定されるようになっている。
危険な場所には派遣されないとの前提や政府説明はあるにせよ、海外のPKO派遣地域は紛争後の安定化に向けた過渡期であることが多く、状況の一変は日常茶飯の出来事である。
その際、不幸にも捕虜になった自衛官が軍人ではなく、1公務員に過ぎないとなれば、国際法上の捕虜の待遇を求めることが事実上出来なくなる恐れはないか。
もちろん人道上の配慮や対応は想定されるにせよ、国際法上の権利として相手国に要求することの根拠は希薄になるだろう。
まして悪意のある相手国又は民度の低い武装集団が自衛官を捕虜として身柄を確保し、日本政府に対し、軍人ではない自衛官の地位を確認してきたとすれば、政府はどのように返答するのだろうか。
その時になって、自衛官は軍人であるから国際法上の捕虜の待遇を要求するとして、初めて従来の政府解釈を変更するのだろうか。
■既に軍隊と評価される自衛隊
ちなみに自衛隊及び自衛官の国際法上の地位は、一般にジュネーブ諸条約第1追加議定書第43条1項(1977年)の
「軍隊」
の定義に照らし理解され、評価される。
それによれば、軍隊とは
「部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装した全ての兵力、集団及び部隊」
を言うとされ、その構成員は
「戦闘員であり、即ち、敵対行為に直接参加する権利を有する」(同条2項)
と規定されている。
つまり戦闘員は、戦時において敵国戦闘員を殺傷し、軍事目標を破壊する権利を有し、その法的責任を負わないことに国際的合意が形成されている。
つまり自衛隊及び自衛官は、その名称にかかわらず、ジュネーブ諸条約第1項追加議定書第43条の軍隊の定義にも合致し、人員、組織、編成並びに装備及び規模や訓練状況などから、軍隊としての要件を十分に満たしていると言える。
この基準に従えば、国際法上自衛隊は軍隊であり、自衛艦は軍艦であり、自衛隊機は軍用航空機である。
また自衛官は軍隊構成員(戦闘員)であり、活動中に敵国の権力内に陥った場合には、捕虜の待遇を受ける国際法上の権利を有していると解釈される。
これはPKOに参加した自衛官が捕虜になった場合も、自衛官が軍隊構成員としての法的地位を有していれば、捕虜待遇を受けると解釈されよう。
肝心な問題は、現在の政府解釈である。
つまり
「自衛隊は国内法上軍隊ではないが、国内法上軍隊扱いされる」
との法的論理矛盾と曖昧さを解決することが、政府にとっての喫緊の課題であろう。
国際法上の法的根拠を国内法で受容することに、特段の支障があるとは思えない。
そして将来的に日本が、PKOをはじめとする国際貢献を積極的に展開する上でも法的矛盾を放置することなく、自衛隊及び自衛官が心置きなく国際貢献活動に専念できるよう、自衛隊及び自衛官の地位に関し、国際標準に沿った解釈に変更することが急がれる。
また自衛隊及び自衛官については、国内法的にも長年積み重ねてきたガラス細工のような法解釈ではなく、民主国家に必要かつ重要な機関として憲法上位置付けられることが必要である。
■安全確保に何が必要か
成熟した民主国家において、政治と軍事のバランスの取れた関係は、国家の積極果敢な活動を担保し、国民の安全を確保する上で極めて重要である。
そのためにはまず、軍事に対する正確な知識と見識を有し、的確かつ迅速な決断力を持った政治家が必要である。
その背景として、国はもちろん地域社会や個人の将来について関心を持つ民主的意識の高い国民の存在が不可欠で、かかる資質のある政治家を見極め、正当な選挙で選出しておくことが肝要である。
他方で、文民統制を正確に理解し、徹底した政治の優位の下で、知見や経験、多方面の情報やデータを駆使した軍事情勢の確かな分析を、政治的判断材料として提供するプロ集団としての軍事組織も欠かせない。
両者のいずれが欠けても、国際社会のあらゆる分野でリーダーシップを発揮できる強靭な国家とはなり得ない。
ロシアのウクライナ侵略、イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの出口の見えない紛争、台湾有事と言われる日本近隣での中台武力衝突の可能性など、国際安全保障環境は混沌として先行き不透明だ。
国は非常時における的確かつ迅速な決断を誤らないよう法的整備や防衛手段を万全とし、国民としても日頃からの関心と心構えを忘れるべきではない。

2013.12.7 12:00
【中高生のための国民の憲法講座】
第23講 なぜ憲法に軍隊明記が必要か 百地章先生
http://www.sankei.com/life/news/131207/lif1312070030-n1.html
なぜ自衛隊を
「軍隊」
としなければならないのか。
本質的な理由は次の点にあります。
つまり戦力の不保持を定めた憲法第9条の下では法制度上自衛隊は軍隊ではなく警察組織に過ぎないとされているからです。
◆軍隊と警察の違い
それでは軍隊と警察の違いは何でしょうか?
軍隊の権限は
「ネガティブ・リスト」
方式で規定されています。
つまり行ってはならない事柄、例えば、毒ガス等の非人道的兵器の使用禁止や捕虜の虐待禁止などを国際法に列挙し禁止されていない限り軍隊の権限行使は無制限とされます。
だからネガティブ・リスト方式と言います。
なぜなら国際社会ではもし武力紛争が発生した場合、国連安保理事会が対処することになっていますがそれが出来ない時は各国とも自分で主権と独立を守るしかないからです。
これに対し警察の権限行使は
「ポジティブ・リスト」
方式です。
つまり国家という統一秩序の中で国民に対して行使されるのが警察権ですから制限的なものでなければなりません。
だから行使して良い権限だけが法律に列挙されており、これをポジティブ・リスト方式といいます。
それ故、もし自衛隊が法制度上、軍隊であれば、領海を侵犯した軍艦や潜水艦に対しては、国際法に従って、まず
「領海からの退去」
を命じ、それに従わない時は
「警告射撃」
を行うことが出来ます。
更に、相手側船舶を
「撃沈」
することさえ可能です。
現に、冷戦時代、スウェーデン海軍は領海を侵犯したソ連の潜水艦を撃沈していますが、ソ連は何も言えませんでした。
◆尖閣諸島を守るために
ところが、自衛隊は
「軍隊」
ではありませんから、自衛隊法に定められた
「防衛出動」
の場合を除き、武力行使はできません。
また、自衛隊法には
「領域警備規定」
がありませんから、もし中国の武装漁民が尖閣諸島に強行上陸しても、防ぎようがないのです。
相手が発砲してくれば、
「正当防衛」
として
「武器使用」
が出来ますが、場合により
「過剰防衛」
で起訴されかねません。
従って速やかに憲法を改正して、自衛隊を
「軍隊」
とする必要があります。
そうしなければ尖閣諸島も守れませんし、中国の軍事的脅威を前に、我が国の主権と独立を保持することは難しくなります。

自衛隊の事故と隊員の死生観
正論2024年8月号 麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男
2024年5月30日、山梨県の陸上自衛隊北富士演習場で、手榴弾投擲(しゅりゅうだんとうてき)訓練において爆発した手榴弾の破片が男性隊員に当たり死亡した。
森下泰臣陸上幕僚長は
「このような事案は、武器を扱う組織としては、決してあってはならないものであり、陸上幕僚長として非常に重く受け止めております」
と述べ、安全が確認されるまで、陸上自衛隊の全ての実弾射撃訓練を中止するとした。
自衛隊の事故がある度に
「杜撰な訓練」
「たるんだ組織」
「これで有事、戦えるのか」
といった批判がメディアやSNSを賑わす。
トップが頭を下げ、訓練が中止されるのが、日本の
「定番」
の光景である。
そこには自衛隊員の
「死」
に対する尊崇の念は感じられない。
平時とはいえ、我が国防衛のための訓練中の事故である。
訓練で殉職者を出すことは、極めて残念なことである。
事故の絶無に向けて安全管理体制を見直し、訓練を実のあるものにする努力は欠かせない。
だが戦場で流す血の量は、訓練で流す汗の量に反比例すると言われる。
訓練は1日たりとも蔑ろにしてはならない。
1日訓練を中止すれば、1日精強化が遅れる。
安全対策を取れば直ちに訓練を再開させるべきである。
それが殉職者に報いることでもある。
筆者は防衛省、自衛隊に約40年間奉職した。
この間、何十件という隊員の殉職に遭遇した。
その度に
「定番」
の光景が繰り返され、違和感と憤りを覚えた。
現役時代、米アラスカで実施される多国籍の共同演習にオブザーバーとして参加したことがある。
演習の最中、英空軍戦闘機が山に激突して操縦者が殉職する事故に出くわした。
地元メディアは殉職者の栄誉を称え、英軍の同僚たちは、キャンプファイアーのような火を囲み、何やらセレモニーらしきものを夜通しやっていた。
翌日は何事もなかったかのように共同演習は続けられ、英空軍の将校たちもスケジュール通り訓練に参加していた。
これが軍隊かと感動したのを思い出す。
防衛省の事故対応やメディアの報道には、有事の視点が欠落し、自衛隊が戦う組織であることの認識が共有されていないように感ずる。
結果的に殉職隊員の
「死」
が蔑ろにされているように思えてならない。
■木原防衛大臣の言葉
筆者は戦闘機操縦者だったこともあり、どうしても航空事故に目が行く。
近年の航空事故だけでも、これだけ殉職事故が起きている。
▼平成31年4月、青森県沖で空自F-35戦闘機が墜落し、1人が死亡
▼令和4年1月、空自F-15戦闘機が石川県沖の日本海に墜落し、2人が死亡
▼令和5年4月、陸自ヘリが沖縄県の宮古島沖で墜落し、10人が死亡
▼令和6年4月、伊豆諸島沖で海自ヘリ2機が墜落し、1人が死亡、7人が行方不明(後に死亡と判断)
2024年4月の海自ヘリの事故は、夜間の太平洋上で海自対潜ヘリ3機が潜水艦を探知する対潜戦の訓練中、各機4人が乗る2機が空中で衝突したものである。
真っ暗な洋上低高度の訓練が如何に厳しいものか。
これは経験した者しか分からないだろう。
木原稔防衛相は
「このような事故が起こったことは、痛恨の極みだ」
と述べた上で、今後の対応について
「事故原因は確認中だが、航空機の安全管理は徹底しなければならない」
「自衛隊の全ての航空機に対して、飛行前後の点検を入念に実施することや、操縦者に対して安全管理や緊急時の手順の教育を改めて実施すること、更に部隊の長には、隊員を適切に指導することなどを改めて大臣指示の形で速やかに発出したい」
と述べた。
ここまでは
「定番」
だが、大臣は次のように続けた。
「訓練の頻度を下げて運用能力を向上させないまま有事があった場合には、尚一層危険性が増すことに繋がる」
「訓練をして十分に練度を上げた上で、有事に備えることが必要だ」
自衛隊の本質を突いた発言であり、事故直後の大臣発言としては珍しい。
「有事」
を念頭にした訓練の厳しさ、重要性を訴え、所要の安全措置を採った後は、速やかな訓練再開の必要性を強調したものである。
諸外国の常識に一歩近付いたとの印象を持った。
他方、メディアは次のような点を批判していた。
夜間訓練のリスク、訓練の安全管理体制、部隊技量を評価する「査閲」の実施方法、位置情報共有システムの未使用、防衛省の対応要領、訓練スケジュールの過密さ、隊員の疲労蓄積などである。
リスクがあるから訓練するのであり、コメントする気が失せる批判も多い。
また安全管理体制や防衛省の対応への批判は、お決まりのパターンで論評に値しない。
ただ、
「部隊技量を評価する査閲」

「位置情報共有システムの未使用」
の批判については、コメントしておきたい。
対潜戦について、筆者は素人であり論評できる立場にない。
だが、
「位置情報共有システムの未使用」
への批判については、大事な視点が欠けているように思えてならない。
「位置情報共有システム」
は近くで行動する友軍機との衝突防止のための装置という。
戦闘機でも安全確保をサポートする各種警報装置や安全装置が装備されている。
だが、これらは操縦者の判断を支援する装置に過ぎず、それが作動しなければ、直ちに任務中止という代物ではない。
有事任務遂行中に、各種支援装置が故障しても(今回が故障かどうかは不明)、必ずしも任務を即中止というわけにはいかない。
任務遂行が何より優先され、たとえ主な安全確保手段がなくても、代替手段で任務は継続しなければならない。
代替手段がない場合でも、最終的には操縦者の
「勘と経験」
で任務を継続することだってあり得る。
そういう不測事態も予期して、普段から訓練を実施しているはずだ。
次に
「部隊技量を評価する査閲」
としての訓練であった点である。
「査閲」
というのは、指揮官が部隊の練度を確認する行為である。
有事であれば
「査閲」
を受けて合格した部隊が戦地に派遣される。
言わば有事を想定した最も厳しい状態で実施される訓練である。
海自トップの酒井良幕僚長も
「通常よりも実戦に近い訓練」
と語っている。
このような事情を無視して無責任に批判するのは、有事の視点の欠落だけでなく、自衛隊を実力組織と見做していない証左でもある。
政治やメディアが掘り下げるべきは、近年の実任務増加による訓練量の不足、隊員の疲労蓄積状況、あるいは実員不足による荷重勤務の実態などであろう。
自衛隊員は与えられた条件が、たとえ劣悪であっても文句も言わず、黙々と努力することを美徳としている。
それは美徳であるが、ある意味弱点でもある。
これを指摘するのがメディアであり、改善するのが政治の役割であろう。
■矜持の源泉
戦闘機操縦者であった筆者の経験で言うと、特に飛行任務を専門にする自衛隊員は、全員
「有事」

「死」
は常に意識していると思う。
飛行物体は必ず落ちる。
事故は確率の問題である。
その確率を限りなくゼロに近付ける努力は徹底して実施すべきだ。
だが、事故はゼロにはなり得ない。
航空事故は死に直結する。
地上に生活することを宿命付けられた人間が、神の意に反して3次元空間を職場にするのだから、
「死」
が身近にあるのは当然だ。
自衛隊は法的には軍隊ではない。
だが、戦って国を守る実力組織であり、決して他の行政組織と同質の組織ではない。
それを端的に表しているのが自衛隊員の
「服務の宣誓」
である。
「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、【事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います】」
(【】は筆者)
【】のフレーズは自衛隊員の宣誓以外にはない。
ちなみに国家公務員の宣誓は以下の通りである。
「私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います」
自衛隊員と同様、危険と対峙する職業である消防職員、警察職員の宣誓にもないフレーズであり、その意味する所は重い。
筆者は自衛隊勤務約40年間、常にこのフレーズを意識してきた。
「死」
を意識せざるを得ない勤務であり、それが矜持の源泉でもあった。
政治家がこのフレーズを引用して、自衛隊の任務の重さを説くことがある。
自衛隊員を激励し、任務の厳しさを国民に伝えるためであり、自衛隊員にとっては感謝すべき事かもしれない。
だが政治家がこれを引用する度に、筆者は違和感を持っていた。
政治家が思うより、自衛隊員にとっては、
「死」
は身近であり、このフレーズは神聖なものだ。
「全力を挙げて」
とか
「全身全霊で」
と軽々しく言う政治家に、これが分かってたまるか。
軽々しく言ってもらいたくないという複雑な思いがあった。
クリスチャンでもない人が聖書を引用する時、敬虔なクリスチャンが抱く違和感と似た所があるのかもしれない。
同時に
「危険を顧みず、身をもつて責務の完遂」
を求める一方で、
「戦力」
としての自衛隊を認めない
「日本国憲法」
を遵守せよと言うのか、という割り切れない思いがあったのも事実である。
■部下の「死」
筆者は戦闘機操縦課程を卒業して、小松基地(石川県)の第6航空団に赴任した。
昭和52(1977)年4月1日に着隊し、第6航空団司令に赴任の申告を実施した。
その際、沖縄から転属してきたベテラン操縦者であるIさんと同席した。
その3日後である。
Iさんは日本海で殉職された。
筆者の小松での最初のフライトが、行方不明のIさんを捜索するフライトだったのを今でも鮮明に思い出す。
それから数年経った時である。
今度は同じ官舎に住むF-4操縦者のMさんが対艦攻撃訓練中、殉職された。
自衛隊在職中、戦闘機操縦者としての筆者の身近には、常に
「死」
があった。
食うか食われるかの実戦場裏で任務を全うするには、実戦状況下に近い厳しい訓練で戦技を磨かねばならない。
訓練で出来ない事は実戦で出来るわけがない。
かつてフォークランド紛争に出撃した英軍操縦者と話したことがある。
フォークランド紛争は1982年に起きたイギリスとアルゼンチンの間の紛争であり、近代化された軍同士による戦争だった。
結果的にはイギリスが勝利したが、英軍操縦者は実戦よりも訓練の方が厳しかったと述べていた。
それでも激しい戦闘と、職場での経験により、多くの英軍操縦者が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんだという。
厳しい実戦に備える訓練は自ずと厳しいものになる。
「死」
を意識するのは、決して戦場だけではない。
若い頃は、
「空」
への憧れが
「死」
の恐怖を超えていた。
「空」
には事故は付き物だ。
事故は確率の問題、だからその時は
「死」
もやむを得ないと無謀にも達観していた。
若気の至りである。
結婚して家庭を構え、子供を持つ頃になると、意識は変わって来た。
操縦技量も戦術判断もベテランの域に近付いて来るのだが、それに比例するように
「死」
に対する恐怖、臆病さ、慎重さが増していく。
「空」
の恐ろしさ、自然の冷徹さが経験を通じて理解出来るようになるからだ。
特に飛行隊長といった指揮官職になるとこれが顕著になる。
「死」
が家庭、自衛隊、そして社会や国家に与える影響を考えざるを得ない。
同時に、自分の
「死」
だけでなく、部下の
「死」
が関わってくる。
指揮官にとって部下の
「死」
は何よりも耐え難いものである。
何としてでも部下を死なせたくないという思いは、どの指揮官にとっても共通の願いである。
かといって厳しい訓練を避ければ部下は精強な操縦者として育たない。
そのツケは有事に戦死という結果で返って来る。
操縦者には、ある程度、身の丈を超える試練を課さなければ、進歩は期待できない。
さりとて限度を超えると必ず事故は起きる。
戦場では予測不可能な事が起きるのが常である。
どんな状況でも臨機応変に対応できる精強な飛行隊を育成するには、安全管理が徹底された訓練をこなすだけでは不十分である。
時にはある種の
「管理された冒険」
が必要となる。
事故を限りなくゼロに近付ける訓練は可能である。
だが実戦に役に立たない操縦者、飛行隊を育てるのは本意ではない。
飛行隊長の2年間は、このジレンマに悩み続けた。
■自己犠牲
子供が中学生になり、そろそろ子供の教育のために単身赴任をとも考えた。
だが、敢えて家族帯同で飛行隊長に就任した。
万が一、部下が殉職したような場合、直ちに部下家族の精神的ケアが必要となる。
国はここまで面倒を見てくれない。
これには、家内の助力が欠かせない。
飛行隊長に命ぜられた時、まさかの時を考えて単身赴任をやめ、帯同を決心した。
「あわや」
という際どい状況は何度もあった。
だが、幸い殉職事故はなく、家内の辛い出番もなかった。
殉職者を出すことなく、思う存分の訓練が出来たのは、まさに
「男の本懐」
だった。
2年間の飛行隊長勤務を終え、部下に見送られながらフェリーの甲板に立ち、岸壁の部下たちが飛行隊旗を振りながら見送ってくれる姿を見て、ようやく
「死」
の重みから解放された。
この時の安堵感、達成感、解放感は言葉に尽くせない。
胸に込み上げてきたのは、殉職者を出さなかったことの安堵感だった。
筆者は幸運に恵まれたに過ぎない。
激烈な職場で生き残るための厳しい訓練に事故は付き物だ。
幾重にも安全対策を講じるが、人間からミスを消し去ることは出来ないし、機械の故障をゼロにすることは出来ない。
そこに
「死」
と直面する必然がある。
これに対する国民の理解がなければ、士気も訓練レベルも下がり、自衛隊の精強化は難しい。
それはこれまでの殉職者への冒瀆でもある。
自衛隊発足以来、殉職者は既に2000名を超えている。
20数年前の事である。
空自T-33練習機が入間川(埼玉県)に墜落して2名のベテラン操縦者が殉職した。
前席操縦者のNさんは、当時、航空幕僚監部で勤務しており、技量維持のための操縦訓練中に出くわした事故である。
筆者も空幕勤務だったてめ、Nさんとは付き合いがあった。
非行技量もさることながら、人格、識見共に優れ、将来を嘱望された将校だった。
Nさんは、突如エンジンの止まったT-33を、民家を避けるためギリギリまで誘導しようとして脱出が遅れた。
2名ともパラシュートが開き切らない状態で地上に激突して殉職した。
脱出まで、絶妙の操縦で河川敷に機体を誘導し、民家への被害を避けることは出来た。
だが、脱出後の墜落機が不幸にも近くを通る高圧線を切断した。
首都圏の何万という世帯が停電になり、山手線も止まった。
この時のメディアの報道ぶりには、憤りを通り越して、無力感を覚えた。
我が身を犠牲にして民家への被害を避けたことには一切触れず、空自機が高圧線を切断して首都圏に停電をもたらしたことだけをクローズアップする。
尊い人命が失われたことには触れず、停電によって
「水槽の保温装置が働かず熱帯魚が死んだ」
という心無い報道がお茶の間を賑わした。
腸が煮えくり返り、呆れ返った。
後日、某高校の校長先生が、生徒の教育に一文を書き、Nさんの行為を紹介した。
最後にこうあった。
「母は我が子のた、父は家族のために命を投げ出して戦います」
「これが人間の本当の姿なのです」
「その愛の対象を家族から友人へ、友人から国家へと拡大していった人を我々は英雄と呼ぶのです」
同僚の殉職と心無いメディア報道に胸が潰れる思いだったが、この一文に救われた。
自衛隊員は英雄になる必要はない。
だが
「事に臨んでは危険を顧みる」
ことを許されない自衛隊員は、時として自己犠牲をも伴った責任の履行を強いられることは知っておいてもらいたい。
人間は誰しも
「死」
は怖いし、天寿を全うすることを至上の願望としている。
自衛官も生身の人間である。
にもかかわらず、国家、国民への思いを抱きながら、常に
「死」
を意識し、日夜、有事に備えて厳しい訓練をしている。
そういう自衛隊員がいることだけは忘れないでもらいたい。

おりた・くにお
麗澤大学特別教授・元空将。
昭和27年生まれ。
防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入り、F4パイロットなどを経て、米スタンフォード大学客員研究員、航空幕僚監部防衛部長、航空支援集団司令官などを歴任。

人間を矮小化してはならぬ 〜自衛隊員の犠牲に寄せて
2010/2/11 7:46
https://ameblo.jp/nippon-and-world/entry-10455948174.html

二人の自衛官の死とマスコミ: あの時何があったのか?
https://yamatogokorous.com/jieikantomedia/
『出典:藤棚 狭山ヶ丘高等学校 学校通信 1999/12/1』 
人間を矮小化してはならぬ
小川義男 校長
先日、狭山市の柏原地区に自衛隊の技習用ジェット機が墜落しました。
たまたま私は、寺田先生と共に、あの近くを走っていましたので、立ち寄ることとしました。
すでに付近は閉鎖されていて、近くまで行くことはできませんでしたが、それほど遠くないあたりに、白煙の立ち上るのが見えました。
見上けると、どのような状態であったものか、高圧線がかなり広範囲にわたって切断されています。
高圧線は、あの太くて丈夫な電線ですから、切れるときはぶつんと切れそうなものですが、多数の細い線の集まりからできているらしく、ぼさぼさに切れています。
何カ所にもわたって、長くぼさぼさになった高圧線が鉄塔からぶら下がっている様は、まさに鬼気迫るものがありました。
聞くと、操縦していた二人は助からなかったそうです。
二佐と三佐と言いますから、相当地位の高いパイロットだと言えます。
ニ人とも脱出を試みたのですが、高度が足りなく、パラシュート半開きの状態で地面に激突し命を失った模様です。
以前、現在防衛大学の学生である本校の卒業生が、防大合格後航空コースを選ぶというのを聞いて、私がとめたことがあります。
「あんな危ないものに乗るな」
と。
彼の答えはこうでした。
「先生、戦闘機は旅客機より安全なのです」
「万一の場合脱出装置が付いておリ、座席ごと空中に打ち出されるのですから」
と。
その安全な戦闘機に乗りながら、この二人の高級将校は、何故、死ななくてはならなかったのでしょうか。
それは、彼らが十分な高度での脱出を、自ら選ばなかったからです。
おそらく、もう百メートル上空で脱出装置を作動させていれば、彼らは確実に自らの命を救うことができたでしょう。
47歳と48歳と言いますから、家族に取りかけがえなく尊い父親であったでしょう。
それなのに、何故、彼らはあえて死をえらんだのでしょうか。
実は、あの墜落現場である入間川の河川敷きは、その近くに家屋や学校が密集している場所なのです。
柏原の高級住宅地は、手を伸ばせは届くような近距離ですし、柏原小、中学校、西武文理高等学校もすくそばです。
百メートル上空で脱出すれば、彼らは確実に助かったでしょうが、その場合残された機体が民家や学校に激突する危険がありました。
彼らは、助からないことを覚悟した上で、高圧線にぶつかるような超低空で河川敷に接近しました。
そうして、他人に被害が及ばないことが確実になった段階で、万一の可能去性に賭けて脱出装置を作動させたのです。
死の瞬間、彼らの脳裏をよぎったものは、家族の顔でしょうか。
それとも民家や学校を巻き添えにせずに済んだという安堵感でしょうか。             
他人の命と自分の命の二者択一を迫られたとき、迷わず他人を選ふ、この犠性的精神の何と崇高なことでしょう。
皆さんはどうですか。
このような英雄的死を選ぶことができますか。
おそらく皆さんも同じコ一スを選ぶと思います。
私も必ずそうするでしょう。
実は、人間は、神の手によって、そのように作られているのです。
人間はすべてエゴイストであるというふうに、人間を矮小化(ワイショウ)、つまり実存以上に小さく、卑しいものに貶(オトシメ)めようとする文化が今日専ら(モッパラ)です。
しかし、そうではありません。
人間は本来、気高く偉大なものなのです。
火災の際の消防士の動きを見てご覧なさい。
逃げ遅れている人があると知れば、彼らは自らの危険を忘れて猛火の中に飛び込んでいくではありませんか。
母は我が子のために、父は家族のために命を投げ出して戦います。
これが人間の本当の姿なのです。
その愛の対象を、家族から友人へ、友人から国家へと拡大していった人を我々は英雄と呼ぶのです。
あのジェット機は、西武文理高等学技の上を飛んで河川敷に飛び込んでいったと、佐藤校長はパイロットの犠牲的精神に感動しつつ語っておられました。
しかし、新聞は、この将校たちの崇高な精神に対しで、一言半句(イチゴンハンク)のほめ言葉をも発しておりません。
彼らは、たたもう自衛隊が、
「また、事故を起こした」
と騒ぎ立てるばかりなのです。
防衛庁長官の言動も我慢がなりません。
彼は、事故を陳謝することのみに終始していました。
その言葉には、死者に対するいたわりの心が少しもありません。                           
防衛庁の責任者が陳謝することは、それはもう当然です。
国民に対してばかりか、大切な隊員の命をも失ったのですから。
しかし、陳謝の折りに、大臣はせめて一言、
「以上の通り大変申し訳ないが、隊員が、国民の生命、財産を守るため、自らの命を犠牲にしたことは分かってやって頂きたい」
「自衛隊に反発を抱かれる方もあるかも知れないが、私に取り彼らは可愛い部下なので、このことを付け加えさせてもらいたい。」
くらいのことが言えなかったのでしょうか。
隊員は命を捨てて国民を守っているのに、自らの政治生命ばかり大切にする最近の政治家の精神的貧しさが、ここには集中的に表れています。
まことに残念なことであると思います。
このような政治家、マスメディアが、人間の矮小化をさらに加速し、英雄なき国家、エゴイストのひしめく国家を作り出しているのです。
人は、他人のために尽くすときに最大の生き甲斐を感ずる生き物です。
他人のために生きることは、各人にとり、自己実現にほかならないのです。
国家や社会に取り、有用な人物になるために皆さんは学んでいます。
そのような人材を育てたいと思うからこそ、私も全力を尽くしているのです。
受験勉強で、精神的に参ることもあるでしょうが、これは自分のためではなく、公(オオヤケ)のためである、そう思ったとき、また新しいエネルギーが湧いてくるのではないでしょうか。
受験勉強に燃える三年生に、連帯の握手を!                          

私はこの方の文章を涙なくして読むことが出来ない。
本当に人間の本質を直球で語っており、今の日本が直面する大きな闇を的確に指しておられる。
そしてこのような崇高な思いで自らの命と人生を二の次にされたお二人の自衛官に心から哀悼の意を捧げたい。
■死ぬ間際でも仲間を気遣った自衛官達
この話にはまだ続きがある。
二人の自衛官はどちらも助かる見込みがゼロの高度で脱出装置を起動させ、機体から脱出をした状態で亡くなっていた。
ゴミのようなマスコミはこのことを、
助からないのに悪あがきで脱出装置を作動させたのか。。
と半ば馬鹿にするような報道機関もあったらしい。
しかし、これに関しても仲間の自衛官が衝撃の証言をしている。
二人は死を覚悟したものの、脱出装置の不具合で脱出できなかったということになると機体の整備士の責任になってしまうことを懸念し、装置は正常であった事を仲間に伝えるために敢えて作動させて死ぬことを選んだのです。
自分達が死ぬことは避けられないと察したそのわずかな時間で、仲間の整備士への咄嗟の気遣いによる行動だった。
頭が真っ白になるようなプロ意識だ。
普段からこのような思いと覚悟で訓練を重ねられている自衛官の皆さまには、心から感謝の気持ちを毎日送りたいと改めて思った。
自衛隊の皆さんにおかれては、マスコミが何を言おうが、心ない人が何を思おうが気にしないで欲しいと願う。
大多数の日本人はあなた方に心から感謝しており、深い敬意を払っています。
日々、本当にありがとうございます。

2012年8月30日
墜落の直前、死を懸けてパイロットたちが取った選択とは?! 13年前の自衛機の事故について
http://kuri-ma.seesaa.net/article/289123197.html
調べてみると、この二人のパイロットはしっかり評価されたようです。
東京電力の27万5000ボルト高圧送電線に接触、これを切断して墜落したため、埼玉県南部及び東京都西部を中心とする約80万世帯を停電、道路信号機や鉄道網を麻痺させる重大事故を惹起した。
なお、送電線に接触しなかった場合、狭山大橋に激突し、死傷者が生じる可能性もあった[8]。
殉職した2名とも11月24日付で1階級特別昇任した。
自衛隊における教育内容・事故の目撃証言などから、中川二佐および門屋三佐は、近隣住民への被害を避けるべく限界まで脱出しなかったものと確実視されている
T-33 (航空機)- Wikipedia
以前紹介した航空ショーでの事故の際も、犠牲者は出てしまったのですが、パイロットは最後の2秒前で機首をあげ、それによって、数百人は助かっただろうという証言がありました。
下手をすれば、もっと悲惨な大惨事になっていたかもしれなかったのです。 こちら
最後の瞬間、たったの2秒、死んでいくと分かっているその最中にも、ベストを尽くそうとしたパイロット。
そういえばロンドン五輪、フェンシング団体の銀メダルを決めた試合も、最後の2秒で決めたものでした。
極限の瞬間にも、大きなことができるのが、極めた人たちということになりますね。
飛行機は着陸できるのが当たり前で、その当たり前のことを数え切れないほど、こなしているパイロットたちであり、アクシデントというのは、不運としか言いようがありません。
墜落するしかないという命のかかった時にも、民家、学校などの犠牲を避けるというのが、叩き込まれたプロ精神なのでしょうか。
アメリカでは軍用機が民家に墜落し、一家4人が死亡するという事故がありました。
パイロットたちは全員無事でした。
この場合は完全な判断ミスということでしたが、つまりアクシデントとなっても、パイロットの命だけなら救われるというのは確かなことだったわけです。
(下にニュース添付)
そういう中、ぶれない判断で、自分の命をかけ、多くの人々の命を未然に救ったパイロットの素晴らしさを改めてすごいと思うのです。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/826.html#c42

[政治・選挙・NHK294] すべてが異様だった都知事選を総括・分析 悪夢のような結末は歴史の分岐点になる予感(中)蓮舫ボロ負けで政権交代機運は遠のい… 赤かぶ
54. 秘密のアッコちゃん[431] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月09日 17:31:09 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[544]
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不信を決定付けたウルムチ事件
正論2024年8月号 日本ウイグル協会会長 アフメット・レテプ
2009年7月5日に発生したウルムチ事件から2024年で15年となる。
世界中のウイグル人はこの事件を
「7・5ウルムチ虐殺」
として毎年追悼し、真相究明と責任追及を訴え、中国への抗議活動を続けている。
この事件を境に、ウイグル人と中国人や政府の相互不信が決定的なものとなり、ほとんどのウイグル人が中国人との共存など到底無理だと考えるようになった。
一方の中国政府もウイグル人を
「国家の敵」
と見做し、その独自のアイデンティティを恐怖政治によって徹底的に破壊する方向へ大きく舵を切った。
結果、欧州議会を含む世界11議会でジェノサイド(集団殺害、大量虐殺)と認定、国連も人道に対する罪で警告するまでに至った。
■引き金となった韶関(しょうかん)事件
2009年5月21日、東トルキスタン南部の町、カシュガルのコナ・シェヘル県(中国語表記、疏附県 (そふ-けん))から819人のウイグルの若者が、中国政府が一大プロジェクトとして強行する所謂
「余剰な労働力の東部移送プロジェクト」
の一環で、5000km離れた広東省韶関市の工場に移送された。
1カ月後の2009年6月26日深夜、(「ウイグル族による漢族女性暴行事件が相次ぐ」とのデマをきっかけに)凶器を持った数千人の中国人がウイグル人らの寮に襲い掛かり、政府発表で死者2人、負傷者約120人を出す事件が起きた。
現場にいたウイグル人らは約20人が死亡し、負傷者も政府発表より数倍多いと証言している。
これが、ウルムチ事件の引き金となった韶関(しょうかん)事件だ。
必死で逃げまくるウイグル人と、四方八方から凶器で襲い掛かる中国人、そして周りで撮影しながらウイグル人の皆殺しを叫んでお祭り気分の大勢の中国人の姿を映した動画がネットにアップされ、ウイグル人社会に大きな衝撃が走った。
動画では、血まみれに倒れ、抵抗することも逃げることも出来ない状態の複数のウイグル人を大勢の中国人が楽し気に蹴る、斧で叩き斬る、放尿する姿さえあった。
当時、千葉県に住んでいた私は、その動画を見て全身が激しく震えた。
人間同士がどうやったらあのような残酷極まりない性格になるのだろうかと、頭が真っ白になり、経験したことのない憎しみと無力さに苛まれたことを今でも鮮明に覚えている。
■充満する3つの不満
当時、ウイグル人社会には、死活問題として人々が極度の不満を抱いていた問題が3つ存在していた。
(1)ウイグル語での学校教育の廃止
2002年から、大学の授業を中国語に切り替える政策が始まり、2009年には保育園にまで広がった。
独自文化が継承されるためのルーツを断ち切る狙いがある政策として強い反発はあったが、それを不満として漏らす者には皆決まって
「3つの悪(テロリスト、分離主義、過激主義)に感染した危険分子」
とのレッテルが貼られ容赦なく処罰されていった。
ウイグル語も、ウイグルの文化も全く知らない大量の中国人が続々と学校の教壇に立ち、
「中国語で授業が出来ない」
との理由でウイグル人教員らが大量に職を失うことになった。
(2)カシュガル旧市街地の取り壊し
北京オリンピックが閉幕した2008年8月24日、中国当局はカシュガル旧市街地を取り壊すと通告した。
約6万世帯のうち、50世帯分の住居だけは壊さずに保存するが、それ以外は全て取り壊し、住民を郊外の集合住宅に移住させるという計画だった。
私も大学時代をカシュガルで過ごしたが、カシュガルは、ウイグル人にとって悠久の歴史を持つ古都であり、日本人にとっての京都と同じ存在だった。
旧市街地は、ウイグルの歴史・伝統・文化の全てが凝縮された博物館であり、ウイグルの誇りそのものだった。
中国に言わせれば、古臭い街並みを高層ビルやテーマパークに変えてやるのだから感謝しなさいという理屈だったが、ウイグル人からすれば、ウイグルの歴史や文化が跡形もなく消し去られる結果をもたらすことは火を見るよりも明らかだった。
反発する者は前述した危険分子のレッテル貼りで処罰され、重要文化財に指定された歴史的建造物も含めて取り壊しが強行された。
2009年6月、1300年の歴史を持ち、
「カシュガル皇族神学校」
として当時大学の役割を果たした建物が跡形もなく取り壊され、多くのウイグル人が落胆し悲しんだ。
取り壊された時、中国政府による
「1級文化財」
の看板が建物の玄関に掛けられたままだった。
(3)若者の強制連行と強制労働
2001年、中国は世界貿易機関(WTO)の加盟国として安い中国製品を世界市場で自由に売れるようになった。
4年後の2005年、
「余剰な労働力の東部移送プロジェクト」
がウイグル人社会に突き付けられた。
カシュガル、ホータン、アクスなどウイグル人密集地から、16歳から25歳の未婚のウイグル人女性を、中国沿岸部の複数の都市の工場へ移送するというもので、第11次5カ年計画(2006-2010年)の間、計40万人を目標にするという内容だった。
毎日のように中国各地から政府支援を受けた大量の中国人が入植し職を得ている一方で、地元のウイグル人らを意図的に就職の機会から排除し、
「余剰な労働力」
との名目で家族から引き離し、言葉も文化も異なる5000kmも離れた中国沿岸部へ集団で移送する、行きも帰りも本人の意思とは無関係に密室(政府と移送先企業間)で決まってしまう。
しかも、ウイグルの未来の母となる未婚の若い女性をターゲットにしていることから強い反発が起き、親たちは娘の移送を拒否した。
「職を与えて経済的に助ける」
という政府の説得は不発に終わり、これを受けて、僅かな割合で男性にも枠を広げ
「各戸から5年以内に最低1人を」
とのスローガンが掲げられ、実質的なノルマ制が取られた。
応じない場合は農地の没収等の罰則も設けられた。
参加を拒否した女性の兄弟や父親が逮捕された事例や、移送先の工場から逃げ出して帰って来た女性に地元政府が罰金刑を科した事例等が断続的に伝えられた。
受け入れ先の企業には30万・人民元(約650万円)の補助金制度まで登場した。
低賃金で長時間労働が強いられ、政治学習、厳重な監視、人種差別、性暴力被害、自殺等の事例が伝わるようになると、強制連行を回避するために、娘を慌てて結婚させる親が続出した。
反発が強くノルマの達成が厳しかったため、このプロジェクトに参加し最低でも2年間中国沿岸部の工場で労働に関わった経歴のないウイグル人女性に結婚証明書を発行しないと決める自治体も現れた。
2008年5月には、カシュガル市政府がウイグル人女性に対する結婚証明書の発行を一時停止すると発表した。
中国共産党カシュガル地区委員会の史大剛書記は政府会議で、
「ウイグル族の外部就労を妨げる者は、カシュガル民衆の罪人である」
と非難し、抵抗の排除を訴えた。
強制連行と強制労働以外の何物でもなかった。
政府発表では、このプロジェクトによって移送されたウイグル人は、2008年に16万2500人、2009年に12万3900人となっている。
■7・5ウルムチ虐殺
これらの不満が充満する中で火に油を注ぐように、前述の韶関(しょうかん)事件【2009年6月26日深夜】が発生する。
溜まりに溜まったウイグル人社会の不満は更に高まっていった。
しかも、強制連行を強引に進めてきた政府が、2009年6月26日から2009年7月5日までの間、事件に対する公式な反応を何1つ示さずに放置した。
仮に加害者と被害者の民族が逆だったら即座に大規模拘束に乗り出し、官製メディアも一斉に非難キャンペーンを展開していたはずが、韶関(しょうかん)事件では無関心の様子だった。
日頃から人種差別に耐えながら我慢してきたウイグルの人々が絶望的感情と弾圧されるリスクを背負いながらも、2009年7月5日にウルムチで大学生らを中心とした抗議デモを行った。
最初の頃の現場を写した写真や動画は今でもネット上で確認できるが、当局に説明と公正な裁きを求めているだけだった。
しかし、デモが始まって間もなく、中国当局は説明どころか、武装警察を動員し無理に解散させようとしたため、平和的なデモが衝突へ発展。
武装警察が学生らに発砲したことを受け、街沿いの人々も加わり、参加者が最初の1000人規模から1万人規模にまで膨らみながら衝突し、大惨事となった。
政府発表では、死者192人、負傷者1721人となっているが、現地からの証言等によると、当日の発砲やその後の無差別拘束で3000人以上が死亡し、1万人以上が行方不明となったと見られている。
また、政府発表だけでも3000人以上が死刑判決を言い渡した。
中国当局は、事件の背景にあるウイグル人の不満をひた隠した。
ごく普通の平和的なデモを悲惨な衝突に変えてしまった自らの責任にも一切触れなかった。
国際機関やメディアによる独立した調査を行うことも許可せず、当時米国に住んでいた
「ウイグルの母」、
ラビア・カーディルさんの煽動による計画的な暴動だと主張した。
また、都合よく切り取りしたウイグル人の破壊映像や衝突に巻き込まれた中国人の被害映像だけ発信し、真相究明やウイグル人の被害状況から国際社会の目を逸らすことに成功した。
そのため、国際社会から激しい非難や制裁を受けることもなかった。
また、日本メディアを含む多くの国際メディアは
「ウルムチ暴動」
との中国側の一方的な主張をそのまま引用した。
他所からやって来た者に先祖から受け継いだ伝統や文化が否定され、母語で教育を受ける権利が否定され、誇りに思う街並みが破壊され、ひいては人生の全てを捧げて育てた子供が強制連行されたらあなたはどうするか。
必死で声を上げたところ、銃を向けられたら、あなたならどうするか。
それを
「暴動」
と言って片付けられていいのか。
中国当局は事件の背景にあるウイグル人の不満とは向き合おうとしなかった。
若者の強制連行を含む誤った政策を事件後も続けたのだ。
警察には超法規的な権限が与えられ、些細な事でウイグル人に暴力を振るい、発砲するようになった。
結果、ウルムチ事件(2009年7月5日)後の数年間は衝突が断続的に発生し、その度に当局は
「テロ事件」
と主張したが、中立的な国際機関やメディアが検証し、テロだと事実確認出来た事例は1つも無かった。
国際調査も自由な取材も許されないまま2016年以降の大規模な強制収容へと突き進んだ。
■深刻さを認識してほしい
「余剰な労働力の東部移送プロジェクト」
のスタートから15年、ウルムチ事件から10年以上が経った2020年に、オーストラリアのシンクタンク
「豪戦略政策研究所(ASPI)」

「売りに出されるウイグル人」
と題する調査報告書を発表した。
世界が初めてウイグル人の強制労働問題と向き合うことになった。
しかし、その間に数十万人ものウイグルの若者が犠牲になり、世界中の企業がウイグルの強制労働問題に巻き込まれていった。
この問題を念頭に、欧米では強制労働防止法の法整備や企業の取引見直し等が進んでいる。
日本の行政や企業にも、事の深刻さを再認識し、具体的な対策を進めて頂きたい。
最近、中国の電気自動車メーカー、BYDのCMがよく目につくようになった。
市民の足である路線バスにまでBYDを採用する自治体も出ているようだが、一言申し上げておきたい。
ASPI、英シェフフィールド・ハラム大学、国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ等がウイグルの強制労働問題で複数の調査報告書を発表しており、いずれにも必ず登場するのがBYDだ。
値段だけで判断して良いのか、自分の良心に再度聞いてほしい。

2009年ウイグル騒乱
https://ja.wikipedia.org/wiki/2009%E5%B9%B4%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%AB%E9%A8%92%E4%B9%B1

【取材秘録】2009年ウルムチ暴動 家族を奪われたウイグル女性たちの悲痛な叫び
https://www.youtube.com/watch?v=SgIBbT4NF5I

売り物のウイグル人
−新疆地区を越えての「再教育」、強制労働と監視−
https://hrn.or.jp/wpHN/wp-content/uploads/2020/08/884619c6c323ea22fe2f7bda7da0b11b.pdf

ウルムチ虐殺14周年追悼デモ
https://www.youtube.com/watch?v=5VD7T9j54UU

2013年「7・5ウルムチ虐殺四周年抗議活動」デモ
https://www.youtube.com/watch?v=_fqSix3Bd_o

7・5ウルムチ事件について
2012/1/8お知らせ
https://uyghur-j.org/japan/2012/01/7%E3%83%BB5%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%81%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
2009年7月5日に東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)の首府ウルムチで騒乱が起きた。
中国当局の発表によると、武器を手にしたウイグル人が
「暴動」
を起こし、商店や車両に火をつけたという。
しかし実情は、ウルムチのウイグル人学生らによる、
「2009年6月26日の広東省」
の事件の責任を追及する平和的なデモが始まりであり、それに次第に人が合流して1万人の規模になった平和的なデモだったのである。
しかし現地政府は1000人を超える武装警官を投入してデモを鎮圧し、無差別な発砲で数百人を射殺し、更に数人を装甲車で轢き殺した。
また中国政府は
「暴動」
は世界ウイグル会議がインターネットを通じて扇動した、計画的かつ組織的な犯罪であると主張している。
しかし現地と外部との情報のやり取りが厳格に監視されている中で、このような
「暴動」
を計画、実行することなど不可能である。
世界ウイグル会議はこのような扇動など行っていないと完全否定している。
中国政府は平和的なデモを暴動と言い、根拠が無いままに世界ウイグル会議が扇動したと批難しているのである。
ウルムチの学生が抗議した
「2009年6月26日の広東省の事件」
は広東省韶関市の玩具工場で起きたもので、200人のウイグル人が6000人の漢人から襲撃され、多数の死者が出たと言われる。
中国政府は当初、この襲撃事件の起きた原因を有耶無耶にし、犯人を逮捕しようとしなかった。
この2009年7月5日のウルムチの事件をきっかけに、政府は2009年6月26日の広東省の襲撃事件の犯人を逮捕して厳罰で臨むと、方針転換することになった。
しかし、この事件を起こした犯人を逮捕するだけで、この問題は解決するものではない。
直接には扇動された漢人の工員達が起こしたものであるだろうが、その背後には漢人による
「少数民族」
への差別意識があり、更に根本的な原因としては、中国政府が行っているウイグル人への弾圧と、同化政策がある。
何故東トルキスタンから遠く離れた沿岸部の広東省にウイグル人の若者がいるのだろうか。
彼らは経済的な理由から出稼ぎに来ているかのように言われるが、実際には中国政府がウイグル人の若者数十万人を、中国の沿岸部の工場などへ強制的に連行しているのである。
地域ごとに
「出稼ぎ」
に出す若者の数がノルマとして割り振られ、また貧しい農村部の若者に仕事を斡旋するとの名目ではあるものの、実態は安価な労働力として奴隷のように酷使されている。
更に女性であれば売春を強要されることもあるという。
強制連行されたウイグル人達は、政府機関や企業、一般の漢人らによって差別され、政治的にも脅迫され、収容所の囚人のように厳重な監視下に置かれている。
そもそもウイグル人の貧困を、地元での雇用によらずに、沿岸地域に移送させることによって解消しようとするのは何故なのだろうか。
中国の支配下に入ってから、東トルキスタンには大量の漢人が入ってきている。
60年前の総人口に占める漢人の割合は6%に過ぎなかったのが、現在ではほぼ半数を占めるまでに至っている。
地元の要職は漢人によって占められ、ウイグル人は大学を卒業しても地元では仕事が出来ないのが現状である。
漢人の大量移入とウイグル人の若者の大量移出は、東トルキスタンの同化を目的として行われているのである。
また若いウイグルの独身女性を大量に中国内地に移送しており、2006年から2010年で40万人を送る計画であるとのことである。
女性のみを大量に中国内地に送り込むということは、ウイグル人と漢人の通婚を奨励し、ウイグル人同士の婚姻を妨げる意図があると思われる。
このような人の移動による政策以外にも、公教育からのウイグル語の追放、宗教活動や民族の習俗・文化への制限、など様々な方法によって漢人と同化されようとしており、ウイグル人というものが地球上から抹殺されようとしているのである。
2009年7月5日にウルムチで起きたデモが武装警察によって鎮圧された後、中国政府はウイグル人の暴動によって漢人が多数犠牲にあったと、殊更に漢人の被害を強調し、民族対立を煽った。
その結果2009年7月7日には漢人による報復が起こった。
報道された写真に写る漢人らは鉄パイプや手斧を持っているが、彼らは
「デモ参加者」
であるとされている。
これら漢人の暴徒は道を歩くウイグル人を襲い、ウイグル人の商店を襲撃し、モスクに放火した。
しかし、当局はウイグル人に対してしたような激しい鎮圧は行っておらず、
「民族」
毎に違った対応をしている。
また、2008年3月のチベットで起きた騒乱の時に地域を封鎖し、外国人記者を現地から締め出したことで他国からの批判が集まったことからの教訓として、今回の2009年7月5日のウルムチ事件では一転して情報を公開する方針を採るようになった。
しかし情報を公開するとは言っても、
「ウイグル人の暴動」
の映像を提供するなど公式の情報発信の一方で、電話やインターネットなどを遮断して現地と直接連絡が取れないようにしていたのであるから、より効果的な報道統制を狙ったものと言えるだろう。
ウルムチの事件の翌日にはカシュガルやグルジャ(イリ)などにも飛び火し、軍、武装警察による厳戒態勢が敷かれている。
現在現地政府が認定する死者の数は少しずつ増えており、百数十人となっているが、その大部分を漢人の死者であると言っている。
しかし世界ウイグル会議が得た情報では、2009年7月5日以降現在まで、事件の時に武装警察によって殺された者、漢人暴徒の報復行為によって殺された者など、最大で3000人のウイグル人が虐殺されたとみられる。
また、今でも多くのデモ参加者らは逮捕されて監獄に閉じ込められ、拷問を受け、死に至っているはずである。

日本ウイグル協会「デモ参加者1万人が一晩で消えた」 ウルムチ暴動15年、中国を批判
2024/7/4 23:21
https://www.sankei.com/article/20240704-MTWECXJUJJKRBIZDN4HBE2FVT4/
中国新疆ウイグル自治区ウルムチで2009年に起きた大規模暴動から2024年7月5日で15年となるのを前に、日本ウイグル協会は2024年7月4日、東京都内で記者会見を開いた。
「ウイグル族による暴動」
との表現は中国の一方的な発表に基づくものだとし、
「中国は都合よく切り取った情報だけを公表し、事件の背景や不都合な事実を隠している」
と批判した。
事件は2009年7月5日、ウルムチ市内で発生。
広東省の工場でウイグル族の工員が漢族に襲われて死亡した事件への抗議デモがきっかけとなり、一部が暴徒化して漢族や治安部隊と衝突。
当局発表で197人が死亡、1700人以上が負傷した。
協会のレテプ・アフメット会長は
「ウイグル人が中国人との共存は無理だと考えるようになった事件だ」
と指摘。
警察の無差別発砲や漢族の暴行があったとの証言や動画もあり、1万人規模に膨らんだデモの参加者が
「『一晩で消えた』との証言も多い」
と主張し、
「実際の死者数は3000人超、行方不明者は1万人超とみられる」
と訴えた。
中国政府は2000年以降、自治区の学校でのウイグル語教育を順次廃止。
アフメット氏は、当時、毎年10万人程度のウイグル族の若者が強制労働に従事させられ、不満が高まっていたことが事件の背景にあると紹介し、
「事件の背景や当局の暴力を全く伝えず、悲惨な衝突に変えてしまった中国政府の責任は重い」
と非難した。
事件後に逮捕され行方不明となった青年の事例も挙げた。
「母親はメディアに問題提起後、国家機密を漏らした罪で逮捕された」
「国際社会は天安門事件には注目するが、この事件には無関心だ」
と批判。
中国当局によるウイグル族への強制収容や強制労働など、西側諸国が現在批判している問題に繋がる事件だったとして、
「国際社会は中国の一方的な情報を鵜呑みにせず、私たちの小さな訴えに耳を傾けてほしい」
と訴えた。

「ウルムチ暴動」から15年 ウイグル協会が抗議集会「非人道的扱い、激しさ増した」
2024/7/5 18:11
https://www.sankei.com/article/20240705-OCFV5XF77RHY7PM5ERARJEUZ7I/
2009年7月5日に発生した「ウルムチ虐殺」(通称・ウルムチ暴動)から2024年で15年。これを追悼し、在日中国大使館前で抗議集会が開催された=2024年7月5日午前、東京都港区
https://www.sankei.com/article/20240705-OCFV5XF77RHY7PM5ERARJEUZ7I/photo/N4YW4ZVDHNOQLCOVGPDQGMEE3Q/
中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで、2009年にウイグル人デモが漢人や治安部隊に弾圧された
「ウルムチ暴動」
から2024年7月5日で15年となった。
日本ウイグル協会は東京都内の中国大使館前で抗議集会を行い、犠牲者を追悼した。
中国当局は暴動の死者を漢人ら197人としているが、1万人近いウイグル人が行方不明になったとの指摘がある。
同協会は
「ジェノサイド」(民族大量虐殺)
と欧米諸国が非難するウイグル人弾圧の端緒となった出来事だと訴える。
■銃殺、無差別に拘束
「武装警察や軍隊が(ウイグル人の)学生らに発砲し、数千人のデモ参加者が銃殺され、無差別に拘束された人々が行方不明になった」
「その後もウイグル人に対する非人道的な扱いが激しさを増す一方だ」
ウイグル協会の田中サウト氏は集会でこう訴え、ウイグル人弾圧の停止と国際的な調査団の受け入れを求める抗議声明を大使館に投函した。
「ウルムチ暴動」
を巡っては、2009年6月に広東省の工場で起きた漢人によるウイグル人襲撃・殺害事件に抗議するため、ウイグル人の若者らが2009年7月5日にウルムチでデモ行進を行った。
一部が暴徒化すると漢人や治安部隊と衝突し、1700人以上が負傷。
2009年7月7日には漢人が襲撃する
「ウイグル人狩り」
も起きた。
一方、中国当局は、亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」(本部・ドイツ)が扇動したとして、鎮圧を正当化している。
田中氏は
「デモの始まりはウイグル人の権利を求める若者による平和的なデモだった」
「過激な暴力を使ったのは中国側だ」
と強調した上で、
「ウイグル人が暴力で漢民族を刺激したかのようなイメージが作られ、日本のメディアも『ウイグル人の暴動』という言葉がよく使われている」
「一方的に中国から流された情報を鵜呑みにしているのではないか」
と語った。
■平和的デモを衝突に変えた
田中氏は2023年10月に日本国籍を取得したが、暴動当時はウルムチ市内で働いていた。
「20代や30代のウイグル人の若者が町から消えて、高齢者や子供ばかりだった」
「約1万人が消えたのは現実に近いのではないか」
と語る。
田中氏は警察署で指紋や顔写真を撮られたが、その後釈放された。
当時について、同協会のレテプ・アフメット会長は2024年7月4日の記者会見で、
「一般の中国人が町の至る所で、ウイグル人を見つけたら殴り殺すということが散発的に起きた」
「木の上にまで逃げたウイグルの若者も追い掛けて殺そうとされた」
と説明した。
「平和的なデモを悲惨な衝突に変えた中国の責任は重い」
「その後ウイグル人に対して警察が当たり前のように発砲し、暴力を振るうようになった」
「これが色々な衝突を生み出し、その度に中国がテロだと主張するという流れになった」
とも語った。

中国、「テロ対策」名目に締め付け強化 ウルムチ暴動15年「息苦しい状態」とウイグル人
2024/7/5 21:12
https://www.sankei.com/article/20240705-5S3AL36HPJJEXF4YSMIYJODABQ/
中国西部の新疆ウイグル自治区ウルムチで発生した少数民族ウイグル族の大規模暴動から2024年7月5日で15年となった。
中国当局は
「テロ対策」
を名目にウイグル族への締め付けを強め、信仰するイスラム教への管理も厳しさを増している。
暴動は2009年7月5日に発生した。
南部、広東省の工場でウイグル族が漢族に襲われて死亡した事件への抗議デモがきっかけとなり、一部が暴徒化して漢族や治安部隊と衝突。
当局発表で197人が死亡、1700人以上が負傷した。
暴動は、中国当局がウイグル族への抑圧を強化する契機となった。
各地の街頭やモスク(イスラム教礼拝所)などに多数の監視カメラを設置し、ウイグル族の動向を徹底的に監視。
オーストラリア戦略政策研究所は2020年、ウイグル族らを拘束しているとみられる施設が自治区内に380カ所以上あると報告している。
中国政府は2024年1月に発表したテロ対策に関する白書で、
「テロ活動を計画した犯罪者を法に従って処罰し、テロの大部分を計画段階や行動前に粉砕した」
と主張。
自治区を
「反テロの主戦場」
と表現した。
同時に、習近平国家主席が2015年に提起した
「宗教の中国化」
政策の下、中国当局は宗教活動への統制も強めている。
自治区などでモスクなど宗教施設を取り壊し、少数民族の脱宗教化を事実上進めていると指摘される。
その一方で、中国政府がアピールするのが自治区の経済振興だ。
2024年3月には、政府が管轄する国有企業が2024年から3年間で、自治区の新興産業などに総額7000億元(約15兆5000億円)近くを投資すると表明した。
「アメとムチ」
でウイグル族の不満を逸らし、漢族社会への同化を図る狙いがある。

事件当時を知る在日ウイグル人は、中国政府が故郷を分断したとして悲痛な思いを語った。
当時、ウルムチの大学で学んでいた関東在住のサメットさん(30代、仮名)は
「事件を機に自治区内で相互不信が深まった」
「他人を信頼しきれない息苦しい状態だ」
と嘆く。
事件当日、警官が子供を手で掴みながら空に発砲するのを見た。
「当時は中国人として生きていたが、日本に来て中国の酷い仕打ちを知った」
「中国人との共生は無理だと気付かされた事件だ」
と振り返る。
自身も長年帰郷できていない。
「農家の父も土地を奪われ、『死んだ方がましだ』と言っていて胸が痛む」
「国際社会はウイグルを分断した中国に声を上げて」
と訴えた。

見逃されてきた女性の強制労働…ウルムチ事件の真相
日本ウイグル協会会長 レテプ・アフメット
2024/6/24 8:00
https://www.sankei.com/article/20240624-YJSSHGXJS5O65LSOFMFSYJDVS4/
米国で
「ウイグル強制労働防止法」
が2022年6月に施行されてから2年が経過した。
欧米ではウイグル人強制労働問題への対応が着々と進んでいる。
2024年2月にも欧州化学最大手のドイツBASFが、強制労働への関与の可能性が指摘された事業から撤退を発表したし、2024年3月には欧州連合(EU)の欧州議会などが、強制労働で生産された製品の流通や輸入を禁止する規制案で暫定合意した。
2024年5月には米政府が中国企業26社を新たにウイグル強制労働防止法のリストに追加、2024年6月にも3社を追加し、輸入禁止の対象としたことを発表した。
ただ、このように厳しい措置が取られるようになったのは、近年になってからである。
2001年12月、世界貿易機関(WTO)に正式加盟した中国は、安い製品を世界市場で自由に売って急成長する陰で、ウイグル人の強制労働を続けてきたが、国際社会がそれを気にすることはほぼなかった。
中国当局が新疆ウイグル自治区カシュガルなどウイグル人集住地から、ウイグル人女性を
「余剰な労働力」
と称して中国沿岸部の複数都市の工場へ集団移送する政策を始めたのは、WTO盟から4年後の2005年だった。
対象となったのは16歳から25歳の未婚女性で、第11次5カ年計画(2006〜2010年)の間に計40万人の移送が目標とされていた。
毎日のように政府支援を受けた大勢の漢人が入植し職を得ている一方で、地元のウイグル人女性が家族から引き離され、言葉も文化も異なる5000kmも離れた地へ集団で移送されることには強い反発が起きた。
しかし、中国は
「各戸最低1人を」
とのスローガンの下、女性たちを本人の意思と関係なく強制的に連行。
厳重な監視下の長時間労働、人種差別、性暴力などの事例も伝わり、移送先でウイグル人が無差別襲撃され死亡する事件まで発生した。
2009年7月5日、ウイグル人の町ウルムチで起きた
「ウルムチ事件」
は、実はこのウイグル人襲撃に対する大学生らの抗議デモから始まったのだ。
日本では
「ウイグル暴動」
などと報じられたが、実際には平和的なデモを警察が武力で無理に解散させようとしたため、悲惨な衝突に発展したものだ。
そのウルムチ事件から間もなく15年になる。
当時、国際社会は事件の背景にある強制連行、強制労働と向き合うことなく、その結果、問題は10年以上、放置された。
その間、数十万人ものウイグルの若者が苦しみ、数えきれない人々が犠牲になった。
そして、日本を含む世界中の企業が、強制労働による商品を供給するという形で強制労働に手を貸し続けた。
これ以上、この問題を放置せず、厳しい態度を示す日本であってほしい。

群馬「正論」 レテプ・アフメット氏招き講演「進行中のウイグルジェノサイドの実態」
2024/6/6 17:53
https://www.sankei.com/article/20240606-UCM4L5ODJNK6DJK4BQNH7CUEOE/
群馬「正論」懇話会(会長=田中善信・田中二階堂法律事務所長)は2024年6月28日、日本ウイグル協会会長、レテプ・アフメット氏(46)を招き、第66回講演会を開催します。
アフメット氏は中国・新疆ウイグル自治区出身。
平成14年に来日、東大大学院理学系研究科で修士号を取得し日本のIT企業に就職しました。
平成29年頃からウイグルの家族と連絡が取れなくなり、一般人まで強制収容所に送られているという情報が届き始め、父親や弟らも再教育施設即ち強制収容所に入ったことを知ります。
当局の脅迫めいた圧力を受けながらも同じ境遇の同胞と力を合わせ、圧政の告発を続けています。
演題は「進行中のウイグルジェノサイドの実態」。
欧州の人権団体は、中国がここ10年で海外在住のウイグル人やチベット人約1万2000人を強制帰国させたとの報告書を発表。
強制収容所に入れられ死亡した女性もいるとされます。
何のために迫害するのか。
ウイグル支配の歴史的経緯、中国政府による凄惨な実態を語っていただきます。

【日時】2024年6月28日(金)午後1時半開演
【会場】前橋商工会議所会館2階「ローズ」(前橋市日吉町1の8の1)
【申し込み方法】往復はがきに郵便番号、住所、氏名、電話番号を明記、〒371−0858 前橋市総社町桜が丘1037の136 産経新聞前橋支局「正論」係へ。同伴者がいる場合はその名前も。整理券をお送りします。
【一般入場料】1000円
【締切】2024年6月26日必着

秘密裏に消される文化人…中国のウイグル弾圧はあまりに卑劣だ
日本ウイグル協会会長 レテプ・アフメット
2024/3/31 8:00
https://www.sankei.com/article/20240331-MUC3TII5FNJ6FM57MLP4YGRXFQ/
2024年3月開かれた中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の期間中、中国共産党側はウイグルジェノサイド(集団殺害)を否定する主張を繰り返していた。
新疆ウイグル自治区の王明山党副書記は記者団に対し
「ウイグルで文化の大虐殺が行われているという報道は全くの噓だ」
「言葉の使用は保障されているし、文化も尊重されている」
と主張したが、その主張こそ噓八百だ。
例えば、2001年にウイグル自治区内の大学を卒業した私は、小学校から全ての学校教育をウイグル語で受け、中国語の授業は週に数時間の1科目に過ぎなかったが、現在、ウイグル語での学校教育は全て廃止になっている。
不満を抱く者は過激思想のレッテルを貼られ、容赦なく弾圧される。
2017年以降はウイグル文化人に対する大粛清が行われており、中国側から流出した内部資料などによると、400人以上の著名な知識人が強制収容され、行方不明になっている。
欧米メディアが確認しただけでも、新疆医科大の元学長で、現代ウイグル民族医学の父と言われるハリムラット・グブル教授ら3人が死刑宣告。
ウイグルの最高学府、新疆大教授でウイグルの伝統・文化研究の第1人者として知られる女性のラヒレ・ダウット氏ら7人が無期懲役の判決。
作家でカシュガルウイグル出版社の元編集者、ミリザヒド・ケリミ氏ら著名な知識人7人が強制収容され、死亡している。
皆、若者がウイグル文化を誇りに思い堂々と生きるよう希望を与えてきた人物ばかりだ。
粛清対象には、中国共産党を否定しない人々も含まれる。
ウイグル独自文化が継承されるルーツを断ち切りたい習近平政権は、彼らを
「両面人」(表向きは共産党支持者だが、心の中では民族を愛している者)
として粛清するのみならず、ばれると、誤魔化そうとする。
代表例が新疆大の学長を務めていたタシポラット・ティップ教授の失踪だ。
東京理科大で理学博士号を取得し、立正大や九州大の研究者と共同研究するなど日本と縁の深い人物だが、2017年に消息不明となり、その後、秘密裏に両面人として死刑宣告を受けていた。
これが国際社会で表面化し、2019年12月に国連人権高等弁務官事務所が学者への死刑宣告は国際法に反するとの声明を発表すると、中国はティップ氏については
「汚職の罪で調査中」
と発表し報道を否定した。
しかし2022年5月に流出した秘密文書
「新疆公安ファイル」
には、当局が彼を
「両面人」
として糾弾していたことが記載されていた。
国際社会は、中国の共犯者にならないためにも、習近平政権のこの大粛清に声を上げる時だ。

中国の人権侵害を無視する国連 日本ウイグル協会会長レテプ・アフメット
2024/2/4 8:00
https://www.sankei.com/article/20240204-OEDRAL43CVKF5LPWZMBOS6AFAY/
今から27年前の1997年2月5日、中国の弾圧政策に抗議するウイグルの若者たちがグルジャ(中国名・伊寧)で平和的なデモ行進を行った。
中国の武装警察はデモ隊に発砲し、これを鎮圧。
その後も広範囲の無差別拘束が続き、グルジャからは若者の姿が消えた。
後には拘束された人々の凍死、拷問死、釈放後に精神を病んだ人など多くの悲惨なケースが報告されたグルジャ事件である。
当時は通信手段が限られた上、厳しい情報統制のため世界は実情を知らず、中国が国際社会から厳しい制裁を受けることもなかった。
日本は事件の翌月1997年3月、中国の核実験を理由に原則凍結していた無償資金協力を再開すらしている。
中国はその後、日本を含む先進国の経済支援や技術支援によって飛躍的な経済成長を果たし、中国共産党の独裁政治を盤石にした。
もしあの時、国際社会が事件に注目し経済支援などをやめていれば、中国は今のような国際秩序を脅かす巨大モンスター国家になっていなかったかもしれない。
あれから4半世紀経った今、国連ではウイグル問題を巡り、人権の価値観を共有する民主主義国家と中国マネーに支配される国々の対立が続いている。
2022年8月、国連人権高等弁務官事務所が、中国のウイグル人に対する行為は
「人道に対する罪に相当する可能性がある」
と認める報告書を公表したが、国連人権理事会は2022年10月、この報告書基づいてウイグルの人権問題を討論するよう求める動議を否決した。
中国が加盟国に影響力を及ぼし続ける国連では、同じ国連機関が中国の人権侵害を指摘しているにもかかわらず、その報告を無視するという呆れた行為が罷り通っている。
最近、私たちが注目したのは、中国の人権状況を定期的に審査する国連人権理事会の普遍的・定期的審査(UPR)作業部会である。
2024年1月23日の会合では、
米国が
「ジェノサイド(民族大量虐殺)」
スイスが
「人道に対する罪」
と非難するなど、30以上の国々がウイグル問題に言及した。
その結果、
「ジェノサイド」
の非難は盛り込まれなかったが、作業部会は400以上の勧告をまとめた。
前回の作業部会ではウイグル問題に触れなかった日本も今回は言及してくれた。
ただ、この勧告も法的拘束力はない。
2024年1月23日の会合当日、ウイグルではマグニチュード(M)7.1の地震が発生したが、通信が遮断されているため、私たちはウイグルに住む家族の安否確認すらできなかった。
家族の生死を知る権利までも奪われているのだ。
国際社会は懸念を伝えるだけの不毛な芝居をやめ、経済制裁を含む具体的な行動を起こす時だ。

月曜コラム
父さんを人質にする中国 日本ウイグル協会会長 レテプ・アフメット
2023/11/20 9:45
https://www.sankei.com/article/20231120-HDKCFCZXANLALLB7SYY6R75NSI/
中国共産党政権によるウイグル迫害は近年に始まったことではない。
1949年の
「中華人民共和国」
建国後、70年に渡りウイグル人の
「中華民族」
への同化を図ってきたと言っていい。
ただ、2017年以降、迫害が異常なレベルで行われるようになったため国際問題として注目されるようになった。
習近平政権は、同化が思うように進まないことに焦りを募らせ、ウイグル人を力で滅ぼす方向へ大きく舵を切ったのだろう。
300万人超と指摘される大規模な強制収容、強制労働、不妊手術の強制、親子の強制的引き離し。
AI(人工知能)による監視システム、ウイグル人宅に100万人規模で政府職員を寝泊まりさせるなど想像を絶する監視も常態化した。
著名な知識人や経済人らが一斉に収容され、行方不明となる悪夢の事態も起こっている。
外国に暮らすウイグル人らは故郷に残る家族との通信が遮断され、生き別れを強いられている。
私自身も2017年夏に、父や弟を含む親族12人が強制収容されたことを知ったが、その後、消息が確認できていない。
翌年2018年3月、地元警察から、収容所で撮影された父のビデオが送られてきて、
「中国共産党への忠誠心を示し当局に協力すればお父さんを出してあげる」
と告げられたが、断った。
それ以降、一切の通信は断ち切られたままだ。
私は日本のパスポートを持っているので、世界中ほとんどの場所に安心して行けるが、唯一怖くて行けない場所が実家だ。
2019年には、強制収容された家族を捜すために留学先の日本から帰国した20代のウイグル人女性ミギライ・エリキンさんが直後に強制収容され、収容所で死亡した。
今、欧州連合(EU)や英仏など10カ国・地域の議会と米国政府が、ウイグル問題をジェノサイド(民族大量虐殺)か、その深刻なリスクがあるものと認定しているが、日本ではどうだろうか。
国会でも2022年、決議を採択したが、中国へ配慮し過ぎた内容だった。
日本企業は無意識にこの問題に関与している。
日本ウイグル協会の調査では、複数の企業の技術が
「ウイグルジェノサイド」
を支える監視システムに悪用されていることが確認されている。
日本は太陽光パネルのほとんどを中国からの輸入に頼っているが、その多くはウイグル人の強制労働と繋がっていると指摘されている。
強制労働でもたらされた製品の供給先になっている可能性が高いのだ。
欧米では、強制労働防止法や外国の人権侵害に対し資産凍結などの制裁を科すマグニツキー法などの整備も進み、制裁の流れも強まっているが、日本は後れを取る。
日本が制裁逃れの穴場として利用されるリスクが高まっている。

習氏指示に日本ウイグル協会長「非常に危機的」
2023/9/11 17:38
https://www.sankei.com/article/20230911-OMVE7ZOFUBLAJBILI7JA5EUGTU/
中国の習近平国家主席が2023年8月26日に新疆ウイグル自治区を視察し、
「イスラム教の中国化」
の推進や
「中華民族の共同体意識の増強」
を指示した。
国際社会が中国の民族迫害政策を非難する中、ウイグル人への同化政策を緩めない姿勢を改めて示した形だ。
日本ウイグル協会のレテプ・アフメット会長は2023年9月11日までに産経新聞の取材に応じ、
「『ジェノサイド』(集団殺害)の加速を謳い、非常に危機的なメッセージだ」
と懸念を示した。

《習氏のウイグル自治区入りは2014年以来8年ぶりだった2022年から2年連続となる》
《今回、習氏は区都ウルムチ市で開かれた会議に出席し、地元幹部に
「社会の安定維持」

「違法な宗教活動」
を押さえ込むよう指示した》
《標準中国語(漢語)教育の徹底、漢人の自治区移住の推奨なども表明した》
ーー習氏のウルムチでの発言をどう受け止めているか
★レテプ・アフメット会長
欧米諸国などからジェノサイドと批判されるウイグル政策の加速を明確に謳った形で、非常に危機的なメッセージだ。
言語も宗教も人口比もウイグルのアイデンティティーを薄めようとしている。
国際社会がどんなに声を上げても、ウイグル民族や文化を滅ぼす意志は固いと受け止めている。
《国際社会はウイグルの人権侵害状況への批判を強めている》
《国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は2022年8月、テロ対策の名目でウイグル人に
「深刻な人権侵害が行われている」
とする報告書を発表》
《米国は2022年6月、ウイグル自治区からの物品輸入を原則禁止するウイグル強制労働防止法を施行し、制裁対象の中国企業を追加するなど、運用も厳格化した》
ーー習氏はウイグル人の収容政策に言及しなかった
★レテプ・アフメット会長
中国共産党は2019年までに(ウイグル人を強制収容したとされる)『職業技能教育訓練センター』を閉鎖したと主張する。
だが、消息不明の人や施設から解放されていない人がいる。
2023年9月も新たな収容者の存在が相次いで報じられた。
私の親戚も12人が収容されたと確認された。
妻の兄弟は勤務先で警察に呼ばれたまま、消息が分からず、裁判も開かれていない状況だ。
ーー中国当局は自治区へのツアーを催し、平穏な暮らしぶりをアピールする
★レテプ・アフメット会長
習氏も今回、ウイグル自治区の良さを伝えるとして、外国人旅行者向けのツアーの拡大を指示した。
ツアーは中国政府がコントロールし、幸せに暮らしているウイグル人を装うプロパガンダ(政治宣伝)に過ぎない。
尾行や行動制限もない旅行は許可されていない。
隠したいことがあるからだ。
日本人がツアーに参加して統制された情報をそのまま発信することは中国の犯罪に加担することだ。
ーー自治区出身者に対する嫌がらせはあるか
★レテプ・アフメット会長
在日ウイグル人は中国当局から現地に残した家族を人質に取られ、ウイグル協会の活動情報などを求められている。
パスポート更新の申請も何カ月も放置され、現地で手続きを求められた人もいる。
ーー2023年10月に「国際ウイグルフォーラム」が開催される。日本で開く意義は
★レテプ・アフメット会長
中国がウイグル問題について欧米が作り上げたデマだと宣伝する中、アジアで唯一中国側の主張に反論している国が日本だ。
国際社会がこれまで以上に連携してウイグル問題に取り組まないと、民族迫害は改善しない。
中国の隣国の日本から
『国際社会は納得していない』
『責任を追及する声がここにある』
と発信してほしい。

嘘拡散の”共犯”になる官製新疆ツアー
正論2023年9月号 日本ウイグル協会会長 アフメット・レテプ
中国共産党中央直属の中国外交出版発行事業局が管理・運営するニュースサイト、中国網日本語版(チャイナネット)に2023年6月22日に掲載された
「新疆をきっかけに日本社会の対中感情を改善」
と題する記事に目が留まった。
記事の前後には日本の悪口や日本批判の記事が溢れていた。
「核汚染水海洋放出の強行、日本の道徳の赤字と知恵の苦境を露呈」
とあり
「南京大虐殺の生存者が逝去 存命中は残り39人のみに」

「海洋で中国けん制、苦杯を喫するのは日本」
と題している。
対日感情の憎悪を煽る記事が並ぶ中で
「新疆をきっかけに日本社会の対中感情を改善」
とは一体、どういうことなのだろう。
日本国民を馬鹿にしているのかと不思議に思って調べた。
すると、中国在大阪総領事館主催
「日本市民新疆ツアー第1陣」
について、中国網日本語版や中国共産党中央機関紙『人民日報』のWEB版、人民網日本語版が自画自賛の記事を必死で発信していることが分かった。
発信は主に
「薛剣(せつけん)駐大阪総領事」

「新疆ウイグル自治区政府文化顧問」
を名乗る日本人僧侶
「小島康誉」
氏による記事だった。
薛剣総領事と言えば、大阪総領事館の公式アカウントや個人アカウントで外交官とは思えぬ過激ツイートを暴走させることで知れらる人物だ。
最近の事例で言うと、2021年10月、国際人権団体、アムネスティ・インターナショナルが香港オフィスをやむなく閉鎖すると発表した際に、
ツイッターで
「害虫駆除!!!快適性が最高の出来事また1つ」
と投稿し、
「人間性が言葉に出る」
などと批判を浴びた。
また、その2カ月後の2021年12月には在大阪総領事館の公式ツイッターが、ウイグルの子供たちの動画を投稿して
「顔面偏差値が高すぎる新疆の小学生たち、・・・新疆ツアーにご意向のある方は、ぜひご登録を!」
投稿を見た人々から
「人を顔だけで格付けし評価するなんて気持ち悪い」
「子供たちは装飾品ではなく人間です」
「さすがに人権無視の差別主義国家の言うことは違う」
等の批判が殺到した。
小島氏は
「発展」

「幸せ」
に満ちたウイグルをアピールし、ウイグルの現状に関するメディア報道の多くが色眼鏡的と主張している。
薛剣総領事らが同行し、最初から最後まで全てのプロセスに中国当局による誘導が組み込まれた今回の
「プロパガンダツアー」
の意義の大きさを繰り返し強調し、レコードチャイナへの寄稿では
「ギネス級の価値がある」
とまで称賛している。
ツアーの参加者でもないのに、日本社会に与えた影響はほぼゼロと言っていい
「プロパガンダツアー」
をここまで称賛するとは、この方は正気なのかと疑ってしまう。
家族と生き別れを強いられる身として、あるいは留学先の日本から一時帰国したら強制収容され死亡した仲間がいる身として、人命や家族を奪う犯罪者を擁護する行為は仏教の教えにも反しているとの疑問を感じ、僧侶としての自覚すらないのかと憤りを感じる。
■新疆ツアー第1陣
薛剣総領事が、駐大阪総領事として着任したのは2021年6月だ。
着任から半年後の2021年12月には
「新疆は良いところーコロナ後の中国新疆ツアー大募集」
と題する団体旅行の告知を大阪総領事館の公式サイトに掲載した。
大阪総領事館の発表によると、2021年12月31日に締め切った募集には1カ月間で日本国内から1028人が応募した。
あれから1年半が経ち、去る2023年6月19日から27日に、中国当局に選ばれた小学5年生から83歳までの日本人男女20人のウイグル訪問が実現したそうだ。
中国当局としては日本国民を現地に案内し、ウイグル人らに対する非人道的犯罪で地に堕ちた中国への信用を回復したい思惑があったはずだ。
薛剣総領事らが発信したこのツアーの始まりから終わりまでのプロセスを見れば、決してこれは通常の団体旅行ではなく政治的意図が仕込まれた
「プロパガンダツアー」
であることは明白だ。
まず、1028人の申込者から20人を選別し(98%を審査の段階で落としている計算になる)、出発前夜の2023年6月18日に大阪総領事館で
「新疆ツアー第1陣壮行会」
と書かれた赤い横断幕を掲げた式典を開催し、薛剣総領事から中国ビザの押されたパスポートが参加者1人1人に手渡された。
通常のツアーで外国を旅行する際にこんな大袈裟な経験をすることなどないだろう。
ツアーには大阪総領事館の領事らが同行し、関西空港を飛び立つ直前に撮影された写真には
「中国駐大阪総領事館主催 日本市民新疆ツアー第1陣」
と書かれた赤い横断幕を持った参加者たちの姿があった。
後に人民網が発信した今回のツアーを特集した英語字幕付きの動画の最初にもこの写真は使われている。
ウルムチ到着時も、空港で
「日本市民新疆ツアー第1陣の皆様を熱烈歓迎」
と書かれた赤い横断幕を持った当局者たちが出迎える写真が撮られ、盛んに発信された。
だが、こうした写真撮影自体、日本国民が世界の他の場所を旅行する際には決して遭遇することはない不自然な光景だ。
一行の出発に合わせて、共産党機関紙、人民日報系の環球時報で薛剣総領事はこう述べている。
「今回の新疆ツアーは内容が豊富で充実している」
「一部の日程は想像を遥かに上回る」
「例えばトルファンではウイグル族の家庭を訪問し、現地人と共に昼食を取る」
「新疆少数民族の日常生活を近距離で体験する」
「更に現地のウイグル族の小学校を訪問する機会があり、子供たちの天真爛漫な笑顔を通じ現地の人民生活が幸福で満ち足りていることを直感的に感じる」
「アクスでは広々とした綿花畑を見ることができる」
「綿花紡績工場を見学することで、西側のいわゆる強制労働という根も葉もない話を一蹴する」
注目してほしいのは、薛剣総領事の自画自賛は、ツアーに参加した日本人らがどこで何を見るかだけではなく、そこで何を感じるのか、考えが変わって帰国するのか、といった細かい所まで初めから決まっていることだ。
ツアーがプロパガンダだと明白に物語る所以である。
前述の人民網が発信した英語字幕付きの動画と比べると、ツアー参加者が全てを薛剣総領事の”予言”通りに実感し、考えが一変したかのような内容になっている。
これが、この先どんな宣伝に使われるのか、ツアー参加者たちは注意深く見ておくべきだろう。
「今回の新疆ツアーの情報発表も異例で、新疆訪問団のメンバーが個人メディアで今回のイベント全過程を自由にライブ発信する」
などとわざわざ強調するのも首を傾げる話だ。
一体、そのどこが異例で凄いのか。
世の中の常識が通じるまともな国では、旅行者は旅先で写真や動画を撮り、ネットに自由に流している。
ごく普通で当たり前の話だ。
「自由にライブ発信」

「異例」
と強調すること自体が、自由が奪われた中国ならではの話でしかなく、果たして日本人参加者は本当に自由を感じたのか。
仕組まれたパフォーマンスによって自分たちの言動を全て中国当局が誘導し操ろうとしていると感じた参加者はいなかったのか。
聞いてみたいところである。
■自己弁護の末の新看板
大阪総領事館のツアーは突如告知されたものではない。
告知のタイミングと国際情勢を思い出して頂きたい。
継続的に明らかになる証拠を受け、国際社会は2021年以降、ウイグル問題で態度を大きく変化させた。
2021年1月には、アメリカ政府がジェノサイド(特定の民族などの集団を破壊する目的で行われる集団殺害、及びそれに準ずる行為)認定し、2021年12月までにカナダ議会、英国議会、リトアニア議会、チェコ議会、ベルギー議会等でジェノサイド認定が続いた。
2021年3月には、米国、英国、カナダ、そして欧州連合(EU)でウイグル人らへの重大な人権侵害が行われているとして、中国に対する制裁措置が一斉に発表された。
ツアーが告知された2021年12月には、更に大きな出来事があった。
アメリカでは
「ウイグル強制労働防止法案」
が下院と上院で相次いで可決、2021年12月23日にはバイデン大統領が、ウイグルからの輸入を全面的に禁止する
「ウイグル強制労働防止法」
に署名し成立した。
2021年12月9日には英国に設置された国際法や人権問題の専門家も加わった民間法廷
「ウイグル特別法廷」
が18カ月に及ぶ調査の末、ジェノサイドと人道に対する罪がウイグル人や他のチュルク系民族に対して行われているとの結論を下していた。
それだけではない。
2021年12月1日には、英BBC等の主要メディアが、ウイグル人らに対する大規模強制収容や強制労働等に、習近平国家主席など上層部の関与を示す極秘文書
「新疆文書」
が流出したと大々的に報道され、ツアーの告知はその翌日2021年12月2日だった。
相次いで明らかになる中国の人権侵害の証拠と国際社会の非難。
それを前に中国当局はあの手この手で自己弁護せざるを得ない状況に追い込まれていた時期だった。
日本国内でもウイグル問題で中国への非難の声は高まっていた。
地方議会が次々とウイグル問題で国に対策を求める意見を採択し、その自治体数は80を超えていた。
ちなみに、2021年12月以降も採択は続き、私たちが把握しているだけで102の地方議会で採択されている。
■日本国民がターゲットに
自己弁護に追い込まれた中国当局は、国連の調査チームや主要な外国メディアの自由な取材を徹底して断る一方で、都合の良い所だけを見せるパフォーマンスに納得してくれそうな外国人をピックアップしては
「やらせツアー」
を積極的に企画している。
この手のツアーは、2023年だけでも複数回確認されている。
例えば、2023年1月にシリアなど14のアラブ諸国から30名以上がツアーでウイグルを訪問した。
2023年4月にはベトナムやカンボジアなどの複数国の駐中国大使や領事らがツアーでウイグルを訪れている。
この時は
「新疆ウイグル自治区政府」
のトップ、馬興瑞が面会し、中国の友好国の大使・領事として、中国を擁護する発信を積極的に行うよう求めたと報道されている。
2023年6月になるとスーダンなどアラブ諸国から30名以上のツアーが実施され、ウイグル訪問が行われた。
2023年7月にはカザフスタンの市民らのツアー団が訪問した。
いずれも中国の影響力が強く、人権や価値観の面で中国とそう変わらない国々がターゲットとされている。
そう考えると、西側と同じ価値観を共有する日本の市民らをツアーのターゲットに選ぶのは異例と言っていいだろう。
ジェノサイドや人道に対する犯罪が今も進行中の東トルキスタンに比較的近い位置にありながら、国連などの国際舞台では中国の犯罪行為を非難する共同声明に毎年署名している唯一の国が日本であり、中国もそれを強く意識しているはずだからだ。
日本をターゲットに選んだものの、中国の意図や狙いが自分たちの思惑通りに日本人に果たして浸透するか否か。
アラブやアフリカ諸国の人々のツアーとは勝手が違って中国は決して自信満々ではなかったようである。
例えば、ツアーの対象者を日本人に限定すると初めから宣言したのもそのせいだろう。
これは日本に住むウイグル人が参加してしまうと中国人よりも遥かに現地に詳しい。
中国にとって都合の悪い所まで案内できる。
政府機関の主催ツアーだから、無事帰国を保証する義務もあるが、在日ウイグル人を除外したのは保証できる自信がないためでもあるだろう。
それだけではない。
日本のメディア関係者も除外されている。
薛剣総領事は、2023年6月13日のツイートで
「この度の新疆ツアーは基本的に参加者の皆様の自費で実施」
「日本メディアの同行取材について、問い合わせがあったが、新疆について余りにも酷い虚偽報道してきた為、敢えて断った」
「正直言って、現状では信頼置けない!」
と投稿している。
この投稿から分かることが2つある。
1つは、日本メディアを同行させる自信がないことだ。
これはメディア関係者を案内するとパフォーマンスに大人しく納得しない恐れがあるからだ。
もう1つは
「基本的に参加者の自費で実施」
という表現だ。
「基本的に自費」
とは穿った言い方をすれば一部に中国当局の負担があると言っているようなものだからだ。
■ウイグル人とメディアお断り
2023年7月12日に大阪総領事館は
「新疆ツアー『第2陣』大募集」
の告知を出している。
そこには、
「募集対象:日本人のみ、訪中歴のない方大歓迎」
「日本メディアの同行取材はお断り致します」
「旅費は基本的に自己負担となります」
等と明記している。
第1陣と同じやり方で実施するらしい。
実は第1陣のツアーとほぼ同時期にJNNの記者がウイグルを取材し、連載記事(TBS NEWS DIGサイトに掲載)を発信している。
ツアー参加者を希望する人は是非読んでほしいものだ。
2023年7月5日、ウルムチを取材したJNN記者は、初日から帰りの空港まで尾行が続いて、現地のウイグル人らが恐怖に怯えて胸の内を語ることができなかったことを詳しく報じている。
大阪総領事館のツアーで見る光景とは180度異なる全くの別世界だ。
どちらが信用できるか、読者も考えてほしい。
ウイグルジェノサイドを隠し、私たちの家族を奪った恐怖政治を正当化するためのプロパガンダツアーに参加し、その中身を鵜呑みにして
「ウイグル人は幸せに生きている」
などと発信することは、ジェノサイドに加担することに他ならない。
「時間と大きな出費を伴う旅行なのだから、中国当局の思惑で振り回すのではなく、尾行・監視・行動制限を断って自由にさせて欲しい」
と突き付けるくらいであってほしいものだ。
■薛剣総領事に申す
悪いことをしていないなら隠す必要などない。
メディア関係者を恐れる必要もない。
日本を見てほしい、国が日本を訪問する中国人を選別して、訪問先を全て国が設計し、国が手配した案内人が誘導する都合の良い場所だけ見せて大人しく帰国してもらったり
「中国メディア関係者は除外」
などと堂々と宣言したりするツアー等聞いたことがない。
いつ、誰と、どこへ行って何を見るか、見たこと感じたことをどう発信するかも本人が決める。
メディア関係者の友人と一緒に行くかどうかも本人が決める。
尾行や監視を気にすることなく好きな場所で好きな人に接触する・・・それが健全な社会における当たり前の旅行というものだ。
ウイグル人らに対して非人道的犯罪を犯していないと言える自信があるなら、家族と生き別れを強いられている在日ウイグル人の帰国を保証すると国際社会に約束し私たちを同行させてほしい。
「非人道的扱いを受けた」
と証言する強制収容所の生還者たちも同行させるべきで、国際法や人権の専門家、学者たち、そしてメディア関係者も欠かせない。
何よりも重要なことは、現地での行動制限や尾行、監視などがない自由な旅行であることだ。
悪いことをしておらず自信があれば、これらは全て簡単な話で、都合の良い所だけ見せて、それ以外は徹底的に隠すだけでは、中国と同じ価値観の国々の人たちは騙せても、国際社会の常識が通用する国々の人たちを騙せるはずがない。
全くもって説得力がなく、やればやるほど国際社会の疑念は深まるだけである。
私を同行させてくれれば、2017年以降、一切の通信ができずにいる家族をまず訪問したい。
それ以外にもどうしても会いたい人たちはたくさんいる。
例えば、ウイグル自治区教育出版社編集長のワヒットジャン・オスマン氏。
同じく教科書編集担当で著名な評論家、ヤリクン・ロズ氏や自治区教育庁の元庁長、サッタル・ダウット氏や自治区社会科学院副院長で新疆教育出版社長のアブドゥラザク・サイム氏らウイグルの教育を支えた人たちがそうだ。
新疆大学の学長、タシポラット・ティッブ教授や副学部長のアブドサラム・ジャリディン教授にも会いたいし、新疆医科大学の学長で現代ウイグル民族医学の父、ハリムラット・グブル教授や新疆師範大学教授で著名な作家、アブドゥカディリ・ジャラリディン教授、ウイグル文化研究の第一人者で新疆大学人類学研究所のラヒレ・ダウット教授、新疆人民出版社社長のアブドゥラヒマン・エベイ氏なども再会したい人たちだ。
新疆新聞社の社長、アリムジャン・メメットイミン氏、カシュガルウイグル出版社の編集者で著名な女流詩人、チメングリ・アウット氏、ウイグル人社会のIT化に最も貢献した人物として知られる著明なコンピュータープログラマー、アリム・エヘット氏等々・・・。
名前を挙げ始めると、際限がない。
この方々は、誰もがウイグル人に生きる希望を与え、ウイグルの文化が消滅しないよう先頭に立って尽力してきた人々だった。
2017年以降相次いで強制収容され行方不明となっている。

尾行・監視は当たり前、まさかの”手のひら返し”も…中国で最も“取材困難”新疆ウイグル自治区 超敏感エリアの中心都市「ウルムチ」の今
2023/7/7
https://uyghur-j.org/japan/2023/07/fnn-articles-552223/
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/834.html#c54

[政治・選挙・NHK294] 小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
28. 秘密のアッコちゃん[432] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月10日 09:13:41 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[545]
<■464行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
ことごとく約束を守らない国
正論2024年8月号
拓殖大学国際日本文化研究所客員教授 ペマ・ギャルポ
1959年3月10日、チベットの首都、ラサの市民たちが立ち上がり、ポタラ宮殿の周りに数万人が集まってダライ・ラマ法王の中国人民解放軍による連行を阻止しようとした。
デモはその後、チベット全土に広がった。
この日はチベットの決起記念日とされ、その後、東京を含む世界の主要都市で、中国のチベット侵略に抗議するデモが続けられた。
2024年はそれから65年を迎える。
これを機にダライ・ラマ法王はインドへ亡命することを余儀なくされた。
私も7歳でヒマラヤを超え、聖地インドへ亡命した。
北京政府は当初、国民を騙して時間稼ぎを図るために
「ダライ・ラマ法王はカンパ(ゲリラ)で、チベット東部地方の人に拉致され逃亡した」
と偽情報を渡した。
しかしダライ・ラマ法王は、御自身の意志でインドへ亡命したと宣言。
また、
「17条協定」
及び毛沢東、周恩来の言葉を信じることで、精一杯彼らに協力するよう努めたが、協定や約束事は悉く破られ、17条協定は最早無効と宣言された。
17条協定とは、1949年の中華人民共和国成立宣言と同時にチベット解放(実態は侵略)を宣言した後である。
毛沢東の指令によって、1950年、東チベットに人民解放軍が侵略した後、北京でチベット代表団を脅迫下に置いて押し付けた協定である。
かつて、チベットは
「吐番帝国」
として中央アジアに君臨し、中国に傀儡政権を作るほどの大軍事力を誇る大国だったが、16世紀になってダライ・ラマ法王制度が確立すると、仏教精神を厳格に尊重する政教一致による平和主義及び鎖国政策を採用し、周囲の国々と争うこともなく平和の国を作った。
そのため、中国が僅か2万人の軍隊で侵略してきた際に、チベットには27万人の僧侶がいたが、2万人の中国軍と戦える軍隊は国境に僅か5000人の兵力しか存在しなかった。
僧侶たちは、仏教の教えを尊重し、虫1匹も殺さない平和主義者であった。
チベット陣は平和を望み、平和を祈っていたが、相手がそれを尊重しない限り平和を保てないことを身をもって知ることになった。
■恫喝に甘言、そして豹変
1951年、チベット代表団が平和を求めて北京に出向いた際に、中国政府は既に17条の協定を用意しており、この協定に調印しなければラサに軍隊を送ると恫喝した。
代表団は
「我々には調印する権限がないため、調印するための政府の印鑑がない」
と主張したところ、中国側は偽の印鑑を渡した。
従って、これは国際法的には問題だらけの調印ではあったが、中国は
「外交と防衛のみ中国に委ねるものであり、内政には一切関与しない」
と約束した。
これはある意味、中国の香港特別行政区に対する
「1国2制度(既存の行政制度に対しても50年間変更しない)」
と同類で、一時的な時間稼ぎのための方便で最初から守る意思などない。
1951年、この協定が結ばれたが僅か5〜6年後にこれらの協定や約束は悉く破られ、チベットにおける信仰、言論、そして自治を無視したのである。
ダライ・ラマ法王が協定相手の元首の立場で、条約が無効であると宣言した以上、条約は無効であり現在のチベットは中国占領下の国家であると私は認識している。
1959年から1962、1963年の間においては、国連においてもマレー連邦(当時)などの提唱により、中国人民解放軍のチベットからの即時撤退及び弾圧停止を呼び掛ける決議が採択された。
また、国際司法委員会(International Commission of Jurist)による調査の結果、チベットにおいて計画的、組織的大虐殺があったと結論付けられたが、当時、中華人民共和国は国連に加盟しておらず、これらの決議や調査を無視した。
チベットはは約220万平方キロメートル(日本の約6倍)という広大な面積を持ち、地下資源が豊富な上、パキスタン、インドのストレジ川(チベット語でチュンガバブ)、ミャンマーのサロリン川(チベット語でギャルモニュルチュ)、中国の黄河(チベット語でマチュ)、中国のヤンエツ川(チベット語でデイチュ)、タイ、ベトナム、カンボジアに流れるメコン川(チベット語でザチュ)などの水資源にも恵まれている。
また、多くの近隣諸国と国境を接するため、地政学的にも極めて重要な地域であることを強調したい。
チベットはかつて英国、ネパール、モンゴルなどとも条約に基づき、国際関係を結んでいた。
元朝、清朝などの歴代の皇帝はチベット仏教を信仰しており、歴代のダライ・ラマと師弟関係にあったため、国同士も
「寺と檀家」
のような関係を築き、平和裏に共存したこともある。
インドを植民地支配していた英国は、1903年、チベットに侵入し(Younghusband expedition)、更に1914年にはシムラ条約でチベットと当時インドを支配していた英国が所謂マクマホンラインを定めた。
これが、チベットと英国領インドとの国境を定めることになり、後にインドが独立してからインドが継承した。
マクマホンラインが今の印中国境紛争の争点となっている。
■チベット仏教の拡散
インドはダライ・ラマ法王とチベット難民を温かく受け入れ、法王はインドに亡命政府を作り、数々の改革を行ってきた。
インドが受け入れたのには理由がある。
それは、チベットとインドには長い歴史的、文化的、宗教的、そして、深い親善と交流の歴史があったためだ。
そのためインドが独立した際、インド国内において実力者であったサルダル・パテルなど一部の有力政治家は、この際チベットの独立を認めてチベットと国交を結ぶべきだと主張していた。
ただ、現実主義者でありながら理想主義者であったネルー首相は、中国との戦争を好まず、チベットを大国の戦場にすることを避け、平和裏にこの問題を解決しようと考えたため、中国と有名な平和5原則
「パンチシーラ」
に基づく条約を締結した。
ネルーは、周恩来首相と共に新生アジアを夢見、植民地から解放されたアジアに欧米が再び介入してくることを危惧していた。
しかし中国は、ネルーの信頼を裏切り1962年、インド領に侵入してきた。
ネルー首相は、長期的に考え、チベットの文化とアイデンティティを護れるように学校を作った他、インド政府が提供した難民居住区において、自分たちの伝統文化を守ることをダライ・ラマ法王に提言した。
現在インドには63の難民学校と44の難民居住区があるが、そこでは多くの人たちが学び、勤勉に働いており、難民居住区としては模範的な成功例となった。
また、ダライ・ラマ法王のご指導の下、世界各地に散らばった僧侶たちによってチベット仏教は世界中に広がり、かつてないほどに国外で栄えている。
中国によって僧侶を含む120万人が直接的間接的に命を奪われ、また、7000以上あった寺院は破棄されたが、チベット仏教は脈々と世界に広まっている。
■一貫した非暴力
ダライ・ラマ法王は、1963年、インドで暫定政権を発表し議会制民主主義を導入した。
更に2011年、法王は自ら政教分離を実施し、政務については亡命チベット人によって直接選出された首相(スイキョン)に権限を委ねた。
ダライ・ラマ法王は、一貫して非暴力を唱え、平和裏にチベット問題を解決すると国民を励まし、
「真実は最後に勝つ」
「中国政府を憎んでも中国人を憎んではならない」
「彼らもある意味で被害者である」
として、ガンジーの非暴力主義を徹底的に実行した。
一方でチベット人は、1972年までアメリカの援助などにより、ネパールとの国境並びに国内においてはゲリラ活動を続けていた。
キッシンジャー博士の助言によって、米中国交正常化を実現したアメリカは、中国と国交を結ぶ代償としてチベットへの援助を打ち切った。
その際、チベットゲリラは、ネパールの国境で挟み撃ちになり降伏した。
この時法王は、自国の領内ならともかく他国
「ネパール」
の地に血を流してはならないとしてゲリラに対して、ネパール軍に降伏するように促した。
この時、法王の御意思に背くことを出来ない一方で、最後まで戦う誓いを立てた仲間を裏切ることも出来ずに、自害を選択した人もいた。
一方、中国ではケ小平が政権に復帰し、1966年から続いた文化大革命は1977年に終止符を打った。
中国再建のために国際世論を重視せざるを得ないケ小平は、1979年、ダライ・ラマ法王の実兄のギャロ・ドンヅブ閣下と直接会話し、チベット問題に関しては独立という言葉以外の事項全てを話し合う用意があると申し出た。
ダライ・ラマ法王はこれに応じ、北京側との対話を開始した。
これに応じて、チベット国内外の親戚関係の往来とチベットの実態調査団の派遣が開始された。
私も第2団の一員として、1980年5月から8月の間、中国政府の招待でチベットと中国を訪問した。
私たちの訪問中、胡耀邦はチベットを訪問しチベットは1959年よりも悪い状態にあると認め、チベット語の復興政策などを発表した。
後に、胡耀邦が失脚した際、日本に1000人の青年団を派遣したことと並びチベットに対する政策がその原因に挙げられた。
■国際的認知
1989年6月4日、天安門事件が起き、ケ小平は自国民の青年たちを軍用車の下敷きにして弾圧した。
天安門事件を機にチベットと中国との対話は1度打ち切った。
1989年、ダライ・ラマ法王は一貫して非暴力対話による問題解決を主張し続けたことで、ノーベル平和賞を受賞した。
これによって、チベット問題は国際的に認知されるようになり、アメリカ、EUなど多くの議会でダライ・ラマ法王を称賛したチベット問題を支援する決議が採択された。
また、いくつかのチベットに関する映画も作られた。
ダライ・ラマ法王は、最早チベットだけのダライ・ラマ法王ではなく、世界の平和の象徴的な存在になった。
法王の法話には多くの中国人も集まるようになった。
1991年から再び対話が始まった。
ダライ・ラマ法王は、私はチベットの独立を求めるのではなく真の自治を求めると主張し、中道路線を展開している。
私は個人的に中国を信頼することは出来ない。
従って、チベットが民族自決を放棄すべきではないと考えているが、私も含めて、法王の決断に従わない者はいない。
中国は未だにダライ・ラマ法王のことを
「僧衣をまとった狼」

「分裂主義者」
などと言って批判しているが、私は法王ほど真実を求め真に生きる方はいないと思っている。
中国は、ダライ・ラマ法王が問題なのではなく、問題解決の鍵であると知るべきである。
習近平体制になってから対話は打ち切られただけでなく、中国政府によって
「活仏(高層の化身)」
は中国の宗教局が認定しなければならないという法令まで作った。
彼らの究極的な目的は、次のダライ・ラマを傀儡にすることにある。
しかしそれは成功しない。
現ダライ・ラマ法王は、2024年で89歳になられるがまだ極めて心身共に健在であり、ご本人は103歳まで生きるとおっしゃっている。
第14世法王猊下(げいか)はポタラ宮殿の黄金の玉座に就かれる日が来ると私は固く信じている。
世界中が余りにもこの問題に注目し関心を持っているため、法王は90歳になられた時に、この問題について何らかのお言葉を発するとおっしゃっている。
米国やEUなど多くの議会においても、北京政府はダライ・ラマ法王の後継者問題には干渉すべきでないという決議が採択されている。
江沢民、胡錦濤の時代においては、やや緩やかな宗教政策を取ったため、チベット国内においては観光寺を含む多くの寺院が建立された。
しかし近年、中国政府は高名な仏像や寺院を破壊し始めている。
例えば2016年6月には1万人強の僧侶や尼僧を有した
「ラルンガル」
をブルドーザーで破壊し、約半数の僧侶や尼僧を台湾やマレーシア、香港などに送還したり収容所に収容したりした。
壊した寺院の半分は更地となり、観光用の駐車場や売店に変えられた。
観光客のために読経を上げることなども強制している。
■宗教を恐れる中共
2023年9月30日、中国政府は新しい法令を発表し、チベット仏教、キリスト教の教会やイスラム教モスクなどのあらゆる宗教施設において、共産党員を配置し定期的に愛国教育として習近平思想の勉強を義務付けた。
これらの中国の新しい政策を見る限り、中国共産党は宗教を何よりも恐れている。
チベットのみならずウイグル、モンゴルでも子供を親から切り離し、母語や伝統的な価値観を身に付けないようにするために15歳未満の子供が宗教施設に行くことを禁じただけでなく、家庭でも寺院でも仏像の代わりに毛沢東や習近平の写真を飾るように強制している。
コロナ後は、中国全土において各家庭を分離し、監視を強めている。
中国は外からは強く見えるが、実際は脆くなりつつあることは明らかである。
最後に、チベットにおいては少なくても160人を超える人々が抗議の焼身自殺を図るなどして尊い命が捧げられている。
チベットでは、5名以上の人間が集まったら反政府集会と見做されることから、当局の公安警察によって逮捕されるのを防ぐため、単独行動を取らざるを得ない。
中国によってチベットが正式に自治区化されたのは1965年である。
だが未だに彼らはチベットを支配し切れてない。
中国はチベット、ウイグル、モンゴルあるいは良識ある中国人を力で呑み込んだつもりでいるかもしれないが、実際は決して
「消化」
出来てはいない。
近いうちに、中国が吐き出さなければならない日が必ずや来るだろう。

ダライ・ラマと米下院外交委員長ら超党派議員団が面会 中国は反発
2024/6/19 16:52
https://www.sankei.com/article/20240619-O35K3XTBYNOGPPYH6F7K44C67E/
インドを訪問中のマコール米下院外交委員長(共和党)率いる超党派議員団は2024年6月19日、チベット亡命政府がある北部ダラムサラでチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と面会した。
地元メディアによると、ダライ・ラマや亡命政府に対する米国の支援方針を確認した。
ダライ・ラマを
「分裂主義者」
とみなして敵視する中国は反発している。
亡命政府によると、議員団は計7人。
2022年に台湾を訪問したペロシ元下院議長(民主党)も含まれる。
議員団のインド訪問に先立ち、米上下両院は中国と亡命政府の対話を促す内容の法案を可決した。
亡命政府は面会後、議員団の歓迎式典を開き、ペンパ・ツェリン首相が米国の取り組みに謝意を表明した。
米国以外の国にも支援を働き掛けていく考えを示した。
ダライ・ラマは中国人民解放軍に対するチベット人僧侶らの抵抗が起きた1959年のチベット動乱を機に亡命。
1989年にノーベル平和賞を受賞した。(共同)

米下院外交委員長ら議員団がダライ・ラマと19日面会、インドのダラムサラで
2024/6/19 8:40
https://www.sankei.com/article/20240619-TOJCRSRW6JPSPCA4FPBSHRDJEU/
チベット亡命政府は2024年6月18日、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が2024年6月19日にインド北部ダラムサラで米国のマコール下院外交委員長(共和党)率いる超党派議員団と面会すると発表した。
ダライ・ラマを敵視する中国は反発している。
議員団には2022年に台湾を訪問したペロシ元下院議長(民主党)も含まれる。
議員団のインド訪問に先立ち、上下両院は中国と亡命政府の対話を促す内容の法案を可決した。
ダライ・ラマは中国人民解放軍に対するチベット人僧侶らの抵抗が起きた1959年のチベット動乱を機に亡命。
1989年にノーベル平和賞を受賞した。
中国は
「分裂主義者」
とみなしている。
亡命政府と中国の対話は2010年を最後に途絶えている。(共同)

米超党派議員団が訪印へ ダライ・ラマと会談 中国の反発必至
2024/6/15 10:14
https://www.sankei.com/article/20240615-D5XXLMLUQBOANJ644GYKISC55A/
マコール米下院外交委員長(共和党)は2024年6月14日、超党派議員団を率いて近くインドを訪問すると発表した。
インド政府高官と関係強化を協議する。
ロイター通信によると、2024年6月18〜19日にチベット亡命政府が拠点を置くインド北部ダラムサラを訪れ、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と会談する。
ダライ・ラマを
「祖国分裂主義者」
として敵視する中国政府の反発は必至。
議員団には2022年に台湾を訪問したペロシ元下院議長(民主党)も含まれる。
議員団とは別に、キャンベル国務副長官とサリバン大統領補佐官も来週インドを訪問する。
ダライ・ラマは膝の治療のため月内にも訪米する見通し。(共同)

チベット亡命政府閣僚「中国の同化政策で状況は危機的」
2023/7/14 17:55
https://www.sankei.com/article/20230714-FFNKK2NXSZILVCVTYKEBFDLMBI/
来日中のチベット亡命政府のノルジン・ドルマ情報・国際関係相(外相に相当)が2023年7月14日、東京都内で記者会見した。
ドルマ氏は中国政府が進めるチベット人児童らに対する漢民族への同化政策の実態を説明し、
「今のチベットの状況はとても厳しく、危機的だ」
と訴えた。
ドルマ氏によると、チベット自治区などでは近年、4歳から18歳までの100万人以上のチベット人の児童・生徒が寄宿学校で中国式の生活を強制され、チベットの宗教や言語、文化を知る機会を奪われているという。
ドルマ氏は同日、産経新聞の取材に対し、こうした状況が続けばチベットのアイデンティティーが消失する恐れがあるとして、
「非常に危険だ」
と指摘した。
ドルマ氏は初めての来日で、2023年7月14日までに超党派の日本チベット国会議員連盟の下村博文会長(自民党)ら幹部らと面会した。

世界中の独裁者への弔鐘が鳴り始めた
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所 日本・東アジア代表 アリヤ・ツェワン・ギャルポ
正論2023年3月号
2022年、東京で開催された
「世界人権デー」
のイベントには様々な国や地域の人が集いました。
集まった人の規模を考えると、世界の様々な場所で、人権侵害や宗教迫害が行われていることが窺えます。
イベントモデレーターの金田太郎氏によると、このイベントは、元々チベット人が行っていたもので、その後、ウイグル人と南モンゴル人、そして、その支持者が参加するようになりました。
しかし、今回は更に国際色が濃くなりまた。
実に10を超えるコミュニティーのサポーターが集まったのです。
これは歴史上類を見ないものです。
これほどまでに多くの人々が集まったのは何故でしょうか。
今回のイベントと抗議の意味について検証したいと思います。
また、人権とは何なのかを考察し、人権侵害の背後にいる人々を炙り出し、世界を人権侵害から守る術について考えます。
■人権とその推進
1948年12月10日に採択された世界人権宣言では、人権は
「人間社会の全ての構成員に内在する尊厳、平等で不可分の権利であり、世界の自由、正義、平和の基盤」
として認められています。
世界人権宣言の下、全ての人々は生まれながらにして自由であり、平等な尊厳と権利を持っているのです。
これらの基本的人権は国連憲章により保護されています。
世界人権宣言採択の日から74年が経ちました。
世界は良くなったのでしょうか。
世界人権宣言を起草した人たちが夢見た世界を私たちは手にしたのでしょうか。
世界人権宣言は、人権とその重要性の啓蒙と理解に大きな役割を果たしてきました。
しかし、世界人権宣言で謳われたことは、多くの国では十分に実現できていません。
この悲しむべき現状の理由は、自由な世界の指導者が国益、貿易、経済を重視する余り、全体主義をある程度許容し、譲歩してしまっている点にあります。
これにより世界人権宣言の効力が薄れてしまっているのです。
今日、中国、ロシア、北朝鮮をはじめ、多くの国で独裁主義が栄え、誰の目を気にすることもなく人権侵害が行われているのです。
冷戦が終結し、イデオロギーとしての共産主義が終焉した今の世界は、民主主義国家と全体主義国家に二極化しています。
人類の歴史の中には君主制の時代がありました。
その時代は、土地と民衆は支配する君主に所属していました。
これに対し人々は声を上げました。
そして、共和国が生まれ、民主主義と共産主義が人々を導く指針となっていきました。
今日、民主主義と共産主義は一般市民の方を向いておらず、全体主義と独裁主義に変容しつつあります。
この最たる例がロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩総書記、ベラルーシのルカシェンコ大統領、カンボジアのフン・セン首相です。
今、再び人々が立ち上がるべき時がやってきました。
全体主義体制を打倒し、民主主義と法による統治を救うためです。
人権は国際的、普遍的に必要不可欠な価値観です。
人権侵害は当事国、当事者だけの問題ではないことに人々は気付いているはずです。
人権侵害は人道、国際社会の問題なのです。
■世界人権デーの東京
2022年12月10日、100人を超える人々が、東京・日比谷公園の日比谷図書館文化ホールに集い、故郷で起きている人権侵害に抗議の声を上げました。
ミャンマーの代表者は、国軍統治下の民衆の苦しみに目を向けてほしいと、聴衆の感情に訴えかけました。
「The Cambodian Rescue Mission」
は、1985年以降の独裁者フン・センの下での自由の欠如について語りました。
「Stand with Ukuraine Japan」
は、ウクライナの現状、ロシアによるウクライナの違法占拠について語りました。
イラン元外交官は、現政権による反体制派の弾圧について語り、イラン政府への制裁を国際社会に求めました。
ベラルーシの代表者は、ベラルーシでの人権状況の悪化に触れながら、ウクライナとの連帯を示しました。
チベット、ウイグル、南モンゴルの代表者も故郷の人権侵害について語りました。
「台湾、香港、民主中国陣線」
の代表は、3期目に入った習近平政権下での恐怖と不確実性について語りました。
トークイベントの後、人々は銀座に繰り出し、ピ−スマーチ(行進)を開始しました。
主催者によると、ピースマーチには、多くの日本人と外国人サポーターが加わり、その数は500人になったとのことです。
人々は、国旗、プラカードを掲げ、それぞれの言語で代わる代わるスローガンを叫びました。
人々は全体主義とその凶悪犯罪について訴えました。
中国の習近平、ロシアのプーチン、北朝鮮の金正恩などの独裁者は、現状を体系的に変更し、国際規範違反を繰り返してきました。
彼らこそが世界の様々な場所で人権侵害を行っている独裁体制の背後にある”燃料とエンジン”なのです。
独裁社会が存続し続けていることが、世界の安定と平和を阻む障害なのです。
ロシアが習近平の支援を受け、ウクライナを侵攻しています。
ウクライナの破壊は続き、人々は避難を余儀なくされています。
この事実は、プーチンや習近平のような独裁者のいる世界は安全ではないことを明確に示しています。
ロシアによるウクライナ侵攻から10カ月以上が経過しています。
国際社会はロシア非難を続けていますが、侵攻の終わりは見えません。
国連の完全な失敗です。
この人道に対する残忍な行為に習近平が加担していることは明白です。
■中国・・・人権侵害国家
中国(当時は中華民国)は国連創設に携わった国家です。
それにもかかわらず、国連が中国の人権・宗教の自由の侵害に対する非難決議を発出しようとする度に妨害を繰り返しています。
2022年6月、国連人権理事会は、チベット、ウイグル、香港の人権状況を懸念する共同声明を出しました。
44カ国がこの声明を支持し、中国を非難しました。
しかし、中国は周到に根回しを行い、69カ国が声明に反対する結果となりました。
声明は否決されました。
中国を支持したのは、全体主義国家、そして、一帯一路の
「債務の罠」
に嵌った国家でした。
2021年10月、中国は強烈なロビー活動を行い、国連のミシェル・バチェレ人権高等弁務官のウイグルに関する報告書を跳ね付けました。
この報告書では、ウイグルでの人権侵害、人道に対する犯罪について記されていました。
中国共産党は今、非道かつ強力な債務の罠戦略を使って、国際規範、秩序をかき乱しています。
この戦略は、全体主義を啓蒙し、国の自由を損なうこの上なく危険なものです。
中国は、債務の罠に嵌った国を人質に取り、国際規範に抗い、力で覇権を広げようとしているのです。
中国の人権侵害、宗教弾圧は公然の秘密となっています。
国連は中国を非難し、説明責任を果たさせることができなくなっています。
拒否権を悪用し続ける中国は、我が道を行き、あらゆる批判を無視しています。
国連憲章、規範の目的は失われたのです。
■独裁者習近平
2022年、習近平は自身の任期を延長するため、いかがわしく邪悪な手法を用いました。
中国の憲法を無視し、反体制派を弾圧しました。
習近平の3期目は、世界の安全と平和にとって悪い予感を抱かせます。
中国、チベット、台湾、香港、そして、隣国は、習近平の3期目がもたらす混乱を押さえ込むのに苦労するでしょう。
中国の人々は長期に渡り中国共産党に弾圧を受けており、我慢は限界に達しています。
習近平のゼロコロナ政策に我慢できなくなった人々は、非難の声を上げています。
ゼロコロナ政策は、新型コロナウイルス感染者とその関係者全員を拘束し、その声を封じるものです。
いわば、埃をカーペットの下に隠す戦略であり、厳しいだけでなく誤った政策であると言えます。
この政策に人々は抗議し、習近平の退任を求めたのです。
抗議活動は20以上の都市に広がり、多くの人が参加しました。
集まった人たちは
「これまで沈黙している間に全てを失った」
「もはや失う物はない」
「今、沈黙を破り、声を上げる」
「失った物を今再び手に入れる」
と訴えました。
彼らは、大胆にも公然と習近平の退任と中国の自由を求めたのです。
中国人、チベット人、ウイグル人が通りに繰り出し、習近平の愚策と残忍な統治に勇敢に抗議したのです。
世界中の人々が中国の人々と心を1つにしました。
この講義によって明らかになったのは、中国人が中国共産党の政策、習近平のリーダーシップを快く思っていないということです。
また、習近平政権の脆さも透けて見えました。
中国を共産党の支配から解放し、民衆の手に渡すべく、国際社会が手を差し伸べなければなりません。
これは中国人のためだけではありません。
世界の平和、安定に大きく寄与するのです。
■脅威が迫る日本
日本は軍国主義を採らない憲法を持つ平和的で民主主義の国です。
この数十年間、日本は中国の挑発を受け入れ続けてきました。
これは、いつの日か中国という国が変貌を遂げ、恩に報いてくれると信じていたからです。
しかし、中国の攻撃的な姿勢はとどまるところを知らず、日本政府は防衛に更に注力することを余儀なくされました。
2022年、衆参両院で、中国の人権侵害に対する非難決議が可決されました。
これは、日米豪印(クアッド)の連帯を強め、インド太平洋における中国軍の活動を阻むことに繋がります。
安倍晋三元総理は攻勢を強める中国の挑発を警戒するよう、国際社会に繰り返し求めてきました。
ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮の繰り返されるミサイル発射は中国の支援を受けて行われています。
日本が中国に警戒感を抱くのは当然です。
日本政府は、防衛費を国内総生産(GDP)の約2%にまで増額する方針を決定しました。
これにより、日本の防衛予算は、アメリカ、中国に次いで世界3位となります。
中国は台湾を占領しようと、脅迫を続けています。
2022年8月には、与那国島沖約80kmにミサイルを着弾させました。
これは、傲慢な挑発以外の何物でもありません。
責任ある普通の国家がこのような挑発をするはずはありません。
習近平は、自身の3期目の間に、台湾を中国の統治下に置くことを宣言しました。
危険極まりないことです。
第三次世界大戦に繋がる危険を孕んでいます。
中国のみならず世界を混沌と破壊に導くことになります。
世界は、これを止めなければなりません。
■軍事化されたチベット
かつてのチベット高原は、最も平和的な地域として知られていました。
しかし、今は、世界で最も軍事化された地域となっています。
この数年間、チベットは外界から閉ざされています。
チベットに出入りする人は皆無と言えます。
かつては、チベット本土のチベット人は海外に亡命したチベット難民と携帯電話などで連絡を取ることができました。
しかし、現在、これらの通信手段は監視、ブロックされています。
海外との通信を試みるチベット人は逮捕され、スパイ罪、国家機密漏洩罪などの罪を着せられ、拷問を受けます。
チベット外に暮らす親族の情報も強制的に押収されます。
言語も問題です。
中国語が第1言語として持ち込まれ、チベット、ウイグル、南モンゴルの子供たちは、自宅から特殊寄宿学校へと連行され、中国語、中国共産党の歴史、共産主義のイデオロギーを教育されます。
子供たちが休暇で自宅に戻ると、母語を思い出せなくなっています。
全ての感覚、思考が変えられてしまうのです。
チベット僧が中国人に仏教を教えることも禁じられています。
中国人とチベット人の交流が増せば、政権にとっての危機になると中国共産党が考えているからです。
したがって、分裂主義者という集団がいるとすれば、それは中国共産党の指導者に他なりません。
習近平が掲げる1つの中国政策とは、国、人民、言語を1つにすることです。
習近平は、国家を一新し、中国版の社会主義イデオロギーを作ると繰り返し述べています。
チベット、ウイグル、南モンゴル、その他の民族にとってとても危険なものです。
民族のアイデンティティー、言語、文化を抹殺し、中国化する狙いがあるからです。
ここではっきりさせておきたいのは、中国の一般市民はこのような残虐な政策に同意しないであろうということです。
これは中国人ではなく、中国共産党の政策なのです。
■中国は国際社会への脅威
中国共産党の政策の本質は領土拡大です。
中国は、チベット、満州、東トルキスタン(ウイグル)、南モンゴルに侵攻しました。
その侵攻はネパール、インド、ブータンにも及んでおり、国境問題を引き起こしています。
最近も中国は一方的に、インドのアルナチャル・プラデシュ州の現状を変更しようと試み、インド軍は中国軍の侵攻を止めるために反撃しました。
これらの国境地域は高度に軍事化されており、不安定です。
チベットのみならず、アジア、そして、世界の人々が危険に晒されています。
東アジアにおいては、中国の攻撃的、挑発的攻撃により、南シナ海、インド・太平洋地域は高度に軍事化された地域へと変貌しました。
尖閣諸島も危険に晒されています。
台湾、香港、尖閣の未来がどうなるかはチベットの歴史を見れば歴然です。
つまるところ、習近平率いる中国の存在自体が世界の平和、安全への脅威なのです。
今回の世界人権デーのイベントに多くのコミュニティーの人々が集まったことが意味しているのは、人権侵害は最早個別の問題ではないということです。
国際レベルで解決されなければならない問題なのです。
「世界はあなたたちを見ている」。
これが、習近平、そして、世界中の独裁者に対する明確なメッセージです。
世界を欺き続けることはできないのです。
今回のイベントで、習近平、そして世界中の独裁者への弔鐘が鳴り始めました。
チベット、ウクライナで起きている惨事から世界を救うには、自由と民主主義を愛する国が一致団結しなければなりません。
そして、全体主義国家による民主主義、国際規範への攻撃を回避しなければなりません。
問題解決のためには、リップサービスだけでは不十分です。
ロシアはウクライナから撤退し、国連憲章を支持し、対話と平和的手段で戦争を終結させなければなりません。
中国とその取り巻きの全体主義国家は、人権侵害と弾圧政策を停止し、平和的で公正な手段で国際問題を解決しなければなりません。
共産主義と全体主義の終焉の日が近付いています。
習近平をはじめとする世界中の独裁者は、民主主義への移行が不可避であることに気付かなければなりません。
民衆は国家の奴隷ではないのです。
国際社会も沈黙を貫いていてはいけません。
声を上げなければ全てを失う可能性があります。
次の世代に、
「人間社会の全ての構成員に内在する尊厳、平等で不可分の権利、世界の自由、正義、平和の基盤」
を残していかなければなりません。
この重要性に人々が気付いたのは、実に77年も前のことです。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/840.html#c28

[政治・選挙・NHK294] 石丸氏メディア異常宣伝の黒幕(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
19. 秘密のアッコちゃん[433] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月10日 15:00:14 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[546]
<■636行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
外国人の「パー券」購入を許して良いの?
正論2024年8月号 フィフィ
自民党の派閥政治資金パーティー収入不記載事件をきっかけにした政治資金規正法の改正案が成立しました。
今回の不記載事件については野党やメディアが
「裏金」
などと強く批判し、そうした行為を許した制度の穴を塞ぐための法改正を訴えていました。
成立した法案にはパーティー券購入者の公開基準引き下げなどが盛り込まれました。
もちろん、繰り返される政治とカネの問題に対し、メスは入れるべきでしょうが、与野党共により大きな問題に目を瞑っているように感じられてなりません。
それは、現行法で規制されず、今回の改正議論でもほぼ触れられることがなかった外国人や外国法人によるパーティー券購入です。
外国人や外国法人による政治献金は禁じられています。
しかし、パーティー券については認められています。
実際、私もかつて政治資金パーティーに招待され、会場にお邪魔した際、明らかに日本語ではない言葉で談笑する集団を目にしたことがあります。
実際に国籍を含め、どのような背景をお持ちかは分かりませんが、献金を許されていない属性の方々である可能性は高いと言って良いでしょう。
自民党の有村治子参議院議員は2024年3月の予算委員会で
「日本の政治が外国勢力から支配や干渉を受ける制度的な脆弱性を持ち続けることになる」
と指摘していましたがその通りです。
実質的には同じ政治家、派閥への経済的な支援でしょう。
この時、岸田文雄首相は
「問題意識は共有する」
などと答弁していましたが、自民党が提案した政治資金規正法の改正案にはパーティー券規制は盛り込まれていません。
国民民主党や日本維新の会は規制論を唱えていますが、野党第1党の立憲民主党はこの問題について不思議といつもの厳しい追及をしていないように映ります。
率直に言って、日本の政治家は本当に日本のために働こうとしているのかと疑わざるを得ません。
パーティー券を外国人が買っているから、その国に支配されている、などと安易に決め付けるつもりはありません。
そもそも本当に勝っているのかや、影響を受けているのかなどの証明は不可能に近いでしょう。
しかし、問題はそこではありません。
現実がどうか以前に、影響を与えられかねない可能性がある制度が問題なのです。
日本は現在、自由や民主主義といった価値観を共有するアメリカや台湾、西欧諸国などと共に、中国やロシアをはじめ、既存の国際秩序に挑戦しようとしている国々と対峙しています。
台湾海峡をはじめ有事のリスクは日々高まっているとされています。
そして安倍晋三政権以降、日本政府は防衛力の強化、つまり、
「敵国」
への備えを着々と進めています、
そうした中、外国から影響を受けるかもしれない制度の改正に手が付けられていないのならば、一連の姿勢の本気度が問われます。
尖閣諸島の周辺を連日中国の海警局の船にウロウロされていても、日本政府の対応はいわゆる
「遺憾砲」
だけです。
また、韓国船による日本の排他的経済水域内での事前同意がない海底調査にも在日韓国大使館に抗議するのみです。
”大人の対応”のつもりでしょうが、外国人にパーティー券の購入を許していることで日本の政治家が弱腰になるのだ、という種の余計な推測をされてしまいます。
もちろん、外国人や外国企業が日本人や国内企業を使って迂回的にパーティー券を購入することも出来るでしょうし、永住外国人の扱いなど、どのように実質的な規制に落とし込むのかという法制上の問題はあります。
しかし、外国人による事実上の
「献金」
が可能な制度がこのままで良いはずがありません。
今からでも遅くはありません。
改めて規制方法を考え、加筆するべきです。

<主張>通常国会の閉幕 「国の根幹」進まなかった
社説
2024/6/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20240623-U3XRSIZPX5NJ7OXR3P2VP5ZH5A/
岸田文雄首相は記者会見で、多くの法律が成立したことを強調した。
ただ
「政治とカネ」
を巡る問題では、国民の信頼を取り戻せたとは言えない。
改正政治資金規正法を成立させたとはいえ、外国人・外国法人のパーティー券購入規制や「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の改革は先送りされた。
自民党の派閥パーティー収入不記載事件についても不明な点が残った。

<主張>改正規正法が成立 さらなる改革に取り組め
2024/6/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20240620-7NRDG53ICNKE3I6FEQNXJ33L5Y/
自民党が提出した改正政治資金規正法が参院本会議で自民、公明両党の賛成多数により可決、成立した。
自民派閥パーティー収入不記載事件の再発防止と政治資金の透明性向上への対策が盛り込まれている。
一部を除き令和8年に施行される。
ただし今回の内容では十分とは言えない。
更なる取り組みを求めたい。
改正法は、政治資金収支報告書が適法だと証明する
「確認書」
の作成を国会議員に義務付けた。
確認が不十分だった場合、公民権停止となる。
不正を抑止する効果が期待される。
透明性の向上を図るため、パーティー券購入者の公開基準額を
「20万円超」
から
「5万円超」
に引き下げた。
一方で積み残した課題がある。
最たるものは、外国人・外国法人のパーティー券購入規制を検討にとどめた点だ。
国政が外国勢力からの影響を受けるのを防ぐため、外国人・外国法人による政治献金は禁止されている。
パーティー券の代金はパーティー参加の対価とされるが、政治活動への事実上の経済支援である。
献金と意味合いがほとんど変わらない以上、外国人・外国法人による購入を禁止すべきだ。
立憲民主党提出のパーティー禁止法案は衆院で否決された。
立民は一部幹部にのみ当面の自粛を決めたが、パーティーが政治を悪くすると考えるのなら、党所属の全議員が自粛するのが道理ではないか。
不記載事件を巡っては、いつ誰が何の目的で行ったかが依然不明だ。
首相や安倍派は説明を尽くさねば、国民の不信は尚残るだろう。

<産経抄>首相の腐心、政治資金規正法の「貝合わせ」   
2024/6/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240607-IPEPRQ5ZHJKWHBFUHUWQ4BGG34/
「貝合わせ」
という遊びが生まれたのは平安時代の末だった。
たくさんの貝殻を左と右に分け、正しい一対を多く選んだ人が勝ちとなる。
日本国語大辞典によれば、1度に360個のハマグリが使われる壮大な娯楽だったらしい。
▼貝の内側には左右同じ趣向の絵や和歌の上の句と下の句を分けて書き、目印にしたとか。
左右が合わない状態を「ぐりはま」と呼んだ。
さて現代、永田町の人々にとっては耳が痛い言葉だろう。
与野党間は疎か、与党内でも続いた政治資金規正法改正案の「ぐりはま」である。
▼「10万円超」とする自民党内の声を制し、公明党の「5万円超」に合わせたパーティー券購入者の公開基準額。
日本維新の会に迫られて、領収書などを10年後に公開する案を呑んだ政策活動費の扱い。
衆院特別委員会が流れる異例の混乱もあった。
▼岸田文雄首相が収拾のために自ら奔走せざるを得なかったことが、自民党の厳しい内情を物語っている。
国際情勢が緊迫の度を高める中、政治不信を拭うための議論でもたついたのは、何とも嘆かわしい。
さりとて今国会での法案成立は不可欠だ。
▼改正案はきのう、衆院を通過した。
自ら率先して行うつもりもない
「政治資金パーティーの禁止」
を掲げた立憲民主党は笑止だが、外国人や外国法人によるパーティー券購入の禁止は検討事項にとどまっている。
国益に関わり、対処は急を要する。
参院で議論を尽くしてほしい。
▼誰が何のために始め、何に金が使われたか。
根本的な疑問に政治が答えたとは言い難い。
ともあれ抜け道を許す規正法の運用は困る。
制度を正すも歪めるも政治家にかかっている。
「歪み」と書いた。
「不」と「正」の貝合わせはこれで最後にしてもらわねば。

<主張>規正法衆院通過へ 信頼回復急ぎ成立確実に
社説
2024/6/6 5:00
https://www.sankei.com/article/20240606-E35EY6RHWNORTLKXFHRIEJBYEQ/
衆院の特別委員会は自民党提出の政治資金規正法改正案を、自民、公明党、日本維新の会の賛成多数で可決した。
2024年6月6日の衆院本会議で可決し、参院に送付される見通しだ。
自民派閥パーティー収入不記載事件に端を発した政治とカネを巡る改革は、今国会で結論を出さねばならない。
参院で議論を尽くし、成立を期したい。
信頼回復を急ぐことが求められる。
改正案の最大の眼目は、同事件の再発防止である。
会計責任者が作成した政治資金収支報告書が適法であることを議員が証明する
「確認書」
の作成を義務付けた。
会計責任者が処罰され、議員の確認が不十分だった場合、公民権停止になる。
議員の責任を明確にした点で前進と言える。
実効性を確保し違法行為を抑止しなければならない。
改正の狙いには政治資金の透明性向上もある。
パーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げる。
公明の要求を踏まえたものだ。
政党から国会議員に支出される政策活動費については、10年後に領収書などを公開する仕組みを設ける。
維新が求め、自民が受け入れた。
外国人・外国法人のパーティー券購入の規制が検討事項にとどまったのは残念だ。
現行の規正法は外国人・外国法人による政治献金を禁じている。
国政が外国勢力から影響を受けることを防ぐためだ。
これに対しパーティー券購入に国籍制限はない。
外国人への参政権付与などの政治的思惑が購入者側にあっても不思議ではない。
外国人・外国法人による購入は禁止すべきである。
衆院審議の過程で、立憲民主党がパーティーを全面的に禁止する法案を出す一方、党幹部がパーティーを開催したり予定したりしていたことが分かった。
批判されて取りやめたが、未だに一部の幹部を除く大多数の所属議員に開催を禁じていない。
言行不一致は国会審議の形骸化に繋がることを自覚し、反省する必要がある。

岸田首相、外国人パーティー券規制「実効性担保考える」 規正法改正へ審議入り
2024/5/22 19:30
https://www.sankei.com/article/20240522-XNX6OA3TORMZTPSJK3VG2QJJHM/
自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受け与野党が提出した政治資金規正法改正案の審議が2024年5月22日、衆院政治改革特別委員会で始まった。
各党案の隔たりは大きく、法案修正協議は難航しそうだ。
岸田文雄首相は同日の参院予算委員会で、外国人や外国法人によるパーティー券購入について
「規制の実効性をどう担保するかの検討を含め、対応を考えたい」
と述べた。
衆院特別委では自民案、立憲民主と国民民主両党の共同案、同日に提出された日本維新の会案の趣旨説明の他、立民が単独で提出したパーティー開催禁止法案などの趣旨説明も行われた。
各党案はパーティー券購入者の公開基準額で隔たりがあり、パーティーの在り方などが焦点となる。
自民は当初、公明党と与党案の共同提出を目指したが、公開基準額などで折り合えず、単独での提出となった。
首相は参院予算委で
「政治の信頼回復に向け、多くの国民の声を聴き、法改正で結果を出す」
と強調した。
維新の柳ケ瀬裕文氏から
「安全保障環境が厳しい」
として外国人らによるパーティー券購入禁止を求められ、首相は
「問題意識は共有する」
「パーティー券は譲渡されるので、実態把握や規制の実効性の確保を検討しなければならない」
と述べた。
政党から議員に支出され使途公開の必要がない政策活動費について、立民などは廃止を求めているが、首相は改めて否定した。
企業・団体献金の禁止も拒否した。
維新案は、政策活動費の在り方を見直し「特定支出」制度を新設。
政党が支出できる総額の上限や使途を制限し、10年後に領収書などを公表することなどを盛り込んだ。

<主張>政治パーティー券 外国人の購入を禁止せよ
社説
2024/4/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240407-DPWLC4DYDROLZJ42HOTVIEOT7U/
自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受けて、後半国会の焦点になっている政治資金規正法の改正論議で重要な論点が見落とされている。
外国人・外国法人による政治献金が禁じられている一方で、政治資金パーティー券の購入は認められている点だ。
外国人などの政治献金が禁止されているのは国政が外国勢力から影響を受けることを防ぐためだ。
それは日本の主権を守ることに他ならない。
現行の規正法では、パーティー券の購入費はパーティーへの参加の対価という位置付けになっているため、国籍の制限はない。
だが、実際は政治活動への事実上の経済支援である。
献金と意味合いがほとんど変わらない以上、外国人・外国法人による購入を禁じるべきだ。
参院予算委員会で質問に立った自民党の有村治子氏は、このままでは
「日本の政治が外国勢力から支配や干渉を受ける制度的な脆弱性を持ち続けることになる」
と懸念を示した。
その通りである。
リクルート事件などを受け、平成6年の規正法改正で企業・団体の政治家個人への献金は禁止された。
これにより、政治家に資金が渡る手段は、献金からパーティー券購入へと変わっていった。
こうした経緯を踏まえれば、寄付と同様にパーティー券の購入にも政治的動機があってもおかしくない。
その動機の1つに、外国人への参政権の付与もあろう。
選挙権・被選挙権などは国民にのみ与えられた権利であり、外国人が持てば憲法に抵触する。
有村氏の質問に対し岸田文雄首相は
「様々な分野で外国の機関による工作が行われているとの認識に立って情報収集・分析に努めている」
「問題意識は共有する」
「自民として何ができるかを考えたい」
と語った。
外国機関の工作が行われていると認識している割には、悠長に構えていると言わざるを得ない。
党政治刷新本部がまとめた政治改革の中間取りまとめにも、外国人などのパーティー券購入に関し言及がなかった。
政治改革を議論する特別委員会は2024年4月月内に衆参両院に設置される見通しだ。
規正法改正の自民案を早急にまとめ、外国人・外国法人のパーティー券購入禁止を盛り込んでもらいたい。

「外国勢力の干渉を受ける脆弱性」自民・有村治子氏、外国人のパーティー券購入制限を訴え
2024/3/6 11:44
https://www.sankei.com/article/20240306-KBNQ5HLXDRFYPCCFT7RT726R6M/
自民党の有村治子参院議員は2024年3月6日の参院予算委員会で、岸田文雄首相に対し、外国人による政治献金が禁じられる一方、政治資金パーティー券の購入は認められている現状について
「事実上どちらも政治活動への経済的支援に変わりはない」
「外国人によるパーティー券の購入を正していかなければ、日本の政治が外国勢力から支配や干渉を受ける制度的な脆弱性を持ち続ける」
と述べ、法改正を訴えた。
首相は
「政府として様々な分野で外国の機関による工作が行われているとの認識で情報収集・分析に努めている」
とした上で、
「問題意識は共有する」
「自民党として何ができるかを考えたい」
と述べた。
有村氏は
「特定の外国の人が日本の政治家からパーティー券を買い続け、参政権がないにもかかわらず少なからず経済的支援を続けているとすれば、相当の(政治的)動機があるはずだ」
とも語った。
外国人によるパーティー券購入の是非を巡っては、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けて党内で議論されたが、2024年1月に了承された政治改革案の中間取りまとめには盛り込まれなかった。

裏金!? 岸田首相の宏池会 中国人パーティ券は”無罪”なのか チャイナマネー汚染によって腐っていく政権の実態を暴く
WiLL2024年5月号 ジャーナリスト 佐々木類
■中国に乗っ取られた岸田派
手元に東亜信息網(ドンヤーシンシーワン:東アジア情報ネットワーク)という電子版(2023年5月18日付)の記事と動画がある。
動画の画面左上には
「香港日報」、
右下には
「東亜信息網」
という文字と共に、日中両国の国旗が見える。
約7分間の動画は2023年5月17日夜、港区にあるホテルで開催された
「宏池会と語る会」
の受付の様子から終了まで、在日中国人らが大勢出席している様子を鮮明に映し出している。
パーティー開始前、入口付近にある金屏風の前に立ち参加者を出迎えた自民党の林芳正外相(当時)が、在日中国人の1人1人と親し気に挨拶を交わし、名刺交換をしている姿が映っている。
パーティーに出席した在日中国人らが仲間内で記念撮影したシーンも流され、美女らと共に呉江浩(ごこうこう)・駐日中国大使が笑顔で映っていたのはご愛敬だ。
その前年(2022年)5月19日付同電子版にも、
「宏池会と語る会」
の現場レポートが載っている。
注目したいのは、以下のくだりだ。

<岸田首相の就任後、初めて開催されたパーティー会場はほぼ満席で、例年より明らかに多くの在日中国人が集まり、初めてパーティーに参加したグループも見られた>
<中でも、名古屋市在住の中国人グループがわざわざ会場に来てとても美しい光景となった>
<名古屋在住グループの主催者の女性は、
「今年(2022年)は中日国交正常化50周年であるからパーティーに参加することで、【中国を宣伝したいという希望】を示すものであり、日中関係はより良い方向に発展している>
*【】は筆者注
<中には在日中国人なら誰でも知っている中国人も来ており、豪華絢爛な顔ぶれとなった>
<壇上で挨拶した林外相も気勢を上げ、岸田首相にはっぱをかけていた>
<今年(2022年)の宏池会のパーティーが例年と違うのは、なぜか学校教育推進コーナーがあって、中国人関係者が登壇した点だ>
<参加者の誰かが
「宏池会のスポンサーに違いない」
と冗談を飛ばしていたが、取材したら本当の話だった>
<首相や重要閣僚が集まるパーティーである>
<相当高額のパーティー券(パー券)を購入したに違いない>

次いで、2019年5月16日付電子版の東亜信息網の記事だ。
見出しは、
<2万円出して宏池会のパーティーに参加すれば、何を見ることができるのか>。
2019年5月15日夜、東亜信息網の記者が
「宏池会と語る会」
に出席した模様を写真と動画付きで報じている。
記事の内容は次の通りだ。
少々長いが引用する。

<パーティー券は1枚2万円かかる>
<記者のパー券は日本の企業経営者から贈られた>
<島国にある自民党の宏池会のパーティーでは、中国人にとって想像もつかないような事が普通に行われていた>
<パーティーは有料で、中国人団体も喜んでパーティーに参加していた>
<なぜこの時期に宏池会がパーティーを開いたのか>
<今春(2019年春)から統一地方選挙が本格化してこの日パーティーが開かれた頃には選挙が最高潮に達し、各派閥が自分の派閥候補を全力で応援しているのだ>
<記者が出席した宏池会は、1957年に池田勇人首相によって設立され、
「軽武装と経済重視」
路線を掲げ、自らを保守の主流とみなしている>
<元々は、吉田(茂)派と呼ばれ、池田元首相、前尾繁三郎衆院議長、大平正芳元首相、鈴木善幸元首相らが会長を歴任した>
<1991年(*年号編集部編成)に宮澤喜一氏が総裁に選出された後、名称を宮沢派に変え、日本の歴史の中で長期に渡って政権を握り、重要な地位を占めて来た>
<派閥のメンバーは何人も首相を務めたが、1998年と2000年(*年号編集部編成)の大きな分裂で勢力が急落した>
<2017年、宏池会が創立60周年を迎え、岸田外相を安倍首相のライバルとして会長に据えた・・・>
<記者は多くの中国人を発見したが、日本の過去と現在の政治家に会うために2万円を使うのはかなり高額だ>
<ただ、地位がどれほど高くても、低くても、経歴や職業を尋ねられることはないし、提出する書類も必要ない>
<【セキュリティー・チェックもないから、】その気になって2万円さえ出せば、誰だって宏池会のパーティーに参加できるのだ>
(*【】は筆者注)

■岸田派の逃げ切りを許すな
政界と大手メディアは示し合わせたように、中国に乗っ取られたかのような派閥パーティーの実態を見て見ぬ振りをし、連日、
「裏金、裏金」
の大合唱だ。
それも問題だが、中国人によるパー券購入の方がもっと問題だろうに・・・。
派閥の政治資金パーティー収入の不記載(裏金)事件で、自民党は党規約などの改正案を整えた。
政治団体の会計責任者が政治資金規正法違反で逮捕もしくは起訴されれば、議員本人に対して最も重い場合で離党勧告を行える内容を盛り込んだものだ。
不記載となった金は裏金と化し、場合によっては、所得税法違反の疑いすら生じているのだから、議員本人の責任を問うのは当然である。
だが、如何にもお手盛りの甘い決定と言わざるを得ない。
議員の進退は選挙民の負託を受けた議員本人が決めることではあるが、
「離党勧告」
などと甘っちょろいことを言っていないで、
「辞職勧告」
にすべきであろう。
それ以上に問題なのは、岸田政権の中枢を蝕み、真っ先に除去しなければならない深刻な問題が置き去りにされたままであることだ。
何回でも言おう。
中国人らによるパー券購入問題である。
彼ら個人や団体が、中国共産党の意を汲んだ対日工作の実働部隊として、政権与党の自民党が中国に有利な政治決定をするよう、政治的な意図を持って購入しているのは明らかである。
岸田首相が、彼らが
「金は出すけど、口は出さない」
という奇特な集団だと思っていたとしたら、余りに能天気だ。
習近平政権は、友好の仮面を被りながらも本音では、日本を華夷(かい)秩序(中華思想に基づく世界観を現実に投影しようとする国際秩序)に取り込むべく、日本の政財界中枢だけでなく、地方自治体への浸透を目論んでいる。
戦前、八路軍(日中戦争時に華北で活動していた中国共産党軍の通称)を率いた毛沢東以来、プロパガンダに長けた中国共産党である。
政治的な狙いがあると見るのが当然だ。
もっとも、パーティー収入の不記載と違って、外国人によるパー券購入は政治資金規正法違反ではない。
ならば、直ちに違法とするべく、国会の責任で政治資金規正法を改正すべきである。
現行の政治資金規正法では、パー券の購入は20万円以下であれば購入者を明らかにする必要がない。
匿名での購入が罷り通っているのである。
これが外国勢力による資金提供の温床になっているのだ。
■腐り始めた政権中枢
企業・団体による【献金】は【政党】に対して【だけ】認められている。
だが、【パー券の購入】であれば、【政党以外の政治団体】からも可能である。
国の補助金を受けた法人や赤字法人、外国人・外国法人の寄付は禁じられているにもかかわらず、パー券購入には何の制約もなく抜け穴になっているのである。
こうした事実を国民の多くは知らないでいる。
知らなければ問題意識を持ちようがなく、政治に対する批判の目を向けることもない。
悪しき慣行が罷り通る所以である。
それが政治家個人の政治活動に対する責任に帰するものであるならまだしも、政治の中枢、言うなれば、国の舵取りを担う政権の屋台骨に影響が及ぶものである。
宏池会のパーティーは、日本の政権中枢が根っこから腐り始めていることを如実に示しているのである。
東京地検特捜部の捜査も掛け声倒れに終わった。
大野泰正参院議員と安倍派・二会派の会計責任者らを東京地裁に在宅起訴し、谷川弥一衆院議員と岸田派の元会計責任者、二会派の二階俊博元幹事長の秘書らを東京簡裁に略式起訴して捜査の幕を引いてしまった。
1992年の
「金丸事件」
でも似たような光景を思い出す。
政治資金規正法違反の罪に問われた金丸信元自民党副総裁の略式起訴に怒った国民感情に焦った特捜部は、脱税の事実を突き止めてようやくの思いで金丸逮捕にこぎ着けた。
その頃と違って捜査能力が落ちたのか。
強制捜査に乗り出したところまでは良かったが、大山鳴動して鼠一匹(前触れの騒ぎばかり大きく、実際の結果は極めて小さい事の例え)。
安倍派潰しだなんだと言われっ放しの状況に悔しさを感じないのか。
日本は法治国家だから犯罪事実がなければ特捜部も動きようがないのだろう。
だが、捜査を継続すべきなのは、【政治資金規正法違反】などという生温い違法行為ではなく、【脱税という所得税法違反】である。
これは国会と二人三脚の仕事であるのだが、ゆくゆくは法改正して外国人によるパー券購入を禁止し、違反した議員を摘発していかねばならない。
岸田文雄首相も自ら政治倫理審査会に出席して
「事足れり」
で済ませるのなら無責任の極みだ。
法改正を主導すべきである。
2024年2月29日の衆院政倫審で、質問に立った立憲民主党の野田佳彦元首相が指摘したのは、もっともだ。
野田氏は、
「刑事事件にもならない、責任も問われない、説明責任も果たさない、税金も払わない、処分もない」
「何もないんだったら、また同じ事が起こりますよ」
「そろそろ党として、総裁としてのリーダーシップを奮って、処分を考えるべき時期だ」
と岸田首相の政治姿勢を問うた。
岸田首相が、
「法律上の責任以外にも、政治家としての説明責任、そして政治責任、道義的責任もあると思っています」
と述べたものの、党総裁としての指導力を発揮する決意は感じられなかった。
話が拡散するから、野田氏も敢えて問わなかったのか。
それとも、違法ではないから問題ではないと考えていたのか。
いずれにせよ、外国人によるパー券購入問題には触れなかった。
政治資金収支報告書は、要旨を公表して3年を経過すれば削除できる。
つまり、3年経てば、中国の個人・団体によるパー券購入は
「無かった」
ことにできるのだ。
岸田氏は、中国のパー券購入問題がこのまま闇から闇に消え、国民の目に晒されないで済むのであれば、御の字とでも思っているのではないか。
だから、麻生太郎副総裁に相談もせずに派閥などいくらでも解散するし、政倫審にだって出席する。
「党則だって党規約だって何だって改正するさ」
と、ほくそ笑んでいるのではないだろうか。
岸田首相の逃げ切りを許してはならない。
岸田派だけではない。
この問題を放置すれば、岸田派のパー券購入に勤しんでいた中国人や団体の存在も国民に気付かれないままとなる。
国の主権に関わる問題が放置されるのと同じことである。
派閥の解散はむしろ、襟を正して再発防止を図るためではなく、中国から大量のパー券を購入してもらっていた実態を国民の目から逸らす効果をもたらしている。
■チャイマネ汚染の隠れ蓑
こうした中、中国の個人・団体によるパー券購入問題を国会で厳しく追及しているのが、自民党の有村治子参院議員である。
2024年3月6日の参院予算委員会で、岸田首相に対し、外国人による政治献金が禁じられる一方、政治資金パーティー券の購入は認められている現状について、
「事実上どちらも政治活動への経済的支援に変わりはない」
「外国人によるパーティー券の購入を正していかなければ、日本の政治が外国勢力から支配や干渉を受ける制度的な脆弱性を持ち続ける」
と述べ、法改正を訴えた。
有村氏は
「特定の外国の人が日本の政治家からパーティー券を買い続け、参政権がないにもかかわらず少なからず経済的支援を続けているとすれば、相当の(政治的)動機があるはずだ」
とも語った。
首相は
「政府として様々な分野で外国の機関による工作が行われているとの認識で情報収集・分析に努めている」
と当然のことを述べた上で、
「外国による政治、その他の分野に関する情報収集や各界への影響工作など、我が国に対する有害活動に的確に対応することは重要なことだ」
と他人事のように語っている。
気を付けねばならないのは、当たり前過ぎて聞き流してしまいそうなこの答弁が、巧妙に細工されていることだ。
「有害活動に」
と条件を付けている点に注目したい。
岸田氏は、宏池会のパー券を中国人らが大量に購入していることへの政治的意図について触れず、
「有害ではないから的確に対応する必要はない」
と抗弁しているようにも聞こえる。
外国人によるパー券購入の是非を巡っては、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けて党内で議論されたが、2024年1月に了承された政治改革案の中間取りまとめには盛り込まれなかった。
一体、岸田首相(自民党総裁)はじめ、自民党は何をやっているのか。
いくらでも修正可能な
「中間取りまとめ」
にすら盛り込めず、党規約などを見直したところで、腐った根は取り除けない。
こんな体たらくでは、保守的な自民党のコアな支持層が離れ、次の総選挙で惨敗することを全自民党議員は知るべきだ。
国民の目は節穴ではない。
支持率低迷で、ダッチロール(飛行機が左右に大きく揺れたりスライドしたりしながら飛ぶ)状態にある岸田首相。
巷間取り沙汰されている北朝鮮訪問で、拉致被害者の帰国を実現すれば巻き返しも図ることができるだろうが、そこまで岸田首相に胆力はあるか。
憲法改正に向けた発議に具体的に動くという正攻法もあるが、これとて、やる気の欠片も見えてこないのが現状だ。
政権浮揚に向けて
「次の一手」
を考えているのなら、岸田氏の腹1つで、すぐにでもできることを進言したい。
「中国マネーから手を引くべきである」
と。

<独自>政策活動費使途公開、外国人のパー券購入禁止を 自民有志の要請文判明
2024/2/15 18:14
https://www.sankei.com/article/20240215-XBJQZJXFEBKPNKY7TAMTKHSFAA/
自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受け、派閥全廃を目指す同党中堅・若手有志の議員連盟
「政治(まつりごと)変革会議」(代表・青山繁晴参院議員)
が取りまとめた要請文の全容が2024年2月15日、分かった。
派閥全廃に向けて、政策集団による政治団体登録の禁止を主張。
政策活動費の原資・使途の公開や、外国人によるパーティー券の購入禁止も盛り込んだ。
要請文は
「派閥全廃は党改革の前提であり、まっさらな状態から新たな自民を構築すべき」
と明記。
派閥が残れば
「国民の信頼は生まれない」
とも指摘した。
政治改革を進めるため、
▽新たな「政治改革大綱」の策定
▽政党法もしくは公党法の制定
▽党内に強力な監査機関の新設
なども必要と記載した。
議連は2024年2月16日、自民の渡海紀三朗政調会長に要請文を提出する方針だ。

阿比留瑠比の極言御免
外国人パー券の禁止が本丸
2024/1/25 1:00
https://www.sankei.com/article/20240125-2IJIOJAG3FK4VHMGESRQGIU4VE/
政治資金収支報告書への不記載で始まった政治とカネの問題が、派閥解消の問題へと論点ずらしされたようで得心がいかない。
自民党の政治刷新本部は2024年1月23日、政治改革の中間取りまとめ案を提示した。
派閥による政治資金パーティーの禁止を盛り込んだが、政治家個人が開く場合の
「外国人」
によるパーティー券購入の禁止は入らなかった。
■献金ならクビが飛ぶ
この問題ではかねて、政治資金規正法が
「外国人」
からの献金を禁じているのに、事実上の寄付に近いと言えるパーティー券購入は自由であるのは抜け穴になっていると指摘されていた。
自民党の有村治子元女性活躍担当相が2024年1月23日、SNSでこう問題提起していた。
「外国人による【寄付】は禁じられる一方、【パーティ券の購入】には制限がない」
「事実上どちらも、政治活動への経済的支援であることには変わりなく、(中略)日本の政治が、外国勢力から支配や干渉を受ける制度的脆弱性を持ち続けることになります」
有村氏は2016年10月6日でもこの問題を質しており、当時の高市早苗総務相はこう答弁している。
「(政治資金規正法の)規定が設けられた趣旨は、日本の政治や選挙が外国の勢力から影響を受けるということを未然に防止する趣旨であると承知を致しております」
ある政治家のパーティー券を中国や北朝鮮が大量かつ継続的に買い続け、政治家がそれに依存するようになればどうなるか。
いずれ取り込まれて身動き出来なくなることは、小学生にだって分かる。
実際、2011年3月6日には、当時の菅直人内閣の前原誠司外相が在日韓国人から25万円の違法献金を受けていたことで外相を引責辞任している。
この時は、菅直人首相自身の資金管理団体がやはり在日韓国人から約4倍の104万円の違法献金を貰っていたことも発覚した。
ところが2011年3月11日、まさにその問題を菅直人首相が国会で追及されていた絶体絶命のタイミングで東日本大震災が発生し、問題は有耶無耶のまま延命したのだった。
外国人からの寄付は閣僚のクビが飛ぶほどの重大事であるのに、外国人のパーティー券購入は度外視するのは筋が通らない。
■議論あったのに
それも自民党の政治刷新本部ではたまたここまで話題が及ばなかったというのであればともかく、2024年1月16日の本部会合では小野田紀美元防衛政務官が発言しているのに、中間取りまとめでは跡形もないというのは不自然ではないか。
X(旧ツイッター)投稿によると、小野田氏は以下のように論じたという。
「派閥の是非がメイン議題になっているのはおかしい」
「そもそもこれは派閥の問題ではない」
「個人の政治資金パーティーでの過少記載問題もあった」
「『自民党』だけの問題ではない」
「個人の政治資金パーティーにかかる疑惑は他党でもあった」
「派閥の問題云々ではなく『政治資金パーティー』の在り方が問題なのである」
「パーティー券を某外国人が沢山買っていた事が問題になった事例も自民党議員にあった」
「この抜け穴は絶対防がなきゃいけない」
詳しくは直接、小野田氏の投稿を読んでもらいたいが、重要な論点である。
2024年1月22日の政治刷新本部では有村氏も小野田氏の言葉を引いて発言し、2024年1月23日の同本部では事務局から有村発言への言及があったというが、中間取りまとめにこの本丸は反映されていない。
やはり納得できない。

自民党パーティー券疑獄の「真の巨悪」
Hanada2024年2月号  門田隆将
自民党のパーティー券問題の
「本質」
は何なのか。
東京地検特捜部は、その
「核心」
に切り込めるのか。
2023年の年末、政界は激震だ。
安倍派ばかりに話題が集中する中、
「核心は岸田派(宏池会)にある」
という声が消えない。
しかし、同時に
「特捜部はそこまでは踏み込めない」
との悲観的な見通しも流れてくる。
その理由を解説したい。
2023年12月7日、岸田首相は突然、岸田派会長を下りることを表明した。
「党内には無派閥の人間も大勢いるので、総理総裁の任にあるうちは派閥を離れるというのが適切と考えた」
「私が先頭に立ち、党の信頼回復に努力したい」
岸田首相のその言葉を聞いて
「今更何?」
とシラけた向きも少なくあるまい。
「あれだけ批判されても派閥の長をやめなかった岸田氏の”豹変”でした」
「それだけ追い詰められたということです」
とは、大手紙社会部デスク。
「パーティー券問題は、いち早く各派が政治資金収支報告書を修正し、体裁を整えています」
「しかし、単に政治資金規正法違反だけなら、検察も検事をかき集めて50名体制に増強したりしません」
「つまり”先”を見据えている、ということです」
「しかし、その壁、つまりタブーの大きさから、”恐らく無理”という見通しの方が現時点では優勢なのです」
先を狙っている、タブーの大きさ、恐らくは無理・・・これらの言葉は何を意味するのだろうか。
ポイントは
「岸田派」
にある。
例えば2022年5月18日に開かれた岸田派の政治資金パーティーを見てみよう。
この日午後6時から東京・芝公園の東京プリンスホテルで開かれたパーティーは一種、独特の空気に包まれていた。
出席者の1人が振り返る。
「岸田派のパーティーは独特なんです」
「他の派閥の雰囲気とは違います」
「理由は”中国人の多さ”です」
「他派閥も中国人はいますが、人数が違うので飛び交う中国語が凄いんです」
「つまり、岸田派のパーティー券は、中国人が数多く購入しているということです」
「まだコロナ禍の2022年は間隔を空けた椅子席で始まったんですが、明らかに中国人と分かる人たちがずらりと座っていて、その様子がネットに流れて話題になりました」
パーティー券を購入するということは、当然、
「見返りを求めて」
のことである。
では、岸田派が突出して”中国人が多い”のは何故なのか。
「岸田派、つまり宏池会は3代目会長の大平正芳が田中角栄と共に1972年に日中国交正常化を成し遂げた」
「そのため中国は、田中派と大平派を特別扱いしてきました」
「ODAなど中国への援助は主に両派を通して行われ、中国から多額のキックバックがもたらされていた話は有名です」
(自民党関係者)
井戸を掘った人を大切にする中国:言い換えれば、
「食らい付いたら離れない」
中国は、今の岸田派もずっと”手中に収めたまま”なのである。
しかし、政治家は政治資金規正法第22条により、外国人から献金を受けてはならない。
かつてこれに違反して民主党政権時代の前原誠司外相のように大臣ポストを追われた政治家もいる。
献金を受けてはならないなら、ではパーティー券購入はどうか。
そこに規定はなく、しかも20万円以下なら氏名も出てこない。
更に中国人と言っても、これを日本法人にし、代表者も中国名でなく日本の名前になっていれば、完全に”姿を隠す”ことが出来るのである。
だが、いざパーティーが開かれれば、真の購入者である中国の関係者が一斉に
「現れる」
というわけだ。
それが岸田派のパーティーなのである。
何故中国は、日本でビジネスのあらゆる場面に顔を出し、競争入札でもこれを落とし、行政にも食い込んでいるのか。
それこそ、政治資金パーティーをはじめ、あらゆる機会に政治家や派閥に恩を売り、気脈を通じているからに他ならない。
もし、特捜部が安倍派の裏金問題だけで捜査を終えるなら、
「中途半端」
との謗りは免れまい。
中国が何故ここまで日本の政治家を壟断しているのか:今回の問題をきっかけに外国勢力との異常な関係に踏み込み、弊害を正すことが出来るのは、東京地検特捜部だけである。
ターゲットが最高権力者の岸田文雄氏であることに怯むことなく、真の問題点を炙り出して欲しい。

【驚愕】岸田派の政治資金パーティーに大量の中国人!!宏池会はいつも在日中国人団体の主要メンバー達が参加!!寄付よりパーティー収入が増
https://www.youtube.com/watch?v=2P3C_PO7UL8

パーティー券ザル法≠フ実態 外国人献金はNGなのに…購入は制限なし 会計上「事業収入」に「寄付と同じ扱いにする手も」
2023.12/14 14:50
https://www.zakzak.co.jp/article/20231214-CODLVHYJJBIPBBYMXS6UCPBKAA/
自民党派閥のパーティー券疑惑を巡っては、政治資金規正法の
「抜け穴」
が露呈した。
キックバック(還流)分を記載せず、裏金化していたことが焦点となっているが、他にも深刻な問題がある。
政治資金規正法では、外国人献金を禁じているのに対し、パーティー券購入の場合は制限がない。
ザル法≠フ実態を永田町関係者が語った。
政治資金規正法では、外国人や外国人が過半数の株式を保有する会社(上場5年未満)からの政治献金を禁じており、違反すれば3年以下の禁錮か50万円以下の罰金、罪が確定すれば公民権停止の対象となる。
政治や選挙への外国の関与や影響を防ぐための措置だ。
2011年3月、前原誠司外相(当時)の政治団体が京都市の在日韓国人女性から計25万円の献金を受けていたことが発覚し、前原氏は外相を辞任。
その後、別の外国人からの献金も明らかになった。
菅直人首相(当時)についても、資金管理団体への韓国籍男性からの献金疑惑が国会で追及された。
外国人献金は、閣僚が辞任に追い込まれるほどの重大問題となるが、パーティー券の購入については、外国人や外国法人を含めて購入者の制限はない。
パーティー券収入は会計上、
「事業収入」
となっているためだ。
政治資金収支報告書には、5万円以上の寄付に関し、寄付者の氏名や住所、金額など記載する義務があるが、パーティー券は20万円を超える収入でなければ記載は不要だ。
相場は
「1枚2万円程度」
とされるが、企業や個人側はパーティー券の購入記録を残す義務はなく、誰が買っているのか外部から確認するのは極めて難しい。
国会議員秘書の経験がある永田町関係者はこんな実情を明かす。
「パーティー券収入は、献金の別の窓口を作っているに等しい」
「議員側も企業に献金をお願いする際、『うちは外国人の社長だから』と断られても、『パー券がありますよ』と誘うこともできる」
「実際に、ある外国への影響力が強い議員のパーティーに、その国の関係者が多数参加することもよくある」
自民党の森山裕総務会長は2023年12月5日の記者会見で、政治資金規正法の改正も視野に、議論が不可欠との考えを示した。
政治資金に詳しい日本大学の岩井奉信名誉教授は
「政治資金規正法については企業献金の抜け穴になっているのが大きい問題だが、外国人によるパーティー券購入についてもザルだ」
「パーティー券は献金の枠の外側にある事業収入だが、目的は政治資金を得るためで、献金と見做してもおかしくない」
「一般的に議員がパーティー券を多く買う人に有利に動くこともあり得る」
「チェックはなかなか難しいが、まずはパーティー券も寄付と同じ扱いにするのも一手だ」
と指摘した。

「政治とカネ」本当の問題
正論2024年1月号 政策シンクタンク 原英史
■外国勢力の影響防止の観点も
同時に、政治にカネがかからなくすることも課題だ。
先に述べた
「カネを配る」
問題の解決はその1つだが、それだけではない。
例えば議員秘書の給与も、多くの国会議員にとって大きな負担だ。
制度上、公費で負担されるのは3人まで(政策担当秘書、公設第1秘書、公設第2秘書)だが、実際には、議員会館と地元選挙区で遥かに多くの私設秘書を抱えているケースが少なくない。
例えば10人の秘書を雇う国会議員には、10人分の給与を公費で出したらどうか。
国会議員は、公設秘書の数だけでなく、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の額などでも平等に扱われる。
確かに大ベテランも1年生議員も対等の
「国民の代表」
との建前はその通りだが、実際上、膨大な役割を果たす有力議員とそうではない議員の差は大きい。
前者の議員は多くのスタッフを使い、様々な経費をかけ、そのためにカネを集めなければならない。
果たす役割に応じて公設秘書数などは差があってよいのではないかと思う。
もちろん、その際、悪用防止の仕組み導入(勤務実績を開示し、有権者がチェックできるようにするなど)は不可欠だ。
最後に、
「カネを貰う」
制度の改善は、
「外国勢力の影響防止」
の観点でも早急な対処を要することを指摘しておきたい。
日本ではまだ危機感が乏しいが、米国や豪州ではこうしたルール整備が先行している。
日本では
「外国人・外国法人の献金禁止」
ルールはあるが、5年以上日本で上場すれば適用されないなど、ここにも
「抜け道」
がある。
加えて複雑な献金ルールを悪用されれば、巨額の献金で外国勢力の影響を受ける可能性も否めないから、要注意だ。
本稿執筆に際し、筆者が理事を務めるNPO法人万年野党と台湾の公民監督国会連名で共催する
「日本・台湾議会監視フォーラム第3回」(2023年11月15日)
での
「政治とカネ」
の討論を参考にした。
台湾では日本以上に
「外国からのカネ」
に対する危機感が強く、今後も情報交換が必要だ。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/843.html#c19

[政治・選挙・NHK294] 都民はまだ悪夢の結末にうなされている 改めて石丸躍進の危うさ、怖さの分析が必須(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
36. 秘密のアッコちゃん[434] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月10日 20:17:12 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[547]
<■834行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
自民・松山政司参院幹事長「より良い結論得るよう努力」 性別変更で「外観要件」違憲疑い
2024/7/10 18:03
https://www.sankei.com/article/20240710-KMM7VCCE5VKW3FUXOGGS4YQSWM/
自民党の松山政司参院幹事長は2024年7月10日、戸籍上の性別変更に当たり性同一性障害特例法の外観要件を憲法違反の疑いがあるとした広島高裁決定を受け、法改正に関し
「より良い結論が得られるよう真摯に努力していきたい」
と述べた。
福岡市で記者団の取材に応じた。
保守系議員からは、要件削除に慎重な意見が出た。
保守系有志で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
のメンバーである柴山昌彦政調会長代理は取材に
「外観要件は違憲の疑いが濃いと言っているだけなので、立法府を拘束するものではない」
と指摘。
「生殖能力要件や外観要件を削除という乱暴な議論はすべきではない」
と慎重な対応を求めた。
公明党の谷合正明参院幹事長は取材に、生殖能力要件を違憲とした2023年10月の最高裁判決を踏まえ
「今回の判断は想定されたことだ」
と受け止めた。
2024年秋の臨時国会での法改正に向けて
「自民に更に促していく」
と語った。

性別変更で「外観要件」違憲疑いに「診断や申し立て厳格化を」ジェンダー医療研究会代表
2024/7/10 17:56
https://www.sankei.com/article/20240710-I5CZ3SXIEJFHXOHGR7ATKG2ZZA/
性器の外観を変える手術をせず、性同一性障害特例法の要件のうち
「変更後の性器部分に似た外観を持つ」(外観要件)
とする規定を満たさないとされた当事者が戸籍上の性別を変更するよう求めた差し戻し家事審判で、広島高裁は20024年7月10日、性別変更を認める決定を出した。
性別違和を訴える若者の性別移行を進める
「ジェンダー肯定医療」
に対し、慎重な立場を取る
「ジェンダー医療研究会」
の加藤祥子共同代表は産経新聞の取材に、性同一性障害を診断する医師の資格や基準を厳格化する必要性を強調した。
■手術要件は実質的撤廃に
広島高裁の決定は、性同一性障害の診断の手順などに用いる日本精神神経学会の現在のガイドラインについて、性別適合出術が必要か否かは
「患者によって異なるものとされている」
と指摘。
特例法の規定に従い、現時点でも性別適合手術の実施が常に必要だと解釈するならば、外観要件の規定は
「違憲の疑いがあるといわざるを得ない」
と断じている。
特例法を巡っては、2023年10月に最高裁で、生殖機能の喪失を要件とした同法の規定(生殖不能要件)も違憲と判断されており、性別変更する上でハードルが低くなった形となる。
加藤氏は、今回の決定によって、
「実質的に(外観要件と生殖不能要件を合わせた)『手術要件』が撤廃された形となる」
と指摘。
「本来、性同一性障害と診断されるべきではない人が性別変更される可能性が高まった」
とも強調した。
これを踏まえ、今後は診断や戸籍上の性別変更の申し立てを厳格化する必要があるとも言及した。
具体的には
@診断書を作成する医師の資格の厳格化
A日本精神神経学会のガイドラインの厳格化
の2点を求めた。
@については、
「例えば『精神保健指定医』という非常にハードルが高い資格があるが、それと同じくらいの制限を法律によって設けるべきではないか」
と言及した。
現在は医師免許さえあれば、性同一性障害の診断書を書くことができる。
加藤氏は
「半年で数十例の性別適合手術を経ていない『FTM(女性の体で心が男性)』の戸籍変更を家庭裁判所に申し立てたクリニックの医師は産婦人科医と聞く」
と具体例も示した。
■女性スペースを守る法律を
加藤氏は
「そもそも性別違和の原因として、性同一性障害以外の発達障害やうつ病、統合失調症などの精神疾患に起因するケースもある」
「その場合は肉体を異性に変化させても症状は改善せず、むしろ精神状態が悪化しかねない」
「欧米では若者にそのような例が多発し、問題になっている」
とした上で、
「精神科医として専門的な訓練を受けていない医師では、本来治療すべき別の疾患や障害を見落としてしまい、安易に性同一性障害と診断してしまう可能性が高い」
と懸念を示した。
一方、Aに関しては、現在、日本精神神経学会のガイドラインが
「改訂作業中だと聞く」
と述べ、
「よりエビデンス(科学的根拠)に基づいた内容にしてほしい」
「性別変更の根拠とされることを考えれば、診断基準も今まで以上に厳格にされるべきだろう」
と訴えた。
欧米では、性別変更を経て法的に女性となった人が、肉体が男性であることを理由にスポーツジムなどの施設の利用を断られたり、制限されたりした際、施設を提訴して利用を認めさせる事例が相次いでいる。
加藤氏は
「日本でも同様のことが起こらないかが気掛かりだ」
とした上で
「女性スペースや女子スポーツを保護する法律の制定など何らかの対策が必要だろう」
と語った。

「手術なしで性別変更」認める 広島高裁の差し戻し審 外観要件満たすと判断
2024/7/10 16:20
https://www.sankei.com/article/20240710-HKG57FZUVRK4DI6IOMN6CJHXMQ/
性同一性障害と診断された人が、性器の外観を変える手術をせずに性同一性障害特例法に基づいて戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた家事審判の差し戻し審で、広島高裁(倉地真寿美裁判長)は2024年7月10日、変更を認める決定をした。
特例法は性別変更を認める5つの要件を定めている。
このうち生殖能力をなくすことを求める生殖不能要件については最高裁大法廷が2023年10月、
「違憲で無効」
と判断。
変更後の性別と近い性器の外観を備えることを求める外観要件については判断を示さず、審理を高裁に差し戻していた。
申立人は平成21年に性同一性障害の診断を受け、女性として社会生活を送っている。
性別適合手術は受けていない。
高裁決定は、外観要件を満たすために常に手術が必要だと解釈すれば、手術を受けるか性別変更を断念するかの二者択一を迫ることとなり
「違憲の疑いがある」
とし、手術を伴わなくても外観要件を満たせる場合があると解釈した。
その上で高裁は、変更後の性別の性器だと認識することに
「特段の疑問を感じない」
外観であれば要件を満たすと判断。
申立人はホルモン療法で体が女性的になっていることなどから外観要件を満たしているとして、性別変更を認めた。
性別変更の家事審判は争う相手方がいないため高裁決定が確定した。

林官房長官「コメントは控える」 手術なしの性別変更認めた広島高裁決定巡り
2024/7/10 13:12
https://www.sankei.com/article/20240710-XFBZ6QRYQBJ3ZOE3X5ULTL2TLU/
林芳正官房長官は2024年7月10日の記者会見で、性同一性障害特例法の外観要件に違憲の疑いがあるとして、手術なしでの性別変更を認めた広島高裁決定を巡り
「国が当事者ではないのでコメントは控える」
と述べた。
その上で、性別変更時に生殖能力をなくす手術を要件にした規定を違憲とした2023年10月の最高裁決定に触れ
「関係省庁が実務的な課題や対応を検討している」
と説明した。
政府は、最高裁決定を受け、与党の議論を踏まえて特例法改正を検討する姿勢を示している。

性別変更の外観要件「違憲疑い」 特例法で広島高裁決定、差し戻し家事審判
2024/7/10 10:39
https://www.sankei.com/article/20240710-3CUZFNMV6BLXFCXDKOIW3DCQDI/
性器の外観を変える手術をせず、性同一性障害特例法の要件のうち
「変更後の性器部分に似た外観を持つ」(外観要件)
とする規定を満たさないとされた当事者が、戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた差し戻し家事審判で、広島高裁は2024年7月10日、外観要件は
「違憲の疑いがあると言わざるを得ない」
とし、性別の変更を認める決定を出した。
最高裁大法廷は2023年10月、2つある手術要件のうち
「生殖機能がない」
との規定(生殖能力要件)は、憲法13条が保障する
「意思に反して身体への侵襲を受けない自由」
への制約が重大だとして違憲、無効と決定。
もう1つの外観要件については高裁段階での審理が必要として差し戻していた。
審判の申立人は西日本在住で戸籍上は男性、性自認は女性の50歳未満の社会人。
2023年秋の生殖能力要件を違憲とした最高裁決定に続き、性的少数者の権利を尊重する司法判断といえ、国は特例法の要件見直しを迫られそうだ。

手術なしで男性から女性に、性別変更認める 特例法「外観要件」巡る差し戻し家事審判 
2024/7/10 9:45
https://www.sankei.com/article/20240710-O2UTN2SRDFOYHLZPBQ7YTVQ5JA/
性器の外観を変える手術をせず、性同一性障害特例法の要件のうち
「変更後の性器部分に似た外観を持つ」(外観要件)
とする規定を満たさないとされた当事者が、戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた差し戻し家事審判で、広島高裁は2024年7月10日、性別の変更を認める決定を出した。
最高裁大法廷は2023年10月、2つある手術要件のうち
「生殖機能がない」
との規定(生殖能力要件)は、憲法13条が保障する
「意思に反して身体への侵襲を受けない自由」
への制約が重大だとして違憲、無効と決定。
もう1つの外観要件については高裁段階での審理が必要として差し戻していた。
審判の申立人は西日本在住で戸籍上は男性、性自認は女性の50歳未満の社会人。
昨秋の生殖能力要件を違憲とした最高裁決定に続き、性的少数者の権利を尊重する司法判断といえ、国は特例法の要件見直しを迫られそうだ。

男性から女性 戸籍上の性別変更 手術なしで認める決定 高裁
2024年7月10日 17時46分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240710/k10014507081000.html
性同一性障害と診断され、手術を受けずに戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう申し立てた当事者に対し、広島高等裁判所は変更を認める決定を出しました。
これまで戸籍上の性別を変更するには外観を似せるための手術が必要だとされていましたが、裁判所は
「手術が常に必要ならば憲法違反の疑いがある」
と指摘しました。
■広島高裁「手術が常に必要ならば 憲法違反の疑い」
広島高等裁判所で性別の変更が認められたのは、性同一性障害と診断され、戸籍上は男性で、女性として社会生活を送る当事者です。
性同一性障害特例法では事実上、生殖機能をなくし、変更後の性別に似た性器の外観を備えるための手術をすることが要件の1つとされていました。
このうち生殖機能の手術については、この当事者の申し立てを受けて最高裁判所が2023年10月、体を傷付けられない権利を保障する憲法に違反して無効だという判断を示しました。
一方、外観の手術については最高裁が審理をやり直すよう命じ、広島高等裁判所で審理が続いていました。
2024年7月10日の決定で、広島高等裁判所の倉地真寿美裁判長は外観の要件について
「公衆浴場での混乱の回避などが目的だ」
などとして正当性を認めましたが、
「手術が常に必要ならば、当事者に対して手術を受けるか、性別変更を断念するかの二者択一を迫る過剰な制約を課すことになり、憲法違反の疑いがあると言わざるを得ない」
と指摘しました。
そして
「他者の目に触れた時に特段の疑問を感じない状態で足りると解釈するのが相当だ」
と指摘し、手術なしでも外観の要件は満たされるという考え方を示しました。
その上で、当事者がホルモン治療で女性的な体になっていることなどから性別変更を認めました。
家事審判では争う相手がいないため、高裁の決定がこのまま確定しました。
弁護士や専門家によりますと、外観の手術は主に男性から女性への変更の要件とされ、手術無しで認められるのは極めて異例です。
■当事者「生きにくさから解放 うれしい」
性別変更が認められた当事者は、弁護士を通じコメントを出しました。
当事者は
「物心付いた時からの願いがやっと叶いました」
「社会的に生きている性別と戸籍の性別のギャップによる生きにくさから解放されることを大変嬉しく思います」
「これまで支えて下さったたくさんの方々に感謝したいと思います」
としています。
代理人を務める南和行弁護士は、決定を伝えた時の当事者の様子について
「言葉を詰まらせて電話の向こうで泣いている感じでした」
と話し、
「申し立てから5年近くかかったので、ようやく本人が安心して生活できるようになったことが何よりも嬉しいです」
と話していました。
■代理人を務める南和行弁護士
性別変更に必要な外観の要件について判断の枠組みを明確に示したので、各地の家庭裁判所での審判に影響がある。
個別の事情から手術を受けられず、諦めていた人が申し立てをしやすくなると思う。
最高裁判所大法廷の決定以降、与野党共に議論が始まったと聞いている。
困っている人の生きづらさや不利益をできるだけ少なくするという視点で立法の議論をしてほしい。
■手術要件の撤廃に反対派「強く抗議」
性別変更における手術要件の撤廃に反対している
「女性スペースを守る会」

「女性ホルモンの影響で萎縮などしていても『男性器ある法的女性』であり、強く抗議する」
「ただ外観要件は維持されたので、何ら医療的な措置をしない男性が法的女性になる道はない」
「その点は良かった」
「何より重要なのは、特例法とは別に男性器がある限りは女性スペースの利用はできないとする法律を作ることだ」
とコメントしています。
また、性同一性障害の当事者で作る
「性同一性障害特例法を守る会」

「私たちは心から手術を求め、それ故に法的な性別の変更は世論から信頼されてきた」
「この判決の基準の曖昧さが社会的混乱を引き起こし、今後の特例法の改正論議に悪影響を及ぼしそうだ」
「既に戸籍上の性別変更をした当事者の声を聞くべきだ」
とコメントしました。
■決定のポイントは
広島高等裁判所が出した決定のポイントです。
【外観要件は「比較的幅がある」】
今回の審理では、性同一性障害特例法で定められている、性別変更の5つの要件のうち
「変更後の性別の性器に似た外観を備えていること」
といういわゆる
「外観要件」
が議論になりました。
この要件について高裁は
「自分の意思に反して異性の性器を見せられて羞恥心や恐怖心、嫌悪感を抱かされることのない利益を保護しようとしたものと考えられる」
と指摘し、目的には正当性があるとしました。
一方、
「要件は比較的幅のある文言を用いている」
「体の外性器にかかる部分に近い外見があるということで足りるとも解釈できる」
との見解を示しました。
【手術を迫ることは「違憲の疑い」】
高裁は、特例法が制定された当時と現在の治療の変化に着目しました。
法律が制定された2003年当時、学会のガイドラインでは精神科での治療やホルモン治療などの身体的治療を行った上で、性別適合手術を行うという
「段階的治療」
が採用されていました。
しかし、2006年以降は医学的な検討を経た上で見直され、治療として手術が必要かどうかは人によって異なるとされました。
こうした変化を踏まえ高裁は
「手術を常に必要とするならば、当事者に体を傷付けられない権利を放棄して手術を受けるか、性自認に従った法的な扱いを受ける利益を放棄して性別変更を断念するかの二者択一を迫る過剰な制約を課している」
と指摘し、
「憲法違反の疑いがあると言わざるを得ない」
と判断しました。
【外観要件手術必要としない解釈】
その上で外観要件について
「性別適合手術が行われた場合に限らず、他者の目に触れた時に特段の疑問を感じないような状態で足りると解釈するのが相当だ」
とし、手術なしでも外観の要件は満たされるという考え方を示しました。
そして、今回の当事者はホルモン治療で女性的な体になっていることなどから、要件を満たしていると判断し、性別変更を認めました。
■性別変更の要件を巡る動き
2004年に施行された性同一性障害特例法では戸籍上の性別変更を認める要件として、専門的な知識を持つ2人以上の医師から性同一性障害の診断を受けていることに加え、18歳以上であること、現在、結婚していないこと、未成年の子どもがいないこと、生殖腺や生殖機能がないこと、変更後の性別の性器に似た外観を備えていることの5つを定めていて、全てを満たしている必要があります。
このうち、生殖腺や生殖機能がないことと変更後の性別の性器に似た外観を備えていることの2つが事実上手術が必要とされていましたが、生殖機能の手術については最高裁判所大法廷が2023年10月に違憲判断を示して以降、各地の家庭裁判所で手術を必要としない判断が示されています。
岡山県や岩手県、静岡県では女性から男性への性別変更が認められるケースが相次いで明らかになりました。
一方、外観に関する要件については最高裁が高等裁判所で審理をやり直すよう命じたため、憲法に違反するかどうかなどの統一的な判断は示されていません。
こうした状況について今回性別変更が認められた当事者側は
「現状で外観の手術が問題になるのは男性から女性への変更の申し立てのみだ」
「生物学的な男女別で異なる取り扱いをするのは憲法が保障する法の下の平等に違反する」
などと主張していました。
この要件については、様々な意見があります。
性的マイノリティーの当事者などで作る団体は
「望んでいない人にまで手術を強いる形になっている今の法律は人権侵害だ」
などと手術の要件の撤廃を求めています。
一方、要件の撤廃に反対する団体は
「要件がなくなると手術を受けていなくても医療機関の診断で性別変更が可能になり、女性が不安を感じる他、法的な秩序が混乱する」
などと主張しています。
性別変更の要件については、法務省が最高裁大法廷の違憲判断を受けて法改正についての検討を続けている他、公明党が手術の要件を見直す見解をまとめ、自民党にも呼び掛けて2024年秋の臨時国会を視野に法改正を目指すことにしています。
■変更が認められるまでの経緯
当事者は5年前、2019年に手術無しでの性別変更を家庭裁判所に申し立てました。
社会生活上と戸籍上の性別が異なることで生きづらさを感じる一方、健康な体にメスを入れることの負担や、長期の入院などを強いられることなどから悩んだ末に性別適合手術は受けられないと判断したということです。
家庭裁判所と高等裁判所は変更を認めませんでしたが、最高裁大法廷は2023年10月、生殖能力をなくす手術の要件は憲法に違反して無効だと判断しました。
一方、変更後の性別に似た外観を備える手術の要件については審理を尽くしていないとして、高等裁判所で審理をやり直すよう命じました。
この判断について当事者は当時
「予想外の結果で大変驚いています」
「今回は私の困り事からなされたことで、大法廷でも性別変更が叶わず、先延ばしになってしまったことは非常に残念です」
とコメントしていました。
高裁でのやり直しの審理で当事者側は、外観の手術についても体を傷付けられない権利を保障する憲法に違反しているなどと主張しました。
また、当事者の日常生活や長年のホルモン治療の結果などを総合的に見れば、性別を変更するための要件は満たしていると主張しました。
■識者「画期的な判断 他の裁判所の判断にも影響」
性的マイノリティーの問題に詳しい早稲田大学の棚村政行名誉教授は今回の決定について
「性別変更で必要とされた外観の要件を大幅に緩和し、手術をしなくても認めるという画期的な判断をした」
「体を傷付けることなく性自認に従って生きるという個人の尊厳や利益を真正面に捉え、当事者の救済に努めた」
「拘束力は無いが、他の裁判所の判断にも影響が出るだろう」
と評価しました。
その上で
「特例法で性別を変更するために設けられている要件が全て合理的なのか、見直していく必要がある」
「個人の生き方を尊重しつつ、社会の不安を払拭するような環境整備の議論が必要だ」
「国会できちんと議論して法改正してほしい」
と指摘しました。
■林官房長官「引き続き適切に対応」
林官房長官は午前の記者会見で
「国が当事者として関与しておらず、詳細を承知していないため、政府としてコメントは差し控える」
と述べました。
その上で
「関係省庁では2023年10月の性同一性障害特例法に関する最高裁判所の違憲決定を踏まえて、実務的な課題や対応などについて検討している」
「立法府とも十分に連携し、引き続き適切に対応していきたい」
と述べました。

公明が性別要件変更へ論点協議、秋の臨時国会に改正案提出意欲 自民に協力呼びかけ
2024/6/26 15:35
https://www.sankei.com/article/20240626-YZEAXZR7A5LNXED64G4DFKVM6Q/
公明党は2024年6月26日、性同一性障害特例法の生殖能力要件を違憲とした2023年10月の最高裁決定を受け、法改正の論点を協議した。
終了後、谷合正明幹事長代理は、生殖能力要件を削除する方向だと記者団に説明。
残った論点を整理した上で、秋の臨時国会に改正案を提出する意欲を示した。
自民党にも協力を呼び掛ける。
特例法には性別変更の要件として、生殖能力をなくす手術を事実上求める規定と、変更後の性器に似た外観を持つことを求める規定がある。
最高裁は生殖能力要件を違憲とした一方、外観要件については判断を見送り、高裁段階に差し戻した。
谷合氏は記者団に
「高裁判断がいつ出てもおかしくない」
と述べた。
2024年7月中旬までに法改正に向けた党見解を表明する考えも明らかにした。

女性スペースの利用は「身体的特徴で判断」 自民議連、女性の安全・安心確保法整備へ
2024/6/14 10:39
https://www.sankei.com/article/20240614-S3OEC6PK5BFE3GI7WIDMLRHU3I/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
が、公衆浴場や旅館・ホテルの共同浴室など女性スペースを利用する際は男女の取り扱いを心の性ではなく
「身体的な特徴」
で区別する議員立法の法案骨子を策定した。
性別適合手術などを経ずに男性器を備えた
「法的女性」
が誕生した場合に備え、性自認は女性だと主張する性犯罪目的の元男性が女性スペースで性加害行為を働く余地を狭める狙いがある。
■各党の賛同を求めて立法化
骨子では公衆トイレを含め、不特定多数の利用者が性別で区別される施設(特定施設)について、管理者に女性の安全・安心を確保するために必要な施設構造の変更や照明設備・警報装置の設置、警備の実施などハード・ソフト両面で努力義務を課した。
議連は各党の賛同を求めつつ条文化し、2024年秋の臨時国会で提出を目指す。
施設側は身体的な特徴の性をもって男女を判断し、性別適合手術などを経ずに男性器を備えた
「法的女性」
らの利用を断ることができる根拠となる。
これまでも公衆浴場での男女の取り扱いに関して、厚生労働省は
「身体的な特徴をもって判断する」
と通知を出している。
その方針を改めて法律に明記する形となる。
女性スペースの安全確保の徹底を図る背景には、性別適合手術を経ないで戸籍上の性別を変更できる可能性が高まっていることがある。
性同一性障害特例法が求めている生殖機能の喪失を要件とした規定は、2023年10月の最高裁で憲法違反と判断された。
変更後の性別の性器に似た外観を備えている外観要件についても憲法適合性の審理が2審に差し戻されている。
■「被害比率の高い方を守る」
一方、性別適合手術を経ないトランスジェンダー女性(生まれた時の性別は男性、性自認は女性)は女性スペースを利用する権利を侵害されることになる。
骨子をまとめた2024年6月13日の会合後、議連の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は記者団に
「(施設管理者の)注意義務が上がるから(女性や女児の)安心・安全性は高まると思う」
と語った上で、
「(手術要件が撤廃され)社会問題化した場合に備えて、我々は身体的要件で判断するという答えを出した」
「平等に競争している社会の中では一定のルールが必要で、やはり弱い方、被害比率の高い方を守るというのが鉄則だ」
と強調した。
海外でトランスジェンダー女性が女性スペース内で女性に性的暴行を加えた事例が確認されていることから、
「女性のスペースをきちんと管理して守るというのが必要な時代になっている」
と指摘した。

立民、性別変更時に「生殖能力ないこと」などの要件削除を要求 特例法改正案を提出
2024/6/11 17:12
https://www.sankei.com/article/20240611-RYOTPUIP6JP4RMSOLAGZNHJR6U/
立憲民主党は2024年6月11日、戸籍上の性別変更を巡り、生殖能力がないことなどの要件を削除する性同一性障害特例法改正案を衆院に提出した。
生殖能力要件を憲法違反とした2023年10月の最高裁判断を踏まえた。
削除するのは
@生殖機能がない
A未成年の子がいない
B変更後の性別の性器部分に似た外観がある
の3要件。
法律の名称にある
「性同一性障害者」
の文言も、性同一性障害を障害として位置付けない国際的な流れを踏まえ、妥当性を検討するよう求めた。

適合手術なしで男性への性別変更認める、静岡家裁 最高裁の違憲判断後に審判申し立て
2024/4/24 21:57
https://www.sankei.com/article/20240424-WZKUX7F3QZMWRBD2DOW3VNG2LM/
生殖能力をなくす性別適合手術をしないまま戸籍上の性別を女性から男性に変更するよう求めていた静岡市の会社社長、安池中也さん(54)の家事審判で、静岡家裁は性別変更を認めた。
決定は2024年6月18日付。
安池さんによると、家裁で変更が認められた後、手続きのために訪れた区役所で職員から
「おめでとうございます」
と声を掛けられた。
一方で
「気持ち悪い」
「公共施設を共有するのが怖い」
といった内容のメールも多数寄せられたという。
安池さんは平成13年、性同一性障害と診断され、ホルモン治療を開始。
2024年2月、性別適合手術をせずに戸籍上の性別変更を求める家事審判を申し立てていた。
性同一性障害特例法には、性別変更の際に生殖能力をなくす手術を事実上求める規定(生殖能力要件)があるが、最高裁は2023年10月に違憲、無効とする決定を出した。

性別変更の厳格化を提言、自民・女性守る議連「ふわっとした多様性で片付けられぬ」
2024/4/19 20:33
https://www.sankei.com/article/20240419-PNM5KML25JEP5MSHYMSIR26Z5I/
性同一性障害特例法を巡り、自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
のメンバーは2024年4月19日、小泉龍司法相と面会し、性別変更する際の要件の厳格化を盛り込んだ提言を提出した。
生殖機能の喪失を要件とした特例法の規定が憲法違反と判断されたが、規定の撤廃が広がれば、性同一性障害を抱える生来の男性と、
「女性のなりすまし」
との見極めが困難になりかねないとの指摘もある。
小泉氏は
「様々な論点が議論され、多くの国民に理解してもらい、一番良い形で進むことが出来ればと思う」
と述べた。
■女性スペースを守る議員立法を先行
提言では、10年以上継続して性同一性障害の治療を受け、他の性別で社会生活を営んでいることの確認を新たな要件に加えている。
女性の生殖機能を持った
「法的男性」
が出産した場合に備え、民法上の親子関係などを整理する必要にも言及している。
更に、女性専用トイレ、浴室、更衣室、女子寮など、男女が
「生来の性別」
で分けられたスペースに関して、国や地方自治体、事業者など管理者に対して女性の安心・安全を守る努力義務を課す議員立法を作成する方針を盛り込み、各省庁に協力を求めた。
議連共同代表の片山さつき元地方創生担当相は小泉氏に対し、
「理念法として『女性スペースの安心・安全を守る議員立法』を先行し、世の中の不安を取り除いていく」
と述べた上で、特例法について
「慎重に国民にとって良い形での改正をされるならお願いしたい」
と訴えた。
■腰を据えて考えるべき課題
特例法は、性別を変更するために複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で
@18歳以上
A未婚
B未成年の子がいない
C生殖不能
D変更後の性別の性器に似た外観を備えている
の要件を定めている。
最高裁は2023年10月、Cの要件を違憲と判断し、Dについての憲法適合性の審理を広島高裁に差し戻している。
CとDを合わせて
「手術要件」
と言われる。
提言を提出後、議連の副代表を務める柴山昌彦元文部科学相は記者団に
「(女性のなりすましなどによる)性犯罪に近いことが起きかねない不安が起きている」
「女性スペースの安全確保が極めて大きな検討課題で解決しなければならない」
と強調した。
「(手術要件が撤廃された場合)精神的な判断だけで性別変更が認められる可能性が出てきている」
「(法的)男性である母親、女性である父親も出てくる」
「腰を据えて慎重に考えるべき課題だ」
「ふわっとした多様性で片付けていいのか」
と疑問視した。

脅迫のジェンダー本、政治家や医療関係者、当事者らが読む「差別つながる要素ない」
2024/4/19 11:17
https://www.sankei.com/article/20240419-U77SPSCSBFAHZLQ7NEZEQWSV3A/
2024年4月3日に発売された翻訳本
「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」(産経新聞出版)。
放火を示唆する脅迫メールが送り付けられたこともあり、一部書店では現在も販売を見送っている。
国内での発売から約半月。
欧米で先行する、性別違和を訴える若者の性別移行を進める
「ジェンダー肯定医療」
の負の側面も指摘した内容を巡り、国内のトランスジェンダー当事者や識者からは様々な声が上がっている。
■客観的な視座
「一方的ではなく非常に客観的な視座で描かれている」
「今まで光が当たっていない分野だったが、かなり事態が客観化されるのではないか」
「『差別助長に繋がる』要素はない」
自民党の有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
の片山さつき共同代表は同書についてこう指摘する。
同書は米ジャーナリスト、アビゲイル・シュライアーさんが手術などで回復不可能なダメージを受けて後悔する少女らを取材し、2020年6月に米国で発売された著書の翻訳本だ。
フランス語、ドイツ語などに翻訳された。
日本語版はKADOKAWAが2023年末、発行を予定したが
「(心と体の性が一致しない)トランスジェンダーへの差別を助長する」
といった批判を受けて中止された。
2024年4月3日に発行した産経新聞出版にも脅迫メールが届いた。
■トランスジェンダーへの逆風を防ぐ
性別違和を訴える若者に対し、倫理的でエビデンスに基づく医療の推進を目指す
「ジェンダー医療研究会」
の加藤祥子共同代表は同書について
「『ジェンダー肯定医療』の負の側面を明確に問題提起した本が事実上初めて日本で発売された」
と評価する。
「過去の研究では性別違和を訴える児童の8割で後に性別違和が消失したというものがある」
「思春期の性別違和は一過性のこともあると理解が進むきっかけになってほしい」
と期待も込める。
加藤氏は、同書がトランスジェンダー差別に繋がるといった見方にも首を傾げる。
「むしろ、著書を通じてジェンダー肯定医療に慎重な雰囲気が出来れば、若年者への医療虐待を防ぐ結果になり、将来的な分断が防げるのではないか」
と指摘。
理由について
「欧米では医療を巡るトラブルが多発し、成長して手術を後悔した患者が医師や病院を相手に裁判を起こしたことなどがきっかけで、強い社会の反発が(慎重さに欠くトランスジェンダー支援団体に対して)起こり、深い分断と対立を生んでいる」
と説明する。
■思春期の変身願望
「性同一性障害特例法を守る会」
副代表の浅利進氏は、同書で描かれる性別移行を望む少女らについて
「自分とは違う」
と語った。
浅利氏は女性として生まれ、幼少期から自身を男性だと認識してきた。
ネクタイ姿で仕事していたが、外見の女性化が進んだため、30代で男性ホルモンを投与した。
48歳になった今、ようやく中身と外見が一致したと感じている。
浅利氏はそもそも男性に見られること自体に喜びを感じることはないという。
「女性性が欠けた状態のまま成長し、普通におじさんをやっている」
「男装に喜びを見い出すのは思春期の変身願望に過ぎない」
と述べ、
「不可逆的な性別移行に手を出すのを思春期の冒険に思わないでほしい」
と訴える。
■思春期で性別移行ならぬ
「思春期女子の生きづらさに丁寧に寄り添うことの重要性が語られ、SNSの悪影響や、杜撰なジェンダー医療の問題を伝える本書は、子供に関わる全ての人に読んでほしい」
ジャーナリストの郡司真子氏はこう語る。
郡司氏は拘りが強いなど発達特性を抱える子供の支援に20年以上携わってきた。
2年前の2022年はトランスジェンダーを表明する子供が多かったが、最近は性自認が男女のどちらでもない
「ノンバイナリー」
を訴える子供が増えているという。
郡司氏は
「性別違和を形容するための言葉は変化していく」
「発達特性を抱える子供は特に思春期は揺れる」
と述べ、同書の副題にある
「流行の悲劇」
に直面しないためにもこう強調する。
「ジェンダー肯定医療に進むといった先鋭的な行動は自我が確立した段階で考えるべき問題だ」
「思春期の状態に性別移行を決断してはいけない」

性別変更の手術要件撤廃「出産する男性誕生は民法大改正に至る課題」 自民・片山さつき氏
2024/4/16 16:28
https://www.sankei.com/article/20240416-BGBBMMKGWNFEDCVIAJXUYUBULI/
性同一性障害特例法を巡り、性別変更する際に求められる生殖機能を喪失する要件(生殖不能要件)が2023年10月に憲法違反と判断され、更に性器の外観を他の性に近付ける要件(外観要件)について憲法適合性が争われている。
同特例法の要件厳格化を求める提言をまとめた自民党の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
の片山さつき共同代表が産経新聞のインタビューに応じ、性別適合手術などを受けずに戸籍上の性別を変更できる可能性について強い懸念を示した。

■客観性と持続性は「10年」の移行期間で
(生殖不能、外観要件を合わせた)「手術要件」
が撤廃された場合、どうやってなりすましと峻別するのか。
その完全な答えは得られていない。
性別違和(性同一性障害)を訴える患者の診断症例が最も多い精神科医も議連の会合で
「正確な診断が困難になる」
と語っている。
岸田文雄首相が2024年3月15日の参院予算委員会で
(2023年6月施行されたLGBTなど性的少数者への理解増進法が尊重を求める)「ジェンダーアイデンティティー」
について
「本人のその時々の主張を指すものではなく、自分の性別についてのある程度の一貫性を持った認識を指す」
と述べたように、ジェンダーアイデンティティーには
「何らかの客観性と持続性が必要」
というのが公式見解だ。
提言には、違憲と判断された
「生殖不能要件」
の規定に代わり、性別変更する要件に
「一定期間(10年以上)継続して他の性別で社会生活を営んでいると認められること」
と盛り込んだ上、従来通り、手術を受けるルートを残した。
(戸籍上の性別を変更するまでの)移行期間についての絶対的な基準は医学的に存在していない。
日本は性別移行の症例が(同特例法が成立した)平成15年以降、約1万2800件と言われ、これらの症例の診断結果もデータベース化されていない。
手術自体を望む人もいて、手術を受けても性別変更申請していない人もいることを知るべきだ。
特例法を改正するにしても、女性スペースを守る理念法のような議員立法の成立を優先するべきだろう。
■マジョリティーの言論封殺すべきではない
「10年」
に移行期間を設定したのは、今国会に政府が提出した
(法案で創設する子供と接する仕事に就く人の性犯罪歴の有無を確認する)「日本版DBS」
で、軽度の性犯罪を犯歴10年まで開示する法文などを手掛かりにした。
ドイツはかつて移行期間を
「3年」
としたが、つい最近年限を撤廃した。
英国は
「2年」
としているが、女性の安全を確保する議連である以上、厳格な姿勢を示した形になる。
これより短くても大丈夫というなら反証を示してほしい。
トランス女性には女性の格好で気持ちも女性だが、男性の性的機能を保ちながら、性的対象が女性である人もかなりいる。
そこを悪用した性犯罪事例も出てきている。
更に、女性の側には自分たちの裸を異性から見られない尊厳・権利、盗撮されない権利がある。
性的マイノリティーについての配慮は当然だが、社会生活上、皆が上手く共生するにはルールが必要だ。
不安や懸念を抱くマジョリティーの人が非難され、
「ヘイト」
の烙印を押され、発言が封じられる現状はあるべきではない。
双方傷付かないように、丁寧に分類をすべきだ。
■戸籍無力化される、国論に付すべき
そもそも、日本の法制は
「父、夫=男性」
「母、妻=女性」
の仕様で成り立っている。
手術要件が撤廃された場合、女性の生殖機能を保った
「法的男性」
が存在することになる。
妊娠・出産すれば母親になり、戸籍上の男性が
「母」
の欄に記されることになる。
立憲民主党は戸籍から
「父母」
「親子」
の区別をなくす
「婚姻平等法案」
を議員立法として国会に提出している。
同法案のように民法の
夫の記載を「男と限らない」、
妻について「女と限らない」
と書き直すのか。
戸籍が無力化される恐れがあるが、国会で議論されていない。
民法の大改正に至る課題で、議員立法である性同一性障害特例法で派生的に議論すべき話ではない。
国論に付すべき問題だ。
正面から議論しないと極めて非民主的になる。
にもかかわらず、手術要件が撤廃されれば何が起こるか、国民に論点が共有されているとは言えない。
それはマスコミが報じないからではないか。

性別変更「10年以上の治療と他性別の生活」手術要件撤廃に備え、自民女性守る議連が提言
2024/4/15 14:26
https://www.sankei.com/article/20240415-IPIQTUL4ZJA3DAF25FI7652XZI/
自民党有志の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
が性同一性障害特例法が定める性別変更する上での要件厳格化を求める提言をまとめ、党政務調査会の特命委員会に2024年4月9日、提出した。
提言は10年以上継続して性同一性障害の治療を受け、他の性別で社会生活を営んでいるという要件の追加を求めた。
女性の生殖機能を持った
「法的男性」
が出産する場合などに備え、民法上の親子関係を整理する必要性にも言及した。
■法的男性が妊娠した場合、戸籍は女性に
特例法は性別変更する上で生殖機能の喪失を求める要件があるが、最高裁大法廷は2023年10月、これを憲法違反と判断した。
法改正が迫られているが、要件を撤廃すれば、性同一性障害を抱える人々と女性へのなりすましなどの見極めが困難になるとも指摘されている。
提言は
「一定期間(10年以上)継続して一定の治療を受け、かつ、一定期間(10年以上)継続して他の性別で社会生活を営んでいると認められること」
を新たに要件に盛り込んだ。
カナダや英国では、刑務所や留置場などで、女性に性別変更した元男性による女性への性犯罪が発生している。
これを踏まえ、提言では
「収容施設などにおいては、生物学上の性別に基づき区別して収容される」
ことを求めた。
性別変更する上で、子供と接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する
「日本版DBS」
創設法案に盛り込まれた、就業を制限する
「特定性犯罪」
の前科がないという要件も追加した。
女性の生殖機能を持ったままの
「法的男性」
が妊娠・出産した場合は、戸籍を女性に戻すとの条文の追加についても、検討を求めた。
提言は
「『なりすましによって生じた性的被害への国家賠償』
『女性生殖機能が残っているので妊娠・出産してしまった戸籍上男性が母親になることの社会的混乱』
という、現在までには、ほぼあり得なかったケースがあり得ることになる」
と指摘。
「女性たちの安心と安全を1ミリたりとも危うくしない」
と強調し、リスクの排除を訴えた。
■「診断の判断があやふやに」
平成15年に成立した特例法は、性別を変更するために複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で
@18歳以上
A未婚
B未成年の子がいない
C生殖不能
D変更後の性別の性器に似た外観を備えている
の要件を定めている。
2023年10月、最高裁大法廷は生殖不能要件を違憲と判断し、Dの
「外観要件」
について憲法適合性の審理を広島高裁に差し戻した。
CとDを合わせて
「手術要件」
と言われる。
特例法は性同一性障害者について
「他の性別であるとの持続的な確信を持ち、身体的および社会的に他の性別に適合させる意思を有する者」
と定義する。
ただ、手術要件が撤廃された場合、客観的な基準がなくなり、衝動的に元の性別による性行動に出る場合も含め、
「なりすまし」
が排除しきれないとの懸念もある。
性同一性障害を訴える患者を数多く診断してきた精神科医の針間克己氏は2024年4月9日、特命委の会合に出席後、
「手術要件がなくなると(性同一性障害者の)定義に一致するかどうかの判断が非常にあやふやになってしまう」
「診断が難しくなるので何らかの基準を設けたほうがいい」
と産経新聞などの取材に語った。

「女性は人数多くてもマイノリティー」武蔵大・千田有紀教授 性自認尊重のトレンドに懸念
2024/3/25 13:55
https://www.sankei.com/article/20240325-CCBO54JDBRDJTP6QTSNHOMXAZE/
武蔵大の千田有紀教授(家族社会学・ジェンダー論)が国会内で講演し、生物学的な性差から性自認(心の性)を重視する流れが強まっているとして、
「性別の基準に性自認の尊重を置けば、
『女性に見えないけど、あなたは本当に女性なの』
と疑うこと自体、差別とされかねない」
「女性は数は多くてもマイノリティーだということを分かってほしい」
と述べ、警鐘を鳴らした。
女性の権利保護を目指す
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」
が2024年3月18日に開いた集会でも講演した。
千田氏の発言要旨は以下の通り。

■見られる存在になることに不安
女性は、心と体が一致しない性同一性障害(GID)の人たちの
「体を変えたい」
との思いに対し、温かな眼差しを送っていた。
自由な社会を目指す思いはGIDも女性も同じだ。
戸籍上の性別を変更するために男性器を取ってしまうほど女の人になりたいと思っているならば、その人は女性だと思い、共存していた。
《2023年10月、最高裁大法廷は性同一性障害特例法が戸籍上の性別を変更する上で求めていた
「生殖腺がないか生殖機能を永続的に欠く状態」(生殖不能要件)
の規定を憲法違反と判断した》
《「変更後の性別の性器に似た外観を備えている」(外観要件)
との規定については広島高裁に差し戻し今後、憲法適合性の審理が予定される》
《双方の要件を合わせて「手術要件」と言われる》
判決では
「女性は男性器を見たくないのだろう」(=異性の性器を見せられる羞恥心)
といった指摘があった。
そうではない。
女性は自分の身体を(元男性に)見られることに対し不安を感じている。
ここが理解されていない。
手術要件がなくなれば性別変更する上で司法や医療の関与が薄まる。
性同一性障害特例法は自己申告に基づく性別変更を可能とする『ジェンダー・セルフ・ID』の制度に近付くことになる。
短時間で性同一性障害の診断を下すべきではない。
診断基準を厳しくするのが解決の道だろう。
海外では性自認を尊重する余り、女湯や女性トイレで様々なトラブルが起きている。
■女性スペースの安全は身体で担保
国連が定義したトランスジェンダーには異性装者やノンバイナリー(男性にも女性にも当てはまらない人)といった属性に加え、女性のアイデンティティーを主張するのに、外見上は髭を生やしたままなど女性に見られる気がない属性もある。
その人の性自認を疑えば、
「差別」
とされる世界が広がりつつある。
性自認を認めるなというのではない。
これまで女性スペースの安全性や女性スポーツの公平性は身体によって担保されてきたが、性自認の尊重が過ぎれば社会のシステムが崩れる。
例えば、女子トイレは女性が社会参加する上で基本的なインフラだ。
女性はトイレでの安全性が担保されないと外に出られない。
性自認は自由だが、別に制度的な解決が政治に求められる。
LGBT活動家の主張には
「女子トイレや女湯に入りたいというトランスジェンダー女性はいない」
という声に加え、
「手術要件が廃止されれば、その時に話し合えばいい」
という声もある。
「女子トイレを使いたい」
と主張するトランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)がSNS上で女性に対して暴力的な言葉を使っているケースもある。
(トランス女性の権利を優先する)LGBT活動家から
「女性はマジョリティーだ」
といわれている。
女性は妊娠する身体を持ち、相対的に脆弱だ。
数が多くても女性はマイノリティーだということを分かってほしい。

女性スペース守る連絡会 性同一性障害特例法の改正案私案で集会 外観要件議論に危機感
2024/3/19 11:35
https://www.sankei.com/article/20240319-HJ33CQDNQNCNFLSDMU4JWDRNS4/
女性の権利保護を目指す
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」
は2024年3月18日、国会内で集会を開き、性同一性障害特例法の改正案や女性スペースに関する法案など会がまとめた独自案について説明し、生来の女性を保護するための法整備の必要性を訴えた。
2023年10月の最高裁で、戸籍上の性別を変更する上で生殖機能の喪失を要件とした特例法の規定が憲法違反と判断されるなど区別が曖昧になりつつある現状を踏まえた対応となる。
特例法を巡っては、性別変更する上で
「変更後の性別の性器に似た外観を備えている」
という外観要件について、広島高裁で憲法適合性の審理が改めて予定されるなど、違憲と判断される余地を残している。
最高裁は2023年7月、経済産業省に勤務するトランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)の職員に対し職場の女性用トイレの使用に制限を設けたことを違憲と判断している。
男性として生まれたトランス女性が女性スペースを利用する機会が広がりつつある現状を受けて、連絡会の
「女性スペースに関する法律案」
は、身分証明書上は女性でも男性器を備えていた場合は女性スペースの利用を認めない趣旨を盛り込んだ。
経産省のトランス女性に関するトイレを巡る判決を踏まえて、女子トイレを利用する女性らの意向を踏まえた上で、施設管理者が特定のトランス女性の入場を許容した場合は例外的に認めるとした。
会合に出席した自民党の片山さつき元地方創生担当相は
「マイノリティー(性的少数者)でずっと悩まれて、社会的に悲しい思いをした人は実際いる」
「そういう人に手を差し伸べることに反対したことはない」
と述べた上で、
「(女性や女児の)安全性を毀損することは国家の要諦としてあってはならない」
「今も女性や女児に対する犯罪を完全に防止できていない」
「今よりも危うくしてはならないという線を譲らない」
と語った。
集会では、女性スペースを巡る国内外の現状として、
▷性自認による差別を禁止する差別禁止法が施行されているカナダで、トランス女性を自認するという男が女性専用シェルターに滞在して女性利用者に性的暴行を行った
▷英国で性犯罪で逮捕された男が服役中にトランス女性になった
▷性別適合手術を受けていない女性を自認する外国人の男性が東京で女湯に侵入した
といった事例が紹介された。
連絡会は約3200人が賛同する
「女性スペースを守る会」
や性同一性障害者らで作る
「性同一性障害特例法を守る会」、
LGBT活動家に批判的な当事者団体
「白百合の会」、
「性暴力被害者の会」
などで構成される。

拡声器で「帰れ」「ヘイトデモ中止」性別変更反対の女性デモに3度目の妨害行為
2024/3/3 15:27
https://www.sankei.com/article/20240304-OJBMXROHUBHLHEIQTCCTLJVAMY/
女子トイレや女子更衣室、女湯などに男性が入ることを反対する
「女性の権利と尊厳を取り戻す会」
が2024年3月2日、東京・新宿でデモ活動を行い、戸籍上の性別変更を可能にする性同一性障害特例法の廃止を訴えた。
こうしたデモ活動に対しては妨害行為が繰り返されており、この日も同会の主張に反対する集団が現れて、デモの参加者に罵詈雑言を浴びせていた。
特例法を巡っては、広島高裁で性別を変更する要件の1つである
「変更後の性別の性器に近い外観を備える」(外観要件)
の規定の合憲性について審理が行われる予定だ。
デモに参加する女性らは、この規定が違憲となった場合、
「体は性別適合手術をしていない男性のままで、戸籍の上では女性」
という人物が現れ、
「女性専用スペース」
を共有する可能性が生じるとして、強い懸念を抱いているという。
一方、2023年の10月や12月のデモ活動では、マスクやサングラスで顔を隠す参加者に対し、執拗に撮影したり、拡声器で
「差別者、帰れ」
「へらへら笑うな」
と罵声を浴びせたりする集団が現れていた。
この日も同様だった。
デモが始まる前から、多様性のシンボルとされるレインボーのフラッグを掲げた集団が
「トランス差別扇動デモ」
「言い返してみろよ、ただの差別なんだよ」
などと持論を展開していた。
警察官が先導する形でデモ参加者が移動を始めると、拡声器越しに
「ヘイトデモ中止」
「トランス差別は今すぐやめろ」
「帰れ」
と興奮した様子で繰り返した。
デモの参加者は
「男は男、女は女」
などと訴えても、周囲に声がほとんど届かなかった。
デモの後、同会の青谷ゆかり共同代表は
「妨害は良くないと思う」
「妨害する音を小さくしてほしい」
「こちらの主張が伝えられない」
と訴えた。
妨害する人々に対しては
「口封じするのではなく、お互いの意見について話し合いたい」
と語った。

サイレンにスマホ撮影、罵声、中指‥「男性は女性になれない」デモに過激な妨害
2023/12/23 19:00
https://www.sankei.com/article/20231223-TFXAL24VUJEXJJ2YMUSMHWIWGI/
戸籍上の性別変更を可能にした性同一性障害特例法の廃止を訴えるデモ活動が2023年12月23日、東京・新宿で行われ、参加者の女性らが
「性別は変えられない」
「女性の尊厳を守れ」
「性別は気持ちではない」
などと訴えた。
現場では、心と体の性別が一致しないトランスジェンダーが性別を変更する権利が脅かされるとしてデモ活動を妨害する人々も現れ、休日の繁華街で聞くに堪えない罵詈雑言を浴びせていた。
午後1時前のJR新宿駅前。
コーンで仕切られたスペースに20人弱の女性が集まった。
女性団体
「女性の権利と尊厳を取り戻す会」
が主催するデモの参加者だ。
平成16年施行の特例法に基づき性別適合手術を経て性別変更が認められても、元男性と女性トイレや女性更衣室などを女児や成人女性が共有することなどに強い拒否感を覚えている。
参加者の多くはサングラスやマスクで顔を隠している。
インターネット上に顔が公開される恐れがあるためだという。
周囲はデモの開始前から、虹色のフラッグを掲げた人々が参加者の数倍の規模で取り囲んでいる。
「ヘイトデ〜モ中止!」
「トランス差別者、かーえーれ!」
と罵声を浴びせ、スマートフォンやビデオカメラで参加者を撮影する。
多くの警察官が警備する中、デモ行進が始まった。
妨害者の側がデモ参加者に接近してメガホンで大声を張り上げるので、参加者が訴える内容がなかなか聞き取れない。
ようやくデモの参加者側がメガホンの音量を上げ、
「性別の定義を変えるな」
「女性の尊厳を守れ」
と訴えると、妨害する側も
「かーえーれー」
とボリュームを上げて対抗する。
妨害する側の行為は眉をひそめる内容だった。
「とっとと帰れって言ってんじゃねーか」
と大声を発する女性。
「ファン、ファン、ファン」
とサイレンを大音量で鳴らす女性。
「うわー」「うわー」「うわー」
と叫びながら、デモの参加女性にスマホを近付ける男性もいた。
デモの参加者に親指を下げ、中指を立てる人たちも少なくなかった。
デモ参加者の訴えを周囲に聞かせない狙いがあるという。
通行人に向かい、
「悪質なトランスジェンダー差別が行われています」
「どうか皆さま、耳を貸さないようにお願いします」
となどと頭を下げている。
今回のデモ活動は事前に警察から許可を得たものだ。
こうした妨害行為を、参加者はどう感じているのか。
主催団体の共同代表を務める青谷ゆかりさんは
「意見や立場が違う人がいるのは分かる」
「でも、このようなカウンター(反対)行為を行うのではなく、お互いどう考えているのか議論すべきだ」
「カウンター行為は反対だ」
という。
同じく共同代表の白瀬詩織さんも
「我々の主張が広がれば、賛同者が増えてしまうから都合が悪いと考えているのではないか」
「まずは聞いてほしい」
と語った。
デモの開始前、記者がデモ参加者に挨拶をしていると、ある男性が記者にスマートフォンを向けてきた。
撮影されているのだろうか。
その場を離れると、その男性から指を差され、
「これが産経新聞だ」
と周囲に伝えている。
デモの取材中、記者に対する威圧的な行為はなかったものの、妨害する人々の一部は取材する記者の顔も事前に把握していたことに恐怖を覚えた。

「マスコミはLGBT活動家の意見ばかり‥」女性スペース守る連絡会が会見
2023/12/15 19:04
https://www.sankei.com/article/20231215-XGMFAGQOB5EBPDHUKCFYWCALOU/
女性の権利保護を目指す
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」
は2023年12月15日、東京都内で記者会見し、戸籍上の性別を変更する要件を盛り込んだ性同一性障害特例法に関する最高裁の決定に否定的な考えを示した上で、男性器を有した人による女性トイレの利用を公認しないための法整備などを訴えた冊子の発行を公表した。
最高裁は2023年10月に性別変更する上で特例法が求める生殖機能の喪失要件について憲法違反と判断し
「変更後の性別の性器部分に似た外観がある」
と求めた外観要件については高裁に審理を差し戻した。
性別適合手術に否定的なLGBT活動団体などは特例法に対し
「人権侵害の懸念が極めて強い手術要件を中心に撤廃すべきだ」
などと主張していた。
会見で、性別適合手術を経て女性に性別変更した
「性同一性障害特例法を守る会」
の美山みどりさんは
「LGBT活動家の主張だけを鵜呑みにして、イデオロギー的な偏った立場で判断を下したとしか思えない」
と最高裁の決定を疑問視し、
「マスコミは活動家の意見を取り上げた半分でも(特例法の堅持を求める)我々の意見を報道したのか」
と苦言を呈した。
「性暴力被害者の会」
の郡司真子さんは、性交の多様な在り方や自慰行為の快楽性を子供たちに教える性教育が欧米で先行する状況に強い懸念を示した。
「行き過ぎた性教育を一方的に進めていくのではなく、海外の事例について検討して議論を進める必要がある」
と訴えた。
「女性の権利を守るトランスの会」
の森永弥沙さんは、トランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)と女性の権利衝突に懸念を唱えるとLGBT活動家から糾弾される現状について、
「懸念を示す女性を蔑み、汚い言葉で踏みしだくなど論外だ」
と述べた。
「戸籍を変更しなくてもトランスジェンダーが社会に適用しやすいように(法制度が)運用されることが肝心だ」
「将来的にはトランスジェンダーなど多様な属性が意識されることなく、ありふれた、ただの人間と認識される社会を目指さないといけないと思う」
と語った。
「女性スペースを守る会」
の森谷みのりさんは、2023年6月に施行されたLGBT理解増進法について
「性の多様性を承認し理解増進を掲げたもので、それに従った法令上の取り扱いを受ける権利を予定したものではない」
と指摘し、
「最高裁は性別を蔑ろにして、性自認至上主義で安易に女性や男性の定義を変更しようとしている」
と批判した。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/846.html#c36

[政治・選挙・NHK294] <まるでAI絵に描いたような>なぜかすべての東京23区、市で 上からユリコな不思議<1ユリコ 2石丸 3れんほう> 選挙研究所
45. 秘密のアッコちゃん[435] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月11日 09:44:23 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[548]
<■70行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
辺野古移設反対派の理不尽な抗議に屈するな。
辺野古移設反対派の理不尽な抗議に屈しているようでは、屈している側も信用できない。
そんなことでは保守派から見限られる。

<主張>辺野古ダンプ事故 危険な抗議活動をやめよ
社説
2024/7/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20240711-VUIXRIOQYVOAHN4XDGTBXO6Y4U/
沖縄県や県警が適切に対応していたら、防げた事故だったのではないか。
同県名護市安和(あわ)の国道で2024年6月、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議する女性と警備員の男性がダンプカーにひかれ、男性が死亡する事故が起きた。
女性は足を骨折した。
現場では数年前から、辺野古移設工事に使う土砂を運搬するダンプカーの前を反対派がゆっくりと歩いて妨害する抗議活動が行われていた。
車道に出た女性を警備員の男性が制止しようとして、左折中のダンプカーに巻き込まれたとみられる。
何に抗議するのも自由だが、危険な行為は許されない。
事故を招くような抗議活動は即刻やめるべきだ。
玉城デニー知事は事故について、
「県民の安全に責任を持つ者として極めて遺憾だ」
と述べた。
その上で沖縄防衛局に対し、安全対策が十分講じられるまで土砂の運搬作業を中止すべきとの考えを示した。
作業は2024年7月10日現在、中断している。
これはおかしい。
ダンプカーの前をわざとゆっくり歩くという、極めて危険な行為を道路上で繰り返しているのは反対派の方だ。
抗議はほぼ連日行われ、ダンプカーの渋滞も起きていた。
危険な行為を放置せず、交通の安全と秩序を取り戻すのは行政と警察の責任だろう。
県は2023年2月、同様の抗議活動が行われている辺野古移設の土砂搬入の港湾施設に、注意喚起の看板を設置した。
大型車両の往来を妨害する行為は県港湾管理条例の禁止行為に当たるとし、
「警告」
する内容だ。
ところが、反対派の猛烈な反発を受けて2023年5月に撤去してしまった。
理不尽な抗議に屈し、危険を黙認したことに他ならない。
県警も、十分な取り締まりを行ってこなかった。
県内では、自衛隊駐屯地に武器などを搬入する際に一部の活動家らが道路にしゃがんだり寝転んだりして妨害する行為が繰り返されてきた。
県警が道路交通法の禁止行為に当たるとして排除することもあるが、県内の一部メディアは
「強制排除」
と批判的に報じていた。
今回の事故で警備員は、反対派の危険な行為を制止しようとして犠牲になった。
悲劇を繰り返してはならない。

事故現場、再三のガードレール設置要請も沖縄県認めず 玉城知事も把握 辺野古ダンプ事故
2024/7/10 16:25
https://www.sankei.com/article/20240710-KE7OGDNCAJJDVJLVRFMFKJJZWI/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡した事故で、港湾を利用する事業者側が県に対し、
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請していたことが2024年7月10日、分かった。
玉城デニー知事もこうした要請を把握していた。
事業者側は自ら費用を負担するので設置させてほしいとも申し出たが、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
一方、牛歩による抗議活動が行われてきた本部港塩川地区(本部町)に設置されていた
「大型車両の往来を妨害する行為」
が県条例の禁止行為に該当すると明記した警告看板は市民の要請を受け、設置から約2カ月半後に撤去していたことも明らかになった。
いずれも同日の県議会本会議で、自民党の島袋大議員の代表質問に、県土木建築部の前川智宏部長が答えた。
県北部土木事務所などによると、牛歩による抗議活動が行われてきた名護市安和(あわ)の国道では令和4年12月以降、事業者側から何度もガードレールの設置を求める要請があった。
事業者側からは費用を負担するのでガードパイプを設置させてほしいという要請もあった。
だが、県は
「歩道であることからガードレールを設置する予定はない」
「事業者によるガードパイプの設置は歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
県は2023年2月17日、隣接する本部町の本部港塩川地区に
「大型車両の往来を妨害する行為」
などについて、県港湾管理条例で定める禁止行為に該当する旨を明記した警告看板を2枚設置。
禁止行為を行った場合は
「条例に基づき過料を処することがある」
と警告した。
しかし、市民から
「なんで過料を科すのか」
などと
「厳しい意見」
が寄せられたといい、県は現場を確認した上で
「状況は危なくない」
と判断。
2023年5月2日に撤去したという。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/844.html#c45

[政治・選挙・NHK294] “石丸新党”にビビる維新は分裂・消滅へまっしぐら…都知事選の内幕を急に暴露した理由(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
32. 秘密のアッコちゃん[436] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月12日 07:18:40 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[549]
<■101行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>電力需給の逼迫 真夏の安定供給に万全を
社説
2024/7/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20240712-THIOATW7TBPNDJJADEJFMGRWXY/
想定を超える猛暑となり、全国的に電力需給が逼迫する事態が起きている。
各地で冷房の使用が急増した2024年7月8日には、東京電力と関西電力の管内で、電力需要に対する供給余力を示す予備率が3%を一時下回り、隣接する中部電力から電力の融通を受けた。
3%は安定供給に最低限必要な水準とされる。
夏の暑さはこれからが本番である。
斎藤健経済産業相は2024年7月9日の会見で、電力の需給状況について
「今後も厳しい暑さが見込まれるので予断を許さない」
と述べた。
電力各社は気を緩めることなく、電力の安定供給に万全を尽くしてほしい。
経産省は、2024年夏は3年ぶりに全国10電力管内全てで節電要請を見送ると決めている。
10年に1度の猛暑を想定しても、予備率3%を安定的に上回ることが見込まれるためだという。
だが、2024年7月8日に発生した電力需給の逼迫は、依然として供給力に不安があることを示す。
全国の電力需給を調整している電力広域的運営推進機関は同日、中部電の送配電会社に対し、東電、関電の管内に電力を融通するよう指示した。
発電会社に対しても発電量を増やすように協力を依頼し、東電と中部電が折半出資するJERA(ジェラ)が応じた。
予備率が安定的に3%を上回る見込みといっても、東京、東北、北海道の2024年7月の見通しは4.1%に過ぎない。
2024年7月後半には定期検査で停止している火力発電所が順次稼働するため、2024年8月の予備率は東京、東北が8.0%、北海道は10.5%に向上する見通しになっている。
だが、供給力の中には故障のリスクを抱えた老朽化した火力発電も含まれる。
一度故障が起きれば、供給懸念が高まる恐れは拭えない。
東日本管内で供給力に不安が残るのは原発が1基も稼働していない影響が大きい。
東北電力が予定している女川原発2号機(宮城県)の再稼働も当初予定より後ろ倒しとなり、2024年9月頃にずれ込んだ。
東電の柏崎刈羽原発(新潟県)も再稼働の時期は見えていない。
近年の夏の暑さは
「災害級」
とも言われ、真夏に電力不足が起こるようなことがあれば生命に関わる。
供給力を強化するため、安全を確認した原発の再稼働を着実に進めたい。

連日の猛暑、高まる電力不足の懸念 節電要請は見送りも、安定供給の確保には不安
2024/7/9 18:19
https://www.sankei.com/article/20240709-WMDGMN7U3NL6DB3VWD5HQDCSAQ/
連日の猛暑で、電力不足の懸念が高まっている。
2024年7月8日には東京電力管内で冷房の使用が急増して電力需給が逼迫、中部電力から電力の融通を受ける事態が起きた。
今後も厳しい暑さが見込まれるが、政府は夏の節電要請は行わない考えだ。
発電所の稼働再開で供給力に余裕が生まれるとの判断だが、老朽発電所が停止するリスクもあり、安定供給の確保には不安が残る。
「今後も厳しい暑さが見込まれるため予断を許さない状況だ」。
斎藤健経済産業相は2024年7月9日の記者会見でこう述べ、電力の需給状況を注視する意向を強調した。
2024年7月8日の猛暑で東電管内は冷房需要が急増し、電力使用率は一時95%に達した。
送配電会社の東電パワーグリッド(PG)は隣接する中部電力から電力融通を受けた。
東電PGが他社からの融通を受けるのは約2年ぶりのことだった。
東電と中部電が折半出資する発電会社JERA(ジェラ)も火力発電所の出力を増やす対応を取り、斎藤氏は
「安定供給に支障が生じることはなかった」
と説明した。
その上で、これからも
「安定供給の確保に万全を期す」
と力を込めた。
一方で、斎藤氏は夏の節電要請は必要ないとの考えを重ねて示した。
経産省は2024年6月、3年ぶりに10電力管内の全てで夏の節電要請を見送ると決めていた。
10年に1度の猛暑を想定しても、電力需要に対する供給余力を示す予備率は安定供給に最低限必要な3%を上回る見通しのためだ。
2024年7〜9月で予備率が最も低いのは各電力とも2024年7月で、北海道、東京などは4.1%、中部、北陸、関西などは10.4%を見込んだ。
点検や補修を終えた火力発電所が稼働することで供給力が向上。
同時に企業や家庭で節電志向が高まって需要が減り、需給が安定すると見ている。
そうした中でも
「仮に厳しい場合は、あらゆる手段を講じる」(斎藤氏)
として、電力融通や火力発電の供給増加の他、揚水発電の活用などの供給力対策を総動員する構えだ。
ただ安定供給確保には不安も根強い。
東電は老朽化した火力発電所を抱え、安定稼働を懸念する向きもある。
地震などの災害もリスクで、政府関係者は
「切迫度が増せば『電力需給逼迫警報』などで節電を求める可能性もある」
と話した。

斎藤健経産相「電力需要は厳しい暑さで予断を許さない」 需給状況を注視
2024/7/9 12:23
https://www.sankei.com/article/20240709-A6ZPXF75GBI5TJLXUXZSGYXZFY/
斎藤健経済産業相は2024年7月9日、閣議後記者会見で猛暑により電力需要が増加していることについて
「今後も厳しい暑さが見込まれるので予断を許さない」
と述べ、電力の需給状況を注視する考えを示した。
2024年7月8日の猛暑で冷房需要が急増し東京電力や関西電力管内で電力使用率が一時95%に達したが
「安定供給に支障が生じることはなかった」
と説明。
定期検査で停止中の火力発電所が2024年7月後半に稼働するため、供給力の上積みが見込まれるとも強調した。
2024年夏は3年ぶりに10電力管内の全てで節電要請を見送る方針。
ただ斎藤氏は
「仮に厳しい場合は電力の安定供給確保にあらゆる手段を講じる」
と話した。

東電、猛暑で冷房急増で電力使用率95%に 中部電が融通、発電所も出力増で対応
2024/7/8 16:48
https://www.sankei.com/article/20240708-AD5FPGT33BM5DJMXYL3B245XGM/
2024年7月8日の猛暑で東京電力管内では冷房の使用が急増し、電力使用率が一時95%に達した。
需給が
「厳しい」
とされる水準で、送配電会社の東電パワーグリッド(PG)は隣接する中部電力から電力の融通を受けた。
発電会社が発電所の出力を増やすなど対応を迫られた。
東電PGによると、管内の使用率は午前10時頃95%に達した。
全国の電力会社が加盟する
「電力広域的運営推進機関」
が、中部電の送配電会社に電力を融通するよう指示した。
東電PGが他社から融通を受けるのは2022年8月以来約2年ぶり。
電力事業者には発電量を増やすよう依頼し、東電と中部電が折半出資する発電会社JERA(ジェラ)が火力発電所の稼働を増やした。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/851.html#c32

[政治・選挙・NHK294] 小沢さん政権交代のチャンスです。揃って新任した、最高裁長官・検事総長は、陸山会事件・裏金事件の冤罪の主犯。国民に拡散を! 阿闍梨(あじゃり)
10. 秘密のアッコちゃん[437] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月13日 10:55:13 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[550]
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<主張>NATO首脳会議 ウクライナ支援を確実に
社説
2024/7/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240713-VD5XJQDFKZLOLI55WYHX7LJBNQ/
創立75年を迎えた北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が米ワシントンで行われ首脳宣言を採択した。
宣言はロシアに侵略されているウクライナのNATO加盟について、
「不可逆的な道を歩んでいる」
と明記した。
2025年も最低400億ユーロ(約7兆円)規模の軍事支援を行うことも約束した。
ウクライナへの兵器供与や同国兵士の訓練などの調整は米国が従来担ってきたが、今後はNATO主導で実施すると明記した。
そのための新司令部をドイツに設け、ウクライナの首都キーウにNATOの代表者を常駐させることを打ち出した。
2024年11月の米大統領選で、NATOに批判的なトランプ前大統領が返り咲いても、ウクライナ支援を長期的に継続するため、NATOの役割と関与を増大させたものだ。
歓迎すべき成果であり、支援策を着実に実行してもらいたい。
NATOの式典でバイデン米大統領は
「ウクライナは必ずプーチン(露大統領)を押しとどめる」
と演説し、米国など加盟5カ国が計数百基の防空ミサイルを追加供与すると表明した。
米製戦闘機F16は今夏に運用可能になる見通しを示した。
会議に出席したウクライナのゼレンスキー大統領は支援に謝意を示した。
首脳会議前日にはロシア軍によるウクライナ各地への大規模ミサイル攻撃があり、キーウ最大の小児病院などで子供を含む40人超が犠牲となった。
NATOは約束した兵器を遅滞なく届けてもらいたい。
宣言は中国に関し、ロシアのウクライナ侵略の
「決定的な支援者になった」
と非難し、兵器転用が可能な物資や原材料の対露輸出停止を要求した。
北朝鮮やイランについては、弾道ミサイルの供与など
「直接の対露軍事支援を行っている」
と国連安全保障理事会決議違反を糾弾した。
3年連続で首脳会議に出席した岸田文雄首相は、ウクライナ支援の継続と、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分であると訴えた。
NATO側と、秘匿情報の共有やサイバー分野の協力強化など4項目で合意もした。
韓国、オーストラリア、ニュージーランドも含め、中露のサイバー攻撃や偽情報工作にNATOと共に対処する意義は大きい。

岸田首相の認識、欧州側にも浸透 「欧州とインド太平洋は不可分」  連携に制約、課題も
2024/7/12 21:57
https://www.sankei.com/article/20240712-BHCPCEHX4ZKIJPBTIFMXQHKPPY/
岸田文雄首相は2024年7月11日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席した。
首相はスピーチや意見交換を通じて
「欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分だ」
との認識を欧州の首脳と共有し、更なる協力に合意する成果を得た。
とはいえ、欧州とのインド太平洋での連携には制約や課題もある。
首相はスピーチで、欧州各国がインド太平洋に関心を強めている動きを歓迎。
会議後には記者団の取材に応じ、日本や、日本を含むインド太平洋4カ国(IP4=日韓豪ニュージーランド)がNATOと新たに合意した協力を挙げて
「地域を超えた同志国の連携の重要性が改めて確認された」
と成果を語った。
NATOは今回の首脳宣言で、ウクライナ侵略を続けるロシアの
「明白な支援者」
だとして、中国を名指しで非難。
ロシアや中国、北朝鮮を抑止するため、インド太平洋への関与拡大を強く打ち出した。
首相が繰り返してきた
「欧州とインド太平洋は密接不可分」
との認識は、欧州側にも深く浸透してきている。
欧州側も近年、具体的な形でインド太平洋への関与を強めている。
英国は3年前の2021年に続き、2025年にも空母打撃群のインド太平洋への展開を予定する。
イタリアやドイツも太平洋に艦艇を展開しており、各国空軍の派遣も相次ぐ。
軍のプレゼンスは対中抑止に資する。
とはいえ欧州は遠く、実際の有事対応となれば大きな貢献は期待できないのも事実だ。
NATOとIP4は今回、サイバーやテクノロジーなど4項目の協力を
「旗艦事業」
として合意したが、地理的制約に捉われない分野が中心だ。
2023年にはNATOの連絡事務所を東京に置く案が一時浮上したものの、フランスの反対で棚上げとなった。
対中姿勢などの温度差が完全に埋まったとみるのも早い。
日本とNATOは今回、専用回線を通じた秘匿情報の共有体制の強化などで合意した。
一方、防衛省・自衛隊では特定秘密の不適切な取り扱いなど不祥事が相次ぐ。
首相は
「我が国の防衛に一部の隙も許されない」
と立て直しを急ぐ考えを示したが、日本自身が取り組むべき課題は多い。

再び問われる「同盟の真価」 NATO首脳会議 中露の覇権行動を抑止せよ ロンドン支局長 黒瀬悦成
2024/7/12 21:39
https://www.sankei.com/article/20240712-LGADUARITBMTVNDMGBW5NM3SIE/
創立75周年を迎えた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は、ウクライナを侵略したロシアに対する集団防衛態勢の強化を確認したのに加え、ロシアの侵略を下支えする中国をこれまでになく厳しく指弾した。
かつて東西冷戦を西側陣営の勝利に導いたNATOは、欧州とインド太平洋地域の覇権主義勢力である中露による国際秩序の弱体化の阻止に向け、
「同盟の真価」
を改めて問われている。
対露抑止の取り組み広がる
「NATOの本質とは抑止なのです」
NATOのストルテンベルグ事務総長は2024年7月11日の記者会見でこう述べ、ロシアの撃退を目指すウクライナへの長期支援に加え、ロシアによるこれ以上の侵略を食い止めるための幅広い取り組みが進んでいると強調した。
NATO全体としての軍事支援に加え、ウクライナに支援の継続を確約する2国間の安全保障協定を結んだNATO加盟国とパートナー国は、2024年7月11日にルーマニアの締結で23カ国に達した。
欧州防衛では、ロシアによるミサイルの脅威に対抗するため、米国がドイツ国内への長距離攻撃兵器の配備を決めた他、独仏伊とポーランドの4カ国が2024年7月11日、地上発射型巡航ミサイルの共同開発で合意した。
欧州南東部のルーマニアとブルガリア、ギリシャは2024年7月11日、ロシア軍の侵攻に備え、互いの軍部隊を迅速に移動可能にするための協定を結んだ。
ソ連との東西冷戦で西側の自由主義陣営を束ねたNATOは、冷戦が西側陣営の勝利で終結後、東欧やバルト3国など旧東側陣営の国々を取り込んで拡大した。
ロシアによる再侵略を何より恐れるこれらの国にとり、NATOが唯一にして最大の拠り所だからだ。
■「戦争前夜」、NATOに重み
ロシアはウクライナ侵略について
「冷戦後に欧米に奪われた生存圏の回復だ」
と正当化する。
残念ながら日本にもそんな身勝手な理屈に歪んだ理解を寄せる者がいる。
だが、主権国家ウクライナの生存権を否定したロシアの専横を許すことは、同国との連携を強める中国も威圧的行動を活発化させ、世界秩序を更に不安定化させるのは論を待たない。
だからこそNATOは今回の首脳会議に向けて
「インド太平洋重視」
を打ち出し、日韓などのパートナー国と連携のグローバル化を進めた。
ストルテンベルグ氏の言葉を借りれば、NATOは
「世界で最長かつ最強の同盟」
だ。
欧州では今やロシアとの
「戦争前夜」
にあるとの指摘が相次ぐ中、NATOの価値と責任はこれまで以上に重みを増している。

バイデン氏、ウクライナのNATO加盟支援で大きな到達点 おぼろげな「勝利への道」
2024/7/12 18:46
https://www.sankei.com/article/20240712-EAK32WYF5VMPDARTDXJLE6MYTM/
バイデン米大統領は2024年7月11日閉幕した北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、NATOをウクライナ加盟の
「架け橋」
になる支援計画合意へと導いた。
ロシアの侵略に対し、支援の連帯を主導した1期目の対欧州外交の到達点と言える。
しかし、加盟の前提となるウクライナ勝利への道筋は尚不明瞭だ。
「我々は自由と未来を守るウクライナのもとで団結している」。
バイデン氏は2024年7月11日、ウクライナのゼレンスキー大統領と出席した式典で訴えた。
米国はロシアのウクライナ侵略を抑止できなかったとはいえ、50カ国超の有志国を持続的支援へと導いたリーダーがバイデン氏であるのは間違いない。
政権高官も大統領の実績をアピールし続けた。
サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、
「バイデン氏が就任した時、同盟国は力を発揮できず萎縮していた」
と回想。
NATO軽視のトランプ前大統領と対照的に
「同盟は米国の安全保障に不可欠」
とするバイデン氏がNATO再活性化に導いたとの訴えだ。
バイデン氏が大統領選から撤退すれば
「レガシー(遺産)」
となるに違いない。
バイデン氏は米露の軍事衝突を恐れて支援のレベルアップに一貫して慎重だった。
ウクライナのNATO加盟に明確な保証を与えることにも当初は消極的。
今回、加盟への
「不可逆的な道」
が首脳宣言に明記されたのは、トランプ氏が返り咲いてもNATOの関与が
「逆戻り」
しない仕組みを望む欧州の危機感に動かされたからと言える。
ただし、ウクライナが加盟してNATO条約第5条(集団防衛)の恩恵を受けるには、露軍との戦争終結が不可欠の条件となる。
首脳宣言はその点が不透明だった。
ウクライナは対露勝利に向け軍事支援の速度や水準の向上を求め続ける。
これに対し、バイデン政権は
「戦争終結の形はウクライナが決める」(高官)
とし、両者の認識には尚開きがある。
2024年7月11日もその溝が露呈した。
ゼレンスキー氏は米欧が供与する兵器の使用制限廃止を求めた。
米国の長射程ミサイルで露領内の拠点への攻撃を拡大し
「形勢逆転」
を図る狙いだが、バイデン氏は要請を一蹴したという。
米大統領選で
「トランプ氏勝利を欧州は心配している」
というポーランドの記者に
「私はウクライナの成功と強固な欧州同盟に最適な人間だ」
と述べ、勝利を疑わないバイデン氏。
ウクライナの
「勝利」
をどう導くかには言及しなかった。

ゼレンスキー氏、武器使用制限全廃要求「対露戦勝利のため」 バイデン氏は言い間違え連発
2024/7/12 10:52
https://www.sankei.com/article/20240712-RVV6NOOEKJIJVDBZJ5XFHRUFUQ/
ワシントンで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は最終日の2024年7月11日、ウクライナと支援国との協議体
「NATOウクライナ理事会」
を開いた。
ゼレンスキー大統領は記者会見で対露戦に勝利するために米欧が供与する兵器の使用制限を全て廃止するよう訴えた。
バイデン大統領は閉幕後の記者会見で
「NATOはかつてなく強固になった」
「米国の安全保障にも不可欠だ」
と成果を強調した。
同理事会はウクライナ、同国と安全保障協定を結んだ加盟国などが参加し、首脳宣言で明記された同国のNATO加盟への
「不可逆的な道」
を支援する長期計画について協議した。
ゼレンスキー氏は記者会見で、兵器の使用制限の全廃は対露戦の
「形勢逆転」
に繋がると強調。
米国がロシアの軍事的エスカレートを懸念し制限してきた露領内の軍事拠点への攻撃を拡大し挽回を図る狙いがある。
露軍のミサイル攻撃に対処するため米欧が追加支援を表明した防空システムの早期提供も訴えた。
一方、バイデン氏は、2024年6月のトランプ前大統領との討論会で露呈した高齢不安から選挙戦撤退圧力が強まる中、この日の記者会見は挽回の重大な機会と注目された。
しかし、会見に先立つ式典でゼレンスキー氏を紹介する際
「プーチン大統領です」
と言い間違える一幕があった。
記者会見でバイデン氏は、内政や外交の実績を強調し
「私は勝利のために最適な人間」
と訴えた。
ただし、ハリス副大統領について言及する際に
「トランプ副大統領」
と言い間違える場面もあり、撤退論に拍車をかけた可能性がある。
2024年7月9日開幕したNATO首脳会議は2024年7月10日に発表した首脳宣言でウクライナ長期的支援を表明。
2025年少なくとも400億ユーロ(約7兆円)規模の軍事支援を続け、武器供与や軍事訓練の調整をNATOが主導して実施することも明記した。

ゼレンスキー氏、今年もNATO会議の「主役」 継続的支援求め奔走 米は358億円軍事支援
2024/7/12 9:35
https://www.sankei.com/article/20240712-7ZDVNUMZHZJANGOANQ6WKZDN6M/
ワシントンで2024年7月11日に閉幕した北大西洋条約機構(NATO)首脳会議にはロシアに侵略されたウクライナのゼレンスキー大統領が2023年に続いて出席した。
戦局の劣勢や
「支援疲れ」
が指摘される中、ゼレンスキー氏は会合や2国間会談で継続的な軍事支援の確約を求めて奔走し、今回も会議の
「主役」
を演じた。
ゼレンスキー氏は、2024年7月11日に開かれたNATOとウクライナの連携枠組み
「NATOウクライナ理事会」
に先立つ記者会見で、米国などが2024年7月9日に防空システム計5基を追加供与すると発表したことに謝意を示し、
「可能な限り早期の供与」
による露軍のミサイル攻撃の阻止に期待を示した。
米欧製兵器を使ったロシア領内の軍事拠点への越境攻撃に関しては、一部の兵器供与国が課している使用制限を
「どうかしている」
と批判した。
供与国の中では米国とドイツが使用制限の全面撤廃になお慎重だ。
だが、記者会見に同席したNATOのストルテンベルグ事務総長は
「ウクライナの自衛権には露領内の軍事目標を攻撃する権利も含まれる」
と語るなど、NATOの総意はゼレンスキー氏の説得を受けて確実に全面撤廃に向かいつつある。
バイデン米大統領は2024年7月11日、ゼレンスキー氏との会談で地対空ミサイルなど総額2億2500万ドル(約358億円)相当の追加軍事支援を伝え、同氏に寄り添う姿勢は揺らがないと強調した。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/860.html#c10

[政治・選挙・NHK294] 石丸伸二現象の古臭さ…NHK“新たな選挙戦”とヨイショも「強い言葉」「メディア攻撃」に既視感(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
20. 秘密のアッコちゃん[438] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年7月13日 12:15:19 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[551]
<■109行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
防衛力強化と言えども、増税には反対だ。
増税の前にやる事があるはずだ。

防衛白書要旨
2024年7月13日産経新聞
令和6年版防衛白書の要旨は次の通り。
【安全保障環境】
我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している。
ロシアのウクライナ侵略で国際秩序を形作るルールの根幹がいとも簡単に破られた。
同様の深刻な事態が将来、東アジアで発生する可能性は排除されない。
【中国】
東・南シナ海で力による一方的な現状変更の試みを強化している。
第1列島線を越え、第2列島線に及ぶ我が国周辺全体で活動を活発化させている。
国際秩序を強化する上でこれまでにない最大の戦略的挑戦だ。
台湾周辺で軍事活動を活発化させている。
中台間の軍事的緊張が高まる可能性も否定できない。
【ウクライナ危機】
ロシアによる侵略は、武力行使を禁じる国連憲章を含む国際法違反だ。
ロシアは北朝鮮からの砲弾やミサイルの調達などにより戦力を維持していると見られる。
【ロシア】
我が国周辺で中国軍と爆撃機の共同飛行や艦艇の共同航行を実施。
我が国に対する示威活動を明確に意図したもので安全保障上、重大な懸念だ。
【北朝鮮】
保有装備の多様化や、情報収集・警戒監視手段の確保といった質的な意味での核・ミサイル能力の向上に注力している。
令和5年に3回発射した固体燃料型大陸間弾道弾ミサイル(ICBM)
「火星18」
型は、射程が1万5000kmを超える可能性がある。
令和5年11月の
「軍事偵察衛星」
打ち上げでは、発射した物体が地球を周回していることが確認された。
機能など詳細について分析を行っている。
ロシアに弾道ミサイルを供与し、ウクライナに対して使用されたことが明らかになった。
【韓国】
令和6年6月の日韓防衛相会談で、海上自衛隊と韓国海軍が遭遇した場合の安全確保で一致した。
長年の懸案だった火器管制レーダー照射事件案の再発防止が図られたと判断し、協力を強化する。
【防衛費】
防衛力の維持・強化には裏付けとなる財源が必要となる。
法人税、所得税、たばこ税に段階的に措置を講じ、令和9年度に1兆円強を確保する。
物価高や円安の中、防衛直整備の一層の効率化や経費の精査に努める。
【反撃能力】
相手からの武力攻撃を防ぐため、反撃能力の保有が必要だ。
国産の12式地対艦誘導弾能力向上型と、米国製巡航ミサイル「トマホーク」の取得を令和7年度に前倒しする。
【統合作戦司令部】
令和6年度に陸海空3自衛隊を一元的に指揮する常設の
「統合作戦司令部」
を設置する。
これにより、迅速な事態対応や意思決定が可能になる。
【能登半島地震】
人命救助、輸送支援、給水支援、道路啓開活動などを行い、最大約1万4000人態勢で活動した。

日米韓狙う北朝鮮のミサイル「全て核兵器化」 防衛白書 ロシアの軍事協力が支える新局面
2024/7/12 16:15
https://www.sankei.com/article/20240712-FO32FVTFBJPDJCV6KF2Y2BIN6Y/
令和6(2024)年版防衛白書で、北朝鮮が能力向上に注力していると指摘された核・ミサイルに関し、北朝鮮は2021年からの国防5カ年計画に沿って、日米韓をそれぞれ標的とする多様なミサイルの開発に邁進してきた。
北朝鮮と
「包括的戦略パートナーシップ条約」
を結んで軍事協力を深めるロシアが開発を下支えする構図が、日米韓への脅威を一層高めている。
■多様なミサイル展開
米本土を狙うのが大陸間弾道ミサイル(ICBM)だ。
北朝鮮は2023年12月に速やかに発射できる固体燃料式ICBM
「火星18」
の発射実験に
「成功」
したと主張した。
北朝鮮は、米国を狙う大陸間弾道弾ミサイルに加え、日本を射程に収める中距離弾道ミサイルの改良を進めてきた。
2024年4月には極超音速弾頭を搭載した固体燃料式中距離弾
「火星16」
を発射。
立ち会った金正恩朝鮮労働党総書記は、この実験を受けて
「様々な射程の全ての戦術・戦略ミサイルの核兵器化を実現した」
と宣言した。
北朝鮮は2024年5月に
「超大型放射砲」
と称する短距離弾道ミサイル18発を同時発射するなど、韓国を狙う兵器の発射を繰り返している。
ここ数年、加療に力を入れてきたのが、北朝鮮が
「火星11」
と呼ぶ短距離弾の
「KN23」

「KN24」
だ。
これらはロシアに供与され、ウクライナの戦場で使用されていることをウクライナや米国が確認している。
短距離弾の頻繁な発射の公開は、改良が進む状況を”買い手”のロシアなどに宣伝する側面があるとの見方も出ている。
露朝が2024年6月の首脳会談で軍事協力の更なる深化を確認したことで北朝鮮の核・ミサイル開発は新たな局面を迎えた。
北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の韓国の首席代表を務めた朝鮮半島未来フォーラムの千英宇(チョンヨンウ)理事長は
「ロシアは北朝鮮が核戦力を増強し、技術の高度化を続けられるよう経済的に下支えしている」
と指摘する。
食糧や石油の支援の他、大量の砲弾の輸入や北朝鮮労働者の受け入れで北朝鮮の外貨不足を補ってきた。
国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁に反対し、北朝鮮が核・ミサイル開発に傾注できる環境を提供している。
千英宇(チョンヨンウ)氏は、北朝鮮の核・ミサイル技術に関しては、ロシアの支援なしでも実験を重ねていくことで目標に到達できると分析している。

北ミサイル開発「質的向上に注力」 中台軍事緊張高まる可能性 防衛白書
2024/7/12 10:30
https://www.sankei.com/article/20240712-27OUWDVTD5L4DGSIF5YH3QFAUM/
政府は2024年7月12日、令和6年版防衛白書を公表した。
白書は北朝鮮の核・ミサイル開発について
「質的な意味での能力向上に注力している」
と強い警戒感を示した。
中国に関しては、台湾周辺の軍事活動を既成事実化し、実戦能力の向上を図っていると分析。
「中台間の軍事的緊張が高まる可能性も否定できない」
と警鐘を鳴らした。
北朝鮮の軍事動向は、2023年の白書同様、
「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」
と評価した。
固体燃料推進方式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の発射や軍事偵察衛星の打ち上げに触れ、装備体系や情報収集・警戒監視・偵察手段の多様化を図っているとした。
中国についても
「これまでにない最大の戦略的挑戦」
と昨年を踏襲し、日本海や東シナ海を越えて太平洋側でも空母などの活動を活発化させていると指摘。
台湾情勢を巡っては2023年8月、台湾の頼清徳副総統(当)が南米訪問の経由地として米国に立ち寄ったことに反発した中国による軍事演習は
「台湾侵攻作戦の一部が演練された可能性がある」
と分析した。
ロシアによるウクライナ侵略に関しては、ロシアが北朝鮮から砲弾やミサイルを調達し、戦力を維持しているとの見方を示した。
厳しい安全保障環境を踏まえ東アジアにおいても
「ウクライナ侵略と同様の深刻な事態が発生する可能性は排除されない」
と危機感を示した。
陸海空自衛隊を一元的に指揮するため令和6年度末に発足する統合作戦司令部について項を新設し、設置の意義や統合幕僚監部との関係を詳しく解説した。
核を含む戦力で同盟国を守る米国の
「拡大抑止」
についても詳述。
中国や北朝鮮、ロシアの核兵器の脅威に対し
「拡大抑止が不可欠」
だと強調した。
2024年、自衛隊発足70年を迎えたことを受け、これまでの自衛隊の活動を巻頭特集で振り返った。
2024年の白書は昭和45(1970)年の初版から数えて50冊目の発刊となった。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/858.html#c20

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