47. 2019年5月07日 23:04:06 : kPM8GaNHDE : UVRVZEUuV296Rmc=[1]
例の「令和の呪い説(?)」について書いてた品田教授の万葉集に関する論説がこちらのブログにわかりやすく載っている。
https://tankanokoto.com/2019/04/sinada-reiwa.html
これによると万葉集は昔から誰もが知っていた古典ではなく、明治になるまでは、インテリや上流階級の間ですら、ほぼ無名であったらしい。
江戸時代の武士階級の間で「教養としての詩歌」といえば、李白だ杜甫だとかの漢 詩の古典ばかり。しかし、明治維新後に盛り上がったナショナリズムの中で、日本独自の「国民詩」が欲しいということで発掘されたのが「万葉集」であったそうだ。
どうも、安倍さんが万葉集にやたらとこだわったのもこの辺に理由がありそうだね。
万葉集はたしかに、それなりに優れた歌が多い良書だと私も思うが、明治政府がもっぱら称揚、利用したのは「海ゆかば水漬く屍」とか、「醜(しこ)の御楯」がとうとか、軍国的全体主義国家に都合のいい歌ばかり。
男女の赤裸々な交情を描いたものはスルー、世の中を憂いて政府批判につながりかねないものもスルーであったようだ。
それが、一転、戦後になると左翼のインテリたちによって、家族と別れて防人に行かされたりという庶民の悲哀を歌ったものが戦時の徴兵になぞらえてもてはやされるようになったのだという。
どっちにしろ「庶民参加の歌集」という説は間違いで、庶民の声を拾ったにしろ、それを「素材」にして整った形式にしたのはインテリ貴族であったろうと。
たぶん、そうなんだろうね。
ま、政治的にどう利用されようとされまいと、万葉集自体はそう悪くないよ。
私のお勧めは切り絵作家の宮田雅之氏の画集かな。
『対訳 万葉恋歌』
Love Songs from the Man’yoshu
大岡信氏の解説と米国出身の日本語作家のリービ 英雄氏の英訳、ドナルド キーン氏のエッセイが付いているという豪華さだが、何しろ、絵が色っぽい。
以下のブログさんが、なかなか美味しいところを載せられてますが。w
https://appream.com/2016/02/08/post-3142/
残念ながら今は絶版になっていて古書店でしか手に入らないと思うが「令和記念」に再版にならいかな?
ちなみに私のお気に入りはこんなの。
刈り薦(かりこも)の一重(ひとえ)を敷きてさ寝(ぬ)れども君とし寝(ぬ)れば寒けくもなし
Though I sleep
with but a single thin mat
for my bedding,
I am not cold at all
when I sleep with you, my lord.
朝寝髪我は梳(けづ)らじ愛(うるわ)しき君が手枕(たまくら)触れてしものを
I shall not take a brush
to this hair that lies
disheveled in the morning,
it retains the touch
of my dear lord's arms that pillowed me.
ぬばたまの妹(いも)が黒髪今夜(こよい)もか我がなき床になびけて寝(ぬ)らむ
Tonight too
dose my woman's pitch-black hair
trail upon the floor
where she sleeps without me?
いずれも読人不祥 (Anonymous)
安倍さんもね、日本独自の文化を海外に自慢したいなら、こんな英訳でも覚えて欧州に行ったときにスピーチの中でさり気なく披露したら日本の株も上がるんじゃいの?
もう、遅いかもしれないけど・・・
http://www.asyura2.com/19/senkyo260/msg/471.html#c47