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[近代史3] マスコミの偽情報 _ CIA は有力メディアを情報操作のために使っている 中川隆
53. 中川隆[-11632] koaQ7Jey 2024年2月12日 08:33:24 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[1]
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2024.02.08XML
タッカー・カールソンがロシアのプーチン大統領にインタビュー
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402080001/

 アメリカのジャーナリスト、タッカー・カールソンが2月6日、ロシアのウラジミル・プーチン大統領にインタビュー、ジョー・バイデン政権は激怒しているようだ。EUにはカールソンの入国を拒否する動きがあるという。

 カールソンはFOXニュースの人気司会者だったが、昨年4月21日に解雇されている。彼に限らず、アメリカ支配層にとって都合の悪い報道をするジャーナリストはメディアの世界から追い出されてきた。ウクライナやパレスチナでは命が奪われている。

 こうしたことはヨーロッパでも行われてきた。例えば、アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃する際、イラクが大量破壊兵器を保有しているという話を作り上げたが、イギリスのトニー・ブレア政権はこのでっち上げに協力している。2009年9月にブレア政権は「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」というタイトルの報告書(9月文書)を作成、メディアにリークして人びとを脅しているのだが、これが嘘だったのだ。

 その事実を2003年5月29日にBBCのアンドリュー・ギリガン記者がラジオで取り上げ、粉飾されていると語った。アラステアー・キャンベル首席補佐官が情報機関の反対を押し切り、45分で破滅するという話を挿入したと言ったのだ。

 事実を伝えたBBCはブレア政権から激しく攻撃され、ギリガンはBBCを追い出されるたが、それだけでなく放送局の執行役員会会長とBBC会長は辞任に追い込まれた。この後BBCは単なるプロパガンダ機関になった。

 ギリガンの情報源が国防省の生物兵器防衛部門を統括していたデイビッド・ケリーだということをイギリス政府は探り出して尋問、その名前が7月9日にリークされた。ケリーは15日に外務特別委員会へ呼び出され、17日に変死。手首の傷からの大量出血や鎮痛剤の注入が原因とされたが、手首の傷は小さく、死に至るほど出血したとは考えにくい。しかも彼は古傷のため、右手でブリーフケースを持ったりドアを開けたりすることができなかった。ステーキを切ることもできなかったと言われている。(Miles Goslett, “An Inconvenient Death,” Head of Zeus, 2018)

 現場に駆けつけた救急救命士のバネッサ・ハントによると、ケリーの左の手首には乾いた血がこびりついているだけで傷は見えなかったという。ハントの同僚であるデイビッド・バートレットはケリーの服についていた血痕はジーンズの膝についていた直径4分の1インチ(6ミリメートル)程度のものだけだったと証言している。そのほかにも不可解な点が少なくない。(前掲書)

 日本の有力メディアも単なる宣伝機関になっているが、1960年代にはカールソンのようなジャーナリストもいた。

 例えば、毎日新聞の外信部長だった大森実は1965年9月に北ベトナムの首都ハノイへ入って取材、アメリカ軍がハンセン病の病院を爆撃した事実を伝える。その報道に激怒したアメリカのエドウィン・ライシャワー駐日大使から批判された大森は1966年1月に会社を去った。毎日新聞以外もハノイ入りを狙っていて、朝日新聞の外報部長だった秦正流は大森より少し遅れてハノイ入りしている。

 また、TBSのキャスターを務めていた田英夫は北爆下のハノイを取材し、「ハノイ、田英夫の証言」を1967年10月に制作。当時の日本政府はTBSの社長、担当常務、報道局長を呼びつけて叱責したが、アメリカ政府が怒ったということだろう。その後、田はテレビから追放された。

 勿論、今の日本のマスコミにそうした取材をする記者はいない。権力者のお膳立てに従って動き、指示通りに伝えるだけだ。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402080001/
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/330.html#c53

[近代史5] CIAとメディア 中川隆
33. 中川隆[-11630] koaQ7Jey 2024年2月12日 10:48:33 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[3]
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2024.02.10XML
カールソンによるプーチンへのインタビューを米国のエリートが恐怖する理由
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402100000/

 ​タッカー・カールソンが2月6日に行ったウラジミル・プーチン露大統領とのインタビュー映像が公開された​。プーチンが過去に語ったことから逸脱する話はその中になく、「スクープ」があったとは思えない。それでもアメリカでは大騒動だ。

 プーチンはロシアがウクライナに対する軍事作戦を始めた理由を説明するため、中世までの歴史を語った。現在の出来事は過去の出来事の結果であり、歴史は因果の連鎖だ。ロシアとウクライナとの関係を説明するため、中世までさかのぼることは正しい。ちなみに、日本とアメリカの関係を理解するためには戦国時代までさかのぼる必要があると本ブログでは考えている。

 現在ウクライナとされている地域がソ連時代に形作られたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。ソ連消滅後、自分たちがロシア人だと考えているウクライナの東部や南部の人びとは西部から離脱しようとしたが、それは実現しなかった。ウクライナを新自由主義化しようとした西側の巨大資本は黒海に面した南部、そして資源が豊富で穀倉地帯の東部を欲しかったのだ。

 しかし、東部や南部の住民だけでなく、ウクライナ人の多くはロシア人との対立を望んでいなかった。そうした中、ロシアとの関係を重視するビクトル・ヤヌコビッチは2004年11月に行われた大統領選挙で勝利する。そこで始まったのが「オレンジ革命」だ。

 選挙の直後からユシチェンコ陣営は選挙で不正があったと主張し、デモや政府施設への包囲を始めて国内を混乱させて政権奪取に成功したのだ。そしてアメリカは新自由主義者のビクトル・ユシチェンコを大統領に据えることに成功した。

 ユシチェンコは2005年1月から10年2月まで大統領を務めるが、彼の導入した新自由主義的な政策は一部の腐敗勢力に富を集中させてオリガルヒと呼ばれる富豪を生み出す一方、大多数の庶民を貧困化した。そこで、2010年の大統領選挙でユシチェンコが再び勝利し、大統領に就任した。そこでアメリカ支配層は2013年11月から14年2月にかけてクーデターを実行するのだが、その手先はNATOから訓練を受けたネオ・ナチだった。

 クーデター体制になると軍や治安機関のメンバーのうち約7割が離脱し、東部や南部の住民もクーデターを拒否する。南部のクリミアに住む人びとはロシアの保護下に入り、東部のドンバスでは内戦が始まった。その際、軍や治安機関から離脱した人びとの一部ばドンバスの反クーデター軍へ合流したと言われている。

 そのため反クーデター軍は強く、アメリカはクーデター体制の戦力を増強し、要塞線を築くために時間が必要になった。そこで出てきたのがミンスク合意にほかならない。その合意で仲介役を務めたドイツの​アンゲラ・メルケル​(当時の首相)は2022年12月7日、ツァイトのインタビューでミンスク合意は軍事力を強化するための時間稼ぎだったと認めている。その直後に​フランソワ・オランド​(当時の仏大統領)はメルケルの発言を事実だと語った。

 アメリカ/NATOは8年かけてクーデター体制の戦力増強に努める。武器弾薬を供給、兵士を訓練、さらにドンバスの周辺に要塞線を構築したのだ。

 この地域にはソ連時代から地下要塞が作られていた。その中には親衛隊の中核だったアゾフ大隊が拠点にしたマリウポリ、岩塩の採掘場があるソレダル、その中間にあるマリーインカも含まれていた。

 ロシアとの軍事的な緊張を高めると同時に経済封鎖を推進してきた西側の勢力はカールソンのインタビューに激怒している。

 本ブログでは繰り返し書いてきたが、イギリスの支配層は19世紀からロシアを征服しようとしてきた。そのロシアと新興国ドイツを戦わせようとしたのが第1次世界大戦だ。その当時、戦争に反対する大地主と戦争に賛成する資本家が対立、グレゴリー・ラスプーチンとフェリックス・ユスポフがそれぞれの象徴的な存在だった。ユスポフと親しかったスティーブン・アリーとオズワルド・レイナーはイギリスの対外情報機関MI6のオフィサーであり、ラスプーチンを実際に射殺した拳銃を所持していたのはレイナーだ。

 ラスプーチン暗殺後、ロシアでは「二月革命」で資本家が実権を握るが、それを嫌ったドイツがボルシェビキの指導者を列車でロシアへ運んでいる。そして「十月革命」が起こり、ボルシェビキの体制が成立。ソ連とドイツはナチスが台頭するまで友好的な関係を維持した。

 そのソ連との関係修復を訴えたのがアメリカのジョン・F・ケネディ大統領だ。1963年6月10日、アメリカン大学の卒業式で「平和の戦略」と呼ばれる演説を行い、ソ連と平和共存する道を歩き始めると宣言している。

 その演説の冒頭でケネディは軍事力で世界に押しつける「パックス・アメリカーナ(アメリカ支配による平和)」を否定、アメリカ市民は「まず内へ目を向けて、平和の可能性に対する、ソ連に対する、冷戦の経過に対する、また米国内の自由と平和に対する、自分自身の態度を検討しはじめるべき」(長谷川潔訳『英和対訳ケネディ大統領演説集』南雲堂、2007年)だと語りかけたのだ。

 ソ連とアメリカとの間で全面戦争が起こればいずれの国も破壊されるとケネディは主張、冷戦の段階でも「両国はともに無知と貧困と病気を克服するためにあてることができるはずの巨額のカネを、大量の兵器に投じている」と警鐘を鳴らし、最後に「われわれは人類壊滅の戦略に向かってではなく、平和の戦略に向かって努力し続けるのです」と語り、演説を終えている。(前掲書)

 その年の11月22日、テキサス州ダラスでケネディ大統領は暗殺され、この戦略が実行に移されることはなくなった。ソ連/ロシアとアメリカが友好的な関係を築くことを恐れている勢力はタッカー・カールソンのインタビューに激怒しているだろう。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402100000/
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/347.html#c33

[近代史3] マスコミの偽情報 _ CIA は有力メディアを情報操作のために使っている 中川隆
54. 中川隆[-11629] koaQ7Jey 2024年2月12日 10:49:32 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[4]
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2024.02.10XML
カールソンによるプーチンへのインタビューを米国のエリートが恐怖する理由
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402100000/

 ​タッカー・カールソンが2月6日に行ったウラジミル・プーチン露大統領とのインタビュー映像が公開された​。プーチンが過去に語ったことから逸脱する話はその中になく、「スクープ」があったとは思えない。それでもアメリカでは大騒動だ。

 プーチンはロシアがウクライナに対する軍事作戦を始めた理由を説明するため、中世までの歴史を語った。現在の出来事は過去の出来事の結果であり、歴史は因果の連鎖だ。ロシアとウクライナとの関係を説明するため、中世までさかのぼることは正しい。ちなみに、日本とアメリカの関係を理解するためには戦国時代までさかのぼる必要があると本ブログでは考えている。

 現在ウクライナとされている地域がソ連時代に形作られたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。ソ連消滅後、自分たちがロシア人だと考えているウクライナの東部や南部の人びとは西部から離脱しようとしたが、それは実現しなかった。ウクライナを新自由主義化しようとした西側の巨大資本は黒海に面した南部、そして資源が豊富で穀倉地帯の東部を欲しかったのだ。

 しかし、東部や南部の住民だけでなく、ウクライナ人の多くはロシア人との対立を望んでいなかった。そうした中、ロシアとの関係を重視するビクトル・ヤヌコビッチは2004年11月に行われた大統領選挙で勝利する。そこで始まったのが「オレンジ革命」だ。

 選挙の直後からユシチェンコ陣営は選挙で不正があったと主張し、デモや政府施設への包囲を始めて国内を混乱させて政権奪取に成功したのだ。そしてアメリカは新自由主義者のビクトル・ユシチェンコを大統領に据えることに成功した。

 ユシチェンコは2005年1月から10年2月まで大統領を務めるが、彼の導入した新自由主義的な政策は一部の腐敗勢力に富を集中させてオリガルヒと呼ばれる富豪を生み出す一方、大多数の庶民を貧困化した。そこで、2010年の大統領選挙でユシチェンコが再び勝利し、大統領に就任した。そこでアメリカ支配層は2013年11月から14年2月にかけてクーデターを実行するのだが、その手先はNATOから訓練を受けたネオ・ナチだった。

 クーデター体制になると軍や治安機関のメンバーのうち約7割が離脱し、東部や南部の住民もクーデターを拒否する。南部のクリミアに住む人びとはロシアの保護下に入り、東部のドンバスでは内戦が始まった。その際、軍や治安機関から離脱した人びとの一部ばドンバスの反クーデター軍へ合流したと言われている。

 そのため反クーデター軍は強く、アメリカはクーデター体制の戦力を増強し、要塞線を築くために時間が必要になった。そこで出てきたのがミンスク合意にほかならない。その合意で仲介役を務めたドイツの​アンゲラ・メルケル​(当時の首相)は2022年12月7日、ツァイトのインタビューでミンスク合意は軍事力を強化するための時間稼ぎだったと認めている。その直後に​フランソワ・オランド​(当時の仏大統領)はメルケルの発言を事実だと語った。

 アメリカ/NATOは8年かけてクーデター体制の戦力増強に努める。武器弾薬を供給、兵士を訓練、さらにドンバスの周辺に要塞線を構築したのだ。

 この地域にはソ連時代から地下要塞が作られていた。その中には親衛隊の中核だったアゾフ大隊が拠点にしたマリウポリ、岩塩の採掘場があるソレダル、その中間にあるマリーインカも含まれていた。

 ロシアとの軍事的な緊張を高めると同時に経済封鎖を推進してきた西側の勢力はカールソンのインタビューに激怒している。

 本ブログでは繰り返し書いてきたが、イギリスの支配層は19世紀からロシアを征服しようとしてきた。そのロシアと新興国ドイツを戦わせようとしたのが第1次世界大戦だ。その当時、戦争に反対する大地主と戦争に賛成する資本家が対立、グレゴリー・ラスプーチンとフェリックス・ユスポフがそれぞれの象徴的な存在だった。ユスポフと親しかったスティーブン・アリーとオズワルド・レイナーはイギリスの対外情報機関MI6のオフィサーであり、ラスプーチンを実際に射殺した拳銃を所持していたのはレイナーだ。

 ラスプーチン暗殺後、ロシアでは「二月革命」で資本家が実権を握るが、それを嫌ったドイツがボルシェビキの指導者を列車でロシアへ運んでいる。そして「十月革命」が起こり、ボルシェビキの体制が成立。ソ連とドイツはナチスが台頭するまで友好的な関係を維持した。

 そのソ連との関係修復を訴えたのがアメリカのジョン・F・ケネディ大統領だ。1963年6月10日、アメリカン大学の卒業式で「平和の戦略」と呼ばれる演説を行い、ソ連と平和共存する道を歩き始めると宣言している。

 その演説の冒頭でケネディは軍事力で世界に押しつける「パックス・アメリカーナ(アメリカ支配による平和)」を否定、アメリカ市民は「まず内へ目を向けて、平和の可能性に対する、ソ連に対する、冷戦の経過に対する、また米国内の自由と平和に対する、自分自身の態度を検討しはじめるべき」(長谷川潔訳『英和対訳ケネディ大統領演説集』南雲堂、2007年)だと語りかけたのだ。

 ソ連とアメリカとの間で全面戦争が起こればいずれの国も破壊されるとケネディは主張、冷戦の段階でも「両国はともに無知と貧困と病気を克服するためにあてることができるはずの巨額のカネを、大量の兵器に投じている」と警鐘を鳴らし、最後に「われわれは人類壊滅の戦略に向かってではなく、平和の戦略に向かって努力し続けるのです」と語り、演説を終えている。(前掲書)

 その年の11月22日、テキサス州ダラスでケネディ大統領は暗殺され、この戦略が実行に移されることはなくなった。ソ連/ロシアとアメリカが友好的な関係を築くことを恐れている勢力はタッカー・カールソンのインタビューに激怒しているだろう。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402100000/
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/330.html#c54

[近代史5] CIAとメディア 中川隆
34. 中川隆[-11628] koaQ7Jey 2024年2月12日 11:11:36 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[5]
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2024年02月11日
哲人皇帝プーチン / 国益を重視する民族主義者
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68956509.html

言論の自由を失ったアメリカ
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(左 : タッカー・カールソン / 右 : ウラジミール・プーチン大統領)

  皮肉な事だが、冷戦に勝ったずのアメリカでは、報道や言論の自由が抑圧され、不気味な全体主義がはびこっている。かつて、ソ連には「プラウダ(真実)」という新聞があったけど、当時のロシア人(一般国民)は誰も「プラウダ」の報道が“真実”を伝えているとは思わなかった。西側のヨーロッパ人やアメリカ人は、言論封殺の独裁国家を嗤(わら)っていたけど、まさか自分たちの国が「ソ連化」になるとは夢にも思っていなかったはずだ。

  ミハイル・ゴルバチョフと交渉していたロナルド・レーガン大統領は、あるパーティーの席で次のようなジョークを披露していた。

  ロシア人を前にした或るアメリカ人が、自国の自由を自慢した。「私はホワイトハウスの執務室に怒鳴り込み、大統領の面前で机を叩き、“あなたの政策に私は反対だ”と言える自由があるんだぞ!」と喝破した。すると、話を聞いていたロシア人は驚かず、「私たちもできる」と言い返した。曰く、「私もクレムリンに乗り込み、書記長の前で“私はレーガン大統領の遣り方に反対だ!”」と。

  レーガン大統領のジョークを聞いた聴衆はみな大爆笑。2004年に亡くなったレーガン大統領が、現在の米国を目にしたら、一体どんな感想を述べるのか?

  2月8日、アメリカの保守派国民の間では、タッカー・カールソンのインタビュー映像が瞬時に話題騒然となった。FOX TVの元キャスターで、禁断の領域に踏み込んだカールソン氏は、失業者となったけど、ジャーナリストの魂までは失っていなかった。政府からの妨害工作にもめげず、彼はウラジミール・プーチン大統領に渡りをつけ、インタビュー交渉に成功した。カールソン氏は以前にもインタヴューを試みたが、この動きを傍受したNSA(国家安全保障局)の妨害を憂慮し、不本意ながらもインタビューを諦めたことがあるそうだ。もし、強硬に取材計画を進めていたら、カールソン氏は社会的に抹殺されていただろう。たぶん、何らかの人格攻撃を仕掛けられるか、個人的なスキャンダルを暴かれて、人生の終わりとなった可能性は高い。必要とあれば、政府の工作員は捏造記事をブレンドして攻撃を加えるから、民間人のカールソン氏は一巻の終わりだ。

  日本の地上波テレビはあまり取り上げなかったが、カールソン氏のインタビュー映像は、我々日本人にとっても非情に興味深い対談であった。(この動画はカールソン氏の独自サイト「Tucker Carlson Network」で視聴できる。ただし、英語通訳の対談となっているため、英語が苦手な日本人は、日本語字幕が附いたYouTube動画を観るといい。本来なら、NHKが翻訳を加えて全部を流すべきなんだけど、現在の日本では民間の有志が国民のために尽くしている。)

  インタビューで表明されたプーチンの見解や回答は、色々な解釈ができよう。しかし、大切なのは各国民が自分の目と耳で確かめ、自分自身の考えで判断することだ。日本のマスコミは論外だが、アメリカのCNNやABC、ブリテンのBBCとかフランスのAFPはバイデン政権の味方である。偏向報道が当たり前のメディアは、きっと「こんなのはプーチンによるロシア側の政治宣伝だ!」と盛んに批判するはずだ。でも、報道規制や言論封殺を繰り返してきた連中は、プーチンの発言を「嘘っぱち」と却下できるのか? タッカー・カールソンを貶す前に、自分たちの大衆操作を反省すべきだろう。

  予想通り、タッカー・カールソンはプーチンに対し、ウクライナ紛争に関する質問を投げかけていた。通訳を介して質問を聞いていたプーチンは、米国や日本の保守派国民が既に知っている見解を述べていた。例えば、英米側がミンスク合意を破り、NATOの東方拡大を強行したという内容だ。(軍事衝突の停止を決めた「ミンスク議定書Minsk Protocole」の件は日本でも報道されている。) この解釈はアンゲラ・メルケル前首相の発言を思い出せば、ある程度「もっともな反論」と頷くことができよう。メルケルはティナ・ヒルデブラントやジョヴァンニ・デ・ロレンツォによるインタビューを受けた時、次のように述べていた。

  2014年のミンスク協定(Minsker Abkommen)は、ウクライナに時間を与えるための試み(Versuch)だった。("Hatten Sie gedacht, ich komme mit Pferdeschwanz?" , Interview: Tina Hildebrandt und Giovanni di Lorenzo, Die Zeit, 7 Dezember 2022.)

  その後の展開を思い出せば判るけど、英米がミンスク合意を利用し、ウクライナを強くするために“時間稼ぎ”をしたことは確かだ。ヴィクトリア・ヌーランド達が仕組んだ「クーデタ」は、仲間内の会話が暴露され、今では日本人にも知られている。

  そもそも、当時の軍事バランスを考えれば、ウクライナ軍がロシア軍を撃退するなんて無茶な冒険だ。たとえ歐米諸国の支援があっても、ウクライナ側が苦戦するのは予想できたはずである。しかし、オルガルヒとバイデン政権にとっては、ウクライナ人は単なる“使い捨ての駒”でしかない。ウクライナ兵が何人死のうがお構いなしだ。仮に、ウクライナが勝たなくても、泥沼の長期戦に持ち込めば、ロシア側の国力を削ぐことになるし、新たな冷戦構造の構築にもなるから、軍産複合体にとったら“喜ばしい不幸”である。

歴史に残る偉大な指導者

Putin 1980sPutin 524Putin with gun
(左 : 1980年代のウラジミール・プーチン / 中央 : KGBを辞めて政界に入った頃のプーチン / 右 : 妙に銃が似合うプーチン大統領 )

  カールソンが行ったインタビューで、最も印象的だったのは、プーチン大統領が“優秀な指導者”に見えたことだ。もちろん、プーチンは有能な諜報局員であったから、一般の視聴者に自分がどう映るのかは計算済みだ。たぶん、プーチンは対談の前にプロパガンダ職員と協議し、「どのような対応にしたら最も効果的か」を入念に検討したんじゃないか。ただ、頭脳明晰でプライドの高いプーチンだ。部下の言いなりで動くとは思えない。岸田文雄とは全く逆だ。もしかすると、自分の構想だけで本番に臨んだのかも知れない。バイデンゆ岸田と違って、プーチンは普段から、つまり若い頃から非情に勉強熱心だ。

  大統領報道官のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)によると、プーチンは今でも常に本を読んでおり、その大半はロシアの歴史に関する書物であるという。彼はロシア史の偉人が記した回顧録を読んでいるそうだ。(Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, Washington, D.C. : Brookings Institution Press, 2013, p.64.)

  一方、ジョー・バイデンは学生時代から怠け者で、誇張と嘘の常習犯。まともに勉強していなかったから、政治家になってもボロが出ていた。

  例えば、大統領選挙に挑戦した1987年、バイデンは昔の“ズル”を認めて選挙戦から離脱したことがある。法科大学(ロー・スクール)に通っていた頃、バイデンは論文を書くにあたって、法学雑誌の文章を“拝借”したそうだ。ところが、担当教授がこの“剽窃”を見抜いてしまったから、さあ大変。アメリカの大学は“チョロまかし”に対して非常に厳しい。論文の不正行為が発覚したから、バイデンはかなり焦ったのだろう。往生際の悪いバイデンは、大学側に「退学処分にしないでください」と泣きついた。

Joe Biden 1987Joe Biden 7723
(左 : 大統領選挙候補から撤退したジョー・バイデン / 右 : 痴呆症の大統領となったバイデン)

  しかし、「一度淫売、一生淫売(Once a whore, always whore.)」と言うように、卑怯者は何時まで経っても卑怯者のままである。報道陣を前にしたバイデンは、この「剽窃事件」を指摘されると「引用における誤りだった」と言い張り、「騙すつもりはなかった」と釈明していた。 (Joe Perticone,‘Joe Biden's first presidential run in 1988 cratered amid multiple instances of plagiarism’March 13, 2019) でも、バイデンは心の底から根性が卑しい。アイオワ州で開かれたイベントでも、ニール・キノック(Neil Kinnock / 英国労働党の議員)の演説を盗み取って、自分の演説にしていたのだ。後にアメリカの報道陣は、この“剽窃”を指摘する。盗作が発覚したたげても恥ずかしいのに、バイデンは学業成績の“水増し”までバレてしまったのだ。(Harrison Kass, 'Joe Biden Has Plagiarism Problems He Admitted', The National Interest, February 4, 2024.)アメリカには「生き恥を晒すくらいなら、潔く死を選べ」という格言が無いのかなぁ〜?

  歐米の主流メディアは、プーチンの受け答えを“狡猾な演技”と批判するが、これはアメリカの大衆操作と同じで、政治家なら誰でもすることだ。例えば、大統領選挙の公開討論に臨む候補者は、事前に心理学者や演出家、PR会社の専門家を雇い、選挙参謀や法律顧問と組んで何回もシュミレーションを行うことがある。しかし、何度リハーサルを重ねても“駄目な奴”はいるもので、その典型例がジョージ・W・ブッシュだ。2004年に行われたジョン・ケリーとの討論会を覚えている者なら解るはず。本番でドジる姿を見た側近は、「駄目だ、こりゃ!」と呟き、暗い表情で頭を抱えていたのかも。

  悪い時に悪い事は重なるもので、映像に映ったブッシュの背中には、奇妙な“膨らみ(bulge)”があった。これに気づいた一部のマスコミは、「何だ、これ?!」と騒ぎ立てた。テレビ局のスタッフも、「ブッシュは“何か”を背負っているんじゃないか?」と疑っていたから、親父のハーバート・ブッシュやジェイムズ・ベーカー、デック・チェイニーが「ダメージ・コントロール」を命じてもおかしくはない。選挙参謀のカール・ローブ(Karl Rove)も焦ったんじゃないか?

Robert Nelson 1( 左 / ロバート・M・ネルソン博士 )
  NASAの研究員であったロバート・M・ネルソン博士(Dr. Robert M. Nelson)は、ブッシュの背広の下には何らかの電子機器が隠されている、と疑っていた。(Kevin Berger,‘NASA photo analyst: Bush wore a device during debate', Salon, October 30, 2004.) おそらく、背中の突起物は通信機器で、外部の誰かが適切な答えを送信し、その音声をブッシュが聞いて質問に答える、という仕組みであったに違いない。要するに、ブッシュは腹話術の人形になっていた、という訳だ。討論会の後、ブッシュ大統領はマスコミからの“疑惑”を笑い飛ばしていたが、リベラル派のマスメディアは猜疑心でいっぱいだった。天文学や地質学を専攻するピッツバーグ大学のブルース・ハプケ教授は、マスコミからの取材を受け、“疑惑の膨らみ”に関する推測を述べていた。

George W. Bush 0824George W. Bush & device
( 左 : 背中の「突起物」が目立つジョージ・W・ブッシュ大統領 / 右 : 推測された通信機器)

  話を戻す。カールソンから質問を受けたプーチンの受け答えは見事だった。このロシア大統領は用意周到で、ウクライナ侵攻の動機を話す前に、ロシアとウクライナの歴史を説明する。ただし、大卒でも一般のアメリカ国民は、基本的な東歐史はおろか、西歐史に関しても知識が乏しく、ロシア史に至ってはチンプンカンプンだから、どの程度アメリカ人が理解したのかは不明だ。何しろ、政治学の授業を取っている大学生だって、アレクサンドル・ソルジェニーツィン(Alexandr I. Solzhenitsyn)の『収容所群島』や、ロバート・コンクェスト(Robert Conquest)の『悲しみの収穫』を読んだことがある者は少ないし、ニコライ・ベルジャーエフ(Kikolai A. Berdyaev)の著作やセルゲイ・カラガノフ(Sergey A. Karaganov)の論文を知らない学生も結構多い。

George Clooney & puppy 222(左 / 仔犬を抱きかかえるアルマ夫人とジョージ・クルーニー )
  こんな塩梅だから、アメリカの一般国民は“特殊軍事作戦”の意味すら解らないし、“善悪二元論”でウクライナ紛争を判断して満足している。アメリカの一般国民は退屈な歴史講義よりも、スポーツ観戦や藝能スキャンダルの方に関心がある。俳優のジョージ・クルーニーが誕生日プレゼントとして、女房のアルマにセント・バーナードの仔犬を連れてきた、という記事の方に興味があるんだから。流血の戦場となったウクライナに大衆の関心は無い。

  プーチンは歴史的経緯を説明するため、キエフ公国やリューリック王朝(Rurikid dynasty)にまで遡ってロシア史を語っていたけど、対談を聴いていた一般人がどの程度理解したのかは判らない。しかし、ヨーロッパの歴史や文化に詳しい上層中流階級、そして軍事や地政学に一定の知識を有する教養人には、それなりのインパクトを与えたんじゃないか。というのも、“まとも”なアメリカ国民、特にウクライナ支援に懐疑的な軍人や保守派の国民、リアリスト学派の知識人がプーチンの話を聞けば、「まぁ、ロシア側にも一理あるよなぁ〜」と思ってしまうからだ。そもそも、平穏な暮らしを望むアメリカ人は、他国への「軍事介入」を嫌うし、「代理戦争」はベトナムでコリゴリときている。でも、ユダヤ人の上院議員であるチャック・シューマーは別。このユダヤ人左翼は、連邦議会、とりわけ共和党がウクライナへの財政支援を否決するなら、アメリカ軍を派兵すべきだ、と呼びかけていた。(Andrew Rodriguez, 'Schumer Warns U.S. Troops Will Be Sent to Fight Russians if Border Bill Is Not Passed, ' State of the Union, February 8, 2024.)

  歐米や日本のマスコミはロシアの侵略行為を糾弾するが、そもそも北方の熊を挑発したのはバイデン政権の方じゃないか! 政治力学を学んだ者がNATOの東方拡大を聞けば、「それは危険なギャンブルだ」と直ぐに解る。アメリカにとり中南米が“裏庭”なら、ウクライナはロシアにとっての“脇腹”だ。その脇腹に核兵器という匕首(あいくち)が突きつけられれば、プーチンじゃなくても蹶起するだろう。

国家主義者のプーチンと痴呆症のバイデン

  プーチンのインタビュー映像を観ていると、ソフト全体主義に陥ったアメリカと伝統的帝国主義を受け継ぐロシアの“どちら”が“まし”なのか判らなくなる。認めたくない光景だけど、現在のアメリカ合衆国大統領は、四軍の「最高司令官」どころか、その資格さえ無いボケ老人だ。痴呆症が進むジョー・バイデンは、ビックリするような事実誤認を口にしていた。まぁ、息子(ボー・バイデン)の死さえ間違えてしまうくらいだから仕方ないけど、聴衆を前にしたバイデンは、生きている人間と死んだ人間をごちゃ混ぜにしていた。

  例えば、ニューヨークで行われた資金集めの席で、バイデンは2020年の大統領選挙について触れていただが、その際、彼はヘルムート・コール首相と一緒に歐州事情を話していた、と発言していたのだ。だが、バイデンが話したのはアンゲラ・メルケル首相で、2017年に亡くなったコール氏ではない。現世と来世の区別がつかないバイデンは、ネヴァダ州でも“幽霊”と会話を交わしていたそうだ。バイデンは記者を前にして、1月6日の議事堂事件をフランソワ・ミッテラン大統領に語ったと述べていたが、それはエマニュエル・マクロン大統領のことである。('Biden mistakes living European leader for dead one – for second time in a week', The Guardian, 8 February 2024.) おそらく、バイデンは頭の中の記憶が錯綜しているんだろう。周知の通り、ミッテラン大統領は1996年に亡くなっている。バイデンの“迷言”を聴いたアメリカ国民は、「またかぁ〜」とウンザリしているんじゃないか。

Helmut Kohl 22Angela Merkel 2334Francois Mitterrand 1Emmanuel Macron 1
(左 : ヘルムート・コール / アンゲラ・メルケル / フランソワ・ミッテラン / 右 : エマニュエル・マクロン )

  一方、世界政治のキーパーソンと化したプーチンは、核大国の指導者らしく頭脳明晰だ。例えば、カールソンから経済問題を質問されると、プーチンは具体的な数字を挙げて貿易収支やエネルギー問題を語り出す。こうしたインタビュー映像を目にすれば、代理戦争に反対する軍人や国内経済を憂慮するビジネスマンは、何となく羨ましくなるし、保守派のアメリカ国民は“アメリカン・デモクラシー”に嫌気が差すだろう。言うまでもなく、米国は世界最強の軍隊を有する“超大国”なのに、それを統率する大統領が操り人形で、自分が何をやっているのか、何を喋っているのかも解らないボケ老人とくれば、高級将校じゃなくても涙が出てくる。

  「腐っても鯛」の米国で、未だにドナルド・トランプが人気を博しているのは、彼が「アメリカ・ファースト」、つまりアメリカ国民と合衆国の利益を優先し、偉大であった頃のアメリカを取り戻そうと呼びかけているからだ。プーチンも国家優先主義者で、ロシアの国益を追求する為政者である。プーチンは色々なイベントや会見でロシア固有の思想や民族性、そして歴史に根づくロシア正教といった信仰に言及している。彼が大切にするのは、愛国心や集団主義、結束、大国性(derzhavnost)、国家主義(gosudarstvennichestvo)といった価値観である。大統領に就任したプーチンは、次のように自身の国家理念を述べていた。

 我々にとり、国家とその制度および構造は、祖国と国民の生活において常に極めて重要な役割を果たしてきた。ロシア人にとって、強力な国家というのは敵対すべき変種ではない。逆に、強力な国家は秩序を保障する源泉であり、あらゆる変革を起動させる主な原動力である。・・・社会は国家の指導力や統率力の恢復を求めているのだ。(上掲、Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, p.36.)

  エリツィンの政権時代を経験したロシア人なら、政治的に混乱したロシアを立て直したプーチンの行政手腕を褒めるに違いない。何しろ、ソ連の崩壊を経たロシアは、ユダヤ人のオルガルヒが跳梁跋扈していた時代だ。ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky)はテレビ局を買収し、ミハイル・ホドルコフスキー(Mikhail Khodorkovsky)は石油成金になっていた。ウラジミール・グシンスキー(Vladimir Gusinsky)やミハイル・フリードマン(Mikhail Friedman)、ウラジミール・ポタニン(Vladimir Potanin)、アレクサンドル・スモレンスキー(Alexander Smolensky)も“同じ穴の狢(むじな)”で、仲間とツルんでロシアの天然資源を強奪し、金融業界を牛耳っていた。

Boris BerezovskyVladimir Gusinsky 2Mikhail KhodorkovskyVladimir Potanin 1
(左 : ボリス・ベレゾフスキー / ウラジミール・グシンスキー / ミハイル・ホドルコフスキー / 右 : ウラジミール・ポタニン)

  こうした辛酸を嘗めていたから、ロシアの民衆がナショナリストのプーチンを称賛するのは当然だ。プーチンもロシアを強欲なユダヤ人から取り戻したという自負を持っている。プーチンが自分自身のことを国家の建設者(ゴスダルストヴェンニク/ gosudarstvennik)、すなわち国家の公僕と宣伝するのは、ちっともおかしくはない。ウォール街の大富豪とワシントンのネオコンに協力し、ロシアの資源をドンドン売り渡したボリス・エリツィンなんかは“国賊”だ。

  話を戻す。木偶の坊たるバイデンとロシアを憎むユダヤ人は、「ウクライナを侵掠したプーチンは赦せない! 政権転覆を目指せ!」と鼻息を荒くするが、一般のアメリカ国民にしたら、「南米からの侵入者を何とかしてくれ!」と言いたくなるだろう。南部だけじゃなく、ニューヨークやシカゴの国民も不満を漏らすくらいだから、アメリカの社会不安はかなり深刻だ。でも、バイデン政権は不法移民や偽装難民に苦しむ一般国民を無視。その一方で、勝ち目が全く無いウクライナには、600億ドルもの軍資金を与えようと必死なんだから、「お前はどこの大統領なんだ?!」と訊きたくなる。バイデンの言い草を聞いていると、穏健な国民だって激怒するぞ。自国を優先するプーチンと他国を優遇するバイデンとを比較すれば、普通のアメリカ人だって「何か変だ!」と感づく。

  カールソンのインタビューで面白かったのは、ノルドストリーム2の爆破に関する質問であった。カールソンの意図を察知したプーチンは、「あなた、判っているでしょ!」という反応で、二人とも笑みがこぼれていた。主流メディアしか観ていない人だと何を言っているのか解らないが、セイモア・ハーシュ(Seymour Hersh)の暴露記事を読んだ人なら、CIAや米国海軍、あるいはノルウェーかブリテンの諜報機関による破壊工作と判る。ドイツの政治家や知識人だって英米の極秘作戦に気づいているが、これを口に出せないのがドイツの悲劇だ。

  アメリカの闇を知っていても、カールソンは敢えてプーチンに答えを求め、なぜCIAの仕業と判っているのに、証拠を挙げて反論しなかったのか、もし証拠を提示すればプロパガンダ戦に勝つことができたのに、なぜあなたは使わないのか、と真面目に問い質していた。しかし、諜報機関の人間なら、一般的にこうした質問には答えない。下っ端の諜報員だって黙秘するのが鉄則だ。ましてや、KGB出身のプーチンなら絶対に情報源を口にしないだろう。公の席で“モグラ(潜入した手先)”の存在を明かすなんて、まず有り得ない。

  プーチンの受け答えは、本当に冴えていた。彼は不思議がるカールソンに向かって、その理由を説明する。プーチン曰く、たとえ証拠を提示しても、西側のメディアはアメリカの支配下にあるから、一般人を納得させるのは難しい、と。確かに、プーチンが仄めかす通り、歐米の主流メディアは金融業界や軍需産業の有力者、およびグローバリストのユダヤ人に牛耳られている。となれば、たとえロシアの報道機関が真相をリークしても、NBCやBBCといったマスメディアは、談合したかのように、息を合わせて「これはロシアの偽情報である!」と決めつけ、「プーチンの戦時プロパガンダ」に過ぎない、と斬り捨てる。

  2020年の大統領選挙だって、あれほどの不正行為が明らかになっても、大多数のアメリカ国民には伝わらず、八百長選挙の実態は闇に葬られていた。仕事や育児に忙しいアメリカ国民は、CNNのウォルフ・ブリッツァー(Wolf Blitzer)とか、MSNBCのレイチェル・マドー(Rachel Maddow)、PBSのジュディー・ウッドラフ(Judy Woodruff)、ABCのデイヴィッド・ミュアー (David Muir)といったキャスターの話を信じている。大手メディアのアンカーマンが、「根拠なき誹謗中傷」と却下し、「トランプ派による陰謀論」と断言するば、巷の大衆は「そうなんだぁ〜」と鵜呑みにする。「大手信仰」というのは、日本だけの国民病じゃない。

Wolf Blitzer 4234Rachel Maddow 213David Muir 111Judy Woodruff 1
(左 : ウォルフ・ブリッツァー / レイチェル・マドー / デイヴィッド・ミュアー / 右 : ジュディー・ウッドラフ )

Lester Holt 11Nora O'Donnell 111( 左 : レスター・ホルト / 右 : ノラ・オドンネル)
  カールソンが行ったインタビューは2時間を超える対談となってしまったが、インターネットで公開された映像は多くの視聴者を魅了していた。プーチン大統領に対する評価はともかく、この番組で印象的だったのは、大手メディアでは出来ないことを個人営業のカールソン氏がなしえたことだ。普通の日本人でも、「どうして、もっと早い段階(2022年か2023年)でプーチンへの取材を行わなかったのか?」と首を傾げてしまだろう。もし、全米放送のテレビ局が政府の“手先”でなく、“独立”したメディアであれば、NBCはレスター・ホルト(Lester Holt)を、CBSなら ノラ・オドンネル(Nora O'Donnell)をモスクワに派遣したはずだ。

  しかし、有名テレビ局の社長や重役は、「ブチャの虐殺」や「ケルチ大橋の爆発」が起こっても、クレムリンに特派員を差し向けず、一方的にロシアを非難するだけであった。本来なら、ニュース番組の名物キャスターを派遣し、直接、プーチン大統領や有力議員にコンタクトを試みるはずだ。たとえロシア側の「言い訳」でもいいから、反対意見の情報を紹介するのがジャーナリストの務めだろう。(日本のNHKや民放は、米国メディアの下請け企業だから最初から無理。)

  今回、クレムリンがカールソンの取材を承諾したのは、カールソンが“保守派のジャーナリスト”で、なるべく“公平性”を保とうと心掛ける人物であったからだろう。FOXをクビになって“独立系のジャーナリスト”になったカールソン氏は、テレビ局の上層部からの“圧力”を受ける立場ではない。YouTubeからは排除されたが、「X」で自由に発言できる身分になった。もし、彼が“忖度”を気にする「社員」のままであれば、冷静にプーチンの反論を聴くことはできなかったはずだ。

  “保守派メディア”と呼ばれるFOXでも、所詮、看板キャスターは「雇われ人」に過ぎない。プロデューサーや現場スタッフは、国務省の役人や社主のマードック家には逆らえないから、どうしてもプーチンを前にすれば“敵対的な態度”を取ることになる。保守派キャスターのショーン・ハニティー(Sean Hannity)やローラ・イングラム(Laura Ingraham)でも同じだ。上層部からの指令や禁止が言い渡され、不本意な質問しか口にすることはできない。おそらく、ハニティーやイングラムが特派員になっても、カールソンのようなインタビューにはならないし、不満を募らせるアメリカ人を満足させるような対談にもならないはずだ。

Sean HannityLaura Ingraham 111Rupert Murdoch 3234Victoria Nuland 1
( 左: ショーン・ハニティー / ローラ・イングラム / FOX所有者のルパート・マードック / 右 : 国務省のヴィクトリア・ヌーランド )

  プーチン大統領に対するンイタビュー番組には、様々な賛否両論があると思うが、岸田文雄へのインタビューよりマシだろう。まともな日本国民は岸田総理に対し、何も期待しないし、何を喋るのかさえ関心がない。「あの人は何がしたくて総理になったの?」というのが、一般国民の意見だ。日本の命運を左右する岸田総理がすることといったら、ウクライナへの巨額贈与とワクチン接種の更なる推進、新たな増税の準備、移民の本格的な輸入であるから、意気銷沈の国民は開いた口が塞がらない。

  新聞やテレビは「次の総理大臣は誰になるのか?」を話題にするが、候補者の顔ぶれを見た一般人はウンザリする。ゾッとするけど、唯一ヤル気満々で意欲的なのは小池百合子だ。この女帝なら、躊躇なくモスクワに飛んでプーチンと会談するんじゃないか? 元“美人キャスター”を自称する小池百合子ならやりかねない。「単独インタビューなら私に任せて!」と言いそうだ。もし、側近の誰かが「電撃訪問」を提案すれば、「あら、名案ね!」と喜ぶかも。“目立つ”ことが選挙の秘訣だからねぇ〜。
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68956509.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/347.html#c34

[近代史3] マスコミの偽情報 _ CIA は有力メディアを情報操作のために使っている 中川隆
55. 中川隆[-11627] koaQ7Jey 2024年2月12日 11:12:00 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[6]
<■376行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
2024年02月11日
哲人皇帝プーチン / 国益を重視する民族主義者
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68956509.html

言論の自由を失ったアメリカ
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(左 : タッカー・カールソン / 右 : ウラジミール・プーチン大統領)

  皮肉な事だが、冷戦に勝ったずのアメリカでは、報道や言論の自由が抑圧され、不気味な全体主義がはびこっている。かつて、ソ連には「プラウダ(真実)」という新聞があったけど、当時のロシア人(一般国民)は誰も「プラウダ」の報道が“真実”を伝えているとは思わなかった。西側のヨーロッパ人やアメリカ人は、言論封殺の独裁国家を嗤(わら)っていたけど、まさか自分たちの国が「ソ連化」になるとは夢にも思っていなかったはずだ。

  ミハイル・ゴルバチョフと交渉していたロナルド・レーガン大統領は、あるパーティーの席で次のようなジョークを披露していた。

  ロシア人を前にした或るアメリカ人が、自国の自由を自慢した。「私はホワイトハウスの執務室に怒鳴り込み、大統領の面前で机を叩き、“あなたの政策に私は反対だ”と言える自由があるんだぞ!」と喝破した。すると、話を聞いていたロシア人は驚かず、「私たちもできる」と言い返した。曰く、「私もクレムリンに乗り込み、書記長の前で“私はレーガン大統領の遣り方に反対だ!”」と。

  レーガン大統領のジョークを聞いた聴衆はみな大爆笑。2004年に亡くなったレーガン大統領が、現在の米国を目にしたら、一体どんな感想を述べるのか?

  2月8日、アメリカの保守派国民の間では、タッカー・カールソンのインタビュー映像が瞬時に話題騒然となった。FOX TVの元キャスターで、禁断の領域に踏み込んだカールソン氏は、失業者となったけど、ジャーナリストの魂までは失っていなかった。政府からの妨害工作にもめげず、彼はウラジミール・プーチン大統領に渡りをつけ、インタビュー交渉に成功した。カールソン氏は以前にもインタヴューを試みたが、この動きを傍受したNSA(国家安全保障局)の妨害を憂慮し、不本意ながらもインタビューを諦めたことがあるそうだ。もし、強硬に取材計画を進めていたら、カールソン氏は社会的に抹殺されていただろう。たぶん、何らかの人格攻撃を仕掛けられるか、個人的なスキャンダルを暴かれて、人生の終わりとなった可能性は高い。必要とあれば、政府の工作員は捏造記事をブレンドして攻撃を加えるから、民間人のカールソン氏は一巻の終わりだ。

  日本の地上波テレビはあまり取り上げなかったが、カールソン氏のインタビュー映像は、我々日本人にとっても非情に興味深い対談であった。(この動画はカールソン氏の独自サイト「Tucker Carlson Network」で視聴できる。ただし、英語通訳の対談となっているため、英語が苦手な日本人は、日本語字幕が附いたYouTube動画を観るといい。本来なら、NHKが翻訳を加えて全部を流すべきなんだけど、現在の日本では民間の有志が国民のために尽くしている。)

  インタビューで表明されたプーチンの見解や回答は、色々な解釈ができよう。しかし、大切なのは各国民が自分の目と耳で確かめ、自分自身の考えで判断することだ。日本のマスコミは論外だが、アメリカのCNNやABC、ブリテンのBBCとかフランスのAFPはバイデン政権の味方である。偏向報道が当たり前のメディアは、きっと「こんなのはプーチンによるロシア側の政治宣伝だ!」と盛んに批判するはずだ。でも、報道規制や言論封殺を繰り返してきた連中は、プーチンの発言を「嘘っぱち」と却下できるのか? タッカー・カールソンを貶す前に、自分たちの大衆操作を反省すべきだろう。

  予想通り、タッカー・カールソンはプーチンに対し、ウクライナ紛争に関する質問を投げかけていた。通訳を介して質問を聞いていたプーチンは、米国や日本の保守派国民が既に知っている見解を述べていた。例えば、英米側がミンスク合意を破り、NATOの東方拡大を強行したという内容だ。(軍事衝突の停止を決めた「ミンスク議定書Minsk Protocole」の件は日本でも報道されている。) この解釈はアンゲラ・メルケル前首相の発言を思い出せば、ある程度「もっともな反論」と頷くことができよう。メルケルはティナ・ヒルデブラントやジョヴァンニ・デ・ロレンツォによるインタビューを受けた時、次のように述べていた。

  2014年のミンスク協定(Minsker Abkommen)は、ウクライナに時間を与えるための試み(Versuch)だった。("Hatten Sie gedacht, ich komme mit Pferdeschwanz?" , Interview: Tina Hildebrandt und Giovanni di Lorenzo, Die Zeit, 7 Dezember 2022.)

  その後の展開を思い出せば判るけど、英米がミンスク合意を利用し、ウクライナを強くするために“時間稼ぎ”をしたことは確かだ。ヴィクトリア・ヌーランド達が仕組んだ「クーデタ」は、仲間内の会話が暴露され、今では日本人にも知られている。

  そもそも、当時の軍事バランスを考えれば、ウクライナ軍がロシア軍を撃退するなんて無茶な冒険だ。たとえ歐米諸国の支援があっても、ウクライナ側が苦戦するのは予想できたはずである。しかし、オルガルヒとバイデン政権にとっては、ウクライナ人は単なる“使い捨ての駒”でしかない。ウクライナ兵が何人死のうがお構いなしだ。仮に、ウクライナが勝たなくても、泥沼の長期戦に持ち込めば、ロシア側の国力を削ぐことになるし、新たな冷戦構造の構築にもなるから、軍産複合体にとったら“喜ばしい不幸”である。

歴史に残る偉大な指導者

Putin 1980sPutin 524Putin with gun
(左 : 1980年代のウラジミール・プーチン / 中央 : KGBを辞めて政界に入った頃のプーチン / 右 : 妙に銃が似合うプーチン大統領 )

  カールソンが行ったインタビューで、最も印象的だったのは、プーチン大統領が“優秀な指導者”に見えたことだ。もちろん、プーチンは有能な諜報局員であったから、一般の視聴者に自分がどう映るのかは計算済みだ。たぶん、プーチンは対談の前にプロパガンダ職員と協議し、「どのような対応にしたら最も効果的か」を入念に検討したんじゃないか。ただ、頭脳明晰でプライドの高いプーチンだ。部下の言いなりで動くとは思えない。岸田文雄とは全く逆だ。もしかすると、自分の構想だけで本番に臨んだのかも知れない。バイデンゆ岸田と違って、プーチンは普段から、つまり若い頃から非情に勉強熱心だ。

  大統領報道官のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)によると、プーチンは今でも常に本を読んでおり、その大半はロシアの歴史に関する書物であるという。彼はロシア史の偉人が記した回顧録を読んでいるそうだ。(Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, Washington, D.C. : Brookings Institution Press, 2013, p.64.)

  一方、ジョー・バイデンは学生時代から怠け者で、誇張と嘘の常習犯。まともに勉強していなかったから、政治家になってもボロが出ていた。

  例えば、大統領選挙に挑戦した1987年、バイデンは昔の“ズル”を認めて選挙戦から離脱したことがある。法科大学(ロー・スクール)に通っていた頃、バイデンは論文を書くにあたって、法学雑誌の文章を“拝借”したそうだ。ところが、担当教授がこの“剽窃”を見抜いてしまったから、さあ大変。アメリカの大学は“チョロまかし”に対して非常に厳しい。論文の不正行為が発覚したから、バイデンはかなり焦ったのだろう。往生際の悪いバイデンは、大学側に「退学処分にしないでください」と泣きついた。

Joe Biden 1987Joe Biden 7723
(左 : 大統領選挙候補から撤退したジョー・バイデン / 右 : 痴呆症の大統領となったバイデン)

  しかし、「一度淫売、一生淫売(Once a whore, always whore.)」と言うように、卑怯者は何時まで経っても卑怯者のままである。報道陣を前にしたバイデンは、この「剽窃事件」を指摘されると「引用における誤りだった」と言い張り、「騙すつもりはなかった」と釈明していた。 (Joe Perticone,‘Joe Biden's first presidential run in 1988 cratered amid multiple instances of plagiarism’March 13, 2019) でも、バイデンは心の底から根性が卑しい。アイオワ州で開かれたイベントでも、ニール・キノック(Neil Kinnock / 英国労働党の議員)の演説を盗み取って、自分の演説にしていたのだ。後にアメリカの報道陣は、この“剽窃”を指摘する。盗作が発覚したたげても恥ずかしいのに、バイデンは学業成績の“水増し”までバレてしまったのだ。(Harrison Kass, 'Joe Biden Has Plagiarism Problems He Admitted', The National Interest, February 4, 2024.)アメリカには「生き恥を晒すくらいなら、潔く死を選べ」という格言が無いのかなぁ〜?

  歐米の主流メディアは、プーチンの受け答えを“狡猾な演技”と批判するが、これはアメリカの大衆操作と同じで、政治家なら誰でもすることだ。例えば、大統領選挙の公開討論に臨む候補者は、事前に心理学者や演出家、PR会社の専門家を雇い、選挙参謀や法律顧問と組んで何回もシュミレーションを行うことがある。しかし、何度リハーサルを重ねても“駄目な奴”はいるもので、その典型例がジョージ・W・ブッシュだ。2004年に行われたジョン・ケリーとの討論会を覚えている者なら解るはず。本番でドジる姿を見た側近は、「駄目だ、こりゃ!」と呟き、暗い表情で頭を抱えていたのかも。

  悪い時に悪い事は重なるもので、映像に映ったブッシュの背中には、奇妙な“膨らみ(bulge)”があった。これに気づいた一部のマスコミは、「何だ、これ?!」と騒ぎ立てた。テレビ局のスタッフも、「ブッシュは“何か”を背負っているんじゃないか?」と疑っていたから、親父のハーバート・ブッシュやジェイムズ・ベーカー、デック・チェイニーが「ダメージ・コントロール」を命じてもおかしくはない。選挙参謀のカール・ローブ(Karl Rove)も焦ったんじゃないか?

Robert Nelson 1( 左 / ロバート・M・ネルソン博士 )
  NASAの研究員であったロバート・M・ネルソン博士(Dr. Robert M. Nelson)は、ブッシュの背広の下には何らかの電子機器が隠されている、と疑っていた。(Kevin Berger,‘NASA photo analyst: Bush wore a device during debate', Salon, October 30, 2004.) おそらく、背中の突起物は通信機器で、外部の誰かが適切な答えを送信し、その音声をブッシュが聞いて質問に答える、という仕組みであったに違いない。要するに、ブッシュは腹話術の人形になっていた、という訳だ。討論会の後、ブッシュ大統領はマスコミからの“疑惑”を笑い飛ばしていたが、リベラル派のマスメディアは猜疑心でいっぱいだった。天文学や地質学を専攻するピッツバーグ大学のブルース・ハプケ教授は、マスコミからの取材を受け、“疑惑の膨らみ”に関する推測を述べていた。

George W. Bush 0824George W. Bush & device
( 左 : 背中の「突起物」が目立つジョージ・W・ブッシュ大統領 / 右 : 推測された通信機器)

  話を戻す。カールソンから質問を受けたプーチンの受け答えは見事だった。このロシア大統領は用意周到で、ウクライナ侵攻の動機を話す前に、ロシアとウクライナの歴史を説明する。ただし、大卒でも一般のアメリカ国民は、基本的な東歐史はおろか、西歐史に関しても知識が乏しく、ロシア史に至ってはチンプンカンプンだから、どの程度アメリカ人が理解したのかは不明だ。何しろ、政治学の授業を取っている大学生だって、アレクサンドル・ソルジェニーツィン(Alexandr I. Solzhenitsyn)の『収容所群島』や、ロバート・コンクェスト(Robert Conquest)の『悲しみの収穫』を読んだことがある者は少ないし、ニコライ・ベルジャーエフ(Kikolai A. Berdyaev)の著作やセルゲイ・カラガノフ(Sergey A. Karaganov)の論文を知らない学生も結構多い。

George Clooney & puppy 222(左 / 仔犬を抱きかかえるアルマ夫人とジョージ・クルーニー )
  こんな塩梅だから、アメリカの一般国民は“特殊軍事作戦”の意味すら解らないし、“善悪二元論”でウクライナ紛争を判断して満足している。アメリカの一般国民は退屈な歴史講義よりも、スポーツ観戦や藝能スキャンダルの方に関心がある。俳優のジョージ・クルーニーが誕生日プレゼントとして、女房のアルマにセント・バーナードの仔犬を連れてきた、という記事の方に興味があるんだから。流血の戦場となったウクライナに大衆の関心は無い。

  プーチンは歴史的経緯を説明するため、キエフ公国やリューリック王朝(Rurikid dynasty)にまで遡ってロシア史を語っていたけど、対談を聴いていた一般人がどの程度理解したのかは判らない。しかし、ヨーロッパの歴史や文化に詳しい上層中流階級、そして軍事や地政学に一定の知識を有する教養人には、それなりのインパクトを与えたんじゃないか。というのも、“まとも”なアメリカ国民、特にウクライナ支援に懐疑的な軍人や保守派の国民、リアリスト学派の知識人がプーチンの話を聞けば、「まぁ、ロシア側にも一理あるよなぁ〜」と思ってしまうからだ。そもそも、平穏な暮らしを望むアメリカ人は、他国への「軍事介入」を嫌うし、「代理戦争」はベトナムでコリゴリときている。でも、ユダヤ人の上院議員であるチャック・シューマーは別。このユダヤ人左翼は、連邦議会、とりわけ共和党がウクライナへの財政支援を否決するなら、アメリカ軍を派兵すべきだ、と呼びかけていた。(Andrew Rodriguez, 'Schumer Warns U.S. Troops Will Be Sent to Fight Russians if Border Bill Is Not Passed, ' State of the Union, February 8, 2024.)

  歐米や日本のマスコミはロシアの侵略行為を糾弾するが、そもそも北方の熊を挑発したのはバイデン政権の方じゃないか! 政治力学を学んだ者がNATOの東方拡大を聞けば、「それは危険なギャンブルだ」と直ぐに解る。アメリカにとり中南米が“裏庭”なら、ウクライナはロシアにとっての“脇腹”だ。その脇腹に核兵器という匕首(あいくち)が突きつけられれば、プーチンじゃなくても蹶起するだろう。

国家主義者のプーチンと痴呆症のバイデン

  プーチンのインタビュー映像を観ていると、ソフト全体主義に陥ったアメリカと伝統的帝国主義を受け継ぐロシアの“どちら”が“まし”なのか判らなくなる。認めたくない光景だけど、現在のアメリカ合衆国大統領は、四軍の「最高司令官」どころか、その資格さえ無いボケ老人だ。痴呆症が進むジョー・バイデンは、ビックリするような事実誤認を口にしていた。まぁ、息子(ボー・バイデン)の死さえ間違えてしまうくらいだから仕方ないけど、聴衆を前にしたバイデンは、生きている人間と死んだ人間をごちゃ混ぜにしていた。

  例えば、ニューヨークで行われた資金集めの席で、バイデンは2020年の大統領選挙について触れていただが、その際、彼はヘルムート・コール首相と一緒に歐州事情を話していた、と発言していたのだ。だが、バイデンが話したのはアンゲラ・メルケル首相で、2017年に亡くなったコール氏ではない。現世と来世の区別がつかないバイデンは、ネヴァダ州でも“幽霊”と会話を交わしていたそうだ。バイデンは記者を前にして、1月6日の議事堂事件をフランソワ・ミッテラン大統領に語ったと述べていたが、それはエマニュエル・マクロン大統領のことである。('Biden mistakes living European leader for dead one – for second time in a week', The Guardian, 8 February 2024.) おそらく、バイデンは頭の中の記憶が錯綜しているんだろう。周知の通り、ミッテラン大統領は1996年に亡くなっている。バイデンの“迷言”を聴いたアメリカ国民は、「またかぁ〜」とウンザリしているんじゃないか。

Helmut Kohl 22Angela Merkel 2334Francois Mitterrand 1Emmanuel Macron 1
(左 : ヘルムート・コール / アンゲラ・メルケル / フランソワ・ミッテラン / 右 : エマニュエル・マクロン )

  一方、世界政治のキーパーソンと化したプーチンは、核大国の指導者らしく頭脳明晰だ。例えば、カールソンから経済問題を質問されると、プーチンは具体的な数字を挙げて貿易収支やエネルギー問題を語り出す。こうしたインタビュー映像を目にすれば、代理戦争に反対する軍人や国内経済を憂慮するビジネスマンは、何となく羨ましくなるし、保守派のアメリカ国民は“アメリカン・デモクラシー”に嫌気が差すだろう。言うまでもなく、米国は世界最強の軍隊を有する“超大国”なのに、それを統率する大統領が操り人形で、自分が何をやっているのか、何を喋っているのかも解らないボケ老人とくれば、高級将校じゃなくても涙が出てくる。

  「腐っても鯛」の米国で、未だにドナルド・トランプが人気を博しているのは、彼が「アメリカ・ファースト」、つまりアメリカ国民と合衆国の利益を優先し、偉大であった頃のアメリカを取り戻そうと呼びかけているからだ。プーチンも国家優先主義者で、ロシアの国益を追求する為政者である。プーチンは色々なイベントや会見でロシア固有の思想や民族性、そして歴史に根づくロシア正教といった信仰に言及している。彼が大切にするのは、愛国心や集団主義、結束、大国性(derzhavnost)、国家主義(gosudarstvennichestvo)といった価値観である。大統領に就任したプーチンは、次のように自身の国家理念を述べていた。

 我々にとり、国家とその制度および構造は、祖国と国民の生活において常に極めて重要な役割を果たしてきた。ロシア人にとって、強力な国家というのは敵対すべき変種ではない。逆に、強力な国家は秩序を保障する源泉であり、あらゆる変革を起動させる主な原動力である。・・・社会は国家の指導力や統率力の恢復を求めているのだ。(上掲、Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, p.36.)

  エリツィンの政権時代を経験したロシア人なら、政治的に混乱したロシアを立て直したプーチンの行政手腕を褒めるに違いない。何しろ、ソ連の崩壊を経たロシアは、ユダヤ人のオルガルヒが跳梁跋扈していた時代だ。ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky)はテレビ局を買収し、ミハイル・ホドルコフスキー(Mikhail Khodorkovsky)は石油成金になっていた。ウラジミール・グシンスキー(Vladimir Gusinsky)やミハイル・フリードマン(Mikhail Friedman)、ウラジミール・ポタニン(Vladimir Potanin)、アレクサンドル・スモレンスキー(Alexander Smolensky)も“同じ穴の狢(むじな)”で、仲間とツルんでロシアの天然資源を強奪し、金融業界を牛耳っていた。

Boris BerezovskyVladimir Gusinsky 2Mikhail KhodorkovskyVladimir Potanin 1
(左 : ボリス・ベレゾフスキー / ウラジミール・グシンスキー / ミハイル・ホドルコフスキー / 右 : ウラジミール・ポタニン)

  こうした辛酸を嘗めていたから、ロシアの民衆がナショナリストのプーチンを称賛するのは当然だ。プーチンもロシアを強欲なユダヤ人から取り戻したという自負を持っている。プーチンが自分自身のことを国家の建設者(ゴスダルストヴェンニク/ gosudarstvennik)、すなわち国家の公僕と宣伝するのは、ちっともおかしくはない。ウォール街の大富豪とワシントンのネオコンに協力し、ロシアの資源をドンドン売り渡したボリス・エリツィンなんかは“国賊”だ。

  話を戻す。木偶の坊たるバイデンとロシアを憎むユダヤ人は、「ウクライナを侵掠したプーチンは赦せない! 政権転覆を目指せ!」と鼻息を荒くするが、一般のアメリカ国民にしたら、「南米からの侵入者を何とかしてくれ!」と言いたくなるだろう。南部だけじゃなく、ニューヨークやシカゴの国民も不満を漏らすくらいだから、アメリカの社会不安はかなり深刻だ。でも、バイデン政権は不法移民や偽装難民に苦しむ一般国民を無視。その一方で、勝ち目が全く無いウクライナには、600億ドルもの軍資金を与えようと必死なんだから、「お前はどこの大統領なんだ?!」と訊きたくなる。バイデンの言い草を聞いていると、穏健な国民だって激怒するぞ。自国を優先するプーチンと他国を優遇するバイデンとを比較すれば、普通のアメリカ人だって「何か変だ!」と感づく。

  カールソンのインタビューで面白かったのは、ノルドストリーム2の爆破に関する質問であった。カールソンの意図を察知したプーチンは、「あなた、判っているでしょ!」という反応で、二人とも笑みがこぼれていた。主流メディアしか観ていない人だと何を言っているのか解らないが、セイモア・ハーシュ(Seymour Hersh)の暴露記事を読んだ人なら、CIAや米国海軍、あるいはノルウェーかブリテンの諜報機関による破壊工作と判る。ドイツの政治家や知識人だって英米の極秘作戦に気づいているが、これを口に出せないのがドイツの悲劇だ。

  アメリカの闇を知っていても、カールソンは敢えてプーチンに答えを求め、なぜCIAの仕業と判っているのに、証拠を挙げて反論しなかったのか、もし証拠を提示すればプロパガンダ戦に勝つことができたのに、なぜあなたは使わないのか、と真面目に問い質していた。しかし、諜報機関の人間なら、一般的にこうした質問には答えない。下っ端の諜報員だって黙秘するのが鉄則だ。ましてや、KGB出身のプーチンなら絶対に情報源を口にしないだろう。公の席で“モグラ(潜入した手先)”の存在を明かすなんて、まず有り得ない。

  プーチンの受け答えは、本当に冴えていた。彼は不思議がるカールソンに向かって、その理由を説明する。プーチン曰く、たとえ証拠を提示しても、西側のメディアはアメリカの支配下にあるから、一般人を納得させるのは難しい、と。確かに、プーチンが仄めかす通り、歐米の主流メディアは金融業界や軍需産業の有力者、およびグローバリストのユダヤ人に牛耳られている。となれば、たとえロシアの報道機関が真相をリークしても、NBCやBBCといったマスメディアは、談合したかのように、息を合わせて「これはロシアの偽情報である!」と決めつけ、「プーチンの戦時プロパガンダ」に過ぎない、と斬り捨てる。

  2020年の大統領選挙だって、あれほどの不正行為が明らかになっても、大多数のアメリカ国民には伝わらず、八百長選挙の実態は闇に葬られていた。仕事や育児に忙しいアメリカ国民は、CNNのウォルフ・ブリッツァー(Wolf Blitzer)とか、MSNBCのレイチェル・マドー(Rachel Maddow)、PBSのジュディー・ウッドラフ(Judy Woodruff)、ABCのデイヴィッド・ミュアー (David Muir)といったキャスターの話を信じている。大手メディアのアンカーマンが、「根拠なき誹謗中傷」と却下し、「トランプ派による陰謀論」と断言するば、巷の大衆は「そうなんだぁ〜」と鵜呑みにする。「大手信仰」というのは、日本だけの国民病じゃない。

Wolf Blitzer 4234Rachel Maddow 213David Muir 111Judy Woodruff 1
(左 : ウォルフ・ブリッツァー / レイチェル・マドー / デイヴィッド・ミュアー / 右 : ジュディー・ウッドラフ )

Lester Holt 11Nora O'Donnell 111( 左 : レスター・ホルト / 右 : ノラ・オドンネル)
  カールソンが行ったインタビューは2時間を超える対談となってしまったが、インターネットで公開された映像は多くの視聴者を魅了していた。プーチン大統領に対する評価はともかく、この番組で印象的だったのは、大手メディアでは出来ないことを個人営業のカールソン氏がなしえたことだ。普通の日本人でも、「どうして、もっと早い段階(2022年か2023年)でプーチンへの取材を行わなかったのか?」と首を傾げてしまだろう。もし、全米放送のテレビ局が政府の“手先”でなく、“独立”したメディアであれば、NBCはレスター・ホルト(Lester Holt)を、CBSなら ノラ・オドンネル(Nora O'Donnell)をモスクワに派遣したはずだ。

  しかし、有名テレビ局の社長や重役は、「ブチャの虐殺」や「ケルチ大橋の爆発」が起こっても、クレムリンに特派員を差し向けず、一方的にロシアを非難するだけであった。本来なら、ニュース番組の名物キャスターを派遣し、直接、プーチン大統領や有力議員にコンタクトを試みるはずだ。たとえロシア側の「言い訳」でもいいから、反対意見の情報を紹介するのがジャーナリストの務めだろう。(日本のNHKや民放は、米国メディアの下請け企業だから最初から無理。)

  今回、クレムリンがカールソンの取材を承諾したのは、カールソンが“保守派のジャーナリスト”で、なるべく“公平性”を保とうと心掛ける人物であったからだろう。FOXをクビになって“独立系のジャーナリスト”になったカールソン氏は、テレビ局の上層部からの“圧力”を受ける立場ではない。YouTubeからは排除されたが、「X」で自由に発言できる身分になった。もし、彼が“忖度”を気にする「社員」のままであれば、冷静にプーチンの反論を聴くことはできなかったはずだ。

  “保守派メディア”と呼ばれるFOXでも、所詮、看板キャスターは「雇われ人」に過ぎない。プロデューサーや現場スタッフは、国務省の役人や社主のマードック家には逆らえないから、どうしてもプーチンを前にすれば“敵対的な態度”を取ることになる。保守派キャスターのショーン・ハニティー(Sean Hannity)やローラ・イングラム(Laura Ingraham)でも同じだ。上層部からの指令や禁止が言い渡され、不本意な質問しか口にすることはできない。おそらく、ハニティーやイングラムが特派員になっても、カールソンのようなインタビューにはならないし、不満を募らせるアメリカ人を満足させるような対談にもならないはずだ。

Sean HannityLaura Ingraham 111Rupert Murdoch 3234Victoria Nuland 1
( 左: ショーン・ハニティー / ローラ・イングラム / FOX所有者のルパート・マードック / 右 : 国務省のヴィクトリア・ヌーランド )

  プーチン大統領に対するンイタビュー番組には、様々な賛否両論があると思うが、岸田文雄へのインタビューよりマシだろう。まともな日本国民は岸田総理に対し、何も期待しないし、何を喋るのかさえ関心がない。「あの人は何がしたくて総理になったの?」というのが、一般国民の意見だ。日本の命運を左右する岸田総理がすることといったら、ウクライナへの巨額贈与とワクチン接種の更なる推進、新たな増税の準備、移民の本格的な輸入であるから、意気銷沈の国民は開いた口が塞がらない。

  新聞やテレビは「次の総理大臣は誰になるのか?」を話題にするが、候補者の顔ぶれを見た一般人はウンザリする。ゾッとするけど、唯一ヤル気満々で意欲的なのは小池百合子だ。この女帝なら、躊躇なくモスクワに飛んでプーチンと会談するんじゃないか? 元“美人キャスター”を自称する小池百合子ならやりかねない。「単独インタビューなら私に任せて!」と言いそうだ。もし、側近の誰かが「電撃訪問」を提案すれば、「あら、名案ね!」と喜ぶかも。“目立つ”ことが選挙の秘訣だからねぇ〜。
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68956509.html
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/330.html#c55

[近代史7] プーチンはユダヤ人だった _「ロシアという国」の本当の姿をジェームズ斉藤が解説! 中川隆
8. 中川隆[-11626] koaQ7Jey 2024年2月12日 11:14:07 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[7]
<■376行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
2024年02月11日
哲人皇帝プーチン / 国益を重視する民族主義者
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68956509.html

言論の自由を失ったアメリカ
Tucker Carlson 6242Putin 923
(左 : タッカー・カールソン / 右 : ウラジミール・プーチン大統領)

  皮肉な事だが、冷戦に勝ったずのアメリカでは、報道や言論の自由が抑圧され、不気味な全体主義がはびこっている。かつて、ソ連には「プラウダ(真実)」という新聞があったけど、当時のロシア人(一般国民)は誰も「プラウダ」の報道が“真実”を伝えているとは思わなかった。西側のヨーロッパ人やアメリカ人は、言論封殺の独裁国家を嗤(わら)っていたけど、まさか自分たちの国が「ソ連化」になるとは夢にも思っていなかったはずだ。

  ミハイル・ゴルバチョフと交渉していたロナルド・レーガン大統領は、あるパーティーの席で次のようなジョークを披露していた。

  ロシア人を前にした或るアメリカ人が、自国の自由を自慢した。「私はホワイトハウスの執務室に怒鳴り込み、大統領の面前で机を叩き、“あなたの政策に私は反対だ”と言える自由があるんだぞ!」と喝破した。すると、話を聞いていたロシア人は驚かず、「私たちもできる」と言い返した。曰く、「私もクレムリンに乗り込み、書記長の前で“私はレーガン大統領の遣り方に反対だ!”」と。

  レーガン大統領のジョークを聞いた聴衆はみな大爆笑。2004年に亡くなったレーガン大統領が、現在の米国を目にしたら、一体どんな感想を述べるのか?

  2月8日、アメリカの保守派国民の間では、タッカー・カールソンのインタビュー映像が瞬時に話題騒然となった。FOX TVの元キャスターで、禁断の領域に踏み込んだカールソン氏は、失業者となったけど、ジャーナリストの魂までは失っていなかった。政府からの妨害工作にもめげず、彼はウラジミール・プーチン大統領に渡りをつけ、インタビュー交渉に成功した。カールソン氏は以前にもインタヴューを試みたが、この動きを傍受したNSA(国家安全保障局)の妨害を憂慮し、不本意ながらもインタビューを諦めたことがあるそうだ。もし、強硬に取材計画を進めていたら、カールソン氏は社会的に抹殺されていただろう。たぶん、何らかの人格攻撃を仕掛けられるか、個人的なスキャンダルを暴かれて、人生の終わりとなった可能性は高い。必要とあれば、政府の工作員は捏造記事をブレンドして攻撃を加えるから、民間人のカールソン氏は一巻の終わりだ。

  日本の地上波テレビはあまり取り上げなかったが、カールソン氏のインタビュー映像は、我々日本人にとっても非情に興味深い対談であった。(この動画はカールソン氏の独自サイト「Tucker Carlson Network」で視聴できる。ただし、英語通訳の対談となっているため、英語が苦手な日本人は、日本語字幕が附いたYouTube動画を観るといい。本来なら、NHKが翻訳を加えて全部を流すべきなんだけど、現在の日本では民間の有志が国民のために尽くしている。)

  インタビューで表明されたプーチンの見解や回答は、色々な解釈ができよう。しかし、大切なのは各国民が自分の目と耳で確かめ、自分自身の考えで判断することだ。日本のマスコミは論外だが、アメリカのCNNやABC、ブリテンのBBCとかフランスのAFPはバイデン政権の味方である。偏向報道が当たり前のメディアは、きっと「こんなのはプーチンによるロシア側の政治宣伝だ!」と盛んに批判するはずだ。でも、報道規制や言論封殺を繰り返してきた連中は、プーチンの発言を「嘘っぱち」と却下できるのか? タッカー・カールソンを貶す前に、自分たちの大衆操作を反省すべきだろう。

  予想通り、タッカー・カールソンはプーチンに対し、ウクライナ紛争に関する質問を投げかけていた。通訳を介して質問を聞いていたプーチンは、米国や日本の保守派国民が既に知っている見解を述べていた。例えば、英米側がミンスク合意を破り、NATOの東方拡大を強行したという内容だ。(軍事衝突の停止を決めた「ミンスク議定書Minsk Protocole」の件は日本でも報道されている。) この解釈はアンゲラ・メルケル前首相の発言を思い出せば、ある程度「もっともな反論」と頷くことができよう。メルケルはティナ・ヒルデブラントやジョヴァンニ・デ・ロレンツォによるインタビューを受けた時、次のように述べていた。

  2014年のミンスク協定(Minsker Abkommen)は、ウクライナに時間を与えるための試み(Versuch)だった。("Hatten Sie gedacht, ich komme mit Pferdeschwanz?" , Interview: Tina Hildebrandt und Giovanni di Lorenzo, Die Zeit, 7 Dezember 2022.)

  その後の展開を思い出せば判るけど、英米がミンスク合意を利用し、ウクライナを強くするために“時間稼ぎ”をしたことは確かだ。ヴィクトリア・ヌーランド達が仕組んだ「クーデタ」は、仲間内の会話が暴露され、今では日本人にも知られている。

  そもそも、当時の軍事バランスを考えれば、ウクライナ軍がロシア軍を撃退するなんて無茶な冒険だ。たとえ歐米諸国の支援があっても、ウクライナ側が苦戦するのは予想できたはずである。しかし、オルガルヒとバイデン政権にとっては、ウクライナ人は単なる“使い捨ての駒”でしかない。ウクライナ兵が何人死のうがお構いなしだ。仮に、ウクライナが勝たなくても、泥沼の長期戦に持ち込めば、ロシア側の国力を削ぐことになるし、新たな冷戦構造の構築にもなるから、軍産複合体にとったら“喜ばしい不幸”である。

歴史に残る偉大な指導者

Putin 1980sPutin 524Putin with gun
(左 : 1980年代のウラジミール・プーチン / 中央 : KGBを辞めて政界に入った頃のプーチン / 右 : 妙に銃が似合うプーチン大統領 )

  カールソンが行ったインタビューで、最も印象的だったのは、プーチン大統領が“優秀な指導者”に見えたことだ。もちろん、プーチンは有能な諜報局員であったから、一般の視聴者に自分がどう映るのかは計算済みだ。たぶん、プーチンは対談の前にプロパガンダ職員と協議し、「どのような対応にしたら最も効果的か」を入念に検討したんじゃないか。ただ、頭脳明晰でプライドの高いプーチンだ。部下の言いなりで動くとは思えない。岸田文雄とは全く逆だ。もしかすると、自分の構想だけで本番に臨んだのかも知れない。バイデンゆ岸田と違って、プーチンは普段から、つまり若い頃から非情に勉強熱心だ。

  大統領報道官のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)によると、プーチンは今でも常に本を読んでおり、その大半はロシアの歴史に関する書物であるという。彼はロシア史の偉人が記した回顧録を読んでいるそうだ。(Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, Washington, D.C. : Brookings Institution Press, 2013, p.64.)

  一方、ジョー・バイデンは学生時代から怠け者で、誇張と嘘の常習犯。まともに勉強していなかったから、政治家になってもボロが出ていた。

  例えば、大統領選挙に挑戦した1987年、バイデンは昔の“ズル”を認めて選挙戦から離脱したことがある。法科大学(ロー・スクール)に通っていた頃、バイデンは論文を書くにあたって、法学雑誌の文章を“拝借”したそうだ。ところが、担当教授がこの“剽窃”を見抜いてしまったから、さあ大変。アメリカの大学は“チョロまかし”に対して非常に厳しい。論文の不正行為が発覚したから、バイデンはかなり焦ったのだろう。往生際の悪いバイデンは、大学側に「退学処分にしないでください」と泣きついた。

Joe Biden 1987Joe Biden 7723
(左 : 大統領選挙候補から撤退したジョー・バイデン / 右 : 痴呆症の大統領となったバイデン)

  しかし、「一度淫売、一生淫売(Once a whore, always whore.)」と言うように、卑怯者は何時まで経っても卑怯者のままである。報道陣を前にしたバイデンは、この「剽窃事件」を指摘されると「引用における誤りだった」と言い張り、「騙すつもりはなかった」と釈明していた。 (Joe Perticone,‘Joe Biden's first presidential run in 1988 cratered amid multiple instances of plagiarism’March 13, 2019) でも、バイデンは心の底から根性が卑しい。アイオワ州で開かれたイベントでも、ニール・キノック(Neil Kinnock / 英国労働党の議員)の演説を盗み取って、自分の演説にしていたのだ。後にアメリカの報道陣は、この“剽窃”を指摘する。盗作が発覚したたげても恥ずかしいのに、バイデンは学業成績の“水増し”までバレてしまったのだ。(Harrison Kass, 'Joe Biden Has Plagiarism Problems He Admitted', The National Interest, February 4, 2024.)アメリカには「生き恥を晒すくらいなら、潔く死を選べ」という格言が無いのかなぁ〜?

  歐米の主流メディアは、プーチンの受け答えを“狡猾な演技”と批判するが、これはアメリカの大衆操作と同じで、政治家なら誰でもすることだ。例えば、大統領選挙の公開討論に臨む候補者は、事前に心理学者や演出家、PR会社の専門家を雇い、選挙参謀や法律顧問と組んで何回もシュミレーションを行うことがある。しかし、何度リハーサルを重ねても“駄目な奴”はいるもので、その典型例がジョージ・W・ブッシュだ。2004年に行われたジョン・ケリーとの討論会を覚えている者なら解るはず。本番でドジる姿を見た側近は、「駄目だ、こりゃ!」と呟き、暗い表情で頭を抱えていたのかも。

  悪い時に悪い事は重なるもので、映像に映ったブッシュの背中には、奇妙な“膨らみ(bulge)”があった。これに気づいた一部のマスコミは、「何だ、これ?!」と騒ぎ立てた。テレビ局のスタッフも、「ブッシュは“何か”を背負っているんじゃないか?」と疑っていたから、親父のハーバート・ブッシュやジェイムズ・ベーカー、デック・チェイニーが「ダメージ・コントロール」を命じてもおかしくはない。選挙参謀のカール・ローブ(Karl Rove)も焦ったんじゃないか?

Robert Nelson 1( 左 / ロバート・M・ネルソン博士 )
  NASAの研究員であったロバート・M・ネルソン博士(Dr. Robert M. Nelson)は、ブッシュの背広の下には何らかの電子機器が隠されている、と疑っていた。(Kevin Berger,‘NASA photo analyst: Bush wore a device during debate', Salon, October 30, 2004.) おそらく、背中の突起物は通信機器で、外部の誰かが適切な答えを送信し、その音声をブッシュが聞いて質問に答える、という仕組みであったに違いない。要するに、ブッシュは腹話術の人形になっていた、という訳だ。討論会の後、ブッシュ大統領はマスコミからの“疑惑”を笑い飛ばしていたが、リベラル派のマスメディアは猜疑心でいっぱいだった。天文学や地質学を専攻するピッツバーグ大学のブルース・ハプケ教授は、マスコミからの取材を受け、“疑惑の膨らみ”に関する推測を述べていた。

George W. Bush 0824George W. Bush & device
( 左 : 背中の「突起物」が目立つジョージ・W・ブッシュ大統領 / 右 : 推測された通信機器)

  話を戻す。カールソンから質問を受けたプーチンの受け答えは見事だった。このロシア大統領は用意周到で、ウクライナ侵攻の動機を話す前に、ロシアとウクライナの歴史を説明する。ただし、大卒でも一般のアメリカ国民は、基本的な東歐史はおろか、西歐史に関しても知識が乏しく、ロシア史に至ってはチンプンカンプンだから、どの程度アメリカ人が理解したのかは不明だ。何しろ、政治学の授業を取っている大学生だって、アレクサンドル・ソルジェニーツィン(Alexandr I. Solzhenitsyn)の『収容所群島』や、ロバート・コンクェスト(Robert Conquest)の『悲しみの収穫』を読んだことがある者は少ないし、ニコライ・ベルジャーエフ(Kikolai A. Berdyaev)の著作やセルゲイ・カラガノフ(Sergey A. Karaganov)の論文を知らない学生も結構多い。

George Clooney & puppy 222(左 / 仔犬を抱きかかえるアルマ夫人とジョージ・クルーニー )
  こんな塩梅だから、アメリカの一般国民は“特殊軍事作戦”の意味すら解らないし、“善悪二元論”でウクライナ紛争を判断して満足している。アメリカの一般国民は退屈な歴史講義よりも、スポーツ観戦や藝能スキャンダルの方に関心がある。俳優のジョージ・クルーニーが誕生日プレゼントとして、女房のアルマにセント・バーナードの仔犬を連れてきた、という記事の方に興味があるんだから。流血の戦場となったウクライナに大衆の関心は無い。

  プーチンは歴史的経緯を説明するため、キエフ公国やリューリック王朝(Rurikid dynasty)にまで遡ってロシア史を語っていたけど、対談を聴いていた一般人がどの程度理解したのかは判らない。しかし、ヨーロッパの歴史や文化に詳しい上層中流階級、そして軍事や地政学に一定の知識を有する教養人には、それなりのインパクトを与えたんじゃないか。というのも、“まとも”なアメリカ国民、特にウクライナ支援に懐疑的な軍人や保守派の国民、リアリスト学派の知識人がプーチンの話を聞けば、「まぁ、ロシア側にも一理あるよなぁ〜」と思ってしまうからだ。そもそも、平穏な暮らしを望むアメリカ人は、他国への「軍事介入」を嫌うし、「代理戦争」はベトナムでコリゴリときている。でも、ユダヤ人の上院議員であるチャック・シューマーは別。このユダヤ人左翼は、連邦議会、とりわけ共和党がウクライナへの財政支援を否決するなら、アメリカ軍を派兵すべきだ、と呼びかけていた。(Andrew Rodriguez, 'Schumer Warns U.S. Troops Will Be Sent to Fight Russians if Border Bill Is Not Passed, ' State of the Union, February 8, 2024.)

  歐米や日本のマスコミはロシアの侵略行為を糾弾するが、そもそも北方の熊を挑発したのはバイデン政権の方じゃないか! 政治力学を学んだ者がNATOの東方拡大を聞けば、「それは危険なギャンブルだ」と直ぐに解る。アメリカにとり中南米が“裏庭”なら、ウクライナはロシアにとっての“脇腹”だ。その脇腹に核兵器という匕首(あいくち)が突きつけられれば、プーチンじゃなくても蹶起するだろう。

国家主義者のプーチンと痴呆症のバイデン

  プーチンのインタビュー映像を観ていると、ソフト全体主義に陥ったアメリカと伝統的帝国主義を受け継ぐロシアの“どちら”が“まし”なのか判らなくなる。認めたくない光景だけど、現在のアメリカ合衆国大統領は、四軍の「最高司令官」どころか、その資格さえ無いボケ老人だ。痴呆症が進むジョー・バイデンは、ビックリするような事実誤認を口にしていた。まぁ、息子(ボー・バイデン)の死さえ間違えてしまうくらいだから仕方ないけど、聴衆を前にしたバイデンは、生きている人間と死んだ人間をごちゃ混ぜにしていた。

  例えば、ニューヨークで行われた資金集めの席で、バイデンは2020年の大統領選挙について触れていただが、その際、彼はヘルムート・コール首相と一緒に歐州事情を話していた、と発言していたのだ。だが、バイデンが話したのはアンゲラ・メルケル首相で、2017年に亡くなったコール氏ではない。現世と来世の区別がつかないバイデンは、ネヴァダ州でも“幽霊”と会話を交わしていたそうだ。バイデンは記者を前にして、1月6日の議事堂事件をフランソワ・ミッテラン大統領に語ったと述べていたが、それはエマニュエル・マクロン大統領のことである。('Biden mistakes living European leader for dead one – for second time in a week', The Guardian, 8 February 2024.) おそらく、バイデンは頭の中の記憶が錯綜しているんだろう。周知の通り、ミッテラン大統領は1996年に亡くなっている。バイデンの“迷言”を聴いたアメリカ国民は、「またかぁ〜」とウンザリしているんじゃないか。

Helmut Kohl 22Angela Merkel 2334Francois Mitterrand 1Emmanuel Macron 1
(左 : ヘルムート・コール / アンゲラ・メルケル / フランソワ・ミッテラン / 右 : エマニュエル・マクロン )

  一方、世界政治のキーパーソンと化したプーチンは、核大国の指導者らしく頭脳明晰だ。例えば、カールソンから経済問題を質問されると、プーチンは具体的な数字を挙げて貿易収支やエネルギー問題を語り出す。こうしたインタビュー映像を目にすれば、代理戦争に反対する軍人や国内経済を憂慮するビジネスマンは、何となく羨ましくなるし、保守派のアメリカ国民は“アメリカン・デモクラシー”に嫌気が差すだろう。言うまでもなく、米国は世界最強の軍隊を有する“超大国”なのに、それを統率する大統領が操り人形で、自分が何をやっているのか、何を喋っているのかも解らないボケ老人とくれば、高級将校じゃなくても涙が出てくる。

  「腐っても鯛」の米国で、未だにドナルド・トランプが人気を博しているのは、彼が「アメリカ・ファースト」、つまりアメリカ国民と合衆国の利益を優先し、偉大であった頃のアメリカを取り戻そうと呼びかけているからだ。プーチンも国家優先主義者で、ロシアの国益を追求する為政者である。プーチンは色々なイベントや会見でロシア固有の思想や民族性、そして歴史に根づくロシア正教といった信仰に言及している。彼が大切にするのは、愛国心や集団主義、結束、大国性(derzhavnost)、国家主義(gosudarstvennichestvo)といった価値観である。大統領に就任したプーチンは、次のように自身の国家理念を述べていた。

 我々にとり、国家とその制度および構造は、祖国と国民の生活において常に極めて重要な役割を果たしてきた。ロシア人にとって、強力な国家というのは敵対すべき変種ではない。逆に、強力な国家は秩序を保障する源泉であり、あらゆる変革を起動させる主な原動力である。・・・社会は国家の指導力や統率力の恢復を求めているのだ。(上掲、Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, p.36.)

  エリツィンの政権時代を経験したロシア人なら、政治的に混乱したロシアを立て直したプーチンの行政手腕を褒めるに違いない。何しろ、ソ連の崩壊を経たロシアは、ユダヤ人のオルガルヒが跳梁跋扈していた時代だ。ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky)はテレビ局を買収し、ミハイル・ホドルコフスキー(Mikhail Khodorkovsky)は石油成金になっていた。ウラジミール・グシンスキー(Vladimir Gusinsky)やミハイル・フリードマン(Mikhail Friedman)、ウラジミール・ポタニン(Vladimir Potanin)、アレクサンドル・スモレンスキー(Alexander Smolensky)も“同じ穴の狢(むじな)”で、仲間とツルんでロシアの天然資源を強奪し、金融業界を牛耳っていた。

Boris BerezovskyVladimir Gusinsky 2Mikhail KhodorkovskyVladimir Potanin 1
(左 : ボリス・ベレゾフスキー / ウラジミール・グシンスキー / ミハイル・ホドルコフスキー / 右 : ウラジミール・ポタニン)

  こうした辛酸を嘗めていたから、ロシアの民衆がナショナリストのプーチンを称賛するのは当然だ。プーチンもロシアを強欲なユダヤ人から取り戻したという自負を持っている。プーチンが自分自身のことを国家の建設者(ゴスダルストヴェンニク/ gosudarstvennik)、すなわち国家の公僕と宣伝するのは、ちっともおかしくはない。ウォール街の大富豪とワシントンのネオコンに協力し、ロシアの資源をドンドン売り渡したボリス・エリツィンなんかは“国賊”だ。

  話を戻す。木偶の坊たるバイデンとロシアを憎むユダヤ人は、「ウクライナを侵掠したプーチンは赦せない! 政権転覆を目指せ!」と鼻息を荒くするが、一般のアメリカ国民にしたら、「南米からの侵入者を何とかしてくれ!」と言いたくなるだろう。南部だけじゃなく、ニューヨークやシカゴの国民も不満を漏らすくらいだから、アメリカの社会不安はかなり深刻だ。でも、バイデン政権は不法移民や偽装難民に苦しむ一般国民を無視。その一方で、勝ち目が全く無いウクライナには、600億ドルもの軍資金を与えようと必死なんだから、「お前はどこの大統領なんだ?!」と訊きたくなる。バイデンの言い草を聞いていると、穏健な国民だって激怒するぞ。自国を優先するプーチンと他国を優遇するバイデンとを比較すれば、普通のアメリカ人だって「何か変だ!」と感づく。

  カールソンのインタビューで面白かったのは、ノルドストリーム2の爆破に関する質問であった。カールソンの意図を察知したプーチンは、「あなた、判っているでしょ!」という反応で、二人とも笑みがこぼれていた。主流メディアしか観ていない人だと何を言っているのか解らないが、セイモア・ハーシュ(Seymour Hersh)の暴露記事を読んだ人なら、CIAや米国海軍、あるいはノルウェーかブリテンの諜報機関による破壊工作と判る。ドイツの政治家や知識人だって英米の極秘作戦に気づいているが、これを口に出せないのがドイツの悲劇だ。

  アメリカの闇を知っていても、カールソンは敢えてプーチンに答えを求め、なぜCIAの仕業と判っているのに、証拠を挙げて反論しなかったのか、もし証拠を提示すればプロパガンダ戦に勝つことができたのに、なぜあなたは使わないのか、と真面目に問い質していた。しかし、諜報機関の人間なら、一般的にこうした質問には答えない。下っ端の諜報員だって黙秘するのが鉄則だ。ましてや、KGB出身のプーチンなら絶対に情報源を口にしないだろう。公の席で“モグラ(潜入した手先)”の存在を明かすなんて、まず有り得ない。

  プーチンの受け答えは、本当に冴えていた。彼は不思議がるカールソンに向かって、その理由を説明する。プーチン曰く、たとえ証拠を提示しても、西側のメディアはアメリカの支配下にあるから、一般人を納得させるのは難しい、と。確かに、プーチンが仄めかす通り、歐米の主流メディアは金融業界や軍需産業の有力者、およびグローバリストのユダヤ人に牛耳られている。となれば、たとえロシアの報道機関が真相をリークしても、NBCやBBCといったマスメディアは、談合したかのように、息を合わせて「これはロシアの偽情報である!」と決めつけ、「プーチンの戦時プロパガンダ」に過ぎない、と斬り捨てる。

  2020年の大統領選挙だって、あれほどの不正行為が明らかになっても、大多数のアメリカ国民には伝わらず、八百長選挙の実態は闇に葬られていた。仕事や育児に忙しいアメリカ国民は、CNNのウォルフ・ブリッツァー(Wolf Blitzer)とか、MSNBCのレイチェル・マドー(Rachel Maddow)、PBSのジュディー・ウッドラフ(Judy Woodruff)、ABCのデイヴィッド・ミュアー (David Muir)といったキャスターの話を信じている。大手メディアのアンカーマンが、「根拠なき誹謗中傷」と却下し、「トランプ派による陰謀論」と断言するば、巷の大衆は「そうなんだぁ〜」と鵜呑みにする。「大手信仰」というのは、日本だけの国民病じゃない。

Wolf Blitzer 4234Rachel Maddow 213David Muir 111Judy Woodruff 1
(左 : ウォルフ・ブリッツァー / レイチェル・マドー / デイヴィッド・ミュアー / 右 : ジュディー・ウッドラフ )

Lester Holt 11Nora O'Donnell 111( 左 : レスター・ホルト / 右 : ノラ・オドンネル)
  カールソンが行ったインタビューは2時間を超える対談となってしまったが、インターネットで公開された映像は多くの視聴者を魅了していた。プーチン大統領に対する評価はともかく、この番組で印象的だったのは、大手メディアでは出来ないことを個人営業のカールソン氏がなしえたことだ。普通の日本人でも、「どうして、もっと早い段階(2022年か2023年)でプーチンへの取材を行わなかったのか?」と首を傾げてしまだろう。もし、全米放送のテレビ局が政府の“手先”でなく、“独立”したメディアであれば、NBCはレスター・ホルト(Lester Holt)を、CBSなら ノラ・オドンネル(Nora O'Donnell)をモスクワに派遣したはずだ。

  しかし、有名テレビ局の社長や重役は、「ブチャの虐殺」や「ケルチ大橋の爆発」が起こっても、クレムリンに特派員を差し向けず、一方的にロシアを非難するだけであった。本来なら、ニュース番組の名物キャスターを派遣し、直接、プーチン大統領や有力議員にコンタクトを試みるはずだ。たとえロシア側の「言い訳」でもいいから、反対意見の情報を紹介するのがジャーナリストの務めだろう。(日本のNHKや民放は、米国メディアの下請け企業だから最初から無理。)

  今回、クレムリンがカールソンの取材を承諾したのは、カールソンが“保守派のジャーナリスト”で、なるべく“公平性”を保とうと心掛ける人物であったからだろう。FOXをクビになって“独立系のジャーナリスト”になったカールソン氏は、テレビ局の上層部からの“圧力”を受ける立場ではない。YouTubeからは排除されたが、「X」で自由に発言できる身分になった。もし、彼が“忖度”を気にする「社員」のままであれば、冷静にプーチンの反論を聴くことはできなかったはずだ。

  “保守派メディア”と呼ばれるFOXでも、所詮、看板キャスターは「雇われ人」に過ぎない。プロデューサーや現場スタッフは、国務省の役人や社主のマードック家には逆らえないから、どうしてもプーチンを前にすれば“敵対的な態度”を取ることになる。保守派キャスターのショーン・ハニティー(Sean Hannity)やローラ・イングラム(Laura Ingraham)でも同じだ。上層部からの指令や禁止が言い渡され、不本意な質問しか口にすることはできない。おそらく、ハニティーやイングラムが特派員になっても、カールソンのようなインタビューにはならないし、不満を募らせるアメリカ人を満足させるような対談にもならないはずだ。

Sean HannityLaura Ingraham 111Rupert Murdoch 3234Victoria Nuland 1
( 左: ショーン・ハニティー / ローラ・イングラム / FOX所有者のルパート・マードック / 右 : 国務省のヴィクトリア・ヌーランド )

  プーチン大統領に対するンイタビュー番組には、様々な賛否両論があると思うが、岸田文雄へのインタビューよりマシだろう。まともな日本国民は岸田総理に対し、何も期待しないし、何を喋るのかさえ関心がない。「あの人は何がしたくて総理になったの?」というのが、一般国民の意見だ。日本の命運を左右する岸田総理がすることといったら、ウクライナへの巨額贈与とワクチン接種の更なる推進、新たな増税の準備、移民の本格的な輸入であるから、意気銷沈の国民は開いた口が塞がらない。

  新聞やテレビは「次の総理大臣は誰になるのか?」を話題にするが、候補者の顔ぶれを見た一般人はウンザリする。ゾッとするけど、唯一ヤル気満々で意欲的なのは小池百合子だ。この女帝なら、躊躇なくモスクワに飛んでプーチンと会談するんじゃないか? 元“美人キャスター”を自称する小池百合子ならやりかねない。「単独インタビューなら私に任せて!」と言いそうだ。もし、側近の誰かが「電撃訪問」を提案すれば、「あら、名案ね!」と喜ぶかも。“目立つ”ことが選挙の秘訣だからねぇ〜。
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68956509.html
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/187.html#c8

[近代史5] プーチンの正体 _ プーチンはユダヤ人でユダヤ人の利害しか考えていなかった 中川隆
17. 中川隆[-11625] koaQ7Jey 2024年2月12日 11:15:37 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[8]
<■376行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
2024年02月11日
哲人皇帝プーチン / 国益を重視する民族主義者
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68956509.html

言論の自由を失ったアメリカ
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(左 : タッカー・カールソン / 右 : ウラジミール・プーチン大統領)

  皮肉な事だが、冷戦に勝ったずのアメリカでは、報道や言論の自由が抑圧され、不気味な全体主義がはびこっている。かつて、ソ連には「プラウダ(真実)」という新聞があったけど、当時のロシア人(一般国民)は誰も「プラウダ」の報道が“真実”を伝えているとは思わなかった。西側のヨーロッパ人やアメリカ人は、言論封殺の独裁国家を嗤(わら)っていたけど、まさか自分たちの国が「ソ連化」になるとは夢にも思っていなかったはずだ。

  ミハイル・ゴルバチョフと交渉していたロナルド・レーガン大統領は、あるパーティーの席で次のようなジョークを披露していた。

  ロシア人を前にした或るアメリカ人が、自国の自由を自慢した。「私はホワイトハウスの執務室に怒鳴り込み、大統領の面前で机を叩き、“あなたの政策に私は反対だ”と言える自由があるんだぞ!」と喝破した。すると、話を聞いていたロシア人は驚かず、「私たちもできる」と言い返した。曰く、「私もクレムリンに乗り込み、書記長の前で“私はレーガン大統領の遣り方に反対だ!”」と。

  レーガン大統領のジョークを聞いた聴衆はみな大爆笑。2004年に亡くなったレーガン大統領が、現在の米国を目にしたら、一体どんな感想を述べるのか?

  2月8日、アメリカの保守派国民の間では、タッカー・カールソンのインタビュー映像が瞬時に話題騒然となった。FOX TVの元キャスターで、禁断の領域に踏み込んだカールソン氏は、失業者となったけど、ジャーナリストの魂までは失っていなかった。政府からの妨害工作にもめげず、彼はウラジミール・プーチン大統領に渡りをつけ、インタビュー交渉に成功した。カールソン氏は以前にもインタヴューを試みたが、この動きを傍受したNSA(国家安全保障局)の妨害を憂慮し、不本意ながらもインタビューを諦めたことがあるそうだ。もし、強硬に取材計画を進めていたら、カールソン氏は社会的に抹殺されていただろう。たぶん、何らかの人格攻撃を仕掛けられるか、個人的なスキャンダルを暴かれて、人生の終わりとなった可能性は高い。必要とあれば、政府の工作員は捏造記事をブレンドして攻撃を加えるから、民間人のカールソン氏は一巻の終わりだ。

  日本の地上波テレビはあまり取り上げなかったが、カールソン氏のインタビュー映像は、我々日本人にとっても非情に興味深い対談であった。(この動画はカールソン氏の独自サイト「Tucker Carlson Network」で視聴できる。ただし、英語通訳の対談となっているため、英語が苦手な日本人は、日本語字幕が附いたYouTube動画を観るといい。本来なら、NHKが翻訳を加えて全部を流すべきなんだけど、現在の日本では民間の有志が国民のために尽くしている。)

  インタビューで表明されたプーチンの見解や回答は、色々な解釈ができよう。しかし、大切なのは各国民が自分の目と耳で確かめ、自分自身の考えで判断することだ。日本のマスコミは論外だが、アメリカのCNNやABC、ブリテンのBBCとかフランスのAFPはバイデン政権の味方である。偏向報道が当たり前のメディアは、きっと「こんなのはプーチンによるロシア側の政治宣伝だ!」と盛んに批判するはずだ。でも、報道規制や言論封殺を繰り返してきた連中は、プーチンの発言を「嘘っぱち」と却下できるのか? タッカー・カールソンを貶す前に、自分たちの大衆操作を反省すべきだろう。

  予想通り、タッカー・カールソンはプーチンに対し、ウクライナ紛争に関する質問を投げかけていた。通訳を介して質問を聞いていたプーチンは、米国や日本の保守派国民が既に知っている見解を述べていた。例えば、英米側がミンスク合意を破り、NATOの東方拡大を強行したという内容だ。(軍事衝突の停止を決めた「ミンスク議定書Minsk Protocole」の件は日本でも報道されている。) この解釈はアンゲラ・メルケル前首相の発言を思い出せば、ある程度「もっともな反論」と頷くことができよう。メルケルはティナ・ヒルデブラントやジョヴァンニ・デ・ロレンツォによるインタビューを受けた時、次のように述べていた。

  2014年のミンスク協定(Minsker Abkommen)は、ウクライナに時間を与えるための試み(Versuch)だった。("Hatten Sie gedacht, ich komme mit Pferdeschwanz?" , Interview: Tina Hildebrandt und Giovanni di Lorenzo, Die Zeit, 7 Dezember 2022.)

  その後の展開を思い出せば判るけど、英米がミンスク合意を利用し、ウクライナを強くするために“時間稼ぎ”をしたことは確かだ。ヴィクトリア・ヌーランド達が仕組んだ「クーデタ」は、仲間内の会話が暴露され、今では日本人にも知られている。

  そもそも、当時の軍事バランスを考えれば、ウクライナ軍がロシア軍を撃退するなんて無茶な冒険だ。たとえ歐米諸国の支援があっても、ウクライナ側が苦戦するのは予想できたはずである。しかし、オルガルヒとバイデン政権にとっては、ウクライナ人は単なる“使い捨ての駒”でしかない。ウクライナ兵が何人死のうがお構いなしだ。仮に、ウクライナが勝たなくても、泥沼の長期戦に持ち込めば、ロシア側の国力を削ぐことになるし、新たな冷戦構造の構築にもなるから、軍産複合体にとったら“喜ばしい不幸”である。

歴史に残る偉大な指導者

Putin 1980sPutin 524Putin with gun
(左 : 1980年代のウラジミール・プーチン / 中央 : KGBを辞めて政界に入った頃のプーチン / 右 : 妙に銃が似合うプーチン大統領 )

  カールソンが行ったインタビューで、最も印象的だったのは、プーチン大統領が“優秀な指導者”に見えたことだ。もちろん、プーチンは有能な諜報局員であったから、一般の視聴者に自分がどう映るのかは計算済みだ。たぶん、プーチンは対談の前にプロパガンダ職員と協議し、「どのような対応にしたら最も効果的か」を入念に検討したんじゃないか。ただ、頭脳明晰でプライドの高いプーチンだ。部下の言いなりで動くとは思えない。岸田文雄とは全く逆だ。もしかすると、自分の構想だけで本番に臨んだのかも知れない。バイデンゆ岸田と違って、プーチンは普段から、つまり若い頃から非情に勉強熱心だ。

  大統領報道官のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)によると、プーチンは今でも常に本を読んでおり、その大半はロシアの歴史に関する書物であるという。彼はロシア史の偉人が記した回顧録を読んでいるそうだ。(Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, Washington, D.C. : Brookings Institution Press, 2013, p.64.)

  一方、ジョー・バイデンは学生時代から怠け者で、誇張と嘘の常習犯。まともに勉強していなかったから、政治家になってもボロが出ていた。

  例えば、大統領選挙に挑戦した1987年、バイデンは昔の“ズル”を認めて選挙戦から離脱したことがある。法科大学(ロー・スクール)に通っていた頃、バイデンは論文を書くにあたって、法学雑誌の文章を“拝借”したそうだ。ところが、担当教授がこの“剽窃”を見抜いてしまったから、さあ大変。アメリカの大学は“チョロまかし”に対して非常に厳しい。論文の不正行為が発覚したから、バイデンはかなり焦ったのだろう。往生際の悪いバイデンは、大学側に「退学処分にしないでください」と泣きついた。

Joe Biden 1987Joe Biden 7723
(左 : 大統領選挙候補から撤退したジョー・バイデン / 右 : 痴呆症の大統領となったバイデン)

  しかし、「一度淫売、一生淫売(Once a whore, always whore.)」と言うように、卑怯者は何時まで経っても卑怯者のままである。報道陣を前にしたバイデンは、この「剽窃事件」を指摘されると「引用における誤りだった」と言い張り、「騙すつもりはなかった」と釈明していた。 (Joe Perticone,‘Joe Biden's first presidential run in 1988 cratered amid multiple instances of plagiarism’March 13, 2019) でも、バイデンは心の底から根性が卑しい。アイオワ州で開かれたイベントでも、ニール・キノック(Neil Kinnock / 英国労働党の議員)の演説を盗み取って、自分の演説にしていたのだ。後にアメリカの報道陣は、この“剽窃”を指摘する。盗作が発覚したたげても恥ずかしいのに、バイデンは学業成績の“水増し”までバレてしまったのだ。(Harrison Kass, 'Joe Biden Has Plagiarism Problems He Admitted', The National Interest, February 4, 2024.)アメリカには「生き恥を晒すくらいなら、潔く死を選べ」という格言が無いのかなぁ〜?

  歐米の主流メディアは、プーチンの受け答えを“狡猾な演技”と批判するが、これはアメリカの大衆操作と同じで、政治家なら誰でもすることだ。例えば、大統領選挙の公開討論に臨む候補者は、事前に心理学者や演出家、PR会社の専門家を雇い、選挙参謀や法律顧問と組んで何回もシュミレーションを行うことがある。しかし、何度リハーサルを重ねても“駄目な奴”はいるもので、その典型例がジョージ・W・ブッシュだ。2004年に行われたジョン・ケリーとの討論会を覚えている者なら解るはず。本番でドジる姿を見た側近は、「駄目だ、こりゃ!」と呟き、暗い表情で頭を抱えていたのかも。

  悪い時に悪い事は重なるもので、映像に映ったブッシュの背中には、奇妙な“膨らみ(bulge)”があった。これに気づいた一部のマスコミは、「何だ、これ?!」と騒ぎ立てた。テレビ局のスタッフも、「ブッシュは“何か”を背負っているんじゃないか?」と疑っていたから、親父のハーバート・ブッシュやジェイムズ・ベーカー、デック・チェイニーが「ダメージ・コントロール」を命じてもおかしくはない。選挙参謀のカール・ローブ(Karl Rove)も焦ったんじゃないか?

Robert Nelson 1( 左 / ロバート・M・ネルソン博士 )
  NASAの研究員であったロバート・M・ネルソン博士(Dr. Robert M. Nelson)は、ブッシュの背広の下には何らかの電子機器が隠されている、と疑っていた。(Kevin Berger,‘NASA photo analyst: Bush wore a device during debate', Salon, October 30, 2004.) おそらく、背中の突起物は通信機器で、外部の誰かが適切な答えを送信し、その音声をブッシュが聞いて質問に答える、という仕組みであったに違いない。要するに、ブッシュは腹話術の人形になっていた、という訳だ。討論会の後、ブッシュ大統領はマスコミからの“疑惑”を笑い飛ばしていたが、リベラル派のマスメディアは猜疑心でいっぱいだった。天文学や地質学を専攻するピッツバーグ大学のブルース・ハプケ教授は、マスコミからの取材を受け、“疑惑の膨らみ”に関する推測を述べていた。

George W. Bush 0824George W. Bush & device
( 左 : 背中の「突起物」が目立つジョージ・W・ブッシュ大統領 / 右 : 推測された通信機器)

  話を戻す。カールソンから質問を受けたプーチンの受け答えは見事だった。このロシア大統領は用意周到で、ウクライナ侵攻の動機を話す前に、ロシアとウクライナの歴史を説明する。ただし、大卒でも一般のアメリカ国民は、基本的な東歐史はおろか、西歐史に関しても知識が乏しく、ロシア史に至ってはチンプンカンプンだから、どの程度アメリカ人が理解したのかは不明だ。何しろ、政治学の授業を取っている大学生だって、アレクサンドル・ソルジェニーツィン(Alexandr I. Solzhenitsyn)の『収容所群島』や、ロバート・コンクェスト(Robert Conquest)の『悲しみの収穫』を読んだことがある者は少ないし、ニコライ・ベルジャーエフ(Kikolai A. Berdyaev)の著作やセルゲイ・カラガノフ(Sergey A. Karaganov)の論文を知らない学生も結構多い。

George Clooney & puppy 222(左 / 仔犬を抱きかかえるアルマ夫人とジョージ・クルーニー )
  こんな塩梅だから、アメリカの一般国民は“特殊軍事作戦”の意味すら解らないし、“善悪二元論”でウクライナ紛争を判断して満足している。アメリカの一般国民は退屈な歴史講義よりも、スポーツ観戦や藝能スキャンダルの方に関心がある。俳優のジョージ・クルーニーが誕生日プレゼントとして、女房のアルマにセント・バーナードの仔犬を連れてきた、という記事の方に興味があるんだから。流血の戦場となったウクライナに大衆の関心は無い。

  プーチンは歴史的経緯を説明するため、キエフ公国やリューリック王朝(Rurikid dynasty)にまで遡ってロシア史を語っていたけど、対談を聴いていた一般人がどの程度理解したのかは判らない。しかし、ヨーロッパの歴史や文化に詳しい上層中流階級、そして軍事や地政学に一定の知識を有する教養人には、それなりのインパクトを与えたんじゃないか。というのも、“まとも”なアメリカ国民、特にウクライナ支援に懐疑的な軍人や保守派の国民、リアリスト学派の知識人がプーチンの話を聞けば、「まぁ、ロシア側にも一理あるよなぁ〜」と思ってしまうからだ。そもそも、平穏な暮らしを望むアメリカ人は、他国への「軍事介入」を嫌うし、「代理戦争」はベトナムでコリゴリときている。でも、ユダヤ人の上院議員であるチャック・シューマーは別。このユダヤ人左翼は、連邦議会、とりわけ共和党がウクライナへの財政支援を否決するなら、アメリカ軍を派兵すべきだ、と呼びかけていた。(Andrew Rodriguez, 'Schumer Warns U.S. Troops Will Be Sent to Fight Russians if Border Bill Is Not Passed, ' State of the Union, February 8, 2024.)

  歐米や日本のマスコミはロシアの侵略行為を糾弾するが、そもそも北方の熊を挑発したのはバイデン政権の方じゃないか! 政治力学を学んだ者がNATOの東方拡大を聞けば、「それは危険なギャンブルだ」と直ぐに解る。アメリカにとり中南米が“裏庭”なら、ウクライナはロシアにとっての“脇腹”だ。その脇腹に核兵器という匕首(あいくち)が突きつけられれば、プーチンじゃなくても蹶起するだろう。

国家主義者のプーチンと痴呆症のバイデン

  プーチンのインタビュー映像を観ていると、ソフト全体主義に陥ったアメリカと伝統的帝国主義を受け継ぐロシアの“どちら”が“まし”なのか判らなくなる。認めたくない光景だけど、現在のアメリカ合衆国大統領は、四軍の「最高司令官」どころか、その資格さえ無いボケ老人だ。痴呆症が進むジョー・バイデンは、ビックリするような事実誤認を口にしていた。まぁ、息子(ボー・バイデン)の死さえ間違えてしまうくらいだから仕方ないけど、聴衆を前にしたバイデンは、生きている人間と死んだ人間をごちゃ混ぜにしていた。

  例えば、ニューヨークで行われた資金集めの席で、バイデンは2020年の大統領選挙について触れていただが、その際、彼はヘルムート・コール首相と一緒に歐州事情を話していた、と発言していたのだ。だが、バイデンが話したのはアンゲラ・メルケル首相で、2017年に亡くなったコール氏ではない。現世と来世の区別がつかないバイデンは、ネヴァダ州でも“幽霊”と会話を交わしていたそうだ。バイデンは記者を前にして、1月6日の議事堂事件をフランソワ・ミッテラン大統領に語ったと述べていたが、それはエマニュエル・マクロン大統領のことである。('Biden mistakes living European leader for dead one – for second time in a week', The Guardian, 8 February 2024.) おそらく、バイデンは頭の中の記憶が錯綜しているんだろう。周知の通り、ミッテラン大統領は1996年に亡くなっている。バイデンの“迷言”を聴いたアメリカ国民は、「またかぁ〜」とウンザリしているんじゃないか。

Helmut Kohl 22Angela Merkel 2334Francois Mitterrand 1Emmanuel Macron 1
(左 : ヘルムート・コール / アンゲラ・メルケル / フランソワ・ミッテラン / 右 : エマニュエル・マクロン )

  一方、世界政治のキーパーソンと化したプーチンは、核大国の指導者らしく頭脳明晰だ。例えば、カールソンから経済問題を質問されると、プーチンは具体的な数字を挙げて貿易収支やエネルギー問題を語り出す。こうしたインタビュー映像を目にすれば、代理戦争に反対する軍人や国内経済を憂慮するビジネスマンは、何となく羨ましくなるし、保守派のアメリカ国民は“アメリカン・デモクラシー”に嫌気が差すだろう。言うまでもなく、米国は世界最強の軍隊を有する“超大国”なのに、それを統率する大統領が操り人形で、自分が何をやっているのか、何を喋っているのかも解らないボケ老人とくれば、高級将校じゃなくても涙が出てくる。

  「腐っても鯛」の米国で、未だにドナルド・トランプが人気を博しているのは、彼が「アメリカ・ファースト」、つまりアメリカ国民と合衆国の利益を優先し、偉大であった頃のアメリカを取り戻そうと呼びかけているからだ。プーチンも国家優先主義者で、ロシアの国益を追求する為政者である。プーチンは色々なイベントや会見でロシア固有の思想や民族性、そして歴史に根づくロシア正教といった信仰に言及している。彼が大切にするのは、愛国心や集団主義、結束、大国性(derzhavnost)、国家主義(gosudarstvennichestvo)といった価値観である。大統領に就任したプーチンは、次のように自身の国家理念を述べていた。

 我々にとり、国家とその制度および構造は、祖国と国民の生活において常に極めて重要な役割を果たしてきた。ロシア人にとって、強力な国家というのは敵対すべき変種ではない。逆に、強力な国家は秩序を保障する源泉であり、あらゆる変革を起動させる主な原動力である。・・・社会は国家の指導力や統率力の恢復を求めているのだ。(上掲、Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, p.36.)

  エリツィンの政権時代を経験したロシア人なら、政治的に混乱したロシアを立て直したプーチンの行政手腕を褒めるに違いない。何しろ、ソ連の崩壊を経たロシアは、ユダヤ人のオルガルヒが跳梁跋扈していた時代だ。ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky)はテレビ局を買収し、ミハイル・ホドルコフスキー(Mikhail Khodorkovsky)は石油成金になっていた。ウラジミール・グシンスキー(Vladimir Gusinsky)やミハイル・フリードマン(Mikhail Friedman)、ウラジミール・ポタニン(Vladimir Potanin)、アレクサンドル・スモレンスキー(Alexander Smolensky)も“同じ穴の狢(むじな)”で、仲間とツルんでロシアの天然資源を強奪し、金融業界を牛耳っていた。

Boris BerezovskyVladimir Gusinsky 2Mikhail KhodorkovskyVladimir Potanin 1
(左 : ボリス・ベレゾフスキー / ウラジミール・グシンスキー / ミハイル・ホドルコフスキー / 右 : ウラジミール・ポタニン)

  こうした辛酸を嘗めていたから、ロシアの民衆がナショナリストのプーチンを称賛するのは当然だ。プーチンもロシアを強欲なユダヤ人から取り戻したという自負を持っている。プーチンが自分自身のことを国家の建設者(ゴスダルストヴェンニク/ gosudarstvennik)、すなわち国家の公僕と宣伝するのは、ちっともおかしくはない。ウォール街の大富豪とワシントンのネオコンに協力し、ロシアの資源をドンドン売り渡したボリス・エリツィンなんかは“国賊”だ。

  話を戻す。木偶の坊たるバイデンとロシアを憎むユダヤ人は、「ウクライナを侵掠したプーチンは赦せない! 政権転覆を目指せ!」と鼻息を荒くするが、一般のアメリカ国民にしたら、「南米からの侵入者を何とかしてくれ!」と言いたくなるだろう。南部だけじゃなく、ニューヨークやシカゴの国民も不満を漏らすくらいだから、アメリカの社会不安はかなり深刻だ。でも、バイデン政権は不法移民や偽装難民に苦しむ一般国民を無視。その一方で、勝ち目が全く無いウクライナには、600億ドルもの軍資金を与えようと必死なんだから、「お前はどこの大統領なんだ?!」と訊きたくなる。バイデンの言い草を聞いていると、穏健な国民だって激怒するぞ。自国を優先するプーチンと他国を優遇するバイデンとを比較すれば、普通のアメリカ人だって「何か変だ!」と感づく。

  カールソンのインタビューで面白かったのは、ノルドストリーム2の爆破に関する質問であった。カールソンの意図を察知したプーチンは、「あなた、判っているでしょ!」という反応で、二人とも笑みがこぼれていた。主流メディアしか観ていない人だと何を言っているのか解らないが、セイモア・ハーシュ(Seymour Hersh)の暴露記事を読んだ人なら、CIAや米国海軍、あるいはノルウェーかブリテンの諜報機関による破壊工作と判る。ドイツの政治家や知識人だって英米の極秘作戦に気づいているが、これを口に出せないのがドイツの悲劇だ。

  アメリカの闇を知っていても、カールソンは敢えてプーチンに答えを求め、なぜCIAの仕業と判っているのに、証拠を挙げて反論しなかったのか、もし証拠を提示すればプロパガンダ戦に勝つことができたのに、なぜあなたは使わないのか、と真面目に問い質していた。しかし、諜報機関の人間なら、一般的にこうした質問には答えない。下っ端の諜報員だって黙秘するのが鉄則だ。ましてや、KGB出身のプーチンなら絶対に情報源を口にしないだろう。公の席で“モグラ(潜入した手先)”の存在を明かすなんて、まず有り得ない。

  プーチンの受け答えは、本当に冴えていた。彼は不思議がるカールソンに向かって、その理由を説明する。プーチン曰く、たとえ証拠を提示しても、西側のメディアはアメリカの支配下にあるから、一般人を納得させるのは難しい、と。確かに、プーチンが仄めかす通り、歐米の主流メディアは金融業界や軍需産業の有力者、およびグローバリストのユダヤ人に牛耳られている。となれば、たとえロシアの報道機関が真相をリークしても、NBCやBBCといったマスメディアは、談合したかのように、息を合わせて「これはロシアの偽情報である!」と決めつけ、「プーチンの戦時プロパガンダ」に過ぎない、と斬り捨てる。

  2020年の大統領選挙だって、あれほどの不正行為が明らかになっても、大多数のアメリカ国民には伝わらず、八百長選挙の実態は闇に葬られていた。仕事や育児に忙しいアメリカ国民は、CNNのウォルフ・ブリッツァー(Wolf Blitzer)とか、MSNBCのレイチェル・マドー(Rachel Maddow)、PBSのジュディー・ウッドラフ(Judy Woodruff)、ABCのデイヴィッド・ミュアー (David Muir)といったキャスターの話を信じている。大手メディアのアンカーマンが、「根拠なき誹謗中傷」と却下し、「トランプ派による陰謀論」と断言するば、巷の大衆は「そうなんだぁ〜」と鵜呑みにする。「大手信仰」というのは、日本だけの国民病じゃない。

Wolf Blitzer 4234Rachel Maddow 213David Muir 111Judy Woodruff 1
(左 : ウォルフ・ブリッツァー / レイチェル・マドー / デイヴィッド・ミュアー / 右 : ジュディー・ウッドラフ )

Lester Holt 11Nora O'Donnell 111( 左 : レスター・ホルト / 右 : ノラ・オドンネル)
  カールソンが行ったインタビューは2時間を超える対談となってしまったが、インターネットで公開された映像は多くの視聴者を魅了していた。プーチン大統領に対する評価はともかく、この番組で印象的だったのは、大手メディアでは出来ないことを個人営業のカールソン氏がなしえたことだ。普通の日本人でも、「どうして、もっと早い段階(2022年か2023年)でプーチンへの取材を行わなかったのか?」と首を傾げてしまだろう。もし、全米放送のテレビ局が政府の“手先”でなく、“独立”したメディアであれば、NBCはレスター・ホルト(Lester Holt)を、CBSなら ノラ・オドンネル(Nora O'Donnell)をモスクワに派遣したはずだ。

  しかし、有名テレビ局の社長や重役は、「ブチャの虐殺」や「ケルチ大橋の爆発」が起こっても、クレムリンに特派員を差し向けず、一方的にロシアを非難するだけであった。本来なら、ニュース番組の名物キャスターを派遣し、直接、プーチン大統領や有力議員にコンタクトを試みるはずだ。たとえロシア側の「言い訳」でもいいから、反対意見の情報を紹介するのがジャーナリストの務めだろう。(日本のNHKや民放は、米国メディアの下請け企業だから最初から無理。)

  今回、クレムリンがカールソンの取材を承諾したのは、カールソンが“保守派のジャーナリスト”で、なるべく“公平性”を保とうと心掛ける人物であったからだろう。FOXをクビになって“独立系のジャーナリスト”になったカールソン氏は、テレビ局の上層部からの“圧力”を受ける立場ではない。YouTubeからは排除されたが、「X」で自由に発言できる身分になった。もし、彼が“忖度”を気にする「社員」のままであれば、冷静にプーチンの反論を聴くことはできなかったはずだ。

  “保守派メディア”と呼ばれるFOXでも、所詮、看板キャスターは「雇われ人」に過ぎない。プロデューサーや現場スタッフは、国務省の役人や社主のマードック家には逆らえないから、どうしてもプーチンを前にすれば“敵対的な態度”を取ることになる。保守派キャスターのショーン・ハニティー(Sean Hannity)やローラ・イングラム(Laura Ingraham)でも同じだ。上層部からの指令や禁止が言い渡され、不本意な質問しか口にすることはできない。おそらく、ハニティーやイングラムが特派員になっても、カールソンのようなインタビューにはならないし、不満を募らせるアメリカ人を満足させるような対談にもならないはずだ。

Sean HannityLaura Ingraham 111Rupert Murdoch 3234Victoria Nuland 1
( 左: ショーン・ハニティー / ローラ・イングラム / FOX所有者のルパート・マードック / 右 : 国務省のヴィクトリア・ヌーランド )

  プーチン大統領に対するンイタビュー番組には、様々な賛否両論があると思うが、岸田文雄へのインタビューよりマシだろう。まともな日本国民は岸田総理に対し、何も期待しないし、何を喋るのかさえ関心がない。「あの人は何がしたくて総理になったの?」というのが、一般国民の意見だ。日本の命運を左右する岸田総理がすることといったら、ウクライナへの巨額贈与とワクチン接種の更なる推進、新たな増税の準備、移民の本格的な輸入であるから、意気銷沈の国民は開いた口が塞がらない。

  新聞やテレビは「次の総理大臣は誰になるのか?」を話題にするが、候補者の顔ぶれを見た一般人はウンザリする。ゾッとするけど、唯一ヤル気満々で意欲的なのは小池百合子だ。この女帝なら、躊躇なくモスクワに飛んでプーチンと会談するんじゃないか? 元“美人キャスター”を自称する小池百合子ならやりかねない。「単独インタビューなら私に任せて!」と言いそうだ。もし、側近の誰かが「電撃訪問」を提案すれば、「あら、名案ね!」と喜ぶかも。“目立つ”ことが選挙の秘訣だからねぇ〜。
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[近代史02] プーチン大統領は神の申し子_____小沢一郎先生はこういう人になって欲しかった 中川隆
207. 中川隆[-11624] koaQ7Jey 2024年2月12日 11:19:07 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[9]
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2024年02月11日
哲人皇帝プーチン / 国益を重視する民族主義者
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言論の自由を失ったアメリカ
Tucker Carlson 6242Putin 923
(左 : タッカー・カールソン / 右 : ウラジミール・プーチン大統領)

  皮肉な事だが、冷戦に勝ったずのアメリカでは、報道や言論の自由が抑圧され、不気味な全体主義がはびこっている。かつて、ソ連には「プラウダ(真実)」という新聞があったけど、当時のロシア人(一般国民)は誰も「プラウダ」の報道が“真実”を伝えているとは思わなかった。西側のヨーロッパ人やアメリカ人は、言論封殺の独裁国家を嗤(わら)っていたけど、まさか自分たちの国が「ソ連化」になるとは夢にも思っていなかったはずだ。

  ミハイル・ゴルバチョフと交渉していたロナルド・レーガン大統領は、あるパーティーの席で次のようなジョークを披露していた。

  ロシア人を前にした或るアメリカ人が、自国の自由を自慢した。「私はホワイトハウスの執務室に怒鳴り込み、大統領の面前で机を叩き、“あなたの政策に私は反対だ”と言える自由があるんだぞ!」と喝破した。すると、話を聞いていたロシア人は驚かず、「私たちもできる」と言い返した。曰く、「私もクレムリンに乗り込み、書記長の前で“私はレーガン大統領の遣り方に反対だ!”」と。

  レーガン大統領のジョークを聞いた聴衆はみな大爆笑。2004年に亡くなったレーガン大統領が、現在の米国を目にしたら、一体どんな感想を述べるのか?

  2月8日、アメリカの保守派国民の間では、タッカー・カールソンのインタビュー映像が瞬時に話題騒然となった。FOX TVの元キャスターで、禁断の領域に踏み込んだカールソン氏は、失業者となったけど、ジャーナリストの魂までは失っていなかった。政府からの妨害工作にもめげず、彼はウラジミール・プーチン大統領に渡りをつけ、インタビュー交渉に成功した。カールソン氏は以前にもインタヴューを試みたが、この動きを傍受したNSA(国家安全保障局)の妨害を憂慮し、不本意ながらもインタビューを諦めたことがあるそうだ。もし、強硬に取材計画を進めていたら、カールソン氏は社会的に抹殺されていただろう。たぶん、何らかの人格攻撃を仕掛けられるか、個人的なスキャンダルを暴かれて、人生の終わりとなった可能性は高い。必要とあれば、政府の工作員は捏造記事をブレンドして攻撃を加えるから、民間人のカールソン氏は一巻の終わりだ。

  日本の地上波テレビはあまり取り上げなかったが、カールソン氏のインタビュー映像は、我々日本人にとっても非情に興味深い対談であった。(この動画はカールソン氏の独自サイト「Tucker Carlson Network」で視聴できる。ただし、英語通訳の対談となっているため、英語が苦手な日本人は、日本語字幕が附いたYouTube動画を観るといい。本来なら、NHKが翻訳を加えて全部を流すべきなんだけど、現在の日本では民間の有志が国民のために尽くしている。)

  インタビューで表明されたプーチンの見解や回答は、色々な解釈ができよう。しかし、大切なのは各国民が自分の目と耳で確かめ、自分自身の考えで判断することだ。日本のマスコミは論外だが、アメリカのCNNやABC、ブリテンのBBCとかフランスのAFPはバイデン政権の味方である。偏向報道が当たり前のメディアは、きっと「こんなのはプーチンによるロシア側の政治宣伝だ!」と盛んに批判するはずだ。でも、報道規制や言論封殺を繰り返してきた連中は、プーチンの発言を「嘘っぱち」と却下できるのか? タッカー・カールソンを貶す前に、自分たちの大衆操作を反省すべきだろう。

  予想通り、タッカー・カールソンはプーチンに対し、ウクライナ紛争に関する質問を投げかけていた。通訳を介して質問を聞いていたプーチンは、米国や日本の保守派国民が既に知っている見解を述べていた。例えば、英米側がミンスク合意を破り、NATOの東方拡大を強行したという内容だ。(軍事衝突の停止を決めた「ミンスク議定書Minsk Protocole」の件は日本でも報道されている。) この解釈はアンゲラ・メルケル前首相の発言を思い出せば、ある程度「もっともな反論」と頷くことができよう。メルケルはティナ・ヒルデブラントやジョヴァンニ・デ・ロレンツォによるインタビューを受けた時、次のように述べていた。

  2014年のミンスク協定(Minsker Abkommen)は、ウクライナに時間を与えるための試み(Versuch)だった。("Hatten Sie gedacht, ich komme mit Pferdeschwanz?" , Interview: Tina Hildebrandt und Giovanni di Lorenzo, Die Zeit, 7 Dezember 2022.)

  その後の展開を思い出せば判るけど、英米がミンスク合意を利用し、ウクライナを強くするために“時間稼ぎ”をしたことは確かだ。ヴィクトリア・ヌーランド達が仕組んだ「クーデタ」は、仲間内の会話が暴露され、今では日本人にも知られている。

  そもそも、当時の軍事バランスを考えれば、ウクライナ軍がロシア軍を撃退するなんて無茶な冒険だ。たとえ歐米諸国の支援があっても、ウクライナ側が苦戦するのは予想できたはずである。しかし、オルガルヒとバイデン政権にとっては、ウクライナ人は単なる“使い捨ての駒”でしかない。ウクライナ兵が何人死のうがお構いなしだ。仮に、ウクライナが勝たなくても、泥沼の長期戦に持ち込めば、ロシア側の国力を削ぐことになるし、新たな冷戦構造の構築にもなるから、軍産複合体にとったら“喜ばしい不幸”である。

歴史に残る偉大な指導者

Putin 1980sPutin 524Putin with gun
(左 : 1980年代のウラジミール・プーチン / 中央 : KGBを辞めて政界に入った頃のプーチン / 右 : 妙に銃が似合うプーチン大統領 )

  カールソンが行ったインタビューで、最も印象的だったのは、プーチン大統領が“優秀な指導者”に見えたことだ。もちろん、プーチンは有能な諜報局員であったから、一般の視聴者に自分がどう映るのかは計算済みだ。たぶん、プーチンは対談の前にプロパガンダ職員と協議し、「どのような対応にしたら最も効果的か」を入念に検討したんじゃないか。ただ、頭脳明晰でプライドの高いプーチンだ。部下の言いなりで動くとは思えない。岸田文雄とは全く逆だ。もしかすると、自分の構想だけで本番に臨んだのかも知れない。バイデンゆ岸田と違って、プーチンは普段から、つまり若い頃から非情に勉強熱心だ。

  大統領報道官のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)によると、プーチンは今でも常に本を読んでおり、その大半はロシアの歴史に関する書物であるという。彼はロシア史の偉人が記した回顧録を読んでいるそうだ。(Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, Washington, D.C. : Brookings Institution Press, 2013, p.64.)

  一方、ジョー・バイデンは学生時代から怠け者で、誇張と嘘の常習犯。まともに勉強していなかったから、政治家になってもボロが出ていた。

  例えば、大統領選挙に挑戦した1987年、バイデンは昔の“ズル”を認めて選挙戦から離脱したことがある。法科大学(ロー・スクール)に通っていた頃、バイデンは論文を書くにあたって、法学雑誌の文章を“拝借”したそうだ。ところが、担当教授がこの“剽窃”を見抜いてしまったから、さあ大変。アメリカの大学は“チョロまかし”に対して非常に厳しい。論文の不正行為が発覚したから、バイデンはかなり焦ったのだろう。往生際の悪いバイデンは、大学側に「退学処分にしないでください」と泣きついた。

Joe Biden 1987Joe Biden 7723
(左 : 大統領選挙候補から撤退したジョー・バイデン / 右 : 痴呆症の大統領となったバイデン)

  しかし、「一度淫売、一生淫売(Once a whore, always whore.)」と言うように、卑怯者は何時まで経っても卑怯者のままである。報道陣を前にしたバイデンは、この「剽窃事件」を指摘されると「引用における誤りだった」と言い張り、「騙すつもりはなかった」と釈明していた。 (Joe Perticone,‘Joe Biden's first presidential run in 1988 cratered amid multiple instances of plagiarism’March 13, 2019) でも、バイデンは心の底から根性が卑しい。アイオワ州で開かれたイベントでも、ニール・キノック(Neil Kinnock / 英国労働党の議員)の演説を盗み取って、自分の演説にしていたのだ。後にアメリカの報道陣は、この“剽窃”を指摘する。盗作が発覚したたげても恥ずかしいのに、バイデンは学業成績の“水増し”までバレてしまったのだ。(Harrison Kass, 'Joe Biden Has Plagiarism Problems He Admitted', The National Interest, February 4, 2024.)アメリカには「生き恥を晒すくらいなら、潔く死を選べ」という格言が無いのかなぁ〜?

  歐米の主流メディアは、プーチンの受け答えを“狡猾な演技”と批判するが、これはアメリカの大衆操作と同じで、政治家なら誰でもすることだ。例えば、大統領選挙の公開討論に臨む候補者は、事前に心理学者や演出家、PR会社の専門家を雇い、選挙参謀や法律顧問と組んで何回もシュミレーションを行うことがある。しかし、何度リハーサルを重ねても“駄目な奴”はいるもので、その典型例がジョージ・W・ブッシュだ。2004年に行われたジョン・ケリーとの討論会を覚えている者なら解るはず。本番でドジる姿を見た側近は、「駄目だ、こりゃ!」と呟き、暗い表情で頭を抱えていたのかも。

  悪い時に悪い事は重なるもので、映像に映ったブッシュの背中には、奇妙な“膨らみ(bulge)”があった。これに気づいた一部のマスコミは、「何だ、これ?!」と騒ぎ立てた。テレビ局のスタッフも、「ブッシュは“何か”を背負っているんじゃないか?」と疑っていたから、親父のハーバート・ブッシュやジェイムズ・ベーカー、デック・チェイニーが「ダメージ・コントロール」を命じてもおかしくはない。選挙参謀のカール・ローブ(Karl Rove)も焦ったんじゃないか?

Robert Nelson 1( 左 / ロバート・M・ネルソン博士 )
  NASAの研究員であったロバート・M・ネルソン博士(Dr. Robert M. Nelson)は、ブッシュの背広の下には何らかの電子機器が隠されている、と疑っていた。(Kevin Berger,‘NASA photo analyst: Bush wore a device during debate', Salon, October 30, 2004.) おそらく、背中の突起物は通信機器で、外部の誰かが適切な答えを送信し、その音声をブッシュが聞いて質問に答える、という仕組みであったに違いない。要するに、ブッシュは腹話術の人形になっていた、という訳だ。討論会の後、ブッシュ大統領はマスコミからの“疑惑”を笑い飛ばしていたが、リベラル派のマスメディアは猜疑心でいっぱいだった。天文学や地質学を専攻するピッツバーグ大学のブルース・ハプケ教授は、マスコミからの取材を受け、“疑惑の膨らみ”に関する推測を述べていた。

George W. Bush 0824George W. Bush & device
( 左 : 背中の「突起物」が目立つジョージ・W・ブッシュ大統領 / 右 : 推測された通信機器)

  話を戻す。カールソンから質問を受けたプーチンの受け答えは見事だった。このロシア大統領は用意周到で、ウクライナ侵攻の動機を話す前に、ロシアとウクライナの歴史を説明する。ただし、大卒でも一般のアメリカ国民は、基本的な東歐史はおろか、西歐史に関しても知識が乏しく、ロシア史に至ってはチンプンカンプンだから、どの程度アメリカ人が理解したのかは不明だ。何しろ、政治学の授業を取っている大学生だって、アレクサンドル・ソルジェニーツィン(Alexandr I. Solzhenitsyn)の『収容所群島』や、ロバート・コンクェスト(Robert Conquest)の『悲しみの収穫』を読んだことがある者は少ないし、ニコライ・ベルジャーエフ(Kikolai A. Berdyaev)の著作やセルゲイ・カラガノフ(Sergey A. Karaganov)の論文を知らない学生も結構多い。

George Clooney & puppy 222(左 / 仔犬を抱きかかえるアルマ夫人とジョージ・クルーニー )
  こんな塩梅だから、アメリカの一般国民は“特殊軍事作戦”の意味すら解らないし、“善悪二元論”でウクライナ紛争を判断して満足している。アメリカの一般国民は退屈な歴史講義よりも、スポーツ観戦や藝能スキャンダルの方に関心がある。俳優のジョージ・クルーニーが誕生日プレゼントとして、女房のアルマにセント・バーナードの仔犬を連れてきた、という記事の方に興味があるんだから。流血の戦場となったウクライナに大衆の関心は無い。

  プーチンは歴史的経緯を説明するため、キエフ公国やリューリック王朝(Rurikid dynasty)にまで遡ってロシア史を語っていたけど、対談を聴いていた一般人がどの程度理解したのかは判らない。しかし、ヨーロッパの歴史や文化に詳しい上層中流階級、そして軍事や地政学に一定の知識を有する教養人には、それなりのインパクトを与えたんじゃないか。というのも、“まとも”なアメリカ国民、特にウクライナ支援に懐疑的な軍人や保守派の国民、リアリスト学派の知識人がプーチンの話を聞けば、「まぁ、ロシア側にも一理あるよなぁ〜」と思ってしまうからだ。そもそも、平穏な暮らしを望むアメリカ人は、他国への「軍事介入」を嫌うし、「代理戦争」はベトナムでコリゴリときている。でも、ユダヤ人の上院議員であるチャック・シューマーは別。このユダヤ人左翼は、連邦議会、とりわけ共和党がウクライナへの財政支援を否決するなら、アメリカ軍を派兵すべきだ、と呼びかけていた。(Andrew Rodriguez, 'Schumer Warns U.S. Troops Will Be Sent to Fight Russians if Border Bill Is Not Passed, ' State of the Union, February 8, 2024.)

  歐米や日本のマスコミはロシアの侵略行為を糾弾するが、そもそも北方の熊を挑発したのはバイデン政権の方じゃないか! 政治力学を学んだ者がNATOの東方拡大を聞けば、「それは危険なギャンブルだ」と直ぐに解る。アメリカにとり中南米が“裏庭”なら、ウクライナはロシアにとっての“脇腹”だ。その脇腹に核兵器という匕首(あいくち)が突きつけられれば、プーチンじゃなくても蹶起するだろう。

国家主義者のプーチンと痴呆症のバイデン

  プーチンのインタビュー映像を観ていると、ソフト全体主義に陥ったアメリカと伝統的帝国主義を受け継ぐロシアの“どちら”が“まし”なのか判らなくなる。認めたくない光景だけど、現在のアメリカ合衆国大統領は、四軍の「最高司令官」どころか、その資格さえ無いボケ老人だ。痴呆症が進むジョー・バイデンは、ビックリするような事実誤認を口にしていた。まぁ、息子(ボー・バイデン)の死さえ間違えてしまうくらいだから仕方ないけど、聴衆を前にしたバイデンは、生きている人間と死んだ人間をごちゃ混ぜにしていた。

  例えば、ニューヨークで行われた資金集めの席で、バイデンは2020年の大統領選挙について触れていただが、その際、彼はヘルムート・コール首相と一緒に歐州事情を話していた、と発言していたのだ。だが、バイデンが話したのはアンゲラ・メルケル首相で、2017年に亡くなったコール氏ではない。現世と来世の区別がつかないバイデンは、ネヴァダ州でも“幽霊”と会話を交わしていたそうだ。バイデンは記者を前にして、1月6日の議事堂事件をフランソワ・ミッテラン大統領に語ったと述べていたが、それはエマニュエル・マクロン大統領のことである。('Biden mistakes living European leader for dead one – for second time in a week', The Guardian, 8 February 2024.) おそらく、バイデンは頭の中の記憶が錯綜しているんだろう。周知の通り、ミッテラン大統領は1996年に亡くなっている。バイデンの“迷言”を聴いたアメリカ国民は、「またかぁ〜」とウンザリしているんじゃないか。

Helmut Kohl 22Angela Merkel 2334Francois Mitterrand 1Emmanuel Macron 1
(左 : ヘルムート・コール / アンゲラ・メルケル / フランソワ・ミッテラン / 右 : エマニュエル・マクロン )

  一方、世界政治のキーパーソンと化したプーチンは、核大国の指導者らしく頭脳明晰だ。例えば、カールソンから経済問題を質問されると、プーチンは具体的な数字を挙げて貿易収支やエネルギー問題を語り出す。こうしたインタビュー映像を目にすれば、代理戦争に反対する軍人や国内経済を憂慮するビジネスマンは、何となく羨ましくなるし、保守派のアメリカ国民は“アメリカン・デモクラシー”に嫌気が差すだろう。言うまでもなく、米国は世界最強の軍隊を有する“超大国”なのに、それを統率する大統領が操り人形で、自分が何をやっているのか、何を喋っているのかも解らないボケ老人とくれば、高級将校じゃなくても涙が出てくる。

  「腐っても鯛」の米国で、未だにドナルド・トランプが人気を博しているのは、彼が「アメリカ・ファースト」、つまりアメリカ国民と合衆国の利益を優先し、偉大であった頃のアメリカを取り戻そうと呼びかけているからだ。プーチンも国家優先主義者で、ロシアの国益を追求する為政者である。プーチンは色々なイベントや会見でロシア固有の思想や民族性、そして歴史に根づくロシア正教といった信仰に言及している。彼が大切にするのは、愛国心や集団主義、結束、大国性(derzhavnost)、国家主義(gosudarstvennichestvo)といった価値観である。大統領に就任したプーチンは、次のように自身の国家理念を述べていた。

 我々にとり、国家とその制度および構造は、祖国と国民の生活において常に極めて重要な役割を果たしてきた。ロシア人にとって、強力な国家というのは敵対すべき変種ではない。逆に、強力な国家は秩序を保障する源泉であり、あらゆる変革を起動させる主な原動力である。・・・社会は国家の指導力や統率力の恢復を求めているのだ。(上掲、Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, p.36.)

  エリツィンの政権時代を経験したロシア人なら、政治的に混乱したロシアを立て直したプーチンの行政手腕を褒めるに違いない。何しろ、ソ連の崩壊を経たロシアは、ユダヤ人のオルガルヒが跳梁跋扈していた時代だ。ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky)はテレビ局を買収し、ミハイル・ホドルコフスキー(Mikhail Khodorkovsky)は石油成金になっていた。ウラジミール・グシンスキー(Vladimir Gusinsky)やミハイル・フリードマン(Mikhail Friedman)、ウラジミール・ポタニン(Vladimir Potanin)、アレクサンドル・スモレンスキー(Alexander Smolensky)も“同じ穴の狢(むじな)”で、仲間とツルんでロシアの天然資源を強奪し、金融業界を牛耳っていた。

Boris BerezovskyVladimir Gusinsky 2Mikhail KhodorkovskyVladimir Potanin 1
(左 : ボリス・ベレゾフスキー / ウラジミール・グシンスキー / ミハイル・ホドルコフスキー / 右 : ウラジミール・ポタニン)

  こうした辛酸を嘗めていたから、ロシアの民衆がナショナリストのプーチンを称賛するのは当然だ。プーチンもロシアを強欲なユダヤ人から取り戻したという自負を持っている。プーチンが自分自身のことを国家の建設者(ゴスダルストヴェンニク/ gosudarstvennik)、すなわち国家の公僕と宣伝するのは、ちっともおかしくはない。ウォール街の大富豪とワシントンのネオコンに協力し、ロシアの資源をドンドン売り渡したボリス・エリツィンなんかは“国賊”だ。

  話を戻す。木偶の坊たるバイデンとロシアを憎むユダヤ人は、「ウクライナを侵掠したプーチンは赦せない! 政権転覆を目指せ!」と鼻息を荒くするが、一般のアメリカ国民にしたら、「南米からの侵入者を何とかしてくれ!」と言いたくなるだろう。南部だけじゃなく、ニューヨークやシカゴの国民も不満を漏らすくらいだから、アメリカの社会不安はかなり深刻だ。でも、バイデン政権は不法移民や偽装難民に苦しむ一般国民を無視。その一方で、勝ち目が全く無いウクライナには、600億ドルもの軍資金を与えようと必死なんだから、「お前はどこの大統領なんだ?!」と訊きたくなる。バイデンの言い草を聞いていると、穏健な国民だって激怒するぞ。自国を優先するプーチンと他国を優遇するバイデンとを比較すれば、普通のアメリカ人だって「何か変だ!」と感づく。

  カールソンのインタビューで面白かったのは、ノルドストリーム2の爆破に関する質問であった。カールソンの意図を察知したプーチンは、「あなた、判っているでしょ!」という反応で、二人とも笑みがこぼれていた。主流メディアしか観ていない人だと何を言っているのか解らないが、セイモア・ハーシュ(Seymour Hersh)の暴露記事を読んだ人なら、CIAや米国海軍、あるいはノルウェーかブリテンの諜報機関による破壊工作と判る。ドイツの政治家や知識人だって英米の極秘作戦に気づいているが、これを口に出せないのがドイツの悲劇だ。

  アメリカの闇を知っていても、カールソンは敢えてプーチンに答えを求め、なぜCIAの仕業と判っているのに、証拠を挙げて反論しなかったのか、もし証拠を提示すればプロパガンダ戦に勝つことができたのに、なぜあなたは使わないのか、と真面目に問い質していた。しかし、諜報機関の人間なら、一般的にこうした質問には答えない。下っ端の諜報員だって黙秘するのが鉄則だ。ましてや、KGB出身のプーチンなら絶対に情報源を口にしないだろう。公の席で“モグラ(潜入した手先)”の存在を明かすなんて、まず有り得ない。

  プーチンの受け答えは、本当に冴えていた。彼は不思議がるカールソンに向かって、その理由を説明する。プーチン曰く、たとえ証拠を提示しても、西側のメディアはアメリカの支配下にあるから、一般人を納得させるのは難しい、と。確かに、プーチンが仄めかす通り、歐米の主流メディアは金融業界や軍需産業の有力者、およびグローバリストのユダヤ人に牛耳られている。となれば、たとえロシアの報道機関が真相をリークしても、NBCやBBCといったマスメディアは、談合したかのように、息を合わせて「これはロシアの偽情報である!」と決めつけ、「プーチンの戦時プロパガンダ」に過ぎない、と斬り捨てる。

  2020年の大統領選挙だって、あれほどの不正行為が明らかになっても、大多数のアメリカ国民には伝わらず、八百長選挙の実態は闇に葬られていた。仕事や育児に忙しいアメリカ国民は、CNNのウォルフ・ブリッツァー(Wolf Blitzer)とか、MSNBCのレイチェル・マドー(Rachel Maddow)、PBSのジュディー・ウッドラフ(Judy Woodruff)、ABCのデイヴィッド・ミュアー (David Muir)といったキャスターの話を信じている。大手メディアのアンカーマンが、「根拠なき誹謗中傷」と却下し、「トランプ派による陰謀論」と断言するば、巷の大衆は「そうなんだぁ〜」と鵜呑みにする。「大手信仰」というのは、日本だけの国民病じゃない。

Wolf Blitzer 4234Rachel Maddow 213David Muir 111Judy Woodruff 1
(左 : ウォルフ・ブリッツァー / レイチェル・マドー / デイヴィッド・ミュアー / 右 : ジュディー・ウッドラフ )

Lester Holt 11Nora O'Donnell 111( 左 : レスター・ホルト / 右 : ノラ・オドンネル)
  カールソンが行ったインタビューは2時間を超える対談となってしまったが、インターネットで公開された映像は多くの視聴者を魅了していた。プーチン大統領に対する評価はともかく、この番組で印象的だったのは、大手メディアでは出来ないことを個人営業のカールソン氏がなしえたことだ。普通の日本人でも、「どうして、もっと早い段階(2022年か2023年)でプーチンへの取材を行わなかったのか?」と首を傾げてしまだろう。もし、全米放送のテレビ局が政府の“手先”でなく、“独立”したメディアであれば、NBCはレスター・ホルト(Lester Holt)を、CBSなら ノラ・オドンネル(Nora O'Donnell)をモスクワに派遣したはずだ。

  しかし、有名テレビ局の社長や重役は、「ブチャの虐殺」や「ケルチ大橋の爆発」が起こっても、クレムリンに特派員を差し向けず、一方的にロシアを非難するだけであった。本来なら、ニュース番組の名物キャスターを派遣し、直接、プーチン大統領や有力議員にコンタクトを試みるはずだ。たとえロシア側の「言い訳」でもいいから、反対意見の情報を紹介するのがジャーナリストの務めだろう。(日本のNHKや民放は、米国メディアの下請け企業だから最初から無理。)

  今回、クレムリンがカールソンの取材を承諾したのは、カールソンが“保守派のジャーナリスト”で、なるべく“公平性”を保とうと心掛ける人物であったからだろう。FOXをクビになって“独立系のジャーナリスト”になったカールソン氏は、テレビ局の上層部からの“圧力”を受ける立場ではない。YouTubeからは排除されたが、「X」で自由に発言できる身分になった。もし、彼が“忖度”を気にする「社員」のままであれば、冷静にプーチンの反論を聴くことはできなかったはずだ。

  “保守派メディア”と呼ばれるFOXでも、所詮、看板キャスターは「雇われ人」に過ぎない。プロデューサーや現場スタッフは、国務省の役人や社主のマードック家には逆らえないから、どうしてもプーチンを前にすれば“敵対的な態度”を取ることになる。保守派キャスターのショーン・ハニティー(Sean Hannity)やローラ・イングラム(Laura Ingraham)でも同じだ。上層部からの指令や禁止が言い渡され、不本意な質問しか口にすることはできない。おそらく、ハニティーやイングラムが特派員になっても、カールソンのようなインタビューにはならないし、不満を募らせるアメリカ人を満足させるような対談にもならないはずだ。

Sean HannityLaura Ingraham 111Rupert Murdoch 3234Victoria Nuland 1
( 左: ショーン・ハニティー / ローラ・イングラム / FOX所有者のルパート・マードック / 右 : 国務省のヴィクトリア・ヌーランド )

  プーチン大統領に対するンイタビュー番組には、様々な賛否両論があると思うが、岸田文雄へのインタビューよりマシだろう。まともな日本国民は岸田総理に対し、何も期待しないし、何を喋るのかさえ関心がない。「あの人は何がしたくて総理になったの?」というのが、一般国民の意見だ。日本の命運を左右する岸田総理がすることといったら、ウクライナへの巨額贈与とワクチン接種の更なる推進、新たな増税の準備、移民の本格的な輸入であるから、意気銷沈の国民は開いた口が塞がらない。

  新聞やテレビは「次の総理大臣は誰になるのか?」を話題にするが、候補者の顔ぶれを見た一般人はウンザリする。ゾッとするけど、唯一ヤル気満々で意欲的なのは小池百合子だ。この女帝なら、躊躇なくモスクワに飛んでプーチンと会談するんじゃないか? 元“美人キャスター”を自称する小池百合子ならやりかねない。「単独インタビューなら私に任せて!」と言いそうだ。もし、側近の誰かが「電撃訪問」を提案すれば、「あら、名案ね!」と喜ぶかも。“目立つ”ことが選挙の秘訣だからねぇ〜。
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[近代史4] プーチン大統領 中川隆
43. 中川隆[-11623] koaQ7Jey 2024年2月12日 11:19:27 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[10]
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2024年02月11日
哲人皇帝プーチン / 国益を重視する民族主義者
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68956509.html

言論の自由を失ったアメリカ
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(左 : タッカー・カールソン / 右 : ウラジミール・プーチン大統領)

  皮肉な事だが、冷戦に勝ったずのアメリカでは、報道や言論の自由が抑圧され、不気味な全体主義がはびこっている。かつて、ソ連には「プラウダ(真実)」という新聞があったけど、当時のロシア人(一般国民)は誰も「プラウダ」の報道が“真実”を伝えているとは思わなかった。西側のヨーロッパ人やアメリカ人は、言論封殺の独裁国家を嗤(わら)っていたけど、まさか自分たちの国が「ソ連化」になるとは夢にも思っていなかったはずだ。

  ミハイル・ゴルバチョフと交渉していたロナルド・レーガン大統領は、あるパーティーの席で次のようなジョークを披露していた。

  ロシア人を前にした或るアメリカ人が、自国の自由を自慢した。「私はホワイトハウスの執務室に怒鳴り込み、大統領の面前で机を叩き、“あなたの政策に私は反対だ”と言える自由があるんだぞ!」と喝破した。すると、話を聞いていたロシア人は驚かず、「私たちもできる」と言い返した。曰く、「私もクレムリンに乗り込み、書記長の前で“私はレーガン大統領の遣り方に反対だ!”」と。

  レーガン大統領のジョークを聞いた聴衆はみな大爆笑。2004年に亡くなったレーガン大統領が、現在の米国を目にしたら、一体どんな感想を述べるのか?

  2月8日、アメリカの保守派国民の間では、タッカー・カールソンのインタビュー映像が瞬時に話題騒然となった。FOX TVの元キャスターで、禁断の領域に踏み込んだカールソン氏は、失業者となったけど、ジャーナリストの魂までは失っていなかった。政府からの妨害工作にもめげず、彼はウラジミール・プーチン大統領に渡りをつけ、インタビュー交渉に成功した。カールソン氏は以前にもインタヴューを試みたが、この動きを傍受したNSA(国家安全保障局)の妨害を憂慮し、不本意ながらもインタビューを諦めたことがあるそうだ。もし、強硬に取材計画を進めていたら、カールソン氏は社会的に抹殺されていただろう。たぶん、何らかの人格攻撃を仕掛けられるか、個人的なスキャンダルを暴かれて、人生の終わりとなった可能性は高い。必要とあれば、政府の工作員は捏造記事をブレンドして攻撃を加えるから、民間人のカールソン氏は一巻の終わりだ。

  日本の地上波テレビはあまり取り上げなかったが、カールソン氏のインタビュー映像は、我々日本人にとっても非情に興味深い対談であった。(この動画はカールソン氏の独自サイト「Tucker Carlson Network」で視聴できる。ただし、英語通訳の対談となっているため、英語が苦手な日本人は、日本語字幕が附いたYouTube動画を観るといい。本来なら、NHKが翻訳を加えて全部を流すべきなんだけど、現在の日本では民間の有志が国民のために尽くしている。)

  インタビューで表明されたプーチンの見解や回答は、色々な解釈ができよう。しかし、大切なのは各国民が自分の目と耳で確かめ、自分自身の考えで判断することだ。日本のマスコミは論外だが、アメリカのCNNやABC、ブリテンのBBCとかフランスのAFPはバイデン政権の味方である。偏向報道が当たり前のメディアは、きっと「こんなのはプーチンによるロシア側の政治宣伝だ!」と盛んに批判するはずだ。でも、報道規制や言論封殺を繰り返してきた連中は、プーチンの発言を「嘘っぱち」と却下できるのか? タッカー・カールソンを貶す前に、自分たちの大衆操作を反省すべきだろう。

  予想通り、タッカー・カールソンはプーチンに対し、ウクライナ紛争に関する質問を投げかけていた。通訳を介して質問を聞いていたプーチンは、米国や日本の保守派国民が既に知っている見解を述べていた。例えば、英米側がミンスク合意を破り、NATOの東方拡大を強行したという内容だ。(軍事衝突の停止を決めた「ミンスク議定書Minsk Protocole」の件は日本でも報道されている。) この解釈はアンゲラ・メルケル前首相の発言を思い出せば、ある程度「もっともな反論」と頷くことができよう。メルケルはティナ・ヒルデブラントやジョヴァンニ・デ・ロレンツォによるインタビューを受けた時、次のように述べていた。

  2014年のミンスク協定(Minsker Abkommen)は、ウクライナに時間を与えるための試み(Versuch)だった。("Hatten Sie gedacht, ich komme mit Pferdeschwanz?" , Interview: Tina Hildebrandt und Giovanni di Lorenzo, Die Zeit, 7 Dezember 2022.)

  その後の展開を思い出せば判るけど、英米がミンスク合意を利用し、ウクライナを強くするために“時間稼ぎ”をしたことは確かだ。ヴィクトリア・ヌーランド達が仕組んだ「クーデタ」は、仲間内の会話が暴露され、今では日本人にも知られている。

  そもそも、当時の軍事バランスを考えれば、ウクライナ軍がロシア軍を撃退するなんて無茶な冒険だ。たとえ歐米諸国の支援があっても、ウクライナ側が苦戦するのは予想できたはずである。しかし、オルガルヒとバイデン政権にとっては、ウクライナ人は単なる“使い捨ての駒”でしかない。ウクライナ兵が何人死のうがお構いなしだ。仮に、ウクライナが勝たなくても、泥沼の長期戦に持ち込めば、ロシア側の国力を削ぐことになるし、新たな冷戦構造の構築にもなるから、軍産複合体にとったら“喜ばしい不幸”である。

歴史に残る偉大な指導者

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(左 : 1980年代のウラジミール・プーチン / 中央 : KGBを辞めて政界に入った頃のプーチン / 右 : 妙に銃が似合うプーチン大統領 )

  カールソンが行ったインタビューで、最も印象的だったのは、プーチン大統領が“優秀な指導者”に見えたことだ。もちろん、プーチンは有能な諜報局員であったから、一般の視聴者に自分がどう映るのかは計算済みだ。たぶん、プーチンは対談の前にプロパガンダ職員と協議し、「どのような対応にしたら最も効果的か」を入念に検討したんじゃないか。ただ、頭脳明晰でプライドの高いプーチンだ。部下の言いなりで動くとは思えない。岸田文雄とは全く逆だ。もしかすると、自分の構想だけで本番に臨んだのかも知れない。バイデンゆ岸田と違って、プーチンは普段から、つまり若い頃から非情に勉強熱心だ。

  大統領報道官のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)によると、プーチンは今でも常に本を読んでおり、その大半はロシアの歴史に関する書物であるという。彼はロシア史の偉人が記した回顧録を読んでいるそうだ。(Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, Washington, D.C. : Brookings Institution Press, 2013, p.64.)

  一方、ジョー・バイデンは学生時代から怠け者で、誇張と嘘の常習犯。まともに勉強していなかったから、政治家になってもボロが出ていた。

  例えば、大統領選挙に挑戦した1987年、バイデンは昔の“ズル”を認めて選挙戦から離脱したことがある。法科大学(ロー・スクール)に通っていた頃、バイデンは論文を書くにあたって、法学雑誌の文章を“拝借”したそうだ。ところが、担当教授がこの“剽窃”を見抜いてしまったから、さあ大変。アメリカの大学は“チョロまかし”に対して非常に厳しい。論文の不正行為が発覚したから、バイデンはかなり焦ったのだろう。往生際の悪いバイデンは、大学側に「退学処分にしないでください」と泣きついた。

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(左 : 大統領選挙候補から撤退したジョー・バイデン / 右 : 痴呆症の大統領となったバイデン)

  しかし、「一度淫売、一生淫売(Once a whore, always whore.)」と言うように、卑怯者は何時まで経っても卑怯者のままである。報道陣を前にしたバイデンは、この「剽窃事件」を指摘されると「引用における誤りだった」と言い張り、「騙すつもりはなかった」と釈明していた。 (Joe Perticone,‘Joe Biden's first presidential run in 1988 cratered amid multiple instances of plagiarism’March 13, 2019) でも、バイデンは心の底から根性が卑しい。アイオワ州で開かれたイベントでも、ニール・キノック(Neil Kinnock / 英国労働党の議員)の演説を盗み取って、自分の演説にしていたのだ。後にアメリカの報道陣は、この“剽窃”を指摘する。盗作が発覚したたげても恥ずかしいのに、バイデンは学業成績の“水増し”までバレてしまったのだ。(Harrison Kass, 'Joe Biden Has Plagiarism Problems He Admitted', The National Interest, February 4, 2024.)アメリカには「生き恥を晒すくらいなら、潔く死を選べ」という格言が無いのかなぁ〜?

  歐米の主流メディアは、プーチンの受け答えを“狡猾な演技”と批判するが、これはアメリカの大衆操作と同じで、政治家なら誰でもすることだ。例えば、大統領選挙の公開討論に臨む候補者は、事前に心理学者や演出家、PR会社の専門家を雇い、選挙参謀や法律顧問と組んで何回もシュミレーションを行うことがある。しかし、何度リハーサルを重ねても“駄目な奴”はいるもので、その典型例がジョージ・W・ブッシュだ。2004年に行われたジョン・ケリーとの討論会を覚えている者なら解るはず。本番でドジる姿を見た側近は、「駄目だ、こりゃ!」と呟き、暗い表情で頭を抱えていたのかも。

  悪い時に悪い事は重なるもので、映像に映ったブッシュの背中には、奇妙な“膨らみ(bulge)”があった。これに気づいた一部のマスコミは、「何だ、これ?!」と騒ぎ立てた。テレビ局のスタッフも、「ブッシュは“何か”を背負っているんじゃないか?」と疑っていたから、親父のハーバート・ブッシュやジェイムズ・ベーカー、デック・チェイニーが「ダメージ・コントロール」を命じてもおかしくはない。選挙参謀のカール・ローブ(Karl Rove)も焦ったんじゃないか?

Robert Nelson 1( 左 / ロバート・M・ネルソン博士 )
  NASAの研究員であったロバート・M・ネルソン博士(Dr. Robert M. Nelson)は、ブッシュの背広の下には何らかの電子機器が隠されている、と疑っていた。(Kevin Berger,‘NASA photo analyst: Bush wore a device during debate', Salon, October 30, 2004.) おそらく、背中の突起物は通信機器で、外部の誰かが適切な答えを送信し、その音声をブッシュが聞いて質問に答える、という仕組みであったに違いない。要するに、ブッシュは腹話術の人形になっていた、という訳だ。討論会の後、ブッシュ大統領はマスコミからの“疑惑”を笑い飛ばしていたが、リベラル派のマスメディアは猜疑心でいっぱいだった。天文学や地質学を専攻するピッツバーグ大学のブルース・ハプケ教授は、マスコミからの取材を受け、“疑惑の膨らみ”に関する推測を述べていた。

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( 左 : 背中の「突起物」が目立つジョージ・W・ブッシュ大統領 / 右 : 推測された通信機器)

  話を戻す。カールソンから質問を受けたプーチンの受け答えは見事だった。このロシア大統領は用意周到で、ウクライナ侵攻の動機を話す前に、ロシアとウクライナの歴史を説明する。ただし、大卒でも一般のアメリカ国民は、基本的な東歐史はおろか、西歐史に関しても知識が乏しく、ロシア史に至ってはチンプンカンプンだから、どの程度アメリカ人が理解したのかは不明だ。何しろ、政治学の授業を取っている大学生だって、アレクサンドル・ソルジェニーツィン(Alexandr I. Solzhenitsyn)の『収容所群島』や、ロバート・コンクェスト(Robert Conquest)の『悲しみの収穫』を読んだことがある者は少ないし、ニコライ・ベルジャーエフ(Kikolai A. Berdyaev)の著作やセルゲイ・カラガノフ(Sergey A. Karaganov)の論文を知らない学生も結構多い。

George Clooney & puppy 222(左 / 仔犬を抱きかかえるアルマ夫人とジョージ・クルーニー )
  こんな塩梅だから、アメリカの一般国民は“特殊軍事作戦”の意味すら解らないし、“善悪二元論”でウクライナ紛争を判断して満足している。アメリカの一般国民は退屈な歴史講義よりも、スポーツ観戦や藝能スキャンダルの方に関心がある。俳優のジョージ・クルーニーが誕生日プレゼントとして、女房のアルマにセント・バーナードの仔犬を連れてきた、という記事の方に興味があるんだから。流血の戦場となったウクライナに大衆の関心は無い。

  プーチンは歴史的経緯を説明するため、キエフ公国やリューリック王朝(Rurikid dynasty)にまで遡ってロシア史を語っていたけど、対談を聴いていた一般人がどの程度理解したのかは判らない。しかし、ヨーロッパの歴史や文化に詳しい上層中流階級、そして軍事や地政学に一定の知識を有する教養人には、それなりのインパクトを与えたんじゃないか。というのも、“まとも”なアメリカ国民、特にウクライナ支援に懐疑的な軍人や保守派の国民、リアリスト学派の知識人がプーチンの話を聞けば、「まぁ、ロシア側にも一理あるよなぁ〜」と思ってしまうからだ。そもそも、平穏な暮らしを望むアメリカ人は、他国への「軍事介入」を嫌うし、「代理戦争」はベトナムでコリゴリときている。でも、ユダヤ人の上院議員であるチャック・シューマーは別。このユダヤ人左翼は、連邦議会、とりわけ共和党がウクライナへの財政支援を否決するなら、アメリカ軍を派兵すべきだ、と呼びかけていた。(Andrew Rodriguez, 'Schumer Warns U.S. Troops Will Be Sent to Fight Russians if Border Bill Is Not Passed, ' State of the Union, February 8, 2024.)

  歐米や日本のマスコミはロシアの侵略行為を糾弾するが、そもそも北方の熊を挑発したのはバイデン政権の方じゃないか! 政治力学を学んだ者がNATOの東方拡大を聞けば、「それは危険なギャンブルだ」と直ぐに解る。アメリカにとり中南米が“裏庭”なら、ウクライナはロシアにとっての“脇腹”だ。その脇腹に核兵器という匕首(あいくち)が突きつけられれば、プーチンじゃなくても蹶起するだろう。

国家主義者のプーチンと痴呆症のバイデン

  プーチンのインタビュー映像を観ていると、ソフト全体主義に陥ったアメリカと伝統的帝国主義を受け継ぐロシアの“どちら”が“まし”なのか判らなくなる。認めたくない光景だけど、現在のアメリカ合衆国大統領は、四軍の「最高司令官」どころか、その資格さえ無いボケ老人だ。痴呆症が進むジョー・バイデンは、ビックリするような事実誤認を口にしていた。まぁ、息子(ボー・バイデン)の死さえ間違えてしまうくらいだから仕方ないけど、聴衆を前にしたバイデンは、生きている人間と死んだ人間をごちゃ混ぜにしていた。

  例えば、ニューヨークで行われた資金集めの席で、バイデンは2020年の大統領選挙について触れていただが、その際、彼はヘルムート・コール首相と一緒に歐州事情を話していた、と発言していたのだ。だが、バイデンが話したのはアンゲラ・メルケル首相で、2017年に亡くなったコール氏ではない。現世と来世の区別がつかないバイデンは、ネヴァダ州でも“幽霊”と会話を交わしていたそうだ。バイデンは記者を前にして、1月6日の議事堂事件をフランソワ・ミッテラン大統領に語ったと述べていたが、それはエマニュエル・マクロン大統領のことである。('Biden mistakes living European leader for dead one – for second time in a week', The Guardian, 8 February 2024.) おそらく、バイデンは頭の中の記憶が錯綜しているんだろう。周知の通り、ミッテラン大統領は1996年に亡くなっている。バイデンの“迷言”を聴いたアメリカ国民は、「またかぁ〜」とウンザリしているんじゃないか。

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(左 : ヘルムート・コール / アンゲラ・メルケル / フランソワ・ミッテラン / 右 : エマニュエル・マクロン )

  一方、世界政治のキーパーソンと化したプーチンは、核大国の指導者らしく頭脳明晰だ。例えば、カールソンから経済問題を質問されると、プーチンは具体的な数字を挙げて貿易収支やエネルギー問題を語り出す。こうしたインタビュー映像を目にすれば、代理戦争に反対する軍人や国内経済を憂慮するビジネスマンは、何となく羨ましくなるし、保守派のアメリカ国民は“アメリカン・デモクラシー”に嫌気が差すだろう。言うまでもなく、米国は世界最強の軍隊を有する“超大国”なのに、それを統率する大統領が操り人形で、自分が何をやっているのか、何を喋っているのかも解らないボケ老人とくれば、高級将校じゃなくても涙が出てくる。

  「腐っても鯛」の米国で、未だにドナルド・トランプが人気を博しているのは、彼が「アメリカ・ファースト」、つまりアメリカ国民と合衆国の利益を優先し、偉大であった頃のアメリカを取り戻そうと呼びかけているからだ。プーチンも国家優先主義者で、ロシアの国益を追求する為政者である。プーチンは色々なイベントや会見でロシア固有の思想や民族性、そして歴史に根づくロシア正教といった信仰に言及している。彼が大切にするのは、愛国心や集団主義、結束、大国性(derzhavnost)、国家主義(gosudarstvennichestvo)といった価値観である。大統領に就任したプーチンは、次のように自身の国家理念を述べていた。

 我々にとり、国家とその制度および構造は、祖国と国民の生活において常に極めて重要な役割を果たしてきた。ロシア人にとって、強力な国家というのは敵対すべき変種ではない。逆に、強力な国家は秩序を保障する源泉であり、あらゆる変革を起動させる主な原動力である。・・・社会は国家の指導力や統率力の恢復を求めているのだ。(上掲、Fiona Hill and Clifford G. Gaddy, Mr. Putin : Operative in the Kremlin, p.36.)

  エリツィンの政権時代を経験したロシア人なら、政治的に混乱したロシアを立て直したプーチンの行政手腕を褒めるに違いない。何しろ、ソ連の崩壊を経たロシアは、ユダヤ人のオルガルヒが跳梁跋扈していた時代だ。ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky)はテレビ局を買収し、ミハイル・ホドルコフスキー(Mikhail Khodorkovsky)は石油成金になっていた。ウラジミール・グシンスキー(Vladimir Gusinsky)やミハイル・フリードマン(Mikhail Friedman)、ウラジミール・ポタニン(Vladimir Potanin)、アレクサンドル・スモレンスキー(Alexander Smolensky)も“同じ穴の狢(むじな)”で、仲間とツルんでロシアの天然資源を強奪し、金融業界を牛耳っていた。

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(左 : ボリス・ベレゾフスキー / ウラジミール・グシンスキー / ミハイル・ホドルコフスキー / 右 : ウラジミール・ポタニン)

  こうした辛酸を嘗めていたから、ロシアの民衆がナショナリストのプーチンを称賛するのは当然だ。プーチンもロシアを強欲なユダヤ人から取り戻したという自負を持っている。プーチンが自分自身のことを国家の建設者(ゴスダルストヴェンニク/ gosudarstvennik)、すなわち国家の公僕と宣伝するのは、ちっともおかしくはない。ウォール街の大富豪とワシントンのネオコンに協力し、ロシアの資源をドンドン売り渡したボリス・エリツィンなんかは“国賊”だ。

  話を戻す。木偶の坊たるバイデンとロシアを憎むユダヤ人は、「ウクライナを侵掠したプーチンは赦せない! 政権転覆を目指せ!」と鼻息を荒くするが、一般のアメリカ国民にしたら、「南米からの侵入者を何とかしてくれ!」と言いたくなるだろう。南部だけじゃなく、ニューヨークやシカゴの国民も不満を漏らすくらいだから、アメリカの社会不安はかなり深刻だ。でも、バイデン政権は不法移民や偽装難民に苦しむ一般国民を無視。その一方で、勝ち目が全く無いウクライナには、600億ドルもの軍資金を与えようと必死なんだから、「お前はどこの大統領なんだ?!」と訊きたくなる。バイデンの言い草を聞いていると、穏健な国民だって激怒するぞ。自国を優先するプーチンと他国を優遇するバイデンとを比較すれば、普通のアメリカ人だって「何か変だ!」と感づく。

  カールソンのインタビューで面白かったのは、ノルドストリーム2の爆破に関する質問であった。カールソンの意図を察知したプーチンは、「あなた、判っているでしょ!」という反応で、二人とも笑みがこぼれていた。主流メディアしか観ていない人だと何を言っているのか解らないが、セイモア・ハーシュ(Seymour Hersh)の暴露記事を読んだ人なら、CIAや米国海軍、あるいはノルウェーかブリテンの諜報機関による破壊工作と判る。ドイツの政治家や知識人だって英米の極秘作戦に気づいているが、これを口に出せないのがドイツの悲劇だ。

  アメリカの闇を知っていても、カールソンは敢えてプーチンに答えを求め、なぜCIAの仕業と判っているのに、証拠を挙げて反論しなかったのか、もし証拠を提示すればプロパガンダ戦に勝つことができたのに、なぜあなたは使わないのか、と真面目に問い質していた。しかし、諜報機関の人間なら、一般的にこうした質問には答えない。下っ端の諜報員だって黙秘するのが鉄則だ。ましてや、KGB出身のプーチンなら絶対に情報源を口にしないだろう。公の席で“モグラ(潜入した手先)”の存在を明かすなんて、まず有り得ない。

  プーチンの受け答えは、本当に冴えていた。彼は不思議がるカールソンに向かって、その理由を説明する。プーチン曰く、たとえ証拠を提示しても、西側のメディアはアメリカの支配下にあるから、一般人を納得させるのは難しい、と。確かに、プーチンが仄めかす通り、歐米の主流メディアは金融業界や軍需産業の有力者、およびグローバリストのユダヤ人に牛耳られている。となれば、たとえロシアの報道機関が真相をリークしても、NBCやBBCといったマスメディアは、談合したかのように、息を合わせて「これはロシアの偽情報である!」と決めつけ、「プーチンの戦時プロパガンダ」に過ぎない、と斬り捨てる。

  2020年の大統領選挙だって、あれほどの不正行為が明らかになっても、大多数のアメリカ国民には伝わらず、八百長選挙の実態は闇に葬られていた。仕事や育児に忙しいアメリカ国民は、CNNのウォルフ・ブリッツァー(Wolf Blitzer)とか、MSNBCのレイチェル・マドー(Rachel Maddow)、PBSのジュディー・ウッドラフ(Judy Woodruff)、ABCのデイヴィッド・ミュアー (David Muir)といったキャスターの話を信じている。大手メディアのアンカーマンが、「根拠なき誹謗中傷」と却下し、「トランプ派による陰謀論」と断言するば、巷の大衆は「そうなんだぁ〜」と鵜呑みにする。「大手信仰」というのは、日本だけの国民病じゃない。

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(左 : ウォルフ・ブリッツァー / レイチェル・マドー / デイヴィッド・ミュアー / 右 : ジュディー・ウッドラフ )

Lester Holt 11Nora O'Donnell 111( 左 : レスター・ホルト / 右 : ノラ・オドンネル)
  カールソンが行ったインタビューは2時間を超える対談となってしまったが、インターネットで公開された映像は多くの視聴者を魅了していた。プーチン大統領に対する評価はともかく、この番組で印象的だったのは、大手メディアでは出来ないことを個人営業のカールソン氏がなしえたことだ。普通の日本人でも、「どうして、もっと早い段階(2022年か2023年)でプーチンへの取材を行わなかったのか?」と首を傾げてしまだろう。もし、全米放送のテレビ局が政府の“手先”でなく、“独立”したメディアであれば、NBCはレスター・ホルト(Lester Holt)を、CBSなら ノラ・オドンネル(Nora O'Donnell)をモスクワに派遣したはずだ。

  しかし、有名テレビ局の社長や重役は、「ブチャの虐殺」や「ケルチ大橋の爆発」が起こっても、クレムリンに特派員を差し向けず、一方的にロシアを非難するだけであった。本来なら、ニュース番組の名物キャスターを派遣し、直接、プーチン大統領や有力議員にコンタクトを試みるはずだ。たとえロシア側の「言い訳」でもいいから、反対意見の情報を紹介するのがジャーナリストの務めだろう。(日本のNHKや民放は、米国メディアの下請け企業だから最初から無理。)

  今回、クレムリンがカールソンの取材を承諾したのは、カールソンが“保守派のジャーナリスト”で、なるべく“公平性”を保とうと心掛ける人物であったからだろう。FOXをクビになって“独立系のジャーナリスト”になったカールソン氏は、テレビ局の上層部からの“圧力”を受ける立場ではない。YouTubeからは排除されたが、「X」で自由に発言できる身分になった。もし、彼が“忖度”を気にする「社員」のままであれば、冷静にプーチンの反論を聴くことはできなかったはずだ。

  “保守派メディア”と呼ばれるFOXでも、所詮、看板キャスターは「雇われ人」に過ぎない。プロデューサーや現場スタッフは、国務省の役人や社主のマードック家には逆らえないから、どうしてもプーチンを前にすれば“敵対的な態度”を取ることになる。保守派キャスターのショーン・ハニティー(Sean Hannity)やローラ・イングラム(Laura Ingraham)でも同じだ。上層部からの指令や禁止が言い渡され、不本意な質問しか口にすることはできない。おそらく、ハニティーやイングラムが特派員になっても、カールソンのようなインタビューにはならないし、不満を募らせるアメリカ人を満足させるような対談にもならないはずだ。

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( 左: ショーン・ハニティー / ローラ・イングラム / FOX所有者のルパート・マードック / 右 : 国務省のヴィクトリア・ヌーランド )

  プーチン大統領に対するンイタビュー番組には、様々な賛否両論があると思うが、岸田文雄へのインタビューよりマシだろう。まともな日本国民は岸田総理に対し、何も期待しないし、何を喋るのかさえ関心がない。「あの人は何がしたくて総理になったの?」というのが、一般国民の意見だ。日本の命運を左右する岸田総理がすることといったら、ウクライナへの巨額贈与とワクチン接種の更なる推進、新たな増税の準備、移民の本格的な輸入であるから、意気銷沈の国民は開いた口が塞がらない。

  新聞やテレビは「次の総理大臣は誰になるのか?」を話題にするが、候補者の顔ぶれを見た一般人はウンザリする。ゾッとするけど、唯一ヤル気満々で意欲的なのは小池百合子だ。この女帝なら、躊躇なくモスクワに飛んでプーチンと会談するんじゃないか? 元“美人キャスター”を自称する小池百合子ならやりかねない。「単独インタビューなら私に任せて!」と言いそうだ。もし、側近の誰かが「電撃訪問」を提案すれば、「あら、名案ね!」と喜ぶかも。“目立つ”ことが選挙の秘訣だからねぇ〜。
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[近代史02] 原爆投下が日本を救った_ ユダヤ人とトルーマンと昭和天皇に感謝 中川隆
66. 中川隆[-11618] koaQ7Jey 2024年2月12日 13:54:52 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[15]
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2024.02.09XML
米国の軍事顧問団が金門や澎湖に駐留、台湾の特殊部隊を訓練との報道
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402090000/

 ​アメリカでNDAA 2023(2023年度国防権限法)が2022年12月に成立した後、アメリカの軍事顧問団が金門諸島と澎湖諸島に駐留、台湾の特殊部隊を訓練している​と伝えられている。こうした島々は中国を威嚇するだけでなく、軍事侵攻、あるいは秘密工作の拠点として想定されているはずだ。

 また、ロイターによると、アメリカ軍は中国との衝突に備え、昨年7月と8月に行われたタリスマン・セイバー演習の際、オーストラリアに装備を新たに備蓄したという。

 アメリカはオーストラリアを西太平洋における軍事的な拠点にしつつある。すでにオーストラリア、インド、そして日本と「クワド」を編成したほか、オーストラリアやイギリスと「AUKUS(A:オーストラリア、UK:イギリス、US:アメリカ)」なる軍事同盟を組織、NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。ただ、アメリカが考えているのは日米韓の軍事同盟だろう。

 ベトナム戦争を始め、東アジアから東南アジアにかけての地域における軍事作戦や秘密工作でアメリカは沖縄を拠点にしていた。沖縄の軍事基地がなければアメリカがこの地域を支配することは難しい。その沖縄と同じように台湾もアメリカにとって重要な拠点だ。

 本ブログでは繰り返し書いてきたように、イギリスのウィンストン・チャーチル政権は第2次世界大戦でソ連を主敵と考えていた。そこでドイツ軍のソ連への軍事侵攻を傍観、ドイツ軍がソ連軍に敗北すると、慌てて動き始め、シチリア島上陸作戦を強行したのだ。

 反ファシズムのフランクリン・ルーズベルト米大統領が1945年4月12日に急死した翌月にドイツは降伏、チャーチルはJPS(合同作戦本部)に対し、ソ連を奇襲攻撃する作戦を立てるように命じた。そして作成されたのが「アンシンカブル作戦」だ。その年の7月1日にアメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団でソ連を奇襲攻撃、「第3次世界大戦」を始める想定だったが、参謀本部の反対で発動していない。理由のひとつは、ソ連と日本が手を組む可能性にあったという。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000)

 アメリカはソ連の参戦に合わせ、8月6日に広島へ、8月9日には長崎へ原爆を投下したが、いずれもソ連を意識してのことだ。ルーズベルトが死亡したことで副大統領から大統領へ昇格したハリー・トルーマンが許可しての投下だ。

 1945年夏の段階でアメリカ空軍はソ連を「敵」と表現(Daniel Yergin, “Shattered Peace”, Houghton Mifflin, 1977)、48年後半には特殊部隊の産みの親とも言われている「ロバート・マックルア将軍は、統合参謀本部に働きかけ、ソ連への核攻撃に続く全面的なゲリラ戦計画を承認させ」ている。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年)

 1949年に出されたJCS(統合参謀本部)の研究報告では、ソ連の70都市へ133発の原爆を落とすという内容が盛り込まれていた。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)この段階でマックルア将軍のソ連攻撃計画が現実的なものだったかどうかは不明だが、1952年11月にアメリカは水爆実験に成功、核分裂反応を利用した原子爆弾から核融合反応を利用した水素爆弾に核兵器の主役は移っていく。

 しかし、核兵器を使うためには運搬手段が必要。この当時、原爆の輸送手段はSAC(戦略空軍総司令部)の爆撃機だ。1948年から57年までSACの司令官を務めたカーティス・ルメイ中将は大戦中、日本の諸都市に焼夷弾を落として市民を焼き殺し、広島や長崎に原爆を投下、さらに朝鮮戦争で3年間に人口の20%以上を殺した人物だ。

 SACが1956年に作成した核攻撃計画に関する報告書によると、ソ連や中国のほか東ヨーロッパの最重要目標に対しては水爆が使われ、ソ連圏の大都市、つまり人口密集地帯に原爆を投下することになっていた。

 攻撃目標とされた大都市にはモスクワ、レニングラード(現在のサンクトペテルブルク)、タリン(現在はエストニア)、キエフ(現在のウクライナ)といったソ連の都市のほか、ポーランドのワルシャワ、東ドイツの東ベルリン、チェコスロバキアのプラハ、ルーマニアのブカレスト、ブルガリアのソフィア、そして中国の北京が含まれている。

 アメリカ軍は中国も核攻撃する計画だったが、その出撃拠点は沖縄。その沖縄では1950年代に「銃剣とブルドーザー」で土地が強制接収され、軍事基地化が推し進められていている。1953年4月に公布/施行された布令109号「土地収用令」に基づき、武装米兵が動員された暴力的な土地接収で、55年の段階で沖縄本島の面積の約13%が軍用地になっている。当時、すでにベトナムへの軍事作戦がアメリカでは検討されていたはずだが、中国への核攻撃も想定されていた。

 核攻撃の前にアメリカは朝鮮半島から中国へ軍事侵攻する計画を立てていたようだ。日本を兵站の拠点にしなければならないが、そのためには輸送に不安があってはならない。つまり国鉄の労働組合にストライキさせるわけにはいかない。そうした時、アメリカにとって好都合な3事件が国鉄で引き起こされた。

 そして朝鮮戦争だが、大戦中に日本の情報機関で活動していた人物によると、それと並行して中国でも秘密工作が進められていたという。事件のあった1949年に中華人民共和国の建国が宣言されているが、天安門に中国共産党の幹部が並んだところを砲撃して暗殺、それに合わせて偽装帰順させていた部隊を蜂起させ、国民党の体制を樹立するという計画があった。その計画は中国側に漏れて失敗したという。

 大陸で敗れた国民党は台湾へ逃げ込み、反撃のチャンスを狙う。その準備のために蒋介石たちは1949年に岡村寧次大将など旧日本軍の幹部に接近している。処刑された日本軍の軍人も少なくないが、その一方でアメリカに保護された軍人も少なくない。そのひとりが岡村だ。

 蒋介石は1949年4月に曹士徴を密使として岡村の下へ派遣、東京の高輪で岡村や富田直亮少将と会談、「台湾義勇軍」を編成することで合意し、富田少将が「白鴻亮」の名前で義勇軍を指揮することになった。そこで義勇軍は「白(パイ)団」と呼ばれている。

 白団は1950年の正月頃に台湾へ渡り、日本軍の戦術や軍事情報を台湾軍に教育して国家総動員体制を伝授した。翌年の夏までに83名の旧日本軍参謀が台湾へ渡っている。

 白団へ軍事情報を渡していたのは「富士倶楽部」、つまり陸士34期の三羽烏と呼ばれた服部卓四郎大佐、西浦進大佐、堀場一雄大佐、あるいは海軍の及川古四郎大将や大前敏一大佐たちだ。1969年に解散するまで白団は台湾で大きな影響力を維持していた。

 その後も台湾はアメリカの帝国主義者にとって中国を侵略するための拠点であり、沖縄問題とも密接に関係している。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402090000/
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/327.html#c66

[近代史4] 鬼塚英昭著『原爆の秘密〔国内編〕〜昭和天皇は知っていた』 中川隆
8. 中川隆[-11617] koaQ7Jey 2024年2月12日 13:55:11 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[16]
<■104行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
2024.02.09XML
米国の軍事顧問団が金門や澎湖に駐留、台湾の特殊部隊を訓練との報道
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402090000/

 ​アメリカでNDAA 2023(2023年度国防権限法)が2022年12月に成立した後、アメリカの軍事顧問団が金門諸島と澎湖諸島に駐留、台湾の特殊部隊を訓練している​と伝えられている。こうした島々は中国を威嚇するだけでなく、軍事侵攻、あるいは秘密工作の拠点として想定されているはずだ。

 また、ロイターによると、アメリカ軍は中国との衝突に備え、昨年7月と8月に行われたタリスマン・セイバー演習の際、オーストラリアに装備を新たに備蓄したという。

 アメリカはオーストラリアを西太平洋における軍事的な拠点にしつつある。すでにオーストラリア、インド、そして日本と「クワド」を編成したほか、オーストラリアやイギリスと「AUKUS(A:オーストラリア、UK:イギリス、US:アメリカ)」なる軍事同盟を組織、NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。ただ、アメリカが考えているのは日米韓の軍事同盟だろう。

 ベトナム戦争を始め、東アジアから東南アジアにかけての地域における軍事作戦や秘密工作でアメリカは沖縄を拠点にしていた。沖縄の軍事基地がなければアメリカがこの地域を支配することは難しい。その沖縄と同じように台湾もアメリカにとって重要な拠点だ。

 本ブログでは繰り返し書いてきたように、イギリスのウィンストン・チャーチル政権は第2次世界大戦でソ連を主敵と考えていた。そこでドイツ軍のソ連への軍事侵攻を傍観、ドイツ軍がソ連軍に敗北すると、慌てて動き始め、シチリア島上陸作戦を強行したのだ。

 反ファシズムのフランクリン・ルーズベルト米大統領が1945年4月12日に急死した翌月にドイツは降伏、チャーチルはJPS(合同作戦本部)に対し、ソ連を奇襲攻撃する作戦を立てるように命じた。そして作成されたのが「アンシンカブル作戦」だ。その年の7月1日にアメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団でソ連を奇襲攻撃、「第3次世界大戦」を始める想定だったが、参謀本部の反対で発動していない。理由のひとつは、ソ連と日本が手を組む可能性にあったという。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000)

 アメリカはソ連の参戦に合わせ、8月6日に広島へ、8月9日には長崎へ原爆を投下したが、いずれもソ連を意識してのことだ。ルーズベルトが死亡したことで副大統領から大統領へ昇格したハリー・トルーマンが許可しての投下だ。

 1945年夏の段階でアメリカ空軍はソ連を「敵」と表現(Daniel Yergin, “Shattered Peace”, Houghton Mifflin, 1977)、48年後半には特殊部隊の産みの親とも言われている「ロバート・マックルア将軍は、統合参謀本部に働きかけ、ソ連への核攻撃に続く全面的なゲリラ戦計画を承認させ」ている。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年)

 1949年に出されたJCS(統合参謀本部)の研究報告では、ソ連の70都市へ133発の原爆を落とすという内容が盛り込まれていた。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)この段階でマックルア将軍のソ連攻撃計画が現実的なものだったかどうかは不明だが、1952年11月にアメリカは水爆実験に成功、核分裂反応を利用した原子爆弾から核融合反応を利用した水素爆弾に核兵器の主役は移っていく。

 しかし、核兵器を使うためには運搬手段が必要。この当時、原爆の輸送手段はSAC(戦略空軍総司令部)の爆撃機だ。1948年から57年までSACの司令官を務めたカーティス・ルメイ中将は大戦中、日本の諸都市に焼夷弾を落として市民を焼き殺し、広島や長崎に原爆を投下、さらに朝鮮戦争で3年間に人口の20%以上を殺した人物だ。

 SACが1956年に作成した核攻撃計画に関する報告書によると、ソ連や中国のほか東ヨーロッパの最重要目標に対しては水爆が使われ、ソ連圏の大都市、つまり人口密集地帯に原爆を投下することになっていた。

 攻撃目標とされた大都市にはモスクワ、レニングラード(現在のサンクトペテルブルク)、タリン(現在はエストニア)、キエフ(現在のウクライナ)といったソ連の都市のほか、ポーランドのワルシャワ、東ドイツの東ベルリン、チェコスロバキアのプラハ、ルーマニアのブカレスト、ブルガリアのソフィア、そして中国の北京が含まれている。

 アメリカ軍は中国も核攻撃する計画だったが、その出撃拠点は沖縄。その沖縄では1950年代に「銃剣とブルドーザー」で土地が強制接収され、軍事基地化が推し進められていている。1953年4月に公布/施行された布令109号「土地収用令」に基づき、武装米兵が動員された暴力的な土地接収で、55年の段階で沖縄本島の面積の約13%が軍用地になっている。当時、すでにベトナムへの軍事作戦がアメリカでは検討されていたはずだが、中国への核攻撃も想定されていた。

 核攻撃の前にアメリカは朝鮮半島から中国へ軍事侵攻する計画を立てていたようだ。日本を兵站の拠点にしなければならないが、そのためには輸送に不安があってはならない。つまり国鉄の労働組合にストライキさせるわけにはいかない。そうした時、アメリカにとって好都合な3事件が国鉄で引き起こされた。

 そして朝鮮戦争だが、大戦中に日本の情報機関で活動していた人物によると、それと並行して中国でも秘密工作が進められていたという。事件のあった1949年に中華人民共和国の建国が宣言されているが、天安門に中国共産党の幹部が並んだところを砲撃して暗殺、それに合わせて偽装帰順させていた部隊を蜂起させ、国民党の体制を樹立するという計画があった。その計画は中国側に漏れて失敗したという。

 大陸で敗れた国民党は台湾へ逃げ込み、反撃のチャンスを狙う。その準備のために蒋介石たちは1949年に岡村寧次大将など旧日本軍の幹部に接近している。処刑された日本軍の軍人も少なくないが、その一方でアメリカに保護された軍人も少なくない。そのひとりが岡村だ。

 蒋介石は1949年4月に曹士徴を密使として岡村の下へ派遣、東京の高輪で岡村や富田直亮少将と会談、「台湾義勇軍」を編成することで合意し、富田少将が「白鴻亮」の名前で義勇軍を指揮することになった。そこで義勇軍は「白(パイ)団」と呼ばれている。

 白団は1950年の正月頃に台湾へ渡り、日本軍の戦術や軍事情報を台湾軍に教育して国家総動員体制を伝授した。翌年の夏までに83名の旧日本軍参謀が台湾へ渡っている。

 白団へ軍事情報を渡していたのは「富士倶楽部」、つまり陸士34期の三羽烏と呼ばれた服部卓四郎大佐、西浦進大佐、堀場一雄大佐、あるいは海軍の及川古四郎大将や大前敏一大佐たちだ。1969年に解散するまで白団は台湾で大きな影響力を維持していた。

 その後も台湾はアメリカの帝国主義者にとって中国を侵略するための拠点であり、沖縄問題とも密接に関係している。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402090000/
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1051.html#c8

[近代史3] ディビット・バーガミニ _ 天皇の陰謀 天皇裕仁はかく日本を対西洋戦争に導いた 中川隆
7. 中川隆[-11616] koaQ7Jey 2024年2月12日 13:55:36 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[17]
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2024.02.09XML
米国の軍事顧問団が金門や澎湖に駐留、台湾の特殊部隊を訓練との報道
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402090000/

 ​アメリカでNDAA 2023(2023年度国防権限法)が2022年12月に成立した後、アメリカの軍事顧問団が金門諸島と澎湖諸島に駐留、台湾の特殊部隊を訓練している​と伝えられている。こうした島々は中国を威嚇するだけでなく、軍事侵攻、あるいは秘密工作の拠点として想定されているはずだ。

 また、ロイターによると、アメリカ軍は中国との衝突に備え、昨年7月と8月に行われたタリスマン・セイバー演習の際、オーストラリアに装備を新たに備蓄したという。

 アメリカはオーストラリアを西太平洋における軍事的な拠点にしつつある。すでにオーストラリア、インド、そして日本と「クワド」を編成したほか、オーストラリアやイギリスと「AUKUS(A:オーストラリア、UK:イギリス、US:アメリカ)」なる軍事同盟を組織、NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。ただ、アメリカが考えているのは日米韓の軍事同盟だろう。

 ベトナム戦争を始め、東アジアから東南アジアにかけての地域における軍事作戦や秘密工作でアメリカは沖縄を拠点にしていた。沖縄の軍事基地がなければアメリカがこの地域を支配することは難しい。その沖縄と同じように台湾もアメリカにとって重要な拠点だ。

 本ブログでは繰り返し書いてきたように、イギリスのウィンストン・チャーチル政権は第2次世界大戦でソ連を主敵と考えていた。そこでドイツ軍のソ連への軍事侵攻を傍観、ドイツ軍がソ連軍に敗北すると、慌てて動き始め、シチリア島上陸作戦を強行したのだ。

 反ファシズムのフランクリン・ルーズベルト米大統領が1945年4月12日に急死した翌月にドイツは降伏、チャーチルはJPS(合同作戦本部)に対し、ソ連を奇襲攻撃する作戦を立てるように命じた。そして作成されたのが「アンシンカブル作戦」だ。その年の7月1日にアメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団でソ連を奇襲攻撃、「第3次世界大戦」を始める想定だったが、参謀本部の反対で発動していない。理由のひとつは、ソ連と日本が手を組む可能性にあったという。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000)

 アメリカはソ連の参戦に合わせ、8月6日に広島へ、8月9日には長崎へ原爆を投下したが、いずれもソ連を意識してのことだ。ルーズベルトが死亡したことで副大統領から大統領へ昇格したハリー・トルーマンが許可しての投下だ。

 1945年夏の段階でアメリカ空軍はソ連を「敵」と表現(Daniel Yergin, “Shattered Peace”, Houghton Mifflin, 1977)、48年後半には特殊部隊の産みの親とも言われている「ロバート・マックルア将軍は、統合参謀本部に働きかけ、ソ連への核攻撃に続く全面的なゲリラ戦計画を承認させ」ている。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年)

 1949年に出されたJCS(統合参謀本部)の研究報告では、ソ連の70都市へ133発の原爆を落とすという内容が盛り込まれていた。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)この段階でマックルア将軍のソ連攻撃計画が現実的なものだったかどうかは不明だが、1952年11月にアメリカは水爆実験に成功、核分裂反応を利用した原子爆弾から核融合反応を利用した水素爆弾に核兵器の主役は移っていく。

 しかし、核兵器を使うためには運搬手段が必要。この当時、原爆の輸送手段はSAC(戦略空軍総司令部)の爆撃機だ。1948年から57年までSACの司令官を務めたカーティス・ルメイ中将は大戦中、日本の諸都市に焼夷弾を落として市民を焼き殺し、広島や長崎に原爆を投下、さらに朝鮮戦争で3年間に人口の20%以上を殺した人物だ。

 SACが1956年に作成した核攻撃計画に関する報告書によると、ソ連や中国のほか東ヨーロッパの最重要目標に対しては水爆が使われ、ソ連圏の大都市、つまり人口密集地帯に原爆を投下することになっていた。

 攻撃目標とされた大都市にはモスクワ、レニングラード(現在のサンクトペテルブルク)、タリン(現在はエストニア)、キエフ(現在のウクライナ)といったソ連の都市のほか、ポーランドのワルシャワ、東ドイツの東ベルリン、チェコスロバキアのプラハ、ルーマニアのブカレスト、ブルガリアのソフィア、そして中国の北京が含まれている。

 アメリカ軍は中国も核攻撃する計画だったが、その出撃拠点は沖縄。その沖縄では1950年代に「銃剣とブルドーザー」で土地が強制接収され、軍事基地化が推し進められていている。1953年4月に公布/施行された布令109号「土地収用令」に基づき、武装米兵が動員された暴力的な土地接収で、55年の段階で沖縄本島の面積の約13%が軍用地になっている。当時、すでにベトナムへの軍事作戦がアメリカでは検討されていたはずだが、中国への核攻撃も想定されていた。

 核攻撃の前にアメリカは朝鮮半島から中国へ軍事侵攻する計画を立てていたようだ。日本を兵站の拠点にしなければならないが、そのためには輸送に不安があってはならない。つまり国鉄の労働組合にストライキさせるわけにはいかない。そうした時、アメリカにとって好都合な3事件が国鉄で引き起こされた。

 そして朝鮮戦争だが、大戦中に日本の情報機関で活動していた人物によると、それと並行して中国でも秘密工作が進められていたという。事件のあった1949年に中華人民共和国の建国が宣言されているが、天安門に中国共産党の幹部が並んだところを砲撃して暗殺、それに合わせて偽装帰順させていた部隊を蜂起させ、国民党の体制を樹立するという計画があった。その計画は中国側に漏れて失敗したという。

 大陸で敗れた国民党は台湾へ逃げ込み、反撃のチャンスを狙う。その準備のために蒋介石たちは1949年に岡村寧次大将など旧日本軍の幹部に接近している。処刑された日本軍の軍人も少なくないが、その一方でアメリカに保護された軍人も少なくない。そのひとりが岡村だ。

 蒋介石は1949年4月に曹士徴を密使として岡村の下へ派遣、東京の高輪で岡村や富田直亮少将と会談、「台湾義勇軍」を編成することで合意し、富田少将が「白鴻亮」の名前で義勇軍を指揮することになった。そこで義勇軍は「白(パイ)団」と呼ばれている。

 白団は1950年の正月頃に台湾へ渡り、日本軍の戦術や軍事情報を台湾軍に教育して国家総動員体制を伝授した。翌年の夏までに83名の旧日本軍参謀が台湾へ渡っている。

 白団へ軍事情報を渡していたのは「富士倶楽部」、つまり陸士34期の三羽烏と呼ばれた服部卓四郎大佐、西浦進大佐、堀場一雄大佐、あるいは海軍の及川古四郎大将や大前敏一大佐たちだ。1969年に解散するまで白団は台湾で大きな影響力を維持していた。

 その後も台湾はアメリカの帝国主義者にとって中国を侵略するための拠点であり、沖縄問題とも密接に関係している。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402090000/
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/760.html#c7

[近代史7] プーチンはユダヤ人だった _「ロシアという国」の本当の姿をジェームズ斉藤が解説! 中川隆
10. 中川隆[-11615] koaQ7Jey 2024年2月12日 14:07:47 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[18]
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プーチン大統領: ドルを使った経済制裁はアメリカの自殺行為
2024年2月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/44262

元FOXニュース司会者のタッカー・カールソン氏が、ロシアによるウクライナ侵攻後初めてアメリカのジャーナリストとしてロシアのウラジミール・プーチン大統領をインタビューした。アメリカでは大きな話題になっているが、ここでも内容を取り上げたい。

ドルを使ったアメリカの経済制裁

カールソン氏はアメリカでは有名な保守派の司会者であり、歯に衣着せぬ物言いで知られていたがFOXニュースの上層部と揉めたらしく解雇となり、フリーのジャーナリストとして活躍している。巷では誰かにとって都合の悪いことを喋りすぎたのではと噂されている。

そのカールソン氏がプーチン大統領をインタビューした。話題は多岐に渡っているが、まずはプーチン氏がアメリカのドルについて語っている部分を取り上げよう。

何故プーチン氏がドルについて語るのかと言えば、ロシアはドルを使ったアメリカの経済制裁の対象となっているからだ。ウクライナ侵攻後、ロシア政府やロシア人はドルを使った決済を禁じられたり、ドル建て資産を凍結されたりしている。

これをプーチン氏はどう見ているか。彼は次のように述べている。

ドルを外交の武器として使うことは、アメリカの指導者たちが犯した最大の戦略的失敗の1つだ。

ロシアは西側の支配する決済システムからほとんど追放されている。ではこれはプーチン氏の強がりだろうか。

だが、ここの読者ならば知っているだろうが、西側諸国による対ロシア経済制裁は西側の金融の専門家からすこぶる評判が悪かった。政治的にもロシア嫌いで知られるヘッジファンドマネージャーのジョージ・ソロス氏にさえ批判されていた。

何故か。ドルを使った制裁は、当然ながらドルを使わなければ避けられるからである。

ドルからの資金流出

当然ロシアはドルを避けている。だがアメリカにとって悪いことに、ドルを避けたのはロシアだけではなかった。ドルを保有していれば、アメリカの政治的都合にそぐわないことをした場合に資産を凍結される。だからロシア以外の国々もこぞってドルから離脱しようとしたのである。

ポジャール氏: 世界の資金がドルから逃避している
例えばブラジルのルラ大統領はBRICS諸国にアメリカと無関係の貿易の決済をドルではなく自国通貨で行うよう呼びかけた。中国やインドも、ロシア制裁に協力的でないとされてアメリカから脅しを受けた国々であり、ドルから距離を置こうとしている。

また、アラブ首長国連邦は原油取引の決済をドルから現地通貨に切り替えるよう去年末に決定した。アメリカに近いサウジアラビアでさえもドル以外の通貨による決済を議論している。

こうした状況についてプーチン氏は次のように述べている。

アメリカが何処かの国に決済の制限や資産凍結などの制裁を課せば、世界全体に対して誤ったシグナルを送り大きな懸念を引き起こすことになる。

世界で起こっていることを見てみると良い。アメリカの同盟国でさえドルの外貨準備を減らしている。アメリカの行動を見て誰もが身を守ろうとしている。

ドルからの資金流出の意味するもの

だがそれの何がまずいのか。金融の専門家であればすぐに理解する話なのだが、ドルが基軸通貨だからアメリカは覇権を維持できたのである。

コロナ禍において1人あたり50万円を超えるドル紙幣を印刷して現金給付するような無茶な政策をしてもドルが暴落しなかったのは、それでも他の国が原油の決済などのためにドルを買ってくれていたからである。基軸通貨ドルと米国経済の関係についてはスタンレー・ドラッケンミラー氏が解説してくれている。

ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
そんなことは基軸通貨がなければできない。基軸通貨を持たないイギリスが同じようなことをやろうとして債券市場で英国債が暴落し、首相の首が飛んだ。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
基軸通貨を持っていることのアドバンテージを理解すれば、多くの国がドルを避けようとしている状況の何がまずいのかが理解できるだろう。プーチン氏は次のように述べている。

ドルはアメリカの持つ覇権の基盤となっている。だが彼らは紙幣印刷を止めない。33兆ドルの負債は何を意味するだろうか? 米国の上層部がドルを外交の武器として使うと決定すれば、殴られるのは他ならぬアメリカ自身の覇権だ。あまり強い言葉は使いたくないが、それは愚かな行動であり、酷い失敗だ。

何が起こっているか気づいているのか? アメリカでは誰もこれに気づかないのか? あなたがたは何をやっているのか? 自分で自分の首を切るようなものだ。

結論

今回はプーチン大統領のインタビューを紹介する記事なのだが、いつもの金融の記事のようになってしまった。

事実、このプーチン氏の発言は、普段取り上げているファンドマネージャーらの言葉と比べても遜色がない。勿論背後に専門家が居てプーチン氏に教えているのだろうが、正しい意見を持っている専門家に耳を傾けることのできることもその人の才能である。多くの日本人が金融庁発のつみたてNISAを信じているように。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
これらのプーチン氏の発言と、西側の政治家の金融に対する理解を比べると悲しくなってくる。イギリスのトラス元首相は最初から無理筋のばら撒き政策で英国債を吹き飛ばしかけた。

対ロシア制裁に関しては、ロシア嫌いで知られるファンドマネージャーのソロス氏がEUの政治家に対してもっと有効な制裁の方法を提案していた。だが2008年にリーマンショックを予想した彼の意見に政治家が耳を貸さなかったように、EUの政治家に彼の提案を理解できる頭などあるはずがなかった。

EU、ロシア産原油を禁輸、パイプライン経由は除外 ソロス氏の警告届かず
日本の政治家の金融に対する理解と言えば、ドル円が自分に都合の悪い方向に動けば「投機的な動きだ」と言って為替介入をする。だが自分に都合の悪い方向に動いた相場を資金力でねじ伏せようとする動きのことを投機的な動きと呼ぶ。そして彼らが投機的な動きと読んだものは、大抵の場合金利の上下に対応した妥当な動きなのである。

日本の為替介入は経済学者ラリー・サマーズ氏に皮肉られていた。

サマーズ氏: 為替介入でドル円が急落したらドル円は買い場
そしてアメリカのバイデン大統領は1ヶ月前に亡くなった議員を探し求め「ジャッキーはどこだ?」と言いながら講演会場をさまよい歩いた。

ガンドラック氏: バイデン氏は大統領選の討論さえ満足に出来ないだろう
本当に、日欧米の国民は自分たちの政府を支配している政治家たちの頭のレベルにそろそろ気づいたほうが良いのではないか。プーチン氏のインタビューを見ると本当に悲しくなってくる。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/44262

http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/187.html#c10

[近代史02] プーチン大統領は神の申し子_____小沢一郎先生はこういう人になって欲しかった 中川隆
209. 中川隆[-11614] koaQ7Jey 2024年2月12日 14:09:21 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[19]
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プーチン大統領: ドルを使った経済制裁はアメリカの自殺行為
2024年2月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/44262

元FOXニュース司会者のタッカー・カールソン氏が、ロシアによるウクライナ侵攻後初めてアメリカのジャーナリストとしてロシアのウラジミール・プーチン大統領をインタビューした。アメリカでは大きな話題になっているが、ここでも内容を取り上げたい。

ドルを使ったアメリカの経済制裁

カールソン氏はアメリカでは有名な保守派の司会者であり、歯に衣着せぬ物言いで知られていたがFOXニュースの上層部と揉めたらしく解雇となり、フリーのジャーナリストとして活躍している。巷では誰かにとって都合の悪いことを喋りすぎたのではと噂されている。

そのカールソン氏がプーチン大統領をインタビューした。話題は多岐に渡っているが、まずはプーチン氏がアメリカのドルについて語っている部分を取り上げよう。

何故プーチン氏がドルについて語るのかと言えば、ロシアはドルを使ったアメリカの経済制裁の対象となっているからだ。ウクライナ侵攻後、ロシア政府やロシア人はドルを使った決済を禁じられたり、ドル建て資産を凍結されたりしている。

これをプーチン氏はどう見ているか。彼は次のように述べている。

ドルを外交の武器として使うことは、アメリカの指導者たちが犯した最大の戦略的失敗の1つだ。

ロシアは西側の支配する決済システムからほとんど追放されている。ではこれはプーチン氏の強がりだろうか。

だが、ここの読者ならば知っているだろうが、西側諸国による対ロシア経済制裁は西側の金融の専門家からすこぶる評判が悪かった。政治的にもロシア嫌いで知られるヘッジファンドマネージャーのジョージ・ソロス氏にさえ批判されていた。

何故か。ドルを使った制裁は、当然ながらドルを使わなければ避けられるからである。

ドルからの資金流出

当然ロシアはドルを避けている。だがアメリカにとって悪いことに、ドルを避けたのはロシアだけではなかった。ドルを保有していれば、アメリカの政治的都合にそぐわないことをした場合に資産を凍結される。だからロシア以外の国々もこぞってドルから離脱しようとしたのである。

ポジャール氏: 世界の資金がドルから逃避している
例えばブラジルのルラ大統領はBRICS諸国にアメリカと無関係の貿易の決済をドルではなく自国通貨で行うよう呼びかけた。中国やインドも、ロシア制裁に協力的でないとされてアメリカから脅しを受けた国々であり、ドルから距離を置こうとしている。

また、アラブ首長国連邦は原油取引の決済をドルから現地通貨に切り替えるよう去年末に決定した。アメリカに近いサウジアラビアでさえもドル以外の通貨による決済を議論している。

こうした状況についてプーチン氏は次のように述べている。

アメリカが何処かの国に決済の制限や資産凍結などの制裁を課せば、世界全体に対して誤ったシグナルを送り大きな懸念を引き起こすことになる。

世界で起こっていることを見てみると良い。アメリカの同盟国でさえドルの外貨準備を減らしている。アメリカの行動を見て誰もが身を守ろうとしている。

ドルからの資金流出の意味するもの

だがそれの何がまずいのか。金融の専門家であればすぐに理解する話なのだが、ドルが基軸通貨だからアメリカは覇権を維持できたのである。

コロナ禍において1人あたり50万円を超えるドル紙幣を印刷して現金給付するような無茶な政策をしてもドルが暴落しなかったのは、それでも他の国が原油の決済などのためにドルを買ってくれていたからである。基軸通貨ドルと米国経済の関係についてはスタンレー・ドラッケンミラー氏が解説してくれている。

ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
そんなことは基軸通貨がなければできない。基軸通貨を持たないイギリスが同じようなことをやろうとして債券市場で英国債が暴落し、首相の首が飛んだ。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
基軸通貨を持っていることのアドバンテージを理解すれば、多くの国がドルを避けようとしている状況の何がまずいのかが理解できるだろう。プーチン氏は次のように述べている。

ドルはアメリカの持つ覇権の基盤となっている。だが彼らは紙幣印刷を止めない。33兆ドルの負債は何を意味するだろうか? 米国の上層部がドルを外交の武器として使うと決定すれば、殴られるのは他ならぬアメリカ自身の覇権だ。あまり強い言葉は使いたくないが、それは愚かな行動であり、酷い失敗だ。

何が起こっているか気づいているのか? アメリカでは誰もこれに気づかないのか? あなたがたは何をやっているのか? 自分で自分の首を切るようなものだ。

結論

今回はプーチン大統領のインタビューを紹介する記事なのだが、いつもの金融の記事のようになってしまった。

事実、このプーチン氏の発言は、普段取り上げているファンドマネージャーらの言葉と比べても遜色がない。勿論背後に専門家が居てプーチン氏に教えているのだろうが、正しい意見を持っている専門家に耳を傾けることのできることもその人の才能である。多くの日本人が金融庁発のつみたてNISAを信じているように。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
これらのプーチン氏の発言と、西側の政治家の金融に対する理解を比べると悲しくなってくる。イギリスのトラス元首相は最初から無理筋のばら撒き政策で英国債を吹き飛ばしかけた。

対ロシア制裁に関しては、ロシア嫌いで知られるファンドマネージャーのソロス氏がEUの政治家に対してもっと有効な制裁の方法を提案していた。だが2008年にリーマンショックを予想した彼の意見に政治家が耳を貸さなかったように、EUの政治家に彼の提案を理解できる頭などあるはずがなかった。

EU、ロシア産原油を禁輸、パイプライン経由は除外 ソロス氏の警告届かず
日本の政治家の金融に対する理解と言えば、ドル円が自分に都合の悪い方向に動けば「投機的な動きだ」と言って為替介入をする。だが自分に都合の悪い方向に動いた相場を資金力でねじ伏せようとする動きのことを投機的な動きと呼ぶ。そして彼らが投機的な動きと読んだものは、大抵の場合金利の上下に対応した妥当な動きなのである。

日本の為替介入は経済学者ラリー・サマーズ氏に皮肉られていた。

サマーズ氏: 為替介入でドル円が急落したらドル円は買い場
そしてアメリカのバイデン大統領は1ヶ月前に亡くなった議員を探し求め「ジャッキーはどこだ?」と言いながら講演会場をさまよい歩いた。

ガンドラック氏: バイデン氏は大統領選の討論さえ満足に出来ないだろう
本当に、日欧米の国民は自分たちの政府を支配している政治家たちの頭のレベルにそろそろ気づいたほうが良いのではないか。プーチン氏のインタビューを見ると本当に悲しくなってくる。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/44262

http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/297.html#c209

[近代史4] プーチン大統領 中川隆
45. 中川隆[-11613] koaQ7Jey 2024年2月12日 14:09:42 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[20]
<■101行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
プーチン大統領: ドルを使った経済制裁はアメリカの自殺行為
2024年2月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/44262

元FOXニュース司会者のタッカー・カールソン氏が、ロシアによるウクライナ侵攻後初めてアメリカのジャーナリストとしてロシアのウラジミール・プーチン大統領をインタビューした。アメリカでは大きな話題になっているが、ここでも内容を取り上げたい。

ドルを使ったアメリカの経済制裁

カールソン氏はアメリカでは有名な保守派の司会者であり、歯に衣着せぬ物言いで知られていたがFOXニュースの上層部と揉めたらしく解雇となり、フリーのジャーナリストとして活躍している。巷では誰かにとって都合の悪いことを喋りすぎたのではと噂されている。

そのカールソン氏がプーチン大統領をインタビューした。話題は多岐に渡っているが、まずはプーチン氏がアメリカのドルについて語っている部分を取り上げよう。

何故プーチン氏がドルについて語るのかと言えば、ロシアはドルを使ったアメリカの経済制裁の対象となっているからだ。ウクライナ侵攻後、ロシア政府やロシア人はドルを使った決済を禁じられたり、ドル建て資産を凍結されたりしている。

これをプーチン氏はどう見ているか。彼は次のように述べている。

ドルを外交の武器として使うことは、アメリカの指導者たちが犯した最大の戦略的失敗の1つだ。

ロシアは西側の支配する決済システムからほとんど追放されている。ではこれはプーチン氏の強がりだろうか。

だが、ここの読者ならば知っているだろうが、西側諸国による対ロシア経済制裁は西側の金融の専門家からすこぶる評判が悪かった。政治的にもロシア嫌いで知られるヘッジファンドマネージャーのジョージ・ソロス氏にさえ批判されていた。

何故か。ドルを使った制裁は、当然ながらドルを使わなければ避けられるからである。

ドルからの資金流出

当然ロシアはドルを避けている。だがアメリカにとって悪いことに、ドルを避けたのはロシアだけではなかった。ドルを保有していれば、アメリカの政治的都合にそぐわないことをした場合に資産を凍結される。だからロシア以外の国々もこぞってドルから離脱しようとしたのである。

ポジャール氏: 世界の資金がドルから逃避している
例えばブラジルのルラ大統領はBRICS諸国にアメリカと無関係の貿易の決済をドルではなく自国通貨で行うよう呼びかけた。中国やインドも、ロシア制裁に協力的でないとされてアメリカから脅しを受けた国々であり、ドルから距離を置こうとしている。

また、アラブ首長国連邦は原油取引の決済をドルから現地通貨に切り替えるよう去年末に決定した。アメリカに近いサウジアラビアでさえもドル以外の通貨による決済を議論している。

こうした状況についてプーチン氏は次のように述べている。

アメリカが何処かの国に決済の制限や資産凍結などの制裁を課せば、世界全体に対して誤ったシグナルを送り大きな懸念を引き起こすことになる。

世界で起こっていることを見てみると良い。アメリカの同盟国でさえドルの外貨準備を減らしている。アメリカの行動を見て誰もが身を守ろうとしている。

ドルからの資金流出の意味するもの

だがそれの何がまずいのか。金融の専門家であればすぐに理解する話なのだが、ドルが基軸通貨だからアメリカは覇権を維持できたのである。

コロナ禍において1人あたり50万円を超えるドル紙幣を印刷して現金給付するような無茶な政策をしてもドルが暴落しなかったのは、それでも他の国が原油の決済などのためにドルを買ってくれていたからである。基軸通貨ドルと米国経済の関係についてはスタンレー・ドラッケンミラー氏が解説してくれている。

ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
そんなことは基軸通貨がなければできない。基軸通貨を持たないイギリスが同じようなことをやろうとして債券市場で英国債が暴落し、首相の首が飛んだ。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
基軸通貨を持っていることのアドバンテージを理解すれば、多くの国がドルを避けようとしている状況の何がまずいのかが理解できるだろう。プーチン氏は次のように述べている。

ドルはアメリカの持つ覇権の基盤となっている。だが彼らは紙幣印刷を止めない。33兆ドルの負債は何を意味するだろうか? 米国の上層部がドルを外交の武器として使うと決定すれば、殴られるのは他ならぬアメリカ自身の覇権だ。あまり強い言葉は使いたくないが、それは愚かな行動であり、酷い失敗だ。

何が起こっているか気づいているのか? アメリカでは誰もこれに気づかないのか? あなたがたは何をやっているのか? 自分で自分の首を切るようなものだ。

結論

今回はプーチン大統領のインタビューを紹介する記事なのだが、いつもの金融の記事のようになってしまった。

事実、このプーチン氏の発言は、普段取り上げているファンドマネージャーらの言葉と比べても遜色がない。勿論背後に専門家が居てプーチン氏に教えているのだろうが、正しい意見を持っている専門家に耳を傾けることのできることもその人の才能である。多くの日本人が金融庁発のつみたてNISAを信じているように。

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これらのプーチン氏の発言と、西側の政治家の金融に対する理解を比べると悲しくなってくる。イギリスのトラス元首相は最初から無理筋のばら撒き政策で英国債を吹き飛ばしかけた。

対ロシア制裁に関しては、ロシア嫌いで知られるファンドマネージャーのソロス氏がEUの政治家に対してもっと有効な制裁の方法を提案していた。だが2008年にリーマンショックを予想した彼の意見に政治家が耳を貸さなかったように、EUの政治家に彼の提案を理解できる頭などあるはずがなかった。

EU、ロシア産原油を禁輸、パイプライン経由は除外 ソロス氏の警告届かず
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本当に、日欧米の国民は自分たちの政府を支配している政治家たちの頭のレベルにそろそろ気づいたほうが良いのではないか。プーチン氏のインタビューを見ると本当に悲しくなってくる。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/44262

http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/809.html#c45

[リバイバル3] 世界中の飢餓に苦しむ貧困者を救ったインスタントラーメンだけど… 中川隆
14. 中川隆[-11612] koaQ7Jey 2024年2月12日 21:48:04 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[21]
「こんなの見たことない…」訪日外国人がドハマりした日本のカップ麺の特徴7選【ゆっくり解説】【海外の反応】
2024/01/26
https://www.youtube.com/watch?v=AmcaJIOpatQ

http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/999.html#c14
[近代史3] カップ麺や袋めんが年間6000億円 麺市場は1兆円に拡大 中川隆
18. 中川隆[-11611] koaQ7Jey 2024年2月12日 21:48:36 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[22]
「こんなの見たことない…」訪日外国人がドハマりした日本のカップ麺の特徴7選【ゆっくり解説】【海外の反応】
2024/01/26
https://www.youtube.com/watch?v=AmcaJIOpatQ
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[近代史4] ラーメンは絶対に食べてはいけない 中川隆
7. 中川隆[-11610] koaQ7Jey 2024年2月12日 21:49:04 : EZ1Kcv5cQk : TTJaaXFRS29EeHc=[23]
「こんなの見たことない…」訪日外国人がドハマりした日本のカップ麺の特徴7選【ゆっくり解説】【海外の反応】
2024/01/26
https://www.youtube.com/watch?v=AmcaJIOpatQ
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/523.html#c7

   

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