6. 2023年8月03日 15:01:35 : awbqu1JH26 : SDYyLmxBN2FkekU=[1]
学資ローンで債務奴隷化した医師や弁護士に社会正義を求めることは困難
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202308020000/
アメリカでは出世の道が開かれている大学は「アイビー・リーグ」と呼ばれている。そうした大学へ入るためには多額の授業料を支払う資産とコネが必要だ。資産とコネがあれば相当愚かな人物でも入学が認められる。
そうした大学へ入学させるためには私立の進学校へ子どもを通わせる必要があるが、そこでも膨大な学費を支払わねばならない。そうした支出は中産階級にとって困難。公立の学校は荒廃が進んでいるため、少しでもマシな学校へ子どもを通わせるためには不動産価格の高い地域に住む必要がある。その結果、不動産で家計が破綻する人もいる。
トルーマン・カポーティは『叶えられた祈り』の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物に次のようなことを言わせている。
「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」(トルーマン・カポーティ著、川本三郎訳、『叶えられた祈り』、新潮文庫)「ペニスを売り歩く」ようなことをしなければならないというのだ。アメリカの中では高い給料を得ているはずのウォール街で働く人でも教育の負担は重い。
大学へは入れても授業料を支払うことが困難な学生は少なくない。少し前から話題になっているのは「シュガー・ベイビー」なるシステム。女子大学生(シュガー・ベイビー)と富裕な男性(シュガー・ダディー)を引き合わせ、「デート」のお膳立てをするというビジネス。売春の斡旋と見られても仕方がないだろう。現代版のクルチザンヌだと言う人もいる。
登録している大学のリストを見ると、有力校と考えられている南カリフォルニア大学(583名)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(614名)、コロンビア大学(1008名)、ニューヨーク大学(1676名)も含まれている。
体を売らなければ大学へ通えないという状況はアメリカ以外の国でも問題になっている。例えば、2012年11月にイギリスのインディペンデント紙が行った覆面取材の結果、学費を稼ぐための「思慮深い交際」を紹介する、いわゆる「援助交際」を仲介するビジネスの存在が明らかになったのである。
アングロ・サクソンの後を追いかけている日本でも学費の負担が庶民に重くのし掛かっている。低所得層の子どもは教育を受ける権利を奪われているのが実態だ。教育課程審議会の会長を務めた作家の三浦朱門に言わせると、「できん者はできんままで結構。・・・限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです。」(斎藤貴男著『機会不平等』)
こうした状況を改善するためには法律面からの働きかけも必要になるが、そうした問題に取り組むような弁護士が出てきにくいシステムに変えられている。司法試験を受けるまでに多額の資金が必要になり、試験に受かっても司法修習生に対する給付制が廃止になって新人弁護士の多くは借金まみれ。カネになる仕事、カネを出せる人物や組織の仕事を弁護士になって稼がざるを得ない。
アメリカでは体を売るような手段で学費を稼がずに済んでも、富豪の子供でない限り、学資ローンで卒業時に多額の借金を抱えることになる。その借金を返済するためには高収入の仕事に就かねばならない。その仕事を失えば破産だ。医師や弁護士が権力者の不正に沈黙する理由のひとつはここにある。彼らは一種の債務奴隷なのだ。日本もそうしたシステムに近づいている。
最近、アメリカの下院議員19名がジョー・バイデン大統領に書簡を送ったが、その冒頭、学生ローンの返済免除は有能な学生を軍人に雇う上でマイナス要因になると批判している。
かつてアメリカには徴兵制があった。建前上、全ての男子は軍隊に入る義務があったのだが、支配的な立場にある人びとは自分たちの子どもを戦場へ送り出さずに済む仕組みがあった。そのひとつが「シャンパン部隊」である。この部隊は戦場へ派遣されない。CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)の「フォーチュネート・サン」はこうした部隊のことを歌っている曲だ。
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