30. 保守や右翼には馬鹿し[138] lduO54LiiUWXg4LJgs2Ubo6tgrU 2023年4月25日 07:00:13 : 5A1eYpHRSU : R3lJTXBHYjROV2s=[1]
■ 金融機関の間の決済は、日銀当座預金間の決済で現金は使われない ■
先ず私の間違いですが、「銀行は日銀当座預金を引き出して投資出来る」は現実には「銀行は日銀当座預金を使って投資出来る」というのが正しい。
金融機関の間の決済を現金で決済していたら、現金輸送車が走り回って大変な事になります。そこで、金融機関が保有する日銀当座預金間で決済が行われます。当然私もこの事は知っていますが、ついつい「預金を引き出して」と書いてしまったので、現金決済をする様な誤解を与えたと思います。これは私が「日銀当座預金を使って」と訂正させて頂きます。
■ 日銀当座預金は引き出せない? ■
上記を巡るやり取りの中で、「日銀当座預金は引き出せない」との発言がお二方からあり、777さんと私は「日銀当座預金を銀行は現金で引き出せる」と反論しました。
日銀当座預金が現金で引き出せなければ、国民は現金を受け取る事が出来ないので、銀行は日銀当座預金を現金化出来ます。直近では鍛冶屋。さんは「銀行のカウンターを現金が通貨したら日銀当座預金として扱われる」という表現に変更された様です。まあ、これ以上議論しても押し問答となるので、この問題は、読者の皆様が判断されれば良いかと思います。
■ 銀行が預金(他人資本)をで購入できる有価証券はリスクの低いもののみ ■
この点は私も曖昧に議論を進めてしまいましたが、銀行は間接金融の担い手として、預金を主に貸出で運用しています。これが7割と言われています。貸出の他の預金運用として、日銀当座預金で金利を稼いだり、有価証券で運用したりもします。但し、預金で運用できる有価証券はリスクの低いものが中心となり、直ぐに現金化出来る流動性の高い資産である事が求められます。日本国債や地方債などが中心です。
■ 銀行は経営の健全性の為に自己資本を有し、それを運用している ■
銀行は株式を売買したり、米国債を購入したり、更にデリバティブを購入したりしていますが、これらのリスク性の高い運用は、自己資本で行っています。銀行は預金の貸し倒れに備えて、自己資本を保有しています。自己資本は主に株式発行によって増やす事が出来ます。現在はBISの規定により、国債業務を行う銀行は、自己資本比率(自己資本/預金)が8%以上である事が求められます。国内業務だけであれば、自己資本比率は4%以上となります。
銀行は自己資本を様々な方法で運用して利益を上げています。米国債投資や、リスクの高い米国のローン担保証券(CLO)なども保有していますが、有価証券などのリスク性資産は、そのリスクに応じて係数が投資額に掛けられます。自国国債はリスク0とされ、保有自国国債の全額を自己資本に計上できますが、他国国債などは為替リスクやデフォルトリスクなどを加味して係数がが決められます。
前回の議論で、「銀行が米国債を買う」などのケースでは、銀行は自己資本でこれを購入します。自己資本は信用創造で作り出す事は出来ません。銀行は株式発行などで現金を調達して自己資本を増やします。銀行はこの他に社債などを発行して資金を調達しますが、社債は負債なので返済義務があります。
日本では銀行業務と証券業務は法律で区分されています。法改正で銀行は50%以上出資する子会社で証券業務を行える様になりましたが、銀行本体が証券業務を行う事はできません(国債などの公債を除く)。銀行窓口で投資信託などが販売されていますが、基本的には証券会社の販売代行で、手数料ビジネスです。
■ 無節操な自己勘定取引が引き起こしたリーマンショック ■
この様に、銀行の投資リスクは適性にコントロールされる事が求められます。ハイリスク・ハイリターンな冒険的な投資で失敗して自己資本を減らすと、保有資産の含み損が膨らんだり、預金引き出しが大幅に増えた時に債務超過に陥る危険性があるからです。銀行は資金流通や金融仲介機能という公の性質を持った業態なので、簡単に倒産する様な運営は法律が禁じていますし、金融庁が監視しています。
リーマンショックの際には、アメリカの銀行は自己資本を使った取引(自己勘定取引)を大幅に拡大して、様々なデリバティブを購入したり、大きなレバレッジを掛けるハイリスクなヘッジファンドに投資をしたりしていました。その結果、市場価格が大幅に下がった時に、ほぼ全ての銀行が債務超過に陥りました。この反省カラ、ボルガールールによって、アメリカの銀行の自己勘定取引は大幅に規制されました。(トランプがだいぶ緩和しましたが)
■ ゆうちょ銀行や農林中金は「異常」な銀行 ■
この様に、銀行が扱う預金(他人資本)の運用には、大きな制約が掛かっていますが、このルールが適用されない金融機関が日本には2社存在します。ゆうちょ銀行と、農林中金です。
ゆうちょ銀行は「銀行」と名付けられていますが、その実態は証券会社や投資銀行に近い。ゆうちょ銀行は他人資本である貯金を融資する事が禁じられています。そこで米国債やその他の有価証券で運用しています。
農林中金はもっと不思議な銀行で、農業者や漁業者から預かったお金を銀行同様に融資出来ますが、さらに預かったお金を米国債投資やジャンク債投資で使う事も出来ます。
現在、世界の金融界は、この2社が次のシリコンバレーバンクとなるのでは無いかと警戒しています。リスク管理が杜撰だからです。
■ 「金貸し業」から「総合金融業」に変化が求められる銀行 ■
日本は従来、企業が銀行融資で運転資金を調達する「間接金融」が盛んでした。しかし、社債や株式発行などで資金調達する企業が増えて来ると、従来の間接金融の役割は小さくなります。実際に銀行の貸出量は年々減っています。
一方で、銀行は自己資本のリスク運用を拡大しています。銀行は金融を通じて利益を上げる「総合金融業」に変化をしていますが、証券会社との垣根は低くなっています。
私は素人なので、コメント欄で色々勉強させて頂いています。まあ、MMTに関しては、もうどうでも良いかなと思っています。視点は新鮮ですが、支持する方の多くは積極財政でもっとお金が欲しい、税金を払いたく無いという方が多い。要は自民党の利権に連なる人と、生活が苦しいネトウヨ層が、MMTを支持しています。最近の財政拡大の免罪符として機能していますが、インフレ率が高まれば、MMTは忘れ去られる。
本日は、最近の議論を、私なりにまとめてみました。
https://blog.goo.ne.jp/ponpoko2022/e/154d6f5550dc827a725431e1a37d68ca
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1604.html#c30