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2022年 07月 18日
光カートリッジの音はなぜ違うか?
https://tannoy.exblog.jp/32737018/
光カートリッジに出会ったのは、去年の三月でした。その驚きは大きく、50年以上関わり合ってきたレコードの再生を根本から見直すことになったのです。私自身は、音の差に驚いても、科学的に(懐疑的に)比較して納得しないと変化はしません。それから、光カートリッジの仕組みから歴史を学び始めました。そこへ知人が、自身はGrand Masterにグレードアップしたので、それまでのフラグシップのMaster1を貸してくれたのです。渡りに船どころか、火に油を注ぐ効果がありました。
それから、光でGRFを鳴らしたり、しばらく聞かなかったレコードを引っ張り出してきたり、雪解けの洪水のようにアナログが流れ込んできたのです。うれしい悲鳴でした。光にした時の驚きは、二つありました。一つは今まで聞いたことのないような音が聞こえてきたことです。レコード自身の雑音が消えて、雑音に埋もれていた色々な音が浮かび上がってきたのには驚きました。理由は、レコードに起因していたレコードとの摩擦音や、ターンテーブルからのゴロや磁気回路特有のハム的な雑音がないのです。理由は磁気回路からくる歪みや、入力トランスのシールド不足によるSNの悪さがないからです。
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光カートリッジの最大の驚きは、その静かさにあると言えましょう。レコードが新品であろうとも、今まではカートリッジは、レコード固有の雑音からは逃れませんでした。CDやSACDに比べて、どうしてもSN比ではレコードは劣っていたのです。ダイナミックレンジが違うからです。レコードのイコライザーは、小さな出力時の信号の状態で40db(100倍)にも及びます。問題はレコードの溝をあまり幅が取れないので、大振幅の低音は、小さくして溝に刻んでいます。
それに加えて、MM型やMC型のように磁力線をコイルが横切って発電する速度比例型のカートリッジでは、磁力線を横切るスピードの速い方が大きな出力を発生して、周波数が低い低音部の出力は小さくなります。それを補うために再生時に20Hzで、基準の500Hzに比べて20db(10倍)も大きくしなければなりません。その時、信号だけではなく雑音も大きくなり、低域の雑音や分解力が劣ります。
光カートリッジは、振幅に比例する形の発電機構なので、低い周波数でも高い周波数でも出力自身の大きさは変わりません。そのため、低域では、イコライザーカーブの下まで再生してしまいますので、 30Hzから下は6db/octで切ってあります。逆にいうと低域を持ち上げなくても楽々と低音が再生されます。この差は大変な違いです。速度比例型のイコライザーカーブで500Hzから2.12KHzまでは、レコードではフラットですが、MM型やMC型のような速度比例型では、その間出力が大きくなります。その分だけ、振幅比例型の光カートリッジのイコライザカーブは500Hzk→2KHzの周波数が4倍になる分、12dbだけ上げてあります。
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言い換えれば、MM・MC型の40dbのイコライザーカーブの代わりに、12dbだけしかないのです。そして30Hzまでフラットに再生するのです。その差は大きいのです。初めてH氏邸で、光カートリッジに出会った時の衝撃は、忘れません。
何だ!これは?と言うのが偽らざる第一声ですね。針がレコードを摩擦して出している音ではありません。ヒスがないテープのような音です。物理的な作用で音が出ているのではなく、reel to reel tapeや、現代のデジタル録音を聞いている感覚です。そして38/2トラ特有の余裕のある低域が聞こえてくるのです。低音の出方がレコードではなくテープの音なのです。レコードからどうしてこの様な音が?と言うのが最初の感覚、そして、沢山のなぜが浮かんできました。Hさん見たくテープファンでないと、この音には行かないかもしれませんが、私も同感でした。
大山さんも加わり、他のレコードを聴きました。事前に聞くレコードを超音波装置でしっかり洗っておくことが大事ですが、スクラッチノイズは音楽とは別の次元で鳴りますから、さほど気になりませんが、きれいに洗ったレコードの驚異的な静けさが一番印象的でした。
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この出会いが全ての始まりでした。
どうして、こんなに静かなのか?
どうして内周に行っても音が変わらないのか?
どうしてレコード特有の擦過音がしないのか?
どうしてこんなに安定してレコードがかかるのか?
これは今も不思議です。磁力で動くMM型やMC型とは根本的に違う原理で、光カートリッジは動いているからですね。イコライザーで低域を持ち上げないからという理由と、レンツの法則で磁力線を横切るコイルで発電する方法は、常に磁力の反発を受けていて、音に影響を及ぼしているからです。レコードの外周では90センチもある線速度が、最内周では40センチ以下に落ちます。その情報量の差に加えて、最内周ではリニアトラッキングアームではない普通のアームでは、左右の音のズレがより大きくなり、右と左では時間軸がずれた音を出していたのです。
このことから、光カートリッジだからこそ、リニアトラッキングアームの必要性が増したわけです。
続きます・・・
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