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[政治・選挙・NHK296] トランプ返り咲きで「3つの悪」が暴走…問われる日本の民主主義 金子勝の「天下の逆襲」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
61. 秘密のアッコちゃん[1004] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月14日 07:13:31 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[569]
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[社説]石破政権は責任ある与野党協議で政策進めよ
社説
2024年11月11日 19:00 (2024年11月11日 23:15更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK113UB0R11C24A1000000/
特別国会の首相指名選挙で石破茂首相(自民党総裁)が再び選出された。
第2次内閣が始動する。
衆院選で自民、公明両党を合わせた議席が過半数を割り込み、少数与党での不安定な政権運営を余儀なくされる。
野党の賛成なしでは予算案も法案も成立させられず早晩行き詰まる。
政策ごとに野党の協力を得ながら懸案を処理していく必要がある。
着実に成果を積み重ねて国民の信頼を取り戻す他ない。
■首相先頭に信頼回復を
首相は2024年11月11日夜の記者会見で、自民党の政治改革の案をとりまとめ、野党とも協議し2024年年内にも必要な法制上の措置を目指す考えを明らかにした。
半導体や人工知能(AI)分野に10兆円以上の公的支援をする意向も示した。
衆院の首相指名選挙は決選投票となり、首相が立憲民主党の野田佳彦代表を上回った。
衆院の常任委員長人事では、野党が衆院解散前の2ポストを上回る7ポストを手にした。
国会論戦の花形と言われる予算委員長も含み、与党は国会運営を主導しにくくなる。
自民党派閥裏金問題の真相究明と再発防止策をはじめ党のガバナンス改革に指導力を発揮し、踏み込んだ行動を示すよう求める。
政治改革特別委や法務委の委員長ポストは立民が掴んだ。
中略
国政に足踏みしている余裕はない。
内外に課題が山積している。
人口減・少子化と超高齢化社会を支える社会保障は持続可能な制度づくりが待ったなしだ。
日本経済が活力を取り戻すための成長戦略や資産運用立国への経済政策も岸田前政権から引き継がれた。
中略
エネルギー、経済、食料にまで及ぶ安全保障も長期の視点で最適解を見いだすのは国政の役目だ。
米国第一主義を掲げるトランプ前大統領の返り咲きが決まり、多国間の枠組みや安保政策、貿易への影響も懸念される。
それらは日本の国益に直結する。
政府は強固な日米同盟を維持しつつ、対米政策や国際協調に主体的に関わっていく努力が必要である。
ウクライナや中東では国際世論の警告を無視する形で戦線が拡大している。
ウクライナのゼレンスキー大統領は1万人を超える北朝鮮兵がロシアに送り込まれ、戦闘に参加していると語った。
北朝鮮に加え中国の軍事的脅威に日本は晒されており、抑止力を高めるべきだ。
同時に、隣国で経済的な繋がりが深い中国と対話を太くする取り組みも欠かせない。
政権基盤がぐらついて外交に影を落とせば国益を損なう。
政府はこれまでのように法案を原案通りに成立させるのは難しくなる。
国会提出前に与党の意見を反映して了承を求める事前審査と野党との交渉の並行作業になる。野党から内閣不信任案が提出される可能性もあり、与野党で合意を作れるかが試金石となる。
与野党で税制や社会保障、安全保障といった国の根幹の政策を議論し直す機会に出来ないか。
国民の目に見える形で知恵を出し合い、幅広い声を汲み取った政策を実現するのが与野党伯仲の選挙結果に込められた民意だろう。
■野党も建設的に関われ
野党側にも注文をつけたい。
衆院選の公約に拘る余り要求の言いっ放しでは困る。
政策に必要な財源について経済成長による税収増や予算の使い残しで対応するだけでは無責任だ。
野党の主張を与党が丸吞みする展開が繰り返されると財政や税制に歪みが生じ、将来に禍根を残す。
国民に本当に必要な政策と考えるなら、建設的な提案や与野党協議、国会審議を通じて実現を促す役割が少数与党時代の野党に求められる。
国民に耳の痛い負担の議論からも逃げずに、持続可能な社会への改革案を競ってほしい。
政策を磨いて政権担当能力を示すことで国民の安心感に繋がり、政権交代への道も広がっていくだろう。
国政が停滞し、国民生活に支障が生じる事態は避けなければならない。
欧州では近年、少数与党や連立政権の国が少なくない。
日本でも政党の調整力が試される。
形骸化が指摘されてきた国会を与野党の熟議で活性化させたい。
来年2025年夏には参院選や東京都議選を控え、内向きの政争にかまければ国民の厳しい評価に晒される。
政治の力量を示す時だ。

第2次石破内閣 不安定な政権はいつまで続く
2024/11/12 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241111-OYT1T50225/
衆院選で惨敗したにもかかわらず、何事もなかったかのように第2次石破内閣が発足した。
国民の代表で国権の最高機関である国会の決定は尊重されなければならないが、憲政の常道に反するような無理押しの体制では、国政の混乱が長期化しかねない。
石破首相が衆参両院で行われた首相指名選挙を経て、引き続き政権を担うことになった。
衆院の1回目の投票では誰も過半数を得られず、石破氏と、立憲民主党の野田代表の上位2人による決選投票となった。
国民民主党などが決選でも党首名で投票した結果、それらが無効票となって、石破氏の選出となった。
首相は国民民主に協力してもらい、政権を維持しようとしている。
だが、国民民主は自らの主張が通れば賛成するだけで、政権運営全体に責任を負うわけではない。
政策の根拠となる財源の確保は、与党任せにしようとしている。
こうした権力基盤が 脆弱な政権の下、国民に負担を求める施策を前進させることができるのか。
政府は安全保障環境の悪化を踏まえ、防衛予算を段階的に増額しているが、その財源となる所得税などの増税時期は未だに決まっていない。
少子化対策のための、医療保険に上乗せして徴収する支援金の具体化もこれからだ。
国会運営も厳しさを増しそうだ。
衆院選の結果、衆院に17ある常任委員会のうち、野党の委員長は2人から7人へと増えた。
立民は、国会審議の花形とされる予算委員長の他、法務委員長などを確保した。
野田氏は選択的夫婦別姓の実現に拘っており、法務委員会で関連法案を審議、採決を急ぐ狙いのようだ。
社会に大きな影響を与えかねない選択的夫婦別姓については、拙速な議論を避けねばならない。
近年は首脳外交の重みが増しているが、国益がぶつかり合う交渉の場では、基盤の弱い首相が強く出るのは難しい。
米大統領に返り咲くことになったトランプ氏が、一層の防衛負担を求めてくる可能性がある。
中国も、石破政権の足元を見透かしているに違いない。
首相が筋の通らない要求を呑まされたり、外交的な揺さ振りに晒されたりしているようでは、国益を損なう。
政治を安定させるには、自民党は公明党に加え、国民民主と正式な連立を組む必要がある。
そのためには、首相自らが進退にけじめを付けることが欠かせない。

不倫、居眠り、議場で記念写真…緩み切った国会議員に選良の矜持はあるのか
2024/11/13 6:00
https://www.sankei.com/article/20241113-HQVGAKHJ5ZOFXAHX4I6W4BJLJ4/
先の衆院選を受けて召集された特別国会の初日となった2024年11月11日、永田町では驚きの光景が見られた。
衆院選で躍進した国民民主党の玉木雄一郎代表は朝から不倫を
「概ね事実」
と認める記者会見を開き、石破茂首相(自民党総裁)は首相指名選挙中に居眠りをしていたとみられる。
自民の新人議員は撮影が禁じられている議場で記念撮影の大はしゃぎ。
緊張感に欠ける国会の開会となった。
■意気揚々と政策を述べた後…
「報道された内容は概ね事実だ」
「家族のみならず、期待を寄せてくれた全国の皆さんに心からお詫びを申し上げる」
2024年11月11日午前9時半過ぎ、国会内の会議室。
玉木氏は、一部で報じられた女性との不倫関係を認めた上で謝罪した。
遡ること30分前、首相と初の党首会談に臨んだ玉木氏は終了後、記者団に対し
「今こそ手取りを増やす経済政策をやるべきだ」
と、党の看板政策
「103万円の壁の見直し」
を訴えたことについて意気揚々と説明していたが、その直後に自身の不倫について緊急の記者会見を開くことになった。
衆院選で与党が過半数を割り、政権運営のカギを握る存在として脚光を浴びた矢先の不倫報道。
国民民主は早期の事態収拾を図るため、玉木氏の記者会見後の党両院議員総会で玉木氏の代表続投を確認し、同日午後の首相指名選挙では、決選投票も含めて玉木氏に投票することを決めた。
夜には東京・有楽町で玉木氏自らが街頭演説し、
「大事な時期にも関わらず、今回の騒動を起こしたことを悔やんでも悔やみきれない」
と重ねて陳謝した。
聴衆の多くは
「頑張れ」
と玉木氏に声援を送っていたが、不倫問題の影響について玉木氏周辺は
「まだ(どうなるかは)分からない」
と警戒している。
国民民主は与党に対し、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万の壁」
の見直しを求めている。
ただ、巨額の税収減も想定されるため、どこまでその主張が通るのかは見通せない。
自民重鎮は不倫を認めた玉木氏について
「政策しか道がなくなった」
と語る。
訴えてきた政策を確実に実行できなければ存在感が急低下する可能性もある。
■周りに注意する人もなく
2024年11月11日は午後にも驚くべきことがあった。
少数与党に転落し、
「薄氷を踏む思いの国会運営」(自民幹部)
を迫られる首相は、週末にも公明党や日本維新の会との党首会談があるなど予定が立て込んで疲れていたのか、衆院本会議での首相指名選挙中に居眠りをしていたと見られるのだ。
投票の際、腕を組み、目を瞑って下を向いていた。
X(旧ツイッター)に動画が投稿され、立憲民主党のベテラン議員は
「寝ていたとすれば、著しく緊張感に欠ける」
と苦言を呈した。
林芳正官房長官は同日夜の記者会見で首相が風邪気味で風邪薬を服用していたと説明。
実際、首相は2024年11月9日夜、病院で診察も受けていた。
国会での国会議員の居眠りは問題だが、それ自体は珍しいことではない。
ただ、首相の場合は体調がすぐれず、風邪薬の影響があったことを差っ引いても、自身に関わる重要な首相指名選挙の最中に、緊張感を保つことはできなかったのだろうかと疑問に思う。
「信じられないほどの体力だ」
と周囲が語った岸田文雄前首相が国会で居眠りをしているところを見たことはない。
自民党関係者は
「普通は周りの誰かが注意すると思うけど…」
と指摘するが、そうした配慮もなかった。
首相は特別国会が閉会する2024年11月14日から2024年11月21日の日程で南米を訪問し、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席する。
滞在中は中国の習近平国家主席との初会談を調整している他、米国に立ち寄りトランプ次期米大統領と初の対面会談も目指している。
石破外交の手腕が試される時だ。
日本のリーダーとして万全の体調で会談に臨んでもらいたい。
■大はしゃぎの画像が拡散
新人議員が議場で大はしゃぎする場面もあった。
衆院選で初当選した自民の福田かおる衆院議員はSNSで、議場の自席に座り、同じく初当選した向山淳衆院議員(自民)にスマートフォンで撮影してもらい、笑顔で画像を確認する動画が拡散した。
衆院規則211条は議員について
「議院の品位を重んじなければならない」
と規定しており、議場内での撮影禁止と解釈されている。
福田氏は即座にX(旧ツイッター)で
「議場での撮影が禁止されていることを知らず、本日、写真を議場内で撮影をしてしまいました」
「お詫び申し上げます」
「より一層勉強すると共に、気を引き締めて参ります」
などと書き込み、向山氏もXで陳謝した。
厳しい選挙を勝ち抜き、初登院で気分が高揚するのは理解できる。
ただ、福田氏は元農林水産省職員で法相秘書官を務めた経験もある。
国会の基本的なルールを知らなかったとは残念だ。
国のルールである法律を作ることが国会議員の重要な仕事だ。
与野党共に選良であることの矜持を持って国内外に山積する課題に取り組み、結果を出さなければ政治が信頼を得ることは難しいだろう。

加賀孝英「スクープ最前線」
トランプ氏は石破茂首相とは「合わない」 すでに優先順位低下「安倍氏が『絶対に首相にしてはならない』と語った理由…情報を得ている」
2024.11/12 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241112-YKVRLBXPA5J5PAK2ZE2UFZ4MWQ/
米大統領選で、ドナルド・トランプ前大統領が圧勝した。
来年2025年1月20日の就任式後、ホワイトハウスへの凱旋を果たす。
2022年7月8日、あの奈良での凶行さえなければ、安倍晋三元首相は密かに意欲を燃やしていた3度目の首相登板を果たし、
「トランプ&安倍」
という全世界が認めた黄金コンビが復活していたはずだ。
日本がもう1度、この危機的状況の世界で
「真に輝ける国」
になれたのではないかと思うと、心底残念でならない。
こうした中、旧知の米政界関係者や米情報当局関係者から驚愕情報を入手した。
既に、トランプ氏の政権移行チームは、来年2025年の第2次政権スタートに向けて、
「MAGA(米国を再び偉大に)2・0」
戦略を本格始動させている。
トランプ政権が展開する
「中国封じ込め戦略」
の要として、日米同盟を重視する姿勢は変わらない。
だが、トランプ氏は、石破茂首相を
「合わない」
と感じ、優先順位を下げているという。
初めての電話会談も、たった5分。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は25分、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12分だった。
トランプ氏の態度の理由は、概略以下の通りだ。
「トランプ氏は、盟友である安倍氏が生前、石破首相について『絶対に首相にしてはならない』と周囲に語っていたこと、その理由についても情報を得ている」
「トランプ氏は、中国からの輸入品に60%の関税をかけるなど、中国共産党を追い込む対中強硬策をやる方針だ」
「一方で、トランプ陣営は、石破内閣について『親中』傾向が強いとみている」
石破首相は、2024年11月15〜16日にペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議、2024年11月18〜19日にブラジルで開催のG20(20カ国・地域)首脳会議に出席する予定。
これに合わせて、ジョー・バイデン米大統領、中国の習近平国家主席とそれぞれ会談する意向だ。
これが、トランプ氏周辺を刺激したという。
前出の米政界関係者と米情報当局関係者の情報は、次の通りだ。
「問題は、バイデン氏との日米首脳会談だ」
「石破首相は会談の目的を『日米同盟の強化』と『岸田文雄前首相の路線継承を伝える』と説明している」
「トランプ氏は、バイデン政権のウクライナへ支援などを厳しく批判し、『戦争を終わらせる』と繰り返し発言してきた」
「岸田路線とはバイデン政権への追随と見ており、トランプ氏が石破首相を遠ざけるのは当然だ」
加えて、石破首相は、米シンクタンク「ハドソン研究所」のホームページに、
「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」

「日米地位協定の見直し」
などの持論について寄稿し、国内外の専門家を
「荒唐無稽だ」
と呆れさせた。
怒りを込めて言う。
石破首相の迷走は最悪だ。
日本に危機を呼んでいる。
中国と北朝鮮、ロシアが暴走を始めている。
このままでは日本は潰れてしまう。

自民党が信頼を失っている原因は「政治とカネ」の問題だけでなく、より本質的な原因は「左傾化」にある。

「石破さん、間違ってるだろう」 自民にも立民にも蔓延する無責任体質
一筆多論
2024/11/12 8:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BGT4KAQX75L33J34DPGTSJW6CQ/
石破茂首相の座右の銘は
「鷙鳥不群(しちょうふぐん)」
である。
鷲のような鳥は群れずに行動するとの意味だ。
首相は平成29年のインターネット番組で、この言葉に触れ
「群れて、わらわらやるの嫌いなんです」
「『間違ってるだろう、これ』っていうのを誰かが言わないと」
「誰も言わなくなったら終わり」
と語っていた。
ならば言う。
「石破さん、間違ってるだろう、これ」
首相は衆院選で勝敗ラインに据えた与党過半数を実現できなかったのに続投している。
何事もなかったかのように国民民主党との政策協議を進めている。
首相が非主流派ならば
「間違ってるだろう」
と叫び、退陣を求めていたに違いない。
この異常事態に自民党議員がおとなしい。
「政権陥落の危機に内輪揉めをしている場合ではない」
との理由らしい。
「石破首相にややこしい問題をやらせ、来年2025年の参院選前に新首相でV字回復すればいい」
との声もある。
平成13年に不人気の森喜朗氏から小泉純一郎氏に首相が交代し、爆発的人気でその後の参院選に勝ったことが念頭にあるのだろう。
自民は、なぜ国民の信頼を失ったのかをまだ分かっていない。
派閥のパーティー収入不記載もさることながら、不記載の経緯は解明されず、当事者は
「知らなかった」
の言い訳ばかり。
皆が責任を回避する不道徳な姿勢を見透かされた。
今回もトップが責任を取らず、責任追及も甘い。
こんな醜態は、子供の教育上、よろしくない。
では、立憲民主党に政権を任せていい、ともならない。
野田佳彦代表は衆院選で
「自民の平成以降の首相は菅(義偉)さん以外は全部世襲だ」
と主張した。
これは明確な間違いだ。
世襲を
@親族に国会議員がいて地盤を継承
A父母や祖父母が国会議員
のいずれかと定義すると、平成以降の自民の首相14人中、非世襲は竹下登、宇野宗佑、海部俊樹、森、菅各氏の5人。
非自民の首相は6人。
うち2人(羽田孜、鳩山由紀夫両氏)は世襲で、いずれも約3人に1人の割合だ。
衆院選の候補では、自民の世襲は97人で28・4%の割合だった。
全候補の世襲が136人、10・1%なので確かに多い。
一方、立民は小沢一郎氏ら27人、11・4%で、平均を上回った。
野田氏は、立民は約1割だからよく、自民は約3割だからダメというのか。
野田氏は選挙中、この点を産経新聞記者に聞かれると
「世襲の人たちも含めて政治団体や政治資金の相続をできないようにする法案に皆賛成しているので全然違う」
と色をなして反論した。
何が
「全然違う」
のか理解に苦しむ。
野田氏は民主党伝統の
「ブーメラン」
の名手でもある。
平成21年衆院選で
「マニフェストに書いてあることは命懸けで実行する」
「書いていないことはやらない」
と訴えた。
民主党政権でマニフェストの多くが実行できなかったことは周知の通り。
自身が首相に就くと、マニフェストに書いていない消費税の増税を決めた。
ルールを守らず、発言に責任を持たず、失敗の責任も取らない。
政治家とて人間。
聖人君子たれ、とは言わないが、論語の
「君子はこれを己に求む 小人はこれを人に求む」(リーダーは責任を取る)
ぐらいは実践できないものか。
辞書に
「政治家=噓つきのこと。無責任のたとえ」
と書かれないためにも。
(政治部長兼論説委員)

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
特別国会が召集され、衆院での首相指名選挙の決選投票で、石破茂首相(自民党総裁)が立憲民主党の野田佳彦代表を破り第103代首相に選ばれた。
宮中での親任式などを経て第2次石破内閣が発足した。
石破首相は衆院選で、自身が設定した与党過半数という勝敗ラインを達成できなかった。
国民の信を得られなかったにもかかわらず石破首相も森山裕幹事長も責任を取って辞任することはなかった。
憲政の筋を踏まえない首相続投は残念である。
石破首相に批判的な自民議員は少なくない。
彼らが首相指名選挙で石破氏を選んだのは、安全保障政策などで非現実的な立民の野田氏に国の舵取りを任せるわけにはいかないと考えた末の苦渋の選択だろう。
■少数与党で展望描けず
30年ぶりの少数与党政権として石破首相は再出発を図る。
国内外の課題は山積し、政権基盤が脆弱とあっては石破首相の前途は多難という他ない。
国政の停滞を憂えるばかりだ。
真っ先に取り組むことになるのは政治とカネを巡る問題である。
石破首相は、2024年年内召集予定の臨時国会に政治資金規正法の再改正案を提出し、成立を期す必要がある。
政治資金の透明性確保とパーティー収入不記載事件の再発防止に決着を図らなければならない。
政策活動費廃止や調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開、政治資金を監視する第三者機関設置などが焦点とされるが、外国人・外国法人のパーティー券購入の禁止も不可欠の課題である。
自民、公明両党の与党は衆院でキャスチングボートを握る国民民主党と、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万円の壁」
の解消などについて協議しているが、財源確保の問題もある。
重要なのはデフレからの完全脱却に向け、物価上昇を上回る賃上げを確実なものにし、自律的な経済成長を実現することだ。
衆院が過半数割れである以上、野党側との政策協議は欠かせないが、経済財政運営の大局は見失ってはならない。
最も懸念されるのは、国会運営の混乱で日本の政治が内向きに終始し、国の平和と独立、国民の安全を守る政策遂行が疎かになってしまうことだ。
外交安全保障への関心を失っては大変なことになる。
米国との同盟関係は、国家安全保障にとって死活的に重要である。
石破首相は、米大統領選に勝利したトランプ前大統領と早期に直接会談し、同盟強化を確認しなければならない。
中国、北朝鮮、ロシアの脅威に直面する日本は、日本防衛や台湾有事、朝鮮半島有事への米国の関与を常に確かなものにしておく必要がある。
トランプ氏の関心を、日本および北東アジア、インド太平洋にも向けさせるのは石破首相に課せられた最も重要な責務である。
■国の「基本」を守り抜け
ロシアのウクライナ侵略は続き、派兵された北朝鮮軍がウクライナ軍と交戦する事態となった。
「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を石破首相は忘れず、侵略者ロシアが凱歌をあげるような展開を許さない外交を展開すべきである。
中東は喫緊の課題だ。
戦火が拡大し、イスラエル・イラン間の
「第5次中東戦争」
の様相を呈する恐れがある。
イランなどにいる日本人の帰国や安全確保を急ぐべきだ。
エネルギー需給の面からも備えてほしい。
防衛力の抜本的強化を確実に進めたい。
募集難になっている自衛官確保策の推進や、有事を想定した空港、港湾、シェルター建設も課題だ。
もう1つ懸念されるのは、与党が目先の国会運営に捉われて、十分な議論もなしに国や社会の基本を乱す施策を受け入れてしまうことだ。
自民は衆院で、予算委員会や法務委員会の委員長、憲法審査会の会長などの重要ポストを立民に譲った。
憲法審会長に就く立民の枝野幸男元代表は改憲の動きにブレーキをかけてきた人物だ。
憲法審の議論が滞るなら改憲に前向きな政党で改憲原案の条文化を進めるべきだ。
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

石破茂首相の居眠り? 林芳正官房長官は「風邪薬を服用」と釈明
2024/11/12 0:17
https://www.sankei.com/article/20241112-VDNXTOP5VVMO7F2GO4LVLL5BCA/
林芳正官房長官は2024年11月11日夜の記者会見で、石破茂首相が同日の衆院本会議での首相指名選挙中、しばらく俯き、目を瞑る一幕があったことについて
「(首相は)深夜まで多忙を極める毎日を送っているが、本日は風邪気味で風邪薬を服用していたと聞いている」
と釈明した。
X(旧ツイッター)上に関連の動画が投稿され、
「居眠りをしている」
などのコメントが寄せられていた。
林氏は
「風邪気味であることを除けば、健康状態に何ら問題はない」
と語った。

石破茂首相、政治資金規正法再改正「年内にも」 内閣発足後会見「協力得られるよう努力」
2024/11/12 0:10
https://www.sankei.com/article/20241112-AWVOUTXCYRINHOQ53ZYLQ4L3NI/
石破茂首相は2024年11月11日、第2次内閣の発足後に記者会見した。
自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革について
「速やかに自民党案を取りまとめ、2024年年内にも法制上の措置を可能とするべく、多くの党の協力を得られるよう努力する」
と述べ、政治資金を監視する第三者機関の設置など、政治資金規正法の年内の再改正を目指す考えを表明した。
歳費法の改正を伴う調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開・残金返納や、政策活動費の廃止についても
「党内の意見を早急に取りまとめ、各党、各会派との調整を精力的に進めたい」
と述べた。
野党が主張する企業・団体献金の廃止に関しては
「各党が色んな考え方を持っているので、それが国民に分かる形で議論し、早急に結論を出すことが必要だ」
と述べるにとどめた。
与党過半数割れを受けた国会運営については
「丁寧にやりながら、尚且つ迅速に結論が出るという二律背反みたいなことを満足させるためには、かなりの工夫が必要だ」
と指摘した。
次期春闘での持続的な賃上げや最低賃金の引き上げに向け、今月2024年11月にも政労使の意見交換を開催すると表明。
交流サイト(SNS)などで繋がって強盗や特殊詐欺を繰り返す
「匿名・流動型犯罪グループ」
の摘発に向けた取り組みを推進する考えを強調した。

「互いの利益になる提案を」石破首相、トランプ氏との早期会談に意欲 14日から南米訪問
2024/11/11 23:26
https://www.sankei.com/article/20241111-V2MPR755OBGIJCIGU2HQ56OYWQ/
石破茂首相は2024年11月11日夜、第2次石破内閣の発足を受けて官邸で記者会見し、トランプ次期米大統領について
「なるべく早いタイミングで直接会談する機会を持ちたい」
と述べ、早期の会談に意欲を示した。
その上で、
「米国には米国の、日本には日本の国益がある」
「正面からぶつかってもどうにもならない」
「相乗的にお互いの利益に、アジア太平洋地域の平和と安定に資するものだということをどれだけ提案するかだ」
と述べ、
「どれだけ譲るとか譲らないとか、そういうのは、ディールの世界に尽きるものだと私自身は思っていない」
と語った。
トランプ氏の掲げる政策について、
「大統領選中も色々な主張をしていた」
「ウクライナについて、ガザについて、同盟関係について然り」
「どのような政策を打ち出していくかは現在予測つくものではない」
「選挙期間中にどういう発言したかを詳細に分析する」
と述べるにとどめた。
また、首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するため、2024年11月14日から南米を訪問すると表明した。
バイデン米大統領、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との会談にも意欲を示した。

石破首相、年収の壁見直し「真摯に検討」 国民民主党の主張「多くの支持は極めて重要」
動画
2024/11/11 23:11
https://www.sankei.com/article/20241111-GMXWDYQA4RC3BCBLDJG3WVBLHE/
石破茂首相は2024年11月11日夜の記者会見で、国民民主党が主張している年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の見直しについて、
「与党として真摯に検討する」
と述べた。
今後、両党の政調会長と税調会長の間で
「丁寧に協議を進めていきたい」
とも語った。
首相は、国民の手取りの増え方や労働市場への労働力の供給拡大などに加え、減税に伴う税収全体への影響などを
「精密に計算していかなければならない」
と指摘。
ただ、先の衆院選で国民民主党が見直しの主張を掲げ、
「多くの支持を得たことは極めて重要なことだと思っている」
とも述べた。

石破首相 旧文通費使途公開と残金返還に意欲 政治改革、年内の法整備へ努力 官邸で会見
2024/11/11 22:53
https://www.sankei.com/article/20241111-POJ6XHBHNRAUTNCYOTQLLIJVEI/
石破茂首相(自民党総裁)は2024年11月11日夜、第2次石破内閣の発足を受けて官邸で記者会見し、政治改革に関して
「速やかに自民党案を取りまとめ、2024年年内にも法制上の措置を可能とするべく、多くの党の協力を得られるように努力する」
と強調した。
国会議員に1人当たり月額100万円が支給される
「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)
の透明化を急ぐ考えを示し、
「使途の公開、残金の返還について早急に国民に結論を示す」
と述べ、歳費法の改正に意欲を示した。
使途公開が不要な政策活動費の廃止に関しても
「各党各会派に議論してもらい、早期に結論を得るべく、私自身、誠心誠意尽力する」
と述べた
政治資金の透明化に向け、プライバシーへの配慮などのため使途の公開が困難な部分について、独立した第三者機関の監視下に置く必要性に改めて言及した。
政治資金収支報告書のデジタル化に関しては、
「誰もが容易に内容を確認できるデータベースを構築することは喫緊に行う改革だ」
と強調した。
派閥政治資金パーティー収入不記載事件の関与が指摘された議員らに対し、衆参両院の政治倫理審査会への出席を重ねて促した。

石破茂首相、少数与党で険しい政権運営 くすぶる「予算花道」退陣論
2024/11/11 20:01
https://www.sankei.com/article/20241111-T2IXWU2GR5NGTDYPTH3N4OJLYQ/
30年ぶりの決選投票の末、首相指名選挙で選出された石破茂首相(自民党総裁)だが、前途多難な状況は続いている。
先の衆院選で与党過半数割れとなり、少数与党として臨む今後の国会は、多数派工作が奏功しなければ短命となる懸念もある。自民内には通常国会での令和7年度予算成立を花道とした退陣論がくすぶっており、首相は党内外を意識した難しい政権運営を迫られる。
特別国会召集日の2024年11月11日に国会内で開かれた自民の会合で、首相は
「選挙で示された国民の声に応え、我が党一体となり、総力を挙げて難局を乗り切りたい」
と呼び掛けた。
衆院選での大敗により
「自民党・無所属の会」
と公明党の与党会派の勢力は計220人にとどまり、衆院過半数(233)に届いていない。
衆院選では派閥パーティー収入不記載事件の影響が払拭できずに厳しい結果となり、第2次石破政権は厳しい船出となる。
過去に少数与党として臨んだ内閣には、政権運営に苦しみ、短命となったケースもある。
平成6年に発足した羽田孜内閣は、首相指名直後に社会党が連立政権から離脱。
少数与党となり、政権基盤が安定せずに総辞職に追い込まれた。
在職期間は64日間で、戦後2番目の短さとなった。
衆院選での与党大敗は国会のポストにも影響を及ぼしている。
自民は衆院予算委員長など複数の主要ポストを野党側に譲った。
国会運営を円滑に行うために譲歩したとみられるが、予算委員長は議事進行などで大きな権限を持つ。
そのため、政権幹部は
「予算委員会で政府側の答弁に納得いかなければ、『もう1度答えなさい』という場面も出てくるのでは」
と懸念する。
自民内ではこれまでのところ
「石破おろし」
の表立った動きは見られないが、令和7年度予算を成立させた後の退陣論も囁かれる。
少数与党として臨む予算審議では、野党から予算委への頻繁な首相出席など様々な要求が出ることも予想され、予算案に賛成する条件として石破政権の退陣を突き付けられる可能性もある。
自民ベテランは
「普通に考えれば、来年2025年度予算成立後に退陣だろう」
「今は『石破おろし』をするタイミングではない」
と指摘する。
ただ、自民重鎮は
「政治とカネ」
の問題を巡る自民への逆風が収まらないことを念頭に
「首相が交代したところで、何か得るものがあるわけでもない」
と溜息をついた。

(※金カギでお願いします)「野党」で過半数も首相指名選挙勝てず 各党が「わが道」 立民・野田氏は結集へ努力強調
2024/11/11 19:52
https://www.sankei.com/article/20241111-WGTES5CYZVN2DPEOX2OWFTLBEE/
衆院選で自民、公明両党を過半数割れに追い込んだ主要野党だが、2024年11月11日召集の特別国会で行われた首相指名選挙では各党が
「我が道」
を歩んだ。
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月11日の衆院本会議後、記者団に野党を結集できなかった責任を問われ、
「本当に政権を取りに行くという共通認識を作りきれていなかった」
「結集できなかったことは不徳の致すところだ」
と述べた。
同時に来夏2025年夏の参院選や次期衆院選に向け、野党の結束点を見い出せるよう努力を重ねる考えを強調した。
衆院選で野党は過半数を握ったにもかかわらず、決選投票の結果は石破茂首相(自民総裁)が221票、立民の野田氏が160票、無効票が84票だった。
「野党の盟主」
である立民がリーダーシップを発揮できず敗れ、野党各党がそれぞれの道を歩み出した1日でもあった。
選挙後、最も注目を浴びた国民民主党は玉木雄一郎代表に投票した。
「手取りを増やす」
政策を掲げて躍進し、
「政策実現」
に向け与野党との攻防を繰り広げ新しい野党の可能性を示しつつあった。
だが、特別国会初日に玉木氏の不倫報道が直撃。
玉木氏は国会内の党会合で謝罪し、
「政策実現に向けて全力を傾けていきたい」
と語った。
国民民主に対し、野党的な性格を強めそうなのが日本維新の会だ。
首相指名選挙で2回とも馬場伸幸代表に入れた。
馬場氏は2024年11月11日、国会内で記者会見し、今後の在り方について
「結党以来、与野党と『是々非々』でやってきた」
と述べた。
馬場氏は前日の首相との会談でも政府・自民に厳しく臨む姿勢を示している。
一方、共産党は決選投票で野田氏に投じ、
「立憲共産党」
を演じた。
田村智子委員長は2024年11月11日、国会内での記者会見で衆院選で示された民意は
「自公政権ノー」
だと説明。
公示前よりも議席を減らしており、今後の国会運営などで立民に付いた方が得策と判断したようだ。

石破首相、指名選挙で居眠りか うつむき目つぶる 「著しく緊張感に欠ける」野党苦言
2024/11/11 18:26
https://www.sankei.com/article/20241111-NF544UFRJFPCZLG44MZ67YUZKE/
石破茂首相が2024年11月11日の衆院本会議での首相指名選挙中、しばらくうつむき、目をつぶる一幕があった。
X(旧ツイッター)に関連の動画が投稿され
「よく寝ていられるな」
といったコメントが寄せられた。
野党からは
「寝ていたとすれば、著しく緊張感に欠ける」(立憲民主党ベテラン)
と苦言が呈された。
首相が目をつぶっていたのは、1回目の投票時で、他の議員が点呼されている最中とみられる。
隣席の林芳正官房長官が心配したように、首相を見やる場面もあった。

石破首相、45年ぶりに衆院過半数得ずに首相就任 決選投票でも届かず 大平正芳氏以来 
2024/11/11 17:34
https://www.sankei.com/article/20241111-SCHIQQ4DTFD2DMLVNW2LHCAA6A/
衆院は2024年11月11日の本会議で首相指名選挙を行い、決選投票の末に石破茂首相(自民党総裁)を第103代首相に指名した。
ただ、得票数は決選投票でも221票に留まり、過半数(233)には届かなかった。
衆院議員総数に対する比率は47%強。
衆院で過半数を割る得票数で首相に就任するのは、昭和54年、自民党の大平正芳元首相以来、45年ぶりとなった。
衆院規則では、首相指名選挙で過半数を得る候補がいなかった場合は、上位2人による決選投票を行うと定めている。
決選投票では、より多くの得票を得た候補を首相に指名する決まりだ。
今回は、最初の投票で過半数を得た候補がおらず、石破首相と立憲民主党の野田佳彦代表による決選投票となった。
決選投票では野田氏に160票が投じられた他、その他の名前を記載し無効となった票が84票あった。
石破首相は最初の投票と同じ得票数だったが、数の上では野田氏を上回ったため、首相に指名された。
決選投票は過去4回行われた。
このうち、昭和54年11月、
「40日抗争」
と言われる保守分裂下で行われた決選投票では、衆院の過半数256に対して、首相に選出された大平氏が得たのは138票だった。
自民内の反主流派が担いだ福田赳夫元首相が121票を獲得。
野党などの無効票が252票あり、大平氏が指名された。

石破首相が第103代首相に 衆院決選投票で首相221票、野田氏160票、無効84票 
2024/11/11 16:20
https://www.sankei.com/article/20241111-245AB5LUGFALJHR723GSRD4RUQ/
衆院本会議で2024年11月11日午後、先の衆院選を受けた首相指名選挙の決選投票が行われ、石破茂首相(自民党総裁)が第103代首相に指名された。
石破首相は同日中に第2次石破内閣を発足させる。
第1回投票で上位だった石破首相、立憲民主党の野田佳彦代表の2人による決選投票で、石破首相は221票で野田氏の160票を上回った。
その他の名前を記載した84票は無効となった。
第1回投票では石破首相が221票、野田氏が151票で、いずれも過半数の233票を獲得できず、選挙は30年ぶりに決選投票に持ち越されていた。
その後行われた参院本会議は首相指名選挙の結果、自民党の石破首相を選出した。

首相指名選挙 決選投票の結果は?仕組みは?過去の決選投票も
2024年11月11日 16時37分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241111/k100146349110
総理大臣指名選挙は決選投票が行われ、衆参両院で総理大臣に指名された、石破総理大臣が第103代総理大臣に選出されました。
投票の結果や過去の決選投票などについて詳しくお伝えします。
目次
石破首相が第103代の首相に選出
★決選投票の仕組みは?
■石破首相が第103代の首相に選出
衆議院本会議での総理大臣指名選挙は、1回目の投票で決着が付かず、石破総理大臣と野党第1党の立憲民主党の野田代表による決選投票が行われました。
一方、与党が過半数を占める参議院本会議でもこれに先立ち総理大臣指名選挙が行われ、投票の結果、石破総理大臣が指名されました。
この結果、衆参両院で総理大臣に指名された、石破総理大臣が第103代総理大臣に選出されました。
投票結果は次の通りです。
■衆議院 1回目の投票結果
▽石破総理大臣 221票
▽立憲民主党 野田代表 151票
▽日本維新の会 馬場代表 38票
▽国民民主党 玉木代表 28票
▽れいわ新選組 山本代表 9票
▽共産党 田村委員長 8票
▽無所属 吉良州司氏 4票
▽参政党 神谷代表 3票
▽日本保守党 河村たかし氏 3票
■参議院 投票結果
▽石破総理大臣 142票
▽立憲民主党 野田代表 46票
▽日本維新の会 馬場代表 18票
▽国民民主党 玉木代表 11票
▽共産党 田村委員長 11票
▽れいわ新選組 山本代表 5票
▽国民民主党 伊藤孝恵氏 1票
▽参政党 神谷代表 1票
▽自民党 末松信介氏 1票
▽無所属 吉良州司氏 1票
▽自民党 茂木敏充氏 1票
▽白票 1票
衆議院 決選投票の結果
▽石破総理大臣 221票
▽野田代表 160票
▽無効票 84票
■決選投票の仕組みは?
総理大臣指名選挙の仕組みについて、改めて整理します。
総理大臣指名選挙は、衆参両院のそれぞれの本会議で行われ、投票は、1人の名前を書く「単記記名」の方式がとられます。
その投票総数の過半数を得た人が総理大臣に指名されます。
1回目の投票で誰も過半数に届かなかった場合には、上位2人の決選投票が行われます。
決選投票では、上位2人以外の名前が書かれた票は、無効票としてカウントされます。投票の結果、2人のうち、多くの票を得たほうが総理大臣に指名されることになります。
■過去の決選投票は?
総理大臣指名選挙の決選投票は現在の憲法のもとでは衆議院で4回行われてきました。
1948年:吉田茂氏と片山哲氏
終戦後の1948年に行われた総理大臣指名選挙。吉田茂氏と片山哲氏による争いは決選投票にもつれこみました。
その結果、吉田茂氏が総理大臣に指名されました。
1953年:吉田茂氏と重光葵氏
その5年後、1953年にも。再び吉田氏が決選投票に臨み、重光葵氏との争いを制し、総理大臣に選出されました。
1979年:大平正芳氏と福田赳夫氏
1979年には大平正芳氏と福田赳夫氏による決選投票に。自民党どうしの争いでした。
当時、自民党では衆議院選挙での敗北を受けて派閥が激しく対立する
「40日抗争」
が起きていました。
(浜田幸一氏)
「いいか、断わっとくけどな、かわいい子どもたちの時代のために自民党があるということを忘れるな。お前らのためにだけ自民党があるんじゃないぞ」
自民党から2人が総理大臣候補となる異例の事態。制したのは大平氏でした。
1994年:村山富市氏と海部俊樹氏
そして、直近では1994年。村山富市氏と海部俊樹氏の争いです。
政権復帰をねらう自民党が社会党とさきがけと組んで推した村山氏と、新生党や公明党などが推した海部氏。
決選投票の結果、村山氏が総理大臣に選出され、自民・社会・さきがけの3党連立政権が誕生しました。
■選挙後の各党の動きは
衆議院選挙で自民・公明両党が過半数割れとなる中、総理大臣指名選挙に向けて与野党はどう動いたのでしょうか。
今回の衆議院選挙で、自民・公明両党は合わせて215議席と、目標としていた過半数の233議席を下回りました。
こうした中、石破総理大臣は自らが続投し、連立政権を維持していく考えを示しました。
(石破首相 10月28日)
「現下の厳しい課題に取り組み、国民生活を守る、日本国を守るということで職責を果たしてまいりたい」
自民党は、野党と政策ごとに一致できる点を探りながらの政権運営を目指し、総理大臣指名選挙で石破氏が指名されるよう野党側と調整を始めます。
一方、選挙前の98議席から大幅に増やし、148議席となった立憲民主党。指名選挙に向けて、他の野党との連携を模索します。
(立民 野田代表 10月28日)
「自分がまず手を挙げて、ご協力をお願いをするというのが基本だろう。誠意ある対話を明日からでも始められればなと」
野田代表は、日本維新の会や共産党と党首会談を行い、決選投票になった場合は、自身に投票するよう呼び掛けました。
(野田代表 10月30日)
「政権を変えていく大きなチャンスでもあるので、首班指名選挙では私“野田”と、是非お願いをしますと」
(共産 田村委員長 10月30日)
「企業・団体献金の全面禁止。このことが確認をできれば、対応については前向きに検討をしたい」
一方、維新は。
(維新 馬場代表 10月30日)
「国民の皆さんがなるほどと思っていただけるような、やはり大きな大義、そういうものがなければ我々は与することはないと」
こうした中、注目されたのが、選挙前の7議席から4倍の28議席に増やした、国民民主党の動向です。
(国民 玉木代表 10月29日)
「私たちが欲しいのはポストではなくて、選挙で約束した手取りを増やす、国民の懐を潤す、経済政策の実現が欲しいんです」
玉木代表は、自民・公明両党の連立政権に加わらず、党が掲げた政策の実現に向けて政策ごとに協力できるか判断したいという考えを示しました。
その後、国民民主党は、自民党と幹事長会談を行い、新たな経済対策の内容を含め、政策ごとに協議を進めていくことで一致。
公明党とは、いわゆる
「年収の壁」
を巡って国民民主党が主張している
「103万円の壁」
の見直しなどについて、協議を進めていくことで一致しました。
一方、玉木代表は、立憲民主党の野田代表と会談。
政治改革を急ぐため、2024年年内の政治資金規正法の再改正を目指すことで一致し、野田代表は
「103万円の壁」
の見直しに協力する考えを伝えました。
ただ、国民民主党は、総理大臣指名選挙では決選投票になった場合も含め、玉木代表に投票する方針です。
(国民 玉木代表 10月30日)
「1回目・2回目も玉木雄一郎と書くのが一番我々に票を投じてくれた皆さんに、その思いにですね、最も寄り添うものだと」

石破首相221票、野田氏151票 衆院の首相指名選挙は決戦投票へ 玉木氏も28票
2024/11/11 15:22
https://www.sankei.com/article/20241111-M26OMSBFZNACDJALZE4LNFNEQM/
衆院本会議で2024年11月11日午後、先の衆院選を受けた首相指名選挙が行われ、石破茂首相(自民党総裁)が221票、立憲民主党の野田佳彦代表が151票などを獲得した。
しかし、いずれも過半数の233票を獲得できず、選挙は30年ぶりに、両氏による決選投票に持ち越された。
決選投票では石破首相が野田氏より多くの得票を得て、第103代首相に選出される見通し。
衆院本会議での第1回投票の内訳は以下の通り。
石破首相=221票
野田氏=151票
日本維新の会・馬場伸幸代表=38票
国民民主党・玉木雄一郎代表=28票
れいわ新選組・山本太郎代表=9票
共産党・田村智子委員長=8票
無所属・吉良州司氏=4票
参政党・神谷宗幣代表=3票
日本保守党・河村たかし共同代表=3票
無効票は0票だった。

石破内閣が総辞職、臨時閣議で 決戦投票で首相、再選出へ 第2次内閣は夜発足
2024/11/11 9:00
https://www.sankei.com/article/20241111-XLWGF5S37FKA3E77JVYOUIGMVU/
衆院選を受けた第215特別国会は2024年11月11日召集され、石破茂首相(67)=自民党総裁=が同日午後、衆院本会議での首相指名選挙で立憲民主党の野田佳彦代表(67)との決選投票の末、第103代首相に選出される。
首相は皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て、同日夜に第2次石破内閣を発足させる。
衆院選で落選した法相、農相を含む3閣僚が交代、その他の閣僚は再任する。
与党過半数割れに伴う少数与党内閣で、厳しい政権運営を強いられるのは確実だ。
これに先立ち首相は国民民主党の玉木雄一郎代表(55)と会談する。
続いて野田氏と党首同士で会い、政治改革を含めた国会対応などで協力を求めるとみられる。
第1次石破内閣は2024年11月11日午前の臨時閣議で総辞職した。
首相は夜に官邸で記者会見し、2024年度補正予算案や法案審議への取り組み方針を説明する。

きょう特別国会召集 首相指名選挙経て 第2次石破内閣発足へ
2024年11月11日 5時59分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241111/k10014634731000.html
先の衆議院選挙を受けた特別国会が2024年11月11日、召集されます。
衆議院で与党が過半数を割り込む中、総理大臣指名選挙では石破総理大臣が立憲民主党の野田代表との決選投票を経て再び選出される見通しです。
石破総理大臣は選出後、直ちに新内閣の組閣に臨み、11日夜、第2次石破内閣を発足させることにしています。
先の衆議院選挙を受けた第215特別国会が2024年11月11日に召集され、午後、衆参両院の本会議で総理大臣指名選挙が行われます。
与党が過半数を割り込む衆議院では1回目の投票で決着がつかず、石破総理大臣と野党第1党の立憲民主党の野田代表との決選投票になる見込みです。
衆議院での決選投票は30年ぶりとなりますが、野党側による一本化は実現せず、石破総理大臣が再び選出される見通しです。
石破総理大臣は選出後、直ちに新内閣の組閣に臨み、衆議院選挙で落選した閣僚の後任として法務大臣に鈴木馨祐氏、農林水産大臣に江藤拓氏を起用する方針です。
また、公明党の斉藤代表にかわる国土交通大臣には同じ公明党から中野洋昌氏をあて、他の閣僚は再任する方針です。
そして、組閣を終えたあと皇居での親任式と閣僚の認証式を経て、2024年11月11日夜、第2次石破内閣を発足させ、記者会見を行って今後の政権運営の方針などを説明する見通しです。
一方、石破総理大臣は、2024年11月10日の日本維新の会の馬場代表に続いて2024年11月11日も立憲民主党の野田代表、国民民主党の玉木代表と党首会談を行うことにしています。
会談で石破総理大臣は、政治改革をはじめ様々な政策の実現に協力を要請することにしています。

第2次石破内閣11日発足 特別国会、首相指名へ
2024/11/11 1:00
https://www.sankei.com/article/20241111-5MEHGEZUJRPHVD2XHN2VCDGYDU/
衆院選を受けた第215特別国会が2024年11月11日、召集される。
衆参両院の本会議で首相指名選挙が行われ、自民党総裁の石破茂首相が第103代首相に選出される見通しだ。
皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て、公明党との連立による第2次石破内閣が同日発足する。
午後の衆院本会議での首相指名選挙は石破氏と立憲民主党の野田佳彦代表の決選投票となる見込み。
日本維新の会や国民民主党、参政党は決選投票を含めそれぞれの党代表に投票する方針で、石破氏の得票が野田氏を上回る可能性が高い。
首相は選出後、組閣本部を設置。法相に自民の鈴木馨祐元外務副大臣、農相に自民の江藤拓元農相をそれぞれ起用する。
公明代表に就いた斉藤鉄夫国土交通相の後任は公明の中野洋昌元経済産業政務官を充てる。
首相指名選挙に先立ち、議長に再選となる自民の額賀福志郎氏、副議長に立民の玄葉光一郎氏を選出。
体調不良を理由に辞任する尾辻秀久参院議長の後任は、自民の関口昌一氏を選ぶ。

石破政権「103万円の壁」撤廃も増税画策≠ノ警戒 手取り増と逆行、厚生年金106万円の壁撤廃へ 浮上財源論≠フ裏に財務省の影
2024.11/10 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241110-C7CIUVCNGBOYNMCXZGWC3VE6SI/
石破茂首相(自民党総裁)と、国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月11日に党首会談を開く予定だ。
自民、公明与党と、国民民主党の政策協議で最大の焦点となるのが
「年収103万円の壁」
の撤廃だ。
幅広い層に
「減税の恩恵」
があり、労働人口を増やす効果も期待できるが、冷や水を浴びせるように
「7兆6000億円の税収減となる」
といった財源論≠ェ指摘され始めた。
財務省や財政緊縮派らが減収分を取り戻そうと
「増税・負担増」
を画策することが懸念される。
現に、厚労省はパートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件
「106万円の壁」
を撤廃する方向で最終調整に入ったが、新たに保険料負担が生じる人もいる。
衆院選で大惨敗しながら
「政権居座り」
を決め込む石破首相の
「増税・負担増」
路線に要警戒だ。

自民党の小野寺五典、国民民主党の浜口誠両政調会長は2024年11月8日、国会内で政策協議の初会合を開き、
「年収の壁」
の見直しへ向け、来週に両党の税調会長を交えて協議することを確認した。
現行制度では年収が基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計である103万円を超えると所得税が発生する。
このためパート労働者らが103万円を超えないように労働時間を抑制する現象が問題視されてきた。
1995年から最低賃金が1・73倍上昇したのを踏まえ、国民民主党は178万円への引き上げを要求している。
玉木氏は
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べ、自民党が応じない場合は、政権運営にも協力しない考えを示した。
産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、年収の壁について
「引き上げるべきだ」
とする回答が77・2%に上った。
物価高対策で最優先で取り組むべきことでも
「減税」
が32・7%と最も多かった。
一方でネガティブキャンペーンまがいの論調もある。
その1つが、基礎控除を75万円引き上げた場合、国と地方を合わせて7兆6000億円の税収減になるという
「政府試算」
だ。
上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は
「財源論が浮上したのは、財務省側の焦りの表れだろう」
「だが、財務省の省益よりも国民のために実施すべきだ」
「恒久的な減税になるように今年2024年の補正予算の1回に留めずに来年2025年以降の本予算に組み込んで効果を持続する方が望ましい」
と語る。
もう1つのネガキャンが、
「高所得者に恩恵」
というものだ。
年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。
加藤勝信財務相は
「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」
と述べた。
■「手取り増」と逆行
しかし、
「手取りの増加率」
でみると年収210万円で4・3%、500万円で2・6%、2300万円で1・7%となっている。
田中氏は
「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率でみれば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」
「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」
「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので吞まざるを得ないだろう」
との見方を示す。
国民民主党はガソリン税の
「トリガー条項」
の凍結解除や消費税率の時限的な5%引き下げなども掲げている。
加藤財務相は前出の会見で、トリガー条項の凍結解除で国と地方の減収が生じるとして、
「脱炭素に向けた潮流なども勘案しながら対応していく必要がある」
と言及した。財務省側がクギを刺した形にも見える。
田中氏は
「財務省は1度得た財源を失いたくない」
「財務省や自民党内の緊縮派は、論点を『年収の壁』に持って行き、消費税やトリガー条項の議論から目を逸らそうととする思惑もあるのかもしれない」
と推測する。
こうした中、厚労省は、会社員に扶養されるパートら短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件(106万円以上)を撤廃する方向で最終調整に入った。
年収要件をなくせば保険料負担が新たに生じ、手取り収入が減る人も出てくる。
「手取りを増やす」
政策とは逆行する動きだ。
また、税制を巡っては、石破首相も防衛力強化の財源を確保する所得、法人、たばこの3税の増税の開始時期について、2024年年末の税制改正の議論で決着させる考えを示した。
石破首相は金融所得課税の強化に言及し、その後撤回する一幕もあった。
来年2025年夏には参院選も控えるが、前出の田中氏は
「現在は増税を言い出すのは難しいだろうが、7兆6000億円を取り戻しに動くため、将来的に『増税・負担増』路線になるだろう」
「防衛増税の開始はもちろん、石破政権が続けば、首相が掲げる防災省設置構想に関連して、インフラ整備のための『防災増税』を掲げるかもしれない」
と警鐘を鳴らした。

石破茂総理では日米関係の安定望めぬ 自分たちの国は自分たちの犠牲で守る覚悟を
【疾風勁草】(16) 弁護士・高井康行
2024/11/10
https://www.sankei.com/article/20241110-3XV6QQWF6VPCXIC26JNKKOZX7Q/
当時総理だった安倍晋三氏は平成29(2016)年11月17日夕(日本時間18日午前)、訪問先の米ニューヨークのトランプ・タワーで、次期米国大統領に就任することになっていたドナルド・トランプ氏と1時間半に渡って会談した。
各国の首脳の先陣を切る会談だった。
この時、安倍氏はトランプ氏にゴルフクラブを贈呈し、トランプ氏は安倍氏にゴルフウエアを贈呈した。
爾来(じらい)、安倍氏とトランプ氏は厚い信頼関係で結ばれ、それが日米関係に確固たる安定をもたらした。
その安定した日米関係は、アジアおよびヨーロッパの安定にも大きく寄与した。
まことに残念なことに、その安倍氏は令和4年7月8日、奈良市内の近鉄大和西大寺駅北口付近で非命に倒れた。
安倍氏が生死の境にあることを知ったトランプ氏は、令和4年7月8日、SNSに、安倍氏は偉大な人間でリーダーであり、私の真の友人で、更に重要なことに、米国にとって真の友人だと投稿して安倍氏を惜しんだ。
トランプ氏と安倍氏の強い絆を感じさせる出来事だ。
一方、石破茂氏は、トランプ氏が大統領だった平成31(2018)年にウォールストリート・ジャーナルのインタビューに対し、
「日本が米国に全面的な忠誠を誓うだけなら無視されるだろう」
「トランプ大統領とゴルフしなくてもいい、トランプタワーに行かなくたっていい」
「日本は手強いぞと思わせることが大事だし、ディールのカードを持つことが大事」
「安全保障でディールのカードを全く持っていない」
と語ったという(平成31(2018)年9月27日配信、ウォールストリート・ジャーナル日本語版「日本の次期首相、石破氏は日米同盟の再構築を提唱」=ピーター・ランダーズ、ミホ・イナダ=)。
この発言には、トランプ氏との信頼関係を確かなものにし、その上に堅固な日米関係を構築するという安倍氏の構想を全面的に否定しようとする石破氏の強い意思が露骨に現れている。
石破氏は首脳同士の信頼関係ではなく、ディールによって日米関係を維持しようとしていることになるが、首脳同士に信頼関係がない中でのディールは不安定で、下手をすると日米関係に深刻な亀裂をもたらす。
■石破氏は甘過ぎる
石破氏は今年2024年8月に発刊された著書「保守政治家−わが政策、わが天命」の中で、在日米軍基地の不可欠性(米国にとっての)、非代替性を根拠に、トランプ氏が米軍駐留経費の日本側負担割合を75%から100%にすると言い出しても、そのような負担割合になれば米軍が日本の傭兵になるがそれでもいいのかという議論が可能だと主張している。
要するに、在日米軍基地がトランプ氏とのディールのカードになると言っているのだ。
しかし、台湾に防衛費を請求すると言っているトランプ氏にそのような議論が通用するはずがない。
それに、米国が世界の警察官であるためには在日米軍基地が不可欠だが、米国が世界の警察官であることを止め、米国第一主義に徹するのであれば、その不可欠性はなくなる。
更に、トランプ氏が、韓国に駐留している米軍を引き上げるとも発言したことがあることを思えば、在日米軍を引き上げると言い出しても不思議ではない。
石破氏は甘過ぎる。
報道によれば、石破氏は、今月2024年11月中にトランプ氏と会談する方向で調整しているということだが、会談ができたとして、果たして、トランプ氏との間に安倍氏のような信頼関係を築けるのだろうか。
石破氏のこれまでの発言や、石破氏が長年安倍氏と敵対関係にあり、安倍氏の政策に否定的だったこと、あろうことか安倍氏の国葬の際に安倍氏を
「国賊」
と罵った村上誠一郎氏を内閣の要職に就けていること程度の情報は、当然、トランプ氏の耳に入っているだろう。
そのような石破氏が、トランプ氏との間で見せかけではない真の信頼関係を築くことができるのだろうか。
その中で石破氏が自分の理屈に基づくディールに拘れば、日米関係は不安定にならざるを得ない。
■予測不能の混沌とした状態に
いずれにしても、我々は、トランプ大統領の再登場により、世界が予測不能の混沌とした状態になりかねないことを覚悟しなければならなくなった。
第1次トランプ政権では、トランプ氏も初めての大統領職で、勝手の分からないところや遠慮があり、側近の忠言や諌言に耳を貸して自分の考えを修正したことがあったとされている。
しかし、第2次トランプ政権では、トランプ氏は自信満々で以前のように側近たちの意見に耳を傾ける気はなく、イエスマンだけを登用するのではないかと見る向きもある。
例えば、今年2024年8月30日に、マーク・モンゴメリーとブラッドリー・ボウマンは、ウォールストリート・ジャーナルに寄稿した
「トランプ勝利なら台湾は米国を頼れるか」
という記事において、第1次トランプ政権の国防戦略の策定に関わり、第2次トランプ政権では国防総省の要職に就く可能性があるとされているエルブリッジ・コルビー氏が、それまでタカ派的な対中政策を唱え台湾を強く支持していたにもかかわらず、最近になって中華人民共和国が台湾に侵攻しても米国が台湾防衛に駆け付けない可能性があると示唆するコメントをソーシャルメディアに立て続けに発信していると伝えている。
要は外交防衛の専門家が、第2次トランプ政権に登用されることを狙って、トランプ氏の主張にすり寄り始めていることを危険な兆候として指摘しているのだ。
こうした傾向を見れば、第2次トランプ政権では、トランプ氏の過激な意見や考えが側近たちによって中和されることなく、そのまま米国の政策となる可能性も十分にあると見ておかなければならない。
■駐留経費の負担増要求なら御の字
わが国のマスコミでは、第2次トランプ政権において、米軍の駐留経費の負担増が要求されるのではないかいうことが盛んに言われているが、その程度のことで済むなら御の字だろう。
米国第1主義にとってもっともやっかいなものは、拡大抑止政策だ。
トランプ氏にしてみれば、日本を核攻撃から守るために米国が核攻撃を受ける危険を引き受けるなどということはとんでもないことだろう。
現にトランプ氏は、1期目の共和党指名争いをしている時、駐留経費の負担増に日本が応じなければ米軍を撤退させると言い、日本や韓国の核兵器保有も容認すると言った。
この時は、当時のライアン下院議長の反対意見を受け入れて、その発言を修正した。
しかし、拡大抑止政策放棄、日本、韓国の核保有容認がトランプ氏の本音だろう。
独裁的傾向を強めるであろうトランプ氏に対して、経済重視・軽武装の宏池会路線で対抗することは難しい。
トランプ大統領の再登場は、我々に、自分たちの国は自分たちの犠牲において守る覚悟を持つことを求めている

「疾風勁草」には、疾風のような厳しい苦難にあって初めて、丈夫な草が見分けられるという意味があります。
刑事司法の第1人者として知られる元検事で弁護士の高井康行さんが毎月1回、コラムを連載し、世相を斬っていきます。
プロフィル
高井康行(たかい・やすゆき)弁護士、元東京地検特捜部検事。
昭和22年、愛知県生まれ。
早稲田大学法学部卒業後、昭和47年に検事任官。
東京地検刑事部副部長、横浜地検特別刑事部長などを歴任し、リクルート事件などを捜査した。
平成9年に退官し弁護士登録。
政府の有識者会議「裁判員制度・刑事検討会」委員を務めた他、日本弁護士連合会の犯罪被害者支援委員会委員長などを務めた。

高橋洋一「日本の解き方」
旧安倍派は巻き返せるのか 鍵握る岩盤保守層の奪還、不信任に備えて態勢作りを 石破首相をおろせないようでは情けない
2024.11/9 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241109-EGSEFNXEWNMGHK73SUGB6VMVII/
2024年10月の衆院選で自民党の旧安倍派は議席を大きく減らした。
今後、保守派が勢力を結集させたり、巻き返したりすることはできるのか。
自民党派閥の衆院での勢力図を見ると、旧安倍派は昨年2023年12月1日時点で59人いたが、衆院選後は無所属となった萩生田光一元政調会長と西村康稔元経産相を除く20人となった。
麻生派は40人から31人に、旧岸田派は34人から26人に、旧茂木派は32人から27人に、旧二階派は31人から21人となり、旧森山派は立候補した7人全員が当選した。
見事なほどに旧安倍派が大幅に減っている。
石破茂首相にとって、党内抗争としては上出来だったのかもしれないが、結果的に自民党は歴史的大敗を喫した。
党勢が表れる比例票について、今回2024年と前回2021年の衆院選を比較すると、前回の選挙より比例票を減らしたのは自民党と公明党、日本維新の会、共産党などで、増やしたのは国民民主党とれいわ新選組だった。
新興政党では参政党と日本保守党も一定の票を獲得した。
自民党、公明党、維新の票は、より右と言える参政党と保守党や、中道の国民民主党に流れたと見る事が出来る。
意外なようだが、立憲民主党は比例票は微増にとどまった。
小選挙区では自民党の自滅によって棚ぼたの議席を得た形だ。
尚、得票率でみると、自民党は民主党に政権を奪われた2009年の衆院選時に26・7%で、前回2021年は34・7%だった。
今回の衆院選では26・7%と政権交代時に逆戻りした格好だ。
維新と国民民主党は共に中道右派で政策が似ているので、単純化すれば、維新の減少分がそのまま国民民主党の増加となったとも解釈できる。
参政党と日本保守党には、自民党の岩盤保守層の票が流れたと見られる。
参政党は95人の候補者を立て、小選挙区で約135万票、比例で約187万票を獲得した。
日本保守党は30人の候補者を立て、小選挙区で約15万票、比例では約114万票を獲得している。
石破自民の政策は、安倍晋三政権当時よりかなり左傾化し、野田佳彦代表の立憲民主党と見間違うほど似通っていた。
となると、岩盤保守層は逃げ出し、受け皿が参政党や保守党になったのだろう。
公明党の減少は自然減と見ていいのではないか。
さて、旧安倍派が党勢を巻き返せるかどうかは、ひとえに逃げた岩盤保守層を取り戻せるかどうかにかかっている。
旧安倍派「5人衆」のうち、離党した世耕弘成前参院幹事長と、無所属の西村氏、萩生田氏、比例と重複しなかった松野博一前官房長官は勝利した。
彼らを中心として巻き返す他ないが、かつての第一派閥が今や第五派閥だ。
まずは、石破首相にどのように対峙するのかが課題だ。
自ら設けた
「自公過半数」
という甘い目標を達成できなかったのに居座りを続ける石破首相を降ろせないようでは情けない。
野党は、いつでも内閣不信任案を提出できるが、その時に備えて自民党内をリードできる態勢を作っておくことが、復権の第一歩だろう。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

トランプ氏勝利 安倍氏の功績で「石破首相でも渡り合える」 麗澤大の江崎道朗客員教授
広島「正論」友の会
2024/11/7 20:54
https://www.sankei.com/article/20241107-UKCGRSVE5BKORIKMVWLI3ZWP5Y/
広島「正論」友の会の第24回講演会が2024年11月7日、広島市中区のリーガロイヤルホテル広島で開かれ、麗澤大客員教授の江崎道朗氏が
「米大統領選と日本の安全保障」
と題して講演した。
江崎氏は、トランプ前大統領が勝利した米大統領選に言及し、
「日本は第2次安倍晋三政権以降、政治や安全保障の仕組みを立て直し、十分渡り合えるようになっている」
と指摘。
トランプ氏と石破茂首相との関係性を不安視する向きも日本国内であるとしつつ
「うろたえる日本を米国は見ている」
「どっしりと構えるべきだ」
と強調した。
中国の脅威が増大し、米国単独で向き合うのが難しい状況下で中国に対峙する以上、
「日本の協力が必要」
「トランプ氏は日本を邪険にできない」
と述べた。
トランプ氏の外交戦略を
「力による平和」
とした上で
「日本にも防衛力増強を求めるはずで、我が国の憲法改正は不可避だ」
「安倍氏が敷いたレールに沿っていけば、石破氏でもトランプ氏は遇する」
との見方を示した。

<正論>日米軍事連携で「力の空白」防げ
麗澤大学特別教授、元空将・織田邦男
2024/11/8 8:00
https://www.sankei.com/article/20241108-3NGJJVOSLVNCZNQPZQY3V6ZF5U/?outputType=theme_uspe
米国の大統領選挙はトランプ氏が異例の大接戦を制した。
だが政治と社会の分断の傷は深く、そう簡単には癒やされまい。
米国第一主義の内向き傾向は強まり、海外への関与は減少し、米国の威信と指導力の低下傾向は止まらないだろう。
同盟国に今以上に自助努力を求めてくるのは確実だ。
■豪速球のトランプ氏に対し
他方、日本では総選挙で与党が過半数を割った。
信を失った首相は、辞任することもなく、少数与党で乗り切ろうとしているようだが、国内政治は混迷を深めるだろう。
経済、安全保障を問わず、豪速球のトランプ氏に対し、現政権が対等にキャッチボールできるとはとても思えない。
東アジアは台湾有事という火種を抱える。
米国の関心の低下、関与の減少、そして日本政府の機能不全が重なれば、東アジアに
「力の空白」
が生じることが懸念される。
ほくそ笑むのは台湾併合を狙う中国である。
「力の空白」
に乗じるのは中国のお家芸と言える。
2013年9月、オバマ大統領は
「米国は最早世界の警察官ではない」
と述べた。
世界各地の
「力の空白」
を容認したに等しい。
中国は、この機を逃さず、南沙諸島で岩礁の大規模な埋め立てを始め、軍事化を図った。
ロシアはクリミア半島併合を成し遂げた。
中国、ロシアは力の信奉者であり、
「力の空白」
には躊躇なく入り込む。
筆者は米国に亡命した中国人学者に
「中国とはどういう国?」
と質問したことがある。
彼は即座に
「『2人のカール』を愛する国だ」
と述べた。
「2人のカール」
とは
「資本論」
「共産党宣言」
で有名なカール・マルクスと
「戦争論」
で有名なカール・フォン・クラウゼビッツである。
両者の共通点は、
「戦争を政治の延長」
と見る現実主義者であり、
「戦争が止まる時は両者の武力が均衡した時だけである」
という力の信奉者であることだ。
戦争は
「血を流す外交」
であり、国益争奪の政治の延長に過ぎず、結局は軍事力が大きくものをいう。
■独善的な中国に対峙し
中華人民共和国建国の父、毛沢東は
「敵進我退、敵駐我攪(かく)、敵疲我打、敵退我追」
(敵が進めば退却し、敵が止まれば攪乱し、敵が疲れれば攻撃し、敵が退却すれば追撃する)
との基本戦略を残した。
強い相手には立ち向かわないが、非力と見れば容赦なく攻めたてる。
力の信奉者の面目躍如だ。
改革開放を推進したケ小平は
「韜光養晦(とうこうようかい)」
(爪を隠し、才能を覆い隠し、時期を待つ)
を掲げ経済建設に邁進した。
軍事力の貧弱さを自認、経済建設と並行し驚異的な軍拡を推し進めた。
国防費は30年間で約32倍に膨れ上がった。
かつて朱鎔基元首相は
「強硬になれるかどうかは実力次第」
と言った。
今や米国に伍する軍事力を備えた中国は、強硬で攻撃的になり、紛争の火種をまき散らしている。
南シナ海のほぼ全域の領有権を独善的に主張し、2023年8月には
「十段線」(それまでは「九段線」)
を示し、区域を拡大した。
2016年に国際仲裁裁判所裁定で南シナ海における中国の領有権主張は退けられたが、これを
「紙屑」
と切り捨て、一顧だにしない。
南シナ海侵出の歴史を見れば中国のやり口がよく分かる。
1950年代、インドシナから仏軍が撤退するや、中国はその空白に乗じて西沙諸島に侵攻。
1973年、ベトナムから米軍が撤退するや、機を見逃さず、西沙諸島全域を支配。
1980年代半ば、ソ連軍がベトナムのカムラン湾の部隊を縮小するや、すかさず南沙諸島西側を占拠。
1992年、米海軍が在比スービック基地から撤退を決めるや、南沙諸島に侵出し、ミスチーフ環礁を占拠し、スカボロー礁を支配した。
1992年に中国は領海法を制定し、南沙、西沙諸島のみならず尖閣諸島まで中国領土と明記している。
■日本の政局混迷の中で
中国は、常に力関係を瀬踏みしている。
相手が弱いと見るや、強硬に出るし、
「力の空白」
には躊躇なく入り込む。
チベット、新疆ウイグル自治区へと版図を広げたやり口は力の信奉者そのものだ。
フィリピンが今、中国の圧力に晒されている。
領有権問題でフィリピンの沿岸警備隊が中国海警の艦船に放水されたり、衝突されたりしている。
公船への放水や衝突などは国連海洋法条約違反である。
日本の海上保安庁の巡視船には決してしないことをフィリピン沿岸警備隊には実施する。
それはフィリピンが弱いからである。
石破茂政権は基盤が脆弱であり、政局は混迷し、東アジアにきめ細かく目配りする余力はないだろう。
米新政権も外交が正常に機能するには来夏2025年夏くらいまでかかる。
日米の機能不全で東アジアに
「力の空白」
を生じさせてはならない。
頼みの綱は、自衛隊と米軍だ。
民主主義国家の軍は政局の影響を受けにくい。
自衛隊と米軍は従前以上に連携を密にし、共同訓練を頻繁に行い、警戒を怠らず、即応態勢を維持する。
そして可能な限りそれを公開することだ。
日米の強固な軍事連携が今ほど求められている時はない。

自民、また譲歩 憲法審査会長に枝野氏「憲法改正・選択的夫婦別姓」担うポストも 岩盤保守層離れ拍車「自民『終わりの始まり』では」
2024.11/9 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241109-HETA6NXDR5MCHBALTUMOPNDIMI/
衆院選での
「自公与党の過半数割れ」
を受け、与野党は2024年11月8日、衆院各派協議会で、委員長と審査会長のポスト配分を確定した。
野田佳彦代表の立憲民主党は予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで確保した。
自民党の党是である
「憲法改正」
が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
石破茂首相の下、自民党の支持基盤が更に危うくなっている。

「自民党の『終わりの始まり』ではないか」
政治学者の岩田温氏は、自民党が、憲法審査会長と法務委員長を明け渡したことについて、こう語った。
石破自民党が惨敗した衆院選によって、前向きな
「改憲勢力」
は国会発議に必要な定数の3分の2を割り込んだ。
こうした中、憲法審査会長に就く立憲民主党の枝野幸男元官房長官は、自民党が憲法改正の優先事項に据える
「緊急事態条項の新設」
に反対し、憲法への
「自衛隊明記も不要」
との立場だ。
改憲慎重派に配慮した審査会運営が予想される。
更に、野田氏は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは
「選択的夫婦別姓の実現」
が狙いと明かした。
野田氏は
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
と語った。
選択的夫婦別姓を巡っては、
「親子別姓」

「兄弟別姓」
に繋がり、
「親子の絆」
「兄弟の絆」
「家族の絆」
を危うくするとの指摘もある。
石破茂首相は総裁選で、
「選択的夫婦別姓の導入」
に前向きな姿勢を示していたが、所信表明演説(2024年10月4日)や、衆院選の政権公約では明確に触れなかった。
「岩盤保守層」
の反発を避けたとの見方もあるが、石破執行部が衆院選で強行した
「非公認」

「比例重複を認めず」
といった対応で、保守勢力は大きく縮小した。
一連の動きをどうみるか。
前出の岩田氏は
「まず、憲法審査会長を明け渡したのは、石破首相の『憲法改正はしない』という意思の表れではないか」
「法務委員長の件も深刻だ」
「もし、夫婦別姓が導入されて『親子別姓』『兄弟別姓』となれば、家族の一体感が保てるかは大いに疑問だ」
「岩盤保守層は、もう自民党には戻らないだろう」
「石破自民党の愚かさは留まることを知らない」
と語った。

正論12月号 覆面座談会「メディア裏通信簿」
2024/11/9 12:00
https://www.sankei.com/article/20241109-NHNWKFV7LRCX7DQZWNMLAW2GBM/?outputType=theme_monthly-seiron
★女史
石破茂さんが新首相になったのはちょっと想定外だったよねえ。
でも、もっとびっくりしたのは、石破さんが就任後は自民党総裁選で訴えた持論を変えたり封印したりして、何だか前とは別人になっちゃったこと。
マスコミに「変わった」とか叩かれて、今度の総選挙も、期待したほどの追い風が吹かなかったよね。
★先生
2024年10月15日付の朝日新聞「時時刻刻」が
「石破カラーどこへ 裏金・政治改革 『深い反省』でも具体策示さず」
として石破の変節を取り上げているんだが、ちょっと筆が鈍いというか、あまり厳しく
「石破はダメだ」
と言ってしまうと
「じゃあ高市早苗のほうが良かったのか」
という話になりかねないので、石破を全否定するわけにもいかないみたいだ。
それが朝日の辛い所で、どうにも中途半端な記事になっていたな。
★教授
朝日では2024年10月15日付「多事奏論」で高橋純子編集委員が
「摘んだ野花は飾るとしおれる」
と題して書いていて、石破批判としては秀逸でした。
「野花を摘んで花瓶に挿したら即しおれましたとさ」
と石破新首相を皮肉っていて、まあこれに尽きているなと思った次第です。
「高市氏が首相にならずホッとした――それだけは言えるとも言えるし、それだけしか言うことはないとも言える」
などとも書いてましたけどね。
★女史
朝日としては石破さんに期待していたけれど裏切られた、という思いが強いんだろうね。
★教授
2024年10月2日「天声人語」では
「石破さん、質問があります」
と書き出して、選択的夫婦別姓制度の導入に前向きだった以前の発言を紹介して
「あの話はどうなっていますか」
と問うています。
更に
「(総裁選で)反対派の高市さんにあなたが決選投票で勝った時は、『やっと政治が動くか』と期待する声もありました」
「ところが、一昨日に公明党と交わした連立政権の合意文書には、『別姓』の記載がありません」
と追撃≠オて
「権力を手にした途端に、あっさり転向ですか」
と不満たらたらです。
聞いた話ですが、この天声人語は朝日社内で非常に好評だったそうです。
★女史
この天声人語の中で、石破内閣には女性閣僚が2人しかいませんって非難がましく書いてるよね。
でも私、朝日新聞のウェブサイトの「役員・組織図」を見ちゃったんだけど、朝日の「役員など」には約30人中、女性らしき名前が4人くらいしかないんだよね。
石破内閣の20人中2人と大して変わらないじゃん。
こういうのを言行(原稿)不一致って言うんじゃない?
★編集者
どれどれ…確かに明らかに女性らしい名前は4人だけですね。
でも男、女とは明記されてませんし
「性自認は女だ!」
という人が他にいるかもしれません。
■石破が辞めると朝日が困る
★教授
コホン。石破首相は元々、政治資金パーティー券収入の不記載問題で党の処分を受けた議員についても、総選挙では公認するつもりでした。しかし十月四日付の朝日一面「裏金議員を原則公認へ」の記事などを受けて、方針を大転換させ、十二人の前議員を非公認としました。こういう事件では、メディアは当人が犯罪に関わっていようとなかろうと、政治家を血祭りにあげたがりますが、石破首相はそれに乗せられてしまったのです。
先生 今回、石破は党内融和よりも国民の共感を得ようと、メディアの口車に乗って不記載議員に厳しい態度に出たが、結果として自民党内に大きな亀裂が入っている。小泉純一郎が郵政民営化の反対派を敵視した二〇〇五年の「郵政解散」を思い出すな。ま、あのときほどの熱気は感じられないけど。
教授 まあ、選挙はテレビ、とりわけワイドショーがどういうふうに取り上げるかによって、結果はずいぶん違ってくるのですが、テレビ局でワイドショーをつくる人たちは基本的に朝日新聞を熟読していますから。突き詰めれば世論はある程度、朝日新聞の政治部がつくっているとみるべきかもしれません。
先生 一部メディアは石破をも血祭りにあげようとしていたよな。ただ、朝日なんかはここで石破を擁護しておかないと、石破が辞めた後に高市が首相に、という流れになったら大変だ。朝日にとっては難しい選挙だっただろう。
■左翼の内ゲバ*u発
★女史
でも野党第一党の立憲民主党もパッとしないと思ったよ。
★先生
2024年10月4日の読売新聞朝刊が自民と立憲民主の公約案を載せていたんだが、双方よく似ていて、しれっと入れ替えても読者は気づかないんじゃないかと思ったぞ。
これは代表の野田佳彦らが、公約を自民党に寄せたんだ。
恐らく立民の作戦だったんだろう。
★女史
細かいことを言えば、立民も
「原発ゼロ」
を封印したりしてたし。
でも本来の過激な主張を封印するっていうこと自体、石破さんのマネなのかも(笑)。
★教授
自民も立民も、左右の岩盤支持層ではなく中間層を狙いにきており、左右の尖った政策は引っ込めていたわけですね。
その結果、立民が右傾化しているように見えて、旧しばき隊(C.R.A.C.)の周辺関係者などは立民ではなく自民への投票を呼び掛けていたという話を聞きましたよ。
★女史
2024年9月24日だから野田さんが党代表に決まった直後だけど、X(旧ツイッター)にこんな投稿をしてた。
「これは『急がば回れ』なのです」
「自民党に対するオルタナティブをきちんと示すまで、たとえ自民が通ろうとも立憲に票を与えてはならない」
「そもそも、野党第一党のくせに自民党と同じようなこと言ってるほうが倒錯しとるだろうが」
「有権者ナメてんのか」。
昔ながらの過激な左の人たちは、野田さんの方針に猛反発してるみたい。
★教授
左翼の中での野田嫌いというのが凄く強烈だというのもあるんですよ。
彼は共産党と選挙協力しないことを明言していますし、安保法制を部分的に認めるという考えも左翼としては受け入れ難い。
ですから左翼の中で、立憲民主党を潰せ、野田を潰せという動きが強くなっているわけです。
★先生
それで共産党は意地になって、小選挙区に泡沫同然の候補を乱立させたわけだ。
立民の候補がいる所にまで後から共産が候補を立てたりとか。
うっかりすると億円単位で供託金没収になって大変だと思うが。
野党は野党でまとまれずに抗争を始めて、自民党は自民党で党内抗争がある。
★教授
なかなか不穏で、今後の政局は見通しにくい状況ですね。
★先生
左巻きの連中の一部は立民に投票したくないから、れいわ新選組の応援にも流れているようだ。
★教授
今回の総選挙で、れいわは比例代表東京ブロックの名簿一位で伊勢崎賢治氏を擁立していましたね。
この方、石破首相とは旧知の仲なのだとか。
★女史
石破さんが昨年2023年の自分のブログに書いてた。
「昨日は『ウクライナ戦争』の即時停戦を求める有識者の集会が議員会館で開かれ、日頃から敬愛する伊勢崎賢治・東京外大名誉教授からのお声掛けもあり、参加して参りました」
って。
★教授
石破氏は
「『今日のウクライナは明日の台湾、台湾有事は日本有事』という相当に短絡的な議論の危うさを改めて感じたことでした」
とも書いていました。
改めて読むと、もう自民党なのかれいわなのか分かりませんね。
★先生
左にウイングを広げるのが石破の持ち味なんだろう。
生前、安倍晋三が
「左に支持を広げるよりも右をきちんと押さえておかないと大変なことになる」
と常々、言っていたが、その心配が現実になりつつある。
何だかんだ言っても、左翼が本当に自民党に票を入れるわけないだろ。
★女史
そうだね。
TBS系「サンデーモーニング」でもお馴染みの元共同通信記者、青木理氏は、津田大介氏とのユーチューブ対談動画で、自民党に投票する人たちを
「劣等民族」
だと呼んでた。
けど逆に批判されてたね。
それで謝罪して発言を撤回し、地上波テレビ出演は当面自粛するんだって。
★教授
それでも文化放送には相変わらず出演していますし、総選挙の投開票日には同局の開票特番に出ることも発表されていました。
ラジオやネット動画では今後も活動を続けていくのでしょうか。
★先生
さすがにテレビ局としてはああいう輩を今後、出演させるわけにはいかないだろ。
危なくて仕方ない。
★女史
サンモニ関連では前法政大総長の田中優子さんも、ある集会で高市さんについて
「安倍さんが女装して現れた」
とか言って炎上してた。
★編集者
それについては元検察官の菅野志桜里元衆院議員がフェイスブックで
「自分の希望に沿わない女性政治家を『中身は男』と非難するのは、性差別です」
「しかも属性で人を貶めて笑いを取るのは、いじめの構造と同じです」
「フェミニストあるあるですけど、これを機にやめましょう」
と、お行儀の悪さをたしなめていました。
■後藤謙次より田崎史郎
★教授
自民党総裁選の当日、私はテレビ朝日の開票速報番組を観ていたのですが、1回目の投票で高市氏が1位になった時、元共同通信の後藤謙次氏が明らかにうろたえているように見えました。
★先生
それは俺も観てた。
確かに呆然として動揺していたな。
★教授
それででしょうか。
彼は高市氏が1位になった背景について、全国の党員に30万部のリーフレットを郵送した効果が現れたという、本質から外れた解説しかできませんでした。なぜ高市氏がこれだけの票を集められたのか、理解できなかったのでしょう。
★先生
その点、TBSの番組に出ていた元時事通信の田崎史郎は、総裁選の前半では見苦しいくらいに小泉進次郎推しだったけれど、途中で日本テレビの世論調査結果が出て小泉の失速が明らかになった辺りからは冷静になって、最後まで
「高市が勝つかもしれない」
と分析していた。
そういう意味では、後藤より田崎の方に俺は誠実さを感じたぜ。
★女史
田崎さんと言えば2024年10月1日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出ていて、石破内閣の顔ぶれについて
「何か非主流派の在庫一掃セールみたいな感じ」
「派閥解消を理由にした余りに露骨な身内びいきの人事」
とバッサリ斬ってたね。
あれは痛快だった。
★編集者
リーフレットの話で思い出しましたが、2024年10月4日付の日本経済新聞に石破首相の著書『保守政治家 わが政策、わが天命』の広告が載っていました。
そこには
「総裁選出馬時、石破氏自ら各議員に手渡しした渾身の書!」
という謳い文句が載っていたのですが、これってセーフだったんでしょうか。
★先生
そりゃ総裁選のルールが公表される前に配り切ったんだろ(笑)。
★編集者
前々回(2024年10月号)で
「この本が売れて、内容が広まったら石破氏は『終わり』なんじゃないか」
とのお話がありましたが…。
★教授
配られたけれども、議員は誰も読まなかったということでしょう(笑)。
私は読みましたが、内容は酷いものですよ。
後になって目を通して
「読むんじゃなかった」
と思っている議員も、中にはいるんじゃないですかね。
ともあれ、総裁選の決選投票では岸田文雄前首相の一派が石破氏を後押しして、議員の間では人気がなかったはずの石破氏がついに首相の座に就きました。
それだけに、嘉悦大学の高橋洋一教授などは
「岸破(岸田+石破)政権」
と呼んでいますね。
★先生
岸田政権の経済政策を石破が全部継承する、という条件で岸田は支持したと言われているな。
もし石破が退陣した場合、岸田の首相返り咲きがあるかもしれないぞ。
★教授
仮にそうなると、一体なんで岸田さんは総裁選出馬を断念したんだろう、という話になってきますが…。
★編集者
そうなると、変な話ですね。
■日本人ヘイトと朝日新聞
★女史
この間、真田広之さん製作・主演のドラマ「SHOGUN 将軍」が米エミー賞で史上最多の18冠を獲得したって大きな話題になったよね。
それについて2024年9月17日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」で、元フジテレビアナウンサーの菊間千乃弁護士が
「エンタメに関しては韓国の方が先に世界に認められた」
「日本としては置いていかれていたという感じがあった」
とコメントしてたのが気になったな。
これは何かの日本叩きのプロパガンダなのか、それとも彼女が本当にそういう風に思い込んでいるのか…。
★編集者
単によくある、五十代女性の感想じゃないっすか。
★女史
でも、この発言に対してはネットで色々と突っ込みが入ってた。
「アカデミー賞初受賞は日本・1951年『羅生門』、韓国・2020年『パラサイト』」
「アカデミー賞受賞回数は日本42二回、韓国5回」
といった具合にね。
今はマスコミ人の発言も、ネットの普及で一般の人に検証されるようになっているからね。
★先生
いずれにしろ、菊間の前後の年代の女性は本当に韓国の芸能が好きな人が多いよな。
★女史
そこでよく言われるのが、韓国は日本と違って徴兵制があるから、男たちがシャキッとして鍛えられているし包容力もあるんだと。
それはいいんだけど、
「戦争反対」
とか主張しているリベラルな価値観の持ち主が、一方でそんな事を言ってるんだよね。
要するに日本が悪くて、韓国はいいというね。
5年前にKポップファンの日本人女性2人が韓国男性にからまれて暴行された事件があった時も、さっきの青木理さんが
「通常なら報道されないニュース」
と、問題にする日本が悪いというような発言をしたじゃん。
仮に日本で在日コリアンが暴行されたら大々的に報じるのにねえ。
★先生
何で青木がテレビで重宝されるかと言えば、日本をディスってくれるからだろ。
何だかんだいって日本人は自虐的だから、ああいうキャラが求められるわけだ。
★女史
そう言えば、今回の
「劣等民族」
発言の後で周りの女の子たちに
「青木さんってどう思う」
って聞いてみたら
「ダンディーなおじさんで、昔からファンだった」
という子が結構いてビックリだった。
★教授
ダンディーな左翼と言えば、姜尚中・東京大学名誉教授を彷彿とさせますね。
★女史
私も昔、朝まで生テレビ!で姜尚中さんが出ているのを観て
「何でこの人があちこちのメディアで引っ張りだこなんだろう」
と不思議だったんだけど、やっぱり周りの若い女の子たちは
「物腰も柔らかくてかっこいい」
と言ってた。
外見が女性ウケするという点で、青木さんと姜尚中さんは似てるなあ、と思ったのよ。
★先生
青木は今回の
「劣等民族」
発言で地上波のテレビに出なくなるからテレビ局は早速、ポスト青木理を探し出すんだろうな。
いくらでも予備軍はいるだろ。
★教授
左の方々はテレビ出演には恵まれていますね。
さすがに青木氏は批判されましたが、それ以外の左翼の日本人ヘイトは基本的にお咎めなしですから。
朝日新聞の一連の
「従軍慰安婦報道」
などはまさに日本人ヘイトだったわけです。
一方で、保守派はなかなかテレビではお呼びがかからないのです。
★編集者
朝日は従軍慰安婦報道で叩かれましたが、確かに、あれもそうかもしれません。
■「自民党員は偏った集団」
★教授
朝日新聞の2024年10月10日付紙面では長谷部恭男早稲田大教授との対談で、杉田敦法政大教授が
「今回の総裁選での自民党員票の総数は有権者のほぼ1%で、必ずしも世論全体を反映するわけではない偏った集団だということを踏まえる必要があります」
「偏りのある集団が事実上、首相を決めているということにもなる」
と発言していました。
自民党員は
「偏った集団」
なのだというわけです。
それは左派の人から見ればそうかもしれないですけれども、何を基準に
「偏った」
と決め付けるのか。
如何なものかと思いますけれどね。
★先生
「首相を決めている」
というが、党員投票で党首を選ぶのは現代では普通だけどな。
日本以外の欧米先進国では大抵、政党の党首は党員投票で決まっている。
日本の場合、自民党でも立憲民主党でも党首を選ぶ際には議員票がモノをいう。
議員は一般有権者による選挙で選ばれているわけだから日本が一番、民主的だと見る事もできるだろ。
★教授
実態を見るなら、自民党員は全体としてそれほど保守的でもありません。
左派メディアはそれを敢えて極右の特殊な人たちの集団だと印象付けようとしているように見えます。
★先生
そうだな。
高市早苗だってメディアが言ってるほど右の人間じゃねえだろ。
安保政策についても高市は、むしろ石破よりも岸田に近いんじゃないか。
「アジア版NATO」
なんてことも言わないし。
それなのに、なぜ岸田は石破を推したのか。
左巻きのメディアが石破を推してきたことと併せて、理解に苦しむな。
★女史
石破さんと言えばこれまで防衛庁長官、防衛相を計3年弱もやってる人でしょ。
実際、石破内閣では岩屋毅外相、中谷元防衛相と防衛族が幅を利かせているように見えるけど、朝日新聞なんかは問題視しないんだね。
★先生
高市は堂々と靖国神社に参拝してきたし、
「首相になっても靖国に参拝する」
と公言していたのが攻撃材料にされてしまった面がある。
かつての安倍のように、首相になった場合のことは曖昧にしておけば良かったのに。
★編集者
もちろん靖国参拝はしてほしいですが。
★女史
でも石破首相、2024年10月の秋の例大祭では靖国神社に真榊を奉納したんだって。
これまで奉納したことはなかったけれど、首相になったんで菅義偉さんや岸田さんの先例にならったらしい。
★先生
いやあ、見事な変節ぶりだよな。
(文中一部敬称略)
(月刊「正論」12月号から)

<産経抄>石破首相の対米外交 安倍氏の手法真似てはどうか
2024/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20241109-4UGHOLPPSRLPXJQ4ADOGE5ER6Q/
政治家の言葉は額面通りには受け取れない。
石破茂首相が2024年1月7日、米大統領選に勝利したトランプ前大統領と初の電話会談を行った後、記者団に述べたこのセリフもそうだろう。
「非常にフレンドリーな感じがした」
「言葉を飾ったり繕ったりするのではなくて、本音で話ができる方だ」 
▼その通りなら、日米両首脳の初接触としてまず成功だと言える。
とはいえ、会談時間は僅か5分間に過ぎない。
双方が通訳を介すので、実質的には2〜3分間ぐらいか。
これで本音で話し合える相手だと確信できるとは思えない。
▼2016年11月、トランプ氏が大統領選に当選した後の当時の安倍晋三首相との電話会談は、約20分間だった。
安倍氏は抄子に、ユーモアを交えて語った。
「彼はかなり強いリーダーが好きみたいで、幸い私も強権と言われているから」
「私にかなりシンパシーを感じている様子だった」。
▼今回、トランプ氏が各国指導者と行った電話外交の一部は会談時間が報じられている。
例えばフランスのマクロン大統領とは約25分間、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とは約12分間である。
長ければいいわけでもないが、首相との5分間は如何にも短い。
▼単純比較はできないが、安倍氏とトランプ氏の場合、電話会談は30〜40分間が普通で1時間を超えることもあった。
対面での会談後、すぐにトランプ氏から電話がかかってきて
「シンゾーがいなくて寂しい」
とこぼされたこともあった。
▼「トランプ大統領とゴルフしなくてもいい、トランプタワーに行かなくたっていい」。
首相は2018年、米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューに語っていた。
安倍氏の外交手法を否定するばかりでなく、たまには取り入れたらどうか。

<主張>自民の両院懇談会 「ガス抜き」で居座るのか 
社説
2024/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20241109-Y7B52NA4OVNEHGDNOMPJYEDZCA/
不満のガス抜きを図って政権に居座ろうとしている―。
石破茂首相(自民党総裁)と自民執行部には、衆院選で示された民意を尊重するつもりがないことが改めて分かった。
自民が、大敗した衆院選後初めての両院議員懇談会を開いた。
出席議員から、石破首相と党執行部の責任を問う声が相次いだのは当然である。
石破首相は
「痛恨の極みだ」
「深く反省し、お詫びしなければならない」
と陳謝したが、本当に反省しているのだろうか。
何の責任も取らず、大敗の検証も示していない。
神妙な表情を作って反省の弁を述べてもけじめをつけたことにはなるまい。
石破首相と森山裕幹事長が本来取るべき行動は、潔く辞任した上で、落選した候補者から直接話を聞くことだ。
責任を問う声は上がったが、懇談会は石破首相続投を事実上容認する形となった。
衆院議員1人1人が自立の気概を持っていた中選挙区制の時代とは異なり、総裁と執行部が個々の議員よりも力を持つ小選挙区制の時代ならではの現象だろう。
安定した国政運営に当たれる議会構成を追求するのは与党を目指す政党の責務だ。
その観点からすれば、2024年9月の自民総裁選で石破首相を選んだ同党議員の責任は重い。
また、今回の懇談会で、衆院選の民意に逆らって首相続投を容認することになった自民は無責任の謗りは免れない。
これは自民が目測力と自浄力を低下させていることを意味する。
懇談会の首相続投支持は消極的なものに過ぎず、自民は一致結束して政権運営に当たれる状況にはない。
衆院選の比例代表で自民の得票数は令和3年の前回衆院選に比べ533万票も減り、1458万票だった。
一方、国民民主党は約350万票増で、参政党と日本保守党の票の合計は約300万票だった。
自民の失った533万票が流れた可能性がある。
これらには、安倍晋三元首相の政策を支持してきた岩盤保守層の離反が原因の動きもあるだろう。
自民はその現実を直視すべきである。
この層の支持も得られなければ安定した国政運営は難しい。
石破首相と現執行部にそれができるのか。

「痛恨の極み」石破茂首相、与党過半数割れを陳謝 自民が衆院選敗因総括の懇談会
2024/11/7 20:38
https://www.sankei.com/article/20241107-2BEZBLHVMFNKNK5A3IZKHUY7EY/
自民党は2024年11月7日、大敗した先の衆院選の敗因を総括する両院議員懇談会を党本部で開いた。
石破茂首相(党総裁)は冒頭、衆院選の勝敗ラインに掲げた
「与党過半数」
を下回った結果について
「痛恨の極みだ」
と述べた上で
「深く反省し、お詫びしなければならないと考えている」
と陳謝した。
出席者の一部からは執行部の責任を問う声があった一方、結束を求める声が多く上がった。
森山裕幹事長は
「強く責任を感じている」
「多くの国民から厳しい批判を頂いたことは、厳粛に受け止めなければならない」
と語った。
懇談会は約3時間に渡った。
意見交換は非公開で行われ、衆院選終盤で発覚した非公認候補が代表を務める政党支部に2000万円が活動費として支給されたことについて、説明を求める声が相次いだ。
また、衆院選の敗因分析の必要性や、党員・党友と有権者との感覚のずれを指摘する意見もあったという。
懇談会後、森山氏は記者団に
「(意見を)整理をして、今後の党運営に活かしていきたい」
と説明した。

自民「石破おろし」広がらず 衆院選大敗も、3時間の両院議員懇で明確な辞任要求は1人
2024/11/7 20:09
https://www.sankei.com/article/20241107-7NSXOTUSIRNLNJTDACXN7WTCZ4/
自民党が2024年11月7日に開いた両院議員懇談会では、大幅に議席を減らした先の衆院選を受け、複数の出席議員が石破茂首相(党総裁)を批判し、責任論に言及した一方、大半は首相の当面の続投を支持した。
与党過半数割れという危機的状況の中、
「内紛している場合ではない」
という声が高まっている。
懇談会は衆院選後初の総括の場だったが、
「石破おろし」
には発展しなかった。
出席議員の発言は報道陣に非公開だったが、3時間で約50人が意見を述べた。
出席議員によれば、冒頭の首相や森山裕幹事長の陳謝の後、口火を切ったのはベテランの船田元・元経済企画庁長官(旧茂木派)。
「一丸となってこの難局を乗り切らないと与党ではいられなくなる」
「色んな責任問題はあるが、まずは一致団結して難局を乗り切るべきだ」
と訴えた。
これに対して青山繁晴参院議員(無派閥)は
「2024年年末に予算編成をするわけで、その前に自ら潔く決意し、辞意を表明されるべきだ」
と主張した。
ただ、青山氏によれば、明確な辞任要求は自身1人だけで、7〜8人が衆院選敗北の責任論に言及した。
西田昌司参院議員(旧安倍派)は、来年2025年度予算案の編成のために首相の当面の続投に関しては理解を示した上で、
「党の体制を刷新しないと(来年2025年夏の)参院選を戦えない」
と語った。
とはいえ、懇談会は続投容認論が大勢。
尾崎正直衆院議員(旧二階派)は出席後、記者団に
「総じて『皆で石破総裁を支えていこう』ということはコンセンサス」
と述べた。
森山氏は懇談会終了後、記者団に、2024年年内の今年2024年度補正予算案や来春の令和7年度予算案の成立を期すことが大事だと強調し、退陣論を否定した。
目立ったのは敗因の検証を求める声だ。
特に、非公認候補が代表を務める政党支部に党が活動費2000万円を支給した問題に矛先が向いた。
柴山昌彦元文部科学相(旧安倍派)は
「如何に国民世論からかけ離れたものか、きちんと執行部に受け止めてもらい、検証を行うべきだ」
と発言した。
それでも2024年年内に首相が退陣に追い込まれる事態にはならなさそうだ。
首相との距離がある麻生太郎最高顧問(麻生派)は懇談会に出席したが、発言しなかった。
反石破勢力から期待されている高市早苗前経済安全保障担当相(無派閥)は欠席。
2024年11月5日、近しい議員らと会食した際も
「(党内が)ガタガタしていたら自民は野党になってしまう」
と結束を呼び掛けた。

「痛恨の極みだ」石破首相、自民の両院議員懇談会で衆院選大敗を謝罪
2024/11/7 16:22
https://www.sankei.com/article/20241107-XJQMEZOOGVOLZIRQVU37RBP234/
自民党は2024年11月7日、大敗を喫した衆院選を総括する両院議員懇談会を党本部で開いた。
石破茂首相は冒頭で
「痛恨の極みだ」
「深く反省し、お詫びしなければならない」
と述べた。
森山裕幹事長は
「強く責任を感じている」
「厳しい批判を頂いたことは厳粛に受け止める」
と語った。

石破首相とトランプ氏会談わずか5分の衝撃 韓国・尹大統領の半分以下 党の両院議員懇談会でも集中砲火、まさに四面楚歌
2024.11/8 11:32
https://www.zakzak.co.jp/article/20241108-J5S64FY5UVPINAX3WEKJIVUNAM/
「政権居座り」
に執着する石破茂首相(自民党総裁)が四面楚歌≠ノ陥りつつある。
2024年11月7日の党両院議員懇談会では、衆院選で勝敗ラインとした
「自公与党で過半数」
を割り込む大惨敗を喫した責任について集中砲火を浴びた。
国会運営では、少数与党ゆえ、躍進した国民民主党の意向に配慮せざるを得ない上、国会の最重要ポストの1つである衆院予算委員長を立憲民主党に譲り渡した。
米大統領選で勝利したドナルド・トランプ前大統領との電話会談は、何と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の半分以下という5分間。
米メディアには、石破首相の
「日米同盟不平等論」
を問題視する向きもある。
過去に現実軽視の持論を並べ立て、他人を批判し続けた
「特大ブーメラン」
が次々と刺さっている悪循環は続きそうだ。

「国民の期待に十分応えることができなかった」
「痛恨の極みだ」
「深く反省し、お詫びしなければならない」
「真摯に受け止め、改革に前向きに取り組んでいく」
石破首相は2024年11月7日、衆院選総括のために開催した両院議員懇談会で、こう陳謝した。
衆院選での自民党惨敗は
「国民の審判」
そのものであり、
「政権居座り」
こそが国民の期待に反するのではないか。
当然、参加者からは、執行部の責任を問う声が相次いだ。
投開票直後から辞任論を掲げていた青山繁晴参院議員は
「2024年年末に予算編成をするわけで、その前に自ら潔く決意し、辞意を表明されるべきだ」
と主張したという。
記者団にも
「『政権選択選挙』で負けたのに責任を取らないのでは、自民党が民主主義を掲げることはできない」
と言い切った。
西田昌司参院議員も
「党の体制を刷新しないと(来年2025年夏の)参院選を戦えない」
と訴えた。
石破執行部に対しては、
「非公認」
候補が代表を務める政党支部にも選挙前に2000万円を支給した判断を問題視する意見も続出した。
柴山昌彦元文科相は
「世論から如何にかけ離れているか、執行部はしっかり受け止め検証すべきだ」
と発言した。
小林鷹之元経済安保相も、執行部から事前に明確な説明がなかったと苦言を呈し、
「党が一丸となって政策を進めていく環境を作る必要がある」
と訴えた。
厳しい批判が噴出する中、馬の耳に念仏なのか、石破首相は具体的な責任論に言及しなかった。
森山裕幹事長も
「強く責任を感じる」
「厳しい批判は厳粛に受け止める」
「(2000万円は)非公認の人が選挙費用に使える仕組みにはなっていない」
と釈明したものの、そのまま続投する意向だ。
石破首相と距離を置く麻生太郎元首相は発言しなかった。
「ポスト石破」
を期待される高市早苗前経済安保相は欠席した。
衆院選で
「非公認」
となり無所属で勝利した萩生田光一元政調会長は、高市氏と連携する意向を示しているが無言を貫いた。
出席議員は執行部を除き約180人で、非公開で約50人が発言したが、大半は
「当面の続投」
を支持したという。
ある閣僚は
「ガス抜きになった」
と語っている。
石破政権は国会運営にも不安がある。
国会の委員会で最重要ポストの予算委員長を、立憲民主党に譲ることで合意したのだ。
予算委員長に野党議員が就くのは30年ぶりだという。
同委員長は採決日程の決定や議事進行などで大きな権限を持ち、局面によっては予算案審議が難航することも想定される。
■米報道日米に「緊張が高まる可能性秘めている」
石破政権は、外交でも不安は尽きない。
石破首相は2024年11月7日午前、米大統領選で勝利したトランプ氏と初めて電話会談を行った。
石破首相は
「日米同盟をより高い次元、段階に引き上げていくことで一致した」
「フレンドリーな感じがした」
「本音で話ができる人という印象を持った」
を手応えを語ったが、時間は5分間だった。
トランプ氏は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とは約25分間、韓国の尹大統領とは約12分間も会談している。
前駐オーストラリア大使の山上信吾氏は2024年11月7日、自身のX(旧ツイッター)で、
「僅か5分しか相手にされず、英語も解さないのに、何を以て『非常にフレンドリー』と判断できるのか?」
「メディアの突っ込みが弱過ぎる」
と指摘した。
米メディアでは
「背後から銃で撃つ」
と党内外から批判された石破首相の政治スタイルを問題視する向きもある。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは、自民党総裁選の投開票日(2024年9月27日)、石破首相が
「日米同盟を不平等だとして再構築を唱えてきた」
と指摘し、米政府との間に
「緊張が高まる可能性を秘めている」
と報じている。
同紙は、石破首相が
「概ね保守的で防衛にタカ派的」
としながらも、安倍晋三元首相や岸田文雄前首相とは異なり
「日米同盟の非対称的な側面に不満を抱いている」
と分析。
更に、2018年に石破首相に行ったインタビューから、
「トランプ大統領とゴルフしなくてもいい、トランプタワーに行かなくたっていい」
「日本は手強いぞと思わせることが大事だし、ディールのカードを持つこと(が大事)」
「安全保障でディールのカードを全く持っていない」
との、安倍氏とトランプ氏の盟友関係を批判的に語った発言を紹介している。
石破政権はどうなるのか。
政治評論家の有馬晴海氏は
「両院議員懇談会は『ガス抜き』で終わったようだが、『石破おろし』を巡る自民党内の見方は甘い」
「選挙を控える参院議員の中では退陣論も挙がる」
「『石破カラー』で支持率回復の目もあるが、石破首相は演出は上手くない」
「我慢強さを見せせ、耐えるしかない段階だが、全てにおいてヨタヨタで、ちょっとしたきっかけで政権が終わる可能性はある」
と語った。
外交はどうか。
評論家の八幡和郎氏は
「トランプ氏との5分だけの電話会談は象徴的だ」
「石破首相のキャラクターと、トランプ氏の相性も懸念されている」
「重要なのは『本音で話す』ことではなく、『メンツを潰さないよう迎合しているかに見せて誘導する』ことだ」
「石破政権には厳しい宿題が多く課されている」
と分析した。

「トランプ側近の本音」石破首相の評価は? パイプ持つ日本保守党・島田洋一議員が聞いた「世論に迎合する信用できない男」
2024.11/8 15:24
https://www.zakzak.co.jp/article/20241108-RH7XVVVQKJJWFGBDK6T74MESFE/
石破茂首相は2024年11月7日、米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ前大統領と電話会談した。
首相はトランプ氏の印象を
「非常にフレンドリーな感じ」
と述べたが、トランプ氏周辺は実際のところ、石破首相や石破外交をどう見ているのか。
国際政治学者で共和党やトランプ陣営と太いパイプを持つ日本保守党の島田洋一衆院議員に
「トランプ側近の本音」
を聞いた。
石破首相は電話会談でトランプ氏に祝意を伝え、日米同盟をより高い次元に引き上げる考えで一致したと話した。
だが、大統領選直後にトランプ氏側近らとコンタクトを取ったという島田氏は
「衆院選にも敗北して政治力もないとして、トランプ氏周辺で石破首相の評価は高くない」
「マイナスからのスタートというより、スタートできるかも怪しい」
と指摘する。
島田氏によると、
「日米地位協定の見直し」

「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」
といった石破首相の持論にも、トランプ陣営の反応は冷ややかだという。
「日米地位協定の改定は米軍の機密保護や米兵の身の安全に関わるため、米国は超党派で反発している」
「アジア版NATOについては、石破首相が発信を控えていることが、却って『世論に迎合するような信用できない男』と見られているようだ」
石破首相とトランプ氏は、早期に対面での会談を調整する方針を確認したというが、島田氏はこんな見方を示す。
「会談では米国と同じ路線で取り組む態勢が出来ていると、しっかりプランを示して行動できるかが重要だ」
「例えば岩屋毅外相は中国寄り≠ニ見られていて、防衛相時代の2018年には韓国海軍による自衛隊機へのレーダー照射問題に対応出来なかった」
「『人事は政策』であり、情報発信にもなるので、刷新すべきではないか」
トランプ氏が2016年の大統領選に勝利した際には、安倍晋三元首相がトランプタワーを訪問するなどして蜜月関係を築いた。
「トランプ政権発足直後の朝鮮半島危機や、中国に対する締め付けにも、安倍元首相は真っ先に協力するなど、間髪入れずにサポートする行動が信頼関係を固めた」
と島田氏は分析する。
これまで学者として北朝鮮による日本人拉致問題や日米関係の強化に取り組んできた島田氏だが、衆院選で日本保守党から出馬して当選し、今後は国会議員の立場で臨むことになる。
トランプ陣営の反応について島田氏は
「日本保守党から出馬し当選したことを
『米国で言えばトランプ現象に値するものだと理解している。日本保守党と連携していきたい』
と言われた」
「日本保守党の『日本第一』は、トランプ氏の『米国第一』と通じ、『脱炭素原理主義』に異を唱える基本線も一致する」
と明かした。
トランプ陣営は今、外交路線をどう考えているのか。
島田氏は
「中国を『主敵』と位置付け、軍事利用可能な技術を含む最先端ハイテク分野や知的財産で厳しく締め上げて供給網から外すことを検討している」
「トランプ氏は経済分野の交渉で習近平国家主席が誤魔化そうとしても許さないだろう」
との見方を示した。

首相に安心して辞めてもらうため
政界十六夜 石井聡
2024/11/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20241108-CEBHVOQ4UJKA5BOFYOEHEQV5GQ/
つい最近まで
「政治家というより評論家」
との評もあった人なら、衆院選大敗を喫しても政権の座にとどまろうとするトップについて、第三者としてどう語っただろう。
敗因は専ら自民党にあり、自分ではないと言わんばかりの石破茂首相は、国民民主党などの協力を当てにした延命工作に勤しんでいる。
首相は衆院選最中の
「掌返し」
は元より、自ら命名した
「納得と共感内閣」
も有権者に納得どころか拒否された。
産経新聞は選挙後の2024年10月29日付朝刊の主張(社説)で
「首相の居座りは許されぬ」
と、直ちに辞職して新総裁選出に移行すべきだと指摘した。
読売は
「速やかに進退を決することが憲政の常道」、
朝日も
「政権の継続は至難の道」
と社説で書いた。
国政や政権政党に対する新聞社のスタンスには異なる点があるものの、敗北した責任者の出処進退を巡る見解を普通に考えればこうなる。
しかしながら、首相が新聞の提言に耳を傾ける気配はない。
衆院選では立憲民主党が50議席増と躍進しながら、野党連立政権への流れを作れなかった。
特別国会の首相指名選挙で、決選投票を経て石破首相への指名が見込まれることも、切迫感を失わせているのだろう。
衆院選翌日の敗戦に関する総裁会見で、首相は
「政治改革や経済対策などの課題に先頭に立って取り組む」
と辞めないことを明言し、大きな理由の1つに
「国政は一時(いっとき)たりとも停滞が許されない」
点を挙げた。
就任直後の国政選挙で大敗を呼び込み、与党の自民、公明両党以外の賛成を得なければ予算も法律も通らない政治状況を生じさせたのだ。
その張本人がとどまること自体が政治の空白を生むという判断を持たないなら、如何ともし難い。
空白を拡大させないため、次の手立てを早急に講じるしかない。
それは、野党に責め立てられて行き詰まる前に、自民党内で首相を退陣に追い込み、新総裁の下で立て直しを図るという自浄作用だ。
来年2025年の参院選の前に再び衆院選を行い、議席を挽回しておくことも課題となろう。
どうも
「〇〇おろし」
という言葉には
「反逆」
「足を引っ張る」
という悪いイメージが伴うようだ。
世論には
「すぐに辞めなくてもよい」
という一種の判官びいき≠烽り、大人しい自民党議員たちに二の足を踏ませている。
異常事態の打開には不可欠な作業なのにである。
その実現には石破首相に取って代わる人物が決起しなければ始まらない。
例えば、先の総裁選で惜敗した高市早苗前経済安全保障担当相や、衆院選後に党選挙対策委員長を早々に辞任した小泉進次郎元環境相らである。
総裁選を戦ったばかりだから政権構想の準備はあるはずだ。
高市氏は衆院選当選後、執行部に対して
「徹底的に自民党を立て直して頂きたい」
と注文していた。
他人事ではなく、自らそれに当たる事が求められる場面ではないか。
むろん、決起する人を支える勢力の再結集も急がなければなるまい。
旧派閥の枠を超えて
「保守派」
どうしの連携などダイナミックな動きを作ることができれば、党再生の活力にもなる。
昨年2023年来の
「岸田おろし」
は気配だけで不発に終わった。
「今はまだその時ではない」
などと身を潜めているのは、自分自身の当座の生き残りには役立つとしても、国の危機を等閑視するに等しい。

中国、韓国が利用する石破首相の歴史観 過去の言動繰り返せば付け入る隙に 
阿比留瑠比の極言御免
2024/11/7 1:00
https://www.sankei.com/article/20241107-3K6TVFPG6RPOZDBYUBB4CSA2ZI/
まだ石破茂首相のことを保守派だと見做していた20年以上も昔の話である。
筆者は当時、安倍晋三元首相や中川昭一元財務相らが熱心に取り組んでいた偏向歴史教科書問題や慰安婦問題など保守系の運動に関わろうとしないことをいぶかり、それらへの参加を促したことがある。
だが、返事はそっけなかった。
「そういうのは、もういいよ」
この時は、単に余り関心がないのかと流したが、徐々にそうではなくて歴史認識自体が大きく異なるのだと分かってきた。
石破氏の考え方は、むしろ左派・リベラルに近かった。
それを反映し、2024年9月の自民党総裁就任時などに、中国や韓国は首相の歴史観を理由に概ね歓迎を示した。
例えば韓国の左派紙、ハンギョレ新聞は同月2024年9月30日の社説で書いている。
「歴史問題についても『政治的ライバル』だった安倍元首相とは異なり、何度も合理的な見解を明らかにしたことがある」
「(中略)謙虚な歴史認識を示してくれることを期待する」
また、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(2024年10月18日付)は、首相が平成18年9月23日付の毎日新聞鳥取県版にこう語ったことを紹介している。
「最近は、自民党の若い議員を見ても、怖い」
「過去の戦争を『全て正しかった』と考えていて、頭は大丈夫かと疑いたくなる」
「日中戦争は明らかに侵略戦争だし、韓国併合は植民地化(だ)」
こうした首相のこれまでの言葉については、月刊誌「明日への選択」2024年11月号の記事
「かくも危うい石破首相の『歴史認識』」
がよくまとめていたので、許可を得て引用する。
それによると首相は平成29年5月、韓国紙、東亜日報のインタビューで慰安婦問題についてこう語った。
「納得を得られるまでずっと謝罪するしかないでしょう」
もっとも、その後の産経新聞の取材に首相は
「『謝罪』という言葉は一切使っていない」
「『お互いが納得するまで努力を続けるべきだ』と話した」
と否定している。
とはいえ、
「努力」
をどう翻訳(意訳)すれば
「謝罪」
に入れ替わるのか理解に苦しむ。
中国共産党系の新聞、世界新聞報のインタビューも防衛相時代の2020年に受け、こう述べたとされる。
「日本には南京大虐殺を否定する人がいる」
「30万(人)も殺されていないから南京大虐殺そのものが存在しないという」
「何人が死んだかと大虐殺があったかは別問題だ」
「日本は中国に謝罪すべきだ」
これについても首相は月刊正論2020年9月号で
「大虐殺があったとは言っていないよ」
と否定しているが、聞き手の評論家、潮匡人氏はこうたしなめていた。
「ですが、そう相手に受け取られる対応も、事実関係で日中間に隔たりがある以上、国益の擁護者として慎重であるべきではなかったかと」
まさにその通りである。
首相が実際にどのような表現を使ったかは判然としないが、相手に利用されるようなことを述べたのは事実だろう。
来年2025年は終戦80年を迎える他、日韓国交正常化60周年にも当たる。
中国も
「抗日反ファシズム戦争勝利80周年キャンペーン」
を準備しているという節目の年である。
韓国や中国の反日勢力がさまざまな仕掛けをしてくると予想できるが、首相が過去の言動を繰り返すようなら、付け入る隙を与えることになろう。
もっとも、それまで首相を続けていられるかどうかは分からないが。
(論説委員兼政治部編集委員)

衆院選で与党過半数割れ 産読朝は首相に辞任を求める 毎東日は熟議の合意形成促す
社説検証
2024/11/6 9:00
https://www.sankei.com/article/20241106-3AZLN7SFRNM3VM35Q5UTMPRLOI/
第50回衆院選は自民党が公示前の議席を大幅に下回り、連立政権を組む公明党と合わせても過半数に届かなかった。
立憲民主党は躍進し、国民民主党は勢力を4倍に拡大した。
産経、読売、朝日は石破茂首相に責任をとって辞任するよう求めた。
産経はまた、国政を停滞させぬよう、各党は安定政権の樹立に向けて努力すべきだと説き、毎日、東京、日経などは、熟議を通じた合意形成を促した。
自民の派閥パーティー収入不記載事件で、石破首相は不記載の候補者を非公認にしたり、比例代表との重複立候補を認めなかったりした。
一気に事を決めずに騒動を続けたのである。
産経は
「世間の関心が『政治とカネ』一色になったのはそのせいでもある」
と断じ、
「言い訳選挙」
になったことで優勢に戦うことができなかったと敗因を分析した。
与党過半数というのは首相自身が設定した勝敗ラインだ。
産経は
「石破首相が政権に居座ろうとするのは信じ難いことだ」
「責任を取って潔く辞職すべきである」
と強調し、
「自民は速やかに総裁選を実施し、新総裁と新執行部が他党と交渉するのが望ましい」
と論じた。
読売は
「大幅な議席減は、政治とカネの問題に象徴される、長期政権の驕りや緩みに対する国民の不信感を反映した結果と言えるのではないか」
との見方を示した。
「政権に居座り、政局の混乱を長引かせることは許されない」
「速やかに進退を決することが憲政の常道である」
と石破首相に退陣を迫った。
朝日は
「石破政権に対し、国民が『不信任』を突き付けた」
「裏金問題に対する国民の怒りや不信を甘く見た結果に違いない」
とし、
「石破首相は職を辞すのが筋だ」
と主張した。
首相への不信任は、自民党政治への不信任だとして、
「自民も今度こそ本気で実態解明に取り組まねばならない」
と訴えた。
毎日、日経、東京は明示的には辞任を求めなかった。
毎日は自民の敗因について
「第2次安倍晋三政権以降に深刻化した政治の歪みや驕りを、根本から正そうとしなかったことだ」
と指摘。
日経は政治資金問題で
「生温い対応に終始し、有権者の不信感を拭う事は出来なかった」
と分析した。
東京は
「派閥の裏金事件に自らけじめを付けなかったことに対し、民意は政治腐敗を明確に拒んだ」
と訴えた。
特別国会での首相指名選挙に向けて与野党の多数派工作が活発化している。
その結果如何にかかわらず、立民の影響力増大が予想される。
産経は、集団的自衛権の限定行使は憲法違反という考えを変えず、反撃能力の保有にも消極的な立民について
「これで国民を守れるのか」
「この政策では日米同盟を危機に陥れた旧民主党政権の二の舞いになる恐れがある」
と政権担当能力に疑問符を付けた。
読売も
「『寄り合い所帯』で、安全保障やエネルギーなど基本政策でさえ一致しているとは言えない」
「そうした現状で、他の野党と政策協議ができるのか」
「まずは立民内の基本政策をしっかりと固めることが不可欠だろう」
と釘を刺した。
朝日は
「与野党が拮抗する政治状況を、立法府の行政監視機能を立て直し、熟議を通じた丁寧な合意形成に繋げてもらいたい」
「立憲の責任と役割は極めて重くなった」
と記した。
毎日も立民に対し
「国会での存在感の高まりに見合った責任を果たすべきだ」
と注文し、
「与野党が伯仲する政治状況下では、緊張感ある論戦を通じて国民本位の合意を見い出すことが欠かせない」
と説いた。
日本の政治は新たな局面に突入した。
来年2025年夏の参院選を睨み、与野党の攻防は激しくなるだろう。
だが、スピード感をもって政策の合意形成を図っていかなければ、迷惑を被るのは国民である。
与野党はその事を肝に銘じてもらいたい。

■衆院選での与党過半数割れをめぐる主な社説
【産経】
・審判を重く受け止めよ/安定した政権の構築を求める(10月28日付)
・首相の居座りは許されぬ/直ちに辞職し新総裁選出を(29日付)
【朝日】
・国民から首相への不信任だ(28日付)
・信失ったままでは困難(29日付)
【毎日】
・「政治とカネ」に重い審判(28日付)
・不信拭う改革が最優先だ(29日付)
【読売】
・長期政権の驕りが不信招いた/国政の停滞は避けねばならない(28日付)
・首相は責任の重さを自覚せよ/政権の枠組み作りが焦点となる(29日付)
【日経】
・自民不信を突きつけた厳しい審判(28日付)
・国政の停滞回避へ責任ある行動を(29日付)
【東京】
・民意は政治腐敗拒んだ(28日付)
・熟議の政治を取り戻せ(29日付)

<主張>与党「過半数割れ」 審判を重く受け止めよ 安定した政権の構築を求める
社説
2024/10/28 5:00
https://www.sankei.com/article/20241028-FCCUJHFOJVJ47OD67N322RXKGY/
第50回衆院選の投開票が行われた。
政権の信を問うと臨んだ石破茂首相は勝敗ラインに自民党、公明党の与党過半数を設定していたが、届かなかった。
立憲民主党は躍進し、国民民主党も議席を伸ばした。
自民にとって野党に転落した平成21年の衆院選以来となる歴史的敗北だ。
首相は選挙結果を重く受け止めねばならない。
今後自民は非公認当選者の追加公認を図る見通しだ。
国際情勢は厳しく、混迷の度合いを増している。
今後、特別国会で首相指名選挙が行われるが、各政党は安定政権を作るべく努力してもらいたい。
国政を停滞させてはならない。
■言い訳選挙では勝てぬ
今回の大敗は、石破首相と自民執行部が
「言い訳選挙」
にしてしまったことが大きい。
言い訳選挙で優勢に戦うことなど望むべくもない。
自民の旧安倍派などの派閥パーティー収入不記載事件への有権者の怒りはくすぶっていた。
それにうまく対応できなかったのが首相だった。
就任後、不記載の前議員の非公認を増やし、比例代表との重複立候補を認めなかった。
しかも一気に事を決めず騒動を続けた。
世間の関心が
「政治とカネ」
一色になったのはそのせいでもある。
選挙戦最終盤には自民が、非公認にした候補が代表を務める政党支部に活動費2000万円を支給したことが報じられ、首相は党勢拡大のためで
「選挙に使うことはない」
と釈明した。
これも有権者の投票行動を左右した可能性がある。
有権者や他党からどう見られるかを考えなかった石破首相や森山裕幹事長には、自民内から疑問の声が上がった。
石破首相は高市早苗前経済安全保障担当相との協力関係構築にも失敗し、閣僚人事で挙党体制を作らなかった。
自民の岩盤支持層の離反を招き、票が日本保守党や参政党などへ流れた。
国会論戦も十分に行わず早期解散に走った。
これで勝てると思っていたのなら信じ難い。
衆院選で政治とカネの問題への有権者の憤りが改めて示された。
各党は政治改革の具体策で合意し、速やかに実行に移すべきだ。
それを怠れば政治不信に拍車がかかる。
言い訳選挙になったのは、もう1つ理由がある。
それは、石破首相が政治とカネの問題を上回る、または匹敵するような政策上の大きな争点を国民に示せなかったことだ。
衆院選は常に日本の独立と繁栄、国民の生活と暮らしがかかった、日本の針路を決める政権選択選挙なのである。
にもかかわらず日本の針路を巡る本格的な論戦は展開されなかった。
とりわけ日本を守る安全保障が重視されなかったのは残念だ。
■立民は国を守れるのか
台湾有事の懸念が高まっている。
公示の前日には、中国軍が台湾を包囲する形で大規模な演習も行った。
今回の衆院選で選ばれた議員が台湾有事に直面する可能性がある。
北朝鮮の軍はウクライナ侵略に加担する見通しだ。
朝鮮半島有事がロシアを含む日本有事へ拡大することもあり得る。
その危機が十分には語られず、抑止力のための防衛力の抜本的強化、国民保護などの具体策の議論が深まらなかったのは問題だ。
立民の影響力は増大する。
野田佳彦代表は外交・安保政策の継続性を重視する考えを示す一方で、集団的自衛権の限定行使は憲法違反という党の立場を変えていない。
反撃能力の保有にも積極的ではない。
これで国民を守れるのか。
この政策では日米同盟を危機に陥れた旧民主党政権の二の舞いになる恐れがある。
政策上の欠陥を抱えたままの立民に政権担当能力があるのか疑問だ。
経済を巡っては、各党がこぞって消費税減税や給付金支給などの物価高対策を示した。
だが財源を含む具体化の道筋には曖昧なものが多く、バラマキ色が目立った。
物価高に負けない賃上げを果たし、デフレからの完全脱却を確実にするには、生産性を向上させて企業の収益力を高める取り組みが欠かせない。
そうした積年の課題を解決しなければならない。
憲法改正の動きを後退させてはならない。
自民の大敗に加え、改憲に前向きな日本維新の会が振るわなかった影響は大きい。
自衛隊明記や緊急事態条項の創設は急務で、国会は改憲原案の条文化を進めるべきだ。

<主張>国民の審判 首相の居座りは許されぬ 直ちに辞職し新総裁選出を
社説
2024/10/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20241029-CEB23AAJIJPI7NMIRKWA2U4OUQ/
衆院選で大敗を喫した石破茂首相(自民党総裁)が2024年10月28日の記者会見で、引き続き政権を担う意欲を示した。
自身が設定した与党過半数という勝敗ラインを割り込む大敗の責任を取らずに、石破首相が政権に居座ろうとするのは信じ難いことだ。
責任を取って潔く辞職すべきである。
自民は比較第1党に踏みとどまった。
友党の公明党と共に政権構築を目指すのは分かるが、それは国民の信を失った石破総裁の下ではあり得ない。
自民は速やかに総裁選を実施し、新総裁と新執行部が他党と交渉するのが望ましい。
■本当に反省しているか
石破首相は会見で、衆院選の審判を
「真摯に厳粛に受け止める」
と語った。
だがその言葉とは裏腹に、
「国政の停滞は許されない」
と繰り返し、
「安全保障、国民生活、災害対応に万事遺漏なきを期すことも私どもが負うべき責任だ」
と述べた。
そこには反省が感じられない。
国民は衆院選で石破首相に国政運営を託したくないという判断を示した。
それが何故分からないのか。
有権者の審判を無視するトップが政権の座に留まろうとして国民の支持を得られると思うなら甘過ぎるし、民主主義から外れている。
全ての自民国会議員は、石破首相の続投こそが、国政の停滞を招くと知るべきである。
自民の小泉進次郎選対委員長は2024年10月28日、
「選挙の結果責任は選対委員長が引き受ける」
として辞任した。
小泉氏は自身の進退について
「目標を達成出来なかったのに責任を取らない自民党では、不信感の方が大きいと思う」
と語った。
これは石破首相、森山裕幹事長にこそ言えることである。
自民千葉県連会長の桜田義孝元五輪相は
「議席をあれだけ減らした」
「責任はある」
と述べ、首相や執行部の早期退陣を促した。
これが国民感覚に沿った判断だろう。
石破首相は、第1次安倍晋三政権時の参院選で自民が大敗し
「ねじれ国会」
となった際に、続投を表明した安倍首相を攻撃した。
党総務会で
「(安倍)首相は『私か小沢一郎民主党代表かの選択だ』と訴えたのに、どう説明するのか」
と非難した。
代議士会では
「首相は『反省すべきは反省する』と言っているが、何を反省し、どう改めるのかはっきりしてほしい」
と責め立てた。
同じ事を石破首相に問いたい。
2024年10月28日の会見で
「自民党は心底から反省し、生まれ変わらなければならない」
と語ったが、トップである自身がまず責任を取るべきだろう。
麻生太郎政権時に農林水産相だった石破首相は、事実上の退陣を迫ったこともある。
過去の言動との整合性がなければ、石破首相への信頼は集まらない。
首相の言葉は限りなく軽いものとしてしか受け取られまい。
■森山幹事長も責任重い
他人に厳しく自分に甘い、主権者である国民の審判を軽んじる。
そこに謙虚さは見当たらない。
このような有り様で与党は特別国会の首相指名選挙に確実に勝てるのか。
よしんば勝ったとしても、自民党内からは辞任論が出て、石破首相の求心力は低下している。
安定した政権運営が出来るのか。
森山幹事長の責任も重い。
選挙戦最終盤には、自民が非公認にした候補が代表を務める政党支部に活動費2000万円を支給したことが報じられ、
「政治とカネ」
を巡る批判に拍車を掛けた。
石破首相は
「選挙に使うことはない」
と述べたが説得力に乏しかった。
支給を主導したのは森山氏だったとされる。
石破首相の就任後に、臨時国会で予算委員会を開かず早期に解散するよう進言したのも森山氏である。
首相と森山氏は衆院選を有利に展開しようと党利党略に走ったが、思惑外れに終わった。
政府与党は首相指名選挙を行う特別国会を2024年11月11日に召集する方向で調整している。
だが、憲法第54条は衆院選投票日から30日以内の召集を定めている。
殊更引き延ばすことはあってはならないが、国会議員中心の自民総裁選を実施するくらいの日程的余裕はある。
自民は新総裁を選び、出直しを図らねば信頼回復は遠く、来年2025年の参院選でも有権者から厳しい審判を受けるだろう。
石破首相が今、日本と国民、党のために出来ることは速やかに辞任することしかない。

衆院選自公惨敗 長期政権の驕りが不信招いた
2024/10/28 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241028-OYT1T50056/
◆国政の停滞は避けねばならない◆
自民、公明の与党が衆院選で惨敗し、過半数を割り込んだ。
今後、一部の野党の協力を得て、引き続き自公が政権を担い続けられるのか。
あるいは、立憲民主党を中心とした野党勢力が政権交代を起こせるのか。
政局は一気に流動化する情勢となった。
また、
「自公で過半数」
を勝敗ラインに設定していた石破首相の進退も焦点となる。
■政局の流動化は確実
第50回衆院選が開票された。
自公は、2012年の政権復帰以降、経験したことのない逆風に晒された。
大幅な議席減は、政治とカネの問題に象徴される、長期政権の驕りや緩みに対する国民の不信感を反映した結果と言えるのではないか。
一方、多くの野党は議席を増やしたが、理念や基本政策の異なる各党で協力できるかは見通せない。
自公、立民それぞれが過半数確保に向け、多数派工作を繰り広げることになりそうだ。
与野党の勢力が伯仲することで、予算案や法案を巡る攻防が激化して政策遂行が遅れる事態が懸念される。
実際、2007〜2008年の福田内閣当時は、野党が国会運営を主導し、国政が停滞した。
今後、政権の枠組みを巡って与野党が駆け引きを繰り広げ、混乱が長引く可能性もある。
山積する内外の難題に適切に対応できるのか。
与野党共に大きな責任を負うことになった。
今回の衆院選は異例ずくめだった。
石破政権が内閣発足直後の
「ご祝儀相場」
を当て込み、戦後最短での衆院解散に踏み切った。
だが、自民党は、政治資金問題を抱えた前議員らの処遇を巡り、原則として全員を公認する方針が批判されると、非公認を次々と増やし、定見のなさを露呈した。
選挙戦の終盤には、非公認となった候補が代表を務める党支部に対し、党本部が公認候補向けと同額の2000万円を支給していたことも発覚し、混乱を広げた。
執行部の失態と言う他ない。
自民が苦戦した背景には、
「岩盤」
と呼ばれた保守層の支持が離れたこともあるのではないか。
岸田前首相が昨年2023年、性的少数者(LGBT)理解増進法の成立に急に舵を切ったことや、総裁選での選択的夫婦別姓の議論に反発する支持者は多かった。
こうした政策に反対してきた参政党や、政治団体・日本保守党が一定の支持を集めたのは、自民に不満を持つ保守層を引き付けることに成功したからだろう。
既成政党に対する不信感が、新興勢力を勢い付けている側面もある。
■現実的な主張が奏功か
先月2024年9月、15年ぶりに党首が交代した公明も厳しい選挙戦となった。
小選挙区選に初めて挑戦した石井新代表が落選したのは、支持母体の創価学会員の高齢化が影響しているとされる。
一方、立民の伸長は、自民の
「金権体質」
を争点化する手法が奏功したことが一因だ。
また、野田代表は、仮に政権交代が実現したとしても、現在の安全保障政策を 概 ね継承する考えを示した他、原子力発電を含むエネルギー政策について、党の綱領で定めた
「原発ゼロ」
に拘らない方針を強調した。
こうした現実的な主張が有権者に安心感を与えたようだ。
国民民主党も躍進した。
玉木代表が
「手取りを増やす」
と主張して、
「生活重視」
の姿勢を取ったことが、特に若い世代の支持拡大に繋がったのだろう。
日本維新の会が伸び悩んだのは、大阪・関西万博の会場建設費が想定以上に膨らんだことや、推薦した前兵庫県知事のパワハラ疑惑が影響したとみられる。
他方、選挙戦で政策論争が深まらなかったのは残念だ。
■課題を蔑ろにするな
物価高を上回る賃上げをどうやって定着させていくかは喫緊の課題である。
社会保障制度を持続可能な仕組みとしていくにはどうすればよいか。
急速に進む人口減少への対策も待ったなしだ。
ウクライナ戦争や中東の紛争が長期化し、国際情勢は激変している。
先進7か国(G7)の一角を占める日本は外交力を発揮し、国際社会の安定に貢献すべきだ。
日本周辺の安全保障環境はかつてないほど悪化している。
防衛力の強化はもとより、日米同盟を深化させると共に、友好国を増やしていく必要がある。
野党の選挙戦術もあって、政治とカネの問題が焦点となったのはやむを得ないとしても、国政の課題を蔑ろにするような事態は避けなければならない。

自民歴史的大敗 首相は責任の重さを自覚せよ
2024/10/29 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241028-OYT1T50239/
◆政権の枠組み作りが焦点となる◆
国民に信を問うために断行した衆院解散・総選挙で大敗した以上、石破首相が取るべき道は明らかだ。政権に居座り、政局の混乱を長引かせることは許されない。
速やかに進退を決することが憲政の常道である。
衆院選の結果、自民、公明の与党の獲得議席は、首相が「勝敗ライン」とした「与党で過半数」には程遠い215議席だった。自民党は191議席にとどまった。
■勝敗ラインには程遠く
自民党が200議席を下回るのは、民主党に政権を明け渡した2009年以来で、自民結党以降でも2回目だ。今回は歴史的惨敗を喫したと言える。
首相は、過半数割れの少数与党であっても、無所属で当選した議員らの追加公認や、一部野党の協力によって政権を維持しようとしている。選挙後の記者会見では「国政を進めていくことで職責を果たしていく」と述べた。
首相が協力相手として想定しているのは国民民主党だ。国民民主は「対決より解決」を掲げ、予算案や法案の採決で自公と足並みを 揃 そろ えたこともあるため、連携が可能とみているようだ。
だが、衆院選で敗れた首相が少数与党の体制で政権を維持できたとしても、国会では多数派の野党を相手に、必要な法案や政策を実現させていくことは困難で、混乱が長引くだけだ。
首相は責任の重さを自覚し、判断を間違えてはならない。
衆院選の敗因について首相が、「政治とカネの問題で国民の疑念、不信、怒りが 払拭 ふっしょく されていないことが最大の理由だ」と述べたのはその通りだろう。
しかし、新政権が衆院選でとった戦術はちぐはぐで、ことごとく裏目に出たのも事実だ。
そもそも首相就任前に、解散日程を表明したことは異例で、違和感を覚えた人は多かった。
■ミス繰り返した執行部
首相は自民党総裁選の最中、早期の解散に慎重な考えを示していたのに、首相に就任すると、予算委員会を開かず、戦後最短の日程での解散に踏み切った。
こうした策を首相に進言したのは、総裁選で早期解散論を唱えていた小泉進次郎選挙対策委員長だとされている。
首相交代直後の刷新感を武器に選挙を戦おうとしたようだが、これを受け入れたのは首相で、有権者には、誠実さに欠けるという印象を与えたに違いない。
このほか、政治資金収支報告書に不記載があった前議員らを公認するか、非公認とするかを巡って執行部の方針は二転三転した。
選挙戦最終盤には、非公認候補が代表を務める党支部に、自民党から公認候補と同額の2000万円を支給していたことが判明し、「非公認は見かけ倒しの処分だ」といった批判を招いた。
石破政権がこれほど失策を繰り返していたら、支持を失うのも当然だ。執行部に責任を取らせて済む問題ではない。
大敗した自民とは対照的に、立憲民主党と国民民主党は躍進した。自公に代わる受け皿としてみなされたのだろう。日本維新の会と共産党は議席を減らした。
欧州では、エネルギー価格など物価高騰への不満から、自国第一主義を掲げた極右政党が伸長するケースが目立っている。
今回の衆院選では急進的な主張をする勢力が一定の支持を集めたが、その広がりは限定的で、日本の有権者は、穏健な保守や中道路線を支持したとみて良かろう。新たな政権の枠組みは、そうした民意を反映することが望ましい。
立民は、他の野党との多数派工作に力を入れ始めている。野田代表が野党を糾合し、政権交代を実現できるかどうかが焦点だ。
■政策の一致は不可欠だ
ただ、野田氏の足元は盤石とは言い難い。立民は、リベラル系や中道路線を支持する議員などの「寄り合い所帯」で、安全保障やエネルギーなど基本政策でさえ一致しているとは言えない。
そうした現状で、他の野党と政策協議ができるのか。まずは立民内の基本政策をしっかりと固めることが不可欠だろう。
野党各党で協力するにしても、理念や基本政策が 乖離 かいり した状態では、政権は安定しまい。実際、1993年に7党1会派で発足した細川連立内閣は、路線対立が絶えず、1年足らずで瓦解した。
国際情勢は緊迫の度を強め、国内は少子化問題、社会保障制度改革、経済再生など待ったなしの課題が山積している。各党もまた責任の重さを忘れてはならない。

[社説]自民不信を突きつけた厳しい審判
衆議院選挙2024
社説
2024年10月28日 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK271700X21C24A0000000/
政治とカネの問題で自民党に厳しい審判が下った。
第50回衆院選は2024年10月27日投開票され、自民、公明両党は過半数を大きく下回り敗北した。
自公は政権に復帰した2012年以来の岐路に立った。
石破茂首相らの責任論は避けられない。
自公は野党に協力を求めて政権を継続する方針だ。
立憲民主党は躍進し、多数派の形成に向けて野党各党と協議に入る。
政局は流動化し、政権の枠組みが見えない不透明な状況になった。
■世界の潮流が波及
自民は公示前の247議席から大きく減らし、下野した2009年以来の敗北となる。
接戦だった多くの小選挙区で競り負け、閣僚経験者や政治資金の不記載で非公認となった無所属前職ら有力議員の落選が相次いだ。
公明も石井啓一代表が落選したのをはじめ、牙城である関西で苦戦するなど、公示前の32議席を下回った。
立民は公示前の98議席から大幅に議席を伸ばした。
保守系の野田佳彦元首相を代表に据えたことで、自民支持から離反した保守層の受け皿になったとみられる。
自民との議席差を一気に縮める結果は、政権交代への足掛かりを築いたと言ってよいだろう。
自民の敗因が政治資金問題にあるのは明らかだ。
私たちは当初から
「政治とカネの問題は、扱いを誤れば政権の命取りになる」
と指摘してきた。
だが自民は生温い対応に終始し、有権者の不信感を拭うことはできなかった。
与党の敗北は世界的な潮流でもある。
選挙イヤーの今年2024年、各国で相次いだ現職や与党に逆風が吹く流れが日本にも及んできたと言えよう。
物価高や賃金、雇用など身近な課題に既存の政治が十分対応できず、有権者がノーを突き付ける構図だ。
政治資金の杜撰な管理が物価高に耐える国民の不満を増幅したと見るべきだろう。
選挙戦の争点が政治とカネの問題に集中し、政策論争が深まらなかったのは残念だ。
物価上昇を上回る所得向上への道筋や社会保障の給付と負担の見直し、人口減少に伴う地方創生の在り方などは、どんな政権であっても重要課題として取り組まざるを得ない。
日本の政治の安定が損なわれることになれば、対外的に大きなマイナスだ。
米大統領選の行方が見通せない中、日米同盟や日韓関係の不安定要因にならないよう注意する必要がある。
日米韓の連携が動揺し、中国や北朝鮮、ロシアに対日政策の軽視や周辺地域での過激な行動を誘発する事態は避けなければならない。
政治の安定は海外から日本にヒト、モノ、カネを呼び込む誘因の1つでもある。
政局が混迷すれば、日本への投資を控える動きにつながる懸念がある。
ようやく成長軌道に乗りつつある経済に水を差すことがあってはならない。
そのためには出来るだけ早く安定した政権基盤を取り戻す他ない。
自公は過半数を割っても一部の野党と連携することで政権を継続したい考えだ。
連立政権の枠組みへの野党勢力の参加も視野に入れるが、現時点で野党側に自公連立に加わる動きはない。
■熟議を取り戻す契機に
一方、立民は非自民勢力の結集に向けて野党各党と協議する意向だ。
ただ、どのような枠組みで政権を目指すのか、具体的な政権構想はこれからで、成否はまだ見通せない。
自民と立民の議席差が大幅に縮まったことで、衆院選後に開かれる特別国会での首相指名選挙に向け、両陣営の攻防が激しくなる。
国民民主党や日本維新の会などとの連携を巡る綱引きも予想される。
政権の枠組みが見えてくるには時間がかかりそうだ。
与野党の伯仲は政治の在り方として悪い事ではない。
政権交代を目指す立民の伸長は国会審議に緊張感を与える。
中道保守の第1党と第2党が熟議を通じ、重要課題を解決するのは政治の1つの知恵である。
立民にとっては政権担当能力を磨く場となり、政権への近道になるはずだ。
対外的にも日本の政治の安定と成熟を示すことになろう。
ウクライナ戦争や中東情勢は緊迫の度を増している。
与野党とも内向きの政争に陥るのではなく、国内外の情勢に目を向け、国際社会で求められる日本の役割を自覚して安定した政治を取り戻すことを急ぐべきである。

石破おろし起きぬ自民 党内抗争の余裕なく 7日の両院議員懇が試金石
2024/11/5 19:36
https://www.sankei.com/article/20241105-GYVAXXRCA5IRJDOK5GFJPC7A5E/
先の衆院選で議席を大幅に減らした自民党では石破茂首相(党総裁)の退陣を求める
「石破おろし」
は起きず、来週の首相指名選挙で石破首相が再選出される公算が大きい。
危機的状況の中、野党に政権を奪われないことが最優先で、党内抗争の余裕はないからだ。
ただし不満はくすぶっており、2024年11月7日の両院議員懇談会が試金石となる。
■「今度こそ国民に見放される」
同懇談会は全自民議員が参加でき、首相も出席する。
首相は2024年11月5日の党役員会で
「意見を賜り、今後の党運営に共に努力していきたい」
と述べた。
勝敗ラインの
「与党過半数」
を下回ったことから首相への不満が相次ぐ公算が大きい。
首相に批判的な中堅議員は周囲に
「辞任すべきだと言う」
と息巻いた。
とはいえ、
「即退陣」
を求める声は広がっていない。
来週の首相指名選挙までに交代させる時間がない上に、予算案などの可決に必要な衆院過半数の獲得に向けて現執行部の下、野党・国民民主党の協力を得る交渉も始まった。
「今、党内で足の引っ張り合いをしたら、自民は政権を維持できない」(幹部)
との認識が支配的だ。
旧安倍派中堅は
「まずは経済対策」
「出来なければ今度こそ国民に見放される」
と語り、2024年年内の今年度補正予算案の成立を目指すことを優先すべきだと語る。
■交代圧力強まるのは来夏か
首相に批判的な議員が多い旧安倍派の実力者、萩生田光一元政調会長も2024年11月1日夜のインターネット番組で
「就任して1カ月」
「どんどん変えたら政権が不安定化する」
と語った。
反石破勢力から期待されている高市早苗元経済安全保障担当相も発信を控えており、党内の大勢が首相を見限る状況にはなっていない。
2024年11月2、3両日の産経新聞社・FNNの合同世論調査では、首相は「続投してもよい」との回答が55・3%に達した。
反石破勢力の参院議員は
「石破さんにはボロボロになっても来年2025年度予算を通してもらい、退陣してもらう」
と語り、来年2025年度予算成立後の来年2025年春の石破おろしを予告する。
平成13年には、当時の森喜朗首相が
「7月の参院選を戦えない」
との声の高まりを受け、予算成立後の平成13年4月に内閣総辞職した。
来夏2025年夏の参院選前に選挙の
「顔」
の交代圧力が強まる可能性がある。

バラマキ廃し、減税主導の財政へ 衆院選での与党惨敗受け、自民党が政権維持のため
田村秀男の経済正解
2024/11/5 12:00
https://www.sankei.com/article/20241105-NRXE3S4HRJKEDPCB7VDTGZPOSY/
衆院選での与党惨敗を受けて、石破茂首相と自民党は政権維持のために、若い勤労世代の支持を集めた国民民主党の所得税、消費税の減税案を取り込まざるを得なくなっている。
バラマキ偏重の歪んだ財政政策を是正するチャンスが到来したのだ。
「バラマキ」
と言えば、
「岸田文雄前政権のバラマキは酷かった、真にけしからん」
と、1カ月ほど前に会った某財務省幹部の憤懣ぶりが頭に浮かぶ。
一時は
「増税メガネ」
とメディアに揶揄されたほど財務省寄りと思わせた岸田氏が打ち出した電気・ガス料金補助、ガソリン価格への補助金、更に定額減税などのバラマキは許せないのだろう。
元はと言えば、財務省が頑強に減税に抵抗することから、岸田氏はその代わりのバラマキでやり過ごそうとしただけである。
家計の負担を軽くして、所得税や消費税を減税すれば良いはずだが、財務官僚は一旦減税すれば恒久化すると恐れ、自民党税調に反対させてきた。
このパターンは岸田政権時代に限らない。
当初予算で増税、政策経費を削減し、景気が沈みそうになれば、大型補正予算を組むのが歴代政権の恒例行事になっている。
補正予算の大半はその場凌ぎなのだから、計画性に欠け、バラマキに偏してしまう。
バラマキでも、消費が持続的に拡大すればまだしもだが、実際にはそうはならない。
国内総生産(GDP)の6割近くを占める家計消費は実質で2023年後半から前年水準を下回り続けている。
需要が不足するのだから、1990年代後半以来の慢性デフレから未だに脱却できない。
バラマキは砂漠の水撒き同然、国民経済を潤せないのである。
グラフは物価変動分を勘案した12カ月平均の実質賃金指数(1997年3月=100)、更に勤労者収入、収入から所得税、住民税更に社会保険料を差し引いた可処分所得(手取り)についての実質ベースの前年同期比増減率の推移である。
先の春闘では5%を超える賃上げが実現した結果、勤労者の収入と可処分所得は物価上昇分を加味しても2024年5月以降共に前年を上回っている。
それでも、2024年8月には伸び率が下がっている。
実質賃金は2024年5月以降少しずつ上向いている。
しかし、27年前1997年の水準を16%以上も下回っている。
賃金収入に頼る勤労者は貧しくなったままなのだ。
こうみれば、バラマキではなく、きちんと現役世代の減税と社会保険料負担の軽減、可処分所得(手取り)の増加を政策として訴えた国民民主党に若い層が惹かれた理由が分かる。
メディアが実施した衆院選比例区投票先政党に関する出口調査結果の年代別シェアをみると、20歳代、30歳代が最も多く投票したのが国民民主だった。
公明党の石井啓一代表は投票より10日前の2024年10月17日、低所得者世帯に10万円程度の給付が必要との考えを示し、自民党の森山裕幹事長が同調する様子を見せると、交流サイト(SNS)では若者世代を中心に反発する声が湧き上がった。
それを見抜けなかった自公が大敗したのは、バラマキ型政治の終焉を告げている。
自民と国民民主は2024年10月31日に経済対策や税制改正の協議開始で合意した。
自民は予算案など重要案件ごとに国民民主が協力する
「部分連合」
を目指す。
石破政権が存続できるかどうかの瀬戸際に立たされている以上、国民民主の玉木雄一郎代表が、石破首相に国民民主案を丸呑みさせる政治情勢にある。
障害はある。
「政府債務が悪化している中、財源はあるか」
と問われると政治家は弱い。
だが、経済はダイナミックであり、単純な差引勘定では計れない。
現実に、円安の下で法人税収が伸び、物価高で消費税収更に所得税収も増えている。
おかげで政府の基礎的財政収支(国債関係を除く財政収支)は税収増を受けて2025年度は黒字化する情勢にある。
国際的な財政指標である政府の純債務のGDP比率は2022年以降、急速に減っており、2024年6月時点で86%、15年ぶりの低水準にある。
所得税、消費税の減税は家計の可処分所得水準を押し上げ、消費を増やすので税収も増える。
日銀も金融緩和を維持するので、円安基調は変わらない。
所得税の基礎控除を引き上げると、年収103万円以内に年間所得を抑制していた働き手が活気付き、人手不足を緩和し、家計も楽になる。
歪んだバラマキ財政と決別し、減税主導で経済を安定成長軌道に乗せる。
石破首相の活路はそれしかない。
(編集委員)

自民支持率、18歳〜20代は12・5% 「政治とカネ」になお強い不信感
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2024/11/4 19:37
https://www.sankei.com/article/20241104-KOBQI2UPS5NZBAAZVEWCAGPFSU/
産経新聞社とFNNの合同世論調査では、70歳以上の年齢層だけで石破茂内閣の支持が不支持を上回った。
自民党も高齢層の支持が高い傾向が明らかとなった。
18歳〜20代で石破内閣を
「支持する」と答えたのは32・0%で、
「支持しない」は61・0%。
30代も支持が28・8%、不支持が59・4%だった。
唯一、70歳以上で支持(58・5%)が不支持(36・4%)より多かった。
前回調査(2024年10月5、6両日)では、ほとんどの年齢層で支持が不支持を上回っていた。
自民の支持率は25・8%となり、前回調査の34・3%から8・5ポイント下がった。
年代別で「支持政党が自民」と答えたのは、
70歳以上35・0%、
60代28・0%、
50代23・7%、
40代30・3%、
30代14・8%、
18歳〜20代12・5%
だった。
一方、自民の派閥パーティー収入不記載事件を巡り、不記載があった候補者を非公認などとして衆院選に臨んだことで
「政治とカネの問題」
にけじめがついたかを尋ねたところ、
「ついていない」が85・5%、
「ついた」は10・6%
だった。
非公認で当選した議員らが自民会派入りすることについては
「自民会派入りは適切ではない」が52・0%、
「すぐに会派入りしても問題ない」は13・2%
にとどまった。
再発防止に必要な政治改革を2つ聞いたところ、
「政策活動費の使い道の公開」(40・9%)
が最も多く、
「政治資金の透明化やデジタル化での公開」(34・0%)、
「政治資金をチェックする第三者機関の設置」(28・5%)、
「政治資金パーティーの全面禁止」(27・2%)
などが続いた。

与野党連携は「政策ごと」65%支持 国民民主への期待感浮き彫り
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2024/11/4 18:47
https://www.sankei.com/article/20241104-KZUFNYT2PZNJZD4IWBZINNDCUA/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、与党との連携の可否を政策ごとに決める国民民主党の方針を支持する回答が65・1%を占め、
「新しい意思決定の仕組み」(玉木雄一郎代表)
に対する期待感が浮き彫りになった。
年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万円の壁」
の解消などを巡り、与党との交渉で具体的な政策推進に繋げられるかが焦点となる。
国民民主は、自民、公明各党との間で、
「103万円の壁」
引き上げなどの案件ごとに政策協議を行う方針を確認している。
2024年11月11日には石破茂首相(自民総裁)と玉木氏が党首会談に臨む方向だ。
国民民主が主張する
「103万円の壁」
の引き上げを巡り、世論調査では
「引き上げるべきだ」
との回答が77・2%に達した。
玉木氏は2024年11月3日放送のBSテレ東番組で、引き上げは
「有権者との約束だ」
と述べ、自民が応じない場合は政権運営に協力しない姿勢を示している。
「壁」
が解消されなければ
「国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
とも指摘した。
与党への牽制を重ねる玉木氏にとって、世論の賛同は追い風といえそうだ。
期待感は政党支持率にも表れている。
2024年10月5、6両日の前回調査で1・3%だった国民民主の支持率は、8・8ポイント上昇して10・1%となった。
今回の調査では、他の野党も前回より支持率を伸ばす傾向がみられたが、6・4ポイント増(13・7%)の立憲民主党、1・4ポイント増(3・5%)の共産党、1.3ポイント増(5・3%)の日本維新の会などと比較して、国民民主の上昇幅の大きさは際立っている。
政策ごとに態度を決める国民民主の方針を評価すると答えた人は、同党支持層に限ると83・9%に達し、自民支持層でも63・2%を占めた。
一方、立民支持層では比較的低く51・1%にとどまった。

適切な政権の枠組みは? 「年収の壁」は? 質問と回答(11月2〜3日)
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2024/11/4 13:16
https://www.sankei.com/article/20241104-2KY7G7Z5GVOJLNTTWBFSDX5DQM/

【問】石破茂内閣を支持するか
支持する43.8(53.3)
支持しない49.8(35.8)
他6.4(10.8)

【問】どの政党を支持するか
支持政党はない28.3(42.4)
自民党25.8(34.3)
立憲民主党13.7(7.3)
国民民主党10.1(1.3)
日本維新の会5.3(4.0)
公明党3.7(2.6)
共産党3.5(2.1)
参政党3.0(0.4)
れいわ新選組2.8(1.1)
日本保守党1.6(−)
社民党0.4(0.2)
その他の政党0.1(0.9)
他1.5(3.4)

【問】今回の衆院選で、与党の議席は過半数を下回った。石破首相が続投してもよいと思うか
続投してもよい55.3
交代すべきだ36.5
他8.2

【問】自民党は政治資金の不記載があった議員について、今回の選挙で、公認見送り、または小選挙区と比例代表の重複立候補を認めない対応で臨んだ。選挙で自民党の「政治とカネ」の問題にけじめがついたと思うか
けじめがついた10.6
けじめはついていない85.5
他3.9

【問】不記載問題で、今回の選挙で自民党から公認されず、当選した議員が今後、国会で自民党の会派に入ることについて、適切だと思うか
自民党会派入りするのは適切ではない52.0
ある程度の期間を経た後であれば問題ない30.9
すぐに自民党会派入りしても問題ない13.2
他3.9

【問】今回の衆院選で、野党の国民民主党は選挙前の7議席から28議席へと4倍の議席を獲得した。与野党とも過半数の議席を維持していない中、国民民主党が与野党の間で今後どのような対応を取るのが望ましいか
政策ごとに与党に賛成、反対の立場を選ぶ65.1
これまで通り野党の立場を取る21.9
自民、公明とともに与党の立場を取る9.5
他3.5

【問】国民民主党は、パートやアルバイトで働く人の「年収103万円の壁」について、非課税枠を引き上げるべきだとしている。103万円の基準を引き上げるべきだと思うか
引き上げるべきだ77.2
引き上げなくてよい16.6
他6.1

【問】11日に衆院で行われる予定の首相指名選挙で、誰が指名されるのがふさわしいか
自民党 石破茂総裁46.1
立憲民主党 野田佳彦代表17.4
国民民主党 玉木雄一郎代表10.2
その他16.6
他7.1
日本維新の会 馬場伸幸代表2.7

【問】今後の政権の在り方について、どうあるべきか
立憲民主党と他の野党が連立して過半数を得て政権交代する31.1
自民・公明が過半数を下回ったまま政権を維持30.5
自民・公明が新たに他の党と連立して、過半数を得て政権を維持30.2
他8.2

【問】石破内閣に今後取り組んで欲しい政策は(2つ選択)
物価高・賃上げ対策43.2(39.5)
経済対策・景気対策34.8(35.0)
年金・医療・介護27.2(27.3)
子供・子育て支援25.4(24.9)
外交・安全保障15.6(17.4)
災害対策10.4(13.0)
政治とカネ9.7(11.1)
地方活性化8.7(9.9)
原発・エネルギー政策6.2(3.6)
行政改革・財政再建5.6(3.4)
憲法改正3.2(2.9)
女性活躍、多様性2.9(3.8)
それ以外1.1(0.7)
他1.2(1.4)

【問】「政治とカネ」問題の再発防止のために、どういった政治改革が重要だと思うか(2つ選択)
政策活動費の使い道の公開40.9
政治資金の透明化やデジタル化での公開34.0
政治資金をチェックする第三者機関の設置28.5
政治資金パーティーの全面禁止27.2
企業などによる政治資金パーティー券の購入禁止15.0
いわゆる旧文通費の使い道の公開14.5
政策活動費の廃止14.0
企業などからの献金禁止11.7
それ以外1.1
他2.7

【問】物価高対策として最優先で取り組むべきことは何か
減税32.7
賃上げの継続23.1
円安の是正など金利政策の見直し15.0
低所得への支援11.4
家計への給付9.6
事業者への支援5.1
他3.0

【問】今後の年金制度について、給付と保険料負担のバランスはどのようにあるべきだと思うか
年金給付が変わらないことを優先し、やや保険料負担が増える30.6
保険料負担が変わらないことを優先し、年金給付がやや減る22.8
保険料負担を減らすことを優先し、年金給付が減る20.0
年金給付を引き上げることを優先し、保険料負担が増える19.0
他7.6

(注)数字は%。カッコ内の数字は10月5、6両日の前回調査結果。「他」は「分からない」「言えない」など。
世論調査の方法
調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかと言えば」と再度質問して回答を得た。調査対象は全国の18歳以上の男女1012人。小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならないことがある。

石破内閣支持率、異例の急落43・8% 不支持が支持を逆転、続投容認は5割超
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2024/11/4 11:44
https://www.sankei.com/article/20241104-II3KPFVE6ZNENPSQP73RF7YTGY/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2024年11月2、3両日に実施した合同世論調査で、石破茂内閣の支持率は43・8%となり、政権発足直後の前回調査(2024年10月5、6両日)の53・3%から9・5ポイント急落した。
不支持率は前回比14・0ポイント増の49・8%で、支持率を逆転した。
政権発足から僅か1カ月余りで不支持が支持を上回るのは異例だ。
一方で、先の衆院選では与党が議席が過半数を割り込む結果となったが、首相の続投については「続投してもよい」(55・3%)が「交代すべきだ」(36・5%)を上回った。
2024年11月11日召集の特別国会での首相指名選挙で、誰が首相に指名されるのが相応しいかを尋ねたところ、
石破首相(自民党総裁)が46・1%でトップ。
次いで、
▽立憲民主党の野田佳彦代表17・4%
▽国民民主党の玉木雄一郎代表10・2%
▽日本維新の会の馬場伸幸代表2・7%
と続いた。
今後の政権の在り方についての質問では、
「立民と他の野党が連立して過半数を得て政権交代する」(31・1%)

「自公が過半数を下回ったまま政権を継続」(30・5%)、
「自公が新たに他の党と連立して、過半数を得て政権を継続」(30・2%)
の3つの回答が拮抗した。
衆院選で躍進し、国会でキャスチングボートを握った国民民主に関し、今後の対応に望むことについては
「政策ごとに与党に賛成、反対の立場を選ぶ」が65・1%で最多。
「これまで通り野党の立場を取る」が21・9%で、
「自民、公明と共に与党の立場を取る」は9・5%
だった。
また、国民民主が目玉政策として掲げ、自民側に政策協議を求めている
「年収103万円の壁」
引き上げに関しては
「引き上げるべきだ」(77・2%)

「引き上げなくてよい」(16・6%)
を大きく上回った。
一方、自民の派閥パーティー収入不記載事件を巡り、衆院選で不記載のあった候補者を非公認などの対応で選挙戦に臨んだことで「政治とカネ」の問題にけじめがついたかを尋ねたところ、「けじめはついていない」が85・5%に上ったのに対し、「けじめがついた」は10・6%。非公認で当選した議員らが自民会派入りすることについて「自民会派入りは適切ではない」が52・0%に達した。「ある程度の期間を経た後であれば問題ない」は30・9%、「すぐに会派入りしても問題ない」は13・2%にとどまった。
調査では内閣支持率に関し、答えが不明確な場合は「どちらかと言えば」と再度、質問して回答を得た。

<正論>総選挙「議席数」に隠れた民意 
青山学院大学教授・福井義高
2024/11/4 8:00
https://www.sankei.com/article/20241104-2QTI2U72LFO57MIQ72R5XK27EM/?outputType=theme_election2024
衆院総選挙で自民党は大きく議席を減らした。
平成24年に民主党から政権を奪回して以来、単独過半数を維持してきたのに、連立与党の公明党と合わせても過半数に満たない結果となった。
ここでは主に得票率に基づき、やはり今年2024年行われた英仏の総選挙結果と比較しながら、今回の総選挙で示された民意と、選挙制度が政治に与える影響について述べてみたい。
■比較第1党は自民党
まず、自民は議席を大幅に減らしたとはいえ、小選挙区でも比例代表でも、比較第1党の地位を維持した。
他党との選挙協力や候補者個人の魅力にも左右される小選挙区と異なり、政党への支持がそのまま反映される比例で、自民の得票率は前回より7・9ポイント減ったものの26・7%で、第2党である立憲民主党の21・2%を優に上回った。
公明の得票率10・9%を加えると与党全体で37・7%となる。
小選挙区でも自民は38・5%(前回比9・6ポイント減)で、立民の29・0%を大きく上回っている。
更に今回の選挙で注目すべきは、立民の大幅議席増が、同党への支持拡大によるものではないことである。
比例では前回より得票率を1・2ポイント増やしたものの、小選挙区では1・0ポイント減、得票数で147万票失っているのだ。
にもかかわらず、議席を大きく増やすことができたのは、自民の得票率が減ったお陰で、競り勝った選挙区が増えたからである。
その結果、小選挙区で立民は47議席増、自民は57議席減(自民系6人を含めると51議席減)となり、与党を過半数割れに追い込んだ。
■英労働党の大勝と保守票
英国の総選挙でも同様の、しかしもっと極端なことが起こった。
政権与党だった保守党は得票率を19・9ポイント減らし、23・7%しか獲得できず、文字通り大敗を喫した。
一方、労働党は比較第1党となったものの、得票率は1・6ポイント増えただけの33・7%でほぼ現状維持であったのに、議席率は63・2%となり、歴史的大勝となった。
保守党は大敗したとはいえ、得票率と同水準の議席率18・6%を確保した。
保守党政権批判の受け皿となったのは労働党でも、中道の自由民主党でもなく、得票率12・3ポイント増で14・3%となった、保守党より右の「リフォームUK」であった。
ところが、得票率では自由民主党を抜いて第3党となったにもかかわらず、議席率はわずか0・8%に過ぎない。
それに対し、得票率わずか0・7ポイント増の12・2%でほぼ現状維持だった自由民主党は議席を大幅に増やし議席率は11・1%となった。
保守党とリフォームUKを合わせれば得票率は38・0%で労働党を上回っており、より保守的な政治が民意だったとも解釈できる。
にもかかわらず、第3党以下に不利な小選挙区制ゆえ、労働党政権が誕生したのである。
日本でも英国ほどではないにしても、既成保守政党に代わる右派政党への支持拡大がみられる。
比例での参政党と保守党を合わせた得票率は5・5%と、衰えたとはいえ強固な支持基盤を持つ共産党の得票率6・2%と同程度で、無視できない大きさとなっている。
■フランスの場合は
日英とは異なり、フランスでは得票率と議席率で第1党が入れ替わった。
小選挙区制ながら2度投票が行われ、第1回投票で過半数を得る候補がいないと、一定数以上獲得した候補による第2回投票が行われる。
第1回投票で1位となっても、第2回投票では2位以下の候補の一本化によって逆転する可能性が大いにある。
第1回投票では、
「極右」
とされる国民連合が得票率33・2%で比較第1党となり、左派連合が28・1%で続き、与党連合は20・0%であった。
ところが政策の著しい不一致にもかかわらず、
「極右」
政権阻止で一致した左派連合と与党連合が共闘したため、議席率では左派連合が30・8%で第1党、与党連合が26・0%で続き、国民連合は24・6%となった。
そのため、日本でも、予想に反し
「極右」
が失速したと報道された。
しかし、実際には第2回投票で国民連合は更に得票率を伸ばして37・1%獲得し、左派連合の25・7%、与党連合の23・1%を上回っていたのである。
日英仏の選挙結果で示した通り、議席数の変動は必ずしも民意を反映しているとは言えず、獲得議席数(議席率)のみに基づいて、今後の政治動向を議論することには慎重でなければならない。
逆風下にもかかわらず、自民が小選挙区・比例とも第1党を維持したことは、考えようによっては最悪でもこの程度、将来は明るいとみることもできる。
一方、追い風と思われた中、前回と同程度の得票率に終わった立民の将来は、大幅な議席増にもかかわらず、必ずしも明るいとは言えない。
いずれにせよ、今回の選挙の最大の勝利者は、比例で得票率を6・8ポイント増やして11・3%とし、立民の半分の水準にまで至った国民民主党であることだけは確かである。

杉山大志 エネルギーは日本の生命線だ
GDP3%を無駄遣い「脱炭素」政策 グリーン成長などするはずがない!菅政権と岸田政権で推進、GX法ごと根こそぎ廃止すべき
2024.11/1 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-LJW7XOLS4ZKDXN6MWUSLM7OWQY/
自公与党が衆院選で大敗した理由は
「裏金問題」
だけではない。
左翼リベラル化した自民党に対して、保守層が
「ノー」
を突き付けたのだ。
この受け皿が、国民民主党や参政党、日本保守党となった。
菅義偉政権と岸田文雄政権の下で推進された
「脱炭素」
政策も、特に左翼的な政策の1つだった。
政府はグリーントランスフォーメーション(GX)推進法を制定し、今後10年間で150兆円の官民投資を
「脱炭素」
のために実施するという。
投資というと聞こえはよいが、その原資は国民が負担する。
国民1人当たり120万円、3人世帯なら360万円である。
賃上げなど吹き飛んでしまう。
毎年15兆円といえばGDP(国内総生産)の3%に当たる。
防衛費を2%に上げるために大騒ぎしていたのに、その舞台裏ではこのような
「ステルス増税」
が罷り通っていた。
政府は150兆円の投資でグリーン成長するというが、するはずがない。
投資対象が悪いからだ。
洋上風力発電、太陽光発電、その導入のための蓄電池や送電線建設、あるいはアンモニア発電や水素合成燃料など、どれもこれも、やればやるほど光熱費が高くなるものばかりだ。
そもそも、日本政府はかつて、
「太陽光発電の大量導入でグリーン成長する」
と言っていた。
だが、起きた事は
「電気代の高騰」

「産業空洞化」
だった。
今この失敗に懲りずに、同じことを何倍にもして実施しようとしている。
潤うのは一部の再エネ利権などに過ぎない。
そして、その犠牲になるのは一般国民である。
国民は愚弄されている。
政府は150兆円のうち20兆円は国債の発行で賄うとしており、今、政府はその20兆円の償還のための財源としてエネルギーへの課徴金や政府が発行する排出権の売却収入を検討している。
電気なのかガスなのか、灯油なのかプロパンガスなのか、どの料金が上がるのだろうか。
いずれにせよ国民に20兆円を支払わせるということを前提にして、今、ババ抜きのような検討がなされている。
20兆円の収入は、新設の外郭団体である
「GX機構」
が特別会計で回す。
既に天下りも始まっている。
こんなオールドファッションな
「役人天国」
のために光熱費は高騰し、国民経済はボロボロになる。
GX法ごと、根こそぎ廃止すべきだ。

<正論>総選挙「議席数」に隠れた民意 
青山学院大学教授・福井義高
2024/11/4 8:00
https://www.sankei.com/article/20241104-2QTI2U72LFO57MIQ72R5XK27EM/?outputType=theme_election2024
衆院総選挙で自民党は大きく議席を減らした。
平成24年に民主党から政権を奪回して以来、単独過半数を維持してきたのに、連立与党の公明党と合わせても過半数に満たない結果となった。
ここでは主に得票率に基づき、やはり2024年行われた英仏の総選挙結果と比較しながら、今回の総選挙で示された民意と、選挙制度が政治に与える影響について述べてみたい。
■比較第1党は自民党
まず、自民は議席を大幅に減らしたとはいえ、小選挙区でも比例代表でも、比較第1党の地位を維持した。
他党との選挙協力や候補者個人の魅力にも左右される小選挙区と異なり、政党への支持がそのまま反映される比例で、自民の得票率は前回より7・9ポイント減ったものの26・7%で、第2党である立憲民主党の21・2%を優に上回った。
公明の得票率10・9%を加えると与党全体で37・7%となる。
小選挙区でも自民は38・5%(前回比9・6ポイント減)で、立民の29・0%を大きく上回っている。
更に今回の選挙で注目すべきは、立民の大幅議席増が、同党への支持拡大によるものではないことである。
比例では前回より得票率を1・2ポイント増やしたものの、小選挙区では1・0ポイント減、得票数で147万票失っているのだ。
にもかかわらず、議席を大きく増やすことができたのは、自民の得票率が減ったおかげで、競り勝った選挙区が増えたからである。
その結果、小選挙区で立民は47議席増、自民は57議席減(自民系6人を含めると51議席減)となり、与党を過半数割れに追い込んだ。
■英労働党の大勝と保守票
英国の総選挙でも同様の、しかしもっと極端なことが起こった。
政権与党だった保守党は得票率を19・9ポイント減らし、23・7%しか獲得できず、文字通り大敗を喫した。
一方、労働党は比較第1党となったものの、得票率は1・6ポイント増えただけの33・7%でほぼ現状維持であったのに、議席率は63・2%となり、歴史的大勝となった。
保守党は大敗したとはいえ、得票率と同水準の議席率18・6%を確保した。
保守党政権批判の受け皿となったのは労働党でも、中道の自由民主党でもなく、得票率12・3ポイント増で14・3%となった、保守党より右の「リフォームUK」であった。
ところが、得票率では自由民主党を抜いて第3党となったにもかかわらず、議席率は僅か0・8%に過ぎない。
それに対し、得票率僅か0・7ポイント増の12・2%でほぼ現状維持だった自由民主党は議席を大幅に増やし議席率は11・1%となった。
保守党とリフォームUKを合わせれば得票率は38・0%で労働党を上回っており、より保守的な政治が民意だったとも解釈できる。
にもかかわらず、第3党以下に不利な小選挙区制ゆえ、労働党政権が誕生したのである。
日本でも英国ほどではないにしても、既成保守政党に代わる右派政党への支持拡大がみられる。
比例での参政党と保守党を合わせた得票率は5・5%と、衰えたとはいえ強固な支持基盤を持つ共産党の得票率6・2%と同程度で、無視できない大きさとなっている。
■フランスの場合は
日英とは異なり、フランスでは得票率と議席率で第1党が入れ替わった。
小選挙区制ながら2度投票が行われ、第1回投票で過半数を得る候補がいないと、一定数以上獲得した候補による第2回投票が行われる。
第1回投票で1位となっても、第2回投票では2位以下の候補の一本化によって逆転する可能性が大いにある。
第1回投票では、「極右」とされる国民連合が得票率33・2%で比較第1党となり、左派連合が28・1%で続き、与党連合は20・0%であった。
ところが政策の著しい不一致にもかかわらず、「極右」政権阻止で一致した左派連合と与党連合が共闘したため、議席率では左派連合が30・8%で第1党、与党連合が26・0%で続き、国民連合は24・6%となった。
そのため、日本でも、予想に反し「極右」が失速したと報道された。
しかし、実際には第2回投票で国民連合は更に得票率を伸ばして37・1%獲得し、左派連合の25・7%、与党連合の23・1%を上回っていたのである。
日英仏の選挙結果で示した通り、議席数の変動は必ずしも民意を反映しているとは言えず、獲得議席数(議席率)のみに基づいて、今後の政治動向を議論することには慎重でなければならない。
逆風下にもかかわらず、自民が小選挙区・比例とも第1党を維持したことは、考えようによっては最悪でもこの程度、将来は明るいとみることもできる。
一方、追い風と思われた中、前回と同程度の得票率に終わった立民の将来は、大幅な議席増にもかかわらず、必ずしも明るいとは言えない。
いずれにせよ、今回の選挙の最大の勝利者は、比例で得票率を6・8ポイント増やして11・3%とし、立民の半分の水準にまで至った国民民主党であることだけは確かである。

首相即時退陣こそ国益
美しき勁き国へ 櫻井よし子
2024/11/4 8:00
https://www.sankei.com/article/20241104-5RFGKKZHKNJ55EIV7L2CMGI6BI/
衆院選で歴史的惨敗を喫した石破茂首相は国民の審判を受け入れるべきだ。
小選挙区での得票数を約670万減らし、結果を受けた共同通信の世論調査では内閣支持率が50・7%から32・1%に急落した。
就任から1カ月、これほど急速に支持を失った事例は稀有だ。
石破氏は敗因を
「政治とカネ」
問題のせいにするが、真の原因は言動の定まらない本人の資質にある。
国民の声を大事にするのは、民主主義の基本である。
だが民主主義は絶対善ではない。
劣化して衆愚政治となった事例を、ソクラテスに下された死刑判決はもとより、ヒトラーの登場を含め、私たちは歴史の中にいくつも見てきたはずだ。
昭和天皇に月1回の頻度で進講した三上照夫氏が、『第三の文化の時代へ』(ぱるす出版)の中で民主主義について語っている。
人間集団にはこういう国造りをしたい、こういう家庭造りをしたいという共通の目標がある。
この建国の理想を、日本人は奈良朝時代から
「国体」
と言ってきた。
国体実現の手段として日米欧が選んだ政体が民主主義だ。
それはあくまでも手段としての政治原理であり、国家の目標・目的は別にある。
そして指導者に識見、国家観が欠落している時、手段であるはずの民主主義は目標に格上げされ置き換えられてしまう。
石破氏は国民の理解を求め続けて政治とカネ問題の先に行けない状況だ。
民主主義という手段を目的に格上げして自縄自縛に陥ったからである。
自業自得である。
結果として、より大事な国家目標実現の政策論がほぼ空白になり果てている。
長年の勉強不足もたたって、石破氏の提唱する政策は空疎を極める。
アジア版NATO(北大西洋条約機構)創設や日米地位協定見直しはアジア全体を不安定にしかねない。
自民党は両案件を政務調査会で議論するという形で封印した。
鳩山由紀夫元首相の東アジア共同体構想と同類の空疎な石破提案はこうして処理された。
より深刻なのが対中外交だ。
岩屋毅外相が中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談し、戦略的互恵関係を再確認したい旨を、語っている。
戦略的―は2006年、第1次安倍晋三政権が打ち出した。
小泉純一郎元首相の靖国神社参拝で冷え込んだ日中関係を双方が修復しようとした。
だが中国に習近平政権が誕生し状況は一変した。
強権的中国との戦略的互恵関係は日本の国益に合致せず、2017年11月の安倍・習会談以降消えた。
石破政権が岸田文雄元首相の路線を継いで立ち戻るのは悪手である。
安倍晋三元首相が戦略的互恵関係を謳った2006年から18年が過ぎた現在、日中関係は一変している。
中国は軍事大国としての力を誇示し、世界秩序を書き換える野望を隠さない。
18年前2006年、彼らは喉から手が出る程に日本の協力を求めたが、現在は如何にして日本から全てを切り取るか、あらゆる形で攻勢を強めている。
その手法は、小さな動きを積み重ねて圧力を強めるサラミ戦術で、一例が尖閣諸島(沖縄県石垣市)だ。
第2次安倍政権樹立から間もない2013年4月26日、中国外務省報道官は尖閣諸島を
「中国の核心的利益に属する」
と発言した。
その同じ日2013年4月26日、安倍氏は来日中の米軍制服組トップ、デンプシー統合参謀本部議長と会談し
「日本固有の領土である尖閣諸島について、我が国は一切譲歩しない」
と語った。
すると翌2013年4月27日、中国外務省は2013年4月26日の発言を事実上修正した。
現在の中国にそんな配慮はない。
彼らは堂々と尖閣を核心的利益と宣言し、2023年8月に発表した標準地図で示した
「十段線」
の10番目の線は与那国島から12キロの我が国の領海をえぐり取っている(『国防の禁句』岩田清文、島田和久、武居智久 産経セレクト)。
中国軍は2022年8月には与那国島の排他的経済水域(EEZ)内に弾道ミサイル5発を撃ち込んだ。
中国が初めて日本の庭先に実弾を撃ち込んだ事実に注目せよと岩田清文元陸上幕僚長は強調する。
2023年7月、尖閣諸島周辺の我が国のEEZ内で中国の情報収集用のブイが発見された。
2024年1月には中国海警局の船が尖閣上空の我が国の領空を飛行する自衛隊機に
「中国領空」
からの退去を要求した。
2024年6月には中国海警局最大級の巡視船が、尖閣諸島を周回した。
中国保有の軍艦は米国を上回り、2035年には435隻に迫る。
米国は2045年に至っても350隻にとどまる見込みだ。
その中国を岸田文雄政権は2022年末に策定した国家安全保障戦略で初めて
「これまでにない最大の戦略的な挑戦」
と定義した。
だが岸田氏は2023年4月の安保3文書についての国会報告で
「最大の戦略的挑戦」
というくだりを割愛し、更に2024年1月の施政方針演説では、日中は
「戦略的互恵関係を包括的に推進する」
と大幅に後退していた。
実は、戦略的互恵関係は岸田氏の施政方針演説の前、2023年11月16日の日中首脳会談で習近平主席が復活を持ちかけていたのだ。
習氏の意図は中国を最大の戦略的挑戦と定義した我が国の安全保障戦略を上書きすることだと、島田和久元防衛事務次官は警告した(『同書』)が、正しいと思う。
戦略的互恵関係の6年ぶりの復活には、再び日本を取り込む中国の狙いが込められている。
そこに岩屋毅外相が乗るというのだ。
だが、逆戻りしてどうするのだ。
対話の窓口は開けておくとして、我が国は今こそ静かに着実に、核の脅威も含めて中国に対処する力を強化し、体制作りを進める時であろう。
政治家にはそれだけの仕事を進める冷静な思考と胆力が要る。
石破氏がその任に相応しいとは思えない。
1日も早い退陣こそ国益だ。

高橋洋一「日本の解き方」
石破政権の命運が尽きる日 続投に意欲も居座り続けると…自民党は本当にぶっ壊れる 水面下で首相指名に向け多数派工作
2024.11/1 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H73BZLK7ABOXRCTQEW5GLA3X74/
衆院選で大敗した自民党だが、石破茂首相は続投に意欲を見せている。
今後、石破政権はどこまで生き延びることができるだろうか。
自民党内や地方組織からも
「石破おろし」
が始まっている。
かつて石破首相は、第1次安倍晋三政権や麻生太郎政権の時、国政選挙で負けたり、支持率が低迷したりした時、退陣を求めている。
今回自分だけを可愛がるのは誰の目から見てもおかしい。
小泉進次郎氏が選対委員長を辞任したが、問題がそれにとどまるはずはない。
小泉氏の辞任を石破首相は認めたというが、責任を部下に押しつけるようで、これが組織トップの在り方なのか疑問だ。
かつて安倍元首相が、
「石破氏だけは首相にしてはダメだ」
と言っていたのもよく分かる。
新聞各紙の社説も石破首相に責任を取ることを求めている。
朝日新聞は「選挙の結果責任を負うのは、本来、トップ」、
毎日新聞は「政権トップとしての首相の責任は重大」、
読売新聞は「速やかに進退を決することが憲政の常道」、
産経新聞は「直ちに辞職し新総裁選出を」
としている。
石破首相自らが、勝敗ラインを
「自公で過半数」
と明言した。
これは普通ではあり得ないほどの低いハードルであるが、実際には自公で215議席と過半数を18も下回ってしまった。
無所属の追加公認を入れても、到底過半数には及ばない。
衆院選の結果は政治家にとって最も重いものだ。
それを、ゴールポストを動かしてはいけない。
筆者はこうした状態を揶揄)して
「石にかじりつきたい破れかぶれ石破政権」
とポストした。
既に、水面下で首相指名に向けた多数派工作が与野党間で繰り広げられている。
当初2024年11月7日に想定されていた特別国会の召集日を2024年11月11日以降に延期する交渉が行われている。
憲法では衆院投票日から30日以内に特別国会を召集し、内閣総辞職、首相指名が行われる。
つまり、特別国会の召集日は首相指名の帰趨を占う意味でも重要なのだ。
石破政権の寿命はまず、特別国会では内閣総辞職、首相指名が行われるので召集日までだ。
そこから生き延びることが出来るのは、首相指名で1位を確保できる場合だけだ。
石破首相では選挙が出来ないとする参院議員、不条理な制裁を食らったが選挙を生き延びてきた旧安倍派、総裁選で高市早苗前経済安保相を推した麻生派、旧茂木派は
「石破おろし」
を起こす可能性があり、石破首相側にいた人も反旗を翻すかもしれない。
そうなると、特別国会の召集日までに自民党内で両院議員総会を開いて、石破氏を引きずり下ろすだろう。
自民党はモタモタしていると、首相指名の多数派工作でまとまりにならず、野党が主導権を握ってしまう恐れもある。
高市氏が
「党執行部には今の自民党を徹底的に立て直して頂きたい」
としたのは当然だ。
このまま、石破首相が居座りを続けると、自民党が衆院選で負けて、党再建でも負けて、ぶっ壊れてしまう。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

高橋洋一「日本の解き方」
国民民主「103万円の壁撤廃」は実現可能か 控除拡大は減税と同じ効果、財務省へのアンチテーゼに 賃金上昇率目標も検討すべき
2024.11/2 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-4CKOQXQOUFMPPFLNUW5T4DIG6M/
石破茂首相は国民民主党との
「部分連合」
を視野に入れている。
国民民主党は基礎控除の103万円から178万円への拡大、消費税5%などを掲げているが実現可能だろうか。
国民民主党の政策のうち、他党にない
「基礎控除等を103万円から178万円への引き上げ」
について取り上げたい。
まず、178万円という
「中途半端」
な数字に驚く。
これは、1995年からの最低賃金上昇率1・73倍から、103万円を1・73倍して得られる。
103万円は基礎控除と給与所得控除の合計だが、1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きである。
そこで、最低賃金の上昇と合わせて引き上げるべきだというのが国民民主の主張である。
ここまで厳密に拘らくてももいいが、国民民主党らしいとも言える。
控除の拡大は減税と同じだ。
控除額が増えれば、少なくとも所得税として
「75万円×税率(年収に応じて5〜45%)」
の額が手元に残るようになって、手取りが増える。
この政策が面白いのは、財務省は増税しないと言いながら、控除額の縮小を狙う
「ステルス増税」
をしばしば企むが、そのアンチテーゼになるからだ。
例えば、給与所得控除について
「海外と比較すると日本は大き過ぎるので縮小しよう」
と躍起になっている。
一方、基礎控除は日本だけが国際的に低いのは知らんぷりという具合だ。
この
「減税」(控除の拡大)
でも、財源はどうするのかという反論があるだろう。
仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる。
もっとも、この程度であれば、名目で5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える。
また、この政策との関連で、最低賃金について、
「全国どこでも時給1150円以上を早期に実現する」
としている。
自民党の「2020年代に1500円」、立憲民主党も「1500円」を掲げているのと比べると控えめな数字である。
1500円の方がいい加減な数字であるので、国民民主党に逆に信頼感が出るのではないか。
気になるのは、金融政策に関する公約がないことだ。
立民の
「0%超の物価目標」
は論外であるが、労働者の党である国民民主党が公約に掲げていないのは不自然だ。
かつて筆者が玉木雄一郎代表と話した時、インフレ目標ではなく
「賃金上昇率目標」
を主張した。
元々インフレ目標のベースになっているのがインフレ率と失業率の関係を示した
「フィリップス曲線」
であるが、同曲線は賃金上昇率と失業率の関係が元になっているので、玉木代表の意見には一理ある。
大胆に言えば、インフレ目標2%より、賃金上昇率3〜5%のほうが日本経済のためになるので、検討してはどうか。
それを消費税5%、社会保険料の軽減、トリガー条項の凍結解除と共に自公政権にぶつけたら面白い。
今の自公なら受け入れ余地はあるが、石破政権を退けた後からの方がより有望だろう。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

国民民主と政策協議も…自民に裏切り≠フ過去 維新と文通費見直し合意も反故、馬場代表「自民は狡猾、聞いてる振りはする」
2024.11/1 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H5TBRZVN3VLIBK52CGPVQGX2LQ/
自民党と国民民主党が
「部分連合」
に向けた動きを加速させている。
少数与党の石破茂政権は、国民民主党を取り込むことで、首相指名選挙やその後の国会運営を有利に運ぶ思惑だ。
国民民主党は衆院選で公約に掲げた
「年収103万円の壁」
撤廃などの実現に前進するが、要求通りの成果を得られるかは不透明だ。
過去には日本維新の会が自民党との合意を反故にされた経緯もあり、警戒感は強い。
自民党の森山裕幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日の会談で、政策協議を開始する方針で一致した。
公明党を加えた3党は今後、税制や補正予算を巡って合意を模索する。
国民民主党は、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
を撤廃するため、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計を最低103万円から178万円に引き上げることを最優先事項としている。
だが、実現機運に冷や水を浴びせるように、
「税収が計約7兆6000億円減る」
「高所得者ほど恩恵が大きい」
などネガティブな論調が広がった。
玉木代表
「『103万円』引き上げなければ予算、法案に協力できない」
玉木雄一郎代表は2024年10月31日、X(旧ツイッター)で
«財務省がマスコミを含めて
「ご説明」
に回っている効果はさすがです»
と皮肉った。
«引き上げができなければ、我が党は予算にも法案にも協力できない»
と強調する。
与野党の合意が実現しなかった前例もある。
日本維新の会は岸田文雄政権当時の今年2024年5月、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しについて自民と合意文書を交わしたが、反故にされた。
馬場伸幸代表は2024年10月31日放送のMBSの番組で
「自民党さんは狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではない」
「聞いてる振りはするが」
と話した。
国民民主党も、ガソリン税を軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除について岸田政権下で3党協議し、予算案にも賛成したが、議論は頓挫した。
石破政権は国民民主党の案を丸吞みもしたくないが、議論を決裂させて、立憲民主党などが今後、不信任決議案を提出した場合、賛成に回られることも避けたい。
「部分連合」
という名の微妙な関係が続きそうだ。

「軍事オタク」石破首相が自衛隊に入隊したら…「せいぜい3佐止まり」「宰相の器」ではない 自民党を仕切るには荷が重すぎか
2024.11/1 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-QZZY25QUHZIJDPESFQ6IRGUKLI/
「安全保障の専門家」
を自任し、
「軍事オタク」
とも呼ばれる石破茂首相だが、防衛大学校から自衛隊に入隊していれば、どのくらいの階級まで昇進することができただろうか。
「せいぜい3佐(少佐)だろう」
ある自衛隊元幹部はこう言い切る。
海上自衛隊でいうと、2等海佐(中佐)ならば通常の護衛艦の艦長となる。
中佐は英語で
「Commander」
と呼ばれる。
つまり、石破氏は指揮官には相応しくないという意味だ。
防衛相経験者でもある石破首相だが、別の元幹部自衛官たちも
「石破さんと河野太郎さんだけは首相にしてはならない」
と口々に言う。
2024年9月27日に行われた自民党総裁選の決選投票で、高市早苗前経済安保相ではなく、石破氏に投票した国会議員たちに聞かせたかった発言だ。
2024年10月27日投開票の衆院選について、石破首相は自民党と公明党で過半数(233議席)という
「勝敗ライン」
を設定していた。
石破首相がライバル視する安倍晋三元首相も第2次政権時代、
「勝敗ライン」
を同じく自公で過半数と言っていたが、実際には自民党単独で300議席が目標だった。
目標には僅かに及ばなかったが、2012年で294議席、2014年が290議席、2017年が281議席だった。
2021年の岸田文雄前首相の時でも261議席だった。
石破首相が今回獲得した191議席が如何に低い数字であるかは一目瞭然だ。
にもかかわらず、石破首相は
「何で自分が辞めなければいけないんだ」
と開き直っている。
総裁選の決選投票で石破首相に投じた自民党の国会議員には分からなかったことが、国民にはよく分かっていた。
石破首相が
「宰相の器」
ではないということを。
「森山(裕)幹事長に足を引っ張られた」(自民党ベテラン)
との見方もある。
確かに、石破首相は総裁選では新内閣発足後、予算委員会を開いて議論を尽くすべきだと発言していた。
だが、森山氏の1日も早い選挙の方が野党の態勢が間に合わず有利だとの説得に応じ、選挙日程を前倒しした。
森山氏は、パーティー券収入を政治資金収支報告書に記載しなかった候補を一時は公認するとしながら、批判を浴びると12人を
「非公認」
として混乱をもたらした。
選挙戦終盤では、
「非公認」
とした候補者が代表を務める政党支部に公認候補と同額の2000万円を支給し、決定的な打撃を与えた。
森山氏と事務方トップ、元宿仁事務総長の責任は大きい。
そして、最終責任を負うべきは総裁である石破首相である。
石破首相と森山氏に共通しているのは
「小さな派閥」
しか率いたことがないことだ。
自民党のような大所帯を仕切るには荷が重過ぎた。
本来ならば菅義偉副総裁が目配せすべきだったが、かつてのような切れを欠いている。
石破首相は2024年10月28日の記者会見で、
「国政は一時たりとも停滞が許されない」
と続投する意向を表明したが、信を失った石破政権が続くことは国益にならない。
 (産経新聞特別記者・有元隆志)

国民が石破首相ノー¥A任1カ月「権力居座り」に党内外から批判噴出!「衆院選惨敗、責任をとる気配さえない」「党内勢力も尻込み」
2024.11/2 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-FKEB6WKBLBL6TLZR4NZ5CKKMSY/
石破茂首相(自民党総裁)は2024年11月1日、政権発足1カ月を迎えた。
戦後では内閣発足後最短の8日で衆院解散に打って出たが、選挙戦略は悉く失敗し、自ら勝敗ラインに設定した
「自公与党で過半数」
を割り込む大惨敗を喫した。
これまで、歴代首相を激しく批判しておきながら、
「国民の審判」
を無視して
「権力居座り」
を決め込む石破首相に対し、党内外から批判が噴出している。
「衆院選において大変、厳しい結果を頂戴した」
「厳粛に受け止めなければならない」
「示された民意を厳粛、謙虚に受け止め丁寧に政権運営に当たっていく」
石破首相は2024年11月1日、記者団にこう語ったが、民意は
「石破首相ノー」
なのだから、これほどのペテンはない。
自民党ベテラン議員は
「これまで、政治家の『責任』に拘ってき石破首相はどこに行った」
「自公過半数を勝敗ラインに設定した衆院選で惨敗したのに責任を取る気配さえない」
と断じる。
石破首相はむしろ
「政権居座り」
に意欲を強めている。
今月2024年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などに合わせ、ジョー・バイデン米大統領や、中国の習近平国家主席らとの首脳会談を調整しているという。
ある保守系議員は
「バイデン氏も習氏も、『国民の負託』を得られなかった石破首相と真剣な話をしようと思うだろうか」
「ガバナンスが崩壊した政権に内政・外交を委ねれば、次は日本が壊れる」
と批判する。
ただ、権力にしがみつくトップを交代させるのは簡単ではない。
特別国会の首相指名選挙で、国民民主党は決選投票も含めて玉木雄一郎代表に票を投じる方針のため、野党の票は分散し、石破首相が多数を獲得しそうな情勢だ。
政治評論家の有馬晴海氏は
「国民が石破首相に『ノー』を突き付けた」
「本来なら退陣待ったなしだ」
「小泉進次郎選対委員長だけが辞任して、石破首相と森山裕幹事長が続投するなどガバナンスも崩壊している」
「ただ、石破首相に反発する党内勢力も党が弱り切った中で『石破おろし』に尻込みしている」
「石破首相は『低姿勢』『反省』を示し、何とか成果を示そうと必死なのだろう」
と指摘した。

自民得票率、15年前の政権交代時と全く同じ「26・73%」衆院比例、民主系もほぼ同じ
2024/11/2 11:30
https://www.sankei.com/article/20241102-XDBGXUZYRFOH3FEVQDVDTT2XFY/?outputType=theme_election2024
2024年10月27日投開票の衆院選で、各政党の比例代表の得票率を政権交代が起きた平成21(2009)年の衆院選と比べたところ、自民党の得票率はいずれも26・73%で全く同じだった。
自民と公明党を合わせた与党と、民主党系など野党の割合もほぼ同じで、投票率が異なりながら15年前と酷似した状況が浮かんだ。
総務省の発表資料によると、平成21(2009)年と今回の衆院選比例代表で、自民の得票率は26・73%で全く同一だった。
自公を合わせた得票率も平成21(2009)年の計38・18%と今回の計37・66%でほぼ同じだった。
一方の野党も、平成21(2009)年の民主党の得票率は42・41%だったのに対し、今回の主要野党である立憲民主党と国民民主党、日本維新の会の3党の合計は41・88%でほぼ同じだった。
自民は今回、比例の得票を令和3年の前回選挙より約533万票減らした。
しかし、平成21年の投票率が69・27%と高率だったのに対し今回は53・84%と下がっているため、割合はくしくも同一となったようだ。
自民の比例得票率を選挙ごとにみると、平成21(2009)年の26・73%から平成24(2013)年27・62%、平成26(2014)年26年33・11%、平成29(2017)年33・28%、前回令和3年34・66%、今回の26・73%と推移している。

「岩盤保守層」は自民を見放した 過半数割れ「功労者」共産も最盛期から半減
大手町の片隅から 乾正人
2024/11/1 10:00
https://www.sankei.com/article/20241101-U4OIN3HVR5K47CVWO5W6XB2DQI/?outputType=theme_election2024
数字は美しく、残酷である。
昭和61年の衆参ダブル選挙以来、大手町の片隅で13回に渡って選挙報道に携わってきたが、毎回、得票数の精妙さに唸らされる。
衆院選が、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変わってからは、比例代表の得票数が、時々の政治状況を鮮やかに切り取ってくれる。
今回、自民党の総得票数は約1458万票に激減した。
前回から27%、533万票も減らし、制度導入以来、過去最低の得票数となった。
平成21年に民主党が大勝し、政権交代が実現したときでさえ、1881万票を獲得していたことから類推すると、安倍晋三元首相の考え方や彼が推し進めた安保法制などの政策を熱烈に支持していた
「岩盤保守層」
のかなりの部分が、自民党を見放した、と見るべきだろう。
衆院選に初挑戦した参政党が187万票、日本保守党が115万票を獲得したが、合わせて300万人以上が自民党から両党に乗り換えたとみて間違いない。
残る230万人余は主に国民民主党へ流れたと推測できる。
■立憲比例票は横ばいだった
というのも、今回大躍進した立憲民主党は、比例代表ではほとんど票を伸ばしていないからだ。
3年前の前回が1149万票で、今回は1156万票と僅か7万票しか増えていない。
つまり、自民党が自滅したため、立憲は小選挙区で競り勝ち、議席数を5割も増やしたのである。
政権交代出来るだけの国民の広範な支持が得られていないのは、数字が冷酷に示している。
比例票から分析すると、危機的状況にあるのは、自民党だけではない。
公明、共産の両党も重症だ。
公明党は、平成21年に805万票を獲得していたのが、徐々に減っていき、今回ついに600万票を割り込む596万票にとどまった。
15年間で200万票以上が削げ落ちてしまったのである。
支持基盤である創価学会員の高齢化と共に、公明党を創設した池田大作氏が昨年2023年死去した影響も見逃せない。
■最盛期から半減した共産党
共産党は、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る「裏金」問題や非公認候補側への2000万円振り込みを機関紙「しんぶん赤旗」がすっぱ抜き、自民党を大敗に追い込んだ最大の功労者だ。
だが、比例票は前回より80万票も減らして336万票しか取れず、れいわ新選組に軽く抜かれた。
平成8年には726万票を獲得していたから半減以下の凋落ぶりだ。
お気の毒に、としか言いようがないが、有権者は共産党の本質をよく見ている。
さて、自民党である。
今回の敗因は、表面的には
「政治とカネ」
への国民の怒りが爆発した結果と見える。
それだけなら軽症で済むが、問題の根は深い。
「岩盤保守層」
のうち参政党などに投票した300万人は、容易に自民党には戻ってこないだろう。
しかも連立相手である公明党のパワーは目に見えて落ちている。
少数与党に転落した石破茂政権は、国民民主党をなびかせるためにリベラル寄りの政策を打ち出さざるを得ず、
「岩盤保守層」
は益々離反するはずだ。
日本にもいよいよ分断と混乱の時代が到来しようとしている。

<主張>自・国の政策協議 石破執行部に資格あるか
社説
2024/11/2 5:00
https://www.sankei.com/article/20241102-GDS25MDC7ZM75MJH3E5JS5FUQI/
自民党と国民民主党が政策協議に入ることで合意した。
衆院選に大敗した石破茂首相(自民総裁)と森山裕幹事長が何の責任も取らずに協議を進めるのは、異様な光景という他ない。
石破首相と森山氏は辞任し、自民は新執行部の下で他党と協議に臨むのが筋だと改めて指摘したい。
石破首相は居座り、国民民主との
「部分連合」
の形成を図るつもりなのだろう。
森山氏と国民民主の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日、会談した。
森山氏は経済対策や令和6年度補正予算案、令和7年度予算案の編成、税制改正での協力を呼び掛けた。
「部分連合」
の構築に向け、両党の政調会長による常設の会議体設置も求めた。
これに対し、榛葉氏は会議体設置を拒み、案件ごとに対応する意向を示した。
森山氏は受け入れた。
国民民主は年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の金額を178万円に引き上げることを最優先事項に掲げている。
林芳正官房長官が7兆〜8兆円程度の減収が見込まれるとの試算を示すと、国民民主の玉木雄一郎代表は
「全くやらないなら協力できない」
「その時は予算も法律も通らない」
と牽制した。
ガソリン税を一部軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除も看板政策の1つだ。
国民民主は衆院選で
「手取りを増やす」
ことを訴えて支持を得たため、その実現に注力するのは分かる。
ただ、両党の協議を巡り懸念はある。
個別政策を切り離して交渉した場合、他の政策とバランスが取れなくなる恐れがあることだ。
厳しい安全保障環境を踏まえれば、防衛力の抜本的強化を滞らせてはならない。
政府は令和9年度までの5年間で防衛費総額を約43兆円と定めているが、増税時期は決まっていない。
防衛増税は令和10年度以降の防衛費をきちんと確保することも睨んだ措置である。
税制改正を行う場合は、税制全体との整合性を図ることも求められる。
国民民主は自党の政策実現だけを目指すのではなく、日本の平和と繁栄のための国家戦略をより明確に描き、日本を守り抜く政策でも責任ある姿勢を示す必要がある。

自民 衆議院 197人で活動へ 会派に無所属で当選の6人追加
2024年11月1日 15時28分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241101/k10014626171000.html
自民党は、国会で活動をともにする会派のメンバーに、今回の衆議院選挙で無所属で立候補して当選した6人を加え、合わせて197人の勢力で活動していくことになりました。
自民党は、2024年11月1日に開かれた衆議院の各会派の代表者による協議会で、今回の衆議院選挙で党の公認を得て当選した191人に、無所属で当選した6人を加えた197人の勢力で会派をつくることを届け出ました。
会派に加わったのは、
政治とカネの問題で自民党から離党勧告の処分を受け離党した
▽世耕弘成氏と
選挙に際し公認が得られなかった
▽平沢勝栄氏
▽西村康稔氏
▽萩生田光一氏の4人に、
自民党の公認候補と争った
▽三反園訓氏
▽広瀬建氏
を加えた、合わせて6人です。
公明党の会派と合わせると、衆議院の与党の勢力は221人となりますが、過半数の233議席までは、12人足りない状況です。

世耕弘成、西村康稔氏らの会派入りを批判 立民の野田佳彦代表「反省足りない」
2024/11/1 14:15
https://www.sankei.com/article/20241101-DPCLWIFSRRJBFDDCZHVHVX5G64/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月1日の記者会見で、自民党の派閥パーティ収入不記載事件に関与し、衆院選に無所属で当選した世耕弘成、西村康稔両氏らが衆院会派
「自民党・無所属の会」
に入る見通しとなったことを批判した。
「選挙が終わり禊が済んだと言うならば、思慮も反省も足りない」
と語った。
自民側の狙いに関しては、特別国会の首相指名選挙で石破茂首相を当選させるため
「数を確保しておきたいとの焦りがあるのだろう」
と指摘した。

言わんこっちゃない自民党大敗 総裁選で高市候補を選ばなかった自民党議員、自らの責任だ 変わり身の朝日新聞、言い訳に笑い
2024.10/31 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241031-VCDRHRXXD5KM3JAK4LCZCNPLMA/
だから、言わんこっちゃない。
石破自民党が歴史的大敗。
自公で過半数割れは15年ぶりだ。
さすがに開票を見守っている時も、各社のインタビューでも石破茂総理に笑顔は一切ナシ。
それでなくても悪い目つきがますます悪くなっていた。
「なぜ、言わんこっちゃない」か。
1カ月前、2024年9月27日の自民党総裁選。
第1回投票で大方の予想に反し、高市早苗候補が、石破候補を圧したのだ。
高市候補 議員票72 党員・党友票109 計181
石破候補 議員票46 党員・党友票108 計154
ところが決選投票ではこれが逆転。
石破候補 議員票189 地方票26 計215
高市候補 議員票173 地方票21 計194
つまり、第2回投票で石破候補の議員票は143票も増えていたのだ(高市候補は101票増)。
岸田文雄前総理の指示か、菅義偉元総理の依頼かは知らないが、143人もの議員が、石破候補を新たに支持したことになる。
この時、高市候補を支持する議員が、あと22人増えてさえいれば高市総理が実現していたのだ。
もし、あの時、高市候補を選んでいれば、日本初の女性総理として、世界のメディアでも話題になったに違いない。
選挙中に自民党の、あのどんよりしたような暗い雰囲気はなく、清新な風が吹いていたろう。
石破総理は応援に来なくていい。
来れば票が減るなんてこともなく、高市さん、全国の候補から引っ張りだこだったろう(総理でなくても引っ張りだこで、全国を飛び回っていた)。
むろん選挙にも負けなかったに違いない。
繰り返すが、総裁選決選投票で石破さんに票を投じた自民党議員の責任は重い。
今回の自民党大敗は、あの時、高市候補を選ばなかった自民党議員、自らの責任だ、だから
「言わんこっちゃない」
と言っているのだ。
むろん、新聞各紙、選挙後、石破総理を一斉に批判。
石破総理に厳しいのが産経。
<石破首相は高市早苗前経済安全保障担当相との協力関係構築にも失敗し、閣僚人事で挙党体制を作らなかった>
<自民の岩盤支持層の離反を招き、票が日本保守党や参政党などへ流れた>
<国会論戦も十分に行わず早期解散に走った>
<これで選挙に勝てると思っていたのなら信じ難い>
意外だが、朝日新聞が一番手厳しい。
社説でハッキリ石破総理に引導を渡している。
<自民党がなお議会第1党だとしても、「自公で過半数」という自ら設定した最低限の目標を達成できなかった以上、石破首相は職を辞すのが筋だ>
党内野党として石破氏が安倍晋三元総理を批判していた時は、散々、持ち上げて、事あるごとに利用してきた朝日、さすがに変わり身が早い。
<期待が大きければ、その分、失望も大きい>
と言い訳しているのが笑える。
党内では
「首相の責任は重大、続投は難しい」
の声も少なくない。
だが、石破総理自身は続投の意志を捨てず、
「色んな選択肢があるだろうよ」
と他人事のように
「続投を明言」
しているらしい(2024年10月28日産経)。
誰か、石破総理の首に鈴を付ける奴はいないのか。
 (月刊『Hanada』編集長・花田紀凱)

<正論>惨敗した首相に国民を守れるか 
麗澤大学教授・八木秀次
2024/10/31 8:00
https://www.sankei.com/article/20241031-UK2MSTVJUFLK5JR4Y2VOXIN2HA/?outputType=theme_election2024
■続投は理屈が通らない
平成19年7月、第1次安倍晋三政権でのことだ。
自民党は参院選で惨敗し、第一党の座を民主党に譲った。
衆参「ねじれ」の始まりだ。
安倍首相は続投の方針を表明したが、この時、党の総務会で
「選挙に負けたにもかかわらず、続投するのは理屈が通らない」
と公然と首相の辞任を求めた議員がいた。
現在の首相の石破茂氏だ。
その後、安倍氏は体調を崩して辞任した。
2年後の平成21年7月、麻生太郎内閣は低支持率に喘いでいた。
都議会議員選挙で自民党が敗れた際、内閣に身を置きながら派閥を率いて
「麻生おろし」
の先頭に立った閣僚がいた。
石破農水相だ。
麻生首相は飼い犬に手を嚙まれる思いだったという。
今月2024年10月27日投開票の衆院選挙で自民・公明の与党は目標とした過半数(233議席)をも大幅に下回る大惨敗を喫した。
参院選や都議選での敗北ではない。
政権選択選挙とも言われる衆院選で、だ。
与党過半数割れのままでは予算案も法案も通らない。
異常事態だ。
何より野党その他の総計が過半数を占めた状態では内閣不信任案をいつでも可決できる。
それでも石破首相は続投を重ねて表明している。
首相就任8日後という戦後最短で解散総選挙を行う理由を憲法69条に言及して
「新しい内閣について、国民に信を問うことが憲法の趣旨からもそういうことだ」
と述べていたはずだ。
国民の信任を得られなかったにもかかわらず、続投するのは
「理屈が通らない」。
過去の自分の言動によって
「後ろから鉄砲を撃たれる」
思いがしていることだろう。
長かった党内での野党暮らしは責任がなく気楽だったはずだ。
「正論」
も述べられた。
今、
「与党」
の首領として生き地獄の苦しさを味わっていることだろう。
■国民的人気も幻だった
大惨敗の原因は
「政治とカネ」
の問題そのものではない。
政治資金の不記載問題は、一部の法令違反は処罰されて当然だが、それ以外は今後、記載を徹底し再発を防止するとすればよかった程度のことだ。
これの処理の仕方を誤って派閥解消などの大きな問題にしてしまい、
「国民の怒り」
を醸成したのが岸田文雄前首相だった。安倍派の力を削ごうとした節も否定できまい。
その岸田氏が低支持率で退任することになり、国民的人気があると勘違いして自民党総裁選で後継に選んだのが石破氏だが、総裁選で大言壮語したものの首相になるや
「変節」
やトーンダウンし、大した政策もなかったことを露呈した。
選挙はこの政策を実現するために力を与えてくださいと訴えて勝つものだが、訴える
「この政策」
がなく、
「政治とカネ」
への防戦一本となった。
当てにした国民的人気も幻で、発足時の内閣支持率は28%(時事通信、2024年10月17日公開)という2000年以降の歴代内閣の最低を記録した。
選挙応援に入る度に票が減ると言われ、自民党支持層まで野党に投票した模様だ。
大惨敗の原因は石破氏の存在が大きい。
不記載議員を原則公認する方針を決めたものの、メディアの批判に圧されて一転して非公認や比例重複なしの
「二重処罰」
にしたが、非公認候補側にも公認と同じ2000万円を振り込んだ。
当選後に追加公認を受けるようにとの狙いだろうが、如何にも場当たり的だった。
これが選挙の最終盤に発覚し報道されたことで
「政治とカネ」
の問題を蒸し返し、
「国民の怒り」
を買って数十議席を減らしたとされる。
判断した森山裕幹事長、小泉進次郎前選対委員長ら執行部の責任は大きい。
■政策無視の「大連立」では
選挙の結果、安倍元首相が第2次政権以来、国政選挙に勝ち続けて築いてきた
「1強」
とも言われた強固な政権基盤はいとも簡単に崩壊した。
過半数割れの
「少数与党」
では政権運営に困難が伴う。
予算案や法案を通すためには野党との協力が必要になる。
当てにしていた国民民主党も日本維新の会も連立政権には加わらない方針だ。
益々野党の主張に歩み寄らざるを得ない。
首相は続投を表明した記者会見で野党の政策を取り入れるとも述べた。
これでは事実上の与野党の
「大連立」
だ。
野党の影響力が大きくなって懸念されるのは安全保障や経済だ。
台湾有事や朝鮮半島有事の危険が迫り、石破氏は否応なく、
「戦時下の首相」
となる可能性もある。
集団的自衛権の限定行使にさえ否定的な軍事音痴の野党第一党との協力で国民の生命を守れるのか。
間もなく選出される米国大統領にも対応できるのか。
財務省の意向に沿うべく積極財政の否定に向かうことはないか。
経済は低迷しないか。
安定的な皇位継承策の検討もこれまでと反対方向に向かうことはないか。
選択的夫婦別姓もそうだ。
憲法改正は進むのか。
党内野党を余儀なくされている高市早苗氏や旧安倍派の議員は党内政権交代に備えて政策を磨き、発信していってほしい。

悪夢の少数内閣が始まる 総裁選、もし林氏や加藤氏が高市氏に勝てば…党内「分裂」も 自民党再生のため石破さんは辞めた方がいい
2024.10/31 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241031-TMJ52B5XUJP4VAT5QKSNN6GVEQ/
石破茂首相は2024年11月28日の記者会見で続投する考えを明らかにした。
理由は
「国政は一時たりとも停滞が許されない」
ということなのだが、
「いや、あなたは国民に信任されなかったので、少しくらい国政が停滞してもいいから誰か別の人に代わってください」
と思う人はいないのだろうか。
仲間の4分の1が落選し、
「勝敗ライン」
の与党過半数を下回った首相がなぜ居座るのか。
ただ、石破首相本人も居座りたくて居座っているのではない。
居座らねばならぬ理由がある。
野党第一党、立憲民主党の議席は大幅増の148議席なのだが、これに日本維新の会の38、国民民主党の28を足しても214で233の過半数には届かず、れいわ新撰組の9、共産党の8を足しても届かない。
つまり、野党だけの連合で政権は取れない。
だから、開票当日夜のテレビ出演で、立憲民主党の野田佳彦代表は、自民党の一部が割れて野党連合に参加することを期待する口ぶりだった。
だが、それは無理なのだ。
党の分裂は自民党も立憲民主党(前身の民主党)も以前経験して酷い目に遭っている。
「分裂だけは損するから、やっちゃダメ」
というのは与野党の共通認識だ。
もし、石破氏が辞めたら自民党は2024年11月11日召集の特別国会での首相指名選挙の前までに新総裁を決めなければならない。
フルスペックの総裁選をやる時間はないので両院議員総会で議員のみの投票で行われる。
本来なら、前回の総裁選で石破氏に惜敗した高市早苗前経済再生相が
「本命」
のはずなのだが、執行部の菅義偉副総裁や森山裕幹事長、更に石破首相誕生の影のキングメーカーである岸田文雄前首相らは気が進まないだろう。
高市氏を応援した人たちの多くが、今回の衆院選で落選している。
もし執行部が林芳正官房長官とか加藤勝信財務相を立てて高市氏に勝つようなことがあったら、党内の
「分断」
は更に進むし、それが
「分裂」
に発展しかねない。
自民党は主流派も非主流派も、絶対に
「分裂」
だけは避けなければいけないことを分かっている。
高市氏や安倍派周辺から
「石破降ろし」
の声が余り上がらないのはそういうわけなのだ。
つまり石破氏はとりあえず今は辞められない。
石破首相が首相指名選挙を乗り切っても
「少数内閣」に
よる予算審議は大変だ。
国民民主党と政策ごとの
「部分連合」
を組み、予算に賛成してもらうために政策をいくつか
「丸呑み」
する必要があるが、大変な作業だ。
最後は
「石破退陣」
を条件に予算成立という局面もあるかもしれない。
悪いことは言わない。
石破首相は退陣して、自民党は新総裁を選び、再スタートした方がいい。
「負けた人」
の下で政党はまとまらないし、先は見えない。
自民党の再生のためにも石破さんは辞めた方がいい。
 (フジテレビ客員解説委員 平井文夫)

<産経抄>居座る石破首相、言行一致の身の処し方を
2024/10/31 5:00
https://www.sankei.com/article/20241031-R6DMQT64N5MG7N6B3LUJYMNMZU/
辞書に載る言葉には、業界用語を出自としたものが多い。
「暗転」
はその1つである。
<物事が悪い方に転じること>
は後から加わった意味で、本来は
<舞台を暗くして、幕を下ろさずに場面を変えること>。
つまり芝居用語だ。
▼対義語を
「明転(あかてん)」
という。
<舞台が明るいままで場面を変えること>。
次の場面がすでに出来上がっており、回り舞台ではよく使われる手法である。
ただし
<物事がいい方に転じること>
の意味はなく、採録しない辞書も多いと聞く。
▼先日の総選挙を下敷きにした舞台『国民の審判』は、過半数割れした
「自公の大敗」
編から
「少数与党の悲境」
編へと場面転換しそうだ。
脇を固めた若手選対委員長の降板をよそに、自身は主役に居座り、場面の明転を待つつもりらしい。
続投の意思を示した石破茂首相である。
▼「国民の批判に適切に応え」
ながら職務に当たるという。
与党過半数を勝敗ラインと明言したのは他ならぬ首相で、続投は現政権を否定した選挙結果への答えになっていない。
「国政の停滞は許されない」
との説明も、責任逃れの方便に聞こえる。
▼石破氏と言えば
「ねじれ国会」
を招いた第1次安倍晋三政権時に、安倍氏を舌鋒鋭く責めた姿が忘れ難い。
麻生太郎政権では閣内から事実上の退陣を迫りもした。
過去のご自分を鏡とし、言動にいささかのぶれもない身の処し方を、信を置ける政治家の作法を見せてもらいたい。
▼安全保障、国民生活、災害対応。
どれ1つとして置き去りにできぬ課題で、国政が停滞すれば国民は甚だ迷惑する。
次の場面に移る前に、一案としてこんなト書きを台本に入れてみる。
<ト ここで暗転、主役交代>。
総裁選を行う気力くらい、なければ困る。

<主張>野田氏の支持要請 現実路線なしでは空論だ
社説
2024/10/31 5:00
https://www.sankei.com/article/20241031-L4VASTN36ZJOBF4YXY6QB5RHE4/
立憲民主党の野田佳彦代表は、日本維新の会の馬場伸幸代表と会談し、特別国会の首相指名選挙で自身に投票するよう要請した。
議席を大幅に伸ばした野党第一党として、他の野党に協力を呼び掛けること自体は否定しない。
だが、基本的な政策を見ると、立民は政権担当能力を欠いている。
衆院選公約などで掲げた政策では日本の独立と繁栄、国民の命・暮らしを守れまい。
衆院選で勢いづいているとはいえ、野田氏が本気で政権を担うつもりなら、反省と基本政策の現実路線への転換が必要だ。
立民は衆院選で外交・安全保障政策について
「日米同盟が基軸」
とした一方で、集団的自衛権の限定行使は憲法違反という立場を変えなかった。
反撃能力の保有にも消極的だ。
これでは抑止力が損なわれ、日米同盟は旧民主党政権時のような危機に陥るだろう。
エネルギー政策では
「原発の新増設は認めない」
と宣言し、党綱領では
「原発ゼロ」
の実現を謳う。
脱炭素化や電力の安定供給に逆行している。
国の根幹をなす憲法改正にも後ろ向きだ。
自民党の自衛隊明記案に反対し、国会議員任期延長を含む緊急事態条項の創設も
「必要ない」
としている。
安定的な皇位継承策では、野田氏は
「女性宮家」
の非皇族男子の夫と子の皇族化に拘っている。
これは日本の皇統を断絶させる
「女系天皇」
に繋がる恐ろしい議論だ。
馬場氏は野田氏の要請を持ち帰り、
「大義や具体的な政治改革案がなければ、与することは出来ない」
「やはり政治とカネの問題だ」
と語った。
政治とカネの問題を主軸に交渉するつもりなら、首相指名選挙を履き違えることになる。
政権の舵取り役を決める選挙なのだから、皇室や外交安保、エネルギーなどの基本政策を重視すべきだ。
普通の国会共闘とは次元が違う。
馬場氏は2024年10月27日、立民について
「外交安保やエネルギー、憲法など基本的な政策で党内がまとまっていない」
と批判していたはずだ。
野田氏は共産党の田村智子委員長にも首相指名選挙での協力を求めた。
党綱領に日米安全保障条約の廃棄を記すなど、基本政策が立民以上に非現実的な共産にまで要請したことは間違っている。

首相、衆院選惨敗を党の責任にすり替え 政策を争点としなかった戦略ミスの反省みられず
阿比留瑠比の極言御免
2024/10/31 1:00
https://www.sankei.com/article/20241031-C5A4Z42JZRJN7KN44VVPHMJ76Y/
私事で恐縮だが、筆者が社会部から異動となり、政治部へと着任したのは26年前の平成10年7月12日、参院選の投開票日だった。
その日の深夜か翌未明に、当時の橋本龍太郎首相(自民党総裁)が次のように述べて、敗戦の責任を取って辞任を表明した。
「全てをひっくるめて私自身の責任だ」
「力不足」
「それ以上に言うことはない」
参院選で自民は16議席減らしたが、44議席を獲得した。
しかも参院選は、政権選択選挙と言われる衆院選とは位置付けが異なる。
にもかかわらずの橋本氏の引責辞任に、政治家、なかんずくリーダーの身の処し方、潔さというものを考えさせられたのだった。
一方、安倍晋三元首相は平成19年7月の参院選で大敗しても辞めなかった。
既に各種世論調査で自民劣勢が明らかだった平成19年7月29日の投開票日の数日前、安倍氏は筆者にこう話した。
「小泉さん(純一郎前首相)からも電話がかかってきて
『負けても絶対に辞めるな。参院選に負けても政権が変わるわけではない。いちいち一喜一憂せずにやればいい』
と言われた」
■続投の安倍首相を攻撃
参院選は政権選択選挙ではないのだから、時の首相によってそれぞれの考え方や判断があるのだろう。
ただ、続投を表明した安倍氏に対し、こう激しく攻撃したのが石破茂首相だったことは踏まえておきたい。
「安倍首相は
『私か小沢一郎民主党代表かの選択だ』
と訴えたのに、どう説明するのか」(党総務会)
「安倍首相は
『反省すべきは反省する』
と言っているが、何を反省し、どう改めるのかはっきりしてほしい」(党代議士会)
石破首相は政権選択選挙である衆院選で惨敗し、与党での過半数も失ったことをどう受け止めるのか。
首相に
「ノー」
を突き付けた民意を無視して続投を決め込み、2024年10月28日の記者会見では次のように党の問題へと摩り替えた。
「自民党は反省が足りないとご叱責を賜った」
「党内の論理、党内の理屈は一切排除し、政治とカネについて抜本的な改革を行っていく」
「党内融和よりも国民のご理解ということの方を私は優先していかねばならないし、党内論理を優先したことが厳しい結果に繋がったのではないかという反省を、私自身は思っているところだ」
せっかく党総裁選で政策論争に注目が集まっていたのに、衆院選では明確な基準も示さないまま党所属議員を非公認や重複立候補禁止処分とし、自ら政治とカネの問題を争点とした自分自身の戦略ミスや判断の誤りへの反省はない。
あくまで悪いのは他者であると強調し、党内融和には目を向けない。
こんな延々と魔女狩りや内ゲバを続けるような姿勢が、有権者の嫌悪感を誘うことには気づかないのだろう。
ろくに党内もまとめられずに、国民の願いや要望に応えることはできるのか。
■「一瞬は人を動かす」
安倍氏は首相時代の令和2年6月17日、自身の次の首相候補とされた岸田文雄前首相と石破首相とを比較して、筆者に語っていた。
「政治は人を動かすかなりの要素、情熱が大事だ」
「岸田さんは最後は人を動かす所を見せないといけない」
「石破さんは本物ではないけど、一瞬は人を騙して動かす能力がある」
「彼こそ本当の『言うだけ番長』なのだけど」
その言葉通り、総裁選で石破首相は一瞬、所属議員を動かし首相の座に就いた。
石破首相に1票を投じた議員らは、自民の転落をどうみているのか。
(論説委員兼政治部編集委員)

どうなる首相指名選挙 石破首相選出の流れも自民内造反の可能性に懸念
2024/10/30 21:03
https://www.sankei.com/article/20241030-EJ6PX23YLBNK7MYACULWRJYDPM/
来月2024年11月11日に召集予定の特別国会で行われる首相指名選挙は、キャスチングボートを握る国民民主党が立憲民主党の野田佳彦代表に投票しない方向となり、自民党総裁の石破茂首相が選出される流れが強まった。
衆院本会議での1回目の投票では、ほとんどの議員が所属政党の党首に投じるとみられ、誰も投票総数の過半数を獲得できない見通し。
石破首相と野田氏の2人による決選投票が行われる公算が大きい。
衆院の過半数は233議席。決選投票は自民、公明両党(計215議席)が支持する石破首相、共産党も投票を前向きに検討している立民の野田氏(立民と共産で計156議席)の2人が他党票の取り込みを狙う。
ただ、
「票田」と
なる日本維新の会(38議席)の馬場伸幸代表は2024年10月29日のBSフジ番組で
「どちらかに軍配を上げることはできない」
と語った。
国民民主(28議席)の玉木雄一郎代表も2024年10月30日の党会合で、決選投票でも玉木氏自身に投票する方針を説明した。
両党とも来年2025年夏に参院選を控える中、
「野合」
批判を避け、独自性をアピールする必要がある。
首相対野田氏の決選投票で投票用紙に
「馬場」
「玉木」
と書けば無効票となり、自公勢力が立共勢力を上回り、首相の勝利が有力だ。
ただ、馬場氏は2024年10月30日、記者団に、立民と政治改革に関する協議を行うと述べた上で、野田氏に投票する可能性について
「これからの協議の中身(次第)だ」
と完全に排除はしなかった。
また、自民内の一部には、衆院選で与党過半数割れとなった責任を首相が取って退陣すべきだとの声もある。
首相周辺は、首相指名選挙の投票を棄権する自民議員が出る事態を警戒している。
このため、現時点で可能性は低いものの、野党の大連合が成立したり、自民内の造反によって野田政権が誕生したりする可能性もゼロとは言えない。

石破首相「辞任必要ない」65・7% 内閣支持率は32・1%に急落 共同調査
世論調査
2024/10/29 18:30
https://www.sankei.com/article/20241029-A5DPYG3NWBMV3CYK7CDXWCWATE/
衆院選の結果を受けて共同通信社は2024年10月28、29の両日、全国緊急電話世論調査を実施した。
石破内閣の支持率は32・1%で、内閣発足に伴う2024年10月1、2両日調査の50・7%から18・6ポイント下落した。
不支持率は52・2%。
与党過半数割れとなった自民、公明両党の連立政権継続を望むとしたのは38・4%で、望まないが53・0%だった。
自民の派閥パーティー収入不記載事件に関与し、当選した議員を要職に起用することに79・2%が反対し、賛成は16・3%だった。
望ましい政権の枠組みは
「政界再編による新たな枠組み」
が31・5%と最多で、自公の少数与党政権は18・1%。
一方、石破茂首相が過半数割れの責任を取り辞任すべきだとの回答は28・6%にとどまり、辞任は必要ないが65・7%だった。
自民の議席減に不記載の影響があったと思うとの答えは91・4%。
選挙結果で
「政治とカネ」
問題が根絶に向かうとの見方は23・9%で、向かわないが72・5%を占めた。

少数与党希望は自民支持層の4割 今後の政権枠組み、無党派層は「政界再編」が最多
世論調査
2024/10/29 18:53
https://www.sankei.com/article/20241029-5BJVP5UYLZLVTLY4M4STSCXYYA/
衆院選の結果を受けて共同通信社が2024年10月28、29の両日に行った全国緊急電話世論調査で、今後の望ましい政権枠組みを政党支持層別に見ると、自民党支持層では
「自民、公明両党による少数与党政権」
が最多の39・8%だったものの過半数に届かなかった。
次いで多いのが
「自公に日本維新の会などを加えた政権」
の28・2%で、一部野党と連携してでも政権の安定化を望む意向がにじんだ。
公明支持層では、自公の少数与党政権が50・9%と過半数に上った。
立憲民主党支持層と共産党支持層は
「立民を中心とした多くの野党による政権」
が最も多く、それぞれ61・7%と59・1%。
維新支持層は
「自公と維新など」
が最多の40・5%だった。
「支持する政党はない」
とした無党派層は
「政界再編による新たな枠組みの政権」
が最多で42・4%。
国民民主党支持層の48・2%、れいわ新選組支持層の55・3%も政界再編を希望した。

自民内から「石破おろし」の声相次ぐ 首相、国民民主と連携に活路 立民も多数派工作
2024/10/28 21:20
https://www.sankei.com/article/20241028-FHBW6MW5XNNW7EZEDBSSZMWDAQ/?outputType=theme_election2024
自民、公明両党で過半数割れの大敗を喫した衆院選の翌2024年10月28日、自民内では石破茂首相(自民総裁)の責任論が相次いだ。
それでも続投を表明した首相は、躍進した国民民主党との連携強化で打開を図る。
だが、国民民主は連立入りを否定。
首相は同党の政策を取り入れて協力関係を築きたい考えだが、予算案や法案ごとに賛成を求めることになれば政権運営が不安定化するのは必至だ。
■目に見える変化が肝要
首相は2024年10月28日の記者会見で
「『自民党は目に見えて変わったね』と実感して頂くことが肝要だ」
と述べ、政策活動費の廃止などを表明した。
自身が辞任するのではなく、衆院選の敗因は自民の改革姿勢の甘さにあると定義し、踏み込んだ改革案を打ち出すことで敗北の責任を取る−という筋書きと言える。
ただ、そんな思惑とは裏腹に、党内では
「石破降ろし」
が始まった。
「自民党石破政権への信を問うてこの結果、ということを軽視しすぎではないのか」。
小野田紀美参院議員は2024年10月28日、自身のSNSで、小泉進次郎選対委員長の辞任だけでは不十分との認識を示した。
山田宏参院議員もSNSに
「選対委員長の辞任で済む話ではない」
と投稿した。
小林鷹之元経済安全保障担当相も党幹部の責任論に言及する。
3氏とも、党内の
「反石破」
勢力から旗頭として期待される高市早苗前経済安保担当相に近い。
■党内論理より国民理解を
党内の反発について、首相は
「等閑視するつもりは全くない」
と語る一方、
「党内融和よりも国民の理解を優先していかねばならない」
「党内論理を優先したことが厳しい結果に繋がった」
と持論を述べた。
首相の念頭にあるのが、勢力を4倍に増やした国民民主との連携だ。
「議席を大きく伸ばした党がある」
「どのような主張に国民が共感、共鳴したのか」
「取り入れるべきは取り入れることに躊躇があってはならない」。
首相が記者会見でこう語ると、同席した森山裕幹事長は何度も頷いた。
森山氏は他党との交渉の中心的役割を担うだけに、政権継続のためには
「辞めさせられない」(別の党幹部)。
ただ、国民民主の玉木雄一郎代表は2024年10月28日、支援組織・連合の芳野友子会長に、自公連立政権に参画しない考えを伝えた。
国民民主は、自民に43議席差まで迫った立憲民主党からも触手を伸ばされている。
立民は同日2024年10月28日の執行役員会で、特別国会の首相指名選挙で、野田佳彦代表に投票するよう野党各党に協力を求める方針を確認した。
■政権への協力は十分ある
野田氏は記者団に、一部野党が石破政権に協力する可能性は
「十分ある」
と指摘。
「注意深く見ながら、こちら(野党側)のチームをどう作っていくかに心を砕きたい」
と述べ、過半数割れした自公による野党勢力の切り崩しを警戒した。
焦りの裏返しか、他党との交渉に関し
「誠意のある対話」
というフレーズを何度も口にした。
もっとも国民民主は、野田氏への投票要請も受け入れない考えだ。
首相指名選挙は1回目の投票で過半数を得た候補がいない場合、上位2人の決選投票を行う。
首相と野田氏の一騎打ちになる公算が大きいが、玉木氏は2024年10月28日の民放番組で
「無効となっても玉木と書く」
と述べた。
榛葉賀津也幹事長も同日、連合傘下の産業別労働組合(産別)に、こうした方針を伝えており、立民の多数派工作も最初から躓きそうだ。

政治空白、許されぬ…政治部長・小川聡
2024/10/28 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/20241028-OYT1T50036/
長期政権のぬるま湯に浸かり、有権者の意識とかけ離れた
「党の論理」
を捨て切れない自民党に、厳しい審判が下った。
これまでの自民党政治家と違う感覚で政権を運営するのではとの石破首相への期待は、瞬く間に失望に変わった。
予算委員会なしでの衆院解散や、政治資金問題に関わった前議員らの公認問題と2000万円の活動費支給を巡る対応などで、総裁選で掲げた
「国民の納得と共感」
よりも自民党の事情と都合を優先する姿勢が露呈し、国民の怒りの火に油を注いだ。
立憲民主党は、3年前2021年の衆院選を教訓に、自民党にお灸を据えようと考える中道保守層の投票の受け皿になった。
野田代表が、
「原発ゼロ」
をはじめとした非現実的な安全保障・エネルギー政策を封印し、共産党との連携に距離を置いたことが奏功したと言えよう。
立民は選挙戦で、
「政治とカネ」
問題への批判に注力し、景気対策や社会保障などの具体策を論じる機会は少なかった。
「敵失」
で議席を伸ばした面が大きく、自らの政策・主張が全面的に支持を集めたという過信は禁物だ。
日本を取り巻く環境は国内外で厳しさを増しており、一刻の猶予も許されない。
経済停滞や社会保障・財政の不安、自然災害への対応などを急がなくてはならない。
北朝鮮や中国による軍事的威圧や威嚇、一方的な現状変更や侵略の脅威に直面し、日本の主権や平和、繁栄を維持できるかどうかの岐路にある。
与党の過半数割れにより、当面、政権が弱体化することは避けられまい。
各党は、政局を優先して分断を加速させるのではなく、 真摯な議論を通じて現実的に答えを出していくことが不可欠だ。
内外の有事を前に、政治空白を作ってはならない。

衆院選、全議席が確定 自民191、立民148、維新38、国民28、公明24、れいわ9
2024/10/28 4:05
https://www.sankei.com/article/20241028-PRREEDNFJRJSFA344HTTAVVAPQ/?outputType=theme_election2024
2024年10月27日投開票の衆院選は2024年10月28日未明、比例代表東北ブロックで立憲民主党が最終議席を確保し、全465議席が確定した。
各党の獲得議席は、自民191、立民148、維新38、公明24、共産8、国民28、れいわ9、社民1、参政3、政治団体の日本保守党3、無所属12で確定した。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/108.html#c61

[戦争b25] 米国の好戦派はウクライナでの軍事作戦失敗をメディアの幻術で隠すことが困難に(櫻井ジャーナル) 赤かぶ
16. 秘密のアッコちゃん[1005] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月14日 07:38:04 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[570]
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北朝鮮の人権改善勧告を採択 294項目、国連作業部会 88項目「留意する」
2024/11/14 7:18
https://www.sankei.com/article/20241114-T4O5Z7AUIFPBJJ6UJL4MTXDQPQ/
北朝鮮の人権状況を審査する国連人権理事会の作業部会は2024年11月13日、294項目の改善勧告を盛り込んだ報告書を採択した。
日本が要求した拉致問題の早期解決や、ウクライナに侵攻するロシアへの支援停止に関する88項目について、北朝鮮は
「留意する」
とした。
北朝鮮のチョ・チョルス駐ジュネーブ国際機関政府代表部大使は、来年2025年2月に始まる人権理の通常会期までに
「最終的な立場を示す」
と述べた。
北朝鮮は2019年の前回審査で
「留意する」
とした勧告について受け入れを拒んでおり、今回も拒否するとみられる。
人権理は
「普遍的審査」
制度に基づき、国連加盟国の人権状況を数年ごとに検証している。(共同)

映画撮影用の戦車を軍に提供 ロシアの国営会社 T55戦車、PT76戦車など
2024/11/14 7:16
https://www.sankei.com/article/20241114-Y3RTAQXEJBNLRCBEQYMAESPBRU/
ロシア国営映画会社モスフィルムのシャフナザロフ社長は2024年11月13日、モスクワのクレムリンでプーチン大統領と会談し、同社が保管していたソ連時代製造の30両以上の戦車などを昨年2023年、ロシア軍に提供したと表明した。
プーチン氏は
「モスフィルムは誇りだ」
と話した。
大統領府が発表した。
シャフナザロフ氏は軍に戦車などの需要があると知って国防省に連絡。
映画撮影用に保管していた28両のT55戦車、8両のPT76戦車の他、歩兵戦闘車6両、牽引車8両を提供したと語った。
ウクライナ侵攻で使われたかどうかは不明。
モスフィルムの公式ホームページによると、同社には装甲車や装甲兵員輸送車、自走砲など190両以上の他、自動車やバイクなど100台が保管され
「全ての軍関連の小道具は整備された状態にあり、同時に複数の撮影に対応する準備ができている」
としている。(共同)

ゼレンスキー氏のオルバン氏への怒り 「子供が死に、家が壊されること分かっているか」
パリの窓
2024/11/14 7:00
https://www.sankei.com/article/20241114-FUCJZABZOVILLMVV43NPHZJ53I/
ハンガリーのブダペストで会議取材を抜け出し、
「レトロ博物館」
に行った。
東西冷戦中の生活が再現されている。
共産主義礼賛の教科書やレーニン像を見ながら、前日の記者会見を思い出した。
オルバン首相とウクライナのゼレンスキー大統領の応酬だ。
オルバン氏は会議のホスト役。
仲の良いトランプ前米大統領の復活に勢いを得て、
「ウクライナはすぐ停戦すべきだ」
「西側でも停戦支持が広がっている」
と訴えた。
続いて、疲れた顔のゼレンスキー氏が登壇し、
「停戦を求めるのは、我が国を北大西洋条約機構(NATO)に入れたくない指導者だ」
と反論した。
一方でNATO加盟も領土奪回も実現できず、停戦圧力を掛けられるかもしれないと覚悟している。
「停戦後、どうなるか分かるか」
「あなた方は子供が死に、家が壊されることが分かっているのか」
と心情を吐露した。
オルバン氏はゼレンスキー氏より15歳上。
若い頃は民主化の闘士だった。
ソ連のくびきの重さを身に染みて知る世代だ。
救いを求める隣国の手をなぜ振り払うのか。
ゼレンスキー氏は悔しかったに違いない。
博物館で、赤旗を振ってソ連を讃える行進の画像が流れた。
地元の観光客は
「懐かしい」
と無邪気にはしゃいでいた。
戦火のウクライナ人の目にはどう映るだろう。

http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/808.html#c16

[政治・選挙・NHK296] トランプ返り咲きで「3つの悪」が暴走…問われる日本の民主主義 金子勝の「天下の逆襲」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
63. 秘密のアッコちゃん[1006] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月14日 10:57:20 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[571]
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ロシア「前回は裏切られた」とトランプ氏に疑念 ウクライナ停戦条件を見極めへ
「トランプ2.0」と世界B
2024/11/13 10:00
https://www.sankei.com/article/20241113-AOHPYDGRKNKDHM6YS6OPOFYSBY/?outputType=theme_uspe
米国のトランプ次期大統領について、ロシア外務省に近い専門家はこう話す。
「露政権内にはトランプが前回当選した2016年のような喜びのムードはない」
「トランプがロシアの立場をどこまで理解しているか、ロシアにとって望ましい振舞いをするのかどうかを疑っているためだ」
この専門家が言うように、2016年の米大統領選でプーチン露政権はトランプ氏の当選を大歓迎した。
ロシアは2014年にウクライナ南部クリミア半島を一方的に併合し、当時のオバマ米政権と対立を深めていた。
ロシアに融和的と目されたトランプ政権の発足が、対露制裁の解除など関係改善に繋がると期待したのだ。
しかし実際には、トランプ氏は2017〜2021年の前回任期中、対露制裁を強化し、米国として初めてウクライナへの殺傷兵器の供与に踏みきった。
米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約や、偵察機による相互監視を定めたオープンスカイ条約も破棄した。
「トランプはロシアの安全保障に関心を持っていない」
「ロシアは期待を裏切られた」
と冒頭の露専門家は話す。
ロシアは2022年2月からのウクライナ侵略戦争で、ウクライナの降伏による
「戦勝」
を早期に達成したいと考えている。
今回の大統領選で、ウクライナ支援の継続を約束する民主党のハリス副大統領ではなく、早期の停戦を実現するとしてきたトランプ氏が勝利したことは、ロシアにとって
「悪くない結果」
に違いない。
それでも、ロシアは前回の
「失望」
からトランプ氏に過度の期待を抱いていない。
ロシアは自国の
「安全保障」
をウクライナ侵略の理由の1つに掲げている。
北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大やウクライナのNATO加盟希望を
「脅威」
としてきた。
米国はこうしたロシアの立場を尊重せねばならない、というのがプーチン露政権の言い分だ。
だが、ウクライナ侵略戦争の早期停戦を訴えるトランプ氏が、そうしたロシアの主張に理解を示すかどうか。
「トランプの最大の関心は中国抑止であり、ロシアとウクライナに停戦を求めるのも対中政策に注力するために過ぎない」。
露有力紙
「独立新聞」
はこんな懐疑的な見方を示している。
一部の米メディアによると、ウクライナ戦争終結に向けたトランプ氏の計画には、ウクライナのNATO加盟を20年間凍結するのと同時に、ロシアの再侵略を防ぐために米国が大量の兵器をウクライナに供与するとの内容が含まれている。
報道が事実だとすれば、この計画はウクライナの永続的な
「中立化」

「非軍事化」
を掲げて侵略戦争を始めたロシアに受け入れられるものではない。
プーチン氏は2024年10月24日、トランプ氏がウクライナ戦争終結に尽力するとしていることについて、
「そうした発言は誰からのものであろうと歓迎する」
と述べた。
2024年11月7日にも、停戦は実現できるとするトランプの発言を
「関心を払うに値する」
とし、ウクライナ情勢に関してトランプ氏と協議する意向を示した。
しかし、トランプ氏の見解を聞くことと、それを受け入れることは全く別問題だ。
ペスコフ露大統領報道官が2024年11月6日に述べた言葉は、トランプ氏に対するロシアの慎重な姿勢を端的に表している。
「紛争終結に関するトランプの発言は今、最終評価すべきものではない」
「米大統領はしばしば当選後に発言を変える」
「ロシアは具体的な発言や行動を注視した上で結論を下す」

中国、米大統領に関係なく「自立自強」へ強気 トランプ氏による同盟弱体化も期待
「トランプ2.0」と世界A
2024/11/12 10:00
https://www.sankei.com/article/20241112-JWBBDUE2NZP4FOIIBG4WRDRYHM/?outputType=theme_uspe
中国の交流サイト(SNS)ではトランプ米次期大統領を
「川建国同志」
と表記する人が多い。
「川」
はトランプ氏を中国語で
「川普」
と書くことにちなむ。
トランプ氏は、中国建国に匹敵する恩恵を与えてくれるのではないかとの期待が込められている。
対中強硬姿勢で知られるトランプ氏を
「建国同志」
と呼ぶ人が多いのはなぜか。
■対中強硬派のトランプ氏が「同志」に?
トランプ氏は中国製品に60%の関税を課す方針を示している。
米中の貿易関係者は今、
「第2次貿易戦争」
の勃発に身構えている。
政府系シンクタンク、中国社会科学院の張明・金融研究所副所長は2024年11月6日、
「関税の衝撃で2025年は中国の輸出に悪影響が生じる」
との分析を示した。
中国は不動産市況の悪化に伴う景気低迷に悩んでおり、貿易戦争の再発が
「泣きっ面に蜂」
となるのは確かだ。
ただ、対米輸出が中国の国内総生産(GDP)に占める割合は23年に2・8%である。
米国とのイデオロギー的な対立は誰が大統領になろうと不可避であり、それならば対中圧力を機に
「自立自強」
の態勢を整えようとの覚悟も中国には見てとれる。
2024年12月1日には、貿易相手国が合意に反して追加関税などの措置をとった場合、輸入品に報復関税を課せるとした関税法を施行する。
トランプ前政権期にはハイテク戦争も激化したことから、米欧の科学技術への依存脱却も進めている。
米大統領選の投開票が行われた今月2024年11月5日、習近平国家主席は湖北省を視察し、
「ハイレベルの科学技術の自立自強」
を急ぐよう檄を飛ばした。
実際、ハイテク戦争でトランプ前政権のやり玉に挙げられ、大打撃を受けた中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は、基本ソフト(OS)などIT製品に不可欠な技術の国産化を進め、業績を回復させた。
中国紙、第一財経日報(電子版)は、米国による中国ハイテク企業への圧力について、逆に半導体などの
「国産化」
を加速させるとの見方を伝えた。
「一度国産代替をやり遂げれば、米国の制裁は無意味になる」
と強気だ。
■「中国包囲網」は弱まるとの期待
米次期政権の外交・安全保障政策を巡っては、トランプ氏の
「米国第一」
主義や予測不可能性により、米国の同盟関係や対中包囲網が弱体化することへの期待が強い。
香港メディア「香港01」は、バイデン政権が進めた同盟国との連携強化をトランプ氏が覆せば
「中国に有益だろう」
と見込む。
香港紙、星島日報(電子版)もトランプ次期政権で
「国際的な中国包囲の『統一戦線』は縮小するだろう」
と予想した。
「東南アジアなどでは米国よりも中国を重視する人が増えている」
と日中外交筋は危惧している。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の10加盟国の有識者らを対象にした年次調査では今年2024年、ASEANが米国と中国のいずれかと同盟を結ぶことを迫られた場合、中国を選ぶべきだとの回答が初めて米国を上回った。
■台湾が「取引材料」なら悪くない
中国が「中米関係で最も重要で敏感な問題」とする台湾についてはどうか。
トランプ氏は中国が台湾に侵攻すれば
「150〜200%」
の関税を課すと発言している。
「香港01」は、トランプ氏が台湾を要衝ではなく取引材料と見做しているとし、
「関税を米国の台湾不介入に換えられるなら、これは中国にとって悪いことではない」
と指摘する。
中国が不安を拭い切れないのは、トランプ氏が中国に全圧力を集中させるため、ロシアのウクライナ侵略戦争を早期に終結させるとしていることだ。
上海外国語大の黄靖・特聘教授は論評で、米露関係が改善すれば
「中国の安保環境は極大的に悪化する」
とし、それを
「ニクソン・ショック2・0」
と呼んで警戒した。
1971年に当時のニクソン米大統領が、ソ連牽制などのために中国との電撃的な関係改善に動いた
「ニクソン・ショック」
になぞらえたのだ。
果たして、トランプ氏は
「建国同志」
となるのか否か。
それによって世界の形は大きく変わってくる。

トランプ氏が台湾軽視なら「疑米論」拡大 頼清徳政権に打撃、中国に好都合な展開も
「トランプ2.0」と世界@
2024/11/11 10:00
https://www.sankei.com/article/20241111-FRS2NIKSPNKGXC2GOXGTHO3XWM/?outputType=theme_uspe
米国のトランプ次期政権が掲げる
「米国第一」
主義は、台湾海峡情勢を不安定化させるリスクも孕む。
「台湾は我々の半導体事業を盗んだ」
「そして彼らは(中国の脅威からの)保護を求めている」。
トランプ氏は2024年10月下旬、台湾への不満を露わにした。
2024年7月には
「台湾は9500マイル(約1万5000キロ)離れている」
「中国からは68マイル(約109キロ)だ」
と台湾防衛に懐疑的な姿勢まで示した。
もっとも第1次トランプ政権(2017〜21年)で米台関係は良好だった。
2018年には米台高官の相互往来を促す
「台湾旅行法」
が成立。
任期中の台湾への兵器売却は総額183億ドル(約2兆8千億円)に上り、バイデン政権の76億ドル(約1兆1600億円)を大きく上回る。
だが、第1次政権期に台湾の駐米代表を務めた高碩泰(せきたい)氏は、第2次政権を巡り
「人事や政策決定において大きな転換があるだろう」
と2024年11月7日のシンポジウムで発言し、楽観論を戒めた。
台湾の清華大栄誉講座教授、小笠原欣幸氏も
「1期目のトランプ政権では、大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたジョン・ボルトン氏ら台湾の戦略的価値を十分に理解している人たちが、うまく中国を押さえ込みつつ台湾との関係を実質的に拡大した」
「しかし、多くはトランプ氏の周辺から去った」
と指摘する。
台湾世論に
「無関心」
なトランプ氏が第2次政権で外交・安保政策を主導した場合、何が起きるのか。
トランプ氏は、台湾が防衛費を域内総生産(GDP)比10%まで増やすべきだと発言している。
政権要職への起用が取り沙汰されるエルブリッジ・コルビー元国防次官補代理が言及した
「5%」
でも2025年予算案の防衛費と比べて倍増となる。
民主進歩党が少数与党となった立法院(国会に相当)で、こうした予算案の審議が行き詰まるのは不可避だ。
台湾に
「保護費」
の支払いを求めるトランプ政権から大量の兵器購入を強いられ、
「虎の子」
である半導体企業の米国移転まで迫られた上に、いざ有事の際に米軍の関与は期待できない−。
台湾にこうした
「疑米論」
が広がれば、親米路線の頼清徳政権にとっては最悪のシナリオとなる。
2028年の次期総統選で中国に融和的な最大野党、中国国民党が政権を奪取することも現実味を帯び、台湾の併呑を狙う中国の習近平政権には理想的な展開となる。
「疑米論の拡大で台湾世論がじわりと動き始める可能性は捨てきれない」
「そうなれば米国のインド太平洋戦略の要がオセロのようにひっくり返る」
「台湾が中国に取り込まれた時点で米国が気づいても手遅れだ」。
小笠原氏は警鐘を鳴らす。

石破首相とトランプ氏会談わずか5分の衝撃 韓国・尹大統領の半分以下 党の両院議員懇談会でも集中砲火、まさに四面楚歌
2024.11/8 11:32
https://www.zakzak.co.jp/article/20241108-J5S64FY5UVPINAX3WEKJIVUNAM/
「政権居座り」
に執着する石破茂首相(自民党総裁)が四面楚歌≠ノ陥りつつある。
2024年11月7日の党両院議員懇談会では、衆院選で勝敗ラインとした
「自公与党で過半数」
を割り込む大惨敗を喫した責任について集中砲火を浴びた。
国会運営では、少数与党ゆえ、躍進した国民民主党の意向に配慮せざるを得ない上、国会の最重要ポストの1つである衆院予算委員長を立憲民主党に譲り渡した。
米大統領選で勝利したドナルド・トランプ前大統領との電話会談は、何と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の半分以下という5分間。
米メディアには、石破首相の
「日米同盟不平等論」
を問題視する向きもある。
過去に現実軽視の持論を並べ立て、他人を批判し続けた
「特大ブーメラン」
が次々と刺さっている悪循環は続きそうだ。

「国民の期待に十分応えることができなかった」
「痛恨の極みだ」
「深く反省し、お詫びしなければならない」
「真摯に受け止め、改革に前向きに取り組んでいく」
石破首相は2024年11月7日、衆院選総括のために開催した両院議員懇談会で、こう陳謝した。
衆院選での自民党惨敗は
「国民の審判」
そのものであり、
「政権居座り」
こそが国民の期待に反するのではないか。
当然、参加者からは、執行部の責任を問う声が相次いだ。
投開票直後から辞任論を掲げていた青山繁晴参院議員は
「2024年年末に予算編成をするわけで、その前に自ら潔く決意し、辞意を表明されるべきだ」
と主張したという。
記者団にも
「『政権選択選挙』で負けたのに責任を取らないのでは、自民党が民主主義を掲げることはできない」
と言い切った。
西田昌司参院議員も
「党の体制を刷新しないと(来年2025年夏の)参院選を戦えない」
と訴えた。
石破執行部に対しては、
「非公認」
候補が代表を務める政党支部にも選挙前に2000万円を支給した判断を問題視する意見も続出した。
柴山昌彦元文科相は
「世論から如何にかけ離れているか、執行部はしっかり受け止め検証すべきだ」
と発言した。
小林鷹之元経済安保相も、執行部から事前に明確な説明がなかったと苦言を呈し、
「党が一丸となって政策を進めていく環境を作る必要がある」
と訴えた。
厳しい批判が噴出する中、馬の耳に念仏なのか、石破首相は具体的な責任論に言及しなかった。
森山裕幹事長も
「強く責任を感じる」
「厳しい批判は厳粛に受け止める」
「(2000万円は)非公認の人が選挙費用に使える仕組みにはなっていない」
と釈明したものの、そのまま続投する意向だ。
石破首相と距離を置く麻生太郎元首相は発言しなかった。
「ポスト石破」
を期待される高市早苗前経済安保相は欠席した。
衆院選で
「非公認」
となり無所属で勝利した萩生田光一元政調会長は、高市氏と連携する意向を示しているが無言を貫いた。
出席議員は執行部を除き約180人で、非公開で約50人が発言したが、大半は
「当面の続投」
を支持したという。
ある閣僚は
「ガス抜きになった」
と語っている。
石破政権は国会運営にも不安がある。
国会の委員会で最重要ポストの予算委員長を、立憲民主党に譲ることで合意したのだ。
予算委員長に野党議員が就くのは30年ぶりだという。
同委員長は採決日程の決定や議事進行などで大きな権限を持ち、局面によっては予算案審議が難航することも想定される。
■米報道日米に「緊張が高まる可能性秘めている」
石破政権は、外交でも不安は尽きない。
石破首相は2024年11月7日午前、米大統領選で勝利したトランプ氏と初めて電話会談を行った。
石破首相は
「日米同盟をより高い次元、段階に引き上げていくことで一致した」
「フレンドリーな感じがした」
「本音で話ができる人という印象を持った」
を手応えを語ったが、時間は5分間だった。
トランプ氏は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とは約25分間、韓国の尹大統領とは約12分間も会談している。
前駐オーストラリア大使の山上信吾氏は2024年11月7日、自身のX(旧ツイッター)で、
「僅か5分しか相手にされず、英語も解さないのに、何を以て『非常にフレンドリー』と判断できるのか?」
「メディアの突っ込みが弱過ぎる」
と指摘した。
米メディアでは
「背後から銃で撃つ」
と党内外から批判された石破首相の政治スタイルを問題視する向きもある。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは、自民党総裁選の投開票日(2024年9月27日)、石破首相が
「日米同盟を不平等だとして再構築を唱えてきた」
と指摘し、米政府との間に
「緊張が高まる可能性を秘めている」
と報じている。
同紙は、石破首相が
「概ね保守的で防衛にタカ派的」
としながらも、安倍晋三元首相や岸田文雄前首相とは異なり
「日米同盟の非対称的な側面に不満を抱いている」
と分析。
更に、2018年に石破首相に行ったインタビューから、
「トランプ大統領とゴルフしなくてもいい、トランプタワーに行かなくたっていい」
「日本は手強いぞと思わせることが大事だし、ディールのカードを持つこと(が大事)」
「安全保障でディールのカードを全く持っていない」
との、安倍氏とトランプ氏の盟友関係を批判的に語った発言を紹介している。
石破政権はどうなるのか。
政治評論家の有馬晴海氏は
「両院議員懇談会は『ガス抜き』で終わったようだが、『石破おろし』を巡る自民党内の見方は甘い」
「選挙を控える参院議員の中では退陣論も挙がる」
「『石破カラー』で支持率回復の目もあるが、石破首相は演出は上手くない」
「我慢強さを見せせ、耐えるしかない段階だが、全てにおいてヨタヨタで、ちょっとしたきっかけで政権が終わる可能性はある」
と語った。
外交はどうか。
評論家の八幡和郎氏は
「トランプ氏との5分だけの電話会談は象徴的だ」
「石破首相のキャラクターと、トランプ氏の相性も懸念されている」
「重要なのは『本音で話す』ことではなく、『メンツを潰さないよう迎合しているかに見せて誘導する』ことだ」
「石破政権には厳しい宿題が多く課されている」
と分析した。

「トランプ側近の本音」石破首相の評価は? パイプ持つ日本保守党・島田洋一議員が聞いた「世論に迎合する信用できない男」
2024.11/8 15:24
https://www.zakzak.co.jp/article/20241108-RH7XVVVQKJJWFGBDK6T74MESFE/
石破茂首相は2024年11月7日、米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ前大統領と電話会談した。
首相はトランプ氏の印象を
「非常にフレンドリーな感じ」
と述べたが、トランプ氏周辺は実際のところ、石破首相や石破外交をどう見ているのか。
国際政治学者で共和党やトランプ陣営と太いパイプを持つ日本保守党の島田洋一衆院議員に
「トランプ側近の本音」
を聞いた。
石破首相は電話会談でトランプ氏に祝意を伝え、日米同盟をより高い次元に引き上げる考えで一致したと話した。
だが、大統領選直後にトランプ氏側近らとコンタクトを取ったという島田氏は
「衆院選にも敗北して政治力もないとして、トランプ氏周辺で石破首相の評価は高くない」
「マイナスからのスタートというより、スタートできるかも怪しい」
と指摘する。
島田氏によると、
「日米地位協定の見直し」

「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」
といった石破首相の持論にも、トランプ陣営の反応は冷ややかだという。
「日米地位協定の改定は米軍の機密保護や米兵の身の安全に関わるため、米国は超党派で反発している」
「アジア版NATOについては、石破首相が発信を控えていることが、却って『世論に迎合するような信用できない男』と見られているようだ」
石破首相とトランプ氏は、早期に対面での会談を調整する方針を確認したというが、島田氏はこんな見方を示す。
「会談では米国と同じ路線で取り組む態勢が出来ていると、しっかりプランを示して行動できるかが重要だ」
「例えば岩屋毅外相は中国寄り≠ニ見られていて、防衛相時代の2018年には韓国海軍による自衛隊機へのレーダー照射問題に対応出来なかった」
「『人事は政策』であり、情報発信にもなるので、刷新すべきではないか」
トランプ氏が2016年の大統領選に勝利した際には、安倍晋三元首相がトランプタワーを訪問するなどして蜜月関係を築いた。
「トランプ政権発足直後の朝鮮半島危機や、中国に対する締め付けにも、安倍元首相は真っ先に協力するなど、間髪入れずにサポートする行動が信頼関係を固めた」
と島田氏は分析する。
これまで学者として北朝鮮による日本人拉致問題や日米関係の強化に取り組んできた島田氏だが、衆院選で日本保守党から出馬して当選し、今後は国会議員の立場で臨むことになる。
トランプ陣営の反応について島田氏は
「日本保守党から出馬し当選したことを
『米国で言えばトランプ現象に値するものだと理解している。日本保守党と連携していきたい』
と言われた」
「日本保守党の『日本第一』は、トランプ氏の『米国第一』と通じ、『脱炭素原理主義』に異を唱える基本線も一致する」
と明かした。
トランプ陣営は今、外交路線をどう考えているのか。
島田氏は
「中国を『主敵』と位置付け、軍事利用可能な技術を含む最先端ハイテク分野や知的財産で厳しく締め上げて供給網から外すことを検討している」
「トランプ氏は経済分野の交渉で習近平国家主席が誤魔化そうとしても許さないだろう」
との見方を示した。

ロシアと北朝鮮の協力「米も脅かす」 NATOのルッテ事務総長
2024/11/7 22:59
https://www.sankei.com/article/20241107-QTW7IZVC6ZKR7BY733ZVTF3J4Y/
北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は2024年11月7日、ロシアが北朝鮮による軍事協力の見返りに、北朝鮮に技術提供しているとの見方を示し
「将来的に米本土や欧州を脅かすことになる」
と警告した。
NATOに批判的で、ウクライナ支援にも消極的なトランプ氏が米大統領選で勝利したことを受け、同氏に欧州との協力の重要性を訴えた。
欧州政治共同体(EPC)首脳会合が開催されたハンガリーの首都ブダペストで記者団に語った。
ルッテ氏は
「ロシアと北朝鮮、イラン、中国による対ウクライナ連携が明らかになってきている」
「これは非常に危険な展開だ」
と指摘。
「この脅威にどう立ち向かい、世界の安全をどう確保するかについてトランプ氏と共に考えていきたい」
と強調した。(共同)

<主張>トランプ氏と経済 米国第一への備え万全に
社説
2024/11/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20241108-TO2SHDQW3ZLOBPGJT33URQY6WE/
トランプ次期米大統領は、インフレなどで現政権を批判し、経済政策を抜本的に改める姿勢を示してきた。
米国を再び偉大にするには経済を強化するしかないとの思いが強いのだろう。
中国の台頭で世界経済における米国の影響力が相対的に低下する中、国内産業を再興し雇用を守ることは重要だ。
だが、現政権の政策をことごとく否定する言動は危うさも孕む。
自国第一主義の下、中国はおろか西側諸国にも関税などで経済的圧力をかけようとする姿勢も相変わらずである。
日本を含む各国は新政権がもたらしかねない世界経済の混乱や分断に備えねばならない。
石破茂首相は2024年11月7日、トランプ氏と電話会談し、日米同盟を高次元にする考えで一致した。
日米は中国などの専制主義国を念頭に経済安全保障上の連携も深化させなくてはならない。
そのためにも米国が内向きにならぬよう働きかけるべきは当然だが、トランプ氏は同盟の意義以上に経済実利を優先しがちだ。
日本の官民はそれを前提に対策を講じる必要がある。
トランプ氏は法人税や所得税の減税などを掲げている。
中国からの輸入品への高関税だけでなく、その他の国にも10〜20%の関税を課す考えも示した。
ただし、これらがトランプ氏の嫌うインフレや円安ドル高を助長しかねないことを懸念する。
自動車などに軒並み高関税が課されれば日本企業の北米戦略に重大な影響を及ぼそう。
日本は前回のトランプ政権時、安保上の懸念を理由に鉄鋼などに高い関税をかけられた。
トランプ氏は今次の大統領選で、台湾に関し
「米国の半導体ビジネスを盗んだ」
と批判したことが米メディアに報じられた。
こうした動きが強まれば米国と各国の結束を揺るがすことになりかねない。
当面の焦点は日本製鉄によるUSスチールの買収問題だろう。
トランプ氏はこれに反対してきたが、理不尽な買収阻止は問題である。
米国主導で設立したインド太平洋経済枠組み(IPEF)の不支持も撤回してほしい。
トランプ氏はかつて環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から離脱したが、政権に就く度に離脱を繰り返すようでは地域内での米国の信頼は失墜しよう。それがどの国を喜ばせるかをトランプ氏は熟慮すべきだ。

米大統領選、トランプ氏圧勝で石破首相は戦々恐々%本に「憲法改正」要求する可能性、外圧も平和ボケ≠ノ喝を入れるチャンス
2024.11/7 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241107-HGZL2XVVOFN7NN5G5P2EP5UZGM/
米大統領選(2024年11月5日投開票)で、共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)は地滑り的勝利を収め、2024年11月6日未明、支持者を前に
「米国を再び偉大な国にする」
と宣言した。
民主党のカマラ・ハリス副大統領(60)は同日、トランプ氏に電話し、敗北を認めた。
トランプ氏は
「米国第一」
を推進し、日本にも様々な要求を突き付けてくる可能性がある。
第1次トランプ政権では、安倍晋三首相(当時)がトランプ氏と盟友関係を築き、
「日米同盟を深化」
させたが、安倍氏に後ろから鉄砲を撃ち続け、衆院選で
「国民の信」
を得られなかった石破茂首相で日米関係は大丈夫なのか。
ニューヨークに滞在中のジャーナリスト、長谷川幸洋氏が緊急寄稿した。

世界が注目した米大統領選は、トランプ前大統領が圧勝した。
ハリス副大統領の勝利を期待していた日本の政府やメディア、識者たちには、衝撃だろう。
トランプ氏の復活で、石破政権が苦しい立場に立たされるのは必至だ。
トランプ氏は開票直後から優勢を保ち、開票が進むにつれて、ノースカロライナなど激戦州も制した。
接戦が報じられていたが、実際にはトランプ支持でありながら、世論調査にはそう答えない
「隠れトランプ」
層が相当数いた、とみられる。
トランプ氏の勝利は、日本にどんな影響を及ぼすのか。
それを読み解くには、彼が訴えてきた
「米国を再び偉大に(Make America Great Again)」
というキャッチフレーズを思い起こす必要がある。
裏を返せば、彼の政治活動は
「米国は弱体化した」
という認識が出発点だった。
2016年には、米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで、
「米国は弱体化した」
「そうであれば、日本は米国の意向に関係なく、いずれ核武装するだろう」
と語っている。
2019年には、大阪で開かれたG20(主要20カ国・地域)首脳会議の直前、
「米国は日本が攻撃されれば、血を流して全力で守るが、日本は米国が攻撃されても、ソニーのテレビで見ているだけだ」
と、日米同盟の片務性に不満を漏らしている。
欧州については、NATO(北大西洋条約機構)からの脱退や、ウクライナ支援から手を引く可能性を示唆してきた。
同じように
「アジアは日本に任せよう」
と言い出しても、おかしくない。
具体的には、岸田文雄前政権が、ジョー・バイデン米政権に約束したGDP(国内総生産)比2%の防衛力強化を1歩進めて、GDP比3%の防衛費を要求してくる可能性もある。
それだけではない。
私は
「憲法改正を言い出すのではないか」
と思っている。
日本が東アジアの平和と安定に一層貢献し、かつ
「日米同盟の片務性」
を解消するには、専守防衛を改めて、集団的自衛権の全面的容認が必要になるからだ。
経済政策では、中国からの輸入品に対して60%、その他の国の輸入品に10〜20%の関税をかける方針を表明している。
だが、日本については、
「防衛力の強化」

「在日米軍経費の負担増」
などと引き換えに、関税を減免する可能性もあるのではないか。
トランプ氏は
「もしも中国が台湾に侵攻すれば、中国の輸入品に150%から200%の関税をかける」
と語っている。
彼の頭の中では
「安全保障と関税が取引材料」
になっているからだ。
トランプ氏が交渉相手と認めてきたのは、いずれも
「強い指導者」
たちだった。
安倍元首相はもちろん、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領などの独裁者にも好意的なのは、彼らが強い指導者であるからだ。
それにひきかえ、政権発足直後の衆院選で大敗北を喫した石破政権は、それだけで、トランプ氏からまともに相手にしてもらえないだろう。
石破首相が米保守系シンクタンク「ハドソン研究所」への寄稿で
「アジア版NATOの創設」

「日米地位協定の改定」
を唱えたとなれば、尚更だ。
彼から見れば、そもそも
「米国に守ってもらっている自分の立場を分かっているのか」
「それなら、まず憲法を改正しろ」
という話になるのは、当然である。
お花畑で平和ボケした日本に喝を入れるのに、トランプ復活が絶好の外圧になるなら、日本は
「これもチャンス」
と受け止める以外にない。

<産経抄>返り咲くトランプ氏、わが国も主要プレーヤーとしての覚悟を
2024/11/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20241107-LCLBWAHAPVKMNCEAR2DH24N7GA/
言葉を生業とする人々にとって、
「民主主義」
は汲めども尽きぬ警句の泉らしい。
英国の劇作家、トム・ストッパード氏は巧みな言い回しでその本質を突いている。
「投票が民主主義なのではない」
「票の勘定が民主主義なのだ」
と。
▼『すごい言葉』(晴山陽一著)から拝借した。
多くの前提が必要だろう。
選挙権と被選挙権に不当な制限がなく、投票の秘密や投開票の公正さが担保されていること。
ロシア、中国…。
民主主義を否定する国々を見るにつけ、米国には模範的な存在であってほしいと願う。
▼大接戦と予想された米大統領選は、激戦州を制したトランプ前大統領が、思いのほか早く勝利宣言にこぎ着けた。
むろん、米国に一息つく暇はない。
我が国もここからは民主主義陣営を構成する国として、世界の課題に向き合わなければならない。
▼ウクライナ支援の在り方は大きな懸案だ。
トランプ氏の判断次第で、侵略国のロシアだけでなく、台湾への威圧を強める中国をも喜ばせかねない。
混乱する中東情勢や、核・ミサイル戦力の増強を進める北朝鮮など、緊張を高める変数も実に多い。
▼「投票は弾丸よりも強し」
と述べたリンカーンは、弾丸に命を奪われた。
今回の大統領選で、トランプ氏が銃や暴力の標的になったのも記憶に新しい。
深刻な亀裂が窺える米社会は、一体感を取り戻せるだろうか。
政治の空白を生まぬよう円滑な政権移行を望みたい。
▼問われているのは米国の、そして民主主義の地力に他ならない。
トランプ氏の掲げる
「米国第一主義」
が、先の見通しづらい世界情勢にどう応じるのか、という懸念はある。
我が国もまた、国際社会の主要プレーヤーとして主体的に振る舞う覚悟を問われている。

<主張>トランプ氏勝利 同盟重視し国際秩序守れ 内向きに終始してはならない
社説
2024/11/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20241107-EQUVXD4IZFOJDMKHLBFXNC47EE/
米大統領選で、共和党候補のトランプ前大統領が勝利宣言し、
「繁栄した米国を作りたい」
と語った。
2024年12月の選挙人投票を経て来年2025年1月20日に就任する。
2021年1月以来の返り咲きとなる。
「米国を再び偉大に」
「米国第一主義」
などのスローガンを掲げた。
インフレ(物価上昇)や不法移民の問題で民主党候補のハリス副大統領を批判し、有権者の支持を集めた。
暗殺未遂を乗り越えた
「強さ」
も支持されたのだろう。
トランプ氏に注文したい。
公約に沿ってインフレや不法移民など内政の諸政策を推進するのは当然だが、
「内向き」
の政治に終始しないでもらいたい。
■日本との協力を確実に
前回のトランプ政権は、専制国家中国の脅威をはっきりと指摘し、軍事的、経済的に抑止していくという歴史的決断を下した。
それは民主党のバイデン政権にも引き継がれた。
新たなトランプ政権でも国際秩序を守るために行動することを期待したい。
世界はトランプ前政権当時から大きく変わった。
中国は経済不振に陥りながらも、台湾周辺や南・東シナ海で軍事的威圧を強めている。
ロシアによるウクライナ侵略は3年近くも続いている。
中東での紛争は終息の気配がない。
自由と民主主義、「法の支配」に基づく世界の秩序が、専制国家によって脅かされている。
米国の行動力と民主主義諸国の結束が今ほど試されているときはない。
トランプ氏は、2024年7月の共和党全国大会で訴えたように
「米国の不和と分断」
を修復しなければならない。
トランプ政権が備えるべき相手は、自身を支持しなかった
「内なる敵」
ではなく、米国や民主主義国の存立と繁栄を脅かす専制国家だ。
世界の経済成長の中心地であるインド太平洋地域への関心を高めてほしい。
地域最大の同盟国である日本やオーストラリア、カナダ、韓国などとの協力が欠かせない。
大統領選の最中には、中国による日本や台湾、フィリピンなどへの軍事的挑発が相次いだ。
2024年10月に台湾を囲む形で行われた中国軍の演習ではロシア軍の艦船が宮古海峡を通過した。
台湾有事を想定した中露連携との見方もある。
北朝鮮は新型と称する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。
トランプ氏の台湾を巡る認識には不安もある。
共和党の政策綱領から1980年以来初めて
「台湾の自衛を支援する」
という誓約が抜け落ちた。
トランプ氏が
「台湾は防衛費を払うべきだ」
「我々は保険会社と何ら変わらない」
と不満を語ったこともあった。
だが、日米などが共有する
「自由で開かれたインド太平洋」
のためにも台湾海峡の平和と安定は死活的に重要だ。
米軍の近代化を進め対中抑止に努めねばならない。
■ウクライナ支援続けよ
トランプ氏にはウクライナへの支援継続も望みたい。
派兵された北朝鮮軍の部隊がウクライナ軍と交戦したと伝えられる。
ウクライナへの侵略国に北朝鮮が加わった。
ここでもインド太平洋地域と欧州の安全保障問題は繋がった。
トランプ氏は自身が大統領選に勝てば
「すぐに停戦できる」
と述べてきたが、停戦とは露軍の即時全面撤退以外にない。
ロシアや北朝鮮に果実を与えれば、日本周辺での専制国家による侵略を誘発しかねない。
トランプ氏は同盟国に応分の防衛負担を求めるだろう。
米国1国で専制国家を抑止できないため理解できるが、日本や先進7カ国(G7)、北大西洋条約機構(NATO)加盟国などとの協力も合わせて語るべきだ。民主主義国同士の重層的な同盟・協力関係が国際社会の安定に繋がり、米国の繁栄も支えているからだ。
民主主義諸国の結束の乱れは中露など専制国家を増長させかねない。
トランプ氏は、バイデン政権が打ち出したインド太平洋地域の
「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」
への不支持も表明した。
米国の不在は、中国の地域での影響力を強めることになる。
再考すべきだ。
中東情勢も喫緊の課題だ。
イスラエルとイランの全面衝突が懸念されている。
イスラエルへの影響力を発揮し、事態の安定に努めてほしい。
石破茂政権はトランプ氏側と早期に接触し、信頼関係を築かねばならない。

トランプ氏復帰、世界中が注視 ウクライナへの軍事支援に変化も 中国「不確実性増す」
2024/11/6 21:30
https://www.sankei.com/article/20241106-YY2Q7QAJBZPXVJTOEJXXEK6S5E/?outputType=theme_uspe
米共和党のトランプ前大統領と、民主党のハリス副大統領が対決した2024年11月5日の米大統領選を世界各国は強い関心を持って注視した。
ロシアのウクライナ侵略を巡り、ウクライナへの支援から撤退する可能性のあるトランプ氏が勝利したことを欧州は警戒。
ロシアは歓迎しているとみられる。
トランプ氏の勝利で中国は「不確実性」が増すと予測。
混沌とする中東情勢は同氏の復帰で新たな局面を迎えそうだ。
■欧州、NATO結束で不安
米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利したことで、欧州では米国がウクライナ支援から撤退し、欧州安全保障に危機をもたらすとの警戒感が出ている。
フランスのマクロン大統領は2024年11月6日にX(旧ツイッター)でトランプ氏の勝利を祝福した上で、
「ドイツのショルツ首相とも話し合った」
「新たな環境の中で、我々は欧州をより強く、結束させるために働く」
と投稿。
独仏で欧州連合(EU)を牽引し、新政権の下で新たな米欧関係の構築を目指す構えを示した。
トランプ氏はこれまで、欧州加盟国が防衛費の負担を増やさなければ、ロシアが将来、欧州を攻撃しても防衛しないと述べている。
北大西洋条約機構(NATO)の結束に不安が広がる中、ルッテNATO事務総長は2024年11月6日、
「強さによる平和を推進するため、再び協力できることを楽しみにしている」
とXに投稿した。
先月2024年10月の欧州世論調査では、ドイツで64%、フランスでは61%が
「安全保障のためにはハリス副大統領の勝利が望ましい」
と回答していた。
トランプ氏は国内産業保護のため輸入品に高関税をかけると公言しており、米EU間の貿易摩擦は不可避となる見通しが強い。
EUの貿易大国ドイツで特に警戒が強まっている。
トランプ氏は2024年10月末、EUについて
「彼らは我々の車や農作物を買わずに、膨大な量の車を売っている」
「代償を払わせる」
と発言した。
■露、ウクライナ降伏への圧力期待
ウクライナ侵略を巡って同国の
「降伏」
による早期の戦闘終結を実現させたいロシアは米大統領選で、ウクライナに停戦圧力を加えたり、軍事支援を停止したりする可能性がある米共和党のトランプ前大統領が勝利したことを歓迎しているとみられる。
ペスコフ露大統領報道官は2024年11月6日、
「プーチン大統領は一貫して対話に前向きだ」
とトランプ氏との電話会談を排除しなかった。
ウクライナでの停戦に向けて米国が動くかどうかをロシアは注視するとも述べた。
プーチン氏は2024年10月下旬、トランプ氏が停戦の実現に尽力する意向を示しているとし、
「(停戦に関する)そうした発言は誰からのものであろうと歓迎する」
と表明。
また、
「(戦争の)帰結はロシアに有利なものであるべきだ」
「(停戦の内容は)戦場の現実に立脚すべきだという点に関してロシアは譲歩しない」
と述べた一方、ロシアには
「合理的な妥協」
を行う用意があるとも主張した。
プーチン氏は従来、停戦に応じる条件として、ウクライナが南部クリミア半島と東・南部4州全域をロシアに割譲することや、NATO加盟を否定することを提示。
ただ、露軍も疲弊しており、4州全域を軍事的に掌握するのは困難だとの見方が露国内でも出ている。
トランプ氏が今後、ロシアとウクライナ双方に硬軟織り交ぜて停戦を促した場合、プーチン氏が4州全域の割譲要求を取り下げ、現在の前線を停戦ラインとすることを認めるなど一定の
「妥協」
に応じる可能性はゼロではない。
■韓国、対北で安保体制の維持強調
北朝鮮がウクライナを侵略するロシアへ派兵するなど、安全保障情勢が厳しさを増す中、韓国では、米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことを受け、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領がバイデン米大統領、岸田文雄前首相と築いた日米韓の対北安保協力体制が揺らぎかねないとの不安感が高まっている。
トランプ氏は在任中、
「裕福な国」
である韓国が米国の軍事力に
「ただ乗りしている」
と主張し、在韓米軍の駐留経費を巡り、韓国に大幅な負担増を迫った経緯がある。
このため、韓国は2024年10月、トランプ氏の返り咲きに備え、2026年以降の駐留経費負担を決める協定に早々に合意。
選挙直前の今月2024年11月4日、駆け込むように署名を済ませた。
尹氏は2024年11月6日、Xでトランプ氏への祝意を示した上で、トランプ氏が
「これまで見せてきた強いリーダーシップ」
を評価。
米韓が今後、緊密に協力していくことに期待を表明した。
韓国大統領府高官は同日2024年11月6日、ロシア派兵で北朝鮮の脅威が増している点を指摘。
「韓国政府は安保が一寸も揺るがないよう米国の新政権と完璧な安保体制を築き上げていく」
と述べ、米新政権下でも安保協力を維持していく方針を強調した。
■中国、関税引き上げ警戒
米大統領選で共和党のトランプ前大統領、民主党のハリス副大統領のどちらが勝利しても、中国では米国の対中圧力は緩和されないとの見方が支配的だった。
浙江外国語学院米国研究センター主任の王冲氏は
「誰が大統領になろうとも中米関係で小春日和が実現するのは難しく、劇的な好転を実現するのは更に難しい」
との見解を選挙前に中国メディアに寄せた。
王氏は、バイデン大統領の対中路線を継続すると見込まれたハリス氏に対し、トランプ氏の路線では
「不確実性と予見不可能性が増す」
と警戒する。
中国側は、トランプ氏が大統領1期目で見せた
「不確実性」
に神経を尖らせる。
トランプ氏は既に中国製品に60%の関税を課す方針を表明しており、実現すれば、景気低迷下にある中国経済には逆風だ。
中国が
「核心的利益」
と位置付ける台湾問題でも、トランプ氏は中国が台湾に侵攻すれば
「150〜200%」
の関税を課すと発言している。
一方で、中国は米政権の圧力継続を見越し、ここ1年ほどは米国を念頭に置いた外交を展開してきた。
まずは米国の同盟国などの切り崩しだ。
日米豪印の枠組み「クアッド」の一角をなすインド、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」とクアッド双方に入るオーストラリアとは、それぞれ悪化していた関係の改善に動いた。
次にグローバルサウス(南半球を中心とする新興・途上国)の取り込みにも力を入れ、中国やロシアなど主要新興国で作る「BRICs」の枠組み拡大などを進めた。
日中外交筋は
「中国はこの1年間の取り組みを通じ、誰が米大統領になっても対応可能だと自信を持っているのではないか」
と指摘する。
■台湾、有事の防衛で懸念残る
台湾当局は、米大統領選の結果が台湾海峡の平和と安定に影響を与えるとみて注視している。
「米国の台湾支持は超党派の共通認識」(米当局者)
とはいえ、バイデン米大統領が繰り返し台湾防衛を明言してきたのに対して共和党のトランプ候補の姿勢は曖昧さが増しており、台湾側には懸念も残る。
トランプ氏は
「台湾は(米国に)防衛費を支払うべきだ」
と主張し、域内総生産(GDP)比10%の防衛費支出を台湾に要求。
これは歳出の8割超に当たる非現実的な数字だ。
更に台湾が
「半導体ビジネスを米国から奪った」
とし、台湾製半導体への高関税も示唆した。
世界的な供給網の中核として、中国による台湾侵攻を抑止する役割への期待から
「シリコンの盾」
と呼ばれる台湾の半導体産業に、トランプ氏の存在は大きな影を落とす。
ただトランプ氏に対しては悲観論だけではない。
当局系シンクタンクの安全保障研究者は、大規模な兵器購入を台湾に求める同氏の勝利で
「(最新鋭ステルス戦闘機の)F35などの高度な兵器を買うチャンスでもある」
と指摘する。
また与党、民主進歩党系の政治研究者も
「民進党は前回の米大統領選で、台湾との関係が良好だったトランプ氏の再選を望んでおり、バイデン氏の当選に焦りもあった」
「今回はどちらでも構わない」
と話す。
一方、中国に融和的な最大野党の中国国民党は、米中間の緊張を高める可能性が大きいとみられるトランプ氏をより警戒する。
「米国が中国に対抗するためのコマとして台湾を利用する」(国民党系の政治学者)
との懸念を持つためだ。
■対イラン政策、一変の公算
パレスチナ自治区ガザやレバノンで戦闘を続けるイスラエルと、その宿敵イランに米国がどう対処するのか注目されるだけに、中東諸国は強い関心を持って米大統領選の行方を見つめた。
イスラエルで2024年10月末に公表された世論調査結果で、次期米大統領はトランプ氏が好ましいとの回答が全体の66%を占め、ハリス氏との回答は17%だった。
それも当然の結果と言える。
2017年から4年間の大統領任期中、トランプ氏はそれまでの米外交政策を変更してエルサレムをイスラエルの首都と認定するなど、同国寄りの政策を貫いた。
特に戦闘が続く現在では、激しい攻撃で高まる国際的批判をかわす上でも最大の後ろ盾になるとの期待が大きい。
イスラエルのネタニヤフ首相は2024年11月6日、トランプ氏が勝利したことを受け、
「歴史的に最も偉大な(大統領への)復帰だ」
「米国の新たな始まりとなる」
と祝意を示した。
一方、イランはトランプ氏復帰に警戒を強めている。
イランが2024年10月初めにミサイル約180発でイスラエルを攻撃した際、トランプ氏は
「(イスラエルは)イランの核施設を攻撃すべきだ」
と述べた。
今後、中国などとの原油のヤミ取引の監視を強化するなど、イランに対する
「最大限の圧力」
政策が復活する公算が大きい。
イラン政府のモハジェラニ報道官は2024年11月6日、
「米国の選挙はイラン人の暮らしに影響しない」
と述べた。
ロイター通信がイランの通信社の報道として伝えた。

米大統領選 有権者最大の関心は「民主主義」 出口調査 トランプ氏不正主張など影響か
2024/11/6 14:09
https://www.sankei.com/article/20241106-DNASW5AXFFJETCGA3CE2DJNMAQ/?outputType=theme_uspe
2024年11月5日投開票の米大統領選で米メディア各社が実施した出口調査では、最も関心のある争点として
「民主主義の在り方」
を挙げた人が
「経済」
を上回った。
有権者層の分析では、共和党のトランプ前大統領(78)が過去の選挙戦より黒人やヒスパニック(中南米系)からの支持を増やした半面、民主党のハリス副大統領(60)はトランプ氏から白人の支持を奪っているもようだ。
NBCテレビの出口調査によると、最も重視する争点は
「民主主義」だと答えた人は34%
で、
「経済」の31%
を上回ってトップとなった。
続いて
「人工妊娠中絶の是非」が14%、
「移民問題」が11%、
「外交問題」が4%
だった。
CNNテレビの調査でも近似した結果となった。
選挙戦での世論調査では、ほぼ一貫して経済が最重要争点と見做されてきたが、ここにきて民主的制度が脅かされているとの懸念が有権者に広がっていることが示された格好だ。
米紙ワシントン・ポストによると、有権者の約7割が、米国の民主主義への脅威が
「とてもある」
あるいは
「ある程度ある」
と回答した。
背景には、トランプ氏が2020年の前回大統領選で十分な根拠を示さず主張したのと同様に、今回も投票日前から
「不正が行われている」
と繰り返していることなどが影響したとみられる。
前回選では、トランプ氏が敗北を認めずに不正主張を拡散させたことが、2021年1月のトランプ支持者による連邦議会襲撃事件に繋がったとされる。
一方、NBCによれば、有権者の45%がトランプ政権時の4年前より
「生活が苦しくなった」
と回答。
経済運営ではハリス氏よりもトランプ氏に期待する傾向があらわれている。
人種による支持傾向にも変化があった。
トランプ氏を
「好ましい」
と考える人の割合は白人で49%で、前回選の57%から8ポイント減少。
ヒスパニックは42%、黒人は14%で、前回選よりそれぞれ4ポイント増加した。
「男らしさ」
といった価値観を重視する黒人やヒスパニックの男性有権者には、女性初の大統領を目指すハリス氏への反感がある一方、白人女性の間では
「トランプ離れ」
が進んでいると指摘される。

重要課題は「民主主義」「経済」 移民、中絶も判断要因に 米大統領選
2024/11/6 13:02
https://www.sankei.com/article/20241106-RCP7KKV2OBJOBEWXAWVVU7TJM4/?outputType=theme_uspe
2024年11月5日投開票の米大統領選で、CNNテレビやABCテレビなどが共同実施した出口調査の結果によると、有権者が重要課題に挙げたのは民主主義の行方が35%で最も多く、経済が31%、人工妊娠中絶の権利が14%、不法移民問題が11%で続いた。
AP通信とFOXニュースの共同出口調査では、半数近くが民主主義を最も重要な争点だと答え、39%が経済だと回答。
移民問題は20%、中絶は11%だった。(共同)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/108.html#c63

[政治・選挙・NHK296] トランプ返り咲きで「3つの悪」が暴走…問われる日本の民主主義 金子勝の「天下の逆襲」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
64. 秘密のアッコちゃん[1007] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月14日 10:59:15 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[572]
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宴のあと「戦間期」が終わる トランプ氏完勝で時代は再び自国第一主義に 宮家邦彦
宮家邦彦のWorld Watch
2024/11/14 9:00
https://www.sankei.com/article/20241114-FBLIPRHC7BJN7NLUUVNE3IALOI/
2024年11月5日の米大統領選挙はトランプ候補
「完勝」
だった。
娘夫婦の住むサンフランシスコや旧友の多いワシントンDCは
「お通夜の晩」
状態だったそうだ。
彼らの疑問や焦燥感はよく分かる。
ハリス候補は、
〇なぜ経済・移民問題で具体策を示さなかったのか
〇なぜ人工中絶問題に重点を置いたのか
〇なぜ男性、黒人、ヒスパニック系票を軽視したのか
〇なぜ民主主義の危機ばかりに警鐘を鳴らしたのか
〇なぜバイデン政策は「変えない」と口走ったのか…
等々、友人たちの失望と怨嗟の声が聞こえてくるようだ。
■ハリス候補が負けた選挙
古今東西、選挙は必ずしも「勝つ」必要はない。
相手が「負け」ればよいのだから。
ではなぜハリス敗北なのか。
今年2024年夏、彼女は千載一遇の機会を得た。
バイデン撤退によりハリス候補は見事「化けた」。
政治家は
「時代が作る」
の典型だが、選挙では二の矢、三の矢を射ないと、
「化けた」
政治家の
「化けの皮」
はいずれ剝がれてしまう。
彼女は、
〇インフレと移民という有権者の不満に応えなかった
〇バイデン政権の政策との「差別化」に失敗した
〇それで男性、黒人、ヒスパニック系票を取りこぼした
などと批判されたが、準備期間の短いハリス陣営に対し、トランプ陣営選挙参謀は見事だった…。
とは言っても、今の筆者の関心はハリス敗北の
「内政的理由」
ではなく、その
「世界史的意味」
である。
■歴史は韻を踏む
以前、1930年代の日本と2020年代の中国の歴史は
「韻を踏む」
と書いた。
今回も同様の分析を試みる。
現時点で筆者が考える
「仮説」
は次の通りだ。
〇ハリス候補の敗北は、第二次世界大戦後、冷戦時代を経て、欧米諸国で優勢だった
「啓蒙主義・自由主義的なグローバリズム」
の衰退を象徴する歴史的転換点ではないのか
〇トランプ再選は、単なる米内政のエピソードではなく、今後国際政治の趨勢が従来の
「国際主義」
から
「民族第一主義」

「ポピュリズム」
に復帰する前兆ではないのか
〇されば、今や第二次大戦後80年間続いた
「戦間期」
は終わり、再び民族国家間の
「弱肉強食」
の時代に戻りつつあるのではないか
より詳しく説明しよう。
■「民族国家」への回帰
近代
「民族国家」
の誕生は1648年のウェストファリア条約がきっかけだ。
欧州で30年続いたカトリックとプロテスタントの宗教戦争が終わり、領土相互尊重と内政不干渉による
「民族国家」
間の新秩序が始まったからだ。
国家間の争いが地球規模に拡大したのが1914年から4年続いた第一次大戦である。
欧州は荒廃し、不戦条約が結ばれ、国際連盟もできたが、ドイツに巨額の賠償金が課され、設立を提唱した米国は国際連盟に加入せず、改革は中途半端に終わった。
1939年の第二次大戦が1945年に終わり、自国第一主義への反省から、国際社会で改革の機運が復活する。
マーシャルプランや国際連合設立で国際主義は定着していった。
■トランプ時代の意味
ところがソ連崩壊後はIT化・グローバル化が急速に進み、格差と移民の拡大で庶民の不満と憤怒は極左と極右へ流れた。
1945年以来の啓蒙主義的国際化・自由化政策は否定され始めた。
時代は再び
「自国第一主義」
に回帰しつつあるのか。
これこそが
「ハリス敗北」
の世界史的意味である。
第一次、第二次大戦の
「戦間期」
は約20年。
今度の
「戦間期」
を80年で終わらせてはならない。
そのための戦略を考えることこそが政治指導者の役割ではないか。
【プロフィル】宮家邦彦
みやけ・くにひこ
昭和28(1953)年、神奈川県出身。
栄光学園高、東京大学法学部卒。
1953年外務省入省。
中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。
第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。
現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問。

<正論>経済と国家戦略の本筋見失うな 
麗澤大学客員教授・江崎道朗
2024/11/13 8:00
https://www.sankei.com/article/20241113-V46XRT33N5ICVEF4V437I5URKU/?165037
■トランプ次期政権への備え
第2次トランプ共和党政権が誕生することになったが、相変わらず批判的な報道が多い。
8年前の2016年の時もそうだったが、トランプ政権になると米国経済も国際社会の秩序も大混乱に陥ると多くの有識者たちが警鐘を鳴らしたが、そうはならなかった。
「防衛努力」
を怠ってきた日本は愛想を尽かされ、場合によっては日米安保条約も破棄されるかもしれないと言われたが、実際は安倍晋三政権が掲げた
「自由で開かれたインド太平洋」
構想にトランプ政権も同調するなど日米同盟は強化されることになった。
日米関係はむしろオバマ民主党政権の時の方が悪かった。
2009年に誕生した鳩山由紀夫民主党政権が沖縄の在日米軍基地移設に関してそれまでの協議を反故にするかのような発言を繰り返し、米国の不信感を買ったことも大きかった。
加えてデフレ不況が悪化し、日経平均株価は9000円前後と低迷した。
一方、当時の中国経済は絶好調で
「昇りゆく中国と沈みゆく日本」
「今後のアジアのリーダーは中国だ」
として米国の外交専門家たちは米中二極支配体制を指す
「米中G2構想」
を喧伝した。
よって第2次安倍政権が発足した2012年12月の時点で、日米関係はかなり冷え込んでいた。
日米関係を改善させるためには大きな課題が2つあった。
1つは、デフレ不況に伴う日本の長期低落傾向を何とかすることだ。
沈みゆく日本のままでは米国に相手にされないからだ。
そこで安倍政権はまず経済の立て直しに動いた。
大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略(規制緩和)の3本の矢に代表される経済政策であるアベノミクスを提唱し、日本銀行による大幅な金融緩和に踏み切った。
その影響で日本の株価は急上昇し、再び経済成長を始めた。
民主党政権の2011年、東日本大震災の影響もあって約497兆円まで落ち込んだ名目GDPも増加に転じ、今年2024年は600兆円を超える勢いだ。
経済成長を背景に高い支持率を獲得した安倍政権に対してオバマ政権も徐々に対応を変えざるを得なかった。
■安倍政権の成果忘れず
日米関係を冷え込ませていたもう1つの要因は、世界戦略の違いだった。
オバマ政権は米中連携重視派だったが、第2次安倍政権は中国の経済的軍事的台頭に対峙するつもりだった。
2013年12月、安倍政権は戦後初めて自前の国家安全保障戦略を策定した。
それまで日本は国防だけでなく対外戦略も米国に依存していた。
だが日本は日本のやり方でやっていくとして自前の国家戦略を定め、中国などに対峙する態勢構築を始める。
具体的には自国の防衛とインテリジェンス部門の強化に踏み切ると共に、自由主義陣営との関係強化に努めた。
同12月、特定秘密保護法を制定した。
これは防衛、外交、スパイ防止、テロ活動防止の4分野で、安全保障に支障を来す恐れのある情報を公開しないことができるようにし、かつ秘密を漏らした公務員などに対して最長10年の懲役刑を科すものだ。
これに基づいて外国との情報共有を進め、米、NATO、仏、豪、英に続いて印、伊、韓、独などと情報保護協定を締結し、軍事技術だけではなく有事の際の共同作戦に必要な情報も共有できるようになった。
■多国間軍事・情報協力強化
2015年9月には平和安全法制を制定した。
これは集団的自衛権の限定的行使を可能とすると共に自衛隊の活動範囲を拡大し、他国軍への後方支援活動を強化するものだ。
この法律に基づいて我が国は物品役務相互提供協定(ACSA)を米、豪、英、仏、独、加、印と結んだ。
これは軍同士が互いに物品やサービスを提供し合う協定だ。
更に円滑化協定(RAA)を豪、英、比と締結した。
これは一方の軍隊が他方の国を訪問して協力活動を行う際の手続きおよび同部隊の地位等を定めたものだ。
このように第2次安倍政権は自由主義陣営内での外交・軍事・情報協力体制を強化し、
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を推進してきた。
こうした実績があったからこそトランプ氏も安倍氏を重視したのだ。
岸田文雄政権はこの国家戦略を全面的に改訂し、サイバー、宇宙、ミサイル、ドローン、認知戦など
「新しい戦い方」
に対応すべく日米同盟の
「現代化」
を始めた。
台湾有事を見据えて日米同盟は更に強化されていくことになろう。
ただし残された課題も多い。
インテリジェンス部門の拡大強化、台湾との軍事・情報部門の連携、何よりも憲法9条改正をはじめとする国防の基本法制の整備が必要だ。
我が国は今、右往左往している場合ではないのだ。
アベノミクスに基づく経済成長と安全保障の強化に専念する時期なのだ。
それが日米関係を安定させ、かつ自由で開かれたインド太平洋を維持・発展させていくことになる。
本筋を見失わないようにしたいものだ。

韓国、トランプ氏と金正恩氏の頭越し妥協を警戒 核武装論も高まる可能性
「トランプ2.0」と世界C
2024/11/14 10:00
https://www.sankei.com/article/20241114-S4RWOAIHSZKGZKRCUCTQLECO7I/?outputType=theme_uspe
トランプ米次期大統領は、安全保障政策の柱として1期目から
「力による平和」
の実現を主張してきた。
同じく
「力による平和」
を掲げるのが韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領だ。
尹氏はトランプ氏との2024年11月7日の初の電話会談で、日米韓の連携強化にはトランプ氏の1期目の寄与があったと評価。
同日2024年11月7日の記者会見では、訪韓した米上・下院の議員らから尹氏とトランプ氏は
「相性が合う」
と言われたことを紹介し、米次期政権と
「うまくやっていける」
と自信を見せた。
ゴルフ好きのトランプ氏との交流に備え、8年ぶりにゴルフの練習も始めたという。
■米韓の「力による平和」には隔たり
だが、両氏が掲げる
「力による平和」
の中身には乖離がある。
尹氏が
「自由民主主義の価値の共有」
という理念を重視するのに対し、トランプ氏は、自国の経済的利益を最優先してきた。
トランプ氏は2018年6月のシンガポールでの初の米朝首脳会談で、
「莫大な費用がかかる」
という理由から米韓合同軍事演習の中断を韓国側に一言の相談もなく即興で決めてしまった。
今回の大統領選の最中にも、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との親密さをアピールし、
「核兵器を持つ指導者と良好な関係を築くことは良い事だ」
と発言した。
韓国では、トランプ氏が北朝鮮を核保有国と認めた形で金氏と交渉を始め、米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発凍結と引き換えに制裁緩和に踏み切るのではないか−との懸念が持ち上がっている。
こうした国内の不安に対し、韓国外務省高官は2024年11月12日、米朝対話が再開されるとしても
「我々の立場が反映されるべきだ」
とクギを刺した。
韓国大統領府の申源G(シン・ウォンシク)国家安保室長がソウルでの国際会議で
「米次期政権と連携し、北朝鮮の非核化という目標を堅持していく」
と強調するなど、尹政権は国内の不安払拭に傾注している。
■北の派兵問題でも難しい対応
それに加え、北朝鮮がウクライナを侵略するロシアに朝鮮人民軍部隊を派兵したことが、対北安保の状況をより複雑化させている。
尹氏は、北朝鮮の将兵が実戦経験を積み、ロシアが派兵の見返りに軍事技術を北朝鮮に移転させれば、
「韓国の安保の致命的な脅威となり得る」
との認識を示し、ウクライナへの攻撃用兵器の供与も排除しない考えを表明した。
しかし、トランプ氏はウクライナ侵略戦争の早期終結に向けた仲介に意欲を示している。
尹政権がウクライナへの兵器支援に舵を切った後で突如、ウクライナに不利な形で停戦となれば、支援はさして役に立たないままロシアとの決定的な関係悪化だけを招く。
韓国ははしごを外される形となりかねず、兵器支援の是非について判断を難しくさせている。
派兵した北朝鮮にとっても、トランプ氏再登板で不確実性が高まる。
ロシアに恩を売るために派兵したのに、早期停戦となればその効果は減じてしまうからだ。
北朝鮮が来年2025年1月のトランプ氏就任までに、ウクライナとの戦闘で戦果を上げようと切迫感にかられ、派兵規模を急拡大させる可能性も否定できない。
韓国世宗(セジョン)研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)朝鮮半島戦略センター長は、米国の国益を優先するトランプ氏の返り咲きで
「近い将来、米国が果たしてきた自由陣営を守る『警察』の役割を期待できない時代が来る可能性が高い」
と指摘。
韓国が独自に核武装すべきだという世論が国内で一層高まる事態は避けられないとの見方を示す。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/108.html#c64

[政治・選挙・NHK296] 国民民主党は劣化版「民社党」と化した…玉木代表は不倫以前に、ヘイトスピーチや差別の周縁に立っている 古谷経衡 猫と保守と… 赤かぶ
26. 秘密のアッコちゃん[1008] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月14日 12:49:21 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[573]
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川口の解体業者7割は中東系、1年で40社増170社 民家の廃材をその場に埋め4人逮捕
「移民」と日本人
2024/11/14 11:50
https://www.sankei.com/article/20241114-CQAUVRW3HRKLNOD47WALDFXWZA/
埼玉県新座市の住宅街で民家を解体後、廃材6.2トンをその場に埋めたとして、川口市に住むトルコ国籍の解体業の男ら4人が2024年11月13日、廃棄物処理法違反の疑いで県警に逮捕された。
川口市内の解体工事業者は255社で約7割は中東系とみられ、大半はトルコの少数民族クルド人とされる。
中東系は過去1年間で約40社増え約170社と急増している。
逮捕されたのは、いずれも川口市に住むトルコ国籍で、解体業のチカン・ハリル・イブラヒム容疑者(35)と23〜39歳の解体工の男3人の計4人。
県警はクルド人かどうかは明らかにしていない。
逮捕容疑は今年2024年4月27日頃から2024年5月7日頃の間、新座市栗原の民家解体工事現場で、解体で出た木くずや廃プラなど産業廃棄物計6.2トンを解体後の更地に埋めたとしている。
県警によると、民家の家主がインターネットで探した解体会社に依頼。
この会社が、チカン容疑者が実質経営する解体会社「H産業」に下請けに出したという。
同社は解体資材置き場を所有しており、県警はなぜ解体現場にそのまま埋めたのか動機を調べている。
■業界での割合も増加
埼玉県が公表している解体業者の名簿のうち、川口市内の業者は2024年10月末時点で255社。
このうち代表者が中東系の名前は約170社あり、全体の約67%を占めた。
大半はトルコ国籍のクルド人とみられる。
これらの業者数を1年前の昨年2023年10月末時点と比べたところ、中東系の名前は約130社から約170社に約40社増え、1年間で1.3倍となった。
また、解体業者全体に占める中東系の割合も約59%から約67%と、8ポイント上がった。
資材置き場は近年、川口だけでなく隣接する越谷市やさいたま市岩槻区などにも広がっており、今回の事件を起こしたH産業も川口市内から越谷市へ移転していた。
■杜撰工事相次ぐ
解体工事を巡っては昨年2023年9月、東京都品川区で杜撰な工事により区が工事停止を指示。
工事は日本企業が中国系業者に発注、更にトルコ人業者に下請けされ、最終的に現場作業したのはクルド人だった。
今年2024年6月には埼玉県富士見市のビル解体工事現場で解体作業中に建物が崩落し、隣接する道路を塞ぐ事故があった。
工事を請け負ったのは中東系外国人が経営するさいたま市岩槻区の解体会社だった。
首都圏の解体業はクルド人の生業となっている。
一方で、川口市にはクルド人が約2000人在留。
大半は難民認定申請中で、出入国在留管理庁によると昨年2023年1年間のトルコ国籍の申請者は2406人に急増し、初めて2000人を超えた。

川口クルド人意見書でれいわ離党の市議、立民愛知から衆院当選 移民問題「答えられない」
「移民」と日本人
2024/11/5 15:52
https://www.sankei.com/article/20241105-3R7OB4DXWJK2JLKVZSJMQFQQVU/?outputType=theme_election2024
2024年10月27日投開票の衆院選で、立憲民主党公認で愛知15区から出馬した前埼玉県川口市議、小山千帆氏(49)が、比例東海ブロックで復活当選した。
小山氏は昨年2023年6月、川口市議会のクルド人問題を念頭に置いた
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書に賛成後、所属するれいわ新選組を離党。
更に市議を辞職していた。
小山氏は
「移民問題」
について
「取材は受けない」
としている。
小山氏は昨年2023年4月の統一地方選でれいわ公認で川口市議に初当選。
同年2023年6月、市議会でクルド人問題を念頭に置いた意見書が可決された際は、立民・れいわの共同会派が反対する中、小山氏は賛成した。
小山氏はその後、れいわ内で難しい立場に立たされたとされ、今年2024年5月、れいわを離党。
無所属で活動後の2024年7月下旬に市議を辞職し、直後に立民愛知15区総支部長に就任した。
小山氏はれいわ離党の際
「川口市民の生活に寄り添った活動をしていきたいため」
と理由を話していたが、市議を辞職した際は取材に対し
「取材は断っている」
と回答。
自身のXも全面削除した。
今回、衆院初当選に当たって、国の出入国管理政策や
「移民」
受け入れの他、川口市のクルド人問題や昨年2023年6月の意見書について取材を申し込んだところ、愛知県豊橋市の地元事務所を通じて
「取材は受けない」
と回答があった。
回答を伝えた事務所の男性に名前を尋ねたところ、回答を断られた。
小山氏の衆院選向け公式サイトには主要政策が4項目列挙されているが、移民問題についての言及はない。

川口クルド人問題、突如衆院選争点に浮上「私におまかせを」埼玉2区、全く触れない候補も
「移民」と日本人
2024/10/16 12:10
https://www.sankei.com/article/20241016-M2LPK63JJZLGHB5FX4XFJEJGOQ/?outputType=theme_election2024
27日投開票の衆院選埼玉2区は、トルコの少数民族クルド人と地域住民との軋轢が表面化している川口市の大部分が選挙区だ。
「地元国会議員が動いてくれない」
との指摘も出る中、今回の選挙では突如、争点に浮上。
公示日の15日、JR川口駅前では
「クルド人問題を解決する」
と公約する候補も現れた。
川口は外国人問題で有名になった
「ルール違反の外国人問題、おまかせください!」
日本維新の会前職の高橋英明氏(61)陣営の選挙カーから、運動員の女性がこう呼び掛けた。
前回は比例復活で初当選。
今年2月の衆院予算委ではクルド人を念頭に地元の外国人問題を取り上げ、当時の岸田文雄首相に対応を求めた。
選挙カーの上でマイクを握った高橋氏は経済再生などを訴えた後、クルド人らも混じる通行人に向かって
「この川口は外国人問題で全国的に有名になってしまった」
と切り出した。
「ルールを守らない外国人は一旦国に帰ってもらって、きちんとした在留資格で来てもらう」
「支援団体もそういうことを手助けすべきだ」
と指摘し、警察官の増員などを訴えた。
■この機会だから申し上げる
9選を目指す自民前職で前経済再生相の新藤義孝氏(66)は、選対本部長に奥ノ木信夫市長を迎え、駅前広場に自民、公明両党の県議や市議ら約25人を集めて出陣式。
150人以上の聴衆に向かって経済再生などを論じた後、
「もう1つ大事なことは治安の確保だ」
と地元の課題に話題を転じた。
「いわゆるクルド人問題」
「この機会だから申し上げるが、難民認定申請を繰り返し、10年も20年も川口にいる人たちが増えてしまった」
と、自身の選挙で初めてクルド人問題を明確に取り上げた。
新藤氏は自身の政策チラシにも
「クルド人問題の解決」
と明記。
この日の演説で、6月施行の改正入管難民法で難民申請中の強制送還停止が原則2回までに制限されたことについて
「法改正まで5年かかった」
と実績として触れ、
「ルールを守ってこその共生だ」
「川口をあやふやな出入り自由の街にはさせられない」
と声を張り上げた。
■なぜ外国人問題に触れるのか
一方、共産新人で元県議の奥田智子氏(55)は川口駅頭で第一声を上げたが、約13分間の演説で外国人問題に触れることはなかった。
演説後、奥田氏になぜ触れなかったか尋ねたところ、
「逆に聞くが、なぜ触れるのか」
「演説の内容は私が選べる」
「触れない理由は敢えて言わない」。
地元のクルド人問題への対応については
「国の政治が悪すぎる」
「それに尽きる」
と入管政策を批判した。
立民新人で歯科医師の松浦玄嗣(もとつぐ)氏(52)も川口駅前での出陣式では外国人問題について言及しなかったが、配布した政策チラシに
「外国人労働者の処遇に明確な法整備を求める」
と掲げた。
取材に応じた松浦氏は
「外国人を労働者としてなし崩し的に受け入れるから問題になる」
「川口で起きていることは10年後、20年後、必ず国全体の問題になる」
「外国人を移民として受け入れるのか、鎖国するのか、ロボットやAIに頼るのか、政治家は国民と議論しなければならない」
と語った。
■早く目に見える成果を
この他、埼玉2区には諸派新人で不動産会社社長の津村大作氏(50)が立候補。
7月の東京都知事選にも出馬した津村氏は今回、強制送還を拒む不法滞在者の入管施設への収容を一時的に解く
「仮放免制度」
の廃止を訴えている。
クルド人の危険運転などに困っているという地元の男性会社員は
「選挙で取り上げられるようになったのは一歩前進だが、市民の間ではまだまだ『政治家は何もしてくれない』との思いが強い」
「早く目に見える成果を挙げてほしい」
と話していた。
▽埼玉2区立候補者(届け出順)
奥田 智子55元県議 共新
高橋 英明61党県代表 維前
新藤 義孝66前経済再生相 自前
津村 大作50会社社長 諸新
松浦 玄嗣52医療法人役員 立新

日本人の安全が何より優先する。
そこを履き違えてはいけない。

<独自>「トルコ人は10月からビザ必要」ニセ情報拡散 外務省「川口クルド問題は認識」
「移民」と日本人
2024/9/18 15:30
https://www.sankei.com/article/20240918-QY7P3S2RXFF4TKEIEZBJPJQBDY/
日本とトルコの間で結ばれている短期滞在の査証(ビザ)免除措置について、トルコ国内の一部メディアやSNS(交流サイト)で
「日本政府が10月からトルコ国籍者にビザ要件を課す」
との偽情報が拡散、トルコ大統領府が否定の声明を出す異例の事態となっている。
日本の外務省も
「そのような事実はない」
と否定した上で、埼玉県川口市でトルコの少数民族クルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題について
「問題は認識し、注意深く対応している」
と述べた。
外務省によると、日本は観光や商用など短期滞在のビザ免除措置を71カ国・地域に実施しており、トルコとは1958(昭和33)年から相互免除が取り決められている。
航空券代さえ負担できれば、パスポート一つで来日し、最長3カ月在留できるため、3カ月後に難民認定を申請して滞在を継続するケースが続出。
川口市に在留するクルド人約2千人の多くがこの方法で難民申請しているとされる。
ところが、今月に入りトルコ国内のSNSで
「日本は10月1日からトルコにビザ要件を課す」
という偽情報が拡散。
一部トルコメディアにも
「短期滞在ビザを利用して日本行きを夢見る人々に悪いニュースだ」
「難民申請の増加や不法就労の問題に苦しむ日本が、トルコへの扉を閉ざすことになった」
などとする記事が掲載された。
トルコ大統領府通信局は今月16日、
「こうした主張は事実ではない」
「一般市民をミスリードする意図を持った主張を信じないでほしい」
と注意を呼びかける声明を発表。
トルコメディアもこの声明を報じた。
トルコとのビザ免除をめぐっては、上川陽子外相が5月の参院決算委で
「日本社会の安全、安心を守ることも重要だが、ビザ免除の見直しが必要とまでは考えていない」
と答弁。
外務省中東一課の担当者は取材に対し、ビザ免除見直しを否定した上で
「最近、一般の方を含め問い合わせは来ているが、国会答弁の通りだ」
と回答。
その上で
「川口のクルド人の問題は認識している」
「外交当局として、二国間にどのような影響があるか注意深く案件をフォローしている」
と話した。
日本とトルコは8月に国交樹立100周年を迎え、記念行事が続いている。
12月上旬には、秋篠宮ご夫妻がトルコを公式訪問されることが決まっている。

川口クルド人問題を新聞・テレビはなぜ報じない 産経新聞コンテンツ統括・皆川豪志
正論10月号
2024/9/1 12:00
https://www.sankei.com/article/20240901-MCH2PHSPSVBG7OO4MC3A34TT44/?outputType=theme_monthly-seiron
川口クルド人問題を知らない人は、かなり少なくなってきたのではないでしょうか。
近年、トルコからクルド人が大勢、日本の埼玉県川口市に移住してきて、暴力的な行為や騒音などで、地域住民に不安や恐怖を感じさせている問題です。
地元住民やインターネットの一部ユーザーでは有名だったのですが、大手メディアではほとんど報じられてきませんでした。
しかし、産経新聞が2023年から、インターネットメディア「産経ニュース」や新聞紙面などで報じ始めた後、一般的にも大きな問題として認識されるようになってきました。
ただ、他の新聞やテレビなど大手メディアは相変わらず、これを無視しています。
「外国人との共生社会」
の理念に反するという理由なのでしょうか、ほとんど報道されないのです。
こうした報道姿勢は果たして正しいのでしょうか。
共生の理念を守るためとはいえ、現に存在する大きな社会問題が無視されていいのでしょうか。
■意見書も暴動も無視
まずは、この問題について詳しくない人たちのためにも、川口クルド人問題を巡る産経新聞の報道姿勢について、説明する所から始めたいと思います。
産経新聞がこの問題を本格的に報じるようになったのは、2023年6月29日、川口市議会が
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書を可決したことと、その直後に
「川口市立医療センター」
周辺でクルド人約100人が関与したとみられている暴動事件が起きたことが大きなきっかけでした。
前者は川口市においてクルド人を巡るトラブル増加を受け、議長を除く市議41名のうち、34名の賛成多数で可決されたものです。
その中には、れいわ新選組所属の議員(後に離党)1人も含まれており、幅広い層の議員が賛成したことが窺えました。
この意見書は、
「一部外国人」
として、
「クルド人」
と名指ししたものではありませんでしたが、少なくともそのことが想定される内容で、全国の自治体でも例のないものでした。
後者はクルド人同士の痴話喧嘩がきっかけで、市内路上で相手を切りつけて暴れた上、搬送先の病院にまで押し掛けるというショッキングな事件でした。
殺人未遂や公務執行妨害容疑などで約10人の逮捕者を出した上、地域唯一の救急医療が一時ストップするなど地元住民にも多大な影響が出ました。
ところが、これらを大きく報じたメディアはほとんどありませんでした。
恥ずかしながら産経新聞もさいたま支局は県版で少し触れた程度でした。
事件の直後に産経新聞本社の編集局に着任した私は、これほどの問題に反応しない体たらくに驚き、記者たちを叱咤し、改めて取材を指示しました。
その結果、2024年7月31日付の産経新聞は1面トップで医療センターの事件を、3面でその背景となる意見書可決の記事を大きく掲載しました。
以降、他メディアがほとんど取り上げない川口市の地元住民とクルド人の軋轢を中心に、外国人労働者や難民認定申請者の増加に伴う問題全般について1年間で約80本の記事を出しました。
それにしても、なぜ新聞もテレビも、この事件や意見書決議をほぼ無視したのでしょうか。
意見書作成を主導した自民党所属の川口市議は市役所の記者クラブの記者に説明したそうですが、記者側からは
「そうなんですけどね」
「難しいですね」
といった言葉が返ってくるばかりで、煮え切らない態度だったそうです。
要するに、支局の一記者がややこしい問題に触れたくないということだったようなのです。
とにかく以後、産経新聞はこのテーマにきちんと取り組むようになりました。
「外国人に対するヘイト報道だ」
との批判を受けることもありますが、それでも、報道を続けることは重要だと思っています。
起こっている事実、少なくとも地元で少なからぬ住民が懸念を持っているような事実について、誰も報じなくて良いのかという強い問題意識があるからです。
実際、川口市内の一部地域では、隣に住むクルド人の騒音を注意した住民が、
「ばばあ出ていけ」
と怒鳴られたり、改造車で自宅の塀を壊されて逃げられたりというようなケースが散見されます。
解体業などに従事するクルド人が物凄い量の廃材をトラックに積んで住宅街を走り抜ける光景も目立ちます。
実際に
「犯罪」
として認知されていなくとも、住民の体感治安は非常に悪くなっているのではないでしょうか。
例えば、こんなことがありました。
川口市に住む30代の女性が、
「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」
として、
「私たちの存在を、消さないで。Native Lives Matter」
という画像を作成し、これがネット上で拡散されたのです。
女性には小さな子供がおり、近所にある資材置き場を出入りするクルド人運転の過積載トラックに恐怖を感じたそうです。
「ヘイトスピーチだ」
などと批判されることを恐れて実名は出せませんでしたが、勇気を振り絞って訴えたといいます。
私たちはこのことについて、2024年の2月28日に報道しました。
■事実は事実として
それにしても、他のメディアはこうした地元住民の気持ちをなぜ汲み取ることができないのでしょうか。
2017年に英国で出版され、ベストセラーになった『西洋の自死』(ダグラス・マレー著)によると、英国の世論調査で国民の過半数は移民の受け入れに否定的だったのに対し、メディアの多くは賛成の論調だったそうです。
その後、英国をはじめ欧州が大量の移民を受け入れるにつれ、移民による犯罪が頻発するようになったそうですが、それでも欧州のメディアは
「人種差別主義者」
と呼ばれるのを恐れて、そうした事実を極力覆い隠そうとしたとのことです。
もしかしたら、これと同じことが日本でも起きているのかもしれない―。
産経新聞では、一連の川口市とクルド人に関する記事について、他紙がどれだけ報じたかについて調べて、一覧表(左)にして掲載したことがあります。
その表からは、他紙がこのテーマを報じる機会が相当少ないことが明らかになりました。
その理由を、私が他社を代弁することはできませんし、メディアによって様々なのかもしれません。
移民問題は報道が難しい問題だからなのか、多面的な見方がある微妙な問題だからなのか、
「ヘイト」
という批判を受けやすいからなのか、あるいは、日本人に我慢を強いても外国人の人権が大事と考えているのか。
私は、理由の1つに地上波テレビがほとんど取り上げていないことも関係していると考えています。
テレビの影響力は今も大きいので、テレビ報道があれば変わることがあるかもしれません。
いずれにしろ、移民に対する考え方はメディアによって様々であっても、事実を淡々と報じるということは、あっても良いはずです。
念のため申し上げますが、産経新聞は決して
「外国人の受け入れ」
全てに反対ではありません。
ただ単に、今後多くの外国人が日本社会に受け入れられていくだろうという現実を前提に、
「では、問題のない受け入れにはどうすれば良いか」
という問題提起をしているだけなのです。
少なくとも私たちは、事実を誇張して何らかの世論誘導をするつもりはありません。
私たちが声を大にして言いたいのは、事実を報じないのはおかしいということです。
日本に在留する外国人にしても、
「難民」
「不法滞在者」
「正規の外国人就労者」
をきちんと区別して考えるべきで、
「外国人差別は良くない」
「強制帰国させるのは可哀想」
などという情緒的な話ばかりでなく、事実をきちんと報じ、現実から出発して、物事を考えることが重要なのではないか。
そう思うのです。
■マスコミへの不満
先ほど、このテーマについて産経新聞に
「ヘイトだ」
という声が寄せられるという話を書きましたが、実は読者からのこうした声は少数です。
少なくとも、弊社に寄せられる声の多くは
「産経、よく書いてくれた」
という趣旨のものがほとんどです。
この種の記事というのは非常に関心が高く、ネットなどでは1日のうちで最も読まれている記事になることもしばしばです。
特に、このテーマで連載や特集などをやると
「他紙はまた報道しない自由ですね」
などという反応が大半です。
重ねて申し上げますが、川口クルド人問題で、何か一定の世論を形成しようという
「上から目線」
のつもりは全くありません。
大事なのは、きちんと事実を報じ、どう考えてもらえるかということなのです。
はっきり言って、この問題について多くのメディアが何も報じようとしない現状はかなり危険です。
報じたとしても
「クルド人の絵画展が開かれました」
「地域との共生イベントが行われました」
といった生温いニュースばかり。
これをみて、実際に困っている住民は何を思うでしょうか。
「マスコミは事実を隠している」
と疑念を持つのではないでしょうか。
現実に、マスコミがこの話題についてあまりに報じないため、逆に
「なぜ報じないのだ」
という批判も広がりつつあるようです。
このまま
「共生が大事」
「多様性は素晴らしい」
みたいなことばかり言い続けていくと、逆に、日本の一般の人たちの心の中に、ルールを守らない外国人に対する憎悪のようなものを生み出す結果になる可能性があります。
マスコミが
「外国人との共生に日本人が協力すべき」
というような論調ばかりになると、却って一般の人の間には不満が溜まり、それがいつか爆発し、社会の分断に繋がることにならないだろうか。
私はこう危惧します。
■「人手不足」という言い訳
川口のクルド人問題に象徴される移民問題、もしくは
「外国人受け入れ」
問題については、政治や言論で批判がタブーになっているとしばしば言われます。
私たちは現在の言論空間について、あまり窮屈だと感じたことはありませんが、ただ、このテーマについて
「何か面倒だ」
と思う人がいる気持ちも分かります。
新聞でもテレビでも、偏らずにこういう話もあるしこういう話もある、という報道があれば、それを元に様々な意見が交わされていくはずですが、実際にはそれとは程遠いというのが現実です。
例えば、
「外国人差別はいけない」
「人権は大事」
などと言われれば、誰も否定できません。
それに対して、
「いやいやこういう外国人の問題もある」
「入管のルールはこうなっていて」
などと一から説明する労力を考えれば、
「否定しません。以上」
で終わったほうが面倒くさくないですから。
下手をすれば
「ヘイト」
と責められかねないようなことを敢えて政治家やテレビのワイドショーなどが取り上げることはありません。
そこを説明したり議論したりすることは、やはり厄介だと思われているのではないでしょうか。
今、産経新聞では断続的に
「『移民』と日本人」
というタイトルで連載が行われていますが、移民という言葉には
「」
が付けられています。
一応、日本に移民はいないことになっているからです。
ただ、移民と言わないだけで
「外国人労働者」
はこれまでも積極的に受け入れられてきました。
これは、
「軍隊」

「自衛隊」
と言い換え、その本質に踏み込まない議論とよく似ているのではないでしょうか。
本質に踏み込めば、議論せざるを得なくなる。
議論すると色々と厄介な問題が見えてきてしまう。
日本人にとっての移民問題は今、そんな感じなのではないでしょうか。
その一方で、マスコミではしばしば
「人手不足」
の解消のため、外国人の受け入れを進めるべきという議論が展開されています。
日経新聞、読売新聞なども、社説などで
「人手不足」
のため外国人の受け入れを進め、外国人に
「選ばれる国に」などと主張しています。
しかし、これは移民推進論とどこが違うのでしょうか。
今さら言うまでもありませんが、移民推進については、経済的視点から、
「安価な労働力流入によって、自国民の所得を下げるだけで、企業努力を妨げる」
と批判されてきました。
経済界などは
「労働力不足」
を前面に訴えていますが、実際は
「安い労働力」
が欲しいだけなのではないかとも指摘されています。
外国人労働者を受け入れれば、目先の
「安い労働力」
という利益は得られるかもしれません。
しかし、労働力として受け入れられた外国人にも人生があり、そのことも受け入れた側の国は考えなければなりません。
簡単に家族帯同などと言いますが、その家族の社会保障はどうするのか、働けなくなったらその家族の面倒も日本社会が見るのでしょうか。
先進国で外国人労働者が従事するのは、自国民が
「やらない」
仕事ではなく、
「現状の賃金ではやりたくない」
仕事です。
こうした仕事については、仮に外国人という選択がなければ、自国民がやりたくなるまで賃金水準は上がり、企業はより一層の技術開発などで乗り切ろうとするでしょう。
日本の高度成長期などは、移民の力は一切借りず、賃金を上げて1億総中流という社会を築いたのですから。
労働力不足を理由に安易とも言える
「移民推進論」
を進めた欧米は、文化や宗教、言葉の違いから、取り戻せないほどの治安悪化に苦しみ、ようやく移民政策の転換を始めました。
欧米の失敗から学ぶべき事は多いのではないのでしょうか。
私たち日本人は、そうしたことを真面目に議論しなければならないと思います。
《この文章は、筆者が『国際人流』(公益財団法人・入管協会発行)2024年7月号に掲載されたインタビュー記事で発言した内容をもとに、書かれたものです》
(月刊「正論」10月号から)

「ペンのチカラ信じたい」川口クルド問題、産経新聞が地元読者の声を全面特集 報道検証も
「移民」と日本人
2024/3/16 8:00
https://www.sankei.com/article/20240316-TFNS5ICNPJJ4NP6WXDR4SW36OM/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、2024年3月16日付の産経新聞が1ページ全面を使って
「報じられない川口クルド問題」
の特集を組んだ。
「秩序なき『共生』 黙殺される地域の声」
との見出しで、川口の地元住民らから上がっている大手メディアの消極姿勢についての疑問の声を詳報。
朝日新聞、共同通信など5つの媒体についてのこの問題を巡る報道状況を検証している。
検証記事については、2024年3月16日午後、産経ニュースでも配信する。

川口クルド問題 朝日、共同などの報道状況を検証 事件報道わずか、イベントには好意的
「移民」と日本人
2024/3/16 13:00
https://www.sankei.com/article/20240316-4G6I7KUVAJO6BPNHSJYY
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、地元住民などから大手メディアの消極姿勢に疑問の声が上がっている。
朝日新聞や共同通信など5つの媒体について報道状況を検証したところ、事件や不祥事については報道量が少なく、扱いも小さい一方、取り上げられる際は、同情的、好意的な報じ方が一般的となっている実態が浮かんだ。
■20件中僅か2件
2023年6月から2024年3月にかけて、産経新聞や産経ニュースが取り上げたクルド人と地元との軋轢を巡るニュースや、クルド人の犯罪についての事案など20件について、朝日、毎日、読売の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の5媒体を対象に、商用データベースなどで報道状況を調べた。
その結果、産経を除き3媒体以上が報じたニュースは20件中、僅か2件しかなかった。
2媒体が報じたニュースは7件、1媒体しか報じなかったニュースが5件、全く掲載していないニュースが6件だった。
1媒体だけの場合は地元紙が多かった。
川口市議会は2023年6月末、国や県などに
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書を賛成多数で可決した。
この意見書は、具体的な民族名こそ挙げていないものの、クルド人を念頭に置いたもので、地方議会としては異例の出来事だった。
■地元紙さえ報じず
産経新聞もこのニュースを報じたのは約1カ月後だったが、クルド人と住民との軋轢の実態や議決の背景、与野党議員の声などを大きく取り上げた。
一方で地元紙も含め、各紙は産経が報道するまで全く報じず、地元紙が2023年8月中旬の企画記事の中で、全国紙の1紙が2023年9月にクルド人問題を巡る政治家の動きを報じる中で触れたのみだった。
2024年3月7日、女子中学生に性的暴行をしたとして不同意性交容疑でクルド人の男が逮捕された性犯罪事件も、産経以外は2紙しか報じなかった。
報道した2紙も
「トルコ国籍」
との表記で、逮捕されたクルド人が事実上の
「移民2世」
であることなど詳しい背景は報じられなかった。
一方で、川口市内で開かれたクルド人の写真展などのイベントはほとんどの媒体が好意的に紹介していた。
クルド人の祭り
「ネウロズ」
の開催を巡り、埼玉県側が公園の使用を一時認めなかった問題も、ほぼ全媒体が報じていた。
■事件報道は「トルコ国籍」
また、
「クルド人」
という民族名は、難民認定申請を繰り返す彼らが法的に不安定な立場に置かれているとして、同情的に報じるケースが目立った。
逆に、事件や不祥事などでは
「トルコ国籍」
とだけ報じて民族的な背景を報じなかったり、単に
「外国人」
とだけ表記したりするケースもあった。
2023年8月、川口市内の男子中学生が大型商業施設への威力業務妨害容疑で逮捕された際に報じた2紙も
「トルコ国籍」
「外国籍」
との表記だった。
また、2024年2月26日の衆院予算委で、川口市を地元とする議員が、外国人の治安問題について民族名の名指しを避けながら質問した際は、共同通信が記事を配信し全国紙1紙が掲載したが、その内容は
「ヘイトスピーチだ」
などとするジャーナリストの談話を掲載した批判的なものだった。
■「実態が報道されない」
今回、地元住民らから寄せられたメールでも、
《日本人の女子中学生がクルド人にレイプされたのに、ほとんどのマスコミが重要視せず、川口の実態が報道されないことは異常としかいいようがない》
《「ヘイトスピーチだ」などとするジャーナリストの談話を掲載した通信社や、そのジャーナリストは本当に川口の実態を知って批判しているのでしょうか》
など、大手メディアへの不信感が渦巻いていた。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)
今回、地元住民から寄せられたメールには、テレビや新聞への不信感が渦巻いていた。
初めて意見を投稿するという東京都の58歳女性は
<大きな問題であるにもかかわらず、大手メディアで取り上げられることはほとんどない>
<取り上げられたとしても過度に配慮した扱いに大きな不安を感じていた>
<川口の問題は他人事ではなく明日は我が身の問題です>
とし、こう続けた。
<国の形を変えるような問題が差別や目先の労働力確保に摩り替えられ、オープンな議論ができない状況で、影響力のある大手メディアが問題提起しない姿勢に疑問を感じていた>
<今回の地元の女性の訴えは、そのような状況に一石を投じるものと感じます>
■川口のクルド人問題を巡る最近の経緯と報道状況
@産経新聞や産経ニュースが報じた事案
A朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の計5媒体のうち
⇒〇3媒体以上、△2媒体、▲1媒体、×掲載なし
★令和5年
・6月29日
@埼玉県川口市議会が、国や県などに「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」を求める意見書を可決
A▲
・7月4日
@川口でクルド人同士の殺人未遂事件。市立医療センター周辺でクルド人約100人が集まる騒ぎ、救急受け入れを5時間半停止
A〇
・8月1日
@川口の大型商業施設に煙幕を出す花火を投げつけたとして14歳のクルド人の男子中学生が逮捕
A△
・8月21日
@7月の殺人未遂事件で埼玉県警がこの日までに計7人を逮捕
A▲
・9月1日
@川口市の奥ノ木信夫市長が、法相へ不法外国人の強制送還などを求める要望書
A△
・9月4日
@東京都内でクルド人業者による解体工事を巡り住民から苦情が殺到、区が工事停止を指示
A▲
・9月14日
@衆院外務委の黄川仁志委員長(当時)が駐日トルコ大使にクルド人問題で「懸念」伝達

・9月25日
@7月の殺人未遂事件でさいたま地検が7人全員を不起訴処分
A△
・9月26日
@川口署内でジャーナリストを「殺す」などと脅したクルド人を逮捕

・10月24日
@ジャーナリスト脅迫事件でさいたま地検がクルド人を不起訴処分

・11月4日
@川口のクルド人団体「日本クルド文化協会」が埼玉県警や地域住民らと合同パトロール
A▲
・11月24日
@公安調査庁が年報「国際テロリズム要覧」2023年版で、テロ組織のリストからトルコの非合法組織「クルド労働者党(PKK)」などを除外。
この日のインターネット上で公開され、内外で反発広がる

・11月29日
@トルコ政府が日本クルド文化協会と代表者らについて、PKKに資金提供している「テロ組織支援者」と認定、トルコ国内の資産凍結を公表
A▲
★令和6年
・1月22日
@不法滞在のクルド人男性が実質経営する解体会社が埼玉県に100万円を寄付、大野元裕知事が男性に感謝状を手渡す

・1月23日
@クルド人の祭り「ネウロズ」の埼玉県営公園での開催許可を巡り、県公園緑地協会が当初の対応の誤りを認めてクルド人支援団体に謝罪
A〇
・2月25日
@2月18日にJR蕨駅周辺で行われたデモの際、日本クルド文化協会関係者が「日本人死ね」とも聞こえかねない発言をしたと指摘され同協会が釈明、謝罪
A△
・2月26日
@衆院予算委で日本維新の会所属議員が川口のクルド人の治安問題を巡り国会で初めてとみられる関連質問
A△
・2月26日
@川口在住の女性が「ネーティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)などと訴えるメッセージ画像をSNSに投稿、急拡大される

・3月5日
@ネウロズ開催を巡り県公園緑地協会が日本クルド文化協会に公園使用を許可
A△
・3月7日
@川口のコンビニ駐車場で女子中学生に性的暴行をしたとしてクルド人を逮捕
A△
*他媒体の掲載状況は商用データベースの検索結果から。2カ月以上経ってからの掲載は除く

川口クルド問題、地元当事者の声続々「政治が動いてくれない」 社会の分断一層進む恐れも
「移民」と日本人
2024/3/9 10:00
https://www.sankei.com/article/20240309-VUIKPV7VPFOW5CLOCN2FG4HAZY/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、産経ニュースがメールで募集した読者の声が止まらない。
全体の約4割が埼玉県民からで、うち約7割が川口市民だった。
「政府も自治体も何もしてくれない」
「このまま川口で暮らしていけるか不安」…。
クルド人とみられる集団の行為を具体的事例を上げて批判する人も多く、住民の喫緊の課題であることが窺えた。
「多様性」
で一括りにして政治がこの問題を放置すれば、社会の分断が却って進む恐れすらある。
■「引っ越せばよいといわれても」
川口市に住んで20年になるという60代女性は
《いつのまにか周りにクルド人が増えた》
とし、道路に溢れるゴミの問題や公園の使い方、夜のコンビニでの体験などを淡々と綴った。
警察に連絡しても特に改善はなく、
《パトロールもしてくれない》
という。
《私には孫がいます。本当にここに暮らして大丈夫なのか? この年になって、そんな不安が出てくるなど思いもしなかった。引っ越せばよいといわれるが、年金生活でお金はありません。市長が出してくれますか》
《私たちはふつうに暮らしていただけです。どうか川口市民の声が大きな声になって市を、国を揺さぶれる力になりますように!》
■「警察を何とも思っていない」
同市内の40歳男性は、クルド人とみられる若者グループによる一方通行での改造車の逆走などの目撃が後を絶たないという。
《彼らは「一部のクルド人」だと言いますが、もはや全体の問題と考えてもおかしくない。一刻も早く、安心して暮らせる社会になることを願う》
同市内の55歳男性は、元々外国人の多い川口は
《日本のどこの住民よりも外国人に慣れている》
とした上で、
《ただ、クルド人とほかの外国人が違うと思うのは、彼らが警察を何とも思っていない点です。法律も関係ない、警察も怖くない、集団で行動するクルド人をこのままにしておけば、この街は無法地帯になります。誰か助けてください》。
《まじめに仕事をしているクルド人もたくさんいるでしょう。日本人がやらない仕事をしてもらって、助かっている部分もあるでしょう。ですが、法律を守らないクルド人は日本から即刻出ていってもらいたい。これはヘイトでも差別でもなく、日本人として当たり前の感情だし、当たり前の前提だと思います》
■「外国人と共生を」メディアが擁護
川口市で生まれ育ち、現在も市内で子育て中という50代女性は
《クルド人の行動や素行をとても恐怖に感じています。私たち川口市民は、この先も川口で生活していくことに不安を感じます。公平って何ですか。それを武器にしないでください》。
埼玉県内の67歳男性は
《すでに何千人も住んでいて民族衣装を着て民族楽器を鳴らしている。ここは日本? これからどうなっていくのか。しかも実態は不法滞在状態の人もいるといわれている》
とし、こう続けた。
《政府は「移民」を急速に増やそうとしている。そのことへの不安が広まり、クルド人問題を大きくしている面があるのではないか》
県内の56歳男性は
《「外国人と共生を」「外国人を差別するな」と政府やメディアが擁護しているが、この問題に対処しない政府には憤りしかありません》
と綴った。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」
「移民」と日本人
2024/3/8 17:25
https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の
「移民2世」
という。
調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。
男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。
女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。
女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は
「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」
と容疑を否認。
同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。
「2世」
とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。

クルド祭り「ネウロズ」埼玉県公園協会許可 楽器使用も一転認める「丁寧に対応する必要」
「移民」と日本人
2024/3/6 12:45
https://www.sankei.com/article/20240306-ZSFLUEWT4JJ27OWNRUFZHIKNIE/
埼玉県川口市などに在留するトルコの少数民族クルド人の祭り
「ネウロズ」
の県営公園での開催を巡り、県公園緑地協会の対応にクルド人側が反発していた問題で、同協会が開催を許可したことが2024年3月6日、分かった。
許可は2024年3月5日付。
祭りは2024年3月下旬に県営秋ケ瀬公園(さいたま市桜区)で行われるという。
この問題は2024年1月、クルド人支援団体からの公園利用の相談に対し、協会側が
「楽器演奏の禁止」
を条件に許可する方針を示したところ、支援団体が
「音楽と踊りは一体だ」
などと反発。
同公園の管理事務所長が対応の誤りを認めて謝罪していた。
協会によると、別の県営公園で楽器を使用する際、
「音量を80デシベル以下にする」
などの条件で許可した例があったことから、今回も同じ条件で、楽器使用も含め許可したという。
協会は取材に対し
「公園の利用は地方自治法上、正当な理由がない限り許可を拒んではならないことになっている」
「今回は協会として速やかに丁寧な対応をする必要があり、他の県営公園の基準に準拠して許可した」
「今後、基準自体を見直す必要がある」
と話している。
協会によると、2023年7月にクルド人約100人が川口市内の市立病院周辺に殺到した騒ぎ以降、
「クルド人に県の施設を貸さないでほしい」
といった電話やメールが複数寄せられていた。

川口クルド問題で市民の声続々「事実報道しない」「過度に配慮」 大半がメディアに苦言
「移民」と日本人
2024/3/4 15:05
https://www.sankei.com/article/20240304-PWXWSDPU4RLCBF7W7ODSN76LJQ/
埼玉県川口市に住む女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像やメールによる訴えなどを産経ニュースで紹介したところ、多くの読者の声が届いた。
近年SNS(交流サイト)などで、個人の意見が
「拡散」
されることが増えているが、比較的短い感想や攻撃的な内容になることも多い。
今回、メールで募集したところ、いずれも長文で、自身の体験や意見を淡々と述べたものがほとんどだった。
「テレビは事実を報道しない」
「ヘイトと言われる日本は本当におかしい」
などと綴られ、全体の4分の1は埼玉県内からだった。
■「正直怯えて子育てしている」
川口市で子供を育てているという40代女性は
《テレビのマスコミは何らかの恩恵や力が働くのかわかりませんが、ほとんど事実を報道しません。記事を読んで、勇気を出して文章にする方もいるんだなと感銘をうけました》。
女性は、以前は横浜市内に住んでおり、
《外国人が多い地域でいろいろな国の友人もいました。外国人に対する差別意識はありません》
とした上で、川口市について
《実際に子育てして住んでみると、治安の悪さに驚きました》。
これまでの自身の経験を綴り、
《正直おびえて子育てしている》
《日本の子供たちに与える影響が怖い》
としつつ、
《何かを発言すればヘイトだとか人種差別だと、圧力や嫌がらせがありそうで、怖くて発言できません》
《安心して子供を公園で遊ばせられる、安全な子育てができる埼玉県に戻ってほしいです》
と結んだ。
■「どこがヘイトや差別なのか」
埼玉県内の33歳女性は
《迷惑行為を繰り返すクルド人の取り締まりを強化して、もともと住んでいた方が平穏に暮らせる生活を取り戻すことの、どこがヘイトや差別なのでしょうか? クルド人問題を提起しただけで「ヘイトだ!」と言われてしまう日本、本当におかしいです》
と訴えた。
こうした声が寄せられた背景には、2024年2月18日にJR蕨駅周辺で行われたデモの際、クルド人団体
「日本クルド文化協会」
の関係者が
「日本人死ね」
とも聞こえかねない発言をしたことや、2024年2月22日のインターネット番組でフリーアナウンサーの女性が
「外国人との共生が不可だとなると、日本人は引っ越しできるので人口が流出するだけ」
などと発言し、物議を呼んだことなどがあるとみられる。
■「オープンな議論できない状況」
埼玉県外からも多くの声が寄せられ、
神奈川県の50代女性は
《この問題に対する貴社以外の一部メディアによる偏向報道や政治・行政の無為無策に憤り、悲しみを感じておりました。川口に無縁であっても、想像力さえあれば、苦しむ川口市民の気持ちは十分理解できます》。
茨城県の38歳男性は
《川口の状況を知らない日本人はたくさんいますし、メディアも政治家もスルーする状況の中、問題解決に向かう大きな一歩だと思いました》
と綴った。
初めて意見を投稿するという東京都の58歳女性は
《大きな問題であるにもかかわらず、大手メディアで取り上げられることがほとんどなく、取り上げられたとしても過度に配慮した扱いに大きな不安を感じていた。川口市の問題は他人事ではなく明日はわが身の問題です》
とし、こう続けた。
《国の形を変えるような問題が差別や目先の労働力確保といった問題に摩り替えられ、オープンな議論ができない状況で、影響力のある大手メディアが問題提起しない姿勢に疑問を感じていた。今回の地元女性の訴えはそのような状況に一石を投じるものと感じる》
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

「行き場ない怒り、悲しみに光」川口クルド問題でメディアの役割とは 地元女性メール全文
「移民」と日本人
2024/3/1 12:28
https://www.sankei.com/article/20240301-H3IBW3M6KBPBRGDWTSL7MCQTLI/
埼玉県川口市に住む30代の女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像を産経ニュースで紹介したところ、女性から
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみに光を当てていただいた」
とするメールが届いた。
画像は、同市内などに在留するトルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢の中、
「苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?」
と訴える内容。
女性は
「市民の意見を聞こうともしないメディア」
に疑問を投げかけている。
移民受け入れに対する報道を巡っては、過去の欧州の経験でもその役割が問い直されている。
■欧米メディアも「報道しない自由」
欧米では現在、不法移民を含む移民の増加による社会の混乱が、国家的な課題となっている。
その背景として、メディアが
「ヘイト」
「差別」
と批判されることを恐れるあまり、必要な報道をしてこなかったとの指摘が出ている。
2017年に英国で出版され、ベストセラーになった
「西洋の自死」(ダグラス・マレー著)
によると、英国の世論調査で国民の過半数は移民の受け入れに否定的だったのに対し、メディアの多くは賛成の論調を張った。
その後、英国をはじめ欧州が大量の移民を受け入れるにつれ、移民による犯罪が頻発するようになったが、欧州のメディアは
「人種差別主義者」
と呼ばれるのを恐れて、そうした事実を極力覆い隠そうとしたという。
英国で2004〜2012年、パキスタン人らの集団が11〜15歳の少女らを性的に暴行し人身売買した事件では、国名や宗教名などはほとんど報じられず
「アジア系」
とだけ伝えられた。
ドイツの都市ケルンで2015年の大みそか、約1000人の外国人らが数百人の女性を集団で性的暴行し、金品を奪った事件は当初、大手メディアが報道せず、事件が明らかになったのは数日後のインターネットのブログを通じてだったという。
■国会質問が「ヘイトスピーチ」
現在の我が国のクルド人を巡る報道はどうか。
その多くは、難民認定申請を繰り返す彼らが法的に不安定な立場に置かれているとして、同情的に扱っている。
クルド人そのものの報道も少なく、取り上げられる際は、好意的な報じ方が一般的となっている。
2023年6月から2024年3月にかけて本紙や産経ニュースが報じた川口市のクルド人を巡るニュース20件について朝日、毎日、読売の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の5媒体を対象に商用データベースなどで報道状況を検証した。
2024年2月26日の衆院予算委で、川口市が地元の議員が外国人の治安問題について、民族名の名指しを避けながら質問した際も、
「ヘイトスピーチだ」
などとするジャーナリストの談話を掲載した通信社の批判記事が配信された。
今回、メッセージ画像を制作した女性は子育て中で、一部のクルド人による危険行為に脅かされながら生活しているという。
画像には
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《私たちの存在を、消さないで。》
《差別やヘイトは絶対ダメ!でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
と訴えている。
女性は産経新聞に寄せたメールで、我が国のほとんどのメディアについて
「もはや信用ができない状態」
などと綴った。
全文をほぼそのまま紹介する。
■「ペンのチカラ信じたい」
自分のような市民の小さな声を拾い上げてくださり、本当に感謝しております。
川口の外国人問題については、貴社以外のメディアは、ほとんど市民の声を聞こうともせず、外国人が起こした事件・事故・迷惑行為を極小化し、
「体感治安が悪化しているのは、川口市民が外国人に対して偏見を持っているからだ」
「もっと川口市民が歩み寄り外国人を理解するべき」
といった、角度がつきすぎた論調に無理やり導こうとしているので、もはや信用ができない状態で、行き場のない怒りを抱いておりました。
この問題に悩んでいる多数の川口市民も同様の気持ちを抱いている状況です。
そのため、記事によって、この
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみ」
に光を当てていただき、本当に感謝しております。
私は貴社の報道とそのあり方を拝見し
「ペンのチカラ」
を、改めて信じたいと思っているところです。
お忙しい中かと思いますが、どうぞご自愛くださいませ。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

「地域住民の人権は無視ですか?」報道されない川口クルド問題、地元女性制作の画像急拡散
「移民」と日本人
2024/2/28 16:00
https://www.sankei.com/article/20240228-LGU5ZQA3YJFU5IXW6BNCV75DPQ/
「私たちの存在を、消さないで。」―。
シルエットの女性がこう訴える画像がSNS(交流サイト)で拡散されている。
作成したのは、トルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢が表面化している埼玉県川口市に住む30代の女性。
「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」。
女性は
「ヘイトスピーチだ」
などと批判されることを極度に恐れつつ、勇気を振り絞ってこの画像を作成したという。
■まるで私たちは存在しないかのように
画像は、
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《差別やヘイトは絶対ダメ! でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
とのメッセージが添えられている。
米国で黒人差別解消を訴える
「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」
運動に倣ったという。
川口市内では、解体資材置き場周辺や住宅密集地での過積載のトラックや改造車の暴走行為が問題化。
女性の自宅近くにも資材置き場があると言い、
「中学生くらいの外国人が携帯をいじりながらトラックを運転していたり、改造車が昼間から走り回り、タイヤを急回転させて白煙が上がっていたりするのを何度も目撃した」
という。
女性は
「暴走行為や迷惑行為などで怖い思いをしても、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「地域住民は存在しないかのように扱われていると感じていた」
「その思いを画像に込めた」。
ここは私たちの地元です
女性には小さな子供がおり、通学路が心配で仕方ないという。
ただ、この問題をSNSなどで敢えて訴えると、
「ヘイトだ」
などとすぐに批判される。
女性の知り合いにも
「反ヘイト団体」
などからSNS上で罵られた人もおり、地元でも声を上げにくい雰囲気があるという。
デザインアプリで画像を作成、2024年2月26日に自身のX(旧ツイッター)に投稿したところ、多くの人が拡散した。
ネット上では
「川口にもとから住んでいる日本人に我慢を強いた上での外国人との共生に何の意味があるのでしょうか」
などのコメントがある一方、
「分断は不幸しか生みません」
「差別の扇動やめなさい」
といった投稿もあり、拡散を続けている。
女性は
「政治家や行政もなかなか動いてくれない」
「ふつうに生活しているだけなのに、安心して暮らせない」
「ネット上では『引っ越せばいい』などと言われるが、ここは私たちの地元です」
「やむにやまれない気持ちを知ってほしい」
と話している。

川口のクルド人めぐり国会で初の関連質問「現地見て」 岸田首相「ルール守るのが大前提」
「移民」と日本人
2024/2/26 17:44
https://www.sankei.com/article/20240226-QGYKPJRNAVD33GGEDALRDT4TDM/
一部外国人と地域住民との軋轢が表面化している問題が2024年2月26日の衆院予算委員会で取り上げられ、岸田文雄首相は
「あくまでルールを守るのが大前提」
などと答弁した。
質問したのは埼玉県川口市が地元の日本維新の会、高橋英明氏。
高橋氏は、川口市という地名や同市に集住するトルコの少数民族クルド人の民族名は挙げなかったものの、2023年7月にクルド人約100人が同市内の市立病院周辺に殺到する騒ぎが起きた際の写真パネルを掲げ、
「ある一部の地域で酷い状態になっている」
と指摘。
「この写真にあるように、市立病院の前で何百人規模でいざこざがあった」
「こうしたことが起きると病院の機能も低下するし、近隣住民にとっては不安で仕方がない」
と訴えた。
この問題が起きた2023年7月以降、川口のクルド人問題が国会で取り上げられたのは初めてとみられる。
さらに、高橋氏は
「国会にいては危機感がない」
「(川口は)ここから1時間くらいのところだ」
「しっかり目で見て耳で聞いて肌で感じてほしい」
と述べ、警察や入管による一斉取り締まりの実施を求めた。
その上で、岸田首相が
「日本独自の外国人との共生社会」
を提唱していることに関し、
「ルールを守らない外国人とも共生するのか」
と質問。
岸田首相は
「外国人との共生の在り方は国によって様々だが、あくまでもルールを守って生活していくことが大前提だと認識している」
などと述べた。
高橋氏はまた、2023年6月に成立し、難民認定申請を原則2回までに制限する改正入管難民法の施行時期についても質問。
小泉龍司法相が
「極力早期の施行が実現できるよう努力する」
と答弁する中、早期実施を求めた。

自民・若林洋平氏、クルド人批判に投稿 「日本の文化・しきたり理解できない人はお帰りを」
2024/2/22 20:44
https://www.sankei.com/article/20240222-PEUMAQOSUBBT3E5OAVNXL33R2M/
自民党の若林洋平参院議員(静岡選挙区)がX(旧ツイッター)で、在日クルド人についてのコメントや外国人らの参加するデモ動画についてのコメントを引用しながら
「日本人の国なので、日本の文化・しきたりを理解できない外国の方は母国にお帰りください」
などと書き込んだ。
この動画には、JR蕨駅前の路上に集団が集まり、
「日本人死ね」
と発言したような声が収録されている。
集団の周囲は多くの警察官が囲み、騒然とした様子も伝わってくる。
若林氏は2024年2月19日付の書き込みで
「我が物顔で日本人に迷惑をかけ、挙げ句日本人死ねというならどうぞお帰りください」
などと記した。
「外国人に対する生活保護などあり得ません」
「それでも日本にいたいなら日本のルールくらい守れ!」
とも書いた。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/113.html#c26

[政治・選挙・NHK296] この政権に活路はあるのか 始まる前から末期のようなポンコツ内閣(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
29. 秘密のアッコちゃん[1009] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月14日 14:18:37 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[574]
<■448行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「原発新増設を」「他の産業考えて」 国内最古の高浜1号機、運転50年 地元で思い交錯
2024/11/14 13:35
https://www.sankei.com/article/20241114-YBVIZF2USVOMJBID2CLE7TPAG4/
国内で稼働する中で最も古い関西電力高浜原発1号機(福井県高浜町)は2024年11月14日、営業運転開始から50年となった。
長期運転による安全性への懸念や事故時の避難計画の実効性など課題は山積する。
1974年に運転を開始した1号機は定期検査入りした2011年1月に停止し、2023年7月に再稼働した。
来年2025年6月には60年を超える運転を可能とする法律が全面施行され、1号機が国内初の60年超運転となる可能性もある。
2号機は2024年11月14日で運転開始49年に、3、4号機は来年2025年、40年になる。
全国最多の4基が再稼働を果たした町では、本年2024年度の一般会計当初予算119億円のうち6割が原発関連収入だ。
町内でガソリンスタンドを経営する田中康隆さん(68)は
「原発は市民権を得てきた」
とし、
「新増設などを早急に検討すべきだ」
と話す。
別の60代男性は
「原発は1基建てたらもう1基欲しくなる」
「他の産業を真面目に考えなかったつけを次世代が払わされる時が来る」
と漏らした。

「国のエネルギー政策は原発を活用するとしている」
「国策に地元の同意が必要なのはおかしなこと」

新潟・刈羽村長選、現職が無投票7選 「原発あることが望む姿」柏崎刈羽原発の再稼働容認
2024/11/12 18:14
https://www.sankei.com/article/20241112-FUNU6PJVFFMXXOWY7YNTBUROG4/
任期満了に伴う新潟県刈羽村長選が2024年11月12日告示され、無所属現職の品田宏夫氏(67)以外に立候補の届け出はなく、無投票で7選が決まった。
無投票は平成28年以来8年ぶり。
品田氏は、同村などに立地する東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を容認する立場を取る。
午後5時に立候補の届け出が締め切られると、品田氏は村内の選挙事務所で支援者と万歳三唱。
7期目に向け、
「村が食料政策に関与できるよう、農業政策を進めていく」
「頑張る村民を応援するような7期目にしたい」
と抱負を語った。
同原発の再稼働問題については
「発電所(原発)が村にあって発電することで地域が機能していく」
「発電所があることが私たちが望む村の姿だ」
とした。
品田氏は、原発の再稼働に地元同意が必要なこと自体を疑問視。
「国のエネルギー政策は原発を活用するとしている」
「国策に地元の同意が必要なのはおかしなこと」
としている。
同原発は同村と柏崎市にまたがって立地。
同市長選は今月2024年11月10日に告示され、同原発の再稼働を条件付きで容認する2人と、反対する1人が三つ巴の戦いを演じている。
投開票日は2024年11月17日。

[社説]女川再稼働を安全に進め原発活用広げよ
原発再稼働
2024年10月30日 19:05
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK303550Q4A031C2000000/
東北電力の女川原子力発電所2号機が再稼働し、2024年10月30日未明に核分裂反応が持続する
「臨界」
に達した。
2011年に東日本大震災が起きてから13基目で、東日本の稼働ゼロはようやく解消された。
事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)としても事故後初の稼働で、大きな節目と言える。
事故の重い教訓を踏まえ、安全確保を大前提に運転に当たる必要がある。
再稼働で先行した西日本と比べて東日本は電力供給に余裕がなく、料金も高止まりしていた。
今後は状況の改善が期待できる。
生成AI(人工知能)の普及に伴うデータセンターや半導体工場の新設で、今後は電力需要が増える見通しだ。
成長産業を国内で育てるためにも、安定した脱炭素電源である原発への期待は増している。
同じBWRは中国電力島根原発も2024年12月に再稼働を予定する。
東京電力の柏崎刈羽原発でも準備が進む。
女川の再稼働を機に、既存原発の活用を進めてもらいたい。
東北電力は防潮堤のかさ上げや耐震補強などの安全対策に約5700億円を投じた。
それでも不安に思う住民や市民は多い。
施設は13年あまり停止し、運転経験のない現場社員が4割に達する。
樋口康二郎社長は
「安全確保を最優先に対応する」
との談話を発表した。
2024年11月7日に発電・送電を始めた後、一旦停止させ、設備に異常がないか再点検した上で2024年12月に営業運転へ移る計画という。
機器の状況を確かめながら慎重に作業を進めてほしい。
地域や社会の理解を得る努力も欠かせない。
万全を期しても想定外のトラブルは起こり得る。
異常があった場合、軽微でも躊躇わず作業を止め、情報を積極的に公開すべきなのは言うまでもない。
原発本体の安全対策と併せて、複合災害時の避難対策の強化も急がねばならない。
原発が立地する地域では、地震や大雪などの自然災害と原発事故が重なった際の対応を心配する声がある。
元日に発生した能登半島地震では道路や海路の寸断が相次ぎ、北陸電力志賀原発の周辺地域で多くの集落が孤立した。
建物の被害が酷く、放射線から逃れる屋内退避ができない課題も浮上した。
政府は安全確保を大前提に原発を最大限活用する方針だ。
避難用道路の整備や退避施設の耐震化を国が主導し、原発に対する国民の信頼回復に努める責務がある。

女川原発、3日予定の発電再開を延期、原子炉も停止 中性子の検出器を送り込めず 東北電
2024/11/3 22:23
https://www.sankei.com/article/20241103-FDY5M7VX2FIAZACT3WGOZN5NPE/
東北電力は2024年11月3日、再稼働した女川原発2号機(宮城県)について、同日予定していた発電再開を延期した。
原子炉内の中性子を測定する検出器を炉内に送り込む途中で動かなくなり作業を中断した。
原子炉への異常は確認されていないが、東北電は、点検のため、原子炉を停止するという。
東北電によると、2024年11月3日午前、発電再開に向けた準備作業を開始。炉内の中性子を測定する検出器を駆動装置を使って送り込む際、ケーブルが途中で動かなくなった。検出器は手動で引き抜かれ、原子炉格納容器の隔離弁も閉じた。
回収された検出器の測定機能に問題はなく、放射性物質の漏洩も確認されていないが、東北電は不具合の原因を特定した上で再開時期を決めるとしている。
女川2号機は2024年10月29日に東日本大震災の被災地に立地する原発として初めて再稼働し、2024年10月30日には核分裂反応が安定して継続する
「臨界」
に達した。
事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)で、BWRとしても初の再稼働となった。

島根原発2号機、燃料装塡完了 来年1月の営業運転再開目指す 中国電力
2024/11/3 16:58
https://www.sankei.com/article/20241103-SQTQIH442RNMJPLCIKYYHN2DNY/
中国電力は2024年11月3日午前、島根原発2号機(松江市)の再稼働に向けて、原子炉への核燃料装塡を完了した。
2024年10月28日午後から作業を開始しており、7日間かけて燃料プールから560体を水中移動させて装塡した。
中国電は2024年12月上旬に原子炉を起動し、2024年12月下旬に発送電を開始する予定で、令和7年1月上旬の営業運転再開を目指している。
装塡完了を受け、今月2024年11月5日までに原子炉を緊急停止させるための制御棒が瞬時に挿入できるかを試験する予定。
圧力容器内に水を満たして加圧し、水漏れがないかを確認する検査などの起動前準備という工程を経た上で再稼働する。
島根2号機は定期検査のため平成24年1月に運転停止。
燃料は翌月平成24年2月に原子炉から取り出されていた。
島根原発は全国で唯一、県庁所在地に立地する。
東京電力福島第1原発と同じ
「沸騰水型」
で、東北電力が同じタイプの女川原発2号機を2024年10月29日に再稼働した。

女川原発2号機は3日に発電開始 東北電力が発表、予定を前倒し
2024/11/2 16:42
https://www.sankei.com/article/20241102-CVGQIQETRRJUFNE57HLWMUJIVU/
東北電力は2024年11月2日、再稼働した女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機の発電と送電を、2024年11月3日に開始する予定だと発表した。
当初は2024年11月7日の想定だったが、プラントの状態確認などが進んだとして前倒しした。
東北電は、2024年11月1日午後8時46分に2号機のタービンを起動したとも発表。
発電した電気は2024年11月3日にも送電線を通じて家庭や企業に送られる。
2号機は出力82万5千キロワット。
2024年10月29日に、東日本大震災の被災地に立地する原発として初めて再稼働した。
2024年10月30日には核分裂反応が安定的に継続する
「臨界」
に達した。

福島第1原発、デブリつかむ作業成功 事故後初の回収へ大きな一歩
2024/10/30 13:49
https://www.sankei.com/article/20241030-OXI5Y4KRLZL47NB5R7PNJVY3K4/
東京電力は2024年10月30日、福島第1原発2号機の溶け落ちた燃料(デブリ)の試験採取で、回収装置の先端に取り付けた爪形器具でデブリを掴むことに成功したと発表した。
原発事故後初のデブリ回収に向けた大きな一歩となる。
順調に行けば、今後1週間程度で掴んだデブリを専用容器に入れ、回収できる見通し。
東電によると、2024年10月30日午前9時57分に作業を開始。
2号機原子炉格納容器に挿入した回収装置の先端から釣り糸のようにケーブルを垂らし、デブリを掴む爪形器具が約4メートル下の原子炉底部に堆積したデブリに到達し午後0時33分、小石状のデブリを掴んだことを確認した。
今後は回収装置を原子炉から引き抜く工程に入る。
ただ、放射線量の測定で毎時24ミリシーベルトを超えた場合、作業員の被曝を防ぐため、格納容器内にデブリを戻すとしている。
計画では、デブリは極めて強い放射線を出すため、今回は3グラム以下の微量採取にとどめる。
回収に成功すれば、国の研究機関に運び、デブリの硬さや成分などを分析。
大規模取り出しに向けた工法検討に役立てる。
デブリ回収は当初目標の3年遅れで開始。
今年2024年8月には準備段階でミスが発覚し作業を中断した。
2024年9月10日の再開後も回収装置のカメラに不具合が生じ再び中断。
2台を交換し、今月2024年10月28日から作業を再開した。
事故で炉心溶融(メルトダウン)した1〜3号機の原子炉内には、推計880トンのデブリが堆積する。
政府と東電は2051年までに全量を取り出す目標を掲げるが、具体的な工法や処分方法などは決まっていない。

福島第一原発 “核燃料デブリつかむ” 試験的な取り出し作業で
2024年10月30日 13時58分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241030/k10014623691000.html
東京電力は2024年10月30日、福島第一原子力発電所2号機で行われている核燃料デブリの試験的な取り出し作業で、格納容器の中に入れた装置で核燃料デブリを掴んだと発表しました。
核燃料デブリの取り出しは
「廃炉最大の難関」
とされていて、今後の作業で取り出しが実現すれば原発事故後、初めてとなります。

東北電力、女川原発2号機再稼働で料金一時割引へ 本格的な見直しは「収支勘案し検討」
2024/10/31 20:17
https://www.sankei.com/article/20241031-SBN3MIMIGRKITB5TYYSI3NQMDQ/
東北電力の樋口康二郎社長は2024年10月31日の定例記者会見で、女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機の再稼働に伴い、一時的に電気料金を割り引くか、同社のポイントを付与する方針を明らかにした。
本格的な料金見直しについては
「収支の見通しなどを勘案しながら検討する」
と述べるにとどめた。
2024年本年度内の開始を目指し、割引額などの詳細を詰める。
ポイントは会員制ウェブサービス「よりそうeねっと」を通じて利用できる。
東北電は2024年10月29日に2号機を再稼働させた。
2024年11月7日に発電を再開し、2024年12月頃に営業運転を開始する予定だ。
樋口氏は2号機について
「焦らず急がず、1つ1つのプロセスを確認しながら、安全に営業運転開始に向けて進めていく」
とした。

女川原発2号機が「臨界」に到達 12月ごろ営業運転開始
2024/10/30 0:43
https://www.sankei.com/article/20241030-4DHERBFXARP3BIIGUDJA2NEJSE/
東北電力は2024年10月30日、前日夜に再稼働させた女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機が2024年10月30日午前0時12分、核分裂反応が安定して続く
「臨界」
へ到達したと発表した。
今後は2024年11月7日にも発電を再開し、2024年12月頃営業運転を開始する計画だ。

女川の再稼働は原発活用の弾みとなるか 自公政権不安定化が次期エネ計画に影響も
2024/10/29 21:21
https://www.sankei.com/article/20241029-XCCUHVPKKVLUBKQWNSA2VVXHGI/?937937
東北電力女川原発2号機(宮城県)が再稼働を果たし、政府は原発再稼働を加速する構えだ。
データセンターなどの増加で拡大する電力需要を支える脱炭素電源として原発は欠かせず、今後は新増設も必要になる。
政府が今年2024年度に見直すエネルギー政策の指針で、使用済み燃料の問題も含め、原発政策で踏み込めるかがカギだ。
ただ、衆院選で自民、公明両党が過半数割れし政権が不安定化する中、エネルギーを巡る議論は曲折も予想される。
■電力需要拡大と脱炭素対応
「東日本の電力供給構造の脆弱性や脱炭素電源による経済成長機会の確保などの観点から、東日本の原発の再稼働は極めて重要だ」。
武藤容治経済産業相は2024年10月29日の記者会見で、女川原発が再稼働する意義を強調した。
女川原発に続き、2024年12月には中国電力島根原発2号機(島根県)が再稼働する。
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)は再稼働へ地元同意を残すのみで、武藤氏は
「不安の声や地域振興を含めた要望を踏まえ、理解が進むよう取り組む」
と力を込めた。
原発はエネルギー政策上、欠かせない存在となった。
データセンターや半導体工場の増加で拡大する電力需要と、世界的な脱炭素の要請に応え得る安定電源なためだ。ロシアによるウクライナ侵略など地政学リスクが高まり、準国産エネルギーとしての必要性も増す。
■「依存度低減」削除なるか
政府は今年2024年度に中長期のエネルギー政策の指針となる
「エネルギー基本計画」
を見直す予定で、現在詰めの作業を急いでいる。
これまでになく原発の重要度が高まる中、どこまで明確なビジョンを示せるかが問われる。
現行計画では2030年度の電源構成で原発比率を20〜22%としたが、次期計画で2040年度の原発比率をどう設定するかが最大の焦点だ。
「可能な限り原発依存度を低減する」
との記述を削除するかどうかも注目される。
既設炉だけでは発電能力に限界があり、新増設の方針をどう明記するかもポイントだ。
原発政策に欠かせない使用済み燃料の再処理や最終処分の問題で、解決に向けて国が前面に立つ覚悟を強く示すことも求められる。
ただ、衆院選で与党が惨敗し、次期計画の策定作業に影響する恐れもある。
国民民主党は原発の活用に積極的であるものの、政府関係者は
「政局のごたごたでスケジュールがタイトになるかもしれない」
と不安げな表情で語った。

女川再稼働で原発「東西地域差」の解消なるか 福島第1事故の影響、今も色濃く
2024/10/29 21:08
https://www.sankei.com/article/20241029-HPWAPX2LARPIDL2VE7XSUTPZ2Y/
東北電力女川原発2号機(宮城県)が2024年10月29日、13年ぶりに再稼働した。
日本の原発稼働は西日本に偏重する歪な状況が続き、首都圏を中心に電力供給は慢性的に逼迫した。
背景には東京電力福島第1原発の同型炉が東日本に集中し、安全審査の長期化や立地自治体の同意に難航した経緯がある。
原発事故の影響は今も色濃く、
「原発正常化」
への道のりは遠い。
■安全性に差異なし
日本の原発は、米国で開発された
「軽水炉」
と呼ばれる原子炉が採用されている。
蒸気を発生させる仕組みの違いで、沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)の2種類の炉型があり、開発メーカーもそれぞれ異なる。
BWRは東電や東北電、中部電力などが採用し、PWRは関西電力や九州、四国、北海道電力などが採用している。
福島第1原発事故を受け、原子力規制委員会が定めた新規制基準では、福島第1と同じタイプのBWRについて、重大事故の際に放射性物質を吸着し拡散を防ぐ排気装置
「フィルターベント」
の整備が再稼働の条件となった。
このため、BWRを保有する電力各社は対応に追われた。
規制委への安全審査の申請も遅れ、PWRの審査が先行する形となった。
規制当局関係者は
「2つの炉型に安全性の差異はないが、福島事故の影響もありBWRの審査が厳格化した感は否めない」
と話す。
■日本の特殊事情
国内にある33基の原発はBWRとPWRがほぼ半々だが、日本原子力産業協会の調べでは、世界で運転中の433基の原発のうち、BWRは約14%。
PWRは約71%と最も多く、世界の主流になっている。
同協会担当者は
「炉型の選別は各国の事情によるが、1970年代に標準化を実現したPWRは原子力先進国で採用された」
と指摘。
日本でBWRの割合が多い理由について
「日本はプラントメーカーが3社存在する世界でも稀な国だが、各社が輸入した技術を段階的に国産化し、炉型の採用が決まった経緯も大きい」
と分析する。
福島第1原発事故から13年余り。
生成AI(人工知能)の普及に伴う電力需要の拡大で、世界の原子力政策は転換期に入った。
脱炭素と電力の安定供給を実現する原発は、資源に乏しい日本のエネルギー戦略を考える上で欠かせない。
林芳正官房長官は2024年10月29日の記者会見で
「我が国全体の経済成長の観点から再稼働の重要性が高まっている」
と言及した。
その意味でも、BWR初の再稼働は大きな節目と言える。
今後は原発稼働の東西地域差が生まれる構造的な課題をどう解消するのかが焦点となる。
国が前面に立って再稼働を後押しするのは当然だが、電力各社も原発への信頼回復に向けた更なる取り組みが求められる。

「大きな一歩」「自治体や関係者の尽力に敬意」経済界、女川原発の再稼働歓迎
2024/10/29 21:05
https://www.sankei.com/article/20241029-AWG4XE6XEVLS7LCCPRJFXCALWU/
2024年10月29日に東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機が再稼働したことを受け、経済界からは
「大きな一歩が踏み出された」
「円滑に営業運転が開始されるよう着実に準備を進めてほしい」
(十倉雅和経団連会長)
といった歓迎の声が上がった。
東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)としても全国初の再稼働となり、経済同友会の新浪剛史代表幹事は
「震災で多大な被害を受けた立地地域の自治体や関係者の尽力に敬意を表する」
とのコメントを発表した。
日本商工会議所の小林健会頭は
「安全の確保を最優先にして取り組みを進めてほしい」
と強調した。

東北電力女川原発2号機が再稼働、火力燃料費は年600億円減 経営に追い風
2024/10/29 19:12
https://www.sankei.com/article/20241029-WTBHE5XRHNM73M4XSYMAHMCS44/
東北電力は女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機が2024年10月29日に再稼働したことで、液化天然ガス(LNG)や石炭など火力発電の燃料費を2025年度に年間約600億円削減できる見通しとなった。
原発再稼働は燃料費負担を減少させ収益に好影響を与えるだけでなく、電力の安定供給や脱炭素化への貢献といった経営改善の追い風にもなりそうだ。
再稼働に向けては、防潮堤の工事や防火帯の設置など多様な安全対策を実施した他、テロ行為を想定した
「特定重大事故等対処施設」
を設置中だ。
合計7100億円に上る費用は、再稼働後に月間30億円程度の減価償却費として一定期間計上する。
一方、再稼働による火力の燃料削減の効果を月70億円と見込んでおり、順調に稼働すれば、投資費用を回収した上で、収益改善を積み重ねることが出来る見通しだ。
また、再稼働による温室効果ガスの排出削減は年間300万トンに上る。
これは一般家庭約110万世帯分に相当し、宮城県内の世帯数(約105万世帯)を上回る規模になるという。
電力各社は原発の再稼働が遅れており、電源の過半を火力発電が占める中、燃料市況の乱高下を受け業績が安定しない状況が続く。
こうした中、運転可能な原発7基を全て再稼働させた関西電力は利益水準が電力大手で最も高く、電気料金も安く設定しており、
「再稼働の影響はかなり大きい」
と大和証券エクイティ調査部の西川周作シニアアナリストは指摘する。
もっとも、東北電力は再稼働を見越し、2023年6月に標準家庭(契約電流30アンペア、使用電力量260キロワット時)の電気料金について、月150円程度の負担軽減を実施済みで、再稼働に伴う更なる値下げは予定していない。
2025年3月期の業績予想も収益改善分は織り込み済みだが、予定通り再稼働出来たことで
「今年2024年度の収益計画を達成できる確度が増した」
「燃料市況などが想定より低水準となれば業績が上振れする余地はある」
と西川氏は見ている。

宮城 女川原発2号機 きょう再稼働 福島第一原発と同タイプで初
2024年10月29日 13時33分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241029/k10014622291000.html
宮城県にある東北電力の女川原子力発電所2号機は、2024年10月29日原子炉を起動し、東日本大震災で被災して以来13年半余りを経て再稼働します。
事故を起こした東京電力福島第一原発と同じタイプの原発で、このタイプでは初めての再稼働となり、被災地の原発としても初めてとなります。
女川原発2号機は、13年前の巨大地震と津波により外部電源の多くが失われ、地下の設備が浸水するなどの被害が出ましたが、その後、防潮堤を海抜29メートルの高さにかさ上げするなどの安全対策を講じて、4年前2020年、再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査に合格しました。
その後、安全対策の工事や国の検査などが終わったことを受けて再稼働することになり、2024年10月29日夜にも、核分裂反応を抑える制御棒を引き抜いて、原子炉を起動します。
東北電力によりますと、作業が順調に進めば、2024年10月29日夜遅くにかけて原子炉で核分裂反応が連続する臨界状態になり、2024年11月上旬には発電を開始する見通しだということです。
女川原発2号機は、事故を起こした東京電力福島第一原発と同じBWR=「沸騰水型」と呼ばれるタイプで、このタイプでは初めての再稼働となり、東日本大震災の被災地で原発が再稼働するのも初めてとなります。
■女川原発2号機の安全対策は
東北電力女川原子力発電所2号機は、13年前の東日本大震災の際に、敷地内で震度6弱の揺れが観測され、およそ13メートルの津波が押し寄せました。
周辺環境に放射性物質が漏れることはありませんでしたが、原発に電気を送り込む外部電源の多くが鉄塔の倒壊などで失われた他、敷地の下の港にあった重油タンクが倒壊したり、
「熱交換器」
と呼ばれる設備がある地下室が浸水したりするなどの被害が出ました。
このため、東北電力は再稼働に向けて、2013年から地震や津波などの際の事故に備えた安全対策工事を進めてきました。
具体的には、想定される最大クラスの津波に備えて、防潮堤の高さを海抜29メートルにかさ上げしたほか、地震による被害を抑えるための原子炉建屋内にある配管や天井などの耐震補強を行いました。
更に、事故が起きても、原子炉を7日間冷やし続けられる量に当たるおよそ1万トンの水をためられる貯水槽の設置や、ケーブルを入れる管を燃えにくい素材で覆う工事など様々な面で安全対策を講じてきたということです。
こうした対策で、東北電力は13年前のレベルの地震や津波にも耐えられるとしています。
安全対策工事を巡っては、東北電力は当初、完了時期を2016年3月と発表していましたが、追加工事などを理由にその後、7回の見直しが行われ、今年2024年5月下旬にようやく完了に至りました。
震災後の安全対策工事にかかった費用は、およそ5700億円に上るということです。
また、テロなどに備えるための
「特定重大事故等対処施設」
は、再稼働に必要な原発の工事計画の認可から5年以内の設置が義務づけられていて、期限となる再来年2026年12月までに、およそ1400億円かけて建設する予定だということです。
■電気料金への影響は
東北電力によりますと、82万5000キロワットの出力がある女川原子力発電所2号機が発電を再開することで、これまでの実績から年間で使用量が平均的な一般家庭のおよそ162万世帯分の電気を賄うと試算されています。
東北電力が供給する電力量の構成は、火力発電が67%を占めていますが、今回の再稼働で火力発電所で使っていた燃料費の削減に繋がり、来年2025年度は、今年2024年度の燃料価格に基づく試算で600億円程度のコストが抑えられる見通しだということです。
ただ、東北電力では再稼働に伴って電気料金の値下げをするかについては慎重な姿勢を示しています。
東北電力は昨年度、最終的な利益が2261億円と過去最高となりましたが、その前年度までの2年間はロシアによるウクライナへの侵攻で、天然ガスなどの燃料価格が高止まりしたことなどから赤字となり、自己資本比率が低い水準が続いています。
このため東北電力は悪化した財務基盤の立て直しが必要だとしていて、経営の効率化の進捗(しんちょく)などを総合的に判断したうえで、電気料金が値下げできるか検討するとしています。
■武藤経産相「震災後初の原子炉起動 大きな節目」
宮城県にある東北電力の女川原子力発電所2号機が2024年10月29日、原子炉を起動し再稼働することについて、武藤経済産業大臣は閣議の後の記者会見で
「震災後、東日本で初めての原子炉起動となり大きな節目になる」
と述べました。
2024年11月上旬には発電を開始する見通しについて、武藤経済産業大臣は
「東日本における電力供給構造の脆弱性や電気料金の東西格差、経済成長機会の確保という観点からも原子力発電所の再稼働の重要性は極めて大きい」
「東日本としては震災後、初めての原子炉起動で大きな節目になり、安全最優先で緊張感をもって対応してほしい」
と述べました。
その上で、新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発の再稼働については
「地元の不安の声や地域振興の要望を踏まえながら再稼働への理解が進むよう政府をあげて取り組んでいきたい」
と述べました。
■林官房長官「安全最優先で緊張感を持って作業を」
林官房長官は閣議の後の記者会見で
「原子力は再生可能エネルギーとともに脱炭素電源として重要であり、安定供給の観点からも安全性の確保を大前提に最大限活用を進めていく方針だ」
「再稼働の重要性は高まっていると認識しており、東北電力には安全最優先で緊張感を持って作業を進めてもらいたい」
と述べました。

林官房長官「原発を最大限活用」 女川再稼働の必要性強調「脱炭素電源として重要」
2024/10/29 12:35
https://www.sankei.com/article/20241029-ZGQXBZ3NM5KRNLPE3PSZTQJVPY/
林芳正官房長官は2024年10月29日の記者会見で、東北電力女川原発を再稼働させる必要性を強調した。
「原子力は再生可能エネルギーと共に、脱炭素電源として重要だ」
「安定供給の観点からも安全性の確保を大前提に最大限活用を進めていく」
と述べた。
原発に関し
「我が国全体の経済成長の観点から再稼働の重要性が高まっている」
と説明。
地元住民から避難計画の不備が指摘されている点については
「原子力防災の備えに終わりはなく、継続的な改善、充実化を進め、実効性の向上に取り組む」
と語った。

<主張>「原子力の日」 沸騰水型への期待大きい
社説
2024/10/27 5:00
https://www.sankei.com/article/20241027-E2WT2SMBSFMSLGWB3FKSM5OU3Y/
今年2024年は
「原子力の日」(10月26日)
の制定から60年という節目の年だ。
この記念日と呼応するかのように原発再稼働の新展開が始まろうとしている。
東北電力の女川原子力発電所2号機(宮城県、82・5万キロワット)と中国電力の島根原子力発電所2号機(松江市、82万キロワット)のことである。
いずれも、東京電力の福島第1原子力発電所と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)の原発だということに注目したい。
東日本大震災後、BWRの再稼働は初めてだ。
これまでに再稼働した九州電力、関西電力、四国電力の計12基は全て加圧水型軽水炉(PWR)だった。
女川2号機は原子炉へウラン燃料をセットする装荷作業を既に終え、2024年10月29日の原子炉起動を目指している。
中国電は島根2号機への燃料装荷を2024年10月28日にも開始する予定で、2024年12月上旬の再稼働を目指す。
共に地域の電力安定供給に貢献する。
BWRでは、東電の柏崎刈羽原子力発電所7号機(新潟県、135・6万キロワット)も2024年4月に燃料セットを終えていて、再稼働には花角英世・新潟県知事の同意を待つ日々が続いている。
女川と島根の両原発の再稼働による牽引効果を期待したい。
「原子力の日」
は、昭和39年7月に閣議で決まった。
それに先立つ、国際原子力機関(IAEA)への日本の参加決定(昭和31年)と、当時の日本原子力研究所の動力試験炉(JPDR)による国内初の原子力発電成功(昭和38年)が、どちらも10月26日だったことによる記念日だ。
第二次世界大戦で核兵器の犠牲となった日本だからこそ原子力を、科学技術の力で平和目的に活用してみせようとの決意と自負がこめられていたことを思い出したい。
そうした力強い記念日だったが、13年前2011年の東電福島第1原発の事故を境に、日陰の存在に一変していた。
だが近年、世界では原子力発電の有用性が広く理解されている。
新興国の経済成長に伴う電力需要増への対応と脱炭素化の両立を可能にするからだ。
昨年2023年の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では
「原子力発電の推進」
が成果文書に盛り込まれた。
エネルギーを巡る潮目の変化を読み誤ると日本は世界に後れを取る。
「原子力の日」
に、そのことへの思いを致したい。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/114.html#c29

[政治・選挙・NHK296] 玉木代表「真摯に向き合う」 国民民主の倫理委が不倫疑惑を調査へ(朝日新聞デジタル) 達人が世直し
11. 秘密のアッコちゃん[1010] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月14日 16:31:01 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[575]
<■69行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「日朝議連内閣だ」首相、外務、防衛主要3大臣がメンバー、対北融和警戒 保守党・島田氏
2024/11/14 15:17
https://www.sankei.com/article/20241114-2BBKT3CM4NHK3H3CYSRGUG4GXA/
日本保守党の島田洋一衆院議員が産経新聞の取材に応じ、石破茂内閣のうち、首相、外相、防衛相の主要3大臣が
「日朝国交正常化推進議員連盟」(日朝議連、会長・衛藤征士郎前衆院議員)
のメンバーであることに危機感を示した。
同議連は国交正常化ありきで、政権の
「最重要課題」
である北朝鮮拉致問題を棚上げしていると評される。
島田氏は
「そうした集団のメンバーが、国の安全保障の中枢を担う3ポストにいる」
「最早『日朝議連内閣』と呼べる状況であり、今後、北への融和的な姿勢が顕著になってくる可能性が高い」
と訴える。
■朝鮮総連関係者が講師役
石破内閣で日朝議連メンバーとして活動するのは、石破首相、岩屋毅外相、中谷元防衛相の3人。
同じ日朝関係の超党派国会議員連盟では、
「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」(拉致議連)
があるが、異なる組織だ。
日朝議連は平成20年4月、自民党の山崎拓元副総裁と民主党の岩國哲人元副代表らが会談し、平成14年に拉致被害者5人の帰国が実現して以降、
「北朝鮮への圧力路線は成果を生まなかった」
として発足が決まった。
同年6月、ブッシュ(子)政権下の米国が北朝鮮のテロ支援国家の指定解除に着手すると、これを肯定的に評価するなど、北朝鮮への融和的な姿勢で一貫している。
政府の外交方針などに配慮して、一時活動を自粛してきたが、2018年(平成30年)の米朝首脳会談を受けて約10年ぶりに活動を再開した。
当時の総会には、日朝首脳会談(平成14年)開催の交渉役を担った田中均元外務審議官、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)機関紙の「朝鮮新報」の金志永・平壌支局長を講師に招き、今後の日朝関係の在り方などを意見交換している。
田中氏は平壌に連絡事務所を置いて日朝合同調査を行うことなどに言及しており、現在まで続く石破氏の
「日朝連絡事務所設置」
などの持論は、これを機に形成されたものとされる。
■総連が起案したような文案
今年2024年2月の総会では岸田文雄首相(当時)の早期訪朝を求める決議を取りまとめようとしたが、国民民主党の玉木雄一郎代表らが、
「北朝鮮の動きに真摯に対応すべき」
などとした当初案の記載を問題視。
大幅に修正された。
玉木氏は総会後、X(旧ツイッター)に
「朝鮮総連が起案したかと思うような文案には賛成できませんでした」
と記した。
島田氏は日朝議連について、
「国交正常化ありきで、その後に諸課題の解決を図るという、いわゆる出口論に立っている」
と指弾。
今月2024年11月11日には、日本保守党衆院議員として、拉致問題解決に向けた石破内閣の基本姿勢を問う質問主意書を政府に提出したが、その書面でも、
「こうした背景を持つ人々によって構成されている内閣が、『最重要課題』である拉致問題に如何に取り組むのか」
「北朝鮮側の意向を大いに汲む形となるのではないかとの疑念が払拭できない」
とぶつけた。
■横田早紀江さんの訴えを隣で…
当の石破氏は、別組織である拉致議連にも所属している。
平成14年の日朝首脳会談時は、拉致議連の会長として、被害者家族らが東京都内で開いた会見に同席。
横田めぐみさん(60)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(88)が、めぐみさんを
「死亡」
とした北朝鮮側の説明について、
「信じられない。今後も生きていると信じて闘っていく」
と涙ながらに訴える様子を、すぐ隣で聞いていた。
だが、その後に防衛庁長官(当時)に起用されると、対北経済制裁などに慎重な姿勢を示すようになる。
被害者家族会の立場とは対極にあるもので、関係は疎遠に。
次第に日朝議連側へと活動の軸足を移していった。
今回衆院選で初当選した島田氏は出馬直前まで、被害者家族と方向性を一にする支援組織
「救う会」
で副会長を務めるなど、拉致問題への見識が深い。
一方で今国会で実施された委員会人事では、
「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」
入りは実現しなかった。
同委員会委員長には立憲民主党の牧義夫氏が就いた。
島田氏は、
「自民など多数の席を持つ党から、1つ譲るくらいの気概がほしかった」
と率直な心境を明かした上で、
「現政権の拉致関連のスタンスには危機感しかない」
「変な方向に行かないように、今後も積極的に質問主意書を提出するなどして、厳しく監視していきたい」
とした。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/112.html#c11
[政治・選挙・NHK296] 山本太郎「玉木ンの下半身の話なんて知らんわ! 選挙の時に公約にあげていた消費税の減税 さっさとやれよ!!」  赤かぶ
115. 秘密のアッコちゃん[1011] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月14日 18:40:37 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[576]
<▽40行くらい>
ガードレールは抗議者が事故に巻き込まれないよう安全のために設置するものだ。
市民団体と称する反日左翼活動家が事故が起きやすい無茶で危険な抗議活動を行うから事故が起きるのだ。
車道を歩いていけないのは常識中の常識だ。
市民団体と称する反日左翼活動家がいくら屁理屈を言っても心ある人には通じない。
市民団体と称する反日左翼活動家が100%悪い。

警備員死亡の事故現場に「ガードレール設置しないで」 市民団体が沖縄・玉城知事に要請
2024/11/14 17:28
https://www.sankei.com/article/20241114-TVQKJASA5BLJRK73BQYNABNA7U/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、市民団体
「沖縄平和市民連絡会」
のメンバー9人が2024年11月14日、県庁で県の幹部職員と面談した。
市民団体が玉城デニー知事宛てに提出した要請書は
「ガードレールを設置して抗議する市民を排除しても、ダンプトラックの走行が増えれば、交通事故は更に増加する」
と指摘。
「特定の事業者・警備員が公道を封鎖し、歩行者の通行を阻止することなど許されるはずはない」
として、ガードレールや車止めポールなどの設置を認めないよう県に求めている。
事故現場となった名護市安和桟橋付近の国道では以前から牛歩による抗議活動が行われてきた。
港湾を利用する事業者側は令和4年12月以降、県に対して
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請。
費用を負担するのでガードパイプを設置させてほしいと訴えたが、県はいずれも
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めてこなかった。
この日、県庁で応対した県土木建築部の前川智宏部長はガードレールについて
「道路管理者として設置は適切ではないと考えている」
と述べた。
事故現場では現在、警備員がオレンジ色のネットを広げて抗議者がダンプカーの前に出ないようにしている。
市民団体のメンバーからは
「車道を歩くしかない」
「警察官には『車道を歩くな』と言われる」
「おかしいではないか」
「独裁国家だ」
「歩道を完全に止めて封鎖するようなことが許されるのか」
などといった声が上がった。
安和桟橋付近で平成30年以降に発生した交通事故の件数を尋ねられた前川部長が答えに窮していると、市民団体のメンバーから
「何でそんな大事なこと、答えられないの」
と詰め寄られる場面もあった。
市民団体によると、交通事故は30件以上発生しているという。
面談は約45分にも及んだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/109.html#c115

[政治・選挙・NHK296] 不倫暴露選挙後先送りの理由(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
46. 秘密のアッコちゃん[1012] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 05:17:44 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[577]
<▽35行くらい>
<主張>四国の大規模停電 真冬の供給体制を万全に
社説
2024/11/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20241114-DFZEO7VJ3FPIVGPKCWB3IOYKV4/
電力は日々の暮らしや産業活動に欠かせないエネルギーだ。
だが、電力会社が判断を誤れば、たちどころに供給が途絶しかねない。
そのリスクを再認識させるトラブルが発生した。
四国4県で、2024年11月9日夜に大規模な停電が起きた。
1時間半ほどでほぼ復旧したが、停電は最大36万戸あまりに及んだ。
四国電力送配電は2024年11月12日に会見し、停電は徳島県と和歌山県を結ぶ連系線の制御に関し、連系線の共同運用者である関西電力送配電との間の連携ミスが原因だったと明らかにした。
人為的なミスで、これだけの大規模停電が起こるのは異例といっていい。
真冬の需要期が迫っている。
四電送配電は関電送配電とともにミスが起こった原因を究明し、早急に再発防止策を講じなければならない。
天候によって発電量が左右される再生可能エネルギーが増加し、電力の需給調整は複雑になっている。
それもあって、電力大手は自社管内だけでなく連系線を介して他電力管内を含めた広域での需給調整を行うことが増えている。
四国と本州を結ぶ連系線は和歌山ルートの他、香川県と岡山県を結ぶ2系統4回線がある。
2024年11月9日は岡山ルートでトラブルが発生したため、和歌山ルートの運用を続けながら、同日夜に岡山ルートの復旧作業を進めていた。
その過程で、四電送配電は関電送配電に和歌山ルートで稼働していた調整装置の停止を依頼した。
ただ、四電の意図と異なり、関電側は2種類ある装置のうち1種類だけを停止したため大量の電力が和歌山側に流れ続けることになり、四国の需給バランスが崩れ、一部地域で送電が自動停止した。
経済産業省は十分な電力供給力を確保できるとして、今冬は全国10電力全てで節電要請を見送る。
だが、今回の大規模停電は、電力の供給力が十分であっても予期せぬ理由で電力供給が途絶するリスクがあることを示している。
真冬の電力途絶は生命にもかかわる。
今回の大規模停電を受けて、四電と関電が抜本的な対策を講じるのは当然だが、他電力も四国エリアだけの問題と捉えるべきではない。
各社とも供給体制の点検に努め、真冬の需要期に備えてほしい。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/116.html#c46
[政治・選挙・NHK296] 三原じゅん子“軽量級”ポスト就任は「菅印」「女性」が理由…追及されるとムキになりがち 石破“短命必至”内閣を丸裸にする… 赤かぶ
23. 秘密のアッコちゃん[1013] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 05:36:04 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[578]
<▽37行くらい>
<主張>拉致の解決 トランプ氏復帰を好機に
社説
2024/11/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20241115-JLHPR6D5ZVISHIQBKZ5CWZKFWU/
当時13歳の横田めぐみさんは昭和52年11月15日、新潟市の中学校からバドミントン部の練習を終えての帰路、北朝鮮の工作員に拉致された。
前日の昭和52年11月14日は父、滋さんの誕生日だった。
めぐみさんはお祝いに茶色の櫛を贈り、翌日、姿を消した。
あれから47年の長く残酷な歳月があり、この間に、最愛の娘との再会を待ち望んでいた滋さんも亡くなった。
母の早紀江さんは
「言いようのない苛立ちがある」
「政府は本気で取り組んでほしい」
と話している。
石破茂首相は拉致問題を
「一時も揺るがせに出来ない人道問題」
と述べた。
その言葉を行動で示してほしい。
米国では、トランプ氏が激戦を制し、大統領に復帰する。
前回の政権時を思い出したい。
国連総会の一般討論演説でトランプ氏は
「日本の13歳の少女が拉致された」
「彼女はスパイの養成に利用された」
「北朝鮮は凄まじい人権侵害を行っている」
と非難した。
めぐみさんのことだ。
2度の来日では拉致被害者の家族会と面会し
「心が引き裂かれた」
と涙を見せた。
金正恩朝鮮労働党総書記とは2度の米朝首脳会談に臨み、拉致に言及して
「顕著な進展を見せていない」
と責めた。
金正恩氏が言い逃れを繰り返す緊迫した場面もあったとされる。
会談後の会見でトランプ氏は拉致を取り上げた理由について聞かれ、
「安倍晋三首相の最重要課題でもあるからだ」
と述べた。
これらはトランプ氏が一面、情の人であることを示すと共に、家族会の粘り強い働き掛けや、当時の安倍首相による緊密な外交の成果と言えた。
石破氏はアジア太平洋経済協力会議(APEC)などに出席するため、南米に向かった。
帰国の途中でトランプ氏との会談も調整中だという。
石破氏には直接会談で拉致問題への怒りを何としても共有し、トランプ氏を再び拉致問題解決への主要舞台に引き上げてほしい。
それが
「一時も揺るがせに出来ない」
最優先課題である。
平成14年9月、訪朝した当時の小泉純一郎首相に金正日国防委員長が初めて拉致を認めて謝罪した背景には、米ブッシュ政権が北朝鮮をテロ支援国家に指定し、
「悪の枢軸」
と名指しした強い圧力があった。
忘れてはならない歴史の教訓だ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/115.html#c23
[原発・フッ素54] 日本原電、敦賀原発2号機再稼働の再申請に意欲 原子力規制委、初の「不適合」判断(東京新聞) 蒲田の富士山
4. 秘密のアッコちゃん[1014] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 05:43:59 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[579]
<■332行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>原発デブリ回収 現実的な廃炉への挑戦を
社説
2024/11/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20241115-U6ONFLQHKZKWRCMIHHMRXDM4JA/
東京電力は福島第1原子力発電所2号機の燃料デブリ1粒(0・7グラム)の試験的な初取り出しに成功した。
デブリは、平成23年3月の東日本大震災の巨大津波による原子炉事故で、高熱のウラン燃料が炉心構成と共に溶け落ちた後、固化したものだ。
数度のトラブルで遅れが出るなど作業は難航したが、放射線量の高い原子炉格納容器の底から、初めてデブリを取り出したのは前進である。
政府と東電による第1原発の廃炉計画は、事故後の40年間を3期間に分けた工程で構成されている。
第1期は放射能汚染水の浄化、第2期は海洋への処理水放出の開始だった。今回のデブリ取り出しで、ついに廃炉工程・第3期のスタートラインに立った。
第3期は廃炉プロジェクトでの最大の山場である。格納容器の底などにデブリが残っているかぎり、1〜3号機に流れ込む地下水がデブリに触れて新たな汚染水が生じ、それを処理水に浄化する作業に追われ続けることになるからだ。
今回、取り出されたデブリは日本原子力研究開発機構の研究所などで数カ月をかけ、放射性元素の組成をはじめとする性状が調べられる。取得データは今後のロボットアームによる本格取り出し工事のための基本情報として役立てられる。
だが、この最終工程の前途には試練の巨壁が立ちはだかる。炉心溶融で破損した3基の原子炉圧力容器や格納容器から計880トンという大量のデブリを回収しなければならない。
取り出しは遠隔操作を余儀なくされるので、目標とする令和33(2051)年の完了は困難視されている。
更には、全量回収は不可能とする声も聞こえる。
こうした外部の懸念には耳を傾けるべきものがある。
政府と東電には、現工程を進めつつも、代替策であるプランBの検討に着手しておいてもらいたい。
事故の規模は米スリーマイル島原発を超え、世界の原子力工学界にとっても未踏の領域なのだ。
回収デブリの処分地にも展望はない。
場合によってはチェルノブイリ原発で採用された、いわゆる石棺方式も選択肢に含めるべきではないか。
安全かつ現実的な廃炉工事に世界の関心が集まっている。

原発・エネルギー政策に水差す敦賀2号機不合格 原電経営も厳しく大手電力の支援次第
2024/11/13 16:02
https://www.sankei.com/article/20241113-HG7TVUPOEZJJNCG55CT24QRB3A/
日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の再稼働の審査不合格が2024年11月13日に正式決定した。
政府は脱炭素電源として原発を
「最大限活用する」
方針を掲げ、原発の再稼働を進めたい考えだが、早速、水を差された形になる。
経営が苦しくなる日本原電は再稼働を目指し、再申請する意向だが、審査合格の道筋は見えない。
支援する大手電力の動向も今後の焦点になる。
■13基の稼働時期は未定のまま
「非常に残念。厳しい判断がなされた」
経済産業省幹部は不合格の一報を受け、こう厳しい口調で語った。
原発を巡っては2024年10月末に東北電力の女川2号機が再稼働したばかり。
2024年12月には中国電力島根2号機が続き、国内で14基が稼働する体制になる。
だが、他の審査申請済みの13基は具体的な稼働時期が定まっていない。
こうした中、審査を通らない事案が出たことはエネルギー政策にも大きな影を落としかねない。
AI(人工知能)の普及に伴う電力需要の増大を受け、脱炭素と電力の安定供給を両立できる原発は欠かせなくなっている。
2024年年内に素案を取りまとめる次期エネルギー基本計画では、原発の新増設や建て替えに踏み込めるかが注目されているが、再稼働すらままならない現実が重くのしかかる。
■原電支援に株主から批判も
日本原電の先行きも厳しい状況だ。
1957年に設立された国内唯一の原発専業会社として運転可能な原発2基を保有するが、いずれも再稼働の目途は立っていない。
それでも経営が成り立つのは再稼働を前提に電力販売契約を結ぶ東北、東京、中部、北陸、関西の大手電力から原発の維持費や人件費に充てる
「基本料金」
を受け取っているからだ。
原発停止後に5社から受け取った資金の総額は13年間で1兆4000億円を超える。
各社は再稼働の方針を維持する日本原電を支援する姿勢だが、負担だけが膨らみ続ける状況の中で、株主総会では批判の声も上がる。
基本料金の負担は最終的には電気代に上乗せされ、消費者の負担に繋がる。
こうした状況に大手電力がどこまで耐えられるかも日本原電の経営の行方を左右する。

敦賀原発、初の審査不合格 原子力規制委員会が正式決定 再稼働を認めず
2024/11/13 11:28
https://www.sankei.com/article/20241113-QI45ZABFKBJVXGYS2AJYCLKX4E/
原子力規制委員会は2024年11月13日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の原子炉直下に活断層が走る可能性を否定できないとして、再稼働の条件となる安全審査に不合格とすることを正式決定した。
平成24年の規制委発足後、再稼働を認めない全国初のケースとなる。
日本原電は廃炉にせず、審査の再申請を検討しているが、規制委の決定を覆す道筋は見えない。
東京電力福島第1原発事故後に策定された新規制基準は、活断層の真上に原子炉など安全上重要な施設の設置を認めていない。
規制委は今年2024年8月、
「基準に適合しない」
と明記した審査書案を了承し、一般から意見を公募していた。
審査では、2号機原子炉建屋の北約300メートルで見つかった
「K断層」
が活断層か、原子炉直下まで延びているかが焦点となった。
規制委は日本原電が提出した資料などを精査し、いずれも可能性を否定できないと結論付けた。
日本原電は平成27年に審査を申請。
「活断層は存在しない」
との主張を繰り返したが、その根拠となる提出資料の誤記や無断書き換えなどの不備が相次いで発覚。
審査が2度も打ち切られる異例の経緯を辿った。
国内にある建設中を除く33基の原発のうち、電力各社が規制委の審査に申請したのは25基。
これまでに17基が合格し、13基が再稼働した。

<主張>原子力規制委 効率性と対等性の新風を
社説
2024/9/26 5:00
https://www.sankei.com/article/20240926-AQHBAUMRHNLZVFVJHEETKKZXU4/
原子力規制委員会の委員の一部が交代した。
地震・津波対策の審査を担当した石渡明氏と核燃料サイクル施設の審査担当の田中知氏が任期満了で退任し、その後任に地震・火山学者の山岡耕春氏と原子力工学者の長崎晋也氏が就任した。
規制委は山中伸介委員長以下5人の委員で構成され、職員数千人以上の原子力規制庁を従える独立性の高い行政機関だ。
福島事故後の平成24年以降、再稼働を目指す原子力発電所の安全審査などに当たっている。
しかし、その審査は理想からほど遠い。
山岡氏と長崎氏には
「ゼロリスクの虜」
となった感のある規制委に新風を吹き込んでもらいたい。
規制委と規制庁は、原発や再処理施設への安全対策で個々の部分最適を追求するあまり、全体最適から遠ざかり続けていることに気付いていない節がある。
原発の安全審査も異様に遅い。
審査を申請した既存原発25基中、合格は17基に過ぎない。
残る8基は申請から10年前後が過ぎている。
行政手続法での安全審査期間は2年なので、大きな遅れである。
規制側は電力会社の不手際のせいにするが公平性を欠いていないか。
規制委は
「独立した意思決定」
など5項目の活動原則を掲げているが、
「効率性」
を含んでいないのが問題だ。
米原子力規制委員会(NRC)の
「良い規制の原則」
の5項目には
「独立性」
と並んで
「効率性」
が謳われている。
日本では規制側と電力会社の間に対等性がないのも審査での議論の妨げになっている。
官尊民卑はおぞましい。
日本原子力発電の敦賀2号機(福井県)は、再稼働を目指す原発の安全審査で、初の不合格例となった。
この審査の内容は一般からの意見であるパブリックコメントを公募中だ。
2号機から約300メートル離れた断層が活断層で、それが建屋の下まで延びていると見なしての不合格だが、共に
「可能性が否定できない」
という強引な推論に基づく判定だ。
そのため、外部の専門家からの鋭い疑問の提示も予想される。
新体制の規制委にパブコメへの真摯な対応を求めたい。
原発再稼働の遅滞でエネルギー安全保障上の諸リスクが膨張中だ。
規制委が旧態依然であれば国の将来を危うくする。

「審査中の原発9基が心残り」 原子力規制委を退任の石渡明氏が会見
2024/9/18 19:59
https://www.sankei.com/article/20240918-VJNTXUSOFNLJTC4VSEGIH4CHCQ/
原子力規制委員会を任期満了で退任する石渡明委員が18日、記者会見し
「10年間、毎週のように審査会合を開いてきた」
「審査中の原発9基を残してバトンタッチすることになったのは心残りだ」
と振り返った。
石渡氏は平成26年9月に就任、地震や津波対策を担当した。
原子炉建屋直下の活断層問題で、初の審査不合格が確実となっている日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)については、原発推進側から
「活断層がないと証明するのは悪魔の証明だ」
と批判された。
石渡氏は
「既に12基の原発が、その証明をして再稼働している」
「大した悪魔ではない」
「恣意的な審査はしていない」
と反論した。
岸田政権の原発推進策を受け、60年を超える原発運転を可能にする新制度導入が昨年2月に規制委で諮られた際には、5人の委員で唯一反対した。
「意見が通らなかったのは残念だが、あの時の考えから一切変わっていない」
と述べた。
後任は山岡耕春氏。

敦賀2号機、初の再稼働「不合格」を了承、規制委 正式決定は10月に
2024/8/28 11:43
https://www.sankei.com/article/20240828-5477YNHXUVKUZN7JWZPYGGV7KU/
原子力規制委員会は28日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県敦賀市)について、再稼働の前提となる安全審査に不合格とする審査書案を了承した。
一般から30日間の意見公募を経て、10月に不合格が正式決定する見通し。
平成24年の規制委発足後、再稼働審査で不合格となるのは初めて。
規制委の審査チームは7月、2号機の原子炉建屋直下にある断層について、既に活断層と分かっている浦底断層から枝分かれした
「K断層」
も活断層で、建屋の北約300メートルの地点から直下まで延びている可能性を否定できないと指摘。
原発の安全基準を定めた国の新規制基準は、活断層の真上に原子炉などの安全上重要な施設の設置を認めておらず、基準に適合しないと結論づけた。
28日の定例会合では、委員から
「不許可という重要な決定をする以上、広く意見募集を行うべき」
などの意見も上がったが、審査チームの結論を追認することへの異論は出ず、全会一致の了承となった。
事実上の審査不合格となり、敦賀2号機は国のルールで再稼働ができなくなる。
日本原電は平成27年に審査を申請。
「活断層は存在しない」
との主張を繰り返したが、その根拠となる提出資料の誤記や無断書き換えなどの不備が相次いで発覚し、審査が2度も打ち切られる異例の経緯をたどった。
日本原電は今後、規制委の結論を覆すため敷地内で新たな試掘溝を掘って再調査し、改めて審査を申請する意向を示している。

【ライブ】敦賀原発2号機不合格 原子力規制委 山中委員長会見
2024年8月28日 14時19分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240828/k10014562111000.html
福井県にある日本原子力発電の敦賀原子力発電所2号機について、原子力規制委員会は28日、原子炉建屋の真下の断層が将来動く可能性が否定できないとして、再稼働の前提となる審査に不合格としたことを示す審査書の案をとりまとめました。
原発の再稼働を認めない判断は2012年に規制委員会が発足して以降、初めてです。
原子力規制委員会の山中委員長はこの後、会見を開いて説明することにしています。
会見の様子をライブ配信します。
敦賀原発2号機 再稼働認めず 初の不合格判断 原子力規制委
【ライブ配信中】

<主張>規制委の偏向審査 強引な幕引きは許されぬ 原電は敦賀稼働へ再申請を
社説
2024/8/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240807-V3IHAUD3B5NNNBV5AUV3CG3KFI/
原子力発電の健全な安全審査に逆行する対応だ。
再稼働を目指す日本原子力発電・敦賀2号機(福井県)に対し、原子力規制委員会は、日本原電が審査の継続を求めていたにもかかわらず、安全審査に不合格の方針を決定した。
一方的な議論の幕引きはおかしい。
日本原電は2号機直下に活断層がないことを証明する様々な根拠を示したが、規制する側は活動性や連続性について
「可能性が否定しきれない」
という
「悪魔の証明」
を求める論法で日本原電を退けた。
規制委の活動原則には
「科学的・技術的な見地」
を重んじる言葉が含まれる。
用いた論理はこれに抵触しないのか。
活断層論に無理がある
審査の継続を却下された日本原電は、新たな追加調査を実施して安全審査への再申請を目指す。
道は多難でも、是非実現してもらいたい。
安定した大電力を連続的かつ長期に供給できる原発は、不安定化が進む国際情勢下で資源に恵まれない島国日本に欠かせない存在だ。
人工知能(AI)の社会実装で電力需要はさらに増す。
国連が強く求める二酸化炭素の排出削減に応える手段としても原発の役割は大である。
だが、福島事故の前には54基あった国内の原発は33基に減っている。
しかも規制委の安全審査の遅れで再稼働を果たした原発は12基に過ぎない。
復活の遅滞に敦賀2号機の不合格が加わった。
原発再稼働の先行きの不透明感は確実に増した。
未稼働の原発を保有する電力会社にとっては経営上の暗雲だ。
政府の次期
「エネルギー基本計画」
に原発の増設などが書かれても対応は不能であろう。
後出し規制などで完工が遅れる可能性も否定できない現状では原発建設は進まない。
規制委と事務局の規制庁は、厳格な審査のみに固執して規制至上の道を硬直的に進むのか。
「我が国の安全保障に資すること」
を目的とする原子力規制委員会設置法に背反しよう。
政府の
「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」
では
「最大限活用する」
電源として原子力を掲げている。
規制委は独立性の高い委員会だが、国の行政組織の1つである。
敦賀2号機の審査の在り方と結論は、国のエネルギー政策との整合性を欠くものだ。
また、日本原電と敦賀2号機に対する規制委と規制庁のこれまでの対応に、印象操作が疑われることも見過ごせない。
安全審査中の令和2年2月の
「データ書き換え問題」
がその代表例である。
敦賀原発敷地内の
「ボーリング柱状図」
の記述を日本原電が無断で書き換えたとして規制委が叱責したのだが、これは全くの濡れ衣だ。
規制庁の職員が元年10月の審査会合で
「ここが変わったとか誤りがあったとかではなく、きちんとした形で更新して最新の形で審査資料として提出するよう」
指示している。
■岸田政権は傍観するな
日本原電がそれに従ったところ
「無断書き換え」
とされたのだ。
その結果、不幸にも日本原電のマイナスイメージが広まることになってしまった。
同社の名誉のためにも、この事実は周知されるべきである。
また今回の安全審査の終盤で日本原電は2号機の下に活断層がないことを証明する期限を規制委に区切られたこともあり、立証の完成度が99%にとどまった感がある。
規制委は残り1%の不足で
「活断層の可能性が否定しきれていない」
と極論したのに等しいのでないか。
規制委は2号機建屋の北方約300メートルの場所で見つかったK断層が同機の下まで
「連続している可能性が否定できない」
としているが、その根拠も論理も極めて強引で不可解だ。
現地調査に参加し、2号機の下に活断層はないと判断している専門家は海外を含めて少なくない。
規制委の活動原則で
「国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」
としているにもかかわらず、一流の専門家との対話を避けている。
これでは科学的な審査から遠ざかる。
規制委に根を張る独善性の弊を除くのは岸田文雄政権の役割だ。
自民党には
「原子力規制に関する特別委員会」
があるではないか。
2号機不合格の決定が下されたのは国会閉会中だった。
岸田首相にはこの安全審査の妥当性検証に着手してもらいたい。
傍観すれば日本はエネルギー欠乏症に陥る。

美しき勁き国へ 櫻井よしこ 
2024/8/5 8:00
https://www.sankei.com/article/20240805-HSF36UKSAFNSVA6KWBNHNR3XQQ/
熱中症死者が急増中だ。
2024年7月、東京23区内で6年ぶりに100人を大幅に超え123人が熱中症の疑いで死亡した。
うち9割超が60歳以上で、9割弱が冷房を使わずに死亡していた。
国家行政組織法第三条に基づく委員会として強い権限を有する原子力規制委員会は中立公正の立場で原子力発電の安全性を確認し科学的に判断する責務を負う。
だが、その責務を放棄し再稼働を不条理に阻止し続けた結果、日本の電力料金は世界最高水準だ。
そうした中での悲劇の1つが熱中症死亡者の急増であろう。
2024年8月2日、規制委は福井県の日本原子力発電、敦賀2号機は新規制基準に適合しないと正式に結論付けた。
注目の論点は2つだった。
@2号機の北方300メートルに位置するK断層と命名されたものは活断層か
A2断層は2号機の下まで繋がっているか
である。
興味深いポンチ絵がある。
敦賀2号機の審査を主導する規制委の石渡明氏が2024年7月31日の規制委で、山中伸介委員長に報告するために用いた
「K断層の活動性と2号炉原子炉建屋」
の位置関係を示す図である。
同資料ではK断層を示す赤い線は途中で消えており、2号機原子炉建屋の下には複数の破砕帯(ひび割れ)が走っている。
K断層がどこまで続いているのか、石渡氏も証拠に基づく整理ができていないのだ。
原子力学会で活断層リスクと工学的対策の調査報告書を取りまとめた東京工業大特任教授の奈良林直氏が指摘した。
「日本原電は掘ったトレンチ(試掘溝)の地層や採取した試料に含まれる火山灰や鉱物などから活動年代を調べ、
『K断層は古い年代の地層で活断層ではない』
『原子炉建屋の下まで繋がっていない』
と証明しました」
「しかし、規制委は
『曖昧で、科学的根拠に乏しい』
『K断層が将来動く可能性を否定できない』
として退けました」
2号機建屋の真下の岩盤は6500万年前頃に形成された花崗岩だ。
ひび割れは長い年月動いていないことが証明されていて、K断層とも繋がっていない。
日本原電は規制委に否定された点を更に証明するため追加調査を要請した。
だが規制委は一切応じずK断層が2号機直下の既知の破砕帯の他に繋がっている証拠がないまま議論を打ち切った。
追加調査でK断層が活断層でないこと、2号機建屋の下まで続いていないことがより鮮明に科学的に証明されたら不都合な真実になるのであろう。
原子力工学が専門の東大教授の岡本孝司氏はこの規制委の筋書きを
「空想小説」
だと喝破した。
AI(人工知能)、データセンターなど我が国は電力需要の大幅増に直面している。
我が国は十分な電力を供給できるのか、世界的に高い水準の電力料金を妥当な水準に下げられるのかが問われている。
非科学的判断で原発再稼働を阻止し、国民生活を貧しくし、我が国産業を弱体化させてはならない。
電力料金の高騰で冷房も使わず亡くなってしまう人を増やしてはならない。
原子力規制委員会の本来の役割は原子力産業の安全性を高め国民生活を豊かにすることだ。
平成24年12月、政権を奪回した当時の安倍晋三首相は民主党の原発ゼロ政策の白紙撤回を表明した。
しかし、菅直人元首相は、
「そう簡単に元に戻らない仕組みを民主党は残した」
「その象徴が(自身が設置した)原子力規制委員会だ」
と述べ、具体例として日本原電敦賀原発2号機の活断層問題を挙げた(平成25年4月30日、北海道新聞)。
原発再稼働を阻止し、原発ゼロを目指す菅氏の企みに沿った形で活動する規制委の原子力産業への視線は、敵対的で悪魔の如しだ。
例えば、欧米では原発に関する検査記録は全て電子化されパソコンでの閲覧が可能だが、日本では必ず紙に転記して提出しなければならない。
規制委が原発各社に要求する検査関連書類は概して10万ページ、厚さ10センチのパイプ式ファイルで150冊分、積み上げると15メートル、5階建ての建物に匹敵する。
現在、青森県六ケ所村では規制委の要求する書類作りに体育館を借りて300人が汗だくで働いている。
こうして作成された書類を規制委は皿の目で検閲し、誤字脱字を見つけてはそれを咎め、やり直しを命ずるのだ。
正に狂気の沙汰だ。
こんな規制委を国際原子力機関(IAEA)の専門家チームも厳しく評価している。
2016(平成28)年初め、12日間に渡って規制委の仕事ぶりを調査し暫定評価を公表した。
規制委に対して改善すべき具体例として筆頭に挙げたのが
「もっと能力のある経験豊かな人材を集め、教育、訓練、研究および国際協力を通じて原子力と放射能の安全に関係する技術力を上げるべきだ」
という点だった。
「能力ある人材を集めよ」
とIAEAに指摘された恥ずべき存在が規制委だ。
現在、欧米各国では小型モジュール炉(SMR)や革新炉の建設が始まっている。
米国の大学ではキャンパスにSMRやマイクロリアクター(超小型の原子炉)を設置する動きもある。
IAEAの特別チーム、米国原子力規制委員会(NRC)が大学と協力して計画は進行中だ。
東工大特任教授の奈良林直氏が苦笑した。
「日本の規制委は恐らくSMRに関して10年以上の活断層審査をするのではないか」
「でも彼らにはSMRの知識もありませんから審査そのものができないでしょう」
「このようにして我が国の科学技術の進歩は世界からどんどん遅れていくのです」
菅氏が強い敵意をもって原発潰しのためにつくった規制委が高い独立性をもった三条委員会であるという事実に恐れをなして、自民党は対策を立てられないでいる。
情けない。
国民と国益のため、IAEAの助言のようにもっと能力のある経験豊かな人材を規制委に任命せよ。
その上で、どの国でも普通に行われている規制委と政治の対話を怠るな。
国民生活を安全に豊かに、経済安全保障の土台として、安定したエネルギー供給を図れるようにせよ。

http://www.asyura2.com/22/genpatu54/msg/406.html#c4

[政治・選挙・NHK287] 安倍元首相暗殺 山上容疑者の隣にいた白いヘッドホンの女が怪しい  魑魅魍魎男
120. 秘密のアッコちゃん[1015] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 06:26:42 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[580]
<■1654行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度には断固反対だ。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/22/senkyo287/msg/820.html#c120

[政治・選挙・NHK296] 飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
23. 秘密のアッコちゃん[1016] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 06:46:39 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[581]
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野党の盟主・立憲民主党の「勝利」と「敗北」 主要委員長ポスト掌握も多数派工作は不発
2024/11/14 20:45
https://www.sankei.com/article/20241114-R6ORCOFV4JLAXLXS6P4CG4A5IU/
2024年11月14日に閉会した特別国会で、立憲民主党は
「勝利」

「敗北」
を同時に味わった。
衆院選で公示前から50議席増の148議席となり、衆院で主要な委員長ポストを獲得した一方、野党が過半数を占めながらも首相指名選挙の決選投票では多数派工作に積極的に乗り出さずチャンスを逃した。
参院で与野党が捻じれていることもあるが、野党結集の
「旗印」
を示せず課題を残した。
■予算委員長握り審議は野党主導に
立民の笠浩史国対委員長は2024年11月14日の党会合で、2024年11月28日に召集される方向の臨時国会について
「衆院政治倫理審査会を開き、説明責任を果たすよう求めていきたい」
と述べ、自民党の派閥パーティー収入不記載事件を厳しく追及する考えを示した。
同時に、政治資金規正法再改正に向けても準備を進めていくとも強調した。
立民は衆院選で
「政治とカネ」
問題に焦点を絞り、議席を大幅に伸ばし、野党が過半数を占めた。
衆院の勢力図が変わり、解散前は与党15、野党2だった常任委員長ポストの配分は与党10、野党7となった。
特に政府の予算案を審議し、採決日程の決定や議事進行で大きな権限を持つ予算委員長を立民が確保し、国会運営に精通した安住淳前国対委員長を据えた意味は大きい。
既に財務省幹部らが連日のように安住氏の事務所を訪ねており、野党主導の予算案審議に向けた準備が進む。
■首相指名で積極的に動かず
国会運営で存在感を増す立民だが、野党の糾合は道半ばだ。
それが顕著に表れたのが、2024年11月11日の首相指名選挙の決選投票だった。
立民の野田佳彦代表は野党各党に自らへの投票を呼び掛けたが、決選投票で野田氏に投票したのは共産のみ。
幅広い野党勢力を結集するために熱心に働き掛けたとは言えず、結果的に84票の無効票を生んだ。
立民の小沢一郎衆院議員は2024年11月13日夜、東京都内での野田氏との会合で
「84票の無効票が野田氏に入れば内閣を取れた」
「よく考えるべきだ」
と忠告したという。
とはいえ、参院で与党が過半数を占める状態では、仮に
「野田政権」
が誕生したとしても
「捻じれ国会」
となる。
立民幹部は
「衆院だけ取っても意味がない」
「だから、やらなかった」
と次を睨む。
「参院選の1人区はどれだけ野党が候補者調整できるかが重要なカギを握ってくる」
「しっかり対応していきたい」
野田氏は2024年11月14日、国会内で開いた党会合でこう訴え、野党勢力の糾合に向けてリーダーシップを発揮する意思を示した。

立憲民主党の野田代表沈黙…大躍進で「KY」か
2024/11/8 6:00
https://www.sankei.com/article/20241108-2TFSV2OMBBKELKYSROPKUMVMXU/?outputType=theme_election2024
先の衆院選で大躍進した立憲民主党の野田佳彦代表の存在感がまるで空気≠フようだ。
衆院選で公示前から50議席増の148議席に大躍進したが、自民、公明両党の衆院過半数割れにより、注目を浴びるのはキャスチングボートを握る国民民主党ばかり。
野田氏の静けさには政局の行方を見定めようとの思惑がある一方、急膨張に伴う
「危険を予知」(KY)
したとの見方が出ている。
「熟議と公開の時代に入ってきた」
「そういう時代認識の下で精力的に各党との協議を進めていきたい」
立民の野田佳彦代表は2024年11月5日、国民民主の玉木雄一郎代表との会談後、与党衆院過半数割れとなった現在の政局認識について、こう指摘した。「政党間の協議が活発になってきた」
「どんな話し合いが行われたかを丁寧に公開していくことが第一」
「何度でも意見交換し、そこで一致点を見いだす熟議が大事」
とも語り、各党との対話を通じて複雑な政局を乗り越えていく意思を示した。
選挙戦では、自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受けて
「政治とカネ」
の問題にターゲットを絞り、
「国民の怒り」
を受け止めることに成功した。
野田氏は
「与党衆院過半数割れ」

「比較第一党」
を掲げ、そのうちの1つの目標を達成する一方、国民民主党は公示前4倍に躍進し、日本維新の会も議席を減らしたとはいえ、38議席を維持し野党第2党の立場を守った。
■3割近く占める新人に危うさ
今年2024年9月末に代表に就任し、僅か1カ月で政権交代にあと一歩まで迫ったが、投開票日直後から野田氏の顔には憂悶が浮かんでいた。
大勢が判明した2024年10月28日未明、大躍進にも関わらず厳しい表情の訳を記者団に問われると、野田氏は
「まだ初めの1歩で、これからが大変だ」
「元々余り笑顔は出る方ではないが、むしろ気が引き締まってきた」
とかわした。
政権交代を実現できなかった悔しさがあったのだろうが、野田氏の胸には別の思いが去来していた可能性がある。
まずは新人議員の危うさだ。
今回、立民には39人の新人議員が誕生し、全体の3割近くを占める。
民主党に政権交代した平成21年衆院選でも大量の新人が当選し、スキャンダルや身勝手な振る舞いで党内に混乱をもたらした。
立民関係者は
「今回の選挙は完全に敵失で、公示直前に擁立した候補者も多数いる」
「個別の身体検査は全くできていない」
と明かす。
既に複数の週刊誌が新人議員が隠すスキャンダルにターゲットを絞り、手ぐすねを引いて待ち受ける。
■示せなかった政権担当能力
一方、
「裏金問題ばっかり言い過ぎた」(野田氏)
と振り返るほど、
「裏金一辺倒」
で政権与党を批判したが、選挙戦を通じて政権担当能力を示すことはできなかった。
立民幹部は選挙戦に
「政権交代まではいかない」
と見ていたが、2024年10月23日の共産党機関紙「しんぶん赤旗」の報道で情勢が一気に変わった。
「赤旗」
は自民党が非公認とした前議員が代表を務める党支部に対し、政党交付金から
「活動費」
名目で2000万円を支出した問題を報じ、野党に追い風を吹かせた。
だが、立民内には
「公約で示した政策は、政権担当能力を堂々と示せるほどのものではない」(党幹部)
との認識があった。
一例を挙げれば、立民が日銀の物価安定目標を
「2%から0%超に変更すると共に、政府・日銀の共同目標として、実質賃金の上昇を掲げる」
と明示したことは物議を醸した。
物価の引き下げと賃金上昇の両立は不可能などとして、
「手取りを増やす」
政策を掲げて戦っていた国民民主から批判された。
市場関係者も不安視し、説明不足を認めた立民側も釈明に迫られる始末だった。
選挙戦を通じて経済オンチぶりを印象づける結果となってしまった。
別の立民関係者は、前身の旧民主党が政権交代を果たした後、分裂を繰り返してきた経緯を踏まえ、
「野田氏が憂い顔だったのは、分裂を繰り返した苦い経験が頭を過ったのではないだろうか」
と話した。

衆院選で50議席増、立憲民主党にこれだけの不安 野田代表の持論、増税路線・改憲停滞・女系天皇容認…旧民主党と同じ轍?
2024.10/28 15:15
https://www.zakzak.co.jp/article/20241028-VR3YTL6DXRIRJMZLWILWU4Y64Y/
野田佳彦代表の立憲民主党は衆院選で148議席(50議席増)という大躍進を果たした。
今後、来夏の参院選勝利と、次期衆院選での政権奪取に向けた準備を進める方針だが、不安も多い。
同党の政策や野田代表の言動には、増税を主張したり、憲法改正論議を停滞させたり、「女系天皇」容認につながる持論が見られるのだ。
「(自民党の)裏金問題に厳しい批判があった」
「政治改革のため、どの党が良いかという観点で立民に支持が集まった」
野田代表は2024年10月27日、勝因についてこう述べた。
同日の民放番組では、
「『自公政権の継続は駄目だ』との立場で政治改革を推進するとの一致点があるなら対話していきたい」
と語り、他党との連携に意欲を示した。
立憲民主党は衆院選で
「政権交代こそ、最大の政治改革。」
と謳い、派閥裏金事件に揺れる自民党批判を繰り返して議席を増やした。
だが、国民の暮らしに直結する具体的政策には、首を捻りたくなるものも多い。
物価高に苦しむ国民が多い中、立憲民主党は消費税減税には踏み込まず、低所得者に消費税の一部を還付する制度導入を打ち出すにとどまった。
野田氏は2024年10月14日のTBS番組で、現在一律20%の金融所得課税について
「税率を高めることはあり得る」
と述べ、法人税も
「今まで引き下げ競争をやり過ぎた」
「引き上げる余地がある」
と語った。
安全保障上の懸念もある。
日本は、中国やロシア、北朝鮮という核を持つ全体主義国家に囲まれているが、憲法改正にも立憲民主党は消極的姿勢を取る。
先の通常国会の衆院憲法審査会では、自民党が、公明党や日本維新の会、国民民主党などと調整して、選挙困難時に国会議員の任期延長を可能にする憲法改正案の
「叩き台」
となる論点整理を提示した。
これに対し、立憲民主党は慎重姿勢を崩さず発議の時期すら見通せない。
安定的な皇位継承策への考えにも疑念がある。
野田代表は2024年10月1日のインターネット番組で、
「男系の女性天皇に持っていくためにも、配偶者や子の問題をどうクリアするかだ」
と述べ、女性皇族に加えて配偶者や子にも皇族の身分を付与すべきだとの考えを示した。
これまでも、野田代表は
「女性宮家」
創設に強い拘りを持っており、当主の子が宮家を引き継ぐことになれば
「女系天皇」
誕生の糸口となるだけに、保守層の警戒を呼んでいる。
前身の民主党政権は政権担当時、米軍普天間飛行場の辺野古移転に関する迷走や、衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)の破綻、東日本大震災や原発事故での対応、党内抗争の激化などが目立ち、
「悪夢の民主党政権」
と呼ばれた。
同じ轍を踏むことはないのか。

<主張>立民代表に野田氏 「保守色」は感じられない
社説
2024/9/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20240924-4OGWIIAU3ZPFXBKTDWXSWCNBLY/
立憲民主党臨時党大会で、野田佳彦元首相が党の創設者である枝野幸男元代表らを破り新代表に就任した。
野田氏は次期衆院選が迫っているとして、
「本気で政権を取りにいく」
と語った。
代表選を通じ野田氏は
「穏健な保守層」
へ支持を広げると語ってきた。
保守政治家を自任しているのかもしれないが、野田氏が語った政策は現実路線とは思えない。
野田氏は演説で、政権を得れば
「アジア太平洋地域に米国がコミットし続ける(ような)日米同盟を基軸とした外交安全保障を作る」
と述べた。
だが、野田氏が代表選で語った政策は同盟を揺るがす内容を含んでいた。
抑止力を向上させた集団的自衛権の限定行使容認について、違憲との考えを示したからである。
日米の外交、防衛協力の現場は混乱し、抑止力と対処力を損なうだろう。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設については
「基本形は変わらない」
と述べる一方で、沖縄の民意を踏まえ米国と協議するとも語った。
移設工事停止もあり得るということなのか。
憲法改正には消極的だ。
「論憲」
の立場を表明したが
「今、憲法論を1番の争点としてやることなのか」
とも語った。
緊急事態条項を巡っては
「参院の緊急集会で対応できる」
と否定的だった。
これでは有事や大規模災害から国民を守れまい。
護憲派と改憲派が混在する党内事情から憲法改正に正面から取り組むのは不得策と考えたのか。
一方、野田氏が連携を想定する日本維新の会や国民民主党は憲法改正に積極的だ。
両党は緊急事態での議員任期延長で一致している。
維新は自衛隊明記も求めている。
両党との連携は難しい課題となろう。
野田氏は共産党との選挙協力を否定したこともなかった。
共産と結び、
「立憲共産党」
と呼ばれて選挙に敗北した党の過去を忘れてはなるまい。
野田氏は先の国会で、皇族数確保に関する合意形成の障害となっていた。
「女性宮家」
の非皇族男子の夫と子の皇族化に拘ったようだが、これは先例を尊ぶ皇室の歴史で1例もない。
皇統断絶を意味する
「女系天皇」
に繋がりかねない危うい議論でもある。
今上天皇まで貫いてきた男系(父系)継承を守る立場を取ってほしい。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/118.html#c23

[NWO7] ロバート・ケネディ Jr氏 「全体主義に私たちは抵抗しなければならない」  魑魅魍魎男
5. 秘密のアッコちゃん[1017] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 07:02:06 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[582]
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中国暴走事件、拘束の男は前日に現場下見と使用車両納車 周到に準備の上で犯行か
2024/11/14 21:12
https://www.sankei.com/article/20241114-AMLZRGZFCZPCHDFN4XPP3M46RE/
中国広東省珠海市の体育施設で男が車を暴走させ35人が死亡した事件で、2024年11月14日付の香港紙、星島日報は、拘束された男(62)が前日に現場を下見していたとみられると報じた。
犯行に使われたスポーツタイプ多目的車(SUV)は前日に納車されたという。
周到に準備した上で、犯行に及んだ可能性がありそうだ。
シンガポール紙、聯合早報や中国のインターネット情報を基にした星島日報の報道によると、事件前日、体育施設の入場ゲート近くの駐車場に犯行に使われたとみられるSUVが止まっていた。
事件では、男のSUVが入場ゲートを突破して体育施設内に入り、歩いたり走ったりする人々を高速ではねた。(共同)

TBS記者、中国で取材中「警察呼ばれ、全て素材削除させられた」 広東の車暴走死傷で
2024/11/13 18:38
https://www.sankei.com/article/20241113-C3TJQYQTJFETBG2DXZDBREMACM/
中国広東省珠海市で2024年11月11日、車が暴走し多数の人が死傷した事件について、現地で取材しているTBSテレビの記者が2024年11月12日、X(旧ツイッター)で
「撮影していたら近所の住民を名乗る人に取り囲まれた上、警察を呼ばれ、派出所に連れて行かれて、全ての素材を削除させられました」
と書き込んだ。
報道によって社会不安が増すことを中国当局が警戒したとみられる。
記者は別の投稿で、
「不自然に私服の市民が現場近くでたむろしていて、外国人記者を見つけると、すかさず通報」
と書き込んだ。
英BBC記者がスタジアム前でレポート中に中国市民を名乗る男から撮影を妨害されているニュース動画も投稿した。
TBSは2024年11月13日、産経新聞の取材に対し、記者がXに一連の投稿をしたことを事実上認めた。
地元警察は2024年11月12日、35人が死亡し、43人が負傷したと発表した。
車を運転した62歳の男を拘束した。
一方、中国のSNSで事件に関するハッシュタグが検索できないなど投稿が一部制限されたり、NHK海外放送のニュース番組が2024年11月12日に同事件を伝えた際に放送の一部が遮断されたりする場面があった。
記者は2024年11月13日の投稿では
「現場には献花に訪れる人、涙ぐむ市民もいました」
「現場取材の妨害もありませんでした」
と書き込んだ。

習近平氏が「極端な事件」発生防ぐよう求める重要指示 中国・珠海で車暴走 35人死亡
2024/11/12 21:27
https://www.sankei.com/article/20241112-4YRGWJOBCZPTHDLSHXMKBXVOAM/
中国南部、広東省珠海市のスポーツ施設の敷地内で2024年11月11日夜、乗用車が暴走して多数の人をはねて逃走した。
地元警察は2024年11月12日、35人が死亡し、43人が負傷したと発表した。
当局は車を運転していた62歳の男を拘束した。
中国国営新華社通信は2024年11月12日、習近平国家主席が、負傷者の治療を全力で行うことや、
「極端な事件」
の発生を防ぐよう求める重要指示を出したと伝えた。
地元警察は、男が離婚後の財産分割の結果に不満を持ったことを機に犯行に及んだとの見方を示した。
男は車で人をはねた後に逃走したが警察に止められ、車内で刃物により自殺を図ろうとしていたところを制止された。
病院に運ばれて治療を受けているが、首などに重傷を負って意識不明だという。
警察は、証言や電子的な証拠などから動機の解明を進めている。
現場はランニングなどのため多くの人が集まる場所で、車の出入りは制限されていた。
珠海では2024年11月12日から中国最大の航空ショーが開催されており、国内外の注目を集めるため事件を起こした可能性もある。
中国の交流サイト(SNS)では事件に関連するハッシュタグ(検索目印)が検索できないなど投稿が一部制限されている。
社会不安が増すことを中国当局が警戒しているとみられる。
NHK海外放送のニュース番組が2024年11月12日に同事件を伝えた際には、放送の一部が遮断されてカラーバーと
「信号異常」
を示す画面に切り替わった。
中国各地では、無差別な襲撃事件が頻発している。
2024年9月末には上海市のスーパーマーケットで男が来店客らを切り付け、3人が死亡、15人が負傷した。
不動産不況に端を発する景気低迷により、国民の間で不満が高まっていることが背景にあるとも指摘されている。
在中国日本大使館は2024年11月12日、人が集まる場所で刺傷事件などが発生していると注意喚起した。
同省広州市の日本総領事館が確認したところ、被害者に日本人はいない。

中国・珠海の車暴走で35人死亡、43人けが 中国SNSは投稿制限
2024/11/12 20:20
https://www.sankei.com/article/20241112-UBJ2PZ3XFBL6LDRCV2STCBGC6I/
中国南部、広東省珠海市のスポーツ施設の敷地内で2024年11月11日夜、乗用車が暴走して多数の人をはねて逃走した。
地元警察は2024年11月12日、35人が死亡し、43人が負傷したと発表した。
警察は車を運転していた62歳の男を拘束した。
車は人をはねた後に逃走したが、当局に止められた。
警察は、容疑者の男は離婚後の財産分割の結果に不満を持ったことがきっかけとなり犯行に及んだと説明。
同省広州市の日本総領事館が確認したところ、被害者に日本人はいない。
現場はランニングなどのため多くの人が集まる場所で、車の出入りは制限されていた。
珠海では2024年11月12日から中国最大の航空ショー
「中国国際航空宇宙博覧会」
が開催されており、国内外の注目を集めるため事件を起こした可能性もある。
中国の交流サイト(SNS)では事件に関する投稿が制限されている。
事件が広く知られ、社会不安が増すことを中国当局が警戒しているとみられる。
NHK海外放送のニュース番組が2024年11月12日に同事件を伝えた際、放送の一部が遮断されてカラーバーと
「信号異常」
を示す画面に切り替わった。
中国各地では、無差別な襲撃事件が起きている。
2024年9月末には上海市のスーパーマーケットで男が来店客らを切り付け、3人が死亡、15人が負傷した。
不動産不況に端を発する景気低迷により、国民の間で不満が高まっていることが背景にあるとも指摘されている。
在中国日本大使館は2024年11月12日、人が集まる場所で刺傷事件などが発生していると注意喚起した。

http://www.asyura2.com/23/holocaust7/msg/628.html#c5

[政治・選挙・NHK268] 小泉進次郎氏の不倫報道をワイドショーがスルーするワケ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
48. 秘密のアッコちゃん[1018] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 07:13:24 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[583]
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選挙で痛感する日本人の幸福 外国勢力による組織的干渉、開票不正の指摘は皆無
赤の広場で
2024/11/15 7:00
https://www.sankei.com/article/20241115-QZVZOUUJNNI5PGEAGDGWVQ6QV4/
日本で衆院選が行われた2024年10月下旬、旧ソ連圏でも2つの選挙が行われた。
モルドバ大統領選とジョージア(グルジア)議会選だ。
両選挙に共通したのは、国家が親ロシア路線と親欧米路線のどちらに進むのかが争点化したことだ。
モルドバでは親欧米派の現職大統領が勝利し、ジョージアでは親露色を強める与党の勝利が発表された。
モルドバの親欧米派は有権者買収など
「選挙干渉」
を試みたとして、ロシアと親露派を非難。
これに対し、ジョージアでは親欧米派が与党による
「開票不正」
が起きたと主張した。
真偽は別として、旧ソ連圏の選挙では対立勢力が相手による不正を訴えるのは日常茶飯事で、両選挙でも繰り返された形だ。
一方、日本では個別の選挙違反は起きても、外国勢力による組織的な干渉や開票不正が指摘されることは皆無だ。
それは、日本人の多くが
「公正であるべき選挙への介入は許されない」
と考えているためだろう。
しかし、
「選挙は不正が起きるものだ」
「権力が結果を改竄しているはずだ」
という諦念や疑いを外国人から聞く度に、選挙を信頼できる国に住める日本人は何と幸せかと痛感する。

こんなに違った政党の「公認」と「非公認」 資金や露出面で選挙運動に大きく影響
イチから分かる衆院選(1)
2024/10/17 7:00
https://www.sankei.com/article/20241017-X2BC2U2275ISVHBLAXQOSJ7XIQ/?outputType=theme_election2024&727968=true
あきこ
政党に所属する人が衆院選に立候補する時に、党の「公認」をもらえるかどうかがポイントになるとニュースで知りました。
どんな違いがあるのですか
こうせい
公認候補は党の看板を背負って出馬したとみなされるから、新聞などにも党所属と記載されるよ。
非公認だとたとえ党員であっても無所属の扱いになるんだ。
比例代表に重複立候補することができないから、小選挙区で敗れて比例で
「復活当選」
することも無理になるね
あきこ
候補者にとってみれば大きな問題なんですね。
選挙活動にも影響があると聞きました
こうせい
一般的には党からの
「公認料」
がもらえないから、経済的に厳しい選挙活動を強いられることになるね
あきこ
お金の問題だけですか
こうせい
他にもあるよ。
分かりやすいところだと、テレビやラジオに出て、9分以内で政策などを訴える政見放送は公認候補だけができるんだ。
無所属だと氏名や経歴などの読み上げだけになるね
あきこ
政党に所属している方が何かと有利なのですね
こうせい
1つの見方としてはそうだね。
選挙ビラ配布の上限も候補者個人は7万枚だけど、公認候補だと4万枚がプラスされる。
また、選挙ポスターを政党分として1000枚までは公営掲示板以外の場所に掲示することもできるよ

解散するのか、しないのか 内閣支持率と首相の思惑 追い込まれ解散で政権交代も
イチから分かる衆院選(2)
2024/10/18 7:00
https://www.sankei.com/article/20241018-7KHIH4OAVVK67EG5LH2FB6VBEA/?outputType=theme_election2024
あきこ
新しい首相が就任してすぐに衆議院が解散され、衆院議員を選ぶ総選挙が始まりましたね
こうせい
総選挙には、衆院議員の任期満了(4年)に伴うものと、任期が満了する前に議員の地位を失わせる衆院解散によるものがあるんだったね
あきこ
そういえば、憲法にも解散について書かれているそうですね
こうせい
よく知っているね。
憲法7条で
「内閣の助言と承認による天皇の国事行為」
とされているんだ。
実質的には首相が判断するため
「首相の専権事項」
と呼ばれる。
また、憲法69条には、衆院で内閣不信任決議案が可決された場合、衆院を解散するか内閣総辞職をしなければならないという規定もあるんだよ
あきこ
解散されるとどうなるんですか
こうせい
解散日から40日以内に総選挙が行われる。
今回は、2024年10月1日の首相就任から8日後の解散、26日後の投開票となり、いずれも戦後最短だ。
ちなみに任期6年の参議院に解散はなく、3年に1回、定数の半分を選び直す参院選が行われるよ
あきこ そもそも、解散はどんなタイミングで行われるのでしょう
こうせい 解散には国民の信を問おうという意図があるんだ。首相が交代した直後などの内閣支持率が高い時に行われる例があるよ。最も有利なタイミングを見極めているともいえるね。過去には、残り任期が短くなり支持率が下がる中で「追い込まれ解散」となり、政権交代したケースもあるんだ

小選挙区の「10増10減」って?人口の違いによる「一票の格差」是正が目的
イチから分かる衆院選(3)
2024/10/19 7:00
https://www.sankei.com/article/20241019-4YSQGIVWVJPKFLOAIIJR6TS7MU/?outputType=theme_election2024
あきこ
今回の衆院選から「小選挙区」の区割りが変更されると聞きました。
どういうことですか
こうせい
令和4年に衆院小選挙区を「10増10減」する改正公職選挙法が施行されたんだ。
過去最多の25都道府県・140選挙区で区割りが変わるよ
あきこ
区割り変更は何のためにするのですか
こうせい
選挙区ごとの人口の違いが原因で生じている「一票の格差」を是正するためなんだ。
例えば、同じ議員数を選出する場合、有権者数が50万人の選挙区では100万人の選挙区に比べて1票の価値が2倍の重みを持つ。
有権者1人当たりの1票の重みが住んでいる地域で不均衡な状態を正常化して、憲法の「法の下の平等」を実現するのが変更の目的だよ
あきこ
何が変更の基準になったのでしょうか
こうせい
令和2年国勢調査に基づき、格差が2倍以上とならないように区割りを変更したんだ。
その結果、この調査で人口が最も少なかった鳥取2区を基にした最大格差は2・096倍から1・999倍に縮小したよ
あきこ
変更は良いことばかりなのかしら
こうせい
減ったのは滋賀や和歌山といった主に人口減少が続く地域。
だから「地方の声が届かなくなる」という懸念もあるんだ。
候補者は新しい区割りに対応するのは大変だし、有権者もいつも投票していた候補者と違ったりして、戸惑うかもしれないね

釈然としない? 小選挙区比例代表並立制
イチから分かる衆院選(4)
2024/10/21 10:30
https://www.sankei.com/article/20241021-6EPHMBCQIRKOLCGG3TW77WGYSU/?outputType=theme_election2024
あきこ
衆院選は、小選挙区比例代表並立制という仕組みを取っているんですね。
名前の通り、小選挙区制と比例代表制を組み合わせたと聞きました。
こうせい
そのため、投票用紙は2種類あって有権者は2票を投じる。
全国289の小選挙区では候補者名1人を投票し、最も得票の多かった人が当選。
全国11ブロックに分けた比例代表では政党名を書くよ。
あきこ
なぜこの仕組みになったのですか
こうせい
今の制度は平成8年の衆院選から始まった。
以前は中選挙区制といって、広い選挙区から3〜5人の当選者を選んでいた。
同じ政党から複数の候補者が出るため政策が似通い、政策ではなく有権者へのサービス合戦になり、選挙にお金がかかり過ぎたとの反省があったんだよ。
あきこ
小選挙区と比例代表のメリット、デメリットは何ですか
こうせい
小選挙区では1政党1人の立候補のため、政策本位の選挙が期待できる。
一方で1人しか当選できないため、死票が多い。
比例代表は死票を防ぐ役割があるよ。
ただ、政党を選べるが候補者は選べない。
2つの制度はメリット、デメリットがあり、互いに補うよう組み合わせたんだね。
あきこ
小選挙区と比例代表に重複立候補できると聞きました。
こうせい
小選挙区で落選しても比例代表での復活当選が期待できるよ。
当選者の得票にどれだけ迫ったかなどで決まる。
同じ小選挙区の候補者が最終的に全員当選といった現象も起きていて、釈然としないという批判もあるよ。

ユーチューブ投稿やメール送信…ネット選挙ってどこまでできるの?
イチから分かる衆院選(5)
2024/10/22 7:00
https://www.sankei.com/article/20241022-CDOLNWPOZBNUDLMTZQHC5BIKJ4/?outputType=theme_election2024
あきこ
ユーチューブで衆院選の候補者が投票を呼びかけているのを見かけました。
これはいいことなのでしょうか
こうせい
いい質問だね。
以前はインターネット上の選挙運動はできなかったんだけど、有権者の政治参加を促すため、平成25年に公職選挙法が改正されて解禁されたんだ。
だから、選挙期間中はユーチューブの他にも、交流サイト(SNS)やブログなどでも選挙運動ができるよ
あきこ
確かにネット上の色んな所で候補者の情報を見かけるようになった気がします。
では、電子メールでもできるのでしょうか
こうせい
政党や候補者は電子メールでできるけど、有権者はできないんだ。
他にも選挙運動用のホームページや政党や候補者から届いた電子メールをプリントアウトして配ることが禁止されているよ
あきこ
何でもできるというわけではないんですね。
有権者はLINEでも呼びかけることはできないのでしょうか
こうせい
LINEはSNSの1つで、LINEなどSNSのメッセージ機能を使って呼びかけることは禁止されていないんだ
あきこ
なるほど。
じゃあ、私も友達にLINEで送ってみようかな
こうせい
あきこさんはまだ中学生だよね。
18歳未満は、そもそも選挙運動をすることができないと法律で決められているんだよ

http://www.asyura2.com/19/senkyo268/msg/525.html#c48

[政治・選挙・NHK296] 世にも怪しい自公国協議 年収の壁 諸悪の根源は歴代自民党政権と財務省(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
19. 秘密のアッコちゃん[1019] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 08:01:52 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[584]
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[社説]危険運転を根絶する法律に
社説
2024年11月14日 19:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD144HR0U4A111C2000000/
飲酒や猛スピードの走行など悪質な運転による事故の刑事責任を問う危険運転致死傷罪について、見直しを議論してきた法務省の検討会が報告書案をまとめた。
現行法は要件が曖昧で立証のハードルが高いとの批判があり、適用基準を明確にするなどの方針を示した。
更に議論を深め、悲惨な事故の撲滅に繋げなければならない。
危険運転致死傷罪は2001年に新設された。
東名高速道路で飲酒運転の大型トラックが乗用車に追突し、女児2人が死亡した事故がきっかけだ。
飲酒や高速走行、信号無視、煽り運転などによる事故が対象で、法定刑の上限は懲役20年と過失運転致死傷罪(同7年)より重い。
だが同罪に問うには
「進行を制御することが困難な高速度」

「アルコールの影響で正常な運転が困難」
だったことを立証しなくてはならない。
「事故を起こす前まで正常に運転していた」
などの反論が認められる可能性があった。
2024年5月に群馬県伊勢崎市で家族3人が死亡した事故では、飲酒運転で事故を起こしたトラック運転手が過失致死傷罪で起訴された後、遺族らが要望して危険運転致死傷罪に訴因変更された。
飲酒を
「過失」
とするのは市民感覚からかけ離れ、立法趣旨にも反しよう。
遺族らが納得できなかったのは当然だ。
報告書案では、速度や呼気中のアルコール濃度などの数値基準を定め、超えた場合に一律で同罪を適用することとした。
具体的数値はこれからの検討課題になる。
数値だけが適用の物差しになれば、
「基準以下だから危険運転には当たらない」
という発想を誘発しかねない。
法体系全体のバランスを踏まえつつ、適切な刑事罰を科せられるような制度にしなければならない。
厳罰化だけで事故を根絶することはできない。
ドライバー1人1人の安全意識を高めるため、交通教育や啓発を充実させる必要がある。

194キロ死亡事故「加速感楽しんでいた」 裁判員裁判で男性被告
2024/11/12 17:07
https://www.sankei.com/article/20241112-2UE5FVEWWVKTBHMWZG47XXHZHI/
大分市の一般道で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性会社員=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)は2024年11月12日、大分地裁の裁判員裁判の被告人質問で、スピードを出す理由を
「エンジンやマフラー音、加速する感覚を楽しんでいた」
と述べた。
被告は死亡事故を起こすまで、高速道路で時速200〜210キロ、事故現場の県道で170〜180キロ出した経験があると説明。
弁護側からの質問に、事故時は
「150キロくらい出ている感覚だった」
と供述した。
一方、供述調書には、事故直前に感覚では200キロ近く出ていたと述べていたことを検察側から問われると
「覚えていない」
と答えた。

時速194キロ事故「過失のわけがない」 危険運転罪認めず、遺族が批判
2024/11/6 0:01
https://www.sankei.com/article/20241106-RV6O2PJRMRJ7FILIB3YCGVK3WU/
大分市で令和3年、時速約194キロの乗用車で死亡事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)の裁判員裁判初公判で、検察側は2024年11月5日、事故時の様子が写った映像や損傷した被害車両の写真などを示した。
遺族は記者会見で
「一体どんな高速度だったのか」
「過失のわけがない」
と憤った。
弁護側は危険運転罪は成立せず、同法違反(過失致死)罪にとどまると主張している。
死亡した会社員、小柳憲さん=当時(50)=の姉、長(おさ)文恵さん(58)は閉廷後、ドライブレコーダーの映像や小柳さんの着衣の写真を法廷で見て、弟の痛みを想像して涙が溢れたと明かし、
「うっかり起きた過失と一緒にされたら困る」
と語気を強めた。
被告は罪状認否で危険運転罪に関して
「よく分かりません」
と述べる一方、
「小柳憲さんとご遺族に心より謝罪します」
とも口にした。
長さんは、謝罪時に遺族を見ようとしなかったとし、
「誰に向けて謝っているのだろうと感じた」
と非難した。

194キロ危険運転争う姿勢 50歳男性死亡事故で弁護側 大分地裁
2024/11/5 10:58
https://www.sankei.com/article/20241105-ETIDIULAWVIZFCIPXIZSFYQJZE/
大分市で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)は2024年11月5日、大分地裁の裁判員裁判初公判で起訴内容について
「よく分かりません」
と述べ、弁護側は
「危険運転致死は成立しない」
と主張した。
令和4年12月に、同法違反(過失致死)罪から訴因変更されていた。
判決は2024年11月28日。
起訴状によると、令和3年2月9日午後11時頃、上限が法定速度の時速60キロと定められた県道交差点を、対向から右折する車を妨害する目的で、制御困難な時速約194キロで進入。
会社員、小柳憲さんの車に衝突して死亡させたとしている。
大分県警は危険運転致死容疑で書類送検したが、大分地検は令和4年7月、一旦同法違反の過失致死罪で在宅起訴。
より法定刑の重い危険運転罪適用を求める署名提出を遺族から受けた後、地裁に訴因変更を請求し認められた。

時速194キロで走行、危険運転致死に問われた元少年は初公判で「そのようなこと分かりません」
2024/11/5 13:07
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241105-OYT1T50067/
大分市で2021年、法定速度の60キロを大幅に上回る時速194キロで乗用車を走行して事故を起こし、男性を死亡させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)に問われた元少年(23)の裁判員裁判の初公判が2024年11月5日午前、大分地裁(辛島靖崇裁判長)で始まった。
元少年は罪状認否で
「そのようなことは分かりません」
と述べた。
事故で大破した小柳さんの車(遺族提供)
起訴状では、元少年は2021年2月9日深夜、大分市の県道交差点で、制御困難な時速194キロで走行。
右折中だった同市の会社員小柳憲さん(当時50歳)の車の通行を妨害する目的で交差点に進入して事故を起こし、小柳さんを死亡させたとしている。
公判では、元少年の運転が、危険運転の適用要件である
〈1〉制御が困難な高速度
〈2〉妨害する目的で通行中の車に接近
に該当するかどうかが主な争点となる。
弁護側はこの日、危険運転致死について否認し、検察側が予備的な訴因として加えている同法の過失運転致死については争わない姿勢を示した。
検察側は冒頭陳述で、小柳さんは事故で締めていたシートベルトがちぎれて路上に飛び出し、骨盤を骨折するなどして死亡したと主張。
〈1〉については、路面の状況から車体に揺れが生じ、ハンドルやブレーキの操作を誤る恐れや、夜間に194キロで運転することで視野や視力に大きな影響を与え、操作を誤る恐れがあったなどとした。
また、右折車が来ることが想定されたとして、
〈2〉の要件も満たすと主張。
「常軌を逸した高速度で、動機は極めて身勝手」
と指摘した。
事故を巡っては、大分地検は2022年7月、法定刑の上限が懲役7年の過失運転致死で在宅起訴。
遺族らは法定刑の上限が懲役20年の危険運転致死への訴因変更を求めて約2万8000筆の署名を地検に提出。
地検は補充捜査の上、変更を地裁に請求し、認められた。

<主張>危険運転致死傷罪 国民常識との乖離埋めよ
2024/2/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240207-V6KMS75HSZNLZB4I5Z5XJLQDXU/
法務省は、危険運転致死傷罪の要件を見直す検討を始めた。
現行要件の基準が分かりにくく、事故遺族らが
「危険で悪質な事案を取りこぼさないようにしてほしい」
と要望していた。
令和3年2月、大分市内の県道交差点を右折する会社員の乗用車に、当時19歳の少年が運転する直進車が衝突した。
会社員は死亡した。
直進車は法定速度60キロの3倍を超える時速194キロで走行し、少年は
「何キロ出るか試したかった」
と供述したのだという。
大分県警は危険運転致死罪の要件である
「制御困難な高速度」
に当たるとして同容疑で送検したが、大分地検は
「直線道路で走行を制御できていた」
などとして過失運転致死罪で在宅起訴した。
危険運転の法定刑の上限は懲役20年、過失運転の上限は7年で、大きな開きがある。
遺族は納得いかない。
そもそも制御できないから衝突したのではないのか。
遺族は署名を集めて訴因変更を求める上申書を提出し、これを受けた補充捜査を経て危険運転致死罪に訴因は変更された。
遺族の声を受けての訴因変更は、要件のあいまいさを物語る。
平成30年12月、法定速度60キロの一般道を146キロで走行してタクシーに突っ込み、乗客ら4人が死亡した事故でも、危険運転致死傷罪で起訴された被告に津地裁、名古屋高裁は
「制御困難な高速度が証明されていない」
として過失運転と判断し、懲役7年の判決が確定した。
現行法では、無免許であっても一定の運転技能ありと判断されれば、危険運転の要件を満たさない。
信号無視による事故は
「殊更に」
無視した場合に限られ、
「殊更」
の証明、解釈に振り回される。
法曹界には他罪種や過去事件の刑罰とのバランスを重視するあまり、危険運転の適用を躊躇する傾向があり、要件の曖昧さがこれを助長しているとの指摘もある。
被害者や家族は、この構図に憤っている。
危険運転致死傷罪は、東名高速道で飲酒運転のトラックが女児2人を死亡させた事故をきっかけに平成13年に創設された。
強い被害感情に応えるための法律が、その運用をめぐって被害者の怒りを倍加させている。
要件の整理と明確化で国民常識との乖離を埋めてほしい。

再考・犯罪被害者
<特報>時速194キロ、危険運転ではないのか 遺族が動かした異例の訴因変更
2023/1/23 8:50
https://www.sankei.com/article/20230123-NBCPUZLDCVJIJAQRRGGPI2ZWXM/
憲ちゃんが亡くなった−。
訃報は突然やってきた。
令和3年2月9日午後11時頃、大分市内の県道交差点。
右折する車に、対向車線を直進してきた1台の乗用車が衝突した。
いわゆる「右直事故」。
右折車を運転していた会社員、小柳憲さん=当時(50)=がこの事故で死亡した。
衝突直前の直進車の走行速度は時速194キロ。
法定速度(60キロ)の3倍を超えていた。
「なんで弟が…」。
事故から半日後、小柳さんの姉は、棺に横たわる弟と対面した。
顔にはほとんど傷がなく、
「事故に遭ったとは思えないほど、いつもの穏やかな表情だった」。
ただ頭部以外は全て包帯でくるまれていた。
「辛い思い出が残るから見ない方がいい」。
受傷の程度が書かれた死亡診断書でさえ、見るのを制された。
大分県警から受けた説明によると、小柳さんは事故当時、シートベルトをしていたが、衝撃でベルトが切れて車外にほうり出され、後続車の近くに倒れているところを発見された。
肋骨や骨盤など全身に多数の骨折があった。
死亡確認は約2時間半後。
「最期を迎えるまで、どれほど苦しかったことか…」。
想像を絶したであろう弟の痛みや苦しみを思い、姉はただ涙を流すことしかできなかった。
直進車を運転していた当時19歳の元少年は調べに
「何キロ出るか試したかった」
と供述したという。
大分県警はこうした事情も踏まえ、元少年の運転が、自動車運転処罰法が定める危険運転致死罪の適用要件である
「制御困難な高速度」
に当たると判断。
事故から2カ月後に元少年を同容疑で書類送検した。
姉も当然、同罪で起訴されるものと期待した。
だが大分地検は翌年令和4年7月、過失運転致死罪で元少年を在宅起訴した。
遺族には
「直線道路で走行を制御できていた」
などと説明し、
「制御困難」
に当たらないとの見解を示した。
《高速度走行(自動車運転処罰法2条2号)その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為》
「一般道を時速194キロで走るのが危険運転でないのなら、一体どんな運転が危険運転になるのか」。
姉は思わず本音をぶつけた。
だが、担当検事は
「捜査の結果、危険運転の立証には至らなかった」
と答えるのみだった。
「前代未聞の高速度」
「家族にも見せることができない身体の損傷」
「原形をとどめないほど大破した車」
「危険運転致死傷罪は生命の尊厳を守るために創設されたはずなのに、こんな理不尽なことがあってもいいのでしょうか」
姉はそれ以降、地検に翻意を促そうと奔走した。
令和4年8月には記者会見を開いて危険運転致死罪の適用が見送られた理不尽さを訴え、同罪への訴因変更を求める上申書を地検に提出。
翌月令和4年9月には犯罪被害者の自助グループ「ピアサポート大分絆の会」(大分県国東市)の支援も受けながら、地検に補充捜査を求める署名活動を行い、全国の賛同者から集まった約2万8000筆を令和4年10月に提出した。
「弟の無念を晴らしたい」。
その一心で続けた地道な訴えは令和4年11月、ようやく実を結ぶ。
地検と県警が当時の事故状況を再現する補充捜査を実施。
僅か2週間後の令和4年12月1日には地検が危険運転致死罪への訴因変更を大分地裁に請求し、同月令和4年12月20日に認められた。
「声を上げなければ過失運転で終わっていた」
「ほっとしました」。
姉は訴因変更の知らせに安堵の言葉を口にした。
事故は今後、裁判員裁判で審理される。
「裁判をしたからといって弟の命は決して戻りません」。
それでもようやく、スタートラインに立てた気がする。
「真っ当な判決が言い渡されてほしい」
「望むことはそれだけです」。
初公判の日を静かに待っている。
■「常識」と乖離する司法
「被告人の運転が常識的にみて『危険な運転』であることは言うまでもない」
小柳さんの事故から間もない令和3年2月中旬。
名古屋高裁は、三重県津市の国道で時速146キロの自動車がタクシーに衝突し、乗客ら4人が死亡、1人が負傷した事故で、被告に判決を言い渡した。
制限速度の2.5倍近い異常なスピードで高級車を駆り、車の間隙を縫うように車線変更を繰り返していた被告。
「あたかも自分1人のための道路であるかのごとき感覚」。
高裁判決はこんな非難の言葉を並べながら、それでも1審津地裁と同様、危険運転致死傷罪の成立を否定した。
市民感覚と司法判断がここまで乖離するのは何故か。
それは同罪が不注意を罰する過失犯ではなく、故意犯であるところに大きな要因がある。
同罪の故意とは、自分の運転行為が法の定める
「危険運転」
の類型に当たることを認識しながら、敢えてそのような運転をしたということ。
条文の文言を知っている必要はないが、
「制御困難」
の要件の場合は、高速度走行の一般的な危険性の認識では足りない。
津市のケースでは、僅かなミスで自分の車を進路から逸脱させるような状況を
「具体的な可能性として現実に頭に思い浮かべていたことが最低限必要」(津地裁判決)
と判示され、被告にこの認識がなかったとして故意が否定された。
事故前に百数十キロで走行しながら複数台の車両を追い抜いたことを
「特段の支障なく進行した」
と被告に有利な事情とみた。
大分の事故現場は、その幅員から
「40メートル道路」
と呼ばれる直線道路。
スピードを出しても比較的コントロールしやすい場所といえ、大分地検が当初、危険運転致死罪の適用を見送る一因になったとみられる。
もっとも同罪の適用を巡っては、司法判断も揺れている。
大分地検が補充捜査で訴因を切り替えたことも、要件解釈が定まっていないことの表れとみることもできる。

過失では済まされないような危険な運転を厳しく罰するため、世論の後押しを受けて制定された危険運転致死傷罪。
しかし厳罰ゆえに検察や司法が適用に慎重になるケースが相次ぎ、被害者遺族の無念は宙をさまよう。
同罪を取り巻く課題を検証する。

再考・犯罪被害者
危険運転致死傷罪、揺れる司法の判断 被害者・遺族の思いをすくい上げるには
2023/1/31 7:00
https://www.sankei.com/article/20230131-UNNJ7SBNRVLLTDM7ARQI5K6YSI/
■危険運転、問われる意義
危険運転致死傷罪の創設から20年以上が経過したが、適用のハードルは高く検察や司法の判断も揺れている。拡大解釈による厳罰化の危険を避けつつ、被害者・遺族の思いをすくい上げるにはどうすればいいのか。有識者2人に聞いた。
時速194キロ、危険運転ではないのか 
■高い起訴のハードル 大嶋実弦弁護士
危険運転致死傷罪は
「悪質な運転による死傷事故を重く処罰してほしい」
「『過失』で済まされるのはおかしい」
という事故の被害者や遺族の思いから出発し、創設された法律だ。
その一方で、実際に同罪が規定する危険運転行為と、一般の人が罪名から想像する行為との間には乖離があり、そのギャップが
「市民感覚を反映していない」
と指摘される要因にもなっている。
率直に
「危険運転ではないのか」
と思えるような行為も、同罪が厳格に定める要件や類型に当てはまらない限り処罰の対象とはならず、それゆえ遺族が不満の声を上げるケースが少なくない。
特に警察が危険運転致死罪で送検するような死亡事故は、遺族にしてみれば理不尽に家族を殺されたという思いが強い。
同罪はそんな遺族の拠り所でもあるはずだが、
「公判が維持できないから」
と検察に門前払いされると、
「なぜ」
というわだかまりと、やり場のない無念さだけが募ることになる。
遺族が声を上げる背景には、同じような境遇に遭う人をなくしたいという強い気持ちがある。
こうした声に世間が共感し、課題が社会に認知され、法改正で是正されてきた経緯がある。
厳罰ゆえに慎重になるのも十分理解できるが、公判の舞台に乗せないと、解釈や適用範囲を巡る司法判断が積み重ならない。
起訴のハードルを下げつつ、市民感覚との懸隔を埋めていくことが求められる。

おおしま・みつる
大阪弁護士会所属。
長年に渡り交通事故遺族らで作る自助団体「TAV交通死被害者の会」(大阪市)の活動を支援している。
処罰範囲の拡大はアンフェア 井田良・中大大学院教授
死傷者を伴う交通事故が起きた時、過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪のどちらが適用されるか、その判断が注目を集めることがある。
そして危険運転の適用が見送られた時、報道で批判的に取り上げられることも少なくない。
危険運転致死傷罪について規定された刑は相当に重いものとなっている。
特に危険な運転を故意に行い、人を死傷させた場合に、傷害罪(上限懲役15年)や傷害致死罪(同20年)と同じように重く処罰するよう制定された経緯がある。
その際、誰もが犯しうるような不注意で重い処罰の対象とするのは適当ではないとして、危険運転に該当する行為を類型化し、その要件を限定した。
いくら危険な暴走行為であっても、この類型化された危険行為に当たらない限り、同罪を適用できないと考えるのが、法律で犯罪と刑罰を規定する
「罪刑法定主義」
の原則だ。
確かに同罪の条文を素直に読むと、問題とされる行為が危険運転に該当しそうに思える事例もあり、被害者側もそこに批判の根拠を持っていることは理解できる。
しかし、規定の解釈に当たっては、元々の立法趣旨や、これまでの判例が積み重ねてきた解釈を無視することはできないし、何より、軽い類型である過失運転致死傷罪との区別が曖昧にされてはならない。
立法趣旨や従来の裁判所による解釈を無視して処罰範囲を拡大することは、不意打ちでアンフェアな処罰である。
解釈による対応が難しければ再び立法が求められることになるが、過失運転致死傷罪との合理的な区別を可能とする新たな危険運転行為の要件を定立することは、相当に難しいことも事実であろう。

いだ・まこと
専門は刑法。
平成13年に危険運転致死傷罪が創設される際の法制審議会の議論に幹事として加わった。
平成28年から現職。

東名あおり運転、懲役18年判決の被告が控訴
2022/6/7 16:30
https://www.sankei.com/article/20220607-C52BGMECVZNEJIMMPDC3SIE5RM/
神奈川県大井町の東名高速道路あおり運転死傷事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われ、懲役18年の判決を受けた石橋和歩被告(30)が、判決を不服として控訴したことが2022年6月7日、横浜地裁への取材で分かった。
控訴は2022年6月6日付。
地裁は2022年6月6日の判決で、被害車両の直前で急減速する妨害運転を4回繰り返し、後続車による追突事故を起こしたとして、危険運転致死傷罪が成立すると認定。
弁護側は被告の運転と事故に因果関係はないとして同罪の成立を争っていた。
判決によると、平成29年6月5日、パーキングエリアで静岡市の萩山嘉久さん=当時(45)=に駐車位置を非難され、逆上して追走。
あおり運転で停止させ、後続トラックの追突で萩山さんと妻の友香さん=当時(39)=を死亡させた他、娘2人に怪我をさせた。

東名あおり事故、被告に懲役18年 横浜地裁差し戻し審
2022/6/6 13:47
https://www.sankei.com/article/20220606-J3GO52HEXJNTPKOFEFN2NJ4GLI/
神奈川県大井町の東名高速道路で平成29年、あおり運転で一家4人のワゴン車を停止させ、後続車の追突事故で死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた石橋和歩被告(30)の差し戻し裁判員裁判で、横浜地裁(青沼潔裁判長)は2022年6月6日、求刑通り懲役18年の判決を言い渡した。
判決は、危険運転致死傷罪の成立を認めた。
公判では危険運転致死傷罪の成否が最大の争点となった。
検察側は、危険な速度で移動しながらワゴン車の前で減速を繰り返したとして、同罪が成立すると指摘。
弁護側は、被告の運転と事故の因果関係はないとして無罪を主張した。
起訴状によると、平成29年6月5日、パーキングエリアで静岡市の萩山嘉久さん=当時(45)=に駐車位置を非難され、逆上して追走。
ワゴン車にあおり運転を繰り返して停止させ、後続トラックの追突で萩山さんと妻、友香さん=同(39)=を死亡させるなどしたとしている。

東名あおり運転 判決要旨
2018年12月15日 産経新聞
【主文】
石橋和歩(かずほ)被告を懲役18年とする。
【危険運転致死傷罪の構成要件】
自動車運転処罰法が定める
「重大な交通の危険を生じさせる速度」
とは、通行を妨害する目的で相手方に著しく接近した場合に、自車が相手方と衝突して大きな事故を生じさせたり、事故の回避が困難になったりすると一般的に認められる速度と解される。
被告が直前に自車を停車させた時速ゼロの状態が一般的にそのような速度と認められないのは明らかだ。
法律の文言上、自動車を進行させることが前提になると解され、停止まで含まれるというのは解釈上無理があり、被告による停車が罪の実行行為に当たるとする検察官の主張は採用できない。
以上により、被告の4度にわたる妨害運転は危険運転致死傷罪の実行行為に該当するが、停車は該当しないと判断した。
【因果関係の有無】
被告はパーキングエリアで被害者から非難されたことに憤慨し、停車させて文句を言いたいとの一貫した意思の下で4度の妨害運転に及び、その後に減速して自車を停車させた。
被告が被害者の車両直前で自車を停車させたのは、妨害運転と密接に関連する行為だ。
被害者の車は短時間で繰り返された妨害運転に対し、車線変更などで逃れようとしても逃れられなかった。
被告の車の進入、接近、減速状況や当時の交通量からすると、被害者の車は停車せざるを得なかったというべきだ。
双方の車の停車後、被告が被害者の車に近づいて暴行などに及んだことも、文句を言いたいとの妨害運転開始当初からの一貫した意思に基づくものと認められ、やはり妨害運転と密接に関連する行為だ。
現場は高速道路の追い越し車線であり、夜間で相応の交通量があったことも踏まえれば、後続車の衝突回避措置が遅れて追突する可能性は高く、被害者の生命、身体に対する危険性は極めて高かった。
事故は停車から2分後、被害者への暴行後に起きており、追突の可能性が何ら解消していない状況だった。
以上により、今回の事故は被告の4度の妨害運転と、密接に関連した双方の車両の停車、被害者への暴行などに誘発されて生じたといえる。
被害者らが死傷した結果は、被告の妨害運転によって生じた事故発生の危険性が現実化したもので、因果関係が認められる。
従って、危険運転致死傷罪が成立する。
【量刑の理由】
被告は夜間で相応の交通量がある高速道路で短時間に4回もの妨害運転をしており、それ自体が危険な態度だ。
何度も止められたにもかかわらず、妨害運転や暴行に及んでおり、強固な犯意に基づく執拗な犯行だ。
複数人が死傷した結果は重大で、家族旅行の帰りに突然命を奪われた被害者夫婦の無念さは察するに余りある。
両親を1度に失った遺族の悲しみは深く、被告に厳罰を求めるのも当然だ。
身勝手で自己中心的な動機から短絡的に犯行に及び、酌むべき余地はない。
犯行は被害者からの非難がきっかけになっているが、そもそも被告が通路に自車を駐車したのが問題で、非難されたからといって今回の犯行に及ぶのは常軌を逸している。
同種事案の中でも重い部類に属する。
他の事件を含め、約3カ月半で4件の犯行を行ったのは強い非難に値する。
被告は2度と運転しないなどと反省の弁を述べているが、真摯な反省とまでは評価できない。
刑事責任は重大で、保険による相当額の損害賠償が見込まれることなどの事情を考慮しても、懲役18年の刑は免れない。

東京高裁の破棄・審理差し戻しの判断や朝山裁判長の言い分はおかしい。
公判前整理手続きと審理したあとの公判後で判断が変わっても全くおかしくない。
公判前整理手続きの判断が変わってはいけない前提であれば、審理する意味がない。
1審横浜地裁の裁判員裁判の
「危険運転致死傷の罪を適用した」
との判断は支持する。
ただし、量刑は
「死刑」
にすべきだった。
1審横浜地裁の裁判員裁判の判決で
「危険運転致死傷の罪を適用できると判断した」
ことは評価できる。
ただし、1審横浜地裁の裁判員裁判の判決で
「被告が走行車線に車を止めたこと自体は危険運転には当たらないとした」
との判断はおかしい。
車を停車させたことで他の車に追突されて死亡したことは明らかだ。
そもそも萩山夫妻が死亡した直接の原因は、石橋被告の車が停車し、その場から動けなくなった状態で後続のトラックが衝突したからで、夜間の高速道路で相応の交通量があったことも踏まえれば、停車することが危険であることは明白なのだから、
「停車行為まで含めて危険運転」
と判断すべきだ。
夜間の高速道路で相応の交通量があれば、その状況で停車することが危険であることぐらい常識で分かるだろ。
それを危険ではないと主張するなら、やれるもんならやってみろ、と言いたい。
被告は犯行動機も異常で情状酌量の余地は全くない。
懲役18年は短すぎる。
死刑にするべきだ。
被告に罪を償わせる妥当な量刑は死刑以外にない。
そもそも危険運転致死傷罪の最高刑が懲役20年というのは軽すぎるし、適用範囲も狭すぎて法律自体に不備がありがおかしい。
被害者や遺族、被害者の友人らが可哀想すぎる。
きっかけを作ったのは被害者などと被告を擁護する意見もあるようだが、被告の
「あおり運転=危険運転」
「危険な高速道路上に停止させた」
行為を正当化する理由などには全くならず、被告に情状酌量の余地は全くない。
犯行は被害者からの非難がきっかけになっているが、そもそも被告が通路に自車を駐車したのが問題で、非難されたからといって今回の犯行に及ぶのは常軌を逸している。
同種事案の中でも重い部類に属する。
他の事件を含め、約3カ月半で4件の犯行を行ったのは強い非難に値する。
被告は2度と運転しないなどと反省の弁を述べているが、真摯な反省とまでは評価できない。
刑事責任は重大で、保険による相当額の損害賠償が見込まれることなどの事情を考慮しても、被告の責任は免れない。
どうせなら被告が死んでいればよかったのに。
なお、後続車の責任云々などというのは論外。
現場は高速道路の追い越し車線であり、夜間で相応の交通量があったことも踏まえれば、後続車の衝突回避措置が遅れて追突する可能性は高く、被害者の生命、身体に対する危険性は極めて高かった。
事故は停車から2分後、被害者への暴行後に起きており、追突の可能性が何ら解消していない状況だった。
あくまで責任は被告にある。
それにしても、日本の法律・判決・量刑は犯罪者に甘すぎる。
殺人でさえなかなか死刑にならない。

●2020/03/19 11:00
元トラック運転手が教える「あおり運転」をする人の4大特徴
「高級車に乗った凡人」には要注意
PRESIDENT Online
あおり運転をする人には特徴と原因がある。
元トラックドライバーでライターの橋本愛喜氏は
「悪質なドライバーだけでなく、時間的余裕がない人、高級車に乗った凡人、行き過ぎた正義感を振りかざす人も煽り運転をしやすい傾向がある」
という――。
※本稿は、橋本愛喜『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)の一部を再編集したものです。
■悪質な煽り運転を受け、夫婦が死亡
2017年6月、神奈川県の東名高速道路で悪質な煽り運転を受けた末、夫婦が死亡、娘2人が負傷した事故は、ハンドルを握るほぼ全てのドライバーにとって、自身や周囲の運転マナーを見直す大きなきっかけになったはずだ。
事の発端は、事故現場から数キロ手前の中井パーキングエリアで、被害者の男性が被告に駐車位置を注意したこと。それに逆上した被告はその後、一家4人が乗ったワゴン車を執拗に追いかけ、煽りなどの妨害運転を繰り返したうえ、停車が原則禁止されている高速道路の追越車線にクルマを停めさせ、一家を死傷させる結果に追いやった。
追越車線にクルマを停めさせることは、殺人行為と断言できる。
同車線を走るクルマの平均時速は約100キロ。
このスピードでクルマが障害物に衝突すると、高さ39メートル(ビルの14階相当)から落下した際と同じ衝撃が生じるのだ。
しかも、この事故でワゴン車に追突したのは、
「殺傷力」
の高い大型トラックだ。
本来、大型車は追越車線の走行を禁じられており、このトラックドライバーは道路交通法違反となる。
■「本当に複雑な気持ちになる」
しかし、夜の追越車線上に、まさかクルマを停車させた生身の人間が車外に立っているとは、誰も想像しない。
また、今回の場合、追突したのがトラックではなく乗用車だったとしても、危険を察知してブレーキを踏み、クルマが完全停止するまでの
「停止距離」
は相当必要となり、彼らを避け切るのは非常に難しく、夫婦はいずれにしても助からなかった可能性が極めて高い。
さらに言うと、皮肉なことだが今回のケースは、衝突したのがトラックでまだマシだったとさえ考えられる。
車高が高く、車体も強いトラックだったからこそ、トラックドライバーの命は助かったが、これがもし乗用車だった場合、追突したほうのドライバーも死亡していた可能性があるからだ。
こうしたことから、追越車線を走行していたという落ち度はあれど、今回追突してしまったトラックドライバーは巻き添えを食った感が否めず、検察の下した不起訴処分も、道路環境からして妥当だったと言えるだろう。
被告の裁判で、
「両親を奪い申し訳ない」
と遺族に反省の意を表したトラックドライバーの心情を考えると、本当に複雑な気持ちになる。
■煽り運転は「する側」「される側」に特徴と原因がある
こうした危険運転は、この東名事故のように第三者をも巻き込みかねない
「悪しき行為」
だ。
しかし、煽り運転そのものは、ハンドルを日々握るドライバーにとって、それほど珍しいものではない。
この事故のような悪質なケースは稀としても、普段、日常的に運転しているドライバーならば、誰しもが煽られた、または煽ってしまった経験があるはずだ。
現役当時、アイポイントが高いトラックの車窓から周囲の運転事情を観察していた筆者は、実に様々な光景を目の当たりにした。
その中でも多く遭遇したのは、やはり煽り運転などの危険運転だ。
煽り運転には、する側にもされる側にも、それぞれ特徴と原因がある。
■煽られやすい「運転弱者」「大型トラックと軽自動車」
まず、煽られる側の2つのタイプと原因を紹介しよう。
一つは、「運転弱者」だ。
初心者や女性、高齢者の中には、運転が得意ではない
「運転弱者」
が比較的多く存在する。
彼らの場合、無意識のうちに無駄なブレーキを頻繁に踏んだり、車間が上手く取れず詰めすぎたり、スピードが安定しなかったりすることで、周囲のドライバーをイライラさせてしまうことがあるが、そんな彼らの運転が、
「煽る側」
の引き金になることがある。
中には、運転弱者ばかりを狙う悪質な煽りドライバーもおり、初心者や高齢者が理解を得るために貼っているマーク(ステッカー)がむしろ、彼らに向けた
「目印」
になっているのも事実だ。
そして、煽られやすいもう一つのタイプは、
「大型トラックと軽自動車」。
トラックがノロノロ運転せざるを得ない事情は、第1回で説明した通りだが、遅いトラックは、高速道路でも一般道でも、とにかく乗用車などからよく煽られる。
中には
「トラックは左車線だけ走ってろ」
という声もあるが、これまで述べてきた通り現在の日本の道路事情と、時間との戦いを強いられる物流の現状からすると、そんなわけにもいかないのだ。
一方、こうしたトラックに匹敵するほど煽られている光景を目にするのが、
「軽自動車」。
軽自動車が煽られるのは、ドライバーに前出の
「運転弱者」
が比較的多いというのが一因になっていると思われるが、このクルマは構造上、どうしても他車より衝撃に弱いため、事故を起こすと被害が大きくなりやすい。
ゆえに、軽自動車のドライバーは、後述する
「煽られないための対策」

「煽られた時の対処法」
をより強く検討したほうがいいかもしれない。

●危険運転に「停車」追加 通常国会に改正法提出へ
2020.1.15 19:22
https://www.sankei.com/affairs/news/200115/afr2001150030-n1.html
森雅子法相は15日、自動車運転処罰法に規定する危険運転の構成要件の拡大を法制審議会に諮問した。
他人の車の前に急に割り込み、自分の車を停止させる行為を罰せるよう法制化したい考えだ。
答申を受け、改正案を20日召集の通常国会に提出する方針。
自動車運転処罰法2条は、危険運転を六つに類型化。
その一つとして、妨害目的で走行中の車の直前に進入したり、人や車に著しく接近したりする行為を定めており、あおり運転の摘発は、この規定を適用することが多い。
ただ、加害者側の車が、衝突すれば重大事故となる速度で走行していたことが成立要件となっており、停止した車によって起きた事故には、適用できないとの司法判断が出ていた。
今回の諮問では、追加する類型として
(1)衝突すれば重大事故となる速度で走行している被害者側の車の前に、割り込むなどして停止する
(2)高速道路や自動車専用道路上で、被害者側の車の前で停止したり、接近したりし、被害者側を停止・徐行させる−行為を提案した。

●「危険運転」の規定見直しを法制審議会に諮問
2020年1月15日 19時17分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200115/k10012246841000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_002
危険なあおり運転が相次いでいることを受けて、森法務大臣は法制審議会に対し、高速道路で通行を妨害する目的で、走行中の車の前方で停止したり著しく接近したりして停止させる行為などを、自動車運転処罰法の
「危険運転」
の規定に加えるよう諮問しました。
平成29年に、神奈川県の東名高速道路で、あおり運転を受けて停車したワゴン車が後続のトラックに追突され、一家4人が死傷した事故など、危険なあおり運転が相次いでいることを受けて、法務省は、自動車運転処罰法の
「危険運転」
の規定の見直しを検討してきました。
15日午後、法務大臣の諮問機関である法制審議会の臨時の総会が開かれ、森法務大臣は
「危険運転」
の規定に2つの類型を追加するよう諮問しました。
■新たな類型は
▽通行を妨害する目的で、重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中の車の前方で停止したり、著しく接近したりする行為
▽高速道路や自動車専用道路で、通行を妨害する目的で走行中の車の前方で停止したり著しく接近したりして、停止や徐行をさせる行為です。
法務省は、法制審議会からの答申を経て、自動車運転処罰法の改正案を来週20日に召集される通常国会に提出したいとしています。

法改正して構成要件見直した上で厳罰化し、ビシビシ取り締まれば、必ず危険運転は減る。
あおり運転の罰則新設や危険運転の構成要件見直しは当然だ。
さっさと法改正して、ビシビシ取り締まれ。
どんどん厳罰化して、悪い奴らはビシビシ取り締まれ。

●「停車行為」も危険運転に 森法相、1月に法制審諮問
共同通信社 2019/12/23 11:10
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/「停車行為」も危険運転に-森法相、1月に法制審諮問/ar-BBYfGnz?ocid=spartanntp
森雅子法相は23日、自動車運転処罰法に規定する危険運転の構成要件の見直しを、来年1月に開く法制審議会の臨時総会で諮問する方針を明らかにした。
他人の車の前に割り込み、自分の車を停車させるような行為は、現行法では危険運転に当たるかどうかで法的に争いがあるため、構成要件として明文化させる。
法務省は法制審の答申を受け、改正案を早ければ来年の通常国会にも提出したい考えだ。
自動車運転処罰法は
「通行妨害の目的で、走行中の車の直前に進入、人や車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転する」
行為などを危険運転と規定している。

●【主張】危険な運転 「厳罰化」を根絶の契機に
2019.12.8 05:00
https://www.sankei.com/column/news/191208/clm1912080003-n1.html
スマートフォンなどを使用しながら車を走行させる
「ながら運転」
について、違反点数と反則金を引き上げ、懲役刑も重くするなど厳罰化した改正道交法が今月、施行された。
警察庁は
「あおり運転」
についても新たに罰則を創設する方針だ。
これを危険な運転を根絶する契機としたい。
改正法は運転中の携帯電話の通話や画面などを注視する違反
「携帯電話使用等(保持)」
の点数を1点から3点に、反則金は普通車で6千円から1万8千円に引き上げた。
違反を繰り返すと
「6月以下の懲役」
などの罰則が適用される可能性がある。
通話や注視により交通の危険を生じさせる
「携帯電話使用等(交通の危険)」
は免許停止となる6点となり、直ちに刑事手続きの対象となる。
罰則は
「1年以下の懲役」
などに引き上げられた。
ながら運転による重大事故が相次ぎ、遺族らが罰則強化を求めていた。
平成28年には愛知県一宮市で小学4年の9歳男児がスマホのゲームをしながら運転していたトラックにはねられて死亡した。
父親は
「ながら運転は殺人行為だ」
と訴えていた。
重大事故を受けての法改正はいかにも泥縄式だが、厳罰化は十分に社会変革の契機として期待できる。
飲酒運転事故件数の減少がその好例である。
30年の交通事故死亡者数は3532人で統計の残る昭和23年以降最少となった。
飲酒運転事故の犠牲者が平成12年の1276人から198人に減少したことが大きな要因だ。
この間、危険運転致死傷罪の新設や道交法の改正で飲酒運転の厳罰化が進められてきた。
後押ししたのは、東名高速道路で飲酒運転のトラックとの衝突で幼児2人が死亡した事故や、福岡市内で飲酒運転の車の追突で海中に転落、幼児3人が死亡した事故などに対する遺族と社会の怒りである。
厳罰化だけの効果ではない。
厳罰化を契機に、飲酒運転への目が厳しくなった社会の変革が事故を減らしたのだといえる。
ながら運転や、あおり行為の厳罰化にも同じ効果を求めたい。
危険は
「歩きスマホ」
や、イヤホンで大音量を聴きながらの自転車運転や歩行も同様である。
あおり運転については法務省も自動車運転処罰法の改正を検討している。
道路の安全を守るため、あらゆる手を尽くしたい。

●あおり運転を道交法に新設、厳罰化へ 警察庁検討
2019.12.6 09:20
https://www.sankei.com/politics/news/191206/plt1912060004-n1.html
社会問題化している
「あおり運転」
対策で、警察庁は6日、道路交通法を改正して罰則を創設する方向で検討していることを明らかにした。
あおり運転を
「通行妨害目的の一定の違反で交通の危険を生じさせる恐れのある行為」
などと新たに定義づけ、厳罰化する。
法定刑などの検討を進め、改正案を来年の通常国会に提出する方針。
あおり運転は他の車両への激しい接近や幅寄せ、追い抜いた後の急ブレーキなどを繰り返す行為をいうが、道交法上で明確な定義はなかった。
個別の行為に関して、警察は道交法の車間距離保持義務違反や進路変更の禁止違反などの容疑を適用してきた。
これらの行為で死傷事故を起こした場合には、
「通行妨害の目的で、走行中の車の直前に進入、人や車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転する」
と定めた自動車運転処罰法(危険運転致死傷)の適用が可能だが、あおり運転自体を直接取り締まる規定はなかった。
警察庁は今回、道交法にあおり運転の違反類型を創設し、
「通行妨害目的で、一定の違反で道路における交通の危険を生じさせる恐れのあるもの」
などと規定する方向で検討している。
「一定の違反」
には車間距離不保持、急ブレーキや進路変更の禁止などを含める見通しだという。
さらに、あおり運転の結果、事故発生の危険を生じさせることも想定し、
「高速道路上で他の自動車を停止させるなど、著しく道路における交通の危険を生じさせた」
場合にはより重い刑罰を科せるようにする。
今後、条文の書きぶりや法定刑の調整を進める。
法定刑は、これまでのあおり運転事件で適用したことがある暴行罪(2年以下の懲役、30万円以下の罰金など)や強要罪(3年以下の懲役)などを踏まえるといい、道交法の個別の違反項目よりも厳しくなるとみられる。
行政処分についても、違反点数を15点以上にして、現行の無免許運転や酒気帯び運転(呼気1リットル中0.25ミリグラム以上)、共同危険行為、過労運転などと同様に、過去に処分歴がなくても欠格期間1年以上の免許取り消しの対象になるよう強化する。
道交法が改正されれば、取り締まりでは、あおり行為が執拗だった場合などに通行妨害の意図を認定。
現場の警察はスマートフォンやドライブレコーダーで撮影された動画、目撃証言などを収集して捜査に当たる。
あおり運転は平成29年に神奈川県の東名高速道路で発生した死亡事故を契機に問題化。
警察庁は翌30年1月にあらゆる法令を駆使した捜査や徹底的な取り締まりを全国の警察に指示。
だが、今年8月に茨城県の常磐自動車道であおり運転殴打事件が起きるなどし、厳罰化を求める声が高まっている。
■煽り運転
相手の運転者を威嚇する目的の危険な運転。
異常接近や蛇行運転の他、急な車線変更、クラクションやハイビームでの挑発などが含まれる。
2017年6月に神奈川県の東名高速道路で、無理やり停止させられた車の夫婦がトラックの追突で死亡した事故を契機に社会問題化した。
警察庁は翌2018年1月にあらゆる法令を駆使した捜査や徹底的な取り締まりを全国の警察に指示。
だが、2019年8月に茨城県の常磐自動車道で煽り運転殴打事件が起きるなどし、厳罰化を求める声が高まっている。
■煽り運転厳罰化のポイント
・道交法の条文を改正し、煽り運転を定義
・違反1回で15点以上、免許即取り消し
・再取得までの欠格期間は1年以上
・罰則は2〜3年以下の懲役や30万円以下の罰金を軸に検討
・摘発対象は「運行の妨害目的」で「交通の危険を生じさせる恐れ」を引き起こした場合など

●自民、あおり運転厳罰化要望相次ぐ 免許「永久剥奪」も
2019.12.6 18:30
https://www.sankei.com/politics/news/191206/plt1912060023-n1.html
自民党が6日、党本部で開いた交通安全対策特別委員会(平沢勝栄委員長)では、あおり運転の厳罰化を求める意見が相次いだ。
警察庁はこれを踏まえ、あおり運転を定義した上で罰則を創設する道交法改正案の検討を急ぎ、来年の通常国会での成立を目指す。
抑止力を高める狙いがある。
会合後に記者会見した平沢氏によると、出席議員からは
「罰則の強化を早くしてほしい」
といった声が最も多かった。
「一度あおり運転をした人は運転に適していない」
「免許を永久剥奪してはどうか」
との意見もあったが、警察庁は
「かえって無免許運転が増える」
などと難色を示し、一定期間の免許取り消しを検討すると説明した。
平沢氏は
「今、あおり運転が野放しになっている」
「あまり軽い罰則なら了解できない」
「暴行罪や酒酔い運転などより軽いことはないと思う」
と強調した。

<参考>
日産新型デイズ
■SOSコール
日産コネクトナビと連携し、ルーフのボタンでオペレーターを呼んで、事故や緊急事態に素早く対応できる
「SOSコール」
も設定。
■SOSコール
ヘルプネットのSOSコールもオプションで選べる。
運転席/助手席の天井部分にSOSコールスイッチが装着され、緊急時に押すと専門のオペレーターが対応する。
煽り運転など周囲の車両から危害を加えられた時にも使える。
またエアバッグが展開して乗員が応答しない時でも、警察や消防への通報も可能で、車両のデータから重症と判断された時は、状況に応じて、消防がドクターヘリの出動手配をする場合もある。

「日産コネクトナビ」、「SOSコール」、前後に「ドライブレコーダー」をオプションで付ければ、あおられたら
「ドライブレコーダー」
で記録し、走行しながら
「SOSコール」
でオペレーターを呼んで警察へ通報する。
自車位置もGPSで分かる。

同乗者がいる場合はビデオカメラで撮影する。
停止させられたら自分でもビデオカメラ撮影も可能。
付近の防犯カメラや付近の車両のドライブレコーダーに写っている可能性もある。
第3者の証言者がいる可能性もある。

あおり、免許取り消しへ 警察庁検討 違反累積なしで適用
2019年11月8日 朝刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019110802000132.html
社会問題化している
「あおり運転」
対策として、悪質で危険な運転には免許取り消しができるよう、警察庁が制度を改正する方向で検討していることが分かった。
行政処分では最も重い免許取り消しを適用することで、悪質なドライバーを道路交通の場から排除して事故を未然に防ぐ狙いがある。
年明けの通常国会に関連法案を提出する見通し。
現行では悪質で危険な運転でも事故を起こして危険運転致死傷容疑などで摘発されない限り、違反の累積がない運転者は免許取り消しにはならず、政府、与党内からも関連法改正による罰則強化を求める声が上がっている。
あおり運転を巡っては、車間距離を詰め過ぎる道交法の車間距離保持義務違反の昨年1年間の摘発が前年比倍増の1万3025五件(うち高速道路上1万1793件)に上った。
悪質運転が横行し、警察が摘発を強化している実態がうかがえる。
道交法は、車を使って暴行事件を起こすなどした運転者について、交通違反の点数の累積がなくても、運転により交通の危険を著しく生じさせる恐れがある
「危険性帯有者(きけんせいたいゆうしゃ)」
として、最長180日間の免許停止にできると規定している。
免許取り消しは、道交法施行令の危険性帯有者に関する処分の基準を改正して適用する案や、道交法であおり運転に関する新たな罰則を設けるなどして点数制度により適用する案が考えられているという。
取り消し後に再取得が可能になるまでの
「欠格期間」
も検討中。
現行では速度超過など一般的な違反による取り消しは1〜5年、酒酔いや危険運転致死傷など特定の違反は3〜10年と規定されている。
あおり運転は2017年に神奈川県の東名高速道路で、無理やり停止させられた車の夫婦にトラックが追突し死亡した事故を契機に問題化。
警察庁は2018年1月、あおり運転対策として、
▽危険運転致死傷罪や暴行罪などあらゆる法令を駆使した捜査
▽車間距離保持義務違反など道交法違反による徹底取り締まり
▽危険性帯有者の積極的適用−などを全国の警察に指示した。
◆恣意的運用防ぐ必要
<横浜国立大教授(刑事法)の工藤昇弁護士の話>
現行の道交法などにはあおり運転を正面から取り締まる規定はない。
警察はさまざまな法令を駆使して摘発の努力をしているが、やはり限界があり、免許取り消しを含めて新たな規制をかける方向性は必要だ。
事故防止の効果も期待できるだろう。
ただ、一概にあおり運転と言ってもさまざまな態様があり、法令などで抽象的に定義してしまうと、何でも罰則適用ということになりかねない。
恣意的に運用される余地がないよう、適正な定義を定めることが重要になる。
<危険性帯有者>
車などを運転することで、道路上の交通に著しい危険を生じさせる恐れがある状態の者を意味する用語で、道交法103条で規定されている。
都道府県の公安委員会は、最長180日間の運転免許停止処分を科することができる。
運転者が危険性帯有者と判断される主な行為は
(1)覚醒剤・麻薬の使用
(2)車を使って著しく交通の危険を生じさせる恐れがある犯罪
(3)無免許や飲酒運転など違反行為の命令や容認
(4)暴走行為の同乗
などとされている。

●あおり運転、免許取り消しへ 悪質ドライバー排除狙い、警察庁
共同通信社 2019/11/08 06:28
© KYODONEWS あおり運転をして、エアガンを発射したワゴン車=9月8日、愛知県内の東名高速道路(被害者男性提供)
社会問題化している
「あおり運転」
対策として、悪質で危険な運転には免許取り消しができるよう、警察庁が制度を改正する方向で検討していることが7日、分かった。
行政処分では最も重い免許取り消しを適用することで、悪質なドライバーを道路交通の場から排除して事故を未然に防ぐ狙いがある。年明けの通常国会に関連法案を提出する見通し。
現行では悪質で危険な運転でも事故を起こして危険運転致死傷容疑などで摘発されない限り、違反の累積がない運転者は免許取り消しにはならず、政府、与党内からも関連法改正による罰則強化を求める声が上がっている。
「産経新聞」
あおり運転をめぐっては、車間距離を詰め過ぎる道交法の車間距離保持義務違反の昨年1年間の摘発が前年比倍増の1万3025件(うち高速道路上1万1793件)に上った。
悪質運転が横行し、警察が摘発を強化している実態がうかがえる。

●あおり運転で免許取り消し検討 警察庁
社会・くらし
2019/11/7 18:37
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51914050X01C19A1CR8000/
社会問題になっている
「あおり運転」
を含めた悪質な危険運転行為について、警察庁が免許取り消しの対象となるよう制度改正を検討していることが7日、分かった。
事故を起こさない場合でも、重い行政処分の対象とすることによって悪質なドライバーを排除する狙い。
今後詳細な制度設計を議論する。
画像の拡大
2017年6月、無理やり停止させられた車の夫婦にトラックが追突し死亡した事故で、移動される車両(神奈川県大井町の東名高速道路)=共同
制度改正の方法として、道路交通法にあおり運転に関する規定を設けて免許の違反点数を取り消しに達するまで引き上げることや、違反点数の累積がなくても最長180日間の免許停止ができる道交法の
「危険性帯有者」
の処分基準を見直すことなどが想定される。
あおり運転は前方の車に急接近したり、不必要な急ブレーキをかけたりする行為。
現状は主に道交法上の
「車間距離保持義務違反」
にあたり、高速道路の場合では、罰則が3月以下の懲役または5万円以下の罰金で、違反点数は2点となっている。
死亡事故に発展する重大事故が相次ぎ発生し、警察はより罰則が重い暴行罪など刑法の積極適用に加え、最長180日間の免許停止とする処分を進めている。
ただ、現行制度での取り締まりに限界があるとの指摘もあり、警察庁はあおり運転の厳罰化を検討。
道交法にあおり運転を禁止する規定を新設する案や、車間距離保持義務違反の罰則を重くする案などが浮上しており、2020年の通常国会での道交法改正を視野に入れている。

●あおり運転、免許取り消し検討…現行の道交法に違反定義なし
2019/11/8 8:56
https://www.yomiuri.co.jp/national/20191108-OYT1T50054/
悪質な
「あおり運転」
による死亡事故などが相次いでいることを受け、警察庁が道路交通法に禁止行為を定義し、違反者の運転免許を取り消す処分を検討していることがわかった。
あおり運転は周囲の車両に急接近したり、進路を妨害したりする危険行為だが、現行法には定義されていない。
道交法の車間距離保持義務違反で摘発した場合も、違反点数は高速道路で2点、一般道で1点にとどまる。
警察庁では道交法と施行令を改正して懲役などの罰則を強化するとともに、あおり運転をした場合の行政処分も、違反点数を即座に免許取り消し(15点以上)になるまで引き上げることを検討している。
道路交通法の改正案については、来年の通常国会への提出を目指している。
あおり運転を巡っては、全国の警察が道交法より罰則が重い刑法で摘発しているほか、著しく交通の危険を生じさせる恐れがある
「危険性帯有者」
と認定し、累積点数にかかわらず、最長180日間の免許停止にするなどしている。

東京高裁の破棄・審理差し戻しの判断や朝山裁判長の言い分はおかしい。
公判前整理手続きと審理した後の公判後で判断が変わっても全くおかしくない。
公判前整理手続きの判断が変わってはいけない前提であれば、審理する意味がない。

1審横浜地裁の裁判員裁判の
「危険運転致死傷の罪を適用した」
との判断は支持する。
ただし、量刑は
「死刑」
にすべきだった。
1審横浜地裁の裁判員裁判の判決で
「危険運転致死傷の罪を適用できると判断した」
ことは評価できる。
ただし、1審横浜地裁の裁判員裁判の判決で
「被告が走行車線に車を止めたこと自体は危険運転には当たらないとした」
との判断はおかしい。
車を停車させたことで他の車に追突されて死亡したことは明らかだ。
そもそも萩山夫妻が死亡した直接の原因は、石橋被告の車が停車し、その場から動けなくなった状態で後続のトラックが衝突したからで、夜間の高速道路で相応の交通量があったことも踏まえれば、停車することが危険であることは明白なのだから、
「停車行為まで含めて危険運転」
と判断すべきだ。
犯行動機も異常で情状酌量の余地は全くない。
懲役18年は短すぎる。
死刑にするべきだ。
被告に罪を償わせる妥当な量刑は死刑以外にない。
そもそも危険運転致死傷罪の最高刑が懲役20年というのは軽すぎるし、適用範囲も狭すぎて法律自体に不備がありがおかしい。
被害者や遺族、被害者の友人らが可哀想すぎる。
きっかけを作ったのは被害者などと被告を擁護する意見もあるようだが、被告の
「あおり運転=危険運転」
「危険な高速道路上に停止させた」
行為を正当化する理由などには全くならず、被告に情状酌量の余地は全くない。
犯行は被害者からの非難がきっかけになっているが、そもそも被告が通路に自車を駐車したのが問題で、非難されたからといって今回の犯行に及ぶのは常軌を逸している。
同種事案の中でも重い部類に属する。
他の事件を含め、約3カ月半で4件の犯行を行ったのは強い非難に値する。
被告は2度と運転しないなどと反省の弁を述べているが、真摯な反省とまでは評価できない。
刑事責任は重大で、保険による相当額の損害賠償が見込まれることなどの事情を考慮しても、被告の責任は免れない。
どうせなら被告が死んでいればよかったのに。
なお、後続車の責任云々などというのは論外。
現場は高速道路の追い越し車線であり、夜間で相応の交通量があったことも踏まえれば、後続車の衝突回避措置が遅れて追突する可能性は高く、被害者の生命、身体に対する危険性は極めて高かった。
事故は停車から2分後、被害者への暴行後に起きており、追突の可能性が何ら解消していない状況だった。
あくまで責任は被告にある。
それにしても、日本の法律・判決・量刑は犯罪者に甘すぎる。
殺人でさえなかなか死刑にならない。

東名あおり運転、一審判決を破棄 「訴訟手続きに違法」
朝日新聞社 2019/12/06 11:49
神奈川県の東名高速で2017年6月、あおり運転の末に夫妻を事故で死亡させたなどとして、危険運転致死傷などの罪に問われた石橋和歩(かずほ)被告(27)の控訴審判決で、東京高裁(朝山芳史裁判長)は6日、同罪の成立を認めて懲役18年(求刑懲役23年)とした一審判決を破棄し、審理を横浜地裁に差し戻した。
朝山裁判長は同罪の成立を認めつつも、一審の公判前整理手続きで裁判官が
「同罪は認められない」
と表明しておきながら、判決で認めたのは弁護側に対する不意打ちにあたると指摘。
手続きに違法があると判断した。
この事件では、警察が過失運転致死傷(懲役年以下)の疑いで石橋被告を逮捕したが、検察は法定刑がより重く適用ハードルの高い危険運転致死傷罪(懲役1〜20年)で起訴。
事故は石橋被告が車を停車させた時に起きており、危険運転に問えるのかが大きな争点になっていた。
裁判員裁判で審理された昨年12月の一審判決は、
「車を止めた時点で危険運転は途切れた」
と検察側の主張を退けつつ、パーキングエリアでトラブルになった萩山嘉久さん(当時45)に文句を言うために停車させたいという
「一貫した意思」
であおったのだから、停車後の暴行までが密接に関連する一体の危険運転だと解釈。
夜の高速で車を止めれば重大事故が起きるのは当たり前だとし、追突との因果関係も認めた。
控訴した弁護側は、停車後の行為まで
「危険運転」
に含めるのは法の想定を超えていると反論した。
また停車後2分間に多くの後続車がよけるなか、追い越し車線の走行を禁じられた大型トラックが突っ込んでいると指摘。
安全な車間距離をとっていないトラック運転手の過失まで被告に負わせるのは不当だとし、同罪の成立を否定していた。

東名あおり運転 判決要旨
2018年12月15日 産経新聞
【主文】
石橋和歩(かずほ)被告を懲役18年とする。
【危険運転致死傷罪の構成要件】
自動車運転処罰法が定める
「重大な交通の危険を生じさせる速度」
とは、通行を妨害する目的で相手方に著しく接近した場合に、自車が相手方と衝突して大きな事故を生じさせたり、事故の回避が困難になったりすると一般的に認められる速度と解される。
被告が直前に自車を停車させた時速ゼロの状態が一般的にそのような速度と認められないのは明らかだ。
法律の文言上、自動車を進行させることが前提になると解され、停止まで含まれるというのは解釈上無理があり、被告による停車が罪の実行行為に当たるとする検察官の主張は採用できない。
以上により、被告の4度にわたる妨害運転は危険運転致死傷罪の実行行為に該当するが、停車は該当しないと判断した。
【因果関係の有無】
被告はパーキングエリアで被害者から非難されたことに憤慨し、停車させて文句を言いたいとの一貫した意思の下で4度の妨害運転に及び、その後に減速して自車を停車させた。
被告が被害者の車両直前で自車を停車させたのは、妨害運転と密接に関連する行為だ。
被害者の車は短時間で繰り返された妨害運転に対し、車線変更などで逃れようとしても逃れられなかった。
被告の車の進入、接近、減速状況や当時の交通量からすると、被害者の車は停車せざるを得なかったというべきだ。
双方の車の停車後、被告が被害者の車に近づいて暴行などに及んだことも、文句を言いたいとの妨害運転開始当初からの一貫した意思に基づくものと認められ、やはり妨害運転と密接に関連する行為だ。
現場は高速道路の追い越し車線であり、夜間で相応の交通量があったことも踏まえれば、後続車の衝突回避措置が遅れて追突する可能性は高く、被害者の生命、身体に対する危険性は極めて高かった。
事故は停車から2分後、被害者への暴行後に起きており、追突の可能性が何ら解消していない状況だった。
以上により、今回の事故は被告の4度の妨害運転と、密接に関連した双方の車両の停車、被害者への暴行などに誘発されて生じたといえる。
被害者らが死傷した結果は、被告の妨害運転によって生じた事故発生の危険性が現実化したもので、因果関係が認められる。
従って、危険運転致死傷罪が成立する。
【量刑の理由】
被告は夜間で相応の交通量がある高速道路で短時間に4回もの妨害運転をしており、それ自体が危険な態度だ。
何度も止められたにもかかわらず、妨害運転や暴行に及んでおり、強固な犯意に基づく執拗な犯行だ。
複数人が死傷した結果は重大で、家族旅行の帰りに突然命を奪われた被害者夫婦の無念さは察するに余りある。
両親を1度に失った遺族の悲しみは深く、被告に厳罰を求めるのも当然だ。
身勝手で自己中心的な動機から短絡的に犯行に及び、酌むべき余地はない。
犯行は被害者からの非難がきっかけになっているが、そもそも被告が通路に自車を駐車したのが問題で、非難されたからといって今回の犯行に及ぶのは常軌を逸している。
同種事案の中でも重い部類に属する。
他の事件を含め、約3カ月半で4件の犯行を行ったのは強い非難に値する。
被告は2度と運転しないなどと反省の弁を述べているが、真摯な反省とまでは評価できない。
刑事責任は重大で、保険による相当額の損害賠償が見込まれることなどの事情を考慮しても、懲役18年の刑は免れない。

【主張】危険運転致死傷罪 「あおり」根絶へ法整備を
2018.12.15 05:00 産経新聞
法は、善良な人々を守るために存在すべきである。
条文に不備があるなら、改正を躊躇すべきではない。
東名高速道路で昨年6月、執拗なあおり運転を受けて停車させられた夫婦がトラックに追突されて死亡した事故で、横浜地裁の裁判員裁判は石橋和歩被告に危険運転致死傷罪を適用し、懲役18年の判決を言い渡した。
判決は、被告のあおり運転と夫婦の死亡に因果関係があると認定して同罪を適用した。
一方で、高速道路上に停止させた速度ゼロの状態が同罪の構成要件である
「重大な危険を生じさせる速度」
とするのは、解釈上無理があるとも指摘した。
同罪があくまで
「走行中」
の行為を対象とし、停車中の事故を想定していない以上、妥当な指摘といえるだろう。
だがそれは条文の不備であり、被告の悪質な運転を何ら正当化するものではない。
高速道路上で強制的に停車させる行為が
「危険な運転でない」
はずがない。
危険運転の罪は平成11年に東名高速道路で飲酒運転のトラックに追突された乗用車が炎上し、女児2人が焼死した事故をきっかけに新設された。
だが、当初は立証のハードルが高く、条文が想定しない悪質運転による事故が頻発し、適用条件を拡大する法改正を重ねてきた。
まだ足りなかったということだ。
(中略)
裁判では、亡くなった夫婦の長女が証人として出廷し、
「世の中のあおり運転を少しでも減らすために重い刑罰にしてほしい」
と訴えた。
涙の訴えを、立法府もわがことと受け止めるべきだ。

東名あおり2審も「危険運転」認定 手続きに違法、審理は差し戻し 東京高裁判決
2019.12.6 18:37
https://www.sankei.com/affairs/news/191206/afr1912060041-n1.html
神奈川県大井町の東名高速道路で平成29年6月、あおり運転により停車させられた夫婦が後続の大型トラックに追突され死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた無職、石橋和歩(かずほ)被告(27)の控訴審判決公判が6日、東京高裁で開かれた。
朝山芳史裁判長は、懲役18年とした1審横浜地裁の裁判員裁判判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。
危険運転致死傷罪の成立を認めた1審の判断に誤りはないとしたが、訴訟手続きに違法があったとした。
朝山裁判長は公判前整理手続きで裁判官が
「同罪の成立は認めない」
と検察官や弁護人に表明しながら、成立を認めて有罪判決を出したと指摘。
弁護側に対する
「不意打ち」
に当たり、同罪が成立する見通しで反論していれば
「因果関係や量刑に影響した可能性がある」
として、改めて裁判員裁判で審理を尽くすことが相当だとした。
弁護側は控訴審で、妨害運転と死亡事故の因果関係はないとして改めて無罪を主張。
訴訟手続きについても
「公正な審理を受ける権利を侵害された」
として違法性を訴えていた。
検察側は控訴棄却を求めていた。
判決によると、石橋被告は29年6月5日夜、走行中だった静岡市の萩山嘉久さん=当時(45)=一家のワゴン車にあおり運転を繰り返し、追い越し車線上で停車させ、大型トラックによる追突で、萩山さんと妻の友香さん=同(39)=を死亡させ、同乗の娘2人にけがをさせた。

「危険運転」2審も認定、法曹界で割れる見解
2019.12.6 20:19
https://www.sankei.com/affairs/news/191206/afr1912060049-n1.html
平成29年に萩山嘉久さん=当時(45)=夫婦が死亡した東名高速道路のあおり運転事故の控訴審は、
「運転行為」
に対する処罰を定める危険運転致死傷罪が、停車後の事故に適用できるかが最大の焦点だった。
東京高裁は6日、無職の石橋和歩(かずほ)被告(27)を懲役18年とした1審横浜地裁の裁判員裁判判決を破棄し、審理を差し戻した。
石橋被告は、4回にわたり夫婦の車の前に車線変更するなどのあおり運転(妨害運転)を実施。
その後、夫婦の車の前に停車した。
夫婦の車も停車し、そこに大型トラックが追突した。
東京高裁判決は、一般的に低速度の運転では事故の危険が高いといえず、速度ゼロの停車状態も、同罪の構成要件である
「危険を生じさせる速度での運転」
には該当しないと判断。
一方で妨害運転の影響で夫婦の車が停車したとして事故との因果関係を認めた。
1審判決でも、停車状態を同罪に当たるとみるのは
「解釈上無理がある」
と指摘。
ただ、被告の妨害運転と停止行為は
「密接に関連する行為」
として同罪の成立を認めた。
あおり運転が社会問題化する契機となった今回の事故の公判では
「停車後の事故」
という法が明文化していない態様について、法曹界でも見解が分かれた。
甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は高速道路上で被害者家族の車の前に割り込んで停車させた被告の危険な行為について
「危険運転致死傷罪の想定外だった」
と指摘。
その上で同罪の成立を認めた1、2審判決は
「犯罪行為と刑罰の対象をあらかじめ定める
『罪刑法定主義』
に照らせば法の拡大解釈と言わざるを得ない」
と疑問視する。
これに対し、元検事の高井康行弁護士は
「事故が起きた瞬間は停車中だが、車を無理やり停車させる行為が追突事故を招いたのは明らかだ」
と述べ、1、2審判決に理解を示す。
横浜地裁に審理を差し戻した高裁判決は
「1審が認定した事実関係の下であれば」
同罪が成立すると判断した。
検察、弁護側双方が高裁判決を受け入れれば、別の裁判員による裁判員裁判差し戻し審が開かれ、改めて検察側と弁護側の主張立証の機会が設けられる。
ベテラン裁判官によると、差し戻し審では
「法律上、高裁が示した法律判断には縛られない」
ため、結論が変わることもあり得るが、停止行為に関する法解釈や因果関係で2度、同様の見解が示されたことは、今後の審理にも影響がありそうだ。
石橋被告の代理人の高野隆弁護士は、判決後に記者会見し
「差し戻しは承服できる」
と述べた。
東京高検の久木元伸次席検事は
「判決を検討し適切に対処する」
としている。

「結論までに時間、歯がゆい」東名あおり控訴審判決に遺族落胆
2019.12.6 20:06
https://www.sankei.com/affairs/news/191206/afr1912060048-n1.html
平成29年に萩山嘉久さん=当時(45)=夫婦が死亡した東名高速道路のあおり運転事故で、東京高裁は6日、無職の石橋和歩(かずほ)被告(27)を懲役18年とした1審判決を破棄し、審理を差し戻した。
萩山さんの母、文子さん(79)は判決後に東京都内で記者会見し、
「前進ではなく後退」
「裁判がさらに長引き、結論が出るまで時間がかかると思うと歯がゆい」
と語った。
「(1審の)懲役18年の判決より軽くなってほしくない」。
文子さんはそう願って法廷に赴いたが、高裁判決は1審判決を破棄し、審理を横浜地裁に差し戻す内容に。
「まさかこんな判決が出るとは思わなかった」
「逆戻りした感じで、まだ頭がまとまっていない」
と話し、嘉久さんの墓前に
「早くいい結果を報告しなければならないのに」
と言葉を詰まらせた。
法廷で見た石橋和歩被告は無表情で
「反省しているようには見えなかった」
という。
事故はあおり運転が社会問題化する契機となった。
文子さんは
「早くしっかりとした法律を作ってほしい」
と期待を寄せた。

2018年12月15日 産経新聞
◆判例に沿って適切な結論
法政大学法科学院の今井猛嘉教授(刑法)の話
追突事故の直前に被告が停車した行為が危険運転にあたらない、とした横浜地裁の判断は、自動車運転処罰法の条文の文言に沿うものだ。
「止まっている車に危険運転が適用できない」
というのは、常識的な考え方。
また、停車するために被告が行った危険な運転と、被害者の車を妨害するために被告が行った危険な運転と、被害者の死亡との間に因果関係があると判断した点も、従来の判例に沿っており、いずれも適切な結論といえる。
懲役18年という量刑は、2人が死亡したという結果に照らせば、重すぎるということはないだろう。
危険運転が適用されるような死亡事故を抑止するため、道交法を活用し、あおり運転を未然に検挙していくことが必要だ。
◆法改正も検討すべきだ
首都大学東京の星周一郎教授(交通犯罪論)の話
今まで判決が出されたことのないケースに、踏み込んだ判断をしたという印象だ。
被告は4度の妨害運転をした後、追突事故までの間に、車を止めて社外に出た上で、被害者の胸ぐらをつかむなどしている。
妨害運転と死亡の因果関係は薄い事案だが、横浜地裁は危険運転致死傷罪を広く解釈して因果関係を認めた。
仮に控訴審へ行った場合、どう評価されるかは不透明だ。
危険運転致死傷罪が適用されずに過失運転致死傷罪となった場合、法定刑の上限は懲役20年から7年となり、落差が大きい。
危険運転への社会の目が厳しくなる中、法律も変わるべきで、故意か過失かにかかわらず生命を脅かす運転を罰する刑罰を科すべきだ。

東名あおり事故、石橋和歩被告に懲役18年判決 横浜地裁 危険運転致死傷罪認める
2018.12.14 11:14
https://www.sankei.com/affairs/news/181214/afr1812140006-n1.html
神奈川県大井町の東名高速道路で昨年6月、あおり運転を受けて停車させられた夫婦がトラックに追突され死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた建設作業員、石橋和歩被告(26)の裁判員裁判の判決公判が14日、横浜地裁で開かれ、深沢茂之裁判長は懲役18年(求刑懲役23年)を言い渡した。
深沢裁判長は
「4度の妨害運転後に停止させたのは密接に関連した行為といえる」
「死傷の結果は妨害運転によって現実化した」
と述べ、被告のあおり運転と夫婦の死亡に因果関係があると認定し、危険運転致死傷罪が成立すると判断した。
あおり運転は事故現場前のパーキングエリアで乗用車の駐車方法を注意されて逆上したことが発端。
判決は
「常軌を逸しており、強固な意志に基づく執拗な犯行で結果は重大」
「家族旅行の帰りに突然命を奪われた無念は察するに余りある」
として、被告について
「真摯に反省しているとまでは言えない」
とした。
一方で、高速道路上で停車させた速度ゼロの状態が同罪の構成要件の
「重大な危険を生じさせる速度」
とするのは解釈上無理があると指摘。
停車状態で大きな事故が生じたり、事故の回避が困難になったりするとは認められないとした。
判決によると、石橋被告は昨年6月5日夜、走行中の萩山嘉久さん=当時(45)=一家のワゴン車に妨害行為を繰り返して追い越し車線上で停止させ、大型トラックによる追突で、萩山さんと妻の友香さん=同(39)=を死亡させ、同乗の娘2人にけがをさせたなどとしている。

4度の妨害運転を「危険運転」と認定 東名あおり事故、前例ない類型、難しさも
2018年12月14日
https://special.sankei.com/a/society/article/20181214/0004.html?_ga=2.22279859.983795351.1544682656-599924853.1544492342
2人の命が失われた悪質な運転に、裁判員裁判は危険運転致死傷罪を適用した。
石橋和歩被告(26)に懲役18年を言い渡した14日の横浜地裁判決は、被告が事故前に繰り返し行った執拗な妨害運転が死亡事故に結びついたと判断、
「死傷事故の中でも重い部類」
と断じた。
一方、判決後に会見した裁判員は、法律に規定されていない類型を判断する難しさをにじませた。
あおり運転を受けて停車させられた萩山(はぎやま)嘉久(よしひさ)さん=当時(45)=夫妻がトラックに追突され死亡した事故。
「運転行為」に対する処罰を定める危険運転致死傷罪が停車後の事故に適用できるかどうかが最大の争点となった。
同罪は、
@妨害目的で他の車に接近するなどし
A重大な危険が生じる速度で運転する行為
を処罰対象としているが、今回の事故は、被告が萩山さんの車の前で停車した際に発生した。
検察側は、停車も
「重大な危険が生じる速度」
に含まれ
「停車行為まで含めて危険運転」
と主張したが、
判決は
「文言の解釈上、無理がある」
と退けた。
では、どうやって危険運転致死傷罪を適用したのか。
地裁が注目したのは、被告の停車行為よりも前に行われた妨害運転だ。
地裁は、萩山さんから駐車方法を注意された被告が
「停車させて文句を言おうと考えた」
と指摘。
進路を妨害する目的で、4度にわたり萩山さんの車の直前に進路変更し、減速するなどの運転を繰り返した。
これによって、萩山さんの車は高速道路の追い越し車線上で停車することを余儀なくされた。
地裁は、4度の妨害運転、停車、萩山さんの胸ぐらをつかむ暴行ーという
「密接に関連した行為」
が事故を誘発したと判断。
停車行為を含まなくとも、妨害運転そのものが危険運転にあたるとした。
検察側は初公判前に、法定刑の上限が懲役20年の監禁致死傷罪を予備的訴因として追加。
危険運転致死傷罪の同20年だが、過失運転致死傷罪は同7年のため、前例のない類型で危険運転が認められなかった場合に備えた措置とみられる。
判決では、予備的訴因については判断しなかった。
◆遺族と目合わせず
「被告人を懲役18年の刑に処す」。
判決の瞬間、石橋和歩被告は立ち上がって前を向き、深沢茂之裁判長の判決言い渡しを聞いていた。
その後、判決理由が読み上げられると、うつむいたまま証言台の椅子に座り、時折腕を組んだりするなど落ち着かない様子を見せ、検察側後方に座る遺族に目を向けることはなかった。
判決言い渡しに先立ち、深沢裁判長から
「何か言いたいことは」
と問われると
「ない・・・」
と返答。
判決理由読み上げ後、
「分かりましたか」
と問われた際には
「はい」
と小さな声で答えた。
◆裁判員「毎日葛藤」
危険運転致死傷罪が認定されるかが最大の争点となっていた今回の裁判員裁判。
裁判員を務めた6人のうち女性1人が14日、記者会見し、
「(公判会期中)責任を感じ、毎日葛藤していた」
と心情を吐露した。
会見で相模原市の女性会社員(45)はこれまでの公判について
「被害者側の気持ちになることが多く、公平に判断するという点で悩んだ」
と話した。
女性は
「前例のない事件」
「基にする資料がなかったが、みんなで話す中で冷静に判断できるようになった」
と述べた。
量刑は類似事件の過去の判例などを踏まえた上で
「いろんな意見が出たが、最終的にみんなで納得した」
とし、裁判員として参加したことについては
「(あおり運転は)日常起こり得ること」
「関われてよかった」
と述べた。
◆長女「気持ち考慮してくれた」
判決を受け遺族3人がコメントを発表した。
・萩山嘉久さん、友香さん夫妻の長女(17)
「私たちの気持ちを考慮してくれた判決でよかったです」
「ありがとうほざいます」
・友香さんの父(73)
「危険運転致死傷罪で認定してくださったことに感謝します」
「判決についてはそのまま受け止めたいと思います」
・嘉久さんお母、文子さん(78)
「全面的に納得できるものではありませんが危険運転と認められたことはよかったと思います」
「あおり運転がなくなることを切に願います」

東名あおり 懲役18年 控訴審ならどうなる 専門家「やや強引な判決」
2018年12月15日 夕刊フジ
あおり運転を社会問題化させた事件に1つの決着が付いた。
東名高速道路での夫婦死亡事故の裁判員裁判で、横浜地裁は14日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪の適用を認め、石橋和歩被告(26)に懲役18年(求刑懲役23年)の判決を言い渡した。
被害者側の処罰感情に配慮した判決といえるが、法曹関係者は
「やや強引な判決ではないか」
と指摘する。
弁護側が控訴した場合、量刑は変わるのか。
「私たちの気持ちを考慮してくれた判決で良かったです」。
死亡した萩山嘉久さん=当時(45)=と妻の友香さん=同(39)=の長女はこうコメントを出した。
遺族をサポートする中江美則さん(55)も
「(嘉久さんらも)ちょっとほっとしているのではないか」
と述べた。
裁判員の女性は報道陣の取材に応じ
「被害者側の気持ちになることが多く、公平に判断するという点で悩んだ」
と複雑な心境を吐露した。
判決で裁判所が危険運転に当たると判断したのは、事故発生当時の停車状態ではなく、事故直前までの妨害運転だった。
これについて弁護士の高橋裕樹氏は
「そもそも萩山夫妻が死亡した直接の原因は、石橋被告の車が停車し、その場から動けなくなった状態で後続のトラックが衝突したことだ」
「しかし裁判所は、停止行為自体を危険運転ではないと判断しつつ、直前のあおり運転とその後の一連の行為を一括りにして同罪を適用してしまった」
と指摘した。
「これでは類似の事件の裁判でも、
『事故の直接の原因が何か』
ということを脇に置いて、直前までにあおり運転があったのなら、同罪が適用できるようになってしまう」
「それはやや強引ではないか」
と危惧する。
弁護側が控訴した場合、判決がひっくり返る可能性はあるのか。
前出の高橋氏は
「検察側は、最高刑が懲役20年の監禁致死罪を予備的訴因としている」
「仮に控訴したしても危険運転致死傷罪が覆っても、石橋被告の量刑には変動が生じない可能性も考えられる」
とみる。
判決を聞いた後、これまでの公判と変わらない様子で遺族を見ることもなく法廷を後にした石橋被告は何を思うのか。

あおり運転事故裁判 懲役18年の判決 危険運転の罪認める
2018年12月14日 14時07分 NHK
神奈川県の東名高速道路であおり運転をきっかけに家族4人が死傷した事故の裁判で、横浜地方裁判所は、被害者の車の進路をしつこく妨害したり走行車線に停車したりした被告の行為が追突事故を誘発したとして、危険運転の罪を適用しました。
そのうえで、
「常軌を逸した犯行であり、刑事責任は重大だ」
として、懲役18年を言い渡しました。
去年6月、神奈川県の東名高速道路で、あおり運転を受けて停車したワゴン車が後続のトラックに追突され、萩山嘉久さん(45)と妻の友香さん(39)が死亡し、娘2人がけがをしました。
福岡県中間市の無職、石橋和歩被告(26)が、あおり運転の末に事故を引き起こしたとして、危険運転致死傷などの罪に問われました。
これまでの裁判員裁判で、検察が懲役23年を求刑したのに対し、弁護士は、被告が車を止めたあとに起きた事故に危険運転の罪は適用できないとして、この罪について無罪を主張していました。
14日の判決で、横浜地方裁判所の深沢茂之裁判長は、被告が走行車線に車を止めたこと自体は危険運転には当たらないとしたものの、それ以前に4回にわたって萩山さんの車の進路を妨害した行為などとは密接に関連し、追突事故を誘発する原因になったとして、危険運転致死傷の罪を適用できると判断しました。
そのうえで、
「パーキングエリアで駐車のしかたを注意されたからといって一連の犯行に及んだのは、常軌を逸していて、くむべき事情はない」
「強固な意思に基づく犯行で、刑事責任は重大だ」
「家族旅行の帰りに、突如、命を奪われた被害者の無念さは察するにあまりある」
と指摘し、石橋被告に懲役18年を言い渡しました。
判決の言い渡しのあと、石橋被告は、裁判長から
「内容はわかりましたか」
と尋ねられると
「はい」
と答え、遺族のほうに目を向けることなく法廷をあとにしました。
◆傍聴希望者 約700人
石橋被告に対する判決の言い渡しを傍聴しようと、横浜地方裁判所には大勢の人が訪れました。
裁判所によりますと、41の傍聴席に対し682人の希望者が並んだということで、抽せんの倍率は16倍を超えました。
◆萩山さん夫婦の長女「気持ち考慮してくれた判決 よかった」
判決について、萩山さん夫婦の17歳の長女は
「私たちの気持ちを考慮してくれた判決でよかったです」
というコメントを弁護士を通じて出しました。
また、亡くなった萩山友香さんの73歳の父親もコメントを発表し、
「危険運転致死傷罪を認定して下さったことに感謝します」
「懲役18年についてはいろいろな考え方もあると思いますが、ここに至るまでの皆さまのご尽力によるものなので、私としてはそのまま受け止めたいです」
と心境をつづっています。
萩山嘉久さんの母親の文子さんは
「量刑について全面的に納得できるものではありませんが、被告の行為が危険運転と認められたことは良かったと思います」
「今回の裁判で自分の気持ちに1つの区切りをつけたいと思います」
「これからあおり運転などの危険な運転がなくなってくれることを切に願います」
というコメントを弁護士を通じて出しました。
◆友香さんの友人「短すぎて理解できない」
言い渡しのあと、亡くなった萩山友香さんの高校時代の友人だという女性は、懲役18年の量刑について
「あのような危険な運転を繰り返しているのに、懲役18年というのは短すぎて理解できません」
「ただ、2人はもう戻ってはこないので、被告は決められた刑で罪を償ってほしいです」
と話しました。
また、
「被告は裁判中ずっと腕を組んだり顔を触ったりしていて、ちゃんと聞いているのかなと思いました」
「『本当に反省していますか』と直接尋ねたいです」
と話していました。
そのうえで、友香さんと最後に会ったときのことを振り返り、
「『またね』と言って別れたのでもう1度会いたいです」
と涙ながらに話していました。
◆過去の事故の遺族も傍聴に
全国的に注目を集めた今回の裁判には、過去に交通事故で家族を失った当事者たちも傍聴に訪れました。
このうち中江美則さん(55)は、6年前、京都府亀岡市で小学生の列に無免許で居眠り運転の車が突っ込んだ事故で、児童に付き添っていた、当時妊娠中の娘を失いました。
中江さんは14日の判決について、
「危険運転が認められてよかったですが、懲役18年と求刑23年との5年の差の意味が明らかになっていないことに、ちょっと疑問が残っています」
と話していました。
また、中江さんは、萩山さん夫婦の残された娘たちと交流があるということで、
「証人尋問で娘さんが一生懸命戦っておられ、娘さんたちはよく頑張ったなと思います」
「しかし、この子たちがこれからも長い月日、苦しみ続けていくことを想像すると苦しすぎます」
と話していました。
◆国家公安委員長「悪質運転抑止の取り組み効果的に推進」
今回の判決に関連し、あおり運転の抑止に向けた警察の今後の施策について、山本国家公安委員長は閣議のあとの記者会見で、
「あおり運転などの悪質危険な運転に対しては、道路交通法だけでなく、刑法などでの立件も視野に取締まりを行い、的確な行政処分も実施している」
「その結果、取締まりや免許の処分件数は大きく増加していて、引き続き、こうした取り組みを効果的に推進していきたい」
と述べました。
◆元検事「一定の抑止効果ある判決」
判決について、元検事の高井康行弁護士は
「あおり運転の末に車を前に回り込ませて停止させたあとに起きた事故について、危険運転致死傷の罪を認めたのは初めてのケースと思われ、同じような行為について、社会に対して一定の抑止効果がある判決だと思う」
と話しています。
一方で、
「車を止めた行為、つまり時速0キロの状態を危険な運転行為と認めなかった点は問題があると思う」
「車の停止も運転に含まれることは明らかで、高速道路の追い越し車線で相手の直前で車を停止させた状況を踏まえると、この行為をそのまま危険運転と認定するほうが法律を作った趣旨にも合っているのではないか」
と指摘しています。
◆裁判員の女性「みんなが納得して結論出した」
裁判員を務めた45歳女性が判決の後で記者会見に臨み、被告に危険運転の罪を適用した点について
「法律にはすごく縛りがあるなと感じました」
「評議では、法律論や感情論などさまざまな意見が出ましたが、最終的には裁判員みんなが納得して冷静に結論を出しました」
と振り返りました。
また、懲役18年という量刑の判断については
「刑の重さは被告や被害者側の人生を決めてしまうことでもあり、難しい判断でした」
「正直、今でも気持ちの整理がついていません」
と話しました。
このほか、あおり運転が後を絶たない現状に対し
「自分が意識していなくても事故に巻き込まれることがあると思いました」
「あおり運転はしてほしくないです」
とも話していました。
◆弁護側「処罰の範囲拡大している」
判決について、石橋和歩被告(26)の弁護士は
「車線上に車を止めたことが危険運転致死傷罪の実行行為に該当しないという主張が認められた点は評価できる」
と述べました。
そのうえで、一連の行為に対し危険運転の罪が適用されたことについては
「走行中の車を前提にした法の趣旨を骨抜きにするもので処罰の範囲を拡大している」
と批判する一方で、
「高速道路上に車を強制的に停車させる運転が、生命・身体に大きな危険を生じさせることは明らかであり、被害者感情などと法制度の間に大きな隔たりがあることも事実で、立法による解決を図るほかないのではないか」
と指摘しました。
また、今後、控訴するかどうかについては
「判決文をよく精査し、法律の解釈や量刑などが妥当かどうか被告と協議していきたい」
と述べるにとどめ、
「被告にはしっかり更生することを望みます」
と話しました。
◆横浜地検「量刑については判決内容を精査したい」
判決について、横浜地方検察庁の山口英幸次席検事は
「危険運転致死傷罪が適用された点については、検察の主張が認められたものと受け止めている」
「量刑については判決内容を精査したい」
とするコメントを出しました。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/120.html#c19

[カルト50] 18日までは警戒しましょう。 決まったからこそ憲法改正の為に来るかもしれません。 #HAARP禍 イワツバメ
2. 秘密のアッコちゃん[1020] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 08:38:53 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[585]
<△20行くらい>
米国防総省、UFOの年次報告書発表 757件の4割特定 「スターリンク」誤認も
2024/11/15 7:02
https://www.sankei.com/article/20241115-XNJGQLKJPRIEZCOAED6R3KIH4U/
米国防総省の全領域異常対策室(AARO)は2024年11月14日、未確認飛行物体(UFO)に関する年次報告書を発表した。
今年2024年6月までの1年間に757件の報告があり、約4割は鳥や気球、無人機などと特定した。
宇宙企業スペースXの衛星通信網「スターリンク」の衛星を誤認する報告が増えているとも指摘したが、件数は明らかにしなかった。
報告書は
「地球外生命体やその活動、技術の存在を示すような証拠はない」
と強調した。
米国では航空の安全や領空防護の観点からもUFOへの関心が高い。
米軍機のパイロットからは安全上の懸念が2件、追尾されたとの報告が3件あった。
民間航空機の乗務員は
「円筒形の物体」
とのニアミスを1件報告した。
核関連施設近くでの18件は無人機だった。
今回の報告書は昨年2023年5月から今年2024年6月までに目撃された485件と、2021〜22年に目撃されたが遅れて報告があった272件をまとめた。
地理的には米国の他、日本近辺や中東など米軍の活動地域に偏っている。(共同)

http://www.asyura2.com/24/cult50/msg/152.html#c2
[政治・選挙・NHK296] 不倫暴露選挙後先送りの理由(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
58. 秘密のアッコちゃん[1021] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 12:40:17 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[586]
<■792行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
財務官僚は、たとえ全体の税収が減ろうが、消費増税や緊縮財政を唱える者が出世できる傾向にあるという話がある。
そういう傾向こそ改善すべきだ。

財務省の”ハシゴ外し”と”岸田降ろし”に耐えられるか
支持率回復の目がないと見るやバッサリ切り捨てる財務省の非情
WiLL2024年1月号 数量政策学者 高橋洋一
■”遅くてショボい”経済対策
内閣支持率の下落が止まりません。
自民党関係者からは
「減税してもダメなのか・・・」
と溜息が漏れる。
しかし、岸田総理が打ち出した総合経済対策はインパクトに欠けていた。
所信表明演説では
「経済、経済、経済」
「何よりも経済に重点を置く」
と連呼していたのに、蓋を開ければ期待ハズレ。
「減税」
を言い出したのは所詮、
「増税メガネ」
のイメージを払拭するために過ぎず、国民生活に寄り添う気はないと思われてしまった。
経済対策の2本柱は給付金と減税です。
第1段階は、2023年年内から2024年年明けに配る給付金(非課税世帯に7万円)。
第2段階は、2024年の春から夏にかけての1人当たり4万円の定額減税(所得税3万円、住民税1万円)。
前者は臨時国会で提出する補正予算により、後者は2024年の通常国会で提出する税制改正により実現します。
2本立てになっていますが、一言で言えば「遅くてショボい」。
経済対策はなぜ「遅い」のかー。
臨時国会で税制改正案を出すことが出来れば、2023年の年末調整まで所得に減税も可能でした。
しかし、改正案の提出は2024年の通常国会に回された。
減税の実施は最速でも2024年6月になってしまったのです。
財務省は当初、所得減税そのものに難色を示していました。
しかし、定額減税は前例があるから、渋々ながら認めざるを得なかった。
とはいえ、臨時国会での税法改正は回避したい。
「自民党の税調に議論を任せる」
という”理由ならない理由”を付けて、後回しにしたのです。
聞くところによれば、岸田総理が自民党の税制調査会を抑えられず、税制改正は先送りになったとか。
税調会長の宮沢洋一氏は財務省出身。
岸田総裁は従兄弟、宮在喜一元総理は叔父に当たります。
財務省出身なだけあって、宮沢氏は減税や積極財政には後ろ向き。
財務省の代弁者に他なりません。
とはいえ、税制調査会は自民党内の機関です。
岸田総理は自民党の総裁でもあるから、本気になれば「イエス」と言わせることが出来る。
財務省には何も言えない岸田総理の弱さが、改めて浮き彫りになりました。
■財務省のゴネ得
経済対策はなぜ「ショボい」のかー。
岸田総理は当初、
「税収増加分の一部を国民に還元する」
と述べていました。
「還元」というのは曖昧な言葉ですが、本来であれば経済成長と円安のお陰で政府が得した分を国民に”還す”べきです。
具体的には、過去2年分の税収増加、2023年度の税収増加見込み、過去に行った経済対策の余り、外為特会(為替介入の原資となる外貨資産など)の含み益。
それらを合わせれば、約50兆円を確保できる。
50兆円を一気に吐き出せば、過度なインフレを招きかねないので、多年度に渡って還元すべきです。
では、臨時国会ではどれほどの額を補正予算に計上すれば良かったのか。
基準となるのがGDPギャップ(潜在GDPと実際のGDPの差)です。
私の見立てでは、現在のGDPギャップに当たる20兆円を”真水”で計上できればベスト。
真水というのは、既存経費の振り替えなどを除いた、GDPの押し上げに貢献する部分のことです。
閣議決定された補正予算案は、一般会計でおよそ13兆円。
そのうち”真水”は10兆円ほどです。
これでは、20兆円のGDPギャップを半分しか埋めることが出来ません。
賃金上昇がインフレを上回るレベルには達しないのです。
デフレ脱却が遠のきました。
”時、既に遅し”ではありますが、自民党内の積極財政派は政府に”早くてショボくない”経済対策を打たせるために、どう立ち回るべきだったか。
まずは
「2023年の年末までに実施する」
とスケジュールを決めた上で、規模の議論をすれば良かったのです。
先述の通り、吐き出せる財源はたっぷりある。
規模の議論に持ち込めば、財務省が
「10万円の定額給付金なら減税よりマシ」
と妥協する可能性はありました。
その証拠に、税調会長の宮沢洋一氏は各紙のインタビューに答え、所得減税の期間について
「1年だけ」
と明言している。
期間が1年だけなら、減税に拘る必要はなく、給付金でいいのです。
自民党内の積極財政派は”減税”というゴールに拘るあまり、財務省を警戒させてしまった。
財務省に先手を取られ、ペースを握られた結果、2023年末のはずが2024年6月、20兆円のはずが10兆円という
「遅くてショボい」
経済対策になったのです。
■ハシゴを外された岸田総理
世論調査では、経済対策を
「評価する」
「期待する」
は2〜3割に止まりました。
内閣支持率も過去最低を更新し続けています。
そんな中、岸田総理にとっては”泣きっ面に蜂”とも言える事態が発生しました。
政府は2023年11月2日、総合経済対策について閣議決定しました。
以下のように記されています。
「過去2年間で所得税・個人住民税の税収が3.5兆円増加する中で、国民負担率の高止まりが続いていることも踏まえ、この税収増を納税者である国民に分かりやすく『税』の形で直接還元することとし、令和6年度税制改正として本年(2023年)末に成案を得て、3兆円台半ばで所得税・個人住民税の定額減税を実施する」
ところが、その直後に”異変”が起こります。
自民党・税調会長の宮沢洋一氏は2023年11月7日、日経新聞のインタビューで、所得減税は岸田総理が唱える
「税収増の還元ではない」
との立場を示した。
鈴木俊一財務相も2023年11月8日、国会でこう答弁しています。
「過去の税収増はもう当初予算や補正予算の編成を通じて、主として政策的経費や、国債の償還に充てられております」
「仮に減税をしなかった場合と比べた場合には、国債の発行額が増加することになる」
岸田総理は再三に渡り、
「税収増を国民に還元する」
と述べてきました。
閣議決定にも、その旨が明記されている。
にもかかわらず、税調会長と財務相は真逆のことを言い出した。
閣議決定の文章作成には財務官僚も関わっています。
宮沢氏や鈴木氏の発言も当然、財務官僚は了承済みのはず。
1週間も経たず、岸田総理は財務省に”ハシゴを外された”のです。
2023年11月10日に閣議決定した補正予算案は結局、歳入の7割を国債で賄う内容となりました。
マスコミは
「財政再建が遠のいた」
などと批判しています。
岸田総理からすれば、まさに踏んだり蹴ったりです。
総合経済対策の評判は芳しくなく、岸田政権の支持率低下は止まらない。
岸田総理が2023年の年内解散を見送ったとの報道も出ている。
財務省が一連の動きを受け、
「岸田政権をこれ以上支える必要はない」
と判断した可能性があります。
財務省の”ハシゴ外し”に呼応して、自民党内でも”岸田降ろし”の風が吹き始めるかもしれない。
岸田総理は2024年秋に控える総裁選での再選を狙っている。
しかし、それまでに岸田政権が”もつかどうか”も怪しくなってきました。
■言い訳を並べ立てる
岸田総裁が最初に”減税”を言い出した時、国民が期待したのは
「消費減税」
です。
消費減税は所得減税や法人減税よりも大きな経済効果が期待できる。
所得減税により可処分所得が増えても、全てが消費に回るわけではなく、投資や貯蓄に回されてしまう。
その点、消費減税はダイレクトに消費を喚起でき、何より国民の”実感”が大きい。
ところが、岸田総理は
「消費税を下げることは検討しませんでした」
と、最初から考えていなかったことを告白。
消費減税はそれほど難しいことなのか。
結論から言えば、難しくはありません。
しかし、財務省がありとあらゆる言い訳を並べて阻止している。
財務省が仕掛ける最大の罠が、
「消費税は社会保障目的税」
というもの。
社会保障に支障を来さないためにも、消費税を上げる必要があるというロジックです。
それを財務省がの御用学者・御用記者が喧伝しますが、彼らは重要な事実をひた隠しにしている。
消費税を導入している150カ国のうち、社会保障を目的としているのは日本だけなのです。
社会保障制度は通常、保険原理(収入と支出の均衡)を基に運営されています。
例えば、平均寿命まで生きない人が払った保険料で、長生きした人の年金を賄っている。
どれだけ少子高齢化になろうとも、収支のバランスは調整されています。
税金は基本的には必要ない。
社会保障に過度に税を投入すると、給付と負担の関係が不明確になってしまう。
旧大蔵省は1990年代まで、
「消費税は社会保障目的ではない」
と主張していました。
ところが、大蔵省は自民党・自由党・公明党の
「自自公連立」
時(1999年)に、
「消費税を社会保障に使う」
と予算総則に書いた。
大蔵省が目を付けたのは自由党の小沢一郎党首。
消費税を社会保障目的税にしないかと大蔵省に提案され、小沢氏は従ってしまった。
財務省は何故、消費税を社会保障に使うなどと言い出したのか。
高齢化が進む日本では、社会保障の費用は増えていきます。
そうすると、社会保障を口実に消費税を上げ続けられる。
”国民の命”をタテにすれば、消費増税への反対論を封じられます。
財務省は増税を正当化するために、国民を人質にしようと企んだのです。
「お前たちの老後がどうなってもいいのか!」
という恫喝に他なりません。
ちなみに、『文藝春秋』2023年5月号に掲載された
「『安倍晋三回顧録』に反論する」
なる記事は、齋藤次郎元大蔵次官のインタビュー。
アベノミクス批判でしたが、これも財務省によるメディア工作の一環でしょう。
財務省は選挙が近付くと、新聞・テレビ・雑誌を利用して”増税”に世論誘導しようと画策する。
『文藝春秋』と言えば、2021年11月号に矢野康治財務次官(当時)が寄稿。
自民党総裁選や衆院での政策論争を
「バラマキ合戦」
と批判しました。
齋藤氏のインタビューも、G7広島サミット後の解散を睨んで出されたのかもしれません。
ワイドショーでは
「消費減税をすると買い控えが起こる」
という言説も聞かれます。
これも財務省から吹き込まれた可能性が高い。
他の先進国は経済状況に応じて、消費税率を上下させています。
しかし、
「買い控えが社会を混乱させる」
など聞いたこともない。
ドイツやイギリスではコロナ禍において、飲食や宿泊、娯楽業界を対象に、付加価値税を時限的に引き下げている。
景気が悪ければ消費税を下げるというのは、世界では当たり前に行われていること。
財務省の常識は世界の非常識なのです。
■政府は円安でウハウハ
緊縮主義に染まった財務省のせいもあり、日本は30年もの間、デフレから脱却出来ずにいます。
給料が上がらければ、GDPも上がらない。
日本のGDPは2023年、世界第4位に転落。
55年ぶりにドイツを下回りました。
ドイツに抜かれたというニュースは、確かに日本経済の伸び悩みを象徴しています。
しかし、日本経済はポテンシャルが高い。
悲観する必要はありません。
各国のGDPはドル建てで計算されるので、円安が進んでいる日本の数字はどうしても低くなってしまいます。
日本政府が適切な対策を打てば、賃金は上昇します。
そうすれば、為替も戻っていくでしょう。
メディアの報道を見ていると、
「為替は国力」
「円安は国力低下」
かのような印象を受ける。
しかし、これは経済学的に全く意味不明です。
為替は2国間の金融政策の差で決まるもので、国力の指標ではありません。
「為替は国力」
が本当なら、
「円安になった安倍政権時代よりも円高だった民主党政権時代の方が日本は強かった」
ことになります。
でも、そんなハズがない。
円安はむしろ、GDPの増加をもたらします。
大雑把に言えば、10%の円安により、GDPは約1%も上昇する。
内閣府などの国内機関、経済協力開発機構(OECD)などの国際機関の経済モデルでも、通貨安がGDPを押し上げることは確認されている。
実際に、多くの日本企業が円安の恩恵を受けています。
トヨタは4.5兆円という過去最高の営業利益を叩き出した。
輸入主導の企業とって、円安が不利であることは間違いない。
それでも、日本経済全体にはプラスに働きます。
法人税や所得税が伸びるだけでなく、外為特会の含み益も膨らむ。
政府は円安でウハウハ。
政府が国民に”還元すべき果実”はいくらでもあるのです。
それだけに”遅くてショボい”経済対策には納得がいきません。
■全ては政治次第
日本のGDPを抜いたドイツにも触れておきます。
ドイツはここ20年、実力以上の経済成長を遂げてきました。
共通通貨「ユーロ」導入以降、ゲタを履かせてもらっています。
ドイツやフランスといった大国だけでなく、ギリシャやスペイン、ポルトガルなどの国もユーロ圏に組み込まれている。
経済力が強い国は有利に、弱い国は不利になります。
どういうことかー。
ドイツがマルク、ギリシャがドラクマを採用し続けていたと仮定しましょう。
ドイツ経済が強くなれば、マルク高が進む。
相対的にドラクマは弱くなり、ギリシャの輸出が活性化します。
通貨が強いと輸出が落ち込み、通貨が弱いと輸出が伸びるのです。
ユーロが拡大する前は、そうやってバランスが保たれてきました。
ところが、ドイツとギリシャが同一通貨を採用すると、双方の為替変動というものが存在しなくなる。
結果的に、経済力が強い国は更に儲け、富を独占してしまいます。
ドイツ経済の繁栄は、周辺国の犠牲の上に成り立っていた。
ゲタを履かせてもらっている状態です。
そんなドイツも脱原発、ロシアへのエネルギー依存などの失策により、迷走を続けています。
国家の興亡は政治次第。
日本の政治家もそのことを肝に銘じなければなりません。

『安倍晋三回顧録』の衝撃
ジャーナリスト 櫻井よしこ
読売新聞特別編集委員 橋本五郎
Hanada2023年4月号
■歴史的意義の大きい肉声
・櫻井
安倍元総理のインタビューをまとめた『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)が出版されました。
聞き手は橋本さんと、読売新聞の尾山宏さん。
大変面白く、かつ貴重な肉声を記録しています。
■倒閣を目論んだ財務官僚
・櫻井
国内の話で言えば、野党は敵ではないという感じですが、財務省の抵抗は凄まじいものがあった。
特に驚いたのは、再増税を先送りすると言ったら、財務省が倒閣に動いた、という指摘です。
安倍さん自身が、
「安倍政権批判を展開し、私を引きずろ下ろそうと画策した」
「彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない」
と仰っていました。
・橋本
安倍内閣を倒し、谷垣さんを立てて谷垣内閣を作ろうとしたのです。
しかし、谷垣さんはそれに乗らなかった。
結局、解散総選挙をやって大勝し、財務省を黙らせたのです。
安倍さんは
「増税先送りの判断は、必ず選挙とセットだった」
「そうでなければ、倒されていたかもしれない」
と言っています。
・櫻井
選挙で国民の信を問うという形で、増税派の財務官僚を抑え込んだんですね。
それほどまでに、財務省との闘いは熾烈だった。
・橋本
財務省は役所の中の役所。
その役所が総力を挙げて増税すべきだと言ってくるのですが、安倍さんは2014年に実施された消費税5%から8%への増税を失敗と考えていました。
財務省は
「増税しても社会保障費などの将来不安が消えるので、景気に悪影響はない」
と言い続けてきましたが、全く逆の結果になったんです。
■森友問題は財務省の策略?
・櫻井
ようやくアベノミクスが成果を実らせつつあったのに、大ブレーキになってしまいましたね。
・橋本
これが、元々不信を抱いていた財務省に対する、更なる不信に繋がります。
確かに、
「増税先送り」
を掲げる選挙は、率直に言えばポピュリズムそのものです。
しかし、安倍さんはそれを逆手に取ったんですね。
2020年にコロナ禍で
「全世帯に一律10万円を配る」
と決めたのも、言うなればポピュリズムです。
本書のインタビューでも安倍さんは率直にそう言いましたが、安倍さんは
「私は国論を二分するようなこともやってきた」
「一方で、国民の歓心を買うような政策も必要だ」
と言い切りました。
そこまで言われると、反論できません。
・櫻井
一律10万円の施策で助かった人も多かったと思いますが、財務省はこの時も抵抗したのでしょう。
多久保忠衛さんが仰っていましたが、大蔵省時代の財務省はこれと思う政治家に若い頃から目を付け、育てて、総理に押し上げてきた。
財務省の意に沿う政治家は徹底的に守るが、言うことを聞かなければ大変なことになるのだと。
安倍さんも『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)で、森友学園問題について
「土地取引の資料が私の下には届かなかった」
とし、財務省が政権の足元を掬おうとした策略ではなかったか、とまで仰っています。
・橋本
財務省は政界に張り巡らせた人脈の網を使って、自分たちに都合よく政治家を動かしてきました。
予算は主計官が決めますから、議員は主計官に自分の選挙区にアピールできる予算を付けるよう頼み込む。
だから多かれ少なかれ、議員は財務省に借りができてしまう。
これが財務省の強さの源泉です。
更には国税庁を握っていますから、
「いざとなれば脱税で踏み込ませるぞ」
と、言葉には出さずとも圧力をかけるわけです。
官僚主導の打破は長らく叫ばれてきましたが、実質、官僚主導は続いていて、特に財務省と対立してうまくやれた政権はありません。
徹底対立して長期になったのは、安倍政権が唯一の事例です。
・櫻井
財務省だけでなく、外務省も厚労省も省益ばかり優先して、
「国家」
というものへの意識が足りない。
そもそも憲法の前文からして、
<平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した>
と書いてるぐらいですから、国家としての主体性がない。
特に官僚には欠けている。
そのことを安倍さんは痛感していた。
・橋本
中でも財務省は金を握っていますから、権力も強い。
しかし、政治家はそれを乗り越えなければなりません。
国民の負託を受けた政治家の言うことを聞け、との姿勢を貫くのが政治家の役割で、それは強権でも何でもありません。

森友学園問題が浮上
ーー2017年2月17日の衆院予算委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却問題が取り上げられました。
2016年に森友学園に払い下げられた国有地は、不動産鑑定士が出した土地評価額が9億5600万円でしたが、近畿財務局はゴミの撤去費用として約8億円を値引きし、1億3400万円で契約しました。
昭恵夫人が視察し、小学校の名誉校長に就任予定だったことで、首相の関与も疑われました。
答弁では
「私や妻が(売却に)関係していたとなれば、首相も国会議員も辞める」
とまで述べ、政治生命を賭けた主張でしたが、この答弁が、後に官僚の忖度に繋がり、決済文書の改竄を招いた、という受け止めが広がりました。
この問題をどう総括していますか。
★安倍晋三
私は、籠池泰典学園理事長という人物に1度も会ったことがないので、潔白だという自信があったのです。
だからああいう答弁になった。
昭恵が小学校設立に賛同していたのは事実ですが、そのことが何故私の関与に直結するのか。
財務省が土地代を値下げするはずもない。
だから
「何を言っているのか」
となったのです。
私と麻生さんの地元で、山口県下関市と福岡県北九州市を結ぶ下関九州道路(第2関門橋)の構想がありますが、何年経っても構想段階から進んでいませんよ。
そんな利益誘導、私たちはやらないのです。
国有地の売却価格を値下げした理由は、豊中市の売却予定地にゴミが見つかったことなど様々な理由がありました。
背景が根深いのは事実でしょう。
2018年に国有地売却の決裁文書の改竄が明らかになりますが、財務省の佐川宣寿理財局長は2017年に
「政治家の関与は一切ない」
「価格を提示したこと、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」
と答弁していました。
この答弁と整合性を取るために、財務省が決裁文書を書き換えてしまったのは明らかです。
野党から連日追及され、財務省は本来の仕事ができないから、野党を鎮めるために改竄してしまったわけです。
正直、改竄せずにそのまま決裁文書を公表してくれれば、妻が値引きに関わっていなかったことは明らかだし、私もあらぬ疑いをかけられずに済んだわけです。
官僚が安倍に忖度した、というように結論付けられてしまっていますが、財務官僚が私のことなんて気にしていなかったことは、その後、明らかになった文書からもそれは明白です。
自分たちの組織を守ることを優先していたのです。
この土地交渉は、財務省近畿財務局と国土交通省大阪航空局のミスです。
2015年にコンクリートが見つかり撤去したのに、2016年に新たなゴミが見つかった。
ところが、近畿財務局と大阪航空局が打ち合わせをして、学園側には黙っていた。
これを知った籠池理事長が怒り、損害賠償を求める構えを見せたので、財務局が慌てて一気に値下げしたわけです。
大阪航空局も、色々と問題があった土地だから、早く売ってしまえと財務局を急かした。
様々なミスに付け込まれたのです。
でも、官僚には無謬性の原則があって、絶対に間違いは犯していない、という立場を取るのですよね。
だから後から整合性を取ろうとして、国民の理解できないような行動を取ってしまう。
本来なら、国土交通相と財務相が答弁すべきなのだけれど、野党は私の関与を強調したいあまり、本質と外れた質問をずっと繰り返していました。

ーー2017年3月23日には衆参両院の予算委員会で籠池理事長に対する証人喚問が行われ、昭恵夫人との親密な関係を強調し、安倍さんからとして100万円の寄付を受け取ったと述べました。
★安倍晋三
理事長は独特な人ですよね。
私はお金を渡していませんが、もらったと言い張っていました。
その後、息子さんが、私や昭恵との100万円授受を否定しています。
この話が虚偽だったことは明確でしょう。
理事長は野党に唆されて、つい
「もらった」
と口走ったんでしょ。
理事長夫妻はその後、国や大阪府などの補助金を騙し取ったとして詐欺の罪に問われました。
もう、私と理事長のどちらに問題があるのかは、明白でしょう。

ーーそれでも首相夫人として昭恵さんが軽率だったという批判は免れません。
★安倍晋三
致し方ない面もあるんですよ。
昭恵の友人の娘が、森友学園の幼稚園に通っていて、その友人から誘われた話なのです。
私が昭恵から森友学園の話を最初に聞いた時は、運営する幼稚園で園児に教育勅語を素読させているし、日本初の神道理念に基づく小学校の建設を目指すというから、なかなかのやり手だなと思ったのです。
ところが、小学校名は安倍晋三小学校にしたいという話があったので、それはやり過ぎだと断ったのです。
昭恵の名誉校長も実は断っているのです。
にもかかわらず、籠池氏側は、その後も勝手に、安倍晋三小学校だ、昭恵が名誉校長だと吹聴していた。
私の名前を利用して、寄付を集めようと思ったのでしょう。

森友問題再燃、財務省による決裁文書の改竄
ーー2018年3月2日、森友学園への国有地売却問題に関して、朝日新聞が
「財務省の決裁文書が書き換えられた疑いがある」
とスクープし、財務省は、改竄を行っていたことを認めました。
財務省の佐川宣寿理財局長は、森友問題が発覚した2017年に、
「森友側との面会記録は残っていない」
「価格交渉は行っていない」
といった趣旨の答弁をしていました。
改竄は、そうした答弁と整合性を図るために、佐川氏が主導したと結論付けられています。
安倍さんは、価格交渉の有無などを調べなかったのですか。
★安倍晋三
文書の改竄なんて、思いもよりませんでした。
常識ではあり得ないわけです。
改竄は、佐川さんの指示で課長以下が関わっていたわけです。
そこまで官邸の目は届きません。
この当時、官僚の不祥事が起きると、
「官邸一強の弊害だ、驕りだ」
とか、
「官僚が私に忖度したんじゃないか」
と言われました。
でも、仮に官僚が忖度していたとしても、忖度される側の私は、分からないでしょう。
そんなに官邸が強過ぎると批判するのであれば、ではどうすればいいのですか、と言いたかった。
批判していた人は、官邸の力が弱体化し、政治が機能しなくなれば満足だったのですか。
私には全く理解できません。
私は自民党総裁として2012年・2014年・2017年の衆院選、2013年・2016年・2019年参院選と、国政選挙で6連勝しました。
総裁選は2012年、2015年(無投票)、2018年で勝ったわけです。
この9つの選挙で、1つでも負けたら、安倍内閣は終わりだったんです。
政権選択ではない参院選だって、負けたら党内で倒されちゃいますからね。
実際、第1次内閣はそういう側面がありました。
選挙で勝利を得るためには、官邸主導で政策を推進し、全力を尽くすのは当然でしょう。

ーー財務省は、決裁文書にあった
「本件は鴻池祥肇参院議員からの陳情案件」
「本件の特殊性」
といった記載の他、安倍昭恵首相夫人が学園側に
「いい土地ですから前に進めてください」
と述べたとされるくだりも削除していました。
首相の関与が疑われても仕方がない状況だったと思います。
★安倍晋三
鴻池さんは財務省に問い合わせをしていました。
だから
「鴻池案件」
という言葉が使われた。
鴻池さんの他にも、多くの議員が文書には登場し、削除されているわけです。
森友側は、政治家を使い、国有地を安く購入しようとしたのは明らかです。
改竄なんかするから、まるで凄い底の疑惑があるかのように世論に受け止められてしまったのです。

ーー家計学園の獣医学部新設を巡っても新たな展開がありました。
柳瀬唯夫首相秘書官が2015年4月、愛媛県職員らと面会し、
「本件は首相案件」
と発言したとされる記録が見つかりました。
柳瀬氏は2018年5月10日、国会に参考人として呼ばれ、県や今治市職員、家計学園との面会を認める一方、首相案件という発言は否定しました。
★安倍晋三
あらゆる案件が
「首相案件」
にされてしまうのは、私の意向だと強調すれば実現する、という考えが根底にあるからです。
メモを残した愛媛県や今治市も同じでしょう。
家計学園に対しては、2017年1月に獣医学部の新設が認められました。
日本で獣医学部が新設されるのは、52年ぶりのことでした。
しかも、国家戦略特区の制度を利用して、ようやく認められたわけでしょう。
競争相手を増やしたくない獣医師会側が、新設を認めないよう政界に働きかけていたのです。
医療系の大学も、新設が難しい。
獣医師会と同様に、競争相手を増やしたくない医師会の意向が働いています。
そうした構造的な問題を改革しなければならなかったのですが、私がやったら
「家計学園のためか」
などと疑われてしまったでしょう。
踏み込むことはしませんでした。

ーー財務省との暗闘が7年9カ月の安倍内閣の間中、続いていたということですか?
★安倍晋三
財務省と、党の財政再建派議員がタッグを組んで、
「安倍降ろし」
を仕掛けることを警戒していたから、増税先送りの判断は、必ず選挙とセットだったのです。
そうでなければ、倒されていたかもしれません。
私は密かに疑っているのですが、森友学園の国有地売却問題は、私の足を掬うための財務省の策略の可能性がゼロではない。
財務省は当初から森友側との土地取引が深刻な問題だと分かっていたはずなのです。
でも、私の元には、土地取引の交渉記録など資料は届けられませんでした。
森友問題は、マスコミの報道で初めて知ることが多かったのです。

岸田首相、財務省の罠に嵌るな!
防衛増税は100%必要ない 自民党税制調査会幹事が断言する!
Hanada2023年4月号 自民党参議院議員 西田昌司
■「増税」を巡る大誤解
中国の台湾武力侵攻の可能性、中国公船による尖閣諸島周辺への領海侵犯、北朝鮮の度重なるミサイル実験と、日本を取り巻く安全保障環境は大変厳しい状況にあります。
これに対処するため、岸田文雄首相は5年間で43兆円の防衛予算を確保し、日本の防衛力を強化することを明言しました。
国家を守るためには絶対に必要だったことで、岸田首相は、日本は日本人自身の力で守るという毅然とした意思を世界に向けて発信しました。
米国頼み一辺倒の過去の誤った防衛政策からの転換となる画期的な決断だったと思います。
これにより、2027年度以降、防衛予算の裏付けとして毎年4兆円の新たな財源が必要になりました。
岸田首相は、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保などの行財政改革の努力を最大限行った上で、
「それでも足りない約4分の1については、将来世代に先送りすることなく、2027年度に向けて、今を生きる我々が将来世代への責任として対応して参ります」
と施政方針演説で発言しました。
岸田首相は衆院予算委員会でも、
「4分の1の1兆円強については税制措置でお願いする」
と語っていることから、マスコミは
「防衛増税」
を既成事実のように報じています。
しかし、私の見方は違っています。
岸田首相は、モラルの問題としてああいう表現をされたのだと思っています。
国防は政府の責任であり、国民の義務です。
国を守るという当然のモラルの見地から、岸田首相は
”国民の税制でご協力を”
と発言されたと思う。
要は、モラル面での覚悟を国民に促したということです。
もし税負担を考えているなら、
「毎年1兆円ずつ国民から税金を徴収しますので、ご協力をお願いする」
とハッキリおっしゃったはずです。
しかし実際は、税目にすら言及していません。
予算委員会の質疑でも、防衛増税は法人税の増税で行うかのような議論が行われていますが、こちらは事実関係に大きな誤解があります。
私は、防衛予算の財源を議論する自民党の特命委員会(会長・萩生田光一政調会長)副委員長を務める一方、自民党税制調査会の幹事をしている関係で、議論の経緯を承知していますが、マスコミの報道を含め、大きな誤解があると思います。
■法人税増税の真相
結論から言うと、法人税の増税問題と防衛財源は関係がありません。
実は、法人税の増税については、自民党の税制調査会でずっと前から議論をしていた。
法人税の実効税率を現在の3割以下に引き下げたのは安倍政権ですが、安倍さんは税金を下げれば、それによって生まれた余裕資金を企業が従業員の賃上げや新たな設備投資に回してくれると期待していた。
実際、安倍さんは、財界に
「法人税を下げるから、給料を上げて投資に回して下さい」
と頼んだのですが、実現しなかった。
企業は、法人税引き下げで生じた余裕資金を賃上げと設備投資に回さず、ひたすら貯め込んだのです。
このため、法人税引き下げ後の5年間で、大企業を中心に内部留保が100兆円も増えた。
2021年度の企業の内部留保は、過去最高の約516兆円に達しました。
党税調の現場の議論では、
「法人税減税は失敗だった」
というのが共通認識になっています。
今、党税調会長をしている宮澤洋一さん(元経済産業大臣)や、国会議員初当選後ずっと党税調の役員をしてきた私は、法人税率の引き下げに反対の立場でした。
私は安倍さんにも、
「税率を下げても内部留保が増えるだけで経済的な効果はありませんよ」
と話しましたが、安倍さんは法人税率を下げてしまった。
宮澤さんや私が反対した理由はこうでした。
かつて実効税率が5割以上あった時代、企業は
「税金で半分取られるぐらいなら」
と前倒しで投資を行い、経費にして特別償却処理して納税額を減らしていました。
内部留保を増やすと税金で取られるので、貯め込まずに投資に回していた。
実効税率を高く設定していたことで投資にお金が回り、お金が循環していたわけです。
お金は経済の血液であり、循環することで価値を高めていくのです。
ところが逆に税率を下げてしまったため、企業は内部留保を貯め込み、経済にお金が回らなくなってしまった。
日本の企業の自己資本比率が欧米の2倍近くになっているのも、ひたすら利益を内部に貯め込んでいるからです。
経済の主体である企業がお金を内部に貯め込み、賃上げや投資に回さないのでは、経済が良くなるはずがありません。
こうした認識から、党税調では法人税率の引き上げ問題の議論を続けてきたのです。
そんな中で、岸田首相が
”国民の税制でご協力を”
と発言。
それでこの2つが結び付けられて議論されるようになったというのが真相であり、本来は別次元の話なのです。
とはいえ、本来の趣旨とは異なるものの、法人税改革が俎上に上っているのは良いことだと私は思っていて、岸田首相側近の木原誠二官房副長官にも
「法人税改革をした方がいいよ」
とお話ししてあります。
■自民党会議室がどよめいた
さて、問題の防衛費の財源ですが、私は足りない4兆円は新規国債を発行することで全額を調達するのが合理的だと確信しています。
国債を発行すれば、そもそも防衛増税の必要はなくなります。
そうなると、法人税改革は元々の経緯通り、防衛増税とは別に議論されることになります。
ただ法人税は使途限定の目的税ではないので、改革が実現したら、一部が防衛費に使われることは当然あります。
そもそも防衛増税の考えは、財務省のシナリオに基づくものです。
財務省の考え方は、財政健全化=財政規律一辺倒で硬直化しています。
財務省は、政府債務が増える新規国債発行はしたくないと、そればかり考えています。
財源を巡っては2023年1月16日、増税以外の方策を検討する自民党の特命委でも、出席した財務省幹部の説明は防衛増税の必要性に終始しました。
当然、
「防衛増税のことばかりが言われているのはおかしい」
と批判が噴出しました。
ただ、国民が負担するのはモラル論としては正しいので、そういうモラル論の立場から、中には増税に賛成する議員や、財務省と同じ発想で増税に賛成する議員もいて、議論になりました。
私は特命委の副委員長なので、本来、1委員としての発言は許されていませんが、話を聞いていて
「議論の前提となる国債発行の意味等について誤解に基づく議論が行われている」
と思い、萩生田会長の了承を得て、次のように発言しました。
「まず、事実を共有しよう」
「財務省に確認したい」
「財務省は、国債発行は孫子の代への借金の付け回しだと言うけれど、そうではないでしょ」
「国債発行によって得られた資金で予算を執行すれば、必然的に民間の預金残高が増える」
「つまり、逆に孫子の代の預金残高を増やすことになる」
「要は、国債発行は通貨の発行と同じということです」
すると、財務省側は
「通貨発行と予算の関係はその通りです」
と認めたのです。
こういう根本的仕組みを理解していない議員が多かったので、それを聞いて会議室はどよめきました。
学者やエコノミストの中にも、この仕組みを理解していない人が大勢いて困りものです。
■財務省の真っ赤な嘘
通貨発行の仕組みについて、ここで少し説明させて下さい。
まず、国家と家計は全く別物だということを覚えておいて下さい。
家計は借金し過ぎると破綻しますが、国家は違います。
財務省は意図的に家計と国家を混同した議論を展開して、国民をミスリードしてきました。
「国債発行は借金だから、増えると家計と同様、国家も破綻する」
「だから国債発行はダメだ」
と一貫して主張してきました。
しかし、これは真っ赤な嘘です。
国債を発行して税収以上の予算を使っても、国家財政は決して破綻しません。
理由は、国家には家計にはない超越的な権利、即ち通貨発行権と徴税権があるからです。
これを国家主権と言います。
国家はこの超越的な権利を行使して、国家の経済状況に合わせて通貨を発行したり、租税を徴収できる。
では、通貨の発行はどのように行われているのでしょう。
実は、中央銀行である日銀が銀行から国債を買い入れる形で行われている。
日本政府が発行した国債を銀行が購入し、それを日銀が銀行から買い取って、代金を銀行の日銀当座預金に振り込む形で通貨の発行、供給が行われているわけです。
国債を銀行から買い取り、その代金を支払うことで、日銀は銀行に通貨供給をするのですが、これだけでは民間部門への通貨供給はできません。
民間部門の通貨を増やすには、銀行が民間部門への貸し出しを行う必要があるのです。
これを信用創造と言いますが、英語ではマネークリエイションです。
まさに通貨創造なのです。
しかし、このためには借り手が存在しなければなりません。
ところが、デフレが続き、先行きも不透明なため、貸し出しは増加しなかったのです。
これがアベノミクス最大の誤算です。
異次元の金融緩和で金利はゼロにもマイナスにもコントロールできても、借り手不在では通貨供給ができないのです。
一方、国債発行による予算執行は、民間部門に直接通貨供給できるのです。
これが事実上の通貨発行なのです。
財務省寄りの学者やマスコミは、国債を出し過ぎると国債の信用が棄損し、国債の暴落やハイパーインフレとなる恐怖を盛んに煽っていますが、それは絶対に起こらないと断言できます。
マスコミは、財政破綻したギリシャのことをしきりに持ち出しますが、ギリシャはEU加盟国で共通通貨ユーロの発行権を欧州中央銀行に握られていて自由に通貨を発行できず、そのために国債を償還するお金がショートし、税収も少ないので国債償還ができずに財政破綻したのです。
自由に通貨の発行ができる日本とギリシャを同列に論じるのは、大きな間違いなのです。
また日本の場合、国債の発行は税金ではなく、新たな国債発行で得た資金で行われている。
つまり、借換債を新規発行して、古い国債を新しい国債に入れ替えている。
財務省は
「国債残高が1000兆円もある」
「このままでは財政破綻する」
と危機を煽り、新規国債発行に待ったをかける一方、国債の償還を税金で行って借金を減らそうとするのですが、財務省の言うように、もし1000兆円を税金で償還、つまり民間から税金を取って借金をゼロにしたら、民間から1000兆円のお金が消えて経済が回らなくなります。
財務省や学者、少なくないエコノミストは、バブル時代の銀行融資の増加と、政府の財政出動を同列に論じることが多い。
しかし、これも全くの誤りです。
バブル当時、銀行の融資残高が膨らみ、投資資金が流入して株と不動産バブルが生じ、あるラインを超えた瞬間にバブルは崩壊しました。
彼らは、政府が財政出動すると同じことになる、と国民の恐怖心を煽り立てています。
繰り返しになりますが、政府が国債を発行して予算を執行すれば、執行されたお金が民間部門の預金量を増やします。
これは財務省も認めている公理です。
政府には国債という負債が残りますが、民間部門にはそれと同額の預金が発生するのです。
ただ国債が増えて政府の負債が増えても、バブルの破裂により民間銀行が破綻したようにはなりません。
家計や企業は通貨の発行権がないので、借金返済のための資金を何処かから調達しないと破産してしまいますが、政府は通貨発行権があるのでその必要がありません。
これが通貨発行の本質です。
それを分かっていないで議論するから、議論がおかしな方向に向かってしまうのです。
巨大隕石が地球に衝突するようなほとんど現実に起こり得ないリスクを
「テールリスク」
と言いますが、財務省は国債の暴落による財政破綻といったテールリスクで危機を煽っています。
マスコミ、学者、エコノミスト、そして政治家、国民も財政の仕組みをしっかり理解して、いい加減、財務省の嘘に気付かねばなりません。
■国債発行1本で行けばいい
特命委では、私はもう1つ、財務省に確認しました。
財務省案では、増税以外に一般会計、特別会計の剰余金の活用を挙げているのですが、そもそも剰余金の原資は国債発行で得たお金ではないか、ということです。
この点についても、私が
「剰余金の原資は過年度に発行した国債発行で得た金でしょ」
と確認すると、財務省側は
「そうだ」
と認めた。
つまり、財務省案の剰余金も、実は国債発行で得た資金なのです。
それなら、不足分の全てを国債発行で調達すればいいだけではないか。
剰余金を捻出するために歳出改革をして必要な政策経費を無理して抑制しようとするから、あちこちで無駄な摩擦やトラブルが生じる。
それなら歳出改革なんて止めて、国債発行1本で行けばいい。
元々、岸田首相の説明は、
「財源とは関係なく防衛費を増やす」
ということでした。
それなら、財務省の土俵に乗らずに国債発行で調達すれば済む話なのに、歳出改革などを持ち出すから財務省の罠に嵌って、泥濘に陥るのです。
今、防衛費問題が揉めているのは、財政規律一辺倒の財務省が新規国債発行を認めようとしないことが最大の原因です。
混乱と誤解の根源は財務省の誤った思想にあります。
岸田首相は少子化対策も言っておられるが、これについても財務省の誤った思想に惑わされず、新規国債発行で財源を作ればいいのです。
フォークランド紛争(1982年)で英国とアルゼンチンが戦火を交えた時、当時のサッチャー英首相は、お金を使わないことばかり言う財務大臣を
「来なくていい」
と会議から外しました。
日本が危機に直面している時に、財政規律やプライマリーバランス(収入と支出を同じにして借金をしない政策)のことしか考えない財務省に任せていると、日本の未来はありません。
■安倍元首相の正論
安倍元首相は
「防衛予算は次の世代に祖国を残していく予算だ」
と、よく話しておられました。
私もその通りだと思います。
自分の国は自分で守るという覚悟を示さない限り、同盟国の米国ですら日本を助けてくれません。
自分の国を守る気概のない国民のために、米国民が自分の血を流すはずがないのです。
防衛予算については、昔から
「無駄な消耗予算に過ぎない」
と後ろ向きに捉える人が多い。
予算を付けても日本の防衛産業は青息吐息で、兵器の生産ラインの維持が困難で、多くの兵器を米国から購入せざるを得ないという現状があります。
日本学術会議も軍事研究への協力を拒否している。
こうした状況で防衛予算を増やしても米国にお金が流れるだけで、国内経済に役立たないというのです。
しかし今回の不足分は、自衛隊員の老朽化した宿舎の立て直しなどに充てられるのだから公共事業です。
確かに米国から兵器を購入しているが、それは国を守るために必要だからで、日本国内の景気回復策と全て関連付けて論じるのは、悪しき経済合理主義です。
いずれ日本全体が現実を直視し、防衛産業や防衛技術研究に対して正しく理解するようになれば、状況は変わってきます。
財務省について付け加えると、これまでの財務省の予想はずっと外れてきました。
「日本一の頭脳集団」
というののは、もしかしたら買い被りなのかもしれません。
安倍元首相も、民主党政権時代に引き上げ決定済みの消費増税の2段階引き上げ(5%から8%、8%から10%)に関する財務省の説明を懐疑的に見ていました。
そのため、2014年11月と2016年6月に、予定されていた増税を2度延期したのです。
この時、財務省は
「もし消費増税を延期したら日本の信用はなくなり国債は暴落、金利も暴騰しますよ」
と安倍さんを脅したのですが、そんなことは起きなかった。
また、財務省は2014年4月の消費税引き上げの前、
「消費増税をしても経済は4%プラス成長する」
と予想したが、現実はマイナス成長に転落した。
財務省の言う通りにしていると、国を誤ります。
日本の財務省以外の他の先進国の財政当局は、政府債務の削減が
「必ずしも良いとは限らない」
と考えていて、政府債務を悪と考える財務省の発想は、先進国の中では特異なものです。
■GHQが作った財政法4条
「政府債務は悪」
とする財務省の法的根拠は、敗戦後の占領期間中(1947年)にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が日本政府に作らせた財政法4条です。
4条は、公共事業などを除き
「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」
と定めています。
つまり、税収の範囲内で予算を組めというわけです。
財務省としては、財政法の定め通り、国債発行は厳に慎まなければならないと言いたいのです。
ところが財政法は、憲法9条と同じように日本がGHQに占領されていた時に、GHQによって押し付けられたものなのです。
GHQは日本が再び米国に歯向かわないように憲法9条を押し付けて軍隊を持てないようにする一方、財政法4条で国債発行に厳しい制限を課し、防衛費の財源を断ってしまおうとした。
実際、1987年、大蔵省出身の宮澤喜一蔵相は
「戦争中に国債が自由に無制限に発行できることが、日本が戦争に入った大きな原因であると反省し、またGHQもそう考えたと思う」
と発言しています。
財政法の起案者の大蔵省法務課長も、4条の趣旨について
「公債のない所に戦争はない」
「本条はまた憲法の戦争放棄を裏書き保証せんとするものである」
と著書に書いています。
この発想は朝日新聞と同じです。
朝日新聞は2022年12月15日の社説で
「国債発行による軍事費膨張が悲惨な戦禍を招いた」
「謝金頼みの『禁じ手』を認めれば、歯止めのない軍拡に道を開く」
と書き、防衛費を国債発行で賄うことに反対しました。
ところが、これも歴史的事実に反しています。
財務省も朝日新聞も、嘘ばかり言ってきたのです。
■財務省と朝日新聞の歴史の偽造
1つ目。
昭和初期まで日本は金本位制で、ゴールドの裏付けがなければ通貨を発行できなかった。
通貨が発行できない、即ち国債を発行できないということは、財政出動の資金が作れないということ。
そのせいで日本は深刻な経済不況になり、社会不安が深刻化してテロが頻発。
それを背景に、軍部が急激に力を伸ばした。
これに抵抗したのが、政治家の高橋是清蔵相。
高橋是清は、大蔵官僚が
「国債を発行するとハイパーインフレになる」
と反対する中、金本位制を止め、信用本位制に改め、国債を発行、つまり通貨を発行して財政出動した。
大蔵官僚の予想は外れ、敗戦まで日本はハイパーインフレになりませんでした。
このように、日本が軍国主義化して戦争に走ったのは国債発行が原因ではありません。
むしろ高橋是清は国債発行によって経済不況を克服し、戦争にならないように努力した。
そして国債発行の英断を下した高橋是清は、2・26事件で軍部に殺されました。
2つ目。
財務省と朝日新聞は
「高橋是清財政のツケで戦後にハイパーインフレになった」
と言いますが、これも事実ではありません。
戦中は統制経済でした。
ハイパーインフレは需要が供給を大きく上回った時に起きるが、政府が
「欲しがりません、勝つまでは」
で国民の需要を徹底的に抑え込んだので、ハイパーインフレにならなかった。
ところが、敗戦で統制がなくなって需要が拡大、これまで貯蓄していたお金が大量に出回る一方、戦争の被害により供給力は決定的に不足する中、需要が供給を大きく上回り、その結果、大インフレになった。
これが事実です。
財務省や朝日新聞の議論は逆立ちしている。
■やるべきことは明らか
私は、財務省の人たちと日常的に話しています。
彼らの理想社会は、財政赤字がなくて経済が回った高度経済成長期です。
ところがバブル崩壊以降は、経済はダメで国は赤字ばかり。
このままではどうなるのかと彼らは恐怖している。
だがこれも、何故そうなったかを考えると、バブル崩壊後の不良債権処理が全ての失敗の始まりでした。
当時の大蔵省は、バブル崩壊でできた700兆円もの民間負債を200兆円削減させ、これにより民間から200兆円のお金が消失しました。
この時、政府が200兆円分の国債を発行して民間に資金投入し、穴埋めしておけば経済は回ったのに、財務省は10〜20兆円程度の雀の涙ほどの経済出動でお茶を濁し、日本経済は急速に悪化。
以来、デフレが続き、税収も少なくなった。
呆れるのは、財務省がこれを利用して
「財政出動しても効果がない」
という理論を展開するようになったこと。
しかもその後、財務省は歳出削減に更に固執するようになり、政府も新自由主義的な構造改革を進めて支出を減らすことばかり続けてきた。
そのせいで、未だに日本はデフレから抜け出せないでいます。
今から考えると、狂っていたとしか思えません。
やるべきことは明らかです。
岸田首相には、国債を発行による断固たる財政出動を是非お願いしたい。

岸田首相は遂に「増税派の傀儡」としての本性をむき出しに/倉山満
2023年1月2日 8時51分 日刊SPA!
https://news.livedoor.com/article/detail/23474380/
◆岸田首相は遂に「増税派の傀儡」としての本性を剝き出しに
もはや賭けが成立しない。
’23年の何月から景気が悪くなるかの議論はあっても、良くなるかもしれない、との議論は成立し得なくなってしまった。
それほど決定的な事件が起きていたことに、どれほどの日本人が気付いているだろうか。
’22年2月のウクライナ事変をきっかけに、防衛費倍増の議論が待ったなしとなった(それでも5年後に、などとヌルい結論になったが)。
政府は参議院選挙後、これ一本にかかりきりになった感があるが、曲がりなりにも与党をまとめた。
また、(安倍晋三元首相の側近だった)与党幹部の萩生田光一政調会長が
「財源として来年からの増税はしない」
と押し切った。
ところが、突如として岸田文雄首相は
「防衛増税」
を打ち出した。
岸田首相は遂に
「増税派の傀儡」
としての本性を剥きだしにした。
◆増税派が狙うは「日銀人事」
これに対し、先週号で
「高市の乱」
を伝えた。
閣内にいながら、高市早苗経済安保担当大臣が反旗を翻したのだ。既に趨勢は見えていたが、案の定、腰砕けとなった。
SNSでは
「どうせ、いつものガス抜きだろ」
と冷ややかな視線が圧倒的多数だった。
だが、そんな単純な話ではない。
自民党良識派も決起、反対論が燎原の火の如く広がり、
「来年からの増税」
は阻止した。
結果、
「再来年以降のどこかで増税」
となった。
要するに先送りであり、玉虫色の決着だ。
むしろ良識派は
「来年からの増税を阻止した」
「その先の事は後でいくらでも潰せる」
と怪気炎を上げるかもしれない。
ここで問題である。
増税派は、最初から
「再来年以降のどこかで増税」
を考えており、織り込み済みの結論だったのだ。
では、増税派は何を狙っているのか。
日銀人事である。
◆「史上最強の財務事務次官」が副総裁に急浮上
黒田総裁と2人の副総裁の任期切れ後、どのような人事を望むのか。
総裁は、雨宮正佳現副総裁の昇格が有力視されてきたが、ここにきて中曽宏前副総裁が有力視されるようになってきた。
雨宮氏と中曽氏のいずれも、日銀プロパー。
副総裁には、木下康司元財務事務次官が急浮上している。
自民党総裁選・衆議院選挙・東京都議選挙・参議院選挙と連戦連勝、経済もアベノミクス絶好調だった、絶頂期の安倍首相に対し真っ向から喧嘩を売り、消費増税8%を押し付けた。
いわば、
「史上最強の財務事務次官」
「増税大魔王」
である。
5年後には総裁に昇格する含みの副総裁である。
もう1人の副総裁は、金融緩和を中核とするアベノミクスを支持したリフレ派を追放できれば、何でもいい。
「初の女性副総裁」
として複数の名前、例えば翁百合日本総研理事長のような名前が挙がる。
要するに
「リフレ派以外の学者で、女であれば誰でも良い」
のである。
◆利害の一致した財務省と日銀による「増税派」
従来、財務事務次官出身者と日銀プロパーが交互に正副総裁を出し合う
「たすきかけ人事」
を行ってきた。
政治介入を防ぎ、官僚が勝手に人事を、そして経済政策を壟断する体制を再び築きたいのだ。
財務省にとって日銀総裁は最高の天下り先でロイヤルロードと呼ばれる。
日銀総裁に就いた元事務次官は彼らの世界で
「ドン中のドン」
の地位を手にする。
事務次官を経験していない黒田氏の総裁就任を苦々しく思ってきた。
日銀は自分たちの思想に反する金融緩和を行ってきた黒田路線を一刻も早く否定したい。
ここに財務省と日銀の利害は一致した。
かくして
「増税派」
が形成された。
そして支持率低下で窮地に追いやられている岸田首相に手を差し伸べて、今回の防衛増税を仕掛けてきた。
日銀人事を制し、金融緩和を潰すために。
◆岸田政権が存続する限り、黒田路線は……
金融緩和とは、低金利政策である。
日銀は、一刻も早く金融緩和を止めて利上げをしたい。
ようやくデフレ脱却が見えてきたところで、借金の利子を高くしてしまえば、デフレに逆戻りするのは目に見えている。
例えば、変動金利で住宅ローンを組んでいる人など、地獄だろう。
給料が上がりそうな直前で景気回復策を止める。
なぜそこまで日銀は金融緩和を憎むのか。
「そういう宗教だから」
としか言いようがない。
また、財務省は
「増税を実現した者が出世する」、
日銀理論では
「利上げは勝利!」
なのである。
始末に負えないが、総理大臣を取り込んで、我々国民に対して増税を仕掛けてきた!と思わせて、囮である。
結果、’23年の増税は避けられた。
しかし、岸田首相は生き残った。
恐らく2023年1月下旬に通常国会が開かれ、2月あたりに岸田首相が人事を提示する。
となると、正副総裁候補に、今頃打診が行く。
岸田政権が存続する限り、今の黒田路線を否定する人事が行われるだろう。
誰も抗することができない。
私は蟷螂之斧(とうろうのおの)の如く
「リフレ派の若田部昌澄副総裁の総裁昇格を!」
と狂ったように言い続けたが風前の灯火だ。
◆長期金利の上限引き上げは“実質利上げ”だったのか
そんな中2022年12月の日銀政策決定会合で長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げた。
発表された直後円高が4円も進んだ。
これは
「実質利上げか」
と報じられた。
かなり高度で技術的な話なので詳細は省略するが黒田総裁の説明および専門家の言を総合するとこれは
「利上げ」
ではない。
この種の技術的な利上げは過去の黒田日銀も行っている。
では金融緩和を否定したいマスコミが煽ったから円高が進行したのか。
’22年に入り国債の市場が歪んでいるので是正を図ったとのことだ。
即ち10年債の金利と7〜9年債のそれが逆転する現象が起きていた。
だから引き上げただけとか。
確かに金融緩和によって生じた歪みはあった。
だが黒田後任の総裁がそれを理由に大きく金融緩和を修正したら余計に悲惨になりかねない。
だから先手を打って衝撃が大きくない時期とやり方を選んで今回の
「実質利上げ」
と受け取られかねない挙に出たとのことだ。
◆黒田日銀総裁は「敗戦処理」をしたのではないか
ここで経済知識が無くても政治センスがあれば気付くことがある。
つまり黒田総裁の後任は絶望的な人選が動いているということではないか。
今回の行動は
「敗戦処理」
だったということではないか。
さあどうする?
岸田首相に代わるマトモな総理大臣を選び直すしかないではないか。
それが自民党の中と外のどちらにいるかはともかく。
そして個人としては不況に備えるしかない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/116.html#c58

[政治・選挙・NHK287] 安倍元首相暗殺 山上容疑者の隣にいた白いヘッドホンの女が怪しい  魑魅魍魎男
122. 秘密のアッコちゃん[1022] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 12:50:59 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[587]
<■1174行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
学校のトイレは性自認でなく元の性で区別 米オハイオ州議会可決、共和党知事が署名の意向
2024/11/15 10:55
https://www.sankei.com/article/20241115-4XNCEDBSUVFW3MFMTQMVIVBOQI/
米中西部オハイオ州の州議会は2024年11月13日、トランスジェンダーの児童生徒が性自認でトイレを使用することを禁ずる法案を共和党の賛成多数で可決した。
マイク・デワイン知事(共和党)は法案に署名して成立させる意向だ。
AP通信が報じた。
法案は、公立の小中高校と高等教育機関に適用され、出生時に割り当てられた性別に基づいて、男女別のトイレ、ロッカールーム、宿泊施設を指定するよう義務付けている。
共和党のジェリー・シリノ州上院議員は
「この法案は安全と安心のためのものだ」
と説明。
保守系キリスト教団体は
「常識的な法律で、若い女性のプライベートな空間に入るのは女性だけであり、女性を名乗る男性でないことを保障するものだ」
との声明を発表した。
一方、米自由人権協会(ACLU)は
「トランスジェンダーのプライバシー権を侵害し、安全を損なう」
と非難し、知事に署名しないよう求めた。
米国では、南部ノースカロライナ州が2016年に同様の法律を成立させたが大きな反発を招き後に撤回されるなど、対立が続いている。

最高裁国民審査、今崎幸彦長官ら6裁判官全員が信任 4人が罷免率10%超え
2024/10/28 21:53
https://www.sankei.com/article/20241028-FZ5E7QWLNVMT5L42WAKDC3U65A/
中央選挙管理会は2024年10月28日、衆院選と同時に実施された最高裁裁判官の国民審査の投票結果を発表し、今崎幸彦長官ら6人全員が信任された。
対象は2021年の前回衆院選後に任命された裁判官で、他に尾島明、宮川美津子、平木正洋、石兼公博、中村慎の各氏。
有権者が罷免を求めた率が最も高かったのは今崎氏で11・46%。
逆に最も低かったのは中村氏で9・81%だった。
近年は10%以下で推移していたが、今回は4人が10%以上だった。
国民審査は、有権者が辞めさせたい裁判官の欄に「×」印を書き、有効投票の過半数となった裁判官は罷免される仕組み。
最高裁は2022年、在外邦人が国民審査に全く投票できないことを違憲と判断し、今回から投票できるようになった。
1949年の第1回以来、前回までに延べ190人が審査を受けたが、罷免された例はない。

最高裁が嵌った「性自認至上主義」
正論2024年1月号 弁護士 滝本太郎
2023年10月25日の最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)の決定には驚かされた。
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下特例法)
に定められた性別変更の要件についての憲法判断で最高裁は、申立人(男性から女性への変更)の訴えにあった特例法3条4号
「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること(生殖機能喪失要件)」
について
「違憲」
と判断してしまった。
更に同法3条5号
「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること(外観要件)」
について、高裁段階で審理が尽くされていないとして、自らの判断を示さぬまま広島高裁に差し戻したのだ。
4号の生殖機能喪失要件が、憲法13条に定めた幸福追求権に反し違憲としたのは、15人全員だった。
三浦守、草野耕一、宇賀克也の3人の裁判官は、5号の外観要件についても差し戻しをせずに違憲だと判断すべきだとしてその意味での反対意見を示した。
残る12人は5号要件の憲法判断を回避した。
最高裁は憲法判断から逃げたのである。
最高裁によるとんでもない暴走である。
女性の権利を劣後させ、余りに矮小化している。
女性が差別され、不利益を被るのは、性別(SEX)を根拠としているという歴史的事実を無視して、つまりは男性の身勝手、女性の侮蔑、差別主義である
「性自認至上主義」
に侵された最高裁になってしまったということである。
「性自認至上主義」
をひた走った先進国では相次いで、女性の安心・安全が害され、脅かされている。
深刻な事態を招いた結果、その反省に立って正常化に舵を切ろうとしながらも、苦労しているイギリスの実態などについて、決定文では何の言及もなかった。
男性として思春期を幾分でも経験した者は女子スポーツ選手権への参加資格はないとした国際水泳連盟や世界陸連の判断なども決定文では一顧だにされていない。
15人の裁判官は何も知らないのだろうか。
不勉強極まると言う外ない。
決定文から読み取れることは、
「性自認は他者の権利法益より優先すべきである」
とする
「性自認至上主義」
に基づく論理展開ばかりなのだ。
私は本誌2023年12月号で、本決定について4つの可能性があると予測した。
第1は
「違憲であり性別変更を認める」
第2は
「違憲状態だ、国会は法を改正せよ」
第3は
「永続的に生殖腺の機能を欠いているなどとして変更を認め、違憲かどうかの判断は回避する」
第4は
「2019年1月の判例と同様、法的性別の変更を認めない、いわゆる手術要件は合憲である」
である。
まさか、4号と5号を分け、4号だけを違憲とし、5号については差し戻しをするとは思わなかった。
仮に広島高裁で5号を違憲として性別変更を認めたならば、最高裁への上訴はなく、高裁決定で確定し、実に不安定なままとなる。
高裁で5号を違憲とせずに
「ホルモン療法で陰茎が小さくなる、などしていれば陰茎ではない」
などと無理に評価し、法的性別の変更を認めてしまう手法を取れば、それが独り歩きしてしまうだろう。
そもそも最高裁は、法律の違憲判断をするかどうかという重大局面なのだから、国(法務省)に家事事件手続法と法務大臣権限法に基づき、利害関係人として参加してもらうべきだった。
最高裁にとって影響が大き過ぎて責任を負えないのならば、法務省に参加を打診すれば良かったのである。
法務省は決定後の2023年11月9日、自民党の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(女性を守る議連)

「通例は裁判所から要請があって参加する」
と説明するなどこれまた逃げを打っていた。
議連も私どもも法務省(国)宛てに参加を要請し続けたのに、法務省も参加申し出をしないままだった。
挙げ句の4号違憲判決であり、5号は高等裁判所に差し戻して違憲となってしまう可能性がある。
行政の長である首相らに政治責任があると思われる。
差し戻し審があるのだから今からでも参加すべきだろう。
■性別変えず支障なき社会を
決定文には、生殖能力喪失要件について
「2014年に世界保健機関等が反対する共同声明を発し、また2017年には欧州人権裁判所が欧州人権条約に違反する旨の判決をした」
などとあった。
申立人側の主張そのままであろう。
死刑制度について国際的に批判を浴びても世論動向などを踏まえながら決して違憲判決を下さないのが日本ではなかったのか。
性別変更は死刑問題よりも格段に国民生活に影響を与える問題であるにもかかわらず、最高裁が暴走してしまった。
決定文には
「性同一性障害者がその性自認にしたがって法令上の性別の取り扱いを受けることは・・・個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益である」
とあったが、だからと言って制度である
「法的性別」
を歪ませて良い理由になどならないではないか。
「本件規定がなかったとしても、生殖腺除去手術を受けずに性別変更を受けた者が子をもうけることにより親子関係等に関わる問題が生ずることは、極めてまれであると考えられる」
ともあった。
従前から女性という性自認を持ちながら父となった方も相応に居るのだから、生殖腺を失わずに性別変更ができるのであれば
「父である女」
が続々と出現するだろう。
メディアでも報道されているが、乳房切除までしたが、パートナーとの間に子を設けた例もある。
性別変更が認められれば
「母である男」
となる。
決して稀なことではなかろう。
「そもそも平成20年改正により、成年の子がいる性同一性障害者が性別変更審判を受けた場合には、『女である父』や『男である母』の存在が肯認されることとなった」
ともある。
しかし、平成20年の改正では未成年の子がいる場合は、法的性別は変更できないままだった。
子の出生時点で
「出産した母だが男だ」
「父だが生物学的な女だ」
という事態を招くこととは局面も意味合いも全く異なる。
「強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受するか、又は性自認に従った法令上の取扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を受けることを断念するかという過酷な二者択一」
という記述も変だ。
手術は身体違和がきついから、自分の意思でするのであり、決して断種手術ではない。
むしろそれまで手術を受けて性別変更してきた人たちにとっては戸籍や身分証明上の性別と身体とが一致しているからこそ信頼が得られていたのだ。
それが失われるデメリットを考えなかったのだろうか。
まして精巣の除去は卵巣や子宮の除去に比較して実に容易である。
身体違和がさほどきつくなく、精巣の除去を含めて性別適合手術を必要としない方は、法的性別を変更しなければよいのである。
精巣と陰嚢を持ったままに、書類上である法的性別を女性に変更することが、どうして
「人格的存在と結びついた重要な法的利益」
と言えるのか。
生殖腺機能喪失要件が
「過酷な二者択一」
と言えるのか。
法的性別など変更でずとも、生活に差し支えない社会を作ることこそが重要ではないのか。
女性だと認識し、いわゆる女性装を日々する人も、排泄は認識からではなく、身体からするのだから男子トイレに入ることも相応にある。
その際に時に男性から揶揄され、時に暴力を受けることがある。
それこそが排除であり、差別であろう。
法的性別を変更して女性トイレを利用する権限があるなどとする前に、男子トイレで男性からの揶揄・暴力のない状態にすること、就職差別などないようにすることが重要な人権ではないのか。
4号の生殖腺機能喪失要件、そして5号の外観要件が外れれば、文字通り
「男性器ある女性」
が続々と登場する、その先には
「性同一性障害」
ではなく、ジェンダーアイデンティティ(性同一性・性自認)に基づく法的性別の変更は決定文中1人の裁判官が何度も言及した。
ドイツにおける性自認至上主義の如く、裁判所の関与さえないままに法的性別が変更できる方向となっていくだろう。
性犯罪目的の男や、女性を侮蔑・差別したく、その専用スペースを侵害することで喜びを得ようとする一部の男は、何としても診断書を取り、法的性別を女性に変更するよう努力するだろう。
週刊新潮2023年11月9日号には、診断が取りやすいことで有名な医師が登場し、
「そもそも性自認は当人がどう感じるかだけ」
「医者が決めることがおかしい」
「医師はウソ発見器じゃないですから、本人の言っていることをそのまま聞く。それが基本」
などと述べている。
法律を違憲とすることは法の形成過程の1つで、今回の最高裁決定は、まさに性自認至上主義を大きく伸展させる法律の登場に繋がるものだ。
先行する国々では混乱が多々あるのに、日本に周回遅れでこれに従えとするもので全く異常である。
岡正晶裁判官は補足意見で、立法府の対応について
「(4号要件の)目的を達成するために、より制限的でない新たな要件を設けることや(中略)社会一般の受け止め方との調整を図りつつ、特例法のその他の要件も含めた法改正」
「立法府に与えられた立法政策上の裁量権に全面的に委ねられている」
と述べている。
確かにこれは立法府が定めるべきことである。
3人の裁判官は、5号外観要件も違憲だからこの際、決断すべきとしたが本来、4号、5号とも立法府の広い裁量に委ねられていると言うべきだろう。
見解を異にする方もいると思うが、婚姻時の選択的夫婦別姓を導入していないことについては、憲法には両性の合意のみで婚姻できるとしているのに、最高裁は未だ立法裁量の問題としている。
多くの女性らが不便を被っている案件でその状況なのである。
「手術をしたくないならば法的性別を変えなければ良い」
だけの話なのに、どうして
「日々、トイレや風呂で見る身体違和には耐えられるが、書類上の性別の食い違いには耐えられない」
といった、率直に言って不可思議な権利主張を、そこまで保障しなければならないのか。
先程、最高裁は逃げたと述べた。
これは言い換えれば、最高裁は
「陰茎のある法的女性を出現させて良いか」
について判断するという、負わされた責任から逃げたという意味である。
最高裁から責任を押し付けられた広島高裁は国会の動向を待って判断すべきであろう。
決して2023年中とか2023年年度内に結論を出そうなどと、司法の傲慢に陥ってはならない。
■要件の再構築を求める
左派野党と公明党は、この最高裁決定を受けて早速に法改正を言い出し、立憲民主党は4号、5号要件の削除、また3号にある
「未成年の子が居る場合は変更を認めない」
という要件も削除するという案を言い出している。
一体、
「陰茎がある法的女性」
が出現することや
「他の性別に変わったものと見做す」
ことの重さをどう考えているのだろう。
「どこでも女性として遇せよ」
という法規範が成立した場合の女性スペースの混乱をどう考えているのだろうか。
私が世話人をしている
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」(以下連絡会)
では、議論を重ね、
「女性スペースに関する法律案」

「女子スポーツに関する法律案」
を2023年11月14日に公表し各党に送付した。
2023年の
「LGBT理解増進法」
の制定論議の際、合わせて作ってほしいと作ったものを更新し、特例法の改正案を加えた。
特例法3条の4号と5号の要件は削除するが、新たな4号として
「男性から女性への性別の取り扱いの変更を請求する場合は、陰茎を残していないこと」
と入れるものである。
「女性から男性へ」
と性別変更する場合には要件がないので、比較すると一見不平等に見えるかもしれない。
だがこれは合理的で差別にはならない。
圧倒的多数の性犯罪は陰茎のある者による。
単に要件を削除するだけでは、性犯罪目的の者まで次々と法的女性になろうとする蓋然性がある。
また陰茎という外観上からして明白に男性である者が法的女性となって女性らに不安感・恐怖感を持たせるのは避けるべき強い必要があるからである。
その恐怖は合理的なものであり、決して
「研修」
により消し去れる類のものではない。
女性スペースに関する法律案は、
「女性」
の定義を
「生物学的女性のうち、特例法に基づいて性別を男性と見做されていない者、そして女性と見做された者のうち陰茎を残していない者」
とする。
仮に5号外観要件が削除された特例法により
「陰茎がある法的女性」
となっても、この法律の上では
「法的女性」
とはしない。
特例法4条では
「法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす」
としており、他の法律による異なった対応を許容しているのである。
今の浴場を男女別にすることについては、理解増進法が成立後の2023年6月23日に通達が出ており、それは
「身体的な特徴による」
とある。
これは主に陰茎の有無の趣旨であろう。
法律案は通達を法律に格上げし、かつ女子トイレ、更衣室等の女性スペースの全体を対象とするものだ。
性自認に重きを置いて考える性自認至上主義の立場であれば、
「トランス女性は女性」
となって
「女子トイレの利用公認を」
となるだろう。
ここが最初から最後まで闘いの焦点である。
ただ
「トランス女性は女性である」
と主張する論者らにも、
「女湯については入れないものとする」
と主張する者は多く、事実上
「法的女性」
を一律に扱わないとする合意形成は可能であろう。
だから、理を尽くして女子トイレの安心安全の確保のためには、陰茎がある限り利用を公認できないことを説得していくこととなる。
また、2023年7月11日の経産省トイレ裁判の最高裁判決も考慮しない訳にはいかない。
そこでは
「特定の女子トイレにつき、管理者が当該女子トイレを通例利用する女性の意向を尊重かつ十分聴取した上で、特定人の入場を別途許容し、その趣旨を女性スペースに明示する場合はこの限りではない」
と対応する外ない。
女子スポーツに関する法律では、2022年6月の世界水泳連盟、2023年3月の世界陸連の方針を踏襲する。
男としての思春期を経験した者は、その後、陰茎があってもなくても、女子スポーツ選手権への参加資格がないとするものである。
ただ、ルールは各団体の自治で定められるものである。
公的資金の援助や後援などに限ったルールとなる。
連絡会は、社会全般に対して10項目に及ぶ要望を2023年10月30日の声明と共に示した。
今後、どうすべきかという点で重要なのでこれを最後に紹介したい。
第1に、政府各省庁が、様々な調査をすることだ。
性自認や性別変更を巡って先行した国々のここ数年間の状況と動向、トイレ、共同浴場などにおけるトラブル・刑事事件の調査、性同一性障害の診断の実態と信頼性に関する調査、法的性別を変更した人のその後の調査などである。
第2にメディアには、性同一性障害はトランスジェンダーのうち15.8%に過ぎないのだから、混同して議論することを厳に慎み、国民に様々な見解・情報を伝えるよう求めたい。
第3に、国民は先入観に捉われることなく、自らの意見形成に努めてほしいと願う。論者による議論を拒否する姿勢のまやかしを知ってほしいし、自由な言論空間を確保し合いたい。
第4に、各政党に求めたいことは、当連絡会を含め多くの国民の様々な意見を聴取し、党内で自由に議論して方針を定めてほしい。
第5に、それらの議論にあっては、女性が性別(SEX)によって未だに経済的・社会的に様々な不利益を被っていることを直視されたい。
第6に、国会に求めるのは5号要件が決して違憲判断が下されたものではないからそれも削除すれば良いというものではないことを確認すると共に、様々な調査や国民的に議論した上で新たな要件等を定めてほしい。
第7に、この裁判を差し戻しされた広島高裁は、早期に本件の判断をすべきではなく、様々な調査結果と国民的な議論の行方をよく見極め、国から参加申出があった時は直ちに認めるべきである。
第8に、国はこれからでも法務大臣権限法と家事事件手続法に基づきこの裁判に利害関係人として参加すべきである。
第9に、国民は次の衆議院議員選挙における国民審査において、対象裁判官に罷免の意思を示すべきである。その対象は憲法の規定で10年以内に審査された裁判官を含まないこととなっているが、私は国民からの民主的統制を強めるために、毎回15人を審査できるように憲法を改正すべきと考える。
第10に、内閣は最高裁判官に定年等で欠員が出たならば、このような「性自認至上主義」に嵌っていない方をこそ指名すべきである。私はまた、任命の前に、国会で予定者への質問をする機会を作るべきと考える。
最高裁は今、
「性別」
を蔑ろにして法的性別の概念を弄び、
「性自認至上主義」
により、安易に
「女性」
「男性」
の定義を変更する道を歩み始めてしまった。
司法が暴走した時、それを止めるのは国権の最高機関、国会であり主権者国民である。
「性自認至上主義」
は欧米で猛威を振るい、女性の権利が剥奪されるなど、様々な混乱がもたらされてきた。
その反省から方針を転換、正常化させるべく悪戦苦闘しているイギリスのような例もあるのに、日本は周回遅れでこれから
「性自認至上主義」
に嵌ろうとしている。
何とか止めなければならない。

薬生衛発0623第1号
令和5年6月23日
都道府県
各 保健所設置市 衛生主管部(局)長 殿
特別区
厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課長
(公 印 省 略)
公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における男女の取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001112499.pdf
○國重委員
(略)公衆浴場、いわゆる銭湯や旅館等の宿泊施設の共同浴室について、現在それぞれ衛生等管理要領が定められておりまして、その中で男女別の定めがされています。
これらは風紀の観点から混浴禁止を定めていることから、男女の別は身体的な特徴の性をもって判断することとされていると、事前に政府の方からも説明を受けております。
そこで、念のため確認をさせていただきたいんですけれども、これらの共同浴場における男女の判断基準はトランスジェンダーにも当てはまる、つまり、トランスジェンダーの場合も性自認ではなくて身体的特徴に基づいて判断することになると理解をしていますけれども、これで間違いないかどうか、答弁を求めます。
○佐々木政府参考人
お答えいたします。
公衆浴場や宿泊施設の共同浴場につきましては、厚生労働省が管理要領を定めております。
具体的には、公衆浴場における衛生等管理要領や旅館業における衛生等管理要領になります。
この中で、おおむね七歳以上の男女を混浴させないことなどと定めております。
この要領で言う男女は、風紀の観点から混浴禁止を定めている趣旨から、トランスジェンダーの方も含め、身体的な特徴の性をもって判断するものであり、公衆浴場等の営業者は、体は男性、心は女性の方が女湯に入らないようにする、こういう必要があると考えております。
実際の適用につきましては、都道府県等が条例を定めております。
この条例によって、基本的にこの要領と同じような形で男女の浴室を区別し、混浴を禁止しているものと承知しております。
○國重委員
トランスジェンダーの方であっても、心ではなくて身体的特徴で判断するというようなことだったと思います。
では、共同浴場において、先ほど答弁いただいたとおり、風紀の観点から心の性ではなくて身体的特徴をもって男女を区別する、このような現在行われている取扱いというのは憲法十四条に照らしても差別に当たらないと、念のため確認しますが、差別に当たらないということで間違いないかどうか、答弁を求めます。
○伊佐副大臣
憲法十四条、いわゆる法の下の平等でありますが、この原則が規定されております。
この趣旨としては、合理的な理由なしに区別をすることを禁止するという趣旨でございます。
つまり、合理的と認められる範囲内の区別を否定するものではないというふうに理解をしておりまして、先ほど委員御指摘の、公衆浴場における入浴者については男女を身体的な特徴の性をもって判断するというこの取扱いは、風紀の観点から合理的な区別であるというふうに考えられております。
憲法第十四条に照らしても差別に当たらないものというふうに考えております。

【決定全文】最高裁はなぜ、性別変更の生殖機能をなくす要件を「違憲」としたのか
最高裁15人の裁判官は、生殖機能をなくす「手術要件」を全員一致で違憲と判断。「過酷な二者択一」だとした
ハフポスト日本版編集部
2023年10月26日 15時0分 JST
|更新 2023年10月26日 JST
https://www.huffingtonpost.jp/entry/japan-supreme-court-gender-change-rule-unconstitutional_jp_6538bcb5e4b0783c4b9f005a
裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 岡村和美
裁判官 長嶺安政
裁判官 安浪亮介
裁判官 渡邉 惠理子
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹
裁判官 今崎幸彦
裁判官 尾島 明

自民・松山政司参院幹事長「より良い結論得るよう努力」 性別変更で「外観要件」違憲疑い
2024/7/10 18:03
https://www.sankei.com/article/20240710-KMM7VCCE5VKW3FUXOGGS4YQSWM/
自民党の松山政司参院幹事長は2024年7月10日、戸籍上の性別変更に当たり性同一性障害特例法の外観要件を憲法違反の疑いがあるとした広島高裁決定を受け、法改正に関し
「より良い結論が得られるよう真摯に努力していきたい」
と述べた。
福岡市で記者団の取材に応じた。
保守系議員からは、要件削除に慎重な意見が出た。
保守系有志で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
のメンバーである柴山昌彦政調会長代理は取材に
「外観要件は違憲の疑いが濃いと言っているだけなので、立法府を拘束するものではない」
と指摘。
「生殖能力要件や外観要件を削除という乱暴な議論はすべきではない」
と慎重な対応を求めた。
公明党の谷合正明参院幹事長は取材に、生殖能力要件を違憲とした2023年10月の最高裁判決を踏まえ
「今回の判断は想定されたことだ」
と受け止めた。
2024年秋の臨時国会での法改正に向けて
「自民に更に促していく」
と語った。

性別変更で「外観要件」違憲疑いに「診断や申し立て厳格化を」ジェンダー医療研究会代表
2024/7/10 17:56
https://www.sankei.com/article/20240710-I5CZ3SXIEJFHXOHGR7ATKG2ZZA/
性器の外観を変える手術をせず、性同一性障害特例法の要件のうち
「変更後の性器部分に似た外観を持つ」(外観要件)
とする規定を満たさないとされた当事者が戸籍上の性別を変更するよう求めた差し戻し家事審判で、広島高裁は20024年7月10日、性別変更を認める決定を出した。
性別違和を訴える若者の性別移行を進める
「ジェンダー肯定医療」
に対し、慎重な立場を取る
「ジェンダー医療研究会」
の加藤祥子共同代表は産経新聞の取材に、性同一性障害を診断する医師の資格や基準を厳格化する必要性を強調した。
■手術要件は実質的撤廃に
広島高裁の決定は、性同一性障害の診断の手順などに用いる日本精神神経学会の現在のガイドラインについて、性別適合出術が必要か否かは
「患者によって異なるものとされている」
と指摘。
特例法の規定に従い、現時点でも性別適合手術の実施が常に必要だと解釈するならば、外観要件の規定は
「違憲の疑いがあるといわざるを得ない」
と断じている。
特例法を巡っては、2023年10月に最高裁で、生殖機能の喪失を要件とした同法の規定(生殖不能要件)も違憲と判断されており、性別変更する上でハードルが低くなった形となる。
加藤氏は、今回の決定によって、
「実質的に(外観要件と生殖不能要件を合わせた)『手術要件』が撤廃された形となる」
と指摘。
「本来、性同一性障害と診断されるべきではない人が性別変更される可能性が高まった」
とも強調した。
これを踏まえ、今後は診断や戸籍上の性別変更の申し立てを厳格化する必要があるとも言及した。
具体的には
@診断書を作成する医師の資格の厳格化
A日本精神神経学会のガイドラインの厳格化
の2点を求めた。
@については、
「例えば『精神保健指定医』という非常にハードルが高い資格があるが、それと同じくらいの制限を法律によって設けるべきではないか」
と言及した。
現在は医師免許さえあれば、性同一性障害の診断書を書くことができる。
加藤氏は
「半年で数十例の性別適合手術を経ていない『FTM(女性の体で心が男性)』の戸籍変更を家庭裁判所に申し立てたクリニックの医師は産婦人科医と聞く」
と具体例も示した。
■女性スペースを守る法律を
加藤氏は
「そもそも性別違和の原因として、性同一性障害以外の発達障害やうつ病、統合失調症などの精神疾患に起因するケースもある」
「その場合は肉体を異性に変化させても症状は改善せず、むしろ精神状態が悪化しかねない」
「欧米では若者にそのような例が多発し、問題になっている」
とした上で、
「精神科医として専門的な訓練を受けていない医師では、本来治療すべき別の疾患や障害を見落としてしまい、安易に性同一性障害と診断してしまう可能性が高い」
と懸念を示した。
一方、Aに関しては、現在、日本精神神経学会のガイドラインが
「改訂作業中だと聞く」
と述べ、
「よりエビデンス(科学的根拠)に基づいた内容にしてほしい」
「性別変更の根拠とされることを考えれば、診断基準も今まで以上に厳格にされるべきだろう」
と訴えた。
欧米では、性別変更を経て法的に女性となった人が、肉体が男性であることを理由にスポーツジムなどの施設の利用を断られたり、制限されたりした際、施設を提訴して利用を認めさせる事例が相次いでいる。
加藤氏は
「日本でも同様のことが起こらないかが気掛かりだ」
とした上で
「女性スペースや女子スポーツを保護する法律の制定など何らかの対策が必要だろう」
と語った。

「手術なしで性別変更」認める 広島高裁の差し戻し審 外観要件満たすと判断
2024/7/10 16:20
https://www.sankei.com/article/20240710-HKG57FZUVRK4DI6IOMN6CJHXMQ/
性同一性障害と診断された人が、性器の外観を変える手術をせずに性同一性障害特例法に基づいて戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた家事審判の差し戻し審で、広島高裁(倉地真寿美裁判長)は2024年7月10日、変更を認める決定をした。
特例法は性別変更を認める5つの要件を定めている。
このうち生殖能力をなくすことを求める生殖不能要件については最高裁大法廷が2023年10月、
「違憲で無効」
と判断。
変更後の性別と近い性器の外観を備えることを求める外観要件については判断を示さず、審理を高裁に差し戻していた。
申立人は平成21年に性同一性障害の診断を受け、女性として社会生活を送っている。
性別適合手術は受けていない。
高裁決定は、外観要件を満たすために常に手術が必要だと解釈すれば、手術を受けるか性別変更を断念するかの二者択一を迫ることとなり
「違憲の疑いがある」
とし、手術を伴わなくても外観要件を満たせる場合があると解釈した。
その上で高裁は、変更後の性別の性器だと認識することに
「特段の疑問を感じない」
外観であれば要件を満たすと判断。
申立人はホルモン療法で体が女性的になっていることなどから外観要件を満たしているとして、性別変更を認めた。
性別変更の家事審判は争う相手方がいないため高裁決定が確定した。

林官房長官「コメントは控える」 手術なしの性別変更認めた広島高裁決定巡り
2024/7/10 13:12
https://www.sankei.com/article/20240710-XFBZ6QRYQBJ3ZOE3X5ULTL2TLU/
林芳正官房長官は2024年7月10日の記者会見で、性同一性障害特例法の外観要件に違憲の疑いがあるとして、手術なしでの性別変更を認めた広島高裁決定を巡り
「国が当事者ではないのでコメントは控える」
と述べた。
その上で、性別変更時に生殖能力をなくす手術を要件にした規定を違憲とした2023年10月の最高裁決定に触れ
「関係省庁が実務的な課題や対応を検討している」
と説明した。
政府は、最高裁決定を受け、与党の議論を踏まえて特例法改正を検討する姿勢を示している。

性別変更の外観要件「違憲疑い」 特例法で広島高裁決定、差し戻し家事審判
2024/7/10 10:39
https://www.sankei.com/article/20240710-3CUZFNMV6BLXFCXDKOIW3DCQDI/
性器の外観を変える手術をせず、性同一性障害特例法の要件のうち
「変更後の性器部分に似た外観を持つ」(外観要件)
とする規定を満たさないとされた当事者が、戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた差し戻し家事審判で、広島高裁は2024年7月10日、外観要件は
「違憲の疑いがあると言わざるを得ない」
とし、性別の変更を認める決定を出した。
最高裁大法廷は2023年10月、2つある手術要件のうち
「生殖機能がない」
との規定(生殖能力要件)は、憲法13条が保障する
「意思に反して身体への侵襲を受けない自由」
への制約が重大だとして違憲、無効と決定。
もう1つの外観要件については高裁段階での審理が必要として差し戻していた。
審判の申立人は西日本在住で戸籍上は男性、性自認は女性の50歳未満の社会人。
2023年秋の生殖能力要件を違憲とした最高裁決定に続き、性的少数者の権利を尊重する司法判断といえ、国は特例法の要件見直しを迫られそうだ。

手術なしで男性から女性に、性別変更認める 特例法「外観要件」巡る差し戻し家事審判 
2024/7/10 9:45
https://www.sankei.com/article/20240710-O2UTN2SRDFOYHLZPBQ7YTVQ5JA/
性器の外観を変える手術をせず、性同一性障害特例法の要件のうち
「変更後の性器部分に似た外観を持つ」(外観要件)
とする規定を満たさないとされた当事者が、戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた差し戻し家事審判で、広島高裁は2024年7月10日、性別の変更を認める決定を出した。
最高裁大法廷は2023年10月、2つある手術要件のうち
「生殖機能がない」
との規定(生殖能力要件)は、憲法13条が保障する
「意思に反して身体への侵襲を受けない自由」
への制約が重大だとして違憲、無効と決定。
もう1つの外観要件については高裁段階での審理が必要として差し戻していた。
審判の申立人は西日本在住で戸籍上は男性、性自認は女性の50歳未満の社会人。
昨秋の生殖能力要件を違憲とした最高裁決定に続き、性的少数者の権利を尊重する司法判断といえ、国は特例法の要件見直しを迫られそうだ。

男性から女性 戸籍上の性別変更 手術なしで認める決定 高裁
2024年7月10日 17時46分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240710/k10014507081000.html
性同一性障害と診断され、手術を受けずに戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう申し立てた当事者に対し、広島高等裁判所は変更を認める決定を出しました。
これまで戸籍上の性別を変更するには外観を似せるための手術が必要だとされていましたが、裁判所は
「手術が常に必要ならば憲法違反の疑いがある」
と指摘しました。
■広島高裁「手術が常に必要ならば 憲法違反の疑い」
広島高等裁判所で性別の変更が認められたのは、性同一性障害と診断され、戸籍上は男性で、女性として社会生活を送る当事者です。
性同一性障害特例法では事実上、生殖機能をなくし、変更後の性別に似た性器の外観を備えるための手術をすることが要件の1つとされていました。
このうち生殖機能の手術については、この当事者の申し立てを受けて最高裁判所が2023年10月、体を傷付けられない権利を保障する憲法に違反して無効だという判断を示しました。
一方、外観の手術については最高裁が審理をやり直すよう命じ、広島高等裁判所で審理が続いていました。
2024年7月10日の決定で、広島高等裁判所の倉地真寿美裁判長は外観の要件について
「公衆浴場での混乱の回避などが目的だ」
などとして正当性を認めましたが、
「手術が常に必要ならば、当事者に対して手術を受けるか、性別変更を断念するかの二者択一を迫る過剰な制約を課すことになり、憲法違反の疑いがあると言わざるを得ない」
と指摘しました。
そして
「他者の目に触れた時に特段の疑問を感じない状態で足りると解釈するのが相当だ」
と指摘し、手術なしでも外観の要件は満たされるという考え方を示しました。
その上で、当事者がホルモン治療で女性的な体になっていることなどから性別変更を認めました。
家事審判では争う相手がいないため、高裁の決定がこのまま確定しました。
弁護士や専門家によりますと、外観の手術は主に男性から女性への変更の要件とされ、手術無しで認められるのは極めて異例です。
■当事者「生きにくさから解放 うれしい」
性別変更が認められた当事者は、弁護士を通じコメントを出しました。
当事者は
「物心付いた時からの願いがやっと叶いました」
「社会的に生きている性別と戸籍の性別のギャップによる生きにくさから解放されることを大変嬉しく思います」
「これまで支えて下さったたくさんの方々に感謝したいと思います」
としています。
代理人を務める南和行弁護士は、決定を伝えた時の当事者の様子について
「言葉を詰まらせて電話の向こうで泣いている感じでした」
と話し、
「申し立てから5年近くかかったので、ようやく本人が安心して生活できるようになったことが何よりも嬉しいです」
と話していました。
■代理人を務める南和行弁護士
性別変更に必要な外観の要件について判断の枠組みを明確に示したので、各地の家庭裁判所での審判に影響がある。
個別の事情から手術を受けられず、諦めていた人が申し立てをしやすくなると思う。
最高裁判所大法廷の決定以降、与野党共に議論が始まったと聞いている。
困っている人の生きづらさや不利益をできるだけ少なくするという視点で立法の議論をしてほしい。
■手術要件の撤廃に反対派「強く抗議」
性別変更における手術要件の撤廃に反対している
「女性スペースを守る会」

「女性ホルモンの影響で萎縮などしていても『男性器ある法的女性』であり、強く抗議する」
「ただ外観要件は維持されたので、何ら医療的な措置をしない男性が法的女性になる道はない」
「その点は良かった」
「何より重要なのは、特例法とは別に男性器がある限りは女性スペースの利用はできないとする法律を作ることだ」
とコメントしています。
また、性同一性障害の当事者で作る
「性同一性障害特例法を守る会」

「私たちは心から手術を求め、それ故に法的な性別の変更は世論から信頼されてきた」
「この判決の基準の曖昧さが社会的混乱を引き起こし、今後の特例法の改正論議に悪影響を及ぼしそうだ」
「既に戸籍上の性別変更をした当事者の声を聞くべきだ」
とコメントしました。
■決定のポイントは
広島高等裁判所が出した決定のポイントです。
【外観要件は「比較的幅がある」】
今回の審理では、性同一性障害特例法で定められている、性別変更の5つの要件のうち
「変更後の性別の性器に似た外観を備えていること」
といういわゆる
「外観要件」
が議論になりました。
この要件について高裁は
「自分の意思に反して異性の性器を見せられて羞恥心や恐怖心、嫌悪感を抱かされることのない利益を保護しようとしたものと考えられる」
と指摘し、目的には正当性があるとしました。
一方、
「要件は比較的幅のある文言を用いている」
「体の外性器にかかる部分に近い外見があるということで足りるとも解釈できる」
との見解を示しました。
【手術を迫ることは「違憲の疑い」】
高裁は、特例法が制定された当時と現在の治療の変化に着目しました。
法律が制定された2003年当時、学会のガイドラインでは精神科での治療やホルモン治療などの身体的治療を行った上で、性別適合手術を行うという
「段階的治療」
が採用されていました。
しかし、2006年以降は医学的な検討を経た上で見直され、治療として手術が必要かどうかは人によって異なるとされました。
こうした変化を踏まえ高裁は
「手術を常に必要とするならば、当事者に体を傷付けられない権利を放棄して手術を受けるか、性自認に従った法的な扱いを受ける利益を放棄して性別変更を断念するかの二者択一を迫る過剰な制約を課している」
と指摘し、
「憲法違反の疑いがあると言わざるを得ない」
と判断しました。
【外観要件手術必要としない解釈】
その上で外観要件について
「性別適合手術が行われた場合に限らず、他者の目に触れた時に特段の疑問を感じないような状態で足りると解釈するのが相当だ」
とし、手術なしでも外観の要件は満たされるという考え方を示しました。
そして、今回の当事者はホルモン治療で女性的な体になっていることなどから、要件を満たしていると判断し、性別変更を認めました。
■性別変更の要件を巡る動き
2004年に施行された性同一性障害特例法では戸籍上の性別変更を認める要件として、専門的な知識を持つ2人以上の医師から性同一性障害の診断を受けていることに加え、18歳以上であること、現在、結婚していないこと、未成年の子どもがいないこと、生殖腺や生殖機能がないこと、変更後の性別の性器に似た外観を備えていることの5つを定めていて、全てを満たしている必要があります。
このうち、生殖腺や生殖機能がないことと変更後の性別の性器に似た外観を備えていることの2つが事実上手術が必要とされていましたが、生殖機能の手術については最高裁判所大法廷が2023年10月に違憲判断を示して以降、各地の家庭裁判所で手術を必要としない判断が示されています。
岡山県や岩手県、静岡県では女性から男性への性別変更が認められるケースが相次いで明らかになりました。
一方、外観に関する要件については最高裁が高等裁判所で審理をやり直すよう命じたため、憲法に違反するかどうかなどの統一的な判断は示されていません。
こうした状況について今回性別変更が認められた当事者側は
「現状で外観の手術が問題になるのは男性から女性への変更の申し立てのみだ」
「生物学的な男女別で異なる取り扱いをするのは憲法が保障する法の下の平等に違反する」
などと主張していました。
この要件については、様々な意見があります。
性的マイノリティーの当事者などで作る団体は
「望んでいない人にまで手術を強いる形になっている今の法律は人権侵害だ」
などと手術の要件の撤廃を求めています。
一方、要件の撤廃に反対する団体は
「要件がなくなると手術を受けていなくても医療機関の診断で性別変更が可能になり、女性が不安を感じる他、法的な秩序が混乱する」
などと主張しています。
性別変更の要件については、法務省が最高裁大法廷の違憲判断を受けて法改正についての検討を続けている他、公明党が手術の要件を見直す見解をまとめ、自民党にも呼び掛けて2024年秋の臨時国会を視野に法改正を目指すことにしています。
■変更が認められるまでの経緯
当事者は5年前、2019年に手術無しでの性別変更を家庭裁判所に申し立てました。
社会生活上と戸籍上の性別が異なることで生きづらさを感じる一方、健康な体にメスを入れることの負担や、長期の入院などを強いられることなどから悩んだ末に性別適合手術は受けられないと判断したということです。
家庭裁判所と高等裁判所は変更を認めませんでしたが、最高裁大法廷は2023年10月、生殖能力をなくす手術の要件は憲法に違反して無効だと判断しました。
一方、変更後の性別に似た外観を備える手術の要件については審理を尽くしていないとして、高等裁判所で審理をやり直すよう命じました。
この判断について当事者は当時
「予想外の結果で大変驚いています」
「今回は私の困り事からなされたことで、大法廷でも性別変更が叶わず、先延ばしになってしまったことは非常に残念です」
とコメントしていました。
高裁でのやり直しの審理で当事者側は、外観の手術についても体を傷付けられない権利を保障する憲法に違反しているなどと主張しました。
また、当事者の日常生活や長年のホルモン治療の結果などを総合的に見れば、性別を変更するための要件は満たしていると主張しました。
■識者「画期的な判断 他の裁判所の判断にも影響」
性的マイノリティーの問題に詳しい早稲田大学の棚村政行名誉教授は今回の決定について
「性別変更で必要とされた外観の要件を大幅に緩和し、手術をしなくても認めるという画期的な判断をした」
「体を傷付けることなく性自認に従って生きるという個人の尊厳や利益を真正面に捉え、当事者の救済に努めた」
「拘束力は無いが、他の裁判所の判断にも影響が出るだろう」
と評価しました。
その上で
「特例法で性別を変更するために設けられている要件が全て合理的なのか、見直していく必要がある」
「個人の生き方を尊重しつつ、社会の不安を払拭するような環境整備の議論が必要だ」
「国会できちんと議論して法改正してほしい」
と指摘しました。
■林官房長官「引き続き適切に対応」
林官房長官は午前の記者会見で
「国が当事者として関与しておらず、詳細を承知していないため、政府としてコメントは差し控える」
と述べました。
その上で
「関係省庁では2023年10月の性同一性障害特例法に関する最高裁判所の違憲決定を踏まえて、実務的な課題や対応などについて検討している」
「立法府とも十分に連携し、引き続き適切に対応していきたい」
と述べました。

公明が性別要件変更へ論点協議、秋の臨時国会に改正案提出意欲 自民に協力呼びかけ
2024/6/26 15:35
https://www.sankei.com/article/20240626-YZEAXZR7A5LNXED64G4DFKVM6Q/
公明党は2024年6月26日、性同一性障害特例法の生殖能力要件を違憲とした2023年10月の最高裁決定を受け、法改正の論点を協議した。
終了後、谷合正明幹事長代理は、生殖能力要件を削除する方向だと記者団に説明。
残った論点を整理した上で、秋の臨時国会に改正案を提出する意欲を示した。
自民党にも協力を呼び掛ける。
特例法には性別変更の要件として、生殖能力をなくす手術を事実上求める規定と、変更後の性器に似た外観を持つことを求める規定がある。
最高裁は生殖能力要件を違憲とした一方、外観要件については判断を見送り、高裁段階に差し戻した。
谷合氏は記者団に
「高裁判断がいつ出てもおかしくない」
と述べた。
2024年7月中旬までに法改正に向けた党見解を表明する考えも明らかにした。

女性スペースの利用は「身体的特徴で判断」 自民議連、女性の安全・安心確保法整備へ
2024/6/14 10:39
https://www.sankei.com/article/20240614-S3OEC6PK5BFE3GI7WIDMLRHU3I/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
が、公衆浴場や旅館・ホテルの共同浴室など女性スペースを利用する際は男女の取り扱いを心の性ではなく
「身体的な特徴」
で区別する議員立法の法案骨子を策定した。
性別適合手術などを経ずに男性器を備えた
「法的女性」
が誕生した場合に備え、性自認は女性だと主張する性犯罪目的の元男性が女性スペースで性加害行為を働く余地を狭める狙いがある。
■各党の賛同を求めて立法化
骨子では公衆トイレを含め、不特定多数の利用者が性別で区別される施設(特定施設)について、管理者に女性の安全・安心を確保するために必要な施設構造の変更や照明設備・警報装置の設置、警備の実施などハード・ソフト両面で努力義務を課した。
議連は各党の賛同を求めつつ条文化し、2024年秋の臨時国会で提出を目指す。
施設側は身体的な特徴の性をもって男女を判断し、性別適合手術などを経ずに男性器を備えた
「法的女性」
らの利用を断ることができる根拠となる。
これまでも公衆浴場での男女の取り扱いに関して、厚生労働省は
「身体的な特徴をもって判断する」
と通知を出している。
その方針を改めて法律に明記する形となる。
女性スペースの安全確保の徹底を図る背景には、性別適合手術を経ないで戸籍上の性別を変更できる可能性が高まっていることがある。
性同一性障害特例法が求めている生殖機能の喪失を要件とした規定は、2023年10月の最高裁で憲法違反と判断された。
変更後の性別の性器に似た外観を備えている外観要件についても憲法適合性の審理が2審に差し戻されている。
■「被害比率の高い方を守る」
一方、性別適合手術を経ないトランスジェンダー女性(生まれた時の性別は男性、性自認は女性)は女性スペースを利用する権利を侵害されることになる。
骨子をまとめた2024年6月13日の会合後、議連の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は記者団に
「(施設管理者の)注意義務が上がるから(女性や女児の)安心・安全性は高まると思う」
と語った上で、
「(手術要件が撤廃され)社会問題化した場合に備えて、我々は身体的要件で判断するという答えを出した」
「平等に競争している社会の中では一定のルールが必要で、やはり弱い方、被害比率の高い方を守るというのが鉄則だ」
と強調した。
海外でトランスジェンダー女性が女性スペース内で女性に性的暴行を加えた事例が確認されていることから、
「女性のスペースをきちんと管理して守るというのが必要な時代になっている」
と指摘した。

立民、性別変更時に「生殖能力ないこと」などの要件削除を要求 特例法改正案を提出
2024/6/11 17:12
https://www.sankei.com/article/20240611-RYOTPUIP6JP4RMSOLAGZNHJR6U/
立憲民主党は2024年6月11日、戸籍上の性別変更を巡り、生殖能力がないことなどの要件を削除する性同一性障害特例法改正案を衆院に提出した。
生殖能力要件を憲法違反とした2023年10月の最高裁判断を踏まえた。
削除するのは
@生殖機能がない
A未成年の子がいない
B変更後の性別の性器部分に似た外観がある
の3要件。
法律の名称にある
「性同一性障害者」
の文言も、性同一性障害を障害として位置付けない国際的な流れを踏まえ、妥当性を検討するよう求めた。

適合手術なしで男性への性別変更認める、静岡家裁 最高裁の違憲判断後に審判申し立て
2024/4/24 21:57
https://www.sankei.com/article/20240424-WZKUX7F3QZMWRBD2DOW3VNG2LM/
生殖能力をなくす性別適合手術をしないまま戸籍上の性別を女性から男性に変更するよう求めていた静岡市の会社社長、安池中也さん(54)の家事審判で、静岡家裁は性別変更を認めた。
決定は2024年6月18日付。
安池さんによると、家裁で変更が認められた後、手続きのために訪れた区役所で職員から
「おめでとうございます」
と声を掛けられた。
一方で
「気持ち悪い」
「公共施設を共有するのが怖い」
といった内容のメールも多数寄せられたという。
安池さんは平成13年、性同一性障害と診断され、ホルモン治療を開始。
2024年2月、性別適合手術をせずに戸籍上の性別変更を求める家事審判を申し立てていた。
性同一性障害特例法には、性別変更の際に生殖能力をなくす手術を事実上求める規定(生殖能力要件)があるが、最高裁は2023年10月に違憲、無効とする決定を出した。

性別変更の厳格化を提言、自民・女性守る議連「ふわっとした多様性で片付けられぬ」
2024/4/19 20:33
https://www.sankei.com/article/20240419-PNM5KML25JEP5MSHYMSIR26Z5I/
性同一性障害特例法を巡り、自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
のメンバーは2024年4月19日、小泉龍司法相と面会し、性別変更する際の要件の厳格化を盛り込んだ提言を提出した。
生殖機能の喪失を要件とした特例法の規定が憲法違反と判断されたが、規定の撤廃が広がれば、性同一性障害を抱える生来の男性と、
「女性のなりすまし」
との見極めが困難になりかねないとの指摘もある。
小泉氏は
「様々な論点が議論され、多くの国民に理解してもらい、一番良い形で進むことが出来ればと思う」
と述べた。
■女性スペースを守る議員立法を先行
提言では、10年以上継続して性同一性障害の治療を受け、他の性別で社会生活を営んでいることの確認を新たな要件に加えている。
女性の生殖機能を持った
「法的男性」
が出産した場合に備え、民法上の親子関係などを整理する必要にも言及している。
更に、女性専用トイレ、浴室、更衣室、女子寮など、男女が
「生来の性別」
で分けられたスペースに関して、国や地方自治体、事業者など管理者に対して女性の安心・安全を守る努力義務を課す議員立法を作成する方針を盛り込み、各省庁に協力を求めた。
議連共同代表の片山さつき元地方創生担当相は小泉氏に対し、
「理念法として『女性スペースの安心・安全を守る議員立法』を先行し、世の中の不安を取り除いていく」
と述べた上で、特例法について
「慎重に国民にとって良い形での改正をされるならお願いしたい」
と訴えた。
■腰を据えて考えるべき課題
特例法は、性別を変更するために複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で
@18歳以上
A未婚
B未成年の子がいない
C生殖不能
D変更後の性別の性器に似た外観を備えている
の要件を定めている。
最高裁は2023年10月、Cの要件を違憲と判断し、Dについての憲法適合性の審理を広島高裁に差し戻している。
CとDを合わせて
「手術要件」
と言われる。
提言を提出後、議連の副代表を務める柴山昌彦元文部科学相は記者団に
「(女性のなりすましなどによる)性犯罪に近いことが起きかねない不安が起きている」
「女性スペースの安全確保が極めて大きな検討課題で解決しなければならない」
と強調した。
「(手術要件が撤廃された場合)精神的な判断だけで性別変更が認められる可能性が出てきている」
「(法的)男性である母親、女性である父親も出てくる」
「腰を据えて慎重に考えるべき課題だ」
「ふわっとした多様性で片付けていいのか」
と疑問視した。

脅迫のジェンダー本、政治家や医療関係者、当事者らが読む「差別つながる要素ない」
2024/4/19 11:17
https://www.sankei.com/article/20240419-U77SPSCSBFAHZLQ7NEZEQWSV3A/
2024年4月3日に発売された翻訳本
「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」(産経新聞出版)。
放火を示唆する脅迫メールが送り付けられたこともあり、一部書店では現在も販売を見送っている。
国内での発売から約半月。
欧米で先行する、性別違和を訴える若者の性別移行を進める
「ジェンダー肯定医療」
の負の側面も指摘した内容を巡り、国内のトランスジェンダー当事者や識者からは様々な声が上がっている。
■客観的な視座
「一方的ではなく非常に客観的な視座で描かれている」
「今まで光が当たっていない分野だったが、かなり事態が客観化されるのではないか」
「『差別助長に繋がる』要素はない」
自民党の有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
の片山さつき共同代表は同書についてこう指摘する。
同書は米ジャーナリスト、アビゲイル・シュライアーさんが手術などで回復不可能なダメージを受けて後悔する少女らを取材し、2020年6月に米国で発売された著書の翻訳本だ。
フランス語、ドイツ語などに翻訳された。
日本語版はKADOKAWAが2023年末、発行を予定したが
「(心と体の性が一致しない)トランスジェンダーへの差別を助長する」
といった批判を受けて中止された。
2024年4月3日に発行した産経新聞出版にも脅迫メールが届いた。
■トランスジェンダーへの逆風を防ぐ
性別違和を訴える若者に対し、倫理的でエビデンスに基づく医療の推進を目指す
「ジェンダー医療研究会」
の加藤祥子共同代表は同書について
「『ジェンダー肯定医療』の負の側面を明確に問題提起した本が事実上初めて日本で発売された」
と評価する。
「過去の研究では性別違和を訴える児童の8割で後に性別違和が消失したというものがある」
「思春期の性別違和は一過性のこともあると理解が進むきっかけになってほしい」
と期待も込める。
加藤氏は、同書がトランスジェンダー差別に繋がるといった見方にも首を傾げる。
「むしろ、著書を通じてジェンダー肯定医療に慎重な雰囲気が出来れば、若年者への医療虐待を防ぐ結果になり、将来的な分断が防げるのではないか」
と指摘。
理由について
「欧米では医療を巡るトラブルが多発し、成長して手術を後悔した患者が医師や病院を相手に裁判を起こしたことなどがきっかけで、強い社会の反発が(慎重さに欠くトランスジェンダー支援団体に対して)起こり、深い分断と対立を生んでいる」
と説明する。
■思春期の変身願望
「性同一性障害特例法を守る会」
副代表の浅利進氏は、同書で描かれる性別移行を望む少女らについて
「自分とは違う」
と語った。
浅利氏は女性として生まれ、幼少期から自身を男性だと認識してきた。
ネクタイ姿で仕事していたが、外見の女性化が進んだため、30代で男性ホルモンを投与した。
48歳になった今、ようやく中身と外見が一致したと感じている。
浅利氏はそもそも男性に見られること自体に喜びを感じることはないという。
「女性性が欠けた状態のまま成長し、普通におじさんをやっている」
「男装に喜びを見い出すのは思春期の変身願望に過ぎない」
と述べ、
「不可逆的な性別移行に手を出すのを思春期の冒険に思わないでほしい」
と訴える。
■思春期で性別移行ならぬ
「思春期女子の生きづらさに丁寧に寄り添うことの重要性が語られ、SNSの悪影響や、杜撰なジェンダー医療の問題を伝える本書は、子供に関わる全ての人に読んでほしい」
ジャーナリストの郡司真子氏はこう語る。
郡司氏は拘りが強いなど発達特性を抱える子供の支援に20年以上携わってきた。
2年前の2022年はトランスジェンダーを表明する子供が多かったが、最近は性自認が男女のどちらでもない
「ノンバイナリー」
を訴える子供が増えているという。
郡司氏は
「性別違和を形容するための言葉は変化していく」
「発達特性を抱える子供は特に思春期は揺れる」
と述べ、同書の副題にある
「流行の悲劇」
に直面しないためにもこう強調する。
「ジェンダー肯定医療に進むといった先鋭的な行動は自我が確立した段階で考えるべき問題だ」
「思春期の状態に性別移行を決断してはいけない」

性別変更の手術要件撤廃「出産する男性誕生は民法大改正に至る課題」 自民・片山さつき氏
2024/4/16 16:28
https://www.sankei.com/article/20240416-BGBBMMKGWNFEDCVIAJXUYUBULI/
性同一性障害特例法を巡り、性別変更する際に求められる生殖機能を喪失する要件(生殖不能要件)が2023年10月に憲法違反と判断され、更に性器の外観を他の性に近付ける要件(外観要件)について憲法適合性が争われている。
同特例法の要件厳格化を求める提言をまとめた自民党の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
の片山さつき共同代表が産経新聞のインタビューに応じ、性別適合手術などを受けずに戸籍上の性別を変更できる可能性について強い懸念を示した。

■客観性と持続性は「10年」の移行期間で
(生殖不能、外観要件を合わせた)「手術要件」
が撤廃された場合、どうやってなりすましと峻別するのか。
その完全な答えは得られていない。
性別違和(性同一性障害)を訴える患者の診断症例が最も多い精神科医も議連の会合で
「正確な診断が困難になる」
と語っている。
岸田文雄首相が2024年3月15日の参院予算委員会で
(2023年6月施行されたLGBTなど性的少数者への理解増進法が尊重を求める)「ジェンダーアイデンティティー」
について
「本人のその時々の主張を指すものではなく、自分の性別についてのある程度の一貫性を持った認識を指す」
と述べたように、ジェンダーアイデンティティーには
「何らかの客観性と持続性が必要」
というのが公式見解だ。
提言には、違憲と判断された
「生殖不能要件」
の規定に代わり、性別変更する要件に
「一定期間(10年以上)継続して他の性別で社会生活を営んでいると認められること」
と盛り込んだ上、従来通り、手術を受けるルートを残した。
(戸籍上の性別を変更するまでの)移行期間についての絶対的な基準は医学的に存在していない。
日本は性別移行の症例が(同特例法が成立した)平成15年以降、約1万2800件と言われ、これらの症例の診断結果もデータベース化されていない。
手術自体を望む人もいて、手術を受けても性別変更申請していない人もいることを知るべきだ。
特例法を改正するにしても、女性スペースを守る理念法のような議員立法の成立を優先するべきだろう。
■マジョリティーの言論封殺すべきではない
「10年」
に移行期間を設定したのは、今国会に政府が提出した
(法案で創設する子供と接する仕事に就く人の性犯罪歴の有無を確認する)「日本版DBS」
で、軽度の性犯罪を犯歴10年まで開示する法文などを手掛かりにした。
ドイツはかつて移行期間を
「3年」
としたが、つい最近年限を撤廃した。
英国は
「2年」
としているが、女性の安全を確保する議連である以上、厳格な姿勢を示した形になる。
これより短くても大丈夫というなら反証を示してほしい。
トランス女性には女性の格好で気持ちも女性だが、男性の性的機能を保ちながら、性的対象が女性である人もかなりいる。
そこを悪用した性犯罪事例も出てきている。
更に、女性の側には自分たちの裸を異性から見られない尊厳・権利、盗撮されない権利がある。
性的マイノリティーについての配慮は当然だが、社会生活上、皆が上手く共生するにはルールが必要だ。
不安や懸念を抱くマジョリティーの人が非難され、
「ヘイト」
の烙印を押され、発言が封じられる現状はあるべきではない。
双方傷付かないように、丁寧に分類をすべきだ。
■戸籍無力化される、国論に付すべき
そもそも、日本の法制は
「父、夫=男性」
「母、妻=女性」
の仕様で成り立っている。
手術要件が撤廃された場合、女性の生殖機能を保った
「法的男性」
が存在することになる。
妊娠・出産すれば母親になり、戸籍上の男性が
「母」
の欄に記されることになる。
立憲民主党は戸籍から
「父母」
「親子」
の区別をなくす
「婚姻平等法案」
を議員立法として国会に提出している。
同法案のように民法の
夫の記載を「男と限らない」、
妻について「女と限らない」
と書き直すのか。
戸籍が無力化される恐れがあるが、国会で議論されていない。
民法の大改正に至る課題で、議員立法である性同一性障害特例法で派生的に議論すべき話ではない。
国論に付すべき問題だ。
正面から議論しないと極めて非民主的になる。
にもかかわらず、手術要件が撤廃されれば何が起こるか、国民に論点が共有されているとは言えない。
それはマスコミが報じないからではないか。

性別変更「10年以上の治療と他性別の生活」手術要件撤廃に備え、自民女性守る議連が提言
2024/4/15 14:26
https://www.sankei.com/article/20240415-IPIQTUL4ZJA3DAF25FI7652XZI/
自民党有志の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
が性同一性障害特例法が定める性別変更する上での要件厳格化を求める提言をまとめ、党政務調査会の特命委員会に2024年4月9日、提出した。
提言は10年以上継続して性同一性障害の治療を受け、他の性別で社会生活を営んでいるという要件の追加を求めた。
女性の生殖機能を持った
「法的男性」
が出産する場合などに備え、民法上の親子関係を整理する必要性にも言及した。
■法的男性が妊娠した場合、戸籍は女性に
特例法は性別変更する上で生殖機能の喪失を求める要件があるが、最高裁大法廷は2023年10月、これを憲法違反と判断した。
法改正が迫られているが、要件を撤廃すれば、性同一性障害を抱える人々と女性へのなりすましなどの見極めが困難になるとも指摘されている。
提言は
「一定期間(10年以上)継続して一定の治療を受け、かつ、一定期間(10年以上)継続して他の性別で社会生活を営んでいると認められること」
を新たに要件に盛り込んだ。
カナダや英国では、刑務所や留置場などで、女性に性別変更した元男性による女性への性犯罪が発生している。
これを踏まえ、提言では
「収容施設などにおいては、生物学上の性別に基づき区別して収容される」
ことを求めた。
性別変更する上で、子供と接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する
「日本版DBS」
創設法案に盛り込まれた、就業を制限する
「特定性犯罪」
の前科がないという要件も追加した。
女性の生殖機能を持ったままの
「法的男性」
が妊娠・出産した場合は、戸籍を女性に戻すとの条文の追加についても、検討を求めた。
提言は
「『なりすましによって生じた性的被害への国家賠償』
『女性生殖機能が残っているので妊娠・出産してしまった戸籍上男性が母親になることの社会的混乱』
という、現在までには、ほぼあり得なかったケースがあり得ることになる」
と指摘。
「女性たちの安心と安全を1ミリたりとも危うくしない」
と強調し、リスクの排除を訴えた。
■「診断の判断があやふやに」
平成15年に成立した特例法は、性別を変更するために複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で
@18歳以上
A未婚
B未成年の子がいない
C生殖不能
D変更後の性別の性器に似た外観を備えている
の要件を定めている。
2023年10月、最高裁大法廷は生殖不能要件を違憲と判断し、Dの
「外観要件」
について憲法適合性の審理を広島高裁に差し戻した。
CとDを合わせて
「手術要件」
と言われる。
特例法は性同一性障害者について
「他の性別であるとの持続的な確信を持ち、身体的および社会的に他の性別に適合させる意思を有する者」
と定義する。
ただ、手術要件が撤廃された場合、客観的な基準がなくなり、衝動的に元の性別による性行動に出る場合も含め、
「なりすまし」
が排除しきれないとの懸念もある。
性同一性障害を訴える患者を数多く診断してきた精神科医の針間克己氏は2024年4月9日、特命委の会合に出席後、
「手術要件がなくなると(性同一性障害者の)定義に一致するかどうかの判断が非常にあやふやになってしまう」
「診断が難しくなるので何らかの基準を設けたほうがいい」
と産経新聞などの取材に語った。

「女性は人数多くてもマイノリティー」武蔵大・千田有紀教授 性自認尊重のトレンドに懸念
2024/3/25 13:55
https://www.sankei.com/article/20240325-CCBO54JDBRDJTP6QTSNHOMXAZE/
武蔵大の千田有紀教授(家族社会学・ジェンダー論)が国会内で講演し、生物学的な性差から性自認(心の性)を重視する流れが強まっているとして、
「性別の基準に性自認の尊重を置けば、
『女性に見えないけど、あなたは本当に女性なの』
と疑うこと自体、差別とされかねない」
「女性は数は多くてもマイノリティーだということを分かってほしい」
と述べ、警鐘を鳴らした。
女性の権利保護を目指す
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」
が2024年3月18日に開いた集会でも講演した。
千田氏の発言要旨は以下の通り。

■見られる存在になることに不安
女性は、心と体が一致しない性同一性障害(GID)の人たちの
「体を変えたい」
との思いに対し、温かな眼差しを送っていた。
自由な社会を目指す思いはGIDも女性も同じだ。
戸籍上の性別を変更するために男性器を取ってしまうほど女の人になりたいと思っているならば、その人は女性だと思い、共存していた。
《2023年10月、最高裁大法廷は性同一性障害特例法が戸籍上の性別を変更する上で求めていた
「生殖腺がないか生殖機能を永続的に欠く状態」(生殖不能要件)
の規定を憲法違反と判断した》
《「変更後の性別の性器に似た外観を備えている」(外観要件)
との規定については広島高裁に差し戻し今後、憲法適合性の審理が予定される》
《双方の要件を合わせて「手術要件」と言われる》
判決では
「女性は男性器を見たくないのだろう」(=異性の性器を見せられる羞恥心)
といった指摘があった。
そうではない。
女性は自分の身体を(元男性に)見られることに対し不安を感じている。
ここが理解されていない。
手術要件がなくなれば性別変更する上で司法や医療の関与が薄まる。
性同一性障害特例法は自己申告に基づく性別変更を可能とする『ジェンダー・セルフ・ID』の制度に近付くことになる。
短時間で性同一性障害の診断を下すべきではない。
診断基準を厳しくするのが解決の道だろう。
海外では性自認を尊重する余り、女湯や女性トイレで様々なトラブルが起きている。
■女性スペースの安全は身体で担保
国連が定義したトランスジェンダーには異性装者やノンバイナリー(男性にも女性にも当てはまらない人)といった属性に加え、女性のアイデンティティーを主張するのに、外見上は髭を生やしたままなど女性に見られる気がない属性もある。
その人の性自認を疑えば、
「差別」
とされる世界が広がりつつある。
性自認を認めるなというのではない。
これまで女性スペースの安全性や女性スポーツの公平性は身体によって担保されてきたが、性自認の尊重が過ぎれば社会のシステムが崩れる。
例えば、女子トイレは女性が社会参加する上で基本的なインフラだ。
女性はトイレでの安全性が担保されないと外に出られない。
性自認は自由だが、別に制度的な解決が政治に求められる。
LGBT活動家の主張には
「女子トイレや女湯に入りたいというトランスジェンダー女性はいない」
という声に加え、
「手術要件が廃止されれば、その時に話し合えばいい」
という声もある。
「女子トイレを使いたい」
と主張するトランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)がSNS上で女性に対して暴力的な言葉を使っているケースもある。
(トランス女性の権利を優先する)LGBT活動家から
「女性はマジョリティーだ」
といわれている。
女性は妊娠する身体を持ち、相対的に脆弱だ。
数が多くても女性はマイノリティーだということを分かってほしい。

女性スペース守る連絡会 性同一性障害特例法の改正案私案で集会 外観要件議論に危機感
2024/3/19 11:35
https://www.sankei.com/article/20240319-HJ33CQDNQNCNFLSDMU4JWDRNS4/
女性の権利保護を目指す
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」
は2024年3月18日、国会内で集会を開き、性同一性障害特例法の改正案や女性スペースに関する法案など会がまとめた独自案について説明し、生来の女性を保護するための法整備の必要性を訴えた。
2023年10月の最高裁で、戸籍上の性別を変更する上で生殖機能の喪失を要件とした特例法の規定が憲法違反と判断されるなど区別が曖昧になりつつある現状を踏まえた対応となる。
特例法を巡っては、性別変更する上で
「変更後の性別の性器に似た外観を備えている」
という外観要件について、広島高裁で憲法適合性の審理が改めて予定されるなど、違憲と判断される余地を残している。
最高裁は2023年7月、経済産業省に勤務するトランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)の職員に対し職場の女性用トイレの使用に制限を設けたことを違憲と判断している。
男性として生まれたトランス女性が女性スペースを利用する機会が広がりつつある現状を受けて、連絡会の
「女性スペースに関する法律案」
は、身分証明書上は女性でも男性器を備えていた場合は女性スペースの利用を認めない趣旨を盛り込んだ。
経産省のトランス女性に関するトイレを巡る判決を踏まえて、女子トイレを利用する女性らの意向を踏まえた上で、施設管理者が特定のトランス女性の入場を許容した場合は例外的に認めるとした。
会合に出席した自民党の片山さつき元地方創生担当相は
「マイノリティー(性的少数者)でずっと悩まれて、社会的に悲しい思いをした人は実際いる」
「そういう人に手を差し伸べることに反対したことはない」
と述べた上で、
「(女性や女児の)安全性を毀損することは国家の要諦としてあってはならない」
「今も女性や女児に対する犯罪を完全に防止できていない」
「今よりも危うくしてはならないという線を譲らない」
と語った。
集会では、女性スペースを巡る国内外の現状として、
▷性自認による差別を禁止する差別禁止法が施行されているカナダで、トランス女性を自認するという男が女性専用シェルターに滞在して女性利用者に性的暴行を行った
▷英国で性犯罪で逮捕された男が服役中にトランス女性になった
▷性別適合手術を受けていない女性を自認する外国人の男性が東京で女湯に侵入した
といった事例が紹介された。
連絡会は約3200人が賛同する
「女性スペースを守る会」
や性同一性障害者らで作る
「性同一性障害特例法を守る会」、
LGBT活動家に批判的な当事者団体
「白百合の会」、
「性暴力被害者の会」
などで構成される。

拡声器で「帰れ」「ヘイトデモ中止」性別変更反対の女性デモに3度目の妨害行為
2024/3/3 15:27
https://www.sankei.com/article/20240304-OJBMXROHUBHLHEIQTCCTLJVAMY/
女子トイレや女子更衣室、女湯などに男性が入ることを反対する
「女性の権利と尊厳を取り戻す会」
が2024年3月2日、東京・新宿でデモ活動を行い、戸籍上の性別変更を可能にする性同一性障害特例法の廃止を訴えた。
こうしたデモ活動に対しては妨害行為が繰り返されており、この日も同会の主張に反対する集団が現れて、デモの参加者に罵詈雑言を浴びせていた。
特例法を巡っては、広島高裁で性別を変更する要件の1つである
「変更後の性別の性器に近い外観を備える」(外観要件)
の規定の合憲性について審理が行われる予定だ。
デモに参加する女性らは、この規定が違憲となった場合、
「体は性別適合手術をしていない男性のままで、戸籍の上では女性」
という人物が現れ、
「女性専用スペース」
を共有する可能性が生じるとして、強い懸念を抱いているという。
一方、2023年の10月や12月のデモ活動では、マスクやサングラスで顔を隠す参加者に対し、執拗に撮影したり、拡声器で
「差別者、帰れ」
「へらへら笑うな」
と罵声を浴びせたりする集団が現れていた。
この日も同様だった。
デモが始まる前から、多様性のシンボルとされるレインボーのフラッグを掲げた集団が
「トランス差別扇動デモ」
「言い返してみろよ、ただの差別なんだよ」
などと持論を展開していた。
警察官が先導する形でデモ参加者が移動を始めると、拡声器越しに
「ヘイトデモ中止」
「トランス差別は今すぐやめろ」
「帰れ」
と興奮した様子で繰り返した。
デモの参加者は
「男は男、女は女」
などと訴えても、周囲に声がほとんど届かなかった。
デモの後、同会の青谷ゆかり共同代表は
「妨害は良くないと思う」
「妨害する音を小さくしてほしい」
「こちらの主張が伝えられない」
と訴えた。
妨害する人々に対しては
「口封じするのではなく、お互いの意見について話し合いたい」
と語った。

サイレンにスマホ撮影、罵声、中指‥「男性は女性になれない」デモに過激な妨害
2023/12/23 19:00
https://www.sankei.com/article/20231223-TFXAL24VUJEXJJ2YMUSMHWIWGI/
戸籍上の性別変更を可能にした性同一性障害特例法の廃止を訴えるデモ活動が2023年12月23日、東京・新宿で行われ、参加者の女性らが
「性別は変えられない」
「女性の尊厳を守れ」
「性別は気持ちではない」
などと訴えた。
現場では、心と体の性別が一致しないトランスジェンダーが性別を変更する権利が脅かされるとしてデモ活動を妨害する人々も現れ、休日の繁華街で聞くに堪えない罵詈雑言を浴びせていた。
午後1時前のJR新宿駅前。
コーンで仕切られたスペースに20人弱の女性が集まった。
女性団体
「女性の権利と尊厳を取り戻す会」
が主催するデモの参加者だ。
平成16年施行の特例法に基づき性別適合手術を経て性別変更が認められても、元男性と女性トイレや女性更衣室などを女児や成人女性が共有することなどに強い拒否感を覚えている。
参加者の多くはサングラスやマスクで顔を隠している。
インターネット上に顔が公開される恐れがあるためだという。
周囲はデモの開始前から、虹色のフラッグを掲げた人々が参加者の数倍の規模で取り囲んでいる。
「ヘイトデ〜モ中止!」
「トランス差別者、かーえーれ!」
と罵声を浴びせ、スマートフォンやビデオカメラで参加者を撮影する。
多くの警察官が警備する中、デモ行進が始まった。
妨害者の側がデモ参加者に接近してメガホンで大声を張り上げるので、参加者が訴える内容がなかなか聞き取れない。
ようやくデモの参加者側がメガホンの音量を上げ、
「性別の定義を変えるな」
「女性の尊厳を守れ」
と訴えると、妨害する側も
「かーえーれー」
とボリュームを上げて対抗する。
妨害する側の行為は眉をひそめる内容だった。
「とっとと帰れって言ってんじゃねーか」
と大声を発する女性。
「ファン、ファン、ファン」
とサイレンを大音量で鳴らす女性。
「うわー」「うわー」「うわー」
と叫びながら、デモの参加女性にスマホを近付ける男性もいた。
デモの参加者に親指を下げ、中指を立てる人たちも少なくなかった。
デモ参加者の訴えを周囲に聞かせない狙いがあるという。
通行人に向かい、
「悪質なトランスジェンダー差別が行われています」
「どうか皆さま、耳を貸さないようにお願いします」
となどと頭を下げている。
今回のデモ活動は事前に警察から許可を得たものだ。
こうした妨害行為を、参加者はどう感じているのか。
主催団体の共同代表を務める青谷ゆかりさんは
「意見や立場が違う人がいるのは分かる」
「でも、このようなカウンター(反対)行為を行うのではなく、お互いどう考えているのか議論すべきだ」
「カウンター行為は反対だ」
という。
同じく共同代表の白瀬詩織さんも
「我々の主張が広がれば、賛同者が増えてしまうから都合が悪いと考えているのではないか」
「まずは聞いてほしい」
と語った。
デモの開始前、記者がデモ参加者に挨拶をしていると、ある男性が記者にスマートフォンを向けてきた。
撮影されているのだろうか。
その場を離れると、その男性から指を差され、
「これが産経新聞だ」
と周囲に伝えている。
デモの取材中、記者に対する威圧的な行為はなかったものの、妨害する人々の一部は取材する記者の顔も事前に把握していたことに恐怖を覚えた。

「マスコミはLGBT活動家の意見ばかり‥」女性スペース守る連絡会が会見
2023/12/15 19:04
https://www.sankei.com/article/20231215-XGMFAGQOB5EBPDHUKCFYWCALOU/
女性の権利保護を目指す
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」
は2023年12月15日、東京都内で記者会見し、戸籍上の性別を変更する要件を盛り込んだ性同一性障害特例法に関する最高裁の決定に否定的な考えを示した上で、男性器を有した人による女性トイレの利用を公認しないための法整備などを訴えた冊子の発行を公表した。
最高裁は2023年10月に性別変更する上で特例法が求める生殖機能の喪失要件について憲法違反と判断し
「変更後の性別の性器部分に似た外観がある」
と求めた外観要件については高裁に審理を差し戻した。
性別適合手術に否定的なLGBT活動団体などは特例法に対し
「人権侵害の懸念が極めて強い手術要件を中心に撤廃すべきだ」
などと主張していた。
会見で、性別適合手術を経て女性に性別変更した
「性同一性障害特例法を守る会」
の美山みどりさんは
「LGBT活動家の主張だけを鵜呑みにして、イデオロギー的な偏った立場で判断を下したとしか思えない」
と最高裁の決定を疑問視し、
「マスコミは活動家の意見を取り上げた半分でも(特例法の堅持を求める)我々の意見を報道したのか」
と苦言を呈した。
「性暴力被害者の会」
の郡司真子さんは、性交の多様な在り方や自慰行為の快楽性を子供たちに教える性教育が欧米で先行する状況に強い懸念を示した。
「行き過ぎた性教育を一方的に進めていくのではなく、海外の事例について検討して議論を進める必要がある」
と訴えた。
「女性の権利を守るトランスの会」
の森永弥沙さんは、トランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)と女性の権利衝突に懸念を唱えるとLGBT活動家から糾弾される現状について、
「懸念を示す女性を蔑み、汚い言葉で踏みしだくなど論外だ」
と述べた。
「戸籍を変更しなくてもトランスジェンダーが社会に適用しやすいように(法制度が)運用されることが肝心だ」
「将来的にはトランスジェンダーなど多様な属性が意識されることなく、ありふれた、ただの人間と認識される社会を目指さないといけないと思う」
と語った。
「女性スペースを守る会」
の森谷みのりさんは、2023年6月に施行されたLGBT理解増進法について
「性の多様性を承認し理解増進を掲げたもので、それに従った法令上の取り扱いを受ける権利を予定したものではない」
と指摘し、
「最高裁は性別を蔑ろにして、性自認至上主義で安易に女性や男性の定義を変更しようとしている」
と批判した。

http://www.asyura2.com/22/senkyo287/msg/820.html#c122

[政治・選挙・NHK296] 飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
31. 秘密のアッコちゃん[1023] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 14:13:24 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[588]
<■1704行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度には断固反対だ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/118.html#c31

[政治・選挙・NHK296] 国民民主党は劣化版「民社党」と化した…玉木代表は不倫以前に、ヘイトスピーチや差別の周縁に立っている 古谷経衡 猫と保守と… 赤かぶ
31. 秘密のアッコちゃん[1024] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 16:20:19 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[589]
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時速194キロ死亡事故で懲役12年を求刑、危険運転致死罪 大分地裁
2024/11/15 15:48
https://www.sankei.com/article/20241115-3DYFNCAVQVKBZOBOMO5UN6AK44/
大分市の一般道で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性会社員=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)の裁判員裁判が2024年11月15日、大分地裁(辛島靖崇裁判長)であり、検察側は懲役12年を求刑した。
予備的訴因とした同法違反の過失致死罪については懲役5年を求刑した。
弁護側は最終弁論で、同法違反の過失致死罪を適用するよう訴え、結審した。
判決は2024年11月28日。
検察側は論告で、時速194キロで走行した場合、道路の凹凸などによってハンドルやブレーキ操作のミスから進路を逸脱する可能性があり、制御困難だったと指摘した。
起訴状によると、令和3年2月9日午後11時頃、上限が法定速度の時速60キロと定められた県道交差点を、対向から右折する車を妨害する目的で、制御困難な時速約194キロで進入。
右折車に衝突して、会社員の小柳憲さんを死亡させたとしている。

時速194キロで死亡事故 “思いくみ取った判決を”姉が意見陳述
2024年11月15日 14時07分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241115/k10014639291000.html
3年前2021年、大分市の県道で、時速194キロで車を運転して死亡事故を起こしたとして、危険運転致死の罪に問われている当時19歳の被告の裁判で、亡くなった男性の姉が意見陳述を行い
「遺族の思いを汲み取った判決を心からお願いします」
と訴えました。
3年前の2021年2月、大分市の当時19歳の被告は法定速度が時速60キロの市内の県道で、車を時速194キロで運転し、交差点を右折してきた車と衝突して、運転していた小柳憲さん(当時50)を死亡させたとして、危険運転致死の罪に問われています。
これまでの裁判で弁護側は
「車線から逸脱することなく直進できていて、危険運転致死罪は適用できず、成立するのは過失運転致死罪だ」
と主張しています。
2024年11月15日に大分地方裁判所で開かれた裁判で、午前中、亡くなった小柳さんの姉が
「被害者参加制度」
を利用して意見陳述を行いました。
この中で姉は
「弟は突然、人生を終わりにさせられました」
「交差点を右折しただけです」
「これほど理不尽なことがあっていいのでしょうか」
「本人の無念さを思うと胸が苦しくなります」
と述べました。
そして、裁判官や裁判員に向けて
「もう何も言えない弟の無念さや私たち遺族の思いを汲み取った判決を心からお願いします」
と訴えました。
午後には検察の求刑や弁護側の弁論が行われて全ての審理が終わる見通しで、判決は今月2024年11月28日に言い渡される予定です。

[社説]危険運転を根絶する法律に
社説
2024年11月14日 19:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD144HR0U4A111C2000000/
飲酒や猛スピードの走行など悪質な運転による事故の刑事責任を問う危険運転致死傷罪について、見直しを議論してきた法務省の検討会が報告書案をまとめた。
現行法は要件が曖昧で立証のハードルが高いとの批判があり、適用基準を明確にするなどの方針を示した。
更に議論を深め、悲惨な事故の撲滅に繋げなければならない。
危険運転致死傷罪は2001年に新設された。
東名高速道路で飲酒運転の大型トラックが乗用車に追突し、女児2人が死亡した事故がきっかけだ。
飲酒や高速走行、信号無視、煽り運転などによる事故が対象で、法定刑の上限は懲役20年と過失運転致死傷罪(同7年)より重い。
だが同罪に問うには
「進行を制御することが困難な高速度」

「アルコールの影響で正常な運転が困難」
だったことを立証しなくてはならない。
「事故を起こす前まで正常に運転していた」
などの反論が認められる可能性があった。
2024年5月に群馬県伊勢崎市で家族3人が死亡した事故では、飲酒運転で事故を起こしたトラック運転手が過失致死傷罪で起訴された後、遺族らが要望して危険運転致死傷罪に訴因変更された。
飲酒を
「過失」
とするのは市民感覚からかけ離れ、立法趣旨にも反しよう。
遺族らが納得できなかったのは当然だ。
報告書案では、速度や呼気中のアルコール濃度などの数値基準を定め、超えた場合に一律で同罪を適用することとした。
具体的数値はこれからの検討課題になる。
数値だけが適用の物差しになれば、
「基準以下だから危険運転には当たらない」
という発想を誘発しかねない。
法体系全体のバランスを踏まえつつ、適切な刑事罰を科せられるような制度にしなければならない。
厳罰化だけで事故を根絶することはできない。
ドライバー1人1人の安全意識を高めるため、交通教育や啓発を充実させる必要がある。

194キロ死亡事故「加速感楽しんでいた」 裁判員裁判で男性被告
2024/11/12 17:07
https://www.sankei.com/article/20241112-2UE5FVEWWVKTBHMWZG47XXHZHI/
大分市の一般道で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性会社員=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)は2024年11月12日、大分地裁の裁判員裁判の被告人質問で、スピードを出す理由を
「エンジンやマフラー音、加速する感覚を楽しんでいた」
と述べた。
被告は死亡事故を起こすまで、高速道路で時速200〜210キロ、事故現場の県道で170〜180キロ出した経験があると説明。
弁護側からの質問に、事故時は
「150キロくらい出ている感覚だった」
と供述した。
一方、供述調書には、事故直前に感覚では200キロ近く出ていたと述べていたことを検察側から問われると
「覚えていない」
と答えた。

時速194キロ事故「過失のわけがない」 危険運転罪認めず、遺族が批判
2024/11/6 0:01
https://www.sankei.com/article/20241106-RV6O2PJRMRJ7FILIB3YCGVK3WU/
大分市で令和3年、時速約194キロの乗用車で死亡事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)の裁判員裁判初公判で、検察側は2024年11月5日、事故時の様子が写った映像や損傷した被害車両の写真などを示した。
遺族は記者会見で
「一体どんな高速度だったのか」
「過失のわけがない」
と憤った。
弁護側は危険運転罪は成立せず、同法違反(過失致死)罪にとどまると主張している。
死亡した会社員、小柳憲さん=当時(50)=の姉、長(おさ)文恵さん(58)は閉廷後、ドライブレコーダーの映像や小柳さんの着衣の写真を法廷で見て、弟の痛みを想像して涙が溢れたと明かし、
「うっかり起きた過失と一緒にされたら困る」
と語気を強めた。
被告は罪状認否で危険運転罪に関して
「よく分かりません」
と述べる一方、
「小柳憲さんとご遺族に心より謝罪します」
とも口にした。
長さんは、謝罪時に遺族を見ようとしなかったとし、
「誰に向けて謝っているのだろうと感じた」
と非難した。

194キロ危険運転争う姿勢 50歳男性死亡事故で弁護側 大分地裁
2024/11/5 10:58
https://www.sankei.com/article/20241105-ETIDIULAWVIZFCIPXIZSFYQJZE/
大分市で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)は2024年11月5日、大分地裁の裁判員裁判初公判で起訴内容について
「よく分かりません」
と述べ、弁護側は
「危険運転致死は成立しない」
と主張した。
令和4年12月に、同法違反(過失致死)罪から訴因変更されていた。
判決は2024年11月28日。
起訴状によると、令和3年2月9日午後11時頃、上限が法定速度の時速60キロと定められた県道交差点を、対向から右折する車を妨害する目的で、制御困難な時速約194キロで進入。
会社員、小柳憲さんの車に衝突して死亡させたとしている。
大分県警は危険運転致死容疑で書類送検したが、大分地検は令和4年7月、一旦同法違反の過失致死罪で在宅起訴。
より法定刑の重い危険運転罪適用を求める署名提出を遺族から受けた後、地裁に訴因変更を請求し認められた。

時速194キロで走行、危険運転致死に問われた元少年は初公判で「そのようなこと分かりません」
2024/11/5 13:07
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241105-OYT1T50067/
大分市で2021年、法定速度の60キロを大幅に上回る時速194キロで乗用車を走行して事故を起こし、男性を死亡させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)に問われた元少年(23)の裁判員裁判の初公判が2024年11月5日午前、大分地裁(辛島靖崇裁判長)で始まった。
元少年は罪状認否で
「そのようなことは分かりません」
と述べた。
事故で大破した小柳さんの車(遺族提供)
起訴状では、元少年は2021年2月9日深夜、大分市の県道交差点で、制御困難な時速194キロで走行。
右折中だった同市の会社員小柳憲さん(当時50歳)の車の通行を妨害する目的で交差点に進入して事故を起こし、小柳さんを死亡させたとしている。
公判では、元少年の運転が、危険運転の適用要件である
〈1〉制御が困難な高速度
〈2〉妨害する目的で通行中の車に接近
に該当するかどうかが主な争点となる。
弁護側はこの日、危険運転致死について否認し、検察側が予備的な訴因として加えている同法の過失運転致死については争わない姿勢を示した。
検察側は冒頭陳述で、小柳さんは事故で締めていたシートベルトがちぎれて路上に飛び出し、骨盤を骨折するなどして死亡したと主張。
〈1〉については、路面の状況から車体に揺れが生じ、ハンドルやブレーキの操作を誤る恐れや、夜間に194キロで運転することで視野や視力に大きな影響を与え、操作を誤る恐れがあったなどとした。
また、右折車が来ることが想定されたとして、
〈2〉の要件も満たすと主張。
「常軌を逸した高速度で、動機は極めて身勝手」
と指摘した。
事故を巡っては、大分地検は2022年7月、法定刑の上限が懲役7年の過失運転致死で在宅起訴。
遺族らは法定刑の上限が懲役20年の危険運転致死への訴因変更を求めて約2万8000筆の署名を地検に提出。
地検は補充捜査の上、変更を地裁に請求し、認められた。

<主張>危険運転致死傷罪 国民常識との乖離埋めよ
2024/2/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240207-V6KMS75HSZNLZB4I5Z5XJLQDXU/
法務省は、危険運転致死傷罪の要件を見直す検討を始めた。
現行要件の基準が分かりにくく、事故遺族らが
「危険で悪質な事案を取りこぼさないようにしてほしい」
と要望していた。
令和3年2月、大分市内の県道交差点を右折する会社員の乗用車に、当時19歳の少年が運転する直進車が衝突した。
会社員は死亡した。
直進車は法定速度60キロの3倍を超える時速194キロで走行し、少年は
「何キロ出るか試したかった」
と供述したのだという。
大分県警は危険運転致死罪の要件である
「制御困難な高速度」
に当たるとして同容疑で送検したが、大分地検は
「直線道路で走行を制御できていた」
などとして過失運転致死罪で在宅起訴した。
危険運転の法定刑の上限は懲役20年、過失運転の上限は7年で、大きな開きがある。
遺族は納得いかない。
そもそも制御できないから衝突したのではないのか。
遺族は署名を集めて訴因変更を求める上申書を提出し、これを受けた補充捜査を経て危険運転致死罪に訴因は変更された。
遺族の声を受けての訴因変更は、要件のあいまいさを物語る。
平成30年12月、法定速度60キロの一般道を146キロで走行してタクシーに突っ込み、乗客ら4人が死亡した事故でも、危険運転致死傷罪で起訴された被告に津地裁、名古屋高裁は
「制御困難な高速度が証明されていない」
として過失運転と判断し、懲役7年の判決が確定した。
現行法では、無免許であっても一定の運転技能ありと判断されれば、危険運転の要件を満たさない。
信号無視による事故は
「殊更に」
無視した場合に限られ、
「殊更」
の証明、解釈に振り回される。
法曹界には他罪種や過去事件の刑罰とのバランスを重視するあまり、危険運転の適用を躊躇する傾向があり、要件の曖昧さがこれを助長しているとの指摘もある。
被害者や家族は、この構図に憤っている。
危険運転致死傷罪は、東名高速道で飲酒運転のトラックが女児2人を死亡させた事故をきっかけに平成13年に創設された。
強い被害感情に応えるための法律が、その運用をめぐって被害者の怒りを倍加させている。
要件の整理と明確化で国民常識との乖離を埋めてほしい。

再考・犯罪被害者
<特報>時速194キロ、危険運転ではないのか 遺族が動かした異例の訴因変更
2023/1/23 8:50
https://www.sankei.com/article/20230123-NBCPUZLDCVJIJAQRRGGPI2ZWXM/
憲ちゃんが亡くなった−。
訃報は突然やってきた。
令和3年2月9日午後11時頃、大分市内の県道交差点。
右折する車に、対向車線を直進してきた1台の乗用車が衝突した。
いわゆる「右直事故」。
右折車を運転していた会社員、小柳憲さん=当時(50)=がこの事故で死亡した。
衝突直前の直進車の走行速度は時速194キロ。
法定速度(60キロ)の3倍を超えていた。
「なんで弟が…」。
事故から半日後、小柳さんの姉は、棺に横たわる弟と対面した。
顔にはほとんど傷がなく、
「事故に遭ったとは思えないほど、いつもの穏やかな表情だった」。
ただ頭部以外は全て包帯でくるまれていた。
「辛い思い出が残るから見ない方がいい」。
受傷の程度が書かれた死亡診断書でさえ、見るのを制された。
大分県警から受けた説明によると、小柳さんは事故当時、シートベルトをしていたが、衝撃でベルトが切れて車外にほうり出され、後続車の近くに倒れているところを発見された。
肋骨や骨盤など全身に多数の骨折があった。
死亡確認は約2時間半後。
「最期を迎えるまで、どれほど苦しかったことか…」。
想像を絶したであろう弟の痛みや苦しみを思い、姉はただ涙を流すことしかできなかった。
直進車を運転していた当時19歳の元少年は調べに
「何キロ出るか試したかった」
と供述したという。
大分県警はこうした事情も踏まえ、元少年の運転が、自動車運転処罰法が定める危険運転致死罪の適用要件である
「制御困難な高速度」
に当たると判断。
事故から2カ月後に元少年を同容疑で書類送検した。
姉も当然、同罪で起訴されるものと期待した。
だが大分地検は翌年令和4年7月、過失運転致死罪で元少年を在宅起訴した。
遺族には
「直線道路で走行を制御できていた」
などと説明し、
「制御困難」
に当たらないとの見解を示した。
《高速度走行(自動車運転処罰法2条2号)その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為》
「一般道を時速194キロで走るのが危険運転でないのなら、一体どんな運転が危険運転になるのか」。
姉は思わず本音をぶつけた。
だが、担当検事は
「捜査の結果、危険運転の立証には至らなかった」
と答えるのみだった。
「前代未聞の高速度」
「家族にも見せることができない身体の損傷」
「原形をとどめないほど大破した車」
「危険運転致死傷罪は生命の尊厳を守るために創設されたはずなのに、こんな理不尽なことがあってもいいのでしょうか」
姉はそれ以降、地検に翻意を促そうと奔走した。
令和4年8月には記者会見を開いて危険運転致死罪の適用が見送られた理不尽さを訴え、同罪への訴因変更を求める上申書を地検に提出。
翌月令和4年9月には犯罪被害者の自助グループ「ピアサポート大分絆の会」(大分県国東市)の支援も受けながら、地検に補充捜査を求める署名活動を行い、全国の賛同者から集まった約2万8000筆を令和4年10月に提出した。
「弟の無念を晴らしたい」。
その一心で続けた地道な訴えは令和4年11月、ようやく実を結ぶ。
地検と県警が当時の事故状況を再現する補充捜査を実施。
僅か2週間後の令和4年12月1日には地検が危険運転致死罪への訴因変更を大分地裁に請求し、同月令和4年12月20日に認められた。
「声を上げなければ過失運転で終わっていた」
「ほっとしました」。
姉は訴因変更の知らせに安堵の言葉を口にした。
事故は今後、裁判員裁判で審理される。
「裁判をしたからといって弟の命は決して戻りません」。
それでもようやく、スタートラインに立てた気がする。
「真っ当な判決が言い渡されてほしい」
「望むことはそれだけです」。
初公判の日を静かに待っている。
■「常識」と乖離する司法
「被告人の運転が常識的にみて『危険な運転』であることは言うまでもない」
小柳さんの事故から間もない令和3年2月中旬。
名古屋高裁は、三重県津市の国道で時速146キロの自動車がタクシーに衝突し、乗客ら4人が死亡、1人が負傷した事故で、被告に判決を言い渡した。
制限速度の2.5倍近い異常なスピードで高級車を駆り、車の間隙を縫うように車線変更を繰り返していた被告。
「あたかも自分1人のための道路であるかのごとき感覚」。
高裁判決はこんな非難の言葉を並べながら、それでも1審津地裁と同様、危険運転致死傷罪の成立を否定した。
市民感覚と司法判断がここまで乖離するのは何故か。
それは同罪が不注意を罰する過失犯ではなく、故意犯であるところに大きな要因がある。
同罪の故意とは、自分の運転行為が法の定める
「危険運転」
の類型に当たることを認識しながら、敢えてそのような運転をしたということ。
条文の文言を知っている必要はないが、
「制御困難」
の要件の場合は、高速度走行の一般的な危険性の認識では足りない。
津市のケースでは、僅かなミスで自分の車を進路から逸脱させるような状況を
「具体的な可能性として現実に頭に思い浮かべていたことが最低限必要」(津地裁判決)
と判示され、被告にこの認識がなかったとして故意が否定された。
事故前に百数十キロで走行しながら複数台の車両を追い抜いたことを
「特段の支障なく進行した」
と被告に有利な事情とみた。
大分の事故現場は、その幅員から
「40メートル道路」
と呼ばれる直線道路。
スピードを出しても比較的コントロールしやすい場所といえ、大分地検が当初、危険運転致死罪の適用を見送る一因になったとみられる。
もっとも同罪の適用を巡っては、司法判断も揺れている。
大分地検が補充捜査で訴因を切り替えたことも、要件解釈が定まっていないことの表れとみることもできる。

過失では済まされないような危険な運転を厳しく罰するため、世論の後押しを受けて制定された危険運転致死傷罪。
しかし厳罰ゆえに検察や司法が適用に慎重になるケースが相次ぎ、被害者遺族の無念は宙をさまよう。
同罪を取り巻く課題を検証する。

再考・犯罪被害者
危険運転致死傷罪、揺れる司法の判断 被害者・遺族の思いをすくい上げるには
2023/1/31 7:00
https://www.sankei.com/article/20230131-UNNJ7SBNRVLLTDM7ARQI5K6YSI/
■危険運転、問われる意義
危険運転致死傷罪の創設から20年以上が経過したが、適用のハードルは高く検察や司法の判断も揺れている。拡大解釈による厳罰化の危険を避けつつ、被害者・遺族の思いをすくい上げるにはどうすればいいのか。有識者2人に聞いた。
時速194キロ、危険運転ではないのか 
■高い起訴のハードル 大嶋実弦弁護士
危険運転致死傷罪は
「悪質な運転による死傷事故を重く処罰してほしい」
「『過失』で済まされるのはおかしい」
という事故の被害者や遺族の思いから出発し、創設された法律だ。
その一方で、実際に同罪が規定する危険運転行為と、一般の人が罪名から想像する行為との間には乖離があり、そのギャップが
「市民感覚を反映していない」
と指摘される要因にもなっている。
率直に
「危険運転ではないのか」
と思えるような行為も、同罪が厳格に定める要件や類型に当てはまらない限り処罰の対象とはならず、それゆえ遺族が不満の声を上げるケースが少なくない。
特に警察が危険運転致死罪で送検するような死亡事故は、遺族にしてみれば理不尽に家族を殺されたという思いが強い。
同罪はそんな遺族の拠り所でもあるはずだが、
「公判が維持できないから」
と検察に門前払いされると、
「なぜ」
というわだかまりと、やり場のない無念さだけが募ることになる。
遺族が声を上げる背景には、同じような境遇に遭う人をなくしたいという強い気持ちがある。
こうした声に世間が共感し、課題が社会に認知され、法改正で是正されてきた経緯がある。
厳罰ゆえに慎重になるのも十分理解できるが、公判の舞台に乗せないと、解釈や適用範囲を巡る司法判断が積み重ならない。
起訴のハードルを下げつつ、市民感覚との懸隔を埋めていくことが求められる。

おおしま・みつる
大阪弁護士会所属。
長年に渡り交通事故遺族らで作る自助団体「TAV交通死被害者の会」(大阪市)の活動を支援している。
処罰範囲の拡大はアンフェア 井田良・中大大学院教授
死傷者を伴う交通事故が起きた時、過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪のどちらが適用されるか、その判断が注目を集めることがある。
そして危険運転の適用が見送られた時、報道で批判的に取り上げられることも少なくない。
危険運転致死傷罪について規定された刑は相当に重いものとなっている。
特に危険な運転を故意に行い、人を死傷させた場合に、傷害罪(上限懲役15年)や傷害致死罪(同20年)と同じように重く処罰するよう制定された経緯がある。
その際、誰もが犯しうるような不注意で重い処罰の対象とするのは適当ではないとして、危険運転に該当する行為を類型化し、その要件を限定した。
いくら危険な暴走行為であっても、この類型化された危険行為に当たらない限り、同罪を適用できないと考えるのが、法律で犯罪と刑罰を規定する
「罪刑法定主義」
の原則だ。
確かに同罪の条文を素直に読むと、問題とされる行為が危険運転に該当しそうに思える事例もあり、被害者側もそこに批判の根拠を持っていることは理解できる。
しかし、規定の解釈に当たっては、元々の立法趣旨や、これまでの判例が積み重ねてきた解釈を無視することはできないし、何より、軽い類型である過失運転致死傷罪との区別が曖昧にされてはならない。
立法趣旨や従来の裁判所による解釈を無視して処罰範囲を拡大することは、不意打ちでアンフェアな処罰である。
解釈による対応が難しければ再び立法が求められることになるが、過失運転致死傷罪との合理的な区別を可能とする新たな危険運転行為の要件を定立することは、相当に難しいことも事実であろう。

いだ・まこと
専門は刑法。
平成13年に危険運転致死傷罪が創設される際の法制審議会の議論に幹事として加わった。
平成28年から現職。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/113.html#c31

[政治・選挙・NHK296] 小柳ルミ子が玉木雄一郎氏に痛烈皮肉 103万円の壁よりモラルの壁「私は騙されませんよ」(東スポ WEB) 達人が世直し
9. 秘密のアッコちゃん[1025] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 17:39:07 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[590]
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国民・玉木氏「総務省が自治体工作」、村上総務相は「してない」103万円壁見直しで攻防
2024/11/15 16:06
https://www.sankei.com/article/20241115-A6SPP4N2PNGQFLOQDMEDSBJVXQ/
村上誠一郎総務相は2024年11月15日の記者会見で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の見直し論を巡って、総務省が自治体に反対を呼び掛けているとの一部の見方について、
「そういうことはしていないと思う」
と否定した。
年収の壁の見直しを巡っては、国民民主党が推進を掲げる一方、全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)らは地方の税収減に繋がるとして反対を表明している。
国民民主の玉木雄一郎代表は2024年11月13日、東京MXテレビの番組で、
「今一生懸命、総務省が全国知事会や自治体の首長に工作を行っている」
と述べた上で、
「『こういう発言をしてくれ』
『こういう減収があるからやめてくれ』
と、村上総務相が村井知事会会長らに連絡して、発言要領まで作って(いる)」
「如何なものか」
と語っていた。
村上氏は2024年11月15日の会見で
「村井会長に発言の依頼をした事実は全くない」
と否定し、
「発言要領について見たこともない」
「依頼したことも全然ない」
「なぜ玉木氏がこういう事を言ったのか、理解できない」
と強調した。
「全国知事会とは税制などについて日頃から意見交換している」
「事務方から基礎控除の制度概要などについて説明を行った」
とも語った。

「103万円の壁」解消は財源確保が最大の焦点 国民民主、主張崩さず自民と平行線か
2024/11/14 20:27
https://www.sankei.com/article/20241114-PQHUVBMCXVMSBBLERXARLNK3QQ/
2024年11月14日に本格的にスタートした自民、公明両党と国民民主党の税制協議の最大の焦点は、国民民主が主張している年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万円の壁」
の解消のための財源の確保だ。
国民民主は所得税が発生する基準を現行の103万円から178万円に引き上げる主張を崩していない。
税収減を懸念する自民との議論は平行線が続く可能性がある。
■財源は「与党の責任」
「我々としてはちゃんと試算をした上で根拠があって出している」
国民民主の古川元久税調会長は国会内での自民との協議後、非課税枠の178万円への引き上げを譲らない考えを改めて強調した。
政府は国民民主の主張通りに非課税枠を拡大した場合、国と地方で7兆〜8兆円の税収減になると試算。
全国知事会も影響が大きいとして政府や与党に慎重な検討を求めている。
非課税枠の引き上げを実施する場合は代わりの財源が必要となるが、国民民主側はあくまで税収減への手当ては
「基本的には与党の責任」(古川氏)
との立場だ。
■赤字国債で税収減カバーか
国民民主の姿勢に自民は頭を抱える。
小野寺五典政調会長は2024年11月12日夜のBSフジ番組で
「『出る』と『入る』があって初めて政策になる」
「セットで提示して頂くことが大事だ」
と述べた。
もっとも、自民、公明両党は衆院で過半数の議席に届いておらず、令和6年度補正予算案や7年度予算案の成立に国民民主の協力が欠かせない。
国民民主幹部は
「うちが賛成しなければ何も通らない」
と強気だ。
国民民主にとって103万円の壁の解消は看板政策であり、実現の可否は来夏2025年夏の参院選を含めた今後の党勢も左右するため、容易に妥協できない事情もある。
2024年11月14日の税制協議に出席した自民の宮沢洋一税調会長は、記者団に非課税枠を178万円に引き上げる可能性を問われ、
「それは今後の議論次第だろう」
と含みを持たせた。
石破茂政権に影響力を持つ自民重鎮は、こう話す。
「国民民主も譲らないだろう」
「最終的には赤字国債で税収減を補うことになるのではないか」

村井嘉浩・全国知事会長が国民民主の年収の壁見直しに苦言 「夢ごとでなく具体策を」
2024/11/13 16:45
https://www.sankei.com/article/20241113-SZLBZWQ3R5PFBOFCOQXZPU4J3U/
全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事は2024年11月13日の記者会見で、国民民主党が主張する
「年収の壁」
見直しを巡り
「(個人の)収入が増えれば消費が喚起され、税収も増えるといった夢ごとではなく、地に足がついた具体的な方策を示して議論してほしい」
「少なくとも私が首相なら首を縦に振らない」
と苦言を呈した。
総務省は、
「年収の壁」
見直しに伴う個人住民税の減収が4兆円程度に上ると試算。
村井氏は、宮城県と県内市町村の減収額が、地方交付税分も含め計約800億円に上ると明らかにし
「たちどころに財政破綻するだろう」
と述べた。
自治体が減収となることで住民サービスの低下を招くとの懸念も表明。
減収分を国債で充てれば
「恒常的に大きなつけを後世に回すことになる」
「賛成とは到底言えない」
と批判した。

年収の壁、ゼロ回答認めず 国民玉木雄一郎代表、自民に要求
2024/11/3 12:52
https://www.sankei.com/article/20241103-SN3SD5CPUVM5DP5JCK3ASPLKLE/
国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月3日放送のBSテレビ東京番組で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の引き上げに自民党が応じない場合、政権運営に協力しない考えを示した。
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べた。
立憲民主党など他の野党と連携する課題として政治改革を例示。
「案件ごとに協力する」
「対象は自民、公明両党に限定されない」
と語った。
玉木氏は、石破茂首相(自民総裁)との党首会談が実現した場合、年収の壁の引き上げは
「国民が求めている」
として、協力を要請する意向を記者団に表明。
立民の野田佳彦代表との会談では、政治資金規正法の再改正に加え、安全保障やエネルギー政策といった基本政策の一致に向けた協議の本格化を求める考えを示した。

高橋洋一「日本の解き方」
国民民主「103万円の壁撤廃」は実現可能か 控除拡大は減税と同じ効果、財務省へのアンチテーゼに 賃金上昇率目標も検討すべき
2024.11/2 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-4CKOQXQOUFMPPFLNUW5T4DIG6M/
石破茂首相は国民民主党との
「部分連合」
を視野に入れている。
国民民主党は基礎控除の103万円から178万円への拡大、消費税5%などを掲げているが実現可能だろうか。
国民民主党の政策のうち、他党にない
「基礎控除等を103万円から178万円への引き上げ」
について取り上げたい。
まず、178万円という
「中途半端」
な数字に驚く。
これは、1995年からの最低賃金上昇率1・73倍から、103万円を1・73倍して得られる。
103万円は基礎控除と給与所得控除の合計だが、1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きである。
そこで、最低賃金の上昇と合わせて引き上げるべきだというのが国民民主の主張である。
ここまで厳密に拘らくてももいいが、国民民主党らしいとも言える。
控除の拡大は減税と同じだ。
控除額が増えれば、少なくとも所得税として
「75万円×税率(年収に応じて5〜45%)」
の額が手元に残るようになって、手取りが増える。
この政策が面白いのは、財務省は増税しないと言いながら、控除額の縮小を狙う
「ステルス増税」
をしばしば企むが、そのアンチテーゼになるからだ。
例えば、給与所得控除について
「海外と比較すると日本は大き過ぎるので縮小しよう」
と躍起になっている。
一方、基礎控除は日本だけが国際的に低いのは知らんぷりという具合だ。
この
「減税」(控除の拡大)
でも、財源はどうするのかという反論があるだろう。
仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる。
もっとも、この程度であれば、名目で5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える。
また、この政策との関連で、最低賃金について、
「全国どこでも時給1150円以上を早期に実現する」
としている。
自民党の「2020年代に1500円」、立憲民主党も「1500円」を掲げているのと比べると控えめな数字である。
1500円の方がいい加減な数字であるので、国民民主党に逆に信頼感が出るのではないか。
気になるのは、金融政策に関する公約がないことだ。
立民の
「0%超の物価目標」
は論外であるが、労働者の党である国民民主党が公約に掲げていないのは不自然だ。
かつて筆者が玉木雄一郎代表と話した時、インフレ目標ではなく
「賃金上昇率目標」
を主張した。
元々インフレ目標のベースになっているのがインフレ率と失業率の関係を示した
「フィリップス曲線」
であるが、同曲線は賃金上昇率と失業率の関係が元になっているので、玉木代表の意見には一理ある。
大胆に言えば、インフレ目標2%より、賃金上昇率3〜5%のほうが日本経済のためになるので、検討してはどうか。
それを消費税5%、社会保険料の軽減、トリガー条項の凍結解除と共に自公政権にぶつけたら面白い。
今の自公なら受け入れ余地はあるが、石破政権を退けた後からの方がより有望だろう。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

国民民主と政策協議も…自民に裏切り≠フ過去 維新と文通費見直し合意も反故、馬場代表「自民は狡猾、聞いてる振りはする」
2024.11/1 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H5TBRZVN3VLIBK52CGPVQGX2LQ/
自民党と国民民主党が
「部分連合」
に向けた動きを加速させている。
少数与党の石破茂政権は、国民民主党を取り込むことで、首相指名選挙やその後の国会運営を有利に運ぶ思惑だ。
国民民主党は衆院選で公約に掲げた
「年収103万円の壁」
撤廃などの実現に前進するが、要求通りの成果を得られるかは不透明だ。
過去には日本維新の会が自民党との合意を反故にされた経緯もあり、警戒感は強い。
自民党の森山裕幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日の会談で、政策協議を開始する方針で一致した。
公明党を加えた3党は今後、税制や補正予算を巡って合意を模索する。
国民民主党は、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
を撤廃するため、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計を最低103万円から178万円に引き上げることを最優先事項としている。
だが、実現機運に冷や水を浴びせるように、
「税収が計約7兆6000億円減る」
「高所得者ほど恩恵が大きい」
などネガティブな論調が広がった。
玉木代表
「『103万円』引き上げなければ予算、法案に協力できない」
玉木雄一郎代表は2024年10月31日、X(旧ツイッター)で
«財務省がマスコミを含めて
「ご説明」
に回っている効果はさすがです»
と皮肉った。
«引き上げができなければ、我が党は予算にも法案にも協力できない»
と強調する。
与野党の合意が実現しなかった前例もある。
日本維新の会は岸田文雄政権当時の今年2024年5月、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しについて自民と合意文書を交わしたが、反故にされた。
馬場伸幸代表は2024年10月31日放送のMBSの番組で
「自民党さんは狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではない」
「聞いてる振りはするが」
と話した。
国民民主党も、ガソリン税を軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除について岸田政権下で3党協議し、予算案にも賛成したが、議論は頓挫した。
石破政権は国民民主党の案を丸吞みもしたくないが、議論を決裂させて、立憲民主党などが今後、不信任決議案を提出した場合、賛成に回られることも避けたい。
「部分連合」
という名の微妙な関係が続きそうだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/105.html#c9

[政治・選挙・NHK296] 飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
38. 秘密のアッコちゃん[1026] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 19:08:35 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[591]
<■267行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
高橋洋一「日本の解き方」
財務省の思うつぼ「年収の壁」議論 本筋は29年放置の「ステルス増税」停止だ 代表の不倫報道も国民民主党に公約実行の責務
2024.11/14 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241114-3GMN53KK3ZOH5O6YREWTRWILAA/
自民党と国民民主党は所得税が発生する
「年収103万円の壁」
を引き上げる政策協議を始めた。
マスコミでは
「年収の壁」
と説明されているが、筆者から見ると、問題を複雑化させ過ぎている。
103万円だけでなく、
「106万円」
など社会保険料を含めれば色々な
「壁」
があり、ある意味で財務省の思う壺になる。
問題の本質は、所得税における
「基礎控除48万円」

「給与所得控除55万円」
で合計103万円という額の大きさである。
筆者は、財務省がいつもやるように主要各国の国際比較の資料を出した。
正直に言えば、色々な条件を合わせないと国際比較は出来ないのだが、各国の最低所得に近い所で見てみる。
直近の為替レートで米国の基礎控除が61万円、給与所得控除が219万円で合計280万円。
英国は基礎控除214万円、給与所得控除はなしで合計214万円。
ドイツは基礎控除143万円、給与所得控除は20万円で合計163万円。
フランスは基礎控除160万円、給与所得控除8万円で合計168万円だ。
欧米に比べて日本の控除額が少ないことが分かるが、日本は税率を上げているわけではないので、
「ステルス増税」
だったということだ。
日本の控除額は1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きされている。
ステルス増税を29年も放置していいはずがない。
「ステルス増税をやめろ」
というスタンスでいい。
減収になるとの反論があるが、今の時点で減税政策をすれば、名目成長4〜5%が達成でき自然増収で賄える。
それまで増収がなくても外国為替資金特別会計(外為特会)や国債費などでも捻出できるので、財源問題はない。
減税してうまくいったら、財務省が30年間ついていたウソがバレるのが怖いのかもしれない。
案の定、
「106万円の壁」
が出てきて、厚労省が所得なしでも原則として社会保険料を負担させると言い出した。
問題を複雑化させるだけなので、基礎控除などの引き上げが終わってから検討すべき問題だ。
筆者の穿った見方だが、このように控除引き上げの足を引っ張る動きがあるのは、石破茂政権と野田佳彦代表の立憲民主党との間で
「大連立」
の匂いがある。
正式な大連立にはいかないまでも、東日本大震災後の自民党と民主党のように、財政政策で協調関係が作られるのはまずい。
国民民主党の提案にも自民党がなぜか強気であることにも一抹の不安がある。
立民が衆院の予算委員長を取ったことも筆者の懸念を助長させる。
この人事で石破政権は来年2025年度予算成立まで延命が保証されているという噂も出ている。

高橋洋一「日本の解き方」
なぜか「減税」を嫌がる財務省 「歳出権の拡大」で各省に恩売り…天下りへ 官僚主導の財政支出、民間に任せた方がうまくいく
2024.11/7 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241107-RILEXQW3RZIV5EFHHP3WBES5WE/
国民民主党が掲げている
「年収103万円の壁」
撤廃について、基礎控除を75万円引き上げた場合、
「7.6兆円の減税になる」
「高所得者の減税額が大きい」
などと報じられた。
筆者は先日の本コラムでは
「仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる」
「もっとも、この程度であれば、名目5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える」
と書いた。
少し財政をかじったことがある人であれば、この程度の減収の試算をするのは簡単だが、マスコミが記事にする際には財務省に聞くことが多いのだろう。
2023年度の税収は72兆761億円だった。
名目国内総生産(GDP)が1%変化した時に税収が何%変化するかを示す
「税収弾性値」
は一般的には
「2〜3」
なので、名目成長率が5%だと、税収は10〜15%、つまり7兆〜10兆円程度増加することになる。
また、名目5%成長を実現するには、インフレ率を2〜4%にすればいい。
このためには2%のインフレ目標について、日銀が利上げを遅らせる
「ビハインド・ザ・カーブ」
の運営を行う。
その上で、GDPギャップ(潜在的な供給力と実際の需要の差)をなくすような積極財政をするだけだ。
それにしても、財務省がなぜ減税を嫌がるのか、一般の人には理解できないだろう。
その一方で財政支出はそれほど抵抗なく行う。
減税も
「租税歳出」
と言われ、財政の理論では財政支出と同じことなのに、この態度の差は何か。
実はここに理由がある。
財務省は増税を好むが、増税すると歳出を膨らますことができる。
これを財政用語では
「歳出権の拡大」
という。
これこそが、財務省の権限の源であり、各省に対して売れる恩でもある。
歳出権を各省にばらまいて、そのご褒美として、各省の団体に天下りできるというのが望ましい。
一例を挙げれば、経団連が
「コンテンツ省」
設置を提言し、予算2000億円を増やすように提言したという。
これは、財務省的には受け入れ可能なものだ。
しかし、役人がコンテンツ業界をリードできるはずなく、こうした省庁は間違いなく失敗する。
新しい省庁ができれば、その関連団体もできて、天下りの巣窟になりやすいが、そこで新産業が生まれるはずはない。
これまで官僚主導でうまくいった試しはほとんどないからだ。
筆者は、役人が財政支出するくらいなら、減税して民間に任せた方が遥かにマシだと思っている。
財政の理論では、財政支出と減税は同じであっても、経済効果では政府が主体になるか民間が主体になるかで異なっており、減税の方が経済効果が大きいと思っている。
国民民主党はガソリン税の減税も主張している。
補助金支出でガソリン価格を抑えるより、減税で抑える方がまともな経済政策だと言える。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

高橋洋一「日本の解き方」
国民民主「103万円の壁撤廃」は実現可能か 控除拡大は減税と同じ効果、財務省へのアンチテーゼに 賃金上昇率目標も検討すべき
2024.11/2 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-4CKOQXQOUFMPPFLNUW5T4DIG6M/
石破茂首相は国民民主党との
「部分連合」
を視野に入れている。
国民民主党は基礎控除の103万円から178万円への拡大、消費税5%などを掲げているが実現可能だろうか。
国民民主党の政策のうち、他党にない
「基礎控除等を103万円から178万円への引き上げ」
について取り上げたい。
まず、178万円という
「中途半端」
な数字に驚く。
これは、1995年からの最低賃金上昇率1.73倍から、103万円を1.73倍して得られる。
103万円は基礎控除と給与所得控除の合計だが、1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きである。
そこで、最低賃金の上昇と合わせて引き上げるべきだというのが国民民主の主張である。
ここまで厳密に拘らくてももいいが、国民民主党らしいとも言える。
控除の拡大は減税と同じだ。
控除額が増えれば、少なくとも所得税として
「75万円×税率(年収に応じて5〜45%)」
の額が手元に残るようになって、手取りが増える。
この政策が面白いのは、財務省は増税しないと言いながら、控除額の縮小を狙う
「ステルス増税」
をしばしば企むが、そのアンチテーゼになるからだ。
例えば、給与所得控除について
「海外と比較すると日本は大き過ぎるので縮小しよう」
と躍起になっている。
一方、基礎控除は日本だけが国際的に低いのは知らんぷりという具合だ。
この
「減税」(控除の拡大)
でも、財源はどうするのかという反論があるだろう。
仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる。
もっとも、この程度であれば、名目で5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える。
また、この政策との関連で、最低賃金について、
「全国どこでも時給1150円以上を早期に実現する」
としている。
自民党の「2020年代に1500円」、立憲民主党も「1500円」を掲げているのと比べると控えめな数字である。
1500円の方がいい加減な数字であるので、国民民主党に逆に信頼感が出るのではないか。
気になるのは、金融政策に関する公約がないことだ。
立民の
「0%超の物価目標」
は論外であるが、労働者の党である国民民主党が公約に掲げていないのは不自然だ。
かつて筆者が玉木雄一郎代表と話した時、インフレ目標ではなく
「賃金上昇率目標」
を主張した。
元々インフレ目標のベースになっているのがインフレ率と失業率の関係を示した
「フィリップス曲線」
であるが、同曲線は賃金上昇率と失業率の関係が元になっているので、玉木代表の意見には一理ある。
大胆に言えば、インフレ目標2%より、賃金上昇率3〜5%のほうが日本経済のためになるので、検討してはどうか。
それを消費税5%、社会保険料の軽減、トリガー条項の凍結解除と共に自公政権にぶつけたら面白い。
今の自公なら受け入れ余地はあるが、石破政権を退けた後からの方がより有望だろう。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

国民・玉木氏「総務省が自治体工作」、村上総務相は「してない」103万円壁見直しで攻防
2024/11/15 16:06
https://www.sankei.com/article/20241115-A6SPP4N2PNGQFLOQDMEDSBJVXQ/
村上誠一郎総務相は2024年11月15日の記者会見で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の見直し論を巡って、総務省が自治体に反対を呼び掛けているとの一部の見方について、
「そういうことはしていないと思う」
と否定した。
年収の壁の見直しを巡っては、国民民主党が推進を掲げる一方、全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)らは地方の税収減に繋がるとして反対を表明している。
国民民主の玉木雄一郎代表は2024年11月13日、東京MXテレビの番組で、
「今一生懸命、総務省が全国知事会や自治体の首長に工作を行っている」
と述べた上で、
「『こういう発言をしてくれ』
『こういう減収があるからやめてくれ』
と、村上総務相が村井知事会会長らに連絡して、発言要領まで作って(いる)」
「如何なものか」
と語っていた。
村上氏は2024年11月15日の会見で
「村井会長に発言の依頼をした事実は全くない」
と否定し、
「発言要領について見たこともない」
「依頼したことも全然ない」
「なぜ玉木氏がこういう事を言ったのか、理解できない」
と強調した。
「全国知事会とは税制などについて日頃から意見交換している」
「事務方から基礎控除の制度概要などについて説明を行った」
とも語った。

「103万円の壁」解消は財源確保が最大の焦点 国民民主、主張崩さず自民と平行線か
2024/11/14 20:27
https://www.sankei.com/article/20241114-PQHUVBMCXVMSBBLERXARLNK3QQ/
2024年11月14日に本格的にスタートした自民、公明両党と国民民主党の税制協議の最大の焦点は、国民民主が主張している年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万円の壁」
の解消のための財源の確保だ。
国民民主は所得税が発生する基準を現行の103万円から178万円に引き上げる主張を崩していない。
税収減を懸念する自民との議論は平行線が続く可能性がある。
■財源は「与党の責任」
「我々としてはちゃんと試算をした上で根拠があって出している」
国民民主の古川元久税調会長は国会内での自民との協議後、非課税枠の178万円への引き上げを譲らない考えを改めて強調した。
政府は国民民主の主張通りに非課税枠を拡大した場合、国と地方で7兆〜8兆円の税収減になると試算。
全国知事会も影響が大きいとして政府や与党に慎重な検討を求めている。
非課税枠の引き上げを実施する場合は代わりの財源が必要となるが、国民民主側はあくまで税収減への手当ては
「基本的には与党の責任」(古川氏)
との立場だ。
■赤字国債で税収減カバーか
国民民主の姿勢に自民は頭を抱える。
小野寺五典政調会長は2024年11月12日夜のBSフジ番組で
「『出る』と『入る』があって初めて政策になる」
「セットで提示して頂くことが大事だ」
と述べた。
もっとも、自民、公明両党は衆院で過半数の議席に届いておらず、令和6年度補正予算案や7年度予算案の成立に国民民主の協力が欠かせない。
国民民主幹部は
「うちが賛成しなければ何も通らない」
と強気だ。
国民民主にとって103万円の壁の解消は看板政策であり、実現の可否は来夏2025年夏の参院選を含めた今後の党勢も左右するため、容易に妥協できない事情もある。
2024年11月14日の税制協議に出席した自民の宮沢洋一税調会長は、記者団に非課税枠を178万円に引き上げる可能性を問われ、
「それは今後の議論次第だろう」
と含みを持たせた。
石破茂政権に影響力を持つ自民重鎮は、こう話す。
「国民民主も譲らないだろう」
「最終的には赤字国債で税収減を補うことになるのではないか」

村井嘉浩・全国知事会長が国民民主の年収の壁見直しに苦言 「夢ごとでなく具体策を」
2024/11/13 16:45
https://www.sankei.com/article/20241113-SZLBZWQ3R5PFBOFCOQXZPU4J3U/
全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事は2024年11月13日の記者会見で、国民民主党が主張する
「年収の壁」
見直しを巡り
「(個人の)収入が増えれば消費が喚起され、税収も増えるといった夢ごとではなく、地に足がついた具体的な方策を示して議論してほしい」
「少なくとも私が首相なら首を縦に振らない」
と苦言を呈した。
総務省は、
「年収の壁」
見直しに伴う個人住民税の減収が4兆円程度に上ると試算。
村井氏は、宮城県と県内市町村の減収額が、地方交付税分も含め計約800億円に上ると明らかにし
「たちどころに財政破綻するだろう」
と述べた。
自治体が減収となることで住民サービスの低下を招くとの懸念も表明。
減収分を国債で充てれば
「恒常的に大きなつけを後世に回すことになる」
「賛成とは到底言えない」
と批判した。

年収の壁、ゼロ回答認めず 国民玉木雄一郎代表、自民に要求
2024/11/3 12:52
https://www.sankei.com/article/20241103-SN3SD5CPUVM5DP5JCK3ASPLKLE/
国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月3日放送のBSテレビ東京番組で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の引き上げに自民党が応じない場合、政権運営に協力しない考えを示した。
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べた。
立憲民主党など他の野党と連携する課題として政治改革を例示。
「案件ごとに協力する」
「対象は自民、公明両党に限定されない」
と語った。
玉木氏は、石破茂首相(自民総裁)との党首会談が実現した場合、年収の壁の引き上げは
「国民が求めている」
として、協力を要請する意向を記者団に表明。
立民の野田佳彦代表との会談では、政治資金規正法の再改正に加え、安全保障やエネルギー政策といった基本政策の一致に向けた協議の本格化を求める考えを示した。

国民民主と政策協議も…自民に裏切り≠フ過去 維新と文通費見直し合意も反故、馬場代表「自民は狡猾、聞いてる振りはする」
2024.11/1 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H5TBRZVN3VLIBK52CGPVQGX2LQ/
自民党と国民民主党が
「部分連合」
に向けた動きを加速させている。
少数与党の石破茂政権は、国民民主党を取り込むことで、首相指名選挙やその後の国会運営を有利に運ぶ思惑だ。
国民民主党は衆院選で公約に掲げた
「年収103万円の壁」
撤廃などの実現に前進するが、要求通りの成果を得られるかは不透明だ。
過去には日本維新の会が自民党との合意を反故にされた経緯もあり、警戒感は強い。
自民党の森山裕幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日の会談で、政策協議を開始する方針で一致した。
公明党を加えた3党は今後、税制や補正予算を巡って合意を模索する。
国民民主党は、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
を撤廃するため、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計を最低103万円から178万円に引き上げることを最優先事項としている。
だが、実現機運に冷や水を浴びせるように、
「税収が計約7兆6000億円減る」
「高所得者ほど恩恵が大きい」
などネガティブな論調が広がった。
玉木代表
「『103万円』引き上げなければ予算、法案に協力できない」
玉木雄一郎代表は2024年10月31日、X(旧ツイッター)で
«財務省がマスコミを含めて
「ご説明」
に回っている効果はさすがです»
と皮肉った。
«引き上げができなければ、我が党は予算にも法案にも協力できない»
と強調する。
与野党の合意が実現しなかった前例もある。
日本維新の会は岸田文雄政権当時の今年2024年5月、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しについて自民と合意文書を交わしたが、反故にされた。
馬場伸幸代表は2024年10月31日放送のMBSの番組で
「自民党さんは狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではない」
「聞いてる振りはするが」
と話した。
国民民主党も、ガソリン税を軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除について岸田政権下で3党協議し、予算案にも賛成したが、議論は頓挫した。
石破政権は国民民主党の案を丸吞みもしたくないが、議論を決裂させて、立憲民主党などが今後、不信任決議案を提出した場合、賛成に回られることも避けたい。
「部分連合」
という名の微妙な関係が続きそうだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/118.html#c38

[政治・選挙・NHK296] 世にも怪しい自公国協議 年収の壁 諸悪の根源は歴代自民党政権と財務省(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
29. 秘密のアッコちゃん[1027] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月15日 19:19:38 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[592]
<■302行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「103万円の壁」引き上げで消費喚起も…「供給力強化が必要」と専門家 7〜9月GDP
2024/11/15 18:45
https://www.sankei.com/article/20241115-2E7YJECHCJLDFG3CA547UWVIII/
内閣府が2024年11月15日発表した2024年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)で、個人消費の伸びが加速した。
ただ、定額減税の実施など一時的な要因が大きく、今後は再び低調になる恐れがある。
個人消費が力強さを取り戻すには、賃上げの定着が最も重要だが、それまでの間は家計支援策で凌ぐ必要がある。
与党と国民民主党による
「年収103万円の壁」
の見直しに向けた協議の行方も注目される。
2024年7〜9月は所得環境改善の動きが目立った。
賃上げの広がりやボーナス支給に加え、2024年6月から始まった1人当たり4万円の定額減税、2024年8月に再開した電気・ガス料金の抑制など政策による押し上げが効いた。
それでも物価変動を考慮した実質賃金は2024年8〜9月とマイナスで、家計はまだ厳しい状況が続く。
2024年10月の景気ウオッチャー調査でも、街角の景気実感を示す現状判断指数は2カ月連続で悪化。
「コメや様々な食品が値上がりする中、客が購入数や来店回数を減らし生活防衛している」(九州のスーパー)
などの声が上がる。
定額減税の効果も既に消えつつある。
円相場が2024年11月15日に一時、1ドル=156円台後半に下落するなど、円安の進行も物価の先高観に拍車をかける。
「我が国経済は成長型経済に移行する重大な局面にある」。
赤沢亮正経済再生担当相は2024年11月15日の閣議後記者会見で強調した。
近く策定する総合経済対策で、政府は
「物価高の克服」
を柱の1つに据える。
住民税非課税世帯向けの給付や電気・ガス料金の補助の延長を盛り込む方向だ。
だが今、世間がそれ以上に関心を寄せるのは、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の引き上げだ。
国民民主の主張通り、非課税枠を恒久的に178万円に引き上げた場合、政府は国・地方の税収が毎年約7兆〜8兆円減ると試算する。
ただ、空前の人手不足に直面する日本がこれだけの規模の減税を行って消費を喚起しても、輸入が増えるだけでGDPに反映されない可能性がある。
みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは
「減税の恩恵を満額で受け取るには、供給能力の強化との両輪で取り組む必要がある」
と話している。

高橋洋一「日本の解き方」
財務省の思うつぼ「年収の壁」議論 本筋は29年放置の「ステルス増税」停止だ 代表の不倫報道も国民民主党に公約実行の責務
2024.11/14 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241114-3GMN53KK3ZOH5O6YREWTRWILAA/
自民党と国民民主党は所得税が発生する
「年収103万円の壁」
を引き上げる政策協議を始めた。
マスコミでは
「年収の壁」
と説明されているが、筆者から見ると、問題を複雑化させ過ぎている。
103万円だけでなく、
「106万円」
など社会保険料を含めれば色々な
「壁」
があり、ある意味で財務省の思う壺になる。
問題の本質は、所得税における
「基礎控除48万円」

「給与所得控除55万円」
で合計103万円という額の大きさである。
筆者は、財務省がいつもやるように主要各国の国際比較の資料を出した。
正直に言えば、色々な条件を合わせないと国際比較は出来ないのだが、各国の最低所得に近い所で見てみる。
直近の為替レートで米国の基礎控除が61万円、給与所得控除が219万円で合計280万円。
英国は基礎控除214万円、給与所得控除はなしで合計214万円。
ドイツは基礎控除143万円、給与所得控除は20万円で合計163万円。
フランスは基礎控除160万円、給与所得控除8万円で合計168万円だ。
欧米に比べて日本の控除額が少ないことが分かるが、日本は税率を上げているわけではないので、
「ステルス増税」
だったということだ。
日本の控除額は1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きされている。
ステルス増税を29年も放置していいはずがない。
「ステルス増税をやめろ」
というスタンスでいい。
減収になるとの反論があるが、今の時点で減税政策をすれば、名目成長4〜5%が達成でき自然増収で賄える。
それまで増収がなくても外国為替資金特別会計(外為特会)や国債費などでも捻出できるので、財源問題はない。
減税してうまくいったら、財務省が30年間ついていたウソがバレるのが怖いのかもしれない。
案の定、
「106万円の壁」
が出てきて、厚労省が所得なしでも原則として社会保険料を負担させると言い出した。
問題を複雑化させるだけなので、基礎控除などの引き上げが終わってから検討すべき問題だ。
筆者の穿った見方だが、このように控除引き上げの足を引っ張る動きがあるのは、石破茂政権と野田佳彦代表の立憲民主党との間で
「大連立」
の匂いがある。
正式な大連立にはいかないまでも、東日本大震災後の自民党と民主党のように、財政政策で協調関係が作られるのはまずい。
国民民主党の提案にも自民党がなぜか強気であることにも一抹の不安がある。
立民が衆院の予算委員長を取ったことも筆者の懸念を助長させる。
この人事で石破政権は来年2025年度予算成立まで延命が保証されているという噂も出ている。

高橋洋一「日本の解き方」
なぜか「減税」を嫌がる財務省 「歳出権の拡大」で各省に恩売り…天下りへ 官僚主導の財政支出、民間に任せた方がうまくいく
2024.11/7 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241107-RILEXQW3RZIV5EFHHP3WBES5WE/
国民民主党が掲げている
「年収103万円の壁」
撤廃について、基礎控除を75万円引き上げた場合、
「7.6兆円の減税になる」
「高所得者の減税額が大きい」
などと報じられた。
筆者は先日の本コラムでは
「仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる」
「もっとも、この程度であれば、名目5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える」
と書いた。
少し財政をかじったことがある人であれば、この程度の減収の試算をするのは簡単だが、マスコミが記事にする際には財務省に聞くことが多いのだろう。
2023年度の税収は72兆761億円だった。
名目国内総生産(GDP)が1%変化した時に税収が何%変化するかを示す
「税収弾性値」
は一般的には
「2〜3」
なので、名目成長率が5%だと、税収は10〜15%、つまり7兆〜10兆円程度増加することになる。
また、名目5%成長を実現するには、インフレ率を2〜4%にすればいい。
このためには2%のインフレ目標について、日銀が利上げを遅らせる
「ビハインド・ザ・カーブ」
の運営を行う。
その上で、GDPギャップ(潜在的な供給力と実際の需要の差)をなくすような積極財政をするだけだ。
それにしても、財務省がなぜ減税を嫌がるのか、一般の人には理解できないだろう。
その一方で財政支出はそれほど抵抗なく行う。
減税も
「租税歳出」
と言われ、財政の理論では財政支出と同じことなのに、この態度の差は何か。
実はここに理由がある。
財務省は増税を好むが、増税すると歳出を膨らますことができる。
これを財政用語では
「歳出権の拡大」
という。
これこそが、財務省の権限の源であり、各省に対して売れる恩でもある。
歳出権を各省にばらまいて、そのご褒美として、各省の団体に天下りできるというのが望ましい。
一例を挙げれば、経団連が
「コンテンツ省」
設置を提言し、予算2000億円を増やすように提言したという。
これは、財務省的には受け入れ可能なものだ。
しかし、役人がコンテンツ業界をリードできるはずなく、こうした省庁は間違いなく失敗する。
新しい省庁ができれば、その関連団体もできて、天下りの巣窟になりやすいが、そこで新産業が生まれるはずはない。
これまで官僚主導でうまくいった試しはほとんどないからだ。
筆者は、役人が財政支出するくらいなら、減税して民間に任せた方が遥かにマシだと思っている。
財政の理論では、財政支出と減税は同じであっても、経済効果では政府が主体になるか民間が主体になるかで異なっており、減税の方が経済効果が大きいと思っている。
国民民主党はガソリン税の減税も主張している。
補助金支出でガソリン価格を抑えるより、減税で抑える方がまともな経済政策だと言える。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

高橋洋一「日本の解き方」
国民民主「103万円の壁撤廃」は実現可能か 控除拡大は減税と同じ効果、財務省へのアンチテーゼに 賃金上昇率目標も検討すべき
2024.11/2 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-4CKOQXQOUFMPPFLNUW5T4DIG6M/
石破茂首相は国民民主党との
「部分連合」
を視野に入れている。
国民民主党は基礎控除の103万円から178万円への拡大、消費税5%などを掲げているが実現可能だろうか。
国民民主党の政策のうち、他党にない
「基礎控除等を103万円から178万円への引き上げ」
について取り上げたい。
まず、178万円という
「中途半端」
な数字に驚く。
これは、1995年からの最低賃金上昇率1.73倍から、103万円を1.73倍して得られる。
103万円は基礎控除と給与所得控除の合計だが、1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きである。
そこで、最低賃金の上昇と合わせて引き上げるべきだというのが国民民主の主張である。
ここまで厳密に拘らくてももいいが、国民民主党らしいとも言える。
控除の拡大は減税と同じだ。
控除額が増えれば、少なくとも所得税として
「75万円×税率(年収に応じて5〜45%)」
の額が手元に残るようになって、手取りが増える。
この政策が面白いのは、財務省は増税しないと言いながら、控除額の縮小を狙う
「ステルス増税」
をしばしば企むが、そのアンチテーゼになるからだ。
例えば、給与所得控除について
「海外と比較すると日本は大き過ぎるので縮小しよう」
と躍起になっている。
一方、基礎控除は日本だけが国際的に低いのは知らんぷりという具合だ。
この
「減税」(控除の拡大)
でも、財源はどうするのかという反論があるだろう。
仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる。
もっとも、この程度であれば、名目で5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える。
また、この政策との関連で、最低賃金について、
「全国どこでも時給1150円以上を早期に実現する」
としている。
自民党の「2020年代に1500円」、立憲民主党も「1500円」を掲げているのと比べると控えめな数字である。
1500円の方がいい加減な数字であるので、国民民主党に逆に信頼感が出るのではないか。
気になるのは、金融政策に関する公約がないことだ。
立民の
「0%超の物価目標」
は論外であるが、労働者の党である国民民主党が公約に掲げていないのは不自然だ。
かつて筆者が玉木雄一郎代表と話した時、インフレ目標ではなく
「賃金上昇率目標」
を主張した。
元々インフレ目標のベースになっているのがインフレ率と失業率の関係を示した
「フィリップス曲線」
であるが、同曲線は賃金上昇率と失業率の関係が元になっているので、玉木代表の意見には一理ある。
大胆に言えば、インフレ目標2%より、賃金上昇率3〜5%のほうが日本経済のためになるので、検討してはどうか。
それを消費税5%、社会保険料の軽減、トリガー条項の凍結解除と共に自公政権にぶつけたら面白い。
今の自公なら受け入れ余地はあるが、石破政権を退けた後からの方がより有望だろう。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

国民・玉木氏「総務省が自治体工作」、村上総務相は「してない」103万円壁見直しで攻防
2024/11/15 16:06
https://www.sankei.com/article/20241115-A6SPP4N2PNGQFLOQDMEDSBJVXQ/
村上誠一郎総務相は2024年11月15日の記者会見で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の見直し論を巡って、総務省が自治体に反対を呼び掛けているとの一部の見方について、
「そういうことはしていないと思う」
と否定した。
年収の壁の見直しを巡っては、国民民主党が推進を掲げる一方、全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)らは地方の税収減に繋がるとして反対を表明している。
国民民主の玉木雄一郎代表は2024年11月13日、東京MXテレビの番組で、
「今一生懸命、総務省が全国知事会や自治体の首長に工作を行っている」
と述べた上で、
「『こういう発言をしてくれ』
『こういう減収があるからやめてくれ』
と、村上総務相が村井知事会会長らに連絡して、発言要領まで作って(いる)」
「如何なものか」
と語っていた。
村上氏は2024年11月15日の会見で
「村井会長に発言の依頼をした事実は全くない」
と否定し、
「発言要領について見たこともない」
「依頼したことも全然ない」
「なぜ玉木氏がこういう事を言ったのか、理解できない」
と強調した。
「全国知事会とは税制などについて日頃から意見交換している」
「事務方から基礎控除の制度概要などについて説明を行った」
とも語った。

「103万円の壁」解消は財源確保が最大の焦点 国民民主、主張崩さず自民と平行線か
2024/11/14 20:27
https://www.sankei.com/article/20241114-PQHUVBMCXVMSBBLERXARLNK3QQ/
2024年11月14日に本格的にスタートした自民、公明両党と国民民主党の税制協議の最大の焦点は、国民民主が主張している年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万円の壁」
の解消のための財源の確保だ。
国民民主は所得税が発生する基準を現行の103万円から178万円に引き上げる主張を崩していない。
税収減を懸念する自民との議論は平行線が続く可能性がある。
■財源は「与党の責任」
「我々としてはちゃんと試算をした上で根拠があって出している」
国民民主の古川元久税調会長は国会内での自民との協議後、非課税枠の178万円への引き上げを譲らない考えを改めて強調した。
政府は国民民主の主張通りに非課税枠を拡大した場合、国と地方で7兆〜8兆円の税収減になると試算。
全国知事会も影響が大きいとして政府や与党に慎重な検討を求めている。
非課税枠の引き上げを実施する場合は代わりの財源が必要となるが、国民民主側はあくまで税収減への手当ては
「基本的には与党の責任」(古川氏)
との立場だ。
■赤字国債で税収減カバーか
国民民主の姿勢に自民は頭を抱える。
小野寺五典政調会長は2024年11月12日夜のBSフジ番組で
「『出る』と『入る』があって初めて政策になる」
「セットで提示して頂くことが大事だ」
と述べた。
もっとも、自民、公明両党は衆院で過半数の議席に届いておらず、令和6年度補正予算案や7年度予算案の成立に国民民主の協力が欠かせない。
国民民主幹部は
「うちが賛成しなければ何も通らない」
と強気だ。
国民民主にとって103万円の壁の解消は看板政策であり、実現の可否は来夏2025年夏の参院選を含めた今後の党勢も左右するため、容易に妥協できない事情もある。
2024年11月14日の税制協議に出席した自民の宮沢洋一税調会長は、記者団に非課税枠を178万円に引き上げる可能性を問われ、
「それは今後の議論次第だろう」
と含みを持たせた。
石破茂政権に影響力を持つ自民重鎮は、こう話す。
「国民民主も譲らないだろう」
「最終的には赤字国債で税収減を補うことになるのではないか」

村井嘉浩・全国知事会長が国民民主の年収の壁見直しに苦言 「夢ごとでなく具体策を」
2024/11/13 16:45
https://www.sankei.com/article/20241113-SZLBZWQ3R5PFBOFCOQXZPU4J3U/
全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事は2024年11月13日の記者会見で、国民民主党が主張する
「年収の壁」
見直しを巡り
「(個人の)収入が増えれば消費が喚起され、税収も増えるといった夢ごとではなく、地に足がついた具体的な方策を示して議論してほしい」
「少なくとも私が首相なら首を縦に振らない」
と苦言を呈した。
総務省は、
「年収の壁」
見直しに伴う個人住民税の減収が4兆円程度に上ると試算。
村井氏は、宮城県と県内市町村の減収額が、地方交付税分も含め計約800億円に上ると明らかにし
「たちどころに財政破綻するだろう」
と述べた。
自治体が減収となることで住民サービスの低下を招くとの懸念も表明。
減収分を国債で充てれば
「恒常的に大きなつけを後世に回すことになる」
「賛成とは到底言えない」
と批判した。

年収の壁、ゼロ回答認めず 国民玉木雄一郎代表、自民に要求
2024/11/3 12:52
https://www.sankei.com/article/20241103-SN3SD5CPUVM5DP5JCK3ASPLKLE/
国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月3日放送のBSテレビ東京番組で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の引き上げに自民党が応じない場合、政権運営に協力しない考えを示した。
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べた。
立憲民主党など他の野党と連携する課題として政治改革を例示。
「案件ごとに協力する」
「対象は自民、公明両党に限定されない」
と語った。
玉木氏は、石破茂首相(自民総裁)との党首会談が実現した場合、年収の壁の引き上げは
「国民が求めている」
として、協力を要請する意向を記者団に表明。
立民の野田佳彦代表との会談では、政治資金規正法の再改正に加え、安全保障やエネルギー政策といった基本政策の一致に向けた協議の本格化を求める考えを示した。

国民民主と政策協議も…自民に裏切り≠フ過去 維新と文通費見直し合意も反故、馬場代表「自民は狡猾、聞いてる振りはする」
2024.11/1 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H5TBRZVN3VLIBK52CGPVQGX2LQ/
自民党と国民民主党が
「部分連合」
に向けた動きを加速させている。
少数与党の石破茂政権は、国民民主党を取り込むことで、首相指名選挙やその後の国会運営を有利に運ぶ思惑だ。
国民民主党は衆院選で公約に掲げた
「年収103万円の壁」
撤廃などの実現に前進するが、要求通りの成果を得られるかは不透明だ。
過去には日本維新の会が自民党との合意を反故にされた経緯もあり、警戒感は強い。
自民党の森山裕幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日の会談で、政策協議を開始する方針で一致した。
公明党を加えた3党は今後、税制や補正予算を巡って合意を模索する。
国民民主党は、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
を撤廃するため、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計を最低103万円から178万円に引き上げることを最優先事項としている。
だが、実現機運に冷や水を浴びせるように、
「税収が計約7兆6000億円減る」
「高所得者ほど恩恵が大きい」
などネガティブな論調が広がった。
玉木代表
「『103万円』引き上げなければ予算、法案に協力できない」
玉木雄一郎代表は2024年10月31日、X(旧ツイッター)で
«財務省がマスコミを含めて
「ご説明」
に回っている効果はさすがです»
と皮肉った。
«引き上げができなければ、我が党は予算にも法案にも協力できない»
と強調する。
与野党の合意が実現しなかった前例もある。
日本維新の会は岸田文雄政権当時の今年2024年5月、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しについて自民と合意文書を交わしたが、反故にされた。
馬場伸幸代表は2024年10月31日放送のMBSの番組で
「自民党さんは狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではない」
「聞いてる振りはするが」
と話した。
国民民主党も、ガソリン税を軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除について岸田政権下で3党協議し、予算案にも賛成したが、議論は頓挫した。
石破政権は国民民主党の案を丸吞みもしたくないが、議論を決裂させて、立憲民主党などが今後、不信任決議案を提出した場合、賛成に回られることも避けたい。
「部分連合」
という名の微妙な関係が続きそうだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/120.html#c29

[政治・選挙・NHK287] 安倍元首相暗殺 山上容疑者の隣にいた白いヘッドホンの女が怪しい  魑魅魍魎男
125. 秘密のアッコちゃん[1028] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月16日 06:54:06 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[593]
<■592行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
くすぶる「真の狙撃手」 安倍氏銃撃陰謀論の我田引水
多面鏡 事件・司法から今を読む 編集長・牧野克也
2024/10/14 9:00
https://www.sankei.com/article/20241014-KO7NNO6SLJM6JICMW3EQYX2V5M/
安倍晋三元首相銃撃事件の公判開始が来年以降になる公算が大きい。
事件から既に2年3カ月が経過したが、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(44)の裁判員裁判に向けて奈良地裁で続く非公開の公判前整理手続きが長引いている。
罪状のうち銃刀法の発射罪を巡り凶器の手製銃が対象になるか否かといった検討に時間を要してきたらしい。
こんな風に事件が長くブラックボックス化するのはあまり好ましいことではない。
有害な陰謀論を助長するからだ。
陰謀論とは、ある事件や出来事が公式の説や見解と違い、秘密主義の集団による策謀で引き起こされた―とする考え方を指す。
大半は
「東日本大震災は人工地震」
「米中枢同時テロは米国の自作自演」
のように荒唐無稽に思えるものだが、陰謀論は無数に存在し、全てが誤りとは限らない。
「誰もが少なくとも1つは陰謀論を信じている」
と語る研究者もいる。
筆者自身、米国のジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件(1963年)について
「狙撃犯の元海兵隊員オズワルド」
の単独犯行ではない―と国家的陰謀を説く書籍や映画に触れ、今でもどこか否定しきれない。
米国では未だに暗殺を巡る謎が蒸し返され、
「何らかの陰謀があった」
と信じる人が少なくない。
安倍氏銃撃事件も当初から虚実様々な言説が交流サイト(SNS)を中心に飛び交った。
山上被告の単独犯行でなく、
「真犯人は別にいる」
という見立てはその最たるものだ。
そして遂に2024年6月、銃撃事件を題材に
「真の狙撃手」
の存在を描き出した作家、柴田哲孝氏の小説『暗殺』(幻冬舎)が刊行され、耳目を集めたのだ。
作中では、ビル5階に潜んだ
「真の狙撃手」
が体内で溶けて消える特殊弾を標的の頸部(けいぶ)に撃ち込み、心臓に致命傷を与える。
犯行計画の背後には黒幕の民族派右翼や政治家、警察、自衛隊、宗教団体が蠢くという展開を辿る。
山上被告を
「ケネディ暗殺でダミーを演じたオズワルド(説)」
になぞらえており、小説としては面白い。
確かに銃撃事件は手薄な街頭演説の後方警護など疑問点が多い。
背後で1発目の銃声が響いた後、左回りに振り返った安倍氏に命中した銃弾2発は貫通の形跡がないのに致命傷を与えた1発が見つかっていない。
更に遺体所見の食い違いが疑念に拍車をかけた。
安倍氏の治療にあたった救命医は事件当日の記者会見で
「頸部2カ所(正面と少し右)に銃創があった」
「右側の頸部から入った弾丸によって心臓の壁に大きな穴が開いた」
と心臓の損傷が死因だと説明した。
これに対し、奈良県警が翌日発表した司法解剖結果は
「銃創は左上腕と頸部の少なくとも2カ所」
「左上腕部から入った銃弾で左右鎖骨下動脈を損傷したことによる失血死」。
銃創部位や致命傷の所見に齟齬が生じ、
「警察は本当の死因を隠している」
「別方向からの狙撃があった」
といった言説を誘発した。
人は結局、自らの世界観や信念、願望のバイアスに捉われる。
客観的な確証がないことも事実だと信じ込む時がある。
冷静に考えれば、救命医が混乱の渦中で肉眼的に認めた所見よりも、死因究明に特化した司法解剖を重視すべきだ。
「心臓の穴」
は心臓マッサージで骨折した肋骨による傷だった可能性も十分考えられる。
が、陰謀論の多くは警察発表を噓と決めつけ、救命医所見を前提に山上被告の狙撃位置では心臓への弾道にならない―と第三者の関与を唱える。
「消えた弾丸」
にしても、大量の血液が体外に溢れ出す中で直径1センチ弱の弾が散逸した疑いに目もくれない。
警察の隠蔽、特殊弾の使用という余りに我田引水に思える解釈に拘泥するのだ。
山上被告の犯行は複数の映像や目撃、医科学的な検証をもって確認され、
「真の狙撃手」
の存在は否定されている。
ただ、捜査当局はそれらの証拠に基づく説明を公判前には行わない。
証拠や争点を整理する公判前整理手続きも明確な規定はないものの原則非公開で運用される。
いずれも公判への影響を考慮した措置だ。
何らかの真実を含む陰謀論まで全否定はしないが、無理筋の捜査不信を煽るものは害悪が大き過ぎる。
公判までのブラックボックス化がその種の疑念を拡大させるのならば、司法は放置すべきでない。
場合によっては重大テロ・事件の公判前整理手続きを可能な限り積極公開してはどうか。
危うい陰謀論を抑制するには、証拠の透明性を高めるしかあるまい。

『週刊文春』「疑惑の銃弾」が報じなかった安倍暗殺もう1つの「疑惑」
Hanada2023年5月号 フリージャーナリスト 山口敬之
■残された銃創を巡る疑惑
安倍晋三元総理暗殺事件について奈良県警察本部の捜査に重大な疑惑があるとして、
『週刊文春』
が2023年2月6日号から4週に渡って特集を展開した。
連載タイトルは
「疑惑の銃弾」。
1981年にアメリカ・ロサンゼルスで起きた日本人女性銃撃事件について、故三浦和義による保険金殺人だったのではないかとする
「ロス疑惑」

『週刊文春』
が報じた時の連載タイトルだった。
文春の名前を日本中に轟かせた歴史的スクープと同じタイトルを掲げたことから、編集部の本気度が垣間見えた。
文春が指摘した数々の疑問点のうち、
「疑惑の銃弾」
というタイトルの起源となったのが、安倍氏の体に残された銃創を巡る疑惑だ。
山上徹也の発砲位置からは、安倍氏の右前頸部を撃ち抜くことは物理的に不可能であるという、極めてシンプルかつ説得力のある問題提起だった。
ドクターヘリの中で安倍氏の体をくまなく精査した植山徹医師と、搬送先の奈良県立医科大学附属病院で安倍氏の開胸手術を行い、蘇生を試みた福島英賢教授は、はっきり
「右前頸部には2つの銃創があった」
と異口同音に述べている。
しかし、奈良県警の右首元の銃創に関する説明は事件後、二転三転した。
事件直後は奈良県警も、関係者に対して
「首元の銃創は2つ」
「銃創間の距離は5cmで、射入口と射出口と見られる」
と関係者に説明していた。
ところが時間が経つにつれて、
「右首の傷はよく調べたら1つで、もう1つの銃創と見られていたものは擦過傷だった」
と説明を大きく変えた。
救急救命の専門医2人が異口同音に明言した首元の銃創という重要情報を、根本的に覆したのだ。
■未公表のレントゲン写真
2022年9月30日、奈良県議会の総務警察委員会で、自民党県議の質問に対して、奈良県警の安枝亮本部長はこう述べた。
「右前頸部、首の付け根の右前辺りになるんですけれども、そこから入って右上腕部に至っているという状況でございます」
即ち、右前頸部から入った銃弾は近くの銃創から飛び出していったのではなく、右上腕部に止まっていたという見解を初めて明らかにした。
突然、これまで全く発表されていなかった
「もう1つの銃弾」
の存在を明らかにしたのだ。
司法解剖が行われたのは2022年7月8日〜9日。
奈良県警が本当に右上腕部に弾丸を発見していたとするなら、この司法解剖をおいて他にない。
奈良県警は安倍氏の体内に入った銃弾について、司法解剖後、関係者に
「安部氏の死亡原因となった弾丸は1発」
「その致命弾は行方不明」
などと、断片的な説明をしていた。
ところが、
「首から入って右上腕で止まっていた」
という銃弾については80日も隠蔽していたことになる。
事件当日、奈良県立医科大附属病院の救急救命チームは、2022年7月8日午後5時3分に死亡を確認した後、安倍氏の全身のレントゲンを撮影している。
もし奈良県警が言う通り、安倍氏の右上腕部に金属球が残存していたのであれば、2022年7月8日の病院のレントゲン写真にもはっきり映っているはずだ。
ところが肝心のレントゲン写真は、2022年7月8日の奈良県立医科大学附属病院のものも、2022年7月8日〜9日の司法解剖時のものも未だに公表されていないし、関係者にも見せた形跡はない。
何故、客観的な証拠であるレントゲン写真を公表できないのか。
本当に司法解剖で右上腕部に金属球があったのか。
あったなら、何故2022年7月9日の段階で発表しなかったのか。
奈良県警の発表内容が二転三転するのは、銃創の数だけではない。
山上徹也の狙撃位置についても、当初は
「安部氏の真後ろ」
としていたのに、自民党の高鳥修一衆議院議員の度重なる聞き取りに対して、
「真後ろではなく、左後ろ」
と前言を翻した。
こうした奈良県警の捜査の根幹部分に関するダッチロールや、情報の
「小出し」
「後出し」
体質が、関係者の不信感を深めている。
■奈良県立医科大vs奈良県警
もう1つ決定的とも思われる矛盾が、頸部の銃創と心臓の損傷に関する奈良県警と、安倍氏の救急救命に当たった複数の医師の発言の見解の相違だ。
当日、開胸手術を行った福島教授は、事件当日夕方に行った記者会見で
「頸部から入った弾丸が心臓を激しく損傷した」
と断言した。
ところが、司法解剖を行った直後の奈良県警は、安倍氏の死因について
「右鎖骨下動脈の損傷による失血死」
と結論付け、心臓の損傷については一切触れなかった。
福島教授は57歳。
1996年に大阪市立大学医学部を卒業し、2007年に奈良県立医科大学救急医学教室助教となると、その後は救急救命医療の道一筋。
奈良県立医科大学高度救命救急センターでは救命センター長を務めて、日本救命医学会の救急科専門医で指導医・評議員、更に日本臨床救急医学会でも評議員を務めている。
要するに、福島教授は日本でも有数の救急救命専門医だ。
これに対して、奈良県警の委託を受けて司法解剖を行ったのは40代半ばの若手k教授で、福島教授とは10年以上のキャリアの開きがある。
この司法解剖執刀医の選択について『週刊文春』も疑問を呈した。
実は、奈良県立医科大には法医学一筋40年の羽竹勝彦名誉教授がいる。
1995年に奈良県立医科大附属病院の法医学教室教授に就任した羽竹教授は、数々の遺体に向き合い、日本法医学会の権威として全国に名を知られている人物だ。
奈良県警は、銃撃された元総理の司法解剖という法医学の歴史に残る大仕事を、大ベテランを差し置いて何故キャリアの浅い若手1人にやらせたのか。
世界を震撼させた安倍元総理暗殺という大事件の司法解剖だからこそ、経験と実績に基づいた最高の執刀医たちによるチームで実施するというのが自然な判断だ。
2019年に新任されたk教授1人に司法解剖させるより、自他ともに認める法医学の泰斗、羽竹教授に統括してもらうか、少なくとも立ち会ってもらうほうが、より正確な原因究明に資する。
『週刊文春』は、アメリカ検視局に留学経験がある法医学の専門家、日本大学医学部の奥田貴久教授のコメントを掲載している。
「銃創の鑑定は、傷口や臓器の損傷から弾道や弾の方向を判断しなければならない」
「弾が複数なら尚更難しくなります」
「解剖医が判断を誤ったとは思いませんが、広く理解を得るためには、憶測で語るのではなく、不明な点は不明だときちんと明らかにすることが必要」
何故羽竹教授は招集されなかったのか。
その背景には、13年前の2010年の司法解剖を巡って露呈した奈良県警の隠蔽体質が色濃く反映されている。
■留置所暴行致死事件
2010年3月、奈良県警の留置所で拘留中だった被疑者が死亡する事件があった。
この遺体の司法解剖を行ったのが羽竹教授で、死因を急性心筋梗塞と鑑定した。
ところが、遺体写真に多くのアザがあったことなどから、留置所で暴行を受けていたのではないかと疑った遺族が、奈良県警と奈良地検に、検視調書と司法解剖鑑定書とその添付写真や添付図、更に前日に受診した病院のカルテなどの開示を求めた。
奈良県警は資料の開示を頑なに拒絶したが、真相究明への遺族の思いに応えたのが羽竹教授だった。
自身が執筆した司法解剖鑑定書の一部を遺族に開示したのだ。
この鑑定書情報が決め手となって、遺族は奈良県警と奈良地検に対して民事訴訟を起こした。
羽竹教授は誠実に遺体と遺族に向き合うことをモットーとしており、
『命に寄り添う法医学』
という著書もある。
複数の銃弾による死者の司法解剖だからこそ、羽竹教授のような経験豊富な法医学の権威による慎重な解剖が求められた。
それなのに、羽竹教授よりも遥かに若い、キャリアも少ないk教授1人による司法解剖だったからこそ、その信憑性に疑問符が付いてしまった。
留置所変死事件は奈良県警を被告とした裁判に発展したから、当時は訴訟当事者として不利になる情報を出したくないという心理が働いたことは容易に想像できる。
しかし、安倍銃撃に関しては、奈良県警は被告ではなく捜査機関だ。
公明正大に捜査と司法解剖を行っているのであれば、何も隠すことはないはずだ。
奈良県警が司法解剖から羽竹教授を外した、その判断の真意は何だったのだろうか。
■「挫滅」という後出し
安部氏の心臓の傷について、奈良県立医科大附属病院の福島教授は会見で
「頸部から入った弾丸が心臓を激しく損傷した」
と明言した。
ところが、奈良県警は当初から
「心臓の損傷は弾丸によるものではない」
「致命傷は左上腕部から入った弾丸が右鎖骨下動脈を損傷したことによる失血死」
という立場を取り続けた。
そして、病院側との矛盾点について複数の国会議員から追及された結果、奈良県警は事件から数週間後に
「心臓マッサージによる挫滅(外部からの強い衝撃によって,筋肉などの組織が潰れること)」
という説明を編み出した。
ここでも、奈良県警の発表は二転三転している。
何故、奈良県警は当初、心臓の損傷について一切言及しなかったのか。
虚心坦懐に捜査していれば、まず司法解剖で判明した心臓の損傷状態を素直に発表した上で、捜査員と専門家の分析の結果
「挫滅」
という推定をしたと発表するのが、真っ当な手順だ。
こうした
「真っ当でない」
奈良県警の捜査は枚挙に遑がない。
文春が指摘した疑惑も、主だったものだけで12項目に上る。
@山上には撃てない右前頸部の銃創
A見つからない致命弾
B心臓の傷を巡る矛盾
C背広に開いた6つの穴
D「第3の銃弾」も行方不明
E揺れた右袖の謎
F公表されないレントゲン写真
G警備体制の不備
H大幅に遅れた救急搬送
I司法解剖医選択の怪
J5日も放置された現場
K「常識破り」の捜査
大きく分類すれば、
@〜Eが安倍元総理の死因に関するもの、即ち
「事件自体に関する疑惑」
であり、
F〜Kは警備・救急など行政対応の瑕疵、即ち
「事件後の対応に対する疑惑」
ということになる。
死因という真相究明の根幹部分と、
「捜査は適切に行われたか」
「救える命を見殺しにしたのではないか」
という行政執行の適切性の話は、本来は質の違う問題であるはずだ。
ところが、今回の疑惑はそう簡単には分類できない。
「安部氏は誰のどの銃弾によって」
「いつ命を落としたのか」
という捜査の最も重要な部分で、奈良県警の説明に矛盾や不審点が数多く指摘されている上、疑問点に応えるための記者会見などは2023年1月の捜査終結まで1度も開かれていない。
説明責任は一切果たされていないのだ。
元総理である現職衆議院議員の選挙応援演説中の殺害という歴史的事件への対応としては、極めて異例と言わざるを得ない。
「奈良県警は何かを隠しているのではないか」
奈良県警が沈黙すればするほど、こうした疑念は深まっていく。
安部氏の銃殺という事件と、極端に甘い警備体制や救急搬送の遅れなど銃殺前後の異常な対応が一体化して、底知れぬ闇を形成している。
そして、
「事件そのものの疑惑」

「事件後の対応の疑惑」
を鮮やかに結び付けるのが、
「救急救命を巡る謎」
である。
■疑惑の結節点「救急搬送」
2022年7月8日
11:31 安倍元首相 被弾
11:32 救急要請
11:37 救急車第1陣到着
11:41 救急車第2陣到着
11:43 救急車に収容
11:54 救急車出発
12:09 ドクターヘリ収容
12:13 ドクターヘリ離陸
12:20 奈良県立医科大病院に収容
安部氏は11時31分に撃たれ、12時20分に奈良県立医科大付属病院に搬送された。
11時35分には、奈良県消防本部は、救急隊に無線交信で
「心肺停止状態」
と伝えている。
心肺停止になると脳への血流が止まり、10〜15秒で意識を失う。
そして、脳の血流障害によるダメージは時間の経過とともに急速に進むことから、心肺停止の患者の救急救命は1分1秒を争う。
日本救急救命学会が発表している
「救命曲線」
によれば、心肺停止から1分以内に救命措置が行われれば95%が救命されるが、5分経過すると救命率は25%になり、8分経過すると救命の可能性は極めて低くなる。
ところが、安倍氏は銃撃後23分も現場に留まり、救急車とドクターヘリを乗り継いで奈良県立医科大附属病院に運び込まれたのは、49分後だ。
これでは、助かるはずの命も助からない。
銃撃現場の近鉄大和西大寺北口は、そんなに救急救命センターから遠かったのか。
とんでもない。
搬送された奈良県立医科大附属病院よりも遥かに近い5分の1ほどの距離の所に、奈良県総合医療センターという救急救命センターを備えた大病院がある。
私は2023年2月下旬、大和西大寺北口から奈良県総合医療センターまで車を走らせてみた。
信号待ちの時間を除くと、所要時間は9分2秒だった。
道中は病院到着まで渋滞箇所もなく、片側2車線以上の余裕のある道のりが続いた。
制限速度を守りごく普通に運転した結果だから、救急車が赤色灯を回して急行すれば、7分以内に到着できるだろう。
救急車の第1陣の現場到着が11時37分だから、もし奈良県総合医療センターに直行していれば、11時44分に到着していた。
実際の救急車の出発は11時54分。
前述の救命曲線に従えば、救命の可能性はほとんどゼロということになる。
銃撃後、最善最短の病院に搬送できたはずの安倍氏は、ただ現場に留め置かれ、確実に死ぬまで救急車は出発しなかった。
安部氏は見捨てられたのだ。
■最短ルート除外の謎
何故、安倍氏は最短の救急救命センターに運ばれなかったのか。
可能性は3つだ。
@消防本部と現場の混乱による遅延
A大和西大寺の現場で蘇生不能と判断された
B蘇生の可能性を消すため、敢えて放置・殺害された
しかし、@の可能性は極めて低い。
関係者の証言を総合すると、11時54分まで救急車が現場に留まったのは
消防本部からドクターヘリで搬送するという理由で待機を指示されていたからで、混乱によって遅れたのではない。
Bの仮説は、安部氏生還の可能性を消す、言い換えれば、確実に殺害するために救急救命が捻じ曲げられたということに等しい。
となると、残る可能性はAということになる。
何者かが
「既に死んでいる」
とか
「もはや助けることはできない」
と判断したからこそ、最短の救急救命センターに搬送するという選択肢が除外されたというケースだ。
奈良県立医科大附属病院と奈良県総合医療センターの救急救命体制はほぼ同等で、奈良県総合医療センターでも開胸して止血するというような措置は十分にできた。
だから、安倍氏のような一刻を争う銃撃の被害者の救急救命なら、近い方を選ぶに決まっている。
2つの医療機関の最大の違いは、奈良県立医科大附属病院だけが司法解剖ができる病院だったということだ。
「安部氏は既に死んでいる」
「救命不可能」
と判断した場合のみ、奈良県立医科大附属病院をという選択に合理性が出てくるのだ。
ここで最大の焦点となるのが、誰が安倍氏の容態を判断したのかということだ。
銃撃直後、大和西大寺駅北口のガードレールに囲まれたゼブラゾーンに横たえられた安倍氏の状態を誰が判断し、誰が消防本部に伝え、誰が搬送先と搬送方法を決定したのか。
分かっているのは、2022年7月8日11時35分に消防本部が県下の救急車に対して発信した消防無線で
「CPA」(心肺停止状態)
と伝えているということだ。
被弾直後、現場から複数の人物が119番通報したことが分かっている。
救急オペレーターは通報者が医療関係者でない場合でも、患者の顔色や出血量などをできるだけ正確に聞き出すよう訓練されているから、この段階で安倍氏が相当厳しい状態にあったことは把握していたはずだ。
しかし、心肺停止と判断して無線で伝えるには、医師や看護師など医療関係者の追加情報が不可欠となる。
■現場に駆け付けた医師
安部氏の銃撃直後の容態については、非常に重要な証言がある。
現場の目の前のサンワシティ西大寺ビルの3階で中岡内科クリニックを営み、最初に安倍氏の蘇生措置を行った中岡伸悟院長だ。
中岡医師は医療関係者向けインターネットサイトのインタビューに対して、安倍氏の容態について詳細に答えている。
長くなるが、重要部分を抜粋する。
「外来をやっていると、廊下で叫ぶ声が聞こえました」
「『安倍総理が撃たれた、安倍総理が撃たれた』と大声で叫んでいる方がいて、その方はよく知っている患者さんの家族でした」
「『先生、すぐに行ってあげて』と言うのです」
「ビルの1階に降りて、出ると、大勢の人が交錯している間から、横になっている安倍さんの姿が見えました」
「あまり覚えていないのですが、無意識に駆け付け、気が付いたら傍にいました」
「その時は看護師と思われる1人の女性が必死に心マッサージをしていました」
「そのやり方を見ただけでかなり訓練されていると分かったので、心マッサージを代わることはなく、身体の状態を診ることができました」
「顔面は蒼白だったし、脈ももちろん取れないし、痛覚反射も診ましたがピクリともしません」
「眼球結膜を診たらもう貧血が著明でした」
「周りでは『背後から撃たれた』『散弾銃ちゃうか』という声が聞こえたので、かなり出血しているだろうと思ったのですが、私の周りには血だまりがなくて、左の鎖骨に掛けたタオルからの出血だけが見えました」
「反対側にいた看護師の所には血だまりができていたそうです」
■救急車到着までの時間
この証言から、中岡医師は安倍氏の左側にいたことが分かる。
「外から出血していないということは、胸腔内や腹腔内に血が溜まっているということなので、胸腔内であれば肺を圧迫しますし、いずれにしても危険な状態です」
「顔面蒼白の程度が強過ぎたし、眼球結膜も真っ白でした」
「ある程度太い血管や内臓の損傷があって、それで出血しているということは一目瞭然でした」
「痛覚反射も乏しいし、心マッサージの後、AEDもしましたが、胸郭は全然動いていなかった」
「瞳孔も少し開きかけていたので、これはかなり厳しい状況だと判断できました」
「まず(安倍元総理が応援演説していた候補者の)陣営のAEDを持ってきたのですが、バッテリーの問題なのか、汗のためか、粘着がうまくいかず、作動しなっかったんです」
「それで、うちのAEDを持ってきてもらって、貼り付けて、きちんと作動したのですが、今からという時に自動音声で『これは適応になりません』と流れました」
「完全な心肺停止ということだったのだと思います」
「医学的には厳しいと分かっていましたが、何とか奇跡でも導けないかと心マッサージを続けました」
「祈るような思いでした」
「初めは看護師4人が交代でやっていましたが、かなり疲れるので、最後に私も代わりました」
「安部さんのことはもちろんよく存じ上げていますし、就任中の功績が立派なことも重々分かっています」
「日本にとって、かけがえのない人だと」
「こんなことはあってほしくないと」
「安部さん戻って来てくださいという気持ちでした」
「何分かは分かりませんが、しばらくしたら救急車が到着しました」
「新聞などには到着まで6分と書いてあったのですが、長く感じました」
「クリニックからも救急車を頼むことはあり、とても早く来てくれます」
「クリニックへ戻り、挿管などの救急蘇生の道具を取ってこようかとも考えましたが、すぐに救急車が来るだろうと思い、現場にいることにしました」
「ただ、とても長く感じました」
■誰が搬送先を決めたのか
中岡医師の証言には、非常に重要な事実が数多く潜んでいる。
まず、救急車到着までの6分が
「極めて長く感じた」
と証言していることから、中岡医師は銃撃から1分程度で現場に到着していることが分かる。
そして、
・現場で心マッサージをしていたのがかなり訓練された看護師だったこと
・脈、痛覚反射、眼球結膜、瞳孔などを診たこと
・AEDを試した結果、完全な心肺停止状態だったこと
・救急車が到着するまでの間、中岡医師以外で安倍氏を診たり、救命措置に直接関与したりした医師はいなかったこと
・中岡医師は救急本部とは直接話をしていないこと
などが分かる。
中岡医師の現場到着は被弾1分後の2022年7月8日の11時32分。
救急本部が
「CPA」(心肺停止状態)
と無線で発信したのは11時35分。
この経緯を見ると、消防が心肺停止と判断したのは、中岡医師の所見を現場の誰かが消防本部に伝えたためと見るのが自然だろう。
そして最も重要なのは、中岡医師は安倍氏の蘇生を決して諦めていなかったということだ。
中岡医師はこう述べている。
「大きな医療機関に行って、出血源を早く見定めて、止めて、輸血をしないといけないと分かっていたので、とにかく救急車が早く来てくれという気持ちでした」
現場は、安倍氏の生還を決して諦めてはいなかった。
少なくとも、
「もう明らかに死んでいるから、急いで救急救命センターに搬送してもしょうがない」
というような状況ではなかったことは明らかだ。
それならば何故、到着した救急隊は、最寄りの奈良県総合医療センターに向かわなかったのか。
安部氏の容態を
「蘇生不可能」
と判断し、司法解剖ができる奈良県立医科大附属病院を搬送先に最終決定したのは現場の医療関係者ではないのだー。

高田純博士が検証した結論「山上容疑者以外の誰かが撃った弾丸が安倍元総理の命を奪った」2つの証拠とは?実際に映像を使って解説。山岡鉄秀×高田純【リアルマトリックス】2022/8/24(水)13:00~14:00
https://www.youtube.com/watch?v=jptL_L6ybBU
疑惑の凶弾 2発は空砲だった
月刊「WiLL」2022年12月号 理学博士・札幌医科大学名誉教授 高田純
様々な角度から物理検証をした結果、浮かび上がる1つの真相ー。
■多くの謎
2022年7月8日午前11時30分、奈良市大和西大寺駅前で発生した安倍晋三元総理の銃撃テロ事件。
警備と警護、そして現場捜査の不備が、当初より指摘され、奈良県警の鬼塚友章本部長が翌2022年8月に辞職を表明した。
本事件には多くの謎があり、核心部分は闇に包まれている。
だから、多くの国民は事件と、その捜査方法に不信感を抱いた。
しかし、その瞬間を撮影した多数の音声付きの映像が真実に迫る記録を残し、ネットに公開された。
世界的な核爆発や放射線被害の物理調査に長年取り組んできた私は、今回、日本を代表する大政治家を暗殺した衝撃の事件の謎解明にツイッターのフォロワー4万人と共に取り組んだ。
狙撃の瞬間を捉えた映像の物理解析から
「山上はパイプ銃で2回空砲を鳴らし、2回目の0.2秒前に亜音速弾(音速を超えない銃弾のため、衝撃波が起きない)が安倍さんの頸部右前に命中」
の証拠を得た(図1)。
方法は、映像と音響データの時系列解析である。
特に音響を可視化する周波数スペクトル時系列解析は高解像で、物理現象の詳細を明瞭に区別できる。
警察は押収したパイプ銃で実弾と空砲の試験をすべきである。
山上容疑者の供述を科学で検証せよ。
私は事件が巧妙に仕組まれた組織テロであると確信した。
3カ月間、様々な物理検証をしたが、紙幅が限られているので、絞り込んだレポートになる。
全体像は、公開している狙撃音や空砲音を含む動画レポート、日々のツイッターをご覧頂きたい。
■「0.2秒前」に弾丸命中
事件後、間もなく、安倍さんが撃たれる2022年7月8日午前11時30分前後の瞬間を、色々な角度から撮影した音声付き映像がユーチューブに複数アップされた。
それを見た多くの国民が
「合点と不合理」
という印象を受けることになった。
20人以上の医療スタッフで救命に当たった奈良県立医大の福島英賢教授が
「17時3分、心肺停止のまま死亡が確認」
とのニュースの後、記者発表を行った。
致命傷は
「頸部からの銃創が深く心臓に達し、大血管と心室を破壊し出血」
「頸部右前方に2カ所と左上腕に傷があった」。
テレビカメラの前で、多数の記者からその詳細につき質問され、1つずつ回答された。
私たちが見たネット上の映像では、演台上の安倍さんは背後で生じた1回目の爆音に気付き、上半身を左向きに捩り、3秒後の2回目の爆音の後、前方へ戻りながら台から降り、崩れていった。
背後の下方から撃ったとされた計2回の
「散弾」
が、上方反対側にある右頸部前方に命中し、銃創が心室を破壊するのは、どう考えても不合理である。
一方、2022年7月8日の深夜から翌日朝まで行われた奈良県警の司法解剖報告は、奈良医大教授の報告とは大きな矛盾点があった。
新聞発表された奈良県警司法解剖報告は
「弾丸が首と左上腕部に命中、鎖骨下の左右動脈損傷が致命傷」
とし、
「首2カ所目は銃創かどうか不明」
とした。
奈良県警と奈良県立医大、両者の致命傷報告に矛盾があるものの、首にある銃創の一致点は注目すべき事実である。
左上腕の銃創はあっても、背後にいる山上が発射した銃弾が安倍さんの右前方の頸部に命中することはない。
2022年7月11日、政治的話題を発信しているユーチューバーのマキシム氏が公開した10分の1倍速の音声付きの映像(現在、動画削除)をコマ送りにし、私は銃声の音速、弾丸飛翔速度、そして安倍さんの頸部に弾丸が命中する物理現象を時系列で解析した(図2)。
山上の1回目の爆音が鳴る時刻2分21秒の後、安倍さんが台上で上半身を左向きに回転させて後方を見る姿勢になる(2分44秒)。
そして2分46秒の時に安倍さんの右襟が一瞬右側(写真では左側)へ振れ、その後、2分48秒の時に右襟が左側へ一瞬振れた。
その同時刻に、2回目の爆音が鳴った。
その直後の2分49秒に安倍さんのマイクロフォンを持った右手が下がり、左を向いていた顔が正面に戻り、以後、2分50秒から2分58秒、安倍さんの姿勢が前傾し、崩れ出した。
映像にある選挙関係者の襟は動かず、安倍さんの右襟のみが一瞬振れた。
映像をよく見ると、シャツ右襟が振れた直後の複数のコマに、安倍さんの頸部中央付近に銃弾が命中し、出血が始まったと考えられる
「黒い点」=銃創
が現れたのだ。
その時刻は山上2回目の爆音前である。
山上と安倍さんとの距離は5メートル、山上と映像撮影したカメラとの距離は10メートルと、現場映像から読み取れる。
気温30℃の空気中の音速は毎秒349メートル。
従って山上が散弾銃を撃った時の銃声の音波がカメラマイクロフォンに届くまでの時間は0.0287秒になる。
他方、仮に、山上の撃った散弾銃の弾丸の速さが音速よりも毎秒100メートル早いと仮定した場合、5メートル離れた安倍さんの頸部に達するまでの時間は0.0111秒になる。
それがもし、頸部に命中したなら、その瞬間を捉えた映像は光の速度でカメラのレンズに届き、映像が記録される。
光速は音速の100万倍も速いので、映像をカメラが記録するまでの光の伝搬時間は0.00秒。
従って、山上の撃った弾が安倍さんの頸部に達し、それをカメラが映像として捉えるまでの時間も0.0111秒である。
音速と弾丸の速さから計算される時間差、右襟が振れた時刻と2発目の爆音が鳴った時刻の差の時間、0.0111ー0.0287はマイナス0.0176秒になる。
実際に、右襟の振れた時刻は、2発目の時刻よりもマイナス0.2秒、つまり、0.2秒前であった。
物理で計算した予想時刻からは、このマイナス0.2秒は全く説明不能になる。
だから、物理的に、山上が2度目に撃った弾丸は安倍さんの頸部に命中していなかったことになる。
勿論、1発目の発砲も当たっていない。
即ち、この時系列解析の物理は、頸部に命中した弾丸は、山上ではない別の人物が2分46秒以前に発射したという証拠そのものである。
安倍さんの生命を奪った真の狙撃者は他にいたことになる。
山上は本当に実弾を発射したのだろうか。
■3回の銃声があった
狙撃映像の時系列物理解析の結果を、2022年8月25日、ネットテレビ文化人放送局で動画配信すると、私の
「ツイッター」
は賑やかになった。
動画の視聴数は20万を突破した。
勿論、動画の存在は意見メールととして、2022年9月8日、官邸へ報告した。
2022年9月7日、ツイッターのフォロワーである、広島大学の工学修士、中田健二氏から有益なデータが寄せられた。
音響を
「スペクトル解析」
した図である。
光を記録した映像は目に見える。
1枚の画像は緻密に細かく色の付いた点の集合であり、顔や人体、服、風景が記録されている。
それを毎秒30枚や60枚を時系列で眺めると、動きのある映像として目に映る。
一方の音声は耳に聴こえるが、目には見えない。
しかし、音の周波数と強さを可視化する解析技術がある。
それが
「スペクトル解析」
である。
耳では分からなかった音に含まれている細かな情報を時系列で理解できる。
しかも映像に比べ、音声データの時間分解能は1000倍も緻密である。
音波は空気を振動させて伝搬する波動。
その速さは摂氏30℃で毎秒349メートル。
100メートルを移動するのに、音は0.29秒要する。
1秒間に振動する回数を周波数と呼ぶ。
この周波数が低いと低温、高いと高音である。
単位はヘルツ(Hz)。
人の耳は20ヘルツから2万ヘルツの周波数を聞くことができる。
音を周波数で表現し、音の強さを色分けし、周波数ごとに時系列でグラフ化して描くと、音の変化を時系列で可視化できる。
これを音のスペクトル解析という。
私たち物理学者は、様々な自然現象の時系列変動を、スペクトル解析して謎を解明している。
私も、その経験がある。
地下核実験の振動や地震波、火山爆発で生じる大気衝撃波の伝搬も解析される。
警察は事件現場から逃走する犯人の足取りのビデオ映像のスペクトル解析で、行方を追う。
改めて、狙撃の瞬間を記録した編集なしの生の映像の音を聴いてみる。
安倍さんの位置から北西方向7メートルにあるカメラの音声である。
爆音「ドゥオーン」、それから聴衆のざわめき、小さな音「シュッピ」、間髪入れずに、2回目の爆音「ドゥオーン」。
2回目の爆音の方が、1回目に比べてやや大きい。
それは、山上が1回目を鳴らしてから、2〜3メートル、記録カメラに接近したからである。
小さな
「シュッピ」
は爆音よりも高音で、少し詰まった短い音に聴こえる。
実は2022年10月5日、私たちは安倍さんが右手に持ったマイクロフォンが、狙撃の瞬間の音を拾って演説用のスピーカー(20メートル先の街宣車)で増幅していたことに気付いた。
だから、本来は小さいはずだった狙撃音の音
「シュッピ」
も聴こえたのだ。
だから、当初のニュースで、銃声は
「3回」
とあったと報じられたわけだ。
■やはり空砲だった
私たちは銃撃の時系列解析した映像に付随する音響のスペクトル解析を行った(図3)。
図の横軸は左手が過去、右手方向が未来の時刻(秒単位)。
縦軸は音の周波数。
一番下が0ヘルツ、一番上が2万ヘルツ。
上の方に左右に伸びた振動を伴う線が、音波の強さの振幅である。
中央や右手にある大きな振動部分が山上の2回目の爆音。
その直前の
「シュッピ」
と聴こえた音の振動は、その同じ線上の左手にある。
「シュッピ」
は時刻16.6秒から16.7秒あたりにある。
山上の2回目の爆音は16.9秒過ぎに始まる。
「シュッピ」

「ピ」
の音の終了から山上爆音2の開始時刻の間が0.20秒と読み取れる。
この音は山上パイプ銃の爆音に比べて高い周波数が顕著で、1700ヘルツ以下の低周波数成分はほとんどない。
この音には狙撃弾の発射時の火薬の爆音(銃声)と空気中での飛翔音、そして安倍さんへの命中音が含まれる。
弾丸速度の計算値から音速よりも遅い亜音速弾で衝撃波音の発生を避け、高音化したスペクトルの特徴から消音器銃が使用されたことが判明した。
この0.20秒が映像解析で、計測された安倍さんの右襟の振れた時刻と山上爆音2の間の時間0.2秒とが一致した。
即ち、狙撃瞬間の音響解析が映像的に判断した弾丸命中の時刻
「マイナス0.2秒」
と一致した事実。
これら安倍さんから7メートル位置にあったカメラが記録した映像と音響のそれぞれ独立した解析結果が、山上2回目の発砲0.20秒前に、安倍さんの頸部は別の銃が発射した弾に撃たれていた可能性が高いことを裏付ける強力な証拠となった。
別な銃弾が安倍さんの頸部に命中した物理の証拠を得たことで、山上の爆音は空砲だったのではないかとの疑問が湧く。
■日本の未来のために
私は山上パイプ銃が噴出した2回の白煙ベクトルが、地面から1.1メートルの高さで水平方向だったとの解析結果を導いた。
台上にいた身長1.75メートルの安倍さんの腰部に向かう白煙が、山上のパイプの先から飛び出す映像から明瞭なベクトル図ができた(図4)。
この水平ベクトル図は異なる2地点で撮影されたビデオで一致した。
しかも、1回目だけでなく、2回目の白煙とも水平方向に飛び出していた。
しかし、安倍さんの腰部や背中に銃傷は見つかっていない。
しかも、1回目の爆音直後に動き出し、3秒後の2回目爆音の0.2秒前に防弾鞄と共に安倍さん背後に飛び込んだ警察SPも無傷だった。
散弾が本当に発射されていたなら、SPは殉職したに違いない。
パイプ散弾銃の構成から、1回6発、計2回で12の弾丸が飛んだと想像されたが、その証拠はどこにもない。
水平発射なら90メートル先の立体駐車場の高さ8メートルのエレベータ外壁にも当たらないことになる。
警察は山上の
「実弾」
の物的証拠を得ていないのだ。
米国人で銃専門のユーチューバー、ブランドン・ヘルラ氏が、この暗殺事件後、2連レンパイプ銃を自作し、実弾実験をした。
その動画がネットにアップされて、日本で話題になった。
その実弾射撃の音を聴くと
「ドゥアーン」、
2022年7月8日の山上のパイプ銃の2回の爆音と比べて高い音に聴こえる。
参考に調べた映画『ショット・ガン』の銃音(空砲)よりも高い音に聴こえる。
音響スペクトル解析で比較した。
実弾を発射したアメリカ人パイプ銃の音波ピークの周波数は3070ヘルツ、波長を計算すると11センチ。
一方、山上パイプ銃の最高音のピークの周波数は1発目、2発目で、1390ヘルツ、1696ヘルツで低周波、それらの波長は、24センチ、20センチと、実弾パイプ銃のおよそ2倍。
銃身のパイプに共鳴する音波の波長は、そのパイプの長さが長いほど長くなる。
銃身が発する爆音共鳴音の波長は、実弾が込められた銃身では短くなり、空砲ならば長くなる。
こうして、同じ銃でも、空砲では爆音は低音になるのだ。
更に2つの爆音の継続時間を比較すると、実弾発射のアメリカパイプ銃が0.10秒に対し、山上は0.04秒と短い。
これも空砲の証拠である。
押し出す弾がないから、火薬の燃焼ガスが銃口からすぐに漏れ出したのだ。
しかも空砲だから、映像で見たように、白煙がパイプの軸に沿って真っ直ぐに遠くへ飛び出した。
このように空砲と見られる証拠は多数あるが、山上が実弾を発射したとする事実は今のところ見当たらないのだ。
山上の2回のパイプ爆音には、弾丸は込められていなかった。
爆音と白煙に騙されて全ての人たちの目が奪われている隙に、真のスナイパーが前方の少し離れた目立たない高位の場所から実弾を発射した。
それが安倍さんの頸部に命中した。
そこは80メートル先の立体駐車場だったのかもしれない。
駐車場を含む駅前のビデオ映像の解析を警察はすべきだ。
山上の空砲マジックと実弾を発射した真のスナイパーが核となった7・8組織テロの存在が、これまでの物理調査の結論である。
真相解明なしに、日本の未来はない。

疑問だらけの暗殺 真相究明せよ
月刊「正論」2022年10月号 元海上保安官 一色正春
付言すれば、世界中で一番国葬が行われて困るのは、国葬を機に包囲網が強化される
「中国共産党」
です。
事件発生後も異常な事態が続きます。
最初の異変は、余りにも早い段階での犯人の職業の判明、しかも約20年前の生業です。
速報する内容ではありません。
通常、現行犯逮捕であれば手続きが行われますが、普通であれば20年前の職業を聞くことはありません。
考えられるとすれば、どこかの段階で
「銃を撃った経験」
を聞いて犯人が海上自衛官だったことを話したのでしょうが、裏取りする時間があったのかどうかさえ疑わしき早さに誰もが疑問を持ったと思います。
更に、普通に考えれば国政選挙の応援演説中に元首相が銃撃を受けたのであれば、真っ先に政治的意図や他国からの攻撃を疑うのは当然です。
これもかなり早い段階で、
「安倍元総理を狙って撃った」
「政治信条への恨みではない」
と、犯行声明とも取れる犯人の主張が報じられます。
政治家が判で押したように
「民主主義への挑戦」
というような声明を発表していたにもかかわらずです。
特に我が国は超限戦で常に外国から攻撃されているにもかかわらず、誰も外国勢力の関与を口にしないのは箝口令でも敷かれているのかと勘繰ってしまいます。
今回、背後関係で何の噂も立たないことが逆に怪しさを増しています。

http://www.asyura2.com/22/senkyo287/msg/820.html#c125

[政治・選挙・NHK296] 世にも怪しい自公国協議 年収の壁 諸悪の根源は歴代自民党政権と財務省(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
31. 秘密のアッコちゃん[1029] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月16日 06:57:56 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[594]
<■110行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>年収の壁 首相は議論整理し説明を
社説
2024/11/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20241116-DOPGVECZCVKUHNAOUPQ3XWSA6I/
手取りを増やすのか増やさないのか。
議論を整理し、はっきりさせねばならない。
その上で石破茂首相が説明すべきだ。
「103万円の壁」

「106万円の壁」
などの見直しのことである。
自民、公明両党の与党と国民民主党が、年収103万円を超えると所得税が発生する103万円の壁の解消を巡り協議を始めた。
国民民主は非課税枠を178万円に引き上げることを要求している。
一方、厚生労働省は社会保険料の負担が生じる106万円の壁を撤廃する方向で調整している。
パートら短時間労働者が厚生年金に加入する要件のうち、106万円以上としている賃金要件を撤廃する内容だ。
いずれの壁も働く時間を抑制する要因とされる点では同じであり、人手不足解消や働き方改革を進める上で制度の見直しは必要だろう。
ただし103万円の壁見直しは手取り増のための減税だ。
逆に106万円の壁撤廃は老後の年金給付を手厚くするため、まず保険料を払ってもらう措置である。
長い目で見れば給付増となる。
だが、当面の手取りは減る方向に働く。
これらの制度は全く別の話だが、議論のタイミングが重なり、悩ましいことになっている。
政府や国会は問題を整理する必要がある。
国民の財布は1つだ。
制度の見直しで手取りが増えるのか増えないのか、石破首相は国民に丁寧かつ分かりやすく説明せねばならない。
実質賃金の低迷が消費や経済成長の隘路となっており、国民民主が手取り増を目指すのは頷ける。
ただ、103万円を178万円まで一気に引き上げることが妥当なのか。
政府試算では、国と地方の税収が年7兆〜8兆円減るとされる。
「178万円」
は最低賃金の伸びを根拠にした数字だが、物価上昇率に基づけば、それほど大きな引き上げ幅とはならないと自民側は指摘している。
看過できないのは、国民民主が減収財源について
「基本的には与党の責任」
としていることだ。
主張を反映させたいなら財源確保策についても説得力ある提案をする責務がある。
低所得者よりも中高所得者の方が減税額も大きい。
その点も踏まえて、政策の費用対効果を見極めるべきだ。

石破政権「103万円の壁」撤廃も増税画策≠ノ警戒 手取り増と逆行、厚生年金106万円の壁撤廃へ 浮上財源論≠フ裏に財務省の影
2024.11/10 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241110-C7CIUVCNGBOYNMCXZGWC3VE6SI/
石破茂首相(自民党総裁)と、国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月11日に党首会談を開く予定だ。
自民、公明与党と、国民民主党の政策協議で最大の焦点となるのが
「年収103万円の壁」
の撤廃だ。
幅広い層に
「減税の恩恵」
があり、労働人口を増やす効果も期待できるが、冷や水を浴びせるように
「7兆6000億円の税収減となる」
といった財源論≠ェ指摘され始めた。
財務省や財政緊縮派らが減収分を取り戻そうと
「増税・負担増」
を画策することが懸念される。
現に、厚労省はパートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件
「106万円の壁」
を撤廃する方向で最終調整に入ったが、新たに保険料負担が生じる人もいる。
衆院選で大惨敗しながら
「政権居座り」
を決め込む石破首相の
「増税・負担増」
路線に要警戒だ。

自民党の小野寺五典、国民民主党の浜口誠両政調会長は2024年11月8日、国会内で政策協議の初会合を開き、
「年収の壁」
の見直しへ向け、来週に両党の税調会長を交えて協議することを確認した。
現行制度では年収が基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計である103万円を超えると所得税が発生する。
このためパート労働者らが103万円を超えないように労働時間を抑制する現象が問題視されてきた。
1995年から最低賃金が1.73倍上昇したのを踏まえ、国民民主党は178万円への引き上げを要求している。
玉木氏は
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べ、自民党が応じない場合は、政権運営にも協力しない考えを示した。
産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、年収の壁について
「引き上げるべきだ」
とする回答が77・2%に上った。
物価高対策で最優先で取り組むべきことでも
「減税」
が32・7%と最も多かった。
一方でネガティブキャンペーンまがいの論調もある。
その1つが、基礎控除を75万円引き上げた場合、国と地方を合わせて7兆6000億円の税収減になるという
「政府試算」
だ。
上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は
「財源論が浮上したのは、財務省側の焦りの表れだろう」
「だが、財務省の省益よりも国民のために実施すべきだ」
「恒久的な減税になるように今年2024年の補正予算の1回に留めずに来年2025年以降の本予算に組み込んで効果を持続する方が望ましい」
と語る。
■「手取り増」と逆行
もう一のネガキャンが、
「高所得者に恩恵」
というものだ。
年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。
加藤勝信財務相は
「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」
と述べた。
しかし、
「手取りの増加率」
で見ると年収210万円で4.3%、500万円で2.6%、2300万円で1.7%となっている。
田中氏は
「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率で見れば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」
「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」
「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので飲まざるを得ないだろう」
との見方を示す。
国民民主党はガソリン税の
「トリガー条項」
の凍結解除や消費税率の時限的な5%引き下げなども掲げている。
加藤財務相は前出の会見で、トリガー条項の凍結解除で国と地方の減収が生じるとして、
「脱炭素に向けた潮流なども勘案しながら対応していく必要がある」
と言及した。
財務省側がクギを刺した形にも見える。
田中氏は
「財務省は1度得た財源を失いたくない」
「財務省や自民党内の緊縮派は、論点を『年収の壁』に持っていき、消費税やトリガー条項の議論から目を逸らそうとする思惑もあるのかもしれない」
と推測する。
こうした中、厚労省は、会社員に扶養されるパートら短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件(106万円以上)を撤廃する方向で最終調整に入った。
年収要件をなくせば保険料負担が新たに生じ、手取り収入が減る人も出てくる。
「手取りを増やす」
政策とは逆行する動きだ。
また、税制を巡っては、石破首相も防衛力強化の財源を確保する所得、法人、たばこの3税の増税の開始時期について、2024年年末の税制改正の議論で決着させる考えを示した。
石破首相は金融所得課税の強化に言及し、その後撤回する一幕もあった。
来年2025年夏には参院選も控えるが、前出の田中氏は
「現在は増税を言い出すのは難しいだろうが、7兆6000億円を取り戻しに動くため、将来的に『増税・負担増』路線になるだろう」
「防衛増税の開始はもちろん、石破政権が続けば、首相が掲げる防災省設置構想に関連して、インフラ整備のための『防災増税』を掲げるかもしれない」
と警鐘を鳴らした。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/120.html#c31

[政治・選挙・NHK296] 世にも怪しい自公国協議 年収の壁 諸悪の根源は歴代自民党政権と財務省(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
32. 秘密のアッコちゃん[1030] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月16日 07:00:35 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[595]
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「106万円の壁」撤廃で負担増も老後の年金はアップ 残る「週20時間の壁」
2024/11/15 21:47
https://www.sankei.com/article/20241115-JSVA2YM7O5NUBMQ5B64LURJOBA/
厚生労働省が厚生年金に加入する要件のうち、
「年収106万円以上」
の賃金要件と
「従業員51人以上」
の企業要件を撤廃する方向に舵を切ったのは、厚生年金加入者を増やし、老後保障を手厚くするためだ。
ただ、厚生年金に加入すれば社会保険料が発生し、雇用する企業側の負担も増える。
一方で
「週20時間以上の勤務」
という労働時間の要件は残るため、負担増を避けようとすれば
「週20時間の壁」
に直面することになる。
■もはや無意味な「106万円の壁」
現在、厚生年金に加入しなければならないのは、
@月額賃金が約8万8千円(年収にすると約106万円)以上
A従業員が51人以上の企業などに勤務
B勤務時間が週20時間以上
C学生ではない
などの全てを満たした場合だ。
@の要件は、最低賃金が上昇傾向にあり、今年2024年は全国平均1055円となったことで、都市部を中心に週20時間程度働いた時点で自動的に要件を満たすケースが増えた。
そのため、週20時間以上働いても月収が8万8千円未満になる人は少なくなっており、
「@の要件は意味がなくなっている」(厚労省の担当者)
と見る向きもあった。
最低賃金が低い傾向にある地方でも今後、最低賃金は上昇するとみられることから、撤廃の影響は限定的とみられる。
日本総研研究員の藤本一輝氏は
「制度が簡素化され、企業と労働者の労務管理が分かりやすく楽になるメリットもある」
と見る。
■厚生年金加入のメリット説明を
一方、影響が大きいのはAの要件の撤廃だ。
現状、従業員50人以下の企業で働いている人は年収130万円まで社会保険料を支払う必要がない。
Aの要件が撤廃されれば、年収約106万〜130万円の人は、厚生年金へ加入するか、労働時間を抑制して厚生年金加入を回避するかの選択を迫られることになる。
また、厚生年金に加入すれば、企業側も社会保険料の半額を負担することになる。
経営体力に乏しい50人以下の企業は、負担増を避けるため、従業員に労働時間を週20時間以内に抑えるよう要請するケースが出てくる懸念もある。
「年収の壁」
を巡っては、先の衆院選で国民民主党が、所得税が発生する
「103万円の壁」
の撤廃を主張して注目を集めた。
国民民主は基礎控除を178万円まで引き上げることを主張しており、国民民主の政策が実現すれば
「社会保険料の壁」
を超えた後も手取りは増えやすくなる。
そのため、壁を超えて厚生年金に加入しようと判断する労働者も出てくる可能性がある。
藤本氏は
「厚生年金に加入すると将来の給付が増える」
「基礎控除の引き上げ効果も踏まえて、政府は厚生年金加入の利点を丁寧に説明する必要がある」
「労働者側も将来の給付と現在の収入のどちらを選択するか慎重に検討すべきだ」
と話している。

厚労省「106万円の壁」見直し、保険料の会社負担増やす特例案…「従業員51人以上」も撤廃へ
2024/11/15 23:47
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20241115-OYT1T50222/
厚生労働省は2024年11月15日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会で、パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入した際に支払う保険料について、会社側の負担割合を増やせる特例制度の導入案を示した。
年収が106万円を超えるなどして保険料支払い義務が生じた場合の手取りの減少を緩和し、労働時間の抑制を避ける狙いがある。
現行制度では、保険料は加入者と会社側が半分ずつ負担している。
会社員や公務員の扶養に入っている配偶者は、保険料を払わなくても国民年金などを受け取れるが、パートなどで従業員51人以上の企業に勤め、週20時間以上働く月額賃金8万8000円(年収換算約106万円)以上の人は、厚生年金への加入が義務付けられる。
加入すれば、将来受け取れる年金は増えるが、年収が106万円を超えると、保険料の支払いで手取りが年10万円程度減るため、働く時間を抑制する問題が生じていた。
会社側の負担割合を増やす制度は、労使の合意を前提とする。
例えば、週20時間働いて保険料が新たに発生する人の場合は、会社側が9割を負担し、年収が上がるごとに会社側の負担割合を減らし、一定水準で半分ずつの負担に戻す制度を想定する。
手取り減を緩和することで働き控えを防ぎ、人手不足の解消を図りたい考えだ。
ただ、2024年11月15日の部会では、
「大企業しか負担を増やせない」
などと否定的な意見が相次いだ。
同省はこの日の部会で、厚生年金の加入要件のうち、企業規模と賃金の要件は撤廃し、
「週20時間以上」
の労働時間の要件は維持する方向性や、従業員5人以上の飲食サービス業や理美容業などの個人事業所を加入対象に加える案を提示した。
概ね了承されたが、106万円の賃金要件の撤廃については一部の委員から異論もあり、議論を続ける。
同省によると、これらの見直しが実現すれば、新たに200万人が加入対象になる。
2024年年末までに改革案を取りまとめ、来年2025年の通常国会に年金改革関連法案を提出することを目指す。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/120.html#c32

[政治・選挙・NHK296] 玉木雄一郎氏に「包囲網」…“グラドル不倫”騒動収まらず、自民・立憲・財務省で思惑一致(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
27. 秘密のアッコちゃん[1031] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月16日 08:04:45 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[596]
<■66行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<産経抄>自身の責任は取らず、不記載問題に固執する石破首相
2024/11/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20241116-PKHWFJMHLJJENO52OSVSKZSAQY/
マスコミの論調も変化してきたのか。
読売新聞の2024年11月15日の社説は、石破茂首相の政権運営について論じていた。
「内外の課題が山積しているにもかかわらず、首相が先月2024年10月1日の就任以降、最も拘りを見せているのが、派閥の政治資金規正法違反事件への対応だ」
▼更にこう指摘する。
「(刑事事件として決着済みで)衆院選で審判を受けて当選した議員を尚問題視するなら、政治とカネの問題にいつ終止符を打つつもりなのか」
「収支報告書への不記載という形式的なミスを、重大な贈収賄事件などと同列に扱うかのような対応は理解に苦しむ」
▼2024年11月14日の朝日新聞は安藤馨・一橋大教授のこんな論評を載せた。
「不記載を公金横領や贈収賄の類と誤解しているとおぼしき怒れる有権者が見られたのはひとえに『裏金』という語の独り歩きの産物であろう」。
安藤氏は、マスコミによる
「裏金議員」
というラベル貼りは、
「事実認識に基づかない評価をもたらそうとするものであり、民主政にとって有害ですらある」
とも。
▼不記載は論外だが、その分のカネは各議員がパーティー券を売り自分で稼いだもので、国民の税金ではない。
東京地検特捜部が徹底捜査した結果、不起訴議員に私的流用は見当たらなかった。
首相も2024年10月の党首討論で訴えていた。
「裏金は決めつけだ」
「不記載だ」
▼形式犯について大袈裟に騒ぎ立てた野党やマスコミの非が大きいのなら、首相はなぜ堂々と反論せず、衆院選で不記載議員に対して非公認や重複立候補の禁止など、厳しい二重処分を科したのか。
有権者の処罰感情に阿り、仲間を売って保身を図ったのか。
▼自身は衆院選惨敗の責任も取らず、不記載問題ばかりに固執する姿は異様である。

特別国会閉幕 政策論争を置き去りにするな
2024/11/15 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241115-OYT1T50025/
先月の臨時国会は僅か9日間で衆院が解散された。
この特別国会も、政府と与野党が何ら論戦を行うことなく、4日間で閉幕した。
石破内閣発足後、政策論争が置き去りにされているのは由々しき事態だ。
こうした状況に陥っているのは、石破首相が内外の課題について、明確な対処方針を持ち合わせていないためではないか。
衆院選の結果、与党だけでは予算案も法案も通すことはできなくなった。
少数与党になったからこそ、開かれた国会の場で与野党で議論を深め、接点を見い出すことが重要になっているはずだ。
2024年6月の通常国会閉幕後、国会で成立したのは旧優生保護法の被害者救済法だけだ。
審議を通じて行政や法案の問題点を洗い出し、改善を図る、という役割を果たしていないのは問題だ。
日本周辺の安全保障環境は極度に悪化している。
防衛力の強化やその財源を確保することは急務だ。
人口減少に歯止めがかからない。
経済をどう再生し、成長させていくのかも難題だ。
内外の課題が山積しているにもかかわらず、首相が先月2024年10月1日の就任以降、最も拘りを見せているのが、派閥の政治資金規正法違反事件への対応だ。
首相は、政策活動費の廃止に意欲を示している。
政治資金収支報告書に不記載があった旧安倍派などの議員のうち、政治倫理審査会で弁明していない議員に対しては、改めて出席を促すという。
衆院選で政治とカネの問題に焦点が当たって自民党が惨敗したため、首相は政権を維持するには政治改革に積極的な姿勢を示す必要があると考えているようだ。
政治資金の透明性を高めることが重要なのは論を俟ま たない。
だが、この問題は東京地検特捜部が捜査を尽くして派閥の会計責任者らを立件し、既に刑事事件として決着がついている。
強制力のない政倫審を開いても新事実を見つけるのは容易ではあるまい。
首相は、不記載のあった議員を第2次内閣の副大臣、政務官に登用しなかった。
衆院選で審判を受けて当選した議員を尚問題視するなら、政治とカネの問題にいつ終止符を打つつもりなのか。
そもそも収支報告書への不記載という形式的なミスを、重大な贈収賄事件などと同列に扱うかのような対応は理解に苦しむ。
首相が政治資金問題で定見を示さず、延命のため野党の主張を受け入れようとしていることが、混乱を招いているのではないか。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/122.html#c27

[政治・選挙・NHK296] 「84票の無効票が野田氏に入れば内閣がとれた」立憲・野田代表と小沢一郎氏が会談…夏の参院選に向けきょう対策本部立ち上げ(… 達人が世直し
10. 秘密のアッコちゃん[1032] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月16日 10:42:40 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[597]
<▽44行くらい>
高橋洋一「日本の解き方」
予算委員長を野党に渡す代償 石破政権、延命策は減税中心の補正予算 経済停滞の犯人は財務省だとあぶり出されることも
2024.11/13 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241113-OVUJNZUOKZO7LO5AG3IBQ6KSAM/
与党が過半数割れする中、17ある衆院の常任委員長のうち、予算委員長を立憲民主党に割り振るなど、野党側に7つが配分されることになった。
予算案の審議などにどう影響するだろうか。
予算委員会の所管事項は
「予算」
と定められている。
内閣が提出する予算案の審議を行うことが基本的な役割であるが、予算は内閣の全ての政策の財政的な裏付けになるので、予算を通じて内閣全てのことに関係している。
そのため、予算委員会での質疑の範囲は直接予算に関連するものに限らず、広く国政全般に渡るのが通例だ。
つまり、予算委員会は他委員会とは異なり別格の花形委員会だ。
端的に言えば、予算審議だけでなく不祥事の他、何でも議題として、それをテレビ中継できる。
予算委員会は首相ら全閣僚が出席する委員会で、他委員会の委員長ポストとは比較にならないくらい重要だ。
与党は10の常任委員長ポストを得たが、これを半分以下の4つにしても、予算委員長を死守した方が良かったのではないか。
予算委員長には委員会の開会日時や採決の決定、審議の進行などの権限がある。
つまり、予算委員会の運営は予算委員長の裁量になる。
野党議員が予算委員長に就任するのは異例だが、その裏に万が一、石破茂政権延命の自民と立民の大連立という狙いがあるとしたら要注意だ。
予算成立は内閣の命運を握るが、それを野党に渡したということは、内閣不信任案と共に予算成立も野党が主導権を持つので、何かあればいつでも石破政権は総辞職せざるを得ないだろう。
これが少数与党の定めであり、石破政権はどうあがこうと既に
「死に体」
になっている。
予算委員長には、立憲民主党の安住淳元財務相が就く。
委員長が誰になっても、野党であれば、来年2025年度予算案が
「人質」
となり、来年2025年3月の年度内成立の頃には内閣総辞職くらいの代償を払うことになるだろう。
ただし、そこまで石破政権はもつまい。
2024年11月11日に召集された特別国会の会期については2024年11月14日までの4日間となったが、特別国会後、早期に臨時国会の召集もある。
そこでは、補正予算などが審議されるはずだが、野党案を丸のみしないと成立しない。
補正予算も予算委員会でやるので、下手をすると内閣不信任案が出て、石破政権は万事休すかもしれない。
別のケースとしては、石破政権が保身≠ノ走ることが考えられる。
そこでは財務省の意見が通りにくくなり、国民民主党が主張するような減税中心の補正予算という国民にとっていいものになるかもしれない。
そうなると、これまでの経済停滞の犯人が財務省であることが炙り出されることもあり得る。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/123.html#c10
[政治・選挙・NHK296] 玉木雄一郎氏に「包囲網」…“グラドル不倫”騒動収まらず、自民・立憲・財務省で思惑一致(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
32. 秘密のアッコちゃん[1033] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月16日 12:58:43 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[598]
<▽45行くらい>
世論のホンネは「政権交代」にあらず 政策実現を求める国民の声も 玉木代表率いる国民民主党は執拗な圧力≠フ標的に
2024.11/13 06:30
安積明子
https://www.zakzak.co.jp/article/20241113-DVWJ3IPVONIYLHLC5VUPTSG5H4/
衆院選で惨敗して自公与党が過半数割れとなり、
「史上最短」
になるかと思われた石破茂政権だが、意外としぶとく生き残るかもしれない。
2024年11月11日に召集された特別国会で、石破首相は決選投票で第103代首相に選出され、第2次石破内閣を発足させた。
政権交代が不発だったのは野党第1党の立憲民主党に、石破政権を脅かす力がないためだ。
衆院選で98議席から148議席に躍進したが、内容を詳細に分析すると、興味深いことが浮き彫りになる。
比例区の得票は前回比で7万2106票しか増えなかった。
小選挙区に至っては、同比147万4761票も得票を減らした。
これでは、
「党勢拡大」
とは言い難い。
政局混迷の中、
「政権交代を実現させるため」
というお題目の下、執拗な圧力≠煌|けられ続けた。
標的は、公示前から4倍増の28議席を獲得した、玉木雄一郎代表率いる国民民主党だ。
首相指名で玉木氏を推すと明言していたが、玉木氏や榛葉賀津也幹事長の記者会見では、
「立憲民主党の野田佳彦代表に投じるべきだ」
との主張が繰り返された。
テレビの討論番組でも、
「政党の党首を担う政治家としてあるまじき」
という強烈な批判も出た。
こうした主張は筋違いだ。
そもそも、国民民主党が野田氏を推しても、過半数に達することはない。
立憲民主党と、野党第2党の日本維新の会(38議席)は、外交・安全保障政策などで隔たりがある。
野田氏との党首会談(2024年10月31日)で、首相指名の連携を打診された日本維新の会の馬場伸幸代表は、色よい返事をしなかった。
日本保守党などの新興保守勢力は首相指名で
「野田佳彦」
と書くはずがなかった。
更に言えば、衆院選で国民民主党を推した有権者が、野田政権誕生を希望したわけではない点に注目すべきだ。
選挙戦で国民民主党は
「政治とカネ」
の問題とは距離を置き、手取り増や減税などの
「政策論」

「実現力」
のアピールに徹した。
「対決より解決」
を旗印に、是々非々で臨む姿勢が支持されただけに、首相指名でいずれかを肩入れする選択肢はなかった。
世論が政権交代を望んでいたら、国民民主党への票の多くが、野党第1党の立憲民主党に投じられていたはずだ。
政権交代だけが
「民意」
とは言えない現実がそこにある。
安倍晋三政権や菅義偉政権での
「1強多弱」
時代は終わった。
政党間格差は縮まり、国政に世論の多様な意思が反映される好機とも言える。
自民党は衆院予算委員長をはじめ、重要ポストを立憲民主党に渡した。
懐柔して石破政権延命を図る魂胆だろう。
選挙結果の分析を怠り、現状に甘んじるばかりでは、立憲民主党が政権を奪取することなど不可能ではないか。
 (政治ジャーナリスト・安積明子)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/122.html#c32
[NWO7] 米民主党が、国境を開放し不法移民を無制限に受け入れている理由 (ジョー・ローガン / トッポ訳)  魑魅魍魎男
3. 秘密のアッコちゃん[1034] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月16日 14:07:15 : fjTz2F981w : QTJUazdpaUhyT1U=[599]
<■1134行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
欧州、第2次トランプ米政権に備える ウクライナとNATOの行方は
世界を知るキーワード
2024/11/16 10:00
https://www.sankei.com/article/20241116-GFVZ76ONIJMA5JVAZAJ7DNJ35M/
‘President Trump’s leadership will be key to keeping our Alliance strong.’ : Mark Rutte
「彼の指導力は同盟が強固であり続ける鍵となる」 ルッテNATO事務総長
2024年11月5日の米大統領選で返り咲きを果たしたトランプ次期大統領は、国際情勢の最大懸案の1つであるウクライナ戦争をどう収拾し、北大西洋条約機構(NATO)とどのように連携していくのか。
ロシアや中国、北朝鮮といった専制主義勢力への対抗が世界規模の安全保障上の懸案と化す中、NATOは第2次トランプ政権を欧州の対露防衛に積極関与させていく方策を懸命に探っている。
■国防費増額は必至
「トランプ氏に米大統領当選への祝意を伝えたところだ」
「今回も同氏の指導力は私たちの同盟が強固であり続ける鍵となる」
NATOのルッテ事務総長は2024年11月6日、トランプ氏が当選を確実にしたのを受け、X(旧ツイッター)への投稿でいち早く同氏の当選を祝福した。
ルッテ氏はまた
「トランプ氏と一緒にNATOを通じて力による平和を改めて前進させるのを楽しみにしている」
とし、同氏が欧州の対露防衛に向けてNATOの役割を重視する立場を取るよう期待を示した。
こうした
「歓迎」
の公式声明とは裏腹に、NATOを構成する欧州主要国の間ではトランプ氏の復権を警戒する声が少なくない。
英国では、トランプ氏の勝利は英国にとり「悪い」とする回答が55%に上り、「良い」18%を大きく上回った。
フランスでも同氏の勝利で米仏関係が「悪くなる」との答えが48%だった一方、「良くなる」は7%にとどまった。
ドイツでは同氏が世界に与える影響について81%が「憂慮する」と答えた。
欧州のNATO加盟国は来年2025年1月に発足する第2次トランプ政権に関し、ウクライナに対するロシアの侵略戦争をプーチン露政権の意に沿う形で強引に幕を引くこと、そしてNATO脱退などで欧州防衛への関与を大幅に低下させることをいずれも阻止するのを至上課題に位置付けている。
トランプ氏は1期目の在任中、
「欧州のNATO加盟国が相応の国防費を負担せず、安全保障を米国にただ乗りしている」
として不満を表明してきた。
トランプ氏の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたジョン・ボルトン元国連大使が2020年に発表した回顧録によると、トランプ氏は2018年7月のNATO首脳会議で、他の加盟国が翌年2019年1月までに国防費を大幅に増額しないのなら脱退すると通告しようとしたため、ボルトン氏が押しとどめたという。
ボルトン氏は今年2024年11月4日のXへの投稿で、米国のNATO脱退は
「破滅的な過ちとなる」
と指摘しつつ
「第2次トランプ政権下で現実に起こり得る事態だ」
と警告した。
一方、ヒーリー英国防相は2024年11月11日、英スカイニュースの番組に出演し
「米国の脱退は想定していない」
「米国は同盟の重要性を認識している」
との楽観的な見通しを明らかにした。
ただ、ヒーリー氏は米国をNATOに繋ぎとめる前提として、欧州の加盟国が国防費の負担を一層増やす必要があるとも指摘。
NATO加盟32カ国のうち今年2024年年末までに国防費の支出を最低でも国内総生産(GDP)比2%とする目標に達するのは23カ国に上る見通しで、NATOはこうした実績を示してトランプ氏に理解を求める考えだ。
だが、専門家らはトランプ氏が一層の支出拡大を求めてくるのは必至と見ており、同氏が国防費を材料にNATOを揺さぶりにかかる公算は大きい。
加えて、トランプ氏は欧州主要国が貿易分野で米国から不当な利益を得ているとして中国と並んで欧州連合(EU)に高関税をかけて貿易赤字の解消を目指しているとされ、米欧関係は経済と安全保障の両方で冷却化が進みかねない。
■ウクライナの行方
そして、トランプ氏の真価が実際に問われるのは、同氏が今後、欧州での戦火の拡大を阻止するために何をすべきなのかを正確に理解しているかどうかだ。それはトランプ氏がウクライナ戦争にどう取り組んでいくのかにかかっている。
ウクライナ戦争をめぐっては、中国がロシアの戦争経済を下支えしているほか、イランも無人機などの兵器をロシアに供給している。さらに北朝鮮が軍部隊をウクライナの前線に派兵し、欧州・大西洋地域とインド太平洋地域は互いに連関する安全保障上の懸案を共有している実態が改めて明白となった。
トランプ氏は選挙期間中、「プーチン大統領とは非常に良好な関係にある」として、ウクライナ戦争は「迅速に解決できると思う」などと述べてきた。
米ユーラシア・グループによる今年9月の世論調査では「NATOはウクライナ戦争の対話終結を目指すべきだ」との意見への賛成回答が66%に上り、反対34%を上回った。
だが、複数の米紙報道によれば、トランプ氏はロシアがウクライナの占領地域を維持する形での停戦案を支持しているとされる。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、ウクライナが求めるNATO加盟を20年間棚上げにし、ロシアとウクライナの間に非武装地帯を設けるなどの案も取り沙汰されているという。
現時点で次期米政権の政策方針は確定していないが、本来の停戦とは露軍がウクライナから即時全面撤退し、ウクライナが領土を奪還することだろう。現在の前線を固定化し、将来的な領土の返還が望めそうにない停戦案をウクライナの最大支援国である米国が後押しすべきでない。
また、仮に米紙が伝えるような停戦が実現したとしても、一定の期間を経て露軍が部隊を再編成し、侵略行動を再開させる恐れは強い。停戦の有無にかかわらず、次期米政権および欧州諸国はこれまで通りウクライナの勝利を確実にするための軍事支援を遅滞なく続けなくてはならない。
■ロシアを利する愚
プーチン露政権が如何なる形であれウクライナ侵略により利益を得ることは、ロシアと国境を接する他の欧州諸国、ひいては欧州全域に対する領土的野心を誘発しかねない。
だからこそトランプ氏は、NATOに対する懐疑的な態度を自制し、米国の欧州防衛は揺るぎないとする立場をプーチン氏に誤解の余地なく繰り返し伝える必要がある。
ウクライナが欧州・大西洋地域とインド太平洋地域の共通の懸案と化した以上、ロシアを利するような対応は、台湾侵攻を窺う中国や、武力による南北統一の夢を完全には諦めていないように見える北朝鮮を冒険主義的な行動に駆り立てる危険を孕んでいる。
NATOなど欧州の同盟国を軽視するような態度も、インド太平洋地域での米国を軸とする同盟の枠組みを揺るがしかねない。
1期目に続いて次期政権でも中国を最大の地政学的な懸案と位置付けるトランプ氏としては、ウクライナ戦争を巡る錯誤が今後の対中戦略にも深刻な影を落としかねないことを肝に銘じるべきだろう。

<主張>拉致の解決 トランプ氏復帰を好機に
社説
2024/11/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20241115-JLHPR6D5ZVISHIQBKZ5CWZKFWU/
当時13歳の横田めぐみさんは昭和52年11月15日、新潟市の中学校からバドミントン部の練習を終えての帰路、北朝鮮の工作員に拉致された。
前日の昭和52年11月14日は父、滋さんの誕生日だった。
めぐみさんはお祝いに茶色の櫛を贈り、翌日、姿を消した。
あれから47年の長く残酷な歳月があり、この間に、最愛の娘との再会を待ち望んでいた滋さんも亡くなった。
母の早紀江さんは
「言いようのない苛立ちがある」
「政府は本気で取り組んでほしい」
と話している。
石破茂首相は拉致問題を
「一時も揺るがせに出来ない人道問題」
と述べた。
その言葉を行動で示してほしい。
米国では、トランプ氏が激戦を制し、大統領に復帰する。
前回の政権時を思い出したい。
国連総会の一般討論演説でトランプ氏は
「日本の13歳の少女が拉致された」
「彼女はスパイの養成に利用された」
「北朝鮮は凄まじい人権侵害を行っている」
と非難した。
めぐみさんのことだ。
2度の来日では拉致被害者の家族会と面会し
「心が引き裂かれた」
と涙を見せた。
金正恩朝鮮労働党総書記とは2度の米朝首脳会談に臨み、拉致に言及して
「顕著な進展を見せていない」
と責めた。
金正恩氏が言い逃れを繰り返す緊迫した場面もあったとされる。
会談後の会見でトランプ氏は拉致を取り上げた理由について聞かれ、
「安倍晋三首相の最重要課題でもあるからだ」
と述べた。
これらはトランプ氏が一面、情の人であることを示すと共に、家族会の粘り強い働き掛けや、当時の安倍首相による緊密な外交の成果と言えた。
石破氏はアジア太平洋経済協力会議(APEC)などに出席するため、南米に向かった。
帰国の途中でトランプ氏との会談も調整中だという。
石破氏には直接会談で拉致問題への怒りを何としても共有し、トランプ氏を再び拉致問題解決への主要舞台に引き上げてほしい。
それが
「一時も揺るがせに出来ない」
最優先課題である。
平成14年9月、訪朝した当時の小泉純一郎首相に金正日国防委員長が初めて拉致を認めて謝罪した背景には、米ブッシュ政権が北朝鮮をテロ支援国家に指定し、
「悪の枢軸」
と名指しした強い圧力があった。
忘れてはならない歴史の教訓だ。

宴のあと「戦間期」が終わる トランプ氏完勝で時代は再び自国第一主義に 宮家邦彦
宮家邦彦のWorld Watch
2024/11/14 9:00
https://www.sankei.com/article/20241114-FBLIPRHC7BJN7NLUUVNE3IALOI/
2024年11月5日の米大統領選挙はトランプ候補
「完勝」
だった。
娘夫婦の住むサンフランシスコや旧友の多いワシントンDCは
「お通夜の晩」
状態だったそうだ。
彼らの疑問や焦燥感はよく分かる。
ハリス候補は、
〇なぜ経済・移民問題で具体策を示さなかったのか
〇なぜ人工中絶問題に重点を置いたのか
〇なぜ男性、黒人、ヒスパニック系票を軽視したのか
〇なぜ民主主義の危機ばかりに警鐘を鳴らしたのか
〇なぜバイデン政策は「変えない」と口走ったのか…
等々、友人たちの失望と怨嗟の声が聞こえてくるようだ。
■ハリス候補が負けた選挙
古今東西、選挙は必ずしも「勝つ」必要はない。
相手が「負け」ればよいのだから。
ではなぜハリス敗北なのか。
今年2024年夏、彼女は千載一遇の機会を得た。
バイデン撤退によりハリス候補は見事「化けた」。
政治家は
「時代が作る」
の典型だが、選挙では二の矢、三の矢を射ないと、
「化けた」
政治家の
「化けの皮」
はいずれ剝がれてしまう。
彼女は、
〇インフレと移民という有権者の不満に応えなかった
〇バイデン政権の政策との「差別化」に失敗した
〇それで男性、黒人、ヒスパニック系票を取りこぼした
などと批判されたが、準備期間の短いハリス陣営に対し、トランプ陣営選挙参謀は見事だった…。
とは言っても、今の筆者の関心はハリス敗北の
「内政的理由」
ではなく、その
「世界史的意味」
である。
■歴史は韻を踏む
以前、1930年代の日本と2020年代の中国の歴史は
「韻を踏む」
と書いた。
今回も同様の分析を試みる。
現時点で筆者が考える
「仮説」
は次の通りだ。
〇ハリス候補の敗北は、第二次世界大戦後、冷戦時代を経て、欧米諸国で優勢だった
「啓蒙主義・自由主義的なグローバリズム」
の衰退を象徴する歴史的転換点ではないのか
〇トランプ再選は、単なる米内政のエピソードではなく、今後国際政治の趨勢が従来の
「国際主義」
から
「民族第一主義」

「ポピュリズム」
に復帰する前兆ではないのか
〇されば、今や第二次大戦後80年間続いた
「戦間期」
は終わり、再び民族国家間の
「弱肉強食」
の時代に戻りつつあるのではないか
より詳しく説明しよう。
■「民族国家」への回帰
近代
「民族国家」
の誕生は1648年のウェストファリア条約がきっかけだ。
欧州で30年続いたカトリックとプロテスタントの宗教戦争が終わり、領土相互尊重と内政不干渉による
「民族国家」
間の新秩序が始まったからだ。
国家間の争いが地球規模に拡大したのが1914年から4年続いた第一次大戦である。
欧州は荒廃し、不戦条約が結ばれ、国際連盟もできたが、ドイツに巨額の賠償金が課され、設立を提唱した米国は国際連盟に加入せず、改革は中途半端に終わった。
1939年の第二次大戦が1945年に終わり、自国第一主義への反省から、国際社会で改革の機運が復活する。
マーシャルプランや国際連合設立で国際主義は定着していった。
■トランプ時代の意味
ところがソ連崩壊後はIT化・グローバル化が急速に進み、格差と移民の拡大で庶民の不満と憤怒は極左と極右へ流れた。
1945年以来の啓蒙主義的国際化・自由化政策は否定され始めた。
時代は再び
「自国第一主義」
に回帰しつつあるのか。
これこそが
「ハリス敗北」
の世界史的意味である。
第一次、第二次大戦の
「戦間期」
は約20年。
今度の
「戦間期」
を80年で終わらせてはならない。
そのための戦略を考えることこそが政治指導者の役割ではないか。
【プロフィル】宮家邦彦
みやけ・くにひこ
昭和28(1953)年、神奈川県出身。
栄光学園高、東京大学法学部卒。
1953年外務省入省。
中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。
第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。
現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問。

<正論>経済と国家戦略の本筋見失うな 
麗澤大学客員教授・江崎道朗
2024/11/13 8:00
https://www.sankei.com/article/20241113-V46XRT33N5ICVEF4V437I5URKU/?165037
■トランプ次期政権への備え
第2次トランプ共和党政権が誕生することになったが、相変わらず批判的な報道が多い。
8年前の2016年の時もそうだったが、トランプ政権になると米国経済も国際社会の秩序も大混乱に陥ると多くの有識者たちが警鐘を鳴らしたが、そうはならなかった。
「防衛努力」
を怠ってきた日本は愛想を尽かされ、場合によっては日米安保条約も破棄されるかもしれないと言われたが、実際は安倍晋三政権が掲げた
「自由で開かれたインド太平洋」
構想にトランプ政権も同調するなど日米同盟は強化されることになった。
日米関係はむしろオバマ民主党政権の時の方が悪かった。
2009年に誕生した鳩山由紀夫民主党政権が沖縄の在日米軍基地移設に関してそれまでの協議を反故にするかのような発言を繰り返し、米国の不信感を買ったことも大きかった。
加えてデフレ不況が悪化し、日経平均株価は9000円前後と低迷した。
一方、当時の中国経済は絶好調で
「昇りゆく中国と沈みゆく日本」
「今後のアジアのリーダーは中国だ」
として米国の外交専門家たちは米中二極支配体制を指す
「米中G2構想」
を喧伝した。
よって第2次安倍政権が発足した2012年12月の時点で、日米関係はかなり冷え込んでいた。
日米関係を改善させるためには大きな課題が2つあった。
1つは、デフレ不況に伴う日本の長期低落傾向を何とかすることだ。
沈みゆく日本のままでは米国に相手にされないからだ。
そこで安倍政権はまず経済の立て直しに動いた。
大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略(規制緩和)の3本の矢に代表される経済政策であるアベノミクスを提唱し、日本銀行による大幅な金融緩和に踏み切った。
その影響で日本の株価は急上昇し、再び経済成長を始めた。
民主党政権の2011年、東日本大震災の影響もあって約497兆円まで落ち込んだ名目GDPも増加に転じ、今年2024年は600兆円を超える勢いだ。
経済成長を背景に高い支持率を獲得した安倍政権に対してオバマ政権も徐々に対応を変えざるを得なかった。
■安倍政権の成果忘れず
日米関係を冷え込ませていたもう1つの要因は、世界戦略の違いだった。
オバマ政権は米中連携重視派だったが、第2次安倍政権は中国の経済的軍事的台頭に対峙するつもりだった。
2013年12月、安倍政権は戦後初めて自前の国家安全保障戦略を策定した。
それまで日本は国防だけでなく対外戦略も米国に依存していた。
だが日本は日本のやり方でやっていくとして自前の国家戦略を定め、中国などに対峙する態勢構築を始める。
具体的には自国の防衛とインテリジェンス部門の強化に踏み切ると共に、自由主義陣営との関係強化に努めた。
同12月、特定秘密保護法を制定した。
これは防衛、外交、スパイ防止、テロ活動防止の4分野で、安全保障に支障を来す恐れのある情報を公開しないことができるようにし、かつ秘密を漏らした公務員などに対して最長10年の懲役刑を科すものだ。
これに基づいて外国との情報共有を進め、米、NATO、仏、豪、英に続いて印、伊、韓、独などと情報保護協定を締結し、軍事技術だけではなく有事の際の共同作戦に必要な情報も共有できるようになった。
■多国間軍事・情報協力強化
2015年9月には平和安全法制を制定した。
これは集団的自衛権の限定的行使を可能とすると共に自衛隊の活動範囲を拡大し、他国軍への後方支援活動を強化するものだ。
この法律に基づいて我が国は物品役務相互提供協定(ACSA)を米、豪、英、仏、独、加、印と結んだ。
これは軍同士が互いに物品やサービスを提供し合う協定だ。
更に円滑化協定(RAA)を豪、英、比と締結した。
これは一方の軍隊が他方の国を訪問して協力活動を行う際の手続きおよび同部隊の地位等を定めたものだ。
このように第2次安倍政権は自由主義陣営内での外交・軍事・情報協力体制を強化し、
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を推進してきた。
こうした実績があったからこそトランプ氏も安倍氏を重視したのだ。
岸田文雄政権はこの国家戦略を全面的に改訂し、サイバー、宇宙、ミサイル、ドローン、認知戦など
「新しい戦い方」
に対応すべく日米同盟の
「現代化」
を始めた。
台湾有事を見据えて日米同盟は更に強化されていくことになろう。
ただし残された課題も多い。
インテリジェンス部門の拡大強化、台湾との軍事・情報部門の連携、何よりも憲法9条改正をはじめとする国防の基本法制の整備が必要だ。
我が国は今、右往左往している場合ではないのだ。
アベノミクスに基づく経済成長と安全保障の強化に専念する時期なのだ。
それが日米関係を安定させ、かつ自由で開かれたインド太平洋を維持・発展させていくことになる。
本筋を見失わないようにしたいものだ。

イスラエル首相、トランプ氏再登板でも板挟み 西岸併合なら闘争激化、ガザ北部駐留か
「トランプ2・0」と世界E
2024/11/16 10:00
https://www.sankei.com/article/20241116-M7GUORCCSZPKHDCDV4RMUQWOCM/?outputType=theme_uspe
イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ前米政権と蜜月関係を築いた。
トランプ次期大統領は1期目で、国際社会の懸念を顧みずにイスラエル偏重の政策を主導し、エルサレムをイスラエルの首都と認定して西部テルアビブから大使館を移転した。
また、イスラエルとアラブ4カ国の関係正常化を仲介し、パレスチナ問題の風化をもたらした。
これ以上ない支援者の再登板で、ネタニヤフ政権の米次期政権への期待は膨らむばかりだ。
トランプ氏も更にイスラエルに肩入れする可能性がある。
■イスラエルへの肩入れが進む可能性
その兆しは、駐イスラエル大使にハッカビー元アーカンソー州知事を指名したことにも表れている。
ハッカビー氏は17歳の時から100回ものイスラエル訪問歴があるとされる熱烈な支持者だ。
イスラエルは第3次中東戦争(1967年)以来、国連安全保障理事会決議に反してヨルダン川西岸地区を占領しているが、ハッカビー氏は
「そんな事実はない」
と否定。
イスラエルによる西岸併合を容認する構えだ。
熱心なユダヤ教徒にとって、聖書にも記述がある西岸は
「神から与えられた土地」
という重要な意味がある。
とはいえ、併合すれば国際的な孤立が深まることは確実だ。
西岸住民の8割超はパレスチナ人で、併合はユダヤ人への敵対心を刺激するため、第3次インティファーダ(反イスラエル闘争)に発展しかねないとの懸念も聞かれる。
イスラエル英字紙エルサレム・ポスト(電子版)は2024年11月13日付社説で、こうしたリスクを挙げて併合への反対を表明した。
一方、ネタニヤフ政権に加わる対パレスチナ強硬派の極右政党は、トランプ政権復活を前に併合を声高に主張している。
ネタニヤフ氏が利害をどう勘定するかが焦点だ。
■トランプ氏、2025年1月20日までのガザ停戦求める
米政権交代は、パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスとの戦闘にも影を落としている。
トランプ氏は自らの大統領復帰を見込んで、来年2025年1月20日までの戦闘終結をネタニヤフ氏に求めてきた。
ガザへの物資搬入増加など、バイデン現米政権の数々の要請を受け流したネタニヤフ氏も、トランプ氏の意向は無視できないと言われる。
半面、ハマスと停戦すれば、組織壊滅まで戦うべきだと訴える極右政党が連立を離脱しかねない。
板挟みの難問を解くカギになりそうなのが、イスラエル軍が2024年10月初めにガザ北部の一部を包囲して始めた新たな軍事作戦だ。
激しい爆撃と食料流入の遮断で、多数のパレスチナ人住民が避難しつつある。
トランプ氏の就任に合わせて
「大規模戦闘の終了」
を宣言する一方、治安上の懸念を名目に北部に軍を常駐させ、対ハマス攻撃を続けるといったシナリオも想定される。
■イランとの軍事衝突に懸念も
パレスチナ人の政治評論家アイマン・リクブ氏は2024年11月14日、交流サイト(SNS)を通じた産経新聞の取材で
「トランプ氏が(次期政権の要職に)指名した面々を見ると、中東で続く戦争を止める気がないことが分かる」
と指摘し、イスラエル軍は可能な限り長くガザに居座ると予測した。
またイランを巡っては、
「テロ国家だ」
などと厳しく批判してきたルビオ上院議員が次期国務長官に指名され、トランプ氏が引き続きイランに敵対的姿勢で臨む方針が鮮明になった。
前大統領時代、トランプ氏は欧米などとイランが2015年に結んだ
「核合意」
を一方的に離脱し、対イラン経済制裁を復活させて
「最大限の圧力」
をかけた。
今年2024年10月には、イスラエルについて
「イランの核施設を攻撃すべきだ」
と語っており、米・イスラエルとイランの軍事衝突を懸念する向きもある。
中東の混乱はこれからが本番かもしれない。

欧州、対ロシアと米欧貿易でトランプ氏との関係難題 右派ポピュリズム勢力の台頭に拍車も
「トランプ2.0」と世界D
2024/11/15 11:00
https://www.sankei.com/article/20241115-744IDCKD2NKLTLHVI4AB7LE2J4/?outputType=theme_uspe
「米国の同盟国とは、クリスマスの夜に父親からプレゼントをもらう子供のようなものだ」
米大統領選が4年ごとに実施される度に、主要国の外交官や国際問題の専門家などの間では、こんな警句が飛び交うという。
クリスマスで子供は父親から何をもらおうと
「これが欲しかったんだ」
と嬉しがらなくてはならない。
同じく米同盟国は、誰が米大統領に当選しようと
「歓迎します」
と述べ、新大統領と良好な関係を築くことを宿命づけられている。
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のサイモン・フレイザー理事長は
「欧州各国は押しなべて民主党のハリス副大統領の勝利を望んでいた」
とした上で、英独仏など欧州主要国の首脳が先を争うようにトランプ次期大統領に祝意を伝えるなどして関係構築に走ったのは
「正解だ」
と指摘した。
■欧州首脳らは先を争うように祝意伝えたが
だが、現実の問題として、欧州とトランプ次期政権の連携には多大な困難が伴うのは避けられない。
まず、ロシアによるウクライナ侵略への対応を含めた欧州の対露防衛に関しては、トランプ氏はロシアを利するのも辞さない態度でウクライナ戦争の早期終結を唱えており、ウクライナの勝利が欧州全体の平和と安定に繋がるとする欧州諸国の立場との乖離は明白だ。
貿易分野では、トランプ氏は欧州からの輸入品に10〜20%の関税を課すと主張している。
仮に実施されれば欧州連合(EU)が報復関税の導入に踏み切り、米欧の緊張が高まるのは必至だ。
トランプ氏が目指す中国への関税引き上げにEUが同調しなければ、関係悪化に拍車をかけかねない。
加えて、トランプ氏の再登板は政策だけでなく、欧州の政治思潮にも大きな影響を与える恐れが強い。
■英労働党政権はトランプ氏と冷たい関係か
英ロンドン大経済政治学院(LSE)のピーター・トルボウィッツ教授(国際関係論)は、トランプ氏の返り咲きが
「欧州の反グローバル主義のポピュリスト(大衆迎合主義者)たちを力付け、勢い付かせることになる」
と予想する。
英国では、トランプ氏と親密な関係にある右派の大衆迎合政治家、ナイジェル・ファラージ氏がスターマー労働党政権とトランプ氏との仲介役を買って出るとの観測も浮上している。
ラミー英外相が過去にトランプ氏を
「ネオナチ」
などと批判していたことなどが影響し、次期米政権との関係冷却化が早くも指摘されているためだ。
ファラージ氏率いる右派政党のリフォームUKは2024年7月の総選挙で5議席を獲得する躍進を果たした。
ドイツでは2024年9月、旧東独地域の州議会選挙で極右政党が議席を伸ばしている。
フランスでもマリーヌ・ルペン氏が事実上率いる「国民連合(RN)」は、2024年6〜7月の総選挙で最終的に伸び悩んだとはいえ、仏政界の主要な勢力であり続けている。
トルボウィッツ氏は、トランプ氏の勝利が欧州の右派政党にも勢力拡大の
「連鎖反応」
を引き起こし、欧州政治を変えていくとした上で、こう強調した。
「第二次世界大戦後に築かれた自由な世界秩序が今も堅固だと信じている人がいるとしたら、そろそろ目を覚ます時期に来た」

韓国、トランプ氏と金正恩氏の頭越し妥協を警戒 核武装論も高まる可能性
「トランプ2.0」と世界C
2024/11/14 10:00
https://www.sankei.com/article/20241114-S4RWOAIHSZKGZKRCUCTQLECO7I/?outputType=theme_uspe
トランプ米次期大統領は、安全保障政策の柱として1期目から
「力による平和」
の実現を主張してきた。
同じく
「力による平和」
を掲げるのが韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領だ。
尹氏はトランプ氏との2024年11月7日の初の電話会談で、日米韓の連携強化にはトランプ氏の1期目の寄与があったと評価。
同日2024年11月7日の記者会見では、訪韓した米上・下院の議員らから尹氏とトランプ氏は
「相性が合う」
と言われたことを紹介し、米次期政権と
「うまくやっていける」
と自信を見せた。
ゴルフ好きのトランプ氏との交流に備え、8年ぶりにゴルフの練習も始めたという。
■米韓の「力による平和」には隔たり
だが、両氏が掲げる
「力による平和」
の中身には乖離がある。
尹氏が
「自由民主主義の価値の共有」
という理念を重視するのに対し、トランプ氏は、自国の経済的利益を最優先してきた。
トランプ氏は2018年6月のシンガポールでの初の米朝首脳会談で、
「莫大な費用がかかる」
という理由から米韓合同軍事演習の中断を韓国側に一言の相談もなく即興で決めてしまった。
今回の大統領選の最中にも、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との親密さをアピールし、
「核兵器を持つ指導者と良好な関係を築くことは良い事だ」
と発言した。
韓国では、トランプ氏が北朝鮮を核保有国と認めた形で金氏と交渉を始め、米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発凍結と引き換えに制裁緩和に踏み切るのではないか−との懸念が持ち上がっている。
こうした国内の不安に対し、韓国外務省高官は2024年11月12日、米朝対話が再開されるとしても
「我々の立場が反映されるべきだ」
とクギを刺した。
韓国大統領府の申源G(シン・ウォンシク)国家安保室長がソウルでの国際会議で
「米次期政権と連携し、北朝鮮の非核化という目標を堅持していく」
と強調するなど、尹政権は国内の不安払拭に傾注している。
■北の派兵問題でも難しい対応
それに加え、北朝鮮がウクライナを侵略するロシアに朝鮮人民軍部隊を派兵したことが、対北安保の状況をより複雑化させている。
尹氏は、北朝鮮の将兵が実戦経験を積み、ロシアが派兵の見返りに軍事技術を北朝鮮に移転させれば、
「韓国の安保の致命的な脅威となり得る」
との認識を示し、ウクライナへの攻撃用兵器の供与も排除しない考えを表明した。
しかし、トランプ氏はウクライナ侵略戦争の早期終結に向けた仲介に意欲を示している。
尹政権がウクライナへの兵器支援に舵を切った後で突如、ウクライナに不利な形で停戦となれば、支援はさして役に立たないままロシアとの決定的な関係悪化だけを招く。
韓国ははしごを外される形となりかねず、兵器支援の是非について判断を難しくさせている。
派兵した北朝鮮にとっても、トランプ氏再登板で不確実性が高まる。
ロシアに恩を売るために派兵したのに、早期停戦となればその効果は減じてしまうからだ。
北朝鮮が来年2025年1月のトランプ氏就任までに、ウクライナとの戦闘で戦果を上げようと切迫感にかられ、派兵規模を急拡大させる可能性も否定できない。
韓国世宗(セジョン)研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)朝鮮半島戦略センター長は、米国の国益を優先するトランプ氏の返り咲きで
「近い将来、米国が果たしてきた自由陣営を守る『警察』の役割を期待できない時代が来る可能性が高い」
と指摘。
韓国が独自に核武装すべきだという世論が国内で一層高まる事態は避けられないとの見方を示す。

ロシア「前回は裏切られた」とトランプ氏に疑念 ウクライナ停戦条件を見極めへ
「トランプ2.0」と世界B
2024/11/13 10:00
https://www.sankei.com/article/20241113-AOHPYDGRKNKDHM6YS6OPOFYSBY/?outputType=theme_uspe
米国のトランプ次期大統領について、ロシア外務省に近い専門家はこう話す。
「露政権内にはトランプが前回当選した2016年のような喜びのムードはない」
「トランプがロシアの立場をどこまで理解しているか、ロシアにとって望ましい振舞いをするのかどうかを疑っているためだ」
この専門家が言うように、2016年の米大統領選でプーチン露政権はトランプ氏の当選を大歓迎した。
ロシアは2014年にウクライナ南部クリミア半島を一方的に併合し、当時のオバマ米政権と対立を深めていた。
ロシアに融和的と目されたトランプ政権の発足が、対露制裁の解除など関係改善に繋がると期待したのだ。
しかし実際には、トランプ氏は2017〜2021年の前回任期中、対露制裁を強化し、米国として初めてウクライナへの殺傷兵器の供与に踏みきった。
米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約や、偵察機による相互監視を定めたオープンスカイ条約も破棄した。
「トランプはロシアの安全保障に関心を持っていない」
「ロシアは期待を裏切られた」
と冒頭の露専門家は話す。
ロシアは2022年2月からのウクライナ侵略戦争で、ウクライナの降伏による
「戦勝」
を早期に達成したいと考えている。
今回の大統領選で、ウクライナ支援の継続を約束する民主党のハリス副大統領ではなく、早期の停戦を実現するとしてきたトランプ氏が勝利したことは、ロシアにとって
「悪くない結果」
に違いない。
それでも、ロシアは前回の
「失望」
からトランプ氏に過度の期待を抱いていない。
ロシアは自国の
「安全保障」
をウクライナ侵略の理由の1つに掲げている。
北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大やウクライナのNATO加盟希望を
「脅威」
としてきた。
米国はこうしたロシアの立場を尊重せねばならない、というのがプーチン露政権の言い分だ。
だが、ウクライナ侵略戦争の早期停戦を訴えるトランプ氏が、そうしたロシアの主張に理解を示すかどうか。
「トランプの最大の関心は中国抑止であり、ロシアとウクライナに停戦を求めるのも対中政策に注力するために過ぎない」。
露有力紙
「独立新聞」
はこんな懐疑的な見方を示している。
一部の米メディアによると、ウクライナ戦争終結に向けたトランプ氏の計画には、ウクライナのNATO加盟を20年間凍結するのと同時に、ロシアの再侵略を防ぐために米国が大量の兵器をウクライナに供与するとの内容が含まれている。
報道が事実だとすれば、この計画はウクライナの永続的な
「中立化」

「非軍事化」
を掲げて侵略戦争を始めたロシアに受け入れられるものではない。
プーチン氏は2024年10月24日、トランプ氏がウクライナ戦争終結に尽力するとしていることについて、
「そうした発言は誰からのものであろうと歓迎する」
と述べた。
2024年11月7日にも、停戦は実現できるとするトランプの発言を
「関心を払うに値する」
とし、ウクライナ情勢に関してトランプ氏と協議する意向を示した。
しかし、トランプ氏の見解を聞くことと、それを受け入れることは全く別問題だ。
ペスコフ露大統領報道官が2024年11月6日に述べた言葉は、トランプ氏に対するロシアの慎重な姿勢を端的に表している。
「紛争終結に関するトランプの発言は今、最終評価すべきものではない」
「米大統領はしばしば当選後に発言を変える」
「ロシアは具体的な発言や行動を注視した上で結論を下す」

中国、米大統領に関係なく「自立自強」へ強気 トランプ氏による同盟弱体化も期待
「トランプ2.0」と世界A
2024/11/12 10:00
https://www.sankei.com/article/20241112-JWBBDUE2NZP4FOIIBG4WRDRYHM/?outputType=theme_uspe
中国の交流サイト(SNS)ではトランプ米次期大統領を
「川建国同志」
と表記する人が多い。
「川」
はトランプ氏を中国語で
「川普」
と書くことにちなむ。
トランプ氏は、中国建国に匹敵する恩恵を与えてくれるのではないかとの期待が込められている。
対中強硬姿勢で知られるトランプ氏を
「建国同志」
と呼ぶ人が多いのはなぜか。
■対中強硬派のトランプ氏が「同志」に?
トランプ氏は中国製品に60%の関税を課す方針を示している。
米中の貿易関係者は今、
「第2次貿易戦争」
の勃発に身構えている。
政府系シンクタンク、中国社会科学院の張明・金融研究所副所長は2024年11月6日、
「関税の衝撃で2025年は中国の輸出に悪影響が生じる」
との分析を示した。
中国は不動産市況の悪化に伴う景気低迷に悩んでおり、貿易戦争の再発が
「泣きっ面に蜂」
となるのは確かだ。
ただ、対米輸出が中国の国内総生産(GDP)に占める割合は23年に2・8%である。
米国とのイデオロギー的な対立は誰が大統領になろうと不可避であり、それならば対中圧力を機に
「自立自強」
の態勢を整えようとの覚悟も中国には見てとれる。
2024年12月1日には、貿易相手国が合意に反して追加関税などの措置をとった場合、輸入品に報復関税を課せるとした関税法を施行する。
トランプ前政権期にはハイテク戦争も激化したことから、米欧の科学技術への依存脱却も進めている。
米大統領選の投開票が行われた今月2024年11月5日、習近平国家主席は湖北省を視察し、
「ハイレベルの科学技術の自立自強」
を急ぐよう檄を飛ばした。
実際、ハイテク戦争でトランプ前政権のやり玉に挙げられ、大打撃を受けた中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は、基本ソフト(OS)などIT製品に不可欠な技術の国産化を進め、業績を回復させた。
中国紙、第一財経日報(電子版)は、米国による中国ハイテク企業への圧力について、逆に半導体などの
「国産化」
を加速させるとの見方を伝えた。
「一度国産代替をやり遂げれば、米国の制裁は無意味になる」
と強気だ。
■「中国包囲網」は弱まるとの期待
米次期政権の外交・安全保障政策を巡っては、トランプ氏の
「米国第一」
主義や予測不可能性により、米国の同盟関係や対中包囲網が弱体化することへの期待が強い。
香港メディア「香港01」は、バイデン政権が進めた同盟国との連携強化をトランプ氏が覆せば
「中国に有益だろう」
と見込む。
香港紙、星島日報(電子版)もトランプ次期政権で
「国際的な中国包囲の『統一戦線』は縮小するだろう」
と予想した。
「東南アジアなどでは米国よりも中国を重視する人が増えている」
と日中外交筋は危惧している。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の10加盟国の有識者らを対象にした年次調査では今年2024年、ASEANが米国と中国のいずれかと同盟を結ぶことを迫られた場合、中国を選ぶべきだとの回答が初めて米国を上回った。
■台湾が「取引材料」なら悪くない
中国が「中米関係で最も重要で敏感な問題」とする台湾についてはどうか。
トランプ氏は中国が台湾に侵攻すれば
「150〜200%」
の関税を課すと発言している。
「香港01」は、トランプ氏が台湾を要衝ではなく取引材料と見做しているとし、
「関税を米国の台湾不介入に換えられるなら、これは中国にとって悪いことではない」
と指摘する。
中国が不安を拭い切れないのは、トランプ氏が中国に全圧力を集中させるため、ロシアのウクライナ侵略戦争を早期に終結させるとしていることだ。
上海外国語大の黄靖・特聘教授は論評で、米露関係が改善すれば
「中国の安保環境は極大的に悪化する」
とし、それを
「ニクソン・ショック2・0」
と呼んで警戒した。
1971年に当時のニクソン米大統領が、ソ連牽制などのために中国との電撃的な関係改善に動いた
「ニクソン・ショック」
になぞらえたのだ。
果たして、トランプ氏は
「建国同志」
となるのか否か。
それによって世界の形は大きく変わってくる。

トランプ氏が台湾軽視なら「疑米論」拡大 頼清徳政権に打撃、中国に好都合な展開も
「トランプ2.0」と世界@
2024/11/11 10:00
https://www.sankei.com/article/20241111-FRS2NIKSPNKGXC2GOXGTHO3XWM/?outputType=theme_uspe
米国のトランプ次期政権が掲げる
「米国第一」
主義は、台湾海峡情勢を不安定化させるリスクも孕む。
「台湾は我々の半導体事業を盗んだ」
「そして彼らは(中国の脅威からの)保護を求めている」。
トランプ氏は2024年10月下旬、台湾への不満を露わにした。
2024年7月には
「台湾は9500マイル(約1万5000キロ)離れている」
「中国からは68マイル(約109キロ)だ」
と台湾防衛に懐疑的な姿勢まで示した。
もっとも第1次トランプ政権(2017〜21年)で米台関係は良好だった。
2018年には米台高官の相互往来を促す
「台湾旅行法」
が成立。
任期中の台湾への兵器売却は総額183億ドル(約2兆8千億円)に上り、バイデン政権の76億ドル(約1兆1600億円)を大きく上回る。
だが、第1次政権期に台湾の駐米代表を務めた高碩泰(せきたい)氏は、第2次政権を巡り
「人事や政策決定において大きな転換があるだろう」
と2024年11月7日のシンポジウムで発言し、楽観論を戒めた。
台湾の清華大栄誉講座教授、小笠原欣幸氏も
「1期目のトランプ政権では、大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたジョン・ボルトン氏ら台湾の戦略的価値を十分に理解している人たちが、うまく中国を押さえ込みつつ台湾との関係を実質的に拡大した」
「しかし、多くはトランプ氏の周辺から去った」
と指摘する。
台湾世論に
「無関心」
なトランプ氏が第2次政権で外交・安保政策を主導した場合、何が起きるのか。
トランプ氏は、台湾が防衛費を域内総生産(GDP)比10%まで増やすべきだと発言している。
政権要職への起用が取り沙汰されるエルブリッジ・コルビー元国防次官補代理が言及した
「5%」
でも2025年予算案の防衛費と比べて倍増となる。
民主進歩党が少数与党となった立法院(国会に相当)で、こうした予算案の審議が行き詰まるのは不可避だ。
台湾に
「保護費」
の支払いを求めるトランプ政権から大量の兵器購入を強いられ、
「虎の子」
である半導体企業の米国移転まで迫られた上に、いざ有事の際に米軍の関与は期待できない−。
台湾にこうした
「疑米論」
が広がれば、親米路線の頼清徳政権にとっては最悪のシナリオとなる。
2028年の次期総統選で中国に融和的な最大野党、中国国民党が政権を奪取することも現実味を帯び、台湾の併呑を狙う中国の習近平政権には理想的な展開となる。
「疑米論の拡大で台湾世論がじわりと動き始める可能性は捨てきれない」
「そうなれば米国のインド太平洋戦略の要がオセロのようにひっくり返る」
「台湾が中国に取り込まれた時点で米国が気づいても手遅れだ」。
小笠原氏は警鐘を鳴らす。

石破首相とトランプ氏会談わずか5分の衝撃 韓国・尹大統領の半分以下 党の両院議員懇談会でも集中砲火、まさに四面楚歌
2024.11/8 11:32
https://www.zakzak.co.jp/article/20241108-J5S64FY5UVPINAX3WEKJIVUNAM/
「政権居座り」
に執着する石破茂首相(自民党総裁)が四面楚歌≠ノ陥りつつある。
2024年11月7日の党両院議員懇談会では、衆院選で勝敗ラインとした
「自公与党で過半数」
を割り込む大惨敗を喫した責任について集中砲火を浴びた。
国会運営では、少数与党ゆえ、躍進した国民民主党の意向に配慮せざるを得ない上、国会の最重要ポストの1つである衆院予算委員長を立憲民主党に譲り渡した。
米大統領選で勝利したドナルド・トランプ前大統領との電話会談は、何と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の半分以下という5分間。
米メディアには、石破首相の
「日米同盟不平等論」
を問題視する向きもある。
過去に現実軽視の持論を並べ立て、他人を批判し続けた
「特大ブーメラン」
が次々と刺さっている悪循環は続きそうだ。

「国民の期待に十分応えることができなかった」
「痛恨の極みだ」
「深く反省し、お詫びしなければならない」
「真摯に受け止め、改革に前向きに取り組んでいく」
石破首相は2024年11月7日、衆院選総括のために開催した両院議員懇談会で、こう陳謝した。
衆院選での自民党惨敗は
「国民の審判」
そのものであり、
「政権居座り」
こそが国民の期待に反するのではないか。
当然、参加者からは、執行部の責任を問う声が相次いだ。
投開票直後から辞任論を掲げていた青山繁晴参院議員は
「2024年年末に予算編成をするわけで、その前に自ら潔く決意し、辞意を表明されるべきだ」
と主張したという。
記者団にも
「『政権選択選挙』で負けたのに責任を取らないのでは、自民党が民主主義を掲げることはできない」
と言い切った。
西田昌司参院議員も
「党の体制を刷新しないと(来年2025年夏の)参院選を戦えない」
と訴えた。
石破執行部に対しては、
「非公認」
候補が代表を務める政党支部にも選挙前に2000万円を支給した判断を問題視する意見も続出した。
柴山昌彦元文科相は
「世論から如何にかけ離れているか、執行部はしっかり受け止め検証すべきだ」
と発言した。
小林鷹之元経済安保相も、執行部から事前に明確な説明がなかったと苦言を呈し、
「党が一丸となって政策を進めていく環境を作る必要がある」
と訴えた。
厳しい批判が噴出する中、馬の耳に念仏なのか、石破首相は具体的な責任論に言及しなかった。
森山裕幹事長も
「強く責任を感じる」
「厳しい批判は厳粛に受け止める」
「(2000万円は)非公認の人が選挙費用に使える仕組みにはなっていない」
と釈明したものの、そのまま続投する意向だ。
石破首相と距離を置く麻生太郎元首相は発言しなかった。
「ポスト石破」
を期待される高市早苗前経済安保相は欠席した。
衆院選で
「非公認」
となり無所属で勝利した萩生田光一元政調会長は、高市氏と連携する意向を示しているが無言を貫いた。
出席議員は執行部を除き約180人で、非公開で約50人が発言したが、大半は
「当面の続投」
を支持したという。
ある閣僚は
「ガス抜きになった」
と語っている。
石破政権は国会運営にも不安がある。
国会の委員会で最重要ポストの予算委員長を、立憲民主党に譲ることで合意したのだ。
予算委員長に野党議員が就くのは30年ぶりだという。
同委員長は採決日程の決定や議事進行などで大きな権限を持ち、局面によっては予算案審議が難航することも想定される。
■米報道日米に「緊張が高まる可能性秘めている」
石破政権は、外交でも不安は尽きない。
石破首相は2024年11月7日午前、米大統領選で勝利したトランプ氏と初めて電話会談を行った。
石破首相は
「日米同盟をより高い次元、段階に引き上げていくことで一致した」
「フレンドリーな感じがした」
「本音で話ができる人という印象を持った」
を手応えを語ったが、時間は5分間だった。
トランプ氏は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とは約25分間、韓国の尹大統領とは約12分間も会談している。
前駐オーストラリア大使の山上信吾氏は2024年11月7日、自身のX(旧ツイッター)で、
「僅か5分しか相手にされず、英語も解さないのに、何を以て『非常にフレンドリー』と判断できるのか?」
「メディアの突っ込みが弱過ぎる」
と指摘した。
米メディアでは
「背後から銃で撃つ」
と党内外から批判された石破首相の政治スタイルを問題視する向きもある。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは、自民党総裁選の投開票日(2024年9月27日)、石破首相が
「日米同盟を不平等だとして再構築を唱えてきた」
と指摘し、米政府との間に
「緊張が高まる可能性を秘めている」
と報じている。
同紙は、石破首相が
「概ね保守的で防衛にタカ派的」
としながらも、安倍晋三元首相や岸田文雄前首相とは異なり
「日米同盟の非対称的な側面に不満を抱いている」
と分析。
更に、2018年に石破首相に行ったインタビューから、
「トランプ大統領とゴルフしなくてもいい、トランプタワーに行かなくたっていい」
「日本は手強いぞと思わせることが大事だし、ディールのカードを持つこと(が大事)」
「安全保障でディールのカードを全く持っていない」
との、安倍氏とトランプ氏の盟友関係を批判的に語った発言を紹介している。
石破政権はどうなるのか。
政治評論家の有馬晴海氏は
「両院議員懇談会は『ガス抜き』で終わったようだが、『石破おろし』を巡る自民党内の見方は甘い」
「選挙を控える参院議員の中では退陣論も挙がる」
「『石破カラー』で支持率回復の目もあるが、石破首相は演出は上手くない」
「我慢強さを見せせ、耐えるしかない段階だが、全てにおいてヨタヨタで、ちょっとしたきっかけで政権が終わる可能性はある」
と語った。
外交はどうか。
評論家の八幡和郎氏は
「トランプ氏との5分だけの電話会談は象徴的だ」
「石破首相のキャラクターと、トランプ氏の相性も懸念されている」
「重要なのは『本音で話す』ことではなく、『メンツを潰さないよう迎合しているかに見せて誘導する』ことだ」
「石破政権には厳しい宿題が多く課されている」
と分析した。

「トランプ側近の本音」石破首相の評価は? パイプ持つ日本保守党・島田洋一議員が聞いた「世論に迎合する信用できない男」
2024.11/8 15:24
https://www.zakzak.co.jp/article/20241108-RH7XVVVQKJJWFGBDK6T74MESFE/
石破茂首相は2024年11月7日、米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ前大統領と電話会談した。
首相はトランプ氏の印象を
「非常にフレンドリーな感じ」
と述べたが、トランプ氏周辺は実際のところ、石破首相や石破外交をどう見ているのか。
国際政治学者で共和党やトランプ陣営と太いパイプを持つ日本保守党の島田洋一衆院議員に
「トランプ側近の本音」
を聞いた。
石破首相は電話会談でトランプ氏に祝意を伝え、日米同盟をより高い次元に引き上げる考えで一致したと話した。
だが、大統領選直後にトランプ氏側近らとコンタクトを取ったという島田氏は
「衆院選にも敗北して政治力もないとして、トランプ氏周辺で石破首相の評価は高くない」
「マイナスからのスタートというより、スタートできるかも怪しい」
と指摘する。
島田氏によると、
「日米地位協定の見直し」

「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」
といった石破首相の持論にも、トランプ陣営の反応は冷ややかだという。
「日米地位協定の改定は米軍の機密保護や米兵の身の安全に関わるため、米国は超党派で反発している」
「アジア版NATOについては、石破首相が発信を控えていることが、却って『世論に迎合するような信用できない男』と見られているようだ」
石破首相とトランプ氏は、早期に対面での会談を調整する方針を確認したというが、島田氏はこんな見方を示す。
「会談では米国と同じ路線で取り組む態勢が出来ていると、しっかりプランを示して行動できるかが重要だ」
「例えば岩屋毅外相は中国寄り≠ニ見られていて、防衛相時代の2018年には韓国海軍による自衛隊機へのレーダー照射問題に対応出来なかった」
「『人事は政策』であり、情報発信にもなるので、刷新すべきではないか」
トランプ氏が2016年の大統領選に勝利した際には、安倍晋三元首相がトランプタワーを訪問するなどして蜜月関係を築いた。
「トランプ政権発足直後の朝鮮半島危機や、中国に対する締め付けにも、安倍元首相は真っ先に協力するなど、間髪入れずにサポートする行動が信頼関係を固めた」
と島田氏は分析する。
これまで学者として北朝鮮による日本人拉致問題や日米関係の強化に取り組んできた島田氏だが、衆院選で日本保守党から出馬して当選し、今後は国会議員の立場で臨むことになる。
トランプ陣営の反応について島田氏は
「日本保守党から出馬し当選したことを
『米国で言えばトランプ現象に値するものだと理解している。日本保守党と連携していきたい』
と言われた」
「日本保守党の『日本第一』は、トランプ氏の『米国第一』と通じ、『脱炭素原理主義』に異を唱える基本線も一致する」
と明かした。
トランプ陣営は今、外交路線をどう考えているのか。
島田氏は
「中国を『主敵』と位置付け、軍事利用可能な技術を含む最先端ハイテク分野や知的財産で厳しく締め上げて供給網から外すことを検討している」
「トランプ氏は経済分野の交渉で習近平国家主席が誤魔化そうとしても許さないだろう」
との見方を示した。

ロシアと北朝鮮の協力「米も脅かす」 NATOのルッテ事務総長
2024/11/7 22:59
https://www.sankei.com/article/20241107-QTW7IZVC6ZKR7BY733ZVTF3J4Y/
北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は2024年11月7日、ロシアが北朝鮮による軍事協力の見返りに、北朝鮮に技術提供しているとの見方を示し
「将来的に米本土や欧州を脅かすことになる」
と警告した。
NATOに批判的で、ウクライナ支援にも消極的なトランプ氏が米大統領選で勝利したことを受け、同氏に欧州との協力の重要性を訴えた。
欧州政治共同体(EPC)首脳会合が開催されたハンガリーの首都ブダペストで記者団に語った。
ルッテ氏は
「ロシアと北朝鮮、イラン、中国による対ウクライナ連携が明らかになってきている」
「これは非常に危険な展開だ」
と指摘。
「この脅威にどう立ち向かい、世界の安全をどう確保するかについてトランプ氏と共に考えていきたい」
と強調した。(共同)

<主張>トランプ氏と経済 米国第一への備え万全に
社説
2024/11/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20241108-TO2SHDQW3ZLOBPGJT33URQY6WE/
トランプ次期米大統領は、インフレなどで現政権を批判し、経済政策を抜本的に改める姿勢を示してきた。
米国を再び偉大にするには経済を強化するしかないとの思いが強いのだろう。
中国の台頭で世界経済における米国の影響力が相対的に低下する中、国内産業を再興し雇用を守ることは重要だ。
だが、現政権の政策をことごとく否定する言動は危うさも孕む。
自国第一主義の下、中国はおろか西側諸国にも関税などで経済的圧力をかけようとする姿勢も相変わらずである。
日本を含む各国は新政権がもたらしかねない世界経済の混乱や分断に備えねばならない。
石破茂首相は2024年11月7日、トランプ氏と電話会談し、日米同盟を高次元にする考えで一致した。
日米は中国などの専制主義国を念頭に経済安全保障上の連携も深化させなくてはならない。
そのためにも米国が内向きにならぬよう働きかけるべきは当然だが、トランプ氏は同盟の意義以上に経済実利を優先しがちだ。
日本の官民はそれを前提に対策を講じる必要がある。
トランプ氏は法人税や所得税の減税などを掲げている。
中国からの輸入品への高関税だけでなく、その他の国にも10〜20%の関税を課す考えも示した。
ただし、これらがトランプ氏の嫌うインフレや円安ドル高を助長しかねないことを懸念する。
自動車などに軒並み高関税が課されれば日本企業の北米戦略に重大な影響を及ぼそう。
日本は前回のトランプ政権時、安保上の懸念を理由に鉄鋼などに高い関税をかけられた。
トランプ氏は今次の大統領選で、台湾に関し
「米国の半導体ビジネスを盗んだ」
と批判したことが米メディアに報じられた。
こうした動きが強まれば米国と各国の結束を揺るがすことになりかねない。
当面の焦点は日本製鉄によるUSスチールの買収問題だろう。
トランプ氏はこれに反対してきたが、理不尽な買収阻止は問題である。
米国主導で設立したインド太平洋経済枠組み(IPEF)の不支持も撤回してほしい。
トランプ氏はかつて環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から離脱したが、政権に就く度に離脱を繰り返すようでは地域内での米国の信頼は失墜しよう。それがどの国を喜ばせるかをトランプ氏は熟慮すべきだ。

米大統領選、トランプ氏圧勝で石破首相は戦々恐々%本に「憲法改正」要求する可能性、外圧も平和ボケ≠ノ喝を入れるチャンス
2024.11/7 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241107-HGZL2XVVOFN7NN5G5P2EP5UZGM/
米大統領選(2024年11月5日投開票)で、共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)は地滑り的勝利を収め、2024年11月6日未明、支持者を前に
「米国を再び偉大な国にする」
と宣言した。
民主党のカマラ・ハリス副大統領(60)は同日、トランプ氏に電話し、敗北を認めた。
トランプ氏は
「米国第一」
を推進し、日本にも様々な要求を突き付けてくる可能性がある。
第1次トランプ政権では、安倍晋三首相(当時)がトランプ氏と盟友関係を築き、
「日米同盟を深化」
させたが、安倍氏に後ろから鉄砲を撃ち続け、衆院選で
「国民の信」
を得られなかった石破茂首相で日米関係は大丈夫なのか。
ニューヨークに滞在中のジャーナリスト、長谷川幸洋氏が緊急寄稿した。

世界が注目した米大統領選は、トランプ前大統領が圧勝した。
ハリス副大統領の勝利を期待していた日本の政府やメディア、識者たちには、衝撃だろう。
トランプ氏の復活で、石破政権が苦しい立場に立たされるのは必至だ。
トランプ氏は開票直後から優勢を保ち、開票が進むにつれて、ノースカロライナなど激戦州も制した。
接戦が報じられていたが、実際にはトランプ支持でありながら、世論調査にはそう答えない
「隠れトランプ」
層が相当数いた、とみられる。
トランプ氏の勝利は、日本にどんな影響を及ぼすのか。
それを読み解くには、彼が訴えてきた
「米国を再び偉大に(Make America Great Again)」
というキャッチフレーズを思い起こす必要がある。
裏を返せば、彼の政治活動は
「米国は弱体化した」
という認識が出発点だった。
2016年には、米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで、
「米国は弱体化した」
「そうであれば、日本は米国の意向に関係なく、いずれ核武装するだろう」
と語っている。
2019年には、大阪で開かれたG20(主要20カ国・地域)首脳会議の直前、
「米国は日本が攻撃されれば、血を流して全力で守るが、日本は米国が攻撃されても、ソニーのテレビで見ているだけだ」
と、日米同盟の片務性に不満を漏らしている。
欧州については、NATO(北大西洋条約機構)からの脱退や、ウクライナ支援から手を引く可能性を示唆してきた。
同じように
「アジアは日本に任せよう」
と言い出しても、おかしくない。
具体的には、岸田文雄前政権が、ジョー・バイデン米政権に約束したGDP(国内総生産)比2%の防衛力強化を1歩進めて、GDP比3%の防衛費を要求してくる可能性もある。
それだけではない。
私は
「憲法改正を言い出すのではないか」
と思っている。
日本が東アジアの平和と安定に一層貢献し、かつ
「日米同盟の片務性」
を解消するには、専守防衛を改めて、集団的自衛権の全面的容認が必要になるからだ。
経済政策では、中国からの輸入品に対して60%、その他の国の輸入品に10〜20%の関税をかける方針を表明している。
だが、日本については、
「防衛力の強化」

「在日米軍経費の負担増」
などと引き換えに、関税を減免する可能性もあるのではないか。
トランプ氏は
「もしも中国が台湾に侵攻すれば、中国の輸入品に150%から200%の関税をかける」
と語っている。
彼の頭の中では
「安全保障と関税が取引材料」
になっているからだ。
トランプ氏が交渉相手と認めてきたのは、いずれも
「強い指導者」
たちだった。
安倍元首相はもちろん、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領などの独裁者にも好意的なのは、彼らが強い指導者であるからだ。
それにひきかえ、政権発足直後の衆院選で大敗北を喫した石破政権は、それだけで、トランプ氏からまともに相手にしてもらえないだろう。
石破首相が米保守系シンクタンク「ハドソン研究所」への寄稿で
「アジア版NATOの創設」

「日米地位協定の改定」
を唱えたとなれば、尚更だ。
彼から見れば、そもそも
「米国に守ってもらっている自分の立場を分かっているのか」
「それなら、まず憲法を改正しろ」
という話になるのは、当然である。
お花畑で平和ボケした日本に喝を入れるのに、トランプ復活が絶好の外圧になるなら、日本は
「これもチャンス」
と受け止める以外にない。

<産経抄>返り咲くトランプ氏、わが国も主要プレーヤーとしての覚悟を
2024/11/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20241107-LCLBWAHAPVKMNCEAR2DH24N7GA/
言葉を生業とする人々にとって、
「民主主義」
は汲めども尽きぬ警句の泉らしい。
英国の劇作家、トム・ストッパード氏は巧みな言い回しでその本質を突いている。
「投票が民主主義なのではない」
「票の勘定が民主主義なのだ」
と。
▼『すごい言葉』(晴山陽一著)から拝借した。
多くの前提が必要だろう。
選挙権と被選挙権に不当な制限がなく、投票の秘密や投開票の公正さが担保されていること。
ロシア、中国…。
民主主義を否定する国々を見るにつけ、米国には模範的な存在であってほしいと願う。
▼大接戦と予想された米大統領選は、激戦州を制したトランプ前大統領が、思いのほか早く勝利宣言にこぎ着けた。
むろん、米国に一息つく暇はない。
我が国もここからは民主主義陣営を構成する国として、世界の課題に向き合わなければならない。
▼ウクライナ支援の在り方は大きな懸案だ。
トランプ氏の判断次第で、侵略国のロシアだけでなく、台湾への威圧を強める中国をも喜ばせかねない。
混乱する中東情勢や、核・ミサイル戦力の増強を進める北朝鮮など、緊張を高める変数も実に多い。
▼「投票は弾丸よりも強し」
と述べたリンカーンは、弾丸に命を奪われた。
今回の大統領選で、トランプ氏が銃や暴力の標的になったのも記憶に新しい。
深刻な亀裂が窺える米社会は、一体感を取り戻せるだろうか。
政治の空白を生まぬよう円滑な政権移行を望みたい。
▼問われているのは米国の、そして民主主義の地力に他ならない。
トランプ氏の掲げる
「米国第一主義」
が、先の見通しづらい世界情勢にどう応じるのか、という懸念はある。
我が国もまた、国際社会の主要プレーヤーとして主体的に振る舞う覚悟を問われている。

<主張>トランプ氏勝利 同盟重視し国際秩序守れ 内向きに終始してはならない
社説
2024/11/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20241107-EQUVXD4IZFOJDMKHLBFXNC47EE/
米大統領選で、共和党候補のトランプ前大統領が勝利宣言し、
「繁栄した米国を作りたい」
と語った。
2024年12月の選挙人投票を経て来年2025年1月20日に就任する。
2021年1月以来の返り咲きとなる。
「米国を再び偉大に」
「米国第一主義」
などのスローガンを掲げた。
インフレ(物価上昇)や不法移民の問題で民主党候補のハリス副大統領を批判し、有権者の支持を集めた。
暗殺未遂を乗り越えた
「強さ」
も支持されたのだろう。
トランプ氏に注文したい。
公約に沿ってインフレや不法移民など内政の諸政策を推進するのは当然だが、
「内向き」
の政治に終始しないでもらいたい。
■日本との協力を確実に
前回のトランプ政権は、専制国家中国の脅威をはっきりと指摘し、軍事的、経済的に抑止していくという歴史的決断を下した。
それは民主党のバイデン政権にも引き継がれた。
新たなトランプ政権でも国際秩序を守るために行動することを期待したい。
世界はトランプ前政権当時から大きく変わった。
中国は経済不振に陥りながらも、台湾周辺や南・東シナ海で軍事的威圧を強めている。
ロシアによるウクライナ侵略は3年近くも続いている。
中東での紛争は終息の気配がない。
自由と民主主義、「法の支配」に基づく世界の秩序が、専制国家によって脅かされている。
米国の行動力と民主主義諸国の結束が今ほど試されているときはない。
トランプ氏は、2024年7月の共和党全国大会で訴えたように
「米国の不和と分断」
を修復しなければならない。
トランプ政権が備えるべき相手は、自身を支持しなかった
「内なる敵」
ではなく、米国や民主主義国の存立と繁栄を脅かす専制国家だ。
世界の経済成長の中心地であるインド太平洋地域への関心を高めてほしい。
地域最大の同盟国である日本やオーストラリア、カナダ、韓国などとの協力が欠かせない。
大統領選の最中には、中国による日本や台湾、フィリピンなどへの軍事的挑発が相次いだ。
2024年10月に台湾を囲む形で行われた中国軍の演習ではロシア軍の艦船が宮古海峡を通過した。
台湾有事を想定した中露連携との見方もある。
北朝鮮は新型と称する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。
トランプ氏の台湾を巡る認識には不安もある。
共和党の政策綱領から1980年以来初めて
「台湾の自衛を支援する」
という誓約が抜け落ちた。
トランプ氏が
「台湾は防衛費を払うべきだ」
「我々は保険会社と何ら変わらない」
と不満を語ったこともあった。
だが、日米などが共有する
「自由で開かれたインド太平洋」
のためにも台湾海峡の平和と安定は死活的に重要だ。
米軍の近代化を進め対中抑止に努めねばならない。
■ウクライナ支援続けよ
トランプ氏にはウクライナへの支援継続も望みたい。
派兵された北朝鮮軍の部隊がウクライナ軍と交戦したと伝えられる。
ウクライナへの侵略国に北朝鮮が加わった。
ここでもインド太平洋地域と欧州の安全保障問題は繋がった。
トランプ氏は自身が大統領選に勝てば
「すぐに停戦できる」
と述べてきたが、停戦とは露軍の即時全面撤退以外にない。
ロシアや北朝鮮に果実を与えれば、日本周辺での専制国家による侵略を誘発しかねない。
トランプ氏は同盟国に応分の防衛負担を求めるだろう。
米国1国で専制国家を抑止できないため理解できるが、日本や先進7カ国(G7)、北大西洋条約機構(NATO)加盟国などとの協力も合わせて語るべきだ。民主主義国同士の重層的な同盟・協力関係が国際社会の安定に繋がり、米国の繁栄も支えているからだ。
民主主義諸国の結束の乱れは中露など専制国家を増長させかねない。
トランプ氏は、バイデン政権が打ち出したインド太平洋地域の
「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」
への不支持も表明した。
米国の不在は、中国の地域での影響力を強めることになる。
再考すべきだ。
中東情勢も喫緊の課題だ。
イスラエルとイランの全面衝突が懸念されている。
イスラエルへの影響力を発揮し、事態の安定に努めてほしい。
石破茂政権はトランプ氏側と早期に接触し、信頼関係を築かねばならない。

トランプ氏復帰、世界中が注視 ウクライナへの軍事支援に変化も 中国「不確実性増す」
2024/11/6 21:30
https://www.sankei.com/article/20241106-YY2Q7QAJBZPXVJTOEJXXEK6S5E/?outputType=theme_uspe
米共和党のトランプ前大統領と、民主党のハリス副大統領が対決した2024年11月5日の米大統領選を世界各国は強い関心を持って注視した。
ロシアのウクライナ侵略を巡り、ウクライナへの支援から撤退する可能性のあるトランプ氏が勝利したことを欧州は警戒。
ロシアは歓迎しているとみられる。
トランプ氏の勝利で中国は「不確実性」が増すと予測。
混沌とする中東情勢は同氏の復帰で新たな局面を迎えそうだ。
■欧州、NATO結束で不安
米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利したことで、欧州では米国がウクライナ支援から撤退し、欧州安全保障に危機をもたらすとの警戒感が出ている。
フランスのマクロン大統領は2024年11月6日にX(旧ツイッター)でトランプ氏の勝利を祝福した上で、
「ドイツのショルツ首相とも話し合った」
「新たな環境の中で、我々は欧州をより強く、結束させるために働く」
と投稿。
独仏で欧州連合(EU)を牽引し、新政権の下で新たな米欧関係の構築を目指す構えを示した。
トランプ氏はこれまで、欧州加盟国が防衛費の負担を増やさなければ、ロシアが将来、欧州を攻撃しても防衛しないと述べている。
北大西洋条約機構(NATO)の結束に不安が広がる中、ルッテNATO事務総長は2024年11月6日、
「強さによる平和を推進するため、再び協力できることを楽しみにしている」
とXに投稿した。
先月2024年10月の欧州世論調査では、ドイツで64%、フランスでは61%が
「安全保障のためにはハリス副大統領の勝利が望ましい」
と回答していた。
トランプ氏は国内産業保護のため輸入品に高関税をかけると公言しており、米EU間の貿易摩擦は不可避となる見通しが強い。
EUの貿易大国ドイツで特に警戒が強まっている。
トランプ氏は2024年10月末、EUについて
「彼らは我々の車や農作物を買わずに、膨大な量の車を売っている」
「代償を払わせる」
と発言した。
■露、ウクライナ降伏への圧力期待
ウクライナ侵略を巡って同国の
「降伏」
による早期の戦闘終結を実現させたいロシアは米大統領選で、ウクライナに停戦圧力を加えたり、軍事支援を停止したりする可能性がある米共和党のトランプ前大統領が勝利したことを歓迎しているとみられる。
ペスコフ露大統領報道官は2024年11月6日、
「プーチン大統領は一貫して対話に前向きだ」
とトランプ氏との電話会談を排除しなかった。
ウクライナでの停戦に向けて米国が動くかどうかをロシアは注視するとも述べた。
プーチン氏は2024年10月下旬、トランプ氏が停戦の実現に尽力する意向を示しているとし、
「(停戦に関する)そうした発言は誰からのものであろうと歓迎する」
と表明。
また、
「(戦争の)帰結はロシアに有利なものであるべきだ」
「(停戦の内容は)戦場の現実に立脚すべきだという点に関してロシアは譲歩しない」
と述べた一方、ロシアには
「合理的な妥協」
を行う用意があるとも主張した。
プーチン氏は従来、停戦に応じる条件として、ウクライナが南部クリミア半島と東・南部4州全域をロシアに割譲することや、NATO加盟を否定することを提示。
ただ、露軍も疲弊しており、4州全域を軍事的に掌握するのは困難だとの見方が露国内でも出ている。
トランプ氏が今後、ロシアとウクライナ双方に硬軟織り交ぜて停戦を促した場合、プーチン氏が4州全域の割譲要求を取り下げ、現在の前線を停戦ラインとすることを認めるなど一定の
「妥協」
に応じる可能性はゼロではない。
■韓国、対北で安保体制の維持強調
北朝鮮がウクライナを侵略するロシアへ派兵するなど、安全保障情勢が厳しさを増す中、韓国では、米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことを受け、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領がバイデン米大統領、岸田文雄前首相と築いた日米韓の対北安保協力体制が揺らぎかねないとの不安感が高まっている。
トランプ氏は在任中、
「裕福な国」
である韓国が米国の軍事力に
「ただ乗りしている」
と主張し、在韓米軍の駐留経費を巡り、韓国に大幅な負担増を迫った経緯がある。
このため、韓国は2024年10月、トランプ氏の返り咲きに備え、2026年以降の駐留経費負担を決める協定に早々に合意。
選挙直前の今月2024年11月4日、駆け込むように署名を済ませた。
尹氏は2024年11月6日、Xでトランプ氏への祝意を示した上で、トランプ氏が
「これまで見せてきた強いリーダーシップ」
を評価。
米韓が今後、緊密に協力していくことに期待を表明した。
韓国大統領府高官は同日2024年11月6日、ロシア派兵で北朝鮮の脅威が増している点を指摘。
「韓国政府は安保が一寸も揺るがないよう米国の新政権と完璧な安保体制を築き上げていく」
と述べ、米新政権下でも安保協力を維持していく方針を強調した。
■中国、関税引き上げ警戒
米大統領選で共和党のトランプ前大統領、民主党のハリス副大統領のどちらが勝利しても、中国では米国の対中圧力は緩和されないとの見方が支配的だった。
浙江外国語学院米国研究センター主任の王冲氏は
「誰が大統領になろうとも中米関係で小春日和が実現するのは難しく、劇的な好転を実現するのは更に難しい」
との見解を選挙前に中国メディアに寄せた。
王氏は、バイデン大統領の対中路線を継続すると見込まれたハリス氏に対し、トランプ氏の路線では
「不確実性と予見不可能性が増す」
と警戒する。
中国側は、トランプ氏が大統領1期目で見せた
「不確実性」
に神経を尖らせる。
トランプ氏は既に中国製品に60%の関税を課す方針を表明しており、実現すれば、景気低迷下にある中国経済には逆風だ。
中国が
「核心的利益」
と位置付ける台湾問題でも、トランプ氏は中国が台湾に侵攻すれば
「150〜200%」
の関税を課すと発言している。
一方で、中国は米政権の圧力継続を見越し、ここ1年ほどは米国を念頭に置いた外交を展開してきた。
まずは米国の同盟国などの切り崩しだ。
日米豪印の枠組み「クアッド」の一角をなすインド、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」とクアッド双方に入るオーストラリアとは、それぞれ悪化していた関係の改善に動いた。
次にグローバルサウス(南半球を中心とする新興・途上国)の取り込みにも力を入れ、中国やロシアなど主要新興国で作る「BRICs」の枠組み拡大などを進めた。
日中外交筋は
「中国はこの1年間の取り組みを通じ、誰が米大統領になっても対応可能だと自信を持っているのではないか」
と指摘する。
■台湾、有事の防衛で懸念残る
台湾当局は、米大統領選の結果が台湾海峡の平和と安定に影響を与えるとみて注視している。
「米国の台湾支持は超党派の共通認識」(米当局者)
とはいえ、バイデン米大統領が繰り返し台湾防衛を明言してきたのに対して共和党のトランプ候補の姿勢は曖昧さが増しており、台湾側には懸念も残る。
トランプ氏は
「台湾は(米国に)防衛費を支払うべきだ」
と主張し、域内総生産(GDP)比10%の防衛費支出を台湾に要求。
これは歳出の8割超に当たる非現実的な数字だ。
更に台湾が
「半導体ビジネスを米国から奪った」
とし、台湾製半導体への高関税も示唆した。
世界的な供給網の中核として、中国による台湾侵攻を抑止する役割への期待から
「シリコンの盾」
と呼ばれる台湾の半導体産業に、トランプ氏の存在は大きな影を落とす。
ただトランプ氏に対しては悲観論だけではない。
当局系シンクタンクの安全保障研究者は、大規模な兵器購入を台湾に求める同氏の勝利で
「(最新鋭ステルス戦闘機の)F35などの高度な兵器を買うチャンスでもある」
と指摘する。
また与党、民主進歩党系の政治研究者も
「民進党は前回の米大統領選で、台湾との関係が良好だったトランプ氏の再選を望んでおり、バイデン氏の当選に焦りもあった」
「今回はどちらでも構わない」
と話す。
一方、中国に融和的な最大野党の中国国民党は、米中間の緊張を高める可能性が大きいとみられるトランプ氏をより警戒する。
「米国が中国に対抗するためのコマとして台湾を利用する」(国民党系の政治学者)
との懸念を持つためだ。
■対イラン政策、一変の公算
パレスチナ自治区ガザやレバノンで戦闘を続けるイスラエルと、その宿敵イランに米国がどう対処するのか注目されるだけに、中東諸国は強い関心を持って米大統領選の行方を見つめた。
イスラエルで2024年10月末に公表された世論調査結果で、次期米大統領はトランプ氏が好ましいとの回答が全体の66%を占め、ハリス氏との回答は17%だった。
それも当然の結果と言える。
2017年から4年間の大統領任期中、トランプ氏はそれまでの米外交政策を変更してエルサレムをイスラエルの首都と認定するなど、同国寄りの政策を貫いた。
特に戦闘が続く現在では、激しい攻撃で高まる国際的批判をかわす上でも最大の後ろ盾になるとの期待が大きい。
イスラエルのネタニヤフ首相は2024年11月6日、トランプ氏が勝利したことを受け、
「歴史的に最も偉大な(大統領への)復帰だ」
「米国の新たな始まりとなる」
と祝意を示した。
一方、イランはトランプ氏復帰に警戒を強めている。
イランが2024年10月初めにミサイル約180発でイスラエルを攻撃した際、トランプ氏は
「(イスラエルは)イランの核施設を攻撃すべきだ」
と述べた。
今後、中国などとの原油のヤミ取引の監視を強化するなど、イランに対する
「最大限の圧力」
政策が復活する公算が大きい。
イラン政府のモハジェラニ報道官は2024年11月6日、
「米国の選挙はイラン人の暮らしに影響しない」
と述べた。
ロイター通信がイランの通信社の報道として伝えた。

米大統領選 有権者最大の関心は「民主主義」 出口調査 トランプ氏不正主張など影響か
2024/11/6 14:09
https://www.sankei.com/article/20241106-DNASW5AXFFJETCGA3CE2DJNMAQ/?outputType=theme_uspe
2024年11月5日投開票の米大統領選で米メディア各社が実施した出口調査では、最も関心のある争点として
「民主主義の在り方」
を挙げた人が
「経済」
を上回った。
有権者層の分析では、共和党のトランプ前大統領(78)が過去の選挙戦より黒人やヒスパニック(中南米系)からの支持を増やした半面、民主党のハリス副大統領(60)はトランプ氏から白人の支持を奪っているもようだ。
NBCテレビの出口調査によると、最も重視する争点は
「民主主義」だと答えた人は34%
で、
「経済」の31%
を上回ってトップとなった。
続いて
「人工妊娠中絶の是非」が14%、
「移民問題」が11%、
「外交問題」が4%
だった。
CNNテレビの調査でも近似した結果となった。
選挙戦での世論調査では、ほぼ一貫して経済が最重要争点と見做されてきたが、ここにきて民主的制度が脅かされているとの懸念が有権者に広がっていることが示された格好だ。
米紙ワシントン・ポストによると、有権者の約7割が、米国の民主主義への脅威が
「とてもある」
あるいは
「ある程度ある」
と回答した。
背景には、トランプ氏が2020年の前回大統領選で十分な根拠を示さず主張したのと同様に、今回も投票日前から
「不正が行われている」
と繰り返していることなどが影響したとみられる。
前回選では、トランプ氏が敗北を認めずに不正主張を拡散させたことが、2021年1月のトランプ支持者による連邦議会襲撃事件に繋がったとされる。
一方、NBCによれば、有権者の45%がトランプ政権時の4年前より
「生活が苦しくなった」
と回答。
経済運営ではハリス氏よりもトランプ氏に期待する傾向があらわれている。
人種による支持傾向にも変化があった。
トランプ氏を
「好ましい」
と考える人の割合は白人で49%で、前回選の57%から8ポイント減少。
ヒスパニックは42%、黒人は14%で、前回選よりそれぞれ4ポイント増加した。
「男らしさ」
といった価値観を重視する黒人やヒスパニックの男性有権者には、女性初の大統領を目指すハリス氏への反感がある一方、白人女性の間では
「トランプ離れ」
が進んでいると指摘される。

重要課題は「民主主義」「経済」 移民、中絶も判断要因に 米大統領選
2024/11/6 13:02
https://www.sankei.com/article/20241106-RCP7KKV2OBJOBEWXAWVVU7TJM4/?outputType=theme_uspe
2024年11月5日投開票の米大統領選で、CNNテレビやABCテレビなどが共同実施した出口調査の結果によると、有権者が重要課題に挙げたのは民主主義の行方が35%で最も多く、経済が31%、人工妊娠中絶の権利が14%、不法移民問題が11%で続いた。
AP通信とFOXニュースの共同出口調査では、半数近くが民主主義を最も重要な争点だと答え、39%が経済だと回答。
移民問題は20%、中絶は11%だった。(共同)

http://www.asyura2.com/23/holocaust7/msg/630.html#c3

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