http://www.asyura2.com/acat/n/ng/ngp/NGpPOE54dWMyRlU=/100000.html
25. 2022年8月02日 08:56:46 : HzNb3ubYgs : NGpPOE54dWMyRlU=[1]
支那というのは差別用語だから使ってはいけない、とか騒いでたアホがいただろ。
そういうアホの言う通りにやっていたから、阿修羅掲示板は凋落したんだな
http://www.asyura2.com/13/kanri21/msg/638.html#c25
9. 中川隆[-12980] koaQ7Jey 2022年8月02日 13:42:11 : HzNb3ubYgs : NGpPOE54dWMyRlU=[2]
DACチップはESSか旭化成か?その1
ハイファイ堂メールマガジン第824号 大須本店
大須本店 越濱 靖人
https://www.hifido.co.jp/merumaga/osu/191115/index.html
今回はマニアックなDACチップについての話を書こうと思います。
DACチップとは"Digital to Analog Converter"の略で、簡単に言うと音の心臓部に当たります。CDやパソコンの音楽など01011010...といったデジタルデータをいつも聞いている「音」に変換してくれる物がDACチップとなります。
当然メーカーによって音質が異なります。老舗DACチップメーカーはフィリップス、バーブラウン(現テキサス・インスツルメンツ)、ウォルフソン、アナログ・デヴァイセズ・・・などなどありました。特にバーブラウンは世界中の音響メーカーが使っていたはずです。今でも素晴らしい音質のチップです。
ただこのDACチップの世界に転機が訪れます。2009年にアメリカのESS社が発表したES9018SというDACチップです。このずば抜けた性能と音質に各メーカー驚いたでしょう。これによってDAC時代ががらりと変わった、と私は思います。今までにない音の温度感、情熱感、分解能。シンプルに表現出来ない複雑な味わい。特にこのチップの取り扱いが難しいことから設計者の技量が問われることになり、設計も複雑にヒートアップしたと思われます。ゆえに今までにない、新しい音が生まれたのかもしれません。
そんな中、宿敵が現れます。旭化成エレクトロニクス(AKM)のハイエンドDACチップAK4490の登場です。旭化成はESSと違い、きめ細やかで滑らか、非常に歪みが少ない音質で世界の音響メーカーに認めらました。日本のDACチップが一気に世界のメーカーで採用されるきっかけとなったチップです。そして現在、この2大DACメーカーが熱いバトルを繰り広げています。両者とも音のベクトルが違うため、どちらも人気があります。
今回はまず、ESS搭載のD/AコンバーターとDACチップの紹介をしていきたいと思います。
AIT Labo ES9018S 中古価格128,000円(2018年時)
このメーカーは入荷するまで知りませんでした。自作品っぽい作りだなと軽視して鳴らしてみたら、おや?これは今までのデジタルと音が違うなと見直しました。音に血の通った「情熱」を感じたのでした。興味が出て調べてみたらESS社のDACチップが2個使われているとのこと。俄然ESS好きになりました。
Accuphase DC-37 中古価格418,000円(2019年時)
このDACはDELAからUSB-DAC接続した時に驚きました。ふと昭和のPOPSを鳴らしてみたのですが、なんとその当時を思い浮かばせるような情緒的なサウンドで出たのです。後で調べてみたらESSのES9018Sが搭載されていました。最近のDACはいかにもハイファイ・サウンドです!と主張するモノが多いのですが、そんな中で素朴で自然な昭和リアリティを感じるとは思いませんでした。
ES9018S DACチップ
ESS社の爆発的ヒットを生んだDACチップです。2009年に発売され、瞬く間に沢山のメーカーが採用した高性能チップでした。このチップは8個のDACが内蔵されておりマルチチャンネルにも1チップで対応できます。ただ並列処理も出来るため8チャンネルを2チャンネルで使用するメーカーが多かったようです。高級DACは8チャンネル全てを片側に振り、2個使い(デュアルモノ構成)し、ダイナミックレンジと歪み率を追求していました。
ES9028pro DACチップ
伝説のチップ発売から7年が経ち2016年に発売されたのがES9028proチップになります。純粋に9018Sの後継モデルになり内蔵DACも8個入っています。やはり新しいだけあり前作より解像度が向上、更に音像が際立ち、見える音となりました。ただ、同時発売された上位モデルES9038proの影となってしまい、フラグシップ感は落ちてしまいました。現在1個6000円ほどで販売されています。
ES9038pro DACチップ
2016年このチップが大きな話題となりました。恐らく2009年の9018S登場と同じくらいのインパクトがあっただろうと思います。世界最高レベルの性能と8個DAC→32個DAC増加という、他が追従出来ないレベルへ押し上げた超ハイスペックDACの登場でした。この発表を受け、メーカーはまたこのチップの虜になりました。2019年現在でも最高スペックを維持し、人気を博しています。ただし、このチップは相当な電力を消費し大掛かりな電流電圧変換回路が必要なため、相当足腰が強くないと使えません。そのため据え置きオーディオを想定した設計となっています。1個あたり10,000円ほどで販売されています。
Accuphase DC-950 中古価格738,000円(2019年時)
最高級ES9038proを2個使ったアキュフェーズのフラグシップモデル。前作のDC-901はES9018Sを2個採用していました。今回のDC-950は、より音の鮮度が増し、低域の解像度が飛躍的に向上したように感じました。かなりカチッとしている印象です。USB-DAC入力でDSD11.2MHzまでロック出来るようになり、DSDが本格的に聴ける1台となっています。
OPPO Sonica DAC 中古価格128,000円(2018年時)
圧倒的なコストパフォーマンス!50万円を超えるモデルにしか搭載されていなかったES9038proを、10万円の価格で実現した驚きのモデルでした。発売期間が短くあっという間に販売終了になってしまった為、最近ではプレミアが付いて高値で取引されています。このモデルは1個が搭載され、お値打ちながら鮮度の高さを実感出来ます。LAN接続も可能ですが、USB入力の方が数段音は良いです。DSD11.2MHzまでは音出し確認できています。
iRiver Astell&Kern KANN CUBE 新品価格180,000円程度(今年の新モデル)
なんとポータブルの世界で初めてES9038proをダブルで搭載した意欲作です。半端ない消費電力に耐えるため通常の2倍のバッテリーを搭載しています。本体も相当熱くなるため万人向けではありませんが、私のような情熱派の方にはもってこいの商品かと思います。
本体も500gとポータブルの中では戦車並みに重くデカいですが、ストレートで彫りが深く太いサウンドでは右に出るものはないかもしれません。付帯音も少なく直球勝負で来ますので、ハイレゾ音源の良し悪しがモロに出ます。
ただ私の中では残念ながら9038Proを活かしきった音質には感じられませんでした。やはりこのチップは据え置き型の高級機でしか本領を発揮出来ないのだと思います。圧倒的に強力な電源、I/V変換、アナログアンプなど想像を超える設計でないとこのチップの旨味を引き出すことは出来ないでしょう。
そのくらいにESSのリファレンスチップは使い方が難しいです。
次回は旭化成の名機AK4490〜最新AK4499EQを含めた音のご紹介をしたいと思います。
https://www.hifido.co.jp/merumaga/osu/191115/index.html
DACチップはESSか旭化成か?その2
ハイファイ堂メールマガジン第841号 大須本店
大須本店 越濱 靖人
https://www.hifido.co.jp/merumaga/osu/200313/index.html
前回に引き続きDACチップの話を書こうと思います。その1ではESS社の事をメインで書きました。今回は旭化成エレクロトニクス(AKM)の歴史と私なりの思いを中心に書いていきます。DACチップ単体の音は評価できない為、当時搭載されていた機材の印象で書いています。
旭化成の音質は一言で言うと「とにかく滑らか」でしょう。一聴して安らぎを感じる落ち着いた佇まい、丁寧で破綻のない滑らかな質感、弱音部の繊細なタッチと余韻。質感はややウェットで日本の丁寧で端正な美意識を感じさせるチップだと思います。逆にESSは情熱やダイナミズム、躍動感が特徴で質感はドライです。
AK4397(2007年)
旭化成初の32bit処理になったDACチップです。ESOTERIC D-05 D/Aコンバーターに世界初搭載されました。当時とても解像度の高いクリアな音質だと思った印象があります。ただ上位モデルから考えると線が細く非常に硬い印象でした。この音質は製品のグレードが中堅モデルだったから、かも知れません。
AK4399(2008年)
翌年発表したチップです。更なるS/N比の向上や前作になかったフィルターの搭載などいくつか追加されています。ESOTERIC D-02 D/AコンバーターやK-01/03/05 CDプレーヤーに採用されていました。私の記憶ではこの時から音がマイルドに聞こえる様になりました。立ち上がりが早く、キメが細やかで破綻の無い音という印象です。細い印象が無く厚みが伴った感じに聞こえました。
AK4495S(2012年)
エソテリックと共同開発したとされるDACチップ。ESOTERIC Grandioso D1に初採用されました。全8個のチップを使用、チャンネルあたり16回路を組み合わせた壮大なDACです。その音はローエンド〜ハイエンドまで全く隙の無い緻密さで驚きました。ESOTERICはその他にもK-01X/K-03Xでも使用しています。DSD5.6MHz/PCM768KHzまで対応したチップとなります。
AK4490(2014年)
遂にDSD11.2MHz/PCM384KHz対応したチップです。旭化成もこのチップから「ベルベットサウンド」という第3世代チップに位置付け、新しい時代の幕開けとなりました。シルクの様に滑らかな質感、とても穏やかな佇まい、以前に増して厚みが感じられる様になりました。デジタルオーディオプレーヤーの名機Astell&Kern AK380に搭載され今もファンの多いモデルです。TEAC UD-503やESOTERIC K-05X/K-07Xにも搭載されています。後に登場するAK4497やAK4499と比べ解像度は劣るものの安定した色艶を感じさせる未だファンが多いチップです。
AK4497(2016年)
いよいよ旭化成の最高峰AK4497の登場です。前作4490で得た人気を更に高い次元(DSD22.4MHz/PCM768KHz)へ押し上げたプレミアムDACです。私はこのチップが一番完成度が高いと思っています。今まで築いてきた電圧出力を軸とした旭化成サウンドをしっかり継承し、堂々と筋の通ったDACに仕上がっています。音の気配、ピアノのタッチ、美しいボーカル、抜群に安定したサウンドが特徴でしょう。Astell&Kern SP1000、Cayin N8、Lotoo PAW GOLD TOUCHやESOTERIC K-01Xs、N-01、LINN KLIMAX DS/3等に使用されています。
AK4499(2019)
昨年発表された最新のDACチップです。このチップには旭化成の怨念が込められています。2016年にAK4497を発表直後にESS社が更にハイスペックなES9038Proを発表し世間の話題が一気にESSへ流れました。決して旭化成が劣っているわけではないですが数値面で負けてしまい悔しい思いをしました。そこで今回は9038proと対等に戦うべく伝統だった電圧出力を辞め、電流出力に変わりました。音質的にも攻めに転じたチップです。ほぼ無音に近いS/N比の高さ、ダイナミックで強靭な低域の締まりを感じる旭化成に無い個性を発揮しています。
Astell&Kern SP2000-CP(2019年)
世界で初めてAK4499チップを搭載したオーディオ機です。前作SP1000はAK4497を搭載していました。単純にチップの比較は出来ませんがSP2000の方がやや派手になった印象です。歴代の滑らかなベルベットサウンドを継承しつつ更に躍動感や情熱感が加わった音です。ただ全体的に筋肉質なサウンドになり過ぎ「滑らかなのにムキムキ」と言うチグハグな方向になってしまった様にも思えます。個人的にはAK4497の安定した旭化成サウンドをもう少し熟成させ、厚みがあるのに懐が深く広いものであってほしかったというのが正直な印象です。その点ESSのチップは全体的な音の整合性が取れており、狙うべきポイントにズレがないと思います。
旭化成のロードマップです。性能はほぼ限界値に達していると思います。人間が認識できるレベルとされるPCM768KHzに到達していることや1曲あたりのデーター量が半端なく大きすぎることからサンプリングレート競争は終わりを告げようとしてます。現在、色々なオーディオメーカーや個人の方がAK4499チップを使いD/Aコンバーターを作っています。これらがどんな音がするか興味津々です。
ただ今後はDACチップを使うメーカーが少なくなるかも知れません。現在エソテリックやマランツは「ディスクリートDAC」と言うDACチップを使わない手法に転換しています。よりコストのかかる仕組みですが音作りの自由度が高く、メーカー独自の音質で差別化出来るメリットがあります。特に英国CHORD社のDAVEが有名です。どのメーカーとも違う音質で、オンリーワンの商品です。この様にDACチップは新たな局面を迎えようとしています。
現在も発展中のデジタル分野は今後も目が離せません。益々面白くなりそうです。
https://www.hifido.co.jp/merumaga/osu/200313/index.html
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/151.html#c9
10. 中川隆[-12979] koaQ7Jey 2022年8月02日 14:42:25 : HzNb3ubYgs : NGpPOE54dWMyRlU=[3]
AKM、さらなる音質改善に挑む。デジ/アナ分離のアイデアを継承、設計ノウハウを磨き上げたフラグシップDAC「AK4499EX」
2022/07/27
岩井 喬
https://www.phileweb.com/interview/article/202207/27/887.html
旭化成、ハイグレードなオーディオ用DACチップの供給を再開!
今年1月、旭化成エレクトロニクス(以下、AKM)からオーディオ用DAC/ADCチップのサンプル供給再開が発表され、2月にはVELVET SOUNDブランドの主力DACチップであった「AK4490」「AK4493」を再設計した「AK4490R」「AK4493S」の発表も続き、いよいよAKMブランドが還ってくるという期待が高まってきた。2020年10月、AKMのDACチップを含む製造を担っていた宮崎県延岡市にある半導体工場が火災に見舞われ、国内外のセットメーカーに対して製品の供給も停止。関係する業界だけでなく、エンドユーザーである我々にも大きな衝撃を与えた災害であった。
AKMの半導体シリーズのなかでも、特に音質にこだわったラインナップのみに与えられる「VELVET SOUND」。原音重視、情報量と力強さの両立を狙ったシリーズとなっている
AKMだけでなく、他社の半導体工場で発生した火災や、コロナ禍等の様々な要因が重なり世界的な半導体不足が引き起こる情勢下。冒頭でも述べたAKMからのサンプル供給再開や新製品の発表は、AKMが再びオーディオ用DACを供給できるようになるのにどれだけの時間がかかるのか、不安に感じていたなかでの吉報であった。
そして4月。VELVET SOUNDの中でもフラグシップとなる“VERITA”の称号を与えられた最高峰の電流出力型DACチップ「AK4499EX」が発表されたのである。5月に開催された「HIGH END MUNICH 2022」でもAK4499EXは評価ボードとともに出展され、世界各国の来場者にそのポテンシャルの高さ、音質の良さをアピール。多くの反響を得た出展となったことも記憶に新しい。
5月にドイツで開催された「HIGH END MUNICH 2022」にて世界初お披露目されたフラグシップ「AK4499EX」。ヨーロッパを中心に世界中のメーカーから大きな反響を獲得した
AK4499EXは2018年に発表されたAKM初の電流出力型フラグシップDACチップ「AK4499」に代わるものではあるが、単純な置き換えではなく、2020年3月に発表されたデジタルセクションとアナログセクションを分離させた、AKMの新たな提案であるセパレートDAC構成の枠組みとして設計されている。
「AK4499」の基本構成を受け継ぎながらも、デジタルとアナログを分離した2チップ構成の片翼を担うものとして構想された「AK4499EX」
デジタルフィルターとΔΣモジュレーターを担うデジタル処理用には2020年3月に発表されている「AK4191」を用い、AK4499EXはアナログDACを担う2チップ構成のソリューションだ。この2チップによるセパレートDAC構成については、2020年夏にAK4191と、当時新製品として発表された電圧出力型アナログDACチップ「AK4498」の詳細について、開発陣へリモート取材を敢行しているので、そちらの記事も参照いただきたい。
市場への供給が叶わなかった「AK4191」+「AK4498」の2チップ構成のアイデアは、最新テクノロジーをまとい「AK4191」+「AK4499EX」として結実した
しかしこの記事の直後、半導体工場の火災が起こり、AK4191+AK4498による新たなセパレートDACは実際の製品へ供給されることはなかった。そしてAK4499についても、先行して採用されたハイエンドポータブル機器でその能力の高さを発揮していたが、本来のポテンシャルをフルで発揮できるであろう据え置き型製品への本格採用を前に生産終了となった。
AK4191+AK4498発表時は、フラグシップである一体型のAK4499と違った個性としてセパレートDACを展開していくという予定であったそうだが、2020年夏の取材時にはセパレートDAC方式でのフラグシップとしてAK4499のアナログDAC版も開発したいという構想も語られていた。こうした流れを踏まえ、今回のAK4499EXはフラグシップとしてのAK4499、そしてAK4191+AK4498で見えてきた新境地を融合させたものであり、多くのリスナーが未だ体験したことがない、『“まるで、そこにいるかのような”音の世界』を堪能できる最高峰のサウンドを実現しているのだ。
https://www.phileweb.com/interview/article/202207/27/887.html
ブランドの価値を改めて問い直し、再びオーディオ業界に戻ることを決意
https://www.phileweb.com/interview/article/202207/27/887_2.html
今回、AK4499EXについて、その開発経緯や他社ファブでのチップ製造のエピソードについて、AKM開発陣に伺う機会を得た。インタビューに応じてくださったのは、AK4499、そしてAK4191+AK4498開発にも携わってこられた旭化成エレクトロニクスのマーケティング&セールスセンター ソリューション第一部、オーディオマイスターの佐藤友則氏、製品設計センター 製品開発第一部 高音質オーディオASIC設計エキスパートの中元聖子氏、そして中鉢達也氏である。
東京ミッドタウン日比谷に位置する旭化成エレクトロニクスの本社ビルにて、開発チームにインタビューを実施
「半導体工場火災においては多くの皆様にご心配とご迷惑をおかけいたしました。私は入社以来、25年ひたすらDACチップ開発を行ってきました。今回の工場火災により、我々は自社の製品価値について改めて考えさせられ、そして見つめ直すこととなりました。AKMがDACチップを辞めてしまうかもしれないという声も聞こえる中、再びオーディオ業界に貢献したいという思いもまた強くなりました。AKMの音をもう一度、今まで以上の良い音として届けたい。そういった気持ちの中で生まれたのがAK4490RやAK4493S、そしてAK4499EXです。AK4490Rの“R”は“Rich”、AK4493Sの“S”は“Superior”、AK4499EXの“EX”は“Exceed”を意味していまして、いずれも前モデルより優れた、本当に良いものであるということを型番に込めました」(中元氏)
オーディオマイスターの佐藤友則氏
AK4490Rは768kHz/32bit・PCM&11.2MHz・DSD対応でS/N比は120dB、THD+Nは−112dB。AK4493Sは768kHz/32bit・PCM&22.4MHz・DSD対応でS/N比は123dB、THD+Nは−115dBというスペックであり、基本的に前製品を踏襲しているが、最新の高音質設計を導入してインピーダンスの最適化を行い、よりスピード感と余裕のある音を実現し、消費電力も抑えている。
今年春先に発表された「AK4490R」と「AA4493S」。いずれも前モデルのスペックを踏襲しているが、最新の音質設計でさらなる特性を追い込んでいる
デジタル/アナログを分離しスムーズな信号経路を実現
そしてセパレートDAC構成となるAK4191とAK4499EXの組み合わせは、スペック面の特徴として以下3つのポイントがあるという。
1.最新の設計技術によるデジタルとアナログの完全セパレート構成
2.S/N特性の改善に寄与する「DWA Routing Technology」
3.超ハイスペックフォーマットへの対応とシンプル操作の両立
「一つ目は最新の設計技術を用いたデジタルセクションとアナログセクションを完全に分離したセパレート構成であること。二つ目は世界最高のアナログ特性を実現させること。そして三つ目は現在最高水準の超ハイレートなハイレゾ対応を果たしつつシンプルな操作で実現できる2チップソリューションであることです。AK4499EXには新技術であるDWA Routing Technologyを取り入れたことでAK4499よりも対ノイズ性能を向上させました」(中元氏)
製品開発第一部 高音質オーディオASIC設計エキスパートの中元聖子氏
AK4499EXは2ch仕様のチップ構成で、chあたりのS/N比は135dB、歪み特性は−124dBとAK4499のchあたりのS/N比134dBより1dB改善している。一方デジタル処理を担うAK4191は1536kHz/64bit・PCM&44.8MHz・DSDまでの入力に対応し、オーバーサンプリングレート256倍を達成。デジタルフィルターの抑圧量となる阻止帯域減衰については150dBを実現している。
「まずセパレート構成のメリットですが、ワンチップ構成ではどんなに手を尽くしても同じシリコンウエハー上にアナログとデジタルが存在するため、ノイズの干渉は避けられません。セパレート構成ではそのノイズ混入経路を完全に断つので、ノイズの影響を受けず、聴感上のノイズ特性を改善しています。しかしながら、ただ分ければいいかというと、そういうわけではなく、最新の音質設計技術により、D/A変換を行うコア部分に対して様々な角度からのノイズケアを施していることで実現しているソリューションとなっています。そしてインピーダンスの最適化により、応答性に優れたスピード感のあるダイナミックなサウンドを実現できました。今回使用するプロセスにあったインピーダンス設計としていまして、ただ低ければよいというものではありません」(中元氏)
AK4499は4ch仕様であったが、AK4499EXでは2ch仕様となっている理由として大きなポイントとなっているのが、ピン配列からくる基板上の自然なレイアウトにあるという。AK4499は128ピン、AK4499EXでは64ピンと半分になっているうえ、デジタルとアナログの領域の境界を明瞭にし、基板の配線のしやすさ、信号の流れの最適化を実現し、さらなる高音質、理想のサウンド追求に貢献している。
「AK4499では4ch仕様でしたが、ch間のレイアウトをシンメトリーにしたいという思いがありました。信号の流れを自然にしたいというのは、我々も目指していたものですが、供給先となるセットメーカーさんの側からも要望されていたことでもあります。デジタルの飛び地ができると分離したいのに基板上で全くできなくなってしまう。それならば4ch仕様を切り捨ててしまってもよいのではないか。むしろchあたりのノイズをしっかり下げることで、各chバラバラでも、束ねてパラレル化しても、基板上で線が引きやすくなりますし、自然なレイアウトにした方が使い勝手も高まります」(佐藤氏)
レイアウトをシンメトリーにするなど、より引き回しやすく自然な配線を実現
https://www.phileweb.com/interview/article/202207/27/887_2.html
さらなる特性改善を可能にした「DWA Routing Technology」
https://www.phileweb.com/interview/article/202207/27/887_3.html
そして二つ目の世界最高クラスのアナログ特性の実現という点について、具体的なこだわり、新技術であるDWA Routing Technologyについても中鉢氏が説明してくださった。
DWA Routing Technologyの開発に大きく関わった中鉢達也氏
「世界最高クラスのアナログ特性の追求は低ノイズ・低歪みであることです。理想の音を追求するために、DACの真のノイズ特性を低減しています。特に1chあたりのS/N特性が真の回路特性と考え、AK4499より1dB改善しました。また歪み特性はAK4499と同じ−124dBと世界最小クラスです。ファブが変わったことで、この特性を出すことは設計として非常に苦労した点の一つですね。他社ファブの特徴を理解して、どこを変更すべきかを考え、我々がずっと取り組んできた低歪み技術を組み合わせることによって−124dBを達成できました。
そしてS/N特性が1dB改善した点は、新技術であるDWA Routing Technologyがもたらした効果が大きいと考えています。超低ノイズを達成するためには、電流出力型DACの電流生成に用いられる多数の抵抗素子の高いマッチング精度が要求されます。一般的にはダイナミック・エレメント・マッチングという技術を使い、抵抗を満遍なく平均化して使用することでそのミスマッチを見かけ上、下げています。DWA Routing TechnologyのDWAはデータ・ウェイティッド・アベレージの略となりますが、この技術ではダイナミック・エレメント・マッチングをベースに、製造因によるミスマッチの影響を減らしS/Nを改善させました。無信号時や小信号を含め、様々な振幅でのノイズが減少していることで微小信号のリアリティ、細やかな表現がAK4499より良くなったと感じています」(中鉢氏)
今回のAK4191+AK4499EXのセパレートDAC構成のチップや、今年に入って登場したAK4490RやAK4493Sは他社ファブでの製造委託生産となる。これまで自社ファブだからこそのメリットやこだわりもあったはずだが、この点をどう克服したのだろうか。
「ファブを持っていた強みもありましたが、これまでの知見が蓄えられていたことの方が大きいように感じます。この知見によってどこのファブを使ってもどのようにすればよいのかがわかる。これは自社ファブを持っていたことで、プロセス側とのやり取りを重ねて深い知見を得られたというメリットですね。“このプロセスの特徴はこうなっているから、こうした対策をしないといけない”という設計としてのノウハウを持っている。延岡工場のプロセス開発に携わったメンバーは社内にいますし、やり取りを重ねることで得た知見はとても大きな資産です。だからこそどこで作っても大丈夫という自信があります。新しいファブを使うときに“ここがリスクだろう”“使いやすいだろう”という見極めが意外とできるようになっていますね」(中元氏)
「DWA Routing Technologyもプロセスエンジニアと色々やり取りを重ね、“こういったことが起こり得る”という紙の上、ファブのデータの上だけではわからないことも想像し、また判断して進めてきました。プロセスエンジニアや回路設計者とともに協力して出来上がっているといえますね」(中鉢氏)
超ハイスペックフォーマットへの対応とジッターへの対策
三つ目のポイントである超ハイレゾ音源に対応しつつ、シンプルな操作を実現する2チップソリューションについては、AK4191が持つデジタル処理部の先進性がもたらすメリットが大きい。AK4191は1536kHz/64bit・PCM&44.8MHz・DSDまでの入力に対応しており、今後よりハイレートな音源が登場した際、問題なく対応できる。
そしてPCM/DSDモード切替やPCMサンプリング周波数モード、DSDデータストリームレートの切り替えも自動で行う機能性の高さ、さらにAK4499EXに対し、ミュートコントロールを行う制御信号生成機能を設け、音源切り替え時などのPOPノイズ抑制を実現している。これに加え、音質的に大きな優位点となるのが、デジタル部とアナログ部のクロックを分離でき、低ジッターな伝送が可能になる非同期動作モードを搭載していることだ。
「AK4191のオーディオインターフェースはオーディオクロックに同期して動作しています。AK4191の後段からD/A変換するAK4499EXは別の低ジッタークロックを用いることで高精度なD/A変換が可能になります。例えばストリーミングデータの再生時など、送られてくるデータと、クロックがDACで動かしたいデータとクロックのレートが揃っていない場合でもより高精度なD/A変換が可能です」(中元氏)
「データ変換時にはイメージ成分と言われる不要な成分も発生します。サンプリングレートコンバーターにも比肩するパワフルな演算量のデジタルフィルターで150dBの阻止帯域減衰能力を実現させて、イメージ成分に対処しています。このフィルターをデジタルチップに持たせることで非同期動作のノイズも抑えられ、結果として劣化のないアナログ特性を実現できました」(中鉢氏)
https://www.phileweb.com/interview/article/202207/27/887_3.html
評価ボードにて音質をチェック。ナチュラルかつ付帯感のないサウンド
https://www.phileweb.com/interview/article/202207/27/887_4.html
東京・日比谷にある旭化成エレクトロニクス内の商品検討用試聴室にて、AK4191+AK4499EX評価ボードの音を聴くことができた。
旭化成のDACチップ開発の拠点となる試聴室。スピーカーはフォーカルを使用
AK4191+AK4499EXの組み合わせによるサウンドは、音が出る瞬間のエアー感、立ち上がりや立ち下がりのリアルさに驚かされた。AK4499も空間表現力の高さを実感したが、その比ではないナチュラルさと付帯感のない澄み切ったサウンドである。
中央上の正方形がデジタル部を担う「AK4499EX」、その下の正方形が「AK4191」
オーケストラはハーモニーの緻密さや個々のパートの細やかなニュアンスや抑揚感も取りこぼしなくトレースしてくれる印象だ。管弦楽器の質感は自然な潤いがあり、ハーモニーは爽快で過剰なエンハンス感は一切感じられない。S/Nの高さはAK4191+AK4498の試聴でも感じられたセパレート方式ならではのメリットであり、余韻の階調性の高さ、静寂感のある音場のリアリティを正確に描き切る。それとは対照的にローエンドの太く逞しい音伸びの豊かさ、躍動感あるリズミカルな表現も兼ね備えており、音源の持つ情報量を欠損なく引き出してくれるような感触を持った。
社内での音質評価にも使われる評価ボード
ボーカル表現においても音離れ良くスッキリとした描写であり、ボディの質感も丁寧に描き、しなやかで強調感がない。空間表現にも長けており、リヴァーブ表現の微細なグラデーションも誇張なく追随してくれる。リズム隊のふっくらとした密度感と、アタックの自然なキレ、雑味がなく滲まない余韻表現の生々しさなど、これまで聴いてきた汎用DACチップでは体験したことのない世界観であった。
録音に立ち会った192kHz/32bit音源も聴いてみたが、楽器のアタックやリリースの正確さ、ボーカルの自然な定位と歌い出しのふわりとした空気の揺らぎも正確に表現してくれ、色付け感がなく息継ぎで感じられる口元の瑞々しさも細やかに描き出す。ピアノのアタックの素早さや重みを感じるボディの唸り、ハーモニクスの響きのクリアさも申し分なく、スタジオでプレイバックを聴いているかのようなリアルさであった。
AK4499EXのサウンドを試聴する岩井氏。幻の「AK4191+AK4498」との聴き比べも実施
AKMブランド、今後の展望。より音源の本質に迫る音を引き出すために
最後に、今回のソリューションは改めてセパレートDAC構成を世に問うとともに、AK4499の進化版であるAK4499EXの優位性、新たなフラグシップDACチップとしての存在意義を示す形となるが、その開発に込めた思いとこれからの展望についてもお三方に伺ってみた。
AKM復活に込めた思いを語る佐藤氏(右)と筆者(左)
「セパレートDAC構成のソリューションが正式に供給されるのは今回が初めてとなりますので、改めて市場の反応を見ていきたいですね。セパレートDACのラインナップはもちろんですが、例えばAK4497は非常に人気のあったDACチップでしたので、その復活の是非も検討する必要があるかもしれません。今回のAK4191+AK4499EXの音を聴く中で、再生する音源の録音状態の善し悪しもストレートに表現してくれる印象を持ちました。この音の感触を得て、ある音楽家の方が話していたことを思い出したんです。それは“かつてのシステムだと、どう録音されるかを意識した演奏を行う必要があった。しかしデジタルの進化によって今は録音することでボトルネックになるようなことはなく、自分たちが望む演奏をそのまま残せるようになった”ということでした。まさに今回のソリューションはアーティストが理想とする演奏を引き出せるDACとなっていると感じます」(佐藤氏)
「AK4191とAK4499EXを組み合わせた構成はかなりオーバースペックですが、長い目で見れば、周囲のDACチップもより上を目指していくでしょうし、DACの周辺に置かれることになる電子部品もどんどん高性能になっていきます。ですから現状に満足せず、より高いスペックを持つDAC作りに邁進していきたいですね」(中鉢氏)
「AK4499EXの前に送り出したAK4490RやAK4493Sを作った段階で、これまでよく言われていた、いわゆる“電圧出力型の音”や“電流出力型の音”という固定概念に留まらない、より音源の本質に迫る音を引き出せるようになったと感じました。エネルギー感のある豊かなサウンドが、新しいプロダクトで体感できると確信しています。AK4499EXも含めたこの3製品は外から手を加えた部分に素直に反応を示してくれる純粋さも魅力です。初めての試聴では素直すぎてびっくりしたほどです(笑)。外部の部品構成に対してのレスポンスも良く、手をかけたなりにそのまま結果が出てくるという印象ですね。
セパレート構成とすることで、デジタルノイズに埋もれていた情報を鮮明に表現できるようになったと実感しています。2個使いというDAC構成に対しては市場のリアクションも気になるところでしたが、まずは音を聴いていただきたいですね。次はまだどんなものを手掛けるのか分かりませんが、これからも引き続きDACチップ開発を行っていきます」(中元氏)
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AK4191+AK4499EXのサウンドを実際に体感すると、これまでの汎用DACチップのサウンドとは一線を画す、より生に近い高純度な音体験に衝撃を受けることだろう。電圧出力、電流出力という枠組みも超えた新世代のDACサウンドがAKMの新フラグシップ・セパレート方式では味わえる。ある種R-2Rラダー方式にも近しい高密度なサウンドだが、AKMのセパレートDAC構成は圧倒的な低ノイズ・低歪みにより、清廉で滲みのない正確な音場表現も実現しており、空気感の佇まいからして異なる印象だ。
この異次元ともいえるフラグシップ・セパレートDACのサウンド性に対し、これからのDACチップの選択肢、その進むべき道筋にも大きな一石を投じる意義深いプロダクトであると確信する。AKMのDACチップが戻ってきたという喜びを数倍にも高めてくれる、フラグシップの名に恥じない素晴らしいDACチップソリューションといえるだろう。
(提供:旭化成エレクトロニクス)
https://www.phileweb.com/interview/article/202207/27/887_4.html
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/151.html#c10
28. 2022年8月02日 17:54:48 : HzNb3ubYgs : NGpPOE54dWMyRlU=[4]
>200文字未満の違反が多数あります。
1字でも書いてあればそれで意味はわかるよ
そんなのは違反じゃない
http://www.asyura2.com/13/kanri21/msg/638.html#c28
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