16. 2023年7月14日 22:48:55 : R05V9rG9dw : NDFKY2E1aVNhNGs=[1]
ミュンシュの幻想も
https://tannoy.exblog.jp/33237554/
先日のミュンシュのブラームス1番のオリジナル盤の音がすごかったので、二版で持っている幻想のレコードのオリジナル盤も頼みました。相変わらず送料が高いのですが、こちらはブラームスの半額ぐらいでした。下の写真の左側が初版です。右側の二版もそうですが、フランス盤は材質も硬く、概してハイ上がりで、硬質な音がするのですが、1960年代のオリジナル盤は、柔らかな音がします。セカンドヴァイオリンやヴィオラの音が聞こえると言ったらお解りになられるでしょうか?
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50年前の1967年の盤ですね。下のブラームスの一番は68年です。幻想は、ミンシュ特有のスケールの大きな演奏で、オーケストラ全体が大きく息をするように動きます。聴いているとミンシュの魔界に引き込まれます。
対するブラームス の一番は、正攻法の演奏でオーケストラ全体がエネルギーを集中していきます。冒頭の部分の音が悪いと言われますが、一番低いCの音を出しているコントラバス、コントラバスファゴット、そしてオクターブ上になりますが、ティンパニーのCの音が連続して鳴り、通常のMC型のカートリッジや50Hzから100Hzの通常の低音を持ち上げている装置では、30Hzの大振幅に、カートリッジも、トランスも、イコライザーも飽和してしまい歪だらけの音になるのだと思います。
光カートリッジは、振幅比例型の発電を行います。速度比例型の電磁式のカートリッジのイコライザーとは違い、低域でも高域でも一定の振幅を取り出せます。従来の電磁式の低域では、速度が小さくなってしまう、電磁式の弱点を補うため、RIAAのカーブを低域に向かって持ち上げるのではなく、その余分に持ち上げた低域は、逆に50Hzと30Hzで最低域を6dbでカットしています。加えて、その大振幅を受け止めるリニアトラッキングアームの違いも出てくるからでしょう。
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オリジナル盤は静かな音で始まり、30Hzの最低域の大振幅を受け止めるのです。これは、カートリッジやスピーカーが最低域を出せているかの試金石のようなレコードです。このレコードの差を聞いてしまうと、光カートリッジの定振幅のメリットがはっきりとわかります。加えて、スピーカー側の低域の再生能力も問われます。
オーディオを長くされていればお分かりのようにこれがなかなか再生できないのです。GRFやオートグラフ のようなバックロードホーンでは、40Hz以下の最低域は理論上も出ません。その代わりその倍音の領域の60Hzから80Hzあたりを持ち上げて迫力を出しています。ユニコーンもそうです。ユニコーンは55Hzぐらいがカットオフですから、低音が出ている感じを上手く出しているのでしょう。オーディオテスト盤を使って検証するとその辺りの違いがはっきりとわかります。
TW5の様に最低域の再生を目指したSPでも、50Hz以下の信号音だけでは、振動は感じますが音としては感じません。信号ではほとんど聞こえないSPが、オルガンなどの音楽を流すと、たちまち部屋に音楽が溢れ、その信号は、廊下を挟んだ部屋のドアも揺らすほどです。
ミューザにベルリンフィル やバイエルンを聞きに行くとオーディオでは聞こえない最低域の音が聞こえてきます。東京文化会館や池袋の芸術劇場などのステージの後ろに座席のない箱型のホールでは、低域は音圧としてしか感じられませんが、ミューザの様なワインヤード型のホールでは、その最低域が実像として立体的に聞こえます。そのミューザでの経験を「コントラバスの低い音」として記事にしたことがあります。その時にコメントをいただいたご説明がわかりやすいと思います。
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Commented by たぬき at 2014-03-20 22:39
ベース(コントラバス、エレキベース共に)の4弦解放のE音で大体40〜42ヘルツ。
3弦解放のA音で55〜57ヘルツ。3弦のC音で60ヘルツ辺り。
と言う事はその一オクターブ下のベートーベンの運命交響曲の最低音、コントラC(五弦ないしはCマシーンで延長した4弦)は30ヘルツ辺り。
多くのオーディオスピーカーのウーハーのF0は70〜かなり良くても精々40ヘルツ位。
ベースの3弦4弦、ましてや五弦等の低音域は基音がほとんどが再生不完全。多くは2倍音以上の倍音成分やら諸々の情報から脳内補正 して低音を感じている?
因みに、低音域は周波数特性のイジワルから発音体(楽器やアンプ、オーディオスピーカー)の付近が一番音量が低く、数メートル〜数十メートル離れた場所(周波数により異なる)で最大音量(1.5〜数倍?)になります。
又、コントラバスのエンドピンを介して舞台床を楽器の第二の共鳴板とする事で本体音量比で5割増以上の音量になります。(個々の音のクリアさや音程感は、、、)
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このミュンシュ の録音には、その 32HzのCが入っています。60Hz以上の倍音を持ち上げている装置では、音が飽和してしまうのでしょう。文化会館でもその飽和が感じられます。ブラームスの一番だけではなく幻想もオーケストラのダイナミクスをよく収録してあると感心しました。二版以降の硬い音ではなく、弦や木管のの柔らかさもよく入っていました。やはりレコードはオリジナル版でないと何かが失われています。
それではCDではどうかということですが、60年代の元のマスターではなく、90年代の日本製のCDもレコードのオリジナル版とは違いますし、ましてARTになった2000年代のリマスターは、元の音とは全く異なっています。ART盤で、クレンペラーもありますが、80年代の元のCDマスターとは似ても似つかないので、お蔵入りのままです。
ところで、うちのTW5のウーファーが、このレコードの再生実験中にいろいろと進化をしました。最低域の再生は難しい、そのお話はまたいつか・・・
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