★阿修羅♪ > MEtrMm16cm5xY0k= > 100000
 
g検索 MEtrMm16cm5xY0k=  
 
MEtrMm16cm5xY0k= コメント履歴 No: 100000
http://www.asyura2.com/acat/m/me/met/MEtrMm16cm5xY0k=/100000.html
[近代史4] アメリカで再流行が起こった場合、経済崩壊し米国株は完全に終了する 中川隆
1. 中川隆[-12740] koaQ7Jey 2020年5月07日 06:59:06 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[1]

米国の量的緩和が限界に近づき失速へ 株価への影響は2020年5月6日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

世界の株式市場は新型コロナウィルスの世界的流行による株安相場からの反発が続いている。しかし筆者には現在の相場にはポジティブな要素がほとんどないように見える。実体経済が危機的状況にあるのはこれまで伝えているが、それに加えてアメリカの量的緩和が失速し始めたからである。

国債買い入れ失速

アメリカでは2月からの株安相場を受けて無制限の量的緩和が行われている。

•米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落

量的緩和とは中央銀行が通貨を発行してその通貨で国債などの証券を買い入れることであり、無制限とはその買い入れ額に制限がないことである。

しかしこの無制限の量的緩和が4月の後半から失速し始めている。中央銀行の国債保有額の推移は次のようになっている。

3月に入って勢い良く急上昇したグラフの傾きが段々なだらかになってきているのが分かるだろう。そしてその結果どうなっているかと言えば、長期金利が不気味な上昇を始めている。

長期金利は10年物国債の金利だが、よりリスクの高い30年物国債の金利はもっと明らかに上向き始めている。

繰り返すが、現在アメリカの中央銀行は無制限の国債買い入れによって金利を下げようとしているのである。量的緩和で株価が支えられるのは、国債の金利が下がることによって投資家がよりリスクの高い不動産や株式に資金を振り分けるからであり、金利が上がってしまうとその浮揚効果も無くなってしまう。

量的緩和失速の理由

「無制限の国債買い入れ」は何故失速してしまっているのだろうか? その理由は中央銀行の買い入れ額に制限がなくとも買い入れることの出来る国債の総量に限りがあるからである。

現時点で存在している米国債の量は23兆ドルである。一方で3月に量的緩和が加速してから1ヶ月で買い入れた国債の額はグラフを見れば分かるが1兆ドル程度である。

つまり、「無制限の量的緩和」を当初の速度で続けるとこの世に存在するすべての米国債を2年足らずですべて買い上げてしまうことになるのである。これが量的緩和の限界である。買い入れ対象が無くなれば買い入れは出来なくなる。当たり前である。

それで中央銀行は株価が落ち着いたために買い入れ速度を落としたのだが、そうすると今度は金利が上昇してきた。しかし金利が上昇すれば株価を支えることは出来なくなってしまうだろう。

量的緩和の限界

これがここ数年何度も懸念されていた中央銀行の緩和限界の問題である。

•米国、緊急会合でゼロ金利まで利下げし量的緩和を正式に再開 暴落時の追加緩和が不可能に

今回のコロナショックで世界中の中央銀行は追加緩和の余地を失ってしまった。それどころかアメリカはここまで限界を越えて緩和しており、失速は不可避だったと言える。しかしもしかすると市場は失速を許さないかもしれない。米国の株価指数S&P 500は次のように推移している。

現在の株価水準

筆者は現在米国株を空売りしているが、同じように空売りをしている投資家にジェフリー・ガンドラック氏がいる。ガンドラック氏は株価水準について次のように述べている。

•ガンドラック氏: 株価は3月の底値を更新する


2,863でS&Pを空売りした。ここからはアップサイドもダウンサイドも大きくない。

S&P 500は3,000まで行かないと思うが、それも有り得る。ダウンサイドについては容易に底値を越えていくだろう。

彼が何故このように言ったかと言えば、現在の市場環境とコロナショックの規模の大きさから考えれば3,000程度が株価の限界だからである。実体経済へのダメージの大きさについては以下の記事で説明している。

•新型コロナ、米国経済の景気後退はリーマンショックの倍以上か、第1四半期GDP速報

しかし3,000というのは金利が今の水準に留まるならばの話であり、量的緩和が減速を続けて金利が上昇する場合には3,000という水準も維持が難しくなってくるだろう。しかし量的緩和は減速しなければ2年で打ち止めになってしまう。仮に減速せずに続けたとしても、この状況で量的緩和が打ち止めになれば株価も実体経済も崩壊するだろう。

結論

ということで、実体経済も株式市場も詰んでいるという見解を維持したい。しかしそれで良いのである。コロナショックでこれほど大きなダメージにならなければならないのはこれまで金融緩和と政府債務の膨張によって無理矢理経済をバブルにしてきたからであり、借金と紙幣印刷に頼らないまともな生活をしていれば経済のV回復も可能だったはずである。このことについては以下の記事で説明している。

•新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する

しかし借金を増やして株価をバブルにしたがる政治家から経済を操作する道具は失われた。まともな投資家は当然それを歓迎しているわけである。

•世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
•ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/871.html#c1

[近代史3] 日銀の金融緩和はアメリカの出口戦略に協力していただけだった 中川隆
15. 中川隆[-12738] koaQ7Jey 2020年5月07日 07:02:25 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[3]

米国の量的緩和が限界に近づき失速へ 株価への影響は2020年5月6日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

世界の株式市場は新型コロナウィルスの世界的流行による株安相場からの反発が続いている。しかし筆者には現在の相場にはポジティブな要素がほとんどないように見える。実体経済が危機的状況にあるのはこれまで伝えているが、それに加えてアメリカの量的緩和が失速し始めたからである。

国債買い入れ失速

アメリカでは2月からの株安相場を受けて無制限の量的緩和が行われている。

•米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落

量的緩和とは中央銀行が通貨を発行してその通貨で国債などの証券を買い入れることであり、無制限とはその買い入れ額に制限がないことである。

しかしこの無制限の量的緩和が4月の後半から失速し始めている。中央銀行の国債保有額の推移は次のようになっている。

3月に入って勢い良く急上昇したグラフの傾きが段々なだらかになってきているのが分かるだろう。そしてその結果どうなっているかと言えば、長期金利が不気味な上昇を始めている。

長期金利は10年物国債の金利だが、よりリスクの高い30年物国債の金利はもっと明らかに上向き始めている。

繰り返すが、現在アメリカの中央銀行は無制限の国債買い入れによって金利を下げようとしているのである。量的緩和で株価が支えられるのは、国債の金利が下がることによって投資家がよりリスクの高い不動産や株式に資金を振り分けるからであり、金利が上がってしまうとその浮揚効果も無くなってしまう。

量的緩和失速の理由

「無制限の国債買い入れ」は何故失速してしまっているのだろうか? その理由は中央銀行の買い入れ額に制限がなくとも買い入れることの出来る国債の総量に限りがあるからである。

現時点で存在している米国債の量は23兆ドルである。一方で3月に量的緩和が加速してから1ヶ月で買い入れた国債の額はグラフを見れば分かるが1兆ドル程度である。

つまり、「無制限の量的緩和」を当初の速度で続けるとこの世に存在するすべての米国債を2年足らずですべて買い上げてしまうことになるのである。これが量的緩和の限界である。買い入れ対象が無くなれば買い入れは出来なくなる。当たり前である。

それで中央銀行は株価が落ち着いたために買い入れ速度を落としたのだが、そうすると今度は金利が上昇してきた。しかし金利が上昇すれば株価を支えることは出来なくなってしまうだろう。

量的緩和の限界

これがここ数年何度も懸念されていた中央銀行の緩和限界の問題である。

•米国、緊急会合でゼロ金利まで利下げし量的緩和を正式に再開 暴落時の追加緩和が不可能に

今回のコロナショックで世界中の中央銀行は追加緩和の余地を失ってしまった。それどころかアメリカはここまで限界を越えて緩和しており、失速は不可避だったと言える。しかしもしかすると市場は失速を許さないかもしれない。米国の株価指数S&P 500は次のように推移している。

現在の株価水準

筆者は現在米国株を空売りしているが、同じように空売りをしている投資家にジェフリー・ガンドラック氏がいる。ガンドラック氏は株価水準について次のように述べている。

•ガンドラック氏: 株価は3月の底値を更新する


2,863でS&Pを空売りした。ここからはアップサイドもダウンサイドも大きくない。

S&P 500は3,000まで行かないと思うが、それも有り得る。ダウンサイドについては容易に底値を越えていくだろう。

彼が何故このように言ったかと言えば、現在の市場環境とコロナショックの規模の大きさから考えれば3,000程度が株価の限界だからである。実体経済へのダメージの大きさについては以下の記事で説明している。

•新型コロナ、米国経済の景気後退はリーマンショックの倍以上か、第1四半期GDP速報

しかし3,000というのは金利が今の水準に留まるならばの話であり、量的緩和が減速を続けて金利が上昇する場合には3,000という水準も維持が難しくなってくるだろう。しかし量的緩和は減速しなければ2年で打ち止めになってしまう。仮に減速せずに続けたとしても、この状況で量的緩和が打ち止めになれば株価も実体経済も崩壊するだろう。

結論

ということで、実体経済も株式市場も詰んでいるという見解を維持したい。しかしそれで良いのである。コロナショックでこれほど大きなダメージにならなければならないのはこれまで金融緩和と政府債務の膨張によって無理矢理経済をバブルにしてきたからであり、借金と紙幣印刷に頼らないまともな生活をしていれば経済のV回復も可能だったはずである。このことについては以下の記事で説明している。

•新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する

しかし借金を増やして株価をバブルにしたがる政治家から経済を操作する道具は失われた。まともな投資家は当然それを歓迎しているわけである。

•世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
•ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/369.html#c15

[近代史3] 日本や中国のバブルは簡単に崩壊するけれど、アメリカのバブルだけは絶対に崩壊しない理由 中川隆
57. 中川隆[-12737] koaQ7Jey 2020年5月07日 07:03:47 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[4]

米国の量的緩和が限界に近づき失速へ 株価への影響は2020年5月6日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

世界の株式市場は新型コロナウィルスの世界的流行による株安相場からの反発が続いている。しかし筆者には現在の相場にはポジティブな要素がほとんどないように見える。実体経済が危機的状況にあるのはこれまで伝えているが、それに加えてアメリカの量的緩和が失速し始めたからである。

国債買い入れ失速

アメリカでは2月からの株安相場を受けて無制限の量的緩和が行われている。

•米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落

量的緩和とは中央銀行が通貨を発行してその通貨で国債などの証券を買い入れることであり、無制限とはその買い入れ額に制限がないことである。

しかしこの無制限の量的緩和が4月の後半から失速し始めている。中央銀行の国債保有額の推移は次のようになっている。

3月に入って勢い良く急上昇したグラフの傾きが段々なだらかになってきているのが分かるだろう。そしてその結果どうなっているかと言えば、長期金利が不気味な上昇を始めている。

長期金利は10年物国債の金利だが、よりリスクの高い30年物国債の金利はもっと明らかに上向き始めている。

繰り返すが、現在アメリカの中央銀行は無制限の国債買い入れによって金利を下げようとしているのである。量的緩和で株価が支えられるのは、国債の金利が下がることによって投資家がよりリスクの高い不動産や株式に資金を振り分けるからであり、金利が上がってしまうとその浮揚効果も無くなってしまう。

量的緩和失速の理由

「無制限の国債買い入れ」は何故失速してしまっているのだろうか? その理由は中央銀行の買い入れ額に制限がなくとも買い入れることの出来る国債の総量に限りがあるからである。

現時点で存在している米国債の量は23兆ドルである。一方で3月に量的緩和が加速してから1ヶ月で買い入れた国債の額はグラフを見れば分かるが1兆ドル程度である。

つまり、「無制限の量的緩和」を当初の速度で続けるとこの世に存在するすべての米国債を2年足らずですべて買い上げてしまうことになるのである。これが量的緩和の限界である。買い入れ対象が無くなれば買い入れは出来なくなる。当たり前である。

それで中央銀行は株価が落ち着いたために買い入れ速度を落としたのだが、そうすると今度は金利が上昇してきた。しかし金利が上昇すれば株価を支えることは出来なくなってしまうだろう。

量的緩和の限界

これがここ数年何度も懸念されていた中央銀行の緩和限界の問題である。

•米国、緊急会合でゼロ金利まで利下げし量的緩和を正式に再開 暴落時の追加緩和が不可能に

今回のコロナショックで世界中の中央銀行は追加緩和の余地を失ってしまった。それどころかアメリカはここまで限界を越えて緩和しており、失速は不可避だったと言える。しかしもしかすると市場は失速を許さないかもしれない。米国の株価指数S&P 500は次のように推移している。

現在の株価水準

筆者は現在米国株を空売りしているが、同じように空売りをしている投資家にジェフリー・ガンドラック氏がいる。ガンドラック氏は株価水準について次のように述べている。

•ガンドラック氏: 株価は3月の底値を更新する


2,863でS&Pを空売りした。ここからはアップサイドもダウンサイドも大きくない。

S&P 500は3,000まで行かないと思うが、それも有り得る。ダウンサイドについては容易に底値を越えていくだろう。

彼が何故このように言ったかと言えば、現在の市場環境とコロナショックの規模の大きさから考えれば3,000程度が株価の限界だからである。実体経済へのダメージの大きさについては以下の記事で説明している。

•新型コロナ、米国経済の景気後退はリーマンショックの倍以上か、第1四半期GDP速報

しかし3,000というのは金利が今の水準に留まるならばの話であり、量的緩和が減速を続けて金利が上昇する場合には3,000という水準も維持が難しくなってくるだろう。しかし量的緩和は減速しなければ2年で打ち止めになってしまう。仮に減速せずに続けたとしても、この状況で量的緩和が打ち止めになれば株価も実体経済も崩壊するだろう。

結論

ということで、実体経済も株式市場も詰んでいるという見解を維持したい。しかしそれで良いのである。コロナショックでこれほど大きなダメージにならなければならないのはこれまで金融緩和と政府債務の膨張によって無理矢理経済をバブルにしてきたからであり、借金と紙幣印刷に頼らないまともな生活をしていれば経済のV回復も可能だったはずである。このことについては以下の記事で説明している。

•新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する

しかし借金を増やして株価をバブルにしたがる政治家から経済を操作する道具は失われた。まともな投資家は当然それを歓迎しているわけである。

•世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
•ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/121.html#c57

[近代史4] バブル崩壊の歴史 中川隆
10. 中川隆[-12736] koaQ7Jey 2020年5月07日 07:04:28 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[5]

米国の量的緩和が限界に近づき失速へ 株価への影響は2020年5月6日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

世界の株式市場は新型コロナウィルスの世界的流行による株安相場からの反発が続いている。しかし筆者には現在の相場にはポジティブな要素がほとんどないように見える。実体経済が危機的状況にあるのはこれまで伝えているが、それに加えてアメリカの量的緩和が失速し始めたからである。

国債買い入れ失速

アメリカでは2月からの株安相場を受けて無制限の量的緩和が行われている。

•米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落

量的緩和とは中央銀行が通貨を発行してその通貨で国債などの証券を買い入れることであり、無制限とはその買い入れ額に制限がないことである。

しかしこの無制限の量的緩和が4月の後半から失速し始めている。中央銀行の国債保有額の推移は次のようになっている。

3月に入って勢い良く急上昇したグラフの傾きが段々なだらかになってきているのが分かるだろう。そしてその結果どうなっているかと言えば、長期金利が不気味な上昇を始めている。

長期金利は10年物国債の金利だが、よりリスクの高い30年物国債の金利はもっと明らかに上向き始めている。

繰り返すが、現在アメリカの中央銀行は無制限の国債買い入れによって金利を下げようとしているのである。量的緩和で株価が支えられるのは、国債の金利が下がることによって投資家がよりリスクの高い不動産や株式に資金を振り分けるからであり、金利が上がってしまうとその浮揚効果も無くなってしまう。

量的緩和失速の理由

「無制限の国債買い入れ」は何故失速してしまっているのだろうか? その理由は中央銀行の買い入れ額に制限がなくとも買い入れることの出来る国債の総量に限りがあるからである。

現時点で存在している米国債の量は23兆ドルである。一方で3月に量的緩和が加速してから1ヶ月で買い入れた国債の額はグラフを見れば分かるが1兆ドル程度である。

つまり、「無制限の量的緩和」を当初の速度で続けるとこの世に存在するすべての米国債を2年足らずですべて買い上げてしまうことになるのである。これが量的緩和の限界である。買い入れ対象が無くなれば買い入れは出来なくなる。当たり前である。

それで中央銀行は株価が落ち着いたために買い入れ速度を落としたのだが、そうすると今度は金利が上昇してきた。しかし金利が上昇すれば株価を支えることは出来なくなってしまうだろう。

量的緩和の限界

これがここ数年何度も懸念されていた中央銀行の緩和限界の問題である。

•米国、緊急会合でゼロ金利まで利下げし量的緩和を正式に再開 暴落時の追加緩和が不可能に

今回のコロナショックで世界中の中央銀行は追加緩和の余地を失ってしまった。それどころかアメリカはここまで限界を越えて緩和しており、失速は不可避だったと言える。しかしもしかすると市場は失速を許さないかもしれない。米国の株価指数S&P 500は次のように推移している。

現在の株価水準

筆者は現在米国株を空売りしているが、同じように空売りをしている投資家にジェフリー・ガンドラック氏がいる。ガンドラック氏は株価水準について次のように述べている。

•ガンドラック氏: 株価は3月の底値を更新する


2,863でS&Pを空売りした。ここからはアップサイドもダウンサイドも大きくない。

S&P 500は3,000まで行かないと思うが、それも有り得る。ダウンサイドについては容易に底値を越えていくだろう。

彼が何故このように言ったかと言えば、現在の市場環境とコロナショックの規模の大きさから考えれば3,000程度が株価の限界だからである。実体経済へのダメージの大きさについては以下の記事で説明している。

•新型コロナ、米国経済の景気後退はリーマンショックの倍以上か、第1四半期GDP速報

しかし3,000というのは金利が今の水準に留まるならばの話であり、量的緩和が減速を続けて金利が上昇する場合には3,000という水準も維持が難しくなってくるだろう。しかし量的緩和は減速しなければ2年で打ち止めになってしまう。仮に減速せずに続けたとしても、この状況で量的緩和が打ち止めになれば株価も実体経済も崩壊するだろう。

結論

ということで、実体経済も株式市場も詰んでいるという見解を維持したい。しかしそれで良いのである。コロナショックでこれほど大きなダメージにならなければならないのはこれまで金融緩和と政府債務の膨張によって無理矢理経済をバブルにしてきたからであり、借金と紙幣印刷に頼らないまともな生活をしていれば経済のV回復も可能だったはずである。このことについては以下の記事で説明している。

•新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する

しかし借金を増やして株価をバブルにしたがる政治家から経済を操作する道具は失われた。まともな投資家は当然それを歓迎しているわけである。

•世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
•ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/128.html#c10

[近代史02] 株式投資の神様「ウォーレン・バフェット」の言葉を真に受けると悲惨な結果になる 中川隆
23. 中川隆[-12735] koaQ7Jey 2020年5月07日 07:07:02 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[6]

米国の量的緩和が限界に近づき失速へ 株価への影響は2020年5月6日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

世界の株式市場は新型コロナウィルスの世界的流行による株安相場からの反発が続いている。しかし筆者には現在の相場にはポジティブな要素がほとんどないように見える。実体経済が危機的状況にあるのはこれまで伝えているが、それに加えてアメリカの量的緩和が失速し始めたからである。

国債買い入れ失速

アメリカでは2月からの株安相場を受けて無制限の量的緩和が行われている。

•米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落

量的緩和とは中央銀行が通貨を発行してその通貨で国債などの証券を買い入れることであり、無制限とはその買い入れ額に制限がないことである。

しかしこの無制限の量的緩和が4月の後半から失速し始めている。中央銀行の国債保有額の推移は次のようになっている。

3月に入って勢い良く急上昇したグラフの傾きが段々なだらかになってきているのが分かるだろう。そしてその結果どうなっているかと言えば、長期金利が不気味な上昇を始めている。

長期金利は10年物国債の金利だが、よりリスクの高い30年物国債の金利はもっと明らかに上向き始めている。

繰り返すが、現在アメリカの中央銀行は無制限の国債買い入れによって金利を下げようとしているのである。量的緩和で株価が支えられるのは、国債の金利が下がることによって投資家がよりリスクの高い不動産や株式に資金を振り分けるからであり、金利が上がってしまうとその浮揚効果も無くなってしまう。

量的緩和失速の理由

「無制限の国債買い入れ」は何故失速してしまっているのだろうか? その理由は中央銀行の買い入れ額に制限がなくとも買い入れることの出来る国債の総量に限りがあるからである。

現時点で存在している米国債の量は23兆ドルである。一方で3月に量的緩和が加速してから1ヶ月で買い入れた国債の額はグラフを見れば分かるが1兆ドル程度である。

つまり、「無制限の量的緩和」を当初の速度で続けるとこの世に存在するすべての米国債を2年足らずですべて買い上げてしまうことになるのである。これが量的緩和の限界である。買い入れ対象が無くなれば買い入れは出来なくなる。当たり前である。

それで中央銀行は株価が落ち着いたために買い入れ速度を落としたのだが、そうすると今度は金利が上昇してきた。しかし金利が上昇すれば株価を支えることは出来なくなってしまうだろう。

量的緩和の限界

これがここ数年何度も懸念されていた中央銀行の緩和限界の問題である。

•米国、緊急会合でゼロ金利まで利下げし量的緩和を正式に再開 暴落時の追加緩和が不可能に

今回のコロナショックで世界中の中央銀行は追加緩和の余地を失ってしまった。それどころかアメリカはここまで限界を越えて緩和しており、失速は不可避だったと言える。しかしもしかすると市場は失速を許さないかもしれない。米国の株価指数S&P 500は次のように推移している。

現在の株価水準

筆者は現在米国株を空売りしているが、同じように空売りをしている投資家にジェフリー・ガンドラック氏がいる。ガンドラック氏は株価水準について次のように述べている。

•ガンドラック氏: 株価は3月の底値を更新する


2,863でS&Pを空売りした。ここからはアップサイドもダウンサイドも大きくない。

S&P 500は3,000まで行かないと思うが、それも有り得る。ダウンサイドについては容易に底値を越えていくだろう。

彼が何故このように言ったかと言えば、現在の市場環境とコロナショックの規模の大きさから考えれば3,000程度が株価の限界だからである。実体経済へのダメージの大きさについては以下の記事で説明している。

•新型コロナ、米国経済の景気後退はリーマンショックの倍以上か、第1四半期GDP速報

しかし3,000というのは金利が今の水準に留まるならばの話であり、量的緩和が減速を続けて金利が上昇する場合には3,000という水準も維持が難しくなってくるだろう。しかし量的緩和は減速しなければ2年で打ち止めになってしまう。仮に減速せずに続けたとしても、この状況で量的緩和が打ち止めになれば株価も実体経済も崩壊するだろう。

結論

ということで、実体経済も株式市場も詰んでいるという見解を維持したい。しかしそれで良いのである。コロナショックでこれほど大きなダメージにならなければならないのはこれまで金融緩和と政府債務の膨張によって無理矢理経済をバブルにしてきたからであり、借金と紙幣印刷に頼らないまともな生活をしていれば経済のV回復も可能だったはずである。このことについては以下の記事で説明している。

•新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する

しかし借金を増やして株価をバブルにしたがる政治家から経済を操作する道具は失われた。まともな投資家は当然それを歓迎しているわけである。

•世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
•ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/886.html#c23

[近代史02] 鈴木傾城 _ アメリカ株で儲けるほど簡単な事は無い 中川隆
80. 中川隆[-12734] koaQ7Jey 2020年5月07日 07:07:59 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[7]

米国の量的緩和が限界に近づき失速へ 株価への影響は2020年5月6日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

世界の株式市場は新型コロナウィルスの世界的流行による株安相場からの反発が続いている。しかし筆者には現在の相場にはポジティブな要素がほとんどないように見える。実体経済が危機的状況にあるのはこれまで伝えているが、それに加えてアメリカの量的緩和が失速し始めたからである。

国債買い入れ失速

アメリカでは2月からの株安相場を受けて無制限の量的緩和が行われている。

•米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落

量的緩和とは中央銀行が通貨を発行してその通貨で国債などの証券を買い入れることであり、無制限とはその買い入れ額に制限がないことである。

しかしこの無制限の量的緩和が4月の後半から失速し始めている。中央銀行の国債保有額の推移は次のようになっている。

3月に入って勢い良く急上昇したグラフの傾きが段々なだらかになってきているのが分かるだろう。そしてその結果どうなっているかと言えば、長期金利が不気味な上昇を始めている。

長期金利は10年物国債の金利だが、よりリスクの高い30年物国債の金利はもっと明らかに上向き始めている。

繰り返すが、現在アメリカの中央銀行は無制限の国債買い入れによって金利を下げようとしているのである。量的緩和で株価が支えられるのは、国債の金利が下がることによって投資家がよりリスクの高い不動産や株式に資金を振り分けるからであり、金利が上がってしまうとその浮揚効果も無くなってしまう。

量的緩和失速の理由

「無制限の国債買い入れ」は何故失速してしまっているのだろうか? その理由は中央銀行の買い入れ額に制限がなくとも買い入れることの出来る国債の総量に限りがあるからである。

現時点で存在している米国債の量は23兆ドルである。一方で3月に量的緩和が加速してから1ヶ月で買い入れた国債の額はグラフを見れば分かるが1兆ドル程度である。

つまり、「無制限の量的緩和」を当初の速度で続けるとこの世に存在するすべての米国債を2年足らずですべて買い上げてしまうことになるのである。これが量的緩和の限界である。買い入れ対象が無くなれば買い入れは出来なくなる。当たり前である。

それで中央銀行は株価が落ち着いたために買い入れ速度を落としたのだが、そうすると今度は金利が上昇してきた。しかし金利が上昇すれば株価を支えることは出来なくなってしまうだろう。

量的緩和の限界

これがここ数年何度も懸念されていた中央銀行の緩和限界の問題である。

•米国、緊急会合でゼロ金利まで利下げし量的緩和を正式に再開 暴落時の追加緩和が不可能に

今回のコロナショックで世界中の中央銀行は追加緩和の余地を失ってしまった。それどころかアメリカはここまで限界を越えて緩和しており、失速は不可避だったと言える。しかしもしかすると市場は失速を許さないかもしれない。米国の株価指数S&P 500は次のように推移している。

現在の株価水準

筆者は現在米国株を空売りしているが、同じように空売りをしている投資家にジェフリー・ガンドラック氏がいる。ガンドラック氏は株価水準について次のように述べている。

•ガンドラック氏: 株価は3月の底値を更新する


2,863でS&Pを空売りした。ここからはアップサイドもダウンサイドも大きくない。

S&P 500は3,000まで行かないと思うが、それも有り得る。ダウンサイドについては容易に底値を越えていくだろう。

彼が何故このように言ったかと言えば、現在の市場環境とコロナショックの規模の大きさから考えれば3,000程度が株価の限界だからである。実体経済へのダメージの大きさについては以下の記事で説明している。

•新型コロナ、米国経済の景気後退はリーマンショックの倍以上か、第1四半期GDP速報

しかし3,000というのは金利が今の水準に留まるならばの話であり、量的緩和が減速を続けて金利が上昇する場合には3,000という水準も維持が難しくなってくるだろう。しかし量的緩和は減速しなければ2年で打ち止めになってしまう。仮に減速せずに続けたとしても、この状況で量的緩和が打ち止めになれば株価も実体経済も崩壊するだろう。

結論

ということで、実体経済も株式市場も詰んでいるという見解を維持したい。しかしそれで良いのである。コロナショックでこれほど大きなダメージにならなければならないのはこれまで金融緩和と政府債務の膨張によって無理矢理経済をバブルにしてきたからであり、借金と紙幣印刷に頼らないまともな生活をしていれば経済のV回復も可能だったはずである。このことについては以下の記事で説明している。

•新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する

しかし借金を増やして株価をバブルにしたがる政治家から経済を操作する道具は失われた。まともな投資家は当然それを歓迎しているわけである。

•世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
•ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/895.html#c80

[近代史4] アメリカで再流行が起こった場合、経済崩壊し米国株は完全に終了する 中川隆
2. 中川隆[-12733] koaQ7Jey 2020年5月07日 07:28:24 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[8]


新型コロナと株価暴落の「第二波」は10月か?ロックダウン解除の危険性=吉田繁治
2020年5月5日

5〜6月に都市封鎖が解除された場合、静かな7〜9月を経て、10月から新型コロナの第二波が来る可能性が高いでしょう。そうなれば株価は二番底をつけます。

「新型コロナの第二波に注意せよ」専門家の警告

英国LANCET(権威のある医学専門雑誌)に掲載されたこの論文は、「Beware of the second wave of COVIC-19(新型コロナの第二波に注意せよ)」として、以下のように述べています(4月8日)。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30845-X/fulltext

[原文]
「Leung and colleagues also modelled the potential adverse consequences of premature relaxation of interventions, and found that such a decision might lead to transmissibility exceeding 1 again?ie, a second wave of infections.」

[翻訳]
「リャン(中国名の李?)と研究所の同僚は、政府介入の早期緩和(都市封鎖や移動制限の解除)が、逆の結果を生むことをモデル化し、感染は(現在の)第一波を超えて第二波を生むかもしれないことを発見した」

上記は、5〜6月に都市封鎖や移動制限を解除すれば新型コロナの第二波が訪れ、20年の秋・冬まで長期化する可能性があるという趣旨です。未来は現在の条件から確定したものではなく、未知の新しい現象が生じるので、確率的なものとしてしか示せない。LANCETでは「might」という仮定の助動詞を使っています。

感染症学者は、「最も多い26万人(839万人の人口の3%)の感染者が確認されたNY市ですら初期の段階であろう。感染者はこれからも増える」と言っています。


4月の反発はダマシ?楽観的すぎる株式市場

世界の株価を4月に上昇させた早期収束論は、数理モデルからは誤っている可能性が高い。ワクチンができるのも、最短でも1〜1.5年後とされているからです。
ワクチン開発に時間がかかるのは、臨床の治験が必要だからです。ワクチンは副作用を極小化する必要があるので、普通は短くても5〜7年かけます。ワクチンからの感染事例が出ると巨額の損害賠償になるからです。製薬会社は、そうした分かり切ったリスクは犯しません。

南半球での、およそ4か月遅れの感染増加を考慮すると、延期された東京オリンピックの開催も危ういと見なければならない。アフリカでの確認感染はごく初期段階の2万人(4月上旬)、オーストラリア6619人、ブラジルが1万人です。人が集まる会場は、ウイルス拡散の場になります。

無制限緩和という“人工心肺”で延命中だが
NYダウは、3月18日の一番底の1万8,600ドルから2万3,600ドルまで、4週で5,000ドル回復しています(4月20日)。ピークの2万9,500ドルから9,900ドル下落していたので、半分戻したことになります。
この買いは、

(1)コロナショックは5〜6月に収束するという論
(2)FRBによる2.3兆ドルのマネー供給

によって果たされています。

FRBは、3月3日と16日に2度(1.5ポイント)の利下げをした上で(短期金利誘導目標0.00%〜0.25%)、金融機関とファンドがもっていた米国債と、REIT(不動産上場投信)が下がっていた住宅証券のMBSを買い上げて、まず、金融機関にマネー供給をしたのです。その金額は、2兆ドル(220兆円)と巨大です。

米国債の価格は10年債で14%上がり、MBSも価格を回復しました。金融機関とファンドは、国債とMBSをFRBに売って、入ったドル現金をもとに33%下がっていた米国株(NYダウ、S&P500、ナスダック)の買い越しを続け、ダウで2万3,600ドルまで5000ドル戻したのです。

FRBは今回の量的緩和を無制限としています。株価を下げず、金融危機・企業倒産を防ぐためなら、いくらでも増額するということです<中略>

50%回復した株式市場が想定しているロックダウン解除(5〜6月)が、米国で実際に行われた場合、静かな7月、8月、9月を経て、10月から第二波が来る可能性が高いと思っています。第二波が来れば株価は二番底をつけるでしょう。社債、CLO、REITの再下落も同時です。

https://www.mag2.com/p/money/916477


http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/871.html#c2

[リバイバル3] 株で儲ける方法教えてあげる(こっそり) 新スレ 中川隆
321. 中川隆[-12732] koaQ7Jey 2020年5月07日 08:47:26 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[9]
平野憲一の株のお話
http://kasset.blog.fc2.com/


筆者の師である石井独眼流の言葉 2020.05.03

「相場には投資家の本音が素直に現れる。理屈で考えるよりも、相場から本質を読み取ろうとしたほうが上手くいく」

を思い出します。もちろんこれはテクニカル指標だけではなく、価値(ファンダメンタルズ)、需給、人気をしっかり分析して相場の正体を見極めよということです。

筆者の仲人でもある師からはたくさんのことを学びました。この休み中その内容の一部をお伝えしようと思います。

師は言っていました。
「株価を左右する材料というものは、皆が知ってしまえば折り込み済み、天下周知と言うことになり、株価は逆に動く可能性を持つ。つまり知ったらおしまいだ」。

 こういう時の適切な相場格言は「少数意見につけ」ですが、今の意見はバラバラで多数も少数もまだ明確になっていません。と言うことは「休むも相場」でしょうか。


相場が高い時には警戒し、安い時には強気で臨む「逆張り」の精神が基本だと常々師は言っていました。

ただ、逆張りは相場が小さく動く場合の作戦としては良いが、相場が継続的に大きく動く場合には、へそ曲がり的な逆張りは失敗する危険性が高くなるとも言いました。

長期株高の場合は、高くなってから買い始める「順張り」が成功します。
その代わり、相場はいつか大天井や大底を打つので、順張り投資家も結果的にひどい目にあいます。

つまりは「順張りと逆張りの両方を宮本武蔵の二刀流のように使い分けて活用」(石井独眼流語録)することが相場に勝つ基本ということになります。


 日本株の「価値」はどんどん下がっています。日経平均が2万3000円台にいた2月の中盤まで予想EPS(1株当たり利益)は1600円台前半(それさえも前年7月25日の1795円からかなり下がっていた)でしたが、5月1日現在では1189円まで下がっています。

主要企業の大幅下方修正と、多くの企業の今期(2020年度)見通しの撤回や未公表でやむを得ぬことですが、予想PER(株価収益率)は16.5倍まで上がってしまいました。2016年12月16日の16.64倍以来のことです。この2016年の年末相場はドナルド・トランプ氏が大統領選に勝利した後の株価急騰による「良いPER16倍」でした。今は、EPS急落による「悪いPER16倍」と言えるもので、ますます買いにくい相場となっています。

しかし、本欄の聡明な読者は「買いにくい相場は高い」(石井独眼流語録)と言う株式投資の本質を知っています。
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/822.html#c321

[近代史4] 監視社会 _ 危険人物に接触した人を追跡するシステムが導入されようとしている 中川隆
1. 中川隆[-12731] koaQ7Jey 2020年5月07日 09:01:08 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[10]
2020.04.28
社会の収容所化を進めるのは米国を中心とする支配システムの崩壊が近いため


 アメリカをはじめ西側の国々では社会システムが大きく変化、収容所化が進んでいる。そうした流れを作る上でCOVID-19(新型コロナウイルス)が利用されていることは本ブログでも繰り返し書いてきたが、ここにきて突如始まったわけでもない。

 日本では「自粛」、つまり「自己責任」で戒厳令的な情況が作り出されているが、ロックダウン(監禁)という強制的な方法がとられている国もある。まさに収容所化だ。

 収容所では監視システムも強力。今回のウイルス騒動ではGPSが人の動きを監視する道具になることが示されたが、街中の監視カメラで顔を判別するだけでなく、人と人の距離も測定できることが伝えられている。イギリスの監視カメラなどの中には盗聴が可能なものもある。そうした監視システムの問題に警鐘を鳴らしたひとりがNSAの内部告発者である​エドワード・スノーデン​だ

 社会の収容所化で重要な役割を演じるのは警察だが、​アメリカでは警察の軍隊化​が問題になっている。イラクへ派遣された海兵隊よりアメリカ国内の警官の方が装備が高度だとも言われたほどだ。​2014年頃から非軍事の省庁で武装化が進められている​ことも注目されてきた。

 ​アメリカ陸軍はバージニア州に軍事訓練用の町を建設​、兵士を訓練している。広さは約121万平方メートルで、5階建ての大使館、銀行、学校、地下鉄と駅、モスク、フットボールのスタジアム、ヘリコプターの離発着ゾーンなどがあり、地下鉄は実際に動かすことが可能。客車のロゴはワシントンDCの地下鉄と同じだという。

 暴動を鎮圧するための新兵器も開発されてきた。音を使ったLRAD(長距離音響発生装置)はすでに使われているようだが、​マイクロ波を使って皮膚の表面温度を上昇させるADS​なる兵器を開発されている。このADSの基本原理は電子レンジと同じ。「熱線」とも呼ばれている。違いは周波数。ADSが95ギガヘルツなのに対し、電子レンジは2.45ギガヘルツだ。

 その一方、バラク・オバマ政権は銃の規制に積極的だった。一種の刀狩りだ。アメリカやヨーロッパでは一時、銃撃事件が頻発した。そうした事件の中に不自然なものがあることは本ブログでも指摘したが、そうした事件が刀狩りに利用されている。

 地下政府の設置は1958年に「アイゼンハワー・テン」という形で決められ、COGにつながるが、暴動を鎮圧する仕組みも作られている。例えば、1968年にマーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺された直後に2旅団が編成されたガーデン・プロット作戦、多くのアメリカ市民を拘束することを目的としたレックス84、戦争に反対する人びとの監視を含む治安作戦を定めたヒューストン計画などだ。

 ヒューストン計画はリチャード・ニクソン政権で考えられたが、司法長官のジョン・ミッチェルが強硬に反対したことなどから実現していない。ただ、ジミー・カーター政権でFEMAとして再浮上する。

 アメリカの支配層が監視システムや治安体制を強化し、社会を収容所化しようとしてきたのは、彼らの支配システムが早晩崩壊すると考えているからだ。その前に潜在的なライバル国を潰し、新しい時代にも支配者でいようと目論んでいる。1992年以降、ネオコンがロシアに続いて中国を制圧、中東やベネズエラなどエネルギー資源国を完全な従属国にしようとしてきたのはそのためだ。

 そのネオコンの目論見を崩す切っ掛けを作ったのがロシアのウラジミル・プーチンにほかならない。曲がりなりにもロシアを再独立させ、中国と戦略的な同盟関係を結んでしまったのだ。アメリカは劣勢になったのだが、COVID-19で挽回できるかどうかはわからない。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202004280000/
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/873.html#c1

[近代史4] 監視社会 _ 危険人物に接触した人を追跡するシステムが導入されようとしている 中川隆
2. 中川隆[-12730] koaQ7Jey 2020年5月07日 09:06:08 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[11]

階級社会イギリスは、オーウェルの「1984年」監視社会を実現した、最初の国だった。


監視国家の現実 2020年02月04日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1019.html


  私が中学生になるころ、娯楽といえばテレビだったのだが、群を抜いて面白い番組があった。
 「プリズナー6」という。
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%8A%E3%83%BCNo.6

 このドラマの面白さは、最後まで主人公を監視し、拘束する組織の正体が分からないことだった。いったい誰が? 何の目的で、一人の諜報員を拘束し、暴力的に監視し続けるのか?
 ストーリーは、極めて哲学的な示唆に富んだもので視聴者を惹きつけた。

 この番組は、イギリスで制作されたものだったが、そのイギリスは、中国共産党の監視社会が成立するまでは、世界一の監視国家だった。
 2月2日、ロンドンで仮釈放中の、イスラム国思想の影響を受けたテロ活動家が単独で3名を刺傷し、直後に、監視中だった警官に射殺された。
 https://www.bbc.com/japanese/51352236

 容疑者は、世界一といわれる密度の監視カメラで追跡され、テロ行動と同時に近くにいた警官が駆けつけて射殺したのだが、その対応の早さに驚かされた。
 
 いつも誰かに見られている、超監視社会ロンドン
人口1人当たりの監視カメラの台数で、ロンドンは世界トップだという
 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/032300130/

 このニュースを見て、プリズナー6を思い出したのは、私一人ではないだろう。
 イギリスは、オーウェルの「1984年」監視社会を実現した、最初の国だった。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/1984%E5%B9%B4_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC)

 なぜ、イギリスが、かほどの監視体制を必要とする国だったのか?
 それは、歴史的な、もの凄い格差社会であり、社会資本や人的資源の流動性がなく、人々は、支配階級と被支配階級(奴隷階級)に歴史的に固定され、体制に対する憤懣をぶちまける手段が、テロしか残されていなかったからだろう。

 それは、最初に民族的対立のなかで起きていた。
 
アイルランド共和軍
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E5%85%B1%E5%92%8C%E8%BB%8D

 イギリスは「テロとの百年戦争」の最中にある ロンドンは、ずっと過激派の標的だった
 https://toyokeizai.net/articles/-/96503

 私の世代は、イギリスがIRAによって、激しいテロの標的にされ続け、ちょうど、中東の無差別自爆テロのモデルになっていたような時代が長く続いたことを知っている。
 だから、ロンドンでテロが繰り返されても、イギリス国民は、日常的風景として大きな驚きを持たないのである。

 イギリスは民主主義国家などと言われるが、実態は、王室と特権階級による独裁社会である。
 人々の身分は、生まれた家や土地によって定まり、土地の所有権すら、英王室と地方領主貴族が大半を独占し、ほとんどの英国民が小作人=農奴に貶められている。 
http://www2.ashitech.ac.jp/civil/yanase/essay/no07.pdf

 生産手段を持たない小作人の家に生まれたなら、社会全体の硬直した価値観によって、底辺の労働者階級としての人生以外の選択肢はない。
 これは移民に対しては、より苛酷であり、だから、移民でテロに走る若者が多いのである。
 これに対して、支配階級は監視と法的な弾圧で対抗してきた。
 イギリスにおける監視社会とは、固定された領主が、自由を求める底辺庶民の怒りを封じ込めるためのシステムであった。

 現在、体制の利権を固定し、庶民の怒りを封じ込めるためのシステムを、世界でもっとも必要としているのが、中国共産党社会である。

 新型肺炎対策にドローン、中国が誇示する監視国家の姿 ロイター2月3日
 https://jp.reuters.com/article/column-apps-idJPKBN1ZY0CI

 以下引用

 先週のある日、中国・成都市の路上に住民数人が集まって座っていた。小さなドローンが近づいて空中停止すると、話し始めた。
  
「感染症が広がっているときの屋外麻雀は禁止されています」ドローンから声がする。「見つかっていますよ。麻雀をやめて今すぐそこを離れなさい」、「子どもさん、ドローンを見てはいけません。お父さんに今すぐ離れるように言いなさい」。

 新型コロナウイルスの感染拡大抑止に向けたドローンの「創造的な活用法」だと中国共産党系英字紙グローバル・タイムズが報じたこの動画は、海外の多くの人々にとっては未来のディストピア(暗黒世界)の1シーンに映るかもしれない。

 しかし中国政府指導部が、これを誇るべきことと考えているのは明らかだ。動画は中国のソーシャルメディアで拡散され、英語メディアで海外にも紹介された。

 この一件は、2つの重要なことを示していそうだ。第1に、中国はあらゆる手段を駆使して新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めようとしているだけでなく、これを機に世界一高度な監視国家である自らの能力を強化し、誇示する可能性が十分にあるということだ。

 第2の点は言うまでもないが、小型で無人の媒体やプラットフォームが、大衆の監視だけでなく、直接的な社会統制の手段としても急速に普及しつつあることが鮮明になった。この傾向は独裁主義的な国々以外にも広がる可能性が高く、民主主義国家はこの点について、これまで努力してきたよりずっと公開かつ参加しやすい議論を積極的に行っていく必要がある。

 <法の執行>

 法の執行や警備体制が手いっぱいの国々は既に多いため、こうした機器が活用されるのは目に見えている。ロンドンで2日、最近釈放されたばかりのイスラム過激派思想の男に2人が刃物で切りつけられた事件では、危険と見なされる人物を追跡する当局の能力に疑問が投げ掛けられた。顔認識ソフトウエアなどの自動化技術を使えば追跡はもっと容易になるが、多くの人々を不安にさせるのも間違いない。

 米国ではカリフォルニア州のオークランドやバークリーなど、いくつかの市や町が法執行機関による顔認識技術の利用を禁じている。他にも管理を強化している州や地域があるが、米国および西側世界の大半の地域では、ほぼ気付かれず、議論もされないままに新たな監視技術が次々と導入されている。

 中東地域などでの米軍の活動では、武器を搭載する大型無人ドローンが何年も前から主役を演じている。米国が始めたことに、中国はしばしば追随するため、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など、米国からのドローン輸出が制限され不満を抱く国々にとって、中国は武装ドローンの主な供給源になっている。

 米国防高等研究計画局(DARPA)は昨年8月、ジョージア州フォート・ベニングの米軍訓練施設で、ドローンの集団を使って特定の建物内─この場合は市庁舎の想定だった─の特定の対象を見つけ、監視するという最新技術を披露した。250ものドローンがたった1人のオペレーターにコントロールされ、あるいは機体が個々に独立して動作するといったことを可能にするのが狙い。こうした水準の移動式監視は以前なら不可能だった。

<ドローン技術>

 中国は数十年前からドローンと監視技術に資源を投入してきた。2018年、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、見た目や動きを鳩などの鳥に似せた無人ドローンについても、中国が開発中だと報じた。国境地帯や、イスラム教徒への弾圧で知られる新疆ウイグル自治区で既に活用中だという。

 同紙によると、このドローンは羊の群れの上を飛ばしても羊たちが飛行物体に騒がないほどの性能が証明されている。羊は通常、飛行機に非常に敏感に反応する。中国政府がこの技術をカメラや顔認識データベースなど、他の監視手段と組み合わせて使おうと考えているのはほぼ間違いない。中国は他に、歩き方の癖で人を認識するシステムなども開発中だと報じられている。

 ただ、冒頭のグローバル・タイムズが報じた動画は、明らかに人間がコントロールしており、声は拡声器から流されていた。江蘇省の別の動画では、婦人警察官が横断歩道でドローンを使い、通行人がマスクを着用しているかをチェックしていた。「電話中のハンサムなお兄さん、マスクはどうしましたか。着けて下さいよ」と拡声器から呼びかける。「食べ歩き中のお嬢さんたち、マスクを着けて下さいね。おうちに帰れば食べられますよ」。

 こうした光景を見ると、旧東ドイツのような、かつての監視国家のように、中国もまだ人間による人間の監視に頼っているようだ。しかし状況は急速に変わりつつある。人工知能(AI)のアルゴリズムと、過去に蓄積された膨大なデータの組み合わせがターゲティング広告を一変させたのは周知の事実だ。

 グローバル・タイムズによると、春節(旧正月)の催しが中止になり、自宅にこもる中国の人々にとって、成都市の動画は格好の娯楽となっている。動画が本物かどうかは別の問題だが、世界中も思ったより早く、同じような課題に直面するかもしれない。

*****************************************************************
 引用以上

 こうしたドローン監視社会は、いずれ、日本や欧州にも拡大することは間違いなさそうだ。社会全体に格差と差別の固定した社会では、必ず底辺の人々に矛盾がしわ寄せされ、やり場のない憤懣が貯まってゆく。

 あらゆる手段で、こうした不満・憤懣が抑圧されるなら、最期は必ずテロ暴発に向かうのが人間社会の法則である。

 固定された特権階級=一級国民は、何が怖いかといえばテロが怖い。直接、個人が狙われるテロリズムでは、特権階級にとって逃げ道がないのだ。
 だから、社会の個人的暴発を防ぐための監視と弾圧に、持てる最大の力を注ぐことになる。これは、世界中で同じことなのだ。

 ただ、知っておいてもらいたいことは、本当は、「無差別テロ」を戦略として用いる政治思想は存在しない。例えば、中東や欧州で横行している無差別自爆テロは、ほとんどの場合、イスラエル=モサドが背後にいると考えるべきだ。

 イスラエルは、旧約聖書創世記に記された「イスラエル人に約束の地を与える」という文言に脅迫されて、ユーフラテスとナイルの間の広大な土地をイスラエルにするシオニズム運動(大イスラエル主義)を行っていて、このため、この地域の人々を自爆テロによって追い出す作戦を実現しているのである。

 イスラムの若者が、モサドの陰謀作戦によって洗脳され、自爆テロに利用されているのが真実である。

 本当の民族テロに自爆作戦は存在しない。ただIRAのようなテロが存在するだけだ。

 しかし、どちらにせよ、特権階級がテロ被害を防止しようとすれば、電子機器による監視を強化し、住民統制支配をAI化する方向に進むのは間違いない。

 こうした電子監視が誰に利益をもたらすのかといえば、少なくとも民衆には利益はない。財産と特権を守ろうとする特権階級に大きな利益をもたらすだけなのだ。

 しかし、こうした発想には、大きな落とし穴がある。
 監視社会を強化すれば、ますます個人の人権はいびつに弾圧され、住民の生活は極端に息苦しくなってゆく。

 こんな苦しい社会から、人間を解放しようとする思想が湧き上がってくるのが自然の成り行きである。

 だから、中国でも英国でも、監視社会の眼をくぐった裏社会の秩序ができあがってゆくことが避けられない。

 かつての中国の主役は、青幇・紅幇に代表される裏社会の秘密結社だった。例えば、戦前は、青幇は国民党軍と重なっていて、蒋介石は、どちらもの頭目だった。
 通州事件・南京事件の大虐殺の命令者は蒋介石だった。

 監視社会の背後では、再び、青幇=蒋介石のような人物がのし上がってくる必然性があり、中国人は、表の監視社会に従うフリをしながら、実は、裏の秘密結社に帰依するというような人生を送る者が激増することだろう。
 
 それに、米中軍事衝突が起きれば、最初に、両国ともに、必ずEMP核爆弾を上空400Kmで爆発させ、相手の電子機器をすべて破壊するところから戦争が始まるのである。
 もちろん、日本上空でもEMPが爆発することだろう。

 EMP爆発の瞬間から、コンピュータ機器、AI機器、監視機器は、すべて破壊される。本当に生身の人間による第二次世界大戦以前の戦争に戻ることになる。

 このとき、はたして中国共産党は、どの程度の実力を発揮できるのか、極めて面白い見物である。

 おそらく、共産党も軍も、利権によって完全に腐敗しきっているので、統制もとれずに大混乱に陥るのではないだろうか?

 現在の中国の戦争システムは、一人っ子政策で、屈強の男子がいなくなった社会のなか、ほぼコンピュータに依存しきっていて、コンピュータや監視機器が破壊されたとき、何が起きるのか? 考えてみればいい。

http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1019.html  
 
 

▲△▽▼

2020年02月20日
働かない人の収入が働く人より多い世界 マネー経済が実体経済を圧倒

上位数人が下位半分の資産を所有している
働くより金転がしが儲かるのでこうなる

画像引用:https://fashionmarketingjournal.com/wp/wp-content/uploads/2017/02/thejick01-1.png


マネー経済が実体経済を圧倒

1%の超富裕層が富の半分を所有している、というような説明を聞いたことがあると思います。

アメリカでは上位3人(ゲイツ、バフェット、ベゾス)の合計資産約30兆円が下位半分の資産を上回っている。

アメリカ人の5人に1人が資産ゼロで、3割程度が10万円ほどの預金額しか持っていない。

さらに世界の上位62人は世界の個人資産の半分を持っていて、彼らの大半は世襲や相続で資産を引き継いだ。

この状況は19世紀以前に王や皇帝や貴族が支配していた頃と同じで、封建時代より格差が酷いという。

江戸時代の殿様は意外に貧乏で、食事や生活は質素だったので、現在より格差が小さかったかも知れない。


現代の格差拡大はマネー経済の拡大と実体経済の縮小が原因と言われています。

実体経済は生産や移動やサービスなど物理的な行動を伴う経済で、GDPという数字で表されます。

対して「ビットコインが値上がりした」ように物理的な行為が伴わないものを、マネー経済などと呼んでいます。


現金と預金などの通貨流通量は100兆ドルで世界のGDP合計は約80兆ドル(2018年頃)とマネーの方が大きい。

GDPは物理的行為をお金に換算した合計なので、働くよりお金を転がした方が儲かるのを意味している。

例えば苦労して東大に入り一流企業に入り経営者に上り詰めた人より、親から相続したお金を転がして遊んでいるほうが儲かる。


これが格差を拡大していて、まじめに働くより寝ていた方が儲かるから、どんどん差が開いています。


働いたら負けの社会

マネー経済の拡大によって2030年には上位1%の資産家が全世界の富の3分の2を所有する、とオックスフォード大教授などが言っています。

超格差を予言したピケティ教授の『21世紀の資本』がベストセラーになったが、当時は空想と思えたことが現実になっている。

ビケティによると格差が拡大する理由は労働によって得られる賃金より、不労所得である財産の伸び率が高いからです。


その結果が全世界GDP合計80兆ドルに対して通貨流通量は100兆ドルになったので、今後さらに差が開きます。

こうした社会では一生寝ずに働いたとしても、寝転んで資産運用する人よりずっと少ない資産しか作れません。

10年ほど前にネットで「働いたら負け」という言葉が流行したが、今の世界は正に働いたら負けで、働かない人が巨万の富を持っている。


千年以上前から「労働は美徳」としてきた日本人はこういう生き方が苦手であり、労働によって尊敬や称賛を得るのが当然だと考えて来た。

欧米では労働は刑罰であり、偉い人は働かず命令したり遊んだり、非生産的な事ばかりしてきた。

例えば10億円を持っている人が年2%で運用したら2000万円を得られるが、労働で2000万円得られるのは芸能人など限られた職業です。


非正規や派遣労働者の多くは年収200万円程度ですが、これは1億円を2%で運用するのと同じ金額です。

年2%なら投資の才能がゼロでもこつこつ積み立てるだけで良いので、ほぼノーリスクで得られるリターンです。

日本では実質賃金が増えていないが先進国共通の現象で、全世界「働いたら負け」になっています。


こうした世界がいつまで続くかですが、マネー経済は何も生み出していないので、実体経済が作ったものを浪費しているだけです。

実体経済が生み出したお金をマネーゲームの勝者が総取りする不合理な経済が、永遠に続くとは思えない。

王や貴族の支配が終わったように、マネー貴族の世界もいつかは終わるでしょう。

http://www.thutmosev.com/archives/82236298.html


▲△▽▼



イギリスは、社会不安が「巨大暴動」という形で再燃してもおかしくない状況に 2020.02.26
イギリスもまた超格差社会である。『今日のイギリスは、先進国の中で最も不平等な国の1つ』と英社会学部教授は指摘する。

イギリスでは5人に1人が貧困状態で暮らしている。50万人近くがフードバンクを利用している。女性の中には生理用品が買えないという理由で学校を休んでいる女性もいるほどだ。(鈴木傾城)


先進国の中で最も不平等な国の1つ、イギリス

EU(欧州連合)離脱を成し遂げたイギリスのボリス・ジョンソン首相だが、EUを脱退したからと言ってイギリスが急に明るい国になるわけではない。イギリス国内はグローバル化の毒が社会の隅々にまで染み渡っている。

私たちはアメリカが激しい競争社会であり、格差がとめどなく広がっているいびつな社会であることは知っている。しかし、イギリスもそうなっているというのはあまり知らない。

イギリスもまた超格差社会である。『今日のイギリスは、先進国の中で最も不平等な国の1つ』と英社会学部教授は指摘する。

イギリスでは5人に1人が貧困状態で暮らしている。50万人近くがフードバンクを利用している。女性の中には生理用品が買えないという理由で学校を休んでいる女性もいるほどだ。

さらに子供の貧困も凄まじく、100万人の子供が適切な住居で暮らしておらず、空腹のまま学校に行かざるを得ない状況に陥っていると言われている。

ホームレスも増えて、バッキンガム宮殿のまわりにもホームレスだらけと化している。移民もまた昨今の不景気で次々とホームレス化している。

途上国の話ではない。イギリスの話である。

イギリスに来て成功している移民もいるが、逆に苦境に堕ちている移民も多い。低賃金と不安定な雇用でいつまで経っても生活の基盤が安定せず、白人系の低所得層と共に貧困に喘いで対立している。


人種問題・移民問題・差別問題・格差問題・貧困問題

イギリスの最底辺は荒廃している。

イギリスでは2011年7月23日にエイミー・ワインハウスという女性シンガーがドラッグとアルコールの過剰摂取で死んだ。彼女は家の近くの路地でいつもコカインを手に入れていた。

彼女はスラムに住んでいたわけではなく、ちゃんとしたところに住んでいたのだが、それでもドラッグの売人が路上で危険な薬物を売買する環境にあったのだ。

(ブラックアジア:エイミー・ワインハウス。名前にふさわしい死を迎えた歌手)

彼女が絶命した1ヶ月後、イギリスでは大規模な暴動が起きていたのも記憶に新しい。

これはロンドン北部にあるトッテナムで、29歳の黒人の男が警察官に射殺されたことで自然発生的に起きた暴動だった。

この射殺は不当だったとして家族と地元住民が警察署に抗議デモを行ったのだが、それを聞きつけて多くの黒人たちが警察署を取り囲み、日頃の警察官による差別的な言動を激しく抗議する状況になった。

こうしているうちに興奮した抗議デモ参加者の何人かがバスに放火したり、建物を壊し始め、あっと言う間に抗議デモが破壊と略奪を含む暴動と化した。

そこに社会の底辺で仕事もなく鬱屈していた白人の男たちも乗りかかった。そのため、暴動と破壊と放火は急拡大して他都市にも拡散していった。この暴動には人種問題・移民問題・差別問題・格差問題・貧困問題のすべてが爆発したものだった。
イギリスは、2008年のリーマン・ショックで直接的ダメージを受けた国のひとつで、その後も2010年のドバイ・ショックにも巻き込まれ、ギリシャ・ショックにも巻き込まれ、2011年は出口のない不況にもがいていた。

多くの若者が失業し、暴動が起きたトッテナム地区に限って言えば、失業率は20%近くもあった。

この20%が爆発したのが2011年8月のイギリス暴動だった。


EUを脱退してもグローバル経済から脱退できない

しかしながら、底辺の国民がいくらイギリス政府に不満をぶつけたところで事態は改善される見込みはなかった。経済的苦境はイギリス政府だけが問題なのではなく、先進国すべての問題になっていたからだ。

言うならば、グローバル経済という一国ではどうにもならない弱肉強食の資本主義システムでは、「労働者」はもはや単なるコストであり、使い捨ての対象なのである。

イギリスでもこうした状況が放置され続け、大量の移民が入り込んでますます労働環境が悪化していき、ついに移民反対派が反旗を翻してEU脱退を迎えることになった。

しかし、イギリスがEUを脱退したからと言って、すぐに格差問題や貧困問題が解決されるわけでもないし、「人種問題・移民問題・差別問題・格差問題・貧困問題」が解決されるわけでもない。

イギリスはEUを脱退しても、「グローバル経済」から脱退できない。今後も多国籍企業が下層の労働者を使い捨てにしながら肥え太っていくシステムは変わらない。
多国籍企業は、常に安い労働力を探して、労働力を安価で使うだけ使って、用済みになったら労働者を捨てるか、工場ごと捨てて去っていく。

労働者は使い捨てなので、労働環境を整えるとか終身雇用で面倒を見るような「コストのかかること」は絶対にしない。そうやって多国籍企業は世界の労働市場を荒らし回って莫大な利益を貯め込み、税金も回避して世界中を逃げ回る。
アップルも、グーグルも、アマゾンも、マクドナルドも、スターバックスも、世界各国で莫大な利益を計上しながら税金をうまくすり抜けているのを咎められて、あちこちの国で追徴課税命令を受けている。

しかし、これらは氷山の一角でしかない。

莫大な利益は巧みに隠され、株主と経営者と言ったステークスホルダーがその利益にありつき、労働者は賃金を抑えられた上に酷税が敷かれてどんどん貧しくなっていく。


人間の歴史の中で変わらない普遍的な方式とは?

かくしてイギリスの底辺では貧困が定着したまま放置され、怒りが充満したまま現在に至っている。このままではイギリスは再び巨大な暴動が起きるのではないかと噂する人もいる。

「貧困の増大と社会システムの行き詰まりは暴力を産み出す」という社会現象は、人間の歴史の中で変わらない普遍的な方式でもある。これらの根っこにあるのは、まさに貧困の増大と社会システムの行き詰まりだ。

イギリスにはそれが顕著になっている。だから、私自身もイギリスではEU脱退による後遺症が広がると、再度、大きな社会不安が巨大暴動という形で再燃してもおかしくないと考えている。

果たしてボリス・ジョンソン首相は、うまく舵取りができるのだろうか。
まずいことに、今後のイギリスはEUと切り離された形で生きていかなければならないのだが、そこに中国発の新型コロナウイルス問題が湧き上がっている。世界経済は暗転する。そのダメージをイギリスはまともに食らうことになる。

つまり、イギリスが経済的苦境に堕ちるのは確実な情勢となっている。

そうであれば最も大きな影響を受けるのがアンダークラス(貧困層)である。イギリスで2011年の大規模暴動が再現するような事態になっても不思議ではない。
今でもイギリスの底辺では経済環境の悪化に追い詰められる人たちが増えており、ますます不満と怒りをマグマのように溜めているのである。まさに「貧困の増大と社会システムの行き詰まり」の真っ只中だ。

イギリス社会がこの問題をどうやって解決できるのか誰も分からない。


『分解するイギリス: 民主主義モデルの漂流(近藤 康史 )』
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4480069704/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=asyuracom-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4480069704&linkId=0285d334d40558ea6b00a9c46899fad9


https://blackasia.net/?p=17284



▲△▽▼

 2012年にロンドンで開催されたオリンピックでは治安システムの強化に利用されている。元々イギリスは監視システムの強化に熱心な国だが、オリンピックを利用してさらにシステムを強化した。
 例えば顔が識別でき、街頭での話を盗み聞きできる監視カメラを張り巡らせ、ドローン(無人機)による監視も導入、通信内容の盗聴、携帯電話やオイスター・カード(イギリスの交通機関を利用できるICカード)を利用した個人の追跡も実用化させたと言われている。海兵隊や警察の大規模な「警備訓練」も実施され、本番では警備のために軍から1万3500名が投入されたという。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202005010000/


http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/873.html#c2

[近代史3] 階級社会イギリスは、オーウェルの「1984年」監視社会を実現した、最初の国だった 中川隆
3. 中川隆[-12729] koaQ7Jey 2020年5月07日 09:06:59 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[12]

 2012年にロンドンで開催されたオリンピックでは治安システムの強化に利用されている。元々イギリスは監視システムの強化に熱心な国だが、オリンピックを利用してさらにシステムを強化した。

 例えば顔が識別でき、街頭での話を盗み聞きできる監視カメラを張り巡らせ、ドローン(無人機)による監視も導入、通信内容の盗聴、携帯電話やオイスター・カード(イギリスの交通機関を利用できるICカード)を利用した個人の追跡も実用化させたと言われている。海兵隊や警察の大規模な「警備訓練」も実施され、本番では警備のために軍から1万3500名が投入されたという。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202005010000/
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/889.html#c3

[近代史4] こんな温泉に泊まってみたい 中川隆
3. 中川隆[-12728] koaQ7Jey 2020年5月07日 09:51:19 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[13]
塩原温泉 混浴露天風呂 不動湯・岩の湯
http://www.asyura2.com/17/ban7/msg/615.html
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/124.html#c3
[リバイバル3] ジャズ喫茶「ベイシー」の選択 _ JBLの本当の音とは 富山誠
168. 中川隆[-12727] koaQ7Jey 2020年5月07日 13:00:26 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[14]

「音楽&オーディオ」の小部屋 2020年05月07日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/84457daecd879c48349ef146c950d6c7


✰ 古いオイルコンデンサー

JBLの「LE8T(口径20センチ)」(低音域)と「AXIOM80」(復刻版:中高音域)との組み合わせが巧くいったので「JBLとAXIOM80」は相性がいいとばかり、このほど「D123(口径30センチ)+AXIOM80」に挑戦してみた。


おお、これはなかなかいけるじゃないか!(笑)

きっちり締まった音の質感は「LE8T」側に優位性があり、音のスケール感ではこちらが上。

もし、どうしてもどちらかを選べと言われれば「LE8T」側に軍配を上げたくなるが、差はごく僅かだしわざわざ戻すほどのこともないのでしばらくこれで聴いてみることにした。

そして、このシステムでAXIOM80のローカット用に使ったのがずっと昔に購入したオイルコンデンサーだった。

ウェスタン(10μF)+サンガモ(10μF)+DUBILIER(12μF)を3個パラって「計32μF」にし、およそ300ヘルツあたりをローカット。

幸いにも低音域との繋がりに不自然感は無いようでまずはひと安心。

昔の道具が今頃になって急に出番が来るなんて、これだからうかつに小道具は処分できない(笑)。
次は、

✰ 「SOLO」の銅箔コイル

前述のように「AXIOM80」を失った「LE8T」だが、さてどう料理しようかと、一考した挙句に「我が家に一つぐらいはオールJBLの組み合わせがあってもいいだろう」に落ち着いた。

4系統のSPとも英国系の音ではつまんない(笑)。

そこで遊んでいた「175ドライバー」(小型蜂の巣ホーン付き)を「LE8T」の上に乗っけてみた。これら二つのユニットを2台の真空管アンプで鳴らそうという算段である。

「175」(8Ω)の基本的仕様は周知のとおりクロスオーヴァーが1000ヘルツになっているので、その数値に見合ったローカット用のコンデンサーが要るが、これには先日紹介したように「業務用の大型コンデンサー22μF」によりおよそ「900ヘルツ」あたりでカット(−6db/oct)出来てピッタリ。

問題は「LE8T」のためのハイカット用コイルである。昔購入した「銅箔コイル」(SOLO)があったはずだがと倉庫を探してみると片隅でようやく見つけた。

数値は「2.7mh(ミリヘンリー)」となっている。「クロスオーバーネットワーク早見表」によると、「LE8T」のインピーダンスは16Ωなので「950ヘルツ」あたりでハイカット(−6db/oct)出来る計算になる。

ハイカット値、ローカット値ともに理論上の話なので実際に聴いてみないと何とも言えないが目安としてはこれで十分だろう。

次に「175」を駆動するアンプだが、「108db」と非常に能率が高いので我が家では小出力の71系アンプの絶好の出番となる。

前段管は「A411」(独ヴァルボ:バリウム昇華型フィラメント)、出力管は「171」(トリタンフィラメント)、整流管は「OK-X213」(メッシュプレート)の組み合わせ。

持ち主が言うのは何だが、いずれも1940年代前後に製造されためったに手に入らない希少管ばかりですぞ(笑)。

この3本柱により、音の「トルク感+スピード感+静粛性の3拍子が揃ってますよ」と古典管の専門家から折り紙が付いたほど。

これで音出ししてみると、スピード感に溢れた見事な「JBLサウンド」に思わず鳥肌が立つほどだった(笑)。

これまで「175」を聴くときはいつも最高音域の不足を感じていたのだが、今回のようにコンデンサーでローカットしてやると、スッキリ爽やかでまったく「ツィーター」の必要性を感じないのがたいへんよろしい。

https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/84457daecd879c48349ef146c950d6c7
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/402.html#c168

[近代史3] イエスの本当の教え 中川隆
5. 中川隆[-12726] koaQ7Jey 2020年5月07日 13:40:12 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[15]
2012年09月19日
キリストはマグダラのマリアと結婚していたかもしれない謎のテキストを発見
https://gigazine.net/news/20120919-jesus-married-mary-magdalene/

映画にもなった小説ダ・ヴィンチ・コードではイエス・キリストがマグダラのマリアと結婚していた、という描写が出てきますが、ハーバード大学のKaren Kingさんはイエス・キリストが「私の妻」と発言している文章が書かれたパピルスを発見ました。この文章は同時に「Mary(マリア)」についても言及しており、これはマグダラのマリアを指していると推測され、キリスト教徒たちに衝撃を与えています。

The Inside Story of a Controversial New Text About Jesus | History & Archaeology | Smithsonian Magazine

ムービーは以下から。



パピルスの破片はクレジットカードよりもさらに小さく、両面に黒いインクで文字が書かれていました。Kingさんによれば文書は古代エジプトの言語によるもので、初期のキリスト教文書の多くのものと同様に3世紀から4世紀の間に翻訳されたと考えられています。



パピルスには33語の言葉が不完全な14行の文章によって書かれているので、厳密に読み取るのは難しいとのこと。Kingさんはパピルスから以下の8つの文章を拾い集めました。

(1) “not [to] me. My mother gave to me li[fe] … ”(「私にではない。母は私に命を与えた……」)
(2) The disciples said to Jesus, “(弟子たちはイエスに言った、「)
(3) deny. Mary is worthy of it(そうではない。マリアはそれにふさわしい)
(4) ” Jesus said to them, “My wife(」イエスは彼らに言った、「私の妻は)
(5) she will be able to be my disciple(彼女は私の弟子となることができるだろう)
(6) Let wicked people swell up(邪悪な人々を増えさせています)
(7) As for me, I dwell with her in order to (私の場合、彼女と共に暮らしています)
(8) an image(一つのイメージ)

彼女の分析によると、(3)に書かれている「Mary(マリア)」は「おそらく」マグダラのマリアであり、イエスが弟子からマリアを守っている描写であると推測されています。そして(4)にある「My wife(妻)」と、そして(5)の「she(彼女)」は同じくマグダラのマリアを示しているとのこと。この文書は書物の1ページだった可能性もありますが、いずれにしてもこれは初めてにして唯一の、イエス・キリストが結婚していたことを描写する古代文書です。

Kingさんは2010年に手稿コレクターから「グノーシス派の福音書を手に入れたのですが、その中にイエスと彼の弟子、そしてマグダラのマリアについての文書が含まれていました。写真を送るので見てくれますか?」というメールを受けとったそうです。詳しい情報と写真を受け取った後もで彼女は偽物ではないか、と疑っていたそうですが、パピルス学で高名なニューヨーク大学のRoger Bagnallさんに写真を送ったところ、「信じていい。それは本物である」という返事をもらったとのこと。


By mzeecedric

しかし、Kingさんはこの破片が実際にイエス・キリストが結婚していた、ということの証拠だとは主張していません。彼女の分析によれば福音書はイエス・キリストの生涯(そして来世)を文書化したものであり、多くの福音書はイエスの磔の後、紀元2世紀にギリシャで書かれたと考えられています。そしてその2世紀ほど後に古代エジプト語に訳されたため、イエスの結婚の証拠としては不十分なのです。

この破片が明らかにしたことはもっと微妙で複雑なことです。パピルスからわかるように、初期のキリスト教徒たちは彼らに教えを説いたイエス・キリストを崇高で、知的であり、妻のあるものとして書いていました。しかもそれはただの妻でなはく、新訳聖書の中でもっとも言及された女性、マグダラのマリアの可能性があるのです。Kingさんによれば、この発見が提示する疑問とは「どうしてイエス・キリストが独身であるという文献だけが生き残ったのか?」ということ、そしてイエスがマグダラのマリアや、その他の女性と親密な関係にあったという文書は残っていないのか?ということです。これは単なる偶然なのか、それともキリスト教徒たちにとって独身こそが理想だったからなのか、明らかではありません。


By jaci XIII

なお、パピルスはまだインクを調べるなどの科学的試験を終えておらず、この発見の重要性は「このパピルスは本物である」という仮説の上に成り立っていることはKingさん自身も述べています。彼女は今後、スペクトル分析などの科学的試験を行った後、「The Gospel of Jesus’s Wife(イエスの妻の福音書)」という論文を発表する予定だそうです。

https://gigazine.net/news/20120919-jesus-married-mary-magdalene/
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/507.html#c5

[近代史02] 参考資料4 _ マリアによる福音書 中川隆
4. 中川隆[-12725] koaQ7Jey 2020年5月07日 13:40:44 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[16]

2012年09月19日
キリストはマグダラのマリアと結婚していたかもしれない謎のテキストを発見
https://gigazine.net/news/20120919-jesus-married-mary-magdalene/

映画にもなった小説ダ・ヴィンチ・コードではイエス・キリストがマグダラのマリアと結婚していた、という描写が出てきますが、ハーバード大学のKaren Kingさんはイエス・キリストが「私の妻」と発言している文章が書かれたパピルスを発見ました。この文章は同時に「Mary(マリア)」についても言及しており、これはマグダラのマリアを指していると推測され、キリスト教徒たちに衝撃を与えています。

The Inside Story of a Controversial New Text About Jesus | History & Archaeology | Smithsonian Magazine

ムービーは以下から。



パピルスの破片はクレジットカードよりもさらに小さく、両面に黒いインクで文字が書かれていました。Kingさんによれば文書は古代エジプトの言語によるもので、初期のキリスト教文書の多くのものと同様に3世紀から4世紀の間に翻訳されたと考えられています。



パピルスには33語の言葉が不完全な14行の文章によって書かれているので、厳密に読み取るのは難しいとのこと。Kingさんはパピルスから以下の8つの文章を拾い集めました。

(1) “not [to] me. My mother gave to me li[fe] … ”(「私にではない。母は私に命を与えた……」)
(2) The disciples said to Jesus, “(弟子たちはイエスに言った、「)
(3) deny. Mary is worthy of it(そうではない。マリアはそれにふさわしい)
(4) ” Jesus said to them, “My wife(」イエスは彼らに言った、「私の妻は)
(5) she will be able to be my disciple(彼女は私の弟子となることができるだろう)
(6) Let wicked people swell up(邪悪な人々を増えさせています)
(7) As for me, I dwell with her in order to (私の場合、彼女と共に暮らしています)
(8) an image(一つのイメージ)

彼女の分析によると、(3)に書かれている「Mary(マリア)」は「おそらく」マグダラのマリアであり、イエスが弟子からマリアを守っている描写であると推測されています。そして(4)にある「My wife(妻)」と、そして(5)の「she(彼女)」は同じくマグダラのマリアを示しているとのこと。この文書は書物の1ページだった可能性もありますが、いずれにしてもこれは初めてにして唯一の、イエス・キリストが結婚していたことを描写する古代文書です。

Kingさんは2010年に手稿コレクターから「グノーシス派の福音書を手に入れたのですが、その中にイエスと彼の弟子、そしてマグダラのマリアについての文書が含まれていました。写真を送るので見てくれますか?」というメールを受けとったそうです。詳しい情報と写真を受け取った後もで彼女は偽物ではないか、と疑っていたそうですが、パピルス学で高名なニューヨーク大学のRoger Bagnallさんに写真を送ったところ、「信じていい。それは本物である」という返事をもらったとのこと。


By mzeecedric

しかし、Kingさんはこの破片が実際にイエス・キリストが結婚していた、ということの証拠だとは主張していません。彼女の分析によれば福音書はイエス・キリストの生涯(そして来世)を文書化したものであり、多くの福音書はイエスの磔の後、紀元2世紀にギリシャで書かれたと考えられています。そしてその2世紀ほど後に古代エジプト語に訳されたため、イエスの結婚の証拠としては不十分なのです。

この破片が明らかにしたことはもっと微妙で複雑なことです。パピルスからわかるように、初期のキリスト教徒たちは彼らに教えを説いたイエス・キリストを崇高で、知的であり、妻のあるものとして書いていました。しかもそれはただの妻でなはく、新訳聖書の中でもっとも言及された女性、マグダラのマリアの可能性があるのです。Kingさんによれば、この発見が提示する疑問とは「どうしてイエス・キリストが独身であるという文献だけが生き残ったのか?」ということ、そしてイエスがマグダラのマリアや、その他の女性と親密な関係にあったという文書は残っていないのか?ということです。これは単なる偶然なのか、それともキリスト教徒たちにとって独身こそが理想だったからなのか、明らかではありません。


By jaci XIII

なお、パピルスはまだインクを調べるなどの科学的試験を終えておらず、この発見の重要性は「このパピルスは本物である」という仮説の上に成り立っていることはKingさん自身も述べています。彼女は今後、スペクトル分析などの科学的試験を行った後、「The Gospel of Jesus’s Wife(イエスの妻の福音書)」という論文を発表する予定だそうです。

https://gigazine.net/news/20120919-jesus-married-mary-magdalene/
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/375.html#c4

[近代史4] コロナ治療候補薬「レムデシビル」効果なし 中国で臨床試験、改善見られず 英紙報道 中川隆
11. 中川隆[-12724] koaQ7Jey 2020年5月07日 14:40:48 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[17]
2020.05.07
レムデシビル承認 ギリアド・サイエンシズ社 その出自
https://golden-tamatama.com/blog-entry-who-make-coronavirus.html


さて、コロナの治療薬レムデシビル承認されますたね。

つぁぁぁあ。

レムデシビル作ってる会社をよく調べろよ〜
レムデシビルを開発してるのはあのギリアド・サイエンシズ社ですよね。
あのタミフルの開発会社です。
ギリアド・サイエンシズ

ギリアド・サイエンシズは、アメリカ合衆国カリフォルニア州フォスターシティに本社を置く、世界第2位の大手バイオ製薬会社である。
治療薬の発見、開発と商品化を行っている。1987年の創業以来、HIV、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザといった感染症治療のための抗ウイルス剤開発を事業の中心としている。

抗インフルエンザ薬のオセルタミビルの世界独占特許権を保有している。
1996年に開発し、スイスの製薬会社ロシュ社にライセンス供与している(同社から、商品名「タミフル」として発売されている)。
アメリカ合衆国の政治家ドナルド・ラムズフェルドが、1997年1月から国防長官に就任する2001年まで会長を務めていたことでも知られる。
はい。

ここはあのラムズフェルト元国防長官の会社です。
その昔、ブッシュ政権時代にぶいぶい言わせててた人ですた。

ドナルド・ラムズフェルド

ドナルド・ヘンリー・ラムズフェルド(英語: Donald Henry Rumsfeld、1932年7月9日 – )は、アメリカ合衆国の政治家。大統領首席補佐官、国防長官、ランド研究所会長を歴任した。

第38代大統領ジェラルド・R・フォードのもとで第13代国防長官(1975年 – 1977年)を、第43代大統領ジョージ・W・ブッシュのもとで第21代国防長官(2001年 – 2006年)をそれぞれ務めた。アメリカ新世紀プロジェクトのメンバーでもあり、イラク戦争ではブッシュ政権内で終始強硬な攻撃論を主張した。

ラムズフェルドさんはブッシュ政権でイラク戦争を強力に推進した人ですよね。
ラムズフェルドさんはランド研究所の出身ですた。
アメリカにはなんとか研究所という国の戦略を立案するシンクタンクがいっぱいありますが。

その中で、ランド研究所は有名ですよね。

あの軍事産業ロッキード・マーチン社が資金提供して作った軍事戦略研究所です。
これはサンタモニカにあるランド研究所本社。

ここの関連会社に世界最大の核ミサイル製造会社にレイセオン社があります。

その経営者が言わずと知れた元副大統領ディック・チェイニーさん。

そして、その妻リン・チェイニーさん。

この人はラムズフェルドさんと共にランド研究所の人ですた。
ちなみにランド研究所で有名どころとして、ラムズフェルトとかチェイニーの同僚だった、ハドソン研究所所長のハーマン・カーンさんがいます。

ハーマン・カーン初代ハドソン研究所所長。
この人は、ランド研究所から独立してハドソン研究所を創設し所長になりますた。
そしてこの人は元はシェル石油の人ですよね。
シェル石油とはロスチャイルドの企業です。
調べると芋づる式に関係が分かって来ます。
で、このギリアド・サイエンシズ社がタミフルを開発して、その独占販売を任せてるのが、
スイスのロシュ社です。

代表者 セヴェリン・シュワン(Severin Schwan)会長兼CEO
従業員数 80,129人
外部リンク http://www.roche.com/
エフ・ホフマン・ラ・ロシュ(F. Hoffmann-La Roche, Ltd.)は、スイスのバーゼルに本拠を置く世界的な製薬・ヘルスケア企業である。スイス証券取引所上場企業
スイスのバーゼル来たー!
ロシュ社はあの中外製薬の親会社です。


ロゴが似てますよね。
そもそも、このロシュ社は元々ヘロインを製造する麻薬企業でしたよね。
ロシュ社はスイスのアルバート・ホフマン博士が作った会社です。
ホフマン博士は、あのLSDの発明者であり、マジックマッシュルームの発見者で有名な人です。
アルバート・ホフマン (化学者)

アルベルト・ホフマン(英: Albert Hofmann, 1906年1月11日 – 2008年4月29日)は、スイスの化学者である。満102歳没。
LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)の発明と、マジック・マッシュルーム(幻覚性のあるキノコ)からシロシビン、シロシンを発見したことで知られ、精神薬理学の端緒を開いた。ノーベル賞選考委員(ノーベル賞受賞者を選ぶ側の人物)の1人。
1927年に大学を卒業すると、サンド社の薬学・化学研究所に入った。
ホフマンは麦角の研究にとりかかり、1938年に開発したのがLSDであった。
1943年には、LSDの幻覚作用を発見した。
その後は、マジックマッシュルームの幻覚成分シロシビンとシロシンを自身を実験台として発見するなど、幻覚作用を持つ物質の研究を続けた。
1971年に退職するまで、サンド社に40年以上在籍した。
2008年4月29日、スイス・アールガウ州ブルックで心臓発作により102歳で長逝した。
精神科医のオスカー・ジェニガーが、幻覚剤の科学的研究に関する文献を集め情報センターとする目的で非営利組織のアルベルト・ホフマン・ファンデーションを創立している。
ロシュ社の正式名称は、ホフマン博士の名前がついてエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社。
そしてこのホフマン博士が40年もの間、在籍した会社。
スイスのサンド社。
ここは同じくLSDの開発会社であの人工甘味料アスパルテームを開発した企業です。
サンド社は、今は、スイスのバーゼルに本拠を持つノバルティスという会社になってます。

ノバルティス(Novartis International AG)は、スイス・バーゼルに本拠地を置く、国際的な製薬・バイオテクノロジー企業である。
スイス証券取引所、ニューヨーク証券取引所上場企業(SIX: NOVN、NYSE: NVS)。チバガイギー社とサンド社という、スイスを拠点とする製薬会社2社の合併によって1996年に設立された。
元々軍需産業がコロナの治療薬を作ってる。
で、それとお仲間の会社は、LSDの開発会社だった。
おいおい。
そんなとこの治療薬使うの?
まるっきりディープステートの連中の会社ではないですか。
やっぱりスイスのBIS仲間。人口削減キャンペーンのお仲間だった。
コロナをばらまいた連中がコロナの治療薬を売ってる。
そりゃすぐ承認されるわ。
ちなみに、あのビルゲイツメリンダ財団もロシュ社、ノヴァルティスに出資してますね。

って、今回は書きすぎますたかね。
危ないのでこの記事は1日で消すことにします。

https://golden-tamatama.com/blog-entry-who-make-coronavirus.html
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/827.html#c11

[近代史4] 信用貨幣論 中川隆
1. 中川隆[-12723] koaQ7Jey 2020年5月07日 14:56:04 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[18]
1999年5月4日 エンデの遺言 金融資本主義の問答。





続エンデの遺言 坂本龍一 銀行の"未来"





▲△▽▼



『エンデの遺言』松岡正剛の千夜千冊
https://1000ya.isis.ne.jp/1378.html

河邑厚徳+グループ現代
エンデの遺言
「根源からお金を問うこと」
NHK出版 2000


ミヒャエル・エンデが最後に望んでいたのは、
利子が利子を生まない貨幣だった。
そういう貨幣が使える新たな社会だった。

エイジング・マネー。
時間の経過とともに変化する貨幣。
自由貨幣、補充貨幣、スタンプ貨幣、代用貨幣。

この卓抜な発想には、何人かの先覚者がいた。
ゲゼル、ケインズ、シュタイナーである。
エンデはかれらの著作から
新たな社会経済の青写真を汲み取っていく。
かつてのNHKの番組がその余波をあきらかにする。






 この本のもとになった番組をぼくは見ていない。1999年5月4日の放送だったようだが、見逃したのではなく、知らなかった。この本によってそういう番組があったことを初めて知った。これを読むかぎり、けっこう充実した番組になっていただろうと予想する。

 河邑厚徳といえばNHKの教養番組ドキュメンタリー派の鬼才で、「がん宣告」「シルクロード」「アインシュタイン・ロマン」「チベットの死者の書」などで鳴らした人物だ。その河邑がエンデが残したたった1本のテープから番組を組み立てていったというのだから、それだけでも構想力や構成力がどんなものであるかが想像できる。もっとも書物になるにあたっては、共著者の「グループ現代」が選んだ森野栄一、村山純子、鎌仲ひとみの3人の準備力と執筆力が大きかったはずである。森野栄一についてはあとで紹介する。

 エンデが残した1本のテープというのは、1994年2月にミュンヘンの自宅で語った2時間のものらしく、それもカメラの回っていない音声録音だったようだ。その翌年にエンデは亡くなった(1995・8・28)。

 このときエンデは冒頭で次のように言っていた。

 「よろしいですか、どう考えてもおかしいのは資本主義体制下の金融システムではないでしょうか。人間が生きていくことのすべて、つまり個人の価値観から世界像まで、経済活動と結びつかないものはないのですが、問題の根源はお金にあるのです」。

 これを聞いた河邑はカメラが回っていなかったことを悔しがり、それならその声のテープに新たな映像を加えて、独自のドキュメンタリーに再浮上させようと決断したようだ。

 それからのことは知らないが、ついには本書に見るように取材先をいろいろ加え、多様な編集戦線をつくりあげていったのだろう。「あとがき」によると小泉修吉プロデューサー、村山純子ディレクターの寄与も相当なものだった。

 本書はそういう成り立ちの本であるが、実はエンデ本人をクローズアップしつづけているのではない。『モモ』や『はてしない物語』の作家としてのエンデをほとんど掘り下げてはいない。むしろエンデの周辺、エンデが影響を受けた経済思想家、エンデの衣鉢を継いだ者たち、さらには今日におけるエンデの貨幣感覚の実践者たち、そういう方面を追っている。テーマはサブタイトルにあるように「根源からお金を問うこと」、それこそが『エンデの遺言』だったのではないかということにある。

 では、ぼくの本書を読んでの感想を綴っておく。番組を見ての感想ではない。大きくかいつまんでいくが、ところどころに本書でとりあげていないエンデの作品や時代についてのことや、これまで千夜千冊してきた貨幣論や経済社会論との関係についての感想などを挟む。

 まずは、ここから話していくのがいいと思う。シュタイナー(33夜)のことだ。エンデにはどこかシュタイナーに振幅しているところがある。

 エンデが青少年期をルドルフ・シュタイナーの影響のもとに過ごしたことは、前夜に紹介した。そこでは書かなかったのだが、シュタイナーのアントロポゾフィ(人智学)には父親エドガー・エンデが傾倒していた。エドガーは「見えない世界」を油絵などにしようとしていたので、シュタイナーのみならずあれこれの神秘思想の本を読んでいた(どんな本だったか、知りたいものだ)。

 エンデはその父親より、もっとシュタイナーに近づいた。6歳でシュタイナー学校に入ったということは、シュタイナーのことをある程度知る者ならおおむね見当がつくだろうが、ほとんど生涯の価値観を決定づけるに足るものだったはずである。

 シュタイナー学校は正式には「自由ヴァルドルフ学校」という。1919年にシュトットガルトの煙草工場に付属する社営学校として開校された。工場に働く師弟が“学衆”だったので、職業学校としてスタートしたものだった。

 いまや世界各地に800校以上を数えるシュタイナー学校は、日本にも1975年に刊行された子安美知子の『ミュンヘンの小学生』(中公新書)を通して、本格的に紹介された。この本には「娘が学んだシュタイナー学校」というサブタイトルがついている。言語芸術、演劇的活動、オイリュトミー(舞踊体操=Eurhythmie)、農業活動、肥料製造、設計、デザイン、ドローイング、絵画、医療、カウンセリングなどを組み合わせた独特の学習教育をしている。ぼくもオイリュトミーの天才と言われたエリゼ・クリンクが来日したときは、なぜか記念講演をさせられた。踊りは風が翻るようですばらしく自在だった。

 ルドルフ・シュタイナー(1861〜1925)はオーストリア・ハンガリー帝国の辺境の町クラリエヴェク(現在のクロアチア)に生まれ、小さな頃から神秘的なことや幾何学的なことに異常な関心を示していた。

 10代は実業学校に通い、物理にも機械にも興味をもつとともに、レッシングやカントを読むようになった。やがてウィーン工科大学で自然科学を、ウィーン大学で哲学・文学・心理学を学んだ。その活動の出発点は22歳から携わったワイマール版『ゲーテ全集』の編集にある。ゲーテ(970夜)はシュタイナーのすべてなのである。だからドルナッハに最初のゲーテアヌムを設計開館すると(1913)、各地にシュタイナー学校が広まるとともにゲーテアヌムを併設していった。

 エンデはそういうシュタイナーに少年時代から馴染んできた。影響が少なかろうはずがない。

 そのシュタイナーに経済社会論をめぐる著作がある。おもな主張は『社会問題の核心』(人智学出版社)や『シュタイナー経済学講座』(筑摩書房)にまとめられている。おそらくエンデが熱心に読んだ本だろう。そこに「老化する貨幣」が提唱されている。

 大意、次のようなことが書かれている。

  健全な社会においては、貨幣は他人の生産した財貨の“小切手”にすぎない。その“小切手”が経済領域においてどのような財貨とも交換しうるのは、その小切手所有者が社会の生産部門の労働をして、生産物を社会に供給する責任をはたしているかぎりにおいてのことである。

 しかしいま、貨幣は生産活動の表象としての機能を失っている。こうしたときは、貨幣はその貨幣価値をその所有者に足して効能を減じていく処置をされるべきである。たとえば、貨幣所有権が一定の期日を過ぎれば、なんらかの手段で社会に還付されるようにする。本来は生産活動に投下されるべき貨幣が死蔵されないためにも、こうした方法が考案されるべきである。

 シュタイナーは貨幣に「25年ほどの期限」をもうけることを提案した。それによって貨幣価値に高低のカーブをつけ、さまざまな決済・融資・贈与のあいだで自動的な調整がおこなわれていけば、きっとオーガニックな経済社会のバランスがとれるだろうと考えた。

 これが「老化する貨幣」だ。当初の価値がしだいに減衰していくという貨幣という意味をもつ。経済学では「エイジング・マネー」と呼ばれている。「加齢する貨幣」である。時を経過するとともにその価値を変化させ、ときには衰えていく。
 そういうエイジング・マネーをミヒャエル・エンデも夢想した。

 そもそもエンデは戦火の渦中のドイツにいて、祖国のマルクが未曾有の混乱を見せつづけていたことをいやというほどに体験している。このような国家は当時はドイツのほかにはなかった。

 ナチス体制のもとで流通していたのはライヒスマルクである。しかし激しいインフレの進行でほぼ信用を失っていた。そのため敗戦直後のドイツは事実上、いまでは想像もつかないだろうけれど、“物々交換”がまかりとおっていた。なんとタバコが価値尺度と交換手段の役割をはたしたのだ(タバコはこういうときに大事なのです。むやみに禁煙運動など広げないように‥‥笑)。

 タバコのことはともかく、ドイツを占領した連合国はさすがにこの原始的現状を見て、焦った。高度な合理を求める資本主義社会では「原始的な交換」こそ最もヤバイことなのである。カール・ポランニー(151夜)の言う「社会に埋めこまれた経済」が発生してしまうからだ。

 そこで一刻も早く通貨改革を施行しようとしたのだが、紙幣の印刷をどの政府のもとでおこなうかについて、ソ連との合意が得られない。そのため全ドイツの通貨統一はあっさり見送られ、ソ連占領地区を除いた暫定通貨の導入に踏切り、紙幣の印刷をアメリカ本土が担当し、それをこっそりフランクフルトのライヒス銀行に空輸で送りこむという非常手段を決行した。

 ドイツは国民の意志とはまったく関係のない暫定通貨、いや擬似通貨とさえいいうる通貨によって、真っ二つに分断されたのだ。

 こうした事情を目の前で見ていたエンデは、貨幣や通貨というものが勝者に強く、敗者には酷(ひど)くなっていくことを実感した。また国際通貨や基軸通貨というものが資本主義と社会主義の苛烈な競争のためにのみ大手をふっていることに気がついた。

 かくてエンデは、「パン屋でパンを買うためのお金」と「株式取引所で扱われる資本としのてのお金」を厳しく峻別すべきことを、しだいに考えるようになっていく。

 このような体験をしたエンデが、貨幣や通貨のありかたに疑問をもったとしても不思議はない。エンデはNHKの番組では、こんなふうに言っている。

 私が見るところ、現代のお金がもつ本来の問題は、お金自体が商品として扱われていることです。本来、等価代償であるべきお金がそれ自体で商品となったこと、これが決定的な問題だと私は思います。お金自体が売買されるのが現代です。これは許されることなのか。そのことにおいて貨幣というもののなかに、貨幣の本質を歪めるものが入るのではないか。これが核心の問題だと思います。

 エンデは貨幣を否定しているのではない。そういうことではない。おそらくどんな思想家も革命家もエコノミストも、貨幣を否定する者なんて、めったにいるはずがない。貨幣は言語や大工道具や運送機関のように必然なのである。そのことは『貨幣と象徴』(1371夜)にも書いておいた。

 しかし、言葉づかいによっては人が傷つくように、英語教育で世界中を統一することが愚挙であるように、大工道具で手が頻繁に切断されてはならないように、尺貫法で大工が仕事をしたっていいように、小さな町を機関車が横断するべきではないように(それでは『ねじ式』の悪夢がくりかえされる)、自動車は森首相の悪ったれ息子だからといって酔ってコンビニに突っ込んではならないように、貨幣にもそれなりの使い勝手があっていいはずなのである。

 エンデはこのことを説明するのに、シュタイナーが説いた「社会有機体三層論」を援用した。

 人間の社会というものは、さまざまなレベルやレイヤーやゾーンで成立している。これをシュタイナーは大きく3つに分けた。第1には国家や法や政治のもとに生きている(法生活)。第2に生産や消費のもとに生きている(経済生活)。第3に文化や教育のもとに生きている(文化生活)。

 これらはそれぞれが相互に自律しあっている「生の領域」なのである。これを一緒くたにしないほうがいい。たとえばフランス革命は「自由・平等・友愛」を掲げたが、「平等」は政治や法が律しても、「自由」は精神や文化が担うべきであろう。もしも「友愛」を問題にしたいなら、それこそ経済における友愛が追求されるべきなのだ。

 そもそも「所得と職業」が、「報酬と労働」が一つになってしまったことが問題なのである。われわれは「働く」ということを「同胞のために働く」という場合にもいかすのだし、逆に、決まった収入を得ることと好きな仕事をもっとしたいということが一致しないことだって、しょっちゅうあることなのである。まして表現活動や冒険の旅に出ることは。

 そう、シュタイナーは主張したわけだ。社会は有機体として「法制・経済・文化」の三層になっているというのだ。ヴァルター・クグラーの『シュタイナー 危機の時代を生きる』(晩成書房)などを読まれるといい。『社会問題の核心』では次のようにも書いている。

  純粋な生産活動によって得られる収入と、すぐれた経営手腕によって得られる収益と、貯蓄によって得られる収入とは、それぞれ区別して考えるべきである。社会における資本のはたすべき役割は、個人がその能力によって発現する役割にも寄与するべきである。資本主義の問題は、資本がそのすべてを経済領域に向けすぎたことにある。むしろ本来の創造的な機能にこそ資本が機能できるようにしなければならない。

 エンデもこのようなシュタイナーの主張を継承して、経済が「自由」と「平等」を謳っていることに疑問を呈し(まさに新自由主義がその合唱のようになったのだが)、社会が分業によって成り立っているのだとしても、その分業によってすべての市場経済が許容されるべきではないし、株式経済のルールが人々を法令遵守させるべきではないと考えた。

 シュタイナーもエンデも、資本はもっと社会的なものであるということを考えていたのだ。銀行だってそうである。社会のためのソーシャルバンクがあっていい。
 しかし、そんなことがありうるのだろうか。それは夢物語にすぎないのではないか。番組では、ここでドイツにあるGLS銀行を取材する。

 「贈ることと貸すことの共同体の銀行」という奇妙な名をもつこの銀行は、預金者が自分で投資するプロジェクトを選び、同時に自分で預金の利率を決められるようになっている。たとえば有機農業のプロジェクトを促進したいと思えば、銀行が選定した有機農業ファンドに投資する。そのとき、自分で自由に利率を選ぶ。銀行側も利子の最高額の設定を通常の利率にしておいて、それ以下でもかまわない投資者を募る。その投資者が多く、その有機農業プロジェクトが成功すれば、投資者は存分なリターンが得られるわけである。

 ここまでくると、前夜にも少しふれたように、エンデがハンス・ビンスヴァンガーの『金と魔術』(1374夜)にひとかたならぬ関心をもったことは、容易に予想がつく。

 あらためて言うまでもなく、ゲーテが『ファウスト』で描いた錬金術は紙幣を勝手に印刷する近代の錬金術だったわけだが、それは連合国アメリカがドイツマルクにしてみせたことであり、ソ連がこれを無視したことに通じていた。戦勝国はたえず貨幣を牛耳ったのだ。それとともに、そのことは現代の貨幣資本主義や株式資本主義のすべての常識にもなっていったのである。ファウストとメフィストフェレスの会話は、資本主義社会にはまったく届いていなかったのだ。

 前夜にも述べておいたように、ビンスヴァンガーはのちにはエンデの『鏡のなかの鏡』にも注目した。映画化をすればきっとアンドレイ・タルコフスキー(527夜)の『ストーカー』のような作品になるような趣向だが、内容は一つのシティの祭壇から金銭価値が増殖していっているという恐怖を描いている。エンデがいつごろ『金と魔術』を読んだのかは知らないが、エンデはビンスヴァンガーに、そのビンスヴァンガーはエンデに影響されてきたのであろう。

 ビンスヴァンガーは、本書のインタヴューでは次のような発言をしている。成長と失墜をもたらす貨幣経済の根底に株式市場があることを問題視した発言だ。
 株式経済は重要な企業形態ではあるけれど、成長を基盤にせざるをえない。しかもこの経済では分配された利益配当が主題であって、株価が主人公なのである。かつ、株式経済の利潤は手元に戻ってくることを当てにした投資で成り立っている。そこに問題がある。エンデはそうした株式市場の外で動く貨幣経済の可能性を模索していたのではないか。

 いささかシュタイナーの思想に加担しすぎたかもしれないが、エンデがこのような経済思想の持ち主だったことは、これまであまり知られてこなかった。本書はエンデに対する取材を通じて、この面を取り出した。

 それでは話を次に進めよう。

 エンデがシュタイナーに続いて、いや、シュタイナーその人がその経済思想に影響されたであろうからエンデも注目しつづけた、もう一人の経済思想家がいた。それが知る人ぞ知るシルヴィオ・ゲゼルなのである(以下、シルビオ・ゲゼルと表記する)。

 ゲゼルは、ケインズ(1372夜)が『雇用、利子および貨幣の一般理論』でとりあげた「スタンプ付き貨幣」を発想したドイツの商人である(以下、スタンプ貨幣と言う)。ケインズはかなりゲゼルの影響を受けている。

 しかしゲゼルは、ケインズが言うようなたんなる商人ではなかった。革命的な経済思想家であり、画期的な貨幣論の提案者であった。むろんケインズもそれはわかっていた。ケインズは「シルビオ・ゲゼルは不当にも誤解されている。しかし、将来の人間はマルクスの思想よりもゲゼネの思想からいっそう多くのものを学ぶはずだろう」と書いた。

 ついでにいまのうちに言っておくが、実はアインシュタイン(570夜)もゲゼルにぞっこんだった。「私はシルビオ・ゲゼルの光り輝く文体に熱中した。貯め込むことができない貨幣の創出は、別の基本形態をもった所有制度に私たちを導くであろう」と褒めている。

 けれどもゲゼルは一貫して無視されてきた。何か危険な思想の持ち主だったのか。それともユートピア主義者だったのか。あるいは極左主義なのか。そのいずれにもあてはまらない。では、いったいゲゼルとは何者なのか。何がケインズやシュタイナーやエンデにもたらされたのか。スタンプ貨幣というアイディアなのか。いや、それだけではなかった。

 ともかくも、この異質な人物のアウトラインを知っておくべきだろう。本書『エンデの遺言』にもそれなりのページ数がさかれている。日本で「ゲゼル研究会」を主宰している森野栄一の執筆担当だった。

 シルビオ・ゲゼルは1862年にドイツ帝国のライン地方に生まれた。マルメディ近郊というところで、ドイツ文化とフランス文化が混じっていた。父親は会計局の役人、母親は教師。9人兄弟の7番目で、家の中ではフランス語、外に出るとドイツ語を喋った。

 16歳でギムナジウムを卒業すると、父親が公務員に就かせたいというので郵政局の職員になるが、すぐに退職してしまう。年長の兄の2人がベルリンに出ていたので、兄弟で歯科用の医療器械を扱う店を開いた。その後、語学力をいかしてスペインのマラガに赴き、ほどなく軍務に服役、その後に退役すると機械メーカーの通信員となる。アンナ・ベッカーとも婚約する。

 1886年、24歳のゲゼルはアルゼンチンに行く。兄のパウルが製造した歯科治療器具をブエノスアイレスで販売することが仕事だが、アルゼンチンはインフレとデフレを繰り返す金融混乱時代になっていた。ゲゼルはこの地でアンナと結婚し、輸入業者としての荒波をくぐりはじめた。とくに国内の不換通貨に金の価格の変動が重なって、国際為替相場が暴力的なほどに擾乱していくのを体験する。

 好調に見えた投機ブームが2年ほどたつと、アルゼンチンの経済は最悪になってきた。政府はデフレ政策をとり、金の流出と引き換えに追加的な対外債務を求めるのだが、いっこうにうまくいかない。銀行も不振に喘ぎはじめ、投資家たちは政府の債務返済猶予を認めない。すぐさま紙幣の価値が低落し、破産企業が続出すると、闇の投機が躍り、貨幣の売り買いが始まった。

 それなりの仕事をしていたゲゼルは、ここで一念発起する。ことごとく事業を整理して(段ボールプラントも仕事にしていた)、工場の売却益でラプラタ川に浮かぶ島をひとつ買うと、そこで農地を耕しつつ、理論活動に耽ったのである。こうして第1弾の『社会的国家への架け橋としての通貨改革』という画期的な論文が生まれる。インフレ期に貨幣の売買が安定するには、「指数通貨」と「自由貨幣」の両方が必要だというものだった。

 反応はなかった。しかしゲゼルは続いて『事態の本質』『貨幣の国有化』を著し、1897年には『現代商業の要請に応える貨幣の適用とその管理』を刊行して、アルゼンチン政府と経済界に問うた。反応はあいかわらず、ない。それでもゲゼルは『アルゼンチンの通貨問題』というパンフレットを作り、政界・実業界・新聞社をまわった。しかしあまりの無反応に、ゲゼルは段ボールのプラントビジネスを再開し、自分の事業の展開によって政策と通貨の問題を実験してみせた(このやりかたは、ぼくが親しい原丈人のやりかたに似ている)。

 しかし、それでもまだ反応はなかった。けれども、ゲゼルの予想はずばり当たっていたのである。物価水準を切り下げようとする経済政策はことごとく失敗だったのだ。アルゼンチン経済は1年後に破綻、4万人の失業者が街に溢れた。ゲゼルのほうはかえって財を得た。34歳になっていたゲゼルは、1900年にヨーロッパに帰ってくる。

 ヨーロッパに戻ったゲゼルはスイスを選んだ。ヌシャーテル県のレゾート・ジュネヴィに農場を購入すると、そこでみずから農民となって6年間をおくった。スイスの長い冬がゲゼルに新たな思索と表現をもたらした。

 アルゼンチン時代とちがって、ゲゼルは今度は「土地」のことを考えた。そこで最初の活動として「貨幣と土地改革」という雑誌を創刊した。「自由地」という概念もこしらえた。あいかわらず世間の反応は冷たかったが、エルンスト・フランクフルトが共感を示した。すでに『不労所得』『シルバーリバーからの手紙』といった著作をものしていた経済学者である。フランクフルトはのちにゲゼルの主要大著『自然的経済秩序』の協力者になっていく。

 ついでスイスの国営銀行法の議論に介入して、『スイス銀行の独占』を書き、1906年には『労働全収権の実現』を、続いて『アルゼンチンの通貨過剰』を、さらにフランクフルトと共著の『積極通貨政策』を刊行した。

 ここでスイスからベルリンに拠点を変えたゲゼルは、ゲオルグ・ブルーメンタールと雑誌「重農主義者」を発刊するかたわら、これまでの著作を編集再構成し、いよいよ『自然的経済秩序』をまとめていった。この主著は、日本では『自由地と自由貨幣による自然的経済秩序』(ばる出版)という大著になっている。カウツキー研究者の相田慎一の訳である。2007年に翻訳刊行されたものだが、ぼくはこれを読んでぶっ飛んだ。

 どういうふうにぶっ飛んだかは、以下のゲゼルのこのあとの事歴の紹介のところにも少しはふれるが、詳しくは次夜の千夜千冊にまわしたい。ここにはピエール・ジョセフ・プルードンが蘇っているからだ。プルードンがどういう思想家だったかということも、今夜はふれない。

 第一次世界大戦のさなかに『自然的経済秩序』は出た。ゲゼルは勇躍、1916年にはベルリンで「金と平和」を、翌年にはチューリヒで「自由土地、平和の根本条件」を、1919年にはふたたびベルリンで「デモクラシー実現後の国家機関の簡素化」を、それぞれ講演した。

 3番目の講演は「小さな政府」を提唱したものだった。しかしゲゼルはそうした驚くべき先駆性とはべつに、1917年に始まったロシア革命によるマルクス主義的な反資本主義の思想と行動に警戒を強めた。いったい社会主義や共産主義によって世界は変革されるのか。ゲゼルは以降、ボルシェヴィズムを批判し、マルクスの経済思想の限界を見極めようとする。

 思想的にマルクスを批判しただけではなかった。1919年にバイエルン共和国のホフマン政府から社会化委員会への参加が要請されると、ミュンヘンで友人のテオフィール・クリスティン、ポレンスケ弁護士らとともに「自由経済顧問団」を結成し、ギュスターブ・ランダウアーの新政府(クルト・アイスナー政府)の樹立に協力をする。ゲゼルは『自然的経済秩序』第4版の序文にこんなふうに書いている。

  自然的経済秩序は新たな秩序の人為的な組み合わせではない。分業から生まれた発展は、われわれの貨幣制度と土地制度かがその発展に対立するという障害に直面する。この障害は取り除かれなければならない。それがすべてだ。

  自然的経済秩序は、ユートピアとも一時的熱狂とも無縁である。自然的経済秩序はそれ自身に立脚し、役人がいなくとも生活する力をもっており、あらゆる種類の監督と同様に国家それ自体を無用なものとする。それは、われらが存在を司る自然淘汰の法則を尊重し、万人に自我の完全な発展の可能性を与えるのだ。

  この理念は自分自身で責任を負い、他者の支配から解放された人格の理念であり、これはシラー、スティルナー、ニーチェ、ランダウアーの理念である。

 だいぶん過激になっている。しかし、ゲゼルが新政府の財務担当人民委員に就任して1週間で、クルト・アイスナー新政府はモスクワの指示に従う共産主義者によって転覆されてしまった。これがバイエルン第二共和国である。ランダウアーは逮捕され、殺害された。

 ゲゼルは憤然として「全貨幣所有者への呼びかけ」というパンフレットを撒いた。また、国内物価水準の安定のために国際為替レートの協調会議の招待状を認(したた)めた。が、ゲゼルらは共産主義者の嫌疑をかけられ、大逆罪で告発される。

 その後、ゲゼルは高等裁判所での法廷闘争を展開、結局は釈放されるのだが、さすがに暗澹たる気分になっていた。国家というものが大逆罪によって何を仕掛けているのか、あまりにもよく見えすぎたからだ。もはや国家には脱出口はないのではないか。さすがのゲゼルも絶望したようだ。

 第一次世界大戦は終わった。しかしヴェルサイユ条約の経済政策はなんともひどいものだった。黙っていられないゲゼルは、1920年に『ドイツ通貨局、その創設のための経済・政治・金融上の前提』というパンフレットを発表する。時のドイツ銀行の総裁ハーフェンシュタインに宛てた。むろん何の対応もなかった。

 もはやドイツ一国を相手にできないと見たゲゼルは、まずは『ドイツ国民への宣言』を書き、ついで「世界貨幣」を構想した『インターナショナル・ヴォルタ・アソシエーション』を発表した。今日のIMFとは異なる国際通貨協会を創設して、どの国民通貨に対しても中立的な通貨を発行するという構想である。このときどうやら、ケインズがゲゼルに注目したようだ。おそらくシュタイナーもこのころにゲゼルの自由貨幣論に触発されて、「老化する紙幣」を発想したものと思われる。

 それならいよいよもって“ゲゼルの奇跡”が近くなってきつつあるはずだったが、もうゲゼルの余命のほうがなくなりつつあった。1927年、渾身をふりしぼって『解体する国家』を書くと、世界が大恐慌に見舞われていったさなかの1930年3月11日、69歳の誕生日を前に、ゲゼルはベルリン郊外のエデンに没した。いま、ぼくが少しずつ近づきつつある年齢だ。

 ミヒャエル・エンデがどのようにシルビオ・ゲゼルを知ったかははっきりしない。NHKの番組では、金融システムの問題を話していたエンデが、その話が華僑に入ったあたりで突然にゲゼルのことを持ち出し、取材班を驚かせたという。NHKチームはゲゼルのことをまったく知らなかったからだ。

 のみならず、エンデはゲゼルの経済思想が実践された例を持ち出した。オーストリアのヴェルグルという町のことだった。

 シルビオ・ゲゼルという人物がいて、「お金は老化しなければならない」と説きました。お金で買ったものはジャガイモにしろ靴にしろ、消費されていく。しかしその購入に使ったお金はなくならない。モノは消費され、お金はなくならない。モノとしてのお金と消費物価とのあいだで不当競争がおこなわれているのです。ゲゼルはそれはおかしいと考えたのです。ゲゼルはお金も経済プロセスの進行とともに消費されるべきだと考えたのです。

  このゲゼルの理論を実践し、成功した例があります。1929年の世界大恐慌の後のオーストリアのヴェルグルという町のことで、その町長のウンターグッゲンベルガーが町の負債と失業対策のため、現行貨幣とともに「老化するお金」を導入したのです。

 ヴェルグルはザルツブルグ近郊にある。その町で、1932年に画期的な実験がおこなわれた。世界大恐慌のあおりをくった人口5000人ほどのヴェルグルは、400人の失業者と1億3000万シリングの負債をかかえていた。そこで町は、通常貨幣とは異なった「労働証明書」という形の新しい通貨を発行し、公共事業の支払いに充てた。

 世界史上初の「エイジング・マネー」の導入だった。しかしオーストリア政府とオーストリア中央銀行は紙幣の発行は国家の独占的な権利であるので、この行為は認められないとして、ウンターグッゲンベルガー町長を国家反逆罪で起訴、すべての新紙幣を回収してしまったため、この実験はあえなく潰えた。

 ヴェルグルで発行された「労働証明書」は、ゲゼルが構想し提案した「自由貨幣」のうちのひとつの、「スタンプ貨幣」である。特定の地域で短期間にわたって使うためのものなので「地域通貨」とも「代用紙幣」ともいえる。

 ヴェルグルのスタンプ貨幣(厳密には紙券)は12カ月分の枡目が印刷されていて、そこに使用者たちがスタンプを貼るようになっている。スタンプ紙券の額面はいろいろだが、どの紙券も毎月1パーセントずつ減額していく。そのため町民は月末までに減価分に相当するスタンプを当局から購入して貼らなければ、額面を維持できない。町はこうしたスタンプ収入をさまざまな救済資金に充てたのだ。

 スタンプ貨幣は“期限のついた紙幣”であって、“減価する紙幣”なのである。使用者の“痕跡が残る紙幣”でもある。とくに「勝手に増殖しないようになっている」という最大の特色がある。

 ゲゼルは1週間で0・1パーセントずつ減価するスタンプ貨幣を提唱した。年間に換算すると5パーセントになる。これは一般の通貨レートの変動に接近した変動幅だと想定できるので、ゲゼルの構想がすぐれていたことを暗示した。


ヴェルグルで発行された地域通貨「労働証明書」

写真は5シリングのもので、裏側(下)に宣言文が記されている。

 いったいゲゼルからエンデに伝わった自由貨幣の構想は、資本主義の世の中で現実化可能なものなのだろうか。

 むろんゲゼルは可能だと考えた。ゲゼルは資本主義をよくするにはそれしか方法はないと考えていた。ゲゼルもエンデも、またシュタイナーも、お金や資本主義を廃止する必要はまったくないと考えている。むしろ現状の通貨・紙幣・資本主義がこのまま進んでいけばしだいに悪化するだろう、取り返しがつかなくなっていくだろうとみなしていた。

 どのようにゲゼルに発した自由貨幣を議論していけばいいのか、またゲゼルが「土地」を“自由地”として再解釈していったかということをどう議論すればいいのか、それを正確に語ろうとするとけっこう難しい。だから、そのことについては次夜に視点を変えて案内するとして、ここでは、こうした自由貨幣構想が各地で現実化した小さな例を、NHKの取材に従って紹介しておくことにする。

 ★1932年の早い時期、ドイツのバイエルンの石炭鉱山の町シュヴァーネンキルヘンで、鉱山所有車のヘベッカーが「ヴェーラ」という自由貨幣を発行した。ヴェルグル同様にすぐに政府が禁止したため、わずか10カ月ほどの実験だったというが、このあとドイツは経済悪化が深刻になり、ナチスが台頭してきた。

 ★1932年10月、アメリカのアイオワ州ハワーデンで30万ドルの自由貨幣が発行された。ハワーデンは人口3000人。自由貨幣は失業手当の調達に使われた。3セントの印紙を貼る方式だった。

 ★1933年、ロングアイランドのフリーポートで、失業対策委員会が5万ドルの自由貨幣を3種類の紙券として発行した。スタンプ紙幣方式だった。同じ年、アラバマ出身のバンクヘッド上院議員とインディアナ州のピーテンヒル下院議員がそれぞれゲゼル理論を咀嚼して、連邦政府に代用貨幣の発行を認めるという法案を提出、緊急時の通貨対策として承認をされたが、これは実施されることはなかった。

 ★1934年10月、スイスのバーゼルに本店をおくヴィア銀行は、協同組合銀行として経済リング「ヴィア」を開始した。そのころのスイスには5万人ほどのゲゼル派がいたらしい。その出資にもとづいて4万2000フランが資本金になった。翌年には会員3000人、年間売上は100万フランになった。1938年に“時間とともに目減りする通貨”を発行するために、「ヴィア」という経済単位での取引ができるようにした。有効期間1年で、毎月、印紙を裏に貼るようにした。理念は利用者間の相互扶助におかれたため、利子率は最低限のものだった。こうしてその取引額は1960年には1億8330万フランに達した。いまでは、スイス企業の17パーセントにあたる7万6000社がヴィア・システムに参加し、1995年以降はヴィアカードによる決済が可能になっている。

 ★1983年、カナダのバンクーバーで、コモックスのマイケル・リントンが「グリーンドル」という物やサービスを交換できるシステムLETSを始めた。地域交換取引システム(Local Exchange Trading System)の頭文字をとってLETSという。物やサービスの提供を受けたい住民が、そのつどグリーンドルという計算単位で代価を発行するしくみになっていて、口座ゼロから出発してグリーンドルを使うと口座からその分がマイナスになることでスタートできた。リントンはこのマイナス口座からのスタートをLETSへのかかわりを示す“積極的な負”とみなした。

 ★1991年、ニューヨーク州イサカで「イサカアワー」という地域通貨が誕生した。「グリーンスター」という生協型のスーパーマーケットのポール・グローバーが始めたもので、非営利の委員会でこれを管理した。1イサカアワーは10ドル。現在も使われていて、8分の1アワー、4分の1アワー、2分の1アワー、1アワー、2アワーの5種がある。表面には「ここイサカでは私たちはお互いに信頼しあっている」というフレーズが刷られ、裏面には「この紙幣は時間の労働もしくは交渉のうえでの物やサービスの対価として保証されています。イサカアワーは私たちの地元の資源をリサイクルことで地元の経済を刺激し、新たな仕事を創出する助けとなります。イサカアワーは私たちの技能・体力→道具・森林・野原・川などの本来の資本によって支えられています」と刷られている。

 ★1992年、ドイツのザクセンアンハルト州のハレ市に、「交換リンク」という仕組みが始まった。現金をまったく使わずに通帳上の中だけで物や仕事やサービスを交換するシステムで、通帳の中で交換されるのは「デーマーク」という経済単位である(1デーマーク=1ドイツマルク)。これは会員全員が見る交換可能リスト誌を媒介にして、日本にもよく見られる「売ります」「買います」の“交易”が成立すれば、あとは年会費や通帳発行料金などを収めれば、そのほか自由だった。その後、「交換リンク」はデーマーク型のものがドイツで200あまりの地域で、フランスでは「SEL」という単位の300あまりの地域が実施されている。


上図:旧東ドイツ・ハレ市の交換リング「デーマーク」

下図:交換リンクの仕組み。サービスと単位の動き。

https://1000ya.isis.ne.jp/1378.html

 ざっとではあるが、こんなふうにゲゼルの自由貨幣運動は各地に広まっていったのである。ここではふれなかったが、ドイツの「緑の党」などのムーブメントにも、つねに自由貨幣論は出入りしてきた。

 しかしながらこれらは、いまでは地域通貨論や電子マネー論の範疇で片付けられているだろう事例になっている。そうなる理由もあるのだが、ゲゼル→ケインズ→シュタイナー→エンデという系譜を考えると、その程度の議論でいいのかどうか、そろそろ問われるべきときがきているはずである。

https://1000ya.isis.ne.jp/1378.html



詳細は

ミヒャエル・エンデの世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/846.html


http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/862.html#c1
[近代史4] リスク・マネジメントに基づく「新型コロナウイルス対策」の提案(京都大学レジリエンス実践ユニット)(解説:藤井聡ユニット… 中川隆
3. 中川隆[-12722] koaQ7Jey 2020年5月07日 15:36:31 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[19]

2020年5月7日
「半自粛」のススメ 〜専門家会議は、感染抑止もできないし経済社会を大きく傷付ける「新しい生活様式」を即刻取り下げよ!〜
From 藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/economy/15822

緊急事態宣言の延長にあわせて、専門家会議から「新しい生活様式」が提案されました。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/view/detail/detail_08.html

この内容は、この提案をできるだけ「わかりやすく」纏めているNHKのサイト情報には、以下のように掲載されています。

――――――――――――――――――――

感染防止の3つの基本

@身体的距離の確保
Aマスクの着用
B手洗い

人との間隔はできるだけ2m(最低1m)空ける
遊びに行くなら屋内より屋外を選ぶ
会話をする際は可能な限り真正面を避ける
外出時、屋内にいるときや会話をするときは症状がなくてもマスクを着用
家に帰ったらまず手や顔を洗う できるだけすぐに着替える、シャワーを浴びる
手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)
※高齢者や持病のあるような重症化リスクの高い人と会う際には体調管理をより厳重にする
――――――――――――――――――――

もうこれだけでも項目数が多いですが、実は、これは単なる「序の口」で。その全文はこの何倍もの分量になります。全文は、文末の付録に掲載しますので、雰囲気だけでもご確認頂く趣旨で、文末をさっとご覧になってみてください。

・・・いかがでしょうか?

当方はコレを見たとき、あまりの理不尽さに、激しい憤りを感じました。

これでは感染症の拡大は防げないからです。
しかもこれでは、私達の社会も経済も大きく傷付くからです。

以下、その理由を説明します。

第一に、項目が多すぎで、誰も守れない。

上に記載した「感染防止の3つの基本」だけでも補足事項が多すぎるし、付録に記載した項目も含めれば、その情報量文字通り「膨大な量」。これだけ全てを頭にたたきこめる国民はほぼいないでしょう。

当方は国民の行動変容を導く公共政策としてのコミュニケーションの研究を20年以上続けていますが(例えば、こちらをご参照くださいhttps://www.amazon.co.jp/dp/4888488134)、その視点から言って、これは文字通り、最悪です。

なぜなら、情報が多く、内容が「ややこし」ければ結局、国民に伝わらず、行動変容を誘発できず、感染症拡大が防げなくなってしまうからです。

第二に、感染防止のために最も重要な諸事項が書かれていない。

これだけ大量の事項が書かれているのだから、これを全て真面目に覚え、従っていれば感染も防げ、重症者数・死者数も減らせられるのかと思いきや・・・驚くべき事に、とりわけ重要なことがいくつも抜け落ちているのです。

中でも特に大切なのが、
1)(外出中には)目鼻口、特に「鼻の穴」を触らない
なのですが、この一点が、全く書かれていません。

いくら手を洗っても、手を洗った後に、テーブルやドアノブを触ってウイルスが手に付くかも知れず、その手で鼻の穴に指でもいれてしまったらウイルスが鼻の粘膜に練り込まれてしまいます。

逆に言えば、一切手を洗わなくたって、その手で目鼻口を触らなければ、感染はしないのです。それくらい、「目鼻口を触らない」という一点は大事なのに、それが書かれていないのは、極めて深刻な問題です。

そして、具体的な行動として、
2)(当面の間は)通常スタイルの宴会・カラオケは自粛
ということも書かれていない。

コロナの感染拡大は、おおよそ、宴会やパーティ、カラオケで起こっているのですから、ここを直接自粛、あるいは、禁止するように呼びかけることが最も効果的です。
(もちろん、「お一人様飲酒・お一人様カラオケ」その限りではありません)

「大皿は避けて料理は個々に/対面ではなく横並びで座ろう/料理に集中 おしゃべりは控えめに」とも書かれているので、それはそれでいいとは言えますが、こう言うよりも「宴会・カラオケは自粛」と言った方が圧倒的にわかりやすい筈です。

無論、自粛すべきはあくまでも「通常スタイル」の宴会やカラオケが自粛なだけで、「できるだけ声を小さくして、距離をとって」あるいは「食事は黙ってさっと食べて、飲むときはマスクをしてコップを口に付けるときだけマスクを一瞬外しながら飲む」等なら、ある程度収束してくれば構わないと思いますが、「自粛から解除」する「出口」では宴会・カラオケ自粛というキーワードは、感染防止上極めて効果的です。

そもそも4月上旬に「感染者数が大きく増加」していますが、これは3月に多くの組織で送別会や年度末会を行ったからという疑義が濃密に考えられるくらいなのです。

さらには、

3)高齢者・基礎疾患者・妊婦の保護
(高齢者等との同居者の方の配慮も不可欠)

という一点が書かれていないのも、「医療崩壊」リスクの視点から言って、問題です。

もちろん、これについては、意見が分かれるところかと思いますが、事実として申し上げ増すと、高齢者の「死亡率」(≒「重症化率」)は、50才以下の非高齢層の50倍から100倍以上。したがって、高齢者の間で感染者が広まると、重症者病床が瞬く間に一杯になってしまうのです。
https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1254178810028675073?fbclid=IwAR0aBxo2DtNRA-a5Q7oqE8pxwXloBTH2Cwu0U_3AKcoi1ju0ZghcIrpTxcY

したがって、医療崩壊、感染死急増を回避するという視点に立てば、
高齢者・基礎疾患者・妊婦の自粛の継続
を出口戦略の一つとして掲げておくことは重要です(ただし、そうするかどうかは、最終的には政治判断になりますが)。

この様に、あれだけ膨大な項目をかいておきながら、肝心の「目鼻口を触らない」「宴会の自粛」「高齢者等の保護」という項目が書かれていないのです。これは極めて深刻な問題です。

第三に、感染防止のために「無駄」なのに経済社会に「被害」を与える項目が多い。

この「新しい生活様式」では「身体的距離の確保」が「絶対条件」の一つの様に扱われています。

これに従う限り、電車やバスの混雑は絶対にダメ、ということになりますし、カウンターでの隣り合った飲食も絶対ダメ、ライブハウスなんてもってのほか、ということになります。だから、この条件を皆が守る限りにおいて、交通事業者も飲食店もライブハウスも、極めて深刻なダメージを受けることになります。

しかし、「身体的距離の確保」は、感染防止の視点から決して「必須」の項目ではありません。

電車やバスについて言えば、しっかり「換気」がなされ、かつ、乗客が皆黙っている、あるいは、マスクをしていれば、少々近接していても、飛沫感染や空気感染(エアロゾル感染)が起こる可能性はほとんどありません。

同様に飲食店・ライブハウスにおいても「会話禁止」「歓声禁止」と「換気」が徹底していれば、少々隣接していても、感染リスクはほとんどないのです。

そもそも、専門家会議も、当初は三密の「重なり」だけを避けるべしといっていたわけで、そうした当初の主張のままなら、「距離の確保」だけをことさら強調するのは、論理的整合性を欠く、不誠実な主張だと言うこともできるでしょう。

いずれにしても、交通事業者も飲食店も、工夫をすれば、「距離の確保」は必須ではなくなり、したがって、収益激減のリスクを回避することが可能なのに、専門家委員会提言では、それが「不可能」となってしまうのです。

これを「無駄」な提案と言わなければ、無駄な提案なるものは何も無いということになってしまう―――というくらいに、「無駄」な提言だと筆者は考えます。

さらには、食事について「大皿は避けて料理は個々に/対面ではなく横並びで座ろう/料理に集中 おしゃべりは控えめに」などと書かれていますが、こういう配慮は、「外食時」は、ということで十分だと思います。

夫婦同士や恋人同士の食事の時、ある程度は注意するとしても、他人と同じ水準で注意していては基本的な人間関係が壊れてしまいます。つまり、この提言は社会生活に対する配慮が不足しているのです。

・・・

この様に、専門家会議の「新しい行動様式」には、

第一に、項目が多すぎで、誰も守れない。
第二に、感染防止のために最も重要な諸事項が書かれていない。
第三に、感染防止のために「無駄」なのに経済社会に「被害」を与える項目が多い。

といういずれをとっても深刻この上ない問題が三つもあるのです。

したがって、筆者は、この提案は即刻取り下げ、新たなものを再提案すべきだと考えます。

そして、筆者は、次のようなシンプルな「出口戦略」で十分だと考えます。

―――――「半自粛」のススメ―――――
手洗い・マスク・咳エチケットはもちろんのこと・・・
■基本方針 高齢者・基礎疾患者・妊婦の自粛の継続
(同居者・同僚の「移さない」配慮も不可欠)

■外出時の3つの注意点
 @「飲み会」「カラオケ」等の自粛継続
  (つまり、他者と飲食中の近接“発話”の自制)
  (ただし、政府補償が必須)
 A「鼻の穴」と「口」&目を徹底的に触らない
 B「換気」の徹底
―――――――――――――――――――

いかがでしょうか?

この提案は、

1)シンプルで覚えやすいだけでなく、
2)感染防止効果、死者数拡大効果、医療崩壊リスク抑制効果のいずれも「高く」、かつ、
3)経済社会に対する被害も最小化できる

という、専門化会議の提案よりも圧倒的に優越する提案だと考えています。

なぜそういう風に作ることができたのかというと、この提案は、京都大学レジリエンス実践ユニットのウイルス学や社会心理学、防災学の専門家らと議論を重ねた上で、可能な限り無駄を省きつつ、わかりやすさ覚えやすさ実施しやすさに配慮し、感染防止の点から最も効果的な項目に絞り込んだものだからです。

だから、この「半自粛のススメ」にそって、緊急事態を徐々に解除していけば、
高齢者等を保護して医療崩壊を回避しつつ、
食事(とりわけ飲み会等)に注意して「飛沫感染」を防ぎ、
目鼻口を触らないようにして「接触感染」を防ぎ、
換気を徹底することで「空気感染」(厳密にはエアロゾル感染)を防ぐ、
ということが、効率的、効果的に可能となるのです。

逆に言うなら、この3つさえ注意しておけば、接触機会を8割減なぞということをせずとも、「感染機会」を8割以上減らし、感染リスクを0に近づけることが可能となるのです。

政府、与党には是非、「専門化会議」の提案では無く、この京大レジリエンス実践ユニットの「半自粛のススメ」を採用いただきたいと思っています。

さもなければ、「専門化会議」の提案のままでは、感染は拡大し、経済も社会も傷付くことは避けられないと、心底危惧しています。

是非とも、国民の皆様からも、政府にご提案、ご推挙頂けると有り難く存じます。

何卒よろしくお願いします。

追申:
政府の専門化会議系の議論は、深刻な問題が様々にあります。下記も是非、ご一読ください。『北大西浦教授の「8割おじさん戦略」は、批判的に徹底検証されねばならない。』
https://foomii.com/00178/2020050112532166031

付録:専門化会議の「新しい行動様式」
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/view/detail/detail_08.html

感染防止の3つの基本
@身体的距離の確保
Aマスクの着用
B手洗い
人との間隔はできるだけ2m(最低1m)空ける
遊びに行くなら屋内より屋外を選ぶ
会話をする際は可能な限り真正面を避ける
外出時、屋内にいるときや会話をするときは症状がなくてもマスクを着用
家に帰ったらまず手や顔を洗う できるだけすぐに着替える、シャワーを浴びる
手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)
※高齢者や持病のあるような重症化リスクの高い人と会う際には体調管理をより厳重にする

移動に関する感染対策
感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える
帰省や旅行はひかえめに 出張はやむを得ない場合に
発症したときのため誰とどこで会ったかをメモにする
地域の感染状況に注意する

日常生活
まめに手洗い 手指消毒
せきエチケットの徹底
こまめに換気
身体的距離の確保
3密の回避(密集 密接 密閉)
毎朝の体温測定 健康チェック 発熱またはかぜの症状がある場合は無理せず自宅で療養
生活場面ごとの例

買い物
通販も利用
1人または少人数ですいた時間に
電子決済の利用
計画を立てて素早く済ます
サンプルなど展示品への接触は控えめに
レジに並ぶときは前後にスペース
公共交通機関の利用
会話は控えめに
混んでいる時間帯は避けて
徒歩や自転車利用も併用する

食事
持ち帰りや出前 デリバリーも
屋外空間で気持ちよく
大皿は避けて料理は個々に
対面ではなく横並びで座ろう
料理に集中 おしゃべりは控えめに
お酌 グラスやお猪口の回し飲みは避けて

娯楽 スポーツ等
公園はすいた時間や場所を選ぶ
筋トレやヨガは自宅で動画を活用
ジョギングは少人数で
すれ違うときは距離をとるマナー
予約制を利用してゆったりと
狭い部屋での長居は無用
歌や応援は十分な距離かオンライン

冠婚葬祭などの親族行事
多人数での会食は避けて
発熱やかぜの症状がある場合は参加しない

働き方のスタイル
テレワークやローテーション勤務
時差通勤でゆったりと
オフィスは広々と
会議はオンライン
名刺交換はオンライン
対面での打ち合わせは換気とマスク


https://38news.jp/economy/15822
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/744.html#c3

[近代史4] コロナウイルス対策最新情報 中川隆
1. 中川隆[-12721] koaQ7Jey 2020年5月07日 15:37:23 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[20]

2020年5月7日
「半自粛」のススメ 〜専門家会議は、感染抑止もできないし経済社会を大きく傷付ける「新しい生活様式」を即刻取り下げよ!〜
From 藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/economy/15822

緊急事態宣言の延長にあわせて、専門家会議から「新しい生活様式」が提案されました。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/view/detail/detail_08.html

この内容は、この提案をできるだけ「わかりやすく」纏めているNHKのサイト情報には、以下のように掲載されています。

――――――――――――――――――――

感染防止の3つの基本

@身体的距離の確保
Aマスクの着用
B手洗い

人との間隔はできるだけ2m(最低1m)空ける
遊びに行くなら屋内より屋外を選ぶ
会話をする際は可能な限り真正面を避ける
外出時、屋内にいるときや会話をするときは症状がなくてもマスクを着用
家に帰ったらまず手や顔を洗う できるだけすぐに着替える、シャワーを浴びる
手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)
※高齢者や持病のあるような重症化リスクの高い人と会う際には体調管理をより厳重にする
――――――――――――――――――――

もうこれだけでも項目数が多いですが、実は、これは単なる「序の口」で。その全文はこの何倍もの分量になります。全文は、文末の付録に掲載しますので、雰囲気だけでもご確認頂く趣旨で、文末をさっとご覧になってみてください。

・・・いかがでしょうか?

当方はコレを見たとき、あまりの理不尽さに、激しい憤りを感じました。

これでは感染症の拡大は防げないからです。
しかもこれでは、私達の社会も経済も大きく傷付くからです。

以下、その理由を説明します。

第一に、項目が多すぎで、誰も守れない。

上に記載した「感染防止の3つの基本」だけでも補足事項が多すぎるし、付録に記載した項目も含めれば、その情報量文字通り「膨大な量」。これだけ全てを頭にたたきこめる国民はほぼいないでしょう。

当方は国民の行動変容を導く公共政策としてのコミュニケーションの研究を20年以上続けていますが(例えば、こちらをご参照くださいhttps://www.amazon.co.jp/dp/4888488134)、その視点から言って、これは文字通り、最悪です。

なぜなら、情報が多く、内容が「ややこし」ければ結局、国民に伝わらず、行動変容を誘発できず、感染症拡大が防げなくなってしまうからです。

第二に、感染防止のために最も重要な諸事項が書かれていない。

これだけ大量の事項が書かれているのだから、これを全て真面目に覚え、従っていれば感染も防げ、重症者数・死者数も減らせられるのかと思いきや・・・驚くべき事に、とりわけ重要なことがいくつも抜け落ちているのです。

中でも特に大切なのが、
1)(外出中には)目鼻口、特に「鼻の穴」を触らない
なのですが、この一点が、全く書かれていません。

いくら手を洗っても、手を洗った後に、テーブルやドアノブを触ってウイルスが手に付くかも知れず、その手で鼻の穴に指でもいれてしまったらウイルスが鼻の粘膜に練り込まれてしまいます。

逆に言えば、一切手を洗わなくたって、その手で目鼻口を触らなければ、感染はしないのです。それくらい、「目鼻口を触らない」という一点は大事なのに、それが書かれていないのは、極めて深刻な問題です。

そして、具体的な行動として、
2)(当面の間は)通常スタイルの宴会・カラオケは自粛
ということも書かれていない。

コロナの感染拡大は、おおよそ、宴会やパーティ、カラオケで起こっているのですから、ここを直接自粛、あるいは、禁止するように呼びかけることが最も効果的です。
(もちろん、「お一人様飲酒・お一人様カラオケ」その限りではありません)

「大皿は避けて料理は個々に/対面ではなく横並びで座ろう/料理に集中 おしゃべりは控えめに」とも書かれているので、それはそれでいいとは言えますが、こう言うよりも「宴会・カラオケは自粛」と言った方が圧倒的にわかりやすい筈です。

無論、自粛すべきはあくまでも「通常スタイル」の宴会やカラオケが自粛なだけで、「できるだけ声を小さくして、距離をとって」あるいは「食事は黙ってさっと食べて、飲むときはマスクをしてコップを口に付けるときだけマスクを一瞬外しながら飲む」等なら、ある程度収束してくれば構わないと思いますが、「自粛から解除」する「出口」では宴会・カラオケ自粛というキーワードは、感染防止上極めて効果的です。

そもそも4月上旬に「感染者数が大きく増加」していますが、これは3月に多くの組織で送別会や年度末会を行ったからという疑義が濃密に考えられるくらいなのです。

さらには、

3)高齢者・基礎疾患者・妊婦の保護
(高齢者等との同居者の方の配慮も不可欠)

という一点が書かれていないのも、「医療崩壊」リスクの視点から言って、問題です。

もちろん、これについては、意見が分かれるところかと思いますが、事実として申し上げ増すと、高齢者の「死亡率」(≒「重症化率」)は、50才以下の非高齢層の50倍から100倍以上。したがって、高齢者の間で感染者が広まると、重症者病床が瞬く間に一杯になってしまうのです。
https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1254178810028675073?fbclid=IwAR0aBxo2DtNRA-a5Q7oqE8pxwXloBTH2Cwu0U_3AKcoi1ju0ZghcIrpTxcY

したがって、医療崩壊、感染死急増を回避するという視点に立てば、
高齢者・基礎疾患者・妊婦の自粛の継続
を出口戦略の一つとして掲げておくことは重要です(ただし、そうするかどうかは、最終的には政治判断になりますが)。

この様に、あれだけ膨大な項目をかいておきながら、肝心の「目鼻口を触らない」「宴会の自粛」「高齢者等の保護」という項目が書かれていないのです。これは極めて深刻な問題です。

第三に、感染防止のために「無駄」なのに経済社会に「被害」を与える項目が多い。

この「新しい生活様式」では「身体的距離の確保」が「絶対条件」の一つの様に扱われています。

これに従う限り、電車やバスの混雑は絶対にダメ、ということになりますし、カウンターでの隣り合った飲食も絶対ダメ、ライブハウスなんてもってのほか、ということになります。だから、この条件を皆が守る限りにおいて、交通事業者も飲食店もライブハウスも、極めて深刻なダメージを受けることになります。

しかし、「身体的距離の確保」は、感染防止の視点から決して「必須」の項目ではありません。

電車やバスについて言えば、しっかり「換気」がなされ、かつ、乗客が皆黙っている、あるいは、マスクをしていれば、少々近接していても、飛沫感染や空気感染(エアロゾル感染)が起こる可能性はほとんどありません。

同様に飲食店・ライブハウスにおいても「会話禁止」「歓声禁止」と「換気」が徹底していれば、少々隣接していても、感染リスクはほとんどないのです。

そもそも、専門家会議も、当初は三密の「重なり」だけを避けるべしといっていたわけで、そうした当初の主張のままなら、「距離の確保」だけをことさら強調するのは、論理的整合性を欠く、不誠実な主張だと言うこともできるでしょう。

いずれにしても、交通事業者も飲食店も、工夫をすれば、「距離の確保」は必須ではなくなり、したがって、収益激減のリスクを回避することが可能なのに、専門家委員会提言では、それが「不可能」となってしまうのです。

これを「無駄」な提案と言わなければ、無駄な提案なるものは何も無いということになってしまう―――というくらいに、「無駄」な提言だと筆者は考えます。

さらには、食事について「大皿は避けて料理は個々に/対面ではなく横並びで座ろう/料理に集中 おしゃべりは控えめに」などと書かれていますが、こういう配慮は、「外食時」は、ということで十分だと思います。

夫婦同士や恋人同士の食事の時、ある程度は注意するとしても、他人と同じ水準で注意していては基本的な人間関係が壊れてしまいます。つまり、この提言は社会生活に対する配慮が不足しているのです。

・・・

この様に、専門家会議の「新しい行動様式」には、

第一に、項目が多すぎで、誰も守れない。
第二に、感染防止のために最も重要な諸事項が書かれていない。
第三に、感染防止のために「無駄」なのに経済社会に「被害」を与える項目が多い。

といういずれをとっても深刻この上ない問題が三つもあるのです。

したがって、筆者は、この提案は即刻取り下げ、新たなものを再提案すべきだと考えます。

そして、筆者は、次のようなシンプルな「出口戦略」で十分だと考えます。

―――――「半自粛」のススメ―――――
手洗い・マスク・咳エチケットはもちろんのこと・・・
■基本方針 高齢者・基礎疾患者・妊婦の自粛の継続
(同居者・同僚の「移さない」配慮も不可欠)

■外出時の3つの注意点
 @「飲み会」「カラオケ」等の自粛継続
  (つまり、他者と飲食中の近接“発話”の自制)
  (ただし、政府補償が必須)
 A「鼻の穴」と「口」&目を徹底的に触らない
 B「換気」の徹底
―――――――――――――――――――

いかがでしょうか?

この提案は、

1)シンプルで覚えやすいだけでなく、
2)感染防止効果、死者数拡大効果、医療崩壊リスク抑制効果のいずれも「高く」、かつ、
3)経済社会に対する被害も最小化できる

という、専門化会議の提案よりも圧倒的に優越する提案だと考えています。

なぜそういう風に作ることができたのかというと、この提案は、京都大学レジリエンス実践ユニットのウイルス学や社会心理学、防災学の専門家らと議論を重ねた上で、可能な限り無駄を省きつつ、わかりやすさ覚えやすさ実施しやすさに配慮し、感染防止の点から最も効果的な項目に絞り込んだものだからです。

だから、この「半自粛のススメ」にそって、緊急事態を徐々に解除していけば、
高齢者等を保護して医療崩壊を回避しつつ、
食事(とりわけ飲み会等)に注意して「飛沫感染」を防ぎ、
目鼻口を触らないようにして「接触感染」を防ぎ、
換気を徹底することで「空気感染」(厳密にはエアロゾル感染)を防ぐ、
ということが、効率的、効果的に可能となるのです。

逆に言うなら、この3つさえ注意しておけば、接触機会を8割減なぞということをせずとも、「感染機会」を8割以上減らし、感染リスクを0に近づけることが可能となるのです。

政府、与党には是非、「専門化会議」の提案では無く、この京大レジリエンス実践ユニットの「半自粛のススメ」を採用いただきたいと思っています。

さもなければ、「専門化会議」の提案のままでは、感染は拡大し、経済も社会も傷付くことは避けられないと、心底危惧しています。

是非とも、国民の皆様からも、政府にご提案、ご推挙頂けると有り難く存じます。

何卒よろしくお願いします。

追申:
政府の専門化会議系の議論は、深刻な問題が様々にあります。下記も是非、ご一読ください。『北大西浦教授の「8割おじさん戦略」は、批判的に徹底検証されねばならない。』
https://foomii.com/00178/2020050112532166031

付録:専門化会議の「新しい行動様式」
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/view/detail/detail_08.html

感染防止の3つの基本
@身体的距離の確保
Aマスクの着用
B手洗い
人との間隔はできるだけ2m(最低1m)空ける
遊びに行くなら屋内より屋外を選ぶ
会話をする際は可能な限り真正面を避ける
外出時、屋内にいるときや会話をするときは症状がなくてもマスクを着用
家に帰ったらまず手や顔を洗う できるだけすぐに着替える、シャワーを浴びる
手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)
※高齢者や持病のあるような重症化リスクの高い人と会う際には体調管理をより厳重にする

移動に関する感染対策
感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える
帰省や旅行はひかえめに 出張はやむを得ない場合に
発症したときのため誰とどこで会ったかをメモにする
地域の感染状況に注意する

日常生活
まめに手洗い 手指消毒
せきエチケットの徹底
こまめに換気
身体的距離の確保
3密の回避(密集 密接 密閉)
毎朝の体温測定 健康チェック 発熱またはかぜの症状がある場合は無理せず自宅で療養
生活場面ごとの例

買い物
通販も利用
1人または少人数ですいた時間に
電子決済の利用
計画を立てて素早く済ます
サンプルなど展示品への接触は控えめに
レジに並ぶときは前後にスペース
公共交通機関の利用
会話は控えめに
混んでいる時間帯は避けて
徒歩や自転車利用も併用する

食事
持ち帰りや出前 デリバリーも
屋外空間で気持ちよく
大皿は避けて料理は個々に
対面ではなく横並びで座ろう
料理に集中 おしゃべりは控えめに
お酌 グラスやお猪口の回し飲みは避けて

娯楽 スポーツ等
公園はすいた時間や場所を選ぶ
筋トレやヨガは自宅で動画を活用
ジョギングは少人数で
すれ違うときは距離をとるマナー
予約制を利用してゆったりと
狭い部屋での長居は無用
歌や応援は十分な距離かオンライン

冠婚葬祭などの親族行事
多人数での会食は避けて
発熱やかぜの症状がある場合は参加しない

働き方のスタイル
テレワークやローテーション勤務
時差通勤でゆったりと
オフィスは広々と
会議はオンライン
名刺交換はオンライン
対面での打ち合わせは換気とマスク


https://38news.jp/economy/15822
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/866.html#c1

[近代史4] 伝説の相場師・詐欺師 中川隆
6. 中川隆[-12720] koaQ7Jey 2020年5月07日 19:32:03 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[21]

2020年05月07日
ドクター中松の発明人生 実は何も発明しなかった?

特許を取得していない物を見つける才能、がずば抜けている

引用:http://livedoor.blogimg.jp/colavsgingerale/imgs/f/f/fffb71a8.jpg


ドクター中松は発明者として有名ですが、自分自身で発明した物は殆ど無いとも言われています。

むしろ社会に存在する発明品に目をつけて特許を取得するという作業において、天才的能力を持っていました。


発明件数3000件の中身

ドクター中松こと中松義郎氏は数多くの発明をした事で知られているが、事情を良く知る人によれば、彼は何も発明していないという。

その原因は発明と特許の違いにあり、中松氏は特許を持っているが発明は殆どしていません。


例えばAさんが「発明者」だとしても、中松氏が先に特許を取れば中松氏の特許という事になります。


中松義郎氏はこうした事を利用して利益を得るビジネスマンで、発明をお金に変える人物だと言える。

中松氏が発明したので最も有名なフロッピーディスクは、IBMが1970年に独自に開発した技術で、これ以前には存在していません。

中松氏は1952年に『積紙式完全自動連奏蓄音器』と『ナカビゾン』の特許を取得していて、これがフロッピーディスクだと言っています。


簡単に説明すると両方とも蓄音機を鳴らすための紙でできた「回らないレコード盤」で、読取装置の方が動作して読み込んでいきます。

中松氏がコンピュータ用の記憶装置を開発したり発明した事は無いので、発明していなかった事になります。

つまり中松氏は頭で考えたことを紙に書いて役所に提出して特許権利者になったが、自分では作っていないのです。


中松氏は発明者であると宣言してIBMと契約を結び、何らかの報酬を受け取ったが、一体何の契約か公開されていません。

将来誰かが発明しそうなものを、実際に発明されるより早く特許登録してしまえば、その発明は中松氏のものになります。

例えエジソンが電球を発明しても、エジソンより早く申請してしまえば中松氏のものです。


実際に中松氏が取得した特許の中で、自分で発明した物がどれだけあるかは謎ですが、ほとんど何も無いと言われています。

彼は東京大学出身ですが、東大にはこの手の事に頭の回転が速い人が、妙に多い気がします。

ある意味で怪物と言えるエネルギー

中松氏の2番目に有名な発明である『灯油ポンプ』を特許取得したのは1949年で、実物の灯油ポンプが普及したのは1950年代でした。

石油ストーブは戦前から存在していたので、当然石油を給油するポンプも存在していました。

スポイト式の今とあまり変わらない特許は1900年代に出願されていて、中松氏のポンプはそれにバネを付けた物のようです。


だが現実の灯油ポンプにバネは付いていないし、実際に誰が発明したのか分かっていないようです。

中松氏の特許では「逆止弁」が追加されているが、果たして中松氏自身が考案したのか、この時代既に存在したのか分かっていません。

戦前から「押す」方式の手押しポンプは存在していたので逆止め弁も既に有った筈であり、軍との絡みもあり誰が発明したのか分かりません。


軍が発明したものは機密を守るため、大抵特許出願しないので、言った者勝ちになります。

誰も気に留めない「どうでも良い物」に目をつけて、さっと特許を出願する素早さこそ、中松氏の才能と言えるでしょう。

アメリカには中松氏のように、手当たり次第に特許出願して、当てはまりそうな商品を販売している会社に使用料を請求するビジネスが有ります。


自分の権利を最大限行使するのはアメリカでは美徳であり、好意的に受け止められる事も多い。

中松氏は選挙に立候補するのが好きで、平均して2年に一度立候補し700万円以上を使っていたそうです。

このビジネスはそれほど儲かるという事で、2005年に中松氏は約600件の特許を持っていたそうです。


特許には有効期限があるので、自称する1000件とか3000件の特許を取得した、あるいは申請したというのは不自然ではありません。

約50年間で3000件の特許を取得した、あるいは申請しただけだとしても年間60件であり、毎週1件以上申請した事になります。

全て他人の「発明」だったとしてもこれは凄い事で、アメリカの団体が表彰するだけはあります。


商標登録も数多く持っていますがほとんどがこのやり方で、実際に使用されているのに登録されていない物を見つけては申請しています。

「がんばれ日本」「維新の会」「新・民主党」なども申請して金儲けしようとしました。


こちらも中松氏が持っている商標登録の中で、実際に中松氏が考えたものは、恐らく何も無いでしょう。

http://www.thutmosev.com/archives/49191590.html
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/130.html#c6

[近代史4] ミヒャエル・エンデの世界 中川隆
4. 中川隆[-12719] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:01:05 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[22]

20150317 実のお金と虚のマネー 内橋克人





エンデの遺言の話をされています。聞いてみる価値ありです。
1999年にNHKのBS1で放送された

『エンデの遺言 〜根源からお金を問う〜』
https://www.youtube.com/watch?v=Hh3vfMXAPJQ

本も出版されています。格差が広がる中で地域通貨など共生セクター・協同について考えてみる価値あるかも。1999年のNHK 番組を本にしたもの。

http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/846.html#c4
[近代史4] 信用貨幣論 中川隆
2. 中川隆[-12718] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:02:34 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[23]


20150317 実のお金と虚のマネー 内橋克人





エンデの遺言の話をされています。聞いてみる価値ありです。
1999年にNHKのBS1で放送された

『エンデの遺言 〜根源からお金を問う〜』
https://www.youtube.com/watch?v=Hh3vfMXAPJQ

本も出版されています。格差が広がる中で地域通貨など共生セクター・協同について考えてみる価値あるかも。1999年のNHK 番組を本にしたもの。

http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/862.html#c2
[近代史4] ミヒャエル・エンデの世界 中川隆
5. 中川隆[-12717] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:10:35 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[24]
「アベノミクスの成果」【事実をいえば……】

安倍政権の発足直前(2012年10月〜11月)、政府は、80円台から105円(2013年12月)への円安を生むため、30兆円のドル買いを、秘密裏に、郵貯・かんぽ生命等の政府系金融機関に、行わせています。

25円(30%)の円安目的の、「円売り/ドル買い」マネーが、米国系投資銀行に入って、ヘッジファンドから、2012年末から日本株の買い越し(5兆円規模)になり、日経平均が8,500円台だった株価が、1万4,000円に上がっています(2013年末)。

これが、「アベノミクスの成果」とされたのですから、内実は白々しいことでした。当時の当メールマガジンにも書いたことです。

通貨と株価の大きな変化には、いつも、資金量をもっとも大きくできる政府と中央銀行、および政府系金融機関が関与する原因があります。
https://www.mag2.com/p/money/911417


▲△▽▼

日本円が超円安になった理由
「アベノミクス」の正体
日本食潰す金融投機資本に貢ぐ 2013年5月17日付


安倍政府が発足して以後、「アベノミクス」と呼ばれる異次元の金融緩和や公共投資を中心とする政策が台頭し、急激な円安と株高の局面があらわれている。

昨年11月に民主党・野田政府が解散を表明した時点で8600円台だった日経平均株価は、半年たった今年5月中旬には1万5000円台まで急騰し、為替相場は1j=79円台だったものが102円台まで円安になるなど、世界的に見ても例がないほど大きな変動が起こっている。

海外投資家が時価総額のうち七割を占めている株式市場が熱狂し、さらに円安でトヨタをはじめとした輸出企業が過去最高益を上げるなど、金融緩和と為替マジックで金融資本や一部大企業がバブルに浸っている。

ところが一方で、燃油や穀物を中心に日本国内では生活必需品の価格が急騰し始めるなど、国民生活に深刻な影響が広がっている。「アベノミクス」でいったいなにが起きているのか、どうなっていくのかが重大な関心を集めている。


 
 バブルに群がる海外投資家

 この間、日経平均株価はリーマン・ショック以前と同レベルの価格まで急騰してきた。それほど好景気なわけでもなく、むしろ怒濤の首切りや製造業の海外移転を経て失業や貧困が全国的な範囲で広がり、生活実感としては悪化しているにもかかわらず、「日本株、年初から45%の上昇率」「1万5000円台回復」が叫ばれている。今後はさらに1万6000円台、1万7000円台まで上昇するとエコノミストたちが煽っている。

 しかし株式市場もよく見てみると、東証一部の約6割にあたる1000近くの銘柄が値下がりしている。株価が急騰している4割のなかでは円安効果の恩恵を受けた自動車産業や、ソニー、パナソニック、三菱電機といった企業が年初から倍近い株価をつけている。逆に株価が急落している企業としては不動産関係や、国内小売りのヤマダ電機、イオン、東芝などの企業群だ。

 東証の株式時価総額は昨年10月末には261兆円まで落ち込んでいたのが、今年4月末の段階では411兆円にまで膨れあがっている。わずか半年で150兆円がなだれ込んでいる。この半年の推移を見てみると、11月に14兆円増加し、12月には26兆円増加、1月に29兆円、2月に13兆円、3月に23兆円、4月には46兆円とすさまじい勢いで資金が流入しているのがわかる。

 このなかで投機の中心的なプレイヤーとして振る舞っているのが海外のヘッジファンドや投資家といわれ、時価総額の大半は国内資金ではなくこうした海外資金であることが明らかになっている。

サブプライム危機で行き場を失った膨大な余剰資金がヨーロッパを食い物にし、ギリシャ、スペインなど南欧諸国の国家破綻でボロもうけした後しばらくは中国や新興諸国のバブルに巣くっていたが、それも一段落ついて今度は「アベノミクス」バブルに大集結していることを反映している。


 世界3大投資家の一人であるジョージ・ソロスがわずか3カ月で970億円を稼いで

「黒田はガッツがある」

「緩やかに死に向かっていた日本市場の目が覚めた」

などと褒めちぎり、

「しかし円が雪崩のように下落する恐れがある」

などと発言する状況ができている。こうした抜け目ない守銭奴は、日本経済が低迷しているといわれた時期に底値で株式を買い取るなど仕込みを終え、現在のように素人が「株がもうかる」と思い始めるような段階には見切りをつけて売り抜けている。

カモにされるのはいつも決まって素人で、証券会社にそそのかされた年寄りや、中流世帯が巻き込まれて泣きを見ている。


 加熱する米国債の購入 日銀の金融緩和で


 国債市場は株式市場よりも規模が大きく、世界的には株式市場の3倍にもなるとされている。この間の円安で輸出企業は潤ったといわれているものの、円安そのものが国債暴落で、1j=80円の段階で例えば1万円の日本国債の価値がドルベースで換算すると125jだったのが、いまや1j=100円超えなので、その価値は100jと大幅に下落することになった。

 こんな日本国債を持っているよりは、ドル建ての米国債を購入した方が儲かるという判断が働いて、日銀が金融緩和すればするほど米国債買いが加熱して、海の向こうに資金が流れ出していくことになっている。

円建ての日本国債を売り払って円を調達し、その円を売り払ってドルを買って米国債を購入するのが流れになり、あるいは国債を売り払った資金で株式市場に投機する動きとなった。


 安倍政府、日銀による異次元の金融緩和は、米国債購入という形で吸い上げられ、あるいは国際金融資本の博打の源泉として食い物にされる仕組みになっている。

リーマン・ショック後に、米国ではFRBが気狂いじみた量的緩和を実行し、銀行群の損失処理にあたり、ヨーロッパではECBが負けず劣らずの量的緩和をやり、市場に資金を供給してきた。そうしたマネーに寄生し、バブルを渡り歩いてきたのがヘッジファンドで、熱狂した後に売り浴びせることは、過去に日本市場でも経験済みだ。


 円安でも拠点を戻さず 海外移転の大企業

 日本国内ではこの数年、大企業が円高を理由に海外移転を繰り返してきた。ところが円安になったからといって日本に拠点を戻すわけでもなく、多国籍企業のようになって出ていく。内部留保を散散貯め上げたうえで、そうした過剰な資本は国民生活の水準を引き上げるためには用いられず、より利潤の得られる後進諸国への資本輸出や進出へと向けられている。ベトナム、ミャンマーといった進出先のインフラ整備までODAで日本政府に肩代わりさせるのだから、国民の面倒は見ずにもっぱら寄生するだけの存在というほかない。

 その株式を保有しているのが米国をはじめとした海外の超富裕層や、錬金術に長けた金融資本で、人為的な円安、株高政策にせよ、TPPにせよ、日本の富を米国富裕層の個人資産に移し替えてくれる「アベノミクス」だからこそ大歓迎している。

 グローバリゼーションのもとで、かつてなく世界を股に掛けた投機が横行し、産業集約が進んでいる。金が溢れて投資先に困るほど、生産は社会化して富は増大している。ところがその金は一%にも満たない超富裕層が握りしめて離さないことから、九九%がますます貧困に追いやられ、モノが売れずに経済活動は停滞。金融が破綻すれば損失を国家に転嫁するというデタラメがまかり通っている。

 ヘッジファンドが食い荒らしている日本市場の姿と、その資金をせっせと提供している「アベノミクス」の存在が暴露されている。
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/enyasukabudakanokagedekyuurakusurukokusai.html


安倍「官製相場」の正体。国民生活が疲弊し対米従属は加速する=吉田繁治 2016年10月20日
http://www.mag2.com/p/money/24781


2012年12月に発足した安倍内閣はアベノミクスを標榜し、株価上昇をその支持基盤としてきました。あれから約4年、いよいよ「株価政権」の総括検証をすべき時期が来ています。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2016年10月19日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した内容(約5,000文字)もすぐ読めます。

なぜ株価は景気を反映しなくなったのか?官製相場の欺瞞を斬る

安倍首相の「スタートダッシュ」

消費税10%法案を通した野田民主党の自滅により、自民党は2012年12月、3年4ヶ月ぶりに政権に復帰しました。首相自ら「アベノミクス」と呼ぶところの、安倍政権の経済・金融政策の始まりです。

安倍首相は前回の失敗から、「スタートダッシュが肝心」と決めていました。自公政権が確実になった12年10月に明らかになったのは、
◾脱デフレの大きなマネー増発策
◾10年で200兆円の国土強靱化の公共投資

でした。日銀法を改正し、独立権を奪ってでも、マネーを増発させるという強いものだったのです。

【関連】株も不動産も奪われる! 預金封鎖よりも怖い「財産税」の傾向と対策=東条雅彦

国土強靱化は、財政赤字を200兆円分拡大して危険だ、という財務省の反対で消えました。東日本大震災の復興予算として、別途、28兆円の政府支出が必要だったからです。

マネー増発を推進するミッションを持ち、黒田総裁・岩田副総裁体制になった日銀は、異次元緩和(量的・質的金融緩和)を開始します。

量的緩和は、金融機関がもつ国債を買ってマネーを増発する政策です。質的緩和は、日銀が日経平均(株式ETF=上場投信)とREIT(不動産投信)を買いあげて、価格を上げるものです。

日銀による株買い(ETFの購入枠は6兆円/年)、これは普通、中央銀行が禁じられていることです。

恐慌の研究家である前FRB議長のバーナンキは、「日銀がケチッャプを買えば物価上がる」と言っています。あるいはヘリコプターでお金をばらまけばいいとか、ニコリともしないで異常なことを言う。

日銀が増刷した円で店頭商品を買えば、需要の超過になり物価は上がります。車を100万台(3兆円)、住宅を100万戸(30兆円)買ってもいいが、さすがにそれはできない。そこで株を買う。

日銀の株買いは迂回(うかい)して行われた

金融機関は、国債をはじめとする債券と貸付金で預貯金や基金を運用しているので、余分な現金は持ちません。

量的・質的緩和を政策にした日銀が、郵貯、年金基金(GPIF)、かんぽがもつ国債を買う。政府系金融と基金(GPIF)はそこで得た円で、日米の株とドル国債を買う。ワンクッションおいていますが、日銀が直接に日米の株を買い、米国債を買うことと同じです。

日銀は直接買うETF(年6兆円の枠)以外に、迂回路をとり数十兆円の株買いを行ったと言えます。方法はごまかしめいて姑息ですが、マネーの流れとしては露骨です。

日銀は量的・質的緩和として、円を下げ、株を上げ、インフレに誘導する「可能な手段の全部」をとってきたのです。

株価上昇は、株主の資産(東証一部時価総額511兆円 ※16年10月18日時点)を増やします。同時に企業の増資コストを下げます。資産が増えた株主は、資産効果で消費を幾分か増やします(しずくのようにわずかなのでトリクルダウンという)。百貨店で、100万円級の機械式時計が売れたのが、この資産効果です。

株価は理論的には、企業の将来の税引き後の予想純益を、期待金利(リスク率を含む株式益回り:6.6% ※16年10月18日時点)で割ったものと等価です。これが表現するのは、株価は企業の予想純益の結果ということです。

しかし多くの人々には、「株価が上がった→景気がよくなったからだ」と理解されます。下がっていた血圧が輸血で上がったから健康に戻った、と思うような本末転倒ですが、投資家と上場企業は歓迎します。支持率が上がるので、政府与党も喜ぶ。

株価が下落し、支持率も低くなった前回の反省を踏まえた安倍首相は、スタートダッシュで円安の誘導、株価の上昇に躍起になりました。円安の誘導は、輸出を増やし、株価を上げるためでした。

マネーの流れ

ヘッジファンドは保有しているドル国債を日本に売り、得た円で、出遅れていた日本株を買う。そして実は、総資金量が420兆円と日銀よりも巨大な政府系金融(現在名ゆうちょ銀行、かんぽ保険、GPIF:総資金量420兆円)は、日銀に国債を売って得た円で、米国債も買っています。

公的年金の残高139兆円(15年12月)を運用しているGPIFの、15年12月のポートフォリオ(分散投資)は、「円国債38%、国内株23%、外国債券(主は米国債)14%、外国株23%」です。

※日銀がGPIFの国債を買いあげる→GPIFは得た現金で国内株、米国債、米国株を買う→GPIFに米国債を売ったヘッジファンドはそのマネーで日本株を買う

マネー運用には遅滞が許されないので、この迂回路取引がコンピュータの中で、一瞬で起こります。

安倍政権の初年度だった2013年には、外国人(ヘッジファンド)からの15.1兆円もの巨大買い越しがありました。

外国人の売買は、東証一部の年間売買額460兆円のうち320兆円(約70%:16年7月水準)です。国内勢(金融機関と個人投資家)は、1990年のバブル崩壊後の損失の累積で資産を減らしたため売買がとても少ない。国内勢の売買は140兆円です。

他方、多くがオフショア(タックスヘイブン:租税回避地)からであるヘッジファンドの売買が320兆円です。東証はこのヘッジファンドの支配下です。

ヘッジファンドの日本株買いと、円先物売りのマネーの多くは、GPIFにおけるような迂回路をとって日銀が買い続けている、政府系金融の国債の現金化から来ています。

安倍政権前から始まっていた「官製相場」

政治相場(あるいは官製相場)は、14年10月末に発表された「日銀の追加緩和」と「GPIFの運用方針の変更」から始まったように言う人が多い。

しかし、マネーの流れを比較貸借対照表で調べると、安倍政権が始まる前の12年の10月から秘密裏に開始されています。最初は、円安介入のための30兆円の政府系金融マネーでした。

※総資金量420兆円の政府系金融3機関が、日銀に国債を売ったマネーで、米国債を30兆円買った→米国債を売ったヘッジファンドが日本株買い/円の先物売りを行った

安倍政権が確実になる前、12年9月の日経平均の予想PER(加重平均)は、1ドル80円台の円高の中で12倍付近と低かった。米国ダウのPERは15倍と3倍高かった。

上場企業(東証一部2000社)においては、輸出製造業の株価シェアが大きい。円安/ドル高になると、利益が数倍に増えます。このため、円安で日本の株価は上がり、円高で下がる基本性格があります。

通貨の低下は、普通、国力(政治力)と経済力の低下を示します。しかし日本では、ドルでは同じでも円での輸出価格が上がる。このため、上場企業の利益が増える予想がたち、株が買われます。
(注)予想PERは、株価の時価総額を次期予想純益で割った株価/収益倍率であり、株価の高さ、低さを判断するための指標です

PERが15倍なら将来15年分の、未実現の企業純益を株価が含んでいます。16年10月の日経平均の加重平均のPERは、14.3倍付近です。単純平均のPERでは18倍と高い。日経平均は、ユニクロ(ファーストリテイリング)の34倍のような高PER銘柄を含むからです。

2016年10月現在、日経平均は1万7000円付近です。米国ナスダックの予想PER(単純平均)は現在21.9倍で、バブル価格の水準です。他国をあげると、インド18.2倍、英国17倍、米国ダウ16.8倍、上海総合14.4倍、ドイツ13.3倍、ロシア6.8倍です。


円安誘導という名の「米国債買い」を実行

安倍政権誕生の2ヶ月前、1ドル77円(12年9月)だった円は、その2ヶ月前から下がりはじめ、10月に80円、11月に83円、12月には87年円と13%の円安になっています。続く13年1月に92円、2月には93円と下がり、6月には岩盤に見えていた100円も超えたのです。
(注)円安のピークは、15年6月の125.8円です。16年2月のマイナス金利以降は、逆に円高になり16年10月は104円付近です

円安は、世界の外為市場(円の売買が日量120兆円:2016年)での「円売り/ドル買い」が「円買い/ドル売り」を超過することで起きます。なぜ50%(1ドル120円)もの円安になったのか?

ここで、財務省の外貨準備($1.26兆:126兆円:16年10月)は、目立つので使われなかった。かわりに、ゆうちょ銀行、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、かんぽに、推計30兆円の「円売り/ドル買い」を行わせたのです。

前述のように、日銀がゆうちょ、年金基金、かんぽがもつ国債を買い、政府系3機関は、そこで得た円で、円安誘導を目的にしたドル債買いを実行するわけです。

さて、米国政府は、為替介入を行う国を「為替操作国」と強く非難します。しかし、円売り/ドル買いで得たドルで米国債を買うと途端に沈黙します。この理由は何でしょうか?


アメリカ政府の債務は2000兆円

米政府の総債務(自治体と社会保障の債務を含む)は、日本国債の2倍の$20.0兆(2000兆円:16年)に膨らんでいます。米国債も$15兆(1500兆円:同年)に増えています。

財政赤字は毎年、$7000億付近(16年度は$7130億)です。17年には、公的医療費($2.8兆:280兆円:12年)の増加で、赤字は$1兆を超えるでしょう。

米国の人口ピラミッドは、日本の10年遅れです。医療費では診療単価が約2.5倍高く、総額で$2.8兆(280兆円:12年)です。3.2億人の国民の、健康な人を入れた1人あたり年間医療費は$9000(90万円)です。

日本の医療費は、40兆円で1人あたり31万円/年。米国は1人あたりで3倍も多い。米国の医療費は信じられない高さです。盲腸の手術や流産で200万円とか…日本は世界的には医療費は安い。

米国政府は、この高すぎる医療費のため、日本の10年遅れで高齢者が増えるとつぶれます(ほぼ確定でしょう)。

米国は、新規国債のうち50%は、経常収支が黒字の中国と日本に売らねばならない。米国内では50%分しか買い手がない。米国は、海外からマネーを借りる構造を続けています。円でドル国債を買うことは、マネーの流れとしては米国への貸し付けです。

経常収支の赤字国は、感覚では逆ですが、資本収支では黒字になります。資本収支の黒字とは、マネーが流入することであり、現象形は、海外の金融機関が米国債、株、社債、MBS(住宅ローン担保証券)を買って、ドル預金をすることです。

わが国の民間では、国内の運用先がない三菱UFJグループ(総資産281兆円:16年6月)が、米国運用を増やしています。米国経済は、海外資金が大挙して引き揚げるとひとたまりもない。このため、米国はユーロや円より約2ポイントは高い金利を続けねばならない。


米国が利上げしなければならない本当の理由

米国が14年10月に、3回行った量的緩和(QE:$4兆:400兆円)を停止し、2015年12月にFRBが0.25%利上げした本当の理由は、金利が低いままだとドル債が売られ、海外から来たマネーが逃げる恐れがあったからです。逃げはじめてからの利上げでは、間に合わない。

米政府とFRBが、日本に金融緩和を強く勧めるのも、米国債と株を買ってもらうためです。異次元緩和にも米国への資金環流という条件がついていました。リフレ派は亡国のエコノミストに思えます

リーマン危機のあと、400兆円のドルを増発した3度のQE(08年〜2014年)でマスクされていた米国の「大きな対外不均衡」は、今も世界経済における根底の問題であり続けています。

米国の対外総債務は、$20兆(2000兆円)、対外資産を引いた純負債は$8.8兆(880兆円)と巨大です(15年末)。

一方で日本は、官民で948兆円の対外資産をもち、対外債務は609兆円です。339兆円の純資産があります(15年末:財務省)。経常収支が黒字になり、バブル経済で世界ナンバーワンと言われた1980年代以来、企業と金融機関が営々と貯めてきたものが、対外純資産になっています。

関連して言うと、中国は、公式には$2.1兆(210兆円:14年)の対外純債権国とされています。しかし、15年と16年に民間で起こった「元売り/ドル買い」に対抗して、政府が行った「元買い/ドル売り」により、今は、純債務国に転落していると推計できます。

2015年12月で$3.3(330兆円)とされている外貨準備では、銀行の持ち分と政府の持ち分が二重に計上されています。中国の4大銀行は、全部が国有です。選挙と議会制度がない共産党国家・中国の経済統計には、かつてのソ連と同じ問題があります。


ヘッジファンドによる円売り・日本株買いのカラクリ

アベノミクスとは、インフレを目標にした、

1.日銀の国債買いによる通貨増発
2.ドル買い/円売りによる円安誘導
3.政府系金融とGPIFによる日本株買いと米国債買い


です。

2%のインフレを目標にしたのは、年金・医療費・介護費(社会保障費)が年率3%(3兆円)で増え続け、それが国債の増発に繋がって、債務比率(政府総債務1277兆円/名目GDP505兆円=253%)が拡大することを防ぐためです。

分母の名目GDPが年率で3%以上増え続けないと、債務比率が大きくなり、近い将来の財政破綻が確定するからです(名目GDPの下限目標=実質GDP1%+インフレ率2%)。

仮にインフレになっても、企業所得と税収が増える中で世帯の所得が増えない場合、国民の生活は苦しくなっていきます。年金支給額が固定されている年金生活者3100万人(15年:厚労省)と、円安では企業所得が減る多くの中小企業の雇用者4100万人(06年:経産省)、合計で7200万人は、インフレで実質所得が減ります。

しかし、それらは構わない。政府にとっては、差し迫る財政破綻の防止がはるかに大切だとされたのです。


円安と株価上昇には有効だった量的・質的緩和

需要が増えることによる物価上昇に効果がなかった量的・質的緩和は、12年末から15年までの円安と株価上昇には有効でした。13年と14年の物価上昇は、円安での輸入価格上昇が主因です。世帯消費と企業の設備投資は増えていません。

東証では、年間420兆円の売買額の70%が、オフショアからのヘッジファンドによるものです。国内の個人投資家と金融機関は、90年からのバブル崩壊、00年のIT株崩壊、08年9月からのリーマン危機で3回の大きな損失を被ったことから、売買額が30%に減っています。

個人投資家700万人の多くは、上がるときは損失を回復するため売り越す、下がるときは難平(なんぴん)買いで買い越すという行動を取ります。


2012年末以降の日本株式市場の売買構造

このため、わが国の株価を決めているのは、70%のシェアになったヘッジファンドの売買です。


1.ヘッジファンドが買い越せば上がり、売り越せば下がる

2.下がっては、政府と投資家が困る

3.ヘッジファンドが売り超になると、3つの政府系金融(総資金量420兆円)と日銀(同459兆円:16年10月)が買いをいれる

という単純な基本構造が、2012年末から2016年10月まで続いているのです。

しかし2016年は、政府系金融と日銀の買いに対する株価上昇の反応が鈍い。この理由は、

1.アベノミクスによる株価上昇が政治相場(または官製相場)であることを皆が知った

2.このため二番目に大きな売買シェアを持つ個人投資家(700万人)が、政府系金融に追随した買いを入れなくなった

ことにあります。


米国の後追い。2015年から日本でも自社株買いが増加している

1日平均売買額が2.9兆円(15年平均)だったものが、2.3兆円(16年7月)に減った現在の東証一部で、大きく増えているのは自社株買いの4.3兆円です(16年1月〜9月)。

これは、事業法人の買い超に含まれます。年間では5.7兆円の買い超になるでしょう(13年1.5兆円、14年2兆円、15年3兆円)。

自社株買いは、市場で流通する株式数を減らします。会社利益は同じでも、1株あたり利益は上がったようになり、株価も上がります。タコが自分の足を食べることに似たこの自社株買いは、上場大手企業が留保利益で将来投資をせず銀行預金として貯まった、現金100兆円で行われています。

自社株買いでも、買いが増えれば株価は上がるので「株価上昇という形の株主配当」とされています。経営者が株主サービスとして行うのです。問題は、自社株買いは、いつまでも続けることはできないことです。

米国の2012年以来の自社株買いは、とても大きい。16年の第一四半期で$1820億(18.2兆円)です。年間では73兆円という巨額です。米国では、日本よりはるかに個人株主の要求度が高い。株価が1年も下がり続ければ、資産を失った株主により、株主総会で経営者が追放されます。

このため、経営者は米国FRBの量的緩和と、わが国と同じ将来投資の少なさから滞留したキャッシュフローで、年間73兆円もの自社株買いで事実上の減資をしているのです。

時価総額で世界一のアップル($6091億=60兆円:16年9月)は、社債を発行しゼロ金利マネーを得て、それで巨額の自社株買いを行っています。米国のダウやナスダックの大手企業の株価は、大きな自社株買いで20%から30%は高値になっているでしょう。

本稿執筆時点のダウは1万8161ドル、ナスダックは5243ポイントで史上最高値圏です。過去10年の純益を元にしたシラーP/Eレシオ(26.6倍:16年10月)が示すように、数十%のバブル性があると見ることができます。株価維持のために膨らみすぎた自社株買いの減少があれば、下がります。

自社株買いは、政府主導の官製相場と同じく、3年も5年もと続けることはできません。事実、2016年は米国の自社株買いはピークアウトして、今後は減少する傾向も見えます。

米国の自社株買いの傾向に注目してください。これが減ると、米国株は下がります。米国株が下がると、日本と欧州にも即日に波及します


株価が景気を反映しなくなった理由

ポートフォリオ投資とHFT(超高頻度売買)を組み合わせた売買シェアが、60%まで増えています。10年代の国際金融は、ネットワークで、リアルタイムに連結されているからです。

世界中の国債や株の売りも買いも、コンピュータ画面で一瞬です。株と債券の金融市場は、インターネットで変容しています。売買を叫ぶ「場立ち」があった「のどかな市場」ではない。

それでなくても、わが国の日経平均は米国ダウの子供です。米国株を売買しているヘッジファンドがポートフォリオ(分散投資)で、日本株をたとえば12%と一定割合にしているからです。米国株が下がると、ポートフォリオの中の米国株が減少します。かわりに、12%枠と決めている日本株の構成比が上昇します。これでは日本株の下落リスクが大きくなる。

株価罫線を分析するトレンド理論(傾向理論)とは違う、ランダムウォークの理論では、向こう3ヶ月で10%上がる確率があるときは、10%下がる確率も同じです。このため、ポートフォリオでのリスクが、コンピュータが自動計算する数値で大きくなる。

従って、米国株が下がると日本株を売って減額調整するプログラムが組み込まれています。ヘッジファンドのほとんどの売買で行われているHFT(超高頻度売買)がこれです。人間は関与せず、現物・先物・オプションの売買を組み合わせ、瞬時に売買が行われます。

ファンドマネジャーの関与は、ポートフォリオの割合(パラメータ)を変えるときです。以上の売買構造が増えたため、日米の株価の動きは同時化します。日米だけではない。

世界の株式市場(時価総額6000兆円:世界のGDPの1倍)が、ほとんど瞬間連動して動きます。基礎的な経済指標によるファンダメンタル理論(端的に言えば、景気がよくなると株価が上がる)は、ほとんど関係がなくなっているのです。
http://www.mag2.com/p/money/24781


▲△▽▼

日経平均株価が上がる程、日本人はどんどん貧しくなっていく

アダム・スミス2世の経済解説  2015-05-10
アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-184.html

アベノミクスの評価は、現時点においてもさまざまである。その中で多くの人たちが認める功績は、株価を上昇させたことであろう。アベノミクスの否定論者でも、アベノミクスは株価を上昇させたこと以外にメリットは存在しないという評価を下す人は多い。

今回は、アベノミクスが株価上昇により巨額の損失を日本経済に与え、最近ではその累計額が100兆円にまで到達したという事実を説明する。


現在、日本で使われている日本の純資産に相当するものは、国民経済計算ベースでの国富(=正味資産)である。

現在、国ベースでどれだけ資産を増やした、あるいは減らしたかを認識できる統計は、国民経済計算ベースの国富しか存在しない。


国富のグラフ
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/20150510172757912.gif/


国富の大半は非金融資産である。それ以外は、金融資産の一部である対外純資産だけである。国富の大半をしめる非金融資産が減少傾向を示している最大の原因は、地価の下落である。対外純資産は増加傾向にある。

国富には、対外純資産以外の金融資産が存在しない。これは、金融資産が存在すれば、必ずそれに等しい金融負債が存在していると国民経済計算では考えるからだ。この場合、株価が上昇しても、株価の時価総額の増加額に等しい金融負債が増加していると考えるのである。

この考え方に基づけば、アベノミクスの結果株価が上昇しても、プラスは発生しない。株価の時価総額と同金額の金融負債が同時に増加すると考えるからだ。株式保有金額の増加額のうち海外投資家による日本株保有分については、海外投資家の資産増加と、国内部門の負債の同金額の増加が発生すると考える。

これを日本から見れば、国内の負債の増加分と同金額の国内資産が増えているのではなく、同金額の対外負債の増加だけが発生していると見える。

対外負債の増加であるから、対外純資産の減少、すなわち国富の減少を意味する。

日本の株価が上昇すればするほど、資産は増えず、対外負債だけは増加し、対外純資産と国富は減少する。


2014年末における投資部門別の株式保有金額(上場株だけが対象)を表すグラフを下記に示す。


投資部門別保有金額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/2015051017282459d.gif/


2014年末における最大の大株主は海外投資家であり、その金額は165兆円、全体の31%を占めていた。

次に、アベノミクス相場の開始以降、上記の株式保有金額がどれだけ増加したかを表すグラフを下記に示す。


投資部門別保有金額の増加額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505101728253d4.gif/


アベノミクス相場の開始日は、野田前総理が衆議院解散を明言した2012年11月14日である。しかし、その日からの統計は存在しないので、代わりに2012年9月末を基準にした。保有金額にだいたいは比例しており、海外投資家による株式保有金額の増加額が95兆円と一番大きい。

次に、アベノミクス相場開始以降の投資部門別の売買状況を表すグラフを下記に示す。

投資部門別売買
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505101728224f6.gif/


このグラフの起点も、2012年9月末にした。見てわかるとおり、買いの大半は海外投資家である。2014年から公的資金が買い始めたので、信託銀行が少し買い越しになっている。最大の売り越し主体は家計、すなわち個人である。

次に上記の2つの表で示される金額の差を表す投資部門別の調整額というグラフを下記に示す。

調整額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/20150510172758332.gif/


調整額の定義は、資産の変動金額と売買金額の差である。具体的には、調整額の大部分は株価の値上がり益であり、かなり広い意味ではあるが統計上の不突合が一部に含まれている。最大の大株主である海外投資家が一番大きな株価の値上がり益を獲得している。

最初に示した国富の中の対外純資産は、フローベースでは「経常収支+資本移転等収支」の累積金額になる。一方、ストックベースではそれ以外のさまざまな資産価格の変動の影響を受ける。さまざまな資産価格の変動の中で最も寄与度が高いのは、為替レートと株価の変動分である。

日銀の資金循環統計ベースの対外純資産は、2012年9月末の277兆円から、2014年12月末の376兆円まで98兆円の増加となっている。このうち、海外投資家の日本株投資残高は、先のグラフで示したとおり95兆円、うち買越金額は20兆円、調整額、すなわち株価の値上がり益は75兆円である。

海外投資家は日本の株価上昇により、75兆円前後の値上がり益を獲得した。このため、日本の株価が2012年9月と2014年末が同じであったと仮定するならば、対外純資産は376兆円より75兆円多い451兆円になっていたはずである。

株価が上昇したがために、75兆円もの対外純資産と国富が減少したことを意味する。

株価上昇によって海外投資家が獲得した75兆円の調整額は、2014年末の金額である。2015年に入ってからも、日本の株価は上昇している。

ここで海外投資家の保有株式金額はTOPIXと同じ動きをすると仮定する。この仮定に基づいて、2014年末からの海外投資家の日次の調整額累計を表すグラフを下記に示す。


海外投資家の調整額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505102339329ee.gif/


少しばかりの仮定をおいて算出される累積調整額は、2015年4月22日に100兆円に到達した。

この金額は、アベノミクス相場開始以降、日本の株価上昇によって失われた国富の金額にほぼ等しい。

アベノミクスによる株価上昇が原因で失われた国富は、4月22日についに100兆円に到達してしまったのである。


アベノミクス相場の開始以降の株価上昇による(上場株だけから発生した)国富の損失100兆円という数字は、多少の誤差があるとしても、ほぼ正しい金額である。


株価上昇はアベノミクスの最大のメリットというのは正しくない。国民経済計算という有力な会計基準を使った場合、アベノミクスは、株価上昇の結果として日本の国富を100兆円も失わせた。

アベノミクスがもたらした株価上昇の結果は、大変大きな利益ではなく、100兆円という巨額の国富の損失であったという観点が存在することは重要であり、この事実を忘れてはならない。

最後に、100兆円の巨額の損失が発生してしまった原因とその対策を記すことにする。
 

政府・日銀の犯罪的な政策について

日本企業の株というものは、日本国民にとっての大変貴重な財産である。それに対して政府・日銀が過去にとってきた政策は、1989年12月29日の高値38,915円から2009年3月10日の安値7,054円まで、19年強の期間、最大で82%も日経平均株価を下落させたことである。

そして、国内投資家に、株価はもう上がらないという非常に強い予想、期待、確信と、株価が戻れば売らなければならないという非常に強固な信念を抱かせてしまった。そして、1991年以降、結果として取引所という流通市場だけで92兆円、発行市場も含めた国際収支ベースでは114兆円もの日本の現物株を国内投資家が海外投資家に安値で売り渡すことになってしまった。

これは犯罪的とも言えるレベルの政策である。アベノミクス相場が始まってからも、国内投資家は取引所という流通市場だけで20兆円の現物株を海外投資家に売り渡しており、犯罪的な政策は是正されていない。


これ以上海外投資家に株を売り渡せば、株価上昇と並行して増える損失がさらに拡大する。過去の政策があまりにも犯罪的すぎた。

株価が2万円前後にまで戻っても、国内投資家がまだ海外投資家に大量に株を売り渡し続けているという現状は異常である。過去における政府・日銀による犯罪的な政策を容認し、現在の異常な状態を異常と思わない人が多すぎることは、大問題である。
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-184.html
 


http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/846.html#c5

[近代史4] 信用貨幣論 中川隆
3. 中川隆[-12716] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:11:26 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[25]
「アベノミクスの成果」【事実をいえば……】

安倍政権の発足直前(2012年10月〜11月)、政府は、80円台から105円(2013年12月)への円安を生むため、30兆円のドル買いを、秘密裏に、郵貯・かんぽ生命等の政府系金融機関に、行わせています。

25円(30%)の円安目的の、「円売り/ドル買い」マネーが、米国系投資銀行に入って、ヘッジファンドから、2012年末から日本株の買い越し(5兆円規模)になり、日経平均が8,500円台だった株価が、1万4,000円に上がっています(2013年末)。

これが、「アベノミクスの成果」とされたのですから、内実は白々しいことでした。当時の当メールマガジンにも書いたことです。

通貨と株価の大きな変化には、いつも、資金量をもっとも大きくできる政府と中央銀行、および政府系金融機関が関与する原因があります。
https://www.mag2.com/p/money/911417


▲△▽▼

日本円が超円安になった理由
「アベノミクス」の正体
日本食潰す金融投機資本に貢ぐ 2013年5月17日付


安倍政府が発足して以後、「アベノミクス」と呼ばれる異次元の金融緩和や公共投資を中心とする政策が台頭し、急激な円安と株高の局面があらわれている。

昨年11月に民主党・野田政府が解散を表明した時点で8600円台だった日経平均株価は、半年たった今年5月中旬には1万5000円台まで急騰し、為替相場は1j=79円台だったものが102円台まで円安になるなど、世界的に見ても例がないほど大きな変動が起こっている。

海外投資家が時価総額のうち七割を占めている株式市場が熱狂し、さらに円安でトヨタをはじめとした輸出企業が過去最高益を上げるなど、金融緩和と為替マジックで金融資本や一部大企業がバブルに浸っている。

ところが一方で、燃油や穀物を中心に日本国内では生活必需品の価格が急騰し始めるなど、国民生活に深刻な影響が広がっている。「アベノミクス」でいったいなにが起きているのか、どうなっていくのかが重大な関心を集めている。


 
 バブルに群がる海外投資家

 この間、日経平均株価はリーマン・ショック以前と同レベルの価格まで急騰してきた。それほど好景気なわけでもなく、むしろ怒濤の首切りや製造業の海外移転を経て失業や貧困が全国的な範囲で広がり、生活実感としては悪化しているにもかかわらず、「日本株、年初から45%の上昇率」「1万5000円台回復」が叫ばれている。今後はさらに1万6000円台、1万7000円台まで上昇するとエコノミストたちが煽っている。

 しかし株式市場もよく見てみると、東証一部の約6割にあたる1000近くの銘柄が値下がりしている。株価が急騰している4割のなかでは円安効果の恩恵を受けた自動車産業や、ソニー、パナソニック、三菱電機といった企業が年初から倍近い株価をつけている。逆に株価が急落している企業としては不動産関係や、国内小売りのヤマダ電機、イオン、東芝などの企業群だ。

 東証の株式時価総額は昨年10月末には261兆円まで落ち込んでいたのが、今年4月末の段階では411兆円にまで膨れあがっている。わずか半年で150兆円がなだれ込んでいる。この半年の推移を見てみると、11月に14兆円増加し、12月には26兆円増加、1月に29兆円、2月に13兆円、3月に23兆円、4月には46兆円とすさまじい勢いで資金が流入しているのがわかる。

 このなかで投機の中心的なプレイヤーとして振る舞っているのが海外のヘッジファンドや投資家といわれ、時価総額の大半は国内資金ではなくこうした海外資金であることが明らかになっている。

サブプライム危機で行き場を失った膨大な余剰資金がヨーロッパを食い物にし、ギリシャ、スペインなど南欧諸国の国家破綻でボロもうけした後しばらくは中国や新興諸国のバブルに巣くっていたが、それも一段落ついて今度は「アベノミクス」バブルに大集結していることを反映している。


 世界3大投資家の一人であるジョージ・ソロスがわずか3カ月で970億円を稼いで

「黒田はガッツがある」

「緩やかに死に向かっていた日本市場の目が覚めた」

などと褒めちぎり、

「しかし円が雪崩のように下落する恐れがある」

などと発言する状況ができている。こうした抜け目ない守銭奴は、日本経済が低迷しているといわれた時期に底値で株式を買い取るなど仕込みを終え、現在のように素人が「株がもうかる」と思い始めるような段階には見切りをつけて売り抜けている。

カモにされるのはいつも決まって素人で、証券会社にそそのかされた年寄りや、中流世帯が巻き込まれて泣きを見ている。


 加熱する米国債の購入 日銀の金融緩和で


 国債市場は株式市場よりも規模が大きく、世界的には株式市場の3倍にもなるとされている。この間の円安で輸出企業は潤ったといわれているものの、円安そのものが国債暴落で、1j=80円の段階で例えば1万円の日本国債の価値がドルベースで換算すると125jだったのが、いまや1j=100円超えなので、その価値は100jと大幅に下落することになった。

 こんな日本国債を持っているよりは、ドル建ての米国債を購入した方が儲かるという判断が働いて、日銀が金融緩和すればするほど米国債買いが加熱して、海の向こうに資金が流れ出していくことになっている。

円建ての日本国債を売り払って円を調達し、その円を売り払ってドルを買って米国債を購入するのが流れになり、あるいは国債を売り払った資金で株式市場に投機する動きとなった。


 安倍政府、日銀による異次元の金融緩和は、米国債購入という形で吸い上げられ、あるいは国際金融資本の博打の源泉として食い物にされる仕組みになっている。

リーマン・ショック後に、米国ではFRBが気狂いじみた量的緩和を実行し、銀行群の損失処理にあたり、ヨーロッパではECBが負けず劣らずの量的緩和をやり、市場に資金を供給してきた。そうしたマネーに寄生し、バブルを渡り歩いてきたのがヘッジファンドで、熱狂した後に売り浴びせることは、過去に日本市場でも経験済みだ。


 円安でも拠点を戻さず 海外移転の大企業

 日本国内ではこの数年、大企業が円高を理由に海外移転を繰り返してきた。ところが円安になったからといって日本に拠点を戻すわけでもなく、多国籍企業のようになって出ていく。内部留保を散散貯め上げたうえで、そうした過剰な資本は国民生活の水準を引き上げるためには用いられず、より利潤の得られる後進諸国への資本輸出や進出へと向けられている。ベトナム、ミャンマーといった進出先のインフラ整備までODAで日本政府に肩代わりさせるのだから、国民の面倒は見ずにもっぱら寄生するだけの存在というほかない。

 その株式を保有しているのが米国をはじめとした海外の超富裕層や、錬金術に長けた金融資本で、人為的な円安、株高政策にせよ、TPPにせよ、日本の富を米国富裕層の個人資産に移し替えてくれる「アベノミクス」だからこそ大歓迎している。

 グローバリゼーションのもとで、かつてなく世界を股に掛けた投機が横行し、産業集約が進んでいる。金が溢れて投資先に困るほど、生産は社会化して富は増大している。ところがその金は一%にも満たない超富裕層が握りしめて離さないことから、九九%がますます貧困に追いやられ、モノが売れずに経済活動は停滞。金融が破綻すれば損失を国家に転嫁するというデタラメがまかり通っている。

 ヘッジファンドが食い荒らしている日本市場の姿と、その資金をせっせと提供している「アベノミクス」の存在が暴露されている。
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/enyasukabudakanokagedekyuurakusurukokusai.html


安倍「官製相場」の正体。国民生活が疲弊し対米従属は加速する=吉田繁治 2016年10月20日
http://www.mag2.com/p/money/24781


2012年12月に発足した安倍内閣はアベノミクスを標榜し、株価上昇をその支持基盤としてきました。あれから約4年、いよいよ「株価政権」の総括検証をすべき時期が来ています。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2016年10月19日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した内容(約5,000文字)もすぐ読めます。

なぜ株価は景気を反映しなくなったのか?官製相場の欺瞞を斬る

安倍首相の「スタートダッシュ」

消費税10%法案を通した野田民主党の自滅により、自民党は2012年12月、3年4ヶ月ぶりに政権に復帰しました。首相自ら「アベノミクス」と呼ぶところの、安倍政権の経済・金融政策の始まりです。

安倍首相は前回の失敗から、「スタートダッシュが肝心」と決めていました。自公政権が確実になった12年10月に明らかになったのは、
◾脱デフレの大きなマネー増発策
◾10年で200兆円の国土強靱化の公共投資

でした。日銀法を改正し、独立権を奪ってでも、マネーを増発させるという強いものだったのです。

【関連】株も不動産も奪われる! 預金封鎖よりも怖い「財産税」の傾向と対策=東条雅彦

国土強靱化は、財政赤字を200兆円分拡大して危険だ、という財務省の反対で消えました。東日本大震災の復興予算として、別途、28兆円の政府支出が必要だったからです。

マネー増発を推進するミッションを持ち、黒田総裁・岩田副総裁体制になった日銀は、異次元緩和(量的・質的金融緩和)を開始します。

量的緩和は、金融機関がもつ国債を買ってマネーを増発する政策です。質的緩和は、日銀が日経平均(株式ETF=上場投信)とREIT(不動産投信)を買いあげて、価格を上げるものです。

日銀による株買い(ETFの購入枠は6兆円/年)、これは普通、中央銀行が禁じられていることです。

恐慌の研究家である前FRB議長のバーナンキは、「日銀がケチッャプを買えば物価上がる」と言っています。あるいはヘリコプターでお金をばらまけばいいとか、ニコリともしないで異常なことを言う。

日銀が増刷した円で店頭商品を買えば、需要の超過になり物価は上がります。車を100万台(3兆円)、住宅を100万戸(30兆円)買ってもいいが、さすがにそれはできない。そこで株を買う。

日銀の株買いは迂回(うかい)して行われた

金融機関は、国債をはじめとする債券と貸付金で預貯金や基金を運用しているので、余分な現金は持ちません。

量的・質的緩和を政策にした日銀が、郵貯、年金基金(GPIF)、かんぽがもつ国債を買う。政府系金融と基金(GPIF)はそこで得た円で、日米の株とドル国債を買う。ワンクッションおいていますが、日銀が直接に日米の株を買い、米国債を買うことと同じです。

日銀は直接買うETF(年6兆円の枠)以外に、迂回路をとり数十兆円の株買いを行ったと言えます。方法はごまかしめいて姑息ですが、マネーの流れとしては露骨です。

日銀は量的・質的緩和として、円を下げ、株を上げ、インフレに誘導する「可能な手段の全部」をとってきたのです。

株価上昇は、株主の資産(東証一部時価総額511兆円 ※16年10月18日時点)を増やします。同時に企業の増資コストを下げます。資産が増えた株主は、資産効果で消費を幾分か増やします(しずくのようにわずかなのでトリクルダウンという)。百貨店で、100万円級の機械式時計が売れたのが、この資産効果です。

株価は理論的には、企業の将来の税引き後の予想純益を、期待金利(リスク率を含む株式益回り:6.6% ※16年10月18日時点)で割ったものと等価です。これが表現するのは、株価は企業の予想純益の結果ということです。

しかし多くの人々には、「株価が上がった→景気がよくなったからだ」と理解されます。下がっていた血圧が輸血で上がったから健康に戻った、と思うような本末転倒ですが、投資家と上場企業は歓迎します。支持率が上がるので、政府与党も喜ぶ。

株価が下落し、支持率も低くなった前回の反省を踏まえた安倍首相は、スタートダッシュで円安の誘導、株価の上昇に躍起になりました。円安の誘導は、輸出を増やし、株価を上げるためでした。

マネーの流れ

ヘッジファンドは保有しているドル国債を日本に売り、得た円で、出遅れていた日本株を買う。そして実は、総資金量が420兆円と日銀よりも巨大な政府系金融(現在名ゆうちょ銀行、かんぽ保険、GPIF:総資金量420兆円)は、日銀に国債を売って得た円で、米国債も買っています。

公的年金の残高139兆円(15年12月)を運用しているGPIFの、15年12月のポートフォリオ(分散投資)は、「円国債38%、国内株23%、外国債券(主は米国債)14%、外国株23%」です。

※日銀がGPIFの国債を買いあげる→GPIFは得た現金で国内株、米国債、米国株を買う→GPIFに米国債を売ったヘッジファンドはそのマネーで日本株を買う

マネー運用には遅滞が許されないので、この迂回路取引がコンピュータの中で、一瞬で起こります。

安倍政権の初年度だった2013年には、外国人(ヘッジファンド)からの15.1兆円もの巨大買い越しがありました。

外国人の売買は、東証一部の年間売買額460兆円のうち320兆円(約70%:16年7月水準)です。国内勢(金融機関と個人投資家)は、1990年のバブル崩壊後の損失の累積で資産を減らしたため売買がとても少ない。国内勢の売買は140兆円です。

他方、多くがオフショア(タックスヘイブン:租税回避地)からであるヘッジファンドの売買が320兆円です。東証はこのヘッジファンドの支配下です。

ヘッジファンドの日本株買いと、円先物売りのマネーの多くは、GPIFにおけるような迂回路をとって日銀が買い続けている、政府系金融の国債の現金化から来ています。

安倍政権前から始まっていた「官製相場」

政治相場(あるいは官製相場)は、14年10月末に発表された「日銀の追加緩和」と「GPIFの運用方針の変更」から始まったように言う人が多い。

しかし、マネーの流れを比較貸借対照表で調べると、安倍政権が始まる前の12年の10月から秘密裏に開始されています。最初は、円安介入のための30兆円の政府系金融マネーでした。

※総資金量420兆円の政府系金融3機関が、日銀に国債を売ったマネーで、米国債を30兆円買った→米国債を売ったヘッジファンドが日本株買い/円の先物売りを行った

安倍政権が確実になる前、12年9月の日経平均の予想PER(加重平均)は、1ドル80円台の円高の中で12倍付近と低かった。米国ダウのPERは15倍と3倍高かった。

上場企業(東証一部2000社)においては、輸出製造業の株価シェアが大きい。円安/ドル高になると、利益が数倍に増えます。このため、円安で日本の株価は上がり、円高で下がる基本性格があります。

通貨の低下は、普通、国力(政治力)と経済力の低下を示します。しかし日本では、ドルでは同じでも円での輸出価格が上がる。このため、上場企業の利益が増える予想がたち、株が買われます。
(注)予想PERは、株価の時価総額を次期予想純益で割った株価/収益倍率であり、株価の高さ、低さを判断するための指標です

PERが15倍なら将来15年分の、未実現の企業純益を株価が含んでいます。16年10月の日経平均の加重平均のPERは、14.3倍付近です。単純平均のPERでは18倍と高い。日経平均は、ユニクロ(ファーストリテイリング)の34倍のような高PER銘柄を含むからです。

2016年10月現在、日経平均は1万7000円付近です。米国ナスダックの予想PER(単純平均)は現在21.9倍で、バブル価格の水準です。他国をあげると、インド18.2倍、英国17倍、米国ダウ16.8倍、上海総合14.4倍、ドイツ13.3倍、ロシア6.8倍です。


円安誘導という名の「米国債買い」を実行

安倍政権誕生の2ヶ月前、1ドル77円(12年9月)だった円は、その2ヶ月前から下がりはじめ、10月に80円、11月に83円、12月には87年円と13%の円安になっています。続く13年1月に92円、2月には93円と下がり、6月には岩盤に見えていた100円も超えたのです。
(注)円安のピークは、15年6月の125.8円です。16年2月のマイナス金利以降は、逆に円高になり16年10月は104円付近です

円安は、世界の外為市場(円の売買が日量120兆円:2016年)での「円売り/ドル買い」が「円買い/ドル売り」を超過することで起きます。なぜ50%(1ドル120円)もの円安になったのか?

ここで、財務省の外貨準備($1.26兆:126兆円:16年10月)は、目立つので使われなかった。かわりに、ゆうちょ銀行、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、かんぽに、推計30兆円の「円売り/ドル買い」を行わせたのです。

前述のように、日銀がゆうちょ、年金基金、かんぽがもつ国債を買い、政府系3機関は、そこで得た円で、円安誘導を目的にしたドル債買いを実行するわけです。

さて、米国政府は、為替介入を行う国を「為替操作国」と強く非難します。しかし、円売り/ドル買いで得たドルで米国債を買うと途端に沈黙します。この理由は何でしょうか?


アメリカ政府の債務は2000兆円

米政府の総債務(自治体と社会保障の債務を含む)は、日本国債の2倍の$20.0兆(2000兆円:16年)に膨らんでいます。米国債も$15兆(1500兆円:同年)に増えています。

財政赤字は毎年、$7000億付近(16年度は$7130億)です。17年には、公的医療費($2.8兆:280兆円:12年)の増加で、赤字は$1兆を超えるでしょう。

米国の人口ピラミッドは、日本の10年遅れです。医療費では診療単価が約2.5倍高く、総額で$2.8兆(280兆円:12年)です。3.2億人の国民の、健康な人を入れた1人あたり年間医療費は$9000(90万円)です。

日本の医療費は、40兆円で1人あたり31万円/年。米国は1人あたりで3倍も多い。米国の医療費は信じられない高さです。盲腸の手術や流産で200万円とか…日本は世界的には医療費は安い。

米国政府は、この高すぎる医療費のため、日本の10年遅れで高齢者が増えるとつぶれます(ほぼ確定でしょう)。

米国は、新規国債のうち50%は、経常収支が黒字の中国と日本に売らねばならない。米国内では50%分しか買い手がない。米国は、海外からマネーを借りる構造を続けています。円でドル国債を買うことは、マネーの流れとしては米国への貸し付けです。

経常収支の赤字国は、感覚では逆ですが、資本収支では黒字になります。資本収支の黒字とは、マネーが流入することであり、現象形は、海外の金融機関が米国債、株、社債、MBS(住宅ローン担保証券)を買って、ドル預金をすることです。

わが国の民間では、国内の運用先がない三菱UFJグループ(総資産281兆円:16年6月)が、米国運用を増やしています。米国経済は、海外資金が大挙して引き揚げるとひとたまりもない。このため、米国はユーロや円より約2ポイントは高い金利を続けねばならない。


米国が利上げしなければならない本当の理由

米国が14年10月に、3回行った量的緩和(QE:$4兆:400兆円)を停止し、2015年12月にFRBが0.25%利上げした本当の理由は、金利が低いままだとドル債が売られ、海外から来たマネーが逃げる恐れがあったからです。逃げはじめてからの利上げでは、間に合わない。

米政府とFRBが、日本に金融緩和を強く勧めるのも、米国債と株を買ってもらうためです。異次元緩和にも米国への資金環流という条件がついていました。リフレ派は亡国のエコノミストに思えます

リーマン危機のあと、400兆円のドルを増発した3度のQE(08年〜2014年)でマスクされていた米国の「大きな対外不均衡」は、今も世界経済における根底の問題であり続けています。

米国の対外総債務は、$20兆(2000兆円)、対外資産を引いた純負債は$8.8兆(880兆円)と巨大です(15年末)。

一方で日本は、官民で948兆円の対外資産をもち、対外債務は609兆円です。339兆円の純資産があります(15年末:財務省)。経常収支が黒字になり、バブル経済で世界ナンバーワンと言われた1980年代以来、企業と金融機関が営々と貯めてきたものが、対外純資産になっています。

関連して言うと、中国は、公式には$2.1兆(210兆円:14年)の対外純債権国とされています。しかし、15年と16年に民間で起こった「元売り/ドル買い」に対抗して、政府が行った「元買い/ドル売り」により、今は、純債務国に転落していると推計できます。

2015年12月で$3.3(330兆円)とされている外貨準備では、銀行の持ち分と政府の持ち分が二重に計上されています。中国の4大銀行は、全部が国有です。選挙と議会制度がない共産党国家・中国の経済統計には、かつてのソ連と同じ問題があります。


ヘッジファンドによる円売り・日本株買いのカラクリ

アベノミクスとは、インフレを目標にした、

1.日銀の国債買いによる通貨増発
2.ドル買い/円売りによる円安誘導
3.政府系金融とGPIFによる日本株買いと米国債買い


です。

2%のインフレを目標にしたのは、年金・医療費・介護費(社会保障費)が年率3%(3兆円)で増え続け、それが国債の増発に繋がって、債務比率(政府総債務1277兆円/名目GDP505兆円=253%)が拡大することを防ぐためです。

分母の名目GDPが年率で3%以上増え続けないと、債務比率が大きくなり、近い将来の財政破綻が確定するからです(名目GDPの下限目標=実質GDP1%+インフレ率2%)。

仮にインフレになっても、企業所得と税収が増える中で世帯の所得が増えない場合、国民の生活は苦しくなっていきます。年金支給額が固定されている年金生活者3100万人(15年:厚労省)と、円安では企業所得が減る多くの中小企業の雇用者4100万人(06年:経産省)、合計で7200万人は、インフレで実質所得が減ります。

しかし、それらは構わない。政府にとっては、差し迫る財政破綻の防止がはるかに大切だとされたのです。


円安と株価上昇には有効だった量的・質的緩和

需要が増えることによる物価上昇に効果がなかった量的・質的緩和は、12年末から15年までの円安と株価上昇には有効でした。13年と14年の物価上昇は、円安での輸入価格上昇が主因です。世帯消費と企業の設備投資は増えていません。

東証では、年間420兆円の売買額の70%が、オフショアからのヘッジファンドによるものです。国内の個人投資家と金融機関は、90年からのバブル崩壊、00年のIT株崩壊、08年9月からのリーマン危機で3回の大きな損失を被ったことから、売買額が30%に減っています。

個人投資家700万人の多くは、上がるときは損失を回復するため売り越す、下がるときは難平(なんぴん)買いで買い越すという行動を取ります。


2012年末以降の日本株式市場の売買構造

このため、わが国の株価を決めているのは、70%のシェアになったヘッジファンドの売買です。


1.ヘッジファンドが買い越せば上がり、売り越せば下がる

2.下がっては、政府と投資家が困る

3.ヘッジファンドが売り超になると、3つの政府系金融(総資金量420兆円)と日銀(同459兆円:16年10月)が買いをいれる

という単純な基本構造が、2012年末から2016年10月まで続いているのです。

しかし2016年は、政府系金融と日銀の買いに対する株価上昇の反応が鈍い。この理由は、

1.アベノミクスによる株価上昇が政治相場(または官製相場)であることを皆が知った

2.このため二番目に大きな売買シェアを持つ個人投資家(700万人)が、政府系金融に追随した買いを入れなくなった

ことにあります。


米国の後追い。2015年から日本でも自社株買いが増加している

1日平均売買額が2.9兆円(15年平均)だったものが、2.3兆円(16年7月)に減った現在の東証一部で、大きく増えているのは自社株買いの4.3兆円です(16年1月〜9月)。

これは、事業法人の買い超に含まれます。年間では5.7兆円の買い超になるでしょう(13年1.5兆円、14年2兆円、15年3兆円)。

自社株買いは、市場で流通する株式数を減らします。会社利益は同じでも、1株あたり利益は上がったようになり、株価も上がります。タコが自分の足を食べることに似たこの自社株買いは、上場大手企業が留保利益で将来投資をせず銀行預金として貯まった、現金100兆円で行われています。

自社株買いでも、買いが増えれば株価は上がるので「株価上昇という形の株主配当」とされています。経営者が株主サービスとして行うのです。問題は、自社株買いは、いつまでも続けることはできないことです。

米国の2012年以来の自社株買いは、とても大きい。16年の第一四半期で$1820億(18.2兆円)です。年間では73兆円という巨額です。米国では、日本よりはるかに個人株主の要求度が高い。株価が1年も下がり続ければ、資産を失った株主により、株主総会で経営者が追放されます。

このため、経営者は米国FRBの量的緩和と、わが国と同じ将来投資の少なさから滞留したキャッシュフローで、年間73兆円もの自社株買いで事実上の減資をしているのです。

時価総額で世界一のアップル($6091億=60兆円:16年9月)は、社債を発行しゼロ金利マネーを得て、それで巨額の自社株買いを行っています。米国のダウやナスダックの大手企業の株価は、大きな自社株買いで20%から30%は高値になっているでしょう。

本稿執筆時点のダウは1万8161ドル、ナスダックは5243ポイントで史上最高値圏です。過去10年の純益を元にしたシラーP/Eレシオ(26.6倍:16年10月)が示すように、数十%のバブル性があると見ることができます。株価維持のために膨らみすぎた自社株買いの減少があれば、下がります。

自社株買いは、政府主導の官製相場と同じく、3年も5年もと続けることはできません。事実、2016年は米国の自社株買いはピークアウトして、今後は減少する傾向も見えます。

米国の自社株買いの傾向に注目してください。これが減ると、米国株は下がります。米国株が下がると、日本と欧州にも即日に波及します


株価が景気を反映しなくなった理由

ポートフォリオ投資とHFT(超高頻度売買)を組み合わせた売買シェアが、60%まで増えています。10年代の国際金融は、ネットワークで、リアルタイムに連結されているからです。

世界中の国債や株の売りも買いも、コンピュータ画面で一瞬です。株と債券の金融市場は、インターネットで変容しています。売買を叫ぶ「場立ち」があった「のどかな市場」ではない。

それでなくても、わが国の日経平均は米国ダウの子供です。米国株を売買しているヘッジファンドがポートフォリオ(分散投資)で、日本株をたとえば12%と一定割合にしているからです。米国株が下がると、ポートフォリオの中の米国株が減少します。かわりに、12%枠と決めている日本株の構成比が上昇します。これでは日本株の下落リスクが大きくなる。

株価罫線を分析するトレンド理論(傾向理論)とは違う、ランダムウォークの理論では、向こう3ヶ月で10%上がる確率があるときは、10%下がる確率も同じです。このため、ポートフォリオでのリスクが、コンピュータが自動計算する数値で大きくなる。

従って、米国株が下がると日本株を売って減額調整するプログラムが組み込まれています。ヘッジファンドのほとんどの売買で行われているHFT(超高頻度売買)がこれです。人間は関与せず、現物・先物・オプションの売買を組み合わせ、瞬時に売買が行われます。

ファンドマネジャーの関与は、ポートフォリオの割合(パラメータ)を変えるときです。以上の売買構造が増えたため、日米の株価の動きは同時化します。日米だけではない。

世界の株式市場(時価総額6000兆円:世界のGDPの1倍)が、ほとんど瞬間連動して動きます。基礎的な経済指標によるファンダメンタル理論(端的に言えば、景気がよくなると株価が上がる)は、ほとんど関係がなくなっているのです。
http://www.mag2.com/p/money/24781


▲△▽▼

日経平均株価が上がる程、日本人はどんどん貧しくなっていく

アダム・スミス2世の経済解説  2015-05-10
アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-184.html

アベノミクスの評価は、現時点においてもさまざまである。その中で多くの人たちが認める功績は、株価を上昇させたことであろう。アベノミクスの否定論者でも、アベノミクスは株価を上昇させたこと以外にメリットは存在しないという評価を下す人は多い。

今回は、アベノミクスが株価上昇により巨額の損失を日本経済に与え、最近ではその累計額が100兆円にまで到達したという事実を説明する。


現在、日本で使われている日本の純資産に相当するものは、国民経済計算ベースでの国富(=正味資産)である。

現在、国ベースでどれだけ資産を増やした、あるいは減らしたかを認識できる統計は、国民経済計算ベースの国富しか存在しない。


国富のグラフ
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/20150510172757912.gif/


国富の大半は非金融資産である。それ以外は、金融資産の一部である対外純資産だけである。国富の大半をしめる非金融資産が減少傾向を示している最大の原因は、地価の下落である。対外純資産は増加傾向にある。

国富には、対外純資産以外の金融資産が存在しない。これは、金融資産が存在すれば、必ずそれに等しい金融負債が存在していると国民経済計算では考えるからだ。この場合、株価が上昇しても、株価の時価総額の増加額に等しい金融負債が増加していると考えるのである。

この考え方に基づけば、アベノミクスの結果株価が上昇しても、プラスは発生しない。株価の時価総額と同金額の金融負債が同時に増加すると考えるからだ。株式保有金額の増加額のうち海外投資家による日本株保有分については、海外投資家の資産増加と、国内部門の負債の同金額の増加が発生すると考える。

これを日本から見れば、国内の負債の増加分と同金額の国内資産が増えているのではなく、同金額の対外負債の増加だけが発生していると見える。

対外負債の増加であるから、対外純資産の減少、すなわち国富の減少を意味する。

日本の株価が上昇すればするほど、資産は増えず、対外負債だけは増加し、対外純資産と国富は減少する。


2014年末における投資部門別の株式保有金額(上場株だけが対象)を表すグラフを下記に示す。


投資部門別保有金額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/2015051017282459d.gif/


2014年末における最大の大株主は海外投資家であり、その金額は165兆円、全体の31%を占めていた。

次に、アベノミクス相場の開始以降、上記の株式保有金額がどれだけ増加したかを表すグラフを下記に示す。


投資部門別保有金額の増加額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505101728253d4.gif/


アベノミクス相場の開始日は、野田前総理が衆議院解散を明言した2012年11月14日である。しかし、その日からの統計は存在しないので、代わりに2012年9月末を基準にした。保有金額にだいたいは比例しており、海外投資家による株式保有金額の増加額が95兆円と一番大きい。

次に、アベノミクス相場開始以降の投資部門別の売買状況を表すグラフを下記に示す。

投資部門別売買
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505101728224f6.gif/


このグラフの起点も、2012年9月末にした。見てわかるとおり、買いの大半は海外投資家である。2014年から公的資金が買い始めたので、信託銀行が少し買い越しになっている。最大の売り越し主体は家計、すなわち個人である。

次に上記の2つの表で示される金額の差を表す投資部門別の調整額というグラフを下記に示す。

調整額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/20150510172758332.gif/


調整額の定義は、資産の変動金額と売買金額の差である。具体的には、調整額の大部分は株価の値上がり益であり、かなり広い意味ではあるが統計上の不突合が一部に含まれている。最大の大株主である海外投資家が一番大きな株価の値上がり益を獲得している。

最初に示した国富の中の対外純資産は、フローベースでは「経常収支+資本移転等収支」の累積金額になる。一方、ストックベースではそれ以外のさまざまな資産価格の変動の影響を受ける。さまざまな資産価格の変動の中で最も寄与度が高いのは、為替レートと株価の変動分である。

日銀の資金循環統計ベースの対外純資産は、2012年9月末の277兆円から、2014年12月末の376兆円まで98兆円の増加となっている。このうち、海外投資家の日本株投資残高は、先のグラフで示したとおり95兆円、うち買越金額は20兆円、調整額、すなわち株価の値上がり益は75兆円である。

海外投資家は日本の株価上昇により、75兆円前後の値上がり益を獲得した。このため、日本の株価が2012年9月と2014年末が同じであったと仮定するならば、対外純資産は376兆円より75兆円多い451兆円になっていたはずである。

株価が上昇したがために、75兆円もの対外純資産と国富が減少したことを意味する。

株価上昇によって海外投資家が獲得した75兆円の調整額は、2014年末の金額である。2015年に入ってからも、日本の株価は上昇している。

ここで海外投資家の保有株式金額はTOPIXと同じ動きをすると仮定する。この仮定に基づいて、2014年末からの海外投資家の日次の調整額累計を表すグラフを下記に示す。


海外投資家の調整額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505102339329ee.gif/


少しばかりの仮定をおいて算出される累積調整額は、2015年4月22日に100兆円に到達した。

この金額は、アベノミクス相場開始以降、日本の株価上昇によって失われた国富の金額にほぼ等しい。

アベノミクスによる株価上昇が原因で失われた国富は、4月22日についに100兆円に到達してしまったのである。


アベノミクス相場の開始以降の株価上昇による(上場株だけから発生した)国富の損失100兆円という数字は、多少の誤差があるとしても、ほぼ正しい金額である。


株価上昇はアベノミクスの最大のメリットというのは正しくない。国民経済計算という有力な会計基準を使った場合、アベノミクスは、株価上昇の結果として日本の国富を100兆円も失わせた。

アベノミクスがもたらした株価上昇の結果は、大変大きな利益ではなく、100兆円という巨額の国富の損失であったという観点が存在することは重要であり、この事実を忘れてはならない。

最後に、100兆円の巨額の損失が発生してしまった原因とその対策を記すことにする。
 

政府・日銀の犯罪的な政策について

日本企業の株というものは、日本国民にとっての大変貴重な財産である。それに対して政府・日銀が過去にとってきた政策は、1989年12月29日の高値38,915円から2009年3月10日の安値7,054円まで、19年強の期間、最大で82%も日経平均株価を下落させたことである。

そして、国内投資家に、株価はもう上がらないという非常に強い予想、期待、確信と、株価が戻れば売らなければならないという非常に強固な信念を抱かせてしまった。そして、1991年以降、結果として取引所という流通市場だけで92兆円、発行市場も含めた国際収支ベースでは114兆円もの日本の現物株を国内投資家が海外投資家に安値で売り渡すことになってしまった。

これは犯罪的とも言えるレベルの政策である。アベノミクス相場が始まってからも、国内投資家は取引所という流通市場だけで20兆円の現物株を海外投資家に売り渡しており、犯罪的な政策は是正されていない。


これ以上海外投資家に株を売り渡せば、株価上昇と並行して増える損失がさらに拡大する。過去の政策があまりにも犯罪的すぎた。

株価が2万円前後にまで戻っても、国内投資家がまだ海外投資家に大量に株を売り渡し続けているという現状は異常である。過去における政府・日銀による犯罪的な政策を容認し、現在の異常な状態を異常と思わない人が多すぎることは、大問題である。
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-184.html
 


http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/862.html#c3

[番外地6] ピケティで明けました 中川隆
35. 中川隆[-12715] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:20:05 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[26]
赤字国債大量発行は貧富の差を拡大し階級社会を完成させる _ MMT(現代貨幣理論) は日本を滅ぼす
MMTは国際金融資本が儲ける為の現状追認で時代錯誤の対症療法、MMTでは国難は救えない、自民党では経済改革はできない


▲△▽▼


赤字国債大量発行はこれだけ貧富の差を拡大する


1990年台バブル崩壊で「1円も損をせず」「元金が7倍以上になった」のは日本国債を買った人だけだった。

1980年に日本国債を購入した人は、30年後の2010年に7倍に増えていて、もし最初に1000万円なら7000万円、100万円でも700万円に増えていたのです。

バブル崩壊も阪神大震災も福島原発もリーマンショックもすべて無関係で、1980年台に買っていさえすれば誰でも7倍になったのです。

では日本国債を買う以外でこの30年間に投資で資産を7倍にした人がどれだけ居たか、聞くまでもなくほとんど居ないはずです。

「そんなのウソだ。日本国債はゼロ金利じゃないか」というもっともな意見がありますが、それでも30年間毎年金利が付くことで、5倍とか7倍に増えるのです。

考え方を変えれば本当に「金利ゼロ」だったとしても、デフレで物価が下がると実質的にお金が増えるのです。
http://www.thutmosev.com/archives/68138564.html

▲△▽▼


最近宣伝されているMMT は国際金融資本の要請で、過去の欠陥金融システムを肯定するだけの対症療法、赤字国債大量発行は資本家と国際金融資本だけに利益をもたらし、貧富の差を拡大、マルクスが預言した階級社会を完成させる。

高度成長が一段落してもマネーストックは増え続けている。 それは政府が毎年税収以上の金をばら撒いているから。そしてその金はすべて資本家に再分配されている。労働者の賃金は全く上がらないからデフレになるんですね。

つまり、MMTも含めて今の金融システムは、国民から集めた税金を資本家に再分配するシステムなんです。


「MMT(現代貨幣理論)」は最近話題ですが、根本的に物事を解決するわけではありません。今の金融システムの矛盾を維持したまま、それを続けるための詭弁です。

なぜ今、MMT(現代貨幣理論)なのか? 白崎一裕×大西つねき緊急対談ライブ
https://www.youtube.com/watch?v=zCROccYD64A

2018.7.16「資本主義がダメな理由」大西つねきの週刊動画
https://www.youtube.com/watch?v=iKP_cr7KdwM&feature=emb_title
https://www.youtube.com/watch?v=DmlNXEEXesM&feature=emb_title


資本主義の仕組みは既に破綻している:

資本主義経済を動かしているのは貸した金にかける利子、国債・企業債の利子、株の配当金と貸した土地の地代・貸家にかかる家賃で、
利子・配当金・地代・家賃が巨大投資家だけに集まるから貧富の差が生じ、階級社会になる。
これでは農奴の時代、小作人を搾取していた時代と何も変わらない。

特に国際金融資本や大資本家の利益に一番貢献しているのが政府の発行する国債
MMT論者が薦めている大量の赤字国債発行は階級社会を完成する事になる。

格差が無いまともな経済に戻すには

・国債ではなく政府紙幣を発行する
・輸出依存経済からの脱却
・人材派遣会社、鉄道、電気・ガス会社、郵便局、病院、学校等のインフラは公営化する
・高速道路無料化
・年金保険料の徴収を廃止
・子供一人当たり月5万円の子育て資金を出す、大学までの教育費を無料にする
・ベーシックインカム
・土地を公有化する

という社会主義に近い経済体制にするしかない。

資本主義の金融システム自体が機能しなくなっているのが今の低金利・デフレの原因ですね。そもそも国債を銀行と生命保険会社に売って政府の運営資金を作っているのがおかしいんですね。

政府紙幣を発行すれば利子を払わなくても済むのに、意図的に銀行や生命保険会社に利子を払って、富裕層に税金で集めた金を再分配しているんですね。
日本政府が国債を発行して銀行や生命保険会社に利子を払うというのは、日本国民が金を銀行や生命保険会社にやっているというのと同じです。 国民主権国家なら銀行や生命保険会社に金を出すより、国民の福祉に金を使います。

日本のマネタリーベースが毎年増えているのは、国債の利子の影響が大きいです。
経済成長がストップしているのにマネーストックだけ増えて、増えた金がすべて資産家の資産に変わってしまったのですね。これがトマ・ピケティの『21世紀の資本』の言っていた 『格差はこうして生まれる』システムですね。

そもそも現在は科学技術が進歩して、人間が働かなくても生活できる時代なんですね。平成30年の農業就業人口は175万人、そのうち約68%の120万人が65歳以上。 それで日本人が消費する価格ベースで7割の農作物を作っている。

アフリカやアマゾンの狩猟採集民の労働時間は1日2時間程度なのですね。

現代人も2時間も働けば普通に生活できる筈なのです。しかし、欧米人に搾取されたり、資産家に搾取されるので、毎日10時間働かないと食べていけないのです。

欧米の資本家による日本人からの搾取の実例としては

日経平均株価が上がる程、日本人はどんどん貧しくなっていく

アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-184.html  

最近は MMTとか チャンネル桜が流すデマを信じて、金が無ければ国債をどんどん発行すればいいというアホばかりになったけど、MMTというのは国際金融資本が資金に困ったから、政府に金を出させようという話です。
大昔から国債の金利や株式の値上がりで稼いでいるのが資本家なのです。

地方銀行とか国債の金利が下がってから営業危機になって倒産寸前です。

本当はお金が一部の資本家に集中し、市場経済が崩壊しつつあるから金利が下がってデフレになっているのです。
財政出動すれば解決する問題ではないんですけど、MMTバカは洗脳されてそれがわからないんですね。
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/562.html#c35

[番外地6] ピケティで明けました 中川隆
36. 中川隆[-12714] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:20:57 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[27]
もう自民党や自民党のMMTバカには政治を任せられない
コロナ危機で中産階級が没落する
赤字国債大量発行はこれだけ貧富の差を拡大する

バブル崩壊で勝ったのは国債だけだったという事実
http://www.thutmosev.com/archives/68138564.html


―― 安倍政権はコロナ対策だけでなく、国民生活を守る経済政策にも失敗しています。

内田 コロナ禍がもたらした最大の社会的影響は「中間層の没落」が決定づけられたということでしょう。民主主義の土台になるのは「分厚い中産階級」です。しかし、新自由主義的な経済政策によって、世界的に階級の二極化が進み、中産階級がどんどん痩せ細って、貧困化している。

 コロナ禍のもたらす消費の冷え込みで、基礎体力のある大企業は何とか生き残れても、中小企業や自営業の多くは倒産や廃業に追い込まれるでしょう。ささやかながら自立した資本家であった市民たちが、労働以外に売るものを持たない無産階級に没落する。このままゆくと、日本社会は「一握りの富裕層」と「圧倒的多数の貧困層」に二極化する。それは亡国のシナリオです。食い止めようと思うならば、政策的に中産階級を保護するしかありません。

―― 中産階級が没落して民主主義が形骸化してしまったら、日本の政治はどういうものになるのですか。

内田 階層の二極化が進行すれば、さらに後進国化すると思います。ネポティズム(縁故主義)がはびこり、わずかな国富を少数の支配階層が排他的に独占するという、これまで開発独裁国や、後進国でしか見られなかったような政体になるだろうと思います。森友問題、加計問題、桜を見る会などの露骨なネポティズム事例を見ると、これは安倍政権の本質だと思います。独裁者とその一族が権力と国富を独占し、そのおこぼれに与ろうとする人々がそのまわりに群がる。そういう近代以前への退行が日本ではすでに始まっている。


―― 日本が失敗したからこそ、独裁化の流れが生まれてくる。どういうことですか。

内田 日本はコロナ対応に失敗しましたが、これはもう起きてしまったことなので、取り返しがつかない。われわれに出来るのは、これからその失敗をどう総括し、どこを補正するかということです。本来なら「愚かな為政者を選んだせいで失敗した。これからはもっと賢い為政者を選びましょう」という簡単な話です。でも、そうはゆかない。

 コロナ終息後、自民党は「憲法のせいで必要な施策が実行できなかった」と総括すると思います。必ずそうします。「コロナ対応に失敗したのは、国民の基本的人権に配慮し過ぎたせいだ」と言って、自分たちの失敗の責任を憲法の瑕疵に転嫁しようとする。右派論壇からは、改憲して非常事態条項を新設せよとか、教育制度を変えて滅私奉公の愛国精神を涵養せよとか言い出す連中が湧いて出て来るでしょう。
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/562.html#c36

[近代史4] 信用貨幣論 中川隆
4. 中川隆[-12713] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:26:04 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[28]
元日銀参事・岩村充氏があぶりだす「黒田バズーカ」の本質 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/272617
2020/05/07 日刊ゲンダイ

 2013年4月に始まった日銀の異次元金融緩和。丸7年、吹かし続け、27日、国債買い入れ上限撤廃というさらなる追加緩和が決まった。だが、黒田バズーカは、本当に経済成長をもたらしたのか。長期の緩和やゼロ金利によって、誰が得をして誰が損をしたのか――。元日銀マンが本質をあぶりだす。

  ◇  ◇  ◇

 ――異次元金融緩和から7年が経過しました。どう評価されますか。

「現金を出すぞ」と言ったら、景気は良くなるというシナリオのもとに動いてみたが、まったく結果を出せなかったということでしょう。中央銀行が貨幣量を増やすぐらいでは人の心は変わらなかった。マーケットの方が賢かったということです。「黒田緩和」の問題は、うまくいかなかった時にどう戻るかを考えずに、ひたすら突っ走ったというところに尽きます。もっとも、コロナで当面、戻る必要はなくなり、黒田緩和の是非を問う意味もなくなってしまった感じですが。


中央銀行は経済成長のエンジンにはなれない

 ――金融政策の限界を実証した。

 金融政策とは、金利ゼロの中央銀行券とそこそこ金利がある国債を交換することだと言えます。ですから、どちらもゼロになったら金融政策は効きません。そもそも、経済を成長させるための金融政策という考え方が間違いなのです。経済成長のエンジンは人口増とか技術進歩などの経済の基本条件から生まれてくるもの。金融政策はアクセルやブレーキ役はできても、成長のエンジンそのものではありません。中央銀行が経済を背負っていると考えるのは思い上がりの一種です。

 ――日本だけでなく、米国、欧州の中央銀行もずっと低金利政策や金融緩和を続け、経済成長を導こうとしてきています。

 19世紀後半から20世紀は世界的にまれに見る経済成長の時代でした。私的所有権が確立され、技術進歩にも画期的なものがあった。その中で国民国家、民主主義、中央銀行、株式会社などの「仕掛け」が世界標準になったのです。今、経済成長が頭打ちになり、そこで機能する新しい仕掛けが見つからないなかで、中央銀行と政府の区別がつかなくなっています。中央銀行と政府の役割分担は、19世紀後半から20世紀の成長の時代に作り上げた「二分法」ですから、成長が止まったら溶けてしまうのは仕方がない気がします。

 ――今後も20世紀のように経済成長が続くわけではないと。

 続かないでしょう。経済成長が当然だと思うと、皆の期待ほど経済成長していないと、政府は何とか成長を加速しなければと考える。そこで、中央銀行が低金利政策、金融緩和を続けることになるのです。

 ――低金利政策の長期化で何が起こりましたか。

 株式投資とそれ以外の資金運用の間で大きな格差が生じてしまいました。金利が下がると、企業は借金や社債など資金調達の利払いが抑えられ、株主への配当をどんどん厚くします。経済成長がゼロ、うまくいっても2%の時代に、株主資本に対する当期純利益の割合を示すROE(自己資本利益率)について「8%が国際標準だ」という話が大手を振って通るんですから呆れた話です。企業は必死に株主優遇競争を展開し、それを国家と中央銀行が全力で後押しするというのが今の世界なのです。そのしわ寄せを受けるのが、一般の預金者なのです。

 ――株式投資をできる人と普通の預金者の格差ですね。

 黒田総裁もパウエルFRB議長も格差を拡大させようと思って、金融政策をやっているわけではないでしょう。しかし、金融政策自体が富の分配でもあることに気をとめないようでは専門家失格です。成長エンジンが失われている状況で、ともかく経済成長しようという金融政策が結果として格差をつくっているからです。無理な金融緩和で格差づくりに関与してしまったという点では、責任は黒田総裁だけでなく、白川方明前総裁やその前任者の福井俊彦元総裁も同じなのですが、白川や福井は、今は低い金利に抑えるけれどもいずれ取り返すよという考えだったと思います。しかし、黒田総裁には、いずれ巻き戻すという考えはないようです。だから、ずっと格差が拡大するし、それを他人事のように言えるのですね。


日銀は政府と一体化(C)日刊ゲンダイ


消費税の本質は労働課税

 ――グローバル化による格差拡大もありますね。

 背景にあるのは国家間の企業呼び込み競争です。富裕層や法人を優遇しないと、国外に逃げられて国が空っぽになるという恐怖をどこの国の政府も抱いています。だから、所得税の最高税率や法人税を劇的に下げてきました。その減収分を補うのが消費税ですが、消費税の本質は労働課税なのです。

 ――といいますと。

 法人税は、売り上げから物的な仕入れと人件費を差し引いた残余に課します。消費税は、売り上げから物的な仕入れを引いた残余が課税対象です。人件費は差し引かれません。ですから、国の税収の軸足を法人税から消費税に移すということは、税負担を株主から従業員に移すことを意味することになります。労働者の犠牲のもとに、法人や株主を優遇しているわけです。このままでは、格差はますます拡大するでしょう。

 ――低金利政策と税制で労働者など中間層は痛めつけられている。中間層が決起してもおかしくない状況です。

 中間層はバラバラな方向に向かっています。ひとつは、富裕層により多くの負担を求めるという方向です。米国型リベラリズムや社会民主主義にはそういう面があります。米国のサンダースの支持者はそういう意識なのでしょう。

 ――ただ、最近はどこの先進国もリベラル勢力や社会民主主義はパッとしません。

 そこで受け皿になってしまうのがポピュリズムです。自分が豊かになれない理由を、自分たちでない誰かのせいにしようとするのですね。あれだけおかしなことをやりながらトランプ政権の支持基盤が固い理由や、欧州のネオナチや反イスラムの台頭にも同じ背景があると思います。

 ――コロナ禍は世界をどう変えると思いますか。

 グローバル化には一定のブレーキがかかるでしょう。コロナの脅威がある間はそうでしょうし、今のコロナウイルスに対するワクチンが作り出せても、別の新種ウイルスが大流行する可能性は消えません。そうした観点からグローバリズムにリスクがあると考える人が増えてくれば、能天気とも言えそうな国家間の企業呼び込み競争やサプライチェーンのグローバル化には慎重にならざるを得なくなるはずです。


自由の劣化が進む中、コロナ禍が襲った

 ――新型コロナが終息した後は、どんな国家間競争が起きると予想されますか。

 今回の経験を経て、国家はより強く、市民や国民を監視してコントロールする方向に向かう可能性があります。欧米型の自由主義体制ではなくて中国型の政治体制への誘惑が強まってしまうのです。医療産業を国家安全保障の文脈で守ろうとする動きなどには、国際緊張を増し、軍拡競争に転化していく危険すらもあります。

 ――自由が制約される強権的な体制を国民は受け入れるのでしょうか。

 残念ながら受け入れる土壌はできつつあります。責任の一端は、サッチャーやレーガン以来の新自由主義にもあります。19世紀型国民国家の理念になった自由とは、血と涙で守るものでした。明治時代の自由民権運動で「板垣死すとも自由は死なず」というのがありましたが、そこでの自由とは命をかけて守るものなのです。ところが、新自由主義における自由とは要するに規制緩和で、つまり自由は儲けるための道具におとしめられてしまったのですね。自由を守ろうとする気概も勇気も劣化してしまっているのです。コロナウイルス封じ込めのためには何が何でも外出を取り締まるべきだとか、個人行動履歴もどんどん追跡すべきだという議論には怖さを感じます。症状のある人を治療するための検査は重要ですが、疑わしい人を隔離して自分は安全に暮らすための検査拡充論として主張されるとしたら僕は反対です。自由とは、そんなに安っぽいものではありません。コロナ禍で、自由や人権に対する私たちの根性、据わり方が試されているのです。僕だって感染の不安がないわけではないけれど、ここで譲ってしまったらおしまいだろうなという気がするんです。

(聞き手=生田修平/日刊ゲンダイ)

▽いわむら・みつる 1950年、東京生まれ。74年、東大経済学部卒業後、日本銀行に入行、企画局兼信用機構局参事などを経て、97年退行。98年1月から早大教授(現職は大学院経営管理研究科)。近著に「国家・企業・通貨 グローバリズムの不都合な未来」(新潮選書)。
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/862.html#c4

[番外地6] ピケティで明けました 中川隆
37. 中川隆[-12712] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:26:34 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[29]
元日銀参事・岩村充氏があぶりだす「黒田バズーカ」の本質 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/272617
2020/05/07 日刊ゲンダイ

 2013年4月に始まった日銀の異次元金融緩和。丸7年、吹かし続け、27日、国債買い入れ上限撤廃というさらなる追加緩和が決まった。だが、黒田バズーカは、本当に経済成長をもたらしたのか。長期の緩和やゼロ金利によって、誰が得をして誰が損をしたのか――。元日銀マンが本質をあぶりだす。

  ◇  ◇  ◇

 ――異次元金融緩和から7年が経過しました。どう評価されますか。

「現金を出すぞ」と言ったら、景気は良くなるというシナリオのもとに動いてみたが、まったく結果を出せなかったということでしょう。中央銀行が貨幣量を増やすぐらいでは人の心は変わらなかった。マーケットの方が賢かったということです。「黒田緩和」の問題は、うまくいかなかった時にどう戻るかを考えずに、ひたすら突っ走ったというところに尽きます。もっとも、コロナで当面、戻る必要はなくなり、黒田緩和の是非を問う意味もなくなってしまった感じですが。


中央銀行は経済成長のエンジンにはなれない

 ――金融政策の限界を実証した。

 金融政策とは、金利ゼロの中央銀行券とそこそこ金利がある国債を交換することだと言えます。ですから、どちらもゼロになったら金融政策は効きません。そもそも、経済を成長させるための金融政策という考え方が間違いなのです。経済成長のエンジンは人口増とか技術進歩などの経済の基本条件から生まれてくるもの。金融政策はアクセルやブレーキ役はできても、成長のエンジンそのものではありません。中央銀行が経済を背負っていると考えるのは思い上がりの一種です。

 ――日本だけでなく、米国、欧州の中央銀行もずっと低金利政策や金融緩和を続け、経済成長を導こうとしてきています。

 19世紀後半から20世紀は世界的にまれに見る経済成長の時代でした。私的所有権が確立され、技術進歩にも画期的なものがあった。その中で国民国家、民主主義、中央銀行、株式会社などの「仕掛け」が世界標準になったのです。今、経済成長が頭打ちになり、そこで機能する新しい仕掛けが見つからないなかで、中央銀行と政府の区別がつかなくなっています。中央銀行と政府の役割分担は、19世紀後半から20世紀の成長の時代に作り上げた「二分法」ですから、成長が止まったら溶けてしまうのは仕方がない気がします。

 ――今後も20世紀のように経済成長が続くわけではないと。

 続かないでしょう。経済成長が当然だと思うと、皆の期待ほど経済成長していないと、政府は何とか成長を加速しなければと考える。そこで、中央銀行が低金利政策、金融緩和を続けることになるのです。

 ――低金利政策の長期化で何が起こりましたか。

 株式投資とそれ以外の資金運用の間で大きな格差が生じてしまいました。金利が下がると、企業は借金や社債など資金調達の利払いが抑えられ、株主への配当をどんどん厚くします。経済成長がゼロ、うまくいっても2%の時代に、株主資本に対する当期純利益の割合を示すROE(自己資本利益率)について「8%が国際標準だ」という話が大手を振って通るんですから呆れた話です。企業は必死に株主優遇競争を展開し、それを国家と中央銀行が全力で後押しするというのが今の世界なのです。そのしわ寄せを受けるのが、一般の預金者なのです。

 ――株式投資をできる人と普通の預金者の格差ですね。

 黒田総裁もパウエルFRB議長も格差を拡大させようと思って、金融政策をやっているわけではないでしょう。しかし、金融政策自体が富の分配でもあることに気をとめないようでは専門家失格です。成長エンジンが失われている状況で、ともかく経済成長しようという金融政策が結果として格差をつくっているからです。無理な金融緩和で格差づくりに関与してしまったという点では、責任は黒田総裁だけでなく、白川方明前総裁やその前任者の福井俊彦元総裁も同じなのですが、白川や福井は、今は低い金利に抑えるけれどもいずれ取り返すよという考えだったと思います。しかし、黒田総裁には、いずれ巻き戻すという考えはないようです。だから、ずっと格差が拡大するし、それを他人事のように言えるのですね。


日銀は政府と一体化(C)日刊ゲンダイ


消費税の本質は労働課税

 ――グローバル化による格差拡大もありますね。

 背景にあるのは国家間の企業呼び込み競争です。富裕層や法人を優遇しないと、国外に逃げられて国が空っぽになるという恐怖をどこの国の政府も抱いています。だから、所得税の最高税率や法人税を劇的に下げてきました。その減収分を補うのが消費税ですが、消費税の本質は労働課税なのです。

 ――といいますと。

 法人税は、売り上げから物的な仕入れと人件費を差し引いた残余に課します。消費税は、売り上げから物的な仕入れを引いた残余が課税対象です。人件費は差し引かれません。ですから、国の税収の軸足を法人税から消費税に移すということは、税負担を株主から従業員に移すことを意味することになります。労働者の犠牲のもとに、法人や株主を優遇しているわけです。このままでは、格差はますます拡大するでしょう。

 ――低金利政策と税制で労働者など中間層は痛めつけられている。中間層が決起してもおかしくない状況です。

 中間層はバラバラな方向に向かっています。ひとつは、富裕層により多くの負担を求めるという方向です。米国型リベラリズムや社会民主主義にはそういう面があります。米国のサンダースの支持者はそういう意識なのでしょう。

 ――ただ、最近はどこの先進国もリベラル勢力や社会民主主義はパッとしません。

 そこで受け皿になってしまうのがポピュリズムです。自分が豊かになれない理由を、自分たちでない誰かのせいにしようとするのですね。あれだけおかしなことをやりながらトランプ政権の支持基盤が固い理由や、欧州のネオナチや反イスラムの台頭にも同じ背景があると思います。

 ――コロナ禍は世界をどう変えると思いますか。

 グローバル化には一定のブレーキがかかるでしょう。コロナの脅威がある間はそうでしょうし、今のコロナウイルスに対するワクチンが作り出せても、別の新種ウイルスが大流行する可能性は消えません。そうした観点からグローバリズムにリスクがあると考える人が増えてくれば、能天気とも言えそうな国家間の企業呼び込み競争やサプライチェーンのグローバル化には慎重にならざるを得なくなるはずです。


自由の劣化が進む中、コロナ禍が襲った

 ――新型コロナが終息した後は、どんな国家間競争が起きると予想されますか。

 今回の経験を経て、国家はより強く、市民や国民を監視してコントロールする方向に向かう可能性があります。欧米型の自由主義体制ではなくて中国型の政治体制への誘惑が強まってしまうのです。医療産業を国家安全保障の文脈で守ろうとする動きなどには、国際緊張を増し、軍拡競争に転化していく危険すらもあります。

 ――自由が制約される強権的な体制を国民は受け入れるのでしょうか。

 残念ながら受け入れる土壌はできつつあります。責任の一端は、サッチャーやレーガン以来の新自由主義にもあります。19世紀型国民国家の理念になった自由とは、血と涙で守るものでした。明治時代の自由民権運動で「板垣死すとも自由は死なず」というのがありましたが、そこでの自由とは命をかけて守るものなのです。ところが、新自由主義における自由とは要するに規制緩和で、つまり自由は儲けるための道具におとしめられてしまったのですね。自由を守ろうとする気概も勇気も劣化してしまっているのです。コロナウイルス封じ込めのためには何が何でも外出を取り締まるべきだとか、個人行動履歴もどんどん追跡すべきだという議論には怖さを感じます。症状のある人を治療するための検査は重要ですが、疑わしい人を隔離して自分は安全に暮らすための検査拡充論として主張されるとしたら僕は反対です。自由とは、そんなに安っぽいものではありません。コロナ禍で、自由や人権に対する私たちの根性、据わり方が試されているのです。僕だって感染の不安がないわけではないけれど、ここで譲ってしまったらおしまいだろうなという気がするんです。

(聞き手=生田修平/日刊ゲンダイ)

▽いわむら・みつる 1950年、東京生まれ。74年、東大経済学部卒業後、日本銀行に入行、企画局兼信用機構局参事などを経て、97年退行。98年1月から早大教授(現職は大学院経営管理研究科)。近著に「国家・企業・通貨 グローバリズムの不都合な未来」(新潮選書)。
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/562.html#c37

[近代史4] 売国政治家列伝 _ 安倍晋三 中川隆
8. 中川隆[-12711] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:26:59 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[30]
元日銀参事・岩村充氏があぶりだす「黒田バズーカ」の本質 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/272617
2020/05/07 日刊ゲンダイ

 2013年4月に始まった日銀の異次元金融緩和。丸7年、吹かし続け、27日、国債買い入れ上限撤廃というさらなる追加緩和が決まった。だが、黒田バズーカは、本当に経済成長をもたらしたのか。長期の緩和やゼロ金利によって、誰が得をして誰が損をしたのか――。元日銀マンが本質をあぶりだす。

  ◇  ◇  ◇

 ――異次元金融緩和から7年が経過しました。どう評価されますか。

「現金を出すぞ」と言ったら、景気は良くなるというシナリオのもとに動いてみたが、まったく結果を出せなかったということでしょう。中央銀行が貨幣量を増やすぐらいでは人の心は変わらなかった。マーケットの方が賢かったということです。「黒田緩和」の問題は、うまくいかなかった時にどう戻るかを考えずに、ひたすら突っ走ったというところに尽きます。もっとも、コロナで当面、戻る必要はなくなり、黒田緩和の是非を問う意味もなくなってしまった感じですが。


中央銀行は経済成長のエンジンにはなれない

 ――金融政策の限界を実証した。

 金融政策とは、金利ゼロの中央銀行券とそこそこ金利がある国債を交換することだと言えます。ですから、どちらもゼロになったら金融政策は効きません。そもそも、経済を成長させるための金融政策という考え方が間違いなのです。経済成長のエンジンは人口増とか技術進歩などの経済の基本条件から生まれてくるもの。金融政策はアクセルやブレーキ役はできても、成長のエンジンそのものではありません。中央銀行が経済を背負っていると考えるのは思い上がりの一種です。

 ――日本だけでなく、米国、欧州の中央銀行もずっと低金利政策や金融緩和を続け、経済成長を導こうとしてきています。

 19世紀後半から20世紀は世界的にまれに見る経済成長の時代でした。私的所有権が確立され、技術進歩にも画期的なものがあった。その中で国民国家、民主主義、中央銀行、株式会社などの「仕掛け」が世界標準になったのです。今、経済成長が頭打ちになり、そこで機能する新しい仕掛けが見つからないなかで、中央銀行と政府の区別がつかなくなっています。中央銀行と政府の役割分担は、19世紀後半から20世紀の成長の時代に作り上げた「二分法」ですから、成長が止まったら溶けてしまうのは仕方がない気がします。

 ――今後も20世紀のように経済成長が続くわけではないと。

 続かないでしょう。経済成長が当然だと思うと、皆の期待ほど経済成長していないと、政府は何とか成長を加速しなければと考える。そこで、中央銀行が低金利政策、金融緩和を続けることになるのです。

 ――低金利政策の長期化で何が起こりましたか。

 株式投資とそれ以外の資金運用の間で大きな格差が生じてしまいました。金利が下がると、企業は借金や社債など資金調達の利払いが抑えられ、株主への配当をどんどん厚くします。経済成長がゼロ、うまくいっても2%の時代に、株主資本に対する当期純利益の割合を示すROE(自己資本利益率)について「8%が国際標準だ」という話が大手を振って通るんですから呆れた話です。企業は必死に株主優遇競争を展開し、それを国家と中央銀行が全力で後押しするというのが今の世界なのです。そのしわ寄せを受けるのが、一般の預金者なのです。

 ――株式投資をできる人と普通の預金者の格差ですね。

 黒田総裁もパウエルFRB議長も格差を拡大させようと思って、金融政策をやっているわけではないでしょう。しかし、金融政策自体が富の分配でもあることに気をとめないようでは専門家失格です。成長エンジンが失われている状況で、ともかく経済成長しようという金融政策が結果として格差をつくっているからです。無理な金融緩和で格差づくりに関与してしまったという点では、責任は黒田総裁だけでなく、白川方明前総裁やその前任者の福井俊彦元総裁も同じなのですが、白川や福井は、今は低い金利に抑えるけれどもいずれ取り返すよという考えだったと思います。しかし、黒田総裁には、いずれ巻き戻すという考えはないようです。だから、ずっと格差が拡大するし、それを他人事のように言えるのですね。


日銀は政府と一体化(C)日刊ゲンダイ


消費税の本質は労働課税

 ――グローバル化による格差拡大もありますね。

 背景にあるのは国家間の企業呼び込み競争です。富裕層や法人を優遇しないと、国外に逃げられて国が空っぽになるという恐怖をどこの国の政府も抱いています。だから、所得税の最高税率や法人税を劇的に下げてきました。その減収分を補うのが消費税ですが、消費税の本質は労働課税なのです。

 ――といいますと。

 法人税は、売り上げから物的な仕入れと人件費を差し引いた残余に課します。消費税は、売り上げから物的な仕入れを引いた残余が課税対象です。人件費は差し引かれません。ですから、国の税収の軸足を法人税から消費税に移すということは、税負担を株主から従業員に移すことを意味することになります。労働者の犠牲のもとに、法人や株主を優遇しているわけです。このままでは、格差はますます拡大するでしょう。

 ――低金利政策と税制で労働者など中間層は痛めつけられている。中間層が決起してもおかしくない状況です。

 中間層はバラバラな方向に向かっています。ひとつは、富裕層により多くの負担を求めるという方向です。米国型リベラリズムや社会民主主義にはそういう面があります。米国のサンダースの支持者はそういう意識なのでしょう。

 ――ただ、最近はどこの先進国もリベラル勢力や社会民主主義はパッとしません。

 そこで受け皿になってしまうのがポピュリズムです。自分が豊かになれない理由を、自分たちでない誰かのせいにしようとするのですね。あれだけおかしなことをやりながらトランプ政権の支持基盤が固い理由や、欧州のネオナチや反イスラムの台頭にも同じ背景があると思います。

 ――コロナ禍は世界をどう変えると思いますか。

 グローバル化には一定のブレーキがかかるでしょう。コロナの脅威がある間はそうでしょうし、今のコロナウイルスに対するワクチンが作り出せても、別の新種ウイルスが大流行する可能性は消えません。そうした観点からグローバリズムにリスクがあると考える人が増えてくれば、能天気とも言えそうな国家間の企業呼び込み競争やサプライチェーンのグローバル化には慎重にならざるを得なくなるはずです。


自由の劣化が進む中、コロナ禍が襲った

 ――新型コロナが終息した後は、どんな国家間競争が起きると予想されますか。

 今回の経験を経て、国家はより強く、市民や国民を監視してコントロールする方向に向かう可能性があります。欧米型の自由主義体制ではなくて中国型の政治体制への誘惑が強まってしまうのです。医療産業を国家安全保障の文脈で守ろうとする動きなどには、国際緊張を増し、軍拡競争に転化していく危険すらもあります。

 ――自由が制約される強権的な体制を国民は受け入れるのでしょうか。

 残念ながら受け入れる土壌はできつつあります。責任の一端は、サッチャーやレーガン以来の新自由主義にもあります。19世紀型国民国家の理念になった自由とは、血と涙で守るものでした。明治時代の自由民権運動で「板垣死すとも自由は死なず」というのがありましたが、そこでの自由とは命をかけて守るものなのです。ところが、新自由主義における自由とは要するに規制緩和で、つまり自由は儲けるための道具におとしめられてしまったのですね。自由を守ろうとする気概も勇気も劣化してしまっているのです。コロナウイルス封じ込めのためには何が何でも外出を取り締まるべきだとか、個人行動履歴もどんどん追跡すべきだという議論には怖さを感じます。症状のある人を治療するための検査は重要ですが、疑わしい人を隔離して自分は安全に暮らすための検査拡充論として主張されるとしたら僕は反対です。自由とは、そんなに安っぽいものではありません。コロナ禍で、自由や人権に対する私たちの根性、据わり方が試されているのです。僕だって感染の不安がないわけではないけれど、ここで譲ってしまったらおしまいだろうなという気がするんです。

(聞き手=生田修平/日刊ゲンダイ)

▽いわむら・みつる 1950年、東京生まれ。74年、東大経済学部卒業後、日本銀行に入行、企画局兼信用機構局参事などを経て、97年退行。98年1月から早大教授(現職は大学院経営管理研究科)。近著に「国家・企業・通貨 グローバリズムの不都合な未来」(新潮選書)。
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/789.html#c8

[近代史4] ミヒャエル・エンデの世界 中川隆
6. 中川隆[-12710] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:28:21 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[31]
元日銀参事・岩村充氏があぶりだす「黒田バズーカ」の本質 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/272617
2020/05/07 日刊ゲンダイ

 2013年4月に始まった日銀の異次元金融緩和。丸7年、吹かし続け、27日、国債買い入れ上限撤廃というさらなる追加緩和が決まった。だが、黒田バズーカは、本当に経済成長をもたらしたのか。長期の緩和やゼロ金利によって、誰が得をして誰が損をしたのか――。元日銀マンが本質をあぶりだす。

  ◇  ◇  ◇

 ――異次元金融緩和から7年が経過しました。どう評価されますか。

「現金を出すぞ」と言ったら、景気は良くなるというシナリオのもとに動いてみたが、まったく結果を出せなかったということでしょう。中央銀行が貨幣量を増やすぐらいでは人の心は変わらなかった。マーケットの方が賢かったということです。「黒田緩和」の問題は、うまくいかなかった時にどう戻るかを考えずに、ひたすら突っ走ったというところに尽きます。もっとも、コロナで当面、戻る必要はなくなり、黒田緩和の是非を問う意味もなくなってしまった感じですが。


中央銀行は経済成長のエンジンにはなれない

 ――金融政策の限界を実証した。

 金融政策とは、金利ゼロの中央銀行券とそこそこ金利がある国債を交換することだと言えます。ですから、どちらもゼロになったら金融政策は効きません。そもそも、経済を成長させるための金融政策という考え方が間違いなのです。経済成長のエンジンは人口増とか技術進歩などの経済の基本条件から生まれてくるもの。金融政策はアクセルやブレーキ役はできても、成長のエンジンそのものではありません。中央銀行が経済を背負っていると考えるのは思い上がりの一種です。

 ――日本だけでなく、米国、欧州の中央銀行もずっと低金利政策や金融緩和を続け、経済成長を導こうとしてきています。

 19世紀後半から20世紀は世界的にまれに見る経済成長の時代でした。私的所有権が確立され、技術進歩にも画期的なものがあった。その中で国民国家、民主主義、中央銀行、株式会社などの「仕掛け」が世界標準になったのです。今、経済成長が頭打ちになり、そこで機能する新しい仕掛けが見つからないなかで、中央銀行と政府の区別がつかなくなっています。中央銀行と政府の役割分担は、19世紀後半から20世紀の成長の時代に作り上げた「二分法」ですから、成長が止まったら溶けてしまうのは仕方がない気がします。

 ――今後も20世紀のように経済成長が続くわけではないと。

 続かないでしょう。経済成長が当然だと思うと、皆の期待ほど経済成長していないと、政府は何とか成長を加速しなければと考える。そこで、中央銀行が低金利政策、金融緩和を続けることになるのです。

 ――低金利政策の長期化で何が起こりましたか。

 株式投資とそれ以外の資金運用の間で大きな格差が生じてしまいました。金利が下がると、企業は借金や社債など資金調達の利払いが抑えられ、株主への配当をどんどん厚くします。経済成長がゼロ、うまくいっても2%の時代に、株主資本に対する当期純利益の割合を示すROE(自己資本利益率)について「8%が国際標準だ」という話が大手を振って通るんですから呆れた話です。企業は必死に株主優遇競争を展開し、それを国家と中央銀行が全力で後押しするというのが今の世界なのです。そのしわ寄せを受けるのが、一般の預金者なのです。

 ――株式投資をできる人と普通の預金者の格差ですね。

 黒田総裁もパウエルFRB議長も格差を拡大させようと思って、金融政策をやっているわけではないでしょう。しかし、金融政策自体が富の分配でもあることに気をとめないようでは専門家失格です。成長エンジンが失われている状況で、ともかく経済成長しようという金融政策が結果として格差をつくっているからです。無理な金融緩和で格差づくりに関与してしまったという点では、責任は黒田総裁だけでなく、白川方明前総裁やその前任者の福井俊彦元総裁も同じなのですが、白川や福井は、今は低い金利に抑えるけれどもいずれ取り返すよという考えだったと思います。しかし、黒田総裁には、いずれ巻き戻すという考えはないようです。だから、ずっと格差が拡大するし、それを他人事のように言えるのですね。


日銀は政府と一体化(C)日刊ゲンダイ


消費税の本質は労働課税

 ――グローバル化による格差拡大もありますね。

 背景にあるのは国家間の企業呼び込み競争です。富裕層や法人を優遇しないと、国外に逃げられて国が空っぽになるという恐怖をどこの国の政府も抱いています。だから、所得税の最高税率や法人税を劇的に下げてきました。その減収分を補うのが消費税ですが、消費税の本質は労働課税なのです。

 ――といいますと。

 法人税は、売り上げから物的な仕入れと人件費を差し引いた残余に課します。消費税は、売り上げから物的な仕入れを引いた残余が課税対象です。人件費は差し引かれません。ですから、国の税収の軸足を法人税から消費税に移すということは、税負担を株主から従業員に移すことを意味することになります。労働者の犠牲のもとに、法人や株主を優遇しているわけです。このままでは、格差はますます拡大するでしょう。

 ――低金利政策と税制で労働者など中間層は痛めつけられている。中間層が決起してもおかしくない状況です。

 中間層はバラバラな方向に向かっています。ひとつは、富裕層により多くの負担を求めるという方向です。米国型リベラリズムや社会民主主義にはそういう面があります。米国のサンダースの支持者はそういう意識なのでしょう。

 ――ただ、最近はどこの先進国もリベラル勢力や社会民主主義はパッとしません。

 そこで受け皿になってしまうのがポピュリズムです。自分が豊かになれない理由を、自分たちでない誰かのせいにしようとするのですね。あれだけおかしなことをやりながらトランプ政権の支持基盤が固い理由や、欧州のネオナチや反イスラムの台頭にも同じ背景があると思います。

 ――コロナ禍は世界をどう変えると思いますか。

 グローバル化には一定のブレーキがかかるでしょう。コロナの脅威がある間はそうでしょうし、今のコロナウイルスに対するワクチンが作り出せても、別の新種ウイルスが大流行する可能性は消えません。そうした観点からグローバリズムにリスクがあると考える人が増えてくれば、能天気とも言えそうな国家間の企業呼び込み競争やサプライチェーンのグローバル化には慎重にならざるを得なくなるはずです。


自由の劣化が進む中、コロナ禍が襲った

 ――新型コロナが終息した後は、どんな国家間競争が起きると予想されますか。

 今回の経験を経て、国家はより強く、市民や国民を監視してコントロールする方向に向かう可能性があります。欧米型の自由主義体制ではなくて中国型の政治体制への誘惑が強まってしまうのです。医療産業を国家安全保障の文脈で守ろうとする動きなどには、国際緊張を増し、軍拡競争に転化していく危険すらもあります。

 ――自由が制約される強権的な体制を国民は受け入れるのでしょうか。

 残念ながら受け入れる土壌はできつつあります。責任の一端は、サッチャーやレーガン以来の新自由主義にもあります。19世紀型国民国家の理念になった自由とは、血と涙で守るものでした。明治時代の自由民権運動で「板垣死すとも自由は死なず」というのがありましたが、そこでの自由とは命をかけて守るものなのです。ところが、新自由主義における自由とは要するに規制緩和で、つまり自由は儲けるための道具におとしめられてしまったのですね。自由を守ろうとする気概も勇気も劣化してしまっているのです。コロナウイルス封じ込めのためには何が何でも外出を取り締まるべきだとか、個人行動履歴もどんどん追跡すべきだという議論には怖さを感じます。症状のある人を治療するための検査は重要ですが、疑わしい人を隔離して自分は安全に暮らすための検査拡充論として主張されるとしたら僕は反対です。自由とは、そんなに安っぽいものではありません。コロナ禍で、自由や人権に対する私たちの根性、据わり方が試されているのです。僕だって感染の不安がないわけではないけれど、ここで譲ってしまったらおしまいだろうなという気がするんです。

(聞き手=生田修平/日刊ゲンダイ)

▽いわむら・みつる 1950年、東京生まれ。74年、東大経済学部卒業後、日本銀行に入行、企画局兼信用機構局参事などを経て、97年退行。98年1月から早大教授(現職は大学院経営管理研究科)。近著に「国家・企業・通貨 グローバリズムの不都合な未来」(新潮選書)。
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/846.html#c6

[近代史4] 信用貨幣論 中川隆
5. 中川隆[-12709] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:40:18 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[32]
新型コロナと株価暴落の「第二波」は10月か?ロックダウン解除の危険性=吉田繁治
2020年5月5日

5〜6月に都市封鎖が解除された場合、静かな7〜9月を経て、10月から新型コロナの第二波が来る可能性が高いでしょう。そうなれば株価は二番底をつけます。

「新型コロナの第二波に注意せよ」専門家の警告

英国LANCET(権威のある医学専門雑誌)に掲載されたこの論文は、「Beware of the second wave of COVIC-19(新型コロナの第二波に注意せよ)」として、以下のように述べています(4月8日)。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30845-X/fulltext

[原文]
「Leung and colleagues also modelled the potential adverse consequences of premature relaxation of interventions, and found that such a decision might lead to transmissibility exceeding 1 again?ie, a second wave of infections.」

[翻訳]
「リャン(中国名の李?)と研究所の同僚は、政府介入の早期緩和(都市封鎖や移動制限の解除)が、逆の結果を生むことをモデル化し、感染は(現在の)第一波を超えて第二波を生むかもしれないことを発見した」

上記は、5〜6月に都市封鎖や移動制限を解除すれば新型コロナの第二波が訪れ、20年の秋・冬まで長期化する可能性があるという趣旨です。未来は現在の条件から確定したものではなく、未知の新しい現象が生じるので、確率的なものとしてしか示せない。LANCETでは「might」という仮定の助動詞を使っています。

感染症学者は、「最も多い26万人(839万人の人口の3%)の感染者が確認されたNY市ですら初期の段階であろう。感染者はこれからも増える」と言っています。


4月の反発はダマシ?楽観的すぎる株式市場

世界の株価を4月に上昇させた早期収束論は、数理モデルからは誤っている可能性が高い。ワクチンができるのも、最短でも1〜1.5年後とされているからです。
ワクチン開発に時間がかかるのは、臨床の治験が必要だからです。ワクチンは副作用を極小化する必要があるので、普通は短くても5〜7年かけます。ワクチンからの感染事例が出ると巨額の損害賠償になるからです。製薬会社は、そうした分かり切ったリスクは犯しません。

南半球での、およそ4か月遅れの感染増加を考慮すると、延期された東京オリンピックの開催も危ういと見なければならない。アフリカでの確認感染はごく初期段階の2万人(4月上旬)、オーストラリア6619人、ブラジルが1万人です。人が集まる会場は、ウイルス拡散の場になります。

無制限緩和という“人工心肺”で延命中だが
NYダウは、3月18日の一番底の1万8,600ドルから2万3,600ドルまで、4週で5,000ドル回復しています(4月20日)。ピークの2万9,500ドルから9,900ドル下落していたので、半分戻したことになります。
この買いは、

(1)コロナショックは5〜6月に収束するという論
(2)FRBによる2.3兆ドルのマネー供給

によって果たされています。

FRBは、3月3日と16日に2度(1.5ポイント)の利下げをした上で(短期金利誘導目標0.00%〜0.25%)、金融機関とファンドがもっていた米国債と、REIT(不動産上場投信)が下がっていた住宅証券のMBSを買い上げて、まず、金融機関にマネー供給をしたのです。その金額は、2兆ドル(220兆円)と巨大です。

米国債の価格は10年債で14%上がり、MBSも価格を回復しました。金融機関とファンドは、国債とMBSをFRBに売って、入ったドル現金をもとに33%下がっていた米国株(NYダウ、S&P500、ナスダック)の買い越しを続け、ダウで2万3,600ドルまで5000ドル戻したのです。

FRBは今回の量的緩和を無制限としています。株価を下げず、金融危機・企業倒産を防ぐためなら、いくらでも増額するということです<中略>

50%回復した株式市場が想定しているロックダウン解除(5〜6月)が、米国で実際に行われた場合、静かな7月、8月、9月を経て、10月から第二波が来る可能性が高いと思っています。第二波が来れば株価は二番底をつけるでしょう。社債、CLO、REITの再下落も同時です。
https://www.mag2.com/p/money/916477



▲△▽▼


2020年05月06日
アメリカの魔法のステッキ、今回も無限資金供給発動か

バーナンキ(右)とポールソンは短期間で危機を終わらせ、後の10年の好景気を作った

画像引用:https://amp.independent.ie/migration_catalog/b1747/25060987.ece/AUTOCROP/w620h350/banks


アメリカはどうやって金融危機をクリアしたか

最近アメリカは新型コロナウイルスへの対策で1か月に300兆円も財政支出を決め、政府債務が急増している。

労働者の半数が自宅からの外出を制限され事実上の無職状態に陥っている。

年間の財政赤字は過去最悪の水準で、経済専門家や財政関係者は危機感を表明している。

だがそれでアメリカが破産するかというと、数年後には何事もなかったかのように立ち直っていると思われる。

2007年から2010年までの世界金融危機でも同じだったからで、当時はドルが無くなりアメリカが無くなると言われていた。

専門家たちは次の超大国は中国であり、世界は中国を中心に再編成されると言っていました。


10年前の新聞を読んだら今の専門家の言い分と同じで、同じことをずっと言っているだけだと気づくでしょう。

アメリカは2009年に破産を確信するほど経済と財政が悪化したが、1年後の2010年に立ち直り10年続く好景気に入りました。

重要な役割を果たしたのはFRB議長のバーナンキで、空から金を撒けといって毎週数兆円の資金供給をしました。


その方法は金融危機で破産した企業や公団の債権、株式を額面で買い取るという大胆なものでした。

その会社はすでに倒産しているので債権や株券はゴミに過ぎないが、ゴミを数百億円で買い取っていました。

FRBのゴミ買取でアメリカは空前の金余りになり、金は世界に還流して世界中が2010年代のバブルに突入しました。


アメリカの魔法のステッキ

比較しては何だが日本の麻生首相と白川日銀総裁は、金をばら撒くどころか逆に締め上げていました。

消費者金融が問題視され規制強化したのは良かったが、ほとんどの主婦や低所得者はカードを作れなくなった。

消費が大幅に落ち込んだが麻生首相は何も経済対策をせず、日本経済が崩壊するままにまかせてGDP大幅マイナスを記録した。


世界金融危機で最初にアメリカのサブプライムローンが破綻しローンを返済できない貧困者が続出した。

驚くべきことにアメリカ政府はローン破産した人の代わりにローンを支払い、住宅を差し押さえられないようにしました。

当時CNNでこの件を「ローンを払えないくらいで住宅を取り上げられるなんてあり得ない」と糾弾していました。


日本なら「金がないくせに借金したのが悪い」と破産者を非難したのではないでしょうか。

それでどうなったかというと、大盤振る舞いのアメリカはたった1年で完全に立ち直り10年間好景気を謳歌した。

ケチケチ日本は今も世界金融危機前まで回復しておらず、借金だけが雪だるま式に増えた。


どちらが正しくどちらが間違っていたかは明らかです。
http://www.thutmosev.com/archives/82873685.html



▲△▽▼

米国の量的緩和が限界に近づき失速へ 株価への影響は2020年5月6日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

世界の株式市場は新型コロナウィルスの世界的流行による株安相場からの反発が続いている。しかし筆者には現在の相場にはポジティブな要素がほとんどないように見える。実体経済が危機的状況にあるのはこれまで伝えているが、それに加えてアメリカの量的緩和が失速し始めたからである。

国債買い入れ失速

アメリカでは2月からの株安相場を受けて無制限の量的緩和が行われている。

•米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落

量的緩和とは中央銀行が通貨を発行してその通貨で国債などの証券を買い入れることであり、無制限とはその買い入れ額に制限がないことである。

しかしこの無制限の量的緩和が4月の後半から失速し始めている。中央銀行の国債保有額の推移は次のようになっている。


3月に入って勢い良く急上昇したグラフの傾きが段々なだらかになってきているのが分かるだろう。そしてその結果どうなっているかと言えば、長期金利が不気味な上昇を始めている。


長期金利は10年物国債の金利だが、よりリスクの高い30年物国債の金利はもっと明らかに上向き始めている。


繰り返すが、現在アメリカの中央銀行は無制限の国債買い入れによって金利を下げようとしているのである。量的緩和で株価が支えられるのは、国債の金利が下がることによって投資家がよりリスクの高い不動産や株式に資金を振り分けるからであり、金利が上がってしまうとその浮揚効果も無くなってしまう。

量的緩和失速の理由

「無制限の国債買い入れ」は何故失速してしまっているのだろうか? その理由は中央銀行の買い入れ額に制限がなくとも買い入れることの出来る国債の総量に限りがあるからである。

現時点で存在している米国債の量は23兆ドルである。一方で3月に量的緩和が加速してから1ヶ月で買い入れた国債の額はグラフを見れば分かるが1兆ドル程度である。


つまり、「無制限の量的緩和」を当初の速度で続けるとこの世に存在するすべての米国債を2年足らずですべて買い上げてしまうことになるのである。これが量的緩和の限界である。買い入れ対象が無くなれば買い入れは出来なくなる。当たり前である。

それで中央銀行は株価が落ち着いたために買い入れ速度を落としたのだが、そうすると今度は金利が上昇してきた。しかし金利が上昇すれば株価を支えることは出来なくなってしまうだろう。

量的緩和の限界

これがここ数年何度も懸念されていた中央銀行の緩和限界の問題である。

•米国、緊急会合でゼロ金利まで利下げし量的緩和を正式に再開 暴落時の追加緩和が不可能に

今回のコロナショックで世界中の中央銀行は追加緩和の余地を失ってしまった。それどころかアメリカはここまで限界を越えて緩和しており、失速は不可避だったと言える。しかしもしかすると市場は失速を許さないかもしれない。米国の株価指数S&P 500は次のように推移している。


現在の株価水準

筆者は現在米国株を空売りしているが、同じように空売りをしている投資家にジェフリー・ガンドラック氏がいる。ガンドラック氏は株価水準について次のように述べている。

•ガンドラック氏: 株価は3月の底値を更新する


2,863でS&Pを空売りした。ここからはアップサイドもダウンサイドも大きくない。

S&P 500は3,000まで行かないと思うが、それも有り得る。ダウンサイドについては容易に底値を越えていくだろう。

彼が何故このように言ったかと言えば、現在の市場環境とコロナショックの規模の大きさから考えれば3,000程度が株価の限界だからである。実体経済へのダメージの大きさについては以下の記事で説明している。

•新型コロナ、米国経済の景気後退はリーマンショックの倍以上か、第1四半期GDP速報

しかし3,000というのは金利が今の水準に留まるならばの話であり、量的緩和が減速を続けて金利が上昇する場合には3,000という水準も維持が難しくなってくるだろう。しかし量的緩和は減速しなければ2年で打ち止めになってしまう。仮に減速せずに続けたとしても、この状況で量的緩和が打ち止めになれば株価も実体経済も崩壊するだろう。

結論

ということで、実体経済も株式市場も詰んでいるという見解を維持したい。しかしそれで良いのである。コロナショックでこれほど大きなダメージにならなければならないのはこれまで金融緩和と政府債務の膨張によって無理矢理経済をバブルにしてきたからであり、借金と紙幣印刷に頼らないまともな生活をしていれば経済のV回復も可能だったはずである。このことについては以下の記事で説明している。

•新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する

しかし借金を増やして株価をバブルにしたがる政治家から経済を操作する道具は失われた。まともな投資家は当然それを歓迎しているわけである。

•世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
•ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574


http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/862.html#c5

[番外地6] ピケティで明けました 中川隆
38. 中川隆[-12708] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:40:38 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[33]
新型コロナと株価暴落の「第二波」は10月か?ロックダウン解除の危険性=吉田繁治
2020年5月5日

5〜6月に都市封鎖が解除された場合、静かな7〜9月を経て、10月から新型コロナの第二波が来る可能性が高いでしょう。そうなれば株価は二番底をつけます。

「新型コロナの第二波に注意せよ」専門家の警告

英国LANCET(権威のある医学専門雑誌)に掲載されたこの論文は、「Beware of the second wave of COVIC-19(新型コロナの第二波に注意せよ)」として、以下のように述べています(4月8日)。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30845-X/fulltext

[原文]
「Leung and colleagues also modelled the potential adverse consequences of premature relaxation of interventions, and found that such a decision might lead to transmissibility exceeding 1 again?ie, a second wave of infections.」

[翻訳]
「リャン(中国名の李?)と研究所の同僚は、政府介入の早期緩和(都市封鎖や移動制限の解除)が、逆の結果を生むことをモデル化し、感染は(現在の)第一波を超えて第二波を生むかもしれないことを発見した」

上記は、5〜6月に都市封鎖や移動制限を解除すれば新型コロナの第二波が訪れ、20年の秋・冬まで長期化する可能性があるという趣旨です。未来は現在の条件から確定したものではなく、未知の新しい現象が生じるので、確率的なものとしてしか示せない。LANCETでは「might」という仮定の助動詞を使っています。

感染症学者は、「最も多い26万人(839万人の人口の3%)の感染者が確認されたNY市ですら初期の段階であろう。感染者はこれからも増える」と言っています。


4月の反発はダマシ?楽観的すぎる株式市場

世界の株価を4月に上昇させた早期収束論は、数理モデルからは誤っている可能性が高い。ワクチンができるのも、最短でも1〜1.5年後とされているからです。
ワクチン開発に時間がかかるのは、臨床の治験が必要だからです。ワクチンは副作用を極小化する必要があるので、普通は短くても5〜7年かけます。ワクチンからの感染事例が出ると巨額の損害賠償になるからです。製薬会社は、そうした分かり切ったリスクは犯しません。

南半球での、およそ4か月遅れの感染増加を考慮すると、延期された東京オリンピックの開催も危ういと見なければならない。アフリカでの確認感染はごく初期段階の2万人(4月上旬)、オーストラリア6619人、ブラジルが1万人です。人が集まる会場は、ウイルス拡散の場になります。

無制限緩和という“人工心肺”で延命中だが
NYダウは、3月18日の一番底の1万8,600ドルから2万3,600ドルまで、4週で5,000ドル回復しています(4月20日)。ピークの2万9,500ドルから9,900ドル下落していたので、半分戻したことになります。
この買いは、

(1)コロナショックは5〜6月に収束するという論
(2)FRBによる2.3兆ドルのマネー供給

によって果たされています。

FRBは、3月3日と16日に2度(1.5ポイント)の利下げをした上で(短期金利誘導目標0.00%〜0.25%)、金融機関とファンドがもっていた米国債と、REIT(不動産上場投信)が下がっていた住宅証券のMBSを買い上げて、まず、金融機関にマネー供給をしたのです。その金額は、2兆ドル(220兆円)と巨大です。

米国債の価格は10年債で14%上がり、MBSも価格を回復しました。金融機関とファンドは、国債とMBSをFRBに売って、入ったドル現金をもとに33%下がっていた米国株(NYダウ、S&P500、ナスダック)の買い越しを続け、ダウで2万3,600ドルまで5000ドル戻したのです。

FRBは今回の量的緩和を無制限としています。株価を下げず、金融危機・企業倒産を防ぐためなら、いくらでも増額するということです<中略>

50%回復した株式市場が想定しているロックダウン解除(5〜6月)が、米国で実際に行われた場合、静かな7月、8月、9月を経て、10月から第二波が来る可能性が高いと思っています。第二波が来れば株価は二番底をつけるでしょう。社債、CLO、REITの再下落も同時です。
https://www.mag2.com/p/money/916477



▲△▽▼


2020年05月06日
アメリカの魔法のステッキ、今回も無限資金供給発動か

バーナンキ(右)とポールソンは短期間で危機を終わらせ、後の10年の好景気を作った

画像引用:https://amp.independent.ie/migration_catalog/b1747/25060987.ece/AUTOCROP/w620h350/banks


アメリカはどうやって金融危機をクリアしたか

最近アメリカは新型コロナウイルスへの対策で1か月に300兆円も財政支出を決め、政府債務が急増している。

労働者の半数が自宅からの外出を制限され事実上の無職状態に陥っている。

年間の財政赤字は過去最悪の水準で、経済専門家や財政関係者は危機感を表明している。

だがそれでアメリカが破産するかというと、数年後には何事もなかったかのように立ち直っていると思われる。

2007年から2010年までの世界金融危機でも同じだったからで、当時はドルが無くなりアメリカが無くなると言われていた。

専門家たちは次の超大国は中国であり、世界は中国を中心に再編成されると言っていました。


10年前の新聞を読んだら今の専門家の言い分と同じで、同じことをずっと言っているだけだと気づくでしょう。

アメリカは2009年に破産を確信するほど経済と財政が悪化したが、1年後の2010年に立ち直り10年続く好景気に入りました。

重要な役割を果たしたのはFRB議長のバーナンキで、空から金を撒けといって毎週数兆円の資金供給をしました。


その方法は金融危機で破産した企業や公団の債権、株式を額面で買い取るという大胆なものでした。

その会社はすでに倒産しているので債権や株券はゴミに過ぎないが、ゴミを数百億円で買い取っていました。

FRBのゴミ買取でアメリカは空前の金余りになり、金は世界に還流して世界中が2010年代のバブルに突入しました。


アメリカの魔法のステッキ

比較しては何だが日本の麻生首相と白川日銀総裁は、金をばら撒くどころか逆に締め上げていました。

消費者金融が問題視され規制強化したのは良かったが、ほとんどの主婦や低所得者はカードを作れなくなった。

消費が大幅に落ち込んだが麻生首相は何も経済対策をせず、日本経済が崩壊するままにまかせてGDP大幅マイナスを記録した。


世界金融危機で最初にアメリカのサブプライムローンが破綻しローンを返済できない貧困者が続出した。

驚くべきことにアメリカ政府はローン破産した人の代わりにローンを支払い、住宅を差し押さえられないようにしました。

当時CNNでこの件を「ローンを払えないくらいで住宅を取り上げられるなんてあり得ない」と糾弾していました。


日本なら「金がないくせに借金したのが悪い」と破産者を非難したのではないでしょうか。

それでどうなったかというと、大盤振る舞いのアメリカはたった1年で完全に立ち直り10年間好景気を謳歌した。

ケチケチ日本は今も世界金融危機前まで回復しておらず、借金だけが雪だるま式に増えた。


どちらが正しくどちらが間違っていたかは明らかです。
http://www.thutmosev.com/archives/82873685.html



▲△▽▼

米国の量的緩和が限界に近づき失速へ 株価への影響は2020年5月6日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

世界の株式市場は新型コロナウィルスの世界的流行による株安相場からの反発が続いている。しかし筆者には現在の相場にはポジティブな要素がほとんどないように見える。実体経済が危機的状況にあるのはこれまで伝えているが、それに加えてアメリカの量的緩和が失速し始めたからである。

国債買い入れ失速

アメリカでは2月からの株安相場を受けて無制限の量的緩和が行われている。

•米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落

量的緩和とは中央銀行が通貨を発行してその通貨で国債などの証券を買い入れることであり、無制限とはその買い入れ額に制限がないことである。

しかしこの無制限の量的緩和が4月の後半から失速し始めている。中央銀行の国債保有額の推移は次のようになっている。


3月に入って勢い良く急上昇したグラフの傾きが段々なだらかになってきているのが分かるだろう。そしてその結果どうなっているかと言えば、長期金利が不気味な上昇を始めている。


長期金利は10年物国債の金利だが、よりリスクの高い30年物国債の金利はもっと明らかに上向き始めている。


繰り返すが、現在アメリカの中央銀行は無制限の国債買い入れによって金利を下げようとしているのである。量的緩和で株価が支えられるのは、国債の金利が下がることによって投資家がよりリスクの高い不動産や株式に資金を振り分けるからであり、金利が上がってしまうとその浮揚効果も無くなってしまう。

量的緩和失速の理由

「無制限の国債買い入れ」は何故失速してしまっているのだろうか? その理由は中央銀行の買い入れ額に制限がなくとも買い入れることの出来る国債の総量に限りがあるからである。

現時点で存在している米国債の量は23兆ドルである。一方で3月に量的緩和が加速してから1ヶ月で買い入れた国債の額はグラフを見れば分かるが1兆ドル程度である。


つまり、「無制限の量的緩和」を当初の速度で続けるとこの世に存在するすべての米国債を2年足らずですべて買い上げてしまうことになるのである。これが量的緩和の限界である。買い入れ対象が無くなれば買い入れは出来なくなる。当たり前である。

それで中央銀行は株価が落ち着いたために買い入れ速度を落としたのだが、そうすると今度は金利が上昇してきた。しかし金利が上昇すれば株価を支えることは出来なくなってしまうだろう。

量的緩和の限界

これがここ数年何度も懸念されていた中央銀行の緩和限界の問題である。

•米国、緊急会合でゼロ金利まで利下げし量的緩和を正式に再開 暴落時の追加緩和が不可能に

今回のコロナショックで世界中の中央銀行は追加緩和の余地を失ってしまった。それどころかアメリカはここまで限界を越えて緩和しており、失速は不可避だったと言える。しかしもしかすると市場は失速を許さないかもしれない。米国の株価指数S&P 500は次のように推移している。


現在の株価水準

筆者は現在米国株を空売りしているが、同じように空売りをしている投資家にジェフリー・ガンドラック氏がいる。ガンドラック氏は株価水準について次のように述べている。

•ガンドラック氏: 株価は3月の底値を更新する


2,863でS&Pを空売りした。ここからはアップサイドもダウンサイドも大きくない。

S&P 500は3,000まで行かないと思うが、それも有り得る。ダウンサイドについては容易に底値を越えていくだろう。

彼が何故このように言ったかと言えば、現在の市場環境とコロナショックの規模の大きさから考えれば3,000程度が株価の限界だからである。実体経済へのダメージの大きさについては以下の記事で説明している。

•新型コロナ、米国経済の景気後退はリーマンショックの倍以上か、第1四半期GDP速報

しかし3,000というのは金利が今の水準に留まるならばの話であり、量的緩和が減速を続けて金利が上昇する場合には3,000という水準も維持が難しくなってくるだろう。しかし量的緩和は減速しなければ2年で打ち止めになってしまう。仮に減速せずに続けたとしても、この状況で量的緩和が打ち止めになれば株価も実体経済も崩壊するだろう。

結論

ということで、実体経済も株式市場も詰んでいるという見解を維持したい。しかしそれで良いのである。コロナショックでこれほど大きなダメージにならなければならないのはこれまで金融緩和と政府債務の膨張によって無理矢理経済をバブルにしてきたからであり、借金と紙幣印刷に頼らないまともな生活をしていれば経済のV回復も可能だったはずである。このことについては以下の記事で説明している。

•新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する

しかし借金を増やして株価をバブルにしたがる政治家から経済を操作する道具は失われた。まともな投資家は当然それを歓迎しているわけである。

•世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
•ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574


http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/562.html#c38

[近代史4] ミヒャエル・エンデの世界 中川隆
7. 中川隆[-12707] koaQ7Jey 2020年5月07日 23:41:09 : IC9sJkmouQ : MEtrMm16cm5xY0k=[34]
新型コロナと株価暴落の「第二波」は10月か?ロックダウン解除の危険性=吉田繁治
2020年5月5日

5〜6月に都市封鎖が解除された場合、静かな7〜9月を経て、10月から新型コロナの第二波が来る可能性が高いでしょう。そうなれば株価は二番底をつけます。

「新型コロナの第二波に注意せよ」専門家の警告

英国LANCET(権威のある医学専門雑誌)に掲載されたこの論文は、「Beware of the second wave of COVIC-19(新型コロナの第二波に注意せよ)」として、以下のように述べています(4月8日)。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30845-X/fulltext

[原文]
「Leung and colleagues also modelled the potential adverse consequences of premature relaxation of interventions, and found that such a decision might lead to transmissibility exceeding 1 again?ie, a second wave of infections.」

[翻訳]
「リャン(中国名の李?)と研究所の同僚は、政府介入の早期緩和(都市封鎖や移動制限の解除)が、逆の結果を生むことをモデル化し、感染は(現在の)第一波を超えて第二波を生むかもしれないことを発見した」

上記は、5〜6月に都市封鎖や移動制限を解除すれば新型コロナの第二波が訪れ、20年の秋・冬まで長期化する可能性があるという趣旨です。未来は現在の条件から確定したものではなく、未知の新しい現象が生じるので、確率的なものとしてしか示せない。LANCETでは「might」という仮定の助動詞を使っています。

感染症学者は、「最も多い26万人(839万人の人口の3%)の感染者が確認されたNY市ですら初期の段階であろう。感染者はこれからも増える」と言っています。


4月の反発はダマシ?楽観的すぎる株式市場

世界の株価を4月に上昇させた早期収束論は、数理モデルからは誤っている可能性が高い。ワクチンができるのも、最短でも1〜1.5年後とされているからです。
ワクチン開発に時間がかかるのは、臨床の治験が必要だからです。ワクチンは副作用を極小化する必要があるので、普通は短くても5〜7年かけます。ワクチンからの感染事例が出ると巨額の損害賠償になるからです。製薬会社は、そうした分かり切ったリスクは犯しません。

南半球での、およそ4か月遅れの感染増加を考慮すると、延期された東京オリンピックの開催も危ういと見なければならない。アフリカでの確認感染はごく初期段階の2万人(4月上旬)、オーストラリア6619人、ブラジルが1万人です。人が集まる会場は、ウイルス拡散の場になります。

無制限緩和という“人工心肺”で延命中だが
NYダウは、3月18日の一番底の1万8,600ドルから2万3,600ドルまで、4週で5,000ドル回復しています(4月20日)。ピークの2万9,500ドルから9,900ドル下落していたので、半分戻したことになります。
この買いは、

(1)コロナショックは5〜6月に収束するという論
(2)FRBによる2.3兆ドルのマネー供給

によって果たされています。

FRBは、3月3日と16日に2度(1.5ポイント)の利下げをした上で(短期金利誘導目標0.00%〜0.25%)、金融機関とファンドがもっていた米国債と、REIT(不動産上場投信)が下がっていた住宅証券のMBSを買い上げて、まず、金融機関にマネー供給をしたのです。その金額は、2兆ドル(220兆円)と巨大です。

米国債の価格は10年債で14%上がり、MBSも価格を回復しました。金融機関とファンドは、国債とMBSをFRBに売って、入ったドル現金をもとに33%下がっていた米国株(NYダウ、S&P500、ナスダック)の買い越しを続け、ダウで2万3,600ドルまで5000ドル戻したのです。

FRBは今回の量的緩和を無制限としています。株価を下げず、金融危機・企業倒産を防ぐためなら、いくらでも増額するということです<中略>

50%回復した株式市場が想定しているロックダウン解除(5〜6月)が、米国で実際に行われた場合、静かな7月、8月、9月を経て、10月から第二波が来る可能性が高いと思っています。第二波が来れば株価は二番底をつけるでしょう。社債、CLO、REITの再下落も同時です。
https://www.mag2.com/p/money/916477



▲△▽▼


2020年05月06日
アメリカの魔法のステッキ、今回も無限資金供給発動か

バーナンキ(右)とポールソンは短期間で危機を終わらせ、後の10年の好景気を作った

画像引用:https://amp.independent.ie/migration_catalog/b1747/25060987.ece/AUTOCROP/w620h350/banks


アメリカはどうやって金融危機をクリアしたか

最近アメリカは新型コロナウイルスへの対策で1か月に300兆円も財政支出を決め、政府債務が急増している。

労働者の半数が自宅からの外出を制限され事実上の無職状態に陥っている。

年間の財政赤字は過去最悪の水準で、経済専門家や財政関係者は危機感を表明している。

だがそれでアメリカが破産するかというと、数年後には何事もなかったかのように立ち直っていると思われる。

2007年から2010年までの世界金融危機でも同じだったからで、当時はドルが無くなりアメリカが無くなると言われていた。

専門家たちは次の超大国は中国であり、世界は中国を中心に再編成されると言っていました。


10年前の新聞を読んだら今の専門家の言い分と同じで、同じことをずっと言っているだけだと気づくでしょう。

アメリカは2009年に破産を確信するほど経済と財政が悪化したが、1年後の2010年に立ち直り10年続く好景気に入りました。

重要な役割を果たしたのはFRB議長のバーナンキで、空から金を撒けといって毎週数兆円の資金供給をしました。


その方法は金融危機で破産した企業や公団の債権、株式を額面で買い取るという大胆なものでした。

その会社はすでに倒産しているので債権や株券はゴミに過ぎないが、ゴミを数百億円で買い取っていました。

FRBのゴミ買取でアメリカは空前の金余りになり、金は世界に還流して世界中が2010年代のバブルに突入しました。


アメリカの魔法のステッキ

比較しては何だが日本の麻生首相と白川日銀総裁は、金をばら撒くどころか逆に締め上げていました。

消費者金融が問題視され規制強化したのは良かったが、ほとんどの主婦や低所得者はカードを作れなくなった。

消費が大幅に落ち込んだが麻生首相は何も経済対策をせず、日本経済が崩壊するままにまかせてGDP大幅マイナスを記録した。


世界金融危機で最初にアメリカのサブプライムローンが破綻しローンを返済できない貧困者が続出した。

驚くべきことにアメリカ政府はローン破産した人の代わりにローンを支払い、住宅を差し押さえられないようにしました。

当時CNNでこの件を「ローンを払えないくらいで住宅を取り上げられるなんてあり得ない」と糾弾していました。


日本なら「金がないくせに借金したのが悪い」と破産者を非難したのではないでしょうか。

それでどうなったかというと、大盤振る舞いのアメリカはたった1年で完全に立ち直り10年間好景気を謳歌した。

ケチケチ日本は今も世界金融危機前まで回復しておらず、借金だけが雪だるま式に増えた。


どちらが正しくどちらが間違っていたかは明らかです。
http://www.thutmosev.com/archives/82873685.html



▲△▽▼

米国の量的緩和が限界に近づき失速へ 株価への影響は2020年5月6日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574

世界の株式市場は新型コロナウィルスの世界的流行による株安相場からの反発が続いている。しかし筆者には現在の相場にはポジティブな要素がほとんどないように見える。実体経済が危機的状況にあるのはこれまで伝えているが、それに加えてアメリカの量的緩和が失速し始めたからである。

国債買い入れ失速

アメリカでは2月からの株安相場を受けて無制限の量的緩和が行われている。

•米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落

量的緩和とは中央銀行が通貨を発行してその通貨で国債などの証券を買い入れることであり、無制限とはその買い入れ額に制限がないことである。

しかしこの無制限の量的緩和が4月の後半から失速し始めている。中央銀行の国債保有額の推移は次のようになっている。


3月に入って勢い良く急上昇したグラフの傾きが段々なだらかになってきているのが分かるだろう。そしてその結果どうなっているかと言えば、長期金利が不気味な上昇を始めている。


長期金利は10年物国債の金利だが、よりリスクの高い30年物国債の金利はもっと明らかに上向き始めている。


繰り返すが、現在アメリカの中央銀行は無制限の国債買い入れによって金利を下げようとしているのである。量的緩和で株価が支えられるのは、国債の金利が下がることによって投資家がよりリスクの高い不動産や株式に資金を振り分けるからであり、金利が上がってしまうとその浮揚効果も無くなってしまう。

量的緩和失速の理由

「無制限の国債買い入れ」は何故失速してしまっているのだろうか? その理由は中央銀行の買い入れ額に制限がなくとも買い入れることの出来る国債の総量に限りがあるからである。

現時点で存在している米国債の量は23兆ドルである。一方で3月に量的緩和が加速してから1ヶ月で買い入れた国債の額はグラフを見れば分かるが1兆ドル程度である。


つまり、「無制限の量的緩和」を当初の速度で続けるとこの世に存在するすべての米国債を2年足らずですべて買い上げてしまうことになるのである。これが量的緩和の限界である。買い入れ対象が無くなれば買い入れは出来なくなる。当たり前である。

それで中央銀行は株価が落ち着いたために買い入れ速度を落としたのだが、そうすると今度は金利が上昇してきた。しかし金利が上昇すれば株価を支えることは出来なくなってしまうだろう。

量的緩和の限界

これがここ数年何度も懸念されていた中央銀行の緩和限界の問題である。

•米国、緊急会合でゼロ金利まで利下げし量的緩和を正式に再開 暴落時の追加緩和が不可能に

今回のコロナショックで世界中の中央銀行は追加緩和の余地を失ってしまった。それどころかアメリカはここまで限界を越えて緩和しており、失速は不可避だったと言える。しかしもしかすると市場は失速を許さないかもしれない。米国の株価指数S&P 500は次のように推移している。


現在の株価水準

筆者は現在米国株を空売りしているが、同じように空売りをしている投資家にジェフリー・ガンドラック氏がいる。ガンドラック氏は株価水準について次のように述べている。

•ガンドラック氏: 株価は3月の底値を更新する


2,863でS&Pを空売りした。ここからはアップサイドもダウンサイドも大きくない。

S&P 500は3,000まで行かないと思うが、それも有り得る。ダウンサイドについては容易に底値を越えていくだろう。

彼が何故このように言ったかと言えば、現在の市場環境とコロナショックの規模の大きさから考えれば3,000程度が株価の限界だからである。実体経済へのダメージの大きさについては以下の記事で説明している。

•新型コロナ、米国経済の景気後退はリーマンショックの倍以上か、第1四半期GDP速報

しかし3,000というのは金利が今の水準に留まるならばの話であり、量的緩和が減速を続けて金利が上昇する場合には3,000という水準も維持が難しくなってくるだろう。しかし量的緩和は減速しなければ2年で打ち止めになってしまう。仮に減速せずに続けたとしても、この状況で量的緩和が打ち止めになれば株価も実体経済も崩壊するだろう。

結論

ということで、実体経済も株式市場も詰んでいるという見解を維持したい。しかしそれで良いのである。コロナショックでこれほど大きなダメージにならなければならないのはこれまで金融緩和と政府債務の膨張によって無理矢理経済をバブルにしてきたからであり、借金と紙幣印刷に頼らないまともな生活をしていれば経済のV回復も可能だったはずである。このことについては以下の記事で説明している。

•新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する

しかし借金を増やして株価をバブルにしたがる政治家から経済を操作する道具は失われた。まともな投資家は当然それを歓迎しているわけである。

•世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
•ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10574


http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/846.html#c7

   

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > MEtrMm16cm5xY0k= > 100000  g検索 MEtrMm16cm5xY0k=

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。