8. 2023年5月10日 02:56:56 : dwtZMDUvT2 : LldiMi5UeWx6ci4=[1]
金属は一定の温度以下になると本来の粘り強さを失い、ガラスのように脆くなる性質があり、その境界となる温度のことを「脆性遷移温度」という。原子炉は度重なる中性子の照射により,鋼材の粘り気がなくなり、稼働時間が長くなるにつれて脆性遷移温度が徐々に高くなっていく。脆性遷移温度が高いということは、高い温度でもより割れやすいということ。
例えばアルミの自転車はスチールの自転車よりもフレームが破断しやすい。それはアルミという金属にスチールのような粘り強さがないからだ。脆性遷移温度が上がるということは、原子炉の鉄がアルミやガラスのような粘り気のない脆い性質に近づいていくようなものと考えればわかりやすい。
40年越えの原発が、今後中越地震クラスの直下型地震に耐えられるとは思えない。
地震発生時に原子炉を緊急停止させる際、原子炉に急激に水を注入すると、例えば熱いガラスのコップの中に冷たい水を入れたら割れるのと似た現象が、原子炉でも起こる可能性がある。元から小さなダメージがあれば、そこから一気に破壊が進むかもしれない。
震度6を超える大地震発生時は、地震の揺れによる応力も原子炉全体に加わるので、緊急停止の際の破壊のリスクはより高い状態であると言える。
20年の原発よりも40年の原発のほうが、より高い温度でも脆いので破壊が起こりやすいと言える。例えば加圧水型原子炉で、新品の圧力容器の脆性遷移温度は−20℃以下とのことだが、1975年に作られた玄海原発1号機の脆性遷移温度は98℃。98度とはほぼ沸騰したお湯なので、300度程度の高温の状態から冷たい水を注ぎ98度まで急激に冷やしたとき、原子炉のどこかに亀裂が入っても不思議ではない。原子炉の亀裂はメルトダウンにつながる。
現在稼働中の原発の脆性遷移温度は知らないが、古い原発ではおそらく常温から50度前後ではないかと思われる。常温でも、金属が脆くなっている、ということは停止中に大地震が発生したとして、たとえ温度変化がなくても、地震の揺れだけで原子炉にひびが入り致命的な破壊が起きる可能性もないとはいえない。
これは原子炉だけでなく、原子炉に直接つながる配管でも同じことが言える。配管は中性子が当たらないので脆性破壊は起こりにくいだろうが、さびによるの腐食や配管内壁の摩耗、消耗などがある以上、地震の揺れによる破壊が起こる可能性は、古い原発になればなるほど高くなるのは当然のこと。原子炉に直接つながる配管が一カ所でも破壊すれば、そこから水が漏れるので、福島のように原子炉が冷やせなくなりメルトダウンに至る。配管の破壊は原子炉が破壊されたのと同じと考えるべき。
原発はいとも簡単にメルトダウンすることを私たちは福島原発で見せつけられた。3機並んで仲良くメルトダウン。同じ条件を与えれば100%過酷事故を起こす、それが原発である。その教訓を無視し再稼働しまくっている現在、次の原発事故は必ず再びどこかで起きる。そのときになって後悔しても遅い。
原発に電力を供給する高圧電線が地震の揺れや山体崩壊などで倒壊すればやがてメルトダウンに至る。原発テロを起こすなら原発を狙わず高圧鉄塔を狙うだろう。ディーゼル発電機が稼働したいとしても、テロリストに狙われている以上コントロールできなくなり遅かれ早かれメルトダウンに至る。
今の政府はこれらの不都合な事実から完全に目をそらして見ないようにしている。戦争に巻き込まれ、原発が狙われる可能性がある中で何食わぬ顔で再稼働。脆性破壊など知らぬ存ぜぬ、本当に愚かとしか言いようがない。
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