41. 2022年2月01日 01:13:07 : qTyeFL6Xgc : L0p2dkFwTk1YY1E=[1]
コロナ禍の中で取られた「経済対策」の中で、違和感があった措置に「Go Toトラベル」があります。「人間の移動制限」によって感染拡大を抑制しようという中で、旅行・観光業界を救済する名目で「旅行促進」のために無料チケット発行や旅費の自動的な助成が行われるという全体的な施策から見るとまるで矛盾する方向性が執られたことに、不思議な思いをしていた方が多かったのではないでしょうか。
制約された中でも国内外の出張旅行は行っていたのですが、その中で全体の旅行費用に比べても法外に多額に感じる助成措置やクーポン(主に地域指定の飲食用)の発行がされることに違和感を感じていました(もちろん、信じられない思いをしながらクーポン利用をしましたが)。そして、「こんなザックリとおおざっぱな助成制度だと、運用中に不正受給なんかあるのではないかな?」などと頭の中によぎっていましたが、実態は案の定のことがありました。
「旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が、政府の観光需要喚起策『GoToトラベル』の給付金を不正受給していた。子会社2社がかかわり、不正受給の総額が最大約6億8300万円になるという」
「謝罪会見では、HISの澤田秀雄社長ら幹部が同席。同社の顧問弁護士らでつくる調査委員会が調査結果を、2021年12月24日に発表した。問題の子会社は、ミキ・ツーリスト(東京都港区)とジャパンホリデートラベル(JHT、大阪市)。『宿泊』の舞台になったのはホテル運営会社のJHAT(ジェイハット)。ジェイハットはHISの社長を務めた平林朗氏が立ち上げ、HISと資本関係はないが、HISと同じ東京都心のオフィスビルに入居しているなど親密な関係とされる」
「報告書によると、ミキ・ツーリストは、従業員80人が60泊するという宿泊契約をジェイハットと結んだが、実際に泊まったのは延べ4800泊のうち114泊だけだった。給付金を申請したジェイハットに、計4080万円が不正に支払われた可能性があるという。…
JHTは、ジェイハットの提案で、同社が運営するホテルに泊まる法人向けの研修旅行プランを企画。ジェイハットが紹介した法人に延べ5万5053泊分を販売し、給付金を申請した」
「GoToトラベル事業の運営事務局の指摘で調査したところ、宿泊者名簿の1169人中、少なくとも532人が実際には泊まっておらず、不正な申請に基づく給付額は最大6億4249万円に上る。これらを合わせ不正に受け取った金額は最大で計約6億8329万円分にのぼり、HISは内容を確認して返還していく考えだ」
「HIS「GoTo給付金」を不正受給、澤田社長の『むかつきます』に反省の色なし!?」2021/12/30 19:45 J-CAST会社ウォッチ
https://www.j-cast.com/kaisha/2021/12/30428129.html?p=all
旅行関連会社同士がつるんで社員旅行(福利厚生絡みか?)を企画し、その実際参加数を誤魔化して「空宿泊」分の助成金を国から億単位でせしめたという何ともお粗末な事件ですね。でも「なあなあ」解決を画策しているであろうことは、「同社の顧問弁護士らでつくる調査委員会が調査結果」などと言っていることで察しがつきます(絶対に社員あたりの”内部告発”で政府側が知り、事件にすると大変なので「自浄作用で何とかしろ」としたのでしょうから)。
【黒幕は別に存在するーHIS子会社の「Go To トラベル」不正受給】
先ほど挙げた記事のタイトルに「澤田社長の『むかつきます』」というセリフにひっかかるものがありますね。
「HISの対応は、その後もお粗末だった。12月24日の調査結果の発表会見で、澤田氏は『子会社の管理不行き届きというところは申し訳ない。ガバナンスについては甘かったと思っている。もう一度見直していきたい』と頭を下げ、ミキ・ツーリストの檀原社長を解任とし、JHTについてはジェイハットが主導し故意はなかったとしてJHTの吴U康社長を取締役に降格するとした。…
一方、自身やHIS本体は『一切不正に関与していない』と強調し、一切の処分をしなかった。…会見では、かつてHIS社長を務めた平林氏が不正にかかわったことを問われた澤田氏が、『むかついていますね。何でそんなことするのかと。そういうことをされたのは非常に残念に思います』と感情をむき出しにしたあたりは、自身の責任への反省より被害者意識のほうが強い印象を与え、不評だった」
前掲記事の続きですが、この辺りを読むと「自社グループに関連した不祥事なのに、反省しない社長だなあ」と思いがちかもしれません。しかし、この言葉のウラには、HISの澤田社長にとって本当に納得できない経過や問題処理があるということを示しているのだといいます(結局、HISが責任をとることになったのですが)。
「今回の不正受給案件は、正にHISの澤田社長の全く知らぬところで進められていたのが事実なんです。たしかに元HIS社長で現在JHATを経営する平林朗氏が”中心人物”とマスコミで流れており、HISが知らないのはおかしいのですが、本当の黒幕は別にいます」
この問題を追及しているジャーナリストがこう述べています。ではその黒幕とは誰なのか?
「JHATの実質的なオーナーは、新興不動産会社D社を経営するNT氏です。彼こそが、今回の数社を巻き込んだ不正受給を主導した人物です。このD社は、JHATが運営するホテルの大部分の建設事業にも関わり、分譲販売もしました」
別の旅行業界関係者は次のような説明をしています。
「D社は近年の訪日観光客の急増に合わせて、全国で外国人向けの中級ホテルを相次いで建設し、JHATを含めた運営企業に分譲する事業でこの10年で大成長しました。ところが、コロナ禍でこうした事業サイクルもストップし、経営が急速に悪化しました。このために、NT氏は傘下企業に『GoToトラベル』給付金不正を持ちかけ、事業の穴埋めにしようと画策したのです」
【重鎮政治家に連なるD氏?】
HISの澤田社長は、まるで自社グループ企業の中で「不正受給」が専ら行われたような構図への反発を「むかついています」という言葉で表現しているようですね。JHATの実質オーナー、NT氏こそ追及されるべきと考えているからでしょうが、NT氏はここを読むみなさんならお察しの通り、有力な「重鎮政治家」が背後についていると見られています。
先のジャーナリストが述べます。
「人の動きを抑えなければならない事態なのに、人の動きを活発にするよう誘引する『GoToトラベル』実施を強硬に主張したのは、観光・旅行業界の後ろ盾になってきた二階俊博元自民党幹事長ですね。D社代表のNT氏は二階氏と太いつながりを持っていると思われています。そして、外国人訪日旅行客向けを特に意識したホテル開発を進めてきたD社は、中国の観光業者との連携も図り出資や分譲の形での事業参加も積極的に推進していました」
かなり構図が見えてきましたね。ジャーナリスト氏は更に続けて説明しています。
「今回の不正受給案件は、請求額が11億4千万円余で、うち実際に支給されたのが6億8千万円に上りました。支給されない分は、決定前に不正が分かったためです。国土交通省は、HIS側に給付した分の返還を請求しながら、同社の澤田秀雄社長を厳重注意しています。澤田社長が全額返還には応じない姿勢なのは、事件の主舞台となったJHATの実質オーナー、NT氏が責任を問われないことに納得していないからです。一方、NT氏を国交省が追及しないのは、二階氏のことはともかく背後にある中国も絡んだ大型不正として国民の前に明らかになることを惧れているからと思われます」
そういえば、「Go To トラベル」事業を所管する国土交通大臣は、公明党から出てい斉藤鉄夫氏(衆議院議員)ですね。親中派だし…。
【ペーパーカンパニーになってしまったJHAT】
今回の不正の主舞台となったJHATは、HIS本社が入る大規模複合タワービルに所在していました。なんと同じタワービルには実質オーナーのNT氏の会社、D社も入っています。
この度、JHATは1月5日付で別のタワービルに移転しましたが、何と同ビルのシェアオフィスに入居し、電話番号もないペーパーカンパニー=幽霊会社に等しい存在になってしまったとのこと。D社と同じビルにあることで関係を疑われたくないNT氏が慌てて移転させたというのが実態のようです。
現実にマンデイ・ホテル・グループの運営企業であるJHATがペーパーカンパニー化するというのは、信じがたいことですが、それだけ不正常なことが行われたということを明瞭に示すことにもなっています。
結果として東京地検特捜部が国交省の不自然な処分の仕方にも着目し、関心を持ち始めたようだとの情報が流れてきています。私も「Go Toトラベル」事業のおかしさについて「日本で多くのホテル利用権を買収している中国企業にカネが流れるのではないか」と問題提起したこともありますが、”闇”にメスが入ればよいと期待しています。
「HIS子会社が最大で約6億8000万円を不正受給 『Go To トラベル』参加資格停止に」2021/12/28 ANNnewsCH
https://youtu.be/LqSpLoQk9s0
http://www.asyura2.com/22/senkyo285/msg/361.html#c41