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[近代史5] 大雪の前に、どんな準備をしたらいいのか?気をつけるべきポイントは? 中川隆
1. 中川隆[-8901] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:35:59 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[1]
怨霊注意 _ 雪道の怖さを伝える日本のCMが怖すぎて外国人をビビり散らしていた件
雪道運転テクニック
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/570.html#c3

冬は車のサビに注意! 夏よりも厄介な「塩害」トラブルの回避方法とは
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1023.html

「硫安」や「塩化カルシウム」が金属やスキーのエッジに付いたら必ず洗い流そう
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/932.html

プロパンガスの高すぎる料金の謎
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/681.html

コストが安い暖房は? 優秀なコタツ、ファンヒーター
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/926.html

暖炉や薪ストーブはもう古い
http://www.asyura2.com/17/ban7/msg/529.html

暖炉型電気ヒーターの実用度
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/876.html

寒冷地での水道管の凍結を防ぐには
http://www.asyura2.com/17/ban7/msg/524.html


http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/463.html#c1

[近代史02] 白人はなぜ白人か _ 白人が人間性を失っていった過程 中川隆
219. 中川隆[-8900] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:46:19 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[2]

From NY
2020年12月27日
「区別は差別ではない」の理論
南部の保守派クリスチャンたちの素顔(3)
田村明子 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21709

 2020年12月、カンサスで郡保安局警察官が、非武装の黒人男性をパトロールトラックで追い詰め、意図的にひくという信じがたいビデオ映像が公開された。映像には車輪の下になって倒れている黒人男性に、白人の警官3人が銃を向けながら近づいていく姿が映されている。

 被害者自身、退職したばかりの元警官で、ハイウェイを運転中に職務尋問で止められたという。最初は免許証の提示など普通に応じていたが、さらに3台のパトカーが現れて周りを囲まれたこと、目撃者もいない郊外で夜間だったため、命の危険を感じて徒歩で逃亡したという。

 元警官の黒人が、白人警官に囲まれて「何をされるかわからない」と身の危険を感じた、というところに、この国の人種差別問題の根深さを感じずにはいられない。

「白人の彼女がいるって本当?」
 2000年の国勢調査によると、筆者が高校時代を過ごしたノースカロライナ州の黒人人口は全体のおよそ21%だという。全米の州の中で、黒人人口の比率は8番目に多い。ノースカロライナはかつて綿花とタバコの栽培で栄えていた土地で、これらの黒人の大多数はプランテーションで労働していた奴隷の子孫に違いない。

 だが筆者の通っていた私立高校では、全生徒100人中黒人はたった1人しかいなかった。

 ダグという名前の、すらっとした長身の男の子だった。なぜダグがこの学校を選んだのか、わからない。公立学校のレベル、環境に不満だったのか。差別されることを、心配しなかったのか。でも筆者は、一学年上だった彼と言葉を交わす機会はなかった。


(Matvey Troshinkin/gettyimages)
 ある日、体育館で体育の授業を終えて一息ついていたときのこと。片隅のバスケットボールのコートで一人黙々と、ダグがシュートの練習をしていた。

 トントン、とドリブルしてはシュートを繰り返すダグの周りを、気が付いたら体育の授業を終えたクラスの女子たちがぐるりと取り囲んでいた。

 「ねえダグ、聞きたいことがあるの」口火をきったのは、ちょっとこまっしゃくれたマルセーユという女の子だった。

 「何かな?」

 「あなた、白人のガールフレンドがいるって聞いたけど、本当?」

 「そうだよ」

 「ウソばっかり」

 「ウソじゃないよ」

 「じゃあ、彼女の名前は?」

 「ウェンディ」

 「あははは、その名前、今考えたんでしょ」

 マルセーユの周りにいた女の子たち数人も、声を揃えて嘲笑った。

 「違うよ」

 ダグは、こんなことは慣れているといった様子で、淡々と受け答えた。

 視線をゴールから一度もそらさずシュートを続けていたけれど、やはり居心地悪くなったのだろう。しばらくするとボールを小脇にかかえ、黙って体育館を後にした。

「黒人はジャングルを走る人たち」
 英語も不自由しなくなった現在の筆者なら、迷うことなく女の子たちを一喝して説教の一つもかましただろう。

 だが当時まだ15歳だった筆者は、モヤモヤした気持ちを抱えながらも口を出すことなく黙って見ていた。それまで日本で普通に暮らして、「人種差別はいけないこと」と教えられて育った。でも日本の地方都市では、「人種差別」というのがどのような形で現れるのか、肌で実感する機会はそれまでなかった。

 「ジェニー、聞きたいことがあるの」

 女の子たちが一人二人といなくなった後、筆者はグループの中で比較的大人しいジェニーという女の子にそう声をかけた。ブルネットに青い目のジェニーは、英語の不自由な留学生に対しても、辛抱強く相手をしてくれる少数派の温和な同級生だった。

 「あなたたちは、どうして黒人を差別するの?」

 当時の英語力では、湾曲な表現などできるはずもなく、こう直球を投げるのが精いっぱいだった。ジェニーは、少しも驚いた様子を見せずに、大人が子供に言い聞かせるように、ゆっくりこう説明してくれた。

 「あのね、黒人たちはついこの前までジャングルの中を裸足で走り回っていた人たちなの。私たちよりも遅れているから、差別されても仕方ないのよ」

 その彼らを故国から拉致して、鎖につないで連れてきたのはあんたらの祖先だろう。と言いたかったが、悲しいかな、英語が思うように口から出てこない。ジェニーの、悪気のない透き通るような青い目を見て、筆者は黙り込んでしまった。 

白人の教会
 週に3回通わされていた教会では、集まってくる信者の99パーセントは白人だった。当時の筆者は知らなかったが、黒人たちの大多数は、黒人専用の教会に通っていた。

 ごくたまに白人の教会にも恐る恐る、といった様子でやってくる黒人の家族がいた。すると教会のボランティアたちが、大仰に「Welcome!(ようこそ!)」と大声で言って、彼らに握手を求めに行く。その姿はどこかわざとらしく見え、こう言っては申し訳ないが「私は人種差別しませんから」と誇示するためにやっているように見えた。子供心に、なぜもう少し自然に溶け合えないものなのだろうか、とモヤモヤした。

 サザンバプティストの教会の牧師たちは、なぜか不思議とみんな同じような目をしていた。

 歯磨き粉のコマーシャルに出てくるような笑顔をこちらに向けても、彼らの目は私の目ではなく、私と彼らの間にある空間のどこかを見ているのである。

 ある日曜日の朝、いつものようにぼんやりと牧師の説教を聞いていた。

 「黒人もアジア人も、私たちの兄弟です。私たちは、彼らを愛する努力をしなくてはいけません」

 はっとして、半分寝ていた頭に警報が鳴った。

 「でも区別と差別は、別なものです。私たちは、そのことを混乱してはいけないのです」

 祭壇から離れた後方のベンチに座っていた筆者には、前から並んで座っている大勢の信者たちの頭が同意するように、揃ってうんうんと頷くのが見えた。

 ああ、これは。まだティーネージャーだった筆者にも、牧師が口にしたことがどのような意味であるのかわかった。

 アメリカには、かつて悪名高いジム・クロウ法というものがあった。

 1865年に南北戦争が終了してから、連邦政府は奴隷から解放された黒人にも基本的な人権を保証した。だが1877年に連邦軍が撤退すると、南部の州政府は黒人を始めとする有色人種が白人と同じ公共施設を使用するのを禁じるジム・クロウ法を次々と可決しはじめた。学校はもちろん、乗り物、宿泊施設も、黒人は白人と同席が禁じられた。そして1896年には、連邦最高裁がこれを「分離しても平等」であるとして、合法としたのである。

 まさに「区別は差別ではない」の理論だった。

 1964年7月、リンドン・ジョンソン大統領が公民権法に署名してジム・クロウ法は廃止された。考えてみれば筆者が留学した1977年は、それからわずか13年しかたっていない。筆者の同級生たちの親たちも、祭壇から説教していたサザンバプティストの牧師たちも、「人種差別」は合法だった南部で育ったのである。

 冒頭のカンサスの事件でもわかるように、アメリカ社会の人種差別問題は決して過去の話ではないのだ。(次回に続く)
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/390.html#c219

[近代史02] 白人はなぜ白人か _ 白人が人間性を失っていった過程 中川隆
220. 中川隆[-8899] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:49:41 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[3]

From NY
2020年10月28日
米国「保守派」クリスチャンたちの素顔
もう一つのアメリカ、筆者の見た保守派の南部の高校生活
田村明子 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21189


 いよいよ大統領選を迎えようとしている現在、アメリカは保守派の共和党と、リベラルの民主党の真っ二つに分裂している。

 筆者がアメリカに移住したのは、1977年の春、カーター大統領政権が誕生して間もなくのことだった。あれから43年この国に住んでいるが、現在のアメリカほど分裂したアメリカを見たことがない。

 40年間住んでいるこのニューヨークは、国際色豊かで文化の懐の深い街である。でもここにいると、アメリカ合衆国全体の、保守的、閉鎖的で、自分たちと異質なものには徹底的に排他的な側面を見失いそうになってしまう。

 実は筆者が初めて暮らしたアメリカの地は、ノースカロライナ州だった。南部でもディープサウスと言われるほどの僻地ではないものの、現在でも共和党が多数派の土地である。


ノースカロライナ州シャーロットの歴史的建造物(/gettyimages)
 当時はまだ高校生で英語力も限られ、社会に対する理解力にも限界があった。それでもアメリカの保守派とされる社会を生の体験できたことは貴重な体験だったし、今振り返るとトンでもないこと、面白いこともたくさんあった。

「ロックは悪魔の音楽なのよ」

 筆者が10年生(日本の高校1年)として入学した先は、プロテスタント、サザンバプティスト派(南部バプティスト派)の高校だった。

 留学を許してくれた両親は、ミッション系の学校なら治安も良く、留学生活も安全だろうという思いを持っていたと思う。ところが実際に行ってみると、それがものすごく日本的な勘違いだったことに間もなく気が付いた。

 サザンバプティスト派は、トランプ再選の鍵を握ると言われている福音派の最大の一派で、信者は1500万人いると言われている。筆者が直に触れた彼らの信仰、思想は、日本人がイメージする「クリスチャン」とはかけ離れたものだった。そんなこともわからずに留学した筆者は、誤解を恐れずに言うなら、白人カルト集団にアジア人のティーネージャーの娘が一人でノコノコ乗り込んで行ったようなものだった。


ノースカロライナ州シャーロット(klenger/gettyimages)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21189


 最初にたどり着いたのはノースカロライナ州シャーロット郊外にある、大学付属の英語学校だった。東京のクリスチャン系の留学コンサルタントを通して、全国から集まった同年代の女の子が筆者もいれて5人(ちなみに男の子たちは、年頃の男女を数カ月一緒にしておくと風紀上問題ありという理由から、フロリダの英語学校に送られていた)夏の間ここで英語を学び、9月からそれぞれの高校に振り分けられる予定になっていた。

 英語学校の編入試験が終わった頃、筆者は留学コンサルタントの田中氏の車で、候補の高校のキャンパス見学に連れていってもらった。

 行った先は、サウスカロライナ州グリーンビルにあるボブ・ジョーンズ大学高等部。アメリカ人なら、名前を聞けばすぐにぴんとくる有名校である。だがそれは、良い意味ではない。

 「大学も付属している南部一の名門校だよ。ぼくが紹介できる学校の中では、ここがぴか一なんだ」と、田中氏は嬉しそうに強調した。校門前に大きな噴水があって、まるでリゾートのようだった。

 田中氏と旧知の仲だという校長に挨拶すると、彼は日本人とアメリカ人のハーフの女の子を連れてきた。ジェニーというその学生が、まだ英語もつたない筆者のために日本語でキャンパス案内をかって出てくれたのだ。ここなら楽しい高校生活が送れるかも。そう思っていた矢先、筆者にとってはカルチャーショックともいえる出来事が起きた。

 「ねえ、あなたはどんな音楽を聴くの? クイーンとか好き?」

 もともと筆者が高校留学を希望したのは、小学生の頃から聞き始めたロック音楽がきっかけだった。英語文化にめざめ、海外留学をして将来は通訳になりたいと憧れていた。

 でも筆者にそう聞かれたジェニーは、さっと蒼ざめた。目を大きく見開いて、顔をこわばらせている。返ってきたのは、こういう返事だった。

 「ロックは、ここでは禁止されているのよ。だってあれは、悪魔の音楽ですもの!!」

 悪魔の音楽…。今度は筆者の顔が思い切りこわばった。

 筆者は当時も現在も、クリスチャンではない。でも小学生の頃は友人たちと誘い合わせてプロテスタント系の教会の日曜学校に通い、中学はカソリック系の女子校に行った。聖書もたっぷり読んだし、お祈りも讃美歌も覚えた。カソリック系女子中学は、服装などの規則はものすごくうるさかったものの、さすがにロックが悪魔の音楽だなどと極端なことを言われたことは一度もない。

 これがサザンバプティストとの、初めての出会いだった。

異人種間の交際は禁止
 ジェニーに何と答えたのか覚えていない。記憶にあるのは、彼女が最後に恍惚とした表情を浮かべて、両手でぐるりと円を描いてこう言ったことである。

 「この学校にいるとね、神様がすぐここにいらっしゃるのがわかるの!!」

 ジェニーの薄茶色の瞳が何もない空間を見つめているのが、とても怖かった。

 こりゃまずい。そもそもクリスチャンではない私には、とても歯が立たない場所だと子供なりに理解した。この高校だけは無理です。そう伝えると、田中氏はもんのすごく不機嫌になったが、他の高校を紹介することに同意してくれた。

 後に調べるとこのボブ・ジョーンズ大学は、人種差別で悪名高いところだった。

 創立以来、黒人の生徒の入学を許可していなかったため、連邦国税庁から教育機関としての税金優遇対象からはずすと脅され、しぶしぶ黒人の受け入れを始めたのが1971年。だがそれから5年間は、黒人は既婚者のカップルのみ入学許可してきた。奇妙な校則だがその理由は、学校内で異人種間の交際を禁じていたためである。この異人種間の交際禁止という校則はなんと2004年まで続いた。当時の筆者がここに入学していたら、当然白人のボーイフレンドなどできなかっただろうし、万が一アジア人以外の彼氏を作ったら退学になっていたわけである。

 これがアパルトヘイト制度下の南アフリカ共和国でもなく、ナチ政権当時のドイツのことでもなく、近代のアメリカ南部の現実だった(ついでに言うと、キャンパス内でのロック音楽禁止は現在もまだ続いているらしい)。

 考えてみれば白人と日本人の混血だったジェニー自身、学校のポリシーに反する罪の象徴の存在だったはずである。もう一度彼女に会うことができるのなら、それをどう受け止めていたのか聞いてみたかった。信仰と人種偏見が、どう両立するのかも校長に聞いてみたかった。

 そもそもこんなところに日本人留学生を紹介しようとした田中氏も、どのくらい南部の保守的な校風を理解していたのだろうか。

 さて危ういところでボブ・ジョーンズを抜け出し、筆者はそこまで過激ではないノースカロライナの田舎の小さなサザンバプティスト派の高校に入学した。一番近くにある都市は車で30分ほどのウィンストン・セーラムで、市の名前からもわかるように周辺はタバコ畑だらけ。あとは目に付くのは教会がやたらと多いことだった。

 ここでも、びっくりすることの連続だった。

(パート2に続く)
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/390.html#c220

[近代史02] 白人はなぜ白人か _ 白人が人間性を失っていった過程 中川隆
221. 中川隆[-8898] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:51:45 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[4]

From NY
2020年11月23日
「信仰とは天国に到達する手段」
保守派のアメリカのクリスチャンの素顔(2)
田村明子 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21394


 11月3日に行われた大統領選は、数日間かけた集票の結果、民主党ジョー・バイデン候補者の勝利が確実になった。

 集票が拮抗してなかなか結果が出ないスイングステートの中でも、最後まで残っていた州の一つが、筆者が高校時代を過ごしたノースカロライナだった。ピュー研究所の統計によると、州内のクリスチャン人口77%のうち、35%が福音派であるこの州は、基本的に保守派の共和党が多い。

 だが2006年にはオバマ氏が勝利を収めており、今回はどのような結果になるのか筆者も興味深く見守っていた。当時の同級生たちは、どちらに投票したのだろうかと想像しながら。

(前回のコラム『米国「保守派」クリスチャンたちの素顔』から続く)

 筆者は1977年9月、ノースカロライナ州にある寮制の私立高校に入学した。ウィンストンセーラム郊外にある、当時人口1万人ほどの小さな町だった。

 寮制といっても、全校100人余りの生徒のほとんどは、自宅通学のDay Studentだった。

 当時ノースカロライナでは16歳から(現在は18歳)運転免許を獲得することができた。みんな15歳のうちに路上テストを受けて免許証を手にし、16歳の誕生日の朝には両親からプレゼントされた車を運転して意気揚々と学校に来る。車社会のアメリカで、アッパーミドルクラスの家庭にとっては当たり前のことだった。

 「ちょっと見て、あれブライアンじゃない?」

 「ブライアンだわ。今日は彼の誕生日なんだ!」

 医者の息子のブライアンが、シルバーのポルシェで学校の駐車場に乗り付けた日の朝は、さすがに女の子たちが色めき立った。

 一方筆者を含めた10人ほどの寮生は、そんな通いの学生たちとはあまり交わらず、校舎の横にある古いレンガ造りの寮で静かに暮らしていた。

週に3度の教会通い
 車がなければどこにも行けないこの町で、車も免許もない我々寮生は、ひたすら校舎とその横にある寮を往復する日々を送っていた。

 唯一のお出かけは、教会である。

 日曜日は朝と夕方の2回。そして水曜日の夕方の合計週に3回、ミニバンが寮の前に我々寮生を迎えに来た。朝の礼拝はたっぷり3時間。夕方も2時間ほど時間を取られ、まだ半分くらいしかわからない南部訛りの英語の説教をじっと我慢して聞く。正直に言えば、苦痛だった。

 もっとも、嫌だったことばかりではない。

 教会はこの田舎町で、気が済むまでお洒落をして出かける唯一の社交の場でもあった。肌の露出度さえ高くなければ、好きなだけドレスアップして行くことができた。もともとアメリカの学校では一般的に、女子学生が化粧をするのが「悪いこと」という感覚はない。14、15歳から女の子はピアスをし、髪をドライヤーで完璧にセットしてメークをほどこし、マニキュアまできれいに塗って学校にやってくる。お洒落づいた年齢の女の子にとって、大人になるプロセスの一つでごく当たり前のこととして受け止められていた。

 日曜日の朝の礼拝後、月に一度くらい信者たちが手料理を持ち寄ってランチビュッフェが開催されるのも、楽しみだった。ミートローフ、フライドチキン、アップルパイやアイスクリームなど、南部料理はどれも恐ろしく高カロリーだが、手作りのお料理は美味しい。父兄、教師たちは太っている人がほとんどで、肥満体ではない大人は珍しかった。筆者もこのノースカロライナ時代は、あっという間に体重が増えていったのである。

 だがいくら教会に通っていても、筆者はクリスチャンになろうとは一度も思わなかった。子供の頃から好奇心で聖書もかなり読んだけれど、元々実家は曹洞宗である。わざわざキリスト教に入信する必要性を感じなかったし、そもそも団体で集まって人前でお祈りをする、ということが苦手だった。

 それでも毎週3回、迎えのバスが来ると大人しく乗り込んで教会に通った。

「天国行く人は手をあげて」
 連れていかれた教会は、アメリカの人口のおよそ3分の1といわれる福音派の教会だった。

 その福音派の白人信者の80%近くが、共和党とされている。合衆国憲法には政教分離が謳われているものの、現実にはこの南部を中心とした福音派のクリスチャンたちが、現在の保守派共和党の基盤を支えているのである。

 福音派の教会は、会議場に塔をつけたようなシンプルな建物が多い。南部訛りの強い牧師さんの説教はあまり理解できず、ときどき信者の人たちが突然声を上げて泣き出したりするのも、最初はびっくりしてドン引きした。

 だがもっと驚いたのは、ある日の礼拝中のことである。

 「How many of you are going to Heaven? Please raise your hand. (あなたたちの中で、天国に行く人は? 手をあげて下さい)」

 牧師さんがそう言うのを耳にしたときは、最初は冗談かと思った。だが集まっていた信者のほとんどが真面目な顔をして手を高々をあげたときは、もっと驚いて思わず「えええ〜」と声が出そうになった。

 日本のプロテスタントの教会でも、カソリックの中学校でも、そんなことを聞かれた覚えはない。人間側が決めることだと教わったことはなかった。

 「はい、私は天国に行きます」と本気で断言する人がいたら、日本社会では間違いなく「アブナイ人」のカテゴリーに入れられるだろうと思う。

 その「アブナイ人たち」に周りを囲まれていることを子供なりに理解して、じわじわと腹の底から恐怖心が沸いてきた。

福音派の信仰というもの
 寮に戻ってから、シャロンという一学年上のアメリカ人に恐る恐る聞いてみた。アーカンソー州出身の彼女も、高々と手をあげた一人だった。

 「シャロン、今日の牧師さんのお話で、天国に行く人は手をあげて、って言ったよね」

 「ええ、それがどうかしたの?」

 「どうして自分は天国に行く、って断言できるの? 日本では、そんなこと言ったら傲慢だと受け止められるけれど」

 「それはね、聖書に書いてあるからなのよ」

 1歳年上のシャロンは、当時絶大な人気だったファラ・フォーセットのようにきれいにブローした髪をかきあげながら、まだ英語の拙い私に、ゆっくり説明してくれた。

 「新約聖書では、イエス様が『天国の門に到達する方法は、神の子である自分を通して以外の方法はない』とはっきり言っているの。だからイエス様が自分の罪のために死んでくださった救世主であることを受けいれた人は、罪が許されて天国に行くことが約束されるのよ」

 うーむ。それなりに理屈は通っているものの、ちょっとムシの良い話に思えた。

 だがこれが米国の福音主義の根本にある教義なのである。イエス・キリストを救世主であると受け入れるのと引き換えに、天国行きの切符が約束される。キリストの贖罪によって自分の罪は消えたため、隣人を愛せよとか、敵を許せとか、人を裁くなとか、右の頬を叩かれたら左の頬を出せ、というような教えは二の次であり、天国行きには影響しない、というのが彼らの基本的考え方だ。

 福音派クリスチャンが信仰を生活の中心に置く傍らで、白人至上主義であったり、銃所持の規制に絶対反対の姿勢を貫くのは、日本人の感覚ではちょっと理解しがたい。だが彼らの中では矛盾していない。極端に言うなら、彼らにとって信仰とは人として正しい行動をするためのものではなく、キリストと契約を結んで天国に到達する手段なのである。

 (キリストの贖罪は、全てのクリスチャンにとって基本の教義である。だが極端に排他的な米国の福音派はクリスチャンの中でもカルト的とされていて、特殊な存在だ。もっとも信者の中には自分たちの排他的な部分を批判し、人種差別撤退の市民運動を支持し、チャリティ活動に人生を捧げた人たちもいることは、記しておきたい)

 「ではクリスチャン以外の人はどうなるの? 日本にはクリスチャンでなくても、善行を積んだ立派な人はたくさんいるけれど、彼らはどこに行くの?」

 「悪いけれど、クリスチャン以外は全員地獄に行くのよ。いくら良い人だって、クリスチャンでないのなら間違った生き方をしているの」

 答えは予想はしていたものの、面と向かって言われるとショックであった。(考えてみれば、クリスチャンは過去にこうして「原住民の魂の救済」を口実にして、世界中で侵略、虐殺を繰り返してきたのだった)

 これは、エライところに来てしまった。ようやく当時15才だった筆者にも、自分の置かれた状況が飲み込めてきた。
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/390.html#c221

[近代史5] キリスト教原理主義 中川隆
4. 中川隆[-8897] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:52:49 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[5]
From NY
2020年10月28日
米国「保守派」クリスチャンたちの素顔
もう一つのアメリカ、筆者の見た保守派の南部の高校生活
田村明子 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21189

 いよいよ大統領選を迎えようとしている現在、アメリカは保守派の共和党と、リベラルの民主党の真っ二つに分裂している。

 筆者がアメリカに移住したのは、1977年の春、カーター大統領政権が誕生して間もなくのことだった。あれから43年この国に住んでいるが、現在のアメリカほど分裂したアメリカを見たことがない。

 40年間住んでいるこのニューヨークは、国際色豊かで文化の懐の深い街である。でもここにいると、アメリカ合衆国全体の、保守的、閉鎖的で、自分たちと異質なものには徹底的に排他的な側面を見失いそうになってしまう。

 実は筆者が初めて暮らしたアメリカの地は、ノースカロライナ州だった。南部でもディープサウスと言われるほどの僻地ではないものの、現在でも共和党が多数派の土地である。


ノースカロライナ州シャーロットの歴史的建造物(/gettyimages)
 当時はまだ高校生で英語力も限られ、社会に対する理解力にも限界があった。それでもアメリカの保守派とされる社会を生の体験できたことは貴重な体験だったし、今振り返るとトンでもないこと、面白いこともたくさんあった。

「ロックは悪魔の音楽なのよ」

 筆者が10年生(日本の高校1年)として入学した先は、プロテスタント、サザンバプティスト派(南部バプティスト派)の高校だった。

 留学を許してくれた両親は、ミッション系の学校なら治安も良く、留学生活も安全だろうという思いを持っていたと思う。ところが実際に行ってみると、それがものすごく日本的な勘違いだったことに間もなく気が付いた。

 サザンバプティスト派は、トランプ再選の鍵を握ると言われている福音派の最大の一派で、信者は1500万人いると言われている。筆者が直に触れた彼らの信仰、思想は、日本人がイメージする「クリスチャン」とはかけ離れたものだった。そんなこともわからずに留学した筆者は、誤解を恐れずに言うなら、白人カルト集団にアジア人のティーネージャーの娘が一人でノコノコ乗り込んで行ったようなものだった。


ノースカロライナ州シャーロット(klenger/gettyimages)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21189


 最初にたどり着いたのはノースカロライナ州シャーロット郊外にある、大学付属の英語学校だった。東京のクリスチャン系の留学コンサルタントを通して、全国から集まった同年代の女の子が筆者もいれて5人(ちなみに男の子たちは、年頃の男女を数カ月一緒にしておくと風紀上問題ありという理由から、フロリダの英語学校に送られていた)夏の間ここで英語を学び、9月からそれぞれの高校に振り分けられる予定になっていた。

 英語学校の編入試験が終わった頃、筆者は留学コンサルタントの田中氏の車で、候補の高校のキャンパス見学に連れていってもらった。

 行った先は、サウスカロライナ州グリーンビルにあるボブ・ジョーンズ大学高等部。アメリカ人なら、名前を聞けばすぐにぴんとくる有名校である。だがそれは、良い意味ではない。

 「大学も付属している南部一の名門校だよ。ぼくが紹介できる学校の中では、ここがぴか一なんだ」と、田中氏は嬉しそうに強調した。校門前に大きな噴水があって、まるでリゾートのようだった。

 田中氏と旧知の仲だという校長に挨拶すると、彼は日本人とアメリカ人のハーフの女の子を連れてきた。ジェニーというその学生が、まだ英語もつたない筆者のために日本語でキャンパス案内をかって出てくれたのだ。ここなら楽しい高校生活が送れるかも。そう思っていた矢先、筆者にとってはカルチャーショックともいえる出来事が起きた。

 「ねえ、あなたはどんな音楽を聴くの? クイーンとか好き?」

 もともと筆者が高校留学を希望したのは、小学生の頃から聞き始めたロック音楽がきっかけだった。英語文化にめざめ、海外留学をして将来は通訳になりたいと憧れていた。

 でも筆者にそう聞かれたジェニーは、さっと蒼ざめた。目を大きく見開いて、顔をこわばらせている。返ってきたのは、こういう返事だった。

 「ロックは、ここでは禁止されているのよ。だってあれは、悪魔の音楽ですもの!!」

 悪魔の音楽…。今度は筆者の顔が思い切りこわばった。

 筆者は当時も現在も、クリスチャンではない。でも小学生の頃は友人たちと誘い合わせてプロテスタント系の教会の日曜学校に通い、中学はカソリック系の女子校に行った。聖書もたっぷり読んだし、お祈りも讃美歌も覚えた。カソリック系女子中学は、服装などの規則はものすごくうるさかったものの、さすがにロックが悪魔の音楽だなどと極端なことを言われたことは一度もない。

 これがサザンバプティストとの、初めての出会いだった。

異人種間の交際は禁止
 ジェニーに何と答えたのか覚えていない。記憶にあるのは、彼女が最後に恍惚とした表情を浮かべて、両手でぐるりと円を描いてこう言ったことである。

 「この学校にいるとね、神様がすぐここにいらっしゃるのがわかるの!!」

 ジェニーの薄茶色の瞳が何もない空間を見つめているのが、とても怖かった。

 こりゃまずい。そもそもクリスチャンではない私には、とても歯が立たない場所だと子供なりに理解した。この高校だけは無理です。そう伝えると、田中氏はもんのすごく不機嫌になったが、他の高校を紹介することに同意してくれた。

 後に調べるとこのボブ・ジョーンズ大学は、人種差別で悪名高いところだった。

 創立以来、黒人の生徒の入学を許可していなかったため、連邦国税庁から教育機関としての税金優遇対象からはずすと脅され、しぶしぶ黒人の受け入れを始めたのが1971年。だがそれから5年間は、黒人は既婚者のカップルのみ入学許可してきた。奇妙な校則だがその理由は、学校内で異人種間の交際を禁じていたためである。この異人種間の交際禁止という校則はなんと2004年まで続いた。当時の筆者がここに入学していたら、当然白人のボーイフレンドなどできなかっただろうし、万が一アジア人以外の彼氏を作ったら退学になっていたわけである。

 これがアパルトヘイト制度下の南アフリカ共和国でもなく、ナチ政権当時のドイツのことでもなく、近代のアメリカ南部の現実だった(ついでに言うと、キャンパス内でのロック音楽禁止は現在もまだ続いているらしい)。

 考えてみれば白人と日本人の混血だったジェニー自身、学校のポリシーに反する罪の象徴の存在だったはずである。もう一度彼女に会うことができるのなら、それをどう受け止めていたのか聞いてみたかった。信仰と人種偏見が、どう両立するのかも校長に聞いてみたかった。

 そもそもこんなところに日本人留学生を紹介しようとした田中氏も、どのくらい南部の保守的な校風を理解していたのだろうか。

 さて危ういところでボブ・ジョーンズを抜け出し、筆者はそこまで過激ではないノースカロライナの田舎の小さなサザンバプティスト派の高校に入学した。一番近くにある都市は車で30分ほどのウィンストン・セーラムで、市の名前からもわかるように周辺はタバコ畑だらけ。あとは目に付くのは教会がやたらと多いことだった。

 ここでも、びっくりすることの連続だった。

(パート2に続く)


221. 中川隆[-8898] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:51:45 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[4] 報告
▲△▽▼

From NY
2020年11月23日
「信仰とは天国に到達する手段」
保守派のアメリカのクリスチャンの素顔(2)
田村明子 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21394

 11月3日に行われた大統領選は、数日間かけた集票の結果、民主党ジョー・バイデン候補者の勝利が確実になった。

 集票が拮抗してなかなか結果が出ないスイングステートの中でも、最後まで残っていた州の一つが、筆者が高校時代を過ごしたノースカロライナだった。ピュー研究所の統計によると、州内のクリスチャン人口77%のうち、35%が福音派であるこの州は、基本的に保守派の共和党が多い。

 だが2006年にはオバマ氏が勝利を収めており、今回はどのような結果になるのか筆者も興味深く見守っていた。当時の同級生たちは、どちらに投票したのだろうかと想像しながら。

(前回のコラム『米国「保守派」クリスチャンたちの素顔』から続く)

 筆者は1977年9月、ノースカロライナ州にある寮制の私立高校に入学した。ウィンストンセーラム郊外にある、当時人口1万人ほどの小さな町だった。

 寮制といっても、全校100人余りの生徒のほとんどは、自宅通学のDay Studentだった。

 当時ノースカロライナでは16歳から(現在は18歳)運転免許を獲得することができた。みんな15歳のうちに路上テストを受けて免許証を手にし、16歳の誕生日の朝には両親からプレゼントされた車を運転して意気揚々と学校に来る。車社会のアメリカで、アッパーミドルクラスの家庭にとっては当たり前のことだった。

 「ちょっと見て、あれブライアンじゃない?」

 「ブライアンだわ。今日は彼の誕生日なんだ!」

 医者の息子のブライアンが、シルバーのポルシェで学校の駐車場に乗り付けた日の朝は、さすがに女の子たちが色めき立った。

 一方筆者を含めた10人ほどの寮生は、そんな通いの学生たちとはあまり交わらず、校舎の横にある古いレンガ造りの寮で静かに暮らしていた。

週に3度の教会通い
 車がなければどこにも行けないこの町で、車も免許もない我々寮生は、ひたすら校舎とその横にある寮を往復する日々を送っていた。

 唯一のお出かけは、教会である。

 日曜日は朝と夕方の2回。そして水曜日の夕方の合計週に3回、ミニバンが寮の前に我々寮生を迎えに来た。朝の礼拝はたっぷり3時間。夕方も2時間ほど時間を取られ、まだ半分くらいしかわからない南部訛りの英語の説教をじっと我慢して聞く。正直に言えば、苦痛だった。

 もっとも、嫌だったことばかりではない。

 教会はこの田舎町で、気が済むまでお洒落をして出かける唯一の社交の場でもあった。肌の露出度さえ高くなければ、好きなだけドレスアップして行くことができた。もともとアメリカの学校では一般的に、女子学生が化粧をするのが「悪いこと」という感覚はない。14、15歳から女の子はピアスをし、髪をドライヤーで完璧にセットしてメークをほどこし、マニキュアまできれいに塗って学校にやってくる。お洒落づいた年齢の女の子にとって、大人になるプロセスの一つでごく当たり前のこととして受け止められていた。

 日曜日の朝の礼拝後、月に一度くらい信者たちが手料理を持ち寄ってランチビュッフェが開催されるのも、楽しみだった。ミートローフ、フライドチキン、アップルパイやアイスクリームなど、南部料理はどれも恐ろしく高カロリーだが、手作りのお料理は美味しい。父兄、教師たちは太っている人がほとんどで、肥満体ではない大人は珍しかった。筆者もこのノースカロライナ時代は、あっという間に体重が増えていったのである。

 だがいくら教会に通っていても、筆者はクリスチャンになろうとは一度も思わなかった。子供の頃から好奇心で聖書もかなり読んだけれど、元々実家は曹洞宗である。わざわざキリスト教に入信する必要性を感じなかったし、そもそも団体で集まって人前でお祈りをする、ということが苦手だった。

 それでも毎週3回、迎えのバスが来ると大人しく乗り込んで教会に通った。

「天国行く人は手をあげて」
 連れていかれた教会は、アメリカの人口のおよそ3分の1といわれる福音派の教会だった。

 その福音派の白人信者の80%近くが、共和党とされている。合衆国憲法には政教分離が謳われているものの、現実にはこの南部を中心とした福音派のクリスチャンたちが、現在の保守派共和党の基盤を支えているのである。

 福音派の教会は、会議場に塔をつけたようなシンプルな建物が多い。南部訛りの強い牧師さんの説教はあまり理解できず、ときどき信者の人たちが突然声を上げて泣き出したりするのも、最初はびっくりしてドン引きした。

 だがもっと驚いたのは、ある日の礼拝中のことである。

 「How many of you are going to Heaven? Please raise your hand. (あなたたちの中で、天国に行く人は? 手をあげて下さい)」

 牧師さんがそう言うのを耳にしたときは、最初は冗談かと思った。だが集まっていた信者のほとんどが真面目な顔をして手を高々をあげたときは、もっと驚いて思わず「えええ〜」と声が出そうになった。

 日本のプロテスタントの教会でも、カソリックの中学校でも、そんなことを聞かれた覚えはない。人間側が決めることだと教わったことはなかった。

 「はい、私は天国に行きます」と本気で断言する人がいたら、日本社会では間違いなく「アブナイ人」のカテゴリーに入れられるだろうと思う。

 その「アブナイ人たち」に周りを囲まれていることを子供なりに理解して、じわじわと腹の底から恐怖心が沸いてきた。

福音派の信仰というもの
 寮に戻ってから、シャロンという一学年上のアメリカ人に恐る恐る聞いてみた。アーカンソー州出身の彼女も、高々と手をあげた一人だった。

 「シャロン、今日の牧師さんのお話で、天国に行く人は手をあげて、って言ったよね」

 「ええ、それがどうかしたの?」

 「どうして自分は天国に行く、って断言できるの? 日本では、そんなこと言ったら傲慢だと受け止められるけれど」

 「それはね、聖書に書いてあるからなのよ」

 1歳年上のシャロンは、当時絶大な人気だったファラ・フォーセットのようにきれいにブローした髪をかきあげながら、まだ英語の拙い私に、ゆっくり説明してくれた。

 「新約聖書では、イエス様が『天国の門に到達する方法は、神の子である自分を通して以外の方法はない』とはっきり言っているの。だからイエス様が自分の罪のために死んでくださった救世主であることを受けいれた人は、罪が許されて天国に行くことが約束されるのよ」

 うーむ。それなりに理屈は通っているものの、ちょっとムシの良い話に思えた。

 だがこれが米国の福音主義の根本にある教義なのである。イエス・キリストを救世主であると受け入れるのと引き換えに、天国行きの切符が約束される。キリストの贖罪によって自分の罪は消えたため、隣人を愛せよとか、敵を許せとか、人を裁くなとか、右の頬を叩かれたら左の頬を出せ、というような教えは二の次であり、天国行きには影響しない、というのが彼らの基本的考え方だ。

 福音派クリスチャンが信仰を生活の中心に置く傍らで、白人至上主義であったり、銃所持の規制に絶対反対の姿勢を貫くのは、日本人の感覚ではちょっと理解しがたい。だが彼らの中では矛盾していない。極端に言うなら、彼らにとって信仰とは人として正しい行動をするためのものではなく、キリストと契約を結んで天国に到達する手段なのである。

 (キリストの贖罪は、全てのクリスチャンにとって基本の教義である。だが極端に排他的な米国の福音派はクリスチャンの中でもカルト的とされていて、特殊な存在だ。もっとも信者の中には自分たちの排他的な部分を批判し、人種差別撤退の市民運動を支持し、チャリティ活動に人生を捧げた人たちもいることは、記しておきたい)

 「ではクリスチャン以外の人はどうなるの? 日本にはクリスチャンでなくても、善行を積んだ立派な人はたくさんいるけれど、彼らはどこに行くの?」

 「悪いけれど、クリスチャン以外は全員地獄に行くのよ。いくら良い人だって、クリスチャンでないのなら間違った生き方をしているの」

 答えは予想はしていたものの、面と向かって言われるとショックであった。(考えてみれば、クリスチャンは過去にこうして「原住民の魂の救済」を口実にして、世界中で侵略、虐殺を繰り返してきたのだった)

 これは、エライところに来てしまった。ようやく当時15才だった筆者にも、自分の置かれた状況が飲み込めてきた。
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/438.html#c4

[近代史4] キリスト教原理主義を知らないとアメリカ人の行動様式は理解できない 中川隆
1. 中川隆[-8896] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:53:31 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[6]
From NY
2020年10月28日
米国「保守派」クリスチャンたちの素顔
もう一つのアメリカ、筆者の見た保守派の南部の高校生活
田村明子 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21189

 いよいよ大統領選を迎えようとしている現在、アメリカは保守派の共和党と、リベラルの民主党の真っ二つに分裂している。

 筆者がアメリカに移住したのは、1977年の春、カーター大統領政権が誕生して間もなくのことだった。あれから43年この国に住んでいるが、現在のアメリカほど分裂したアメリカを見たことがない。

 40年間住んでいるこのニューヨークは、国際色豊かで文化の懐の深い街である。でもここにいると、アメリカ合衆国全体の、保守的、閉鎖的で、自分たちと異質なものには徹底的に排他的な側面を見失いそうになってしまう。

 実は筆者が初めて暮らしたアメリカの地は、ノースカロライナ州だった。南部でもディープサウスと言われるほどの僻地ではないものの、現在でも共和党が多数派の土地である。


ノースカロライナ州シャーロットの歴史的建造物(/gettyimages)
 当時はまだ高校生で英語力も限られ、社会に対する理解力にも限界があった。それでもアメリカの保守派とされる社会を生の体験できたことは貴重な体験だったし、今振り返るとトンでもないこと、面白いこともたくさんあった。

「ロックは悪魔の音楽なのよ」

 筆者が10年生(日本の高校1年)として入学した先は、プロテスタント、サザンバプティスト派(南部バプティスト派)の高校だった。

 留学を許してくれた両親は、ミッション系の学校なら治安も良く、留学生活も安全だろうという思いを持っていたと思う。ところが実際に行ってみると、それがものすごく日本的な勘違いだったことに間もなく気が付いた。

 サザンバプティスト派は、トランプ再選の鍵を握ると言われている福音派の最大の一派で、信者は1500万人いると言われている。筆者が直に触れた彼らの信仰、思想は、日本人がイメージする「クリスチャン」とはかけ離れたものだった。そんなこともわからずに留学した筆者は、誤解を恐れずに言うなら、白人カルト集団にアジア人のティーネージャーの娘が一人でノコノコ乗り込んで行ったようなものだった。


ノースカロライナ州シャーロット(klenger/gettyimages)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21189


 最初にたどり着いたのはノースカロライナ州シャーロット郊外にある、大学付属の英語学校だった。東京のクリスチャン系の留学コンサルタントを通して、全国から集まった同年代の女の子が筆者もいれて5人(ちなみに男の子たちは、年頃の男女を数カ月一緒にしておくと風紀上問題ありという理由から、フロリダの英語学校に送られていた)夏の間ここで英語を学び、9月からそれぞれの高校に振り分けられる予定になっていた。

 英語学校の編入試験が終わった頃、筆者は留学コンサルタントの田中氏の車で、候補の高校のキャンパス見学に連れていってもらった。

 行った先は、サウスカロライナ州グリーンビルにあるボブ・ジョーンズ大学高等部。アメリカ人なら、名前を聞けばすぐにぴんとくる有名校である。だがそれは、良い意味ではない。

 「大学も付属している南部一の名門校だよ。ぼくが紹介できる学校の中では、ここがぴか一なんだ」と、田中氏は嬉しそうに強調した。校門前に大きな噴水があって、まるでリゾートのようだった。

 田中氏と旧知の仲だという校長に挨拶すると、彼は日本人とアメリカ人のハーフの女の子を連れてきた。ジェニーというその学生が、まだ英語もつたない筆者のために日本語でキャンパス案内をかって出てくれたのだ。ここなら楽しい高校生活が送れるかも。そう思っていた矢先、筆者にとってはカルチャーショックともいえる出来事が起きた。

 「ねえ、あなたはどんな音楽を聴くの? クイーンとか好き?」

 もともと筆者が高校留学を希望したのは、小学生の頃から聞き始めたロック音楽がきっかけだった。英語文化にめざめ、海外留学をして将来は通訳になりたいと憧れていた。

 でも筆者にそう聞かれたジェニーは、さっと蒼ざめた。目を大きく見開いて、顔をこわばらせている。返ってきたのは、こういう返事だった。

 「ロックは、ここでは禁止されているのよ。だってあれは、悪魔の音楽ですもの!!」

 悪魔の音楽…。今度は筆者の顔が思い切りこわばった。

 筆者は当時も現在も、クリスチャンではない。でも小学生の頃は友人たちと誘い合わせてプロテスタント系の教会の日曜学校に通い、中学はカソリック系の女子校に行った。聖書もたっぷり読んだし、お祈りも讃美歌も覚えた。カソリック系女子中学は、服装などの規則はものすごくうるさかったものの、さすがにロックが悪魔の音楽だなどと極端なことを言われたことは一度もない。

 これがサザンバプティストとの、初めての出会いだった。

異人種間の交際は禁止
 ジェニーに何と答えたのか覚えていない。記憶にあるのは、彼女が最後に恍惚とした表情を浮かべて、両手でぐるりと円を描いてこう言ったことである。

 「この学校にいるとね、神様がすぐここにいらっしゃるのがわかるの!!」

 ジェニーの薄茶色の瞳が何もない空間を見つめているのが、とても怖かった。

 こりゃまずい。そもそもクリスチャンではない私には、とても歯が立たない場所だと子供なりに理解した。この高校だけは無理です。そう伝えると、田中氏はもんのすごく不機嫌になったが、他の高校を紹介することに同意してくれた。

 後に調べるとこのボブ・ジョーンズ大学は、人種差別で悪名高いところだった。

 創立以来、黒人の生徒の入学を許可していなかったため、連邦国税庁から教育機関としての税金優遇対象からはずすと脅され、しぶしぶ黒人の受け入れを始めたのが1971年。だがそれから5年間は、黒人は既婚者のカップルのみ入学許可してきた。奇妙な校則だがその理由は、学校内で異人種間の交際を禁じていたためである。この異人種間の交際禁止という校則はなんと2004年まで続いた。当時の筆者がここに入学していたら、当然白人のボーイフレンドなどできなかっただろうし、万が一アジア人以外の彼氏を作ったら退学になっていたわけである。

 これがアパルトヘイト制度下の南アフリカ共和国でもなく、ナチ政権当時のドイツのことでもなく、近代のアメリカ南部の現実だった(ついでに言うと、キャンパス内でのロック音楽禁止は現在もまだ続いているらしい)。

 考えてみれば白人と日本人の混血だったジェニー自身、学校のポリシーに反する罪の象徴の存在だったはずである。もう一度彼女に会うことができるのなら、それをどう受け止めていたのか聞いてみたかった。信仰と人種偏見が、どう両立するのかも校長に聞いてみたかった。

 そもそもこんなところに日本人留学生を紹介しようとした田中氏も、どのくらい南部の保守的な校風を理解していたのだろうか。

 さて危ういところでボブ・ジョーンズを抜け出し、筆者はそこまで過激ではないノースカロライナの田舎の小さなサザンバプティスト派の高校に入学した。一番近くにある都市は車で30分ほどのウィンストン・セーラムで、市の名前からもわかるように周辺はタバコ畑だらけ。あとは目に付くのは教会がやたらと多いことだった。

 ここでも、びっくりすることの連続だった。

(パート2に続く)


221. 中川隆[-8898] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:51:45 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[4] 報告
▲△▽▼

From NY
2020年11月23日
「信仰とは天国に到達する手段」
保守派のアメリカのクリスチャンの素顔(2)
田村明子 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21394

 11月3日に行われた大統領選は、数日間かけた集票の結果、民主党ジョー・バイデン候補者の勝利が確実になった。

 集票が拮抗してなかなか結果が出ないスイングステートの中でも、最後まで残っていた州の一つが、筆者が高校時代を過ごしたノースカロライナだった。ピュー研究所の統計によると、州内のクリスチャン人口77%のうち、35%が福音派であるこの州は、基本的に保守派の共和党が多い。

 だが2006年にはオバマ氏が勝利を収めており、今回はどのような結果になるのか筆者も興味深く見守っていた。当時の同級生たちは、どちらに投票したのだろうかと想像しながら。

(前回のコラム『米国「保守派」クリスチャンたちの素顔』から続く)

 筆者は1977年9月、ノースカロライナ州にある寮制の私立高校に入学した。ウィンストンセーラム郊外にある、当時人口1万人ほどの小さな町だった。

 寮制といっても、全校100人余りの生徒のほとんどは、自宅通学のDay Studentだった。

 当時ノースカロライナでは16歳から(現在は18歳)運転免許を獲得することができた。みんな15歳のうちに路上テストを受けて免許証を手にし、16歳の誕生日の朝には両親からプレゼントされた車を運転して意気揚々と学校に来る。車社会のアメリカで、アッパーミドルクラスの家庭にとっては当たり前のことだった。

 「ちょっと見て、あれブライアンじゃない?」

 「ブライアンだわ。今日は彼の誕生日なんだ!」

 医者の息子のブライアンが、シルバーのポルシェで学校の駐車場に乗り付けた日の朝は、さすがに女の子たちが色めき立った。

 一方筆者を含めた10人ほどの寮生は、そんな通いの学生たちとはあまり交わらず、校舎の横にある古いレンガ造りの寮で静かに暮らしていた。

週に3度の教会通い
 車がなければどこにも行けないこの町で、車も免許もない我々寮生は、ひたすら校舎とその横にある寮を往復する日々を送っていた。

 唯一のお出かけは、教会である。

 日曜日は朝と夕方の2回。そして水曜日の夕方の合計週に3回、ミニバンが寮の前に我々寮生を迎えに来た。朝の礼拝はたっぷり3時間。夕方も2時間ほど時間を取られ、まだ半分くらいしかわからない南部訛りの英語の説教をじっと我慢して聞く。正直に言えば、苦痛だった。

 もっとも、嫌だったことばかりではない。

 教会はこの田舎町で、気が済むまでお洒落をして出かける唯一の社交の場でもあった。肌の露出度さえ高くなければ、好きなだけドレスアップして行くことができた。もともとアメリカの学校では一般的に、女子学生が化粧をするのが「悪いこと」という感覚はない。14、15歳から女の子はピアスをし、髪をドライヤーで完璧にセットしてメークをほどこし、マニキュアまできれいに塗って学校にやってくる。お洒落づいた年齢の女の子にとって、大人になるプロセスの一つでごく当たり前のこととして受け止められていた。

 日曜日の朝の礼拝後、月に一度くらい信者たちが手料理を持ち寄ってランチビュッフェが開催されるのも、楽しみだった。ミートローフ、フライドチキン、アップルパイやアイスクリームなど、南部料理はどれも恐ろしく高カロリーだが、手作りのお料理は美味しい。父兄、教師たちは太っている人がほとんどで、肥満体ではない大人は珍しかった。筆者もこのノースカロライナ時代は、あっという間に体重が増えていったのである。

 だがいくら教会に通っていても、筆者はクリスチャンになろうとは一度も思わなかった。子供の頃から好奇心で聖書もかなり読んだけれど、元々実家は曹洞宗である。わざわざキリスト教に入信する必要性を感じなかったし、そもそも団体で集まって人前でお祈りをする、ということが苦手だった。

 それでも毎週3回、迎えのバスが来ると大人しく乗り込んで教会に通った。

「天国行く人は手をあげて」
 連れていかれた教会は、アメリカの人口のおよそ3分の1といわれる福音派の教会だった。

 その福音派の白人信者の80%近くが、共和党とされている。合衆国憲法には政教分離が謳われているものの、現実にはこの南部を中心とした福音派のクリスチャンたちが、現在の保守派共和党の基盤を支えているのである。

 福音派の教会は、会議場に塔をつけたようなシンプルな建物が多い。南部訛りの強い牧師さんの説教はあまり理解できず、ときどき信者の人たちが突然声を上げて泣き出したりするのも、最初はびっくりしてドン引きした。

 だがもっと驚いたのは、ある日の礼拝中のことである。

 「How many of you are going to Heaven? Please raise your hand. (あなたたちの中で、天国に行く人は? 手をあげて下さい)」

 牧師さんがそう言うのを耳にしたときは、最初は冗談かと思った。だが集まっていた信者のほとんどが真面目な顔をして手を高々をあげたときは、もっと驚いて思わず「えええ〜」と声が出そうになった。

 日本のプロテスタントの教会でも、カソリックの中学校でも、そんなことを聞かれた覚えはない。人間側が決めることだと教わったことはなかった。

 「はい、私は天国に行きます」と本気で断言する人がいたら、日本社会では間違いなく「アブナイ人」のカテゴリーに入れられるだろうと思う。

 その「アブナイ人たち」に周りを囲まれていることを子供なりに理解して、じわじわと腹の底から恐怖心が沸いてきた。

福音派の信仰というもの
 寮に戻ってから、シャロンという一学年上のアメリカ人に恐る恐る聞いてみた。アーカンソー州出身の彼女も、高々と手をあげた一人だった。

 「シャロン、今日の牧師さんのお話で、天国に行く人は手をあげて、って言ったよね」

 「ええ、それがどうかしたの?」

 「どうして自分は天国に行く、って断言できるの? 日本では、そんなこと言ったら傲慢だと受け止められるけれど」

 「それはね、聖書に書いてあるからなのよ」

 1歳年上のシャロンは、当時絶大な人気だったファラ・フォーセットのようにきれいにブローした髪をかきあげながら、まだ英語の拙い私に、ゆっくり説明してくれた。

 「新約聖書では、イエス様が『天国の門に到達する方法は、神の子である自分を通して以外の方法はない』とはっきり言っているの。だからイエス様が自分の罪のために死んでくださった救世主であることを受けいれた人は、罪が許されて天国に行くことが約束されるのよ」

 うーむ。それなりに理屈は通っているものの、ちょっとムシの良い話に思えた。

 だがこれが米国の福音主義の根本にある教義なのである。イエス・キリストを救世主であると受け入れるのと引き換えに、天国行きの切符が約束される。キリストの贖罪によって自分の罪は消えたため、隣人を愛せよとか、敵を許せとか、人を裁くなとか、右の頬を叩かれたら左の頬を出せ、というような教えは二の次であり、天国行きには影響しない、というのが彼らの基本的考え方だ。

 福音派クリスチャンが信仰を生活の中心に置く傍らで、白人至上主義であったり、銃所持の規制に絶対反対の姿勢を貫くのは、日本人の感覚ではちょっと理解しがたい。だが彼らの中では矛盾していない。極端に言うなら、彼らにとって信仰とは人として正しい行動をするためのものではなく、キリストと契約を結んで天国に到達する手段なのである。

 (キリストの贖罪は、全てのクリスチャンにとって基本の教義である。だが極端に排他的な米国の福音派はクリスチャンの中でもカルト的とされていて、特殊な存在だ。もっとも信者の中には自分たちの排他的な部分を批判し、人種差別撤退の市民運動を支持し、チャリティ活動に人生を捧げた人たちもいることは、記しておきたい)

 「ではクリスチャン以外の人はどうなるの? 日本にはクリスチャンでなくても、善行を積んだ立派な人はたくさんいるけれど、彼らはどこに行くの?」

 「悪いけれど、クリスチャン以外は全員地獄に行くのよ。いくら良い人だって、クリスチャンでないのなら間違った生き方をしているの」

 答えは予想はしていたものの、面と向かって言われるとショックであった。(考えてみれば、クリスチャンは過去にこうして「原住民の魂の救済」を口実にして、世界中で侵略、虐殺を繰り返してきたのだった)

 これは、エライところに来てしまった。ようやく当時15才だった筆者にも、自分の置かれた状況が飲み込めてきた。
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/565.html#c1

[近代史4] キリスト教原理主義 中川隆
5. 中川隆[-8895] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:54:38 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[7]
From NY
2020年10月28日
米国「保守派」クリスチャンたちの素顔
もう一つのアメリカ、筆者の見た保守派の南部の高校生活
田村明子 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21189

 いよいよ大統領選を迎えようとしている現在、アメリカは保守派の共和党と、リベラルの民主党の真っ二つに分裂している。

 筆者がアメリカに移住したのは、1977年の春、カーター大統領政権が誕生して間もなくのことだった。あれから43年この国に住んでいるが、現在のアメリカほど分裂したアメリカを見たことがない。

 40年間住んでいるこのニューヨークは、国際色豊かで文化の懐の深い街である。でもここにいると、アメリカ合衆国全体の、保守的、閉鎖的で、自分たちと異質なものには徹底的に排他的な側面を見失いそうになってしまう。

 実は筆者が初めて暮らしたアメリカの地は、ノースカロライナ州だった。南部でもディープサウスと言われるほどの僻地ではないものの、現在でも共和党が多数派の土地である。


ノースカロライナ州シャーロットの歴史的建造物(/gettyimages)
 当時はまだ高校生で英語力も限られ、社会に対する理解力にも限界があった。それでもアメリカの保守派とされる社会を生の体験できたことは貴重な体験だったし、今振り返るとトンでもないこと、面白いこともたくさんあった。

「ロックは悪魔の音楽なのよ」

 筆者が10年生(日本の高校1年)として入学した先は、プロテスタント、サザンバプティスト派(南部バプティスト派)の高校だった。

 留学を許してくれた両親は、ミッション系の学校なら治安も良く、留学生活も安全だろうという思いを持っていたと思う。ところが実際に行ってみると、それがものすごく日本的な勘違いだったことに間もなく気が付いた。

 サザンバプティスト派は、トランプ再選の鍵を握ると言われている福音派の最大の一派で、信者は1500万人いると言われている。筆者が直に触れた彼らの信仰、思想は、日本人がイメージする「クリスチャン」とはかけ離れたものだった。そんなこともわからずに留学した筆者は、誤解を恐れずに言うなら、白人カルト集団にアジア人のティーネージャーの娘が一人でノコノコ乗り込んで行ったようなものだった。


ノースカロライナ州シャーロット(klenger/gettyimages)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21189


 最初にたどり着いたのはノースカロライナ州シャーロット郊外にある、大学付属の英語学校だった。東京のクリスチャン系の留学コンサルタントを通して、全国から集まった同年代の女の子が筆者もいれて5人(ちなみに男の子たちは、年頃の男女を数カ月一緒にしておくと風紀上問題ありという理由から、フロリダの英語学校に送られていた)夏の間ここで英語を学び、9月からそれぞれの高校に振り分けられる予定になっていた。

 英語学校の編入試験が終わった頃、筆者は留学コンサルタントの田中氏の車で、候補の高校のキャンパス見学に連れていってもらった。

 行った先は、サウスカロライナ州グリーンビルにあるボブ・ジョーンズ大学高等部。アメリカ人なら、名前を聞けばすぐにぴんとくる有名校である。だがそれは、良い意味ではない。

 「大学も付属している南部一の名門校だよ。ぼくが紹介できる学校の中では、ここがぴか一なんだ」と、田中氏は嬉しそうに強調した。校門前に大きな噴水があって、まるでリゾートのようだった。

 田中氏と旧知の仲だという校長に挨拶すると、彼は日本人とアメリカ人のハーフの女の子を連れてきた。ジェニーというその学生が、まだ英語もつたない筆者のために日本語でキャンパス案内をかって出てくれたのだ。ここなら楽しい高校生活が送れるかも。そう思っていた矢先、筆者にとってはカルチャーショックともいえる出来事が起きた。

 「ねえ、あなたはどんな音楽を聴くの? クイーンとか好き?」

 もともと筆者が高校留学を希望したのは、小学生の頃から聞き始めたロック音楽がきっかけだった。英語文化にめざめ、海外留学をして将来は通訳になりたいと憧れていた。

 でも筆者にそう聞かれたジェニーは、さっと蒼ざめた。目を大きく見開いて、顔をこわばらせている。返ってきたのは、こういう返事だった。

 「ロックは、ここでは禁止されているのよ。だってあれは、悪魔の音楽ですもの!!」

 悪魔の音楽…。今度は筆者の顔が思い切りこわばった。

 筆者は当時も現在も、クリスチャンではない。でも小学生の頃は友人たちと誘い合わせてプロテスタント系の教会の日曜学校に通い、中学はカソリック系の女子校に行った。聖書もたっぷり読んだし、お祈りも讃美歌も覚えた。カソリック系女子中学は、服装などの規則はものすごくうるさかったものの、さすがにロックが悪魔の音楽だなどと極端なことを言われたことは一度もない。

 これがサザンバプティストとの、初めての出会いだった。

異人種間の交際は禁止
 ジェニーに何と答えたのか覚えていない。記憶にあるのは、彼女が最後に恍惚とした表情を浮かべて、両手でぐるりと円を描いてこう言ったことである。

 「この学校にいるとね、神様がすぐここにいらっしゃるのがわかるの!!」

 ジェニーの薄茶色の瞳が何もない空間を見つめているのが、とても怖かった。

 こりゃまずい。そもそもクリスチャンではない私には、とても歯が立たない場所だと子供なりに理解した。この高校だけは無理です。そう伝えると、田中氏はもんのすごく不機嫌になったが、他の高校を紹介することに同意してくれた。

 後に調べるとこのボブ・ジョーンズ大学は、人種差別で悪名高いところだった。

 創立以来、黒人の生徒の入学を許可していなかったため、連邦国税庁から教育機関としての税金優遇対象からはずすと脅され、しぶしぶ黒人の受け入れを始めたのが1971年。だがそれから5年間は、黒人は既婚者のカップルのみ入学許可してきた。奇妙な校則だがその理由は、学校内で異人種間の交際を禁じていたためである。この異人種間の交際禁止という校則はなんと2004年まで続いた。当時の筆者がここに入学していたら、当然白人のボーイフレンドなどできなかっただろうし、万が一アジア人以外の彼氏を作ったら退学になっていたわけである。

 これがアパルトヘイト制度下の南アフリカ共和国でもなく、ナチ政権当時のドイツのことでもなく、近代のアメリカ南部の現実だった(ついでに言うと、キャンパス内でのロック音楽禁止は現在もまだ続いているらしい)。

 考えてみれば白人と日本人の混血だったジェニー自身、学校のポリシーに反する罪の象徴の存在だったはずである。もう一度彼女に会うことができるのなら、それをどう受け止めていたのか聞いてみたかった。信仰と人種偏見が、どう両立するのかも校長に聞いてみたかった。

 そもそもこんなところに日本人留学生を紹介しようとした田中氏も、どのくらい南部の保守的な校風を理解していたのだろうか。

 さて危ういところでボブ・ジョーンズを抜け出し、筆者はそこまで過激ではないノースカロライナの田舎の小さなサザンバプティスト派の高校に入学した。一番近くにある都市は車で30分ほどのウィンストン・セーラムで、市の名前からもわかるように周辺はタバコ畑だらけ。あとは目に付くのは教会がやたらと多いことだった。

 ここでも、びっくりすることの連続だった。

(パート2に続く)


221. 中川隆[-8898] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:51:45 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[4] 報告
▲△▽▼

From NY
2020年11月23日
「信仰とは天国に到達する手段」
保守派のアメリカのクリスチャンの素顔(2)
田村明子 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21394

 11月3日に行われた大統領選は、数日間かけた集票の結果、民主党ジョー・バイデン候補者の勝利が確実になった。

 集票が拮抗してなかなか結果が出ないスイングステートの中でも、最後まで残っていた州の一つが、筆者が高校時代を過ごしたノースカロライナだった。ピュー研究所の統計によると、州内のクリスチャン人口77%のうち、35%が福音派であるこの州は、基本的に保守派の共和党が多い。

 だが2006年にはオバマ氏が勝利を収めており、今回はどのような結果になるのか筆者も興味深く見守っていた。当時の同級生たちは、どちらに投票したのだろうかと想像しながら。

(前回のコラム『米国「保守派」クリスチャンたちの素顔』から続く)

 筆者は1977年9月、ノースカロライナ州にある寮制の私立高校に入学した。ウィンストンセーラム郊外にある、当時人口1万人ほどの小さな町だった。

 寮制といっても、全校100人余りの生徒のほとんどは、自宅通学のDay Studentだった。

 当時ノースカロライナでは16歳から(現在は18歳)運転免許を獲得することができた。みんな15歳のうちに路上テストを受けて免許証を手にし、16歳の誕生日の朝には両親からプレゼントされた車を運転して意気揚々と学校に来る。車社会のアメリカで、アッパーミドルクラスの家庭にとっては当たり前のことだった。

 「ちょっと見て、あれブライアンじゃない?」

 「ブライアンだわ。今日は彼の誕生日なんだ!」

 医者の息子のブライアンが、シルバーのポルシェで学校の駐車場に乗り付けた日の朝は、さすがに女の子たちが色めき立った。

 一方筆者を含めた10人ほどの寮生は、そんな通いの学生たちとはあまり交わらず、校舎の横にある古いレンガ造りの寮で静かに暮らしていた。

週に3度の教会通い
 車がなければどこにも行けないこの町で、車も免許もない我々寮生は、ひたすら校舎とその横にある寮を往復する日々を送っていた。

 唯一のお出かけは、教会である。

 日曜日は朝と夕方の2回。そして水曜日の夕方の合計週に3回、ミニバンが寮の前に我々寮生を迎えに来た。朝の礼拝はたっぷり3時間。夕方も2時間ほど時間を取られ、まだ半分くらいしかわからない南部訛りの英語の説教をじっと我慢して聞く。正直に言えば、苦痛だった。

 もっとも、嫌だったことばかりではない。

 教会はこの田舎町で、気が済むまでお洒落をして出かける唯一の社交の場でもあった。肌の露出度さえ高くなければ、好きなだけドレスアップして行くことができた。もともとアメリカの学校では一般的に、女子学生が化粧をするのが「悪いこと」という感覚はない。14、15歳から女の子はピアスをし、髪をドライヤーで完璧にセットしてメークをほどこし、マニキュアまできれいに塗って学校にやってくる。お洒落づいた年齢の女の子にとって、大人になるプロセスの一つでごく当たり前のこととして受け止められていた。

 日曜日の朝の礼拝後、月に一度くらい信者たちが手料理を持ち寄ってランチビュッフェが開催されるのも、楽しみだった。ミートローフ、フライドチキン、アップルパイやアイスクリームなど、南部料理はどれも恐ろしく高カロリーだが、手作りのお料理は美味しい。父兄、教師たちは太っている人がほとんどで、肥満体ではない大人は珍しかった。筆者もこのノースカロライナ時代は、あっという間に体重が増えていったのである。

 だがいくら教会に通っていても、筆者はクリスチャンになろうとは一度も思わなかった。子供の頃から好奇心で聖書もかなり読んだけれど、元々実家は曹洞宗である。わざわざキリスト教に入信する必要性を感じなかったし、そもそも団体で集まって人前でお祈りをする、ということが苦手だった。

 それでも毎週3回、迎えのバスが来ると大人しく乗り込んで教会に通った。

「天国行く人は手をあげて」
 連れていかれた教会は、アメリカの人口のおよそ3分の1といわれる福音派の教会だった。

 その福音派の白人信者の80%近くが、共和党とされている。合衆国憲法には政教分離が謳われているものの、現実にはこの南部を中心とした福音派のクリスチャンたちが、現在の保守派共和党の基盤を支えているのである。

 福音派の教会は、会議場に塔をつけたようなシンプルな建物が多い。南部訛りの強い牧師さんの説教はあまり理解できず、ときどき信者の人たちが突然声を上げて泣き出したりするのも、最初はびっくりしてドン引きした。

 だがもっと驚いたのは、ある日の礼拝中のことである。

 「How many of you are going to Heaven? Please raise your hand. (あなたたちの中で、天国に行く人は? 手をあげて下さい)」

 牧師さんがそう言うのを耳にしたときは、最初は冗談かと思った。だが集まっていた信者のほとんどが真面目な顔をして手を高々をあげたときは、もっと驚いて思わず「えええ〜」と声が出そうになった。

 日本のプロテスタントの教会でも、カソリックの中学校でも、そんなことを聞かれた覚えはない。人間側が決めることだと教わったことはなかった。

 「はい、私は天国に行きます」と本気で断言する人がいたら、日本社会では間違いなく「アブナイ人」のカテゴリーに入れられるだろうと思う。

 その「アブナイ人たち」に周りを囲まれていることを子供なりに理解して、じわじわと腹の底から恐怖心が沸いてきた。

福音派の信仰というもの
 寮に戻ってから、シャロンという一学年上のアメリカ人に恐る恐る聞いてみた。アーカンソー州出身の彼女も、高々と手をあげた一人だった。

 「シャロン、今日の牧師さんのお話で、天国に行く人は手をあげて、って言ったよね」

 「ええ、それがどうかしたの?」

 「どうして自分は天国に行く、って断言できるの? 日本では、そんなこと言ったら傲慢だと受け止められるけれど」

 「それはね、聖書に書いてあるからなのよ」

 1歳年上のシャロンは、当時絶大な人気だったファラ・フォーセットのようにきれいにブローした髪をかきあげながら、まだ英語の拙い私に、ゆっくり説明してくれた。

 「新約聖書では、イエス様が『天国の門に到達する方法は、神の子である自分を通して以外の方法はない』とはっきり言っているの。だからイエス様が自分の罪のために死んでくださった救世主であることを受けいれた人は、罪が許されて天国に行くことが約束されるのよ」

 うーむ。それなりに理屈は通っているものの、ちょっとムシの良い話に思えた。

 だがこれが米国の福音主義の根本にある教義なのである。イエス・キリストを救世主であると受け入れるのと引き換えに、天国行きの切符が約束される。キリストの贖罪によって自分の罪は消えたため、隣人を愛せよとか、敵を許せとか、人を裁くなとか、右の頬を叩かれたら左の頬を出せ、というような教えは二の次であり、天国行きには影響しない、というのが彼らの基本的考え方だ。

 福音派クリスチャンが信仰を生活の中心に置く傍らで、白人至上主義であったり、銃所持の規制に絶対反対の姿勢を貫くのは、日本人の感覚ではちょっと理解しがたい。だが彼らの中では矛盾していない。極端に言うなら、彼らにとって信仰とは人として正しい行動をするためのものではなく、キリストと契約を結んで天国に到達する手段なのである。

 (キリストの贖罪は、全てのクリスチャンにとって基本の教義である。だが極端に排他的な米国の福音派はクリスチャンの中でもカルト的とされていて、特殊な存在だ。もっとも信者の中には自分たちの排他的な部分を批判し、人種差別撤退の市民運動を支持し、チャリティ活動に人生を捧げた人たちもいることは、記しておきたい)

 「ではクリスチャン以外の人はどうなるの? 日本にはクリスチャンでなくても、善行を積んだ立派な人はたくさんいるけれど、彼らはどこに行くの?」

 「悪いけれど、クリスチャン以外は全員地獄に行くのよ。いくら良い人だって、クリスチャンでないのなら間違った生き方をしているの」

 答えは予想はしていたものの、面と向かって言われるとショックであった。(考えてみれば、クリスチャンは過去にこうして「原住民の魂の救済」を口実にして、世界中で侵略、虐殺を繰り返してきたのだった)

 これは、エライところに来てしまった。ようやく当時15才だった筆者にも、自分の置かれた状況が飲み込めてきた。
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/391.html#c5

[近代史5] キリスト教原理主義 中川隆
5. 中川隆[-8894] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:55:25 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[8]
キリスト教原理主義を知らないとアメリカ人の行動様式は理解できない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/565.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/438.html#c5
[近代史02] 白人はなぜ白人か _ 白人が人間性を失っていった過程 中川隆
222. 中川隆[-8893] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:56:42 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[9]
キリスト教原理主義を知らないとアメリカ人の行動様式は理解できない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/565.html

キリスト教原理主義
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/438.html
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/390.html#c222

[近代史3] アメリカ人には音楽は理解できない _ ジャズなんか音楽じゃない 中川隆
16. 中川隆[-8892] koaQ7Jey 2020年12月27日 09:58:13 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[10]
From NY
2020年10月28日
米国「保守派」クリスチャンたちの素顔
もう一つのアメリカ、筆者の見た保守派の南部の高校生活
田村明子 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21189
 いよいよ大統領選を迎えようとしている現在、アメリカは保守派の共和党と、リベラルの民主党の真っ二つに分裂している。

 筆者がアメリカに移住したのは、1977年の春、カーター大統領政権が誕生して間もなくのことだった。あれから43年この国に住んでいるが、現在のアメリカほど分裂したアメリカを見たことがない。

 40年間住んでいるこのニューヨークは、国際色豊かで文化の懐の深い街である。でもここにいると、アメリカ合衆国全体の、保守的、閉鎖的で、自分たちと異質なものには徹底的に排他的な側面を見失いそうになってしまう。

 実は筆者が初めて暮らしたアメリカの地は、ノースカロライナ州だった。南部でもディープサウスと言われるほどの僻地ではないものの、現在でも共和党が多数派の土地である。


ノースカロライナ州シャーロットの歴史的建造物(/gettyimages)
 当時はまだ高校生で英語力も限られ、社会に対する理解力にも限界があった。それでもアメリカの保守派とされる社会を生の体験できたことは貴重な体験だったし、今振り返るとトンでもないこと、面白いこともたくさんあった。

「ロックは悪魔の音楽なのよ」

 筆者が10年生(日本の高校1年)として入学した先は、プロテスタント、サザンバプティスト派(南部バプティスト派)の高校だった。

 留学を許してくれた両親は、ミッション系の学校なら治安も良く、留学生活も安全だろうという思いを持っていたと思う。ところが実際に行ってみると、それがものすごく日本的な勘違いだったことに間もなく気が付いた。

 サザンバプティスト派は、トランプ再選の鍵を握ると言われている福音派の最大の一派で、信者は1500万人いると言われている。筆者が直に触れた彼らの信仰、思想は、日本人がイメージする「クリスチャン」とはかけ離れたものだった。そんなこともわからずに留学した筆者は、誤解を恐れずに言うなら、白人カルト集団にアジア人のティーネージャーの娘が一人でノコノコ乗り込んで行ったようなものだった。


ノースカロライナ州シャーロット(klenger/gettyimages)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21189


 最初にたどり着いたのはノースカロライナ州シャーロット郊外にある、大学付属の英語学校だった。東京のクリスチャン系の留学コンサルタントを通して、全国から集まった同年代の女の子が筆者もいれて5人(ちなみに男の子たちは、年頃の男女を数カ月一緒にしておくと風紀上問題ありという理由から、フロリダの英語学校に送られていた)夏の間ここで英語を学び、9月からそれぞれの高校に振り分けられる予定になっていた。

 英語学校の編入試験が終わった頃、筆者は留学コンサルタントの田中氏の車で、候補の高校のキャンパス見学に連れていってもらった。

 行った先は、サウスカロライナ州グリーンビルにあるボブ・ジョーンズ大学高等部。アメリカ人なら、名前を聞けばすぐにぴんとくる有名校である。だがそれは、良い意味ではない。

 「大学も付属している南部一の名門校だよ。ぼくが紹介できる学校の中では、ここがぴか一なんだ」と、田中氏は嬉しそうに強調した。校門前に大きな噴水があって、まるでリゾートのようだった。

 田中氏と旧知の仲だという校長に挨拶すると、彼は日本人とアメリカ人のハーフの女の子を連れてきた。ジェニーというその学生が、まだ英語もつたない筆者のために日本語でキャンパス案内をかって出てくれたのだ。ここなら楽しい高校生活が送れるかも。そう思っていた矢先、筆者にとってはカルチャーショックともいえる出来事が起きた。

 「ねえ、あなたはどんな音楽を聴くの? クイーンとか好き?」

 もともと筆者が高校留学を希望したのは、小学生の頃から聞き始めたロック音楽がきっかけだった。英語文化にめざめ、海外留学をして将来は通訳になりたいと憧れていた。

 でも筆者にそう聞かれたジェニーは、さっと蒼ざめた。目を大きく見開いて、顔をこわばらせている。返ってきたのは、こういう返事だった。

 「ロックは、ここでは禁止されているのよ。だってあれは、悪魔の音楽ですもの!!」

 悪魔の音楽…。今度は筆者の顔が思い切りこわばった。

 筆者は当時も現在も、クリスチャンではない。でも小学生の頃は友人たちと誘い合わせてプロテスタント系の教会の日曜学校に通い、中学はカソリック系の女子校に行った。聖書もたっぷり読んだし、お祈りも讃美歌も覚えた。カソリック系女子中学は、服装などの規則はものすごくうるさかったものの、さすがにロックが悪魔の音楽だなどと極端なことを言われたことは一度もない。

 これがサザンバプティストとの、初めての出会いだった。

異人種間の交際は禁止
 ジェニーに何と答えたのか覚えていない。記憶にあるのは、彼女が最後に恍惚とした表情を浮かべて、両手でぐるりと円を描いてこう言ったことである。

 「この学校にいるとね、神様がすぐここにいらっしゃるのがわかるの!!」

 ジェニーの薄茶色の瞳が何もない空間を見つめているのが、とても怖かった。

 こりゃまずい。そもそもクリスチャンではない私には、とても歯が立たない場所だと子供なりに理解した。この高校だけは無理です。そう伝えると、田中氏はもんのすごく不機嫌になったが、他の高校を紹介することに同意してくれた。

 後に調べるとこのボブ・ジョーンズ大学は、人種差別で悪名高いところだった。

 創立以来、黒人の生徒の入学を許可していなかったため、連邦国税庁から教育機関としての税金優遇対象からはずすと脅され、しぶしぶ黒人の受け入れを始めたのが1971年。だがそれから5年間は、黒人は既婚者のカップルのみ入学許可してきた。奇妙な校則だがその理由は、学校内で異人種間の交際を禁じていたためである。この異人種間の交際禁止という校則はなんと2004年まで続いた。当時の筆者がここに入学していたら、当然白人のボーイフレンドなどできなかっただろうし、万が一アジア人以外の彼氏を作ったら退学になっていたわけである。

 これがアパルトヘイト制度下の南アフリカ共和国でもなく、ナチ政権当時のドイツのことでもなく、近代のアメリカ南部の現実だった(ついでに言うと、キャンパス内でのロック音楽禁止は現在もまだ続いているらしい)。

 考えてみれば白人と日本人の混血だったジェニー自身、学校のポリシーに反する罪の象徴の存在だったはずである。もう一度彼女に会うことができるのなら、それをどう受け止めていたのか聞いてみたかった。信仰と人種偏見が、どう両立するのかも校長に聞いてみたかった。

 そもそもこんなところに日本人留学生を紹介しようとした田中氏も、どのくらい南部の保守的な校風を理解していたのだろうか。

 さて危ういところでボブ・ジョーンズを抜け出し、筆者はそこまで過激ではないノースカロライナの田舎の小さなサザンバプティスト派の高校に入学した。一番近くにある都市は車で30分ほどのウィンストン・セーラムで、市の名前からもわかるように周辺はタバコ畑だらけ。あとは目に付くのは教会がやたらと多いことだった。

 ここでも、びっくりすることの連続だった。

(パート2に続く)


▲△▽▼

From NY
2020年11月23日
「信仰とは天国に到達する手段」
保守派のアメリカのクリスチャンの素顔(2)
田村明子 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21394

 11月3日に行われた大統領選は、数日間かけた集票の結果、民主党ジョー・バイデン候補者の勝利が確実になった。

 集票が拮抗してなかなか結果が出ないスイングステートの中でも、最後まで残っていた州の一つが、筆者が高校時代を過ごしたノースカロライナだった。ピュー研究所の統計によると、州内のクリスチャン人口77%のうち、35%が福音派であるこの州は、基本的に保守派の共和党が多い。

 だが2006年にはオバマ氏が勝利を収めており、今回はどのような結果になるのか筆者も興味深く見守っていた。当時の同級生たちは、どちらに投票したのだろうかと想像しながら。

(前回のコラム『米国「保守派」クリスチャンたちの素顔』から続く)

 筆者は1977年9月、ノースカロライナ州にある寮制の私立高校に入学した。ウィンストンセーラム郊外にある、当時人口1万人ほどの小さな町だった。

 寮制といっても、全校100人余りの生徒のほとんどは、自宅通学のDay Studentだった。

 当時ノースカロライナでは16歳から(現在は18歳)運転免許を獲得することができた。みんな15歳のうちに路上テストを受けて免許証を手にし、16歳の誕生日の朝には両親からプレゼントされた車を運転して意気揚々と学校に来る。車社会のアメリカで、アッパーミドルクラスの家庭にとっては当たり前のことだった。

 「ちょっと見て、あれブライアンじゃない?」

 「ブライアンだわ。今日は彼の誕生日なんだ!」

 医者の息子のブライアンが、シルバーのポルシェで学校の駐車場に乗り付けた日の朝は、さすがに女の子たちが色めき立った。

 一方筆者を含めた10人ほどの寮生は、そんな通いの学生たちとはあまり交わらず、校舎の横にある古いレンガ造りの寮で静かに暮らしていた。

週に3度の教会通い
 車がなければどこにも行けないこの町で、車も免許もない我々寮生は、ひたすら校舎とその横にある寮を往復する日々を送っていた。

 唯一のお出かけは、教会である。

 日曜日は朝と夕方の2回。そして水曜日の夕方の合計週に3回、ミニバンが寮の前に我々寮生を迎えに来た。朝の礼拝はたっぷり3時間。夕方も2時間ほど時間を取られ、まだ半分くらいしかわからない南部訛りの英語の説教をじっと我慢して聞く。正直に言えば、苦痛だった。

 もっとも、嫌だったことばかりではない。

 教会はこの田舎町で、気が済むまでお洒落をして出かける唯一の社交の場でもあった。肌の露出度さえ高くなければ、好きなだけドレスアップして行くことができた。もともとアメリカの学校では一般的に、女子学生が化粧をするのが「悪いこと」という感覚はない。14、15歳から女の子はピアスをし、髪をドライヤーで完璧にセットしてメークをほどこし、マニキュアまできれいに塗って学校にやってくる。お洒落づいた年齢の女の子にとって、大人になるプロセスの一つでごく当たり前のこととして受け止められていた。

 日曜日の朝の礼拝後、月に一度くらい信者たちが手料理を持ち寄ってランチビュッフェが開催されるのも、楽しみだった。ミートローフ、フライドチキン、アップルパイやアイスクリームなど、南部料理はどれも恐ろしく高カロリーだが、手作りのお料理は美味しい。父兄、教師たちは太っている人がほとんどで、肥満体ではない大人は珍しかった。筆者もこのノースカロライナ時代は、あっという間に体重が増えていったのである。

 だがいくら教会に通っていても、筆者はクリスチャンになろうとは一度も思わなかった。子供の頃から好奇心で聖書もかなり読んだけれど、元々実家は曹洞宗である。わざわざキリスト教に入信する必要性を感じなかったし、そもそも団体で集まって人前でお祈りをする、ということが苦手だった。

 それでも毎週3回、迎えのバスが来ると大人しく乗り込んで教会に通った。

「天国行く人は手をあげて」
 連れていかれた教会は、アメリカの人口のおよそ3分の1といわれる福音派の教会だった。

 その福音派の白人信者の80%近くが、共和党とされている。合衆国憲法には政教分離が謳われているものの、現実にはこの南部を中心とした福音派のクリスチャンたちが、現在の保守派共和党の基盤を支えているのである。

 福音派の教会は、会議場に塔をつけたようなシンプルな建物が多い。南部訛りの強い牧師さんの説教はあまり理解できず、ときどき信者の人たちが突然声を上げて泣き出したりするのも、最初はびっくりしてドン引きした。

 だがもっと驚いたのは、ある日の礼拝中のことである。

 「How many of you are going to Heaven? Please raise your hand. (あなたたちの中で、天国に行く人は? 手をあげて下さい)」

 牧師さんがそう言うのを耳にしたときは、最初は冗談かと思った。だが集まっていた信者のほとんどが真面目な顔をして手を高々をあげたときは、もっと驚いて思わず「えええ〜」と声が出そうになった。

 日本のプロテスタントの教会でも、カソリックの中学校でも、そんなことを聞かれた覚えはない。人間側が決めることだと教わったことはなかった。

 「はい、私は天国に行きます」と本気で断言する人がいたら、日本社会では間違いなく「アブナイ人」のカテゴリーに入れられるだろうと思う。

 その「アブナイ人たち」に周りを囲まれていることを子供なりに理解して、じわじわと腹の底から恐怖心が沸いてきた。

福音派の信仰というもの
 寮に戻ってから、シャロンという一学年上のアメリカ人に恐る恐る聞いてみた。アーカンソー州出身の彼女も、高々と手をあげた一人だった。

 「シャロン、今日の牧師さんのお話で、天国に行く人は手をあげて、って言ったよね」

 「ええ、それがどうかしたの?」

 「どうして自分は天国に行く、って断言できるの? 日本では、そんなこと言ったら傲慢だと受け止められるけれど」

 「それはね、聖書に書いてあるからなのよ」

 1歳年上のシャロンは、当時絶大な人気だったファラ・フォーセットのようにきれいにブローした髪をかきあげながら、まだ英語の拙い私に、ゆっくり説明してくれた。

 「新約聖書では、イエス様が『天国の門に到達する方法は、神の子である自分を通して以外の方法はない』とはっきり言っているの。だからイエス様が自分の罪のために死んでくださった救世主であることを受けいれた人は、罪が許されて天国に行くことが約束されるのよ」

 うーむ。それなりに理屈は通っているものの、ちょっとムシの良い話に思えた。

 だがこれが米国の福音主義の根本にある教義なのである。イエス・キリストを救世主であると受け入れるのと引き換えに、天国行きの切符が約束される。キリストの贖罪によって自分の罪は消えたため、隣人を愛せよとか、敵を許せとか、人を裁くなとか、右の頬を叩かれたら左の頬を出せ、というような教えは二の次であり、天国行きには影響しない、というのが彼らの基本的考え方だ。

 福音派クリスチャンが信仰を生活の中心に置く傍らで、白人至上主義であったり、銃所持の規制に絶対反対の姿勢を貫くのは、日本人の感覚ではちょっと理解しがたい。だが彼らの中では矛盾していない。極端に言うなら、彼らにとって信仰とは人として正しい行動をするためのものではなく、キリストと契約を結んで天国に到達する手段なのである。

 (キリストの贖罪は、全てのクリスチャンにとって基本の教義である。だが極端に排他的な米国の福音派はクリスチャンの中でもカルト的とされていて、特殊な存在だ。もっとも信者の中には自分たちの排他的な部分を批判し、人種差別撤退の市民運動を支持し、チャリティ活動に人生を捧げた人たちもいることは、記しておきたい)

 「ではクリスチャン以外の人はどうなるの? 日本にはクリスチャンでなくても、善行を積んだ立派な人はたくさんいるけれど、彼らはどこに行くの?」

 「悪いけれど、クリスチャン以外は全員地獄に行くのよ。いくら良い人だって、クリスチャンでないのなら間違った生き方をしているの」

 答えは予想はしていたものの、面と向かって言われるとショックであった。(考えてみれば、クリスチャンは過去にこうして「原住民の魂の救済」を口実にして、世界中で侵略、虐殺を繰り返してきたのだった)

 これは、エライところに来てしまった。ようやく当時15才だった筆者にも、自分の置かれた状況が飲み込めてきた。
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/440.html#c16

[近代史5] アメリカ先住民の起源 中川隆
1. 中川隆[-8891] koaQ7Jey 2020年12月27日 10:56:31 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[11]
2020年12月27日
先コロンブス期カリブ海における2回の大きな人類集団の移動
https://sicambre.at.webry.info/202012/article_34.html


 先コロンブス期カリブ海における2回の大きな人類集団の移動に関する研究(Fernandes et al., 2020)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ヨーロッパ勢力による植民地化より前(先コロンブス期)には、カリブ海は考古学的に異なる共同体のモザイク状でした。これらの共同体は、相互作用のネットワークにより接続されており、それはキューバやイスパニョーラ島やプエルトリコにおける6000年前頃となる最初の人類の定住以降のことでした。

 先コロンブス期のカリブ海の時代は考古学的に3区分されており、物質文化複合体の変化を示します。石器時代と「古代(以下、カリブ海の考古学的時代区分を指す場合は「」で括ります)」は異なる石器技術により定義され、2500〜2300年前頃に始まった土器時代は、農業経済と集約的な土器製作を特徴としていました。これらの時代にまたがる物質文化における技術と様式の変化は、接続されたカリブ海の人々による地域的発展と、アメリカ大陸からの移住を反映していますが、その地理的起源や経路や移住の波の回数に関しては、議論が続いています。

 この研究は、195人の古代個体群から174人のゲノム規模データを生成しました。45の新たな放射性炭素年代に基づいて、バハマとイスパニョーラ島とプエルトリコとキュラソーとベネズエラのこれらの個体群は、較正年代で3100〜400年前頃と推定されました。これらの個体群の標的領域の平均網羅率は2.2倍で、一塩基多型の数の中央値は700689個(20063〜977658個の範囲)です。この新たに生成されたデータは、既知の89人の個体群(関連記事)とともに分析されました。

 以下、集約的な土器使用より前の、石器を伴うか放射性炭素年代が得られている遺跡を「古代(Archaic)」、土器が優勢な時代を「土器時代(Ceramic)」と表記します。本論文では、遺伝的系統を表す場合は「-related」、考古学的帰属を表す場合は「-associated」と表記されていますが、私の見識では上手く使い分ける名案が思い浮かばなかったので、以下の記事ではともに「関連」と表記します。なお、本論文では、研究にさいしての先住民との合意が示されており、今後の古代DNA研究ではこうした倫理面への配慮が必須になるでしょう。以下、古代の各標本の場所と遺伝的構造を示した本論文の図1です。

画像
https://media.springernature.com/full/springer-static/image/art%3A10.1038%2Fs41586-020-03053-2/MediaObjects/41586_2020_3053_Fig1_HTML.png


●先コロンブス期カリブ海の遺伝的構造

 主成分分析が実行され、現代のアメリカ大陸先住民のゲノムデータを用いて古代の個体群が投影されました(拡張図1b)。土器時代と「古代」の個体群は別々のクラスタで投影されますが、古代のベネズエラ個体群は、カベカル(Cabécar)語のような現代のチブチャ語(Chibchan)話者と関連しています(拡張図1b・c)。キュラソーとハイチの個体群は、ほとんどが土器時代関連クラスタと重なっています。遺跡内の遺伝的均質性の例外は、ドミニカ共和国のおもに土器時代と関連した遺跡であるアンドレス(Andrés)で、そのうち1個体(I10126)は、年代(以下、基本的に較正年代です)が3140〜2950年前頃となる「古代」ですが、遺伝的には他の「古代」関連個体群と類似しています(拡張図1b・c)。その後の分析から、低網羅率(0.05倍未満)で、他の「古代」関連個体群と質的に類似している1900年前頃となるドミニカ共和国のロジャ洞窟(Cueva Roja)の「古代」関連3個体と、1親等の3組から1個体が除外されました。

 考古学的分類とは独立した遺伝的構造を研究するため、アレル(対立遺伝子)共有、および主要な「クレード(単系統群)」と次に「下位クレード」に基づいて解像度を上げる個体群が集団化されました。遺伝学を用いて定義された集団は星印(*)で示されます。これらの遺伝的集団の命名法は、クラスタの遺跡と時代区分(「古代」および土器時代)を含む地理的位置を組み合わせたものです。

 その結果、有意に分化した主要な3クレードが識別されました(図1bおよび図2)。大アンティル諸島「古代」クレード(*GreaterAntilles_Archaic、以下では*GAA)は、3200〜700年前頃となるキューバの50個体と、アンドレス遺跡の1個体(I10126)を含みます。カリブ海土器時代クレード(*Caribbean_Ceramic、以下では*CC)は、1700〜400年前頃となる土器時代関連遺跡の194個体を含みます。ベネズエラ土器時代クレード(*Venezuela_Ceramic、以下では*VC)は、2350年前頃の8個体で構成されます。2個体のハイチ土器時代クレード(*Haiti_Ceramic、以下では*HC)と5個体のキュラソー土器時代クレード(*Curacao_Ceramic、以下では*CurC)は、主要なクレードの混合として適合します。

 次に、これらクレード内の下位クレードと下位構造が特定されました。*CC内では、ドミニカ共和国南東部沿岸土器時代クレード(*SECoastDR_Ceramic、以下では*SECDRC)が、沿岸50kmの4遺跡から構成されます。この4遺跡は、西から東へ、ラカレタ(La Caleta)、アンドレス、ジュアンドリオ(Juan Dolio)、エルソコ(El Soco)となります。これらの遺跡は1400年間居住されており、土器様式の変化にまたがる遺伝的連続性を記録します。バハマとキューバの約700年にわたる全ての土器時代関連遺跡は、バハマ・キューバ土器時代(*BahamasCuba_ Ceramic、以下では*BCC)として集団化され、さらなる下位構造がそれぞれ、バハマ諸島の遺跡5ヶ所とキューバの遺跡2ヶ所に存在します。小アンティル諸島の遺跡2ヶ所は、小アンティル諸島土器時代(*LesserAntilles_Ceramic、以下では*LAC)として、残りの*CC遺跡は大アンティル諸島東部土器時代(*EasternGreaterAntilles_Ceramic、以下では*EGAC)として集団化されます。遺伝的違いの値が低い場合(Pairwise FST<0.01)は、*CC下位クレード内での顕著な均質性が示唆され(土器時代関連クレードと「古代」関連クレードとの間ではFST=0.1)、島々の間の高い移住率を反映しています。

 各下位クレード内における他と比較しての「古代」関連系統の過剰を有する*CC個体群を特定するため、f4統計が用いられました。ラカレタ遺跡の1個体(I16539)と、*HCを構成する2個体は、土器時代関連および古代関連の混合の有意な証拠を示します。以前の見解(関連記事)とは対照的に、プエルトリコのパスコデルインディオ(Paso del Indio)遺跡の1個体(PDI009)では有意な「古代」関連系統は検出されませんでした。以下、本論文の拡張図1です。

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●「古代」関連のカリブ海の人々

 *GAAクレードは、アラワク語(Arawak)、カリブ語(Cariban)、チブチャ語(Chibchan)、チョコアン語(Chocoan)、グオジバン語(Guajiboan)、マタコ・グァイクルー語(Mataco–Guaicuru)、トゥピ語(Tupian)という7語族に区分される、中央アメリカおよび南アメリカ大陸北部の先住民と最も遺伝的浮動を共有します(図2a)。他の語族と比較しての、1語族の人々との過剰なアレル共有の証拠、もしくはメソアメリカあるいは北アメリカの現代人集団と特に共有される遺伝的浮動の証拠はありません。キューバの「古代」関連個体群は、ドミニカ共和国のアンドレス遺跡の1個体(I10126)とよりも、相互に多くのアレルを共有しており、これは「古代」関連下位構造を示します(図2a・b)。一部の分析では、この1個体(I10126)はドミニカ共和国アンドレス「古代」(*Dominican_Andres_ Archaic、以下では*DAA)として分離されます。

 北アメリカ大陸の個体群との類似性を有する人々による移住も、カリブ海の「古代」の一部個体群に影響を及ぼした、との以前の主張(関連記事)は再現できませんでした。この主張は、2700〜2500年前頃となるキューバのグアヤボブランコ(Guayabo Blanco)遺跡の1個体(GUY002)と比較しての、4900年前頃となるカリフォルニア州チャンネル諸島の前期サンニコラス(Early San Nicolas)の個体群と、キューバのペリコ洞窟(Cueva del Perico)遺跡の1個体(CIP009)との間の類似性に基づいていました。

 まず、対称性検証f4(GUY002、CIP009、前期サンニコラス、バハマのタイノ人)では、偏差は有意ではありませんでした。第二に、この主張の根底にある重要な統計は、CIP009とグアヤボブランコ遺跡の3個体を含むqpWaveに基づく対称性検証に基づいていましたが、検証された標本ペアの数を補正した後には有意ではありませんでした。第三に、f4(外群、CIP009、前期サンニコラス、バハマのタイノ人)では、以前には負の値がCIP009と前期サンニコラスとの間の類似性として解釈されました。有意ではない統計も再現されましたが、外群としてムブティ人を多様なユーラシア個体群、もしくはこの研究で新たに生成された古代ゲノムデータを有するバハマのタイノ人(Taino)に置換すると正の値になりましたが、本来ならば質的に類似した結果が得られるはずです。第四に、南アメリカ大陸の古代ゲノムデータを前期サンニコラスの場所に置くと、CIP009への吸引の有意ではないZ得点は同じくらい強く、北アメリカ大陸固有の関係の証拠はない、と示されます。第五に、CIP009は、他の「古代」関連個体群と同じ結節点上の本論文のqpGraph系統樹の簡略版に最適です。したがって、アレル共有手法の解決の限界まで、全ての「古代」関連カリブ海系統は単一起源からの派生と一致します。

 qpGraphにおいて*GAAは、最古のカリブ海とベリーズとブラジルとアルゼンチンの集団と初期に分岐した系統として適合します(図2c)。混合事象を示す最尤系統樹では、*GAAは分岐するアメリカ大陸先住民集団として適合します(拡張図3)。qpAdmもしくはf4統計を用いると、大陸部集団との特定の類似性のさらなる証拠は得られませんでした。土器使用者の到来は、カリブ海のほとんどにおいて「古代」関連系統を置換しました。例外はキューバ西部で、「古代」関連系統が最小限の混合で2500年存続し、この地域は別の言語および文化的伝統を有する人々がヨーロッパ人との接触の時期まで存在した、という考古学的および歴史学的説明と整合的です。以下、本論文の図2です。

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●土器使用者の拡大

 以前の分析では、*CC(カリブ海土器時代クレード)関連の人々は、南アメリカ大陸北東部のアラワク語話者との遺伝的類似性を有する、と示されています(関連記事)。本論文の対称性f4統計では、この結論を裏づけられません。カリブ語もしくはトゥピ語話者集団よりもアラワク語話者とのより密接な関連性の有意な証拠は示されません。しかし、ADMIXTURE分析が示唆するのは、*CCの下位クレードはほぼ完全に、現代アラワク語話者では最高の割合で見つかる成分で構成されている、ということです。また、混合事象を示す最尤系統樹におけるアラワク語話者のつながりへの裏づけも見つかり、これにより全ての*CCの下位クレードはアラワク語話者のピアポコ人(Piapoco)やパリクール人(Palikur)と同じ枝に配置されます(拡張図3)。さらなる証拠は、qpAdmにおける*CCの単一起源として、ピアポコ人との適合の成功から得られます(図2c)。

 *LAC(小アンティル諸島土器時代クレード)と*DAA(ドミニカ共和国アンドレス「古代」クレード)の混合としてqpAdmで*モデル化すると、大アンティル諸島とバハマ諸島の土器時代関連の人々における「古代」関連系統は約0.5〜2.0%と推定されます。*CCの下位クレードのいずれかに*LACが由来する、という逆モデルは却下され、「古代」関連の人々が参照セットに含まれると失敗します。これらの観察の最も簡素な説明は、土器を使用していた祖先の南から北に向けてのカリブ海への移動というシナリオです。このシナリオでは、1000〜650年前頃の小アンティル諸島の個体群(おそらくは小アンティル諸島の最初の土器使用者の子孫)と類似した系統が、大アンティル諸島とバハマ諸島に拡大して先住の人々を置換し、先住の人々の系統は2.0%以下しか残らなかった、と想定されます。

 イスパニョーラ島の土器時代関連遺跡2ヶ所の3個体のみが、有意な「古代」関連混合を有する、と明らかになりました。qpAdmを用いたこの3個体の「古代」関連系統の割合は、ドミニカ共和国のラカレタ遺跡の1個体(I16539)で11.8±1.9%(ラカレタ遺跡の個体I16539)、ディエイル1(Diale 1)遺跡とハイチの各1個体で18.5±2.1%です。DATESソフトウェアを用いると、ハイチのこれら3個体の16±3世代前(約350〜500年前)に混合が起きた、と推定されます。

 ADMIXTUREおよびf統計におけるチブチャ語話者と*VC(ベネズエラ土器時代クレード)の類似性はqpAdmで確認され、*VCはカベカル語話者とのクレードとして適合します。したがって、ラスロカス(Las Locas)遺跡は、土器時代開始の頃に近い、土器関連文化とその担い手の拡大の仮定された起源地域に位置しますが、本論文の分析は、この拡大はより東方に起源がある、という証拠の重みを増加させます。キュラソーの土器使用者は、*LAC関連系統74.5±3.7%と、*VC関連系統25.5±3.7%の混合としてモデル化されます。このモデル化から、キュラソーの土器時代集団は2集団の混合に由来する、と示唆されます。一方は、土器時代の始まりにカリブ海のアンティル諸島へと拡大した集団と関連しており、もう一方はラスロカスのような遺跡をキュラソーへとつなぐダバジュロイド(Dabajuroid)土器様式と関連しています。

 頭蓋形態の研究では、1150年前頃となるベネズエラ西部からのカリブ人の移住の可能性を示唆しますが(関連記事)、そうした事象で予測されるような、この時の新たな系統の証拠はみつかりません。*VCや*LACやカリブ人の代理としての現代カリブ語話者アララ人(Arara)を用いてのシミュレーションでは、そのような集団からのわずか2〜8%の系統を検出できます。遺伝的データは別々の移住の証拠を示しませんが、シミュレーションに用いた代理よりも*CC関連の人々と遺伝的に類似するか、もしくは2%未満しか系統を寄与していないような、標本抽出されていない大陸部集団からの移住の可能性は除外できません。以下、本論文の拡張図3です。

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●社会的構造と集団規模の推定

 4cM(センチモルガン)を超えるホモ接合連続領域(ROH;両親からそれぞれ受け継いだと考えられる同じ対立遺伝子のそろった状態が連続するゲノム領域)を含む、40万以上の一塩基多型を有する本論文の共分析データセットから、202個体が検査されました。20 cM以上の長いROHが多いことは、過去数世代内の親の関連性を示唆しますが、短いROHの兆候が豊富なことは、遠い親族の関連性と制約された配偶プールを示唆します。202個体のうち2個体のみが、20 cM以上のROH領域において、 100 cM以上を有しており(約135 cMがイトコの子供の平均です)、これは近親交配が稀であることを示唆します。対照的に、48個体が少なくとも1ヶ所の20 cM以上ROHを有しており、多くの配偶がマタイトコもしくはミイトコのような近親関係の個体間で起きたことと、限定的な地域の人口規模を示唆します。

 小さな人口規模のさらなる証拠として、カリブ海全域の豊富な短〜中規模のROHが検出されました。ほぼ過去50世代以内の共有系統から生じる、4〜20 cMの全てのROHの長さ分布を用いて、有効人口規模(Ne)が推定されました。Neの推定は、じっさいの人口規模の推定に用いることができ、ヒトでは通常3倍で、最大で10倍です。土器時代と関連するカリブ海の遺跡のNe値(以前の推定値と類似した約500〜1000)は、「古代」関連遺跡のNe値(約200〜300)より大きく、農耕発展に伴う人口密度の増加を示します。これは、「古代」関連集団よりも土器時代関連集団の方で、ヘテロ接合性が高いことにも反映されています。

 ROH兆候からのNeの推定は、それが相互接続された遺伝子プールというよりもむしろ、遺跡の住民の限られた遺伝子プールを表しているので、カリブ海全域のNeの下限を表しています。したがって、男性の組み合わせのX染色体間の長い共有された断片、つまり同祖対立遺伝子(identity-by-descent、略してIBD。かつて共通祖先を有していた2個体のDNAの一部が同一であることを示し、IBD領域の長さは2個体が共通祖先を有していた期間に依存し、たとえばキョウダイよりもハトコの方が短くなります)領域も分析されました。およそ過去20世代以内の過去から共有された遺伝子プールの規模を反映する、12〜20cMの長いIBDの共有された断片に焦点を当てると、人々がより近くの人々とより多くの遺伝子を交換した場合に予想されるように、そのような断片の割合は地理的距離とともに減少する、と明らかになりました。

 しかし、島嶼部全域で少なくとも8.7 cMの断片を共有する個体群19組が依然として検出され、これは、検証対象となったカリブ海全域の人々がその数百年前に祖先を共有していた、と明らかにします。イスパニョーラ島とプエルトリコの2つの主要なクレード間の比較から、3082という推定Ne(95%信頼区間で1530〜8150)が得られます。これは、限られた移住により遺跡間での遠い親戚とIBD共有の割合が減少するので、共有されるイスパニョーラ島とプエルトリコの共同集団の最近の有効規模の上限を提供します。Neの推定を3〜10倍すると、じっさいの人口規模が得られるので、先コロンブス期の人口規模は数十万もしくは百万という、古い報告もしくはあまり文書化されていない人口調査に基づく以前の推定は多すぎる、と推測されます。

 3〜4親等程度の、密接に関連する57組の個体群も検出されました。そのほとんどはラカレタ遺跡で発見され、ラカレタ遺跡では63個体のうち37個体に1人もしくは数人の親族がいましたが、検証された組み合わせごとの割合は、他の遺跡内よりも有意に大きいわけではなく、95%信頼区間で、ラカレタ遺跡では1.5〜2.8%なのに対して、他の遺跡では1.4〜4.6%でした。相互に接続する集団のさらなる証拠として、ドミニカ共和国南部で約75km離れて埋葬された男性親族が特定されました。それは、アタジャディゾ(Atajadizo)遺跡の父子の組み合わせと、ラカレタ遺跡で発見されたその2〜3親等の親族でした。


●現代人集団における先コロンブス期の系統と古代の母系および父系

 F4(ヨーロッパ人、検証集団、キューバ「古代」人、*CC)の計算により、現代と古代のカリブ海の人々で見られる在来系統間の遺伝的類似性が検証され、プエルトリコの個体群と土器時代関連個体群との間の関連性の兆候が得られました。この結果は、完全に土器時代関連系統ではあるものの、完全には「古代」関連系統ではないことと一致します。同じ検証をキューバの15州で個別に実行し、土器時代関連系統の弱い有意な証拠を有する2州および8自治体と、「古代」関連系統のわずかに有意な証拠を有するキューバ西部のグイネス(Guines)という1自治体が明らかになりました。したがって、入手可能な古代のデータは、過去1000年にわたってキューバの一部で混合されていない「古代」関連系統の持続を示しますが、現代までに土器時代関連系統と大いに混合されていました。

 以前の報告では、父系・母系での単系統遺伝となるハプログループでは、現代のカリブ海の人々における先コロンブス期の在来系統が報告されてきました。これらの報告に基づいて、以前には報告されていなかった、ミトコンドリアDNA(mtDNA)ハプログループ(mtHg)の深い分岐となるC1dが特定されました。mtHg-C1dはカリブ海の土器時代関連下位クレード全体と、プエルトリコの現代人では約7%の頻度で存在します。これは、先住民の母方系統がカリブ海で先コロンブス期から持続してきており、アメリカ大陸からの植民地期の移動により説明できない、という直接的証拠を提供します。

 カリブ海の古代人の主要なmtHgはA2・B2・C1・D1です。「古代」関連個体群ではmtHg-D1の頻度が高く、土器時代の個体群ではより多様になる傾向があります。「古代」関連系統と土器時代関連系統との混合と推測される*HC(ハイチ土器時代クラスタ)の2個体はいずれもmtHg-D1で、同じく混合と推測される*CurC(キュラソー土器時代クラスタ)でもmtHg-D1の個体が確認されているので、mtHg-D1は「古代」関連系統個体群に由来するかもしれません。

 一方、Y染色体ハプログループ(YHg)では、本論文で新たに報告された96個体のうち87個体がYHg-Q1b1a1a(M3)で、そのうち57個体はさらにQ1b1a1a1に区分されています。*BCC(バハマ・キューバ土器時代クレード)個体群のうち2個体はYHg-Q1b1a2(M971)で、そのうち1個体はアメリカ合衆国モンタナ州西部のアンジック(Anzick)遺跡で発見された男児(関連記事)と同じ派生的変異を有します。アンジック関連系統はカリブ海にも拡散したわけです。YHg-Q1b1a2はキューバでも3個体で確認されていますが、いずれも時代区分は「古代」です。


●まとめ

 本論文は、先コロンブス期カリブ海の人々に関する複数の議論に取り組んでいます。まず、「古代」に大アンティル諸島に存在した系統は単一起源の由来と一致し、2500年に及ぶ「古代」関連系統個体群間の違いはわずかなだけです。「古代」関連系統の人々の起源集団が中央アメリカなのか南アメリカなのか、本論文では区別できませんが、北アメリカ起源の可能性は低い、と明らかになりました。ただ、北アメリカの比較遺伝データは不足しています。

 第二に、本論文のデータは、カリブ海における集約的な土器使用の導入と拡大を伴う移動と一致します。土器時代関連個体群は、現代のアラワク語話者との遺伝的類似性を示し、これは南アメリカ大陸北東部起源を説く考古学および言語学の証拠と一致します。アラワク語話者集団は、南アメリカ大陸アマゾン地域から北東へ移住した時(一部集団はさらにオリノコ川沿いに移動してアンティル諸島に達し、他の集団はベネズエラ西部海岸へと移動しました)に分岐した、という仮説と一致して、キュラソーの個体群は*LAC(小アンティル諸島土器時代クレード)の系統と関連する系統を有します。カリブ海で最初の土器時代遺跡はプエルトリコと小アンティル諸島北部に存在し、小アンティル諸島のウィンドワード諸島(Windward Islands)は1800年前頃までに定住された、という考古学的証拠はありませんが、大アンティル諸島ではなく、キュラソーと小アンティル諸島の個体群間の一部系統の共有は、カリブ海への南から北への経路を裏づけます。

 第三に、*CC(カリブ海土器時代)下位クレードと、サラドイド(Saladoid)期・オスティノイド期(Ostionoid)・メイラコイド(Meillacoid)期・チコイド(Chicoid)期といった伝統的なカリブ海の土器類型論との間の関連は見つからず、これらの土器様式伝統は新たな人々の大きな移動の結果だった、とする文化史モデルは支持されません。代わりに、ドミニカ共和国南東部沿岸などの地域における系統構成は、物質文化の様式変化にまたがって千年以上続きます。カリブ海の人々と遺伝的に類似したアメリカ大陸の集団の移住が文化的変化の一部を引き起こした可能性は除外できませんが、本論文の知見は、カリブ海内の土器使用集団間の接続が様式移行を触媒した、という証拠の重みを高めます。

 第四に、イスパニョーラ島の3個体において、「古代」関連系統と土器時代関連系統との間の混合の最初の証拠を提供します。またこの発見は、カリブ海における「古代」関連系統と土器時代関連系統との間の混合がひじょうに稀だった(本論文ではカリブ海の土器を使用する201個体のうち3個体のみ)、という以前の推論(関連記事)を確認します。

 第五に、カリブ海の一部、とくにプエルトリコとキューバの現代人は先コロンブス期在来系統を有する、と確認されました。キューバでは、「古代」関連系統がほぼヨーロッパ人勢力との接触まで持続しましたが、キューバの在来系統は現在、ほぼこの系統に由来しません。これは、先住民の植民地後の移動を反映しているかもしれませんが、その少なくとも一部は、土器時代関連系統が500年前頃のキューバ西部および中央部の個体群に存在するように、先コロンブス期の事象を反映しています。

 第六に、本論文のデータは社会構造と人口統計への洞察を提供します。本論文はROHの分析により、「古代」および土器時代の両方で親族間の配偶回避を報告し、カリブ海の大半で蓄積されたROHの大きな割合を検出しますが、これは小さな集団規模を反映します。本論文では、75km離れて埋葬された男性親族が特定され、これは別の実態として分析された遺跡間の接続ネットワークを示唆します。接続のさらなる証拠として、島嶼部全域で共有されるハプロタイプが観察されました。それは、イスパニョーラ島とプエルトリコの大きな島々の全域において、3082という推定Ne(95%信頼区間で1530〜8150)で予想される値です。これらの推定は、分析された個体群のおよそ過去20世代を表していますが、これらの大きな島々全域のじっさいの人口が、ヨーロッパ人との接触が始まった時期には数十万から百万だった、という一部の文献で示唆されている規模よりはかなり少なかったことを示唆します。本論文の人口規模推定は、歴史的記録や人口計算よりずっと小さく、せいぜい数万人程度と推定されますが、ヨーロッパ人による植民地化と先住民の搾取と体系的殺害がカリブ海集団に与えた破壊的影響は明白です。

 先コロンブス期のカリブ海の人々の系統と遺産は現在まで続いており、古代DNA研究はこれをよりよく理解するのに役立ちます。現代のカリブ海の人々は、さまざまな割合で遺伝的系統の混合を有しています。それはおもに、先コロンブス期先住民集団系統(本論文のqpAdmによる推定では、キューバでは平均約4%、ドミニカ共和国では約6%、プエルトリコでは約14%)と、コロンブス期に移住してきたヨーロッパ個体群系統(キューバでは約70%、ドミニカ共和国では約56%、プエルトリコでは約68%)と、カリブ海に大西洋奴隷貿易で連行されたアフリカ個体群系統(キューバでは約26%、ドミニカ共和国では約38%、プエルトリコでは約18%)です。これら3集団は全て、カリブ海の現代人に遺伝的に寄与し、相互接続されたカリブ海世界の遺産を形成し続けています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


遺伝学:カリブ海沿岸地域の人類集団史には2つの大きな移動の波があった

 ヨーロッパ人が到来する前のカリブ海沿岸地域での人類の定住は、2つの大きな移動の波によるものだったことを報告する論文が、今週、Nature に掲載される。今回の研究では、古代カリブ海沿岸地域の人類集団史の詳細な分析が行われ、こうした先住民の子孫がカリブ海沿岸地域に現存していることが明らかになった。

 カリブ海沿岸地域に人類が初めて定住してからヨーロッパ人の到来(今から約500年前)までの間のカリブ海沿岸地域の人類集団史に関して、解明されていることは比較的少ない。今回、David Reichたちの研究グループは、約3000年前〜400年前にカリブ海沿岸地域に住んでいた174人の古代人のゲノムを分析し、このデータや他の公開データを用いて、古代人の集団のサイズや移動を調べた。この地域には、約3000年前までに、中米または南米北部の人々が定住し、石器技術をもたらした。その後、この集団の大部分は、移民の第2波に遺伝的に取って代わられた。移民の第2波は、南米北東部から小アンティル諸島を経由して大アンティル諸島に渡り、少なくとも1700年前にカリブ海沿岸地域に到来した。この第2波により定住した人々は、陶磁器の使用と農業経済を特徴とする独自の文化をもたらした。

 以前の研究では、ヨーロッパ人による植民地化が始まるまでのカリブ海沿岸地域に数十万人から数百万人が居住していたと推定されていたが、今回の研究では、全体の集団サイズははるかに小さく、数万人だったことが示唆された。こうした先住民の遺産は存続しており、カリブ海沿岸の一部の地域の住民は、ヨーロッパ人が到来する前の先住民に由来する遺伝子塩基配列を持っているだけでなく、ヨーロッパ系移民と大西洋横断奴隷貿易が行われていた時にカリブ海沿岸地域に連れてこられたアフリカ人から受け継いだDNAも保有している。


参考文献:
Fernandes DM. et al.(2021): A genetic history of the pre-contact Caribbean. Nature.
https://doi.org/10.1038/s41586-020-03053-2

https://sicambre.at.webry.info/202012/article_34.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/353.html#c1

[近代史5] アメリカではイスラエルを支持しなければ大統領になることは不可能 中川隆
3. 2020年12月27日 11:07:57 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[12]
2020.12.27
米国の支配者は自分の都合次第で表現の自由も集会や結社の権利も認めない
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202012270000/

 12月16日に国連総会でナチズムやネオ・ナチズムを賞賛する行為に反対する決議が採択されたのだが、アメリカとウクライナの2カ国は決議に反対した。EUや日本が棄権したのはアメリカからの圧力があったからだろう。アメリカは反対した理由として、ナチスにも表現の自由、集会や結社の権利を同国の憲法が認めているからだとしている。

 しかし、アメリカの支配者は自分に都合が悪い場合、そうした自由や権利を認めてこなかった。アメリカやイギリスを中心にしてCOVID-19(コロナウイルス感染症-2019)を口実にした社会の収容所化、あるいはファシズム化が推進されている。宣伝の主体は有力メディアだ。

 その一方、そうした実態を告発、批判する言論は検閲の対象になっている。COVID-19騒動の非科学性を指摘する意見を西側各国の政府は封印しようとし、インターネット上では巨大な私的企業が検閲してきた。この騒動では言論が封殺されているだけでなく、「安全」を口実にして集会や結社の権利が侵害されている。

 欧米を中心に表現の自由が侵害されてきたテーマがパレスチナ人に対するイスラエルの弾圧。1948年5月14日にパレスチナでイスラエルが作られて以来、先住のアラブ系住民(パレスチナ人)は追放され、虐殺や破壊の対象になってきた。巨大な分離壁を建設し、その内部にパレスチナ人を隔離するということも行われている。物資の搬入を妨害するために海上封鎖も行われてきた。そのイスラエルを支えているのがシオニストだ。

 そうしたイスラエルのパレスチナ人に対する残虐行為を非難する人びとは少なくない。ヨーロッパを中心にして、イスラエルに対するBDS(ボイコット、資本の引き揚げ、制裁)運動も展開されているのだが、そうした行動をアメリカの政界は妨害しようとしてきた。

 アメリカ議会のイスラエル支持も有名で、「1995年エルサレム大使館法」という法律が制定されている。1999年5月31日までにエルサレムへ大使館を建設するべきだという内容だ。その法律が実行されないことからアメリカ上院は2017年6月にその法律を再確認する決議を賛成90、棄権10で採択している。その内容に沿う形でドナルド・トランプ大統領は2017年12月、エルサレムをイスラエルの首都だと認めると宣言したわけだ。

 イスラエル軍は1982年にファランジスト党を使い、レバノンにあったサブラとシャティーラのパレスチナ難民キャンプで無防備の難民を虐殺した。殺対された難民の数は数百人、あるいは3000人以上と言われている。歴史的にイスラエルと近い関係にあったイギリス労働党の内部でもイスラエルの責任を問う声が大きくなり、イスラエルを守るアメリカとの関係を見直すことにもつながった。

 その後、イギリスの労働党は親パレスチナへ姿勢を変更させていく。1992年にジョン・スミスが党首になてからもそうした傾向は続く。そうした流れを元に戻したのがトニー・ブレアだ。

 イスラエルはブレア夫妻を1994年1月にイスラエルへ招待、3月にロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介した。その後、ブレアの重要なスポンサーになるのだが、言うまでもなく、レビーの背後にはイスラエルが存在している。イスラエルとイギリスとの関係強化を目的としているという団体LFIもブレアは資金源にしていた。

 その年の5月、党首だったジョン・スミスが急死。その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になり、イスラエルの思惑通り、労働党はイスラエル支持に逆戻りした。

 しかし、そうした動きは一般党員の意思とは逆。2015年に党首がジェレミー・コービンに選ばれたのはそのためだ。彼が党の幹部や有力メディアから「反ユダヤ主義者だ」と攻撃された理由はそこにある。イスラエルに従属しない人間は反ユダヤ主義者だというわけだ。

 2008年にロスチャイルド系投資銀行へ入り、200万ユーロという高額の報酬を得ていた過去があるフランスのエマニュエル・マクロン大統領も親イスラエルで有名で、反シオニズムを人種差別として取り締まると宣言している。マクロンは強者総取りの新自由主義に対する抗議活動(黄色いベスト)を暴力的に取り締まった。

 アメリカの支配者は私的な利益を守り、増やすため、民主的な政権を倒すだけでなく、国内を収容所化してきた。そうした現実を人びとへ明らかにしようとした告発者に対しては厳しく処罰している。

 権力犯罪を暴いたジュリアン・アッサンジはイギリスで逮捕され、アメリカへ引き渡す手続きが続いている。エドワード・スノーデンはロシアから外へ出られない状態だ。つまり、アメリカ政府が国連でナチズム関する決議に反対した理由を表現の自由、集会や結社の権利にあるとするわけにはいかない。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202012270000/
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/267.html#c3

[近代史5] 巨大資本を後ろ盾とする親イスラエルで戦争に賛成する政治家のみが許される米国 中川隆
2. 中川隆[-8890] koaQ7Jey 2020年12月27日 11:08:21 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[13]
2020.12.27
米国の支配者は自分の都合次第で表現の自由も集会や結社の権利も認めない
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202012270000/

 12月16日に国連総会でナチズムやネオ・ナチズムを賞賛する行為に反対する決議が採択されたのだが、アメリカとウクライナの2カ国は決議に反対した。EUや日本が棄権したのはアメリカからの圧力があったからだろう。アメリカは反対した理由として、ナチスにも表現の自由、集会や結社の権利を同国の憲法が認めているからだとしている。

 しかし、アメリカの支配者は自分に都合が悪い場合、そうした自由や権利を認めてこなかった。アメリカやイギリスを中心にしてCOVID-19(コロナウイルス感染症-2019)を口実にした社会の収容所化、あるいはファシズム化が推進されている。宣伝の主体は有力メディアだ。

 その一方、そうした実態を告発、批判する言論は検閲の対象になっている。COVID-19騒動の非科学性を指摘する意見を西側各国の政府は封印しようとし、インターネット上では巨大な私的企業が検閲してきた。この騒動では言論が封殺されているだけでなく、「安全」を口実にして集会や結社の権利が侵害されている。

 欧米を中心に表現の自由が侵害されてきたテーマがパレスチナ人に対するイスラエルの弾圧。1948年5月14日にパレスチナでイスラエルが作られて以来、先住のアラブ系住民(パレスチナ人)は追放され、虐殺や破壊の対象になってきた。巨大な分離壁を建設し、その内部にパレスチナ人を隔離するということも行われている。物資の搬入を妨害するために海上封鎖も行われてきた。そのイスラエルを支えているのがシオニストだ。

 そうしたイスラエルのパレスチナ人に対する残虐行為を非難する人びとは少なくない。ヨーロッパを中心にして、イスラエルに対するBDS(ボイコット、資本の引き揚げ、制裁)運動も展開されているのだが、そうした行動をアメリカの政界は妨害しようとしてきた。

 アメリカ議会のイスラエル支持も有名で、「1995年エルサレム大使館法」という法律が制定されている。1999年5月31日までにエルサレムへ大使館を建設するべきだという内容だ。その法律が実行されないことからアメリカ上院は2017年6月にその法律を再確認する決議を賛成90、棄権10で採択している。その内容に沿う形でドナルド・トランプ大統領は2017年12月、エルサレムをイスラエルの首都だと認めると宣言したわけだ。

 イスラエル軍は1982年にファランジスト党を使い、レバノンにあったサブラとシャティーラのパレスチナ難民キャンプで無防備の難民を虐殺した。殺対された難民の数は数百人、あるいは3000人以上と言われている。歴史的にイスラエルと近い関係にあったイギリス労働党の内部でもイスラエルの責任を問う声が大きくなり、イスラエルを守るアメリカとの関係を見直すことにもつながった。

 その後、イギリスの労働党は親パレスチナへ姿勢を変更させていく。1992年にジョン・スミスが党首になてからもそうした傾向は続く。そうした流れを元に戻したのがトニー・ブレアだ。

 イスラエルはブレア夫妻を1994年1月にイスラエルへ招待、3月にロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介した。その後、ブレアの重要なスポンサーになるのだが、言うまでもなく、レビーの背後にはイスラエルが存在している。イスラエルとイギリスとの関係強化を目的としているという団体LFIもブレアは資金源にしていた。

 その年の5月、党首だったジョン・スミスが急死。その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になり、イスラエルの思惑通り、労働党はイスラエル支持に逆戻りした。

 しかし、そうした動きは一般党員の意思とは逆。2015年に党首がジェレミー・コービンに選ばれたのはそのためだ。彼が党の幹部や有力メディアから「反ユダヤ主義者だ」と攻撃された理由はそこにある。イスラエルに従属しない人間は反ユダヤ主義者だというわけだ。

 2008年にロスチャイルド系投資銀行へ入り、200万ユーロという高額の報酬を得ていた過去があるフランスのエマニュエル・マクロン大統領も親イスラエルで有名で、反シオニズムを人種差別として取り締まると宣言している。マクロンは強者総取りの新自由主義に対する抗議活動(黄色いベスト)を暴力的に取り締まった。

 アメリカの支配者は私的な利益を守り、増やすため、民主的な政権を倒すだけでなく、国内を収容所化してきた。そうした現実を人びとへ明らかにしようとした告発者に対しては厳しく処罰している。

 権力犯罪を暴いたジュリアン・アッサンジはイギリスで逮捕され、アメリカへ引き渡す手続きが続いている。エドワード・スノーデンはロシアから外へ出られない状態だ。つまり、アメリカ政府が国連でナチズム関する決議に反対した理由を表現の自由、集会や結社の権利にあるとするわけにはいかない。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202012270000/
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/330.html#c2

[近代史4] イスラエル建国 中川隆
5. 中川隆[-8889] koaQ7Jey 2020年12月27日 11:09:09 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[14]
2020.12.27
米国の支配者は自分の都合次第で表現の自由も集会や結社の権利も認めない
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202012270000/

 12月16日に国連総会でナチズムやネオ・ナチズムを賞賛する行為に反対する決議が採択されたのだが、アメリカとウクライナの2カ国は決議に反対した。EUや日本が棄権したのはアメリカからの圧力があったからだろう。アメリカは反対した理由として、ナチスにも表現の自由、集会や結社の権利を同国の憲法が認めているからだとしている。

 しかし、アメリカの支配者は自分に都合が悪い場合、そうした自由や権利を認めてこなかった。アメリカやイギリスを中心にしてCOVID-19(コロナウイルス感染症-2019)を口実にした社会の収容所化、あるいはファシズム化が推進されている。宣伝の主体は有力メディアだ。

 その一方、そうした実態を告発、批判する言論は検閲の対象になっている。COVID-19騒動の非科学性を指摘する意見を西側各国の政府は封印しようとし、インターネット上では巨大な私的企業が検閲してきた。この騒動では言論が封殺されているだけでなく、「安全」を口実にして集会や結社の権利が侵害されている。

 欧米を中心に表現の自由が侵害されてきたテーマがパレスチナ人に対するイスラエルの弾圧。1948年5月14日にパレスチナでイスラエルが作られて以来、先住のアラブ系住民(パレスチナ人)は追放され、虐殺や破壊の対象になってきた。巨大な分離壁を建設し、その内部にパレスチナ人を隔離するということも行われている。物資の搬入を妨害するために海上封鎖も行われてきた。そのイスラエルを支えているのがシオニストだ。

 そうしたイスラエルのパレスチナ人に対する残虐行為を非難する人びとは少なくない。ヨーロッパを中心にして、イスラエルに対するBDS(ボイコット、資本の引き揚げ、制裁)運動も展開されているのだが、そうした行動をアメリカの政界は妨害しようとしてきた。

 アメリカ議会のイスラエル支持も有名で、「1995年エルサレム大使館法」という法律が制定されている。1999年5月31日までにエルサレムへ大使館を建設するべきだという内容だ。その法律が実行されないことからアメリカ上院は2017年6月にその法律を再確認する決議を賛成90、棄権10で採択している。その内容に沿う形でドナルド・トランプ大統領は2017年12月、エルサレムをイスラエルの首都だと認めると宣言したわけだ。

 イスラエル軍は1982年にファランジスト党を使い、レバノンにあったサブラとシャティーラのパレスチナ難民キャンプで無防備の難民を虐殺した。殺対された難民の数は数百人、あるいは3000人以上と言われている。歴史的にイスラエルと近い関係にあったイギリス労働党の内部でもイスラエルの責任を問う声が大きくなり、イスラエルを守るアメリカとの関係を見直すことにもつながった。

 その後、イギリスの労働党は親パレスチナへ姿勢を変更させていく。1992年にジョン・スミスが党首になてからもそうした傾向は続く。そうした流れを元に戻したのがトニー・ブレアだ。

 イスラエルはブレア夫妻を1994年1月にイスラエルへ招待、3月にロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介した。その後、ブレアの重要なスポンサーになるのだが、言うまでもなく、レビーの背後にはイスラエルが存在している。イスラエルとイギリスとの関係強化を目的としているという団体LFIもブレアは資金源にしていた。

 その年の5月、党首だったジョン・スミスが急死。その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になり、イスラエルの思惑通り、労働党はイスラエル支持に逆戻りした。

 しかし、そうした動きは一般党員の意思とは逆。2015年に党首がジェレミー・コービンに選ばれたのはそのためだ。彼が党の幹部や有力メディアから「反ユダヤ主義者だ」と攻撃された理由はそこにある。イスラエルに従属しない人間は反ユダヤ主義者だというわけだ。

 2008年にロスチャイルド系投資銀行へ入り、200万ユーロという高額の報酬を得ていた過去があるフランスのエマニュエル・マクロン大統領も親イスラエルで有名で、反シオニズムを人種差別として取り締まると宣言している。マクロンは強者総取りの新自由主義に対する抗議活動(黄色いベスト)を暴力的に取り締まった。

 アメリカの支配者は私的な利益を守り、増やすため、民主的な政権を倒すだけでなく、国内を収容所化してきた。そうした現実を人びとへ明らかにしようとした告発者に対しては厳しく処罰している。

 権力犯罪を暴いたジュリアン・アッサンジはイギリスで逮捕され、アメリカへ引き渡す手続きが続いている。エドワード・スノーデンはロシアから外へ出られない状態だ。つまり、アメリカ政府が国連でナチズム関する決議に反対した理由を表現の自由、集会や結社の権利にあるとするわけにはいかない。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202012270000/
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1024.html#c5

[近代史5] 現生人類の起源 中川隆
2. 中川隆[-8888] koaQ7Jey 2020年12月27日 11:16:54 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[15]
コーカソイドは人格障害者集団 中川隆
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/380.html

コーカソイドだった黄河文明人が他民族の女をレイプしまくって生まれた子供の子孫が漢民族
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/382.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/464.html#c2

[近代史5] 現生人類の起源 中川隆
3. 中川隆[-8887] koaQ7Jey 2020年12月27日 11:22:22 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[16]
太平洋先住民の起源
ポリネシア人・オーストロネシア語族の起源は台湾先住民
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/355.html#c3
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/464.html#c3
[近代史5] コーカソイドだった黄河文明人が他民族の女をレイプしまくって生まれた子供の子孫が漢民族 中川隆
1. 中川隆[-8886] koaQ7Jey 2020年12月27日 12:13:08 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[17]
日本人のガラパゴス的民族性の起源
http://garapagos.hotcom-cafe.com/

1-1. Y-DNAハプロタイプ 2019年6月版 最新ツリー
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-1.htm

2-1. mtDNA ハプロタイプ 2019年5月21日取得 最新ツリー改訂版
http://garapagos.hotcom-cafe.com/2-1.htm

1-5. Y-DNA ハプロタイプの意義と拡散
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-5,2-2.htm#1-5

1-5. Y-DNA/mtDNA ハプロタイプの意義と拡散
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-5,2-2.htm#2-2

DNA解析の限界/実は単品ではあまり役にたたないという話
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/430.html

ネット上でよく見かける人類進化に関する誤解
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/774.html

先住民族は必ず虐殺されて少数民族になる運命にある
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/590.html


▲△▽▼

日本人のガラパゴス的民族性の起源

1-16. 多民族国家 中国のY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-16.htm

1-2. 日本と関連民族のY-DNAハプロタイプの出現頻度 rev.1
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-2.htm

1-7. 極東遺伝子度調査 Y-DNA「O」(O1,O2,O3」
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-7,19-6,18-3.htm#1-7
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-7,19-6,18-3.htm#18-3

1-13. 中央アジアの標準言語テュルク語民族の遺伝子構成はどうなのか?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-13.htm

3-10. Y-DNA「Q」 異民族の侵入者フン族の痕跡
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-10.htm

15-31. 新石器時代後期の中国北部がシナ‐チベット語族の起源らしい!
http://garapagos.hotcom-cafe.com/15-31.htm

14-8. 長江江南(江西省仙人洞洞窟遺跡)で世界最古2万年前の土器発見!?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/14-8.htm


▲△▽▼
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/382.html#c1

[近代史5] コーカソイドは人格障害者集団 中川隆 中川隆
10. 中川隆[-8885] koaQ7Jey 2020年12月27日 12:18:05 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[18]
日本人のガラパゴス的民族性の起源
http://garapagos.hotcom-cafe.com/

1-1. Y-DNAハプロタイプ 2019年6月版 最新ツリー
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-1.htm

2-1. mtDNA ハプロタイプ 2019年5月21日取得 最新ツリー改訂版
http://garapagos.hotcom-cafe.com/2-1.htm

1-5. Y-DNA ハプロタイプの意義と拡散
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-5,2-2.htm#1-5

1-5. Y-DNA/mtDNA ハプロタイプの意義と拡散
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-5,2-2.htm#2-2

DNA解析の限界/実は単品ではあまり役にたたないという話
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/430.html

ネット上でよく見かける人類進化に関する誤解
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/774.html

先住民族は必ず虐殺されて少数民族になる運命にある
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/590.html

▲△▽▼

日本人のガラパゴス的民族性の起源
ヨーロッパY-DNA遺伝子調査報告

 3-1. Y-DNA調査によるヨーロッパ民族
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-1.htm

 3-2. Y-DNA「I」   ノルマン度・バルカン度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-2.htm

 3-3. Y-DNA「R1b」  ケルト度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-3.htm
       
 3-4. Y-DNA「R1a」  スラブ度・インドアーリアン度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-4.htm

 3-5. Y-DNA「N1c」  ウラル度・シベリア度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-5.htm
 
 3-6. Y-DNA「E1b1b」 ラテン度(地中海度) 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-6.htm
  
 3-7. Y-DNA「J」   セム度・メソポタミア農耕民度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-7.htm

 3-8. Y-DNA「G」   コーカサス度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-8.htm

15-4. アイスマンのY-DNAはスターリンと同じコーカサス遺伝子の「G2a」
http://garapagos.hotcom-cafe.com/15-4.htm
 
3-9. Y-DNA「T」   ジェファーソン度 調査 
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-9.htm  

3-10. Y-DNA「Q」   異民族の侵入者フン族の痕跡調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-10.htm

1-11. ユダヤ人のY-DNA遺伝子は日本列島の構成成分となっているのか?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-11.htm

1-15. コーカサスはバルカン半島並みの遺伝子が複雑な地域
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-15.htm

1-14. ギリシャはヨーロッパなのか?? 地中海とバルカン半島の遺伝子は?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-14.htm

1-13. 中央アジアの標準言語テュルク語民族の遺伝子構成はどうなのか?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-13.htm

1-17. 多民族国家 ロシアのY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-17.htm

1-9. 多民族国家 アメリカのY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-9.htm

1-18. 多民族国家 インドのY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-18.htm

1-16. 多民族国家 中国のY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-16.htm
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/380.html#c10

[近代史5] コーカソイドは人格障害者集団 中川隆 中川隆
11. 中川隆[-8884] koaQ7Jey 2020年12月27日 12:23:09 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[19]
1-9. 多民族国家 アメリカのY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-9.htm

1-11. ユダヤ人のY-DNA遺伝子は日本列島の構成成分となっているのか?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-11.htm

1-13. 中央アジアの標準言語テュルク語民族の遺伝子構成はどうなのか?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-13.htm

1-14. ギリシャはヨーロッパなのか?? 地中海とバルカン半島の遺伝子は?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-14.htm

1-15. コーカサスはバルカン半島並みの遺伝子が複雑な地域
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-15.htm

1-17. 多民族国家 ロシアのY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-17.htm



http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/380.html#c11

[近代史5] 日本人のガラパゴス的民族性の起源 日本人の源流考 中川隆
3. 中川隆[-8883] koaQ7Jey 2020年12月27日 12:26:00 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[20]
日本人のガラパゴス的民族性の起源
http://garapagos.hotcom-cafe.com/

1-1. Y-DNAハプロタイプ 2019年6月版 最新ツリー
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-1.htm

2-1. mtDNA ハプロタイプ 2019年5月21日取得 最新ツリー改訂版
http://garapagos.hotcom-cafe.com/2-1.htm

1-5. Y-DNA ハプロタイプの意義と拡散
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-5,2-2.htm#1-5

1-5. Y-DNA/mtDNA ハプロタイプの意義と拡散
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-5,2-2.htm#2-2

DNA解析の限界/実は単品ではあまり役にたたないという話
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/430.html

ネット上でよく見かける人類進化に関する誤解
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/774.html

先住民族は必ず虐殺されて少数民族になる運命にある
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/590.html


▲△▽▼

日本人のガラパゴス的民族性の起源

1-16. 多民族国家 中国のY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-16.htm

1-2. 日本と関連民族のY-DNAハプロタイプの出現頻度 rev.1
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-2.htm

1-7. 極東遺伝子度調査 Y-DNA「O」(O1,O2,O3」
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-7,19-6,18-3.htm#1-7
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-7,19-6,18-3.htm#18-3

1-13. 中央アジアの標準言語テュルク語民族の遺伝子構成はどうなのか?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-13.htm

3-10. Y-DNA「Q」 異民族の侵入者フン族の痕跡
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-10.htm

15-31. 新石器時代後期の中国北部がシナ‐チベット語族の起源らしい!
http://garapagos.hotcom-cafe.com/15-31.htm

14-8. 長江江南(江西省仙人洞洞窟遺跡)で世界最古2万年前の土器発見!?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/14-8.htm


http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/280.html#c3

[近代史5] 日本人のガラパゴス的民族性の起源 日本人の源流考 中川隆
4. 中川隆[-8882] koaQ7Jey 2020年12月27日 12:27:42 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[21]
日本人のガラパゴス的民族性の起源
ヨーロッパY-DNA遺伝子調査報告

 3-1. Y-DNA調査によるヨーロッパ民族
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-1.htm

 3-2. Y-DNA「I」   ノルマン度・バルカン度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-2.htm

 3-3. Y-DNA「R1b」  ケルト度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-3.htm
       
 3-4. Y-DNA「R1a」  スラブ度・インドアーリアン度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-4.htm

 3-5. Y-DNA「N1c」  ウラル度・シベリア度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-5.htm
 
 3-6. Y-DNA「E1b1b」 ラテン度(地中海度) 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-6.htm
  
 3-7. Y-DNA「J」   セム度・メソポタミア農耕民度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-7.htm

 3-8. Y-DNA「G」   コーカサス度 調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-8.htm

15-4. アイスマンのY-DNAはスターリンと同じコーカサス遺伝子の「G2a」
http://garapagos.hotcom-cafe.com/15-4.htm
 
3-9. Y-DNA「T」   ジェファーソン度 調査 
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-9.htm  

3-10. Y-DNA「Q」   異民族の侵入者フン族の痕跡調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/3-10.htm

1-11. ユダヤ人のY-DNA遺伝子は日本列島の構成成分となっているのか?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-11.htm

1-15. コーカサスはバルカン半島並みの遺伝子が複雑な地域
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-15.htm

1-14. ギリシャはヨーロッパなのか?? 地中海とバルカン半島の遺伝子は?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-14.htm

1-13. 中央アジアの標準言語テュルク語民族の遺伝子構成はどうなのか?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-13.htm

1-17. 多民族国家 ロシアのY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-17.htm

1-9. 多民族国家 アメリカのY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-9.htm

1-18. 多民族国家 インドのY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-18.htm

1-16. 多民族国家 中国のY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-16.htm

▲△▽▼

1-9. 多民族国家 アメリカのY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-9.htm

1-11. ユダヤ人のY-DNA遺伝子は日本列島の構成成分となっているのか?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-11.htm

1-13. 中央アジアの標準言語テュルク語民族の遺伝子構成はどうなのか?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-13.htm

1-14. ギリシャはヨーロッパなのか?? 地中海とバルカン半島の遺伝子は?
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-14.htm

1-15. コーカサスはバルカン半島並みの遺伝子が複雑な地域
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-15.htm

1-17. 多民族国家 ロシアのY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-17.htm
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/280.html#c4

[文化2] ゆとり教育を推進した三浦朱門の妻 曽野綾子がした事 _ これがクリスチャン 中川隆
247. 2020年12月27日 17:12:05 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[22]
新型コロナで揺らぐ「科学立国ニッポン」の土台 2020年12月25日
NHKスペシャル「パンデミック 激動の世界」シリーズ
田部康喜 (コラムニスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21714


 「科学立国ニッポン」は、新型コロナウイルスに打ち勝つことができるのか。NHKスペシャル「パンデミック 激動の世界」シリーズは、日本の科学の屋台骨が揺らいでいるのではないか、と問う。「“科学立国”再生への道」(12月20日)は、民間から文部大臣となり、その後も日本の科学教育のあり方にかかわってきた、有馬朗人さん(7日死去、享年90)の最後のインタビューを軸として、コロナと戦う研究現場を舞台にした迫真のルポルタージュである。

 番組の冒頭、有馬さんのインタビュー映像が流れる。

 「(日本の)教育環境のひどさは大変だ。日本がアジアで一番だと思っていたが、みんな下がっちゃった」

 新型コロナウイルスに関する論文は、世界で約8万本が書かれている。国別のトップ3は、米国と英国、中国である。欧州各国が続き、日本は16位に過ぎない。テーマ別でも「ワクチン」や「免疫」などの主要な分野で、日本の貢献度は低い。

 「科学立国ニッポン」の衰退の原因について、番組は「科学研究の司令塔」の不在に迫る。

 新型コロナウイルスに対するワクチン開発などでリードする、米国の国立衛生研究所(NIH)と、日本のコロナ対策は対照的である。

 NIHは今回のコロナ対策費として、米政府から最大2000億円の資金配分を任された。さまざまな研究チームに配分すると同時に、研究データは一元管理する。そのデータを検討して、必要と認めれば資金を追加投入する。

 さらに、ワクチン治験の最終関門でありかつ最もハードルが高い、臨床試験においては、全米で15万人の試験を受けるひとのネットワークをつくって、ワクチン開発者にこたえた。

 NIH・NIGMS所長のジョン・ローシュさんは、「(NIHは)開発から臨床まで一貫して指導する」という。

 日本はどうか。政府はワクチン開発の資金として、5つの研究チームに対して計485億円を配分した。

 大阪大学寄付講座教授の中神啓徳さんのチームは、110億円の資金を得た。ワクチン開発のスピードをあげるために、中神チームはウイルス利用ではなく、世界的に初の試みとなるDNAを活用した「遺伝子ワクチン」の開発を目指している。遺伝子情報をとりだして、免疫をつくり、大量生産が可能なDNAの特性に目をつけたものだ。

 開発に向けて、動物実験など、さまざまな段階を10カ所の研究機関に分担させるなど、スピード重視である。12月初旬に500人を対象にした、臨床実験にこぎつけた。これまでに比べると、異例の早さである。

 しかし、安全性を確認するには、1万人規模の治験が必要で、その確保は研究チームに委ねられている。そもそも、欧米に比べて感染者が相対的に少ない日本では、大規模な治験は難しい。共同研究している、創薬メーカーからは、海外での治験の提案があるが、そのためには新たに政府の資金を求める必要がある。

再生の芽はあるのか

 大きな問題は、科学研究を担う若手研究者の疲弊である。期限付きの研究者の割合が急速に増加して、若手は安心した研究環境を得るのが困難になっている。

 国立大学の40歳未満の教員において、「期限なし(長期雇用)」と「期限付き(短期雇用)」の割合をみると、2007年には、「なし」が61%に対して、「付き」が39%だった。ところが、2019年になると、「なし」が34%、「付き」が66%と大きく逆転している。

 国立大学が2004年に独立行政法人になったことが要因である。政府からの資金は、従来からの大学運営費に相当する「運営交付金」と、新たに「競争的資金」の2本建てになった。後者は研究者が政府に申請して、資金を獲得するインセンティブを与えて大学を活性化する目的があった。

 ところが、2006年の財政改革によって、「運営交付金」が毎年1%ずつ削減されることになった。この費用は人件費が大部分を占める。若手研究者は「期限なし」の職を得ることが困難になった。「競争的資金」による「期限付き」雇用が増えた。

 「科学立国ニッポン」の再生の芽がないわけではない。番組は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)に目を向ける。2011年に設立された大学は、故・有馬朗人さんも理事としてかかわった。世界の大学、研究機関のなかで、影響力のある論文を発表しているベスト100のなかで、東京大学が40位なのに対して、OISTは9位である。世界トップクラスの研究機関と肩を並べている。

 OISTの特徴は、3つに集約される。第1は、研究期間を短期に縛らない。第2は、研究状態の不断のチェック体制がある。第3は、研究分野を超えた連携である。

 研究チェックを担当するのは、プロボス(Provost)と呼ばれる役職である。研究の司令塔役を果たす。研究予算の配分を統括し、進捗状態に応じて資金の追加もする。

 プロボスのメアリー・コリンズさんは、生物学者として欧米の研究機関のチームにかかわって成果を上げてきた人物である。次のように語る。

 「科学とは何度も挑戦して、失敗しなければ答えが得られない。私の役割は、科学者の先輩として助言を行うことです。ただ、上から管理するのではなく、着実に成果に導くような支援が重要なのです」と。
http://www.asyura2.com/09/bun2/msg/492.html#c247

[番外地8] 昭和天皇は麻薬ビジネスでボロ儲けする為に満州・中国・東南アジアを侵略した 中川隆
1. 中川隆[-8881] koaQ7Jey 2020年12月27日 17:29:20 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[23]
戦前の日本は女性の人身売買と麻薬売買だけで稼いでいたんだよ。 chousen  は麻薬工場を作る為にインフラ整備したんだ、大東亜共栄圏というのは麻薬を売り捌く為の市場だ:
昭和天皇は麻薬ビジネスでボロ儲けする為に満州・中国・東南アジアを侵略した

大東亜共栄圏は満州で栽培したケシを北朝鮮でモルヒネ・ヘロインに加工して中国・東南アジアで売り捌く為に構想したが、欧米から麻薬ビジネスを非難されて国際連盟を脱退した。

満州国周辺は、阿片の原材料である芥子の世界的な産地であり、満州国の行政・経済を支配していた関東軍は、阿片ビジネスによって、自軍の軍資金や国家の資金を荒稼ぎしていた。

 販売ルートは、満州国政府専売局が芥子栽培組織から原材料を入手し、阿片に加工した後、上海や香港を経由して中国内陸部にまで販売するというものだった。

 阿片の利益は膨大で、満州国建国の8年目の利益は、その年の国家予算の約6分の1に相当する、1億2千万円(現在の価格で約2千億円)にもなったとされる。
http://www.asyura2.com/20/ban8/msg/262.html#c1

[近代史4] 統一教会 中川隆
7. 2020年12月27日 19:06:35 : FRaqZnrJmP : eVhnV01CT2dEcWc=[24]
安倍晋三と蜜月の検察庁は統一教会ばかり
2020年12月27日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1354.html


 
 安倍晋三の国費を利用した有権者買収という重大犯罪が、なぜか安倍の関与がないと認定され、秘書も略式起訴になった。これは、日本検察庁が、安倍晋三の身内だからだ。

 安倍前首相を不起訴、特捜部 「桜」公設第1秘書は略式起訴 12/24
 https://news.yahoo.co.jp/articles/5fbf751cbc66936ec6e7a38a38ede1669880c0ea
 
 統一教会日本支部は、1964年、安倍晋三の祖父=岸信介の渋谷区南平台にあった岸信介本宅敷地内に建設された。初代支部長は、立正佼成会だった久保木修身。

 それは、統一教会教祖・文鮮明と岸信介が、朝鮮における麻薬密売組織「昭和通商」の経営で蜜月に協力していた関係からだ。当時の昭和通商麻薬密売組織の関係者は、他に、笹川良一・児玉誉士夫・正力松太郎・里見甫らである。
 (昭和通商の主力商品は「アヘン」というより「ヘロイン」だった)
https://www.shokabo.co.jp/column/matsu-27.html

 統一教会が、洗脳した日本人女性を使って街頭で霊感商法(壺・花)の詐欺商売を必死になって行っていた時代、1980年代には、中曽根政権下で、旧帝大など一流大学に統一教会青年部である「原理研」が多数設立され、自民党議員への選挙協力を通じて、議員秘書やキャリア官僚に採用されて、当時入省した原理研メンバーが、現在、各省庁のトップに君臨しているといわれる。
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/279977

 当時の原理研メンバーの入省先は、@検察庁 A警察庁 B最高裁 C防衛庁 D文部省だったといわれる。
 現在の、国家安全保障局長である北村滋や、杉田和博、検察トップ、経産省トップは、当時、入省した原理研メンバーと噂されている。

 6月18日に逮捕された河合克行・案里夫妻は原理研出身で、日本の統一教会トップとされながら、同じ統一教会の支配する検察に逮捕された理由について、副島隆彦が、検察内部の原理研勢力と、反原理研勢力(稲田・林ら)で内紛が起きて、非統一教会系、検察メンバーが河合を捕獲する戦争を仕掛けたと解説している。
  http://www.snsi.jp/bbs/page/1/view/5559

内紛の理由は、河合の1.5億円賄賂事件で、東京から派遣された若い検察官が、河合らによって自殺に追い込まれたことで、稲田検察総長はじめ反統一教会派が一斉に蜂起したと上のリンクに説明されている。

 もちろん安倍が検察庁長官に指名する予定だった黒川弘務は、原理研出身の旗手で、黒川がトップに立てば、安倍謳歌の時代が長く保証される予定だった。
 だが、稲田・林ら旧勢力が、これを阻止したのは周知であり、まだ生き残っている統一教会系検察官が、黒川を不起訴にしたものの、稲田らは、検察審査会を動かして起訴に持ち込んだ。
 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020122400673&g=soc

 安倍晋三は、安倍三兄弟と称される、岸信夫・北村経夫らと共に、選挙のたびに大規模な経済的、人的支援を統一教会から受け続けており、自身も統一教会の熱烈な信者であると評されている。
 http://tokaiama.minim.ne.jp/tokaiama/touitu/123touitu.htm

 ここで、安倍晋三政権における統一教会系人脈を取り上げた記事があるので、引用する。
*******************************************************************

 統一教会系閣僚9人。安倍政権と変わらぬ菅政権の「新宗教・スピリチュアル・偽科学」関係 11/9(月)
 https://news.yahoo.co.jp/articles/d6d059e224b6f1362b4be0cccee252373381cb39?page=3

 菅政権の新宗教・スピリチュアルなどとの関係 菅内閣の顔ぶれ (時事通信社)

 昨年、第4次安倍再改造についてカルト集団や社会的に問題視される宗教団体、スピリチュアル、ニセ科学などと関わりを持つ閣僚を調べた。
〈参照:第4次安倍改造内閣の知っておくべき側面。統一教会系閣僚11人、その他の問題集団との関係も枚挙に暇なし〉

 そこで、今回も同じ要領で、今年9月に誕生した菅義偉内閣の面々について調べてみた。結果、全体的な傾向としては安倍内閣とほぼ変わらない「カルト内閣」ぶりであることがわかった。

 「カルト問題」においては一般的に、具体的な人権侵害行為を行う集団を「カルト」と呼ぶ。思想の是非は基本的に関係がない。また人権侵害の内容や程度は団体ごとに違うため、カルトと非カルトを明確に線引きはせず、問題の度合いに応じて「カルト的」「カルト性がある」などという言い方をする。

 しかし閣僚等の問題に関しては、この定義よりも幅を広げて、思想や主張の内容も含め人権侵害につながる可能性があり社会的に批判あるいは問題視されている団体もとりあげる。便宜的に「カルト」という言葉を使うが、いわゆる「カルト問題」で言われる「カルト」とは少々違うという点に留意していただきたい。

 また、政治家である以上、信仰に関係なく宗教団体などの会合に顔を出すこともあるだろうし、信仰がある場合についてはプライベートに関わる問題でありそれを非難する意図はない。
ただ、国会議員等の身分や役職を引っさげてイベントに出席したり祝電や祝花を送れば団体側の権威付けに協力することになり、それはプライベートな信仰活動にとどまらなくなる。社会的に批判されている団体等との関わりであれば、なおさらだ。議員連盟での活動等、各分野に関する推進活動や、政治資金収支報告書に記載される金銭の授受も、プライベートではなく政治家の政治活動だ。
政策等も含めて、国民の利害に影響を与えるものであり、政治家個人のプライバシーではない。

 トップ3は日本会議、神政連、統一教会

 菅内閣の閣僚の全体像をまとめると、こうなる。カッコ内は、安倍首相辞任時点の安倍政権の数値。

神道政治連盟:16人(15人)
日本会議:13人(14人)
統一教会(現=世界平和統一家庭連合):9人(11人)
不二阿祖山太神宮:5人(4人)
霊友会:4人(4人)
統合医療:2人(2人)
親学:2人(2人)
幸福の科学:1人(1人)
世界救世教:1人(1人)
創価学会:1人(1人)
ワールドメイト:1人(1人)
EM菌:2人(1人)

 大臣以外の役職者と党4役をあわせた全体の状況は以下の通り。

神政連:50人(40人)
日本会議:38人(34人)
統一教会:15人(19人)
不二阿祖山太神宮:12人(12人)
創価学会:7人(4人)
ワールドメイト:6人(2人)
霊友会:6人(5人)
統合医療:5人(4人)
EM菌:5人(2人)→アマ註・比嘉の所属する世界救世教
親学:3人(3人)
幸福の科学:2人(4人)→アマ註、副島は「幸福の科学」が統一教会の下部組織と指摘
スピリチュアル議連:1人(2人)→山本有二・下村博文・ 松原仁・古川禎久・大島敦
世界救世教:1人(1人)
その他1:3人(5人)
その他2:1人(1人)
その他3:1人(1人)

 内閣の全役職者と党4役の各人に、1つの団体との関わりにつき「★」を1つ付けた。安倍内閣では、1人あたりの星の数の平均は1.73。菅内閣では1.65となった。上記の団体別の人数を見ても分かる通り、多少の増減こそあれ、おおむね安倍内閣と同様の傾向にあることがわかる。

日本会議と神政連

 日本会議・神政連については、日本会議国会議員懇談会や神道政治連盟国会議員懇談会に所属する人物をカウントした。閣僚以外の役職者まで含めるとあまりに多いため逐一名前を挙げることは避けるが、安倍内閣と比べて菅内閣では神政連系が10人増え、日本会議系は4人増えた。

 神政連はその名の通り神道系団体で、日本会議は、新生佛教教団、崇教真光、解脱会、黒住教、佛所護念会教団、霊友会など様々な宗教団体や関係者が関わる寄り合い世帯。その源流に、また現在の活動の広がりに、初代教主時代の生長の家で活動していた人々が関わっていることは、著述家の菅野完氏が『日本会議の研究』等で指摘している。

 「カルト問題」に取り組む、いわゆる「反カルト運動」において日本会議や神政連といった宗教的保守運動が槍玉に上がる場面はほぼない。これは、いわゆる「反カルト運動」が政治的に中立であることと、思想ではなく実際の行為を基準としてカルトを捉えていること、個人の被害事例に立脚して「カルト」を捉えていること等によるものだろう。イメージとしては、消費者問題の宗教版の色合いが強い。

 もちろん、思想が保守的であるとことが必ずしも具体的な人権侵害に直結するとは言い切れない。また日本会議や神政連について「壺を売りつけられました」「全財産を奪われました」といった類いの相談が寄せられているという話も聞かない。従来のカルト問題で中心的に扱われてきたような信者個人への「被害」や、それを予測させる実態についての情報がなく、「反カルト運動」において日本会議や神政連は「カルト」として扱われていない。

 こうしたカルト観や定義は、信仰に乗じて組織や指導者が個人の精神を束縛し人権侵害や財産・労働力・性の搾取を行うというカルト問題の構造への問題提起だ。政治性に左右されず人権侵害行為への問題提起に徹するために、「反カルト運動」における「カルト観」は現状のままである必要がある。

 しかしそれはそれとして、政治の分野においては、外交、安全保障、憲法改正、復古的家族観、性差観等、日本会議・神政連や関係者たちの主義主張は「人権」に関わる重大な問題を伴う。また日本会議は様々なフロント的な組織やイベントを通じて政治運動を展開しており、そこに統一教会系政治団体「国際勝共連合」等が関わる場面もある。国会議員以外も含めて、日本会議関係者が勝共連合の活動にも関わる場面もある。

 こうしたことから、カルト問題におけるカルトの定義に当てはまらない日本会議や神政連も、ここでは「カルト内閣」の構成要素に加えている。以下の各団体や分野についても同様で、「カルト」とは言えない、あるいは言い切れないものも含んでいる。

 9人の統一教会系閣僚

 統一教会(現・世界平和統一家庭連合)は、オウム真理教などと並んで日本の代表的なカルト集団だ。旧称である統一教会の正式名が「世界基督教統一神霊協会」であることからわかるように、キリスト教の一派であるかのように自称してきた側面もある。

 韓国で生まれた統一教会は1960年代に日本に上陸。「原理運動」と称して、反共活動を伴う宗教活動を展開した。

 入信した信者がのめり込んで親との関係を断ったり学業等を疎かにするなどしたことから70年代には「親泣かせの原理運動」という言葉も生まれた。80年代には高額な宗教グッズを売りつける「霊感商法」が社会問題化し、90年代にかけてピーク時には年間100億円を超える被害相談が寄せられた。
 現在でも年間数千万円から1億円近い相談が寄せられている。90年代には歌手の桜田淳子が入信し合同結婚式に参加すると発表して、多くのメディアに報道された。

 大学構内や周辺、繁華街の路上、戸別訪問などで、統一教会であることを隠して勧誘する「偽装勧誘」も問題視されている。アンケートやボランティアサークル、家系図の勉強会など、様々な名目で近づき、統一教会の教義であることを知らせないままフロント組織の施設で教義を勉強させる。

 2015年に統一教会は「世界平和統一家庭連合」に名称変更。現在では、路上勧誘などの際に相手に見せる印刷物にこの新名称を記載しているケースもある。
 しかし「あの統一教会」であることは敢えて告げなかったり、霊感商法の問題を指摘すると「あれは教団ではなく一部の信者が勝手にやったこと」などと言い訳して、社会的に批判されている実態について隠したり偽ったりする。

 この統一教会と付き合いがある閣僚9人は、以下の通り。

 首相・菅義偉:2013年7月、北村経夫候補を統一教会福岡教会など2教会に講演手配。2017年5月、金起勲北米会長が率いるワシントンタイムズ一行を首相官邸に招待。

 副首相・麻生太郎:2011年に統一教会系のワシントンタイムス紙に掲載された全面意見広告に賛同者として氏名記載。

 総務相・武田良太:2017年2月、韓国で開かれた統一教会による世界平和国会議員連合の総会で同教団の韓鶴子総裁 から統一教会を国の宗教にするという“国家復帰”指令を受任。2017年7月、統一教会の誘いでアメリカ外遊、ワシントンDCの米下院議院会館で「韓日米の国会議員カンファレンス』やニューヨークの国連本部で「韓日米有識者懇談会」に出席、統一教会・韓鶴子総裁主賓の超宗教フェスティバル「真の父母様マジソンスクエアガーデン大会」に出席。2018年10月、キャピトルホテル東急で開かれた国際勝共連合50周年大会に出席。

 文科相・萩生田光一: 2014年10月、東京・八王子市芸術文化会館大ホールで開かれた「祝福原理大復興会」で来賓として祝辞。2014年、はぎうだ光一後援会が世界平和女性連合に会費1万5000円を支払い。2017年、自民党東京都第二十四選挙支部が世界平和女性連合に会費1万5000円支払い。

 防衛相・岸信夫:2006年5月13日に統一教会系天宙平和連合(UPF)「祖国郷土還元日本大会」福岡大会に祝電。

 内閣官房長官・加藤勝信:2014年と2016年にそれぞれ、自民党岡山県第5選挙区支部が世界平和女性連合に会費1万5000円支払い。2018年7月(当時、厚労大臣任期中)、岡山県岡山市のジップアリーナで開かれた「復興記念・2018孝情文化ピースフェスティバルin OKAYAMA」に秘書を代理出席。「心よりお喜び申し上げます」「敬意を表し感謝を申し上げます」とのメッセージを寄せた。

 復興相・平沢勝栄:2006年5月24日に統一教会系天宙平和連合(UPF)「祖国郷土還元日本大会」東京大会に祝電。

 国会公安委員長・小此木八郎:・2006年5月23日に統一教会系天宙平和連合(UPF)「祖国郷土還元日本大会」横浜大会に祝電。

 デジタル改革担当相・平井卓也:・2016と2017年に、統一教会関連イベント「PEACE ROAD」四国香川県実行委員長。2016年6月1日、Facebookで、統一教会の2世組織「勝共UNITE」の前月末のデモについて「このようなデモはあまり報道されませんが、学生はシールズというイメージは間違いです」と書き込み、アピール。

 このほか、菅内閣の大臣以外の役職者で統一教会と関わりがあるのは、以下の5人。

内閣官房副長官・坂井学
内閣府副大臣・三ッ林裕巳
経済産業副大臣・江島潔
防衛副大臣・中山泰秀
総務大臣政務官・谷川とむ

 さらに、自民党政調会長・下村博文も、統一教会関連団体のイベントでの講演や関連団体への会費支払等が確認されている。

 アウストラロピテクスの時代に天皇の王朝があった?

 安倍内閣同様、菅内閣でも統一教会に次ぐ勢力を誇るのが「不二阿祖山太神宮」(山梨県富士吉田市)。偽の古文書「宮下文書」を根拠として、200〜300万年前の富士山麓(富士高天原)に天皇を頂点とする「富士王朝」(古代富士王朝)があったとし、その文明において天皇家縁の神社だった「不二阿祖山太神宮」の再建を目指している。

 人類の誕生は約100万年前。200〜300万年前と言えば、猿人・アウストラロピテクスの時代だ。古事記も日本書紀もあったものではない。

 またこの宗教団体の設立は2009年。200〜300万年前の「富士王朝」とは関係がない。「病気が治る奇跡の水」なるものを販売していた過去もある。

 政治との関連で問題なのが、関連NPO法人の名義で年1回開催している「FUJISAN地球フェスタWA」。学研『ムー』編集長を講師に招き「富士高天原ツアー」や「富士王朝」に関する講演会を開催するなど、教義に結びつけるような企画を含んでいた年もある。

 このイベントの初期に「代表発起人」と「名誉顧問」を務めてきたのが安倍首相の夫人・昭恵だ。彼女が関わりを持つようになって以降、多い年には47もの行政機関から後援を取り付けた。また70名近い国会議員が顧問などを務める。

 いわゆる「カルト」のような事件を起こしている団体ではない。しかし「FUJISAN地球フェスタWA」は子供連れ客の来場も想定した内容で、教育委員会などの教育関係機関も多い年で17も後援につく。偽史に基づいた宗教イベントに国会議員ばかりか子供まで巻き込んでいる。カルトというよりニセ科学に近い問題だろう。

「FUJISAN地球フェスタWA 2020」は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となったが、今年も現職の国会議員58人が顧問等で名を連ねた。2015年以降、毎年皆勤の国会議員は54人もおり、政党別では自民44、公明5、維新2、国民1、立憲2となっている。

「FUJISAN地球フェスタWA 2020」の役員を務める閣僚は、以下の通り。全員が、2015年から現在までの「皆勤賞組」だ。

総務相・武田良太:特別顧問、代表発起人
厚労相・田村憲久:顧問
一億総活躍担当相・坂本哲志:顧問
経済再生担当相・西村康稔:顧問
国際博覧会担当相・井上信治:顧問

 閣僚以外の内閣の役職者は、以下の通り。こちらも全員が2015年以来の「皆勤賞組」。

厚生労働副大臣・三原じゅん子
農林水産副大臣・葉梨康弘
農林水産副大臣・宮内秀樹
総務大臣政務官・谷川とむ
内閣総理大臣補佐官・木原稔

 党4役では、選対委員長・山口泰明も2015年以降、毎年顧問を務めている。

※敬称略

<取材・文・図版作成/藤倉善郎 取材協力=鈴木エイト>

【藤倉善郎】
ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)

ハーバー・ビジネス・オンライン
*****************************************************************

 引用以上

 加藤や平沢は、これまでの発言履歴から、統一教会系の選挙支援を受けているよしみで、祝辞を送ったのかもしれないが、萩生田光一は、安倍政権下での世耕弘成経産相と同様、原理研時代からのガチガチの活動家だった疑いが強い。
 いずれにせよ、菅義偉内閣の閣僚21名のうち、9名が統一教会系であると暴露されている。こうなれば、菅統一教会政権と言い換えてもいいほどだが、現実には、管政権の政治路線は、竹中平蔵のコピーである。

 竹中は、自分が本当は何ものなのか? 尻尾を出していないが、もしかしたら統一教会と大きな関係があるかもしれない。一時は、統一教会がハーバード大を乗っ取りかねないほどの資金提供を行っていたからだ。
 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1345982038

 いずれにせよ、安倍晋三=菅義偉=麻生太郎は、もはや統一教会とズブズブの関係であり、選挙支援も委ねている。公選法により、運動員を金で雇えないという自民党のアキレス腱を支えてくれるのは、統一教会=原理研しかないからだ。
 安倍が8年にわたって国政に君臨できたのも、統一教会とCIAの選挙不正介入のおかげだろう。

 したがって、安倍・麻生いるかぎり日本政府が統一教会の根城になることは必然的なことだ。今の菅政権から統一教会を追放したら、中身がなくなってしまうほどだ。
 だから、安倍が「外国人労働者受入」に走った理由も、統一教会側から、韓国人青年を日本に送り込みたいという思惑に答えたものにちがいない。
 
 統一教会の傀儡、安倍政権による移民政策で何が起きるのか?2019年06月28日
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-789.html

 私は、安倍晋三政権が、コロナ対策でのマスク配布など不可解な浪費に走っている理由も、統一教会に資金を流しているのではないかと疑っている。
 文在寅政権が崩壊後、再び、韓国からの移民が加速するのは確実と考えている。

http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1354.html
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/229.html#c7

   

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