56. 中川隆[-8269] koaQ7Jey 2024年12月10日 16:28:43 : cgTuRwGi0A : dkNJeTRpcE9pWGc=[1]
2024年12月9日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が日本やアメリカの政府債務とマネタイゼーションについて語っている。
政府債務の意味
アメリカでは政府債務が大いに話題になっている。アメリカではコロナ後に金利が上がり、GDPの129%という莫大な政府債務に多額の利払いが発生しているからである。
米国政府は借金の利払いのために借金を増やしている。政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが開始しており、利払いの金額はGDP比で見て次のように増えている。
だがアメリカのこのプロセスは始まったばかりだ。まだ利払いがGDPの1%ほど増えたに過ぎない。上がり方が急速だから非常事態ではあるのだが、まだこれから始まる話に過ぎない。
政府債務はなぜ問題か
アメリカで政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが始動していることはただの事実である。だが政府債務はなぜ増えてはいけないのか?
それは国債市場にも需要と供給があるからである。買い手に対して供給が多すぎれば国債の価格は下落するだろう。
グリフィン氏: 米国債暴落でブラックマンデー再来の可能性
ましてや今はインフレによって中央銀行が量的緩和を出来なくなっている。だから政府債務だけではなくて、インフレ政策によるあらゆるツケが回ってきているのである。
では国債の価格が下落すれば誰が困るのか。ダリオ氏は次のように言っている。
誰かの負債は誰かの資産だ。
困るのは国債の保有者である。では国債の保有者とは誰か? 銀行である。
だが銀行はもともとお金を持っていない。お金を預かっているに過ぎない。銀行は預かったお金で国債を買っている。ではそれは誰のお金か? 預金者である。
麻生太郎氏も言っていたではないか。借金をしているのは政府であって国民ではないと。
だから国債価格が下がって困るのは政府ではない。国民の方である。
国債価格が下落しない代わりに
預金者は銀行を通して大量の国債を保有している。だからダリオ氏は次のように言っている。
通貨が富の貯蓄手段だと言うとき、実際にはそれは債務が富の貯蓄手段だということを意味している。
そしてそこに大きなリスクがある。
だが実際には、先進国で国債価格が大幅に下落する可能性は低い。多くの人は漠然とそう思っているだろうし、それは正しい。
しかし国債の需給問題は事実として存在する。では政府はこの問題をどうするのだろうか?
ここで登場するのが日本である。国債価格を下落させられないなら、量的緩和で日銀に国債を買わせたり、低金利を維持させて債務負担を減らすしかない。
ダリオ氏は次のように述べている。
日本は非常に良い例だ。
日本が過去15年ほど行なってきたことは、平均してアメリカよりも3%低い金利を維持することである。そして自国通貨の価値を年率4%下落させている。だから日本人は年間7%を失っている。
誰も気付いていないが、低金利政策で得をするのは金利を払う側である政府であり、損をするのは金利をもらう側である国民である。
更に2022年まで誰も気付いていなかったが、政府のインフレ政策もまた、債務(イコール日本円)の実質的な価値を下落させ、日本円の保有者の犠牲によって債務者である政府の借金を実質的に帳消しにする政策である。
数年前まで誰も知らなかっただろうが、インフレとは物価上昇という意味なのである。インフレ政策を支持していた人にとっては何という驚きだろうか。その結末は名前に書いてある。
ダリオ氏は次のように言う。
インフレは通貨の保有者から少しずつ資金を奪う。人々は名目の金額で物事を考えすぎだ。インフレを差し引いた実質ではお金のことを考えない。
マネタイゼーションのために債務の保有者を犠牲にしているのだ。
結論
更に日本人にとって物悲しいのは、ダリオ氏が次のように述べていることである。
同じことがわれわれアメリカ人にも起きる可能性がある。
お分かりだろうか。ダリオ氏にとっては日本人の資産減少は既に起きた話なのである。アベノミクス以来、日本円の価値は半分になっている。
減価された日本円で計算した日本のGDPが上がって喜んでいるような国民が気付けるわけのない話なのだが、減価した通貨で計算したGDPや株価が上がるのは当たり前の話である。それはGDPや株価が上がったのではなく、円が下がったのである。
恐らく日本人はこのまま自分が資産を失っていることにさえ気づかずに、日本政府によるマネタイゼーション完了を見届けるのだろう。まさにダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で予言した、衰退してゆく先進国の典型的なシナリオである。
すべてはこれまで数十年の選挙の結果である。日本国民が自分で望んだことなのだから、他人がどうこう言えることではないのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066
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