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[近代史4] どうしても戦争だけはやりたくなかったドナルド・トランプ大統領 中川隆
125. 中川隆[-7643] koaQ7Jey 2025年2月22日 00:22:18 : YDW7XnmgMk : djJ3LmllNzBRTms=[1]
「責任ある経済政策」とは? ポピュリズムが日本を滅ぼす【金子勝の言いたい放題】20250214
https://www.youtube.com/watch?v=slK4oco5B0Y

衆議院は「少数与党」となり、自民・公明による「問答無用」の国会運営はできなくなった。
石破政権は、野党の協力なしに予算や法案を問うすことはできません。交渉と妥協の余地が生まれ、野党は掲げる政策を実現できるチャンスが巡ってきました。そこで問われるのが「責任ある政策」。目先の世間受けを狙うバラマキや財源を赤字国債に頼る政策は、一時喜ばれても、日本経済を弱体化させる。なにがホンモノの経済政策か、金子勝が解き明かします。
2025年2月14日 収録
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1152.html#c125

[番外地12] 「アメリカがガザを所有する」 中川隆
8. 中川隆[-7642] koaQ7Jey 2025年2月22日 00:37:18 : YDW7XnmgMk : djJ3LmllNzBRTms=[2]
<■114行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
トランプは革命家ではなく、北米やハワイ・フィリピンの先住民の土地を乗っ取り資本家の私物としてきたファシズムの伝統を継承している不動産屋にしか過ぎない。トランプは今度は世界の土地すべてをアメリカの巨大資本の私物にしようとしている。
トランプ政権は巨大資本が世界を支配する世の中を作り上げようとしている。巨大資本が支配する世界は当然、統制経済になる。ベニト・ムッソリーニは1933年11月に「資本主義と企業国家」という文章の中で、このシステムを「企業主義」と呼び、資本主義や社会主義を上回るものだと主張した。これが彼の考えたファシズムであり、全体主義だとも表現されている。そのベースになる考え方はイタリアの経済学者ビルフレド・パレートから学んだのだという。
 後に西側では全体主義をファシズムとコミュニズムを一括りにするタグとして使うようになるが、これは巨大資本の情報操作。本来は企業主義(企業支配)と結びつけるべきものだった。巨大資本が定義した意味で全体主義というタグを使うのは、情報操作に踊らされていることを意味する。
 1933年11月といえば、アメリカの巨大資本が反フランクリン・ルーズベルトのクーデターを計画していたころ。その5年後の4月29日にルーズベルトはファシズムについて次のように定義している。
「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」

▲△▽▼

トランプ「アメリカがガザ地区を引き継ぎ、われわれが仕事をする。ガザ地区を所有する。雇用と住居を無制限に供給する経済開発をおこなう」

 イスラエルから攻撃を受けているガザの面積は東京23区の6割ほどになるという。さほど広くはない。猛烈な爆撃によって瓦礫の山と化した現地の映像を見るに、人が住めなくなるほど徹底的に破壊し尽くして、更地にしたうえで復興利権をむさぼるという意図が露骨に伝わってくる。「ハマスを殲滅する」を錦の御旗にして大量のミサイルを撃ち込んで、やっていたのはガザ地区全域の解体作業だったようにも見える。そこにパレスチナ人がいようがかまわず、容赦なく殲滅したうえで土地を奪い取り、虫けらのようにエジプトやヨルダンなどの近隣国に追い出していく――。これは誰がどう見てもホロコースト(絶滅政策、大量虐殺)であり、侵略である。

 米大統領のトランプが何を思い上がっているのか、このパレスチナのガザ地区について、「アメリカがガザ地区を引き継ぎ、われわれが仕事をする。ガザ地区を所有する。雇用と住居を無制限に供給する経済開発をおこなう」などとのべ、世界的な反発が高まっている。要はガザをアメリカが長期的に所有して復興特需に食い込み、パレスチナ人を追い出して別の場所に再定住させるというもので、国際社会が長年にわたって求めてきた二国家解決という和平案の覆しである。国際法違反でもある。

 トランプは大統領選前にもガザ地区について、「パレスチナ人は地中海に面する好立地を十分に活用してこなかった」とケチをつけ、「復興のしようによっては世界最高の場所の一つになり得る」「モナコより良くなるかもしれない。立地は中東で最高。海も最高。あらゆるものが最高だ」などと発言していた。アメリカがイスラエルに軍事支援したミサイル等々によって、古びたガザの街並みをまとめて一掃して更地にしたうえで、そこにモナコよりも最高な高級リゾート地を作り上げるというのが、不動産王の脳味噌のなかで出来上がった構想なのである。トランプが例に挙げたモナコとは、超物価高で知られる富裕層の保養地であり、タックス・ヘイブン(租税回避地)であり、億万長者たちの楽園である。一般人や貧乏人がフラッと遊びに行けるような場所ではない。

 戦争とはスクラップ&ビルドといわれるが、パレスチナ人を殺戮して彼らが生活を営んでいた土地を問答無用で強奪し、そこにアメリカの軍産複合体が乗り込んで復興特需をわしづかみにするのだから、あまりにもあからさまである。イスラエルの凶暴なる振る舞いを陰で支援し続けたのがアメリカであり、米軍需産業は大量の武器消費によって利潤を獲得し、パレスチナ人が血を流すことでドルを稼いだ。まさに“死の商人”である。そして、イラクの例を見るまでもなく、「復興」もまた利潤獲得の絶好の機会となり、アメリカの軍産複合体がパレスチナ人におかまいなく、むしろ土地から追い出して青写真を描くというのである。

 ガザ地区は「天井のない監獄」といわれ、長年にわたってイスラエルから迫害・差別され、社会インフラもまともにないようななかで、200万人ものパレスチナ難民が生活をよぎなくされてきた。あまりにもひどい状況であるため、食料や飲料水、医療の提供、避難場所の確保など国際的な人道支援もおこなわれてきたが、イスラエルによる蛮行は国連など世界各国の非難にもかかわらず歯止めがかからず、ついには今日のようなホロコーストがくり広げられるに至った。背後でイスラエルの横暴な振る舞いを黙認し、むしろ片棒を担いできたのがユダヤロビーが影響力を持つアメリカであり、トランプまできて隠すこともなく公然と「ガザ地区はアメリカが所有する」などといい始めているのである。

 パレスチナ人の故郷は、パレスチナ人が戻って安心して暮らしを営む場所であり、ネタニヤフのものでも、トランプのものでもない。「アメリカが所有する」など世界的には断じて認められない話でもある。イスラエル、アメリカの大暴れを規制する力が働かなければならない局面である。
https://www.chosyu-journal.jp/column/33802

▲△▽▼

「責任ある経済政策」とは? ポピュリズムが日本を滅ぼす【金子勝の言いたい放題】2025/02/14
トランプは巨大資本が支配する統制経済を押し付けるファシスト
https://www.youtube.com/watch?v=slK4oco5B0Y

我那覇真子さんがパナマから語る! トランプ氏は本当に反グローバリズムなのか?
https://www.youtube.com/watch?v=BIpMQB5EUQQ&t=35s

西谷修 _ アメリカ原理時代とアメリカ世界統治の終焉
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16891943

ファシズムとは巨大資本が支配する統制経済の事
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14125646

トランプの真の敵/ディープ・ステートとは何か?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16878485

アングロサクソンの文化
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007474

アメリカ人による極悪非道の世界侵略の歴史
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007480

レイ・ダリオ _ 基軸通貨を持つ世界一の大国でも 政府債務増加で破綻する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16887650

日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16875882

米国のXデーはいつ来る!?
石原順チャンネル 2025/02/04
https://www.youtube.com/watch?v=H1WFqTGD7bw
http://www.asyura2.com/24/ban12/msg/346.html#c8

[番外地12] 「アメリカがガザを所有する」 中川隆
9. 中川隆[-7641] koaQ7Jey 2025年2月22日 04:45:36 : YDW7XnmgMk : djJ3LmllNzBRTms=[3]
<■129行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
トランプは革命家ではなく、北米やハワイ・フィリピンの先住民の土地を乗っ取り資本家の私物としてきたファシズムの伝統を継承しているファシストの不動産屋にしか過ぎない。トランプは今度は世界の土地すべてをアメリカの巨大資本の私物にしようとしている。

一度追い落とされたトランプが復帰したのは、アメリカが「没落」したからにほかならない。その「没落」をトランプは、グローバル秩序統治派のせいだとして、まずはその「組織網」の解体から始めるとともに、国際秩序などに気を遣うのは「アメリカの損」とみなし、タイマン勝負のディールで「アメリカ」の領域を広げていこうとする。

「公共性」というのは「民主的」な情報流通にとって障害でしかない、何でも発信する「自由」がある――その「自由」の主張が「ポスト・トゥルース」といわれる情報空間の市場化・自由化を生み出し、それによって巨万の富を得たのがイーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグ(Meta・CEO)である。

 イーロン・マスクは、情報プラットフォームだけでなく、バイオ産業や宇宙開発など、もともと国家事業だったバーチャル・フロンティア事業まで私企業化した。情報領域に加え、生命領域、そして宇宙も含め、私たちの日常的な生活経験の感覚からはかけ離れた全バーチャル(非現実)領域へのアクセスを私物化しようとしているわけだ。

 トランプはイーロン・マスクを政府効率化省のトップに据えたが、それは私権の自由(無制約化)を要求する彼らのプロジェクトが、典型的にアメリカ的なものであり、「新世界」創出(草創期のアメリカ)に関するトランプの願望と一致しているからだろう。実際には、「小さな政府」の実現という名目の下、国際関与の戦争マシン「ディープ・ステート」を解体するためらしいが、イーロン・マスクがその役を買って出たのは、私権による無制約の「自由」を目指すマスクの目論見を、トランプの「アメリカ改造」が助けると考えているからだろう。

 だが、この米国発のデジタル・テクノロジーの拡大によって、ごく少数の大富豪に莫大な富が集中する一方で、富を吸い取られる人たちが無数に世界中(疲弊したアメリカ国内も含む)に広がり、全世界に重層的で巨大な格差が生み出された。
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/33868


トランプ政権は巨大資本が世界を支配する世の中を作り上げようとしている。巨大資本が支配する世界は当然、統制経済になる。ベニト・ムッソリーニは1933年11月に「資本主義と企業国家」という文章の中で、このシステムを「企業主義」と呼び、資本主義や社会主義を上回るものだと主張した。これが彼の考えたファシズムであり、全体主義だとも表現されている。そのベースになる考え方はイタリアの経済学者ビルフレド・パレートから学んだのだという。
 後に西側では全体主義をファシズムとコミュニズムを一括りにするタグとして使うようになるが、これは巨大資本の情報操作。本来は企業主義(企業支配)と結びつけるべきものだった。巨大資本が定義した意味で全体主義というタグを使うのは、情報操作に踊らされていることを意味する。

 1933年11月といえば、アメリカの巨大資本が反フランクリン・ルーズベルトのクーデターを計画していたころ。その5年後の4月29日にルーズベルトはファシズムについて次のように定義している。
「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」


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トランプ「アメリカがガザ地区を引き継ぎ、われわれが仕事をする。ガザ地区を所有する。雇用と住居を無制限に供給する経済開発をおこなう」

 イスラエルから攻撃を受けているガザの面積は東京23区の6割ほどになるという。さほど広くはない。猛烈な爆撃によって瓦礫の山と化した現地の映像を見るに、人が住めなくなるほど徹底的に破壊し尽くして、更地にしたうえで復興利権をむさぼるという意図が露骨に伝わってくる。「ハマスを殲滅する」を錦の御旗にして大量のミサイルを撃ち込んで、やっていたのはガザ地区全域の解体作業だったようにも見える。そこにパレスチナ人がいようがかまわず、容赦なく殲滅したうえで土地を奪い取り、虫けらのようにエジプトやヨルダンなどの近隣国に追い出していく――。これは誰がどう見てもホロコースト(絶滅政策、大量虐殺)であり、侵略である。

 米大統領のトランプが何を思い上がっているのか、このパレスチナのガザ地区について、「アメリカがガザ地区を引き継ぎ、われわれが仕事をする。ガザ地区を所有する。雇用と住居を無制限に供給する経済開発をおこなう」などとのべ、世界的な反発が高まっている。要はガザをアメリカが長期的に所有して復興特需に食い込み、パレスチナ人を追い出して別の場所に再定住させるというもので、国際社会が長年にわたって求めてきた二国家解決という和平案の覆しである。国際法違反でもある。

 トランプは大統領選前にもガザ地区について、「パレスチナ人は地中海に面する好立地を十分に活用してこなかった」とケチをつけ、「復興のしようによっては世界最高の場所の一つになり得る」「モナコより良くなるかもしれない。立地は中東で最高。海も最高。あらゆるものが最高だ」などと発言していた。アメリカがイスラエルに軍事支援したミサイル等々によって、古びたガザの街並みをまとめて一掃して更地にしたうえで、そこにモナコよりも最高な高級リゾート地を作り上げるというのが、不動産王の脳味噌のなかで出来上がった構想なのである。トランプが例に挙げたモナコとは、超物価高で知られる富裕層の保養地であり、タックス・ヘイブン(租税回避地)であり、億万長者たちの楽園である。一般人や貧乏人がフラッと遊びに行けるような場所ではない。

 戦争とはスクラップ&ビルドといわれるが、パレスチナ人を殺戮して彼らが生活を営んでいた土地を問答無用で強奪し、そこにアメリカの軍産複合体が乗り込んで復興特需をわしづかみにするのだから、あまりにもあからさまである。イスラエルの凶暴なる振る舞いを陰で支援し続けたのがアメリカであり、米軍需産業は大量の武器消費によって利潤を獲得し、パレスチナ人が血を流すことでドルを稼いだ。まさに“死の商人”である。そして、イラクの例を見るまでもなく、「復興」もまた利潤獲得の絶好の機会となり、アメリカの軍産複合体がパレスチナ人におかまいなく、むしろ土地から追い出して青写真を描くというのである。
https://www.chosyu-journal.jp/column/33802

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「責任ある経済政策」とは? ポピュリズムが日本を滅ぼす【金子勝の言いたい放題】2025/02/14
トランプは巨大資本が支配する統制経済を押し付けるファシスト
https://www.youtube.com/watch?v=slK4oco5B0Y

我那覇真子さんがパナマから語る! トランプ氏は本当に反グローバリズムなのか?
https://www.youtube.com/watch?v=BIpMQB5EUQQ&t=35s

西谷修 _ アメリカ原理時代とアメリカ世界統治の終焉
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16891943

ファシズムとは巨大資本が支配する統制経済の事
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14125646

トランプの真の敵/ディープ・ステートとは何か?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16878485

アングロサクソンの文化
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007474

アメリカ人による極悪非道の世界侵略の歴史
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007480

レイ・ダリオ _ 基軸通貨を持つ世界一の大国でも 政府債務増加で破綻する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16887650

日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16875882

米国のXデーはいつ来る!?
石原順チャンネル 2025/02/04
https://www.youtube.com/watch?v=H1WFqTGD7bw
http://www.asyura2.com/24/ban12/msg/346.html#c9

[近代史4] どうしても戦争だけはやりたくなかったドナルド・トランプ大統領 中川隆
126. 中川隆[-7640] koaQ7Jey 2025年2月22日 04:48:47 : YDW7XnmgMk : djJ3LmllNzBRTms=[4]
<■624行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
トランプ復帰が促すアメリカ世界統治の終焉――自壊する「西洋」と私たちはどう向き合うか@ 東京外国語大学名誉教授・西谷修
(2025年2月10日付掲載)
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/33806

 アメリカ大統領に返り咲き、就任直後から次々と既定路線を覆していくドナルド・トランプの言動に世界中が翻弄され、メディアもまるで予測不能な暴れ者が世界を手中におさめたかのようにとりあげている。国内外政策の大幅な転換に踏み切っているように見えるトランプの再登場とそれを生み出したアメリカの今をどう見るか――本紙は、『アメリカ 異形の制度空間』(講談社選書メチエ)などの著書でアメリカの特異性とその世界への影響について論考を展開してきた東京外国語大学名誉教授の西谷修氏にインタビューし、その考察をまとめた。3回に分けて連載する。(文責・編集部)


 アメリカ大統領に復帰したドナルド・トランプの言動に今、世界が振り回され、混乱が拡大している。

 彼は一度選挙で追い落とされ、「ホワイトハウスを譲らない」といえばクーデターといわれ、訴追までされた。にもかかわらず今度は、熱狂的支持者集団「Qアノン」などの応援なしに大統領選に勝利してしまった。自分を追い排除しようとした勢力が選挙で敗北した。何と言われようとアメリカ国民は自分を選んだという事実が彼の自信を強め、今回は最初からやりたいように振る舞っている。

 また、大統領選最中に狙撃事件が起き、間一髪で彼は生き延びた。こうなると誰だって「神は自分に付いている」と思う。信仰心などなくとも、人にそう言える。だから余計に躊躇がない。

 もう一つは、トランプのような政治のやり方を必要とし、それを支える勢力がある。スタッフの選び方も相当に練り込んでいる。国防長官に政治経験もないFOXのキャスターを配置して、それが性的スキャンダルで叩かれても降ろさないのは、軍の管理と運営をまったく変えてしまおうと狙っているからだ。

 「グリーンランドを買い取る」「パナマ運河を返還させる」、あるいはカナダに「五一番目の州になれ」というようなトランプの言動は、彼が他国を脅したり、すかしたりできるのもアメリカの「偉大さ」の証と考えているからだろう。これがショッキングに聞こえるのは、彼が新しい領土や運河の支配を、国際法上の問題ではなく、「私権」の問題であるかのように語っているからだ。

 彼は「専制的」といわれるが、むしろあれは「私的自由」を「権利」として野放図にふるまうアメリカ的「自由」の権化なのだ。その「自由」はあくまで「私的」だから、「私権」といってよい。トランプは合州国の公権力をこうして私物化してしまう。一期目にはうまく行かなかったが、今度はまず公的制約の制度体の解体から始めている。

 実はそれは、アメリカ合州国(ユナイテッド・ステーツなのでこのように表記する)を形成する基軸論理なのだ。


「アメリカ」という制度空間――私的所有に基づく「自由」

 アメリカの世界化は、一般的な帝国主義のモデルとされているヨーロッパのそれとは根本的に異なる。ヨーロッパは20世紀前半までは世界史における一つの主体領域だったが、植民地戦争をくり広げたあげく、世界戦争となって疲弊・没落し、それ以降はアメリカが「新しい西洋」としてそれに代わって君臨した。

 それまでのヨーロッパによる世界統治は、ある国や地域を植民地にして、そこに住んでいる人間も全部含めて支配し、帝国に統合していくやり方だった。だが、アメリカはそうではない。欧州のように、住民を奴隷にして自分が主人になるというような面倒なことはしない。自分たち(ヨーロッパ人)が進出した大陸を「無主地(誰もいない土地)」と見なし、実際にはそこに暮らしている先住民(インディアン)を追い出し殲滅して、そこに自分たちの「自由の国」をつくった。

 キリスト教ヨーロッパの法秩序とは無縁の大陸を見つけ、土地を確保し、それを柵や壁で囲い込み、そこに私的所有権を設定し、当初はヨーロッパ諸国の国法によってその「所有」を合法化した。

 そのことによって、もともと存在した世界(先住民やその生存空間)は、固有性も実体も認められない影であるかのようにして締め出された。

 なおかつアメリカはイギリス本国から独立した。「新大陸」に渡ったヨーロッパ人による各植民地(ステート)の大部分は、植民会社(民間企業)によって開発する方式をとっていた。マサチューセッツ植民会社、ニューイングランド植民会社……これらの民間企業は、イギリス国王の特許状によって土地の払い下げを受け、たとえば「5年間開拓したら私有地にしてよい」というようにして開かれたそれぞれのステート(自治政体)を形成した。だが、その特許状のために国王が税金だけ取る。何も働いていないのに税金だけ取る本国に反発し、13のステートがまとまってその国家権力を排して連邦政府をつくった。

 これは私企業が自分の上前をはねる公権力を排除し、企業組合を連邦政府にしたようなものだ。その私企業の根本は、まず土地の私的所有権だ。それが入植した者たちの最初の資産になる。その資産の力で、私権のおよぶ範囲を広げていく。それがアメリカ人の「自由」だ。それが13にまで広がると公権力を排して、一つの連合国家(いわば企業組合)を作った――これがアメリカ国家の基本形態であり、それはヨーロッパの主権国家体制とは違う。

 ヨーロッパも当時、「私的所有権」が制度的に確立されていく時期ではあったが、土地支配をめぐる伝統的事情(王政や封建制に伴う事情、あるいは教会が領地を持つ伝統など)のため、個人が土地を排他的に所有し、かつそれを自由に処分しうるという「私的所有権」が確立されるには、統治権限の移行にとどまらない大規模な社会再編が必要だった。

 だが、新大陸アメリカでは、障害物である先住民をいないことにすれば、他にはなんの支障もなく「処女地」に私的所有権が設定でき、それを自由に処分することができた。「お互い戦争ばかりやるヨーロッパの主権国家体制とは違う自由の領域を西半球につくる」「俺たちはもう古いヨーロッパではない。新しいヨーロッパだ」ということで、アメリカはヨーロッパ的な国際秩序(ウェストファリア体制)から出て西半球に引きこもる。

 その西半球に「自由の領域」、つまり、私的所有権をもとに私人や私企業が統治をコントロールする地帯を広げていく。そこで起こったのは、統治の「民営化」であり、権力の「私営化」だと言ってもいい。

 独立した当時のアメリカ合州国は東部13州だけだったが、その後、フランスからルイジアナを買い取り、先住民を追い出して併合。スペインからフロリダを買収した。さらにメキシコとの戦争でテキサス、南西部のカリフォルニア、アリゾナ、ネバダを奪い、独立からわずか半世紀あまりで「自由の領域」を太平洋岸にまで押し広げた。さらにアメリカは、ロシアからアラスカを買い取り、スペインとの戦争では、ついに太平洋のハワイ諸島(50番目の州)を併合した。

 このように「アメリカ」とは、私的所有権を軸に「自由」を拡大していく制度的空間であり、だから「アメリカ合州国」なのである。アメリカが「自由」の別名であるなら、それは地理的なアメリカにとどまる必要さえなかった。「西への運動」を展開して大陸国家となったアメリカは、今度は太平洋を越えて世界へ広がろうとした。「私権」は無制約に拡大すると飽和や限界を知らないのだ。


先住民抹消のうえに設定された私的所有権

 「無主地」には「先占取得」が成立するというのはローマ法由来だ(先住民はそんなものは知らない)。その上で、土地を耕せば自分の所有権を主張できる、というのは、イギリス人哲学者ジョン・ロックが「所有にもとづく自由」ということで定式化したものだが、それは聖書に基づいている。ジョン・ロックは近代の代表的な思想家といわれるが、なんのことはない。いちいち聖書の記述に乗っかっている。

 先住民がなぜ簡単に追い出されたかといえば、彼らは土地を所有するとか、私的所有権という概念をまったく持っていなかった。大地とは人間のみならず、生きとし生けるものの生存を支え、恵みを与えてくれるものであり、人間はその恵みのなかで生き死にする存在だった。動物や植物がいるのも太陽と「母なる大地」のおかげだから、そんなものを所有し、ましてや切り刻んで売買するという考えなど馬鹿げているといって笑い飛ばす。「クニを売る? では、なぜ大気や海を売らないのか?」と、彼らは土地の譲渡を求めるヨーロッパ植民者に対して言い放ったという。

 大地は誰のものでもないので、そこに漂流者がやってきて耕し始めても、別に文句をいわない。その意味で排他的な領土意識がない。だから、航海の疲れや慣れない土地での飢えと寒さに苦しめられている漂流者(ヨーロッパ人入植者)たちに対して、先住民たちは食料や衣料を与え、乾いたトウモロコシをやって、まけば春には育って食べられるようになるということまで教えた。

 だが、その新参者たちがそこに居着き、自分たちの生活圏を壊すようになる。ヨーロッパ人たちは「ここは俺たちの土地だ」といって柵で囲い込み、入れないようにして、命の恩人であるはずの先住民たちを追い出し始める。インディアンたちは「騙された」「侵害された」という意識を持つようになり、「いい加減にしろ」と槍をもって柵を壊す。そうするとヨーロッパ人たちは「あいつらは野蛮人だ。何をするかわからない」となってその駆逐に乗り出す。

 ローマ法由来の法観念を持つヨーロッパ人たちは、これも自分たちの権利だと思う。キリスト教による「神が自分たちを守ってくれる」という意識もそれを補完した。

 だから、自分たちは当然の権利に従っていると思うが、相手からすれば道に外れた侵害行為だ。当然文句をいってくる。そうすると「野蛮人が襲撃してきた」といって鉄砲で撃ちまくる。すると先住民は弓や槍で武装してくるが、馬と鉄砲の前にはひとたまりもない。(馬はヨーロッパ人が持ち込んだものであり、あそこにはいなかった)

 外から人がやってきても、害をもたらしたりしない限り受け入れてきた先住民たちは、膨張する「アメリカ」に圧迫され、それに抗議して争っても武力に押されてしだいに後退を余儀なくされ、土地を明け渡すために強制移住を強いられ、やがて彼らのために割り当てられた辺鄙(ぴ)で不毛な「保留地」に囲い込まれていくようになる。

 彼らがおとなしく「アメリカ」に吸収されていけば看過もされたが、自分たちの生活に固執すると、邪魔な障害として敵視され、「野蛮」として軽蔑され憎悪され、ついには「文明」に場を譲るべき運命にあるものとして容赦なく抹消されていったのだ。

 先住民たちの租界地は西へ西へと追いやられたが、西岸で鉱物資源が見つかると白人の「アメリカ人」たちは境界を無視して侵入し、カリフォルニアに金鉱が見つかると、協定など無視してなだれを打って押し寄せ、邪魔なインディアンを立ち退かせるために、その生活の資であった4000頭のバッファローを全滅させることさえした。

 この勝手に外部から持ち込まれた「アメリカ」という制度空間のうちに法的資格を持たない先住民たちは、土地の正当な権利者として認められるどころか、父祖伝来の土地に住むことさえも「不法占拠」とみなされ、「合法的」に強制排除され、抹消された。

 アメリカが抱える「原罪」とは、バラク・オバマがいった黒人奴隷の制度である前に、この先住民の抹消である。無主地の無制約的所有によって保証されたアメリカの「自由」――それを十全ならしめるために、それまでそこでまったく別のやり方で生きていた人々の世界を丸ごと無に帰したのだ。

 付言すれば、それを21世紀の今、再現しているのがイスラエルのパレスチナ人殲滅(ガザ・ジェノサイド)であり、それをアメリカが擁護し続ける理由も、この「原罪」の否認と不可分に関わっている。


自然物の資産への転換と不動産ビジネス

 アメリカの西部開拓を図式的にいえば、土地を取ってそれを全部財産に変えていくことだった。東部13州が広がって、「フロンティア」が西に進み、太平洋岸にまで行き着いたことで何が起きたかといえば、あそこの自然の大地がすべて「不動産」になったことを意味する。

 不動産になるということは、国の書類倉庫の中に、それぞれの区画が誰の所有であり、誰がいくらで売り買いしたかが登記され、それを保障するのが国の役割となる。そのようにして合州国は拡大していく。

 合州国独立期、イギリスは産業革命の真っ最中だったが、アメリカは100年足らずでイギリスを抜いて世界一の工業国になる。それほど発展したのは、土地も資源、金も石炭もふんだんにあり、それがすべて資産に転化し、移民と解放奴隷で労働力はいくらでもあったからだ。何より、イギリスと違って封建制の足かせがなく、制約なしの産業化が可能だった。ついでに言えば、農業さえ初めから産業だった。それが「新世界」と言われるゆえんである。

 そのアメリカの国家形成、社会形成で一番重要な役割を担ったのが不動産屋だ。そんな職業はヨーロッパではまだのさばっていなかった。建物の売買はあったが、土地の売買にはさまざまな制約があった。

 原野を囲い込んで値段を付けて売る――つまり、自然を「財」にコンバート(変換)し、その流通を仲立ちする。その中核になるのが不動産屋だ。

 だからアメリカでは、毛皮卸売商人や不動産屋、それと弁護士が集まり、ニューヨークのハドソン川の近くに商業取引の中心地をつくった。それが現在まで続くウォール街だ。

 不動産業とは半分は法律業務だ。金融取引の中心となったウォール街は、法律と権利証書、後には株式証券によって支えられるアメリカという制度空間を象徴する場所であり、風が吹いたり、トウモロコシが生えたり、牛が走ったりする大地よりも、不動産として登記簿に書き込まれた権利物件の方がものをいうため、法権利に関わる職業が幅を利かせたことはいうまでもない。

 なぜ「ウォール街」というかといえば、マンハッタン島の端がまだニュー・アムステルダムと呼ばれるオランダの植民地だった時代に、白人たちが柵を立てて領土化し、原住民を立ち入り禁止にした。その防御柵が「木の壁(ウォール)」と呼ばれていたことに由来する。ほどなくイギリスに所有権が移ってそこはニューヨークと改名され、街も広がると防御柵のあたりが中心街になり、ウォール街として名をとどめたのだ。やがてそこに材木商人や不動産ブローカーや金貸し、弁護士が集まり、後の証券取引所の始まりとなる。

 大地よりも登記簿上の不動産、生身の体よりも数値化され管理される労働力、生活より科学的マネジメント、すべてを権利の対象というフィクショナルな(あるいはバーチャルな)人工物に書き換えることで、自然に束縛されない「自由」という恣意的支配を現実化し、制度として保障することでできた「新世界」の名前が「アメリカ」なのだ。

 いわずもがな、トランプはその不動産業出身だ。だからトランプのやり方は、アメリカ国家を作るうえでの重要セクターの伝統を体現している。大地を商品に転換して売買することが不動産業者のコアビジネスだ。それが私的自由(所有権)を実質化し、領土売買で拡大するのが合州国の「偉大な」時代のあり方だった。だからこそ大統領になった彼は、アメリカに新たな土地を割り当て、そこを執拗に「掘って、掘って、掘りまくれ!(ドリル、ドリル、ドリル!)」と呼びかける。


二つのアメリカ――グローバル世界統治と単独主義

 トランプ政治について考えるうえで、重要なのが「二つのアメリカ」の分岐だ。西洋にもヨーロッパとアメリカの二つがあり、その世界化も二段階あったが【前回インタビュー記事〈2023年12月18日付〉参照】、アメリカも二つある。

 成立したアメリカは、古いヨーロッパから離脱した後、まだまだ開拓するべき土地が太平洋岸まであり、陸続きの南にも開拓領域があるのだから、こちらに「ヨーロッパは手を出すな」と牽制した。ちょうど、ラテン・アメリカがスペインやポルトガルから独立する時期だった。それが「モンロー教書」にもとづいて20世紀の初めまで続くモンロー主義だ。

 だが、そのように西半球に引きこもってフロンティアを拡大していたアメリカも、ヨーロッパの「世界化」が飽和して、それが「内戦」(欧州大戦=第一次世界大戦)に転化すると、ヨーロッパに介入せざるをえなくなる。それはヨーロッパ諸国の植民地争奪が内部に反転した結果で、ヨーロッパが崩壊し始めたのだ。その収拾のために、というより、父国ともいえるイギリスを救うために、アメリカはヨーロッパに介入する。「新しいヨーロッパ」が「古いヨーロッパ」を支えにきた。

 戦後は、米大統領ウィルソンが提唱して、再び大戦争に陥らないよう多国間安全保障の機関として国際連盟ができる。初めて戦争が悪とみなされて、不戦条約が交わされ、軍縮会議が開かれる。ヨーロッパは本当に「西洋の没落」を危惧した。

 けれども、その国際連盟にはじめアメリカは加盟しなかった。モンロー主義にこだわる議会が承認しなかったのだ。しかし、日本やドイツの台頭、そしてソ連の成立のなかで、これ以上西半球にとどまって世界的な国際秩序に関与しないわけにはいかないという状況になり、アメリカも国連に加盟するようになる。

 そして第二次世界大戦では、アメリカは連合国をリードして戦争の帰趨を決める。そして国際連盟より強力な基盤をもって国際連合を組織して、今度は本部をニューヨークに置く。ヨーロッパ諸国は二度の世界大戦に懲りて(勝ったとはいえボロボロになったから)、まず非戦を原則とし、諸国間の共存・協調によって秩序を保つ相互承認体制を作り、それを社会的に支える普遍的人権(ヨーロッパだけでなく全世界に適用される)を掲げて戦後秩序を作ろうとした。

 しかし、アメリカは戦争に負けたことがない。それに、アメリカは「私的所有権の上に立つ自由」を原理として国を作ったが、その私的所有権を否定する共産主義のソ連がやはり戦勝国として成長し、その権益(ソ連線の拡張)を要求している。というので、核兵器開発もあり、諸国家共存の平和な秩序などと言ってはいられないと、ただちにソ連を「敵」とする「冷戦」態勢に入る。そして敗戦国を含めた「西側」陣営を抱え込み、ソ連圏と対峙する。

 こうなるとモンロー主義などと言っている場合ではない。アメリカは孤立を棄てて、ソ連と対抗する世界秩序の牽引車となる。しかし、この対立はこれまでの戦争と違って、イデオロギー、国家形成原理の違いによる対立だ。だからこの頃から、アメリカの国際政治には二つの違った流れが生まれるようになる。

 一方は、イデオロギーなどにこだわらず、諸国家間の力や位置から現実的に国際情勢を考えるいわゆる「リアリスト」、そしてもう一方に、理想や理念、価値観で計って「正しい自分と悪い敵」との抗争として国際社会を考えるいわゆる「イデアリスト」の流れである。

 後者によれば、「冷戦」は「共産主義・悪の帝国」に対して「自由と民主主義」勢力の闘いだということになる。すぐに想定されるように、そうなると「戦争」は地下にこもり、正規の軍隊ではない諜報機関が工作に暗躍する。CIAはそのためにできた(もちろんソ連にはKGBがあったが)。

 そして、冷戦はソ連の自己解体によって終わる。これによって「西側の正しさ」が証明されたことになる。一世を風靡したフランシス・フクヤマの「自由民主主義の勝利」というのはそういうことだ。そして、それこそは「新しい西洋」たるアメリカの「自由民主主義」である。それが、グローバル秩序の「世界標準」になるが、そこにはアメリカ的自由経済秩序、いわゆる「新自由主義」が附随していた。

 だからそれ以降、国家さえも私企業と同じようにみなされ、一番大事なのは財務諸表となる。私企業は常に成長を求められ、みんな競い合うようにしてグローバル市場の中に飛び込んでいく。「カネこそが力である」という経済システムの中でみんなが張り合うようになる。

ところが、世界は「無主地」ではないし、誰も「解放」されて難民になることを喜ぶものなどいない。そのため、アメリカのグローバル統治勢力は、かつてのヨーロッパの帝国主義のように権謀術数で世界を統治していくという風にならざるを得ない。

 冷戦になると、東側世界(社会主義圏)に対して、アメリカは西側世界(資本主義圏)を全面的にリードしていかなくてはいけない。そのためにマーシャル・プラン(欧州復興援助計画)やガリオア資金(占領地域救済政府資金)など、ヨーロッパだけでなく、敗戦国にまで金を出して勢力を拡大しなければならない。アメリカの出費は急増していくことになる。

 さらに、ベトナム戦争だけでなく、いろんなところで代理戦争を仕掛けたり、CIAに工作させて内側から政権転覆させたりしてきた。われわれの知っているアメリカはそういうアメリカだ。
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/33806


トランプ復帰が促すアメリカ世界統治の終焉――自壊する「西洋」と私たちはどう向き合うかA 東京外国語大学名誉教授・西谷修
(2025年2月12日付掲載)
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/33839


軍産複合体と産業構造転換――疲弊するアメリカ社会

 一方、構造的にみると、第二次世界大戦の頃からアメリカは世界の兵器工場になり、あらゆる重工業の中心となった。

 冷戦下には、世界のあちこちで代理戦争をやるだけでなく、西側の兵器廠になって、軍需産業が圧倒的な経済セクターになる。すると経済が戦争で支えられるようになる。戦前のニューディール政策の延長のような形であり、これは「公共事業としての戦争」だ。

 この傾向について、アイゼンハワーは大統領退任時に「このままだと、国は民主的意志によって国策を決めるのではなく、こういう巨大な力(軍産複合体)によって国策が決められるようになる」と警告を発した。しかし、冷戦下ではその傾向は変えにくかった。

 それが変わるのは、冷戦が終わった時だ。これでやっと膨れ上がった軍事費を削ることができる。それに軍縮は必要だというので、軍の縮小も始まるが、ここにカラクリがあった。

 退役軍人が失業者になってはこれも困る。だから軍人を解雇したら、そのかわり彼らに経験を生かした事業を起こさせる。それが新手の軍需産業で、戦争関係のあらゆる業務を請け負う民間軍事会社だ。これには大きなメリットがある。徴兵制はすでに廃止され、応募制になっていたが、国はそういう企業にアウトソーシングすると、軍を縮小しても戦争はできるし、民間企業のやることには責任を持たなくていいからだ。大きくいえば戦争そのものが「民営化」されるのだ。これは新自由主義の展開でもある。

 もうひとつ大きな変化は、いわゆる「情報革命」だ。アメリカはそれまでの軍事連絡網だったインターネットを開放し、その活用を民間企業にやらせるようになる。そこで一挙に成長したのがデジタル産業であり、そして知識や情報、さらにはコミュニケーションそのものの市場化だ。これは初めからグローバル規模であることで、シリコンバレーにかつてなかった規模の富を集中させた。

 そうしてできたのが、いわゆる「ビッグ・テック」といわれるIT産業だ。それに連動して生命科学関係のバイオ・ケミカル企業も巨大になる。それらが、かつてはカーネギー(鉄鋼王)、ロックフェラー(石油王)、JPモルガン(金融王)などが大富豪として動かしていたアメリカの「製造業の時代」を終わらせた。

 そうなると世界的に見ても、アメリカが両方を独占するわけにはいかないため、製造業部門は労働力の安い他国に外注するようになり、アメリカ国内の産業はシリコンバレーを拠点にしたバーチャル金融とIT産業へとシフトしていく。

 だが、まさにそれがアメリカ社会の劣化を招いたというのだ。つまり、ラストベルト(見捨てられた工業地帯)ができ、まともに働いてきたアメリカ人たちは失業し、アルコール中毒や麻薬中毒になって生活が破壊される。一方、シリコンバレーやカリフォルニアなどの新興地域は「自由」を謳歌して、そこから性の自由とかLGBTQとか、人種の多様性だとかが声高に叫ばれ始める。そのアメリカの新しい繁栄のなかで、古いアメリカ社会は疲弊・没落していく。その古き良き時代にノスタルジーを持つ人たちがアメリカ社会に増えていった。

 トランプが登場したのはそんなときだ。彼は不動産屋であると同時に、プロレスの興行師でもあった。リアルかフェイクかわからないものをスペクタクル(見世物)にして売る。その興行主だったトランプは、みずからリング脇に登場して、負けそうになったレスラー側のプロモーターと場外乱闘を演じるとか、観客を沸かせる術を身につけていた。だから彼は、デタラメのような演説でも徹底的に相手をコケにして、観客を沸かせることには長けている。

 そのトランプは「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(偉大なアメリカをふたたび)」「アメリカ・ファースト」を掲げ、「自分はアメリカ人なのに置き去りにされている」「外でどれだけ大きな顔をしていても、アメリカ社会はこんなガタガタではないか。自分で自分さえ守れない。銃を持ってなぜ悪い。これが誇りだ」という人々の幅広い層を掘り起こした。あるいは「過剰な自由」の主張に不安を持つ人々の層を。

 そこには国際主義、アメリカの普遍主義に対する反発がある。その普遍主義がアメリカをダメにしているというわけだ。アメリカはアメリカ、国際秩序などいらない――その意味ではモンロー主義的だが、今はグローバル世界であり、かつてのように西半球にとどまるということではまったくない。全世界が西半球であるかのような、不動産屋のルールがルールであるような世界として扱う、ということだ。

 そのトランプが、他より「まともだ」と思える面もある。それは彼が、イデオロギー(西側だとか同盟国だとか)は関係ない、それよりタイマン取引だ、と言うときだ。だから彼は、冷戦期以来「戦争」で国を動かしながら金と権力を独り占めしてきたグループがあると指摘し、それを「ディープ・ステート(闇の政府)」と呼んで目の敵にするのである。すると呼ばれた方は、それを「陰謀論」として非難する。

 だが、どうだろうか。イラク戦争を振り返ってみよう。

「対テロ戦争」による混乱と国際信用の喪失


 トランプを支えているのは、いわゆる「内向きなアメリカ」だ。だが、いずれにせよアメリカは世界最強の国家になっているため、内向きであっても、それが全世界に関わる超国家であることには変わりない。また、グローバル秩序の盟主として振る舞うアメリカ国家(合州国)は、「私権の自由」を主張する者たちの乗り物であることには変わりない。

 イラク戦争のときも「イラクを解放する」という名目を立て、サダム・フセインの圧政に苦しんでいた少数民族も含めてイラクを解放して「自由な国」にするという大義を掲げた。

 だが、実際にやったことは、とにかく武力で徹底的に叩いてイラクの国家体制を潰し、軍人ではない「文民行政官」として国務省出身のポール・ブレマーを暫定統括者として送り込んだ。ブレマーの役割は、イラクの国家がもっていたあらゆる資源の処分権を「民間」開放することだった。そこにグローバル・メジャーのブリティッシュ・ペトロリアム(BP)、エクソン・モービルなどが進出し、イラクの石油の権利を全部抑える。

 破壊後の復興事業もすべて米欧の民間企業、とくにアメリカの軍産企業が請け負うことができるようにした。それだけやったらブレマーは本国に帰った。驚くべき「自由化」、「民間開放」である。

 その後、イラクでは、選挙をやってもうまくいかないので、クルド人を中心に据えようとするが、フセイン体制で抑圧されていたシーア派が怒りだして力を持つと、今度はフセイン一派と見なされて全面的に追放されていたスンニ派が怒り出し、ひどい場合には米軍のアブグレイブ強制収容所で散々いたぶられ、「鬼子」のようになった連中がイスラム国(IS)を作り始める。そのようにイラクは収拾のつかない混乱が続き、無茶苦茶になった。その混乱が中東全体に広がり、シリアまで内戦になる。

 後には、ブッシュが言い張った「大量破壊兵器」もないことがわかり、客観的に(あるいは国連から)見たら、この戦争はまったくひどい破壊行為だったということになる。アメリカとしても「失敗」以外のなにものでもないだろうが、それでもブッシュも、ラムズフェルドも、チェイニーも、つまりこの戦争を世界中の反対を抑えて強行した立役者たちにとっては、「充分な成果」のあった戦争だった。

 なぜなら、イラクの国家資産も資源もすべて「民間開放」した。つまりアメリカのグローバル企業の稼ぎ口になったからだ。それを彼らは「民主化」とか「市場開放」という。だが「民営化(privatization=プライバタイゼーション)」とは「私物化」のことだ。

 アメリカ国家にとってこの戦争は、「ならず者国家」の暴君(フセイン)を倒したことを正当化の理由にしているが、その一方ではアメリカの「正義の戦争」に対する国際的信用を完全に喪失させた。だからそれ以降、ISが出てきたことで「テロとの戦争」は続けられたが、それ以後はあまり大きく掲げられなくなった。

 この「充分な成果」をあげた連中は、事実上、アメリカ国家を使って仲間内の利益をむさぼる連中である。ナオミ・クラインは、アメリカ国家はこうした企業家・政治家たちの乗り物であり、「コーポラティズム国家」と呼ぶにふさわしいと言っているが、この国家に戦争をさせて儲ける連中のシンジケートのことを、トランプは「ディープ・ステート(闇の政府)」と呼んだのである。

 誰彼の陰謀というほど単純なものではないが、アメリカの行政機構は、それに適するように(国務省も国防省も)作られてしまっている。すでに一期を務めて政府がどういうものかを把握したトランプは、今度は再び潰されないように、まず「敵」の本丸から崩そうとしているように見える。

 それが「報復」だとして騒がれているが、いずれにしても、これが今世界の目の前で演じられている「二つのアメリカ」の抗争であり、一方はイデオロギー、もう一方は「陰謀論」による「仁義なき戦い」である。


ウクライナ戦争が炙り出す「西側」の欺瞞

NATO首脳会議にウクライナのゼレンスキー大統領を招き、ウクライナへの永続的な軍事支援を宣言したG7首脳ら(2023年7月、リトアニア)

 ウクライナ戦争についても、もう誰が戦争をさせようとしているかが明らかになった。アメリカのオースチン前国防長官は、「この戦争の目的は?」と問われて、すでに2年前の5月に「ロシアを極力弱体化すること」とはっきり言った。

 そして、ヨーロッパはずっと、「ロシアを図に乗らせると次はわれわれの番だ」と「脅威」を言い立てて、どこまでもウクライナに戦争をさせるつもりだ。その火付け役だったのが、アメリカの「ネオコン民主化グループ」(バイデンも含む)だった。

 冷戦以後のアメリカの世界戦略は、「自由世界を守る」と称して、直接戦争をやることもあるが、以前にはCIAなどの工作や資金注入で体制転換を引き起こすことをやる。中南米、とくにキューバなどに対しては、冷戦が終わってもそれをもう80年間もやり続けている。今はベネズエラに対してもだ。

 その手口でアメリカの一部はウクライナに政変を起こし、それをテコにロシアから離反させ、ロシアに戦争を起こさせてプーチンを追い込む。あわよくば、それを機にロシアにも政変を起こさせようとの腹だ。それでソ連崩壊時に失敗したロシアまでの「民主化」が達成できる。ヨーロッパはこの目論見で、NATOという鎹(かすがい)によって、そこに組み込まれる。

 冷戦終結によってヨーロッパには新しい選択肢ができたはずだった。ソ連が解体した以上、もうロシアと対立する必要はない。ロシアもそう思っていた。中国とも対立する必要がない。イデオロギー対立は終わったのだから、これまで敵対していたロシア、中国と関係を結び始めると、初めは困難でもいろんな可能性が開ける。ヨーロッパとユーラシアとを結んだ巨大経済圏だって不可能ではない。

 だが、それをやらせまいとしたのがアメリカであり、冷戦終結で存在意義がなくなったはずのNATOを解散しなかった。ヨーロッパの自立を嫌ったのだ。アメリカはNATOをヨーロッパを抱え込むための鎹としてとどめた。

 そうすると敵を作らなければならない。初めはテロリストを敵にしようとしたがうまくいかないので、もう一度ロシアを敵にすることでNATOの存在意義が回復する。

 プーチンは「EUに入れてくれ」「NATOに入れてくれ」とまで言っていたのだが、アメリカはそれを拒み続け、そのあげく2008年にはブッシュがグルジア(現ジョージア)とウクライナをNATOに入れると提案した。それはもう喧嘩を売るもいいところだ。

 それでロシアはヨーロッパとの関係再構築を諦めた。ただ、ノルドストリーム(欧州のバルト海の下をロシアからドイツまで走る海底天然ガス・パイプライン)だけは諦めず、つい最近までウクライナ国内に通るパイプラインを通じても欧州に天然ガスを輸出していた。だが、今度の「戦争」でそのノルドストリームまで爆破されてしまう。

 ドイツにとっても苦虫をかみつぶすような話だ。これは「ロシアとは永遠に手を切れ」というアメリカからの脅しだ。「ナチス時代の反省」も突きつけられ、ドイツは泣く泣くそれに従った。そのお陰で経済はガタガタ。今ドイツ国内では極右といわれる「ドイツのための選択肢(AfD)」が台頭しているが、これは、そのようにアメリカが追い込んだ結果だ。

 不動産屋のトランプは、戦争で商売をするのは馬鹿げていると考えている。簡単に勝つならいいが、それよりも脅し・地上げで、取引に持ち込んだ方がずっと賢い。無駄な破壊や浪費をせずに済む。だから彼は「自分が大統領になれば戦争を終わらせる」といった。

 実際トランプが大統領になりそうになると、本当にイスラエルもウクライナも顔色を変えて戦争を収めようとし始めた。だが、ウクライナはそうは行かない状態になっている。ヨーロッパはもう青息吐息だが、ウクライナの戦争支援をやめるとヨーロッパそのものが崩壊すると思い込んでいる。それでロシアも強硬姿勢を崩せない(世界のメディアは「ロシアも崩壊寸前」と盛んに宣伝するが)。

 ロシアはもう「西側」金融・経済から締め出されても、BRICS等とつながって凌ぐ態勢を作ったから、強力な経済制裁でロシアの息の根を止めようとしたEUの方が、ブーメラン効果で青息吐息になり、逆に非西側ネットワークから孤立しようとしているのだ。EUは今、それを「レコンキスタの時代」とみなして時代錯誤的な防衛体制に入っているようだ。

 レコンキスタとは何か。これも倒錯的な話だが、711年にイスラム教徒がイベリア半島まで来てから800年、キリスト教ヨーロッパは「レコンキスタ(領土再征服運動)」といってイスラムと戦い続けてきた。1492年にとうとう最後のアルハンブラ(グラナダ)を陥落し、イスラム教徒をジブラルタル海峡の向こうに追放した。まさにその年にコロンブスが大西洋を横断し、欧州の世界進出が始まる。

 それを冷戦後の世界に投影し、冷戦勝利によって西側世界はソ連を解体したはずなのに、ゾンビのように蘇ったロシアが、アラブのテロリストたちと一緒にふたたびヨーロッパに攻め入ってくる。そんな形の恐怖が芽生えているのだ。ヨーロッパのまったくの自信喪失である。『共同通信』が今、同題で欧州要人へのインタビュー記事をシリーズ化して配信しているが、それは「レコンキスタで今ヨーロッパが危ない」という危機意識に染まっている。

 そもそもナチズムもヨーロッパ自身が生み出したものだ。ヨーロッパの外から生じたのではない。ロシアも18世紀以来ずっとヨーロッパに憧れて、ヨーロッパ入りを求めてきた。だが、ヨーロッパはロシアを異物扱いし、侵略と統合の対象とし、まずはナポレオン(1812年)、次はヒトラー(1941年)と100年ごとにロシア奥深くにまで侵攻している。ロシアがかつて一度でもヨーロッパに侵入したことがあったか? それなのに、なぜヨーロッパは恐れるのか。

 プーチンはEUに入れてもらえず敵視されるため、諦めて大スラブ主義(ロシアを中心にスラブ系諸民族の統一と独立を図る思想・運動)をとるようになった。それは拡大政策に見えるが、ウクライナが西側に囲い込まれることに対する理論武装として打ち出したものだ。クリミアやドンバスは、もともとロシアに帰属してしかるべきとし、それでウクライナ侵攻を正当化した。

 だが、ヨーロッパ首脳たちは危機感を募らせ、世界にロシア制圧を呼びかける。「次はリトアニアだ」「次はポーランドだ」といい、マクロンなどは「次はフランスだ」とまでいう。ナポレオンと世界帝国の国が盗人猛々しくもよくいったものだと思う。

 西側諸国がウクライナに支援する形で、あるいは経済制裁でロシアと対峙するとき、ここにあるのは国々の権益をめぐる争いではなく、冷戦時代と同じようなイデオロギー戦争である。つまり、ロシアは専制主義の「悪の帝国」であり、暴君がのさばるから民主主義国はこれと戦わなければならないというものだ。とりわけ相手の頭目を悪魔化して、まるで人類全体が(ロシア人も含めて)これを倒すべく戦わなければいけない、と。これはキリスト教時代の異教徒に対する聖戦といわれた「神のための戦い」と同じで、その近代世俗版がイデオロギー戦争といわれるものだ。

 だから、西側メディアはことあるごとに「プーチンはもうすぐ心臓発作を起こす」「末期癌で2、3カ月ももたない」など、西側の願望に過ぎないことを、あたかも本当の情報であるかのように垂れ流す。それこそがフェイクでなくてなんだろう。冷戦以降、このようなフェイクが、アメリカのグローバル秩序派にとってはお手のものになった。


欧米の外側で広がる非ドル経済圏とそれへの焦り

 欧米は、ロシアの資源を輸出させず、ロシアを世界のドル決済から完全に締め出せば、ロシアは体に血が回らなくなって倒れるはずと考え、音を上げるまでロシアを締め上げようとした。だが、経済制裁は「持つ者」が「持たざる者」に科すのでなければ効果はない。むしろ経済や資源を「敵」に依存していれば、制裁する側の首が絞まる。

 実際に対ロ制裁後、ヨーロッパでもアメリカでもエネルギー価格が高騰し、電気代も高騰して、食料生産その他にも支障が出てインフレとなり、そちらの方の社会の首が絞まってきた。

 そのため各国内で「物価高をなんとかしろ、何で戦争なんかやってんだ?」「EUのいいなりになるな」「フランスの農家や労働者とロシア叩きとどっちが大事なのか」という声が高まる。

 そういう勢力をヨーロッパのリベラル風権威者たちは「極右」「ナチスと同じ」だと批判するが、そういって今まさにナチス(ドイツ)がウクライナに武器を送っているという倒錯を全部ごまかそうとするのだ。

 ヨーロッパはしばしば、ロシアをナチスに見立てて、ウクライナ軍はナチスの侵略に抵抗する民主主義勢力という図式をつくっているが、今のウクライナ軍の主軸は、西ウクライナを拠点にしていた超民族主義組織であり、それはかつてナチスがソ連に侵攻したときに一緒にソ連に攻め込んだ者たちの末裔でもある(だからその後ロシアが来たときにウクライナは蹂躙されたわけだが)。

 一方、ドイツも「ナチスと決別した」と言いながら国内にはその残渣を広く温存している。それなのに大量の武器をウクライナに送ったら、まさにドイツが昔やったことと同じだ。それをアメリカから強要される。もう頭がパンクするのも当然で、そのような倒錯状態をかろうじて耐えているのが今のドイツだ。

 プーチンを悪魔化するのは「プーチンさえ倒せばロシアは民主化する」という体制転換の発想そのものだ。だがロシアには資源がある。そして、この様子を見ている中国やインド、またイランも含めて他の大きな国々は、アメリカが絶対に正しいとか、アメリカに付く方が得だなどとはもう思わない。むしろこの不当な状況の中でロシアが困っていたら、いろいろかいくぐって天然ガスでも何でも買って助ける。

 そして実際今、ロシアを含むBRICSは、ドル決済に頼らない経済圏をつくるとまで言っている。つまり、アメリカ主導の対ロシア経済制裁が非ドル経済圏をつくらせたのだ。

 今度は、グローバルサウスをどっちが取るかということで、西側諸国でもグローバルサウスがやたらと持ち上げられるが、それらの国々も西洋の植民地支配とその後遺症によって踏んだり蹴ったりの状態にありながらも、アメリカとかヨーロッパに頼れば助かるなどとは思っていない。「テロとの戦争」の顛末が、それらの国々をアメリカから遠ざけて、むしろBRICSと繋げる。

 こうなると、アメリカは今でも超大国なので「孤立した」とはなかなか思わないだろうが、ヨーロッパは完全に他の世界から孤立していく。

 そのときトランプは、EUを無視して各国に直接タイマンで個別交渉を持ちかける。デンマークに「グリーンランドを買う」とか、カナダに「51番目の州になったらどうか」というのはそういうことだ。同盟国であるかどうかなど関係ない。

 それを傍目にイーロン・マスクが、欧州各国の「極右」といわれる勢力に盛んにエールを送って喝を入れている。あれは「アメリカ・ファースト」、つまり「自国ファースト」に共感する部分を煽っている。

 彼らがなぜ「自国ファースト」というかといえば、EUの経済統合政策が、それぞれの地域の地域経済を壊しており、そこの生活者を完全にないがしろにしているからだ。「極右」の台頭は、EUの官僚支配に対する根強い反発を基盤にしている。だからこそフランスでも、EUではなく「フランス・ファーストだ」という。EUの官僚やそれと手を組んでいる国の指導者に「ノー」を突きつけているわけだ。


 EUは曲がりなりにもアメリカの連邦政府に匹敵する規模と経済力を持つ「国の連合体」だ。とくに経済・金融規律ベースで、地域統合組織たろうとしている。そうであればEU政府は合州国政府と同等の関係になる。

 だがトランプは、各国の足下を見透かして、それぞれの交渉はEUなど通さずに各国個別にやる姿勢だ。アメリカとしてはその方が、EUを介してやるよりも脅しが効いてディールがやりやすい。そうしているうちに、どの国もアメリカ合州国の一州になるかもしれない。イーロン・マスクは自身の利害がそこに結びついているから、それを手伝っている。EUはSNSやデジタル浸透を一定規制しようとするが、各国別(一国だけ)ならそれはできないからだ。

 また、トランプも中国を主要敵にするが、それはかつてのアメリカのような敵対の仕方ではない。これまでアメリカは中国をイデオロギー的に攻撃し、人権や民主主義に反するといって新疆ウイグル、香港や台湾問題をやり玉にあげてきた。

 だが、1972年の米中国交正常化で、ニクソンは台湾問題については「二つの中国はない。一つの中国しかない」と認めている。それで国交を作ったが、今ではアメリカもイギリスも中国を非難するためにだけいつまでも台湾が別の独立国であるかのように扱い、それが現状だから「現状維持しろ」といっている。だが、用もないのに初めから台湾海峡あたりまで第7艦隊を配備して「現状」を強引に変えてきたのはアメリカの方である。

 トランプにとっては、イデオロギーで粉飾する国際秩序などは関係ない。むしろ中国はいまやGDPでも事実上アメリカを凌駕しているかもしれず、「グレート」であるべきアメリカにとっては、そのことの方が看過できない。それをロシアが手伝う(あるいはロシアがそれに頼る)ことも看過できない。だからロシア・中国と敵対しているのであって、民主主義とか善悪とかを言っているわけではない。

 だから、トランプとしては、ウクライナ戦争を収拾するさいには、ドル決済から排除したロシアをふたたびドル経済圏の中に引き戻さなければならない。なぜなら、そうしなければ非ドル圏の方が大きくなってしまう。ロシアと中国の間にくさびを打ち込まなければ、アメリカが対抗するには大きくなりすぎてしまうのだ。だからトランプにとっては、クリミアやドンバスの帰属などどうでもよいことだろう。

 トランプの脅しに対しては、すでにメキシコ大統領など中南米諸国が堂々とその横暴を批判して交渉に臨んでいるが、トランプの再登場は「偉大なアメリカ」のかけ声とは裏腹に、「超大国としての責任」をかなぐり捨てなければならないほど弱体化したアメリカ自身の姿でもある。
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/33839
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1152.html#c126

[近代史4] どうしても戦争だけはやりたくなかったドナルド・トランプ大統領 中川隆
127. 中川隆[-7639] koaQ7Jey 2025年2月22日 04:54:31 : YDW7XnmgMk : djJ3LmllNzBRTms=[5]
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トランプ復帰が促すアメリカ世界統治の終焉――自壊する「西洋」と私たちはどう向き合うかB 東京外国語大学名誉教授・西谷修
(2025年2月14日付掲載)
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/33868


\. ビック・テックと野放図な「自由」の要求

 今、トランプの復帰で勢いづいているイーロン・マスクをはじめとする「ビッグ・テック」の首領たちに触れておきたい。

 彼らは、情報革命とインターネット開放後、情報空間をはじめあらゆる「財」のデジタル・バーチャル化で、人間世界に新たなフロンティア、言いかえれば新たな市場の沃野を作り出し、その開拓によって天文学的利益を独占的に手にしてきた。

 情報分野においては、それが真実かどうかよりも流通力(より人々の感情的衝動を誘う)がものをいう「ポスト・トゥルース(真実)」状況を一般化させることによって利益を膨らませ、さらにその新技術と資金力によって、他のあらゆる分野(金融、バイオ、マネージメント、宇宙開発)までも私的所有し、莫大な利益を上げている。

 現在、世界各国で盛んにデジタル化が推進されているのは、「社会の利便性やサービスの向上のため」というのはただの口実で、テクノロジーの進歩が引き起こす社会グローバル次元の更新競争に乗り遅れないためでしかない。

 デジタル産業は、そのはじめから徹底的な私的イニシアチブを動力とし、「私的自由」の拡大を目指しておこなわれてきた。ハードに関しては特許(知識所有権)を梃(てこ)に、ソフトに関しては「表現の自由」を盾に、人間の私的な欲望追求に関するあらゆる制限を無力化させながら、すべてをデジタル化された市場に引き込んできた。それに呑み込まれる形で、国家までも「民営化」され、その「公共性」を放棄するようになっている(それが社会組成のアメリカ化であり、新自由主義である)。

 コミュニケーション状況の推移を見ると、昔は「プロパガンダ」という大衆操作の手法があった。権力の方から方向付けられた情報をメディアを使って流し、大衆を煽動していくものだ。これが初期のマスコミュニケーションの一つの戦略だった。ナチスのゲッペルスやソ連のスターリンなどもここから学んで国民を煽動した。

 その後に出てきたのが「パブリック・リレーションズ(PR)」と呼ばれるもので、情報操作を市場に埋め込むやり方だ。広告の中身が真実であるか、正しいかどうかは二の次で、要はその広告で商品が売れればいい。その結果が広告の価値を決める。この場合、広告とは商品に関する情報だ。買いたい気持ちを起こさせなければ、その情報には価値がない。真実かどうかより、売れるか売れないかだ。それが情報としての価値となる。PRは、そんなふうに「情宣」を市場に埋め込んだ。

 初めは商品PRだったが、やがてそれは選挙手法(選挙マーケティング)にも使われるようになる。大金で大々的な広告を打てた方が勝ち。いうまでもなく、それはアメリカの選挙のあり方だ。

 事実も、「盛り」も、でっち上げも、同じ土俵で勝負する。デジタルコミュニケーション時代、そしてデジタルメディアにおいては、それが基本原則になる。とくにSNSは、誰にとっても発信が自由になりコミュニケーション状況が民主化したといわれる一方、「悪貨が良貨を駆逐する」が情報流通の鉄則になる。

 一般的に情報とは正確なものだということが前提になっていて、だから情報には価値があり、人は正しい知識を得たり、それに基づいて考えたり、人間関係を編んだりすることができるのだが、そうではなく、たとえ根拠がなくても、嘘であっても“そうだ、これが”と、うまく反応を引きつけた(誘った)ものが“イイネ”で拡散し、流通力を持つ。そのため、論理的になったり、妥当な情報を見分けようとしたりする慎重な判断は、この情報流通の実勢のなかではあっさり弾き飛ばされ、意味を持たなくなってしまう。

 「公共性」というのは「民主的」な情報流通にとって障害でしかない、何でも発信する「自由」がある――その「自由」の主張が「ポスト・トゥルース」といわれる情報空間の市場化・自由化を生み出し、それによって巨万の富を得たのがイーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグ(Meta・CEO)である。

 イーロン・マスクは、情報プラットフォームだけでなく、バイオ産業や宇宙開発など、もともと国家事業だったバーチャル・フロンティア事業まで私企業化した。情報領域に加え、生命領域、そして宇宙も含め、私たちの日常的な生活経験の感覚からはかけ離れた全バーチャル(非現実)領域へのアクセスを私物化しようとしているわけだ。

 これは「無主地」を開拓して不動産化(アメリカではこれを「リアル・エステイト」と言う!)し、私権を拡大してきた「西部フロンティア精神」と同じ発想ではないか。だから、このような技術開発あるいはその企業化(そこからビッグ・テックが生れる)はアメリカからしか出てこない。その名は「シリコン・バレー」だ。

 トランプはイーロン・マスクを政府効率化省のトップに据えたが、それは私権の自由(無制約化)を要求する彼らのプロジェクトが、典型的にアメリカ的なものであり、「新世界」創出(草創期のアメリカ)に関するトランプの願望と一致しているからだろう。実際には、「小さな政府」の実現という名目の下、国際関与の戦争マシン「ディープ・ステート」を解体するためらしいが、イーロン・マスクがその役を買って出たのは、私権による無制約の「自由」を目指すマスクの目論見を、トランプの「アメリカ改造」が助けると考えているからだろう。(リバータリアンの黒幕ピーター・ティール――PayPalの共同創業者で、裏のカルト・メディアでは「新反動主義」とか評されるイデオローグ――が、今回早くから背後でトランプ陣営を支えてきたのもそのためだろう。)

 だが、この米国発のデジタル・テクノロジーの拡大によって、ごく少数の大富豪に莫大な富が集中する一方で、富を吸い取られる人たちが無数に世界中(疲弊したアメリカ国内も含む)に広がり、全世界に重層的で巨大な格差が生み出されたことはいうまでもない(そこから望見されるのは、すでに半世紀前の傑作SF映画『ブレード・ランナー』が描き出したような二重化した世界だ)。


]. 「西洋化」が押し潰してきた先住民の生存原理

 これまでのべてきたように、戦争による世界統治、そして、他者(異存在)の抹消と世界改造をくり広げてきたアメリカによる「新しい西洋化」は、いまや破綻の時期を迎えている。

 何がそれに破綻を告げているのか。それは植民地化や近代化によって生存世界を荒廃させられてきたにもかかわらず、その荒廃を超えて生き、そのことで世界をまたつくり直そうという人たちの存在とその営みである。近代化が押し退け抹消し、その残滓(し)を噛み砕こうとしてきた人々を今は「先住民」と呼ぶ。

 いわゆるグローバルサウス(アフリカ、ラテンアメリカ、オセアニア等々)といわれるところも、かつてはすべて欧米の植民地だった。破壊的・改造的な「文明」の力に押し潰されながらも、そこに生きてきた先住民の暮らしの中には、「西洋近代」とはまったく違う生存原理(生きる世界との関係)があった。

 まず、自然物を私的に所有するという観念がない。大地や天空(空気)は、私たちを生み出すものであって、生きとし生けるものはそのお陰でそれを享受しながら生きている。そのようにして生まれて生きる人間が、大地を所有し、それを自由に処分するなどというのは狂気の沙汰である。まったく理にかなわない。そう考えるのが、アメリカ先住民をはじめ、アフリカや中東、南アジアなどで暮らしていた先住民たちの伝統だ(あるいはそれを「理性」といってもいい)。

 彼らは今ある恵みを開発利用して、あるいは未来に投資して、壊して作り変えて増やす(それを「創造的破壊」というらしい)というよりも、むしろ自分たちの享受する恵みが7代先まであり続けるように、と考える。つまり「経済成長」よりも「生存の継承・持続」が原理だ。

 そして、自分たちが主人ではない。むしろ自分たちは恵みで生きており、生きていることは周りすべてのおかげであると考えるのが先住民の特徴だ。人間が全世界(大地そして天空)をわがものにし、意のままに変えるという発想はない。

 一方、ヨーロッパ近代文明を世界に広げた動力は、「役立つものにしか意味がない」(有用性原理)、「効率的・効果的であることが価値」という考え、そして「新しいものが優れている」、「終わりが近いから急げ」という強迫観念だった。そして、あらゆる自然物を私的所有物にし、それを利用し変形して富を生み出す。その富をさらに大きく、無限に増産していくことを「豊かさ」と考えた。そのことに目覚めるのが西洋の智恵(啓蒙思想)だった。

 このような文明が押し寄せてくると、ブルドーザーで崩されるように先住民の世界はひとたまりもなく押し流されていく。それによって世界は西洋化した。

 だが、その近代化による破壊と創造、いわゆる「イノベーション(革新)」の波にさらされながらも、その瓦礫の中でさえ生き延びてきた人たちが世界中にいる。

 長く「アメリカの裏庭」にされてきたラテンアメリカの国々では、今、先住民族の復興が一つの確かな流れになっている。

 たとえばボリビアは国名を共和国ではなく多民族国家としている。そこでは、先住民族の教えである自然との調和、富の蓄積ではなく互恵によってみんなが豊かになること、そのためには争いをしないこと、そのような生き方をこれからの世界を創る原理にしなければならないと国策として掲げている。そもそも核兵器の時代、地球温暖化の時代に、どうやって戦争をするのかということでもある。


Ⅺ. ガザ殲滅戦争――パレスチナの「生きる闘い」

 今、イスラエルによる殲滅戦がおこなわれているガザの事態もそのことを教えている。

 ヨーロッパを追われたユダヤ人たちが「ナチズムに負けない国をつくる」といって入植したアラブで、そこに住む人たちを追い出してイスラエルを建国した。このように「新天地」に乗り込み、先住民を追い出して新しい国を作り出すという成立ちは、アメリカ建国とまったく同じだ。(アメリカの「建国神話」では、本国での宗教的迫害を逃れて脱出した――エグゾダス――移民たちが、新天地に自由な信仰を約束された「新しいイスラエル」を建設する…、とされている。)

 そして、追い出された人たちがそこに戻ってきたり、そこで住み始めることに恐怖を抱き、追われた「国なき民」を「テロリスト」として根絶やしにしようとやっているのが今のガザ「最終戦争」(ネタニヤフ)だ。

 つまり、いまガザ(およびパレスチナ人共同体)で起きている事態は、限界知らずのアメリカ的世界の破綻を、パレスチナ人の悲劇の上に全世界に見せつけている。

 現在、一時的な停戦を迎え、15カ月絶え間なく続いた爆撃と襲撃によってガザ南部に追いやられていた何十万人もの人たちが、海岸沿いの道をたどって、瓦礫の山になった北部の居住区へ帰還していく様子が映像で伝えられている。

 住居ばかりか学校も病院も破壊され、避難民も保育器を外された乳幼児も、医師たちさえ殺されて、水も食糧も断たれたなか、わずかな支援物資にすがって生き延びた人々。彼らは大地にひざまずき、神に感謝しながら、「勝利だ!」といって歓喜している。あれほどの止むことのない日々の惨状と飢餓のなかで――。

 だが、彼らにとっては、暴虐が荒れ狂う世界の片隅で生き、その攻撃が止まったとき、つまり、平和といいうる状態が戻ってきたとき、それこそが勝利の時なのだ。

 虫ケラのように潰されながらも鉄の暴虐と闘ってきた人たちにとって、その暴虐が止んだとき、それは「生きる闘い」に自分たちが勝利したということだ。だから彼らはその勝利を喜び、瓦礫の中に戻って、またそこから自分たちの生活を作り直し、取り戻そうとする。自分がその恵みで育てられたように、破壊されて荒廃した土地にまたオリーブの樹を植える。

 だが、まさにそのことが、イスラエル人には理解しがたい。あれほど手を緩めず痛めつけ、地獄の泥沼の中を何カ月も這いずり回らせたのに、奴らは勝利だと歓喜する。その尽きせぬ生きる意志は彼らには理解しがたく、恐怖さえ呼び起こす。だからまたイスラエルは武力で叩く。アメリカはそこに武器・爆弾を供給し続ける。まさにこれが西洋文明と先住民の間で続いてきた闘いである。

 それでも先住民たちは、自分たちを育んだ土地と人々とともに生き、木を植え、家畜を飼い、子どもを育てて生きていく。そこには少なからず「文明」の所産も加わるだろうし、文明化された日々の楽しみも混じっているだろう。嫌気がさし、絶望してその地を離れる人々もいることだろう。しかし、子々孫々受け継がれていく生活の基本的な軸は変わることはない。

 傍若無人に先住民狩りを継続するイスラエルは、全世界から悪行を指弾され崩壊の道をたどっているが、同じようにアメリカも内部崩壊の没落期にある。そのときに何が争われ、そこで何が肯定されるかといえば、そのような「近代化」また「超近代化」による破壊的暴力にさらされても、リアルなまたバーチャルな破壊的暴力にさらされても、それに抗って人は生きていくということだ。生きること自体が、喜びとともに生きることが、時間をかけて生きることが、西洋的暴力によっては決して潰すことのできない、根絶することのできない「抵抗」なのだ。

 グローバルサウスと呼ばれる地域でも、今、社会がメチャメチャになり、人も心理的にもたなくなるほど劣悪な状況も広がっているといわれるが、にもかかわらず、その地域の人たちがどうすれば生きていくことができるか――。それは「西洋」が自壊する世界に生きる私たち人類共通の課題だ。


Ⅻ. 日本はアメリカとの関係を覚悟して見直すとき

 一度追い落とされたトランプが復帰したのは、彼の言うようにアメリカが「没落」したからにほかならない。その「没落」をトランプは、グローバル秩序統治派のせいだとして、まずはその「組織網」の解体から始めるとともに、国際秩序などに気を遣うのは「アメリカの損」とみなし、タイマン勝負のディールで「アメリカ」の領域を広げていこうとする。

 それに対して全世界、諸国は、たとえばメキシコ大統領のように、その脅しにひるむことなく、国家間関係では「地上げ屋」の手法は通用しないことを示し、逆にアメリカを孤立させてゆけばよい。

 G7はなおもアメリカにすがろうとするが、トランプは特別扱いしていない。そして、BRICSはすでに規模でアメリカ一国を凌駕している。

 ガザの事態収束についても、非米全世界が結集して(国連を軸にして)イスラエルとアメリカに外交圧力をかけるべきである。とりわけ国連については、30年前からアメリカの歴代政権の多くは国連を束縛と見なしており、トランプも脱退したいといっているのだから、出してやればいいだろう。

 とにかくパレスチナ国家を承認させる。イスラエルがパレスチナとの共存は嫌だというなら、アメリカがグリーンランドを買って(グリーンランドで住民投票をやればアメリカの旗が立てられる)イスラエルをそこに移住させればいい。安心立命の地だろうし、中東のほとんどの問題はそれで解決する。

 西洋的世界が終わることは、すでに世界の基本状況となっている。そこで起きている今日の混乱は、その西洋的世界が自分たちの没落を認めないことから起きている。アメリカを脇に置いて、その余の国々が自分たちの世界秩序をつくるという気概を各国が持つ。そのような趨勢は今後強まらざるを得ない。

 アメリカの属国であることに慣れすぎてしまった日本にとって、トランプの復帰は、ある意味で歴史的なチャンスとなるかもしれない。現在のような依存的関係がアメリカにとって負担が大きすぎるというのであれば、この多極化した世界において、私たちは依存し束縛される立場を脱して自立することを学ぶべきだろう。

 本来ならば、冷戦終結後、日本は変化した世界のなかで新たな立ち位置を求めるべきだった。だが実際には「勝利」にあぐらをかくアメリカにひたすら追従しただけだった。それから30年以上がたち、今では「失われた30年」といわれる。すでに多くの人々が実感しているように、アメリカの保護下で得た経済的・技術的名声も、この30年ですっかり失ってしまったのだ。ここに至ってもなおアメリカにしがみつくというのは自殺行為以外の何ものでもない。

 必要なことは、アメリカとの関係を「正常化」すること。同時に中国、ロシアだけでなくアジア・アフリカ諸国との関係も「正常化」することだ。もはやアメリカが国際的な責任を負わないというのなら、私たちは覚悟して、アメリカの覇権のきかない世界に備えなければならない。
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/33868


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西谷修 _ アメリカ原理時代とアメリカ世界統治の終焉
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16891943

ファシズムとは巨大資本が支配する統制経済の事
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我那覇真子さんがパナマから語る! トランプ氏は本当に反グローバリズムなのか?
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トランプの真の敵/ディープ・ステートとは何か?
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アメリカ人による極悪非道の世界侵略の歴史
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レイ・ダリオ _ 基軸通貨を持つ世界一の大国でも 政府債務増加で破綻する
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日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
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米国のXデーはいつ来る!?
石原順チャンネル 2025/02/04
https://www.youtube.com/watch?v=H1WFqTGD7bw


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白人の金髪や青い目、白い肌は古代北ユーラシア人が起源だった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16888887

インド・ヨーロッパ語族の 起源/アーリア人とインド・ヨーロッパ語族の関係
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16879924

ヨーロッパ人の起源
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007381

アーリア人の起源
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/306.html

インド・イラン語派やバルト・スラブ語派のアーリア人の Y染色体は R1a
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007379

ケルト人、バスク人やゲルマン系アーリア人の Y染色体は R1b
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007380

ハプログループ R1a (Y染色体)
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/182.html

ハプログループ R1b (Y染色体)
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/187.html

スラブ人の起源
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14145886

この戦闘民族やばすぎる。ゲルマン民族の謎!!
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アングロサクソンの文化
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007474

本村凌二『地中海世界の歴史』
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完新世における人類の拡散 _ 農耕と言語はどのように拡大したのか
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14094213

コーカソイドは人格障害者集団 中川隆
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/380.html

コーカソイドが作った黄河文明は長所は一つも無いが戦争だけは強かった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14013836

コーカソイドは人格障害者集団 中川隆
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/380.html

白人はなぜ白人か _ 白人が人間性を失っていった過程
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/390.html

アメリカ・アングロサクソンの凶暴性・アメリカインディアンが絶滅寸前に追い込まれた仮説
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/367.html

西洋人 が鬼畜だった理由
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コーカソイドだった黄河文明人が他民族の女をレイプしまくって生まれた子供の子孫が漢民族
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コーカソイドが作った黄河文明は長所は一つも無いが戦争だけは強かった
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アメリカ先住民の起源
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16833139
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/353.html

人類最初のアメリカ到達は16,000年以上前であったことが判明
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/613.html

氷河時代以降、殆どの劣等民族は皆殺しにされ絶滅した。
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先住民族は必ず虐殺されて少数民族になる運命にある
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/590.html
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